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1984-04-18 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十八日(水曜日)   午前十時四分開議  出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中村正三郎君 理事 伊藤  茂君    理事 野口 幸一君 理事 坂口  力君       大島 理森君    熊谷  弘君       小泉純一郎君    笹山 登生君       自見庄三郎君    椎名 素夫君       塩島  大君    田中 秀征君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    宮下 創平君       村上 茂利君    森  美秀君       山岡 謙蔵君    与謝野 馨君       上田 卓三君    沢田  広君       戸田 菊雄君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    柴田  弘君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局審議官  星野 進保君         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房総         務審議官    吉田 正輝君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局長 西垣  昭君         大蔵省証券局長 佐藤  徹君         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         国税庁次長   岸田 俊輔君         国税庁税部長 渡辺 幸則君         国税庁間税部長 山本 昭市君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     藤井 一夫君         経済企画庁調整         局財政金融課長 服藤  収君         国土庁土地局地         価調査課長   佐々木 徹君         法務大臣官房審         議官      橘  勝治君         通商産業省産業         政策局調査課長 広海 正光君         中小企業庁小規         模企業部小規模         企業政策課長  窪川  功君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部財 秦野  裕君         政課長         郵政省電気通信         政策局監理課長五十嵐三津雄君         郵政省電気通信         政策局データ通         信課長     内海 善雄君         建設省河川局河         川計画課長   陣内 孝雄君         建設省道路局道         路総務課長   三木 克彦君         自治省財政局地         方債課長    柿本 善也君         日本専売公社管         理調整本部長  岡島 和男君         日本国有鉄道経         営計画室長   前田喜代治君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社経理局長   飯田 克己君         国民金融公庫副         総裁      渡部 周治君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任       補欠選任   中川 昭一君     大島 理森君   山中 貞則君     自見庄三郎君 同日  辞任       補欠選任   大島 理森君     中川 昭一君   自見庄三郎君     山中 貞則君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十九年度財政運営に必要な財源確保  を図るための特別措置等に関する法律案(内閣  提出第三号)      ————◇—————
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより会議を開きます。  昭和五十九年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正森成二君。
  3. 正森成二

    ○正森委員 私は、これから財源確保法案の幾つかの問題について、大臣並びに関係局長等質問させていただきます。  大臣にぜひお願いしたいと思います。連日非常な激務で御苦労さまでございますが、今度の財源確保法案の中心問題は、何といっても赤字国債をさらに借りかえるという問題で、戦後の財政史上初めての問題であります。  それで、こういう問題が現実に国会審議されているという場合には、こういう財政上の事態をどういうぐあいに解決していくかということがやはり国会で率直に語られる必要があると思うわけであります。私は、予算委員会総括質問あるいは一般質疑等関係資料も若干読ましていただきましたが、どうか率直な御答弁をぜひお願いしたいと思います。それが大蔵委員会のあるべき姿というか、権威というものを高めるゆえんであろうというように思うわけであります。  まず最初にお伺いいたしますが、政府は今度の予算委員会総括質問の際に「中期的な財政事情仮定計算例」というのをお出しになりました。それからさらに「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、それから「財政中期展望」というのをお出しになりました。この問題からまず伺わせていただきたいと思います。  それで、まず「中期的な財政事情仮定計算例」でございますが、これにはいろいろの仮定がございます。そのうち借換債発行した場合と発行しない場合と分けてありますのは、借換債発行することになりましたから、借換債発行部分だけを考えさせていただきます。  これを見ますと、一般歳出伸びが五%の場合、三%の場合あるいは〇%の場合というように分かれておりますが、大臣がよく御承知のように、一般会計部分のうち国債費は、国債残高の増加に伴いまして少なくとも一兆円ぐらいずつ増大することになりますし、地方交付税交付金も、歳入がある程度増加すれば三税の伸びに従って伸びるということになります。それを引くわけですから、一般歳出というのはどうしても圧縮されざるを得ません。ですから、伸びがゼロの場合などは、事実上予算編成ができないということになりますから、恐らく、私の見るところでは、財政事情がございますが、五%と三%の間の五%に極めて近い線でなければ予算編成はできないのではないかという気がしております。  それをある程度裏づけるものに「財政中期展望」がございまして、「財政中期展望」の説明部分を見ますと、「歳出推計については、昭和五十九年度予算における制度・施策を前提とし、一定仮定の下に、これを将来に投影する後年度負担類推計基本としている。」こう書いてありますが、その投影の数字が、比較してみますと、この「仮定計算例」の五%伸びと見た場合にほぼ等しく、これをやや下回るという数字になっているわけですね。見ていただけばわかりますが、両者を比較してみますと、「財政中期展望」では六十二年度までしか出ておりませんが、その六十二年度歳出部分を見ますと、やや「財政中期展望」の方が少ないという数字になっているようであります。  そこで、大臣に伺いますが、将来の展望についてはなかなか困難であると思いますが、仮に五%の伸びといたしますと、要調整額が相当な額になりまして、六十年度では三兆八千億円でございます。それから、六十一年度が五兆三千七百億円、六十二年度が六兆七千七百億円であります。こういう点についてはどうしても何らかの方法で埋めなければならないわけですが、これを埋める方法としては歳出をできるだけ切り詰めカットをするか、あるいは国民負担を願うか、あるいは赤字国債借りかえをやることによって国債費増大を減らすかという三つだというようなことを、私が五十八年の予算委員会総括でお伺いしましたときにお答えになりましたが、そのうち、私が伺いましたときには大臣はこの三つ方法で努力すると言われて、赤字国債借りかえをやるとは当時はおっしゃらなかったわけですが、いよいよそのうちの一つ赤字国債借りかえをやるということに決まったわけですね。赤字国債借りかえをやるということを決めて「財政中期展望」あるいは「仮定計算例」をやりましても、来年度で大体三兆八千億円の要調整額が出る、あるいは歴年それが増大するということになれば、あと出口は、歳出カットするかあるいは国民負担増大するか、二つしかないということに論理的にならざるを得ないわけですが、この点について、それをお認めになりますかどうか、お答えを願いたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 正森さんの御質問に対して、私は三つのことあるいはその三つ組み合わせ、こういう表現をしたことはそのとおりであります。ただ、借換債の場合と、いわゆる歳出カットするか負担増を仰ぐか、または国債発行するか、あるいは一つの手段として借りかえを含む公債、この三つ組み合わせ、こういうことを申し上げたわけであります。だから、借りかえという措置を含む、現金償還のための財源をそこに求めるということになれば、言ってみれば三番目の半分が消えた、完全には消えていないと思うわけであります。したがってその組み合わせでございますが、三番目の半分という表現はちょっと適切じゃありませんが、残った公債発行というものも、まさにそれは消してしまったわけではないから、やはり借りかえという言葉を除いた公債発行というものと、三つ組み合わせということになろうかと思います。
  5. 正森成二

    ○正森委員 正確ではございません、比喩的に半分ということを使われましたが、そのおっしゃる意味はよくわかります。しかし、「財政中期展望」などを見ますと、特例公債については昭和六十五年までにゼロとするということで、毎年一兆円ずつ減額するということになっております。五十九年度は、残念ながら一兆円には達しなかったということは御高承のとおりであります。同時に、それならそれ以外の建設国債と呼ばれているものを増大することができるかというように考えますと、これも「財政中期展望」等を見ますと横ばいでございまして、これを大幅に増大するような態勢にはなっていない。  なお、ここに私は、大内委員予算委員会総括質問をされましたときに、たしか山口主計局長投資部門公共投資伸びについて答弁された数字がございます。それが予算委員会総括における唯一の数字だと思いますが、それもほぼ横ばいで、大体一〇%程度でございます。そうすると、今大臣は〇・五ということを言われましたが、事実上残る〇・五についても出口はふさがれている、少なくとも「財政中期展望」を前提とする限りふさがれているというように見なければならないと思うのです。そうすると、当初私が質問したところに返りまして、やはり歳出カットするかあるいは国民負担増を求めるかという選択にならざるを得ないわけです。  もう一度御答弁願います。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 大筋としてはそのとおりだと私も理解しております。
  7. 正森成二

    ○正森委員 そこで、歳出カットの方から伺います。きょうの質問財確法ですから、広く一般的な社会保障をどうするとか、あるいは軍事費をどうするとかいう問題をのけまして、財確法に関連する部分に絞って御質問したいと思います。  そうすると、結局定率繰り入れをするかどうかということがやはり一番大きな項目にならざるを得ないわけですね。  委員部、済みませんが、資料を配っていただけますか。——資料が配られたようですから、それを見ながらお話を進めさせていただきたいと思います。  これは私が政府関係資料などをもとに、「定率繰入の実施と停止による基金状況」、国債整理基金ですが、これを試算したものであります。国債費を試算してみますと、五十九年には九兆一千五百五十一億円、これは予算額ですね。大体国債費と申しますのは、前年度の期首の国債残高の一・六%ということと若干の事務費ですね、それから割引債の分がございますが、大体計算ができるわけであります。  その次の項目には定率繰入額が試算してあります。これを見ますと、六十年は一兆八千七百億円、六十一年は二兆八百億円、六十二年は二兆二千八百億円、六十五年は二兆七千五百億円というばかにならない金額であります。要調整額が六十年度で三兆八千億と仮にいたしますと、今の御答弁では、これは仮定の問題ですから、五%ないしはそれに近い予算増大になるという点は抜きにいたしましたが、三%の増大にしましても、要調整額というものはやはりあるわけですね。この五%の場合は一番大きいわけです。そうしますと、そのうちの一兆八千七百億円といったら相当大きな額ですね。これをどうするかというのは非常に大きな問題であります。  この場合に、Dというところを見ていただきますと、これは繰り入れを停止した場合に財源不足がどのぐらいになるかということを示したものであります。御高承のように、五十九年度はまだ国債整理基金に金がございますから、国債償還をいたしましても余裕がございますが、六十年度にもし定率繰り入れをやらないとすれば、もう国債整理基金に穴があきまして返すことができなくなる。したがって、私の計算では五千三百億円というものは不足するわけであります。六十一年度になりますと、八千四百億円不足するということになります。ですから、いずれにせよ非常に財政上の問題になるということは言えると思います。  しかしながら、一般的な考え方をしますと、大臣にお断りしておきますが、私はここで定率繰り入れがいいとか、しないでもいいとかいう議論を直ちにやっているのではないのです。本来ならば、減債基金制度が設けられた趣旨からいって、国債発行を経済の許す範囲にとどめ、予算の許す範囲にとどめ、定率繰り入れをきちんと行い、剰余金繰り入れも行い、余裕があれば予算繰り入れも行うということが健全な姿であるかもしれません。減債基金制度はそういう趣旨からつくられたものであって、そういう考え方から言いますと、本来赤字国債を本当に五十九年度で脱却するつもりなら、余裕が許せば特例国債については十分の一組み入れなければならなかったという議論がされているとおりであります。  しかし、私は今のこの財政危機の中でそのことを言っているのではなしに、それは一応横へ置いておきまして、当面、六十年度予算編成を考える場合に、要調整額をどうするかということを考え、それを歳入切り詰めという点で考え、それを社会保障防衛費を一応除外して財確法に関連のある部分に限るなら、定率繰り入れの問題をどう考えるかというのは避けて通れない問題であります。  単純計算でいきますと、おわかりのように、Eのところを見ていただきます。EのところはAからDを引いた数字でございまして、つまり一兆三千四百億円、これが単純に算数的に言えば要調整額から節約できる数字であります。つまり、定率繰り入れをやらないでも五千三百億円は足りない。足りなければ償還ができなくなるから、少なくとも最小限五千三百億円は予算繰り入れをやって、そして財政で持っておかなければ、国債保有者に対して償還することができないわけですね。ですから、その分を見ますと一兆三千四百億円ほど節約することができるということになります。六十一年度は一兆二千四百億円ほど節約することができるということになります。これは三兆八千億円ほどの要調整額から見て約三分の一に当たり、ばかにならない金額ですね。  こういう問題についていつまでも、概算要求なりあるいはそのための政府税調審議というものが始まり、あるいは目前に来ているという状況で、そのときになって考えますという答弁では、この財確法審議としては極めて国民に対して説明にならないと私は思うわけであります。  そこで、非常に失礼でございますが、この間予算委員会等がございましたね。その予算委員会で注目すべき答弁が二つ出ておりますので、それを引用させていただきたいと思います。  一つ二見委員に対する答弁でございまして、これは竹下大蔵大臣自身答弁になっております。この答弁の中で、非常に簡単に触れられたわけでございますが、今おっしゃいました定率繰り入れも、その年度ごとにことしはどうでもだめだということになればそれもあり得よう、こういうぐあいに答えておられます。これはまだその年度ごとにことしはどうでもだめだということになればそれもあり得ようという仮定仮定のような答弁であります。しかし、注意深く見ておりますと、四月九日の参議院の予算委員会で、山口主計局長和田静夫委員質問に対して、国債費聖域視してはならないと述べて、国債償還のための国債整理基金定率繰り入れを四年連続して停止する可能性もあることを示唆した、こうなっております。この速記録は四月九日でございますから、私はまだ手元に持っておりませんけれども、国債費聖域視してはならないという言葉は、よもや国債償還ばしないなどということを意味していることではないと思うのですね、そんなことをすれば日本国がパンクするわけですから。そうだとすれば、この言葉の持つ意味は、定率繰り入れカットの対象になるということを言ったものにほかならないというように見るのが普通の、財政について関心のある者の当然の解釈ですね。  私がここまで引用して言っておりますのは、できれば、その年度ごとにどうにもしょうがないということになれば、そういうことになることがあり得るというような雲をつかむような話ではなしに、せめて山口主計局長が言っていることを踏まえて、政策的決断をする大蔵大臣として、おっしゃるべきことを言っていただきたいと思うから、これだけ詳細に経過を説明したわけであります。大臣答弁を願います。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的には余り違ったことを言ってないと思いますが、いつも議論があるところです。これも正森さん御承知のとおりでございますが、特例公債発行しながら償還財源を積み立てるということは、結局は、それだけ特例公債増発をもたらすということになり、それはまた、将来の負担によって、将来の償還のための財源を、利子を払いつつ蓄えるということにほかならない、だから不合理であるという指摘はいつもある議論でございます。私はこれを「百年議論」と言っておりますが、ある意味においては、しかし一方に、やはり先ほどおっしゃった減債制度というもの、この基本は今崩すべきものではない。さらに国債残高の累増や公社債市場国際化自由化の進展というものが一方にあれば、この国債整理基金がある程度の資金を保有しておることの必要性がますます高まってくるではないか、こういう意見もあります。したがって、財政審でも、基本的には現行の減債制度の仕組みによりこれを維持するのが適当であるが、財政状況等により一時これを停止するなどの措置をとることもやむを得ないというのが基調になっておりまして、私の答弁もそこに基本は置いておるわけであります。  今私がありがたいなと思ったのは、五%とか三%とか、仮定は別として、五に近い方のことでの可能性というものを意見の一部、感想としてお述べになった。こういう議論ができるようになるのは、やはり「中期展望」を出してよかったなと本当に思うのです。そういう議論をしてもらうための、ある意味においては精いっぱい考えたものが「中期展望」であり「仮定計算例」であるというふうに私は思っておるだけに、これしかないじゃないかと言うと、明くる年はそれをしゃあしゃあとして出してくるという批判を受けることも覚悟の上で、そういう感じがしておるわけです。  だから、主計局長が申しましたのも、これは減債制度というその基本というものを維持する限りにおいては聖域だという意味ではないですよ。すなわち、一時停止する措置などもやむを得ないという考え方もございますという意味で、この聖域ではないという言葉を使って、流れとしては同じことを言っているんじゃないかな、こういうふうに考えております。
  9. 正森成二

    ○正森委員 今大臣が、私が申し上げようと思っていることを先にお答えになった部分もございますが、大臣の御答弁趣旨は、財政制度審議会が繰り返し言っているのですね。  それで、五十九年のときにも言っておりますが、五十七年にも言っておりまして、その中で、大臣の今の御答弁とほとんど同じ表現ですが、財政審の報告を正確に読みますと、こう言っているのですね。定率繰り入れの取り扱い、「特例公債発行しながら償還財源を積み立てることは、結局は、それだけ特例公債増発をもたらすこととなり、それはまた、将来の負担によって将来の償還のための財源を、利子を支払いつつ蓄えることにほかならず、不合理であるという意見がある。」こういう表現ですね。そして一方に、「公債市価維持のためある程度の資金」がどうこうという表現がございまして、「これらの諸点にかんがみれば、特例公債発行せざるを得ない五十八年度において、定率繰入れを停止することはやむを得ないものと考える。」こういう表現になっておりますね。これは歴年大体そういう表現であります。もしこういう考え方が通るとすれば、これを見ますと「特例公債発行せざるを得ない五十八年度において、定率繰入れを停止することはやむを得ないものと考える。」という表現が仮に正しいとすれば、定率公債発行しながら定率公債の借換債もやらなければならない本年度においては、一層定率繰り入れを停止することはやむを得ないものと考えるという答申にならざるを得ないと思うのですね。これは、特例公債発行しながら、将来返すために特例公債をふやして、利子を払いながらそれを準備するというのは不合理ではないか、こう言っているわけですね。そうだとすれば、いよいよ今度はその特例公債を借換債償還せざるを得ないというときは、この財政審の指摘する条件が二重になったというようにも考えられることでございまして、そういうときに利子を払いながら定率繰り入れを続けるということは、この財政審考え方からすれば、これは非常にいかがなものかというように私は理論的にはならざるを得ないと思うのです。  そこで、これは多少細かい問題になりますから局長からの答弁でも結構ですが、仮にそういう問題が立てられるとすれば、私は来年度予算編成などを非常に心配する立場から言っているのですが、それで仮に一兆八千七百億円が節約できるとしましても、主計局次長理財局長の担当になるのかよくわかりませんが、私の出しました資料から見ましても、これを全部やめてしまえばたちどころに五千三百億円穴があくということになれば、一兆八千七百億円を丸々定率繰り入れで積み立てるということはないにしても、何がしかはこれは予算措置しなきゃならない。何がしか措置しなきゃならないだけでなしに、一定余裕金といいますか、やりくりをするためにそれがなければならない。その問題をどうするか。それを若干考えても、定率繰り入れをやらない方が予算編成に役立ち、かつ国民国債に対する不安を与えないで済むか、あるいは相当金はかかるけれども定率繰り入れを断固六十年から復活するか、こういう選択の問題になるのですね。非常に明快な問題であります。そういう問題についてどうお考えになるか、大臣もしくは事務当局から御答弁願います。相当整理して聞いているのですから、通り一遍じゃなしに率直な答弁を願います。
  10. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今のお話のごとく、仮に六十年度において定率繰り入れを停止した場合に、国債整理基金の中でどういうことになるかということでございますけれども、六十年度に仮に停止いたしましても、現在基金の中には余裕財源がございますので、その意味での問題はないわけでございます。  しかし、もう一つ委員がおっしゃいましたように、その余裕財源は現在非常に乏しいものになってきておりますので、その面から考えますと、国債管理政策その他の面からどういうことになるかという問題が生じるわけでございます。したがいまして、仮にそういうことになった場合にどの程度基金にお金が必要かということは、十分検討する必要がある問題だと思います。その点につきましては、理財局のお話ですので、そちらから……。
  11. 西垣昭

    ○西垣政府委員 今のお配りになりました資料につきましては、これは前提条件の置き方によってこういう結果が出るだろう、こういう感じがいたします。  国債整理基金の残高の必要性につきましてですが、これは一般論として申し上げますと、残高があることによりまして、例えば一定時期に満期が集中的にある、そのときに円滑な借りかえができないというような状況のときに、余裕金がございますと、それをずらして発行することができる。その余裕金がないと、市況等が悪くて、悪い発行条件で発行しなくちゃならないような起債をせざるを得なくなってしまう。こういった意味で、国債管理政策上支障が生ずるおそれがあるということは言えようかと思いますが、しからば幾らあったらいいかということになりますと、これはそのときの金融情勢等にもよることでございまして、国債管理政策の立場からいきますと、余計あった方が円滑にやれるということしかちょっと言えないのじゃないかな、こんな感じがいたしております。
  12. 正森成二

    ○正森委員 今理財局長答弁があったのですけれども、私は純理論的にはそう言えると思うのですよ。しかし、今そういうぜいたくが言っておれる身分であろうかということは率直に指摘せざるを得ないのです。既に現在でももう余裕金は大分なくなってきているわけでしょう。それで五十六年、五十七年の国会で粉飾決算だといって追及されたときには、国債整理基金から大量に出動して決算調整資金の方へ繰り入れるということもやりましたね。これからは二度とああいうことはやらないと思いますが、いずれにせよ定率繰り入れを続けたとしましても、余裕金というのは、私のこの資料を見ていただいてもわかりますように、せいぜい一兆円か、二兆円を超えることはないのですね。だから、国債管理政策のために、できれば余裕金があった方がいいといいましても、その余裕金の幅というのは、法律の規定する定率繰り入れをやってさえも極めてわずかなものになっているのです。ですから、その中で定率繰り入れをやれないという状況に仮になった場合には、償還に穴があかないように、かつ最小限どれぐらい保有しておいたらいいかということは、やはり主計局にしろ理財局にしろ検討せざるを得ない課題であるというように私は思うのです。万一定率繰り入れをやめた場合ですよ。
  13. 西垣昭

    ○西垣政府委員 今御指摘がありましたように、そういう余裕があるかどうかというせっぱ詰まった立場で、確かに総合的に判断すべき問題だとは思います。ただ、せっぱ詰まったときの判断といたしまして、国債利子負担国債整理基金の運用の利回りと比較して、単純に逆ざやだから損だということには必ずしもならないのではないかという面もございます。例えば非常に条件の悪いときに発行を余儀なくされるということになりますと、全体としての利子負担がふえるという意味で、長期的には国債費負担がふえるというおそれもあるわけでございまして、そこのところは総合的に判断すべき問題ではないか、こういうように思います。
  14. 正森成二

    ○正森委員 いや、理財局長の性格はどうも公式主義のようですけれども、そんなことは百も承知で、五十七年、五十八年、五十九年と定率繰り入れができなかったわけでしょう。そして財政審は、この財政危機のもとで特例公債発行しながら、さらに定率繰り入れで積み立てていくというのはいかがなものかということで、これはむしろ不合理であるということで三年間やめてきたわけでしょう。そしてあなた方の仮定計算では、中期展望でも、要調整額が三兆八千億円もある。首が回らない状況になっておる。そういうあした食べる御飯がないというときに、一年先あるいは六カ月先の借金を返すのをどうするかということで頭を痛めるという、それほど余裕のある身分であろうかということで、ぎりぎりの質問をしているのですがね。  これはまだ四月十八日だからこの質問でいいのですよ。あなた、来年はどういう地位におられるかわかりませんが、来年の一月、二月の予算委員会の論戦になれば、いや応なしに、いや、いろいろ申しましたがやっぱり定率繰り入れはできませんでした、しかしながら国債消化に不安を与えないためにこういう措置をとりましたという答弁をしなければならないかもしれないですよ。だから、二月にしなければならないのなら、この財確法審議している今、その片りんでも言っておけば罪が軽くなるんではないか。そう言うと語弊がありますが、まあまあ大蔵省は秀才だけじゃなしに、案外正直者がそろっておったということになるわけで、あなた方が見え透いたことを公式論で答えて、そしてぎりぎりになったら、こういたしましたということでは——いいですか、我が国の戦後財政史上初めて特例公債のまた借りかえをやるという審議なのですよ。そのときに、ちっとは心を開いて虚心坦懐、議論をなさったらどうかということで、あえて順番に聞いているわけですから。公式論ならもういいですけれども、もう少し心を開いた答弁ができるかどうか。それであなたの人柄がわかるから。
  15. 西垣昭

    ○西垣政府委員 総合的判断が必要であるという点については同感であります。ただ、総合的判断をする場合の材料として、私は先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほどの正森さんの議論の中の、いわば定率繰り入れをしないことの必然性という三段論法。その議論の中で一つだけございましたのは、借りかえまでしなければならないようになっただけに、国債の信認を維持するためには、無理してでも総合減債制度というものの基本はやっぱり維持すべきだという議論もあるのです。  それからもう一つ、全額しなくてもいいじゃないか、この議論をしますと出てくる議論というのは、例えばこれはまさに大蔵大臣には違いありませんが、まだ仮定議論としてお聞きいただけばいいのですが、議論の中で出てくるのは、されば四条公債はやって、赤字公債分だけはやめるとか、そういう組み合わせといえば組み合わせ。ところが、それはまた議論してみますと、減債制度というのは総合減債制度ということになっているから、その限りにおいてはそういう選択で色分けするのはおかしいじゃないか、こういう議論もあるわけですね。したがって、私はやっぱり、その都度都度総合判断をする問題だ。  こういう議論をいただきますと、私、あれは正木さんに一遍たしなめられましたが、あなたが借りかえをしなければいかぬじゃないかと言ったから、私は借りかえをしたんだと言ったら——それはそういう表現は慎みますが、そういう議論が出ることが、要するに、一月どういう形で御審議いただくかという、暮れの政策選択の大きな判断材料になるということで、きょうの時点で、まだ借換懇でも議論を聞かなければいけませんし、公式論の中にもいろいろな選択肢というものがあるということの意味で、あえて発言をさしていただいただけの問題でございます。
  17. 正森成二

    ○正森委員 率直な御答弁をいただいてありがとうございます。これ以上は伺いません。  そこで、今度は銀行局あるいは理財局、どちらになるかわかりませんが、その両方に関係してくると思いますが、そういうぐあいに、国債発行、特に借換債発行を含めますと大変な量になります。そのときに特に借換債の場合には、一時期にどっと集中するというものをどういうぐあいに消化していくかという問題で、今大臣理財局長が言われましたように、一つは手持ちの余裕金を持っておれば、若干時期をずらしたり、やりくりが楽になる。もう一つは市場によく出ておりますのは、短期国債発行して資金を一時つないで、そして一定の時期を見て長期債というようなことが言われているようであります。  そこで、この問題について既に同僚委員もお聞きになったと思いますが、短期債については、短期債という以上は一年未満であろうとか、それが年度内に二回発行する場合はどうかとか、あるいは年度をまたがる場合はどうであろうかとか、いろいろの議論がなされております。きのう同僚の坂口委員からおしかりがございましたが、日本経済新聞に、「金融自由化で大蔵省「展望と指針」」というのがでかでかと出ておりまして、何か大蔵省で幹部会議も開かれたということでございますが、私、これが全部正しいかどうかわかりませんが、ここに書いてあるのを見ますと、「短期金融市場の展望」という項目の中にハ、として「短期国債市場の検討 財政と深い関わりを持つ点に留意」、わざわざこうなっているんですね。短期国債の問題は、そういう点で国債の消化とも絡んで、あるいは金融自由化あるいは金利自由化とも絡んで重要な問題を持っていると思うのですね。この問題について、どちらからでも結構ですが、御見解を承りたいと思います。
  18. 西垣昭

    ○西垣政府委員 きのうも申し上げましたので繰り返しになって恐縮でございますが、六十年代に入りますと、五十年代に大量発行された国債償還期がどっとやってまいるわけであります。さらに、その中には特例公債償還期ということもありまして、建設公債特例公債合わせましての借りかえということで、それをいかに円滑に発行、消化するかということで、いろんな工夫が必要ではないかというように考えております。  具体的にどうするかという点につきましては、借換懇というものを設けまして、昨年十一月から真剣に勉強させていただいておりますが、その中で、短期国債も重要な検討課題ということで現在検討しておりますことは事実でございますが、まだ検討の最中でありまして、具体的な方向といいますか構想が固まっているわけではございません。そういった意味で、それ以上のことを現時点で申し上げるのはちょっと時期尚早ではないかというように思います。
  19. 正森成二

    ○正森委員 銀行局長は何かおっしゃることありますか。
  20. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 金融サイドから申し上げますと、我が国の場合には、短期市場というのはコール、手形、現先、CDがございますが、コール、手形はインターバンクでございます。現先、CDがオープンマーケット、だれでも参加できる。このオープンマーケットが少し整備されていないんじゃないかというのが一般に指摘されているところであります。海外からも、今回のアドホックの会合などにおきましても、CD市場をもう少し流通性をふやしてもらいたいとか、あるいはBA市場を創設してくれとか、あるいはTB市場をつくってくれというようないろいろな要請があるわけでございまして、金融サイドからいいますと、そういうような短期金融市場が充実していくこと、これは将来の方向としては望ましい方向じゃないか、こう思っているわけでございます。  ただ、今理財局長申し上げましたように、例えばTB市場一つにいたしましても、これから期近債が大いに出回るとか、あるいは今御指摘の新しい短期の国債発行するようになるかもしれない。いろいろな意味で、今ここで短期の国債市場について軽々に結論を出してしまうよりも、日本の例えば短期の国債市場についてどういうような方向に持っていくのかという点については、もう少し時間をかけて検討してからの方がいいんではないかというふうな考え方でおるわけでございます。
  21. 正森成二

    ○正森委員 なかなか口がかたいようですが、それでは私から伺っていきます。  言葉の定義を正確にしなければいかぬと思うのですが、今新聞紙上で出ている短期国債という概念は、財政法上、あるいは一般的に財政関係の書物で言われている短期国債と違う意味もあり得ると思うのですね。わかりますか、意味が。その違いは、基本的にはどこにあると思われますか。
  22. 西垣昭

    ○西垣政府委員 先生の御質問の御趣旨は、恐らく財政法五条の国債と七条の政府短期証券を頭に置いての、そういう違いがあると思います。
  23. 正森成二

    ○正森委員 理財局長、よく私の顔色をお読みになりましたが、その御答弁だけでは、六法全書を持っておられない方はよくわからないのですね。それで、財政法五条と七条はどう違うのかということを重ねて御説明願います。
  24. 西垣昭

    ○西垣政府委員 財政法五条の国債は、歳出財源に充てる歳入の一部を構成する国債というふうになっておりまして、これは原則としては発行しない、許されているのは建設公債である、建設公債以外のものは財政法上許されていないで、それはもし出そうとすれば、単一法を出して例外として出していく、この歳入財源である国債については日銀引き受けは認められない、こういうものであるわけであります。  それから財政法七条の政府短期証券につきましては、これは歳入財源を構成するものではなくて、一時的な資金繰りを見るための短期証券という構成になっておりまして、したがいまして、この短期証券につきましては、場合によっては一時借入金も日銀からは認められるということで日銀引き受けが認められる、そういう仕分けになっております。
  25. 正森成二

    ○正森委員 六法全書を持っておられない方のために、失礼ですが答えていただいたのですが、端的に言いますと、一方は日銀借り入れが禁止されているのに対して、財政法七条に言う大蔵証券その他の、物の本では短期国債という表現をしているところもございますが、それについては日銀引き受けができるということになっているのですね。これが重大な違いであります。  この問題についての歴史を調べてみますと、これは理財局長、あらかじめ申し上げておきましたから御勉強になっておると思いますが、敗戦の年の昭和二十年十一月の二十四日に連合軍総司令部が「戦時利得の排除及国家財政の整理に関する件」というのを出しまして、司令部の許可ある場合のほかは国債発行を禁止いたしました。次いで翌二十一年一月二十一日に「政府借入並に支出削減に関する件」の司令部覚書が出されて、国債の日銀引き受け発行が禁止されたわけであります。ところが、これには重大な例外規定がございまして、2の(ハ)というところに「日本帝国政府、並にその代理又は出先機関の歳入不足を賄ふ為に普通銀行及日本銀行資金を利用する事は最後的手段としてのみ行ふべきものとす。本制限は政府短期証券例之米穀証券の如く直接物資、労務者等の支払の為めに発行さるるものの割引又は再割引には之を適用せず。」という規定になっているのですね。これに基づいて大量の大蔵証券あるいは食糧証券が発行されたわけですね。これは昭和二十二年の財政法にもそのまま引き継がれまして、今御答弁がありましたように、第五条は国債の日銀引き受け発行を禁止しましたけれども、短期国債については同法七条で、国は、国庫金の出納上必要があるときは大蔵省証券を発行することができると定められているだけで、発行方法については制限がないのですね。その後の改正等で、日銀の引き受けもこれは認められるということになってきているわけで、これで大蔵省は大蔵証券その他続々と発行するということになったわけです。  さらに歴史を見ますと、昭和三十年代に政府保証債が非常に膨張いたしました。これは国債発行するのにかえて、政府保証債ということで事実上国の財政の規模を膨張させて、積極的に経済にてこ入れをしたわけですね。そのときに、それまで総合予算の均衡であったのが一般会計予算の均衡ということになって、公社、公団をつくりまして、そこでは保証債を発行していろいろ仕事をすることができるということにしていったわけですね。その根拠になりましたのが法人に対する政府財政援助の制限に関する法律、通称財政援助制限法というのが昭和二十一年の九月にできましたけれども、これで保証債の発行はできないことになっていたのですが、特別法の制定で、例えば日本国有鉄道あるいは日本電信電話公社、こういうのをつくりましたときに、いずれもこれについては例外であるということにしたわけですね。これと同じことは日本道路公団法などでもそうでございまして、ここの法律では二十八条で「政府は、法人に対する政府財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額範囲内において、道路債券に係る債務について保証することができる。」これは事実上準国債であります。こういうようにして事実上政府財政活動を膨張させてきたわけですね。  ところが、昭和四十年代にはこれだけでは追いつかなくなって、昭和四十年、三十九年から続きました不況の中で、ついに国債発行が公然と行われるという歴史を持っておるわけですね。しかも御承知のように、昭和四十年代最初の発行建設国債だった。それで五十年に、答弁借りかえしないということで、五十一年から、特例公債だが借りかえしないということになったわけであります。  こういう点を見ますと、今新聞紙上で一年未満の短期国債、短期国債ということが盛んに報ぜられておるのですが、これが財政法五条に言う国債なのかあるいは財政法七条に言う国債なのかというのは重大な問題があると思うのです。それで、短期国債をつなぎ融資としてやるというのが言われておりますときに、大蔵証券でも通常は六十日でございますが、昭和二十年代には三カ月物、六カ月物というのがあったわけですね。そうだとすると、一年未満の国債というのはこれと相隔たることほんのわずかなんですね。だから、日銀は否定をしておりましても、政府としては国債定率繰り入れをやって若干の余裕を持つか、あるいは背に腹はかえられないで、これをやらないということになれば、ゼロにするわけにはまいりませんけれども、それを、四条国債についてだけ定率繰り入れをやるとか、いろいろの考えはあるかもしれませんが、最小限にする。それでも手持ちが不足で困難だという場合に、やはり短期国債を考えるであろう。その短期国債の場合に、果たして五条の国債だけを考えるのか、あるいは七条を考えて、ただしこれはつなぎであるということでやるという可能性は決して否定されないと思うのですね、あなた方の頭の底にですよ。私はそんなことをしていいと言っているのじゃないのです。言っているのじゃないのですが、西垣理財局長初め首脳部の腹をよく見ると、そういう可能性も考慮して今政策を考えつつあるというふうに思うのです。そう思われてならないのです。だって、それしか選択肢はないのですから。  そこで、率直に伺いますが、世上言われている大蔵省が考えている短期国債というのは、七条を絶対に考えないのか、五条だけでいくのか、そういう場合にどういう性格のものでやろうとしているのか、率直に答えてください。
  26. 西垣昭

    ○西垣政府委員 最初にちょっとおわびをして訂正したいと思いますが、さっき四条と五条と一緒に言いましたのですが、根拠規定が四条で……(正森委員「それはわかっています」と呼ぶ)  短期国債の問題でございますけれども、非常に先を読んで厳しい御質問でございます。ただ、私昨日来申しておりますように、国債の多様化の一環としての短期国債ということを検討し始めているところでございまして、その短期化の意味は、今やっている二年、三年、四年の中期よりも短いものを全部ひっくるめて短期ということを申しているわけでございます。  これからの検討の方向でございますが、今言われたような問題はいずれ検討課題として考えなくちゃならない問題だと思いますが、いずれにいたしましても財政法四条、五条の趣旨は十分に尊重して検討していかなければならない、こういうふうに思っております。
  27. 正森成二

