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1984-03-23 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十三日(金曜日)     午後一時二分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       大島 理森君    大西 正男君       大村 襄治君    工藤  巖君       小杉  隆君    左藤  恵君       塩島  大君    中川 昭一君       平林 鴻三君    古屋  亨君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       五十嵐広三君    細谷 治嘉君       安田 修三君    山下八洲夫君       山中 末治君    岡本 富夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 田川 誠一君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         経済企画庁調整         局財政金融課長 服藤  収君         大蔵大臣官房参         事官      鏡味 徳房君         大蔵省主税局税         制第三課長   津野  修君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         厚生省講習衛生         局精神衛生課長 野村  瞭君         厚生省保険局国         民健康保険課長 阿部 正俊君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      藤原武平太君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         建設省道路局道         路総務課長   三木 克彦君         地方行政委員会 島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   大西 正男君     奥野 誠亮君   工藤  巖君     山口 敏夫君   左藤  恵君     石原慎太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     左藤  恵君   奥野 誠亮君     大西 正男君   山口 敏夫君     工藤  巖君 同月三日  辞任         補欠選任   工藤  巖君     宇野 宗佑君   左藤  恵君     海部 俊樹君   中川 昭一君     村田敬次郎君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     工藤  巖君   海部 俊樹君     左藤  恵君   村田敬次郎君     中川 昭一君 同月二十三日  辞任         補欠選任   江﨑 真澄君    塩島  大君   大村 襄治君     大島 理森君   佐藤 敬治君     山中 末治君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     大村 襄治君   塩島  大君     江崎 真澄君   山中 末治君     佐藤 敬治君     ――――――――――――― 三月十三日  地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に  関する法律案内閣提出第三八号) 同月二十一日  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第四六号) 同月二日  料理飲食等消費税交付金制度に関する請願  (亀岡高夫君紹介)(第五七二号) 同月六日  住居表示に関する法律第五条の改正に関する請  願(愛知和男紹介)(第五九一号)  同(中村靖紹介)(第五九二号) 同月八日  料理飲食等消費税増税反対等に関する請願  (東中光雄紹介)(第七八二号) 同月十四日  料理飲食等消費税増税反対等に関する請願  (宮地正介紹介)(第九三九号)  同(経塚幸夫紹介)(第九七一号)  同(東中光雄紹介)(第九七二号)  同(藤田スミ紹介)(第九七三号)  同(正森成二君紹介)(第九七四号) 同月十五日  地方財政拡充等に関する請願東中光雄君紹  介)(第一〇三五号) 同月十九日  料理飲食等消費税増税反対等に関する請願  (井上一成紹介)(第一二三四号)  同(川崎寛治紹介)(第一二三五号)  同(沢田広紹介)(第一二三六号)  同(野口幸一紹介)(第一二三七号)  同(和田貞夫紹介)(第一二三八号) 同月二十二日  料理飲食等消費税増税反対等に関する請願  (矢追秀彦紹介)(第一三三九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  地方財政確立に関する陳情書  (第六号)  暴力団の民事介入に対する取り締まり強化に関  する陳情書  (第七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一八号)      ――――◇―――――
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松田九郎君。
  3. 松田九郎

    松田委員 地方財政は、今日、国と同様、昭和五十年度以降大幅な収支不均衡の状態にあり、また、巨額の累積した地方債及び交付税特別会計借入金を抱えている。また一方、生活環境の整備、社会福祉充実などの公共サービス拡充に対する社会的要請は、今後なお増大をいたしていくものと思われます。公共部門、特に住民に身近なサービスを提供する地方公共団体が果たすべき役割は、ますます重要の度を加えております。  このような厳しい財政状況下に対処して、地方財政の健全性ある確立を図りながら、しかも、新しい社会経済情勢に即応いたしまして、地方団体自主性自律性を高めながら充実した地域社会を形成していくためには、国と地方との税源配分あり方について根本的に検討をする必要があると思われるが、自治大臣のこの問題に対する御見解を最初にお伺いしたいのであります。
  4. 田川誠一

    田川国務大臣 地方自治体の自主性自律性を高め、そして地方自治を進展させていくには、御指摘のように、地方自主財源の基幹である地方税源充実を図っていかなければならないと思います。国と地方との税源配分の見直しなど地方税源充実の問題は、国と地方を通ずる税負担の水準とか税体系あり方とか、あるいはまた事務配分の問題とも関連をいたしますので、今後とも引き続いて地方税源充実を強化する観点から幅広く検討をしてまいりたい、このように思っております。
  5. 松田九郎

    松田委員 いろいろとお尋ねをしたいので、一問一答式に質問をいたします。  今の大臣の御答弁については、幾らか私と見解を異にするところがありますが、一応きょうの場合はこの問題については置いておくことにいたします。  そこで、次の質問ですが、借入金残高昭和五十八年度末では約五十七兆円に達し、地方歳出総額に占める公債費割合もまた昭和五十八年度には一〇%に達するなど、地方財政は今日国の場合と同様極めて厳しい状況下にあります。  このような状況の中で、住民税についてあえて三千億円を超える減税を実施することにしているが、このような大幅な減税を実施すると、地方財政をさらに悪化させることになるのではないかということが一部懸念をされるが、このことについて大臣の所見をお伺いしたいのであります。
  6. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、地方財政は大変厳しい状況下に置かれているわけでございますけれども、一方、国民所得課税負担というものも重くなってきておりますから、そういう状況を背景といたしまして、所得課税減税に対する国民期待というものは非常に強かったわけでございます。  地方税の場合には、昭和五十五年度に課税最低限引き上げを行ったわけでございますけれども、その後数年を経過いたしますので、住民期待にこたえまして、昨年成立を見ました六百億の特別減税をやることは既に決まっておりますが、それに加えまし三千億円余の本格減税を実施するということに相なって、ただいま御提案を申し上げている次第でございます。  財政が厳しいものですから、減税をやりまして、その財源をきちんと確保いたしておりませんと、ますます地方財政を苦しくするということがございます。私ども減税を実施するに当たりましては、基本的な物の考え方といたしまして、減税によってこれ以上地方財政を悪化させることがないようにする必要がある、そのためには、他の税目によりまして、税制上の措置を通じて財源確保する必要があるというふうな基本的な考え方を持って臨んだ次第でございます。  結果といたしましては、ただいま御提案を申し上げておりますように、住民税につきましては法人均等割引き上げでありますとか、あるいは自動車税軽自動車税税率調整を通じまして、減税に伴う減収額を大体カバーし得るものというふうに考えておる次第でございまして、全体といたしましては、先ほど申し上げました基本的考え方が貫徹され、地方財政をこの減税によってさらに大幅に悪化させるということがないような措置がとられるものというふうに考えております。
  7. 松田九郎

    松田委員 後段において質問をいたしますが、今の御答弁の中にある法人住民税均等割あるいは自動車税、そういうものに今回の減税財源が集約して行われておるようだけれども、そのほかに減税財源を調達するというような方策はなかったのか、そこらについてさらにこの際聞いておきたいと思う。
  8. 関根則之

    関根政府委員 私どもといたしましては、税制全般につきまして、改善の余地といいますか、減税財源に適切な措置がないかということを幅広く検討をいたしたわけでございます。したがって、内部的にはいろいろな税目について検討対象に加えたわけでございますし、また、前々から言われております非課税等特別措置整理合理化といったような問題も極力進めることによって財源の調達ができないかということについても努力をしたわけでございます。しかし、結果といたしましては、先ほど申し上げました二つの税目中心となりまして財源確保の柱とせざるを得なかったということでございます。  なお、国税の方で法人税率引き上げを行っております。法人税の方で増収が起こりますと、それが地方税にもはね返ってまいりまして地方税増収をもたらすということにもなってまいりますので、それをも当然私どもとしては減税財源の一部としてカウントをしているわけでございます。
  9. 松田九郎

    松田委員 今の御答弁を通じてさらに言えるわけですけれども、三千億という減税、これは鶏が先か卵が先かということわざのとおりに、三千億しか今度は別途税増収方策がないから、税財源確保方策がないからここにとめたということか、三千億円というものを減税をしたことによって、これに見合うべき増収というものを別途政府は考えていったということなのか。  本議員がなぜこのようなことをあえて質問申し上げておるかというと、我が党の公約としても、政府の要路の意見としても、大型減税を実施をするということをある意味においてかけ声にしてきているわけです。そういうことで、自治大臣が一体どういう経緯の中でこの限度額におさめられたのか。私は、多いとか少ないとかということよりも、そこら辺の経緯、そこら辺の取り組み姿勢をこの際大臣から直接にお伺いをしておきたいのであります。――大臣からと言っておるじゃないか。あなた大臣か。
  10. 関根則之

    関根政府委員 技術的な問題もございますので、私からちょっと答弁させていただきたいと思います。
  11. 松田九郎

    松田委員 大事なことじゃないか。委員長大臣が言ってから補足説明させなさい。
  12. 大石千八

  13. 田川誠一

    田川国務大臣 今回の減税は、さきに与党と野党合意をしたことに基づきましてこうした減税政策をとったわけでございまして、決して十分とは言えませんけれども国民の要望に従いまして今回御提案したような減税案になったのでございます。
  14. 松田九郎

    松田委員 その点をはっきりしておかぬといかぬから聞きよる。  現在の減税の規模を三千億前後にしたということは、野党との合意の上でこのようにしたという大臣の今御答弁でしたね。聞き違いじゃありませんね。――それなら結構です。  それでは、次に質問をいたしますが、減税に伴う増収措置法人住民税均等割自動車税等によって賄っているが、この措置は、法人の立地の集中している大府県には減税補てんが行われても、過疎県小規模県においては不十分な事態が生じてくるのではないかと思うが、そういう心配すべき問題点はないのかどうか、ひとつ見解をお伺いしたいのであります。
  15. 関根則之

    関根政府委員 減税額と今回の税制改正に伴う増収額とのバランスの問題は、それぞれの地方団体の置かれている地域的な条件でありますとかあるいは立地している産業条件とか、そういうものによってばらばらにあらわれてまいりますので、一概に申し上げることはできないわけでございます。  ただ、一般的に申し上げられることは、住民税減税というのは、住民税所得割税収が上がる、そういう税源の多いところには減収額も大きくなって出てくる、逆に補てん財源としての法人企業等がいっぱいございます場合には法人均等割税収が上がってくるということでございますから、減収額増収措置というのは大体バランスが出できてうまくとれているわけでございまして、必ずしも大府県だからといって財源が余計出てくる、過疎町村ないしは過疎県等においてはそこが非常にアンバランスになるというような傾向は、一般的にはないというふうに私どもは考えております。  特に自動車関係税等につきましては、最近は田舎等の一人当たり自動車保有台数というのがわりかし多いものでございますから、そういうこともございまして、弱小県にも自動車関係税税源というものはまんべんなく存在をしているというふうに考えております。  また、法人住民税均等割につきましても、思ったよりも田舎の県に、例えば人口千人当たりにいたしまして比較したものもございますけれども存在をいたしております。私ども税源偏在状況変動係数というやや技術的な数字をもって調べておりますけれども法人均等割変動係数は二七・五という数字が出ております。この数字は低ければ低いほど偏在度が少ない、まんべんなく存在している、そういうことでございますけれども、片方、減税の方の住民税所得割変動係数は二九・五でございますから、減税の方の偏在割合よりも補てん財源としての法人住民税均等割偏在割合の方が少ない、よりまんべんなく存在をしている、こういう税でありますことを参考までに申し上げておきたいと思います。
  16. 松田九郎

    松田委員 自動車税の今回の引き上げ幅の中で特に私は指摘したいのですが、大型自家用自動車、こういうものについての上げ幅というのが、ある意味において、他の兼ね合いからすると幅が少ないように思う。というのは、格好だけつけて要らざる大きな車を、ガソリンを振りまいて歩くようなそういう車が横行しておる。そんなものは山ほど税金をかければいいんだ。今度の自動車税の中に、私の言っているような表現の考えでやったかどうか知らぬけれども、そういうことの意見もあるということを踏まえながら、そういう不要のものに対しての課税というのは幾らか厳密にやったということなのかどうか。単に一律的にやられたって困るんだ。どうしても動かさなければならぬ自家用車的な軽自動車とかあるいは普通の乗用車とかいうものについてはやむを得ないとしても、殊さらに不経済きわまるような自動車を使用しておる国民については、財政増収の見地からもこの際協力してもらわなければいかぬ。そういう配慮がなされたかどうかを、ひとつ自動車税そのものの中でお聞きをしたいのであります。
  17. 関根則之

    関根政府委員 自動車税税率設定の仕方といたしましては、現在定額標準税率を定めているわけですけれども、その定め方は、自動車排気量を主として中心といたしましてランクを分けておりまして、小型、中型、大型、それぞれの排気量によって分けておるわけでございます。したがって、三千cc以上の大きな車に適用される定額税率は、普通の小型乗用車税率に比べて相当程度高い税率を従来からとってまいりまして、先生のお話にもございましたような、いわば省エネといいますか、そういった趣旨にも合うような税率設定がなされてきております。  今回の税率改正当たりましては、自動車税原則として一五%のアップにしたわけでございますけれども、従来から定額課税で差が設けてあって、大きな車については相当多額の税額が定められておる、それがさらに一五%上がるものですから、金額にすると比較にならないほど上げ幅が大きくなる、こういう形になっております。したがって、今回の税制改正によって特別そこのところだけ大型に重課されるような形での仕組みの変更はいたしておりませんが、従来からのそういう仕組み、しかもそれを今度定率で上げたということを含めて、先生の御趣旨税制改正によってあらわれてきているのではないかというふうに私どもは考えております。
  18. 松田九郎

    松田委員 今回の自動車税引き上げについては、従来、本議員指摘をしたようなことも十分加味しながらやってきた経緯もあり、今回は定率によって大体対応したということのようですね。  それはそれといたしまして、今後この種の税問題に取り組む場合は、今本議員指摘しているようなこと等をひとつ十分考えていただいて、まあ外車なんかぼんぼん乗り回しておるような者は、定率でやってもらったりしては困るのですよ。だから、そこら辺をひとつ十分考慮に入れながら、意見がそういうことにあるということをお含みおきいただきながら今後は対応していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、電電公社などの市町村納付金の二分の一特例については、地方財源充実観点、また納付金の性格、市町村行政サービスとの受益関係などを考慮すると、この際これを廃止するのが適当と思うが、一体どうか。  現在、政府部内において電電公社経営形態の改革が検討されている、そのように承知をいたしておりますが、これがもし民営化ということになれば、納付金にかわる市町村固定資産税については、税収確保原則に従い、何らかの特例措置を設けることなく、今の特例を言うなれば廃止をしてもらって、全額課税することで長年の懸案である二分の一の特例を解決すべきであると思考されるが、その間の事情についてひとつこの際承っておきたいのであります。
  19. 田川誠一

    田川国務大臣 電電公社経営形態が変わってからの問題でございますが、御指摘のように従来からこの問題はいろいろ議論がありました。今度民営化されるようになりますれば、当然この納付金の問題が解決されるはずでございまして、私どもとしては、民営化になれば当然これは固定資産税として課税していかなければなりませんし、その場合には全額課税をする、こういう方針で臨んでおりまして、関係各省と今折衝をしている段階でございます。
  20. 松田九郎

    松田委員 次に、別の質問を申し上げます。  現在、所得税において源泉分離課税をされた利子所得などに対しては住民税課税をされていないが、住民税についても利子配当課税検討すべき段階に来ておると思うが、一体自治省はどのように考えておられるか、局長なり大臣なりに御答弁をお願いしたいのであります。
  21. 関根則之

    関根政府委員 現在、御指摘をいただきましたように、源泉分離選択課税を選択いたしました利子所得等につきまして、現実問題として住民税課税することができないという形になっているわけでございます。  これは長い間、地方団体からも不合理ではないかという意見が寄せられ、私どももそういうふうに考えてきた問題でございます。同じ市に住んでおりながら、給与所得で仮に二百万円の収入がありますと、それ相応の住民税が取られるわけです。ところが大きな預金を持っておりまして、銀行へ預けてあって、それが源泉分離を選択いたしますと住民税をほとんど払う必要がないということになるわけでございますので、同じ住民としておかしい、負担の公平が図られていないじゃないかという議論が出てくるのは当然のことであります。  したがって、これをできるだけ片づける必要があるということで、私ども前々からお願いをし、各方面で議論をしていただきました。基本的な解決方策は、所得についてあらゆる種類の所得を総合して課税をいたします方式、いわゆる総合課税方式がとられればこの問題は基本的に解決するわけでございます。  その総合課税方式をやっていきますために例のグリーンカード制度というものが前提としてどうしても必要だったわけでございまして、現在の法律では、グリーンカード制度が施行され、それに基づいて一応総合課税に移行する、したがって、この問題も基本的に解決するという形にはなっております。しかし、御承知のような形でグリーンカードにつきましては三年間の凍結措置が現在とられておりまして、その後どうなるかということが実際問題として現在不確定でございます。  今後グリーンカードをやめて、総合課税というものが実際問題としてできないとすれば、その後この利子所得課税についてどういう方法検討していくべきかということを今政府税制調査会において御検討いただいております。できればこの夏ごろまでにその結論がいただけないかというふうに私どもは考えているわけでございますが、その中で仮に今後とも分離課税制度を残さざるを得ないということであるならば、長い間待っていたものが総合課税で実現すると思って期待をしていたわけです、それがまただめだということになるわけですから、この際基本的に地方税でも課税できるようなやり方を研究してもらいたい、考えてもらいたいというのが私どもの気持ちであり、議論基本的な立場でございます。  これからの税調の審議におきましても、私どもは、地方団体として課税する方法についてはいろいろあると思いますけれども、その中で現実可能なものを探し出しまして、何とかこの際地方団体としても課税できるような方法を見つけ出していきたい、また、見つけ出すような形で税調結論を出していただきたいということで、努力していきたいと考えております。
  22. 松田九郎

    松田委員 今局長答弁の中にある総合課税方式、三年間というものは今あなたがおっしゃったようになかなか対応しにくいという客観的な条件もあるでしょうが、その後の問題としては、今局長自身が言っておられるように、やはり問題はあろうけれども総合課税方式に移行した方が適正ではないか、妥当性があるんじゃないかというふうに本議員は思うのだけれども、そういう将来の展望というか、政府なり自治省が考えておることの方向づけは一体どっちにあるのか、そこら辺をちょっと突っ込んでお聞きしたいのです。
  23. 関根則之

    関根政府委員 日本の現在の税制基本は、よく言われておりますようにシャウプ勧告に根差しているわけでございます。それが税制の物の考え方基本になっておると言っても過言ではないだろうと思います。そこで、シャウプ勧告の物の考え方というのは、所得課税というものは、納税者の間に公平を保つためには総合課税というものが基本でなければならない、いわば鉄則のような形で据えられているわけでございます。  しかし、実際問題として、日本の昔からの税制経緯といいますか伝統といいますか、そういうことがございますし、一方、貯蓄奨励というようなことから利子配当所得に対しては長い間分離課税をやってきたという問題もございまして、また、実際総合課税に移行する場合に不公平な形にならないようにすべての預金について把握ができるような体制がとられませんと、見つかったものだけが課税されるということにもなりかねないという問題もございますので、いろいろ事務的にもそこのところをどう担保していったらいいかということで難しい問題がございまして、今まで総合課税がとられていなかったわけでございます。  そして数年前に、しかしそれにしても総合課税を何としてでもやる必要があるということで例のグリーンカード制度というものが模索され、考えられて、法律にまでなったわけでございますけれども、いざグリーンカードの発給を前にいたしましていろいろな問題が起こってしまいまして、実際問題としてこれを実施に移すのがなかなか難しいということで現在になっている次第でございます。  したがって私どもは、税制の本来の物の考え方からすれば総合課税に移行することが望ましいというふうに基本的には考えております。しかし、実際問題としてのいろいろな場面での動きを考えてみまして、それがここ一年か二年の間に直ちに本来あるべき姿での総合課税に移行するということは、私どもとしては実際問題難しいだろうと見ざるを得ない。となれば、そういう分離課税が仮に残ると総合課税ができないという事態の中で、住民税における負担の不公平が起こっているようなことのないような方法を模索しなければいけないというふうに考えているわけでございまして、先ほど御発言いただきました利子所得に対する住民税課税されていないという問題は、その問題として対応して、何とか地方税でも取れるような方法を考えていくべきではないかというふうに考えている次第でございます。
  24. 松田九郎

    松田委員 次に、公営競技についてお尋ねをしたいのですが、公営競技については、その収益は現在主催団体が独占をしておるというか、表現は悪いのですが、そういう形になっておるわけですね。この公営競技の開催に伴い、周辺市町村にも、あるいは交通安全の問題なりあるいは青少年の健全育成、そういう問題など多大な行政需要をもたらしているのであるが、これら周辺市町村にもその収益の配分を行うべきではないか、一部でもいいから。悪影響だけは与えておいて、あるいは迷惑だけ与えて、主催市町村、自治体以外の隣接の自治体行政には何らの収益配分がなされていない。  公営競技に対する特例の期限もまた昭和六十年度に切れるということにもなっておるが、このいわゆる時限についてさらに政府はどのように考えておられるか。これを延長するということなのかどうか。そういうことになれば、今本議員指摘しておるように、単に主催地の自治体行政だけが収益をひとり占めしていくというようなことは好ましいことじゃない。時限のいわゆる六十年度以降にこの特例を存続させる、延長させるということになれば、当然そこら辺の配慮というものがなされてしかるべきである。迷惑料はどうするのか、早い話がそういうことを私は言いたいわけですが、そこら辺について、局長でも結構ですが、ひとつ答弁を願いたい。
  25. 石原慎太郎

    石原政府委員 公営競技の収益金の均てん化の問題についての御指摘でございますが、従来から特定の団体のみに収益が集中する、周辺市町村は迷惑だけ受ける、こういう不満がございまして、まず、周辺市町村にできるだけ収益を均てん化する努力をしていただきたいという指導をしております。それから、できれば開催県そのものも周辺に分けていく、こういう努力もしていただくように要請しております。それから、市町村同士ではなかなかうまくいかない面もございますので、例えば都道府県単位での市町村振興基金というようなものに対して収益金からこれに繰り入れていただく、協力していただく、こういうような方法で均てん化を図っている団体もあります。私どもは、そういった方向をさらに強化していただくように指導してまいりたいと思っております。  それから第二番目の、公営競技の納付金、公営企業金融公庫に対する納付金の制度でございますが、これは昭和四十五年度に実現して以来、今日では、この収益均てん化の上で大変効果的な働きをしております。先生指摘のように、これが六十年度で切れてしまいます。六十一年度以降はなくなりますので、私どもとしては、ぜひそれ以後も延長したい、そういう前提でいろいろ検討を進めております。それから、要すれば、その際に単純な延長でなくて内容の強化も図れないものかというようなことで検討を進めているところでございます。
  26. 松田九郎

    松田委員 公営競技のいわゆる特例措置というのが六十年度に切れる、これを政府としては今後も継続してやっていこうというお考えであることを今言われましたね。  それはそれとして、私が言いたいのは、公営競技というものの本質からいって、政府地方財政が窮迫しているから、財政の一助となるのだからという大義名分か美名か知らぬが、そういうことのみで今後これをずっと延長していこうということになるのか。私は、この種の非生産的なことにいつまでも末端自治体、主催地が財政を依存しておるというあり方は好ましいことではない。一面、社会環境を悪化させ、時には青少年の健全な育成についても支障があり、場合によっては、こういうところに行くために夫婦げんかまで起こっておるような事例なしとしない。いかに自治体の財政が窮迫しておろうとも、それを大義名分としてこの種の公営競技をずっと助成、助長してやっていかなければならないという考え方政府にあるのではないか。私は、それは基本的に自治行政に対する好ましい取り組みではないというように思うのですが、これについては、大臣見解をひとつこの際聞いておきたいのであります。
  27. 田川誠一

    田川国務大臣 公営競技の問題はいろいろ議論がございます。また、弊害も随分あることは私もよく承知しております。私の選挙区は川崎なのですけれども、川崎なんかで付近の住民が、やはり競技が開催されるようなときは非常にいろいろな弊害があることにみんな嫌がっております。  私は、こういう問題は、単に地方財政財政の都合によってこういうことが行われる、発端は確かにそうでございましたけれども、競技そのものをもう少し直していくということにやはり重点を置いてやっていく必要があるのではないだろうか。例えば競馬を見ましても、イギリスなんかでは、やはり競馬というのは王室の方も出てきている、それから家族もみんな楽しんで競馬場に来られる。今、日本の場合は、競馬にはそういう面がありますけれども、競輪とかそういうものには余り見られないわけです。ですから、今の公営競技というものを家族も一緒に参加というか観覧できる、楽しむことができるということもやはり考慮してやっていく必要があるのではないか。もちろん地方財政上、やはり財源確保する意味から必要なことでありますけれども、競技そのものを、もう少し家庭の団らんもできるような方向に持っていくような努力も相まってやる必要があるのではないか、このように考えております。
  28. 松田九郎

    松田委員 今の大臣の所見を聞きまして、多少納得というか、安心したというか、気がいたしますね。一面で大臣と私は同感です。やはり今の時点でこのギャンブルを全面的に閉鎖させるというか、やめるというようなことは、いろいろの客観的な条件の中でできないでしょう。だからといって、今のあり方でいいかどうかについてはかなり疑問のあるところですね。問題のあるところです。だから今大臣答弁になっておるように、例えばもっと健全な、ギャンブル的な性格を帯びないような、いわゆる競技主体のもの、したがって、例えばかけ金というのですか、手数料というのか知らぬけれども、そんなものを売上幅を制限するというか、一挙に一山ぶち当てようというばくちみたいな観念の中でこの種のものがかなり進行しておる、そのギャンブル性をなくして、健全な競技本位の、まあ一挙にはそういう従来の手数料かかけ金か知らぬけれども廃止するというわけにはいかぬでしょうが、そこら辺のけじめをやはり置くべきだ。そこら辺についてひとつ補足して局長の考えを聞いておきたい。
  29. 石原慎太郎

    石原政府委員 公営競技のあり方につきましては、先生も御指摘のような点がたくさん意見が出されております。  五十四年でしたか、公営競技のあり方についてのいろいろな問題を検討する公営競技問題懇談会ですか、ここでこの競技のあり方についてのいろいろな問題の指摘がなされております。これに沿いまして、各競技を主管しております省庁、競馬であれば農水省、競輪であれば通産省、モーターボートであれば運輸省、それぞれの省庁を中心にいたしまして、行き過ぎのないように、この弊害をできるだけ除去して健全な娯楽としてこれが今後とも維持できるようにするということで検討が加えられております。  私どもも、主催は地方公共団体でございますから、関係省庁とも相談しながら、先生の御指摘のような方向でこれからこの内容改善には努力を重ねてまいりたい、このように思っております。
  30. 松田九郎

    松田委員 重ねてもう一回別のことでお尋ねするのですが、今さっき言ったように、このギャンブル主催自治体行政だけが収益を受けておる。国が、国営というか、そういうもので今後吸い上げるということは、過去の経緯からしても難しい問題もありましょうね。また、自治体育成の見地、自治体の反発、そういうものから考えると問題があることも私はよくわかります。  しかし一面、少し前進させていく、いろいろ問題点を解決するということになれば、ひとり主催地の行政自治体にとどまらず、いわゆるその範囲内にある県なら県、一つ上の段階における自治体が、何らかの手数料というのか、事務経費というのか、そういうものを開催の競艇、競輪、競馬から取って、そしてこれで隣接の主催地以外の自治体にも何らかの助成措置を講じてやるというような方策はとれないものかどうか。そういうことについて従来努力があったかどうか。私は駆け出しの議員だからよくわからぬからね、そこら辺をひとつ説明をしていただきたいわけです。
  31. 石原慎太郎

    石原政府委員 直接的な均てん化措置としては、先ほどもちょっと申し上げましたように、都道府県が中心になりまして、例えば市町村振興基金というようなものを積み立て、それに公営競技の開催団体から純益の一部を納付していただく、こういう方法で均てん化を図っている都道府県が幾つかあります。私どもはこれは非常にいい方法だ、できるだけそういう方法を進めていただきたいということで指導を申し上げております。  それから、直接的ではございませんが、現在、特別交付税の配分に当たりましては、収益の大きい団体は一つの減額要素として特別交付税から差し引きしております。そして、そこで浮いたものを収益のない団体に配分するという形で全国的なレベルでの均てん化を進めております。さらにまた、地方債の許可に当たりましても、公営競技の収益金の非常に大きい団体につきましては許可額をチェックする、抑制するという形での均てん化も講じております。  いずれにいたしましても、いろいろな方法があるわけでありますが、私どもは、直接的な均てん化については都道府県を中心にできるだけその実を上げるようにこれまで指導してまいりましたし、これからもその方向で努力をしてまいりたいと思います。具体的には、毎年度の財政運営についての指導をいたします運営通達の中でこの収益の均てん化措置をさらに強化するように指導をしてまいりたい、このように考えております。
  32. 松田九郎

    松田委員 今、局長答弁で、公営競技のいわゆる収益均てん化のためには、都道府県に今言ったようなことを踏まえて指導をしておる、こういう御答弁ですね。  その指導をしておられることと相まって考えられるのは、都道府県がそういう均てん化について具体的な所要の動きを始めた場合に、法省令違反とかなんとかという問題はないわけですね。これは積極的に都道府県が均てん化についての何らかの措置をとれば可能である、やれるんだ、そういうことですか。
  33. 石原慎太郎

    石原政府委員 具体的な均てん化の方策につきましては、各都道府県の判断で進めておられるわけでございます。
  34. 松田九郎

    松田委員 そうすると今の答弁は、都道府県が積極的に均てん化についての何らかの措置方策をとろうとすればやれるんだということですな。法省令違反、憲法違反なんという問題は起こってこぬですな。そういうことだ。
  35. 石原慎太郎

    石原政府委員 これは都道府県の判断で可能でございます。ただ、開催市町村と都道府県の話し合いで進めていただいておるということでございます。
  36. 松田九郎

    松田委員 わかりました。  次いで、議員定数、特に最近問題になっておる国会議員議員定数について、大臣に所要のことをお尋ねしたいわけです。  大臣は、就任以来あらゆる機会に、この国会議員議員定数を、前向きかつ積極的になるべく早い機会に実行していくんだ、改正をするんだ、取りまとめるんだ、そういうふうな御発言があっておりますが、そういうお考えですか。
  37. 田川誠一

    田川国務大臣 そのとおりでございます。  これはもう私ばかりでなく、自民党も私どもの方の党も、それから野党の各党も、先般最高裁から議員の定数の不均衡について違憲状態である、こういうような判決も下されておりますので、こうした不均衡はどの政党もこれを直していかなければいけないではないか、こういうふうにおっしゃっておりますので、これは私もそう思っておりますけれども、私ばかりではないということを御理解していただきたいと思います。
  38. 松田九郎

    松田委員 大臣でも所管の局長でもいいですが、次にお尋ねをしたいのですが、現在国家が地域格差、職域格差是正のために特別にとっておる法的措置、例えば離島振興法であるとか産炭地あるいは過疎地、山間地、そういうものはどういう法的理念に基づいて、特別に立法までして過疎地あるいはまた人口の少ない遠隔の地の住民に対して政治的恩恵を与えようとしておるのか、このことについて、後段の質問にも関連性がありますから、こういう特別立法があえて過疎地、過疎県にしてあるが、一体どういう意味なのか、それをひとつ明確に聞いておきたいのであります。
  39. 岩田脩

    ○岩田政府委員 個々の法律の立法理由について一々承知しているわけではございませんけれども、今お話しのような一連の立法につきましては、日本の国が一体性を持って全体として発展していく上で、特にそういう地域に手を加えなければならないような事情を生ずる、経済的発展の上での一つのひずみとでもいいますか、そういったものにこたえるために特にとられた措置であると思っております。
  40. 松田九郎

    松田委員 今、大臣が前段で答弁のありました最高裁の判決、一票の格差、重さ、そういうものがあるのでという、これはいろいろテレビを通じあるいは新聞を見て我々も承知をしておりますが、いつも大臣が言ってらっしゃることですな。  今、局長答弁になった中で、個々の問題の経緯考え方は私にはよく答弁できないし、わからぬという意味のことだったが、私が聞いているのはそんなことじゃないんだ。そういう特別の議員立法なりあるいは政府提案なりの法律が山ほどあるが、その根底をなすものは、常に地域格差、職域格差是正のため、どんなに人口が少なくたって、極端に言えば一人であっても政治の恩恵を、機会均等を与えるためにつくられたものじゃないかと思うがどうかということを聞いているのです。それに再答弁してください。
  41. 岩田脩

    ○岩田政府委員 ただいまの御質問でございますが、おっしゃるとおり、何といいますか、それぞれの地域にはそれぞれの事情があることであると思います。そういった意味で、国がある種の施策をする場合に、人口には必ずしも比例をしない、そういう行政の需要に応じた事業をしておることは御指摘のとおりでございます。  一方、選挙でございますので、これは国民を代表することになります。したがいまして、ただいまこれは先生極端な例としてお挙げになったのだと思いますが、ある地域に一人しかおらぬのにそこから一人代議士を出せという話にはなるものかどうか。もちろんお話がございました最高裁の判例にいたしましても、人口比例以外に何もあってはいけないとは言っているわけではございませんで、やはり人口を基準として、そのほかのその地域のまとまりであるとか今までの選挙の実績であるとか、そういったようなことも考慮して定数は定めるべきものであろう。しかしながら、そういうことをあわせ考えても、今のような差、現在生じておるような開きは合理的な説明ができないのであって、違憲状態と言わざるを得ないという趣旨のお話でございまして、これにこたえようとしている趣旨と御理解をいただきとう存じます。
  42. 松田九郎

    松田委員 局長、議事の途中だったから私はあえて私語で発言はしなかったが、あなたの発言について不穏当な箇所がある。議員の定数を一人にせないかぬとかなんて私が質問したか。訂正しなさい。委員長、速記録を調べてください。議員一人を一人の過疎地から出さなければいかぬとかなんとかあなたは答弁しているが、行き過ぎじゃないか。そんなところまでまだ論議はいってないじゃないか。何を言っているか。
  43. 岩田脩

    ○岩田政府委員 私の気持ちとしましては、ある部分に行政的需要があれば、それは一人でも措置をするべきだという御趣旨の御発言がございましたので、そういったものと選挙との性格のことを少し申し上げてみたつもりでございますが、確かにそのような具体的な御質問はございませんでしたので、取り消させていただければありがたいと思います。
  44. 松田九郎

    松田委員 委員長、よく注意してくださいよ。  そんな、議員が尋ねもしないことを、しかも重大なる発言を、不見識な。私が、過疎地であろうとも一人出しなさいとか、出すべきじゃないかとか、そういう主張もしていないのに、自分が粉飾して、私の考えで答弁しました、そんなことを言えるか、この委員会で。十分注意してもらいたい  そこで大臣にお尋ねするのですが、いわゆる一票の格差、あるいは俗に言われておる五対一とか三対一とかいろいろ言ってますね。そういうものを一体どの程度を考えていらっしゃるのか。今後取り組もうとおっしゃっておるのだから何らかの腹案なりあるいは私案があるはずですね。何もなくて、おれはやるんだとおっしゃっておるわけではないでしょうから、一体どういうことをお考えになっておるのか。直ちに取り組むとおっしゃっておるのだから、直ちに取り組むべきおおよそのアウトラインはあるはずだ。だからそれをお聞かせ願いたいわけです。
  45. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほどからの御質問の中で私の方から補足させていただきますれば、議員定数の配分は、私も人口だけでこれを決めるべきでない。やはり交通事情であるとか、あるいは過疎の状態とか、あるいは面積とかいうようなものも考慮に入れて議員定数の是正をしていかなければならない、これは私もたびたびつけ加えて申し上げているのでございまして、単に人口だけで配分したらいいということじゃないのです。これはもう私ばかりでなく、恐らく各党もそうだと思うのです。もし人口比例だけでやれば、東京都出身の国会議員が全体の一割を占めちゃうのです。ですからそういう面で、行政区画とか交通事情とか、あるいは御指摘になりました面積の大小とか、そういうようなものを含めて考えて配分していかなければならない。これまでの議員定数の是正をやるときも、やはりそういうことを考慮に入れてやってきたものと私は見ているのでございます。  ちょっと長くなりましたけれども、それではこれからどうしたらいいかということは、私も私なりの考えは持っておりますけれども、今各党がそれぞれ各党の案を出し合って、そうしてこれから一つの結論を出していこうという段階でございますので、もうしばらく私の考えを直接述べさせていただくことは御勘弁をいただきたいのでございます。これは決してどうこうということではありませんけれども、とにかく今は各党でまとめていただくということが一番大事なことであり、しかも、この議員定数のアンバランスを是正する案というものは、個々の代議士にとっても重大な問題であり、各党にとっても非常に影響の大きいことでございます。  ただ、私に言わせていただければ、まあ最低限現行選挙区で、そうして少なくとも総定数は減らすことはあってもふやすことはないという状態で改正を実現させていただければ非常によろしいんではないか、こういうふうに思っております。
  46. 松田九郎

