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1984-04-17 第101回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十七日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    岸田 文武君       高村 正彦君    辻  英雄君       仲村 正治君    野田  毅君       原田昇左右君    深谷 隆司君       古屋  亨君    稲葉 誠一君       奥野 一雄君    後藤  茂君       浜西 鉄雄君    横江 金夫君       和田 貞夫君    木内 良明君       中川 嘉美君    日笠 勝之君       福岡 康夫君    横手 文雄君       小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 河本 敏夫君         官)  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         通商産業省産業         政策局長    小長 啓一君         中小企業庁長官 中澤 忠義君  委員外出席者         参  考  人         (早稲田大学商         学部教授)   宇野 政雄君         参  考  人         (東京大学法学         部教授)    竹内 昭夫君         参  考  人         (社団法人日本         割賦協会理事         長)      青柳 忠一君         参  考  人         (日本信販株式         会社取締役社         長)      木島 利夫君         参  考  人         (主婦連合会事         務局長)    清水 鳩子君         参  考  人         (日本消費者協         会事務局長)  松岡萬里野君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   中村 重光君     稲葉 誠一君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     中村 重光君     ————————————— 四月十六日  岩手県に希少金属備蓄基地設置に関する請願  (志賀節紹介)(第二九〇七号)  企業倒産防止対策に関する請願志賀節紹介  )(第二九〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出  第五七号)      ————◇—————
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君
  3. 浦野烋興

    浦野委員 今日、消費者信国産業は極めて著しい進展をいたしておるわけでありますけれども進展をしておるということは、すなわち、この産業分野というものが私ども生活に強く浸透しつつある、こういうことが言えると思うのであります。消費者金融とともにクレジット産業は、キャッシュレス化が予測される中でさらに今後も拡大をしていくということが言えるかと思うのでありますが、政府としても、この産業についてもはや無視するわけにはいかぬ。したがいまして、経済政策あるいは経済運営おいで消費者信用に対する現状認識をどのように位置づけているか、このことも考えていただかなければならぬと思うのでありますが、この点について冒頭にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 消費者信国産業は近年非常に多様化しておりますし、また急速な拡大を示してもいるわけでございます。こうした消費者信国産業拡大は、消費者に利便をもたらすとともに、その反面、消費者トラブルを増加していることも事実なのでございまして、このため消費者信国産業の健全な発展を図ることが急務であることは言うまでもございません。このような消費者信国産業の健全な発展は、消費拡大を通じて内需の伸長にも貢献するものと私どもは考えておる次第でございます。
  5. 浦野烋興

    浦野委員 本委員会に付託されたこの改正案消費者保護を図るためのものでございますけれども、そうした面での法整備は従来必ずしも十分ではなかった、これをひとつ整備しようということでありますが、このことも極めて重要であるわけであります。しかし一方、第一義的に考えていかなければならぬことは、急激に伸長したこのクレジット産業産業分野自体がまだ基盤整備が十分ではないということ、これにつきまして政府として、この産業が抱える諸問題、例えばシステム化とか、資金調達円滑化であるとか、経理基準統一化、あるいは消費者サービスの向上等々につきまして強力な指導、あるいは携わっておる企業そのもの中小企業中小小売業であるというところからすれば、ある意味ではこれは支援対策というものも考えていかなければならぬのではないかと思うのでありますが、この点につきましてはどのように考えておられるか。
  6. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、消費者信国産業が今後健全に発展をしていくためには、個人信用情報機関整備とか、あるいは経理基準標準化等課題に前向きに取り組んでいく必要があるのではないかと考えておるわけでございまして、当省といたしましても、今後とも、そのための指導等を行っていく所存でございます。  具体的には、まず第一に個人信用情報機関整備につきましては、改正法律の成立を待ちまして、過剰な与信防止するためさらに指導を強めていく所存でございます。  それから第二に、経理基準標準化につきましては、現在、割賦販売審議会具体案検討中でございます。割賦販売審議会の結論を待ちまして、関連業界指導していきたいと考えております。
  7. 浦野烋興

    浦野委員 若干、個々条文等に即してお尋ねをしていきたいと思うのでありますが、三十条の四、抗弁権接続規定でございますけれども、これは産構審の答申、いただいておる資料に「抗弁権接続手続」として「割賦購入あっせん業者等は、売買契約の直接の当事者ではないので、購入者等は、割賦購入あっせん業者等に対して抗弁権主張するに先立って販売業者瑕疵の修補、瑕疵のない商品等供給等について誠実に交渉することが望まれる。更に、この交渉が不調となったことにより、割賦購入あっせん業者等支払停止抗弁権主張する際には、購入者等は、一定の事項記載した書面を提出して行うことが妥当である。」このような答申でございまして、これは必要条件と解されるわけでありますけれども、一方、政府案では訓示規定というような記載になっておるわけでございます。この点につきまして、なぜこの答申趣旨と変わったのか。また、この規定運用方針をどのように考えておられるのか。この規定を厳格に運用するとすれば、これは消費者負担をかけるというようなことになるでありましょうし、また弾力的に運用するといたしますと、商品販売当事者ではないあっせん業者に、あるいは必要以上の負担をかけてしまうというようなことも考えられると思うのでありますが、その点についてはどうなんでしょうか。
  8. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま先生指摘のように、産業構造審議会答申の中では先生がお述べになったような趣旨が述べられておるわけでございます。今回の改正法案では、割賦購入あっせん業者対抗しようとする購入者は、業者の求めに応じて対抗事由記載した「書面を提出するよう努めなければならない」まさにおっしゃる訓示規定的な規定になっているわけでございますが、この規定は、基本的には先ほど先生がお述べになりました産業構造審議会答申を踏まえて立案されたものと私どもは考えておるわけでございます。  ただ、購入者努力義務となっておりますのは、新しく規定されました抗弁権接続が、書面を出させることによりまして紛争を起こすことなく円滑に行われることを目指しておるということが一つございますし、他方で、民法関連規定でございます、例えば民法第四百六十八条に債権譲渡規定があるわけでございますが、その債権譲渡の場合の対抗手続に比べまして不当に消費者の権利を制限することがないようにするという配慮をいたしまして、それらを総合的に勘案した結果といたしまして、先ほど申しましたような訓示規定ということに相なった次第でございます。  ただ、先ほど先生が御指摘になりましたように、政府として今後、業界とか消費者をどのように指導していくのかということでございますけれども割賦購入あっせん業者売買契約の直接の当事者ではないわけでございますから、購入者から抗弁を受けた場合には、その購入者販売業者との間にどのような事由が生じているのか明確には知り得ない場合が多いものと想定されるわけでございます。このため、抗弁権主張に際しましては購入者書面を提出することは、トラブル当事者間で迅速かつ円滑に解決する上で有益であると考えておるわけでございます。したがいまして、御指摘購入者あっせん業者に提出する書面につきましては、購入者が確実にその書面を提出するよう、関係業界関係消費者団体等を通じて指導啓蒙を図ってまいりたいというふうに考えております。また、抗弁権主張がなされた場合には、関連業界が迅速かつ円滑に対応いたしますよう、所要の指導をこれらの業界に対してやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  9. 浦野烋興

    浦野委員 第三十条の四の一ということになろうかと思うのですが「割賦購入あっせん関係販売業者に対して生じている事由をもって、当該支払の請求をする割賦購入あっせん業者対抗することができる。」このように改正案がなっておるわけでありますけれども、この抗弁できる範囲は、答申では契約書面で明らかな事由に限っておったようでありますけれども、この改正案では契約書面に限らず、例えばセールスマンの口約束、こうしたものでも含まれるというふうに解釈をされると思うのであります。これはこうした解釈でいいのでありましょうか。
  10. 小長啓一

    小長政府委員 ただいまの御質問でございますが、私ども考え方は、書面記載事由に限定するという考え方はとってないわけでございまして、口頭の約束でございましても契約には変わりがないということでございますし、また、契約事項のすべてを書面に書くのは事実上困難であるというようなこともございまして、口頭での契約事項でございましても、立証が可能な限り購入者抗弁できるというふうに考えておる次第でございます。
  11. 浦野烋興

    浦野委員 続けて条文に即してお尋ねをいたしたいと思うのです。  四十二条の三は「支払能力を超える購入防止」の条項でございますけれども、これまた訓示規定にとどまっておるわけであります。この点について関係業界に対する強力な行政指導、これはただいま産政局長からも御答弁があったと思うのでありますが、極めて強い行政指導というものが必要ではないだろうか。それが消費者保護する、あわせて業界そのもの信用につながるものと思うわけでございます。  さらに四十二条の四、個人の「信用情報の適正な使用」これについても、業界過剰与信防止に積極的に取り組む、こうすると、あるいはプライバシー侵害というようなものにもつながっていく可能性というものもあろうかと思うのであります。こうした面について、また政府としての強い指導というものも必要であろうと思うのであります。既に触れられたという面もありますけれども、改めて政府から決意といいますか、考え方というものをお聞きしたいと思うのです。
  12. 小長啓一

    小長政府委員 割賦関連取引分野でも、自己の返済能力を超えて支払い債務負担する多重債務者発生が問題となっておるわけでございます。したがいまして、改正法案の第四十二条の三の規定に基づきまして、クレジットカードの発行とか個々取引段階で、信用情報機関利用等によりまして、過剰な与信が行われることのないよう、厳に業界及び関連企業指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、多重債務者発生防止するためには、信用情報の蓄積、整備を進めることが基本的に重要であるわけでございますので、既存信用情報機関及び関連業界に対しまして、信用情報機関の連携の強化統合等指導しているところでございます。業界もその方向で具体的なアクションをとりつつある状況になっておるわけでございます。  それから次に、四十二条の四についての御質問でございます。  改正法案の四十二条の四に基づきまして、割賦取引関連業者及び信用情報機関に対しまして信用情報の適正な利用指導していくつもりでございます。具体的には、先生指摘のようにプライバシー保護の問題に関しましては、業者購入者信用情報信用情報機関に登録する際には当該購入者の承諾を得るようにすること、また、業者及び信用情報機関は、信用情報関連のない第三者に漏れることのないよう適切な管理を行うべきことなどを指導していく考えでございます。
  13. 浦野烋興

    浦野委員 ぜひ、そうしたプライバシー侵害というようなものについて間違いの起こらないような適切な指導監督というものをお願いしたいと思うのであります。  さて、今回の改正案が今日審議されておるわけでありますが、これまでの経緯の中で、役務というものを規制対象に入れるかどうかというようなことでいろいろ研究がなされたようでありますが、これは最終的には立法技術上の問題が解明されるまで検討を続けるということになり、今回は見送られたというふうに聞いておるわけであります。その経過、見送ることになった事由、さらに、今後この役務というものも何らかの対象にしていかなければならぬのではないかと私は思うのでありますが、今後の検討スケジュール等につきましてお尋ねをしたいと思います。
  14. 小長啓一

    小長政府委員 浦野先生指摘のように産業構造審議会答申の中にも、役務を指定したらどうかという有力な御意見があったことは御承知のとおりでございます。それからまた、私どもの事務的な検討過程におきましても、役務を何らかの形で規制対象にできないかということを検討したことも事実でございます。  ただ、いろいろ検討いたしました結果といたしまして、役務につきましては、さまざまな形の取引が存在をしておるということ、さらにその実態を解明する必要があるということが判明したわけでございます。また、その役務関連した消費者トラブルにつきましても、割賦等によるいわゆる支払い方法のあり方というだけの問題ではなくて、むしろ提供される役務の内容に関連をして発生している場合も多々見られるのではないかというようなことでございます。したがいまして、この法律対象として、あえて役務を一律に規制するのはいかががという考え方が多数を占めた感じになったわけでございまして、今回の改正では見送ることにしたわけでございます。ただ、今後ともその実態を調査しながら、どのような規制を行っていくのが適切か、妥当かということにつきまして、引き続き産業構造審議会等の場をかりまして検討を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、具体的に役務関連する消費者トラブルというのは、例えば教材と塾によるサービスといったような形、つまり商品役務が付随する取引で数多く見られておるということも事実でございます。そういう問題に関しましては、今後、附帯役務を明確に契約書面記載させること等を通じまして取引明確化を図るとともに、業者に対しましては取引適正化のための指導を徹底してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 浦野烋興

    浦野委員 役務をどのような規制対象として販売法に入れるか、ただいまの御答弁の中にも、今後の審議に待つというようなお話でありましたが、現実に幾多の問題というものが発生しておるわけであります。これにつきましては消費者保護観点におきましても早急に的確な、対象として入れるための努力というものをひとつしていただきたいと思うわけであります。  さて、もう一点でありますけれどもクーリングオフの件につきましてもいろいろ論議がされたやに伺っておるわけであります。現行法では四日ということでありますが、各国例等いろいろあるようでございますけれども、この四日間につきまして今日、政府としては見直したらどうだという意見もあるやに聞いておるわけでありまして、この点につきましてはどのような考え方を持っておられるのか。また、諸外国の例というようなものがもし手元に参考としておありであれば、ひとつ示していただきたいと思います。
  16. 小長啓一

    小長政府委員 昭和四十七年の割賦販売法改正時点におきまして、クーリングオフ期間につきましては、諸外国の例も勘案をいたしまして四日間というふうに定めたわけでございます。ただ、その後の諸外国の事情を見てみますと、例えばアメリカの場合には各州とも三日ということになっておりますし、ECの理事会の案では七日以上というのもございます。それから、フランスは七日、ベルギーは七就業日、西ドイツは十四日、オーストリアは七日、英国は十四日、それからオーストラリアはクイーンズランド州が七日、ニュージーランドは七日、カナダは七日というようなのが現状でございます。したがいまして、先生指摘のように四日では短過ぎるではないかというような御議論もあろうかと思うわけでございますけれども、その件に関しましては今後の課題といたしまして、前向きに検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 浦野烋興

    浦野委員 私は、個人としては四日が短いのか長いのかよくわからないのであります。消費者立場に立ってみましても、これはある面では短い方が有利に働く場合もあるでしょうし、またクーリングオフ期間が長い方が保護に適正に働くという面もあるかと思うのでありますが、この点につきましても、世界各国あるいは消費者並び関係業界あるいは学界等意見参考にされながら、どうぞひとつ御検討を続けていただければと思うのであります。  最後の質問でございますけれども消費者保護観点から今回の改正に至ったわけでございますけれども、一方、業界の安定というもの、これに携わっておる人々というのは中小小売業者でございます。こうした方々の健全な発展、これにもあわせて配慮していかなければならぬと私は思うのでございますけれども、このことが業界安定化さらには健全化、すなわちこれは消費者保護にもつながっていくものと考えるわけであります。冒頭に申し上げましたように、キャッシュレス化時代の中で、この産業というのはさらに拡大を見ていくということが予測されるわけでありますが、まだまだ体質、体力の整っていない、基盤整備のまだ脆弱なこの業界、これについて政府として十分配慮していかなければならぬというふうに思うわけでありますが、この点についてはいかがなものでございましょうか。
  18. 中澤忠義

    中澤政府委員 お答え申し上げます。  中小小売商業育成強化、この必要性あるいは重要性につきましては、私どもといたしましても、先生の御指摘のとおり、これを強力に推進していく必要があるという認識を持っております。昭和五十九年度の対策といたしまして、中小小売商業対策ということで新しい商店街づくり、いわゆるコミュニティーマート構想を含みましたところの中小小売政策というものにつきまして、予算的には対前年度対比で三五%アップということで飛躍的な強化をしたところでございます。  また、中小クレジット団体でございますけれども、これは従来、協同組合の形をもちましてクレジット事業を行っておるわけでございますが、この金融面の弱さを補完するために従来からいろいろな施策を講じておるわけでございますけれども、五十九年度におきましては、特に中小小売商業業態開発調査研究事業、長い名前でございますけれども、要するに新しい情報化時代に入りまして、中小クレジット団体が大企業と並びまして発展していくということのための将来のビジョンをつくる予算を計上しております。このような形でクレジットを含みます中小小売商業団体が健全に発達していくような施策を十分講じてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  19. 浦野烋興

