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1984-07-10 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十日(火曜日)     午前十時四分開議  出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 坂口  力君       大島 理森君    熊谷  弘君       小泉純一郎君    笹山 登生君       田中 秀征君    中川 昭一君       額賀福志郎君    東   力君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       宮下 創平君    村上 茂利君       山岡 謙蔵君    与謝野 馨君       川崎 寛治君    沢田  広君       戸田 菊雄君    堀  昌雄君       柴田  弘君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    安倍 基雄君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      大出 峻郎君         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局次         長       中田 一男君  委員外出席者         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         通商産業省貿易         局輸入課長   奈須 俊和君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      山浦 紘一君         自治省税務学府         県税課長    湯浅 利夫君         会計検査院事務         総局第五局大蔵         事業検査課長  春田 正夫君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社総         務理事     岡島 和男君         日本専売公社総         務理事     西村 忠弘君         日本専売公社総         務理事     森  宗作君         日本専売公社理         事       生平 幸立君         日本専売公社理         事       遠藤  泰君         日本専売公社理         事       丹生 守夫君         日本専売公社理         事       友成  豊君         日本専売公社管         理調整本部職員         部長      伴内 昭彦君         参  考  人         (全国たばこ耕         作組合中央会専         務理事)    松下龍太郎君         参  考  人         (全国たばこ販         売協同組合連合         会副会長)   関野 泰夫君         参  考  人         (社団法人日本         塩工業会副会         長)      牧内 研二君         参  考  人         (社団法人日本         塩工業会副会         長)      前囿 利治君         参  考  人         (専売事業審議         会委員長)   大月  高君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十日  辞任        補欠選任   塩島  大君    額賀福志郎君   森  美秀君    大島 理森君     ――――――――――――― 同日  辞任        補欠選任   額賀福志郎君    塩島  大君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  たばこ事業法案内閣提出第七四号)  日本たばこ産業株式会社法案内閣提出第七五  号)  塩専売法案内閣提出第七六号)  たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出第七七号)  たばこ消費税法案内閣提出第七八号)     ―――――――――――――
  2. 瓦力

    瓦委員長 これより会議を開きます。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。  これより各案について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席をいただきました参考人は、全国たばこ耕作組合中央会専務理事松下龍太郎君、全国たばこ販売協同組合連合会会長関野泰夫君、全専売労働組合中央執行委員長牧内研二君、社団法人日本塩工業会会長前囿利治君、専売事業審議会委員長大月高君であります。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。まず参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることとなっております。  それでは、まず最初に松下参考人からお願いいたします。
  3. 松下龍太郎

    松下参考人 御紹介をいただきました松下でございます。専売改革法案の御審議につきましては特段の御配慮を賜っておりまして、心から厚く御礼を申し上げます。機会を与えていただきましたので、たばこ耕作者としての意見を率直に述べさせていただきたいと存じます。  今回の専売改革問題が提起されましたとき、そのたばこ耕作に及ぼす影響が極めて大きいことから、耕作者はその推移に深刻な不安を持っておりました。特に、この問題が製品市場開放問題と並行して生じましたところに問題の厳しさがあったわけであります。  たばこ耕作は、八十余年の間、専売制度のもとにありまして、その原料供給役割を担当してまいりました。最近においては、かつての零細経営から脱皮をいたしまして、耕種部門では米に次ぐ生産高の農産物に成長いたしました。また、たばと耕作農家も極めて専業度の高い、農村経済における中核的な存在となっております。このような実態から、私どもは、今回の改革に当たりましては、単に企業合理化観点にとどまらず、我が国農業におけるたばこ耕作の意義をあわせ考えるべきであるという考え方から、現行専売制度公社制度維持を強く主張してまいったところであります。  しかしながら、一方、市場開放を強く求められている現下の国際情勢下におきまして、我が国たばこ事業国際競争力強化が急務であることもまた事実であります。外国製品シェア拡大すれば直ちに原料葉たばこ需要減退につながるという現実を無視することもできません。  この農政的な配慮と、たばこ事業当事者能力強化という二つの柱の調和を図り、我が国たばこ事業の長期的な発展を目指したものがこの改革法案であると私どもは考えております。ここに至るまでにはさまざまな紆余曲折がございました。しかし、私どもはこの法案を信頼し、その成立を強く念願するものであります。諸先生のこの上とも一段の御高配を心からお願い申し上げます。  この法案によりまして、たばこ耕作に関する基本的な諸制度発展的に継承されておりますことはまことに感謝にたえないところであります。しかしながら、今後の新会社運営について一抹の不安がないわけではありません。新会社が激烈な国際競争下においてその企業性最高度に発揮すべきであることはもとよりでありますが、しかし、その運営利潤追求に偏する余り、農業であるたばこ耕作に対して限界を超えたしわ寄せを及ぼすようなことがありましては、我が国たばこ農業の将来はありません。私ども自身、みずからの体質強化に真剣な努力を傾ける所存でありますが、新会社が今後とも節度ある経営を行うよう諸先生特段の御配慮を特にお願い申し上げます。  同時に、株式の政府保有については、私ども耕作者の大きな不安の中でいわゆる公社特殊会社化に踏み切った最大のよりどころが政府が全額出資する国有会社であるという点にあった実情を御理解をちょうだいいたしたいと存じます。  市場開放体制のもとにあって、これからの我が国たばこ事業環境はまことに厳しいものがあると存じます。私どもは、運命共同体として新会社と一体となって品質生産性の向上に全力を挙げてまいる所存でありますが、何分にも我が国の風土、立地条件からして、体質の改善には多くの困難がございます。今後とも、農林行政の一層の御協力をお願いいたしますとともに、新会社による耕作近代化のための耕作者耕作組合への助成の継続、試験研究機関強化などに特段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。  同時に、法案に直接関連するものではありませんが、今後の国際的な原料コスト面での競争に対処いたしますためには、製品たばこの関税問題が極めて重要であります。今後のたばこ事業において国産葉たばこを将来とも主原料として使用していく方針を貫くためにも、先般三五%から二〇%に引き下げられました関税率がこれ以上引き下げられることのないよう、ぜひとも御配慮をお願い申し上げる次第であります。  以上、たばこ耕作者心情を申し上げました。  私ども心情をお酌み取りいただきまして、改革法案の今国会での成立のため特段の御配慮をお願いいたしますとともに、新会社移行後も、耕作者のため、一層の御指導を賜りますようお願いを申し上げまして、意見といたします。(拍手
  4. 瓦力

    瓦委員長 ありがとうございました。  次に、関野参考人にお願いいたします。
  5. 関野泰夫

    関野参考人 関野でございます。たばこ販売協同組合全国連合会の副会長をさせていただいております。先生方には、日ごろたばこ販売業界に対しまして、温かい御指導を賜りまして、ありがたく存じております。また、このたびはたばこ事業関係法案につきまして御熱心な御審議をいただき、本日は私ども業界意見を述べさせていただく機会を得ましたことを大変光栄に存じております。  今回、専売制公社制度改革に当たりましては、私どもたばこ販売店流通秩序維持、特に指定制定価制度維持を強くお願いしてまいったところでございます。先生方には既に御存じのことと存じますが、ここで私たちの願いの趣旨を述べさせていただきます。  たばこ流通専売制がとられましたのは明治の時代でございましたが、財政上の要請によって民営から専売制になりまして、既に八十年余が経過いたしております。この間、たばこ小売店は零細な経営実態の中で、嗜好品として日常生活に親しまれておりますたばこお客様への利便流通秩序維持に努めてまいり、結果として、国及び地方自治体財政収入確保に協力してまいったのでございます。この小売人指定制度は、いかなる地域におきましても同一品質同一価格で販売し、商品購買への信頼を築き上げております。また、このたばこにかかる税金には国及び地方自治体はほとんど徴税コストを必要としないで、しかも確実に税収を上げられているわけでございます。こうした長い歴史を通じまして、たばこ小売店役割、使命、そして貢献について、ぜひ先生方の御理解を賜りたいと存じております。  次に、小売人経営実態について申し述べさせていただきます。  現在、たばこ小売店全国で約二十六万店ございます。これはお酒の販売店が十四万店くらいと伺っておりますので、その倍近い数字でございます。また人口の面から見ますと、四百五十人に一店ぐらいの割合になっており、皆様に御不便をかけないように配置されていると思われます。このたばこ小売店の一店当たりの平均の売上高は月に約百万円ぐらいでございます。しかも、月百万円以下のお店が全体の七〇%ぐらい、それから五十万円以下で見ますと四〇%ぐらいを占めております。たばこ小売店がそういった零細な経営実態にあることがおわかりいただけると存じます。また、このたばこ小売人の中には、身体障害者福祉法及び母子及び寡婦福祉法の該当の方もかなりいらっしゃるわけでございます。こうした状況の中で今日たばこ小売店が何とか経営していくことができますのは、むろん他の商売を兼業しております店も多うございますが、何と申しましても指定定価制度によるものでございます。  以上申し上げましたように、指定制は、財政上も、消費者利便あるいは小売経営上からも、明治以来有効に機能してきたものと信じております。仮に。これが崩壊するようなことになりますと、軒並みにたばこが販売されることになりまして、小売店が乱立することは明らかでございますし、小売店はさらに零細化して、その秩序が乱れて各方面に重大な影響が出ることと思われます。このことからきます混乱は、新たにできる会社等における配送経費販売費の増大を招きまして、ひいては価格の上昇、そして乱立によって財政収入影響を生じるおそれもございます。今回審議されております法律案におきましても、この指定制度につきましては実質的な維持が図られておりますことを大変ありがたく存じておりますが、今後とも、将来にわたって先生方の御高配をいただけますよう心からお願い申し上げます。  定価制度につきましても同様でございまして、現在、たばこ銘柄ごと定価が定められ、全国どこの売り場でも同じ価格で売ることが義務づけられておりまして、たばこ小売店はこれをかたく守り続けてきたわけでございます。したがって、定価制度お客様にも長い間にわたって定着し、商習慣として確立されております。もしこの秩序が崩れるようなことになりますと、場所によっては大変高価なものとなったり、大規模小売店値引き販売やダンピングを行うおそれがございます。それに対応できない零細なお店は、おのずから経営維持することが難しくなることは明らかでございます。またこれは財政、すなわち税収確保にも影響することが心配されます。なお、外国におきましても、専売国のみならず、非専売国でも定価制度をとっている国があると伺っております。  図らずも私ども意見を述べさせていただく機会を与えられましたことを厚くお礼申し上げますとともに、今国会の御審議に当たりまして、零細な小売店実情を十分に御賢察いただき、指定定価制度が、法的措置はもとより、運用も含めまして実質的な維持が図られまして、早期成立をいただけますよう伏してお願い申し上げる次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手
  6. 瓦力

    瓦委員長 ありがとうございました。  次に、牧内参考人にお願いいたします。
  7. 牧内研二

    牧内参考人 全専売労働組合委員長をしています牧内です。本委員会審議が行われている専売公社改革法案に対する私の意見を陳述させていただきます。  私たち専売労働組合は、御承知のとおり、専売公社で働いている職員で組織している組合であります。それだけに、専売制度八十余年、公社制度三十余年にわたる制度抜本的改革である今回の改革法案に対して強い関心を持っていることは言うまでもありません。  私たちは、これまで専売制度下日本たばこ塩産業維持発展のために努力してまいりました。将来に向けても、日本資本で、力で、そして努力日本たばこ塩産業発展を図ることを基本に、たばこについては、安くてうまくて安心して吸えるたばこ供給、国や自治体財源安定的確保を図り、塩については、円滑な需給と価格の安定を図るための努力をする決意であります。同時に、専売事業目的達成のため現在まで協力しかつ努力を続けてきた葉たばこ耕作農民たばこ販売店関連産業、そして全専売組合員雇用生活労働条件の安定をこの改革法案審議の中で求めていきたいと考えています。  今、たばこ産業をめぐる環境は、国際的にも国内的にも大変厳しい条件下にあります。つまり、ビッグスリーといわれる巨大なたばこ資本によって国際市場は支配されておりますが、日本市場専売制度下公社に独占されていることに対して、アメリカを中心として年々市場開放要請が強まり、既に現制度下においても外国たばこシェア拡大方向にあり、成年人口伸び率の鈍化、喫煙と健康問題等々を背景にたばこ需要停滞傾向が続く中で、このような外国からの市場開放要求動き日本たばこ産業をより厳しい情勢下に追い込みつつあるということが言えます。かかる情勢下で、私たちは、我が国たばこ産業を守るため、競争体制の確立、消費者の希求にこたえるたばこづくり全力を挙げることを強く求められているところであります。  今回の改革法案は、その意味では、日本たばこ産業維持し、発展させるための競争体制づくりであろうと考えます。同時に、体制づくりは、たばこ産業の特性、現状等を正しく見詰めた上での条件づくりでなくてはなりません。そうした前提に立って意見を申し上げたいというふうに思います。  上程されているたばこ事業法の第一条「目的」には、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入安定的確保及び国民経済の健全な発展に資する」とありますが、そのためには、自主性責任の裏づけを持つ効率的、弾力的経営制度運用の両面から行われ、名実とも当事者能力確保されなくてはなりません。あわせて、職場活性化、働きがいのある職場づくりのため、近代的労使関係が確立されなければなりません。法案全体を見た場合、当事者能力労使関係近代化に向けて前向きな対応がとられていることを評価いたしますが、一方では、政令省令に加えて、大蔵大臣許認可によるとする部分が多く見られます。この内容につきましては本委員会審議を通じて既にかなりの程度明らかにされていますが、経営責任明確化当事者能力確保観点から、なお一層明らかにしていただきたいと思います。  公社から会社化への目的の一つは、所有と経営の分離にあると思います。どんな情勢にも即応できる活力ある経営経営陣に与えなくてはなりません。その意味では、政令省令、特に許認可権の行使のいかんによっては、事業範囲拡大に対する抑制、予算や給与に対する統制など具体的経営活動への介入が行われることになり、ひいては当事者能力の制約につながり、公社改革目的に反することになります。また労使関係についても、私たちの周りに、労働三法等の適用が法律上では認められても、現実には給与等労働条件の設定に関して自主性のある労使関係が確立されていない特殊会社があることも事実であり、当事者能力近代的労使関係が実効あるよう措置されることを強く求めるところであります。  次に、長い専売制度公社制度の中で日本たばこ産業を支えてきた私たち組合員は言うに及ばず、葉たばこ耕作農民たばこ販売店関連産業で働く人たち雇用生活労働条件についての不安解消のみならず、将来に向けての安定した生活の保証を強く求めたいと考えます。臨調答申その他から専売事業に対する幾つかの批判があることは否定をいたしません。しかし、今日三兆円の売上高、一兆八千億円の財政貢献を果たしている公社は、こうした人たち努力によって支えられているということもぜひ認めていただきたいというふうに考えます。  たばこ産業を取り巻く厳しい情勢の中で制度改革の必要は認めますが、その犠牲がストレートにたばこ産業を支えている人々にかかることは許されません。本法案が、その意味では民営・分割の道をとらず、葉たばこ耕作者販売店条件に対しても激変緩和方向をとり、職員雇用労働条件についても基本的に新会社が引き継ぐことなどの措置は評価をするところであります。  しかし、それでもなお多くの人が将来に向けて強い不安を持っていることも事実であります。これは、たばこ市場が全体的に停滞している中で巨大な国際資本の進出が確実視されること、また、公社制度から特殊会社へ切りかわることに伴い、自分たちの仕事がどう変わり、働く条件等にどう影響が出るのかよく理解ができないこと等からだと思います。これからの厳しい情勢の中で競争に勝つためには、品質の面でもコストの面でもより一層の努力が必要でしょう。技術革新動きは強まるでしょう。組合としても対応するつもりではありますが、それだけに、経営基盤強化とあわせて、雇用安定のためにも事業領域拡大に前向きな取り組みがぜひ必要であります。また、輸入品会社同一の規制の原則が守られるのか、葉たばこについても国内産葉が主原料になるための位置づくりをどうしていくのか、減反だけを強制するのではなく、日本農政との関係を見詰めながら葉たばこ耕作農民生活をどう守っていくのか、審議を通じての前向きな対応を具体的に示していただきたいと考えます。  もちろん、流通自由化後の厳しい国際競争の中で国内品シェア確保され、新会社事業規模が安定しない限り、関係団体や働く人たち雇用生活条件が安定しないことも明らかです。それだけに、葉たばこ耕作団体販売団体関連産業、そして労働組合を含めた新会社本体との調和ある体制をどうつくっていくのか、私たち関係団体自身努力もさることながら、国としても実効が上がるような対策をお願いする次第であります。  最後に、新会社財務等健全経営確保必要性について簡単に触れます。  健全経営確保は新会社の重要な課題であり、労働組合としても当然関心の強いところであります。また、そのことなくして安定的な国や自治体財源確保にもつながりません。  制度改革後の新会社財務を展望した場合、法人税等新たな負担増が生ずることは御案内のとおりであり、また、消費税制度への移行に伴い移行初年度二年分の税金相当額を支払うことから、新会社の資金繰り、利子増も無視できないところであります。さらに今後の厳しいシェア争い価格競争を考えるとき、我が国たばこ産業長期的発展のためには、産業関係者みずからの努力は当然でありますが、国としての十分な対応も必要であります。つまり、税制変更に伴う新会社の資金問題についての適切な配慮資本金が過大にならないような配慮、あるいは五十八年、五十九年度の特別措置、いわゆる三十四銭問題については延長の措置をとらないこと等、新会社健全経営のための諸措置に加え、国内産葉たばこ実情等にかんがみ、現行関税率水準を守ることはもとより、将来的な課題として、いわゆる葉たばこ農政負担分といわれる部分製品コストにはね返らない措置の検討などが必要であると考えます。  なお、塩専売制度については、塩が重要物資であることなどから、公益専売としての立場を将来にわたって守ることが必要であることを強く訴えておきたいと思います。  日本たばこ塩産業維持のため、労働組合としても全力を挙げて取り組むことを申し上げ、本法案審議を通じてそうした体制が確立されることを期待し、私の意見にかえたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手
  8. 瓦力

    瓦委員長 ありがとうございました。  次に、前囿参考人にお願いいたします。
  9. 前囿利治

    ○前囿参考人 塩の生産団体であります日本塩工業会の副会長の前国でございます。塩の生産につきまして、日ごろから温かい御支援、御指導をいただいておりまして、厚く御礼を申し上げます。  今回提案されております塩専売法案に関連しまして、次の四点について要望意見を申し上げます。  第一点でございますが、この法案におきましては、塩専売の公益目的が明文化されております。また、現行の塩専売制度の基本的骨組みは実態的に継続されております。この点につきまして、塩事業の関係者として深く感謝申し上げたいと思っております。そんな意味で、この法案が今国会で原案どおり無事可決、成立することを希望いたしております。  第二点でございますが、新しい専売法のもとでの塩事業の運営に当たりましては、公益目的を追求することはもちろんでありますが、塩事業関係者に対しましても引き続き血の通った施策が講ぜられるよう、特段の御配意をお願いいたします。  このような観点から、次の二つの項目について具体的な要望を申し上げます。  一つは、大蔵大臣の諮問機関として設立されますたばこ事業審議会及び新たに新会社に設立される塩専売事業運営委員会、この両者の構成並びに運営に当たりましては、塩事業関係者の本当の声が十分に反映されるよう、御配意をお願いいたしたい。  いま一つは、現在、公社総裁の諮問機関であります塩業審議会及び塩収納価格審議会、これは引き続き新会社の塩事業責任者の諮問機関として存置をされ、これまでと同様の運営を継続していかれるようお願いをいたしたい。  三点目でございますが、人間の生存に不可欠な食用塩は、我が国のように塩づくりには大変不向きな条件下にありましても、経済ベースにのっとった上でなるべく自給率を高めていきたいというのは塩事業関係者の長年の宿願でもございます。そのために塩の関係業界におきましては、国内塩産業の自立体制の確立、こういう目標に向かって目下生産流通の両面にわたり精いっぱいの合理化努力を行っておるところでございます。  塩の生産業界の実例を申し上げますと、製塩企業は昭和五十七年、五十八年、五十九年と連続する大幅な生産価格の引き下げに耐えながら、新しいイオン交換膜の導入、燃料転換といったことを中心にしまして、相当多額の投資負担を伴う合理化努力を懸命に実施中でございます。そして着実にコストを引き下げ、昭和六十一年の一万七千円という目標価格に向かって忠実に接近を図っておるところでございます。  一方また、販売特例塩、自主流通米に似たような販売特例塩というのがございますが、これにつきましても一定の秩序を守りながらその拡販に力を注ぎ、全体で年間三十万トンを超える状況になっております。国内の生産が百二十万トンでございますので、約四分の一近くになる状況まで至っております。このように、塩産業の自立化を目指して真剣に努力をしておる点につきまして御理解を賜りたいと思っております。同時にまた、生産流通の合理化の進行過程で無用な混乱が起きないよう適切な措置を講ぜられるとともに、大きな影響が出そうな場合には特段配慮がなされるよう要望いたします。  四点目でございますが、この法案の附則第二条で、国内塩産業の自立化のめどが得られた段階で、この法案に検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずるということにされておりますが、塩の公益専売制度に検討を加えられる際には、塩の重要性にかんがみ、その公的関与のあり方について、国民消費者並びに公益専売事業に長年貢献してきておる塩事業関係者の意見を十分尊重されるよう強く希望したいと思います。  以上でございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  10. 瓦力

    瓦委員長 ありがとうございました。  次に、大月参考人にお願いいたします。
  11. 大月高

    大月参考人 私、専売事業審議会の委員長大月でございます。  私ども専売事業審議会といたしましては、昭和五十五年の十月以降数次にわたりまして、臨時行政調査会での論議もいろいろ参考にさしていただきながら専売事業関係者の方々からいろいろ御意見を承りました。また諸外国におけるこの専売の事業について事例を勉強いたしまして、専売事業の今後のあり方について慎重な議論を重ねてまいったわけでございますが、去る三月三十日に審議会の意見を取りまとめて大蔵大臣に提出してございます。  その意見は、要約いたしますと、基調的には臨時行政調査会の基本答申と軌を一にしておるわけでございますけれども専売事業審議会と申しますのは専売事業運営に関しまして常時実情の把握に努めながら随時意見を申し述べてまいる、こういう機関でございます。したがいまして、行政改革の理念を強く出されております臨時行政調査会の御意見とは具体的な問題については若干のニュアンスを異にするということはやむを得ないと思います。しかしながら、私ども立場から見まして、今次の改革法案は全体として臨時行政調査会の答申及び私どもの建議の趣旨に沿ったものでございまして、今後のたばこ産業の健全な発展を図りながら財政収入安定的確保、それから国民経済の健全な発展に資する、そういうような観点から申しまして適当なものだと考えております。  以下、今次改革法案を適当と考えております理由について申し述べさしていただきたいと思います。  まず第一に、今次の改革法案を評価いたします第一の理由といたしましては、製造たばこの輸入の自由化が図られておるという点でございます。  我が国たばこ市場は、御存じのように自由世界第二位の市場規模を持っておりまして、その総消費量は三千億本を超えております。しかし、現状では専売制度のもとで輸入品の販売数量は六十億本に足りない。シェアから申しまして二%を割るというようなことでございますので、米国を中心とする諸外国から強い不満が表明されておるということは御承知のとおりでございます。  これに対しまして、私は、国際社会における我が国立場から考えまして開放経済体制への適切な対応が不可欠であると考えます。それで、そういう意味から積極的に開放体制を進めていく必要があると存ずるわけでございます。  また、輸入自由化を図る場合の方法といたしまして、いろいろ考えられるわけでございますが、一つには専売制度維持しながら部分的に自由化を行うという考えもあろうかと思います。しかし、むしろこの際は専売制度を廃止いたしまして、製造たばこの輸入の完全自由化を図ること、このことが長期的な観点たばこ産業のために必要であると考えておるわけでございます。  改革法案全体を通観いたしますと、このような立場に立ちまして製造たばこの完全な自由化と同時に、専売制度の廃止という抜本的対策を講じておられるわけでございますので、まず第一に、基本的な問題としてこの点を高く評価いたしたいと思います。  第二の理由でございますが、今次の改革法案におきましては、専売制度を廃止いたしまして特殊会社制度をとっておるという点でございます。これによりまして、厳しい条件のもとでこの産業が合理的、効率的な企業経営を行っていく可能性が与えられたと感ずるわけでございます。  外国たばこの輸入の自由化に伴いまして、外国たばこ製品との競争の激化が予想されるわけでございますが、これに対抗いたしますのには、現行の専売制度では不十分であります。どうしても、コスト意識に基づいた合理的な経営が最大限可能となるような経営形態を模索しなくてはいけないわけでございます。このために、現行の公社形態を変える必要があると思うわけでございますけれども、今後、イギリス、アメリカなどの巨大な国際たばこ資本に征しまして、自由競争のもとで我が国たばこ産業維持発展を図っていく、こういう必要を考えますと、どうしてもこの公社の弱体化に通ずるところの分割あるいは複数の会社の乱立、こういうことは絶対に避けなければならないと思うのでございます。この点は、我が国葉たばこ問題の観点から考えましても同様でございます。  そういたしますと、結論はどうなるかと申しますと、公社の業務を承継する新しい組織は単一であることということが結論づけられると思うわけでございます。しかし、そうなりますとこの組織には独占的な弊害が生ずるおそれがあるわけでございますので、これを避けなければなりません。また、公共的立場において業務を遂行すべき任務もあわせて課せられなければならないわけでございます。こういう二つの意味からいたしまして、直ちに民営化するということは適当でない、私はこういう考えを持っておるわけであります。このように考えますと、現状におきましては、公的関与、労働関係、業務範囲、投資等につきまして、可能な限り自由度を付与された政府出資の特殊会社とすることは適当であると考えるわけでございます。  政府の原案におきましては、公社特殊会社化するとともに、公的規制について大臣認可事項を必要最小限のものにとどめてあります。また、労働関係におきましては労働三法を適用する、また税制におきましては現在の納付金制度を改めましてたばこ消費税制度を採用する、こういうように十分の配慮が見られ、適切なものと考えるわけでございますけれども、翻って考えますと、喫煙と健康の問題等重要な問題がございまして需要の停滞が予想されるというような、内外ともに厳しい情勢でございます。そういう条件のもとで国際競争に耐えていくことにつきましては、関係者の非常な努力が必要なのではないか。  今次改革によりまして設立が予想されております株式会社は、当然でございますけれども、今後は、当初は全額政府出資といたしましても、逐次民間に開放していくことが必要だと思います。もちろん、当初いろいろ不確定要件がございまして直ちにというわけにはいかないと思いますけれども、できるだけ早い機会に民間に資本を開放し、合理的な、効率的な経営ができますように努力いたすべきものだと考えます。  第三点でございますが、新制度移行に当たりまして、たばこ事業関係者に不安を与えることがないように、実情に即した配慮がなされておるという点でございます。  改革法案は、この点、製造独占を維持するという方針をとっております。また、葉たばこの全量購買制、指定小売人制、定価制、こういうものについて、当分の間ではありますけれどもこれを維持するという措置を講じておるわけでございまして、切りかえに際してはこれはやむを得ないことだと私は考えます。しかしながら、たばこの事業関係者がこういうような旧制度維持されておるということに安住いたしまして合理化努力を怠ることは許されない。そういう意味で、関係者の方々の効率化、合理化に対する努力要請したいと思います。  第四の理由でございますが、喫煙と健康の問題に対する世論の高まりに対応いたしまして、広告宣伝規制、注意表示義務を法定してあることでございます。そういう規制はございますけれども、この喫煙と健康の問題と申しますのは、たばこ産業にとりまして世界的な問題であります。基本的な、極めて重要な問題でありますので、新しい特殊会社におかれても、十分にこの健康問題に対する科学的研究を進められて、十分安全なたばこをつくる努力をされることを希望したい。それから、政府の側におきましても、未成年者の喫煙防止の問題とか広告宣伝規制等について、従来以上に関心を持って御指導いただきたいと思います。  なお、最後に、塩の専売法案につきましては、これは従来各種審議会及び閣議決定によりまして国内塩産業の自立化を図るという方針が確立いたしておりまして、その方向に向かって努力し得るよう公的な、法的な規制をここで決めておるわけでございます。そういう意味におきまして、極めて妥当なものであろうと存ずるわけであります。  以上、いろいろ申し述べましたけれども、今次改革法案は、新会社を含む今後のたばこ産業のあるべき方向について基本的な枠組みを決めておるものでございまして、これを真に生かしますかどうかということは、二つの問題がございます。  一つは、政府のサイドにおかれまして、民間の自主性、創意工夫を最大限に尊重するような適切な法の運用をお願いいたしたいということであります。それから、新会社を含むたばこ事業関係者の対応いかんということが、この法律の今後を左右するものだと思います。たばこの事業関係者と申しましても、公社職員数は三万九千人に上っております。また、葉たばこ耕作者は十万、また販売店数は約二十六万、そういうことであります。その他、機械、資材等の関連産業の従事者を含めますと、優に百万人を超える大きな産業であると存じます。その背後には喫煙者がございます。これは喫煙者率が四〇%を超えるという大衆でありまして、そこに国民の重要な需要者としての存在を考えなくてはいけません。今度の改革法案は、これら関係者のそれぞれの複雑な立場の調整の問題を含んでおるものでございます。したがいまして、いろいろな多様な方向性を持っておるものでございますけれども、今度の改革の主眼ということを一言で要約してみますと、それはたばこ産業全体の効率化の達成だというところにあると思うわけでございます。私は、関係者の方々がそれぞれの立場において効率化への努力を積み重ねられ、今次改革案の目的とした、たばこ産業全体の調和ある発展に御協力いただきたいことを希望をいたす次第でございます。  以上、簡単でございますが、私見を申し上げました。どうもありがとうございました。(拍手
  12. 瓦力

    瓦委員長 以上で、参考人からの御意見の開陳は終わりました。
  13. 瓦力

    瓦委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
  14. 戸田菊雄

    ○戸田委員 参考人の皆さんには大変御多忙のところおいでをいただきまして、ありがとうございました。  全参考人に質問をしてまいりますけれども、まず最初に、大月さんの方に質問をしてまいりたいと思います。  これは予定していなかったのでありますが、今大月さんが陳述の中で触れられたようでありますから、最初にその問題についてちょっとその理解のほどをお聞かせを願いたいと思うのですが、専売事業調査会答申というのがあります。おおむね内容は三点に要約をされると思うのでありますが、この中では、一つは、巨大外国たばこ企業に対する競争力の確保、国内たばこの問題の対処等の観点から、製造独占は維持することが必要である、こういうことを明確にうたっております。それから第二番目といたしましては、小売指定制定価維持についても、所要の改善を図った上で実質的に維持すべきである、これも明確に言っておられます。さらに、今後の税制については、税水準の現状維持たばこ産業立場に留意して税構造を改善をしなさい、こういうことになっているのでありますが、この点の専売事業調査会の答申については十分理解されていましょうか。御見解はどうでしょう。
  15. 大月高

