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1984-03-02 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二日(金曜日)     午前十時二十八分開議 出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       熊谷  弘君    小泉純一郎君       笹山 登生君    椎名 素夫君       塩島  大君    田中 秀征君       中川 昭一君    平泉  渉君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       宮下 創平君    村上 茂利君       森  美秀君    山岡 謙蔵君       与謝野 馨君    川崎 寛治君       沢田  広君    渋沢 利久君       戸田 菊雄君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    柴田  弘君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局長 西垣  昭君         国税庁間税部長 山本 昭市君  委員外出席者         参  考  人         (白鶴酒造株式         会社取締役社長)嘉納 秀郎君         参  考  人         (金升酒造株式         会社取締役会長)高橋  篤君         参  考  人         (日本洋酒酒造         組合専務理事) 菅原 茂美君         参  考  人         (サッポロビー         ル株式会社取締         役副社長)   荒川 和夫君         参  考  人         (宝酒造株式会         代表取締役副         社長)     久木田 稔君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六号)  石油税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号)      ————◇—————
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより会議を開きます。  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
  3. 渋沢利久

    渋沢委員 昨年の選挙の前に、与野党合意等を経て、まさに国会を挙げて合意事項になりました五十九年度大幅減税、その財源については間接税増税をもって充てるというような検討動きがありましたから、野党からも指摘があったと思います。しかし、政府はこれを否定して、そしてあの選挙では「増税なき財政再建」、大きくうたいとげて、そして大幅な減税断行中曽根総理のあの大きな顔に、これはもう高らかに減税断行をうたいとげて選挙があったわけであります。  大蔵大臣国民の側から見ますと、来年の減税増税なき減税だ、こういう受けとめ方を国民皆さんがされたのは、これは当然のことであります。そういう受けとめ方は当然だと私は思うのですが、どうでしょうか。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに「増税なき財政再建」というものから与える印象としては、今委員指摘のような感じが私も絶無ではないと思っております。  ただ、政府といたしましては、たまたま大蔵大臣の私が引き続いておるということもございますけれども、言ってみれば「増税なき財政再建」というものは、まさにこの財政改革を進めていくためのてこである、このてこがあるからこそ、制度の徹底した見直し等によります厳しい歳出削減基本として取り組めるという姿勢で今日来たわけであります。したがって、私どもも率直に言って、この減税財源につきましては、増税によらざるものが可能なことならばやりたいという気持ちはございました。しかしながら、従来の経緯からいたしまして、やはりこれ以上財政再建をおくらすような手法はとるべきでない、すなわち、赤字公債の発行をもって財源に充てるわけにもいかないということになりますと、既存の税制の中でいわば増減税というものを行ったということになるわけであります。
  5. 渋沢利久

    渋沢委員 そういう政府立場説明はわかるのですが、それを聞いているのじゃなしに、この選挙で訴えられた、政府も訴える、野党も一致して訴えるこの大幅な減税というのは、これは増税つき減税じゃなしにむしろ増税抜き減税だという受けとめ方をしたのは、国民立場から見て当然じゃないんですか、こういうことを聞いているのです。その点だけなんです。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 私を含む各党の候補者自身それなりにある種の感懐を持ちながら、国民にはそのような印象を与えたであろうと思います。
  7. 渋沢利久

    渋沢委員 そうなんです。しかも選挙の直前に政府もあるいは総理もそういう十項目の要綱も出しましたが、それは減税断行ということだけが言い切ってあって、万が一にもその財源のために間接税増税があてがわれるというようなことはどこにも全くなかったわけです。ところが、選挙が済んだ直後にそれがにわかに出てくるというようなことは、これはもう国民の側から見ると大変な欺瞞であることは明らかなんです。わずかの期間——半年後に、いろいろ政策検討の結果、いろんな状況が出てきたというのではまさにない。これはまさに大臣もお認めのとおり、国民から見れば増税抜き減税だと受けとめたのは当然だ。これは認めざるを得ない。だとすれば、今こうして増税法案審議国会に問う、こういう立場でいらっしゃる、減税増税も、一言で言えばまさに国民を欺くこの増税案を提起せざるを得ないということについて、当の責任者として、まず審議に当たって一言なかるべからずと思うのです。私は、中曽根総理にそういう謙虚な反省国民に対する率直な釈明を聞こうとは思いませんけれども、まさに国民を欺く法案でしょう、これは。あなたからはやはり国民に対して率直な一言あるべきではないかと私は思う。どうでしょう。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 選挙という一大エベントがあったことは事実でありますが、それ以前から国会議論等を素直にそのまま報告して、政府税調の中において検討すべき項目というものがそれなり国民の前にも新聞報道等を通じて明らかにされておりますがゆえに、国民皆さん方減税ということに対する大きな期待、しかしながら、例えば御審議いただいております酒税等々につきましては、まあ大体三年に一遍という消費価格上昇からする税率が下がっておるということの手直しというようなものは、ある種の良識の中には消化されておったではなかろうかというふうに思います。
  9. 渋沢利久

    渋沢委員 三年目の何とかじゃないが、三年ごとにちゃんと増税しておるのだから、国民の側がその程度の良識は持っている、ちゃんと心得ていますよ、それは大臣ないでしょう。そういうおっしゃり方は、私はないと思うのですね。やっぱりまずいものはまずい、御迷惑かけるんだから。じゃ、なぜ率直に言わぬのですか。国の財政を預かって、そして増税をやるからには、それに見合う財源が必要なことは当たり前のことです。しかし、それについて国民負担も求めなければならぬというものがあるとすれば、やっぱり率直に訴えていく。そういうことで野党にも、ただあえて批判するだけではなしに一定の提案、知恵を出させる、いいじゃないですか。しかし、悪いことは悪い、まずいことはまずい、済まないことは済まないという態度、きちんと国民にわかりやすい態度をとりませんと、これはやっぱり政治不信を増幅するだけです。  だから、私は倫理の問題でも共通しているんだと思うのですけれども選挙の前には一言も言わぬで、済んだらそれが出てくる。前からわかってその動きと準備があるから出るんでしょうと野党が追及しても、それは言葉をかわして、選挙が済んだら途端にこれが予想以上に出てくる。こういう状況は、税というものを選挙の武器にするというようなことをこう露骨にやった歴史——しかもわずか一、二カ月の短期間にこういう、素朴な国民の感覚からいえば、これは何とも国民を欺く政治手法だと映るのですよ。これについて、こういう事実は率直に認めて、やはり反省の弁を責任者としてはおっしゃる、聞きたいと私は思うのです。もう一言伺っておきたい。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 したがいまして、私どもとしては、このような措置はやむを得ざるものとして御理解をいただきたい、こういう姿勢をとり続けておるわけであります。  素直に感じとして、それは理屈の上で税制調査会中期答申もあったでありましょう。そして、三年に一遍というようなある種の、慣例とまでは申しませんが、そうした事実もあったでございましょう。しかしながら、それは私どもとしては赤字公債をもって充てるわけにもいきませんので、やむを得ざる措置としてこのようなことをとらしていただきましたという意味においては、極めて素直に国民の前に提案理由等を通じて明らかにしておるところであります。
  11. 渋沢利久

    渋沢委員 それでは、大蔵大臣酒税ほか増税法案提案に当たりまして、先般その法案趣旨説明をいたしました。その説明書きを見ながらお尋ねをしていきたいと思いますが、この大臣説明の中で、「国民各層の強い期待にこたえ所得税大幅減税を行うとともにこそのために「現下の厳しい財政状況をこれ以上悪化させることのないようここう言っているわけですが、これはどういう趣旨であるのか。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 現下の厳しい財政事情といえば、一番端的に申し上げますならば、財源赤字公債をもって充てるということは避けるべきだ、こういう考え方基本にありました。
  13. 渋沢利久

    渋沢委員 それが政府基調といいますか、基本方針だと思うのです。それは大臣がおっしゃるとおり。  ところで、そういう赤字公債増発をもって減税財源に充てるというようなことはとらない、こういういわば今大臣がおっしゃった政府基本方針と全く異質な、異なった見解が有力にある。むしろ、大幅な減税をやるためには赤字公債増発もやむを得ない、そこを憶病に考えちゃいかぬ、大胆にやりなさいという意見があるわけです。これは政府財政責任者として、大蔵大臣として、やはりそういう意見に対しては明確な考え方反論反論といいましょうか、というものを明確に示さないと納得しない。伺っておきたい。
  14. 竹下登

    竹下国務大臣 まず一つ赤字公債の問題につきましては、昭和五十七年の三月以来の本院本委員会における小委員会の、議長さんに正式に出された中間報告の中でも、財源赤字公債によらないことということが一つ合意されておる事実として存在をしております。確かにそれから一年数カ月たっておることは事実であります。そこで今の御意見でございますが、仮にもし私もささやかな企業経営者として考えた場合に、企業経営論理からすれば、今借入金をうんとして、そして例えば設備投資をすると、数年後にそれが果実を生むであろうということも、一つ経営理論の中にはあり得る議論だと思います。  ただ御案内のように、国家財政予算は単年度主義でございます。そうすると、いわゆる赤字公債なら赤字公債財源を求めた場合、それは純粋に今日の立場で言えば、後世代にツケを回すということでございますので、その果実というものが仮にもし結ばなかった場合、国際同時不況とか、そういう苦い体験も実は我々もしておるわけでございますので、その責任とでも申しますか、ということに対してはやはり健全財政安全運転を貫かざるを得ないというのが私どもの今日の立場であります。
  15. 渋沢利久

    渋沢委員 これははっきり言った方がいいわけですけれども、この内閣の同じ経済担当閣僚河本長官が、閣僚就任の後で見解を表明しておられる。その表明に基づいて、あらゆる機会にその一部ないしはかなりの部分について意見を、議会の場でも展開をしているというわけであります。それだけに、そのことの与える影響というのは非常に重大でありまして、同じ内閣経済閣僚の二人が全く違ったニュアンスで説明しておる。しかもこの河本さんの御意見をずっと考えてみると、日本経済運営に対する基本に触れる。考え方の大きな違い、大蔵省が考えて従来言っておったこと、今言おうとしていることとは余りにも大きな違いがあるという状況だろうと思う。経済成長の見込み方から大型間接税についてまで、大変大胆な提起をされておる。それだけに大蔵大臣、私は河本さんを批判せいとかどうこうという意味じゃ全くなしに、やはり経済財政基本に触れる部分ですから、明確に大蔵大臣としての意見を言っておいてほしいというふうに思うわけであります。  河本さんは非常にはっきり言っているわけでして、赤字国債が出ても、むしろ赤字国債を出さなくても済むような状況につながっていくから、積極的にそういう手法を考えるべきだということで、積極的にそういう議論を展開しておられるわけであります、細かいことは言いませんが。こういう見解についてはもっと明確に否定をして、内閣意見考え方を統一して対応してもらわなければ、国民国会もどう判断していいかわからない。この国のこの内閣は何を基調にして財政運営をやろうとしているのか、非常に誤解を招いていくと思う。いま一度明確に、大蔵大臣としての見解を示しておいてほしい。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 河本経済企画庁長官から私あるいは党の政策責任者に対する宿題、提言とでも申しましょうか、その問題はたびたび河本大臣も答弁しておられますように、物価の安定というのが今年度経済運営基調だ、そうして、いわば五年ぶりに景気が上向きかげんになった今日、この機をとらえて四・一%というような成長率をもっと押し上げるような財政金融弾力的運用が必要だということが一つ意見としてあるわけです。そうして、さらに宿題としては、それを行うために、臨調でも直間比率という言葉を使っているから、そういう抜本的な勉強をしてもらいたいということを言われておるわけであります。そうしてなお、その席で言われたわけではありませんが、予算委員会等議論を通じて、私見として、所得税減税が行われ、そしてある種の時差をもってそこに間接税というようなものが国民に受け入れられる環境をつくって、それを充てるということも一つ手法ではないかというようなことを「エコノミスト」で自分も対談もしたというようなことをおっしゃっているわけであります。したがって、それは我々に対して検討の課題を提起されたというふうに私どもは受けとめております。  しかし、基本にありますのは、政府責任でもって公にしておりますのは、八〇年代後半における「経済社会展望指針」ということで、その基調を今日の予算財政運営につないでまいりますと、いつも言いますように六ないし七%の名目成長で四%の実質成長、三%の消費者物価、二%の失業率、一%の卸売物価というようなものが基調になって、もちろんそれは上がり下がり多少のことはございますが、経済運営を進めていくというのが一応私は、——この八〇年代における「展望指針」というものが我々の教科書として存在しておるではないか。その上に立って、確かに御指摘なさっておりますように、財政あるいは金融弾力的運用、これをもって私どもは四・一%というものをより確実ならしめていくというのが当面のこの経済運営方向ではないか。より確実ならしめ、さらにそれが上昇気流に乗ったとすれば、幸せこれに過ぐるものはないと思っておりますが、財政対応力というのはおのずからそこに限界というものがあるではなかろうか。  それから、もう一つ基本にありますのは、潜在成長力を何ぼに見るかという議論、これはまだエンドレス議論ではないかなという気がいたしております。
  17. 渋沢利久

    渋沢委員 いろいろお尋ねしたいことがあるので先へ進みますが、まず、「増税なき財政再建」ということも大変おかしくなってきたというふうに言われているわけですけれども、「増税なき」というのも、一体厳格な意味でどういう意味がという議論もあるわけであります。  そこで、まず最初に、ごく当たり前のことですが、増税ということについて私は、これは税によって企業国民負担がふえることがいわば増税だ、そういう認識を持っているのですが、大臣、お考えいかがでしょう。
  18. 梅澤節男

    梅澤政府委員 増税という言葉をどういうふうに理解しているかという御質問でございますが、今委員がおっしゃいましたように、個々の税目につきまして納税者税負担上昇する、その側面をとらえて増税という言葉を使うという場合も当然あります。  ただ、現在財政論議の過程で増税議論されます場合には、先ほど来委員もお触れになりました「増税なき財政再建」という、いわゆる臨調答申指摘されました、その文脈増税ということを考えます場合には、これも臨調答申のあの箇所に書いてあるわけでございますけれども、総体としての税負担国民所得に対する租税負担の割合の上昇をもたらすような新たな税制上の措置を講じること、これが増税であるというふうに定義をされておりまして、私どもも五十九年度、五十八年度、この線に沿って税制改正をお願いしてきたわけでございますけれども、その場合に念頭に置きました増税という観念は、ただいま申し上げました臨調答申文脈から出てまいります増税ということで理解をいたしております。
  19. 渋沢利久

    渋沢委員 その言い方は、そういう言い方もあるということでございますが、私の理解しておるように理解するのもこれは一つ物差しでありまして、私は、税によって企業国民等納税者負担がふえること、これも増税というふうに理解をしているわけで、それを全体として租税負担率上昇という形で臨調が表現しているということの中での違いは、基本的にはそうないというふうに思います。  そこで、そういう理解大臣にさらに説明を求めたいと思うのでありますが、大臣法案説明の中で、「最小限必要な増収措置」をこのたび講ずることにした、最小限という趣旨はどういうことですか。
  20. 竹下登

    竹下国務大臣 これはまさに減税額そのものであります。
  21. 渋沢利久

    渋沢委員 つまり、減税額の範囲内で、以下でそれは抑えるという趣旨、どう間違っても増減税ゼロというのはぎりぎりの限界という常識だろうというふうに思うのですけれども、そのとおりだろう。  そこでお尋ねしたいというふうに思うのでありますが、石油税についてはこれは減税見合いでないという趣旨のようなのですけれども、これはどうも納得がいかない。石油最終消費者というのはだれですか。
  22. 梅澤節男

    梅澤政府委員 石油税も、これは典型的な消費税でございますから、やはり石油最終消費者あるいは石油を原料といたしました石油製品最終消費者負担される税として構成されておると思います。
  23. 渋沢利久

    渋沢委員 この石油税の改定を含めて、これは明らかに減税額を上回る増税額になっているということについて、いかがお考えでございましょう。
  24. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたように、それから先ほども大臣が答弁申し上げましたように、五十九年度税制改正におきまして所得税減税、それから投資減税等を含めまして、初年度九千三百二十億円の減税による減収額が生ずるわけでございますが、これに対しまして法人税酒税物品税引き上げで七千八百五十億円の増収を図る。ただし、それではまだ足りませんので、本来の意味での、先ほど委員がおっしゃいました意味においても増税には該当しないわけでございますけれども法人税延納制度廃止とか、あるいは欠損金の繰り戻し還付制度の適用の停止とか、あるいは社会保険診療報酬源泉徴収税率引き上げ等措置を講じまして一千四百五十億円、これでやっと減収額をほぼ補てんするという形になっていると思うわけでございますが、そのほかに、石油税税率引き上げによりまして六百七十億円の増収を見込んでおるわけでございます。これは先ほどの減税額をカバーする限度を超えているではないかという御指摘だろうと思うのでございますが、これも再々別箇所大臣が御答弁申し上げておることでございますけれども、そもそもこの石油税というのは一般会計に入るわけではございますけれども石油特会に繰り入れられまして、いわば石油資源確保とかあるいは代替エネルギー対策という特定財源としてこ財源は使用される。そもそも石油税そのものが非常に受益者負担的な考え方で構成されておりまして、先ほど委員が御指摘になりました、石油税は一体最終負担者はだれかということでございますが、それは石油を利用する人である。そういう石油を利用する人に最終的に還元されるような方向でこの石油税財源は使用されておるわけでございます。その意味での特定財源であるという側面がございます。  それからもう一つ、これは非常に大事な点なのでございますけれども、御案内のとおり、昨年三月OPECの原油価格の引き下げがございました。石油税は従価税でございますので、四月以降課税標準になります価格バレル当たり二十九ドルに下がりました。したがいまして、先般国会で御承認をいただきました五十八年度補正予算におきましても、当初の見積額より約一千五十億円減収を見積もらざるを得ないという状況でございます。したがいまして、今回これを一・二%引き上げさせていただくわけでございますけれどもキロ当たり石油税額そのものは値下げ前、つまり五十七年価格当時の石油税負担額とほとんど実質的には変わらないという側面もございます。そういうことを彼此勘案いたしまして、私どもはこの石油税増税の問題は、いわゆる御主張になっております「増税なき財政再建」に抵触するという意味での増税には当たらないという観点に立っておるわけでございます。
  25. 渋沢利久

    渋沢委員 それは全く見解を異にするところで、これはちょうど、臨調答申が全体として租税負担率を上げるか上げないかということ、私は先ほど言いましたように、増税というのは実体として納税者負担をふやす結果になるかならないか、そういうところで見るという物差していえば、石油税についてあれこれおっしゃっても、これは納得のできる説明ではない。仮に石油税を除いても、平年度では減税額を上回る増税になっているということは明らかで、法人税延納制度についてはどうのとおっしゃったけれども、これだって現実に、増税ではないと言ってみても通る話ではない。現実に七百億の負担法人に強いる中身であります。それを、増収であって増税でないなどという言い方は通る話じゃない。いろいろ無理を言って説明をされておるけれども大臣説明をされた最小限度という趣旨からいって、これは明らかに石油税を除いても増税分が上回っているというふうに考えざるを得ない。いかがですか。
  26. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは考え方の問題でございますが、私ども立場としては大切なポイントでございますので、もう一度説明することをお許し願いたいわけでございますけれども延納制度廃止そのものを、いわゆる冒頭に委員がおっしゃいました意味での増税に該当しないと私が申し上げましたのは、この措置によりまして法人税の納期を早めていただくという効果が生ずるという問題でございます。これを国庫で見ますと、年度所属が本来六十年度に入るべき税収が繰り上げられて五十九年度に入るということでございまして、法人企業にとりまして、恒久的に税負担引き上げられるという効果を持つ措置ではない。そういう意味で、やはり私どもはこれを増税と規定するわけにはいかないと考えております。  それからもう一つ、平年度においても減税額をはみ出しているではないかということでございますが、これは私ども国会にも提出申し上げております平年度増収見込み額で、欠損金繰り戻し還付制度につきまして、平年度六百億円の増収が生じるという数字を出しておりまして、差し引き計で二百三十億の増収という点を御指摘になっておるのかと存じますが、ここに申します平年度と申しますのは、例えば六十年度に、六十平年度で六百億の増収が生じるということでございまして、本来、欠損金が生じますと、企業といたしましては繰り戻し還付の手段をとるか、あるいは後年度五年間この欠損金を繰り越すという措置を選択することができるわけでございます。つまり、後年度黒字が出た場合の税負担を当年度の赤字額でその負担を実質上低めるということでございます。したがいまして、いわば完全平年度という観点に立ちますと、これは実はゼロという数字でございますので、これもいわゆる恒久的な意味での増税ではないということでございます。
  27. 渋沢利久

    渋沢委員 これまた法人税法案審議を通して具体的にただしていきますが、時間がありませんので、大臣のおられる間に、途中で何か大臣の時間に限界があるそうですから、どうしても大臣に聞いておきたいことを幾つか先にお尋ねしておきたいと思うのですが、まず、大型間接税の問題で、大変議論が集まっています。くどいことは言いませんが、しかし、簡潔に尋ねておきたいと思うのです。  今まで大臣は、いわゆる間接税体系の合理化を図るため、物品、サービス等に係る課税ベースの拡大などについて、大蔵省としては積極的に前向きに検討を進めている、こういう立場一つ考え方を表明しておられる、そういうことでよろしいですね。そういうことですね。  ということは、私の理解では、これはもう言うまでもない、大型間接税の導入をどういう形でやるかは別としても、検討をしている、こういうことであろうと思うわけです。このいろいろな角度からの指摘、追及に対して中曽根総理は、一番新しいこの発言の機会でいいますと、私の記憶によれば参議院の予算委員会であったかと思いますが、私の内閣ではこれはやらないと、かなり明確に言い切っておられるように思う。私の内閣ではやらないということを総理がおっしゃるのは、これは並み並みならぬことでありまして、この国の内閣のまさに厳然たる態度、決意の表明であるというふうにも読み取れるのでありますが、これでは課税ベースの拡大などについて積極的に検討を進めている大蔵省立場とは大変違った印象で受けとめざるを得ない。総理のあのような表明というものと関連して、大蔵大臣の率直な意見を聞きたい。言葉でいろいろかわして、この事態をあいまいにするというだけではなしに、ここまでやはり関心が集中している、そう考えざるを得ない。政府大蔵省自身が出した財政の中期試算などから見ても、明らかに避けて通れないという問題提起をしているというふうにしか読めないその他のさまざまな材料の中で、国民国会もどう判断をしていくかという状況に立っているわけであります。ひとつ明確な大蔵大臣見解を示していただきたい。
  28. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに総理から、大型間接税の導入について今御指摘のあったようなお答えがありました。一方、私ども立場といたしまして、税制調査会、これもまた今御指摘のあったところでございますが、中期答申、それから五十九年度税制に関する答申、この二つの中に、今御指摘のありましたような「間接税体系の合理化を図るため、物品、サービス等に係る課税ベースの拡大等について検討を続けることとすべきである。」等々の指摘があることも事実であります。したがって、私ども指摘を受けてこれを絶えず検討をしていく立場にあることは事実であります。総理がそこのところの問答の中でも、これがまたぎりぎり議論してみるとなかなか難しい問題だなと思いますのは、いわゆる大型間接税という表現をお使いになっております。質問者の方も、間々大型間接税というお言葉をお使いになる。されば大型とは何ぞや、こういう議論になりますと、率直なところ大変難しい議論だと思います。概してわかりますのは、非常に対象が広くて、そしてかなりの額ということだろうと観念的には私も理解いたしますが、大型か中型か小型か、こういうことになると、それはまだ議論のあることだと思いますが、少なくとも一番偉い人、総理大臣大型間接税は導入しないということをおっしゃった限りにおいては、観念的にそういうものが私どもの底意にもちゃんとあらなければならぬ、内閣の一員としての私の立場はそのようなものであるという位置づけはしておかなければいかぬ。  一方、いわば税体系全体の見直しの中で避けて通れない問題だから勉強しなさいよと言われているこの問題につきましては、たゆまざる勉強はまた放てきしてはならないことだなというふうに考えております。
  29. 渋沢利久

    渋沢委員 やっぱりあいまいな態度を繰り返しておられる。税調の答申を受けて前向きに検討大蔵省としてはする、しかし、総理はああ言っているんで、それも頭に置いておく、そういう性質のものではないと思う。大型か中型か、総理はそういう総理一流の言葉のもてあそびと私は思うのです。余りにも多過ぎる。五十九年度増税なき再建を貫くと言ってみたり、大型間接税はやらないと言ったのは、必ずしもその大型という規模について明確でないということを前提にした、逃げ道をつけた表現であるというコメントが今大蔵大臣からされるわけだけれども、一般消費税という形の導入はやらないと言ってみたり、大変言葉をもてあそぶ。  しかし、大臣おっしゃったように、大型間接税という税はないと思うのです。正確に言えば、消費一般に税を課するという意味では、一般消費税というものが一番正確な言い方だろうと思う。ただ、これは非常に国民から指弾を受けて、こういう表現からは逃げているということでありましょうけれども、中身としてはいわゆる一般消費税。それをどういう形で、いつ、どんな規模でやるかという宿題が残されている。そこへ向けて大蔵省は詰めている。しかし、大臣はやらぬと言うのですから、それを素直に受けとめれば、そんな検討もおやめになる。今、課税ベースの拡大ということで検討を進めるということの中には、大臣はやらぬと言っておるのですから、この総理のもとで大蔵大臣を務めているあなたとしては、その総理の意思とは全く無関係に、全く違った方向でその検討を進めるということはおかしな話で、それはもうやらない、検討から外すというふうに受けとめてよろしい、そう言い切ったらいい。ひとつ大臣、もう少しはっきりした意見を聞かしてもらいたい。
  30. 竹下登

    竹下国務大臣 これはなかなかお答えの難しい問題だと思うのであります。昭和五十四年にいわゆる一般消費税(仮称)の手法はとらないというのが国会決議でなされた。そのときも、消費一般に係る税制そのものを否定されたらこれは将来選択の幅がなくなってしまうということで、いろいろ議論をしてお願いして、私もその決議文をつくるところへ参加さしていただいてつくったわけです。そこで、間々議論される中で困りますのは、じゃあヨーロッパ型の付加価値税はどうだと言われると、観念的には同じような発想から出たものでございますが、いわゆる一般消費税(仮称)とは違うことは、インボイスがある、ないという問題にしても違うということは言わなければならぬ。それが決議の中にインクルードされておるかどうか、こういうことになると、国会決議の解釈は国会そのものでなさることだから、一大蔵大臣が勝手な解釈をしてはならぬ、こう思います。それと同じ性格の議論でありまして、私どもは税調からこういう勉強はしなさいよと言われておる。それは、いついかなる事態に対応するためにも、勉強はやはり続けておかなければならぬ。しかし、大型間接税はやりませんよと言われた総理の政治姿勢というものは、それが変更のない限りは貫かれるのが当然だというふうに思っております。
  31. 渋沢利久

    渋沢委員 この問題はやめますけれども、しかし大蔵大臣はEC型の付加価値税には大変関心を特に示されておるというふうに伝えられていますが、特に今検討の中では、そこのところは絞って検討しているということですか。
  32. 竹下登

    竹下国務大臣 それも、EC型付加価値税に大変関心を持っておるというわけじゃなく、税の議論をされるときには、代表的な消費税の形態としてはEC型付加価値税の議論はいつもされますので、それは勉強しなければならぬ課題ではございましょう。しかし、今それが念頭にあって、その方向でひたすらまっしぐらなどというように大それたことは考えておりません。
  33. 渋沢利久

    渋沢委員 一つちょっと聞いておきますが、大蔵省企業の給与に課税をする、福祉税というふうに言われるものの創設を検討している、「物品やサービスなど課税範囲が広く使途も特定しない大型間接税導入も検討するが、厳しい歳出削減のなかで、いまの社会保障の水準を保つことが可能な福祉税は一般の理解をより早く得られると判断している。」四月にも開く税調に「福祉税創設も諮り、六十年度からの実施をめざす。」こういうことが伝えられております。細かいことを聞こうとは思いませんが、そのとおりでしょうか。
  34. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、いわゆる雇用税、確かに税体系上は存在します雇用税ということでございますが、我が国の企業を見ますと、いわば社会保険料負担をかなりしております。それとの関係等がどうなるかということになると、まだ検討をしたこともございませんけれども議論としてあったことはもちろん正確に税調等に報告するにいたしましても、これを直ちに検討の対象にすべき課題だとは、私はまだ理解しておりません。
  35. 渋沢利久