    浦野委員 この中小小売業者の安定に資するための施策、これもあわせてやっていただきたい。今御答弁もいただいたわけでありますが、この中で昭和五十二年の分野調整法附帯決議にもございます銀行系クレジットカード割賦購入あっせん事業への進出について、これを認めない方針登録制度運用がなされてきておるのでありますけれども通産省としては、今後において取引秩序の維持を図る立場から従来の方針を堅持しながら、これを運用していかれるつもりであるかどうか、確認の意味でひとつお伺いをしておきたいと思います。
  20. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 現在、銀行系クレジット会社には分割払いは認められておりませんけれども、これは中小クレジット団体既存業界立場配慮して、御指摘附帯決議に基づいでとられている措置でございます。  通産省といたしましては、今後とも当該附帯決議を尊重いたしまして、銀行系クレジット会社割賦購入あっせん事業への進出につきましては、既存クレジット業界やあるいは中小クレジット団体へ与える影響等への配慮を図りながら十分慎重にこれに対処してまいる所存でございます。
  21. 浦野烋興

    浦野委員 先ほどクーリングオフにつきましてお尋ねをいたしましたが、若干追加をしていま一問お尋ねをしたいと思うのでございます。  現金販売についてクーリングオフを適用することについてどう考えておられるかということでございます。これは非常に問題点も多いと思うのでありますけれども、私は、同時にこれも適用すべきものではない、こんなふうにも思うわけでありますが、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  22. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、現金販売につきましてクーリングオフの適用を認めますと、取引安定性を著しく阻害するおそれがあるのではないかというふうに私どもも考えておるわけでございます。したがいまして、消費者が不測な損害をこうむることのないよう、現金取引にはクーリングオフ制度は適用されないということの周知徹底を図るというような形での消費者啓蒙を充実させていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  23. 浦野烋興

    浦野委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  24. 梶山静六

  25. 後藤茂

    後藤委員 提案をされました割賦販売法改正につきまして、幾つかの問題点を御質問してみたいと思うわけでありますが、私、きょうは大変御無理を申し上げまして、河本経済企画庁長官冒頭わずかの時間でございますけれども、基本的な問題につきまして御見解をお伺いしたいと思うわけであります。  それに入る前に産政局長に、最近の消費者信用あるいは割賦関連取引市場規模、先ほどの質問者に対しましても、現在も非常に大きなウエートを占めてきておるし、また、これからも拡大していくのではないか、こういう答弁があったようであります。これは後で長官にもお聞きいたしますが、最近の消費者信用国民経済に持っておりますウエートがどの程度の規模で、これからどういう進展の展望を持っているか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。また後で詳しく細かくお聞きしますので、よろしくお願いします。
  26. 小長啓一

    小長政府委員 割賦関連取引取扱高は、昭和四十八年の段階では約四兆四千億円という規模であったわけでございますが、昭和五十七年におきましては約十三兆六千億円というふうな規模に達しておるわけでございまして、急速にその規模拡大をしておるということが、この数字からもおわかりいただけるわけでございます。中でも割賦購入あっせんが飛躍的な伸びを示しておるわけでございまして、昭和四十八年の段階では割賦関連取引全体の八%程度を占めるにすぎなかったわけでございますが、昭和五十七年には四一%を占めるに至っておるというような急成長ぶりを示しておるわけでございまして、今後もこういう形での割賦関連取引拡大傾向は続くのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  27. 後藤茂

    後藤委員 今、産政局長の方から、状況と展望について若干の見通しを踏まえての御答弁をいただいたわけですが、経済企画庁長官にお伺いしたいのでありますけれども、こうした消費者信用が最近非常に大きなウエートを占めてまいりまして、消費支出の一六%、GNPの一〇%弱ぐらいでしょうか、ウエートを持ち始めてきている。これは国民経済上無視できないウエートを持ってきているのではないだろうか。政府経済政策なりあるいは金融政策を進める上におきましても、これからは大変大きな政治課題、政策課題になってくるだろうと私は思うのです。日銀の金融政策等が及ばない部分というものがどんどんふえてきている。しかし反面、消費支出ということと関連をいたしまして、消費者信用の増大というのは政策の対象としてとらえやすくなってきているのではないだろうか、こういうように感ずるわけであります。  古い資料で恐縮でございますけれども、五十七年の十月に決定をされた総合経済対策で初めて、景気対策として割賦販売標準条件の緩和を図る、こういう言葉が出てきているわけであります。これは経済企画庁調整局が素案はおつくりになっていると思うわけでありますけれども、五十七年十月八日の経済閣僚会議の総合経済対策の中で、景気調整対策として、乗用車あるいは家電製品等について割賦販売の標準条件の緩和を図る、こういうことが出てきておるわけであります。中身につきましては、トラックの五トン以上が二十四カ月を二十八カ月にするとか、あるいは二トンから五トンの二十カ月を三十カ月にしていくとか、乗用車の割賦払いの第一回二〇%を一五%にしていく、あるいはエアコンを一五%から一〇%にしていく、こういうようなことが景気対策の一つとして、初めて割賦販売に対する、つまり消費者信用に対して一応の政策課題としてとらえられているわけであります。その後、こうしたことはとられていないのでありますけれども、英米等におきましても、消費者信用を景気調整策として使っていったというケースもあるやに聞いております。  こうしたことを考えてみますと、これからの経済運営あるいは経済政策等の観点で、こうした消費者信用というものがこれからもますます拡大をしていく、そして国民生活の面におきましても国民経済の面におきましても大きなウエートを占めていく。経済企画庁として特に企画調整官庁として、今回は通産省の所管で大臣からの趣旨説明があったわけでありますけれども、こうした消費者信用に対して経済企画庁としてもっと物を言い、あるいは、そういう企画調整機能を持っていいのではないかというように私は考えるわけであります。しかし残念ながら、経済企画庁の方からこうした消費者信用に係る見解というものがこれまでほとんど明らかにされていないように思うわけであります。  長官、大変お忙しい中をきょうは出席をしていただきましてありがとうございます。ぜひひとつ、そうした問題に対しまして、これから経済企画庁としてもこうした全般的な消費者信用に係る問題をどう考えていくかということについてお伺いしたいと思うわけであります。  それからもう一点、これは通産大臣にも同様の御質問を申し上げるわけでありますけれども、省際つまり各省庁にまたがる課題というものが最近非常にふえてきているわけですね。例えば、最近でもVANの問題等について通産大臣は非常に御苦労されております。あるいはソフトウエア等に係るプログラム法あるいは著作権法、これはどちらでやるかということで、一つの権利を保護していこう、確保していこうということでありますけれども、こうした問題、あるいは今度の、後ほどまた産政局長にもいろいろお伺いをしたいと思うわけでありますけれども、先ほども答弁の中で出ておりました銀行系のクレジット、マンスリークリアカード方式、これが今度の場合は一応見送られているわけであります。    〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕 これは後で質問しますから、またそのときで結構でございますけれども、やはり避けて通れない問題が出てくるだろう。そうすると、中小企業関係の小売商団体との関係は一体どうなるかということもあるわけですが、両大臣にお伺いしたいのは、長い官僚行政制度の中で、これだけ国際的、国内的生活構造、産業構造、経済構造が大きく変わってきている中で依然として官僚機構がそのままである。そして第二次臨時行政調査会も、こうした省際に係る部分というものはほとんどノータッチで今日来ておる。結局また、各行政機構の縄張りなり殻の中に入ってしまうということで、省際に係る部分に一体どう対応していくのかということは、今度VANの問題等で大変御苦労なさったと思うのです。  それぞれの官庁のエゴということがどうしても出てくるだろうことは隠し得ないだろうと私は思うのですけれども、この省際問題に対しまして大胆に物を言っていて、そして、その行政機構がもし大きな桎梏になっているとするならば、それを打ち破っていくということがあっていいだろう。そのことは経済企画庁等も企画調整官庁として大いに腕を振るっていただきたい。最近どうも経済企画庁の発言というものが、何か気のせいか弱まっているような気がしてならないものですから、この省際問題と二つの点につきましてお伺いをしてみたいと思います。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 消費者金融が年々歳々大変な勢いで規模拡大をしておりますことは今御指摘のとおりでありますし、また先ほど数字をもって産政局長からもお答えになっておられました。まだアメリカのGNPに対する消費者金融規模ほどにはまいりませんが、だんだんと近づいておる、こういう状態だと思います。今後数年間にはさらに飛躍的に発展をする、規模が大きくなる、このように思いますが、それだけ国民経済、国民生活において果たしておる役割というものは非常に大きいわけでありますし、したがって、私どもといたしましては、その健全な発展、成長ということが望ましい、このように痛感をいたしております。  そこで、経済企画庁におきましても最近、こういう取引は店舗外における取引ということも言えるのだと思いますが、そういう取引における問題点は何ぞや、こういうことについて研究をずっと進めております。きょうはその責任の政府委員も来ておりますから、後で必要とあらば御答弁させますが、いずれにいたしましても、政府としては非常に重視をしております。  また先ほど、一昨年の秋の景気対策でこの問題を取り上げたというお話がございましたが、そのことも私どもは記憶をいたしております。景気対策の一つの柱として取り上げるくらいの大きさを占めておる、こういうことで今後この分野の健全な発展のためにいろいろと細心の注意が必要であろう、このように思います。
  29. 後藤茂

    後藤委員 単に消費者信用ということを超えて、非常に省際問題が大きく最近は出てきているわけでありますけれども、その省際問題に対する基本的な考えを、これは通産大臣にもお聞きしておきたい。
  30. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 技術が進歩し、新しい時代になればなるほど、おっしゃるような各部署にまたがった問題が出てくると思います。しかし、基本的には通産省としては国民生活をいかに豊かにするかという考え方でございまして、時代のニーズあるいは情勢変化にどう対応していくか、そういう意味での弾力的な、あるいは効果的な通商産業政策もとってまいらなければならないと思います。しかし、各省にまたがった問題というものは、今度のVANなどの問題等、非常に難しい問題ではございましたけれども、やはり誠意を持って協議し、また国益というものを尊重した中で調整していかなければならない、かように考えております。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 最近は、二つの役所以上にまたがっておる問題が非常にふえておりまして、経済企画庁設置法に基づきまして、関係各省の意見が合わない場合には経済企画庁が調整をする、また十一条の三項には、勧告をすることもできる、こういう規定はありますが、そういう規定を発動したことはありませんが、しかし調整をしなければならぬ課題は大変ふえておりますので、その点も十分気をつけてやっていきたいと思います。
  32. 後藤茂

    後藤委員 各省庁の行政の守備範囲を超える問題が、これからますますたくさん出てくるだろうと思いますので、大臣が先ほど御答弁になりましたような問題点をとらえておかないと、結局それぞれの縄張り意識だけが前面に出てまいりまして、産業政策、経済運営等の面におきましても、むしろ角を矯めて牛を殺してしまうということになりはしないかということで、これはぜひ要望をしておきたいと思います。企画庁長官ありがとうございました。  そこで、本論に入っていきたいわけでありますが、この本法あるいは改正されてまいりました割賦販売法消費者保護法と理解してよろしいでしょうか。
  33. 小長啓一

    小長政府委員 おっしゃるとおりでございます。消費者保護に重点を置いた法改正の内容になっております。
  34. 後藤茂

    後藤委員 その消費者保護という観点に立ちますと、どうも今度の改正にいたしましても、まだ消費者保護を十分に検討をされ、それが法改正の中に織り込まれていないように思うわけであります。先ほども浦野委員質問の中で幾つか指摘をされておりましたが、準備不足あるいは検討が熟していないという面があるかと思います。この改正の歴史を見てみましても、大変な消費者販売業者とのトラブルが起こって、それから後追いでこうした法律ができる。しかし法律ができたときには、またその法律の脱法といいますか抜け道といいますかが、次から次へ出てきている。特に今回提案されてまいりましたのは、割賦販売のあっせん、つまりクレジット業者抗弁権接続対象にされたわけでありますけれども、なぜ今ごろこういうのがやっと法律改正の中に登場してくるのだろうか、実は私は今度の法案を御質問するに当たりまして、行政の対応のおくれというものをこれほど深刻に感じたことはないわけであります。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕  ここにこぎつけるまでにおきましても、昭和五十五年に消費者信国産業調査研究会ができて、そして五十六年十二月に「消費者信国産業現状とビジョン」というものが出され、その次に五十八年七月に、産政局長の諮問機関として消費者信国産業懇談会が、現行法消費者保護規定を見直す必要があるとの報告を出し、さらに今度五十九年、今年の二月六日にやっと産構審の消費経済部会で「販売信用取引における購入者等の利益の保護の徹底等を図るための施策について」答申がなされ、そして今回の改正になった。その間に問題点は幾つか出されてきているわけでありますけれども、この過程でずっと出されてきた問題点が今度の法改正の中で落ちた部分、取り上げられた部分を、ひとつ局長の方から御答弁をいただきたい。
  35. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、今回の改正案の立案にこぎつけるまでには長年月を要しておるわけでございます。これは一つには、割賦販売をめぐりますいろいろな取引形態というのは複雑なわけでございまして、その辺を法律論的にどう解明するかということに時間がかかったという側面もあるわけでございます。  それから、審議の過程でいろいろあった項目で、この法案の中で落ちたところはどの辺がという御指摘でございますが、指定役務関連というのが落ちたのが最大のポイントでございます。それから、あとそれに比べますと小さなところでございますけれども、ローン提携販売等につきましての抗弁権接続の問題もあるわけでございます。
  36. 後藤茂

    後藤委員 銀行系クレジットの場合はマンスリークリアはどうなっていますか。
  37. 小長啓一

    小長政府委員 マンスリークリアランスの問題は答申の中でははっきりメンションはされておりませんけれども、議論の過程ではマンスリークリアランスも対象にしたらどうだという議論があったことは事実でございます。本法の対象からは外れております。
  38. 後藤茂

    後藤委員 その外れた理由というのが、主として立法技術上というように私どもは聞いているわけでありますけれども、それこそまさにクリアしていかなければ、消費者保護立法としての体をなさぬだろうと私は思うのです。後ほど幾つかの紛議なりトラブルなりの現状を申し上げまして、この法律が一体これを救済し得るのかどうかということは個別的にまたお聞きをいたしますけれども、私は単なる立法技術上の問題ではないような気がいたします。  現実にそうした役務サービス等によるトラブルなり紛議なりというものが起こっているわけでありますから、これを一体どのように、いつごろ、どうして対応していくのか。事は先ほど私が指摘をいたしましたように、今回の改正に至るまでについても、いろいろな懇談会なり審議会なり調査会をつくって約五年の年月が経過しておる。その間にどれだけ多くの消費者が、こうした消費者信用あるいは割賦販売の過程で大きな犠牲を受けているかわからないという状況である場合に、行政としてはもっと機敏に対応していかなければならない。しかも問題点指摘は、役務サービスの問題については指摘がなされているわけでありますから、局長、これに対する対応をどう考えているか、もう一度ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  39. 小長啓一

    小長政府委員 御指摘のように、本法案の提出に至るまでの過程に時間を要したことは事実でございますけれども、先ほども申し上げましたように、割賦取引をめぐります問題につきましてはかなり複雑な法律問題も含んでおるわけでございまして、そのために時間がかかったということでございますが、これからは機敏に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  40. 後藤茂

    後藤委員 これは本当に早急に対応策を講じていただきたいと思うわけであります。  本法の改正をずっと見ておりまして、幾つかの枠組みの中で、私はなぜにこれが対応策としてとられていかないのたろうかとひとつ気になるわけであります。それは今までの割賦販売は、当初考えられておったのは自社割賦から出発をしているようであります。しかし今、局長も御答弁になりましたように、カードの普及というものが大変なテンポで拡大をしてきておる。それに関連する割賦取引というものは多様な形で出てきておる。そして、むしろ自社割賦におけるトラブルというもの、あるいは消費者販売業者との間における品質なり性能に係るトラブルというものは非常に少なくなってきておる。それ以外のトラブルが非常に多くなってきているわけですね。  その中で、これまでの販売業者消費者購入者との間における割賦販売法においての規制対象というものは曲がりなりにもある程度制度化されている。今度は、それに立てかえ払いをしてまいりますクレジット会社と消費者との間もつないでいこうとする。ところが販売会社とクレジット会社の加盟店契約がなされているわけでしょう。この仮に三角で図示されておりますけれども、三角の底辺になるのか、つまり販売業者クレジット会社の加盟店契約については、今度のこの法律は全くタッチしていない、つまり法の対象外に置かれているのでしょうか。
  41. 小長啓一