    松田委員 この問題についてはまだいろいろと掘り下げて将来論議をするところでしょう。ですから、私も今の答弁に納得しておるわけじゃありません、いろいろ機会を見て意見なりあるいは考えはお聞きしたいわけです。  そこで、もう一つ今の問題について突っ込んで大臣のお考えをちょっと聞いておきたいのですが、今、幸いというか前向きに大臣から、あるいは地域であるとか――私から言えば、地域の広さあるいはまたその選挙区にある独立した例えば市町村行政の自治体、そういうものの数――一行政区画で人口が固まっておるからというだけでやると、今の最高裁の判決が云々だとか人口比例配分だとかということになると、そういう結果が起こってきますね。だから、今大臣が前向きにそういうことも考えておるんだとおっしゃったから幾らか愁眉を開いておるというか――私自身は別に定数がどうなろうと溝やしない。しかし法の考え方というのは私は大事にしたいと思うのですよ。だから冒頭に申し上げておるわけです。  今後は、何か世間一般、国民の風評、受けとめ方が、最高裁の判決が出たからこれによって格差を是正をするというようなことばかり先行しておる、改正する場合にはそれでやってもらっては困るということを言っておるのですよ。改正そのものに私は根本的に異論を唱えているのではない。また、最高裁の判決も全面的にこれを私は否定しておるものではない。しかし、それだけが来るべき定数是正の根幹となってはならぬということを意見として申し上げておるわけですから、大臣が今、それだけじゃない、面積とかそのほかその自治体の問題なども十分加味して検討しておるということですから、私はきょうは腹案を聞きたかったのだが、しかし今言えぬと言うから、言えぬものを言ってみろと言ってもしょうがないから、ここで私はおさまります。  時間がないものだからしようがありません。またの機会にこの点は承りますが、最高裁の判決は我々も法治国家の国民だから従わなければいかぬけれども、最高裁の判決というのは何かジグザグとして釈然としない。すっきりしない。だから、そこら辺は大臣はよく頭に置きながらひとつこの問題には対応していただかぬと、そのことだけを考えてもらうとかなり国民的ないわゆる世論に刃向かうようなことになると私は思うのです。  だから最後に、別なことをやろうと思ったけれども時間がないから、このことについてもう一回大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  47. 田川誠一

    田川国務大臣 最高裁の判決が出たからということじゃないので、余りにも今の一票の重みの格差がひど過ぎるから直していかなければならない、だから最高裁の判決でも出たんだよ、こういうことなので、最高裁の判決が出たからということばかりではないのでございます。  たびたび申し上げますように、地域だとかいろいろな問題を加味していくべき問題です。ただ、松田さんがおっしゃったように、地域だけ重視してやったらこれまた北海道は一番国会議員の数が多くなってしまうというような問題だって出てくる。ですから、加味していくということでこれからもやっていくべき問題である、こういうことでございます。
  48. 松田九郎

    松田委員 今の大臣答弁はおかしいじゃないか。北海道が広いから、北海道の広さを考えてやりなさいなんてそういうことを言っておるのじゃないのだから、そこら辺も不穏当ですよ。そんな余計なことは、非常識な答弁はしないでください。委員長、訂正させてください。そんなことは何の関係があるか。必要でないようなことを答弁してもらっては困るんだ。
  49. 田川誠一

    田川国務大臣 地域のことを非常に重点にされて御発言されておりますから、地域も考慮しなければならないということを申し上げておるので、地域ばかり重点に置いたらいかぬということを申し上げておるのです。
  50. 松田九郎

    松田委員 終わります。
  51. 大石千八

    大石委員長 山下八洲夫君
  52. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、きょう自治大臣を初め、また自治省、大蔵省に質問の機会がいただけて大変うれしく思っておりますけれども地方議会を初め一度もこういう経験をしたことがないものですから、きょうはしっかりと勉強させていただきたい、そういう立場で質問させていただきたいと思います。  まず、二月二十一日に自治大臣の所信表明が行われたわけでございますが、その中で、特に地方行政のところで、これは私も大部分は同感するのですけれども、「最近の我が国における社会、経済情勢を見ますと、人口の高齢化、経済成長の安定化、経済のサービス化などさまざまな面で成熟化が進み、住民は単に物の豊かさを求めるだけでなく、「ゆとり」とか「うるおい」あるいは「やすらぎ」といった心の豊かさを重視し、快適な生活環境や個性的な文化活動など生活の質的な向上を求めるようになっております。」私もこのことにつきましては大部分は自治大臣と組入れる部分があるわけです。その後にまた、「住民に最も身近な政府である地方公共団体の役割はますます重要なものである」、また、「地方分権の推進を図ってまいりたい」、私も全くそういう点ではうれしく思うわけでございます。その辺につきまして、自治大臣のもう一度御見解をいただきたいと思います。
  53. 田川誠一

    田川国務大臣 私も山下さんと同じようにこの国会で初めて答弁いたしまして、十分ではございませんけれども、これから適宜お答えをさせていただきます。  今御指摘の点は、私、そのとおりに思っているわけでございまして、ただ、私が所信表明でそのようなことを申し上げましたのは、あるべき姿でありまして、実際にそれではそのように行われているかといえば決して十分ではございませんで、これからそうした点をおいおいと実現するように努力をしていかなければならない、このように思っているわけでございます。  後段仰せになりました、地方の身近な問題については身近なところで行政を行っていかなければならないということは、現在地方行政を見ますと、まだまだ国の関与が地方にかなり及んでおりますし、国からこうしたことをやれ、ああしたことをやってほしいというような縦割り行政に基づくいろいろな注文も地方に出ております。そういう問題で地方で処理できる問題はできるだけ地方で処理するようにやっていかなければならない、このような考え方を述べたのでございます。
  54. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 確かに私自身も、ただいまの縦割り行政がまだかなり地方に対して介入をしていると思われる節がたくさんあるわけでございます。それこそあと十六年もすれば二十一世紀を迎えるわけでございますし、これからは地方の時代だと言っても決して言い過ぎではございませんし、総理を初め各閣僚も二十一世紀へ向けてとか盛んに打ち上げているわけでございますが、その反面、地方分権というのはいつまでたっても同じではないか、そのような状況で今日まで流れているのではないか、そう思えてならないわけでございます。  特にそういう中で、新自由クラブにおきましては、地方分権にはかなり積極的に大変高い関心を示されておりますし、そこの出身でございます自治大臣でございますから、もう一度その辺につきまして、どう取り組んでいくのか。同時に、せっかく新しいイメージの自治大臣が誕生したのですから、ここでしっかりと地方分権へ向けての実績を上げていただきたいと思うわけです。そういうような立場からのもう一度御回答をいただきたいと思います。
  55. 田川誠一

    田川国務大臣 地方自治が相変わらず全然進展していないという御発言のように承りますけれども、私は必ずしもそういうふうに見てないのです。地方自治がどれだけ進展しているかという基準は人一人一人違うと思いますけれども、その地方自治の進展をはかる度合いとして、地方行政の水準がどれだけ上がってきているかということと、やはり地方住民がどれだけ自治意識を持ってきたか、こういう二つを尺度として私は見ているのです。  そういうものを見ますと、日本に地方自治がしかれて三十数年になりますけれども、徐々にではありますが、少しずつ自治が進展をしているのではないか、こういうふうに私は見ているのです。全然進展も何もしてないとは実は見ていないのです。しかし、先ほど申し上げましたように、私どもが目指す地方自治は決して十分ではない、まだまだ努力をしていかなければならぬというふうに考えております。  そこで、地方分権を推進するためには一体どういう考え方でいかなければならないか。一つは、やはり住民に身近な行政というものは住民に身近な地方団体で処理できるように、事務の配分をもっとやっていかなければならないということ。それからもう一つは、やはり地方の行財政の基盤ですね、特に財政の基盤を強化していくということが大事ではないかな、こういうふうに私は思っておりますし、地方制度調査会の答申の中にもこのようなことが書かれているようでございます。  では、具体的に一体どういうことをやっていくべきかということでございますけれども、私は何も新自由クラブの代議士とかそういう意味じゃなく、これからやっていかなければならない大きな問題は、機関委任事務の整理統合化というものはどうしても推進をしていかなければならぬし、事務と財源地方への移譲ということも進めていかなければなりませんし、国の関与の整理縮小、こういうこともぜひとも実現をしていくようにもっともっと推進をしていかなければならない、このように考えているのでございます。
  56. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私も全く地方分権が進んでいないとは決して思ってはいないわけでございますが、それにいたしましても余りにも遅いスピードでございます。国の関与がまだまだ余りにも大き過ぎるのではないか。少なくとも、地方でどんどん独立して自由にそれぞれの地域に見合った行政がやれるようにしていくことが今日一番大切な時期に来ているのではないか、そう思えて今お伺いさせていただいたわけでございます。  先ほどちょっと自民党の松田議員の方からも公営競技のことについて御質問があったわけでございますが、私もこの点につきまして若干触れさせていただきたいというふうに思うわけです。  せんだって新聞を見ておりましたら、ある新聞の三月二十日に、「〝赤字の穴〟税で埋めるな 自治省 経営改善計画を」。確かにこの間、五十六年度といたしましても千七百四十億円、あるいは五十七年度におきましても五百三億円、公営競技がだんだん落ち込んできている。また、新聞によりますと、五十七年度につきましては一五%と二%ですか、五十八年度も一五%ぐらい落ちるのではないか、そんなようなことが書いてあるわけでございますけれども、そういう中で、一つはこの公営競技が赤字になった場合に、税金で公営ギャンブルの赤字を穴埋めすることは確かにけしからぬことですし、絶対許すべきではないと思うわけです。同時にまた、自治省は、地方競馬、競輪など公営ギャンブルを主催している百七十二団体に対して、今後五年間でギャンブル会計の再建を目標にした経営改善計画を提出するよう求めているようでございます。  このような一連のことを考えていきますと、本当に努力をすれば、今までどおり公営競技は、百歩譲って――余り私は発言したくないわけでございますが、黒字に転がっていく社会状況があるのかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  57. 津田正

    ○津田政府委員 先生指摘のように、最近の公営競技の実情は、売上高あるいは入場人員とも落ちておるような状況で非常に心配しておるわけでございます。その原因につきましては、レジャーの多様化そのほか別の似たようなもの、パチンコ等が盛んになっておるとか、そういうようないろいろな影響があるかと思います。  公営競技自体、地方団体がやっておりますものはいろいろな目的がございますが、その大きな目的は地方財政に対する寄与というようなことでございまして、これが赤字を生じて一般財源、税金等を投入するというのは、本来の趣旨にはそぐわないわけでございます。そういう意味におきまして、公営競技の売り上げ等につきましても、もちろんその不健全化ということは避けなければなりませんが、売り上げの向上であるとか、あるいは反面におきましては経費の節減というようなことに努力をしていただかなければならない、このような観点から、問題のある競技場等を中心といたしまして立て直しの計画を各団体で現在お考えいただいておるような状況でございます。
  58. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そういう中で、もし赤字になった場合に税金から穴埋めするようなことがあれば主催権を取り上げるというようなことは、新聞には出ているのですが、その辺まで考えていらっしゃいますか。
  59. 津田正

    ○津田政府委員 実は公営競技の不振なところが若干出てきております。二つばかり例を申し上げますと、例えば三重県の鈴鹿市、桑名市等がやっておりましたが、これが赤字転落ということでギブアップしまして、競技場がございます四日市市が集中的にやるというような措置をとっておりますし、また、同じ三重県の松阪の競技場におきましてもそういうような問題が起こっておるわけでございます。  そういう意味で、施行権をすぐ廃止するということの前にいろいろ打つべき手は打たなければならない、かように考えておりますが、公営競技の本来の発足の趣旨というものから申し上げまして、税金を投入してまで維持するというような性格のものではない、かように存じております。
  60. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私も先ほど申し上げたわけですが、逆に言いますと、確かに税金を投入してまで開催する必要もないわけです。  そこで、今日、返上されたところは、みずから返上をしたのか、あるいは自治省の指導によりましてその開催権そのものを、逆に言いますと、もうおたくはやめなさいよ、ちょっと努力してもなかなか収益は上がらないからやめなさいよと言って行政指導をして返上させたのか、その辺ちょっとお伺いさせてください。
  61. 津田正

    ○津田政府委員 経営の実態につきましては、それぞれの競技場主催団体で考えていただいておりますし、また、私ども指摘しておるところでございます。先ほど述べました三重県等の実例におきましては、これはそれぞれの施行権者が今後の経営につきまして不安を持ちまして、集約化して四日市にまとめた、そういうような事態でございます。
  62. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私もそうだというふうに考えていたわけでございます。そういう中で、逆に申し上げますと、これからそういうところがかなり出てくるのではないか、私はそのように思うわけでございます。それと同時に、先ほどの質問の中でもあったわけでございますが、競馬、競輪、競艇、いわゆるギャンブル収入は対前年度比がどんどん下回ってきていることは事実でございますし、これは経済不況だけが影響しているのではなくて、先ほどお話がございましたとおり、いろいろレジャーの多様化によってもそのようになってきていると思うわけであります。  だが、過去幾多の不幸を生んでいる経験も私たちは身近で聞いたりしているわけでございます。この際、せっかくの機会でございますから、一遍にやめろと言うことはできませんので、思い切った縮小を考えていったらどうか、私はそのように思うわけです。ぜひこのいい機会に、逆に言いますと、戦後初めて縮小に向けての千載一遇のチャンスだと思うのです。この際、やはりギャンブルをもう一度根底から見直していただいて、縮小していく。そして最終的には、近い将来、少なくとも二十一世紀にはそのようなものはない、もしそういうものがあるとすればレジャー、あるいはレジャーではなくてスポーツ的にあるのだ、そのような形に変えていただくよう切に私は願うわけでございます。そういう点で、ぜひ自治大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  63. 田川誠一

    田川国務大臣 公営競技につきましては今の御指摘のような御意見も随分ございますし、私自身余り個人的には競馬も知りませんし、行ったこともないのですけれども、そういうものがやはりいろいろな弊害をもたらしていることはよく承知しているつもりでございます。  先ほどもちょっと触れましたように、一挙にこれをなくしていくということはなかなか難しいと思うのです。やはり現実にこれをなくすということはなかなかできないのでございますから、せめて諸外国のように家族で楽しんで行けるような、そういうことを考えながら、やめられるものならやめた方がいいというふうにも私は考えております。ただ一方、やはり地方財政を考えますと、こういうものに頼っているところも随分ございますから、一遍にこれをやめていくということはなかなか困難である、こういうふうに思っております。
  64. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ある面では大変うれしい御答弁をいただいたわけです。やめられるものならやめたい、ぜひそのことを貫徹をしていただくよう強く要望しておきたいと思うわけです。  だが一つ、この財源は、そういう自治体にとりましては自由に使える一番うまみのある楽しい財源でもあるわけでございます。特に自治大臣、またきょうお見えになっておりませんけれども政務次官の伊藤先生も大変関心の高い、それこそこの際これをどんどん縮小していって、いまこそ二十一世紀へ向けた第二交付税の導入に積極的に取り組んでいただきたいということを強く要望して、一言だけ御答弁をいただきたいと思います。
  65. 田川誠一

    田川国務大臣 率直に申し上げますけれども、私どもの方の政党でもそのようなことを考えていたこともございまして、やはり地方自主財源というものを強化して拡大していくには、こういう思想も必要だと思うのでございます。一つの検討課題として、これから検討をしていきたいとも思っておるわけでございます。
  66. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ギャンブル問題は以上にしまして、私は、二月二十八日の本会議で一般質問をさせていただいたわけでございます。そのことにつきまして、若干簡潔にお尋ねをしたいわけです。  特に、地方税改正で重要な問題がそれぞれのところでたくさん提起されているわけです。その基本的な問題といたしまして、本会議でも御質問を申し上げたわけでございますが、道府県税及び市町村税において、道府県税は昭和五十九年度から増収になっているにもかかわらず、市町村税においては九百四十八億円もの減収になっているわけです。収支がほぼ均衡するのは昭和六十年度からでございます。増税によって道府県、市町村税の増減収を全く一致させるというふうには私も思いませんが、このことは国税と地方税との関係においても全く同様であると思うわけです。国税においては減税を上回る財源を真っ先に確保しているにもかかわらず、地方税においては初年度マイナスでそのまま放置してありますし、また、昭和五十九年度の地方財政財源対策では、一兆五千百億円の財源不足額のうち一兆二千五十一億円を財源対策地方債措置しているのですから、地方財政にとっては本当にみじめなものだと思うわけです。  国税重視、地方税軽視、特に私は、地方税の中にあってはあくまでも市町村税軽視であるということを強く思うわけです。地方分権というのは道府県を含めての地方分権もあろうかと思いますが、もっともっと一番下から、やはり地方分権を一番弱いところから強めてこないといけないと思うわけです。そういう点から考えてみましても、今日の税につきましては、特に国税重視であり市町村税軽視であるというふうに思えてならないわけです。ぜひその辺につきまして御答弁をいただきたいと思うわけです。
  67. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、税収減収額増収措置とがバランスしていないという問題が確かにございます。都道府県につきましては、五十九年度多少プラスが出ておりますが、市町村税では、御指摘がありましたように九百四十八億の三角が立っておるということは事実でございます。減税財源確保するための税制上の改正を私ども考えたわけでございますが、できるだけ減税額に見合った増収額が各市町村ごとに行き渡るというのが最も望ましいわけでございますけれども、実際問題としてそううまい税目がないというようなことで、多少のでこぼこといいますか、不均衡はやむを得ないというふうに考えております。  ただ、その際市町村民税についての三角が大きいではないかということでございますが、これはまず減収額そのものが、どうしても住民税というのは市町村にウエートをかけて税源配分がなされておりますので、市町村減税に伴う減収額が約二千百億ございます、県の分が一千億だというようなこともございまして、なかなかそれが埋め切れなかったということだろうと思います。決して市町村を軽視するという考え方には私ども立っておりません。基本的な、基礎的な自治体である市町村というものがしっかりしなければ、日本の地方自治は成り立っていかないというような基本的な考え方を持っているところでございます。今後とも市町村財源充実といいますか、財政運営に支障を来すことのないような手段方法を講じていかなければならないものと考えております。  なお、具体的な五十九年度の市町村減収額につきましては、平年度化いたします六十年度ではほぼ減収額補てんするだけの増収が出てまいる予定でございますので、経過的なものとして地方交付税等を通じましてしかるべき財源措置を講じていきたいというふうに考えております。
  68. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そういう中で、政府は二年間の暫定措置として、法人税率を一・三%引き上げて四三・三%にしているわけです。その結果、法人関係税の地方への配分割合は三二・五から三二%と〇・五%低下しているわけです。この低下分を、法人均等割を二・五倍、一千億円引き上げて補っているということでございますね。そうしますと、ここにも今のことが関連してきますが、地方財政に対しての軽視が如実に出ているのではないか、私はそう思えてならないわけです。
  69. 関根則之

    関根政府委員 国税で法人税率引き上げたわけです。その結果、法人関係税の国と地方との配分割合が変わるのではないかというお話でございまして、それは国税の方の収入額が多いわけですから、そう大きなものではございませんが国への配分類がやや多くなっているということもまた事実でございます。しかし、私どもは、法人住民税均等割引き上げ措置を講じましたのは、その税源配分法人税引き上げによって国へ偏り過ぎるから、それをカバーするためという目的を持って、それを主たる目的として法人住民税引き上げを考えたわけではありません。いわゆる法人税増収額に見合うものを地方税均等割確保する、そういうことから法人住民税均等割引き上げを考えたのではございませんで、まず最初に減税というものの必要性というものを置き、その規模を決め、それの財源確保をいたしますためのいろいろな税目についての検討を経た上で、最も現時点におきまして適当である税目として法人住民税均等割自動車関係税というものにお願いをしたということでございまして、ストレートに法人税税率アップと我が方の均等割引き上げとが対応するものというふうな考え方はとっていないところでございます。
  70. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そうしますと、今回二・五倍に引き上げたわけですが、その引き上げの根拠はどこにあるのか。それと同時に、法人事業税の外形標準課税との関係ですね。  それともう一つ、二・五倍の引き上げの中で、大企業であろうとそうでなかろうと、大小一律に引き上げられているわけですね。その辺の根拠をちょっと教えていただきたいと思います。
  71. 関根則之

    関根政府委員 法人住民税均等割引き上げの問題につきましては、減税をどうするかという議論が実は国会におきまして相当長い間議論をされてきたわけです。おととしの今ごろの予算審議の段階におきまして具体的に話が出まして、大蔵委員会減税のための特別小委員会を設けて議論をしていただきました。そのときの財源をいろいろ検討をしていただきました中に、既に法人住民税均等割引き上げという項目が出ているわけでございます。そこで出たからやったというわけではございませんが、しかほどさように、そういう問題が提起されるというほどに、地方税の各税目をずっと眺めてみまして、減税を実施するとするとその財源としてはこの辺の税目が一つの有力な候補として上がってくるのではないか、各方面の見方がまあまあ一致したということではないかと思います。我が方もそういう基本的な考え方に立ちまして、この際、法人住民税均等割に、相当大幅な引き上げにはなりますけれども減税財源の相当部分をお願いできないかという考え方に立ったわけでございます。  一律に引き上げましたことにつきましては、現在の税率そのものが、資本段階によりまして五段階に区分けをいたしまして、一番小さなところは資本金一千万円以下というような形で区分けをいたしております。従業員が五十人未満のところにおきましては、県、市町村税両方合わせまして現在二万円でございますので、それを二・五倍上げましても五万円であるということになります。方、資本金の高いところは、それなりの相当高い税率を現在設定をいたしておりますので、これを等率で引き上げるということになりますと、相当金額的にも大きくなるわけでございます。そういう意味から、実質的に金額面で申し上げますと資本段階の高い大企業についても相当な負担になるということから、一応現在の税率の刻みというものを前提といたしまして、それに等率で引き上げをさせていただくという手法をとらしていただいたわけでございます。  それから外形標準課税との兼ね合いはどうなるのかというお話でございますが、今回の法人住民税均等割引き上げは、赤字法人が非常に大きくなっておる、その赤字法人税負担あり方ということも十分念頭には置いております。しかし、今回の引き上げによりまして赤字法人税負担あり方基本的に解決するに役立ち得るようなものというふうには、そこまでは考えておらないところでございます。一方、外形標準課税という問題になりますと非常に大きな問題でございまして、政府税制調査会等におきましても長い間議論されてきております。しかし、これは課税ベースの広い間接税なり他の法人課税あり方との兼ね合いを考えてやらないといけない問題である、それらとの兼ね合いを考えながら検討すべきであるという御意見もいただいておるところでございますので、直接今回の均等割引き上げと外形課税の導入との関係を結びつけて議論はしていないところでございます。別な問題として検討すべき課題であるというふうに理解しております。
  72. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ちょっと先に進みたいと思いますが、それこそ初めてでございまして時間の持ち方もわからないものですから、急がせてもらいたいと思います。  個人住民税の問題についてお尋ねしておきたいと思うのです。やはり個人住民税の最低税率を現行の二%から二・五%に〇・五%引き上げたわけです。そして最高税率を今度は〇・五%引き下げた。そのことによりまして高額所得者の税率がややよくなって、簡単に言いますと、一番多い年収二百万-三百万クラスですか、この辺は、増税とは言いませんけれどもバランスがかなり崩れてきているのではないか、そう思えてならないわけです。  そういうことを考えていきますと、最低税率をわざわざ〇・五%切り上げる必要はないんじゃないか。そうでなければ、逆に言いますと、最高税率を〇・五%引き下げる必要はないんじゃないか、そのように思えてならないわけです。極端な言い方をしますと、この個人住民税についても不公平税制がやや入り込んできたのではないか、そう思えてならないわけです。その辺についてお伺いしたいと思います。
  73. 関根則之

    関根政府委員 お話のございました最低税率引き上げにつきましては、税制調査会における答申もございまして、住民税の性格からいたしまして、なだらかな累進税率がやはり望ましいというような答申をいただいておりまして、そういった方向に沿って引き上げさせていただいたわけでございます。しかし、今回の減税によりまして所得控除の大幅な引き上げを図っておりますので、その方からの減税効果がございますので、増税になるというようなことはないわけでございます。  また最高税率につきましては、国税の方はいじっておりますけれども住民税につきましては最高税率は引き下げておらないところでございます。  なお、中堅段階におきまして減税額がむしろ増税になっているのではないかということでございますが、最低税率の〇・五%の引き上げは、単に低所得層に対してだけ引き上げるのではございませんで、高額所得階層も含めて全納税者に影響が出てくる問題でございます。低所得層だけをねらい撃ち的に負担増をお願いするというようなものでは決してございません。その結果といたしまして、今回の減税の結果、例えば二百万円程度の標準世帯の収入のある方については軽減率は一〇〇%でございますが、三百万円で五十九年度では二四・五%、五百万円で九・五%ということで、だんだん所得が上がるに従いまして軽減率は下がってまいります。二千万円のところでは一・一%というような軽減率になっておりますので、決して今回の減税が低所得層に厳しいというようなものではない。十分その辺は配慮した税制改正を組んだつもりでございます。
  74. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そうしますと、推計で結構でございますけれども、年収が四百万円以上の世帯がどれぐらいあるのか、年収が四百万以下の世帯が大体どのぐらいあるのか、参考に聞かせてください。
  75. 関根則之

    関根政府委員 年収ベースで今お話のございましたような世帯分布の統計がちょっと今手元にございませんので、申しわけございませんが答弁できないところでございます。  ただ、勤労者世帯の年収の平均等がわかっておりますので、別途また必要があれば、調査の上提出させていただきたいと思います。
  76. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、今回これを起算するのにも、例えば年収二百万円クラスが何世帯あって、あるいは三百万円クラスが何世帯あって、一千万円以上はどれくらいある、そうしますと税収はこうこうこうでこうなってくるということで、今回の住民税にいたしましてもそういうことをきちっと計算した上で出されていると確信をしているわけです。ですから、そういう意味でいきますと――私自身もきちっと調べておりませんからわかりませんが、一般的に言われておりますのは、大体年収四百万円未満の方が八割の世帯だというふうによく言われているわけです。大部分は年収が低いわけでございます。そういう方は、税金ではないですけれども、税外負担もかなり多いわけでございます。例えば小学校、中学校へ行っている子供を抱えているとか、あるいは家庭でも一番いろいろな面でお金のかかる時期の方が全体的には多いのではないか。そういうことを見ていきますと、税金にいたしましても下の方を優遇していくのが本来の姿ではないか、そのように思うわけです。  そういう意味があるわけですから、逆に言いますと、わざわざ高額所得者を、地方税の方はそうではないといたしましても、〇・五引き下げる必要がこんなに緊急にあったのかどうか、その辺がどうしても理解できないわけです。どうしてもそういう必要がある、あるいは検討するということでありますならば、先ほどもお話があったとおり、夏に出ると思いますけれども、それこそ税調答申を待ってからでも決して遅くないのではないか、そう思えてならないわけです。その辺についてお伺いしたいと思います。
  77. 関根則之

    関根政府委員 私ども、もちろん税制を組みます場合には、各国民所得段階別の人数分布というものは全部積み上げをいたしまして、それらの減税の影響、ないしは増収策を講じる場合には増収の影響、そういうものは検討しながらやっておるわけでございます。  先生先ほどおっしゃったのが年収ベースということでございますので、私どもの方は税金屋でございますから、課税をする課税標準額で分類をいたしておりますので、的確な資料が年収ベースではないという意味でございます。御発言のような趣旨での積算は十分させていただいておるということを申し上げておきたいと思います。  それから、〇・五%の最低税率引き上げでございますけれども、これは現在、何といいましても市町村民税の所得割の税率の最初の税率が二%という極めて低い税率であるわけでございます。もちろん最高税率も低いわけでございますけれども地方税の、これから地方団体自主財源拡充強化が必要であるというようなこと、あるいはまた、ここの場で御議論いただいておりますように、国の税源地方に移譲すべきではないかといった基本的な御議論等もございます。  そういったようなことから考えましても、現在の二%という税率は極めて低い。これを今後できるだけなだらかな累進構造に持っていくということになりますと、最高税率を下げてなだらかにする方法もあるでしょうけれども、やはり減税の機会等をつかまえて、非常に低い水準にある最低税率を少し上げさせていただきたい。しかも、この引き上げというのは、減税をする機会でもございませんと実際問題として増税になってしまう心配があるわけでございますので、減税の機会以外には実際問題としてできないわけでございます。今回大幅な減税を実施させていただきますので、この際に、わずかではございますが、〇・五%税率引き上げをやらしていただいたということでございます。
  78. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 次に、先ほども質問にあったわけでございますが、自動車税について若干触れさせていただきたいと思います。  自動車税につきましても、特に軽自動車あるいはまた原付のミニバイク、こういうことが中心になってくるわけですが、それ以前に、特に今回、先ほども質問であったわけでございますが、なぜ自動車に対して税金を、これは微調整とおっしゃるかもわかりませんが、でこぼこ調整とおっしゃるかもわかりませんが、注目をされてつけてきたのか、もう一つ理解ができないわけです。  と申しますのは、今、都会と地方地方でも本当に小さな市町村、この付近とでは自動車に対するとらえ方もかなり違うと思うわけです。確かに自動車はかなり高額なものになった、それに見合っていないというような答弁も昨今何回かお聞きしておりますけれども、ある面では、自動車というのは地方に行きますと完全に交通の足になっているわけですね。通勤の足、また社会生活に必要な足になっている。また、地方に行けば行くほど一世帯の保有台数というのは、東京と比べあるいは大阪と比べ、うんと高いと思うわけです。極端な言い方をしますが、家族三人免許証を持っていれば車が三台ある、このような状態になっているわけです。都会のように交通機関が発達していないわけです。  そういう点から考えていきますと、高級車に税率を高くする、これにつきましては私もよく理解できるわけですが、大衆車を含めて、ミニバイクまで含めて、なぜこのような税率アップを今日しなければならないのかというふうに考えているものですから、ぜひこの点についてお聞かせいただきたいと思います。
  79. 関根則之

    関根政府委員 私どもも、自動車なり軽自動車というものが生活の必需品になっているということにつきましては十分理解をいたしておるところでございます。  ただ、今回の減税を、いわば至上命令のような形でどうしてもやる必要があるということになりました。先ほどから答弁申し上げておりますように、地方財政も大変厳しいものですから、その財源をまた地方債に頼るとかいうようなことになりますと、ますます地方財政は悪化してしまう。何らかの形でしっかりした財源補てんをする必要があるというような考え方から、この際いろいろな税目について検討をし、その結果、法人住民税均等割自動車税負担をお願いをするという形に結論を得たわけでございます。  自動車税につきましては、昭和五十四年度に設定をいたしまして以来既に五年を経過することになりますので、その間における物価水準の上昇でありますとか自動車の取得価格の上昇でありますとか、そういったようなものを考慮いたしまして、一応自動車については一五%、軽自動車については一〇%の引き上げ幅引き上げさせていただくということになった次第でございます。  なお、一律引き上げというお話でございますが、先ほども答弁申し上げましたように、現在の税率体系そのものが、既に自動車の価格とか大きさとかそういうものによって大体バランスのとれた形で設定をされておりますので、それを等率で引き上げることによって一応のバランスはとれたものとなるという考え方のもとに、一定率をとらせていただいたような次第でございます。
  80. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 もうちょっと具体的に細かく入っていきたいと思うわけです。  原付自転車につきましては、七百円が千円になったのですね。これは三〇%です。私も、東京近辺の駅を知りませんけれども、推測しますと、多分駅前には随分原付自転車が通勤用に置かれているのではないか、そう思えてならないわけです。この通勤されている方も、駅まで乗ってきたくて乗ってきているわけじゃないと思うのです。駅まで家から遠いからどうしても乗ってこざるを得ない。そして駅前に自転車の放置とか、いろいろな社会問題に一時はなっておりましたけれども、自転車にしましても原付自転車にしましても、これはもう会社に勤めるためにどうしても必要になっているものであると思うわけです。そういう中で、原付自転車というのはますます都市周辺でもふえてくるのではないか、私はそう思えてなりません。同時に地方でも、それぞれ原付自転車はどんどんふえてきているわけです。  だからこの辺につきましては、もう自転車と何ら変わらない状況に来ているのではないか。その原付について三〇%も上がっているわけですね。その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  81. 関根則之

    関根政府委員 原動機付自転車の中で一番小さな五十cc未満でございますけれども、今回の税率改正によりまして、金額がいずれにしろ七百円という相当低い税率設定されておりますので、全体として一〇%という原則はとりますが、この際、金額の面において三百円程度のアップをさせていただいて、一千円に設定したということでございます。  自転車と全く同じではないかというお話がございます。確かに、最近大変普及をいたしておりますし、また安いバイクが出てきたということもありますけれども、私どもの調べでは、一応ミニバイクという形になりますと、全平均的には自転車価格とは相当な開きもあるわけでございますので、自転車とは違った取り扱いをさせていただくという考え方に立っているところでございます。
  82. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そういう中でも、軽自動車税の滞納率というのは比較的高いわけでございます。私もそれなりに調べてみたわけですが、軽自動車の中でミニバイクと言われています原付、この分を別に分類してないものですからなかなかしっかりとした数字は出てきませんけれども、いろいろな市町村に尋ねてみますと、この原付自転車につきましては滞納率が三〇%近くあるのではないか、そう言われているわけです。  と申しますのは、一つは、比較的都市周辺では、盗難に遭ったり、自転車がわりで、引っ越すときに置いていってしまったり、逆に鑑札をつけたまま引っ越して手続をとらなかったり、逆に言いますと、今までは七百円ですが新しい税金になりましても千円でございますね、滞納率が高いからといって余り一生懸命徴収業務に励みますと、今度は人件費の方が高くついて、そのうちだんだん滞納者がふえてくる、こういう状況が一方では生まれているということで、市町村に尋ねてみますと、このミニバイクについて何とかならないだろうかという強い要望があるわけです。  これを自転車と同じように取らなくするのか、あるいは市町村会で言っておりますように、ここにはちょっと問題もあろうか、危険な状況があろうかとは思いますけれども、販売したときに一括してある程度の見合った税金を、最初の登録者のところで、例えば一回登録すれば一回きりでいいんだというような制度にするとか、何かそういうことをしないと、このミニバイクについてはますます滞納率がふえてくるのではないか、そのように私は心配をするわけです。その辺についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  83. 関根則之

    関根政府委員 たとえ単価の小さな税金でありましても、市町村としては貴重な財源でございます。特に、山村等におきましてもともと財源の乏しいところでは、わずかな軽自動車税でありましても相当貴重な財源になっておるというような問題もございますので、市町村におきましては徴税のための努力をいろいろとなさっておるというふうに考えております。  その結果、最近では軽自動車税全体の徴収率は、前年度分で九七・三%というところまで上がってきております。自動車税が九七・五%ですから、ほぼそれに匹敵する程度の徴収率になってきているわけでございます。確かに御指摘のように、中には非常に低いところもあろうかと思いますが、全体としてはそういう状況になってきておるということでございます。  それから、市町村で購入の段階で一括して徴収したらどうかというような趣旨のお話でございますが、これは自動車及び軽自動車の保有税という形になっておりますので、一年間保有したらその年の分をちょうだいするという税の仕組みでございますので、性格的に最初からぼんといただくというようなことはなかなか無理があろうかと思いますし、実際に払う側から考えましても、ややまとまった金額になりますので、なかなかそこまで踏み切れないというのが実情でございます。
  84. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 確かに軽自動車とすれば今おっしゃったとおりだと思うわけです。その中のミニバイクだけを抽出しできますと、ぐんと落ちてくるわけです。その辺をもう一度御確認だけしておいていただければ結構です。  そういう中で、ミニバイクにつきましても、今おっしゃったとおり市町村にとりましては大変貴重な財源である、私も全くそのように思うわけです。これだけ徴税費用が高くつくようなミニバイクであっても、貴重な財源であるわけです。  せんだって、委員会におきまして私のところの大先輩の細谷先生質問されたわけでございますが、その中で不公平税制、いろいろな問題をいっぱい抱えていると思うわけでございますが、この不公平税制の中で特に申し上げたいのは、後ろの方にもたくさんマスコミの関係が見えているわけでございますが、新聞、出版、テレビ、こういうものについても非課税対象になっている。同時に社会保険診療報酬の問題、こういう問題があろうかと思うわけでございます。  特に努力をすれば、必ずそういう財源は、ミニバイクでこれだけ一生懸命努力をするぐらいであれば、不公平税制の中でそれ以上に努力のしがいのある財源というのはあるのではないか、私はそのように思えてならないわけです。その辺のお考えについてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  85. 関根則之

