運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-04-13 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十三日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 瓦   力君    理事 熊川 次男君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 伊藤  茂君    理事 野口 幸一君 理事 坂口  力君    理事 米沢  隆君       熊谷  弘君    小泉純一郎君       笹山 登生君    塩島  大君       田中 秀征君    中川 昭一君       平沼 赳夫君    宮下 創平君       村上 茂利君    山岡 謙蔵君       与謝野 馨君    上田 卓三君       沢田  広君    渋沢 利久君       戸田 菊雄君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    柴田  弘君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    正森 成二君       簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房会          計課長     渡邊 敬之君         大蔵大臣官房総         務審議官    吉田 正輝君         大蔵大臣官房審         議官      田中 泰助君         大蔵大臣官房審         議官      水野  勝君         大蔵大臣官房審         議官      山田  實君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主計局次          長       保田  博君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局長 西垣  昭君         大蔵省理財局次         長       吉居 時哉君         大蔵省理財局次         長       志賀 正典君         大蔵省証券局長 佐藤  徹君         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         大蔵省国際金融         局長      酒井 健三君         国税庁次長   岸田 俊輔君         国税庁税部長 渡辺 幸則君         国税庁徴収部長 兼松  達君  委員外出席者         議     員 坂口  力君         公正取引委員会         事務局経済部調         整課長     糸田 省吾君         警察庁刑事局審         議官      於久 昭臣君         経済企画庁調整         局国際経済第一         課長      西藤  沖君         法務省民事局参         事官      稲葉 威雄君         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         外務省経済局国         際経済第二課長 入谷 盛宣君         文部省初等中等         教育局財務課長 菴谷 利夫君         厚生省医務局国         立病院課長   古川 武温君         運輸省自動車局         保障課長    越村 安英君         自治省財政局準         公営企画室長  石田  淳君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 四月十一日  大型間接税導入申告納税制度改悪反対に関す  る請願浦井洋紹介)(第二四一〇号)  大幅減税実現等に関する請願中川利三郎君  紹介)(第二四一一号)  所得税大幅減税等に関する請願外三件(梅田  勝君紹介)(第二四一二号)  同(浦井洋紹介)(第二四一三号)  同(左近正男紹介)(第二四一四号)  同外二件(中島武敏紹介)(第二四一五号)  同(永井孝信紹介)(第二四一六号)  同(東中光雄紹介)(第二四一七号)  同(藤木洋子紹介)(第二四一八号)  同(藤田スミ紹介)(第二四一九号)  同(正森成二君紹介)(第二四二〇号)  同外五件(簑輪幸代紹介)(第二四二一号)  同外一件(村山富市紹介)(第二四二二号)  大企業優遇税制是正大幅減税等に関する請  願(中島武敏紹介)(第二四二三号)  申告納税制度改悪反対等に関する請願上田卓  三君紹介)(第二四二四号)  同(小川国彦紹介)(第二四二五号)  同(経塚幸夫紹介)(第二四二六号)  同(沢田広紹介)(第二四二七号)  同(野口幸一紹介)(第二四二八号)  同(日野市朗紹介)(第二四二九号)  同(東中光雄紹介)(第二四三〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二四三一号)  同外二件(正森成二君紹介)(第二四三二号)  同外一件(簑輪幸代紹介)(第二四三三号)  同(矢山有作紹介)(第二四三四号)  大幅減税実現大型間接税導入反対等に関す  る請願中島武敏紹介)(第二四三五号)  同(不破哲三紹介)(第二四三六号)  同(正森成二君紹介)(第二四三七号)  同(簑輪幸代紹介)(第二四三八号)  公立高校用地確保のため筑波移転跡地払い下げ  等に関する請願岡崎万寿秀紹介)(第二四  三九号)  同(中島武敏紹介)(第二四四〇号)  申告納税制度改悪反対等に関する請願(新村  勝雄君紹介)(第二四四一号) 同月十二日  旧南方軍国鉄派遣第四・第五特設鉄道隊軍属の  処遇改善に関する請願中西啓介紹介)(第  二五七六号)  同(櫻内義雄紹介)(第二六八七号)  同(砂田重民紹介)(第二六八八号)  同(谷垣禎一紹介)(第二六八九号)  同(堀之内久男紹介)(第二六九〇号)  同(三原朝雄紹介)(第二六九一号)  同(宮崎茂一紹介)(第二六九二号)  同(山崎拓紹介)(第二六九三号)  同(山崎武三郎紹介)(第二六九四号)  労働組合等課税強化反対に関する請願外一件  (正森成二君紹介)(第二五七七号)  所得税大幅減税等に関する請願大出俊君紹  介)(第二五七八号)  同(柴田睦夫紹介)(第二五七九号)  同(竹内勝彦紹介)(第二五八〇号)  同(中川嘉美紹介)(第二五八一号)  同外一件(中村茂紹介)(第二五八二号)  同外二件(藤木洋子紹介)(第二五八三号)  同(藤田高敏紹介)(第二五八四号)  同(元信堯君紹介)(第二五八五号)  同(森本晃司紹介)(第二五八六号)  同(矢追秀彦紹介)(第二五八七号)  同外一件(横山利秋紹介)(第二五八八号)  同(藤田高敏紹介)(第二六八六号)  大企業優遇税制是正大幅減税等に関する請  願(中島武敏紹介)(第二五八九号)  申告納税制度改悪反対等に関する請願稲葉誠  一君紹介)(第二五九〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第二五九一号)  同(土井たか子紹介)(第二五九二号)  同(春田重昭紹介)(第二五九三号)  局(平石磨作太郎紹介)(第二五九四号)  同(藤田高敏紹介)(第二五九五号)  同(堀昌雄紹介)(第二五九六号)  同(正森成二君紹介)(第二五九七号)  同(松本善明紹介)(第二五九八号)  同(八木昇紹介)(第二五九九号)  同(矢追秀彦紹介)(第二六〇〇号)  同(矢山有作紹介)(第二六〇一号)  公立高校用地確保のため筑波移転跡地払い下げ  等に関する請願池田克也紹介)(第二六〇  二号)  同(菅直人紹介)(第二六〇三号)  同(鈴切康雄紹介)(第二六〇四号)  同(高沢寅男紹介)(第二六〇五号)  申告納税制度改悪反対等に関する請願高沢  寅男紹介)(第二六〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  貸金業規制等に関する法律の一部を改正す  る法律案伊藤茂君外十三名提出衆法第一〇  号)  出資受入れ預り金及び金利等取締りに関  する法律の一部を改正する法律の一部を改正す  る法律案伊藤茂君外十三名提出衆法第一一  号)  昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保  を図るための特別措置等に関する法律案(内閣  提出第三号)  国の会計税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 瓦力

    瓦委員長 これより会議開きます。  伊藤茂君外十三名提出貸金業規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び出資受入れ預り金及び金利等取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  提出者より順次趣旨説明を聴取いたします。坂口力君。     —————————————  貸金業規制等に関する法律の一部を改正する法律案  出資受入れ預り金及び金利等取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 坂口力

    坂口議員 私は、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議提案者を代表して、ただいま議題になりました貸金業規制等に関する法律の一部を改正する法律案並び出資受入れ預り金及び金利等取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和五十年代に入り、消費者向け金融を業とするいわゆるサラ金の爆発的な拡大に伴い、サラ金に係る家出、離婚、自殺等による家庭崩壊犯罪等の悲惨な事件が続出し、大きな社会問題になってまいりました。こうした問題を解消するため、昭和五十八年四月に現行サラ金規制法律が成立し、昨年十一月一日より施行されているところであります。  しかしながら、サラ金規制法律施行によっても、なお、サラ金に係る債務者の蒸発、自殺あるいは銀行強盗などの事件が続発しており、法律施行によって期待された効果が十分上がっているとは言いがたいのであります。それは、現行サラ金法律が、サラ金悲劇原因となっている高金利、悪質な取り立て行為過剰融資等についての規制が不十分であるからであると言わざるを得ないのであります。  サラ金をめぐる悲惨な事件を解消するための最大の対策は、高金利の引き下げでありますが、出資等取締法上限金利七三%は著しい高金利であり、これを一日も早く引き下げる必要があるのであります。また、利息制限法を上回り、出資法の上限金利との間のいわゆるグレーゾーン帯における利息については、現行法により返還請求の権利が否定されてしまったのでありますが、巨額の債務を背負った債務者高金利のため返済不能に陥るケースが多いことを考えますと、利息返還請求を認めることは、債務者保護を目的とするサラ金規制法に欠くことのできないものと考えるのであります。  取り立て行為規制について、サラ金規制法は、抽象的であり、これを具体的にする必要があります。確かに、サラ金規制法における取り立て行為規制については若干の効果が考えられるのでありますが、現在においてもサラ金に係る自殺銀行強盗等が頻繁に報道されていることを見ますと、依然サラ金業者による厳しい取り立てに耐え切れないという状況があるものと思わざるを得ないのであります。悪質な取り立て規制するにはだれ人も理解できるように法律条文規制内容を具体的に記す必要があると思うのであります。  また、債務者を破滅に追い込むものとして、返済能力を無視した過剰な融資があります。この過剰融資規制は、サラ金問題のポイントの一つでありながら、現行法では条文上明確にされていないのであります。さらには、サラ金において、勝手に保証人欄に名前を記入されたことによるトラブルが増大していますが、これを防ぐ措置として、保証人代理人により保証契約が結ばれる時には、保証人本人保証意思を確認することが必要ですが、サラ金規制法にはこうした規定は見当たらないのであります。  こうしたサラ金に係る問題を是正し、利用者保護を一層充実するためには、サラ金規制法律改正が不可欠であるのであります。  次に、改正案内容について御説明申し上げます。  まず、貸金業規制等に関する法律の一部を改正する法律案であります。  第一に、貸金業の開業については、現行登録拒否事由登録申請前三年以内に貸金業に関し不正または著しく不当な行為をした者等を追加するとともに、登録申請貸金業協会並びに同連合会を経由させることとし、協会意見を付して大蔵大臣等に送付することといたしました。  第二に、過剰貸し付け禁止趣旨をより明確にするため、消費のための貸し付け物上担保のないものについては、総額で三十万円を超える貸し付け禁止することとし、この規定に違反した場合は、営業の停止、登録の取り消しの厳しい行政処分を行えるようにいたしました。  第三に、誇大広告禁止について、誇大、不当な広告の散乱を防ぎ、利用者の安易な利用を誘発するような広告を厳しく規制するため、大蔵大臣等禁止すべき広告の具体的な例を示させること等により、誇大広告禁止趣旨を周知徹底させることといたしました。  第四に、本人の知らないうちに保証人にされることを防ぐため、貸金業者に、債務者または保証人となる者の代理人との契約については、本人契約意思を確認する義務を課すことといたしました。  第五に、取り立て行為についてのサラ金規制法規定は抽象的でありますので、深夜、早朝の取り立て威迫を交えた言動及び債務に係る事実の流布、親族に対する弁済保証強要等禁止すべき行為を具体的に列記することといたしました。  第六に、任意弁済の取り扱いについて、サラ金規制法では、任意に支払った金利は有効な利息債務弁済とみなすことにしておりますが、この規定は、サラ金禍法的救済を困難にするものであります。したがって、利息制限法を上回る利息元本充当過払い利息返還請求を認めた最高裁判例を維持すべきであり、現行法第四十三条のみなし弁済規定は削除することにいたしております。  次に、出資受入れ預り金及び金利等取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内容を申し上げます。  上限金利規制について、現行法では、法施行後三年間は年率七三%、次いで年五四・七五%に引き下げ、法施行後五年経過後に検討した上で本則年率四〇・〇〇四%に移行する日を定めるとしております。改正案では、法施行時から三年間は経過措置として年率五四・七五%、三年が経過した翌日から本則の四〇・〇〇四%が適用されることといたしました。  以上が貸金業規制等に関する法律並びに出資受入れ預り金及び金利等取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の大要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますよう心からお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)
  4. 瓦力

    瓦委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 瓦力

    瓦委員長 国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  6. 堀昌雄

    堀委員 先般、大蔵委員会金融証券小委員会澄田日銀副総裁その他の皆さんをお招きをいたしまして、当面問題になっておる日米間の金融市場開放自由化の問題について参考人意見を伺いました。これを下敷きにしながら、きょうは大蔵大臣及び大蔵省皆さんと少しこの問題についての論議を進めたい、こう考えておるわけでございます。  そこで、最初大蔵大臣にお伺いをいたしますが、現在の金融資本市場開放自由化について、アメリカが格段に強い姿勢で日本に迫っておるという問題の背景を、大蔵大臣は大体どういうふうにお考えになっておるかをまず最初にお伺いしたいと思います。
  7. 竹下登

    竹下国務大臣 私なりにそれなりの分析をしてみておりますが、一つには、やっぱり円ドル問題で、言ってみれば為替相場というものが、アメリカから見れば日本の円の実勢のレートが感覚的には非常に安過ぎるという認識があろうかと思います。そのことが産業界等いろいろ議論を呼んで、したがって、その原因の大きな分野を、国際基軸通貨としてのドルと既に力においてはまさに世界第二位の力を持っておるだけに、円そのもの国際化されて、どこの国でも円もドルも同じような形で通用するようになったならば、本当に実力そのもの為替レートが自然に設定されていくであろうという考え方が基本に一つはあろうかと思っております。  そうして、そういう考え方に立って、金融業界あるいは証券業界、それぞれの立場からの今度は日本市場への参入ということになりますと、余りにも歴史的淵源の相違からして、相互制度そのもの開きがある。その開きを埋めるための理解が十分でないところから、いわゆる自己中心的相互主義ということからして、日本開放の度合いが著しく自国のそれに比べて狭いという意識が、さらにそのような考え方をより増幅しておる一つ原因ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  8. 堀昌雄

    堀委員 今大臣がおっしゃったことは、私確かに一つの重要な問題部分だと思うのでありますけれども、私はこの背景にあるものの非常に大きな部分というのは、貿易収支状態が実は著しく日本黒字アメリカ赤字、こういうふうなことになっておって、これがアメリカとすればなかなか改善がしにくい。そうすると、アメリカが一番得意としておるところは、金融問題を含めて、サービスの点ではこれは何といっても世界で一番力があるし、彼らも自信のあるところでありますから、そういう意味では、貿易の不均衡を、金融その他のサービスの、実は逆向け拡大によってカバーをしようということがかなり大きなウエートを占めておるのではないか、私はこう思うわけであります。  ちょっと大蔵省の方で、八三暦年でいいのですが、八三暦年における日米間の、日本のまず貿易収支黒字、それからその黒字の中で対米は一体どれだけ占めておるのか。それから、アメリカ貿易収支赤字は八三暦年ではどういうふうになっておるのか。あわせて、八四年の一クォータが終わっておるわけでありますから、その一クォータ動向といいますか、この貿易収支赤字の問題というのは、日米間でさらに拡大をする方向にあるだろうし、いろいろな予測を見ると、アメリカ貿易収支赤字及びやがては経常収支赤字にまで発展するであろうアメリカ現状というものは、八四年においてもなかなか予断を許さない条件にあるのじゃないだろうか。それをカバーするためには、この際やはり何としても今大臣がおっしゃったような円ドルレートがより円高ドル安になることを期待をするけれども、あわせて今の金融サービスその他によるところの経常収支の処理の仕方にも関係がある、こう思っておりますので、その客観的事実として大蔵省の方から、今の貿易収支状態をちょっとお答えをいただきたいと思います。
  9. 酒井健三

    酒井政府委員 お答え申し上げます。  通関ベース数字で申し上げますが、日本の一九八三年の対世界全体の貿易収支黒字は二百五億三千万ドルでございます。そのうち対米の黒字は百八十一億八千万ドルということでございます。  他方アメリカの方の、これも通関ベースでございますが、対世界全体の貿易収支赤字は六百九十三億四千万ドル。そのうち日本に対する貿易収支赤字は二百十六億七千万ドルでございます。  なお、貿易収支のほか経常収支ベースがあるわけでございますが、貿易収支はどうしても向こうのFASとかこちらのCIFとか、そういう違いがございます。ごく最近IMF世界経済見通しを発表いたしております。それによりますと、暦年で申し上げまして、日本は一九八三年が経常収支で二百二十三億ドル黒字、それから一九八四年二百九十億ドルという数字を発表しております。  他方アメリカの方は、このIMF世界経済見通しては、一九八三年三百四十三億ドル、それが一九八四年には六百八十億ドル赤字というふうになっております。  なお、この経常収支には、IMFの今回の数字のときには公的移転収支、余り大きな金額ではございませんが、それがちょっと含まれておりませんので申し添えさせていただきます。  なお、最近の日本通関動向でございますが、今ちょっと詳細な数字を持っておりませんが、やや黒字拡大する基調の方向であるということは申し上げられます。
  10. 堀昌雄

    堀委員 大臣、今お聞きのとおりで、私はアメリカ大統領選挙を前に控えて、アメリカ自体の中に問題がかなり多いというふうに実は見ておるわけであります。特にここで我々が考えておかなければなりませんことは、どうやらアメリカがこれまでの債権国から債務国に転換をするおそれがあるんじゃないかということでありまして、ことしの二月八日にFRBのボルカー議長は、八五年には債務国に転落する可能性もあるということを実は発表しているわけであります。  ですから、これらの問題を見ますと、日本の今の国際収支状況というのは大変改善が進んでおりまして、そういう意味では私は、日本はもう少し力があるんだからそれなりの対応をしてくれというアメリカ要求は、それなり理解ができるということであります。ただ、この前も小委員会の冒頭に私は申し上げたのでありますけれども、やはり一つの国のいろいろな金融あるいは資本市場のあり方というのは、その国の歴史的な発展と沿革によって、おのおのその国固有のシステム、構造ができ上がっておるというわけでありまして、その構造全体でバランスをとりながらその国の経済が動いておる。ですから、要するにアメリカからの要請は、私設昭和三十七年か八年ぐらいから金利自由化ということを当委員会で主張して今日まで二十年、まだなかなか思うようにはなっていないのでありますが、ようやく金利自由化の入り口へは到達したな、こういう感じがしておるのであります。ですから、自由化そのもの、あるいは金利自由化もあるし、市場開放も、本来それは日本が独自に進めなければならない問題であります。この間も大臣関税定率法のときもちょっと議論をしかけて、大臣が動かれたために中断したわけでありますけれども。ただ大事なことは、外圧があれば妥協するけれども、外圧がないとそういう自由化なり開放のテンポはできるだけ遅く、護送船団を大事に守ろう、こういうことでは、今のアメリカ要求に対しても時間がかかって、アメリカ側としては納得ができない、こういうことになるのではないか。  ですから、そういう意味では、今一番求められておるのは、国内における自由化なりあるいは開放なりの問題をこれまでより以上に真剣にみんなで考えるということにしない限り、アメリカとの摩擦は解消できないのではないか、私は実はこう思っておりまして、それは何も外圧利用しようとかなんとかということではなくて、本来日本がやるべきことをここで速やかに対処することによってアメリカ側の要望にもこたえるような道が開けてくる、こういう認識なのですが、大臣、その点についてはいかがでしょうか。
  11. 竹下登

    竹下国務大臣 おっしゃいますとおり、私もいわゆる表現としては主体的かつ積極的に取り組むというような表現を使っております。その主体的という問題は、確かに広範な意味を含んでおりまして、どうしても、今御意見の中でおっしゃいましたように、我が国のいわゆる護送船団方式によって守られて、できるならば現状維持のままでじわりじわりおったがいいという気持ちが潜在的にはあると私は思っております。したがって、まず原則的に自由化国際化は逆行しておるなどと思っておる人はいないわけですから、それがためにはみずからのいわゆる自己責任主義というようなものの上に立って、自由化そのものは避けて通れない道だから、自分たちで、心の整理をも含めて環境の整備を図っていこう、こういう気持ちになっていただくのが一番好ましいと私も思っております。  したがって、まさに毎日毎日継続して個別案件として来るその外圧だけに恐れおののくことなく、みずから必然性を持って到達するであろうことを予測して心の整理と環境の整備をやっていくという心構えに日本資本市場金融市場全体がなっていかなければならぬ課題だ。したがって、こういう論争は国会でやっていただきますと、少なくとも金融界の諸君あるいは証券界の諸君、関心を持ってまいります。そういうことが我々の日常のいわば業界との話し合い等の中でも当たり前の姿になっていくような環境醸成というものは、個人個人、大臣大臣としてやはり心がけて対応していかないといけない問題だ。それと、映りますのは、何か外圧に屈して個別案件を一つ一つ処理しておるにすぎないという形では国際的にもいけませんし、したがって、そういう印象に受け取らないような受け入れ態勢の、個々が心の準備と環境の整備を積極的に図っていくという雰囲気を、これは少し出過ぎた言い方では指導していかなければいかぬというふうに思っております。
  12. 堀昌雄

    堀委員 私が昭和三十七、八年ごろに、金融自由化がどうしても必要だと考えた最大の理由は、要するに当時の金融政策を見ておりますと、一番大きく日本銀行が使っておりましたのは窓口規制であります。その次に公定歩合操作。その公定歩合も、当時は五厘というような、日歩五厘ですから大変わずかな差でして、問題にならない。私は当委員会で、これをパーセンテージに改めるべきだということで主張して、それはやがて日本銀行も取り入れられてパーセンテージにかわってきたわけでありますが、そういう時代にいろいろと外国の状態を調べてみると、日本にないものが二つありました。一つはオープン・マーケット・オペレーションです。もう一つは準備率の操作であります。  私はそこで、どうしてこれらができないのかと調べてみました。そうすると、準備率の問題はそんなに難しい問題ではない。やがて導入されたわけでありますが、オープン・マーケット・オペレーションだけは、金利自由化をしていない限り、実はこれは使えないということがわかりました。  私は、金融政策の中ではこのオープン・マーケット・オペレーションというものは非常に広範囲に影響力が持てる大変いい金融調節手段だ、こう考えたわけでありまして、同時に当時の日本の高度成長というものが意図的な低金利政策によって行われて、その結果が投資を引き起こしたことはプラスではありましたけれども、当時の状態ではすぐこれが外貨にはね返って、外貨準備が急減するために、そこで今度は引き締めに転じてと、こう行ったり来たりということをやりながら、しかし低金利政策は結果的には日本の高度成長を支えることになったのでありますが、これは私は、金利自由化されていないために異常な高度成長が続いたという点で、プラス面もありましたけれどもマイナス面もあった、こう見ているわけであります。  今日アメリカが要望しておる中にも、オープンマーケットをひとつ何とかつくれという要求が非常に大きなウエートを占めておる。私は、二十数年前にオープンマーケットが必要だという認識に立って、今日まで当委員会で何回かごの問題を論議をしてきましたが、ようやくこのオープンマーケットのこれも入り口に差しかかったかな、こういう感じなのであります。  そこで、今度、最近でありますか、大蔵省銀行局、証券局が、かねて懸案になっておりました銀行の国債のディーリングについて、六月一日から大体こういう対象に対して認めるという発表を新聞で見ましたが、この経過について、これは証券業務でありますから証券局長の方からちょっと答えてください。
  13. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 御指摘の問題につきましてはかなり長い経緯があるわけでございますが、かいつまんで申し上げますと、数年前から、国債が大量に発行される、そのかなりの部分が銀行によって引き受けられて保有をされるという状態があったわけでございます。そのような状態を受けまして、先生御案内のとおり、証取法六十五条には銀行の証券業務を禁止する規定が入っておりますが、例外として国債、地方債、政保債といった公共債については禁止を解除している規定があるわけでございます。こういった事柄を前提といたしまして、わが国においても銀行でそういった公共債についての証券業務をやってはどうかという御主張がかなり広範囲に起こってきたわけでございます。  そこで、いろんな経過を経た後に、証取法六十五条を受けます銀行法系統のいろいろな法律の手直しをいたしまして、法律的にはできることになったわけでございます、業態によって若干規定は異なりますが。そういった状況で、それでは今度はいつから証券業務に参入していくかという点につきましては、やはり段階的にやっていかないといろいろな混乱も起こるだろうということがございまして、俗に三人委員会と言っております大臣のプライベートな相談相手の場でいろいろ御議論をいただいて、二度に分けて結論をいただいたわけでございます。  その二度に分けた中身を一緒に申し上げますと、まず証券業務のうちのいわゆる窓販、窓口で新発債を売る行為については、長期債については昨年の四月から、それから中期国債につきましては十月からやったらどうだということでございますし、それから最終的に残りましたディーラー業務につきましては五十九年の六月からやったらどうか、こういう内容の御結論をいただいたわけでございます。ただ、そこで触れられているのは、一つはディーラー業務というのは証券業務としても非常に複雑かつ危険負担の多い業務でございますから、とりあえずこの六月からは残存二年未満の期近債について認可をする、それから一年たったら全体に広げていったらどうか、こういうお答えをいただいて、それをもとに大蔵省としましてはいろいろな細部の詰めをやって順次実行してきているわけでございます。  御質問のディーラー業務については昨年の五月十九日に三人委員会のお答えをいただきまして、それを受けて大蔵省として大筋の基本方針を決めたわけでございます。その内容は御案内のとおりでございますが、通常の窓販と違いまして勘定を区分する必要があるとか、組織も本来の銀行業務とは区分をしてやる必要がある、そういった点を検討の上この六月からやったらどうかというのが大ざっぱな中身でございます。  この考え方を受けまして以後、銀行局といろいろ詰めをいたしました。実際に市場に与える影響はどんなものだろうかということも、既に行われている窓販業務の実績等を見ながらいろいろ見てまいりまして、先般一応私どもとして、基本的には去年の五月の決定の考え方を踏まえて、具体的にどういう銀行に認可をしたらいいのかということで答えを出しました。ただ、これはどういう銀行に認可の申請をさせたらいいかという結論でございまして、これから先個別の銀行から認可申請が出てまいります。その中身はいろいろ審査をして、本当に我々が期待しているような組織の分離なり勘定の分離ができているかどうか、それから危険負担に耐え得る能力があるかどうかというのはこれからの検討の問題でございますが、大ざっぱに申し上げますと、そういう経過でございます。
  14. 堀昌雄

    堀委員 実は、前回の銀行法の改正問題のときに、私はこのディーリングについては慎重に扱ってもらいたい、こういう考えでございまして、特に問題は、今証券局長触れられましたけれども、私がちょうどこの問題を取り上げた昭和五十四年の十二月に、当時六・一国債が大変暴落をいたしまして、そこで統一経理基準の上で原価法、低価法の選択を銀行側に任せるという異常な処理がされた時期であったわけであります、私は、実は、あの統一経理基準というのは高橋さん、ゴリさんが銀行局長のときに、銀行の預金量だけで順番が決まるのはおかしいではないか、サウンドバンキングの内容によって順位が決まるというか、そういう新格付基準というようなものを銀行局はひとつ検討すべきだという提案をいたしまして、それが統一経理基準として実現をしたわけであります。  そういうふうな銀行によって低価法だ、原価法だということになりますと、これは非常に問題があるということで国会でも議論をして、統一経理基準としては証券勘定を除いてみようというような処理ができて、そのことはかえって証券勘定があったときの統一経理基準よりはより実態が明確になったということで、結果としてはプラスであったと私は思っているのですが、そのときにアメリカがやっておりますように、投資勘定と商品勘定がきちんと分けられるべきだ、今証券局長が言われたように、その処理の組織もそういうどんぶり勘定のようなところでやられては困るなという考えでおりましたが、そういう点は今回は銀行局としてもきちんと対応されておることだと思うのでありますが、銀行局長の答弁を求めたいと思います。
  15. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 ディーリングにつきましては、先生かねてから御指摘のように、大変リスキーな商売でございます。銀行局といたしましてはサウンドバンキングはぜひ守らなければいけないということで、今証券局長も指摘しましたけれども、投資勘定と商品勘定を十分分ける、それから組織的にもそういうディーリング部門といわゆる普通の部門とを分けて仕事をしていくというような、はっきりそういう体制ができるとか、それを踏まえた上で私どもとしては認可をしていきたい、こう思っておるわけでございます。  先ほどの決定は、認可申請書を出してもらってもいいというところを決めたわけでございまして、これからいろいろ検討した上で具体的に認可手続を進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  16. 堀昌雄

    堀委員 そこで、これからのことでありますけれども、実はこの間瀬戸山地方銀行協会の副会長においでいただいたので、ちょっと厳しいかなとも思ったのですけれども——地方銀行は次々と、現在はある一定の範囲と限られておるようですが、できるだけ全部やりたいというのがどうも地方銀行協会の意向のようであります。どうも日本の銀行というのは、長年の習慣があって、要するに一律方式といいますか、右へ倣えで、できるだけ皆同じようなことに足並みがそろっていることを非常に重視するという傾向があります。このことは、期末決算の状態でも現状でも、恐らく計数処理のためのドレッシングが相当に行われているんではないか、こう見ておるわけであります。このディーリングでも、本来のディーリング業務をやることによって、銀行経営について意欲を持ってやろうということなら、私はそれなりにディーラーとして評価していいと思うのでありますが、今の横並び方式で、これに参加できないのは銀行としてのステータスに差がつくんだというような認識で申し込まれても困りますよということ。地方銀行は率直に言って、全部が今そういうことができるほどの資金的能力といいますか、あるいはディーラーをやれる能力というようなものがあると実は私考えていないものでありますから、ただ横並び方式だけで手を挙げられたりしたら、それはその銀行にとって大変なマイナスになる、こういう気持ちが強いものですから、あえて公式の場で、大変厳しい発言ではありましたけれども、そういう発言をしたわけであります。  これらの問題については、証券局、銀行局ともにひとつディーラーとしてそれを認めたものに不測の事態の起こるようなことのないような慎重な対応をぜひしてもらいたい。私もあの銀行法の当初のときに、今度の銀行法の改正というのは銀行のサウンドバンキングのための法律事項が全部ある、ところがここの部分だけは、実はそういう長期国債のディーリングについては非常に問題がある時期だから慎重にやってもらいたい、こういう意見でありまして、その五十四年十二月のときでも、例えば今問題になってきておりますけれども、TBのようなサイト九十日くらいのものならば、今日直ちにやってもらってもちっとも構わぬと私は思う。それはもしディスカウントしても九十日持っていればもとへ戻るのでありますが、長期国債は、その時期によっては必ずしもそういうわけにいかないという問題があったので、私として慎重に対応してもらいたいと強く要望したわけでありますが、そのことと、今私が問題提起をしております横並び方式から安易に手を挙げたりすることのないような対応を、ぜひ銀行の健全化のために厳しく対応をしてもらいたい、こう考えておるわけです。それについては事務局から先に言った方がいいのか、もう大臣がお答えいただいていいのか……。お答えをいただきたいと思います。
  17. 竹下登

    竹下国務大臣 五十四年の十二月、低価法、原価法で、あのときも私、大蔵大臣になったばっかりでして、堀さんの質問がわからなかった。一生懸命勉強しまして、辛うじて答えてきたという私の記憶があります。  ディーリングの問題、私なりに一つよかったかなと思いますのは、いろいろ困って、窓販も含めてですが、三人委員会というのをつくった、河野さんと森永さんと佐々木さんと。あれは考えてみると法律とかによらない、まさに大蔵大臣の私的な相談の機関もいいところですけれども、あの業界の方から見れば、やっぱりこれは大変な重鎮といいますか、それで時間かけていただいて、それが今日に至るまでの筋道を、決して隠れみのとかいう意味でなく、もっともらしく——もっともらしいといいますか、人物そのものがもっともらしゅうございますね。それで段階を踏んでここに至った。この間から部内で詰めておりますが、いよいよサウンドバンキングというところを念頭に置いて、地銀の各位の出てきたものに対する審査をしなきゃいかぬ。今おっしゃいましたように、非常に素人っぽい話をしましても、すぐ、いや、各財務局ごとに一つあるだろうかとか、預金量の順番に並べてみたらどうだとか、いわば一律方式みたいなのがやっぱり一番危険だ。だから本当にこれは慎重にやって、ところによっては今のような状態、私が素直に言ったような各財務局ごととか、そんなことがなくても、やっぱりサウンドバンキングということを基本に考えて、きちんとした指導をしながら認可しなきゃいかぬということは、おおむね私を含めて最高幹部話し合って、その方針は御趣旨のとおりの気持ちを体してやろうという意識統一だけはできております。
  18. 堀昌雄