    ○正森委員 それ以上は今おっしゃれない立場であろうと思いますので、これ以上は伺いません。しかし、私が質問した意味はよく御理解いただけたと思います。財政問題を真剣に考え、償還を円滑に行い、かつ予算本体に過大な負担をかけないようにやろうというように考えれば、党派は異なりましても、まじめに考えていけばそういうような問題点が起こるであろうということになるわけで、来年一月を待たずに、この四月の大蔵委員会で問題点だけは指摘しておくということで申し上げたわけであります。御苦労さまでした。  そこで経企庁、えらいお待たせしました。おくれまして済みません。もう一つの問題に移らしていただきたいと思います。  それは、歳出カット国民負担増という二つのことしか残っていない、借換債の問題は片づき、それ以外の四条債にしろ特例債の発行にしろふやせないという状況中期展望でなっておるのだからということを申しました。そこで残るところは国民負担増の問題であります。それで「一九八〇年代経済社会の展望と指針」でしたか、それをお出しになりました。  私は、こういう問題について昨年の二月と九月、特に九月でしたか、当時は塩崎経企庁長官でしたかに御質問をいたしました。こういうような財政危機のときに「経済社会の展望と指針」、総理の御意向で「経済計画」という言葉を「展望と指針」というように変えたわけですけれども、お出しになる場合には、これまでの七カ年計画あるいは五カ年計画は全部一定数字出した。これはもちろん計画ですから、定量的に確定的に決まるものではありませんが、数字出したのですね。ところが、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の場合には数字を出さないということで出していないのです。塩崎さんに私が質問しまして、塩崎さんは正直だからか知りませんが、つい口を滑らして、数字はあるんだけれども出さないんだともとれる答弁をしたのです。私は、非常に正直な方である、私の本日の質問の中で一番よい答弁だったと言って褒めてあげたことがあるのです。大蔵省より経企庁の方が正直かなという気もしないでもないのですが、塩崎さんは確かに正直で、あるけれども出さないんだという意味答弁をされたのです。しかし、待っておりましたら、大内委員が非常にお怒りになって質問をしておられますが、ことしの予算委員会総括になりましても出さないのですね。  大体経済運営をやる場合に、抽象的な名目成長率が幾らか、あるいは国民総生産がどうなるか、あるいは失業率がどうなるかというような漠としたものだけは出すけれども、政府がまさに自分の責任で決めなければならない租税負担率がどうなるか、社会保障負担率がどうなるか、社会保障移転がどうなるか、特に政府公共投資の総額の見込みがどうなるか、これは全部政府が主体的に決めることのできる数字ですが、それを出さないで、それも含めて、民間活力も含めて、海外の貿易も全部含めて決まる名目成長率が幾らか、失業率が幾らかということだけは数字を出す。世の中にこんなにばかげた、人を食ったことはないのですね。自分が何をやろうとするかは言わないで、それも含めて、あなたたちの統制の及ばない民間の経済から貿易から全部含めた数字だけは出してくる。こういうことが政府の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」なんですね。これが、そんなものを出して下手に野党に揚げ足をとられてはいかぬという総理の知恵なんですね。私は同じ静岡高等学校出身なんですが、やはり性格が違うとみえて、私ならもっと数字出し国民の批判を仰ぐと思うのですけれども、そういう手法をとっておられるのです。  そうして竹下大蔵大臣の、定量的にお示しになるのじゃなしに定性的に示しておる次第でございますという名答弁があるんですね。これは非常にお上手な答弁で、定量的には出さないが定性的に出したというと、何かごっついものを出したように思うのですが、本当に何も出さないことを、定性的に出すことにしたわけでございます、こう答えているんですね。私はそこの速記録には線を引っ張って、これくらいうまい答弁ができるようにならなければ財政危機大蔵大臣は務まらぬというように思ったのです。しかし、それでは国会でのまじめな論議にならないのですね。自分が主体的に決めることのできる租税負担率をどうし、社会保障負担をどうし、公共投資をどうするということを決めないで、もう五十九年度が決まったし、六十年度は目の前でしょう。それを三年先、五年先のおおよそのことを示さないで、そのかわりに民間も全部入れた名目成長率や何やらだけは七年先まで出しているんですよ。いい心臓でしすね、本当の話。だから、こういうことをやったらいかぬですね。国会軽視、予算委員会大蔵委員会軽視も甚だしいというように言わなければならぬと思うのです。これはおわかりでしょう。  そこで、私がそう言っても、どうせ余りいい答弁をしないつもりでしょう。顔を見れば、先生のおっしゃることはまことにそのとおりでございますが、予算委員会答弁以上に審議官の私が答弁できる権限はございません、そう書いてありますね。だから、答弁はいいです。答弁はいいから、具体的な問題を聞きます。答えたければ後で答えてもいいんですが、財政制度審議会が五十九年一月十八日に「中期的財政運営に関する諸問題についての中間報告」というのを出しているんです。これは非常に興味のある文章でございまして、その一番後ろに「国民負担率の推移(対国民所得比)」というのが別表2でついている。これは読めば読むほどいろいろ我々に教えてくれるものがある。質問すると言っておりませんでしたが、よく御存じでしょうね。なんでしたら、私のこれを見て答弁してください。  これを見ますと、昭和四十七年から五十七年を対比した数字と、四十八年から五十八年を対比した数字というのが載っております。私は、オイルショック前の四十七年から五十七年の十年を比べた数字で物を言わしていただきます。これを見ますと、税の推移は四十七年から五十七年の間に三・八%ふえたんですね。それから社会保障負担は四・八%ふえたんです。十年間に計八・六%ふえたということになっております。これは四十八年から五十八年という数字をとりましても似たようなもので、計六・九%ふえておりますから、財政審は、十年間に大体七から八%国民負担がふえておる、そして現在は三四、五%になっておる、こういうことになるわけですね。  こういう推移を見ますと、ここで言えることは、税負担よりも著しく社会保障負担負担率の伸びが速いということを私は指摘せざるを得ないのですね。  そこで、日本型の国民負担を求める道は、政府にかわって言いますと、国民に直接抵抗が多い租税負担率を大きく増大させるよりは社会保障負担増大させることによって、つまり各種保険料等を増大させることによって全体としての国民負担増をふやすのではないか、これが日本的な国民負担のふやし方ではないかという気がしてならないわけであります。  そこへもってきて、さらに第三の手法があらわれたということを申し上げなければなりません。これは財政審の報告の中でこういう表現で言っております。最後のところです。「なお、国民負担の問題を考えていくに当たって留意しなければならないことは、歳出の削減を進めていく場合、公共サービスの縮小をもたらすことになるということである。公共サービスの縮小は、行政の責任領域を見直して、国民が自らの選択において自ら対処すべきものを、公共サービスの対象からはずすということであり、その結果、国民それぞれの支出はある程度増えることになる場合もあると思われる。したがって、国民負担の問題を検討するに当たっては、租税負担社会保障負担を合わせた国民負担の増と、歳出削減による公共サービスの縮小との関係をどう考えるかという観点も含め、国民選択を求めることが必要であると考えられる。」こう書いております。つまり、これは租税負担社会保障負担のほかに国がカバーする領域は減らして、国に対する租税負担率や社会保障負担率は減るが、そのかわり国民が今まで国から受けていたサービスを自分の懐から直接出し負担しなければならないものをふやすという三つがあるということを言っているものにほかならないのですね。  そして、審議官にまず答えていただいて竹下大蔵大臣に答えていただきますが、本年度の、五十九年度予算編成を見ますと、国民健康保険法の本人の一割負担といい、退職者医療制度の創設といい、国民健康保険に対する国庫負担を医療費の四五%から大略三八・五%に減らしたことといい、あるいはまた雇用保険法やまた母子年金ですか、というようなものの制度の改変といい、ことごとく直接の国民負担をふやすという方向に向いていると言わなければなりません。  ですから、予算委員会質問の中で、ヨーロッパよりは低い水準ということを言いまして——私は本当は経企庁の高官から聞いているのですよ。あなた方は出さないけれども、あなた方のかばんの中には、いいですか、昭和六十五年度をめどに国民負担は全体として四〇%にする、今より約五、六%上げるんですね。租税負担は約二七%にするという数字があるということを知っておりますが、それはあなたの口からは言えないでしょう。言わなくてもいいです、言いたければ言ってもいいですが。ですけれども、それはそれだけではなしに、その国民負担にあらわれない別の意味国民負担をふやして、その結果そういう数字にする。ですから、実質の国民負担は四〇%をはるかに超え、臨調の、名前をちょっとど忘れしましたが、元伊藤忠の副社長、瀬島さんですか、がいみじくもおっしゃった四五%というような、そういう数字に結局なるのではないか、そういうことを考えているんでしょう。
  28. 星野進保

    ○星野政府委員 お答え申し上げます。  「展望と指針」におきましては、先生が今御指摘になりました、増税していくかあるいは国民の公共サービスを減らしていくか、要するに普通の言葉で言いますと歳出削減でございましょうか、それからあるいは公債に依存していくかという、大体三つのケースを挙げておりまして、これまた先生のおしかりを受けるかもしれませんが、それの選択国民にお願いします、こういう言い方をしておりまして、論理の筋道としましてはいろいろなケースが、こちらを立てればあちらが立たない、あちらを立てればこちらが立たないという状況にあるということを非常に苦吟しながら「展望と指針」では言っているということだと思います。
  29. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、私が仮定やあるいは自分の意見も交えて、結局社会保障負担とそれから租税負担ですね、日本の場合は社会保障負担の方をふやすことによって国民負担をふやすのじゃないか。そのほかにプラス公共サービスの分野を狭めて、健康保険の本人一割負担のように直接国民自身の負担をふやす。だから、統計上数字にあらわれない国民負担ですね、その三つ組み合わせで対処しようとされているのじゃないのですか。
  30. 竹下登

    竹下国務大臣 確かにこの八〇年代後半の「経済社会の展望と指針」、いつも申しますように「七、六、五抜きの四、三、二、一」、この数字しかございません。私どもも実際問題考えまして、二十六カ二分の一、それから社会保障負担が一一、合わして三七・五ですか、というのを「新経済社会七カ年計画」のときにやって、そうして公共投資が二百四十兆、それが下方修正して百九十兆、しかしあとの数字はまだいじらないでそのまま死んで——死んだといいますか、新しいこの「展望と指針」に変わっていったわけですね。やはりそれで見ますと、今社会保障の方が一〇・八ですか、だから一一と二十六カ二分の一は昭和六十年ですから、これはそれなりにたまたまそれに近づいておる。一方は二十六カ二分の一から見ればまだ遠い。それには基礎にいわゆる一般消費税(仮称)の導入というのが当時は前提にあったと私も思います。  そこで、急激な経済情勢の変化の中で、私はやはりほかの数字というものに対して疑問を感じましたのは、私個人としては、二百四十兆をまさに三〇%減の百九十兆にしなければいかぬという大変動。そうすると、数字を示すことがより一層政治不信をむしろ暮らすことになりはしないかという反省もございました。いろいろ議論された結果、経済企画庁でそうしたものをつくっていただいた。  で、国民負担の中の社会保障負担部分というもの、これは先進国どこを見ましても、ずっと見てみますと、アメリカで見ても租税が四十年が二六・六が今二七・一で、社会保障が五・三が一〇・二、それからイギリスの場合におきましても今一〇・七、すなわち四十年は六・九、西ドイツでもA,B,Aが税金でBが社会保障負担ですが、やはりそういうのが四十年が一三・五が二二・五とか、フランスの一七・七が二六・六とかというふうに、それらの傾向として受益と負担という点からしてこの方がわかりやすい。だから、予算そのものは富の再配分の一つの機能を果たしておりますものの、この場合は共通の公共事業とか共通の教育とかそういう面がございますので、やはり財政審であの最後に指摘されたような方向に行くであろうという感じは私自身も持っております。  ただ、困るわけでもございませんが、要するに今のところヨーロッパのそれよりもかなり下回るというところまでしか行っていないわけですね、国民負担そのものも。だから、議論の過程には恐らく四〇という数字も出たでございましょう、四五も出たでございましょう。しかし、それが那辺にあるかということになりますと、これから今のような話を聞きながら、その国民のコンセンサスは那辺にあるやを決めることであって、大事な問題でございますだけに、慎重でありながらも聞き耳を立てて御高見を承っておるというのが現在の実情であります。
  31. 正森成二

    ○正森委員 聞き耳を立てていただいているのは結構ですが、私が四〇、四五という数字を言うたということは、そうしてくださいと言っているのでは決してないということを念のために申しておきたいと思います。そういう数字が出たから四五を望んでおるなどと言われては困りますので、念のために申しておきます。  それで、一つ質問事項にはございませんでしたが、大蔵大臣、まことに失礼ですが、大蔵委員会でやはりお考えを聞いておる方がいいと思いますので、あえて質問させていただきます。  それは、きのうの夕刊に大きく「竹下氏に三億五千万円」ということで「小針社長 無利息で貸し付ける 四十三−四十七年国税当局が確認」という記事が出ております。これを見ますと、「責任追及、指導監督の立場にある竹下登蔵相が、同グループを率いる小針暦二社長から過去に無利息で多額の政治資金借りていたことがわかった。五十二年の東京国税局の竹下氏に対する税務調査の過程で確認されていたもの」「同国税局の調べによると、貸借金額は総額約三億五千万円にのぼっている。」ということで、「竹下氏側は「特別な政治運動資金として一時的に借り入れているものであり、随時返済している。利息は支払っていない」と回答した。」と報道されております。  そして、別の記事では、「巨額の金不審な軌跡「金丸氏に八億預けた」五十一年総選挙前後に一時」こういう記事がございまして、その記事を見ますと、これは後で随時御自由におっしゃっていただきたいのですが、「五十四年に国税当局が行った小針社長の税務調査で、」小針社長が所有していた東武鉄道の株を処分して約八億円つくったが、それが「五十一年前後の数年間、「行方不明」となっていることがわかった。当局が問いただしたところ、小針社長は、はじめは当時蔵相だった竹下登氏に貸したと説明したが、結局、金丸氏に預けたど明らかにした。竹下氏の名前を出したのは「蔵相の名で追及をまぬがれようとした」と小針社長の関係者はいっている。」こういうのですね。そして、「五十一年の選挙は、田中派にとって「ロッキード事件のあとで、資金も少なく非常に厳しいたたかいだった」」ところが、派として配った金は二百万円にすぎなかったのに、「金丸・竹下グループは別個に、多数の候補者へ五百万円−一千万円を手当てして、「みんなの目を丸くさせた」。これを一つのきっかけに、派内で金丸・竹下氏が重きをなすようになったというが、このときの多額の金と、「小針社長の八億円」とは、果たして別のものだったのかどうか。」という記載がございます。  こうしますと、竹下氏が新聞で言う、お借りになっていた三億五千万円と、小針氏が初めは竹下氏の名前を出し、その後金丸氏に預けた、八億円もの金を利息もつけないで預けるのもおかしなことでありますが、その金とは重なり合うのかどうかという疑問もございますし、そしてこのお金が五十一年の選挙で政治資金として配られたというような疑惑も起きているわけであります。これが余人ならばいざ知らず、現在小針社長の問題あるいは福島交通不動産、福島交通の問題あるいは美福の問題、そしてこれらに七百三十億円もの大量の貸し付けを行いました日債銀の問題というのが問題になっておりますときに、これら銀行融資を監督する総責任の立場にある蔵相についてこういう記事が一流紙に出ておるということは、このまま済ますことのできない問題であります。それで、将来の銀行行政等々を的確に行うためにも、あるいは国税局の査察に手心を加えないためにも、ここで竹下大蔵大臣に、どうかその経緯を率直に国民にわかりやすくお述べいただきますように、失礼も顧みず申し上げる次第であります。よろしくお願いいたします。
  32. 竹下登

    竹下国務大臣 いい機会に御質問をいただきまして、小針さん側からお金を借りたあるいは貸したという事実は全くございません。一流紙の新聞記者で私のよく知っている人がたびたび来ておりまして、私はお会いしなかったのですが、この五十二年のときのことを思い出してみますと、本院でも前回の五十四年の大蔵大臣のときに御質問がありまして、五十二年にある企業に参りましたいわゆる講演料が、企業側から連絡があって、それが五十万円漏れておりまして、それから修正申告の相談に行きました。そうしたら、あなた、家を建てた時期と符合するから整理されたらいいでしょうと言うので整理をいたしまして、何年間かにさかのぼって修正申告をいたしました。それは五十二年。しかしそのときも小針氏との関係というのは私は何にもなかったと思います。  ただ、二十六年前に、当時議員宿舎のないときですから、つい下の溜池に住宅公団アパートが建ちまして、四階までが事務所でそれから上が宿舎で、そこへ入れてもらいました。私一人ではございませんでしたけれども、二DKというんですか、そこに十年ぐらい住んでおりましたが、その際小針氏が一番下に事務所を持っておりました。それで、余り仕事がなかったのか、事務所があいておりましたので、うちのまだ幼稚園へ行くような子供、もう嫁に行きましたけれども、毎日遊びに行っておりまして、それからしたがって二十六年ぐらいつき合いしているということは、これは事実であります。  それからその後、いつごろか記憶しておりませんが、小針氏の親戚へ私の遠い親戚から嫁に行きましたことも事実であります。それは例えば、私の父の葬式があってもやってくるような間柄でございます。だから、直接の血縁はないにしても、ある意味において親戚であることは間違いありません。ただ、実際金を借りたことも貸したこともありませんが、慶弔のつき合い等は長くしております。だからこれは余りコメントしてみても、何か人に迷惑かけるようなことになってもいけませんし、元来私人様に迷惑かけないように、大概なことは自分で処理すればいいと思っておりますから、ないということさえみずから信じ、客観的にそうであれば、それ以上コメントすることもいかがかな、こういうような心境であることは事実であります。  それから、政治資金の問題、たしか今ごろは私に関する政治資金はかなりあろうかと思います。ことしのはよく聞いておりませんが、八億か九億あろうと思いますが、昭和のあのころに三億五千とか八億といえば大変な金でございますから、それも一年生代議士の私が、大体考えられない感じがしまして、だからまあ一流紙の記事、もう四回ぐらいいろいろ書かれてもおりますし、私、「悪名は無名にまさる」という考え方を持っているわけではございませんけれども、よく書かれますので、結局余り気にしないでおって、みずからそういう事実もなければ、また言論機関というのは名誉棄損とかいろいろなことをやってみましても大体だめでございますし、人様に迷惑がかからないように自分さえしっかりしておればいいのじゃないかな、こういうつもりです。  それから、政治資金を五十一年ごろにそんなにたくさんばらまいたというような記憶はございません。
  33. 正森成二

    ○正森委員 それではここに「竹下氏側は「特別な政治運動資金として一時的に借り入れているものであり、随時返済している。利息は支払っていない」と回答した。」とあるのは誤りでございましょうか。「同国税局が小針氏からの借り入れの有無をただしたところ、竹下氏側は「特別な政治運動資金として一時的に借り入れているものであり、随時返済している。利息は支払っていない」と回答した。」こう言っておるのですね。国税庁、来てもらっておりますね。そういう記事になっております。国税局に回答したという形で書いてありますので、個別問題は答えないということかもしれませんが、大臣がいい機会を与えていただきましたと言っているのですから、率直にお答えいただきたいというふうに思います。
  34. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 個別問題という以前に、新聞報道によりますとかなり古い問題でもございますので、私どもとしては全くわからないというお答えになろうと思います。
  35. 正森成二

    ○正森委員 ともかく新聞に大蔵大臣がこういう記事で出ているということは、今の福島交通あるいは日債銀の問題を考えますときに、国民全般に非常に大きな一つの感じを与えると思いますので、今後とも機会がございましたら、そういうことをなぜ書いたのかという問題について私どもも調べてみますが、大臣の方でも、措置をおとりになるとか、いろいろお考えになることがあると思いますので、ということを申し上げておきたいと思います。私なら、もしこういうことが全く事実無根であるのに書かれた場合には、一定の名誉回復を求める措置をとるはずであるというように思います。  私は本当は利子課税の問題とか金利の自由化の問題について、できましたら主税局長、それから銀行局長に詳しくお聞きしたいと思っておったのですが、残念ながら時間が参りましたので、二十四日に機会が与えられましたら質問させていただくことにいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。どうも失礼しました。
  36. 瓦力

    ○瓦委員長 上田卓三君。
  37. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 まず大臣に、景気回復について御質問申し上げたいと思います。  八三年度国民総生産、いわゆるGNPが政府見通しどおり実質三・四%の成長を達成することが確実と言われているわけでありますが、昨年二月を底に、三年間に及んだ長期不況から脱出し始めたとはいえ、景気のよいのは輸出関連産業などの一部だけでありまして、大蔵省は、景気は昨年以来穏やかながら順調な回復軌道に乗っており、本格的に景気対策をとる必要はない、こういうふうに言い張っておるわけでありますが、景気が回復してきた、好況だといった実感が少しもわいてこないわけでございますが、その点について大臣はどのように考えておられるのですか。
  38. 竹下登

    竹下国務大臣 実感における景気というのは確かに難しい問題でございまして、要するに高度経済成長の時期に我々の体質そのものが合っておって、三%台などというのは当時の印象からすれば不況だ、むしろそんな体質になれ過ぎておるのじゃないか。むしろ私は、先ほど来の話じゃございませんが、四%程度の実質成長というのを今日まで描いてきておる。これが普通の姿だ、世界全体が安定成長。サミットにおきましても、言ってみればインフレなき持続的安定成長ということを各国首脳が申し合わせておる今日、これが普通の姿であるというある種の意識転換がないことには、いわば好況感というのはなかなか感ずることはできないじゃないかというふうに思います。  ただ、鉱工業生産等の指数から見ますと、確かに前年同月に比べて景気は回復しつつあるという、指標の上ではそうなるわけでございますので、したがって三・四%は、昨年の千五百億円の所得減税等も含めて、より確実になったではなかろうかというふうに理解しております。したがって、明年は四・一%の実質成長ということを、これは見込みでございますけれども、そういうものをより確実にするためにも、やはり今度の公共事業の施行についても機動的、弾力的にこれを行っていこう。ただ、もう一つ考えなければいかぬのは、公共事業においては初めての施行でございます地域ばらつきの問題、どういうふうな指標でこれを選択していくかという問題はなお残りますし、それからもう一つは、業種間格差というのがあることは、私もやはり認めておるところでございます。
  39. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 政府見通しのとおりの成長を達成しながらも、景気がよくなったという実感が一向にわかない、こういうことでありまして、三・四%の成長とはたかだかこの程度か、こういうように我々は考えざるを得ないわけであります。三・四%の成長とは、輸出関連の一部大生産業だけの成長のことか、こういうように国民の中から大きな不満がわいてくるのは当然のことではないか、このように思っております。年度でなく暦年で見ると、八三年の成長率は実質でちょうど三%であったわけでありますが、要するに三%台の目標設定そのものがやはり低過ぎたのではないか、こういうように思えるわけでございますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  40. 竹下登

    竹下国務大臣 日本の景気というのは日本だけの経済情勢ではなく、アメリカ初め先進国、もちろん開発途上国も含め、それに影響されるところが多いのですが、ただ、目標設定の問題は、基本的には、これは議論すれば尽きないことになりますが、要するに日本の潜在成長力をどこに求めるかということから、非常に難しい問題でございますけれども、基本認識の相違が出てくるのじゃないか。仮に今度の予算で見ますと、いわば経済成長に対する寄与度というのはプラス・マイナス・ゼロ、だから下支えを辛うじてしておる、こういうことでございます。したがって、財政でもって景気を刺激する対応力というのは、残念ながら今日ないじゃないか。そうすると、勢い非常に範囲の狭い中で金融と、それから財政の中で言えば弾力的運営、この二つだけになってくるのじゃないか。したがって、成長率をもっと高く見ようとじますと、勢いやはり潜在成長力を余計に見て、いわゆる歳出を拡大しますとまた公債依存度が高まっていく。企業でありますならば、例えば先行投資した設備投資をやりましても、五年、六年先でこれが果実を生めば結構でございますが、財政というのはやはり単年度主義でございますし、そして思わざる結果を招いた場合のいわば責任というものがまた大変なものでございますだけに、勢いその点は経済成長率を意図的に高く見積もって、意図的という表現は必ずしも適切ではございませんが、少し高目だなと思うようなものを設定していくことについては、やはり慎重にならざるを得ないというのが実態でございます。
  41. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 通産の方がお見えでございますので、通産省は、十六日、全国の通産局長会議を開いて、最近の景気情勢について意見を交換したということでありますが、その通産局長会議ではどういう判断に立っておるのか、お答えをいただきたい、このように思います。
  42. 広海正光

    ○広海説明員 御指摘のとおり、今週の月曜日十六日に通商産業局長会議を開催いたしまして、各管内の経済情勢について報告を受けたわけでございます。  その概要を申し上げますと、電子、電気機械を初めとしまして、大部分の加工、組み立て産業が引き続き好調を持続している。それに加えまして、化学、鉄鋼等の基礎素材産業の一部も回復に転じておりまして、これを受けて地域的にも景況の明るさが広がっている、こういう報告でございました。しかしながら、業種別には、プラント関連、建設機械、セメント、建材関係等、なお低調な業種もかなりございます。また、地域的にも、北海道等、依然として不振を続けている。こういった業種別、地域別等のばらつきも見られるということでございます。  それから、総じまして、国内の需要は盛り上がりを欠いておりまして、企業倒産や失業率も依然として高水準にあるといったような問題も同時に指摘されておりまして、景気回復の腰は弱い、こういった報告がございました。
  43. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ということは、倒産や失業率は依然として高水準にあって、景気回復の腰は弱い、こういうふうに判断されているのですね。
  44. 広海正光

    ○広海説明員 そのとおりでございます。
  45. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 民間の信用調査機関の発表によりますと、三月の負債一千万円以上の企業倒産件数は、月間で過去最高の千九百二十六件を記録したということであります。この数字は二月よりも一七・六%もふえている。この結果、八三年度の倒産件数も、前年比一五%増の一万九千九百五十九件で過去最高の数字となった、こういうように伝えておるわけであります。この企業倒産から見ると、景気の回復などという話は一体全体どこの国の話だと言わざるを得ないのではないか、それほど景気が悪いと言っていいのではないかと思うわけであります。  業種別あるいは規模別、地域別の格差は拡大をしておりまして、長期不況のために体力を消耗している中小零細企業が極めて多い。日本経済を本当に底辺から支えている中小零細企業には景気回復の光は全然当たってない、こう言ってもいいのではないか、こういうように思っておるわけであります。  大臣お答えされたように、そういう渋い財政事情のもとで三%台の成長で結構だ、政府の成長寄与度はゼロで結構、景気回復は民間と外需に任せて十分、こういう無為無策としか我々は、大臣の回答といいますか政府の姿勢というものを判断せざるを得ないわけでありまして、そういう点で、四月以降、倒産件数は一体減るのかどうなるのか、こういう実態を踏まえて大臣はどう思っておるのか、お答えいただきたい、このように思います。
  46. 竹下登

    竹下国務大臣 これは上田先生も御存じのように、倒産件数というもので、私はこれは主観が入りますけれども、倒産の内容というようなものを考えますと、例えば建設業がやはり一番多いわけでございます。これは、私も建設大臣をしておった当時から、今五十万ございますと、仮に倒産して、翌日それが別の会社になって新たに登録する、こういうようなこともよくございます。したがって、これは業法全体の中で考えなければいかぬ問題だなという感じを持つ一部の物の考え方も持っておりますが、倒産件数が確かに多いというのは、かつては千五百が危険水域だとか千七百とか言ってみても、これはいいことじゃございませんので、そういうところが、もちろん企業家の自主努力も必要ですが、いろいろな配慮で、なかんずく中小企業対策あるいは我々の方でやるとすれば官公需の中小企業向け発注とか、そういうようなことで対応していかなければならぬ問題であるな、こういうふうには私ども思っております。ただ、有効求人倍率を見ましても、それは徐々にいい方向へ行っておりますし、全体から見れば、確かに素材産業等はおくれておりますけれども、これはいわば民間の今日の活力の中でなだらかな成長過程はたどっていくのではないか。  ただ、おっしゃいます議論で、やはり問題意識を持たなければならぬのは、最初申し上げましたが、言ってみれば、かつてのヨーロッパを追い越そう、アメリカに追いつこうというような時代で、一人当たり所得もそれこそアメリカの、十年前でもまだ半分ちょっとでございますけれども、そういう時代と違って、追いつけ追い越せは、おおむね追い越しちゃったということになると、やはり安定成長、これが普通の実体だというある種の意識革命というものを国民の皆様方全体にお願いをしていかなければならぬではないか。  それともう一つ。上田さんと私は多少年齢の差がありまして、上田さんの方がその点シビアだと思うのですが、私ども大正二けたなんかは、戦争直後の強度なインフレを知り過ぎておって、それによっていわば戦時公債なんかがただ同様になってきた。それは敗戦というショックがあったから国民全体が許容した超インフレであって、したがって、財政赤字に悩む今日、いわばそれが調整インフレの形で消化されていくようなことは考えの外に置かなければならぬ。我々はどっちかと言えばインフレによる調整になれてきた時代にある者であるだけに、後世代の人にそういうつけを残してはいかぬというのも、やはり渋く安定成長という、ある意味における意識転換を求める背景にあるんじゃないか。これはいささか年齢を意識しての議論であります。
  47. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 景気回復の実感がまるっきりない。それだけじゃなしに、倒産件数が史上最高である。倒産件数がふえているけれども、景気はようなっているんだというようなこと、そんなのだれも信用しないですよ。それと、景気がいいと見られるのは、やはり一部のそういう大手とそれから輸出関連産業という形じゃないか。多くの中小零細企業は不景気のどん底で、そして結局倒産に追いやられているというのが実感ではないか、私はこういうふうに思っておるので、幾ら大臣がいろいろの言葉を多く言われても、国民は納得しない、こういうふうに感じざるを得ないと私は思うのです。  そこで経企庁にお聞きいたしますが、政府は八三年度の個人消費について当初、実質で前年度比三・九%増加と見ていたわけでありますが、ことし一月の改定見通しで三・二%増加と下方修正をしたわけであります。その理由は、昨年の春闘賃上げに続き昨年末のボーナスの伸びも当初の予想を下回ったからだと言われているわけでありますが、三月三十日発表のいわゆる一月の家計調査報告によりますと、一月の勤労者世帯の実質消費支出は、前年同月比二・二%減、八一年二月以来ほぼ三年ぶりの大幅な落ち込みになったと伝えておるわけであります。八三年度の個人消費は、政府の実績見込み、実質で前年度比三・二%増が本当に達成したのかどうか。一月に下方修正したごくささやかな個人消費に関する政府目標の達成も難しいのではないか、このように考えておりますので、お答えをいただきたい、このように思います。
  48. 服藤収

    服藤説明員 五十八年度の個人消費支出の見通しの修正、その背景は今先生御指摘されたとおりでございます。修正した実績見込み、これがそのとおりにいくだろうかどうかという御質問でございますが、お話にありましたように、一月の家計調査の結果は必ずしもよくはなかったわけでございます。ただ、その原因を考えてみますと、その一つはやはり非常に寒波が来襲した、豪雪であったというようなこと等の一時的な影響というのがかなりあるのではないかというふうに見られるわけでございます。  その後の他の個人消費関連の指標を見てみますと、例えば百貨店の販売高でございますが、これは二月、三月かなりいい数字が出ております。あるいは乗用車の登録台数等も、三月におきましては九%台というようないい数字が出ておるわけでございまして、一応今の段階では、月々の変動はありますけれども、個人消費支出に関しましては五十八年度の実績見込みの数字の線で動いておるものというふうに判断しております。
  49. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 今お答えですが、今春闘の動向を見ても、残念ながら八四年度の個人消費の伸びも期待できないのではないか、こういうように考えざるを得ないわけであります。専門家の分析では、ことし四月から九月期の個人消費は昨年同期よりもやや高くなるものの、やはりことし一月から三月期並みの水準でほぼ推移し、一進一退の状況が続きそうと見ておるようでございます。要するに今後の内需拡大のかぎを握る個人消費は、やはり収入の伸び悩みで足取りがもたついている。このままいけば八四年度も個人消費の政府見通し、実質で前年度化四・一%増は達成困難だ、こういうように考えられるわけですが、どうなんですか。先ほどの答えとの関連で、今私が申し上げた問題について明確にお答えをいただきたい、こういうように思います。
  50. 服藤収

    服藤説明員 五十九年度の個人消費支出がどういうふうになるだろうかという御質問でございますけれども、個人消費支出を決定する要素というのはいろいろあるわけでございますが、そのうちの一つの大きな要素に、物価がどういうふうに動くだろうかというのがあるわけでございます。  御案内のように、物価はここ数年来非常に安定してきておりまして、この安定した状態というのは基調として今後とも続くのではないかというふうに見込まれるわけでございます。  それから個人消費支出と申しますのは、いずれにしても所得に依存する度合いが大きいわけですけれども、先生御指摘のように本年度の春闘、その意味では必ずしも個人消費支出にとってはフェーバラブルな要素ではないわけですけれども、しかしながら春闘等で決まりますいわゆる定期給与と申しますものは、雇用者所得全体で見ますと半分ぐらいしか占めてない。それから雇用者所得そのものが消費のもとになります可処分所得の中で七、八割見当しか占めてないということで、定期給与以外のいろいろな要素、例えば個人業種所得でございますとか、財産所得でございますとか、あるいは残業手当、ボーナス等の要素に依存する部分が多いわけでございます。こういった要素と申しますものは今後、今順調に生産が拡大しているわけですけれども、これが回復を続けていく。それから企業収益が引き続き改善をしていくというようなことを背景といたしまして、いずれその家計の名目所得もふえてくるのではないかというふうに見ておるわけでございます。こういったことを背景としまして、五十九年度につきましては、先生おっしゃいましたような数字が実現するのではないかというふうに見込んでいるわけでございます。     〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕  それから個人消費支出と経済全体の動きとの関係に若干触れさせていただきますけれども、そういったことで個人消費支出がそういう動きをいたしますと、あと経済の回復を支える非常に大きな環境の一つでございます世界経済の動向、これはなかなか予見しがたい側面もあるわけですけれども、今の調子が続くといたしますと、非常に好都合な要因の一つになりますし、それから企業収益の改善が続きますと、いずれ設備投資あたりにも具体的な数字としてあらわれてくるわけでございます。その兆候は既に出ているわけですが、こういったことで今後の我が国の景気を支える要素というのは引き続き継続していくだろうということ、そういったことを背景といたしまして、内外の経済動向を私ども常に注意して見ながら、時期を失しないように適切な経済運営というものを行うことによりまして、個人消費とかあるいは設備投資あたりを中心といたしまして、つまり国内の民間需要を中心といたしまして五十九年度の日本経済、実質で四・一%程度の成長ができるのではないかというふうに見込んでおるわけでございます。
  51. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 そういうような実態にないと私は思います。  個人消費の停滞に比べて輸出は非常に急激に拡大している。新聞報道などによれば、ことしの一月から三月期の経常収支の黒字額は七十億ドル程度となることが確実である、こういうように述べられておるわけであります。黒字幅は昨年よりも大幅に拡大をしておるわけでありまして、また二月の輸出は大幅に伸びて、前年度同月比一八・五%増となっておるようであります。今年度政府見通しの輸出の伸び率、前年比五・四%増を大幅に修正する必要があるのではないか、このように考えるわけでございます。今年度の経常収支の黒字幅も三百億ドルに膨張するという見方も否定できないのではないかというように思いますので、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  52. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  貿易収支、経常収支についての御質問でございます。いろいろ経済見通しの項目の中でも、この国際収支関係は最も見通しの難しい部分でございます。例えば輸出の見通しにいたしましても、全体の規模が今千三百億ドルあるいは千五百億ドルというようなスケールになっております。一%見通しを間違いますと、貿易じりあるいは経常収支じりにおきましては十数億ドルの違いになってくるわけでございます。したがって、しりの見通しというのは非常に難しいわけでございます。また、その見通しを行う人によりましても、非常に強気の人、弱気の人がおりまして、いろいろな見方があるわけでございます。  私どもといたしましては、一応輸出の方ですが、これは世界景気の回復という背景のもとで、引き続いて増加を続けるだろうという見通しを持っております。しかし同時に輸入の方も、今非常に生産が強い勢いでふえているわけでございますけれども、こういったものの影響を受けまして、着実に拡大していくのではないか。したがって、両者合わせたしりとしては、今後はそれほどふえることはない。年度間を合計いたしますと、五十八年度の経常収支じりで申しますと、二百三十億ドルですが、大体その線に落ち着くのではないかというふうに見ておるわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、国際収支の見通しと申しますのは非常に海外経済の動向、これに依存いたします。海外経済の動向というのは非常に予見しがたい要素があるものでございますから、ある程度の幅を持って数字を受けとめる必要があるのではないかというふうに考えております。
  53. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大臣、今月中旬にはブロック通商代表部代表が来日する。また五月連休明けにはブッシュ副大統領の来日、あるいは五月の中旬にはパリでOECD閣僚理事会、六月にはロンドン・サミット、こういうように軒並みそういう行事があるわけでありますが、政府は当面の経済運営の重点を対外経済摩擦の解消に置く、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、いかなる姿勢でこの摩擦解消を図るのか、実際できるのかどうか、その中身についてお聞かせいただきたい、このように思います。
  54. 竹下登

