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1984-05-11 第101回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十一日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       尾身 幸次君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    粕谷  茂君       岸田 文武君    高村 正彦君       辻  英雄君    仲村 正治君       野上  徹君    原田昇左右君       深谷 隆司君    奥野 一雄君       後藤  茂君    浜西 鉄雄君       和田 貞夫君    渡辺 嘉藏君       木内 良明君    中川 嘉美君       日笠 勝之君    福岡 康夫君       小沢 和秋君    野間 友一君  出席政府委員         特許庁長官   若杉 和夫君         特許庁特許技監 齋田 信明君         特許庁総務部長 小野 真魚君  委員外出席者         科学技術庁振興         局奨励課長   岡崎 謙琇君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   小沢 和秋君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   田中美智子君     小沢 和秋君     ――――――――――――― 五月十一日  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律  案(長田武士君外四名提出、衆法第二六号) 同月十日  中小企業者官公需受注に関する請願(野田毅  君紹介)(第四四八九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。水田稔君。
  3. 水田稔

    水田委員 今国会に特許特別会計法案が出されまして、特許関係処理事務やり方が大幅に変わるわけであります。これは恐らく出願が大変増大して審査処理が長引いていく、あるいはそれらを、情報サービスを拡充していくというような意味があるだろうと思うのですが、具体的にはどういう長期的な展望に基づいて、どういう手だてで進めていかれるのか、これは大蔵委員会で審議をされた法案でありますが、この後の質問との関連がありますので、恐らく発明協会JAPATICの統合問題というのは、そういった特許事務の大きな変革に対応するものだと思いますので、そのもとになる特許庁の対応がどういう構想によって、どういう形で進められようとしておるのか、まずお伺いしたい、そのように思います。
  4. 若杉和夫

    若杉政府委員 今、先生がおっしゃったような趣旨、つまり出願が非常に多い、審査資料が物すごく累増しておるというようなことで審査が遅延化いたしております。このまま参りますと、現在二年三、四カ月という審査期間が十年後には七年とか八年になるという問題点一つございます。  それから第二に、先生も今おっしゃいましたように、特許情報に対する民間のニーズというものが非常に高まってまいりまして、この点についてニーズに沿ってないという問題点がございました。  それから最後に、これから国際化時代を迎えるわけですけれども、特許はそもそも非常に国際的な制度なんですけれども、国際協力という観点も十分今機能してない面がございます。特に情報面で非常にそのニーズが高いわけでございます。そういう三つの要請に対応いたしまして、特許情報といいますか、特許庁全体の事務コンピューター化といいますか、我々はペーパーレスシステムと呼んでいますが、それを図りたいというのが我々のビジョンでございます。  それで、どういう方法なりどういうビジョンで具体化するのかということですけれども、これはペーパーレスシステムということからもある程度象徴的に言えるわけですけれども、まず最終的な到達段階を十年先というふうに考えておりますが、十年先の段階では出願はほとんどすべてオンラインもしくは電子フロッピーで出してもらう、これがそのままデータインプットといいますか、電子ファイルになります。そして特許庁の場合いろんな方式審査という最初段階チェックがありますが、これもすべてビデオターミナルでやっておる。それから、もちろんそれをチェックいたしまして、いろんな補正とか何かもできるだけ自動起案でやる。  そして次の段階といたしましては、実は公開公報というのが出るわけですけれども、一年半特許実用新案になります。この公開公報も全部、電子出版というのですか、電子出版的なものでやります。もちろん最終的にはそれは紙の形になりますけれども、工程的に言えば電子化されます。電子製版といいますか。  それからその次の段階審査官が先例があるかどうか、チェックするわけでございますが、この膨大な、現在でも五千万点以上の情報ファイル、これが全部電子ファイルになっておりまして、類似のものがあるかどうかというチェックは全部ビデオターミナルボタン操作チェックいたします。もちろん両方を比較してみるのは人間の判断ですから人間が見るわけで、ボタンで自動的に振り分けるわけにはいきませんけれども、所要のデータは全部ボタンでとりあえず出てくる。その出てきたものを人間が判断するということになりますが、そういうようなイメージ審査段階にあります。それからもちろん、その審査の応答もできるだけ自動起案といいますか、そういうようなことになります。  さらにそれを登録いたしますときも、いきなり電子ファイルから電子ファイルへ登録する、登録ファイルというものに登録されてしまうというような一連のイメージですべて電子化するということを考えております。  これは大体十年間に計画いたしておりまして、三年、三年、四年というふうにいろいろな試行期間というか準備期間もありますし、最初の間はデータインプットあるいはソフトの開発というのを主としてやります。それから一部の試行をやります。その次に、一部の試行も引き続きやりながら実際の応用もやります。それから最後は大体仕上げというようなことで、十年計画でそういうコンピューターシステムを完成させたいというイメージで今進んでおります。おおむねのイメージというのはそんなイメージで進めております。
  5. 水田稔

    水田委員 このペーパーレスシステムというのは、行政という立場からいえば大変な変革だろうと思うのです。それから今の科学技術発展という点から考えても、その需要というのは大変変わってくることは間違いない。特許制度そのものというのは、例えば工業権のいわゆる保護である、あるいは発明奨励というようなことなどから、いわゆる日本における創造的な科学発展という、そういう役割を持っておると思うのです。今までと大変違った形で変わっていくわけですが、そういう中における特許庁として、例えば発明奨励であるとか、あるいは特許制度普及であるとか、あるいは情報サービスですね、そういうものはどういうぐあいに位置づけ考えられるのか。  例えば仕事の量からいいますと、もちろん審査ということ、そこから出てくるファイルされた情報が今までよりスピーディーに取り出すことができる。それは大変科学技術については刺激を与えるという点では、一面からいえば発明奨励という刺激を与えることになるわけですね。そういう点では位置づけが、発明奨励というのは、やはりそう言ってもこういうぐあいに考えておる、あるいは特許制度というのはこういう形で普及していく方が全体的に科学技術発展に役立つ、あるいは情報システムはどういう形で情報サービスをやっていくかというお考えもあろうかと思うのですが、そういう点についてどういう位置づけをされてこの大きな変革考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  6. 若杉和夫