    堀委員 そこで、今課題になっておるのが、六月一日以降、要するに満期まで二年以内の期近債というものが今のディーリングの対象になる。これは一年たったらオープンになるようですが、当面この一年間の、要するに対象になる国債の状態ですね、ちょっとこれを理財局長の方から答えていただきたいと思います。
  19. 西垣昭

    ○西垣政府委員 御指摘のように、期近債言われるものが非常にふえてまいりますが、非常に厳密に申しますと、新しく発行される国債の期間をどう想定するかということで若干違ってまいります。そこで、正確を期しますために、既に発行されているものだけということで申し上げますと、五十八年度末、つまりことしの三月末現在で、あと半年後までに期限が到来するものが約三兆円ございます。一年後に期限が到来するものが約六兆円ございます。したがいまして、半年から一年という刻みでいきますと、そこは三兆ということになります。それから、一年半後までに期限が到来するものが十兆でございます。したがいまして、一年から一年半までのところが約四兆ということになります。それから、二年以内に期限が到来するものが約十六兆でございます。ですから、一年半から二年までの刻みの間では約六兆が到来する、こういう姿になっております。
  20. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、結局全部をトータルをすると、これは幾らになりますか。
  21. 西垣昭

    ○西垣政府委員 したがいまして、ことしの三月末現在で、二年以内に期限が到来いたしますものが約十六兆でございます。
  22. 堀昌雄

    堀委員 まあこれからディーラーがスタートするのに十六兆というのは、ちょっと一見大変大きいように見えますけれども、市場として見ると必ずしもそんな大きな市場ではないというふうに思うわけであります。というのは、日本の今の短期金融市場でありますけれども、今日本でやっておりますのは一九八三年十二月末で、これはドルになっていますが、オープンマーケットは二十一億ドルぐらい、現先が十四億ドル、CDが七億ドルということで、アメリカは一九八二年の九月末で千二百八十一億ドルというのがオープンマーケットの規模だ。こうなっているわけで、今度は短期市場オープンマーケットに今の国債が新たに加わってくる。もちろんこれは短期と言っていいのかどうか、いろいろ二年というのがありますけれども。  何にしても、少なくともこのことは今のオープンマーケットをつくっていく上では一つの大きな前進ではないか、私はこう考えておりまして、全体の流れの中から見てこの問題は非常にタイムリーな問題としていい、こう思っておるわけであります。当然これからは、今局長が言われたように六カ月未満が三兆あるんですけれども、これから六カ月たつと六カ月未満がまたふえてくる。ですから、時間の経過とともに相当短い期近債が動いていく。そのディーラーが行われるということは、結果的にはオープンマーケットの中ではかなり金利自由化を促進をするということになるし、同時にそのことがCDや現先の金利裁定にも加わってくるわけでありますから、そういう意味ではこの一九八四年の六月以降というのはようやく日本でオープンマーケットらしきものが動くようになるんだなという点で、私は大変結構だ、こう考えておるわけであります。  そこで、国内の問題はそこまでにして、一つこの前がなり問題にしましたのは、例のユーロ市場でユーロ円債の発行について、アメリカ側が主幹事をアメリカにも開放しろという要求が出ておるということがございました。  いろいろ調べてみますと、ドイツもスイスも、いずれもこれは通貨主権という形でこの主幹事はよその国に渡していないわけであります。アメリカは自由にしているというのでありますけれども、アメリカはキーカレンシーでありますから、これはもう自由も何もあったものじゃないので、当たり前のことでありまして、そこで日本側にその主幹事をよこせという話ですが、本来ユーロ円市場というのは、何といいますか、公式に認められておる市場というふうには私は認識をしていないわけでありまして、言うなれば中央銀行の通貨対応のコントロール外にある市場だ、こんなふうに認識をしております、間違いはないと思うのでありますが。  そうすると、そういうところで行われるユーロ円債の主幹事というものは、やはり日本側が持っておることによって、通貨当局はコントロールできないけれども間接的なコントロールが可能になるということの方が望ましい。外為法上、非居住者についてはこのユーロ円債は許可制だ、それから居住者については条件つきで届け出制、こういうことになっているようでありまして、そこで歯どめがかかるからという話のようでありますが、ここが大臣、非常に重要な問題なんですけれども、私はそういう歯どめは適当でないと思っているんですよ、これからの市場開放の場合には。そういう歯どめはスイスにもドイツにもないのじゃないか。それをなくして、しかし主幹事で実はドイツやスイスはコントロールをしようとしているということは、通貨主権の立場から極めて重要な問題だ、こう認識をしておるわけです。マルクはいろいろな点で貿易の通貨として準基軸通貨のような役割を、日本に比べてはるかに大きく果たしておる通貨でありますが、それでもそういうふうな対応をしておるのに、日本だけが何もスイス・フランやマルクと異なった対応をアメリカ向けてする必要はない。これこそまさに通貨主権という極めて重要な問題に関係があるので、この点は私は、日本政府としては、私が言った外為法上の規制の方はやがて取っ払うのが筋だと思うのです。そういう非居住者には許可制だとか、そのことはアメリカが言っておる問題に必ずはね返ってくるわけですから。  だから、今度の電電関係のいろいろな問題についても、当初原案には外資規制の問題がいろいろ出ていました。私、幾ら外資規制をしても、やがてこれは押されて取っ払わなければならなくなる、だから、外資規制がなくても競争力のある新電電にできるように考えることが最も重要だ、こういう考えで、完全当事者能力を与えて、自主的な競争力を持たせることが外資規制を乗り越える重要な問題だから、その点をひとつ十分に考えてもらいたいと大蔵省の事務当局の幹部に申し上げて、この皆さんも、私どももそう思います、こういうお答えをいただいたわけであります。  要するに、私はそういう意味で、いろいろな細かい規制を今つけて、それでここを何とかすり抜けようとしてもそれはだめなんであって、大筋のところで勝負ができなければいかぬ、そのときにはマルクもスイス・フランもこうなっています、日本もこれ以上は譲歩できませんと言うことは、国際的に見てちっともおかしくない。だから、国内の方はきちんと自由化します、しかしここは譲れませんというふうにきちんとやるのが、さっき申し上げた日本の主体性によってこの問題に対処する道ではないか、こう考えておるのでありますが、大臣いかがでございましょうか。
  23. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お答えいたします。  御質問が多岐にわたっておりますが、主としてリードマネジャーの問題のようですので、私からお答えいたしますが、将来ユーロ円債市場がだんだん規制が緩和されていく、そうしますと、そこでのリードマネジャー、現在は我が国の証券会社に限定しておりますけれども、これがどの程度そういう状態のままでいけるかという問題だと思います。従来は先生御指摘のとおり、通貨主権ということから我が国の証券会社に限定してきた。御指摘のように、ドイツやスイス・フランの場合も、結果としてその国のマネジャーに限定されているということはそのとおりだと思います。ただ、ユーロ円債市場がだんだん育ってまいります場合に、どの程度そういった規制をしていくかということと、結果としてどの程度外国の証券会社がマネージにかかわってくるかという話とは一応別の問題だとは思います。  そんなことも踏まえまして、今回この問題については、まだこうすると決めたわけじゃございませんけれども、従来はどきつい縛りをこれからもずっとかけていくというわけには形としてまいらないのではないかという感じを持っております。かたがた、日本の証券会社あるいは銀行も、ここ数年非常に海外で成長といいますか発展をしておりまして、仮に全く何の規制もない状態で外国の証券会社と競争させたとしても、にわかにそうすぐ商売がみんな向こうに行ってしまうというような、それほど弱いものではなくなってきているわけであります。ですから、そういった我が国の企業の成長発展の状況、それから全体の市場の発展成長の状況、その中における日本の地位、そういったものを総合的に見ながら段階的に、そこは形としての規制は緩和をしていくという方向は自然な流れだろうと思うわけであります。そういった観点で今いろいろなことを考えております。  ちょっと脱線いたしますけれども、今先生の御指摘は非居住者の問題だと思いますが、居住者、つまり本邦の企業がユーロ円市場で債券を発行するときに、そのリードマネジャーを外国の会社にとられるようでは、日本の会社として何をやっておるのかという感じすらするぐらいの問題でありますから、ここは外的な規制と実力の問題と両方考えていけば、そうシリアスな問題ではない。ただ手順は踏み、段階は踏む必要はあるのではないかという感じはいたしております。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的にキーカレンシー、通貨主権、これは私の私的な感じも非常に加わっておりますが、アメリカの諸君と話しますときには、既におまえのところは、円はキーカレンシーだというその認識が確かに強いんですよ。なるほど客観的に見ると、要するに世界の〇・三%の面積の中で一一%以上のGNPを上げて、今日確かにそれはドイツ・マルクなどよりも国際性は薄いが、ドイツというのはたまたまヨーロッパの陸続きの国にあってそうなっておるのであって、既にいわゆるドイツ・マルクよりもジャパニーズ円の方が、キーカレンシーそのものと認識してしかるべきだという認識があるわけですね。そこに若干通貨主権の問題ともかみ合わない点が議論として確かにございます。  今度現実問題で考えてみると、競争力もこちらもついておりますし、別に規制がなくても、自然の流れとして、本邦資本なり本邦の合弁なりがリードマネジャーになっていくという流れもあろうかと思いますが、向こうの主張と私どもとの認識の差はもっと、これは堀先生に対する答弁としては少し次元の落ちる語ですが、例えば、さあ戦争が起きた、ドルを持って逃げるやつがおっても円を持って逃げるのはいないのじゃないか、こう言いましても、いや、世界の国民はもう円を持って逃げるのじゃないか、それぐらいな認識で、そこのところについてはかなりの乖離があるな。だから向こうさんの方は、円はそのうちまさに避難港としての役割を果たすくらいの力がもう既にあるのじゃないか。その認識の相違というのは私もあるなと思っておりまして、この問題もこの間来、今証券局長が話しましたが、一応国内の協会に話せば、それは通貨主権の話が通りがよろしゅうございますけれども、いろいろ我が方で議論をして、向こうから提起された問題についての段階的対応の仕方というようなものを、これも最高首脳だけで協議しておることは事実でございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 アメリカがどう思うかというのは、こっちがどうこうできませんからね。仕方がないんですけれども、今の基軸通貨であるかどうかという点は、これはIMFの八三年の年次報告ですけれども、ドルは準備通貨のシェアとして七七年には七九・四であったのが、八二年には七一・四と、要するに八%ほどシェアが下がっていますね。日本は七七年には一・二%だったものが八二年には三・九%とわずかにふえている。しかし、ドイツ・マルクは八・二から一一・六にと、これは日本に比べて実ははるかにウエートが高いわけで、現在、八二年ですが、七一・四のドルのシェアに対して三・九ではとても準基軸通貨などというふうに言えるほどのものではない、これは客観的にですね。  同時に、国際金融局が貿易関係における円の取り扱いについてアンケートで詳しく調べておられるのを見ても、これはもう一つ構造的な問題があるということがよくわかるわけですね。日本の輸入の中で円のウエートというのが大変低いわけでありますけれども、今大体三%程度ですか、輸出は三七%ぐらいある。これも商品により、あるいはいろいろな地域により違いはあるようですが、どっちにしてもその資料を見て私が感じたことは、努力をしても今の輸入に円建てはなかなか難しい。商品が例えば油というようなものは、これはもうドル市場が成り立っているものですから、これはドルしかないし、いろいろなものをずっと一つずつ個別に見ていきますと大変難しい。確かにBA市場をつくるとかいうことがプラスには働くと思いますけれども、それが大変なシェアを拡大できるかというと必ずしもそう簡単ではない、こう私は見ているわけですね。ですから、そこらのところはやはり現状認識の上に立って、ひとつ大臣にはアメリカとの話はちゃんとやっていただきたいと思うのですね。  そこで、もう一つ証券局長に伺いますけれども、この問題は、リードマネジャーの問題の中に、これまでは大体証券業の者がやるというあれだったのですが、こういう際に、あるいは現法の銀行も自由にできるのじゃないかというような話も出ておるわけですが、証券局長の立場ではこれについてはどう考えておられるかをちょっとお答えをいただいておきたいと思います。
  26. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お尋ねの問題は、いわゆる銀行系の現法の問題だと思います。堀先生は既に仕組みなり問題の所在を御存じだと思いますけれども、我が国の銀行がヨーロッパなりアメリカに進出していきます場合に、観念的には、支店の形態で進出するやり方と、現地に子会社法人をつくって進出していくやり方とあるわけでございますが、現実には向こうのライセンスをいただく難易度の問題がありまして、現地法人という形で進出をしているわけであります。  そういたしますと、ヨーロッパ大陸では銀行ライセンスの中には証券業のライセンスが含まれておりますので、両方できるということで、現実に両方の業務をかなりやっておるわけであります。ところが、本邦企業が主としてヨーロッパで債券を発行する場合に、形としては現地の独立した法人でございますし、証券業のライセンスを持っているわけですから、マネジャー業務は可能なわけでございますが、ただ、実際の状況を見ますると、日本国内における親銀行と発行企業のいわゆるメインバンクであるとかいろいろな関係から、実質的なアレンジメントを現法でない場所で行われる可能性が多分にあるわけでございます。現実にも、そういう状態が具体的な案件として起こったことも過去にございます。これは証取法の六十五条で、日本の銀行の場合はヨーロッパと違って、先ほど申し上げました公共債の業務以外の証券業務を行うことを禁止されておりますので、今申し上げたような実態が仮に起こるとしますれば、これは証取法六十五条によって禁止された行為が国内で行われるという実態になるわけであります。したがって、この問題は形としては外国とのかかわりの問題ではありますが、私どもの認識といたしましては、すぐれて国内の問題だというふうに認識をしておるわけであります。  そこで、従来俗に三局合意と言われる大蔵省の中の意思統一の結果として、証券業務を全くやっていかぬというわけではないけれども、少なくともリードマネジャーになるとか、あるいは外国では広告でツームストーンと言うのですけれども、墓石の形をしたところにマネジャーの名前を並べる、その場合の順番でありますとか、そういった点について証取法六十五条の規定趣旨を逸脱しないようにという指導をやってきているわけであります。  今回、ユーロ円債にかかわります、これは円でありますが、当然外債になるわけでありますけれども、その問題を議論する際に、一体この点はどうなるのかなという問題が、業界を初めとしていろいろなところから提起されているわけでございますが、私どもの大蔵省としての考え方は、これは内政問題である、つまり、非居住者の場合はそういう問題はございませんので別でございますが、本邦企業にかかわる限りは内政問題であるということで、考え方としては従来の方向を今直ちに変えるべき問題だとは考えておりません。ただ、こういう問題というのは、世の中がどんどん動いていけば、当然その指導の内容は変わってくる、あるいは指導そのものは変えなくても、実態的に問題が生じたときの対処の仕方が変わってくるというたぐいの性質のものですから、未来永劫そういうことをやっていきますという意味ではございませんけれども、少なくとも今回の問題とは切り離して考える、大体そんな立場に立っております。
  27. 堀昌雄

    堀委員 今のお話を聞いて、今度の問題はユーロ円債の市場の問題でありますから、それはユーロの問題、国内としては別に変わったことは今ないので、やがて全体の自由化の過程の中でまた変わり得るという話は当然だと私も思いますが、では、それはそういうことに認識をして、ちょっとここで話題を変えまして、竹下大蔵大臣、実は今社会労働委員会に健康保険法の改正案が出されております。この改正の目的は——関係者、保田次長以外は御退席いただいて結構です、ここまでで終わりですから。要するに健康保険法の改正は、医療費がだんだんふえていく、所得保障、年金も予算上必要なので、この医療費を少し圧縮したいというのが健康保険法の問題の提案だ、私はこう認識しておるわけなんですが、そこで実は数日前に私どもの沢田委員が国鉄病院の赤字の問題に触れておられるのを聞きながら、実はこれは国鉄の病院だけではなくて、国立病院においても、あるいは地方の自治体病院においてもだんだんと赤字がふえつつあるというのが客観的な今の情勢なのであります。  そこで、今これから厚生省と自治省にちょっと簡単に病院の赤字がふえつつある状態というのを御報告をいただきたい。そういうふうに赤字がだんだんふえつつあるのに、さらに医療費を圧縮をして、保険法が通ったりすれば、この赤字に対しての将来の問題というのはどうしようもなくなる。しかし、今日本ではプライマリーケアをやっておられる一般の診療所の皆さんの役割も大変大きいわけでありますが、あわせてやはり地域における公的病院が果たしておる役割というのは、日本の国民の健康を守るために極めて重要なものでありますから、それがだんだん累積赤字がふえてきて、にっちもさっちもいかなくなるようなことをそのまま見過ごしておいていいとは言えないというのが私の認識であります。  ちょっと厚生省の国立病院課と自治省と、順次ひとつ今の実態を御説明してください。
  28. 古川武温

    ○古川説明員 国立病院について申し上げます。  国立病院の経常収支率でございますが、五十三年から五十七年まで申し上げますと、五十三年が一〇二・八、五十四年が一〇一・五、五十五年が九九・二、五十六年が九九・○、五十七年が九八・三でございます。  赤字病院の数は、割合で申し上げた方がよろしいと思いますので割合で申し上げます。今と同じ順序で五十三年から申し上げますと、四〇・四%、四三・二%、四九・〇%、五五・六%、六〇・六%でございます。
  29. 石田淳

    ○石田説明員 自治体病院の関係につきまして状況を申し上げますと、五十七年度決算におきましては、経時損失、いわゆる赤字を生じた事業数は、七百二十二事業のうち三百七十八事業でございまして、その赤字の額は五百五十一億円となっております。また、累積欠損金、これは過去の赤字の累積でございますが、累積欠損金を有している事業数は、昭和五十七年度で四百七十四事業、その額は三千百三十七億円となっておりまして、五十七年度は給与改定の見送りもございましたので、若干好転した傾向もございますが、やはり今後の自治体の病院の財政事情は非常に厳しいという状況でございます。
  30. 堀昌雄

    堀委員 大臣、今お聞きになったように、国立病院で六割赤字なんですね。そして、自治体病院は今の数でいくと約半分ぐらい赤字だということでして、累積赤字は大変なものがあるということなんですね。なぜこういうことが起こってくるのかといいますと、私も昔、ずっと医師会の仕事をしておりましたので、常識的に見て、公的病院というのはかなりベッド数がありますし、ベッド数があるということは、今完全看護をほとんどやっているわけですから、一定の看護婦はどうしても必要になる、こういう条件がついているわけですね。その看護婦は一定の数が要る。さらに、パラメディカルの人たちも相当に要る。こうなりますと、要するに、一番問題になっているのは私は人件費だと思うのです。  もう時間が十分ありませんから私の方でちょっと言いますが、実は診療報酬の問題が五十三年のたしか二月か、六月だったかな、上がって、要するに次は五十六年に診療報酬の改定があった。しかし、診療報酬の改定があったけれども、薬価基準は大幅に下がったものだから、実際は二%程度のプラスにしかならなかったというのが現状なんですね。そうすると、今日まで大体六年間、見るべき診療報酬の改定がない。しかし、国家公務員はストップをしたりしたけれども、人事院勧告があればすべての就業者は全部人事院勧告でベースアップになる。自治体もこれを受けて、自治体がベースアップをすれば、これにはね返ってベースアップがある。診療報酬はちっとも上がらないのにベースアップだけが動いていく。これでは赤字が出るのは当たり前なんですね。  おまけにもう一つ問題なのは、今の診療報酬のあり方というのが、そういう規模別の問題、要するに病院としての費用の構成に何らかかわりなく、一律に決まっている。そうすると、要するに人件費がうんと少ないところは大変都合がいいけれども、人件費がふえるにつれて赤字はふえる。しかし、人件費はちゃんと払わなければどうにもならぬ。おまけに国立病院も自治体病院も、従業員は皆真剣に努力をしてその地域の医療に協力してくれておる。これは、まず第一に、今の診療報酬というシステムに問題がある、こう私は思っているわけですね。その点について、常識論として大臣、どうですか。私はそう思っているが、大臣はどう思いますか。
  31. 竹下登

    竹下国務大臣 常識論としては私もそうじゃないかなと。国鉄とか、我が方でも造幣なんかの病院ありますけれども、あれは一般開放してないというような、わかりやすい不採算性の問題が出てきます。それと、公的病院というのは初めから大変に不採算になるような医療を引き受けておるということもあろうと思っております。
  32. 堀昌雄

    堀委員 だから、今のこの報告をずっと受けたところではだんだん下り坂になっているわけですね、経常収支率も皆下がりつつある。そこへ今度新しい健康保険の問題が出てきて、これは加速するわけですね。この赤字がふえるやつを収入減らすわけで、当然支出の方は一定の支出が出るわけだから、加速をしていく。これは、だから非常に重要な問題なんです。私は、そういう構造的な問題に対応できるような診療報酬の新しい形態というものをこれから考えない限り、この問題というのはだんだんと泥沼の中へ足を突っ込むということになるだろうという気がする。これは所管、厚生省ですから、後で厚生省に聞きます。  大体、今度羽田さんが日本医師会の会長に就任されて、厚生省が法案を出してきておるには相違ないけれども、その後ろには大蔵省がおって、言うなれば大蔵省が締めるものだから、厚生省はやむを得ず我々の方へこういう問題をぶつけてきているという趣旨の発言を実はしておられることは、皆さんも御承知だと思うのですね。私も長年大蔵委員会におりまして日本の行政全体を見ておりますと、やはりどうも一番力を持っているのは大蔵省主計局だなというのが率直な実感であります。ですから、厚生関係については保田さんが生殺与奪の権を握っておる、これはもう間違いがないことです。だから、社会労働委員会議論をするよりも、ここの大蔵委員会大臣を前にしながら、行政の考えることと政治家が考えることは、やはり少し整理をしておかなければいかぬのじゃないか。私どもは現時点のものだけを見て考えておったんではだめなんでして、これから五年、十年先に一体国立病院、地方自治体病院はどうなるかという展望を踏まえながら、この国会というところは、そのときに問題がないような条件に持っていくことが私どもの任務だ、こう思っておりますので、そういう意味で、後で厚生省に聞きますけれども、日本の公的病院というのはいずれも国に関係をしておるわけでして、自治体病院というのも、自治体の一般会計から繰り入れたり、いろいろ苦労してなおかつ赤字、大変な御苦労をいただいておるわけでありますし、国立病院でもさっきのような赤字がどんどんふえてくるということは、これは大蔵大臣、財政当局としても別の面から考えなければいかぬ問題なんですね。だから、そういう意味で、大臣はこの問題について、大蔵省でも厚生省と十分相談をしながら、赤字がこういう格好で出ることを改善するような抜本的な方策の検討を考えるべきじゃないか、こう思うのです。  まず先に保田次長から、一番の実力者から答えてもらいましょう。
  33. 保田博

    ○保田政府委員 お答えをいたします。  国立病院とか地方公共団体等の公的病院が営んでおります医療というのは大変重要な役割を持っておる、御指摘のとおりでございます。非常に高度な医療、特殊な医療、がんとか小児医療あるいは救急医療、僻地医療といったような、いわば本来的に不採算な医療を営んでおるわけでございます。したがって、総じてその経営が楽でないということも御指摘のとおりだと思います。  でありますが、その中身をよく見ますと、国立病院の場合は、その赤字の非常に大きな部分は、グループ別にしますと転換病院といいまして、昔、国立療養所であったものを国立病院に切りかえたもの、こういう病院で赤字が生じておるわけでございます。でありますが、それらの医療機関もそれぞれの地域におきまして、一般的には町の診療所とか私立の診療所でもてあましたような医療、あるいは急を要するためにお医者さんがいないといったようなものを最終的に担保するという役目もございますので、これらの機能を十分に保つという観点から、我々はその経営についてかねがね非常に配慮をしているつもりでございます。でございますが、医療費というものは保険料、それから医療にかかったときの一部負担、それから最後に国庫、税金という結局その三つで持つしかないわけであります。医療全体というものは、我々としますと本当に特殊なものを除きましては、保険料ないしは一部負担で本来賄っていただくべきものではないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、本年三月の診療報酬の改定に際しましては、そういう国立病院等の入院に伴う負担がかなり高いのではないかということで、入院の点数を引き上げる。それから救急医療、なかなかこれ不採算なものですから、それに対する重点的な評価をするといったようなことで、多少の配慮を加えておるわけであります。  それから、今度御提案を申しております健康保険法の改正案の中におきましても、いわば非常に高度であるために多少研究的な部分もあるというような特殊な高度医療について、従来保険で見ていなかったわけですが、そういうものについても、国立病院の一部とかあるいは大学の病院といったようなところにおきましては、その医療の一部を保険で見るといったようなことも可能なような考えを導入いたしておるわけであります。  それから予算の面では、国立病院の収支差については、一般会計から年々補充を行うことによりまして、赤字が累積をしていくといったようなことにはならないように措置をいたしておるわけであります。  なお、地方公共団体の公的病院等については、本来地方の公営企業として経営が行われておるわけでありますから、その収支差は一義的には地方公共団体において措置されるわけでございますが、不採算な医療については、従来から多少の国庫補助を行うということで、財政的な援助もいたしておるわけであります。  しかし、いずれにしましても、医療というのは、先ほど申し上げましたような三つのルートでしか負担するわけにはいかないわけでありますから、いたずらに国庫が面倒を見るということがいいかどうかということは、先生よく御理解いただいておるところでございます。できるだけそういう面の配慮もいたしますけれども、病院の経営者の合理化といった面についても今後御努力をいただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  34. 堀昌雄

    堀委員 私の考えておる方向とは全然関係のない話ばかりで、今時間を食ったわけですね。  私が言っておることは、要するに人間がたくさんいる病院、人間が少ない病院、同じ診療報酬という今の甲表、乙表というのがあるんです。もう昔にできたんですけれども、そこの中をちょこちょこさわってみたところで、それはだめなんですよ。だから、要するにそういう病院における人件費というものについて、一体どういう対応をすれば、それがある程度カバーできるのかという抜本的な診療報酬の体系というものについて、ひとつ大蔵省も考える必要があるのじゃないか。  だから、私が言っているのは、今の細々したことは、そんなもの余り影響しないんです。一番影響しているのは、今私が言ったように、人件費の方はどんどん上がるんですよ。国家公務員は人勧が幾ら低くても上がる。診療報酬の方は動かない。ともかく六年ぐらい幾らも動いてない。それなら赤字が出て当たり前ですよ。給料がどんどんふえるのに、給料のふえた分には見合う収入、ちっとも認めてないというんですからね。このぐらい経済的にはっきりわかっていることはないんで、だからそういう意味でこのシステムを見直す。  私は、大体ここでいろいろ議論しているのは、そういう現象的なものを議論しているだけじゃないんですよ。システムをどう変えるかということによって、そのもの全体が一体どう変わっていくかということを求める問題提起を常にやってきておるわけなんです。大蔵大臣、ここからは政治的な問題で、渡部厚生大臣はあなた方の大変親しい仲間の一人でありますから、ひとつ渡部厚生大臣とよく御相談をいただいて、大蔵省の立場からも要するにそういう基本的な分析、厚生省は今来ていただいておりますけれども、問題、重要ですから、大蔵大臣が厚生大臣と協議をして、将来展望を含めてこれからの——どなたかはよく二十一世紀というような好きな言葉を持っておる人もおるわけですから、そういう意味で、二十一世紀とまで言わなくても、今後の五年、十年についてそういう公的病院が不安なく運営ができるようなシステムに、どう診療報酬の改定のあり方をつくればうまくいくのか、これはもう大蔵省には優秀な諸君たくさんいるんだから、厚生省の人と相談して大いに勉強してもらいたい、こう思いますが、大臣いかがでしょう。
  35. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、いつでも考えますのは、公的病院特に国立病院という角度から見ますと、建物もちゃんと国のお金で建てますし、医療機械も買うし、そうしますと、いわば一般の開業医さんのように償却もないし……(堀委員「税金もない」と呼ぶ)だから、中身が同じことさえやっておれば本当はいいはずだという極めて素朴な感じを持ちます。が、それが余りにも高度な不採算性部門とでも申しますか、僻地だ、緊急だ、がんだ、子供だという、そういうものはやはり今保田次長が言っておりましたが、個人負担か保険か税金か、その税金の面が及ばなければならぬところだろう。ただ報酬体系だけで考えますと、報酬というのは、国立病院へかかった場合の報酬とそうでないときの報酬とが違っておるというのも、なかなかこれは難しい問題だろう。したがって、これは怒られるかもしれませんが、私、政治家ですから、言ったことに対する責任を持つということも必要でございますが、ある意味において、国立療養所から転換してきた病院とかいろいろございますのは、本当はいわゆる合併ができないものかなというようなことも実は個人的には考えたことがございます。が、構造的に赤字を持つ分野があるという面は、私はそれはそれなり理解しておりますが、これはちょっと堀博士と素人の私と議論しても勝負になりませんから、もっと勉強してからまた議論いたします。
  36. 堀昌雄

    堀委員 問題点を履き違えないようにしてください。私は、国費をふやせとかなんとかいうことではなくて、要するに国立病院だけ特別なルールをつくれと言っているんじゃないのですよ。病院というものに対する対応のシステムを考えて、従業員がここまでの病院というのは大体このぐらいのこういう格好のシステムでいけるんじゃないか、ここからここまでの人数になると、これは人件費の問題を別個配慮しなければなかなかうまくいかないんじゃないか、そういう要するに規模別に、これは公的病院であろうと私的病院であろうと、私はその今の負担のかかり方は同じことだと思うんですよ。だから、そういうふうな少しきめの細かい、そして人件費の問題というものを十分頭に置いたシステムにしないと、今の診療報酬の体系というのは、そんなもの何も入ってないんですよ。だから、そこらをひとつ厚生省と十分相談をして、主計局も参加をしながら、要するに合理的なそういう形のものに変えるべきだという提案をしておるのであって、大臣も勉強してみるとおっしゃったから、一遍勉強していただいて、また二、三カ月してもう一遍やりますから、どうぞその勉強の成果をまたお答えをいただきたいと思います。  終わります。
  37. 瓦力

