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1984-07-06 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月六日(金曜日)     午前十一時三十九分開議  出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 米沢  隆君       熊谷  弘君    小泉純一郎君       笹山 登生君    椎名 素夫君       田中 秀征君    中川 昭一君       東   力君    平泉  渉君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       村上 茂利君    山岡 謙蔵君       川崎 寛治君    沢田  広君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    堀  昌雄君       草川 昭三君    柴田  弘君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵大臣官房審         議官      角谷 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         国税庁税部長 冨尾 一郎君         国税庁間税部長 山本 昭市君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部少年課長  山田 晋作君         外務大臣官房外         務参事官    太田  博君         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      中島 章夫君         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      大澤  進君         運輸省国際運         輸・観光局海運         事業課長    尾松 伸正君         労働省労働基準         局補償課長   佐藤 正人君         自治省税務学府         県税課長    湯浅 利夫君         消防庁予防救急         課長      小坂紀一郎君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社総         務理事     岡島 和男君         日本専売公社総         務理事     西村 忠弘君         日本専売公社総         務理事     森  宗作君         日本専売公社理         事       生平 幸立君         日本専売公社理         事       遠藤  泰君         日本専売公社理         事       丹生 守夫君         日本専売公社理         事       友成  豊君         日本専売公社原         料本部長    佐藤 友之君         日本国有鉄道工         作学修車課長  井沢  勝君         日本輸出入銀行         理事      島田 春樹君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 七月六日  辞任        補欠選任   坂井 弘一君    草川 昭三君 同日  辞任        補欠選任   草川 昭三君    坂井 弘一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  たばこ事業法案内閣提出第七四号)  日本たばこ産業株式会社法案内閣提出第七五  号)  塩専売法案内閣提出第七六号)  たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出第七七号)  たばこ消費税法案内閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより会議を開きます。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  3. 川崎寛治

    川崎委員 八十年来のたばこ専売制度を変えるという大変大きな転換の時期にあるわけですので、葉たばこ耕作者、それから小売店、そして本体であります工場労働者並び関係者という百万に及びます国民の暮らし、そして約一兆五千億の税収というものに絡む大変な問題でございます。  これまでいろいろと細かな議論もございましたが、まず、日本におけるたばこ歴史というものを少し振り返ってみたい、こういうふうに思うのですが、日本たばこ伝来をしたのは大体いつごろと見ておりますか。
  4. 長岡實

    長岡説明員 日本へのたばこ伝来の時期につきましてはいろいろの説がございまして、確定的に申し上げるわけにはまいりませんが、定説で申しますと、まず一五九〇年前後、これは天五年間から文禄年間、すなわち豊臣秀吉時代でございますが、このころに製品の形で入ってきたというのが最初であろうと思います。  その次に、日本の国内でたばこの栽培がいつから行われたか。これも実は諸説紛々でございまして、定説と言えるかどうかは存じませんが、最有力説は慶長十年、一六〇五年、徳川家康時代でございますが、長崎桜馬場に初めて植えられたのが最初ではなかろうかということになっております。
  5. 川崎寛治

    川崎委員 アーネスト・サトウが明治の初め、イギリスの外交官だったわけですが、日本の外務省の顧問ですかな、来ておりまして、大分詳しくまとめておるし、いろいろと歴史も書かれておるわけであります。長崎桜馬場というのが一番最初に植えた試植の場所であろう、こういうふうに言われておると同時に、また、我が薩摩国指宿という説もありまして、こっちの方がちょっと弱いかもわからぬですが、あるわけですね。そして「花は霧島 たばこ国分」と言われておりますように、国分というところは相当古くから産地で、これはシナ方面にも名が通っておった、こういうことも言われておるわけです。  ところで、日本たばこが自生じていたという説があるんですが、どう判断していますか。
  6. 長岡實

    長岡説明員 不勉強で、文献でまだ読んでたいものがあろうかと存じますけれども、私の理解しておるところでは、葉たばこ自生説というのは余り有力な説ではないのではないか。やはり外国から伝来したのではなかろうか。ただ、伝来国が、ポルトガル説スペイン説オランダ説、いろいろあるようでございますけれども自生説につきましては、私は詳しいことは承知いたしておりません。
  7. 川崎寛治

    川崎委員 明治十四年の春江秀が習いております「薩隅煙草録」というのによりますと、「薩摩ノ日置郡串木野郷冠岳ニ自生」こういうふうに言われておりまして、これはもう明治のころからそういう記録があるわけですね。それから、これはさらに半世紀前の「橘草閑記」という文化十二年の文献にも冠岳というのは出てくるわけです。  現に、この間上京してまいりました鹿児島串木野の市長の話によりますと、たばこ神社があって、毎年、年初めにお祭りをしておる、こういうことなのです。我が専売公社が八十年来専売制度のもとに来たわけですが、このたばこ神社お参りをしていないようですけれども、新しい会社でもできたら、この串木野たばこ神社お参りをして、競争に負けない体制をひとつつくっていただくようにしたいと思う。大蔵大臣が来ておったら、大蔵大臣にこの歴史の話を少し申し上げたい、こう思っていたのですが、ひとつ堀之内次官の方からよろしくお伝えいただきたいと思います。  そこで、四百年来の歴史を振り返ってみますと、アメリカ大陸からヨーロッパに行き、それから日本に来た、あるいは中国へ行った。非常に速いスピードで世界を走っておるわけです。  やはり日本においても禁煙の問題、たばこ禁止ということは徳川時代にもいろいろありますし、島津藩でもあるわけです。しかし、一方では傷の手当てにいいんだという薬用としてのたばこの効用というものも言われておるわけでありまして、それは今日、制度が変わって、自由化をしていくという自由化体制の中でたばこ会社経営多角化というものを見ますときには、一方では喫煙と健康という問題が出ておる、一方ではバイオテクノロジーの方でのバイオマスの方の発展を考える。振り返ってみると、やはり四百年の歴史はそう変わってたいたという感じがいたします。そういう中で、歴史的なことを振り返りだから、私は、新しい時代にどう対応していくかということについてのあり方を少し詰めてまいりたい、こういうふうに思うわけです。  五十八年九月のたばこ耕作審議会答申を見ますと五万四千ヘクタールということでございますが、これは五十七年、五十八年とずっと並行してきているわけです。ことし、五十九年の耕作人員はどういうふうになっていますか。
  8. 長岡實

    長岡説明員 詳細な数字についてもし必要であれば理事からお答え申し上げますけれども、私が聞いておりますのは、耕作人員は約九万三千農家というふうに理解いたしております。
  9. 川崎寛治

    川崎委員 そうしますと、審議会答申によります耕作面積は、在来種が一万五千六百五十二ヘクタール、それから黄色種が三万一千百四十九ヘクタール、ハーレー種が七千二百六ヘクタールですね。この耕作面積も、答申どおりことしは大体そういう耕作面積になっているのか、あるいは耕作面積が、答申と実際の植えづけというか作付面積との間に開きがあるのか、その点を種類別にお答えいただきたいと思います。
  10. 生平幸立

    生平説明員 お答え申し上げます。  許可面積に比べまして、実際に検査をした場合に若干減っております。最初面積を配分いたしましても、その後病気とかあるいは死亡とかいろいろと事情がございまして、若干減っております。
  11. 川崎寛治

    川崎委員 僕は、これは主産地形成の問題、今後の外国葉たばことの関係、そういうものを考えますについて大事な点だと思いますので、種類別に聞いておるわけです。
  12. 生平幸立

    生平説明員 公示面積は五万四千七ヘクタールでございますが、実際の五十九年のたばこ耕作許可実績を申し上げますと、五万三千七百七十ヘクタール。その内訳でございますが、黄色種の計を申し上げますと、三万一千八十二ヘクタール、それから在来種の計でございますが、一万五千五百五ヘクタール、ハーレー種でございますが、七千百八十四ヘクタールでございます。
  13. 川崎寛治

    川崎委員 ほんのわずか減っているということですから、大体許可面積のことで動いていると思います。そうしますと、ことしの耕作審議会は従来の制度最後審議会にたるわけですから、この最後審議会が六十年度、来年の耕作の方向を打ち出してくるわけです。つまり、六十年の四月に自由化というのに対して、最後方向づけをしていく最後審議会であり、新しい方向づけをしていく、こうなりますが、このことしの最後審議会において近く諮問をする耕作面積はどういうふうになっていますか。
  14. 長岡實

    長岡説明員 耕作審議会はおおむね八月末に開催される予定でございます。率直に申しまして、現段階では来年の面積をどれほどにするかという結論が出ているわけではございません。ただ、全体として申し上げられますことは、川崎委員も御承知のように、現在、私ども相当量過剰在庫を抱えておりまして、これは新会社が発足し、輸入自由化後に外国企業と対等に競争をしていく場合には、一つの重荷であることは間違いございません。これについて私ども過剰在庫解消の懸命の努力をいたしておりますけれども、なかなか単年度、短い期間にこの解消が図られるという性格のものでもございません。  一方、たばこ需要の将来を見越しますと、やはり喫煙と健康の問題その他がございまして、いかに私ども企業努力をいたしましても、需要をどんどん開発して将来伸びていくという性格のものではないような気がいたしております。むしろ落ち込みをどれだけ我々の努力でカバーしていくかということが一つ企業努力目標になるのではないかと考えております。  そういったいろいろの問題点を総合勘案いたしますと、来るべき耕作審議会におきましては、何がしかの面積減反と申しますか、調整葉たばこ耕作者の方々に対して御協力をお願い申し上げざるを得たいのではないかと考えております。ただ、これは昭和五十六年夏の審議会で、すなわち五十七年産につきまして相当大幅な減反を行いました。約一割近い減反を行って、その結果が五万四千ヘクタールになっておるわけでございますが、そのときの経緯あるいはそれ以降の経緯から、私ども公社自体経営努力合理化といったようなことについても、ある程度葉たばこ耕作者に対して御説明を申し上げて、御理解を求めたいと、すべてのしわを耕作者だけに寄せるのかという反発と申しますか、それは大変強いということも私ども重々承知いたしております。  現在どの程度公社合理化案がお示しできるかということにつきましても、鋭意詰めておる段階でございますが、まだ結論に達しておりませんので、そういうようなこともございまして、六十年度面積をどの程度面積で諮問するかという具体的な数値にまでは到達いたしておらないのが現状でございます。
  15. 川崎寛治

    川崎委員 三十五年と今を比較しますと大変な変化をしてきておりますね。例えば耕作者人員は、昭和三十五年に全体が三十二万七千百十一人、そのときに鹿児島は二万三千二百三十二人おったわけです。それが五十八年には全体が九万二千九百七十九名、鹿児島では四千百二十二名、こういう大変な減り方をしておるわけです。五十七年に一度やったけれども、今また合理化の時期に来ておるという一つの変わり目といいますか、そういう感じを受けておるわけですね。それだけに耕作者の不安というものも大変大きい、こう思います。しかしこれは、耕作者工場関係小売店というそれぞれの部門での努力というものが、国際競争に耐えていくというか、勝っていくための問題として大変難しい課題が与えられている、こういうふうに思うわけです。  そこで、外国産の葉っぱというのは五十八年には何ぼ入っているのですか。
  16. 生平幸立

    生平説明員 お答え申し上げます。  五十八年度輸入数量でございますが、七万九千トンでございます。
  17. 川崎寛治

    川崎委員 その七万九千トンの外国産葉というものの種類別入荷量を示していただきたいと思います。
  18. 生平幸立

    生平説明員 今ちょっと手元に資料を持っておりませんので、調べまして答えさせていただきたいと思います。
  19. 川崎寛治

    川崎委員 これまでの答弁マイルドが大体四二%で中心だった、こういうふうに言っておりますし、主産地形成ということをこれまでも答弁しておられるわけです。主産地形成というのがどういう形で進むのか。つまり、全国の耕作面積というものを見ますと、今の産地というのは大体わかるわけですね。じゃ、マイルドというのは大体何葉を中心にやるのですか。
  20. 西村忠弘

    西村説明員 マイルドセブン製品性格は、大きくいえばアメリカンブレンドタイプに属しておりまして、黄色種ハーレー種在来種、オリエンタル、この四つのタイプの葉たばこが含まれております。その中で一番大きなウエートを示しているのは黄色種でございます。
  21. 川崎寛治

    川崎委員 それは耕作審議会種類別許可面積にも出てくるわけですね。黄色種が一番多いわけです。その中で、耕作審議会答申を見ますと、第四黄色種というのがあるわけですが、「第四黄色種とは、「つくば一号」をいう。」こういうふうに言っております。つまり、答申の中にも「要望」として、「新品種つくば一号については、所期の導入目的を達成するよう十分な対策を講ずるとともに、その積極的育成をはかられたい。」こういうふうに言っておりますが、その新品種つくば一号というのは、今言われる黄色種の中で新品種としてどういう特徴があるのか、それから今どれくらいの作付面積があるのか、そして今後それをどういうふうに伸ばしていこうとして光るのか、その点を伺いたいと思います。
  22. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 主に関東地方では、現在黄色種の中で第二黄色種という比較的喫味が緩和種類を栽培しておりますけれども、どうも北関東の方は土地、気象条件からいきまして、なかなか西日本の第二黄色種に比べて品質あるいは生産性等の面で恵まれない点がございましたが、たまたま今回つくば一号という新しい品種育成いたしまして、一昨年から試験等を重ねて導入を図ってまいりまして、この五十八年に本格的な導入を図っているわけでございます。  この品種の一番の特徴病気に強いということで、大変多収性であって非常に生産性が高いという点が特徴でございます。また、第二黄色種と比べましてニコチン含量も比較的低いという特性を備えております。ちょっと細かい数字は持っておりませんけれども、五十九年に約千二百ヘクタール程度導入いたしております。初年度でございますので、それらの成績等をよく見まして、さらに六十年にどういうふうにしていくか、今産地作柄等を見て、六十年以降の面積規模については検討しているようだ状況でございます。
  23. 川崎寛治

    川崎委員 多収性だ、こういうふうになりますと、アメリカの黄色種と比べてどうなんですか。ある程度競争力というのは出てきているのですか。
  24. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 収量的には確かに従来の品種に比べまして多収性でございますけれども、もともと品質の面では、これはあくまでも緩和補充料的な目的でつくっておりますので、香喫味原料という面から見ますと全く性格が違いますので、外国のそういった原料と比較するわけにはいきませんけれども緩和料として仮に、例えば東南アジア等緩和料原料と比較いたしましたときに、確かに収量的には大変高いのですけれども、労賃、コスト、そういったものを含めました生産費を見ますと、これは開発途上国より極めてコストが高いというようなことでございます。
  25. 川崎寛治

    川崎委員 この耕作審議会要望に出ているから、私はもっとすばらしいあれがあるかと思ったけれども、なかなか難しいものだなあ、こういうふうに今の答弁を聞いておりまして、やはりなかなか日本葉たばこ生産というのは大変だなということをなお一層痛感をするわけです。しかし、そうした病気に強いとかいろいろな点があるとしたならば、今後さらに伸びると思いますが、五年ぐらい先を見たときにはもっと伸びる見当ですか、伸ばしたいのですか。
  26. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 品種導入につきましては、一挙に拡大するというのはなかなか、いろいろ地域性等もございますので、逐年その結果を見たがら検討していきたいと思っておりますが、通常公社で新しい品種導入するというときにはかなり時間をかけて行っておりましたけれども、このつくば一号につきましては、最近はやりの新しい育種技術、そういうものを駆使しまして、大変速いテンポでこの品種育成を行いまして産地に入れたわけでございますけれども、従来の導入状況からいきますとかなり思い切って五十八年に入れたという経緯がございまして、さらに本年、五十九年の面積についても、五十八年よりかなり増加いたしておりますので、この二年間、五十八年、五十九年の実際の結果というものをもう少しよく見ながら慎重に拡大を図っていきたいというふうに思っております。
  27. 川崎寛治

    川崎委員 次に、過剰在庫の問題。これはこの間清水君も大変詳しく追及しておるわけでありますが、もう少し詰めてみたいと思うのです。  この過剰在庫在来種黄色種ハーレー種ごと過剰在庫数量、その比率をお答えいただきたいと思います。
  28. 生平幸立

    生平説明員 お答え申し上げます。  在来種が三万七千トン、それから黄色種が七万九千トン、ハーレー種が一万三千トン、合計で十二万九千トンでございます。
  29. 川崎寛治

    川崎委員 その比率はどうなりますか。
  30. 生平幸立

    生平説明員 全体を一〇〇とした場合の比率でございますが、在来種は二八・七%、黄色種が六一・二%、ハーレー種が一〇・一%でございます。
  31. 川崎寛治

    川崎委員 そうすると、さっき私がお尋ねした外国産の葉の輸入品種別数量は……。
  32. 生平幸立

    生平説明員 五十八年度輸入葉たばこ実績でございますが、黄色種で四万三千七百五十三トンでございます。オリエント葉たばこ、トルコとかギリシャ地方でございますが、八千二百八十九トン、ハーレー種は二万六千二百四トン、その他といいますのは葉巻とかパイプたばこなんかに使う、そういう特殊なたばこでございますが、それが千四百五十八トン、合計で七万九千七百四トンでございます。
  33. 川崎寛治

    川崎委員 そこで、過剰在庫解消策についてはいろいろ清水君にもお答えになっているわけですが、もう少し詳しく。今在来種黄色種ハーレー種という種類別数量を伺いました。そうしますと、それは日本におけるマイルドセブン中心にしたたばこ生産というものとも関連しているわけですから、そういう中でこの過剰在庫を今後どう解消していくかということについて、公社としての考え方、具体的な進め方、そしてそれが大体何年ぐらいで解消できるのか、目標を伺いたいと思います。
  34. 生平幸立

    生平説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、種類別に見ますと、過剰在庫数量に若干違いがございますけれども、総体的にどの種類も過剰という状況にございます。  これまでも在庫調整に努めてまいりまして、五十三年から五十六年までの四年間で累計約五千五百ヘクタールの耕作面積を減らしてまいりましたが、一年分の過剰在庫がその時点でもあります上に、なお年々の生産量使用量を上回る状況にございました。そこで五十七年作につきまして五十六年八月のたばこ耕作審議会答申をいただきまして、単年度使用量生産量が見合う水準にしたいということで、約五千ヘクタールという大幅な面積の縮小をしたところでございます。しかし、依然として約一年分の過剰在庫が存在しておりまして、公社としては今後全力を挙げてこの過剰在庫の圧縮に努めていく必要があるというふうに考えております。  この点につきまして具体的に申し上げますと、まず葉たばこ生産面でございますが、公社耕作農家が相協力しまして、品質向上に努めると同時に、本畑作業機械化の推進あるいは選別作業省力化、こういうものを重点にしまして、生産性向上にこれまで以上に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。そうすることによりまして、国内産葉たばこ市場拡大を図り得る条件が一層つくられていくというふうに考えております。  次に、製造面におきます使用の面でございますが、いろいろ加工処理技術あるいはシートたばこ開発技術、それから緩和な刻みをつくっていく工程、こういうものを有効に今後とも活用いたしまして、さらに香料の開発あるいはブレンドの技術開発、そういうようなことに一層努力いたしまして、国内産葉たばこ市場拡大を図っていきたいと考えております。  もう一つは、葉たばこ輸出の問題でございます。これは今、世界的には需給の状態が非常に緩んでいる状況にございます。それからまた、開発途上国では有力な外貨獲得の作物ということでございまして、葉たばこ生産大変力を入れているというような状況で、輸出葉たばこのままでふやすことは大変難しい状況にありますが、精いっぱい努力をしておりまして、数字を挙げて申し上げますと、例えば五十四年、五十五年ごろには年間六トン程度実績、ほとんどゼロといったようだ状況でございました。その後、努力をいろいろやりまして、五十六年度には二百トン、五十七年度には二百六十トンというような状況でございましたが、これでも大変少ないものでございますから、五十八年度は赤字という問題があるわけですけれども、それを覚悟して、一挙に十倍ぐらいの数字でございますけれども約二千六百トンの輸出をやっております。五十九年度はそれ以上に努力をしてまいりたい。今後とも一層強くこのような努力はしていきたいというふうに考えております。  しかしながら、輸入自由化後の国内市場を展望いたしますと、今後一層製品品質面あるいは価格面におきます競争が激しくなってまいることは必至でございますので、今後とも製品競争力を確保しながら過剰在庫の圧縮を図っていくということにつきましては、おのずから限度もございますので、今後のたばこ産業全体の維持発展を図っていくという観点からは、公社企業努力にあわせまして、耕作農家にも理解を求めて、一体とたって生産調整を進めていくようにお願いしなければいけないというふうに考えているところでございます。具体的には、先ほど総裁もお答えいたしましたけれども、八月のたばこ耕作審議会に向けまして、慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  35. 川崎寛治

    川崎委員 二年ぐらいのやつが三年になってきたわけですね、過剰在庫が。そうすると一年分、今多いわけですけれども、これはどうなん。ですか。今いろいろと御苦労の方向を言ったわけですけれども、大体どれくらいかかるのですか。
  36. 長岡實

    長岡説明員 実はまだそこまで申し上げたことはないのでございますけれども、今私どもが鋭意検討している姿を中間的に、極めて大ざっぱでございますが、申し上げさせていただきますと、今後五年くらいを見越して、ただいま理事から御説明申し上げましたようなあらゆる方策をあわせて過剰在庫解消を図りましても、現在ございます過剰在庫の半分まで解消できればいい方ではないか、非常に正直なところ、そんな感じでございます。
  37. 川崎寛治

    川崎委員 まあ努力してもらいたいと思います。  そこで長岡総裁がこれまでの質問に対して、製品自由化という。中で輸入たばこのシェアは二%、現在既に五十九年の四月で二%になったわけですね。そうしますと、いよいよ自由化生いうことで大変競争が激しくなってくるわけですが、二%が五%としたときに、耕作面積で千八百ヘクタールだ、こういう御答弁があるわけですね。そうしますと、私はこの千八百ヘクタールというのをずっと日本じゅう見てみますと、これは県名を挙げると大変差しさわりがあるのですけれども、それは特定の地域という意味じゃなくて数字の上の、統計上の問題ですから、その点は私の発言に対して誤解のないようにまず前提を置いておきますけれども、岡山県が五十七年度で千七百九十二ヘクタール。そうすると、千八百ヘクタールというのは岡山県の千七荷九十二ヘクタール分が打撃を受ける、こういうことになりますね。そうしますと、岡山県は耕作者は何ぼですか。
  38. 生平幸立

    生平説明員 五十七年度数字でちょっと恐縮でございますが、岡山県三千百四十四名でございます。
  39. 川崎寛治

    川崎委員 そうすると、千七百九十二ヘクタールで三千百名、それだけ分が打撃を受ける。つまりそれだけ分がいわば減る、やめざるを得ない現実に追い込まれる、こういう状況ですね。そうしますと、その中でいろいろ御相談するんだ、こう言っておりますが、主産地形成ということは具体的にはどういうことですか。
  40. 生平幸立

    生平説明員 現在たばこ産地が非常に多くまとまっているところは、東北地方あるいは四国、九州あたりが中心でございます。以前は瀬戸内沿岸が非常にいいたばこがとれるということ、あるいは面積も非常に多かったわけでございますけれども、近年工業化の進展とかいうようなことで、そこらはむしろ日本海側の方に移動しているというような状況でございます。  今後主産地形成を図る上では、できるだけ優良な農家、つまり高品質葉たばこ生産する、あるいは生産性の高い農家、そういうところに面積配分も重点的に考えていくというようなことによりまして、集団的な産地をつくっていく。そういうところに、今後の高能率の機械の導入とかそういうようなこと、あるいはたばこ耕作の指導をする場合にも、そういうところにウエートをかけていくというようなことによりまして、できるだけ日本たばこ生産の体質を強化するというような形で主産地育成していきたいというふうに考えているところでございます。
  41. 川崎寛治

    川崎委員 九万三千の葉たばこ耕作農家のうち、専業農家というのはどれくらいありますか。
  42. 生平幸立

    生平説明員 三〇%でございます。
  43. 川崎寛治

    川崎委員 そうしますと、今御答弁のように集団化をしたいということですし、規模拡大をしたい、こういうことです。そうなりますと、やっぱり専業耕作農家をふやしていきたいということなのか、今の兼業という状態は変わらないというふうに見るのか、その辺はどうですか。
  44. 生平幸立

    生平説明員 ただいま専業農家の割合三〇%と申し上げましたが、第一種兼業の方は五五%ございまして、その両方合計しますと八五%という高い率になっているわけでございます。  今後のたばこ耕作というものを考えてみますと、どうしても第二種兼業農家というものがだんだんやめていくような傾向になるのではなかろうか。あるいは小規模の耕作農家、小規模の場合はまた兼業が多いというようなことにもなるわけでございますが、こういうところもやめていく傾向が比較的高いのではないだろうかというふうに考えておりますので、一農家当たりの耕作規模はだんだん大きくたっていくんではないかというふうに見ております。もちろんこれは、いろいろだ公社の施策あるいは耕作農家努力、そういうようなこともあるわけでございますが、概括的に申し上げますと、年々一アールぐらいずつ規模が大きくたっていく、そういう傾向を示しております。
  45. 川崎寛治

    川崎委員 今、平均反別は何ぼですか。
  46. 生平幸立

    生平説明員 平均しまして六十アールでございます。
  47. 川崎寛治

    川崎委員 今平均六十。それを規模拡大をし集団化をしたい、こういう方向であるわけですが、そうしますと、出稼ぎの必要のないそうした専業化の体制というものをつくっていくわけですが、例えば鹿児島を見ますと、先ほど言いましたように、三十五年から五十八年の間に六分の一に減っているわけですよ。臨調答申ども葉たばこ耕作農業の問題解決というふうな到達点を言っているわけだけれども、そうなりますと、そういう中で、今後どこが一つの踏ん張りの場所が、つまり急速に減る時期がまだ続くのか、あるいはここで踏ん張っていけるような方向で安定をさせ得る、こういうふうに見るのか、その辺の見通しを伺いたいと思います。
  48. 長岡實

    長岡説明員 基本的な考え方についてまず私から申し上げまして、必要があれば理事に補足をいたさせます。  五十六年の夏の審議会に諮りまして五十七年産の面積を決めていただきましたとき、すなわち五千ヘクタールの大幅減反をいたしましたときにも、耕作者の方々としては、減反には協力するけれども、毎年毎年減反されるのではとても将来の見通しが立たたいということで、五十七年に減反をいたしました以降三年間は大体この面積を維持していく、そのくらいまで見越した面積であるということで御協力を願ったわけでございます。そういったようなことを考えますと、この夏に、将来に向かってどの程度面積でお願いするか、どの程度減反に御協力を願うかという場合にも、でき得べくんば相当長期にわたった見通しを持った数字で議論をしたいというふうに考えております。
  49. 川崎寛治

    川崎委員 議論をしたい——国会で八十年の制度を議論しているのですが、あなた方は耕作審議会に相談をしたいと言う。しかし国会で八十年の制度を議論しているときに、もう少しそこを示さぬで、それは公社に任せなさい、これではいかぬのですよ。だから、そこのところをどういうふうにしていくのか。  では具体的にお尋ねをしますが、今までの議論でもございました一般的な農政的経費というのは、一般的な耕作者に対する支えとしてあったわけです。しかし、今言うような主産地形成、こういうことになりますと、非常に質の高い、品質の適正な葉たばこをつくっていく、そして規模拡大、こういうことになりますと、これは当然農政的経費と言われるものと別の補助金制度というか、いい耕作農家をつくるための補助金制度というのが考えられてしかるべきだ、こういうふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  50. 竹下登

    ○竹下国務大臣 一般的な農政問題と、それからたばこ耕作そのものに対する専売公社さんの今日までの対応、こういうことになろうかと思います。  一般的な農政全体の中では、農林水産省で、例えば土地改良事業でございますとか、あるいは各種融資制度でございますとかいうところで、葉だばこというものをまさに農林水産物資として対応して、それらの農政上の措置を行っていただいておるわけであります。それから専売公社さんは、今日までも今のような考え方にのっとって、これに対応してきていらっしゃるというふうに私は理解をいたしております。  それで、基本的には、いつも申し上げますように、今度は約四万と申しましょうか、いわゆる組合の方、それから耕作者のお方、それから二十六万の小売店のお方、それら全体を一つ一つ日本たばこ産業のグループとして位置づけて、全体でこの日本たばこ産業を国際競争力のあるものに対応させていこうというふうに受けとめて、その中でそれぞれが利害、いわゆる利益団体、もとよりそれは当然ございますけれども性格としては、私どもがこれらに対応する場合は、大きな日本たばこ産業というものを支えていく一つ一つの有力な集団である。その集団全体の中でこれからもこの議論をし、自由化に対する国際競争力をつけていこうというふうに私は対応していくべきものであろうと考えておりますが、具体的には、専売公社さんも農政的な見地で、今日まで九そうした施策は行われておるというふうに私は理解をいたしております。
  51. 川崎寛治

    川崎委員 私が今言う一般的な基本的な方針、今大臣からお答えがあったわけです。ところが耕作面積についても、つまり見通しを持った、ある程度の、長期とも言わだい、中期の見通しを持った耕作体制をつくりたい、つくってもらいたい、つくれるようにせい、こういうのが耕作者側でしょう。公社も、したい、こう言うわけです。そうしますと、今言うように、規模の拡大であるとか機械化であるとか、あるいは集団化であるとか、こういう問題に入ってくるわけです。  従来、農政的経費ということで、専売制度のもとで耕作の適正な収益ということを図ってきたわけですね。ところが、ここでそういう一つの新しい自由化体制の中で、日本の受ける大変たくさんの問題を抱えた葉たばこ産業というものを近代化をしていくというか、体制をつくっていくということのためには、私は、農政的経費というものと違う、もう一つ踏み込んだ体制をつくるための、主産地形成のための補助金制度ということもやむを得ないというか、今積極的にやらざるを得たいところに来ているのじゃないか、それをやらなければいかぬのじゃないか、こういうふうに思うのです。いかがですか。
  52. 長岡實