    大月参考人 お話のございましたように、専売事業審議会といたしましては、各種の御意見を十分そしゃくいたしまして、いろいろ御相談しながらやってまいりました。今お話しの原則も十分承知いたしておるわけでございます。
  16. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そこで、具体的な問題について、これも大月さんの方に質問をいたしたいと思うのでありますが、一つは資本金等の財務問題ですね。これについて見解をお願いをいたしたいと思うのであります。  御存じのように、今回経営形態あるいは公的規制、事業範囲、各種審議会等々、特殊会社移行されまして、改革案としては大分変わってまいりました。  そういう中においてこの資本金等の問題につきましては、資金調達については新法人移行に伴う当面の資金繰りのために三年間を限度に資金運用部資金を使ってもよろしい、しかし四年目以降は、これはもう完全な自己調達ですよ、こういうことになっておりますね。それから、公社制度で減免税等に今までなっておったものが、今度は税負担をやられます。百億程度になりますね。それから新法人の資本金の規模については、商法第二百八十四条ノ二第二項の本文の規定で、適用除外になりました。いわゆる半分は資本に組み入れなくてもよろしい、こういうことですから。そうしますと、五十七年の状況で申し上げますと、この決算で見ますると、資産総額が一兆八百九十二億二千八百万円、こういうことになります。そうしますと、大体資本金は半分の五千億以下ということになりますね。これに対して、これは定款で決めることになりまするけれども、どの程度が大体資本金として適当なのか、この辺の見解をひとつお聞かせを願いたいと思います。  中身は時間がありませんから詳細申し上げませんが、大体利益の約六〇%、私の試算でいきまするとおおむね税金に持っていかれる。あとの四〇%が内部留保ないしは配当、こういうことになります。商法上いけば配当は七%から一二%、こういうことになりまするから、そうしますと、大体一兆五、六千億の経営事業範囲のものになっていく、こういうことになります。そこから資材費あるいは人件費等々全体をおさめていくわけですから、なかなか厳しいなという気がいたしますのですが、その辺の事業計画内容について見解をお聞かせいただきたい。
  17. 大月高

    大月参考人 ただいまの御質問は、今度新しくできます特殊会社資本金をどのようにしたらいいか、どのくらいにしたらいいと考えるかというお尋ねだと思います。  お話にもございましたように、現在は専売公社といたしまして、出資も一〇〇%政府のものでございます。それから借り入れは資金運用部からの借り入れが確保されておる。しかし、その利益に対しましては納付金制度ということでありまして、利益があるに従って政府と御相談の上で納付されるということになっております。しかし、今後株式会社になるわけでございますので、資本金も一定のものが決まりますと、それに対する配当をまず確保するという問題が一つございますので、経営上永久に配当ができないというような資本金は規定すべきでない。そういう意味で一つの限界があると思います。  それから資金の調達でございますが、やはり資本金の大きさとの関係がございまして、資本金を今度逆にいたずらに小さくいたしますと借入金に頼らなくてはいけない。ところが、経過的に三年間の資金運用部の借り入れがあるといたしましても、その後はコマーシャルベースによる銀行の借り入れあるいは社債の発行という商法に基づいたアクションをとらざるを得ない。そういたしますと、金利負担というものは当然ございますので、ただ単に資本金が小さければいいというわけにはいかない。そこにバランスを要するわけでございます。  それから第三の問題は、お話のございました税金の問題でございまして、今までの納付金制度のように利益が出れば結果において幾ら納めるかというようなことではなくして、いわゆる納税法定主義と申しますか、一般の株式会社としての法人税を納め、なおかつ新しく決められましたたばこ消費税、地方たばこ消費税、これだけを、これはあらかじめ決められた税率に基づいて納めなくてはいかぬ、こういうことでございますので、その関係もやはり収益力との関連において考えざるを得ないと思います。具体的にどのくらいがいいかという問題につきましては、それぞれ今後の経営の見通し等によりまして大蔵省において御計算なさるのが筋だと思いますけれども、私の考え方としてはそういうことでございます。  それから最後に、税金が重過ぎるんじゃないか。今の消費税合わせますと五九・幾らか、約六〇%に近い数字でございまして、我々の専売事業審議会の答申におきましても、この負担率は実質的に変えないように税制を変えてほしいという希望を申し述べております。そのとおりになっておると思います。  それではその消費税は重過ぎるじゃないかということでございますが、御存じのように、新会社になりましても、たばこ財政収入の源泉として使われるという点は変わりがないわけでございますので、そういう意味で、例えば酒の税金が一般の消費税に比べて非常に重いと思います。しかし、それはそれなりに財政的な寄与をしているという、同じ意味で、特別の負担をお願いしていいんじゃないか。外国たばことの競争の問題もございますが、これは関税率との関係でございますので、そこらが不利にならない競争条件のもとで、ある程度重い消費税は負担してしかるべきであって、これは極端に重くない限りやむを得ない、こういうように考えます。
  18. 戸田菊雄

    ○戸田委員 もう二点ほど、具体的な問題で大月さんにお願いをしたいと思うのですが、今、税金問題に触れられましたけれども、従前の納付金水準は五五・九%ですね。この現行水準は守る、こういうことです。そのほかに、今度民営化によって、国税においては、従前全然かからなかったのですが、法人税が四三・三%かかり、それから印紙税、これも課税になります。登録免許税、これも課税になります。それから地方税といたしましては、事業税、これが一二%かかりますね。それから道府県民税が二・二%、市町村民税が五・三%、固定資産税が従前五〇%が一〇〇%かかる等々の問題の新課税がずっとありまして、私は自分ながらちょっと試算をしてみたのですが、そうすると、これで大体総体で負担税分が、先ほどちょっと申し上げたと思うのですが、百億見当。ほかに、仮に利益金が六百億円上がったということになりますと、その税金が、六百億で約四百五十三億円かかりますね。三百億円、半分にいたしますと、これで二百六十五億円かかる。総体で六〇%ぐらいですね、税金で全部持っていかれる。こういう状況です。ですから、これらの税負担率というものは、財政収入消費者の負担率のいずれも現行を維持するという、こういうものの内容を若干検討すべきじゃないか、下げるべきじゃないかという気が私はするのです。これが第一点であります。  それから第二点は、今回たばこ消費税ということになりまして、結局従価八割、従量二割、こうなりました。確かに諸外国の例をいろいろと拾い上げてみますと、専売国のフランス、イタリー、オーストラリア、これは主として従価税です。それから、民営国のイギリス、西ドイツ、これは従量、従価の組み合わせ、今回の日本とやや同じです。しかしECの税制統合は、大体従価税に持っていきなさい、負担の公平からいってこれが一番妥当じゃないか、こういう見解をとっているのですね。ですから私たちとしては、今回の税制決定については従価と従量の組み合わせということでいったのですが、ただしこの八、二という配分ですね、これが果たして妥当か。私は七、三なり六、四等々の試算も持っていますけれども、この辺のいわば税の組み合わせ、これはどうお考えになられるか、その点についてひとつ御見解を伺いたい。
  19. 大月高

    大月参考人 お話がございましたように、まず税負担が従来よりも非常に重くなるという問題でございますが、政府機関はそれぞれの税金で免除されておるものが多いわけでございますが、民間の株式会社になる以上は一般の原則に従って納税すべきは当然でございまして、この面で負担が重くなるということは、これは当然甘受すべきものではなかろうか。  次に、それに消費税を加えますと非常に重くなるという問題でございます。これは私、税の専門家でございませんから細かい数字ないし先ほどの割合等について発言する能力ございませんけれども、やはり財政収入確保という使命を持っているものであり、しかもこれはほかの産業との比較ではなくして外国たばこ資本との比較でございますから、ほかの会社より重いということは競争上差し支えない。外国資本との競争力を保てること、それとの均衡を保つことの方がポイントではないかと思います。そういう税金の重さを考えて、資本金その他のことをやはり考え、かつ経営の合理化を図るということではあるまいか。  それから従価税と従量税の問題でございますが、従来専売公社時代は従量税一本でやってきたわけでございます。ところが、外国の例といたしまして、それぞれニュアンスがございますが、従価税を入れておる。お酒等についてもそういうことでございますから、私は、従価税の原則を重く見るということは新しい傾向としてむしろいいんじゃないか。ただ、八、二がいいのか七、三がいいのかという点につきましては、私は直接の当事者でございませんので、その点は発言は差し控えさせていただきたいと思います。
  20. 戸田菊雄

    ○戸田委員 最後になりますけれども、一つ、事業範囲拡大問題ですね。現行の業務範囲は専売公社法第二十七条で限定列記されておるわけですが、改革法案では、たばこ産業株式会社法案の第五条で、新たに「会社目的を達成するために必要な事業」こういうことがつけ加わって、たばこ製造だけではなくて、ほかにも多角的経営といいますか、そういうことをやはりやっていく必要があるのではないかということなんですが、この辺の見通しと考え、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。  それからもう一つは、経営戦略の問題で、三大国際たばこ資本経営戦略は、極めて巧妙に今世界的市場シェア拡大していっていると思うのです。従前パイプたばことかそういうものが非常に多かったのでありますが、最近は紙巻きたばこが非常に逆転をしてシェア拡大しておる。あるいはイギリスやフランスにアメリカの大企業が進出をして、それでフランスで製造して二十数%のシェア確保している等々の問題があるわけですが、そういうことで日本にもこれから入ってくることは当然予想されなくてはいけないんですね。ですから、アメリカの例でありますが、フィリップ・モリスは一九八一年で国内販売四四%、国外で五六%。そのほかに経営多角化と称して。スーパー、小売業、海運、ビール等々までやっているんですね。こういうものと対抗して強化して、それに対応していくというのですから、よほど日本としても、今度の新しい特殊会社としては相当これを検討し考えませんと太刀打ちできないのではないだろうかという気がいたしますが、この辺の見解についてひとつ御所見をいただきたいと思います。
  21. 大月高

    大月参考人 専売制度から新しい特殊会社への移行に伴いまして、営業の範囲は拡大されるべきものだと考えます。しかも、それは会社自主性を尊重し、かつ創意工夫を尊重するということでなければならないと思うわけでございますが、それでは一体どういう方向に業務を発展させていくかということでございます。  若干、直接の問題から外れますけれども、最近の世界経済及び日本経済の構造的な問題を考えてみますと、一つは新しい技術のイノベーション、これをいかに活用していくかということであります。それから第二は、単なる一つの業種に固執しないで業務の多様化を図る、こういうことでありまして、従来からございますいろいろな優秀な企業は、今申し上げました二つの方向に向かってどんどん内容の改善をやっております。  具体的には、例えば三菱レイヨンという会社がございます。これはレーヨンの仕事をやっておるかと皆さんお考えでありますけれども、現在これを全部裸にしてみますと、繊維会社ではないわけです。化学会社になってしまっている、こういうことでございます。そういう例はいろいろございます。お話のございましたたばこ会社でも、レイノルズあるいはフィリップ・モリス、BAT、いずれをとりましても、過去の蓄積を利用いたしまして経営の多角化を図っておりますことはただいまお話しのとおりでございまして、清涼飲料水の仕事あるいは海運の仕事、機械の仕事、ビールの仕事、石油の仕事、その他関連の業務にどんどん出ていっておる。  私は、たばこ産業というものの将来についてそう楽観はいたしておりません。やはり健康の問題というものは重要な問題でございますので、その厳しい中でどういうようにして企業の存立を図っていくかということが新しい会社に与えられた重要な問題であると思います。そういう意味で私は、業務はどんどん広げていった方がいい。しかしそれは、他産業を圧迫するということでなくして、自衛上の立場を考える。しかも新しいイノベーションを考えていけば、ほかの産業に食い込むということではないわけでございます。例えば、たばこ農業に直結いたしておりますから、それはすなわち今のバイオテクノロジーあたりに関係があります。それから、日本の技術は非常に繊細なテクニックにすぐれておるわけでございまして、例えば自動車でも、その内装の関係とかエンジンの細かいところとか、あるいはたばこで言えば包装の技術であるとか、そういういわゆる技術的、工業的な面に非常にすぐれておるわけでございますから、そういう新しい方向を考える。  それから第三の方向としては、国際的な立場において発展を考える。今公社の方では輸出会社をおつくりになっておりますけれども、私は単に輸出だけではいけないのじゃないかと考えます。それは例えば自動車あるいは電機産業において輸出による摩擦ということが大変なことになっております。これはどんどん外国に出ていって現地生産をやっておるわけでございます。それは強過ぎるからでございますけれどもたばこはそういうことを離れまして、原料の安いところに出てその国との合弁あるいはほかの国との合弁ということによる収益を上げる、それからたばこ産業に寄与するということもあり得る。  そういう意味におきまして、私は、新しい会社経営者としては多角経営ということにぜひ本格的に取り組んでいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  22. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そこで、牧内さんに質問いたしたいと思います。  今回の法律案によって、専売公社日本たばこ産業株式会社という特殊会社移行することになりました。これに伴って当然合理化が進むというふうに考えておるわけでありますが、その雇用問題について二点ほどお伺いしたいと思うのです。  そのまず第一は、現在の専売労働者の雇用の問題としてどのような問題が発生してくるか、その予想についてひとつお聞かせ願いたい。  第二は、配送会社とかフィルター会社等たばこ関連産業にも雇用の問題があるかと存じますが、どのような問題があるかお述べになっていただきたいと思います。
  23. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  新しい会社は、まさしく大変厳しいたばこ産業の置かれている環境の中で競争体制というものをつくっていく、そこが一つの目的でございます。そういう意味で、これから合理化が行われてくるということは必至であろうというふうに思います。一月ぐらい前ですか、新聞等で専売公社一万人人減らしたとか、いろいろな報道がなされていました。あの内容すべてが正しいというふうに思いませんが、大体ああいうようなことが合理化として考えられるんじゃないかというふうに思います。まず第一線にあります営業所とかあるいは生産事務所とか、そういうところの統廃合が恐らく考えられるんじゃないかというふうに思います。  それから二番目としては、新会社になれば当然組織機構といいますか、本社とかあるいは中間組織の機構改正が行われます。あるいは三十幾つかある工場の統廃合という問題も出てくるんではないかというふうに思います。いずれにせよ、そうした合理化の中で、高速化とかあるいはコンピューター化とか、そういう問題が出てくるんではないかというふうに思います。  私たち労働組合は、今まで公社との間で合理化三協定というのを結びまして、いわゆる首切りをしないとか、あるいはそうした合理化進展に伴って労働条件の向上をするとか、そういう一つの労働協約がございます。したがいまして、新しい会社移行するに当たっても、ぜひこうした労働協約をそのまま新しい会社の中の協約として締結できるようにしていきたいというふうに思いまして、これはこれから労使交渉の中で詰めていきたいというふうに考えています。しかし、たばこをめぐる環境は大変厳しゅうございますから、いずれにせよ、そうしたたばこだけでは雇用拡大、安定ということになかなかつながらないというふうに思います。そういう意味では、先ほど戸田先生から大月参考人への質疑の中でもありましたように、いわゆる事業領域拡大といいますか、そういうものを積極的にやっていかなければ雇用の安定、拡大につながらないというふうに思っていますので、そうした事業領域拡大ということに向けても自主的にできるように、ぜひお取り計らいを願いたいものだというふうに思います。  なお、こうした中で一番の問題は、私たち職場には女子の組合員が非常に多うございます。工場に行かれれば、御承知のように約半数近い女子の組合員が工場で働いています。そういう意味では、工場の統廃合、近い距離の工場の統合ということならばまだ通勤距離その他で今までどおり働いていけるわけでありますが、工場間の距離が非常に遠いというようなこと等を考えれば、女子組合員雇用をどうしていくかということが、労働組合にとっても、ある意味では経営にとっても大きな課題だというふうに思っております。そういう意味でこの女子労働者の雇用をどうするか、これをやはり真剣に考えなくてはならないというふうに思います。  同じように関連産業も幾つかございます。その中には配送の関係だとかあるいはフィルターの関係とか、ストレートにたばこ事業、ある意味では専売事業そのものだというような会社もございます。こういうところはたばこ産業全体の推移と運命を共同にしていくわけでございますし、ここにはやはり五、六千人の労働者が働いています。したがいまして、そういう関連会社の企業力をどう強めていくかということを真剣に考えていかなくてはならない。  そういう意味では、こういうところには公社のOBとかそうした人たちが行っているわけですが、そういう人たちの受け皿のためだけのそうした関連産業であってはならないというふうに思います。これから事業領域拡大、そうした多くの関連会社ができていくと思いますが、そういう中でそれが単なる公社OBの受け皿だけではなくて、本当の意味雇用拡大あるいはそこで働いている人の雇用の安定につながるように措置をしていかなくてはならないというふうに考えています。  以上です。
  24. 戸田菊雄

    ○戸田委員 これは牧内さんにお願いしたいのですが、さっきちょっと大月さんにも質問したのでありますが、新会社経営内容が職員生活、処遇に大きな影響を及ぼすことは当然だと思うのであります。財務問題に限って見れば、資本金の規模がどのくらいになるのか、あるいは五十八、九年度の特例措置として一本三十四銭のたばこ値上げ措置が講じられました、これがどうなるのかというのが私は非常に重要な問題だと思っているわけでありますが、この二点についてお願いいたしたいと思います。
  25. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  私は専門家でございませんから、商法でありますとか、あるいは公社の資産がどのくらいあってそれが資本金とどう関係するのかということについては、専門的立場からお答えはできませんが、いずれにせよ新しい会社は配当を負担をしなければならないということがございます。その意味では資本金規模をどうするかということが重要問題でございます。また、私たちも立派な会社として運営をしていくわけですから、配当ができるような会社にしていかなくてはならないということも考えておるところであります。  そういう意味では、この資本金の規模がどのくらいになるのか、本委員会では千五百億円が上限だというようなお話もございましたが、私とすれば幾らにすればいいかというようなことは専門的には申し上げられませんけれども、いわゆる過大にならないような措置が必要であろうというようなことで、仄聞するところ電電が一兆円とかそういうお話もございますし、また我が社の純資産というものの多くが葉たばこであるというようなことを考えるならば、一千億程度というのが適当ではないかというようなことを労働組合としては考えています。  三十四銭の問題は、いわゆる二年間の限定法といいますか特例措置ということで国会でお決めになった措置でございますから、当然この二年間だけで、三十四銭は専売公社に返していただけるのではないかというふうに私は思っています。大体一千億ぐらいのお金になるわけでありますが、先ほど戸田先生からお話がありましたように新しい会社になりましていろいろ税負担その他がふえてまいります。財政上大変苦しくなってくる。そういう意味では私たち、いわゆる自主性が与えられて自分たち労使で交渉して賃金を決めるといっても、そうしたものがなければ幾ら自主性が与えられてもどうにもならないというようなことになるわけでありますし、じゃ財務財政状況が悪くなったからといって値上げということになりますと、当然シェアが狭くなるとかその他いろいろな問題が出てきて、結果的に雇用の問題あるいは葉たばこの問題、いろいろな問題に影響してくるのではないかというふうに思っています。  そういう意味では、二年間の特例措置ということでやってきた措置でありますし、私たちも今まで政府財源確保ということでこの措置なりあるいは本年度の三百億円の問題とか、いろいろな意味で協力をしてまいりました。新しい会社になる際は、こういう問題についてはぜひお返しを願うといいますか、この二年間の限定ということでひとつ決めていただきたいというふうに思っています。
  26. 戸田菊雄

    ○戸田委員 あと二点ほど牧内さんにお願いしたいと思うのですが、その一つは、新会社経営にとって国産葉たばこの問題、これは非常に大きな問題だということを考えます。したがって、新会社国産葉たばこの全量買い取り制の維持国産葉たばこ品質価格、さらに一般に言われております農政負担、これらのあり方について、組合立場からどういう考えでしょうか。これが一つでございます。  もう一つは、新会社は公共性と企業性を追求していくわけですが、それとのかかわり合いで各審議会のあり方も問題になっておるわけであります。現在、公社にある審議会、委員会、こういった構成、運営等その実態を見詰めて、開かれた新会社とするためにはどうしてもこれらの運営の民主化というものを図っていかなければならないだろうというふうに考えておるわけでありますが、この辺の見解もあわせてひとつお願いいたしたいと思います。
  27. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  確かに葉たばこ問題は、今までもそうでしたが、これからも日本たばこ産業発展さしていくためには大きな課題だというふうに思います。  そこで、まず私たち組合がこの問題を議論する大前提としては、少なくとも八十余年にわたる専売制度あるいは三十余年にわたる公社制度の中で日本たばこ産業発展さした力、これはまさしく葉たばこ耕作者であり、販売店であり、そして本体、この三つが力を合わせて日本たばこ産業維持してきたというふうに思います。そういうことで長い間のパートナーでございます。そういう意味では、これからも日本における葉たばこというのをやはり維持していかなければならないというのが大前提でございます。  しかし、これから競争体制に入っていくわけでありますから、これは松下参考人も先ほど述べましたが、そういう意味では組合もあるいは耕作団体もお互いが努力しながら、いわゆる品質をどうよくしていくのか、あるいは価格の面をどう抑えていくのかといいますか、そういうことなども検討をしていかなくてはならないというふうに考えているところです。  臨調答申その他では、日本葉たばこは非常に高くて悪い、そういうのをやめて外国から安い葉っぱを買えばいいじゃないかというようなお話もございますが、外国の葉たばこ市場というのもそれなりに巨大な資本が押さえているわけでございますから、仮に日本葉たばこが全くなくなってしまうという状態になれば、今までどおり安い葉たばこが買えるかどうかというような問題もあるんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、とにかく日本葉たばこ日本たばこの主原料としてどう位置づけていくのか、そのための努力をお互いがしていくということが大切であります。  もう一つの問題は、今まではそうした農政負担部分といいますか、そういう言葉を使うのが適当かどうかわかりませんけれども、そういうものを専売公社が担ってきたわけでありますが、今度は新しい会社になりまして、まさしく競争していかなければならない、そして日本農政という広い意味から申すならば、こうした部分を国あるいは農水省とか自治体とかそういうところがもっと負担をしてもいいんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、先ほど言いましたように、製造コストにはね返らないような措置ということもこれから将来に向けてひとつ検討していただければ幸いだというふうに思います。  それから審議会については、今まで専売公社の中に葉たばこ審議会なりあるいは塩の審議会なりあるいは総裁の諮問機関でありますたばこ調査会等々、消費者懇談会、いろいろございました。それなりに機能はしているというふうに私は思います。しかし、外から見ていて本当にそれぞれの委員会自分たち自主性を持ってやっているのかどうかというようなことについても、大変失礼でございますが、考えないこともないわけでございます。その意味では、私は、今までもそうでしたが、これからもいわゆる特殊会社、国が資本を出す会社でございますから、開かれた経営といいますか、多くの人々の意見を聞いてやはり経営をしていくといいますか、そういうことが大切ではないかというふうに思いまして、組合の言葉で言うならば国民のための専売公社ということを今まで言ってきましたけれども、そうした国民のためにという立場消費者のためにという立場を十分受け入れた審議会、そういうものが必要だろうというふうに思います。そういう意味では、ぜひ、これからいろいろな審議会が設置されるようでございますが、委員の構成であるとかあるいは運営であるとか、そういうのが民主的に行われることを希望いたしております。  以上です。
  28. 戸田菊雄

    ○戸田委員 ここでちょっと沢田委員の方へ、時間の都合がありますので交代します。
  29. 瓦力

    瓦委員長 沢田広君。
  30. 沢田広

    ○沢田委員 関係者の皆さん御苦労さまでございます。社会党の沢田です。戸田委員に続いて若干質問をさせていただきます。それぞれ関係者の皆さん、関係業界において御活躍をいただいておりまして、厚く敬意を表する次第であります。  最初に大月参考人にお聞きをするわけですが、会社という名前がついて、六割が税金で国なり県なり地方に持っていかれる。概括的にいって、そういう形態の株式会社というものが果たして存在するのであろうか、一般の商法上の概念からいって果たして妥当なものなのかどうか、ちょっと御意見を伺わしていただきます。
  31. 大月高

    大月参考人 一般の会社として考えますと、非常な重税、いわゆる法人税その他の税金のもとでは企業の存立が危ぶまれるわけでございまして、なるべく民間の活力をふやすという意味からは税金は軽い方がいい。今おっしゃったとおりでございます。  ただ、たばこは酒と同じように財政収入を上げるための一つの原資でございますので、それがほかの会社との競争企業でない限り、価格を上げることによって収益が上がり、その中から税金ないし配当を払っていく、こういうことになりますので、それはそれなりに特殊な事情として考えられるのではないかと考えております。
  32. 沢田広

    ○沢田委員 全体で三十分でありますので、質問の方も簡潔に申し上げますが、お答えの方も簡潔にお願いいたします。  では、大変恐縮でありますが、たばこ耕作松下参考人にお願いいたします。  この法律でプラスの点は何か、それからマイナスの点は何か、二つずつひとつ挙げていただきたい。プラスの面はこれだ、マイナスの面はこれだ。  これは続いて関野参考人にもお願いいたします。それから牧内参考人にもお願いをいたします。この法律でプラスの面はこれ、二つ。マイナスの面はこれ、二つ。三つでもいいのですが、余り長くなるといかぬので、二つということでお願いいたします。
  33. 松下龍太郎

    松下参考人 お答え申し上げます。  先ほど意見で申し上げましたように、私ども、全体としてはこの法律案は非常に困難な問題をうまく調和さしていただいたという意味で、賛同いたしておるものであります。  プラス、マイナス二つずつということでありますが、まあ二つという分類はできませんけれども、あえて申し上げれば、プラスの面といえばいわゆるたばこ耕作上の諸制度が基本的に維持されたということであります。これには全国耕作者が一様に感謝いたしておるところであります。     〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕  マイナス面と申しますか、我々の最も危惧しておりますのは、やはりこの法律に伴って同時に流通の自由化という問題が発生したことであります。したがって、外国企業のシェア拡大すると我々は非常に大きなダメージを受けるということで、それが二つ伴って起きたということで、あえてマイナスと申し上げればマイナスかと存じます。
  34. 関野泰夫

    関野参考人 突然プラス、マイナスということでございますので、まあプラス面で考えられますのは、世界の情勢でございます開放経済に向かいまして流通の卸の自由化が図られていくこと、それに伴いまして新会社経営の主体性というものが与えられるということであろうと思います。  二番目は、言うまでもなく、指定定価制度が実質的に維持されているということでございます。  それからマイナス面と申しますのは、ちょうどその裏返しになりますけれども、私どもやはり全体の情勢の激変というのはできるだけ緩和していただきたいし、そういう意味での不安というのがございますので、運用面でその辺を円滑にやっていただきたいということでございます。
  35. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  プラスの面といいますか、一つはやはり経営に対して当事者能力自主性が与えられたということでしょう。  二つ目は、いわゆる労働三法の適用、労働関係近代化ということがはっきり出たということはプラスだと思って評価をいたします。マイナスの面といいますか、一つは、今までは企業性と公共性の調和ということが専売公社法上も言われておりましたし、そういう立場でやってきましたが、少し利潤追求といいますか、そっちの方に焦点が向くのじゃないかというのが一つです。  それから、同じ意味から、先ほど申し上げましたが、競争体制ということで合理化が、特に超合理化がやはり出てくるのではないか。それに対して雇用の安定確保という問題が本当にできるのかどうかという問題がいささか心配でございます。  以上です。
  36. 沢田広

    ○沢田委員 たばこばかりやりましたが、塩の方もやはり同じように、御賛成のようでありましたけれども、プラスばかりかマイナスもあるのかどうか、そのことも含めて二つずつお願いいたします。
  37. 前囿利治

    ○前囿参考人 お答えいたします。  塩専売法改正案、先ほど申し上げましたように、総体的には現在の制度の枠組みを維持するということででき上がっております。その点は大変感謝をしているということでございますが、具体的にプラスを申し上げますと、一つは、塩専売目的を明文化された、こういうことでございます。そのことによって塩業政策を進める方向名実ともにはっきりしたというのが一つ。  もう一つは、元売人というのは、従来は専売公社から塩を買い受けるということだけでございましたけれども、今度は元売人が元売人に売り渡すことができるようになっております。このことによって、従来専売公社が担っておりました一次卸的な機能を担う元売が出てくる余地がある、そういうことで、二点ほどプラス面があると思っております。  マイナスの方は、今のところ思い当たりません。
  38. 沢田広

    ○沢田委員 大体今まででも言われておりますが、今この法律を我々審議をいたしておりますので、塩の方はないようでありますけれども、これも大変恐縮でありますが、今はこのマイナス面というものが解決を求められているものであろうとは思いますけれども、改めて、この法律が適用されるに当たってこの点とこの点とこの点は十分注意してほしいとかあるいは改善してほしいとか、そういう要望なりがありましたら、これは項目ですから、内容は大体わかりますので、この点とこの点は配慮してほしいとか改善してほしいとか、そういう点、三つぐらい、これはもう説明を省略して、非常に簡単な、項目的にもしお述べいただければ幸いだと思うのであります。  これも続いて松下さん、関野さん、牧内さんに、前囿さんはないようでありますからもう結構でありますから、どうぞひとつよろしくお願いします。
  39. 松下龍太郎

    松下参考人 お答え申し上げます。  私ども、新会社に対して最も要望いたしたいことは、集約いたしますと国産葉の自給率の確保であります。全量購買と申しましても計画生産でありますから、幾らつくるかということが問題であります。今の日本の農家の実態を考えますと、それが第一の問題であるというふうに思います。  第二には、経営全般にわたって、やはり独占という形態でありますから恣意的な経営が行われないように、農政をも一方で配慮しながら節度のある経営を行っていただきたいということであります。  第三には、直接ではありませんが、やはり国際競争という観点関税率維持ということをぜひお願い申し上げたい。  以上でございます。
  40. 関野泰夫

    関野参考人 先ほど申し上げましたように、マイナス面というのは特にございませんけれども法律運用面でその趣旨がどれだけ生かされていくかということが一番心配な点でございます。申すまでもなく、立法に当たりましては細心の注意を払っていろいろな配慮がなされたものと存じておりますけれども、具体的な実施に当たっては、現行のルールが大幅に変動しないようにお願い申し上げたいというふうに思っております。
  41. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  一つは、先ほど申し上げましたが、非常に政令省令による部分、あるいは大蔵大臣としての許認可という部分が多いわけであります。法律の中では、制度的には私たちが今回の改革に当たって求めてきたといいますか、そういうものが多く入っていますが、運用の面でやはりいろいろ出てまいりますと結果的にそうした制度が十分に効用しないということになるんではないかというふうに思っています。そういう意味で、ぜひそうした面について本委員会でより一層の解明をお願いをいたしたいというふうに思います。いずれにせよ、所有とそれから経営の分離ということが今回の目的の一つだというふうに思いますので、これは当然新しい会社もそうですが、監督官庁である大蔵省、株主である大蔵省、そういうところがそうしたことについてもっと意識改革といいますか、そういうのをやっていただかないと、私は新しい会社運営が十分いかないんではないかというふうに考えています。  もう一つは、労働組合ですから当然将来に向けての雇用の安定、拡大ということについて、これも先ほど申し上げましたが、特に事業領域拡大というところについて、これも大蔵大臣の認可事項ということになっていますが、会社経営強化のためにもぜひその辺については排除をしていただければ一番いいわけでございますが、それができないとなると、その辺についてもっと緩やかといいますか自主性のある対応ができるようなことを本委員会で明らかにしていただきたいというふうに思っています。  以上です。
  42. 沢田広