    若杉政府委員 ペーパーレスシステムと申しましても、別に本質を変えているわけではないわけでございます。出願があって、発明といいますか、実用新案なり、あるいは特許なり商標なり意匠という形で出願がある。これを認めるか認めないかチェックいたしまして、認めるべきものは認めるというのが一般の流れでございますけれども、こういう基本的な流れは一切変えるあれはありません。ですから、事務やり方といいますか、そういうものは変わりますけれども基本的な権利義務関係が変わるわけではありません。同様に、発明奨励の問題あるいは特許制度普及の問題についても基本的に我々は従来の路線を変える必要はないと思っております。むしろ状況によってはもっと強化したいなと思っております。  同様に、特許情報提供、これはかなり新しい分野がふえてまいります。従来はどうしてもペーパーの形での特許情報提供が主流でございました。今後は一口で言えばオンライン、あるいはバッチということもありますけれども、そういう形での情報提供というのが必然的に多くなるだろうと思います。そしてまた情報量も飛躍的にふえてくると思います。というのは、従来は基本的には紙の形での情報提供でございますが、今度は膨大な資料電子ファイルになっておりますから、いろんな加工ができるわけでございまして、取り出すのも簡単、選別も簡単ということでございますので、情報の方は提供形態が紙から電子化へ、そして量が飛躍的にふえるだろう、こういうふうに思っておりまして、ここが我々のペーパーレスシステムの非常に大きなメリットといいますか、ポイントの一つになると思っております。
  7. 水田稔

    水田委員 変わらないと言われるわけですが、後ずっと質問していきますとどうも変わるんじゃないかという疑念がわくわけです。  そこで、去年の四月の二十六日に特許庁発明協会日本特許情報センター、いわゆるJAPATICに対して再編するようにという要請書を出されておりますね。それは今御説明のあった特許庁のいわゆるペーパーレスシステムに対応する関係団体情報サービスあるいは発明奨励あるいは普及といったようなことをやる体制を新しい体制に見合ったようにしてもらいたい、そういうお考えがあって出されたものですか。
  8. 若杉和夫

    若杉政府委員 一言で言えばそういうことでございます。従来、特許情報関係体制がとかくぎくしゃくしておった経緯がありました。それから、それに加えまして今度膨大な特許情報データ蓄積を行って、それを形態としては電子ファイル化ですから多分オンライン形態で出てくるんじゃないかということを十分予想せざるを得ないというような、量的にも形態的にも非常に大きな変化がはっきり予見されますので、そういうようなことを含みまして特許情報体制整備についてお願いをした経緯がございます。
  9. 水田稔

    水田委員 この要請に基づく、覚書による体制整備というのは、例えば実際には発明奨励特許制度普及というのは金のかかる仕事です。ここから必要な金というのは浮いてこないですね。補助金あるいは寄附金ということで賄わなければならない性格を持った仕事なんですね。情報サービスというのは、これは印刷物でやろうと、いわゆるコンピューターデータを引き出そうと、いずれにしても利用料というのは取れるわけですね。この要請あるいはその覚書を見ますと、情報サービスというのはもう全部別にするわけですね。そうすると、片一方発明奨励特許普及事業というのは、これは財源保証がなくなるわけですね。そういう意味からいうと、先ほどこの要請、いわゆる全体の特許事務の大変革の中で、発明奨励とかあるいは特許制度普及というのは特許庁の姿勢が変わってくるんではないかということを私はお伺いしたんですが、それはそうではない、全く変わらないと言うのですが、この特許庁要請に基づく覚書両方を見ますと、まさにこういう点では特許事務の中で重要な役割を果たす発明奨励普及事業というのが非常に軽んぜられる、財源保証もないような形で切り捨てられるのではないかという疑念がわくわけですね。その点はいかがなんですか。     〔委員長退席浦野委員長代理着席
  10. 若杉和夫

    若杉政府委員 その要請の中でも二つの点を申し上げたいと思います。  一つは、要請の中でも、両団体が新しくできるであろうものにお互い経済面でも人事面でも協力してやるという趣旨のことが書いてありますが、それはともかくといたしまして、我々といたしましては、両団体は対立するものではなくて、お互いに補完し合っていくものだというふうに基本的に考えているわけでございます。したがいまして、確かにおっしゃるとおり発明奨励というものでは余り収益源にならない面があります。もちろん研修事業とか出版事業は一部なり得ますけれども、しかし大きな支えにならないことは確かです。したがって、財政的にきちっと立ち行くということが、はっきり申し上げまして我々の指導方針前提でもありますし、それから、我々の指導方針というものを支えている両団体意思といいますか、トップの意思というものも、もちろん全部その二団体がうまく繁栄するということを前提にしてできていると思います。それはもう私自身がそうでございます。特許庁方針自身がそうです。ですから、決して軽んじたり発明奨励が縮小するといいますか、先細りになるということを是認しているということは絶対にあり得ないので、それがないということを前提に進めようということで、今先生のおっしゃった疑念がないということを前提に我々は当然考えているというふうに御理解願いたいのでございます。
  11. 水田稔

    水田委員 疑念がないと言われますけれども、例えば発明協会に残るのは、いわゆる発明奨励特許事業普及という仕事しか残らない。片一方発明協会のいわゆる情報サービスJAPATIC情報サービスをとにかく一つにするという。これは恐らく事業量は幾可級数的にふえていくでしょうね。経営基盤もそれはしっかりすることは間違いないわけです。これは別の団体ですから、発明協会社団JAPATIC財団ですね。ですから、その性格も違うわけですね。違うもので例えばどういう形でそれを財政的に心配ない、相互に援助するといったところで、いいですか、性格の違う団体がどういう契約を結ぶか知りませんけれども、初代はいいですよ。人がかわってくれば、本来の目的が違うものが、なぜ何もないのに金を出さなければならぬか。あるいは企業発明奨励について寄附をするというのは、それはやれるときとやれないときで、やってもやらぬでも自由ですけれども、片一方から来るという保証がなければ、これはもうまさに財源的な保証がない、仕事ができなくなっていく。だから、その点を私は特許庁も、そういう事業については変わるのかということで聞いたら、変わらぬと言うのですね。だから、その点では保証にはならないわけですね。疑念はないと言われても、具体的な保証というのは一体何でされるのですか。
  12. 若杉和夫

    若杉政府委員 これは、まず冒頭申しましたように、仮に新しい団体ができた場合において、両団体は対立するものではなくて連携し合っていくものと我々は基本的に考えております。  それから第二に、はっきり言いまして、今の両団体もそうですけれども、特許庁と非常に深い関係があるわけです。通常社団法人財団法人主務官庁という一般的な関係は当然あるのですけれども、それ以外に非常に大きなかかわりを持っているわけです。はっきり言えば、こういう言い方はちょっとおかしいのですけれども、特許庁一緒に物を与えて一緒に行かないとやれないぐらい、事業的にも非常に深い関係お互いにあるわけです。そういう意味で、特許庁としては当然でございますけれども、発明奨励をきちっとやっていかなければいかぬわけです。これはもう断言いたします。  したがいまして、先ほど申しましたように、それを前提にして我々はこの問題を考えていますから、具体的にどうするかという問題については今両団体で議論をしてもらっているわけでございまして、私の口からこれをこうすればいいんじゃないか、ああすればいいんじゃないかと言うのはいかがかと思いますけれども、いずれにしても、その両方がうまく立ち行くということが前提になっておることははっきりしておるわけでございまして、そしてまた、特許庁が不退転の決意でそこをやるという以上、ちょっとおこがましいのですけれども、私はこの問題につきましては相当な保証だと思っております。そういうふうに私は理解しております。
  13. 水田稔