    関根政府委員 私どもは、税負担の公平を確保するということが税務に携わる者として最も大切なものだという基本的な考え方を持っております。そういう考え方から、従来からも租税特別措置整理合理化についではできるだけの努力を払ってきたというふうに考えております。  御指摘のように、社会保険診療報酬等にか係る事業税の課税上の特例措置がございますし、また新聞、放送事業等につきます非課税措置が残っております。  今までも、税制改正に関連して、私どもとしてはこの問題については整理の方向で何回も解決をお願いしてきたわけでございますけれども、例えば社会保険診療報酬につきましては、社会保険診療報酬そのものの積算の中に事業税負担分が積算されてないといったような問題でありますとか、あるいは新聞、放送等につきましても、公益性があるではないかという事業の特殊性から考えて課税をするということは問題があるといったような御議論等もありまして、必ずしも私どもが考えているような方向での決着を見ていないわけでございます。  しかし、私どもとしては今後とも整理合理化の方向でこの問題については努力を続けていきたいというふうに考えております。
  86. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 これぐらいやはり税金につきましては、市町村は特に苦労しているわけでございます。そういう意味で、三月一日の委員会で、細谷先生質問に対しまして、不公平税制の問題で自治大臣から本当に私は胸を打つようないい御答弁をいただいたというふうに理解をしているわけでございます。そういう意味で、せっかくの機会でございますからこの不公平税制の是正について、特に今の二点でございますね、新聞、テレビ、出版の関係の問題、あるいは社会保険診療報酬の問題につきまして、自治大臣の期間中に明るい方向が見えるような決意をもう一度お聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  87. 田川誠一

    田川国務大臣 国民税負担が必ずしも軽いわけではございませんで、そういう意味からやはり税金はできるだけ公平にやっていかなければならないと思います。特に政治不信が非常に強まってまいりました一つの原因には、税の不公平というものがあると思うのです。  私は、新聞やテレビ、出版その他のことをなぜ強く申し上げていたかと申しますと、別に私は新聞やテレビに恨みがあるわけじゃありませんで、新聞の出身者でございます。しかし、やはりこういうことは政治の世界で遠慮していたのではいけない。役所や政界は新聞に非常に遠慮されるのですね。いつもこういう問題が税制調査会議論になっても――なっているわけです。毎年な一でいて実現できない。これが実現できないから医師についても同じになる。イタチごっこでいつも繰り返されているわけでございまして、そういう意味でこうした非課税をやはりこの際撤廃していかなければならぬ。  私、自民党の政務調査会長にも先般お会いしまして、おまえさんも新聞出身だ、これは単に税金の不公平ということだけじゃないのです、私どもマスコミ出身者の権威のためにもやはりこういうことを実現するようにしていかなければならぬ。現にマスコミの第一線の人たちは、むしろ国の恩恵をこうして受けることは恥ずかしいとおっしゃっている人もありますし、アメリカのマスコミなんというのは、国の恩恵を受けるということは恥ずかしいというふうにみんな思って、アメリカなんかではこんな恩恵を受けていないわけです。そういう意味で、ちょっと長くなりまして恐縮でございますが、私は、これは一人でできることじゃございませんから、各方面の御理解を得て、マスコミの方にも御理解を得なければならない、こういうことでこれはぜひ来年度は実現するように努力をしていきたい。  私は、テレビなんかは、テレビの給与を調べてみましたら一般産業の三倍近い平均給与を取っているわけですよ。そして、皆さんも御承知のように、有名なアナウンサーが野球の選手みたいに何千万円でスカウトされてやっている。そして、放送事業で利益率が一番高いのは二八%ですよ。一般企業の利益率なんというのは大体五%あればいい方だ。それが二八%を最高にして十何%なんというテレビ会社がざらにあるわけですね。  御承知のように、事業税というのは利益にかかる税金でしょう。そういうことをこのままにして一体いいのかどうかということを常々考えておるわけでございまして、そういう意味で、ひとつこれは皆さんにも御協力を得まして、何とかして突破口をつくって、少しでも地方税の非課税の特別措置を直していかなければならぬ。非課税の特別措置の中には住宅を建てるとか一般の中小企業に助成をするようなものもありますから、そういうものはやはり考えていかなければなりませんけれども、今申し上げましたように、堂々と一般企業と同じように利益を上げてやっている事業には事業税を払っていただかなければならぬ。また、事業税ばかりじゃなくて固定資産税も、公益法人といいながら一般企業と似たようなやり方をやっているものにはやはり固定資産税を厳密に払っていただかなければならない、こういう考えでいるわけでございます。
  88. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 もう時間が来ましたので最後になりますが、ただいまの決意をお聞きしまして、ぜひこの際不公平税制を正せる部分は積極的に正していただき、そして同時に、田川自治大臣も本当に熱意を持っていらっしゃる地方分権に一層力を入れていただくように心からお願いをいたしまして、初陣の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  89. 大石千八

    大石委員長 細谷治嘉君。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 理事会の決定で持ち時間が一時間ということで、審議をするにはちょっと不十分だと思いますが、答弁の方もひとつ要領よくお願いしたいと思います。  質問に入る前に、けさこの委員会に「地法による地方税法等改正について」という資料が配られました。これを拝見いたしますと、せっかく備考という欄までつくっておりますけれども、税法の改正があるわけでありますけれども、税の増減は一つも書いてないのですよ。確かに期限の延長だけの税法の改正、そういうものもありましょう、あるいは、これからつくるので来年や再来年ぐらいはまだ税金の問題が起こらぬ、そういうものについての特別措置を考えるんだから税の増減なんてとても書けないということもあるでしょう、あるいは、公社が買い上げて、その土地の固定資産税は個人の所有のときは持っておったわけですけれども、今度は公社等ができますと税がかからぬということになりますと、副次的に税が市町村なり県の段階から逃げていく、地方税法の実質的な改正が起こる、いろいろなことがあるようでございますけれども、これについては当面つかみ得る数字の増減は全くありません、こういうふうになっております。そのとおりでしょうか、どうなんでしょうか。
  91. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 資料の「地法による地方税法等改正について」についての御質問でございますが、先生指摘になりましたように、定性的には物によりましては増減収が出る方向で作用するであろうというようなもの、あるいは、単純延長でございますのでその意味では何ら増減を生じないもの、いろいろなものが並んでおりますが、これを現在の段階で定量的に捕捉するというのは極めて困難でございますし、また、客観的に見まして恐らく増減収は出ないものというふうに考えておりますので、少なくとも五十九年度に関する限りは増減収はマクロで見てゼロというふうにお考えをいただければ幸いでございます。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 審議官、定性的にはという言葉とマクロ的にはという言葉があったのですが、マクロと定性というのはどこが違うのですか。
  93. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 大変御造詣の深い先生にお答えを申し上げるのは大変恐縮なのでございますが、定性的にと申し上げましたのは、プラスの方向かマイナスの方向がその方向性はわかるけれども、数量としてあらわせないという意味で申し上げたわけでございます。マクロでと申し上げましたのは、これはちょっと言葉の使い方があるいは不適切であったかと思いますが、全体としてということに御訂正をいただきたいと思います。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私はその言葉じりをつかまえてとやかく言っているわけじゃないのですよ。毎年のように地方税法を一生懸命に審議している。ところが、別のところでは、別の舞台では、実質的に税の増減収にかかわるような問題が、法律の附則等で他の委員会で処理されておるわけですよ。それでは困るので明らかにしてほしいというのが私の願いでありまして、そうだとするのならば、税というのは、どだい定性的な税などというのはないんですよ。これは常に定量的です。きちんと数字があるのが税ですよ。あなた方も毎日毎日数字でやっているのでしょう。生活しているのでしょう。  そういう意味において、大臣、せっかくいただいたのですけれども、定性的だとかマクロ的だとか中長期的だとかという形でごまかす筋のものではなくて、せっかく備考欄までとっているわけですから、私どもが確信を持って対応できるような資料を出していただきたい、これを要望しておきますが、いかがですか。
  95. 関根則之

    関根政府委員 先生に毎度この点を御指摘いただきまして、私どももできるだけかっちりした数字でお示しを申し上げたいというふうに考えておるわけでございますが、何せ予測不可能なもの等もございますので、一たん細かい数字で出してまいりますとまた後から訂正が出てくるというようなこともございまして、なかなか出しにくいわけでございます。しかし、お話のありましたような点を含めまして、私どもとしてもできるだけ努力をしてみたいと思います。
  96. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ぜひひとつそういうことで、税の審議の資料というのはやはり常に数字をきちんとして出していただきたいということを念を押しておきたいと思います。  そこで本論に入りたいわけですけれども、最初に、ちょっと古くなりますけれども、二月二十五日の日本経済新聞で名古屋市立大学の牛嶋教授が、都道府県の税収について安定性を、市町村の税については伸長性を、こういうことを柱にして地方税の構造的な改正をする段階に来ているということを主張されております。しかも数字を挙げて主張されております。この牛嶋教授の趣旨意見に私はおおむね賛成でございます。  そこで、自治大臣なり自治省税務当局は、こういうような問題、牛嶋教授の論文ばかりじゃありませんよ、今日の地方税の構造問題についてどういうお考えを持っているのか、どういう方向をとるべきだというお考えを持っているのか、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
  97. 関根則之

    関根政府委員 牛嶋教授の御指摘をいただきましたように、都道府県税では法人事業税のウエートが相当なウエートを占めている関係で、ここ数年来の不況を反映いたしましてどうも伸び率が低くなってきております。ただ、市町村税に比べますと、税そのものの性格といたしましては、伸長性は比較的ありますけれども、安定性に欠けるといううらみは確かにあると思います。  逆に市町村税につきましては、税そのものの性格が住民税固定資産税によりまして八割以上を占めておるということでございますけれども、税そのものの基本的な性格はどうも伸長性が弱いのですけれども、最近における所得の比較的順調な伸び、個人所得の伸びに支えられまして、住民税が比較的に高い伸びを示しております。と同時に、固定資産税につきましては、主として土地でございますが、土地の値上がり等を反映いたしまして、本来余り伸びない税である固定資産税の伸びも高くなっておる、こういう現象が起こってきているわけでございます。  将来の税制の方向といたしましては、私ども、税そのものの性格からいたしましても、市町村税にもさらに伸長性を持つような税の強化が必要であろうと思いますし、府県税につきましても安定的な収入確保ができるような税に力を入れていくべきものだという認識においては、この牛嶋教授の認識と共通するものがあるわけでございます。
  98. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこで、もはや小手先ではいかぬ、バナナのたたき売りのような形ではいかぬ、やはり税の構造そのものに踏み込まなければ、地方分権とか地方自治なんというのは全くもう空念仏、こういうふうに私は理解をいたしております。  今、局長から大変力強い答弁をいただいたのですけれども、実は最近あなたの部下も地方の時代シリーズというやつに何人かが論文を掲げておるわけですよ。一々名前を挙げて紹介しませんけれども、大変結構な論文を世に問うておる。私も二千数百円出して買って愛読しております。  そこで、とりあえずマクロの形で構造的なものについてちょっと触れてから、問題を絞って質問をさせていただきたいと思うのです。  私が調べたところでは、道府県民税では、三十五年と五十五年の決算を比較してみますと、法人事業税が構成比で一二・八%落ち込んでおるわけですよ。よろしいですか。都道府県の構成比で一三%と言えば大きいですよ、これは。何兆になるわけです。こういうふうに落ち込んでおります。事業税全体としては一七・一%落ち込んでおります。そうして道府県民税の所得割では一五・四%構成比で伸びております。今、辛うじて法人事業税の減を所得割の伸びで補ったような勘定になっておりますけれども、子細に検討いたしますと、地方財政の苦しみというのはこの数字でキャンセルしているのではないかという、そんな生易しいものではないということがわかります。私が申し上げた数字、大体認めますか。
  99. 関根則之

    関根政府委員 お示しいただきました数字は、正確であるというふうに理解をいたしております。
  100. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 もう一つ、今、山下委員からもありましたように、大臣も、そのとおりであります、政治というのは住民国民に近いところに可能な限り落とせというのが大臣の考えてあります。臨調すらも――すらもと言うと大変おしかりをいただきますけれども、臨調すらも言葉ではそう言っていらっしゃる。そうだとしますと、やはり市町村税というのが大変重要である。  この市町村税を見てみますと、固定資産税が、同じように五十五年と三十五年を比べてみますと八・九%落ち込んでおるわけです。そうして所得割が一六・九%伸びております。その際に、これは個人の所得割でありまして、法人の税割はわずかに一・四%でありますから、構成比では全く変わってないというような格好になっております。ここにも市町村税の構造上の問題があると私は認識するのですが、いかがですか。
  101. 関根則之

    関根政府委員 確かに、市町村税におきましては、非常に重要な税目でありました固定資産税のウエートが近年低下をしてきている、そういう傾向にある、また住民税所得割につきましては比較的上昇傾向にあるという先生のお話は、そのとおりであろうと思います。
  102. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そういう三十五年から五十五年というわずか二十年の間に、ある税目は急角度で落ちている。ある税目が伸びたために辛うじて収支が合っておるように見えますけれども、歳入全体におけるシェアというものを見てみますと、地方税のシェアというのは全体としては二・七%落ち込んでいるわけですよ。これが先ほど申し上げたように、何か一見、あるものが伸びてあるものは減ったんだけれどもバランスしているようでありますけれども、全体としてやはり落ち込んでいる、これが今日の地方財政の実態だ、こう大まかに、これこそマクロで言えると思うのですが、大臣、この見方について賛成ですか。そういうお考えを持っていますか。
  103. 田川誠一

    田川国務大臣 今、細谷さんから指摘された問題については、私どもも傾聴しなければならない問題であると思います。特に都道府県税あるいは市町村税、それぞれ今問題が随分含まれておりまして、こうした御指摘になりました点は慎重に検討をしなければならない問題である、このように意識をしております。
  104. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大臣もそう認めたわけであります。  そこで次に、この税が地域間格差というものを顕著にしておるわけですね。その具体的な例は法人事業税で明瞭にあらわれてきていると思うのです。自治省の税務局でも資料をつくっていただいたんですが、私のつくった資料を申し上げますと、全国的に法人事業税は、三十五年を一といたしますと十六・四倍に伸びております。ところが東京都はどうかといいますと、三十五年から五十五年の二十年間に法人事業税は十四・三倍にすぎません。大阪はどうかといいますと、大阪の落ち込みは東京よりももっとひどいのですね。府県の代表とも言われる大阪が交付団体に転落したことがあるわけですから、これは二十年間に、五十五年には十三・六倍にしか伸びていない。ですから、日本の代表的な富裕と言われておる東京とか大阪等は、法人事業税が全国の平均まで伸びていってないわけですよ。これは、法人事業税の今のタイプ、これが根本的な原因で、後でそれは詳しく申し上げるわけですけれども、そういうことであります。隣の埼玉県あたりは三十倍ぐらいに伸びております。二十年間に法人事業税が二十九・七倍と伸びております。こういうふうに、ある県は法人事業税がぐんと全国平均より伸びている。東京と大阪の代表的なところはかなり陥没をしておる、こういう実態が法人事業税にあらわれておりますが、この事実を認めますか。
  105. 関根則之

    関根政府委員 まことに申しわけございませんが、今手元に的確な三十五年と五十五年の各県別の対比の倍率表を持っておりませんので、そのとおり正確ですという答弁ができませんが、傾向としては確かにそういう傾向はあらわれているものというふうに考えております。
  106. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 それでは、私が申し上げた数字は持っておらぬと言うのですが、私の方であなたの方につくっておいてくれと言った資料があるはずですから、法人事業税は今私の数字を認めたからいいですから、個人住民税の都道府県別の所在状況、これについて東京、大阪はどうなっているか、全国平均まで達しているか達していないか、これを言ってください。
  107. 関根則之

    関根政府委員 三十年からの表はちょっと手元にございませんけれども、四十五年度を一〇〇とした場合の指数がございますが、よろしゅうございますか。――東京におきましては、四十五年を一〇〇といたしまして四九〇でございますから、約五倍になっておるということです。大阪は五三五、五倍ちょっと超えておるということでございます。それからもうちょっと下がったところの埼玉は八八一でございますから、相当伸び率が大きいということだと思いますし、田舎の方の県で申しますと、秋田県が六六〇という数字になっておりまして、先生御所論のように、東京、大阪といった大都市を抱えているところの伸びが比較的悪いという傾向になってきているものと考えます。
  108. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そういうふうに、シャウプの税制基本にして今の税制が成り立っておるわけでありますけれども、三十年か三十五年というものをスタート点にしてもかなり大きな構造的な変化がある、変動がある。そしてまた、地域的な格差というのが拡大をしていっているということは、あなたの方から出ておるこの黄表紙を詳細に年度を追って分析していきますときちんとそれが出てまいります。しかも、あなたの方の都道府県をAからFまで分類してグループ別にやっているところでもその傾向がきちんと出てきております。ひとつ確認の上で話をちょっと先へ進めさせていただきたいと思います。  前にもちょっと申し上げたのですが、私の手元に、東京都の企画報道室というところが「東京の経済・産業の変動」ということで昭和五十五年十一月に出したものがございます。五十六年、五十七年、五十八年まで出ております。また、五十七年七月の「東京における大都市需要の変動」というのがございます。東京都の需要構造、昼間人口、夜間人口、したがって夜間型の需要、昼間型の需要、こういうものに分けて詳細な分析がされております。  そこで、少しこの事業税の問題、一番の問題はやはり都道府県――市町村の方にもありますけれども、きょうは事業税一本に絞りますから。  結論として、東京都は、事業税といいましても今一番シェアが大きいのは第三次産業なんです。第一次産業なんというのはコンマ以下であります。第二次産業が下降していっております。そして、第三次産業というのが圧倒的なウエートを持っております。例えば法人事業税を例にとりますと、昭和五十年には第一次産業は〇・二、第二次産業が三三・五、第三次産業は六六・三、こういう状況になっておりまして、第三次産業が圧倒的な比重を持っておるわけです。三十一年というのがありますが、三十一年とは法人事業税を納めている構造がうんと変わってきております。例えば、三十一年でありますと第二次産業のウエートというのはかなり大きかったのですけれども、今度は三分の一程度に落ち込んでいっております。  そこに今日の東京、大阪の経済的な、財政的な陥没が、三十年一日のごとく構造的な手直しに気を配らなかったために起こってきている、こう私は思うのです。いやそれは交付税で調整しているんだから結構だ、こう言いますけれども、一番大原則は、やはり自主税源を持っているということが第一であります。その自主税源を前提にして調整財源である交付税をやるというのが前提である。そうだとするならば、今日この段階では、東京都の調査を待つまでもなく大変な問題が起こってきていると私は思うのですが、自治大臣、いかがですか。突然申し上げたようで大変恐縮でありますけれども……。
  109. 田川誠一

    田川国務大臣 地方財政に造詣の深い細谷さんのお話に比べまして、私は全く経験が不足で十分な判断はありませんけれども、今御指摘のような傾向というものは自治体からもちょっと聞いたこともございます。そういうような傾向がかなりあるということを聞いております。
  110. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 専門家の税務局長はどうなんですか、自治大臣はきょう聞いたばかしと言うんだけれども
  111. 関根則之

    関根政府委員 先生の御指摘をいただきましたように、第三次産業のウエートが法人事業税の課税の面におきましても大変急速な勢いで高くなりつつございます。これは俗に言われております産業のソフト化、サービス化といったような傾向を如実に反映しているものというふうに考える次第でございます。特に三次産業が、情報の中心であります東京とか大阪とかいったところで全国平均よりもさらに急速な速度で伸びている、そういうことが先ほどお示しのような数字にあらわれてきているものというふうに考えております。  そういった産業構造なり経済構造というものが変わってきつつある、また、その間には人口の移動等もあるわけでございますけれども、そういうものに的確に対応し切れなかった結果ではないかということでございますが、税収そのものは、単にウエートだけから判断をするというのはいかがなものかというふうにも考えられるわけでございまして、現に、ほかの地方公共団体に比べまして東京都は財源超過団体になっておるということでもございますので、そういう面での実際の財政需要に応じました税制というものは、私どもなりに改正の努力は進めてはきておりますけれども基本的な事業税についての改正というものはいまだその実現を見ていないというのが実情でございます。
  112. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 あなたは、今、東京都は財源超過団体、不交付団体だから心配ない、こういうことで税構造の手直しをサボっちゃ困るわけですよ。そういう意味じゃないと思います。東京都も確かに不交付団体でありますけれども、五十一年か二年くらいでしょう、一番ひどいとき、東京都自体は二百億くらい赤字になっておった。ところが二十一条で、都の特例で合併算定するものですから、差し引いて辛うじて不交付団体であった。そのときに問題が起こったのは、基準財政収入額を極度に抑えているんじゃないかというかなり詳細な論文が東京都から出されたことも御承知のとおりであります。事ほどさように財政は苦しいわけです。  この五十七年の調査で、東京都の真ん中のビル内の第三次産業にウエートがいったと言っている。そのビル内の諸活動に伴う税収というのは、東京都の場合はビル内の活動はサラリーも加えて七三%くらいは国に入ってしまっているのです。東京都に入っているのは個人住民税です。法人事業税というのはわずかに九%か一割くらいしか入っていない。こういう点が三十年前スタートしたときとは全く違った経済構造、したがってそれが税構造に反映している、こういうことでありますから、これはひとつ手直しをしていただかなければいかぬと思うのですよ。手直しをする意思がありますか。
  113. 関根則之

    関根政府委員 私どもといたしましては、地方団体の一番基本財源である税収というものをできるだけ充実をしていきたいという考え方で臨んでいるわけでございまして、そのことは法人事業税につきましても同じく言えるわけでございます。  ただ、現実の問題といたしまして、法人事業税の大きな変革ということになりますと、まず税率引き上げ等がすぐに頭に浮かんでくるわけでございますけれども、国の法人税との兼ね合い、全体としての国、地方を通ずる企業課税あり方負担水準、そういったものとの兼ね合いもございますので、なかなかこれは簡単にいく問題ではございません。  もう一つ大きな問題といたしまして、外形標準課税の導入という懸案の問題がございますが、こういった問題も私どもとしては努力はしていきたいと思いますが、いろいろと難しい問題があるということも先生承知のとおりでございます。
  114. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ああ言うとこう言うものだから。  税務局長、今あなたが扱っている地方税法という法律を、どなたからも批判を受けないように一〇〇%完全に守り通しています、執行しておりますと言い切れますか。
  115. 関根則之

    関根政府委員 そう言われるように一生懸命努力をしているところでございますけれども、何せ非力な私どもでございますので、いろいろと問題はあろうかと思います。
  116. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 問題はあろうかと思いますと言うけれども、完全にやっていないんだよ。去年のこの委員会でも私は宅地開発税という法律をつくっておいて何もやっていないじゃないかということを指摘しました。そしてあげくの果ては、この間何もやらぬでおいて、通達行政で地方の要綱行政というのを踏みつぶしてしまおう、こういう挙に出ております。この前言ったからきょうは言わぬ。その一つをとっても完全にやっていないのですよ。  もう一つ、きょうの本論。外形課税と今あなた言葉がありましたね。外形課税というのは法律をつくらなければやれないのですか。
  117. 関根則之

    関根政府委員 現在の地方税法におきましても、外形課税課税することができる規定は置かれているところでございます。法律制度上は新たに法律をつくらなくても現在の法律でもできるという制度にはなっております。実際問題としてはいろいろ問題がございます。
  118. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 局長を言うように、地方税法の七十二条の十九に「事業税の課税標準の特例」というのがちゃんと書いてあるのです。今、事業税の課税というのは、電気事業みたいな外形課税をやっている、売り上げでやっているところと、所得課税をやっているところがあるわけです。  事業税というのは物税ですか、物税じゃないのですか。どうですか。
  119. 関根則之

    関根政府委員 私どもは物税と考えております。
  120. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 物税ですね。あなたの部下が書いた本にもちゃんと事業税は物税であるということから論議を展開しておるわけです。  ところが、必ずしも物税になっておらぬでしょう。大部分は所得課税でしょう。今欠損法人は五二%です。五二%は所得課税ですから事業税を納めてないわけです。この法律ができた三十五年くらいには三五%か四〇%くらいが欠損法人、どういうことか知らぬけれどもだんだん欠損法人がふえて今や五二%、しかも小さいところかと思うと一億円以上の資本金のところがかなりのシェアを持っている。三〇%くらいは欠損ですよ。まあそうなっているのでしょうが、私は少し常識的におかしいと思うのです。  そこで、七十二条の十九にはこう書いてある。「法人の行う電気供給業、ガス供給業、生命保険事業及び損害保険事業以外の法人又は個人の行う事業に対する事業税の課税標準については、事業の情況に応じ、第七十二条第一項、第七十二条の十二及び第七十二条の十六の所得及び清算所得によらないで、資本金額、売上金額、家屋の床面積若しくは価格、土地の地積若しくは価格、従業員数等を課税標準とし、又は所得及び清算所得とこれらの課税標準とをあわせ用いることができる。」いろいろあるのですが、「あわせ用いる」。  所得課税を半分、外形課税を半分というのが五十三年かに全国知事会が出した結論でしょう。その全国知事会の結論をとめたのは自治省じゃないですか。全国知事会では法人事業税外形課税実施要綱というのができています。法律の案が、モデルができているのです。全国知事会が決議して、国が何と言おうと、自治省が何と言おうと断固五十五年からやるという決議をしたのです。ところがとうとうやらなかった。やらなかった足をかっぱらったのは自治省だといううわさが非常に多いのです。うそか本当か、お答えいただきたい。
  121. 関根則之

    関根政府委員 お話のございましたように、昭和五十二年十一月に全国知事会におきまして法人事業税外形課税実施案というものが要綱の形でできておるわけでございます。これがいろいろな事情で実現は見ていないわけでございますけれども、その詳しい経緯については必ずしも知悉しているわけではございませんが、自治省が一方的にとめたというものではございませんで、やはり要綱はできたものの、いざ本当にこれを実施に移すということになりますと、いろいろ世間に与える影響も出てまいりますし、それから各県によって税収の入り方に相当な差が出てくる。そこでの知事さん方の、各県ごとの利害得失もいろいろございまして、最終的な実施の段階までは入れなかったというのが実情ではないかというふうに聞いております。
  122. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 激変が起こるということでありますけれども、全国知事会の要綱にはちゃんと経過措置があるのです。最終的には外形課税五〇%、所得課税五〇%、こうなっておりますけれども、最初の年が所得課税九〇%、外形課税一割で、だんだん年を追って、四年目に大体フィフティー・フィフティーにいこうというわけですね。激変が起こらないように四年を五年にしてもいいでしょう、一遍にやるわけはないのですから。激変の緩和のしようは幾らでもあるのですよ。  そうだといたしますと、知事会があそこまで決意したのをやれなかったのは、どうも一般消費税の問題があって、それで大蔵省から抑えつけられた、政府から抑えつけられて、自治省が、自分の担当しておる地方税法というものについて知事会の意向を酌み取ってリーダーシップをとるんじゃなくて、マイナスリーダーシップをとった、こういうふうに理解する以外にないじゃないですか。そうして、詳しく言いませんけれども、当時の税調の答申はどうですか。税調は二つぐらいの案を出しているのですよ。二つぐらいの案で、そして、国の方で税金を取るようになったらばその三二%ははね返るのだから自治省も協力しますか、協力しましょう、おすそ分けもらえるならば協力しましょうとしっぽを振って言ったじゃないですか。それはちゃんと税調の答申に書いてありますよ。  事ほどさように、やってはおらぬと言うけれども、間違いなく全国知事会を抑えた。確かにおっしゃるように、これは法人の事業税でありますから、分割しなければならぬ部分がありますから、分割するについては自治省がある程度指導しなければいかぬ。同時に、各県が足並みをそろえなければいかぬ。そろえることを決意したわけですから、できないはずはありません。やらなかったのは、自治省のリーダーシップが足らなかった。まあ悪く言えば抑えて、そうしてだんごもちの四分の一ばかしを切ってもらって、それもいただけるならばありがとうございますというわけで外形課税をやらせなかったのでしょう。そうじゃないですか。
  123. 関根則之

    関根政府委員 当時、一般消費税構想というものが出ておりまして、国の税調におきましても真剣に議論がなされたところでございますし、その議論の最終段階は一般消費税大綱というような形でまとめられている、そこまでいったわけでございます。その後、いろいろな経過がございまして、一般消費税の成立というのは国会決議等もございまして不成立に終わったという経緯がございました。  この一般消費税ができるという前提に立ちますと、相当大きな税収を、その一部をもって地方の消費税をつくるという構想も中にあったわけでございまして、地方財源としても相当安定的な外形による税収が入ってくるということが予想されました。そういう議論がこの知事会案が実現できなかった一つのてこにはなっているのであろうというふうに私どもとしては考えております。
  124. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 あなたの方で殊さら事業税は物税であるとぱちんと決めておきながら、一般消費税と絡み合わせたところに――混乱しているのはあなた方の方ですよ。事業税というのは経費として落とされているのですから、これは税ですよ。ですからこれと混同される必要はありません。一般消費税という問題が起こったって、そんなものとこれは性格が違うのですよ、基本性格が。基本性格が違うと思いませんか。どこかで何か背中合わせにするとか、シャムの双子みたいな格好だと理解しているのですか、いかがですか。
  125. 関根則之

    関根政府委員 確かに税の性格といたしましては、物税としての事業税というものと一般消費税とは税の性格が厳密には違うということは間違いないわけでございます。ただ、現在の事業税が実際の徴収の方法所得に着目して徴収がなされておるという問題がございます。一方、一般消費税におきましては、所得課税ではもちろんございません。外形的に付加価値なり、あるいはいろいろな方式はございますけれども、そういった外形的に売り上げ等によって決まってくるものでございますので、そういう方法で、従来、外形的な標準に基づいて何か事業税を安定的に確保するという方法なり目的なりが満足されることにもなるではないか、そういう意味で一つの代替性があると申しますか、そういう議論がなされたものと考えます。
  126. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 代替性があると考えるところに問題があり、今日の混乱があり、そして東京や大阪のように税構造がかなり根本的に変わってくるような原因者に残念ながら自治省がなっているわけですよ。  そこで大臣、ここまで来たので過去は問わぬですが、これはやはりきちんとしなければいかぬと思うのですよ。  関根局長、あなたの部下が書いた本を読んだ。私は大変参考になりました。最後のところがちょっと、その辺になるとこんがらかっておるのですよ。やっぱり一般消費税、何か課税ベースの広いものと絡み合ったような、残念ながら――私は、論文については敬意を表するのです。書くなど言うのではないのですよ。やはり堂々と確信を持って書くべきですよ。ただ、最後のところになると、あなたより若い人が書いたのだけれども、若い人というのは理論的に割り切っていかなければならぬわけですが、その辺になると少し濁ってきておるわけですよ。残念に思うのです。しかし、この際思い直してきちんとしていただきたい、こう思います。  そこで、最高責任者である大臣、これは外形課税一〇〇%ということで出発したのが付加価値税であります。言ってみますと、今言われておる外形課税は、法律に書いてあるのはそのままです。法律によって準則ができておるわけですから、自治省がやる、全国知事会がやるというならやれるのですよ。すぐでもできるのです、来年からでも。それをやらないところに問題があるわけですが、ひとつ大臣の決意――この間の大臣の非常に明快な決意、私以上にすっきりしておったから私は敬意を表しておる。参議院でもそれを言っていただきました。ですから、この問題は、地方自治を守るその裏づけとしての地方財政確立するということならば、全国知事会が五十三年に決議をしたのを実践に移す、そしてその経過措置、経過期間というのは現状に即してやることが、今私が一時間にわたって提起した問題の解決になる。そして都道府県税の構造的な安定性が確立される。市町村の方は後でまた議論します、きょうは時間がありませんから。そう私は思うのでありますが、いかがでしょう。
  127. 田川誠一

    田川国務大臣 きょうは細谷さんのうんちくを傾けた御意見をいただきまして大変勉強になりました。  事業税の外形標準課税の導入などを初めとするこれまでの御意見につきましては、私もちょっと地方団体から聞いたこともございますし、地方税源確保を図っていくということから考えますれば、これはできるだけ早くこういうことを導入するようにしなければならないという考えになってくるわけでございます。しかし、この問題は、企業関係税あるいは間接税その他税制全般に関連する問題ではないかと思いますし、こういうことを考えますと、すぐこれを導入して実現に移すということは、これはなかなか今ここでできるということを申し上げるだけの知識も条件も環境もございません。  細谷さんのおっしゃった御意見は全く貴重な御意見でありまして、この問題はこれから真剣に検討させていただくということでひとつ御理解をいただきたい、このように思っております。
  128. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私が申し上げておるのは、これから税制調査会にかけてこれをやったらどうですか、こういうことを言っているわけじゃないのですよ。現行法で、大臣がやる決意をすれば、そして積極的に指導すれば、そしてそれは既に五十二年のときにできた準則があるわけですから、これを実施に移しさえすればできるわけですから、それをやってみませんか、やっていただけませんか、やるべきじゃないですか、こういうことを私は申し上げておるわけです。  私ばかりじゃありません。この本に四つの点を東京都の財政の問題として言っております。これは大阪も当然ですよ。最後のところに「法人事業税に外形課税の導入が促進されるべきである。」これが四つのうちの一つであります。そしてその裏づけとして、こういうことだからやってほしいということが出ております。これは貴重な労作だと思うのです。地方がやったものなどはろくなものじゃない、信用できぬということじゃありません。これは立派な労作です。ぜひひとつやっていただきたいと思います。  時間がありませんから、最後に一つ。  この本を読んでしみじみ私が思ったのは、せっかくつくった事務所、事業所税というのも、東京都の産業構造の変化からいってどうしてもこれは実現してやらなければ税に穴があいている、こういう感じがいたしました。そこで、事務所、事業所税については今人口三十万以上のところはやっていいということになっているのですけれども、これはそういう対象がある限りにおいては、人口が幾らなんということを線を引く必要はないと私は思いました。大臣、とぼけてちょっと初耳だなんということで答弁したがらぬでしょうけれども、まず関根局長いかがですか。
  129. 関根則之

    関根政府委員 事業所税につきましては、現在、人口要件が三十万以上の都市だけに課税権が与えられているわけでございます。御指摘のとおりでございますが、地方団体からは、いま少し基準を下げて、二十万程度ないしはそれ以下、あるいはまた別な観点から、都道府県庁所在都市においてはたとえ十万程度の都市であっても課税権を与えるべきではないかという議論がございまして、私ども基本的には課税対象、課税団体の範囲を拡大をしていきたい、そのことによって地方税源充実にも寄与していきたいという考え方を持って、各方面にいろいろと折衝をし議論の対象にしていただいているわけでございますが、現時点に至るまで残念ながらまだ拡大についてのコンセンサスを得られていないという実情にあるわけでございます。  ただ、先生お話がありましたように、事務所、事業所があればその都市の規模がどんなに小さくても課税できるようにしたらいいじゃないかという御議論がございましたが、やはりこの税の成立の経緯等から考えまして、よく追い出し税的な性格を持っているのじゃないかというようなことを言いますが、私どもはそういう考え方はございません。  ただ、一定規模以上の集積がある都市において、その集積の利益を受けている企業があるではないか、一方、集積によって都市環境等に弊害を及ぼしている、そういう害悪を発生させている面もあるではないか、そういった両面から、都市整備財源としてこの事業所税を考えたという経緯もあるものでございますから、都市集積も全然ないようなところまでこれを一挙にまんべんなく広げてしまうということについては、これは基本的に税の性格を変えるものでありまして、非常に大きな問題があるのではなかろうかというふうに考えております。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 集積の利益を受けておる、そこに目的税としてのこの税を設けだということである。一体集積の利益というのは何でしょうか。事業所税を取る資格を持っておる福島県の、日本一大きいいわき市は取ってないそうですよ。取ると面倒くさいからと言ったとかなんとかというのですが、取っていない。ほかに財政的な余裕があるのでしょう。あそこは事業活動の大きな企業がありますからね。集積の利益というのは、一つの会社でも一つの系統の工場でも、そこでもう十分に享受することはできるわけですよ。  ですから、対象の法人がある限りにおいては、人口が幾ら以上ならば集積の利益がある、人口三十万以下では集積の利益がないと決めつけるのはいかがかと私は思うので、これはやはり都市税制の中の一つの問題点でありますから、ぜひひとつ御検討をいただきたい。  聞くところによりますと、五十万から三十万にするときに、何か税制調査会は、もうこの次に三十万を下げてもらうなんということは言いなさんなよと、そういうことを条件に三十万に下げようということが決まったとか決まらなかったとか言われております。確かにうわさにあるように、税調のその部分を詳細に読んでみますと、どうもその影があるような字句が入っているのですよ。税制というのはそんなものじゃありません。合理性があり、根拠のあるものについては、抽象的ではなく、マクロではなく、きちんと具体的に処理すべきものだと私は思っております。大臣、この点もひとつお聞かせいただけませんか。
  131. 田川誠一