    渋沢委員 さて、酒税についてさらにお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。  昨年十一月の税制調査会の「今後の税制のあり方」答申、「五十九年度税制改正に関する答申」に基づいて今回の一連の改正が行われたと思うのですが、その答申の酒類の部分を見てみますと、大体三つの点で特徴が要約されているように読めるわけであります。その中で、「酒類については、特殊なし好品としての性格に着目して、」「特殊なし好品」、こういう位置づけを酒類について一言で言っているわけであります。簡単に言って、これはどういう趣旨ですか。
  36. 梅澤節男

    梅澤政府委員 簡単に申し上げますと、嗜好品の中でも致酔飲料、酔いを招く飲料である嗜好品という意味でございます。
  37. 渋沢利久

    渋沢委員 言葉じりで議論をしようとは思いませんが、さらに「古くから財政物資として他の物品よりも高率の税負担を求めてきたところであるが、今後とも適正な税負担水準を確保することができるよう随時見直しを行っていくべきである。」これだけ見ますと、もういつでも随時だ、いつでも思い切って上げていこうじゃないかと、こういうことを大変明確にうたっておられる。大蔵省はこの答申を受けて、これを下敷きにして今度の改正案も出ているわけですが、そういう意味で言うと、まさに酒税についてはいつでも、随時思い切ってぎりぎりできるだけ上げていく、こういう方針であるというふうに受けとめるわけですが、そういうことでしょうか。
  38. 梅澤節男

    梅澤政府委員 税制調査会答申は、今回に限りませず、いつもこういう角度でわが国の酒税税負担について検討を示唆していただいておるわけでございますが、基本的には我が国の酒税は従量税率基本になっております。従量税率は、御案内のとおり、小売価格が上がってまいりますと実質的な税負担が下がってまいります。したがいまして、もちろん財政事情基本的な条件になるわけでございますけれども財政事情の条件のもとで何らかの財源を必要とする場合に、やはり負担が自然に下がっていく場合には、その適正な負担を確保するような観点から絶えず見直しを行っていかなければならない、そういう意味でございます。
  39. 渋沢利久

    渋沢委員 これは大変なことなんですが、もう一つ聞きましょう。  そして、もう一つ答申の特徴は「所得水準の上昇、平準化」これを言っておられる。これは言葉どおり読めば、所得水準が上がって所得の格差が縮まって平均化している、こういう趨勢にあるということで、あと高級酒、大衆酒の区分の問題というふうにつながっているように読めるわけです。そういうことですね、簡単に言って。
  40. 梅澤節男

    梅澤政府委員 所得水準と所得水準の平準化というのは、今回の酒税法の改正を考える場合の非常に大きな注目すべき観点になっておるわけでございますが、御案内のとおり、実際の酒類の消費の状況を見ましても、高度成長の時代、これは年率一〇%ぐらいで伸びておったわけでございますが、ある程度の所得水準に達しまして安定成長期に入りまして、この消費数量の伸びは非常に鈍化しております。そういう背景が一つございます。  それからもう一つは、酒類ごとの消費のパターンが非常に変わってまいっております。例えば、昨今いわゆる従来大衆酒と言われましたものの伸びが非常に伸びております反面、例えば清酒等の伸びが鈍化しておるというふうなこともございます。私が先ほど申しましたいわゆる従来大衆酒と言われたものがかなり伸びてきておる。下級酒と言われておるものが伸びてきておる。つまり、酒類ごとの高級酒とかあるいは大衆酒というパターンが崩れてまいりまして、それは背景としてはやはり所得水準の平準化、したがって消費の多様化、均質化に結びついておる。したがいまして、そういうものを背景としてこれからの酒類の税負担のあり方を検討しなければならないということでございます。
  41. 渋沢利久

    渋沢委員 これは言葉意味で言えばそういうことなんですが、その具体的な根拠を伺っておきたいわけであります。一言で言えば今おっしゃったことは、そしてここに書いてあることは、所得の水準が均等化して、そして前は高額所得者が高級酒を飲んで、中低所得層は大衆酒を飲んでいるという意味で高級酒、大衆酒という区分があったけれども、今やその基本になる所得の水準が上昇して、そしてそれが平均化して、そういう構造の中で高級酒、大衆酒も区分がつかなくなってきた、一言で言うとこういうことだろうと思う。それでしょうちゅうを思い切って上げる、大衆酒のシンボルと言われたしようちゅうも思い切って上げるとかという形につながっていっていると思うのです。その下敷きになるこの考え方ですからはっきりしておきたいと思うのですが、私は、それをもっと具体的にデータでお示しをいただきたい。私が承知している資料によれば、所得の平準化というようなことは、全くそういうことが言えるデータはないのです。ですから、いつの、どこの、どういう調査でそういう趨勢をとらえておられるのか。  それから、大衆酒と高級酒の区別がなくなった。一言で言えば大金持ちもしょうちゅうを飲むようになった。学生さんも特級ウイスキーでだるまを楽しむようになった、こういうことで表現されると思うのです。そういう言い方だと思うのです。大蔵省の方はそう言っておられる。だから、それは、じゃ具体的に所得階層別酒飲み人口の流動状況を示して説明してもらいたい。
  42. 梅澤節男

    梅澤政府委員 まず所得の平準化の問題でございますけれども、これは税制調査会中期答申をおまとめいただく前に、その作業部会として、学者、専門家によります研究会を約一年間続けていただいたわけでございますが、その過程で議論の素材として挙げられましたものは、これはOECD等でも発表しておりますが、いわゆるジニ係数を使いました所得平準化係数でございます。これは先進国の中でも日本は際立って所得の平準化が進んでおる国の一つとして挙げられておるわけでございますが、それが特に五十年代に入りましてさらにその顕著な進行が見られるということは、これは学問的にそういう議論が行われておるという御紹介を申し上げたいと思うわけでございます。  所得の階層別に酒類の消費状況がどうかということで、これはなかなかデータとしてむずかしいわけでございますが、私どもが作業いたしておりますのは総理府の家計調査で、五十七年のもので見ますると、これは年間の五分位の階層別に見ますと、収入が多くなるにつれてその購入量が顕著に増加している酒類というのは、やはり清酒の特級とかウイスキーの特級というものがございます。それから収入に関係なくほとんどコンスタントに飲まれておるものは、かつてビール等はかなり高級酒的な色彩が強かったわけでございますが、五十七年ぐらいの家計調査によりますと、ほとんど階層別にこの消費のパターンが変わっていないというふうな傾向も出ております。  それから、しょうちゅうにつきましても、第一分位はなるほど非常に消費量が高いわけでございますが、二分位以上の所得世帯単位で見ますと、必ずしも収入と消費量との間に顕著な相関関係がないといったようなこともいろいろあるわけでございます。
  43. 渋沢利久

    渋沢委員 私が承知しているこの所得の均等化、所得水準の平準化というものは、たとえば国税庁が出しておられる「昭和五十七年分 税務統計から見た民間給与の実態」、これはおたくらの方で出しておられる資料です。あるいは労働省が出しておられる、賃金から見た趨勢というもの、ここ四、五年のものをずっと見て、グラフでも見て、むしろ所得格差が広がっているという趨勢を私は知っているし、政府のデータではっきり示している。国税の資料ですよ。ごらんなさい。あなた方の資料じゃないですか。ところがここへ出てきた法律案は、酒税のアップは、高額所得者が高級酒を飲み、中、低所得層が大衆酒を飲むという、これはもう通用しなくなった、なぜなれば所得水準が均等化してきた、その格差は縮まっている、そういう趨勢にあるからだ、こうおっしゃっておるんだが、その根拠になる資料が今の説明の程度のことでは納得できない。それが一つなんです。それをもっとはっきり示しなさい。私が承知している政府の資料によれば、賃金格差はここ数年広がっても縮まっていない。何をデータにして所得の平準化ということを言い切るのか、これがわからない。  それからもう一つは、しょうちゅうは金持ちが飲むようになったとおっしゃるが、だからこれは大衆酒とは言えないと言うならば具体的に——総理府の家計調査なんだ。じゃ飲み屋で、大中小それぞれの料理飲食店で消費している調査はできないでしょう。こんなものはできない。やっていますか。正確な意味で、まさに政府が所得の平準化とか消費の均質化とか、こういう表現で、このしょうちゅうも今や大衆酒ではない、だから三五%思い切って上げるんだという根拠にしているバックデータとしては、今のようなお話では納得できない。ならば、どの層が、高額所得者のどういう層が、いつどういう形でこのしょうちゅうとの取り組みがあるのかを具体的なデータで示してもらわなければ、大蔵省ともあろうものが、今のような程度のお話で、しょうちゅうが上がったりいろいろするというのは、これは説明にならぬと思うのですね。ですから、所得の平準化というのは、私の承知しているデータとは全く逆だ。  それから、例えば酒類に対する階層別の酒飲み人口分布というものは、これはもっとやはり明確に具体的に示してもらわなければ説明にならないと思うのですね。
  44. 梅澤節男

    梅澤政府委員 所得の平準化につきましては、これはいろいろな角度の見方があるわけでございますけれども、先ほど私が御紹介申し上げましたジニ係数による分析、これは経済学的にも確立された分析方法でございますし、これは客観的なデータとしても、三十年代、四十年代、五十年代を通じて日本の所得の平準化が進行しておるということは、客観的な事実として御指摘申し上げられると思うわけでございます。  それからもう一つ、所得の平準化と所得の上昇というものを切り離して御議論になっているわけでございますが、あるいは私の説明が舌足らずであったかもわかりませんけれども、高級酒、大衆酒の区別がつかなくなったというのは、所得の上昇という基本的な条件がございまして、それがまた平準化をしておる。その二つが二重効果として、いわゆる酒類の消費につきましても多様化、均質化の傾向に進んでおる、こういうことでございます。
  45. 渋沢利久

    渋沢委員 これだけの改正をやるのに、唯一最大の基本物差しにしているデータが今のような説明では、全く納得のできるものじゃない。  これは大臣、一体こんなずさんな説明と資料で、それで所得水準の平準化あるいは酒類の消費の均質化、高級酒も大衆酒も区別がつかない。いわゆる大衆酒の大幅な税率アップという増税を出しておられる。これはいかがなものか。大臣、どうお考えですか。
  46. 竹下登

    竹下国務大臣 所得の平準化のバックデータの問題に対する御議論がございましたが、これは正確を期するためにまさに主税局長からお答えをいたしましたし、これからも議論に応じてお答えすべきことであると思いますが、私自身、これはちょっと古うございますけれども、統計が好きでございますので、いろんな統計をとっておりますが、一番顕著なものは、昭和五年に比べますと大体この所得格差というものが地域によって九分の一であったものが、今や大体六五%ぐらいまでに上がっておるわけでございます。そうして先進国の——五十年前の話をしてちょっと申しわけないのですけれども、各国の、この私なりにとった統計からすれば、世界の中で一番所得が平準化しておるのが我が日本であるという感じがいたしております。それが今日の趨勢の中で、ますますそういう方向が定着しつつあるのじゃないか。ちょっとオーバーを言い方をしますと、だから革命が起こらなかったんだな、こういうような感じも時に持っております。  それから酒の、まあ高級酒だから、料亭でもしょうちゅう飲むじゃないか、こういう素朴な議論は私も認めますけれども、私個人を申し上げて失礼ですが、私は酒造業者でございまして、竹下酒造は二級酒だけしか、まあ売れませんからつくってもおらぬわけでございますけれども、しかしそれなりにまた地酒ブームというものもあったりして、非常にそういう嗜好も平準化しておるなという感じは持っております。ただし、今は兼職禁止規定で離れておりますが、私の関係しております竹下酒造有限会社は、ささやかながら赤字を毎年続けております。
  47. 渋沢利久

    渋沢委員 ちょっと大臣、これだけはやはり申し上げておきたいのです。この答申の中にも政府説明の中にも一貫して一つ欠けているのは、酒類はこういう扱いで見るだけで、いわゆる酒税は大衆課税だという側面の認識が全く欠けているのです。これこれこういう傾向はあるけれども基本的にどうだというものがない。酒税は大変逆進的なものですから、そのことについての位置づけというものが余りにも欠けていると思うのですよ。これはちょっと認識を変えてもらわなければいけないというふうに思っているわけですが、それだけちょっと大臣に伺っておきたい。
  48. 竹下登

    竹下国務大臣 酒税というものは、それは大衆課税であるという認識は私も否定いたしません。それで私のうちの銘柄は「大衆」という名前でございます。
  49. 渋沢利久

    渋沢委員 それでは、どうも先ほど来の局長の説明では私は納得しないので、これはぜひ文書で資料を、この所得水準の平準化趨勢、それから酒類消費の階層別動態というものを数字でやはり示してもらいたい。先ほど申し上げました資料も文書で、後でいいですから出してもらいたい。いいですね。
  50. 梅澤節男

    梅澤政府委員 委員の御満足いただける資料ができますかどうかでございますけれども検討の資料としてできるだけのものを作成する方向検討いたします。
  51. 渋沢利久

    渋沢委員 この増税の大前提について、今のような説明やデータでは、これは全く大蔵委員会を侮辱する態度だというふうに思わざるを得ない。  次に質疑を進めます。  そういう発想であれこれ税率の改定を行っているわけですけれども、ただ、非常に一貫性に欠けていると思いますのは、例えばウイスキーは下級ほど高率でという出し方ですね。しかし、清酒については逆な上げ方になっている。これは全く一貫しない税率の改定だというふうに思うのです。これはどういうわけでしょう。
  52. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは若干経緯から御説明することをお許し願いたいわけでございますけれども、御案内のとおり、現在の酒税法の骨格をなしましたのは三十七年の改正でございます。このときの各酒類ごとの税負担率の状況を大ざっぱにグルーピングして申し上げますと、清酒特級あるいはビールのように大体五〇%台のもの、それから五〇%台−四〇%台のものといたしまして清酒特級、一級、ビール、ウイスキー特級、それから三割台のものといたしましては清酒の二級、それから二割以下のところではしょうちゅう等、大体こういうふうなグルーピングができるわけでございます。その後今日まで税改正が行われたわけでございますけれども、そのときの税改正の様子を今からトレースしてまいりますと、今申し上げました低負担の酒類につきましては、それぞれ各上級酒の税負担引き上げられた場合でも、負担引き上げを据え置くとかあるいは引き上げ幅を引き下げるという方向がとられてまいりました。したがいまして、現時点では、三十七年当時に比べまして、各酒類ごとの税負担の割合の格差が非常に広がっております。  それで、先ほど来委員が御指摘になっておりますように、今回の税制改正におきまして酒類間の税負担格差を解消するという観点がとられたわけでございますが、それは一つには所得の上昇とかあるいは所得の平準化によりまして消費が均質化しておるという背景とともに、そういう背景のもとで酒類ごとの負担格差が余りにも拡大してきておるという問題がございます。これは昭和五十六年に発足いたしました酒税懇でもそういう問題が指摘されまして、その結果が報告されまして、その報告を受けて、実は先ほど来話題になっております昨年の十一月の政府税調答申指摘につながっておるわけでございます。したがいまして、今回の税制改正におきましては、税負担の格差を縮小するという意味で、いわば小売価格に占める負担割合の低いものの税負担率を、従来の傾向とは異なりまして、むしろそういうものの負担率の引き上げ幅を大きくするという改正方針で臨んだわけでございます。税制調査会答申指摘方向もそうでございました。  ただ、例外があるではないかというのはまさに御指摘のとおりでございまして、それは清酒でございます。一つは各酒類につきまして、所得の上昇なり平準化の過程におきましてそれなりに消費が伸びておるわけでございますけれども、清酒につきましては、これは国民の嗜好の変化というものもあるのかもわかりません、消費の伸びが非常に悪うございます。それからもう一つは、原料の特殊事情がございます。これは食管制度のもとにおきまして、どうしてもいわば自由市場におきます原料を入手できない。端的な言葉で言えば、高い価格の米を買ってそれを原料にせざるを得ないという生産の特殊事情がございます。それからもう一つ、二級酒でございますが、これは圧倒的に中小零細企業が多いという産業対策、企業対策の側面がございます。したがいまして、こういう点を加味いたしまして、清酒につきましては一般的な負担引き上げ率を、他の酒類に比べましてその点を勘案して小さくすると同時に、今申しました低負担酒ほど負担率を大きくするというこの原則につきましても、今申しました二級酒などは中小零細企業が非常に多いという点も加味いたしまして、清酒だけにつきましては引き上げ幅が一般的な今回の考え方とは若干異なる対応になっておるということでございます。
  53. 渋沢利久

    渋沢委員 酒類間の格差あるいは等級別格差是正だ、こう言いながら、清酒になると事情がまたすぐ変わってくる。よう聞いてみれば業界の事情。業界のいわば意向がここには反映している。清酒の部分では反映をされている。清酒は中小企業だと言いますが、ウイスキーにだって中小企業がないわけじゃないでしょう。どうもこれは全く一貫した説明になっていないですね。  それで、酒類間の格差をなくすと言うなら、外国との比較でも他の税との比較でも、酒類の中での比較でも、これは文句なしに高い、高過ぎると思うビールをまた上げる。これはどういうわけな人ですか。
  54. 梅澤節男

    梅澤政府委員 この酒税負担をどの辺に求めるかというのは非常に難しい問題がございます。端的に言ってしまいますと、その国のいろいろな消費の事情あるいは生産側の事情等を総合勘案いたしまして適正な税負担を求めるということに相なるわけでございますけれども、ただいま委員がおっしゃいましたように、ビールの税負担率は、国際的に見て日本はイギリスに次いで高いということは事実でございます。  なお、若干補足して御説明申し上げますと、蒸留酒につきましては、ほぼ先進各国の税負担率、ヨーロッパ等は付加価値税がございますが、それもカウントして負担率を求めますと、ほぼそろっておる。それからワイン等につきましては、むしろ日本は非常に低い。ところがビールについては、日本はイギリスに次いで高いということでございますが、これは先ほど申しましたように、まず消費の態様といたしまして、ヨーロッパ等では致酔飲料という側面のみならず、止渇飲料と申しますか、飲料水の事情が非常に悪いものでございますから、水がわりにどんどん消費されるという側面がございます。ちなみに、一人頭のビールの消費量というのは、日本なんかよりは段違いに多いわけでございます。そういった国柄。それからもう一つは、ヨーロッパ等に典型的に見られますように、ビールの生産規模、企業の規模が非常に小そうございます。我が国のビール業界は、御承知のとおり寡占企業でございます。その意味では生産効率も非常にいい、こういった事情がございます。  したがいまして、最初の言葉に戻るわけでございますけれども、酒類ごとの税負担を求める場合には、その国々の飲酒の習慣、酒類ごとの消費の態様、それから生産の状況企業状況、そういうものを総合勘案して税負担を求めるということでございまして、ビールにつきましては、五十年代に入りましても今回で三回目の税負担引き上げをお願いするわけでございますけれども、ビールの消費量そのものは、全酒類の消費量の中にありまして、増税のために消費が鈍化したというふうな傾向もございませんし、それから今回のビールの税負担引き上げ幅は、五十年代に入りまして実は三回目でございますが、過去二回に比べまして今回が一番低い。これは私どもなるべく低い方がいいと思いますけれども、今回がぎりぎりの負担をお願いする引き上げ幅であろうと考えております。
  55. 渋沢利久

    渋沢委員 これは例えば外国の中でも、いろいろ事情をおっしゃったけれども、とにかく高い。他の税と比べてもこれは大変高い。物品税と比べてこれは比較にならない。特にビールというものの大衆性を考えれば、消費割合の六六・二%、税収の割合でもトップですね、酒類の税収割合では五四%。大黒柱だ。だから取る。取りやすいから取るということでしょう。しかし、これだけビールというものが大衆の中に入っている。飲まない家庭でもビールの一ダースくらいお客さん用に用意しておかなければならぬほど、それはやはり大衆化している。暮らしの中にも入っている。大変逆進的なものでありますから、まさに大衆課税。これをこうして非常に安易に上げる。上げ幅はと言うが、もともと大変高過ぎる税率の上にさらに上げていくというのは、これはいかがなものかと思うのです。  それで、増税あるいは小売価格を上げたことで需要の停滞が見られないと言うけれども、それは私どもの調べた範囲では全く違う。やはり影響を受けておる。ことしは、五十九年はかなり高い率でビール消費の伸びを見ているようですけれども、六・九%、こんなものですか。これはどういう根拠ですか。何がデータになっていますか。何でそんなにことしビールが売れるのですか。
  56. 梅澤節男

    梅澤政府委員 御承知のとおり、五十八年度の当初予算から見積もりまして六・九の見込みを立てておるわけでございます。これは過去の消費の実績等を勘案して策定したものでございますが、当然のことながら、これはビールの業界がマーケットリサーチで、それぞれ醸造年度の供給見込み数量というものも各社ではじいておりまして、そういうものの聞き取りも総合いたしまして見積もったものでございます。
  57. 渋沢利久

    渋沢委員 実際のここ二、三年の伸びを見ていると、とてもそんな数字じゃない。しかし、たまたま去年は八月の猛暑あるいは九月値上げ前の仮需の影響ということで、これはなぜこんなに伸びているかと思って調べてみたらそういうこと。根拠があるのですわ。それをデータにして六・九というものが出ているとしか考えられない。ことしそういう八月猛暑の気象状況まで見込んでこういう高い消費需要を計算しているということでしか考えられない。そういうことでしょう。
  58. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ビールにつきましては、各社もそうでございますが、私どもも一定の供給の予測方式というものを持っております。大ざっぱに申し上げますと、ビールの消費量に一番影響するのは、今委員がおっしゃいました天候、気象状況でございます。それともう一つは所得でございます。この二つの因子がビールの供給に非常に相関関係が強いということは過去の統計から実証された結果でございますが、そういったものを総合判断いたしまして、それから先ほど申しましたように、業界各社の見込み等も総合勘案いたしまして見込んだものでございます。
  59. 渋沢利久

    渋沢委員 それでは、去年のこういう八月猛暑とか値上げに伴う仮需の関係とかいうものは特殊事情だ、こういう条件を除いても六・九の伸びは責任を持って見込める——見込みが違って税収不足が出たら、だれが責任をとるのですか。
  60. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは私どもこの数量によって税収見込みを立てておりますので、誠心誠意、能力の限りを尽くして見込んだと言う以外仕方がないと思います。
  61. 渋沢利久

    渋沢委員 いろいろお尋ねをしたいのですが、今の御説明だけでは私納得できるものではありません。時間が来たようですから、ちょっと酒から離れますが、最後に尋ねておきたい。  さっき尋ね損なった点を一つだけ伺っておきますが、今度の税制改正を通して、租税負担率というものは一体どうなるのか。税調の答申の中でも、租税負担率を全体として上げないという趣旨で  「増税なき」ということを言われているわけですけれども、一体どこにこれ以上上げないという線を引いているのか。租税負担率の上限というものはない。ここ歴年の趨勢は、明らかにまさに上昇に次ぐ上昇ですね。五十年一八・四、五十五年二二・八、五十八年二三・九、五十九年は二四・二と見るか、もうまさに上昇に次ぐ上昇ということで、国民に大きな負担を強いてきている。どこにその歯どめがあるか、どこに線を引いているかということが明確でない。ことしはどうなる。中長期的な意味でこの負担率のめど、目途というものをはっきり示すべきだというふうに思っているのですが、この点をひとつただしておきたい。
  62. 梅澤節男

    梅澤政府委員 五十九年度の私どもの見込んでおります租税負担率は、先ほど委員が御指摘になりました二四・二%でございまして、五十八年度の補正後の負担率二三・九%に比べまして〇・三ポイント上昇するであろうというのが見込みでございますが、これは五十九年度税制改正によります増減収は、先ほど申しましたようにほとんど租税負担率上昇を来さないということでございますので、専らこの〇・三ポイントは、いわば自然増収による負担率の上昇というふうに御理解を賜りたいと思います。  それから、中長期的に見て租税負担率の目標値を設定すべきではないか、これは予算委員会でも再三の御議論があったわけでございますが、「八〇年代経済社会展望指針」によりましても、非常に流動的な現在の経済状況から見まして、財政の、特に租税負担率というような指標について、定量的に今目標値のようなものを設定するのは非常に困難な状況にあるということが一つございます。  それからもう一つ、いずれにいたしましても、政府としては六十五年度までに特例公債を脱却するという努力目標を掲げまして、財政の健全化に努力するわけでございますが、その場合に、歳出の削減あるいは歳入の見直し等につきましては、今後一年一年の努力を重ねながら、しかも結局公共サービスというのは国民負担に裏づけられなければならないというのが基本的な前提でございますから、そういったことから見ますると、具体的にどういった手法をとるかということは、やはり究極的にはこれは国民の選択の課題である。したがって、政府が一義的に今租税負担率を、六十五年度なら六十五年度、機械的に何%であるというふうに設定することは非常に問題があるということでもございます。  それからもう一つ、この租税負担率というのは、ぜひ御理解を賜っておかなければならないわけでございますけれども、事後的な概念としては非常に重要な意味を持っておるわけでございます。現実国民所得の実績が出てまいりまして、それから税収の実績が出てまいりますと、トータルとしての租税負担率というものが出てまいります。これは、租税政策の論議をしていただく場合の重要な一つの指標という意味を持つわけでございますが、事前的な租税負担率ということになりますと、国民所得も見込みの段階の問題でございますし、税収にいたしましても、いずれにいたしましても見込みの段階の数字でございます。したがいまして、見込み的な意味での租税負担率を一義的に決定いたしまして、それを作業概念としてその年々の租税政策を策定するということは、事実上これは作業になじまないという問題もございます。したがいまして、私どもは、将来あるいは展望的な意味租税負担率がこの範囲のものになるかもしれないというふうなものをお示しする時期が来れば非常に幸いと思っておりますけれども、その意味でも、そういうものが固定的なものとして理解されることについては相当問題があるというふうに、従来からも考えておるわけでございます。
  63. 渋沢利久

    渋沢委員 質問の聞き残しを一つ尋ねたわけですけれども、これはまた改めてぜひ議論したいというふうに思います。  最後に、きょう酒の質問をしたわけですが、締めくくりでぜひ申し上げ、伺っておきたいと思いますことは、いずれ平準化あるいは均質化ということについてのデータを出してくれるということですから、それでまた検討させてもらいたいというふうに思うのですけれども、私のきょうの質疑を通して示された根拠というのは全く不十分で、納得のできない根拠で、この平準化あるいは酒類消費の均質化というふうなことが言われて、そして高級酒、大衆酒という区別はつかぬというようなことを安易に基調に据えて税制改正が行われるという印象が非常に強いわけである。やはり従来、どだい酒類は絶対として大衆的なものという前提を持って、とりわけ中低所得層への配慮を踏まえて大衆酒への税率改定についての配慮というものがあったと思うのです。なるほど答申はそれを是正せよと言うのだけれども、仮に答申方向を是とする立場で考えたとしても、まことに一貫性を欠く。ウイスキーやほかのものではその物差しで改定をしたかと思うと、清酒になればこれはまた特殊事情だ、こうおっしゃる。全く一貫性がない。中途半端である。あの答申趣旨そのものも必ずしも生かされておらない。酒類間の格差を是正するというなら、今のビールの値上げについても、これはどだい頂点に来ているというふうに思うのです。お天気の影響で需要の伸び縮みがあるということは、需要の限界ですよ。ある意味では酒類全体が一つ限界に来ているのではないかという感じが、私はしているわけですけれども、いずれにしても大変あいまいなデータで、安易に大衆酒という位置づけを消し去ろうとしているような感じがいたします。  長い間減税はやらないで実質増税を押しつけて、全日本の広範なサラリーマン階層に大きな不満を与えて、それを受けて今度は減税だと言うのだが、おっと待った、ちゃんとこういう裏がある大幅な増税を押しつける。こういう状態で、まあ勤労者は夜一杯やらなければ、憂さを晴らさなければ、この今の状況ではたまらないよ。それは学生がウイスキーの特級に手を出す時代になったと言ったって、でもやはりレッドでなければならない層がたくさんいるんだよ。私は東京の下町に住んでおりますのですが、やはりしょうちゅうというのは大衆のもの、ちゅうハイで焼き鳥という形の中で、近ごろ高額所得者がしょうちゅうを飲むようになったからということで、高級酒、大衆酒の区別がつかぬ、均質化だ、こうおっしゃって、大幅に特級ウイスキー並みに上げるなどという発想はいただけないと思うわけです。全く実態を無視した法律案になっているというふうに思います。そうは思わないとあなた方はおっしゃるし、そう考えて出したのだと思いますが、非常に私はふんまんを抑えることができない。ひとつ最後に大蔵省考え方を聞きたい。  これはせっかく次官がおいでですから、次官からひとつ、政治家だから。大蔵省のお役人は税を国民から取る側、その目しか持っていない、その神経しか持っていないが、政治家は取る側と取られる国民の目と感覚を持っているはずですから、これはやはり一味違った見解をお示しいただけるものと思うので、最後に次官の御意見を伺いまして、私の質問を終わることにいたしたいと思います。
  64. 梅澤節男