    長岡説明員 主産地形成のための補助金ということに直接結びつくかどうかは存じませんけれども、やはり生産性を高めてコストを下げ、いい品質葉たばこをつくっていただくための補助金というのは、現在も公社として交付をいたしております。これは、広い意味では農政的な立場からの補助金という見方もできないことはございませんけれども、私どもといたしましては、葉たばこ耕作農家を新会社原料部門と位置づけますと、当然のことながらその原料部門自体のコストの低減と申しますか、生産合理化と申しますか、そういうことを図っていくことは公社自体の仕事であるというふうに考えまして、そういったような施策は今後も続けていかなければならないというふうに考えております。
  53. 川崎寛治

    川崎委員 もう一つ違うのだな。もう一つ踏み込んだ議論をしているわけですよ。つまり、農政的経費という言葉が悪ければ生産奨励費ですよ。だから、葉たばこ生産生産奨励費、そういうものよりもう一つ近代化のための資金、従来のそういう生産奨励費というものにもう一つ踏み込んだ近代化資金というものの制度は考えられませんか。考えられなければならない時期に来ているのじゃないですか、こう言っているのです。(「生産奨励したら、また在庫がふえてどうにもならない」と呼ぶ者あり)
  54. 生平幸立

    生平説明員 お答えいたします。  現在補助金の関係につきましては、今年度の予算で四十四億円予定しているわけでございます。そのほかにもいろいろな手数料とかそういうものを加えますと、約百一億円という予算を用意しているわけでございますが、過去におきまして生産奨励金というような形でやった例もございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、現在過剰在庫という問題も抱えている状態にございますので、生産奨励というような形で特に今後増産というか、そういう意欲を刺激するようだ施策については問題があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  55. 川崎寛治

    川崎委員 さっきうちの方からも異論がありましたけれども、これは違うのです。私が考えているのはもっと国際的な、闘える体制というか、そういうものを考えているわけです。  もう一つ、これは大臣によく聞いておいてほしいのです。年をとられた人あるいは規模の小さい人、そういう人が安心してやめることのできるような、いわば退職金制度ですよ。一方で生産性を上げる、しかし一方では非常に無理だ、今までにも、鹿児島でさえ六分の一減っているわけです。そうしますと、ここで次の体制にするために、一方では生産を奨励する、近代化をする、合理化をする、しかし一方では安心してやめられるというふうな、言葉は悪いが退職金制度というか、そういうものを考えるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
  56. 竹下登

    ○竹下国務大臣 過去にもいわゆる減反奨励金という形はあったというふうに私も事実認識をいたしております。したがって、今の川崎委員のお考え方を進めていきますと、言ってみれば必然性を持って国際競争力に対応できる部分を助成するとともに、もう一つは自然安楽死というとちょっと表現が悪いのですが、ある意味における転作であったり、あるいは転廃業であったりするかもしれません。そういうことに対応することを念頭に置くべきだ、こういう御議論だと思うのであります。先ほど来総裁は、いわば原料部門、こう受けとめておられる。そのとおりであって、まさに日本たばこ産業全体を支えていきます一つの重要な部門として位置づけた場合に、そのような議論というものが将来展開されていくのではなかろうかという感じは私自身にもございますけれども、それにどういう形でもって対応するかというのはまさに今後の重要な課題ではないか、今一つの方向を明示するという段階ではないじゃないかなと思っております。
  57. 川崎寛治

    川崎委員 今後の耕作面積、これは許可面積じゃなくて、次は契約面積になるわけですが、そういうものを議論する中でも、当然これから耕作審議会でも議論になってくるんだろう、こういうふうに思いますね。ですから、一方で生産性を上げる、一方で合理化をしていくというか、そういうことについては、公社としても今の大臣の答弁を受けとめて、十分検討してほしいということで伺いたいのです。
  58. 長岡實

    長岡説明員 最近の傾向からいたしますと、毎年何がしかの自然減反というものはございます。自然減反を積み重ねていけば、何年後かにはある程度のまとまった減反になり得るわけでございますけれども、それでは先ほど来申し上げております主産地形成とか、そういったような要素はそこには加味されたい。そういうことを考え合わせますと、私どもとしては耕作農家の方々に全体としての、ある程度減反の御協力をお願い申し上げるときにも、一方においては主産地形成を考えて、生産コストのできるだけ安い葉っぱ、しかも質のいい葉っぱをつくっていただく方向への誘導が必要であろうと思いますから、川崎委員のただいまおっしゃいましたような点については、当然私どもは十分考えたから、将来に対処していかなければならないというふうに思っております。
  59. 瓦力

    ○瓦委員長 午後一時十五分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  60. 瓦力

    ○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川崎寛治君。
  61. 川崎寛治

    川崎委員 たばこ事業法案の四十三条によりますと、「事務の一部委任」というのがあるわけですが、また一方、「たばこ耕作組合法の一部改正」というところで、会社がすべき事業を組合に委任をする、こういうふうになっておりますが、その中身はどういうものですか、お尋ねしたいと思います。
  62. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、たばこ事業法の第四十三条の一項におきまして、「大蔵大臣は、政令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務の一部を会社に取り扱わせることができる。」という規定があるわけでございます。この具体的な内容は政令で定めるわけでございますが、現在考えておりますのは、委任になじむ事務、つまり非常に定型的な事務でございまして、例えばたばこの小売販売店の許可事務のうち、許可申請書の受付であるとか、あるいは非常に定型的な許可要件の判定と申しますか審査と申しますか、そういうこととか、許可の通知であるとか、そういったような定型的な事務をお願いすることを考えておるわけでございます。
  63. 川崎寛治

    川崎委員 そうすると、たばこ耕作組合法の一部改正の方はどういうふうになるんですか。
  64. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 たばこ耕作組合に対します。そうした事務の委託として、具体的には、面積の契約に当たって希望面積を調べていただくとか、あるいは契約にかかわる事務、各耕作者からの契約書なり申請書なりの取りまとめとか、そういった面積の契約にかかわることが一つございます。  それからあと、植えつけをいたしまして契約どおりたばこが植えられているかどうか、こういった履行義務をどういう形で確認するかということがございますけれども、そういった場合に、個々の圃地がどこにあるかというのは会社の人間にはわかりませんので、しかるべきその耕作者の代表に御案内いただくとか、そういう委託。それから、葉たばこの買い入れに際しまして、買い入れの日の伝達とか、あるいは買い入れのときにどれだけの量目があるかとか、そういうものを事前に出していただくとか、当日その納付に当たってあて紙とかあるいは袋とか包装の材料を耕作者の方に貸与という形でしておりますので、そういうものの配布のあっせん、そういったいわゆる出荷にかかわる事務が主な委託事務というふうに考えております。
  65. 川崎寛治

    川崎委員 そうしますと、そういういわゆる耕作組合の手数料事業というのは、経費は結局舎社が負担をする、こういうことになると思うんですが、大体それはどれくらいになりますか。
  66. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 新しい会社になりましてからそういうものをどこまで耕作団体さんに委託するか、これはまだこれからの問題でございますし、お互いに需給当事者で協議をして決めていきたいと思っておりますが、現在、耕作組合に手数料という形で各種の事業を委託しております。その中で、ただいま申しました耕作面積の許可あるいは葉たばこの買い入れに関する事務の協力事業、こういったもの等を含めまして全部で約十二億円を手数料事業として耕作団体にお支払いしております。
  67. 川崎寛治

    川崎委員 大体それは今度もそういうものだ、こういうふうに見ていいのですか。
  68. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 こういった事業は、実際にどれだけそういう事業があるか、例えばこれは面積だとかあるいはその年にとれました葉たばこの量あるいは耕作者人員、そういった客体によってある程度決まってまいりますので、金額的にはこれはいろいろあると思います。それからまたどういう事業を耕作団体に委託するか、これはやはりその都度、年度ごとに耕作団体と、需給当事者対等という関係で協議してまいりたいと思っております。したがって、金額についてはまだこれから検討させていただきたいというふうに思っております。
  69. 川崎寛治

    川崎委員 これは大蔵大臣、つまり新しい会社になって、耕作組合との関係というか、これも変わっていくのだと思うのですが、いわゆる耕作組合への手数料のかかわるこういう事業というか負担というか、そういうものはふえる方向にあるのですか、それとも減る方向にあるのですか。
  70. 長岡實

    長岡説明員 基本的には、現状とそう大きな変化があろうとは思われませんけれども、ふえる方向があるいは減る方向かというところまでの見当は、率直に申し上げてまだついておりません。
  71. 川崎寛治

    川崎委員 いずれにしましても、税金は後ほどまたほかの委員からもやりますが、税金も大変たくさん、十六種類ほどかかってくる。今の手数料事業のようだ問題もあるわけですし、それから午前中の生産に関する体制づくりという問題、これは新会社にとってはなかなか負担が重いと思うのです。後ほどフランスのSEITAと比較をした議論をいたしますが、そうすると、どこを減らすかというふうな問題も今後の競争の中では出てくるわけですね。その点、総裁としては今後の経営体としての方向をどういうふうにお考えですか。
  72. 長岡實

    長岡説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、葉たばこ耕作団体はやはり新しい会社原料部門のような性格を持つわけでございまして、そういったような意味で、先ほどの生産性向上その他のために会社の出費があったといたしましても、それはめぐりめぐって葉たばこ部門の合理化につながるものであるならば、会社として当然負担すべき性格の経費であろうという趣旨のお答えを申し上げましたけれども、将来、大変厳しい競争下で企業経営をやってまいります場合には、やはりその負担は、経営合理化に結びついて、そしてそれが企業として競争力を発揮し得るようだ性格のものであるならば、企業としては当然負担をしていかたければいけないというふうに考えております。そういったような経費は従来もございましたけれども、今後も各方面にそういう負担があることは、新会社発足時に覚悟していかなければならないものではなかろうかというふうに考えております。
  73. 川崎寛治

    川崎委員 次に標本委員会ですが、この標本委員会というのは、この間清水委員に対してもお答えがあったわけでありますが、これは新会社及び耕作組合中央会から選出された同数の委員により構成、こうありますね。これは中央ですね。そうすると各県はどうなるのですか。つまり、午前中議論しましたように、在来種たり黄色種なりハーレー種なりという、産地の違いがあるわけですね。そうすると、これは各県ごとにまた標本委員会というのがあるのか、あるいは各県代表が出てきて中央だけでやるのか、それはどうなるのですか。
  74. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 現在葉たばこの標本は種類別公社の支部局単位に設置しております。そういった関係から、現在標本委員というのは、まずそれぞれの支部局のたばこがよくおわかりになる耕作代表の方、これは地方委員と称しておりますけれども、こういった方が一支部局平均大体二人いらっしゃいまして、この方々に本社で最後に標本を決めるときに来ていただきまして、御意見をその方々から聞くということをしております。  ところがもう一つ、支部局ごとにその標本は決めるのですけれども、やはり同じ第一黄色種でも、鹿児島でもつくっておりますしあるいは中国、四国の方でもつくっております。そういった地域によってそういうものが偏っては困りますので、やはり耕作代表の委員の中でも全国的な見地でたばこを見ていただける方が必要でございます。これが中央委員と申しまして、現在のところ二人の方がおられます。したがって、中央委員の方は、各支部局の標本を決めるときに通して必ずその方は立ち会われる。あと支部局の標本はそれぞれの地区の方が自分たちの標本を決めるときだけ立ち会われる、そういう形になっておるわけでございますが、今後新しい制度におきましても、現在考えておりますのは、同じく中央委員とそれぞれ地域を代表する地方委員の方、そういう方々が一緒にたって、それからあと会社代表の者が加わって標本委員会というものをつくっていきたいと考えております。
  75. 川崎寛治

    川崎委員 この間鑑定の問題も質疑があったわけですけれども、やはり耕作者の方も不安があるわけですね。今までの専売制度から新しい契約制度に変わって、鑑定はどうたるのだろうかという不安がある。それから、今公社の職員、今度は新会社の職員の方もまた不安を持っているわけですね。つまり、専売制度というのから契約にたった、契約になったところで特に再鑑定の問題についてはトラブルが起きやすいのではないか、こういう不安を持っていると思うのです。そうしますと、その耕作者の不安、それから新会社の職員の不安、両方があるわけですから、そこのところの鑑定なり再鑑定についてのルールというものをきちっとつくって、安心をしてやっていけるというものを早急にきちんとしたければならぬと思うのですが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  76. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 葉たばこの品位の鑑定につきましては、省令で品位の決定の方法を定めるということにたっておるわけでございますけれども、基本的には今先生おっしゃいましたように、会社あるいはたばこ耕作者の双方にとって公平かつ客観的であって、円滑な買い入れが行われることを旨とした内容である必要があるわけでございます。そういう意味で、耕作者と新会社と同数の委員から構成される、ただいま公社から説明があったわけでございますけれども、標本委員会で標本を決定いたしまして、その標本に比準して鑑定をするわけでございますが、その鑑定につきましては、従来どおり会社の鑑定員、鑑定に当たる方がおられるわけでございますので、その会社の専門職が行われる。それから、鑑定に関する不服、今までは例えば再鑑定という言葉で言われておったわけでございますけれども、この鑑定に関する不服とかあるいは苦情を処理するための協議機関、これにつきましては現在二審制にするのか三審制にするのか検討中でございますけれども、いずれにいたしましても耕作組合と新会社と同数の委員を選出いたしまして、その協議機関によって苦情処理を行うというふうに考えております。
  77. 川崎寛治

    川崎委員 次に、たばこをめぐります日米交渉でお尋ねをしたいと思うのです。  製造たばこ輸入に対しては大変強いアメリカ側の要求があったわけですが、製造たばこ輸入自由化ということで、たばこに関する日米交渉というのは一応これで終わりというふうに見ていいのですか。それとも、例えば牛肉の枠拡大についていえば、これはシンボル的なものであって、完全自由化というのをアメリカが要求しているわけですから、枠拡大で済まないという問題が牛肉なりオレンジの方にもあるわけですね。それがこのたばこをめぐっては、日米間の交渉でどうなのか、あるいは将来どういう問題が出てくるのか、伺いたいと思います。
  78. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 たばこ問題に関する外国の要求につきましては、基本的には資本の自由化とかあるいは関税の完全撤廃というような完全自由化にあることは否定できないことであろうかと思います。その点で、諸外国が今次改革を含む我が国の市場開放措置に完全に満足しておるかというと、それは完全に満足しておるとまで申し上げることはできないのではないかと思います。しかしながら、近年におきまして我が国が関税率の引き下げ、かつて九〇%であった関税が現在二〇%相当まで下がっているわけでございますけれども、関税率の引き下げであるとかあるいは外国品の取扱店数の拡大等流通の改善、あるいはそういうもののいわば総仕上げといたしましての今次改革による輸入自由化というようなことで、市場開放に積極的かつ真剣に取り組んでおる、そういった努力をしておるということにつきましては、米国等の諸外国も正当な評価をしておると考えております。したがいまして、当面、たばこ問題をめぐる国際関係は鎮静化してきておるというふうに申し上げてもよろしいのではないかと思っております。
  79. 川崎寛治

    川崎委員 沖縄県と島根県の人口は大体同じです、百万規模。どっちが多いかな、大臣……(竹下国務大臣「今は沖縄の方が二十三万ぐらい多いですね」と呼ぶ)そうすると、沖縄と同じところはどこですか。私が聞きたいのは、要するに沖縄県の人口と同規模の県、私は沖縄と大体同じぐらいという先入観があったものですから、これはどこでもいいのです、大体同じ規模の県の小売店というものの比較をした場合に、沖縄の方が多いと思いますね。それは占領時代制度というか、それを引き継いていますから。そうしますと、今度はその中におけるたばこの販売数量。人口規模は同じだ、しかし沖縄の方が小売店が多い。数字で明確にしてほしいのですが、私は恐らく沖縄の方がはるかに販売数量は多いと思うのです。その点はいかがですか、まず数字をお伺いしたいと思います。
  80. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  沖縄県におきましての販売店数でございますが、従来の返還前の形をとっておりますけれども、これを直ちに本土内の販売店数と比べることが適当かどうかという問題はございますが、一応販売店数を申し上げますと、五十七年度末におきまして一万一千七十三店でございます。なお、このほかいわゆる卸が九十七店でございます。今ちょっと同規模の販売数量を調べます。
  81. 川崎寛治

    川崎委員 それでは、同規模のものをひとつ調べてほしいのです。その先をやりますから、ちょっと調べておいてください。  日中のたばこ交流は、総裁が大変力を入れているようですからお伺いしたいと思うのです。これから社会主義の国のたばこ生産状況も伺いたいと思いました。しかし、時間が非常に制約されてきましたので、ちょっとそこまで入れないかもわからぬですが……。  総裁が行かれたものの新聞の報道を見ますと、何か中国には二千種類くらいたばこ種類がある。大変な種類のようですけれども、これは州ごとに小さな工場がいっぱいあるんだろうと思います。しかし、それは日本の機械を輸出したい、こういうふうなことですが、日中間のたばこ関係で行きますのは、原料の葉を日本輸入するのはふえるのかどうか、それから日中の間では機械の方の輸出にとどまるのかどうか、日中のたばこ交流についての総裁の考え方を伺いたいと思うのです。
  82. 長岡實

    長岡説明員 昨年でございますか、中国が我が国のたばこ専売制度に大変似たような専売制度を発足させて、現在、まだ完全に全国的に統一が図られておりませんけれども、その方向で進んでおります。中国のたばこの事情は、私どももそう正確には把握しておりませんけれども、我が国の十倍もしくはそれ以上の人口のある国で、たばこの製造数量というのは我が国の三倍くらい、大体九千億本前後ではなかろうかというふうに言われておるわけでございます。  葉たばこにつきましては、かつては年間六千トンくらい輸入しておったことがございますけれども、現在は千三百トンくらいの輸入でございまして、この点につきましては、私が中国に参りましたときに、対外経済貿易部長、大臣でございますけれども、やはり開口一番、葉たばこ輸入をふやしてくれないかという要請はございました。しかし、この点につきましては、私からはっきりと、中国から見られた場合に、日本は工業国というふうに見られるかもしれませんけれども日本の農業の中に占める葉たばこ農業の位置というのは相当なものなんだ、それが現在過剰ぎみであるために、中国からの葉たばこ輸入をふやすというのは率直に言って当分無理であるということははっきりお答えしまして、御理解をいただいたと思っております。  問題は、私どもの持っております機械のやや中古品を輸出するといったような問題もございますけれども、今回中国との間で私が取り交わしました覚書というのは、そういう個別の問題よりは、やはり隣国であり、かつ同じような制度をとろうとしている国に対しまして、あらゆる面で私どもがお役に立つならば、いろいろと、教えるという言葉は差し控えましたけれども、お互いに技術中心とした交流を深めようではないかという立場から話をしてまいりまして、それは中国も快く受け入れてくれたわけでございます。  したがいまして、今後の接触はどういうふうに進むかというのは、まだこれから細部を決める段階ではございますけれども、やはり何と申しましても人的な交流、なかんずく技術者を私どもが受け入れて研修をするといったようなことが中心になるのではなかろうかと考えております。
  83. 川崎寛治

    川崎委員 大いに進めていただきたい、こういうふうに思います。  沖縄とその規模、販売数量もわかりましたか。
  84. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  先ほど店数を申し上げましたが、人口の話がございました。人口でまいりますと、沖縄の場合は百十三万でございまして、同規模としましては石川県が百十三万でございます。  売り上げで申しますと、大変資料が古いんで恐縮でございますが、五十七年度におきまして、沖縄は二十八億六千四百万本でございまして、石川県が三十億八千百万本ということでございます。
  85. 川崎寛治

    川崎委員 割に少な目ですな。僕はちょっと認識違いしておりましたが、石川の販売店は何ぼですって。
  86. 森宗作

    ○森説明員 石川県は、販売店としましては二千六百二十五店でございます。
  87. 川崎寛治

    川崎委員 そうしますと、激変緩和ということで指定制度にしておるゆえんのものがここに出ていると思うのですね。つまり、沖縄の場合には規模が非常に小さい。ですからこれは指定店制度というもの、この間野口委員からも小売店のお立場からいろいろありましたけれども、そういうのがここにはっきり出ておる、こういうふうに思いますので、その点は十分考えてほしい、こういうふうに思います。  そこで次に、輸入たばこに移りたいと思います。  今までは公社が全部買い上げて、公社が配送しておったわけですね。配送、つまり各末端の小売店まで輸入業者が卸していくという体制というのは、今はどういうふうに見ておるのですか。
  88. 森宗作

    ○森説明員 お答え申し上げます。  現在は、輸入品につきましても、専売公社がこれを輸入いたしまして、専売公社のルート、通常の国産品と同じようなことで、公社から、公社使用いたしておりますたばこ配送会社というものを通じまして販売店の方に配達をしておるというような状況になって泊ります。
  89. 川崎寛治

    川崎委員 だから、新会社になったら、そして新制度にたったら、今の輸入たばこ小売店までの配送の仕組みというものはどういうふうに変わりますか。つまり、恐らく今は配送のシステムを持ってないと思うのですね。だから、今の専売公社関連の配送組織、つまり新会社になったら、新会社の配送組織が各市町村まで配送するのですか。
  90. 森宗作

    ○森説明員 この輸入品が今回制度改正後にどうたるかということにつきましては、二つの考え方があると思います。  一つは、いわゆる商取引上のルートというのがございます。これは今後は輸入品、いわば外国メーカーでございますが、これが恐らくは、従来自社の製品を取り扱っておりました商社、これが特定販売業者ということになりまして、この特定販売業者が直接あるいは卸売業者を通じまして販売店と取引をするというようなことは考えられるわけでございます。  一方、物の流れの方でございますが、この物の流れ、いわゆる配達ルートにつきましては、これまた外国メーカーは自由な流れを選択できるわけでございますが、また従来のようなことで、たばこ配送会社というような配達ルートを使って製品を販売店に送るというようなことも、方法としてあるわけでございまして、このいずれを選択するかということにつきましては、現在明らかにいたしておりません。  なお、まれに輸入品につきまして、従来同様公社の方で輸入業務一切を行ってほしいというものがあります場合には、たばこ事業法附則第八条で、特定販売業者の登録を受けた者とみなすという規定がございますので、その場合は話し合いになりますが、従来のような形で国内品と同様な取引というようなルートを使うこともあり得るかと存じます。
  91. 川崎寛治

    川崎委員 自治省、見えてますね。  今度は、地方たばこ消費税というのは、最終小売店に納めるところが納めなければいかぬわけですね。今までは専売公社が一括をして各県、市町村に納めておったわけです。そうしますと、今言われるように配送組織というのははっきりせぬわけですから、輸入たばこについての地方たばこ消費税というのは、自治省はどうですか、はっきりつかめるというふうに見ているんですか。
  92. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 お答えを申し上げます。  ただいま御説のとおり、今回のたばこ専売制度の改革によりまして、国産たばこの流通経路は変わらないわけでございますから、従来どおり課税をするということになるわけでございますが、輸入たばこにつきましては、自由化という形になりますので、この点についての調整をすべく、現在関係法律を提出いたしまして、御検討をお願いしているところでございます。  その内容によりますと、ただいまも御説明がございましたように、輸入会社が直接小売人に売り渡す場合、これは現在都道府県あるいは市町村に税を納めていただいているのと同じ方法によりまして、新会社が小売人所在の都道府県あるいは市町村に対しまして税を納めてもらえばいいわけでございます。問題は、輸入会社から卸売会社を介在いたしまして小売人にたばこが流通するということが当然予想されるわけでございますので、この場合には、一番小売人に近い段階の卸売業者に対しまして、その販売本数に応じまして課税をするという方式をとるように制度を仕組んだわけでございます。  いずれにいたしましても、基本的には、消費税の場合はほとんどそうでございますが、申告納付の制度をとっておりますので、制度を仕組むことによりまして、その制度に応じまして、各納税義務者が申告納付をしていただくという形になるわけでございますけれども、その適正な申告を確保するためには、例えば納品伝票を一定期間保存しておいていただくとか、あるいは一定の事項について記帳をしていただくというようなことをお願いしなければならないと思っておりますし、また輸入たばこにつきましては、輸入会社から卸売会社に行く過程におきましては、地方たばこ消費税が課税されない形で流通するわけでございますので、この流通の段階で未課税たばこについての取引の状況を明らかにするようなものを、申告のときにあわせて書類として提出していただくというようなことも、現在検討いたしております。  いずれにいたしましても、流通のやり方については、まだはっきりしたことがよくわかりませんけれども制度的に、現在可能な限りにおいて起こり得る事態を想定いたしまして、その税の捕捉に遺憾のないようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 川崎寛治

    川崎委員 大臣、今お聞きのように、これは大変複雑になってくるんですよ。  そこで、自治省にお尋ねしますが、今完全に捕捉しなければいかぬ、こういうふうに言うわけでしょう。そうすると、県も市町村も大変人間をふやさなければいかぬ。どれくらいふやさなければいかぬのですか。
  94. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 一応、今は仕組みはそういうことで考えておりますけれども、先ほど申しましたように当面の問題としては、これは申告納付でございまして、納税義務者の方が申告をしていただくことが前提になりますので、この点については、事務量がふえるということは余りないわけでございます。  問題は、未課税たばこが流通する段階でどうチェックするかということでございますが、最近はかなりコンピューターも発達いたしておりますので、そのコンピューターを使いまして、この未課税たばこの取引の状況をチェックするシステムを現在考えております。そういうことで、事務量としては、私どもは余り問題はないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  95. 川崎寛治

    川崎委員 しかし、これはいずれにしても人間をふやさなければいかぬでしょう。
  96. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 これもまだいろいろな未確定の要素がございますので、どういうことになるかわかりませんけれども、現在の段階で検討している過程では、人をふやすというようなことは必要ないのじゃないか、事務量としては余り問題ないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  97. 川崎寛治

    川崎委員 これは実際入ってみなければまだわからぬ問題いっぱいあると思いますが、恐らくこれは行革に反する現象が出てくると思いますよ。だから、何のための制度の改革かわからぬ、そういう問題が出てくる、こういうふうに思います。これはこれからの問題ですから、今こうやっていても、やりとりもあれですから、ここで一応打ち切りますけれども、これはいわゆる行革に反する現象が恐らく出てくるであろう、こういうことを私は申し上げておきたい、こういうふうに思います。自治省、結構です。  そこで次に、特例納付金の問題については、これは五十八、五十九年ですから、制度はこれで終わりということになりますね。そのとおり受けとめますが、そうしますと、今後六十年度の予算の編成に当たりまして、この分は打ち切るわけですから、当然減収ということになりますし、当然これはここで制度は終わり、新会社に対して新しい租税特別措置をやるというふうなことはない、こういうふうに受けとめておいてよろしいですね。
  98. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 この三十四銭の六十年度以降の問題につきましては、先ほど委員もおっしゃいましたように、この制度がそれまでに切れるわけでございます。そういう制度であるということを念頭に置きながら、かつまたその制度が極めて臨時、異例のものであったということも念頭に置きながら、それを予算編成の中で考えていきたいと考えております。
  99. 川崎寛治

    川崎委員 ちょっと待ってください。歯切れが悪いな。  予算編成の中で考えていきたいということは、制度は切れました、これで終わりですというふうに受けとめていいですね。
  100. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今も申し上げましたように、極めて臨時、異例のものでございますので、そういうものについてそういうことを十分念頭に置いて理解していきたいと思っております。
  101. 川崎寛治

    川崎委員 わかりました。これはいろいろこれから出てくる問題ですが、問題は、つまり今度は外国たばこの方は下げる口実にもなってきますし、それから新しい制度で、フランスのSEITAの場合も大変税が重くてくたばっちゃったわけですけれども、そういう面からしますと、この点は当然打ち切りというふうに私は考えますし、そういうふうに措置をされるものだ、こう理解をし、今後対処いたしたい、こう思います。  もう一遍確認していいですか。どうです。
  102. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、極めて異例の措置でございますので、前に大臣もそういう御答弁をしておられましたが、異例がまた重なるということはないように、できるだけやっていきたい、こういうことでございます。
  103. 川崎寛治

    川崎委員 どうも、「できるだけ」だから、たかだか歯切れが悪いのだけれども……。  かみたばことかぎたばこをこれまで生産をしたかった、あるいは輸入をしたかった理由は何ですか。それで今度は、税の方では考えておりますね。これから輸入する考えがあるんですか。
  104. 森宗作

    ○森説明員 我が国におきましては、特にかぎたばこあるいはかみたばこにつきましての消費者の需要と申しますか、声がございませんので、今日まで輸入をしていないわけでございます。
  105. 川崎寛治

    川崎委員 かぎたばこはノースモーキングに入らないのですか。
  106. 長岡實

    長岡説明員 かぎたばこ、かみたばこはスモーキングとは言っていたいようでございます。したがいまして、アメリカの例などを見ますと、たばこを吸ってはいけない場所でくちゃくちゃやっている例はあるようでございます。
  107. 川崎寛治

    川崎委員 外人の野球選手がくちゃくちゃやっているのはそうらしいのですが、あれは結局PXかなんかで買っているのですか。
  108. 森宗作

    ○森説明員 お答え申します。  少なくともこのかみたばこ、かぎたばこにつきましては、公社では輸入をいたしておりませんので、一般の販売店では取り扱っていないということでございます。
  109. 川崎寛治

    川崎委員 一般の販売店で取り扱っていないけれども、くちゃくちゃやっている、チューイングしているというのだから、国内にごくごく部分的にしろ出回っているということですよね。
  110. 森宗作

    ○森説明員 あるいは自用輸入というので、特別に輸入を許可を受けて行うというのがございますので、そういった例とか、海外の旅行者が持参するというようなことがあり得ると思います。
  111. 川崎寛治

    川崎委員 これはけさ友人が持ってきてくれたのですが、「シビれるハワイのサーファー」ということで日本に蔓延している。インドネシアのたばこなんだそうですが、クレテックというのですね。クレテックというものが非常に蔓延している。これは輸入業者もはっきりしております。このクレテックという甘い香りのあるものが出回っているということは、今後、外回たばこ一つのフィリップ・モリスとかレイノルズとかいうところばかり見ていると、そうじゃない、こうした若者に受ける——これは甘い香りで、パチパチと音が出るのだそうです。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕 これは原産地は東南アジア、古くは紀元前数百年の背、中国で使用されローマにも輸出されていた、最もよく知られている香辛料の一つ。その花が入っておって、それが音がする。こういうのが格好いいということだし、大変香りがいいということで伸びる。今輸入が間に合わないというふうなことを言っておるのですが、これはどういうふうに考えておられますか。
  112. 長岡實