    小長政府委員 信販会社と販売業者との関係、これは業者間の関係ということになるわけでございます。そのこと自体は直接には消費者保護とは関係ないわけでございますので、本法では、その加盟店契約について直接規制対象ということにはしてないわけでございます。
  42. 後藤茂

    後藤委員 直接消費者保護との関係にないという御答弁でございましたけれども、私はどうもそうは思わないのです。  あと事例をいろいろ申し上げてみますけれども、この三角形というのは購入者であります消費者販売業者、それから割賦の支払いをしてもらう信販関係クレジット会社との関係。そしてそのクレジット会社と販売業者、これは切り離せない関係にあるのではないかということを今度の法律案でひとつ御質問を申し上げようということで、いろいろ調べてみると、その関係は消費者保護と非常に大きな、密接な関係にあるというように私は考えるわけであります。しかし、この業者同士の加盟店契約というものはどうもこの法にはなじまないということだとすると、これに対しては何かの規制なり対策なりが考えられてしかるべきだと思うのですが、何かこれに対する法律なり制度なりは考えられているのか、あるいは現にそういうものはあるのかどうか。ただ単なる商取引行為としての商法上、民法上の規定で処理がされていくべき性格のものなのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  43. 小長啓一

    小長政府委員 信販会社と販売店との関係の問願でございますが、従来から通産省といたしましては信販会社に対しまして、商品供給等を円滑に行うことのできない販売業者とか、倒産のおそれのある販売業者を加盟店としないように指導を行っておるところでございます。今後とも加盟店に対する審査指導を充実させますとともに、いやしくも加盟店の悪質な商法に加担することのないよう厳重に信販会社を指導していく考えでございます。
  44. 後藤茂

    後藤委員 そうすると行政指導だけで大体事足りる、つまり悪質な販売業者あるいはそれに加担する信販会社については、通産省としても消費者保護立場から十分に監督、審査、情報を密にして、そういうことのないようにということだけで事足りて、これに対しては何らか検討していかなければならないということはないのでしょうか。それから、このことについてはこれまで調査会なり懇談会なり、あるいは産構審の部会の論議の中で全く議論はなかったのでしょうか。
  45. 小長啓一

    小長政府委員 特にその点に関する議論はございませんでした。ただ、消費者保護観点から、販売業者と信販会社との間に密接な取引関係があるというような場合について抗弁権接続という規定を新たに認めたわけでございますから、消費者保護観点からは十分この新法によって目的は達するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  46. 後藤茂

    後藤委員 割賦購入あっせん業者に対して抗弁権接続を今度法改正の中できちっと位置づけたということは、私は大変高く評価をいたします。このことによって、トラブルが相当程度救済されてくるだろうということは、私もそう考えるわけです。  ところが、先ほど指摘をいたしました点がどうもやはり抜けているように思えてならない。つまり販売業者割賦購入あっせん業者とが仮に話し合って、そして、ひとつこういう一つの商品あるいは役務を売り込んでいってお互いにもうけようじゃないかということをやっていけば、幾らでも消費者をだまし、あるいは消費者を苦しめていくことができる、そういう制度なんですよ。例えば最近、これは東京新聞等で大変大きく報道されておるので、私も改めて読み直してみたわけでありますけれども、コーキ出版という、これは教育産業に新しく進出して大変な利益を上げた。当初は子供の教育等についてまじめに教育産業進出してきたようでありますけれども、急成長したために無理が重なっていって、割賦販売を利用していきながら大変悪質な消費者泣かせをいたしているわけであります。これを見てみますと、後でまた御指摘申し上げますけれども、確かにいろいろなセールストーク等でごまかされている点もあるようであります。しかし、契約の文書にいたしましてもずさんきわまりないし、それからコーキクレジットの写しがありますけれども、全く白紙委任状みたいな中で名前を書かしていく。そして、このことに対して信販会社が信用をつけているわけですね。そして、この二月の初めにこのコーキ出版は倒産をしているわけです。残っていくのはクレジットに対する支払いだけ。一体どこへしりを持っていったらいいのかということで、今係争事件になり始めているようでありますけれども、今度の改正法で抗弁権接続によって救済をされて、以後こういうことはなくなっていくのでありましょうか。局長、いかがでございましょうか。
  47. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま御指摘のコーキ出版の案件につきましては、私どもといたしましても新聞等では承知はしておるわけでございますが、さらにこの実態の把握をする必要があるのではないかと考えておるわけでございます。ただ、私どもの現在までに入手している情報を総合いたしますと、信販会社のコーキ出版に対する審査指導が不十分であったのではないかという指摘もあるわけでございまして、今後実態調査を進めながら、必要に応じまして個別の事案ごとに円滑な解決が図られるよう指導を行ってまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、本件の場合は百科辞典等の教材セットと塾によるサービスという役務とが関連した感じになっておるわけでございます。恐らく百科辞典等は購入者の方には渡っておるのでございましょうけれども役務関連した部分については全く履行がなされてないということではないかと思うわけでございます。したがいまして、その役務契約どおり履行されてないという限りにおきまし一で、信販会社との関係においてある種の抗弁権接続が可能な事態ではないかと考えられますけれども、これは一応の推定でございまして、もう少しく実態をきわめた上で私どもはこの対応を考えてまいりたいと思っております。
  48. 後藤茂

    後藤委員 指導の場合、覚書なり契約書なり、あるいは勧誘の実態がどうなされているかということにもっと目配りをしておいていただかないと、私も商品取引を一回やってみましたけれども消費者というのは何でこんなばかばかしいことに大変リスキーな投資をしていくのだろうかということを強く感じたわけですが、大体、人間というものは欲望といいますか、もうけたいという心情が大変強いわけであります。そこにセールスマンのうまい働きかけがあり、しかもそうした契約書が全くずさんである。  例えば先ほどのコーキ商法なんかを見てみますと、販売会社と信販会社との関係についてこの割賦販売法というものがどうも届かないし、一体どこが規制をしていくのか。一般的な民法なり刑法なりあるいは会社法なり商法なりだけなのか、ということを私が指摘いたしますのは、どうもいろいろ調べてみますと、信販会社もその販売会社の悪徳ずさんな商法を承知しながら、大変巧妙に加盟店契約を結んでいることが歴然としているという気がするわけです。例えば販売店保証等を取りづけているのは、やはりリスキーなものでありますから、消費者の方から苦情が出て消費者の方からも取れないという場合には販売会社からちゃんと取れるようにしておくということとか、あるいは契約者の連帯保証人に、教材のセールスをし各地区で塾経営者を指導するコーキ出版の社員がなっている。したがって、信販契約書への署名をためらう主婦等に対して、連帯保証人には社員がなるから万一のときは大丈夫だ、あるいはこの社員に対しては販売店保証の契約書を見せて、最終的には会社がその責任を負担するから大丈夫だ、こう二段、三段に防衛をしていきながら、こうした悪徳な商行為に対して割賦販売の信用をつけていく、いわゆる加盟店契約を結んでいる。  これが全く法の規制対象になっていかないということになりますと、例えばコーキ出版なんかの場合はインストラクター、教師というのですか指導者というのですか何というのですか、こういうような横文字でやって、短大率以上の年齢二十五歳から四十五歳までの人とか、備品は無償貸与、あるいは報酬は二万五千六百円から六万円程度、これは月額だか時間給だか日額だか全然書いておりませんけれども、こういうことでめくら判のような形で押してきているという信販会社が最近ふえてきている。しかもこれがその辺の町の金融なり消費者信用を扱っているところじゃないのです。大手と言われるところがやっているわけですね。例えば今申し上げたところなんかはライフ社等がやっている。ということになってまいりますと、一体これからこうした問題に対してどう対応していくのかということが今度の法改正においてはすっぽりと抜け落ちているように思えてならないわけです。この点いかがでございましょう。
  49. 小長啓一

    小長政府委員 諸外国の立法例を見ましても、販売店と信販会社との間の関係の適正化という形で法律規制をしている例は、どうもなかなか見当たらないようでございます。  実はこういう問題に関しましては、私どもも非常に重大な関心を持っておりまして、昨年の三月の段階で社団法人全国信販協会に対しまして「消費者トラブル防止について」ということで具体的に通知を出しまして、幾つかの指示をしているわけでございますが、その中で、加盟店契約締結時におきます審査の厳格化を図るようにということも強く指示をしておるわけでございます。さらに、加盟店契約の締結後におきましても「加盟店が取扱う商品及び役務の内容並びに販売方法等を十分把握するとともに、加盟店に対しては、商品の供給を適正かつ円滑に行うため、販売予測及び在庫管理等を強化する」ようにというような指導も行っておるところでございますが、先生指摘の新しい事案に関しましては、私どもといたしましても実態把握に努めまして、この行政指導をさらに強化してまいる方向で努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  50. 後藤茂

    後藤委員 もう一つ例示的に申し上げてみたいと思うのです。これは訪問販売との絡みになるんだろう、あるいはネズミ講的な性格を持っている、これも大手信販がそれに絡んでくるわけですね。例えば、これは福井を中心にしたネズミ講商法の例でありますけれども、印鑑三本組、仕入れ値一万九千円を十八万円で買って、この関連、つまり印鑑会社の関連のジャパンシステム会に入会して、子供を三人ずつつくれば一人について宣伝料として一万円ずつ還元するから、五代目の孫会員のところで百二十万円の利益を受け取ることができる。  このネズミ講というのは世間を騒がして大変問題になった行為でありますけれども、これが自分のお金あるいはいろいろな親戚だとか友人から借りてとか、サラ金から借りてというのはこれまでの例である。これに割賦で大手信販会社がクレジットを組んでいるわけです。したがって、ここでもまたネズミ講にのめり込まされた者が信販会社の支払いを求められる。例えば、ここではジャックスとかオリエントファイナンスとかセントラルファイナンスとか、こういうクレジットが組まれて代金の支払いを求められるということがある。  先ほど局長は、そうした信販会社に対して消費者信用というものはこれからも拡大していく、浦野さんの御質問に対しましても、まだまだきちっと基盤整備がなされていないというお答えでしたが、しかし、これからその基盤整備をやっていかなければならぬというその過程で、こういうように明らかに大手の信販会社がこういった悪徳な商行為に対してクレジットを組んでいるということ、これは消費者保護を十分に確立をしていかなければならない通産行政として目を光らせておかなければならないというように思うわけであります。このネズミ講的な問題に対して、ネズミ講そのものは大蔵の方の所管になるのでしょうか、通産でやはりやるのでしょうか、こうしたものに信販会社が今の割賦販売と同じ形で全部クレジットを組んでいっているということに対して、局長はどういうようにお考えでございましょうか。
  51. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま先生指摘の貴晶の案件でございますが、貴晶株式会社がやっております具体的な商売の方法につきましては、これまでのところ関連法律、具体的には訪問販売等に関する法律、それから先生指摘の無限連鎖講の防止に関する法律、そういう法律に明確に違反するという事実を私どもは必ずしもつかんでいるわけではないわけでございます。ただ、商売の方法が違法であるということでございますと、購入者と販売者との間の契約は無効ということになるわけでございますから、これは新法に基づきます。そういう信販会社への抗弁権接続ということは可能になるわけでございます。いずれにいたしましても、本件につきましても、貴晶の案件につきましては、もう少しく実態の把握を行った上で、私どもとしての具体的な対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
  52. 後藤茂

    後藤委員 抗弁権接続、これが今度の改正に取り入れられたということを私は大変高く評価するわけでありますけれども販売業者消費者販売業者クレジット会社、ここのところについては今度の対応策である程度救済をされていくだろう。しかし、先ほど言いましたように幾つかの例を見てみますと、なるほど法の盲点になっている。そして、お互いが話し合っていけばこれは十分にやり得るかもしれない。それに対してただ指導だけでは済まないのじゃないかと私は思うのです。  私、資料を持ってきたのですが、その資料が今見当たらないのであれですが、最近の、例えば銀行系クレジットにいたしましても、あるいは信販会社にいたしましても大変焦げつき債務がふえてきている。したがって、ふえてくることによる過当競争、そしていろいろな利益が上がる取引というものはないだろうかと目を光らしてきているという中で、今、生まれてきている問題に対しまして、これからの検討課題としていわゆる加盟店契約のあり方というものが、この法律で対応できることになるのか、あるいは新しい法律になるのか、あるいはほかの既存法律改正なりによって対応できるというのか、これは早急に検討していただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょう。
  53. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま先生の御指摘の問題に関しましては、法律対象にし得るかどうかという問題も含めまして検討を続けさせていただきたいと思いますが、当面いろいろ起こっております問題に関しましては、私ども実態の把握に努めるとともに、加盟店契約締結についての信販会社に対する行政指導強化することによりまして対応を図ってまいりたいというふうに思っております。
  54. 後藤茂

    後藤委員 この問題については時間をいただきまして、もう少し具体的な事例を提起をしながら、一つの対応策をお聞きをしてみたいと思うわけであります。  先ほどの質問の中でもあったわけでありますけれども、もう一度お聞きをしておきたいと思うのですが、クーリングオフの問題です。クーリングオフは、アメリカの場合は三日間とか、ヨーロッパの場合は一週間とかというように御答弁がございました。アメリカは消費者信用というものの歴史が大変古いわけでありまして、しかも、消費者教育というものがある程度徹底しているといいますか、消費者の方も、こうした消費者信用あるいは割賦販売等に対して十分に熟知しておる面があるわけであります。ところが、我が国の場合には消費者信用というものが急速な拡大の中で、まだ消費者それ自身が十分対応する能力と情報と知識を持ってないということでありますから、こうしたクーリングオフ期間というものはなるべく長くしてやる、そしてゆっくり頭を冷やして、この購入取引はやるべきかどうかということについて考える時間というものは盛ってやるべきではないか、こういうように考えるわけでありますけれども、この点、局長いかがでございましょうか。
  55. 小長啓一

    小長政府委員 クーリングオフ期間につきましては、昭和四十七年の割賦販売法改正時点におきまして、諸外国の例も勘案をいたしまして四日間というふうに定めたわけでございます。その後、諸外国の事例を検討してみますと、アメリカの三日というのは一番短いわけでございますが、大体七日の制度をとっておる国が多いようでございますし、一部西ドイツとかイギリスとかに十四日というのがあるようでございます。  先生指摘の、四日では短過ぎるではないかという点もあるわけでございますが、本件に関しましては、取引の安定というファクターもあるわけでございます。一方において取引の安定を考え、一方において消費者保護を考えるという、その具体的な接点をどの辺に見つけるかということであろうかと思うわけでございますが、期間を延長する点に関しましては、今後の課題といたしまして前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
  56. 後藤茂

    後藤委員 その品物が契約成立したのかどうかということを四日間で処理をするのか、あるいは一週間で処理をするのかということになると、取引の安定の観点からいくと確かに問題があるだろうと私は思うのです。しかし、状況をお聞きしますと、ほぼ四日以内ぐらいに契約解除等の申し出というものはあるようであります。そういたしますと、これこそまさに情報化社会でありますから、一つの統計といいますか、これまでの経験なり経過等を見ていきますと、あと三日残ったから取引が非常に不安定になって、それまで何の処理もできないのだ。みんな返品で、せっかくこれに対応して商品を調達した、ところが全部解約になってくる心配があるというようなことは、これは現実的な取引なり経営の安定の観点からいくとちょっと大げさな心配だと思うわけです。四日間でほぼ大部分が処理されているということならば、消費者保護立法だというのですから、その期間というものを、もう少し頭をクールにする期間を、せっかくクーリングオフという制度ができているのですから、局長も大変柔軟な頭脳構造を持っていらっしゃるわけですから、その辺はかたくなにしないでお考えいただいた方がいいのではないかというように考えるわけでございますが、一言で結構です。
  57. 小長啓一

    小長政府委員 先生の御指摘もございますし、今後の課題といたしまして前向きに検討させていただきたいと思います。
  58. 後藤茂

    後藤委員 あちこち質問が飛んで大変恐縮でございますけれども割賦購入あっせん業者に対する購入者抗弁でありますけれども、品物に瑕疵があるとか未到着であるとか、いろいろなことに対しての支払い請求の拒絶ということはもう当然でありますけれども、それ以外に既払い割賦金の取り戻しというようなものは一体考えられないものだろうか。あるいはせっかく抗弁権接続を認めたわけでありますから、損害賠償請求、こういったことについても考えられないだろうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  59. 小長啓一