    ○沢田委員 塩の方で、これは臨調でも言われているわけですが、とにかく輸入の方が安い。日本は自動車を売ったりいろいろ貿易立国だ。今稼ぐだけ稼いでいる。入るものは嫌だ、ミカンも嫌だしあるいは米も嫌だしあるいは畜産も嫌だ、こういうふうにある意味においては国民の利益といいますか、保護貿易というものが行われております。これは一方だけでやはり世の中済むものじゃないのですから、貿易でもうけていくためにはやはりこちらもある程度頑張らなければならぬし、犠牲も負わなくちゃならぬ。嫌なものは一切断わります、もうかるものだけは売ります、これはどうですか、通る話だと思いますかどうか。  これはまずひとつ、葉たばこさんの方とそれから塩業の方の前回さんと松下さん、一言ずつ、こういう考え方が日本の産業を発展さしていく上に通る話かどうか、若干今度は嫌な質問でありますけれども、お答えいただきたいと思います。
  43. 前囿利治

    ○前囿参考人 お答えいたします。  現在日本で使っております塩が年間大体七百五十万トンぐらいございます。そのうち国内でつくっておるのが百二十万トンでございまして、あとは輸入でございます。だから日給率で申しますと一五、六%、八五、六%が輸入、こういうことでございます。
  44. 松下龍太郎

    松下参考人 国際比価の問題であると伺いましたが、私ども国際競争力原料面でもつけるということが重要であることは十分認識をいたします。努力はいたしております。しかしながら、我が国農産物が一般に国際比価の面では劣勢であるというのは通例であります。  しかしながら、先般のたばこ耕作審議会の委員懇談会で問題を煮詰めたところによりますと、日本葉たばこ競争相手である国の葉たばこ原価そのものの比較はネットで約一・七倍、関税を加味しますと一・二倍というふうに公式に整理をされておるところであります。したがって、我々の今後の努力では十分国際競争には接近できる、ただ、ぴたりその水準までいくということについては風土的限界があろうというふうに考えております。
  45. 沢田広

    ○沢田委員 続いて大変恐縮ですが、葉たばこの方でいわゆる全量買い入れ制というものは、品質をよくするあるいは改良する、たばこの味をよくするといいますか、そういう面に対する配慮が全量買い入れ制ということでかえって安易に流れて、とにかく量をつくればいい、質はやや後になってもいい、どうもこういうことに常識的にはなるような気がするわけなんですが、そのためにはやはりある程度の品質改良、今でも上中下に分かれているようですが、さらに区分をして、一等、二等、三等、四等になりますかどうかわかりませんが、そういう品質改良にもっと配慮していく、それが日本の今後の伸びていく一つの道じゃないのかというふうに感じますが、いかがでしょう。
  46. 松下龍太郎

    松下参考人 御指摘のような一面の考え方もあろうと思いますが、私どもは必ずしもそうは考えておりません。現在葉たばこは全量買い上げではありますけれども、いわゆるサンプル、標本によって下限は決められております。むしろ最近は下限に近い葉たばこ、いわゆる葉たばこの木の下の方の葉ですね、こういったものは農家自身が廃棄をしているというようなことで、産地間の品質競争は非常に激しくなっております。同時に、やはり商品作物でありますから、いいものをつくらないと高く売れませんので、そういう意味ではたばこ耕作農家の品質に対する意欲というものは極めて強い、この全量購買制がそれを妨げるものにはならないと私は考えております。
  47. 沢田広

    ○沢田委員 審議会の方で大変いろいろ今までやられましたが、なぜこうなったのかといえば、臨調が言う、審議会も同じように言うのは、輸入自由化がこれからどんどん迫ってくるだろう。そこで、どこも傷つかないで、どこもみんなうまくやって乗り切れるかどうか。  企業の合理化を進めるか、あるいは葉たばこの方の一兆二千億もの在庫を減らさなければこれはどうにもならなくなる。あるいは製造単価大体総額二千二百億かかる、あるいは人件費はこれも二千二百億かかっておる。そして一兆八千億ぐらいを国に納めている、さらにこれから法人税がかかってくる。そうして輸入価格競争していきますと、どうもどこかにしわ寄せが来そうだ。きょうお並びになっておられる皆さん方の立場から見ると、どれも傷つくのは嫌だ、こう思っておられるのだと思うのですね。審議会としてはその上に立つ処方せんとして、それぞれを傷つけないで成り立つ道としては報告書がそうなのかもわかりませんが、果たしてどういう具体策があるか。これも三つで結構ですが、こうしたら、こうしたら、こうしたらそう皆さんが傷つかないで日本たばこ業が進んでいく、こういう御提言がいただければ幸いだと思います。
  48. 大月高

    大月参考人 先ほど最初に申し上げましたように、この法案関係は非常に多数の方々の利審の調整を含んでおりますので、今おっしゃいましたように、一つ誤りますとどこかにしわが寄るという性質のものでございます。それを法案全体としてバランスをとるようにでき上がっておると思うわけでございますが、何せ法律というのは単なる枠組みでございますから、運用が大切だと思います。  そういう意味で、まず、監督官庁の大蔵省において全体のバランスを十分考えて監督をする、新しいたばこ会社経営者も十分その点を考える、それから今度は関係者全体としまして合理化及び効率化の努力を極力やっていただく、そして企業経営の保全を図り、発展を図るために多角化を進める。こういうことによって、厳しい状況でございますから非常に十分というわけにはいきませんが、私はバランスのとれた産業が進められると思っております。  それから、恐縮でございますが、先ほどお答えいたしました中で、従価税と従量税の話は逆でございましたので、その点を訂正させていただきます。
  49. 沢田広

    ○沢田委員 続いて牧内さんにお願いいたしますが、今までの公企体から今度は民間というか、会社にいきますと、労働者の方々は若干不安感が出てくるのではないかと思うのです。今まではやや公共的な色彩が強かったけれども、今度は企業の営利主義の方が強くなる。例えば地方の局長も、とにかく売らんかなということで、小売人に何とか売りつけなければ自分の成績が上がらぬということにもなる。自動車の販売競争のように大変追いまくられるのじゃないか、しりをたたかれるのじゃないか、ノルマがきつくなるのじゃないか、こういう不安があると思うのであります。その点で、労使の関係において今までと大きく変わるだろうか、あるいは今までどおりの程度でやっていけるだろうか、私もこういう不安を持っている一人なんであります。それに対する労使の対応の必要な条件、時間の関係がございますが、これは三つでも四つでも項目を挙げていただいて結構であります。法律でなくても、附帯決議であろうとなかろうと、こういう点とこういう点とこういう点はきちんとしてもらわないとかえって日本たばこ産業にひびが入るという点もあろうと思いますので、ひとつ率直にお述べいただければ幸いであります。
  50. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  今回新しい制度になりますと、労使関係では、私たち労働組合の長年の悲願でありましたストライキ権の回復ということがございます。そういう意味では、そうした新しい労働三法適用下の労使関係というのを形成していかなくてはならないと思っています。一般的には競争体制が厳しくなりますから、そういう中では合理化といいますか、コスト減といいますか、そういうことも労働組合として対応していかなくてはならないと思います。もちろん今までも、私たちは国から預かっている公社の中で働いている労働者、労働組合でございますから、国民の納得のいくようないろいろな物の決め方ということをしなければならないという考え方でやってまいりました。これからも当然そうした考え方を中心に、専売のよき労使関係といいますか、何でも話し合う、そして話し合ったことはお互いが責任を持って守っていくというようなところを基本に労使関係というものをつくっていかなくてはならないと思っています。  ただ職場の不安は、新しい制度下大きく変わらないということを公社当局は言うわけですが、そうした中で専売制度が廃止された中における仕事のやり方、仕事がどういうふうに変わっていくかということについては、現実にはまだ公社の方からも細かい説明は来ていません。そういう意味では、今までと同じような形で仕事が本当にやっていけるかどうかということについての不安はあると思います。したがいまして、これから法案審議とあわせながら、あるいは法案が通って以降の過程において、そういうところを十分詰めていきたいと思っています。いずれにせよ、自主性の回復、当事者能力の回復ということをこの法案の中で決めたわけでありますから、それが本当に実効のあるような形を明らかにしていただければ、後は専売労使間で十分話し合って、そうした問題について解決していきたいと考えています。
  51. 沢田広

    ○沢田委員 葉たばこ関係で、これは私の年来の主張でありまして、お気にさわると思うのでありますが、水もそれから一般の野菜も農業共済制度に加入をしてやっているわけですね。これは国民生活に欠くことのできない分野なんです。ホップも政令で入れているようでありますがね。たばこだけは農業共済制度から外れているのです。私たち立場から見ると、なぜたばこだけが農業共済の適用外にあって専売が丸がかりの形になっておるのか。言うならば国民生活の必需品が――米でもまだ農業共済の適用を受けている。そうなると、農政全般のバランスとして、皆さんにもある程度掛金等の御協力をいただきながら、今までの補償はする、しかし、農業共済の中で補償された差額は専売が補償する、こういうような意味のバランスをとることについては御協力はいただけるのかどうか。全般を見ますと、どうも我々はそういうふうな意味も感じられるわけです。余り太鼓持ちみたいな質問ばかりじゃいけませんから、若干嫌な質問でありましょうけれども、国民生活のバランスから見ると、その点は考慮しなければならぬのじゃなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 松下龍太郎

    松下参考人 大変ありがたい御意見でございます。ただ、なぜ共済に加入していないかということについて経過を申し上げたいと思います。  畑作共済が実施される段階で、何年間か、葉たばこについても農林省が意向調査を実施いたしまして、選択についてはどうかという問いかけもございました。そういうことで私どもは組織に何回か諮って意向を確かめたわけでありますが、何分従来とも全額負担ということになれておりますのと、葉たばこは産地別の作柄の変化が非常に激しゅうございまして、災害の程度も違うということで、自己負担金、いわゆる掛金をするというところでぶつかりまして、選択した方がいいという意見と現行がいいという意見と大体半々というような状況で、そういう旨を農林省にお答えしたところであります。お気持ちは大変ありがたく存じます。
  53. 沢田広

    ○沢田委員 時間があとわずか残っておりますが、審議会の大月さんにお伺いいたします。  総合的に見まして、先ほど御説を承りましたけれども、これから大変苦難な道を歩んでいかなくちゃならぬ。その前に、今後の審議会の役割、それぞれの利害の関係者の調整は今後も引き続いてやっていかなくちゃならぬ。そういう役割を持っている中で経営の一番のネックは、私は経営的に見るわけですが、在庫の葉たばこが一兆二千億、これは何としても大変な負担になってくる。買い入れが四千五百億ぐらい。同じようにこれも向こう続けていった場合に、あと三年後ぐらいになって果たしてどういう形が出てくるだろうか。それをなくすためにはどうしたらいいだろうか、その点はどういうお考えをお持ちですか。
  54. 大月高

    大月参考人 御存じのように、葉たばこの適正在庫は二年ということになっておりますが、現在はそれが三年分あるということで、これは毎年たばこの収納をいたしますときに問題になって、頭の痛い問題でございます。  そういう意味で、五十七年には非常に大きな減反をやりまして、やはり収納の収量を減らすよりしようがないんじゃないかという方策をとりました。しかしこれは逆に申しますと、耕作者に対して非常に御迷惑をかける問題でございます。しかし、お米の問題も同じような問題を含んでおると思いますけれども、やはり適正在庫を保つというのでなければ今後の新しい会社といえどもこれはやっていけないのは当然でございますので、その点どういうように具体策をとりますか、少なくとも在庫を減らして適正在庫に持っていくという努力を皆さんと御相談しながら進めていくべき問題だと思います。  ただ、具体的にどういうようにするかということは、やはり各方面で努力していただくよりしようがないんじゃないか。例えば、耕作者だけにしわを寄せるということでなしに、各方面にそれぞれしわが寄る、それからまたいい点はそれぞれ平等に均てんするという精神でやっていくよりしようがないんじゃないかと思っております。
  55. 沢田広

    ○沢田委員 ちょっともう一回ですが、五十九年度も四千五百億ぐらい買い入れます。それで今一兆二千億の在庫があります。例えば一割減らしたとして四千億ですね。四千億が三年するとまた一兆二千億。その間に消費をしていきながらもだんだん積み重なっていくだろうと思うのです。そうすると、かえって棚卸資産の合計というのは一兆二千億から一兆三千億。向こう二年間でも大体一千億ぐらい上乗せされていくわけですね。ここはやはり審議会で何かうまい処方せんを出しませんと、どこかで壁にぶつかってしまうことは明らかなんです。そこを何とかひとつ審議会のベテランの大月先生として、こうした方がいいんだという御提言を、個人意見でも結構ですから、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  56. 大月高

    大月参考人 率直に申しまして、その問題は従来たばこ耕作審議会で本当に専門的な立場でおやりになっております。我々直接タッチしておらない、ある意味の具体的な問題でございます。私としては具体的な案は持っておりません。
  57. 沢田広

    ○沢田委員 どうもありがとうございました。じゃ結構です。
  58. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員長代理 戸田菊雄君。
  59. 戸田菊雄

    ○戸田委員 関野さんに小売人関係でお伺いしたいと思うのですが、今回の改正案によっても小売店指定制度が続けられることになりました。将来完全自由化になりますと、この指定制度もなくなります。この制度の継続については、将来いかなる事態を迎えても必要と考えておりますか、見解をお伺いしたい。
  60. 関野泰夫

    関野参考人 お答え申し上げます。  将来も必要であると考えております。特に零細な小売店が多い実情を御考慮いただきまして、それらの方々が路頭に迷うことがないようにぜひ御理解いただきたいと思います。それから、流通網の混乱等もできるだけ避けなくてはならないんじゃないかというふうに考えられます。
  61. 戸田菊雄

    ○戸田委員 同じように関野さんにお願いしたいのですが、輸入品が自由化されますと外国品を扱う店が非常に多くなりますね。先ほど陳述の中でもお話がありましたように現在小売店二十六万店、今までですと約一万四千店くらいで抑えておった、しかし今度は七万店程度まで当面拡大をした。しかし完全自由化すると、日本国内たばこと同じような格好になってまいりますね。そういうことになりますと、国内の外国製造たばこ製品シェアは非常に拡大されていくのじゃないだろうか。この点について販売専門家としてどういう見通しを持っておられるか、この点が一つであります。  それからもう一つは、これは一つの例でありますけれども、一九八〇年代――現在はちょっと値段が変わりましたから現状のもので話をしましょう。アメリカのラークは二百八十円で、日本のセブンスターは二百円ですね。そうしますと、内外価格差が八十円の差があります。日本の場合はマージンは一〇%、外国の、アメリカの場合は八・五%、こうなりますね。そうするとマージンの差が三円八十銭ありますね。小売店としましてはどうしてもマージンの歩合のいい方に向くのじゃないかという気がします。そういう傾向についてはどうお考えでございましょうか。
  62. 関野泰夫

    関野参考人 お答え申し上げます。  第一点につきまして、専売公社の専門家の皆さんがいらっしゃいますので、私がデータ不十分なままで申し上げるのは大変気恥ずかしく存じますけれどもシェアの問題につきましては、現在の価格等の条件が急速に変動しない限りは大幅にシェアが上昇するとは私は思っておりません。特にいろいろな商品が流れ込んでまいりますけれども日本におけるたばこの製造技術というのは国際的にもかなり高く評価されておりますし、その力をもってして現在の二%のシェアが急速に変動をするということはないのではないか。それは三%とか四%とか極めて徐々に上昇するということはあるかもしれませんけれども、その程度ではないかというふうに推測しております。  それからもう一点につきまして、ラークの問題でございますが、冒頭に大変平たく申しますと、お店の方というのは一〇%とか八・五%とかいう数字をすぐに計算するという細かいことはなかなかできないわけでございまして、一〇%というふうな数字の方がわかりやすいわけでございます。これは具体的な例でございますけれども、そういった意味では八・五%というマージンそのものに不満があるわけでございます。     〔中村(正三郎)委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕  それからもう一つは、資金がかなりかかります。たばこは現金仕入れでございますので、二百八十円という金を用意しなくてはならないということがございますし、それからもう一つは、最終的にはお店ではお客様のお好みに応じて売ってまいるわけでございますけれども先生のおっしゃいますほど細かい計算をしてそれに力を入れるというよりは、むしろいらっしゃる方に自然に売っていくという程度でございますので、今お話がございましたように急にそれが伸びるとか力が入るとかいうことは、まず現在では考えられないような状況でございます。
  63. 戸田菊雄

    ○戸田委員 私は、この点は税金の問題とも非常に関連をしてくると思うのですね、御存じのように、今回たばこ消費税に移行されましたから。  そうしますと、卸売業者、外国たばこは保税地域から引き取ったときということで、それぞれ納税義務者になるわけですが、したがって、この経過措置として、当面、六十年四月から六十二年の三月まで二年間は年二回納期限とする、それから六十二年の四月から六十三年三月まで一年間は年四回、六十三年四月以降は翌月になっていくのですね、毎月。こうなるわけです。  そうすると、過日の今次国会で所得税法が改正になって、記帳義務その他の義務もあるわけです。もちろん所得制限がありますけれども、三百万以上とか事業主の五千万以上とか、こうありますが、そうすると、毎月記帳義務をやる。今までは一年間の中でやった。今おっしゃられたように現金買いですね。そうすると資金繰りの問題が出てきます。  先ほど来、陳述の中で関野さんは、大体各店舗でもって百万円見当、しかし五十万円以下というものも四〇%あります、こういうお話でした。そういうことになりますると、資金繰り等々非常に困難な状況になってくるんじゃないか。税金の消費税移行に伴う納期限のそういう問題に及ぼす影響はございませんでしょうか、その辺の御見解をひとつ伺いたいと思います。
  64. 関野泰夫

    関野参考人 先ほどもプラス・マイナスという議論がございましたときに申し上げましたけれども、私どもといたしましてはそういう影響のできるだけないようにということを切にお願いするわけでございます。特に、かなり高年齢の方がお店をなさっているところもございますし、現在ある程度専売公社指導で記帳はいたしておりますし、急な大きな変動というのはできるだけ避けていただくようにぜひお願いを申し上げたいというふうに思っております。  特に、先生のお話がございました記帳義務の問題と申しますのは、納税義務者でございます卸の方は大変になろうかというふうに思いますけれども、お店の方は大体従来どおりのペースで仕事をさせていただければというふうにお願いいたしたいと思っております。
  65. 戸田菊雄

    ○戸田委員 最後に、販売政策として、現行の公社のあり方等について何か具体的な要望事項とか、そういうものはございませんですか。ありましたら、ひとつ遠慮なく御意見を述べていただきたいと思います。
  66. 関野泰夫

    関野参考人 従来は、専売公社は監督官庁でございましたし、たばこのメーカーでもあったわけでございます。両方の性質を持っていらしたわけでございます。それだけに私ども小売店の者といたしましては、率直に申しましてある程度いろいろ遠慮もございましたし、それから専売公社側の販売サービス等についても独占的なムードというのは全然なかったわけではないわけでございます。そういう意味で私ども切にお願い申し上げたいのは、これから先、特に私どもに対する受注とか配達回数とか、そういうふうなお店のサービスにつきましてもっときめの細かいサービスをやっていただきたいということを期待し希望しているわけでございます。  もう一つは、これから外国たばこ国際競争も激化してくるわけでございます。それだけに競争場裏に置かれることになるわけでございますが、と申しましても、何しろ九八%のシェアを持ったメーカーでございますし、それだけの力もあるわけでございますので、今後ともにコミュニケーションをよく図ってまいっていただきたいというふうにお願いしたいと思っております。
  67. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間もなくなってきましたので、具体的に、ひとつ端的に質問をしてまいりたいと思います。  葉たばこ関係でございますけれども、先ほど若干同僚委員からお話がありましたが、葉たばこ問題、これは最大の懸案事項だ、こう私も考えておるわけでありますけれども、しかしそういう中で全量買い取り制というのは継承された、こういうことです。従来は許可制度で今度は契約制、こういうことになるわけでありますが、今後たばこの問題で会社に要望したい最大の事項は何でしょう。これを二、三、聞かしていただきたいと思うのです。  それから、葉たばこ買い取り価格は、たばこ事業法第四条二項で葉たばこの再生産確保する、これを旨とするということで一項があるわけですが、これは質的に従前と何ら変わりないと思いますけれども、ただし、国際の比較で見ますと二倍ないし三倍になっていることは間違いないと思いますね。ですから、そういうことからいえば耕作者としては品質の改良やあるいは生産性の向上等々、これは欠かせないと思うのでありますが、そういう対策等について、具体的に今後の対策をお持ちであればひとつお聞かせを願いたい。  それから、今回の改革法案耕作組合中央会の役割が非常に強められました。例えば、たばこ種類別の耕作総面積、そして地域的内訳、これは事業法第五条でそういうことがやれるようになったわけですね。それからもう一つは、たばこ耕作者の災害補償問題、この問題も事業法六条で取り扱う。あるいは葉たばこ審議会の委員参加、事業法七条等々で大分強められているわけですね。ですから今後の中央会の運営というものは非常に大事な要素を持ってくるだろうと私は考えるわけです。そういったことに対する御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  68. 松下龍太郎

    松下参考人 新会社への最大の要望は、先ほど申し上げましたが、今後とも国産葉を主原料として使っていくという姿勢を貫いてもらいたいということであります。  第二の基本的な問題は、これは政令等との関係もございますが、従来のたばこ耕作上の基本的な制度、いろいろおっしゃいましたような制度、こういう制度はそれを踏襲をしてもらいたいということであります。この点を特にお願い申し上げたいと思います。  なお、生産性の向上については、先ほど申し上げましたが、御指摘のとおり競争相手のメーカーとの国際比価、工場工場における原価比較は約一・七というふうに最近整備をされており、関税を考慮すれば一・二ということで、従来言われておりましたような水準、とても手の届かない水準ではないというふうに考えております。したがって、できるだけこれに接近できるように生産性を上げたいということが私どもの現在努力中の問題であります。特に具体的には労働生産性を上げる、多投労働を解消するという意味で、現在労働時間の四分の一を占める収穫後の選別という作業、えり分け作業がございますが、これを抜本的に改善するという方向公社と検討中であります。  最後に、御指摘のように中央会は、今回の法律によって契約栽培いわゆる対等な契約ということで、業界の代表としての責任は非常に重くなるというふうに考えております。これはあくまで民主的に、しかも農家のために間違いのないように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  69. 戸田菊雄

    ○戸田委員 もう一点、最後にお願いをしたいのでありますが、審議会の問題です。現行は十一人以内で組織して、耕作者代表と学識経験者、こういうふうに構成されている。今回の葉たばこ審議会も人数は同じのようでありますけれども、これを見ますると、確かに生産者の皆さん四人ほど入っておられますね。十一人全部非常に立派な方がなっているようでありまするけれども、しかし、私の見る限りでは直接耕作者の代表というのはいないようなんですね。例えば東京大学名誉教授、それから競馬会の理事をやっておられる方とか、こういうことがあって、組合長さん、確かに東北一名、四国から香川県の一名、それから全国たばこの専務さんと会長さん、こうなっている。  私は、十一人に限定しなくてもいいんじゃないかという気がします。これに加えてもう少しふやして、実際つくっている耕作者の代表等も入れるような仕組みにしてはどうかという考えを持っておるのですが、この辺はどうでしょうか。
  70. 松下龍太郎

    松下参考人 今回の法案の大きな流れは、やはりたばこ耕作については従来の制度を基本的には踏襲するという流れであったと思います。そういう意味で私どもは、ただいまの審議会の構成が従前どおりということで適当ではないかと判断をしております。  委員の選出について、私ども中央会の推薦によっておるわけでありますが、これはやはり私どもの組織が法人組合として平素専売事業と一体となって仕事をしているという意味合いから、中央会を経由するという形がとられておるものであるというふうに考えております。
  71. 戸田菊雄

    ○戸田委員 次に、塩関係についてお伺いしたいと思います。  前国さん、同僚委員のプラス・マイナスの点で、マイナスはありません、こういう御意見だったと拝聴したんですが、以下四点ほどに対してひとつ御意見を拝聴したいと思うのです。  塩の公益事業制度は当面継続をいたします、こういうことになりましたが、しかし、自立化の状況を見てという条件つきなんですね。今後そういう状況が到来すれば、当然これは専売制度を外すかもしれない、こういうことだと思うんです。ですから私は、やはり塩の公益専売制度というものは継続して確保していくべきだろう、御意見の陳述ではそのように承りましたが、この点についてもう一度ひとつ確認の意味でお願いをいたしたいと思います。  それから塩の買い入れ価格ですね、これを公社の方では、国際価格に近づけて、すなわち五十八年はトン当たり二万一千二百円、それから昭和六十一年目標でトン当たり一万七千円。この目標価格が非常にきつい状況にあるんじゃないだろうかというふうに私は考えます。こういう点に対して、果たして現状に合致しているのかどうか、その辺の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。  それから一社三十万トン体制ですね、これは最適なのかどうか。いろんな努力をしてこれまでも機械化あるいは合理化をやってこられたようではありまするけれども、現状相当厳しく至ると、これができるのかどうかという心配が非常につきまとうんです。この辺の見解をまずお聞かせ願いたい。
  72. 前囿利治

    ○前囿参考人 お答えいたします。  先ほどマイナスはないと申し上げましたが、これは法案についてないということでございまして、政策の進め方についていろいろ要望がございます。  最初の、公益専売制は継続すべきではないか、こういう御質問でございますが、ただいま塩業界といたしましては、日本塩産業を自立化させなさい、こういう目標に向かって、輸入塩と競争できるようになるということを目指して一生懸命合理化に努力をしておるところでございます。そこで、自立化のめどがついたらそこで専売制を見直す、こういうことになっております。自立化のめどがつくかどうかということはまだ将来の問題でございますが、仮に自立化のめどがついたとして、その時点で専売制度を見直すということでございます。  私どもの方としましては、専売制度を見直す場合には、塩というものは大変貴重な物質でございますので、これの価格が安定をし、そして安定的に供給されるということは国民生活にとって大変重要でございますから、その時点で、国民、消費者意見、それから塩に従事しておる関係者の意見、その辺を十分尊重して決めていただきたいと思っておるところでございます。  それから買い入れ価格がだんだん引き下げられております。これが厳しいのではないか、こういう質問でございます。  塩業政策の基本は、先ほど言いましたように、日本の塩業を自立化させる、ということは、輸入塩と競争をして、制度に依存しなくても一人立ちして生きていけるような力をつけなさい、こういうことでございます。そこで現在は、六十一年一万七千円、これは輸入塩を持ってきまして粉砕をしたときのコストが大体それくらい、それに近づくように持っていこう、こういうことでございます。そういうことで、五十七年、五十八年、五十九年、さらに六十一年に向けて段階的に価格を引き下げて一万七千円に持っていく、こういうことになっております。  生産業界といたしましては、先ほど言いましたようないろいろな合理化努力を一生懸命やりまして、コストを逓減してこの目標に近づこうという努力をしております。これは率直に申し上げて大変厳しい政策である、こういうことでございますが、ただ、日本塩産業が、輸入塩と比べて余り割高でない価格でできるだけ自給をして消費者の皆さんにお届けする、これは塩業界として一生懸命取り組むべき課題ではないかというふうに思って努力しておるわけでございます。  厳しい価格に耐えながら一方で注文したいのは、厳しさの裏に、ある程度将来に向けての楽しみがある、そういう政策をとっていただきたいなというふうに思っておるわけでございます。といいますのは、コストを引き下げる合理化努力をいたしてまいります、そこそこそれに合った値段が決められます、赤字にはなりません、専売制が続くとすればそういった政策を続けて塩業が生きていけるわけですけれども、その目標にありますように、制度に依存しなくても自分の足で立っていけるように、それを目指して競争力をつけなさい、こういうことでございます。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、専売制がある間はそこそこの利益でも生きていけるかもしれませんが、自分の足で立つということになりますと、技術開発もどんどん進めなければならぬ、商品開発も進めなければならぬ、営業力もつけなければならぬ、あるいは流通網もきちっと整備しなければならぬというようなことで、そういったことを臨機応変に手を打っていくのは、最後には財務の力といいますか、蓄積の力ということではないか。だから、価格の引き下げに絶えず努力はしてまいりますけれどもコストが下がったときにその辺のところを十分配慮しながら、本当に自立できるような力が企業の手元に残るような、そういう楽しみのある厳しい価格政策を望みたい、こういうことでございます。  同じことでございますが、三十万トン体制、これも輸入塩に対抗するために、当面六十一年一万七千円という目標が決めてございます。それに近づくように努力をしております。ところが、本当に輸入塩と競争するためには、この一万七千円ではまだ足りないのじゃないか。そのさらに厳しい目標に到達するためには、現在の七社体制、一社十八万トンぐらい、百二十万トン全体でつくっておりますが、これが三十万トン五社体制ぐらいにならないと次の段階の目標には適応し切れないのではないか、そういうことから三十万トン五社体制ということが出ておるわけでございます。  それについては、一つは、輸入塩と競争していく競争水準のレベルというのは一体本当に幾らなのか、その辺の検討をやはり吟味しなければならぬ。それから、三十万トンになれば本当にコストが今までと比べて安くなるのかどうか、そういった点も十分吟味しなければならぬ。どっちがどっちでなければならぬということではありませんけれども、その辺の吟味を十分しなければならぬ。それからまた、仮に五社体制がいいんだということになりましても、現在七社でございますから二社は要らないということで、要らない二社をだれが決めて、どうやって始末をしていくのか、これも生きている企業でございますから大変重要な問題でございます。  だから、論理的に、常識的にスケールアップをすることが競争力をつけることになる、そういう単純な理屈では割り切れないのではないか。公社あるいは関係業界、その辺が今申し上げましたような複雑な問題を十分に検討し、議論をし、協議をして、そして問題を詰めながら判断をしていく、そういう性格の問題ではないかな、こういう理解をいたしております。
  73. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それから、今度新たに塩専売事業運営委員会、こういうものが新設をされます。恐らく塩業審議会あるいは塩収納価格審議会等々も存続をされると思いますが、従前置かれました専売事業審議会、これはそのまま政令で設置することになります。それから、たばこ専売事業調査会、これは公社としてはまだ取り扱い未定という状況でございます。恐らく存続ということになると思うのです。それから、たばこ耕作審議会、これはたばこ事業法で設置することになる。それから、取り扱い未定のものは、消費者懇談会とか消費者会議、こういうものがありますね。こういうものは恐らく存続されるのだろうと思うのです。  同時に塩の関係も、審議会とか収納価格審議会とか、これも同様の措置をとられるだろうと思うのですが、こういうものに対して、やはり直接生産に関与しておる皆さんが入るべきじゃないか。例えば、イオン交換膜メーカー並びに塩生産者及び流通事業者、こういった生産流通に非常に見識のある人はやはり入れるべきじゃないだろうか。  従前の内容を見てみますと、いろいろと入っている人は非常に立派な方が全部ですが、塩業審議会の場合には十三名ですね、これを少しふやしてもいいのじゃないかという気が私はします。それから、収納価格審議会の場合も現在十名ですね、だから十五名ぐらいの構成にして、より広範な見識の方を集めるということがあってもいいんじゃないだろうかという気がしますが、この辺の見解はどうでしょうか。
  74. 前囿利治