    瓦委員長 渋沢利久君。
  38. 渋沢利久

    ○渋沢委員 きょうは大蔵大臣に、景気見通しなどをお尋ねするつもりでおりましたが、時間があったらお尋ねすることにして、最初に、私、前回三月の質問の際にちょっと触れました福島交通の問題で、簡単に幾つかお尋ねをしておきたいというふうに思うのです。  最初に、大臣に簡単に基本的なことをお尋ねしたいと思うのですが、あの選挙、リンリリンリとスズムシが鳴いていると言って政治倫理をあざけった政治家もおりましたけれども、しかしある意味で倫理が問われた選挙、そういう意味でいえば倫理が問われた国会のさなかにあると思うのです。各党の代表が倫理協議会などでいろいろ詰めていただいておるわけですけれども、ああいう制度的な問題、建前に類する部分というようなものも、もちろんこれが基本的なことで大事なことであります。しかし、たまさか起こってくる具体的な課題で実際にどう対応するかということで、国民は判断を実際にはすると思うのであります。まして今度の国会は、予期せざる増税負担を納税者に強いるというような国会でもあるわけですね。そういう国会の中で、言いかえれば問題の中の大蔵部分ですね、税を国民からちょうだいをする立場の中で、やはり厳しく解明をしていかなければならない部分があるという感じがするわけです。実際、私のところは東京の下町で、中小零細企業に囲まれて暮らしておりますけれども、ああいう諸君のいろいろな、わずかな金のやりくりや納税の苦悩の相談の毎日です。  そういうことの中で今度の問題などを見ていますと、次から次へ出てくる事態は痛憤にたえないような感じがあります。いろいろ政治家の名前も出てくるわけですから、私は、これはいたずらにさらされっ放しということでも大変不名誉な話で、この種の問題が出てきたときには、やはり早期に、しかも厳しくこれを解明するという態度がそれぞれの分野において必要だ、特に税を扱うという部分で、私は、大蔵大臣大蔵省、国税当局の対応を聞きたいと思うのです。基本的に、この種の問題についての大臣の考えをまず最初に伺っておきたいと思います。
  39. 竹下登

    竹下国務大臣 今私どもとしては、税法を担当し、またその執行の監督最高責任者という立場に立ちますと、確かにいわゆる庶民感情と、よく出てまいります税の執行等に対する不祥事件との感情的な乖離というものが、納税に対する義務意識とか、そういうものを薄らがす大きな一つの要因になる。だから、やはりその執行の面においては極めて厳正であらねばならないし、なかんずくこの執行以前に、原案としての立法そのものは本院で行っていただくにしましても、原案を提出する立場にありますだけに、そのようなことには絶えず身を厳しく律していかなければならない課題だという事実認識をいたしております。
  40. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この種の問題について、それぞれの責任ある分野で、早期かつ厳しく解明をする必要があるという認識を表明されたと思うのです。当然のことだと思います。  この問題は、一言で言って、五十八年九月末、日債銀から福島グループが、例えば福島交通に対して五百二十五億、そして福島交通から福島不動産に五百七十六億、日債銀から直接福島不動産に百六十六億。福島交通というのは資本金十二億五千万、間違いかなければ福島交通不動産の方は四、五千万の資本金である。この融資額は異常なものである。これが批判を受けているところだと思うのです。そして、この会社にして五十億の使途不明金を出している。これが政治家とのかかわりが問われているという意味で、御案内のような事件であります。  その中で、まず最初に伺いたいのは、その福島交通の有価証券報告書自身が虚偽記載の疑いがあるということが指摘をされている。これは事実を調査をして大蔵の対応を決める、こう言っているわけですが、かなり時間もたっていることであり、中身は既にわかっておりますから、そう時間をかけるものでも難しい話でもないと思います。まず、簡潔にその調査状況内容を聞かしていただきたい。
  41. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 できるだけ簡潔に申し上げます。  まず、今御質問の中で触れられた二つの会社のうち、私ども証券局の有価証券報告書を提出する会社は、福島交通の方でございます。有価証券報告書というのは、御案内のとおり、一度増資をして届け出書というものを出しますと、以後継続的に提出することになっております。そうでなくても、株式が上場されている場合にはこれを提出することになっておりますが、福島交通の場合は前者のケースでございます。四十二年に一度増資をしたことがあるということで、以後継続的に報告書が出されているわけでございますが、一番直近の決算時期であります五十八年の九月末に提出された有価証券報告書の内容のうち、銀行からの借入金に係る、それに見合う貸倒引当金の処理について、若干事実と異なるのではないかという問題の御指摘がかねがねなされているわけであります。  そこで、有価証券報告書自体の内容になりますけれども、なるべく簡潔に申し上げますが、その点は文書で、そのときの実態を踏まえて取り崩しだということが書かれております。それに対して公認会計士が監査をして意見をつけるわけでございますが、その意見書の中で、意見差し控えという意見を書いている。監査人の意見というのは、適正か不適正か差し控えか、この三つしかないわけでございます。ですから、判断できないという意見をつけている。こういう問題であります。この点について実態を早く解明をしてディスクローズをせよという御指摘がございまして、私どもは当然そういうことで進めているわけでございますが、何さま財務局所管の会社でございますので、財務局は仙台にございます。会社は福島にございます。公認会計士は東京におりますので、若干の時間は要しましたが、九割方事情聴取は終わりました。まだ最終的にこうだという断定をできる状態にはございませんが、近日中に何らかの処理の方向についての判断をできる状態にまで来ております。
  42. 渋沢利久

    ○渋沢委員 ある程度事情はわかっております。ポイントだけ簡潔に。  いま一つお答えをいただいておきたいと思うのは、銀行が不同意の意思表示をしているのですね。これは一月でしたか、文書で出している。もちろん報告書が出てから後ですね。事前の相談は、協議があったのか、あるいは報告書が出てから不同意の意思表示を文書でしたのか、その辺が一つ。  それから、調査は九分通り済んだというんですが、会社のスタッフ等の事情も、審問というのですか済んでおる。あと社長が済んでないぐらいの話かもしれませんが、私はそのことよりも、とにかく今の段階で、これは銀行側の不同意ということが明確であれば、少なくともあの報告書の内容は明らかに虚偽の記載というふうに認定せざるを得ない、そう疑問の余地のあるものではなかろうと考えるわけだけれども、その辺の方向づけは九分通り判断ができてきたということですか、重ねて簡潔に。
  43. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 まず、前段の御質問の、銀行が不同意であるという文書を発したかどうかという点でございますが、ことしの三月に、文書であるかどうか私ちょっと今よく知りませんが、三月の中旬ごろだと思いますけれども、合意には達してはいないという通告をしたということは、関係者の事情聴取の中で聞いております。ただ、これは三月の時点の問題でございまして、私どもの報告書は昨年の九月末の時点でございまして、当時、銀行と企業との間に貸付金の処理をめぐってさまざまな交渉が行われていた。私どもが問題にするのは、むしろその時点の事実、あるいは事実についての関係者の認識の問題でございまして、この点についてはまだ完全に事情聴取——審理とかそういうことではございませんが、事情聴取が済んだ状況ではございません。
  44. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは大変不透明なんですね。日債銀から重役も会社には出ている。しかし、今のようなことでありまして、やはり大蔵省が機敏に、果断にその調査を済ませて、判断をして、そうして先ほど大臣も基本的に言いましたように、世間がこれだけ大きく注目をしている問題でありますから、やはり果断な対応と処置が必要だと私は思うのです。このことは強く求めておきたいと思います。  それでこの融資額が、時間がありませんから言いませんが、どう考えても多く、異常な融資額になっていると思うのですが、この使途不明金の解明というのは守秘義務ということで、いつもなかなかおっしゃらないわけであります。しかし、大体国民に大変大きな税の負担を強いておりながら、大蔵省がこの間明らかにされたような膨大な使途不明金を出す、しかもその中でせいぜい二割程度が究明ができる、明らかにできる、そんな状況である。これはある面では徴税責任というものを問われる部分だ。この部分では大変弱い。しかも、その二割の部分の中で、かなり政治家献金絡みのものがあることは当局もお認めになっている部分である。政治献金、政治家とのかかわりがいつもこの使途不明金の解明の壁になっておる。非常に遺憾な事態だと思うのです。そして、ただせばこれは守秘義務、言えません、この繰り返しですよ。その後の究明はどう進んでおるのですか、ちょっとその点だけ簡潔に。
  45. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 福島交通関連の法人の調査は昨年に一応終了いたしております。私ども、問題のある法人につきましては、一般の法人よりは密度の高い、かつ調査期間のインターバルも短くということでやっておるわけでございますけれども、今後どういう形で調査をするかにつきましては、個別の問題でございますので、差し控えたいと思っております。  ただ、先生御指摘の使途不明金の解明の問題でございますけれども、実際上私どもできるだけの努力はいたしておりますが、例えばいわゆる強制調査を伴います査察事案におきましても、やはり使途不明金というのは残るわけでございまして、これは一つには企業モラルの問題に関係があるのかと思います。しかし、私ども今後とも使途不明金の解明についてはできるだけの努力をいたしたいと思います。
  46. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それはやっておると言う。胸を張って言う。  そこで、じゃ尋ねますが、きょうの読売新聞を私は朝拝見をいたしました。これは非常に具体的に出ておる。その前の読売との重なりでこれを見ていきますと、非常にはっきりしている事実が出ている。土地の売買が行われて、不動産屋さんに二億四千万円の価格で譲渡が行われて、そしてその同じ時期にその不動産屋さんから一億円の借金をして、その借金は十年も利息も払わないでほっておいて、それで第三者が少し何か言われたということで返している。報道によればその後がいろいろありますけれども、こういうことが世間一般であることですか。十年間に税務調査がなかったのでしょうか。そんなことはあろうはずがない。世間で、税務署のやっていることはそんなことじゃない。これはどう考えてもよくある——昔、物の本で、三越が何やらやった事件があったのを私読んだ記憶がありますけれども、実際は譲渡所得の一部を貸し借りの形にすることによって、いわばこの所得の申告を抑える、低くする、これはもう明らかに利益隠し、所得隠し、脱税ですわ。このことで言えば、脱税のためにやられるというケースが非常に多い。これは国税が十年間、これだけ疑わしいものを何の調査もしないなどということは一般的にありっこない。これはどうだったのでしょうか、この種の事件。もし、こういうことがあり得るんだとすると、大変な厳しい思いで税金を払うために、その責任を果たすために狂奔し悪戦苦闘している中小零細企業は我慢しませんよ。こんなことはあろうはずがないと思うのですが、一体これはどういうことだ。十年間利息も払わないで借りている、催促もないというのは、これは贈与でしょう。税務署はこういうものは贈与とみなすのじゃないですか。
  47. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 お答えいたします。  税務署の調査におきましては、いわゆる貸し借りの問題は、これは税務上の問題は出てこないわけでございますが、それが実質で償却をされているというような事実をつかみました場合には、これは適正に課税をいたしますし、かつまた無利子の場合も、法人の場合でございましたらこれは適正に課税を行うということでやっているわけでございまして、調査の関連におきまして事実を発見をいたしました段階では適正に処理をいたしております。
  48. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは十年間税務調査がなかったのかと聞いているのです。
  49. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 個別の問題で何年か、あったかどうかということは差し控えたいと思いますけれども、しかるべき問題の事案についてはしかるべき時期に調査をいたしております。
  50. 渋沢利久

    ○渋沢委員 調査をして、この種のケースでどういう税務上の扱いをされているのですか。つまり、適正な処理で、十年こういう形でほっておられたことを認めているのですか。
  51. 岸田俊輔

    ○岸田政府委員 個別の問題でございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  52. 渋沢利久

    ○渋沢委員 まあ、すべて個別の——しかし、守秘義務を口実にして今のような態度をとっておると、これはやはり国民の目から見て、何でこういう課題について大蔵なり政府はきちっと厳しい対応がないのだろうかということを、これは非常に不信を大きくするだけだと思うのですね。通常こんなものは贈与扱いでびしびしやられていますよ。何遍も調査が入って究明されていますよ。だから、十年何の手もつけないなどというようなことはあり得ないことですよ。こういう状態が現にあり得るのです。これはある面では大変な問題だ。先ほどの報告書の問題にしても、実際は関係者においでいただいて聞かなければわからないことばかりだと言う気がいたしますが、銀行局は見えておりますか。——  日債銀のこの金の融資の仕方というのは大変異常だと思うのだけれども、これはどうしてこういうことに相なったのか、それで銀行局はどんな御指導をやっておられたのか。どうしてこんなことになったのかこれは全くわからない、不可思議だ。これはひとつわかりやすく、簡潔に、時間がありませんから、しかしわかるように説明してほしいですね。
  53. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 具体的なお話はお答えいたしかねますけれども、本件につきまして、五百二十五億、御指摘のとおりの貸し金が出ておるわけでございますが、これは最初、やはり福島交通のいろいろな事業について融資をやりまして、その後、事業継続というふうな点からさらに融資が行われたということでございました。したがいまして、なかなか事業がうまくいかなくなって以降は、この融資についての回収といいますか、あるいはその保全について、銀行といたしましても懸命な努力を今いたしているようでございまして、私どもといたしましても、検査の都度そういう資産の保全面についての指導は十分してきているところでございますが、何せ土地の売却がなかなか進行しないという点で、この福島交通の事業についてなかなか貸し金が返済されないというふうな状況でございまして、私どもといたしましては、十分アフターケアといいますか、事業の内容をウォッチしながら銀行を指導していくというふうな姿勢でおるわけでございます。
  54. 渋沢利久

    ○渋沢委員 時間がありませんし、これはやはりきちんと時間をかけても究明をし、解明をしていく問題だというふうに考えますから、また改めて具体的にただしていくことにいたします。残った時間で、大臣、大変恐縮ですが、幾つかお尋ねしたいことがございます。  予算が成立いたしまして、いよいよ六十五年赤字公債依存体制からの脱却を目指してスタートをするということだろうと思いますけれども、予算通過、成立後の姿勢として、既に来年度の予算編成へ向けての基本的な方針も討議が始まっているというふうに伝えられておるわけであります。今度の予算審議を通して、しかし、残念ながら、六十五年赤字依存からの脱却という言葉だけは走っておりますけれども、全くそれは確信の持てぬ展望とプログラムの不明確なままで、実は議会全体の討論が終わったような感じを私はもどかしく受けております。来年の予算への対応を含めて、大蔵大臣の所見をまず伺いたいと思います。
  55. 竹下登

    竹下国務大臣 ちょうどけさの閣議で、「昭和五十九年度予算の成立に当たって」ということで私が発言をいたしました。  発言の要旨を申し上げますと、「今後、年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨むとともに、既定経費についても行政経費の節約をはじめとし、極力節減を図り、不測の事態に備える必要があると考えております。」いずれ各省庁と協議しますということであります。それから「今後の財政運営でありますが、先の閣議において報告し、国会に提出いたしました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」にありますように、」今御指摘もありました「歳出・歳入構造の合理化、適正化に最大限の努力を重ね、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引下げに努める必要があります。」ということ、それから「六十年度の概算要求限度額につきましても、厳しいものにせざるを得ないと考えますが、各位におかれましても、政府と民間、国と地方の間の役割と責任を明確にする見地から、既存の制度・施策についても引き続きその根本にまで踏み込んで改革を行うなど、事務当局に前広に検討方を御指導お願いいたします。」具体的に、さあそれではシーリングをどうするか、こういう問題になりますと、「いましばらく勉強させていただきたいと思いますが、いずれこうした方向で御相談させていただくことになると思われますので、あらかじめよろしくお願いいたします。」こういう発言をしてきたばかりでございます。
  56. 渋沢利久

    ○渋沢委員 昨年を上回る厳しさで、マイナスシーリングの三年連続ということで対応する、こういうことですね。  しかし、そういう歳出削減の積み重ねということだけでは、従来大蔵省が出してきたさまざまな資料、試算等から推しても、到底解決ができないという問題であることは明らかであります。しかし、景気回復の兆しを受けとめて公共事業の前倒し等の措置は抑えていく、そういう考えですか。ただ、景気回復と言われる中でも幾つかやはり特徴がおるという中には、個人消費がさえないということもありますが、特に公共事業に依存する地域の不況、地域間格差といいますか、そういう状況があるということは明らかだろうと思うのです。そこらを含めて、全体として公共事業の前倒し等は抑えるということで進むということでしょうか。
  57. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに今おっしゃったとおり、それではまず一番近いところは何だということになりますと、予算が上がって六十年度の方向はこうでございましょうという発言をきょういたしまして、この次は、私は、いわゆる公共事業執行に関する考え方を閣議で決定していただく、こういう順序になろうかと思います。それで、可能なことならば来週早々の閣議でとも、心の中では考えておるところであります。  したがって、いろいろと議論がございますが、私も建設大臣を大部昔に、五十一年ですかやっておりましたが、要するにいいこと悪いことという判断は別といたしまして、補正予算がおくれて成立したわけです、選挙もございましたから。したがって、補正予算の例えば債務負担行為による四千五百億というようなものは、概して言いますならば三月の終わりに集中して発注が行われた、したがって、従来よりは、二、三に行っておるべきものが三月ぎりぎりに契約したから、仕事そのものは今ある、総体的に見ますと。そうして、それを四月から仮に従来のような体制でやっていきましても、債務負担行為そのものが四千億が四千五百億になっておりますから、五百億多いものが押せ押せになっておりますので、それに従来の方向で仮に契約をやっていくと、結果的に見ますと、かつて前倒しという表現のときに使ったような率には達すると思うのであります。したがって、議論すれば二、三月苦しかったじゃないか、その議論は残ると思います。  そこでどういうふうにやったらいいかということになりますと、今いみじくも言っていただきました、要するに地域のばらつきに対する配慮、これがやはり重点的になるんじゃないかな。それは直轄、公社公団はやれますけれども、やはり自治体でかなり本気でやっていただきませんと、現実これは実が結びません、補助事業とかあるいは単独事業とか。したがって、単なる公共事業関係省だけでなく、関係方面が自治省に相談する範囲が非常に広まってくると思うのでありますが、それらと急々に、きょうも事務当局同士でやってもらっておりますが、やりまして、まさに景気回復の地域バランス等に配慮した弾力的執行、抽象的に表現すればそういうことで実を上げていきたいと思っておるところであります。
  58. 渋沢利久

    ○渋沢委員 よくわかりました。その前倒しは、全体としてさっき言われたようなことであるけれども、地域バランスに対応していくという意味で言えば、これは前倒しを含めて特定地域については対応をしていくというふうに受けとめていいかどうかということを一つ聞いておいて、もう時間がありませんので最後にいたします。  いま一つは、地域間格差ということと並べて言うならば、やはり個人消費の問題があって、特に中小企業は個人消費に圧倒的に依存するという部分があるわけですから、この影響は非常に私は心配をしている。二月は非常にいいということはありますけれども、これは異常寒波で電気や何かの伸びがあったということはあったと思いますけれども、そういう一時的なものは使えばしぼむという構造であって、これは必ずしも私は楽観していないわけで、景気がようなったといいますけれども、非常な景気の跛行性というものに対する対応がないと、きめの細かいことになっていかないんじゃないかという意味で、その辺をどう考えておられるか。特に、よくなったよくなったといっても、中小企業の倒産件数は二月で見て前年同月比二二・七%、一月で一九%、十二月で一六%、とにかく間違いない数字だと思いますけれども、悪いのですね。非常に倒産が伸びているのですね、中小は。これがやはり非常に特徴的なことでありまして、大臣は中小企業の方と会って直接声を聞いている時間もおありにならないだろうと思うが、これは私のところだけじゃない、島根県も中小零細企業はたくさんいらっしゃるわけで、中小企業の皆さんに、この今の景気見通しについて大臣特有の説得力で、一体どんな説明をしていらっしゃるのかを、実は時間があれば聞きたかったということであります。最後にまとめて、それらのことについての大臣の所見を伺うわけであります。  時間がありませんから、また改めて財政問題で尋ねますけれども、ただ最後に一つだけ、やはり先ほども言いましたように、こういう状況の中では強いリーダーシップか、与野党とも同様ですからあえて大臣だけ責めるというようなことであっていいはずはありませんけれども、やはり政府を預かる者の立場で強い指導性が求められていると思うのであります。指導性ということの中で言えば、もっとやはり厳しい責任感、政治の責任というおのを示していただかないと、ますます不信が強まるばかりである。財政再建、どこかでそれは国民の負担と犠牲を強いなければならぬ部分が必ず出てくるだろうという状況の中で、前の総理の鈴木さんは、いつまでにこうすると言って、できないという見通しの中でみずからの言葉に責任をとった、こういう部分は人の心に残っておるのです。責任や能力の問題についての批判、あれこれあるにしても、そのこととは別に、やはり政治家が総理やあるいは蔵相というような立場に立ってみずからの言動に責任を持って国民に希望も与え、そしてそのことについての責任を果たすというのはあるわけだ。全く中曽根内閣になりましてから、六十五年、六十五年と言うけれども、これは努める、努める。努めるということは努めないということでもある。こんなものは我々の世界で責任を持って、政治生命をかけて達成するという話とは違う。そういう言葉の魔術ですりかえだけが非常に今走っているという、非常に遺憾な思いがあります。最後に、簡単にひとつ幾つかの点で大臣の所見を伺って、私の質問にいたします。
  59. 竹下登

    竹下国務大臣 ありがとうございます。  したがって、先ほどお答えしましたように、公共事業執行の面からしますと、ある種の対策というものが非常に目にわかるように御説明ができると思うのです。そこで、今度は地域ばらつきでなく業種間ばらつきというものでございますね、大企業、中小企業、輸出産業とそうでないところ。個人消費は今おっしゃいましたようにいろいろな特別な事情等もございますが、緩やかながら回復を続けておる。したがって、景気予測調査とか日銀短観とかを見ましても、経常損益は各業種からのヒアリングでも総じて上向きという御認識はあるようでございます。  倒産件数の問題につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、やはり建設業関連が一番多うございます。だから、地域ばらつきもそこにあるわけでございますが、したがって一つお願いするとすれば、かつてのような高度経済成長というものは、もう世界の中で日本だけが例外であるわけにいかないから、言ってみれば今政府が見込んでおりますこの四・一%というような成長、これが普通であるというある種の意識転換というのは、これは日本国民全体、なかんずく中小企業のお方にも我々としてお願いをしていかなきゃならぬ問題ではないか、こういうふうに思っております。  それで財政運営について、五十九年、政治生命をかけると鈴木前総理が言っておやめになった。なるほど今度は六十五年、これを努力目標、こう言っておりますが、要するに世界同時不況という予期せざるものが起こった。そこで、国民の皆さん方に対して、現実と一つの想定が余りにも乖離をした場合には、むしろ政治不信そのものを惹起することにもなりはしないか。だから、今度の予算審議に当たりましてもまた当委員会審議に当たりましても、現状をあからさまに申し上げて、国民のコンセンサスをこういうお互いの問答の中で見出しながら、その努力目標に向けてソフトランディングと申しますか、そういう形で財政運営を進めていこう、こういう考え方でございますので、これは与野党の立場は別として、お互い政治家として国民の、例えば景気そのものに対する実感というようなものを絶えず踏まえながら、適切な政策運営を行っていかなきゃならぬという認識は等しくしておるところであります。
  60. 渋沢利久

    ○渋沢委員 終わります。
  61. 瓦力

  62. 沢田広

    沢田委員 最初に、外務省に来てもらっておりますから、その点お伺いをして問題に入ります。  大臣、対外債務がだんだんふえていっているわけですね。今世界ではもう八千億ドルにもなろうとしている。これもどんどんふえて、減るという可能性は極めて少ない。そういう状況の中でこれを再建していくのは至難のわざじゃないか。しかも、米ソの軍拡競争もどんどん始まっている。そういう状況の中でいわゆる対外債務という、日本だけが貸しているわけじゃありませんけれども、いわゆる借金国、我が国も借金国ですが、どんどんそれがふえていくということは、世界の全体的な厳しい条件を増加させるという危険性が強い。金がなくなるとけんかするようなもので、夫婦げんかも大体金がなくなるとするものであります。大体そういう状況から見て、世界が貧しくなればどこかに紛争が起きてくるという可能性はある。だから、今こそ日本世界平和のためにも、この点を何とか乗り切るためにも全力を挙げて、この対外債務諸国の再建のために努力をしていく逆を模索しなければならぬ。今やっている方法がいいかどうかという点検ももちろんあります。その点をひとつ大臣の方からお答えをいただいて、また次に行きたいと思います。どうぞお願いします。
  63. 竹下登

    竹下国務大臣 この対外債務問題でございますが、よく申しますように、国民の貯金というのは、貸せるところは大体三つしかない。個人か企業か、あるいは国か地方団体か、あるいは外国か、こういうことになるわけであります。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕 我が国の累積対外債務問題というのは、幸いにして今日の時点においては、そういう累積債務で苦悩していらっしゃる国々に対して国際機関のIMFの指導等が着実に行われて、リスケジュールが行われながら今日回収不能、こういうような実態にはないわけでございます。しかし、我が国の持つ力からして、民間銀行自身の問題でございますけれども、いわゆる国家機関とは別の問題もございますが、我々としては対外経済協力という立場においてはまたいろいろなこともこれからやっていかなければならぬし、大いに慎重を期しながらも、世界平和のために役立つ、言ってみればそういう協力は続けていかなければならぬ。いつも思いますが、新幹線も東名高速もあるいは黒四ダムも、かつては我々も一生懸命で世界銀行へ金を借りに行って、今日の高度経済成長後の、世界に冠たる日本経済があると思えば、そういう対外経済協力の面からはまた別途考えなければいかぬし、そして本邦の金融機関のいわゆる対外債権の問題につきましては、国際機関等を通じながら、これに協力をし、かつ我が方も回収不能がないような配慮はしていかなければならぬというふうに考えております。
  64. 入谷盛宣

    ○入谷説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、今いろいろ難しい問題があるわけでございますが、世界的に景気の拡大を持続し、平和を維持するという観点で、さまざまな累積債務問題でありますとか、そのほか自由貿易体制の維持、そういった問題を解決することが非常に肝要でございますので、サミットその他国際機関の場を通じましても、我が国として積極的に国際協調を進めていく所存でございます。
  65. 沢田広

    沢田委員 答弁はちょっと物足らないというか、豆腐でも食べているようなもので、ちっとも腹にはたまりそうもなさそうなものなんでありますが、これで時間をとるわけにはいきませんから次に行きますが、大臣、こういう原因を突きとめるということが一つ。それから、やはりその国の民族の立場で物を考えるということが必要だと思います。この問題はこれで終わりにして、次へ入ります。  外務省、今のような答弁で了解したわけじゃありませんから、安心しないで、次の答弁にひとつ準備して、今度はレクチャーなしでも答弁できるだろうと思いますから、そういうことできょうは帰って結構です。この間ちょっとほかの問題をやります。三十分くらい休憩をやりますから、大臣も食事してきてください。食い物の恨みは恐ろしいということでありますから。  続いて、これは銀行局その他に聞いていくのですが、私の地元にアイデンという電機製造の会社があるのであります。これは銀行局、証券局に関係してくるわけでありますが、まず、会社があり、今東証等において取引が停止をされたり、あるいは株の割り増しなどが申請されたり等が行われているわけでありますが、御承知ですか。
  66. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 御質問の中にいろいろなことがございましたが、きのう以来一時取引の停止が行われたり、いろいろな方が記者会見をしたり、そういう動きがあることは承知をいたしております。
  67. 沢田広

    沢田委員 二月九日、新株式発行で取締役会の決議があって、同じく証券取引所へ通知をされて、そこで記者クラブへ発表した。これは三十二億の増資ということで恐らく届け出が行われていると思います。それから二月十日、臨時報告書が提出されて、新株式発行決議の公告がされて、上場申請書が提出をされておる。まずここまでの段階で、少なくともこの手続が行われようとした意思が存在したということについては確認されますか。
  68. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 ただいま御指摘の二月に行われました増資は、第三者割り当てという増資の形をとってやられたわけでございます。証券取引法に規定しております有価証券届出書というのは、公募増資あるいは売り出しの方法による増資について定められているものでありまして、本件はそういう増資に該当いたしませんので、提出されておりません。ただ、既存の株主も存在しますので、増資が行われますよということを広く世間にお知らせするという意味で、別途有価証券通知書というものがございますが、そういう仕組みがあって、これが私どもの方に事後的に提出されております。  ただ、ちょっと長くなりますが、有価証券報告書の場合には監査人による監査意見を添付して出されるわけでございますが、通知書は決議がなされた、いつ幾日払い込みがされます、そういった事実だけを記載した書類で、監査もありませんし、そういった事実上の通知、これをいただいております。
  69. 沢田広

    沢田委員 二十四条の五の半期報告書あるいは臨時報告書、これは新株の発行の場合も当然含むものと解するわけでありますが、その点はいかがですか。
  70. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 用語が不適切で申しわけございませんでした。臨時報告書でございます。
  71. 沢田広

    沢田委員 しかも、取引所で十一日に売買の停止があったということについては承知しておりますか。
  72. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 十一日の朝以来市場金融不安等の情報が流れまして、株価に異常な動きが出てまいった、そのために午後の立ち会いを停止したという報告はそのときに受けております。
  73. 沢田広

    沢田委員 「四季報」等で見ると、二十億くらいの倍金があって、総資産としては一応八十億ぐらいここの時期においては見ておる、ただ株価は物すごくあっちこっち移動をしているという状況があるわけであります。そういう状況の中で、結果的に社長の方では資金繰りがつかなくなって、三十二億の新株を出した。出したけれども、私ども知る範囲というのも限界がありますが、どうも都合がつかない。そういうことで、しかもこの貸借対照表を見ますると、短期借入金が多いんですね。普通こういう企業ならば、長期の方が多くて短期というのはそう多くないのが常識、健全な運営のスタイルなのであります。ところが、これを見ますると、短期が非常に多い。ですから、非常に運転に困るんだろうと思うのであります。それがあってかどうか、破産の申請の用意をした、こういう用意の段階ですから、届け出があったとは言いがたいとは思いますけれども、そういう段階にまで至ったことの状況は承知をしておりますか。
  74. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 私どもの証券取引法上、こういった問題にかかわりが若干あるわけでございますが、私どもの立場はあくまでも大衆投資家の保護ということを目的にして企業内容の開示をする、したがって先ほど申し上げましたように、今回の増資は第三者割り当てという形をとっておりますので、そういう形での私どもの関与は全くできない仕組みになっておるわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、臨時報告書という形でこういう増資を行いますよという書類は提出されておって、これは閲覧に供しているわけでございます。したがいまして、今いろいろ言及されたような会社の個々の資金繰りでありますとか意図でありますとか、そういったことにつては私ども知り得る立場にはございません。
  75. 沢田広

    沢田委員 この第三者割り当てと一般投資家との区分は、今どういうふうに定義づけているのですか。参考のためひとつお答えいただきたい。
  76. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 証券取引法が公認会計士の監査意見をつけて提出をする届出書の対象としております増資は、いわゆる公募もしくは売り出し、いずれも不特定多数の者を対象にして行う増資でありますが、そういう増資でございます。それ以外の特定の者を相手にする増資については、証券取引法で言います届出書の対象とはいたしておりません。
  77. 沢田広

    沢田委員 そこで、第三者割り当ての内容については、そうなると証券局は関知しないということになるのですか、それとも、どの程度の段階で関知をするということになるのですか。
  78. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 関知という意味合いでございますが、まず事実関係を申しますと、先ほど申し上げましたように、アイデンの二月に行われました第三者割り当て増資につきましては、相手方は最終的に五名でございます。五名の特定の縁故先に割り当てたわけでございますが、そういう内容の増資が行われるという事実は、臨時報告書という形で私どもの方に提出されております。したがって、知ってはおります。しかし、これは単に届出書を受け取って閲覧室で皆さんにお見せをするというだけのものでございますから、関知をするという意味が監督するとか許認可をするとかいう意味でおっしゃっているのであれば、そういう関係はございませんということで申し上げたわけであります。
  79. 沢田広

    沢田委員 念のためですが、商法の違反と思われるようなものが内在しておっても、それはそのまま受け取るものですか。それともそこはチェックするのですか。
  80. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 商法の問題は私どもの所管でございませんが、私どもがいただく書類は事実上の届け出でございますから、内容的にいいとか悪いとか、そういうチェックをする立場には証取法上もございません。
  81. 沢田広

    沢田委員 そうすると、それは商法上の、例えば子会社が親会社の物を持ち合いするとか、そういうことについても、それは法務局というか、法務省の方もこれはノータッチですか。
  82. 稲葉威雄