    小長政府委員 まず既払い金に対する返還請求の問題でございますが、これはなかなか難しい問題ではないかというふうに思っております。購入者販売業者に対しまして売買契約を解除することによりまして既払い金の返還請求というのができる形になるわけでございます。販売業者が倒産している場合などにおきましては、このような請求権の実現というのは困難なわけでございますが、これはいわゆる自社割賦などにおいても同じなわけでございまして、このような場合にあっせん業者への返還請求を認めるということになりますと、自社割賦に比べまして購入者をより有利な状況に置くことになるのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして既払い金の返還請求というのを認めるのは妥当ではないというふうに思っているわけでございます。  ただ、このような整理というのは、現行の民法等の私法の特則規定としての本規定を置くに際しましての考え方ということでございますので、個別事案ごとに裁判所が購入者にこのような返還請求を認めることを完全に排除しているということではないわけでございまして、そのことは念のために申し添えさせていただきたいと思います。  それから、第二の御質問割賦購入あっせん業者に対します損害賠償請求の問題でございますけれども商品瑕疵がある等の場合には、購入者あっせん業者に対します損害賠償請求権を認めるということにいたしますと、あっせん業者与信的な側面からのみ取引に参加をしておるということでございますから、いたずらに社会的コストを増大させることになるのではないかということが懸念されますし、また購入者は、そもそも販売業者に対しましてもこのような主張をなし得るということになりますと、いわゆる自社割賦に比べましてより多くの利益を購入者に与えることになるのではないかというふうに考えられますので、この点につきましても損害賠償請求を認めるのは妥当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございますが、先ほどの例で申し上げましたように、本件の場合にも裁判所が個別事案ごとに、このような請求権をも購入者に与えることを排除するものではないということを申し添えておきたいと思います。
  60. 後藤茂

    後藤委員 もう一つ、抗弁の際、消費者書面の提出を求められるわけでありますが、この消費者書面の提出というものはどの程度のことを考えておられるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  61. 小長啓一

    小長政府委員 中身といたしましてはなるべく簡単なものというふうに考えておるわけでございますが、当事者間での問題の解決が迅速かつ円滑に図られまして、購入者の権利が不当に制限されることのないよう関係業界指導してまいるつもりでございます。
  62. 後藤茂

    後藤委員 電話だけでの抗弁というものは大変難しいですか。
  63. 小長啓一

    小長政府委員 口頭での約束というのでございましても契約には変わりはないわけでございます。また、契約事項のすべてを書面に書くというのも事実上困難であることでございますから、書面記載事由に限定するという考え方を私どもはとっていないわけでございます。
  64. 後藤茂

    後藤委員 そうするとセールスマンのセールストークというものは、これは抗弁できる範囲の「販売業者に対して生じている事由をもってこの中ではきちっと位置づけることができるわけですね。
  65. 小長啓一

    小長政府委員 口頭での契約事項でございましても、立証が可能な限り購入者抗弁できるというふうに考えております。
  66. 後藤茂

    後藤委員 それから、抗弁権規定の中で、同じように三者間の取引になっておりますローン提携、これを適用しないというのは一体どういうことなのか。  それから、マンスリークリアカード方式、銀行系クレジットカードについても同じような問題が存在すると思うのです。先ほど来の答弁の中でも触れていただいておりましたけれども、これは私は必ずこれからの課題になってくると思うのです。これについて、今はこういう扱いにしたが、将来は考えていかなければならない問題であると認識されているのかどうか、この点ももう一度お伺いします。
  67. 小長啓一

    小長政府委員 まずローン提携販売についてでございますが、現実に抗弁権接続に係るトラブルがローン提携販売についてはほとんど起こっていないというのも現状でございます。また、多少法律論的に言わせていただきますと、ローン提携販売の場合には販売業者が、購入者による代金支払いのための金銭借り入れを保証することになっておるわけでございまして、貸付業者は、購入者に債務不履行があった場合には販売業者に保証債務の履行を求めることになるわけでございます。したがいまして、販売業者購入者との二当事者間の関係というのが復活をするわけでございます。その結果、貸付業者が介在することにより抗弁権が切断されるといったような問題は少ないのではないかというふうに考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、ローン提携販売については抗弁権接続規定は及ぼさないということでいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、マンスリークリア方式の取引についてでございますが、本件につきましても消費者トラブルがほとんど起こっていないという実態もあるわけでございますし、また割賦取引の有しますリスクから購入者保護することを目的といたします割賦販売法になじまない面もあるのではないかと考えておるわけでございまして、抗弁権接続規定を及ぼさないという結論にしておるわけでございます。
  68. 後藤茂

    後藤委員 抗弁規定で金額のすそ切りが設けられているようでありますけれども、その理由あるいは下限金額を一体どの程度に考えていらっしゃるのか、この点お伺いしておきたいのです。
  69. 小長啓一

    小長政府委員 業者側の事情と購入者の期待とを総合的に勘案いたしました結果といたしまして、具体的な下限額を決めようというスキームをつくっているわけでございますが、割賦購入あっせん業者抗弁について調査の必要があるわけでございまして、少額な取引をこれが対象にするということになりますと、いたずらに社会的コストを増大させるという側面があるわけでございます。また一方、購入者のサイドから見ますと、一定の金額以上の取引について抗弁権接続を具体的に期待しているのではないかと考えられるわけでございまして、したがって、その両者の利害をそれぞれ勘案をいたしまして、具体的に政令の中でその下限額を決めてまいりたいと考えておるわけでございますが、具体的に幾らにするかということにつきましては、これからその実態を調査し、かつトラブルの実例を見てから判断をしたいと考えております。
  70. 後藤茂

    後藤委員 次に、大臣の提案理由の説明の中にも第三項に「支払い能力を超える購入防止及び信用情報の適正な利用等を図ること」が出ているわけでありますけれども、この点を具体的にお聞きしておきたいと思うのです。
  71. 小長啓一

    小長政府委員 昨年七月の消費者信国産業懇談会、これは産業政策局長の私的諮問機関でございますが、その懇談会におきまして多重債務者発生を未然に防ぐためには与信の際に申込者の信用状況を十分調査することが必要であり、そのためには既存の情報機関を統合する方向で整備を進めていくことが望ましい旨を報告しているわけであります。この報告を受けまして、当省といたしましては、既存の機関でございます社団法人日本割賦協会及び株式会社日本信用情報センター並びに関連業界に対しまして、信用情報機関整備のための体制づくりを進めるよう要請を行ってきたわけでございます。その結果といたしまして、今申し上げました二つの機関及び現在独自の情報機関を持ってはいないのですが社団法人全国信販協会、その三つの機関が販売、信用分野におきます信用情報機関整備統一を図るということで基本的に合意に達しておるわけでございます。現在その実現へ向けて具体的な話し合いが進められているという状況になっておるわけでございます。
  72. 後藤茂

    後藤委員 個人信用情報機構の整備の中で、今局長が御答弁になりました日本割賦協会、日本信用情報センター、全国信販協会、この三者が昨年の暮れに合意に達してその整備を図るということになった。これも比較的のんびりして、いつごろ、どういうようにこの整備がなされていくのか。これこそもっと督促し、行政の指導を強めていくべきではないかと考えるわけですけれども、各業界を超えた横断的な情報交換制度というものこそ立ちおくれている面が大変強い、ですから先ほど来いろいろ指摘しておりますような問題点が出てくる。これは単に個人信用じゃなしに、それこそ販売業者なり信販の会社なりの襟もきちっと正していくような制度でなければならぬと思うわけです。  ただ、ここで私たちが心配するのはプライバシーの問題です。信用情報の目的外利用というものがどうしても出てくるおそれを感ずるわけでありますけれども、こうした規制に対しまして行政当局としてはどういうように考えておられるのか。
  73. 小長啓一

    小長政府委員 改正法案の第四十二条の四に基づきまして、割賦取引関連業者及び信用情報機関に対しまして信用情報の適正な利用指導していく所存でございます。  具体的には、プライバシー保護につきましては、業者購入者信用情報信用情報機関に登録する際には、当該購入者の承諾を得るようにするということをまず考えたいと思いますし、また業者及び信用情報機関は、信用情報関連のない第三者に漏れないよう適切な管理を行うべきことを指導していくというようなことで対応してまいりたいと考えております。
  74. 後藤茂

    後藤委員 そうしたプライバシーの確保というものは十二分に対応策を考えておいていただきたいと思うわけです。  私どもの年代もそうですけれども、カードを利用して商品購入する、役務サービス購入する、こういうことは不得手であります。しかし、これだけ市場が拡大してきておりますと、一方において消費者教育というものがもっと徹底されていかなければならぬと思うのです。この点では、アメリカの消費者教育等をお聞きしてみますと、高等学校後期ないし大学教育の初期においてホームマネジメント等の学習等もなされているようです。実はきょう私、文部省も呼ぼうかと思ったわけですけれども、それほどのことはないと思ってやめたのですが、我が国の高等学校あるいは大学教育の中で、こうした消費者信用等に対してのカリキュラムというものはないのじゃないかという気がいたします。したがって、例えば家を建てるにはどうしたらいいか、保険に入るには一体どうしたらいいか、あるいは消費者信用利用するには一体どうしたらいいかというようなことが全く知らされていない。そういう経験なり教育を受ける場というものが提供されていないわけです。したがって、割賦販売あるいは消費者保護の行政を進めていく上において、もちろん法の体制なり行政指導は十分強化をしていくが、一方の消費者の構えというものも、ただ消費者ニーズだけに対応して市場が膨らむということを超えて、消費者の自立した購入態度を確立していくために、これはぜひ大臣に要望しておきたいのでありますけれども消費者信用というものが非常に重要な政治課題になってきているわけですし、これからも大きなウエートを持ってくるわけですから、教育の課程で、こうした問題に対して十分に国民が理解をしていくような体制をとるべきではないかということを文部省の方にも要望してみていただきたい、こういうように思うわけですが、大臣いかがでしょうか。
  75. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 御要望の趣旨よく理解できますので、私の考え得る範囲内で努力してまいりたいと思います。
  76. 後藤茂

    後藤委員 そこで、時間が大分経過してまいりましたので、中小企業庁長官もいらっしゃるわけでありますから、銀行系カードの問題等について、ひとつ局長と長官にお伺いしてみたいと思うわけであります。  二月の十四日の日本経済新聞ですか、百貨店あるいは銀行系のカードにも分割払い規制を緩和することを認めていく趣旨の記事が載っておりました。それから、これは二月八日の朝日新聞でしょうか「割賦業務に銀行系も」という見出しで、銀行系カード会社の割賦業務への進出の是非について、通産省割賦販売審議会に新たに基本問題委員会を設置して検討するというような記事が出ております。一方、三月に入ってまいりますと、ちょうどこの法律案が出されたころでありましょうか、その翌日でしたか、大蔵省がこれまた割賦販売の問題に対しまして、そういう新規参入のことを考えていくような統一消費者信用法等も制定してひとつ考えたらどうかというような意見も出てきているようであります。  こうした銀行系クレジットカードに割賦機能を持たせていくべきではないかという声が大分出てきておりますし、また、通産省としても、これに対して検討に入っていかなければならない、先ほどの日本経済新聞等の報道を見ましても、そういう意向があるやに報道されているわけでありますけれども、この状況につきましてお伺いをしておきたいと思うのです。
  77. 小長啓一

    小長政府委員 先ほど先生が幾つか御引用なさいました新聞記事は、あくまでも推測記事だと私どもは理解をしておるわけでございます。現在銀行系クレジット会社には割賦購入あっせんが認められていないわけでありますけれども、これは中小クレジット団体既存業界立場配慮いたしまして、昭和五十二年の分野調整法制定時の附帯決議に基づいでとられている措置なわけであります。当省といたしましては今後とも附帯決議を尊重いたしまして、銀行系クレジット会社割賦購入あっせん事業への進出につきましては、既存クレジット業界中小クレジット団体へ与える影響等への配慮を図りながら、十分慎重に対処してまいる所存でございます。
  78. 後藤茂

    後藤委員 調査室からの資料を見ますと、中小小売商団体のショッピングカードの新規供与額等の統計を見てみますと年々利用額が減少してきておる。一方、信販会社等のカードは幾何級数的とは言いませんけれども大変な伸び率で伸びていっているわけであります。先ほど局長の御答弁の中で第三十三条の二の「登録の拒否」、それは通産大臣が登録を拒否することができるということで一応くくってあるわけでありますし、また分野法の制定の際におきましても附帯決議がなされているわけでありますけれども、ただ私は、こうした傾向、しかもパイが大きくなっていかない市場の中で、こうした銀行系クレジットなり信販会社のショッピングカードなり、あるいは中小小売商団体が営々として今日まで努力してまいりましたショッピングカード等々がこれからしのぎを削っていくことになっていきはしないだろうか。  しかも、先ほども指摘いたしましたように、大蔵省等は虎視たんたんとこういう形で考えているようでありますし、また通産としても、マンスリークリアのこのカードが、割賦が認められないでずっといくということは大変難しい情勢になっていくんではないだろうか。そうすると、ちょうど分野法がつくられてきたと同じように、こういう割賦市場といいますか消費者信用の市場の秩序を今度はどうつくり上げていくか。現在はここで一応保護されている。また局長は断固としてという言葉はなかったわけですけれども進出に対しましては一応現在認めないという方向を確認をしていくということでありますけれども、これからなかなかそうはいかぬ問題が出てくる場合に、これからの協同組合として、小売商団体が今日まで、しかもローカルな場所におきまして一定の実績をつくり上げてきておる、これが新しい資本力と信用力の高い企業が参入してくるということになっていくと、いろいろな混乱といいますかトラブルが予見をされてくるわけでありますけれども、こうした問題について、中小企業庁長官としてはどういう心構えを持っていらっしゃるのか、この点を確認をしておきたいと思うのでありますので、御答弁いただきたいと思います。
  79. 中澤忠義

    中澤政府委員 中小団体、特に日本専門店会連盟あるいは日本商店連盟等が行っておりますクレジット事業というものが、その組合員でございます中小小売商の販売促進あるいは中小小売商自体の組織化、協同化という面にも非常に貢献しておるという面がございます。ただ、先生指摘のようにクレジットをめぐります環境というものは非常に激変しておりまして、情報技術の問題あるいは消費者信用の問題等が出てきておりますし、地銀カードの問題等非常に厳しい環境になっておるわけでございます。  私ども中小企業庁の立場といたしましては、中小小売団体の行っておりますクレジット事業というものが健全に振興、発展していくことが非常に大事だと考えております。従来も商工中金の金融によりますバックアップ等も行っておりますし、いろいろな面での振興施策も講じておるわけでございますけれども先生指摘のありましたような新しい事態に対しまして、中小クレジット団体がそのような環境変化に的確に対応していく、このための基本的なビジョンと申しますか対応策というものを確立していく必要がございまして、そのために基本的な調査研究を行いたいと思っております。  五十九年度に新しい調査研究費といたしまして中小企業小売商の新業態開発調査というものを計上したわけでございますけれども、その中の重要な部分といたしまして、クレジット問題につきましても研究いたしまして政策を確立していきたいと思っています。中小小売商団体のクレジット事業に対しまして十分な配慮施策を行っていく決意でございます。
  80. 後藤茂