    竹下国務大臣 対外経済摩擦の問題、象徴的なものは農産品、なかんずく牛肉、オレンジ等があったと思います。が、金額にすればこれは大きく是正するような金額ではなく、むしろ象徴的な存在としてあったでありましょう。それからVANの問題とか、その辺になると私は余りよくわかりません。私の分野で言えば、やっぱりこういう金融あるいは資本市場の国際化自由化、こういう課題になるでありましょう。大体ぼちぼち第三回のアドホックグループの報告が入ってくる時間だなと思っておりますが、私の分野では主体的に、かつ積極的に対応していかなければならぬ課題だというふうに思っております。  この金融の自由化国際化というのは、やっぱり我が国の国内における中小金融に対する影響というのを非常に配慮していかなければならぬ問題でございますし、それから、この問題はそれぞれ歴史的な育ちが違いまして、例えば日本も、明治三十四年、一九〇一年には銀行も千八百ぐらいあった。今、相銀以上で百五十七、こういう数になっております。アメリカの場合は、今日まだ一万四千五百。彼我の相違というのは、日本の場合は投資家保護、預金者保護あるいは被保険者保護、それが間々護送船団に守られておるという批判にもなるわけですが、アメリカの場合はどちらかといえば、すべてが自己責任主義というようなところへ立っておる。そういう認識のギャップも埋めながら、議論をして詰めていかなければならぬということであろうかというふうに考えておるところであります。  したがって、これがいわゆる国際収支、なかんずく日米間の問題にすぐどういう影響があるかという形の、短期に目に見えるようなという問題は、これはなかなか難しい課題だと思います。したがって姿勢としては、御意見にもありますような内需拡大という形において、そうすれば輸入がふえていくわけでございますから、それに対応していかなければならぬ。  しかし、そこで大事なことは、先進国首脳会議では、一応インフレのない持続的成長を、おのがじしそのところに従い、財政赤字を縮小することによって進めていこうという合意があるものですから、その合意の中において彼我の摩擦をできるだけ少なくするための、私の方で言えば資本市場あるいは金融市場の自由化国際化というものに対応していかなければならない。資本市場の自由化国際化というのはトタで決め手になるものであるということではないではなかろうか。結局じわじわとその成果が生まれてくるものではないかというふうな理解の仕方をいたしております。
  55. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大臣もお認めのように、この金融の国際化とか自由化というのはすぐ効果があらわれるものでない、こういうことのようですし、先ほど申し上げたように、八四年度の貿易収支あるいは経常収支が空前の黒字になっている、こういうことですから、OECDの閣僚理事会とかあるいはロンドン・サミットで日本が袋たたきに遭うというようなことになってくるんじゃないか、こういうように私は思うのですね。だから、金融自由化とか国際化のそういう個々の案件を少しいじくっても、抜本的な解決にはならないのではないか。  そういう意味で、やはり大臣もちょっと言葉に出ておりましたように内需の拡大ということが先決じゃないか、こういうように思うのですね。そうせぬと、ことしもやっぱり内需、個人消費が抑えられて、結局輸出一辺倒のそういう経済になりかねないということで非常に問題があるのではないか、こういうふうに私は思っているんですね。だから、倒産件数が多いとかあるいは景気回復の実感がないとか、そういう点で経済成長率を見ますと、三%程度に置いてあったこと自身にやはり大きな問題があるのではないか。当然、この臨調行革の路線の中でけちけちムードをあおって、日本の景気の回復の足を引っ張っておる、それが元凶だ、今こそ拡大均衡で積極的な経済政策をとるべきでないか。これは私はしばしば本委員会でも述べておるわけでありますので、その点について、やはりそういう基本的な姿勢で臨むということでないと欧米諸国は納得しないんじゃないかと私は思うのですが、その点どうですか。
  56. 竹下登

    竹下国務大臣 やっぱりサミットを考えてみますと、アメリカが二億三千万、日本が一億二千万として、西ドイツが六千万、イタリー等々足しましてちょうど六億の人口でございますから、世界の人口の一三%。それで五十数%のGNPを持っておる、こういうことでございますが、そのサミット、ウィリアムズバーグ・サミットにおいての合意というのが、やはりインフレなき持続的成長をお互い図ろうじゃないか。そうなると、そこで何よりも大切なことは、おのがじし、それぞれの国において主体的に財政赤字を縮減していこう、こういうことでございます。したがって私は、急激な変化、日本にまさに牽引車の役割をしろとか、そういう議論は、このサミットの継続性の中で大転換になりますので、その財政赤字というのを覚悟の上で政策転換をすべきだという議論は、この経過からしてなかなか出てきにくい問題ではないか、こういうことになります。そうすると、内需の振興ということに日本が中心を置いておるという実態を説明する。それも許された財政事情の中において。いま一つ、いろいろな自由化の問題、門戸開放ということで、国際収支等々の改善を図っていくどいうことが一応そこで考えられる一つの限界ではないか。  それで、拡大均衡という議論は非常によくわかる議論でございますけれども、今の場合、財政が出動しての拡大ということを考えますと、減税をやろうとあるいは公共投資の追加をやろうと、それは将来は別として、直ちには財政再建というものに逆行するいわゆる公債政策というものをもって行わなければならない。それが直ちに単年度の中に税収等で入ってくるというのは非常に微々たる数字にしかならないというところが、拡大均衡と縮小均衡とでも申しましょうか、それの意見の分かれるところ。そしてもう一つは、先ほども申しましたいわゆる日本の潜在成長力をどこに見るかというその見方の相違、上田さんと竹下さんとの間に潜在成長力の見方の相違というのがやはりあるなという感じは、私も持っております。
  57. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 要するに、大臣は今景気は悪くないというように認識されているのですよ。我々一般庶民は、景気は悪い、それだから倒産件数もふえているじゃないか、もっと内需の拡大を図るべきだ。そうしないと、結局黒字がたまって諸外国から非難の的になっているということなんですから。だから何を言いましても、例えば公共事業の前倒しも結局実質的には昨年以下であった、だからそういう意味で効果は非常に不十分だと私は思っているのです。  それで具体的にお聞きしますが、やはり減税についてもあの程度の増税絡みということであったわけですから、私はやはり大幅な減税を第二弾としてやる必要があるのではないか、あるいは公定歩合の引き下げも、ある時期で考えなければならぬのではないかというように思っておるわけでありますが、この点についてお聞かせいただきたい、このように思います。
  58. 竹下登

    竹下国務大臣 まず一番目は減税の追加とでも申しましょうか、この問題はこの間というか、法律案を通してもらったばかりのところでございますが、現在の財政事情から見れば、あれはぎりぎりの措置であって、さらにそれを拡大するとすれば、まさにそれの財源は赤字公債に求めなければならぬということになりますだけに、したがって、大幅減税をさらに追加してやる環境に今あるとは私は思いません。  それから二番目の公定歩合の問題ですが、これはもちろん日銀の専管事項でございますので、一般論しか申し上げられない問題でございますが、今公定歩合を諸外国等と比較してみましても、結構なところにあります。私自身思い出してみて、五十五年のこの大蔵委員会で、まだ予算案も上がらないときにいろいろ御議論いただいて、二月、三月、二度にわたって公定歩合を上げさせていただいたことがあります。そういう状態の逆の方向に今日ありまして、しかも金融そのものは緩んでおる。それと同時に、公定歩合の操作というのは、気をつけなければいかぬのは、またぞろこれが私どもが意識しておる為替レートの実勢をさらに破つて円安方向へ導いた場合、このことはまたいわゆる貿易収支そのものにそのまま影響してくるという問題になりますので、その辺を見きわめながら、これは日銀の専権事項でございますから、恐らく慎重に対応しておられるところではなかろうか、こういうふうに考えます。
  59. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 内需拡大は、私は本当にこれこそ天の声だと思うのです。本当に欧米諸国もそのことを強く、日本は輸出ばかりじゃないか、もっと国内の内需を拡大せい、こういうことを言っていますね。ところが、なかなか個人消費が伸びない。それは臨調行革だけじゃないにしても、やはり政府みずからがけちけちムードをあおるものだから、買いたいものでも、あるいは余裕があっても買い控えるという場合もあるし、実質的に懐が寒いというようなことがあるわけですね。中小零細企業だけじゃなしに、大企業においても、今こそ拡大均衡によるところの景気回復という声が強いと思うのです。ところが政府あるいは自民党といいますか、与党だけが、いや、この程度でいいんだ、世界の各国を見てみろ、まだまだ困ったところがあるから、日本はまだいいんだというような形で抑えてきているのじゃないか。結局、財政再建といったって、増税絡みにならざるを得ない。そういうことじゃなしに、景気を回復すれば税収が伸びるわけですから、そこにやはり重点を置くべきではないか、こういうように申し上げて切りたい、このように思います。  具体的にさらに質問を続けてまいりたい、このように思います。  きょうは国民金融公庫の方も来ていただいておりますので、その点についてさらに突っ込んで質問申し上げたいと思います。  ことしの三月の企業倒産件数は、先ほども申し上げましたけれども、一千九百二十六件と、過去最高を記録しておるわけでありまして、長期不況で体力を消耗したいわゆる足腰の弱い中小零細企業が、先ほどのようにばたばたと倒れているのが現状ではないか、こういうように思うわけであります。特に中小零細企業をめぐる景気動向について、実態の姿を一番よく知る立場にあるのが国民金融公庫ではないか、このように思っておるわけでございまして、その点についてどのようにお考えですか。
  60. 渡部周治

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  私どもにおきましては四半期ごとに、私どもの得意先、取引先でございます中小企業者を対象といたしまして、全国小企業動向調査というのを実施をいたしておるわけでございますが、最近四月に実施いたしました調査の結果をまず御報告申し上げたいと思います。  まず、売り上げ、受注の状況でございますが、これにつきましては、製造業では輸出の増勢等から、機械関連業種を中心に漸次回復を示してきておりまして、商業、サービス業におきましても、個人消費の伸び悩みはあるものの、回復の兆しが見えてきております。ただし建設業は、民間の住宅建設の不振から、いまだに景気が低迷しておるという状況かと思います。  そうした中で小企業の採算の状況は、全体的にやや改善傾向が見られますが、依然として苦しい状態が続いておるという状況かと思います。それから設備投資につきましては、設備投資を実施しております企業の割合は引き続き低水準でございまして、小企業の設備投資の姿勢は慎重なものがうかがわれるわけでございます。  以上のような調査結果からいたしまして、私どもの融資対象でございます小企業の景況は、昨年半ばに底を打ちまして、その後上昇傾向は認められますけれども、まだ回復力は弱いというぐあいに私どもは判断をいたしておるわけでございます。  なお、最近我々の窓口に参ります申し込みの動向でございますが、昨年度は第一・四半期、第二・四半期いずれも対前年一〇一%、それが第三・四半期には対前年九六%と低迷をしておりましたところが、第四・四半期に入りましてやや上向きになってまいりまして、第四・四半期では通期一〇七%という状態になっておりまして、ここら辺の感じから、底をついてやや上昇傾向は認められる、こういう状態であろうかと思います。
  61. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 国民金融公庫は調査月報を出しておりますね。ことしの一月号には田中総裁が、「長い間低迷を続けた我が国経済も昨年の半ばにようやく底離れし、自来緩やかながらも確実な上昇過程をたどっている。」こういうように述べておるわけです。ところが二月号では、昨年の十二月の全国小企業動向調査を踏まえて、「回復の足取り重い小企業の景況」と題する記事が載っておりまして、この調査結果によると、景況よしど答えた企業が一〇%、それから悪いが四〇%、こういうような数字が出ておるわけですが、景気が回復局面にあると言われながら、事中小企業について見ればまだまだ暗いといいますか、非常に見通しがないというふうな状況であるわけでありまして、やはり田中総裁のそういう見通しというものは甘かったのではないかと我々は考えざるを得ない、こういうように思っておるわけであります。  さて、この国民金融公庫は戦前の庶民金庫あるいは恩給金庫という二つの庶民金融機関を受け継いで一九四九年、昭和二十四年六月に設立されておるわけでありますが、国民金融公庫法第一条では「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行う」、このように公庫の目的を規定しておりますね。中小零細企業で事業資金不足等に悩む商売人さんたちのいわば駆け込み寺と言っても言い過ぎではない、そういう役割を持って生まれたのではないか、私はこのように考えておるわけであります。  以上の事業目的あるいは設立以来の経過に照らして、今日の長期不況の中で苦しむこういう中小零細企業に対して、この国民金融公庫はいかなる役割を果たそうとしているのか、その趣旨に合うた業務が現実にやられておるというふうにあなたは思っておられるのかどうか、お聞かせいただきたい、このように思います。
  62. 渡部周治

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  私どもの公庫は、先生が御指摘になられましたように、公庫法によりまして、民間の金融機関からの借り入れを困難とする中小企業に対しまして、小口の事業資金を融通するということを主たる任務といたしておるわけでございます。  それで、私どもは公庫創設以来その精神にのっとって業務の運営を図っておるわけでございまして、現在我が公庫の貸し付けの大宗をなします普通貸し付けにおきましては、昭和五十九年の二月末現在の貸付残高は二百二万件、金額は四兆五千百三十億円ということに相なっております。全国の中小企業者が大体六百万と言われておりまするので、全国の中小企業者のほぼ三人に一人が当公庫融資を利用していただいておるというぐあいに推定をされるわけでございます。しかも、融資対象のうち従業員二十人未満の小規模な事業者が全体の貸付対象の九五・八%というぐあいに最近の計表では相なっておるわけでございます。こういった公庫貸し付けの実績から見まして、我々は、国民金融公庫法の精神にのっとって真に中小企業者のための融資を行っておるものというぐあいに確信をいたしております。  なお、最近の中小企業をめぐる環境は非常に厳しいものがございますが、今後とも中小企業者の資金需要に迅速かつ適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  63. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ところが、実際はなかなかそうなってないんですね。私は大阪を中心に全国で中企連という組織をつくりまして、中小零細業者の税金とか、融資とか、あるいはその他いろいろ経済全般につきまして御相談をさせていただいておるわけですが、その中で、特に最近、国民金融公庫でお金を借りたいが、申し込んでもなかなか貸してくれない、こういう苦情で相談に来られる人がたくさんおられるわけです。本来銀行その他一般の金融機関から資金借りるのが困難なほど経営基盤が脆弱で、そして小規模、零細な、本当に困っておる人たちのためにあるべき国民金融公庫が、実際の窓口では非常に選別的で、差別的で、冷酷な業務を行っている例がしばしばあるわけでございます。  具体的に一例を申し上げるならば、これは福島県のある薬局、化粧品店の経営者の例であるわけでございますが、数年前に店舗の改装費として国民金融公庫から二千万円ちょっとの借り入れを行った。改装が完了して、さあこれからとばかりに大売り出しを始めた途端に、大雪に見舞われて大量の在庫品が被害を受けたわけであります。県の災害対策緊急融資を受けて再び出発ということになったわけでありますが、今度は奥さんが重病で片足切断という不幸に遭われたわけであります。昨年末、土地、建物などの資産を売却して負債の返済と入院費の支払いをしたわけでありますが、どうしても資金繰り悪化で、卸売業者から商品の決済代金を迫られて経営危機に直面をしておったわけであります。そこで仕入れの決済資金の援助を国民金融公庫にも申し込んだわけでありますが、それが否決された。そこで、せめて過去の借入金の返済条件の変更を頼んだわけでありますが、それも断られたという事実であります。同時に、条件変更を依頼した民間金融機関の方は、業績の回復までという条件でこの変更に応じてくれたわけでありますが、肝心かなめのこの国民金融公庫だけが応じずに、逆にしつこくこの返済を迫ってきている、こういうことで訴えられてきておるわけでありまして、やはり余りにもひどいから訴えてきているんじゃなかろうか、私はそういうように思うのです。民間の金融機関でもそういうようにある程度配慮してくれているのに、それ以上に配慮しなければならない国のこういう金融公庫がもっときつい態度で臨むということは、もってのほかだと私は思っておるわけでございます。  そういうように、やはりこのような窓口の対応が悪いということが非常に苦情が出ておるという状況があるので、ぜひともひとつそこらは反省して改善してもらいたい、このように思うのですが、どうですか。
  64. 渡部周治

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  私どもの融資についての基本姿勢でございますが、これは先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、現在も変わっておりません。私どもは、中小企業者の置かれております現在の環境からして、公庫融資を必要とする方々にはできるだけ公庫融資をさせてあげたい、このように考えて積極的な融資展開を図っておる状況でございます。  ただ、一方におきまして、委員承知のごとく、融資の原資は国民からお預かりいたしました郵便貯金等でございまするので、やはり貸付債権の健全性の保持ということにつきましては十分な配慮をやっていかなくてはならないわけでございます。そういう意味で、返済能力等から見て十分な返済能力の見出せない企業等につきましては、心ならずも融資をお断りしておるというケースもあるわけでございます。融資の可否につきましては、いろいろな環境、条件、本人の経営の状況あるいは資金計画、事業計画、さらには将来の返済計画といったようなものを総合的に判断をして決めてまいっておるわけでございます。金融審査はどうしても判断という業務が入りまするので、顧客との間に判断のギャップが生じておる場合が間々あるわけでございますが、私どもといたしましては、公庫の融資の使命につきましては先ほど来述べておるような姿勢で変わっておりませんので、今後ともその方針でやってまいりたい、このように考えております。
  65. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 副総裁、同じようなケースでも、各支店によって大分対応がまちまちである。ある支店においてはこのケースはいけたのに、よそのところではいけないというような、そういう点で終始一貫していない面、非常に窓口の気分というのか、そういう点ではやはり改善する余地があるのではないか。そうせぬと、国民は、どないなっておるのか、同じ国民金融公庫でありながら支店によって違うじゃないかという点がありますので、この点はやはり改善してもらいたいし、また、国民金融公庫の設立趣旨というものも、今立派な趣旨があるわけでありますから、やはりそういうものを踏まえて、今倒産件数がふえているという実情も私の方から申し上げた状況でありますし、不況のさなかでありますから、もっともっと親切に対応をしてもらいたい、このように要望しておきたい、このように思います。  そこで、大蔵省としても、これを監督している立場にあるわけでございますから、一言銀行局の方からお伺いしたいと思います。
  66. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 今の上田先生と渡部副総裁のいろいろの御議論の経過も踏まえまして、十分国民金融公庫が国民のために奉仕できるような機能を発揮するように、私どもといたしましても指導してまいりたい、こう思っております。
  67. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 次に、私は国民金融公庫の役割というのは非常に大事であるということを否定しているわけではなしに、大事だ、だからもっとそれは強化してもらいたい、こういう前向きな姿勢で申し上げておりますので、誤解のないようにしていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、いわゆるマル経融資。このマル経融資は一九七三年、昭和四十八年十月にできたと聞いておるわけでありますが、これができた背景、あるいはこの経過、あるいはその趣旨、そういうものについてお答えをいただきたい、このように思います。
  68. 窪川功

    ○窪川説明員 お答えいたします。  小規模企業は、我が国経済の中で非常に大きな役割、位置を占めておりますが、概して記帳管理等が十分でない、あるいは担保等の信用力が乏しい、経営が不安定であるというようないろいろな事情がございまして、民間の金融機関の融資を受けにくいという事情がございます。  他方、政府は、小規模事業対策といたしまして、商工会、商工会議所等に配置されております経営指導員を通じまして、小規模企業の経営改善指導を行ってきているわけでございますが、金融面からの支援措置がなければ、なかなか経営改善普及事業が十分な実効性を上げ得ないというふうな事情にございました。そういった事情から、経営改善普及事業を金融面から補完するということで、昭和四十八年の十月から発足した制度でございます。
  69. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 私は、マル経融資の制度をここで否定的に取り上げようというのではなしに、この制度が非常にいい制度である、本当にそういう意味では、担保能力が低くて、かつ事業資金不足に悩んでいる中小零細業者にとっては、商工会議所を通じて申し込めば、運転資金なら三百万、それから設備資金なら三百五十万までが低利で、その上無担保、無保証人で借りられるということはまことにありがたい制度ではないかというふうに思っているのです。  そこで指摘したいのは、融資対象者を商工会議所あるいは商工会及び都道府県商工会連合会の経営指導を受け、その会の長の推薦を受けた人ということになっておるようでございますが、私が申し上げたいのは、そういう条件だけじゃなしに、例えば商工会を通じて借りる人も、それはそれでいいと思うのですけれども、市町村とか都道府県の商工部とか経済課とか、そういうのがあるわけで、そういう窓口の推薦を受けても借りられるような、あるいはその他、農協というものになるのかどうかわかりませんが、それに類するそういう各種中小企業にかかわる団体の推薦があれば借りられるというように、ちょっと幅を広げたらどうかと思うのですが、その点どうですか。
  70. 渡部周治

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  この経営改善貸し付けの制度は、私どもは銀行局長及び中小企業庁長官から通達されております貸付要綱に基づいて実施をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもの判断からお答えするばかりではいかがかと思いますが、一応私どもの考え方につきましてお答え申し上げたいと思います。  この制度は、先ほど御説明ございましたように、商工会議所あるいは商工会が実施をしております経営改善普及事業を金融面から補完するということでスタートいたしておるわけでございまして、経営改善普及事業の実効性を確保するということのために、小企業者等が経営改善を行うに当たって必要とする小口資金の貸し付けを目的として発足いたしたものだと承知をいたしておるわけでございます。  この経営指導という面に関しましては、委員承知のとおり、商工会議所あるいは商工会というのは、非常に長年の経験と全国に広い窓口を有しておられるわけでございまして、数多くの小企業者等の指導を行っておられるわけでございます。また、会員だけではなくて、その門戸は広く開放されておりますので、経営改善貸し付けを利用される方々にとりまして、特に現状の制度で御不便がないというぐあいに我々は判断をいたしておるわけでございます。
  71. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 小規模経営の経営改善というのは、確かに商工会議所とかあるいは商工会などで御指導されていることはわかるのです。しかし、それでいいのかというと、やはりいろいろ問題があるんじゃないかと私は思うのです。そういう意味で、経営改善について指導されているのは、何も商工会議所とか商工会だけではなしに、都道府県とか市町村の商工部とか経済課とか、そういうところで、住民の要望を担って自治体というのがあるわけですから、もっと自治体が責任を持つようなことをしないと、特に一部のボスの言いなりにならないとその金が借りられないというような非民主的な側面もあることをやはり頭に入れて、私は申し上げておるわけですから、要望として、ぜひともそういう点について窓口を開いてもらいたい。こういう制度はいいことですから、もっと広く利用してもらったらいいのではないかという意味で私は申し上げておるわけでありますから、ひとつ御理解をいただきたい、このように思います。  時間の関係もございますので、国民金融公庫はもう結構です。あと残された時間におきまして、間接税、特に物品税の問題について伺います。法案審議も終了して、法案そのものが可決成立した後でございます。私もこの法案審議に参加することになっておったわけですけれども、先般本会議でのああいうような事件もありまして、どうしても質問できないというようなことで、きのう解決したわけでありますが、若干この問題について、大臣から考え方をお聞かせいただきたい、こういうように思うわけであります。  物品税の課税範囲の問題でありますが、課税範囲をなし崩し的に拡大し、事実上の一般消費税あるいは大型間接税と同じものにしてしまうという考え方については、我が党の伊藤茂委員の問題提起を受けて、大蔵大臣が三月二十六日の当委員会で、まず第一番目に、課税範囲の拡大については、重大な問題なので、当委員会での審議状況を正確に税制調査会に報告し、慎重に検討する。二番目には、今回の課税の物品の追加はこれまで同様、主として奢侈品ないし比較的高価な便益品、趣味娯楽品等を対象とする考え方の枠内で行うものであるという旨補足説明をされているのであります。  ここで改めてこの問題を取り上げるつもりはないわけでありますが、ただ言っておきたいことは、もともと間接税というものは、金持ちにも貧乏人にも課税されるという意味で逆進性の強い、極めて不公平な税制度であるわけでありまして、所得税を払っていない生活保護世帯や、あるいは課税最低限以下の収入しかない人でも、物を買えば物品税がかかってくる、お酒を飲めば酒税がかかる。そこで、そのような不公平を少しでも和らげるために、酒税でいえば高級酒に重い税率、大衆酒には軽い税率がかかるようになっておるのは御承知のことだと思うのです。物品税の課税品目は、大臣も再確認されているように、主として奢侈品、高価な便益品、趣味娯楽品に限定されておるわけであります。  そこで、大臣が先般物品税の課税の範囲を安易に拡大しないということで、物品税の基本性格を再確認しつつ補足説明されたということの意味は、つまり物品税あるいは間接税の持つ大衆課税的な側面を極力緩和するよう配慮をしながらこの問題を考えていくというように理解をしておるわけでありますが、そのように理解していいですか、大臣
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 基本認識として、間接税というものは要するに逆進性が強い、こういう御指摘であります。間接税を議論するときはもう一つ逆に、いわば納税者たる者に選択の幅がある、こういうことがまたメリットとして言われる点があります。それからいま一つは、現実問題として直接税等には脱税等々があるが、間接税というのはめったに脱税がない、こういうようなことも言われるわけであります。  先般の議論を承っておりますと、間接税なかんずく物品税というものは、歴史的経過を見ても、言ってみれば奢侈品というようなところから出たものであって、だから税制調査会あるいは私どもの答弁の中で、より広範な便益性というものに担税力を求めるということは、少なくとも今度のこの提案についてはそういう考え方であってはならぬではないかという御指摘がたびたびありました。確かに、既に議了したとはいえ、今回御審議いただいたものは、基本的には、発想の原点はもともとそういうところにあったというふうに考えられるわけであります。ただ、税調等の御答申をいただいておりますのは、物品税の持つ性格が、性格的にかなり変化しておるから、課税の範囲の拡大についてこれからも検討しなさいということで、私どもはこの答申に基づいて、その便益性等々にかかわる担税力というものについては絶えず勉強は進めていかなければならぬ。しかし、基本的には、今回の法律は少なくともこの制度、施策の淵源にさかのぼって大きく踏み外したものではないという御認識を大体いただけたのではないか、こういう感じを持っておるところであります。
  73. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 物品税が一般消費税ではなくて、奢侈品とかあるいは高価な便益品、趣味娯楽品に限定された個別消費税であるという意味は、まさに大衆重課税にならないように配慮しているということそのものではないか、こういうふうに思っておるわけでありまして、そういう意味で、物品税の基本性格を先般大臣が再確認されたとおりでいい、私はこのように考えておるわけでありまして、何も課税ベースの広い間接税といった話を蒸し返そうというのではないのであります。物品税あるいは間接税というものの基本性格について我々は論じておるわけでありますから、その点は課税の公共性、公平性という観点から、所得税に各種の控除やあるいは所得金額に応じた税率が定められているように、物品税も課税対象品目を限定するという形で、消費税というものが本来持っている不公平性を緩和するという考え方に立っているということを確認したい、こういう立場であるわけであります。  そこで、現行の物品税法第二十二条には特殊用途免税という規定があるわけでありますが、学校や社会福祉施設その他の公共団体などが特定の目。的で購入する教材あるいは楽器、電気製品などについては物品税が免除されておりますね。目の見えない人のためのテープレコーダーやあるいは身体障害者とその家族の購入する自動車も免税扱いになっておると思うのです。  会議録を調べてみますと、一九八一年四月十六日の当院の社労委員会でこういう政府答弁がありますね。「身体障害者の方、特に下肢、体幹の不自由な方、足の御不自由な方々は、自動車はまさに便益品というよりも足でございます。そういった観点から、物品税の課税対象にするにはなじみにくいということで課税対象から外しているわけでございますが、こういった物品税の性格からして、課税するにふさわしくない方々の購入なさる物品税は免税にいたすという趣旨で現在の線引きをいたしておるところでございます。」このように身体障害者に対する自動車の特殊用途免税の趣旨が述べられておるわけであります。身体障害者福祉法などの規定によりますと、障害者というのは、身体上の障害、その永続性によって日常生活に著しく制限を受ける人でありまして、その障害の程度に応じて等級が定められておるわけであります。健常者にとっては何でもないこと、例えば階段の上り下り一つとってみても、身体障害者にとっては極めて不便で、日常生活に制限を受けるというような事例は無数にあるわけであります。このことを物品税について当てはめると、健常者にとっては奢侈品、娯楽品、便益品であっても、障害者にとってはなくてはならない必需品あるいは生きる支えにすらなっているような物品がたくさんあるのではないか、こういうように思っておりますが、その点についてどのように考えておられますか。
  74. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 お答え申し上げます。  物品税につきましては、その物品の購入とか消費に担税力を求めるという間接税でございます。したがいまして、文字どおり物税でございますので、それを使う人の個々の事情をしんしゃくして税を減免するということにはおのずから限界があるわけでございます、税の性格といたしまして。ただ、今委員が御指摘になりましたように、物品税制そのものに福祉的な観点と申しますか、その使用される状態が本来担税力を求められるというような状況でないような消費については、課税を求めることは酷であるという考え方から、二つの制度的な仕掛けがあるわけでございます。  これは先ほど委員も例示されたわけですけれども、一つは規格非課税というものでございまして、例えば時計は課税物品でございますけれども、そもそも盲人の方が専用にお使いになるような時計、そういう構造を持った時計とか、例えばテープレコーダー等でも盲人の方が専用にお使いになる、つまり普通の人が使うよりも回転の非常に遅いテープレコーダー、そういう構造がはっきりしているもの、あるいはライトバン等でも、身体障害者が使われるということで、後ろの方にリフトのようなものがきちんとついている、そういう構造的なものは初めから非課税ということが政令等で決めてある。これを規格非課税と言っているわけです。  ところが、もう一つは、これも先ほどいろいろ委員がおっしゃいましたように、そのもの自身は、健常者、身体障害者両方お使いになる。例えば普通の乗用車でございますが、こういうものにつきましては、自動車自体で客観的にそういうものの区別ができませんから、制度上、今おっしゃいましたように物品税法で特殊用途免税という制度がございまして、そういう人的事情にある方について、一定の物品について非課税にする。小型の乗用車等につきましては、重度の身体障害者の場合、先ほど他の委員会の議事録を引用なさいましたように、これは普通の健常者の持つ自動車の快適性とか効率性といったような便益性と違って、いわば足があるといいますか、そういう便益性の観点からいって、これは非課税にするという考え方に立っておるわけでございます。  ただ、冒頭に申し上げましたように物税でございますので、今言いましたような自動車のようにきちんとした、どうしてもやむを得ずお使いになるようなもの、あるいはお使いにならなくてはならないようなものというものに限定して特殊用途免税というものは運用しておるわけでございます。規格品として非常にはっきりしておるものは頭から非課税でございますけれども、特殊用途免税というのは個々の人の事情によって、一つの手続を経て非課税とする制度でございますので、なるべくこれは限定的に運用しておるということでございます。
  75. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ちょっと納得できないのですね。自動車以外にも、例えば目の不自由な視力障害者にとっては、ラジオとかステレオとかレコード、ピアノ、楽器などの音を聞いて楽しめるものは、ある意味では私は必需品ではないかと思うのですね。大臣は、視力障害者でピアノやオルガンなどの楽器を上手に弾きこなす人が多いという事実は御存じではないかと私は思いますね。そういう人で上手な人がたくさんおるのですから。やはりピアノなどは、視力障害者が点字を習う前に、指の感覚になれるための、養うための訓練に欠かせない道具であるわけでありまして、目の不自由な子供を持つ親は、かなり無理をしてでも子供のためにそれらの楽器を買っておるわけであります。また音楽は、それ自身が暗やみに閉ざされた障害者の生活の支え、生きる種となっておるのではないか、このように考えられるわけでありまして、こういう視力障害者の使う楽器やラジオ、ステレオなどに対してまで奢侈品だとかあるいは趣味娯楽品だといって物品税を一律にかけるということは、余りにも冷酷なやり方ではないか、このように思いますので、まず大臣の方から一言お答えいただいた後、局長からお答えをいただきたいと思います。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 音楽学校の学生さんとか生徒さん、これが奢侈品じゃなくて、言うならば学習用具だ、そういう範囲の中へインクルードされるものはそういう形で対象になるものと私は思っておりますが、今も申し上げておりましたが、元来、物税というものは個人個人のその事情によってそれが対応されるものではない。そうすると、そういう問題は、例えば厚生省の予算の中で、目の見えない人に対する用具等の補助金とかいうようなものがありますように、いわば政策の助成措置の中で、まず第一義的には対応すべきものではないかという考え方でございます。だから、これは歳入委員会でございますから、今の御主張も当然のこととして税調の方へお送りするようになりますけれども、お送りしたといたしましても、物税の持つ本来の姿から、上田さんがおっしゃるそのままの観点からこれが議論されるということはなかなか難しい問題じゃなかろうか。だから、いわゆる音楽学校の先生とか生徒とか、そういう立場の中でどれだけのものが包含されていくのか、やはり基本的には、そういう問題はいわば社会福祉政策の中で、税とは別の角度で対応するというのがまずは第一義ではなかろうかというふうな理解の仕方をいたしております。
  77. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それは大臣、大きな間違いですわ。現在の税制の中にそういう対策があるわけですから、それをもう少し拡大したらどうかということを私は言っているのですからね。その辺ちょっと、私が言っていることは、それは福祉対策でやればいいという問題じゃないので、局長、答えてください。
  78. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 これは基本的には今大臣の御答弁のとおりでございまして、先ほども申し上げましたように、問題は、この特殊用途免税をどういうふうに運用するかという点が問題になっているわけでございますが、例えば盲人の方にとってラジオが、普通の健常者の場合と、便益性を考えた場合にどうかという点は、これはいろいろな議論があると思います。  委員がおっしゃるような観点の議論もあると思いますが、もう一つ、これは税制でございますので、先ほど私が申しました特殊用途免税についてはいろいろな手続が要るのだというふうに申し上げましたが、例えば、現在ございます自動車のような場合でございますと、福祉事務所で証明を取られまして、それで販売業者といいますか、購入する業者のところへ持っていって手続をとられるわけでございます。いろいろ手数がかかるわけでございますが、例えばラジオなんかでございますと、今小売定価で一万六千円までのものはもう非課税になっております。小売定価二万円ぐらいのもので大体税額が千円ぐらいでございますね。ところが自動車になりますと、これは一台百万円ぐらいするといたしまして、税額が十万以上になるわけでございます。そういたしますと、やはり税制でございますので、それによる軽減の話と、もう一つは、税務当局のみならず、それを購入される方の手間という点も考えますと、おのずからそういった手続上の制度というのも、先ほど申しましたように、かなり限定して運用するというのは一つ意味があるのではないか。  したがって、福祉的な観点ということからすれば、特に物税というような点では、おのずから個々の事情をしんしゃくするというのには限界があるわけでございますから、福祉政策全般の中でどういうふうに考えていくかという、先ほど大臣答弁にございました、そうした領域も含めてやはり検討される問題ではないのか。今委員が提出されておる問題というのは、まさにそういうボーダーラインの問題であるという点はあると思います。
  79. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 盲人の方だけじゃなしに、視力障害者にとっては、例えばテレビやビデオなど映像で楽しめるもの、特にビデオは手話通話入りのテープなどの要望が非常に高いわけでありますから、こういうのがやはり必要じゃないか。また手足の不自由な人にとっては、簡単な操作で使いやすい電気製品、洗濯機や掃除機などは欠かせないものではないか、こういうように思います。それから寝たきりの障害者や病人などについては、洗濯機や乾燥機は必需品ではなかろうか。また難病患者の中には自分で体温調節ができない人もいるわけでありますから、そういう人にとってはクーラーとかストーブは不可欠ではないか、こういうように思うわけでありまして、この特殊用途免税の規定というのはまさに憲法の要求する基本的人権の尊重という理念そのものに由来するものではなかろうか。この際、身体障害者や多くの人々の生活の実情に合わせて免税品目の枠を大幅に拡大して、物品税制のあり方を真に公平な、また心のこもったものにきめ細かく検討すべきではないか、こういうふうに思うのです。  当然福祉は福祉で充実していかなければならない点は多々あるわけでございますが、税制の面においても、既にこういう制度があるわけですから。学校の場合でも、公教育などにはそういういろいろな公的なお金が使われておるにもかかわらず、その物品の購入については、そういう減免措置といいますか免税があるように、そういう福祉関係あるいは障害を持つ方々に対してはきめ細かい税制での配慮があってしかるべきではないか、こういうふうに思っておりますので、そういう点で検討をする気があるのかないのか、そこらあたりお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  80. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 先ほども申しましたように、物品税には物品税制としての基本的な物の考え方もございますし、運用上の限界というものもあるわけでございます。したがいまして、御指摘になりましたような問題につきましては、繰り返しで恐縮でございますけれども、歳出も含めまして、国の福祉政策全体の中で税制をどういうふうに位置づけていくのかという観点から検討されるべき問題であると考えておるわけでございます。したがいまして、今挙げられました個々の問題につきまして、早速具体的に検討に入るとかというふうなところまで、まだ我々事務当局としては申し上げられないということでございますけれども、一般的な問題提起としては承っておきたいということでございます。
  81. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 何か聞いておりますと理念としてはわからぬでもないような、ただ実際運用面で非常に難しいから、現実に自動車のように運用面でできるものをやっておる。今私が申し上げた点については、非常に判定が難しいというようなことで逃げてしまっているのですね。だから、理念的なものをまず押さえる。それは税制面でやはり配慮すべきものなんだ。それじゃ具体的にそれの運用をどうするのかということで、もっと詰めた形で拡大できるものは拡大していくというような考え方をしてもらわなければいかぬのではないか、こういうように思うのですね。だから、例えば運用の縛りのかけ方ですね。専ら障害者のために使用するという用途の見きわめあるいは乱用防止などは、技術的に幾らでも私は解決できるのではないか、こういうふうに思っておるわけです。要は、健常者にとっては奢侈品、便益あるいは趣味娯楽であっても、障害者にとっては必需品そのものであるわけでありますから、そういう物品が現にあるということを認めることが大事ではないか、こういうように考えておるわけであります。  どのような物品が、どのような障害者にとって特殊用途免税の対象品目となり得るか、どのような条件が編み出されれば適用可能か、そういう意味で障害者団体などの人々の意見も受け入れて大至急検討をしてもらいたい、こういうように思うのですね。そういう意味で、気配りといいますか、本当に底辺で苦しんでいる人々の気持ちを酌むならば、この分野についてまじめに取り組むべきだと思うので、最後に大臣に前向きな検討を政治家としてお答えいただきたい、こういうように思います。
  82. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに用途免税の場合は、今までの例も二つしかない。したがって、今の問題は、身体障害者の方々に対する福祉政策全体の中で、これは助成政策の問題だ、これはせっかくある用途免税の範囲の拡大の問題だ、それらを総合して議論すべき課題じゃないだろうか。ただ、ここで議論したものを正確に税制調査会に御報告申し上げるということはお約束できますが、きょうの場合、その程度のお答えで御容赦を願います。
  83. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ぜひとも努力して、できますように……。  質問を終わります。
  84. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)委員長代理 午後二時より再開することとし、休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  85. 瓦力