    長岡説明員 インドネシアのクレテックたばこと申しますのは、チョウジの実を使っておるようでございます。私もインドネシアヘ行きましたときに吸ったことがございますけれども、熱帯地域特有の非常にきつい香りや味がするたばこでございまして、私どもとしては、それが国内で非常に大きな需要にまで結びつくというふうには考えておりません。現在日本でも若者の一部にこのたばこを吸う傾向が出ておりますし、アメリカでもそういう傾向が見えるようでございますけれども、一部の需要であって、これが大きな需要に結びつくようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
  113. 川崎寛治

    川崎委員 次に、これはフランスのローラン・ファビウスという産業研究大臣が来日しておるわけですが、この人が国会議員、衆参だろうと思いますが、「フランスの産業戦略」というのを大使館から送ってきている。これを見ますと、たかたかよく現状を認識しているなと思うのです。私も専売公社技術というのは大変高く買います。大変努力しているたと思います。  そこで、このファビウスという方は、ミッテラン政権の中で三十四歳で予算相になり、今また産業戦略の方をやっているという。フランスの今なかなか苦しい状況にある経済を打開していくために努力しているわけですが、この中に「フランス人による特許件数はイギリス人の半分で、ドイツ人の三分の一、アメリカ人の六分の一、」これから先がいいのですよ。「そして日本人の十五分の一です。わが国の研究の質は高いのですが、その結果を産業に応用する努力を長い間怠ってきたのです。現在、遅れを取っているのは、知識を十分に速く産業面で応用していたいからなのです。」こういうふうに言っております。なかなか率直に、そういう特許とか技術開発という問題についての評価をしておると思うのです。  私は、SEITAの問題と日本経営の戦略の細かな議論をしたいと思いましたが、時間の関係で少しはしょってまいりますけれども日本専売公社が国際ビッグスリーと競争していく上においては、ローラン・ファビウスの言にもありますように、技術革新というものを続けていかなければいかぬと思うのです。これは専売制度という制度の中にあったから、随分思い切った技術の革新もやってこれたと思うのです。民間になった場合に、その技術革新というのを集中的にやっていけるかどうか。この点は何としてでもやっていかなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  114. 長岡實

    長岡説明員 制度改正後、株式会社組織になりましても、私どもはやはり政府関係法人の中に入っておるわけでございまして、一つの公的目的に奉仕するという役割は引き続き担っていくべきものと考えております。ただ、競争が非常に激しくなってくる場合に、合理的な企業経営ができるようにするためには、やはり株式会社組織にたるべきであるということで御審議を煩わしておるわけでございます。しかしながら、企業の将来を左右するようだ技術革新の問題あるいは基礎的な研究開発の問題、こういったような問題は、制度改正後といえども、従来同様、もしくは従来にも増して力を入れていかなければならない分野だと考えております。
  115. 川崎寛治

    川崎委員 フランスのSEITAの失敗というのを日本は繰り返さない、こういうことをしきりにお答えになっているわけですが、SEITAも、民営化をしますと同時に経営多角化というのはやったと思うのです。しかし一方では、黒たばことの関係あるいはアメリカたばこというもののそういう今日的な面で、三〇%近く追い込まれてきた。だから、今までの御説明の中で、これから例えば目的達成業務というふうなことをやります、こういうふうに言っておりますけれども、これは一つ一つ詰めますと、随分気の遠くなるような話ばかりなんですよ。バイオの問題にしたってそうですよ。あるいは関連産業の問題にしたってそうですよ。そうしますと、そういう中で例えばアメリカの巨大産業と日本公社というものを比較してみますと、製造原価の問題は余りオープンにすべき議論ではないということもよくわかります。しかし、葉たばこの価格で見ますと、日本はアメリカの半分以下ですよね。そうしますと、インドとかブラジルとか、そういうところは大変安い葉たばこになっているわけですけれども、その安い葉たばこ輸入という面への切りかえということは、外国葉たばこの場合、そういう価格だけでかえられるのかかえられないのか、いかがですか。
  116. 長岡實

    長岡説明員 コストの面から申しますと、御指摘のとおり東南アジアあるいは中南米、アフリカ等の葉たばこが非常に割安でございまして、これの輸入をふやしてたばこを製造いたしますと、コスト競争力の点においては大変有利でございます。ただ、先刻も御説明申し上げましたように、私ども過剰在庫を抱えておりまして、過剰在庫解消策として国産葉の使い込みを考えていかざるを得ない。そうたりました場合には、コスト的には負担がふえますけれども、それでも過剰在庫のまま放置するよりはよろしいということで、そういう方向をとらざるを得ないと考えておりますが、その過剰在庫解消努力を払っております間は、むしろ逆に、東南アジアその他の葉たばこ輸入を減らさざるを得ないような傾向にあるわけでございます。  アメリカのたばこと東南アジアのたばこと比べれば、これはアメリカの方が高いのだから、アメリカのたばこ輸入を減らして東南アジアのたばこの方へ切りかえたらどうかという御趣旨でございますとすれば、アメリカのたばこはいわゆる喫味とか香りとかといったようなものを出す香喫味の原料でございますし、東南アジアの方は緩和補充料と申しておる性格のものでございますので、その間の代替性というものはまずないと申し上げてよろしいのではないかと思います。
  117. 川崎寛治

    川崎委員 そうしますと、アメリカの葉たばこ日本の割高の葉たばこ競争せにゃならぬ、こういう状態です。じゃあ、労働の生産性は、今日米間比較をしたらどうなりますか。
  118. 岡島和男

    ○岡島説明員 労働生産性の比較でございますが、一億本当たりの人員ということで統計をとってみますと、昭和四十年代ごろはアメリカの方がはるかに高く、倍ぐらいでございました。その後私どもの方で鋭意努力をいたしまして、五十年ごろから大体均衡をいたしてまいりまして、現在のところは、アメリカたばこの全体の平均よりは私どもの方が若干上回っておる。ただ、いわゆるビッグスリーと申しますか、そういうところになりますと、私どもの平均よりもいいところがある、こんなような状況でございます。
  119. 川崎寛治

    川崎委員 平均してみればアメリカの労働生産性に十分対抗できるというところまで持ってきているということは、これは大変な努力をしておる、こういうふうに思います。それだけに労働の生産性を高めるためのたばこ工場労働者の努力というか、協力というものも大変あった、私はこういうふうに高く評価をしたいわけです。  そういたしますと、今後、これはこれまでも議論があったところですが、資本と経営の問題ですね。小野監理官は、私ちょうど桜島の降灰の災害調査で鹿児島へ行っておりまして、鹿児島で新聞を見ましたら、大変強く、資本の立場から介入するというふうに読んだものですから、これは全然逆行だな、こういうふうに思ったのです。聞くところによりますと、何か修正をした答弁もあるそうですが、資本と経営という面での大蔵省としての立場、それはいかがですか。
  120. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先般御答弁申し上げたところでございますけれども、積極的に介入というふうに新聞に出たわけでございますが、当初私が申し上げました趣旨は、決して新会社経営の自主性とか責任体制に私どもが介入していこうという趣旨ではございませんで、新会社になりました後におきまして、政府関係特殊法人としての日本たばこ産業の健全な発展という一定の政策目的を担っているわけでございますから、そういうものを担保する意味でああいう株式の二分の一以上とか、あるいは当分の間三分の二以上とか、そういう規定を置いているわけでございまして、それはあくまでも、新会社経営方針が本来のたばこ事業法なりあるいは日本たばこ産業株式会社法なりの目的からそれていった場合の万々一の保険であるという意味でございまして、決して積極的に介入していこうとか、そういうことではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  121. 川崎寛治

    川崎委員 その点は非常にはっきりいたしてまいったと思います。しかし、これから非常に経営多角化あるいは多国籍化、それから国際市場における広告宣伝費、これは今キャメルが非常に復活をしておるというのですが、まさに広告宣伝というもののあらわれだ、こういうふうに思うのです。若者の間にキャメルが復活しているというのをどういうふうに公社として判断しておられますか。
  122. 森宗作

    ○森説明員 たばこの広告宣伝につきましては、私ども喫煙と健康の問題とか未成年者喫煙防止というような問題に対しましての社会的な動向に対応しまして、昭和四十四年以降自主規制をしておりまして、五十六年に外国メーカーも国内で宣伝を行うということになりました際にも、この内外共通の基準というものを設けて規制を行っております。今の銘柄につきましては、レイノルズ社の製品でございますが、この規制の枠の中で実施をいたしております。  なお、この銘柄は、本年になりまして全国的に輸入品取扱店で販売をするということになったものでございますが、現在の段階での数量は月約一千四百万本程度でございまして、数量としてそれほど大きい数量になっておるということでもございません。
  123. 川崎寛治

    川崎委員 先ほど葉たばこの原価の問題をお尋ねしましたし、それから生産の問題をお尋ねしましたね。大体大ざっぱに見て、葉たばこの価格なり労働生産性なりというものを考えて、一方、広告というものの将来の問題もあるわけですね。しかしそういう中で、今小野監理官も、経営と資本との関係というものについてはきちっとした御答弁がありました。  そこで私は、最後大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、そういうことで私現場で、第一線でいろいろ耕作者の不安も聞いておりますし、また新しい制度に入る工場の労働者の諸君なり販売面の諸君のいろいろな不安というものも聞いております。しかし、今申し上げましたように、葉たばこ原価等のものを技術なり労働生産性なりというもので非常に補ってきておる。そうなりますと、新しい会社はますます経営の自主性というものが尊重をされ、また労使の関係にしましても、これはまた別の意味の方からやりますので、きょうは私は触れませんが、そういう新しい体制の中における労使の関係のあり方というものも、自主的なものが当然保障されなければならない、こういうふうに思います。でありますから、こうした資本と経営の分離といいますか、そういう中での新会社の、特にビッグスリーとの国際競争における体制づくりのために経営の自主性を尊重するというのが、監督大臣、大蔵大臣としての当然の姿勢であってしかるべきだ、こういうふうに思いますが、最後大蔵大臣のお考えを伺って終わりたいと思います。
  124. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この法律案の御審議をお願いするに当たって、私どもがまず最初結論ありきといえば、私は、完全自由化、いわゆる分割・民営、それは現行ではできることではないという前提の上に立ったわけであります。そうなると特殊会社ということになる。その中で経営の自主性を最もフルに活用できるのにはやはり根拠も必要だということから、それこそもう既に完全に民間に移管しましたけれども、合成ゴムのやつから電発から東北開発公庫から、それぞれを全部抽出して、それと比べまして、一番緩やかなと申しましょうか、表現は必ずしも適切でございませんが、そういう形で法案を仕上げていこう。とはいえ、やっぱりいろいろな問題が残る点も確かにございますけれども、基本的な精神としては、今川崎委員のおっしゃった点を踏まえて、可能な限り当事者能力、自主性の中にすべてをゆだねていく、こういう考え方に基本的に立っております。  それから、後の委員の御質問にお譲りになりましたが、生産性向上、それは技術面でもあるいはいわゆる労使の関係でも、私は競争力の中で今後何を一番期待するかといえば、私は自分の関係があるから言うんじゃございませんが、世界一の労使関係にあるところだという前提の上に立って、そういう評価でそれに期待を持たせなければいかぬという考え方は、これからも貫いていかなければならぬと思っております。
  125. 川崎寛治

    川崎委員 終わります。
  126. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 柴田弘君。
  127. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 先日に引き続きまして、残余の問題につきまして、でき得る限り時間をはしょりまして御質問をさせていただきたいと思いますので、どうかひとつ誠意のある御答弁をお願いをしたいと思います。  まず第一点は、小売定価の決定、変更の問題であります。今回の制度改革によって新会社が発足するわけでありますが、今回のこの法案は、いわゆる行政改革関連法案の一つであるわけであります。やはり消費者の立場、私も愛煙家の一人といたしまして、本当に今回のこの新会社移行に伴って、いわゆるたばこの値段が上がるのか下がるのかというのは、これは私は一番の重大な関心事項じゃないかと思うわけでありますね。  最初に、この新制度のもとにおいて、小売定価の決定、変更に当たっては、現行制度に対してどのように変わっていくのか、まずこれは大蔵省当局にお伺いをしたいと思います。
  128. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現行のたばこの定価につきましては、製造たばこ定価法に基づきまして、国会で御議決いただきました最高価格の範囲内で、たしか大蔵大臣が認可をすることになっているわけでございますけれども、一定の条件、例えば物価の変動とか何かがあった場合には、暫定最高価格ということで、国会でお決めいただいた価格のプラス三割以内の最高価格の範囲内で動かすことができるということになっておりますのが現行制度のあらましなわけでございますけれども、新しい制度のもとにおきましては、小売定価につきましては、新会社もしくは特定販売薬者が大蔵大臣に認可申請をいたしまして、それを大蔵大臣が認可をするということになっております。  その場合、小売定価制を今回残すことにした意味から、ちょっと御説明申し上げたければいけないわけだと思いますけれども専売制度八十年の歴史の中で、それなりに一定の流通秩序というのが形成されておるわけでございますが、そういう形成された流通秩序の中で生活してこられた二十六万店の小売店、しかもその相当部分がと申しますか、あるいはむしろ大部分が非常に零細な小売店である。中には身体障害者とかあるいは母子家庭あるいは寡婦家庭、そういったようなものに対する社会的配慮もその中に含まれておるというようなことを考えますと、一挙に定価制を廃止した場合に、一部の小売店の廉売と申しますか、そういったことによって、多くの小売店が多大の影響を受ける。場合によっては社会的混乱も招きかねない。そういうふうな激変を回避する意味において定価制を維持することにしたわけでございますが、そういったことからいたしまして、今回の定価制の趣旨というのは、一つの銘柄については全国一律の定価である。どこの地域に行きましても、例えばマイルドセブンは二百円であるということに意味があろうかと思います。  そういう意味で、大蔵大臣が定価の認可をするわけでございますが、そのときに、その価格が著しく消費者の利益を害するとき、不当に消費者の利益を害するようなことになる場合、あるいは例えば具体的に申しますと、関税定率法に言う不当廉売関税がかかるような不当に低い価格であるような場合、そういう場合を除きましては、大蔵大臣は、申請された定価を認可しなければならないというシステムになっておるわけでございます。
  129. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 たしか、このたばこ事業法案の三十三条、三十四条ですね。  それで総裁にお尋ねしておきますが、今回のこの改革によりまして、仮に法案が通過をいたしますと、来年の四月一日から施行、新会社が発足いたします。もちろん、先ほど来議論が出ておりますように、いろんな問題で合理化もされてまいりますでしょうし、それからやはり消費者の立場からすれば、上がるのか下がるのか、まあ下がるというようなことはちょっと考えられないかもしれませんけれども、要するに現行の定価が果たしてどこまで維持されるのか、これは正直に申しまして非常に大きな関心事ではないかと思いますね。そういった中で三年もつのか五年もつのか、やっぱりその辺のところを一遍——その諸条件も僕はあると思いますね。思いますが、いわゆる総裁としての決意としては何年までいけるのか、ひとつ端的にお答えをいただきたいと思います。
  130. 長岡實

    長岡説明員 現在の一本三十四銭の特納の法律審議の際にお答えをした記憶があるのでございますが、その時点におきましては、何とか六十一年か六十二年までは現行定価のままでいけるんではないかと思いますというお答えを申し上げました。しからば現在の時点においてどういう見通しであるかということになりますと、率直に申し上げまして、現行定価を何年まで維持できるか、あるいは何年まで維持したいという具体的な年度まで申し上げる自信はございませんけれども、御承知のように四月一日以降は外国製品と国内の市場において激烈な競争下に置かれるわけでございますから、競争に打ちかつためには、品質と価格と両面において競争していかなければならないということになりますと、新会社経営者といたしましては、恐らく一年でも長く値上げという事態を回避したい、なるべく今の定価で販売していきたいという気持ちになるのは当然であろうかと存じます。
  131. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それは当然なんですよね。私のお聞きしておるのは、いろんな諸条件はあると思いますよ、合理化の問題とか葉たばこ問題とか。だけれども、少なくとも行政改革関連法案の一環として、今回こういった特殊会社とはいいながら株式会社システムになってくるんだ。であるならば、やはり消費者の期待と申しますか国民の期待というものは、正直に言いますと、この改革によってどれだけ我々にプラスになるんだということが問題だと思います。だから先般も、今御案内のように電電の改革法案が上程されておりますけれども、電話料金の問題でもたしか二年というふうに電電公社の方は答弁なさっておったということを聞いたわけでありますけれども、やはり諸条件が満たされれば、例えば二年は現行制度でいくんだ、あるいは三年もつんだというような答弁がいただけないものかと私は思うのです。もう一回。
  132. 長岡實

    長岡説明員 何と申しましても新制度発足後に、輸入自由化後にと申し上げていいのかもしれませんが、どういう競争関係が行われるかということが、将来の定価問題に非常に大きな影響がございますので、この辺の推移を見きわめませんと、はっきりとしたお答えはいたしかねますけれども、ただいま御質問にございましたような趣旨でございますれば、二年なら二年、あるいはでき得れば三年という間は当然今の価格で、定価でやってまいりたいということはお答えできると思います。
  133. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうすれば、六十二年から六十三年までぐらいは何とかもたせていきたい、こういった総裁の決意、いろいろな諸条件がありますからなんですが、そういった決意で今後臨まれる、こういう理解でよろしゅうございますな。
  134. 長岡實

    長岡説明員 二年というのは六十、六十一年度、三年となれば六十二年度でございますが、その辺までは何とか現状で守っていくという決意で臨んでまいりたいと思います。
  135. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで大臣、今監理官から御答弁いただきましたけれども、今度認可、これは大臣の権限になってくるわけですね。これは一定の法律上の制限がありますけれども、今私がるる申し上げているような消費者の立場に立った認可のあり方というものが必要にたってくるのじゃないか、私はこういうふうに考えているわけですね。率直に愛煙家なり消費者の立場に立った認可のあり方ということについての大臣の見解を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  136. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは今総裁からも御決意の発表がございましたが、やはり今おっしゃった一般消費者、すなわち愛煙家でございますか、そういう方々の負担が可能な限り低い状態といいますかが続くことを、私もそれは期待をいたしております。
  137. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わかりました。  それで次の問題に参りますけれども、先般も質問いたしましたが、しょせん新会社が今後経営をしていけるかどうかというのは、いわゆるコスト競争力であるという結論でございます。そのコスト競争力をつけるには、一つ公社独自の合理化努力であり、もう一つは国産葉たばこの問題をどう改善し、解決をしていくか、こういった問題に帰する、こういうふうに思います。それで、先般もいろいろと御質問をいたしましたし、また先ほどもいろいろな議論があったわけでありますけれども、本当にコスト競争力の強化、コストダウンという問題がどの程度まで図られるかというのは、私は極めて難しい問題でもあると思います。それに付随して、葉たばこの改善問題、なかんずく過剰在庫解消の問題も、これはそう簡単な、生易しい問題でもない、私はこんなふうな理解を持っております。臨調の第一答申で、この過剰在庫の問題にいたしましても、やはり具体的な解消策というものをつくって実施せよ、こう答申をされておりました。あるいはまた、収納価格の問題についても見直しなさいという答申があったわけです。それで、ここ何年来にわたって、当委員会においても過剰在庫解消の問題についてはさまざまな立場からの議論があった。もうできておるものならとっくにできてしまっておるのじゃないかというふうに私は思う。  それで、先日申しましたように、一番大事なそういった問題が、八十年来の専売改革法案、大改革をやるときに当委員会に示されないというのは、そもそも問題だというように私は考えておるわけなんです。そうすると、よほどこれは難しい問題だ。やはり日本たばこ産業株式会社が将来やっていけるかどうかということも、まさしくこの問題の解決にあるし、この問題の解決を誤れば、こういった問題が将来の大きなアキレス腱にたってくるだろう、こういう考え方を私は持っておるわけであります。非常に厳しい問題だ。総裁はいろいろとおっしゃっておるわけですが、本当にやってみなければわからぬだろうというのが本音ではないかなというふうに思っておるのですが、どうですか。
  138. 長岡實

    長岡説明員 過剰在庫解消が大変難しい課題であるということは、おっしゃるとおりでございます。なかなか簡単に過剰在庫解消が図れるような状態ではございません。ただしかし、私どもとしては、やはり何とかしてこの過剰在庫問題についてでき得る限りの努力を払って、でき得る限りの在庫減らしを考えていかざるを得ない立場にございまして、再三お答え申し上げておりますように、コスト競争力の面からいえばむしろマイナスに働くはずでございますけれども、国産葉の使い込みをもっとふやしていくという努力も払ってまいるつもりでございますし、それから、先ほど川崎委員に担当理事からお答え申し上げましたけれども、五十七年度にはわずか二百六十トンであった国産葉の輸出も、赤字を覚悟で五十八年度にはその十倍の二千六、七百トンまでふやした。五十九年度にはさらにこれを上回るぐらいの努力をしたいということも申し上げたわけでございますけれども、そういったような努力の積み重ねによりまして、でき得る限りの過剰在庫解消を図ってまいりたい。しかし、ごく近い将来、今私が申し上げたような努力だけで完全に一年分の過剰在庫解消できるかという御指摘がございましたら、率直に申し上げてその自信はございません、しかし、やれるところまではやりますというお答えになろうかと存じます。
  139. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣もよく御理解をいただけると思いますが、本当にこの問題の処理の仕方によっては、新会社が発足して、たとえ製造独占が付与されましても、やはりこれは日本国内だけの問題じゃないのですよ。要するに海外のビッグスリーを中心としたコストの安い外国製品競争しなければならない。そうすれば、当然シェア競争になってくる。ところが、そういったアキレス腱ともなるべき国産葉たばこの問題を抱えながら新会社へ移行、こういうことでありますから、私は、よほどこの問題というのは、将来展望を含めて今のうちから考えていかないと、やはり取り返しのつかない大きなことになるだろう、こういうふうに考えております。  そこで、先ほど議論が出ておりましたが、農政費用の負担分ですね。確かに今いろいろと公社生産対策補助金ですとか、あるいはまた組合に対する体質改善補助金等々、これは農政費用負担分というような形で出しておる。あるいはまた農林省も、基盤整備のために構造改善の補助金も出しておるし、畑作振興という観点からの補助金も出しておる。これはこれとして、私はより一層充実していくべき問題であると思いますが、やはり将来新会社が発足をして、本当にアキレス腱ともいうべき葉たばこ問題で日本たばこ産業が後退してしまったら、これは何にもならないわけであります。だから、今すぐというわけじゃありませんが、やはりこういったものは将来もう一歩踏み込んで、この葉たばこ問題の解決をするために、社会費用の負担というような形で、まさしく公社だけの問題でなくて、あるいは今までどおりの農林省だけのそういった考え方ではなくて、もう一回別の観点から考えていかなければならない問題じゃないかなというような気持ちを今私は持っておるわけです。だから、そこら辺の考え方を率直に大臣、新会社の将来を展望して御答弁をいただければ、こういうように思っておるわけであります。
  140. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私は、基本的にたばこ産業全体を支えておるものはまさに葉たばこ生産者であり、そして製造そのものあるいは開発研究等にタッチされる新会社そのもの、そして販売店の皆さん、この三つがたばこ産業全体を支えておる一つ一つの巨大な軍団だというふうに思っております。だから全体でもって国際競争力自身に当たっていなければ、一つの部門だけでこれに対応できるものではない。  そうすると、今柴田さんのお話は、まさにそれを端的に意識した場合、まず過剰在庫の処理ありきという感じに受けとめるという御意見でございますが、だれしもやはり見た場合に、その生産者の方々の問題というのがすぐ念頭に上ることであると私も同じように思っております。したがって、一般農政としては、御指摘になりましたように土地改良をやったり、あるいは各種の機械の購入の融資制度をやったり、これは農林省でいろいろおやりいただいておる。そうして今度は専売公社自体では、かつては減反奨励金というようなものをも含め、いろいろな支出によってこれに対応してきておられる。それをなお一層国際競争力をつけるために、このたばこ耕作そのものを対象として、全体的な立場からこれに対応していかなければならぬ、こういう考え方は私もそう意見を異にしておる立場にはなかろうというふうに思っております。しかし、現実問題としては、そのたばこ産業全体を支えておる大きな軍団の長に新社長、総裁がおなりになるわけですが、そういう形の中で、特別な財政支出というもの以前になお合理化のための努力がなさるべきものであるし、それがまさに今度この特殊会社に移行した一つの大きなポイントではなかろうかというふうに私は考えております。
  141. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 だから大臣の今の答弁でおっしゃったように、私とそう考え方は異なるものではない。しかしその前に、やはり公社独自の努力というのはありますね。だけれども、中長期を展望していった場合に、幾ら努力をしても、また関係者が幾ら努力をしてもできない部分が将来出てくるかもしれない。それはやはり国産葉たばこ問題である、私はこういうとらえ方をしているわけでありまして、私の考え方も決してそう間違っていない、こう思います。そういった意味で私は御質問を申し上げた、こういうことでありまして、これは私からの要望でありますが、中長期の展望を踏まえて、そういった負担のあり方というのは一体将来どうだろうか、我が国のこういう厳しい環境のもとにおいて、日本たばこ産業株式会社の発足に当たって、私はこの点を大臣に心から要望してまいりたい、こういうように思っております。  それで、次は経営の自主性の問題についてお尋ねしていきますが、臨調答申でも「企業経営を阻害する諸規制を排除し、経営の自主性を確立する」こうあります。公的関与もできるだけ少なくしていこう、こういうようにありまして、やはり企業の発展というのは、一番のそのもとは経営の自主性ということにある、こういうように思っておるわけであります。ところが、会社法案、事業法案、いろいろ見てまいりますと、とにかく大臣の許認可事項が極めて多い。監督権もあります、あるいはまた立入調査権等々もあるわけでありまして、こういった手足を縛った形で本当に企業の自主性というのは確保されるのだろうかという率直な疑問というものを私は持っておる。責任ある企業経営というものを新会社に要請するのであるならば、やはり経営経営の専門家に任していく。過度の許認可とかあるいは監督というのは逆にかえって経営責任をあいまいにするのではないか、私はこういうことを正直に言って考えておるわけであります。  そこで、例えば事業法案の九条、これは蔵出し価格、大臣の認可があります。それから三十三条にはやはり小売定価の大臣認可がある。これはもう二重チェックではないか、私は素人だがらこういうふうに考えております。ここまで必要なのかどうか。  それから二つ目には会社法九条、これは事業計画でありますが、この事業計画においても「大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」こういうことであります。そうすれば、先ほど大臣から答弁がありましたように、我が国はとにかく世界一いわゆる労使双方がうまくいっている、あるいはまた先ほど来答弁がありましたように、労働三法によって当事者能力を付与しているのだ、こう言っても、例えば事業計画の認可に当たって、経費が高いだとか、あるいは人件費が高いだとか、賃金の決定に対していろいろと大蔵省の方から文句をつけられないとも限らない。これは運用の方法というものが一番大事だと思いますけれども、やはりそれによって自主性の阻害要因となる可能性というものもあるのじゃないか、こういう心配も一つしております。それから第三点として、人事の自主性という問題で、会社法七条によりますと「会社の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」こうあるわけであります。私は、これはちょっとうがった見方をして恐縮でございますが、何かそのつもりはないと大臣おっしゃるかもしれませんが、大蔵省の天下り先を——これはちょっと私の頭をかすめた問題だから聞き流しておってもらってもいいわけですけれども、そんなものをやっていらっしゃるのじゃないかなというふうにふと頭の横隅をかすったわけであります。だから全取締役に対する選任あるいは解任ということでなくて、これは代表取締役に限ってもいいのじゃないか、こんなような気持ちを持っておるわけでございます。本当は一つ一つ答弁をいただきたいのですが、この許認可の運用ということについて、この三点の問題、関連をしてひとつ大臣のお気持ちでいいです、お聞かせをいただきたい、このように思います。
  142. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今柴田先生おっしゃったそういう御心配といいますか、それがないようにしなければならぬというのが私どもの立場であろうと思っております。私自身も法律の中身に細かく入ったわけでは必ずしもございませんが、作業の途中関与しまして、本当に、まさに民営・分割を前提としたものではない。その位置づけをした上で、されば特殊会社として最も関与の度合いの少ない法人は何だというところからこれはいろいろ議論を詰めてきたわけでありますので、既存のものの中で最も関与が少ないというふうに私は考えております。  そこで、事業計画の問題等につきましても、今も御心配いただいておりますいわゆる報酬の総額とかそういうものは外そうじゃないか、まさに労使双方の自主性の中で物が決められていくようなことにしようじゃないか、それも議論の上そういうふうにしたわけでございます。したがいまして、確かに関与のあり方というものにはそれを非常に気にいたしました。今また例示としてお出しになりました役員の選任、解任、これは私は若干見解を異にするところもあるかなとも思いだから、今までのいろいろなものと比較してこれが一番いいじゃないか、そして代表取締役を選んだ方方によって代表者が選ばれる、こういうシステムがある意味においては一番自主性があるとも言えるじゃないか、こういう考え方にも立ったわけでございます。  したがいまして、私ども基本にありました考え方は、あくまでもおっしゃった趣旨を踏まえて、確かに大改正でございますから、いろいろなところの障害もございました。例えば製造独占を与える限りにおいては独禁法の関係もございましょうし、先ほど来も答弁のありました、たばこ地方譲与税の問題ならば新しい仕組みを考えたければいかぬ。その議論の中では、今までの実績で適当に交付したらどうだというような議論までしてみました。そういうようなこともやりたがらも、基本には、可能な限りの商法と労働三法というそのものの基本の上に立った体制整備がこの難局に当たる基礎になるのだということで、いわば政府関与のあり方等については最小限度のものにとどめる努力をした、そのまとまったものがこの法律であるというふうに御理解をいただきたいものだと思っております。
  143. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いずれにいたしましても、許認可の基準と申しますか、大臣あるいは大蔵省の運用というのが、自主性確保という問題で非常に今後大事にたってきますよ。そういった観点で私はお尋ねをしているわけでありまして、これ以上申しませんが、どうかひとつ本当に経営の自主性が確保されて、経営の効率性が上がる、またたばこ産業が発展できるような許認可のあり方というものをこれからぜひお願いをしたい、こういうふうに思っております。  それで、今回の改革法案、これは重ねて大臣にお尋ねしたいのですが、私いろいろと審議を通じまして聞いておりまして、いろいろまだ問題点があるのじゃないか、こういうふうに思います。  まず一つは、新会社の株式、これは二分の一以上ということでありますが、当面は三分の二以上政府保有、こういうことですね。先般も御答弁があったわけですが、二分の一以上であり三分の二以上でありますから、一〇〇%保有してもいいわけでありますよね。要するに、株主権のいわゆる全面行使ができるという体制になっている。そして、その配当は全部国に吸い上げるということですね。特例納付金が六十年四月からなくなる、こういうことでありますが、やはりこれは国の財政事情によって、株式配当の配当率さえふやしていけばどんどん入ってくるわけですね。新会社が内部留保も出ずに新しい技術革新に対応できなくて、国の財政事情が悪いからひとつ協力してくれやということで、形を変えたそういった特例納付金ということも、この株式配当の率の設定の仕方によっては考えられる、私はこういうふうに思っています。これは私の考え違いかもしれませんが、そんなような気持ちも一つ持っています。  それから二つ目には、国産葉たばこの全量買い取り制度というのが維持されている。小売販売、これは当分の間大臣の許可制、それから品目ごとの小売定価も大臣の認可を受けなければならない。こういった問題で本当に自主性、公益性、企業性というものが発揮されるのか、あるいは外国製品との競争に本当に打ちかっていくことができるかということも私は疑問に感じております。それから、これに関連をいたしますが、全量買い取り制度を維持されて、政府が株式保有で影響力を行使して、国際価格の二倍も三倍もする国産葉たばこを必要以上に新会社に押しつけていくということならば、過剰在庫も減らず、新会社競争力も弱まる。結局、そのツケは耕作者に回っていくであろう、こういう考え方もできるんじゃないかと実は心配をしておるわけであります。  それから、先ほど申しました役員の選任の問題、それから利益処分の問題、事業計画、こういったものがすべて大蔵大臣の認可制であるわけでありますね。だから、必要最小限の認可ということをおっしゃっているわけです。それはそれとして私はわからぬではないわけでありますが、これが果たして臨調答申の言う機動性、弾力的な経営というものに合致するかどうかということが実は私は心配であるわけであります。そういったこと等を考えてまいりますと、新会社が発足をしてからいろいろな問題が出てくるであろう、こういうことも思います。確かに、製造独占は応急措置だとおっしゃった。それはそれとして了解するにしても、船出をした後に今想像されるいろいろな問題が出てくる。であるならば、将来そういった時点においては、この新会社経営のあり方の見直しを含めて、この法案もその都度見直していこうという姿勢というものが必要ではないか、私はこんなふうに考えております。条文の中に見直しの規定を入れたさいどうこうということはこの場では申しませんが、やはり日本たばこ産業発展のために、新会社の健全な発展のために絶えず見直しというのは必要であろう、私はこんなふうに考えておりますが、各論は結構でございますので、総論的にひとつ大臣の将来展望を含めたお考えをお聞かせをいただきたい、このように思います。
  144. 竹下登