    梅澤政府委員 次官の御答弁の前に若干御説明をすることをお許し願いたいと思うわけでございますが、酒類ごとの状況につきましては、先ほど家計調査について、一部の酒類を例に挙げまして御説明申し上げたとおりでございます。いずれこれはまた資料をもって御議論を賜ればと思うわけでございます。  それから、時間がございませんので端的に申し上げたいわけでございますが、いわゆる下級酒につきましての増税幅が大きいではないかという御議論でございます。考え方につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、ただ負担率につきましては、三十七年当時に比べましても、例えばしょうちゅうにいたしましても、清酒二級にいたしましても、負担率は今回の増税後まだ三十七年の負担率よりも低い。  それから、これはもう一つ御留意願いたいわけでございますが、増税幅が大きいとおっしゃるわけでございますけれども、これが小売価格に転嫁されました場合に、例えばしょうちゅうの乙類でございますと、今回二四・四%の税負担の増をお願いしておるわけでございますけれども、小売価格上昇率は二%を超えないということでございます。したがいまして、低価格酒につきましては、今回の増税後も小売価格引き上げ額は低いということはぜひ御留意願いたいと思います。
  65. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 ただいま主税局長からも答弁申し上げましたが、また今までの論議の中でも言い尽くされたところでありますが、所得の平準化、水準化ということはもう御案内のとおりで、この点はいろいろ意見の分かれるところですが、確かにこの格差が平準化してきておることは我々も、また国民全体が中堅所得層であるということも、いろいろなアンケート調査でも出ておるわけでございます。  また大衆酒、高級酒の区別においても、これまた偽らない現実でございまして、今ではかえって若い人ほどウィスキーなりあるいはビールというものに嗜好が移っておるわけで、大衆酒と言われるしょうちゅうそれ自体も、今までは我々のような田舎でしか飲まないものだ、かように考えておりましたけれども、最近はどこでも愛飲される、こういう状態に変わってきておるのも事実でございます。したがって、なるべく酒類間の格差をなくし、あるいはまた級間の格差を縮めていくことも大事じゃないかな、こういうように私自身も考えております。したがって、税が上がらないにこしたことはないわけですが、結局小売価格負担率というのは、いわゆる大衆酒というものにおいては非常に低いわけでございますので、この点は御理解を賜っておきたいと思います。
  66. 渋沢利久

    渋沢委員 終わります。
  67. 瓦力

    ○瓦委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  68. 瓦力

    ○瓦委員長 速記を始めて。  野口幸一君。
  69. 野口幸一

    ○野口委員 質問に入る前に、委員長に許可をいただきたいと思います。  事例の説明のために酒類を持ち込んでおります。いずれも飲用するつもりはございませんが、参考説明のために持ち込みを許可いただきたいと存じます。
  70. 瓦力

    ○瓦委員長 はい、許可いたします。
  71. 野口幸一

    ○野口委員 まず大臣にお尋ねいたしますが、先ほどの渋沢委員の質問ともやや重複するかもわかりませんが、今回の酒税並びに石油物品税、間接的ないわゆる税制の改正といいますか、増税というものをいわゆる減税に対応する財源に資するため、こういうことにその発想の根源があると伺いましたが、そのとおりでございますか。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘の点もございます。
  73. 野口幸一

    ○野口委員 そのほかには、一体その原因は何がありますか。
  74. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり五十九年度税制に関する答申、この中の、「現下の厳しい財政状況に顧み、特殊なし好品である酒類について適正な負担水準を確保する点にも配意しつつ、従量税率を平均二割程度引き上げることもやむを得ない。」そういういわゆる適正な負担水準を確保するという点もございます。
  75. 野口幸一

    ○野口委員 私は、その酒税の中身の話、今大臣御答弁でございますが、それより先に、今回の一連の増税は、いわゆる所得減税のために、その原資を稼ぐためにといいますか、その意味でおやりになるものだということをたびたび御答弁なんかなさっているわけでありますが、そうしますと、これちょっときょうの質疑は若干外れますが、法人税を改正してということでなくて、租特の改正におきまして法人税税率を少しく上げて、二年間を限定をして税金を取ろう。そのために、今、いわゆる減税に対応する財源としての対応もそれはやるんだ。片方は二年ということで区切っておられる。それならば、この酒、物品並びに石油の税金の増税も当然二年ということにされてはいかがなものか。片方は二年で、片方は永久にこれは上げられるわけですから、その理由はどうなんですか。
  76. 梅澤節男

    梅澤政府委員 今回、法人税率の引き上げもただいま御指摘のようにお願いしておるわけでございますが、その場合、租税特別措置法によりまして、二年限りの措置として税率引き上げるという内容になっております。  これは前回の委員会でも御答弁申し上げたところでございますけれども、今回の法人税率の引き上げによりまして、法人のいわば実効税負担と申しますか実効税率が、戦後実は最高の水準になるということがございます。かたがた、今回の税率引き上げは、税率引き上げ幅に端数がついております。これはやはり、先ほど来も御議論がございましたように、減税の額を上回らないぎりぎりの範囲で増収措置を講ずる。あらゆる手段の結果、この法人税率の引き上げのところで実は最終的に調整をした数字でございます。これは昭和四十年代に、実は租税特別措置法によりまして、いわば付加税的に二年間の措置を二回繰り返したという経緯もございます。そういった従来の経緯も彼此勘案いたしまして、法人税率の引き上げ幅につきましては、今回二年間の臨時措置として租税特別措置でお願いする。ただし、二年後これを一体どうするのかという問題があるわけでございますが、これはそのときの財政事情なり、それから税体系全体の見直しの中で改めて法人税率を見直すというふうな考え方に立っておるわけでございます。
  77. 野口幸一

    ○野口委員 お尋ねする前に先にお答えでございますが、二年たったら今度は間接税を導入するという用意があるから、法人税の方は二年間で限定したのと違いますか。
  78. 梅澤節男

    梅澤政府委員 私が申し上げましたのは、毎年の税制改正作業は常に税制全体を見直しまして、適正な負担をお願いする部分についてお願いをするという意味で申し上げたわけでございます。したがいまして、二年たちましてこれを間接税によって肩がわりするとか、そういう具体的な展望があるわけではございません。
  79. 野口幸一

    ○野口委員 大臣、その点はいかがですか。
  80. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題は、今主税局長がお答えしたとおりでありまして、そのときになって経済状態すべてを勘案して決めることであって、その前提として間接税というようなものによるところの増収措置が念頭にあって行われたものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  81. 野口幸一

    ○野口委員 税調で今回の酒等に関する引き上げに対して答申がなされておりますが、その内容はどのようなものでございますか。
  82. 梅澤節男

    梅澤政府委員 税制調査会では、昨年十一月に中期的な展望答申をいただいております。それからことしの一月、五十九年度税制改正の具体的な答申をいただいておるわけでございます。  中期的な展望の中では、酒類という特殊な嗜好品ということに着目して、この税負担については常に適正な負担を確保するように、絶えず見直しを行っていかなければならないという基本的な方向をいただきつつ、ただ、昨今、先ほども議論になったわけでございますけれども、酒類間の税負担の格差が非常に広がっておるという問題とか、あるいは酒税の課税方式といたしまして、従量税と従価税を一体どういうふうに位置づけるかといったような中長期的な展望をいただいておるわけでございますが、これを背景といたしまして、五十九年度の当面の税制改正といたしましては、まず第一点は、近年の所得水準の上昇それから平準化等を背景に、酒類間あるいは級別間の税負担格差の縮小を図るという見地に立ちつつ、それから「適正な負担水準を確保する点にも配意しつつ、従量税率を平均二割程度引き上げることもやむを得ない。」という御指針をいただきまして、これを中心にいたしまして、各酒類ごとにそれぞれ負担引き上げ幅の調整を図るというのが今回の改正の内容でございます。
  83. 野口幸一

    ○野口委員 それでは協力いたしまして、大臣がいらっしゃらない間は別な話をさせていただきます。  今、主税局長のお話によりますと、昨年の十一月十六日に政府税調が出されました答申と今回の改正と言われるものには随分違った様相があるということが言えると思うのであります。酒類において適正な税負担の水準を確保するための見直しを行う、あるいはまた酒類間及び級別間の税負担の格差の縮小を図ることが適当である、この二項だけを見ましても、今回の酒税法の改正にはちょっと当てはまっておらないんじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
  84. 梅澤節男

    梅澤政府委員 基本的には酒類間の負担の格差の縮小を図るということでございます。  具体的に申し上げますと、現在の酒類の負担状況から大ざっぱにグルーピングをいたしますと、小売価格に占める税負担の割合が四〇%以上のもの、これは例えばビールとかウイスキー特級のグループがございます。それから三〇%台のものとしてはウイスキーの一級、清酒の特級でございます。それから二〇%台といたしましてはスピリッツ、ウイスキーの二級、清酒の一級。それから二〇%未満といたしましては清酒の二級、合成清酒、しょうちゅう甲乙、果実酒、大体この四つにグルーピングができるわけでございます。今回の改正に当たりましては第一のグループ、つまり一番税負担の高いビールとかウイスキー特級でございますが、ここの引き上げ幅をおおむね二〇%程度、先ほど税制調査会答申で引用いたしましたが、これを基軸にいたしまして、それぞれ三〇%台のものはこれに対しまして二五%、それから二〇%台のものは三〇%、二〇%未満のものは三五%というふうに、税負担の水準の低い酒類について、引き上げ幅をそれぞれ一ランクずつ上げるという方向基本的に形づくっておるわけでございます。  ただ、委員が御指摘になりましたように、これのいわば例外的な姿といたしまして清酒があるわけでございます。この清酒につきましては、消費の動向が非常に低迷しておるということもございます。それから、食管制度のもとで非常に高い原料米で生産をしなければならないという生産側の特殊事情がございます。それからもう一つ、いわゆる下級酒といわれる二級酒については、圧倒的に中小企業の製造者が多いという事情がございます。彼此勘案いたしまして、清酒につきましてはそういった観点も加味いたしまして引き上げ幅を調整しておるわけでございます。
  85. 野口幸一

    ○野口委員 大蔵省は、大蔵省原案なるものをまずおつくりになりました際に、ABCDEグループと五つに分けられまして、今局長が御説明になりましたように、ウイスキー特級とビール、これをAグループ、ウイスキー一級、清酒特級、これをB、Cとしてウイスキーの二級、清酒一級、Dが清酒二級、しょうちゅう甲、しょうちゅう乙、Eが果実酒、こういうように分けてそれぞれの検討をなされたようであります。  そこで、当初の大蔵原案からいわゆる政府原案となりますまでの間には、もちろん税率も若干違うわけでありまするが、今申されましたいわゆる酒に対する特定の手当て、これは酒の消費が伸び悩みしている、こういうことでございますけれども、清酒の二級に当たっては、ビールと比較していわゆる伸び率というのはいつの時点から御調査になって、酒の方が売れ行きが悪くビールの方がもっと売れているということをお示しになったのですか。
  86. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これはやはり私どもといたしましては、最近時点、しかもある傾向が出る期間ということでございますので、具体的には五十二年から五十七年の五年間の指標をとりまして判断いたしたものでございます。
  87. 野口幸一

    ○野口委員 先ほどもいささか議論もございましたけれども、これは特にこの二、三年といいますか、五十五年から五十八年程度までの伸び率を見てみますと、ビールよりも清酒二級の方が伸び率が高いんです。そういうデータがあるわけでありまするが、それによりますと、清酒二級の伸び率よりもビールの方が高いとおっしゃるような気がするわけですけれども、清酒の二級は確かに消費率は上がっている。にもかかわらず、今回の手当ては、酒というものに対して特別な手段が講じられているというのはうなずけないのでありますが、この辺について御見解を承ります。
  88. 梅澤節男

    梅澤政府委員 課税数量の推移でございますけれども、清酒の二級、過去五年間をとりますと一・五%でございます。それからビールはこの期間、伸びが二・八%でございます。ちなみに申し上げますと、過去十年間をとりますと清酒の二級は実はむしろ下降いたしておりまして、九八・四でございますからマイナスの一・六。この期間におきますビールの伸びは三・三でございます。それから過去一年をとりますと、ビールの伸びは五・七に対しまして清酒の二級は二・九でございます。なるほど、清酒全体としては非常に伸びが低迷をいたしておる中で、いわゆる二級酒シフトという傾向が指摘されておりますように、二級酒がわずかに伸びを示しておるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、二級酒は中小企業が圧倒的にこれをつくっておるという事情もございますし、必ずしもビールに比べまして強い商品であるというふうには言えないということは言えるのではないかと考えております。
  89. 野口幸一

    ○野口委員 先ほど、原料使用について高い日本の米を使っているからそういうことも配慮した、こういうことでありますが、ビールの場合も国産麦芽の使用によって約二百億円の税外負担をしておるわけであります。これもそういう立場で言うならば、同じことが理由として言えるわけであります。とするならば、なぜ酒の方にはそういう手当てをして、ビールはそのことを除外をしたのか。
  90. 梅澤節男

    梅澤政府委員 原料事情につきまして申し上げますと、清酒の場合は原価に占めます米の割合がおおむね七割程度と言われておるわけでございます。今委員のおっしゃいました麦芽の国産のウエートが二割というのは、ちょっと手元に計数はございませんけれども、いわゆる国産原料に依存しておるその比重からいいますと、清酒の場合とビールの場合とでは相当開きがあるのではないかということは言えると思います。
  91. 野口幸一

    ○野口委員 そうですか。確かにそう言えますか。私どもの手元にあります資料では、必ずしもそのような関係にないと思います。  そこで、先ほども渋沢委員が言っておりましたが、低所得者層と言われるいわゆる労働者層でありまするが、その人々が酒をたくさん飲むといいますか、酒をたしなんでおるわけでありまするが、その中でどの層が、特に今回値上げ幅のひどい、税負担率の一番高いビールを飲んでいるかということについて資料がございますか。
  92. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは五十七年の家計調査で世帯五分位当たりでございますが、例えば第一分位の世帯で申しますと一世帯当たり四十一リッター、二分位でございますと四十九リッター、それから三分位で五十二リッター、四分位になりますとまた下がりまして四十九リッター、五分位で五十三リッター、平均四十九リッターということでございまして、ほぼ平均して、各世帯ビールの消費につきましては世帯分位によって顕著な傾斜が見られないということは言えるのではないかと思います。
  93. 野口幸一

    ○野口委員 その一分位というのは何ですか。
  94. 梅澤節男

    梅澤政府委員 一分位というのは収入の低い分位という意味です。
  95. 野口幸一

    ○野口委員 私の調査によりますならば、特にビールの消費量の関係と年間収入の階層別の酒税負担率を見ますと、平均年間収入四百七十九万円とした場合、酒税負担率を一〇〇といたします。そうしますと、いわゆる三百万未満といいますか、二百八十二万円未満という一階層はその酒税負担率は一六三となります。そして、二階層の二百八十二万から三百七十三万までの階層におけるビールの酒税負担率は一三九。三としまして、三百七十二万から四百七十八万に至る層、これが一二七。四階層になりまして、四百七十八万から六百三十二万までの所得の層に対する酒税負担率は九三。また、六百三十二万以上の人というのは、その負担率は六一という指数が出ております。つまり、私が申し上げますと、一番高い負担をしておるのは、ビールだけをとりました場合におきましても、三百万円未満の所得者層が酒税負担率が一番高い、こういう状況が出ているわけであります。  そういたしますと、今回の税の引き上げのあり方というのはまさに大衆増税そのものになってきておって、いわば低所得者層に対する非常に過酷な増税である。増税そのものもけしからぬと思うのでありますけれども、特にビール等の上げ方が大体四九%、五〇%に近い数値が示されていることはどうしても納得ができないと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  96. 梅澤節男

    梅澤政府委員 今委員が御指摘になりましたのは、恐らく所得に対する比率でおっしゃったものだろうと思うわけでございます。これは所得に対する比率で分析しようが、収入に対するあるいは消費支出に対する分析とかいろいろな手法がございますが、傾向といたしまして、酒税負担がいわゆる逆進的な効果を持つ、そういう傾向を持つということは否定できないと私どもも考えております。  ただ、これは常々議論があるところでございますけれども税負担の逆進あるいは累進あるいは平準という議論をする場合には、個々の税目ごとではございませんで、今回の税制改正で申し上げますなれば所得税減税、それから酒税負担引き上げをお願いしておるわけでございますが、そのほか物品税引き上げ、こういったものを総合的に判断いたしまして、効果が一体どうなっておるのかという分析が必要であろうと思います。したがいまして、私どもの観測します限りにおきましては、今回の所得減税は低所得階層ほど軽減割合は高く出ておるわけでございますので、そういった総合的な判断のもとで御検討いただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 野口幸一

    ○野口委員 せっかくの御主張でございますけれども、ビールの増税によりまして、今回行われる所得減税意味が、ビールだけを見ましても全く大きく減殺される。毎日一本消費するという家庭にありまして、増税分だけを年間勘定いたしますと九千百二十五円の負担増ということになるわけでございます。これによって平均的な家庭の減税分というものは、これだけでも、ビール一点を見ましても減税意味を減殺している。これはもうまさに税の公平、あるいはまた逆進性の強い間接税導入の原点になっていくわけでありますけれども税負担の公平に反する今回の酒税の値上げというものに対して、どうしても認められないということが言えると思うのであります。  そこで、一般の酒の中にありまして、ビールがなぜそのような高い税金を取るようになったのか、その経緯を御説明いただきたいと思います。
  98. 梅澤節男

    梅澤政府委員 現在の酒税法の骨組みができております昭和三十七年の時点で見ましても、当時、小売価格に対して五〇%を占めますのはビールと清酒の特級という位置づけがされております。その後累次の改正が行われてきたわけでございますけれども、我が国のビールの税負担が酒類の中にあって一番高位にランクされていることは、御指摘のとおりでございます。  ビールの税負担の適正な水準はいかにあるべきかということは、一義的に結論が出る問題ではございませんで、これはビールに限りませず、酒税あるいは個別消費税一般について申し上げることができるかと思うわけでございますけれども、それぞれの国の消費の態様あるいは生産側の状況、それから市場の状況、そういったものを総合勘案して税負担を決めさせていただくということに相なるわけでございます。特に酒税の場合は、致酔飲料という特殊な性格に基づきまして、財政物資でございますので、伝統的に各国ともこの酒類については高い税負担を求めておるわけでございますが、その中にありまして、酒の種類ごとにそれぞれの負担水準をどういうふうに設定するかというのは、繰り返しになりますけれども基本的には消費あるいは生産の状況ということになるかと思います。  特にビールの場合は、我が国の酒類の消費量の三分の二はビールが占めておるという意味で、財政物資としても非常に重要な地位を占めておるということがまず第一点でございます。税収額の半分以上はビールの負担でお願いしておるという状況がございます。これは財政側の状況でございます。それから、消費側の実情といたしましては、これは先ほども申し上げたわけでございますけれども、ヨーロッパでの飲まれ方と日本の飲まれ方とは若干違う。一人頭の消費量といたしましても、日本はそもそも一人頭のアルコール消費量が世界各国に比べてもまだ非常に低いわけでございますが、その中にあって、ビールも御多分に漏れませず、ヨーロッパ各国に比べれば一人頭の消費量が非常に低い。ヨーロッパは致酔飲料のほかに、いわば止渇飲料といいますか、飲料水がわりに飲まれるというような側面もございます。それから供給側の状況といたしましては、我が国の場合は非常に効率のよい寡占的な生産形態で供給されておりますが、ヨーロッパ諸国では非常に小規模の醸造家がたくさんあって、そういう生産状況のもとで供給されておるというような状況。したがいまして、彼此勘案いたしますと、ビールの消費に対して相応の担税力があるというふうに考えざるを得ないであろう。  それから、もう一言つけ加えさせていただきますと、酒類の消費のされ方につきまして、一般の家庭でいわば晩酌のような格好で飲まれる場合と、我々業務用と言っておりますが、そのほか飲食店等で消費される消費の態様があるわけでございますが、ビールは業務用に消費される割合が際立って高いというふうな特殊な性格もございます。そういったものを総合勘案いたしまして、酒類の中にあってビールについては相当の負担をお願いする。沿革的にもそういう状況にあるわけでございます。
  99. 野口幸一

    ○野口委員 主税局は主税局の言い分があるかもわかりませんが、私ども国民から見ますならば、ビールというのは今や国民飲料ともいうべきものでございまして、女性の方々も非常に愛され、夏なんかのビヤホールは女性の方々の方が多いというような現象まで出ているような、今日非常に大衆化した飲み物であります。しかし、税率は、先ほども申し上げましたように逆進性そのものでありまして、非常に高い率を課せられている。局長がおっしゃるように、ヨーロッパとは違うんだと言われますけれども、我が国におきますところのこのビールの税金の負担率の割合は、世界じゅうどこを見ましてもこんな高い税金を取っている国はないのでありまして、世界一高い税金がかかっていると言っても過言でない今日のこのビールの税のあり方については、抜本的にお考え直しをいただかなければならない時期が来ているのではないかと思うのでありますが、いかがなものでしょうか。
  100. 梅澤節男

    梅澤政府委員 我が国のビールの負担率が世界で一番高いというのは御指摘のとおりでございます。先ほども申し上げましたように、我が国に次いで高いのがイギリスでございますが、国際的に見て非常に高い水準にある。これは、先ほど申しました消費の態様なり、我が国のビールの生産の側の条件、こういったものを総合勘案した場合に、沿革的にもビールについて高い税負担をお願いしてきた、相対的に高い税負担をお願いしてきたということでございます。  ただ、五十年代に入りまして、今回の改正を入れますと四回の税負担引き上げをお願いするわけでございますが、五十一年の改正のときは引き上げ幅が二二・三%、五十三年のときが二四・三%、五十六年のときが二四・二%、今回の場合は一九・五%でございまして、これを小売価格で見ますると値上げ幅は八%強というふうなことでございまして、五十年代に入りまして連続して引き上げをお願いしました中では、今回ビールにつきましては一番引き上げ幅が低いという点についてもひとつ御留意をいただきたいと考えるわけでございます。
  101. 野口幸一

    ○野口委員 その数字の示すところによれば、そのような傾向にあるということは認めるにやぶさかではありませんけれども、いかに言われましても、恐らく五〇%も税金がかかっているというようなことは、実は余り消費者も、ある意味では知らないんじゃないだろうか。今度値上げがされますと小売単価が三百十円になるわけですね。その半分が実は税金なんです。しかも一番度数の薄いビールにそのような高い税金がかかっている。こういうことになりますと、いわゆるアルコール度数によるところの税金のかけ方というのはいかがなものかということになってくるわけですね。  そうすると、先ほどもちょっと局長口を滑らされましたが、清涼飲料水に近い形で飲まれているヨーロッパの場合と我が国の場合とは違うんだ、こうおっしゃるわけであります。その場合、そうしたらビールの中にありましても、ある会社におきましてはもっといわゆるアルコール分の低いビールを売り出しておったときがあると思います。そのときに、そのビールの税金はいかがでございましたでしょうか。
  102. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ビールにつきましては、ほかの酒類につきましては基準アルコール分に対する基準税率を決めまして、いわば度数換算で税率を決めておるものでございますけれども、ビールはほとんどアルコール度数が標準品ということで税率は一本になってございますので、アルコール度数にかかわらず、ビールと言われますものについてはリッター当たりの税額は均一でございます。
  103. 野口幸一

    ○野口委員 そこにも矛盾があるわけですね。  それで、十六度と十五度との差、この一度の差というのと、某ビール会社が売り出しました低アルコールの度数というのは上が四度ですか、たしか五度程度のものを一度程度下げているわけですが、その下げ率というのは非常に高いものになっているわけです。にもかかわらず、ビールの場合は適用しないでそのままの税率をおかけになってきておられるわけでありまして、ビールに対する税の仕打ちというのは非常にきついものだと言わざるを得ないと思うのですが、主税局長いかがですか。
  104. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは先ほど申しましたように、ビールの場合は標準品がございまして、もちろんアルコール度数についてそれぞれ商品ごとに若干この度数を異にするという商品展開が行われていることは事実でございますが、沿革的にビールというのは明治以後我が国の市場に入ってまいったわけでございますけれども、その間商品はほとんど均一であるという事情がございます。これは例えば清酒について見ますと、今回の税制改正でも度数換算でアルコールの基準分を十五度、下限分を八度までお願いしておるわけでございますけれども、こういった酒類につきましては、アルコール度数の商品展開の幅が非常に大きい。したがいまして、そういう商品展開にはそれに即応した税率をセットいたしませんと、やはり市場に対して中立的であり得ないわけでございます。ビールにつきましてはそういったアルコール度数で見ます限り、商品展開にそう大きな格差が見られないという事情がございます。  いずれにいたしましても、今後のビールの商品市場の状況を見まして、ある程度度数によって税率を展開するということが適当である、それが市場に対しても中立的であるという状況になれば、もちろんそれは検討すべき課題ではございますけれども、現状においてはやはり均一の税率で、おおむね市場に対しても大きな干渉的な影響を与えていないのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  105. 野口幸一

    ○野口委員 それは私から言わせれば逆なんですね。度数が下がったビールでも同じような税金がかかっておるということになりますならば同じじゃないかということで、その商品の伸びがないということもまた逆には言えるのでありまして、もっと低い度数のビールが飲料水がわりに飲まれるような状態というものをどんどんつくる、ソフト化するということにおいてその税制を変えていくということがありますならば、その商品の伸びもまたあるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは野口委員おっしゃるように、将来ビールが、将来と申しますか近い将来におきましてもそういう商品展開が予想されるといたしますれば、それに適合した税率は、やはり一つ検討課題であろうと私どもも考えております。
  107. 野口幸一

    ○野口委員 この件につきましては、恐らく業界ともいろいろな話があるだろうと思いますが、いずれにしましても、片方においてはそういう勘案がなされている。ビールだけは、業界にはそういうものがなされていないということについては、これは片手落ちなことでありますから、一度御考究をいただきたい、こう申し上げておきます。主税局長、それでよろしゅうございますか。
  108. 梅澤節男

    梅澤政府委員 先ほど申しましたように、これは将来の一つ検討課題であろうと私どもも考えております。
  109. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、ちょっと基本的な問題と申しますか小さな問題ですが、問題の中身は非常に重要な問題でございますが、主税局長、清酒というのはどういうものなんでしょうか。
  110. 梅澤節男

    梅澤政府委員 非常に簡単に申し上げますと、原料は米、米こうじ、これを発酵させて、こしたものというのが清酒の定義でございます。
  111. 野口幸一

    ○野口委員 それだけですか。それ以外のものは全部合成酒ですか。それならそれでいいんですが。
  112. 梅澤節男

    梅澤政府委員 それは非常に基本的な定義を申し上げたわけでございまして、もう少し厳密に申し上げますと、今申し上げましたが、「米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」それから「米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの。但し、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米の重量をこえないものに限る。」それから「清酒に清酒かすを加えて、こしたもの」これも清酒とされております。
  113. 野口幸一

    ○野口委員 大体、酒というのは、酒をつくるということについての規定あるいはまたこれに関する法律というものは、古今東西なかったんですか、あったんですか。
  114. 梅澤節男