    ○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢追秀彦君。
  86. 矢追秀彦

    ○矢追委員 初めに大蔵大臣、これもしばしば議論されていることでございますが、赤字国債の脱却の目標年次を五十九年から六十五年に引き延ばされたわけですが、五十八年度発行額七兆円を毎年度一兆円ずつ減額する予定でございましたけれども、五十九年度は残念ながら五千二百五十億円の減額にとどまったわけでございますが、六十五年までに計画どおりの脱却ができるという自信はおありですか。
  87. 竹下登

    竹下国務大臣 大変難しい問題だと思いますけれども、五二五〇にとどまったということは残念でございました。しかし、結果として五千二百五十億円にとどまったわけでございますから、したがってこれからの「中期展望」あるいは「仮定計算例」には一応平面的に一兆ずつが一兆八百億円、こういうようなことになっておりますけれども、その努力目標に向かっては、これからもなお歳入歳出両面にわたっての努力を積み重ねていかなければいかぬ。初年度でもうつまずいたから、したがって旗をおろすという性格のものではない、こういうふうに考えております。
  88. 矢追秀彦

    ○矢追委員 昭和四十年から公債に依存する財政運営になって、ほぼ二十年を経過したわけでございますけれども、私が非常に心配いたしますのは、国債に対する警戒心というものが政府の間にも、また国民の間にもどうも薄らいできているのではないか、このように思えてならぬわけでございますけれども、国債に対する大蔵大臣基本的な認識をお伺いしたいと思います。
  89. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題につきましては、健全財政というのは何かと言えば、これは間違いなく財政収支がバランスしておるということだと思います。だが、一定の条件下において、国債発行による財政運営が必要とされる場合もないわけじゃないと思います。それは現実問題として、一時的な不況対策等で、建設公債等を発行して財政が対応していくというような場合がないわけではないというふうに思います。  したがって、それを考えてみますと、許されるのは、四十年度最初に発行しましたときはオリンピックの翌年の、戦後最大の不況というときでございました。あのときは必ずしも建設国債とは銘打っておりませんでしたが、初めての試みでございましたから、私は当時官房副長官でございまして、それでも戦々恐々としてインフレにつながるのじゃないかという議論をした上で、戦後最大の不況のオリンピックの翌年にこれに対応して、これは一番成功した例じゃないかと僕は思っております。  そういうことから、次が昭和四十六年のいわゆるドルショックのときじゃないかな。今まで三百六十円の固定相場であったものが変動相場制になる。一体、本当に輸出競争力なんというのがどれぐらいかわからぬ。だから一挙に公共事業等を拡大して建設公債発行いたしまして、これもドルショックを一番早く切り抜けた、そういう効果があったと思います。  それから今度は第一次石油ショックになると思うのであります。このときには、ちょっと話が長くなって申しわけありませんが、要するに福祉元年という政策を打ち立てたのと並行しまして、国民負担を増さないで福祉水準を上げていこうという初年度とたまたまかち合ったような感じでありましたが、しかしながらそのことはやはり役割を十分に果たしたのではないか、こういう気がしておりますので、この第一次石油ショックまではそれなりに効果を上げてきた。要するに五十年以降、五十年より前が十兆で後が百十兆、こういうことになるわけであります。したがって、第一次石油ショックからはい出すために効果があって、そこで爛熟期という言葉がいいか悪いか知りませんが、それが五十四年のいわゆる公共事業等を後ろ倒ししなければいかぬような状態にまで、ある程度物価問題もございましたが、景気に集約されてきたのがその辺ではないだろうか。  そこで五十五年から、これじゃもう大変だというので、「初めに一兆円の減額ありき」。ところが五十四年も、そうは言いながらも結果的に税収が上がりましたので、最初意図しておったよりも一兆数千億少なく発行して、それを済ますことができた。それで五十五年もどうやら四百七十四億でございますか、戻し税をした。要するにわずかな剰余金が出るような決算になって、結局五十六、五十七というのが第二次石油ショックのあおりを受けて、世界経済全体の不況というものがこうなったのではないかというふうに思っております、少し長くなりましたが。  したがって、場合によって財政の対応力としての力を持つという効果は十分にある政策手段の一つであるが、原則としてはやはり収支健全な財政であるべきであるし、もう一つは、最近よく言いますように、これだけ利払い費がふえできますと、言ってみれば富の再配分という意識を持たなきゃならぬ予算の中で、意図せざるところへ利子が行くという、本質的に富の再配分というものとは別な方向の役割を果たしているところに、厳に慎まなきゃならぬ基本認識を持つべきではないか、こう考えております。
  90. 矢追秀彦

    ○矢追委員 これは皆さんも言われ、何回か言ってきたわけですが、本年、五十九年度の、出されたこの法案で、赤字国債現金償還の今までの約束、公約というものはほごにされたわけでございまして、借りかえになる。私も参議院時代から国債問題をいろいろ議論してきたわけでございますけれども、この借りかえをやらなければならなくなった理由はわかるぬでもないのですが、経過を一つ説明していただきたいわけでございます。  と申しますのは、赤字国債現金償還が困難になった、こう言われますけれども、我々はこういうこともあろうということで、国債整理基金繰り入れをふやす、十年償還なら毎年度発行額の十分の一はちゃんと置いておきなさいということを言っておりましたが、政府はそのときには償還時に予算繰り入れをする、だから心配ない、こういうことを言ってこられたわけです。しかし、今から振り返りますと、初めから数兆円ものお金を毎年度予算繰り入れができるわけはないわけでして、そういうことを考えますと、やはり今までの政府答弁というものも、どうも国会にも国民にもうそをついてきたということに結果的にはならざるを得ないんじゃないか、こう思うわけです。  そこで、今申し上げたように、まずお聞きしたいのは、ここへ至る経過、それと、特に大蔵省が赤字国債の十年後の現金償還が不可能と判断した時期はいつですか。昨年はまだ現金償還ということが、去年の法律では間違いなく出ているわけでございまして、ことしになってからこれはなくなる、まさかそのときに——昨年度でももうできなかったんじゃないか、そういう見通しは私はとてもとてもできなかったと思うのですが、その判断された時期と、それから先ほど申し上げた経過、これを説明していただきたい。
  91. 竹下登

    竹下国務大臣 これは事務当局から補足して答弁を申し上げた方が適切かと思うのでございますが、私ども、新内閣になりましてから、要するに五十九年をギブアップをいたしまして、それで六十五年というのを努力目標として設定した。まあまあ結局いかなかったわけであります。それで、国会等においても借りかえしかないじゃないか、こういう議論がございましたが、私どもといたしましては、六十年には大量償還の時代が来るぞよ、そのとき一体どうするんだ、結局それに見合うものは歳出削減か負担増か、あるいは借りかえを含む国債発行か、こういう三つの手法の中でどういう組み合わせでやるかというところまでは去年答弁ができて、そうしてそれらにつきましては大所高所から財政審の部会等で議論をしてもらいます、こう申し上げました。そこまでは去年の段階でございます。  それで今度は、それも当初予算のときにはそこまでの議論をしないで、補正予算のときにやっとそこまでの議論ができるようになって、そうして財政審でやむを得ないという結論をもらって、にしきの御旗ではございませんが、それをてこにしてこうして御審議いただく、そういう経過になっておるというふうに考えておるわけであります。  その議論の経過等、事務当局からお答えさすのが適当かと思います。
  92. 平澤貞昭

    平澤政府委員 大筋のお話は今大臣の御答弁にあったとおりでございますので、私からその議論のここに至るまでの経過を御説明したいと思います。  先ほどもお話がございましたように、従来は確かに特例公債借りかえを行なわないことということとともに、五十九年度までに特例公債依存から脱却するという二つの柱で参ったわけであります。しかし、第二次石油ショック以降、いろいろ予期せぬ事態が発生しまして、特に歳入面で問題が起こってきたということから、第一の五十九年度の脱却ということが不可能になったわけでございます。  そうしますと、次に特例公債借りかえを行わないことという従来の方針が残るわけでございますけれども、これにつきましては今大臣からお話がございましたように、昨年法案をお願いした段階ではまだ財政をめぐる今後の環境が極めて流動的でございました。特に経済についての中長期的な展望、指針がまだ出てない段階であったわけでございます。御存じのように、その後、昨年八月に二九八〇年代の経済社会の展望と指針」が閣議決定されまして、経済の今後の方向が明らかになったわけでございます。  そういう中で、先ほど大臣お話ございましたように、将来の財政の姿がどうなるかということをいろいろ議論していきますうちに、やはり我が国経済の着実な発展と国民生活の安定を図りつつ、先ほど申し上げた「経済社会の展望と指針」の中で述べられております特例公債依存体質からの脱却を六十五年度までに図ろうとすると、どうしても特例公債につきまして借換債発行によらないとどうしようもないということになりました。特に財政制度審議会におきましてこれをいろいろな方面から御議論いただきまして、そういうような答申もいただいたわけでございます。そういう中で、今回借換債の規定を入れました法案を御提出して御審議を願っているというのが、これまでの経緯でございます。
  93. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いろいろ言われますけれども、やはり今国会になって突如出てきた、こう言わざるを得ないわけでして、それはいろいろ議論はされていたかもわかりませんけれども、結局財政運用を誤った、また見通しを誤った、それは不確定要素は別といたしまして。先ほど大臣いみじくもおっしゃった第二次オイルショックのころから後は、大変な状況というのはもうわかっていたし、もう六十年度は大変な残高が来ることもわかっていたのですから、なぜもっと早い時期に、あるいは国民に理解を得る上において議会にも相談するとか、そういうのをある程度やった上で今回のような法案が出てくるならいざ知らず、とにかく出てきて、過去のものもばっさり削ってしまう、全部借りかえにしてしまう、これから後するならまだ話はわかるのですけれども、過去のものも一切この一つの法律でやってしまうというところが非常に問題に思うわけでございまして、どうも今の説明だけではちょっと政府の、今までこれだけ赤字国債をため込んだ、それに対する責任といいますか、それは非常に甘いように思うわけですけれども、その点はいかがですか。
  94. 竹下登

    竹下国務大臣 結局、要するに五十九年赤字公債脱却が困難になりましたというその段階で、したがってまた借りかえもせざるを得なくなりましたということも、反省してみれば一つの時期であったかな、しかし、それを決定した後、さてどうするか、こういうことから議論を重ねて、結局借りかえということに財政審等の御意見もいただきながら踏み切ったということでございますので、少なくともそういう考え方からすれば一年ぐらいのタイムラグはあったんじゃないかという感じは、私もしないわけでもございません。  それから今度は、法律の中身の議論になりますが、要するに今もおっしゃいました、これから発行するものはともかくとして、これまでのものを一挙に消してしまう、こういう議論です。法律をつくる段階で私どももそれを一番議論をしたところでありまして、仮に今までのものを借りかえの対象とするならば、毎年毎年その額を国会で承認していただきながらやっていくというのが、財政の節度からいえば一つ考え方ではないか、こういう議論を随分いたしてみました。結局その節度の問題は訓示規定の方へ入りまして、そうしてその基本論を議論しているうちに、これから発行するものは借りかえの対象になって、既発憤、実に借りかえの来るのは既発債の償還がやってくる。そうなれば、法律の整合性ももとよりですが、やはり大きな政策転換じゃないか。そうなると、政策転換として勇気を持って、やはりこういう法律の姿で節度の問題を訓示規定の中に置いてお許しいただくのが正直な姿じゃないか。随分こういう議論をした上でそういう結論に達して、このたび審議をお願いしておる、こういうのが偽らざる実情であります。
  95. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この問題は前にも当委員会でやったわけですが、今大臣も言われました。もう一度重ねて言いますけれども、先ほどの議論にもちょっとひっかかってくるんですが、仮に借換債やむなしとしても、少なくもこの法律では五十九年度新規発行赤字国債にだけ特例債を認める、これだけにまずとどめるべきではなかったか。それから、先ほど言ったように、もう前からわかってきたんですから、少なくも昨年あるいは五十七年度ぐらいから、そのときの新規発行赤字国債だけは借りかえにする、しかし既発債についてはやはり十年という約束があるので、これはやはり脱却のために、現金償還のために最大限努力をしていく、こういうふうなことができたんじゃないか。私自身だって去年、おととしぐらいから、もうこれはこのままいけば借りかえしか手はないんじゃないか、先ほど大臣言われたように、税による国民負担も厳しいし、歳出カットもそうめちゃくちやなことはできない、そうしたらある程度これで資金を調達していく以外ないということで、私自身も借りかえはもうそれこそ性悪、絶対悪い、ここまでは考えてないわけでして、ある程度は私も理解しているつもりです。だから、それだけにこの法律、今大臣勇断を持ってと言われますが、その勇断がちょっと乱暴過ぎやせぬか。  まず少なくも、もう一度重ねて聞きますが、新規発行分だけに五十九年度はとめられなかったのか。あるいはそれが五十八年度あるいは五十七年度ぐらいからそうやっていけば、国民にも、ああ、いずれはこれは借りかえしなきゃならぬのだなということにもなってきたんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  96. 竹下登

    竹下国務大臣 五十九年度赤字公債の脱却、こういうことを政府の方針として内外に宣明して、その一方で新発債から借りかえを認める、五十九年度赤字国債脱却を至上命題として掲げておる中にこの新発債の借りかえを認めるものとすることに対しては、やはりちゅうちょするだろうと思います。借りかえは、やはり既発債のまさに償還期限が来たものからお許しいただくわけでございますから、あのころから、借りかえしかないじゃないか、一遍予算委員会でございましたか、正木さんに、あんたそう言ったじゃないかと言われて随分後から反省をしましたが、そういう借りかえしかないではないかという御意見がありました。しかし、やはりそのときは五十九年、にしきの御旗をおろしていないときでございます。六十五年の努力目標ということからやはり慎重に考え、借りかえ、こういうことに踏み切って、お許しをいただいておる。一応の手続等も、財政審等の手続も行っておりますが、それと同時に国会でもその議論がかなりやかましい議論になってきたということも事実であります。  それで、重ねて言うようでございますが、毎年これは借りかえをしますという形のお許しをいただくというのも、一つ財政節度の問題からは議論をすべき課題だと思って、私自身が指摘してその議論をいたしましたが、これは言ってみれば借りかえというのは長期にわたるもので、借りかえをしませんというのを借りかえをしますという大きな政策転換ということになると、償還期の来るのは既発債でありますから、この際やはり政策転換としてお認めいただくのが筋じゃないかという結論に到達いたしたわけでございます。
  97. 矢追秀彦

    ○矢追委員 五十九年度脱却をにしきの御旗だから変えられなかった、しかし経済計画というのはそんな厳密なものではなくて、日本は社会主義経済じゃないわけですから、途中で経済計画変更になったこともありますし、それはちょっと当たらぬのじゃないか。むしろ、そこまで待って、そうして一挙に出してくる方に私は問題があるんじゃないか、こう思うわけです。しかし、これは水かけ論みたいになりますから、次へ進めますが、仮に一歩譲ったとして、私は今回の財確法案は一年早いのではないか、こういう意見を申し上げたいのです。というのは、大蔵省が衆議院予算委員会に提出し国債整理基金資金繰り状況についての仮定試算のケースb、特例公債の借換債発行しないケース、これで見ても、六十年度には定率繰り入れをやれば五千五百億円の余裕金が出るわけですね。だからやはり今までも絶対借りかえはできません、現金で償還するんですとあれだけ言ってこられました。議事録を集めたら物すごい分厚いものに実はなったわけです。それぐらい言われてきたのを一挙に今やられているわけですけれども、先ほど一年間の議論の期間はあったと大臣はおっしゃっておりますが、国会へこういう法案で出てきたのは初めてでして、私は、そういう意味でも、何が何でも五十九年度、さっきのにしきの御旗の切りかえ期だからということを言われるかもわかりませんけれども、来年度に提出されても全然問題ないんじゃないか、六十年度現金償還は、ただし定率繰り入れをやった場合ですが、可能である、こう考えるわけです。ということは、今度は逆を言いますと、定率繰り入れはまた来年もやめるという前提に立ってことしからやられておるのか。しかし、仮にそうなったとしても来年で十分間に合う、私はこう思うのですが、まず五十九年度にこうやって一挙に出してこられた理由、いかがですか。
  98. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今委員御指摘のように、五十九年度及び六十年度の整理基金資金繰りの状況はそういうことだと思います。しかし、今回特例公債についての借りかえ禁止規定を五十九年度の新規の発行債から入れなかったというのは、むしろ将来、十年先に来る財政事情を頭に入れまして考えているわけでございます。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕  といいますのは、先ほど来御説明申し上げておりますように、今後の財政事情は非常に厳しいわけでございまして、六十五年度までに何とかして特例公債から脱却していこうということを目標として掲げているわけでございます。仮に、その目標である六十五年度までに脱却する、新発債がゼロになるといたしましても、もろもろの試算等でもお示し申し上げましたように、その脱却後におきましても非常に厳しい財政事情が続くわけでございますので、したがいまして、十年先の財政事情等々も考えまして、今回法案を出したということでございます。
  99. 矢追秀彦

    ○矢追委員  ちょっとそれでは私は納得できないんですけれども。だから、私先ほどちょっと言ったように、五十九年度は新発債の赤字国債借りかえだけの規定にしておいて、あとの分は、要するにたまった分、ストックの分については別途の法律にして、そしてこれは前から主張しているとおりに、さっき大臣言われたような形にした方がベターじゃなかったか。それだってもちろん来年でも構わないし、とにかく相当無理をされてこういう法案が出てきたことは事実ですから、今おっしゃったのは、まさしく私が言っている問題に入っていくんじゃないですか。いかがですか。
  100. 平澤貞昭

    平澤政府委員  仮にこの五十九年度の今回の法律で借りかえ禁止規定を存置するということになりますと、先ほどお話のように、今度は六十年度以降に借りかえの参りますもの、これは借りかえをしていくということは、いろいろお示ししている数字から非常に困難な点が多々あるわけでございます。そういたしますと、結局この存置した借りかえ禁止規定と、それからその後に出てまいりますものとの間の法律的な相関の関係がやはり問題になってくるわけでございます。結果的には、今回入れました借りかえ禁止規定が事実上形骸化することが予想されるわけでございまして、そういう点もあわせ考えて、先ほどの理由等もいろいろ考えた結果、今回お示しのような法案を提出しているということであります。
  101. 矢追秀彦

    ○矢追委員 まあ私の不勉強かもわかりませんが、大臣、ちょっとまだ納得できないですね。だから私は、今申し上げたように、やはり国民の合意、ある程度のコンセンサス、いずれ借換債の時代は来る、これはやむを得ない。しかし、今まで政府は現金で返すと言っていたんですから、できる限りぎりぎりまで返す努力はする、したがって五十年度から五十八年度までの、今までたまった分についての借りかえについては来年度からでいけるわけですから、私は六十一年度でもいいと思っていますけれども、まあ来年度にしましょう。それでもっと我々の意見等も聞き、議論をしていただいて、そのストックの分についての借りかえについては別途の法律をつくって、毎年毎年、先ほど大臣言われたように国会に報告をし、議論をしてやっていく。そして先ほど十年後と言われました、今後の問題としては、この五十九年度発行される赤字国債については借りかえは認めましょう、こういうことにして何ら差し支えないんじゃないか。  やはり一番問題は、要するに現金で返すということは本当に言ってこられたわけですよね。それこそ大変な公約といいますか、これはもうできなきゃ大変なことになるぐらいに言ってこられたわけです、歴代の大蔵大臣も総理も。それをこの一片の法律で、しかも五十年から八年間縦に並べておいて、それで全部はさっとやめますなんという非常に荒っぽい削り方である。それを大臣は勇断だと先ほどおっしゃいましたけれども、もっと行政改革もやる、いろいろな面で汗をかいて財源を捻出して、そしてできる限りここまで政府現金償還に努力をした、しかしなおかつできないんだ、だからあとは借りかえもやむを得ません、国民の合意を得たい、こういうふうにしないとまずかったんではないか、私はこういうふうに言いたいわけなんですが、重ねてお伺いします。
  102. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる特例公債昭和五十年から。五十年は、一応そのときは議論があって、五十一年から借りかえ禁止規定を設け、そうして今おっしゃいますように、大量償還がまずやってくるのは六十年。だから、三つ選択肢があるのかなと思いました。  その一つは、とにかく大量償還は六十年でございますから、したがって六十年度借りかえる法律案を出すということが一つあります。それからもう一つは、今後のものは借りかえ禁止規定なしにして、そして償還期の来たそのときの財政事情に応じた額をそれぞれ借りかえを認めてもらう、財政の節度を守るためにお許しをいただく、毎年毎年審議する方法。それからもう一つは、今お出ししておる。  五十九年脱却から六十五年度努力目標ということに変わったというのは、やはり政策の大転換の一つであるということが言えます。五十九年度、ことしで脱却すべきものがことし脱却できないわけですから、いわゆる政府の政策の大転換。それから二番目は、今年度発行分から借りかえを認めることとした場合に、言ってみれば特例債に借りかえ禁止規定のついたやっと借りかえのできるやっと二種類できるという法律上の整合性の問題。そしてもう一つは、長期にわたってこれからいろいろなことを考えていかなきゃならぬということになれば、やはり政策転換したんだから、今までの分も一緒に借りかえ禁止規定を取っていただくことによって新事態に臨むということで、種々議論の結果、基本的にはやはり政策の大転換ということがかくなる法律を出さしめた。私自身が、財政の節度からいえば一年一年ということを部内の議論の段階でも随分こだわった議論をしてみたわけでございますので、結局踏み切る場合は、やはりこれは大きな政策の転換だということで御理解をいただくべきだな、こういう考え方に立ってお願いをしたということに最終的には尽きるというふうに考えます。
  103. 矢追秀彦

    ○矢追委員 その大転換ということだけで片づけられると困るんで、五十九年にこだわられた理由を今るる言われましたけれども、もう一つは、先ほどもちょっと触れましたように、五十九年度は千六百億で現金償還、これは問題ないですよね。六十年度になりますと、赤字国債の要償還額というのは二兆二千八百億ですね。定率繰り入れをいたしますと、その定率繰り入れの分が一兆八千七百億、これをまたやりたくないんじゃないですか。これをやらないとなれば、確かに来年度から問題が出るわけです。しかし、これは来年度からするということで出してこられているわけですから、まあ検討するということのようですけれども、午前中も質問が出ていたようですが、だからそれが一つの理由ですか、いかがですか。
  104. 平澤貞昭

    平澤政府委員 国債整理基金資金繰りの状況は、今、委員御指摘のとおりでございます。しかし、国会に提出いたしました「仮定計算例」のケースa、ケースbと二つございますが、aの場合は特例債の借換債発行するケースでございますし、bは借りかえていくケースでございます。しかし、いずれの場合も、六十年度に例えば定率繰り入れを停止して、したがって財源に問題が出るから今回法案をお願いしたということではないわけでございます。先ほど御説明いたしましたような理由から、我々としては今回お願い申し上げているということであります。
  105. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、来年はちゃんと定率繰り入れはすると判断されているわけですか。
  106. 竹下登

    竹下国務大臣 これも、定率繰り入れというのはいろいろ御議論がございまして、要するに償還財源として積み立てるために、それだけ金利のつく国債を余計発行して、結果としては積むのだから同じことじゃないかというような議論が、当然これはずっと出ております。しかし、よってもってきた根源をさかのぼれば、減債制度があるということが国債に対する国民の信認をつなぐという基本はやはり維持すべきである、こういう財政審等の答申をちょうだいして、しかしことしはこの事情がこうでございますので、いわば国債整理基金へ入れることはことしはいたしませんというふうに申し上げておる。ことしというか、これで三年目でございます。  来年度の場合どうするか、いろいろな議論がございましたが、やはり減債制度というものの根幹を守るということになれば、借りかえをするようなことになっただけに、なおのこと減債制度という基本的な方針は貫かれてあった方がいいじゃないか、こういう議論もいたしてみましたが、いずれにせよ減債制度基本を維持しながら、さてどうするかということは、やはり来年度予算編成時点までに、国会議論等を通じながら、そのときの事情で判断をしていくという課題ではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  107. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ということは、お金が足りなくなったらまたこれを崩せばいいという、ちょっと安易なようにもとれる答弁なので、私は先ほどから何回もくどいようですけれども、定率繰り入れをやれば来年は、少なくも六十年度までは赤字国債現金償還は可能である。したがって先ほど来申し上げておりますように、何もこの五十九年度に一挙に借りかえを、すべて過去のものも含めてやるやり方については非常に乱暴である、これだけは指摘をしておきたいと思います。  そこで次に、五十九年度に、私は先ほど来言っておりますように、六十年度もいいと言っておりますけれども、今回借りかえにした場合、建設国債と同じように六十年という問題になるわけですけれども、この十年償還であったものを六十年償還にされた理由及び六十年を決めた理論的根拠、これをお伺いしたいと思います。
  108. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今の御質問は四条債についてということですね。——四条債につきましては、昭和四十二年でございますか、これをいかに償還していくかということをいろいろ議論したわけであります。その際に、最終的には四条公債発行に伴って見合いとなる公共事業の資産、例えば道路その他等の資産があるわけでございますが、その資産の平均的な効用発揮の期間、これをいろいろ計算いたしまして、平均的には六十年間であるという計算が出ましたので、それを目安にいたしまして六十年間で現金償還をしていくということで、六十分の一にほぼ当たる一・六%の定率が定められたということであります。
  109. 矢追秀彦

    ○矢追委員 建設国債については、今の四十二、三年ごろの議論、一・六は承知をしておるわけですが、今回この赤字国債を、今までは十年で現金にかえる、これを借りかえをするということで六十年の償還に一挙に延びるわけですね。十年から六十年にした理由はどうですか。
  110. 平澤貞昭

    平澤政府委員 特例公債借りかえて借換債発行していく場合に、どのように償還していくかということにつきましては、今回の法案を提出するに当たりまして、いろいろの角度から我々も議論したわけでございます。  その際に、幾つかの考え方があるかと思いますけれども、一つは、常に借りかえていく、満額借りかえるという方法が片方にございます。それからこちらの方には、全額現金償還していくという従来の方法があるわけでございます。その間で、それでは具体的にどのような方法がいいかということでございますが、いろいろ議論がございました。財政審の場でも議論がございました。しかし、とりあえず四条債の、先ほどお話し申し上げたような一・六で六十年でという方式がございますので、その方式を償還ルールに考えてみてはどうかということでおるわけであります。  しかし、実際に特例債の償還が大量に参りますのは六十年度の、先ほど御指摘の二兆二千八百億円でございますので、それまでまだ間があるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては一応四条債同様の償還ルールによるという趣旨で、仮定計算等も計算してお出ししているわけでございますけれども、なお幅広い角度から、それまでの間に検討していきたいというふうに考えているわけでございます。
  111. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、私今の答弁聞いていて、そういう問題もきちんとした上で法案を出してくるべきであって、そういうふうな問題もまだ煮詰まっていないのに出てくるところは拙速主義であったし、むちゃだ、先ほど言ったように、借りかえをしてどうやってやっていくかということについてはもうちょっと議論したらいいから、来年まで待ったらどうか、こう言っているわけでございますが、それは別といたしまして、今の四条国債と一緒にされておる、この辺はちょっと私も、とりあえずにしても納得できないわけですよね。  というのは、こういう言葉はいいかどうか、適当であるかどうかについてはちょっと問題があるかと思いますが、建設国債というものは資産が残るから比較的いい国債といいますか、国債そのものがだめだという議論は別に置きまして、こういう時代になりましたから国債のあることを認めなければなりませんし、後世代に残るから後の人が負担してもいいというようなことで、ある意味では比較的にいい国債、それの効用発揮が六十年であるからということで一・六というのが出てきたわけです。ところが、今度の赤字国債というのは要するに消費的支出に使われ、資産には残らぬということでいうと、比較的悪い国債という言葉が適当かどうかは別として、うんと残ることについてはよくないわけです。だから十年で現金償還という歯どめをしてきたわけですから、それを後世代に、とりあえずであろうが負担さすような考え方そのものにちょっと問題がある。  要するに赤字国債建設国債も同じ六十年にしてしまった、この辺がちょっと問題があるんじゃないかと私は思う。いつ区別をなくされてきたのか。発行するときは別だけれども、中に入ってしまったら一緒なんだ、こういうことだと思うのですけれども、それにしても今後これだけ厳しく努めなければならないというのは出ているわけですから、そういう意味では、先ほどいろんな考え方があると言われましたが、やはり建設国債と同じやり方というのはちょっとまずいんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  112. 平澤貞昭

    平澤政府委員 特例公債につきましては、今委員がおっしゃいましたように、国債をいい国債、悪い国債と分けるのはいかがかと思いますが、いずれにしましても特例公債はできるだけなくしていくという意味ではいい国債ではないわけでございまして、そういう観点から、今回の法案におきましてはできるだけ速やかにその残高を減少させるために、その趣旨の努力規定を置いているわけでございます。そういう努力規定を置いている中で、とりあえず最小限の考え方といたしまして、先ほどの六十年償還ルールというのを頭に置いているということでございます。
  113. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、今も少し申し上げたように、要するになぜ分けてきたかというと、やはり建設国債は将来の資産のために使われる、赤字国債はそうでない、いわゆる赤字を補てんするために使われる、しかも出すときは分けておいてあとは一緒くた、こういうふうなことでは非常に困ると思うのですね。だから、要するに現金で返すのがなくなっただけでも大変な大転換だと先ほど来言われていますね。それだけでなくて、建設国債赤字国債も一緒になってしまった。非常に厳しい分け方をして、しかも赤字国債を出す場合に毎年毎年法律を出してきたのは何のためか。しかも現金で返せ、余り出してはならぬということで来たものを、結局一緒にしてしまうというのは、私は非常に納得できないわけでございまして、例えどうであろうとも、当面だと変わるのかどうか知りませんが、後世代に対して赤字国債のツケを六十年間にわたって負担させる、しかもその見合い資産はないわけですね。建設国債なら道路とか学校とかいろいろできておる。しかし、赤字国債の場合はないわけです。  一遍発行して出してしまったら同じだ、お金に色がついていないように、国債にも色がついてないから、そんなのはわかるかというような議論をされるかもわかりませんけれども、少なくとも発行時できちっと明確にしているんですから。六十年間にわたって後世代の人が資産なしに負担させられる、こういうものですよ。しかも、これからどうなるか。我々の時代、もっと若い時代はどうなるか。これから高齢化社会を迎えるわけですね。それから、税や社会保障負担が非常に高まってくる可能性は強いわけです。そういった時代が急激な変化をしている中で、その時代、時代の財政需要というものも強まっていくと思うのです。そういう後世代の人、しかも人口も御承知のように若い人の数がだんだん減ってくる、そういった人たちに赤字国債のツケを六十年間も回してしまうということは非常に問題があると私は思います。  一番最初も申し上げたように、少なくとも十年間で現金で返す、それは大変だろうから毎年十分の一ずつちゃんとしておきなさいと我々は主張してきました。それはされませんでした。そのときに予算繰り入れればいいんだ、こういう答弁がずっと続いてきました。赤字国債の場合十年というものを目安として、仮に十年たったときにそこで借りかえを一遍やる、しかしその次の十年後には現金で返す。百歩譲ってもその辺でとめないと、六十年はちょっときついと私は思うのですが、大臣、いかがですか。
  114. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに議論をいたしますと、建設国債赤字国債、いい国債、悪い国債のいわゆる功罪とでも申しますか、資産が残る。ところが赤字公債の拡大経済論の人の中には、赤字公債にしたところでその人そのものの教育の水準が上がっているとか、社会保障全体の水準が上がっているから、その無形の資産が残っているのではないか、こういう議論をなさる人もありますが、私は矢追さんと同じように、その議論をとる方にくみしておるわけではございません。それからもう一つ議論としては、後世代にツケを回すことになるが、その国債を所有しておる者もまた後世代であったならば、国民は債権者であると同時に債務者ではないか、こういう議論をなさる人もございますが、私はその議論にくみするものではありません。  そういうことから考えますと、矢追さんの主張というのが、必ずしも明確な答えになりませんが、ここのところで比較的明確に出ておりますのを見ますと「特例公債償還ルールについて」、これは財政審の小委員会の報告でございますが、「仮に、特別会計において特例公債の借換えを行うこととした場合、その償還ルールをどのように定めるかが問題となるが、本来、できるだけ早く残高を減少させるべきである特例公債の性格を考えれば、あらかじめ新たな一定の年限による償還ルールを設定する適当な理由は見出し難い」、だからできることならば直ちにやるべきだ。「しかしながら、特例公債については厳しい財政事情の下でも可能な限り残高を減少させていくことが望ましく、また、現行の総合減債制度」というものがある限りにおいては、「減債資金の積立てが六十年償還財源に見合うよう行われてきて」おるから、例えば十年債についても「四条公債償還ルールと同様、」に「六十分の五十程度借り換えることを基本とすることが考えられる。しかし、この場合であっても、六十年償還と固定的に考え」ちゃいけない、「毎年度財政事情を勘案し」て「残高をできるだけ速やかに減少させるように努めていくことが必要である。」ここまでが書かれてありまして、その後が「この場合の償還財源については、国の財政事情国債整理基金状況等を勘案しつつ、現行の総合減債制度の下で確保することが適当と考えられる。いずれにせよ、特例公債の具体的な償還方法については大量償還の始まる六十年度を目処に、幅広い角度からの議論を行い、なお検討を進めていくことが適当」である。この最後が結語だと思うのです。だから矢追さんは、この議論をあんまり私が言いますと、だからタケさん、それじゃ六十年にこの法律もそのことを議論して出せばもっといいじゃないか、こういう議論にもつながりますが、財政審の指摘でなるほどなと思うのは、やっぱり具体的償還方法は「六十年度を目処に、幅広い角度から」議論をして検討を進めなさい、最小限は、いわゆる六十分の五十ということは今の総合減債制度というものになじんだ制度としておきなさいということになっておるわけでございますので、そこでやっぱり六十年——あんまり六十年と言いますと、それじゃこの法律も六十年からでいいじゃないかという議論になっても困りますので、償還方法のところは六十年というものを同意をいたします。
  115. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ここまで来てから最初の質問をした方が、大臣もひっかかったのかなと思うのですけれども、最初にちょっと正直にやり過ぎたかなと思うのですが、大臣、そういうわけで、別に今からでも遅くないんですよ、まだ法案通ってないんですから。今からこのところを削る、修正をいたしまして、それこそ今の財政審の言われたとおりきちんと、これは冗談じゃなくてまじめな話として、要するに第六条のところですね、第六条の九項目、これを一番問題にしているわけです。これから出す分の問題よりこっちの方が問題なんですから。これを全部外して来年までにもう一度借換債、特に赤字国債の借換債の減債——借りかえをするならですよ、そういった点をきちんとルールもつくり、今の六十年でいくのか、あるいは私が今主張したような二十年でなくしていくのか、そういうことをきちんとしてないと、やはりこれは大転換であるだけに、私は慎重に議論もし、討議もし——実際、最初に申し上げたように、来年出してもう政府が困るというなら別ですよ。私そんなに困らないと思うのですよ。来年出してどこかに穴があく、もし穴があくとしたら一兆八千七百億の定率繰り入れを、お金がないからできません、これだけなんですよ。それだって、一兆八千七百億の歳出カットというのは、努力すれば、これだけ行革法案も出てきて、政府だっていろいろやっておられるのですからできるんじゃないか、私はこう思うのですがね。重ねていかがですか。
  116. 竹下登