    ○竹下国務大臣 柴田さん自身も、各論は別といたしまして、いわゆる見直し規定を入れろというようなことを必ずしも主張するわけではない……(柴田(弘)委員「個人的には」と呼ぶ)個人的にはそういう意見を交えての御質疑でありました。  確かに、新会社経営のあり方につきましては、法律が動くようになりましてから、これは我が国のたばこ産業を取り巻く状況等をにらんで、絶えず検討を加えていく姿勢を持っていかなければならぬ問題だと私も思います。実際私も、荒波の中へほうり出したようだ感じがしないわけでもございません。その姿勢はいつでも重要であるということは、当然のことではないかというふうに思っておるわけであります。だから、そういう基本姿勢に立っておれば、新法のもとに船出いたします日本たばこ産業株式会社というものが動き出すわけでありますから、その動く過程の中においてこれにいつでも検討を加えていくという姿勢さえ持っておれば、それにこの法案はこれだけの長い時間かけて議論していただいた法案ですよ。だから、もちろん国民を代表しての国会の監視も先るわけでございましょう。私どもは行政当局者として、もちろん絶えずこれに検討を加えていく。そういうものが両々相まっていけば、今の場合開放経済に対応するため、そういう環境をつくり出すためには最善ではないか、こう言って御審議いただいているわけでございますから、それが動き出した後は、それこそ絶えざる検討を続けていくという姿勢は持ち続けていかなければ危険なことだ、その認識は私も等しくいたしております。
  145. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私は党を離れて個人的な見解ということで話を申し上げましたので、その点一言申し添えておきます。  次の問題は業務範囲の拡大であります。  総裁にお尋ねをしていきますが、やはり臨調も業務範囲の拡大、これはもう国際競争に耐え得るために配慮しなければならぬ、このような答申を出しておられますね。新会社企業全体の体質強化あるいは雇用拡大のための業務範囲の拡大というのは大胆に、しかも新会社実績拡大の方向でしっかりとやっていかなければいかぬ、こういうふうに私は考えておるわけであります。ところが、この目的達成事業の具体的な内容ということになると、先般もいろいろ御答弁になっておったわけでありますが、いま一つすっきりしない面がある。  そこで、先般私も中央研究所を初めいろいろと視察をさせていただきまして、現在公社の持てる資産、技術、これがあれば随分なところまで業務範囲の拡大ができる。確かに民業を圧迫してはいけませんよ。しかし、一面からいえば、日本経済の活性化ということからも、この業務範囲の拡大というのは非常に必要ではないか。逆にそれが日本経済をより一層活性化をしていくだろう、こういうことで、これも大臣認可になっておるわけでありますが、その辺の基本姿勢というものも大臣にお伺いをしたいわけでありますが、業務拡大は今の公社技術をもってすればこういう程度まではできるんだ、そしてこれをやっていくんだ、そういったものをひとつ具体的に御説明をいただげませんでしょうか。
  146. 長岡實

    長岡説明員 輸入自由化後の厳しい国際競争のもとで新会社国際競争力を確保してまいりますためには、収益の増大であるとか、あるいはコスト節減努力が必要であり、そのために会社が保有しております技術や資産等の有効活用を最大限に図っていく必要があることは申すまでもございません。そういったような観点から、業務範囲の拡大も認めていただげるものと思っております。  ただ、それでは全く制約がなく、何でもできるかと申しますと、新会社は特定の政策目的を持って、その目的に奉仕すべき政府関係法人の中に入っておりますし、それから柴田委員もおっしゃいましたように、独占企業体である相当大きな会社が民業圧迫になってはいけないといったような制約は当然出てこようかと思っております。そういったような制約を考えて、目的達成業務にもおのずから限界はあろうと存じますけれども、私どもが今こういう方向ならばお認めいただけるのではないかと思っております具体的な内容といたしましては、例えばたばこ製造用機器の輸出、これは私どもも相当な機械をつくる水準にまで達しております。それから技術輸出、これはたばこの製造用の機械だけではなくて、たばこをつくる技術についても相当なノーハウを持っておるつもりでおります。それからたばこのパッケージとかデザィンを活用した商品の製造や販売、これも関連的な業務と言えるのではないか。それから研究開発過程において、これは中研等でいろいろの研究開発に取り組んでおりますけれども、その中から出てきた成果の商品化、バイオの問題とかあるいは薬品の問題、いろいろございますけれども、これは一つの大きな中心的な課題になろうかと思います。  付随的なことを申しますと、土地や建物の高度利用等もあり得るかと思いますが、民業圧迫にならないように、また新会社の仕事から著しく逸脱するようなことがないようにという範囲内においては、私どもはできるだけ広範な業務をお認めいただきたいという気持ちでございます。
  147. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 バイオテクノロジー関係の分野あるいはまた関連分野への展開という形で、この間も中央研究所で医薬品のユビキノンというのですか、心臓薬あるいは香粧品というようなものがあったのですが、ここら辺のところはどうですか。ちょっと今聞き漏らしたのですが、どうお考えですか。
  148. 長岡實

    長岡説明員 中央研究所で研究しております課題の一つに、ただいまおっしゃいました心臓の薬であるユビキノンの開発の問題がございます。これは葉たばこからユビキノンができるということはわかっておるわけでございますけれども、これをいかにコストダウンをして商品化し得るかというのが一つの課題でございまして、その課題に今真剣に取り組んでおりますが、目的達成業務として業務範囲が拡大されるときに、このテーマも当然含まれるべきだと考えております。
  149. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、簡単で結構ですが、今総裁からるる御答弁いただきました目的達成事業、これは大臣の認可ということであります。そういった方面への進出については認可をされますかどうか。  それからもう一つは、認可に当たって、先ほど私が申しましたように臨調答申もあるわけでありまして、できるだけ業務範囲の拡大をしていこう、こういうことでありますので、その枠を広げてのいわゆるこれからの発展ということを考えて対処をしていただきたい、こういうふうに私は考えておりますが、これはいかがなものでしょうか。
  150. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今総裁からもお答えがあっておりましたが、私は可能な限りそういうことに応ずべきものである、基本的にはそういう認識の上に立っております。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 なるべくはしょりまして、最後喫煙と健康の問題につきまして一言、私の意見を交えて大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。  喫煙と健康の関係はもう最大の課題だというふうに私は考えております。ところが、非常に不透明な部分も多いわけです。WHOによる「健康か喫煙か」、こういうスローガンに示されますように、たばこの害を訴え拒否する運動というのは、世界的な広がりを今示しているわけです。ところが喫煙と健康の因果関係について、まだ今残念ながら明白な調査結果が得られていないのではないか、こういうふうに思います。それはなぜかというと巨額なお金がかかるから、こういうことなんです。だから、これは本当は厚生大臣か総理大臣に答弁いただきたいんです。どうも政府の態度というのはあいまいじゃないかなというふうに私は思っております。公社公社として病理学的な研究ですか、今一生懸命やっていらっしゃる。二億何千万でやっていらっしゃる。ところが厚生省の方は助成金をちょっと出しておる程度で、実質的にはノータッチじゃないか。私は、今回新会社へ移行するということであれば、やはり本当に国民の信頼するに足るデータを出して、喫煙と健康という問題について国民の信頼というものを得ていかなければならない、こう思いますね。  だから、これは私の本当に個人的な意見ですが、そういった両省の枠を超えてといいますか、あるいは大蔵省あるいは専売公社あるいは厚生省ということじゃなくて、やはり中立的な機関を設けてやったらどうだということ、これは極論的な意見かもしれませんが、心の中でそういうことを思っております。それができなければ、厚生省というのはもっときちっとやるような方向で国民の信頼にこたえた方がいいんじゃないか、こういうふうに思っておるのですが、ちょっと大臣の所管の範囲外かもしれませんので、私の意見としてお聞きをいただいて、もし御見解があったらお聞かせをいただきたいと思います。
  152. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはやはり私、所管大臣として当然重要な関心を持つべきものである、まずそういう前提の上に立つべきだと思っております。  いつも感ずるのでございますが、またそういう質問もございますし、たばこを売って、なかんずく国際競争力をつけて利潤を追求していこうという新しい会社の中で、たばこと健康ということを一生懸命でやると、どうしても外から見れば利潤の追求の方が先行して、その分はつけたりになるのじゃないか、こういう議論もよくお伺いいたします。その限りにおいては、厚生省がまさにこれは公衆衛生あるいは医学的見地からやるのがより正しいではないか、そういう議論もございます。したがって、今の御提案は、素直に解せば、私どもが今政府部内において詰めるべき問題が多いという認識の上に立っているのと意見を等しくするんじゃないかと思いますので、重要な課題として、私どもとしてこれは検討さしていただきたい、このように考えております。
  153. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最後に文部省、来ていらっしゃいますか。——簡単にお聞きしておきますが、私、名古屋でございまして、先日こちらへ上京する折に、新幹線の待合室で、どこの高校か知りませんが、ある修学旅行の高校生の一団と会ったわけなんですよ。そしたら、待合室の中で集団的に、何十人というほどじゃないけれども、十人か二十人近い高校生がたばこを吸ってたわけですね。本当は私も注意したければいかぬわけですけれども、何か恐ろしくて、正直言いまして、よう注意しなかった。私もあかんなと我ながら思ったわけです。先生がすぐそばにいるわけです。笑っていらっしゃる。それを見まして、周囲の人のひんしゅくを買っておっても、だれ一人として注意しない。私自身もそうでしたから、私自身も実は反省をしておるわけですが、やはり今はそういう時代に入ったかたということを私思いました。  それで、早速今の未成年者の喫煙の状態はどうかということで資料をいただきました。昭和五十三年から五十七年までに至る小学生から中学生、高校生、大学生あるいはまた有職少年、無職少年、その他とあるわけです。年々こうふえています。三十万台から四十万台、そして五十七年には五十六万二千七百二十人、これは喫煙によっていわゆる警察に補導された人たちだ。これは氷山の一角だというふうにとらえています。本当に今の禁煙教育というものが、一つはいわゆる生徒指導の問題でしっかりとなされているのだろうかという疑問を正直に言って持ちました。やっていらっしゃるということは言われますよ。だけれども、実態がこういう実態だということですね。だから、ひとつそういったことで、どういうふうにこの実態をお考えになって対策を講じていかれるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  154. 中島章夫

    ○中島説明員 ただいま先生御指摘の、高校生等の喫煙の問題はまことに残念なことでございます。  確かに御指摘のとおり、人数はふえてきているわけでございます。ただ、私ども、生徒指導の面からは、実は教科あるいは特別活動等におきまして、たばこの問題、有害性、違法性につきましてはそういった教科領域でも指導するわけでありますが、特に生徒指導におきましては、非行化の第一の兆候であるということで、喫煙禁止、その防止については非常に強く指導するように今日までも来ているところでございます。特に生徒指導担当の先生方の集まり、あるいはカウンセリングの講座等の強化をいたしておりますのと、私、今ここに持ってきておりますけれども、生徒指導のための特別の資料をつくりまして、たばこの有害性あるいはその指導上の問題点、観点等にりきまして、例えばその他の盗み、暴力行為、性非行、オートバイ、薬物といったようなものと一緒にしまして……(柴田(弘)委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)その指導を今進めてきておるところでございます。ただいま御指摘のところもございましたので、その辺、今後一層その指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
  155. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間がありませんので、もう一つ、いわゆる未成年者の喫煙といいますか、これは、先ほど申しましたように、やはり生徒指導という観点から、あるいはまた家庭教育という観点からも私は大事だと思う。決して学校教育だけの問題じゃない、こういうふうに思っておるわけであります。  それからもう一つは、この禁煙教育というのはやはり健康と喫煙という関係からもなされなければならない。当然、小学校、中学校等々で、学習指導要領等々であるいはまた教科書等でもやっておみえになりますが、先般も愛知県のある都市でいろいろ先生を対象に調査をした。そこに持っていらっしゃる本に書いてありますけれども、要するに生理的にたばこは有害だということは大抵わかっているのですけれども、では、真の有害性ということについては、残念ながら教師もそれから生徒もその認識がない。保健体育でやっていらっしゃいますけれども、そういうことなんです。先般も当委員会で、小学生から、香川県の坂出小学校ですか、ひとつやったらどうだという、まあ重大な関心を持っているというふうに御答弁なすったのですけれども、この補導の実態を見ると、やはり小学生も吸っているわけです。で、こういった喫煙と健康の関係についての教育のあり方というものを一層しっかりとやっていくべきじゃないか、小学生まで広げるかどうかは今後の検討課題としても、私はそんな感じを持っておるわけであります。  もう時間がありませんので、簡単でいいですから、お答えをいただいて終わりたいと思います。
  156. 青柳徹

    ○青柳説明員 お答えいたします。  喫煙に伴う健康への影響あるいは有害性の問題につきましては、先般もお答えをいたしましたように、中学校、高等学校の教科の保健体育の中で指導をする建前になっておるわけでございます。そのほかに、先ほども答弁申し上げましたように、生徒指導の観点からの指導というのももちろんあるわけでございますが、子供たちは、健康にどういうふうな影響を与えるか、あるいは健康との関係でどういうふうに考えるべきかというような理論的な学習は保健体育でやっているという状況でございますので、この面での教育をさらに充実をしていくように、関係の先生方の講習会、研修会等を通じまして指導の徹底を図っていきたいと思っております。  なお、小学校の問題がございますが、教育につきましては、御案内のとおり、適時性という問題がございます。いつの段階で、どういうことを、どういう形で教えたらいいかという問題もございまして、御指摘のように、小学校段階でもこれを保健の内容として一般的に取り上げたらどうかという御意見はあるわけでございますが、そういった観点からなおさらに検討していきたい。ただ、個別の問題として、それぞれの地域や学校におきまして、それぞれその状況に対応した指導あるいは個別の指導というのは当然あってしかるべきでございまして、その辺はより効果的に、各学校での弾力的な取り組みというものを私ども期待しておるところでございます。
  157. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  158. 瓦力

    ○瓦委員長 草川昭三君。
  159. 草川昭三

    草川委員 草川昭三でございますが、きょうはお許しを得て、少し観点を変えまして私の方から御質問させていただきたいと思うのです。余り時間がございませんので、文部省の方、今と重複しますので結構です。なお、ほかの役所の方も、もし質問ができませんでしたらお許しを願いたいと思います。  まず最初に、ざっくばらんに大蔵大臣にお伺いをいたしますが、今回の民営化に至ったのは、環境の変化、世界の中でも非常に大きなうねりがあるわけでございますし、それから需要の停滞あるいは海外からの市場開放の要請、そして行政改革の動き等があってこういうことになったわけでございますが、どうでしょう、当初臨調が提起した内容とは随分骨が抜けたという言い方をすると大変恐縮でございますけれども、変わったわけです。臨調の答申に基づいて十分その意向に沿った、自信のある提案がどうか、それだけまず最初に頭から大臣にずばっと答弁をいただきたいと思います。
  160. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この法律案は、今草川さんおっしゃったようなもろもろの背景の中でできたものでございますが、事臨調の答申という観点から見ますならば、報道機関等からも後退ではないかとかいろいろな御批判をいただきましたが、少なくとも開放体制に向かったいわゆる輸入自由化問題と、そしてより当事者能力の発揮できる特殊株式会社にしたということで、基本的な二点というものは貫き得たではなかろうか、私はこういう印象を持っております。
  161. 草川昭三

    草川委員 今も柴田さんからいろいろとお話があったように、大変ハンディをしょって新しい会社がスタートするわけです。私どもも同じ時期に電電の民営化問題というのもそれなりに対応しておるわけでございますが、非常に象徴的な違いがあるわけです。本当にバイオの問題も含めて、新しい意味での発展を新会社に望むことができるかどうか、非常に疑問があるわけでございますが、その中でも一つ大きな海外からの要求という問題について、日米たばこ交渉の経過については私ども承知しておりますから、率直に言って外国たばこのメーカーの今後の展望なり意欲なりというものがどの程度なものか、これを外務省にお伺いしたい、こう思います。
  162. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の件でございますけれども、アメリカは最近の我が国がとりました一連の措置を高く評価いたしておりまして、これからこれまでの日本政府のとりましたいろいろな措置を踏まえまして、アメリカのたばこを一層日本に売り込みたいということで意欲的に考えているようでございます。
  163. 草川昭三

    草川委員 おっしゃるとおり、非常に意欲的な対応で来るわけでしょう。それをどのように日本で展開をされるのかということが私どもも非常に関心があるわけですが、例えば国内の今度の新しいたばこ消費税の関係あるいは地方税の関係等もこれは関係するわけでございます。例えばダンピングというような言葉を使うと恐縮ですが、どこがダンピングかという線ですが、非常に安値攻勢で来た。ところが、ダンピングと認定できればそれはもうまた新しい関税なりその方法があるわけでございますが、そういうおそれは全くないのかあるのか、お伺いしたいと思います。
  164. 太田博

    ○太田説明員 今までアメリカ側が我が方にたばこに関して申してきた主な点は、一つは関税が高過ぎるということ、それからもう一つは流通の面で十分な待遇を受けてないという二点でございまして、これまでに日本政府がとりました措置というのは、そのアメリカの要望にこたえた形になっておりまして、現時点ではアメリカがダンピング攻勢をかけてくるというような兆候はないというふうに考えております。
  165. 草川昭三

    草川委員 例えば将来ダンピングかどうかわかりませんけれども、少なくとも価格で競争してくるという場合に、日本がアメリカにいろいろな自動車とかを売った場合には、当然商務省なり純正中立の国際貿易委員会というようなものがあって、ジャッジというのですか、判断をしてくれるそうですが、日本の場合はそれは通産省がやるのかあるいは大蔵省がやるのか、どこがそういう判断をする役所になるのでしょうか。
  166. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  不当に安い価格で外国メーカーが輸出してきたような場合でございますけれども、ダンピング関税の発動というようなことは考えられるかどうかということでございますが、不当廉売関税いわゆるアンチダンピング関税それから相殺関税、そういいました特殊関税は、外国の不当廉売輸出あるいは補助金つきの輸出等によりまして国内産業に損害が生じるような場合におきまして、国内産業を保護するための制度でございますが、関税定率法とかガットコード等に置かれているわけでございます。製造たばこ輸入自由化後におきましてこれらの諸規定の要件が充足された場合には、不当廉売関税等を発動して国内産業の損害を防ぐということは可能でございます。
  167. 草川昭三

    草川委員 これは自治省にざっくばらんにお伺いをしますが、例の都道府県たばこ消費税あるいは市町村たばこ消費税があるわけですが、今回の消費税は、見てまいりますと従価税率と従量税率の二つになっていますね。価そのものと量でいく。それは明らかに外国たばこの進出の、不当廉売とは言いませんけれども、低価格になっても税収面ではそれで確保しよう、カバーしようという意図があって新しい消費税の税率を決められたのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  168. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 お答え申し上げます。  今回地方たばこ消費税の改正につきましていろいろ検討いたしました結果、課税標準の算定に当たりましては、ただいま御説のとおり、販売価格に応じて負担を求めるいわゆる従価制と、それから消費量に応じて負担をしていただくという観点からのいわゆる従量制の二つを併用しているわけでございます。販売価格に応ずるいわゆる従何割の税率といたしましては、都道府県、市町村合わせまして二二・四%、それから従量割といたしまして一本当たり五十五銭という二つの税率を合算いたしまして税額を計算するという形にしているわけでございますが、この従量、従価の併用の問題につきましては、国税の場合も同じようなシステムをとっておるというような問題もございまして、この問題については特にそういうダンピングというような問題を意識してこういう税率を決めたわけではございません。
  169. 草川昭三

    草川委員 じゃ、それはそれで結構でございますが、問題は、いずれにいたしましても、国際的な背景というのは非常に厳しいわけです。アメリカの方も需要が減っておるわけですから。しかも、日本は規制が非常に緩やかだという意味で、向こうが意欲的であるということはいろいろなところで言われておるわけです。  そこで、私は、国民の健康という意味から、シェア争いが変な形で定着をすることが一番恐ろしいわけでございます。その意味で、今回新しく「注意表示」というのと「広告に関する勧告等」というのが三十九条、四十条に出てまいりました。そこで、問題はこの「注意表示」でございますけれども、「大蔵省令で定める文言を、大蔵省令で定めるところにより、表示」ということですが、この具体的なことをお伺いしたいわけです。ですから、今回は専売公社でなくて大蔵省に開きたいわけです。私、いつもこういう外国たばこを持っておるわけでございますが、諸外国は、たばこの表示については、例えばタール分が何%だとか非常に明確に書いてあるわけです。アメリカの場合でも公衆衛生局長が、これは体にとって非常に危険ですよ、有害ですよという言い方をきちっとしておるわけです。先ほども青少年の喫煙防止のことについて意見が出ておりますが、例えばこの有害表示について、青少年の喫煙防止について警察庁あたりはどういう対応をとっておるのか、本法案について大蔵省なり担当の方に何か申し入れをした事実がないのか、お伺いしたい、こう思います。
  170. 山田晋作

    ○山田説明員 青少年の喫煙につきましては、少年警察活動の分野でも大変問題が多うございまして、昨年中喫煙で補導した少年の数をとりましても、五十九万九千七百七十四人、約六十万人でございますけれども、こういった未成年者を補導しております。  この法律の関係でどういうふうにするかということでございますが、私どもとしましては、これまでも未成年者喫煙禁止法でいろいろと検挙もしてまいりましたし、補導もしてまいりましたが、このたびのたばこ法案に関しましても、広告を行う者は、未成年者の喫煙防止にも配慮すべきこととされ、それからまた広告の指針が定められ、違反した者に対する勧告及び公表の措置が規定されるというくだりがございます。この件につきまして大蔵省の関係の方といろいろお話しいたしましたが、私どもとしましては、未成年者の喫煙防止の方向に向けた内容のものと承知いたしておるわけでございます。今後この指針が作成され、あるいはまた勧告、公表といったようなことが行われます場合には、警察庁といたしましては、少年の健全育成の観点から気づいたような点がございましたら、必要な御意見を申し上げるということで臨みたいと思っております。
  171. 草川昭三

    草川委員 もうちょっと簡単に……。  今度の注意の文言に青少年の喫煙防止に関する文言を入れてくれと言ったのか、言ってないのか、はっきり言ってください。簡潔に言ってください。
  172. 山田晋作

    ○山田説明員 ケースに注意表示をするという点でございますけれども、この点につきまして、私どもとしましては、何か書いていただければそれにこしたことはないわけでございますけれども、いろいろな事情もあろうと思いますので、今後大蔵省の方々と検討を続けていくということにしてございます。
  173. 草川昭三

    草川委員 大蔵省は、そういう青少年の犯罪について何か文言を入れるということを聞いておるのですか、聞いてないのですか。お答え願いたいと思います。
  174. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 三十九条の「注意表示」の関係につきましては、特に私どもが意識しておりましたのは、まさに法律にもございますように、「消費者に対し製造たばこの消費と健康との関係に関して注意を促すための大蔵省令で定める文言を、」こということでございますので、このとき認識しておりましたのは、まさにそういった観点から議論しておったわけでございます。  ただ、ちょっと御質問からそれると思うのでございますけれども、私どもといたしまして、決して未成年者喫煙禁止という問題について等閑に付していたわけではございませんで、広告規制の場合においてもそういうことを念頭に置いておるわけでございますし、それからまた、小売販売業の取り消し要件の中にも、新たに未成年者喫煙禁止法第四条の規定に反して処罰された場合には小売販売業の許可を取り消すというような規定を設けているところでございます。
  175. 草川昭三

    草川委員 外国の例を持ち出すのもいかがなものかと思いますが、アメリカではつい最近、喫煙は肺がんや心臓病を引き起こすというので、新しい法律が成立しようとしているわけですね。特にアメリカの下院エネルギー委員会、ここで全員一致で、喫煙は肺がんや心臓病を引き起こすといった非常に厳しい四通りの警告を、それぞれ順次たばこの箱に掲示しようというようなことになっておるわけです。四種類の警告を三カ月ごとに順番に明示しなければいけない。その内容は、喫煙は肺がん、心臓病、肺気腫を引き起こす、あるいは今喫煙をすれば健康に及ぼす重大な危険は大幅にふえる、妊婦の喫煙は胎児を傷つけたり未成熟出産をもたらす可能性がある、たばこの煙には一酸化炭素が含まれている、そういう警告を出せということで非常に明確なんですね。この点について厚生省はどうでしょう。こういう流れの中で一体厚生省はどういうようにこの三十九条に対応しようとされるのか、お伺いしたいと思います。
  176. 大澤進

    ○大澤説明員 お答えいたしたいと存じます。  厚生省といたしましては、もちろんたばこは一般的に健康に悪影響を及ぼすものと考えており、三十九条関係につきましては、国民の健康保持の観点から、各種の研究等々の蓄積、そういうものに応じて今後さらに検討の余地があるものと考えております。
  177. 草川昭三

    草川委員 ちょっと待ってください。検討の余地があるというのは、今の、ただ吸い過ぎは悪いよ、健康に注意しろというんじゃなくて、もっと具体的なことを言いたい、こういうことですか。
  178. 大澤進

    ○大澤説明員 たばこと健康の関係、いろいろな研究があるわけでございますが、これらの研究の蓄積、推移に応じて、その内容に応じて今後さらに検討の余地がある、こういうぐあいに申し上げたいと思います。
  179. 草川昭三

    草川委員 それはぜひ検討結果を発表してもらいたいと思うのです。例えば喫煙の健康に及ぼす影響、あるいは特に最近受動喫煙、間接喫煙の問題が触れられておるわけでございますし、我が国でも特に妊婦や未成年に対する影響は非常に強いというデータが出ておるわけですが、こういうデータの上に申し入れをする、こういうことでよろしゅうございますか。
  180. 大澤進

    ○大澤説明員 今妊婦とか未成年等のたばことの関係というものも研究結果が出ているわけでございますが、いろいろな研究についてすべてが明らかになっているわけではございませんので、今後さらに研究、検討を進めて、その上でこれらの注意表示についても、内容の結果によって検討すべきであるという申し入れも考えております。
  181. 草川昭三

