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堀委員 まあこれからディーラーがスタートするのに十六兆というのは、ちょっと一見大変大きいように見えますけれども、
市場として見ると必ずしもそんな大きな
市場ではないというふうに思うわけであります。というのは、
日本の今の短期
金融市場でありますけれども、今
日本でやっておりますのは一九八三年十二月末で、これは
ドルになっていますが、オープンマーケットは二十一億
ドルぐらい、現先が十四億
ドル、CDが七億
ドルということで、
アメリカは一九八二年の九月末で千二百八十一億
ドルというのがオープンマーケットの規模だ。こうなっているわけで、今度は短期
市場オープンマーケットに今の国債が新たに加わってくる。もちろんこれは短期と言っていいのかどうか、いろいろ二年というのがありますけれども。
何にしても、少なくともこのことは今のオープンマーケットをつくっていく上では
一つの大きな前進ではないか、私はこう考えておりまして、全体の流れの中から見てこの問題は非常にタイムリーな問題としていい、こう思っておるわけであります。当然これからは、今
局長が言われたように六カ月未満が三兆あるんですけれども、これから六カ月たつと六カ月未満がまたふえてくる。ですから、時間の
経過とともに相当短い期近債が動いていく。そのディーラーが行われるということは、結果的にはオープンマーケットの中ではかなり
金利の
自由化を促進をするということになるし、同時にそのことがCDや現先の
金利裁定にも加わってくるわけでありますから、そういう
意味ではこの一九八四年の六月以降というのはようやく
日本でオープンマーケットらしきものが動くようになるんだなという点で、私は大変結構だ、こう考えておるわけであります。
そこで、国内の問題はそこまでにして、
一つこの前がなり問題にしましたのは、例のユーロ
市場でユーロ円債の発行について、
アメリカ側が主幹事を
アメリカにも
開放しろという
要求が出ておるということがございました。
いろいろ調べてみますと、ドイツもスイスも、いずれもこれは通貨主権という形でこの主幹事はよその国に渡していないわけであります。
アメリカは自由にしているというのでありますけれども、
アメリカはキーカレンシーでありますから、これはもう自由も何もあったものじゃないので、当たり前のことでありまして、そこで
日本側にその主幹事をよこせという話ですが、本来ユーロ円
市場というのは、何といいますか、公式に認められておる
市場というふうには私は
認識をしていないわけでありまして、言うなれば中央銀行の通貨対応のコントロール外にある
市場だ、こんなふうに
認識をしております、間違いはないと思うのでありますが。
そうすると、そういうところで行われるユーロ円債の主幹事というものは、やはり
日本側が持っておることによって、通貨当局はコントロールできないけれども間接的なコントロールが可能になるということの方が望ましい。外為法上、非居住者についてはこのユーロ円債は許可制だ、それから居住者については条件つきで届け出制、こういうことになっているようでありまして、そこで歯どめがかかるからという話のようでありますが、ここが
大臣、非常に重要な問題なんですけれども、私はそういう歯どめは適当でないと思っているんですよ、これからの
市場開放の場合には。そういう歯どめはスイスにもドイツにもないのじゃないか。それをなくして、しかし主幹事で実はドイツやスイスはコントロールをしようとしているということは、通貨主権の立場から極めて重要な問題だ、こう
認識をしておるわけです。マルクはいろいろな点で
貿易の通貨として準基軸通貨のような役割を、
日本に比べてはるかに大きく果たしておる通貨でありますが、それでもそういうふうな対応をしておるのに、
日本だけが何もスイス・フランやマルクと異なった対応を
アメリカに
向けてする必要はない。これこそまさに通貨主権という極めて重要な問題に関係があるので、この点は私は、
日本政府としては、私が言った外為法上の
規制の方はやがて取っ払うのが筋だと思うのです。そういう非居住者には許可制だとか、そのことは
アメリカが言っておる問題に必ずはね返ってくるわけですから。
だから、今度の電電関係のいろいろな問題についても、当初原案には外資
規制の問題がいろいろ出ていました。私、幾ら外資
規制をしても、やがてこれは押されて取っ払わなければならなくなる、だから、外資
規制がなくても競争力のある新電電にできるように考えることが最も重要だ、こういう考えで、完全当事者能力を与えて、自主的な競争力を持たせることが外資
規制を乗り越える重要な問題だから、その点をひとつ十分に考えてもらいたいと
大蔵省の事務当局の幹部に申し上げて、この
皆さんも、私どももそう思います、こういうお答えをいただいたわけであります。
要するに、私はそういう
意味で、いろいろな細かい
規制を今つけて、それでここを何とかすり抜けようとしてもそれはだめなんであって、大筋のところで勝負ができなければいかぬ、そのときにはマルクもスイス・フランもこうなっています、
日本もこれ以上は譲歩できませんと言うことは、国際的に見てちっともおかしくない。だから、国内の方はきちんと
自由化します、しかしここは譲れませんというふうにきちんとやるのが、さっき申し上げた
日本の主体性によってこの問題に対処する道ではないか、こう考えておるのでありますが、
大臣いかがでございましょうか。