    ○前囿参考人 お答えいたします。  新しい専売法のもとで設けられる予定の塩専売事業運営委員会、それから今の専売事業審議会、これを引き継いで設けられるであろうたばこ事業審議会、この審議会の委員の構成並びに運営につきましては、先ほど陳述申し上げましたように、塩関係者の本当の声がそこで反映されるように御配慮をお願いしたい、こういうふうに思っております。これはどういう分野の人を入れてもらいたいという具体的なことではございませんけれども、塩事業関係者の本当の声が反映されるような構成、運営をお願いしたい、こういうことでございます。  それから、現在専売公社総裁の諮問機関であります塩業審議会、それから収納価格審議会、この中には塩の関係業界の代表が委員として入っております。この委員の数をふやしたらどうかということでございますけれども、今の審議会の運営状況からしまして、特に委員の数をふやしていただきたいと言うほど痛切に感じておる事情はないと思っております。ただ、今後の新しい専売法のもとでも、こういった審議会が引き続いて存置をされまして現在と同じような運営をしていただくようにお願いしたい、こういうふうに思っております。
  75. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大月さんにお願いをしたいのでありますが、この経営自主性拡大について、これは徹底して活力のあるものに切りかえていかなくちゃならぬと私は思うのですが、そういう意味でいきますと、新法人の最高意思決定機関というのは株主総会ですね。その執行機関は取締役会いこういうことになると思うのです。しかし、自主性拡大をするといっても、大蔵大臣の許可あるいは認可事項が非常に多いのですね。それからまた、法制体系としては政令省令に任せられるものが非常に多い。こういうことになると、行政サイドでいろいろやられる、こういうものが多く出てくるのですね。だからどうしても特殊法人の性格上、資本は全部出している、そういうことだからということになればこれは別ですけれども、この辺にやはり抜本的にメスを加えるような状況でないと、従前の非常に官僚的な、そういうものに陥るような傾向なしとしない。ですから、この辺に対しての、殊に人事の主体性、これはやはりぴちっと確立すべきだ、このように考えておるわけでありますが、この見解をひとつ具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  76. 大月高

    大月参考人 最初にも申し上げましたように、この法案は要するに法律上の枠組みだけでございまして、その中にやはり公益上の必要から大蔵大臣その他の認可事項が入っておるわけでございます。しかし、今度の制度改革の本旨から申しますと、いかにしてたばこ産業の効率化を図るかということであります。したがいまして、監督官庁の立場といたしましては、できるだけ企業の自主制を尊重する、また企業の創意工夫を尊重する、こういうことで運用していただきたいわけでございます。したがって、認可事項であってもその認可の態度はどうでもなるわけでございますから、制度本来の趣旨に従ってできるだけ自由にということが私の運用上の希望でございます。  それから、人事の問題のお話がございましたが、従来からやはり政府出資のある特殊の機関については、大事については監督官庁が認可権を持つというのが我が国制度の原則でございます。考え方といたしましては、大事にはそういう意味でタッチする、しかしタッチして決めた首脳部の決断、判断、やり方についてはできるだけそれを任すというのが本来の制度だと思います。  ただ、私も実は役所におりましてずっと経験してきたわけでございますけれども、役所の立場からいいますと、仮に監督下にある会社にいろいろ落ち度があるあるいは妙な事件が起きるとなると、おまえたちは監督行政上怠慢じゃないかあるいは抜かりがあるのじゃないかというおしかりを受けるわけでございまして、とかく政府サイドにおきましては、どっちかというと過度の干渉をする、それは決して悪い意味ではなくして、自己防衛と申しますか、役所としての立場上、監督官庁というものの立場上、ある程度やむを得ないところがあると思うのでございます。したがいまして、そういう点は役所の側においてもひとつ大きく踏ん張っていただきまして、大きく自由化を推進するという方向でやっていただきたいというのが私の希望でございます。
  77. 戸田菊雄

    ○戸田委員 最後に松下さんにお伺いをいたして終わりたいと思うのでありますが、さっきもちょっとお話をいたしましたし、陳述の中でも申し上げられておったようでありますが、全量買い取り制は維持される、こういうことですが、許可制から契約制に変わったのですね。この契約制によって耕作者に不利益にならないかどうかというのがちょっと心配なんですね。  現行たばこ専売法十八条でありますけれども耕作者は収穫した葉たばこ公社へ納付するに適しないものを破棄しなければならない、こういうことになっている。ところが今度は、事業法第三条第四項で、「契約に基づいて生産された葉たばこについては、製造たばこ原料の用に適さないものを除き、すべて買い入れる」。質が同じようだけれども、表現がやはりちょっと引っかかるのですね、現行のものと会社法によるものと。だから、この辺で契約制というものが耕作者に不利益にならないかどうか。  もちろんこの安全弁をし、何かそういうことがあった場合には、審議会等があって、そこでいろいろやられる、あるいは価格の問題等については調整がつかない場合は調整機関が設定をされて、そこで寄り寄り協議して結論を出す、こういうことには安全弁はしかれているようですけれども、この辺がやはり現行と新会社法、どうもニュアンスにちょっと違いがある。公社意見なんかを聞きましても、やはり在庫数量からいって消化が大変だということになって、なおかつ外葉もどんどん入ってくる。これは三〇%を超えるような状況ですね。そうすると、どうしてもやはり必要なシェアを守っていくためには、この辺の契約制の耕作面積その他いろいろ作付の問題についてきちっとしておきませんと、減反というようなことを招来しかねない、そういう状況になりかねないと思うのですね。だから、その辺どうも心配なんで、その辺の見解をひとつ率直にお聞かせ願いたいと思うのです。
  78. 松下龍太郎

    松下参考人 御指摘のとおり、契約栽培というのは私ども初めての経験であります。同時に、契約栽培によっていろいろ問題があったという事例も聞いております。そういう意味で、今後そういう新しい関係に変わるわけでありますけれども、新会社が良識を持ってこれに対処するということを特に期待したいと思います。  先ほどお話のありました納付の不適葉といいますか買い入れの限界、これについては、法案作成の過程で私どもも随分議論をいたしました。この規定によって買い入れの限界が広がるのではないかという心配は確かに持ったわけであります。しかしながら、公社とも当時よく真剣に意見を交換いたしました。標本、サンプルといういわゆる買い入れの限界を示す現物もあるわけでありますし、従来と買い入れの限界は変わらないという回答を得て踏み切ったということでございます。今後ともその言葉を信頼してまいりたいと考えております。
  79. 戸田菊雄

    ○戸田委員 どうも長時間ありがとうございました。  これで終わります。
  80. 瓦力

    瓦委員長 午後一時四十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十三分開議
  81. 瓦力

    瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮地正介君。
  82. 宮地正介

    ○宮地委員 参考人の皆さんにおかれましては、御多忙中当大蔵委員会出席をいただきまして、大変にありがとうございます。また、長時間にわたりまして御苦労さまでございます。  私は、今回の専売改革法案につきまして審議をさしていただく中で既にいろいろ問題点が出てまいりまして、そういう点につきまして、限られた時間でございますが、参考人の皆さんに御意見をお伺いをしたい、このように存じ上げます。  初めに私は、当委員会におきましてこの専売改革法案審議するに当たりまして、そのバックグラウンドでございます昭和五十七年七月のいわゆる臨調答申で示された具体的な内容というものと、この国会に提出をされて現在審議をしておりますたばこ関連五法案の内容を精査して対比してまいりますと、国民の立場から見て大分大きな相違があるように思われてならないわけでございます。  その中で、特に臨調答申改革意見として、今後の日本の将来の専売方向といたしまして経営形態というものは基本的には民営とすべきである、また企業的な経営に徹することが望ましく、でき得る限りの公的規制を排除して、より一層の経営の合理化、効率化を図っていくことがこれからのたばこ産業の生きる道ではないか、こういった提言がなされているわけでございます。  先ほど来参考人の皆々様のお話を伺っておりますと、何か民営化ということについては一歩引いたような、そうした感じを受けるわけでございまして、まずこの点について皆さんの率直な御意見、また、現在のたばこ産業における皆様方の御苦労は多といたしますが、国民の合意に基づく中で将来に向けてのやはり思い切ったたばこ産業改革も必要である、私どもはこのように考えているわけでございますが、この点についての御意見を、まずお一人お一人から率直にお伺いをしたいと思います。
  83. 松下龍太郎

    松下参考人 今次の改革法案の策定に当たりましては、国の内外含めて非常に多くの複雑な問題がございました。そういう意味で私ども農業問題を含めまして現在のような法案に落ち着いたと考えております。しかしながら、今回の改革法案の一番大きな課題は、やはり行政改革面と含めて市場開放体制への対応ということが課題であったと存じます。そういう意味では、法案そのものはそういったものへの対応という形で、ある意味臨調答申に沿ったものではないかというふうに考えておるところであります。  たばこの問題につきましても、いろいろ在庫問題、国際比価問題、多くの問題がございます。今後、現在予定されております方向の中で最大限の努力を私どもしてまいりたいと考えております。
  84. 関野泰夫

    関野参考人 全体の世界の流れなり国の経済の流れが開放経済に向かっているという状況でございます。そういう中で、先生のお話がございましたように、全体の改革というのが図られていかなくちゃならないということは私どももよく理解しているところでございます。ただ、私どもがお願い申し上げましたのは、特に激変するという形でなくて徐々にそういうふうな方向に向かっていくことが必要であろうかというふうに思いますし、現時点では、具体的に申しますと、例えば身体障害者とか母子家庭とか、そういうふうな方のお店なんかも私どものところはたくさんあるわけでございます。  それから具体的には、一番大事なことは流通秩序というのが図られなくちゃならないというふうに考えておりますし、これは公式ではございませんけれども、例えば指定定価制度につきまして、外国メーカー、アメリカメーカー等におきましても必ずしもそういうことに反対はしていないというふうに私は聞いております。したがいまして、全体の流通秩序というのが守られた形でこれからの改革を図っていくという方向が必要であろうかというふうに思っております。
  85. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  臨調答申から専売公社改革の論議が始まったわけでございますが、臨調答申そのものについて、労働組合は率直に言って反対でございます。  これは財界主導だとかあるいは官業非効率、民営効率とか、そういうことは別といたしましても、あの臨調答申は、まあ私がたばこ産業の中にいるから言うわけでございませんが、たばこ産業をめぐるそうした条件が十分に本当に分析された上で日本たばこ産業が将来とも維持発展ができるのかどうか、そういう分析が必ずしも十分ではないというふうに思っています。臨調答申が言うように民営民営になれば分割という形になりますが、そうなれば、今ビッグスリーと言われている非常に巨大なそうした外国資本と本当に競争ができるかという問題もあります。あるいは日本たばこ産業として、葉たばこの問題とかあるいは販売店とかいろいろな人たちを抱えながら日本たばこ産業維持発展努力をしてきた、そうしたことの条件がどうなるのか、あるいは労働組合組合員雇用とか労働条件が一体どうなるのか、そういうことを十分考えた場合に、あの臨調答申をそのまま実行するということは私は適当でない。そういう意味では、いろいろなそういうものが調整されて今日この法案ができ上がったわけでございますから、ぜひこの法案を中心に、先ほど午前中申し上げましたように、まだ十分解明されていないそういう点をひとつ委員会の中で解明をされて、本当に経営に力を与え、そして労使関係近代化が与えられた上で、お互いが責任を持って日本たばこ産業を支えていく体制をつくることが必要ではないかというふうに私は思っています。
  86. 前囿利治

    ○前囿参考人 お答えいたします。  塩専売事業改革についての臨調答申は、昭和五十六年十二月の塩業審議会答申で指摘されておるように、日本塩業の自立化を目標にして、生産流通面の合理化をどんどん進めなさい、そして自立化のめどがついた段階で専売を廃止しなさい、それまでの間はたばこ会社の方で塩専売事業を行いなさい、こういうような意見になっておりますが、今回の塩専売改革法案は大綱的にはその線に沿って進められておるのではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  87. 大月高

    大月参考人 臨調の答申によりますと、新しい専売の組織は、政府出資の特殊会社から始まりまして、逐次株式を開放する、そして製造独占が廃止される段階で民営化、こういうプロセスを追っておるわけでございます。ここで考えられております民営というのは、私にはちょっと頭の中ではっきりした画像が描きにくいわけでございます。  このたばこ産業をめぐる問題は、一つは、民営化に関しましては、たばこ産業は世界における巨大資本の角逐の場であるということが第一でございます。御存じのように、レイノルズとかその他大きな会社がありまして、専売公社以上の組織を持ってこれが世界制覇をねらっておるわけでありまして、その中において我々はいかに日本たばこ産業を守っていくかということでございます。第二の重大な問題は、日本の葉たばこ産業、これをどういうようにして将来持っていくか、こういう二つの宿題を抱えておる段階でございます。  そういたしますと、仮に民営化という姿を描きまして、それが完全に政府の手から離れるということにいたしますと、一体世界の競争場裏においてうまくいくかどうかという問題があるわけであります。と申しますのは、民営化となれば、これは当然複数になる可能性がある。外国資本日本へ出てきて、日本葉たばこにもタッチしながら、製造にもタッチしながら競争する、それでうまくいくか。それから第二の問題は、葉たばこ産業に対して、一体政府の関与なくしてうまく処理ができるだろうか。こういう二つの問題だと思います。  そういう意味で、我々が関与いたしております専売事業審議会では、その二つの問題を考えまして、民営化という措置は今とるべきでないのだ、むしろ政府出資の特殊会社としてたばこ会社を育成した方がいいのだという立場をとっておるわけでございます。
  88. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほどもお話がございましたように、これはやはり行政改革というものがこれからの日本の大きな財政改革につながっていく、こういう面が一つあるわけであります。そういう中で専売改革とか電電の改革というのが今国会で提案をされていると思っております。たばこにつきましては、ただいまお話がありましたように、外圧、輸入の自由化という一つの側面と、また国内葉たばこ産業の皆さんの今までの御労苦に対する今後への対応、また多くの専売職員の皆さんが激変の緩和のない中にどう対応していくか、また専売公社の存在というもの、そのものが日本財政に大きな役割を果たしている、こうした大変難しい連立方程式というものを解かなくてはならない、またこれを積極的に解いていかなくてはならない、そういう責任というものが今我々政治の立場にある者にも求められているわけでございまして、そういう中で、やはりこの民間活力の導入という問題は、私は、決して避けて通れない一つの自然体の流れではないか、こう考えている一人でございます。  そういう中で、専売公社からこの新しい日本たばこ産業株式会社に変わったときに、単に名称だけが変わったというのでは国民の合意は得られない。やはり質的な面の一歩前進、向上、そして将来に対する一つのビジョン、目標というものがなければ、かえって今の多国籍のこの三つの大手の外国企業にしてやられてしまうのではないか、私はこんな危惧もあるわけでございまして、そういう中で、この委員会でも審議をさしていただきましたが、今回の新会社特殊会社としての制度、当面政府出資一〇〇%、そして三年ないし五年ぐらいで、いわゆる経営が軌道に乗った段階で附則によるいわゆる当分の間三分の二、そして将来は政府株式保有の義務が二分の一以上と、段階的にこうなっていくわけでございますが、大蔵大臣などの答弁を聞いておりますと、製造独占、これは恒久化である、こういうような中で、どうも公的規制の緩和という問題になりますとなかなか口がかたい。そのかたい一つの大きなポイントが、どうも葉たばこ耕作者に対する対応労働組合の皆さんに対する対応、こういうものに非常に神経を使っている感じがするわけでございます。  きょうは当事者の御当人がお見えでございますので、その点についてどういう御意見を持っておられるのか、率直に伺いたいと思います。これについては、耕作者の代表である松下さんと労働組合の代表である牧内さんにお伺いをしたいと思います。
  89. 松下龍太郎

    松下参考人 お答え申し上げます。  今回の法案が最終的にまとまるまでには、臨調設置以来三年間、私どもの組織では非常に大きな議論がございました。最後にぶつかった壁が特殊会社化ということであります。これについては本当に悩んだというのが実際のところであります。御意見の内容もよく理解できるわけでありますが、私どもとしては、従来の公社制度専売制度維持という基本的な考え方から、特殊会社化へ踏み切りました最大の要因が、いわゆる政府が全額出資の特殊会社であるということが実情でございます。その辺、耕作者実情を御理解いただければ幸いかと存じます。したがって、今後とも、政府の保有する株式については、できるだけ政府維持をしていただきたいというのが率直なところでございます。
  90. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  たばこをめぐる情勢が厳しいことは私たちも十分承知をいたしております。そういう意味では、その競争体制をどう確立していくのか。労働組合とすれば、そういう体制の中で当然合理化その他も対応していかなければならないというふうには思っています。そしてそういう中で、安くてうまくて安心して吸えるたばこ供給といいますか、またそれを通じて、国や自治体に対する財源確保という面からの貢献もしてまいらなくてはならないというふうに考えているところであります。  しかし、そうしたたばこ競争体制を確立するという観点からいきますと、先ほどからいろいろ議論がありますように、やはり外圧といいますか、巨大な外国たばこ資本ということを意識をしなくてはならないというふうに思います。今、民営あるいは分割という形で、日本たばこ産業の力が弱いそのままの形の中で投げ出されてしまいますと、やはり日本たばこ産業維持発展ができないということになりますし、私たち労働組合ですから、そういう意味では組合員雇用とか労働条件とか、そういうものに大きな影響が出てくるというふうに思っています。そういう意味では、私たちは現行制度維持ということを基本にして運動を進めてきたわけでありますが、いろいろな調整といいますか、お話し合いの中でこういう法案が出てきたわけでございますから、私としては、この法案を中心に、いかにして日本たばこ産業を守っていくのかという観点からの議論といいますか審議を進めていただきたいというふうに思っているところであります。  何といっても厳しい条件下でございます。そういう中で労働組合としてどう対応していくのか、委員長としてのいろいろな決断、判断もございますが、基本は何といっても日本たばこ産業を守っていくというところに視点を置きながら私たち雇用条件を守っていく、そういう観点からこれからの取り組みを進めていきたいというふうに考えています。
  91. 宮地正介

    ○宮地委員 今度の制度改革については、現状の維持というのが基本線になってこの法案ができているわけでございますが、やはり一つの特殊法人、特殊会社という会社組織になるわけでございますから、積極的な今後の事業的な拡大あるいは投資の範囲の拡大、海外進出に対する展望、こういう一つのパイを大きくしていくならば、現在の葉たばこ耕作者や現在の専売の従業員の皆さんを縮小あるいは削減、切り捨て、こういう方向に持っていかないで、むしろ積極的な事業の内容の拡大や海外進出によって逆にたばこの輸出攻勢をかけていくならば、余り現状維持的な発想にこだわる必要はないのじゃないか、こういう御質問も私は大蔵大臣にさせていただいたところでございます。  そういう中で、特に最近、専売公社におきましても積極的に海外にたばこの輸出を倍増していこう、こういう計画も出てきたようでございますし、私はこれは逆に、大変にすばらしいことではないか。外圧によって輸入の自由化、製品たばこが入ってくる、大蔵省にどのくらいのシェア拡大されますかと、この見通しを聞きましたら、専売公社でありましたか、現在の一・七、八が五%くらいまではある程度やむを得ないのではないかというお話も出てまいりました。資本金についても一千五百億円以内ぐらいかな。また、当分の間の三分の二のこの緩和についてはどの程度ですかということについては、単なる期限的な問題でなくして、いわゆる民間の企業の経営でございますから、財務諸表が昭和五十八年度の現在の専売公社と同じような程度の内容以上になった段階で、まあ三年ないし五年ぐらいの間にはそういうようにしてこの問題の解決にも努力していきたい、こういうふうにいろいろ具体的に当委員会で明らかになってきたわけでございます。  そういう点で、今松下さんも、政府出資一〇〇%、これをもう絶対条件のような形でこの法案のできるまで三年間大変に御苦労された。しかし、現在のシェアが逆に海外に伸びていき、現在の新会社が今度事業内容的にもすばらしく好転をしてきた段階においては、私はむしろ、減反減反と寂しい話ばかりしていますけれども、増反ということもあり得るんじゃないか。私は、そういう積極的な経営をしていくためにはもっともっと逆に民間の活力を導入した方がベターじゃないか、こういう感じがしているわけでございまして、むしろ積極攻勢に乗り出していくための皆さん方のやはり御配慮というものも私は大事じゃないか、こう思っておりますが、この点について、耕作者の代表の松下さん、また実際自由化の試練に立たされる販売の代表の関野さん、また労働組合牧内さんに、やはり生産性の向上という中で現在の活力というものをもっと積極的に生み出していくなら、私は決して悲観的な考え方に余りこだわる必要もないのではないか、もっと討っ手攻めの戦いの経営を新会社に求めていく方がより時代の一つの大事なポイントではないか、こう私は思うのですが、その点についていかがでしょうか。
  92. 松下龍太郎

    松下参考人 御指摘の、パイを大きくするということは、おっしゃるとおりであります。我々、運命共同体でありまして、母体のパイが大きくなるということは極めて重要なことでありまして、法案の検討の過程でも、専売公社が今後新会社として当事者能力強化するという点については我々も基本的に賛成をいたしてまいりました。でき得れば、現在想定されております複雑な状況の中では最大限に当事者能力は付与されたと考えておりますが、その枠内で、公社の積極的な努力、新会社の積極的な努力を期待をいたしたいと思っております。
  93. 関野泰夫

    関野参考人 ただいま先生のお話を伺いまして、私どもは全く同感でございます。特にこれからむしろ、外国のメーカーが入ってくると申しましても、私は、いろいろ心配はございますにしても、日本たばこ産業の力というのは侮るべからざる力があるというふうに思っておりますので、特に御意見を申し上げるというよりは同感の意を表したいと思います。
  94. 牧内研二

    牧内参考人 活力ある経営といいますか、あるいは職場づくりといいますか、そういうものが大切であるということは先生御指摘のとおりだと思います。私たちも今まで、専売制度の中ですが、そういう意味では生産性といいますか、技術革新あるいは高速化その他いろいろなことに取り組んできたつもりです。先生方も幾つかの工場を見ていただいたと思いますが、それなりのというよりも、外国のそうしたたばこ会社に負けないだけの工場の生産性を上げているというふうに私は確信をいたしております。  今後もますます、競争体制が厳しいですから、そうした活力を入れていかなければならないというふうに思っています。その意味では、政府出資の会社でございますが、自主性とかあるいは労使の近代化とかそういうことが入ることによって、よりそうした活力が強まってくるんではないかというふうに私は思っています。  特に労使関係で言いますと、賃金一つなかなか自分たちで決められないという情勢です。しかし、これから労使がお互いに交渉する中でそうした賃金その他が決めていかれるということになりますと、職場でやはり活力あるといいますか、働きがいのある職場、生き生きとした職場というものが形成されるのではないかと思います。そういうことを十分に生かしながら、こうした厳しい環境の中で、今先生御指摘のように、ただ内にこもるのじゃなくて、ただ今までのシェアを守るのじゃなくて、もっと外に出てそうしたシェア拡大ということについて努力をしていく体制ができるのではないかというふうに考えています。
  95. 宮地正介

    ○宮地委員 やはりそうした将来に向かっての前向きの取り組みというものがあって、国民の期待にこたえられるのではないか、私はこう感じている一人でございまして、特にR・J・レイノルズなどという会社などにおきましても、専売公社売上高約三兆円に匹敵する二兆六千億円の売り上げを既に一九八一年で上げております。また、フィリップ・モリスにいたしましても二兆四千億円。中を見てみますと、たばこのほかにビール会社をやっていたり、あるいは石油会社など、多角的な経営にも乗り出しております。それだけに、これからのこの新会社、特にリーダーシップをとるべき役員構成、こういうところにおいてもどんどん民間の頭脳、人的な面の頭脳というものもやはり導入をしていくべきではないか。日本が世界自由主義陣営でアメリカに次いで第二位の経済大国になっております。その最たるものは、技術革新による頭脳と、そして日本の民族の勤勉性と努力とまじめさ、この生産性の向上というものが、現在の世界の中においてもその重要なリーダーシップをとっている手本ではないか。決して専売公社においてもそれはできないわけではない。むしろ、先日も私、平塚の研究所等を見させていただきました。品種の開発などについては大変な努力をされ、また、世界的水準にも至っているのを承知しております。また、郡山の専売の工場を見まして、女子従業員の皆さんも非常に働いて、積極的に対応されているのも拝見させていただきました。私は、今後の経営努力、手法を誤らなければ必ずこうした巨大企業に負けない立派な新会社に成長していくものと信じてもいるわけでございます。  それだけに、逆に、今回の法案を見ておりますと、果たしてそうしたこれからの前向きの取り組みに対してブレーキの働きになるところはないだろうか、むしろアクセルを踏もうとするところにブレーキになっているものがないだろうか、こういう点を我々心配をしておりまして、その心配の一つの大きな点がいわゆる一〇〇%出資、あるいは当面三分の二の政府株式保有義務という事項、特に大蔵大臣によりまして定款の変更とか役員の解任とか、あるいは営業の譲渡とか、あるいは監督権による役員の解任、選任、こういうものが大蔵大臣の権力に集中的にされておる。これは大変公的規制が、そうした前向きの企業努力に対して、企業の自主的なパワーに対してむしろブレーキの役になるのではないか、もっと自主的に、まさに市場開放と同じように開放的に対応して、専売公社自主性を尊重しながら、専売公社の役員の頭脳の中をもっともっと前向きに考えて対応していった方がいいのではないか、こう考えているわけでございますが、今度は大月委員長あるいは労働組合牧内さん、また松下さん、関野さん、前国さん、皆さんのこの公的規制の問題についての考え方、発想――どうも皆さんのお話を伺っておりますと、自分のテリトリー、何か自分の方のところに余り目が向いて、悪い言葉で大変失礼かもしれませんが、近視眼的に見て、かえってそれがブレーキになる、もろ刃の剣にもなりかねない、私はこんな感じがしているものですから、この点についての皆さんの御見解を伺っておきたい、こう思います。
  96. 大月高

    大月参考人 特殊会社であるためにいろいろな公的規制がございまして、それが本当の意味の能率の発揮に害が及ぶのではないか、こういうお尋ねでございます。  私は、先ほど申し上げましたように、今の専売公社としてまとまっておるものを分割するということは国際競争上適当でない、そういう意味で一つにしなくてはいかぬということを考えます。そうすると、一つにした場合の問題は、やはり独占の弊害ということでございまして、一つは、弱い葉たばこ耕作者に対する態度、それから第二の問題は、販売店その他に対する独占的な立場がございます。そうしますと、そういう問題に対してはどうしても公的規制が必要でございまして、これは独禁法の精神から申しましても必要なものだと思います。  それで、今度の法律で各所に認可事項が植え込まれております。それから人事権にも介入するということになっておりますが、そもそもの精神は、公社制度を改めて株式会社にするという点にポイントがあるわけでございまして、株式会社としてはまさに自主性を持ち、そうして創意工夫を発揮して運営をするというのがポイントでございますから、その今度の改革の精神を十分に政府サイドで酌んでいただきまして、例えば認可といっても個別の認可もございますし包括的な認可もあるし、それから認可をするときの態度、非常に厳格なやり方もあるし、もう少しルーズなやり方もある、いろいろあるわけでございますので、そういう自主性を尊重するという意味において、政府サイドで十分な、何と申しますか、放任的な態度をできるだけとっていく、公的にやむを得ない分だけの制約をするということにやっていただければ、制度改正の趣旨は達せられるのじゃないかと思います。
  97. 前囿利治

    ○前囿参考人 私、塩の方でございますけれども、考えておる範囲でお答えをしたいと思いますが、今まで八十年間専売制のもとでやってきたたばこ事業を、この際、市場開放要請にこたえて競争的な経営ができるような事業体に改革をする、こういうことでございます。ということは、葉たばこから販売まで含めまして、八十年間この体制になじんできておるという体質があるのだろうと思います。それを新しい環境に向かって適応するように改革をしていくといいます場合には、現在生きておる人たちがあるわけですから、人間、一遍になかなか変わらぬのではないかというふうに思うわけでございます。  したがいまして、環境が変わった、環境が変わったことを認識をしてそれに適応する行動が機敏にとれるように持っていくということでございますが、まず新しい制度をつくり上げるということが必要でございますので、新しい制度をつくり上げるには、関係者の理解のもとにこれをまずつくり上げなければならぬ。つくり上げた上で、これが実際に環境に適応していくような行動ができるかどうかということは、新しくできた制度の中での経営行動の進め方、そういうことにかかってくるのではないのか。  そういうことからいたしますと、いろいろな介入がどうしてもやむを得ず入ったということは現実的な問題としてございますけれども、そういった制約の中で環境適応をして生きていくためには何をしなければならぬかということで、国際的なビッグビジネスと競争をしていくということですから、行動面で思い切った改革をしなければならぬ。そういうことは経営あるいは関係者の中でみんながその辺の状況をつぶさに見ながら、実態と照らし合わせながら逐次やっていく、こういうことではなかろうかというふうに思っております。
  98. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  民間の頭脳を入れるということもいいでしょう。しかし、私は専売公社の中にも立派な人材がいるというふうに思います。問題は、そうした人材をどう使っていくのか、あるいはいろいろな情勢動きに即応する体制が現在の仕組みの中であるのかどうかというふうなところが問題だと思います。  そういう意味では、今回法案の中で専売公社が株式会社ということになって、その中心はいわゆる自主性というところにあると思います。当事者能力というところにあると思います。そのためには、冒頭申し上げましたが、いわゆる所有と経営の分離というのを明確にしてもらって、とにかく経営は専門家といいますか、そういうところにひとつ任せてもらうという体制が必要だと思います。  そういう意味では、確かに人事権の問題とかあるいはその他の問題について、非常に許認可とかあるいは政令省令による部分が多いわけでございます。ぜひここを当委員会でもう少し明らかにしてもらって、制度運用両面において実効のある体制をとっていただくならば、日本たばこ産業維持発展させるために、新しい会社の中で、経営のことまで申し上げませんが、労働組合は精いっぱい努力をするつもりでございます。
  99. 関野泰夫

    関野参考人 先生のお話の中で、経営責任にかかわる問題につきましては別といたしまして、私どもの方の最大の問題は、やはり流通全体の秩序維持するということにあろうかというふうに思っております。ただ、流通の自由化そのものは、今回の卸の自由化が法案に盛り込まれておりますようにかなりの前進をしているわけでございます。それで、それ以上激変が起こりますと、具体的に申しますと、今お話が出ましたように大企業の力によるダンピングとか、それから価格がある場所によっては必要以上に高騰したりするとか、そういうふうな、お店にとりましてもお客様全体にとりましても何かと問題が発生する危険がございます。それから、それがひいては財政に及ぼす影響もあろうかというふうに思っております。したがいまして基本的には、最低限、流通秩序維持するという方途だけは御考慮いただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  100. 松下龍太郎