    草川委員 これは新しい会社にも申し上げたいわけですが、御存じのとおり、アメリカでは今申し上げたように非常に厳しい規制あるいはそういう文言が入っているわけです。ところが、今度日本に来る場合は日本のシステムで注意表示になるわけでしょう。そうすると、それはうんとやわらかくなるわけです。やわらかくなるということは、日本で売ればどんどん売れますよ、こういうことになりますね。そういう考え方のもとにアメリカたばこ日本に上陸をし、第四十条の「広告に関する勧告等」という項目に入りますけれども、広告、宣伝等を向こうなりに相当積極的にやってくることを予想せざるを得ません。私どもにしてみれば、先ほどもお話が出ましたけれども、その宣伝が青少年あるいは女性、そういうところが格好がいいからたばこを吸うというような形で宣伝になってくる。またそれに対応して民営会社も、今度はもう厳しいわけだから、とにかく売らなければいかぬという売らんかなの宣伝ということになってまいりますと、一体日本は文明国家がどうか、こういう基本的な問題になってくると思うのです。  だから私は、この広告に関する勧告も、ただ単に過度にわたるかどうかという——一体その過度のジャッジはどこで決めるのか。それは後ほど審議会で決めるということになるわけですけれども、そんなことよりも、少なくとももうこの際はテレビだとかラジオだとか、マスメディアを通ずる宣伝はしないということを決めて、そして本当に迷惑をかけない範囲内で嗜好品としてやるならやる、あるいはタール分を少なくするなら少なくなるようにする。公社も民営になった以上は、バイオの時代だから新しい方向に行こう、こういう方向を大胆に示すことが実質的に臨調の精神にもこたえる新しいやり方ではないだろか、そして外国たばこの参入をきちっと抑えることになっていくのではないかと私は思うのです。ところが、今厚生省でも警察庁でも、レクチャーのときに聞いておる以上に歯切れの悪い御答弁で、一体どういうような意気込みでやられるのかわからぬと思うのです。私はたばこに対する対応が非常に弱いのではないかと思うのです。  私どものようなこういう議論をすると、草川君、そんなこと言うけれども、五十九年度の予算には二兆円を超す税収入がちゃんと予定されているんだよとか、地方だってそう簡単には——やはり吸ってもらわなければ困るよというような御意見がありますけれどもたばこの害による損失ということも、私は厚生省に申し上げたいわけですけれども、少し本格的な損害額というものも計算をしてもらいたいと思うのですね。  ちなみに、消防庁が来ておりますが、消防庁にお伺いをいたしますけれども、最近たばこによる出火件数の推移というのは、十年前あるいは十五年前に比べるとうんとふえておると思うのですけれども、もうアバウトでいいですから、最近の被害総額だけちょっと言っていただきたいと思います。
  182. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 過去三十年ばかりのたばこによる出火件数の推移を見てみますと、昭和三十年には約二千四百件でございました。それが次第に増加いたしまして、昭和四十八年には約一万一千件とこういうことでございます。この年をピークといたしまして、それ以降全火災件数が減ったということもございまして、たばこの出火件数も減りました。しかし、それでも最近の昭和五十七年を見てみますと、件数にして約七千五百件、全火災件数の一二五%でございまして、それによる損害額は約百六十億となっております。
  183. 草川昭三

    草川委員 今のお話にありましたように、これはたばこが原因の出火だけです。ですから、まだ肺がんによる被害を計算すると大変なことになるわけでございますが、たしか厚生省の方の委託調査で、この種の健康の被害について調べられた学者先生がおいでになるわけでございますが、その点についてはどのように承知をなすっておみえになりますか、お伺いします。
  184. 大澤進

    ○大澤説明員 御指摘の研究でございますが、これは国立公衆衛生院の前田信雄社会保障室長が、学術研究者の立場から、喫煙に起因する傷病費用を検討したわけでございます。傷病費用というのは、病気になって治療に要する関係の医療費ですね。これはいわゆる直接費用と申しますが、これが一九七九年の時点でございますが三千九百八十一億円。さらに傷病のために休んだりあるいは最終的に死亡した場合の所得の損失も計算しております。これはいわゆる間接費用と申しまして、傷病による休んだ関係の所得損失が五百九十二億円。さらに死亡に至った場合のこれによる所得損失が一兆一千六百九十八億円。合計約一兆六千億、こういう推計をしておるところでございます。
  185. 草川昭三

    草川委員 これは大蔵大臣、今の数字だけ真剣に考えていただきたいわけです。それで、広告宣伝も、実は五十四年の九億九千百万円から五十八年には二十六億九千五百万円にふえてきておるわけで、これは専売公社実績です。これでアメリカがやってきてますます宣伝をして、みんたがたばこを吸うようになったら、今の被害総額は上がってくるわけです。ですから、これは大蔵大臣、大変恐縮ですが、将来総理の座をねらわれる方でございます。嫌みでも何でもなしに聞いていただきたいのですが、歴代の総理はほとんどたばこを吸われたいのです。安倍晋太郎さんも何か後藤田さんとかけをやって、たばこそのものより体が大切ですからね、よしやめようじゃないかというので安倍晋太郎さんもやめられるそうですから、この隣どうですか、将来の総理をねらわれる方は、今のようだ数字をやはり念頭に置かれて、体を大切にされるように禁煙をお勧めしますが、どうでしょうか。
  186. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私もたばこと健康の話を聞いておりますと、いつも申しますが、ちょうど私の吸います本数が半分になります。やはりその程度は私にも、ある意味における自制心があるのかなと思っておりますが、なかなか自制できないのが現状でありまして、それ以上に、総理などという大それたものになれる器ではなかろうと思っております。
  187. 草川昭三

    草川委員 そう謙虚なお言葉ではなくて、ひとつすっきりと国民の皆さんにも将来展望を示していただきたいと思うのです。  それで、ぜひ過大な広告宣伝だけは、マスコミというんですか、マスメディアの影響は大きいわけですから、くれぐれも厳重な御注意を。今度は専売公社ではなくて、民営舎社ではなくて、大蔵省の判断になるわけですから、十分審議会等の意見を聞いていただきたい。しかもこの審議会には、私は国民の健康を守る立場からの厚生省のメンバーを入れていただきたいと思うのです。だから厚生省としても、こういう審議会にぜひ自分たちの推薦をする学者なりそういう方に入っていただけるような気迫があっていいと思うのですが、どうか、簡単にお伺いします。これはまず厚生省から。
  188. 大澤進

    ○大澤説明員 厚生省としましては、これまでも申し上げておりますように、たばこというのは一般的に健康に悪影響を及ぼすものであると考えておりまして、たばこの広告指針、四十条関係かと思いますが、それを諭ずる場合においても、喫煙と健康についての観点が当然必要であろうと考えております。したがいまして、こういう観点から厚生省の推薦するたばこと健康の問題についての専門家が当該審議会委員として加わるよう図ってまいりたいと考えております。
  189. 草川昭三

    草川委員 ぜひそういうように、また大蔵省の方も受け入れていただいて、審議会のメンバーに入れていただきたいと思います。  それで、この問題についての最後の質問になりますけれども、スウェーデンで肺がんで亡くなった人の訴訟がございまして、その理由に間接喫煙の被害だ、これは職場で行われたわけでございますので、どういうような因果関係を認めたかわかりませんが、労働災害と認める判決がスウェーデンでありました。これは報道機関でも大きく報道されておるわけでございますが、こういうような報道が出てまいりますと、日本でも当然職場の中でいろいろな要求というのが労働者の方からも出てくると思います。使用者側の方も、じゃどういうように対応したらいいのか、それぞれ悩みがあると思うのでございますが、まず労働省に、この「職場の間接喫煙 労災と認定」という報道を関心を持っておいでになるのかならないのか、お伺いします。
  190. 佐藤正人

    佐藤(正)説明員 お答え申し上げたいと思います。  先生御指摘の事項につきましては、私どもも大変関心を持っておるところでございまして、ただいまスウェーデンにおきます労働災害に関します補償制度、あるいは当該判例等につきまして入手をしたいということで、手配を行っておるところでございます。その関係資料を入手し次第、私どもといたしましても内容について研究をしてまいりたい、このように考えております。
  191. 草川昭三

    草川委員 いずれこういう問題は現実の職場の問題になってくるわけでございます。早くそれなりの指導をぜひお願いを申し上げたいわけです。  それと同時に、現在労働省の管掌する法律の中に労働安全衛生法等もあるわけでございますが、事務所衛生基準規則等がございます。そういう内容等も参考にするわけでございますが、労働組合になりますか、労働者にたるのか、個別の勤労者がわかりませんけれども、例えばたばこを吸う方と非喫煙者とのセパレーツというのですか、アメリカの法律にもありますように分離をして仕事をさせてくれとか、あるいは休憩室で分けてくれというような要望が当然出てくると思うのです。そういう場合に、労働省としてはどのように対応を立てられるのか、これもお伺いしたいと思います。
  192. 佐藤正人

    佐藤(正)説明員 間接喫煙が健康に及ぼす影響につきましては、社会的にも非常に関心が高まっているということは私ども承知しておるところでございます。労働省といたしましても、今後関係省庁と連携をとりながら、知見の収集に努めるとともに、事業所におきます自主的な取り組みがたされるよう、今後とも行政として配慮してまいりたい、このように考えております。
  193. 草川昭三

    草川委員 では、これでたばこのことについては終わりたいと思いますが、最後に国鉄に一つだけお伺いしておきますけれども、来年からグリーン車等にも禁煙席というのが設けられる、あるいは普通急行にも設けられるというのが発表されておりますから、それは結構でございます。ぜひそれを深めていただきたいというのですが、ちょっと大臣にも開いていただきたい国鉄の答弁があるのですけれども、実はもう国鉄が禁煙車というのはつくりましたね。当然車庫に入るわけですね。メンテナンスというのですか、修理業務をします。そうすると、たばこを吸った席と吸わない席との違いは何かということを今から答弁をしていただきます。特に、床が汚れていないとかシートが汚れていたいとか、それからいわゆる空調の網目の目詰まりがない。これだけは少なくとも国鉄の車両工場では明確だという答弁がただいまから出る予定でございます。これは経済的な効果ということばはかり知れぬものがあると思います。ぜひ聞いていただきたいと思うので、国鉄からそのような御答弁を願いたいと思います。
  194. 井沢勝

    ○井沢説明員 お答えいたします。  新幹線の喫煙車と禁煙車、これの差でございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、若干の差があるということはありますが、車そのもの、性能は全く変わりがありません。あと、今お話がありましたけれども、例えば空調関係、これは車内からほこりが出まして、それに若干ニコチン系のものがあるということはございますが、これはちょっと力を入れてふくということでございまして、メンテナンスそのものに大きな差があるということは認められませんので、御報告しておきます。
  195. 草川昭三

    草川委員 私の質問に対してえらく否定をしましたが、国鉄と私鉄の違いは、私鉄の経営者は今全部たばこをやめてくれと言っているのです、経済的な効果が大きいから。国鉄の赤字の原因はこれです、国鉄の赤字の原因というのは。そういう答弁ですね。せっかく我々が、こうすれば経済的な効果があるでしょうと言いながらも、今のように、大したことはないよと言うのです。私鉄の経営者は大喜びです。ぜひこういう運動をやってもらいたい、経済効果が違うと言うのです。労働組合も賛成ですね。そこの現状をきちっと一遍反省してくださいよ。私、きょうはこの問題についてはこれで終わりますけれども、せっかく私どもは、そういう経済効果があるじゃないですかと言って呼び水を出しておるけれども、大したことないよ、こういう態度ということだけ記録に残しておきましょう。  以上でこの問題を終わりますが、一つ厚生省に。昭和六十二年に世界の有識者を集めて、我が国でたばこの害についてのシンポジウムが開かれます。これは政府としてもぜひ応援をしてもらいたいということを私ども言っておりますので、前向きの姿勢でぜひ取り組んでいただきたい。その決意だけ厚生省にお伺いをします。
  196. 大澤進

    ○大澤説明員 御指摘の世界のシンポジウムは、第六回喫煙と健康世界会議であると思いますが、この会議は昨年第五回がカナダで開かれまして、日本からも個人で二名参加されたわけですが、その後、この会議の組織より、昭和六十二年に民間組織の共催により日本で開催する要請があったと聞いているわけでございますけれども、現在日本におきまして、財団法人結核予防会、財団法人日本対ガン協会、さらに財団法人日本心臓財団、この三団体を中心にしてこの開催についての準備が事務的に進められているところでございまして、厚生省といたしましても、これらの開催の計画が全体的にまとまり、主催者から正式に厚生省の方にも要請があれば、行政として必要な対応を考えたい、こう考えております。
  197. 草川昭三

    草川委員 どうもありがとうございました。たばこ関係はこれで終わります。  それで、第二番目の問題で酒類販売の免許制度のことについて少しお伺いをしたいと思うのです。  酒類販売の免許制度というのは、御存じのとおり我が国の国税収入の中でも非常に大きく依拠する酒の取り扱いをしておみえになる小売店のことでございますので、御存じのとおり免許制度というものになっておるわけです。この免許は、人的な要件とか場所的要件とか業態、地域別に需給状況を見て運用をされていると思うのです。ところが、小売販売業というのは非常に零細でございまして、大体二百世帯に一軒ぐらいの仕事をやっておみえになるわけでございますが、新規の免許について非常に心配をなすっておみえになります。それで、業界からもいろいろと御意見があるわけでございますし、また、新しい団地ができたときには、需要者のサービス要求にこたえるという意味では、新しい免許がおりることは当然必要だと私も思うのでございますが、最近五年間で一万六千軒ぐらいの新免許が付与されておるわけで、中には乱売というのですか、安売りをするというお店がありまして非常に混乱をする場面があるわけです。  そういうことでございまして、私どもにもいろいろな要望が出ておりまして、免許の付与についてはぜひ慎重な配慮をしていただきたい。あるいは今、卸が直接小売の免許を取って、そして非常に遠距離を輸送をして地域の一つの秩序というのを乱して安売りをするというような苦情があるわけでございますが、主税局としてどういうように実情を把握しておみえにたるのかお伺いしたいと思います。
  198. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 お答え申し上げます。  二点につきましての御質疑でございますが、まず最初が酒販店に対します小売免許付与の際のスタンスでございます。私どもといたしましては、酒税保全の見地から、酒販店につきましては免許制度を採用いたしておりますが、税務署長が個々に小売免許を付与いたします場合には、それによりまして生じます当該地域の需給均衡が阻害されたいかどうか、あるいはまた近隣の既存の業者の方に影響を与えたいかどうかといった点を慎重に検討するように指示をいたしておるわけでございまして、その具体的なあらわれといたしまして、非常に広範は見地から検討いたしますが、その際に、必ず当該地域の酒販組合の意見を聴取をするということにいたしておりまして、十分慎重にいたしておる次第でございます。この点につきましては公開の通達で明らかにしているところでございまして、今後ともそういう方向で運用をしてまいりたいと考えております。  第二点は、卸売免許と小売免許を双方持っております酒販業者がかなり安売りをしているじゃないか、こういう御指摘であるわけでございます。確かに双方の免許を持っております業者がおりまして、卸売免許を持っております場合におきましては生産者価格で仕入れができる、これを小売をするという場合におきましては、全部が全部ではございませんが、そのうちごく一部に、先生御指摘のような安売りをしているというような状況は私どもも把握をいたしております。  そこで、それに対する対策でございますが、そもそも酒類は自由価格でございますので、取引価格は個々の企業が独自に設定をするというものでございます。したがいまして、本来でございますと、これも業者の中で自主的に御解決をいただく分野であるわけでございます。行政指導につきましてもおのずと限界があるわけでございますが、しかしながら、こういった形態がやはり酒税保全の見地から非常に問題があるという認識はいたしておるわけでございまして、特に流通業界におきましてはそれぞれの業態に応じた価格設定、すなわち卸売行為をする場合には卸価格、仮に卸で仕入れましたものを小売で売ります場合には、それに応じた価格というようなことにするようにということで、今現在業界内でそういう自主的な活動を展開いたしておりますけれども、そういった健全な動きに対しましては、行政といたしましても十二分にプッシュしてまいりたいと考えております。特に、先般酒税法改正を御審議いただきました当大蔵委員会の附帯決議の御趣旨も十分に体しまして、正常取引の実現ということに向かいましてさらに格段の努力をさしていただきたいと考えております。
  199. 草川昭三

    草川委員 格段の努力をぜひお願いしたいわけです。  これは大臣にもぜひ聞いていただきたいのですが、どこの地域にも酒屋さんというのはあります。やはりそれなりの資産たり売場面積も持ち、空き箱なんかも置き、まじめに一生懸命取り組んでおみえになりますが、何といっても粗利益というのは少ないわけです。それに対して、卸が直接大量に大型トラックで市場を開拓していくわけです。  具体的な言い方をしますと、私の選挙区には知多半島という半島があるのですが、先っぽに民宿があるわけですと、本来のその地域の酒屋さんではなくて、中心の都市から大型トラックで持ってきまして、ワンパッケージ、あの黄色い箱があるでしょう、あの一ケースをマイナス千円でやるんです。マイナス千円というのは、小売の人にとてみればギブアップなんです。空瓶を受け取るだけのマージンしかないわけです。ですから、これはもう話になりませんから、結局地域の、昔からの伝統ある小売店はギブアップするわけです。  ということはどういうことになりますかというと、じゃ、その卸は自分の従業員かというと従業員じゃなんですよ。臨時に代理店契約で、トラックを持った人間に、とにかくこのトラック一杯やるから行ってこい、こう言うわけですね。それが民宿なんかへ行って、定価マイナス千円でだあっと売るわけです。ずっと並べますから、その近辺の民家の人が一ケース定価のマイナス千円で売ってくれるたら私にも分けてくれ、結構ですよといって、フランチャイズ制とは言いませんけれども、そこで配達から集金から全部一斉にやるわけです。だから、若い連中は朝早くから夜遅くまで一生懸命働いておるわけです。どうして最近の若い人があんなに一生懸命働くかというと、そういう請負契約ですから、近辺の人にも渡して空き箱をもらってくるわけですね。ですから小売店は、じいさんばあさんとか昔からの人は、もう全然勝負になりませんといって細々とやっておみえになる。今のままでいったら、小売店がこのままだったら息子には跡は継がせられないというので、息子の代になるとプロパンをやったりみそをやったりお菓子をやったり、いろいろなことでどうやら酒の販売の免許を守っておるというのが実情なんです。  ですから、その声というのが組合を通じて反映をしなければならぬのですが、まあ結構反映はしておると思いますけれども、率直に言ってまだ弱いと思うんですね。こういう実情をぜひ知っていただきたいし、また一面、今ホテルがどんどんふえておりますけれども、ホテルなどを調べてみますと、全部入札制です。そうすると、やはり地域の小売店は入札には負けるわけです。卸と小売の免許を持ったのが勝つということになります。いろいろな繁華街などへ行きますと、きょうは私、裏がとれないというと言葉が悪いのですが、証拠がないから持ってまいりませんけれども、信じられないぐらい値段の安いウイスキーが出回りをしておるわけです。そういう事実を一回本当に私どももっと的確に皆様方に申し上げて、国税庁の指導を得なければいかぬと思うのですが、国税の方も、税務署の担当官は大変御苦労なされまして、業界としょっちゅう話をしておみえになります。これは承知をしております。御苦労なすっておみえになります。生販三層と言っておりますが、生産者、卸、小売の方々を集めて会議を開こうということでよくやっておみえになりますが、その中には大口消費者をぜひ入れていただかないと、なかなか小売店の保護というのはできないのではないかと思います。  私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、実は委員会は違いますが、牛乳問題があります。牛乳の小売店はスーパーの安売りで、今、ほとんどつぶれました。ところが、牛乳の小売店がつぶれてしまうと、日本の牛乳の総消費量というのは見事に減っていくわけです。スーパーへ行けば百円、百三十円の牛乳があるよといって、お父ちゃん、車で行きましょう。ところが、お父ちゃんの車の都合が悪いときには牛乳がなくたっていいわけですから買わないわけです。戸別配達の場合はそういうことがありませんから一定の量があるわけですが、残念ながら、牛乳は小売店がつぶれ、総消費量が減りました。  お酒も、嗜好上の問題もございますし、大体そんなに伸びというのはないわけですから、せっかく長い間御苦労なすった小売店を、自由価格だから仕方がないよ、大きいところが大口販売をするから当然だよと言うわけにはいかぬと思うのですね。しかも、ビールについてもウイスキーにいたしましても、バックマージンというのがありまして、流通機構が極めて複雑です。そういうことがございますので、十分承知をして対応を立てていただきたい、こう思うので、もう一回答弁を願いたいと思います。
  200. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 お答え申し上げます。  酒類は、一つの商品でありますと同時に財政物資でもございますので、この円滑な流通が行われまして、それぞれの生販三層が健全な経営ができるということが基本であるというふうに考えております。  ただいまの先生の御指摘の点、まさに現在の大きな問題でございまして、先般も中央段階におきまして生販三層の中央団体の会議でその問題が取り上げられました。そういった動きがございます。私どもも、当然そういうことは、その健全な動きとしてプッシュをいたしておるわけでございます。  また、愛知県下におきまして、ただいま先生の御例示の案件がどうか知りませんが、一件だけでございますけれども、そういった形が是正されたという姿も報告を受けておりまして、ただいまの御指摘を旨といたしまして、さらに一層努力を続けさせていただきたいと考えております。
  201. 草川昭三

    草川委員 最後に、輸出入銀行の返済の延期の問題についてお伺いしたいと思います。  経営危機が表面化しています大手の海運会社で三光汽船というのがありますが、この債務繰り延べの問題でございます。この会社は、経常損失が前期五百五十五億、二年続きで累積損は九百九十九億に達している、借入残額が約三千億という大変なことになっておるわけでございます。  運輸省にお伺いしますが、この三光汽船というのは、海運界にあっても非常に特殊な路線を歩んでおりまして、行政指導である海運集約化にも協力しなくて、自主独立の路線を歩んできた会社です。私は、利子補給を受け入れたくて自主独立をするというのはそれなりの経営方針だから、それは問題ないと思うのですが、昨年の春と秋に第三者割り当て、これは時価発行をしたわけでございます。トータルで五百五十億という時価発行による資金というものを証券市場から調達して、しかもそれを造船会社に持たせるとかという、私どもに言わしてみれば一種の高等な錬金術のようなことをやってきておるわけでございますが、とにかくそれが大変な三千億の借入残になり、輸出入銀行に約九千万ドルのお金が残っているというので、返済期限の来た五百万ドルというのはとりあえず返済猶予してもらいたいという言い方で来ておるやに聞いておるわけでございますが、私ども中小企業を後援会に抱えておりますと、ちょっと虫がいいんじゃないか、率直なところ。政府の指導に基づいて集約化をし、国際的な海運会社が行き詰まったから輸銀の手形決済をジャンプしてくれというようなことならわかるのだけれども、どうしてこの会社だけ、言葉は悪いのですが、やりたいことをやる経営で、最後にしりを輸銀に持ってくるのか、こういう素朴な疑問があるわけです。その趣旨に従って、まず運輸省に、この三光汽船というのは今私が言ったような形になっておるのかどうか、その事実経過だけ確認をしたいと思います。
  202. 尾松伸正

    ○尾松説明員 三光汽船についてでございますが、先生おっしゃいましたとおりでございますけれども、御説明いたしますと、この会社昭和二十九年当時には利子補給金、助成を受けたこともございます。しかし、三十九年の海運企業集約には参加いたしません。また、四十三年には利子補給金を全額国庫返納いたしまして、それ以後は、おっしゃるとおり国の助成も受けたければまた監督指導も受けず、独自の企業経営を続けてきた会社でございます。また同時に、相当の船員その他の従業員あるいは船舶も持って、長年にわたって海運業を経営してきた会社でもあります。この海運企業集約に参加するかどうかというのは、一つ経営の判断ですから、強制されるとかなんとかいうことではございません。おっしゃるとおり、最近では相当経営危機に陥っておりまして、私どもの調べているところでも、昨年相当の第三者割り当てによる増資をいたしております。しかし、現時点で海運不況、特にタンカー不況ということで経営危機に陥って会社再建策を推進中である、そういう状況会社でございます。  事実経過だけを御説明いたしました。
  203. 草川昭三

    草川委員 じゃ、輸出入銀行にお伺いしますが、今私が指摘したように、九千万ドルの残に対する返済期限の延期という申し出があるかないかお伺いしたいと思います。
  204. 島田春樹

    ○島田説明員 お答えいたします。  三光汽船から輸銀に対しましては要請が参っております。それは、今後三年間に返済期日が到来する貸付金について返済猶予をしてほしい旨の要請を受けておる次第でございます。
  205. 草川昭三

    草川委員 それに対してどういうような態度をとられますか。例えば、民間金融の話し合いが進めばオーケーをするのか、独自に、民間の方の支援体制が整っても、輸銀としては我々国民のとうとい財政投融資、郵便貯金、厚生年金が原資だからそういうことはできませんよというようなお答えにたるのか、お伺いをしたいと思います。
  206. 島田春樹

    ○島田説明員 今申し上げましたように要請が参っておるわけでございますが、今お話もございましたように、現在民間金融機関が金融支援体制を策定中でございます。この支援体制が完全に固まった段階で、輸銀としての対応を検討するということにしておる次第でございまして、現段階でどのように対応するかということは決定していないのでございます。
  207. 草川昭三

    草川委員 そこで大蔵大臣、これは輸銀の監督官庁でございますから大臣にお答え願いたいのです。私は素朴に、嫌みなく言うわけですよ、今の話じゃありませんが。私どもも随分中小企業を抱えております。政府系金融機関の中小企業金融公庫、国金あるいはその他のもろもろの機関から中小企業は借りております。まじめに働いておる。今日の大企業のいろいろな下請で仕事をやっておるわけでございますが、苦労に苦労を重ね、必ずしもその本人の経営無能力ということでたくて、赤字を出して倒産する場合があります。そういう場合でも、少なくとも政府系金融機関が手形をジャンプするというのですか、繰り延べを認めてくれるという例は、私どもの知っている中小企業ではまずそういう例はありません。こういうことを言ってきたということ自身が、金額が大きければ当たり前だというような世上の認識が行われるとするたらば、まじめに働いた中小企業は救われぬと思うのですね。  極端なことを言うならば、山一証券の日本銀行の救済もありました。いろいろな例があります。じゃ、幾らの金額ならば国は助けてくれるのか、あるいはどういう会社ならば助けてくれるのか、我々のようだ中小企業ではだめだのか、あるいは影響力を持つ、非常に強い政治力を持つ会社ならばそれがまかり通るのか。我々のような野党が幾ら騒いだって、中小企業金融公庫は手形のジャンプをしてくれたというためしはありません。私ひがんで物を言うわけじゃありませんけれども……(「野党だけじゃない、与党でもそうだよ」と呼ぶ者あり)与党でもそうでしょう。それは私はそうだと思うのです。だから、その基準をはっきりしてもらいたい。大体こういう申し出をすること日身が、入り口で断わるのが普通ですよ。あほなことを言っちゃいかぬよ、運輸省さんどうですかといって運輸省を呼んで、運輸省の指導のもとに赤字が出たのだというなら、これは別だと思うのです。その点はどういうようにお考えになるのか、大臣から一回意見を聞きたいものだと思います。
  208. 竹下登

    ○竹下国務大臣 三光汽船の再建問題というのは、現在民間の金融機関におかれてその支援体制というものをまさに鋭意詰めていらっしゃるという状態にあろうかと思っております。したがって、輸出入銀行といえども、今おっしゃいました公的機関という立場は私も十分承知しておりますが、また一方、いわゆる民間金融機関全体で再建の支援体制を協議していらっしゃるときに、一つだけ例外的措置の立場にあるということもやはり考えてみなきゃならぬ。したがって、鋭意やっていらっしゃるというお話でございますので、その結論というものが出た段階で輸銀としては考え方を固められるのではないかというふうに、私はこれを見ておるわけであります。
  209. 草川昭三

    草川委員 その例外的な措置をどういう基準で申し出をすることが認められるか、例えば私が会社をやって赤字になって、私も例外的に認めてくれよということになるのかたらぬのか、その基準が大切ですよということを言いたいわけです。どうでしょうか。
  210. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それはまことに大切なことでございますが、まさにその基準というのは、それこそケース・バイ・ケースにならざるを得ないのではないかな、こういう感じがいたしておるところであります。
  211. 草川昭三

    草川委員 そのケース・バイ・ケースなんていう、それは大臣、三光汽船というものを想定すればそういうことをおっしゃるかもわからぬけれども、国民としてはそれは許されませんよ。ケース・バイ・ケースで助けてくれるのと、ケース・バイ・ケースによって助けられたい。原因は皆あるわけです。まじめに働いていてやむを得ぬという場合があるわけですよ。しかし、私が先ほど申し上げたように、運輸省の指導から離れた経営をなすってみえたわけだから、自主的に自分が立ち上がらたければいけない。また、そのために昨年も一昨年も株の増資をやられた。しかも、株の増資をやったって、内容が悪いから下がるわけでしょう。ところが、持たせた会社の損金として出るとぐあいが悪いから、ちょうど株主総会の時期にたると買い支えがあって、株価というものは上がるわけですよ。そういう錬金術のようなことが許されるということは、私は、こういう近代工業国家の中ではレアケースとしても許されぬ、もっとみんたが悪いことを考えると思いますよ。私は、これは一つのモデルとして毅然とした判断を示していただきたい、こう思うのですが、どうですか。
  212. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 大臣のお答えになる前でございますけれども、先ほど先生が御指摘になりました、中小企業関係いたします返済猶予のことでございますが、先生の御質問があるいはこういうことに関連するのかたと思いまして調べてまいったので、詳細は明らかではございませんけれども、国民金融公庫、中小企業金融公庫、環衛公庫、農林漁業金融公庫など、数千から数万にわたりまして毎年度返済猶予をやっております。この場合には、借入人の状況、それから担保の状況あるいは再建計画その他総合勘案いたしまして、政府系金融機関として、なるべく中小企業金融等に対応しているところでございます。直接のお答えではございませんけれども、そういう措置は講じております。
  213. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私もこの問題は詳しく知っておるわけではございませんが、輸銀がいわゆる融資いたしました際は、例のドル減らしの段階ではなかったかというふうに考えておりますが、基本的にこれが好ましいことであるという感じは私も持っておりません。ただやはり、これだけの金融機関の方が精いっぱい今、再建策を模索というよりも、一歩も二歩も出た段階で鳩首協議をしていらっしゃる段階でありますので、私どもとしては、その策定計画の推移を見た後輸銀が判断されるということで、現状はやむを得ない措置ではなかろうかた、こういうふうに考えております。
  214. 草川昭三

    草川委員 もう時間がございませんのでこれで終わりますが、今大臣は簡単に、やむを得ない措置だとかいろいろなことをおっしゃいます。それは確かに、一千億近い累積赤字を抱えたのを知らぬ顔てきたい、影響力が大きいという意味でもそれは十分わかりますが、では、はっきりと責任者を出してもらわなければいけませんね。国の指導に反し、自主独立をし、そしてこういう結果になり、国に迷惑をかけるわけでしょう。しかも、そういう企業に大変影響力を持った方がお見えにたるわけですから、そういう方々にはっきり責任をとってもらったら、世間は納得するかもわかりませんね。そこら辺のことは十分考えてやっていただきたい。  同時に、銀行局長がおっしゃいました。確かにそういう面がありますけれども、それはもうほとんど肩がわりをするような優良な担保物件がある、保証人がある、そういう条件でなければ、政府系金融機関は絶対手形のジャンプはいたしません。それだけは明言を申し上げておきます、これは実態でございますから。それだけ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  215. 瓦力