    田川国務大臣 事業所税の拡大につきましても引き続き検討させていただきたい、このように思っております。  先ほど来御指摘のように、自治省だけでできる問題があるじゃないかというお話でございますけれども、とにかく税制全般にわたっての検討をいろいろしなければならない問題もありまして、御要望に沿うような段階になかなか至りませんけれども、きょうの御意見を伺いまして、私ももっと真剣にこういう問題は取り組んでいかなければならないという感じを強く持つようになりました。引き続き検討をしてまいります。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間がなくなりましたが、この点は地方税制、ひいては地方財政あるいは地方分権の確立に大変重要なポイントの一つと理解して、理事の皆さんが御努力いただいて、いろいろ問題点がありますけれども、問題を絞って修正案を出す運びになっている、こう承っております。ぜひひとつ修正を通していただくと同時に、いま一つ、自治省は修正案があろうとなかろうとできるのですから、やっていただきたいことを切望して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  133. 大石千八

    大石委員長 次に、草野威君。
  134. 草野威

    ○草野委員 私は、ただいま審議されております地方税法の改正案につきまして、住民税減税の問題を初めといたしまして何点かお尋ねをいたしたいと思います。  初めに、住民税の問題でございますけれども、はっきり申し上げまして、今回の住民税減税につきましては非常に多くの問題があろうかと思います。したがって、私ども国民の立場から見ますと、決して素直に喜べる減税の内容とは到底言いがたい、このように思います。  私どもは、今回の減税当たりまして一兆四千億円、すなわち所得税一兆円、住民税四千億円、このような要求をしたわけでございまして、その内容からいえばほど遠いと言わざるを得ないと思います。先ほど大臣の御答弁を伺っておりましたところ、住民税三千億減税は与野党が一致して行った、こういうような御答弁があったようでございます。与野党が一致して行った、もしこれが私の聞き違いでなければ、決してこのようなことではないと思いますので、この点をまず御訂正をいただきたいと思います。
  135. 田川誠一

    田川国務大臣 言葉が少し足りなかったかもしれませんけれども、与野党合意の中でできた、こういうふうに私は認識をしております。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  136. 草野威

    ○草野委員 今回の住民税、内容を見てみますと、いろいろ問題点があろうかと思います。所得税減税とともに与野党合意との関係、また景気浮揚との関連、また物価上昇等による実質増税の調整が不十分である、こういう問題、また減収補てんのための大衆増税、また内容的にも、先ほども議論がございましたけれども最低税率のアップ、こういうことで非常に上に厚く下に薄い、こういう内容になっていると思われます。したがって、低所得の人々にとりましては極めて恩恵が薄い、国民期待を裏切る減税内容である、私どもこのように思わざるを得ないわけでございます。特に、住民税につきましては年内減税が見送られたほか、五十九年、六十年、この二カ年にわたりまして実施されているために、所得税と違ういろいろな問題が生じてきているのではないかと思われます。  そこで、まず税務局長に伺いたいわけでございますが、先ほどの御答弁の中に、最低税率アップの問題につきまして、税率構造をなだらかにするためには今回のような大幅減税のときにやらなければ困難である、こういうようなお話がございまして、決して低所得の人々に対してのみ厳しくするような内容にはなっていない、こういうような御答弁がございましたけれども、この点はいかがですか。
  137. 関根則之

    関根政府委員 最低税率引き上げにつきましては、これは先ほどの御議論にもございましたように、住民税の本来の性格からいたしまして、地域に要する経費を広く住民が分担をしていくというような性格を持っているわけでございますので、所得税のように所得再配分を主たる機能として持っている税とは違いまして、余り急激な累進税率をとるのはよくない、できるだけなだらかな累進税率、多少の累進税率を入れたような、いわばどちらかというと比例税率に近いような形で分担していただくのが望ましいんだという基本的考え方を持っているわけでございます。  ただしかし、そういうなだらかな税率を実現いたしますためには、現在の住民税税率そのものの絶対的な水準が非常に低いわけです。最高税率でも市町村民税一四%、県税を入れまして一八%、国税が今度上を引き下げまして七〇%にいたしますが、下げましてもまだ七〇%ですから、それとの開きは非常に大きなものがあるわけでございます。この最高税率住民税では下げて平らにするわけにいきませんから、やはり地方の自主税源拡充するという必要性も一方にございますので、でき得れば最低税率、現在二%という極めて低い税率水準にあるものを多少上げることによって、なだらかな累進構造を実現させたいということでございます。  しかし、それを実施いたしますときには、全然減税をしない通常の状態の中で最低税率を上げますと、まさに御心配いただいておりますように、税負担がその分だけふえてしまうわけでございます。増税になってしまいますから、それはもうとてもできない。減税をある程度の規模で実施いたしますときにのみこれは実施できるものというふうに考えているわけでございまして、今回も、わずかではございますけれども、多少とも本来あるべき住民税の姿に近づけますために〇・五%の引き上げをさせていただいて、しかもその結果増税とならないように、減税の範囲内でそういう操作をさせていただいたということでございます。
  138. 草野威

    ○草野委員 局長のおっしゃることはわかりますけれども、しかし実際に低所得者の場合、これはいろいろ問題があろうかと思うのですね。例えば給与所得者で夫婦と子供二人の世帯を見てみますと、こういう問題が起きてくると思います。  例えば年収一千万円の方、五十九年の改正税額は七十一万九千九百円、六十年は七十一万八千百円、このようになっておりまして、六十年は若干でございますけれども税額は低くなっております。五百万円の世帯を見てみますと、これまた若干六十年の方が税額が低くなっております。しかし、三百万の世帯について見ますと、五十九年は三万四千五百円、六十年は三万五千六百円と、税金はふえているわけです。五十九年、六十年を足した場合にはそれはもちろん減税でしょうけれども、五十九年と六十年、この二カ年を比較した場合には、六十年は増税となっております。しかもこれは五百万とか一千万とかいう高所得者の場合ではなくて、三百万クラスの世帯におきましては、世帯構成が他の世帯構成と同じであっても六十年の方が増税になっている、これは一体どういうわけでしょうか。
  139. 関根則之

    関根政府委員 今お話のございましたような現象は、実は昨年の暮れに成立をいただきました住民税の特別の減税が、五十九年度には本格減税の上に乗ったような形で両方同時に行われるわけでございます。したがって、平年度ベースの減税規模で申し上げますと、端数は捨てまして、五十九年度には今御審議いただいております本格減税三千億と昨年の特例減税六百億、合わせました三千六百億の減税が行われるわけです。六十年度になりますと、特例減税は単年度限りの減税でございますから、これはなくなりまして、本格減税の三千億分だけが残る、こういう形になりますので、五十九年度の住民税の税額と六十年度の税額とを比較いたしますと、逆に六十年度の方が高くなるという階層が出てくることは事実でございます。  ただ、もちろん本格減税同士で五十九年度と六十年度とを比較いたしますと、当然のことながら大体横ばいということになるわけです。五十九年度の減税幅が大きいのは、特例減税分が上に乗っている、その効果であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  140. 草野威

    ○草野委員 これは今の御説明ではちょっと納得できない面があるのですけれどもね。  こういう場合もあると思うのです。五十九年と六十年を比較しまして、三百万の世帯の方でございますけれども、五十九年の税額の基礎が五十八年度の三百万としますと、先ほど申し上げましたように五十九年の所得割の場合は三万四千五百円になりますけれども、例えばベースアップ等で六十年は五%アップした場合、約十五万ほど収入がふえますね。この場合の税額はどのくらいになりますかというと、改正案では四万一千九百円になるわけでございます。  この数字だけを今ちょっと見てみますと、現行の税率でいった場合には、五十九年、六十年比較いたしますと一六・七%の税額のアップになっておるのです。改正案におきますとどういうことになるかというと、これが何と二一・四%、約五%近くも税額の面でふえるわけです。一方、五百万または一千万世帯の場合には税額の伸び率は全く変わりません。三百万円の世帯の方だけがこのように税額の面においても高額所得者と比べてかなり伸び率が大きい、こういう問題もあるわけです。もちろん、関連いたしまして手取り額の状況を見ましても、五百万、一千万の世帯の人に比べまして三百万クラスの人たちは率の上では減っている、こういう問題も起きているわけなんですね。  さっきいろいろ御答弁いただきましたけれども、やはり今度の改正によりましてそういう低所得の人たちに対して非常に厳しい内容になっているのじゃないか、このように思わざるを得ないのです。これは何らかの是正措置を講ずるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 関根則之

    関根政府委員 いろいろなケースによって試算をいたしますといろいろな答えが出てくるわけでございますけれども、私どもが今回減税方法を決めるに当たりましては、上に厚く下に薄くというような考え方は全く持っていないわけでございます。現に、減税率と申しますか、今までの税額、減税後の税額、その間の減少する税額とを比較いたしまして軽減率という形で率を出しておりますけれども、軽減率を見ましても低所得層の方がはるかに高く仕組まれているわけでございます。三百万円の段階では、昭和六十年度完全に平年度化いたしました段階で二二・一%の負担軽減割合になっております。五百万円が一〇・二%、七百万円が五・七%、一千万円で三・三%、二千万円で一・二%という形で、これは所得税の方の軽減割合所得段階別の数字もだんだん上に行くに従って薄くなるというような仕組みになっておりますが、それと同じように下の方の軽減割合を高めるというような形で仕組んでいるわけでございまして、決してお話のございました上厚下薄というようなことにはならないと考えております。  また、〇・五%の最低税率引き上げは、最低税率引き上げといいますといかにも低所得層の税率を上げるというような感覚でおとりの向きもございますけれども、これは決してそうではございません。すべての納税者に対して最初の所得段階では税率を上げるという仕組みでございますので、低所得者だけのものではない、全納税者に影響を与えるものであるわけでございます。確かに設例のように、翌年度給料が上がりまして収入金額がふえた場合に、その段階で実際手取りの額がどうなるかということを、必ずしもお示しいただいた的確な数字を手元に持っておりませんけれども、その具体例につきましては私どもいろいろ試算をいたしておりますけれども減税のやり方の大原則に従いまして軽減割合が下に厚く出てくるような形での減税をやっているわけでございます。
  142. 草野威

    ○草野委員 この問題やめようかと思ったのですけれども、今そのように言われると私もまた反論しなければならなくなってくる。  五十九年と六十年を比較した場合、五百万、一千万の収入のある世帯においては税額は六十年度が減っているんです。三百万の収入の家庭の人たちは、六十年の方がふえているんですよ。だから、おかしいじゃないか、こう言っているのです。今のあなたの説明は私は納得できません。
  143. 関根則之

    関根政府委員 六十年度と五十九年度との減税額の比較をいたしますと、それは所得段階でもいろいろな変化が出てきます。なぜかと申しますと、五十九年度は六百億の特別減税がまず上に乗っているということ、それが六十年度にはなくなる、こういう仕組みになっている影響が出てまいります。それからもう一つは、給与所得控除の影響が昭和六十年度になりまして初めて住民税にはあらわれてまいります。その関係で六十年度から最低税率引き上げが動き出すような仕組みになっております。五十九年度では最低税率の〇・五%の引き上げは動かさない、こういう仕組みで現在税法を組んでおります。  そういう仕組みが、いろいろな変動要素が五十九年度と六十年度でございますので、そのあらわれ方が、具体的な所得段階をとりますと、減税になるような形あるいは増税になるような形でまちまちに出てくることは確かにございます。
  144. 草野威

    ○草野委員 この問題はもう一遍やり直したいと思いますけれども大臣、今私が申し上げましたように、そういう所得の低い人が、二年間だけを見てみますと来年は増税になる、こういう現象が出ているんですね。この点についてはぜひとも何らか是正するなり御検討いただきたいと思いますので、要望いたします。  次に、非課税措置整理合理化、こういう問題について伺いたいと思います。  今回の住民税減税によります減収補てんは不公平税制の是正によるべきでありますけれども、実際は大衆課税によって行われている部分がたくさんあります。五十九年度の地方税非課税等特別措置による減収額は、交際費課税特例を除くと九千二百四十八億円で、一兆円に近いわけでございます。五十八年度に比べまして四百七十三億円増加しております。もちろんこの中には生命保険料控除等の住民税減税の関連もあるとはいえ、極めて大きいと思います。  そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、この非課税措置の問題、先ほども、政治不信の原因は税の不公平から起きるんだ、またこの非課税措置の問題につきましてもかねがね既得権化また慢性化の排除に努める、このようなお話もございますけれども、この非課税措置整理合理化ということにつきまして、今後どのような方針で進めていかれるか、まず所信を伺いたいと思います。
  145. 田川誠一

    田川国務大臣 地方税の非課税等の特別措置につきましては、先ほども具体的に申し上げましたが、既得権や慢性化の排除に努めるという観点から今後も見直しをやってまいるつもりでございます。明年度の税制改正当たりましては、実態に応じた見直しを行いまして、できる限り合理化を行う、このように考えております。
  146. 草野威

    ○草野委員 五十九年度の税制改正によります整理合理化状況を見ますと、企業関係に限りましても、五十八年度の十二件が十件に減少しております。また、それによる増収額も一億三千八百万円から七千三百万円に減少しております。これは一体どういうことでしょうか。  さらに、特別措置の適用期限が切れてもこれを単純に延長しているものが見受けられます。企業関係で言いますと、五十八年が二件に対しまして五十九年は十二件と激増しております。そして、それも固定資産税とか不動産取得税、こういうものに比較的多いように思われます。果たして延長すべき必要性があったのかどうか、十分に検討されたのかどうか疑問に思わざるを得ません。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  147. 関根則之

    関根政府委員 非課税等特別措置整理合理化につきましては、私ども昭和五十年代に入りまして特に地方財政が厳しくなりましたことも一方にございまして、一生懸命努力を続けてきたところでございます。ただ、既に相当の件数について整理合理化が進んでまいっておりますので、残りましたものにつきましては、非課税等特別措置といいましてもそれぞれいろいろな政策目的があるわけでございまして、貯蓄の奨励でありますとか、あるいは中小企業対策でありますとか、あるいはまた住宅建設の促進でありますとか、そういった他の政策目的からこれを一挙にやめてしまうということができないような性格のものが比較的多いわけでございます。そういうことで、既に相当の整理が進んでいる段階でございますので、毎年毎年件数がふえていくということが実際問題としてできないわけでございます。  なお、いろいろな個別の項目につきましては、去年に比べてことしの方が企業関係の整理合理化の金額が減ったではないかというお話でございますけれども、それぞれ対象が違うわけでございまして、例えば去年期限の切れた問題とことし期限の来る項目とは違うわけでございますので、そのとき廃止してもしかるべき特別措置の期限切れがたまたま多ければ、廃止、整理合理化も多く実現できる、こういった兼ね合いになってくるわけでございまして、一律に去年の件数がどういうことでことし減ってきたのかというふうに算数のような形で出てくるものではございません。それぞれ一つ一つの項目がばらばらにございますので、それらについて個別に検討をいたしまして、期限の到来するものの延長等についての適否を判断をしているわけでございます。
  148. 草野威

    ○草野委員 いろいろお話がございましたけれども、内容を見ますと、やはり再検討をしていただきたい、こういうふうに思われるものが幾つかあるのではないかと思うのです。  課税標準の特例措置の適用期限の延長または縮減合理化、この中で例を申し上げますと、地下路外駐車場の家屋に係る課税標準の特例措置、駐車場ですね、現在四分の一でございますけれども、これを今回六十一年三月三十一日まで延長する、こういうようになっておりますけれども、この地下駐車場の場合は、事業収益という面から考えても今回の単純延長はいかがなものかな、このように疑問を持たざるを得ないわけでございます。  そのほかにもいろいろあります。全部時間がなくて申し上げることはできませんけれども、公害防止設備に係る課税標準の特例措置の対象設備の範囲の縮減云々とありますけれども、この公害防止設備につきましても、公害防止は既に企業の社会的責任、このように言われておるわけでございますので、これの単純延長はどうかと思います。  そのほか幾つかございますけれども、これらの点につきましてもう一度検討をするべきじゃないか、このように思いますが、この点は要望にとどめておきたいと思います。  次に、電気税の非課税措置の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  この委員会でもしばしば議論されているわけでございまして、現在七十九品目、課税可能額の二〇%を占めていると言われております。また、ある市におきましては非課税割合が七五%にも達しているということで非常に問題にもなっております。  今までの整理件数を見ておりますと、五十一年に八件、五十二年に七件、五十三年四件、五十五年三件、五十六年二件、五十七年はゼロ、五十八年一件、そして五十九年も一件と次第に減少をしております。どのような検討をしてこの整理品目を出しているのか、この点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。昨年の場合は燐が廃止されておりますね。五十九年度は人工軽量骨材が整理品目の対象になっているようでございますけれども、どのような角度から検討してこれを廃止しているか、まずこの点についてお伺いいたします。
  149. 関根則之

    関根政府委員 産業用の電気につきましての非課税措置につきましては、その産業用電気が製品の製造のための製造コストの中で相当高いウエートを占めている産業でありますとか、あるいはまた国民経済に及ぼす影響が相当大きな産業である、国民生活を維持するために重要な基幹的な産業である、こういったようなものについて非課税措置を請じているわけでございます。  したがって、逆にこの非課税措置から外すということは、そういった要件に該当しなくなったものから順次外していくという考え方をとっておるわけでございます。例えば製品のコスト中に占める電気料金の比率が最近低下してきたとか、あるいは昔は国民生活上非常に必要な物資であったけれども、最近は代替物資等が出てまいりまして余り必要でなくなったとか、そういった産業の性格の変化に応じまして逐次差し支えないものから整理合理化を図っていく、こういう考え方に基づいて進めております。  ただ、今申し上げました製品コスト中に占める電気料金の割合が下がってきたというようなものは最近ほとんど数がないわけでございます。御指摘がありましたように、去年燐をやりまして、ことし軽量骨材を整理するということにしておりますけれども、これらは製品コスト中に占める電気料金の割合が減ったからというのではなくて、むしろ実際にそれらが産業界なり国民の日常生活に占めるウエートというものがそれほど重要でなくなった、いわば重要産業でなくなったというような観点から整理をしたものでございます。
  150. 草野威

    ○草野委員 もう一点伺っておきます。「電気税の産業用非課税の品目一覧」、こういう表がございますね。この表は自治省で作成されたものですね。――この表に従ってちょっと伺いたいと思いますけれども、この表と、これは昭和五十八年度の表でございますけれども、十年ほど前の昭和四十九年度の表と比べてみますと、電気料金の比率は余り動きがございませんけれども、四十九年度当時に五%から一〇%、それが五十八年度には一〇%から二〇%に移動している、いろいろ目につくわけですが、こういう品目は何品目ぐらいありますか。それと、移動したというのはどういうわけでしょうか。
  151. 関根則之

    関根政府委員 それぞれの製品によりまして製造工程等が変わってまいりまして、電気を余計使うようになったものもあるでしょうし、逆に電気を余り使わなくなったというような新しい製造工程を採用したというものもあろうかと思います。そういった関係で私どもは通産省と協議をいたしまして、最近におけるこういった産業の実情を調べていただきまして、それに基づいてこの表を作成をいたしておるわけでございます。実態をほぼ正確に反映しているものと考えております。  ただ、お尋ねの、何項目といいますか、どれだけのものが移動したのかという数字、ただいまの段階では、ちょっと資料がございませんので御答弁ができかねるわけでございます。
  152. 草野威

    ○草野委員 通産省おいでになっていますか。――通産省でおわかりになりますか。
  153. 藤原武平太

    ○藤原説明員 電気税の非課税品目につきまして、毎年生産数量とかそのコスト、製造原価とかの実態調査をいたしております。  ただ、今先生のおっしゃられるような資料を手元に持っておりません。もし必要あらば、後で調べて提出したいと思います。
  154. 草野威

    ○草野委員 この約十年間の間に二度にわたる大きな石油ショックがあったわけですね。ですから、どこの企業でも省エネということを念頭に置いてこの対策を非常に大規模に進めてきたと思うのです。  私の調べによりますと、昭和四十九年と五十八年とを比べますと、五%から一〇%未満であったものが、この一つ上のクラス、一〇%から二〇%、このクラスに移動したもの、これがすごくたくさんあるのですね。二十品目ぐらいあるのじゃないですか。二十品目ぐらい移動しているのですよ。例えば、鋼塊、鋼材、それから鋳鍛鋼、可鍛鋳鉄を初めとして約二十品目移動しているのです。この十年間の間にあらゆる企業が一生懸命になって省エネ対策に取り組んできているわけですが、それが、電気を使用する割合が逆にふえておる。こういうことは常識では考えられないわけなんですね。一体これはどのように皆さんの方では受けとめておりますか。通産省、これはどうですか。
  155. 藤原武平太

    ○藤原説明員 お答えいたします。  やはり電気料金の値上げ、そういう要因によりまして上方にシフトしたのではないかというふうに考えます。
  156. 草野威

    ○草野委員 今の答弁は、それは答えにならぬと思いますよ。電気料金が何%上がって、そして原価の中でこのように上がったということをあなた方は正確に調べていますか。例えば、では品目ごとの電気料金の比率、これは一品目ずつきちんと調査されていますか。ごまかしじゃなくて、きちっと答弁してください。
  157. 藤原武平太

    ○藤原説明員 毎年この電気税の非課税品目につきましては私どもの方で調査をいたしております。全体のカバーをするのはなかなか大変なものでございますから、サンプル調査でございますけれども、個々の品目につきまして、その生産数量、生産金額、それから電気の使用量等につきまして毎年調査をやっております。かなりの分がカバーをされておるというふうに考えております。
  158. 草野威

    ○草野委員 そうしますと、昨年廃止された燐、それから今回の五十九年度の人工軽量骨材、これの生産量とかそれから生産金額、これをひとつお示しいただきたいと思いますが、おわかりになりますか。
  159. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 御質問の燐についてお答えいたします。  現在、燐の生産量は千六百五十一トンでございます。それから、コストの中に占める電力費は四五・六%という調査結果が出ております。
  160. 草野威

    ○草野委員 ただいまお話がありましたように、生産金額が非常に少ない、廃止の理由の一つはこういうことではなかったかと思うのです。先ほど税務局長が御答弁なさいましたように、これを外しても国民経済に与える影響が少ないもの、重要基幹産業でなくなったもの、こういうものを対象にして廃止していったというようなお話だったですね。そうすると、この燐以外にも、生産量が非常に少ない、外しても国民経済に影響は出ない、こういうものはあると思うのですけれども、御検討はされておりますか。
  161. 関根則之

    関根政府委員 確かにほかにも生産量がそれほど大きくないものもあろうかと思います。私どもといたしましては、通産省を通じましてそういったものにつきましてできる限り整理合理化の対象にしていただきますよう、従来からもお願いをし、これからもそういうお願いをして極力整理合理化を進めていきたいというふうに考えております。
  162. 草野威

    ○草野委員 確認をしましたように、この表は自治省でつくった表ですよ。これをつくった以上は責任を持ってもらわなければいかぬですね。何でも通産省任せというのはいかぬと思いますよ。  もう一件お尋ねしますけれども、通産省、先ほど税務局長が生産量とか生産金額が非常に少ないために廃止しても国民経済に影響がない、このようにおっしゃいました。例えば、この七十九品目の中で生産金額が年間十億円以下のもの、こういうものはございますか。
  163. 藤原武平太

    ○藤原説明員 生産金額が年間十億円を下回るものという御指摘でございますが、今手持ちの資料で見てみますと、二品日程度見られます。  ただ、私どもの立場を申させていただきますと、生産金額が非常に小さいものでございましても、例えば非常に重要な還元剤を構成しておるもの、あるいは他の産業に対しまして添加剤と申しますかそういうものを構成しておるもの、あるいはレアメタルと申しますか非常に希小金属を構成しておるもの、そういうものがございまして、いずれも私ども国民経済上大変重要な物資であるというふうに考えております。
  164. 草野威

    ○草野委員 具体的にお尋ねしますけれども、例えばアセチレン、それから水素、金属マンガン、これはそれぞれ生産金額が十億円内外でございまして、この七十九品目の中では非常に少ないものじゃないかと思うのですね。こういうものを対象から外すことは国民経済に非常に大きな影響を及ぼす、そのように考えておられますか。
  165. 藤原武平太

    ○藤原説明員 お答えいたします。  例えばアセチレンでございますけれども、これは合成繊維とか接着剤とか土壌改良剤等に用いられるものでございます。あるいはポリビニールアルコールの原料あるいは金属の溶接及び切断等、広範な分野に使用されております重要な製品であるというふうに考えております。
  166. 草野威

    ○草野委員 三つ言ったんですよ。
  167. 藤原武平太

    ○藤原説明員 水素につきましては、例えば重質油分解装置というのがございますけれども、これは重油にいくべきところを……
  168. 草野威

    ○草野委員 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。国民経済に影響を与えるかどうかということを聞いているんですよ。
  169. 藤原武平太

    ○藤原説明員 ですから、水素は、重油を灯軽油、A重油にもう一度戻す、そういう装置がございます。それに添加剤として使われるということでございますので、私ども、非常に重要な物資であるというふうに考えております。  それから三番目の品目につきましても、これもチタン等の還元剤として用いられるというふうに考えておりまして、チタン等は御承知のようにいろいろなその持っております性格上非常に重要な物資であるというふうに考えております。
  170. 草野威

    ○草野委員 ただいまの通産省の御答弁を伺っていても、大臣、おわかりになったと思いますけれども、現在、七十九品目が非課税になっておりますけれども、これは、中にはもちろん重要なものもあると思いますけれども、それは重要だとか新規だとか、こういうものじゃもうなくなっているんですね。自治省答弁を聞きますと、いつでも言うことは、毎年、重要基幹産業だとか新規重要産業だとか、そういう答弁ばかりしているのですけれども自治省は全然内容は知らないのです。通産省の言いなりになっているわけです。そして、こうやって現在でも相変わらず非課税措置を続けているわけです。  ですから、単に以前から非課税であったから、こういう理由なんです。これはもっと綿密に御検討いただきたいと思うんですね。今すぐこういうことをやめられないのは、これは単純なんです、企業の収益が減るから、私はそういうことに尽きるのじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  171. 田川誠一

    田川国務大臣 できるだけ整理をして、見直すべきところは見直すように今後とも努力をしてまいります。必ずしも企業のためということではないと思います。原料の値上げになるとか、原料課税になって消費者に転嫁されるんじゃないかとか、いろいろ理由があったと思います。  しかし、見直すべき点はこの際積極的に見直して、非課税措置を、特別の措置をできるだけ少なくしていくという努力はしていかなければならないと思っております。
  172. 草野威

    ○草野委員 ぜひその方向で御検討をいただきたいと思います。  臨調答申によりますと、政府産業助成につきましてこのように述べております。「産業活動等に対する行政の関与・助成を民間の主体性に待つことの困難な分野等に限定し、民間の自由かつ積極的活動を基本とした経済発展を図る必要がある。」このように述べておるんですね。だから、電気税の非課税問題ですけれども、隠れた補助金である、よくこういうことは言われるわけですね。私は、これであってはならないと思います。したがって、政府産業保護規制行政の見直しの一環として、この際、電気税の非課税措置を抜本的にひとつ改めていただきたい。要望いたします。  次に、地方道路の財源問題についてお尋ねをしたいと思います。  昨年の閣議で決定されました第九次道路整備五カ年計画では、地方単独事業、地方道路整備に重点が置かれているために、地方道路特定財源比率が第八次の四四・六%から大幅にダウンしていると言われております。第九次ではどのぐらいになるでしょうか。
  173. 関根則之

    関根政府委員 現在の道路目的税につきましての変更がない場合には、三七%程度になるものというふうに考えております。
  174. 草野威

    ○草野委員 三七%くらいというお話でございますが、仮に第九次の地方道路特定財源比率を第八次並みにするためには、事業費はどのくらい増加させなければならないでしょうか。
  175. 関根則之

    関根政府委員 実は第九次の四四・六%に達しますための試算の結果は手元にちょっと持ち合わせておりませんが、二兆円近くの地方道路目的税の増強が必要ではなかったかというふうに記憶しております。
  176. 草野威

    ○草野委員 建設省、お見えになっておりますか。――もしおわかりになりましたら、今の点ひとつお答えいただきたいと思いますが、建設省にお伺いいたします。  自動車重量税による道路財源、これが道路事業費の抑制によりまして、五十七年以降、道路事業ではもう使い切れない、余っておる、そういうことで一般財源に転用されている、こういうことを聞いておりますけれども、これは事実でしょうか。もし事実だったら、その中身についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  177. 三木克彦

    ○三木説明員 最初の数字につきましては、ちょっと手元に数字がございませんが、恐らくその程度というふうに考えております。  自動車重量税の問題でございますが、自動車重量税につきましては、法律上の特定財源ではございませんが、創設の趣旨、運用の経緯等から、税収の国分の八割相当額を道路整備費に充てるということで運用されてきております。  五十七年度以降、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングによりまして、歳入予算額が歳出予算額を上回る状況になっております。その累積額は、昭和五十九年度分を含めますと約四千百億程度になるわけでございます。道路特定財源は、受益者負担あるいは損傷者負担考え方のもとに、道路整備に充てるため道路利用者に特別の負担を求めているものでございますので、このような状態は甚だ遺憾なことだというふうに受けとめております。
  178. 草野威

    ○草野委員 今お話がございましたように、四千億円余が一般財源として流用されている。そこで建設省と大蔵省の間で覚書といいますか、何か話し合いが行われているようでございますが、六十年度には一般財源に繰り入れないこととし、具体的方策を今後検討する、このように約束をしているというふうに聞いておりますけれども、このことは事実でございましょうか。もし事実であれば、どういう方向で検討されているか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  179. 三木克彦

    ○三木説明員 先ほど申し上げましたような事態を踏まえまして、五十九年度予算編成時におきまして、建設大臣、大蔵大臣の間で、この自動車重量税の取り扱いにつきまして覚書を交わしております。自動車重量税につきましては、制度の創設の趣旨経緯から、今後とも道路特定財源としての原則に従って運用を行うということで了解したところでございます。  これに基づきまして、昭和六十年度予算編成におきましては、ただいまお話のございましたように、こういった事態を回避するための具体的な方策について両省庁で詰め合うということになっております。これはまだ着手しておりませんが、予算成立後、概算要求時までの間に鋭意詰めたいというふうに考えております。
  180. 草野威

    ○草野委員 これから詰めるということでございますが、ともかく今後地方の道路整備を積極的に進めていかなければならない。こういう中で第九次の地方道路特定財源の比率が現在低下をしておる。一方、自動車重量税が余っている、オーバーフローの状態である、しかもこれは五十九年までじゃなくて六十年度においてもオーバーフローしているのではないか、このように言われているわけでございます。したがって、この財源地方道路財源に振り向けるのじゃないか、私はそのように思います。  先ほど御答弁がなかったようでございますけれども、今まで一般財源に流用した分、いずれにしてもそれが返されることになると思いますけれども、今後の問題として、道路事業量をどうやってふやしていくか、また、それでなければ重量税の税率そのものを引き下げるのか、またさらに地方道路財源に振り向けるのか、いろいろな問題点が出てくると思いますけれども、建設省のお考え、また自治省のお考えをあわせてひとつお尋ねしたいと思います。
  181. 三木克彦

    ○三木説明員 先ほど落としてしまいましたが、既にオーバーフローしております四千百億につきましては、五カ年の経過期間中になるべく速やかに返すということで財政当局と約定をしておるわけでございます。  そういった状況でございますが、ただいまのお話のように、具体的な方策ということになりますと幾つかの御議論があるわけでございまして、ただいま先生お話しのような、三つほどお伺いいたしましたが、それらにつきましては一つ一つ検討させていただきまして結論を出させていただきたいというふうに考えております。
  182. 関根則之

    関根政府委員 自治省といたしましては、地方の道路特定財源が極めて低い水準にあるということから、これをできるだけ引き上げていただきたいという考え方を持っておりまして、従来から関係各省と、お願いを申し上げたり折衝を続けたりしているところでございます。  自治省独自の特定財源といたしましては、軽油引取税と自動車取得税があるわけでございますが、これらの税率等の引き上げを図るという方法ももちろん検討をしていかなければいけないと考えますが、例えば自動車取得税などは税率を相当引き上げましてもそんなに多くの財源が得られないというような制約もあるわけでございますので、国の方の特定財源状況がどうなっているかつまびらかにはいたしませんが、仮にオーバーフローしているような状況でありますれば、国税の特定財源を含めて全体として何とか地方の道路目的財源充実が図れないか、そういうことまで含めまして今後努力をしていきたいと考えております。
  183. 草野威

    ○草野委員 今、自治省がお話しになられましたように、この財源の比率を高めるために、この際、国、地方間の道路特定財源の配分割合にひとつ積極的に努力をしていただきたい、このように要望をいたしまして、この問題を終わりにいたします。  最後になりましたけれども、わずかに時間がございますので、大臣にお尋ねをしたいと思います。  運転免許税の問題でございます。  過日の本会議の席上におきまして、大臣の御答弁を伺っておりました。それによりますと、道府県税として創設すべきである、こういう意見がある、また一方、これを導入することは適当ではない、こういう意見もある、こういうようなお話でございました。そこで、きょうは大臣のお考えをここではっきりとひとつお述べいただきたいと思います。  大臣は、創設すべきである、このように考えているのか、いや、おれは反対である、このように考えているのか、そういう点と、もう一点は、この運転免許税はいろいろと難しい問題があろうかと私は思います。そこで、初めに大臣からお話しいただきたいと思うのは、運転免許税というのは一体どういうような性格の税金になるのか、この二点、ひとつお願いいたします。
  184. 関根則之

    関根政府委員 税の性格の御質問がございましたので、その点につきまして私の方から答弁させていただきます。  税の性格といたしましては、権利創設税という分類になろうかと思います。これは、学者先生等に私どもでいろいろと税の分類上の御議論をいただきましたときにそういうお話で、大体整理できるのではないかというふうに考えております。
  185. 田川誠一

    田川国務大臣 草野さんよく御存じのように、私は国家公安委員長をも兼ねておりまして、あなたもよく御存じのように警察庁と自治省とはこの問題について意見が違うのでございまして、そういう意味で、私がここで自分の意見を申し上げるというのもちょっといかがなものかと思うのです。  草野さんよく御承知のように、運転免許税をかける方の側からすれば、交通規制、交通安全対策等で地方公共団体財政需要も急増しておるし、そういうことも含めてやはり運転免許を受ける方に応分の負担をしていただこうじゃないか、こういう議論になってくるわけでございます。また、反対の理由としては、運転免許という一つの事柄からすれば、これは税金を取るべき筋合いのものではないという意見になるわけでございます。そういうことで懸案事項になっておりまして、今後できるだけ両省庁で話し合いをしてこういうような問題を解決していきたい、このように考えておりますので、私の意見を申し上げることはひとつ御勘弁のほどをお願いいたしたいと思います。
  186. 草野威

    ○草野委員 はっきりした御見解をいただけなくて非常に残念に思いますけれども、時間ももう終わりでございますので、この運転免許税につきまして二、三私の方から申し上げまして、最後に御答弁をいただきたいと思います。  まず、今局長が言われました、運転免許税というものは権利創設税である、こういうことですね。権利創設税、よくわかりませんけれども、恐らく、運転免許が可能になるその権利といいますか、利益といいますか、そういうことじゃないかと私は今理解いたしました。やはり似たような税金で、国税で登録免許税というのがございます。この登録免許税の場合は、財貨の移転だとか商取引だとか、そういうものに関するものですね。経済的な利益が前提になっているわけです。しかし、運転免許の場合は、経済的な利益はまあ直接は関係ないのじゃないかと思うのです。実際に、確かにタクシーだとかトラックですね、そういうものを職業としている人は別としまして、そのほかに主婦だとか学生だとか、いわゆる担税力のない人たちがたくさんいる。こういう人たちからも一律に税金を取り上げる。しかもその人数は四千九百万人もいらっしゃる。こういうところからも一つの問題が生じてくるのじゃないかと思います。  また、実際に免許を新しく取得する場合に、その交付の手数料として千百円、それから証紙ですか、手数料とあれで、たしか千百円と二千円、両方足すと三千百円ですか、こういうものが税金として取られているわけですね。そのほかにまた今度これが取られるということになると、これは二重課税になってくるのじゃないか、こんな問題もあろうかと思うのです。  それからもう一つは、臨調答申は「増税なき財政再建」ということを言われているわけでございますけれども、その中に「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置基本的にはとらない、ということを意味している。」と述べております。このことについては、昨年も山本自治大臣がこの委員会で同様趣旨答弁をされております。そういう意味からいって、運転免許税は租税負担率の上昇をもたらす新たな措置、新たな税目、このように言わざるを得ないのじゃないかと私は思います。  そういうことで、結論として言うならば、このような取りやすいところから取るという大衆課税は絶対に導入すべきではない、私はこのように思いますけれども、最後に大臣の御所信をもう一回承りたいと思います。
  187. 関根則之