    梅澤政府委員 全国統一的な酒税法ができましたのは明治四年でございまして、製造免許等も加えました現行の酒税法に近い形になりましたのは明治十三年でございます。
  115. 野口幸一

    ○野口委員 まさに酒は税金を取るためにつくられているものである、こう言っても差し支えない。本来ならばこの種のものは農林省所管、あるいはまた通産省所管、厚生省所管のものであると思うのであります。ところが、この酒だけは大蔵省ががっちりとお握りになって、内容の問題も含めて所管をしておられる。まことに奇異なる感じがするわけでございます。つまり、酒というものは税金を取るために大蔵省が所管をしておられると言っても差し支えないと思うんですが、主税局長の御所感はいかがですか。
  116. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これはある意味では委員の御指摘が当たっておるわけでございまして、清酒の特殊な嗜好品としての性格というものは、先ほども議論がございましたが、致酔飲料であるということでございます。したがいまして、これは各国とも酒類につきましては相応の税負担を求めております。その意味で私ども、これを財政物資と言っているわけでございますが、ヨーロッパ諸国におきましても、現在ほとんどの国が一般的な消費税でございます付加価値税を採用してございますけれども、個別消費税として、ほとんどの国というより全部の国が酒類、それからたばこにつきましては財政物質として別個に税負担を求めておるという経緯がございます。我が国も近代国家として発足いたしまして、先ほど委員が御指摘になりましたように、明治初年以来酒税は重要な財政物資として、ある時期には国家の一般歳入の四〇%近くを酒税が占めたというような時期もございます。したがいまして、酒税につきましては、そういう特殊な財政物資ということでございますので、製造についても免許制度をとる、同時にそういう技術指導等につきましては、現在国税庁に醸造試験所がございますけれども、そういう技術開発、技術指導等も歳入官庁である大蔵省が伝統的に所管してきた、こういうことでございます。
  117. 野口幸一

    ○野口委員 そんな沿革史を聞こうとは思わなかったのですけれども、とにかく私はこの酒造法、つまり酒をつくる法律というものがあってしかるべきだ。ところが、探してみましたところ、酒税法しかないんですね、税金を取るという。だから税金を取る方だけであって、酒の内容とか成分というものについては別のところで、いわば公正競争規約というようなものがございまして、ここのところで事細かにある程度書かれてあるわけでございますけれども、これも国税庁の間税部酒税課が主管をしておられるのでありまして、奇異に感じておるわけであります。  そこでお尋ねいたします。先ほど局長がお読みになりましたように、酒税法第三条の第三号、清酒の項でありますが、ただし書きがございまして、「その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量をこえないものに限る。」と、いわゆる限度を示してあるのですね。酒の中にまぜるものの限度が示してあるのです。その限度の数量が書いてないのですね、この法律には。どれだけ、何%までは許すとか許さないとかということが書いてないのですね。どこでこれは定められているんでしょうか。
  118. 梅澤節男

    梅澤政府委員 政令では、その加える原料が酒税法施行令第二条で掲げてございますが、重量はここに書いてあるそのものでございます。「物品の重量の合計が米の重量をこえない」……(野口委員、「だから何%まではいいのかと言うのです。何%まで入れていいのか。三分の一以上は水ですがね」と呼ぶ)
  119. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 執行の話でございますので国税庁から御答弁申し上げます。  ただいまお尋ねの点につきましては、酒用白米一トン当たり二百八十リットルの範囲内というふうになっております。これはアルコールの添加し得る量でございますけれども、各蔵が使用いたします米、原料米一トン当たりにつきまして二百八十リットルの範囲内ということに制限いたしております。
  120. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると何%になるのですか。
  121. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 二八%弱でございます。
  122. 野口幸一

    ○野口委員 二八%、いわゆる酒のもとといいますか、洋酒で言えばモルトみたいなものですが、それがあればいいということですか。(「逆だ」と呼ぶ者あり)逆ですか。七二%入れなければいけない。——二八%以内でなければいけないということですか。
  123. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 添加し得るアルコールの量は二八%以内ということでございます。
  124. 野口幸一

    ○野口委員 以内ですか。じゃ、アルコールはそうなんですが、アルコール以外のものはどうなんですか。——恐らく答えられないだろうと思うのであります。  そこで、この酒を持ってまいりました。これは特級酒でありますけれども、答弁も後で聞きますが、この表示です。ここに、何がどれだけ入っているかという表示があるのですが、「アルコール分十六・〇度以上十七・〇度未満」「原材料名 米・米麹・醸造用アルコール」これだけしか書いてないのです。書いてありません。これ以外のものは入っていないということがはっきり言えますか。
  125. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 ただいまの表示内容のものが含まれているというふうに解釈しております。
  126. 野口幸一

    ○野口委員 それ以外のものは入っていませんかと聞いているのです。
  127. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 それ以外につきましては、水以外にはございません。
  128. 野口幸一

    ○野口委員 それはおかしいですね。聞くところによりますと、この中にはいわゆる味の素と言われるグルタミン酸ソーダを初めとして糖類も含まれていると言われているわけであります。しかも私は不思議に思いますのは、特に先ほども申しましたようにどれだけの分が、例えば添加物のアルコールならアルコールにしましても、そのパーセントがどれだけ入っているかということは明らかにされていないのです、この表示の中には。何%ということは一切書いてないのです。これは特級酒でありますが、一級酒の方も同じであります。両方ともそういう表示になっております。国民は当然この酒の中身を知る権利があると思うのですね。何%は米こうじが入っておって、何%アルコールが入っておって、糖分はどれだけ入っておって、糖分以外のものがどういう形で入っているということは当然知る権利があると思うのです。これが全然表示されていない。これはいかがなものですか。
  129. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 清酒の表示につきましては、清酒の表示に関する日本酒造組合中央会が定めましたところの自主基準というのがございまして、その自主基準に必要な表示事項が書いてあるわけでございます。ただいま先生の御指摘のありましたそのラベルにつきましては、それに沿って書いてあるようでございますけれども、先ほどのお尋ねの醸造用糖類を使用した場合、それは当然醸造用糖類ということで入ってございますし、また、その地味つけの添加剤等を加えました場合には、その点につき、先ほど答弁漏れがございましたけれども、そういったものの重量の総量につきましては、先ほどの酒税法の定義に戻りまして全体の半分を超えることはできない、そういう範囲内になっているわけでございます。
  130. 野口幸一

    ○野口委員 私は余り酒を飲まないのですけれども、しかし、余りにもお酒というものに対する国民の信頼というのは、この「清酒」という一つの文字、「清酒何級」、これだけに頼っておられるのじゃないだろうか。小さい、わからぬような字で書いてあるのが、実は抜けている。本当の中身で、あるんだけれども抜けているのではないだろうか。しかも、そのパーセンテージは一切公表されていないというところに問題点があるのじゃないか。  今までは特級と一級との差をアルコールの度数によって決めることができました。今度はそれが同じように十五度ですか、同じ度数にしようとおっしゃるのですね、特級と一級は。そうしたら、一級と特級はどういう見分け方をするのですか。飲まなければわからないの。
  131. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 特級、一級の区分につきましては、各国税局単位に置かれております地方酒類審議会がございまして、その審議会の委員が酒造業者の出品によりまして審査をいたしております。その構成員は、鑑定官を初めとしまして、各民間の有識者あるいは農芸化学等の学者が入っておる、そういう機構がございます。九名ほどでございますが、そういった審査員が暗番の状態で審査をいたしまして、特級に適合するか一級に適合するかということを審査をいたしております。
  132. 野口幸一

    ○野口委員 それは年に何回やられるのですか。
  133. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 この回数につきましては、主産地とそれから酒が余りできないところとで違いますけれども、例えば主産地でございます大阪国税局の管内でございますと、年に十五、六回、東京は、非常に人口が多うございますがお酒が少ないということがございまして、年に四、五回、こういうふうになっております。
  134. 野口幸一

    ○野口委員 それは、あらかじめ用意された酒をお酒屋さんが持ってきて、この商品について吟味をしてくれといって御提示になる、それを審査員が審査をして紋別を決める。じゃ、一般商店に並んでいるお酒について抜き取りをして、これは果たして一級に値するものか、特級に値するものかという検査をなさったことがございますか。
  135. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 厳封されまして商品の状態になったものにつきましては検査はいたしておりませんけれども、蔵出しの段階におきまして——大変失礼しました。市販酒類につきましての抜き取り検査は実施いたしております。
  136. 野口幸一

    ○野口委員 それは本当ですか。何回やっているのですか。
  137. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 今思い出しましたが、予算が計上されております。各国税局に鑑定官室というのがございまして、清酒の購入予算がありまして、市販酒を買ってまいります。その上で、買ってまいりましたものを検査をする、こういう制度になっておりまして、その辺は事後的にチェックをいたしております。
  138. 野口幸一

    ○野口委員 それは、先ほど言われましたところの審査員の方と違う方が調べられるのですか。
  139. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 先ほど申し上げました審議会のメンバーの中に三名ほど鑑定官が入っておりまして、そういう意味では一部ダブリがあるかもしれませんけれども現実には、地方酒類審議会のメンバーはかなり外部の方が入っておりますので、恐らく大部分の場合につきましては実際上ダブリはないと思っております。
  140. 野口幸一

    ○野口委員 ダブリがないってどういうことですか。抜き取り検査を同じ人がやっているということですか。
  141. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 当初の審査をした人物と抜き取り検査の際に検査をした人物とのダブリはないというふうに考えておりますし、また、地方酒類審議会におきます紋別の審査は、どこの銘柄であるかどうか全くわからない状態で審査いたしておりますので、その辺の公平性につきましては問題がないというふうに考えております。
  142. 野口幸一

    ○野口委員 それじゃ、検査は同じ人がやってないのですね。別の人がやっているわけですね。初めに何級とかいうことを決めた人と抜き取り検査をやっている人とは、人が違うのでしょう。
  143. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 おっしゃるとおりでございます。おおむね違います。
  144. 野口幸一

    ○野口委員 そうしたら、その級別というのは、違った者が調べたらまた違ったものが出てくるのじゃないですか。そんな千差万別なやり方で抜き取り検査の効果がございますか。
  145. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 特級、一級という各級別の分類がございまして、そういうお酒が店に置いてあるわけでございますけれども、そういったものにつきまして抜き取り検査をする職員、これはやはりその関係での権威者でございまして、その初の人物の相違がございましても、検査自体には全く問題はないというふうに考えております。
  146. 野口幸一

    ○野口委員 まことに非科学的な御答弁でありまして、そんなことだけでは、例えば私みたいな者が飲まされれば、また審査員にすれば、恐らくみんな特級、一級にするかもわからない。そんなことでは品質の保持というものは保証されてないじゃないですか。国民はだまされて酒を飲まされていると言っても過言ではないと思うのです。  私は、実はこの酒の銘柄を言うのはいかがなものかと思いますから言いませんが、この清酒だって、この会社がつくっているのじゃないのですね、大蔵大臣竹下さんも御存じのように、各地方のお酒屋さんがつくったものを、中央メーカーと言われる八大メーカーにお送りになって、それをまぜ合わせて、先ほどの話じゃありませんが、いろいろな添加物を入れて合成的な清酒をおつくりになって、それをいわゆる審査会にお出しになって、これが特級なら特級と決められる。ところが、その後は、全国へその名前をもってざっと流れるわけでありますが、その後の品質の保証というものは何らないと言っても差し支えない。違う者が形だけの検査をしている。一たん特級と決まれば去来永劫特級としてまかり通っている、こういうような状況があるわけですね。こういうことはいかがなものですか。
  147. 梅澤節男

    梅澤政府委員 これは、執行の問題といいま牛よりは、現行の制度を前提にいたしまして、国税庁は鋭意その紋別の審査等について努力しておるわけでございますが、その制度の現在のあり方について、委員の御指摘になる問題は、各方面で従来からもいろいろ議論になっておるところでございます。  五十六年に酒税問題懇談会というところで一年間議論していただいたわけでございますが、そのときの議論のテーマといたしまして、現在の清酒の級別制度、これが、今議論になっておりますように、任意出品制である、しかもその審査がいわば官能審査と申しますか、それぞれ専門家ではございますけれども、それぞれの官能審査によって特級なり一級というものが決められる。この現在の級別について、これを見直すべきではないかという問題点が提起されておるわけでございます。  私どもも、今後、この問題については中長期的にきちんとした制度的なアプローチをしなければならないというふうに考えておるわけでございますけれども、現在の級別制度は三十七年の酒税法の改正で——それまではエキス分なりアルコール分で一応の客観基準があったわけでございますが、自由な商品展開というような観点も入れまして任意出品制、官能審査という現在の制度に移行したわけでございます。  この問題につきましては、今先生がおっしゃいましたような弊害も生じておりますし、税負担の格差という面でもいろいろ問題も生じておる状況でございます。ただ、これは三十七年以来、それなりに定着してきた制度でございますし、もっと淵源をたどりますと、昭和十八年以来でございますから、もうおよそ四十年間この制度が級別制度として酒類業界に実は根をおろしておるということでございまして、今これを急速に制度の転回を図りますと、やはり業界の問題がいろいろ生じてまいるわけでございます。私どもはそういった状況もにらみ合わせながら、そういった御議論がまた世の中に起こってまいる状況を見ながら、将来の検討課題として、これは今後のあり方を真剣に検討すべき問題であると考えております。
  148. 野口幸一

    ○野口委員 少し方面を変えまして申し上げますが、同じくこの酒のラベルに、先ほど申し上げましたように、アルコールが入っておるということが書いてある。しかし、これはただアルコールという表示でございまして、醸造用のアルコールではあるのかないのかはっきりしないですね。醸造用アルコールというのはあるのですか、ありませんか。そして、酒に入っているアルコールというのは一体どういうアルコールが入っているのですか。
  149. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 醸造用アルコールと申しますのは、清酒の原料として清酒メーカーが使っているアルコールでございまして、その他のアルコールと申しますのは、いろいろ食品添加あるいは医薬品に使いますアルコールもございますが、これは通産省所管の専売アルコールでございまして、清酒用のアルコールは醸造用アルコールということで区分をいたしております。
  150. 野口幸一

    ○野口委員 じゃ、お示しいたしますが、これは「アルコール」としか書いてない、「醸造用アルコール」とは書いてない。だから、これはメチルアルコールが入っているかもしれないのですよ。見てごらんなさい、アルコールとしか書いてない、醸造用とは一切書いてない。
  151. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 先ほども説明申し上げました、清酒の表示に関します日本酒造組合中央会の自主基準の中には醸造用アルコールというふうに表示することを義務づけておりまして、ただいまお示しの酒につきましても、今確認しましたら「醸造用」という字はあるようでございます。
  152. 野口幸一

    ○野口委員 醸造用アルコールというのは、先ほど言いましたように、純度においては、いわゆる酒の中身には、醸造用とただのアルコールとの間にはどうして差をつけることができるか、あるいはまたその度数を、何度のものを入れるかということについては決まりがありますか。
  153. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 醸造用アルコールは、醸造にふさわしい、発酵過程等を経ましてできましたアルコールでございまして、それが酒の中に使われておるわけでございます。
  154. 野口幸一

    ○野口委員 今僕はちょっとミスをいたしました。この「白鶴」の特級と一級には醸造用アルコールということが確かに書いてある。これは間違いました。しかし、「アルコール」としか入ってないのがあるのです。これは今後はっきりとお示し申し上げますが、私はそういうことは許されてはならないと思いますし、そしてこれは表示の義務を怠っているものだ、こう申し上げておきます。  そこで、おけ買いという話があるのですが、おけ買いってどういうことか御存じですか。
  155. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 おけ買いと申しますのは、主として大メーカーがその他の蔵からお酒を購入いたしまして、それをフレンドして出荷いたすわけでございますけれども、そのことをおけ買いと申しておりまして、この制度は、昭和四十八酒造年度から注文生産制度というふうに、かなり規則正しい姿になってきておりまして、注文をいたしますおけ買い企業が、おけ売り企業への発注に際しまして、その品質、規格、製造方法等につきまして細部にわたって指示をする、あるいはまた技術指導を行いまして、自社の銘柄に合うような清酒をつくらせているのが現状でございます。おけ買いという言葉から聞かれる印象よりは、中身はそういった意味で非常に合理的な姿になっているというふうに考えております。
  156. 野口幸一

    ○野口委員 そういうことを聞きますと、実際はお酒というのはその会社でつくられたものというよりも、あらゆるところでつくられたものが合成されてでき上がっている、いわば合成酒であると言っても差し支えないものではないかと言えるのであります。私の調べたところによりますと、大手メーカー、有名メーカーの酒はすべて合成酒だと言っても差し支えないほど、あらゆるところのお酒は、あるいはアルコール添加あるいはまた先ほど申しましたあらゆる添加物を入れまして、味を変え、品を変えして売っている。先ほども言及いたしましたように、その審査の状況あるいはその後の品質保証の問題、いろいろな問題がたくさんあるわけでありまして、先ほど主税局長のお答えになりましたように、この種の級別の審査あるいは品質の確保という問題については、ぜひ今後とも御考究をいただきたいと思うわけであります。  そこで次は、酒の表示につきましてもう少し申し上げたいと思います。  酒の表示の仕方、これはいろいろあるわけでありまするが、普通醸造、標準醸造、添加醸造、それから糖添加醸造、こういろいろ醸造の仕方があるそうでありますけれども、そのほかに酒の、お売りになるときに書かれてあります表示は、純米醸造、米の酒、本醸造、無添加醸造、全米醸造、天然醸造、こういうようにいろいろと書かれているわけです。こういうような書き方は、大蔵省としては一体お許しになっているのかどうか。こういう各種の書き方ですね、これは大蔵省として許可されている——まあ表示の自由ということに入るのですか。その点はいかがなものでしょうか。
  157. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 御指摘の表示の問題は公正取引委員会の所管でございますが、私ども産業行政を担当する国税庁といたしましても、その表示の内容が消費者に誤認を与えないようにという点につきまして、鋭意日ごろ努力をいたしておりますが、清酒につきましては具体的な公正競争規約というものがございませんで、現在日本酒造組合中央会が表示に関します自主基準というものをつくっております。その内容につきまして、それぞれのメーカーがその基準を守りまして酒の表示をするようにということは重々指導いたしておるわけでございます。  大変恐縮でございますが、先ほどお尋ねの点につきましてちょっと答弁漏れと申しますか、おけ買いでできました酒が合成酒と先生おっしゃられたわけでございますが、合成清酒と申しますのは、酒税法に別の定義がございますので、おけ買いでできました酒を集めましても、これは清酒でございます。しかも、注文生産によりましてきちっとした内容になっておりますことを、大変恐縮でございますが、この際つけ加えさせていただきます。
  158. 野口幸一

    ○野口委員 清酒という名の合成酒ということを言われておりますが、まあそのとおりであると思うのであります。  そこで、お酒をやめまして次はウイスキーですけれども、ウイスキーの好きな主税局長にちょっとお聞きをいたします。ウイスキーの表示の中に「オールド」というものがあるのですが、このオールドというのはどういう意味ですか。
  159. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 現在日本で市販されておりますウイスキーの中に「オールド」という名称のウイスキーがございます。かなりシェアも広いわけでございますが、具体的な商品名で恐縮でございますが、「サントリーオールド」というものがあるようでございます。この表示につきましては、その表示自体が適当であるかという点につきましては、私ども国税庁の所管ではございませんが、このオールドという内容は、品質を表示したといいますよりは、むしろ固有名詞的になっているというふうに理解いたしております。
  160. 野口幸一

    ○野口委員 それはうそですよ。あなた今「サントリーオールド」と言ったでしょう。ニッカだってニッカオールドというのがあるじゃないですか。だからこれは品質の表示じゃないかということなんです。だからオールドという意味はどういう意味ですかと聞いているのです。
  161. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 大変失礼いたしました。ニッカにもオールドがあるようでございます。  このオールドにつきましては、私ども直接表示の所管でございませんが、産業行政所管庁としまして、それぞれの関係省庁との意見交換もいたしておりますが、このオールドにつきましては、固有名詞であるというふうな理解を私どもいたしております。
  162. 野口幸一

    ○野口委員 それは登録されているわけですか。いわゆるオールドという名前が商品名として登録されているのですか。
  163. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 商標登録があるかどうか、私も今ちょっと定かではございません。調べまして後ほど申し上げますが、消費者に誤認を与えるかどうかという観点での御議論でございますので、恐らく先生のお尋ねは、オールドと言いながら中身は恐らくそうじゃないだろう、こういう御趣旨かと思います。そういった意味につきまして考えてみますと、このオールドといいますのはかなり既に消費者にも定着いたしております。そういうことで、オールドと書くがゆえに優良であることを誤認するような、そういったものではないというふうに考えておるわけでございます。
  164. 野口幸一

    ○野口委員 では、モルトは何年以上のものを大体オールドということになるのですか。いわゆる常識としてはどうなんですか。
  165. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 我が国におきましては、モルトといいますものを何年以上貯蔵したもの、こういうような規制はございませんが、現実にはモルトと申しますのは、時間をかけますことによって中身に香気成分が出る、いい味になるということでおおむね長期間の貯蔵になっておりますが、我が国におきましては、モルトと称しますのは大体三年以上は貯蔵しているというふうに認識しております。
  166. 野口幸一

    ○野口委員 三年じゃないでしょう。二年と十一カ月ということに変わったんじゃないですか。
  167. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 何年以上貯蔵すべしという時期を限った規制はございませんので、私今申し上げましたのは、現実にモルトというふうに言われておりますものはおおむね三年くらい、あるいはそれ以上のものもございます。それは貯蔵されております、こういうことでございます。
  168. 野口幸一

    ○野口委員 私、きょうはもう少し中身について話をしようと思ったのですが、差しさわりがあるところがありますので、差し控えます。  少なくとも一般の消費者は、オールドという名がつけば非常に古いモルトが使ってある、これは常識だと思うのですね。ところが実は、それはオールドでなくてヤングなんですね。サントリーヤングであり、ニッカヤング。だからこれは、表示の間違いというよりも、表示に対する行き過ぎじゃないか、こう私は思うのですが、この辺については大蔵省はどう思っておりますか。
  169. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 表示につきましての所管庁でございます公正取引委員会と協議をいたしまして、その結果、後ほど御報告申し上げたいと思います。
  170. 野口幸一

    ○野口委員 サントリーさんもそうですが、ニッカというウイスキーもありますけれども、先ほども言いましたように、ウイスキーの場合においても特級と一級との格差というのはあるわけです。ここで一遍お聞きしますが、ウイスキーの特級と一級の格差は何で決められておりますか。
  171. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ウイスキーの特級と申しますのは、定義で申し上げますと、ウイスキーの原酒、それから原酒の混和率が二七%以上のもの、それからアルコール分四十三度以上のもの、それから一級の場合は、原酒の混和率が一七%以上のもの、それからアルコール分が四十度以上のものということで、清酒の場合と違いまして一応の客観的な基準がございます。
  172. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、それはどこで級別をお調べになって決められるのでございましょうか。
  173. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 ただいま主税局長から御答弁申し上げましたアルコール度数につきましては、各国税局におきまして酒蔵に入りまして、必要に応じて検査、チェックをいたしております。
  174. 野口幸一

    ○野口委員 先ほどの酒と同じように、それでは抜き取り検査はおやりですか。
  175. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 先ほど清酒の際に申し上げました小売段階の確認という意味でございましょうか。——蔵におきましてはそれぞれ醸造の段階でその度数のチェックはいたしておる、これは確かでございます。
  176. 野口幸一

    ○野口委員 では、抜き取りはやってないということですね。市場に一たん出たら、その酒はもう全部信用して売っているということなんですね。だから級別の認定は、つくっているところへ、例えば所轄の国税局が行って調べて認定をしたら、そのままずっと一切お調べにならないということなんですか。
  177. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 酒造業者につきましては記帳義務というのがございまして、それぞれ出荷した商品、使用したアルコールその他を明確に私ども国税の出先で押さえております。したがいまして、出荷の段階で、ただいまの数字のモルトが入っていることにつきましては、全くこれは心配ないわけでございます。かつまたこのメーカーも、やはり免許業者としまして良識ある行動をとっております。したがいまして、抜き取り検査はいたしておりませんが、中身につきましては表示どおりのものが入っているというふうに考えております。
  178. 野口幸一

    ○野口委員 えらい信用があるのですが、私が質問をするよりも、あなた方は酒をつくっている方を信用していらっしゃる方ですから、いささかおかしいと思うのです。国民側から見たら、今回の酒税の値上げに関しまして、酒というものの嗜好性ということからくるところの税の取り方というものについても、非常な疑問もたくさん持っている。特に、先ほどもちょっと申し上げましたように、この種の税金というのは非常に逆進性の強いものである。したがって、大衆酒というものについてはもっと考慮されなければならないというところの話をいたしました。  同時に、やはり中身も実はもっと厳密にチェックをして、それで常に表示に値するものが風味の中にもあるという保証をしてやらなくてはならぬと思うのですが、こういうものは、実は蔵出しの際にはやや厳正にやられているのかもわかりませんけれども、それが一たん市場に出ますと、もはやもうそれは野放しの状態になってしまっているということでありまするから、そういう意味では国民は疑惑を持たざるを得ないし、またそれに対するお答えも実はないわけであります。  先ほどもちょっとお話をいたしましたが、オールドというのは、国民から見れば古いモルトが入っている、非常にあるわけであります。私は知りませんが、外国のものは、例えば八年物とか十二年物とかいうように、モルトのいわゆる在庫年数というものを表示をしている。ところが日本の、私の知っているウイスキーは、そういうものの表示は全くないということで、しかもそれはオールドという名前がつけられて、これは高級酒だよ、いわゆる古いモルトが使ってあるんだよというイメージを与えているという部分もなきにしもあらずと思うのですが、これでは国民をだましているんじゃないかと言われても抗弁のしょうがないんじゃないかと私は思うのです。  私は大蔵省にお願いしておきますが、このサントリーさんにいたしましても、ニッカさんにいたしましても、このオールドというのは、大体モルトは何年以上のものがここに入っているということを明示すべきではないか。少なくともオールドと名前をつける以上、どれだけの年数の物がここに入っていますよということを明らかにすべきであると思いますが、いかがなものでしょう。
  179. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 ただいまの点につきましては、不当表示防止法の関係の所管庁の問題でございますので、十分にただいまの先生の御主張を伝えまして、私ども産業行政庁といたしましても、消費者が安心して買えるように、こういったような行政をしたいと考えておりますので、公取によくその辺の話をしたいと思っております。
  180. 野口幸一