    竹下国務大臣 やっぱり基本的に言いますと、たびたび言うようですが、五十九年というものの目標達成はギブアップいたしました。そして新たに六十五年の努力目標を定めました。しかも六十年には大量償還が参ります。これについては、昨年来の議論等を通じながら、ここで借りかえを行うことをお許しいただきたいということが、やはり一つの政策転換のけじめとしては妥当ではなかろうか。  だから、矢追さんの議論は、要するにこれから国会意見を聞きながら、借りかえを行うかどうかを財政審等にも諮りながら、六十年には大量償還が来るから、その際その償還方法等も含めて諮問して、答申をもらったりしてやろうという形でも間に合ったのじゃないか。なるほど去年の段階で、借換債の問題等について財政審議論していただきますというところまでしか行っていないわけですね。だから、もう一年かけてしっぼりと議論をすれば、償還計画をも含めたもっと具体性の大きいものが出てきたのじゃないか、こういう御議論だと思うのです。その議論は私もあり得る議論だと思いますが、やはり基本的にはこの大きな政策転換を行った初年度に、基本的な転換の問題は国会の御審議を得てお許しをいただくというのが、政策転換ですから一つの筋じゃないかな。議論の分かれるところでありましょう。矢追さんの議論が荒唐無稽な議論だとか、そういうことを申し上げようという気持ちも全くございません。が、テンポとして、私自身政策転換としてのけじめというものもやはり議論になる一つの節目ではないかな、こういうふうに考えます。
  117. 矢追秀彦

    ○矢追委員 何か私の言う議論は節目だから、来年になったらちょっとおくれてしまうというようなお考えのようですが、だから私が先ほど申し上げたように、何もこの法律案借りかえの全部のことを一切やめるということじゃなくて、五十九年度発行赤字国債借りかえについては書かれても結構でしょう。要するに、これは五十年から五十八年までのたまった分についての問題です。そういう意味では、この法案の中にそこだけ除いておいて、五十九年度発行の分については十年後から借りかえしますとしておいて、そして来年までに法案を別に用意をされて——今からされてもいいんですよ、今からされても。今言われた六十年で行くのか、私の言っているように二十年で行くのか、いろいろな議論はあるでしょうから、まだ国会もちょっと長いこと——私の言うとおりだったら全部賛成して通してもいいですから。  それは別としまして、今年度また臨時国会をやられてもいいでしょうし、それだけもっと議論を詰めて、国民の前に、この大量に膨大にたまったものが後世代の負担にもなるし、いろいろな手かせ足かせになることは目に見えているわけですから。予算繰り入れはできなくなった、定率繰り入れもやめてきた、とにかく余裕金はなくなってきた、そういうふうな状況下において、本当にそういう意味で私は言っているので、大臣の言われる六十五年に変えた節目だからというのもわからぬではないのですけれども、大事なだけに、そちらの方を慎重にやってもらいたい、私はこう思うわけでございますので、これ以上は水かけ論になるかもわかりませんが、よくその点はわかっていただきたいと思います。  次に、法案第三章の「特例公債償還のための起債の特例」規定、要するに赤字国債償還のための起債は、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り行わないよう努めるものとする。」この規定です。それからさらに第六条二項の「速やかな減債に努める」この文言ですけれども、まず、この「努める」というような、こういう訓示規定を出している法律というのはほかにございますか。
  118. 平澤貞昭

    平澤政府委員 幾つかございますが、例えば職業訓練法、特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の第十一条第二項に、例えば「国は、都道府県」、途中を省略させていただきますが、「都道府県に対して、必要な助成及び援助を行うよう努めるものとする。」という規定に代表されますように……(矢追委員「あと二、三、主なものの名前だけでいいです、法律の」と呼ぶ)はい。例えば農住組合法第八十七条、それから本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法第二十三条、それから条文の最後ではなくて文章の途中にあるのもございまして、老人保健法の第二条、これは基本的理念が書いてありますが、その中にもございます。
  119. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、今のような法律にはありますけれども、少なくとも財政に関する法律の中では初めてだと思うのですね。こういう訓示規定で、先ほど来私が議論してきました問題も全部ここへぶち込んで、要するにこれからの償還計画あるいは国債管理のあり方、借換債をどうするか、そういったことをただこういう訓示規定だけで終わっているところに、私はこういった財政に関する法律の文章としては問題がある、こう言いたいのですが、これはいかがですか。
  120. 竹下登

    竹下国務大臣 財政運営そのものではございませんが、今一番問題になるとすれば、公共企業体等労働関係法の三十五条、「委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」というのがあります。ただし予算上、資金上これは「十六条の定めるところによる。」財政に関連があるという意味においてはこれがあるかな、こういうことであります。
  121. 矢追秀彦

    ○矢追委員 だからこの法律案そのものが相当無理してつくっておられるのですよ。さっきからくどいようで恐縮ですけれども、要するにお金そのものについてはそんなにないですよ。私も全部目を通したわけじゃないので、それはまた大蔵省を動員して探し出してもらえるかもわかりませんけれども、私はこういう訓示規定だけでやることを非常に危険に思うわけです。というのは、今回の大転換すらそうでしょう。ずっと現金で返します返しますと言っておいて、だめになりました、じゃ借りかえでございます。しかも赤字国債建設国債も一緒くた。では分けてどうしていくのかということもまだはっきりしていない。ただとにかく減らしましょう、努めなきゃならぬ、これでは国家財政という大変な、言うなれば国民の命を握っておるわけです、そういう法律としては非常に問題がある。  私はこれは全然承認はできないのですけれども、せめて具体的なものがついていればいいですよ。さっき来年までにできるだろうと言われましたけれども、それもついてないわけですよ。それで今度、あと第六条では、先ほど私が削れと言った九つが入っておる。その次は第二項の方はもうとにかく速やかな減債に努める、これだけですよ。そんなのは当たり前のことと言ったら当たり前のことなんですよね。今、大臣はそういうのを例に出されましたけれども、これは法律の文章としても大変問題になる。こういった意味でも、私はこの法案というのは非常に問題があるので、もう一度御検討をし直していただきたい、こう思うわけですが、いかがですか。
  122. 平澤貞昭

    平澤政府委員 この規定につきましては、先ほど来御説明したような背景の中でいろいろの角度から検討いたしまして、我々として提出してきたものでございます。  先ほどのお話の中で、例えば財政に関して「努めるものとする」というのがないというお話でございますけれども、その関係でも、補助とか援助とか助成に努めるというような規定、財政に関するのは多々ございまして、法律としては、この文言につきましては法制局とも十分議論をした上で出させていただいているということでございます。
  123. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それともう一つは、今のこの努めなければならぬ、この文言を忠実に実行しようとすると、極端な論理でいくと結局借りかえはしてはいかぬということにもなってくるのですが、大臣、これはいかがですか。
  124. 竹下登

    竹下国務大臣 これは借りかえはやむなし、そこで節度の問題、その財政節度の問題がこのいわゆる努力規定、こういうことになっておる。すなわち償還のための起債と、その減債に努める、二つでございますけれども、これはやはり議論をいたしまして、財政の節度ということを考えた場合に、やはりみずからに対しても言い聞かす一つの努力規定、訓示規定が必要だということで、これをあえてつけさせていただいた、こちら側から言えばそういう性格のものであります。
  125. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この問題、最後になりますが、結局国債整理基金特別会計、これは明治三十九年の制定ですから、古い法律ですね。いろいろ改正は重ねてこられましたが、現在のこの国債の管理、償還に十分対応できる法律ではない。むしろここで国債管理の法律をつくるべきである、先ほど私が主張しましたような赤字国債借りかえあるいは償還のことも含めまして。本委員会におられる大先輩の堀昌雄先生も、国債整理基金特別会計の改正については非常にユニークな御意見もお持ちでございます。私も傾聴すべき意見であると思っておりますけれども、この問題も含めまして、要するにこれからどうされていこうとするのか。私、きょうやかましく強調したことは、借換債の問題でも、これから赤字国債を出すのは減らしましょう、これは当たり前のことで、やらなければいけません。また、これからの問題と言われますが、ストックの問題というのは余り議論されてこなかった。だが、五十年から五十八年までたまっている大変なストック、特に赤字国債のたまったものをどうするのか。これこそむしろまさしく非常に大事な問題でございまして、そういうことを考えますと、やはり国債整理基金特別会計というものを時代に対応してどうしていくのか、これは非常に重要な問題になると思います。これに対する大臣の御意見なり展望がありましたらお伺いしたいと思います。
  126. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる国債管理政策全般の問題になっていくわけでありますが、やはり私自身考えますのに、要するに今の仕組みから申しますならば、借換債の残高というようなものにつきまして、実質特例公債分と実質四条公債分との区分表示というようなことがあろうかな、こう思うのであります。全体を減していくために努力する、これは当然のことでありますが、それはどこを基準にやるか、あるいは対GNP比とかいろいろな議論が行われていくでありましょう。まずは、この財政審の報告におきましても、特例公債及びその借換債の残高は何らかの方法国民に示す必要があるという示唆がされておりますので、これも六十年度をめどにその具体的な表示方法、例えば国債発行残高のうち特例公債と借換債に相当する額を何らかの形でお示しできないかということは、これから検討を進めていく課題である。それじゃまた六十年度まで待てばいいじゃないか、こういう議論にも発展しかねないわけでございますけれども、確かに今日は特例公債の借換債と四条債の借換債発行を根拠法によって区別することはできませんから、何らかの形で財政審等でも示唆されておるような表示方法は検討していかなければならぬというふうに考えております。
  127. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今大臣そのように確約されましたので、私、もとの議論には一応戻さないで……。  今言われたことは非常に大事な問題ですから、それをきちんとしておかないと、結局先ほどの一・六のように全部ごちゃまぜ。それではいけないわけで、しかしこれは技術論的にできるのかどうかです。私は、今これだけコンピューターも発達しているのでできると思うのですが、果たして来年度までにそういうこともきちんとし、先ほど言われた赤字国債の借換債あるいは償還の問題もきちんとルールもつくる、これはできますか。できると確約してもらわないと困る。
  128. 西垣昭

    ○西垣政府委員 先生おっしゃいますように、技術的にかなり難しい問題でございますが、特例公債借りかえを認めるにしても、特例公債あるいはその借換債の残高をできるだけ早くゼロにすることに努めなければならないとすると、残高を把握する必要がある、これは御趣旨のとおりだと思いますし、財政審の方からもそういう御意見をいただいておりますので、かなり技術的には難しい問題でありますが、私どもといたしましては六十年度に間に合うように検討いたしたいと思っております。
  129. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、ぜひこれはやっていただきたいし、また国会にも報告する。国債整理基金の表の中にでもきちんと入るようにお願いをしたいと思います。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕  あと時間が五分しかありませんので、ちょっと次の問題に入りますが、仮に赤字国債の法案が通ったとしても、実際借りかえ償還は難しいと思うのですね、現実の問題として。その一つに、赤字国債償還が特定日に集中してくる場合、これはどうされるのかということ。そのときに大きな資金偏在が起こるのではないか、こう予想されるのですが、これに対する対策はどうお考えになっておりますか。  具体的に言いますと、例えば昭和六十一年十一月二十日には二兆三千六百九十五億出てくるわけですね。それが一番大きいのですが、それから大きなのでは、その前に六十一年の二月二十日、一兆八千八百二十億、これはどちらも特例債ですね。こういうものが出てきまして、ある期日に非常にたくさんの資金が要るわけですね。これの償還あるいは借りかえにやはり資金が要るわけですから、国債の紙を動かすだけ、あるいは番号のあれだけではいかないわけでしょう、実際にキャッシュを動かすところもあるわけですから。その辺で資金の偏在が起こる可能性があると思うのですが、その点の対策をどうされておるか、お伺いしたいと思います。
  130. 西垣昭

    ○西垣政府委員 御指摘のように国債償還が大量に参りますが、さらに、それが一定の時期に集中するという問題がございます。これはそのときの金融市場の状況にもよるわけでありますけれども、私どもがその償還期に、例えば十年国債は十年国債借りかえていくということを願っておりましても、そうはいかない場合がございます。現在では、例えば余裕金がございますので、しばらく余裕金で泳ぎまして、適当な時期に起債をするというようなことをやっているわけでございますけれども、今後それがさらに大量になってまいりますと、いろいろな方法を講じなくちゃならない。後ろ倒しだけでなくて前倒しをしていくとか、それから期間の違うものを出してつないでいくとか、いろいろな方法を講ずる必要があろうと思います。それらの問題につきましては、ただいま国債借換問題懇談会というものを設けまして検討しているところでございまして、柔軟に対処していきたいというふうに考えております。
  131. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、今申し上げたようなこと、御存じだと思いますけれども、実際大変なことになってくるので、その辺、ひとつ相当慎重に今検討を、慎重にだけではなくて、むしろ来年から始まるわけですから、その辺も急いで、やはり国民負担あるいは金融機関が非常に困るようなこと、そういうことがあっては困るわけでございますから、その点はぜひひとつ御配慮いただきたいと思います。  これは質問通告しておりませんでしたが、実際大量に借換債が動いてきますと、結局短期国債というものがどんどん発行されてくるのではないかと思うのです。それで、先ほどもちょっと言われましたが、そういうようなことをやることは、消費者といいますか、国民側にとっては有利かもしれません。政府側として問題が出てくるのは国債費増大ですね。といって十年物じゃ余り魅力がない、どうしてもそれをやっていかなきゃいかぬ。その場合、果たして財政に対する影響はどうなってくるのか、金融機関はむしろそれを望んでおると思いますよ。借りかえを望んで、そして短期のものがどんどん出てきたら、そうでなくても今の国民は、マネーゲームを楽しむと言うたら悪い言葉ですけれども、割合金利には敏感になっていますね。だから、ある程度お金に余裕のある場合には、奥さんでも結構、やれワリコーがどうだとか国債は短期国債がいいとか、いろいろなことをやっておられますよ。定額が今までよかったけれども、ぼつぼつ定額よりこっちの方がいいわとか、この銀行はこんな商品を出した、金を買うた方がいいとか、金を買ったって自分のものにはならぬわけです、銀行に置いといて利息だけもらう。金融機関がいろいろな新商品を出しているだけに、こういった問題はどうなっていくのか。これは今急に思いついた質問で恐縮なんですけれども、その点をお伺いして終わりたいと思います。
  132. 竹下登

    竹下国務大臣 従来とも国債の多様化ということは心がけておりますが、これが、相談機関として持っております借換問題懇談会、ここで有力な一つ意見としてのいわゆる短期国債の問題もあろうかと思います。そうなると、それが市場へどういうふうにして出回っていくか、またそれが国家財政に与える影響はどうか。おっしゃるように、奥さん方といっては悪うございますが、金融機関も新商品開発ラッシュ、こういう感じがしますね、名前を覚えるだけでも容易じゃございませんぐらい。そういう多様なニーズというものが現実存在していますから、その市場のニーズというものに対応できるような形で、しかも一挙に集中することによって市場の攪乱要因をつくらないように、いろいろな手を組み合わせながらやっていく課題であるというふうなことは、十分私どもも理解して対応していかなければならぬ課題だという認識を持っております。
  133. 矢追秀彦

    ○矢追委員 終わります。
  134. 瓦力

    ○瓦委員長 沢田広君。  この際、佐藤証券局長より発言を求められておりますので、これを許します。佐藤証券局長
  135. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 先般の委員会におきまして、沢田委員から御質問のございましたアイデンの第三者割り当て増資の問題につきましては、時間的制約等もありまして、状況の把握が必ずしも十分でない、不十分な点がございましたので、ここでおわびを申し上げると同時に、補足的に御説明をさせていただきたいと思います。  その後私どもにおきまして事実関係を確認しましたところによりますと、アイデンの主幹事会社であります野村證券が、この第三者割り当て増資についてはやや問題があるのではないかということで、増資の延期も含めまして会社の説得に努めたという事実があったようであります。  それからまた、私どもの省におきましても、これは関東財務局の所管会社でございますが、会社側からヒアリングを行っておりましたけれども、これは前回御説明いたしましたように、当省といたしましては、第三者割り当て増資そのものを調査をしたり、これを取りやめさせるという法的な権限がございませんので、最終的には会社側が提出をいたしました臨時報告書を受理せざるを得なかったという報告を受けております。  しかしながら、他方で、アイデンは有価証券報告書を毎期提出している会社でございますし、この報告書については公認会計士の監査も受けておりますので、今回の第三者割り当て増資を含めまして、ディスクロージャーの上で問題がなかったかどうかという点を公認会計士を通じて実態の解明に努めてまいる所存でございます。  以上のとおりでございますので、どうか御了承いただきたいと思うわけでございます。
  136. 沢田広

    ○沢田委員 この前、この委員会で我々がレクチャーに応じて、質問の中身なり要旨を述べたということは、一方において政府側に便宜を与えることでもあります。同時にまた、我々は当面する、国民が担っておる課題について、よりよい合意あるいはよりよい条件が生み出されることを願って、あえて裸になって申し上げているというのがレクチャーの根拠だと思うのであります。  これは、あと委員長にもお願いをしますが、もしこういうことが再度起こり得るとすれば、言うならばレクチャーそのもののあり方というものが問われなければならぬことになるんだろう。我々は今、規則の中では何らそういうことの必要性の義務を負っていないのであり、それぞれ所管の省が答弁をする義務を負っておる、そういうことになっているわけですから、法規上、我々はそれを提供する義務は持ってない。しかしながら、今言った国民の持っておる課題をどう具体的に進めるかという立場で、それぞれ当局に材料なり内容も提供しているわけでありますから、それを心を心として答弁に当たってもらうように、これは特に切望しておる次第でありますし、委員長において善処されることも切にお願いをする次第であります。
  137. 瓦力

    ○瓦委員長 沢田委員からの御発言にありますように、政府並びに説明員の皆さんには、誠意を持って御答弁いただきますようお願いをいたしまして、質疑に入らせていただきます。  それでは、沢田広君。
  138. 沢田広

    ○沢田委員 大臣に、これはせっぱ詰まってといいますか、もう根っきり葉っきり出すものは出した、そして削るものも削った。どうやってもこの借金をジャンプしなければ財政が持たないということで、規則には触れるかもしれぬけれども、借金をひとつ延ばして——延ばしてというか、金に色はついてないから、右で出して左で取るというような形で、要すれば今年度予算を帳じりを合わせる、これがこの法案だ。その間には随分つらいこともあっただろうし、苦しいこともあっただろうと思うんでありまして、その意味において、性格的に言えば、予算委員会の目玉になってもよかったと思うぐらいの法案だと思うんですね。それが今日、予算が通った後こういうふうに提案をするということは、本質的に見ると若干問題があるような気がするわけです。  これは大蔵大臣答弁はあえて求めません。そういう状況であるということ、その状況は我々はわかります。その中で、じゃ、なおこれに何かを前進させる道はないかということでこれから質問をしていきたい、こういうふうに思うんであります。ですから、大臣も、これは金科玉条動かざるものであるということじゃなくて、何とかこの分の中から幾らかでもひとつこの借金の返済の部分を充当したり、あるいはどこかこれから後でいじれるものがあればいじっていこう、そういう絶えざる努力が今必要なんじゃないか、こういうふうに思いますので、そういう意味を含めて質問をしていきたいと思います。  第一に、親が苦しい。だから、せがれたちも給料をもらっているし、独身貴族みたいなものだから、おまえ少しは金も出せということで、電電と専売から召し上げる。これはこのごろの子供は強いから、そんなことを言ったって、出したくなければ出さないんでしょうけれども、やはりこれ伝統ある我が「日本株式会社」でありますから、電電も専売も、これはしょうがない。  それで、あえてこの法律で気になるのは、ねばならない——「納付する」で何で用が足りないのだろうか。この法案の中で、ねばならないというこの用語を使う意味は、いかにも相手を信用してない姿勢なんですね。もし利益が上がったならば納める、こういうことなんであって、「納付しなければならない。」というふうな形で法案をつくるという法制局の頭も古いんじゃないかという気がするんですが、どうしてそういう形の表現をしなければ信頼関係を保ち得ないのか、その点ひとつ大臣、これは哲学なんですから、もう少し良識のある表現があってしかるべきではなかったのか。これは納付しないわけでもない、納付するんですから、それを「納付しなければならない。」と、こうあくどく物を言うというのは、少し信頼関係がお粗末だ、こういうふうになる。法律用語だということはわかりますよ。答弁はそんなところだろうと思うんですが、それじゃなくて、「納付する」で実効は変わりはないんじゃないか。これは精神の問題ですから、お答えをいただきたいと思います。
  139. 平澤貞昭

    平澤政府委員 ねばならないというのは、これまで納付いただいている場合も、一応規定上はねばならないとなっておりまして、それに従いまして今回も、ねばならないという言葉を使っているわけでございます。委員御指摘のように強引に取るということではございませんで、やはり納付していただくという感じでございます。
  140. 沢田広

    ○沢田委員 あなたは、答弁をしなければならないと言われるのと、答弁するということとは、やはり自分の自主性がそこに入ってくるでしょう。専売にしても電電にしても、いかに大蔵省に頭が上がらないからといってみても、そうばかにされたというか子供扱いにされたというか、そんな、要すれば、おい、おまえ納めなければいけないんだぞと、こういうお役人的な姿勢の中でこの文章というものはできていると私は思わざるを得ないのですね。だから、本当なら、納付するとか、その言葉で十分意は足りるし、要件は達することが可能なんです。今までの法律はいろいろそうなっていたでしょう。ことしから改めたって悪いことではなかったと思うのですね。だからそういうことで、片方は泥棒と言うとまた怒られそうですが、片方は借金返すの返さないのでしらばっくれちゃって、片方だけ納めるのは納めるんで、おまえはねばならないぞと、これはまさに映画に出てくる悪役人のスタイルが歴然として出ているのですね。そういう形、状況がやはり文章上で——これは今、回答を求めることは無理かもしれません。しかし大臣、これは後で考えて、適当な時期に、もう少し相手の立場を尊重して直してもいいのじゃないのか。内部の細かいことはこれからまた言いますが、とりあえず外見的に見た印象からして、これは不信感は極めて強いというふうに私は思いますので、御考慮をいただきたい、こういうふうに思います。
  141. 竹下登

    竹下国務大臣 言葉の上では、財政改革のあかしとして公債減額を最大限行う必要がございますので、公社に対し、二千億円を国庫に納付することをお願いをいたしたものでありますと、こういふうに御説明は申し上げておるわけであります。それで、「ねばならない」「ものとする」ということで、ちょっと私も今、英語でやるとどっちも「シュッド・ビー」だから同じじゃないか、こういうことのようでございます。
  142. 沢田広

    ○沢田委員 気持ちは、今ここへ来てこういうふうに言われてみると、今までの明治憲法以来の精神というものがどこかに残っていますから、それぞれが針を出したり骨を出したりするわけで、特別これが悪意があったとは私も言いません。しかし、その辺に、専売なり電電からその金をもらうのが当たり前であるし、それが当然なんだ、おまえら黙って出せといった、何かこうふてぶてしい姿勢がこの大蔵省の中ににじみ出ている。顔は女のようで腹の中は鬼のようだというあれがありますが、そういう文章の表現になっているということですから、一応これは後で御考慮いただくように、まず一つお願いしておきたいと思うのです。  もう一つは、専売は今度民間にということになって、競争の渦中に入るわけです。これは大臣その他の方々もわかると思いますが、さて、一軒世帯を持つと、今までは親の中に入っておったからいいけれども、別に世帯を持つとなると、持ったなりの渉外も必要だし、あるいは新しい競争に対応する施設の整備も必要である。これは電電も同じだし、専売も同じです。ですから、この法案を出すときの気持ちというのは、今のままの形態がそのままストレートに横につながっていくという前提で考えられた案なのではないのか、そういうふうに、これは大臣でなくても結構です、それぞれその衝に当たった者が……。  分家をすればやはり金はかかるのですよ。これは大臣もこの間いろいろ大変行事があったからおわかりいただけるだろうと思うのですが、やはり長男と次男とは違うのですね。ですから、分家をすればそれなりに経費というもの、これは民間となれば、特に競争意識というものを加えて設備投資の問題、あるいは次の次のものを考えながら対応していく、こういうことが必要になってくる。専売、電電来ておられますか。来ておられたら手を挙げてください。——じゃ、そういう点についてそちらから聞くのがいいか。  だから、相当つらくなってきちゃったんじゃないのか、こう思うのですね。要するに、分家すれば、かまどは今まで一つでよかったのが今度は二つになる。ふろも二つになる。あるいは新しいものも買わなくちゃならない。こういうことで、当然民間に行くことに伴って必要な施設あるいは設備投資が考えられたのではないのか、こういうふうに思いますが、その点、この金は、今年度ぐらいは本当は猶予してもらいたかったというのが本音なんじゃないかという気がするのですよ。私はその立場になれば恐らくそういう気持ちがすると思う。今年度は勘弁してくださいと。新しく会社になっていく場合にそれだけ金がかかるのですから、ひとつ今年度は勘弁してください、来年度からまたもうかれば出しますというのが本音だったのじゃないかという気がするのですが、これは専売、電電、大蔵からひとつお答えをいただきたいと思います。
  143. 岡島和男

    ○岡島説明員 お答えいたします。  五十九年度予算編成に際しまして、大蔵省から私どもに対しまして、税外収入確保の方策の一環として、五十八年度の利益の中から応分の財源協力をしていただきたいという要請がございました。私どもとしては、五十八年度から既に定価改定を実施いたしまして、一本一円の値上げをしたわけでございますけれども、その中からさらに、本来ならば私どもの方に一本三十四銭の内部留保ができる分につきましても国庫に納めるという協力をいたしているわけでございます。そういう上にさらに三百億円の納付をするということは大変に厳しいものでございますから、私どもとしては非常に苦慮をいたしたわけでございますが、財政の危機的状況とか政府関係機関としての公社の立場等をいろいろ勘案いたしまして、非常につらい判断でございましたけれども、協力するということにしたわけでございます。  もちろん私ども、目前に新しい組織への移行の問題というものも考えられておりました。今度国会関係の法案を提出をいたしているわけでございまして、そういう面から申しましても、私どもとしては少しでも経営の基盤を安定させたいというふうに思っていたわけでございますけれども、今申しましたようなぎりぎりの判断から、五十九年度限りの措置ということでこれに応ずることとした、こういう実情でございます。
  144. 飯田克己

    ○飯田説明員 電電公社といたしましても、先ほど専売公社の方からお答えがあったと同じような事情を抱えておりますし、既に先生御案内かと思いますけれども、未来の国際競争、あるいは国内の経営の効率を高めるために、通信の高度化ということは日本の国家にとって非常に大事なことでありますので、それには非常な資金を要しますし、ここで二千億という御要請がございましたが、私ども、専売公社さんと同様に、そういった電電公社の将来を考えまして、その二千億をのむということにつきましては十分悩んだ次第でございます。  また、翻りまして現在の電電公社の経営内容から申しましても、予算を上回る収益を上げておりますけれども、これは一にかかりましてお客様の御利用ということもさることではございますけれども、三十万職員が日々電灯一つでもむだにしない、エレベーターもむだに使わない、その他もろもろの節約努力というものをいたしまして、それで将来のお役に立つ電気通信事業というものをしたいということの成果でございます。そういった日々努力しております三十数万の職員のことを念頭に浮かべますと、経営を預かる立場といたしましては、また非常にせつないものがございます。  そういったようなもろもろの事情はございますけれども、現在の国家財政の非常な窮乏状態、また財政再建というものは現在の非常に国家的な課題であるということを勘案いたしまして、このような政府の御決定に従うということになった次第でございます。
  145. 平澤貞昭

    平澤政府委員 五十九年度予算編成におきましては、徹底した経費の節減合理化とともに税外収入等をいろいろお願いいたしまして、その結果として公債減額をできるだけやるということで努力してきたわけでございます。  そこで、税外収入をいろいろ検討いたしました際に、電電公社及び専売公社につきましては、収益の状況が当初の予想よりもかなり良好であるということ等々を考えまして、当期の利益の中から、五十九年度限りの臨時かつ特別の措置といたしまして国庫納付をお願いしているわけでございます。
  146. 沢田広

    ○沢田委員 それぞれ苦しい事情はわかります。  ただ、特に今度、ことしは分離をして一本立ちになる年であるという点をどう判断をしたかというところを私は聞きたいわけですよ。これは今年度限り、今年度限りでずっと来ているわけですから。しかし、今年度は特に一本立ちをするとしたなりにいろいろな条件が変わってくる。私もちょっと想像しがたい点はたくさんありますが、固定資産税がどういうふうになりますか。固定資産税一つが問題になるでしょうし、減価償却はやっておったとしてみても、今度は自由競争の中の減価償却ということになれば、償却率も相当考えていかなければならぬ面も出てくるだろうと思うのです。これはこれから法案になって出てくるでありましょうけれども、一本立ちすることによって、いろいろな分野の見直しをして、あるいは新しい競争の原理をどう導入しながらそれに勝利をするか、こういうことをいや応なしに考えざるを得なくなる。電電は電電でも、世界的な競争の中で追いまくられるということなんで、一本立ちしたときぐらいは、ことしは勘弁する、来年はまたそのときは協力を頼むかもしれぬよというのがこの年の特別な扱いではなかったのか。ことし限りに取って来年は取らないということは、では逆に言えるのですか。ちょっと言ってください。
  147. 平澤貞昭

    平澤政府委員 まず、移行に際しましていろいろ配慮したのかという点でございますけれども、先ほども御説明いたしましたように、五十八年度の両公社の収益の状況は当初見込みよりもかなり良好であるということでございまして、原則として大体そのプラスアルファの中から、今回納付金を臨時かつ特例的なものとしていただいているということでございます。その意味では、今回の納付金は五十九年度限りということで、今法案の御審議を願っているわけでございます。
  148. 沢田広

    ○沢田委員 では、念のためですが、分割した場合の退職給与引当金、それこそ今まで問題になっておりますようなものの償却引当金、そういうものは今のところはそのまま継承する、特別に新たなものはもう生まれてこない、現状でただ横滑りするだけである。細かい貸借対照表、今私も見ておりませんからわかりませんけれども、新たなものに対して新たな要請が加わるであろうということはわかるでしょうね。大体同じでいけると思いますか。その点だけひとつ見解を聞いておきましょう。
  149. 平澤貞昭

    平澤政府委員 ちょっと私の担当ではないのでよくわかりませんが、移行に当たってはいろいろの費用が要るという点は、おっしゃるとおりだと思います。
  150. 沢田広

    ○沢田委員 一般論として、そこで分離して一つ新しいものができるということになれば、余ったものも出るかもしれぬけれども足らないものも出てくる。差し引きすれば足らない分の方が多くなるのが通常の、会社を分けようが家庭を分けようが、そういう原理になるだろうと思うのです。そういう原理を、ただこの場合は原則的に頭に入れていただいて対応をしていただくということをこの問題の一応の詰めにしておきたいと思うのですけれども、では、そういうものなんだということを発想の原点に持っていただいてこれからの対応に過ちなきを期していただきたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  151. 竹下登

    竹下国務大臣 今ちょっと聞いてみましただけでも、いわゆる会社経理に移りますと、今ゼロの退職給与引当金、限度いっぱいやれば一兆七千億というようなことのようでございます。会社経理に移っていかれるまでには、その種の問題、実際たくさん出ると思います。ただ、専売にしろ電電にしろ、私どもは、来年からそれは今度法人税でうんとちょうだいしたいと心の中では思いつつも、実際問題、かなりの技術水準とかそういうものがございますだけに、その競争力を私は疑うものではございませんけれども、さらに精いっぱいの御努力も必要であろうという考えを持ちますとき、私どもがその場へ関与するとすれば、事業計画の問題とかいうような問題がございます。もとよりそれに対して株主としての関心を持つべきでありますが、大きく干渉をしようとも思いませんが、なかんずくそういう民間会社経理形態に移行される問題等によって生ずるもろもろの問題については、十分関心を持って対応すべき課題だという理解は持っておるつもりであります。
  152. 沢田広

    ○沢田委員 大臣は政治家ですから、そういうふうに忠実に守れるかもしれませんが、公務員は案外、えてして役人風を吹かす場合がありますから、その点も十分御配慮いただいて、ねばならないなんという言葉がないようにひとつ対応していただきたいと思います。  各省庁に来ていただいておりますが、この後少し大臣には休憩時間を与えますから、どうぞ。  公共企業体等の労働関係法という法律はもう御承知だと思うのでありますが、「公共企業体及び国の経営する企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによって、公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」これが労働関係法の第一条であり、第二項は「国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体及び国の経営する企業の重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関与する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。」とあります。  この精神は、公共企業体等労働関係法のいわゆる主要な眼目でありますから、今日の内閣においても、この精神で臨んでおられるものだと思いますが、そのとおり解釈してよろしいですか。
  153. 竹下登

    竹下国務大臣 これは財確法における「努めるものとする。」というものも、書き方は努力ということになっておりますが、最大限に今御指摘のとおり対応すべきであると考えております。
  154. 沢田広

    ○沢田委員 ここに、特にその第二項に、「主張の不一致を友好的に調整するためにこれは「最大限の努力を」これこそ「尽さなければならない。」というふうに規定されております。ぜひ大臣がこの主張に基づいて、今日の日本の経済の動き、そういうものとも関連をいたしまして、慎重であることも必要でありますけれども、また、このことによって紛争がより大きくならないような対応は、一にかかって竹下大蔵大臣の手腕にある、今日そういう掌中にあると言っても過言でないのだろうと思います。どうか、そういう立場で、時期が来ておりますので、対応に善処されるように切に要望するわけでありますが、抽象的な質問にならざるを得ませんけれども、その覚悟のほど、決意のほどをお聞かせをいただきたい、このように思います。
  155. 竹下登

    竹下国務大臣 これは抽象的な答弁にならざるを得ませんが、御趣旨のとおりに対応すべきものであると考えております。ただし、要するに当事者間の問題でございますので、私の場合、専売、造幣、印刷、これはまさに所管大臣でございますが、本来当事者間の自主的な交渉によって決まるべきものであるという原則以上に踏み出すわけには、お答えの中でもなかなか言いかねる問題でございますので、お気持ちを十分体したということで御理解をいただきたいと思います。
  156. 沢田広

    ○沢田委員 もうそれだけで、今日この答弁席に立った場合では十分でありますから、よろしくお願いいたします。  続いて、先ほど証券局長だけに何か謝らせて、あと法務省の方は、実は来ていなかったのかと思っていたのですが来ていたそうでありますから、若干もとへ戻りますけれども、これは刑事もあるし、商法上の問題もあったのであって、そのことがそのまま見逃されていくこと、看過されることは許されない、こういうふうに思いますので、退席される前にひとつお答えをいただいて退席してください。お願いします。
  157. 橘勝治

    ○橘説明員 会社法上、法律を遵守しないさまざまなケースが起こり得るわけでございますが、私どもといたしましては、そういった問題に一々対応するという立場にはございませんけれども、やはりそのときどきの情勢に応じまして、今後の立法等に参考にしなければならないような事態もあり得るかと存じますので、最大限の関心を払ってまいりたい、このように考えております。
  158. 沢田広

    ○沢田委員 あなた、経過を知らないから、きょうはとりあえずこれにしておきますが、今の答弁ではレクチャーに今後応じられないという言葉につながってくる答弁であること、つながりがあるということをひとつ頭の中に入れて帰ってくださいよ。今のままで片がついたと思ったら間違いですからね。あとは追及しませんが、そういうものだということを言っておきます。  では続いて、防衛庁に来ていただいております。私は、防衛問題は本当の素人であります。素朴な質問で大変恐縮なのでありますが、専門家から笑われるであろうと思うのであります。 今、我が国の戦車は何台ございますか。
  159. 藤井一夫

    藤井説明員 お答えいたします。  戦車は、七四式戦車と六一式戦車というのを二つ持っておりますけれども、七四式戦車が四百三十九両、六一式戦車が五百五十九両でございます。
  160. 沢田広

    ○沢田委員 戦車を我が国の専守防衛の範囲において使われる場合というのはどういう場合を想定されているわけですか。
  161. 藤井一夫

    藤井説明員 まず自衛隊の任務でございますけれども、自衛隊の任務は、我が国土、国民に対する外国からの侵略を未然に防止するということが主任務でございますけれども、万一侵略が生起いたしました場合には、これを排除するというのもまた一つの任務でございます。その場合、もちろん国土が侵されないように、努めてこれを洋上で撃破するということに相努めるわけでございますが、なおかつ着上陸侵攻が行われるという可能性も排除できないわけでございます。そのような場合に、戦車といいますのは、上陸してまいりました相手兵力を撃退し追い落とすというような役目を果たす上で大変重要な装備だというふうに考えております。
  162. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、専守防衛の中には、上陸をされてこの日本の国土の中で戦争というか紛争というか、いわゆる武力の衝突が行われることを想定をしているということになるわけですか。
  163. 藤井一夫

    藤井説明員 先ほど申し上げましたように、自衛隊の任務は、何よりも我が国土、国民に対する外国の侵略から未然に防止するということにあるわけでございます。そのためには、万一着上陸が行われた場合に、これと国土の中で十分戦える力を備えておくということが、またこれ抑止につながるものでございまして、そういう機能も必要であるという観点から整備しておるわけでございます。
  164. 沢田広

    ○沢田委員 これも失礼な表現になりますが、見かけのトラというのがあるのでありますが、張り子のトラ、見かけだけで中身はないということなのでありますが、要すれば日本の本土で紛争が起きる事態というのは、今日の武器の発達した状況の中において起こり得るものと判断をするということが異常なんじゃないかというふうに思うのですがね。もう当然その前に、例えば千台の戦車をどういうふうに沖縄から北海道まで、各県ごとに割ってみたところで大したことないだろうし、もう一つ伺いますけれども、この大きい戦車、日本国内を歩けますか。
  165. 藤井一夫