    松下参考人 再三申し上げておりますが、公社会社化することについて耕作者の最大の不安は、たばこ耕作という農政的な配慮の必要な分野について行政が失われるという点にありました。同時に、製造独占をお認めいただいたわけでありますが、逆に、これは裏腹に独占経営であります。今後、新会社が発足いたしましても、将来これが利潤追求一途に走るのではないかという危惧は我々ぬぐい切れません。そういう意味で、新会社自主性をできるだけ尊重しながらも、適正な国の関与というものは望ましいというふうに我々は考えておるところであります。
  101. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、特に耕作者の代表の松下さんに伺いたいのですが、いわゆる適正な公的関与、これは私もおっしゃるとおりだと思うのです。しかし、今回の法案を見る限り、これはちょっと適正以上でないか。非常にあらゆるところにぼっちが置かれている。今たまたま牧内さんからもお話がありましたとおりでございまして、そういうぼっちを余り強く置いておくということは、先ほど申し上げましたようにかえってもろ刃の剣になるのではないか。  特に葉たばこ耕作者の皆さん方においては、利潤の追求が葉たばこ耕作者の切り捨てにつながるのではないか、そういう御心配があることは私も承知をしております。しかし、決してそういう切り捨て的な発想を持ってはならない。葉たばこ耕作者においても大変な品質の改良の御努力もされていることは承知をしているわけでございます。ですから、余り幻想的に切り捨てられるのじゃないかという発想が強く出ると、かえって今後の企業の発展に逆に大きな阻害要因にならないか、私はこんな感じもしているわけでございまして、むしろ今松下さんがおっしゃるように、葉たばこ耕作者については、日本の農政という立場からももっと積極的な、基盤整備の問題だとかあるいは今後の共同機械の購入の補助の問題などについても、特に乾燥のところでは大変時間と手間というものがかかっていることも承知しております、そういうところにも積極的に近代化の資金をもっともっとやっていくとか、そういう全農政的努力、これはもう当然政府にやっていただくという中で――よく小野監理官が担保、担保という言葉をこの委員会で使うのですけれども、何か保証人がいなければ、担保がなければお金を貸さないという銀行的な発想でなくして、やはり長い間の信頼関係というものもできているわけでございますから、余り危惧をされて、それがかえって公的規制を強めていくということになると大変時代の流れに逆行するのではないか、私はこういう心配もしているわけでございまして、決して皆さんのお立場を切り捨てしようなどということは当委員会の中にはだれもいないと思いますし、そういう点ではむしろ積極的に御援助させていただき、また皆さんの自主的な努力もぜひお願いしたい、こういう中でとらえての論議をしているわけでございますが、この点について耕作者を代表して、どういうお考えをお持ちなのか、もう少しお話を例えればありがたいと思います。
  102. 松下龍太郎

    松下参考人 我々決して自分の意見に固執するつもりはございませんが、私どもは現在の公社経営陣は心から信頼をいたしております。しかしながら、今後市場開放が進展してまいりますと、極めて厳しいコスト競争に相なります。こういったことで、企業が追い詰められた段階で果たしてどういう展開があるだろうか、我々の最も心配しているのはその点であります。外国たばことの価格差も徐々に縮小の段階にあります。そういう点を心から危惧しております点を御理解をいただきたいと思います。  ただ、我々自身も体質強化には努めなければなりませんので、現在既に生産対策として、乾燥室、農業機械、堆肥施設、そういったものに補助金を得て相当の資金をつぎ込んで体質の改善には努力をいたしております。労働時間の節減についても、現在具体的に検討している事項もございます。今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  103. 宮地正介

    ○宮地委員 私の今申し上げたことは要望を兼ねてお話しいたしましたので、決して耕作者の方をいじめたり切り捨てするなどという考えは毛頭持っておりません。むしろ積極的に対応されることによって皆さんのパイが大きくなり、何か減反減反という嫌な言葉が出ておりますけれども、むしろ増反になるような経営努力または経営の将来を期待して私は質問をさせていただいておりますので、ぜひ御理解をいただきたい。  時間も限られておりますので、具体的に何点か伺いたいと思いますが、何といいましても今後の新会社経営の中で一つの重要なポイントは、いわゆる過剰在庫の問題にどのように対策を打っていくかという問題であろうかと思います。五十八年度末におきましては、既に十二万九千トン、約二千九百億円、十二カ月分の過剰在庫の葉たばこ専売公社は抱えているわけでございまして、この過剰在庫の資金というものが、今後新会社になりますと今度はいわゆる利付の資金に変わってくるという、大変経営上においては大きな負担にもなりかねないわけでございます。  この過剰在庫の原因については、やはり消費の停滞という問題が大きな要因のようでございます。しかし、今後この過剰在庫の対応について、もちろん専売公社としても新会社になって努力をされていくと思いますが、こういうものが逆にまた葉たばこ耕作者なんかにしわ寄せされるという事態になることのまた私ども大変心配もあるわけでございまして、やはりおいしい、そして安いたばこをどんどんつくっていただいて、先ほど申し上げましたような海外進出、海外における消費需要、こういうものの獲得をふやしていくことがこうした過剰在庫の解消の一役にもなろうか、こう考えてもいるわけでございますが、特にこの問題について、松下さんあるいは大月さんあたりに、今後の新会社になっていく中で、この問題の処理について率直な皆さんの御意見を例えればありがたいと思います。
  104. 松下龍太郎

    松下参考人 過剰在庫問題は、御指摘のとおり大変重要な問題であります。金利、倉敷が経営の負担となっておることも我々十分認識をいたしております。そういう観点から昭和五十七年に我々は約一割に及ぶ減反をいたしました。これは単年度需給を均衡させるという目的で行ったものであります。これは強いられたというよりは、むしろ自己調整の形で踏み切ったものであります。  ただ、私ども率直に申し上げれば、いささかたばこ耕作者に合理化の負担がかかり過ぎているのではないかという印象を持っております。現在、公社も過剰在庫の解決策について自主努力をお考えのようでありますけれども、御承知のように現在の農業事情では米がああいう状態でありますし、農家の転換作物というのは非常に数が少のうございます。これ以上の積極減反ということになりますと、果たしてその穴を何で埋めていったらいいのかという、極めて深刻な問題を私ども持っております。あるいはこれは兼業化の促進にもつながるかもしれません。遊休施設もできてくることになります。でき得べくんば、我々も品質生産性の向上に努力いたしますので、できるだけ工場における国産葉の使用率を高めて使い込んでいただく、あるいは非常に困難な状況であっても販売促進に努力していただく。もう一つ大きなことは、御指摘の海外への進出、葉たばこ製品たばこの輸出にもっと本格的な力を新会社は注いでもらいたい、こう考えております。  以上であります。
  105. 大月高

    大月参考人 この葉たばこの在庫過剰問題は、私は今度改組される会社にとりましても最大の問題だと思います。  先ほども申し上げましたように、私だだいまのところ、どうしたらいいという成案は持っておりません。しかし、一般的に申しますれば、やはり物の過剰というものを解決する道は二つしかないわけでございまして、一つはその供給を減らす、つまり減反によるかどうかは別といたしまして、葉たばこの買い上げ数量を減らすというのが第一点でございますし、第二は、やはりその葉を使う量をふやすということになりますと、一つは製品の輸出、一つは原料のままの輸出、それから私の考えますのには、どこか外国において合弁事業でも行いまして、そこの安い葉たばこを使うたばこをつくって、それをほかの国に輸出をする、その際日本葉たばこもまぜ葉として使っていくというようなことも一つではないか。ただ私、具体的にどうすればいいかということについては素人でございますのでわかりませんが、大体方向としてはそういうことだと思います。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 関野さんに少し伺いたいのですが、いよいよ自由化ということになりますと、外国製品たばこが入ってくるわけですね。今、日本たばこには全部一つ一つに製造年月日が表に書かれております。外国たばこは、今大きなカートンの箱には年月が出ているようですが、一つ一つには出てない。これについて大蔵省に確認いたしますと、また一つの新たな貿易摩擦の火種になるんじゃないか、このことを言いますと非常に嫌がっておる、こういう回答が返ってきたのです。  現場で実際に小売でお売りになる場合大きなあれがありますから、皆さんのところでは余りおくれた製造年月のたばこを購入して売るということは、これは選別ができると思うのです。ただ、我々いわゆる一般の消費者から見ると、外国たばこにはそういうものが一つ一つにありませんが、日本の国内たばこは、これはいつのだ、新しいな、おいしいな、こういうことで皆さんチェックできるわけですね。外国たばこには製造年月日が出てない。こういうものは、小売の段階でこれから大きな何らかの影響が出てくるんじゃないか。売りにくいとか、そうした心配が出ると思いますが、率直に言って、外国たばこにも製造年月日をつけた方がいいと私は思っているのです。この点についての御見解ですね。  それからもう一つは、現在、日本たばこは大体マージン一〇%、外国たばこは八・五%、マージンに差があります。しかし、これから人件費だとか、いろいろ物価の高騰だとか諸要因が出てきて、皆さんのマージンの率がずっと変わらないとすると、今、平均売り上げが大体百万ぐらいだというようなお話がありましたけれども現実的には実質的な、いわゆる可処分的な利益というのはだんだん抑えられていってしまうんじゃないか、言うなら、ガソリンスタンドの油みたいになってしまうんじゃないか、こんな心配をするわけです。  このマージンの問題と製造年月日の問題についてどういうふうにお考えになるか、御意見を伺いたいと思います。
  107. 関野泰夫

    関野参考人 お答え申し上げます。  外国たばこの製造年月日は、現在、ついておりません。このことにつきまして大変率直な実態を申し上げますと、たばこの商品の性格というものがございますけれども、今までメーカー側の意見ですと大体一年ぐらいはもつというふうに伺っておりますけれども販売店側の方といたしましては、外国たばこの製造年月日に対する意見というのは現在のところ出てきておりません。むしろこれは国会においても御議論をされた経緯がございますので、軽々に申し上げられませんけれども、一部の意見といたしましては、例えばビールなんかは旬で書かれておりますし、商品の性質が一日二日で悪くなるというものでもございませんので、一部には製造年月日に対する小売店側の若干の意見というのがございますが、具体的にまだそれがまとまっているわけでもございませんので、いずれまたその辺の意見がまとまりましたらメーカーの方に要望したいというふうな気持ちがあるわけでございます。したがいまして、先生のお話に出ました外国たばこそのものにつきましては、小売店サイドの方といたしましては今のところ特段意見は出ておりません。  それから二番目の問題でございますが、これは現時点でも私ども大変重大な問題というふうに受け取っておりますが、外国たばこのマージンは八・五%でございます。国内商品が一〇%であるわけです。これにつきましては、要するに高いものでございますとそれだけ資金がそれ相応に要るわけでございますので、同様のマージンを欲しいということを前からお願いをしているわけでございます。  本件につきましては、仄聞するところによりますと、外国メーカーの方からも最優先でできるだけ早い機会に一律マージンにしたいということで検討しているというふうに伺っておりますので、できるだけ早く実現されますように私どもとしては期待している次第でございます。  以上でございます。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 それから、小売店が今回指定制から許可制に変わるというので、当委員会でも問題になりましたが、現在指定書を大蔵大臣の名前でいただいていますね。この一つの改革と同時に許可証を新発行すべきではないか、こういう感じを持っているのですが、小売店の皆さんそういう点についての御意見はどのように出ておるか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  109. 関野泰夫

    関野参考人 実態から申しますと、私どもの方のお店というのは大変零細なお店が多うございまして、お年を召した方も大変大勢いらっしゃるわけでございます。先ほどもお話し申し上げましたけれども、全体に激変と申しますか、お店の側にとって大きな変動のような感じを受けるということに対して恐れというのがあるし、不安があるわけでございます。したがいまして現時点では、これは政府の方で考えていただくことでございますから私どもが云々する段階ではないと思いますけれども実態的にはどういう方法であっても現地なり各お店について余り大きなショックを与えない、と申しますとなんでございますが、変動したという感じをできるだけ与えないような御配慮をいただきたいというふうに思っております。
  110. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、労働界の代表の牧内さんに伺いたいのです。  私は一時民間にいた経験があるのですが、最近の企業の中には、労使協調のそうした問題の一つの端的な例としまして、労政経験のある、能力のある方を役員の中に導入している会社がトップ企業の中に非常に多いのですね。そういう点で私は一つの開けた道として、専売公社で長年御苦労をしてきた労働界の皆さんの仲間の中からも、株式会社になっていったときにそうした力のあるこれからの時代の人材というものは十二分に検討して役員構成の仲間に入っていくべきじゃないか、こういう感じがしているわけですが、そうした点についてどういうお考えを持っているか、最後に伺って終わりにしたいと思います。
  111. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  いわゆる経営参加の問題ですが、私ども組合も何年か前にこの問題を議論したことがあるのです。日本組合あるいは全専売労働組合もそうですが、どうしても企業組合なんですね。そういう意味で、組合の役員がそういうところに入っていくと経営とべったりになるのではないかというような声が職場にあることもまた否定できない事実なんです。しかし専売の労使としては、そうしたことは別としても、午前中申し上げましたようにとにかくどんなことでも話し合うんだということで、これは経営の問題だ、これは労働問題だ、そういうことを分けずに話をして、そこで決まったことはお互いが責任を持ってやっていこうということをやってまいりました。今後も、経営参加の問題は今後の問題として、今申し上げたような考え方で労使関係をつくっていきたいというふうに思っています。
  112. 宮地正介

    ○宮地委員 大変貴重な御意見ありがとうございました。  これで質問を終わります。
  113. 瓦力

    瓦委員長 安倍基雄君。
  114. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうも本日は御苦労さまでございます。  同僚議員が既にいろいろ質問をしてございますし、この委員会におきましても非常に長い時間にわたりましてこの問題を論議してまいりましたものでございますから特に改めてないのでございますけれども、できるだけ重複しない程度に皆様の御意見を伺いたいと思うのでございます。  実は私ども臨調答申を中心に考えてきたんでございますけれども、私は当委員会におきまして、臨調答申必ずしもパーフェクトではない、憲法ではないんだ、形式的に申しますとこれはあくまで行政府に対する勧告であって、行政府が提案する法案については臨調答申に沿わなくてはいけないだろう、しかし立法府の我々としてはまた新しい見地から物を考えてもいいんじゃないかというような議論を展開したわけでございます。  その際に、それぞれ電電にいたしましても国鉄にいたしましても何で独占であったのかなということを考えましたときに、たばこの場合にはちょっと性格が違う。と申しますのは、電電とか国鉄などは競争してできるだけ安くしていけばいい。ところが専売の場合には、もちろん競争して製品が安くなることはいいけれども、これは安くなり過ぎてもどうか。健康上の問題もある。大衆の手が届くところの値段であってほしいけれども、それかといって、ただべらぼうに安くなる、技術革新ということでもって安くなり過ぎてもおかしいじゃないか。結論的には、たばこ専売と申しますのは、いわば原価と販売価格と商品の性格として非常に差が生じるんだ、その差を何に使うのか、これを財源に充てるのだということがこの専売制度ではないかというような議論をしたのでございます。その意味合いにおきまして、通常の場合と独占であった理由がちょっと違うのではないかということでございます。  それとともに、これは第一次産業を巻き込んだものであるということで、電電あるいは国鉄ともちょっと違ってくるという論を展開したのでございますけれども臨調答申はさることながら、全く自由に考えた場合に、いわゆる製造独占というものは、一応原価が安くなる、例えば耕作者問題が解決したときにやめてしまった方がいいのか、あるいは続けていった方がいいのかという問題もあるわけでございます。これはいろいろ議論が分かれる点もございます。例えばビッグスリーあたりは自由圏全体のシェアの五〇%くらいを占めておる。しかもいろいろな事業を経営しながらやってくる。こういったところの状況を見たときに、さっき大月参考人は単一でなくてはならないというようなお話もされましたけれども、臨調はこう言うけれども、製造独占を一体将来本音で言ってどう考えていくのかという問題があるのでございます。  これはいろいろそれぞれの立場の見方もあると思いますけれども、代表して大月参考人に御意見を承りたいと思います。
  115. 大月高

    大月参考人 製造独占の問題は、要するに外国資本が入ってくることによりまして日本葉たばこ耕作者に対して混乱的な状況を生じるおそれがある、そういう意味におきまして現在の専売公社の後身である特殊会社に買い入れの機能を集中する、そこによって、その間に公的権力が入りまして公正な値段、公正な数量を買い上げるような体制をとっていく、こういうことにあると思います。
  116. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 と申しますと、耕作者問題が解決していけば、必ずしも独占をしていく必要はないということを考えていらっしゃるわけでございますか。
  117. 大月高

    大月参考人 臨調がどういう形においてその製造独占がやめになるということを考えておるのか、私にはわかりません。表現からいきますと、製造独占が廃止になったときに民営化する、こういう表現でございます。午前中にもお答え申し上げましたように、私は、今の段階でどういう形で葉たばこ問題というものは解決するかということを確信を持って答えられないんじゃないか。もしそういう製造独占を廃止してもいいという状況がどういう形でか起きましたときには、はっきり一般の民営化をして十分でないかと思っておりますけれども、私にはそのビジョンがわからないと申し上げるより仕方ないと思います。
  118. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私も、臨調が一応つくってはみたけれども、その中にはどういうつもりでやったんだろうかなというような問題が多々あるのではないか。そういう意味合いにおきまして、我々は臨調答申は尊重すべきでありますけれども、原点に立ち返って、臨調だけに縛られる必要もないんじゃないか、物事のいわば本質からいってどうなんだろうかということを改めて考えるべきじゃないかと思うのでございます。  それはさることながら、それとともに定価というものが問題となる。定価につきましてはまた後からいろいろ議論いたしますけれども、基本的には、今回のいわゆる自由化という問題でどうしても外国競争しなくてはいけないという問題が起こってきた。これが今回の民営化と申しますか、特殊会社移行の大きな問題かと思うのでございますけれども、これと競争していくためにはどうしても合理化をしていかなければならないということでございます。  この合理化のためにはいろんな段階の合理化があるわけでございますが、一番大きな問題は、既にいろいろ問題が提示されておりますように、原料段階における合理化ということが一番大きいかと思います。加工段階、流通段階、いろいろございましょうけれども、問題はやはりどうしてもこの葉たばこ耕作という問題かと思います。既にいろいろな委員から御質問もございましたけれども、どうしたらいわば原料問題で合理化していけるのか、何がポイントか、一体、現在の耕作者の規模を大きくしていけばいいのか、本当に国際レベルまで下げることができるのか、そのためには相当膨大な投資が必要なのか、あるいは期間的にどのぐらいかかるのかといういろんな問題があるかと思うのでございます。  この点につきまして、耕作者組合の代表の方、そしてその中央会としては何らかの対策があるのかということをお聞きしたいと思うのでございます。
  119. 松下龍太郎

    松下参考人 お答え申し上げます。  合理化とおっしゃいました意味は、ある意味で恐らく生産性の問題を取り上げていらっしゃるのだと思います。私ども現在、生産性の向上という面で幾つかのとらえ方をしておりますが、最も重大な問題は労働生産性の向上ということであります。  御承知のように葉たばこは非常に労働多投作物でありまして、いかに労働時間を節減するか。恐らくコストの半分以上を労働費が占めております。これをいかに節減するかが問題であります。現在、収穫後の選別作業、いわゆるより分け作業でありますが、総労働時間の四分の一を占めておる。ある意味ではこれはむだな労働であります。これを削減できる方策について、現在、現物を交えて公社と協議中であります。  もう一点、生産性を上げるためには、やはり産地の集約と申しますか、主産地形成という問題が必要であろうか、個々の規模拡大とあわせて主産地経営が必要であろうと思います。それぞれ各地のたばこは地域経済の中に組み込まれておりますし、それぞれ固有の問題を抱えておりますけれども、長期的にはやはり主産地の形成ということは重要な課題であるというふうに認識をしております。  国際レベルまで下げていくという意味の御質問でございました。国際比価のとらえ方についてはいろいろございますけれども、かって三・二倍というような臨調の表現もございました。先ほど来申し上げておりますが、当面の競争相手であります。アメリカ企業との裸の原料コストの比較は約一・七倍ということがたばこ耕作審議会の懇談会で結論づけられております。これに関税を加味すれば一・二ということでありまして、必ずしも国際比価に接近するということは絶望的な状態ではございません。  これに要する何らかの生産性向上の必要な投資額という意味では、試算はいたしておりませんけれども、現在こういったことのための公社生産対策補助金、施設に対する補助金でありますが、これが要求ベースで約四十億であります。したがって、これに要する事業費は恐らく百億程度になるであろう、その不足分を農家が負担をして投資をいたしておるところであります。なお、このほかに相当の農林行政による補助がございますので、これによる事業費も上乗せして考えなければいかぬというふうに考えております。  今後も、現在の生産対策、いわゆる葉たばこ乾燥室、農業機械、生産施設、そういったものを中心として、また新しい観点のものを加えて、今後の方向をつくり出していきたいと考えておるところであります。
  120. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今関税を含めて一・二倍ということでございます。私ども、この委員会におきましていろいろ大蔵大臣にも、まあ関税はこれだけ下げてきたんだからこれ以上下げては困るよというようなことは強く言っておりますし、大蔵大臣も、この辺で関税は打ちどめだろうというような言い方をしておられますけれども、これから先どういうことかわからない。本来は関税なしでも対抗できるくらいの生産性に持っていかないことには困ると思わざるを得ないのでございます。  そういう意味合いにおきまして私は、今までの日本の農政というものが、例えば米の場合には、生産性を上げるというかわりに買い上げ価格を高く保持することにおいて命脈を保ってきた。それと同じことはどうもこれからは許されないのではないか。特にいわば特殊法人となり、海外との競争が激しくなっていきますと、米と同じようにはいかぬ。米の問題はいろいろ日本としてはこれからどうやって――今度も米の大会なんか見ますと、減反をしながら輸入するというので大問題になっておりますが、これは基本的には生産性の向上ということに重点を置かないで、むしろ価格でもってみんなにペイしようという形できた、それのツケが回ってきたことだと思います。  たばこ耕作者にいたしましても、私自身として、今までの委員からいろいろお話がございましたように、これを切り捨てるということは毛頭考えていない、ただ、これは激変緩和というふうに考えて、最終的には生産性を向上しないことにはどうにもならない。この新会社がいろいろな合理化をやっていく、しかし、原料段階でもって大きな足かせを持っておったのでは、これはほかの海外の強いのとは対抗できないのではないかと思わざるを得ない。  そういう意味合いにおきまして、百億程度のいわば投資が必要なのかというお話もございましたけれども、こういった問題について、これは最終的にだれがどうやるのか、結論的にはやはり新会社の援助というものがないとやっていけないかと思います。この点についての、いわば耕作者組合の代表としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  121. 松下龍太郎

    松下参考人 最終的には御指摘のとおり裸でも競争ができるという状態が望ましいというのは十分理解できます。しかしながら、現在の日本の農産物、いわゆる風土的制約、経済情勢の制約から来る国際比価の劣勢という面から考えますと、これをすべて解消するということは極めて困難であるということも現実の問題として一つ認識しておく必要があろうかと思います。ただ、可能な限りできるだけの努力は私ども傾けてまいりたいと考えておりまして、今後、このいわゆる生産性向上のための生産対策の助成あるいは試験研究機関強化充実、こういった面については新会社が積極的に対応されるように心から希望するものであります。
  122. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この資金をどうするのか、融資などで賄うのかとか、いろいろな問題もございますけれども、この原料問題が特に重大であるという認識の上に、大月参考人の御意見もお聞きしたいと思います。
  123. 大月高

    大月参考人 仰せのように、今のたばこ価格の構成比率から申しますと、葉たばこ価格面における比率は五九%、約六〇%、残りの半分の二〇%が材料費、その残りの二〇のうちに人件費その他の経費、こういうことでございますので、工業的な製造段階において幾ら合理化いたしましても、やはり葉たばこの問題を抜いては合理化は達成できないというのは客観的な事実でございます。  そういう意味で、何とかしてこの葉たばこ生産性を上げる、価格を安くしていくということがポイントでございますが、今の傾向線を延長いたしましても問題はなかなか解決しにくいんじゃないか。そういう意味で、先ほどこの問題を解決する形というものについて私はちょっと頭に描けないと申し上げましたが、幸いバイオテクノロジーの進歩もございます。きょうの新聞でございますが、牛は双子を産ませればいい、またその実験も成功したということであれば、コストは半分になるわけでございまして、私はそういう意味の研究もぜひひとつ進めていただきたいと思っております。
  124. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 原料問題もさることながら、経営全体としての合理化という意味合いにおきまして、いわゆる経営形態と申しますか、公的規制とかそういったところから自由になるということがこの委員会でも問題としていろいろ議論をされてきたわけでございます。  その中の一つといたしまして、委員の一部から、今度のいわゆる役員などにつきましてできるだけ規制を少なくするという意味合いからいえば、取締役、監査役全員について認可を受けるということはいささか公的規制が強過ぎるのではないかというような意見も提出されております。この法案に対する批判といたしまして。この点について大月参考人の忌憚のない御意見を承りたいと思います。
  125. 大月高

    大月参考人 新しい組織は政府出資による特殊会社ということになっておりますので、その前提といたしまして、経営者について政府が何がしかの関与をするということは、私は従来からの慣例でもあり適当であろうと思います。  ただ、その関与の程度につきましては、今の提案されておる法案においてもいろいろな形がございますし、現行法においてもいろいろございます。例えば役員全員について認可を要するというような特殊会社もございますし、あるいは取締役の認可を要するけれども、その中の最高責任者である社長についてはその中から選ぶ限り自由である、あるいは取締役全員の任命について認可事項であり、かつその社長の任命も認可事項である、あるいは社長の任命は認可事項にするけれどもほかの取締役は必ずしもそうでもない、いろいろございますが、それはそれぞれ、そのときどきのその法人の性格に応じて考えられるべきことであって、必ずしもこういう形がいいんだということにはならないんではないかと思いますが、少なくとも最小限の関与は必要であると考えております。
  126. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この問題につきましては、やはり民間の経験のある人がトップに立つべきであるというような、いろいろの議論もございます。これは委員会で非常に議論されたことでございますから、この辺でとどめたいと思います。  それからもう一つ、株式の公開について、大月参考人はできるだけそれを進めていきたいというような御意見でございました。一方大蔵大臣の御答弁は、どちらかといいますとえらい慎重と申しますか、当分の間というような議論でございましたけれども、この点について大月参考人、どうお考えでいらっしゃいますか。
  127. 大月高

    大月参考人 私は、特殊会社である以上、民間資本が入る方が適当であると率直に思います。ただ、今度の経過からいいますと、専売公社が変わっていくわけでございますから、最初全部政府出資にいたしまして逐次開放をしていく。  ただ、ただいま皆さんの御議論にもございますように、新しい会社経営の姿あるいは経営実態、その収益力等がどういうようになっていくかということは未知の問題でございまして、そういう経営の姿を考えながら逐次やっていくということは当然必要であろうかと思います。
  128. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それから、いろいろ多角経営をしていかにゃいかぬということでございます。しかし、率直に言いまして果たしてうまくできるのかなという懸念もないではない。変なところに手を出して大失敗しても困るなという気がしないではないんでございます。  この点について、経営側の考えと、もう一つ、やはり働く側の皆様がそれに十分適応できるかどうかという二点ございますので、大月参考人牧内参考人からの御意見をいただきたいと思います。
  129. 大月高

    大月参考人 ただいまの経済状況というものは非常に激変の時代でございまして、新しい科学技術がどんどん開発されております。それから、一つの物品の使用価値というものはどんどん変わっていって、全然捨てられるものもあるし新しくできるのもある。こういうことで、各企業とも新しい情勢に応ずることに本当に腐心して生き延びようとしておる時代でございますから、新しくできます会社もその例外ではない。これこそ全知全能を絞って、生命をかけて奮闘すべきものであります。経営者及びその職員ともにぜひ要望いたしたいところでございます。
  130. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  これから一生懸命たばこを売っていかなきゃならないわけですが、いろいろな条件下で我々が期待しているほどたばこは伸びないんじゃないかというような予測もあるわけであります。その中で、一方技術革新なりあるいはコスト減その他の競争もしていかなければならないという関係で、労働組合にとっては雇用という問題が非常に大きな問題でございます。  その意味では、事業領域をやはり拡大をしていくということが非常に大切ではないかというふうに思います。専売公社といいますか、ここにはすぐれたいろいろな研究機関もございますし、また現在の設備もございますし、あるいは全国的にそうした組織があるというようなこともあります。そういうことを相関的に考えながらそうした事業領域拡大労働組合としてもぜひそうした方向をお願いしたいし、そういう中で私たち雇用あるいは労働条件の安定を願っていきたいというふうに考えています。
  131. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間の関係もございますから、次に流通段階の問題でございます。  さきに申しましたように、たばこは余り高過ぎても困る、大衆の手の届くところになければいけない。といって、今の値段の三分の一とかなんとかという話になって果たしていいのかどうかという問題もある。そういった意味も込めまして、ある程度定価というものが必要なんじゃないか、定価主義というものが当然ではないのか。私は酒のこともいろいろタッチしたことがございますけれども、ある程度の流通秩序が必要ではないか。その意味合いにおいて、定価制度維持してしかるべきものではないかと私は思うのでございます。  これから海外からのたばこがどんどん入ってくる。そこで、さきの公明党の委員さんからも話がございましたけれども、マージンがこれから一番問題になる。先ほどのガソリンの安売りではないけれども競争というような話になってくるかもしれない。こういった場合に、こちらの協同組合として何らかの手を打つことができるのかどうか。酒なんかの場合には、組合の中でいろいろ協調して、そういった勝手な振る舞いをさせないという動きがございます。その辺について、販売協同組合として何らかの手が打てるのかどうか。そして、特にこれからの外国製のたばこのマージンについてどういうぐあいに見ておられるのか、その点をお聞きしたいと思うのでございます。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  132. 関野泰夫

    関野参考人 お答え申し上げます。  先生お話しいただきましたように、定価制につきましては、流通秩序維持のためにもぜひ維持していただきたいと念願している次第でございます。  マージンの問題につきましては、まず、先ほどちょっとお話し申し上げたわけでございますが、とにかく現時点で一番大事なことは、マージンは現在国産品一〇%でございますけれども、これを今後とも一律に、どこの地域でもどこの店でもとの商品でも維持していきたい、そういうふうなことに対する御配慮もぜひいただきたいと念願している次第でございます。それから、外国製品は現在八・五%でございますけれども外国製品につきましてもできるだけ早く一律にしていただきたいと念願している次第でございます。  それから、冒頭のごあいさつのとき、意見発表のとき申し上げましたけれども、とにかく現時点で定価維持して、これから先も定価制を維持していただきたいということが私どもの業界の今回の法案に対する最大の念願でございましたので、マージンそのものにつきましては、お酒の業界の話が出ましたけれども、それとちょっと違いまして、今申しましたようにとにかくどこでも一律で、私どもとしては明治以来長い間それを守るということになれてきて、習慣づけられておりますし、これからも守るという姿勢はある意味では訓練づけられている点もございますので、そういう意味では、これから先もそういう体制維持してまいりたいと思っている次第でございます。
  133. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それからまた委員会委員の中から、例えば自動販売機について、恐らく外国たばこを売る一つのやり方としては自動販売機を相当使う可能性もあるかと思いますが、青少年に対する喫煙がいかぬという意味からいうと、自動販売機などの設置場所はもう少し目の届くところに置くべきじゃないかという議論もございました。  その点、小売店の目の届くところという話になるのかどうか、自動販売機の設置についての要望があれば、お聞かせ願いたいと思います。
  134. 関野泰夫

    関野参考人 日本の場合は諸外国と違いまして、昼間は対面販売をするという習慣が長い間あるわけでございます。戦後自動販売機が普及しましてから、むしろ人件費の高騰等もありまして、販売店は自動販売機を設置していっているわけでございます。ただ、それは全体としてかなり販売店全体の人件費節減になってきているわけでございますが、これから先その管理につきましては、先生のお話がございましたように、いわゆる管理可能なところ、特に未成年者等の関係もございますので、そういうふうなものに対する節度なり管理なりというものは、目の届くところにするとか、そういうふうな細かい気配りが必要になってこようかと思っております。  この際もう一つ、これはお願いでございますけれども、自動販売機、コストも結構しておりますので、これから先、外国製品と国内製品とを問わず、多たばこメーカーと自動販売機メーカーが共同開発してコストダウンしていくとか、でき得ればそういうことをぜひ検討していただけないかと考えている次第でございます。
  135. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それからまた、輸入が自由化されてきますと、今までは悪い銘柄のものについてはもともと専売公社が取り扱わなかったわけでございます。その点におきまして、輸入されるものは、外国銘柄でもまあまあきちんとしたものであったわけでございます。これから全く自由になりますと、果たしてどういうものが輸入されてくるかわからない。粗悪品もあろう、あるいはダンピング的なものもあろう、いろいろな種類のものが入ってくるわけでございまして、今までとは全く変わった情勢になってくる。こういった点については何かチェックの機関がないのかなと私は考えるのでございまして、これは大蔵側に聞きましたところ、消費者が選択するしかないんだという話でございますけれども、こういった問題。  もう一つは、これとの関連もございますけれども、ほかの党の委員の方からいろいろ聞かれたのでございますけれども、例えばアメリカあたりはテレビ広告などはやらせない、そういう趣旨のこともございました。健康の問題についての責任を一体だれが負ったらいいんだろうかな、今までは随分専売公社が中心になっておったけれども、その点は新会社がちゃんとやっていけるのかどうかという問題もございます。ちょっと急な質問でございますけれども大月参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  136. 大月高