    ○野口委員 終わります。
  181. 瓦力

    ○瓦委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  182. 瓦力

    ○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより、ただいま議題となっております各案中、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席をいただきました参考人は、白鶴酒造株式会社取締役社長嘉納秀郎君、金升酒造株式会社取締役会長高橋篤君、日本洋酒酒造組合専務理事菅原茂美君、サッポロビール株式会社取締役副社長荒川和夫君、宝酒造株式会代表取締役社長久木田稔君、以上五名の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本委員会におきましては、目下酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案を審査いたしておりますが、本件につきまして、参考人各位それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  なお、御意見は十分程度にお取りまとめをいただき、その後、委員からの質疑にお答え願うことにいたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず最初に嘉納参考人からお願いいたします。
  183. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 ただいま御紹介いただきました白鶴酒造の嘉納でございます。  本日は、こういう機会をいただきましたので、私が常日ごろ考えております事柄等を織りまぜまして、今回の増税その他につきまして、主として主産地の業者という立場から意見を述べさせていただくことにいたします。大まかに、四項目に分けてお話をさせていただきたいというふうに思っております。第一番目はこのたびの増税問題、第二点はそれと関連いたしまして紋別問題並びに価格問題、第三点は原料米の問題、それから第四点でございますが、いわゆる酒団法、三十年間この方続いてまいりました酒団法について一言申し述べさせていただきたいと思っております。  このたびの増税問題についてでございますが、清酒の消費動向について大ざっぱな数字を申し上げますと、昭和五十年に百六十七万キロリッター、古い言葉でございますが、石数に換算をいたしますと、約九百二十万石の出荷数量があったわけでございますが、これが五十七年には百五十万キロリッター、約八百二十万石の出荷にとどまっております。言いかえますと、この八年間に一〇%以上消費が減少したということでございます。一〇%と申しますが、一升瓶に換算いたしますと約一億本という数字でございます。また、昨年一年間、五十八年度(一−十二)について見ましても、全国のベースで前年比約九八%でございます。私どもの主産地灘五郷は、もともと基本的に特級、一級の蔵であります関係もありまして、さらに減少をいたしまして、前年比九五から九六という数字でございます。一方、全酒類の販売数量は昭和五十年以来平均して伸び続けております。伸長率は年率に直しましてざっと三%ということでございます。この中で国酒であります清酒だけが減少の一途をたどっておるという、この上下の相違は大変大きいというふうに考えております。  申すまでもないことでありますけれども、かような清酒業界の現状に対しまして常に温かい政治的御配慮をいただいているということにつきましては、心から感謝を申し上げるところでございます。ただ、今まで申し上げましたとおり、清酒にとりまして非常に厳しい消費動向となっておりますので、このたびの税率につきましてはともかく、増税そのものが実施されるという事態になることにつきましては、実は大変心配をしておるわけでございます。清酒の場合、増税額を消費者価格に転嫁せざるを得ない状況でありますので、清酒の将来消費について大きな影響が出るものと、大変な危機感を持っておるわけでございます。  関連いたしまして、先ほど申し上げました級別と価格の問題もこれに関連しておるわけでございますが、清酒の税率につきまして過去十分な政治的御配慮をいただいておるわけでございますけれども、清酒需要低迷の現在、特級酒はもちろんのこと、一級酒さえはっきりと減少傾向を示し続けております。  一例でございますが、昭和五十一年−五十六年の対比で見てみましても、特級酒は年率で七・三%の減少、一級酒は年率で約二%減少をいたしております。二級酒は辛うじて年率〇・五%程度増でございますが、昨年一年、単年度だけを見てみますと、これもやはり横ばいもしくは多少下降ぎみという形でございます。というわけでございまして、二級酒へのシフトというものが歴然たる形で出てきております。消費者の可処分所得の動きから見まして、清酒に紋別が存在する限り、級別の下方展開、いわゆる二級酒へのシフト、また二級酒の中での価格の下方展開、あるいは安い価格の二級酒というものが避けられない形になってきております。  こういうような面から、主産地の私どもに限らず、清酒企業者にとりまして、増税はできれば避けていただきたいというのが強いお願いでございます。万一増税やむなしということになりましても、斜陽産業であります清酒につきましては、増税の実施時期をおくらせていただけないものかというふうに強くこの際お願いを申し上げたい次第でございます。過去の増税の時期を見ましても五月ということになっておりまして、この五月という時期の関係もございまして、その都度清酒の出荷にマイナスの影響を与えてまいっております実情を十分御勘案賜れば幸いと存ずるわけでございます。  消費者の自由選択が進んでおりますので、むしろこの際清酒の級別は整理するか、思い切って廃止するかが消費の動向に照らして良策ではないかと思っております。清酒業界の将来にとりましても、この停滞から脱出するに当たりまして、消費者に説明のはなはだ困難な現級別制度は、新製品開発等に支障ともなっておるわけでございます。さらに価格展開につきましても、硬直化をもたらしておるというふうに考えておるわけでございます。  次に原料米についてでございます。農業政策、食管制度による政策は十分承知いたしておりますけれども、酒造米原料の問題は大変厳しい問題を業界に投げかけております。従来いろいろ政治的御配慮を賜ってまいりましたし、業界なりにコストの低減に努力してまいったわけでございますが、現在の食管制度の壁から見まして、限界ではなかろうかというふうな感じを持っております。製造コストの約六五%から七〇%が米代であるという現状で、これ以上のコストの低減は、清酒の製造方法の枠の中では大変難しいわけでございまして、業界を挙げて苦悩しておるところでございます。米という原料の宿命を持っております清酒業界に対しまして、あるいは我が国の国酒というものに対しまして、抜本的な御支援をお願いする次第でございます。  具体的に例を申し上げるといたしますと、例えば酒造用米に工業用米制度を創設していただけないものか、あるいは輸出の酒につきましては外国産米の使用を許可していただけないだろうか。いわゆる農業政策の問題としてではなくて、産業政策として、産業的配慮からの御支援をお願いしたいと思っております。  最後にいわゆる酒団法についてでございますが、これにつきましては、昭和二十八年施行以来三十年という時が経過しております。この間、酒類業界の安定確保という見地からは、この法律は十分その使命を果たしてきたものと考えておりますけれども、清酒産業が飛躍的に発展していた時代から、現在は冬の時代に入っておるわけでございます。業界環境も著しく変わってきております現在、従来の形そのままの形で存続するには、現状に合わない面も出てきておるように思っております。もちろん、この組合法の運営に当たりましては、我々業者といたしましていろいろ反省をせねばならない点があることは十分承知をいたしておりますが、運営の改善ができやすいように、必要に応じまして法の改正にも並行的に取り組んでいただきたいと考えておりまして、この際お願いをしておく次第でございます。  締めくくりでございますが、一例といたしまして、例えばフランスのワインであるとかイギリスのスコッチ、ドイツのビール等、それぞれの国の伝統産業には、詳しいことは存じませんけれども、かなり手厚い国のバックアップというものがあるように思われます。つきましては、さような意味で、清酒産業につきまして十分御理解をいただきまして、強力な御支援をお願いする次第でございます。  さらに具体的なお願いでございますけれども、国賓その他の接待等には、ぜひとも従来に増しまして日本食、日本酒ということで、中国では中国料理にマオタイということで終始一貫しておるわけでございますから、ジャパン、日本というアイデンティティーを確立する意味からも、ぜひお願いをしたいというふうに存じております。  いろいろ申し上げましたけれども、清酒業界の抱えておる問題は、これすべて国民の消費生活維持の問題でございます。よろしく御理解を賜りたく、以上をもちまして参考人としての意見を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  184. 瓦力

    ○瓦委員長 ありがとうございました。  次に、高橋参考人にお願いいたします。
  185. 高橋篤

    ○高橋参考人 私は、新潟県新発田市に所在いたしております金升酒造の高橋でございます。参考人として意見を述べさせていただきます。  今回の酒税税率引き上げにつきましては、清酒製造業の経営者といたしまして、酒税の納税義務者の立場から判断いたしますと、今日の国の財政再建のため、また国民が久しく待望してまいりました所得税減税財源調達のためにも万やむを得ないことと考えております。できることならば財政再建所得税減税増税なしで実行できれば幸いでございますが、私どもが考えてもなかなか困難のように推察いたしております。しかし一方、この増税の結果生じるであろう種々な問題点を予測いたしますと、私ども酒類産業、特に清酒業界に属する企業は極めて厳しい経営上の立場に立たざるを得ないというふうに考えておりますので、これらの諸点につきまして、諸先生方の特別の御理解と温かい御配慮を賜りたく、次に所見を述べさせていただきます。  まず第一点でございますが、酒類の消費支出が伸び悩んでいる現状の中での増税は、消費の減退を発生することであろうということを危惧いたしております。なるほど一方で所得税減税による消費支出の増加が考えられますけれども、京都大学の森口教授の試算によりますと、年間五百万所得の標準世帯における可処分所得の減税による増が五万円と推計されておりますが、その中で随意支出に回る分は一万八千円と試算されております。この一万八千円に私ども酒の消費支出係数を掛けますと二百三十四円ぐらいにしかなりません。一方、三千二百億の酒税増税の平均一世帯当たりの負担増は八千六百円。これを外での消費を除いて、家庭内消費の分の消費支出増というのは五千円ぐらいになると森口教授は試算しておりますが、五千円の負担増に対して減税分の支出可能額が、まあ試算の一例でございましょうけれども二、三百円ということになりますと、この差の分は消費減退または先ほど嘉納参考人もお話のございました、いわゆる価格の低い酒類に代替されることが予測されるわけでございます。こうした点は、流通業者も含めまして酒類業界全体、特に中小の清酒業者に経営上大変な苦痛を与えることになるだろうと心配いたしているわけでございます。  特に清酒産業のように中小企業が九九・六%という業界構造でございまして、市場競争力も非常に乏しい各企業は、この消費減退に直面いたしますと、この増税額を実質的に販売価格に転嫁する力が非常に弱いわけでございますので、従来にも増して苦しい立場に立たせられることが予測されるのでございます。この点を非常に憂慮いたしております。  しかしながら、今回の酒税税率改正案の内容を分析してみますと、清酒につきましては、清酒産業の特性、中小企業性、地域産業性あるいは原料米の高コスト負担、比較劣位産業性等々、これらの特性について相当な御配慮をいただいておるという点がございますので、その点から判断いたしまして、今回の改正案についてはやむを得ないかと考えておる次第でございます。  次の第二点は、前回の五十六年の増税国会における衆参両院の附帯決議に基づきまして、次のような施策が準備されているというふうに承っております。その第一は、第四次近代化構造改善事業の推進がサポートされておる。その第二点は、先ほどもお話のございました近代化事業基金制度の創設と、その基金の貸し付けに関する清酒安定法の改正でございます。これらの業界に対する支援政策が配慮されていることに対しましては、私ども業界は非常に感謝申し上げるとともに、これらの施策をてこといたしまして特段の自助努力をこれから傾注して、経営基盤の安定に努力をし、この増税の壁を乗り越えて前途に光明を見出すべく、決意を新たにしてまいらなければならぬと考えておる次第でございます。  第三点は、酒税制度の今回の部分改正の点でございますが、その一は基準アルコール度数を十五度に整合化、簡素化されている点。その第二は、減算税率の適用されるアルコール度数の下限が従来の十度から八度に引き下げられている点。いずれも最近の消費者の需要動向である低アルコール化という傾向に対応しまして、清酒業界の製品、商品政策の領域の拡大、弾力化を図っていただく点については歓迎をいたしております。  第四点でございますが、最後に、今後特に次の二つの問題解決につきまして御要望申し上げたいと思います。  その一は、先生方既に御高承の原料米問題でございます。清酒の主原料の調達が国際価格の三倍も高い国内産米に限定されております。このことは、清酒産業が比較劣位産業となる一つの大きな要因になっております。今回も他の食品産業の原料米は他用途利用米の対象に認められましたけれども、なぜか清酒の原料米はこの対象から除外されております。原料米問題の解決は、清酒業界の悲願でございます。しかも、この問題は政治的政策での解決以外には方途がないのではないかと私どもは考えておる次第でございます。何とぞ先生方の政治のお力で、この問題解決に特段の御配慮をお願いいたしたいと思っている次第でございます。  もう一つの問題は、個別消費税としての酒税増税は、今回でひとつ最後にしていただきたいというふうに考えております。もはや酒税税負担限界に来ていると思います。国の税体系の根本的な見直しや直間比率見直し等について、私どもは言及しようとは思っておりませんけれども間接税につきましては、課税ベースを広くとりまして、広く薄い間接税の体系に将来移行できるようにお願いいたしたいと思います。先ほどの説明にもございましたように、級別制度問題等も、この間接税体系の変更、見直しがございませんと、なかなか解決に至らない問題点が多々ございます。内部については触れませんけれども、そういう点で間接税体系の全体の見直しのところから通じまして、私どもいろいろ消費者から指摘される矛盾あるいは問題点のある級別制度を将来見直してまいれるようにしていただきたい、こう考えておる次第でございます。  以上の諸点につきまして特段の御理解を賜りまして、将来清酒産業のあるべき姿に接近してまいりたいと思いますので、何とぞ御配慮をお願い申し上げる次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  186. 瓦力

    ○瓦委員長 ありがとうございました。  次に、菅原参考人にお願いいたします。
  187. 菅原茂美

    ○菅原参考人 ただいま御紹介いただきました日本洋酒酒造組合の専務理事をいたしております菅原でございます。本日、この衆議院の大蔵委員会酒税法等の一部を改正する法律案に関しまして、参考人として洋酒関係につき意見を述べさせていただきますことを大変光栄に存ずる次第でございます。  まず最初に、洋酒ということで若干アウトラインについて御紹介させていただきたいと思いますが、御承知のとおり、洋酒と申しましてもたくさん種類がございます。主たるものはウイスキー類でございまして、ウイスキーとブランデー、これを言いますが、これにはそれぞれ特級、一級、二級と三つの級別がございます。五十九年度予算案を拝見いたしますと、酒税額二兆二千三百七十億円というふうにお見込みになっているようでございますが、そのうち六千百八十億円、二七・六%というのがウイスキーでございまして、ビールに次いで酒類の中では二番目の税収を見込まれているわけでございます。  ウイスキー類ですが、昨年五十八年中の私ども組合の課税移出数量で申しますと八七・二%、三十七万五千六百キロリットル、こういうふうになっております。次いでリキュール類が二万二千六百キロリットル、この中には御承知の薬用酒、薬味酒というふうなものが一万二千九百キロリットルほど含まれております。次いで甘味果実酒が一万六千キロリットル、スピリッツが一万一千百キロリットル、こういうふうになっております。  御承知のとおり、日本で洋酒の製造が始められまして既に一世紀近くになっております。また、戦後、割と自由化が早く、国際的な競争も年々増大してきておりますために、企業努力によって品質を向上させるとともに、コストの引き下げにもたゆまざる努力を続けてまいりました。その結果、今日では、洋酒はいわゆる洋服とともに生活の中に溶け込んだもの、国民のもの、大衆のものというふうになり切っている、そういうふうに評価しております。  まず最初に、今回の酒税法改正案につきましての総括的な意見を申し上げさせていただきます。  今回の改正法案の主要な部分は、申し上げるまでもなく酒税増税でございますが、昭和五十年度以降、実は今回を入れて四回も行われるわけでございます。特定の物資でございます酒類に対してこのような重ねての増税が行われますことは、いかにも厳し過ぎるのではないかというのが、まず最初申し上げたい点でございます。特に酒類の消費の年平均伸び率が、先ほどもお話がございましたが、昭和三十年代一〇%でございました。それが次第に落ち込んでまいりまして、最近の五年間で平均をとってみますと、二・二%というふうに低くなっております。  また、先ほど申し上げましたように、洋酒には種類が多く、それぞれについて申し上げたいこともあるわけでございますが、主な酒類でございますウイスキーを主に申し上げたいと存じます。  洋酒のほとんどを占めておりますウイスキーのうち、およそその半分と大きなウエートを持つウイスキー特級がございますが、その消費が昭和五十六年度増税後、二年連続五十五年度を下回っております。ようやく昨今の景気の回復基調と相まってマイナスを取り戻す時期と思っておりましたところ、大幅な増税ということで、ことし以降の需要はその消長に多分の不安を持っておる次第でございます。  このような状況のもとで、ウイスキー特級で二〇%弱、一級で二五%弱、二級で三〇%弱という増税がウイスキーに行われますことなどについて、洋酒業界は酒類業界の中でも特に厳しさと危機感を強く感じております。もちろん、財政再建という事情や所得税減税を行わざるを得ないという事情は理解できますが、洋酒の置かれております環境を十分御理解いただきまして、改正案の御審議をよろしくお願いしたいと存じます。  なお、近い将来でございますが、ぜひとも実現していただきますよう強く希望いたします事項を、続いて御説明させていただきたいと思います。  第一に、先ほどもちょっと高橋さんの方からもお話がございましたように、課税ベースのより一層広い消費税の導入についてでございます。将来、もし直間比率間接税ウエートの増大が必要とされるときは、今回のような酒税など特定の消費税への重課ではなく、ぜひとも課税ベースのより一層広い消費税の導入を御検討いただきたいと存じます。申し上げるまでもなく、消費税は消費される金額に応じて担税力があるものとして課税されるもの、そういうふうに存じておりますが、その意味での応能負担の公平の原則を実現していただきたいのでございます。また近年、消費はますます多様化の方向に進んでおります。酒以外の消費金額が大きく伸びており、酒以外の担税力が相対的に大きくなっていると考えられることでございます。個人の消費支出金額に対する酒類消費資金の割合は、聞くところによりますと、戦前の昭和九−十一年度の平均に対して、最近では半分以下となっておるとのことでございますが、酒以外の支出のウエートが増加していること、すなわち酒以外の消費が相対的により強くなり、それに伴って消費税の担税力は、酒よりも酒以外のものの方が相対的に強く、大きくなっていると言えるのではないでしょうか。ぜひとも御検討いただきたいと存じます。  また、このように課税ベースの広い消費税が導入されるときは、他酒類に比べて洋酒の酒税は全体的に割高になっておりますので、酒類間税負担のバランスの見直しを行い、かつ、調整減税をぜひ実施していただきたいと存じております。  二つ目でございますが、酒類間の酒税負担格差の是正をお願いしたい、こういうことでございます。前回、昭和五十六年でございますか、酒税法改正法案国会審議の際、酒税制度の諸問題について検討を求める旨の附帯決議がございました。同年六月に、大蔵省主税局長の諮問機関として酒税問題懇談会が設けられ、一年半にわたる検討が行われております。その結果、長中期的観点からの意見としながらも、各酒類間の税負担格差の縮小を図る必要があるとされております。また、昨年十一月、政府税制調査会内閣総理大臣への答申で、これまでのいわゆる高級酒、大衆酒といった分け方の意味は弱まり、現実にも低価格酒の伸びが相対的に大きくなるなどの諸事情を考慮し、酒類間の税負担格差の縮小を図ることが適当であると提言してございます。今回の改正案もその方向に向かわんとしていることはうかがわれるわけでございます。しかしながらその程度は、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、増税率を見ますと若干の改善がうかがわれるわけではございますが、負担する税額で見ますと、むしろ拡大しているというのが現実でございます。このようなことを考えますと、現在の酒税法税率は、以上の答申趣旨から見ると結果的には矛盾をはらんでいるように思いますので、どうかなるべく早い機会に酒税負担格差を大幅に縮小していただきますようにお願いいたします。  三つ目でございますが、内外酒の従価税の課税標準及び酒税負担の不平等の是正をお願いしたいと存じます。機会あるたびに申し上げていることでございますが、国産洋酒業界は、他の酒類業界と異なり、輸入酒との激しい国際競争を行っております。しかもその課税標準及び酒税負担は、輸入洋酒に比べて国産洋酒が著しく不利になっておりますので、この不公平をぜひ是正していただきたいと考えております。従価税の対象となる酒類の課税標準は、御承知のとおり、国産洋酒につきましては生産者の販売価格でございます。輸入酒の場合には、法律上CIF価格に関税を加えた額と定められておりますので、輸入洋酒についての輸入業者の場合は、国産洋酒と異なって、販売費、広告宣伝費、一般管理費などの経費及び利潤の全部または一部が課税の対象から除かれ、国産洋酒に著しく不利になっております。内外酒の課税標準及び税負担の差が極めて大きいので、内外酒の取り扱いの公平を図られますようぜひお願いいたします。  最後でございますが、海外旅行者が日本へ持ち帰る免税酒類の本数、現在三本でございますが、これを他の先進国並みに縮小していただくようにお願い申し上げます。  以上、私の希望を申し述べさせていただきました。重ねて申しますと、第一に、将来課税ベースのより一層広い消費税を導入し、酒税負担をなるべく軽減していただきたいこと。第二に、酒類間の酒税負担格差の是正をしていただきたいこと。第三が、内外酒の課税標準及び酒税負担の不平等の是正をしていただきたいこと。第四に、海外旅行者の免税持ち帰り酒類の本数を他の先進国並みに縮小していただきたいことの、以上四点でございます。ぜひできるだけ早い時期に実現していただくことができますよう重ねてお願い申し上げ、意見の陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  188. 瓦力

    ○瓦委員長 ありがとうございました。  次に荒川参考人にお願いいたします。
  189. 荒川和夫

    ○荒川参考人 私、参考人のサッポロビール株式会社取締役副社長荒川和夫でございます。ただいまより、参考人として、ビール業界の現状及び今回の酒税増税について、私ども業界の意見などを述べさせていただきたいと存じます。  既に御承知のことと存じますが、ビールはビール麦によってつくられます麦芽とホップを主原料として、さらに米、でん粉など副原料を仕込みまして、それから酵母によって発酵、熟成させてつくります低アルコールの健康的な飲料でございます。酒税法上「酒類」となっておりますが、致酔性の少ない、しかものどを潤す止渇飲料で、コミュニケーションの増進、あすへの活力の補給など、国民生活の潤滑油としての働きを持つ、いわば生活必需的な飲料であると常日ごろから考えております。  現在、我が国では六つの会社が生産供給を行っておりますが、昭和五十八年暦年での生産者の課税移出数量は約四百九十五万三千キロリッター、対前年比一〇三・七%になります。これは我が国で消費された酒類全体の約六七%を占めることに相なります。  かかる状態でございますため、国民各所得層によるビール消費の差異はほとんどなく、幅広い消費者によって消費される国民飲料と言っても過言ではないと存ずるわけでございます。ちなみに昭和四十九年三月、オイルショック後の総合物価対策の際には、五十三の生活関連物資の一つとして、酒類の中ではビールだけが価格凍結品目に指定された経緯もございます。  このように、国民生活の場に広く溶け込んでおる商品特性にかんがみまして、私ども生産者といたしましても、よりすぐれた製品をできる限り安い価格で消費者の皆様に供給したいと常日ごろ考えておりまして、そのため、みずから経営の合理化に鋭意努力するとともに、私ども企業努力の及ばない外部的なコスト要因、例えば原材料の価格とか税金の負担とかにつきましても、でき得る限り低く、かつ安定した水準に保たれることが望ましいと考えておる次第でございます。  ビールの消費動向について簡単に御説明いたしますと、昭和三十年代は年率一七%という高い伸びを記録いたしましたが、四十年代はそれが七%と一けた台の伸びになり、オイルショックを経まして五十年代に入ってからは三%と低下して、いわゆる成熟期、まあ成熟期と言いますと大変聞こえがよろしゅうございますが、低成長のジャンルに入っております。この間、ビールメーカー各社は、消費者の嗜好やニーズの変化に対応いたしまして、新製品の開発や既存製品の改良等、製品の多様化を図りつつ、需要の喚起に努めてまいったというのが現状でございます。一方、近年は、酒類全体の伸び悩みの中で酒類間の競争が一段と激化しており、景気不振、可処分所得停滞といった状況のもとで、低税率の恩恵に浴した低価格酒の増進が顕著でございます。ビールもその影響を受けまして、首都圏での一人当たりの消費量が昭和五十七年から減少に転じているというデータも受け取っているわけでございます。  次に、ビールの価格について御説明申し上げます。ビール各社は、高度成長期には設備の新増設、拡充を行いましてスケールメリットを獲得し、価格を低位に安定させてまいりましたが、四十年代の安定成長期に入って以降も、合理化、省力化、省エネルギー化のための経営努力を重ね、経営の効率化、製品原価低減を図って価格の安定に努めてまいりました。その結果、ビールの価格は、昭和四十年を一〇〇といたしますと、五十八年の消費者物価指数の総合が三三九、同じく食料品が三四三となっておるのに対しまして、ビール大瓶一本当たりの標準小売価格は二三八となっており、値上げ率が極めて低くなっているということがわかります。ちなみに、この期間の酒税の増加率は二一一となっております。  しかしながら、昭和五十年代に入りましてから、合理化、省力化による原価低減への努力も限界に近づき、これに原材料費、物流費、人件費等の上昇や割高な国産麦——国産麦の価格は輸入麦芽の価格の約三倍に当たります——の使用比率の上昇などが重なりました結果、価格改定を余儀なくされることが多くなってまいりました。昭和五十年、昭和五十五年、昭和五十八年と、五十年以降三回、合計六十円の引き上げを行っております。さらに、これに加えて酒税増税が相次いで実施されましたために、ビールの割安感も近年失われつつあるものと考えております。増税は、五十一年一月、五十三年五月、五十六年五月、この三回、引き上げ総額は六十五円でございます。  かかる推移に基づき、先ほどの指数を、昭和五十年を一〇〇として五十八年の数値を算定いたしますと、消費者物価指数の総合が一五〇、食料品が一五八、ビール大瓶一本当たりの標準小売価格が一五八、生産者価格が一六二、税抜き生産者価格が一三四となっております。ちなみに、この期間の酒税の増加率は一八九であり、最高の上昇率となっております。  ところで、現行のビールに課せられる酒税は、一キロリッター当たり二十万百円、最も消費量の多いビール大瓶一本当たりで申しますと、百二十六円六十六銭となりまして、標準小売価格に占める割合は四四・四%、生産者価格に占める割合は何と五九・五%で、これは非常に高率であると存じます。国柄により飲酒慣行が異なることもございますが、世界の先進諸国において我が国のように高率な税負担を課している国はないかと存じます。アメリカ一〇%、西ドイツ一七・一、フランス一九・一、イギリス三二・五。ヨーロッパ諸国の算定値には付加価値税を含んでおります。また、国内において他の物品、特に奢侈品の税負担率と比較しましてもかなり高率でございます。ゴルフセット一三・八、ミンクのコート、ダイヤの指輪一三%等々でございます。ビールの場合、言うまでもなくぜいたく品ではございませんから、これらと比較いたしましても不公平感は免れぬものと存じます。  さらに、酒類は致酔飲料であるから、ほかより高い税を課して消費を適正水準に抑えるという考えに立つと、これはアルコール一度当たりの税額を平準化すべきであると判断されます。ビールのアルコール度数一度当たりの税額は、他の酒類と比較して、負担水準がかなり高いものとなっており、この点からいっても妥当なものとは思えないのでございます。  このようなビール税の現状にかんがみ、ビール業界では生販ともども長年にわたり、減税と酒税負担の適正化、見直しを関係各方面に訴えてまいりましたことは、先生方も御承知のとおりでございます。このたびの増税案によりますと、ビールは一キロリッター当たり一九・五%増の二十三万九千百円になるということでございますので、大瓶一本当たりでは百五十一円三十五銭という勘定になります。二十四円六十九銭増してございます。酒税間接税消費税でございますので、基本的には小売価格として消費者に転嫁される性質を有しますが、このたびの増税案によりますと、一本当たりの標準的小売価格は二百八十五円から三百十円となり、小売価格に占める酒税の割合も四四・四%から四八・八%に引き上げられることになります。したがって、ただいま申し上げましたように、これまで減税、酒税負担の適正化を強く求めてきた立場からすれば、このたびの増税は言うまでもなく見送っていただきたいというのが、私どもビール業界の本音でございます。  また、これまでに酒類、特にビールに対して実施されてきたように、特定の物品への税を繰り返して引き上げていくという歳入調達方法はぜひ見直し、再検討を切にお願いする次第でございます。さらに、酒類へのある程度の高賦課がやむを得ないとしましても、その場合の負担増にもおのずと限界があるのでありまして、現実の案に即して申し上げれば、近年の消費動向や値ごろ感の推移などから見まして、需要の著しい減退を憂慮しておる次第でございます。また、その負担は、最終的に消費者の皆さんにお願いするものであり、ビールの大衆性から見て消費生活への影響が大きいだけに、慎重な配慮が必要であるかと存じ上げます。  国民生活にかかわる国家財政上の要請として、他の多くの品目に課せられている税目とともに、酒税引き上げを求められた場合、ビールもいわゆる財政物資として応分の負担を引き受けざるを得ないと思いますが、先ほど申し上げた事情もあり、消費への影響について、従来にも増して危惧の念を抱いていることを御理解いただきたいと存じ上げます。  さらに付言させていただきますと、前回、すなわち昭和五十六年五月、増税時の国会決議を受けて設置されました酒税問題懇談会や税制調査会で示された酒類間の税負担格差の是正については、今回の増税案でその一歩を踏み出したと伺っておりますが、税負担率の格差がむしろ拡大している面すらある上、さらに増税が小売価格に及ぼす影響の度合いから見ましても、ビールが最も大きいグループに入っており、ビール業界にとって寒心にたえないところでございます。  以上、業界の現状並びに今回の増税案に接して感ずるところを述べさせていただきました。事は国政の問題であり、一業界の立場、利害を超えるものであるとの認識は十分持っておるつもりでございますが、酒税約一兆円を調達するビール業界の実情並びに老若男女、所得格差なく幅広く飲用されているというビールの国民的飲料としての商品特性について、極力お酌み取りをいただくように切にお願い申し上げる次第であります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  190. 瓦力

