○
垂水政府委員 お答えいたします。
まず第一に、東京ラウンドの
関税前倒しについて、
我が国以外の主要国は未実施であるということはどうなっているのかという御
質問でございますが、
一言で申し上げますと、こういう東京ラウンドの前倒しは、でき得べくんば保護主義の防圧という目標からすれば、共同行動であることが望ましいわけでございます。そういう観点に立って見ますと、少なくとも他の主要貿易相手国の行動が注意を集めざるを得ないということは当然である。
そこで、まずアメリカでございますけれ
ども、アメリカにおきましては、現在、技術的なことを申し上げますと、行
政府においてはこれの
引き下げを可能ならしめる授権法というものを用意しているようでございますけれ
ども、他方、米議会は御存じのような
状況に現在ございますので、なかなかこれが法案として提出されても、直ちに実現に至るというふうには見られないということが第一点でございます。
それから第二点はECでございますけれ
ども、ECは少なくとも本年に関しては、現在置かれているECの
経済情勢からして、外国に対してこれ以上
関税障壁を下げるということは極めて難しいという判断をしているわけでございます。さはさりながら、来年については、
状況が許せば、この種の共同行動を希望しているというように承知しております。
それから三番目にカナダでございますけれ
ども、カナダにおきましては、これは仄聞するところでございますが、
政府と産業界との間でいろいろ話し合いが行われておりますが、
国内の
関係者との調整がついているという
段階にはないというふうに申し上げて、現
段階では大きく誤りではないだろう、こういうふうに思っております。
それから、新ラウンドとの
関係について若干コメントをさしていただきますと、まあ今のような欧州の情勢あるいは
開発途上国の現実の経済力、これは先ほ
どもちょっとお話がありましたとおり、債務累積というような問題を抱えておるわけでございますから、そういうものからいたしますると、なかなか新ラウンドに一気がせいにいくという態勢にはなくて、そういう構想に対しては極めて用心深い姿勢をとっていると思います。
そこで、私の感触を申し上げれば、第一点は、日本としては新ラウンドの旗をいわばレーガン大統領来日の機会に上げたわけでございますから、その旗はそのまま維持していかねばならぬと思います。
第二に、さはさりながら、今過早に具体的な新ラウンドの日程を定めていくというのは、適切と言いがたい問題が多いと思うのでございます。
そこで、最終的には先ほ
ども外務省から御答弁がありましたとおり、やはり諸外国との共同行動への機運の醸成というものを進めるということをやる一方で、
国内の産業界に対する影響等についての十分な検討を行ってまいる必要がある、かように思っておるわけであります。