    大月参考人 粗悪なたばこが入ってくることをどう阻止するかという問題は、御質問にもありましたように、消費者で選別する以外ない。もちろん麻薬とかなんとかというような部類に入るものは別でございますけれども、普通のたばこで粗悪品は、国民が吸わないことでもって自由競争の原理が貫かれるのでなかろうかと私は思います。  それから、喫煙の問題についての規制の責任はどこで負うかという問題でございますが、今提案されておる法制では、専売事業審議会でいろいろ議論いたしまして、どういうような表現をとらすかということをアドバイスいたしまして、それによって大蔵省の責任において新しい会社あるいは輸入たばこの販売業者に命令をする、こういうことになろうかと存じます。
  137. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 たばこの問題もございますけれども、塩の問題で、さっきいわゆる三十万トン体制で七社を五社にという話で、一体どうするのか。この問題は、私どもの米沢委員が当委員会で取り上げたのでございますが、大規模化する、そのために随分投資する、投資したあげく結局二社は脱落するという話はどうなんだということを詰め寄ったのでございますけれども、さっき前胸参考人からもお話がございましたようにちょっとその点がはっきりしなかったような気もしましたので、もう一度その点についての御感想をお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  138. 前囿利治

    ○前囿参考人 お答えいたします。  三十万トン五社体制というのがどこから出てきたかということでございますけれども、現在は昭和六十一年一万七千円・トンという目標で努力をしております。ところが、この一万七千円という目標では本当に輸入塩と競争できる水準とは言えないんじゃないか、そういう問題意識から出てきているんだろうと思います。さらに一万七千円というコストを切り下げていくには、今やっておりますような新しい膜を入れる、燃料転換する、こういう方策だけでは対応し切れないだろう、そうするとあと残ったものはスケールアップによるコストダウンということが必要ではないか、こういうところから出てきておるわけだと思います。  ただ、各社の実際の現在の設備投資の状況とか生産の構造とかいろいろございますが、平均して十八万トンぐらいの体制でございます。これを三十万にするためにはかなり投資が要る。投資の必要額というのは各社いろいろ違うということがございます。  そんなことで、まず一番最初には、輸入塩と本当に競争する競争力をつけるためには一体どれくらいのレベルをねらわなければならぬのかというその点の吟味が一つ要るんではないのかな。これは一万七千円上り安くなることは間違いないんだ、こういう考えもあるわけですけれども、安くなるにしてもそれをどの辺で抑えるべきなのかという問題の検討がございます。それからまた、実際に三十万トンをねらっていく場合に、その方がコスト的に有利になるのかどうか、どの程度有利になるのかというような問題、あるいはまた七社でやる方法はないのかどうか、こういったような問題もございます。  それからまた、一番つらいといいますか、きつい問題がございますけれども、五社でいくのがいいんだということになったとして、現在の七社を五社にするということは二社はつぶしてしまうということになるわけですけれども、それじゃだれをどんな方法でつぶすのか、つぶすにはどういうことをするのか。これは生身の企業の問題でございますから、なかなかそういった諭理だけではいかないいろいろな問題もある、こういうことでございます。  ただ、スケールアップをすることによって競争力をつけるということは、常識的な意味ではあるわけでございますけれども、個別具体的に製塩の場合にそういうことになるのかどうか、製造コストだけではなくて流通コストまで含めてトータルコストで見た場合に一体どういう姿になるのか、そういったような経済的あるいは人間的な複雑な問題を公社あるいは塩事業関係者というところが真剣になって議論をして、検討をして、協議をして、そして詰めながらその辺の問題を判断をしていく必要があるのではないか。そういう意味では三十万トン五社体制がいいんだということで乱暴に割り切るわけにはいかぬ問題じゃないか、そういうふうに理解をしております。
  139. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私としては、もう時間が参りましたからこれでやめますけれども、長い間のいわゆる専売制度というものが特殊会社に移るということは、本当に我々の予見しないいろいろな問題が起こるのではないかと思うのでございます。そういう意味合いにおきまして、私ども十分審議したつもりでございますけれども、今後とも何か問題がございましたらどしどしと私どもに申し出ていただきたいと思うのでございます。  簡単でございますけれども、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  140. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 正森成二君。
  141. 正森成二

    ○正森委員 参考人の皆さんには午前中から長時間御者労さまでございます。お疲れのことと思いますが、私の質問が最後で、しかも時間も三十分ですから、元気を出してお答えを願いたいと思います。  私ども共産党は、今度の法案審議に当たって何よりも考慮しなければならないのは、三万九千人の専売公社で働く職員、十万人のたばこ耕作者及び二十六万人の小売の関係販売店の方々に対する激変を避けて、暮らしと営業を守るということを第一番目に考えなければならないと思っております。同時に、皆様に率直に申し上げますが、たばこについてはWHOなどの報告に見られますように健康について一定の影響がございますので、そういう点を十分に配慮した製造並びに販売政策が必要である、そういう意味での公共性を両立させる必要があるというように思っておるわけでございます。  そういう点で以下順次伺ってまいりたいと思いますが、まだ速記録ができておりませんのであるいは参考人の目に入っておらないかもわかりませんが、各党の御質疑の中で、今度は特殊会社になるわけですから資本というのが定まるわけですね。それで大蔵省の専売監理官や公社から提出された資料では、五十九年末のたばこ事業の貸借対照表による純資産額が約一兆一千六百二十億円ある、その中から未払いの地方たばこ消費税や退職給与引当金等約町千百億円を引くと、出資財産の価額というのは七千百二十億冊である、これを資本金及び資本準備金ということで考えている、それで資本金としてはほぼ一千五百億円前後が上限であろうというのが今までの質疑の中で出てきた線であります。  そこで、ここ二、三年の専売公社の利益積立金といいますかそういうのを見てみますと、大体一千億から千二百億円くらいあるんですね。仮に、これを大ざっぱに一千億といたしまして、専売公社の場合には専売納付金や地方への消費税を払えばあとは全部内部留保できたわけです。それが今度からは、特殊会社とはいえ株式会社になりますと、先ほどたしか牧内参考人でしたか、財務関係についてお触れになりましたように、法人税と応分の地方税を払わなければならない。質問への答弁では大蔵省の主税局長は、目の子勘定だけれども一千億円の利益があれば実効税率を五三%とすれば約五百三十億地方税その他の税に流出するのではないか、こういう意見であります。そのほかに、仮に千五百億円の資本金だとすれば、後で大月さんにもお伺いしたいと思いますが、会社の性格上なかなか一割以上の配当というのは許されないだろう、仮に内輪に見積もって八%としても百二十億円ですから、総計すると六百五十億円ぐらいの資金がこれまで以上に流出するということにならざるを得ない、これは常識的に言えばそうなるわけですね。  そこで、民間にして経営についての自主性を持つということはいいことなんですが、今まで以上にこういう流出面があるとすれば、開放経済、アメリカその他の輸入との競争という点を除外視しましても、これだけのお金をどこかで合理化しなければいかぬわけですね。それで、関野さんがいらっしゃいますが、アメリカの関係との競争とかいろいろ考えますと、販売店に対するマージンを下げて販売店から嫌われるということはできないわけですよね、率直に言って。販売店にはますます頑張ってもらって、たばこ産業株式会社をかわいがってもらって、それで大いに販売努力をしてもらって、フィリップ・モリスとかそういうのに負けないようにするということにきっとなるだろうと思うのですね。  牧内さんと松下さんにお伺いしますが、率直に申しまして、どうしても内部的な三万九千人の職員に対する合理化の方向に向かうか、あるいはたばこ耕作者に対して買い上げ価格や買い上げ数量という点で何らかのしわ寄せがいくかということを我々としては非常に危惧しているわけであります。この点につきまして、まず牧内さんと松下さんから、それぞれこういう影響についてどう考えておられるか、一言ずつでも御意見をお聞かせ願えればありがたいと思います。
  142. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  今先生が述べられました数字、私まだ議事録も拝見していませんし、今手持ちの資料がございませんから数字のことについては別といたしまして、大変厳しい情勢下に置かれることは事実だと思います。その意味では、幾ら自主性を与えられたとしても、賃金もあるいは一時金もその他いろいろな労働条件も、向上ということよりもむしろそれが合理化その他で切り下げられるという状態が出てくるということが想定されます。私たちは、今回の改革の中の一つの柱としていわゆる近代的労使関係の確立ということを願ってやってきたわけでございますが、その意味でやっぱり健全な経営ということを追求していかなければならないというふうに思っています。  そういう意味では、先ほど資本金の問題とかあるいは三十四銭問題とかいろいろなことに触れましたが、いずれにせよ私たちがまず一つはぜひお願いしたいのは、今まで専売の労使間で幾つかの労働協約を持っています。その労働協約はそのまま新しい会社にやっぱり引き継いでもらうということが大切だと思います。  もう一つの問題は、新しい体制下になって確かに競争していかなきゃならない、またそのことをしなければたばこ産業維持にもつながらないということは事実ですが、新しい会社になった途端にいろいろ厳しい合理化がぱんぱん出てきて、これがやられなければ会社はもてないというようなことでは大変問題だというふうにも思っています。そういう意味では、ぜひこれからの審議の中でもそうした雇用の問題、労働条件の問題についてひとついろいろ当局を追及するなり、その辺についての確認をいただきたいというふうに思っておるところです。  いずれにせよ大変厳しい情勢であるだけに、労働組合でございますから、みんなの雇用とか条件とか、それは守っていかなきゃならない、そういう決意でいます。
  143. 松下龍太郎

    松下参考人 新会社の負担水準につきましては、私どもは当然納付金率の水準がそのまま推移をする、スライドされると考えておりまして、その後の状況では配当なり固定資産、法人税その他相当の支出になるようであります。これが事業にひずみを及ぼすと同時に、最も手っ取り早い方法で我々の分野に来ることを非常に危惧をいたしております。我々もできるだけの合理化に努力をいたしたいと思いますが、これには限界もございます。ただ、この合理化は、事業全体の各部分が公平に負担をするという精神は貫かれなきゃならぬというふうに考えております。
  144. 正森成二

    ○正森委員 牧内さんにお聞きといいますか、申し上げておきたいと思いますが、先ほど当局にも労働条件についていろいろ国会の側で、追及という言葉を使われましたけれども配慮してほしいということがございました。その点についても、社会党はもちろんでありますが、その他の党、また私ども当局に問いただすということをやったつもりであります。  その中で公社側の基本的な姿勢は、新しい会社になれば当然新しい会社労働組合との団体交渉で決まるというのが筋でありますが、大きな基本線としては、現在労働組合との間で結ばれている労働条件というのを急激に変えるというようなことはしないで、むしろいい面はできる限り守っていきたいという答弁があったように私は思うのですね。その中で私自身、全専売加盟の労働者などからはがきをいただいたり、要望が蓑輪議員ないし私のところへ参っております。  そこで、労働組合委員長がお見えでございますので、私からもぜひお願いしておきたいと思うのですね。それは公社にも申したのですが、例えば年次有給休暇の制度ですね、これは労働基準法に定められている線よりも相当有利だと聞いているのですね。初年度が十日間で二年目からは二十日ということで、労働基準法では初年度は六労働日ですか、その後一労働日、そういうぐあいになっているが、これは公社側は守りたいというように答えております。それから専売病院がございますね。これが公社の答弁では約十三億円赤字だが、その赤字を理由に切り離したりあるいは病院の条件を悪くしたりするというようなことはしたいように努力する、こう言っております。それからさらに印刷工場がございますが、印刷工場の全専売関係の労働者から聞きますと、印刷関係というのは日本では労働条件が低いそうですね。それから見ると全専売関係の印刷工場の労働条件は比較的よい方である、これを民間になったからといって産業別に水準化されますと労働条件が変わるので、その点はどうかと伺いましたら、それについても印刷関係の労働者に横並びというよりは、専売公社職員として、専売公社職員の中で横並びにするというように努力したいというように、おおむね労働組合に有利な方向の答弁を総裁みずからがされたように思います。  それで、そういうことを踏まえて三万九千人の職員労働条件委員長を頂点とする労働組合の幹部にはお守りいただきたいと思いますし、それ以外の点で特に皆さんが心配しているのは、工場の統廃合ということがございましたときに、私たちも関西工場を初めいろいろ見学させていただきましたが、例えば橋本工場では四百五十人ほどの職員ですが、ここをつぶしてよそへ持っていったら、その土地の女子労働者その他は移動するということがなかなか難しいわけですね。ですから、関西工場の場合には近くの三つの工場が統合されたので、そのことによる地理的な退職者というのは比較的少なかったと思いますが、今後ともそういう方向努力していただけるかどうか。  それから第二番目に、これも伺ったのですが、労働量の従事人員というのがございまして、この仕事には何人の労働者が必要かというのが決まっておるようですが、これについても民営化することによって激変することがないようにということが労働者の非常に大きな要望になっていると思います。これは機械化が強化される中で特に要望が多いようですが、そういう点についての労働組合としてのお考えをまず最初に伺いたいと思います。お答えになれる限度で結構です。
  145. 牧内研二

    牧内参考人 お答えいたします。  今先生が例として幾つか取り上げられたことについては、先ほど申し上げましたように、既存の全専売労働組合専売公社との間で締結している労働協約をそのまま移行すれば、その中にすべて入っているわけです。そういう意味でぜひ労働協約、三十年お互い労使が営々と努力して積み上げてきた協約でございますから、それを基本にして移行するということについて、公社側も恐らく認めるだろうと思いますが、そういうことをぜひ委員会でもさらに明らかにしていただければ幸いだというふうに思います。  それで、今後の問題としては、当然今先生御指摘のような工場の統合という問題が出てくると思います。これは技術革新ですか、そういうこともありまして避けて通れない道だと思います。今までは比較的近い工場を統合しましたから、そういう意味では通勤その他についても問題はなかったわけですが、今度は離れたところでございますからなかなか統合ができない。統合ができたとしても、特に今先生御指摘のように、女子労働者の雇用という問題が非常に大きな問題になるだろうというふうに思います。そういう意味では、私たちとすれば一方では事業領域拡大とかそういうことも考えながらそういう人たち雇用を守っていく、そういう立場労働組合としても対応していきたいものだというふうに考えております。  以上です。
  146. 正森成二

    ○正森委員 松下さんに伺いたいと思います。  いろいろ関係の記録を読んでみたんですけれどもたばこ耕作者の中には格差が大分出てきていまして、十分アメリカに対抗できるんだという方と、ちょっと難しいという方もおられるやに聞いております。  公社側から資料をいただきましたら、その中で、生産関係生産技術員及び生産関係事務員というのが約三千名余りおられるのですね。これが各地の生産事務所というんですか、そういうところで指導に当たっておられると思うんですが、今度の法案を見ますと、前のたばこ専売法のような耕作者との関連についてぴしっと決まった条文が、抜けている部分があるんですね。そういう点で、今までの生産技術員といいますか生産事務所におられた方の整理統合がないかどうかとか、あなた方に対して十分サービスができるであろうかという点、もちろん不要であった部分は改めていかなきゃいけませんが、そういう疑問が一つございます。  それからもう一つは、甚だ失礼な言い方なんですが、たばこ災害補償金の制度というのがあります。これは前の法律には二十何条でしたか、きちんと決められておるわけですね。ところが今度の法律では、法文を見ますと、たばこ産業株式会社移行しても、それまでに約束していた部分についてはたばこ災害補償金を支払ってもよろしいという規定の仕方になっているんですね。そうすると、法文をそのまま読みますと、今まで契約しているのは払ってよろしいが、ずっと続くのではないような法律の書き方になっているんです。  また一方考えてみますと、私どもが調べてみたら、たばこ災害補償金というのは、これまでの契約の中に入っておったんでしょうが、いわゆるお米その他の農業共済に見られるような掛金がないわけですね。そのかわり、もらえる金額も五割以内とか、他の農産物共済ならば掛金いかんによってはたしか八割ぐらいまで補償があったと思うんですが、そういう点では低く抑えられているという面があるんですね。  ちなみに、公社から資料をもらいますと、補償金の支給額が五十四年は一万四千余人で三十六億円余り、五十五年が六十一億、五十六年は災害が多くて四万人を超えまして九十二億、五十七年は三十二億、五十八年は二十七億、こうなっているんです。  そうしますと、民営になったんだからというので、こういう点について農業共済並みのことをやはり考えるのが筋ではないかという意見が出たり、それから、九十二億というようなのが出た場合にそういう形式にすれば公社あるいは産業株式会社の負担も減るわけですから、そういう要望が、他の参考人から出た合理化されるのはやむを得ないとしてもその負担が公平にいくようにというような議論からすると、起こらないとも限らない。私どもとしては、そういうことで耕作者がやっていけるのかどうか、あるいは耕作組合としてはどういう展望を持っておられるのか、もしお答え願えれば率直に御意見を承りたいと思うんです。それによりまして私ども政府に対して言うべきことを言わなければなりませんし、皆さん方の展望によっては私どももそれ相応に考えてまいりますし、率直な御意見を承りたいと思います。
  147. 松下龍太郎

    松下参考人 第一点の指導体制の問題につきましては、やはり今後契約栽培という対等の立場移行していくということ、その点から考えれば、次第に耕作者の自主的な技術努力にまつという方向へ展開していくだろうと思っております。またあわせて、最近は大変長年経験のある優秀耕作者ばかりが残っておりまして、そういう面では、特に念入りな指導を必要としないような状況になってまいりました。そういうことで、時代の要請でもありますし、その辺のある程度の合理化はやむを得ないと考えております。  第二点の災害補償につきましては、これは中央会と新会社との基本契約によることになっております。これも法案検討の段階でいろいろ議論がございまして、考え方としては、従来の災害補償制度をそのまま踏襲するという基本的な約束のもとに折り合っておるところであります。現在作業中でありますが、従来の災害補償制度を経過としてはそのまま踏襲した形で基本契約が結ばれる、この点は安心をいたしております。  農業共済との関係につきましては、先ほども申し上げたわけでありますが、畑作共済の実施に伴いまして、農林水産省が一部地域を指定いたしまして意向調査をいたしました。一部にそういう希望もございまして働きかけがございましたので、私ども、組織にアンケートをとりまして希望を募りました。残念ながら、従来全額国庫負担ということになれておりますのと、やはり地域的に非常に災害の状況が違うという問題で掛金に非常に難しい問題がございまして、最終的には現行制度でいくという意見が過半を占めたということで、農林水産省には丁重にお断り申し上げたという経過がございます。今後また状況が、新しい状況で変化するかもしれませんが、現在までの経過はそういうことでございます。お気持ちは大変ありがたくちょうだいいたします。
  148. 正森成二

    ○正森委員 どうも。  関野参考人に伺います。  二十六万人の販売店の皆さん、特に身体障害者あるいは母子家庭、そういう方々にとっても非常に貴重な営業でございますので、今後とも頑張っていただきたいと思います。  その中で、もちろん定価制度維持され、小売指定の問題も残ったのですけれども、何といっても、輸入の自由化に伴っていろいろ販売形態が変わってまいります。特に、都会部においてはたばこの量販店が大きくなって、それで、あなたがおっしゃいました五十万円以下の売り上げ、たしか十四万軒とおっしゃいましたか、そういう方に非常に大きい影響が出るのではないかという危惧ですね。  それから、これはまだ政府に十分聞いておりませんが、外国たばこの場合に、これまでのマージンが改められて国内と同じ一〇%になったというように聞いておりますが、これは必ずしも上限は決まっていないのですね。あしたでも政府に聞きたいと思いますが、もし販売政策で外国が一〇%を一二%にするとかあるいは一二%にするということで小売店を掌握して、特に大都会などで売り込もうとした場合に、それを規制する手段はないのではないかというように私としては今までの審議の中で思っているのですね。そういうようになってきました場合に、外国たばこ専門店に近いところあるいは大量販売店というようなところが出てきて、今までの、まあ販売量に多少の差はあってもほぼ足並みをそろえてやってきた販売協同組合連合会が分化するのではないかという見通しというか、危惧がないでもないのですが、そういう点について御論議になったことがございますかどうか、あるいは専売公社あるいは大蔵省の専売監理官室に意見を申されたことがあるかどうか、率直に承りたいと思います。
  149. 関野泰夫

    関野参考人 お答え申し上げます。  これから自由化が激しくなって、量販店が大きくなるというふうな危惧がないかという御質問をいただきましたけれども、いずれにいたしましても、これは原点に戻りまして、私ども一番そういうことが心配でございますので、指定制定価制をぜひ維持していただきたいというふうにお願い申し上げている次第でございます。したがって、そういう体制の中で最低限その危惧は少しは何とか免れるのじゃないかという感じが一つはしております。  それから、先ほど私の言い方が悪かったのかもしれませんけれども外国たばこを、現在八・五%でございますのでぜひ一律の一〇%にしていただきたいと強く願望しております、できるだけ早い機会にお願いを申し上げたいということを申し上げたので、現在一〇%になっておりません。はっきり申し上げますと、先生のお話で一二%、一五%になるのじゃないかというお話がございましたが、八・五%を一〇%にするのを大変渋っている状況でございますので、とりあえず一〇%にしていただきたい。(正森委員「同じになるわけ」と呼ぶ)はい。当面のお願いでございます。  それから、組合が分化するではないかという御心配がございましたけれども、それは組合が分化するというよりは、現時点でも多少組合がいわゆるオープンショップと申しますか、要するに開放的になっておりますので、組合に入らない方が出る危険がございます。そういう意味で、私ども何とかいろいろな知恵を絞りながら協力態勢を取りつけていくということが当面最大の問題になろうかというふうに存じております。  以上でございます。
  150. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係で、最後に大月参考人にお伺いしたいと思います。  大月参考人は四つほどいろいろおっしゃった中で、たばこと健康の問題についてもお触れになったと思います。この問題は、我が党の蓑輪議員などが非常に熱心でありまして、私も申しましたが、「恐るべきたばこ」なんという本がございまして、いろいろ言われているのですね。きょうは申しません。そういう関係がございまして、私どもは、たばこ関連の産業に従事する方のお暮らしを守り、激変を避けなければならないという立場を持つと同時に、国民全体の健康に必要以上の害を与えるようなことがあってはならない、こう思っております。  そういう点からいいますと、今度の法案のたしか三十九条、四十条の辺に規定されていたと思いますが、たばこの広告については諸外国に比べて非常に緩やかである、むしろ緩やか過ぎるというような感じがしないでもないのですね。例えば、アメリカでは日本のような穏やかな表現ではなしに、「警告公衆衛生総監は「喫煙はあなたの健康に危険である」と決定した」というように書くとか、そのほかいろいろ各国ともあります。日本の場合と大いに違いますし、広告規制でも先進的な諸外国は、四媒体と一口に言いますが、そのうちの有力な二媒体、テレビとラジオにつきましては広告禁止のところが圧倒的に多いのですね。すべての広告を禁止しているところも、オーストラリアあるいはノルウェー、制度は違いますがソ連というぐあいにあります。それで、専売事業審議会も今後大きな役割を果たされると思いますが、広告の点についてもう少し、単なる自粛というようなのではなしに規制する必要があるのではないか。  私が質問のときにも言ったのですが、もし同じように規制をすれば、どちらかといえば九八%のシェアを持ち国民になじまれている日本専売公社の方が有利である。これは冗談ですが、選挙でも宣伝が規制されれば現職が有利であるというようなことも申し上げたのですが、そういう点も絡めて大月さんの御意見を承って、質問を終わりたいと思います。
  151. 大月高

    大月参考人 現在におきましても、喫煙と健康の問題につきましては、専売公社も非常に注意していろいろな規制をやっております。外国たばこの方と専売公社で申し合わせをいたしまして公平にやっておるわけでございますが、それを新しい法律におきましては、専売事業審議会、新しい審議会にかけてそういう問題をよく相談して、大蔵省の方で新しい特殊会社並びに外国会社も規制していく、こういうことでございます。  喫煙と健康の問題というのは今世界的な大問題になっておりまして、各国政府も非常に真剣に取り組んでおります。そういう意味におきまして、今回の制度改正を機会に私は政府の方においても一段と進んだ対策を講じられるのがいいのじゃなかろうかと個人的には考えておりますが、それによって特に日本特殊会社外国会社がどっちが有利でどっちが不利かというようなことにはならない、むしろ世界的なベースでいろいろ物事を考えた方がこの問題はいいのじゃないかと考えております。
  152. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  153. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様には、御多用中のところ長時間にわたり御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。(拍手
  154. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 引き続き、各案について質疑の申し出がありますので、これを許します。沢田広君。
  155. 沢田広

    ○沢田委員 これは三人だけなんでありますが、番号が振ってありまして銘柄は消してあるのですけれども、大臣から、これは何のたばこで、うまいかまずかったか、それからこれはこういうふうな感じがしたということで、それぞれ一つずつ回答していただきたい。そっちもお願いします。その間に、ほかの方々に来ていただいておりますので、来ていただいている方に質問をいたしますので、大臣以下、このたばこは何だろう、このたばこの味に対する感覚はどんなふうであった、大衆的であったとか、あるいはいろいろ言い方はあると思いますが、そういう表現はお任せいたします。  そこで、遠い順にと言っては悪いのですが、会計検査院からいきますが、会計検査院の五十七年度決算の指摘の中で、この専売公社の問題について指摘をされております。指摘事項についてひとつ御答弁をお願いいたします。
  156. 春田正夫

    ○春田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  日本専売公社では、国内産葉たばこの標準在庫量を二十四カ月分と定めておりますが、五十七年度末における在庫量は三十七カ月分に上っていたことなどから、この過剰在庫を解消するよう五十七年度の決算検査報告に意見を表示したものでございます。  公社ではこの過剰在庫解消策として、生産調整について奨励金を交付したりしてその解決の促進を図っておられますが、本院が調査したところ、この調整後の耕作面積では、年間の葉たばこ使用量に見合った生産量となるにとどまりまして、過剰在庫の減少には寄与しないばかりでなく、全量を買い入れることになっておりますため品質の劣っているものも含まれておりまして、五十七年度末における在庫量は十三カ月分過剰となっておりました。このような事態は約二千八百四十億円の公社資金を年間に固定することになり、また多額の保管経費も負担することになりますので、種々困難な事情はあるにしましても、この過剰在庫を解消するよう各般の方策を講ずる要があると考えられ、日本専売公社に対しまして意見を表示したものでございます。
  157. 沢田広

    ○沢田委員 これは専売公社の方も聞いていたことだと思うのでありますが、言うならば会計検査院のいわゆる意見の尊重あるいはそのことが行政分野に対して極めて重要なウエートを持っておるということは感じておられると思うのでありますから、今吸っている最中で、間違っては悪いですから、後でお答えをいただくということにします。まだ会計検査院の方はちょっと残っておいてください。  次に、文部省の方来ておられますか。――先般の答弁で未成年者の喫煙に対して答弁があったのでありますが、未成年者がたばこを吸ってはいけない、常識的にそう言われておりますが、その言われている中身は、文部省としてはどういう意味で、どういう理由で吸ってはいけない、どういう教え方をしているのか、その内容を、ここにいる人が中学生だと思ってひとつ答弁してみてください。
  158. 青柳徹

    ○青柳説明員 お答えいたします。  中学校、高等学校におきます喫煙による健康への有害性の問題でございますが、中、高校におきましては、保健体育の教科におきまして、いわゆる健康問題の一環として、たばこがいろいろな面で健康に有害な面があるというようなことを教えておるわけでございます。特に青少年につきましては、発育、発達の途上でございますので、特にたばこが有害である、さらに今法律におきましても禁止をされておるというようなことを教えておるところでございます。
  159. 沢田広

    ○沢田委員 それは子供に対して何がどうして有害なのか、中身がちっともそれじゃわからないので、だから今、我々に答えるという意味ではなくて、いわゆる常識的にそう言われているということだけであって、教育の内容としてはどういう具体的な教え方をしているのかということを問うているわけですから、その点お答えいただきたい。  ちなみに、フランスの十二歳から十四歳までの人が一九%、十五歳から十六歳までの人が五五%、十七歳から十八歳までが五九%、十九歳から二十一歳が六七%、二十四歳の人は五二%、その中で男は五三、女が四七。これはフランスらしいなと思っておりますが、そういうような数字も出ております。だから、やはりその中身を具体的に言っていただかないと、ただおまえだめだよと言うのでは、これは教えにはならないのですね。何でだめなのか、やはりそこをきちんと言えなければ困ると思う。文部省が言えないようじゃ、これまた話にならないと思うのですよ。もう一回。
  160. 青柳徹

    ○青柳説明員 学校におきましては、いろいろな教材、スライド等を使って先生方工夫をしながら指導をしておるところでございますが、例えば中学校の教科書でございますと、これは一つの教科書の例でございますが、たばこには気持ちを落ちつかせる働きがあると言われているが、健康上はむしろ有害である、たばこの中に含まれているニコチンやタール分は、気管支や肺の粘膜を刺激し、長い間にがんを起こすと言われ、たくさんのたばこを長時間吸っている人ほどがんの発生率が高いとか、あるいは動脈硬化でございますとか心臓の血管がけいれんするとか、たばこが具体的に健康上影響があるというようなことをるる教科書におきましても扱われておるわけでございます。これに基づいて先生方は、さらに具体的な教材を使ってできるだけわかりやすく、子供たち理解できるように指導しているというところでございます。
  161. 沢田広