    ○瓦委員長 ありがとうございました。  次に、久木田参考人にお願いいたします。
  191. 久木田稔

    久木田参考人 私は、宝酒造株式会社副社長久木田稔でございます。本日、この衆議院大蔵委員会に出席させていただき、しょうちゅう甲類メーカーの立場から、参考人として意見を申し述べさせていただぎますことを非常に光栄に存じ、またありがたく思っております。  御高承のとおり、しょうちゅうは酒税法上、甲類と乙類の二品目に分けられておりまして、甲類は、アルコール含有物を連続式蒸留機を用いて蒸留した原料アルコール、または水を加えた原料アルコールを一定期間貯蔵、調熟させた上で、さらにこれに水を加えて、アルコール分が三十六度未満としたもので、癖がなく、極めてさわやかな酒としての特徴を持っています。このしょうちゅう甲類は、一般的には二十度、二十五度または三十五度として販売されており、二十度、二十五度のものは主として飲用に、三十五度のものは従来主として梅酒等のいわゆる果実のお酒用として使用されております。  今回の酒税増税につきましては、国民各層が強く期待しておられます所得税減税に伴う財源措置として、また、物価水準の上昇等に伴う負担水準の見直しとして、ほとんどの酒類について行われるものと理解いたしておりまして、国の財政の苦しい事情から、大局的にはやむを得ない措置かと考えております。  ところで、しょうちゅうにつきまして、一人当たりで多く飲まれております地域を駐ますと、農林水産業に従事する人の割合の高い熊本、大分、宮崎、長崎など九州の各県、北海道及び岩手、青森の各県など東北地方であり、また、総理府統計局の家計調査報告書(全世帯分)の昭和五十七年年間収入五分位階級別酒類消費表によりますと、年間収入が二百八十二万円未満の所得の低い世帯で最も多く愛飲されている大衆酒であります。もっとも、最近首都圏でも、若いサラリーマンなど所得の低い人々の間で飲まれておりますが、その消費の第一の理由はやはり価格の安いこと、すなわち経済性にあります。  また、しょうちゅう甲類の消費数量を顧みますと、昭和三十年度以降二十数年間にわたって低落し、長い冬の時代が続きました。この間、しょうちゅう甲類の製造業者は、需要開拓のため、新製品の開発やPRなど懸命の努力をし、また合理化の努力もしてまいりました。例えば当社固有のことを申し述べますが、昭和三十年度以降の低落傾向に対応して基本的な品質の改善、そして高級化に努力し、さらにしょうちゅうを最も前衛的にして格好いい酒というように、若い人々に受けとめられるような新製品の開発に努力を重ねてまいりました。  あたかもオイルショックの翌年、昭和四十九年度に、しょうちゅう甲類は最低の数量十一万九千七百キロリットルとなりました。最盛期の四八%に当たるわけでございます。ところが、当時世界の酒類事情を見ますと、ウオッカ、ジン、ラム、テキーラ、アクアビット、スタインヘーガー、マオタイなど、無色透明の酒が若者たちに喜ばれてきつつあるという状態にありました。特に米国では、この年、ロシア生まれのウオッカがアメリカの国民酒ともいうべきバーボンを抜いたという話題がありました。同じ無色透明のしょうちゅう甲類も、わずかながらここで希望を抱きました。しかし、我が国では、しょうちゅう甲類はこの昭和四十九年度がボトムでありました。  ところが、その後まことに少しずつではありましたが、上昇に転じてまいったのでございます。私たちは、一時的な現象がかもしれないが、世界に一つの変化があることを感じ取ったのでございます。そこで、昭和五十二年、かねて貯蔵、調熟の高品質の製品を宝焼酎「純」として、新しいデザインの瓶、パッケージで新発売し、そのマーケティングに全力を尽くしました。そしてその消費も最近ようやく定着するようになり、業界のリーダーシップ的役割も果たせたと信ずるものでありますが、これとて基本的には若い方々、ニューファミリーに受けたわけで、経済性第一、そして今日的なイメージづくり、品質改善が功を奏したと思うものであります。  もちろん当社のみならず、各社も大変な努力をされ、しょうちゅう甲類も今ようやく見直されつつあると言えるのでありますが、基本的にはしょうちゅう甲類全体として、まず経済性が第一であり、次いで品質のよいことはもとよりでありますが、酔いざめがよいとか、あるいは割って自由に飲めるとかの商品特性が一般的に認知され、ここ二、三年ちゅうハイ等のミックス式の飲み方などで伸びてきたわけであります。いわば低アルコール時代のソフトドリンク的な飲料にもなってきつつあるのであります。  しかしながら、このような努力の結果にもかかわりませず、しょうちゅう甲類の消費数量は、昭和五十七年度におきましても依然として、最盛期でありました昭和三十年度の二十四万八千キロリットルの七割に満たない状況でございます。全酒類の消費数量はこの間に約五・三倍、ビール十二倍、ウイスキー二十八倍になっております。昭和三十年当時、全酒類の出荷数量に占めますしょうちゅう甲類の出荷数量のシェアは一八%でございましたが、昭和五十七年度におけるしょうちゅう甲類の全酒類に占めますシェアはわずか二・四%にすぎない状況でありまして、しょうちゅう甲類は酒類の中で担税力が弱く、したがって増税額が大きくなりますと競争力の弱い商品になります。  ただいま御説明申し上げましたような消費者の態様や消費数量の推移等から、しょうちゅう甲類の消費者の担税力につきまして深い御理解をいただきたいと思うものでございます。そして、しょうちゅう甲類の現在の一時的な好調から御判断いただくのではなく、長い目で消費動向、消費の回復過程等を見ていただきまして、今後とも日本の伝統的蒸留酒であるしょうちゅうに御高配を賜りたく存じ上げる次第でございます。  私どもしようちゅう製造業者としましては、今回の増税によって酒類消費の停滞や販売競争の激化などが起こるのではないかと一抹の不安はございますが、消費者の皆様にさらによい製品を、できるだけ低廉な価格で御提供できますように、経営面、技術面について一層の努力をしてまいりたいと考えております。  以上、参考人として意見を申し述べさしていただきました。本当にどうもありがとうございました。(拍手)
  192. 瓦力

    ○瓦委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
  193. 瓦力

    ○瓦委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。戸田菊雄君。
  194. 戸田菊雄

    ○戸田委員 きょうは大変御多忙のところ、参考人の皆さんにはおいでをいただきまして本当にありがとうございました。  いろいろと今大変貴重な御意見を拝聴いたしました。参考人おのおのの御意見を拝聴しますと、基本的には税金は上げないでくださいということが大体大勢ではないか、このように考えているわけであります。そこで、共通課題に対して四点ほど御質問をしてまいりたいと思います。  その第一は、今回の酒税改正、すなわち増税でそれぞれ価格が引き上がってまいります。業界の方々は、今回の改正による価格は売れない価格体系だ、こういうことを指摘されておるのでありますが、例えば清酒でありますが、改正後の特級の小売価格は二千七百二十八円八十一銭、現行より百七十八円八十一銭引き上げになりますね。税額では千九十五円五十五銭、負担率が四〇・一%、増税率が一九・五%、小売価格上昇率が七%というようになるわけであります。ビールの場合ですと、小売価格が三百九円六十九銭、二十四円六十九銭ですから約二十五円の値上げ、こういうことになるかと思います。税額は百五十一円三十五銭、約半分ですね。税負担率が四八・九%、増税率が一九・五%、小売価格上昇率が八・七%等々となっております。ウイスキーもそのとおり上がっているわけであります。また、しょうちゅうの場合もそうでありますが、それぞれ各銘柄とも上がっているわけであります。こういうふうに上がってまいりますと、商売上大変消費動向に影響を与えるのではないか。消費動向の問題については、しょうちゅうとビールの方は今御説明があったようでありまするが、それぞれの酒類の価格上限というのはどの程度が適当なのか、その辺の見解を、もしお考えがあれば説明をしていただきたいと思います。  それから、菅原さんからも指摘がありましたが、税制調査会では五十八年の十一月でありまするが、現下のこの酒類間の、あるいは級別間等々も税負担格差の縮小を図れ、こういうことを指摘されておるわけであります。しかし、今回の改正で、私なりに検討いたしますると、むしろそれは逆であって、格差が拡大をされる、不公平が拡大をされる、こういう状況にあるのではないかというように考えますし、税負担のバランスが崩れている、こういうふうに考えますが、それぞれどういう見解をお持ちですか、お聞かせを願いたいと思います。  それから、今も説明がありましたけれども、大変な企業努力がそれぞれの持ち場でやられて頑張ってきているわけですが、大変御苦労さまだと思いまするけれども、今後ますます酒税値上げによって価格、品質ともに市場競争が激化されていくんじゃないだろうかというふうに考えておるわけであります。こういったことに対する各業界の対応策、シフト、こういうものについてどういうお考えを持っておるか。これは企業ごとにそれぞれの商法もありましょうから、そういった秘密に属することもあるかもしれませんけれども、しょうちゅうさんの方はいろいろと久木田さんから説明があったわけでありまするから、これは割愛さしていただきますが、その他の業界は一体どういうお考えを持っておるか、この点を第三点としてお伺いをしたいと思います。  それから、どうも最近業界は、このとおり五十一年以降四回も税制改正で上がってきている、非常にマージン率が下がって商売にうまみがなくなったというお話をよく聞くわけであります。ある筋から私もそういったマージンの率の推移表というものをいただきました。これは五十九年増税推定の問題でありますが、これでまいりますと、清酒特級で百九十三円見当ですね。対小売価格でもって七・〇六%くらいの割合。それから一級酒が百四十八円、十六度です。十五度の場合は同じく百四十八円。二級で百二十八円ですね。しょうちゅう甲類で、二十五度でありまするけれども九十九円。ビールが二十一円五銭ですね。極端に低いですね。それからウイスキー特級が百七十三円です。一級が百二円です。二級が四十一円、こういうマージン率の推移になっておるわけでありまするが、これでは実際、私は人件費がどのくらいかかって、材料費がどのくらいかかって、販売費、諸費用あるいは広告その他流通体制でかかる諸経費を引いてなかなか大変じゃないかな、こう思っておるわけでございますが、これらに対する御見解をまず共通課題として、四点についてお伺いをいたしたいと思います。
  195. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 嘉納でございます。今、四点ほど御指摘があったわけでございます。  第一点の問題は、売り得る価格の上限としてどのくらいを考えておるかということではないかと思うのでございますが、これは大変難しい御質問でございまして、幾らならいいというわけにはまいらぬと思います。やはり酒類間のバランスという問題もございますから、清酒の特級が幾らであるべきであるとか、そういうのはなかなか難しい問題でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、清酒の特級はもう五十年この方壊滅的な数量減少を示しておるということは、とりもなおさずもう既にその限界を超えておるのではないか、こういうふうに解釈をしておるわけでございます。  それから第二点は、紋別間の税負担格差の問題と解釈をしておりますが、清酒の場合、確かに長い間に特、一、二の級別間の税負担額というものは必要以上に開き過ぎたという感じがしておるわけでございます。いろいろ理由があるわけでございますが、例えばつくりのコストの問題あるいは官能の問題、こういうところから、現在ざっと大ざっぱに申し上げまして二級酒二本で特級酒が一本しか買えないというような形になっておるわけでございます。それほどの差があるのかということになりますと、私はやはりこの差が開き過ぎた、長い間に差が開き過ぎたというふうに解釈をしております。  第三番目の御指摘は、価格競争の激化の問題であろうかと思うのであります。やはり私も先ほど触れたわけでございますが、これは清酒のパターンの中にもあらわれておりますように、可処分所得の関係から、やはりどうしても下級酒下方展開、なお下級酒でありますところの二級酒の中でもいわゆる価格の下方展開、これは度数を調整するとかいろいろ方法はございますが、そういう形で下へ下へまいっておる。これはやはり種類間の問題といたしまして激化はしておるわけでございますが、私どもだけでどうというわけになかなかまいらない問題があろうかと思います。  それからマージン率の問題でございますが、流通段階のマージンというものにつきましては、これは確かに特級酒を一本運びましても二級酒を一本運びましても手間は同じでございますから、特級酒も二級酒もあるいはその他の酒類も、一本につき小売価格の何%というようなはじき方だけでは問題があろうかというふうに思われます。ただ、慣習的にそういうはじき方がされてきておるという部分もあるかと思いますので、いずれ別の観点からマージンというものの取り扱いを考えないと行き詰まってくる問題があろうかというように思っております。  簡単でございますが……。
  196. 高橋篤

    ○高橋参考人 嘉納参考人からお話がございましたので、私は補足的に申し上げます。  まず第一の上限価格をどの辺に考えるかというお話でございますが、今日の消費者の価値観の多様化あるいは選択性というものは極めて多種多様になっております。私どもは、そういうときに上限価格を考えるという場合には、やはり部分市場を分けて考えなければならぬと思っております。家庭用の場合、あるいは私ども一般に言っている業務といいますか、いわゆる料飲店で消費をする。これも業務用といいましても、上は高級な赤坂から、下は赤ちょうちんもございますので、この辺の値ごろ感というのは極めて多種多様になるかと思います。  また、贈答品の関係でございますが、一般に贈答品の値ごろというのは、他の商品と比較をして、特に盆暮れの贈答あるいは最近のパーソナルギフトというようなものは、極めて価格の選択が多種多様でございますので、贈り物をする相手、対象を考えて値ごろ感というものがございます。  それからもう一つ、私どもはいわゆるオケージョン市場あるいはイベント市場と申しておりますが、これも大ホテルで極めて高級な祝賀会をやる場合と、学生の寮でもって仲間が集まってなるべく経済的に酒を使うというような場合、極めて多種多様ございますので、どこをねらって上限価格がということは非常に困難でございますが、一番ボリュームゾーンと申しますか、一般的に家庭で晩酌を対象にするような価格を考えますと、大体現在の価格が値ごろ感としては上限ではなかろうか、こういうふうに考えられておるわけでございます。  それから税負担格差の拡大の問題でございますが、これは私、さっき一番最後に申し上げました。とにかく酒類の増税の際に、税負担格差を縮小するというのは非常に難しいというふうに考えております。というのは、国の財政事情で、例えばこれだけの財源が欲しい、それをどこへどういうふうに振り当てていくかというのと、もう一つはおのおのの酒類に対する税負担の問題と、これを振り当てていく場合に、消費の可能性の大きいものでございませんと、幾ら税率を上げても、実質的に消費量が減ってしまえば増収にならないわけでございますから、私は税負担格差の是正を最も理想的にやるのは、やはり課税ベースを広くしたようなところで酒税減税ができるようなときが、一番実現の可能性のある時期ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから市場競争の問題でございますが、これは御指摘のとおりに、今日においてさえも各業界ともこの問題は非常に大きな難しい問題になっております。ただ、酒類間の競争あるいは同一酒類の中の競争ということでございますが、最終的には私は流通業界を含めて、酒類の市場の拡大、いわゆるシェアの取り合いというところに競争の原因があるかと思うわけでございます。全体のパイが伸びない中でもって、各酒類が自分のシェアをつくり上げていかなきゃならぬということになりますとやはり競争になります。その競争の手段が、一つ経済性重視ということで価格競争が中心になって行われているということは、これはもう一つは流通業界の問題がございます。いろいろな消費の態様がございますので、これは流通業界と一緒になりまして、おのおのの消費の目的に適合するような形での商品、この商品政策もそうでございます。あるいは、例えば小売店等におけるところの商品の店陳、店装、いわゆる小売店等における活性化という問題のやり方等の競争もございますので、業界全体としてはそういう品質あるいは新商品開発、あるいは流通段階におけるところの消費者への勧め方、あるいは選択にこたえるやり方という点での競争がもっと進んでいけば、これは消費者のためにとって非常に重要なことじゃないかと思いますので、価格競争だけに落ち込んでいる状態というものをもっと是正できるように行政の方もお力をかしていただいて、一緒になって進めてまいらなければならぬか、こう考えておる次第でございます。  あとのマージン率の問題につきましては嘉納さんからお話がございましたので、私は省略いたします。  以上でございます。
  197. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えさせていただきたいと思います。  まず最初、名のり上げましたとおり、私、洋酒組合の方で仕事をさせていただいております関係から、いわゆる業者の販売政策的な感覚が非常に薄うございますし、多分に私見にわたるというよりも、業界としての話になりにくいのじゃないかと思いますし、また、個別企業ごとにそれぞれ、ただいま先生からお話しいただきましたように真剣に取り組んでいらっしゃるのじゃないかなというふうな気もしておるわけでございますが、最初のいわゆる値ごろ感というお話でございます。確かにこの問題につきましては特定の酒類など、特に洋酒関係では、先ほどもちょっと御説明させていただきましたように、二千九百円クラスのウイスキーというのが洋酒組合関係では一番売れていると申しますか、量の多い酒でございます。それが、先ほどもちょっと御説明させていただきましたように五十六年以降落ちぎみ、やっとことしになって五十五年当時まで帰ったかというふうな感じまで来ておるやさきでございます。やはりそこら辺を中心にして考えざるを得ないと思いますが、二千九百円クラスというふうに申しました——これは社によりまして前後しておりますが、昨年の秋、大体ここのあたりで値上げがあったわけでございますけれども、やはり気持ちとしては、増税があったにしても、できれば三千円というふうなジャストプライスにならないかなというふうな感じがあったような気もしておりますが、どうも昨年の暮れの増税案の話がちらちら新聞などに出てまいりましたころから見ておりますと、到底そこら辺は無理だなという感じを受けているわけでございまして、売りやすい値段というのは、別の先生の御質問のお答えにもなると思いますけれども、これからまた各社新製品の開発と申しますか、そこら辺でまた御努力なさるというふうなことも出てくるのじゃないかなという気がしております。特に値ごろ感ということになりますと、実は非常に多種多様の酒を抱えておりますので、これは幾らこれは幾らというのがなかなか言いにくい情勢にございますので、ちょっとお許しいただきたいと思います。  それから税負担格差の是正の問題は、先ほどお願いさせていただきましたとおり、また、ただいま高橋さんの方からのお話もございましたように、いずれはと申しますか、もし仮にというふうな言い方でございましたが、直間比率の見直しというふうなことでも行われるような際にはぜひあわせてお願いしたいというふうに、特に洋酒の場合は非常に高い負担率を受けているわけでございまして、今申しました二千九百円クラスというのが、もし仮に御提案のような増税ということになりますと五〇%を超すわけでございます。特級の中にはまだ五四%くらいに税負担率がなるというふうなものがございます。幾ら何でも半分以上が税というのはひどいじゃないか、小売価格に占める割合で五〇なんというのは幾ら何でもひどいというふうなところから、できる限りそこら辺の幅を縮めていただくようにお願いさせていただきたいと思います。  市場問題でございますが、対応策というのは先ほどちょっと申しました。この点につきましては、私ども洋酒組合という立場で、実は酒の団体が御承知のとおり今七つほどあるわけでございまして、時々集まって議論しているわけでございますが、特に流通関係の方から、市場競争の激化に対していろいろ現在心配なされたあげく、提案事項がございます。そこら辺をやはり組合としても受けとめ、また組合員の各位に流通段階での御心配というのをそのままお伝えして、その対応策というのをまた組合の場で、考えられるものは考えていきたい、こういうふうに思っております。  マージン率の問題でございます。これはちょっと私の方からは言いにくい話でございます。御承知のとおり、マージンと申しますのは、これは各社、名酒ごとにお決めになっていることでございまして、組合としてはこの問題に全くタッチしておりませんので、申しわけございません。私、これに関連しての知識はございませんのでお許しいただきたいと思います。
  198. 荒川和夫

    ○荒川参考人 昨年の秋ごろからいわゆる財源確保のために企業課税と酒に対する税金、これは免れないものだというような報道が各所でなされてまいりまして、私どもも、現在でも大変高い税金を払わさしていただいておるので、大変に困ったことだということで、酒造組合が集まりまして、何とか低く抑えていただく方法はなかろうかという相談をするわけでございます。そのときに、おかしいんじゃないが、大体、平素から減税してくれ、減税してくれと言っておりながら、税の伸びを圧縮してくれということはどだい話にならぬじゃないかというような話も出たわけですが、そういう非現実的なことを言っておってもしょうがないだろう、やはり担税物資を扱わさせていただいておる立場であるから、これは国に応分の御協力を申し上げる必要があるだろうということで、大体議論が普通の線に乗っかっていったという経緯が一つございます。  それで今、先生からの御質問で、幾らならばよいかということでございますが、私どもは、やっぱりジャストプライスというところで一本三百円ぐらいにしていただければ助かるなというふうに実は思っておったわけでございます。先ほど申し上げましたように、五十年を一〇〇といたしました消費者物価指数総合は、五十八年は一五〇でございまして、現在のビールの価格二百八十五円でも一五八という指数になっておるわけでございます。ですから、三百円にいたしましても一六六ということで乖離してまいりまして、現在の案でまいりますと三百十円ということでございますので、一七二というふうにますます乖離してまいります。したがいまして、先行きの需要というものに対して非常に心配がございますので、三百円ぐらいのところで、あとはひとつ我々の企業努力もあわせて現状を乗り切っていきたいというような話をしておって、大方の合意がその辺にあるのではなかろうかというふうに思っておったわけでございます。  それからもう一つは、需要の見通してございます。大体、昭和五十九年度経済成長率四・二%というふうに聞いておりますが、それらを一つの指数にいたしまして、回帰方程式でいろんな要素を入れまして計算してみますと、現在の二百八十五円という価格帯におきましても、昭和五十九年度は微増という計算になっております。微増でございますから非常にあいまいでございますが、あえて申しますと、一〇一%から一〇二%ぐらいの伸びではなかろうかという計算でございます。これは天候が平年並みであるという一つの前提を踏まえております。したがいまして、今度増税になりますと、さらに価格弾性値が大きく働いてまいりますので、天候が平年並み、またそれ以下になりますと、ひょっとすれば水面下になるという懸念は持っておるわけで、覚悟をしておるわけでございます。  それから需要の開拓でございますが、いずれにしましても、低税率酒とまともに四つに組んでいくということは非常に不可能かと思っております。ただ、我々は現在までのところ、新しい製品の開発、また品質の向上ということを目指しまして、各社それぞれの立場で努力してまいりましたし、技術開発力、技術レベルも、私は世界水準以上のものを既に持っておるというふうに自負しておりますので、今後ともこの辺の努力を重ねまして、低税率酒に対抗しながら需要の開拓はしていかなければならぬと思っておりますが、本当に厳しい状態にあることは御認識いただきたいと思います。  それからマージン率の問題でございますが、ビールは従量税でございますので、業界の我々自身の問題点を含めまして、価格の改定をいたしますとその段階でマージン率は上がるわけでございますが、また増税になりますとマージン率が下がっていくということで、これは一つの追っかけっこというような状態になっております。したがいまして、率も重要でございますが、マージンの絶対額が流通段階の固定費を吸収し、適正な利益の確保ができるかどうかというところにももう一つ問題点を置かなければいけない。マージン率も重要でございますが、同時に、マージンの絶対額が適正であるかどうかというところもあわせて考えていくべきではなかろうか、そういうような考えを持っております。  以上でございます。
  199. 久木田稔

    久木田参考人 お答え申し上げます。  価格の上限はどうかという御質問でございまして、まことにこれは難しい問題だというふうに思っております。最終的には消費者の判断が決めるというふうに思っておりますが、しかし、しょうちゅう甲類という大衆酒としての性格から考えますと、低ければ低いほどよいというふうに申し上げざるを得ないわけではございます。  第二に、税負担のバランスについてでございます。酒類間の負担バランスというものは必要でありますが、各酒類の税率を決める際には消費者の担税力、従来の負担水準の推移が大切であろうかと思います。したがいまして、消費者の対応や消費数量の推移を長期的視野から十分お考えいただきたいと存ずるわけでございます。  第三番目に、市場の競争激化というものがあるのではないか、それに対する対応策はどうかという御質問でございます。これも非常に重要な問題でありまして、いろいろ努力しなければならないと思いますが、やはり消費者ニーズに合ったよい品物をより安く提供していくという企業努力が基本的には大事であろうと思うわけでありまして、マーケットリサーチを十分繰り返した上で、消費者の御愛顧をいただくように持っていきたいというふうに考えております。  それから、第四番目にマージン率の低下ということについてどうかという御質問でございます。当社の場合でございますが、しょうちゅう甲類二十五度物一・八リッターで卸、小売、それぞれ希望価格としてお願いしているものでマージンを申し上げますと、卸マージン九十九円、小売マージン二百二十九円でございます。このマージンにつきましては、何分卸店様、小売店様は、われわれメーカーとともにいわゆる同じ販売チームでございまして、それぞれの流通業界の方々の実情というものを十分承って配慮していかなければならないというふうに考えているわけでございますが、とにかくその面での気配りというものは今後大事であろうかと思っております。  以上、終わります。
  200. 戸田菊雄

    ○戸田委員 もう二点ほど共通課題について質問してまいりたいと思います。  一つは、最近、ビールや清酒その他ギフト券というものが発行されて、消費者に対して大変利便を提供していると私も思うのでありますが、こういったギフト券に対して、ビールの場合ですと印紙税でもって税金の対象になっている、その他若干は除外をされている、こういうような状況なんですが、この辺のギフト券に対する課税措置等の問題についてはどういうお考えでしょうか。これは清酒関係者のお三人とあと菅原さんにお伺いしたいと思うのであります。  それから、現在いろいろ飲み屋さんや何かも、先ほど高橋さんからも種々、地域的に赤ちょうちん屋もあれば高級料亭もあればというように画一ではございませんけれども、消費ニーズというのはいろいろ分かれていると思うのであります。そういう場合に、倒産なんか非常に多いですね。したがって、売り掛け代金の貸し倒れといいますか、メーカーですから、流通体制に卸してやっていくからこういうことは余りないと思いますが、卸から小売、小売からそれぞれ販売をしていくということになりますと相当の数に上るのじゃないかと思うのです。私は仙台ですけれども、一番華やかな国分町というところがありますが、大体三分の一は一週間に一回回転して経営者がかわると言っているのですね。だから酒屋さんでも何でも、あるいは米屋さんもそうですが、そういった方々はとても危なくて、最近売り渡しができない。だから従来の健全な店にしかやれないんだということを言っておられて、そういうもので大分消費その他が減少傾向にあるということを伺っているわけでありますが、総体的に見て、そういったいわば貸し倒れ的なものは、量にしてどのくらい、額にしてどのくらい一体あるものか、その辺の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  201. 高橋篤