    水田委員 そう言われたからといって保証があるかどうかというのは、私はやはり疑念が残ると思うのです。例えば発明協会通産省科学技術庁共管JAPATICの方は通産省ということになるわけですね。指導監督する権限は限界があると思うのです。ですから、今言われたように、普通の団体とは違って非常に特許庁との関係が深いから、金の問題でも相当、心配ないようにしろと言えば聞くというような御答弁のように聞こえるわけです。例えば最後でどっちかマイナスになる方が切られたときに法的には文句は言えないというようなことになる。例えば話について保証人特許庁長官が判を押して、この金は未来永劫出すんだぞ、そんな話は表ではできぬでしょう。表でできる特許庁の両団体に対する指導監督権限というのはどこまでなんですか。それが今答弁されたところまで含めて、金の問題は心配ないというところまで指導監督権限があると言われるのなら私もそれで納得しますけれども、いかがですか。
  14. 若杉和夫

    若杉政府委員 それはおっしゃるとおり、先生のそういう立場で言われると、確かに保証はないと言えばそれは言えるかもしれませんけれども、何せ発明協会、宮様を奉戴しまして八十年の歴史があるわけです。現実を見ていただければ絶対に存続すべき存在としての歴史といいますか、これは一つの証明になってくると思います。今までだって別に絶対の存在という法的な立場ではなかったです。  それから同時に今後を見ますと、じゃ現状のままでどういう保証があるんですかと聞かれますと、これもはっきり言って、理論的に言えば全く保証はないわけでございますね。将来にわたってどうなるか、特許情報オンライン化がどういくのか、紙の情報提供がどういうふうになるのかということについて大きな変動があるわけですね。我々としては、それをただ客観的に言えば、むしろそのような大変革の方が非常に不安定だと思っておるわけです。その辺の関係をきちっとして、相当長期にわたりまして実際的にもまた形式的にも安定した基礎の上に発展できる基盤をつくりたいという希望も実は同時に持っておるわけでございます。  ちょっとお答えになっておるかどうかわかりませんけれども、確かに法律的な意味判こをつけるのかとおっしゃいますと、そうはいかないと思います。過去の歴史、やっている事業、そして今後の我々のさらに特許情報に対する深い関与ですね。はっきり言えば、我々の特許情報データがある意味では財源といえばすべての財源になるわけです。これは我々の特許審査のためにつくる特許情報データですから、そういうものを我々持っていますから、我々としては通常の、普通の財団法人社団法人との関係とは全然違う立場に我々があるということで、それは一〇〇%保証できるのか、サインできるのかと言われますと、ちょっと困りますけれども、歴史的に見ても現実的に見ても、その点は相当自信を持って臨んでおることは確かでございます。
  15. 水田稔

    水田委員 どうも明確でないわけですね。通産省行政指導というのはよく言われることです。これは外国から文句を言われる場合もありますが、似たようなことなんで、法的に詰めるとそれはそういうものはない、当然だろうと思うんですね。それで、じゃ発明奨励特許制度普及というのはこういう変革の中でも特許庁としてはこれからもなお重要な仕事として考えておる、その業務を行う団体については、財源の問題については特許庁としてもそれは保証まではできないけれども、財源の問題を含めてその仕事ができるような十分な努力をしていく、そういう立場でこの両団体に対する要請書を出したというぐあいに理解してよろしいですか。
  16. 若杉和夫

    若杉政府委員 努力をしていくよりさらに強いと思います。財政的に立ち行くというのが前提になっておると思います。
  17. 水田稔

    水田委員 科学技術庁おいでいただいておると思いますが、この発明協会については、先ほども申し上げましたように、科学技術庁特許庁共管ということであります。情報サービスの問題は特許庁専管ですからいいんですが、私が先ほどから質問したように、日本科学技術、今開発途上国から追い上げられて、これからさらに先端技術分野で生き残っていくという点からいえば、日本国民のいわゆる創造性を高めていく場面というのは大変強い、ますます必要なことだろうと思うんです。そういう中で日本先端科学技術を振興しておる科学技術庁として、私は、財源を含めてこの両団体の統合という問題の要請書が出されて結ばれた覚書というのは、どうしても発明奨励という分野心配だという気持ちでお伺いしたわけですが、今のような答弁です。これは科学技術庁大変関係の深い問題で、独自の予算も組んでこの発明協会に出しておるというような役所ですから、この問題について今までどういうぐあいに経過を聞かれ、そして、今私が質問したようなことについて科学技術庁発明奨励という問題について心配をしてないのか、どういうお考えを持っておるか、お伺いしたいと思います。
  18. 岡崎謙琇

    岡崎説明員 科学技術庁奨励課長でございます。  ただいま御質問の点でございますが、科学技術庁といたしまして、科学技術を推進する観点から、発明奨励活動というのは今後ますます重要になってくる、かように考えております。  この発明協会発明奨励を推進する機関の一番中核的な役割を以前から担っておりまして、非常に歴史のある団体でございます。科学技術庁といましましても、以前より発明協会における発明奨励活動の推進のためにいろいろな指導をしてきたわけでございまして、現在特許情報等に関する業務再編成問題がございますが、科学技術庁といたしましては、発明協会発明奨励活動が今後ますます発展するように指導監督してまいりたい、かように考えております。
  19. 水田稔

    水田委員 科学技術庁は、私が心配しているのは、発明奨励について財源保証は、例えば役所として保証するということはあり得るという言葉を使われても、保証するということは言えないわけですね。だけれども共管している団体ですから、そういう点では、例えば表で文書にできないにしても、省庁間で発明協会発明奨励事業については十分な活動ができるような財源的な裏づけはするとか、そういう話し合いはないのですか。片一方では両団体で進んでおる。特許庁の方は財源的な心配はない前提で話が進んでおる、こう言われるわけですね。例えば、科学技術庁共管団体ですから、特許庁は具体的にはどういうようにやられるのですか、そういう両省間の話というのはないのですか。     〔浦野委員長代理退席委員長着席
  20. 岡崎謙琇

    岡崎説明員 ただいま御質問の、この両団体の再編成に伴います財源問題等につきまして、まだ特許庁と具体的に相談していることはございません。ただ私どもは、この問題のもともとの契機でございます特許庁昭和五十八年四月二十六日付の「特許情報事業の一元化について」の指導方針におきましても、「発明協会と新団体とは、それぞれ相手方が、その事業を円滑に成長発展させることができるよう、経営財政面相互援助を行う。」ということが明記されておりますので、科学技術庁といたしましては、両団体におきましてこういった覚書を中心として、それがどういうふうに実現化していくかということにつきまして、非常に重大な関心を持って現在見ているところでございます。また、この両団体における検討の経緯等につきましては、発明協会を通じまして詳しく聞いているところでございます。
  21. 水田稔