    関根政府委員 御質問の内容にいろいろございましたので、その点につきまして私から最初に御答弁させていただきます。  私ども基本的に、ことしの税制改正で運転免許税を御提案申し上げているわけではございません。ただ、税制改正段階議論をしたということでございますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、「増税なき財政再建」との兼ね合いでございますが、もちろん、小さな税ではありましても新規に税を設けますと、その分だけわずかではありましても租税負担率は上がってくる、こういう影響が出てくるかと思います。しかし、仮に減税を実施いたしますときにその財源としてこういった税がこしらえられるといった場合には、必ずしも常に「増税なき財政再建」の考え方に反するものにはならないというふうに考えております。
  188. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほど申し上げましたように、非常に微妙な立場でございまして、草野さんのおっしゃることもよくわかるわけでございますけれども、運転免許税について、これをやらない方がいいかやる方がいいかという私の意見だけは御勘弁いただきたい。草野さんの御意見も十分踏まえてということでひとつ御理解をしていただきたいと思うわけでございます。  今、自治省の税務局長が申し上げましたことも頭に入れて、そして警察庁と自治省とでこの問題はよく話し合って結論を出していきたい、このように思っておりますので、ひとつ御理解のほどをお願いいたしたいと思います。
  189. 草野威

    ○草野委員 時間が来ましたので、ぜひ運転免許税は導入をしないという方向で御検討を賜りたい、このことを強く要望して、終わります。
  190. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  191. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今回のこの法案の審査に当たりまして、国民は白けた気持ちで見ているのではないかと私は心配をしておる一人であります。内容を見てみますと、まさに減税はちょっぴりで増税はたっぷりということであります。  そのことについてはたくさんの質問者からそれぞれ御質問がありましたので、私はちょっと観点を変えまして、不公平税制を正すという意味から、個人企業と法人企業の税負担の公平のために、正直者がばかを見ないで済むように、青色申告制度につきまして質問をいたしたいと思うのであります。  御承知のように、戦前の賦課制度から、戦後は昭和二十二年に民主的な申告制度に変わりました。その中で、青色申告制度というのはシャウプ勧告によりまして昭和二十五年に創設されたものであります。この制度は、記帳を奨励するために、一定の帳簿、書類の備えつけを義務づけるとともに特典を与えるというものでありまして、昭和五十八年現在の数字でいいますと、青色申告者の数は三百六十五万人に上っております。その普及率は五二%に及んでおります。そのうち、みなし法人の届け出は七・一%でありまして、約二十四万人であります。  また、戦後、個人企業から法人企業に組織変更するいわゆる法人成りが相次ぎまして、現在もどんどん続いております。戦後は十万社と言われたのが、現在では百五十万社にまで上っております。しかも、その三分の二は資本金が五百万円未満の個人類似法人でありまして、全法人の半数は赤字法人という状態であります。  どうしてそういうことになってきたのかというこの法人成りの原因でありますけれども、会社にすれば税金が安くなるよということで法人成りがどんどんふえておるのであります。なぜ安くなるか。これは、事業主は社長報酬が取れますし、奥さんや子供さんも役員あるいは社員として報酬や給与が取れるというわけであります。したがって、個人企業は事業主と家族が一家総ぐるみで働きましても、家族の労働価値はゼロでありまして、事業主一人の所得として集中課税されるから損をする、こういう仕組みであります。  そこで、青色申告会の方々はその不公平を訴えまして、事業主報酬と家族従業者給与を認めよという要望を出したことは御承知のとおりであります。その結果、昭和二十九年には奥さんも専従者に認めるという解決がつきましたが、青色専従者の完全給与制が認められましても、事業主報酬が認められないのは、同族会社に比べて非常な不公平というべきであります。この事業主報酬を認めよという声は、今や青色申告会だけではございません。全国の中小企業諸団体の共通した要望であります。  そこで、中小企業庁も小規模企業対策としてこれを取り上げまして、昭和四十七年には与野党がこの改正を公約するような形となり、自民党におきましても多年の懸案である事業主報酬の創設を断行することを決定いたしましたが、残念なるかな、政府税調におきましては反対の答申をいたしましたので、この二つの意見が合掌立ちになったため、あの有名なみなし法人課税制度ができ上がったのであります。現在は、国税におきまして事業主報酬制度が創設されたのを受けて、翌年の地方税改正住民税にもみなし法人課税制度が認められて今日に至っております。  ところが、残念ながら、事業税計算には事業主報酬制度が認められておりません。そこで、事業主報酬制度は個人企業と法人企業との税負担の公平を図るために青色申告会が要望をしてきたのでありますが、その要望がなかなか通らないということから、東京都内の青色申告者の方々が都知事を相手取りまして、事業税の計算に事業主報酬を認めてもらいたいと訴えておりましたが、東京地裁で敗訴いたしまして、東京高裁に控訴していました。しかし、先月十五日、高裁は控訴を棄却したと言っておりますが、この事件を自治省としてはどのように考えていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  192. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 事業主報酬制度の問題にお答えする前に、若干お時間をいただきまして、事業税の性格からお話をさせていただきたいと思います。  事業税は、御承知のように、事業活動が行われます場合には地方団体からの行政サービスをその事業活動に伴って受けるという点に着目いたしまして、事業活動の規模に応じまして一定の御負担をいただくという性格の税金であるというふうに私どもは認識いたしております。なお、先刻細谷委員の御質問に出てまいりました言葉を使いますならば、所得税住民税のような人税ではなく、物税である、こういうふうに私どもは認識をいたしております。  また第二に、やはり先ほどの細谷委員の御質問に関連をして外形標準というような言葉が出てまいりましたけれども、つまり現在は課税標準として所得を採用いたしておりますけれども、原理的に申しますと、所得にかえて、例えば付加価値でありますとか、あるいは資産額でありますとか売り上げでありますとか、そういうものを課税標準に使う可能性というのは一般論としてはあるわけでございます。現行法としては所得をその課税標準としている。  こういう性格を持っている税であるということを前提にいたしましてお答え申し上げますが、そういうことで現在は所得課税標準にいたしておるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、同じ事業活動については同じように扱いたいという趣旨から、委員指摘の事業主の報酬につきましては、これを必要経費に算入するというようなことを仮に認めるといたしました場合には、まず、その事業主の意思によりまして、かなりの程度、必要経費の額が人によって違ってくるという問題が一つにはございます。二つには、先生今青色の場合をおっしゃったわけでありますが、白色につきましてはこれはいかんともしがたい問題でございますので、そういたしますと、青色の事業主相互間、あるいは青色と白色との間に差が開いてくるという問題がございまして、同じような事業規模につきましては同じような負担をしていただくと申しました先ほどの事業税の性格からいたしまして、基本的には、事業主報酬制度は事業税になじまないというふうに私どもは考えております。  ただいまの御質問は、現在最高裁に上告されております事件についてどう考えるかという御質問でございましたが、何分訴訟係属中の問題でございますので、それに対する考え方をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、それにかえまして私ども基本的な考え方をお答えいたした次第でございます。
  193. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それではこの問題に関連をして、東京地裁の判決文をちょっと読みますから、それについて感想を述べていただきたいと思います。  「現行税制では事業主報酬は認められないが、原告の主張する同族会社」、いわゆる法人成りですね、「同族会社と比べて不公平であることは理解できるし、また所得税住民税に適用されているみなし法人課税制度のその立法の趣旨は事業税にも妥当する。しかし、これは立法府の問題である」、こう結んであるのです。法律学者の人たちの御意見によれば、これは完全に青色申告会の提訴が勝っている、中身は勝っている、あとは政府の問題だ、こういうふうに言っておるのでありますが、どう思われますか。
  194. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 判決の批判になる部分はお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、私ども基本的な考え方といたしましては、先ほど申しましたように、まず後段の住民税所得税にみなす法人課税が認められておりますのは、人税であるからそれは認められておるというのが私ども考え方でございまして、物税である事業税には、先ほど御答弁申し上げましたように、なじまないものであるというのが私ども考え方でございます。  それから、その同族会社、いわゆる法人成りと個人を比較して不公平かどうかという点でございますけれども、これはいろいろの御意見はあろうかと思いますけれども、現在、法人の事業税と個人の事業税の間には、税率でありますとか課税標準でありますとか、いろいろの差がございます。全体として、今、個人事業税は税率五%、六%で課税しているものが多いわけでございますし、法人の事業税の方は六、九、一二%という税率課税しているものが多いわけでございますが、全体として個人、法人の均衡はとれているというふうに私どもは考えております。  なおかつ、これはちょっと言い過ぎになるかもわかりませんけれども、個人の方でありましても、仮に法人になろうとすれば、その道が閉ざされているわけではないということも一言申し添えさせていただきたいと存じます。
  195. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっと時間が惜しゅうございますから、次に進ませてもらいます。  この事業主報酬の問題は、個人企業と法人企業との税負担の公平を求めることにありまして、店という企業会計と奥の会計とを明確に区分しておる青色申告者を会社並みに取り扱うということで、我が党を初め各党が理解をいたしまして、昭和四十八年から所得税でこれが認められ、翌年には住民税で認められたのでありますが、事業税においてのみ認められず現在に至っております。これが訴訟の原因と承知をしておるのであります。  この事業税に事業主報酬を認めない現行税制のままで、個人企業と法人企業の税負担が公平になっていると自治省は考えていますか、いま一度お答えください。
  196. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 さきにお答えを申し上げましたように、法人事業税と個人事業税は、税率課税標準その他いろいろ差があるわけでございますが、全体として個人対法人負担はそれで均衡がとれておる、なおかつ、法人になりたい人は法人になる道は開かれているということでございます。
  197. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 例えば、今のこの青色申告者の事業主の報酬の控除、これが昭和五十二年に二百二十万になりましてそのまま据え置きですよね。それで、片やほかの方はどんどん、どんどん上がっております。常識的に見て、これは税務署が判定するのですから、べらぼうな、社長さんだからといって何億も報酬を取ってよろしいなんて、そんなことは許されておりません。大体今のところの平均は四百四万円。だから、これはもう恐らく公務員と同じぐらいじゃないでしょうかね。公務員より低いのかな。今、全国のサラリーマンの平均年収というのは約三百六十七万円ですから、サラリーマンの平均よりちょいと高い四百四万円、これが事業主の報酬として、いわゆるみなし法人とかあるいは株式会社の役員とか、そういうものに今認定されておる報酬でございますね。で、なぜこの青色申告の事業主だけが二百二十万でなければならないのか、ちょっとわかりませんがね。
  198. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 現在の事業主控除額は仰せのとおり二百二十万円で、五十二年度からそのまま据え置いております。もちろん、一般論といたしましては、事業主控除額も財政状況でございますとかあるいは事業者の実態に合わせまして見直しをしていくべき性格のもので、未来永劫今のままでいいということを決して申し上げているわけではございません。  ただ、五十二年度に設定いたしましてから今日までの推移を見ますと、現在、所得税におきまして、営業所得あるいはその他の事業所得、これに対して所得税を納めている方々がいらっしゃいます。この方々の人数を分母にいたしまして現在事業税を納めていただいている人々を分子にいたしますと、三割程度でございます。つまり、潜在的な納税者のうち三割だけが事業税を納めていただいている、こういう数字がまず一つございます。  それから、先生が御指摘いただきましたように、事業主の年平均所得は、おっしゃいましたように大体四百万をちょっと超えるかと思いますけれども、そのうち二百二十万お引きするわけでございますから、大体もう半分以上ということに相なるわけでございます。  以上の二つの理由から、もちろん個人事業者の方々が控除額を引き上げろとおっしゃるお気持ちは理解できないでもございませんけれども、以上のような二つの数字から見ましても、ほぼまだ妥当な水準を維持しているというふうに私どもは認識をいたしておりますとともに、何分厳しい地方財政の現状に顧みて、現在のところは御辛抱をいただきたいというのが私どもの気持ちでございます。
  199. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっと納得いきませんので、後でまたそのことについて重ねてお尋ねしたいと思います。  現在、百六十万社と言われる法人の中で資本金五百万円未満の個人類似の零細法人が六五%もありますね。個人から会社に組織変更をいたしますいわゆる法人成りが依然として多いのも、税金対策のためだと言われております。このような法人成りを抑制するということよりも、経理を明確にしている青色申告者を会社並みにすること、みなし法人課税を事業税にも適用することが課税公平の原則に合致をし、中小企業の経営近代化にも役立つと私は思うのであります。この意味で、いまだに事業税に適用していないことは残念であります。  この事業主報酬制度にかえて個人事業税には事業主控除制度を認めていると、こうおっしゃいますけれども、それではその事業主控除の性格ですね、二百二十万円のその性格をお伺いしたいと思います。
  200. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 事業主控除制度は、御案内のとおり、戦後実は免税点の制度として発足いたしました。ただ、免税点の制度でございますと、免税点を少し上回っただけですぐに税負担を生ずるという問題もございまして、これが基礎控除ということに変わりまして、その後名前を変えまして事業主控除額という名前で今日に及んでいるわけでございます。  その性格は何かと申しますと、これは別に法律にそう明確に規定をしているわけではございませんけれども、設けられたときの経緯その他から申しまして、事業主の勤労性の部分に配慮した、概括的に事業主の勤労所得としての部分を控除していくのだという趣旨が一部入っていることは確かであろうかと思います。ただ、全体といたしましては、いずれにいたしましても事業主の税負担を軽減するという、こういう性格を持っているということでございます。
  201. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今の説明を聞いておりますと、概括的に勤労性を考慮しているのだというふうにおっしゃいますが、事業主控除というのは事業主報酬の概算的な控除だと今まで言われてきているのですね。今の御説明でも概括的にと、まあ言葉は違いますけれども、概算的にという意味ですね。この概算的にというのは、記帳しておりませんいわゆる白色申告者、この人たちにはこれは適用すると思いますね。だが、きちょうめんに記帳しております、しかも所得税をちゃんと払っておる、税務署の方に税金を納めておる青色申告者、特にみなし法人ですね、それを選択して、現に事業主報酬を支払い、経理をしておるわけですね。その経理をしておる青色申告者には適用しない、通用しないというのはちょっとおかしいのじゃありませんか。
  202. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 概算的な控除であれば、経理区分をはっきりしていらっしゃる青色申告の場合にはそういうことは通用しないのではないかという御指摘でございます。  もちろん、私ども、青色申告者の方々が記帳義務を守られて納税に協力していただいている点につきましては、これは十分敬意を表したいというふうに考えております。ただ、何度も申し上げるようでございますけれども、物税である事業税の性格から見まして、青と白との差別が出ること、その点は困るということを私どもは申し上げているわけでございまして、それは何も青色申告者を白色に比べて何か不当に差別しようということではございませんで、それはもっぱら、先ほどから申し上げております事業税としての性格、物税としての性格、同じような事業活動をやっていらっしゃる方は青白を問わず同じ程度の御負担をお願いしたいという基本的な考え方から来ているわけでございまして、青色申告者がやっていらっしゃる経理のための努力、これを否定しようという趣旨ではございません。御理解をいただきたいと思います。
  203. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 どうもはっきりしないのでありますが、後でまた聞かせていただきます。事業主控除の性格、それから理論、これは今までお聞かせいただきましたが、納得できないのですね。  そこで、白色申告者と青色申告者が同じ事業をやっておったら同じ扱いをしなくちゃいかぬ、その間に差別があってはいけない。白色申告者に対して大変深い深い御理解がありますね。記帳も何もしていない、何なりと見てくれ、こういう、言うならば、言葉は悪いかもわからぬけれども、一番ラフなことをやっている方ではございませんか。そういう人ときちょうめんに帳面をつけておる青色申告者との間に差が生じてはいけないという思いやりですね。私はこれは間違った思いやりではないかと思っておるのです。  この事業主控除は、事業主報酬ができる直前の昭和四十七年には六十万円でありましたが、事業主報酬ができた四十八年には八十万円、その翌年の四十九年には大幅に上げて百五十万円、今の東京の訴訟が提起された五十年には百八十万になり、さらに五十一年には二百万、五十二年には二百二十万と毎年引き上げられてきまして、それからずっと今日まで二百二十万で据え置きですね。この額は世間の給与水準に比べて、先ほども公務員の皆さんのことあるいはサラリーマンの皆さんのことを言いましたが、かなり低い額ですね。民間給与、公務員給与に、低いけれどもスライドして引き上げられてきたのですけれども、五十二年からは据え置き、こういう現状では、一般のいわゆるサラリーマンの人の給与水準よりもかけ離れたものになっていますね。いやしくも事業主たるものが一般のサラリーマンの人の半分の報酬というのは、理屈が通るのでしょうか。何で六年間そのまま二百二十万で据え置きにされておるのか。その理由は何でしょうか。
  204. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 たびたびお答えを申し上げておりますように、いわゆる営業所得ないし事業所得者の中でどの程度の方々に事業税を納めていただいているかと申しますと、三割程度にすぎません。これは残り七割の方は、つまり事業主控除制度あるいはその他専従者控除制度によりまして事業税がかかっていないということでございます。そういう全体の事業をやっていらっしゃる半分以上の方々、これが事業税の課税対象になっていないという実態から申しまして、あるいは先ほど申しましたように、その四百万、これはもちろん経費を引いた残りのネットの所得でございますから、給与所得者の場合と直接比較することは大変難しいとは思うのでございますが、その四百万のうちの二百二十万をお引き申し上げるということでございますから、そういう実態から申しまして、現在のところ、事業主控除額はほぼそれで妥当な額であろうというのが私ども考え方でございます。  以上でございます。
  205. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 しつこいようでありますが、特に、本年は久しぶりに所得税住民税の各種控除が引き上げられました。この事業主報酬は相変わらず据え置かれておりますね。この理由は一体何でしょうか。特に、中小企業庁が昭和五十九年度税制改正で事業主控除を四百十万円に引き上げる要望をしておりましたが、これを認めなかった理由は一体何でありましょうか。
  206. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 御指摘のとおり、中小企業庁から事業主控除を四百十万円に引き上げるという要望が出ておりましたことは事実でございますが、仮にこれを実施いたしますと、先ほど先生おっしゃいましたように平均の所得が四百万でございますから、個人事業税は壊滅するというまず大問題があるわけでございます。  それはともかくといたしまして、先ほど来お答えを申し上げておりますように、事業主控除額は現在のところ相当程度の水準を維持している。これは先ほども申しましたように、未来永劫にわたってそのままでいいんだという乱暴なことを言っているわけじゃございません。今のところの水準を維持していくことが妥当であると考えていること、また、御承知のように大変厳しい地方財政状況でございまして、なかなか減税の余地というのを見つけるのは困難であるといったようなもろもろの理由から、今年度は事業主控除額をそのまま据え置くということにさせていただいているわけでございます。
  207. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この事業主控除の性格、なかんずく二百二十万円という控除額の理論的根拠というものはどうも薄弱で納得がいきません。聞けば聞くほど、地方財政財源確保のため、わざわざ一般の法人よりも事業主報酬というものを半分に抑えつけておる、それをもし同じように認めたら個人事業税もう壊滅だ、これは地方自治体がえらいこっちゃ、こういう関係からどうもおっしゃっているように思うのであります。  そこで大臣、我が党といたしましては、事業主報酬とともに事業主控除の問題をさもにこれから掘り下げていきたい。これは真剣にやらぬとかわいそうだと思うのです。一般の常識から考えましても、いやしくも事業主ですよ。いやしくも事業主が年収二百二十万というのは常識で考えられるでしょうか。そういう関係を私どももさらに掘り下げて検討してまいりたいと思いますが、自治省も至急にひとつ検討していただきたいと思うのです。大臣のお考えはいかがでありましょうか。
  208. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほど来、岡田さんのお話を聞いておりまして、ごもっともな点も随分ございます。それから自治省の立場として、事業税の性格あるいは個人事業税の税収の問題その他ございまして、審議官から答弁したとおりでございますけれども、大変貴重な御意見でもございますし、これから研究課題として勉強してまいりたい一このように思っておりますので御理解していただきたい。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  209. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。せっかくひとつ勉強していただきますようにお願いをしたいと思います。  それから、この問題で最後にもう一つ確認をしておきたいのですが、今大蔵省でも一番困っているのは、記帳義務を義務づけようといてもなかなか聞いてもらえない、それをやろうとすると悪者扱いをされる、そういうところにいわゆる税の不明朗さがあるわけですね。だから、記帳義務を課して、いささかの恩典、ちょびっとの恩典を上げようというので青色申告制度というものが始まったわけでございましょう。その青色申告をやっている人に、国がやってくれ、やってくれといって奨励をされて、田舎の方に行きますと、町の入り口に「この町は青色申告の町です」という大きな看板を掲げているほどでございますね。そこまで税務署も一生懸命になって奨励をいたしておりますのに、それが不満ならみなし法人という道があいておるからどんどんいらっしゃい、こういうことをおっしゃいましたね。審議官、先ほどから三回ぐらいそういう言葉が出てきたと思いますよ。ということは、青色申告の人でありましても、みなし法人になるのはまことに簡単でありますから、どんどんなりなさい、青色申告なんて、そんなものになったら事業主控除さえも二百二十万ということで抑えつけられるのでありますから、余りいいことはありませんよ、帳面つけるだけしんどいだけですよということに私は受け取ったのでありますが、そのように国民に聞こえてもよろしゅうございますか。
  210. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 そのように聞こえては大変困るわけでございまして、私が申し上げた趣旨は青色申告を否定しようという趣旨ではございません。ただ、事業税の物税としての性格から、基本的には認めがたいということを申し上げたわけでございまして、その他の住民税では、御案内のように、青色申告につきましては、先生おっしゃいますようにみなし法人課税は認めているわけでございます。あるいは幾つかの税目におきまして青色と白色の間には差を設けているというのが実情でございまして、それは所得税に準じて取り扱っている。その意味におきましては、所得税に比べて青色申告につらく当たっているということはないわけでございます。  誤解を招いたとすれば、私の言葉が足りなかったわけでおわびを申さなければなりませんけれども、何度も申し上げていますように、法人と個人は基本的に、もちろん所得の捕捉でありますとかいろいろ問題はございますけれども、制度全体としては均衡がとれているものというふうに考えております。法人を選択しようが個人事業でいこうが均衡はとれているというふうに考えておりますが、ただ、これは申し添えただけでございますけれども法人の方が税金面ではなくて事業その他いろいろやりやすい面があって、法人の道を選択なさる方にはそれは閉ざされていないではないか。もちろん税金の面で不公平があってはならない、また不公平がないようにいろいろ税務調査その他で厳正な税金の執行をしていかなければならないということは真剣に考えておりますので、言葉が足りない点がございましたら何とぞお許しをいただきたいと思います。
  211. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 いま一つ確認をしたいのですが、とにかく現に所得税を納めておる、それは税務署から幾ら納めたかという証明書、これは必ずもらえますね。現に二百二十万どころではない、いわゆる事業主報酬をもらって税金を納めておるのに、なおかつ二百二十万で抑えつけてしまうという、年収二百二十万、これはひどいのではないですか、大学を出てから官庁に入って五、六年のところではないですか、二百二十万といったら。現に税務署に所得税を納めておっても認めない。そういうことをなさるから、いわゆる法人成りというのがどんどんふえてくるわけでありまして、それでまた、だれが奨励しておるとは言いませんが、それはそうだよ、会社にしなければ損するよということで、いわゆる会社にすれば社長さんとして四百何万円ぐらいのものは軽く認めていただける。奥さんも専務になる、子供さんも常務になる、どんどん引くものの方が多くなってしまって、実際には法人税を納めるどころの話ではない、こういうことになっておるわけでありまして、世間で一番問題になっておるのはそこではないかと私は思うのです。  だから、そういういわゆる税負担の不公平というものがなくなるように、ぜひともひとつ自治省としては努力を重ねていただきたい、こういうふうに考えておりますが、最後にもう一遍そのことについての大臣のお答えを願いたいと思います。
  212. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほど申し上げましたように、十分ひとつ検討課題として勉強させていただきます。
  213. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは質問を変えます。  住民税のことについてでありますが、独身者の場合、あるいは御夫婦の場合、子供さん一人の場合、あるいは子供さん二人の場合というふうに課税最低限というのを今度改定をしていただくことになったわけでございますが、課税最低限というのはどういう根拠があるのか、その最低限を決めた根拠を御説明願いたいと思います。
  214. 関根則之

    関根政府委員 課税最低限はその水準をどういう形で設定するかということでございますけれども国民生活の水準がだんだん高まってまいります。現在の設定されております課税最低限の水準が設定されまして以来のそういった生活水準の推移でありますとか、あるいは住民税の場合では特に広く負担を地域の住民が分担するという性格を持っておりますので、住民の中に占める納税義務者の割合がどの程度のものであるかとか、あるいは地方団体の置かれております財政状況等、そういったもろもろの条件を総合的に判断いたしまして、どの程度の課税最低限設定するかということを決めていくものでございまして、一定の算式がありましてそれによって自動的に結論が出てくる、こういったようなものではないわけでございます。
  215. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 住民税所得税との課税最低限というのは差がありますが、これは何で差があるのですか。
  216. 関根則之

    関根政府委員 一口で申し上げますと、住民税所得税の税の性格が違う、そこから出てきているものというふうに私どもは理解をいたしております。  住民税につきましては、今申し上げましたように、一定の地域に住む住民が、その地域に要する、公共的な事務に要する経費をみんなで広く分担し合おう、こういう性格のいわば会費的なものであるというふうに説明をされるような税なのでございます。一方、所得税の方は、これはもちろん国に要する経費を分担してもらうという性格ももちろんありますけれども、しかしそれだけではございませんで、いわゆる所得再配分ということを非常に色濃くその機能の中に持っている、そういう性格の税であるわけでございます。  所得再配分的な機能を持っている税ということになりますと、その課税最低限を著しく低く設定いたしますと、本来再配分をして与えてやらなければならない所得階層からも逆に税金をいただいてしまうというような関係もあるものですから、これは相当程度課税最低限を上に設定いたしませんと本来のそういった性格に反するような結果になるわけでございます。それに引きかえて、やはり互いに分担し合おうという性格の住民税におきましては、所得税の場合よりも相当低く設定をすべき筋合いのものだというふうに考えております。
  217. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっと私はわからぬのですが、地方の場合だったら地域で必要な経費をお互いに応分の負担をしていこうではないかというような関係がある、国においては所得の再配分という問題もある、こういうようなことをおっしゃいますが、結局は、難しいことをおっしゃっているけれども、一番最初にちょろっと言われた、生活水準も上がってきておりますのでこれは変えなければならぬということをおっしゃったが、要するにその人が人間として最低の生活が営まれる、その最低の基準がいわゆる課税最低限ではないのですか。生きていくための費用にまで税金をかけるというのではないのではないですか。
  218. 関根則之

    関根政府委員 私ども住民税を考えます場合に、住民税課税最低限というのはイコール生活できる生活費の最低限、これがイコールで結ばれるようなものである必要はないというふうに考えております。要するに、直結するものではないというふうに考えております。  ただ、もちろん税をお願いし課税をするわけでございますから、その人の担税力というものは当然考えていかなければいけませんし、担税力を考えます場合には、収入がどの程度であるのか、あるいは生活のために支出すべき金額がどの程度になるのか、残りがどの程度あるのかないのか、その辺のところは当然考えていかなければならないものというふうに考えておりまして、基本的には住民税負担分任という本来の性格を踏まえながら、そのときどきの経済情勢ももちろん考える、それから生活水準等も考えていく、また、それによって賄われておる地方団体の行政経費との兼ね合いで財政状況というものも当然考えなければいけない、そういったもろもろの要素を加味して設定をしているということでございます。
  219. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今度の税法改正の中で、なぜ最低税率を二%から二・五%に上げたのでございますか。
  220. 関根則之

    関根政府委員 最低税率を二%から二・五%に上げさせていただいたわけでございます。これは実は先ほどからも御議論をいただいておりますように、地方の自主税源拡充をやっていかなければならないというのは、長い間の地方団体また我々に課された課題であるわけでございます。印税でもそうでございますが、今後も個人所得課税というのは地方税中心的な役割を担っていく重要な税であろうと思います。地方税充実というものを図っていきますためには、個人の所得課税についても、ストレートに増税するという意味ではございませんが、しっかりと守っていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  そういった中で、現在の住民税の最低税率市町村税分で二%と極めて低い水準にある。また最高税率も一四%でございまして、国税の改正後の七〇%と比べましても大変低い水準にある。これを実は市町村所得課税というものをできれば充実をさせるという方向で物を考えますと、税率についてもほどほどに引き上げていくということが長い課題としては必要なのかもしれません。しかし、実際問題として、現在一四%の最高税率を上げるなんという条件下にはないだろうと私どもは考えております。  その際に、負担分任的な性格を持っておる税として考えますと、やはり負担率がなだらかな方がよろしい、非常に高い税率負担をしている人と非常に低い税率住民税負担している人があるということは必ずしもよくない、できるだけなだらかな形がいいということですが、なだらかにする方法といたしましては、最高税率を下げる方法と下を多少上げる方法とあるわけでございます。しかし、現在の時点で最高税率を下げるというわけにはまいりませんので、この際、なだらかにするという方向に向けて多少の修正を最低税率引き上げということで回らせていただいたということでございます。  しかし、税率引き上げというのは、当然のことながらほかの条件を同一にしておきますと増税になってしまいますから、先ほども申し上げましたように、相当規模の減税をやるときに、課税最低限引き上げることによってベースが上がってくるわけでございますから、上がってくれば、そこで多少の最低税率引き上げをやりましても結果として増税にならないような形でやることができますから、今回の減税に際しまして最低税率引き上げをさせていただいた、こういうことでございます。
  221. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そういたしますと、税率の適用区分、あれで最低の課税所得が今まで三十万円以下が二%となっていましたね。それを今度は二十万円以下が二・五%となりましたね。それも以下同文でございますか。
  222. 関根則之

    関根政府委員 税率適用区分の不整合なところが今までございましたので、それを今回手直しをさせていただいたわけでございます。いわゆる通称ブラッケットということでございますが、ブラッケットの刻み方というのは、最初の税率が適用される段階を例えば五十万なら五十万といたしますと、その次の税率は六十万とか、その次の税率は七十万になるとか、だんだん広がっていくのが所得税制を組む場合の原則であるわけです。  ところが、私どもが現行の住民税の刻み方を見ますと、途中で逆転現象が起こっておるわけでございまして、現在、三十万で最初のブラッケットがありまして、その次が十五万になりまして縮むわけです。その次が二十五万、それからもう一回三十万に戻る、最初が広くて、途中が低くなって、また上がっていく、こういうちょっと変な形になっております。これは実は昭和五十五年のときの減税課税最低限引き上げるときに、内部から財源を生み出さなければならないという苦しい場面がございまして、そのときにそういう制度ができたわけでございます。  そしてこれは、先ほども申し上げましたように、個人所得税制を組む場合の原則にやや反するやり方でございますので、今回減税を実施する、相当程度減税を実施するときに、これも下手にいじりますと、何もほかの条件を変えないでいじりますと増税になってしまう心配があるものですから、今回の減税に際しまして、増税にならないような形で本来の姿に戻させていただいた、こういう形での改正でございます。
  223. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がありませんから、それでは次に行かせていただきます。  大臣、ちょっとお尋ねしますが、今度出された住民税減税、これは私どもの要求の七割に相当するのでございますが、これで十分と思っていらっしゃいますか。  それから、これは事務当局の方からお答えいただいてもいいのですが、この住民税の対象となる納税人口、一人当たり減税額は幾らでしょうか。
  224. 田川誠一

    田川国務大臣 今回の住民税減税は、今の地方財政の現状から見て妥当なものであるというふうに思っております。
  225. 関根則之

    関根政府委員 納税義務者の数は約四千二百万人でございます。したがって、対象になる人数ということになりますと、家族を入れますとその何倍かになっていくということでございます。それから、一人当たりべた平均の減税額は八千六百円程度ということでございます。
  226. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この減税の見返りといたしまして、自動車税法人住民税均等割引き上げということを図っていらっしゃるわけでございますが、中でも軽自動車税自動車税が大口でございますね。  三千三百の自治団体があるのですが、その自治団体ごとということになってくると相当なアンバランスが出てくるのじゃないかと思うのであります。そのアンバランスが出た場合にどういう手当てをされるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
  227. 関根則之

    関根政府委員 今回の減税財源といたしましては、二本の柱で、法人住民税均等割自動車税軽自動車税税率調整ということをお願いしておりますが、自動車関係で減税額をカバーをいたしますのは、減税額の大体四三%程度というふうに考えておりますので、その辺は御理解をいただきたいと思います。  増収措置の地域別のアンバランスの問題でございますが、本来ならば、いい税目があれば減税額とぴったり同じような増税項目を探したいところでございますが、必ずしもぴったりと合うものがないということで、私どもとしては財源確保のための税目の決定に当たりましては、それだけではございませんが、そういった普遍性というものも十分考慮して考えたつもりでございます。今度の法人住民税等につきましては、比較的偏在度が少ない、普遍性がわりかし高い、地方税としてはわりかし普遍性の高い税であると思っておりますし、特に自動車関係税田舎へ行くほど保有率が高いという問題もございまして、普遍性は相当高い税でございます。  そういうことから、大体うまく全国的に各地方団体に均てんするような増収措置が得られるのではなかろうかということを期待しておりますが、もちろん三千三百団体すべてぴたっと一致するなんということはとても期待できるものではございません。その際、不足額が出ました団体につきましては、地方交付税等の配分を通じまして地方財政の運営に支障の生じないように措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  228. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方税源確保の問題というのはどなたもおっしゃっておることでありますが、この地方税源確保という問題についてこれから先どんな工夫をしようとしていらっしゃるか、腹づもりがあったらお答えをいただきたいと思います。
  229. 関根則之

    関根政府委員 大きな問題といたしましては、先ほどから御論議をいただいておりますように、法人関係税の国と地方との配分を見ますとやはり国への偏りが非常に大きいわけでございますから、いま少し地方税について法人関係税の配分を手厚くできないだろうかというのが私どもの念願でございます。  それから、次の柱といたしましては、個人所得課税につきましても、先ほどもちょっと申し上げましたように、国税と地方税が今大体七対三くらいで個人所得が配分されております。もう少し何とか個人所得課税につきましても地方の分を充実できないだろうかということが一つの大きな検討課題でございます。  それからもう一つは、やはり間接税系統の話でございまして、よく国税においては間接税の割合が低くて三割を割っておるということを言われますが、地方税の場合には間接税の割合はわずか一四%台でございます。一五%を切っているわけでございまして、国の半分もないというような状況に置かれているわけでございます。もちろんストレートに課税ベースの広い間接税がすぐにできるとは考えておりませんが、いろいろな面から間接税のウエートの増強といったようなものについても我々としては検討を続けていかなければいけないであろうというふうに考えます。  主な税の分野について申し上げますと以上のとおりでございますが、細かい税につきましては、例えば現在の非課税等特別措置のいわゆる不公平税制と言われているものについていま少し整理合理化ができないであろうかとか、あるいは利子配当課税の問題等についても当面手を加えていかなければいけない問題が相当残されていると考えておる次第でございます。
  230. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 最後にお尋ねをいたしますが、国の非課税措置のために地方に随分影響を与えておりますね。この問題につきまして、私はそういう国の非課税措置というものは遮断するべきだ、要らぬことをしてくれるなという強い態度をとっていただきたいと考えておりますが、大臣といたしましてはこの問題いかがお考えでございましょうか。
  231. 田川誠一

    田川国務大臣 国の租税特別措置、いわゆる非課税措置につきましては、できるだけこれを地方に影響のないように、整理すべきものは整理するように努力してもらうように私どもは今後もやってまいるつもりでございます。
  232. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  233. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 この際、午後六時四十五分まで休憩いたします。     午後六時十四分休憩      ――――◇―――――     午後六時四十五分開議
  234. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。経塚幸夫君。
  235. 経塚幸夫

    経塚委員 せんだっての大臣の所信に対します私の質問大臣がお答えになりました際に、減税をやる以上は当然財源措置を講じなければならない、しかし、できるだけ大衆への負担は避けるようにした、かように答弁をされたわけであります。しかし、いろいろと精査をしてみますと、先ほど来論議されておりますように、住民税におきましても、最低税率引き上げは実に二十二年ぶりであります。さらに自動車税引き上げ率も、前回平均一〇%が今回一五%、特にミニバイクなどに至りましては四割の引き上げ。それから、国民健康保険税の限度額引き上げも、過去十年を振り返ってみますと一ないし二、三万円程度であったものが、今回は一挙に七万円の引き上げということであります。さらに、納税環境の整備を口実にしました納税申告制度に対します問題もございます。恐らく、あれやこれやを検討いたしますと、今国会ほど、地方行政委員会におきましてこれだけ数々の、いわば住民にとって大変な負担になる法案が出てきたのも、そんなに再々あることじゃないのではないかと私は考えております。  したがいまして、以下幾つかの点についてお尋ねをしていきたいと思いますが、まず最初に、国民健康保険税の限度額引き上げの問題であります。  先ほど申し上げましたように、従来一ないし二万円程度の引き上げであったものが、何と二十八万円から三十五万円に引き上げられる。そこでお尋ねをいたしますが、果たしてこんな大幅な引き上げ市町村で可能なのかどうなのか、その点はどういうふうに判断をされておりますか。
  236. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 御指摘のように、国民健康保険税の課税限度額を七万円引き上げることを予定しているわけでございまして、御質問趣旨は、それが可能なのかどうかということでございますが、御案内のように、あくまで法律の建前は課税限度額で、これ以上は取れないという天井でございまして、天井以下の場合ももちろんあり得るわけでございます。  確かに従来から毎年一万円とか二万円とか引き上げてまいりまして今日に至っておりますけれども、その従来の趨勢から比較いたしますと、七万円というのは大幅であることは確かでございます。ただ、国保税のみでこの七万円を考えたわけではございませんで、御案内のように、もちろん国保料というものもございます。それも同じような引き上げを予定いたしておるわけでございますし、これらの引き上げの基礎になりましたものは、やはりほかの医療保険とのバランスを考えなければならないということで、政管健保とのバランスからいたしまして、限度額で頭打ちになっている人々の割合、これが政管健保なんかは非常に少なくなる予定でございまして、それとのバランスで今回七万円引き上げるということにいたしたわけでございます。  各保険者と申しますか、市町村におきましては、それぞれ被保険者の実態、あるいはこの保険税で調達すべき医療費の部分、その総額というようなものを押さえながらこれを設定してまいりますので、七万円引き上げて三十五万ということで必ず各市町村が条例措置するものではございません。それぞれ実態に応じて可能な範囲で引き上げを行うであろうというふうに考えております。
  237. 経塚幸夫