    藤井説明員 戦車は、先生御承知のように、キャタピラというのをつけておりますので、もちろん路上も走れますし、路外も行動ができるわけでございます。そういう意味からいたしますと、もちろん大変険しい山とかそういうところは行動ができないわけでございますけれども、国土のかなりの分野におきまして、この戦車は行動ができるというふうに判断をいたしております。
  166. 沢田広

    ○沢田委員 現在一等橋はそれだけの重量を負担するものはあると思いますが、地方道の橋梁等その他は、この戦車の重量に耐え得る構造にはなっていないのですね、構造令からいって。ですから、それは川も越え、山も越えと、こういう論法でいくと仮定をしても、なかなか至難な状況である。しかも老朽化した橋梁などにおいては、新しくつくったところは別として、恐らく現在の一級河川の上の橋梁の中で何割が戦車が通ることが可能か、こういうことにもなるわけなんで、恐らく半分以上不可能であることは間違いない。そういうふうなことを考えて、この間どこかの自衛隊で、県内の通れる橋はどれとどれだというのを調べたそうで、私もそういうことは知っておりましたが、安全に通れる橋梁というのは何橋もない。こういうようなことで、川の中へ落っこちるつもりなら話は別として、要するに戦車というのは、今私が取り上げていることは、そういう状況になってまで果たして紛争が、日本の国土の中で、昔の竹やり戦法なんというものが起こり得るものなんだろうか、今日の武器の中、ミサイルの中で。これはまさにおもちゃの戦車を用意するのと同じことになるんじゃないのかというふうにさえ感じられるわけです。  なぜこの問題を私は出したかといえば、そのときは我々の言う非武装は一応別として——非武装とは言わない、だから自衛隊もいいと言っている。だけれども、戦車を置いてやるような事態なんというときにはこれはめちゃくちゃな状態になっておるときです。だから、通れるかといったって、逃げ惑う住民や自動車が全部すっと行って、みんな踏みつぶしていく以外に通れる道はないでしょう。しかも、橋も満足に通れない。現実そうでしょう。これは建設省から来てもらってもいいけれども、全部勘定していったら通れる橋が何橋ありますか。それから、どの県に何両づつ配置するのですか。一両か二両、三両配置したからといったってどうにもならぬでしょう。だから、それから見ると、要すれば格好なんです。観閲式のときの格好に戦車というのががらがらがらがら。これは朝霞なんかでやっているからこういうことになるので、海の方へ行けば別なんでしょうけれども、山の中だから戦車でも出てこなければ格好がつかない。だから戦車というようなものが出てくるのであって、実際の効力からいったら、今日のミサイルの発展段階からいって、戦車の鉄砲を撃って洋上でなんて、そんな程度で物が解決する次元じゃないだろう。これは本当の私の素人考えかもしれませんが、要すれば、玄関があるからお勝手もつけておこう、そういう格好的なものにしかすぎない。そうでないとすれば、今言ったように、全国の橋梁の中で幾つ、一番大きな戦車が通れる橋があるか。またそういうものがどこから上陸するかわからないのだから、あなたの論からいけば。そういうことを考えてみた場合に、それが生かせる場合というのはほとんど、論理はあるかもしれぬが、現実としては皆無である。  とすれば、私は、財確法の中の一つとして、まず大蔵省も、こういうところはそこまでせぬでいいじゃないかということで割り切ったらどうかといえば、ここで千両の戦車及びそれに関連する経費は浮いてくるということになるわけなんであって、そういう意味においては、まず当面我慢する分野の部類に属する。もしそれならば、まだミサイルをたくさん備えつけた方がプラスであるのかもしれない。(発言する者あり)いやいや、戦車を置くよりはプラスであるかもしれない。そういうことで、比較の問題は別ですよ、これは。だからそういう意味においては、戦車は余りにもこれは意味がないものである。そういうことの意味で、これは比較の問題と財政の問題で言っているわけだ。だから財政は、これは要りませんよ、だからその分は財確法の中の一部として、要らない分として除いていくということが必要になってくるんじゃないのかということで、私は、大蔵省からまずこの点をチェックしてもらうように、調べてもらうように、そして専守防衛の範囲の中からどういうふうに位置づけをするのか。今言ったイナゴじゃないけれども、羽でもはえて飛び越えなければ越えられないような川の中に戦車を置いて何の役に立たせるのかということまで考えて、ひとつ御回答をいただきたい、こういうふうに思います。
  167. 藤井一夫

    藤井説明員 先ほど来申し上げておりますように、我々は万一侵略が起きました場合にこれを排除するということを目標に防衛力を整備しておるわけでございますけれども、その侵略の事態というのは千差万別でございまして、先生おっしゃいますように、もちろん航空攻撃、海上攻撃等もあるわけでございますが、やはり最終的には国土を攻めるということで、着上陸侵攻が行われるという事態も我々は想定をせざるを得ないわけでございます。そういう場合に、戦車というのは、先ほど来るる申し上げておりますように、陸上防衛力の根幹をなすものでございますので、私どもは極めて重要な装備であるというふうに判断をしておりまして、今回の予算におきましてもお願いをしておる、こういう次第でございます。
  168. 沢田広

    ○沢田委員 今の答弁は許しがたい。もしそういうことであれば、我が国民はまた武器を持って戦う場合も想定しながら訓練にも入らなければならぬし、武器の配給も受けなければならぬし、あるいはそれに参加する方法も考えなくちゃならなくなるでしょう。自衛隊の職員だけでやれますか、この戦車を使うなんという状況になった場合に。そうじゃないでしょう。だから、そういうことを想定をしてやるとなれば、全国民的に、女も男も、子供もおじいちゃんもおばあちゃんも、そういうところへ駆り出されるということを想定しなくちゃならなくなるでしょう。そういうものがどんどんと上がってきて、それで私たちだけは違うんですよ、あなたは兵隊屋さん、私は一般市民、そう区別がつきますか。  そういうことでもし防衛の問題を議論するとすれば、それは大変な拡大解釈です。だから、それは現在の憲法でもそうですし、あるいは法律においても、一般市民を巻き込むことはできないはずです。それを巻き込んでやるということを想定すること自身が行き過ぎであるから、その点はあなたの答弁では私は大変嘆かわしいと思うけれども、戦車なんというのは本当に、まさに張り子のトラになっちゃっているのだなということを再確認せざるを得ないのであって、私は今の行ったり来たりした答弁がすべてだとは思っておりません。すべてだとは思ってないけれども、果たして国民がそれで納得をする条件に当てはまっているのかという問いに対して、ノーという答えしか返ってこないだろうと私は思います。一般の市民まで巻き込んでこういうものががたがたその辺動き回られるような状況を今、日本の国民は望んでもいないし、絶対想定もしていない、そういうふうに判断をいたしますから、そういう点はひとつ大蔵省の方においても再検討されることを期待し——防衛庁はもう聞かなくてもいいです。どうせ戦争屋さんは、それはそれでどうぞ別でやってもらって結構ですから、もうそういうことは……(「戦争屋とは何事だ」と呼ぶ者あり)戦争屋さんはと、こう丁寧に言った。もしお気に召さないならば、まあ好戦的というふうに言いますか、とにかく戦うことをもって目的として、職業としている、そういう人に対して言っていることであります。だから、そういう意味においては、ひとつ御配慮いただきたい。  財確法の中でなぜこういう問題まで言わなければならないか。まだ我々も痛いところもたくさん言うわけです。しかし、痛いところでもこれは忍んでいかなければならぬのが今の時期だろうと思うから、あえてそれを提言しているわけです。何もこれは防衛の問題だけを言っているわけじゃないのです。これから挙げていく問題の中には、我々も痛さを忍ばなければならぬものがあるだろう。しかし、この現在の財確法を通していくのには、やはりそういう必要なプロセスがあるのじゃないかということを言うために、一つの例として示したわけなんです。答弁をお願いします。
  169. 平澤貞昭

    平澤政府委員 防衛予算につきましては、専守防衛の観点から、限られた予算範囲でいかに効率的な戦力を備えるかという点を十分勘案いたしまして査定しているところでございます。直接担当ではございませんが、今お話しの戦車につきましても、いろいろの観点から査定して予算を計上したということだと思います。
  170. 沢田広

    ○沢田委員 だから、今現在は妥当だと考えて提案をしているのだろうと思いますが、先ほどの議論は、私本当に素人の考え方で言っているから、あるいはいろいろな欠点はあるでしょう。欠点はあるかもしれないけれども、素朴な国民はそう思うだろうと私は信じます。ですから、その意味において再検討していく余地があることは認められるでしょう。
  171. 平澤貞昭

    平澤政府委員 きょうお伺いしました点につきましては、予算査定の際にも十分頭に入れまして、査定をまた続けてまいりたいと思っております。
  172. 沢田広

    ○沢田委員 それじゃ、それはそれでいいです。  次に、国鉄の長期債務であります。国鉄の長期債務は、見ると二十兆にもなります。そういうことで出ております。これはそちらの方では、予算に決まっちゃったんだからそれで頑張れ、こう言って一生懸命声援を送っていたようです。だから、予算の眼目は、財確法が本来中心にならなければならないのではないか。要すれば、赤字国債定率繰り入れもやめちゃう、あるいはこれはもう借りかえはしないというものまで借りかえをして赤字を残していこうという今日の非常事態を出していて予算をつくったわけであります。その意味においての要件というものがあるから今議論しているので、もとの予算にまで戻ることは当然起こり得る、あるいは予算と一緒に審議しなければならない性格も持っていたわけであります。それを今日、後で審議をしていること自身に問題があると私は思います。  そういう形で、次の問題は国鉄の長期債務二十兆円。七%としても、現在では一兆円近い大変な金利を払っておる。金利だけでそれですから、元金に至ってはどういう再建方法でこれを返していくか、おぼろげながらでもそれを見通さなければならぬ責任が政府としてはあるし、運輸省としてはあるんだろうと思うのです。その点ひとつ御見解を承りたいと思うのです。
  173. 秦野裕

    ○秦野説明員 御説明いたします。  先生御指摘のとおり、五十八年度予算では約二十兆に上る長期債務が計上されております。また、今後五十九年度におきましても約二兆円ほど増加するという見込みでございまして、長期債務の問題が国鉄再建にとりまして非常に重要な問題であるということは、私ども十分認識しておるわけでございます。  したがいまして、これを今後どういうふうにやっていくかということでございますが、御承知のとおり、現在国鉄再建監理委員会で効率的な経営形態のあり方、あわせましてこの長期債務問題を検討するということになっておりますので、基本的には監理委員会の方の御検討の結果を待って私ども対処するつもりでございますけれども、私ども運輸省としましても、それとは別にまたいろいろ勉強いたしまして、監理委員会と協力して適切な答えが出るように努力してまいりたいというふうに考えております。
  174. 沢田広

    ○沢田委員 そういうのをよその委員会がやるからと言ってしらばっくれてきたのが今日の赤字を生んだ原因の一つなんですよ。ですから、この借り入れの年度別を見ましても、これはもう古くて長い設備投資の借金の継続で来たわけです。そして、景気回復やその他のためにも努力してきたことは認めます。しかし、この問題について今の考え方だけでは、これはとてもじゃないが国民は納得できないんじゃないでしょうか。赤字国債を返しましょう、返せません、また継続してこれを借りかえていくのです、借金を返す目当てになる積み立てもやめるんです、一方の法案はそう言っているのですよ。しかし、二十兆円の赤字はだれがやってくれるのでしょう、さあ私は知りませんね、そういうことでつじつまが合っていくと思われますか、同じ土俵に乗せて話をした場合に。それであなた、国民が理解すると思いますか、こういう法案が一方に出ていて。  もう一つ言いますが、例えば学校の関係の費用あるいは身障者の関係の費用、そういうふうなものについては、文部省なり厚生省なり、それぞれが学割などについても補てんをすると臨調の答申も言っているぐらいですね。それも実行されましたか、実行させようとしましたか、どうですか。お答えください。
  175. 秦野裕

    ○秦野説明員 ただいまの先生のお尋ねは公共負担の問題だろうと思います。御承知のとおり、公共負担の問題は非常に歴史が古く、かつ複雑な問題でございます。私どもとしましては、関係の文部省あるいは厚生省などにお集まりいただきましていろいろと検討を重ねておるところでございますけれども、残念ながら、現時点におきまして、先生が先ほどおっしゃいましたような方向での結論がまだ出ていない段階でございます。さらに検討を進めて、適切な方向が出るように努力をしてまいりたいと考えております。
  176. 沢田広

    ○沢田委員 これじゃちっとも前進していない。空っぼで、これだけの赤字をしょっておって、何とかしなければならぬ。その何とかしていくための努力のプロセス、それはお互いが血のにじむような努力をしていかなければならぬことは、我々も理解をするわけですよ。だからそういう意味において、その血のにじむような努力をしていくためには、学校の問題も身障者の問題も、けりをつけるものはけりをつけながら、しかも長期債務をどうやって解決をしていくか、そういう点について、それなりの構想なり見通しなりを持たなければならぬだろうと思うのです。私は私なりに一つのあれを持っておりますよ。こうやらなければだめだろうというふうなものは持っているけれども、今の段階でどうこうと言う段階ではないだろうと思うので、原則だけを今聞いているわけですが、では大蔵省はこれについてどういうふうにお考えになっておりますか。やはり監理委員会ですか。監理委員会だったら答弁要らない。何でもつくっては、よそでやっていますからそれまでは私は知りません、こういう答弁だったら結構です。そうでなかったらお答えください。
  177. 平澤貞昭

    平澤政府委員 国鉄財政の厳しい状況に対処するためには、当面の緊急対策とそれから長期的な観点からの施策とに分けて考える必要があるかと思います。  そこで、当面の緊急対策でございますけれども、五十七年の九月に緊急対策十項目の閣議決定がございました。それから昨年の八月に監理委員会による緊急提言が出ております。これらの方針に沿いまして、新規債務の原則停止等、各般の施策を推進しているわけでございます。しかし、長期的な問題につきましては、しかるべき場所で検討することも有意義であるわけでございます。その意味で、国鉄再建監理委員会で現在各般の措置を検討中ということでございますので、その結果も待って財政当局としても対処していきたいと考えております。
  178. 沢田広

    ○沢田委員 大臣、嫌な問題だし難しい問題で、お答えしにくいだろうと思うのでありますが、この国鉄の長期債務の問題はタブーにしていくわけにはいかない。どういうふうにするにしても、日本鉄道株式会社からスタートをしまして、鉄道院であった時代を経て今日までいろいろと設備投資をしてきた。その累積してきたものが、特に高度成長時代における設備の金額が膨張して今日に至った。安易さがあったことも否定できないだろうと思いますし、またいわゆる国有鉄道だということの意味もあっただろうし、また今日のモータリゼーションが読み切れなかったこともあっただろうと思います。いろいろな原因はあるにいたしましても、この長期債務をそのまま漫然と置いておくというわけにはいかない。だからあっちを切り込み、こっちを切り込んだからといって、三兆二、三千億の運賃収入の中で二十兆の借金は、そう簡単に切った張ったで出てくる金ではない。だとすれば基本的にそれぞれ利用者なりあるいは国鉄なり国なりという分野において、それぞれが解決の知恵を出し合っていかなければならぬ段階に来ている、このように思うわけでありますが、この問題だけでも相当長くかかるものでありますから、原則的な位置づけというものだけお答えをいただいて先に進めさせていただきたいと思うのであります。いかがでしょう。
  179. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの問題につきましては、沢田委員がいろいろな意見を交えての御質問でございました。そういうことを総合的に議論をして、そこでこの二十二兆をどうするんだというところからいろいろな経過を経てできたのが再建監理委員会でございますから、今のようなもろもろの意見等を参考にしながら、適切な一つの方途が示されるのではないかという考え方であります。  それから、当面のいわゆる財投等からの問題につきましては、今いろいろな企業努力がなされておって、それが軌道に乗るならば、返済は、その軌道に乗った後可能になってくる課題ではないかというふうに考えております。
  180. 沢田広

    ○沢田委員 これを解決することが、この法案の出ている借り入れその他の返済にも寄与することであろうし、あるいは借金を減らしていくことにもプラスになることであろう。問題が、こういうことばかりじゃないので、若干行ったり来たりはしますが、続いて次に経済企画庁おいでをいただいておりますから……。  個人の預金、今四百十六兆円くらいですか、これはちょっと数字を見ておりませんが、預金の総額だけを言えばその程度になる。それがどういうふうな内訳になっているかというと、郵便貯金で八十三兆、全国銀行で八十五兆、信託で二十三兆、それから証券で四十八兆、その中には中期ファンドとワイドが入って、それから中期国債ファンドが四兆、こういうようなことで預金をされているわけであります。百二十兆の赤字のいわゆる解決の仕方というものは、一つには増税でしょう。収入をふやすということだろうと思うのですね。それから、もう一つはやはり歳出を削るということ。これはさっきの質問にもあった。それ以外には天から降ってくるわけじゃないのですから、やはり何とか考えなければならぬということになるだろうと思います。ですから、そういうせっぱ詰まった条件ということは理解をしないわけではない。しかし、経済企画庁の言うように、今日これだけの安定ができていることは、皆さんの大変な御努力もあることだとは私も思いますが、また国民の知恵もあると思うのであります。ですから、景気がよくなった、悪くなった、いろいろ評判はされるのですが、経済企画庁としては、今日のこの四百兆の個人預金が赤字国債の百二十兆を、言うならば支えでいっている、そしてそのことがインフレを起こさせないで、物価の安定なり、あるいは苦しいけれども幾らかでも経済の安定度を確保するに大きな役割を果たしている、こういうふうな見方もできないことはないだろうと思うのであります。  そういう点において、経済企画庁の景気に対する見通しとしては、もっと景気を、内需の拡大ということも我々も言っておりますから、そういう立場から見て、個人預金と借入金との割合、それから個人預金と企業預金との割合、こういうものの財政的な要件というものはどういう見通しに立っているのか、どういう水準を一つの目標に置いているのか、経済企画庁としてのお考えがあったらお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  181. 服藤収

    服藤説明員 国債残高百二十兆円云々の、その貯蓄の基礎といたしまして、個人の貯蓄四百兆円を上回るものがあるということは御指摘のとおりだろうと思います。しからば、具体的にそういう貯蓄残高から見てどの程度の、例えば国債を消化し得るか、持ち得るかというような観点からの見方というものは、今具体的には持ち合わせておりません。  ただ、私どもといたしましては、いずれにいたしましても財政を再建するについては、先生御指摘のとおり、大きく分けて二つ、財政政策、金融政策、それから財政政策につきましては歳入面、歳出面、全体としてこの三つしかないわけでございます。歳出面あるいは歳入面につきましても、先般成立いたしました予算におきまして、五十九年度におきましてはしかるべく措置を講じたわけでございます。それから金融政策につきましては、ここ一、二年来、金利低下という方向を志向いたしましてやってきておるわけでございます。しかしながら、何分最近国際的な関係が非常に密になってきておりまして、国内均衡だけをめどにいたしまして金融政策を運営することはなかなか難しくなっておる、この事情は先生御案内のとおりでございます。  今後の我が国の景気の見通しに触れさせていただきますけれども、そういったことで、いずれにいたしましても与えられた条件のもとで実行可能な政策手段を駆使いたしまして、景気の動向というものを常に注視しながら適時適切に対処していかなければいけないというふうに考えております。  昨日でございましたか、五十九年度の公共事業の上期の施行につきまして弾力的、機動的に施行していこうという方針を決めたばかりでございます。これは先ほど申し上げましたように、機動的な経済運営というような基本的な考え方を踏まえた上での措置でございます。今後ともそういったことで、経済の内外の動向あるいは金融情勢の動向等を注視しながら、適切かつ機動的な政策の運営に努めてまいりたいというふうに考えております。
  182. 沢田広

    ○沢田委員 答弁が全然筋違いですから、これはいいです。  次に、景気を見る場合に雇用指数と倒産件数、これは同じように見えて同じじゃないのですね。雇用指数にウエートを置くか、それとも倒産件数の方にウエートを置くか、あるいは利益にウエートを置くか、経済企画庁が景気がいいとか悪いとか、そういう表現をする場合のモメントだけ挙げてください。何と何をもって景気はいいと言い、何と何をもって景気は悪いという表現をするのか、その定義づけをおっしゃっていただきたい。
  183. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  景気の動きをどういう指標をもとに判断するかという御質問でございますが、マクロの経済政策の調整を預かる私どもといたしましては、まず基本的には所得の動き、そしてその所得を稼得する働く人々の就業状況、つまり雇用の状況、こういったものを重視する必要があろうかと思います。それと同時に、やはり物価の安定等も重視すべき大きな要素がと思います。そういったことから判断をいたしまして、先ほど来申し上げているような景況の認識をしているわけでございます。
  184. 沢田広

    ○沢田委員 これは誤解があるといけないから一言つけ加えておきたいと思うのですが、大蔵省の方では景気がいいとか悪いとか、そういう判断する資格はないと言えば、それはそれまででありましょうが、もし景気がいい悪いというふうなことを言うとすれば、何と何と何をもってその標準といたしますか。——じゃ、次に行きましょう。  国土庁、もうそろそろ来ているころだろうと思いますから。これは大臣に提案をするわけですが、今一番安定している時期だと思うのです。来年度大臣の方は歳出カットでいくというふうに言われている。いわゆるマイナスシーリングでいこう、こう言っておられるわけですから、言うならば、表現はいいか悪いかわからぬが、デフレ的な傾向の中で進んでいく。そこで、土地の再評価をやる時期に来たのではないのか。土地の再評価というものを、戦後間もなくやりましたけれども、一回やって、当面のいわゆる赤字的な性格のもの、体質の弱い部分あるいはアンバランスたなっているところの調整に、その財源としてそういうものを充当していく時期に当たるのじゃないか、こういうふうにも思える。ただ、これは比率の問題とかいろいろそういう細かい点は別であります。しかし、その後土地の再評価というものについては全然そのままに来ているわけでありますから、大体安定といいますか、落ちついた状況において土地再評価で税金をお願いをする、こういう方向で物を考えていく視点というものはないかどうかということであります。  これには、国土庁から来ておりますからちょっとお伺いをいたしますけれども、自治体の固定資産の評価額とそれから、これはどなたかが質問された経緯もありましたけれども、国土庁の公示価格と、それから相続税の評価価額と、日本の土地の価額評価制度については極めてまちまちなのですね。何かやはり一本化していくという方向はないのかどうかということもあわせてお答えをいただきながら、土地再評価について一応検討する時期に当たるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがお考えでしょう。
  185. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 今先生が御指摘になりましたように、公的土地評価につきましては、国土庁がやっております地価公示と、国税庁がやっております相続税の評価額、それから固定資産税の評価額、この三本があることは事実でございます。それぞれの評価額にどういう関係があるかということでございますけれども、地価公示につきましては、一般の土地取引の目安になるようなもの、あるいは公共用地を取得する場合の尺度というような形で利用されるもの、そのほか相続税とかあるいは固定資産税の評価額はそれぞれ課税標準として利用される、そういう意味では目的が違うというように思います。  また、守備範囲につきましても、地価公示につきましては都市計画区域、いわば全国の五分の一程度が対象区域でございますが、それ以外は、相続税、固定資産税は全国三十八万平方キロが対象というようなことでございます。  それから、公的土地評価制度の一本化あるいは適正化を図れというような臨調答申もございますし、今先生の御意見もございますけれども、目的が違うとかあるいは守備範囲が違うというようなこともございまして、なかなか言うはやすし行うほかたしてございまして、私ども、大蔵省さんあるいは自治省さんともいろいろ研究いたしておりますけれども、なかなか実現を見ていないというのが実態かと思います。地価公示を基本といたしまして、そういう公的土地評価についての適正化が図られるということは、今後一つの検討課題であるというふうに私ども思っております。
  186. 沢田広

    ○沢田委員 言うはやすく行うは悪しということは、だめだということだよね。簡単に言うと、できません、こういうことだよ。できませんでは、これはやはり済まされないので、同じ国の目的によって値段が変わってくるということがどういうことを意味するのか、ちょっと説明してくれませんか。例えば同じ土地である、客観的な社会情勢、社会構造その他は、現実がそのまま存在するわけだ。その中で、今言ったような公示価格と相続税の評価額と固定資産評価額がそれぞれ別々の評価を持つという意味は具体的にどいうことなのか、もう一回言っていただけませんか。
  187. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 土地の価格も、やはり売る方と買う方の間で決まってきまして、私どもの地価公示というものは、一般の土地取引の一つの目安として使われるわけでございますね。それから相続税の場合には、資産を相続する、そういう時点に着目して土地について評価するわけでございますね。また、土地の固定資産税につきましても、ずっと所有している財産の保有、そのことについて着目しているわけでございますから、必ずしもその間に一本化されなければいけないという必然性があるのかないのか、その辺非常に難しい問題だと思いますけれども、土地を持っている、売るとか買うとかじゃなくて、持っているということに着目して課税するわけでございますから、それと、実際に土地の売り買いに使われる価格というものが一致しなければならないということには必ずしもならないのじゃないかというふうに考えます。
  188. 沢田広

    ○沢田委員 まだわからないですな。保有するというのは、相続も保有でしょうし、建っている家を中古で売買する場合も保有でしょうが、売買と固定資産評価額を変えなければならぬという理由はどういうことですか。
  189. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 今おっしゃられた売買価格と実際にずっと保有している資産の評価額とがどういう関係になきゃならないのかというのは一つの課題ではあると思いますが、一致しなければならないという必然性はどこから出てくるのか。また、相続税と固定資産税の評価額につきましても、相続税につきましては、相続という時点で着目されるわけでございますね。固定資産税は、皆さん土地を持っている、それに毎年固定資産税がかかっておりますから、相続税の保有と固定資産税の保有というものもやはり実体は若干食い違っている、そういうことで評価額が一致していなければいけないということにもならないのではないだろうかというふうに思います。なかなか難しい問題だと思っております。
  190. 沢田広

    ○沢田委員 もしあなたの御説を一応とるとするならば、やはり定義づけをきちんと国民の前に示す必要性はありますね。公示価格とは次のものをいう、それから相続税の価格とは次のものをいう、それから固定資産評価額とは次のものをいう、こういうことの定義づけをしなければ、あなたのように、同じものでもそういう定義づけによって価額が変わってくるのだという論が政府の見解であるとするならば、一々国民は、どの場合にはどれを適用するのかと戸惑ってしまいますから、公示価格はこれです、相続の場合はこれです、それから固定資産評価額はこういうものを意味するのです、こういうことはしてくれますね。後でちゃんと定義づけたものを出していただけますか。
  191. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 地価公示につきましては、私ども地価公示法に基づいてやっておるわけでございまして、地価公示法にはっきり定義として書いてございますが、一般の土地取引の指標として使われる、いわば売買の指標となるものであるというふうに書いてございます。それ以外、相続税、固定資産税についても、それぞれの所管法でそういう性格のことが書かれているというふうに理解をいたしております。
  192. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、あなたは公示価格については言えるけれども、相続税の評価額と固定資産税は、これは地方ですから、そういう解釈については権限がないということですか。——首を振っているような、権限があるようなないような、あるんならきちんと言ってもらいたいし、ないんならないと言ってもらいたいんですが、とにかくその辺があいまいである。  それで、これは現在は大蔵委員会ですから、大蔵省の方からこの公示価格、相続の評価額、固定資産の評価額、この区別を明らかにする用意はありますか。
  193. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 相続税の評価額、相続税にいう時価とはいかなるものかということでございますが、これはむしろ国税庁の方から御答弁申し上げるべき問題でございますけれども、ちょっとおりませんので、今の国税庁の評価の考えかたを申し上げますと、相続税の場合の時価というのは、「それぞれの財産の現況に応じ不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格を言う」ということでございます。その財産の評価に当たりましては、「その財産の価格に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する」、こういうふうになっております。  現実には、各国税局単位におきまして、毎年主として路線価方式で管内の税務署の地点ごとの評価を行っております。それが一般のいわゆる取引時価に比べますとややかた目の水準であるということは、これは通常言われているとおりでございまして、それは相続という事態が起こりました場合に、本当にその価格で実現するかどうかということは、かなりかた目に見ておきませんと、時価というものも、観念上は一つでございますけれども、具体的な取引において成立するというのは、その状況によっていろいろあるわけでございます。  それから、各税務署ごとの相続税の評価額は、税務署にお問い合わせいただけますと、具体的にわかるようになっています。
  194. 沢田広

    ○沢田委員 土地の価格は、私は一つだと思うんです。ただ、そこに政策的な価格を考えるというところが違いがあるんだろうと思うんです。  例えば、現在一般の庶民が、土地が三十坪なり五十坪のところの家に住んでいる。それはもう居住用の財産として住んでいるんだ。そういう立場に立って評価をする場合は、それから生産的なものはないから、そういうことを考慮しつつ固定資産評価額が生まれてくる。相続の場合は、いわゆるそれが店舗で同じく継承されるか、あるいはどこかに更地になって売られていくか、それぞれ諸般の事情も勘案しながら、そういう幾つかの例が標準になってきたんだろう。公示価格は単なる更地を標準にしてやってきたんだろう。実際の売買はさらにその上を越して、需要と供給のバランスの中から価格を構成してきた。経緯はこういうことだと思うんです。  そのことは私もわかっているんですよ。しかし、それでもなおかつやはり一つの物差しというものは一定であるべきではないかということを言っているわけで、これはできないようでありますから、これはあと大臣に、これも哲学的な言葉になりますけれども、今日のようにいろんな値段がついている。いろんな値段がついているんだけれども、これも統一もできない。だから統一ができないでいいかと言えばよくはない。しかし、現実にはそういう価格構成になっておる。そういう状況の中から、私はこの土地再評価というものを一回、とにかく名目であろうがなかろうがやってみて、そしてその再評価をしたものを中心にしながら、これからどういう方向へ——評価税を取ってしまうか取らないか、あるいはどうするか、そういうことは別問題です。ただ、そういうものを想定をしながら再評価をしてみる必要性はあるんじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  195. 竹下登

    竹下国務大臣 まず土地というものは、所得としてこれを捕捉する場合には、現実売り買いが行われた場合のみ所得を生ずる。従って、評価というものが課税の対象として継続的に存在する場合は地方税の固定資産税、その固定資産税のあり方ということになれば、それはまた議論のあるところでございましょう。そして土地再評価というのは、事実上いわばみずからの努力とかそういう問題でなく、たまたまそこに駅がついたとか道路がついたとか、そういう客観的事情によってその評価が絶えず変わっていくべき問題でございますので、現実問題として日本全国の土地を再評価する、いわゆる課税問題は別としまして、そういうことに現実性があるかどうか、やはり固定資産税そのものの対象としての検討というものが今日においては妥当なものではないか、こういうような考え方を持っております。
  196. 沢田広

    ○沢田委員 これは五十一、二年のころですが、私、この問題を掲げて若干触れたことがあるんです。偶然駅の前になったから一千万円になりました。だから、駅がうごいちゃったらそれはもう三万か四万にしかなりません。それは本人の努力によって値が上がったんではない。そこに駅ができたから値が上がったんである。だから、それは社会に還元されることが至当ではないのか。ある一定額は還元されるべきである。こういう土地の税制の問題について触れたことがあるわけであります。駅ができれば、もう寝ていたってもうかるものはもうかっちゃう。もうからなかった訳もあるようでありますが。そういうようなことも考え合わせまして、だから固定資産税なら固定資産税で三年目、三年目にやっていきますのが基準ですから、それが正確に行われれば、それが一つの土地の再評価である、こういうふうに理解してもいいわけですね。  ただ、その場合は、会社その他が持っている固定資産税の対象価格を、やはりその簿記価額に入れかえてもらうという措置が必要になってくるわけであります。だから、一般の住民の場合は、固定資産税がそのままの価格で、都市計画税なら〇・三なら〇・三かかっていくわけでありますが、そういうような形について、会社の場合は、貸借対照の方の面では固定資産の評価額で入ってくるわけじゃなくて、購入価額で入ってくるわけですね。ですから、私が今土地再評価と言っているのは、企業の場合は少なくとも固定資産評価額をその簿記価額として導入していく、この段階はまずステップとして踏んでみる必要があるのじゃないか。もし大臣が言ったような、固定資産評価額を一番のスタンダードなものとして見るとすれば、それを今度は企業の簿記価額に入れる。下がったときには、やはりこれも下がったように見ていかなければならぬだろうと思いますがね。ですから、そういうことで土地再評価価額を企業の会計の中に導入してみるという方法もある。ただ、そこは今度は急にその年度が膨れますから、それを何年度で調整していくかとかあるいは何%にするかとか、そういうことは別問題として考慮する必要はあるんではないのかということだと思うんですが、いかがでしょう。
  197. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 御質問の点は、単に税だけの観点からではないわけでございますけれども、もっぱら税の観点から幾つかの問題を御指摘申し上げますと、その再評価全般について企業の方をどう考えるかという基本問題があるわけでございます。その場合に、なぜ土地だけを取り上げるかというその基本論がございます。  一歩譲りまして、仮に土地だけ再評価するという場合に、当然今委員が御指摘になりましたように、取得価額で計上されておる簿価がそれだけ膨れ上がるわけでございますから、帳簿上の益が出てくるわけでございます。それについてどういうふうな課税をするかという問題については、かつて税制調査会で議論されたときに、これは先ほど大臣答弁にもあったわけでございますけれども、実現してない利益にいわゆる所得課税というのは非常に問題がある。そういたしますと、評価益として設定して、いわば、かつてやりましたような一定の低い率で評価税、そういう方法もあるわけでございますけれども、そういう議論であるとすれば、これも先ほど大臣答弁にもあったわけですけれども、むしろ現在の固定資産の評価の引き上げと申しますか、適正化を図るという問題でその目的を達成されるだろうという論点がございます。  それからもう一つは、仮にそういう安い税率で再評価益という議論をした場合に、国庫の立場から見ますと、今度企業がその土地を処分した場合の処分益は、実は評価後の価格から譲渡益というものが計算されるわけでございますから、そういたしますと、むしろその場合には企業に不当な利益を与える、処分益の課税の場合には。そういったいろいろな複雑な問題があるということでございまして、土地だけを取り上げて、その評価益に対して課税するということの可否のほかに、どういう方法がいいのかということで、非常に難しい問題があるということを従来申し上げておるわけでございます。
  198. 沢田広

    ○沢田委員 今若干討論してもしょうがないですが、さっき言ったように、公示価格は通常取引だ。相続税も、若干周りの情勢を考えるけれども取引の対象になる価格である。いわゆる近傍類地価格と一般的に言われている。私は、固定資産税の評価額をもって充てる、こう言っているわけですから、今あなたの言ったようなことであれば、公示価格との差額はいわゆる所得税の対象として考えることはむしろ当然なんですよ。一番の固定資産評価額をもって充てる。三つあって統一できないと、政府自身がそう言っているのですから。公示価格もあります、相続税価格もあります、固定資産税評価額もあります、統一できないのか、統一できませんと。できないと言っているのですから、それが一番低いものをもって充てて、その上になったときには、その差額は所得税として捕捉をして徴収する、これは当然の帰結だと私は思います。  しかし、ここで討論しても進むわけではないのですが、私らのごとき者でもこうやって、この法律に対して、赤字国債を丸々借りかえで出して、しらばっくれてと言っては悪いけれども、しらばっくれていこうとしていて、今我が国の国会で、やれることをやってきたのかどうか、できる限りのことはやりましたと言えるのかどうか、その幾つかの例を挙げているわけなんですよね。これもだめです、あれもだめですと言うだろうと思います。しかし、それではやはりこの法律を提案をする姿勢として欠けるものがあるのではないかというのが今問われている点なんですよね。それは、今までもこれで通ってきたんだということは言うかもしれませんけれども、私があえてこういうものを挙げているのは、あらゆる努力をするという、その姿勢が必要なんじゃないかという視点の点なんですね。それは派閥もあるし、これから言う問題も一つあるわけです。  それじゃ、今の問題はこうですが、いわゆる道路税と言われておりますこの税は、目的税であることは、申し合わせがあったということが過去の例でありますけれども、少なくとも三年間は一般財源として充てる、この程度はひとつ踏み切って、農林族は農林族、建設族は建設族だと予算の取りっこをしているという状況も現実に否定できないでしょうが、しかしこういう状況なんだから、道路財源の固定化は向こう三年はとにかく待とう、そして一般財源としてできればこういう財源にも一部充てていく、返済にも充てていくということも理解をしてもらうということも必要なことなのではないのかというふうに思うわけです。その点はいかがですか。これは建設省は必要だと言うだろうと思うけれども、一応言ってください。
  199. 三木克彦

    ○三木説明員 必要だと言わしていただきたいと存じますが、道路特定財源に関する税といたしましては、国に揮発油税等三税、地方公共団体に地方道路譲与税等正税がございます。第一次道路整備五カ年計画の発足に当たりまして揮発油税が創設されまして以来、逐次拡充されまして、道路整備特定財源として、立ちおくれた我が国の道路整備の推進に大きな役割を果たしてきたものでございます。現在第九次道路整備五カ年計画を施行中でございますが、道路整備の一層の促進を図るため、道路特定財源として引き続き活用さしていただきたいと考えています。
  200. 沢田広