    水田委員 両団体の話を発明協会を通じて聞いておるだけで、科学技術庁は両団体の統合の話は出してないわけですね、要請しておりませんね、特許庁がやったわけですから、共管した団体について。それならばこの事業発明協会の中の共管だけれども、情報サービスの方は関係ないですね、指導監督で。だから所管しておる部分について、心配ないようにしてくれということは言うのが当然じゃないですか。発明協会から聞くだけで安心ということにはならぬのじゃないですか。その点いかがですか。
  22. 岡崎謙琇

    岡崎説明員 昨年四月二十六日に両団体における覚書が交わされたわけでございますが、その後におきまして、覚書における両団体経営財政面における相互援助が十分行くようには、科学技術庁としても特許庁に対して要請しております。
  23. 水田稔

    水田委員 これまでお伺いしたのは、要請覚書に基づいて新しく再編するという前提に立った質問をしたわけですが、これは本来言えば全体を一つでやってもおかしくない仕事ではあるのです。ただ性格的に、一方は社団でやっておる、一方は財団でやる。性格的に営利が片一方はつくものですから。そういうことでなかなか両者の間の調整というのは問題があったようで、昭和五十一年から五十二年にかけて分野調整をした。というのは、片一方は印刷物での情報サービス片一方情報を加工する、そういう分野調整をそこでやられたと思うのですね。ですから、そういう点からいえば今の社団財団という形で、そして情報サービスというところはダブるが、加工ということと、それから販売という、そういう分離をやったわけですね。そして今、既にコンピューターは部分的には使われておるわけですね。それが特許庁事務そのものから全部が変わってくるということですけれども、そういう中で分野調整ができておるものを改めてまた編成がえをするという必要が一体あるのかどうかという疑問もあるわけですね。ですから、確かにダブった面を持った両団体、しかし、性格の若干違う団体の中での調整ということは常に同じ官庁の監督下にある団体としてはありがちなことなんですね。そういう中で既に調整をされておるものを、なぜまたこの段階で再編成しなければならぬのかという点では疑問があるわけですね。なぜしなければならぬのか、そこでちゃんとできたものをここで改めてまたしなければならぬという理由は一体何なのか、お伺いしたいと思います。
  24. 若杉和夫

    若杉政府委員 理由は二つの方向から出てきたわけです。  一つは、客観情勢が変わってきたということです。大ざっぱに言いますと、従来の調整というのはコンピューターを使ったオンラインあるいはバッチサービスということはJAPATICがやる、それから紙の形あるいはそれをコピーする形のものは発明協会が行う、そして同時に、JAPATICのやったオンラインサービス等の販売は発明協会が行う、こういう大ざっぱな整理をしておったわけでございます。そこで問題は、こういうふうに従来に比べまして想像以上に現在でもオンラインが伸びているわけでございます。オンラインニーズというのが伸びている。そして、また同時に、紙の情報提供という形も、膨大な紙の量でございますから、その分類とか何かということになってくると、どうしても企業形態的に物を考えますとコンピューターシステムを入れたくなるわけですね。単に紙の情報だから紙で作業員が分類しているというのは余り合理的でなくなって、紙の情報でもコンピューターを使わざるを得ない。ところが従来は、コンピューターはこっち、ノンコンピューターはこっち、こう分けていたものが、現実的には、御承知のようにコンピューターが安くなったり進展してきましたので、両方コンピューターを使わないとうまくいかないのじゃないかというのが現に出てきました。それは五十一年のラインから言うと大分違ってくる話になります。それが第一です。  それから第二は、やはり両方で競合している面があります、紙といい、データベースといい。結果は、はっきり言いますと紙で出てくる面もあるわけです。したがいまして、だんだん精緻にやっていくと両方で競合してしまうわけです。競合していきますと、そこに従来は相当深刻なトラブルが出てきておったことは事実です。こちらがやればこちらがおかしくなるとかいうこと、そういうような競合関係が激化してきたというのが第二でございます。  それから第三に、さはさりながら、今度の特許庁コンピューターシステムペーパーレスシステムに伴いまして膨大な情報データインプットされるようになります。したがって、その膨大なデータインプットはみんなコンピューター処理のものですから、それを従来の、五十一年のラインでいくと、どうしてもJAPATICの方へ行ってしまうわけですね。そうなりますと、現実に紙だ、コンピューターだといっていても、五年先、十年先の結果はこっちへ、JAPATICの方へものすごくシフトしてしまうというような客観情勢の変化、これも考えられます。  以上のようなことを総合的に考えると、これはとても紙とコンピューターで分けていたのでは、将来の需要家に対するうまい、十分なサービスができがたくなってくる、分けにくくなってくる。そして、それに余り固執していきますと、片一方は伸びて片一方は伸びなくなってしまうというような事態も予想されざるを得ないわけでございまして、その辺も含めまして、両団体あるいは両方の、我々としては両方発展してほしいと思っていましたし、これが発明奨励も含めて、特許情報提供発明奨励、それから制度普及あるいは研修という四つぐらいの柱が両団体にあるわけですから、それがうまくハッピーに両方いくためにはどうしたらいいんだろうかということを真剣に考えた結果出てきたわけで、私どもとすればこれは必然じゃないだろうかという感じで処理しているわけでございます。
  25. 水田稔

    水田委員 そうしますと、普通の会社の合併なんかは、伸びる事業、それから縮小していくようなもの、これがやる場合には、大体伸びるところがこっちを吸収するようになりますね。ところが、ここでは伸びると考えられる、幾何級数的に仕事量が伸びていくど考えられるJAPATICを解散するという考え方がある。一体それはなぜなのだろうか。分野調整と財源の問題なら、五十一年のときに論議をしたのも、それから今も、質的にはやり方が変わりますね、コンピューターを大量に使っていくというやり方、それから印刷物が減っていく。そういうことはあるにしても、組織的にJAPATICを解散しなければならないという理由は一体あるのかどうか。  それから、これは財団ですが、もし解散するとしたら法的にはどういう手続をされるのか。  それからもう一つは、今ずっと御答弁いただいたようなことを特許庁でもいろいろお考えになったのだろう、そういう検討もあって特許庁自身の特別会計で新しい全ペーパーレスシステムというのは検討されてできたものだろうと思うのです。ところが、それに対応するものだろうと思われるのですが、特許庁は両団体について、普通の団体以上に大変強い指導監督権限があるというお話があったのですが、五十五年から五十六年にかけて両団体の統合、それは一番わかりやすいと思うのですね、しかし、実際には話し合いがされたけれども、立ち消えになってしまった。それは一体なぜ立ち消えになったのか。今その話というのはもう全然消えてしまってなくなっておるのか。今両団体で話をしておる中ではそういった話まで進展する余地があるのかないのか、そこらあたりはどういうようなぐあいにお考えになっておられますか。
  26. 若杉和夫