    ○瓦委員長 玉置一弥君。
  216. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 三巡目でございますから、大体すべての項目が、どなたかが質問された内容に該当するというふうにも思います。それで、まとめという意味もありまして、今までの問題点を特にある程度絞ってお伺いをしていきたいと思います。  今回のたばこ法案は、特に、開放経済に対する合理化輸入自由化あるいは国際価格競争力確保という面から新会社に移行するということでございました。いろいろな説明書きを読んでおりますと、どうも、公社だと自由な活動ができない、そして、新会社においては自由な活動ができて、これが経営形態を改組した後合理的な企業活動というものに取り組める、何となくこういうような感じで聞こえるわけです。そしてもう一つは、商法が適用される会社であり、組合員の方につきましては労働三法が適用される、こういうことになるそうでございます。そういう意味から見まして、果たして今出ております法律このままでまさにそういうことが守り切れるかどうか、こういうことをもう一回確認をしていきたいと思います。  新会社に移行いたしますと、当然企業としての努力はございますけれども、今全般にたばこの消費停滞、まさに横ばいの経済の中とは関係ないとは思いますけれども、いろいろな医学的な文献が発表されましたり、嫌煙運動というものもあるようでございますし、そういうような中でほぼ横ばい。五十年代に入りましてから、マイナスがあったり、プラスでも一・幾つという非常に少ない数字の伸び率しかないということでございますし、また、喫煙省の率がだんだんと低下をしている。こういうことからいきますと、まあたばこというのはこんたものだろう。竹下先生流で言いますとアバウトという言葉がありますけれども、大体こんなものだというような感じがするわけです。ここに今度は、開放経済ということで、ビッグスリーと言われる三社が入ってくるわけでございまして、競争力がなければシェア低下ということは、おのずから数量減というような形にたらざるを得たいというふうに思います。大蔵省からすると、国内のたばこの本数さえそろえば、財政的に十分財源が確保できるということになるわけでございますけれども、一方では、今度の新会社の株主でございますから、そういう意味で配当に影響してくるということにもなるわけでございまして、これが新しい会社に移行した後の問題点として大きく出てくるのではないかというふうに思います。  それと、今までいろいろな話の中で、聞いておりますと、どうも価格競争力が弱い、こういうことをかなり力説をされておりまして、現在の体質では、今のビッグスリーに対する価格競争力として耐えることができないような感じを受けました。これが逆にシェア低下ということで、国内たばこの産業全体に影響するということになります。それから、新会社が、まだ民間とまで十分いっていないわけでございますし、公社のように年度計画で動くというような体質がまだ当分続くのではないか、こういうことを考えるわけでございまして、これがすぐ新しい対応ということで、短期、要するに時間の短い間に結論を出して動けるかどうか、こういうことがあります。それから葉たばこの問題。問題はこれだけあるわけでございまして、まずこれを一つずつ究明をしていきたいというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、企業としての経営ということに今度はなるわけです。今までもそうでございますけれども、まさに今度は民間会社とほぼ同等の企業経営ということになるわけでございまして、的確な状況判断を持って経営に責任を持つ、そして機敏に対応していく、いろいろだ条件がございますけれども。そういうことからいきますと、特に従来から問題にたっております企業の自主性、この辺がどこまで確保されているか、これが、この法律が最初出てまいりましたときからの問題点だと思います。そういう意味で、自主性を確保するための内容、これをまずお伺いしたいと思います。  その内容は、まず一つは、許可認可というものが新会社にもございますけれども、大蔵省が許可認可をするその項目と基準、これをまず説明をお願いしたいと思います。
  217. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在、日本たばこ産業株式会社法におきまして大蔵大臣の認可にかかわります事項というのは八件あるわけでございます。そのほかにたばこ事業法上、例えば一般の卸売業者とかあるいは特定の小売販売業者とか、そういう面からいくものが幾つかございますし、また事業法の中にも、今回の政策目的にかんがみまして、今回のたばこ産業株式会社だけに適用される認可事項も幾つかあるわけでございますが、今おっしゃった点からいたしますと、会社法にございます八項目が大体問題かと思われます。これにつきましては、今回の専売制度改革の趣旨が、来るべき国際競争に備えまして合理的企業経営を最大限可能とする政府関係特殊法人とするということからいたしまして、いわば既存の特殊会社等と比較いたしましても必要最小限の規制であるということで考えておりますので、このことによりまして企業経営の自主性が阻害されるというふうには考えておらないところでございます。
  218. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 八項目あるのはわかるのですけれども、判断基準といいますか、どういうときにどういう判断をしてどこであればいい、そういう目安というか、そういうものがあれば——あればというか、たければ困るのですけれども
  219. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 それぞれの項目についてでございますが、例えば第二条で、会社が新株を発行しようとするときあるいは転換社債あるいは新株引受権つき社債を発行しようとするときは認可を受けなければならないわけでございます。この認可につきましては、本来会社の資金調達という面からいたしますと、それは機動的、弾力的と申しますか、適時適切にだし得るということが望ましいわけではございますけれども、一方で新株の発行ということは株主構成の変動を伴うとか、そういったような意味で、会社の基本的構造に影響するという意味から認可対象としているわけでございまして、そういったようなことを全体として判断したから行うことになろうかと思います。  そういったような意味で、それぞれの認可事項につきまして具体的な基準というものがある。例えば——どういうふうに申し上げたらよろしいかと思うのでございますけれども、例えば事業法にございますように、小売販売業の許可基準というような形ではっきり申し上げられるというものよりも、むしろ例えば今の新株発行の問題でございますとかあるいは会社目的達成事業の認可でございますとか、ケース・バイ・ケースと申しますか、そのときそのときに応じまして、今回の会社法を本来の趣旨に従って判断していく、そういったぐいのものがむしろ多いかと思っております。
  220. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今のお話を聞いていますと、項目ごとにはまだそう煮詰まっていたい、ただいわゆる許可基準とかそういうものについてはあるわけですね。認可については、逆に言えば構成要作というか、ある程度条件がそろって、状況判断というかそういうものが加味されるということで、文章でこういうふうに規定をするというものはたい。だから、今お話を聞くと、何となく全然ないような気がするのですけれども、本当は許認可というのは基準を明らかにしていかたいといけないということがあると思いますし、また判断基準、人がかわれば変わるということでは非常に不安定な状況になるわけですから、その辺を特にお願いしたいと思います。これはまだずっとこれから先の話だと思うので、整理される段階でお願いをしたいということをまず申し上げておきます。  それから、今の認可の中で、取締役の選任、解任、この辺も含まれているように話を聞いております。私たちがいろいろた企業活動を見ておりますと、例えば経営者のトップの方、こういう方が取締役を自分で選べないといいますか、ある程度人選をされると思いますけれども、向分がこうだというふうに思ってもそのままで進まだい。場合によってはよそから押しつけられるというか、こういうふうな形でやらざるを得たいときも間々あるわけでございます。そういうときに、果たして経営者が任されたことに対して十分自分の力を発揮できるかどうか、こういうことに疑問を感じるわけでございまして、我々の方で検討している中でも、この代表取締役だけでいいのではないかというふうな話もかたりございまして、この辺について大蔵大臣のお考え方を聞きたいと思います。
  221. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは再三この場でもいろいろだ御議論をしたわけでございますが、いわゆる取締役の選任決議、それについて大蔵大臣の認可を受けなければその効力を生じない、これはおっしゃるようにそうなっておるわけであります。それで、この新会社が我が国たばこ産業の健全な発展を図るという使命を担った法人であるということにかんがみまして、業務執行に関して新会社の意思を決定する機関、それが取締役会である。だから、取締役についてはやはりその適正さを確保するという観点から大臣のそういうことにしまして、そこで、代表取締役は取締役会が自主的にその中から互選して選はれる、こういうわけですから、要するに、その目的を達成するための一番大事な機関は取締役会である。それで、その自主性で今度は代表取締役が選ばれていくということ、取締役会の自主性と責任にゆだねるという意味において、その方が一番現実的ではないかな。これはたびたび議論しておると、あるいは見解の相違と言えばそうも言えぬことはたいたという感じが私もしておりますが、要するに取締役会という機関そのものが責任を持つという意味においては、それが認可にかかって、むしろその自主性で代表取締役さんが今度はできていく、そういう方向の方がこのたばこ産業株式会社については一番適当ではないか。それで、私もこの議論はしながら、いつもある意味においては見解の相違とでも言えるかもしらぬなと思いながらそういうお答えをしておるわけで、これが私の素直な気持ちでございます。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  222. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 最近の取締役会というのは形だけで、ほとんどが常務会なりあるいはもっと上の方で決められるというのが常道でございまして、普通の一般の会社だと取締役会で取締役の方が発言をされるというのはまずないわけです。そういう状況から見ると、代表者だけ選んでおけば、あと大体その人に任せるのですから、それでいいではないかという感じがするわけで、取締役全部に目を通すということでは信賞必罰もなかなかやりにくいのではないかというような感じがするわけです。例えば、ほとんどないと思いますけれども長岡総裁がそのままで代表取締役になられるということがあったとして、例えば自分が一応目を通しますけれども、半分くらいが横からわあっと押し込まれて、これはだめだ、だめだともしなった場合、果たして長岡総裁が代表取締役としてそのまま自分の力を発揮できるか、こういうことが考えられるわけですから、その場合について、長岡総裁としては、それでもできるかどうかということ、大体自分の状況から見て、今の公社から新会社へ移った場合に、長岡総裁がなられるということではなくて、想定をされてお話しいただきたいと思います。
  223. 長岡實

    長岡説明員 私も会社の勤務の経験がございませんので、外から見ている印象のようなことになりますけれども会社の代表取締役社長というのは、大変な権限を持っておると思います。公社総裁の比ではないと思います。その大変な権限を持った代表取締役を、会社の幹部が選ぶのではなくて、監督を受ける大臣の認可によって選ばれるということと、それから並び大名という表現は悪いかもしれませんが、会社の取締役会を構成すべき人たちの顔ぶれについて、監督大臣の立場から一応それをごらんにたって認可をするけれども、しかしその中で、絶対権限といったようなものを持つ代表取締役は君らの中で民主的に選びなさいというのと、どちらが、何というか、会社にとって監督官庁からコントロールされる度合いが強いのかというのは、これは先ほど大臣からもおっしゃいましたけれども、私も全く同じように二つの見解があり得るというふうに思っております。  私といたしましては、この法案の審議をお願いいたしております立場もございまして、この法家の方式であっても、代表取締役社長にたられるべき方が会社の運営に責任を持てなくなるということはたいのではないかというふうに考えております。
  224. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 仕事は当然代表取締役だけではできないわけでございますから、会社一丸とたってやるわけですね。権限委譲というのはかたりあるわけで、各ショップそれぞれ責任を持たされる、その責任を持った方が上を見るか横を見るかということで、大分またこれは進行状況が変わってくるわけで、本来でありますと、命令系統に従って上を見るというのは当たり前のことですけれども、自分の選任権は社長にないんだということになりますと、どうしても親元を見るということになりまして、親元の意向で動くということになりかねない。こういうことで経営が本当にできるかどうかという心配もありますから、そういう面でこれはやはり親元を見て、もとの号令を発する人が指揮官として注目されるという形態をとらないと、例えば会長、副会長、社長とかいろいろいる会社がありまして、そういうときでも、どれを聞いていいのかわからないというのがよくあるのですね。そういうことになりかねないわけです。それを思うと、まさに全体を選ぶということではなくて、一人に任せて、その方が取締役を選ぶという形にした方が会社としてのまとまりができる、仕事もやはりスムーズにいくということになるのではないかということで、非常に心配をしているところでございます。ぜひお考えをいただきたいと思います。  見解の相違もあるそうでございますから余り言いませんけれども、一般的に見ていろんな状況で失敗しているのは今のケース、法律に出ているケースなんですね。そういうところから見ると、法律に出ているケースが悪い方にいくという心配をしておりますので、ぜひ、まだ時間もございますから、十分考えていただきたいと思います。  今の話と関連がございますけれども、大蔵省、主務官庁としての権限がございますし、株式も当分の間は全額保有、そして三分の二、二分の一というふうに、最後でも二分の一保有ということになるわけです。今度は大株主としていろいろな立ち入りができるわけです。今、規定では許認可で、あとはフリーだということにたっておりますけれども、許認可事項以外について、新会社に大蔵省として立ち入ることがあるのかないのか。株主権限がありますから、そういう意味で、今の法律に記載されてなくても、会社法なりいろいろな法律で逆に株主としての権利があるわけですから、その辺についてどういうふうに行使をされるのか、お伺いしたいと思います。
  225. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  会社法におきましては、一定の政策目的を担う会社であるということでございますので、政策目的の遂行を担保するため常時二分の一以上、当分の間は三分の二以上でございますが、政府に株式の保有を義務づけておるわけでございまして、したがいまして、ただいま先生が御指摘ありましたように、新会社大蔵大臣との関係を見ますと、一つには、大蔵大臣には片やこのような政府の出資部分を管轄する国庫大臣としての立場、つまり株主としての立場と、会社法に規定するところによって、会社を監督する監督大臣としての立場、別な言葉で申しますと主務大臣としての立場、この二つの立場があることはそのとおりでございます。  株主権の行使につきましては、これはただいまお話がございましたように、まさに商法に基づいて行われるわけでございますが、御存じのように、商法というのは所有と経営の分離と申しますか、そういう原理に基づきまして経営の自主性を図るとともに、一方では、その株主の財産保全との間の調整を講ずるということで、いろいろ株主総会の議決事項とかいう規定ができておるというふうに存じておりますけれども、そういう意味から申しまして、株主としての大蔵大臣の立場と申しますのは、新会社経営の自主性を最大限尊重しながら、国の財産である出資財産の保全を図る、そういう立場に基づいて行われるものでございますし、他方、主務大臣としての監督と申しますものは、一定の政策目的を担う政府関係特殊法人ということでございますので、その新会社の事業運営の適正さ、つまりは事業法なりあるいは会社法なりの趣旨にのっとった運営が行われているかどうかということを監督するという意味で行われるわけでございます。  なお、会社法におきましては、合理的企業経営を最大限可能とするようにし、また、経営の自主責任体制を確立するという観点から、会社に対する公的規制というのは、先ほど来申し上げておりますように、最小限にとどめておるわけでございますので、例えて申しますと、株主権と主務大臣としての権限の行使というのは、いわば車の両輪と申しますか、両々相まって、新会社の使命である我が国たばこ産業の健全な発展を図るという政策目的の達成を確実ならしめる機能を持っているというふうに理解しております。
  226. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 多分そういうふうに言われるんじゃないかと思ったのですけれどもね。やはり会社の財産管理といいますか、そういう面では確かに必要だと思いますけれども、株主が余りにも介入してくるということになりますと、先ほどの話に戻りますけれども、両方に向いて仕事をしなければいけないということになり、決断が鈍るわけです。だから即決を鈍らせるようなことにならないような対応、これをぜひお願いをしたい。株主と法律の規定と両方あるわけですから、両方ともかなり深く入れるわけです。場合によっては社長と同等の権限くらいあるような感じになりますし、そういう意味で非常に重要なことでございますから、一つの事例研究をしていただいて、どういうときには入って、入らないというようなことまである程度明確に決めておかないと、場合によっては、今小野さんだからいいですけれども、違うしつこい方が今度監理官のかわりになられて、そういう方がねちねちとやられたら、それは新会社もたまったものじゃないわけですね。そういうこともやはり考えておかたいといけないと思うので、そういうことでぜひお願いしたいと思います。  時間が、予定はあと三十分でございますので、ここで大蔵省の方ちょっと御休憩いただきまして、公社中心にやっていきたいと思います。  今の問題点の中で申し上げましたように、価格競争力が大変重要なポイントだ。それから、新会社に移行してからの合理化、全国で行政改革をやっていますけれども、どうも役所のやる行政改革というのは進まないというのが定説でございまして、これがそのまま民間に移行しますと、言葉の飾りで何も進まない、こういうことになるのではないかと大変心配をいたしております。  まず、ビッグスリーと言われるフィリップ・モリス、レイノルズ、BATですか、これだけありましてシェアも大変大きいという話でございますけれども、そのビッグスリーとの価格差なりあるいは企業総合能力といいますか、この辺を現在の公社と比較してどのように感じておられるか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
  227. 丹生守夫

    ○丹生説明員 外国たばこ企業のビッグスリー、まさに大きな会社でございまして、私どもも恐らくこれから競争相手になってくるということだろうと存じますけれども外国企業コストの実態を把握することは、実は企業秘密というようなことも絡みまして大変難しいことでございます。私どもといたしましてもある程度の推定はいたしておりますけれども、的確に申し上げることは実はできないような状態でございます。  ただ、私どもの新しい会社コストを考えます場合に、例えば製造原価というような面でいいますと、葉たばこのウエートが大変高い企業の特性から申しまして、ビッグスリーというような大変大きな企業との間にはある程度コストの差が出てくるというぐあいに存じます。私どもよりもある程度の優位性を持っているというぐあいに考えます。したがいまして、私どもといたしましては、今後コストの低減に向けて生産性向上に一層努力しなければならないというぐあいに考えております。
  228. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 幾らという数字は出なかったですけれども、例えば葉たばこのアメリカの原料日本原料、これだけを比較いたしますと大体二倍ぐらいの開きがあると思うのです、一・七から二倍。配合によって変わってきますけれども、まず目安として考えられるのは原材料。それから、総売上高に占めるたばこの割合が、フィリップ・モリスは六六%、レイノルズは五二%ということで、合理化余地が企業全体としてある。片方、専売公社の場合には、お塩が今度残りますけれども、ほとんどがたばこでございますから、とりあえず当面たばこ合理化をやらなければいけないということになるわけです。  そこで、当面の合理化目標をどこに置くか、これをまとめて簡単にお願いします。
  229. 長岡實

    長岡説明員 当面の合理化月標をどこに置くかという御質問でございますが、私ども公社形態のもとにおきましても、定員の削減あるいは工場の統廃合といったような合理化は真剣に取り組んで今日に至っております。玉置委員も御承知と存じますけれども、ここ数年の間に全国で幾つかの老朽工場を統合して新鋭工場をつくるというようなこともやってきておりますし、定員の面におきましては、予算上の定員についてこの三年間、毎年千人以上定員の削減も図ってきております。そういったようなことで、まず公社自体が機構、定員あるいは設備といったようだ点で最大限の合理化を図っていくということが一つのポイントであろうかと存じます。  そういったような場合に、御質問の中にもございましたアメリカのビッグビジネスであればフィリップ・モリスもレイノルズもコングロマリットであるから、ほかの部門でたばこ部門から出てきた人員を吸収したりというような幅があるだろうという御指摘がございました。その点はまさにそういう面もあろうかと存じます。私どもはもっぱらたばこ産業を運営していく会社でございますから、そういう点においては確かに外国の巨大資本とは違うと思いますけれども、ただ、程度の差はあれ、私どもといたしましては、新会社移行を契機といたしまして業務範囲の拡大も図っていただく、その拡大された範囲の中でどれだけ労働力が吸収できるかといったような問題も念頭に置きながら合理化を進めてまいりたいと考えております。  それから第二点は、何と申しましても葉たばこ農業の部門だと思います。これも私、他議員の御質問にお答えいたしましたけれども、新会社といたしましては、日本葉たばこ農業は新会社原料部門を担当しているんだというぐらいのつもりで考えてまいりたい。そういう意味において、葉たばこ耕作農業につきましてもでき得る限りの合理化と申しますか、いわゆる生産性向上等についての努力を払っていただかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
  230. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 非常にいい内容なんですけれども、どのくらい効果が出たかちょっとわかりませんけれども、確かに今までやっておられたという話も聞きましたし、また今度は公社じゃない形態ですから、そういう形態に組みかえていかなければいけないというふうに思うのです。今の葉たばこの問題はちょっと後に回します。  五十八年、五十九年、閣議で人員削減を決定されております。千二百二十二名と千百十五名ですか、これが状況としてどうなっているか、この辺をまずお知らせ願いたいと思います。
  231. 岡島和男

    ○岡島説明員 五十八年度及び五十九年度人員削減計画の進捗状況でございますが、公社職員の要員削減につきましては、閣議決定によって公務員に準ずるとされております計画削減というのがございます。そのほか、事業量の推移とか今お話の出ておりましたコスト競争力等を考慮して実施しているところでございます。  とんだ内容で人数を積み上げたかと申しますと、まず、もう少し今の中身を具体的に申し上げますと、五十六年度末定員の一%ずつを毎年度削減するというのが両年度ともございます。それから耕作面積の減少に伴う生産関係職員の削減、それから原料工場をやめたのがございまして、それに伴う関係職員の削減、それから製造工場におきまして高性能機械を導入するというようなことによりまして製造関係職員の削減を行う、また輸入たばこの受注事務を配送会社に委託することによりまして関係職責の削減をするというようなことによりまして、五十八年度については千二百二十二人の要員削減を実施いたしました。五十九年度については千百十五人の要員削減を予定しているところでございます。  この実際の削減に当たりましてはどういうやり方でやっているかということでございますけれども公社におきましては、最近数年間におきまして毎年度の退職者数がかなり多うございます。千六百人とか千七、八百人とか、そういう方が退職をされるわけでございます。五十八年度は二千人弱の退職者がございました。また五十九年度も千七百人ぐらいの退職人員が見込まれております。その後補充を不補充にするという形で、五十八年度は確実に予算定員の削減を実施いたしましたし、五十九年度もその退職人員の不補充という形で定員の削減が実施できる、このように考えております。
  232. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 いつも年金のときに問題になるのですけれども、今一番公社の中で人数の多い世代というと四十五、六歳前後かと思いますけれども、こういうので、今新規採用不補充というお話がございましたけれども、これは人員計画からいくと非常にまずいし、年金の負担からいくともっとまずいことになるわけで、確かに定期採用というのは絞らなければいけないことはいけないのですけれども、そう急激に絞らない方がいいのではないかというふうに思います。それはどうですか。
  233. 岡島和男

    ○岡島説明員 ただいまの答弁の中で不補充と申しましたけれども、一部不補充ということでございまして、採用すべき人は採用いたしております。そういうことも考えたから削減をしているということでございます。
  234. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 合理化も社内と社外とございまして、いずれにしても、お金が消費者から原材料までの間にあるわけです。それをいかに有効に活用し、また利益率を上げていくか、むだを排除するかということになるわけでございます。  葉たばこ耕作者のお話がちらっと出ました。本当は時間があればそこだけでぐっとやりたいのですけれども、全般を聞くとして、社外に対して、例えば販売の小売店だとか葉たばこ耕作に対する合理化、これで大体具体的なことを今どういうふうに考えられているか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  235. 長岡實

    長岡説明員 社外と申しますと葉たばこ耕作農業と小売業という関係であろうかと思います。  小売店関係につきましては、直接合理化をしてそのコスト競争力をつけるという角度からの検討ではなくて、若干角度が違ってくるのだろうと思います。しかし、小売店組織が合理的に機能してくれて初めて販売が実るわけでございますから、そういった努力はお願いをせざるを得たいと思いますが、定員の削減、機構の簡素化といったようなコスト節減の努力とは若干角度が違ってくるんじゃないかというふうに思っております。  葉たばこ耕作農業の方につきましては、これは何と申しましても国際的に割高な原料でございますから、日本農業の持つ宿命と申しますか、自然条件の制約はございますけれども、それをでき得る限り克服したから、主産地形成、そして品種の改良といったようなことをあわせて生産性を高めていくのが一点あろうと存じます。  ただ問題は、それ以外に面積、全体の規模の問題がございまして、私どもといたしましては過剰在庫解消努力を懸命にやるつもりではございますけれども最初に御質問に出てまいりましたように、たばこ産業をめぐる環境を考えますと、将来末広がりに発展の見込める産業分野ではないということを考えますと、現在のところ、需給の面からいいまして原料葉たばこがやや過剰傾向にあるということは否定できない事実であると存じます。この点につきましては、昭和五十六年の夏の耕作審議会でも議論になりまして、面積減反の協力を相当葉たばこ農業にお願いをしたわけでございますけれども、来るべき八月末の耕作審議会においても、面積調整の問題については何らかの御協力をお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えております。ただ、過去の経緯に照らしまして、農業にだけしわ寄せをするという形ではなかなか御協力を得がたいと存じますので、その時点までに、私ども公社ぐるみの合理化案についてでき得る限り具体的に詰めまして、そういったようなものとあわせて検討していただくということになろうかと考えております。
  236. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 販売店の関係は、販売マージンが、果たして外国たばことの競合に遭った場合にこれでいいのかという問題と、売れている店と売れてない店はおのずからマージン率が変わってくるかと思いますし、商品も、今は何かたばこの商品券というのですか、そういうのが出ていますけれども、こういうものをもっと変えていったらどうかとか、販売店が持つ在庫量をどういうふうに指導されていくのかという問題。そして今現金買いが原則でございますけれども、その辺の扱い、こういういろいろな問題点があるかと思います。そういう問題点もやらなければいけませんし、集金に対して、たばこ配送が今やっていますけれども、そういうのが本当にいいのかどうか。多分いいと思いますけれども、そういう問題も一つの流通として見ていかなければいけないと思います。それがまた我々の中に話が余り来ないということは、流通段階においての合理化というか、その辺についてはまだ余り手がつけられていたいというような感じがするので、提言という形でちょっと申し上げたわけでございます。  葉たばこの問題につきましては非常に問題が大きいように思います。過剰在庫の問題とか製品原価に占める葉たばこのウエートが非常に大きい、この中をどう究明していくかという問題。そして、今の国産と輸入品の価格差を詰めていかなげればいけない。これは、扱い方によっては会社として本当に力が残せるか残せたいかという大変大きな問題にたってまいりますので、これについて若干残された時間、お聞きしたいと思います。  葉たばこの製造原価に占めるウエートは何%ぐらいですか、簡単に。
  237. 生平幸立

    生平説明員 お答えいたします。  製造原価に占める割合は約六〇%でございます。
  238. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 葉たばこの価格決定のシステムと、価格決定要件といいますか要素といいますか、その辺を簡単にお願いします。
  239. 生平幸立

    生平説明員 現在、葉たばこの買い入れ価格を決める基準は専売法の中に書いてございます。生産費を基礎にしまして、それに物価、労賃、その他需給事情とかそういう経済事情に基づいて耕作者に適正な利益を得させるように決めるという原則が書いてございます。新しい事業法におきましても同じような考え方を書いてございます。
  240. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今価格決定に要しているといいますか値段と量、指示とか作付面積の決定とかいろいろなものがありますけれども、要するに購買部門、資材部門といいますか、そういう部門に携わっている人、値段を決めている人、数量の指示それから農家に対するいろいろな指導とか、そういう方、全部で大体何人ぐらいおりましょうか。
  241. 生平幸立

    生平説明員 葉たばこ生産関係に携わっている人員は約三千名でございます。
  242. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 三千名で十万人の農家を見ていることになるわけですか、価格決定も含めてですけれども
  243. 生平幸立

    生平説明員 そういうふうに考えております。
  244. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちょっと多いような気がするのですね。全部が全部分社で見ようという気になっている、要するに直接見ようということになっているのじゃないかという気がするわけです。その辺が一つの問題じゃないか。例えば十万軒あります農家で、責任農家というかそういう制度を設けて、ある程度委託をするということでそこにいろいろな負担をしてもらう、技術指導なりふだんの連絡とか、そういうこともやらなければいけないのではないかと思います。  今度はもうちょっと絞りますけれども、値段を決めることにタッチしている人数、データづくりも入れて大体その辺……。
  245. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 値段を決めるというのは恐らく鑑定を指しているのだろうと思います。葉たばこの等級を決定する人間ということじゃございませんか。
  246. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 いや違う。葉たばこの等級を決める人間というのはかなりたくさんいると思うのですよね。それと何とか中央会というのですか、それから何か半分ずつやって、あれは基準ですね、基準を決めてそれと比較をする人ですね。それはいいのです。それは決まったものに対してあれですから。だから、農家の、先ほどお話がございましたように生産費プラス物価なんとかとかいろいろいろな要素を調査したり、じゃ総額幾らにしようというふうに決めている人、この人数です。
  247. 佐藤友之