    ○沢田委員 あなたは道路の立場ですが、例えば河川、公園、下水道、この立場で答えてみてくれませんか。
  201. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 お答えいたします。  第六次治水事業五カ年計画は、昭和五十七年度からの五カ年間に総額十一兆二千億円の投資を行うものでございまして、その内訳は、治水事業費八兆二千五百億円、災害関連事業費及び地方単独事業費一兆九千六百億円、調整費九千九百億円でございます。このうち治水事業に対する進捗率は、昭和五十九年度当初予算を含めまして四六・三%となる見込みでございます。財政制約の折から、目下のところ計画の達成は厳しい状況となっておりますけれども、治水事業の重要性にかんがみまして、計画の達成に今後とも最善の努力を続けてまいる所存でございます。
  202. 沢田広

    ○沢田委員 そういう答弁を聞いているんじゃないのですよ。いわゆる政策の選択のウエートを聞いているわけです。それぞれにこれは理由はあるでしょう、もちろん。問題は、大変失礼なことだけれども、あなたは財確法を知っていますか、この法律を。これが国民に対してどういう意味を持つ法律であるかということもちょっと言ってみてください。
  203. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 しかと存じておりませんが、治水事業の重要性からいたしまして、その計画的、重点的、効率的な投資を図ることによって、限られた財源の中で国民の財産、生命、国土の保全に万全を期していきたいと思っております。
  204. 沢田広

    ○沢田委員 私は、この法律の中身がどういうものかを言ってくれと言っているんだよ。この法律の中身はどういうものかということを言ってください。もう一回言ってくださいよ。
  205. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 ただいま手元に持ってきておりませんので、後日また答弁さしていただきたいと思います。
  206. 沢田広

    ○沢田委員 要すれば、やっぱりエゴで、自分の省、自分の立場だけの、いわゆる「ヨシの髄から天井をのぞく」というような立場で……。これは非常に忠実だと思いますよ。あなたが悪いとは言いません。あなたはあなたなりに忠実に答えているんだと思います。しかしながら、今審議している法案に関連しての答弁としては最低です、残念ながら。要するに、国が借金をしょっておる。その借金を何とか返さなければならぬという立場で、我々野党ですら、野党ですらだ、本当に、こういうものはどうだろう、こういう考え方はどうだろうかという提案までしているくらいです。それを、政府の役を務めている人たちが、大蔵委員会に来るのに法案も読んでこないということも、これは、忙しかったから、は理解はできるけれども、そういうことでこの法案に関連する答弁だとしてまかり通るということになると、これは委員長、問題があるのですね。この点は、どう弁護してみても、やっぱり答弁として聞いていくわけにはいかない。  結果的にこれは大臣に行かざるを得なくなるのでありますが、建設省としてみればこれは自分の既得権だ、昔そういう申し合わせもしたのだし、とてもじゃないが抱いたら放さないということで抱えている気持ちもよくわかりますよ。道路族と称せられる人たちが、絶対これは動かしてはいけないぞということで頑張っていることも、自分の選挙基盤の問題もあるのですから、よくわかりますよ。しかし、河川なり公園なり、それもおくれていることもわかってもらわなければ困る。そうすると、せめて建設の中のバランスぐらいとるぐらいの余裕は持っていいのではないか。ほかのところまで持っていけとまでは今まで言わないですよ、私。本当はほかへ持っていく一般財源にしろというのが言いたいところですが、少なくとも建設の行政水準のバランスをとる財源ぐらいに幅を広げるぐらいの余裕は持ってしかるべきなんではないのか。それすらあえてだめだ、一般財源なんてなおさらだめだ。私は一番低い次元の問題を今言っているのでありますが、一般財源と言ったら、それはなかなか難しいです、こう答えが返ってきてしまうだろうと思うから、では一歩譲って建設省の中の一般財源という立場をとり得ないのかどうか。そこまで下がってみて、ひとつこれは大臣がどう建設大臣を説得できるのか。道路だけだ、下水道もだめだ、川もだめだ、公園もだめだ、そう言わないで、そこまでは範囲は広げる、一歩譲って、そこまで私申し上げるわけですが、いかがでしょうか。
  207. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる自動車関係の道路特会の問題であります。一番極端な議論をすれば、特定財源を一般会計へ借りて、一般財源にするという意味じゃなく、借りて、それに見合う額を建設国債増発して措置できるじゃないか、こういう議論一つはございます。今日の時点で原則的に考えられておるのは、揮発油税の問題はまさに特定財源としての位置づけをいたしまして、結局自動車重量税でございます。これは御案内のとおり、法律上は四分の三は国の一般財源でございます。それから四分の一は市町村の道路特定財源、こういうことになっております。  されば、この四分の三の中の八割程度ですかが、たしか福田大蔵大臣のときの答弁ですか、大臣答弁で、道路特定財源として使われる。ところが、ゼロシーリングという形が続いておりまして、今は重量税で見ますと俗にオーバーフローと言いますが、現時点で一般財源借りているという理屈になっているわけです。その貸し借り論議というのを何遍もやりまして、うんと貸せ、こう言ったら、ある人が、大蔵大臣を逮捕しろ、人の金を勝手に召し上げるから、これは刑務所までは連れていかないが、少なくとも警察ぐらい連れていった方がいいだろう、こういうような議論があったことがございます。  したがって、今建設省全体で、大ざっぱに言って公共事業全体のほぼ七割が建設省で、そのまた七割が道路、そういうことでございますが、その中で公園とか下水とかそういうものに対する傾斜を、かつて道路の方が我慢して、言うなれば長男が泣いて、予算規模から言えば長男と次男にはなりません、長男とひ孫ぐらいでございますけれども、そういう調整が部内で行われた事実があります。したがって、今日部内の協力体制ができておるのは、今いわゆる財源確保法という立場から見た場合に、かつて既得権である、現在でも既得権であるという認識をしておられるいわゆる重量税については、それが一般財源の形として、気持ちの上では貸し借りという気持ちでございましょう。貸しておるという気持ちでございましょうが、そういうふうに現実の予算の姿はなっておる。だから、その限りにおいては、長男がリードしながら次、三男から孫に至るまでの調整は、その範囲の中において毎年苦心しながらやっておられるな、こういう感じがいたしておるところであります。
  208. 沢田広

    ○沢田委員 大臣といえども道路族の圧力にはなかなか苦しむことなんだろうと思うのであります。私は建設省の枠内でということまで言ってみたのですが、結果は、三年間なら三年間一般財源にする、三年間は辛抱してくれ、財政再建の六十五年まで勘弁してくれというのが本当は筋だと私は思うのですが、そこまでは一切のいわゆる目的税というものを開放して、総体的な立場の中で処理をしていく、そして国民のシビルミニマムの達成を図りつつ、生活を安定させつつ経済の再建を図っていくというところに焦点を絞るべきではないかというふうに思います。私は、建設省の中で一番動かせる範囲内だというふうに言ってみても、なおかつそれは難しいということであれば、それはもっと思い切って、なまじっか、情けは無用という言葉もありますが、そういう言葉はかけないで、一般財源にして、そして国民の支持の中でそれは判断をしてもらうという視野に立つのが結果的には至当になってくるのではないか、こういうふうに思います。  これは、建設省の中でも難しいと言っているものを、またここで大臣が簡単に、そんなことを考えますなんと言おうものなら、それこそ袋たたきに遭ってしまうのでしょうから、その点はあえて詰めませんけれども、やはりこういう苦しいときですから、自分の権益だけを守るということでなしに、ある程度放出するものは放出をしていくという立場で判断をしてもらうような対応が求められるということを一つつけ加えておきたいと思います。もうこれは答弁要りません。もっと小さくてもだめなんですから。  次にもう一つそれに関連して、この返還の問題に関連するのです。まだほかにもあるのですが、これもまた本文に戻るのですが、六十五年までに赤字国債をゼロにしたとしても、この借換債は継続して残らざるを得ない、こういうことになりますね。言うならば、恐らく、率直に言えば、我々が墓石に入るまでずっと続いている。恐らくこの国会議員の半分ぐらいまでの人がきっとそうならなければ、このままでいくとそれでもなくなるかどうかわからぬ。そういうようなことの状況で、相当な長期にわたっていくものだというふうに、このままで見ていきますと考えられるわけです。特殊なインフレが起きるとか、あるいはどこかで何か紛争が起きるとか、そういうようなことで朝鮮動乱のような問題によって経済情勢が一変すれば別として、正常に続くと仮定をしてくれば、じゃいつになったならばこれは完全に解消できるということが言えるのだろう。その変わり得べき要素は何なんだろうかというところでひとつお答えをいただきたいのです。
  209. 平澤貞昭

    平澤政府委員 特例公債につきましては、六十五年度までに新発債の発行をゼロにしていくというのが一つの目標として掲げられておるわけであります。それから先になりますが、特例公債につきまして今後借りかえをするという前提で考えた場合には、その借りかえに当たっての借換債償還方法をどう決めるかということによって、最終的に残高がいつまであるかということになってくるわけでございます。今御議論がございましたように、一応の最低限の基準と考えたといたしまして、四条債の償還方法、六十年償還ということで考えますと、六十年先まで発行された後、残高が残る、六十年たったときにゼロになるということになるわけでございます。  しかし、お諮りしております法案の中に、まず借換債発行についてはできるだけこれをやらないように努める、それから、借り換え後におきましてもその残高はできるだけ減債に努める、こういう規定を入れておりますので、そういう方向で減債に努めていくということになれば、残高はそれよりも早く解消するというふうに、一応計算上は考えられるわけでございます。
  210. 沢田広

    ○沢田委員 大臣、疲れているところでしょうけれども、いろいろな提案をしました。結論的に、この法案の中で、借換債年度認めます。来年度も恐らく出てこざるを得ない。少なくとも次の借り換えのときには二割は減らす、少なくともその程度の歯どめはかけていく必要はあるんじゃないか。十年債であれば、十年後二割は減ります。それから六年債であれば、六年たったときに二割は減ります。そういうことで、このままで行ったらば、歯どめがやはり効いていかない。だからやはり、五年なら五年、三年なら三年たったらば、その次には二割はいや応なしにその額を減らさざるを得ないんだというふうな一つの、これは私の案でありますが、六十年の償還の比率の繰り入れもやれないのだから、そんな二割なんというのはなおさら無理だというふうに言われるかもわかりませんけれども、どこかやはり努力の跡をこの中に示していかなかったら、それは余りにも借金におぼれ切った大蔵委員会ということになってしまうのじゃないかと思うのですね。  だから、やはり幾らかでも借金をなくすように努力する意気込みというものを法案の中に示す必要があると思うのですよ。これは一割であるか、二割であるか、まあ、「二合飲む酒は一合にしても」という言葉がありますが、それを幾らかでも減らしていく努力はするのですという姿勢を示さなければ、国民にいろいろなものを求めていく姿勢にならなくなっていってしまうのじゃないかというふうに私は少なくとも感じますね。定率繰り入れはやめます、そのまま借り換えますと言ったら、安易な道を選んだという印象しか残ってこない。ですから、少なくとも二割なら二割次は削減します、こういうことを明言していく、三割なら三割、まあ三割はできるかどうかわからぬ。これは全体的な計算をしてみなければわかりませんよ。私の数字も、別に今のところ正確な数字を読んで言っているわけではありません。しかし、六十年そのままですという論理では、これは少し通らないんじゃないのか。我々の生きているうちの話にはならなくなっちゃうんですからね、これは少なくとも。後は「知らぬが仏」だという、本当の仏になってしまうのですから、それでは少し無責任になるだろう。だからある程度そこで、二割は次は削減しますという法規制等は、やはり我々自身の手でつくっていく努力は払っていかなくてはならないのではないか。これは大臣お答えいただきたいと思います。
  211. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今の建設公債の減債方式でいきますと、十年たちましたときに、ラフに言いまして一割六分、現金で返すということになるわけであります。それを続けまして、六十年目にゼロになる、こういうことでございます。  今御提案のお話ですと、十年たったときにその一割六分に対して二割現金償還する、こういうことでございますので、ラフに言いまして、六十年たってゼロになるものが、二割ずつやっていきますと、五十年たってゼロになるということになるのではないかと考えるわけでございます。
  212. 竹下登

    竹下国務大臣 おっしゃる意味はよくわかりまして、確かにその二割というのは、一・六の十倍ですから、一割六分、一六%になりますしね。だから、その問題と二割の問題はかなり近うございますが、それは別として、今新発債の赤字公債を滅していこう、私どもがここで踏み切ったのは、要するに今日まで発行してきた、今年度末に百二十二兆というものは、言ってみれば今日までの国民の貯蓄の中へ一応埋め込まれておる。新発債というのはこれからの貯蓄を当てにしたものである、したがって、まずは今日埋め込まれておるものはそれはそれとして、新発債に対するものを減すことによって、六十五年を一つのめどとし、その後この埋め込まれたものの対GNP比率等を逐次減していって、いわば財政再建の第二段階にしていこう、こういう考え方でございますから、当然今おっしゃった意味が——いささか悪乗りかもしれませんが、いわゆる訓示規定は、今のようなものを考えながらやりなさいよというのが一つの訓示規定として書かれておる、その心はそこにある、こういうことであります。
  213. 沢田広

    ○沢田委員 まだ足りないのですがね。  そこで、まだ質問はほかにあるのですが、きのうの新聞に、これは大蔵省のだれなんですか、手当でも給料でもそうですけれども、間違いなら間違いとはっきりしておいてもらいたいのですが、勝手に〇・三が〇・二になったり〇・三が〇・四になったり、そういう手当の変動について自由裁量権、自由になるのだ、こういうような報道が出ておりましたけれども、そんなばかなことを考え出した人はいないだろうと思うのですが、大臣出したわけじゃないですね。大臣は知っていますか。
  214. 竹下登

    竹下国務大臣 恐らく今の御質問というのは、きょう現在我々が議論した問題ではございませんが、臨調の答申の中に、手当とか業績等に対しての検討を加えろというようなのがあったような気がいたしますが、その延長線上の議論として存在しておるということで、今どうこうという問題ではなかろうと思います。
  215. 沢田広

    ○沢田委員 業績を考えるという意味において考えていくことそれ自身は、私もあれだと思うのですが、やはり過去の経過なり、陋習と言われるかどうかは別問題として、過去の経験なり既得権なりというものを変えるのにはより慎重でなければならぬということだけは、これは今までも言ってきましたけれども、そういう意味において本当に、例えば今の建設族の問題にしても、道路財源を建設省の一般財源にというぐらいに幅を縮めて提案しているぐらいに十分私自身も配慮して言っているつもりなんであります。でありますから、そういう意味において従来の既得権を守る、その中でどう能率を上げるというか、あるいは業績を上げることを考えるかということについてはそれなりに、私も否定はいたしません。しかし公務員の業績というのは極めて難しいのですね、地方団体でもそうですが。サービスがよければ赤字になるからけしからぬと怒られる。それよりも、保育所でも三人に一人というのを六人に一人ぐらい置いておいて適当にやっている方が財政的には金は食わない。こういうようなこともあって、必ずしも一般的な公務員としての業務内容は、いわゆる利益を上げることがその業績ということにつながらないということが一つあります。  その点は大蔵大臣も賢明ですからわかっていると思いますが、いわゆる公共部門に参加をしている人たちの業務内容は、企業と違って単なる利益追求の雇用者ではない、いわゆる公の奉仕者としての役割というものを持っているんだということを理解した上で対応していただきませんと、いかに財政再建が厳しいからといって、何でもかんでも利益だけがすべてである、こういう割り切り方ではできないだろうというふうに思います。これはこの手当問題だけじゃありません。ほかの問題も含めてそういう理念が必要になってきている。その辺が一番難しいところなんですね。公共の福祉と同時に経済運営というものが非常に難しいところにあるのだろうと思うのであります。ですから、そういう立場でひとつ判断をしてもらうように特にお願いをいたしたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  216. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的な議論はよくわかる問題でございます。今、いわば当事者間の交渉が行われておる。そこで、それに対してはなお当事者間の自主性にゆだねるべき問題で、財政当局がとやかく言う問題ではなかろう。が、あるべき姿として、そういうものはいわゆる単純な労働時間とかいうことだけで利益が上がるという問題ではない。ただ、臨調等で言われておりますのは、その中に企業性というものを持ち込むことによって、より合理化が推進されるであろうという一面的な見方も、やはり参考にすべきではないかという考え方でございます。
  217. 沢田広

    ○沢田委員 これはゼロか否かの議論じゃないので、割合話が合うように見えて実際は違ってくる場合が起こり得るんで、そこに問題があるのですが、いわゆる実施時期などの点については、さっきの公企体の法律じゃありませんが、それぞれの意見を十分尊重しつつ対応に当たるということが極めて大切な要件の分野に属するものだと思うのですね。ですから、臨調の意見は臨調の意見でそれはいいと思いますが、しかし、今直ちにここの段階でどうこうというものではなくて、将来に向けてそういう方向が考えられるかどうかの問題は今後十分お互いで話し合っていく、そういう意味と理解をしてよろしゅうございますか。
  218. 竹下登

    竹下国務大臣 このいわゆる手当問題に限って自分の見解を今申し述べたわけじゃございません。この問題は、そういう指摘が臨調から行われておるということを申し上げたにすぎないわけであります。したがって、今日時点の問題は、せっかく今当事者間で話を詰めておられるだろうと思いますし、ちょっと記憶を呼び戻してみますと、去年何か二つおくれたというのがありましたが、あれはたしか再建計画とか合理化計画の点で、これも別にこっちが干渉したことじゃなく、実際上おくれたことがあったということは記憶しておりますが、おくらすべきものであるとかいうような考えは全く持っておりません。
  219. 沢田広

    ○沢田委員 一般的にこういう場合、簡単に言うと、官邸筋であるとか大蔵筋であるとか、そういう表現が使われる場合があるのです。これが何を意味するかということは大臣その他はわかっているだろうと思うのです。大蔵筋が難色を示しているので云々、官邸筋が難色を示しているので云々、こういうふうな表現が使われできます。この辺に対して干渉はする、しない、あるいは管理はする、しない、これはいろいろ見解があるから別といたしましても、基本的ないわゆる従来の既得権というものを安易な動かし方はしないという路線、そういうものにはより慎重であってほしい、私はそう思うのです。それはつらいかもしれませんけれども、やはりそういう中からいろいろ議論を積み重ねながら結論を出していく、そういう段階はとってほしいと思うのです。  だから、いわゆる力だけで割り切るという論理はとらぬでいくことが必要であるというふうに思います。それは今までの答弁も同じだと思うのです。我々もそういうふうにつらいような案も出して、何とかこの赤字の分に対して希望を国民に持ってもらえるようにしようということで言ってきているわけですから、これはあるいは党内で、さっきもおしかりをいただいたが、おまえそんなことを言ったら除名になっちゃうぞなんということで、そこまでとにかく何とか赤字というものに対して認識を深めながら努力の目標を設定していきたい、そういうことで幾つかの例を挙げてきたわけであります。ですから、大臣もその点を十分理解して、国民の合意とよく言われますけれども、そういう立場で我々も臨んでいることを理解してもらって、単にこれは闘いの場だからどうだというものではないんだということを十分認識をしていただきたい。  そして、これ以上この問題では余りこだわってはいかないつもりでおりますけれども、その点で、手当といいますか、そういうようなもので紛争がより以上拡大したり国民に不安を与える、こういうようなことのないような対応をまず望んで、この点は意見が一致できるんじゃないかという気がするのでありますが、その点ひとつお答えをいただいて、善処方をお願いをする次第であります。後の方はお願いですからね、前の方が問いでございますので、よろしくお願いします。
  220. 竹下登

    竹下国務大臣 そのところどころにあって、随分この痛みを分かち合いながらやはり財政改革に進んでいくということ、その立場の相違はあれ、私は全く同意見であります。
  221. 沢田広

    ○沢田委員 実は残った問題があるので、大蔵省だけを今までやってきたわけでありますが、地方債についても、今までの議論と同じように地方団体の人は苦しみ、またこれから地方団体の再建に努力しなければならぬ。ただ違うところは、大蔵省は遠いです。靴の上からではなく、三重靴の上からかいているぐらいな影響しか来ない。ところが地方団体の再建問題といったら、すぐわっと押しかけられながら、これは首長なり議員はやられなければならぬ。そういう意味において、地方債についての扱いというものはより慎重であり、またより見通しを持って対応しなければならないと思います。地方債の今後の一応のあり方あるいは改善方向、そういうものについてひとつ自治省からお答えをいただきたいと思います。
  222. 柿本善也

    ○柿本説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、地方団体におきましても国、地方を通ずる大変厳しい財政状況にございまして、借換債の問題を一つとりましても、六十年度以降かなりの借換債を地方団体でも抱えておるという情勢にございます。それらの点につきましては、五十四年度以降できるだけ新発債を減少させる、特に民間関係に依存する新発債を減少させるとか、あるいはそういうものの流通市場をできるだけ改善をして引き受けをよくするような対策をとってまいりまして、地方団体の事業が円滑に進むよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  223. 沢田広

    ○沢田委員 私見的なものでありますけれども、地方団体における貸借対照表、損益計算書に類似をした——類似をしたという表現を使ったのは民間企業でありませんので、しかし、サービスも評価することは不可能ではない。そういう意味で、地方団体におけるそういう指標を複式で表現ができるような体制はとれないかどうか。また試験的に、モデルでもいいですが、幾つかとってみて提出をしてもらえないかどうか。我々は何も地方自治権を侵そうとかそういうふうな気持は持っておりません。持っておりませんが、地方の再建も大変重要な段階に来たということで、それを検討していく材料の一つとして、今言ったものをモデル的につくることはできないかどうか。私はできると思っておるのでありますが、モデル的に集めてみる意思はないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  224. 柿本善也

    ○柿本説明員 地方団体の事業、通常の国の一般会計のような普通会計事業もございますし、水道、バスのたぐいのような公営企業もありますし、国民健康保険のような事業会計もやっております。当該団体の財政状況と申しますと、普通、普通会計で話を申し上げておるのでありますが、そのほか外郭団体でございますいろいろな公社等も含めて健全な体制を検討する指標をつくる必要があるという点については、そういう課題意識は持っておりますが、これを連結させるということは、いろいろ御意見はいただいておるのですが、現実になかなか難しい問題でございまして、研究はいたしたいと思いますが、ちょっと資料として直ちにお出しできるような状況ではないと考えております。
  225. 沢田広

    ○沢田委員 今すぐ出せなんて言ってないのです。それのモデルをつくって、さらにモデル市町村をつくって、全国で幾つであるかは、それは予算関係もあるでしょうから、それらを通じて提出をしてもらう。私の方へ出せなんて言ってない。あなたの方でまず集めてみるという必要性があるのではないのか。  例えば、簡単に言いますと、これがなぜ一番いいのかというと、四年の任期ですから、うんと土地を取得して借金をしたという場合もあります。それから、土地をうんと売り払っちゃって、タケノコで生活をして仕事をしたように見えたという市長さんもおられると思うのです。しかし、市民がどっちを評価するかは、貸借対照表と損益計算書を見ることによって確かに明らかになっていくことなんですね。ですから、一つの物差しとしてそういうものができるということは、市民が判断をしていく場合の一つの材料になる。御検討をお願いいたします。答弁はもう要りません。御検討をいただきます。  改めて、委員長ありがとうございました。それから、長い時間でありましたけれども、ここの答弁答弁として、実際に当たってはひとつ十分その意を体して御配慮をいただくようお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  226. 瓦力

    ○瓦委員長 玉置一弥君。
  227. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 かけ持ちをやっておりましたので、ちょっとおくれて済みません。  今回の財確法審議でございますけれども、何となくその場その場の対応というような感じがあるわけでございます。財源確保のためにしょうがないじゃないかと言えばしょうがない感じもするわけでございますけれども、一つのルールをつくったならばそのルールに従ってやっていただかなければいけないのではないか、こういうふうな気持ちを持っておりまして、今まで財確法に出てまいりました納付金の問題とかあるいは特例公債の条件の問題とか、従来の、こういうふうにやっていくんだという提案された内容がすべて覆されているというような感じを受けております。電電公社の総裁が見えておられますので、時間の関係でそちらの方から進めていきたいと思います。  電電公社は、五十六年から特別納付金ということで、大変な御苦労をいただいて国の方に納めてこられました。当初では五十九年度で四千八百億円の納付金すべて終わりというお話で、毎年千二百億円の納付金を出していただいてきたわけでございますけれども、どういうわけか、五十九年度になりますと、五十九年度はもう既に千二百億円負担をしていただいたはずでございますけれども、さらに追加ということで千二百億円の納付金がまた出てきたということでございます。普通の取引といいますか、約束でございますと、もう既に払ったじゃないかということで、本来ならば大変な怒りを覚えるはずでございますけれども、そういう話が全然伝わってまいらなくて、千二百億円が計上されるというようなことになりました。  そこで、まずお伺いいたしたいのは、電電公社と郵政省、大蔵省の間でこのダブった千二百億円についてどういうふうな話し合いをなされたか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
  228. 真藤恒

    ○真藤説明員 大蔵省及び郵政省から、五十九年度について二千億さらに追加納付してもらえぬだろうかというお話がございましたのですが、もちろん私の立場で、はいと申し上げる性質のものではございません。もともとこれは政府国会でお決めになれば、私どもはそれに従わなければならぬ性質のものなのでございますので、政府国会でお決めなさったので従うことにいたしましたが、ただ、条件だけははっきり申し上げてあります。それは、従来の四千八百億というのは資本勘定から納付しろということになっておりますけれども、それでは経営の原則というものを根本的に否定した考え方でございますので、総裁として、利益金から出すことは、御命令ならいたし方がございませんけれども、資本勘定から出せとおっしゃるなら絶対に出しませんと申し上げましたら、利益勘定からでよろしいということでございました。今度は利益勘定から納付することになっております。
  229. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 政府並びに国会がお願いをすれば出さざるを得ない、こういう話であります。  今回、電電公社から新電電といいますか、日本電信電話株式会社というふうに民営化をされる、こういうことが閣議決定で一応決まりまして、法案も準備されております。この民営化の話の中でいろいろな問題点があるわけでございます。  一つは、政府国会の方からの関与ということで、今いろいろなことが言われておりましたけれども、これを自主的に、公社でなくて新電電株式会社としての立場、いわゆる民間としての通信行政に対する積極的な取り組みをやっていこう、いろいろな制約からある程度逃れて民間としての活力を生かしていきたい、こういうようなことを言われているわけでございまして、今の話からいきますと、確かに公社というのはいろいろな制約がありまして、国の行政の一部を担った活動ということになるわけでございますけれども、これからは、一応通信政策の一端を担う公共性ということは持ったままで移行するということでございますが、ある程度自主的な運営というものが新電電株式会社に求められることになるわけでございまして、ひとつ総裁の新電電に対する抱負をまずお聞きしたいと思います。
  230. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもの立場では、今度の法案は長いこと続いてきました電気通信事業に対する電電の独占体制というものを今度は否定された、これが一番大きな問題だと思っています。したがいまして、そのうちに有効な競争相手が出てきて、一般企業と同じように競争の原則で経営しなさいということが第一条件だというふうに心得ております。したがいまして、競争しなきゃならぬなら競争できるような企業形態というものをお考えいただいて、そういう法案にしていただかなければ競争できませんということでございますので、その面の考え方が法案の中にかなり大幅に取り入れてあるというふうに解釈いたしております。  具体的に申しますと、今までの公社というのは、事業体であるにもかかわらず行政官庁と同じように予算というものがございまして、そして行政官庁と同じように決算がございますが、これで事業体が競争原理の中で動けるはずはございませんので、ここのところだけは、競争しなきゃならぬというなら競争できるように、一般企業と同じように、財務の処置については予算、人件費総額というくだらぬことはおやめになっていただいて、一年間の業績に基づく決算書によって経営のよしあしを評価していただくという方向に絶対変えていただかなきゃ競争できませんということでございます。  それと、もともと競争しろということは料金をもっと下げろということでございますが、私どもみたいなのは完璧な装置産業でございますので、現状におきましても過去の資本費負担が三五、六%か四〇%に近い。人件費がやはりそのくらいでございまして、あとがそれ以外の費用でございます。これが損益勘定でございます。ですから、私どもが経営上コントロールできるのは、資本費負担は過去の累積でございますから何ともなりません。もちろん金利をできるだけ軽くすることは今度はできます。ですけれども、やはり現代の社会環境に合わせて通信線から入ってくる収入にぶら下がる人口を減らさぬことには、料金の値下げは不可能でございます。したがいまして、それが実際の社会のメカニズムに合ってできるようにするためには、最小限度の制限のもとで、一般の会社と同じように投資の自由ということを認めていただかなければそこのところができませんので、それはいろいろ希望を申し上げて、そういうものが法案の中に盛り込まれておるということでございます。  しかしながら当分の間、何といいましても実質的に独占であることは間違いございませんので、有効な競争会社が稼働を始めるまでの間は、法的にはそういう形になっておっても、実質上の独占体であるということから、よほど自己抑制的なやり方をやりませんと、社会に大きな御迷惑をかける可能性も多分にございますので、その辺のところは自粛自戒してやらなければならぬというふうに考えております。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  231. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今回の法律改正によりまして、従来の納付金にかわった租税公課、あるいは法人税、固定資産税、事業税、いろいろなものが出てくるというふうに思うわけです。  運営について後でもう一回お話ししますけれども、その前に一つだけ、納付金にかわるものとしてどういうものが一つ財源として出てくるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  232. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 先ほど先生からも御指摘がありましたとおり、五十六年から四年間にわたります納付金を電電公社が納めることになり、さらに五十八年度の利益の中からまた二千億納付するということに相なったわけでありますが、これは極めて例外的な措置としてなされておるわけであります。今後電電公社がいわゆる特殊会社としての民間会社になっていった場合、これと見合うというのは必ずしも適切な表現に当たらないかもしれませんが、公社自身が民間になった場合は、一般民間会社と同様に租税の負担をしてまいる、こういうことに相なるところでございます。
  233. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 後でまた金額を言いますけれども、ちょっと飛び飛びになりまして申しわけないのですが、今までは特別納付金ということで年間千五百億円納付されて、四年間で六千億円の金額になったかと思いますけれども、地方財源等いろいろ考えてみると、今度はそれ以上の効果が出てくるわけで、国としては一つのメリットとして、通信政策をなおかつ継続してやっていただく、そして法人税、事業税、固定資産税、いろいろなものが入ってくるということになりまして、まさにそういう意味では合理化かなという感じがするわけです。  先ほど総裁の話の中にございましたように、自主的な運営、特に投資について、あるいはこれからいろいろな技術競争が入ってきますけれども、こういうようなものについての投資、そして事業計画そのものについてのほとんどフリーな立場からの計画立案、こういうことをやはりやっていかなければいけないということで、いろいろな特殊会社に比べましてかなり自由な形になっているということでございます。しかし、聞くところによりますと、事業計画は主務大臣、郵政大臣の認可事項ということでございますけれども、果たして事業計画の範囲、事業立案に対する新電電の自主性といいますか、これがどこまで生かされるかということが非常に大きなウエートを占めていくんじやないかというような気がするわけです。何でもかんでもくちばしを入れるということもありますし、本来でございますと、収支予算とかあるいは資金調達につきましては、普通の特殊会社の場合には必ず提出義務があるわけですけれども、今度の新電電の場合には外されている。ところが、事業計画というのは、それがなければ裏づけの根拠とならないのではないかというような話が流れてくるようなこともございまして、今書かれている内容、事業計画のみについて主務大臣の認可事項ということになっておりますけれども、果たしてこれだけで済むのかどうかというような心配もございますので、まず総裁の御意見を伺って、続いて郵政省の御意見をお伺いしたいと思います。
  234. 真藤恒

    ○真藤説明員 具体的にはこれからこの法案に基づく省令なり政令なりということで決めていかれることになると思いますが、私どもが今この事業計画ということについて、公共事業でございますので、世の中に来年度、次年度どういうサービスをどういう地区にどの程度やるかという、このサービス計画というものは必ず提出して、政府の御承認が必要であるというふうに理解しております。そのサービスを具体的にやりますのについて、大区分でどういう設備をどこへやるのだという設備計画、サービス計画の裏打ちの設備計画というものも一応提出する必要があろうかと思っております。  しかしながら、さっき申しましたように、税金は全部納めるわけでございまして、株式会社でございまして税金を納めなきゃならぬし、配当もしなきゃなりませんので、資金計画なりなんなりという財務関係のことは全部お任せ願いたい。そして、その財務処理が正しかったかどうかということは、証取法に基づく有価証券報告書でチェックしていただく。有価証券報告書は、三月末の決算を六月末までには法律上必ず詳細な報告を出さなければいかぬことになっておりますので、そこでチェックしていただいて、次年度のことについて何か御注文があれば御注文いただくというふうにしていただきたいと思っております。まだこれからの問題でございます。
  235. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 まず、今回の電電の改革に当たっての私どもの考え方でありますが、先ほど先生の方からもお話がありましたとおりに、私どもとしましては、新しい会社がみずからの創意工夫を発揮しまして、弾力的な、かつ効率的な事業運営が図れるよう、新会社に対する政府の関与は、他の類似の特殊会社に関するあり方、そういったことも配慮しながら、必要最小限にとどめることといたしているところでございます。  事業計画につきましては、今総裁からもお話のありましたとおりに、その年のサービス計画あるいは建設計画、こういったものが中心になるというふうに考えておりますが、その内容の詳細につきましては、今後さらに詰めていくということにいたしているところでございます。
  236. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今の郵政省の答弁を聞きますと、通信政策に限って関与する、全体が通信政策ですけれども、特にサービスですね、その辺についての関与だ。事業計画全般の中でも、新電電そのものの事業計画、そして既存の公共的な分野の計画と二重構造になるわけですけれども、公共的な部分についてのタッチであるということでよろしいですか。
  237. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 ただいま申し上げましたように、事業計画が郵政大臣の認可にかかるということになっておりますから、その中でその年のサービス計画とかあるいは建設、設備計画といったようなものが中心になるだろうというふうに考えておりますが、その詳細につきましては、今後詰めていくことにいたしておるところでございます。
  238. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 関与というのは、入れば実績ができて幾らでも拡大できるということがあるので、その辺については十分な取り決めを行っていただきたいと思います。  これから論議される部分でございますから、大蔵としては余りタッチできないので、このぐらいにしたいと思いますけれども、特に大蔵関係で大変興味のあるところといいますか、その辺がございまして、新しい電電株式会社になりますと、いわゆる現物出資で、それがいわゆる資本金ということで株式に変わるわけです。この株式がどれだけ発行されるかというのはまだ決まっておりませんけれども、相当の、何兆円に値する金額ではないかというような感じがするわけです。何兆円に値する金額の株式が発行されるということになってまいりますと、この株式の売買についていろいろな動きが生じてくるというふうに予測がされるわけでございまして、まず売却益が出るだろうと私は思っているわけですけれども、売却益がないという方はまずほとんどおられない。今の企業実績からいきまして、このまま民間スライドしただけでもかなりの評価が得られる。そして、さらに民間としての努力をされるということでありますから、それなりの大きな評価が出てくるのではないかというように考えていきますと、まずこの株式の扱いについて十分な論議をしておかなければいけないのではないか、そういうふうに考えるわけです。ですから、新電電の大変な大きな財産でございますこの株式、これを国が全額保有する、そして一定量まで売却できるということになっておりますので、ここら辺について、まず売却の手順、方法について、今の段階でどこまで論議をされておるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  239. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 電電公社の株式の処分についてでございますが、新会社の株式は、今先生お話しのとおり、発足当時政府が全株を保有するということにいたしておりますが、これを処分するに当たりましては、その限度数につきまして国会の議決を得るということなど、慎重に対処していく必要があるというふうに考えております。  なお、具体的な処分計画というものは今後の検討課題であるというふうに認識しているところでございます。
  240. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今郵政省の方からも御答弁がありましたように、新電電の株式売却は早くとも六十年度以降ということでございますので、どのような手続で売却するかにつきましては、今後検討していきたいと考えております。いずれにしましても、公平かつ適正な手続を経て行われなければならないわけでございますし、かつまた、この株式は政府が保有することとされておるわけでございますので、その売却収入も一般会計に帰属して、財政上全般に充当されるべきものと考えておるわけでございます。
  241. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 この株式の売却益の帰属するところはどこかということで、現状ですと株式全額が国の保有ということでございまして、まず、電電公社の資産がどうして形成されたかということをよく考えていかなければいけないと思います。  株式がもともと資産であるということで考えていきますと、まず出資者があって会社ができるわけでございますから、出資者としての取り分というのが当然あるだろうというふうに考えるわけです。そしてそれを運営してきて、資産を減らさなくてふやしてきたということに対する公社、いわゆる移行します新電電、これの取り分というものもあるだろう、そういうふうに思うわけです。一方、今まで利用して、もうけてもらうほど高い料金を払ってきた国民というのがやはりいるわけです。そして、電話を引くために加入債券といいますかこういうもの、あるいは設備料というものを払ってきた、この蓄積がすべて電電公社の現在の総資産形成に大変役立っている。むしろ残ってきたわけでございまして、こういうものから考えていきますと、株式は国の保有だから全部国が取るんだということでは、どうも今までその電電公社の時代に資産形成に努力をしてきた残りの二者が、大変努力はあって何も残らない。むしろ取られっ放しというような形になるわけでございまして、これが大変な問題になるのではないかというふうに思います。  一説によりますと、例えば一兆円の株式資本ということになりますと、売却益は二、三十兆は出るだろうというような予測もされているという話も聞いておりますし、そういうふうに考えていきますと、まずこの配分は実際どう動くのかというのが非常に興味のあるところでございまして、私自身は、少なくとも配分については、まず三者に何らかの恩恵があるような形で考えていかなければいけない。こういうことが一つと、それから相当量、長期間にわたって今後売却されるということでございますから、一つの売却のルールをつくらなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、この辺についてどういうふうにお考えになっているか、大蔵大臣にまずお聞きをしたいと思います。
  242. 竹下登