    若杉政府委員 なぜ成長力の高いと思われる団体を解散するのかという点でございます。  率直に言いまして、ここにも我々として両団体立場とかいろいろな配慮というものを考え経緯がございます。つまり考え方としては、発明協会の方が自分の新しい財団をつくって、そしてそれにJAPATICというものを吸収するということ、それは現状段階におきましてはやはり発明協会の方が職員の数も多いですし、それからいわゆる売上高も多いわけでございます。そういう意味で、将来は別としましても、現段階ではそういうことで、発明協会の方が主体になってつくって、そしてそれにJAPATIC一緒になるという形の方がいろいろな意味で円滑にいくのではなかろうかというふうに考えたわけです。  解散の手続は事務的なことでございますので、通常の解散の手続に従って理事会の決議とか何かでいけると思います。  そしてこれは、くどいようですが、あくまで両団体相互密接不可分な関係、もちろんそこに特許庁も入りますとさらに色濃く密接不可分な関係になりますが、そういうことで、永遠に繁栄していただきたいという我々の願いも含めて、発明協会がつくる財団法人に吸収されるようにというふうに考えた背景が、ちょっと説明が十分じゃないかもしれませんが、気持ちはそういうような感じがあったことは否めません。  それから両団体の統合というのは、完全統合のことだろうと思いますが、これは特に五十六年に大きな声になったというふうには私理解しておりません。絶えずそういうような議論が一部にあったことは言えると思います。ないということもないと思います。しかし、大きな流れとして完全合併をするべきだというような議論に五十六年、五十七年当時なっていたことはございません。  それで、両団体の完全統合という意味については、先ほど先生がおっしゃったように、いろいろな背景がありました。つまり発明の奨励あるいは普及というような非常に公益性の高い事業、宮様を奉戴しているような事業、八十年も歴史が続いているような事業、そして特許情報というような、ある意味では民間と競争してもやっていかなければならない事業、そして非常にダイナミックな展開をしていかなければならぬ事業社団法人財団法人との関係、その他いろいろな配慮といいますか、いろいろな方面から考えまして、我々としては現在のようなやり方が一応ベストウエーではないか、こういうふうに判断しておるわけでございます。
  27. 水田稔

    水田委員 そこで、再編成の目標を六十年の三月末、こうしておるわけです。これは去年の四月二十六日に出されているわけですから、もう一年たっているわけですね。一年間どういうぐあいに進んだのか、疑問に思うわけですが、恐らく特許庁のペーパーレスの進展、三、三、四ですか三、四、三ですか、そういうことに合わせた要請の期日というものがあったと思うのですね。それが現在、一年間でどういうぐあいに両者の合同委員会ですか、協議が進んでいるのか、特許庁の方でつかんでおられる情勢を聞かしていただきたいと思います。
  28. 若杉和夫

    若杉政府委員 事務的には何回もそういう協議の場をやっていると思います。私どもの方は、そういうことで、一応その両団体、私の方でも賛成して進めているわけですから、微妙なところもありますから、役所の方が先に出て、こうしたらどう、ああしたらどうと言うことはできるだけ控えようということでこの一年やってきました。結果はどうであるかといいますと、余りはかばかしい進展がないということも、議論はかなりいろいろな立場でしましたけれども、じゃ結論的な、こうしよう、ああしようという結果としての進展というのはまだ出ておりませんと聞いております。したがいまして、私どもとしてはこれをできるだけ早く促進してほしいという要請を今いたしておるわけでございます。
  29. 水田稔

    水田委員 そこで、要請覚書の調印された日は全く同じなんですね。これは特許庁としては、五十一年、五十二年のときにも仕事分野でいろいろ取り合いのようなことがあったのだろうと思います、で、分野調整をされた。五十五年、五十六年のことは余り大きな声にはならなかったと言われるけれども、あったことは私は事実だろう思いますね。常にそういうことが続いておる両団体が、ある日突然、特許庁が四月二十六日にこういうぐあいにやれと出すと、はいやりますとその日に調印できる。これは、今まで何にもない、非常に友好的にやり、そして常に一緒にした方がいいというのがずっと続いてきた団体が、ある日、じゃあ形式的にはお役所がそういう要請を出していただければこうできますよ、こう言うのならばわかるのですけれども、長い歴史を見てみますと、そうはなかなかいかないのがそういうぐあいに調印されておる。どうも私どもは何だろうかなと、一般常識としては信じられないことがそこに突然起こっておる。  そして、団体ですから当然そこには意思決定機関というのがあるはずなのですね。内部手続が、やり方はいろいろあるかもしれません、頭からやっておいて内部手続をするのと、内部的にある程度の根回しをした上、正式決定は待つとしても、両者が協議をして調印をした上で正式な内部的な手続をやるという、いろいろなやり方があると思うのです。しかし、それにしてもこれは唐突な感じを受けるわけです。ですから、例えば発明協会では内部的にはまだ手続は終わってないのじゃないですか。この覚書の承認ということですか、それはいかがなのですか。  どうもその点では疑念に思うのは、続けて申し上げますが、これは新聞報道ですから否定されるかもしれませんが、監督を受けておるお上の言うことに逆らってこの団体存在は許されるかと言って役員に一喝したという会長の話などが新聞で報道される。根も葉もないのだったら、これは特許庁は迷惑だと言って、書いた新聞社に抗議を申し込まなければいけないと思う。これは大変大事なことですから、その点についての御答弁をいただきたいと思います。
  30. 若杉和夫

    若杉政府委員 過去にいろいろな対立関係があったことは今先生御指摘のとおりでございますが、率直に言いまして、私が赴任しましたのが約二年ほど前でございますけれども、全力を挙げまして実は、仲よくやっていこう、両方みんな成長していく事業を持っているのじゃないか、こんなことをしていたんじゃ結局両方ともうまくいかないし、俗に言えば下手やると漁夫に利を取られるよ、しかも、この分野というのは非常な成長性があるじゃありませんか、現在特許情報、百億マーケットと言われているのですが、十年先には一千億マーケットになりますよ、これは話半分としてもえらい話ですよ、こういうときにそういうことがあっては需要家の皆さんにも悪いし、お互いが、第一はっきり言えば御損じゃありませんかということで、私、赴任以来ずっと努力したことは事実です。  その結果、率直に言いまして、執行関係の衝に当たる会長あたりとはわだかまりは全くなくなっておりまして、そしてまた、この再編成問題も、内輪を言いますと、何も役所がある日突然天下りでこうしてくださいということをやったわけではございませんで、その前に十分いろいろなディスカッションをいたしまして、はっきり言えば非公式にも会いましたし、いろいろ話し合いもいたしました。そしてお互いに、それじゃこういう方向がいいですなというようなラインが浮かび上がってきたものですから、やらせていただいたわけでございまして、そういう意味で直ちに反応があったというのは、私どもの方はちっとも不思議に思っていないわけでございます。  それから、手続の問題でございますけれども、率直に言いまして、大きな団体でございますのでいろいろな人もいるし、いろいろな意見もありますし、短時日にその結論をまとめるのは難しいような客観情勢でございました。しかし、真摯な議論、まじめな議論といいますか、まじめなのは当たり前でしょうけれども、議論をいたしまして、この方法がいいのじゃないかと考えて、手続はその後にとるという方針で臨んだことは確かでございます。  現実には去年の四月にそういう話がありまして、五月に理事会があったと思いますし、六月には総会があったわけでございますが、そこでも趣旨は話しております。私の承知している限り、その趣旨を話した段階で了解を最終的にとったということではありません。というのは、具体案がまだありませんでしたから。しかし、その趣旨段階で、趣旨について大きな反対があったとは私は聞いておりません。したがいまして、最終的には具体案を整理いたしまして、理事会なり総会に社団法人の場合はかけるべきものであります。財団法人の場合は当然理事会でいいわけですけれども、そこにかけて最終的に決めるわけでございます。そういう意味では最終的な手続が終わっている状況ではないことは当然でございます。
  31. 水田稔