    稲葉説明員 法務当局といたしましても、そういう会社の個人の実情について届け出を受けたりあるいは調査をしたりする立場ではございません。
  83. 沢田広

    沢田委員 明らかに商法上違反があると認められている、例えば今言ったような持ち合いであるとかあるいは子会社の持ち株であるとか、いろいろ細かい点はあると思いますし、あるいは報告書の中から言えば役員会の議を経ているか経てないか、そういうような諸手続上のチェックはどこもやらないということですか。出ているものはそのままいいということですか。
  84. 稲葉威雄

    稲葉説明員 もちろん増資の場合でございますと、その増資の手続が終わりますと法務局に登記の申請がなされます。その登記の申請の際に一連の書類が要求されるわけでございまして、その中には先生の御指摘の役員会の議事録というようなものが要求されるわけでございます。その記載の中から見まして、もしそれが不当、違法であるといたしますと、法務局の方としてはそういう増資の登記手続は受け付けない、かようになるわけでございます。それからさらに、犯罪があるというようなことになりますと、これはまた刑事事件として立件されるということはあり得ることになるわけでございます。
  85. 沢田広

    沢田委員 じゃ一つずついきますが、アイデン商事というのは負債十五億を持っているんですが、結果的にそれが五億円の新株を受ける、こういう申請がなされた。しかも、これは子会社ですね。子会社であり、しかも借金でもう倒産寸前。倒産寸前がどうかわからぬとしても、ややそれに近い状態。それが新株五億円を受けるということは、これは法律的に見て正しいと思いますか。
  86. 稲葉威雄

    稲葉説明員 商法上子会社が親会社の株式を引き受けるというようなことは許されないわけでございます。ただ、商法はそういうことになっておりますけれども、事実問題としてそれが子会社であるかどうかということ、あるいは先生御指摘のように、それが倒産に瀕しているかどうかというようなことは法務局には当然にわからないわけでございまして、申請があればそのまま受けざるを得ない、こういうことになろうかと思います。
  87. 沢田広

    沢田委員 これでいくと、いわゆる商業道徳といいますか、商法は商法で、法律に違反しなければ、何が何でも、適当にやっておっても、どこもチェックする機能はない、こういうことを明確にした。大蔵省の証券局も、来たものはそのまま受け取るだけである、登記されたときにおいても、法律はそう書いてあるけれども、その内容までは立ち入って審査はしない、そういう野放しのような状態であるという事実ということになりますね。ならざるを得ないというか、そういう状態である。例えば今のアイデンの場合で、アイデン商事一つを例にとってみても、これはそういう状況にならざるを得ない。だから、そこまではチェックが不可能である、あるいは事務的にか人的であるか法的か、その点はいろいろあるとしても、とにかく事実上困難な状況にある、こういうことになりますか。ちょっとその点だけ答えてください。
  88. 稲葉威雄

    稲葉説明員 御指摘のように、その当事者でございますアイデンがうまく取り繕うということをやろうとすれば、それは可能な状況になろうかと思います。
  89. 沢田広

    沢田委員 東洋電子工業という会社があるのでありますが、そこには十億円が新株で行くようになったのだそうであります。これは証券局の方も承知をしていると思うのですが、それが実行されたかどうか、ひとつお答えいただきたい。
  90. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 臨時報告書に記載されております第三者割り当て増資の割り当て先の一つとして東洋電子工業というのが挙がっております。したがって、実行されたものと思っております。
  91. 沢田広

    沢田委員 実行されたものと思っているのが、相手が富士銀行なのだそうでありますが、富士銀行には振り込みはしたけれども、これは拘束性預金である。拘束性預金というのは、定義上はちょっとおかしいのですが、入れではあるけれども使えない金である。アイデンとしては使用ができません、おろすことができませんという、法律上の用語としてどういうものにこういうのがあるか私もわかりませんが、そういう預金であった。そして、数日を経ずしてこれは引き下げられている。そういう点について、銀行局なり証券局、両方ですが、承知しておりますか。
  92. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お答えいたします。  私どもは増資が行われた、あるいは行われるという事実の届け出を受けるだけの立場でございますので、実際の払込資金が銀行の中でどう使われたかとかあるいはどうなったかということについては知り得る立場にはございません。
  93. 沢田広

    沢田委員 法律には四八六も四九一もあるのでありますが、例えば四九一だけを例にとりますと、いわゆる取締役だとか発起人だとかいう人たちのことを言うのですが、それが「払込ヲ仮装スル為預合ヲ為シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ二百万円以下ノ罰金ニ処ス」、こういうふうになっているのですね。これは例えば十億円を入れたふりをした、そして片方は十億円入ったというふうにみなした、そういうことになると、あなた方の方でこれをチェックできなかったら、法律をつくっても何にもならぬですね。だれが見つけるのですか。だれがいわゆる審査をするのですか。答えてください。
  94. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 たびたび同じことを申し上げるようでございますが、私どもがそういった意味のある程度内容的な審査をいたします増資というのは、公募の方法もしくは売り出しの方法をもって不特定多数の者に対して行われる増資でございまして、本件のような増資については、私どもの立場といたしましては届出書をいただいて、それを閲覧に供するということを行うような仕組みに証取法上なっているわけであります。
  95. 沢田広

    沢田委員 そうすると、これは明らかに、あなたには発見はできなかったけれども四九一に大体該当するような行為である。あなたは断定できるかどうかわからぬけれども、例えば十億入れました、しかしそれはおろさせません、だからアイデンには行かないわけですね。株は四百万株、後で返しているのですよね。返却をしているわけです。だから、要すれば完全に見せかけをつくった、そういうことであったとした場合に、四九一なら四九一に抵触をする。あなたは裁判官じゃないから、完全に抵触すると断定はできないにしても、四九一に疑わしい、そういうことは常識的には言えるのではないのか。私たちにはそう思えますが、あなたに発見できなかったことを今聞いたのだから答えられないかもわからぬけれども、証券法を預かる者として、そのことが事実であるとすれば、少なくともそれは偽装である——偽装という言葉がいいかどうかは別として、そういう条件に当てはまる、そういうふうに思いますが、いかがですか。
  96. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 幾つかの仮定を置いた御質問でございます。と同時に、商法は私どもの所管する法律じゃございませんので、その点について私がこういう公開の場でお答えをすることは適当ではないというふうに考えます。
  97. 沢田広

    沢田委員 これは適当でないとかあるとかということじゃなくて、事実かどうか。じゃ、法務が来ておりますから、法務、それにお答えをいただきます。
  98. 北島敬介

    ○北島説明員 お尋ねの具体的な件につきましては、必ずしも事実関係が明らかでございませんので、それについて御指摘の商法四百九十一条、いわゆる預け合いの罪という犯罪が成立するかどうかというふうな点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論といたしましては、この四百九十一条の預け合いの罪と申しますのは、取締役等が、新株発行等の際に、その払い込みを仮装するため預け合いを行う。この預け合いというのは、要するに金融機関と通謀の上、払い込みを仮装することであるというふうに解釈されております。したがいまして、そういう要件に該当する場合にはその預け合いの罪が成立することが考えられる、一般論としてはそのように申せようかと思います。
  99. 沢田広

    沢田委員 だから仮定の問題は、あなたの今おっしゃっているように——じゃ、アイデンというAが三十二億の新株を出して第三者割り当てで行った。東洋電子工業株式会社、TならTはその中の十億円を引き受けるという形をとった。十億円を引き受けるために十億円を入れなければならなくなってきた。これは富士銀行に入れた。しかし、この東洋電子工業も余り今景気がよくなくなってきた。それで十億円入れたけれども、これはそっちへ振り込んでもらっては困る、そこへ置いておくだけよ、こういう話になった。そして、置いておいただけであるという条件のもとに、結果的には一方ではそれを受け取ったかのごとく、三十二億は消化されたものと考える。一方は、それはやってはいないんだという条件のもとに四百万株を返した。こういう形になれば、今あなたが一般論と言っている、その中に意思を通じたかどうかの問題はさておいたと仮定して、十分に今の一般論に当てはまる状況をつくっていることは間違いないことではないのか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  100. 北島敬介

    ○北島説明員 御指摘のような事実関係を私ども把握しておりませんし、また、今御指摘の点から直ちにその罪が成立するかどうかという判断はちょっといたしかねるわけでございます。
  101. 沢田広

    沢田委員 それはいたしかねるだろうけれども、私が言っていることがまるきりうそだとあなたは思っていますか。うそだと思っているのか、そういう点は考えられると思っているのか、どっちですか。
  102. 北島敬介

    ○北島説明員 先ほど申しましたように、そういう預け合いの罪の要件に該当するということになれば、そういう犯罪が成立する可能性があるということは御指摘のとおりかと思います。
  103. 沢田広

    沢田委員 なればということだが、私はなると思いますね、この状況の中で。そうすると、今ここで告発をすれば、これは口頭でもいいわけですね、それはあなたの方では取り調べをするということになりますか。
  104. 北島敬介

    ○北島説明員 私ども、法務省でございますので、告発ということになりますと、これは警察なり検察庁なり、そういう捜査機関が告発を受けるということになろうかと思います。
  105. 沢田広

    沢田委員 ただ、法律上の条件としては、そのことを十分かなえる、こういうことは言えますね。いかがですか。
  106. 北島敬介

    ○北島説明員 私どもが把握しておらない事実関係を前提としての御質問でございますので、それ以上お答えはいたしかねるわけでございます。
  107. 沢田広

    沢田委員 じゃ、証券と両方ですが、両方——まだあなたを解放したわけじゃない。やはりそういう状況を、私がこう言っていることだから、一応調査してみるという用意はありますか。
  108. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 私どもは、所管する法律規定に基づいて、職務権限の及ぶ問題についてはできるだけの調査はいたしますけれども、本件については、再々申し上げているとおり、私どもの職務権限が及ぶ増資ではございませんので、その増資の内容等について調査をする立場にはございません。
  109. 沢田広

    沢田委員 では、銀行局及び法務局、この内容を私は調べてほしいと言っているわけですが、調べる用意はありますか。銀行局も、例えば富士銀行が十億円入れてとめておいて、払い込みが行われているという偽装が行われたかどうか、その点を調べてほしいと私は言っているわけであります。法務局も同じようなことを言っているわけで、それは調べてもらえますか、どうですか。調べられませんか、どっちですか。
  110. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 銀行を通じて調べてみますが、この席でお答えするわけにいかないのじゃないかと思います。
  111. 北島敬介

    ○北島説明員 私ども法務省に関係する検察当局といたしましても、これは犯罪がある、犯罪の嫌疑があると考えられる場合にはみずから捜査することができることになっております。ただ、御指摘の事実関係が直ちに捜査を開始するような状況がどうかということにつきましては、ちょっとお答えいたしかねる、こういうことでございます。
  112. 沢田広

    沢田委員 極めて時間が短いものですから全部を言いあらわせないのですが、例えばもう一つの例を挙げていきますと、昨年の九月から十月にかけて、コスモ・エィティとオリムピックとの合併、これは十月二十二日ごろ合併の可能性の発表があった。このときに株価は七百七十円まで上がった。そしてその後、十二月、選挙のころでありますけれども、取りやめになった。それによって株価はだんだんまた下がってきて、その途中でユニセフとの合併の話がまた出てきた。そのときには株価はまだ五百円内外をずっと続けてきているわけです。  その後、十二月の中旬に突然、これは今までの交渉を全部、まず第一のオリムピックとの交渉を破棄し、それからユニセフとの話も破棄して、そして光製作所を通じて和弘商事、東洋電子工業、塩澤、アイデン商事というものとの関係において株の割り当てを行おうとした。その当初のときには、二百五十円の株で第三者割り当てを行おうとした。ですから、そのままで直ちに売れば、右から左にもしそれで増資で売れば、二百五十円はもうかるような仕組みの状況の中にあった。しかも加えて、この次の段階には二百円で売るようにしてある。このときの値段もおおむね五百円、四百五、六十円の値段の段階であった。いわゆる半値で新株の第三者割り当てをやった。だから、直ちに売ってしまったところもある。ですから、五十七年十一月当時の株の保有高、これは社長の山内さんが一番頭で、一〇%持っておったのですが、その次には太陽神戸、アイデン協力、安田、富士、それから日本証券決済株式会社、こういう順序、比率で持っておった。ところが、続いて五十八年十一月には日本証券決済株式会社が三〇%近い株を持って、社長である者は一〇%からやや下がって、その次は太陽神戸、アイデン、安田、富士、埼玉、こういう順で、安田、埼玉の持ち株の状況は前と同じですね。そういう形になっておる。これはだれが見ても、今言ったような第三者への割り当てが右から左に売られてしまっておる。割り当て者が、三十二億円で株を持っていないのだから。だから、当然第三者の方の手に渡ってしまっておる。こういうことで、ざっくばらんに言えば、四百万株で二百五十円ずつもうけたのですから、これは大変なもうけが転がり込んでいるということになるわけです。  もう少し続いて言いますと、アイデンというのは光製作所に、最後のところにいきますよ、前のオリムピックとユニセフはもうそこで切れて、最後は、これは推定でありますが、日本の大手のバス企業と言った方がいいのでありましょう、そういう企業の方からAという四谷のサラ金業者を通じながら、光製作所を通じて、結果的には和弘商事を通って、和弘商事からアマスト社というところへは六億円、それからアマスト社からアイデンに入ったのは三億二千万円。それで光製作所は、金は出したのだけれども、結果的にはこれはいやだということになったわけですから、光製作所ヘアイデンは借金をして返していっている。結果的にアイデンは一銭も入らないという状況で済まされているという格好なのです。一番のオーナーといいますか頭は、どうも国際興業のようなのですね。これは推定ですから、調べてもらえばわかることなのでありますが、どうも国際興業の方からの筋書きで、いわゆるオリムピックの合併も終わった、どうもこういうことになっているようであります。  そこで、さっき言ったように、四月十日ごろにアイデンが、もうどうにもならない、結果的には富士銀行にとまったきりで十億は入ってこない、こういうようなことで金繰りができなくなって、さっき申し上げたいわゆる倒産にならざるを得ない、こういうことで社長が来た。  こういう経緯は取締役会は何にも経てない。こういう経緯、これだけの変化、これだけのやりとり、しかも最後に塩澤という人が、五億円分でどうにもならなくなってきたところを、五億円というものを持っていって、そこでとりあえず現状のアイデンというものが維持されておるというのが今までの状況のようであります。  それ以外に細かいのがたくさんあるのでありますが、その点は省略をしたのですけれども、構図として見ると、一つには山内さんという人は会社を三十二億で売り飛ばしてしまおうというふうに思ったのかもわからない。そうすれば、三十二億が四人なり五人の人のところに行って、大体二十億の借金とツーペイぐらいになって、総資産は五十億ぐらいですから、含みその他を別にすると、大体その程度なら交渉のまあまあいった線ということになる。  今私が言おうとしているのは、調べてもらって会社をつぶそうというのがねらいじゃないのであります。しかし、どうも少しこういうのは、商業道徳というか、やり口が汚過ぎる。これは後の問題にもちょっとひっかかるのでありますが、都市銀行がサラ金に金を貸すようなものと同じで、いかに法の網にかからないとはいいながら、やることが少しえげつなさ過ぎるのではないのか。そして、そこで金をもうけていって会社はつぶれて、あるいは労働者は泣く、こういう仕組みに使われているという現状は許されることではない、こういうふうに私は思うので、この点はあなた方の担当であるかないか、あなた方がだめだと言うならあなた方は相手にしないけれども、政務次官が答えられるかどうかわからぬとしても、政治道徳として、商業道徳としてこういうことが許されていいのかどうか。  前にヂーゼル機器の株の買い占めの問題もありました。よみうりランドの株の買い占めの問題もありました。そして、いろいろ問題があって、国会でも議論がされた経緯を持っておる。株というのを利用しながら世の中の秩序を乱すということが、程度の問題でありますけれども、やはり程度を失するようなことが許されていいものではない、こういうふうに私は思う。こういうことは、サラ金に金を貸している都市銀行の調査と同じように、あぶく銭で動かしているようなことは許してはならぬ、こういうふうに思いますので、調査をするべきではないか、一応内容を明確にするべきではないのかというのが今提起をしている問題なんです。だから、事、人を陥れようなんていう気はありません。問題は、そこに働いている従業員は、家庭を抱え、子供を抱えて、私がこれを言ったから倒産になっちゃったら、あしたから路頭に迷っちゃうのですから、そういうことを考えれば、そういうことにすることが目的ではないのであります。しかし、それに便乗してそういうことをしていくということは許されることではない。  大臣が来たらこれは最後。政務次官、とりあえず、中途で悪いけれども、難しいかもわからぬが、いわゆる常識人として——証券の方は要らないよ。あんたの回答なんて全くどうにもならない。証券をやっているとはみなされない。それだったら、もう少し責任のある、どういうところでこういうことになってきたのかということに対して——もう事前になんか絶対レクチャーに応じないから。レクチャーに応じたら、それがこの程度の答えだったら、一切これから応じない、どの省であろうと。そのことでこれはやって、証券局長なんて要らないよ、来なくていい。そういうことで、政務次官からひとつお答えをいただきたいと思います。
  113. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 先ほどから先生の詳しいいろいろな御意見を拝聴いたし、証券局長なりあるいは法務省からも御答弁させていただきましたが、私もやはり今先生のお話しのように、こういう証券というものは正常な形で流通されることによって資本の形成がなされるもの、かように理解をいたしておりますので、こうしたものを悪用して、一部のそうした利得を得るということは、証券の正しい流通ではないと私自身考えております。考え方においては先生と全く同意見でございまして、きょうは公式の場所でありますので、それぞれ法務省とされましてもまた証券局にいたしましても、はっきりした答弁はできなかったようでありますが、恐らく先生の意向を体してそれぞれの機関で十分調査をし、また今後十分な指導をしていかなければいかぬ、かように考えております。
  114. 沢田広

    沢田委員 政務次官として大変誠意のあるお答えで、証券局長、少し見習ってもらわなければ困ると思うのです。  さらに、四八六には御承知の、釈迦に説法かもしれぬが、「其ノ他営業二関スル或種類若ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受ケタル使用人自己若ハ第三者ヲ利シ又は会社ヲ害センコトヲ図リテ其ノ任務二背キ会社二財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ七年以下ノ懲役又は三百万円以下ノ罰金ニ処ス」と特別背任罪がある。この場合、取締役会は、例えば当初は五人じゃなかった。十人ぐらい選んだが急に五人になった、こういうようなものが一々行われておるか、行われてない。これは株主から、閲覧権もあるし、謄写権もあるのですから、ちゃんと請求してもらったか、ない。そういう手続もされてなければ、このような特別背任罪が成立する。それだって、証券局が、さあ、わかりません、チェックする機能はありません、そんなことで日本の証券が維持できるか。株なんていいかげんなものだ、まあ、もともといいかげんなものなんだけれども、より一層その感を深めだということを言っておきたいと思います。  続いて時間の関係で、大臣が来たようですから、大臣に言っておきたいのですが、陰の方で聞いていたかどうかわかりませんけれども、食事しながらですからわからなかったと思いますが、私の地元のアイデンという会社における背景は不明朗である、だから調査をしてほしい、それぞれの分野において調査をしてもらいたい。しかし、私は何も悪人を引っ張り出すのが目的ではない。やはり会社が整然と正常に成長するということが必要なのであって、つぶすことを目的とするものではない、こういうことで言ってありますので、その線に沿ってひとつ、政務次官はそういうお答えをいただきましたが、お答えは要りませんから、大臣も耳に入れておいてください。  続いて、これはやや似ているのですが、サラ金について、大変銀行局にお骨折りをいただいたのですが、五十八年の九月に調べていただいたものを見ますと、一兆三十二億、結果的に大手となっているのは都市銀行、それから生命保険、特に生命保険の三千百二十億というのは、これは直接間接を含めてですが、大き過ぎるという感じがいたします。それで、これはまさか七四%で借りてはこないだろうと思うのですが、少なくとも三〇%なりで借りてきて七四で、普通の金利でいえばもっと安くなるわけですから。しかし、こういうものは大体あぶく銭で借りてくるのですから、どうせリベートがくっついたりなんかするのだろうと思うのです。貸付信託だって七・五二ですね。定期預金だって六分ですね。そういう状況の中で七四%という金利に変えて貸していくということは、泥棒よりもひどいと思うのですね。泥棒なら捕まるのですが、これは捕まらないのですから、泥棒よりひどいと思う。  これだけの金を損害保険もみんな貸している。この金利はどのくらいで貸しているか。もし、このとおりで貸しておるとすれば、恐らく七%、八%、一〇%で貸しておる。それで、一方では七四%で金を取ってさやを稼いでおる。七四を我々が、反対はしたけれども認めざるを得なかったのは、その業界は業界なりの資金運用でやっていくというのが建前で、七四を結果的に認めたわけですね。こういう安い金を持ってきてやれるのだったら、もっと下げていいわけですよ。そういうところではそういう金は持ってこられないという前提で、その業界だけの金で運営するんだから大変だというので、いろいろ議論はしたけれども、五四なり七四なりという数字が出てきた結果ですね。ところが、こういうふうに安い金利で一兆円も入ってきて貸せて七四を取るのは、確かにこれは泥棒よりひどい。一般庶民感覚として許せないですよ。この内容をひとつ明らかにしてくださいよ。銀行は都市銀行、地銀、幾らの金利でこのサラ金業者に貸しておるのか、その内容を明らかにしてもらって、こういうことはとにかく社会道義的にも許されることではない。もしこういう金を、公認したんだから入れるんならば、金利はもっと思い切って下げて、これは市場競争原理の中で闘わせるというのが筋道じゃないのか、こういうふうに思いますので、これでお答えいただきたいと思います。
  115. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 都市銀行あるいは生保会社等がサラ金業者融資をしていることは、この調査で、また先生御指摘のとおりでございます。  ただ、私どもといたしましても、そういう金融機関がサラ金業者へ金を貸し出す場合には、当該サラ金業者が行う貸し付けの条件等の改善に十分配意して貸すようにということも通達いたしておりまして、こういう金融機関が貸し出しております先のサラ金業者につきましては、今御指摘のように七〇%で貸しているようなサラ金業者は、私は全くないと思うのでございます。  実は、金融機関自体がサラ金業者に貸しておる金利は普通の事業金融と同じでございまして、私どもの調査によりますと、平均して八・五%でございますが、大体八%台の金利が四八・七%、その次に九%台の金利の貸し出しが一八・五%、その次に多いのが七%台の一六・一、それから一〇%台の七・二というようなことで、大体今の状況で八、九%で金を貸しておるということでございまして、その借り入れをいたしましたサラ金業者はかなりビヘービアもよくて、金利も安いところで貸していると思いますので、そう暴利で貸しているような先に金融機関が融資をしているとは考えられません。
  116. 沢田広

    沢田委員 今いみじくも「思う」と言ったんです。そうやっているという保証じゃない。だから、それは答えにならない。今の例でいけば、一〇から九、八、七ぐらいで銀行から借りてきて、幾らで貸しているかが問題なんです。それが社会道義の中でまかり通る線なのかどうかということを言っておるわけなんだ。それでも七四は使っていないかもしれませんよ。あるいは五四になっているかもしれませんよ。それはわからぬけれども、そこをだから調べてください、こう言っているんです。しかし、金には色がついていないから、これは銀行の金です、これは私の金です、だから中身を調べていかなければわからぬことは私もわかりますよ。だから調べてください。こう言っているんです。調べてもらって明らかにして、ああ泥棒よりひどいなと思うか、ああ泥棒と同じぐらいだと思うか、ああ泥棒よりまじめだと思うか、それは国民がやはり審判をするということになると思う。しかし、内容を明らかにするということは必要なことだ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  117. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 サラ金法施行後、私どもといたしましては、サラ金業者も私どもの所管になったわけでございまして、サラ金業者の実態調査も私ども現在実施すべく考えておるわけでございまして、その辺から、どういうサラ金業者がどういう金利でもって融資しているかという実態が明らかになみと思います。今御指摘のように、銀行から借りた分についてどういう金利で貸しているかというのは、それは金に色目がございませんので、そのつながりはなかなか解明しにくいと思いますが、できるだけサラ金業者の実態も今後十分把握してまいるように努めてまいりたいと思います。
  118. 沢田広

    沢田委員 現在の推定で結構ですが、サラ金業者の前年度といいますか、法が施行されて今日までの間の一年、通年でいいんですが、貸出額は大体幾らぐらいになっていると見ておりますか。
  119. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 全体の数字、ちょっと今持ち合わしておりませんが、後刻調べまして御報告いたします。
  120. 沢田広

    沢田委員 時間が来ました。  大臣、実は時間少しやり過ぎちゃったなという気がしないでもないんですが、証券局関係の調査、事務調査その他等については極めて不満が残りました。後刻調査の上善処されるように望んで、私の質問を終わります。
  121. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 坂口力君。
  122. 坂口力

    坂口委員 先日、金融自由化につきまして、参考人からいろいろの御意見を拝聴したわけでございますが、きょうはその続きのお話として二、三大臣にお聞きをしておきたいことがございます。  最近新聞を見ますと、いろいろの横文字、しかも略字のいろいろの言葉が出まして、VANを初めといたしましてばんばん出てくるということで、我々昭和一けたの機械に弱い人間にとりましてははなはだ迷惑な話でございますけれども、きょうはその非常に弱いところをひとつお聞きをしたいと思うわけでございます。  先日参考人から自由化のお話を聞きましたときに、大局的な立場におきましては、どの参考人皆さん方も、金融自由化というものについては賛成である、しかし、現実問題として早急にこれを始めるということはいかがなものか、もう少し環境整備が必要ではないか、こういう話が実はございまして、先日もその議論の中に出たわけでございますけれども、いわゆるユーロ円に対しますアメリカのいろいろの圧力、あるいはまた国内におきます国債の借りかえの問題等々、こうした問題もこの金融自由化というものとの絡みでどうしても避けて通れない問題でございますし、それからもう一つ、先ほど申しましたようないわゆるEB、エレクトロニックバンキング、これもまた金融自由化と絡んでくる話ではないかというふうに考えているわけでございます。言ってみれば、金融自由化を恐れている人たちにとりましては、この国債の借りかえでございますとかユーロ円の問題でございますというのは前門のトラであり、そしてまたエレクトロニックバンキングというのは後門のオオカミではないかというふうにも思います。  その後門のオオカミの方からひとつ参りたいと思うわけでございますが、「金融機械化システムの安全対策」という金融機械化懇談会の意見が先日まとまりまして、それも私、見せていただきました。  それを見せていただきますと、この中にも指摘をされておりますように、いわゆる第一次オンライン化と言われました金融機関内の機械化というものは一応整備がされて、今度は金融機関相互間のオンライン、いわゆる第二次オンラインというものについても現在進行形であり、そしてまた、中には既に完成されているところもある。いよいよこれから金融機関と企業、金融機関と家庭という、いわゆるファームバンキングあるいはホームバンキングと言われます第三次オンラインの方向にどのように進めていくか、こういうことに金融業界ではなっているのではなかろうかというふうに思います。  全信金でございますか、全国信用金庫協会が共同でVAN情報センターというのを設立をするという話が昨日の新聞にも出ております。一方、米国のいわゆるEBの進んでいるシティーバンクが、東京支店におきましていろいろの機械化を進めている。あるいはまた野村証券など証券三社が非常に進んだ機械化を進めている。あるいはまた、いわゆるノンバンクと言われますところの信販、消費金融、流通関係、こうしたところが非常に機械化を進めてきている。あるいはまた、郵便局が五十七年の七月には完全自動振替を行いましたが、五十九年度中には一万九千局のオンライン化を達成する。こういうふうに、銀行を取り巻きますところの周辺が非常な勢いでオンライン化、そしてエレクトロニックバンキングとしての体制を整えてきている。  こういうことを考えてみますと、どちらかと申しますと、銀行がほかの分野に比べまして少しおくれをとってきているのではないだろうかという感さえするわけでございます。このままでいきますと、先ほどもサラ金の話が出ておりましたけれども、消費金融の方が銀行よりも進んでいるというふうなことにもなりかねない、そういう事態になるのではないかという気もするわけでございます。こういうふうな状況の中で、しかしおくれをとっていきますと、銀行といたしましてはいろいろの新しい商品というのもでき得ない。そういたしますと、いわゆる金融自由化という問題との関係で非常に出おくれをするということも考え得るわけでございまして、そうした意味で銀行当局等にいろいろの話を聞いてみますと、やりたい気持ちは十分あるけれども、大蔵省の規則によってがんじがらめになっているので、なかなか思うように進まないというような意見も聞かれるわけでございます。例えば郵政省、郵便局の方でございますと、オンライン化でございますとか完全自動振替でございますとか、こういったことは省令による改正によってすぐできるので対応しやすいけれども、銀行の方はそういきにくいのだという話もあるわけでございます。そうした中で、大蔵省が銀行の対応をおくらせているのではないかという感もなきにしもあらずでございまして、この辺の御意見を先にお伺いをしたいと思います。
  123. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 機械化の問題は、我が国の場合には金融機関が実は一番進んでいるのでございます。それで、今御指摘のようでございますけれども、金融機関相互間の機械化はほとんどもう完全にでき上がっております。例えば為替の取引などは、ことしの八月からは、農協や信用組合も含めます全民間金融機関が全銀データ通信システムというところで一本化されるわけでございます。それからもう一つは、預金の自動支払い機、CD機の提携も、これは都銀は都銀、地銀は地銀、信金は信金、各業態別にはもう完成しておりまして、いよいよこれからは、例えば都銀と相銀とか都銀と信託とか、そういう業態を超えた提携にまで進もうとしておりまして、いわゆる金融機関相互間のオンライン提携、あるいは今申し上げましたような為替の提携、これは完全にでき上がりつつございます。  第三次の自由化といいますのは、今御指摘のとおりでございまして、今度は金融機関と金融機関以外のところとの提携でございますが、こういうふうになってまいりまして、私どもといたしましても、これには十分前向きに取り組むべく、去年は金融制度調査会の専門委員会を開いていただきまして、レポートをちょうだいいたしました。それからまた、ことしは先ほど御指摘の金融機械化懇談会というのでもって、安全性についてのレポートをちょうだいいたしたということでございまして、着々金融機関の機械化をさらに一層進めるべく今準備中でございますし、また店舗行政につきましても、いよいよ近々お出ししようと思っているのでございますけれども、ファームバンキングあるいはホームバンキングの第一歩の通達を出そうというようなことでございます。  ただ、金融機関の場合には非常に安全性を必要といたしますので、この安全性をどう確保していくかというのが大変重要でございます。同時にまた、第三次の自由化を進めます場合には非常に大変な、巨額の投資が要るわけでございます。そのために、今ちょっと御指摘の、信金で共同して設備投資をしようとかいうような語も出てきております。それ以外に、非常なコストのかかる話でございますので、いかにコストをかけないで、かつ安全性を確保していくかという点に今苦慮いたしているわけでございまして、その点につきまして、私どもだけじゃございませんで、メーカーも、あるいは利用者側も金融機関側も全部含めた、衆知を集めた審議の場等でもって十分に審議しつつ、着実に進めているところでございまして、現在の日本金融機関の機械化というものは、アメリカに次いで世界で第二位の段階にまで来ている状況でございます。
  124. 坂口力