    ○高橋参考人 私からお答えいたします。  ギフト券の件につきましては、先生御指摘のとおり、印紙税については大変困るのでございまして、ひとつ印紙税がかからないような法的な改正をぜひお願いをいたしたい。やはり最近の消費者のいろいろなニーズ関係からいきますと、ギフト券の使用というのは非常に増加する傾向にもありますし、またいわゆる消費者にとっての便宜性、ベネフィットは非常に高いわけでございますので、ここへさらに印紙税がかかるということになりますと、よく消費者が指摘をするわけでございますけれども、酒を買えば幾らなのに、このギフト券を買うと随分高いという指摘がございます。お酒のかわりにギフト券で代替をするというときに、そこに印紙税が加算されていると非常に困るのでございまして、先ほどの消費の減退等の防止の対策としても、ぜひひとつこれは特段の御配慮を願いたい。これは地方税でございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  それから第二番目の御質問の売り掛け代金の貸し倒れでございますが、これは、量あるいはどれくらいの額という点ではちょっといろいろなケースがございますので、統計的にこれを業界全体としてとらえておりません。しかし、御指摘のとおり、最近一般的に不況でございます。したがいまして、まず先ほど御指摘のように、業務用の関係の業者のいわゆる倒産といいますか経営者の交代、それによるところの売り掛け代金の未収は、そういう小売段階でかなりふえておる。また小売の段階におきましても、そういうものからくるところの経営の不振、あるいはとにかく小売全体でやはり売り上げの——今、国税庁調査にもございますけれども、小売段階での経営上の最大の問題点は何かというと、売り上げの伸び悩みということでございまして、売り上げの伸び悩みの結果、やはり競争激化になります。競争激化になりまして、信用調査をやっておりましてもなかなか取れないところが出てくる。こういうことで、最近は小売段階の倒産もぽつぽつふえてまいっております。それが問屋にまいりまして、問屋でいわゆる貸し倒れ損金処理が確かにふえてまいっております。そういうことで、これにつきましてはどういう措置をお願いするかというような点について、具体的には私どもも信用調査あるいはいわゆる競争激化の結果取れないところへ売るようなやり方というものを注意しなければなりませんけれども、ひとつ行政的にもいろいろ御支援をいただきたいと思っているわけでございます。  特にこの貸し倒れの中には、先ほどからいろいろ出ておりますところの、私どもが結局貸し倒れのときに負担しなければならないのは、国の損失の税金を、流通段階あるいはメーカー段階でその貸し倒れを負担しなければならぬということで、そう言ってはなんでございますけれども、貸し倒れが起きましても国の方は一向に損失をこうむらないという、この分が大変に大きくなりますと私ども非常に困るのでございます。その辺についても御勘考いただきたいと思う次第でございます。
  202. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えします。  最初のギフト券の発行についてでございますが、高橋参考人と大体似た意見でございます。基本的には、高い酒税を払っている品物について、その商品券になお印紙税を取るというのは酷ではないかという考え方で、酒の各団体とも一致してお願いしておるわけでございます。  もう一つ次善の策といたしまして、現在の印紙税の課税区分と申しますか、六百円未満はいいとかあるいは三千円までは幾らとかというふうな刻みになっております。その刻みをもう少し実情に合ったように上げていきませんと、洋酒の場合は酒一本売れないというふうなことになります。そこら辺の御配慮でもせめてお願いできないかというふうなことは、陳情書として出してございます。  それからまた、売り掛け代金のうちに含まれる税を還付しろという話でございますが、前々から酒の各業界ともお願いしている点でございますが、実は技術的に確かにいろいろ難しい問題がございます。実際、売り掛けになって倒されたという場合に、どの酒の代金が倒されたというふうなこともなかなか計算できにくいだろうということもございますし、確認の方法というのが非常に難しいというふうなことで、なかなか踏み切っていただけないのですが、ただ、石油ガス税の場合にはそういうふうな事例がございます。そこら辺をこっちも引用いたしまして、ぜひお願いということで毎年のように繰り返しておりますが、なかなか実現に至っていないというのが実情でございます。
  203. 戸田菊雄

    ○戸田委員 今回の改正でやはり一番問題なのはビールとウイスキーの特級ですね。これが税負担率が極端に高いと私は思っているのです。不均衡をなしている。例えば、改正後の税額、負担率、増税率、小売価格上昇率等々見ますると、ビールの場合は負担率が四八・九%ですね。増税率が一九・五、それでなおかつ小売価格上昇率が八・七。それからウイスキー特級の場合ですが、五〇・五%、いずれも大体半分になっておるわけですね。  そこで、ビールの荒川さんにお尋ねをいたしますが、こんなに負担率が増大をされて、これはまともに消費者に行くわけですから、結局三百十円という値段に上がったのですね。二十五円、そういうふうに上がってまいりました。しかし、それに対して政府は、これだけ上がっても、五十九年度のシェアの見通しというものは六・九%増になるであろう、こういう見通しを立てておるわけですね、これは果たして今の国民所得、殊に可処分所得等々の目減りからいっても、私はそんなに六・九%なんというのは伸びるのかな、こう心配をしておるわけでありますが、今までのビールのいろいろな市場を見ますると、わずかに二%程度で、現在停滞をしているというのが現状だと思うのでありますね。それから、国民生活白書で指摘されておるように、実質上の可処分所得が非常に低迷をしておるわけで、そういう状況の中で政府が一定の見通しを立てているわけです。果たしてそのような見通しが、実際やっておられる業界としてそのとおりいくものでしょうかね。その辺の見解をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。ウイスキーの場合も、その点見解を述べてください。
  204. 荒川和夫

    ○荒川参考人 確かに今先生がおっしゃいましたように、一〇六・九%という予測をお立てになっておるようでございますけれども、私、政府におかれましてはそれなりの計算をなさっておいでになると思いますので、この数値の是非につきましては、いろいろコメントを差し挟むことは実は差し控えさしていただきたいと思うわけです。  需要予測と申しますのはいろいろな要素がございまして、ここにもちょっと持ってますけれども、私も数字に余り強い方じゃないものですから、例えば我が社では、一つの総需要予測を算定する場合に、ビールの飲用人口一人当たりの大体の蔵出し量とか総人口一人当たりの民間最終消費支出とか、これは実質でございますが、それから天候も四月から九月までと十月から十二月まで分けて指数化するわけでございます。それに、ビールの名目的な大瓶小売価格、これは名目的というのはおかしいのですけれども、いわゆる大瓶の小売価格ですね。それから新製品のダミー変数というのもあるわけなんでございます。これを一々細かく説明しろと言いますと、文科系の私にはちょっとわかりませんけれども、こんなものをずっとあれしてまいりますと、どれにウエートを置くかということによって実は非常に大きく変わってくるわけでございます。  私どもは、当初申し上げましたように、恐らく増税前の現在の計算では微増であろうということでございますが、この辺のところで新製品のいわゆるダミー変数などを政府の方で大きくごらんになってますと、こういう数値も出てくる可能性はあるというふうに思うわけでございます。ただし、私どもの会社はこの数字はとっていなくて、微増という数字でございます。そしてこの数字は、サッポロビールの数字、それからその他のビール会社の数字、みんなそれぞれいわゆる調査、企画がございまして出しておりまして、これはお互いに社外秘になっておりまして余り突き合わせはいたしませんけれども、そういうことで大変あいまいなお答えになるかもしれませんが、私どもの数字は微増というふうに報告さしていただきます。
  205. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間もありませんから、最後に三点ほどそれぞれ伺って終わりたいと思うのでありますが、嘉納社長さんの方ですが、先ほど来増税はできるだけやっていただきたくない、こういうお話。殊に格差その他の問題についてお話があったわけでありますが、ビールもウイスキーもそうなんでありますが、小売価格に占める酒税負担率はビールで四七・八%あるわけですね。それから清酒特級で三六%、清酒一級で二四・五%、清酒二級で一二・五%、しょうちゅう甲類二十五度で一一・八%、ウイスキー特級で四八・二%、ウイスキー一級で四二・六%、ウイスキー二級で二七・五%等々、こうありまして、その結果が小売価格標準でも大分差が違ってきておるわけですね。先ほど、等級をなくしたらどうか。私も今の清酒の特級、その他一、二級、これには非常に疑問を持っておるのです。確かに長年の杜氏の勘ですから、最終的にブレンドその他やる場合でも舌三寸、こういうことなんでありますが、しかし、飲まれる方は適正として大体了承してやってきたわけですけれども、これがもし一本の等級にということになると、それはどういう利点が入ってくるのでしょう。その点が第一点であります。  それからビールの担税率が四七・八%、約半分に近いのです。ウイスキーもそうですが、そういうものに対して、これは諸外国は最高行って西ドイツが二四%ですかね、二四%が最高だと思った。どの辺まで引き下げられることが希望値なのか、その辺の見解を第二点として伺っておきたいと思うのであります。  それから、いろいろな御要請がそれぞれ業界にあるかと思いますけれども、そういった要請があればぜひ、恐らく三月初旬からいろいろと税制審議に入るわけでありますが、そういった資料収集をお願いできれば御提示を願えないでしょうか、こう思いますので、以上三点について質問をして終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  206. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 どれもこれもなかなか難しい質問でございまして、等級、いわゆる清酒の中におきます級別と申しますのは、これは比較でございますが、確かにウイスキーにも同じように特級、一級、二級というのがございます。ただ、消費者の感覚の面から申し上げますと、やはり級別というのは清酒にだけ強く残っておりまして、ややもいたしますと、いわゆるブランドを離れて級だけで商売あるいは購入が行われているというケースが非常に強いんじゃないか。したがいまして、級がございますと、その級に従いましてのいわゆるスタンダードの価格というものがあるわけでございます。一級でも価格がばらついてはおりますが、やはりスタンダード物というのがございまして、二級についてもあるわけでございます。  そういう形の中でございますので、例えばメーカー、問屋間ではブランドの商売をしておるわけでございます。末端に参りますと、これが大変代替可能性の強い商品に化けてしまう。二級一本幾らだ、こういうような形になる。こういうことで、需要開発という面から見ますと、いわゆる級で購買がなされておるということには多少問題があるんではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、級がなくなりました場合は幾らの酒ということでございますし、先ほど価格の競争の問題も出ておりましたが、やはりスタンダード物がございますので、それから見て幾らというような一つの目安というものが級で出てきてしまう。なくなりました場合は、幾らのお酒、何々ブランドの何は幾ら、こういう形になってまいりまして、商品展開あるいは企業努力というものがそこに実を結んでくる可能性が非常に強くなるというふうに考えておるわけであります。それと、やはり先ほど申し上げましたように、特級、一級、二級の間にさほどの違いがあるのであろうかということが前提でございます。  それから、税負担率はどのくらいまでならということでございますが、これもなかなか難しい問題でございまして、幾らならということを申し上げます前に、現実問題といたしまして私ども毎日商売をやっておりまして、感覚的なもので大変恐縮なんでございますけれども、清酒がこのように低迷してまいったということにつきましてはいろいろの原因はあると思います。しかし、やはり価格的に度数換算をいたしまして、消費者が口にするPODと申しますか、ポイント・オブ・ドリンキングにおきましては、かなり割高な飲み物というものになってしまっておるのではないか。したがいまして、先ほどから申し上げておりますような価格の下方志向ということでこれを切り抜けたいというような気持ちが各企業に出てきておるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  三番目の点の、何か言うことがあればということでございますが、いずれにいたしましても、全く冬の時代に入ってしまっておるわけでございます。全酒類では、わずかでございますが伸びておるということは事実でございます。その中で清酒の産業だけが減少傾向、それもかなり急ピッチで出てまいっております。ということは、この上下の差というものは大変大きいということで、ぜひ清酒業に対しまして格別の御理解を賜りたい。抽象的でございますがお願いをいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  207. 戸田菊雄

    ○戸田委員 ウイスキーの方はどうでしょうか。
  208. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えさしていただきます。  級別制度の問題でございますが、現在のところウイスキーの場合は特、一、二で、やはりそれぞれ品質的な規格が決まっております。いわゆる官能検査によるという清酒の場合と違って、原酒の混和率というようなことで法律で定められておりますし、それなりにまたそれぞれ各級別で価格展開していらっしゃるわけでございまして、この点は組合の中で議論いたしましても、現在のところまだそこを改革というふうに手をつけるところまではいっておりません。  それから担税力、どのくらいの割合までという話、今も嘉納参考人の方からお話ございましたように、大変難しい話でございまして、今ちょっと過去の資料を見ておりますと、一番ウイスキーが伸びておりました時代、五十年から五年くらいの間でございますが、その当時は大体四〇%前後の担税率でございまして、やはりここら辺が消費者の方としても受けとめやすい割合かなというような、これはただ単に私の私見でございます。別の言い方をいたしますと、メーカー価格プラス一〇〇%ぐらいがぎりぎりの線ではないかなという言い方もあると思います。と申しますのは、流通マージンなりその他包装、運送費など差っ引いた残りを税金とメーカーで半分するぐらいな感じになりますと、四〇%ちょっと切れてくると思いますけれども、メーカー価格、出し値と同じぐらいの税金というのは幾らなんでもひどいなという感じがしております。ぎりぎりそんなところかなというのが、これは非常に私の私見でございまして、こういうことを言ったというので、また何か後でどなたかからおしかりを受けるかもわかりませんが、一つ感じでございます。  それから資料の提供でございますが、もし必要ございましたら、またお願いにも上がりたいというふうに思っております。その節はまたよろしくお願いしたいと思います。
  209. 荒川和夫

    ○荒川参考人 税率が大体どの程度ならいいかという御質問かと思いますが、大変難しゅうございまして、これも私見として受け取っていただきたいと思いますが、今先生がおっしゃいました数値、実は外国は五十七年度の時点の数字がございまして、イギリスが三二・五%で、これは付加価値税を含みますけれども、一番高うなっておりまして、この時点では日本は四七・八%でございます。  私は、個人の考えでございますが、先進諸国並み二〇%前後ぐらいにしていただければと思うことは、今ちょっとここにデータを見ておりましたのですけれども、世界で日本のビールの消費量は二十八位、大体一人当たり六十五本ぐらいになっているんじゃないかと思います。大きいのが西ドイツなどの二百三十二本とか、アメリカでも百四十七本ということで、やはり税率と消費との多少の相関関係というものがあるわけでございまして、もし半分ぐらいにしていただければ、数をたくさん売って御奉公も申し上げられるんじゃないかというふうに考えるわけでございますので……。(笑声)  まあそんなところかと存じます。よろしくどうぞ。
  210. 久木田稔

    久木田参考人 税の負担率がどの程度がいいかということでございますが、税の負担率につきましては、過去の負担率というのがありまして、それに対して消費の態様あるいは消費の数量等を見きわめて、いわゆる増税額なり増税率なり決められていくというような格好になっております。今度、しょうちゅう小売の場合三四・四%という増税率であるわけでありますけれども、結局今後の推移というものを見守っていかなければならないかと思っております。どの程度が妥当だということをここで申し上げることは極めて難しいことと思っております。  以上、終わります。
  211. 戸田菊雄

    ○戸田委員 どうもありがとうございました。
  212. 瓦力

    ○瓦委員長 矢追秀彦君。
  213. 矢追秀彦

    ○矢追委員 参考人の皆さん大変御苦労さんでございます。時間もございませんので、問題点を絞りまして御質問したいと思います。  まず最初に、先ほども出ておりましたが、今回の増税、大変酒税の方にしわ寄せが参りまして、五十六年の増税の場合は有価証券取引税がございましたので、大体三四%ぐらいが増税の中に占める酒税の割合だ。今回は物品税もわずかでございますから、六五%ぐらい酒税がその割合を占めるという、大変お酒の業界の皆さんを直撃をしておる。それがまたひいては国民には負担となってきておるということで反対をしておるわけでございます。  まず、そういう前提に立ちまして、この増税率の問題についてはいろいろ政府の方では、ある程度バランスをとるんだ、こう言われておりますが、これはさっき戸田委員もお話しになりましたように、私もこれはそうは言えないのではないか、こう思っております。今までの、これは税負担率の方で参りまして、増税率より税負担率でいきますと、これは嘉納参考人にお伺いしたいんですが、清酒で一番高いときは、私のいただいておるデータでは昭和三十七年の五〇・七というのが最高でございまして、そうしますと、まだ一〇%もいけるんではないか。この時代と比べていわゆる税負担率というのは、現実問題このパーセントだけではなくて、ほかの所得とかそういうことから考えますとどういうふうにお考えになるのか。私は、もう限界に来ておると思いますけれども、データとしては過去に五〇という時代もあった。こういう点をひとつお伺いしたいと思います。  この問題については、その次にビールについても、五二・三が最高のところでございますから、そういう意味では四八・九というかなり近い線まで来ておりますので、これも限界に近いかと思います。  次にウイスキーについては、これはずっと負担率は上がる一方で、とうとう今度は五〇まで来た。過去はずっと低かったわけです。そういった点ではウイスキー全般、特級、一級——二級を除きまして全部最高の税率に今度はなっていく。  こういうふうに、ウイスキーだけはずっと上がる。ビールは、過去よりは少ないけれども、最高に近くなってきておる。それから清酒についてはかなり上がってきておる。下がった時代もありますけれども、このようになってきておる。こういう状況、過去のこの経緯から見て、先ほどもちょっと議論が出ておりましたが、どうお考えになっておるか。おのおの業界からお願いしたいと思います。
  214. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 これも大変お答えしにくい部分が多いわけでございます。税負担の率だけの問題でございますと、負担率が少なければ少ないほどいいということになるわけでございますが、私、先ほど冒頭に申し上げましたように、清酒の場合やはり製造コストが、米代がそのうちの七割ほどを占めておりまして、この米代というのが、御承知のような形で価格は決まっていくわけでございます。そういたしますと、いわゆる生産コストというものがやはり企業の努力だけではなかなか左右しがたいところへ来ておるわけでございまして、そういう生産コストの相対関係から見まして、率がどのくらいならいいのかということは非常に難しい問題だろうと思うのでございます。お願いしておりますように、清酒産業の場合、やはり米代というのは致命的な部分を占めておる、率の問題はそういうところの相関関係でとらえていただくということになろうかと思うわけです。わかりにくいかもしれませんが、そういう感じがしております。
  215. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えいたします。  先ほども負担率の話が出ておりましたが、確かに、どのくらいが適当かというのは非常に難しいということでございます。ただ、確かに先生がおっしゃいましたように、四十五年なり五十年なり五十七年なりということで、ちょっと私なりにこしらえた資料がございますが、五十年のころが割と一回おっこちておりまして、それからまただんだん伸びてきた、負担率が上がってきた、こういう格好になっております。  確かに、これでも売れるからまだ上げてもいい、まだ上げてもいいというのが、言うなれば過去十年ほどの間に三回の増税でございまして、増税の累積率というふうなことで実は一遍計算してみたのでございますが、五十一年以降、ウイスキーの場合が一二四・何%というふうな累積増税率になっております。それが、前回の増税以降、確かに一番のメインの商品であるウイスキーの特級の売れ行きが次の年におっこちた。そしてまたその次もおっこちて、ことしやっともとに返ったというふうなことなので、これでもいける、これでもいけるというので上がってきたのが、実はもう限界をこの前突破しておったのではないかなというふうな、経験的な感じでございますけれども、気持ちを持っております。御承知のとおり、税収という面から見ますと、ウイスキーの場合、特級で洋酒の関係ではほとんど占めているわけでございまして、特級がそういう格好になりますと、非常に先行きの見通しが暗いと申しますか、各企業とも一生懸命に頑張るとは言っておりますけれども、どうなりますか、不安は残っているわけでございます。  そんなことで、お答えになりましたか、よろしくお願いいたします。
  216. 荒川和夫

    ○荒川参考人 お答えいたします。  今私の手元にございます資料によりますと、昭和三十七年のころの税の負担率が五二・三%になっておるわけでございます。これは冒頭にも状況説明のときに申し上げましたように、昭和三十年代といいますのはビールの大変な高度成長時代でございます。十年間平均しまして一年当たり一七%の伸びでございまして、しかもこれは三十年代も後半になってまいりますと伸びが鈍化しておりますので、三十五年あたりのところまでは二〇%、これはメーカーによって多少違いがありますけれども、三〇%というような非常な伸び率をマークした年でございます。したがいまして、それでなおかつ既存の生産設備をフルに活用しまして増産に次ぐ増産ということでございますから、小売価格自身、これは生産者価格から影響してまいりますが、小売価格も百十五円という低い価格になっております。このときの税額がたしか六十円十三銭ということでございます。  そんなことがずっとございまして、現在は、これも冒頭に申し上げましたように、もうこういうようなスケールメリットは吸収できない、新しい需要に対応していくためには新しい工場を五百億、六百億という設備投資をしながらつくり上げていかなければならぬということでございまして、当時五二・三%、六十円の税負担ができたから現在もそれに近いものがどうかとおっしゃるのは、ちょっと違いがあるのではないだろうか。客観的にごらんになりましても、一つの商品で五〇%近い税があるといいますのは、やはり相当高過ぎるのではないかというふうに判断しております。  どうもお答えになったかどうか知りませんけれども、御理解いただきたいと思います。
  217. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、等級の問題に触れられたのは嘉納参考人でしたか、技術革新によって新しいものを開発していくためには、今の等級よりもむしろ少ない方がいい、こうおっしゃったのですが、もう少し詳しくちょっとお答えいただきたいと思います。マイナス面もあると思うのです。二つにするという意見もあります。しかし、そういうプラス面、総合判断して今後どうなのかということです。
  218. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 私、個人的に申しますと、今三段階ございますのを暫定的に二段階にしてはどうか、簡素化につながるから二段階にしたらどうかという説があることはよく存じております。ただ、この問題は、二段階にいたしましても本質的には同じことであろう。ですから、やはりない方がいいというのが私の持論なんでございますが、今の級が消費者に対して非常に説明が難しい、消費者から見ると理解がしにくいという側面がございます。いわゆる官能による。官能によるということはどういうことか。そのほか実行面では、各企業でアルコール度数であるとか米の精白とかいろんなことはやっておられるわけでございますが、やはりこれは表に出てまいりましてもさほどわかりのいい問題ではない。したがいまして、級がある場合にはおいしい、まずいという観点もあろうかと思いますが、どういうつくり方のものがどの級に入る、だれが読んでもなるほどということがわかる形でありますとその級の意味があると思うわけでございます。ただ、現実問題消費者から聞かれましても、私ども説明に非常に困っておるわけでございます。そういうわけでございますから、困っているシステムを抱えながらやるということよりは、すっきりしていただくか、あるいは級がない方がいいということを申し上げておるわけでございます。
  219. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、従量税と従価税の問題なんですけれども、これも、恐縮ですけれども嘉納参考人に。  これもアルコールという問題がありまして、大体従量税でいきたいというのが業界の皆さんのお考えで、これはこれで私も理解いたしますし、じゃ従価税がいいかというふうに私、意見を持っているわけではなくて、これは非常に難しい問題ということで、勉強中という立場で申し上げたいと思うのです。  ただ一つ、この値上げの経緯を見ていきますと、大体税率が上がる。そして価格が上がりますね。大体二年ぐらいすると、今度は税率はいじらないで価格を上げざるを得ない。そうすると、税負担率が下がる。その明くる年必ず税率が上がる。じゃ従価税にしておけばその点は防げるではないか。しかし、これはまた便乗値上げという問題が出てくる。こういうことで、消費者の立場に立つと、税率が上がったときも上げられ、また勝手に上げられ、上がったらその次は必ずまた税負担率が下がったから上げろということで上がる。非常にそういう被害者意識みたいになってくる。じゃ税率を上げたときにみんな上げてしまえということになると、これはまた便乗値上げという問題がある。本当を言えば、税率を上げたらもうしばらくは絶対値上げしないというのが一番いいのですけれども、それはできない面もまた皆さんの事情の方から出てくる場合もある。そういった点でこれは非常に難しい問題なんですが、今の値上げとの絡みでどういうふうにお考えになっているか。ほかの理由は大体わかっていますから、その点ちょっとお伺いしたい。
  220. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 従価税の問題につきましては、これもいろいろ難しい問題をはらんでおりまして、考え方は幾らもあると思うのでございますが、世界の諸国の体系を見ましても、酒類特にブルー、醸造酒につきまして従価税というシステムをとっておる国はないというふうに伺っております。従量税があくまでもあるべき姿だというふうに私どもは思っております。私といたしましては、従量税がシンプルであるし、先進諸国がさようなシステムをとっておるということにはそれなりの理由があるというふうに思っております。  しかし、これは紋別を廃止した場合に従価税の問題が出てくるのではないかということをおっしゃっておられる部分もあるのではないかと思うのでございますが、これもやはり清酒の場合に原料の問題がございまして、今のような形で原料価格が決めていかれるということになりますと、そこに硬直性がございますので、従価というものがその硬直したものにただ単純に算術的にかかってまいるということになるとこれは大変である。ですから、やはり運営上非常にフレキシブルなものにならないと、従価税ということで大変イタチごっこみたいな問題が出てくるというふうに考えております。
  221. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今の問題で、ウイスキーは従価税のときがありましたので、菅原参考人に。
  222. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えいたします。  従量、従価どちらがいいかということで、確かに従価の方は、例えば私どもの方では二二〇%の従価というふうな高い税率の適用を受けておるウイスキー特級あるいはブランデーがございます。それらで、便乗値上げというふうに先ほど先生おっしゃいましたのですが、例えば百円生産者の価格を上げようということにいたしまして、そこら辺を流通の方にも若干というふうなことで考えてみましても、二二〇がもろに上乗せになるわけでございまして、三百二十円上げないとメーカーの手取りあるいは流通マージンが百円出ない。ちょっと高過ぎるんじゃないかという感じがあることは確かでございます。それと、実は輸入洋酒との問題で、先ほどちょっと御説明いたしましたように、課税標準の差というふうなものが従価税の場合に大きく出てきております。  そこら辺を防ぐためには、私どもといたしまして、実は洋酒組合として提案した事項でございますが、価格群別の従量税というふうなものを考えてみてはどうかというふうな提案をしたことがございます。組合として皆さん集まっての話でございまして、その気持ちはいまだに、将来の検討課題ではございましょうが、そういうふうな考え方もあるんじゃなかろうか。例えば千円とか三千円とか五千円とかというふうに幾つかの段階で区切って、それぞれの区分の間に入る価格、それも標準的な小売価格をとりたいということで、若干問題はあると思いますが、小売価格に対しましてそれぞれ従量税を決めていくというふうにすれば、案外いけるんじゃないかなというふうな感じ検討してみておる次第でございます。  まだ当分検討期間は続くと思いますが、従量、従価、確かに現状を申しますと、ちょっと古い資料、五十六年でございますが、全体の酒の従価税のうちウイスキー類だけで九三・五%納めているということで、特に輸入の方も入っておりますが、そういう状態でございます。何かほとんど洋酒関係ひとりで引き受けているというところなんで、どうもそこら辺から他酒類間とのバランス論というものも出てまいるわけでございまして、他の方にもぜひ考えていただくか、あるいはできることならそこら辺同じような格好で他酒類と歩調を合わしてほしいというのがもう一つの気持ちでございます。  以上、お答えさしていただきました。
  223. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ビールの方はいかがでございますか。
  224. 荒川和夫

    ○荒川参考人 大変難しい問題でございます。また、業界内でもこれに関しまして十分なコンセンサスも得られてない状態でございますので、これは私の個人の考え方としてお聞きいただきたいと思いますが、私は現行どおり従量税がいいんではなかろうかという考えを持っております。といいますのは、ビール、酒は致酔飲料でございますから、ほかよりも高い税を課して消費を適正な水準に抑えるという考え方に立ちますと、各酒類に課する酒税はアルコール一度当たりのそれを平準化すべきである、そういう意味酒税は本来アルコール度数に応じた従量税が望ましいと私は実は考えておるわけでございます。  それから第二に、ビールの場合、通常淡色ビール、それから淡色ビールではございますけれども高濃度、高アルコールのビールとか、逆に低アルコールのビールとかいろいろございますけれども、相互に原材料、製造方法、品質面は非常に類似性が高いわけでございまして、これらの間の価格差は極めて小さいものでございますので、品種別にも従量、従価ということは必要ないんではないだろうか。やはり従量税でいっていいんではなかろうか。  それからもう一つは、これは理由になるかどうかは別なんですが、従量税の方がやはり事務処理が簡便で、いろんな意味での効率化、合理化が図れていくんだろう。現在のビール業界はそういう中におるというふうにお考えいただければありがたいというふうに思います。
  225. 矢追秀彦

    ○矢追委員 時間ですから、最後に嘉納参考人に。  前回のこの委員会における酒税審議した場合の附帯決議の中に、先ほども少し触れておられましたが、「清酒が伝統ある民族酒であることにかんがみ、清酒製造業に対し、原料事情の特殊性、業態の特異性に留意しつつ、指導、育成に努めること。また、中小清酒製造業者の振興のため、引き続き所要の措置を講ずること。」こう言われております。先ほどある程度お礼もおっしゃっておりましたけれども、この三年間でどれくらいやられてきたのか、今回の法改正で少しまた言われておりますけれども、それがどのような効果が出る、こうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  226. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 これは、高橋さんから言っていただいた方が的確ではないかと思います。
  227. 高橋篤