    水田委員 特許庁としては奇異に感じないというのですが、私らは聞いてみて、どう考えても奇異に感ずるのです。私どもが聞いておるのでは、発明協会は、去年の覚書が調印されるまで、職員ばかりではなくて役員、会員、ほとんどだれも聞いていない。その中で、覚書は会長、そして確認書は、そのときには理事でも何でもない人が発明協会を代表して署名されておる。これは奇異に思わぬ方がおかしいですね。例えば会長、理事長がおって、普通の理事がおって、常務理事というのがおられるのですか、事務局長というのか専務理事というのが普通の団体ならあるのでしょうが、それにかわる人が会長を補佐してかわりに確認書へ署名したというのなら、私どもは、ああそうかな、こう思いますけれども、全く役員でも何でもない人が出てきておる。しかも、それまで働いておる人にも役員にも全く話がないままに判を押されておる。そして今、覚書というのは合併のための基本条約ですから、国でいつでも、それは国会の承認を得るのですね。具体的にはそこから、それを承認した上で詰めて、法的な手続としての解散なり定款の変更なり、いろいろな手続をやるわけでしょう。だから、そういう点からいうと、きょう現在まで基本的な方針さえまだ発明協会では承認されていないということでしょう、今の答弁からいうと。そういう点はどうなんですか。  例えば、今言われましたけれども、四月の二十六日、特許庁要請を出された、両者が判を押した、その日まで発明協会の中では役員も職員も全く知らないままにやられたということは、特許庁はどういうぐあいに判断されておりますか。それは知らぬのが悪いのだ、あるいは内部問題でおれたちがどうこう言う問題じゃない、こういうぐあいにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 若杉和夫

    若杉政府委員 そこにつきましては、我々の立場からいえば、両団体のトップが賛意を表しておるわけで、我々のパイプとしては、そこで十分なわけでございます。  内部の問題は、実は内部がどうなっているか、我々はせんさくするわけにはいかないですけれども、密接に我々も関係しておりますから、ある程度の見当はもちろんついてはおりました。率直に言いますれば、いろんな議論はありましたけれども、まだ相当いろんな意味で、こういうものについての反対といいますか、意見が強かったという面も歪めるわけにはいかないというふうには想像しておりました。しかし、これは合併の調印といいましても、一つ前提つきの調印でございます。したがって、前提が成就した場合に成り得るというものでございまして、いろんなケースが間々あるわけでございます。そういうことで、それ自身が仮に内部の十分な了解を得ないからといって、合併の方向について会長がサインをするということ自身がそれほど荒唐無稽なことではないと我々考えているわけでございます。
  33. 水田稔

    水田委員 ずっと最初から答弁を聞いていまして、非常に関係が深い団体だ、ほかのものとは違うんだ、そうすると、一喝したという新聞報道が信じられるような一また内容をずっと聞いていますと、例えば金の点についても、発明協会には心配ないと言うけれども、団体の内部のあれが、例えば去年の四月二十六日に覚書を結んで、きょう現在、まだ具体的なものができてないということを見ると、それは基本的に大事なことさえ、場合によったら特許庁へ言っても聞いてもらえないかもしれないという、質疑をしておって疑念が残るわけです。どうなんですか。新聞に書いておることを認めるということはなかなかできぬでしょうけれども、それに近い強い指導ができるとやはり自負されておるわけですか。
  34. 若杉和夫

    若杉政府委員 これは我々の立場から言って、何といいますか、強要的な指導をするという気持ちは全くありません。ありませんが、客観的に言って、非常なかかわりがあるんで、そういう立場で受けとめられるケースもあり得るじゃないかということは認めざるを得ません。その事実関係として非常に密接な関係があります。しかし、我々の立場として、それを利用して、強要したりする気は全くありません。これは言えると思います。  それから、新聞に言われているようなことがあったかどうか、私は率直に言って知りません。今現在聞いてもおりません。ですから、その点についてはちょっとお答えができにくいわけでございます。  それから、財源的にできるのにいまだに何もしてないというのは、我々できないからその具体案をあれしてないということではございませんので、あくまで両団体の話し合いで出てくれば一番いいものですから、我々としては、役所の方からこうしたら、ああしたらということは今積極的に言う段階にないということでございます。
  35. 水田稔

    水田委員 ちょっと方角を変えて質問しますけれども、特許庁の出しております「ペーパーレスシステムを中心とした総合的施策の展開」の中で、極めて重要な幾つかの項目の中に「これらの情報の中小企業への提供、地方への展開等を図っていく。」これは特許事務という立場から言えば極めて大事なことだと思うのですが、現在、実際にはJAPATICには地方の出先というのはないわけですね。発明協会は四十七の支部を持って、そこで、特に大都市にある中小企業は別として、地方の中小企業に対するいわゆる情報サービスというのは、それが中心になってやっておるわけですね。  この情報サービスが全部新しい団体に吸収される、一体出先ほどうなるのかということになるのですね。ですから、情報サービスを充実するということ、あるいは発明奨励をすること、あるいは特許制度普及していくというような仕事は、もちろんすべての仕事は東京じゃなくて、地方におられるそういう人たちが中心になってこれからなお充実していかなければならぬという点で、方針としては、特許庁そういうように持っておられるのですが、この団体が再編されることによって、一体地方における活動はどういう形態をとるのか、どういうぐあいにお考えになっているか、お伺いしたいと思うのです。
  36. 若杉和夫