    佐藤(友)説明員 本社の中に生産費調査を担当する係がございますけれども、それが係長を含めて五名でございまして、それから支部局にそれぞれ生産費の調査を担当する職員がおりますけれども、これはもう一年じゅう生産費だけを担当しているということじゃございませんで、その他のいろいろな仕事の中で、その時期に生産費調査を担当するということでございます。
  248. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 十万軒の農家の平均の生活費だとかいろいろなものを五人の方でやっているというふうな感じがするのですね。果たして大丈夫かなというふうな気がするのですけれども、非常に金額は大きいですね。決算で見ると総額四千億円ですね。四千億円の購入費、材料費というのですか、材料費と、それから過剰在庫の原因、この辺がかなり密接に影響するのじゃないか。というのは、各地域、今三千人でしたか、三千人おられて出来高の予測もそんたに狂うのかというのもありますし、そして値段も非常に高いままにずっと置かれておるわけですね。三千人いたら、その人が手伝えばその分だけ浮いてくるわけですから、本当はもっと安くたっていいのではないかと思いますけれども、人をかけ過ぎているということの分野と、そして実際重要な部分については人が少な過ぎる、そういう配分、これが非常にあるように思うのです。品質というのは確かに大事ですけれども、考えようによってはある程度熟成を自動的にやるとか、雰囲気をある程度固めてしまえば安定するというふうなこともありますから、品質は多少違っても、素人考えですけれども、およそ分けておけばいけるんじゃないか。そのくらい割り切っていけば、あと添加するもので変えていけばいいじゃないかというふうに、人手よりも逆に後の方で変えるようなそういう工夫だとか、こういうことが普通の会社では行われるのですね。そういうことが逆に今まで、人が三千人もいるから仕事をつくらなきゃというのであちこち出回る。いわゆる農薬検査員というのは悪い例にいつも出ますけれども、そういうところに行きかけているんじゃないかというふうな気がするので、まず本当に必要な人が必要な仕事をしているのか、その人がやっている仕事が必要か、そういう順番に見ていきますと、かなり要らない仕事が出てくるのではないかと思います。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕  それはおきまして、葉たばこ審議会の構成と位置づけというのは今度の法律でも出てまいりまして、大変心配いたしておりますのは、三千人もおられるいろいろな検査をされたり、指導をやっておられる方、こういう方が言っておられる意見が果たして値段に反映できるか。例えば五名の方は、これはやっておられるのは数字だけだと思うのですけれども、現場を見てやっておられる方は三千名のほとんど大部分なんですね。こういう方がやっておられて、これをやはり値段にはね返していくということ、それで一番適正な値段が本当は決まるんだと思うのですけれども、実際は今の米価のようにトップ同士の話し合いということになりかねない。そういうトップ同士の話し合いの場合に、公社企業としての立場を今度は鮮明に出さなければいけない。ところが、今までは国の農政部分の負担というのをかなりかぶってきたわけですね。転作奨励の中に葉たばこがたしか入っていたと思うのですけれども、あの辺、何かの文書で見ましたけれども葉たばこ生産とか桑、今は需要が伸びたいものばかりに転作を奨励しているのが農林省なんですけれども、これが入るくらい農林省では期待をしているということがあるわけです。今までは公社という立場から国の政策の一部を担ってということでございましたけれども、将来は民営に移管するかもわからないというところですから、やはり企業としての一つの立場を考えていかなければいけない。  このままいきますと、葉たばこ審議会が値段を決めるということにたっておりますけれども葉たばこ審議会というのはあくまでも生産者、農家の立場、そして公社も出ますけれども、そういう関係からいきますと、公社の立場が本当に通るかどうかというのはわからないわけです。ですから、もっと強い立場で、企業の存続をかけるぐらいの意気込みを価格決定の中に持ち込んでいかなければいけないのじゃないか。実製造原価に占めるウエートが六〇%で、大きいわけですから、葉たばこで例えば五%上げますよというと、五%を残りで吸収しようというと、もうとてもじゃないけれども無理だと私は思うのです。即値上げに響いてくる。まだ現状だと価格差というか、関税の問題だとかシェアの問題がありますから、多少値段を上げてもいいかと思いますけれども、実際シェアがどんどん拡大されて二〇%、三〇%相手が入り込んできた、それを盛り返さなければいけないけれども、片方では量が減ったから上げてくださいということになりますと、これは難しい。十万人おられる農家が四百万の生活費、世帯費を構えておられるということになりますと、それを見るだけで、簡単に言えば四千億かかるわけですね。大体そんなものじゃないかと思いますけれども、その四千億が、今度量が出なくても四千億だということになると、たばこの単価というものが高くたるわけですから、製造原価のウエートというのはもっと高くなるということになりまして、悪い方向に行ったならば加速度的に条件が悪くなるということになるわけで、かなり強い意思を持って価格決定に臨む、そしてある程度その意思が通るという審議会がどうかという心配があるわけです。  この辺を私は一番心配しておりまして、どうも全量買い付けだとか作付面積の契約だとか、そういうほとんど現行に近いようだ形での移行でございますから、その辺が本当にこれから大丈夫なのかということで、審議会の位置づけと価格決定に対する影響というか、どういうぐあいに決まるか、その辺をどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  249. 長岡實

    長岡説明員 たばこ事業法によりますと、葉たばこ審議会の構成委員は十一人以内でございまして、耕作者を代表する者と学識経験者から選ばれるということになっております。それは現在の耕作審議会と大体同じでございまして、現在で申しますと耕作者代表が五名、それから学識経験者六名でございます。学識経験者の中にはいろいろの立場の方もおられまして、葉たばこ耕作者の代表の方が葉たばこ耕作者の立場からの意見を開陳し、主張されるのは当然でございますけれども審議会そのものといたしましても、いろいろの角度から耕作者の意見に対しての批判も出まして、大変活発な意見が取り交わされるわけでございます。  最近の例を申しますと、まだ公社段階におきましても、葉たばこの価格というのは相当抑制ぎみになっておりまして、例えばここ一、二年の例を御説明申し上げますと、昨年はお米が一・七五%の値上げでありましたのに対しまして、たばこは〇・九八%、横ばいもしくはちょっと上がったぐらいということで推移してきております。これはやはり議論は議論として大変活発に尽くされますけれども日本たばこ産業の置かれている全体の姿を耕作農家の方々も認識していただきまして、その価格を低目に決めることについて御協力をいただいた結果だと考えております。将来につきましても、当然のことながらそういう方向で考えてまいりませんと、現在既に国際的に割高である葉たばこがさらに割高の割合を高めるということになりますと、これは本当にたばこ産業全体としての国際競争力を失うわけでございますから、その辺は恐らく新会社としては毅然たる態度で臨まれることと存じますし、審議会もそういう価格の決定等については有効に機能してくれるものと考えております。
  250. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今お伺いしますと、五名が耕作者代表で六名が学識経験者ということです。五名は耕作者ですから、大体耕作者の立場に立つと思われます。六名のうち一名がどっちかへ行きますと、これは逆転するわけですね。公社の立場等いろいろな論議をして、学識経験者の六人が六人とも公社の立場に立つとはちょっと考えられないということからいくと、今と同じような状況が残るのではないかという心配があります。  それと、今までこういう問題が在庫過剰に結びついてきたのではないか。毎年毎年の要するに過剰生産分の買い取りが、今の一年分と言われる在庫になったということで、この金利がざっと計算すると二百億くらいあるんじゃないか。維持管理費が大体三十から四十億。黙っていて二百数十億が利益から削られるという形になっておりまして、大変な損失なんですね。全量買い付けの問題もございますし、作付面積の問題もある。それから価格の決め方。この辺が整理できなければ、過剰在庫というのは新会社になっても残るだろうと思います。  ですから、私が申し上げておりますのは、農政は国が負担をする、この姿勢を公社としても打ち出していただきたいと思います。そして、これから企業としての独自の経営に移るわけですから、企業としての分野、これだけに限定をしてこれから価格対策に取り組んでいただきたい。去年は〇・九八%というお話でございましたけれども過剰在庫を一年分も持ったところだと普通上げられないのですね。だから、そういうことで考えていきますと、まだそういう体質が残っているのではないかというふうに心配するわけです。  最後に大臣に一言だけお伺いしたいと思いますけれども、今お話がございました、従来は公社という立場で、国の分も踏まえて葉たばこ耕作に対するいろいろな負担といいますか面倒を見てきたわけです。ところが今度は原材料というふうに単純に割り切って考えた場合に、今までの農政に対する分野、これをやはり分離して国が見ていかなければいけないと思いますけれども、その辺についてどういうふうにお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
  251. 竹下登

    ○竹下国務大臣 結局日本たばこ産業をこれから支えていく、言ってみれば三つの軍団がある、その一つ生産者であり、一つがまさに当事者、組合、そしてもう一つがいわゆる小売店、こういうことになろうかと思うわけであります。その全体の仕組みの中で国際競争力をつけていこう、こういうことでございますから、その全体の仕組みの中で葉たばこ問題というものもやはり基本的には位置づけられるべきものである。純粋農政ということになるとなかなか分離することは難しいわけでございますが、従来とも土地改良をやる、あるいは機械を買うとか融資するとか、これは農林水産省のプロパーの仕事の中で消化していただく。しかし、現在、今まででも支えてきておるこの耕作者の皆さん方の技術革新の問題であるとか、あるいは時には減反奨励であるとかいう問題は、また公社でも従来抱えてこられた経緯もある。だから偉大なる三軍団の協力と調和の中に対応力をつけていこうというのが基本的なスタンスであって、この農政部門との分離、そこへ財政自体が出動していくというのは、今直ちにこれが検討の課題になるべきものではないではないかというような感じがしております。
  252. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちょっとわかりにくいのですけれども、確かに今すぐという問題は難しいと思いますが、企業としての方向が決まってきた段階では考えていかなければいけない部分だと思いますし、また今までは農林省が余りかんでなかった、これが今度は持っていかなければやはり行きどころがないわけでありますから、その辺についてぜひお考えをいただきたい。というのは、私も非常に言いにくいのですけれども、いわゆる葉たばこ農家を攻める側に企業が回るということにならなければ、企業運営は非常に難しいと思うのです。だから、守る側の受け皿をつくっていただかなければ、攻められっ放しで、今十万軒と言われるのが七万軒、六万軒くらいになるとちょうどいい一酒屋さんみたいになりますけれども、そういう形にならないように、どういう規模までやればいいのか、あるいは本当に今十万軒でいいのか悪いのかということも判断していかなければいけないと思います。  それから、ちょっと大事なことを忘れておりまして、一つだけ。これからの合理化は各ショップが一斉に動くということで大変大規模になるわけですし、まだ体質がなれないということもありまして、労使間の話をかなり綿密にやっていかなければ、うまく合理化推進はできないのではないかと思うわけです。お話によりますと、定期的ではないけれども、今でもときどき何となくお話をされているということがありますけれども、労使協議のようなものを制度としておつくりをいただいて、その中で問題点を打ち出していく、それに対してそれぞれの責任を明確にすることが必要ではないかと思いますけれども、それについて御意見をいただいて質問を終わります。
  253. 長岡實

    長岡説明員 現在の公社制度のもとにおきましても、合理化計画を立てますと、それにつきましては組合に話をしまして、十分に協議をした上で実施に移っております。この考え方は、当然のことながら新会社に移行いたしましてもそういう方針で臨むつもりでおりますので、将来の厳しい環境を考えますと、いろいろと合理化の問題について組合と話し合わなければならない問題も出てこようかと存じますけれども、そういった場合には十分に両者が意思の疎通を図りながら問題の解決に当たっていきたいと考えております。
  254. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 終わります。
  255. 瓦力

    ○瓦委員長 米沢隆君。
  256. 米沢隆

    ○米沢委員 答える方も御苦労さんでございます。お互い疲れましたけれども、先般質問いたしました部分の積み残した部分、それから御答弁の中であいまいな答弁に終始した部分、それから玉置委員、安倍委員の質問に関連いたしまして再度確認してみたい部分等を中心にしまして、持ち分の時間内で質問をさせていただきたいと思います。  塩の方から例のごとくに入りたいと思うのでございますが、まず最初に塩専売事業運営委員会についてでございます。今回設置される塩専売事業運営委員会は、日本たばこ産業株式会社内に置かれる取締役会と同様に、いわば塩の公益専売事業を担当する部門の取締役会的なものだというふうに理解をしていいものかどうか。
  257. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  塩専売事業運営委員会を設けました趣旨は、専売事業の運営をたばこ産業株式会社の株主総会、取締役会にゆだねた場合、公共性、公益性の観点から適正に実施されるかについて疑義が生ずるおそれがあるというところから、大蔵大臣が学識経験者の中から任命する委員等から成る運営委員会を設けまして、これに塩専売事業の運営に係る重要事項を議決させることとしたものでございますが、その議決事項と申しますのは、事業計画、予算及び資金計画、弁済期限が一年を超える資金の借り入れ、重要財産の譲渡及び担保への提供、それから業務方法書、この四項目が議決事項でございます。これらにつきましては、通常の会社でございますれば取締役会がその衝に当たるというふうに考えられますので、その限りにおいて取締役会にかわるべきものと言ってもよろしいかと思います。  ただ、しかしながら、今回の法律によりましては別途塩事業責任者というのを設けておるわけでございますが、塩事業責任者につきましては、塩専売事業の実施に関してその業務を総理する。塩専売法で規定する会社の行政行為に係る事項その他大蔵省令で定める重要事項、これは今後省令制定の経過の中において検討していくわけでございます。例えば塩収納価格の決定であるとか、あるいは製塩メーカーに対する買い入れ割り当てであるとか、そういったようなことが入ろうかと思いますけれども、こういうことが塩事業責任者の職務あるいは権限として付加されておりまして、これらの事項については取締役会の権限を制限することといたしております。  したがいまして、運営委員会と塩事業責任者が一体と申しますか、両々相まって取締役会の権限を行使しておる。別の言葉でいいますと、取締役会の機能というものがこの両者に分化しておると言ってもよろしいかと思います。
  258. 米沢隆

    ○米沢委員 この運営委員会というのは、商法との関係ではどういうような位置づけになるのですか。
  259. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 現在御審議いただいております塩専売法の第五章に、今回塩専売事業を会社に実施させるための商法の特例規定がいろいろ置いてあるわけでございます。そういう意味では、商法の特例として置かれるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、部分的に運営委員会の議決事項については株主総会及び取締役会が議決することはできないという形で、その限りにおいて商法の特例であるというふうに考えております。
  260. 米沢隆

    ○米沢委員 運営委員会が取締役会的なものも持っておるという範囲内においては商法の適用を受けるのですか。
  261. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 運営委員会というのは、たばこ産業株式会社が基本的には商法の適用を受ける株式会社でございますので、むしろそれに対する特例規定として設けられたわけでございますから、その限りにおいて商法の適用は排除されておるのだろうと思います。
  262. 米沢隆

    ○米沢委員 この運営委員会は、大蔵大臣の任命する学識経験者五人と新法人の役員のうちから指名される塩専売事業責任者等の二人、合計七人で構成されるということでありますが、この学識経験者五人を入れる理由はどういうことですか。いわば社外重役的な者を入れるという積極的理由についてお伺いしたい。
  263. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、塩専売事業運営委員会と申しますのは、たばこ産業株式会社に塩専売事業という公益事業を実施させるためのものでございます。そういう意味において、先ほど申し上げました四つの項目について、塩専売事業の公益性、公正性を担保するという趣旨から、その運営委員会を置くわけでございますので、事業運営の公正性担保のための制度というふうにお考えいただければよろしいかと思います。
  264. 米沢隆

    ○米沢委員 公正性や公益性を担保するということでありますが、従来までかかる制度公社内にはなかったわけですね。特に今回、公正性あるいは公益性を担保するとの理由で新しい考え方が導入されておるわけでありますが、その理由がまだちょっとわからない。特に株式会社が公益専売事業を担当することの是非等もありという言い方でございますが、塩については日本たばこ産業株式会社の株主総会及び取締役会の影響力行使を排除しておるし、あるいは経理についても区分経理するというような処置がなされておるわけでして、特に株式会社が扱う専売事業について公正性や公益性が損なわれる可能性みたいなものはないのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  265. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 現在もそうなんでございますけれども、従来日本専売公社が塩専売事業を実施しておりました。専売公社時代におきましては、専売公社というのはまさに公益性と企業性の調和を図るという目的で設立された政府関係機関でございます。そういう意味で、塩専売事業という公益事業を担うにふさわしいと申しますか、公社に担わせて全く問題はなかったんだというふうに考えておりますけれども、何分にも今回たばこ産業株式会社に塩専売事業を実施させるというのは、前例もないような話でございまして、私ども内部でいろいろ検討いたしましたときに、例えば新しい塩事業公団とかあるいは塩事業公社というのをつくるべきではないかとか、いろいろな議論をしたわけでございます。そして、現在専売公社が持っておられます塩専売事業に関するノーハウを生かし、かつ現在の塩専売事業をそういうノーハウと組織を持った新しい会社にやらせるのが一番効率的であり、また行革の趣旨にもかなうものであるという判断からこういう選択をしたわけでございます。  たばこ産業株式会社というものは、商法原理によって設立された、いわば営利を目的とする会社である。そのため、ただいま先生の御指摘がございましたように、いろいろな手段を講じて公益性、公共性を担保するということを考えたわけでございます。塩専売事業運営委員会というのもそういう趣旨に基づいて考えたものでございまして、公益性、公共性担保の一環であるというふうに考えております。
  266. 米沢隆

    ○米沢委員 株式会社の中で公益専売事業を扱わせるその法的根拠を今度つくったわけですね。そして、その公益事業をやる際に、いわゆる中立性を保たせるために区分経理をやったり、あるいはたばこ産業株式会社の取締役会とか総会等の影響力を排除しようという規定を盛り込んだわけで、そこまでしてなぜ新たにそのような運営委員会等をまたつくらねばならないのか、それがなくてもやれるんではないか、こう思うのだけれども、どうなんでしょうか。
  267. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 確かにいろいろな考え方があると思います。考え方によりましては、区分経理だけで十分ではないかというような議論も中でしたこともございますし、あるいはさらにもっときつい規制をかけるべきではないかという議論をしたこともあるわけでございますけれども、運営委員会という制度は、名前は若干違いますけれども、いろいろな法人、例えば住宅・都市整備公団であるとか、現在の日本電信電話公社であるとか、いろいろな法人にもあるわけでございますが、そういうものを参考として、公益性担保のための万全の策を講じようという趣旨で置いているわけでございます。
  268. 米沢隆

    ○米沢委員 特殊法人をつくったら何かこういうものをつくらねばならないなんという変な先入観があるのじゃないですか。それぞれの理由があって設置せざるを得ないというようなものがあるかもしれませんが、それはまた後の話にしますが、私は、本来ならば、特殊法人であれば中立を保つために何かこういう運営委員会的なものを、ほかの特殊法人が持っておるから、やはり塩も持たなければならないというような先入観念が入っているような気がするのだな。これはそのほかに何か理由があるのじゃないかな。
  269. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先生から御質問ございましたほかの理由というのは、私ちょっと思い当たらないわけでございますけれども、現在私どもが考えておりますのは、ただいままで私が重ねて申し上げておりましたとおり、塩専売事業の公益性をいかにして担保すべきかということにつきまして、私どもなりに精いっぱい考えた結果でございます。
  270. 米沢隆

    ○米沢委員 ところで、大蔵大臣の指名するこの塩専売事業責任者等の二人は、日本たばこ産業株式会社取締役と兼任することになるのですか。
  271. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  272. 米沢隆

    ○米沢委員 新法人の役員のうちから特に選ばなければならないという理由は何ですか。兼任させなければならないという理由は何ですか。
  273. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ある意味では、塩専売事業を運営させるために、たばこ産業株式会社の中に、何と申しましょうか、一つ会社というか国をつくったというようなところまでの手当てはしておるわけでございますけれども日本たばこ産業株式会社に塩専売事業を委任する以上、その日本たばこ産業株式会社の役員の方の中からしかるべき方を指名いたしまして、その方にやっていただくということが一番適当ではないかと思っております。つまり、塩専売事業を営む職員等もやはり日本たばこ産業株式会社の職員でございますし、それから塩専売事業責任者の職務権限あるいは運営委員会の職務権限以外のもの、例えば人事とか、そういったような塩専売事業の公益性に影響のないような部分につきましては、取締役会の判断が及ぶこともあるわけでございますので、やはりそういう意味で日本たばこ産業株式会社の取締役の中からこれらの方々を選ぶことが一番妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  274. 米沢隆

    ○米沢委員 わざわざ法律で株主総会とか取締役会からの影響力を排除することを決めながら、人事の面でまたそこの中に入ってくる。これは公益性とか、中立性とか、公平性を保つ意味からは逆に矛盾する考え方ではないですか。
  275. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 塩専売事業責任者もしくは塩専売事業担当の取締役の方は、おっしゃるようにたばこ産業株式会社の取締役ではございますけれども大蔵大臣の指名を受けて、塩専売事業を行われるわけでございます。それにつきましては、いろいろ法律上の手当てもしてあるわけでございますし、また、もし非違があったような場合にはその指名を取り消すというようなことも可能なわけでございますので、いわば大蔵大臣の、直接というと若干の語弊があるかもしれませんが、監督を受けるという立場にあられるわけでございますので、おっしゃるような公益性の上からいって問題があるというふうには考えておりません。
  276. 米沢隆

    ○米沢委員 私が申し上げたいことは、兼任をするということは、第四十三条の二項に直接には抵触しないにせよ、四十三条の二項に言わんとする考え方には抵触するのではないかというような意味で聞いておるのです。
  277. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 第四十三条の二項で塩専売事業運営委員会の議決事項が規定してございまして、その本文の後段の方で株主総会及び取締役会の権限を排除しているわけでございますが、それは取締役会とこれらの運営委員会との意思決定が異なった場合に非常に妙なことになると申しますか、業務運営にそこを生ずるわけでございますので、本来、塩専売事業の中立性を担保するための委員会の議決に限ったわけでございますけれども、塩事業責任者につきましても、塩事業責任者の決定につきましては取締役会その他の影響を排除しているわけでございますので、その点につきましては別に矛盾しているというふうには考えておりません。
  278. 米沢隆

    ○米沢委員 日本たばこ産業株式会社の取締役が同じように塩の運営委員会の取締役的なものになる。確かに決議そのものがお互いに影響力を与えるということを排除したけれども、同じ人間がやってきて同じことを議論するんだから、これは独立するとか中立性を保つなんという議論は全然反対の議論じゃないですか、同じ人間が物を言うんだから。
  279. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 日本たばこ産業株式会社の取締役といたしましては、たばこ産業株式会社の取締役会の決議に従って行動されるわけでございますけれども、塩事業責任者あるいは塩事業担当取締役としては、日本たばこ産業株式会社の取締役会の決議には拘束されないわけでございます。むしろ、塩専売法あるいは大蔵大臣の監督に従って適正に執行されるわけでございますから、特段の問題はないというふうに考えております。
  280. 米沢隆

    ○米沢委員 この委員会は、塩専売事業の運営に係る事項として、先ほど申されました事業計画川予算及び資金計画、業務方法書等々四つの重要事項等について議決するというふうに、議決事項がこれは限定をされております。そのほか、この運営委員会がやることは何ですか。
  281. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 四十三条の四項で「委員会は、会社の塩専売事業の運営に関し、塩事業責任者に意見を述べることができる。」という項目がございまして、塩事業責任者に意見を述べるという権限と申しますか、そういう職務を有しております。
  282. 米沢隆

    ○米沢委員 この重要な議決案件の中の事業計画、これは一体どういうことまで決めるのですか。
  283. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 事業計画につきましては、現在公社の方とその内容について相談中でございますが、一般の政府関係特殊法人等の事業計画を参考にして今後詰めてまいりたいと思っております。
  284. 米沢隆

    ○米沢委員 事業計画というのは、概念的にはある程度こういうものだというようなものはできるかもしれませんが、少なくとも事業計画ですからね。いわゆる塩の専売事業をどう運営していくのかというあらゆる観点に立った議論がなされて計画がつくられ、そしてそれが実施に移されていくというたぐいのものだというふうに考えるわけです。  さきの質問で大きな声で申し上げましたように、今塩の専売事業については、今後国際競争力をつけるという意味で自立化体制をどうしていくのか、まさに土壇場のところに来ておるわけです。おっしゃるように、二社はどこかつぶされそうだというところまで来ておるわけでありまして、そういうものの関係者が、いわゆる事業計画あたりがどういう議論の上で、どのように決定されるかということに関心を持つのは当たり前の話です。そういう意味で、例えば今後の自立化体制をどうするかというのは塩業審議会のマターであるかもしれません。しかし、塩業審議会はあくまでも諮問機関であって、いろいろと答申をなされて、こういう考え方でどうだろうかという話で終わり、あとは塩業審議会が出された答申に基づいて、自立化等についてはどの分までことしは組み込もうかとか、どういう格好でこれを執行していこうかという議論は、単に塩専売の責任者だけではなくて、やはりこの運営委員会の議論が必ずなされると思うのです。どうでしょうか。
  285. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 一般的には、事業計画と申しますものはそれほど詳細なものではないというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、確かにおっしゃるように、いろいろな背景を考えながら審議が行われ、議決が行われるということにはなろうかと思っております。
  286. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、先ほど言いましたように、塩業審議会のマターである自立化体制等の問題についても、この運営委員会で審議されることがあり得るということですね。そうではなくて、例えば塩専売の責任者が独断専行的に執行していくということではないわけですよね。
  287. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 私どもが現在考えております図式と申しますか、塩専売事業の運営のあり方というようなものにつきましては、塩業審議会、これは現在の公社総裁の諮問機関ですが、これを新会社になっても塩事業責任者の諮問機関として事実上引き継ぐことを考えておるわけでございますけれども、先ほど先生がおっしゃいました自立化達成へ向けての諸施策につきまして、そういう方針と申しますものは塩業審議会における答申を受けて決定されるというふうに考えております。したがいまして、その枠の中で、運営委員会といたしまして事業計画という小粋と申しますか中枠と申しますか、そういうものをそれぞれの年度について議決されてまいる、それでそういう事業計画という枠内で塩事業責任者が大蔵大臣に対して責任をとりながら塩専売事業の適正な運営を図っていくというのが、現在私どもが考えている塩専売事業の運営のあり方でございます。
  288. 米沢隆

    ○米沢委員 とするならば、やはり先ほど申しましたように、塩専売事業の関係者が、運営委員会の審議がどうなっていくのか、自分たちの気持ちももっとわかってくれという意見を提起する場を与えるというのは当たり前だと思うのです。したがって、確かに中立、公益性を担保するために、例えば学識経験者を入れた運営委員会をつくるとおっしゃるが、その学識経験者の中になぜそういう者が入ることができないのか。どうお答えしていただいたらよろしいのでしょうか。
  289. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 私ども現在、この塩事業運営委員会は、学識経験者と申しますか、広く塩事業に識見のある、また公益専売たる塩専売事業の運営というような事項についてお任せして、公益性に一点の疑いも持たれないというような方の構成を考えておるわけでございますけれども、直接の利害関係者が参加いたします場合には、そういう意味での中立性に疑念を生ずるおそれなしとしないというようなことから、中立的な委員を選ぶというふうに考えておるわけでございます。
  290. 米沢隆

    ○米沢委員 確かに、例えば電信電話公社法とか、あるいは住宅・都市整備公団法とか、日本放送協会法とかには、委員の欠格条項として、利害関係事業者は御遠慮願いたいという向きのことが書いてあります。しかし私が申し上げたいのは、塩というのは皆さん御承知のとおり、今まで専売公社は管理するだけで、実際は工場もつくるところは決まっておるし、元売、流通業者もちゃんと決まっておる。逆に公社とその組織が一体となってこの塩専売事業を推進してきた仲間内だと思うのです。言うならば、この運営委員会が取締役会的なものであるとすれば、逆に生産メーカーは工場部門の代表取締役ですよ。あるいはまた元売さんは、公社の塩専売事業の中では流通を担当する営業担当部長取締役的なものに位置するものだと思うのです。いわゆる電電公社のように、いろいろな業者が入ってきて何か仕事をもらいたいとか、あるいは入札がどうだとか、そういうのはまさに利害関係者と言われるにふさわしいかもしれませんが、塩に関する限り、塩のメーカーとか元売までが、電電公社の言われるような利害関係者と同一の議論ができるのかと私は言いたいのだ。
  291. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 確かに先生がおっしゃいますように、その運営委員会を完全に取締役会にかわるものというふうに理解いたしますならば、現在の塩専売事業の状況、おっしゃいますように確かに製造担当重役あるいは販売担当重役、そういったようなものを含めた取締役会として構成するという考え方もあろうかと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、いわゆる通常の株式会社で考えられます取締役会というのは、塩専売事業におきましては、その運営委員会とそれから塩事業責任者に機能分化しておるというふうに理解しておりますので、この運営委員会の職務というのは、ここに書いてございますように、この四項目についての議決をする。その四項目については、専らその中立性と申しますか、塩専売事業の公益性を旨として議決をするという機能を持っておるというふうに理解しておりますので、直接の利害関係者の方、製造担当重役とかあるいは販売担当重役とか、そういう方を直接お入れするのは必ずしも適当ではない。もとよりそういう運営委員会の中に、製塩メーカーであるとかあるいは流通メーカーであるとかいう方々の御意見が何らかの形で反映されるということは、当然というか、あるいは場合によっては望ましいことと言えるかもしれませんし、そのようなことは今後の運営に中において考えていくべきことかと思われますけれども、運営委員会の構成といたしましては、私どもはただいま申し上げたようなことで考えておるわけでございます。
  292. 米沢隆

    ○米沢委員 運営委員会が取締役会的なものもあり、同時にまた中立、公益性、公平性を追求する立場のものでもある、二面性を持っておるとおっしゃるならば、やはりその五人の中でも、何も五人とも利害関係者を入れるとは言っていませんよ。その中で半分、三人くらいは、いわゆるだれでもが認めるような中立委員であってもいいと思いますが、あとの二人ぐらいには、同じ仲間内の取締役を入れても、何もおかしいことはないのじゃないですか。もしそれが確保されないとするならば、この運営委員会の審議事項の中から、少なくとも自立化とかいう議論ができないようにしてもらいたい。
  293. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先ほども申し上げましたように、繰り返しになって恐縮でございますけれども、自立化対策と申しますか、塩専売事業の自立化へ向けての基本的な方針と申しますか、あるいは大枠と申しますか、そういったようなものは、塩業審議会において決定されるわけでございますが、その中には、塩工業界あるいは流通業界その他の代表の方もすべて入っておられるわけでございます。そういう意味で、それぞれの業界、別の言葉をもっていえばそれぞれの事業部門、先ほどの先生のお話によれば事業部門と申しますか、そういった事業部門の方の御意見が入った上で、そういう自立化計画なり何なりがつくられていくわけでございます。その中での単年度の事業計画ということでございますので、それが業界の御意向というか、業界の意見を全く無視しておるというようなことは考えられないのではないかと思っております。
  294. 米沢隆

    ○米沢委員 こんなことだけで時間をとるのは嫌ですが、少なくとも塩業審議会は諮問機関であって、いろいろな御意見を聞くチャンスがあるだけの話。あとはこの答申ができた後、それをどう実現していくかという、ダイレクトにつぶされようという会社があるところに、それを決定し、実行していくのはまさにこの運営委員会の審議があり、そして塩責任者の権限内でやっていかれるものだと僕は思うのですね。そういう意味で、答申そのものが事業計画にスムーズに行くならいいですよ。その中で、やはり嫌なこともせなければいかぬわけでしょう。そこの段階で、彼らは心配しておるというのですよ。もう一回答弁いただきたい。
  295. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先生のおっしゃる業界の御心配というのはよくわかるわけでございますけれども、直接業界代表を入れないということと、先生のおっしゃる塩関係の業界の声を反映させないということは、必ずしも矛盾しないのではないかと思います。塩関係業界の御意見が運営委員会に何らかの形で反映されるということは、むしろ望ましいことだと思いますし、そういう面につきましては、実際の運用において、いろいろな知恵の出しようがあろうかと考えております。
  296. 米沢隆