    ○沢田委員 だけれども、これは子供ならばなぜ悪いか、大人ならばなぜ悪くないのか、この辺は今の言葉では解釈できない。これをやっていると時間がたちますからやりませんけれども、今の話では全部の国民に言う説明なんです。子供はなお悪いとか、何が悪いというものがつかなければ、それは一般論。だからこの間もちょっと大蔵大臣が話しておりましたけれども、教室から教員室に行ったならばぷかぷか先生たばこを吸っていたということでは、これは心臓に悪いぞ、あれが悪いぞ、こう言ったって、大人と子供とどう違うかということが答弁に入らなければ今のは答弁にならない。それだったら、学校全部を禁煙にしなかったらそれは一貫性がなくなってしまう。ですから、文部省としてももう少し緻密な、研究もされているわけですから専売局によく資料をもらって、そして納得のいくように、先生ならなぜよくて子供ならなぜ悪いか、その点は、この間の質問でも同じですが、極めて不明瞭な答弁ですね。あなたもそう思うでしょう。大人と子供の差はちっとも言ってないですからね。ですから、そういう不明瞭な答弁は答弁ではないんですから、その点はひとつきちんと、次にだれかがやるときには今度はその答弁をきちんとしていただきたいと思います。文部省はいいです。  皆さん、終わられたでしょうか。じゃ答案用紙ひとつ出していただけましょうか。理事さん使っては悪いですけれども……。  じゃ続いて質問、違った方へ行きます。  次に、これは自治省の方にお伺いをいたします。  あっちこっち問題が飛びますから、待っていて恐縮でありますが、現在、市町村における消費税、それから都道府県の消費税、大体八千六百億ぐらいから九千億に近いものがある。それから国に対する納付金も九千億ぐらいある。大体酒が一兆八千億、たばこがやはり一兆八千億、大体そういうような金額になっております。酒の方は三二%の地方交付税であります。たばこの方はこの結果から見ると、大体五割五割、フィフティー・フィフティーということになっておる。  私はここで提言をするのは、地方でたばこを売ればその地方の財源になるんですという段階は過ぎたのではないか、やはり一括の金にして、全体的な行政のレベル、そういうものの方向に転換をしていく時期に来ているのではないか、こういうふうに思うわけです。一部では、高いたばこを買うのは都市で、安いたばこを買うのは田舎だ、だからそれの公平感を、水平運動を起こしていく役割を果たすからそれでいいんだ、こういうふうな意見もなくはありません。しかし、今日のようにこの法律ができるに当たっては、自治省としてもこれはある程度一本化をして、地方交付税五割なら五割でもいいんですが、五割なら五割にして、その分を地方交付税の中で交付をしていく、こういうことが望ましいのではないか、こういうふうに思うんでありますが、地方財政に与える相対的な影響、こういうものから、きょうの新聞でも田川さんはまた軽油、自動車税とか重量税とかそういうようなものを考えて提起をされているようでありますけれども、その方がより効率的じゃないか。それともう一つは、徴税の費用が節約をされていくということになりやしないか。言うならば、市町村へこれは配付をする。  それからもう一つの理由は、催し物がありました際の売り上げがこれは極めて不分明である。オリンピックであるとか国体であるとかというような場合の売り上げの配分がこれ極めて問題がある。同時に、今度禁煙区間が、通勤なんか延長されますと、その区間でたばこを買う人は少なくなって、行った到着点でたばこを吸う。わざわざ混んだ電車に乗って帰ったんではもみくちゃにされてしまう、だから、出たときには買わないで、着いてから買う、こういうようなことも禁煙区間によっては起きてきておる。ですから、そういうことを考え合わせると、これからますます首都圏を初め大きな都市を中心とする分野では禁煙区間がふえる、そうすると購買においても非常に移動する、こういうようなこともあります。同時に国鉄などでは、弘済会で売ったのは、大宮の駅で買ったのか、川口の駅で買ったのかあるいは赤羽で買ったのか、上野で買ったのか、東京で買ったのか、これも一カ所で買った形になって、適当のつかみになるかどうかわかりませんけれども、電気税と同じようなもので、そういうような配分になってしまう。そういうようなことで整合性が果たして成り立つかどうかというような疑問もあるので、やはりこの際は徴税の費用の節約その他一切を考え合わせながら一応検討してみる時期に来たのではないのかというふうに思うわけでありますが、これは自治省の方から見解を承りたいと思います。  この問題は、後でまた大蔵省の方からもひとつお答えをいただくようにしたいと思っております。     〔中西(啓)委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕
  162. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 地方団体が財源を調達する場合に、いろいろな方法が考えられると思います。御指摘のとおり、一括国が徴収いたしまして、それを一定の基準で配分するというようなこともあり得ると思います。  私どもは基本的には、地方団体がまず財源を調達する手段といたしまして、みずからの努力財源を調達する地方税というものが最も適切な財源であるというふうに考えているわけでございます。それだけではなかなか三千数百の団体に所要の財源を配分するわけにはまいりませんので、そのほかに譲与税でございますとかあるいは交付税でございますとか、その他の国庫補助負担金というようなものを絡めながら総体的に財源を調達するというような仕組みをとっているわけでございます。  そういう観点から申しますと、やはり地方団体が自主的に財政、行政運営をするためには、何と申しましても基本的には地方税を第一順位として調達する必要があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。まず、地方団体のベースになる財源を地方税で確保する方策をいろいろ考える必要があるだろう。その趣旨から、昭和二十九年度に地方税財政の抜本的な改革を行いまして、地方税源が充実するということを第一目的にいたしまして税財政というものが改革されたというふうに私ども理解しているわけでございます。  この場合に、この地方たばこ消費税も、昭和二十九年度の改革におきまして、この税源が地域的に普遍的に存在しているあるいは税収入の変動が極めて少ないという安定的な税収であるというようなこともございまして、関係者の皆様方の御協力によりまして創設されて以来、一貫して地方の独立税といたしまして充実されてきているところでございます。  そういうような観点から申しまして、私どもといたしましては、この地方たばこ消費税を今回の改正に当たりましても地方独立税として維持していただきますようということで検討を進めてきたところでございます。そういう観点から今回、地方独立税として維持することを前提にして税法の改正をいたしまして、現在国会に提出をいたしまして御審議をお願いしているところでございます。
  163. 沢田広

    ○沢田委員 今のは答弁になっていないのです。  私の提案は、例えば観光地ではたばこは売れるでしょう。あるいは飲み屋さんの多いようなところではたばこはたくさん売れるかもしれません。しかしまた、文教都市と言われるところ、あるいは純農と言われるところ、そこでは全然たばこは売れないというに近い。そうすると、かえって偏差を拡大するのではないか。だからこの段階に来ると、各都道府県の民力調査などというものも我々は見ますけれども、シビル、ミニマムというかナショナルミニマムというか別といたしまして、下水道であるにしてもあるいは都市ガスにしてみても、あるいは上水道にしてみても、そういうようなものの普及率、民度、所得あるいは文化の普及度というようなものを考え合わせて、たばこというものが平均の民力の向上のために役立つような方向に検討すべき時期に来ているんじゃないか。検討してみて、やはり今までの方がよいという判断があったら、何も私はそれを否定するものではない。しかし、あなたの答弁は、検討するもしないもない、頑固にただ今のままが、このとおりやっている方がいいんだ、ばかの一つ覚えみたいなことを言っているからちょっと言うのだけれども、そうではなくて、やはりそれも検討に値するのではないかと私が提言しているわけです。それは検討に値しないというのならしなくてもいいですよ。しかし検討の対象にする段階になったのではないかと私が提言しているのだから、それは検討して実施しろと言っているのじゃない、検討してみる対象にはなっているのじゃないか、こういうことで私、申し上げているので、その点全然検討する意思がないなら意思はないでいいです。そういう答弁なら答弁で結構ですから、そのどちらかについては、もう少し違った角度で謙虚にひとつ答えをしていただきたい、こういうふうに思うのです。
  164. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 地方税の税源につきましても、我が国の府県間あるいは市町村間というものが封鎖的に区切られているわけではございませんので、どうしてもその間のいろいろな入りくりというものは、どういう税制をつくってもある程度やむを得ないんじゃないかと思うわけでございます。  そういう点では、今御指摘の点につきましても十分これから考えながら税制を検討していかなければならないと思いますけれども、現段階におきますこのたばこ消費税の税源の分布状況という点を見ますと、他の税に比べますとまだ地域的な偏在が非常に少ないというふうに私どもは考えておりますので、今後ともこの制度維持させていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  165. 沢田広

    ○沢田委員 では、そういう状況じゃないそうですから、後で、今度は大蔵省の方の立場でお答えをしていただきます。  先ほど御三方にそれぞれ御協力をいただいてみました。その結果が出ておりますので、これは私がやったのではなくて、中村理事がやったのですから公平だと思います。  たばこの種類は、キャビン、テンダー、キャビンマイルド、マイルドセブン、峰、セブンスター、一番最後がハイライト。  それで大臣はハイライトが一問正解で、その他は外れ。キャビンについては、やや薄い。なお書きに、これにしようかな、こういう感想が書いてある。二番目は辛いが刺激が薄い。三番目は軽く刺激あり。四番目は三と同じ。五番目はややよし。これは峰です。六番目は無味乾燥。七番は、これだ、ハイライトとなっております。  次に総裁でありますが、総裁は全問全部当たりました。キャビンからテンダー、キャビンマイルド、マイルドセブン、それから峰、セブンスター、ハイライト。ハイライトは少し辛いと書いてありますが、全問当たり。  それから小野さんは、六問が当たりまして、一つだけテンダーが当たってないようであります。その他は全部正解であります。  大変御勉強の跡があり、心から敬意を……。まあ大臣は、これは他事でありますからそこまで勉強しなくてもいいわけでありますから、これはこれで正解なんだろうと思います。大変御苦労さまでした。  ただ、たばことはそのようなものだ。要すれば、ある意味において口にくわえて吹かして、真っ正直に全部吸っている人もあれば、適当に口の中から吹き出している人もいるし、鼻を通して出している人もいる。しかしその間にいろいろな副作用が生じていろいろな病気の原因になったり、あるいは刺激になったりしている、こういうことだと思います。  ですから大蔵で議論をする場合は、私もざっくばらんに言うと、だれだって、これを言ってしまうわけにも財源上は一兆何千億ということになるからそうもいかぬ。全然税金を取るなと言ってみても、これも若干無謀である。しかし漸進的に他の財源をもってかわりつつ、やはり国民の嗜好品として安全であるように努力する、結論的に言えばそういう製品にしていく必要性があるんだというふうに思います。  そこでさっきの、地方交付税の分類にすることが果たして今後の検討課題となるかどうか、今度のことで全部がそうなりますから、考えてみる必要があるのではないかということで、これは大蔵省からこの点ひとつお答えいただきたい。
  166. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今御提案の地方たばこ消費税を地方交付税として地方に交付するということはどうかというお話でございますが、そのポイントは恐らく、そういうことによって地方の税源配分をより調整するという観点からお話しになっておられると思います。  それに対しましては、先ほど自治省の方から答弁がございましたように、従来から地方の自治という観点から自主財源を充実するという観点があるかと思います。そういう意味でこれにつきまして地方の独立税として認めるのがいいのではないかというポイントがあるかと思います。  それとともにもう一つは、先ほど申し上げましたように税源の調整という観点から考えました場合に、先ほどもお話がございましたように、たばこ消費税の場合はかなり税源が均等に散っておりますので、そういう意味では既に税そのものの性質として地方の独立財源として望ましい点もあるわけでございます。むしろそれよりも偏在のある税も多々あるわけでございますので、そういう観点からも、これにつきましてはやはり地方の独立税として残しておいた方がいいのではないかというふうにも考えられるわけでございます。  しかし、いずれにしましても地方の税源をどううまく配分していくかという点は大変重要な点でございますので、そういう点も含めて今後とも検討していくべき課題であるというふうに考えております。
  167. 沢田広

    ○沢田委員 私が指摘した内容、配分を変えるという方に力が入るのではなくて、指摘したような要素については否定されないでしょう。例えば禁煙区間がふえた、あるいはそういうアンバランスがある、あるいは催し物のときの収入がある一定に固定化してしまう、こういうような配分と購買、こういうもののバランスの上において若干の矛盾がある。こういうことについては御理解いただけますね。
  168. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今おっしゃるような問題があることも事実でございます。
  169. 沢田広

    ○沢田委員 これからちょっとピストン的に質問していきますが、ほとんど今までの確認ですから、そのつもりでお答えいただきたいと思います。  今回の専売公社経営形態を改革する理由、二つ、三つぐらいまで箇条的に言ってみてください。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  今回の専売公社経営形態の改革につきましては、御案内のように、開放経済体制に備えて輸入たばこの自由化というのを行うわけでございますけれども、その結果として、我が国市場において大変な国際競争が起こるということが十分考えられるわけでございます。そのため、その国際競争に耐えて日本たばこ産業の健全な発展を図っていくために、今回の経営形態の改革を行うということでございます。
  171. 沢田広

    ○沢田委員 次、これは民営化をしていくワンステップではないか、こういう凝固がありますが、その点はいかがですか。
  172. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 当委員会におきまして、ただいままでしばしば大臣からも申し上げておりますように、今回の経営形態の変更等につきましては、割高な国産葉たばこを抱えた現状の中で国際競争に対処していくという観点から、専売公社特殊会社に変更いたしまして、それに製造独占を与えるのが最善の道であるという判断をしたわけでございまして、民営化へのワンステップとして位置づけられているわけではございません。
  173. 沢田広

    ○沢田委員 先ほど会計検査院も出ましたが、葉たばこの過剰在庫についての処理方法、これはどのように解決する考えか。
  174. 長岡實

    ○長岡説明員 なかなか難しい問題でございまして、私ども苦慮いたしておりますけれども、一つには、国産葉をできるだけたくさん使った銘柄の開発、これは、最近ではキャスターなどがその例でございます。この方向での検討は現在も続けております。  それからもう一つは、そういう特定の銘柄に限らず、全体についてもう少し国産葉を使い込めないだろうか、これも現在鋭意検討を進めている段階でございます。  それから三番目に、これは若干赤字を伴いますのでなかなか難しい問題でございますけれども、過剰在庫の葉たばこ葉たばこのまま輸出するということも力を入れておりまして、五十七年度に比べますと五十八年度は、五十七年度が非常に少なくて約二百六十トンぐらいのものでございましたが、五十八年度には二千七百トン近く、十倍以上の輸出ができたことでございます。こういったようなことを積み重ねて、過剰在庫の解消に努力してまいりたいと考えます。
  175. 沢田広

    ○沢田委員 それから、葉たばこを許可制から契約制に改めたのはどういうねらいか。何をねらいとして契約制に改めたのか。
  176. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  今回の改革によりまして専売制度が廃止されるわけでございますが、専売制度のもとにおきましては、基本は流通専売であるかもしれませんけれども専売制度確保と申しますか、そのために葉たばこに至るまですべて専売制度のもとに置かれたわけでございます。そういう意味で、従来葉たばこは、公社による耕作の許可、許可されて収穫されたものについては全量収納という形をとっておったわけでございますけれども、今回専売制度が廃止されることに伴いまして、専売制度維持するための手段であった全量収納ということは必ずしもなじまなくなったわけでございます。  また一方、たばこの製造原料ということで考えますと、葉たばこもまた一つの商品でございまして、原料調達という面から見ますと、売買契約というのが一番素直なあり方であろうかと思います。一方、専売制施行当時あるいは戦後の混乱期等におきましては、密造とか、そういったような違反事例もかなり多かったわけでございますけれども、現時点におきましては密造というようなことはほとんど後を絶っております。そういう意味からいたしまして契約制度ということに改めたわけでございます。
  177. 沢田広

    ○沢田委員 文部省、会計検査院はもう結構です。  それから、会社の最高販売価格について、小売価格ともどもやはり許可権の範疇に含めた、この根拠は何か。
  178. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  今回の制度改革におきまして、先ほど申し上げましたように諸般の事情から会社に製造独占を与えることとしたわけでございますけれども、従来の政府関係機関たる専売公社と違いまして、特殊会社ではございますけれども商法の原理によって設立されます株式会社でございます。そういう意味において、独禁法の適用除外というわけにはまいらないわけでございます。独禁法の適用除外にまいらないということは、要するに独占の弊害を除去しなければならないというわけでございますけれども、今後、改革後におきましては市場における競争が活発に行われることになると思いますので、万々一新しい会社が不当な価格をつけるというようなことは考えられないわけでありますけれども、市場状況のいかんによりましてはそういうことがあり得ないことではない。そういう意味におきまして、蔵出し価格にその最高販売価格を設けたわけでございます。  一方、小売定価につきましては、二十六万人の小売人に対する激変緩和という意味で、全国一律価格という意味での小売定価を設けるわけでございます。  それぞれ認可制をとっております理由は違っておるわけでございますが、それぞれの理由におきまして両方について認可制度をとることとしているわけでございます。
  179. 沢田広

    ○沢田委員 それは議論がありますが、これは確認だけやっておきますから……。  それから、新会社と関連企業、配送、フィルター、構内企業、こういうのの関係はどういうふうになるのか。
  180. 長岡實

    ○長岡説明員 従来どおりの関係維持してまいりたいと考えております。
  181. 沢田広

    ○沢田委員 就業規則は、今度はそういう形になるわけで、労働協約その他になるわけでありますが、今まで参考人として述べられた委員長の発言にもありますけれども、従前の労働条件はそのとおり確保されるものと解してよろしいのかどうか。
  182. 長岡實

    ○長岡説明員 今後労使間で取り決めるものを除きまして、原則として就業規則、労働条件等につきましては、現行の条件維持してまいりたいと考えております。
  183. 沢田広

    ○沢田委員 これも念のためでありますが、年金は、先般の国家公務員等共済組合法の改正に伴いまして、そのときの質問でも確認してありますけれども、現在専売公社に勤務している人、株式会社移行する人、同時にまた新たに株式会社に採用される人を含めて共済年金の適用を受ける、このように確認してよろしいですか。
  184. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  185. 沢田広

    ○沢田委員 退職金は、これも会社になれば会社になった就業規則の一部に入るわけでありますが、やはりこれも極めて重要なウエートを持っているものでありますから、さきの答弁と同じように、従前の慣行、適用をそのまま継続をする、こういうものと解してよろしいですか。
  186. 岡島和男

    ○岡島説明員 新会社移行いたしますと、従来適用になっておりました国家公務員等退職手当法が不適用になるわけでございますけれども、今度の会社法の附則十二条に年限の通算みたいな規定がございます。そういう精神を踏まえまして、今までの条件維持してまいりたいというふうに考えております。
  187. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、寮とかあるいは医療機関もありますけれども、そういうものの厚生施設等は、それぞれ公社の財産がそのまま引き継がれて株式会社に行き、また同時に、その利用も従前どおりの利用の許容を与える、こういうように解してよろしいですか。
  188. 岡島和男

    ○岡島説明員 ただいま先生が言われたとおりでございます。
  189. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、今度は労災の関係。失業保険、そういうようなものが適用されるということになるわけであります。これは後で財政の問題で若干新たなる負担増というものになるわけでありますが、従来の公務員のいわゆる災害補償法といいますか、そういうものから労災の方の適用になります。それだけ会社の負担も多くなるわけでありますけれども、そういうふうに解してよろしいですか。
  190. 岡島和男

    ○岡島説明員 まず労災でございますが、現在は公社におきましては労働協約で定めております。今後は労災保険法と共済組合法が適用になりますけれども、現在の体系の若干のでこぼこがございますが、補償体系の全体のバランスを考慮しながら、労災保険法を踏まえて協約を労使間で協議してつくってまいりたいということで考えております。
  191. 沢田広

    ○沢田委員 なお念のためなんでありますが、労災法は判例が非常にたくさんあります。公務員の場合に適用しても民間の場合に適用しない場合、それから民間の場合に適用しても公務員の場合に適用しない場合等が従来の判例として存在しております。例えば通勤途上の問題とか、あるいは通勤途上で一回おりてからまた乗った場合とか、あるいはちょっと寄り道の場合のケースであるとか、そういうようなことが通常の通勤経路を通らなければだめであるとかという微妙な判例の差があるのでありますが、そういうようなことについては、まあ判例になってしまっていればこれは法律ですから何ともいたしがたいわけでありますが、そういう事例といいますか従前の慣行が継承される、判例の場合はその判例による、こういうことになると思いますが、そのとおり解してよろしいですか。
  192. 岡島和男

    ○岡島説明員 ただいま先生の言われたとおりになると思っております。
  193. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、今度は労働組合法が適用されるわけでありますから、そこで今度はスト権もあればいわゆる罷業権もある。これは、事そういうことを期待する者は――そういうことが起きてはいけないと思うのでありますが、起きたならば、それをいいぞ、幸いとしてまた公社という問題も起きてくるでありましょうし、市場から全部たばこがなくなって行列するなんという状態が起きるほど、こんなことは起きないだろうと思いますけれども、この労使関係の正常化、健全化、それから信頼感、こういうものに対しては今後も継続発展をさせる立場で当局も臨む、こういうふうに解してよろしいですか。
  194. 長岡實

    ○長岡説明員 従来も、公社制度のもとにおきましても、例えば工場の再配置とかその他合理化の問題につきましても労使間で十分に話し合いをしながら今日にまで至っております。この関係は今後とも当然維持してまいりたいというふうに考えております。
  195. 沢田広

    ○沢田委員 確認の事項は大体以上でありますが、なお一つ、労使関係の問題で、賞罰が変わってくるんだろう、一番変わるのは。今までは、言うならば国家公務員の延長として、公社のために寄与し、もうかるもうからないは別として公共性を維持発展をさせる、こういう立場で、忠実な職員をもってよしとした。しかしこれからは、奇想な発想をしたり、こうやったらもうかるというようなことを考えたり、あるいは人が言わぬでもせっせと販売に歩いたり、昔で言うわらじ履きの販売をする人も出てくるでしょう。今で言えばそれはごます。なんという言葉で本当にごまかされてしまう。しかし今度は売らんかなということになれば、そういう熱心な職員も出てくるだろうと思うのであります。いずれにしても、企業の本質が変わったということによって賞と罰というものはおのずから変わっていくのではないのか。ただ長ければよしという従来の慣行だけでは済まされない。また学歴社会についても同じことが言える。ただ、いい学校出たからということではどうにもならない。やはり商売のうまいのと下手なのはある。  そういうことを考えますと、賞罰というものについては視点を変えていかなくちゃならない。今内容をここで聞こうとは思いませんけれども、やっぱりそういう物の見方で職員を見ていく必要性が起きてくるんではないのか。まあ製造している現場はあるいは違うかもしれませんがね。やっぱり、けがをうんとする職場とけがをさせない職場と、おのずからそれは管理者の差は出てくる、こういうこともあるだろうと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  196. 岡島和男

    ○岡島説明員 まず若干の法律的な側面からちょっと申し上げさせていただきますと、公社職員の賞罰でございますが、まず罰の方から先に申し上げて恐縮でございますが、公社職員の懲戒でございますと公社法の二十四条がございまして、それからさらに労基法八十九条の規定に従いまして、就業規則において規定をしているわけでございます。新会社移行になりますと、まず公社法は当然なくなるわけでございますが、企業内の秩序維持するということ、あるいはその就業規則に違反するというような行為が全くないとは言えませんから、そういうことに対しまして懲戒を規定するということはやっぱり必要かと思っております。  それから表彰の方でございますが、これは職員のモラルの向上ということで現在もこの規定があるわけでございます。今先生言われましたように、積極的に経営能率の増進を図るということで現在もそういう制度があるわけでございますが、その辺の考え方につきまして現在詰めた考えをしているわけではございませんけれども、新会社になりまして、会社の方で今まで以上に経営のあり方について職員がみんなで考えていくということになりますと、おのずとその運用の仕方にも違いが出てくるのではないかというふうに現在のところ思っております。まだ詰めたものではございませんので確たるお答えができないのは大変申しわけございませんが、そんな感じでございます。
  197. 沢田広

    ○沢田委員 そういう点はなるべく早い時期に、これは事前協議という言葉がいいかどうかわかりませんが、なるべく早い時点に成案を得て、問題が起きてから判例を積み上げるということよりも、なるべくあらゆる場合を想定しながら案を示して、そしてその協力を得る。就業規則ですから一方的に決めることも可能でありますけれども、なるべくその了解を得て発効していく、そういう段取りを要望しておきます。よろしいですか。いいですね。――いいです、出てこなくても。首を縦に振っていましたから記録にはそのとおりとどめて、子としておきます。  続いて、企業秘密の問題なんであります。  今まではある程度オープンであった。しかしこれから民間にいって競争相手も出てくる。先般アメリカの弁護士も何か私らのところへ来て、日本葉たばこが余っておるがら、今度工場を日本へつくって生産すれば農家も助かるし、我々のたばこも売れる、ぜひひとつ、協力してくれという言葉は使ってなかったようでしたが、とにかくそういうことを言っておりました。だが、日本じゃ工場はつくれませんよ、まあそれは無理でしょうというふうに私は答えていたんですが、いずれにしても、そういうこと等を含めて企業秘密というもの、生産、製造の機械、あるいは製造のやり方、あるいは香料の入れ方、そういうようなものが企業秘密になってくる可能性が強い。前よりも強くなるのではないのかというふうに思うのでありますが、その解釈については、通産、それから専売からお答えをいただきたい。
  198. 岡島和男

    ○岡島説明員 現在の公社職員である場合に企業秘密を守る義務がないかという点でございますが、公社職員は公務員ではございませんが、国の専売権の実施に当たるということから、公務員に準じまして、「その職務に関して知った秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。」ということが公社法の規定の中にございます。これを受けて、就業規則でも同じような規定があるわけでございます。  新会社移行になりますと当然公社法の適用はなくなるわけでございますけれども、今先生がおっしゃいましたように、これから競争が大変激しくなるわけでございますから、企業秘密の保持の必要は当然あるわけでございますし、あるいはもっと切実に、実態的には重要な問題になってくるかもしれないというふうに考えられるわけでございまして、新会社の就業規則におきましても職員の服務上の義務ということで明記をしたい、このように考えておるわけであります。
  199. 沢田広

    ○沢田委員 今度の会社法の附則第二十二条に、なぜまたこういう法律にしたのかということでちょっと疑問なんでありますが、「旧法の廃止後においても、」なぜこんな言葉が必要なのかなというのが一つ感じられる。「公社の役員又は職員であった者」、前は「並びにこれらであった者」、こういうふうに、これは過去の人も入っていると私は解しておりますが、前の文章ではそこにまた入っている。「のその職務に関して知った秘密についてはこと、ほとんど入っている。そして、そこへわざわざ「旧法第十七条の規定は、なおその効力を有する。」こういう文章をなぜつくらなければならなかったのか。だったら、こういう秘密については漏らしてはならないし窃用してはならないとしないのか。これは前の文章ですね。なぜこの「旧法第十七条の規定は、」なんというのを無理にここへくっつけてこの旧法の一部を生かさなければならなかったのか。しかも旧法の全文から一部削除しているものは削除している。これも要らない文章だったからということなのかもしれません。しかもまだ「旧法の廃止後においても」と入れてある。どの文章だってみんなそうなんですよ、それから言えば。  だから、この文章のつくり方、法文のつくり方は、なぜ旧法十七条をここへ持ってきたのか。旧法は廃止をされてくるという。廃止をされたけれども十七条の規定は生きますよ、こういうことだ。十七条の規定は生きるというけれども、十七条の大部分がこの文章の中に入ってしまっている。あとは、漏らしてはならない、窃用してはならないというこの文句二行だけなんだ。一行というか、六字か七字だけのことです。それをわざわざ旧法十七条ということをそこで改めて入れたという理由は何なのかということで、ちょっとこれは法制局で答えてもらわなければならない。これは、蛇なら足と言うんだと思う。どちらでもいいです。
  200. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。私どもの方で立案をいたしまして法制局の方で審査をいただいたわけでございますので、一応立案者といたしまして私の方からお答え申し上げます。  現行法の十七条におきましては「公社の役員及び職員並びにこれらであった者は、その職務に関して知った秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。」という規定があるわけでございますけれども、これはまさに、役員もしくは職員であった者につきましては、その役員もしくは職員の身分を離れた後においてもこの十七条の規定は働くわけでございます、十七条が生きている限りにおきまして。  今回の法律改正によりまして、十七条は廃止になるわけでございますので、そうすると、その公社の役員及び職員であった者が、その職員であった時点においてこの十七条に違反した場合の問題をどうするかということが生ずるわけでございます。そこで附則の二十二条におきまして、旧法の廃止後においても公社職員または役員であった者がその役員または職員であった時代に、その職務に関して知った秘密を漏らした場合は旧法十七条の規定がそのまま生きて適用されるよという意味で、この規定を設けてあるわけでございます。
  201. 沢田広

    ○沢田委員 せっかく答弁していただいたのですが、今のうちは旧法十七条もひもとけぱ出てきますよ。あと五年なり七年たったら、旧法十七条を見つけるのは大騒ぎですよ。だから、それだったら、何も漏らしてはならないとか窃用してはならないと入れたからといってちっとも問題はない。新法で堂々とそれで生かして、法律としては生かしていけるわけです。わざわざ旧法十七条という難しいものを持ってきて、旧法はなくなってしまっているのに、今度旧法を探さなければ十七条の中身はわからない、こういう事態になってしまうんですね。  だからこれは、後にもそのようなものが若干出てきますけれども、私がここでどうだとは言わないですが、できればよく自民党とも相談してもらいますが、わざわざここでは旧法十七条を何も入れる必要はないんじゃないか。漏らしてはならないあるいは窃用してはならないとそのまま続ければ、字数はそれほど変わりはないんじゃないかということで、これは答弁はもういいですよ。答弁はいいですけれども、もし何か修正みたいなものがあれば、その機会は改めた方がいいんじゃないのかという気がしますから、これは意見だけ述べておきます。どうしても答弁したいというのならしてください。
  202. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 申しわけございません。ちょっと補足させていただきたいのでございますが、制度改正後の会社法におきましては、先ほど公社の方からも御答弁がございましたように、企業秘密をどうするかという問題はむしろ会社独自で御判断いただくべきものだと考えております。したがいまして、その本法の方には、塩事業については別でございますが、たばこについては守秘義務の規定は設けておりません。したがいまして、この附則の二十二条の規定は、あくまでも公社時代の守秘義務をそのまま公社時代に犯した者について承継するというための規定でございますので、やはりこの場合は現行法の十七条の規定を引かざるを得ないというふうに考えております。
  203. 沢田広

    ○沢田委員 そう言われるとまた……。  これは附則第二十二条でわざわざ「職員であった者」と過去形が使われて、過去において役員であった者、過去において職員であった者もここで包含しているんですよ。前の文章は「並びにこれらであった者」と、こうわざわざ重複して書いてあった。これは重複だから削除をしたんだと思うのですね。さもなければ、「並びにこれらであった者」の「あった」という言葉をわざわざ削ったのは、ここで十分「職員であった者」の中に、過去に役員なり職員であった者も含まれる、こういう解釈がスタートにあった。それで、あとは言葉は全部同じなんです。だからあとは、漏らしてはならないとか窃用してはならないとかいう言葉だけがくっつけば、ちっともこれは法律としては変わりはないわけです。  これで余り時間をとっていてもしようがないですけれども、ただ将来になって、旧法十七条だなんて、今度は職員が株式会社法を見ても、旧法の十七条だなんというのははてさて何だったっけなというよりは、親切に、漏らしてはならない、窃用してはならないと、わずかそれだけの字句を入れるだけなんですから、それで十分に事足りたと思うのですね。わざわざ旧法十七条を持ち出さなくたって、威厳を重んじたのかもしれぬし、あるいはおどかすためにこう書いたのかわかりませんけれども、私から見ればこれはやはり素直にいってよかったのではないのかという気がします。これは答弁要らないということにしておきます。だけれども、よく後で検討していただければ幸いであります。  続いて、大臣はいなくなったのでありますが、これは法務省の方にお伺いをいたします。  株式会社法でいきますと七人の発起人が必要ですね。そして同時に、発起人は書面によってその株を引き受ける、こういう書類を提出しなければならないことが商法で規定されておりますね。その点はどういうふうに解釈されておるのですか。
  204. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまの御質問の趣旨は、商法によれば設立の際には七人以上ということになっているはずではないか、にもかかわらずここでは一人会社というような形になるわけで、その辺をどういうふうに考えるのか、こういう御趣旨として承ったわけであります。  これは先生十分御承知のところでありますけれども、商法の百六十五条なりあるいは百六十九条におきましては、発起人が七人以上であるということあるいは株主が七人以上であるということが規定をされておるわけであります。そういう考え方からいたしますと、商法の建前からいたしますと株式会社は複数の者によって構成をされる、これが一応基本的な前提となっておるというのはおっしゃるとおりであろうかと思います。  今回の改正法案におきまして公社経営形態が今度は株式会社という経営形態に形が変わるわけでありますが、その際に、その経営形態の変更に伴いまして従来公社が持っておりましたところの財産というものを出資をいたしまして、そしてそういう形でもって新しい株式会社の形態をつくっていく、こういうことになっておるわけであります。そこで、結果といたしましては、設立時点におきましては一人株主の会社というような姿になるわけでありますが、この点につきましては、商法の先ほどの条項に対しては特例的な定めをしたというふうに理解をいたしておるわけであります。
  205. 沢田広