    若杉政府委員 これも基本的には両団体の話で出てきた方がいいと思いますけれども、私のイメージとしては、やはり今先生おっしゃいますように、地方の拠点というものが大事だと思うのです。特許情報のかなりの部分がオンラインで行くことも事実でございますけれども、同時に、拠点というものがなければぐあいが悪いんだろうと思います。そういう意味で、私は前々から申し上げているように、この両団体というのは別に対立とか競争する関係じゃなくて、協力する関係にある。また当然そういう前提考えているわけでございまして、そういう意味で、お互いに補完していく面があってもよかろうじゃないか、かように思っているわけでございます。
  37. 水田稔

    水田委員 いや、そういう関係にあるけれども、じゃ具体的に、もちろん両団体で協議をするのでしょうけれども、どう変わるかと言ったら、まだ全くアウトラインも出てないわけですね。中央のことはいいです。地方の出先というのは一体どうなるのか。特許庁も地方における情報サービスを強化していこう、あるいは地方に存在する中小企業というのは東京へはなかなか出てこれぬわけです、オンラインでつながれば、VANでつながれば別ですけれどもね。そういう変革もあるわけですね。そういう中で、例えば中央で全部コンピューターでやるんなら地方の出先は要らぬ。今印刷物がばさっと行ったのはなくなる。東京へVANでつないでコンピューターでやれば地方の中小企業も全部とれるじゃないかということなら要らなくなるのですね。そういう点について、地方と中小企業情報サービスを強化していくというお考えをちゃんと持ってペーパーレスを進められておるわけでしょう。  そうすると、その組織の再編をやりなさい、こう言って要請を出しておるのなら、その再編で地方に現に働いておる人は一体どうなるのかという不安もあるわけですが、それはどういうぐあいにお考えになるのか。ある程度の基本的な考え方ぐらいは、例えばそれは情報サービスだけになるんであれば、冒頭に申し上げましたように、いわゆる発明の奨励ということは地方ではできなくなる。それだけをやるのならまた全然変わってくるわけですね。中小企業と地方に対する情報サービスが落ちてくるわけですね。両方がそこではやり方によっては落ちてくるわけですね。そういう点は特許庁としてはどうした方が、ここに書いてあるような情報のサービスが充実できる、あるいは発明奨励が地方の中小企業でも十分恩典が受けられることになるのか、それをどういう形でやるのがいいとお考えになっておるのか、お考えを聞きたいと思うのです。
  38. 若杉和夫

    若杉政府委員 この問題は両団体で話していくべきだと思うのですが、私は、あえて申し上げれば、これは発明協会の地方の支部というのは発明協会の特徴の一つでございまして、各支部に根をおろしておる、これとタイアップしていくということは、発明奨励の方は当然でございますね。同時に、特許情報の方もこれとタイアップしていくということが、一応な、アバウトな考えとしてはよろしいんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  39. 水田稔

    水田委員 特許庁では、ここに書いてあるわけですけれども、実際やるのは両団体で話をして決めてもらって、それがやれるようにやってもらいたい、そういうことですか。特許庁が地方にそれほどの出先を持っておるわけじゃないのですからね。ペーパーレスをする中の重要な課題の中には、中小企業、地方に対してサービスを十分できるようにする、こううたっておるわけですね。  ならば、例えば極端な言い方をすると、発明協会JAPATICをのけてやるんなら、全部コンピューター化していく。出願から何から全部やるわけですよ。極端に言えば、加工は別にして、そのままの生のデータをとろうと思えば、これから通信情報関係変わってきますからね。VANでつなげば、地方の中小企業でもボタン一つ押せば、つなぎさえすれば、特許庁の中のコンピューターから情報がとれるわけですよ。そういう形になってしまうのかどうか。あるいはそうなると、今度は発明奨励は一体どうなるのかという問題が、地方では出てくるわけですよ。それに対する考え方くらいは、やるのは向こうが、両団体がやるんですということでは済まない問題なんですよ。ここにちゃんと麗々しく、これは何もJAPATIC発明協会が書いたんじゃないんです、特許庁がペーパーレスを進める中で、こういうことを課題としてやるんだと、こう書いてあるんですよ。それをやるためには具体的にはどういう形でやるんですかということを私は聞いておるわけです。
  40. 若杉和夫

    若杉政府委員 一つは、全国七十数カ所に実は資料の閲覧所というのを、発明協会とはまた独立して、我々は持っているわけです。そこと特許庁自身オンライン化ということも、当然考えています。  それから同時に、発明奨励への拠点として、また研修その他制度普及の拠点として、そしてまた、新しい高度の情報加工の一つの拠点として発明協会の現在の支部を考えていきたいというのが、我々のアイデアでございます。  もちろんそのほかに、実はそれだけでいいのかという議論もあろうかと思います。というのは、そういう拠点というのは、多くあれば多い方がいいという面もあります。それについては、まだ今具体化していませんけれども、それで十分でなければ、また新しい拠点を考えていくことももちろん頭の中にありますけれども、そこまでは今現実化しておりません。つまり、現在の七十の閲覧所、それと発明協会の支部、これを拠点として特許情報の伝達を流していきたい。もちろん発明奨励の方は別途活用さしていただくということになると思います、基本的なラインは。
  41. 水田稔

    水田委員 今のあれは、特許庁コンピューターとストレートにつなぐわけじゃないんですよ。だから、それを加工して持つのは、恐らく今でいうJAPATICが持っているわけですね。新しくできる財団が持つ。特許庁情報を加工したものをデータとしてインプットしたもの、それが今言った閲覧所的なところ、あるいは地方の発明協会の支部とつながるというぐあいに理解した方がいいですね。特許庁コンピューターで直につながるんですか。受け付けはやるでしょうけれども、情報提供まで特許庁コンピューターでそのままいくわけですか、どうなんですか、それは。
  42. 若杉和夫

    若杉政府委員 特許情報に大ざっぱにいって二つあると思うんです。  一つは、事実上無料に近い形で二枚の資料を、紙の資料というのは事実上無料で見れるわけです。そういういわゆる主情報というんですか、これは場合によっては特許庁のCPU、つまり中央計算センターから地方の閲覧所へダイレクトに連結するというふうに今のところ考えています。  それから高度加工した情報、これは一応新団体に送りまして、新団体が場合によっては企業とはオンラインの直結になりますし、それからオンラインでも中小企業のある種のものはいけると思いますが、オンラインの直接契約、そこまでいけない中小企業もあります。そういうところについては、発明協会の支部、あるいは場合によってはもうちょっと多い方がいいと思うのですけれども、そこも支部の傘下にするかしないかとかいろいろな問題がありますけれども、そういう個別の企業へのいきなりオンラインと拠点的なオンラインと両建てで高度加工の方はいく、こういうふうに考えています。
  43. 水田稔