    坂口委員 今お話ございましたいわゆる工レクトロニックバンキングというものを共同で手がけていくということにつきまして、第三者機関というものをつくって、そしてそこで大体金融関係を全部やっていこうというお考えがあるようでございますが、先ほど挙げましたような信金あたりの、信金は信金だけでいこう、こういう動きも出ているようでございます。これらのところは大蔵省のお考えと若干ニュアンスを異にするのではないかという気もするわけでございますけれども、こうした相互銀行は相互銀行、あるいは信金は信金というような、各業種間でこういうふうな動きが出てくるということになりますと、大蔵省としての態度も早急にはっきりとしていただく必要があるのではないか、こう思いますが、その点いかがですか。
  125. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 この機械化の問題は、まさにすぐれて経営の問題でございますので、第一義的には個々の金融機関が自主的に自分の判断で対応していくものだと思います。ただ、さらに一歩進みまして、個々の金融機関では対応できないような非常に多くのコストを要するというような点につきましては、今度は業界が共同して対応していくというのも第二の手段として必要かと思いますが、例えば安全対策あるいは法律問題、あるいはソフトの開発等々、業界だけでは対応できないような全般的ないろいろな面がございますので、そういう面につきましては第三者的な機関をつくって対応していくことが、これは国民経済的にも効率的なことではないのかなということで、私ども、そういう民間では対応し切れない部分についての第三者的な機関の設立ということについて現在検討中でございます。
  126. 坂口力

    坂口委員 そうしますと、民間で対応し切れないところ、それはそうおっしゃるとおりだと思うのですか、いずれにいたしましても弱小金融機関というのは取り残されてくる可能性があるわけで、とりわけ金融自由化が進んでまいります中におきましては、弱小金融機関というのはこうした問題からも余計に取り残されてくることになると思うわけでございます。したがいまして、ひとつその辺は誤りなきようにしていただきたいということを御注文を申し上げておきたいと思います。  それで、先ほど申されました法的整備の問題でございますが、これは、端末機を使いまして振り込みだとか振替依頼をするというようなことも、例えばホームバンキングということになってきますと行うわけでございますので、そうしますと資金の移動を伴う取引行為でありますから、安全性から現在のところは全面的に禁止をされている。こうしたことに対して、それじゃ新しいどういう法的措置を講じていくのかというのも、これからの大きな問題になってくると思うわけでございます。こういうふうに機械化が、日進月歩と申しますか、非常な勢いで進んでまいりますと、いわゆるINSというシステムに対しまして、銀行業界、いわゆる金融機関だけではなくて、もっと広い意味での法的措置というものが必要なのか、それとも金融機関だけに合わせた処置でいいものなのか、あるいはまた、今までの法律の一部改正等で間に合うものなのか、その辺のところは非常に難しい問題だと思いますけれども、現在銀行局がどのようにお考えになっておるのかということをひとつお聞きをしたいわけでございます。  そしてまた大臣からひとつ、こういうふうな状況に立ち至っております銀行業界でございますが、今後のより複雑な機械化、そして家庭と企業と銀行が結ばれるというような状況の中での銀行の立場を考えましたときに、金融自由化というものをより進めていかざるを得ない状況にあるのではないかという私の認識でございますけれども、それに対する大臣からのお考えをお聞きをしたい、こういうように思います。
  127. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 機械化、コンピューター化の進展に応じまして、法律問題が多分出てくるだろうという御指摘は、私どもそのとおりだと思うのでございまして、例えば従来の文書による取引が、コンピューターを利用した取引に変わってくるわけでございますので、どの時点で例えば支払いがあったのかとか、あるいは事故の起こった場合にだれが責任を持つのかとか、そういうふうないろいろな問題が出てくることは確かでございまして、私ども行政当局といたしましては、このコンピューター化に伴います法律関係の明確化は今後の重要な検討課題であるということを真剣に考えておるわけでございます。この点につきましては、調査会の専門委員会の報告におきましても、新しいルールづくりをすべきであるというふうなことが指摘されておるわけでございまして、私どもとしても、これは全く非常に新しい分野でございますので、専門家の意見も聞きながら、ことし、来年の大変大きな課題として取り組んでいきたいと思っております。  ただ、今御指摘のように、例えばホームバンキング一つとりましても、INS構想のように、何も金融サービスだけじゃございませんで、そのほかいろいろなホームリザベーションとかあるいはホームショッピングとか、いろいろなサービスが固まって、その中の一環として金融サービスが入るわけでございます。したがいまして、金融機関とか銀行局だけでそういう法律関係を考えておっても片づく話じゃございませんので、これはもう通産省や郵政省とか、あるいはハード、ソフト、いろいろな業者あるいは金融機関、あらゆるところの御意見を聞きながら、全体的な法律関係、法律体系というものをつくり上げていくベきではないかというように考えております。
  128. 竹下登

    竹下国務大臣 金融自由化、そして金利自由化も含め、そうしますと当然のこととして、そういう意味における競争原理は余計働いてまいります。そうなりますと、特にいわゆる都市銀行と、そうでない組合員等から成る信用組合、信用金庫、いろいろございますが、そうしたもののいわゆる競争原理に著しい跛行性みたいなものができてくるということになりますと、一番地域に密着しております。そのような金融機関というものが経営が悪くなるとかいうことになってはもちろんいけません。そうした大中小によらず、競争原理が働きますと、当然、今坂口さん、昭和一けたとおっしゃいましたが、私、大正二けたになると、なおのこと機械化は弱いわけでございますが、ホームバンキングのシステムというようなのは当然取り入れられてくる。私どももそれを勉強してみて、実際問題、概念ではなかなかつかめないので、どこか行ってみようじゃないか。最初はキャッシュディスペンサーなんかでも、どんなものか、一遍自分で使ってみないとやっぱりわからぬというような感じが私自身もしておったことがございます。そうすると、それはホームバンキングのみでなく——ホームバンキングということになれば、当然いわゆる文書の取引関係等に関するものでございますから、それは法律ももちろん必要でございましょうし、それからホームショッピングが同じその端末機でやれるようになった場合も、恐らくそのホームショッピングに対する、いわゆるサービスに対する対価とか、その品物そのものに対する対価も当然今度はホームバンキングが連動して、ホームショッピングが初めて合理的に進むだろうと思うのです。     〔中西(啓)委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕  だから、想像するといろんなことができてくるなと思います。したがって、今も申しましたように、何か法律が必要であるという感じは私もいたしますが、それこそ関係する方面というのは、もちろんハードウエア、ソフトウエア、そうしてそれぞれの小売店あるいは銀行、いろんな関係でどういうものを法制化していくかということになると、いわゆるホームバンキングだけ考えてもできないじゃないか。しかし、今から勉強しておきませんと、大正二けたや昭和一けたのスピードよりもはるかに速くその機械の方が進みますので、したがって今からこの準備を進めていかなければならぬ。今宮本局長がお答えしておりましたが、彼とて昭和一けたでございます。だから昭和一けた、大正二けたは遠くなりにけりかもしれません。あるいは昭和二けたでことし入ったような、今修業しておりますあの若手なんかが本気にその辺は勉強してくれなければ、我々は彼らのいわゆる知識水準になかなかついていけないじゃないか。私も年金受給者でございますので、そういうことを考えながら、そういう時代の進展におくれないように、しかし自由化というものが末端までずっと来たときに、そういうものを促進しなければならぬ必然性を持って追い駆けてくる波だという事実認識は同じくしておるつもりであります。
  129. 坂口力

    坂口委員 この法的な整備の中で問題になりますのは、先ほど出ましたように、取引関係の形が非常に変わるということもございますし、それからもう一つは事故ですね。犯罪にも結びついてまいります。そうした事故の問題をどうするかということもまた大きな問題であることは、皆さん方の方の委員会も報告をしておみえになるところでございます。  法務省の方にきょうちょっとお見えをいただいておりますので、最近までの重立った事故というのはどんなものがあるか、あるいはまた将来こういうふうな可能性もあるというようなものがありましたら、そうした予測も含めて御報告をいただければというふうに思います。
  130. 北島敬介

    ○北島説明員 いわゆるコンピューター犯罪と言われております非常に多様な類型もございまして、また数も多うございますので、時間的に一つ一つ挙げるわけにまいりませんが、代表的なものといたしまして、これはマスコミ等でも大々的に報道されました、要するに銀行員があらかじめ架空名義の預金口座を設定しておきました上に、自分の操作する端末機のキーを打ちまして、あたかもその架空の口座に多額の入金があったような、そういう不正のデータを入力するという形で、その旨の預金通帳を偽造して、その払い戻しを受ける、こういうふうなものを例えば私文書偽造、同行使、詐欺というような形で公判請求して有罪の判決があったというふうな事例があった、こういうのがいわば不正のデータを入力するという形の代表的なものではないかと思います。  また、例えば技術者による専門的知識を駆使した事案というふうなことになりますと、電電公社の職員が、自分の勤務する電報電話局にある銀行、これが使用しておる現金自動支払い機、これのオンライン通信回線に無断でテープレコーダーを接続して、その信号音を録音してそれを解読する、それでその解読結果をもとに他人名義の現金支払いカード、いわゆるCDカードを偽造する、それを利用してその現金自動支払い機から現金を窃取するというふうな事案も出ております。これにつきましては通信の秘密を侵したという、いわゆる公衆電気通信法違反、それと現金の窃盗ということで公判請求して、これも最近有罪判決が出ております。  以上のようなものが代表的なものかと存じますが、先ほど来お話がありますように、何分技術が日進月歩でございまして、これまで発生した例を見ましても、その時点ではなかなか予測できなかったようなことが次から次へと新しく発生してきておるということで、将来どういう形のものがあるかということはなかなか難しいわけでありますが、当面は、これまでの事例を十分検討、整理いたしまして、予測できるところを十分に予測した上で犯罪の発生を防止するように努めてまいりたい、かように思っております。
  131. 坂口力

    坂口委員 警察の方もお越しをいただいていると思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  132. 於久昭臣

    ○於久説明員 いわゆるコンピューター犯罪でございますが、私どもは一応犯罪として二つに大別をして考えております。一つは、銀行などの現金自動支払い機、いわゆるCDでございますけれども、これから他人の、あるいは偽造したキャッシュカードを使って現金を盗み出す、こういういわゆるCD犯罪。それからもう一つは、不正データを入力するとか、あるいはデータを不正に手に入れる、こういいますCD犯罪以外のコンピューター犯罪。このように大きく二つに分けて把握をしております。もっとも、このコンピューター犯罪というとらえ方は必ずしもその明確な概念があるわけではございませんけれども、我々の捜査上あるいは防犯上参考となるものをできるだけ取り入れて見ていこうということで、コンピューターにかかわるものを非常に広くとらえておるということでございます。  今申し上げましたこのコンピューター犯罪の中で、CD犯罪というものはここ数年激増をしております。昨年は六百四十二件発生しておりまして、これは一昨年に比べて三六%、百七十件増ということで大変ふえております。また、CD犯罪以外のコンピューター犯罪でございますけれども、これは昨年は六件発生をしております。一昨年も同数の六件でございました。このCD犯罪の方は非常にふえておりますけれども、CD以外のコンピューター犯罪は、四十六年以来、我々がこういうとらえ方をしましてから今日まで三十六件発生をしている、こういうふうに見ております。  今後どのようなことが出てくるか、先ほど法務省から御答弁がありましたけれども、質量とものコンピューターの発達に伴いまして、予測しがたい面もございます。私どもといたしましては、いかなる事態にも今後対応し得るようにということで、実は五十七年の後半でございますけれどもコンピュータ・システム防護法制研究会、ちょっといかめしい名称でございますけれども、そういう研究会をつくり、いろいろ勉強をしております。これは二つございまして、一つは、これだけ社会的にも経済的にも大変重要な地位を占めてまいりましたこのコンピューターをいかにして防護するか、これが一たん犯罪にかかわる、あるいは侵害されるということになりますと大変大きな影響を社会的にも経済的にも及ぼすということになりますので、それを防護するための仕組みといいましょうか、法制はどうかという問題。いま一つは、コンピューターに絡む犯罪というものは、現在のところはすべで、起こりました犯罪については現在の刑法なりその他の法制、現在の罰則で対応はできておりますけれども、今後これらでカバーし切れない不正行為があり得るということで、そういった法制を含めて考えるという問題、この二つの問題を中心に現在既に検討を始めておる、現在緒についでおる、そういう段階でございます。
  133. 坂口力

    坂口委員 今お聞きしましたように、非常に増加の一途をたどっておるわけです。その中で、初めにお話がございましたように、銀行員の方でございますとか電電公社の方でございますとか、そういうふうに金融機関並びにその秘密を知り得る立場の人たちの犯罪というのがふえてくるわけでございまして、これはこれからもそういう立場にある人たちというのは今までよりもより自由になると申しますか、もしやろうとすればでき得る立場に立つ人たちというのはかなりふえてくることは当然考えられるわけでございます。例えばホームバンキングの場合に、今まででございますと、行きまして署名をし、捺印をしというようなことになるわけでございますけれども、ホームバンキングでございますと捺印というのはなくなるわけです。したがって、捺印をしないということになってまいりますと、操作し得る立場の人たちはそれに代行し得る可能性というのもより多くなるというようなこともございますが、いわゆる銀行員に対する教育、もちろん現在でも銀行員に対しましては、そうした間違いがないように、あるいはまたいつも正しくいかねばならないというようなことはもう当然でございます。しかし、今後のこのコンピューター化に対する銀行員に対する教育は、やはりより高度な、より厳しい教育というものが強いられるのではないかと思いますが、その辺のところの銀行局としてのお考えはいかがでございますか。
  134. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、安全性の問題あるいはプライバシー保護の問題、いろいろな点が新しい課題として金融機関に降りかかってくるわけでございまして、まさに昭和一けたではとても考えられないようないろいろなケースが日々起こってまいるわけでございます。その点につきまして、私どもといたしましては既に三年ぐらい前に、新しい事態に対応して十分人材を養成する、あるいはそういう機械化に対応できるような教育を十分すべきだというふうな通達も出しておりますけれども、そういう点も踏まえつつ、日進月歩でございますので、今先生御指摘のことはまことにごもっともでございまして、今後におきます銀行行政の中におきましても十分配意しながら対処してまいりたい、こう思っております。
  135. 坂口力

    坂口委員 それでは、金融自由化の問題に入ります前に、INSについての本を買いましたら日銀の方の話が出ておりまして、INS時代の金融界はどうなるかということに対しまして、極端に言うと現金通貨の不要なキャッシュレス時代になる、そうなると日銀はなくなるかもしれませんねという笑い話が出ておりますが、こういう時代になりますと金融機関が装置産業になる、そうなると一体今後はどうなってくるかという大きな不安がここに述べられておりますが、この不安がそのまま金融自由化の問題と絡めて述べられているわけでございます。  そこで、先日も実は日銀副総裁初め銀行各協会皆さん方に御質問を申し上げたわけでございますけれども、金融自由化の問題で、ややもいたしますと、アメリカ金融自由化の圧力に対して、政府の方はいわゆるユーロ円と言われますような海外要因の非常に強いところから自由化を進めていこう、こうお考えになっているような気もするわけでございます。四月からいわゆるユーロ円債が認められたということでございますが、転換社債の範囲でとまっていくのか、それとも普通社債までこれが認められて拡大されていくのか、この辺のところもこれからの大変難しい問題になってくるのではないかと思います。この辺、現在マスコミではかなりいろいろ予測、それから先を見たお話等が出ているわけでございますけれども、現状、確かに大蔵省がここまでは確実に認めている、ここから先はまだなんだという確実なところをきょうはひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  136. 酒井健三

    酒井政府委員 ユーロ円債についてのお尋ねでございますが、ユーロ円債を居住者が発行する場合と非居住者が発行する場合があるかと思います。  最初に、非居住者が発行するユーロ円債につきましては、私ども昭和五十二年から国際機関及び外国政府につきまして年間六、七件程度発行を認めてきておりました。非居住者のユーロ円債のうち外国の企業がユーロ円債を発行することは、現時点においてはまだ私ども認めておりません。  その次に、居住者の発行するユーロ円債でございますが、これは、ユーロ円債というのが日本以外における円というものでの債券の発行という意味で申し上げれば、オイルショック後、アラブで私募債を若干日本の企業が円建てで発行したことがございますが、ユーロマーケットで公募債で発行したことはございませんでした。  そこで、私ども、ことしの四月から一部の企業につきまして、優良企業につきましてユーロ円債の発行を認めるようにガイドラインを緩和いたしました。これでは、いろいろ国内の適債基準の絡みもございまして、四月からの段階では、日本の企業のうち無担保とか無保証で発行できるような優良企業についてとりあえずユーロ円債の発行を認める。それは必ずしも転換社債のみではございませんで、普通社債、ワラント債の発行。ただ、それぞれにつきましてちょっと適債基準が異なっておりまして、普通社債それからワラント債の発行が認められるのは、今度は企業の数で言えば三十でございます。それから転換社債になりますと、もう少し範囲が広うございまして、今度の基準に合致するような企業は、現時点では百八ぐらいの感じでございます。
  137. 坂口力

    坂口委員 CDの方はどうですか。
  138. 酒井健三

    酒井政府委員 ユーロ円CDの方でございますか。——ユーロ円CDにつきましては、御承知おきのように、国内で円のCDの発行が、発行金額最低限度であるとか期間とか、そういうものについていろいろ規制がございます。そういうような関係もございまして、私ども今日の時点におきましては、外国の銀行、日本の銀行を問わず、海外で円建ててのCDの発行は認めておりません。米側からは、そういうものについても円の使用を認めることについて問題提起がございまして、現在検討中でございます。
  139. 坂口力

    坂口委員 これは新聞情報でございますけれども、ユーロ円CDを大蔵省は発行することを認めるという記事が先日出まして、それが事実かなと思っていたわけでございますが、今のお答えは若干違ったようでございます。  そこで、もう時間が参りましたので、大臣の御意見を聞いて最後にしたいと思いますが、今お話しのように、このユーロ円に関しましても、普通社債等も認められるということになってまいりますと、そのことは即日本の国内にも影響を及ぼしてくることは当然でございます。したがいまして、針の穴をあげれば一挙にそこが拡大をして、そして金利自由化方向に進んでいかざるを得ない。この環境というものが急速につくり上げられていくというふうにも考えられるわけでございますが、一方、海外におきます。そうした環境と国内におきます環境とをあわせて見ましたときに、国内におきます環境というものはやはりもう少し整備をしなければならないのではないだろうか。先日の銀行協会皆さん方も、国内における環境整備ということを盛んに主張されたわけでございますが、私も、若干違った意味ではございますけれども、環境整備の必要なことを感じる一人でございまして、ぜひひとつ海外のそうした速度に合わせて、国内におきますところの整備もバランスをとって進めなければ、国内の金融業界に大きなひずみを生じることになりはしないかと危惧をする一人でございます。  そういう意味で、初めに取り上げましたこの機械化の問題ともあわせまして、国内における環境整備が早急に必要になるのではないかというふうに思いますが、まずどういうことを整備をしていこうとしているのか、その辺、あわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  140. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、最近特にアドホックの第一回の会議のときから、いきなり米側の問題意識、我が国の方の問題意識は別といたしまして、ユーロ円市場というものが、一、二、三に分けますと一に上がってきたということから、このユーロ円問題に対する関心が高まったわけでありますけれども、元来は、今おっしゃいますように、ユーロ円市場は国内市場と密接に関係し合っておりますし、そしてユーロ市場における円の使用というのは、国内市場自由化と見合った形で進めていく。御調のとおりに、このユーロ円に引っ張られて国内市場がついていきますと混乱が起こる。だから、本来はまず国内市場自由化ということで、どういうところからやっていくかということに整合性を持ってユーロ円市場というものが存在するのであって、ユーロ円市場だけから問題が進んでいくということに対しては、私は好ましい姿ではないと率直に思っております。  そこで、国内市場の整備ということになりますと、一つは環境整備の基本的な問題からいいますと、やっぱり日本金融機関なり証券なりが、いわばそういう自由化国際化の必然性に対する意識革命をやっていかなきゃいかぬと思うのであります。国会でユーロ円問題なんというのが議論されるようになったのは、本当に今国会からだ。それはいいことだと思います。それがやっぱり国民世論の代表機関でございますから、関係者に対しても大きな衝撃を、いい意味における衝撃を与えていくということになろうかと思っております。  さあ、そうなりますと、そこでこれの精神的意識革命というのが環境整備の一つの前提にあるとしますと、今度は国内の国際化ということになり、自由化ということになると、相互の国々が全部歴史的に違った銀行法を持ちあるいは証券業法を持っておる。相手方の言うことを皆聞きますと、あるいは世界共通銀行法、世界共通証券法にしなきゃいかぬような感じすらときどきしますが、相手方で見れば、自分のところの根拠法にのっとった形で主張していますから、そこは大変難しい問題があります。そこで今度は、対外的には彼我の制度、仕組みの相違等の相互理解というのを進めていかなきゃならぬ。これは国内の関係者も、その彼我の制度の相違なんということを理解していかなきゃならぬと思います。  そうすると、世界の趨勢からいって、今度は垣根問題というので、ヨーロッパのようにライセンスが銀行業務も証券業務も一緒に行われる。アメリカは違いまして、日本はややアメリカに似てはおりますけれども、かなり違いますから、したがって、そういう外国からの国際化の要請の中には、垣根問題に対するいろんな工夫というものもあって、国内的には対応できる環境整備をしていかなきゃならぬだろう。そういたしますと、今度は銀行なら銀行の中で大中小あって、地域経済に関係しておるところもあれば、まさに都市銀行という存在もある。そこらが、ある意味における競争原理の中で併存していくためには、どうしてもそこに、機械化の促進などについて余り大変な格差ができてはいかぬ。  それで、この間の信金の記事でごらんになっておりましたように、小原会長さんなんというのは、あれは明治の三十年代じゃないかと思いますが、あの年の人はまた我々大正二けた、昭和一けたよりももっと別の意味において偉いなということを時々感じる。確かに業界にはああいう宝物みたいな人がよくいらっしゃいますが、政界には余りいないと言う人もありますけれども、そういう方がそういうことを感じられるぐらいでございますから、我々もこれに負けないようについていって、そういう意味の環境整備も行っていかなければいかぬ。  だから、意識革命から相互の制度間の理解から、そして今度は国内の垣根からあるいは銀行の専門分野に分かれておりますもののお互いの立場における競争原理に余り大きな格差が生じないように、総合判断の中で対応していかなきゃならぬ問題でありますが、言われてみれば確かに世界第二位の経済大国であって、いつまでもいわば護送船団に守られた閉鎖社会、尊王攘夷で通れる世の中ではないという感じがひしひしといたしておりますので、こういう議論は、国民全体に対するある種の意識革命に対するインパクトを与える機会ともなればいいことだなと思って、最近は進んでこういう議論の場やらあるいは座談会とかそういうところに出るようにしております。出ることによって私自身も勉強するわけでございます。そうせぬと、本当にわかった者とわからぬ者とが交渉したら、これはやはりわからぬ者が負けますから、その辺、大変これはえらいことになったものだと思って自粛自戒をしておるところであります。
  141. 坂口力

    坂口委員 じゃ終わります。
  142. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時四十分開議
  143. 瓦力

    瓦委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。矢追秀彦君。
  144. 矢追秀彦

    矢追委員 最初に、所得税の各種の控除について伺いたいと思います。  今年度税改正が行われまして控除額が上がったわけでございますが、この各種の控除の目的、それから今回上がりました目的と理由、そして控除額の算定基準、どうして基礎控除を四万円上げたかという、その算定基準をおのおのについてお伺いしたいと思います。
  145. 瓦力

    瓦委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  146. 瓦力

    瓦委員長 速記を始めてください。  矢追秀彦君。
  147. 矢追秀彦

    矢追委員 それでは税問題は後に回しまして、最初に特別会計について申し上げたいと思います。  大蔵省所管の特別会計の五十七年度の当初見積もりと実績、そして五十八年度、五十九年度の見積もり、これは幾らになっておりますか、お答えいただきたいと思います。
  148. 渡邊敬之

    ○渡邊(敬)政府委員 それでは、大蔵省所管の特別会計の五十七年度当初予算、決算、五十八年度、五十九年度の当初予算につきまして申し上げます。八特会がございますので、順次申し上げます。  まず第一に造幣局特別会計でございますが、五十七年度では、予算額が歳入で二百八億九千五百万円でございます。歳出も同じ額でございます。同じく五十七年度の決算額でございますが、歳入が百八十二億二百万円、歳出が百八十一億八千五百万円でございます。昭和五十八年度の予算額が、歳入が二百四億五千八百万円、歳出が二百八億五千八百万円でございます。五十九年度の予算額でございますが、歳入が二百七億一千三百万円、歳出も同じでございます。  次が印刷局特別会計でございますが、五十七年度の予算額、歳入が六百八十三億六千三百万円、歳出が六百二十一億二千九百万円でございます。決算額は歳入が六百八十四億一千九百万円、歳出が六百二億六千百万円でございます。五十八年度の予算額で、歳入が七百十六億九千五百万円、歳出が六百四十八億三千八百万円でございます。昭和五十九年度の予算額、歳入が七百五十六億四千二百万円、歳出が六百八十四億四千百万円でございます。  それから、資金運用部特別会計でございますが、五十七年度の予算額が歳入八兆七千八百八十六億八千二百万円で、歳出も同じでございます。それから決算額でございますが、決算額は歳入で八兆六千六百六十七億八千二百万円、歳出が八兆六千六百三十六億八千万円でございます。五十八年度の予算額、歳入が九兆七千七十億二千万円、歳出も同じでございます。五十九年度の予算額が、歳入で十兆五千四百五十三億三千百万円、歳出も同じでございます。  それから、国債整理基金特別会計でございますが、五十七年度の予算額は、歳入が二十四兆四千三百六十億一千五百万円でございまして、歳出も同じでございます。それから五十七年度の決算額でございますが、歳入は二十六兆五千百九十七億六千九百万円、歳出で二十三兆三千二百六十一億八千九百万円でございます。五十八年度の予算額、歳入が二十七兆三千六百六億六千九百万円、歳出も同じでございます。五十九年度の予算額、歳入が三十一兆六千七百八十五億五百万円、これは歳出も同じでございます。  次が外国為替資金特別会計でございますが、五十七年度の予算額、歳入が一兆一千九百五十九億四千四百万円、これは歳出も同じでございます。同じく決算額でございますが、決算額は歳入が一兆二千四百二十五億八千六百万円、歳出が四千六百五十七億五千五百万円でございます。五十八年度の予算額が歳入で九千九百九十七億九千九百万円、これは歳出も同じでございます。五十九年度、歳入が九千八十三億二千三百万円、歳出も同じでございます。  それから、産業投資特別会計でございますが、五十七年度の予算額が歳入で二百二十九億四千七百万円、歳出も同じでございます。決算額は歳入が三百九十三億五千万円、歳出が二百十六億一千八百万円でございます。五十八年度の予算額が歳入三百十億四千八百万円、これは歳出も同じでございます。五十九年度の予算額、歳入が二百十億五千三百万円で、歳出も同じでございます。  それから、地震再保険特別会計でございますが、五十七年度の予算額が歳入百六十七億三千七百万円、歳出も同じでございます。決算額が歳入百七十八億七千百万円で、歳出は三千六百万円でございます。それから五十八年度の予算額が歳入で百八十七億九千四百万円、これは歳出も同じでございます。五十九年度の予算額、歳入で二百五億八千八百万円、歳出も同じでございます。  それから、特定国有財産整備特別会計でございますが、五十七年度の予算額の歳入は一千百十億二千万円でございます。これは歳出も同じでございます。それから決算額で、歳入は千七百八十三億五千九百万円で、歳出は一千百二十五億円でございます。それから五十八年度の予算額は、歳入で八百九十八億八千七百万円で、歳出も同じでございます。五十九年度予算額、歳入で七百八十七億三千六百万円、歳出も同じでございます。
  149. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、その運用収入、利益金、これの当初予算それから決算、その決算マイナス予算すなわち乖離ですね、これについて今の項目でお願いしたいのですが……。
  150. 渡邊敬之

    ○渡邊(敬)政府委員 それでは、特別会計に従いましで御説明申し上げます。  これは五十七年度の各特別会計の利益金、当初の予算額と決算との間に差が生じているわけでございますけれども、各特別会計でその理由がそれぞれ異なっておりますので、それぞれにつきまして数字と概要を申し上げたいと思います。  まず最初に造幣局の特別会計でございますが、これは造幣局の事業に要する経費等につきましては補助貨幣の回収準備資金から組み入れられる仕組みになっておりまして、原則として損益は生じないということになっております。
  151. 矢追秀彦

    矢追委員 理由は一々やると時間がかかるから、今申し上げた項目で、例えば造幣局の特別会計は五十七年度について、予算の段階ではいわゆる運用収入あるいはまた利益金というのはゼロとと見ていますね。それが決算額では相当出ている、そういうことをさっと言っていただきたいのです。
  152. 渡邊敬之

    ○渡邊(敬)政府委員 それでは申し上げます。  五十七年度では、ここで申し上げますと造幣局特別会計で、利益金でございますけれども、予算額ではゼロというふうに見ておりましたが、決算額では二千万円出ております。  それから印刷局の特別会計でございますが、印刷局では予算額でその利益金は七十八億二千五百万円となっておりましたが、決算額では九十八億六千二百万円でございます。  それから資金運用部特別会計は、予算額ではゼロと見ておりましたが、決算額では三十一億二百万円出ております。  それから国債整理基金特別会計は、利益金は予算、決算ともにございません。  それから外国為替資金特別会計は、予算額では五千七百九十七億一千万円というふうに見込んでおりましたが、決算額では七千七百六十八億三千二百万円でございます。  それから産業投資特別会計では九十九億一千百万円の予算で見積もっておりましたが、決算額では百六十七億八千五百万円でございます。  それから地震再保険特別会計は、ともに利益金はございません。  それから特定国有財産整備特別会計は、予算額では見ておりませんが、決算額では六百五十八億五千九百万円。これは利益金と申しますよりも決算の剰余金でございます。
  153. 矢追秀彦

    矢追委員 ちょっと私の調べた計算と違っておるのかどうか、そちらが間違っているのか、こちらが間違っているのかわかりませんが、今地震再保険特別会計は決算なしとおっしゃいましたが、あるんじゃないですか。それが一つ。  それからもう一つは、国債整理基金特別会計の運用収入はマイナスになっておるはずですが、その点はいかがですか。
  154. 渡邊敬之

    ○渡邊(敬)政府委員 お答えいたします。  地震の再保険特別会計から申し上げますと、地震の再保険特別会計につきましては、毎会計年度の利益の額が当該年度の損失の額を超えますときは、その再保険金の支払いに備えまして全額を責任準備金に積み立てなければならないということになっておりますので、利益と申しますよりも全部責任準備金に繰り入れております。(矢追委員「それは幾らですか」と呼ぶ)繰り入れは、五十七年度で申し上げますと百七十八億二千万円でございます。  国債整理基金でございますが、国債整理基金特別会計の性格は整理会計でございまして、事業を行っているものではないということで、事業から生じます利益金の発生はないということでございます。ただ、歳入超過になりましたものはすべて債務償還のために翌年度に繰り越しをしているということでございます。
  155. 矢追秀彦

    矢追委員 整理基金の議論をするとあれするのでちょっとあれしますが、私が質問したい趣旨は、先ほど来少し述べかけられましたが、要するに運用収入あるいは利益金、そういったものの当初の見積もりと決算の間にかなりの差が出ておるわけですね。この理由について説明をしていただきたいのです。
  156. 渡邊敬之