    後藤委員 時間が参りましたので最後に大臣、今の質疑のやりとりの中でも私は指摘いたしておきましたけれども、訪問販売とか割賦販売、こういうことを超えた包括的な消費者信用に係る何らかの法律というものもつくっていかざるを得ないというような声が私は必然的に出てくるだろうと思うのですね。そういう傾向に対しまして大臣が通産行政あるいは消費者保護冒頭に私が申し上げましたように何といっても消費者保護していく、そして巨大な市場にどんどん発展していく中でどういう法の整備体系をつくり上げていくか。まだ未熟なものがいっぱいあるわけですから、消費者が大変なトラブルに巻き込まれているということになってまいりますと、一つの割賦販売法あるいは訪問販売法というようなものではくくりがたい問題がたくさん出てくる。私は、これはまた時間をいただいて御質問申し上げたいと思うわけでありますけれども、つまり販売業者信用供与していきます信販会社との間の加盟店契約等に関しては、どこもタッチができないというような状況にある。そのために泣かされている消費者がいるわけでありますから、こういった問題に対しまして、これまで十分な論議を進めることはできませんでしたけれども、この法がせっかく抗弁権接続等に対して一定の前進をしてきたわけでありますので、さらにこうした消費者保護立法の整備に対して大臣の御見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  81. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 近年、割賦関係の取引がその便利さのゆえに非常に増大していることは、私が今さら申し上げるまでもございません。しかし、一方において割賦購入あっせんのようなものについての消費者利益の保護、この法的整備がなされていないがゆえに、またトラブルが増大していることも申し上げるまでもございません。このような情勢に対応するためにどう対処しなければならないか、そこでこのたびの法の改正をお願いしたわけでございます。既にして消費者信用全体に係る法的な立法を検討すべきではないかという声は、後藤委員のおっしゃることだけではなしに所々に上がっていることも私ども十分承知いたしております。しかし、これは今後の重要な課題として慎重に対処してまいりたい、かように私どもは考えております。
  82. 後藤茂

    後藤委員 終わります。
  83. 梶山静六

    梶山委員長 和田貞夫君。
  84. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 先輩の後藤委員質問にできるだけ重複を避けて質問したいと思います。重複する場合もございますが、御了解いただきまして、本法の改正案について質問をさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕  そこで、まず大臣にお伺いしたいわけでございますが、この割賦販売法という法律自体は、法の性格上いわば消費者の利益をも考え合わせるが、基本的には割賦販売業者あるいはあっせん業者の秩序を保つ上に立っての業者保護規定というように私は感ずるわけであります。しかし、今度の改正案は、消費者保護ということを基本に置いて消費者保護の徹底を図っていく、こういう目的のために改正案が出されたものであると私は考えるわけでありますが、この点について大臣の方からまず御答弁をお願いしたいと思います。
  85. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 業者の秩序をしっかりさせるということも即消費者保護につながるわけでございまして、やはり消費者の利益の保護というものを私どもは第一義的に考えまして法改正をお願いしているわけでございます。
  86. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そこで政府委員の方にお尋ねしたいわけでございますが、この法の施行それから改正が一部なされて今日に至っておるわけでございますが、販売業者消費者との間あるいは購入あっせん業者消費者との間で、一体具体的にどういうような面でのトラブルが多いのかということを指摘してもらいたいと思うのです。
  87. 小長啓一

    小長政府委員 通産省消費者相談室におきます相談件数で見てまいりますと、近年、契約関係に係るトラブル昭和五十三年度におきましては約千九百件であったわけでございますが、昭和五十七年度におきましては約三千九百件と倍増しておるわけでございまして、これらのうちでも割賦関連取引に係るトラブルが大きな割合を占めておるわけでございます。割賦関連取引に係るトラブル取引形態別に見てみますと、割賦購入あっせんに係るものが圧倒的に多いわけでございまして、その相当部分がいわゆる抗弁権の切断をめぐる問題なわけでございます。このような動向は経済企画庁所管の国民生活センターが行いました調査結果からもほぼ同様な結果として認められるわけでございまして、今回の法改正はこのような動向に対処するものとして位置づけられるわけでございます。
  88. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 政令によって指定商品が決められておるわけですが、この指定商品外の取引から起こるトラブルはどの程度あるのですか。
  89. 小長啓一

    小長政府委員 商品の中で問題のある商品につきましては指定商品として指定をするという形になっておりますので、今、先生御設問の、指定商品以外でどんなトラブルがあるかということにつきましては、必ずしもその実態を掌握してない状況でございます。
  90. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 取引形態がこれまた法規制対象になっておらない部分から、今日までトラブルがどの程度あるのですか。取引形態が法規制対象になっておりながらトラブルが起こる面と、取引形態が法規制対象になっておらないために起こってくるトラブルと、どちらの方が多いですか。
  91. 小長啓一

    小長政府委員 割賦購入あっせんにつきましては現行法では行為規制対象にはなってないわけでございます。したがいまして、先ほどトラブルの件数ということで触れさせていただきましたけれども、割賦購入あっせんをめぐるトラブルが大変ふえておるわけでございますので、それを今度新たに法律の行為規制対象とすることによりまして、その辺のトラブル防止をしていこうというふうに考えておるわけでございます。
  92. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 先ほどお答えいただきました指定商品外の取引におけるトラブルは、当然のことながら今回の改正にも含まれておらないわけでありますが、役務対象とした取引あるいは役務を附帯した商品取引、これにやはりトラブルが多いわけでしょう。
  93. 小長啓一

    小長政府委員 先生先ほどお触れになりました指定商品制度の中に、今度の新しい法律では消耗品を加えようとしておるわけでございまして、消耗品の幾つかをその指定商品に加えることによりまして、その面におきます消費者保護というものは貫徹できるのではないかと思っておるわけでございます。  それから、もう一つ御指摘役務の関係でございますが、役務プロパーの問題に関しましては、いわゆるこの割賦販売法対象となります法域以外の分野で、いろいろまだ考えなければいけない問題が多いのではないかということで、今回は規制対象からは指定役務という形では除いた格好になっておるわけでございますが、商品に付随した役務関連いたしましては、本法の運用の中で具体的に対象として考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  94. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大臣、今御指摘をさしていただき、御答弁いただきましたように、今度の改正消費者保護を基本に置いて多くの改正点を盛られたということは、私は、これは敬意を表するわけでございますが、しかし、今指摘いたしましたように、トラブルが将来にわたって起こってくるという可能性のある部分が、今回の改正案で多くまた盛られておらない面があるわけですね。今の御答弁でもおわかりいただいたことであろうと思いますが、その点につきましては、これは最後にもう一度大臣の方に御答弁をお願いしますが、先ほど大臣の方から御答弁をいただいたように、このことで全く消費者に対する被害が生じない、トラブルが生じないということにはならない内容の分野改正であるということであるわけですね。
  95. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま先生指摘のように、役務のある部分が外れておるということにつきましては、確かに先生の御指摘になったような意味での問題は残るわけでございます。ただ、私どもはここ数年来の審議を踏まえまして、とりあえず消費者保護観点から緊急に措置すべき事項として、四つの事項を挙げて今回の法改正の主要な点としたわけでございます。  これはもう申すまでもないことでございますが、第一は割賦購入あっせんに対する購入者保護規定の適用の問題でございますし、第二が抗弁権接続規定の追加の問題でございますし、第三が多重債務者発生防止等のための規定の追加ということでございますし、第四が定義規定改正ということで、リボルビング方式や消耗品を対象として加えるというような四つの点を主要事項といたしました改正案を取りまとめた次第でございます。したがいまして、当面の消費者保護観点から見まして緊急に措置すべき事項として、この四つの点につきまして御理解をいただきたいというふうに思っているわけでございます。
  96. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今も局長が御答弁申し上げたように、確かに今回の改正で見送った部分もございます。しかしながら、今後それをさらに実態を調査しながら、どのような規制を行うのが妥当であるか、これは引き続き検討するものもございますが、基本的には消費者利益の保護ということをまず一番大きく念頭に置いておるものであるということを御理解願いたいのであります。
  97. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは具体的に質問さしてもらいたいと思いますが、今、局長の方からお答えがございました、役務の問題については今回の改正に盛られなかったというのは、例えば役務を提供する業者の方から、業界の方から、何らかの通産省に対するところの圧力があって、そして今回の改正案に盛られなかったのか、そうでないのか、ひとつ明確にお答え願いたい。
  98. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘サービス関連役務関係の業界から何らかの圧力というような問題は一切ございません。  本件に関しましては、私ども具体的に何とか法律対象にならないかということで検討を進めたわけでございますけれども役務につきましては大変きまざまな形態の取引が存在をしておるわけでございまして、その実態を解明する必要があるということが第一の理由でございます。  それからまた、第二の理由といたしまして、役務関連した消費者トラブル実態を見てみますと、いわゆる割賦取引といったような支払い方法のあり方というよりは、むしろ提供される役務の内容そのものに関連して発生している場合が多いのではないかという二つの点から見まして、本法の対象として考えるというよりも、むしろさらに引き続いて実態を調査をして、どのような規制を行うのが妥当かというようなことについて検討していくことの方が適当ではないかというふうに判断をしたわけでございます。
  99. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いつまでに検討されますか。
  100. 小長啓一

    小長政府委員 これは特に期限を切っておるわけではございません。
  101. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 例えば今回の改正には盛られなかったけれども、少なくとも産構審によって、あなたの方が諮問をされ、答申が出ているのですからね。これは役所的に当分の間というのが二十年も三十年も続くというようなことでは、トラブルが起こり被害者が出ておるわけですから、そうのんべんだらりと研究検討してもらったら困るわけですね。例えば今度の改正では結論が出なかったけれども、今、御答弁がございましたようにさらに実態を調査をして、そしてどのような対応の仕方で法規制をやったらいいかということを検討されると言っておるのだから、ことしはできなかったけれども、少なくとも例えば次の国会で、あるいは一、二年後の国会で、ぜひとも役務対象とした規制をしていく、法改正に盛るという考え方に立たれるかどうかということを、改めてひとつお答え願いたい。
  102. 小長啓一

    小長政府委員 具体的な時期につきましては今ここで確約はできないわけでございますけれども、問題意識といたしましては、私どもも十分把握をしているわけでございますので、取引実態をよく検討いたしまして対応策を具体的に考えてまいりたいと思っております。  ただ、当面緊急に措置すべき事項といたしましては、商品関連をした役務というのがあるわけでございまして、その面における消費者トラブルというのが大変増大をしておるわけでございます。例えば教材と塾といったような場合でございまして、商品役務が附帯する取引というような場合がそれに該当するわけでございますが、そういうようなものにつきましては今後、附帯役務を明確に契約書面記載させるというような指導を行いまして、取引明確化を図ってまいるということは当面処置してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  103. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、一切セールストークということはやらない、やらせない、口約束をですね、そういうような行政指導も伴うわけですか、業者に対して。これはやはり契約するについてはその場限りの無責任なセールストークというのはあり得るわけなんですね。そういうようなことはやらせないという、そういう販売業者に対する行政指導というのは厳にやられるわけですか。
  104. 小長啓一

    小長政府委員 今、先生の御質問趣旨が、三十条の四に関連をいたします割賦購入あっせん業者に対します抗弁について、いわゆる書面記載事項に限定するかどうかという問題ではないかと思うわけでございますが、その点に関しまして答弁をさせていただきますと、口頭の約束であっても契約には変わりがないわけでございますし、それからまた、契約事項すべてを書面に書くというのも事実上困難なわけでございます。したがいまして、口頭での契約事項でございましても、立証が可能な限り購入者抗弁し得るという考え方をとっておるわけでございます。
  105. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは購入者が一人の場合、複数の場合、実証づけるものとして、例えば購入者が五人だったらそれは実証づけられるのか、二人だったら実証づけられないのか、一人だったら実証づけられないのか、そういう問題が起こってきますが、大体実証づけるというのはどの程度考えておられるのですか。
  106. 小長啓一

    小長政府委員 今、先生指摘の問題は、裁判所における立証の問題に関係してくるわけでございますが、最後は裁判官の心証ということになるわけでございます。したがいまして、複数者といいますか、客観的な証言のできる人がいる方が立証上有利な立場に立ち得るということは言えるかと思いますが、今、御指摘の、数人であればより証拠能力が高いのかどうかという点につきましては、必ずしも私の立場ではお答えできないかと思います。
  107. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その問題は、これからやはり起こってくる問題として具体的に、いかに抗弁権を与えても、今、御答弁いただいたように問題があるところであります。したがいまして、一々取引のときにセールスがしゃべったこと、語ったこと、相手の人格の問題もあるのだから、消費者の方も、購入者の方もテープを用意して、それから取引するということは余りないわけなんですね。  だからそこらが難しい問題でありますので、今後の問題として、いざ裁判になったときにこの問題が出てきますので、きょうの審議の過程で、そういう問題があったときに、たとえ一人でも購入者の方が、そういうことを言った、語った、しゃべった、約束したというように言った場合も、やはり抗弁権の付与されたものになるんだという程度のことは、ひとつ局長の方からここで発言しておいてもらわないと、あいまいにしていくと、これは一番大事な問題でございますので、ひとつ御答弁願います。
  108. 小長啓一

    小長政府委員 今、先生指摘の問題は大変答弁のしにくい事柄でございますけれども、セールストークとはいいましても、消費者に対しても、書面の形で具体的な事由が述べられる方が後々の立証上も有利な立場に立ち得るわけでございますから、そういう意味では書面をできるだけ準備するような方向で指導はしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  109. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 役務を伴う商品取引について、今お答えになった面だけが、今回の改正の中で法文上は出ておらぬけれども、それだけがトラブル解消のために考えておられることですか。
  110. 小長啓一

    小長政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、役務を指定役務という形でもって本法の対象とすることは見送ったわけでございますけれども役務関連する消費者トラブル、例えば教材と塾といったような問題に関しましては、関連の省令を改正いたしまして、附帯役務を明確に契約書面記載させることによりまして取引明確化を図るということをやると同時に、業者に対しまして取引適正化のための指導を徹底してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  111. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その点はその程度でおきまして、先ほども後藤委員の方から指摘があったわけでございますが、いわゆるローン提携販売です。  このローン提携販売は、本会議の際にも大臣から答弁があり、先ほども局長の方から後藤委員に対して御答弁があったわけですが、これはトラブルがない、あるいは非常に少ない、だから対象外にしておるんだというようにお答えになったことであろうと思うのです。これには私の方からもひとつ質問いたしますけれども、銀行業界あるいはこれを担当する大蔵省、そういうところから今回の改正に当たって対象外にしてくれというような陳情があったり、あるいは圧力があったり、そういうことがあったために対象外にしたのか、法の改正に盛られなかったのか、そうでないのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  112. 小長啓一

    小長政府委員 大蔵省との間でこの法律立案の過程でいろいろ議論をしたことは事実でございましたけれども、御指摘のような圧力があったり、あるいは大蔵省から強い要請があったというようなことではございません。結論的には、本会議答弁でも大臣もお答えをしたと思いますけれども、ローン提携販売というのは、全体の割賦関連取引の中でシェアが低下をしてきておるということと、それからまた現実にこういうトラブルというのがそれほど大きな問題になってないということに加えまして、本件の場合には販売業者が保証をするという形になっておるために、通常の割賦あっせんの場合とは区別して法律論的に論じ得るのではないかということが、そのローン提携販売につきましてそのような抗弁権接続を認めなかった理由ということになっておるわけでございます。
  113. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 保証をした販売業者が倒産をするということもあり得ると思うのですが、そういうことは絶対にないと思われるのですか。
  114. 小長啓一

    小長政府委員 そういう例がある場合は当然想定できると思いますし、それから同様に、割賦あっせんの場合におきます販売業者が同じようなことに遭遇する場合も想定できるのではないかと思うわけでございます。
  115. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 想定できるとすると、現在トラブルがないから、あるいは少ないから対象外にして、それが生じた場合に消費者保護立場というものは貫かれない結果になると思うのですが、そういうときはどうされるのですか。
  116. 小長啓一

    小長政府委員 現実にローン提携販売をめぐりますトラブルが非常に少ないということをまず冒頭に御指摘申し上げたわけでございますが、販売店が現実に保証債務というのを負うわけでございますから、現実に取引を選択する際に、それ以外の場合と比べまして非常に慎重な対応をするであろうということも指摘をできるわけでございます。
  117. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ローン提携は銀行に限っておらぬわけですね。最近は信販業者が同じような形態に移行しつつある。それでも対象外にして、責任は持ちますか。
  118. 小長啓一

    小長政府委員 現在私どもが掌握している限りでは、このローン提携販売の場合の金融機関は銀行が中心でございまして、信販会社が乗り出している例というのは聞いておりません。
  119. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、信販業者にはそのような形態による取引はさせないということに受けとめてよろしいですね。
  120. 小長啓一