    ○米沢委員 それならば、塩関係者の意見が反映されるということがどこかで担保されるのですね。
  297. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 これは運用の話でございますが、塩事業責任者もまた運営委員会のメンバーの一人でございますし、塩事業責任者につきましては、大蔵大臣が直接指名するわけでございますから、そういう意味で、運用の中において適切な運営をしていくということは十分可能であると考えております。
  298. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、五社三十万トン体制の問題です。  さきに私が、なぜ公社は五社三十万トン体制に固執するのか、その背景にはどのような基本的な認識があるのかと質問をいたしましたのに対しまして、公社側の御答弁は次のようなものでありました。すなわち、新開発膜により、かん水の濃度が上がり、煎熬設備が余ることになる、余裕の出た煎熬設備を有効に使うため、交換膜の枚数をふやしてバランスさせることになる、その結果、三十万トンの能力を持つことになる、したがって、需要が横ばいであることを前提とすれば、二社要らなくなるという趣旨のものでありました。この考え方は大変無理がありますね。同時に、技術的にも問題があると我々は考えます。  特に、計算してみたのですが、例えば膜の性能向上によって、公社説明されておるように、かん水の濃度が上がり、煎熬設備が余る、したがって、どんどん生産量はふえていくのだという説明でございましたが、その結果、公社側の言うように計算をしますと、大体三十万トンにならないですね。二十一万トンか二十二万トンぐらいでこれはストップです。公社の理屈では、この話は、三十万トンになってしまうという説明になり切っていないですね。  どういうことかというと、例えば原料のかん水の濃度が一リットル当たり百七十グラム、これが大体二割ぐらい能力をアップしたとして、一リットル当たり二百十グラムになったとしますね。そうして、その煎熬設備が余るものを、全部膜をふやして生産をやったといたしましても、今大体十七、八万の生産をやっておるわけですから、大体二割ぐらいアップさせても二十二万トンが限界なんですね。十七万トンだったら二十一万トンぐらいにしかならないわけです。逆に煎熬設備が現有のままで三十万トンの能力になるために計算をしますと、このかん水の濃度は大体リットル当たり二百八十三グラムなんという驚異的な濃度にならざるを得ないですね、そういう膜は実際につくられませんね。  なぜかというと、専門家ですから御承知だろうと思いますが、化学的な常識からいいますと、塩水の飽和点というのは、大体リットル当たり二百五十グラムぐらいですね。しかし、公社の言う考え方を取り入れますと、リッター当たりの濃度が大体二百八十三グラムにならないとできないという議論ですからね。そんなことをしたら、その交換膜の周辺には塩が析出をしてトラブルの原因になるでしょう。そういうことになるのですが、化学的にどういうように説明できるのですか。
  299. 友成豊

    ○友成説明員 前回、先生に御説明いたしましたものは、若干はしょった部分がございまして、三十万トンという数字が一挙に出てきたような感じでございますが、実際申し上げますと、現在、新しく開発されました膜、それだけを取りかえることによって現有煎熬設備だけでドッキングさせますと、大体二十四、五万トンになります。これは各工場の設備能力が違うものですから、一社ごとに計算しますと、おっしゃるとおりに、二十一、二万トンまでしか行かない工場もございますし、二十五、六万トンまで行く工場もございます。そういうことで平均いたしますと、大体二十四、五万トンまで、そこだけで行きます。  実は、製塩工場、三重効用の真空缶の工場もございます。それから、四重効用の真空缶を持っている工場もございます。これは、それぞれのいわゆる蒸気圧の利用の仕方によって、かなり製塩コストにも影響するといったようなことで、完全にボイラーの能力と、煎熬に。使う電力の使用量と、それから煎熬設備に使う蒸気の利用の度合い、こういうものが大体バランスして、現在の七社というものができ上がっているわけでございます。そういうバランスがとれた中で、今回、イオン交換膜の技術が特段に開発された。その特段に開発されたものを、今までバランスをしておったものの中に持ち込もう。そういうことで、コストを下げるために合理化を進めていくとなりますと、今申し上げましたように三重効用、三重の真空缶を持っている煎熬工場で、従来あったイオン交換膜による孫かん能力を新しい膜に切りかえますと二十四、五万トンになります。  しかし、今回、いろいろな意味でのボイラーの改善といいますか、前回も御説明申し上げましたエネルギー転換を図る、同じエネルギー転換を図るならば、出てくる蒸気の星も、この際、新しくできるといいますか、新しい設備能力に合わせた形でつくったらどうか。そういうことを入れますと、今まで三つ持っておった工場に対しまして、もう一缶つけたらどうか。そうしますと、わずか一つの缶を置くだけでかなりの生産量の増加になる。そういうことで、今まで三つで使っておった真空缶を四つにいたしまして、さらにその四つに見合うイオン交換膜の膜を増対すれば、そういう最大限の努力をすれば三十万トン近くまで、大体二十八万トン前後でございますけれども、そのくらいまでの能力に達する、とういうことでございまして、私どもが御説明申し上げましたのは、そこのところをちょっと抜いて御説明しましたものですから、単に今の設備の中で膜だけを交換すれば三十万トンに行くような誤解を与えたのはどうも申しわけなかったと思いますけれども、前回申し上げましたように、各メーカーがこれからの国際競争力というものを認識いたしまして、最も投資金額を少なくしてコストを最も下げる、こういう最大限の努力をすれば、そういう暁には各工場の設備能力が大体三十万トン近くまで行ってしまいます、こういう意味で御説明申し上げた次第でございます。
  300. 米沢隆

    ○米沢委員 現在の生産工場の実態を見ますと、もう皆さん御承知のとおり、製塩工場というのは、海水を取り入れでろ過をし、そしてイオン交換膜で濃くさせ、煮詰める工程があり、そしてその間に必要なエネルギー、いわゆる蒸気とか電気を供給する設備がある、こんな形ででき上がっておるわけですね。これらの工程はすべて、例えば十八万トンの能力という設備ではなくて、孫かんば二十万トン処理できるけれども後ろの方の煎熬工程では十七万トンしかできないとか、それぞれ工場ごとに余裕を持ったりあるいはぎりぎりの状態があったりしておるのが実情ですね。したがって、現有設備を前提にすれば、各社ごとにそれぞれ少ない投資で最も効率のいい生産量というものが想定できるはずなわけです。  私は公社が、製塩メーカーは大体一律にほぼ同じ規模ぐらいにならないとというような固定観念を持っておられるような気がしてならないのでございますが、やはり現実的にも技術的にも、これは何かとんでもない無理な投資を強制するようなものに発展しかねない、あるいは全工程をやりかえるようなものをしないとだめだというようにとられる感じが非常に強いのです。これでは大きなロスでして、今あるものをどういうふうにして少ない投資をして生産を上げるか、あるいはコストを下げるかという血みどろの努力そのものを大事にしてやることが自主性を尊重するということだ、そう思うのです。  したがって、皆さんが提示される目標コストを実現するために、各社は、最少投資でボトルネックを解消して増産を選択する会社もあろうし、あるいはまた現状のままで徹底的に効率化を図る会社もあるだろうし、それが自主経営である、それを本当に尊重されるとするならば、どういう形であれ、結果的に国際競争力の実現を図ることが大事なんだから、そういうものに到達できるとするならば、私はやはり、各社の自主性に任せて、それで結果的についていけないところは脱落する、こういう方法論が本当じゃないかなと思うのです。
  301. 友成豊

    ○友成説明員 先生おっしゃられるとおりに、各企業は自己の設備に見合った合理化を進めてまいっております。先生御指摘のとおりに、七社はそれぞれ歴史を背負っております。この七社の一社当たり十七、八万トン体制ができましたのは、第四次の整備によりまして従来の塩田製塩が全部なくなりまして、そして今の七社体制が発足したときに整備されたわけでございますけれども、七社のうち六社は、それ以前からあった工場を主体にいたしまして今の工場になっております。一社だけが当時新しく設計されてつくられた工場でございまして、先生おっしゃられるとおりに、各工場のいわゆる孫かん能力、煎熬能力あるいはボイラーの能力はそれぞれ違っております、画一ではございません。それだけに、今回合理化を進めるに当たりましては、各社はそれぞれ自己のそういった設備能力の中で、最も投資が少なくて最もコストが下がるという方策を模索いたしまして、そして各社なりの合理化に入っております。  それで、公社といたしましては、各社のそういう合理化計画に対しまして一律に、ああせいこうせいという指導はいたしておりません。各社がこういうふうにやりたいといういわゆる設備能力の変更申請等に対しましては、私どもの方は一切介入せずに、各社さんのそれぞれやりたいという方向で、私どもの方はそういう許可申請に対しては許可いたしております。したがいまして、公社の方が一方的に、三十万トン体制まずありきというようなことで、それに持っていくために各社こうあれというような指導は一切いたしておりません。各社はやはり、今後の国際競争力といったものを目指しまして、最もコストが下がるためには自分の工場はどうあったら、どういう合理化を進めたらいいかというようなことでやっておりますので、各社の現在の合理化の進め方は本当に一社ごとに違っております。そういう意味では、先生おっしゃるとおりに、各社の経営者のいわゆる自主判断に基づく合理化ということでやっておりまして、決して公社の方が一方的に方向を指示して、三十万トンに無理やり持っていけというようなやり方をやっているわけではございません。  ただ、前回も御説明申し上げましたように、そういったような合理化を進めていきますと、三十万トンはともかくといたしまして、各社ごとの設備能力が上がってまいります。現在十七、八万トンということで、全体としてバランスがとれているものですから、これが先生今おっしゃられましたように、膜を交換するだけで二十四、五万トンに行く、もうそこで既に問題が発生するわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、その先々を考えますと、どうしても三十万トン近くまで行くのかな、それなら今のうちにそういう三十万トン体制にスムーズに持っていくための手を打っておいた方がいいのではなかろうかというようなことで、前回も御説明申し上げましたように、これから業界とそういうものについての具体的ないろいろな研究、検討、討議といいますか、そういうものに入っていこう、こういう段階に来ているわけでございます。
  302. 米沢隆

    ○米沢委員 自主性に任せて各社が一生懸命合理化努力をやっておるのに、公社は全然介入していない、その結果が、今度はどこかつぶすぞ、つぶされる羽目になるぞということになるわけですから、私は、その間の投資はむだになると思いますね。それは、自主性を尊重されるのはいいですよ。しかし、自主性を尊重されて一生懸命やると、ちょっと話は矛盾するかもしれませんが、一生懸命やりながら、行き着くところは、どこかがつぶされる。そういうことを考えたら、肝心なところでは、設備投資等の具体的な問題が公社に上がってきたときには、そこらでやはりある程度の話をしていかないと、どんどんやりなさいよとみんな一生懸命やる、やった結果、どこかつぶれてくださいよと、それも自主性に任せるというのは、ちょっと最後段階で責任を回避しているところが公社にあるんじゃないかと私たちは思うのですね。
  303. 友成豊

    ○友成説明員 私が御説明申し上げましたように、新しい技術開発されましてこれを有効活用する、これがやはり国民経済的に一番いいというようなことで、塩業審議会答申も、そういう新しい技術の有効活用というようなことで進めなさいということで自立化方策を示されまして、それに基づいて現在実施いたしておるわけでございますが、総論的には、そういうことでいけばどうしてもいわゆる摩擦が生ずるといいますか、先生の言葉をかりますと二つが整理の対象ということでございますけれども、そういったようなことは、今回の新しい技術導入に当たって予見されておったわけでございます。そういうことで、製塩業界との間でこの問題についていろいろ議論いたしまして、その結果、やはりそういうことが予見されますし、そういうことのために社会的なあるいは経済的な混乱が生じたのでは困るので、その辺をスムーズに解決する手だてを講じておく必要があるのではなかろうかというようなことで、五十七年からそのためのいわゆる共助金制度というものを設けまして、また製塩工業界の中でも、そのための再編整備をやるという事業計画を立てまして、そして共助金の積み立てということを実行いたしているわけでございます。そういうことでございまして、総論的には公社も業界も十分承知いたしておった。  ただ、前回も御説明いたしましたように、これからのいわゆる自立化ということになりますと、第三次、第四次で行ったような、公社が全面介入いたしまして整備をやるということでは、どうしても経営責任というものが薄れてまいりまして、その後も経営にどうしても悪い影響を与える。やはり今回そういった整備に入るとすれば、経営者のいわゆる自己責任というものもあらかじめ明らかにしておく必要があるのじゃなかろうかというようなこともございまして、総論的には今申し上げたようなことで共助金積み立てといったことで入ったわけでございますが、先生おっしゃられるとおりに、各社が本当に熱心に投資をいたしまして、製塩コストの引き下げに最大限の努力を払っております。その結果といたしまして、過剰投資といいますか、そういったものが出てきたではないかということは御指摘のとおり事実でございます。そういうことで、私どもも業界の方も、これではいけないというようなことで、この問題についてこれから真剣に検討しようという認識に立ち至って、いよいよその実行に入るという段階に来ている、こういうことでございます。
  304. 米沢隆

    ○米沢委員 それでは、次はたばこの関連の法案に移りたいと思います。  先般、私の最後の質問の段階で、日本たばこ産業株式会社法案並びにたばこ事業法案につき、電電二法に盛られているような、以下述べるような見直し規定を入れたらどうだということを申し上げました。すなわち、例えば、政府は、会社の成立の日から五年以内に、この法律の施行状況及び施行後の諸事情の変化等を勘案して会社のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする、こういうような見直し規定を入れたらどうだろうか。そして、経営形態変更の目的が達せられたかどうかを確認する。そして、達せられない場合は原因の究明、問題点解消に努めるべきである。また、後で申し上げますけれども葉たばこの問題とか経営形態の問題とか公的関与の問題等々、やってみなければわからぬというような部分がこの法律は余りにも多過ぎる。そういう意味で、何かこの大蔵委員会の審議を経てそのまますうっと通ってしまって、後は国会が関与できないというようなものであっては、我々大蔵委員会が審議をしたという権威に非常にかかわるものだ、そう私は思うのでございまして、ぜひこの見値し規定を入れるべきであるという考えを我々は持っております。  同時にまた、さきの安倍委員の質問でも取り上げ、玉置委員のお話の中にも出てきましたように、特に大蔵大臣認可の役員の選任及び解任決議は代表取締役に限るべきである。取締役及び監査役の選任、解任の決議を大蔵大臣認可にかかわらしめているということは、事業の性格から見て規制のし過ぎであり、代表取締役に限ることで十分ではないか。例の関西空港会社法案、あれは代表取締役だけを選ぶようになっておりますが、そういうふうにやはり変更して修正をして、もっと専売公社の自主的な経営ができるようにしてあげることが、この法案を審議する大蔵委員会のせめてもの情けではないかと私たちは思うのでございます。この二点について、大蔵大臣長岡総裁に所見を整理して伺いたい。
  305. 竹下登

    ○竹下国務大臣 このいわゆる見直し規定の問題がございますが、基本的には我が国のたばこ産業を取り巻く状況等をにらみながら絶えず検討を加えていくべき課題である、そういう姿勢を持っていなければならぬと思っております。ただ、この見直し規定というのを仮にここに入れるということを今御提案なすっているわけでございますが、いわゆる割高な国産葉を抱えた状況のもとで、たばこ輸入自由化を行いながらなお我が国たばこ産業が国際競争力を確保して健全な発展を遂げることを期するためには、専売公社を政府出資の特殊会社に改組しながら、これに製造独占権を付与する以外にないというふうに判断した次第でございます。したがって、各方面の御理解、御認識を得るに当たりまして、いわば特殊会社という経営形態と製造独占、これは恒久的な措置であります。いわゆる民営・分割に至る経過としての位置づけをしておりません、こういうことを申し上げておるわけでございますので、一定の期間以内に経営形態あるいはいわゆる製造独占等について見直しがあり得るという前提を今日の時点で置くということは、私は関係方面に対してもある種の不安と申しますか、そうしたものを残すことになるではないかというふうに考えるわけでございます。  この点は、臨調も申されておりますが、臨調自身もこの再編の問題、いわゆる一定の年限を区切った表現をとられなかったということは、私はその辺に配慮された答申のあり方ではなかったかというふうに考えるわけでございます。したがって、されば葉たばこ問題が解決されたらどうするか、こういうことになりますならば、これはその時点において改めて検討すべきことではないかという考え方でございます。それで、私は葉たばこ問題というのは、されば現実的な問題としては、そう短期間に完全に解決するということを今日の時点で予測することは非常に難しい問題ではないかという考え方が、いま一つ基本にあることも事実でございます。  それから、役員の大臣認可の問題ですが、これは実は私は米沢さんとの議論のときから使った言葉ですけれども、見解の相違じゃないか、こういうことを申しました。要するに、私どもこれを議論するに当たりまして、今おっしゃいました関西空港の問題も、それから各種関連いたしますところの、今日までのいわゆる特殊法人で大体類似しておりますのが国際電信電話株式会社、KDDでございますか、それからやはり今御審議をいただいております日本電信電話株式会社ですか、そういうのは、このいわゆる基本方針を決定する役員会というもの、取締役会の構成員を認可に当たらしめ、そしてそれの互選で代表取締役ができていくという方が、今日の時点では、私は自主性をも一方で尊重しながら、そしてこの会社設立の目的に沿うためには現実的ではないかという判断をしたわけでございます。その限りにおいて私が見解の相違という言葉を、これはいささか無責任に使いましたが、そういう議論をした上の結論であるという意味においてそういう表現をさせていただいたわけでございます。
  306. 長岡實

    長岡説明員 第一点の見直し規定の問題でございますけれども、私どもたばこ産業と申しますか、仕事は、率直に申しまして、すべてを合理的にきれいに割り切れない性格も含んで今日にまで至っております。第一次産業から第三次産業までを包含して一つの産業集団が成り立っておるというのが事実でございます。それで、今回輸入自由化を控え、大変な国際競争力の激化が予想される中で、日本たばこ産業全体がどうやったら生き残っていけるかということを考えます場合に、私ども葉たばこから小売店までが背水の陣で臨むということしかないと考えております。これは何年で見直すということではなくて、新会社発足後直ちに、あるいは発足以前の準備段階から、そういう意気込みで取り組んでまいらなければ、なかなか将来の厳しい環境を切り開いていけないと思うのでございます。そういう意気込みはわかるけれども、万が一現実がそのようにいかないときには一体どうするつもりだというような角度からの御意見であるといたしますならば、これは何年という期限を待たずに、その時点で当然のことながら全体の制度が見直されるような事態になるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういったような意味で、私は見直し規定をお入れになることについては賛成しがたいというのが率直な意見でございます。  大蔵大臣の認可を代表取締役に限定するか、あるいは取締役を認可にして代表取締役は取締役会の互選と申しますか、民主的な選任の仕方にするかというのは、先ほど玉置委員の御質問にもお答え申し上げましたように、確かに二つの考え方はあろうかと存じますけれども、今回この法律を御審議をお願い申し上げている立場からいたしますれば、現在の案におきましても、会社の自主性というものが著しく損なわれるということにはならないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  307. 米沢隆

    ○米沢委員 私たちは、現在に至るまで、慎重審議ということでかなりの時間を使って審議をしてきました。既に審議も後半にかかっておると認識しております。しかし、ほとんどの質疑者が、あるいは聞いておられる皆さん方が、少なくとも共通して持っておる認識は、いま一つ皆さんのおっしゃることがすっきりしない。そして政令、省令事項に関するものでも、今からの作業だというものが多過ぎる。そしてこれから新しい会社がどういうような行方をたどっていくのかということも、やってみなければわからぬという部分が多過ぎる。そういう答弁に終始したものと私は思っています。ほとんどの方がそういう感想を持っておられるんではなかろうかと思います。確かに解明された部分もあります。しかし、むしろ解明されない部分の方が多過ぎるのですね。こういう法律の審議なんて初めてです。そういう意味で、ただ長々と質問をする、ただ長々と答弁してもらう、そして長い時間議論したんだから、この法律はオーケーですわというぐあいにこの法律通したくないのです、本当を言ったら。  確かにいろいろな部分がありましょう。皆さん方がおっしゃる苦衷もわかる。それならば、本当にある年限を経た上で、新しい法案が施行された後に、やはりそれなりの経験を積んだ上で、法律そのものに瑕疵があるとするならば——なければそれでいいですよ。瑕疵があるとするならば、ひょっとしたら葉たばこ問題片づかなかったならば、もっとドラスチックな法案にしなければならぬかもしれません。また、それを言うとうるさくなるということで、皆さんおっしゃらないのかもしれませんが、あるいは経営形態だって、資本の問題だって、民間活力の導入の問題だって、あるいは公的関与の問題だって、やっておる中で、確かに日々反省をすることは大事です。それは当たり前な話です。しかし、日々の反省をされながらも、やはりきっかけをつかまないと、こういうものは法律にならないのですね。そういう意味で、見直し規定というものをぜひ入れるべきである、この気持ちはわかっていただけると私は思うのですよね。  例えば、この経営形態の問題一つとりましても、今後日本たばこ産業が健全な発展をするためになんと言いますけれども、この内容を見る限り、健全な発展をしないように思えて仕方がないのです、本当に。旧来の束縛そのままが入ってきておるのですから、逆に経営の自主性が発揮できないように、余り発揮されたら困るという意図が見え見えです。確かに公社よりちょっとよくなるかもしれませんよ。しかし、経常の自主性という名前のもとに、余り自主性を確保してもらったら困るというような気持ちが込められておるじゃないですか、この法律には。活力のある経営ができるようになっていないですよ、この法案は。それも、皆さん方の苦衷もわかるから、この際この法案を通したとしても、何年か先にはそのあたりを見直すことは絶対必要だと思うのですよ。逆にそういう規定を入れることによって、姿勢がぴしっとするのですよ。そのことが関係者の不安を呼んだり、さあ、ひょっとしたらというような憶測を呼んで、この法案に関する施行が難しくなるという一面はわからぬわけでもありません。しかし、そういうわかったわかったという感じでやるということは、日本たばこ産業全体がつぶれることになるのだから、そういう意味では、この際見直し規定みたいなものを入れて、何年か先には本当にこの法律でよかったのかどうかということを考えようではないかというのは、まさに当たり前な発想であって、そんなの入れることはおかしいなんという議論にはならないと私は思うのですね。  本当にこの法律で、総裁なんかも経営の自主性は損なわれないとおっしゃるけれども、我々がイメージしておるのは、新しい会社経営の自主性をどんどん発揮してもらって、損なわれないなんて消極的な感じで物を言っておるんじゃないですよ。積極的に経営の自主性を確保してもらいたい。そうでないと、新会社は成り立たないだろうと我々は危惧の念を持っておるわけです。だからこういうようなことを申し上げておるわけですね。果たして、この法案でるる説明されておりますように、厳しい環境に今から船出するこの新しい会社が、本当に経営の自主性が確保できるのだろうか。私は八割ノーと思いますね。見解の相違かもしれません。損なわれないくらいのことではやっていけないと思っておるんだ、これは。臨調が求めました活力ある経営なんというのはまだ出てこないだろう、そう思うのですね。あるいはまた、これはるる議論になっておりますように、この新しい会社は、政府が二分の一以上の株式を保有する特殊会社。しかし、株式の二分の一を持つということは、民間の常識からいって経営権を支配するということですね。逆にこの法律は、民間的にはなりませんよということを宣言したような法律になっておるわけですよ。  同時に、これもるる議論になりましたように、「当分の間」も先の話、少なくとも政府の一〇〇%出資で始まる。それも三分の二になるまでも大体わからない、解明されない。となると、ほとんどといいましょうか、かなりの長い間政府の一〇〇%出資の状態で行くだろう。そうなったときに、本当に今の公社形態からどれだけ抜け出せるのだろうか。政府系一〇〇%の新会社といったら、取り巻くほとんどの皆さん方が、会社と名前は変わったけれども、少なくとも政府が一〇〇%持っておる会社なんだからという甘えがやはり出てきますよ。これは民間になったぞなどというものと全然違うわけですよ。また、そういう不安をなくすために、いろいろなこういう工作がなされたこともよくわかっておりますが、果たして経営形態がこんな調子でいったときに、本当に言葉は悪いけれども、親方日の丸的な経営というものから抜け出せるのだろうか。ノーという気分の方が強いのですよね。本当に民間企業としての自覚が確立されるような法案かというと、そうではない。  それは確かに、新しく会社の社長になられた方は一生懸命やられると思う。しかし、それはそういう姿勢であったとしても、取り巻く状況が、経営形態も、はい政府系一〇〇%の出資でございます、法律の中には、葉たばこの問題もみんな昔と同じようになっております、そうやられたんじゃ、幾ら気持ちとして経営の自主性だと一生懸命頑張ろうと思っても、形がそうなっていないのだから。そういうものこそ、何年かした後に、本当に経営形態はこれでよかったのかと反省するチャンスを持つのは当たり前だと思うのですよ。それは一年一年で出てきませんよ。しかし、少なくとも五年という単位をとったら、本当に経営形態これでよかったのかという議論に必ずなってくると思います。その時点で当然変えようではないかと宣言することの方が、ぴしっと一本この新会社に背骨が立つことになるんだ、そう私たちは思っておるのでございます。どうでしょうか。
  308. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今の米沢さんのお考えというのは、私も見識ある議論だと思っております。それを含めて、私どもも御審議をいただくに至るまで、数カ月の時間を費やして議論をしてまいりました。だが、今日の時点で、国産葉たばこ問題というものを抱えておる段階では、これがいわば製造独占を与えて、そして、言ってみれば分割・民営へ進む一プロセスだという理解の仕方は、現状でとっていただける状態には事実問題としてないではないか。そうすれば、恒久的な措置であるという宣言の中でこれから自助努力がなされていく最低限の環境を整える法律が、今日御審議いただいておる法律である。したがって、この見直しということは、やはりそれを受ける関係者から見れば、いわゆる一つの過程であるという認識の上に立つに違いない。今、これは過程であるという認識の上に立ってコンセンサスを得ることは非常に難しい問題ではなかろうか。だから、今のような見識ある御議論を、むしろ新しく経営に当たられる責任者が体して、そして私どもがその監督官庁として絶えず見直していくという姿勢を堅持しながら事に当たっていくというのが、いろいろ議論をいたしましたが、今日の時点においては適当ではなかろうかという判断の上に私は立ったわけであります。
  309. 米沢隆

    ○米沢委員 経営は人なり、こう言います。きのう、中央研究所ですか、それから平塚の製造試験場等を視察させていただきました。非常にすばらしい研究もなされております。しかし、今まで専売公社という枠内であったものだから、それが利益に通ずるような仕事になっていない。あるいはまた労働生産性の話も聞きましたが、平均的にいったら、アメリカあたりとそう引けをとらないようなところになったけれども、今から競争相手になるビッグスリーと比較するとまだ格段の差がある。もし公社が民間であったならば、少なくともビッグスリーには少々は負けても、ほとんどそんなに格差ができるぐらいのものにはなっていなかったであろう、私はこう思うのです。  先ほどから議論がありますように、たばこ需要がどんどん減っていく、健康問題もある、輸入たばこはシェアをふやすであろう、確実にたばこの収益は減らざるを得ない状況にある。今後新会社が新しい業務を拡大して、そのマイナス部分を補っていかねばならぬ立場にならざるを得ないということは、再三皆さんの口から御答弁がありました。しかし、そうした際、例えば海外に何か持っていこうといった場合には、時には商社から、おまえに任すからといって取締役を引っ張ってくるというようなことになる可能性もある。この研究プロジェクトを何とかして達成したいんだから、外部から連れてきて経営陣に加わってやってくれというようなこともあり得るだろう。販売にしても、研究部門にしても、新しい業務の展開にしても。そういうような民間から活力を導入しようじゃないか、引っ張り込んでこようではないか、そういう発想が、大蔵大臣が認可する取締役の中から本当に出てくるだろうかという心配がある。  何も大蔵大臣がそういうセンスがないとは言いませんよ。しかし、このままいけば、少なくとも取締役は大蔵省のOBか専売公社の人だけだろうと思う。優秀な人がそれはおるかもしれません。しかし、これから新会社が新しい業務を拡大していかねばならぬとなったならば、死に物狂いで頑張っていかねばならぬ。そういうときには取締役として民間から活力を導入して、さあやろうというような場面が出てこないとうそだと思うのです。現在のように取締役を大蔵大臣が認可するというような形で経営が行われていったならば、行き着くところは見えておるという感じがするのです。だから、何も我々は大蔵大臣がこんなものを認可するのはおかしいという議論を言いたくはないのです。果たして大蔵大臣にしろ、これからの新会社経営陣にしろ、そういう感覚を持ってたくましく荒波を乗り切っていけるような経営陣をつくっていこうというものがどこから出てくるんだろうか、私はそういうことを考えるのです。  あの中央研究所ででき上がっているいろいろな問題等についても、事業展開すればおもしろいようなものがたくさんある。悪いけれども専売公社は税金を納付するという会社で長いこと続いてきましたから、経営というものを問われれば、まだまだもまれ方が足らぬと思います。大蔵省の人も優秀な人かもしらぬけれども経営者としては、まだまだ民間にはちょっと劣るところがあるのではなかろうか。時にはいい人がおるかもしれない。そういう意味で、この取締役の選任等についても、代表取締役だけで限定して、あとは自由に新しい会社経営陣が選んでいくという発想になぜ立てないんだろうか、そう思うのですがね。
  310. 竹下登

    ○竹下国務大臣 大変いい意見をいただいたと思います。そういったくましい御議論を背景にして、監督官庁たる私も、また新経営陣も、それに対応していくということが最も必要なことであって、今は、先ほど申し述べましたような考え方の上に立って種々な議論を重ねた上で、この姿で御審議をいただいておるところであるわけでございますから、そういったくましい御議論をいただいたことに対しては、我々もそれを真剣に、素直に受けとめて、これから対応していく覚悟であります。
  311. 米沢隆

    ○米沢委員 もうこれは幾ら論じても論じ切れないぐらいに問題はありますが、時間も来ましたのでここでやめますが、後の質疑者あたりがぜひこの議論の続きを展開してもらうことを心から期待をしながら質問を終わりたいと思います。
  312. 瓦力

    ○瓦委員長 次回は、来る十日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することと、し、本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会