    ○渡邊(敬)政府委員 それでは順次特別会計ごとに申し上げます。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、造幣局特別会計につきましては、造幣局の事業に要します経費等については補助貨幣の回収準備資金から組み入れられます仕組みになっておりまして、原則として損益は発生しないわけでございますが、ただ五十七年度には二千万円の利益が上がりました。これは資産外物品と申しまして、例えば古新聞でございますとかあるいは鉱物の淘汰かすとか、そういうものの売り払いによりまして生じましたもので、これは幾ら出るかわかりませんので、あらかじめ当初の予算には計上することが困難なものだということでございます。  次が印刷局の特別会計でございますが、五十七年度におきます利益の額は、当初見積額が七十八億二千五百万円、決算では九十八億六千二百万円ということでございまして、差で二十億三千七百万円の増加になっております。その理由でございますが、その主なものは、歳入予算におきまして不動産の売り払い代が予定よりも多かったということによります利益の増でございますとか、また歳出予算におきまして原材料費の購入数量が予定よりも下回ったということ、それから予備費を使用しなかったということのための費用の減少によりまして利益が多く出たということでございます。  それから資金運用部特別会計でございますが、資金運用部特別会計の五十七年度剰余金というものは、予算額はゼロでございましたが、決算額では三十一億二百万円ということになっております。これは資金運用部資金の資金コストが当初見込みを下回ったことによるものでございます。  それから国債整理基金特別会計。これは先ほども申し上げましたけれども、一応利益金の発生はないということでございます。  それから外国為替資金特別会計でございますが、五十七年度の決算剰余金は七千七百六十八億円ということで、予算上の剰余金の予定額は五千七百九十七億円でございまして、これを千九百七十一億円ほど上回ってはおります。これは主として五十七年度におきまして、行き過ぎましたドル高・円安に対処するために積極的なドルの売り介入を行った、その結果売買差益が多額に発生をしたこと等によるものでございます。  それから産業投資特別会計でございますが、産業投資特別会計の五十七年度の利益金は、予算額では九十九億一千百万円でございますが、決算額が百六十七億八千五百万円ということになりまして、六十八億七千四百万円の増加ということでございます。その利益につきましては、日本開発銀行からの国庫納付金が見込みよりも多かったこと、あるいは当初見込んでいなかった日本輸出入銀行からの納付金があったというようなこと等でございます。それに対しまして損失の方でございますが、出資金の償却額というのがあります。それから外貨債の評価損ということがございまして、そのプラス・マイナスをいたしまして約六十九億円の増加ということになったわけでございます。  それから地震再保険特別会計、これも先ほど申し上げました繰り返しになりますが、地震の再保険特別会計におきましては、毎会計年度の利益の額が当該年度の損失の額を超えるときは、再保険金の支払いに備えまして全額責任準備金に積み立てなければならないということになっております。  それから特定国有財産整備特別会計でございますが、特定国有財産整備特別会計は、一般会計所属の庁舎等にかわります庁舎等を取得してこれを一般会計に引き渡すことを目的にしております特別会計でございまして、利益の発生を期することがないことから利益金というような概念はないわけでございます。ただ、決算の剰余金というのがございまして、これは五十七年度の当初予算と決算と比較いたしますと、歳入の増加に伴いまして六百五十八億五千九百万円の決算剰余金が発生しております。ここの増加は、五十八年度以降に処分が見込まれておりました財産が五十七年度に売り払いをされたということのために、五十七年度の国有財産売り払い収入の決算額が予算額を大幅に上回ったこと等によるものでございます。
  157. 矢追秀彦

    矢追委員 今それぞれ理由を挙げられましたが、私は何も利益を上げてはいけないと言っているのではなくて、また特別会計が利益を上げるためにあるものでないということも承知しておりますが、余りにも最初の利益金あるいは運用収入の見積もりを少なくしておいて、そして決算になると、例えば資金運用部であれば三十一億も出ておるわけですね。それから造幣局の方は二千万でございますけれども、産業投資特別会計などは六十八億というふうに、数十億の差が出てくるわけです。これは予算の見積もりの段階で果たしてどうしていたのか。しかもこれは五十七年度だけではなくて、大体毎年同じような利益金が出ているわけです。例えば産業投資特別会計にいたしましても、五十五年度で六十三億六千万、五十六年度では九十七億一千二百万、そして五十七年度六十八億、こうなっておるわけで、大体見ますと、およそ同じような傾向が見られるのではないか。造幣局にしても二千五百万、千五百万、二千万と、こうなっておるわけです。そういった点は、最初の予算の時期において全然予測できないものではないと私は思うのです。余りにもこの差が、それは生き物ですからある程度はやむを得ないと思いますが、ちょっと大き過ぎるのではないか、このように思うわけです。また逆に、農業共済再保険特会などは当初で黒字、決算で大幅赤字が三年も続いておる、こんな状況です。そういうように、どうして当初予算の編成の段階で、もう少し過去の実績から見て、一〇〇%当たるというのは無理ですけれども、できなかったものなのかどうか、これは大蔵大臣いかがですか。
  158. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘の趣旨は私も理解をいたします。臨調答申でも、行政改革に対する第五次答申、最終答申で特別会計の運営の改善、特別会計会計経理の明確化等々が指摘されておるところであります。  特会の中で、全部が全部一概に言えませんけれども、今御指摘のありましたような問題の中で、確かにそれこそ外為でございますとかあるいは地震の再保険なんというのは、大きな地震がなかったらそれは幸いかもしれませんけれども、そういう保険関係に関するものは別といたしまして、当初の見積もりは歳入歳出ともにかなりの乖離があるという御指摘があろうかと思うのであります。その一つ一つについてはまことにやむを得ないものがあるわけでありますが、何としても予算でございますから、一般会計予算をあれだけ厳しく議論して成立させていただく中にあって、特別会計がそれに比して決算面の乖離が大きいではないかということに対する御忠告は念頭に置きながら、これからもできるだけ、何と申しますか、その乖離がないような努力は続けていかなければならぬというのが、やはり財政民主主義の本質的にあるべき姿であろうと考えております。  御忠告、本当にありがとうございました。
  159. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣はいつも先に謝っちゃうから、あとなかなかやりにくいんですが、私もこの間本委員会で産投特会はやめるべきであるということを申し上げましたが、今も少し触れましたように、産投特会などは特に六十八億から九十七億、百億近い違いですよ。これなんか本当に絶対おかしいと思うわけです。地震については私も少々の点はやむを得ないと思いますが、これなどは特にきちんとしていただきたいと思うわけでございます。  次に、運輸省お見えと思いますから、自動車損害賠償責任再保険特別会計、これについては五十五年、五十六年、五十七年、どういう実態になっておりますか。
  160. 越村安英

    ○越村説明員 自賠責保険を取り扱っております自賠責特別会計の保険勘定で申し上げますと、五十五年度の予算、利益が七十八億五千六百万円、決算が四百二十八億三千三百万円でございます。五十六年度が予算が七十一億八百万円、決算が二百六十六億二千二百万円でございます。それから五十七年度が予算が二十五億一千七百万円、決算が百四十五億四千百万円でございます。
  161. 矢追秀彦

    矢追委員 この乖離というのは相当多いわけです。先ほど指摘したものよりも、五十五年度では三百五十億円、五十六年度では百九十五億円、五十七年度は百二十億円、こういう非常に大きな数になるわけですが、これはどういう理由ですか。
  162. 越村安英

    ○越村説明員 自賠特会の保険勘定につきましては、保険料及び再保険料の収入の見積もりと保険金、再保険金の支出の見積もりをいたします。保険料の収入の方は比較的誤差が少なく出てまいりますけれども、保険金の支払いの方は、交通事故の件数の見通しとかあるいは支払いの単価の見通しとかを立てまして、非常に難しい予測をしてやっております。予算を組みますときにはどうしてもかために見積もりをいたしまして、したがって支払いが多く出てまいります。そのために、結果的には誤差が出てくるということになろうかと思います。
  163. 矢追秀彦

    矢追委員 さっきから言っておりますように、正確な見積もりというのは確かになかなか難しいことは、特に事故の問題ですから私もよくわかるのですが、百億以上というのは、やはり私はちょっと大き過ぎると思うのですが、大臣どう思われますか。
  164. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほどの地震保険、それから自賠責も、保険経理というのは本当は単年度ごとで経理するのは、保険理論からいうと実際難しくて、長期間を要するものでございます。私も、昔保険を勉強させられたことがありましたが、保険会計というのは、単年度で見るというのは非常に難しい問題でございます。自賠責がございます、地震がございます、それから農業災害補償なんかはまた、二年も続いて冷害でもあれば、どすんと赤字になりますし、保険会計だけは、それはもちろん精査していかなければならぬ問題でございますけれども、非常に統計的にも難しいという感じは私自身も持っておりますが、努力はしなければならぬと思っております。
  165. 矢追秀彦

    矢追委員 努力すると言っておられますが、私はこういうことを言ってはいかぬのですが、見積もりの段階でやはり少な過ぎる。特に、農業の問題にちょっと触れられましたけれども、ほとんど赤字が多いわけですね。先ほど大臣も少し触れられましたけれども、要するに財政再建というと、どっちかというと一般会計議論が集中しておるわけです。もちろんこれはやらなければいけませんし、重要でございますが、これだけではだめで、やはり一部の特別会計について、私は今一部だけしか出しませんでしたが、こういった問題も財政再建の議論の中にぜひ入れなければいかぬと思うのです。しかもそれが、五十七年度だけが非常に見積もりを誤ったというなら別ですけれども、今の保険でないものについても相当違いが出ているわけです。さっきの産投特会なんかは、はっきり言えるわけ、何十億、百億近くいっているわけですから。利益を少なく見積もっておいて、決算で黒字を大きく出す、これは見せかけのものになってしまう。そういうものの予算審議を一生懸命やるということはいかがなものなのか。もちろん予算ですから、決算じゃありませんから、ある程度——予算ではございますが、余りにも差がひどいのが多過ぎる。  そういう点で、特別会計についてはこの前も質問いたしましたが、特別会計の見直し、要するにやめるもの、それから民間の方に委託するもの、民営化するもの、あるいはまた非常に採算の悪いものについてはそういったものを努力させる。臨調の答申も基本的にあるわけでございますから、こういった見積もりと決算の乖離のひどいものを初めとして、特会全体の本気になった検討をぜひやっていただきたいと思います。したがいまして、来年度予算編成までにはきちんとした、こういうものはこういうふうに見直していく、あるいは今の予算と決算の差というものを少なくする……、大臣、ただ努力するだけではなくて、かなり具体的にこれは出していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  166. 竹下登

    竹下国務大臣 保険関係というのは確かに乖離が、これは予期せざる問題で生じます。ただ、御指摘なさいましたように、私自身も感じましたのは産投会計。開銀、輸銀等からの納付金でございます。これも石油価格の変動と為替相場の変動が著しければ説明がつきますと申しますか、普通我々は、補正後といえども、一般会計ですと、例えば税収の見積もりでも一%は誤差のうちだというぐらいな構えでやっております。それから見れば、確かに差がございますから、具体的にどういうふうに対応していくか、私もにわかに判断がつきませんけれども、私どもある程度やむを得ないと事実認識していただける外為特会とか保険会計とかと、それから今の産投会計のようなものとの差がございますだけに、具体的にこれは勉強して、御返事ができるように努めたいと思います。
  167. 矢追秀彦

    矢追委員 ぜひ、具体的な返事を待っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、もとに戻りまして、所得税の各種控除。今回大体引き上げられたわけでございますけれども、控除の目的、それから理由、そして今回上がった分の、もちろんもとのを含めてですが、例えば基礎控除が三十三万という算定基準、これを説明していただきたい。
  168. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 御答弁がおくれまして、どうも申しわけございません。おわびいたします。  ただいま御質問の点でございますけれども、所得税の人的控除、実は大きく分けまして二つの種類がございまして、一般的な人的事情に着目して所得控除をする。具体的には基礎控除、配偶者控除、扶養控除、いわば基礎的な人的控除と言われるものと、その人の特殊な人的事情に着目して税法で所得控除が認められておる、いわゆる特殊な人的控除の二つの形があるわけでございます。  前者の基礎的な人的控除につきましては、ただいま御指摘のありましたように、五十九年度の所得税改正、先般国会で成立させていただいたわけでございますけれども、それによりまして、二十九万円を三十三万円に引き上げているわけでございます。これは五十二年当時から据え置かれておる控除でございまして、所得税審議のときにも御説明申し上げたように、今回の改正によりまして、五十二年当時の税引き後の所得額、ほぼ当時から今日までの名目物価の上昇率に見合うような水準に設定してあるというふうに御説明申し上げたわけでございます。  ただ、この人的控除の水準につきましては、個々の控除額を取り出しまして、それぞれの控除について個々の水準を議論するというよりは、むしろ基礎的な人的控除はいわば課税最低限の最も重要な部分を構成するものでございますし、なおかつ、家族構成において課税最低限の水準が設定されるということに非常に大きな役割を果たしている控除でございますので、個々の控除というよりは、ただいま申し上げました課税最低限全般の水準の中で、結果として二十九万円が三十三万円という水準で、改正前のと申しますか、五十二年当時の水準あるいは税引き後の収入額が名目物価にほぼ見合うような水準に設定されておる、結果としてそういう水準になっておるということでございます。  それから、特殊な人的控除につきましては、いろいろな種類のものがあるわけでございますけれども、今回は、先ほど申しました人的控除二十九万円が三十三万円、つまり四万円引き上がるわけでございますので、それと組み合わさった結果、例えば勤労学生控除にいたしましても、障害者控除についてもそうでございますけれども、そういうものと組み合わせた結果、引き上げ額が一般の基礎的な人的控除の五割増しになるという水準、つまり、具体的には六万円ということになるわけでございますが、そういうものとして設定するということになりまして、結局各種の人的控除についてはほぼ二万円の引き上げ額ということになっておるわけでございます。
  169. 矢追秀彦

    矢追委員 今の後者の方の、勤労学生の控除の適用が上がったわけでございますけれども、今度上がりますと、年収幾らまでの人が適用され、勤労学生でこれの対象になるのは大体何人ぐらいになるわけですか。それは勤労学生の大体何%ぐらいか、わかれば教えていただきたい。
  170. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 今回の所得税改正によりまして、勤労学生の控除につきましては二万円引き上げさせていただいたわけでございます。その結果、所得の限度額が五十二万円から五十八万円に引き上げられるわけでございますが、給与収入に換算いたしますと年収百十三万円ということに相なります。  どれだけの人が適用を受けられるかということは、あるいはこれは国税庁の方から御説明申し上げた方がよいかと存じますけれども、国税庁から私の方が受け取っております報告では、現在実績が出ております五十七年分で申し上げますと、約二万七千人ぐらいの学生の方、二万七千七百六十三人でございますか、例年大体二万数千人がこの適用を受けておられるということでございます。ただし、これは五十七年の実績でございますので、その後の給与水準等の引き上げの状況等を加味いたしましても、今回これだけの水準が上がりますので、適用者の数は五十七年の数字を下回ることはないだろうということでございます。ただ、これがいわゆる勤労学生の総体の中で何割を占めているかというのは、ちょっと私ども今手元に資料がございませんので、お答えしかねるわけでございます。
  171. 矢追秀彦

    矢追委員 年収百十三万になったわけでございますけれども、労働省の調査によりますと、五十八年度の初任給の額は、男子で中学卒で九万三千六百円、女性で八万六千三百円、高卒で男子が十万六千二百円、女性は十万円。したがいまして、ボーナスを年間三カ月と計算いたしましても、ちょっと計算いたしましても百十三万を下回るというのがないわけでして、中卒男子で百四十万四千円、中卒女子で百二十九万四千五百円、高卒男子で百五十九万三千円、高卒女子で百五十万、こういうことになるわけでして、結局これの恩恵を受ける方は今二万七千人いらっしゃいますが、私も詳しいデータを持っておりませんが、実際の勤労学生の収入と比べますと、実態と比べて非常に差があり過ぎる。したがいまして、先ほどのほかとの並びで大体二万円の引き上げで百十三万。二万円上がったと言われますが、現実論としてはこれは非情に問題ではないか。  そういうふうなところから、今度は逆に、政府税調の方ではこれはやめてしまえという議論すら出てきた、こういうふうに伺っておるわけですが、これら勤労学生というのは、やはり家庭の収入が非常に少ないから働きながら勉強するということでありますので、もう少し考慮すべきではないか。パートの問題は今回二万円のもう一つ上乗せというのが自民党の回答で出てきて、これからやっていただけるわけでございますけれども、こちらの方もひとつ真剣に、実態に合わせてやっていただきたいと思います。大臣、税調の議論の中にあった、これはやめてしまえというふうなお考えなのか、それとも実態から見て少しはやはり考慮すべきだ、こういうお考えなのか、その点はいかがですか。
  172. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと事実関係を補足させていただきますと、勤労学生控除を受けている人の勤労学生に対する割合、正確な数字は手元に資料がないということを先ほど申し上げたわけでございまして、手元に資料がないわけでございますけれども、定時制の高校に在学しておられる方が大体十四万人という数字がございます。ただ、この勤労学生控除の対象になるのは定時制の高校だけではございませんで、各種学校、専修学校等も入ります。したがいまして、もう少し勤労学生と言われる人の母数は大きいとは思いますが、一つ数字として申し上げるわけでございます。  それからもう一つ、ただいま委員が引用なさいましたように、昨年の秋の中期答申では、勤労学生控除につきまして、この制度が諸外国にも余り例がない制度であるし、この制度ができました戦後の社会状況と比べると、今日勤労学生の生活実態は当時とはかなり変わってきているのではないかということで、税調の答申全体を貫いている考え方は、特殊な人的控除につきましてはなるべく基礎的な人的控除の引き上げの際に吸収して整理していくべきであるという考え方が基本にあるわけでございますが、なかんずく勤労学生控除については、具体的に控除の存在意義について問題が指摘されておるということでございました。  したがって、五十九年度の税制改正に当たりまして、私どもといたしましてはこの税調答申の考え方に沿って、率直に申し上げましてこれを整理縮減する方向で実は検討作業に入ったわけでございます。ところが、文部省初め関係御当局では、やはり現在この控除が社会政策的な意義、それなりのレーゾンデートルがまだあるのだということを強く御主張なさいまして、一挙にこれを縮減したり廃止するというのは少し困るという強い御要請がございましたので、引き続き人的控除として、ほかのものとの並びで二万円引き上げさせていただいたという経緯でございますので、事実関係だけ御説明申し上げました。
  173. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに税調の一つ審議の流れとしては、個別事情等をしんしゃくするという問題は大体外していくという傾向でございます。ただ、この控除は、我が国の戦後の非常に貧しいとき、今のように高等学校進学率が九四・五%ですか、あるいは大学進学率が三十数%と世界一になるよりはるかに前の段階におきましてはこの必要性というものはあったし、それはまた働きつつ学びという、我が国の長い教育に対する熱心と、教育そのものに対するある種の道徳観念とがずっと続いて形成されたものであるから、文部省等からこれはやはり残すべきだ、こういう主張があってそれに従ったということでございますが、確かに個別事情をしんしゃくした税制上の措置とはいえ、私はいきなりこれをなくしてしまうということに対しては、私自身心情的に消極的にならざるを得ないという考え方であります。
  174. 矢追秀彦

    矢追委員 存続より、ひとつ実態に合わせてもう少し考えていただきたいと思います。  時間が来ましたので、質問を一つにして全部まとめてやりますので、ぜひ前向きの答弁をお願いしたいのですが、医療費控除について、現在入れ菌とか補聴器、そういったものは対象になっておりますね。ところが、大臣も眼鏡を今使われておりますけれども、眼鏡は対象になっていないわけです。これはぜいたくであるとかいろいろなことで外されておると思いますが、もしぜいたくだというなら、レンズだけでも入れるべきだと思います。理由は、例えば自動車の場合、度数〇・七以下は免許がだめですね。〇・七にしないと免許がもらえない。少なくともそこら辺にでも線を引いてしないと、この通達から見まして、要するに医療控除の本来というのは「自己の日常最低限の用をたすために供される義手、」……こうなっておりますね。だから非常に目の悪い人もいるわけです。私なんか別に外しても、歩くぐらいなら歩けるし、そうむちゃくちゃ不自由は感じない。しかし、相当きつい度数の眼鏡をかけている人、少なくともこの辺どこか線を引いてでもこれは入れるべきではないか。あるいは眼鏡の値段の限度額とかレンズだけに絞るとか、何か考えるべきではないか、こう思うのです。入れ歯だって、極端に言えば入れ歯がなくたって、おかゆをすすっていれば食えるわけでして、それより眼鏡の方が私は必要だと思うのですよ、ここの通達から見ますと。その点いかがですか。
  175. 渡辺幸則

    ○渡辺(幸)政府委員 お答えいたします。  私、眼鏡をかけていないで大変恐縮でございますが、所得税法の建前といたしまして、医療費と申しますのは、医療行為とか診療行為とかに関係をいたしまして、それに直接必要な費用というものをしんしゃくをいたしておるわけでございます。委員、今御指摘になりましたように、所得税の基本通達にございますように、一つは、診療に関連をいたしまして直接必要となる通院費とか送迎費とか部屋代とか食事代とか、こういうものは見ておるわけでございます。  それから、今御指摘になりましたのは、「日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯等の購入のための費用」こういうふうになっております。それでお尋ねは、補聴器などが入ってなぜ眼鏡が入らないのか、なぜ耳がよくて目はいかぬのかというようなことであろうかと思うわけでございます。私ども決して耳を大事にして目を差別しておるわけではございませんが、この通達をつくりましたときは、診察とか治療とかということに直接関連をするのは恐らく補聴器のような場合が多いのであろうということで、補聴器を例に入れたわけでございます。したがいまして診療にあるいは治療にどうしても必要であるということであれば、眼鏡も実は結構なんでございます。  そういうことで、どういう眼鏡ということで、例えば何万円のものであるとか、今おっしゃいましたように度数が幾らとか、こういうことでなかなか一律に線を引くわけにはいかないわけでございますが、例えば眼病の治療のためとか、あるいは何かの病気で急激に視力を減退された、そういう場合に眼鏡をかけなくちゃいけないというようなことが事情としてございますれば、それは当然医療費控除の対象になるべきものだろうと思うわけでございます。そういうことではございませんで、ただ一般的に眼鏡はどうか、あるいは補聴器も書いてはございますが、一般的に補聴器はどうかと申されますと、これはちょっと医療費の控除の対象とならないと申し上げるほかはないだろうと思うわけでございます。例えばクリニックでありますとか検査のための費用も、この医療費控除の対象にいたしておらないわけでございます。ただし、検査の結果、病気が見つかったあるいは検査が病気に密接に関連をしておったということになりますと、そこで入ってくるわけでございますので、あくまで私どもは法律趣旨に照らしまして、疾病と申しますか病気との関連性という点から見てまいりたい。そういう限度で見まして、眼鏡がどうしても必要であるという場合には個別に御相談をいただきまして、これを医療費の控除の対象とするということはやぶさかではございません。
  176. 矢追秀彦

    矢追委員 今の説明だけではちょっと私も納得できないのですが、要するにこれはまた病気であるか病気でないかの議論になって、これは大変な議論になりますので私はやめますけれども、それなら税法でもう少しわかるようにルールというものをきちんとしていただきたい。今のようなことを一般の人は知らぬわけですよ。その点で単純に、補聴器はいけてこちらはだめなのだ、こういうふうになってくるわけですから、その辺はもう少し親切に、言ったら、ではやりますよ、それじゃ困るのでして、大臣、最後に一言。
  177. 竹下登

    竹下国務大臣 今私も初めて勉強させていただきました。私も、答えるだけの準備も自信もありませんが、おっしゃることはわかるような気がしますので、同じような角度から勉強させていただきます。
  178. 矢追秀彦

    矢追委員 終わります。
  179. 瓦力

    瓦委員長 米沢隆君。
  180. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、金融問題に関連しまして質問をさせていただきます。  金融自由化とか金融革命とか、まるで開戦前夜の一大事かのように騒がれ出してからもう大分の年月がたちました。しかし、現実の動きは遅々として進んでないのが実情であります。それどころか、当初は自由化推進論者であったはずの皆さんからも、信用秩序を維持しなければならないといった主張が、最近になってしきりに聞かれ始めております。私も、何も自由化そのものを信用秩序を乱してまでやらねばならないとは思いませんが、時として信用秩序を維持するということが自由化に対する大きな障害となり得ることもあり得る、そういう意味で大変危惧する一人であります。  しかしながら、皮肉なことに、金融自由化を迫る黒船が昨年やってまいりました。昨年十一月のレーガン米大統領訪日以来、急にクローズアップされてきました金融資本市場開放要求は、ことし二月に開かれました日米円ドル特別委員会での二十一項目対日要求リストとなってさらに具体化をし、日本金融界の屋台骨を揺すろうとしておると言っても過言ではありません。確かに、今から起こるであろう金融革命は弱肉強食の大混乱を金融界にもたらすかもしれませんが、これは単に外圧だけではなくて内圧もかなりうっせきしておりますから、今から自由化の流れを阻止することはできないであろうと考えるわけであります。  御案内のとおり、この十数年来を振り返ってみますと、銀行も証券会社も金融自由化を主張し、業務の同質化を説き、金融商品の多様化を訴えてこられました。ところが、その自由競争論者の銀行や証券業界の指導者がやってきたことは一体何だろうか。例えば例のCPとかCDの国内販売問題。やっとこの四月から国内でも流通するようになったということでありますが、外為管理法でCP、CDとも有価証券として指定してから実に三年四カ月ぶり。この間、銀行と証券会社がその販売ルールをめぐって対立して意見調整ができなかった。これが大きな要因です。また、銀行の国債ディーリング問題でもわかりますように、相手の領域には侵入するが自分の権益は絶対に渡さない。いわば身勝手な競争論に終始してきたところに、我々が留意しなければならぬ大きな問題がありはしないかと考えるわけであります。  現に銀行の偉い方や証券会社のお偉い方等が、銀行と証券との垣根を低くせよ、こうおっしゃっておりますが、その主張も、今のところは私が申し上げましたような域を出ていないところが大変残念なところでございます。現に御承知のとおり、銀行は証券会社の国債担保金融に反対をし、証券会社は銀行の国債累積投信に反対するということでもめておりますね。まさに縄張り争いそのものなんでございます。毎月相当の国債が発行されて、トータルでは二十兆から三十兆ぐらいの金で国債が売買されておるということを考えましたときに、何も縄張り争いをしなくても、銀行は国債総合口座をつくり、証券会社が証券総合口座を設けて、それで国債の消化をしていく、そういうのが金融界の常識ではないか、こういうふうに考えるわけであります。  以上、長々と申し上げましたが、我が国の金融自由化への具体策の実行というものはことごとく、相手の領域には侵入したいけれども自分の領域には侵入させないといった身勝手な論議の中で、一向に進まなかったと言っても過言ではありません。ここに金融先進国と言われる国とのギャップが生じ、アメリカあたりからやかましく言われるという状況ができてきておると言っていいと思うのでありますが、これはまさに銀行業界あるいは証券業界の指導者の責任もさることながら、同時にやはり大蔵当局の責任でもあると我々は判断せざるを得ないのであります。  そこで、まず銀行局長、証券局長、総括して大蔵大臣、このようなまやかしの金融自由化論というものを排除して、もっとまじめに、もっと高い次元に立って経済大国日本金融自由化を進めねばならないと考えますが、それぞれの責任分野においてどのような所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  181. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 金融自由化につきましては、国際化あるいはその自由化と非常な勢いで進展しつつあるわけでございまして、そういう時の流れに着実に沿うように、私どもといたしましては特にこの二、三年来自由化を着実に進めてきております。特に新しい銀行法が成立いたしまして、できるだけ銀行の創意工夫を尊重する、行政介入をできるだけ少なくして自由に業務をやらせるというようなことを基本にいたしまして行政を進めてまいりまして、既に三次にわたる行政の自由化、弾力化措置も講じてきているところでございます。  また、金融制度調査会におきましても、自由化の問題についての御審議をいただき、昨年の春には金利自由化を中心といたしましたレポートをまとめていただいておりますし、また、去年の秋からは国際化につきましても御審議いただきまして、この五月にはレポートをおまとめいただくというようなことで、日々の行政及び調査会等における審議を通じまして、着実にその自由化を進めてきているところでございます。  具体的に申し上げますと長くなりますけれども、金利金融市場それから銀行業務あるいは業際制度等々の面におきまして着実な自由化が進展しているわけでございまして、特別にその自由化が一向に進展しないというような御指摘があるわけでございますが、決してそうではございませんで、我が国の制度、慣行にのっとった上で着実な対応を進めてきておるわけでございます。  御指摘の証券との関係につきましても、いろいろ途中経過はございますけれども、周辺の分野におきます垣根の低まりというのは着実に進行しているわけでございまして、特に国債の窓販とか、あるいはことしの六月から始まりますディーリング等々の面におきましても、着実に、混乱を起こすことなく進めておるということでございます。また、取り扱う商品等につきましても、お互いに銀行の場合には預金、決済業務、証券の場合にはそれぞれの固有の分野があるわけでございまして、日本の場合には、金融、証券が分離しているわけでございますから、その基本的な部分ではやはり侵すことがあってはならない、周辺の部分におきましては十分乗り入れを行う、あるいは競争をさせるということで、金融、証券が共存共栄で国民の方にいい金融サービスを提供することを基本にして行政も行ってきているところでございます。
  182. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お答えを申し上げますが、銀行と証券の業務分野の問題と申しますか、そういった問題並びに金融資本市場自由化の問題についての先生の御指摘、大筋御指摘のような問題があると言われておりますけれども、私ども、必ずしも証券、銀行の両業界が争っているというふうには考えておりません。  自由化の問題は古くからの問題でございますが、これは最近十年間ぐらいの間の二つの大きな要因、一つは国内における大量の国債発行、したがって残高の累増という事態を受けて、いやが応でも資本市場規制が次第に緩和していかざるを得ない、そういったことを背景に、現実にかなりのスピードで進んでおります。それからもう一つは国際的な問題、つまり諸外国とのかかわり合いの問題で、外国では少なくとも公共債の証券業務は銀行もこれをやっておりますので、そういった世界の中で日本の企業が仕事をしていく上で、今までのように両業界の間をきちっと仕切ってやっていくという行き方は非常に難しい。したがいまして、そういった大きな要因によりまして、資本市場並びに金融市場が次第に自由化されていくという傾向は、これはいわば歴史の流れのようなものであると私は受けとめております。  そういった観点に立って、両業界の境界線上といいますか、中間にある部分、代表的なものが公共債の証券業務だと思いますけれども、そういった問題について私どもがとっております態度は、両業界が協力をしながら、しかし公正な競争を続けながら発展していくことが、日本資本市場あるいは金融市場世界市場の中で一層発展、拡大していくために望ましい方向ではないか。そういうことで、今国内で業界同士が争っているときではないのですよということでいろいろな問題を取り扱ってきております。  そういったことで、最近CP、CDの問題にも決着がつきましたし、それから、近く行われるディーラー業務の認可についても、新聞紙上で記事がいろいろ書かれておりますので御承知と思いますが、さほど大きな混乱がなく、順調に六月からスタートが切れるのではないか、そういうふうに思っております。  その他、日々いろいろな問題が起こってまいります。それらの問題について、基本的には、いつも大臣が申し上げておりますように、外国から言われているからというようなことではなくて、主体的かつ前向きに取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
  183. 竹下登