    小長政府委員 役所サイドからやらせない、やらせるという問題ではございませんで、そういう意味では、これは契約の自由の分野でございますから、ローン提携販売も自由にできる形にはなるわけでございますが、現実には銀行以外にはこの制度は使ってないというのが現状でございます。
  121. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 現実にはとか、あるいは今トラブルが少ないからというようなことでなく、これはやはりどの業界でも商売ですから、だからこそ今度の改正もあったんですよ。過去に改正がされて、その当時トラブルがあったから、なかったから、少なかったからということで放置をしておった結果、今日改正をしなくちゃならないということで数多くの法改正を今日やろうとしておるわけですね。今の時点でトラブルがないからとか、あるいは信販業者が本来やるべきでなくて銀行系の形態であるからということだけで済ませられないように思うのですね。先ほども申し上げたように今日、信販業者が銀行系の形態をとりつつある、その形態も信販業者でやろうと移行しつつあるということを私は言っているわけですね。にもかかわらずローン提携を対象外にしておくと、近い将来必ずトラブルが起こる可能性があるわけなんです。にもかかわらず対象外にしておいて、せっかく法改正をされるのに当たって、それでいいのかどうかということをお尋ねしておるのです。
  122. 小長啓一

    小長政府委員 抗弁権接続規定を設けました趣旨というのは、売買契約の直接の当事者ではない与信業者に、購入者の支払い拒絶を受忍するということで売り主の責任の一部を負わせるということになるわけでございますから、その適用対象検討に際しましては、こうした責任を負わせることが妥当な取引形態に限る必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味では過剰な規制は避けなければいかぬのじゃないかというのがその発想の原点にあるわけでございます。  したがいまして、冒頭申し上げましたように、ローン提携販売に関しましては、まだ具体的にトラブル件数も非常に少ないわけでございますし、しかも、これが銀行中心という形で行われておるということでもございますし、しかも販売業者が保証するという形でもってある種のバッファーもあるわけでございますので、ローン提携まで抗弁権接続を及ぼさなくていいのではないかというふうに判断をしておるわけでございます。
  123. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 将来にわたって今のような考え方を踏襲していくということですか。
  124. 小長啓一

    小長政府委員 取引実態というのは非常に千変万化でございますし、今後の取引の主流がどうなっていくかということは必ずしも予測できない側面もあるわけでございます。したがいまして、将来の問題をここで余り軽々にお約束はできないわけでございます。そういう意味で、私どもとしましては当面、割賦販売取引をめぐります諸般の実態をよく踏まえながら対応してまいりたいというふうにお答えをしたいと思います。
  125. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それ以上言いませんが、トラブルが起こってから後追い後追いで法改正をするというようなことでは、これはもういつまでも続いていくと思うのですよ。だから、この改正によってこういう問題が起きてきやしないか、こういうようにすればこういう問題が生じてこないだろうかということを予測をして、後追い後追いじゃなくて、先取り先取りでやっていかないと、これは消費者保護ということにはならない気が私はするのです。したがって、これは先ほどの役務の問題と同じように、やはり早期に調査もされ、検討もされ、あるいは予測もされて、この点についても対処をするということをひとつ早急にお考えいただきたいと思うのです。どうですか。
  126. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘の問題に関しましては、役務の問題も含めまして、取引実態につきまして引き続き検討を続けてまいりたいというふうに考えます。
  127. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これも先ほど後藤委員の方から言われておったクーリングオフ期間の問題ですが、期間の問題と同時に、その期間をいつから起算するかという問題ですね。書面を交付した日からするのか、あるいはその翌日から起算するのかということで一日違うわけですね。それも消費者立場に立つならば、書面交付の翌日からというようにする方が消費者保護立場はより貫かれると思うのですが、どうですか。
  128. 小長啓一

    小長政府委員 現行法の四日というのは書面を交付した日を含む四日ということでございます。ただ、四日と決めましたのは四十七年の時点であったわけでございまして、その当時におきます諸外国の例を勘案して決めたわけでございますけれども、最近の諸外国の事例を見てまいりますと、アメリカの三日というのは別といたしまして、大体七日というのが多いようでございますし、一部、十四日の国もあるようでございます。したがいまして、四日間では短過ぎるではないかという御意見とか、あるいは先生のおっしゃったような起算日をその書面を交付した日の翌日からとするかどうかという問題も含めまして、先ほどの諸外国の事例、七日なんかのことも頭に置きながら、今後の検討課題として前向きに検討してまいりたいと思っております。
  129. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 さらに、これは昨年の例ですが、五月の二日に訪問販売でクレジット利用して美容のための商品、マンナンとビタミンEを十三万五千円で購入しておる。そういう契約を結んだ。一日置いて五月四日の夜に解約をしたいという内容を記載したはがきをポストに投函した。ところが、そのはがきの消印が五月の六日であった。したがって、クーリングオフには応じられないという返事が来たということですね。ところが、この五日というのは祭日です。そうすると祭日は郵便物の集配がなされない。それがためにこの問題が起こっているわけです。だから、書面の交付の日からということと翌日からということでは一日消費者保護されるし、なおその間に連休だということになって二日も集配物がないというような場合に、これまたこの問題が起こるわけですよ。だから四日であろうが五日であろうが七日であろうが、クーリングオフについてはそういう面も頭に入れて考えてもらわないと、四日が七日になったから、七日が十日になったからということだけでは決して消費者保護という立場が貫かれないわけですね。こういう事例が一つ起こっているわけですが、そういう点についても頭に入れられますか。
  130. 小長啓一

    小長政府委員  四日では短いのではないか、少し長くすべきではないかという議論の一環といたしまして、四日目の最後の日が休日の場合あるいは連休と重なるといったような場合は、その休日は除いて四日という対応も考えられるのではないかという案も実は検討しておるわけでございます。ただ、このクーリングオフの問題を考えます場合に留意しなければいけないポイントは、先生指摘消費者保護観点が一方にあると同時に、一方に取引の安定という側面もあるわけでございまして、両者の接点をどの辺に見つけるかというのが課題だと思うわけでございます。仮に一定の期間延ばして四日プラスアルファとする場合には、最後の日が休日とか云々というのは余り考えないで、むしろ一律に期間を何日に延ばすという形の方が取引の安定の側面から見るといいということも言い得るのではないかと思いますが、いずれにしましても、その辺につきましては前向きに検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  131. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これはただ法によって規制をしたりするだけではなくて、本会議の際にも指摘したわけでございますが、信販業者あるいは販売業者のモラルの問題、割賦販売を営まれる側自体の問題にも係るわけですけれども、せっかく取引をされ、事業をやられるわけでございます。自分のやったこと、社のやったこと、自分たちの業界がやっておることは社会的に消費者に対してどのような影響をもたらすのか、あるいは、このことをやっていいのか悪いのかということを十分にセールスマンまでにも徹底させて、いわゆる社会的な責任を持つという観点に立ってもらわないと困るわけですね。  そこで、いわゆる金銭請求訴訟に係る問題です。これは民事の問題ですので割賦販売に限ってということにはならないわけでございますが、いとも安易に取り立て金銭訴訟ができるということから起こってくるトラブルがあるわけです。その点は行政指導として行政的なサイドから措置なりあるいは指導なりが考えられはしないかと思うのですが、そういう点はお考えにならぬですか。
  132. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘の訪問販売等におきます販売業者なりあるいはセールスマンの教育問題というのは大変重要な課題でございまして、御指摘のような方向で、私どもも具体的な研修強化の方向で努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、最後に御指摘になりました、いわゆる権利の乱用を防止するための具体的な行政指導ということでございますけれども、割賦関連業者につきましても一般の債権者と同様な法的な地位は認められるわけでございます。そういう意味で、いわゆる委任状の取得なんということについても、それが不当なものであれば、その是正について関連企業指導してまいるということでやってまいりたいと思います。
  133. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これはあえて固有名詞は言うことを差し控えますが、大手の信販業者であるべきものがこういうようになった事態は、契約の時点でなったのか、あるいは購入者が自分の気に入った内容でなかったためなのかということは別といたしまして、とにかく支払いがおくれたとか、あるいは支払いがなされなかった、そういう場合に、正式に裁判所に申し立てて、そして法の手続によって購入者に対して請求が行われたということじゃなく、それまでの過程でわざわざ、裁判所へ行けば、あるいはどこへ行ったって用紙屋へ行けば用紙があるのですが、支払命令申立書というようなものを使ったり、それに付随するいろいろな書類ですね、さも裁判所に申し立てをしたかのような書類を作成いたしまして、購入者に対しまして勧告状というようなものを出しているんです。その勧告状によりますと、まだ裁判所からの支払い命令が出ておらない、ただ支払い命令の申立書の用紙を使って、裁判所の方から支払い命令があったかのようなそういう文章を勧告状の中に書いておるのです。「不本意なががら、法定手続(支払命令)をとりましたことは、裁判所よりの書類にて、ご承知のことと存じます。」こういう悪意みなぎる勧告状をもって、先ほども申し上げましたように大手の信販業者が、いわば消費者に対して、購入者に対して、うそを言って偽って、おどしの中で取り立てようとするような、そういう行為をやっておる大手業者があるのです。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕 まさに信販業者あるいは信販業界全体のモラルの問題であり、業界あるいは業者自体の消費者に対するところの対応の仕方としては、私から言うならばまことにけしからぬやり方です。そういうやり方をやっておるというのは現実にあるんですから、そういうところに対しても、やはり行政的な措置あるいは行政的な指導というものがなされなければ、せっかく今回の法の改正消費者保護立場を貫くんだと言ったところで片手落ちになるのじゃないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  134. 小長啓一

    小長政府委員 割賦販売取引の健全な発展を確保するためにも、信販会社等の社会的信用を維持、確保するということは大変重要な課題だと思っております。したがいまして今、先生の御指摘のような事実、私ども必ずしも掌握をしておりませんでしたけれども、その点につきまして早急に実態を調べまして、そういう事実につきましては関係業者に対しまして厳に自粛方を要望してまいりたいというふうに思っております。
  135. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、あえて名誉のためにその信販業者の名前は伏せましたけれども、事あらば私はここであからさまにしたいぐらいです。そういうようなことが多々あるわけです。  したがいまして、時間の関係もございますので多くを語ることは避けたいと思いますけれども、やはりこの割賦販売法という法律自体は、消費者保護という立場を貫かれた法律というよりも、業者をむしろ保護した、業者立場に立った精神というものが貫かれた法律であるというように感じてならないわけなんです。  例えば、この法律の「目的及び運用上の配慮」という中で確かに「購入者等の利益を保護しこという一行は書かれております。しかし「中小業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない。」これは当然でありますが、ここに書かれておる「中小業者の事業の安定及び振興」ということよりも、むしろ信販業者の、あるいは信販業界保護ということに現実の問題としてなっておるわけです。だから、そのあたりの取り締まりというところまでいかなくても、やはり現実に起こっておるトラブルを解消するために、あるいは消費者保護という立場を貫くのであれば、ここらあたりにきちっと、この法の「目的」ということの中に消費者保護というものを重点に置いた消費者保護法律であるんだというように、なぜこの第一条の改正案をこの機会に提案してこなかったのですか。
  136. 小長啓一

    小長政府委員 冒頭にも申し上げさせていただきましたけれども、本法の改正のポイントは、大きく分けて四つあるわけでございます。割賦購入あっせんに対する購入者保護規定の適用であるとか、抗弁権接続規定の追加であるとか、あるいは多重債務者発生防止等のための規定の追加であるとか、リボルビング方式や消耗品を対象として加えるといったようなことは、まさに消費者保護を目的とした規定ということでございまして、こういう規定が入ることによりまして、我が割賦販売法も国際的に見て何ら遜色のない法律体系になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  先生指摘の、そこまで消費者保護が徹底しているのなら、目的をもうちょっと書き加えられないのかというような御趣旨だと思いますけれども、目的にははっきり購入者保護という明文がございますので、私どもは、現行法の目的の範囲内で、今申し上げたような改正事項は処理できると判断をした次第でございます。
  137. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間がありませんので、最後にひとつ大臣のお考えをお聞きしたいわけでございますが、今いろいろ問題について議論をいたしました。しかし、私は決して消費者だけが善であって業者が悪であるというように言っておらないわけです。やはり業界業者がモラルをお持ちになり、そして業界が健全な姿で発展されることを私は願っておるわけです。そのことを通じて消費者保護されるということに相なるわけですから、だから私は先ほど、あえていろいろな点について申し上げたわけでございますが、これらの問題点を含めて、近い将来にわたって法の再度の改正を図ってもらうということによって、あくまでも消費者保護という点を貫いていただくと同時に、業者業界の健全な発展ということを入れた法の改正をひとつお願いしたいわけなんですが、これについて大臣の御所見をお伺いしたいわけです。
  138. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 そのようなモラルに関する問題は当然売る方にも買う方にもあるわけでございますが、和田委員指摘のような事実がそこにあるとするならば、我々は、十分実態を把握、調査いたしまして、今後一層この取引の健全な発展を期していかなければならないと考えます。
  139. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 以上で終わります。
  140. 梶山静六

    梶山委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後三時二十一分開議
  141. 梶山静六

    梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出割賦販売法の一部を改正する法律案に対する審査を続けます。  本日は、参考人として早稲田大学商学部教授宇野政雄君、東京大学法学部教授竹内昭夫君、社団法人日本割賦協会理事長青柳忠一君、日本信販株式会社取締役社長木島利夫君、主婦連合会事務局長清水鳩子君及び日本消費者協会事務局長松岡萬里野君、以上六名の方々の御出席を願っております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本日午後二時三十分に本委員会に御出席願うよう御案内いたしましたが、本会議が当初の予定よりも時間を超過いたしましたので、本委員会の再開がおくれ、貴重な時間をお待ちいただきましてまことに恐縮に存じております。  本委員会におきましては、目下、割賦販売法の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本案についてそれぞれのお立場から隔意のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じております。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に、委員質疑に対し、お答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず宇野参考人にお願いをいたします。
  142. 宇野政雄