    経塚委員 もちろん、それぞれの市町村の実態に応じて引き上げることは言うまでもないことです。しかし、これだけ大幅な引き上げをやる以上は、一体市町村の実情はどうなっているのか、国の法律で制定する以上はそのことが市町村で実際に実現可能なのかどうなのか、この見通しも立てずに、とにかく引き上げるだけ限度いっぱい引き上げておけばいいというような考え方がもし仮にあるとすれば、これは実に無責任な話だと私は思うのです。  例えば、現行の二十八万円でさえ、私が調べましたところ大阪府下では四十四市町村中わずかに九市町村であります。あとはここまでよう引き上げ切っておらぬのですよ。東京都の場合は六十四区市町村のうち二十八万いっぱいまでやっているのはわずか十四でしょう。二十六万以下が五十あるんですね。これは徴収率と比較してみれば非常に明白なんです。全国平均の徴収率が確か九五%、あるいはそれを上回っておるかもわかりませんが、大阪市だとか京都市、福岡市などはいずれも九〇%ないし九二%、こういう悪い徴収率なんですね。このことと、最高限度額を決めましてもいっぱいいっぱい徴収できない、条例が制定できない、こういう困難を特に大都市は抱えておるわけですから、そういう状況もよく判断をされて決められたのかどうなのか、私はこれは大変疑問に思っておるわけです。  特に無責任な発言をされておりますのは、きょうは厚生省の方に来ていただいておりませんけれども、二月九日に厚生省が全国の国保の主管部課長会議を開いているのです。この席上で阿部国保課長がこう言っているのです。三十五万円に引き上げたことについて、「率直にいって、全市町村が一斉に三五万円まで一挙にあげることは、まず不可能であると思うし、まためくらめっぽう個々の市町村の運営をぬきにして上げなければならないとは思わない」、肝心の厚生省の担当課長が、事もあろうに全国の関係者を集めた席上で、まず不可能であると思うというようなことを口にのせながら、しかも三十五万円の限度額へ一挙に七万円も引き上げるというのは無責任だと思いますよ。そうは思いませんか。
  238. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 既に御案内のことかと存じますけれども、先ほど申しました政管健保における標準報酬月額の最高額が現在四十七万円ということになっているわけでございますが、厚生省におきましてはこれを七十一万円に引き上げる予定でおるわけでございます。そういたしますと、保険料の最高限度額が現在の二十四万五千円程度から三十七万円程度にまで引き上げられる、こういうことが一方において予定をされておるわけでございます。こういうふうにいたしますと頭打ちの人々の割合が一%程度になってしまうようでございますが、これとのバランスにおきまして、国民健康保険税におきましても三十六万九千円に近い三十五万円程度を最高限度額として今回改正をお願いしているわけでございます。横並びのバランスからいえば、ほぼ妥当な線ではないかというふうに考えております。  先ほど来御指摘いただいておりますように、可能かどうかという点でございます。数字がちょっと古うございますが、五十六年度当時、課税限度額は二十六万円でございました。その二十六万円を実際に採用していた市町村は、納税義務者の割合で大体七四%程度がこれを採用していたわけでございます。このころは、先ほど来御指摘のように年間一万円ないし二万円の引き上げの時期でございますので、この当時の構成比が今回もそのまま妥当するとは思いませんけれども、やはりある程度の市町村におきましては三十五万を採用するでありましょうし、先ほどから問題になっているわけでありますが、いわゆるその地域の実情と申しますか、例えば被保険者の所得階層分布のようなものを見ますと、それなりに可能であるかどうかということは、その判断がそれぞれの市町村において可能であろうかと思いますし、それからさらにもう一点ぜひ御理解をいただきたい点は、もう先刻御承知のことだとは思いますが、国保税と申しますのはほかの説とちょっと違いまして、それで調達しなければいかぬという総額は決まっておりまして、それを所得割でございますとか資産割でございますとか、そういうもので案分してそれぞれの人々の納める税金の額が決まってくる。つまり所得の高い人から高い税負担をいただければ、それが相対的に低い所得の人の税負担を減らす、総枠が一定でございますから、まるでシーソーのように片一方でいただければ片一方は減るということでございますので、その辺は、所得階層というのは市町村によりましてまちまちでございましょうから、そういう階層の実態などを考慮しながらやっていただくことが適当である。  したがいまして、結論的に申し上げますと、可能かどうかということについて正面からお答えしたことにはなりませんが、やはりそれぞれの実態に応じて対応をしていただくことが適当ではないのかということになろうかと思うわけでございます。
  239. 経塚幸夫

    経塚委員 私がお尋ねしたことだけを簡明に答えていただきたい。今の答弁の最後にあなたがおっしゃいましたように、可能かどうなのかということについてはお答えになっておらない。これは私は、先ほども申し上げましたが、何でもどこかでつじつまを合わせるためにこの際引き上げられるだけ引き上げておけばいいというような考え方だと、これは極めて無責任だと思うのですよ。その提案者の側の責任問題を私は改めて問うているわけなんです。  そこで、これも簡単にお答えいただきたいのですが、法案の中身は、三十五万円を超えてはならない、こうなっておるわけですから、これは幾らにしようというのは市町村の条例を制定して決めればよろしい、こう解釈してよろしいね、その点はどうですか。
  240. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 法律上は、おっしゃるとおりでございます。
  241. 経塚幸夫

    経塚委員 それからもう一点お尋ねをしておきたいと思うのですが、軽減費の交付金の問題であります。  これも当局の考え方によりますと、同じ日の全国国保主管部課長会議におきまして、出原課長補佐がこう言っているのです。「軽減交付金はすべて国庫補助で賄う仕組みになっているが、最近の情勢では軽減費交付金の額がどんどん増加して本来の財政調整交付金の機能が低下してきているので、五九年度からはすべてでなく、十分の八程度交付したいと考えている。」こう言っておるのです。これは、私は限度額引き上げることに伴う引き上げと同時に、一般の国保料金の引き上げにも通ずると思うのですね。  東大阪市の私の地元の例をちょっと調べてみたのですが、法定減額分が五十九年度の見込みで計算をいたしますと二億七千万円、本来全額来るのですね。これが八掛けといたしますと二億一千六百万円になるのです。約五千四百万円の穴があくのですね。当然これは料金に上乗せをしなければならぬ、税に上乗せをしなければならぬという問題が出てきているのですが、これ以上値上げに拍車をかけるようなことはさせるべきでないと思うのです。  それですから、私、この点大臣にちょっとお尋ねをしたいのですけれども限度額をかなり引き上げるわけですから、この際、従来十割給付されておりました国庫補助の公費軽減分、これは従来どおり十分の十当然市町村に対して交付すべきだと思うのですが、その旨ひとつ厚生省に対して要望されるお考えはございませんか。どうでしょうか。
  242. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 御指摘でございますけれども、御案内のように今回減額基準を引き上げることでお願いをしたいと思っておるわけでございますが、これは厚生省とも相談いたしましてその軽減の基準を引き上げるということにいたしておるわけでございます。その折衝の過程におきましては、調整交付金で措置されるべきものと――十分の八ということは実は私どもは耳にしていないところでございます。技術的な面だけお答えいたしました。
  243. 経塚幸夫

    経塚委員 今耳にしておらないということだったのですが、実際は、先ほど申し上げました全国の会議の席上でそういう発言をしたことが「国保実務」に記録されておるわけですね。したがいまして、今の段階であればまだ調整の余地はあると私は思いますので、ぜひひとつその点大臣の方から厚生省へしかるべく御要望をお願いしたい。いかがでしょうか。
  244. 田川誠一

    田川国務大臣 私も初めて今お伺いしたことでございまして、厚生省からよく聞いて善処をしてみたいと思います。
  245. 経塚幸夫

    経塚委員 次に、納税環境の整備の問題についてお尋ねをいたします。  これはもう申し上げるまでもなく、個人事業所得者等に係る帳簿それから書類の保存を義務化しようとするものでありますが、これで実施されるということになりますと、年所得百二、三十万台の小零細所得者も帳簿あるいは書類を保存しなければならない、こういうことになるわけでありますから、この事務自体が大変だろうと思います。  そこで、お尋ねをしたい第一点は、納税者に対してそれだけの義務を課する以上は、保管された帳簿だとか書類を調査し、そしてそれに基づいて課税をする、こういうことが当然課税庁の側にも義務づけられなければならないと思うのですが、その点は義務づけられておるのですか、おらないのですか。簡単にお答えいただきたい。
  246. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 例えば今回お出しいたしております改正案で申し上げますと、「業務に関して作成し、又は受領した帳簿及び書類を保存するものとする。」という条文が幾つかの税目に入っております。ただし、それに対して税務職員の側の調査義務はございません。趣旨だけお答えいたします。
  247. 経塚幸夫

    経塚委員 調査の義務はない、保管しておきなさい、全く片手落ちな義務化だと思います。  それじゃ、今は申告納税制度でありますから、業者自身が自分で適当だと思う額を決定して申告をする。それでそれに不服があれば更正決定が打たれるわけでありますが、更正決定を打たれる際に、保管しておる帳簿だとか書類だとか、そういうものに基づいて更正決定の理由が明らかにされるのですか、されないのですか。
  248. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 ただいまは結論のみお答えしたわけでございますが、実際問題といたしましては、納税者の方々から、その業務に関しておつくりになった書類、帳簿、これで調べてくれというお申し出がありました場合には、普通の場合にはそれを調査することが普通でありましょう。  ただ、これはもちろん義務を課してはいるわけでございますが、当然その方の業務、お仕事上、取引上おつくりになった帳簿あるいは伝票のたぐいをしばらく保存しておいてほしいという趣旨でございますので、税金のための資料をわざわざおつくりいただく義務を課しているものではございません。  実はそれとは別に、前年所得三百万円以上の人につきましては簡易な記帳義務を課すこととしている、国税の方の改正でございますが、これは御案内のとおりでございまして、それに対応する国の税務職員の調査義務、これはあるわけでございます。それとは別に、あらゆる方々に対しまして、その業務あるいは取引、それに関連しておつくりになった伝票類、それを保存してほしいというふうに申しているわけでございまして、通常の場合はそういうものを調査させていただいて更正決定の資料にすることが普通でありましょうけれども、ただ、その中には必ずしも税金と関係ないようなものもございましょうし、あるいは余り大量のものであれば……(経塚委員「更正決定の理由にそれを使うのかどうか、それだけ答えてください」と呼ぶ)使う場合もあると思います。
  249. 経塚幸夫

    経塚委員 使う場合もあるというのは、極めてあいまいだと思うのですよ。帳簿、書類を保存しなさい、これを今度は法律で義務化するのです。今まではそうじゃないのです、納税者が自分の税額を決定するに対して、納税者が自主的に必要な書類だとか帳簿を保存をする、自分の自覚的意思に基づいて。ところが、今度は法律で義務化するのでしょう。義務化された以上はそれを保存しなければならぬわけでしょう。それだけの義務を納税者に課するなら、しかも私が申し上げましたように年所得百二十万ぐらいからこれをやらなければならぬわけですから、月額十万そこそこの極めて零細な業者、駄菓子屋さん、こういうようなところも対象になってくるのですね。それだけの書類や帳簿の保存を法律で義務づけるなら、税額の決定に当たっては、あるいは更正決定の決定に当たりましては、当然保存された帳簿だとか書類をよく調査し、そしてそれに基づいて課税をする、これが課税側に義務化されなければ片手落ちじゃないですか。これは、日本の場合は申告納税制度ではありますが、西ドイツの場合は賦課制度であります。しかし、西ドイツの法律でさえ、記帳しあるいは保管されたすべての帳簿、書類を調査し、これに基づいて課税するということが課税庁側に義務づけられておるのですよ。これでこそ納税者課税する側の対等、平等の法律のもとにおける公正な扱いでしょう。  ところが、今度は納税者だけに義務づけて税金をかける側は何の義務も負わない、こういうことになりますとどんなことが起こるかといいますと、私が仮に課税庁側の役人とします。あなたが納税者だとします。お宅へ参ります。そして、法律では帳簿と書類の保管を義務づけられておりますから、あなた帳簿、書類を保管しておりますかと聞きます。いや保管しておりませんということになれば、法律で決めたことをあなたは義務として果たしておらない、こういうことで、どれだけの税額を課税庁側が一方的に推計して課税しようとも、法律を守らなかった納税者の側に落ち度がある、こうなってくるのですよ。ここが、今までとこの法律が制定された以降との違いになってくるわけです。  そこで、納税者は、そんな法律知りませんでした、あるいは知っておって書類を保管し帳簿を保管しておりましても、それを私が行ってぺらぺらっとめくってみて、不審だと思う点だけを引き上げてきて、それを根拠に更正決定を打つということだってやれるわけですよ、いいとこ取りをしてもしそうでないと言うなら、課税庁の側にも対等の義務が課せられるべきです。そして、保管された帳簿や書類を全面的に調査をする、そしてその所得の実態を総合的に判断する義務を、税金を取る側も当然法律で拘束されるべきだと思うのですよ。片方だけ法律で義務化するということになりますと、推計課税が意のままになる危険性があります。そうならないという保証がありますか。どうですか。
  250. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 先ほど申し上げましたように、簡易な帳簿をつけていただくという義務を課す反面におきまして、それを見る義務を税務職員に課すということは、所得税において行われようとしているわけでございますけれども、簡易な帳簿を義務化する、その義務に比べまして、もちろん書類保存の義務でございますから義務に変わりはございませんけれども、それは、税金を納めるためにわざわざつくっていただくものではなくて、業務に関して作成された書類を保存していただくことが、申告納税制度から申しましても、申告書一枚前に置いて頭の中で考えて書くというわけにもまいりませんし、やはり基礎資料というものは必要でございましょうから、それをしばらくの間保管いただきたいということでございますから、義務の程度といたしましては、簡易な帳簿をつけるということよりは幾らか弱い義務であるというふうに考えております。  もちろん税務職員たるもの、そういう資料を見せていただく場合には、それは見せていただくことが事実上多かろうと思いますが、それは簡易な帳簿とは性格がいささか異なるという点もございますので、そこまで義務化するのはいかがなものかということでございまして、そのために適正な課税が担保されないこととなるのではないかということでございますけれども、これは、執行上の問題といたしましては、そのような行き過ぎがないようにやはり適正な執行を心がけていかなければならないし、それなりの指導もしていかなければならないというふうに考えております。
  251. 経塚幸夫

    経塚委員 それなら何も法改正して義務化する必要はないわけですよ。従来、納税者の側が自分の所得を判断するために、一定の帳簿だとか書類は、人から強制されなくても、みずからの利害にかかわる問題でありますから保存をして、そしてやってきておるわけです。あえて法制化して義務化するというところが問題なんです。何か意図がなければそんなことやらぬじゃないかと普通考えるのは当たり前でしょう。  さらに、次の問題に入りたいと思いますが、これは税務訴訟の段階に至りますと、なぜこんな法改正をやるのか、いよいよ明らかになってくると思います。  課税処分取り消し訴訟における証拠申し出の順序に関する整備の問題でありますが、地方団体の長などが「その処分の基礎となった事実を主張した日以後遅滞なくその異なる事実を具体的に主張し、併せてその事実を証明すべき証拠の申出をしなければならない。」それ以後に提出された証拠は証拠としてみなされない、こういう拘束が今度の法改正趣旨でありますが、この「遅滞なく」というのは、具体的に訴訟のどの段階なんですか。公判が開かれる第一回目ですか、それとも第二回目ですか、具体的に提示していただきたい。
  252. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 大変難しい御質問でございます。「遅滞なく」と申しますのは、私ども常識的には、法令用語といたしましては、当事者の事情の許す限りできるだけ早くという意味であるというふうに理解いたしておりまして、これは、正当な理由があったりあるいは合理的な理由があれば遅延が許されるというような意味合いであるというふうに理解いたしております。  ただ、それを訴訟のどの段階かという御質問に相なりますと、これはやはりその訴訟の審理状況その他によってまちまちでございますし、一概に決められないことであろうと思います。ただ、順番といたしましては、課税庁側がまずこういう事実に基づいて更正なり決定なり賦課処分をしたということを申し立てるのが普通でございますから、少なくともその後に来るのは確かでございますが、その段階がいずれであるかというのは、その訴訟の審理状況によってまちまちであろうということでございます。
  253. 経塚幸夫

    経塚委員 それは私は随分無責任な答弁だと思いますよ。実際の法の運用に当たってはそのときどきの状況によって決められるということであれば、これは随分幅があるということになるのですよ。その状況を一体だれが判断するのかという問題も出てきますよ。  法案の内容は極めて具体的なんです。団体の長がその事実を示した日以後遅滞なくなんですから、第一回公判でその事実を示されたら、その日以後遅滞なくということは、第二回の公判までに出さなければならぬ、こうなるんじゃないですか。あなたここではっきり明確にお答えをしておきませんと、この法案が通った場合の実際の運用に当たって、いやそれは実はそのときどきの状況の判断による、こういうことになってきたら幾らでも拡大解釈できますよ。どうなんです、その点は。ひとつ具体的にお答えいただきたい。
  254. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 具体的にお示しできない一つの理由は、「遅滞なく」というのは、最終的には裁判官が判断すべき事柄であるからでございます。
  255. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、それは裁判官が判断をする、こうなっているのですか。そうしますと法案の趣旨と違ってくるじゃないですか。  今現在の訴訟の進行状況につきましては、証拠提出、それ以降は証拠として認めませんよというのが民事訴訟法によって裁判官の判断にゆだねられておる。今の訴訟の進行状況はそうでしょう。団体の長が更正決定を打つ、そうすると納税者が訴訟を起こす、公判が開かれる、そして決定を打ったその事実を示す。そうすると、例えば売り上げで重大な問題があるということであれば、納税者はそれに反論をする。そうすると次回の公判では、課税した側が、売り上げはそうだけれども仕入れに問題があると言えば、次の公判では納税者は仕入れの問題について証拠を出し反論をする、こうして双方が対等の立場で今訴訟が進んでいるわけです。  そうして、民事訴訟法では、一定の時機を経過した後に出てくる証拠は証拠としてみなさない、それは今裁判官の判断にゆだねられておる。だから、民事訴訟法の発動については、それは現行法規のもとでは裁判官の判断次第なんです。しかし、それを地方税法で拘束をするというのが今度の法の趣旨なんですよ。ちょっと十分御研究なさってないのじゃないですか。なさってないと受け取れますよ。裁判官の判断次第だということであれば、改めて法の改正をする必要はないのですよ。今までどおりでいいんですよ。今までは裁判官の判断だ、こうなっているのですから。
  256. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 訴訟手続の一つに組み込まれて、遅滞なく出したかどうかによりまして、あと御案内のように時機におくれた攻撃防御であるかどうかということが決まってくるわけでございます。だから、その場合には、そういう攻撃防御を却下できるとかいう規定がございますけれども、最終的にはそういう時機におくれたものであるための要件を満たしたと認めるかどうかは裁判官がやるということを申し上げているわけでございます。
  257. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、遅滞なく証拠が出たか出ないかについては民事訴訟法に基づいて裁判官が判断をするものだ、こう解釈してよろしいね。
  258. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 私どもはそのように解釈をいたしております。
  259. 経塚幸夫

    経塚委員 そこで、証拠提出の機会は一回なんですか、何回でもあるのですか。法の解釈はどう解釈したらよろしいのですか。
  260. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 事案によりまして複数回のことがあろうかと思います。
  261. 経塚幸夫

    経塚委員 その判断はだれがされるのですか。
  262. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 これも裁判官でございます。
  263. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、現在の民事訴訟法に基づく訴訟の進行とは何ら変わりがない、こう解釈してよろしいですね。
  264. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 改正をお願いしている以上、現在と異なる状態を予定しているわけでございます。つまり、その時機におくれた攻撃防御とみなされるかどうかという点の適用をめぐりまして、現行法と改正案ではおのずから差があると考えております。
  265. 経塚幸夫

    経塚委員 今になって政府側の方では解釈の本音を出してきたわけでありますが、裁判官の判断にゆだねられるということであれば法を改正する必要がないわけであります、現在がそういう法の運営なんですから。改めてこの法律をつくってきた根拠というのは、裁判官の判断自体を地方税法によって拘束する。それは、団体の長が更正決定を打った、その事実を明らかにした日以後遅滞なく証拠を出さないと、しかも証拠提出は一回限り、それ以降は証拠としての効力がない、これがこの法の精神じゃないですか。そうでないと言うなら、今訴訟が現実に進められておる民事訴訟法に基づく裁判官の判断だけにゆだねればいいのですよ。  そこで、私は続いてお尋ねをしたいわけでありますが、更正決定なら更正決定を打った、あるいは裁判にかかる場合に、どちらの側に立証の責任があるのかということについて最高裁判所の判例が出ておるのは御存じですか。
  266. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 その御指摘の判例自体には目を通してないかと思いますが、現在の取り扱いでは、立証責任はまず課税庁の側にあるのが通常であると理解をいたしております。
  267. 経塚幸夫

    経塚委員 これはまずじゃないのですよ。初めからしまいまでそうなんですよ。一九六三年三月、最高裁判決、「所得の存否及びその金額について決定庁が立証責任を負うことは言うまでもない。」したがって、裁判にかかった場合に、納税者の側から証拠を提出するよりも、決定を打った側がなぜそういう決定をしたのかということについてみずから立証する全責任を負わされているのです。これは最高裁の判決なんです。  ところが今回の法の改正によりますと、まず決定を打った事実を明らかにする。そうすると納税者の側では証拠を提出しなければならない。それも一回きり。そしてこの時機を失すれば証拠としてみなされない、こういうことが今回の法案の改正によって拘束づけられますけれども、決定を打った側については拘束されるような文言が何一つないわけであります。  それですから弁護士会から意見が出てきたわけでしょう。弁護士会の一致した見解として、「これは現行法と異なり、処分取消訴訟において課税庁側の主張を合理的であるかどうかを問う前に、納税者側から、まず反対事実の主張および証拠の申出をなさしめるものとし、これに遅れた場合には、時機に遅れたものとみなして民事訴訟法一三九条により裁判所は却下すべきものとしている。」「この規定の意図するところは、租税訴訟における主張と立証責任の実質を、原告の側に転換するところにあり、しかもその内容は、原告の訴訟活動のみを封じ、被告の事実主張の遅延について同様の規定を欠くことは、争訟法の基本たるべき当事者対等主義を著しく損なうものといわねばならない。」原告、被告対等の立場を明らかに逸脱しておる。納税者の側には義務は課するけれども課税庁の側には訴訟段階でも特別の拘束義務がない。これは、私、先ほど帳簿と書類の保存問題について触れましたが、訴訟の問題でもこういうことが入ってきているんですね。  お尋ねいたしますが、法案提出に先立って弁護士会の意見はお聞きになりましたか。
  268. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 税制調査会の中に申告納税特別部会というのがございまして、そこでいろいろ御審議をいただいたわけでございます。法曹関係者の方々の御参加もいただいております。ただ、弁護士を専業にしていらっしゃる委員の方はいらっしやいませんでした。
  269. 経塚幸夫

    経塚委員 大臣にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、私は、帳簿だとか書類を保存することについて否定するものではございません。これは、今日でも当然納税者がいわゆる申告納税制度という基本に立っておりますから、申し上げるまでもなく、みずからの税額はみずからの判断で決定をして申告する、これは戦後の新しい納税制度であります。したがって、そういう立場から納税者がみずから判断をして帳簿だとか書類を保管される、そして必要とあらば提出して、それに基づく課税当局との折衝が始められる。そして訴訟段階に至れば、最高裁の判例もありますように、まず課税した側が最初から最後まで立証責任を負うというのが最高裁の判例でもあるわけです。  ところが今回の法案の改正の内容は、帳簿、書類の保存から訴訟段階に至るまで、この納税申告制度、納税者の権利、立場というものが一方的に法律によって踏みにじられるような結果になりかねない。こういうことがまかり通っていきますと、いつも法案成立の段階では、先ほども答弁がございましたように、これが拡大解釈されて悪用されないようにとか、納税者の権利を著しく侵害しないようにとか、いろいろ言われますけれども法律ができましてひとり歩きいたしますと、これが事説明とは異なる結果になることは往々にしてあるわけであります。  したがいまして、私が大臣にお尋ねしたいのは、こういう法案、しかも弁護士会の意見も法案の提出に当たって十分聞いておらない。だから弁護士会がまとまってこうして意見を出されてきたわけですね。どうしても提出しなければならぬということであれば、一たん撤回をされて、各関係者の意見を十分聞いた上で、重要な問題でありますから、再度提出をすべきだ、私はかように考えますが、その点、いかがですか。
  270. 田川誠一

    田川国務大臣 おっしゃることは一部分わかりますけれども、この問題につきましては税制調査会その他の方々の御意見も十分聞いてこのようにしたわけでございまして、どうぞひとつ御理解をしていただくようにお願いをいたします。
  271. 経塚幸夫

    経塚委員 十分聞いておれば、弁護士会が挙げてこういう意見書を出してくるというようなことはなかったと思います。やはりこの点は不手際があったと思いますよ。だから、御了解をということですが、これは了解するわけにはまいりません。  次に、自動車税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  最初に申し上げましたように、これも上げ幅が大変大きいわけであります。なぜ自動車税課税するのかという税の性格問題について、自治省税務局編の「地方税制の現状とその運営の実態」という書物によりますと、「自動車税は、自動車に対し、その所有の事実に担税力を見出してその所有者に課するものであるが、道路との間に極めて直接的な受益関係をもっている特殊な財産税としての性格を持つものであり、固定資産税的な性格のほか道路損傷負担金的な性格を持つものである。」資産税的な性格、それから道路損傷負担金的な性格、この二つの性格を持っておる、こう書かれておりますが、このとおりと解釈してよろしいですか。
  272. 関根則之

    関根政府委員 私どもは、自動車税につきましては、今お話のございました道路損傷負担金的な性格と資産課税的な性格、両面をあわせ持っている税であるというふうに理解をしております。
  273. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、お尋ねをいたしますが、例えばミニバイクを七百円から千円に引き上げるということでありますが、この資産税的な割合と道路損傷負担金的な割合は、何対何の割合でお決めになったわけですか。
  274. 関根則之

    関根政府委員 性格としてそういう二面性を持っておるということを申し上げているわけでございまして、定量的に、資産税部分が何割あるいは道路損傷負担金部分が何割というふうに明確に区分をして考えているものではございません。
  275. 経塚幸夫

    経塚委員 それはちょっと理解できませんね。課税というのはそういう大ざっぱなことでいいのですか。二つの性格を持っているということであるとするならば、千円なら千円の額を決定するにしましても、あるいは二万数千円なら二万数千円の額を決定するにしましても、道路損傷負担金的なものは幾ら、資産税的なものは幾らと、その数字、根拠を明確にした上で課税するのが本来課税のあるべき姿じゃないですか。両方の性格を持っているから合わせて大体これくらいというようなどんぶり勘定的なものでは理解できませんよ。これは仮に訴訟になったらどうしますか。両方の性格を持っているということになれば割合の問題は当然出てきますよ。そうしたら明確にその根拠を示さなければならぬのです。その点、どうなんですか。
  276. 関根則之

    関根政府委員 税を課税いたしますときに、課税客体でありますとか課税標準額でありますとか税率、これが明確に定められていなければいけないということは当然の事柄でございます。しかし、今申し上げました二つの性格を持っておるということは、自動車税そのもの基本的な性格としてどういった観点に着目して構成されている税なのかということを説明として申し上げているわけでございます。  税としては、あくまでも両方の性格を持った一つの税として構成されているわけでございます。二つの税があって、それが合併してできているという性格のものではございません。あくまでも一つの税でございますので、全体として税率設定していく、こういう形に相なるわけでございます。
  277. 経塚幸夫

    経塚委員 一つの税だからということは、それはおっしゃるとおりです。しかし、一つの税の中に、一方では所有の実態に着目をして資産税的な意味を持っておる、片っ方では道路損傷負担金的な性格を持っておる。そうすると、片っ方が幾らで片っ方が幾らだ、五対五なのか七対三なのか、これは疑問として出てくるのは当たり前でしょう。いや両方ひっくるめてこうだと言うのなら、両方ひっくるめたそれぞれは一体幾らなんだ、こうなりますよ。  これは恐らくお答えできないだろうと思います。これは五対五だとか七対三だとかいうことになってきますと、私はまた聞きますからね、それではその三割というのは妥当なのかどうなのかと。千円のうち七百円が資産税的なもので三百円が道路損傷負担金的なものだ、こうなりますと、それでは普通自動車と原動機付自転車と道路の損傷の度合いは一体どうなるのかと私は聞かざるを得ませんよ。だから、うかつに答弁をしますとそういうところまで論議が発展するでしょうから、それはお答えにならぬのだろうと思います。  そこでお尋ねしますが、固定資産税には免税点がございますね。土地が十五万、家屋が八万、償却資産百万以下は免税ですね。そうすると、自動車というのは明らかに償却資産なんですね。固定資産税では、償却資産は百万円以下免税なんです。しかも、免税点を設けた理由として、同じく自治省はこう説明されています。「積極的には零細な税負担を排除する趣旨を有する。消極的には零細な課税客体をすべて追究して課税していくことにより、税収入に比して徴税事務が煩雑化し、徴税費が割高となることを避ける」、この二つの理由でもって固定資産税の免税点制度をつくった、こう言われておるわけであります。  この論から見ますと、特にミニバイクなどというものはわずか七万、八万前後でしょう。自動車を例にとりましても、自動車の耐用年数は省令によって三年でしょう。百万以下の自動車というのは、償却資産の価値からいったら、もうごろごろしておるということになりますよ。  同じ償却資産でありながら、税目が違えば百万円以下は免税、一方は五万、六万のミニバイクも資産税的な性格として課税される、これで整合性があると言えますか。百万以下の償却資産が固定資産税では免税になっておるのなら、当然資産価値としても百万以下の償却資産的なものは税を取るべきでない。どうですか、その点は。
  278. 関根則之

    関根政府委員 償却資産の免税点は御指摘のように百万円にセットしておりますが、償却資産税というのは、事業用に供する場合の償却資産につきまして、まさに償却をしていく資産につきまして課税をしている。個人用の通常の家庭生活に要する資産等について、償却資産がありましてもそれに対して課税をするというものではないわけでございます。  したがって、自動車を償却資産と考えて、全く同じ償却資産ではないかという論理構成で税が成り立っているものではないわけでございます。したがって、償却資産税の免税点の百万というのがストレートに適用されるものである必要はないというふうに私どもは考えております。
  279. 経塚幸夫

    経塚委員 それはお答えになっていて矛盾を感じませんか。自動車税には資産税的な性格と道路損傷負担金的な性格とある、こうお答えになったのですね。そうしますと、資産税的な性格という面は、一方では百万円以下は免税になっているわけですよ。一方で免税になっているのに、なぜこれに税金をかけるのかという疑問が当然浮かんでまいりますよ。同じ自動車の中でも、償却資産の価値として百万円以上のものであれば、これはまた別ですよ。百万円以上の資産価値のあるものに対して、資産税的な性格として課税をし、そうして一方では道路損傷負担金的な性格として課税をする、これなら理解できますよ。  それだったら両方の性格があると言わなきゃいいのですよ。ミニバイクだとか軽自動車だとか、あるいは百万円以下の資産価値しかない自動車につきましては、道路損傷負担金的な性格だけになるのですよ。どうも今の御答弁では納得いきませんが、どうなんですか、その点は。
  280. 関根則之

    関根政府委員 自動車税の説明をいたしますときに、税が大体どういう考え方のもとに、もともとどんな基本的な性格を持って成り立っているんだということについての説明を申し上げますときに、私どもは、資産税的な性格と道路損傷負担金的な性格をもともと持って考えられている税ですよという説明をいたしているわけでございまして、これは償却資産税として構成をしているものでございますよという説明をしているわけではないわけでございます。  繰り返しになりますが、あくまでも固定資産税の中の償却資産に課税される部分につきましては、これは事業用の資産にだけ課税をされるものでございます。自動車税の方はそれとは全く別な税でございまして、直接的には自動車なり軽自動車なりを保有する、その事実に着目して課税される税であるわけでございます。しかし、そもそもどうしてそれでは自動車の所有者にそういう課税をするのか、よってもって立つ基本的な物の考え方はどうなんだという説明として先ほど申し上げましたような説明をしているにすぎないわけでございます。したがって、資産的な性格があるからといって、事業用の償却資産について百万円の免税点を設定するのがすぐに適用されなければならないというふうには考えられないと思います。
  281. 経塚幸夫

    経塚委員 それではお尋ねいたしますが、昭和三十三年に自転車荷車税が廃止をされておりますが、これはどういう理由でですか。
  282. 関根則之

    関根政府委員 昭和三十三年にそれまでありました自転車荷車税等が廃止をされているわけでございますが、そのときの理由として挙げられておりますのは、幾つかございますが、社会経済の進展及び自転車の普及に伴いまして、原動機付自転車以外の自転車及び荷車に対する課税は著しく大衆課税的な性格を帯びてきたということ、それから道路損傷負担金的な性格が薄れてきたということ、徴税費を勘案した場合に、自転車荷車税による収入の市町村歳入に占める比重が著しく低下してきた、いわゆる税そのものとしても非常に少額税になってしまったといったことが挙げられております。
  283. 経塚幸夫

    経塚委員 この自転車荷車税が廃止をされますときに、当時の郡国務大臣提案の理由として説明をされておるわけですね。「原動機付自転車以外の自転車及び荷車に対する課税は著しく大衆課税的な性格を帯びるとともに、道路損傷負担金的な性格も名目的なものとなるに至っていたのであります。また一方、市町村にあっても、自転車荷車税による収入は税収入総額の二%程度を占めるに過ぎず」とあり、そして「以上の諸点を総合勘案し、特に国民大衆に対する零細課税を整理する見地から、昭和三十三年度以降水税を廃止したいと考えるに至ったのであります。」こう述べております。  そこで、大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、この三十三年当時の自転車荷車税を廃止いたしました郡国務大臣提案理由の説明と現状とを比較してみますと、もう今日、例えばミニバイクなどは、三十三年に自転車荷車税を廃止したときと同じような状況になっておるのじゃないか。私が大阪府下のある市で調査をいたしましたら、平均いたしましてミニバイクの徴税費が一台について千円を超すと言われておるのですね。軽自動車税、ミニバイクなどの税金は貴重な地方財源であるという御答弁もあったかと思いますけれども、これは徴税費の方が実際に徴収した税を超えているのですね。全くこれはむだなことなんですよ。  それから、この自転車荷車税が廃止されるときには地方税収の二%だったと言われておりますが、今日ミニバイクの地方税に占める比率は一%なんですね。当時よりもさらに下がっているのですね。確かに自転車台数は当時国民一人当たり〇・二台、これが今ミニバイクは〇・一一台ということで、数は自転車税を廃止したときに若干足りませんけれども、徴税費の方が徴税した税額を上回っておる。そしてさらに、奥さん方の買い物だとか通勤だとか、自転車並みに大衆化をしておる。先ほど来からの、償却資産税は百万円以下は免税だ、こういうあれやこれやの条件を勘案いたしましたら、この税は廃止を検討すべき段階に来つつある、私はかように考えているのですが、その点いかがなものでしょうか。
  284. 田川誠一

    田川国務大臣 御指摘のように、ミニバイクが奥さんやその他に大分普及されているようには聞いておりますけれども、こういうような税源地方に行きますと市町村の有力な税源にもまだなっておりますので、今一挙にこれをなくしていくということは、地方財政の上からいかがかと思っております。
  285. 経塚幸夫

    経塚委員 いかがなものかということでございますが、今回提案をされております増減税の中身を見ますと、最初に申し上げましたが、私が大臣の所信に対しまして質問いたしました御答弁の、できるだけ大衆負担を避けるべく努力をしたという跡をどうも見ることができない。そういう状況の中で、せめて大衆化したこういうミニバイクの税ぐらいは廃止を検討すべきだ、かように考えておりますが、時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  286. 大石千八