    竹下国務大臣 米沢さん、数年前、垣根問題等の場合はだれが答弁するか、証券局長と銀行局長がそれぞれ答弁をしますと一方に偏りがちであるから理財局長が答弁する、こういう部内決定をしたことがございました。が、確かに歴史的に見ましても、この高度経済成長期に、ある意味において「銀行よさようなら、証券よこんにちは」とか、あるいは山一問題等、「証券は危ないよ、銀行は安心よ」とか、そういう両業界のいい意味における競争原理の中で競争しておるわけでございますが、そういうこともあったと思います。  それから、よって立つ歴史的あるいは法律的基盤というのが諸外国とはかなり違います。本来業務に対してはそれなりにきちんとした分野調整ができておりますが、周辺部分についてはだんだん話し合いが円滑にできるようになりまして、今二人の局長が、それぞれの立場を持ちながらも堂々と米沢さんにお答えができるようになったというのも、これは両業界もそのような指導の中で、徐々にそういう双方の混乱も余りなく、エゴの主張のみにとらわれることなく成長してきておる証左の一つではなかろうかというふうに、私は最近そういう認識をいたしております。  ただ、これから気をつけなければいかぬのは、一般質問でありますし、政治家同士の話でございますが、いわゆる尊王攘夷、開国、仮にそういうことがあったとしますと、牛肉、オレンジということになりますと農業団体の方がむしろ旗を立てると、これはさまになります、いかにも尊王攘夷。それから、侍が昔の気持ちで尊王攘夷と言いますと、かみしもに二本の長短の刀を差して、これもさまになります。ところが、背広にチョウネクタイというのはなかなか尊王攘夷のさまになりませんで、そういう対応の仕方というのも、いわば逆の意味において自由化国際化の中で自然になれていかれる、ある意味においては心構え、そういうところの転換も今日双方にあられるのではないか。しかし個別問題につきましては本当に、国内の問題あるいは国際的な問題を毎日聞いているような感じがしますので、そういう中で何の混乱もなく円滑な方向に、歴史の必然性とともに定着していく方向で努力をしなければならぬという考えを持っております。近ごろの大蔵省の業務、大臣の業務の中でも、この問題が非常な比重を占めてきておるということは、やはり世の趨勢だな、こういう感じを私もひとしお深めておる昨今の心境であります。
  184. 米沢隆

    ○米沢委員 いろいろと御答弁をいただきましたが、昔よりも少しは前進し始めておるという感じで、率直に評価をしましょう。だれが言ったか知りませんが、大蔵省は局があって省がない、まさにそういう分野のところではなかったかと私たちは考えておるのでございまして、今大臣にお答えいただきましたように、少しずつ衣を脱いで近寄り始めて、堂々と銀行局長や証券局長が話ができるというような事態になったことを率直に喜ばねばならないと思います。しかし、姿勢論は別にして、現実がすべてを語るわけでありますから、今後の推移もまた我々は注視していかねばならないという感じがいたします。  ところで、例の銀行、証券両業界の調整案件として残されておりました、先ほど言いました国債担保金融の弾力化、この問題は一体どういうふうに解決されようとしておられるのか。ことしの六月までに解決するというような話でありますが、その点はいかがになりましたか。
  185. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 御指摘の点につきましては、昨年の五月に、俗に三人委員会と言っておりますが、三人の先生方に御検討いただいた結果を踏まえて、大蔵省で銀行の証券業務に関する点についての三つの決定をいたしております。その一つが、最前申し上げましたCP、CDの問題、これはことしの三月末までに答えを出す。それからディーラー業務の認可については、一応の基本方針を明らかにした上で、ことしの六月に期近債に限って認可をする。それからもう一つ御指摘の点については、銀行の総合口座の状況、あるいは関連する金融の諸問題に配意しながら、六月までに何らかの結論を出すということになっております。二つの問題については既に答えが出たわけでございまして、六月に向けて現在最後の問題について検討に入ろうという状況でございますが、銀行の総合口座の方がほとんどまだ行われておりません状況等もございまして、どういう結論になるのかは今のところまだ申し上げられる状況ではございません。いろいろな観点から、これから検討を加えていきたいと思っております。
  186. 米沢隆

    ○米沢委員 国債の担保金融を弾力化していく、すなわち証券会社等が約款方式で融資ができるというようなことになると、証券会社はカードによる融資とか、有価証券運用を組み合わせたCMA、キャッシュ・マネジメント・アカウント、現金管理口座と言うのだそうでございますが、これに乗り出す足がかりとなりかねない、こういうのが銀行界の相当の反対論の根拠だと言われておりますが、約款方式を認めるということは直接そういうことになっていくような実態にあるのでしょうか。
  187. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 この問題についての御議論はさまざまでありまして、今御指摘のような御議論も確かにございます。それは実際にどうなるか、やりようによって違ってくるわけでありまして、やり方によっては最終的にそういうことになる可能性ももちろんあるわけでありますが、そうでない可能性もある。  そこで、私どもがこの問題を議論するに当たって基本的に考えなければならないことは、だんだん両業界の垣根が低くなっていく、両業界が重なり合っていく部分が多くなってくる、これは否定できない現象としての事実であります。しかし、あくまでも銀行業と証券業とは異なった業種でございますから、両方がすべての分野で同じことができる、こういうことにはならないわけでありまして、その辺のところ。それから、そういった業務を開始することによって既存の銀行の業務、あるいは既存の証券業務にどういう影響を持ってくるかという点も考えなければならないと思います。それから、当然のことながら融資でございますから、融資を受ける方の立場があるわけでございまして、この方たちの利便の問題、そういったいろいろな要素を検討して、最終的な答えを出すべき問題であろうと思っております。
  188. 米沢隆

    ○米沢委員 銀行と証券会社との垣根の問題で記憶しておりますのは、昨年、例の大和証券と京都信用金庫が普通預金と中期国債ファンドの相互利用をやろう、こう打ち出したときに、両業界で入り乱れて大攻防戦が展開されましたね。また、ことしになって山一証券とバンク・オブ・アメリカが当座預金と中期国債ファンドの相互利用というのを打ち上げたときにも、相当の混乱がありました。こういう問題は一体どのあたりで落ちついておるのでしょうか。銀行と証券会社の業務提携、仲よくしょうというものが妨害されるということであれば、垣根を越えたい、しかし一緒になろうと言うとまたそれはだめだ。銀行は銀行同士の争い、証券会社は証券会社同士の争い、やっかみ、そして両業界とのいがみ合い。相当混乱しておる。先ほどの両局長の答弁とはまるで別の方向も現実にあるということもわかってもらいたいと思うのですが、このあたりいかがですか。
  189. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 両局にまたがる問題ですので、私ばかりが答弁するのはいかがかと思うのですが、今の点について申し上げますと、銀行と証券のいろいろなかかわり合いが多くなってきている、その中にも幾つかのタイプがございます。公共債に関する業務のように、両業界が同じことを同じ地盤でやっていく、そういう重なり合いがございます。それからもう一つは、両業界がそれぞれの固有の機能を提供し合いながら提携をしていくという分野がございます。  今御指摘の大和証券と京都信金の提携の話は後者に属する問題でございます。私から申し上げるまでもなく、銀行の持っている基本業務の一つとして決済機能というのがございます。証券会社にはこれはございません。しかし、証券会社のお客さんも、株式そのものへの投資とかそういったものからだんだん離れて、中期国債ファンドのような、ある程度預金に近い性質を持ったものへの投資をするお客さんが非常に数多くふえている。したがって、お客さんと店との間のお金の行ったり来たりの頻度が非常に多いわけでございます。そういったお金の行ったり来たりを、自分は決済機能を持っておりませんから、銀行の決済機能を通じて行う。他方で、進展しておりますコンピューター化、そういったものと合わさりまして、両業界がそれぞれの機能を提供し合うという構想が数限りなく出てまいります。その一つでございますが、そういったものをどう扱うかについての基本的な考え方は、少なくとも証券会社がみずから決済業務をやるようなことになってはいげない。それから同時に、銀行の方がみずから証券の商品である中期国債ファンドを販売する、これは証券業務そのものでございますから、そうなってはいけない。そういった基本的な線に触れるかどうかということを見きわめつつ、かつ新しい商品が既存の金融市場にどういう影響を及ぼすかという点を見ながら答えを出していく、こういう問題であるわけでございます。  そういった観点に立って、大和証券と京都信金の問題については、先般銀行局の方でお答えをお出しになりましたが、御指摘のもう一点の山一の問題につきましては、決済機能の点でもう少し検討すべき点があるものですから、まだ答えは出てない、こういう現状でございます。
  190. 米沢隆

    ○米沢委員 その話はそれぐらいにしまして、金融資本市場開放自由化問題が昨年十一月のレーガン大統領の訪日を機に急浮上してきたことは御案内のとおりでございます。ことしの二月、三月と日米円ドル特別会合が持たれ、また十六、十七日にはワシントンで第三回の作業部会が持たれて、そして答申に至る、このように聞いております。このような動きと並行しまして、大蔵省の方では、中曽根総理の指示で、我が国の独自の立場から、金融自由化の中長期的なプログラムをまとめるということが新聞等に報道されております。詳しく述べれば時間がかかりますから簡単で結構ですが、このような展望をまとめるに至った経緯、それからこの展望の基本的な方針、基本的な内容等について御説明をいただきたい。  同時に、この長期展望がアメリカとの現在の交渉とどういうような関連性を持つのか。すなわち、展望イコールアメリカへの回答なのか、それとも回答は展望の一部であると見ればいいのか、その点をお話しいただきたい。
  191. 竹下登

    竹下国務大臣 まず私からお話し申し上げてみたいと思います。  昨年のサミット、その後レーガン大統領の訪日。サミットの当時からリーガン財務長官と私どもの方で、当時はやはりなかんずく円ドル問題、要するに為替相場が適正か適正でないか、私の方から言えばアメリカ高金利、こう言いますし、向こうで見れば、そうじゃないんだ、円安を誘導しているんじゃないかという種の空気が、リーガンさん自身にはなくても、向こうの産業界にはあったと思うのであります。したがって、これはやはり通貨問題だから、政府全体というよりもお互いの通貨当局者で話し合いをしようというところから、例のアドホック委員会ができたわけでございます。そこで、とはいっても竹下登さん、少なくとも専門家じゃない。それでお互いの専門家同士というので、我が方からは財務官、向こうからはスプリンケル次官、これがたび重なる会合をして、それを両方の議長すなわち私とリーガン財務長官に報告をしよう、これは五月、こういうことになっております。これらのメンバーというのはしょっちゅう外国で一緒になっております。が、その都度会いながらも、一回、二回、今度で三回目。大場財務官はもう向こうへ行っておりますが、明日我が方の後続人デレゲーションが出かけるわけでございます。  第一回会合等から見ますと、まずいわゆる為替レートの問題については、少なくとも日本が故意なる円安誘導をしておるということはないということは、向こうの経済諮問委員会等においても明らかになった。そうすると実勢レートというのは違いはどこかという認識からすると、どちらかといえば私どもは高金利の問題を持ち出す、向こうさんは世界第二番目のこれだけの力があるんだから、これが本当に国際化して、いわゆる国際基軸通貨というようなものになってきたら、おのずから変動のない、安定した相場というものはできてくるんじゃないか。そういうことからレーガン・中曽根会談では、引き続き両大臣に任せて検討させようということになって今日に至っておるわけです。  そこでこの第一回会合、私の方からも例えばユニタリータックスの問題でございますとか、向こうからもユーロ円市場自由化の問題でございますとか、そういう問題を具体的にいろいろ出していく。それでまず一つはいわゆる金融自由化、それから今度はユーロ円市場、二つに分けてすり合わせをやっておるわけです。これに対して中曽根総理が私に言われた言葉というのは、非常に言い得て妙な言葉だと思えましたのは、どちらかといえば我が国の大蔵省はステップ・バイ・ステップだ、ストライド——なるほど静岡高等学校の陸上競技の選手だったから、それでストライドという言葉を使ったのかなと私思って聞いておりました。とはいえ、いわゆる工程表なんというのはなかなか出せる問題ではないが、少なくともある種のプログラムというものをまずお互いの国の中で、我々の中で持って、その上で今度はそこへ具体的な問題を一つ一つ配列しながら解決していくという、そのプログラムというものをつくってみたらどうだ、こういう御指示がありました。それで、部内でも鋭意勉強いたしまして、それに沿うようなものを何とか四月末ぐらいまでにまとめようじゃないか、外へ発表できる、できないは別問題として、まとめようじゃないかということで今日に至っておるわけであります。  これが直接のいわゆるすり合わせの問題の回答そのものになる問題とは必ずしも思っておりません。あのアドホックグループの問題点というのは円ドルから来て、それが今や国際化自由化方向へずっとすそ野が広がっていったということでありますので、この四月の第三回も相互理解がもっとできるように、専門家同士ですから——我々政治家同士の話になりますと、時には誤解を生みやすい。日本の銀行は幾らでもアメリカへ出て買収するじゃないか、だが、日本の銀行は買収できないじゃないか。それは本当はこっちに身売りする気持ちのある銀行がないわけでございまして、制度的にはできるようになっておりますが、向こうは一万四千五百銀行があって、こっちは相互銀行以上で百五十七とか、いろいろな差もございますが、そういうのを話しながら詰まっていって、事務当局間ではどちらかといえば相互がだんだん歴史的な淵源をも含めて詳しくなってきておる。私とリーガン財務長官の間でも、この差はやはり埋めていかなければいかぬ。そのストライドでも、リーガンさんの方はどちらかといえば五十メートル競争でも走るか、私の方は一万メートルぐらいな走り方か、その辺の相互認識が逐次埋まっていくようにして、現実問題としては双方のための利益になり、国際社会に尽くせるようになり、そして基本的にはそれが主体的に、かつ積極的に行われていかなければならぬという基本認識に立って、乏しい知識を持ちながら悪戦苦闘をしているというのが現状の偽らざる認識であります。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  192. 米沢隆

    ○米沢委員 ところで、十六、十七日に行われます日米円ドル特別委員会日本側として回答する内容等が、十日ぐらいからの、きょうの新聞にも載っておりますが、ほぼ明らかにされております。ここで注目すべきは、けさほどから議論がありましたように、ユーロ円投資市場の拡充、このあたりにかなり踏み込んだ回答が用意されているようでございます。  そこで、ユーロ円債に関連して二、三質問をさせていただきたいのでありますが、第一点は、既に四月からユーロ円債の発行が居住者に限り解禁になっておるということでありますが、この対象になる企業は、けさの答弁にもありましたように、普通社債で三十社、転換社債で百八社程度だ、こう言われております。また、この起債基準そのものも緩和しようというような話をときどき目にするのでございますが、その用意があるのかどうか。  それから第二点は、このごろ企業は間接融資ではなくて直接融資というものをやるように傾向が変わってきておりますが、ユーロ円債市場日本の方から起債をするような需要と可能性は一体どれくらいあるのだろうか、これが第二点。  第三点は、ユーロ円債は御案内のとおり無担保が原則でございますから、それとの見合いにおいて、国内においても、海外でユーロ円債を出せるような企業は無担保債を出せるようにしよう、こういうような話があるのだそうでございますが、こういう措置をとったとして、果たしてユーロ円債に駆け込む企業を日本の方に引きとめることができるのかどうか。また、何をメリットとしてユーロ円債を目がけて走るのか。  以上、この三点についてまずお聞かせいただきたい。
  193. 酒井健三

    酒井政府委員 まず第一点の基準の緩和の問題でございますが、先生御指摘のように、ユーロ円債では、国内でやっておりますような有担原則が適用されない。したがいまして、国内金融慣行とのバランス等を踏まえまして、金融、証券会社の間で検討を進めてまいりました。その結果、今年の四月から、国内で無担保債を発行できるような優良企業や法律上一般担保債を発行できるような企業がユーロ円債を発行できるというようなことで合意が成立したわけでございます。したがいまして、そのユーロ円債での発行が認められるもの、これにつきましては国内での無担保債や転換社債の発行の基準も同じように緩和された、そういうふうに合意されているという状況でございます。  それから、日本の企業のユーロ円債に対する需要とその可能性という問題でございますが、企業もいろいろ資金調達の効率化というものに大変重点を置いてございます。外貨債も相当発行されるような状況になっておりまして、国内市場と海外市場での債券の発行の状況を見ますと、昭和五十三年ぐらいまでは国内が八割、海外が二割というような状況でございましたが、次第に国内が七割、海外が三割というふうになっております。昨年をとりますと、もう国内が五割強、海外が五割弱というような起債の状況になっております。しかし、外貨債につきましては、どうしても為替リスクという問題がございます。それに対しまして、ユーロ円債でございますと、円債でございますので、為替リスクというものがないわけでございまして、金利とか発行コスト、そういうような面で、国内債に比しまして有利な場面というものも出てくることがあり得る。特に普通社債でございますと、金利というものが非常に大きなウエート、それからそれに伴って税金もかなりウエートを占めるわけでございますが、転換社債でございますと、かなり金利の要素が、ウエートが低くなるものでございますので、あるいは企業によりましてはユーロ円債の転換社債、外貨の転換社債、かなり活発に出ておりますが、そういう可能性というのは相当あるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  194. 米沢隆

    ○米沢委員 今度のこの回答の中で、先ほども申しましたようにかなり踏み込んだものがあるのでございますが、この回答に盛られておるような緩和措置といいましょうか、ユーロ円債に理解を示すということ、この程度のことは、ほかの先進国に比べて、自由度みたいなものはどれぐらいの程度のものなんでしょうか。
  195. 酒井健三

    酒井政府委員 ユーロ円債に対する各国通貨当局のスタンスでございますが、御承知のようにアメリカはユーロダラーというのを全く自由に認めているわけでございますが、例えばドイツの場合でございますと、ユーロDM債だけというものの発行は認めていなくて、ただ、DM債が発行される場合に、国内と海外とで同時に発行されるというものは若干ある。しかしその場合も、かなり国内での起債の方が主体になっている。したがいまして、主幹事というような問題も、ドイツの銀行ということになる。それからイギリスの場合、ユーロポンド債というものにつきまして、これも割合と慎重でございまして、海外での起債だけというのは通常認めてない。やはり国内と同時にそういうような債券、しかし、そのある程度の部分が海外のマーケットで売られる。そういうようなことで、イギリスの場合には、やはりこれもリードマネジャーというのが原則としてイギリスの証券会社。しかし、アメリカ系であるとかスイス系の英国法人である証券会社には、主幹事を認めているようなケースもあるというような状況でございます。  私ども四月から、居住者のユーロ円債の発行につきましてガイドラインを緩和しまして、従来、非居住者につきましては、外国政府、国際機関についてユーロ円債の発行を認めておったわけでございますが、今後の問題として、外国の企業に対してある程度ユーロ円債の発行を認めるということを十分考えなければいかぬ問題かなというふうに思っておりますが、アメリカと違いまして、ドイツ、イギリス、スイス等の通貨当局もユーロ債の問題につきましてはかなり慎重なスタンスでございますので、私どももそういうようなスタンスと余りかけ離れたようなスタンスはとらないことが望ましいのじゃなかろうかというふうに考えております。
  196. 米沢隆

    ○米沢委員 アメリカの方からの要請の中で、中長期のユーロ円の融資、ローンを認めるという要請がありましたけれども、これは今のところ中長期的に考えるというふうな対応の仕方のようでございます。これはやがては認めるという方向で御検討されるのか、その点と、それからユーロ円債の源泉徴収税の撤廃については絶対にノーという御返答のようですが、これは何か税法上の問題があるんですか、それとも何か国内に対する影響等考えてのノーなのか、この二点お聞かせいただきたい。
  197. 酒井健三

    酒井政府委員 最初に中長期のユーロ円ローンの問題についてお答えさせていただきます。  御指摘のように、アメリカ側の関心というのは、各国通貨当局が介入しない、完全に自由なユーロ市場に円が組み込まれる、具体的に申しますと、居住者、非居住者を問わずユーロ市場で円を自由に調達し、そしてまた自由に運用するということを提示しておりまして、その一環として、中長期のユーロローンについても、日本側がどう考えるかというような関心の表明がございました。ところが、私ども債券の方は、例えば外為法上、非居住者については許可制であるとか、居住者については審査つき事前届け出制であるとか、そういうようなコントロールの道があるわけでございます。また、私ども日本が加盟している国際金融機関であれば、そういうような協定におきましてそういう国際機関が加盟国の通貨を使用して資金調達をするときには加盟国の承諾をとるとか、それからほかの国の政府も、当該通貨国の通貨当局の同意というものがなければそういうことはやらないというような国際的な慣行になっておりまして、そういう意味で、債券につきましてはある程度これは規制ができるかというふうに思うわけでございますが、貸し付け、ローンになりますと、そういうような規制の仕方ということは考えられないという問題があるわけであります。  それで私ども、金融自由化とかそのほかの自由化、今日まで貿易自由化とか資本取引の自由化をやってきたのですが、ユーロ市場について、各通貨当局もやはり完全に自由化しようというような国際的なコンセンサスがあるような状況でもございませんので、中長期のそういうようなユーロローンにつきましては慎重に対応することが適当であると考えておりまして、将来の姿としても、これを完全に自由化するというような考え方を固めているわけではございません。
  198. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ユーロ円債の源泉徴収の問題でございますけれども、この問題につきまして、これまで私どもアメリカの財務省当局者との往来の過程で理解を求めてまいりました点は、我が国の金利に対する源泉徴収制度というのは、恐らく先進諸国の中でも一番完備された制度であるわけでございます。したがいまして、ここを一カ所でも抜きますと、そのインパクトは非常に大きいのだ、そういう特殊な事情をよくわかってほしいという観点から理解を求めておるわけでございますが、問題の難しさは実はここにあるわけでございまして、そういうインパクトが大きいということになりますれば、当然それは国内の起債市場にどういう影響ではね返ってくるかという、金融市場なり資本市場プロパーの問題があるわけでございます。  そのほかに税のプロパーの問題といたしましては、そういうインパクトの大きい問題でございますから、どうしても国内投資家の租税回避の手段に利用されやすい。そういう租税回避を誘発するというおそれがあるわけで、そういう抜け穴を封じるという観点の問題が非常に重要になってくるわけでございます。それはひいては課税の公平という問題にもつながってくる問題でございまして、そういったものと、いわば外から参っております要請に対して、そういう政策上の要請というのをどう評価するかという、その辺のバランスの問題もあろうかと思うわけでございます。かたがた、利子・配当課税につきましては、これから基本的な課税のあり方を、国内の税制問題としても検討する時期にちょうど入ってきておりますので、現時点でこの問題について早急に結論を出すのは難しい。それから、事柄の本質も非常に難しい問題であるということで、今まで対応してまいっておるところでございます。
  199. 米沢隆

    ○米沢委員 次に、外国の金融機関による日本市場への参入改善ということで、在日外国証券会社が会員権を取得さしてもらいたい、あるいは証券手数料のあり方の見直しをやってもらいたいというような要請があり、それにこたえる形で、外国証券会社が東京証券取引所の会員権を取得しやすい環境を整える、そして海外で居住者が起債する場合、外国の証券会社も主幹事になることを認める、このような回答が用意されておるように報道をされております。  ところで、この在日外国証券会社も主幹事になることを認める、こういうことに関して、証券業界は、通貨主権を守るためにも明け渡すべきではないというような反論があるやに聞いております。ユーロマルク債の発行についても、西ドイツあたりは、主幹事だけは西ドイツの銀行に限ると厳しく規制しているように聞いておりますが、この主幹事の座を外国の証券会社に明け渡してもいいということは、通貨主権の観点からいかがなものであろうか。同時にまた、果たして歯どめがかかるのだろうかという疑問があるのですが、その点を証券局長にお答えいただきたい。  同時に、時間も余りございませんが、会員権の取得については、会員権を取得しやすい環境を整えるというような回答なのだそうでございますが、一体これは何を意味しておるのか。現に今でも取ろうと思えば取れるような法体系になっておると聞いておるのでありますが、実際は売る人がいないから買えない、こういうことが実情であるように聞いております。そうなりますと、アメリカ等が言っておりますように、特別会員制度を認めろというような議論にも発展するのだと思いますが、そのあたりを今後の問題としてどういうふうに大蔵省は考えておられるのか、それが第二点。  第三点、公正取引委員会の方にお聞きをしたいのでありますが、御案内のとおり、証券界にとっては固定手数料と会員権を自由化するというのはタブーだと言われておるのだそうでございますが、現在のこの自由化の流れを見ておりますと、最終的にはそこにたどりつかざるを得ないと私は考えます。この固定手数料等は法律で独禁法の除外にされておる。それとの見合いで会員権等は新規参入を認めないということになっておると聞いておるのです。もし間違いがあれば法律的に御説明をいただきたいのでありますが、証券取引所の会員権の開放、あるいは固定手数料の自由化等は、どう考えても独禁法の除外条項から外すということなくして実現できるはずはありません。そういう意味で、お聞かせいただきたいのは、この除外規定ができた経緯とか背景はどんなものであったのか、その背景は今でも続いておるのか。同時に、公正取引委員会としてここらの関心は那辺にあるのか、そのあたりを聞かしてもらいたいと思います。
  200. 酒井健三

    酒井政府委員 ユーロ円債の主幹事の問題につきまして、通貨主権という立場からの御質問でございますので、私の方から私どもの考え方を申し上げさしていただきたいと思いますが、御指摘のように、今日まで非居住者の発行するユーロ円債につきまして、そのユーロ円債発行の実態を十分把握するためにも、日本の証券会社が主幹事であることが望ましいというようなことで、日本の証券会社に限ってきたわけでございます。ドイツ、それからイギリスの場合にも、ユーロ債につきまして、主幹事を自国の証券会社、先ほどちょっと申し上げましたが、イギリスの場合にはアメリカ系とかあるいはスイス系ではありますが、いずれにしろ英国の法人、英国の証券会社であるものに限って主幹事を認めております。ところが、ドイツとかイギリスの場合には、そういうものによってコントロールする以外にコントロールする手だてがないわけでございますが、外為法で、非居住者の有価証券の発行につきましては日本大蔵大臣の許可をとらなければならぬということを明定しております。したがいまして、日本の場合に主幹事を日本の証券会社に限らないと、みだりに発行されて、通貨主権の観点からの問題が生ずるというようなことは、現在の法制を前提にすればなかなか言えないことかと思います。もちろん、今日の時点におきましてそういうような外為法上の法律改正ということを、私ども考えておりません。しかし、堀先生の御指摘のように、そういうような許可という問題も、いつかはやはりいろいろ自由化を迫られてくる可能性もあるじゃないかということ、私どももそれは可能性としては十分あるだろう。  そこで問題は、居住者がユーロ円債を発行する、これに円を使うのは、これは一応通貨主権の問題はないと考えて、非居住者が円を使って債券を発行する、その姿としてどういうところが大口かつ頻繁にそういう債券発行をするのか。現状で考えると、やはり国際機関であるとかあるいは外国の政府というのが、大口の起債ということを回数も多くやる可能性があるかと思います。そこで国際機関につきましては、日本が加盟している機関につきましては協定上、日本の通貨当局の同意を得るというような規定になっております。例えば今日、世銀とかあるいはアジア開発銀行であるとかIDBとか、これがユーロで債券を発行する場合には、その都度大蔵大臣の承諾を求めてくるような手続をとっております。もちろんそのほかに外為法上の許可の手続というのが重なっているわけです。それから、日本が加盟していない国際機関、例えば欧州投資銀行、EIBというようなものにつきましても、やはり協定上の関係はございませんが、彼ら自身が円を使っての起債調達について、年間の彼らの起債計画というようなものを我々に示していろいろコメントを求めるというような態度をとっておりますので、我々の方が全くタッチしない国際機関、加盟していない、協定上の関係のない国際機関も、そうみだりにそういうようなことをやらないのかと思います。  それから外国政府につきましても、国際的な儀礼として、当該通貨国の意に反してやるようなことはしないのが現状でございます。  そうすると、問題は外国の企業が円を使って債券を発行するというのがどのくらい起こってくるだろうか。今日の状況で見ても、いろいろカレンシー・スワップというようなテクニックが発達してきておりますので、円の金利が低いという状況が続けば、ユーロ円債を外国の企業が発行するという問題、ある程度は出てくるだろうとは思いますが、国際機関とか外国政府の規模に比べるとそう大きくはならないことも十分考えられるのじゃなかろうか。したがって、外為法上の許可がどうしても要るというのは、今申し上げましたような外国の企業の方が主体になるのじゃなかろうか。こういうものにつきまして、私どもは少なくともこういう許可制という形か何らかのコントロールをする必要性は痛感いたしておりますので、そういう態度を堅持したいというふうに思っております。
  201. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 答弁は簡潔に願います。
  202. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 二つ、私どもに関する点、お答えします。  まず取引所の会員権の問題でございますが、この問題は先生御指摘のように、二年前に制度改正がございまして、法律上あるいは定款上、外国人にも加入の道が開けております。ただ現実に、今八十三という定数がございますが、これが満席になっておって入れないじゃないかという点が、過般来いろんな機会に議論はされている、そういう状況でございます。この問題につきましても、制度的に内外の差別はなくなっておるわけですから、一応問題解決とも言えるわけでございますけれども、資本市場自由化全体の問題として、我が国として、政府だけじゃなくて市場の関係者全部が主体的、前向きに問題を考えていこうという中の一つの課題として考えなければならない問題なのかなと思っております。ただ、直接には会員組織である東証の問題でございますから、東証が検討する問題でございますし、それから会員のいろいろな絡み合いの問題もございますので、あしたからすぐ答えが出るというような種類の話ではございませんが、そういった受けとめ方をいたしております。  それから手数料の問題は、これは日米の間の話し合いの過程で一度も言及された問題ではございません。しかしながら、現在手数料の状態はどうなっているかということを簡単に申し上げますと、我が国は一種の固定体系的な手数料制をとっております。アメリカは完全に相対の話し合いになっておりますが、その結果、水準を比べてみますと、全体として大きな差はございませんが、日米の間で顕著な差は、大口の取引についてはアメリカの方が安い、しかし小口の取引についてはアメリカの方が高いという状況になっております。したがって、自由化をすることが即投資者の利益につながるという問題では必ずしもない。そういう認識も持ちながら、しかし過去数年をとってみても、状況に応じてその都度手直しはしてきておりますので、そういった種類の問題かと思います。  独禁法との関係については、公正取引委員会の方からお答えいたします。
  203. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 もう定刻が過ぎていますので、簡潔に。
  204. 糸田省吾

    ○糸田説明員 証券取引の問題と独占禁止法の関係につきましては、独占禁止法の適用除外に関する法律というのがございまして、それによりますと、証券取引法に基づいて設立された団体につきましては独占禁止法の第八条、これは事業者団体に関する規定でございますが、この規定の適用を除外するという制度がございます。  こういう証券取引の問題につきましては、その公正さを確保しなければならないとか、あるいは投資家の保護をしなければならないといった観点から、いわゆる各種の政府規制というものが証券取引法初めいろいろな法律に存在しているわけでございます。それの一環としてこういった適用除外制度というものが設けられていることになるか、私どもはかように考えているわけでございます。  それで、私どもといたしましては、独占禁止法の適用除外も含めまして、こういう政府規制の問題につきましては、これは証券取引の問題に限らず、全般の問題でございますが、競争政策の観点ということから参りますとこれは例外的なものではないのか、そのように考えているわけでございます。したがって、それぞれ規制の目的に照らして必要最小限にとどめてしかるべきではないか、かように思う次第でございます。  その意味からしますと、こういった政府規制制度が導入されました社会的あるいは経済的な事情の変化、それがもし生じたとすれば、それに応じてこういった制度についても、必要に応じて見直しをしていかなければならないんじゃないか、そう思っているわけでございまして、公正取引委員会におきましても、こういう政府規制問題全般につきましては、いわば中長期的な課題として取り組んでいるところでございます。今後とも、それぞれ関係当局とも連絡を十分とりながら関心を払ってまいりたい、こういった問題であろうかと思っております。
  205. 米沢隆