    ○宇野参考人 御紹介いただきました早稲田大学の宇野でございます。  私は、昨年の九月から数カ月間、産業構造審議会消費経済部会の部会長、こういうことで、この法律案の基礎になります答申の作成に当たりました。その過程におきまして感じておりますことを、この法律案関連して申し上げてみたい、こう思う次第でございます。  若干、前置きをさせていただきたいわけでありますが、こちらは商工委員会である、こういうことで見ますと、時代的な流れから見まして、産業発展という点から見てまいりますと、生産というものが大変重視されました戦後、それに金融を結びつけるということが最重点に置かれた時代があることを記憶するわけでございます。その後、できた物をどうやって流すかということで流通関連にお金の手当てをしていく、こういうことで関係の業界も伸びますし、金融もそれに結びついて発展をしてきたというような気もするわけでありますが、私は流れから見ますと、生産、流通という点で申しますと、消費というものの金融も大変面倒を見よう、こういう考え方がちょうど出てきているというのが一つの大きな、これは大げさに。言えば世界的な傾向であろう、こう思う次第でございまして、日本も同じような状況へ来ているという印象を持ちます。  それからもう一方、消費する方の立場から申し上げますと、戦後、食うものがなくて困った時代から今日まで見てまいりますと、いかに食べたり身につけるものを量的に充足させるか、こういう時代から、今度はより質的な充実を求める、こういうような形へ参りまして、実は今日におきましては食、衣、住それから雑費関連、こういう形で支出重点が変わってきたわけでありますが、ここ四、五年をとってみますと、生活全体を見直しまして、その生活全体としての質をどう上げていくか、こういうようなことが求められている時代に来ているような気がいたします。  前置きが大変長くなったわけでありますが、昭和三十六年に割賦販売法が制定を見たわけで、そのときはちょうど先ほど申し上げました食、衣、その次の住に関連いたしますものを量質ともに充足をさせていきたい、それに関連いたしまして割賦販売というものがここで取り上げられてきたと思っております。その点で見ますと、指定商品としては耐久消費財というものが中心であったか、こう思うわけでございます。  この場合に、もう一つ申し落としましたけれども、昔は我々の年配からいいますと、とにかく貯金をしてから物を買うのだ、こういう感覚があったわけでありますが、戦後少しく格好がついてまいりましてからは、それだけではなくて、むしろ貯金を先取りいたしまして、よりよい生活をエンジョイしていこう、こういう点から申しますと、割賦というようなものに関心を持ってきた、こういうようなことも結びつきまして、三十六年に先ほど申し上げましたような割賦販売法ができたと思うわけでございます。  その後、見てまいりますと、いろいろと時代は、先ほど申し上げましたようなことで消費構造も変わりますし、消費者行動というものも変わるし、それから産業構造自身も、金融のあり方というようなものも変わってきたことは御案内のとおりでございまして、特にここ数年のところで、従来のような耐久消費財を中心といたしました自社割賦といいましょうか、自分でつくったり売ったりいたしましたものに対しまして割賦販売の便宜を消費者に図っていくというようなことがあったわけでありますが、今日は御案内のように既に割賦購入のあっせんを行います業というものが大変伸びてきているわけでございまして、むしろこの方が昨年あたりでは自社割賦を上回るというのが現実の姿でございます。  その点で見ますと、物を購入いたしました消費者の方の立場からいいますならば、一方の自社割賦で買った場合においては、何かその品物にまずいことがあるといたしますならば、その支払いにつきましても、それなりの対抗がし得るわけでございますが、今申し上げましたような割賦購入あっせんということになってまいりますと、あっせんをされた方の方は、きちきちとお金を最後までもらっていきたい、一方の品物はまずい、こういうようなことで、この辺に消費者の方から見れば取り扱いにバランスの崩れる問題が今、出てきたわけでありまして、この辺から見ますと、割賦購入あっせんという関係のものにつきましては、この割賦販売法では今までには取り上げていなかった問題でございまして、そこにトラブルが起こってきた、こういうようなことで、この辺を一体どう取り上げていくのかということが問題として取り上げられてきたことかと思うわけです。  今回の答申指摘されました問題といたしまして、この審議会で問題になったわけでありますが、今申し上げましたようなことから見ますと、四つのことが問題として検討されたわけでございまして、第一番目は、先ほど申し上げましたような自社割賦と同様の購入者保護規定というものを割賦購入あっせんなどの取引形態にも及ぼすということが必要ではないか、これが第一点であります。  それから第二番目の問題といたしましては、先ほど申し上げましたような、品物に何かまずいものがあった場合において、自社割賦の場合においてはそれなりに消費者対抗できたわけでありますが、割賦購入あっせんにつきましては必ずしもその手当てができておらない、こういう件につきまして、いわゆる抗弁権というものを接続すべきではないか。つまり購入あっせん業者からの支払い請求を場合によって拒み得るようなことが考えられるという意味であります。  第三番目といたしましては、基本的には、賢明な、そして健全な売り手と買い手との結びつきによって、こういう新しい取引形態というものが進んでいくべきものでございますが、現実にはいろいろと安易な使われ方、安易な提供の仕方、こういう問題もあると思うわけでございます。その点で、過剰な販売信用供与の防止また信用情報利用適正化、こういうような問題についても検討すべきではないかということであります。  それから最後の、第四番目といたしましては、先ほどもこれは申し上げたことでありますが、従来のような指定制度から見ますと、かなり限られた取引販売対象のものが問題として取り上げられておったわけでありますが、現在の指定商品のほかに、耐久消費財ではなくて消耗品なり、また役務関連取引と雑費関連の支出がふえてきているわけでありますから、そういう点についてのことも割賦販売法対象にすべきではないか、こういう考え方になったかと思います。  政府で出しておりまする法律案を拝見いたしますと、今申し上げましたように、我々の審議会で検討いたしましたような趣旨のことがおおむね入っておるというふうに私は理解するわけでございます。ただ、役務に関する規定につきましては除外がなされているようでございます。これは審議会として出しました方から見ますと不本意なことでありますが、なかなか立法技術的に難しい問題がある、こういうように聞いておりますので、これは現段階におきましてはやむを得ないといたしまして、ただ、これは今後の検討にゆだねて、ぜひ皆さん方の方にも御検討いただく必要があることではないだろうかということが私の感じでございます。  以上、簡単でございましたが、所見を申し上げさせていただきました。
  143. 梶山静六

    梶山委員長 ありがとうございました。  次に、竹内参考人にお願いをいたします。
  144. 竹内昭夫

    ○竹内参考人 御紹介いただきました東京大学法学部の竹内でございます。  私は、昭和四十七年の割賦販売法改正の際にも割賦販売審議会審議に参加いたしましたが、今回も産業構造審議会委員として答申の作成に至る審議に参加いたしました。このような立場から、今回の法案について私の意見を申し上げたいと存じます。  前回、昭和四十七年の改正は、消費者保護のための緊急改正といたしまして、割賦販売条件の正確な表示と書面の交付、クーリングオフ制度の導入、ローン提携販売や前払い特定取引への適用範囲の拡大等を図ったものでございます。今回の改正もまた消費者保護のための緊急改正でございます。  その眼目の第一は、割賦購入あっせんについて、割賦販売と同様に取引条件の表示及び書面交付、クーリングオフ契約解除の制限等の消費者保護規定を加えたことでございます。消費者立場からいたしますと、代金後払いで商品を手に入れる取引であるという点では、いわゆる自社割賦も割賦購入あっせんも同じ経済的機能を果たすものでございます。にもかかわらず、割賦販売の場合には与えられる保護を、割賦購入あっせんの場合には与えられないという不均衡を生じておったわけでございまして、その不均衡の是正を図ろうとするものでございます。  第二には、販売業者に債務不履行があった場合、つまり商品を渡さないとか渡した商品に欠陥があるという場合には、消費者割賦購入あっせん業者、つまり信販会社に対しまして、売り主に対して主張し得る抗弁、この商品を取りかえなければ代金を払わぬという抗弁主張して信販会社の支払い請求を拒み得るということにしたわけでございます。  これは消費者立場からしますと、販売店と信販会社はいわばコンビを組んでいるわけでございまして、したがって、完全な商品を渡さないようないわば悪質な販売店のために、信販会社が有無を言わせず消費者から代金を取り立ててやるというようなことは、消費者の利益を害するだけではなしに、信販会社の信用をも傷つけるゆえんであります。  私は、国民生活審議会の消費者政策部会長というのもしておりますが、昨年末公表いたしました「店舗外における消費者取引適正化について」という消費者政策部会の報告の中で、近時は訪問販売につきましても信販会社が関与する場合が多くなりまして、これによって一件当たりの取引金額がふえてきた、同時に販売店の債務不履行にもかかわらず、信販会社から代金の支払い請求を受けるという形のトラブルが非常にふえてきたことが明らかになりました。そこでこの報告では、売り主に対して主張し得る抗弁を信販会社にも対抗して支払いを拒み得ることにすべきだということを提言しておるわけでございますが、今回の割賦販売法改正法案はそれを実現しようとするものでありまして、この点の改正の意義は甚だ大きいものがある、かように考えております。  第三は、指定商品として消耗品を指定し得るように指定商品の定義を改め、また、いわゆるリボルビング方式にも割賦販売と同様の規制を加えることといたしました。  これらの点は、私としてはかねてから主張してきたところに沿う改正でございまして、もちろん賛成でございますし、消費者保護の面から見て、かなりの前進であろうと考えます。  しかしながら、今回の改正もまた昭和四十七年改正と同様に、いわば対症療法的な緊急改正であり、かつ答申のうち、役務関連取引適正化という課題は見送られております。本来、割賦販売法という法律は割賦販売という売り方の特殊性に即して規定を設けようとする法律でありますから、何を売るか、どういう商品か、どういう役務かということは関係がないはずであります。その意味で、指定商品制度とか、あるいはそれに倣って規定しようとしました指定役務制度というのは理論的には不徹底なものでありまして、私としては、すべての商品役務対象とするように改正をすべきであるというふうに主張してまいりました。  それからまた、抗弁の切断ということも、御承知のように消費者に手形を振り出させまして、それを銀行に割引に持ち込む、あるいは担保に差し入れるということをすれば、最も簡単に抗弁の切断は実現できるわけであります。理論的には、それについて規制しないで信販会社の関与している取引についてのみ抗弁対抗を認めるというのは均衡を失しないかという問題も、これまたあり得るわけであります。  こういった点を含めて、割賦販売につきましても金融取引につきましても、消費者に後払いを認める取引、つまり信用を供与する取引を、漏れなく、かつ均衡のとれた形で規制しようといたしますと、これは消費者信用取引を総合的、包括的に規制する立法をする必要がございます。つまり、物の割賦販売だけに焦点を絞った法律では足りないわけでありまして、こういう法律はアメリカでは十五年ぐらい前に実現されておりますし、イギリスでも十年前には実現されております。七年ほど前にOECDの理事会勧告が主張しておりますのも、加盟国にそういう立法をするようにという勧告をしておりますのも、こういう包括的、総合的な立法をする必要があるという考え方であります。  私も昭和四十七年、前回の改正審議されました際に、やはり参考人として当委員会に出席いたしました。そこで同年の改正が実現した後は、このような消費者信用取引についての総合的、包括的な立法をする必要があるのだということを申し上げました。そして当委員会は同年の改正法案審議を終えるに際しまして、附帯決議の第一番目の項目として、政府に対し、消費者信用保護に関する基本立法について検討を進めること、これを求められたわけであります。参議院の商工委員会附帯決議も同趣旨でございました。そこで、総理大臣を会長とする消費者保護会議も、その後数年間は毎年の消費者保護施策課題として、信用取引に関し消費者保護を図るための総合立法につき調査研究するということを挙げてまいったわけでございますが、昭和五十三年、いわゆるサラ金問題が社会の注目を浴びるに至りますと、サラ金規制を最重点課題に取り上げるに至り、その後の動きは皆様御承知のとおりでございます。  もし昭和四十七年の当商工委員会附帯決議趣旨が実現されていたとすれば、私はサラ金問題があのようなことにはならなかったというふうに考えておりますし、また、今回の改正が目指したように、消耗品取引を含めるとかリボルビング取引を追加するとか、さらに役務関連取引規制対象とすべきかというような問題も片づいていたはずではないか、こう考えるわけであります。その意味で、今回もまた消費者保護のための緊急改正をしなければならなかったのは、前回改正の際の当委員会附帯決議趣旨が十二年間実現されなかったからではないか、かように私は考えるわけであります。もちろん、このような立法をするとすれば、通産省、大蔵省その他関係省庁の協力が必要でありますし、国会におきましても、商工委員会だけではなしに、大蔵委員会との合同で御審議をいただくことになるのかもしれません。  いずれにいたしましても、当委員会におかれては、せっかく行われた附帯決議がその後どうなったかということについて、ぜひ心を配っていただきたいものだと私は念じております。そういたしませんと、今後また十年後に割賦販売法改正が問題になった際に、私と同じような者がまたここで、各種事業者相互間の不公平は残っておる、それから消費者保護の部分的欠落という問題も残っておる、その意味で対症療法的な手当てはできているけれども、制度の基本的な欠陥は依然として昔のままだという意見を申し上げることになるのではないか、かように懸念するものでございます。  御清聴ありがとうございました。
  145. 梶山静六

    梶山委員長 ありがとうございました。  次に、青柳参考人にお願いをいたします。
  146. 青柳忠一

    ○青柳参考人 ただいま御紹介をいただきました日本割賦協会理事長の青柳でございます。割賦販売法の一部を改正する法律案について意見を申し上げます。  当割賦協会は、自社割賦を行う自動車、家電等のメーカー、また百貨店、量販店等の流通業界を初めといたしまして、信販業界中小小売商団体、さらにメーカー系クレジット会社等を会員とする割賦販売業界信用販売分野の総合団体としての性格を有する協会でありまして、各業種により立場を異にし、またおのおの競争関係にもありますので、割賦販売業界全体としての意見を集約することは必ずしも容易ではありませんが、本日は、全般的に見て今回の改正案について総括的な意見を申し上げたいと存じます。  既に、宇野、竹内両参考人からの御意見にもありましたように、今回の法改正は、消費者ないし購入者保護の徹底を図るという見地から検討されたものであります。この点については、クレジット産業の最近の急速な成長の反面、種々のひずみを生じ、また消費者トラブルが多発しておるという点から見まして、通産省クレジット産業のあり方と消費者保護強化という観点から昭和五十五年より消費者信国産業調査研究会を設置いたしました。さらに昭和五十七年から同じく消費者信国産業懇談会を設置しまして、これらの問題について検討、報告を受け、昨昭和五十八年九月より産業構造審議会消費経済部会におきまして販売信用取引における購入者保護の徹底を図るための施策について諮問し、その最終答申を受けて、これをベースとして今回の改正案が作成されているわけであります。この間、学識者、消費者代表、業界代表がそれぞれ参加して議論が行われておりまして、全般的にはそれぞれの立場の異なる意見が集約調整された形において今回の法案に盛り込まれておるものと考えられます。  それだけに、立場の相違により、法の対応を不十分とする不満や行き過ぎと見る不満、異論もあるのでありますが、クレジット業界にとりまして言うならば、規制強化は決して歓迎するものではありませんが、大勢としてクレジット業界の健全な発展を図るとともに、消費者購入者保護を図るためには、今回の法改正は、大きな柱であります抗弁権接続の問題を含め、全体としてやむを得ないものとして受けとめていると考えられます。  むしろ、今回いわゆるリボルビング方式や割賦購入あっせんのうち、個品割賦購入あっせん方式について正式に法規制対象に組み込まれた点につきましては、法の対象範囲が明確になったと歓迎する面もあるのであります。もちろん、個々条文につきましては、業界の一部において意見、異論がないわけではありませんが、具体的な法律運用の面において、法律案成立後の政省令及び通達を検討する段階におきまして業界としても具体的な要望を行うことになりましょうし、また種々配慮をお願いすることになるものと考えます。すなわち、法律運用に当たっての今後のフォローアップについて十分な配慮を行うよう行政当局にお願いしたいと存じます。  次に、今回の改正案が成立した暁には、法の施行に対応して今後の取引の安定を図り、混乱を生じないようにするためには業界として相当の準備期間が必要であります。この法律は附則により、「公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということになっておりますが、この法律の施行期日についてはこの業界の準備期間という点を十分配慮されるよう要望いたします。  また、私ども協会といたしましては、その間に関係業界にこの改正法の趣旨及び内容をできる限り周知徹底を図るべく努力をいたしたいと存じます。また、この法律については、関係業界に対する周知のみならず、特に一般消費者購入者等に法の趣旨、そのねらいとするところにつきまして周知徹底を図ることが必要でありまして、このことは当協会といたしましても重要な役割と考えております。したがって、一般消費者に対する改正法の周知広報活動につきましても従来以上の努力をいたしたいと考えておりますので、行政当局におきましても法の施行期日、法の周知につきまして、今後の取引の安定のため、消費者業界の両面から十分な配慮がなされるよう要望いたします。  次に、今回の法改正案には過剰与信防止、また消費者購入者側における返済能力を超える多重債務の発生防止についての規定が加えられているのであります。業者は、この規定によって従来以上に事前チェックをシビアにすることにより過剰与信防止に努めなければならないのでありますが、このためには、個人についての正確な信用情報の提供が必要不可欠でありまして、この観点から個人信用情報機関整備統合が強く要請されているところであります。  本件につきましては、通産省行政指導もあって、物販業界、販売信用業界におきましては、信用情報交換所を下部組織として持っております当割賦協会と、家電関係を中心として組織しております日本信用情報センター、さらに全国信販協会の三者が、現在、信用情報機関整備統合についての基本的合意に基づいて具体的な統合方式について話し合いを進めております。この点については統合システム、組織の両面から検討が進められておりまして、できる限り早い時期に具体的な統合の実現を図りたいものと念願しております。  業界としては、このように信用情報機関の統合の実現と正確な信用情報の提供、さらに信用情報の適正な利用等について今後さらに努力したいと存じますので、今後とも政府並びに関係方面の一層の御支援をお願いする次第であります。  以上、本改正案に対する意見を申し上げます。
  147. 梶山静六