    大石委員長 小川省吾君。
  287. 小川省吾

    ○小川(省)委員 質問も七番目になりますと、大分内容も狭められてまいったわけでありますが、以下御質問を申し上げます。  昭和五十九年度の税制についてでありますが、若干の減税と引きかえに、国税については、法人税引き上げ、酒税、物品税、石油税などの引き上げを行っております用地方税についても、法人住民税引き上げや、自動車税軽自動車税引き上げ等を図っております。中曽根内閣の「増税なき財政再建」も完全に破綻をしたと言わなければなりません。自動車税などはまさに大衆課税であるというふうに思うのであります。私どもはこのような増税路線に賛意を表するわけにはいかないのでありますが、以下伺いたいと思います。  大蔵省、大分お待たせをして申しわけなかったのでございますけれども、経済の動向といいますか景気の見通しというか、今のような状態で、税収の立場から見て今後好転をしていくと考えられますか。
  288. 鏡味徳房

    鏡味説明員 お答えいたします。  景気の動向でございますけれども、最近の状況を申し上げますと、個人消費が御案内のように緩やかに増加しております一方、一時弱含んでおりました設備投資とか住宅投資も持ち直しておりまして、国内需要は堅調に推移しております。また、輸出や生産の増加傾向は従来から続いておりますが、この増加傾向と相まちまして、景気は緩やかながら着実に回復していると考えております。  今後の動向でございますけれども、今後は、世界経済が、原油価格の安定、それから世界各国だんだんと物価も鎮静化をしてきておりますが、こういったことを背景として、例えば米国でも引き続き景気回復が期待されておりますけれども、そういうような状況で世界経済も回復過程をたどるのじゃないだろうか。  それから、国内経済につきましては、物価の安定傾向が続いておりますし、それから企業収益の改善も予想されておりますので、景気回復を支える要因は今後とも続いていくのじゃないかと考えております。  したがいまして、五十九年度は、個人消費、設備投資等の国内民間需要を中心に持続的な安定成長を達成すると考えておりまして、そういった経済の着実な回復、成長を前提にいたしますと、税収の方も緩やかながら伸びは続くというふうに考えております。
  289. 小川省吾

    ○小川(省)委員 自治省、大蔵省はあのような答弁であるわけでありますが、地方税から見た状況について伺いたいわけでありますが、予定をした税収は完全に確保できるというふうにお考えですか。
  290. 関根則之

    関根政府委員 私どもは、五十九年度の見積もりに当たりまして、大蔵省の経済に対する見方、税収状況、そういったものとの整合性もとりながら、確実に収入が予定できるものを計上したわけでございます。  発射台となります昭和五十八年度の税収につきましては、大体現時点では地方税に関する限り何とか当初の財政計画計上額を達成できるものと考えておりますので、発射台におけるへっこみということはまず心配はなかろうというふうに考えております。  したがって、その後の五十九年度の税収につきましては、最近大分景気の回復過程が着実になってきておるというただいまのお話にもありましたように、そういうことで経済情勢が推移いたしまして、政府の経済見通しどおりの成長が達成されます場合には、五十九年度についても計上額を確保できるものというふうに考えております。
  291. 小川省吾

    ○小川(省)委員 自治省の税務局は、税制調査会の中で事地方税については事務局を担当しているのだと思うのでありますが、税制調査会の中で、料飲税の市町村への交付、事業所税の県庁所在都市での創設についてどのように論議がされたのか、また税調委員さん方の感触はどんなふうであったと思っておられますか。
  292. 関根則之

    関根政府委員 税制調査会における論議は、国税、地方税を通ずる全般的ないわばすべての分野につきましていろいろ御論議をいただくわけでございます。ただ、もちろん審議の時間等も限られておりますので、私どもが審議項目として提出をいたします項目はおのずから限定されてくるわけでございます。  事業所税の拡大の問題につきましては、具体的な項目をもって調査会に御審議をお願い申し上げたわけでございますが、いわば議論は両論ございまして、やはり本来の事業所税が相当大規模な都市を予定して設定されておる、集積の利益が相当程度ある、しかもそれとともに都市整備の必要性も他の中小都市等に比べれば多くなってきている、財政需要もその分だけ多くなるというような状況にある都市について課税をさせるべきではないか、こういった議論税制調査会の中には基本的に強うございまして、結果的に拡大をするという結論までは得られなかったわけでございます。  料飲税の市町村への交付の問題でございますけれども、これは地方税全体の県と市町村に対する税目の配分の問題とも関連をするわけでございまして、現在の配分についてもちろん検討を要することがないわけではございませんけれども、一応料飲税につきましては県の税ということで整理をされておりますし、これを市町村に配分をするないしは税源を移してしまうということになりますと、税源の偏在問題等も出てまいりますので、私どもとしては近い将来においてそういった形での税目の移しかえというものは考えていないわけでございます。したがって、税制調査会におきましても、私どもの方から具体的な項目をもって御審議をお願いしたことはございません。
  293. 小川省吾

    ○小川(省)委員 税務局長は、なぜ今私がそのような二つの点を申し上げたのかおわかりだと思うのですが、私はこの五、六年来、地方行政委員会地方税法の審議の中で以上の二点については熱心に論議を続けてきたわけです。このような地行委における真剣な論議がなぜ税調に反映をされないのか大変に不思議なんです。税務局は地行委の中での税法についての委員の論議をただ聞きおくだけなのかどうかということなんですが、後で細かく取り上げることにして、先へ進みたいと思っております。  まず、都道府県税でありますが、事業税についてであります。  医師の業は、この税の中では第三種事業の中に入っております。この税はどのくらい捕捉をされておるわけですか。
  294. 関根則之

    関根政府委員 捕捉率ということがわかれば実は一〇〇%捕捉するわけでございます。所得の所在なり事業活動の存在というものがわからない、捕捉できないからそこに問題があるわけでございまして、捕捉できたものについては全部課税をしているわけでございます。しかし、実態の間において捕捉漏れがどの程度あるのかということにつきましては、数字を持ち合わせていないわけでございます。
  295. 小川省吾

    ○小川(省)委員 厚生省、大変お待たせをしてしまって、遅くなって申しわけありません。おいでをいただいておるのですが、人工妊娠中絶は年間大体どのくらいでございますか。
  296. 野村瞭

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  優生保護法によりまして一定の要件のもとに人工妊娠中絶が許されておりますが、これに基づいて都道府県知事に届け出られました人工妊娠中絶の件数は、昭和五十七年におきまして五十九万二百九十九件でございます。
  297. 小川省吾

    ○小川(省)委員 私、厚生省から資料をもらっているのですが、そうするとこれは全部優生保護法に基づくものなんですね。優生保護法に基づかないものはさらにこれの何倍かあるということになるのだろうと思うのであります。優生保護法の中でもいわゆる保険診療によるものとよらないものとがあるようでありますが、要するに、優生保護法によらない人工妊娠中絶は大体自由診療と見ていいわけですね。  現在都道府県の税務の事務所では、医師に対する課税を国税の申告によってなされております。ですから、地方税の面から見れば人工妊娠中絶などは厚生省統計の恐らく四分の一か五分の一ぐらいに減ってしまうのではないかと思っています。そういう点では、医師の事業税の把握について思うのだけれども、もっと国税において申告を徹底させて、地方税の面でも医師の事業税を捕捉しやすいようにできないものかどうか、大蔵省にお伺いいたします。
  298. 岡本吉司

    岡本説明員 医師の課税につきましては、国税庁といたしましても、調査は、高額、悪質重点ということから優先して調査対象に選定しているところでございまして、他の業種に比べて従来から実調率等高目になっている状況でございます。したがいまして、今後とも医師の税務調査につきましては充実した調査を実施してまいりまして、適正な課税に努めてまいりたい、こう思っております。
  299. 小川省吾

    ○小川(省)委員 厚生省、結構です。こんな簡単なことで申しわけありませんでした。  また、医師についても捕捉がこんな状態ならば、個人の事業税など年々減少していっているときだけに、いっそ撤廃をしてしまったらどうなのかというふうに思いますが、自治省いかがですか。
  300. 関根則之

    関根政府委員 医師を含めまして、個人事業の所得状況、営業活動の状況等につきましては、国税サイドにおきましても極力御努力をいただいておるところでございますが、それを補足する意味で、地方の税務当局にもできるだけ捕捉を十分にするように指導をいたしているところでございます。都道府県は都道府県なりにいろいろな努力をしているところであるというふうに考えております。  やめてしまったらいいじゃないかというお話でございますが、やはりこれも現下の厳しい地方財政の中にありまして貴重な財源でもございますので、御勘弁をいただきたいと思います。
  301. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、この税の中で不動産貸付業などは外形標準をとっておるようでありますが、この外形標準のとり方に問題があるのではないかというふうに言われております。外形標準以下のものは、みんな目こぼしになってしまっているのではないですか。
  302. 関根則之

    関根政府委員 不動産貸付業も、非常に大きく手広く営業をなさっている方から、一軒二軒たまたま自分の持ち家があって、自分が住まないから貸しておるといったような零細なものまであるわけでございます。その中で不動産貸付業に対して事業税を課税するということになりますと、社会の実態から見まして、まあまあ営業として経常的に反復的にやっているなという程度の、ある程度の規模を持ったものに課税をすべきであるというような考え方をとっているわけでございます。  しかし、そう抽象的に申し上げましても、なかなか県の徴税当局で判断に苦しむこともございますし、また全国的なある程度の整合性というものもとる必要があるというような考え方から、御指摘のございました次官通達では一応十五戸以上、それを、当分の間といたしまして内簡で十戸以上ということで線を引いて指導しているところでございます。しかし、それは十五戸なり十戸なりという線を下回ったらすぐに課税してはならぬというような意味での指導を申し上げているわけではございませんで、十戸に満たない貸し付けでありましても、一軒当たりが相当大きな家を貸しているといったような場合には、実態上営業の体をなしているものにつきましては課税をするようにという指導をいたしているところでございます。
  303. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、事業税についてでありますが、第一種から第三種までいろいろ事業税を課し得る事業が列挙してあります。また第七十二条の四には事業税の非課税業種が示されております。これらについては精査をする必要があるのではないかと思っています。  大臣もしばしば言明をしておりますように、先ほども答弁があったわけでありますが、新聞、テレビや出版業などがありますし、また関連をして新聞送達事業や新聞広告取扱事業なども入っておりまして、これらは明らかに行き過ぎだというふうに思っております。こういう点ではぜひ先ほどの答弁のように進めていただきたいことを強く要望を申し上げておきたいと思います。  それから、朝新聞を手にとると、一ページ大の自動車や薬や不動産等の広告が目に入ります。新聞のページに占める広告のスペースはおびただしい量になります。また、定期的に刊行される雑誌の広告も膨大な量であります。また、民放テレビ等のCMもしかりでございます。  これらを都道府県や市町村の広告税として取り入れていくことはできないのかどうかという問題でありますが、検討をしてみたことはございますか。
  304. 関根則之

    関根政府委員 広告税につきましては、かつて地方税といたしまして市町村の法定税として設けられていたことがあるわけでございますが、昭和二十七年に廃止されたわけでございます。その後は、法定外普通税として、一部の市町村におきましてポスターでありますとか立て看板、ネオンサイン等について広告課税をしているところがあるというのが現状でございまして、私どもいろいろ税制全般についての検討なり勉強なりをするに際しまして、何か法定税としての広告税ができないか、昔、広告税があったということも頭に置きまして勉強はしたことはございます。  しかし、現実の問題といたしまして、なかなか税としての仕組みも難しゅうございますし、国の方で、税制調査会等におきましてはいわゆる広告費課税、企業が支出いたします広告費に対して課税をしたらどうかといったような議論もございますし、逆に広告を取り扱うサイドの方での課税というようなことも議論がなされているわけでございまして、私どもはそういった議論の成り行きとの兼ね合いにおいて考えていったらいいのではないかというふうに考えております。  それから、ちょっと答弁の修正をさせていただきたいと思います。  先ほど十五戸は次官通達と申し上げましたけれども、逆でございまして、次官通達では十戸以上というふうになっておりまして、内簡で十五戸といたしております。逆でございましたので、訂正させていただきます。
  305. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いろいろ課税方式がありますけれども、ぜひひとつ広告税については御検討をしていただきたいというふうに思っています。  次いで、娯楽施設利用税のゴルフ場税についてお尋ねをしたいと思います。  この税でありますが、第百十二条の二によって、ゴルフ場所在市町村に対して二分の一を交付することになっておりますが、この理由は何でしたっけ。私、今ちょっと失念をいたしましたが、どういう理由でしたっけ。
  306. 関根則之

    関根政府委員 私どもが今まで答弁申し上げてきておりますのは、ゴルフ場所在の市町村に対しまして娯楽施設利用税交付金を交付することの理由といたしましては、ゴルフ場が一般に広大な面積を占めておりまして市町村の土地利用が制約されていること、雨水等による土砂の流出、そういった流出された土砂の排除、道路の維持補修等に相当の負担がかかってくるといった財政上の配慮をいたしまして、そういった特殊の事情があるものでございますから交付をいたしております、こういう説明をしてきております。
  307. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そういう理由で交付をするのならば、私が常々主張をしておりますように、温泉所在市町村料理飲食等消費税は当然その二分の一をその温泉所在市町村に交付をすべきではないかと思うのであります。じんかいやし尿や汚物の処理にしても、市町村は当然金が膨大にかかるわけでありますし、特に日帰りの行楽客などのじんかい、汚物、し尿等もあるわけでありますから、当然だと思うのでございます。  恐らくこの答弁の中では、入湯税を目的税として課しているんだということが出てくると思うのですが、入湯税の税率は今どうなっておりますか。
  308. 関根則之

    関根政府委員 現在、百五十円の標準税率となっております。
  309. 小川省吾

    ○小川(省)委員 入湯税はお客様が支払う税金です。だから、もう少し引き上げてもいいのではないかというふうに思います。  また、この税が完全に捕捉されていない嫌いがあるのではないかと思うのですが、完全に捕捉をするように市町村に督励をしたことがございますか。
  310. 関根則之

    関根政府委員 特に入湯税だけを取り上げまして、それの完全捕捉をやるようにという御指導は申し上げておりませんが、税制全般の執行につきましては厳正、適正な執行をするようにということは、たびたびの会合その他通達等においで、市町村なり県なりに対して御指導を申し上げているところでございます。
  311. 小川省吾

    ○小川(省)委員 温泉所在市町村の料飲税の市町村交付について、ことしの税調に審議を煩わすように約束をしていただけませんか。
  312. 関根則之

    関根政府委員 先ほど答弁申し上げましたのは、具体的な項目で集中的な審議はお願いしなかったということでございますが、毎国会終わりますと、税調が四月の来ないしは五月に開催されますときに、その国会においていろいろな御論議をいただきました事項につきまして一覧表にいたしまして提出をし、それについての説明をいたしております。ことしの場合にも、先生の御発言につきましては十分税制調査会に反映いたしますようにしてまいりたいと考えます。
  313. 小川省吾

    ○小川(省)委員 お願いをいたします。  それから、自動車税でありますが、今回増収を図っている大宗であるわけでありますが、四月一日現在の課税で納付が五月中ということになっているわけであります。きょうも質問の中で出ておりましたが、現在自動車を二、三台保有している家というのがかなりふえておるわけでありまして、その支払いも大変でございます。今度のように引き上げられてまいりますとなおさら大変でありますから、ボーナスの出る時期に、ボーナスというのは大体六月か七月に出るのですが、この五月一日を七月にしてくれないかという声が大変強いのでありますけれども、五月一日を七月に変更していただくわけにはまいりませんか。
  314. 関根則之

    関根政府委員 自動車税につきましては、貴重な財源といたしまして各年度の地方団体の行政経費に当然充てるものでございますので、年度初めのできるだけ早い時期にちょうだいをしたいというのが私どもの偽らざる気持ちでございます。  また、細かいことを申し上げるようでございますけれども、この納期限というのは、ある程度各税目ごとに、県で十三税目市町村で十三税目、合わせて地方税二十六税目あるわけでございますので、いろいろとうまくバランスをとりながら納期限を設定をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  たまたま六月は個人住民税の納期が始まるときでございますし、また七月は固定資産税、都市計画税、それから国税の方で所得税の予定納税というものがあります。そういったことから考えまして、自動車税をそこに集中をいたしまして果たしていいのかどうかという問題も出てくるかと思いますし、また、ボーナスの出ない個人事業者等についてどういう影響があるのか、その辺のところも考えますと、最初申し上げましたように、その年度の税をできるだけ早くちょうだいしたいという趣旨から、現在の納期をお守り願えないかと考えておる次第でございます。
  315. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いずれにしても税調を煩わすことはないわけですから、税務局の中でいいわけですから、ぜひひとつ検討してみてください。  それから次に、市町村の普通税について伺いたいと思います。  今度若干改正をしておるようでありますが、所得割の税率なんですが、なぜこのように十三段階というふうに細分化をする必要があるのか、五段階ぐらいに整理ができないのかどうか伺います。
  316. 関根則之

    関根政府委員 この点につきましては、将来のあり方といたしましては、いかにも十三段階、しかも一%刻みという税率の立て方はいかがなものかと私どもも考えております。できることならば、もう少し整理をいたしまして、簡素な税率構造に持っていけないだろうかと基本的に考えております。  ただ、問題は、税率というのは先生十分御承知でございますけれども、ちょっといじっただけで大変な影響が出てまいります。下手にいじりますと大変な増税になる。逆に、いじり方を間違えますと大減収になってしまうというようなこともございますので、先ほどから申し上げておりますように、今回の〇・五%の最低税率引き上げも、ある程度まとまった減税が行われる今回お願いをしているわけでございまして、そういうチャンスをつかまえながら、あるべき姿、先生のおっしゃいますようなある程度整理をした税率段階に持っていくということを、長期的な目標を立てて今後臨んでいくべきであろうと考えます。
  317. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次いで、固定資産税についてお尋ねをしたいのです。  三百四十八条で非課税の範囲が定めでありますが、この中に電電公社が入っているわけですが、先ほどの御答弁で、電電公社民営化されるといいますか、態様が変わったらばちゃんと二分の二取っていくんだということでありますから、この点はいいでしょう。  それで、固定資産税課税の基準のとり方なんですが、これは市街化区域と調整区域によって区分をしているのではなくて、いわゆる路線価方式でかけているわけだと思うのです。  固定資産税課税で常に思うのでありますが、要するに、住んでいる土地で収益がある場合にはいいわけでありますが、いわゆる一般の勤労者などは便利なところにはもう住めなくなってしまうのではないかと思います。こういう状態が起こってくることは、これは憲法違反になってくるのじゃないかと思いますが、憲法違反にならないにしても、固定資産税市町村の主たる財源であり、年々引き上げられていく傾向にありとするならば、一定のところで限界を設ける必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  318. 関根則之

    関根政府委員 確かに、御指摘のように、退職者等が昔から広い住宅に住んでおると固定資産税額が上がりまして負担に耐えかねるというような現象があるということは聞いておりますが、もともと固定資産税というのは、所有している資産の価格に応じて、薄く広く、どこから所得が入ってくるかということとは関係なしに、またその土地なり建物なりをどういうふうな形で利用しているかということとは関係なしに課税をしているものでございます。  したがって、価格に見合って評価額は設定せざるを得ないということになるわけでございますが、特に、住宅用の土地につきましては負担の軽減を図るための配慮をいたしておりまして、土地につきましては課税標準額を四分の一にするというような制度もあるわけでございますので、そういったことから、やはり持っている人と持っていない人との間の負担の公平ということからも考えますし、また資産の価格とのバランスということを考えますと、一定の頭打ち制度をつくるということは難しいと思います。
  319. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ガス税でありますが、都市ガスにはガス税がかかりますが、プロパンにはガス税がかかっていないわけですね。何か不公平な感じがいたしますが、これについていかがですか。
  320. 関根則之

    関根政府委員 この問題につきましても前々から御議論をいただいているところでございますけれども、LPGの中には、最近は都市ガスに負けないようなしっかりした配管をいたしまして、固定設備を持ってやっているところもありますけれども、一方、まだボンベで売るいわゆるボンベ売りというのも相当あるわけでございます。また、LPGとその代替燃料であります灯油等との課税上のバランスをどうするのかといったいろいろな難しい問題がございますので課税に踏み切れないような状況にあるわけでございますが、この問題につきましては、いわゆる税負担の公平の観点からも、今後とも私ども検討を続けていきたいと思います。
  321. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次いで、国民健康保険税なんですが、先ほどいろいろ論議がありましたが、二十八万から三十五万というのは確かに膨大な引き上げたというふうに思っています。この理由として、政府管掌健康保険の最高限度額引き上げ云々というふうなことも言われておるようでありますが、政府管掌健康保険にしても、一割カットとか二割カットとかいうふうに言われておりますが、現在では十割給付です。国保の七割給付とは違うと思うのであります。七割給付という線からいっても、二十八万から三十五万というのは少し上げ過ぎではないかと思っています。  私の地元の市で調べたのですが、一万四千六百九十五世帯のうち、昭和五十八年の二十八万の最高限度額納付者は千九世帯の六・八%なんです。三十五万まで、こんな大幅に引き上げるのはまさに暴挙だと思っております。さらに、最近の新聞の報道では、国保税の滞納で国民健康保険証の交付が著しくおくれて死に至ったなどという事例もあったというふうな話も聞いておるわけでありまして、市町村民税はかからなくとも、いや応なしに国保税はかかってくるというような状況でございます。  もしもこういうように最高限度額引き上げるとするならば、低所得者の課税の減免、この措置をあわせて講じたらよかったのではないかと思うのですが、いかがですか。
  322. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 限度額引き上げにつきましては、先ほど来お答え申し上げましたように、政管健保とのバランス上、設定させていただきたいというものでございますけれども、この限度額は天井でございまして、被保険者の実態等を勘案してそれぞれ地方団体で適切な限度額をお決めいただくのがいいのではないかと思っております。  ただ、この最高限度額引き上げますと、それによりまして高所得者に対して負担がふえる反面、それが中間所得層あるいは低所得層の負担の軽減になってはね返ってくるという副次的な効果があることを申し添えさせていただきたいと存じます。  さらに、御指摘の低所得者層に対する減免措置でございますが、改正案におきましては、現在の減額基準を引き上げる、つまり、現在、前年の所得金額二十四万の場合には応益割の六割、それから二十四万プラス、家族数、これは世帯主を含みませんが、それ掛ける十八万五千円という所得以下の人には応益割の四割を減額するという制度がございますが、今申しました金額を引き上げることを考えておりますので、それによっても低所得者層の恩典と申しますか減額がふえるという結果になろうかと思います。
  323. 小川省吾

    ○小川(省)委員 私が今回地方税法の関係で県税事務所や市町村の税務課を回ったところ、法務省の登記業務を県に移管することができないかというような話を聞きました。このことは、察するに、県税にしても市町村税にしても、担当者が不動産取得税や固定資産税課税で法務省の登記業務との関係が非常に深いわけでありますけれども、法務省が余り協力的ではないということを物語っておると思っております。  自治省税務局と法務省との間では協力要請について話がついているのでしょうが、登記業務の末端にまで話し合いがおりていないのだと思うのです。また、法律的に協力するようになっているのだと聞いておるわけでありますが、もっと法務省にきつく話をしていただいて、登記業務の末端で地方の税務行政に協力をしてくれるように話をおろすようにしてもらいたいと思うのです。これは全地方税の担当者の声を代弁して申し上げておるわけでありますが、法務省にそのように話をしていただけますか。
  324. 関根則之

    関根政府委員 地方税法におきまして、土地または建物の表示に関する登記が登記所に行われましたときには、登記所は十日以内にその旨を土地なり家屋なりの所在地の市町村長に通知しなければならないという規定が置かれております。これを根拠といたしまして法務省と自治省との間では話し合いが前々からなされてきておりまして、法務省の協力を全面的に得られることになっているわけでございます。したがって、先生指摘をいただいたわけでございますが、私どもとしては全体としてはわりかし協力関係はとられているものと考えておりますけれども、確かに中には余りうまく協力関係ができていないところがあるかもしれません。そういったものにつきましては、個別の対応といたしまして、必要があれば法務省にも話をいたしますし、また下の段階でいろいろと折衝を続けてまいりたいと考えております。  また、地元におきましては、税務署なども含めました形で、県、市町村全部入りまして税務協議会が組織をされているというのが通常でございます。そういった場を通じましてうまくいっているところは非常にうまくいっているわけでございますが、ややぎくしゃくしているところもあるやに聞いております。そういった機関をも活用しながら、さらに密接な協力関係が得られるようにしてまいりたいと考えております。
  325. 小川省吾

    ○小川(省)委員 近く警察庁から風俗営業等取締法の一部改正が出てくると聞いておるわけであります。  そこで、これとも若干関連があってお伺いをいたしたいわけなのでありますが、いわゆるバー、キャバレーのホステスあるいはトルコ嬢などが月五十万とか百万、貯金が何百万とか何千万とかという話を聞くわけでありますが、税金を納めるのに大変だなどという話は余り聞いたことがないわけであります。  そこで伺うわけでありますが、今度個室マッサージなども風俗営業取り締まりに入ってくるわけでありますが、こういうところに勤めているアルバイトの女子大生あるいはバー、キャバレーのホステス、これらはいわゆる給与生活者ではありませんから源泉徴収がない、場所を借りて営業をしているわけなのでありますから、そういう意味で、こういう者たちの地方税の捕捉はどんなふうになっておりますか。
  326. 関根則之

    関根政府委員 原則といたしまして、こういった個人事業者の所得の把握につきましては、一義的には国税庁の方で所得税の徴税上の調査等によりまして捕捉していただく、もちろん地方税の立場から地方も調査できるようになっているわけでございますが、両方が相協力をいたしまして努めていきたいと考えております。  ただ、実際問題として密室での取引等がありますとなかなか十分な捕捉はできないということになりますが、風俗営業の取り締まりとの兼ね合いで何かうまくできないかといったような御趣旨も拝察をしたわけでございますけれども、風俗営業取り締まりのデータをストレートに徴税の方に回してくるということは非常に難しい面もあろうと思います。しかし、その辺のところにつきましては警察ともよく話し合いをして、差し支えない範囲でいただける資料等についてはいただけるような、そういう協力関係をとっていきたいと思います。
  327. 小川省吾

    ○小川(省)委員 私は別に風営法との関係を言っているわけではないのです。自由な営業は自由にやってもらって結構なのでありますが、国税はある程度把握できても、この人たちの場合地方税は潜っているのがほとんど大部分だと思うのです。そんなことが許されるはずはないわけでありますから、特に地方税についても把握できるようにぜひ骨を折って研究してみていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。  大蔵省まだいらっしゃると思うのですが、地方税課税については国税に負うところが大変大きいわけであります。しかも、国税の申告に負っている面が強いと思うのであります。ちょうど今確定申告が終わった段階であるわけですが、もう少しきっちり申告をやってもらうようにして、地方税の捕捉が十分にできるようなことはできないかという地方の税務関係者の声がかなりあるわけでありますが、大蔵省は申告の充実強化についてどのように考えておりますか。
  328. 岡本吉司

    岡本説明員 国税庁といたしましては、大方の納税者は誠実に申告していただいていると思っておりますけれども、我々の方の税務調査をやってみますと、申告をしてなかったり過少な申告をしているといった不誠実な納税者がおることも、今先生指摘のとおりでございます。  したがいまして、我々国税当局といたしましては、このような納税者の適正かつ公平な課税を実現するために、従来からできる限りの努力を重ねてきたわけでございますけれども、今後とも税務調査をさらに一層充実させるとか、執行面におきます環境の整備、つまり青色申告の普及あるいは広報、税務相談等々でございますが、そういった税務執行面におきます環境整備を図る、あるいは地方税御当局、関係民間団体等との協力関係をさらに推進する、あるいは国税の中の内部組織、内部体制の整備を図る等の措置をとりまして、今後とも課税充実に一層努めてまいりたいと考えております。
  329. 小川省吾

    ○小川(省)委員 私も三税協力がうまくいっていることは承知いたしておるわけでございます。しかし、地方税が国税に負うところが多いわけでありますから、国税が取れればいいやということではなくて、地方の税務行政の担当者が本当に困らないで、しかも適切な課税ができるように、十分配慮しながら国税全体に当たっていただきたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。  最後に、納税環境の整備の問題でありますが、これまた先ほど経塚委員から細かに論議がされました。ですから私は省略をいたしますが、大変問題が多いというふうに思っております。大蔵が二十六日に審議をするようでございますし、これらの点は何か分離をして上げるのだというふうな話も伺っておるわけでありまして、何はともあれ慎重にも慎重を期してやっていただかなければならない条項だというふうに思っておりますけれども、これは国税とはすを合わせて改正をした、こういうことでございますか。
  330. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 そのとおりでございます。
  331. 小川省吾

    ○小川(省)委員 それだけに、ぜひひとつ大蔵の動向を見ながら、しかも慎重に配慮をして運用をしていただくように特に強く要請をして、審議の促進を図りまして、以上で終わります。
  332. 大石千八

    大石委員長 吉井光照君。
  333. 吉井光照

    ○吉井委員 最後の質問でございますので、皆さん方も大変お疲れだろうと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず、今回の住民税減税の問題につきましてお尋ねしたいわけでございますが、昨年の与野党合意について、この合意が守られているとお考えかどうか、大臣ひとつお願いします。
  334. 田川誠一

    田川国務大臣 今回の地方税減税は、与野党合意の線に沿いましてこのような案をつくった、こういうことでございます。
  335. 吉井光照

    ○吉井委員 それで、景気浮揚の面から経企庁にお尋ねをしたいわけでございますが、その与野党合意の最も大きい柱は、景気浮揚に役立つ減税、このようになっておりますが、今回の所得税そして住民税減税による消費拡大、また内需拡大は期待できるのかどうか。昨年秋の総合経済対策も、所得税住民税減税は内需拡大を大きなねらいとしたもの、このように考えておりますが、その点はどうでしょうか。
  336. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  今回の減税は、住民税それから所得税合わせまして一兆一千八百億円に上るわけでございますが、数年ぶりで行われる本格的な減税ということでございます。  これが消費活動等にどういうふうな影響を与えるか、これを計数的に把握するということは技術的にいろいろ困難な問題がございます。しかしながら、申し上げるまでもなく、減税というのは直接的には個人の可処分所得をふやすわけでございますし、また数年ぶりの大規模な減税というようなこともあって、消費マインドにもかなりの好影響があるのではないかということで、こういった効果を通じまして個人消費を増加させる方向に作用すると考えておるわけでございます。  ただ同時に、間接税等の増収がございます。これはマイナスの影響があるわけでございますけれども、間接税の増収額というのは、先ほど申し上げました住民税とか所得税減税額の金額に比べましてその半分以下でございますから、全体合わせたネットの効果では、これは個人消費に対してプラスの影響を与えるというふうに考えられます。したがって、これが内需を中心とした景気の拡大に寄与するというふうに考えているわけでございます。
  337. 吉井光照

    ○吉井委員 ところが今回の減税は、御承知のようにこの減収に伴う補てんをするために、大衆増税、すなわち酒税から始まって物品税、自動車税等引き上げで補おうとしているわけでございます。さらにこれに公共料金の値上げ、そうしたものが加わって可処分所得というものが果たして増加したと言えるかどうか、この点どうお考えですか。
  338. 服藤収

    服藤説明員 住民税所得税減税と間接税の増税との関係は今申し上げたとおりでございまして、全体としましては可処分所得の増加を通じまして個人消費の増大、ひいては内需を通ずる景気の拡大にプラスになると考えられるわけでございます。  あと残りますのは、公共料金の改定がございます。これは、それによりまして物価の上昇というような現象が生じて、その分そうでない場合に比べて実質的な消費の増加は抑制されることになるわけでございます。しかしながら、公共料金の改定の方は全体として見れば受益者負担というような点もございまして、やや公共料金の引き上げと間接税の増収という面は同じカテゴリーの中で考えるのにふさわしいかどうかという問題もあろうかと存じます。  今申し上げましたことを要約いたしますと、所得税住民税減税と間接税の増収合わせたところでは景気に対しては好影響がある、それから公共料金の影響につきましては、物価に与える影響を考慮しますと、その分所得税住民税の好影響が若干相殺される面があるということかと存じます。
  339. 吉井光照

    ○吉井委員 さらに、補てん財源として法人税税率引き上げ、また法人均等割税率引き上げ等も行っているわけですが、こうしたことによって法人の設備投資意欲を減退させるのではないか、こういうことも考えられるわけですが、こうしたことが内需拡大にまた大きなマイナス要因となるのではないか、こういう点についではどうでしょう。
  340. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  法人税の増税、省エネ投資等の減税、こういった措置が設備投資にどういう影響を与えるかという点でございますけれども、そういった措置が企業の期待収益率などにどんな影響を及ぼすか、そしてそれによりましてまた設備投資がどういう影響を受けるかといった問題がございまして、これを計数的に把握するというのは非常に難しいわけでございます。  ただ、その影響される方向というのを考えてみますと、まず、最近の設備投資でございますけれども、技術革新のための投資とかあるいは省エネ、省力化の投資など非常に企業の投資意欲が根強うございます。特に最近は、中小企業等にも設備投資について動意が出てきております。したがいまして、そういう環境のもとでは、法人税の増税による設備投資への影響といったようなものは、そうでない場合に比べましてそれほど大きくはないと考えられます。そして、同時に行われます設備投資減税、これにつきましては、投資の収益性というのが直接的に高められるわけでございますから、かなりプラスの効果が期待できるのではないか。結局、総じて申し上げますと、法人税の一般的な増税、これの抑制的な効果を、投資減税拡充という措置によりましてかなりの程度まで相殺できるということが言えようかと存じます。  そういった法人関係の税制改正、それから先ほど来話題に出ております個人関係の税制改正、こういったものを含めまして、今回の御審議いただいている税制改正全体の景気に与える効果というのは、住民税所得税減税の効果というものはかなり期待されると思いますので、全体といたしましては、どちらかと申し上げますればプラスの効果があるのではなかろうかというふうに私ども考えているわけでございます。
  341. 吉井光照

    ○吉井委員 次は、自治省にお尋ねいたしますが、減税の目的は、これはあくまでも国民の生活水準の確保、また回復にあると思うわけです。住民税減税は最近では五十五年に行われておりまして、それ以降の物価上昇分、また、給与引き上げがあっても税金の累進税率等によってその給与の引き上げ率以上の率で税金がふえているわけです。そうした要素も十分加味された上での今回の調整減税であるか、その点はどうですか。
  342. 関根則之

    関根政府委員 住民税減税を決定いたしますにつきましては、物価の上昇とか国民の生活水準の上昇の度合い、そういうことは当然頭に置いて検討を進めたわけでございますけれども、ただ単にそれだけではございませんで、今度の減税案決定までに至る経緯は、先ほどから御論議いただいておりますように、与野党の国会でのいろいろな御論議を踏まえ、与野党合意を踏まえて政府として最大限の努力をしてきたわけでございまして、その過程におきましては、国、地方を通ずる財政の厳しい状況、そういう中で許し得る減税の規模というようなものを考えて最終的な決定を見たわけでございます。  しかし、具体的にでき上がりました住民税減税をとって考えてみますと、例えば課税最低限につきましては、昭和五十五年度の住民税におきまして現在の百五十八万四千円という線が設定をされまして、五十九年度には減税の結果それが百八十八万八千円になるわけでございますが、アップ率といたしましては一九%のアップになるわけでございます。その間におきます物価の上昇は、五十四対五十八で対比をいたしますと一八%程度ということになっておりますので、ほぼそういったものと結果的には見合ったものになっていると考えております。
  343. 吉井光照

    ○吉井委員 ところが、改正後におきましても課税最低限というものが生活保護基準を上回るに至っていない。ということからすれば、生活水準の維持を可能にするほどの減税とは言えないのではないか、すなわち十分調整された上での減税とは言えないのではないか、こういう気がするわけです。五十五年までは課税最低限は生活保護基準を上回っておりました。ところが五十六年以降、また改正後の五十九年もこれを下回っているわけですが、この点についてはどうですか。
  344. 関根則之

    関根政府委員 その間におきます生活保護基準の引き上げ率が相当大幅でございました。これは、生活保護基準が単に生活水準の上昇というものに見合ったものだけではございませんで、いわゆる格差是正方式と言われておるような形で通常の家庭における消費水準等に近づけていこうということで、実際の物価上昇等以上にアップ率が設定をされてきた、そういう経緯がございまして、いわば生活保護基準がどんどん上がってしまった、我が方の税サイドからいいますとそういう形になっているわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたような、大体物価に見合うような課税最低限の上昇はやったつもりでございますが、なお生活保護基準を上回るには至っていないわけでございます。  これにつきましては、ただ、生活保護程度の収入しかない方に住民税課税するということはやはりいささか問題がございますので、五十六年度以降とってまいりました非課税限度額という制度を設けまして、そういった事態を避けるようにいたしているところでございます。
  345. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、住民税の最低税率引き上げについては、先ほどからいろいろと論議されたわけでございますが、これは結局国税に合わせた減税に伴う財源措置にすぎないのではないか、こういうふうな気もするわけですが、この点どうですか。
  346. 関根則之