    ○高橋参考人 お答えいたします。  前回の昭和五十六年の増税国会と申しますか、国会で附帯決議をいただきまして、いろいろ施策は進められてまいっておるわけでございますが、その時点において、五十六年度がちょうど第三次の近代化構造改善事業の終わりでございました。その成果を見まして、それ以降どうするかというようなことは、一昨年から昨年にかけまして、これは中央の酒類審議会の清酒部会等でもいろいろな先生方を集めていただいて、いわゆる清酒業界の将来の振興策についていろいろな調査研究、御意見をちょうだいいたしております。これが清酒部会の中間報告として出ておるわけでございます。  それに対しまして、業界はどういうふうにこれらと取り組んでいくか。その中に、いろいろいわゆる国がしてくださるところの政策的なサポート、それから業界が自助努力でやるべき方向、こういうものが今回まとまって進められつつありますのが、恐らくこの六月に認可になるであろうところの第四次近代化構造改善事業でございます。特に、今度の第四次近代化構造改善事業は、経営の戦略化——指摘のように清酒業界二千六百も中小企業がございまして、いわゆる伝統的なというところを誇りにいたしておりますけれども、またその中小企業性からまいりますところの経営の方向というのは、今日の需要の動向あるいは経済社会の変化に対応するにはかなり古い意識のところが多いわけでございます。そこで、経営の戦略化とみずからの企業のいわゆる経営の戦略的な分野をどう選ぶか、こういうようなことを中心にして第四次近代化に早急に取り組むということになっておりますし、先ほど申し上げましたように、そのために近代化事業基金制度の創設、そしてまたそれをバックアップするための資金の貸し付けというようなことが今度の特別措置法の改正、安定法の中にも載っております。この第三次が終わりましてから第四次へ入るまでの間、業界もそれから行政、国の方もいろいろと模索をしながら、今度は長期的な方向を持ってひとつ取り組んでいこうという意識が現在盛り上がりつつあるわけでございます。  そういうことで、私どもも、増税という壁がここへ出てまいりましたけれども、その壁を乗り越えるためのいろいろな施策をこれ以外にも、これから御要望してまいりたいと思います。特にその中で米の問題は、これは何としても清酒業界が解決をしなければならない悲願でございますけれども、何しろ業界でこれを解決するわけにいかない問題等ございます。五十六年の国会の附帯決議から、米の問題につきましてもいろいろと大蔵御当局は非常な御努力をなすっておられますけれども、何しろ大蔵省の所管でない米でございまして、農林関係でございますので、その辺は業界も大蔵省も非常に一生懸命で努力をしていただいておりますけれども、どうも農林の方にはなかなか話が通じないという、これは国の事情もございましょうけれども、その辺を先生方のお力で調整をしていただいて御解決をいただくと、この増税問題もかなり明るい曙光が見られる転換点になるのじゃないかと私どもは思っている次第でございます。よろしくお願いいたします。
  228. 矢追秀彦

    ○矢追委員 どうもありがとうございました。
  229. 瓦力

    ○瓦委員長 安倍基雄君。     〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理者席〕
  230. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 参考人の皆様、御苦労さまでございます。私、民社党の安倍基雄でございます。  実は幾つかの質問を用意しておったのでございますけれども、大分前の方々がいろいろ聞かれたわけでございます。私が考えておりましたことは、値上げをして売れるのかどうかということが第一点。第二点は、この税が各種の酒の需給にどう影響するかということでございます。需給バランスにどう影響するか。ただ、この二点につきましては既に質問がございまして、今さらここで繰り返すつもりはございません。  三番目の問題でございますが、これは今矢追委員が聞かれましたけれども、私は、清酒についてまず二つの大きな問題点があると思います。一つは、やはり構造改善問題ということでございます。その次は、いわゆる市場の混乱問題と思っております。  今既に構造改善問題に話が触れましたけれども、実は私も調べてみますと、二千六百軒のうち大体の酒造業者ですか、三分の一が赤字である、三分の一を超えたものが赤字である。ここにおられる諸先生はどちらかというと大きな事業家でございましょうから、余りそういったことはないかもしれませんけれども、三分の一は欠損であり、これを含めまして半分以上が五百万円以下の収入であるという状況でございます。私も友人の中に酒造業者がおりまして、今やめられるのほかえっていいんだ、本当は借金で首が回らなくてどうしてもやらざるを得ないんだというような人もおります。私、この点本当に一番の問題かと思うのでございますが、そこでいろいろ問題がある。  私自身も、この酒造業者の困難は、構造不況業種と申しましても一種の政策構造不況業種というぐあいに考えております。さっき参考人の方の一人が、外国米を輸入してそれを輸出すればいいじゃないかというような意見もございましたけれども、それができるのはまた非常に少数であると私どもも思います。したがいまして、例えば外国米を輸入する、そういう場合にどの程度輸入したいのか、輸入した場合にどう配分するのか、そういうことまで考えられた上でこの問題と取り組んでおられるのか、それからまた長期的意味の構造改善をどうなさるのかということが第一点でございます。  第二点は市場の混乱問題。これはさっき、大分値段が上がってくればいろんな酒類をつくっていけばいいというお話がございましたけれども、いろいろ聞いておりますと、最近はどちらかというと酒などは多様化し過ぎている、安い方に行って、しかも新商品が次々とできる、そうなるとどうしても経費率が高くなる。卸の経費率も高くなれば、小売の経費率も高くなる。いわゆる新商品の開拓だけではいかないということも言われております。したがいまして、つくる方の立場からいえば、新しい商品をつくっていけばいいかもしれないけれども、売る方の立場からいえば、余り細分化することは困るということがあるのでございます。そういう意味合いにおきまして、また業界の中には随分廉売をするというようなことが起きているそうでございます。こういったことにつきまして皆様どうお考えになるか、どういう要望をされるかということが二つの点でございます。  まず清酒のどなたかお答え願います。
  231. 高橋篤

    ○高橋参考人 お答えいたします。  まず構造改善問題でございますが、過去、第一次、第二次の構造改善がございました。当時は一九六〇年代でございまして、いわゆる生産中心の需給のバランスがある程度成り立っておる時代でございますし、高度成長時代で清酒も伸びておる。したがいまして、ここのところではいわゆる生産性、それからスケールメリット、こういう形で設備の近代化、合理化というようなものが中心になって進んでまいったわけでございますが、第三次、これは五十六年に終わったわけでございますけれども、一九七〇年代に入りまして、この近代化というのは知識集約化というような考え方、まさに新商品、新製品の開発あるいは新市場の開発というようなものがテーマになりまして、いわゆる旧態依然の商品そのままで、一品大量に売るというような時代ではなくなった、消費者の価値観も非常に多様化をし、選択性も非常に高まったということに対応するために第三次をやったわけでございます。ところが、第三次でそういうふうにやりまして、今先生の御指摘のとおり、流通業界もそうでございますけれども、極めて商品の多様化が進んだ、しかしその多様化商品というのはなかなか経営を支えるボリュームゾーンにならない、こういう状態で進んでまいっております。  そこで、なせそういうふうになるのかというのが第四次のテーマになると思いますけれども、皆同じようなことを追っかけてやると、二千六百業者、この中にはおけ取引の関係もございますけれども、市場を持とうという業者が皆同じような商品で、新製品を一人出して当たればまたすぐそれを追っかけるというような形で、なかなか競争が激しくなる。そこで第四次の場合には、先ほど申し上げましたいわゆる戦略的な経営ということでございますから、自分の生きる分野というもの、領域というものをまず選択をしないと、何でも人のまねをして新製品で追っかけるというようなことでは、競争は激化する一方でいかないということで、おのおのの企業の経営の姿勢に合うような独特の形でその領域を求める、こういうことが第四次の柱になるようでございます。  その大もとになるのはやはり、清酒二千六百の業者の意識が、もう一遍ここでもって本当に生き残るために変革をしなければならないというのが、この第四次の近化代の一番根本になると私は思いますが、そう言われても、新しいリスクを負ってやることはなかなか困難でございます。その点で、側面的ないろいろなサポートをやはりお願いしていかなければならない。これは後ほどまたこの第四次近代化を進めるについてのいろいろな要望、あるいは御指導のお願いになる点であろうか、こう思っておる次第であります。  それから市場の混乱問題でございますが、これは原則的には、何としても独禁法もございますし、自由競争市場の中で競争を全くゼロにするというわけにいかないけれども、この問題をこれからどういうふうにして、これは清酒業界だけではない、酒類間の競争もございますし、また清酒同士の競争もございますし、もっと酒類と他のサービスあるいはいろいろなレジャー、こういうものとの競争も、消費支出の面で取り合いになってくれば非常に激しいわけでございます。どうも端的にお互いが値を引くだけでもって市場が確保できると思っているところに大変な誤解があるので、取れば取り返されるというような形で、本当にその商品あるいはその企業のお客をどうやってつくっていくか。価格を低くするだけでその商品のお客ができても、それは常にいわゆる信者のようなお客にはならない。現実に清酒の業界におきましても幻の酒なんという指摘があるごとく、価格はメーカーからは適正価格で出ているけれども、だんだん先に行くと消費者の間でもって高く譲り合っているというような商品もございます。私は、そういう方法は決していいとは思いませんけれども、そういう商品に持っていくような努力というものがこれから必要であり、また流通業界もそういう商品を発掘しながら、どうやっておのおのの特性なり個性なりを発揮していくか。大変抽象的な話でございますけれども、そういったやはり意識の変革がこの時点においては第四次の近代化も含めてなされていかないと、結局自分が存続できないということになるかと思います。清酒の業界もそういう時点に入っているという覚悟をみんな持って、この第四次近代化に取り組んでいこうというのが現在の時点でございますので、よろしくお願いいたします。
  232. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 そうすると、米のあれを相当輸入するとか、あるいは特別の米をもらうとか、そういうことになるとどのくらいの企業が生き残れるかというようなことのいわば検討までには入っていないわけですね。
  233. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 この話は私がちょっと冒頭に申し上げたことなんでございますが、やはり事の発想は、今高橋さんからもお話が出ましたように、米の問題というのは大変私どもにとって首根っこを押さえられるような問題でございます。生産の端緒からこの問題が全部がかってきておるわけでございます。米全体が約九百万トンから一千万トン程度全国で消費されておるという中で、清酒産業には約五十万トン程度であろうかと思います。したがいまして、昨今いろいろ話を聞いてまいりますと、米もいよいよ予想に反してと申しますか、予想どおりといいますか、どうも需給、多少ぐあいが悪いのではないかというような話も聞いておるわけでございます。そういう中でやはり価格的にフレキシビリティーのあるいわゆる外国産米、清酒の場合は全量で五十万トンぐらいでございます、直ちに全量というわけではございませんけれども、ごく一部でもそういう形、あるいは工業用米制度の創設ということもお願いしたと思うのでございますが、そういう形で原料面の問題を解決させていただきたいということを申し上げたいわけでございます。
  234. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間も短いですから絞ってお聞きします。  そうすると第二が現在の卸、小売。御承知のように非常にビールが主力でございますが、小売だけで十六万軒あるのが平均収入が二百万から三百万、卸が千八百くらいが年間一千万。非常に中小企業というか困っている企業でございますが、今度のいわば増税で、さっきマージン率という話が出ましたけれども基本的に販売店がダウンしたのではまた困るということでございますので、特にビールの関係にお聞きしたいのですけれども、マージン率をどうするのか、そして卸、小売のマージン率を見直すという話もございました。それ以外に、さっき貸倒準備金という話もございましたけれども、特に要望すると申しますか、どうしたらいいと考えていらっしゃるかをお聞きしたいと思います。
  235. 荒川和夫

    ○荒川参考人 増税後、新しい価格帯になった場合のマージン率のことでございますか。——結局私どもが十月に価格改定いたしまして、卸、小売ともに新しいマージン率を設定したわけでございますけれども、今度の増税が予定どおり実施されますと、現行の小売マージンが一七・九から一六・四、それから卸が九%から八・一%というふうに下がってまいりますので、当然これは流通段階の経営問題、末端価格が上がりますので、それだけの金利負担ということも出てまいりまして、さまざまな面から我々生産者の方に対してのマージン率是正という要請が当然出てまいるわけでございます。これを我々はやはり等閑視するわけにはまいりませんので、また何らかの方法でこの辺の御相談にも応じなければいけませんが、我々自身、生産者自身の犠牲においてこれを達成するというわけにはまいりませんので、やはり次の価格改定の時期にこれらの問題を解決していくというように、一つの循環的なものになっていかざるを得ないと私は思うわけでございます。  それからもう一つは、やはり末端価格が上がってまいりますと、お酒の需要というものは、もちろん価格との関連で低下してまいります。マージン率と同じように、需要の低下が、中小企業が多い流通段階に対して売り上げ低下という点でさらにかえって問題が出てくるのではないか、私はそういう憂慮はしておるわけでございます。もちろんこの間におきまして、正しい意味の正常取引というものを、お互いに力を合わせて慫慂していくという努力はぜひともなされなければならないというふうにも思っております。
  236. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 さっき洋酒に関して、いわば海外との競争力、私も洋酒の問題につきましては、これが一番のポイントかと思いますけれども、そうすると具体的にどういう要望でございますか。さっきの、課税標準に手数料を入れろとかそういった話を具体的に持っておられるわけでございますね。その辺を。
  237. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えいたします。  実のところを申しますと、いわゆる貿易摩擦問題というふうなことも関連いたしまして、対応策というものがいろいろあるわけでございますが、それぞれ長短ございましてなかなか難しいというのが現状でございます。例えば、小売価格を基準にして輸入洋酒も課税するような、国産並みの方法がとれないかというのも一つの方法なのでございますが、これは法律改正を要する事項であるし、特にそうなった場合は、輸入洋酒を国産酒のところまで税額を引っ張り上げるということになるので到底無理であろう。じゃ、その国産の方を輸入の方に合わせてくれということになりますと、現在国産の洋酒で従価税適用のものにつきましては、原則的には生産者価格に二二〇%なり一五〇%を掛けるという方式が法文上は書いてございますが、便宜一定率制度というのがございまして、御承知のとおりでございます。一定率、ただいま三〇%というふうにお認めいただいておるわけでございますが、一定率を控除した残りが一五〇%の税金あるいは二二〇%の税金と生産者価格を合わせたものだというふうにみなしてお取り扱いいただいているわけでございますが、その一定率がもう少し幅広いものにならないかというのが二つ目の方法でございます。  そうなりました場合も非常にいろいろと問題が出てくるということでございますが、細かい話はやめまして、あるいは別の方法といたしましては、過去ある程度とっていただいておりましたのですが、輸入された場合のいわゆるCIF価格というふうなものを、実勢価格でなくてあるべき価格はこういうものだというふうにみなしてやる方法はなかろうかというのも過去検討されたことはございますが、なかなかそれも、例えばダミー会社をつくって抜けられるとかというふうなことで、無理だということでございましたし、私どもとしましても、どちらかと申しますと、御専門でいらっしゃる主税御当局の方に何かいい知恵出してくださいよといってお願いしている段階でございますが、我々としては二つほどこういう方法も考えられるのではないかというので出しておりますけれども、それぞれ難点がございます。  以上でございます。〔中村一正三郎)委員長代理退席、委員長着席〕
  238. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私に与えられた時間は非常に短いのでございますから最後の質問をいたしますが、さっき清酒業界から実施の時期を延ばしてくれというお話がございましたけれども、特に清酒業界の場合には、ほかの業界と比べて、延ばすいわば特別な理由と申しますか、ほかの業界もそれぞれ延ばしてほしいと思うと思いますけれども、その辺を御説明願えませんでしょうか。
  239. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 これは私がお願いしたわけでございます。したがいまして、お答えをいたします。  いろいろ理由はあるわけでございますが、まず基本的に、こういうかわいそうな目に遭っている清酒については格別の御配慮を賜りたいということが一つの大原則でございますが、毎回この五月という時期に増税が行われる。五月という時期がどういう意味合いを持つかと申しますと、清酒がそろそろ不需要期に入るころになるわけでございます。そうしますと、いわゆる流通段階、手持ち課税の問題もございます。あるいはその先多少仮需という問題も出てまいります。そのときに、どうしても清酒はお呼びでなくなる。お呼びがかからないという、スピンアウトさせられてきたという実績がございます。したがいまして、増税やむなしということでございましたら、ぜひともこの哀れな清酒だけはそういうことを御配慮賜りたいというふうに申し上げたいわけでございます。
  240. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私ども民社党としては、いわば今度の増税に対しては基本的には反対の立場でございますが、私どもとしましても、皆様のいろいろの御意見があれば、さっき委員からお話がございましたけれども、どうぞ御提示くだされば、私どもそれを検討させていただきたいと思います。  簡単でございますけれども、もう二十分ですか、終わりましたから、これで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  241. 瓦力

    ○瓦委員長 正森成二君。
  242. 正森成二

    ○正森委員 参考人の皆さんには御多用にもかかわりませず、長時間御苦労さまでございます。皆さん方の御意見には、一、二点を除きほとんど共感するところが多うございまして、勉強させていただいたこと、非常にありがたいと思います。  私ごとを申し上げて失礼でございますが、私は、灘の生一本と言いますが、その近くにございます神戸一中を卒業いたしまして、私の同級生には嘉納君もおりました。あなたとは違いますが、やはり酒の関係でございます。また、私の父は酒精原料を扱っておりまして、宝酒造さんあるいは今は合併しましたが日本酒類、協和醗酵というところに出入りをしておりました。その関係で私は、幼時よりと言うと語弊がありますが、まだ学生時分から酒をたしなみまして、以来四十年、晩酌を次かしたことはございません。長い間お世話になってありがとうございました。(笑声)私は、学生時分に結核になって七年療養いたしましたが、そのときに、結核になりましたので、医者から言われてたばこはぴたりとやめまして、以来三十数年一本も吸ったことはありません。しかし、酒だけはそうはまいりませんで、私の主治医が非常に物わかりがいい人で、私が軽快いたしましてからは、夏に限りビール一杯はこれを許すという、病人の私に非常に温情ある計らいをしてくれたこともございまして、酒あるいはビールというのが国民生活あるいは我々の嗜好上持っております点については十分に理解し得るもりです。そういう点で、これから御意見を承りたいと思います。  荒川参考人に申し上げますが、時間がございませんので、あなたを含む麦酒酒造組合がお出しになりました税制に関する要望の五点がございますね。きょうはこれに基づいてお話しになったと思いますが、私は事前に拝見いたしまして、非常によく整理されており、その御主張は全部賛成であるということを申し上げておきたいと思います。  その中でも、各参考人から共通して出ましたのは、これは大衆課税といいますか、逆累進性であるということをお話しになりました。ある参考人は第一分位云々のお話もされました。私も資料を持ってまいりましたが、総理府統計局の資料でございますが、酒については第一分位と第五分位、つまり一番下の層と一番上の層で消費量あるいは消費の金額はほとんど変わらないんですね。明白な、顕著な差があらわれておりますのは、洋酒の特級と清酒の特級だけでございまして、これはさすがに第一分位が低くて、第五分位が高いということでございますが、その他の点ではほとんど変わりがありません。年間の支出量でも、大体勤労者の平均が四万五千円程度でありまして、第一分位が四万二千円ぐらい、第五分位でも四万八千円ということで、変わりがありません。これは、酒というものが老いも若きも、富めるもあるいは貧しきも、自分の生活の潤いとして飲用しているものであるということを示しているわけですね。そういう意味からいいますと、皆さん方酒税法に、あるいはこの酒税引き上げに必ずしも賛成できない、大蔵省の監督下にありますから、随分言葉を遠慮されて申された方もございましたが、そのお気持ちはよくわかるというように思うわけであります。  ただ、皆さん方の御意見の中で、御自分の業界に余りに負担が大きいということから、酒税問題懇談会でもそれに近い意見が出ておりましたが、大型間接税を待望されているような御発言が二、三見受けられました。きょうはそれについて論争しようとは思いませんが、必ずしも賛成できないということを申し上げておきたいと思います。  そこで、嘉納さんと高橋さんに伺いたいと思います。第四次近代化事業というのが間もなく始まろうとしております。この点について過去の資料を調べてみますと、今までに二回にわたって行われたと承知しておりますが、第一回目の昭和四十五年から四十八年には約十億円が給付されましたが、二百二十一者が廃業ということになりました。これは転廃給付金事業であります。これは近代化促進法に基づく構造改善事業の第二次分として行われたものであります。それから二度目は五十三年から五十六年の間に約三十三億円が給付されましたが、結果として四百六者が廃業ということになりました。その結果、三千五百八十二者あった酒造業者、これは四十四年でありますが、現在では二千六百一者ということで、十五年間で約一千者、二五%が減少しているわけであります。これは先ほど、国賓に清酒を出すようにという御提言もありましたが、民族の酒、特に私はアルコール類の中でも清酒が好きでございますが、黙視することのできないことであるというように思わざるを得ないですね。  今度いよいよ第三回目の転廃業の関係の仕事が行われるわけですが、国税庁によりますと、第二回と同じように四百者ぐらいの整理を行う計画だというように言われております。しかも前回の例で見ますと、給付金は一者当たり八百万円でございましたが、その財源は納付金ということで、結局生き残る業者が主として納めるということになっているわけですね。こういうように後ろ向きではなしに、前向きに、どうすればその清酒業界が生き残り、シェアを高めることができるか、あるいはシェアはそのままであっても販売量は伸びるかということが大事だと思うのですが、この転廃業あるいは納付金の問題、あるいは将来の発展の問題等について御意見がございましたら、嘉納さんと高橋さんから伺いたいと思います。
  243. 嘉納秀郎

    ○嘉納参考人 高橋さんと分担をして申し上げたいと思います。  この問題につきましては、主産地の私といたしましてちょっと言いにくい問題もあるわけでございまして、残存者負担の問題も今おっしゃられたわけでございます。  その問題はさておきまして、清酒の業界が御承知のような形になっております。ビール、洋酒、いわゆる酒類間のバランス上、やはりこの清酒業界が比較優位性と申しますか、そういうものを回復していく必要があるということを前提にいたしますと、いろいろな施策がございましょうが、いわゆる近代化、特に二千六百の業者の絶対数というものは、これも議論が分かれるところだと思いますが、やはり私どもの観点から申し上げますと多少多過ぎるのではないか。一部にはそういうことで、近代化の第四次の問題は中小メーカーの追い落としてはないかというようなことを言われる方もおられるようでございますが、そういうことでなくて、やはりこの業界全体が比較優位性を回復していくということには、そういういろんな施策を講じていかなければならぬ、大きな枠組みではそういうふうに考えております。  高橋さんにあとはやっていただきます。
  244. 高橋篤

    ○高橋参考人 お答えいたします。  まず、構造改善事業を私どもは、これは第四次に入るわけでございますが、先生のおっしゃられますいわゆる転廃給付金制度、これは今度第三回目になるわけでございます。これは構造改善事業の中に転廃給付金制度が含まれているものではないと私どもは解釈をいたしております。  構造改善事業は、本来からいけば二千六百者が、理想的にはみんなが生きる道をどうやって探し出すのか、これに尽きるわけでございますが、ただ、戦略的経営の分野を探るという点からいけば、必ずしも五十万以下あるいは赤字の約五十数%の業者がおるわけでございますので、現在の父祖伝来のこの清酒業を続けていって、その企業が本当に将来生きる道として選択する道であるのか、あるいはこういう経済社会の転換、変化の時代において新しい転換の道を探るのも一つの戦略方向であろう。そういうときに転廃を選ばれる方も出てくるであろうから、これはやはり転廃給付金制度というものを設けることが必要であろうというふうに私ども理解をしているわけでございます。  そういうことでございますので、かつてのいわゆる構造改善事業を近代化というのは何か業界の整理をやる事業だというふうな認識は、今日においては、清酒業界の中にはなくなっておりまして、みずからどういう方向を探るか、こういうことでございます。ただ、その新しい転廃の方向を選択をされるときに、やはりインセンティブは必要であろう、そういう声は業界の中にもございまして、とても八百万や一千万じゃやめられない、塩の転廃のときには数千万もらった事例があるじゃないかというような声も、時々議論の中には出るのでございますけれども、片一方で酒税増税しなきゃならぬほど国の財政再建が困難な折に、そういう助成金を要望したって出っこないということは皆さん承知しているわけでございます。そこで、給付金の制度というのは、なろうことならば、残存業者も増税の壁を破って生き残らなければならぬのでございまして、非常に苦しい立場なので、いわゆる残存業者の負担というのはできるだけなくて、国の助成があればこれにこしたことはないわけでございますけれども、一方で増税しなきゃならぬほど国は苦しいわけでございますので、その辺の勘案は先生方の方でひとつ十分に御検討いただきまして、何とか助成の捻出ができればこれにこしたことはない、そうなればまた新しい道を選んでの転廃は明るい方向で選択される方も出てくるであろう、こういうふうに思っているわけでございます。  もう一つは、これは需要開拓の問題でございますけれども、清酒はずっと日本の国酒として二千年の歴史を持ってやってまいっておりまして、今ここで大変需要が沈滞しているという状況でございますけれども、しかしこれも歴史の流れるところでございますので、息の長い努力を続けて私どもはやっていかなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。  余り時間がございませんので、この辺で終わらしていただきます。
  245. 正森成二

    ○正森委員 菅原さんに伺います。  先ほどのお話によりますと、海外持ち込みの三本が限度というのは、先進国並みに制限していただければありがたいというようなお話でございました。私どもも時々海外に参りますが、三本まで持ち込みができると思うと、つい何か買うて帰る。同行の新聞記者などを見ておりますと、友人から頼まれたというようなことで限度いっぱい買うというようなことも見受けられますが、私どもから見ますと、三本程度持って帰るのではそう大きな影響もないのじゃないかという気もするのですが、免税で持ち込むのがどれくらいの量で、それがあなた方の方にどれだけの影響を与えるのかというようなことについて、もし資料がございましたらお示しいただければ、私たちもまた考えさせていただきたいと思います。
  246. 菅原茂美

    ○菅原参考人 お答えいたします。  実は、私ども暮れに、若干陳情書というふうな格好で関係先にお願いした書類がございます。それによりますと、大体海外から入国していらっしゃる方が外人を入れて五百万人ぐらいはあるだろう、その方たち全部というわけにもいかないので、若干本数を削って二・五本ぐらい。それで割合は、どっちかと申しますと、最近、御承知のとおりブランデーの方が多うございます。そのブランデーを、もし仮にオーバーした場合に、例えば四本お持ちになった場合は、一本分については、簡易税率表みたいなのが定まっておりまして、それで一本幾らというふうに税を支払っていらっしゃる。もし仮にその簡易税率表に基づいて全部を取ったとするとどのくらい——取ったと言うと大変失礼なんですが、関税と酒税と合わせた簡易税率表なんですが、そちらの方からいただいたとしますと、大ざっぱに申しまして、私どもの試算でまいりますとざっと六百九十億くらいな数字になるわけでございまして、じゃ、例えば一本にすれば残り二本から取ると四百億ばかりふえるのかと言われると、今度はやはりそうそうお持ちにならぬだろうと思います。ただしかし、御承知だと思うのですが、私、正確な数字でないと思うのですが、例えば一本三万円でお売りになっている「ナポレオン」と称するようなものを、ハワイあたりでお買いになると六千円くらいだというふうなことを聞いたことがございます。それが簡易税率表でまいりますとどのくらいになりますか、高い方でも一万円くらいなものでございますから、大体半値では持ち込めるというようなことになれば、若干はやはりお持ち込みになるのじゃないか。  あるいはまた、もう一つ、国内で販売している高価なウイスキーなりブランデーなりが、あれはどちらかと申しますと飾りみたいにして、高い値段をつけて置いていらっしゃるわけなんですが、それが若干は売れるようになるのじゃないか。ということになると、輸入業者の方の輸入量もふえるし、そしてまた貿易摩擦とかという——入ってこないとよくおっしゃるのですけれども、実は免税で持ち込みの数量というのは全然カウントされてないわけなんです、現在のところ。それで非常に日本に入るのが少ないというふうにおっしゃっているのですが、そこら辺をカウントして考えていただければ、いやもうちょっと日本に入っているよということが言えるのじゃないかというふうな気もいたしますし、いろいろなメリットはございます。  ただ、我々業界としては、やはりそういうふうなのが大量に入り込んでまいりますと、それだけ——メーカー自体そんなに高いのはそうそうはございませんけれども、輸入業者の方あたり、国産大手メーカーというのははっきり申しますとほとんどの方が輸入の方もやっていらっしゃるというふうなこともございますし、やはりできるだけそこら辺は、いつまでも三本、三本じゃなくて、たとえばフランスあたりですと一リッターというふうな制限もあるそうでございますし、そこら辺は先進国、EC諸国並みに少し遠慮してもらったらどうだろうかというのが具体的な説明でございます。
  247. 正森成二

    ○正森委員 ほかに清酒の級別基準等についても伺いたいと思いましたが、時間が参りましたので終わらしていただきます。  先生方、どうもありがとうございました。
  248. 瓦力

    ○瓦委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会