    水田委員 ずっと聞いてまいりまして、両団体の全体と特許庁が十分な意思疎通を図りながらこういう再編の話がいっておるような御答弁なんです。実際には、先ほどもちょっと申し上げましたように、四月二十六日調印されるときには、会長と、役員でもない気駕さんという二人だけが知って、それ以外ほとんどの役員も知らない状態で調印がされておる。その後の話も、とにかく順調に進んでおるとは思えぬですね、一年たって何も出てこぬというのは。  というのは、内部的にまだまだ調整ができない何らかの、新聞によりますと、いろいろな報道が流れておって、きのうも私、非公式なお話を伺いますと、当時理事長が病気だったと言うんですが、どうもそうでもなさそうな新聞報道もありまして、そのことをきょうはとやかく言おうと思いませんが、どうも若干その団体の運営の中に問題があるんじゃないか。それだけに、これは私は会員、少なくとも発明協会なりJAPATICの内部的な意思疎通が十分図れる状態の中で特許庁指導が入らなければ変なことになるんじゃないか。それがさらにそこに働いておる人というのは、一体どうなるんだろうか、もうそういう不安でいっぱいなわけです。  だから、私は、少なくとも協会なりセンターに対する指導というのは、単にこっちは押しつけではなくて、そこの中で十分な役員間の意思疎通、意思決定機関で十分な論議ができる。それからもう一つは、そこに働いておる人に、それは細かい最後の話が詰まらぬのに全部のことまで言えないにしても、何らかの意思疎通を、実は今長官がいろいろお話しになったように、これからの特許庁特許事務というのはこういうぐあいに変わっていく、そういう中で対応するのにどうしたらいいか知恵をかしてくれというくらいのことを言ったっておかしくないと思うんですね。そんなことが全くできてないところに、そこに働く人たちあるいは役員の中にも疑心暗鬼が起こっておる、こういうぐあいに思うんですね。  ですから、そういう点での指導を、今の答弁では、うまくいっておる、両方がいいようにやってくれれば、特許庁はこう考えでおるのだというようなお話ですけれども、どうもそういうものじゃないということを私は痛切に感ずるんですが、いかがですか。
  44. 若杉和夫

    若杉政府委員 率直に言いまして、昨年の五月の段階、六月でしたか、大幅な常勤理事の入れかえがありました。そしてその後、内部的にもいろいろな議論が行われているということは、私は聞いております。ただ、どこまで具体的な議論が進行しているのかという点については、やや問題がないとは言えないな。もっと具体案を提示して、これは抽象的な議論をしてもなかなか、確かに不安とか疑念が出ると思うんです。できるだけ具体的な案で議論していただければいいんじゃないかと思っております。  そういう意味で、我々としては今後ともそういう方向で、職員でもいろいろな各層がありますから、話し合いを進展さして、円満な形でいい方向が出てくるように、こういうふうにいろいろな方面から要請していきたいと思っております。
  45. 水田稔

    水田委員 ぜひ、いい方向で話がまとまるような方向での努力をしていただきたいと思うんです。  そこで、これは一番心配するのは、そこに働いておる人が、一体おれたちはどうなるんだろうか。これは縮小される方で言えば、職場は失われるかもしれぬという不安さえ持つわけですね。あるいはその中で財源保証がなければ、労働条件もこれから下がっていくんじゃないかという心配もするわけですね。それから特許庁は再編を要請した中で、特許庁自身のお考え、そこに働いておる人たちについては、そういう点の雇用なり労働条件が低下しないようなことを当然考えるべきだと思うのですが、そういう点は両団体には全く言葉では出てませんですね。要請にも何にもないわけです。組織の問題だけなんですね。その点要請されなくてもいいですが、ここで特許庁自身として、その雇用の問題なり労働条件について、働いておる人たちについてどういうお考えを持っているかということを伺いたいと思います。
  46. 若杉和夫

    若杉政府委員 具体的な労働条件について、こうしてほしい、ああしてほしい、我々の気持ちとしては、働いている職員を含めて、両団体といっても抽象的な両団体、法人格の人間でない団体の繁栄を願っているだけではなくて、そこで働いている人を含めて両団体というものが本当に成長、発展していただくことが我々の行政にとっても非常に必要だし、相互関係があるわけで、特許庁も繁栄していきたいし、それから両団体も、抽象的にただそういうことじゃなくて、働いている人を含めてもっともっと繁栄してもらいたいというのが、我々まじめな意味で掛け値のない、この問題を考えている原点であるのです。したがって、そこから御察知願いたいのでございますけれども、常識的に考えられることは、願っていることはもう当然でございます。
  47. 水田稔

    水田委員 私も当然だと思うのです。  ところが実際には、これからのいわゆる発明奨励なり特許普及事業なり、あるいは情報サービスなりをどう発展さすかというのは、現実にはもちろん特許庁はペーパーレスというので進めていく、それはそれなりにやらなければならない。それに付随する団体として今の三つの問題をほとんど役割として担ってやっておる、そこで仕事を実際しておる人あるいは役員としてそれに参加しておられる人たちが、そうだ、こういう方向でやったら国民のために一番いいという知恵を出し合う雰囲気というのが出なければならぬですね。  ところが再編の問題は、まさに話が進まぬから全く秘密なのかどうか知りませんよ。もう少しオープンに、それは国民全体に知らせるという、そんな公聴会をやれとかなんとか言いませんけれども、少なくとも中でやってきた人は一番専門なんです。だから、そうした人たちの、こうした方がいいですという意見を聞くような雰囲気は、話を進めていく中で必要なんじゃないかということが一つ。  もう一つは、どうなるのだろうかという不安に対して、聞きに行っても、そんなことはまだ何も決まってないからおまえらに言う必要はない、そういう態度をとって、いいぐあいにこの話が内部的に進むかといったら、私は進まないと思うのです。それが今の実情だと思うのです。  それからもう一つは、労働条件の細かいことまで、どうなるからあなたはどうだというような、そんなことは今できるわけはない。今、長官が言われたように、少なくとも雇用や、あなたたちの労働条件についてはどう変わろうとも、その点では私どもは責任を持って話を進めますよというようなことは言えると思うのです。それさえも言わないでけ散らすというのは、一番先端仕事を担っておる団体の労使関係では、これは経営者というのは、労使の関係では経営者ですが、それでは失格じゃないかと私は思うのです。  その点の指導特許庁がきちっとやってもらわなくちゃならぬ。そのことが、この話がまさに国民の期待にこたえるような、これからの発明奨励なり、あるいは特許事業普及なり、あるいは情報サービスが期待にこたえられるようになる体制ができるのだと思うのですよ。その点が欠けておるということを私は申し上げたいのです。その点をぜひ特許庁長官として両団体を十分に指導していただきたいと思うのです。そのことについての御見解を伺いたいと思います。
  48. 若杉和夫

    若杉政府委員 先生のおっしゃること、基本的には全く同感でございまして、何ら異存はありません。私の方はそういう方向で努力いたします。
  49. 水田稔

    水田委員 終わります。
  50. 梶山静六

    梶山委員長 次回は、来る十八日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十五分散会