    ○沢田委員 普通、六法というのは我々は国民生活の中でいわゆる憲法に次ぐ一つの規範、基本になってきているわけですね。その中にさらに特例をつくっていくという発想は、それが二分の一、三分の二であろうが、これからだんだん二分の一までいくわけですからね、それなのに、今スタートするときにいわゆる商法の方を曲げてまでしてつくらなければならない必要性が果たして存在するのか。商法なら商法、民法なら民法、刑法なら刑法という基本法を曲げてまであえてつくらなければならない必要性あるいは緊急性、重要性、ウエートが果たして存在するのか。私は、存在しない、七人なら七人にしていいんじゃないかと思う。なぜ一人にしなければならないか。それはどうせ政府の大臣以下、それ以外の人がなるのでしょうけれども、七人にしたらいいじゃないですか。それをわざわざ法を曲げて一人にしていくということは、作為なき作為だというふうにさえ思える。  しかも、もしそういうことが前例として許されるとするならば、一人法人というものは一般にも認められるということにもなり得る。大工さんであろうと、八百屋さんであろうと、あるいは魚屋さんであろうと、そうなれば百万円なら百万円出して一人で法人をつくりました、これはそういう前例をつくるということにもなるわけであります。これはだれがなるか、まだ株主の一人の名前を聞いてないからわかりませんけれども、そういう前例をつくることが果たしていいものかどうか、法制局の方ではそういうことについて何も疑問を持たなかったのかどうか、あるいはそういう前例をつくることがそういうものへ波及するとは考えなかったのかどうか、また、これはそのとおりにした場合には片一方は違法になるのかならないのか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  206. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  今回の日本たばこ産業株式会社法案におきましては、従来の公社経営形態というものを変更して、株式会社という経営形態に変えるということをこの法律に上って定めようというふうに考えておるわけであります。商法に対しまして、まずこの法律が特例法という形で働いてくるということにその限りではなるわけであります。そこで、一般の商法の形からいたしますと、複数の者によって構成をされるというのが株式会社の一般の姿であるのは先生御指摘のとおりでございます。そういう意味では、一人会社を設立するというのはある意味では形の違った、非常に特例的な姿であるということは言うまでもないわけであります。  ただ、今回の場合に、まず公社の財産というものを出資をするという形でもって新しい会社を設立をするということが第一点であります。そしてその場合におきましては、設立の際に必ずしも民間の出資というものをここでは当面は考えていないというような事情もあるわけであります。そういうことで、ここではその移行につきましては、商法の特例的な姿になりますが、一人会社という形にいたしたということであります。  そういう姿が商法の理屈からいって非常に理に合わない形のものであるかどうかという点でございますが、この新法人は設立の際には政府全額出資という形でいわゆる一人会社という形をとるわけでありますけれども、その後におきましてはこれは政府以外の出資を排除するものではないし、あるいは政府が保有をしているところの株式も譲渡の可能性というものはあるという形になっているわけであります。それから、商法が株式会社の設立の際に複数の出資者を一応予定をいたしておるわけでありますが、その趣旨というのは、株式会社を設立する際にその設立の確実性というものを確保するということにそのねらいといいますか趣旨があるように思うわけであります。もしそうであるといたしますと、この新法人につきましては法律によって設立手続が進められる、設立委員も任命をされて進められるというような形になりますので、商法の趣旨にもとるというような形のものではないであろう、こういうふうな理解をいたしまして、今回の法案を取りまとめたという次第であります。
  207. 沢田広

    ○沢田委員 それにしてもやはりおかしい点は残りますね。たとえ一歩譲ったとしても、なぜ百六十五条、百六十九条は適用しないと書かなかったのですかね。百六十五条、株式会社の設立については七人以上の発起人を必要としますよ、百六十九条は、発起人は書面によりその株式を引き受ける、こういう証文といいますか書類を提出しなければならぬ、こういうことになる。だったらば、当然この附則第十一条の中に、百六十五条、百六十九条も適用しない、こういうふうに書かなければ一貫しないんじゃないのですか。  今あなたのおっしゃった語尾も、後で速記録を見なければわからぬが、やはり説明としてもどうもあいまいですね。一人法人というものを認めたのが特別にこういう法律だったからいいんだということをもって、一人法人というものが許されるという根拠には薄弱だと思うのですね。法律的にもちょっと整合性がない、こういうふうに思わざるを得ない。わざわざ附則十一条には、「現物出資ハ発起人ニ眼リ之ヲ為スコトヲ得」というところは「適用しない。」と入れてある。それから定款の認証も必要ないですよ、「適用しない。」と書いてある。わざわざその二つは法を外してある。ところが、今言ったものは全然外してない。七人以上はやはり商法が厳然として生きている。しかも、発起人がそれは買い受けるということをしなければならぬということも商法でちゃんと規定している。その部分は除外してなくて、そっちの余計なものだけ――余計なものじゃないけれども、片方を除外しておくということだけでは今の答弁にはならぬ。ここの皆さんも恐らく、これでは法律的な体系としても整っていない、こういうことになるのじゃないかと思うのですね。まだ答弁しますか。
  208. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  今回の株式会社法案の附則六条というところがございますけれども、ここでいわゆる出資に関する規定が書かれておるわけであります。この六条におきましては、その財産の全部を公社が出資をする、こういうふうに書かれておるわけであります。したがいまして、設立段階におきましては、これは出資をする者はいわゆるたった一人であるという形になっておるわけであります。  それからもう一つは、この附則の第二条というところでございますが、ここでは大蔵大臣が設立委員を命じて、この設立委員会社の設立に関する発起人の職務を行わせる、こういう規定を設けておるわけであります。  これらの規定によりまして、一般の会社の設立手続と異なりまして、この会社法案におけるところの附則の各般の規定によって設立手続が進められていくというような形になっておるわけであります。そういう形でもって商法の一般的な手続規定というものについての特例を定めておるというふうに御理解を賜りたいと思うわけであります。
  209. 沢田広

    ○沢田委員 理解できないんだね。これは、いろいろなことを言ったが、とにかく一人法人を認めた。  では続いて、二百四十四条にある議事録の提出、これは株主総会を一人きりで、議長をやったり向こうへ行って手を挙げたりしなければどうにもならない。どうやって商法で定めた議事録をつくるつもりなのですか。
  210. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  今、株式会社の総会の議事録の作成等のことについてのお話であったと思いますが、これは先生御承知のように、株式会社につきましては設立におきましては七人以上の発起人というものを要するということになっておるわけでありますが、設立された後におきまして、その過程におきまして、株主が株式の売買等によりまして一人になるというような場合にいわゆる一人株主というものが会社としてあり得るかどうかということにつきましては、先生御承知のところでありますけれども、最高裁の判例によっても認められておるところであります。そして、その最高裁の判例の中におきましては、そうすると株主が一人であればその総会は一体どうするのだというようなことについても触れておるわけでありますが、最高裁の判例によりますと、その場合には総会は一人でもこれをなし得るという形で理解をしていいのだというような趣旨が示されておるわけであります。考え方としては、そのような考え方で運用されていくということになろうかと思います。
  211. 沢田広

    ○沢田委員 刀の刃渡りじゃないですけれども、そういうような際どい、小わざか何か知らぬけれども、そういう疑問があるようなものをこうやってつくってきて審議していくということ、何もこんな無理して一人法人にして、これだけの日本たばこ産業株式会社がそんなみみっちい方法で会社をつくる必要はなかったのじゃないか。それだったら、もっと堂々と商法に準じて、少し先を読めばもう社長も皆決まるわけですから、株主も決まるんでしょうし、これは一人にするか大臣の名前を七人並べるか、そのことは別としても、それは方法としては可能なんですからね。どこかその株を持って逃げていってしまう大臣がいるのだったらこれはまた話は別だけれども、持って逃げたってこれは有効じゃないんですから、心配はない。そういうことを考えると、商法の適用条文にもう少し忠実な方向法律というのはつくられてしかるべきではなかったのか。もうこれは要らないですよ。百六十五条も百六十九条も除外規定をつくらずに置いておいて、そのまま一方で無視していく、こういうことですから、結果的にはこの株式会社は一人法人としてスタートすることの可能性といいますか、そういうことができるという条件を改めてここで確認をしたということが法律の大きな長所だった、とんでもないところが長所になったということが言えるようですから、それはそのとおり確認して、次に私は進んでまいります。もし異論があったら後で答弁してください。  続いて、がらりと変わりますけれども、経理関係についてお伺いをするわけであります。一応五十九年度で試算表を見ますと、こういうふうに見ておるのですが、ひとつ聞いてみていただきたいと思います。  今、葉たばこの在庫一兆二千三百二十五億、固定資産四千二百七十二億、土地が八百四十一億、建物が七千百八十三億、それから投資が百三十億、それから無形のいわゆる固定資産が百五十八億ということと、同時に四千八百五十七億の現金預金を持っておる、こういう形になっております。これを分けますと、一兆二千億の一般的な固定資産、それから葉たばこの一兆二千三百二十五億のいわゆる棚卸資産、それから四千八百五十七億のいわゆる現金預金、そして三千七百五十二億の減価償却はあえてこれから外しました。これは言うならば、資産勘定から一方の方に移して、これは減価償却ですから一応別に扱いました。  今度支出の方を損益で見ますと、国の納付金が九千八百五十五億、それから地方の消費税が八千五百七億、これを合わせますと一兆八千三百六十二億ということになる。人件費は二千二百二十七億、そして材料製造費が二千二百三十六億、そして葉たばこが四千百三十六億、これは購入費ですね。そうすると、これで大体八千億ということになります。  塩の方は一千四十七億と九百四十億ですから、これは大体とんとんというふうに考えます。病院の方も六十億が収入で三百三十億ですから、これも余り大きな違いがないと見ました。  そういうふうに見ていきますと、結果的に三兆円の総資産になる。そして支出されるものの合計というものは、一兆八千億に八千億を加えるから二兆六千億。二兆六千億に細かいのがあるのでありますが、細かいものだけで大体二千億、こういう勘定をしてそれに三千七百五十二億の減価償却をすると仮定をすれば大体二兆六千億くらいの数字になってくる。そうしますと、この後どういう現象が出てくるかというと、結果的には棚卸資産の一兆二千三百二十五億が、こうつじつまを合わせていきますと合計して三千億ぐらいの利益ということになってくる。これ以外に退職引当金がありますね。それから地方税の引当金こういうものが出てくるわけでありますが、それを計算しますと大体一千五百億くらいですか。さっき一千五百億くらいが残ってそれの四〇%六百億くらいを法人税として納入する。若干大ざっぱな試算でありますが、五十九年度の予算から見るとそういう形になる。  五十九年度の予算から会社へ行く、五十九年度の決算から会社へ行くといった方がいいのかもしれませんが、五十八年度から行くと仮定をしてもいいのですが、私は五十九年度の数字を使って大体仮決算をしてみた。そうしてみると、こういう形になるが、果たしてその形がどういうものなのかということについてお伺いをしていく。  若干細かい数字の羅列になりましたけれども、これを質問するんだぞと言ったんだから、あなたの方だって試算表ぐらいつくって出してもらいたいというふうに思っているわけです。それをあえて私の方で申し上げた、こういうことです。
  212. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  新しい制度におきます財務をどう見通すかという問題につきましては、先般にもこの委員会で御説明申し上げましたけれども、輸入品のシェア等にかかわります全体の販売規模、言いかえますと企業規模、それから耕作面積の問題を今後どうしていくか、さらには今鋭意検討しております合理化計画等をどう実施していくかというふうないろんな要因がございまして、これを見通すことが大変難しい状況にはございます。  それで、今先生御指摘がございましたのですが、確かに新しい制度下におきまして、例えば印紙税等の諸税とか、あるいは法定福利費等の新たな負担、さらには消費税制度に納付金制度から変わるということ等に伴いましての利子負担等経営財務を見通していく上で今考えられます新たに負担になってくるような要素については、私どもも若干その辺を勉強はいたしてきております。そこで、この辺を御理解いただく意味におきまして、五十八年の決算ベースでの利益を一応前提にいたしまして、諸税等そういうふうなものが仮に五八決算ベースの利益をもとにして見た場合にどうなるかというふうな点について御説明さしていただくようなことでお許しを願えればと思います。  五十八年の決算におきます利益は八百七十億円出ておるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように会社化に伴いましての印紙税等諸税の負担、それに法定福利費というのを含めますと約百億円くらいの新しい負担が出るのではなかろうか、それから利子負担といたしましておよそ百億くらいの負担がまたふえるのではないかというふうに一応考えられますので、この八百七十億から今申しました二百億を引きますと六百七十億円というふうな数字が一応出てまいります。  これに対しましていわゆる法人税、事業税等利益に対する課税がかけられるということで、その辺も一応概算してみますと、三百七十億くらいの利益に対する課税というものが考えられるんじゃなかろうか。そういたしますと、今申しました試算でございますと、いわゆる会社の純利益というふうに見られますものは、この三百億から配当を引いたものというふうに考えられるわけでございます。  ただ、配当につきましても、資本金等との関係でどういう配当政策をとるかということで未確定なものがございますので、いわゆる税引き後の利益というふうなことで五十八決算ベースをもとにして見てみますと、三百億円程度が一応試算上考えられる、こういうふうな状況にございます。
  213. 沢田広

    ○沢田委員 これは一つずつ確認していかなければならないですが、百億円の支払い利子の増ということでありますが、この貸借対照表の中に、損益計算も含めてですが、借入金はどこにも載ってないですね。これはどこに載っているのかなというふうに思うのです。これは五十八年度じゃなく五十九年度を持ってきてしまったんですが……。
  214. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  現在の制度のもとにおきましては専売納付金を納めます際に借入金の必要が生じておるわけでございますけれども、その後の収入からこの借入金を返済していくというふうなことで、通常のベースで申し上げますと、十月ないし十二月くらいにこの辺の借入金を返済できるというような状況にございます。  ただ、私、先ほど百億円くらいの利子の負担を一応考える必要があるんではないかということでお話し申し上げましたのは、納付金制度から消費税制度に変わりますと、移行年度について考えます場合は前年度の専売納付金を納めると同時に、新しく消費税に変わりました結果、消費税も納めてまいるということで、大変ラフに申しますと、移行初年度につきましては現行納付金の約倍のものを納めるというふうなことが出てまいるわけでございます。ただ、税制上の経過措置といたしまして、一般的には今月売りましたものにつきまして翌月消費税を払うということでございますけれども移行初年度につきまして二回、翌年二回、三年目には四回というふうな納付に関する経過措置も講じていただいてはございます。  しかしながら、今の制度下におきまして年度途中で返済できるというふうになっておりますものが、新しい制度になりますと、そういった税制の変更等によりまして年間を通しましていわば根雪的に資金をかなり長期的に借り入れていかなければいけない、こういうふうなことをいろいろ考えていきますと、百億円程度の利子負担は新しい制度移行した場合には考えておかなければならないのではないか、こういう意味で御説明を申し上げた次第であります。
  215. 沢田広

    ○沢田委員 一兆八千億くらいをもし一時借り入れをしたと仮定をするならばということを前提としたのでしょうけれども、じゃ一つ確認しておきます。  五十九年度の予算書はありますね。――そうすると、四千八百五十七億が五十九年度における当座製であることは間違いないですね。それから一兆二千三百二十五億が棚卸資産であることは間違いないですね。それからさっき申し上げた固定資産四千二百七十二億、土地が八百四十一億、建物が七千百八十三億、それから投資が百三十億、無形資産が百五十八億、これで合わせて総トータルが大体一兆二千億になる。――そこが違うのですか。だけれども、それは減価償却を入れてないですよ、三千七百五十二億は。大体目の子勘定でそうなるでしょう。四千億と七千億で一兆一千億ですから、それに二百億、八百億、百八十、百三十、百五十八ですから。そのくらい暗算でいい。
  216. 岡島和男

    ○岡島説明員 大変細かい数字でございましたが、今先生の申し上げたのは、減価償却費を両建てで引いているか、それともネットにしておるかということでちょっと数字が合わなかったのでございますけれども……(沢田委員「だからそれは別だと言っているじゃないか」と呼ぶ)どうも失礼いたしました。ちょっと向こうで数字を把握しておりましたので大変失礼をいたしましたが、当座資産は四千八百五十七億、棚卸資産一兆二千三百二十五億、固定資産四千二百八十八億、無形資産百五十八億ということで、合っております。
  217. 沢田広

    ○沢田委員 減価償却をなぜ――普通の、一般的にいくと減価償却は歳出というか損金に入れる、いわゆる経費で落とすわけですね。今言っているのは財産を言っているわけです。減価償却は、今度は例えばことしの分で落とせる分は落とすということです。経費で落とす分は落とすということですから、その分は一応外したのです。それはどう解釈するか、別問題もありますけれども、一応減価償却は資産勘定には入れなかった、こういうことなんです。  それで、今度は一般の経費を見た。これも五十九年度予算でいくと、一兆八千三百六十二億が納付金と消費税ということになるでしょう。大体そうなんでしょう。九千八百と八千五百ですから丸くするとそうなりますね。それから葉たばこ関係で四千百三十六億ですね。そうですね。(岡島説明員「ちょっとお待ちください。その数字を今確認します。」と呼ぶ)次のページにあるのですよ。支出の項目別支出、「給与其他」のところにある。――じゃ、いいです、時間の関係もありますから。  ただ、これから株式会社ができた場合に、どういう税金を納め、どういう程度の税金になり、経営状態になるか。今のところでは私らが見ても二、三千億の黒字になっていきそうですが、ただし、私は二年でそれは消えると思うのです。二年で消えた場合に、今度収支をどう償っていくかという課題に逢着する。そうすると、何を削るかという問題に数字の上でぶつかってくる。一般的に言うと、民間企業でいえば勘定合って銭足らず。この葉たばこが一兆二千億もあったら、たばこで物納するわけにはいかないですから、結果的には勘定合って銭足らず、こういう現象が起きてくる。こういうことで、恐らく二年後にはそういう事態になって、借入金をしていわゆる税を納めなければならないという状態になる。しかも、その借入金にはまた改めて利息をつけ加える、こういうことになりますから、いや応なしに経営の改善が迫られていくであろう。こういう数字を実は申し上げたかったわけであります。  皆さんの方で出してきていただいたのにも、登録免許税と印紙税を含めて約二十億、それから地方税が約六十億、それから法人税、地方税、法定福利が約二十億、これはさっき申し上げた労災。配当は、大蔵大臣がなるのか総理大臣がなるのか株主一人、自分で配当を決めるわけですから、幾ら配当するか、これはわかりませんけれども、そういう形になる。それが、じゃ見ていったからといって今言った数字は私は変わりはないだろうと思います。  以上でこの問題は、私は問題がありますよということで、先の見通しは大変厳しくシビアに見ないと計算上は大変な計算になるということだけ指摘をして、きょうはこれで終わりにしておきます。また次にやるときがあるでしょうから。  それから、ひとつこれは大蔵大臣にお願いをするわけですが、これも確認事項なんでありますが、監督権、それから許可権、いろいろ大蔵大臣の持っている権限は極めて多岐にわたっているわけですね。役員の人事を初めとして、極端な言葉でいえば大蔵大臣のワンマン会社、こう言ってもいいくらいの機能を持っている。ですから、よほどこの法律上持っている権限――竹下さんがどうこうということじゃなくて、大蔵大臣になった人の持っておる権限というものがやはり善用されていくという保証をつくらなければいけないと思うのです。竹下さんがそのままずっと永久にやっているわけではないのでして、違った大臣になれば違った物の発想が生まれてくる可能性もある。そういうふうに、昔の官選知事みたいになってしまっても困ってしまう。大蔵大臣があんなやろうはだめだなんて言ったら役員はすぐにやめさせて交代できる、こういうことがこの法律上では可能になっているわけです。  ですから、私がここで確認をしておきたいことは、これは何とか、委員会の方法じゃなくて、決議でもしておきたいのですが、政府の干渉、介入というものは一定のルールの中で行われること、そういうことをきちんと確認しておかないと、この法律では余りにも大蔵大臣の権限が強過ぎる。ですから、たちの悪いのがなられたら、もう専売公社どうにもならない。息の根をとめられてしまう。自殺でもするような人が出てきてしまうかもしれない。本当に、片方が善人であるという前提でつくられている法律なんですよ。しかし、必ずしも私は長いこの後を続いて見ていった場合にそうは続いていかないだろう、そういうふうに思いますので、大蔵大臣にこの際は、若干行き過ぎたとしても、政府の干渉、介入あるいは支配、そういうものについてはより慎重に、より十分に意見を聞きながら、いわゆるわがままなと言ってはあれですが、行き過ぎのない指導、監督を行う、この程度の確認はやはりぜひしておいていただきたい、こういうふうに思うのです。
  218. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この法律をつくりますに際して、私どもがやはり一番念頭に置きました一つとしては、経営自主性がどうして担保されるか、こういうことであります。しかしながら、このいわゆる製造独占を与えるたばこ産業株式会社ということでございますので、それには従来の特殊法人というものの中で見て、一番この干渉の度合いとでも申しますか、いささか政治的表現になりますが、そういうものと対比して、少なくとも緩やかなものにしなければならぬという考え方の上に立ってこの法律そのものを作成をいたしてきたわけであります。  そこで、これの運用面、問題は、今、まあ人によるというお話がございましたが、法律というのは、一たん法律になりますとひとり歩きもいたしましょう。そして、その衡に当たる者の考え方というものが全く左右しないものではないということは間々指摘のあるところであります。したがって、例えて申しますならば、いわゆる事業計画、これは大蔵大臣認可になっておる。が、これに対して、予算で見れば、今は国会議決でありますが、事業計画の添付書類というふうにする、また資金計画等についても予算の添付書類、これは事業計画の添付書類というふうにとどめていくというようなことは、大筋私どもがいわゆる経営自主性を最大限に発揮することができるようにしたいという考え方に基づいた一つのあり方でありますが、今後最終的にやはりあるいは本院における一問一答の中で、そしてこの法律成立した後これに対して定款とかいろいろな内規とかつくられるでありましょうが、その際の姿勢について、一問一答等で可能な限りの自主性が発揮できるような形のものはあるいは速記録にとどめるのも一つの考え方ではないかというふうに私は思っております。
  219. 沢田広

    ○沢田委員 今急にここで言ってそういう危惧が全部解消できるような確認をしていくということも大変なことだと思うのですが、一回ぜひ、これは我々もやってみますが、調査室でも結構ですが、大蔵大臣の持つ権限をずっと列記してみて表にしてみてもらいたいのです。そしてそのことによってくるところにどういう調整機関をしたらいいか、これは与党の人もぜひ今後のこともありますから考えて、対応に過ちなきを期していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、先般総裁は喫煙具その他などについても民営企業の圧迫は避けたい、そういう答弁をなされました。私は、民営になったら大いにぎりぎりのところまでやはり努力してやっていくということをしなければ、国鉄の二の舞になってしまうと思うのですよ。ですから、タールをなくす喫煙具をつくってみたり、あるいはいろいろなものを考えながらやはり製造までいく、市販もするというふうに、事たばこが直接、間接を問わず関係するもの、関係しないもの、そういうものを問わずして企業進出を考えていかないと、さっきの私の計算では二年ぐらい先にいったら本当にどうにもならなくなってしまうような心配をしている一人なんであります。そのくらいの気力を持っていきませんと恐らく財政がもたないんじゃないかという心配もしております。この間の発言を取り消せということまでは言いませんけれども、とにかくそのくらいの気持ちで事業の拡大を図る、それに必要ならば法律改正を今のうちにやっておく。法律改正というか、法律を今のうちに修正をして事業ができるようにする。そしてもっと伸び伸びとした――優秀な人が集まっているのですから、その優秀さをこんな狭い社会だけで使われたんじゃ、第一給料がもったいないですよ。もっとより広範な分野で大いに活躍をしてもらいながらそれを伸ばしてもらう、こういう必要性が私はあると思うのです。ですから、総裁にその点を要望しながらお答えいただければありがたいと思います。
  220. 長岡實

    ○長岡説明員 御指摘のとおり、新会社が発足をいたしました後は大変に厳しい競争関係に置かれるわけでございますから、新会社といたしましては業務範囲の拡大もその事情の許す限り広く認めていただいて、あらゆる方面で企業努力を払ってまいりませんと、やはり企業の存立にもかかわるような事態になりかねない問題だと思っております。  そういう意味で、私はその新しくお認めいただいた事業については全力を挙げなければならないということはそのつもりでおるわけでございますが、この前のお答えで申し上げましたのは、何と申しましても、やはり株式会社組織になりましてもたばこの製造独占を行う大きな独占企業体でございますから、その独占企業体がその大きな力で何でもできる、それが民業を圧迫するということであってはいけないんだろう、その辺におのずから限度があるのではなかろうかということを申したつもりでございます。  例えば喫煙具等の問題につきましては、これはやはり私どもがいろいろと知恵を絞りまして新しい喫煙具をつくり販売したりすることは、これは民間との競争関係はございますけれども、そういうものが即民業圧迫だというような考えはございません。できる限り範囲を広げていただきまして、その認めていただいた範囲内においては最大限に企業努力を払ってまいらなければならないというふうに考えております。
  221. 沢田広

    ○沢田委員 この第五条の第二項で、事業の範囲も大蔵大臣の認可なんであります。大蔵大臣が認可しなければこの附帯事業もできないということになっていますから、本当に生かすも殺すも大蔵大臣が持っておるということで、参考のためですからちょっと言っておきますが、大蔵大臣も、後の質問者のためにもしておかなければならぬ。  第七条には「取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」これも一つの大きな権限です。それから九条は「営業年度の事業計画を定め、大蔵大臣の認可を受けなければならない。」それから十条は財務諸表を「大蔵大臣に提出しなければならない。」それから十一条も重要な財産の譲渡等は「大蔵大臣の認可を受けなければならない。」そして十二条に「会社は、大蔵大臣がこの法律及びたばこ事業法の定めるところに従い監督する。」また第十三条は大蔵大臣は報告及び検査の権限を持つ。そして後はずっと罰則であります。十八条まで罰則ですね。  その後は附則に入ります。第二条は「大蔵大臣は、設立委員を命じて、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。」こういうふうに附則の第二条に載っております。あとずっといっても大蔵大臣が持っている権限というのは非常に大きいのであります。そういうような立場で私は附則の後の方で商法上の問題を指摘をした、こういうことでありますから、そういう意味においてこの一人法人の問題についてはなお疑問の点があります。その点はひとつ改めて後で考えていただくよう強く求めるものであります。  それから続いて、通産省来ていただいておりますが、さっきも申し上げたように、これからはアメリカは日本たばこの開放というものを極めて強く求めてくるだろうと思うのであります。現状どうですか。現状について御報告をいただきたいと思うのです。
  222. 奈須俊和

    ○奈須説明員 貿易摩擦問題につきましては、一般的な考え方を少し説明さしていただきますと、我が国農業、それからその他国内産業の健全な発展を図るということが政府の重要な責務でございます。この点を十分認識してやる必要があると存じております。しかし、一面におきましては、対外摩擦の解消を図っていくことも政府の外交上の重要な責務でございます。すなわち、我が国としましては、調和ある国際経済関係を実現し、自由貿易体制維持発展させるということが求められております。  通産省としましては、貿易摩擦問題につきましてはこの両者を極力調和的な形で解決していかなければならぬと考えておりまして、たばこの問題等につきましても同様な考え方でいきたいと思います。  現に具体的にどういう要求があるかにつきましては、むしろ大蔵省の方が御存じかと思いますので、恐縮でございますが……。
  223. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、大蔵省からひとつ経過を……。
  224. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たばこをめぐる貿易摩擦の状況でございますけれどもたばこに関する外国の要求と申しますのは、基本的には資本の自由化であるとかあるいは関税の撤廃とかいう完全自由化という点にあろうかと思います。その点で、諸外国が今次改革を含む我が国市場開放措置に完全に満足をしておるというわけではないというのは一つの事実であろうと思います。  しかしながら、近年において我が国が関税の引き下げ、御存じのようにかつて九〇%であったものを二〇%相当まで下げてきたわけでございますが、そういったような関税の引き下げであるとか、あるいは外国品取扱店数の拡大といったような流通面の改善、さらには今次改革による輸入の自由化、これらの施策を講ずることによりまして我が国市場の開放に積極的かつ真剣な努力を行ってきたということに対しましては、米国等の諸外国も正当な評価を行っていることもまた事実でございます。そういった意味で、当面たばこ問題をめぐる国際関係というのは鎮静化しているのではないかと考えております。
  225. 沢田広

    ○沢田委員 報告はわかりました。これからはよほど強い要請が行われてくるということを考えていかなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。そうのんびりしていられる条件にないんではないかという気が私はしているわけでありますが、今までの状況はわかりました。  これからの認識について、強い要請が来てどうにもならなくなってきてから国会へ出すというのではなくて、次の段階は、ことしいっぱいは心配ない、来年になってからぐらいは危ない、そのくらいの見通しは立ちませんか。
  226. 長岡實

    ○長岡説明員 監理官からも申し上げましたように、外国、なかんずくアメリカでございますけれども、今度の制度改正は相当高く評価しております。  そこで、問題は四月一日以降、新制度移行いたしまして輸入の自由化が行われた後、外国の企業といたしまして、どれだけ日本への輸出、我が国の輸入が進むかというのを見ながら、またいろいろと作戦と申しますか、戦略を考えてくるのだろうと思います。  ただ、制度的に一応輸入の自由化にまで踏み切るわけでございますから、何年ということはあれでございますけれども、ここしばらくの間、その新しい制度のもとにおいて彼らは企業努力を行っていくことに恐らくエネルギーが集中される、全く新しい要請をするということではなくて、四月一日以降の新制度のもとにおいて最大限の努力をしていくという傾向がしばらくは続いてくれると思っております。最終的には資本の自由化等の問題が残っておりますけれども、これは諸外国におきましても、農業のような条件の悪い国内産業を守るためにそう簡単に踏み切れるものではないところではなかろうかと思う次第でございます。
  227. 沢田広

    ○沢田委員 たばこの方は長岡総裁が頑張って、知恵もあるのでしょうし、商才もあるようでありますから、大いに外国等にも販売してもうけていただきながら、国内には心配かけない、こういうことのようですから、その言葉を信用して、これからの努力を心から期待してやみません。  ただ、一人法人の問題については、法文の作成等若干問題があります。旧法十七条をわざわざ持ってきたところなんというのは私も若干疑問は残りますけれども、時間もたちましたし、若干早いのですが、そういうふうな残された問題をあれして、六時ぐらいには終わらせたい、こう思っておりましたから、二十分ばかり節約をして、以上をもって質問を終わりたいと思います。
  228. 瓦力

    瓦委員長 次回は、明十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会