    関根政府委員 これは必ずしも国税に合わせたというものではありません。結果的には国税も〇・五上がり地方税も〇・五上げるという形になっておりますから、結果は同じなわけでございますが、特に住民税の場合には、現在の市町村民税の所得割が二%という極めて低い率でございますので、地方税充実の方向ないしは住民税の累進税率をできるだけなだらかなものに将来持っていきたいという考え方のもとに、今回減税をやるに際しまして、課税最低限が上がるわけでございますから、増税にならないような形でそのことが実施できるということで今回踏み切らしていただいたわけでございます。  なお、〇・五%最低税率を上げることによって、それを財源としているのではないかという御趣旨のお話でございますが、私どもは平年度ベースにいたしまして三千億の本格減税を実施するということを目標に作業をいたしたわけでございまして、この〇・五%の税率引き上げに伴って税制上当然増収は出てまいりますけれども、これは横へ置きまして、三千億減税を実施して、その得られた財源を持ってきて埋め合わせる、そういうやり方をしているのではございません。最低税率引き上げによって得られる増収分は減税額の中へ入れまして、入れるというよりは上乗せをいたしまして、仮に〇・五%引き上げる分の得られる増収額が一千億だといたしますと、本格減税三千億の上にそれを乗せまして、実質全体としては四千億の減税をいたしまして、ただそのうちの千億だけは最低税率引き上げによってカバーしていますよ、こういう形にしてあるわけでございます。したがって、減税規模三千億に食い込むような形での財源として考えているものではないということを御理解いただきたいと思います。
  347. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、利子配当の非課税措置についてお尋ねするわけですが、利子配当に対する地方税課税が非常に困難である、このように言われております。その一つには、住所地配分というものが非常に困難である、こういうことでありますが、そうであれば、例えば譲与税方式はとれないものだろうか。  利子配当に対する課税あり方については、税調ではこの夏までに結論を出す、このように言われておるわけでございますが、自治省としてはどんな方針で臨もうとされておるのか。五十九年度においても約一千三百億が非課税措置とされておるわけですが、大変大きな額でございますので、一応これに対する自治省の御見解をお伺いしたいと思います。
  348. 関根則之

    関根政府委員 現在、源泉分離を選択された利子配当につきましては、住民税課税されていないわけでございます。これがなぜできないのかということでございますが、住民税課税は、現在、前年所得に対してその翌年に課税をするというような仕組みがとられていることとも関連をいたしてまいります。したがって、今のような住民税所得割のつかまえ方でいきますと、実際問題としてつかまえることが非常に難しいんじゃないかと思います。  したがって、もしこれを仮に取るということになりますと、通常の住民税から分離をいたしまして、やはり国税で分離課税をやっているのと同じように、地方税といたしましても分離課税というような形を導入するのが一つの方法ではないかというふうに考えております。  ただ、その際問題となりますのは、銀行窓口等における事務が相当煩雑になるという心配もございます。住所地ごとにずっと仕分けをしていかなければいかぬわけでございますし、それから、そもそも課税預金につきまして確実な住所地の申告がなされるのかどうかといったような、住所地の正確な把握ということにも非常に難しい問題があろうと思います。  こういった問題をいろいろと今後税調の場におきまして、私ども一緒に議論をしてまいりたいと考えておりますが、いずれにしても何らかの形で住民税課税されるようなそういう仕組みをつくり上げていきたい。もちろん、前提といたしましては、分離課税が残るという前提の場合でございます。総合課税に移行すれば問題は一切解消するわけですが、その場合には、何らかの形で課税に持っていきたいというふうに考えております。  譲与税という方式にしたらどうかというお話がございました。これは説明をいたしますと長くなりますから簡単に申し上げますが、やはり譲与税というのは、国が徴収して地方団体に配分する税でございますので、本当の意味の一人前の地方税ではないというふうに考えております。やはり私どもは、できるものなら地方独立税としてこういうものを構成していくのが本筋ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  349. 吉井光照

    ○吉井委員 ところで、利子所得において、国税で源泉分離を選択した場合は住民税課税されないこと等を考慮して、いわゆる財対臨時が地方交付税において特別加算されているわけですが、そこで、五十九年度非課税による減収が先ほど申しました約千三百億、これに対してその手当てとして五百億、これは一体どういうことですか。
  350. 石原慎太郎

    石原政府委員 従来から、地方財政対策を講ずるに際しまして、いわゆる財対臨時という形で、源泉分離課税を選択した利子所得に対して住民税課税されない、こういう事情を念頭に置いて一定の額が決められてきております。  率直に申しまして、五十八年度まではその財対臨時の額は、おおむね住民税課税されないことに伴う減収額といいましょうか、相当額がその類とされて財対臨時の総額とされてきたわけであります。五十九年度の地財対策に当たりましても、私どもとしては、その従来の考え方で総額を確保したいという気持ちを持っておったわけでありますけれども、しかし、この額はそういう事情を考慮して国と地方それぞれの財政状況を勘案して決定してきたという経緯もございまして、五十九年度は、国の財政状態も異例に厳しい状況に陥っている、こういうふうな実情、それから、五十八年度に比べまして五十九年度の地方財源不足額は約半分程度に減少している、こういうような事情をも勘案して五百億という金額に落ちついたわけであります。  五百億はどういう計算の基礎から出たのかということでございますが、昨年末からことしの初めにかけて地財対策の論議をする過程において、その時点では五十八年度の源泉分離課税を選択した利子所得にかかる住民税相当分といいましょうか、住民税課税できないことによる減収額が五十八年度分としては千百億程度であったわけですが、こういったことも念頭に置いて五百億という金額に決定した次第でございます。
  351. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、外形課税について一点だけお尋ねしておきたいと思うのですが、この問題につきましても、けさほどからるるいろいろと議論されたわけでございます。  この問題が昭和五十年当初大きくクローズアップされまして、知事会等でも強い要請があったわけですが、これは結局大型間接税導入という絡み、そういった税調の考えもありまして今日まで見送られてきたという経緯があるわけでございます。ところが中曽根内閣は、大型間接税の導入はあり得ない、こういう方向をはっきり示しているわけでございますが、こうしたことを考えたならば、いわゆる外形課税の導入ということはここで考えられないものか、やはり至急に検討されるべき問題ではなかろうかと思うわけですが、この点についてはどうですか。
  352. 関根則之

    関根政府委員 外形課税を事業税に全面的に導入する問題につきましては、私どもは、地方団体税収の安定的な確保を図る上から基本的には望ましいものというふうに考えております。しかし、お話もございましたように、この問題は前から大きな問題といたしまして各方面で議論をされ、一般消費税創設の議論が起こりました昭和五十年代当初の段階で切実な話として議論をなされてきたわけでございますが、その後におきましても、税制調査会基本的な物の考え方は、課税ベースの広い間接税との関係を考慮して検討すべきであるということで一貫して議論がなされてきているところでございます。  確かに、景気後退期におきましては、収益課税で企業に事業税の課税をいたしますと税収の伸びが非常に悪いという面もございますが、景気が回復過程をたどっている段階におきましては、伸長性は逆にあるというような面もあるわけでございまして、地方団体は、確かに五十二年にはまとまった案をつくったわけではございますけれども、現時点において果たして本当の意味で意思統一がさっとできるのかどうか、そういったいろいろな問題もあるわけでございます。そういったもろもろの難しい問題を検討の中に入れまして、今後私どもとしては引き続き検討を続けさせていただきたいと考えておのます。
  353. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、事業所税の拡大の問題でございますが、今回の政府税調も「事業所税の性格等を踏まえ、引き続き検討すべきものと考える。」このように言っておりますが、これはいつもの年と全然変わっているわけですね。あと何を検討するのか、もはや検討し尽くされているのではないか、このような気がするわけでございます。その点についてどのようにお考えになっておるのか。  それと、事業所税を、地方団体側の要望にもございますように、人口二十万以上の都市及び県庁所在地まで拡張するならばどれぐらいの増収になるのかという点と、それから、六十年度からの住民税の最低ベースの引き上げでどのくらいの増収になるのか。  それともう一点、事業所税の課税団体の範囲を拡大するならば、住民税の最低税率引き上げをしなくても済むのではないか、このように思うわけですが、この四点についてお尋ねをいたします。
  354. 関根則之

    関根政府委員 事業所税の課税団体の範囲の拡大につきましては、私どもも、地方団体からの要望もございますので、できるものなら何とか拡大をしていきたいという方向で税調等にも議論をお願いしてきたところでございますが、確かに御指摘をいただきましたような形での中期答申をいただいております。しかしその結論は、お読み上げいただきましたように、「課税団体の範囲のあり方について、事業所税の性格等を踏まえつつ、検討すべきものと考える。」ということで、必ずしも直ちにもう課税に移ってよろしいというような方向性は出ていないわけでございます。  そこで、どんなことを検討するのかというお話でございますけれども、私どもが当面一番頭の痛いところでございますのは、課税対象を広げてまいりますと、新たに課税権を付与された都市にとっては、そこに所在する企業にとっては、根っこからの新税になってしまうわけでございます。事業所税全体はもちろん在来の現行税制でございますけれども、拡大をされたところはやはり新しい税だということになる、その辺に問題があるのではないかといった議論も実は出てきているわけでございます。もちろん、基本的な問題といたしましては、事業所税というのはそもそもどういう論拠で設けているのか、やはり一定の規模の都市の集積というものに着目して、その都市の整備に要する財源を調達するための税として構成すべきではないか、したがって集積の少ない都市については、それに見合う特別の都市整備のための財政需要もそれほどあるわけではないのだから、やはりつくるのはおかしいよ、こういった基本論の議論もまだ実は残されているわけでございます。そういった議論も我々は我々なりにある程度説得力を持つ説明ができるというふうに考えておりますが、今後もさらにその辺を詰めまして、関係者の同意をできるだけ得られるよう私どもとしては努力していきたいというふうに考えております。  それから、次の最低税率引き上げに伴う増収額でございますが、実はこれは昭和五十九年度には実施いたしませんで、六十年度から引き上げさせていただくという考え方に基づいております。六十年度におきましてはその分として約一千億を見込んでおります。  一方、事業所税の課税団体の範囲を拡大をいたしまして人口二十万以上の都市にまで拡大する、と同時に県庁所在の都市にも広げるということを前提といたしまして試算をいたしますと、およそ三百二十六億の増収が予定されるところでございます。
  355. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、国保の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。  限度額引き上げに伴う国保の増収によりまして、国保に対する国の補助金は減少するのではないか、つまり国の補助金を減らすために限度額引き上げたのではないか、これは国の負担住民転嫁ではないか、このようにも考えられるわけですが、この点どうですか。
  356. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 御案内のとおり、国民健康保険税はその市町村で要します医療費総額の一定割合、だから、これは総額は決まるわけでございますが、それを調達するために取られている税金でございますので、その一定割合が変わらない以上は、この限度額引き上げによりまして被保険者相互間の負担の変動はございますが、総額は一定でございますので、直接それによりまして国庫が得をするというようなことはない仕組みになっております。
  357. 吉井光照

    ○吉井委員 今回の退職医療制度の創設または医療保険制度の改正に伴って、国保に対するところの国庫補助制度は、調整交付金を含めて四五%から三八・五%に引き下げられるわけですが、これに伴って国保保険料負担が増大するのではないか、こういう懸念を持つものであります。  つまり医療費適正化対策での三百五十億の軽減というものが果たして図られるかどうか、また保険料収納率向上対策を果たして期待できるのか、この問題につきましても先ほどからいろいろ討論がございました。また、老人保険医療費に対する国保の拠出金が、加入者案分率の引き下げによって数百億程度増加する。また、国保保険料の軽減に対して従来一〇〇%補てんされてきた軽減交付金が、先ほどからの答弁によりましても八〇%補てんになる。また退職者医療制度の発足によりまして、大都市及びその周辺市町村の国保は、退職者のウエートが非常に大きいために補助金の補助率がたとえ下がったとしても財政面での影響は少ないわけですが、農村部に参りますと、国保はこのウエートが非常に小さいために補助率の引き下げによる影響というものは非常に大きいわけであります。したがって、果たして財政調整交付金による調整でカバーできるか。こういったものを考えたならば、結局これらの医療保険制度の改革によって国の負担住民へ転嫁をされていくのではないか、このように考えるわけですが、これはどうですか。
  358. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  保険料と国庫補助の関係がどうなるかということは、医療費というものが非常に変動が激しい面もございますので、確実な意味でどういうふうになるかということは大変難しいわけでございます。かつまた、市町村によりまして医療費なり所得状況なりというものがばらばらでございますので、その結果いかんによって個々の市町村の保険料率がどうなってくるかということは決まってくるわけでございますので、すべての市町村についてどういう状況になるかということはなかなかこれを言うことは難しいと思っております。  したがいまして、私どもとしては全国的な、全体としてどういうふうな影響を持ってあろうかというようなことにならざるを得ないわけでありますけれども、今回の改正におきましてさまざまな対策をとることにしておりまして、国庫補助の削減というものは、確かに先生が御指摘のように医療費の四五%から給付費の二分の一ということにいたしますので、その限りにおいては国庫の手出し部分というものが減ることは確かでございます。  ただ、一方でお話しのような退職者医療制度というものが、これは国保にとりまして長年の念願でもあったわけでありますけれども、これによる財政的な好影響というものが予想されるということが一つ、それから医療費適正化ということで、最近特に力を入れまして、私どもの国でやるべきものあるいは市町村でやるべきものさまざまございますけれども、とにもかくにも国保税のこれまでのかなりの引き上げというものの趨勢をできるだけ小さいものにしたいということで医療費適正化対策推進等もやるわけでございますが、最近の医療費の動向というものを見ますと相当下がってきておる、従来のような二けた台の伸びというものがないというような状況になってきておりますので、そんなこと等もさらに強力に推進するというふうないろいろな対策を講ずることによりまして、国民健康保険税というものが、従来水準で推移してきた以上に増徴というものを加速するような結果にはならないというふうな一応の見通しは持っております。  ただ、繰り返しますけれども、三千三百の市町村すべてについてどういう状況になるかということは、これは医療費の動向なりによりまして変わってまいりますので確言できませんけれども、全体的な、全国的な一つの見通しといたしましては、今回の改革によりまして国民健康保険料の保険料水準というものが従来の趨勢以上にこれを加速するような結果にはならないというふうに考えておるところでございます。
  359. 吉井光照

    ○吉井委員 議事進行に協力するために、あと大蔵省にお尋ねしておきたいと思います。  教育費控除についてお尋ねをしたいと思うのですが、現在、御承知のように子を持つ家庭の家計に占める教育費の負担、これは非常に大きいものとなっております。これは年々増大をしておるわけでございますが、この負担の軽減を図るために税制上の教育費控除というものを創設すべきではないか、こうした意見はだんだん高まりつつあるわけです。この点についての大蔵省の考えをお尋ねいたします。
  360. 津野修

    ○津野説明員 お答えいたします。  御提案は、教育費負担が高まってきておりますために、その負担軽減の観点から税制上一定額を控除する制度を創設してはどうかということかと思いますが、教育費につきましては、従来から歳出面におきましていろいろ助成をしておるわけでございます。例えば私学の助成とかいろいろございますが、これに加えましてさらに税制面におきまして親に対しまして助成をするという道を開くということにつきましては、現在の教育助成方式というものを基本的に変更するというような問題がございまして、軽々に結論を出すことはできにくいということでございます。  また、税制上の固有の問題といたしまして、税金を納めていない非常に貧しい家庭の父兄の方々、そういう方々には恩典が及ばないというような問題もございますし、さらに、義務教育のみで社会に出ていきまして働かざるを得ないような方々もいるわけでございますが、そういった若年の労働者の方の税負担とのバランスというような問題もございまして、そういう個別の事情を税制においてしんしゃくするということにはおのずから限度があるということでございます。  これは、昨年の中期答申におきましてもこの点につきまして答申が出ておりまして、ちょっと読んでみますと、「新規控除」の関係で「教育費控除」というのがございますが、こういうものについて創設すべきであるとする要望があるが、税制をいたずらに複雑にするし、税制上しんしゃくするにはおのずから限界があること、客観的な基準を見出すことは困難であることというようなことで、否定的な「適当でない」というような結論が出ておるところでございます。
  361. 吉井光照

    ○吉井委員 今いろいろと答弁をいただいたわけでございますが、今も御答弁の中にありましたように、近年、私学助成が非常に充実してきておる。私立学校に対して国民一般が租税によって援助するということは、これは父母負担の軽減ということよりも、公立学校との均衡上、私立学校の教育条件の維持向上を図ることに重点があるのであって、父母負担軽減のためには個々の納税者をとらえた教育費控除の方が助成方法としては効果があるのじゃないか、このように思うわけでございます。  また、せんだって貯蓄増強中央委員会というのが貯蓄の世論調査をやっておりますけれども、その中で最も重点を置いている貯蓄の目的というものにつきまして、一位は病気や不時の災害に備えて貯蓄をするというのが三六%、二位はやはり子供の教育費や結婚資金、これが二〇・七%、このようになっております。これを見ても教育費に対するところの備えというものが極めて高い、こういうことがうなずけるわけでございます。  税制上の問題をとってみても、既に医療費の控除、また雑損控除のほかに、住宅、また老齢対策にも今特別な措置が講じられているわけですが、言ってみれば教育についてはこのような個別の税制措置がないわけですね。これは国民の大変大きな関心事でもございますし、他との均衡から見ましても、この際、教育費控除の創設はもう検討すべきではないか、このように思うわけでございます。  大臣にお尋ねをしたいのですが、新自由クラブも昨年の総選挙では教育減税というものを声高らかに提唱されたわけでございますが、この教育費減税について大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  362. 田川誠一

    田川国務大臣 教育に対する軽減措置、特に教育減税というのは私どももかねてから主張をしてきたところでございます。  ただ、今それを地方税でどういうようにして生かすかということは、今の地方財政の厳しい状態から見ますとなかなか難しい問題でございまして、私どもが考えていることは、今後の検討課題として、国税、地方税を含めて我々は真剣に考えていきたい、このように思っております。
  363. 吉井光照

    ○吉井委員 最後に、どうもいろいろ難しい問題かもしれませんけれども検討する、こういう御答弁が非常に多いわけでございます。検討するというのは一体どういうことなのか、最後にはもうわからなくなるような気がするわけでございます。  これは、基本的な問題としていつの場合でも話題になるのが、国と地方団体間におけるところの税配分の問題でございます。議事録をひもといてみても、大抵いつも同じ質問に対して同じ答弁、これが毎年毎年繰り返されているわけでございますが、やはり地方財政というものを考えていく場合に、この税配分の問題というのが非常に大きな問題だ、私はこのように思います。したがって、もうここらで何らかの前進を見ていかないと、このままいりまでも検討検討では地方財政はますます苦しくなるばかりですから、どうか早く何らかの前進の跡を示していただきたい、このように強く要望をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  364. 大石千八

    大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  365. 大石千八

    大石委員長 この際、本案に対し、日本社会党・護憲共同及び公明党・国民会議を代表して加藤万吉君他一名より修正案が、日本共産党・革新共同を代表して経塚幸夫君より修正案が、それぞれ提出されております。  両修正案の提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤万吉君。     ―――――――――――――  地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  366. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私は、提案者である日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案理由及び概要を申し上げます。  所得税はもとより、それ以上に過重な負担となっている個人住民税については、全野党こぞって大幅減税を主張してまいりました。この結果、昭和五十九年度において、約三千百億円の個人住民税減税が行われることとなりました。当初の要求に比べれば、決して満足し得るものではありませんが、一定の成果としてこれを受けとめ、今後も住民負担の軽減に向けて努力する決意であることを、ここにまず明らかにしておきたいと存じます。  さて、ここ数年、地方税制改正に強く求められていることは、住民負担の軽減はもとより、個人、法人を問わずさまざまな非課税措置特例措置を改廃し、税負担の公平を図る一方、法人課税の適正化により安定的な租税収入を確保することであります。  これに対し、市町村における減収補てん財源については全く放置したまま、地方への法人課税の配分割合を低下させる一方、個人住民税においては、最低税率引き上げ、賦課制限率の引き下げによって低所得者軽視、高額所得者優遇を強めるなど、今回の政府改正案は、地方税制改正の今日的課題とは、およそほど遠い逆の内容に終始しております。  我々は、地方税収入の安定的確保を図るためには、法人課税について抜本的な改革を行うことが不可欠であり、そのためには、まず第一に法人事業税の課税あり方について、これを外形標準課税に転換する必要があると考えます。これが本修正案を提案した理由であります。  次に、修正案の概要を御説明申し上げます。  その一つは、対象法人についてであります。資本等の金額が一億円以上の法人で普通法人を対象として、外形標準課税を行うこととし、その際、現行の収入金額を課税標準とする法人については、除外することといたしております。  その二つは、課税方式についてでありますが、現行の所得課税及び外形標準課税の併用方式とすることといたしております。  その三つは、外形標準でありますが、所得、給与、利子及び賃貸料を外形標準といたしております。  その四つは、税率であります。現行の所得課税による税収額は、基本的に確保する考えから、所得課税については、現行税率の二分の一とし、外形標準課税については、百分の一・七といたしております。  その五つは、実施時期及び経過措置でありますが、昭和六十年度から実施することとし、以後二年間の経過措置を設け、激変緩和の措置を講じております。  以上が本修正案の提案理由及び概要であります。  法人事業税における外形標準課税の導入は、全国知事会等からも長年要望されていたことであり、また法人課税あり方においても大きな転換をもたらすものであります。その意味で、本修正案は、極めて重要かつ緊急の課題と信ずるものであります。  何とぞ、慎重審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  367. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。     ―――――――――――――  地方税法等の一部を改正する法律案に対する修   正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  368. 経塚幸夫

    経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、我が党提出の地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由と概要を御説明いたします。  御承知のとおり、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案は、四年ぶりに住民税課税最低限引き上げ、約三千億円の減税を実施するとしていますが、これは、国民の強い減税要求にこたえるものとは言えないのであります。  まず、第一に、減税と言いながら、他方では、大衆課税である自動車税軽自動車税、あるいは、中小企業に相対的に負担の重い法人住民税均等割の二年連続の引き上げなどで、ここ十年来最大規模の大増税を行っていることであります。  第二は、住民税減税そのものも、これまでの減税見送りによる実質増税を償えない不十分な規模にとどまっていることであります。それは、課税最低限引き上げを行ったにもかかわらず、依然として生活保護基準額を下回り、そのために非課税限度制度を存続させていることからも明らかであります。また、市町村民税所得割の最低税率引き上げども、低所得者層への負担を強化するもので容認できるものではありません。  第三に、「納税環境の整備」と称して、憲法の民主主義に根差した申告納税制度の抜本的改悪を図っていることであります。これは、中小零細業者への徴税強化を目的としたものであり、特に、帳簿、書類の保存の義務づけや課税処分取り消し訴訟における原告側に対する一方的な制限などは、申告納税制度を根本から覆すものであり、直ちに撤回すべきものであります。  このような問題点を持つ政府案を修正して、住民税減税の規模を拡大するとともに、抱き合わせ増税を中止して国民減税要求に真にこたえる、また、申告納税制度を守るというのが本修正案の提案理由であります。  次に、本修正案の概要について御説明申し上げます。  第一に、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を各三万円引き上げ、二十九万円といたしております。また、老人扶養控除等についても所要の引き上げを行っております。これらにより、減税規模は政府案よりさらに三千億円増加し、約六子億円となる見込みであります。なお、三控除の引き上げにより、給与所得者の標準四人世帯の課税最低限は、二百七万九千円となります。  第二に、障害者控除、老年者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除についてそれぞれ三万円引き上げ、二十七万円にするとともに、「特別障害者控除も三万円引き上げ二十九万円とすることにしております。  第三に、市町村民税所得割の最低税率は二%に据え置くとともに、税率適用区分も現行どおりといたしております。  第四に、賦課制限率の引き下げは行わず、現行の八〇%に据え置くことにしております。  第五に、自動車税軽自動車税引き上げは行わないことといたしております。  第六に、法人住民税均等割については、資本金一億円以下の中小企業についてのみ現行どおり据え置くことにしております。  第七に、納税環境の整備に関する部分の改正は行わないこととし、関連条項である第十九条の十四、第二十条の十一、第四十五条の四、第七十二条の四十六などの改正規定をすべて削除いたしております。  なお、本修正に関して必要となる新たな財源は、我が党の予算組み替え提案を実施すれば十分に生み出すことが可能であります。  以上が本修正案の概要でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  369. 大石千八

    大石委員長 以上で両修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  370. 大石千八

    大石委員長 これより討論に入ります、  原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。西田司君。
  371. 西田司

    ○西田(司)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、政府提案地方税法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。  地方財政は、昭和五十九年度においても巨額の財源不足が生ずるとともに、本年度末における借入金残高は五十七兆円にも達するものと見込まれるなど、引き続いて極めて厳しい状況にあり、今後、その健全性の回復を早急に図っていく必要があります。  そして、このためには、地方団体において自主的に事務事業の見直しを行い、行財政の簡素効率化と経費の節減合理化を進めることが必要であります。  しかし、何といっても、基本的には、社会経済情勢の変化に即応して、地方団体自主性自律性を高めながら充実した地域社会を形成していくため、今後とも地方自主財源充実を図っていくことが不可欠であります。  以上のような観点に立って政府提出の本法律案を見ますと、個人住民税について、国民の強い期待にこたえ、厳しい地方財政の実情の中で、昨年成立を見た六百億円の特別減税に加え、平年度三千億円余の本格的な減税を実施することとし、課税最低限の大幅な引き上げを行い、あわせて市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整、低所得者層に係る非課税限度額引き上げ等の措置を講じております。  一方、この住民税減税に伴う財源については、地方財政をこれ以上悪化させることのないよう他の地方税増収措置により対処することとし、法人住民税均等割税率引き上げ自動車税及び軽自動車税税率調整等を行うことによりほぼ確保し、地方団体財政運営に支障が生じないよう措置されております。  また、地方税負担の公平、適正化を進める観点から、非課税等特別措置整理合理化を行うこと等としているものであります。  これらの改正は、最近における地方税負担の現状と地方財政状況から見て、いずれも当面の課題に的確に対応するものであり、現段階におきましては適切妥当なものと考える次第であります。  以上の理由により、私は政府原案に賛成し、日本社会党・護憲共同及び公明党・国民会議の共同提出の修正案並びに日本共産党・革新共同提出の修正案には反対の意を表するものであります。  以上をもって、私の政府原案賛成の討論といたします。(拍手)
  372. 大石千八

    大石委員長 山下八洲夫君
  373. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議の共同提案による地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場から、反対の討論を行います。  近年、行政改革の名のもとでの政府の縮小均衡化政策は、国民生活はもとより、国、自治体間の税財政関係にも多くの矛盾をもたらしております。とりわけ、昭和五十九年度に至っては自立自助を国、自治体間に持ち込むことによって、地方自治の発展を大きく阻害するものとなっております。すなわち、政府地方税改正案は、基本的思憩の全くないまま、取りやすいところから税を取り立て、声の大きいものには優遇し、あげくの果てには、地方自治の基礎たる市町村についてはこれを軽視しているところに最大の特徴があります。  以下、具体的に反対理由を申し上げます。  第一は、税制改正基本的思想の問題であります。三千百三十億円の減税に対し、当初これをはるかに上回る五千七百七十億円もの増税案を公表したあげく、世論の強い批判に遭ってこれを圧縮せざるを得なくなり、二千七百二十億円の増税にとどまる結果となっております。この一連の経過に見られるように、政府案には全く思想的裏づけは見られません。  第二は、市町村の減収補てんの問題であります。国税重視、地方税軽視という国の態度は、市町村において九百四十八億円の減収が何ら税源補てんされないまま放置されていることに端的に示されております。  第三は、極めて不公平とも言うべき個人住民税減税の問題であります。今回の改正案は、最低税率を〇・五%引き上げ、賦課制限率の引き下げなど、低所得者の負担強化、高額所得者優遇の典型であります。この点では、無思想の改正内容において唯一思想のある改正と言うべきでありましょう。  このほか、自動車税、とりわけ個人所得定額課税引き上げなど、税を取りやすいところから取り立てる点では際立った内容を持っていると言えます。  しかも他方では、法人税率引き上げに対し地方法人課税の強化を放置したことから、地方に対する法人課税の配分割合は低下する一方となり、産業用電気税の非課税措置、社会保険診療報酬課税特例措置、新聞、放送事業等に対する特例措置等、不公平税制を放置するなど、地方税制改正に求められている今日的課題からは遠く隔たった内容と言わざるを得ません。  この際、政府は、地方税源充実、不公平税制の是正、安定的税収確保のための法人事業税の外形標準課税への転換などを図り、地方自治の発展を図るべきであることを強く主張いたします。  なお最後に、納税環境の整備ということで申告納付にかかわる記帳を義務づけるやり方は、税務行政を権力化するものであり、余りにも問題が多く、反対であることをこの際はっきりしておきたいと存じます。  以上、私の反対の討論を終わらせていただきます。(拍手)
  374. 大石千八

    大石委員長 宮崎角治君。
  375. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方税法等の一部を改正する法律案及び日本共産党・革新共同提出の同法修正案に反対し、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議共同提出の同法修正案に賛成する討論を行うものであります。  まず、政府原案に対する反対理由の第一といたしまして、国、地方を通ずる税源配分についてであります。  五十九年度の地方財政は、五十年以来の大型財源不足から依然脱却できず、一兆五千億円を上回る赤字を生じております。  今日の財政危機は、国、地方ともに厳しい状況に置かれておりますが、この主な原因は、高い経済成長のもとでとり続けてきた行財政構造に抜本的改革が加えられていないことによるもので、今回の税制改正に当たっても従来の仕組みや慣行の見直しが行われておりません。  また最近は、地域の特性を生かした郷土づくりや住民生活に根差した文化がはぐくまれて、地方の時代という言葉が定着しております。あらゆる面において地方にスポットが当てられておるのであります。  こうしたときに、地方自治の本旨に基づき、住民のニーズにこたえる行政を行うことは時代の要請であります。そのためには、今日の国中心税制構造を改革して、地方自治充実の基盤となる税源確保がなされなければなりません。  しかし、今回の政府案は、こうした改革の方向すら見当たらないばかりか、五十九年度の税制改正を見ますと、税配分はむしろ国の方により手厚く措置されており、地方税充実の姿勢が全くうかがえないのであります。  さらに、税収の安定的確保という点から、私ども法人事業税の外形課税化を強く要求してきましたが、こうした点につきましても改革されておらないのであります。少なくとも、社公提案の修正案のとおり修正を行うことを要求するものであります。  反対理由の第二点といたしまして、減税についてであります。  減税に対する今回の政府案は、平年度で住民税三千億円、所得税七千億円の合わせて一兆円を予定しております。  現在、景気は回復途上にあるというものの、その大半は輸出の好調によるものであり、国内の景気はいま一歩のてこ入れが必要であると思います。  また、今回の住民税減税により課税最低限が標準世帯で百八十八万八千円に引き上げられたというものの、依然として生活保護基準額を下回っており、生活費に食い込んだ税制度と言わざるを得ません。  また一方では、調整、見直しの名のもとで酒税、物品税あるいは自動車税引き上げを行っておりますが、これらのいわゆる大衆課税は、減税による景気回復の効果を相殺するものであり、国民の租税負担の増大を招き、総理の言う「増税なき財政再建」に逆行するものであります。その上、今回の最低税率引き上げ措置は、低所得者の税負担を増大させるものであります。  このように、今回の政府案は、減税とは裏腹に国民負担を強いるものであり、強く反対するものであります。これが反対の第二の理由であります。  反対理由の第三点といたしまして、非課税措置の洗い直しについてであります。  今回の地方税制度は、国の租税特別措置などにより国税を減免した場合、地方税が減収する仕組みになっております。また、地方税においても、産業振興の目的で国の政策減税措置がとられておりますが、これらは既得権化しているものも少なくありません。  このような国税の租税特別措置及び地方税の減免措置は、地方税の減収を招くとともに、地方自治体の課税自主権を制約するものであると思います。国の租税特別措置地方への影響を断ち切るとともに、地方税の非課税措置についても全面的洗い直しを行うべきでありますが、これらの改革は行われておりません。これが反対理由の第三であります。  以上が政府原案に対する主な反対理由であります。  なお、共産党提出の修正案については、意見を異にする点が少なくありませんので、この際、反対いたします。  以上をもちまして、反対討論といたします。(拍手)
  376. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  377. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、討論を行うものであります。  まず、原案についてであります。  第一は、住民税減税は要求の七〇%で非常に少なく、見返りの増税はたっぷりでありまして、景気の浮揚に役立つとは思えません。  第二は、地方税の関係におきまして不公平税制の是正が行われておりません。  第三は、住民税の関係でありますが、最低税率を二%から二・五%に引き上げておることは明らかに増税であります。  第四は、住民税税率適用区分についてでありますが、課税所得金額三十万円以下を二十万円以下と下げておりますことは実質的な増税であります。  第五は、自動車税軽自動車税の一〇ないし一五%のアップは明らかなる大衆増税であります。  以上の理由によって原案に反対をするものであります。  次に、修正案についてでありますが、法人事業税に外形標準課税方式導入の修正案につきましては、その趣旨には大いに賛同するところがあります。  しかしながら、資本金一億円とありますのが大変気になるのでありまして、この件について知事会が既に提案をなさっておられるのを見ましても、中小企業保護のため資本金五億円以上をとるべしという意見があります。それと随分離れておりますので、資本金一億円というのは問題があると考えます。中小企業への配慮が多少不足をしているのではないかなと思われるのであります。結果的には、赤字がふえるだけで、倒産、雇用不安を招くことになりかねないと思うのであります。  以上の理由によりまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議御提出の修正案には反対をいたします。  また、日本共産党・革新共同側提出の修正案につきましては、考え方を大いに異にいたしますので、これにも反対することを表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
  378. 大石千八

  379. 経塚幸夫

    経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案に反対、我が党提出の修正案に賛成の立場から討論を行います。  政府は、四年ぶりにいわゆる本格減税を実施したと称しておりますが、実際には減税を隠れみのに大増税を行っております。これが反対理由の第一であります。  平年度ベースで見た増税額は三千九百五十三億円で、これはここ十年来で最大規模の増税であります。しかも、その大部分が大衆課税である自動車税軽自動車税、あるいは中小企業に相対的に重い法人住民税均等割引き上げであり、しかも、引き上げ幅はかつてない大幅なものとなっているのであります。  第二は、住民税改正が、低所得者に不利に高額所得者に有利になっている点であります。  二十二年ぶりに市町村民税所得割の最低税率を二%から二・五%に引き上げたために、年収三百万円以下の低所得者層は、昭和五十九年度から六十年度にかけては増税となるのであります。昨年、総選挙の際、選挙で何を期待するかとの新聞の世論調査に対し、減税がトップに挙がっておりましたが、今回の改正案は国民の切実な願いに逆行するものと言わねばなりません。  また、賦課制限率の二%引き下げは、超高額所得者に数百万円単位の減税をもたらし、これでは不公平の是正どころか拡大であります。減税財源捻出のためにも、不公平税制是正のためにも、大企業優遇税制にこそメスを入れるべきであります。  第三の反対理由は、申告納税制度の抜本的な改悪であります。  納税者には帳簿、書類の保存を義務づけながら、税務当局には課税に当たって何の調査の義務も課さない。訴訟になれば決定庁が立証の責任を負うと最高裁判例もあるのに、この判例も無視、納税者にだけ立証の義務を課し、しかもその機会も一方的に奪うものであり、新憲法下での国民主権に根差した申告納税制度そのものを覆すものであります。  しかも、このような重大な法案を法制審にもかけず、日弁連など関係団体の意見も聞かず、いわゆる日切れ法案と抱き合わせで可決させようとしていることは極めて重大であります。直ちに撤回し、広く関係者の意見を改めて聞くべきであります。  以上が政府案に対する主な反対理由であります。  次に、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議提出の修正案についてでありますが、目下の地方税改正案修正の焦点は、住民税減税の規模の拡大、自動車税等の増税の取りやめ、及び申告納税制度の改悪阻止にあるのであり、これらの点に触れていない修正案には残念ながら同意できないのであります。  最後に、我が党の修正案は、個人住民税を六千億円規模に拡大するとともに、自動車税などの増税は中止することとしております。また、申告納税制度の改悪は行わないことにしております。これが実現するならば、低迷する個人消費を刺激し、国民本位の景気回復に一定の役割を果たすことは明らかであります。  以上、政府提出の原案に反対、二党共同提出の修正案に反対、我が党提出の修正案に賛成の態度を表明して、討論を終わります。
  380. 大石千八

    大石委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  381. 大石千八

    大石委員長 これより採決に入ります。  地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、加藤万吉君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  382. 大石千八

    大石委員長 起立少数。よって、加藤万吉君外一名提出の修正案は否決されました。  次に、経塚幸夫君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  383. 大石千八

    大石委員長 起立少数。よって、経塚幸夫君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  384. 大石千八

    大石委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  385. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  386. 大石千八

    大石委員長 次回は、来る二十七日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時五十三分散会      ――――◇―――――