    ○米沢委員 まだたくさんありましたけれども、時間がありません。経企庁の方も来てもらっていると思いますが、えらい済みませんが、これで終わらせていただきます。
  206. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 箕輪幸代君。
  207. 簑輪幸代

    簑輪委員 大臣にお尋ねいたします。  六十年度の予算の編成方針についてですけれども、大蔵省の「中期的な財政事情の仮定計算例」によれば、六十年度、特例公債の借換債を発行しないケースでも、要調整額は、一般歳出の伸び率をゼロとすると二兆円を超えるということになっております。それで、新聞報道によれば、大蔵省の首脳は、六十年度の予算編成方針について、制度改革をさらに進めるために、総額規制を念頭に置く考えだということが述べられておりまして、六十年度予算一般歳出の概算要求枠、いわゆるシーリングが三年連続マイナスになるという方針であるように報道されているわけです。  けさほどの閣議で、大臣は、この問題について触れられ、三年連続のマイナスシーリングを実施する方針である、そして五十九年度は制度改革にまで踏み込んだ予算を編成したが、財政改革の道のりは遠いので、今後とも財政改革に取り組むということで、六十年度も制度の改正に踏み込んで歳出の抑制を図る考えというふうに聞いております。既に五十九年度予算でも、一般歳出について、福祉や教育全般にわたって、大臣のいわゆる内なる改革というものも含めまして大変な制度改革が強引に進められてきた。その結果、私は、非常に福祉や教育が危機に瀕して、大変な問題に直面しているというふうに思っておりますけれども、こういうお考えをもとにしまして、一層この内なる改革、制度改革というものが非常に強権的に進められるのではないかと危惧をするわけですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  208. 竹下登

    竹下国務大臣 今お話しいただきましたとおり、けさの閣議で、厳しいものとならざるを得ないということを申し上げました。具体的にはもう少し勉強させてください、きょうはこう申し上げておいたわけであります。藤波官房長官からも、それを引き取っていただきまして、委員会等も始まりますから、そう長々議論しておるわけにもまいりませんので、今大蔵大臣から、具体的には勉強したい、これから勉強してみたいということであったので各員よろしく、こういうことで閣議が終わったわけであります。だから、どれぐらいがいいのかというようなことは、本当にこれから勉強してみなければわかりません。ただ、内なる改革というのはまさに内なる改革で、強権を伴ったら、これは外からの押しつけということになりますので、あくまでも内なる改革を期待していきたいということでございます。
  209. 簑輪幸代

    簑輪委員 内なる改革を期待するということで、間接強制というようなことで、結局押しつけるのではないか。大蔵省から指示してあれこれという形よりも、より一層各省庁が自主規制をするようなことを暗に望んでおられるという意味では大変巧妙であり、私は、こういうやり方というのは、本当に民主的であるようなそぶりをしながら、非常に強権的であるというふうに思います。  特に、これまでの経験から見ましても、聖域を設けずにというふうに大臣は常におっしゃいますけれども、現実には軍事費がどんどんふえて、そして福祉や教育が予算の面で明確に切り捨てられている、制度も改悪されているという体験から見ましても、これはゆゆしい問題だというふうに思っておりまして、ぜひそういう国民生活にかかわる部分について、これ以上過酷な制度改悪というのを絶対にやめていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  次に、行革の臨時特例法についてお尋ねをいたしますが、この法律は五十六年に制定されまして、五十九年度で期限が切れることになっております。ここでは四十人学級問題あるいは厚生年金の国庫繰り入れの削減等、問題がたくさん凍結になりましたけれども、六十年度になったら当然これはもとに戻すべき性質の法律だというふうに思います。  これに関連して、まず文部省にお尋ねいたしますけれども、四十人学級制度というのは国民の悲願でもありますし、国会でも再三決議もされておりますし、一日も早く実現すべきだと思いますが、この行革臨時特例法で三年間凍結され、この五十九年度でその凍結期間が終わりますけれども、今後どうされるおつもりなのか。六十年度の概算要求で当然これが出てこなければおかしいというふうに思いますけれども、文部省の姿勢をお尋ねしたいと思います。
  210. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お尋ねの四十人学級を含みます定数改善計画、五十五年度から六十六年度を目標にしましてスタートしたわけでございますが、残念ながら財政事情非常に厳しいということから、今御指摘のような三年間の抑制がかかっているわけでございます。  それで、文部省といたしましては、この第五次改善計画の全体の規模、考え方、それから達成期間、こういうものについては変更しないで努力していく、こういう姿勢でございます。  さらに、六十年度以降どうするかというお尋ねでございますが、生徒の動きでございますとかいろいろなことを総合的に判断しまして、その時点で各年度を考えていくという必要がございますので、現時点で具体的にどうかという点につきましては明確にするのが困難だということでございます。
  211. 簑輪幸代

    簑輪委員 現時点で明確にするのは困難だというお話ですけれども、六十年度は目前ですし、六十年度の予算に当たって概算要求をするかしないか、文部省の姿勢をもうはっきりさせないと、事は少しも進行しないというふうに思うのですね。ですから、この辺のところは文部省が本気で四十人学級を実現しようとする意気込みがあるのかどうかということが、まさに問われているわけだというふうに思います。  再三指摘されておりますけれども、米軍の子弟の通う学校については、例えば小学校三十人学級、五十七年から五十八年度で厚木基地の場合は一億四千万円かけて三十人学級を三教室増設している、特別教室も増設しているという事例が明らかになっております。一方、日本の場合には、財政事情を理由にして、四十人学級はおろか四十五人学級にも達していないという部分もありますし、何としてもこれは早急に実現に向かって前進をしていかなければならないというふうに思います。諸外国の例を見てみましても、このような四十五人学級制というようなことは、まことに教育。後進国と言われても仕方がないようなありさまで、本当に文部省が四十人学級実現の意気込みを持っているのかどうかということが、まさに今度の概算要求で問われるというふうに思うのですね。それで、ぜひこの六十年度の予算要求の中で、文部省がそういう姿勢を示すということを御答弁いただきたいと思いますが、重ねてそのことをお尋ねいたします。
  212. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 六十年度以降各年度の具体的な点は、現時点では明確にできないということで申し上げましたが、全体の計画及び達成年度というものを目標にしまして、専心努力していきたい、こう思っております。
  213. 簑輪幸代

    簑輪委員 まことに心もとない答弁でございまして、本気で六十六年度までにこの四十人学級達成ということができるのかどうか、危ういものだというふうに思います。六十六年といいますと、財政再建問題ということから考えてみましても、六十五年度果たして赤字国債脱却ができるかどうか危うい状況のもとで、こういう文部省の姿勢ですと、大蔵当局から強引に抑え込まれてしまうのではないかと、まことに心配せざるを得ません。私はもう何としても来年度早速その姿勢を示してもらう、概算要求で直ちに文部省がそういう教育充実のために前進的に取り組む姿勢を示してもらうということが必要だと思います。しかし、何度お尋ねしても、余りまともな答弁がいただけませんので、この際、大蔵大臣にお尋ねいたします。  行革特例法案が五十九年度で期限が切れるわけですけれども、新聞報道では延長の方向ということも言われております。そういう臨時特例法としてやられたものを、また便宜的にこの際延長するというようなことは、まことに許されないことだというふうに私は思います。とにかく五十九年度に脱却をするという見通しのもとに、とりあえず五十九年度までというふうにやったんだけれども、脱却できなくなっちゃったんだから、じゃ今度次の目標まで延ばそうかなんというようなことは、まことに政府として無責任であり、財政当局を預かる大蔵大臣としても、こういうふうな場当たり的な財政運営、政治姿勢ということは絶対認められないと私は思います。何としてもこの延長は認められないわけで、延長しないというふうにこの際明確に断言していただきたいと思いますが、大蔵大臣の明確な答弁をお願いいたします。
  214. 竹下登

    竹下国務大臣 私の心境を申し上げますと、実は五十四年、五年、大蔵大臣をしておりますときに、協力いただいてグリーンカード制度ができて、それを昨年の国会で凍結してもらった。これは政治家として良心の呵責にたえかねると思いながら、また現実の対応策こそ勇気が要るなとも思いました。今度またちょうどそれにぶつかるわけですね。五十五年の予算で、今の文部大臣の森君が文教部会長でございまして、最終的に私のところで議論をいたしました。大体横綱は大部屋から出ないと育たぬ。我々の幼少のころのように、粗野な六十人学級ぐらいでやった方が今日の日本があるじゃないか、だから、今日世界で一番頭のいい国民になったじゃないか、こうその当時私が財政当局の立場から言いましたら、森君が、だからあんた程度のものしかできなかったんじゃないか、こう言いまして、本当に議論をした。そこで芸術作品ということを当時申しましたが、十二年間でやろうじゃないか、だんだん生徒さんの実数が下がってくる、それで合意に達したわけです。  そうして今度は特例法で、さはさりながら五十九年度は一応のめどとして、いわゆる特例公債依存体質から脱却するんだ、こういうことでお願いをして行革国会で通してもらった。それですから、特例公債依存体質からの脱却の努力目標が新たに延びたから、したがって即特例適用期間の延長に直結するというものでは確かに必ずしもございません。そうなると、まずは今度の概算要求のときにどうするかということ、それは文部省の課長さんですね、本当に一生懸命お答えになっておる。それは私がきょう、そういう点は勉強しましょうと。勉強の課題ですよ、まさに。したがって、決して抑え込むなんという、そんな大それたことは考えません、みんな優しい顔をしておりますから。が、この問題こそまさに総合勘案して、勉強と言いましたその中の重大な検討すべき問題であるという事実認識を持って、したがって、これは本当にそうおたおたしないで、それなりのシーリングの際までにある程度の方向を検討していかなければならぬなと思っておるわけです。  普通ならば当然、文部省で見れば、来年切れますから、もとに返った概算要求ということをすんなりお考えになると思いますが、きょうまた勉強します、こう言ったものですから、したがって勉強されてどんなことになるのか、これから相談して勉強するわけですから、今確然とそのようにいたしますとかいうお答えをする段階にはない。しかし、いずれにしても大変難儀な問題だなという事実認識だけは持っております。
  215. 簑輪幸代

    簑輪委員 勉強勉強で何でも勉強課題に押しやってしまって、そして当面のこの緊急の問題についてあいまいな御答弁というのはちょっと納得できないのですけれども、結局、六十五年度に赤字国債脱却の目標を先へ延ばしたという事実、現状は少しも変わらないわけですね。そして、五十九年度に赤字国債の脱却がもうできないということ、これも疑う余地のない厳然たる事実なわけですね。そういう事実が今こう目の前に厳然とあって、そして来年度の予算編成に当たってどうなのかというときに、そのシーリング枠までの間に事情が好転して何か新しい状況が生まれるなんということはあり得ないわけですね。そうしますと、今の段階で、これは延長できるものかできないものかというのは、だれでも明確に判断できることではなかろうか。まして賢明な大蔵大臣であれば、はっきりとおっしゃることができるのではないか、こう思いますので、いま一度端的にお答えをいただきたいと思います。
  216. 竹下登

    竹下国務大臣 これはまさに重要な事項として検討をすべき問題だ、こういう認識です。直ちにこの際きちんと判断できるほどの賢明さはない。それはむしろ六十人学級時代に育ったからかもしれません。
  217. 簑輪幸代

    簑輪委員 それは大蔵大臣の判断事項ではなく、総理の判断事項ということならば引っ込みますけれども、そうではなしに、これは大臣の判断で決定されることだろうというふうに思いますが、まあ私の質問で、そうであるともないとも答えるのは難しいとおっしゃるなら、私は、今のニュアンスから見て大変厳しい状況にあるということをうかがわざるを得ないわけです。しかし、事は大変重要であり、これが延長されるということになれば、さっきの四十人学級を初めとして、問題が全部先送りにされて、被害はますます拡大するという点で大変心配をしておるわけでございますので、重ねて私は、特例法という法律をそういいかげんに運用してもらっては困る、そして事態を正しく認識し、私が申し上げた要求をぜひお聞き届けいただきたいというふうに思います。  次に、こういう四十人学級制が実現されなければならないということが決まっているにもかかわらず、予算措置上も先へ先へと送らされているということは、私はまさに自民党内閣、そして特に今度中曽根内閣のもとでは教育大改革ということが口にされ、教育臨調あるいは臨時教育審議会の設置等も言われておりますけれども、私は教育軽視の姿勢がここにあらわれているというふうに受けとめざるを得ないわけです。  で、四十人学級の問題もそうですけれども、もう一つ、きょう問題提起をしたいのは、本日本会議日本育英会法案の趣旨説明が行われましたけれども、これにかかわる問題です。  ここで新たに有利子貸付制度の創設というのが盛り込まれております。今日、教育費の高騰というのが本当に家計を圧迫しておりまして、学費の負担が耐えがたいものになりつつあります。家計の中で教育費の占める割合がだんだん高くなってきておりますし、教育費のためにせっせと貯蓄をするとか、あるいは教育費のためにパートで働くようになったとか、また教育費のためにサラ金に手を出したという例すらあるわけです。今大事なことは、奨学金制度の拡充こそが必要ですのに、逆に有利子制度の導入というのはこれと全く逆行するものであり、到底認められないものだと私は思います。  奨学金に利子をつけるという発想、これは第二臨調やあるいは大蔵省の発想でしょうか。教育とは一体何なのか、奨学金とは一体何なのかということを全く理解しないものだと言わなければなりません。財政事情が優先されて教育が後ろにやられる、ないがしろにされる、これはとんでもないことです。奨学金有利子制度導入ということは、日本育英会が一九四三年につくられて以来四十年の歴史始まって以来のことで、根本的な、基本的なところを大きく転換するという重大問題だというふうにも思います。また、憲法や教育基本法に照らして教育の機会均等を充実するよりも、これは損なうものだというふうに私は言わなければならないと思います。  そもそも奨学金というのは給付であるべきであって、貸与というのはまさに奨学金の性質そのものからも外れていると思います。欧米では給付制度が主流で、採用率も大学ではアメリカ六割、イギリス九割、西ドイツ四割。それに引き比べて我が国はわずか一割というありさまです。さらに、授業料については、アメリカを除いて無料だということから見ましても、日本が非常におくれているということを痛感せざるを得ません。経済的理由によって就学困難だという学生に奨学金を支給するわけなのに、そこに有利子制度を導入するなどということは、お金のない者は進学をあきらめなさいと言わんばかりの措置で、これは到底許されないことと思います。財政事情を理由にして有利子化というのは直ちに改めるべきで、私が大臣にお伺いしたいと思うのは、教育というものと財政事情との考え方は一体どうあるべきなのか。財政事情を教育に優先させて、厳しい財政事情だからそういう制度の改革で教育の切り捨てを行うということは許されてはならないんじゃないかと思うのですけれども、教育と財政との関係について基本的認識をまずお伺いしたいと思います。
  218. 竹下登

    竹下国務大臣 私も教育の専門家でございませんので、基本的認識と言えば、財政というものは負担する者も国民、受益者もまた国民という意味において、国民の共通の問題である教育を、財政負担の中で助成制度によって進めていくというのは、私は筋としてそうあるべきものであろうと思っておりますが、この有利子制度の問題というのは、量的拡充ということを考えたら、制度として、臨調の答申もこれありでございますけれども、考えられる一つ措置ではないか。量的拡充、こういうことが一番大きなメリットではなかろうかなと私は思っております。  諸外国とお比べになりましたが、大学進学率も今世界一でございますし、高等学校進学率も世界一。日本アメリカ、三番目韓国、四番がフランス、西ドイツ、イギリスの順番でございましたか、だから、今までの制度もこれからの制度も、もともと読み書きそろばんといって教育に熱心な民族でございますから、まだまだ世界一になるだろうと思って私は期待をしております。
  219. 簑輪幸代

    簑輪委員 量的拡充だからこれはむしろよろしいことであるという認識ですけれども、同じ中身で量を拡大するということなら、これはわかるのですね。だけれども、有利子制度という質的変化を遂げさせて、そして量だけふえたのだというのは、ごまかしでしかないと思うのです。従来の無利子、返還猶予、その他の制度をそのまま維持し、対象人員を拡大する、これが量的拡大でございまして、そういう点からいいますと、今回の改正は量的拡大という名を利用しながら、結果において質的悪化を促進しているというふうに言わなければなりません。  奨学金というのは英語でスカラシップと言うそうですけれども、利子つきというのはローンということになるわけですね。利子をつけた奨学金制度というのが果たしてスカラシップというふうに世界に胸を張って言えるのかどうか、これは大変問題だろうと思います。私は英語は余り得意ではございませんけれども、大臣はその辺のところは十分御承知と思います。諸外国に向かって、それで果たして我が国は立派なスカラシップがございます、利子つきの奨学金でございますなんというようなことが言えるかどうかということを私は指摘したいと思うのです。  今回、有利子制度については財投資金を活用するということになって、三%利子つき貸与以外に、特別枠として財投金利七・一%で貸与するという枠も設けております。三%ももちろん有利子ですが、七・一%となると、これは完全にローンということじゃないでしょうか。郵便局の教育ローンでさえ現在八・一%の金利と聞いておりますが、利子つき奨学金というのは到底スカラシップという名に値するものではなく、学資ローンと言わなければならないと思います。  利子つき奨学金の推進者は第二臨調、大蔵省と言われまして、文部省の方は決して望んでいたわけではない。そういう論議の中で、実はその陰に銀行業界のねらいも隠されているのではないかと指摘されております。銀行業界は教育ローンというのを行っておりますけれども、その拡大戦略のために奨学金の有利子化を推進しなければならないというねらいがあるのではないか。そうだとすれば、これはまことに許しがたいことだと思います。一九七八年、全銀連加盟の八十六行がそろって教育ローンをスタートさせましたけれども、その後の実績は必ずしも芳しくない。富士銀行のまとめでは、完全な伸び悩みを示しているということも報告されております。無利子の奨学金が完備しておれば、だれも有利子教育ローンに手を出さないわけですね。出すはずがありません。そこで、奨学金の方を有利子にしてしまえば、これはもうお互いにローンとローンの競争になる、こういうふうに考えたのだとしたら、これはまことにとんでもないことだと思います。奨学金がローンになるということについて、大臣はどうお考えでしょうか。
  220. 竹下登

    竹下国務大臣 これはまさに量的拡大をいたしましたが、従来からの無利子貸し付けについても、対象の重点化を図って貸与月額の引き上げを図っておりますから、それを融合、調和した制度であるというふうに御理解を願いたい。  スカラシップの問題について、私も英語の教師をしておったことがございますが、あのころはDDTとPTAの区別さえ教えればいいような時代でございましたので、英語の知識としては、私もその辺よくお答えできません。後ろにおります、私が前に大蔵大臣をしておったときの政務次官の小泉君がその辺は専門でございますので、後ほど聞いて、またお答えをいたします。
  221. 簑輪幸代

    簑輪委員 それではほかの質問をやっている間にちょっと勉強していただいて、御答弁いただけたらありがたいと思います。  それで、今回の改正案の中に、四十三条で「大蔵大臣との協議」というのが新設されましたけれども、これは一体どうしてこういうことになったのか、お答えいただけたらありがたいのですが。
  222. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今回育英会法を全面的に改正いたしましたが、それまでの法律はたしか戦前の法律でございまして、協議の規定がなかったわけであります。したがいまして、その改正に際して、戦後できた類似の法律と合わせまして、同じような協議の規定を入れた、こういうことであります。
  223. 簑輪幸代

    簑輪委員 今まで育英会の業務の執行に当たって、大臣との協議事項がないために不都合がございましたでしょうか。
  224. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今まで協議の規定が入っております事項は、主に財政に関する、あるいは経理に関する事項でございまして、そういう意味では、ほかの類似の法人についても同じような協議を行っておりますので、必要があるということで今回も協議の規定を入れたということでございます。
  225. 簑輪幸代

    簑輪委員 私がお聞きしましたのは、日本育英会が業務を行うに当たって、大臣との協議事項というのがこれまでなかったために、業務運営に支障を来したことがあるのかということです。
  226. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今までは戦前の法律でございましたので、実際上の協議の規定はございませんでしたが、実際に同種の事項につきましては大蔵大臣と実質上の協議を行っていたということでございます。
  227. 簑輪幸代

    簑輪委員 すると、法律にはそれがなかったんだけれども、事実上大臣との協議を既にやってきた、それを法律にしただけだ、こうおっしゃるのですか。
  228. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 ほかの法律に合わせまして、実質上同じものについては協議の規定を入れたということでございます。
  229. 簑輪幸代

    簑輪委員 ほかのことを聞いているんじゃないのですよね。日本育英会の業務の運営について、大臣との協議というのが法律にはなかったけれども、今までもう実際上やってきちゃったのか、そしてそれをただ単に法律にしただけだ、こうおっしゃるのですかということをお聞きしているのです。
  230. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 実際上、今まで協議を受けておりましたのを、ほかの類似法人と合わせて同じようにやったということでございます。
  231. 簑輪幸代

    簑輪委員 大蔵大臣と協議をしないと日本育英会の業務の運営に支障を来したということがあって、協議が行われるようになったのでしょうか。
  232. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今まで実際上協議をしておりましたので支障はございませんでしたので、引き続き法律規定を入れて協議を受けている、こういうことでございます。
  233. 簑輪幸代

    簑輪委員 じゃ、いつから協議というのは始められたんですか。
  234. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 私もその点詳しくは知りませんが、恐らく戦後しかるべきときからと聞いております。
  235. 簑輪幸代

    簑輪委員 わからなきゃわからないでやむを得ませんけれども、実は協議の必要があって開始されたのだとするならば、その時期と理由は後ほど明確にして私どもの方へ御報告いただきたいと思います。よろしいですか。
  236. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今御質問の件につきましては、調べまして御報告したいと思っております。
  237. 簑輪幸代

    簑輪委員 私は、この育英会業務のほとんどが大蔵大臣との協議事項ということで法律化されるということは大変問題だろうと思います。業務の運営上大臣との協議がどうしても必要であるというのなら、それはなぜなのか、どの部分なのかというのをはっきりさせなければならないので、今回のこの協議事項の中にまとめてたくさん入っておりますけれども、これでは教育行政を文部省が行うに当たって、大蔵省の方が財政事情で首根っこを押さえてしまうということで、教育行政の主体性というものが損なわれるのではないかというふうに大変危惧いたします。  現実にこれで協議が法律に基づいて行われていくということになりますときに、大蔵大臣は協議に当たってどのような姿勢で臨まれるのか、その基本姿勢というのを伺いたいと思います。文部省の教育行政の方針その他基本的に尊重する姿勢で臨まれるのかどうかということです。
  238. 竹下登

    竹下国務大臣 まず基本的に申し上げておきますのは、財政的見地から教育に対する介入を強化するという考えはない、これは基本的ですね。ただ、いわゆる財政当局にありますので、負担するも国民、受益者また国民でございますから、もちろん財政というものを全く考えないわけじゃございません。が、財政的見地から教育という分野に介入をする、こういう姿勢は持ってはいかぬな。これは例えば私学助成なんかの問題も、あれは憲法八十九条ですか、公の支配に属しない慈善、宗教、教育等の団体に公金を支出してはならない、だからあれは憲法違反だという議論がございましたが、それとていろいろな議論をして、結局ノーコントロール、ノーサポートでやるべきだというぐらいな気持ちを持っておりますので、財政的見地から教育という分野に介入をしてはならぬということは、基本的に考えていなければならぬ課題だと思っております。
  239. 簑輪幸代

    簑輪委員 そのところが一番肝心なところだと思いますけれども、その協議事項の中に二十二条が引用されておりまして、この中身は、すぐれた学生及び生徒あるいは経済的理由により修学に困難がある者というものを文部省令で定めていく、その文部省令を定めるときに大蔵大臣と協議をする、こういうことになっているわけです。何でこんなことを大蔵大臣に協議しなければならないのかなと私は思います。といいますのは、一つはすぐれたという条件、つまり成績基準、それからもう一つ経済的理由により修学に困難、これは収入基準ということですけれども、この成績基準、収入基準について、財政的な事情と絡ませて大蔵大臣と協議しなければならないという理由がさっぱりわからないわけです。純粋に教育的観点に立って、どのような学生に奨学金を出すべきかというふうな基準を文部省が主体的に定めて、それで運用されるべきではないか。そのことについて、大蔵大臣の方が、すぐれた学生というのはこういうふうにすべきだとか言ってみたり、あるいはまた経済的理由というのはここまでに引き上げなければいかぬとか引き下げなければいかぬとか、口を出すべき事項ではないように私は思うのです。ですから、これは教育的観点に立って行う文部省の主体的な文部省令作成、それを全面的に尊重するという立場で臨んでいただかないといけないし、これはそもそも協議事項になじまないものではないかということすら思いますけれども、この点についての大臣の御見解をお伺いいたします。
  240. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり経済的な問題なんか、それは介入しようという考えがあるわけではございませんが、基準について、現在のこのGNPがどうだとか、そういうことは大変詳しい役所でございますので、相談相手としてはまことに適切な相談相手じゃなかろうかというふうに思います。  それから、言い落としましたが、アメリカにも有利子制度はございますが、それをスカラシップと呼んでおるかどうかというのは、この次まで待ってくださいませ。ただ、「スカラシップ」の語源を見ますと、ラテン語からずっと来ておりまして、確かに「哲学」ですね。だからそういう意味においては、有利子制度であれ、それがいわゆる一定の基準より低くて、上乗せ分でございますからメリットではある、奨学ではあるわけです。学を奨励してはおるわけです。ただ、スカラシップと呼んでおる範疇に入るかどうか、これは今勉強しましたが、ちょっとまだ正確には答えられません。
  241. 簑輪幸代

    簑輪委員 収入基準についてGNPなんかが詳しいからとおっしゃいましたけれども、そんなことは別に大臣に一々御相談しなくても、日本政府の中で十分な資料の提供が行われればよいことであって、大臣協議に適するということにはならないと私は思うのですね。あわせて成績についてはいかがでしょうか。
  242. 竹下登

    竹下国務大臣 成績は、みずからの過去を振り返って、仮に私が協議の場に出たとしても、それを論ずる資格はみずからないと思っております。  ただ、GNPというような話をいたしましたが、大体この種のいわゆる財政支出、利子負担等ございますね、そういうものに対しては制度上、財政を預かる大蔵大臣が協議対象大臣になるというのが普通の法律の体系である。ひねて考えないで、そういう普通の法律の体系の中にこれを位置づけしている——GNPの問題は別でございます。
  243. 簑輪幸代

    簑輪委員 そうしますと、今大臣がおっしゃいましたように、財政問題と直接かかわるような、例えば財投を利用して利子制度を導入するということになれば、大蔵省と直接かかわり合いを持ってくる、そういう関係での協議というのはまさに直接相談対象というのも、ある程度私は納得できるわけですが、それ以外のものについて、特に成績云々について協議対象にふさわしいというふうには思わないのですが、大臣いかがでしょうか。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  244. 竹下登

    竹下国務大臣 これは大蔵大臣という、大蔵省を代表する名称が記載されておるのであって、大臣自身が成績の話をするわけじゃございませんでしょうけれども。教育的角度からの基準等を御検討なさるのは、やはり教育の専門家であろうというふうに私も考えます。
  245. 簑輪幸代

    簑輪委員 そうしますと、そういう点については文部省のそういう立場を基本的に尊重していただくというふうに伺ってよろしいのですね。
  246. 竹下登

    竹下国務大臣 それはおよそそうなるべきものだと思っております。
  247. 簑輪幸代

    簑輪委員 最後に一点ですけれども、この協議事項の中に、育英会職員の給与、退職手当というのも入っているわけですね。育英会というのは特殊法人で、職員は労働三権を保障されております。賃金や退職手当などは当然労使間で定められるものであって、これについて大蔵大臣と協議をするというのはまことにおかしなものだというふうに思います。労使で定められる賃金や退職手当、そういうようなものに大蔵大臣の不当な干渉は排除されるべきであるということで、この問題について協議対象から外してほしいという要望が強く出ておりますけれども、私もやはりこれは非常に問題だというふうに思うのですね。この点について御見解を伺いたいと思います。
  248. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、この法律を、協議事項を規定いたします際に、放送大学、私学振興財団等々と比較いたしまして、それらにつきましても給与、退職手当の支給基準の制定、変更について協議事項に入っておりますので、同じように規定を入れた、こういうことでございます。
  249. 簑輪幸代

    簑輪委員 時間も参りましたので、これで終わりますけれども、教育の問題について現実に予算措置がとられるに当たって、四十人学級制、それから有利子制、国民の期待に反する措置が次々とられていくことについて、私どもは非常に納得できないということを強く申し上げ、財政事情で教育が左右されることのないように、そしてまた、大臣から先ほど御答弁いただきましたように、基本的に財政的見地から介入をするということはない、このことを厳しく確認をしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  250. 瓦力

    瓦委員長 昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案議題といたします。  政府より趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。     —————————————  昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保   を図るための特別措置等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  251. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には異例に厳しいものがあります。  このため、政府は、昭和五十九年度予算において、財政改革を一層推進するため、特に、歳出構造の徹底した見直しを行うことを基本とし、あわせて、歳入面についても、その見直しを行い、公債の減額に最大限の努力を払ったところであります。  まず、歳出面において、制度・施策の根本にまで踏み込んだ改革を行う等徹底した節減合理化を行い、その結果、一般歳出の規模は前年度に比べ三百三十八億円の減額となっております。  他方、歳入面においては、所得税大幅減税等所要の税制改正を行うとともに、税外収入について、特別会計及び特殊法人からの一般会計納付等の措置を講ずるなと思い切った増収を図ることとしております。  しかしながら、これらの措置をもってしても、なお財源が不足するため、昭和五十九年度においては、特例公債の発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れ等を停止せざるを得ない状況にあります。  また、特例公債の償還財源の調達問題については、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定を図りながら、どのように財政改革を進めていくかという観点から検討する必要がありますが、今後の厳しい財政事情を考えれば、借換債の発行を行わないという従来の方針については、遺憾ながら見直さざるを得ないものと考えます。  本法律案は、以上申し述べましたうち、特例公債の発行等、昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置を定めるとともに、特例公債の償還のための起債の特例を定めるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、特例公債の発行についてであります。  昭和五十九年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債を発行できることとしております。  第二に、国債費定率繰り入れ等の停止についてであります。  昭和五十九年度における国債の元金の償還に充てるべき資金の一般会計から国債整理基金特別会計への繰り入れについて、国横総額の百分の一・六に相当する金額の繰り入れ及び割引国債に係る発行価格差減額の年割り額に相当する金額の繰り入れは、行わないこととしております。  第三に、特殊法人からの一般会計への納付についてであります。  すなわち、日本電信電話公社及び日本専売公社は、昭和五十八事業年度の利益のうち、それぞれ二千億円、三百億円に相当する金額を、昭和六十年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないこととしております。  第四に、特例公債の償還のための起債の特例についてであります。  昭和五十一年度以降、特例公債については、その償還に当たり借換債を発行しないという、いわゆる借りかえ禁止規定が、各年度の発行根拠法において定められてきたところですが、先ほど申し上げましたように、特例公債について借換債の発行を考えざるを得ない状況にあります。しかしながら、特例公債の残高をできるだけ早く減少させるという考え方には、基本的に変更はございません。したがって、従来の借りかえ禁止規定にかえて、政府は、昭和五十九年度以前の各年度において発行した特例公債については、財政状況を勘案しつつ、できる限り、借換債の発行を行わないよう努めるとともに、借換債の発行を行った場合においては、その速やかな減債に努めるものとする旨の努力規定を置かせていただいております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  252. 瓦力

    瓦委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました法律案について、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 瓦力

    瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十分散会      ————◇—————