    竹下国務大臣 これは非常に興味のあるところであろうと思いますが、今の場合、私どもはこの会社法案が成立したといたしましても六十年の四月、それ以降の問題でありますので、今後の検討課題である。財政当局としては、それは同法案が成立すれば、新会社の株式は政府、その瞬間はオーナーみたいに一般会計が保有することとされることから、その売却収入も一般会計に全額帰属して、財政需要全般に充当されるべきものというのは、基本的な、現在尋ねられればそれがやはり私ども限界でないだろうか。実際問題として非常に興味のある問題でございますだけに、手順とかあるいは株価の水準とかそういう問題を論じますと、町の興味を一層あおるということにもなりますので、今日の時点で、まさに六十年四月以降の問題でございますので、それに対して原則以外のコメントをする立場にはないじゃなかろうかな、率直に言ってこういう感じがしております。町の議論というとちょっと表現悪いんですけれども、そういう議論を巻き起こしてもならないなと、こういう考え、感じで構えておるところであります。
  243. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今理財局はおられますか。だれでもいいですけれども、国有財産というのは、一般的に、払い下げをする、売却をすると、その残った売却の利益はどこへ行くんですかね。
  244. 平澤貞昭

    平澤政府委員 国有財産の種類によって違うかと思いますが、普通財産の場合は一般会計に入りますし、それ以外の各特別会計の財産は一応特別会計に入るということだと思いますが、ちょっと担当ではございませんので……。
  245. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 電電公社というのは、新電電ができると、現電電の方は消滅するということになっているので、特会もなくなるんですね。そうなってくると、株式は一般財源だということになるので、その時点で売却をされますと、当然一般会計に入るんではないかというふうに予測をしたものでございますから、すべて財源調整のために使われる可能性がある、こういう気持ちがありまして、まさに今までの利用者あるいは電電公社の今度の企業としての資産、これを考えていきますと、非常にいいところを国が取ってしまって、何も残らないのではないかというような感じがするんですね。将来の話ですけれども、中身としては非常に重要な問題だと思うんですね。どうやるかわからないということではなくて、一つの問題提起として受けとめていただきたいし、逆に言えば、先ほど大臣おっしゃったように、今から世間を騒がすというのはあれですけれども、結局いろいろな話が出回りまして、非常に金額が大きいものでございますから、利権絡みで動く可能性があるというような感じがするわけです。どこに扱わせるかというだけでも利権に絡むということもありますし、どれだけ出すかというのをある程度決めておかなければ、これも利権に絡む可能性があるということになるわけでございまして、そういう意味では、非常に大きい利権が絡む話でございますから、そういうことにならないようにルールをつくらなければいけないのではないかというような感じを受けるわけです。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように、制度またはルール化ということが必要ではないかというふうに考えるわけですけれども、もう一度お考えというか、これからどうするかという話で結構でございます。今すぐこうだという話はまず出てこないと思うんですね。その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  246. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり予算をもって議決にかからしむるということになっておるわけでございますから、私は、この法律案審議される段階においては、かなりその種の御質問等は出る課題だと思っておるわけでございますが、端的に言って、国会へ提出し、まだ趣旨説明が終わらず、そして委員会に付託されていないという状態でございますだけに、先ほど申しました原則以上の予見を持った発言はやはり差し控えるべきじゃないかな、こういう感じがしております。  事実、この法律案で、とりあえずはオーナーでございますね。が、今真藤総裁から言われたように、私、元来これが自由な意思によってどんどん生々発展しておることを期待しておりますが、一方、オーナーが有価証券報告書を後から見てやるのはどうかなとも思ってみたり、まだそういう点についてもいろいろ議論がなされていくことでございましょうけれども、今、株式売却の手順とか、その問題については、やはりいささかまだ予見になり過ぎるような感じがいたしますので、私からは、一般会計に帰属し、財政需要全体に対応されるべき性格のものではないかと言うのが限界じゃないかと思っております。
  247. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 何で新電電の話を持ち出したかというと、財源確保という面から見て、まさに大蔵省にとってはのどから手が出るほど欲しい財源があるわけですね。そういう意味でここに飛びついたわけでございまして、新電電民営化、我々も今態度をいろいろ検討中でございまして、私自身としては、積極的に民営の方で頑張っていただきたいという気持ちはあるけれども、それとは切り離して、まさにこれが大蔵委員会としての問題点だということでお話を申し上げている。これはまだ論議をしたいので、総裁のお時間があるようでございますから、総裁に関するお話として、ちょっとあと残りの問題点を先にお願いしたいと思います。  一つは、今回、今までの損益あるいは資本、それから建設勘定というか、三勘定の決算方式が変わりまして、今度は一般的な貸借対照表あるいは損益計算書というふうな決算方法に変わるということでございます。先ほどもございましたように、配当性向を考えていかなければいけない問題も出てきますし、企業として、次に投資をするための利益というものも生み出していかなければいけない。そして、将来に備える資本の蓄積というものも一般の企業としてくるわけでございまして、この辺を考えていきますと、当然今までと全く違った決算なり、あるいはいろいろな、例えば営業活動にしても研究開発にしても、従来と変わって、一つの企業としての取り組みということをやっていかなければいけない、こういう問題が生じてまいります。  そこで、まず一つは、企業努力としてやられる。今まで、一応この利益も含めた中での資金の活用ということで、それを次の投資に回されてまいりました。この結果、五十九年度におきましては、一兆七千百億円というものが建設勘定ということで計上されているわけです。ところが、償却を調べてみますと、一兆二千数百億円ということで、五千億近くの開きがある。普通の企業ですと、償却の範囲内での投資プラス研究開発費というような状況かと思いますけれども、こういうことを考えていきますと、一兆七千百億円にむらがってきた電電公社を取り巻く企業群というものがあるわけですし、こういうところが大変急激な変化によって衝撃を受けるのではないかというふうな感じがするわけです。  それと、先ほどからのお話の中で、サービス以外については、設備投資全般も含めて、公社というか一新電電株式会社独自の判断で運用なさるということでございます。一兆七千億円といいますとかなりの投資金額でございまして、景気対策にも影響しかねないというような気持ちも持っております。この辺がこれからどう変わっていくのか、非常に興味のあるところでございまして、ある程度明確なお答えをいただきたいと思います。
  248. 真藤恒

    ○真藤説明員 現在投資勘定が一兆七千百億、一兆七千億前後で動いておりますが、これは現在の公社方式の財務処理のルールに従って投資勘定一兆七千百億で、それから減価償却が今おっしゃったように一兆三千億ぐらいでございまして、四千億ぐらいがそれ以外の自己資金で賄われておる。これはいわゆる収支差額の黒字で賄われておるわけでございますが、新しい会社になりますと、この収支差額の黒字というのが税金なりあるいは配当になる形のものでございます。しかしながら、現在投資勘定の中に含まれております約二千五百億から三千億ぐらいが、会社形式になりますと運転資金になる性質のものでございます。したがって、一兆七千百億マイナス約三千億、一兆四千億そこそこが実際の投資でございます。税法に基づくとそうならざるを得ないのでございまして、そういうことがございますので、ただ形の上で数字が減ったから投資勘定が劣化するというわけのものではございません。  それと、郵政省で電気通信政策関係審議会でいろいろ御提言を求めておられますが、その中に、現在の規模の電電が民間の企業になった場合、公共事業という立場から考えて、やはり千五百億前後は必要最小限度の年間内部保留をすべきだという御提言もあるように承っておりますが、そういう物の考え方からいきましても、私どもが必要な税引き前の利益を確保する努力をすれば、投資関係について大きな数字の変化は出てこない。また、そのくらいのことをやりませんと税金の支払いも配当もできないということになりますので、そういうふうな面で、現在私どもが動いておりますこの趨勢をもう少し改善すれば、その辺のところはやっていけるんじゃないか。現在毎年値下げをしながらそういう数字出しておるわけでございますから、そう自信のない数字でもないんだというふうに私は考えております。
  249. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 配当もしなければいけない、利益も出さなければいけない、内部留保もやらなければいけないということでございますけれども、公共的な使命ということで考えていきますと、INSをこれからやろうという計画もあるわけですね。外国ではISDNということですけれども、INS構想が具体化していきますとかなりの設備投資をやらなければいけない、ある程度利益を出さなければいけないということになっていきますと、今度は配当性向を抑えていかなければいけないというような問題も出てくるだろうと思います。そういうふうに考えていきますと、通信政策のために配当性向を抑えられる可能性があるのではないかというような心配もするわけでございまして、その辺、公共性といわゆる企業としての配当、この辺をどのように考えたらいいのか、最後にお聞きして、総裁、お時間があるようでございますから……。
  250. 真藤恒

    ○真藤説明員 配当性向はこういう公共事業でございますので、一般の企業みたいないい数字を出す必要もなかろうと思いますし、それから配当のパーセンテージも、一般企業並みに持っていくべきではないというふうに私は思っております。その辺のところはすべてこれから先の問題でございますけれども、私の常識としてはそう考えております。  それで、INSに向かっていくために、現在の投資レベルをさらに増加しなければならないかと申しますと、実はそうじゃございませんで、現在の一兆七千億あるいは一兆六千億レベルの投資でINSに移行していくということは、非常に順調に移行し得るというふうに思っております。といいますのは、INSと申しましても、さしあたり投資しなければならないのは、既存のクロスバーの交換機を電子交換機にかえることがまず先決でございまして、光ファイバーに投資するというのはまだずっと先の問題でございます、大量に投資するのは。そんなこともございまして、INSが来たから急激に物すごい投資が出てくるかというとそうではございませんで、INSになってくる場合に大きな投資金額になるのは、ユーザー側の投資がかなりふえると思います。それは、私どもの方の投資ではなくて、ユーザー側の投資、お客様の方の投資はかなりふえてくると思いますけれども、私どもの投資はさほどのことはない性質のものだというふうに考えております。
  251. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 どうぞ、用事があるそうですから。ありがとうございました。  郵政省の方にお伺いしますけれども、郵政省で、先ほどの話に戻りますけれども、売却益をめぐっていろいろな論議がされている。そして、今お話し申し上げましたように、三者の配分ですね、これは私が言っているのですけれども。これもある程度同じようなことだと思うのですけれども、いわゆる売却益のための特別会計の構想がある、こういうふうなのが新聞に載っておりました。また逆に、通信政策のために基金をつくったらどうだというようなお話もあるそうでございますけれども、その辺について今どこまで論議されているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  252. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 まずは、現在の私どもが提案しております日本電信電話株式会社法案の中で、株についての規定といいますのは、会社の成立時に政府に無償譲渡されるものとする、それだけの規定でございます。こういうことを踏まえまして、ただいま先生からお話のありましたように、売却益の使途の問題につきまして、例えば国の一般会計の赤字補てんのために民営化を行うものではないということを明確にする必要があるとか、あるいは電電公社の資産形成の経緯等、こういうものを見まして、株式売却益等の収入は、電気通信技術に関する研究開発の推進あるいは電気通信の利用者の利便の向上のために使用されるべきである、このような意見が多いということは、私ども、しばしば耳にし、承知しているところでございます。私どもとしましては、この問題につきましては、このような意見趣旨も踏まえながら、引き続き関係の向きと検討してまいりたい、こういうふうに現在のところは考えているところでございます。
  253. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今お話しのように、赤字補てんはだめだというようなのがあるわけですね。だけれども、大蔵省としては何とか赤字補てんに使いたいという気持ちもあると思うのですね。全く対立するわけでございますから、当然その配分についての取り決めというのも行われるだろうというふうに予測をいたします。また、一方的に財源調整だとか、あるいは赤字補てんということだけに使われるということであれば、まさに、別に公社のままでいいじゃないかということもあるわけでございますから、その辺もぜひ明確にしていただきたい、かように思うわけでございます。  同じような改正の時期に、今度電気通信法といいますか電気通信事業法ですか、これについての話があるわけでございまして、これは本委員会と余り関係ない話でございますけれども、ついででございますから考え方だけお聞きをしたいと思います。当初は大蔵に聞こうと思ったのですけれども、大蔵の方から、むしろ対応は郵政の方でやりますということでございましたので、郵政の方でお願いしたいんですが、第二種電気通信事業というのは今回登録制ということになっておりまして、外資系企業の規制がない。これは二区分、区分がありますね。特別第二種と、そうでないのとありまして、特別の方はある程度制約があるようでございますけれども、通常一般の第二種電気通信事業というものは登録制になるということでございます。  こうなってきますと、今の日本の国情から見て、コンピューター関係、情報処理、いろんな分野から見て、ソフトウエアの部分というのはまさに開発途上というような感じがするわけです。ハードウェアにつきましては、アメリカも恐れるくらいの大変な勢いで、また技術力もあるということでございまして、ハードについては負けないけれども、ソフトウェアの部分については、著作権の問題が論議されようとしておりますし、むしろまだまだこれから論議をされ、また研究開発をされていくものである。ですから、日本にシステムとして完了されたソフトが幾つあるかということも見ていきますと、大部分アメリカの物まねでやってきているところがあるのではないか、そういう感じがします。  ただ、大蔵省のソフトノミックスなんかを見ておりますと、ますます拡大をする部分があるということも事実でございますから、そういう意味ではある程度の対応ができるかというような気持ちは持っております。しかし、現状、外資系企業がネットワークを張って入ってきたとき、あるいは合弁会社を使って拡大してきたときは、大変な分野まで独占をされる可能性があるというように考えるわけです。今回の法律では、登録制ということで幾らでも入るということですが、実際、問題が生じるほど大きなシェアを持った場合どういう対応ができるのか、それについてお伺いしたいと思います。
  254. 内海善雄

    ○内海説明員 先生御指摘のとおり、外国特にアメリカの巨大通信事業者というものは、卓越した資金力だとか技術力あるいは長年にわたる経験というのを持っておりますので、我が国の通信市場におきまして大きな力をこれから発揮していくのではないだろうかという心配があることは事実でございます。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、優秀なそういった外国系の企業と自由競争市場で競争を行っていく、内外の企業が切磋琢磨しながら電気通信産業の発達を図っていくというようなことも、非常に大きいメリットがあるのではないかというふうに考えるところでございます。  従来日本の企業というものは、技術発展に対する対応力あるいは成長力というのが非常に大きいところでございまして、外国企業に対抗して日本企業による通信市場の健全な形成というのが、従来の日本企業の力からしますと十分期待されるのではないだろうかということを勘案いたしまして、先ほど申し上げましたような心配の点それからメリットの面というようなものを総合的に比較、判断いたしましたところ、第二種電気通信事業というものにつきましては、外資制限というような保護主義的道はとらずに、内外無差別の原則のもとで、自由闊達な企業競争による電気通信事業の発展という道を選んだ方がいいのではないかということで案ができているところでございます。  しかしながら、郵政省といたしましても、この分野が新しい未開拓の分野であるという面もございますので、財政投融資等、我が国企業の発展、振興施策もいろいろ考えていきたいと思っておるところでございます。
  255. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 余り深く入るとこちらも勉強不足でわかりませんので、いずれにしても、確かに日本の企業というのはいろんな細かい工夫というのは得意でございますけれども、基本特許、いろいろな工業製品の基本特許、これはアメリカが大半を占めているわけです。あと、ヨーロッパ、日本が競り合うような形です。そういうことを考えていきますと、基本的な部分について向こうが押さえ切る、その活用についてお金を払うような形になるというような可能性もあるので、必ずしも日本の技術、確かに物をつくることについては非常な技術を持っておりますけれども、利用する技術、これはまだまだ郵政省が考えているほど高度なところに行っているわけじゃこざいませんので、その辺もよく考えてこれからの対応をお願いしたいと思います。  本日は大蔵委員会でございますから、郵政の部分については割愛をさせていただきますので、そちらはまた専門の方でいろいろ論議していただきたいと思います。あとはちょっとありますけれども、やめますので、それではこれでお引き取りいただいて結構でございます。どうもありがとうございました。  ということでございまして、大蔵の論議をしないといけないですね。  財源確保法案にちょっとまた戻ってまいりますけれども、大蔵大臣、率直なところ、さっきの売却益、あれは新しい財源として魅力はありますか。
  256. 竹下登

    竹下国務大臣 財政需要全般にわたってこれは魅力のあるものであるという考え方はございます。
  257. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 冒頭に申し上げましたように、財源確保というのも大変な苦労をなさっているわけでございまして、手を変え品を変えという感じがつくづくするわけですね。ところが今回の借りかえのように、わざわざ特例債の条文にうたって、こういうことが逆に歯どめだということでうたわれてきた。借りかえをしない、これが赤字国債を出す一つの条件であったわけですね。ところが、これが突如として崩れ去るということになるわけです。先ほどの電電のところも、五十九年度はもういいんだから五十八年で二年分を取ろうということで、二千四百億円の納付金を取るということもございましたし、こういうことで見ていきますと、どうもわざわざ明文化されて条文に組み入れられてもすぐ崩されてしまうということで、法律として規定をされた効力がないのではないか。逆に言えば、法律無視も甚だしいというような感じがするわけです。そう言ったって現状はという話が必ずついてくると思うのですけれども、実際、現状に至るまで借りかえやったらどうだという話も、我々数年前からやっておりましたし、ある程度の期間があったわけで、今すぐ悪くなったということではなくて、だんだんと虫食いのようについばまれていったということで悪くなってきているわけですから、ある日突然態度豹変というようなことでは、なかなか国民を納得させる力にはなり得ないというふうに思うわけです。  ですから、本文に書いてあっても、条文の中に明記されておりましても歯どめにならなかったということ。私は、借換債そのものはやってもいいという気持ちは持っております。それでなければできないのですからね。そういう意味ではいいのですけれども、ただ、やり方が余りにもひどいじゃないかというような感じがするので、歯どめとしてあった条文、これをいとも簡単に外された理由をお聞きしたいと思います。
  258. 竹下登

    竹下国務大臣 これはいとも簡単ではなく、いとも苦心しながらやったわけですけれども、考えようによりますと、五十年にはこの借りかえ条項はつかない。それで国会議論等を踏まえて、五十一年から借りかえ条項をつけて、これはやはり歯どめですよ。それで、一、二、三、四、五、六、七、八といった。それで、借りかえしかないじゃないか、こういう議論もありました。それに便乗して今度やったというわけじゃございませんけれども、やはり一つには、結局石油ショックというものから、これが財政に一番大きな衝撃を与えたのは五十六の後半から五十七ということじゃないかな、この部分だけはある意味において予測できなかったほどの問題じゃなかったか、私はそういう感じがいたします。  そこで、五十九年度脱却というのも、昨年公表をしなければならぬようになった。したがって、昨年の段階から、もうこれは借りかえによる現金償還のための財源を調達する以外にないじゃないか、こういう議論がございましたけれども、私どもは、それも一つの手段として財政審で相談してもらいましょう、こういうことで小委員会で相談してもらって今度踏み込んだ、こういうことになるわけであります。したがって、その時期は、まさに五十九年度をギブアップして六十五年度というものを努力目標に定めたところと軌を一にした、ある意味においては大きな政策転換じゃないか、こういう位置づけをしなければならぬというふうに理解をしておるところであります。
  259. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今の歯どめでございますけれども、確かにだんだんと状態が悪くなってぎりぎりまで頑張ってきた。確かに、もうあきらめたらどうかというのにまだ頑張っていたという感じがするわけですね。そういう意味では、大臣おっしゃったように、安易に変えたということではないということですけれども、豹変をしたことは事実でございまして、そういう意味で何らかの大義名分というか、そういうものがなければいけないし、また逆に言えば、今回崩れ始めたら今度はひどくて、六十分の五十も借りかえをする。普通、ちょっと壊れたら、多少はやむを得ないということで、少なくとも何分の一という感じになるわけですけれども、一挙に六十分の五十に上がってしまったということでございます。  こうなってくると、今まで借りかえをやって苦しくなってきた、もう二度とその轍は踏みたくない、のんびりいこうじゃないかというふうに受け取れるわけですね。もっといろいろな段階があっていいんじゃないかというような感じがするわけです。だから、急遽六十年返還というふうに延ばしてきた。そのかわり、年々逓減率はありますけれどもね。こういうことで、余りにも飛び過ぎじゃないかという気持ちを持っているのですけれども、いかがでございますか。
  260. 竹下登

    竹下国務大臣 結局、鈴木前内閣の退陣という形で、新たなる政権ができて、そこで五十九年度脱却をできない、不可能と言わざるを得ない、こういうことになったわけですね。そうして今度、中長期的な展望をしてみますと、経済審議会でいろいろ御議論をいただいて、一応数字としては名目成長六ないし七%あるいは実質成長四%、消費者物価三%、失業率二%、卸売物価一%程度という数値だけがあって、そして中期展望をなされた中でこの六十五年度。それで、それとのある種の整合性を持って考えてみますと、かなりジャンプした感じはしますけれども、努力目標として、これしもイージーなものではないぞよという考えでそこに設定したわけであります。それで、六十五年までに赤字公債からの脱却を何とかやって、その後はいわば残高を、対GNP比と申しますか、そういうことで落としていこうという二段構え、こういうことにしたわけです。  したがって、それは世界経済全体が同時不況という感じの中で、しかも日本経済が、経済のパフォーマンスそのものから見ますと、確かにヨーロッパを追い越し、アメリカに追いつけ。それは一応いろいろな数値ではその領域までに達したということになると、やはりいわゆるインフレなき持続的成長というのが限界であるとして考えた場合、その辺までのジャンプというものは私はやむを得ないことではないかな。それでもなおイージーにはなかなか達せられるものではない、よほど構えてかからなければならぬ問題だというふうに思います。  実際、五十九年のときには私も、これはちょうど六十になるかと思っておりましたが、今度六十五年というと、私も六十六になりますとだんだんポンコツになってしまうし、本当に、少なくともその後の世代の方が、もっと活力の中に生き生きした経済運営なり財政運営なりする素地だけはつくっていかなければならぬな、こういう感じがしております。
  261. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 後の財政運営を考えて長くしたということですね、感じとしては。ただ、赤字国債の場合には何も残らない、朝からずっと論議が出ておりましたけれども。建設国債でもいいではないか、振りかえたらどうだというような感じもするわけです。これから出す分ですね、あと六十五年まで。全部赤字国債じゃなくて建設国債に振りかえて、建設投資は多過ぎますけれども、それを流用するというようなことでもいいじゃないか。もう自動的に六十年償還ということになるわけですから、そういうのもいろいろあるわけですけれども、余りにも簡単に崩されていくということで、本当に残念な感じを持っているわけです。  そこで、長期的に見てどうなのだという現状説明といいますか、そういうことも含めて、いろいろな政府の施策があると思うのですけれども、その都度その都度出てくるからいけないのだという気持ちは持っているわけですね。だから、ある程度長期的な展望に立ってやられれば、多少は長もちするんじゃないかな。私たちの研究の中に、五年から七年ぐらいの中期財政計画を組んだらどうかといういろいろな論議をしてきたことがございました。例えば道路整備計画が五カ年で、今度第九次ですか、始まります。それから水田再編、防衛大綱というか中期業務計画、そういうものがいろいろある。だから、各省別に見ていきますと、一つの柱となるべきものがかなりあるわけでございますから、あとはそれの財政の裏打ちをするだけだ。いずれにしたって、単年度にしても、税収の見込み違いがあっても主税局長の首はかわらないし、みんなそのまま上られるわけでございますから、多少違ってもいいじゃないかという気持ちもするわけです。そういうことからいきますと、むしろ国民にアピールできるような中期的な展望、こういう財政計画というものをつくってもらった方が、特に民間企業の設備投資だとかあるいはいろいろな事業計画、その辺に反映させられるメリットがあるということで、国民としてはいろいろなメリットはあるわけです。  ちなみに簡単に挙げていきますと、経済計画並びに国土計画に対しての資金的な裏づけになる。二番目が、各年度予算間の連続性、統一性を持つ。三番目が、長期的視野に立って政府部門に配分をされる資源の割合を適正水準に決定する。それから四番目が、経済安定のための公共投資等を補正的に変更する場合の基準を与える。そして財政の景気調整機能と資源配分機能を矛盾なしに両立させる、こういうことがあるというふうに言われております。そういう意味からいくと、かなりのメリットがあるような感じがするわけです。  景気動向がどう転ぶかわからないということもあるのですけれども、単年度でも、今回のようにしょっちゅう計画の手直しをされるということもありますけれども、まあそうそう続くものではないというふうに思います。そういう意味からいきますと、ある程度安定してきたというような観点に立って、ひとつ中期財政計画というものを組んで、オーソライズするかしないかはあれですけれども、こういうことを考えていけば、国民がある程度方向について関心を持ち、なおかつ現状についての認識というものが十分得られるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味から見て、中期財政計画というものについて、ほぼ似たようなものはあるわけですけれども、何かというとすぐ試算だとかなんとかといって逃げる可能性もありまして、いろいろな各省の政策を織り込んだそういうものが考えられないか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  262. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、今の考え方そのものは、端的に言って、それぞれリジッドにするかどうかは別として賛成です。  ただ、私どもが非常に苦悩いたしましたのは、やはり「新経済社会七カ年計画」というものがあって、そしてあのときはあの問題ができて、いわゆる公共投資なんか二百四十兆、租税負担率が二十六カニ分の一、社会保障負担率が一一でございましたか、そうしますと演説なんかに行っても非常に説明しやすかったと思うのです。その二百四十兆を、私どういう立場におりましたか、各事業別に配分してくれぬかということがありまして、配分をしまして、何か躍動するような感じがしたわけです。それはみんなに対して一つの、バラ色とは言わないが現実的な指標を与えて、会社経営される人もだれも一つの指標として持ち得るな。ところが間もなく、公共事業一つ見ても百九十兆に三割下方修正。租税負担率なんかそのまま残しながら持って歩いて、それで感じましたのは、事ほどさようにこの下方修正が行われるという問題は、むしろある意味において政治不信を招くのじゃないかという気持ちすら率直にいたしました。  今おっしゃったように、例えばよく申します税収の問題なんかも、一%は誤差のうちなんて言っておりますが、そんなものではないような状態に現実なったわけでございますから、したがって今度はまさに「七、六、五抜きの四、三、二、こという数字だけでもって、我々が有権者の方なんかに説得する際にも不便を感ずるくらいな数字しかないわけですね。だから結局、定性的なものにしか組み立て得ないということになると、財政というのはまさに経済の一部であるという考え方に立ってまいりますと、中期展望というようなものをどこに持っていくかというので、ぎりぎり考えたのが「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」であって、「財政中期展望」を、素材を提供したという感じてお示しして、さらに仮定計算等で議論をして、そういう議論と、ちょうど先ほど申しましたように、第二次石油ショックが五十六年の下期から七年にかけて本当の影響が出たということで、原油価格が下落した影響も、あるいは十五カ月ぐらいしなければ本当は出ないかもしらぬというようなことも考えると、だんだんこれが少しずつリジッドな方向へ行くための議論を今しているのじゃないか、こういう感じすら、素直に僕もしておるわけでございます。  だから、中期展望考え方、中期財政計画的な考え方そのものは私も否定をするものではございません。そこで、今はそういう議論をしながらどういう組み合わせでやっていくかということで、国民のコンセンサスをどこに求めるかという過程にあるのじゃないか、こういう感じがしております。だから、本当を言うと、こんなときに大蔵大臣になる者は大変だなという気持ちが素直にいたしております。
  263. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確かに、本来ですと、よく、国民に夢を持たせて、それの実現に向けて努力をしていくということでございますけれども、今大蔵大臣というのは、なたを持って切った張ったでいろいろやっておられるような感じがするのですね。ぜひそういう面で、国民にわかりやすいというか、理解しやすいような背景をつくっていただくことが必要ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  いろいろまだ聞きたいことがあるのですけれども、まだ時間があるようでございますから、大臣に関する質問はこれで終わりますけれども、あと、国鉄の方が見えておられると思いますので、国鉄も実は三十分か四十分ぐらい準備したのですけれども、あと五分ぐらいでやめましょうかね。  国鉄の方に見えていただいておりますけれども、うちの米沢の方からも話があったと思いますけれども、財投に関しまして、毎年毎年一兆四千五百数十億という数字が必ず計上されております。再建計画が、昭和六十年、幹線収支でいわゆる黒字をだすというような計画があったかと思いますけれども、なかなか思ったところまで到達をしていないというような状況でございます。  単純比較で、五十九年度と五十八年度予算比較をしてみますと、損益が純損益で一兆七千億を超えるというような形で拡大をされるということになってまいりまして、そういうふうに見ておりましたら、突然新聞の方に、昭和六十五年では累積赤字が三十兆を超えるのじゃないか、こういう話が出てきた。はたして財投の資金が返ってくるかどうかというような心配があるわけでございまして、現状ではとても返せないだろう、これを返すとしたって国の助成を回す以外ないということでございますから、とてもじゃないけれどもそれは無理だというふうに判断をいたしまして、ではどういうふうな状況になっているのかということですね、これをまずお聞きしたい。今まで財投についてどういうふうな方法をとられてきたかということをまずお伺いしたいと思います。
  264. 前田喜代治

    ○前田説明員 私ども現在、先生おっしゃるお話がございましたように、経営改善計画というのを進めておりまして、この中で、鉄道の特性分野というようなところで、できるだけ経営を重点化いたしました上で黒字を出していこう、特に幹線系では収支を均衡させようということで努力しておるわけでございます。  現在この過程でございますが、途中輸送量が落ちたり何かいたしまして若干の狂いはございますが、これに対応すべく要員の合理化とかあるいは貨物の徹底的なシステムチェンジとかいうことをやりまして対応しているわけでございます。実際問題として、確かに債務が多うございまして、五十七年度末では財投もすべて含めまして約十八兆円の債務になっておりまして、私どもとしてはできるだけこの債務をふやさないようにということで、いろんな施策をさらに徹底してやっていきたいと思いますが、基本的にはかなりの部分が債務としてまだ残っておりますので、関係の方面と御相談しながら、この対応をとるべくお願いをしておるところでございます。一部、かつて五十五年度の現行の経営改善計画が発足するに当たりまして、かなり大幅に、約五兆円の債務を特別勘定の方に財投を中心にいたしまして移していただきまして、現在これについてはいわゆる棚上げ的な、ボックスの中で一つの勘定といたしまして、棚上げといいますか凍結措置がとられているといいますか、事実上は利子補給等をいただきまして、そちらの方の収支を一般の方からと切り離して会計管理をしているわけでございます。
  265. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 五兆円というのは五兆三千何百億というものですか。——そうですね。ということは、年々またふえてくるわけですね。今まで棚上げされているという話を聞いておりましたけれども、既にその後何回か財投の部分が入ってきているということで、幾ら考えたって、今の状況の中で国鉄独自でとても採算点に乗るとは思えない、それほど悪い状態なんですね。  いろんなお話をお伺いしますと、今まで戦後の引き揚げの要員を引き受けたというのと、その方々が退職期に当たってきているということがある。そして政治路線と言われる地方線の問題、こういうものをひっかぶっているというようなことが言われているわけです。整備新幹線にしたって、確かに必要な部分もございますけれども、何も国鉄が全部持ってやることはないじゃないかということでいきますと、いつも予算説明だとか決算の説明のときに、今までの経営形態プラス国策の分。国鉄ですから、当然そういうのは入ってくるわけですけれども、昔から国がやっていた事業、国の交通運輸事業、これを引き受ける部分と、それから交通機関としての独自の運営、この部分が非常にごっちゃになっているような感じがするわけです。ですから、このままいきますと、今まで国が政治絡みで動かしてきた部分を国鉄が持ってしまうということもあるわけですし、改善できないというのはまさにそこだと思うのですね。  確かに国鉄の労使関係を見ても、職場規律を見ても、いろんな問題点がある。昨年の八月の監査委員会の報告にもありますように、また、昭和五十七年九月ですかに指摘をされたということもあります。こういう問題点があるわけですけれども、そういうのも確かに要因は要因だ、しかしもっと大きな要因があるではないか。本当はこれをもっと分離をして、国鉄の純然たる責任とそうでないのと分けてアピールしていかないといけないと思うのです。そういう意味で、これから見ていただくとして、国鉄独自の部分についての再建というのはできるかどうか、採算点が合うかどうか、その点についてお伺いします。
  266. 前田喜代治

    ○前田説明員 一体として国鉄が経営いたしておりますので、いろんな要素といいますか、いろんな分野が混在していることも事実でございますが、私どもといたしましては、やはり鉄道の特性が発揮できる分野では全力を挙げて採算をとるように努力したいと考えておりますし、その他の分野、抽象的に申し上げて恐縮でございますが、例えば特別負担が大きい年金の問題ですとか、あるいは退職金の問題でございますとか、ローカル線の取り扱いの問題でございますとか、そういった問題につきましても、もちろん私どもの自助努力といいますか、国鉄自体の問題としてまず取り上げることが必要でございますし、私ども全力を挙げて対応をとっているわけでございますが、これだけは国鉄だけでもうまくいかないという面もございまして、行財政的な措置をお願いするということで進んできております。  そういうことで、私どもできるだけ全体の赤字を減らすようにということで全力を挙げておりまして、当初三十五万という職員規模を六十年に予定しておりましたが、ことしあたりもう既に目標は達しておりまして、既にいろんなことで計画を早めるようにいたしまして、できるだけ健全化の時間を早くしたいということで、少なくとも私どもの責任分野といいますか、自助努力で賄える部分については全力を挙げてやっていきたいと思っておるわけでございます。
  267. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 人を減らすということは確かに大切なんですけれども、年金資格のある人を減らしても、中から払っているのか、外から払うのかというつけかえになるだけで、まさにいろんな層からみて配置転換をやらなければいけない、こういうことが言えると思うのですね。関連事業を調べてみますと、国鉄が出資をされているところだけで百十四社あります。それ以外に、出資以外の附帯事業ということで、弘済会だとか電通だとか日通だとか、いろんな会社があるわけです。特に弘済会なんかを見ておりますと、国鉄のOBの方がかなりたくさんおられます。大体物を置いただけで二〇%ぐらい取っておられますから、かなりもうかるのかなという感じは受けているのですね。ところが膨大な利益が出ているという話もなかなか聞かない。我々から見ると店頭、要するにホームにおいて国鉄と弘済会がトンネルになりまして、各府の物を置いているわけですけれども、これ自身でかなり利益になるはずが、なかなか利益につながってこないということもございますし、我々新幹線の中で、かわいい女性が売りに来て一生懸命やっていれば、買おうかなという気持ちになるのですけれども、何となくただ物を運んで回っていたら声がかかった、それで売っているという感じを受けるわけですね。むしろ男の人の方が愛想がよくて、いろいろ声をかけてくる。大体そっちの方が買う気になるわけですね。だから、関連会社においてももっと努力するところがあるわけです。ほかに買うところがないのですから、あれだけ無愛想にされたら、何でこんなのを無理して採らなければいけないのだろうという気持ちになると思うのですけれども、そのくらい悪い状態もあります。中には本当にいい人もいますけれども。  そういうふうに見ますと、そういうところに対する配慮、訓練というものがされていないということもあります。再建計画なんかを見ますと、特に「フロントサービスの向上」というのがありますけれども、我々が対応している部分について、本当に昔と変わったかなという気持ちさえ受ける、こういう状態でございます。むしろ国鉄の責任分野としてこれはやらなければいけない部分であるというふうに思いますし、本当にできないなら、もう国鉄でやるんだということを言わないで、国に全部出してください。その方が対応しやすいと思うのですね。いずれ国鉄がやるだろうということでみんな期待をしている。ところが一向によくならない、悪くなる一方だということでございますから、国民の非常に重要な財投資金といいますか、郵貯だとか簡易保険だとかいろいろなものがありますけれども、こういう資金を寝かしているわけですね。本当は運用益でもっと利益を上げて、いいことに使いたいわけですけれども、それもできないということでございます。  ぜひこれから責任を分けて、国鉄の責任と国のいわゆる政策的な責任という面での対応をお願いしたい。時間が来ましたので答弁いただきません。本当は金額は幾らだとか、どういうふうに思うとか聞きたいんですけれども、ちょっと時間も過ぎましたので終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  268. 瓦力

    ○瓦委員長 次回は、来る二十日金曜日午前九時二十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十六分散会