    梶山委員長 ありがとうございました。  次に、木島参考人にお願いをいたします。
  148. 木島利夫

    ○木島参考人 御紹介いただきました日本信販株式会社の社長の木島でございます。私は、業界入り立場から今度の改正について二、三の所見を述べさせていただきたいと思います。  既にお三人の方から御指摘がございましたように、今度の法改正は自社割賦の網を割賦購入あっせんにもかけておる。つまり割賦購入あっせんの法律的な性格がこれによって非常にはっきりしたという点、それからリボルビングのような、どちらかといえばグレーゾーンに属するような取引について、はっきりこれは割賦購入であるという規定をした点、それからさらに消費者との間でとかくトラブルのもとになっておりました抗弁権の取り扱いが明確になったということ、それから、その他消費者保護配慮が法府になされたという点、かような点から見まして、我々は業界全体の立場から見まして、この健全な発展の上で望ましい改正であるというふうに受け取っております。これによりまして消費者は一層安心してクレジット利用ができるのではないか。また、業界はこういう法律によりまして、例えば加盟店の選択をより厳正にするなど、消費者トラブルを幾らかでも少なくするような姿勢が醸成されるのではないかというような点から見まして、今申しましたように、我々としては望ましい改正であると受け取っておるのであります。  ただ、これを実際面から見ますと問題がないわけではないのでございまして、ここに、我々にとりましてやや大きな問題とされることを三つばかり申し上げます。  その一つは、抗弁権接続手続の問題であります。これは後ほどまた申し上げますが、書面を出さなくてもいいという点に私どもは困惑をしておるのであります。  それから二番目は、接続する期間について何らの定めがない。つまり、いつまでも抗弁というものは主張できるということになりますと、業界としていろいろなトラブルが起こるのではないか。  それから三番目には、遅延損害金の額が今度は法定の六%になったということによりまして、利用者に支払いを促進するインセンティブが劣ってくるのではないかという点があるのであります。  そこで、この中で私どもが一番問題にするといいますか、困惑をしておりますのは、抗弁権接続手続についてであります。それは、抗弁をする方は、法文によりますと、小売店に対して生じておる事由をもって対抗できる、書面は求められれば提出するように努めなければならないというふうになっておりまして、抗弁主張する方は何もしなくても抗弁主張できるということに法律上はなっているようであります。  どういうことになるかと申しますと、私どもの現在の仕事の上では、善意の方でも、旅行に行ったとか何かで第一回、第二回のお支払いをしていただけない方がかなりあるのでございます。今のように何もしなくても抗弁ができる、つまり支払わなくてもいいとなりますと、その中でどれが善意の人で、どれが抗弁のために支払わない人か全くわからないということになるわけであります。それで何回も催促しているうちに、実は自分は機械を買ったけれども、機械が故障があって、かくかくしかじかで金は払わないのだということが初めてわかるというようなことに相なるわけでございまして、これは実務面では全く困ったことになるのであります。  なぜかと申しますと、私どもの仕事は、そういうお客様との間に起こっておる事態をなるべく早く認識して早く手を打つ必要があるのであります。例えて申しますと、そういうトラブルが起こった加盟店に対しては、場合によっては債権の買い戻しを請求しなければならない事態が起こるかもしれません。ところが、判明したときに、その加盟店は既に倒産しておったというような事態が起こるかもしれませんので、この抗弁権手続、つまり書類を提出しなくても抗弁主張できる、求められれば書類は提出しなければならないという点につきましては、実際面ではかなり問題が残っておるのであります。私どもも、この点については今後自助努力といいますか、自分の力でどこまでこれがカバーできるかということについて疑念を持っておりますので、行政当局におかれましても、この法の運用面につきましては、今申しました点につきまして十分の御配慮をお願いしたいというふうに申し上げさせていただきたいのであります。  最後に、割賦購入あっせんを含めました消費者金融は今、著しく発展をしております。トラブルも起こっております。しかしながら、発展をしているということは、それだけニーズがあるわけでありまして、私どもは、それなりに社会的な役割を果たしておると自覚しておりますので、この業界が今後この法律によりまして、ますます円滑な発展を期待できますように、関係当局の御指導、御配慮をお願いして、私の発言を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  149. 梶山静六

    梶山委員長 ありがとうございました。  次に、清水参考人にお願いをいたします。
  150. 清水鳩子

    ○清水参考人 ただいま御紹介いただきました主婦連合会の清水嶋子でございます。きょうは消費者立場から、今、提出されております改正案について意見を述べてまいりたいと思います。  まず最初に、私が今度の法改正を一日も早く決めていただきたいという、その背景について申し上げてみたいと思います。それは、申し上げるまでもございませんけれども消費者センターそれから国民生活センター、各消費者団体の苦情相談窓口等に最近これに関する苦情が大変に多くなっております。その一、二をここで御紹介させていただきたいと思います。  まず、東京都の消費者センターの相談課が発行しております「かしこい消費者」という消費者情報紙がございますが、それの昨年の九月号、その見出しは何と「鳴りっぱなしの相談電話 件数押し上げる契約トラブル」というふうになっております。ここの中に消費者センターに寄せられた五十七年度の消費者相談の件数が書いてございます。それは総数で一万六千五百八十五件、前年比一〇・一%と増加しております。そして、この件数は、昭和四十九年の例のオイルショック時にまさるほどの、センター開設以来の苦情の件数増でございました。そしてそれを内容的に見てみますと、契約についての相談が三七%と圧倒的に高くなっております。これは申し上げるまでもなく、契約トラブルの増加が今日の消費者問題の象徴的な存在であるということをあらわしていると思います。  そしてその中でさらに細かく、最高だった昭和四十九年と五十七年度の相談内容を比較した数字がございますので、それを御紹介してみたいと思います。それによりますと、品質、性能では四十九年が三一・八%であったものが、五十七年には一二・四%に減っております。契約の方は一四・三%だったものが三七%というように急増しております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、センターに寄せられます苦情、相談は、商品そのものの問題から今日では契約問題へと大きく変化していることが数字の上でも明らかでございます。  同じようなデータは、通産省消費者相談室で受け付けました消費者苦情相談件数にもあらわれておりまして、契約関係が全体の六〇%、しかもその中でクレジット関係が一四%という高率を示しております。一方、国民生活センターで受け付けました五十七年度の消費者苦情件数を見ましても、クレジット契約関係が同じように二〇%というようになっております。これはもう現行法、特に象徴されております現在の割賦販売法の不備によるために起こる消費者苦情だと言っても過言ではないと思います。  このような背景の中で、早くから地方公共団体、消費者団体等から、このような消費者苦情の未然防止消費者保護充実のために割賦販売法を早く改正してほしいという要望書がたくさん出ております。  きょうは時間がございませんので一々それを御紹介することはできませんけれども、これを見ましても私は、今回の法律改正案が国会に提出されたということは、一部には遅きに失した、それから内容的に問題があるという御批判があるかもしれませんけれども、やはり一消費者として、あるいは苦情相談を受け付けております消費者団体の一人の人間として、ぜひ本法案を一日も早く制定してもらえないものかなということを、ここに特に皆様方にお訴えしたいと思います。  次に、この改正案を私どもの方が支持します主なポイントについて申し上げてみたいと思います。  第一点は、今先生方からも御発言がございましたように、従来の割賦販売法によって規制されない割賦購入あっせん取引形態が今の消費者苦情の元凶でございますので、それが今度の法律改正案の中に盛られているということでございます。そしてこの割賦購入あっせんに対しまして、現行法購入者保護規定、すなわち取引条件の表示及び書面の交付、それから訪問販売の場合のクーリングオフ規定契約解除等の制限規定などを全面的にこの割賦購入あっせんの中に及ぼすということは、これは非常に消費者苦情を解決する上にとって大きな前進だというふうに思います。  それから第二点は抗弁接続規定の追加でございます。これは今まで商品が届かない、それから届いた商品が欠陥商品であったというような消費者苦情が、割賦購入あっせん業者への支払いを拒否できないという法律の不備のために起こっておりましたので、この点についても今度の改正は私たちにとっては非常にいい内容のものだというふうに思います。  それから第三番目は、今まで法律対象に入っておりませんでした化粧品ですとか衛生用品など、いわゆる消耗品が法律対象の中に入ったという、以上の三点が大まかに申し上げまして今度の法律改正案を一日も早く通してほしいという私の願いの根拠となっているところでございます。  消費者契約に対して非常にむとんちゃく、ふなれ、ルーズであるから消費者苦情が発生するという御指摘がございます。もちろん、これは私どもも認めておりますので、消費者教育の徹底ですとか適正な情報の提供など、契約に関する認識を私たち自身も高めていかなければいけないのでございますけれども、一方では契約書面が非常に字が小さくて読みづらい、それから文章が難解であって一般の消費者には理解されないというふうな指摘がされております。それで法律改正とあわせまして、こういう難解な契約書面、それから非常に問題をはらんでいる書面のつくり方それ自体につきましても、ぜひ改善をしていただきたいと思います。  特に割賦購入あっせんの場合には、消費者は同じ場所で、しかも同時に二つの契約にサインをすることが多うございます。それは契約書をよく見ればわかるじゃないかというふうに言われますけれども先生方もごらんになってわかると思いますが、あの難解な書類に対して消費者が十二分な配慮をしろというふうに注文をつける方が無理ではないかと思います。これは消費者がそういう苦情を発生させないような、わかりやすい親切な書面に改めるべきではないかというふうに思います。  それから最後に、私は今、法律改正案のプラス面を申し上げてまいりましたけれども、決して全部がプラスということではございませんで、マイナス面というものもたくさんあるわけでございます。  特に役務関係取引が落ちたということ、それから銀行系のものがやはり保護規定から落ちているということは、これは重大な問題を今後に残したというふうに思います。産構審の答申の中にはうたわれておりましたものが、ここで政府案段階で落ちております。この事情につきましてはいろいろ伺いますけれども、私ももう一つわからない部分がございます。商品だけで役務を落としたということは、極端な言い方かもしれませんけれども、車の片方の車輪をパンクさせたままで走るというような感じさえいたしますので、この役務関係の問題を今後どうするかということにつきましては、法律的にもいろいろな問題がおありのように伺っておりますので、ぜひそこら辺を詰めていただいて、何らかの形でその範囲の消費者救済が充実されるようにお願いしたいというふうに思っております。  それからクーリングオフ期間につきまして、政府案によりますと現行法どおり四日ということでございますけれども、これは先ほど申し上げました各種の要望書にもすべてうたわれていることでございますが、やはりこれは最低七日には延長すべきであるというふうに思います。  それから、今の信販会社の参考人の方からの御意見と私は全く反対でございますけれども抗弁接続するための消費者書面の提出のことでございますが、あれは答申段階では契約書にうたわれていることということで非常に厳密な縛りがかかっておりましたけれども、今度はそこまでの強い縛りはないということ、それからこの抗弁に「係る同項の事由の内容を記載した書面」を消費者が「求められたときは、その書面を提出するよう努めなければならない。」ということが私はむしろ今度の法律改正のポイントではないかとさえ思います。先ほどから申し上げているように、もちろん消費者書面の提出に当たりましては誠意を持って、そして努力するように努めていかなければなりませんけれども、それに期限の制限を設けたり、それから書面の内容について厳しい規定を置くということは消費者保護に相反することにつながるのではないかと思います。  大変時間が遅くなりましたけれども、最後に、お立場上、業界の方にはいろいろな御意見があると思います。先ほども政令、省令の中で自分たちの主張を織り込んでいきたいという御趣旨の御発言もございましたけれども、やはり法律というものは、省令、政令によって、ある意味ではすべてが決まると申しますか、そういう運用の面で非常に大切な問題がたくさんございますと思いますが、この改正案趣旨がその政令、省令の中で大幅にゆがめられないように十二分にその趣旨の目的を達していただきたいと思います。  そして最後に、これだけ急成長しております信国産業でございます。ぜひ、この消費者苦情というものをプラス要因としてとらえていただいて、そして消費者の信頼を回復することによってこの業界発展するという、そういう選択をぜひしていただきたいということをお願いして、私の参考人としての意見を終わりたいと思います。
  151. 梶山静六

    梶山委員長 ありがとうございました。  次に、松岡参考人にお願いいたします。
  152. 松岡萬里野

    ○松岡参考人 日本消費者協会の松岡でございます。  初めに、私がここで意見を述べさせていただきます背景について少し触れさせていただきたいと思います。  私ども日本消費者協会では創立以来、消費生活コンサルタントという人たちを二十二年間にわたり約一千名以上養成してまいりました。この方々は各地の消費者センター、各地の消費者行政の消費者相談の窓口、企業消費者相談の窓口等に相談員として大半の人が活動していらっしゃいます。その人たちが日常受けております相談の中に、先ほど清水参考人が述べられましたように、この数年来、急激に契約に関する消費者苦情が増大しております。その現場にいる相談員の方々の切実な悲鳴のようなものが私どもに上がってまいります。どうしても何らかの法的な施策を講じてもらわなければ、これらの消費者の被害を救済することはできないということを、私ども、数々の事例をもって訴える次第でございます。  また、私どもの仲間といたしまして各地に消費者協会がございますが、そのメンバーで全国消費者協会連合会というものを組織しております。この全国消費者協会連合会の方にもいろいろな苦情が参っておりまして、昨年十一月にすべての信用供与に関する契約について法の目をかけてほしいということと、それから個品割賦購入あっせんを法の規制のもとに置いてほしいということの要望を出しております。また、先ほど申しました消費生活コンサルタントのメンバーの組織しております日本消費生活コンサルタント協会と私ども日本消費者協会と連名で、昨年九月とことしの一月の二回にわたりまして、割賦販売法改正に当たりまして要望を、具体的な事例、約百五十例を添えまして通産大臣にお出ししております。  そのような背景をもとにしまして、私ども、この割賦販売法改正を非常に興味を持ってというか、切実な目で眺めてまいりました。今回政府原案として提出されました中身を検討させていただきますと、かなり私どもの要望を入れていただいた点と、それから期待していたのが入らなかった点と両面ございます。  まず、適用の対象の範囲でございますけれども、要望といたしましては、すべての信用供与契約をこの対象に入れてほしいというのが私ども全員の一致した要望でございました。といいますのは、いろいろな取引形態があらわれてきまして、それを指定商品、指定品目という形で取り上げていきますと、必ず網の目からこぼれていくものが出てまいります。新たな法改正をお願いしますと、それに非常に時間がかかっています。現に個品割賦購入あっせんにこれだけ消費者トラブルがふえてまいりましたのは、これが割賦販売法の中に入っていなかったためと私たちは見ております。そのようなことからも、できるだけ包括規制をしていただきたかったということが一番残念な点でございます。  しかし先ほど申しましたように、現在、苦情相談の中に大きな場を占めて、件数を多くしておりますトラブルは個品割賦購入あっせんでございまして、これが今回、対象の中に入るということは、随分実際の消費者被害を救済する面では前進することになると思います。  それから、リボルビング方式というのは新しい形態のクレジットでございますけれども、やはり私ども、これが行く先非常に消費者被害を生むのではないかという懸念を持って幾つかの事例を見てまいりました。今回、これも対象の中に入るということで非常に喜んでおります。  また、耐久性を有しない商品というものが今回、改めて入るということで、先ほど清水参考人が述べられましたように、化粧品や衛生商品に関しまして、今までは対象外になっておりましたのも、これで入れていただくことができ、随分現実の問題としては違ってくると思います。  ただし、先ほど清水参考人が述べられましたように一括払いのマンスリークリアの形態のもの、これはまだ事例が多くはないといいましても、やはりぼつぼつ事例が出てまいっております。また、役務関係の取引につきましては、消費者トラブルというのがどんどんふえてきております。これはぜひ入れていただきたいという強い要望を私どもも出してまいりましたけれども、今回産構審の答申に入っていて、これで適用範囲の中に入れていただけるのかと期待しておりましたが、今回の政府原案には盛り込まれておらず、非常に残念に思います。この役務関連取引につきましては、今後も何とか早急にこの対象の中に入れていただく努力を続けていただきたいと思います。  それから、今回の法案の中で私ども一番喜んでおりますのは、抗弁接続の点でございます。それから、その抗弁接続の方法につきまして、事由に制限がないということは、現実の消費者トラブルに接してみますと、非常に大きな違いでございます。この抗弁事由に制限がある、例えば産構審の答申に盛られましたように、書面記載事項というようなことで制限がありますと、現実、私どもが今相談を受けています大半のトラブルはこれに該当しないようになってしまいます。と申しますのは、ほとんどセールストークによって起こってくる問題が多いからでございます。こういうことで、書面記載されたことだけ、契約事項だけということになりますと、抗弁意味が現実的にはなくなるということで、私どもも非常に心配しておりましたが、この政府原案によりまして、事由に制限がないということは、現実的な消費者被害を大幅に救済することになると思います。  それからまた、手続書面にこだわられていないという点についても、非常に大衆的な消費者の被害を救済するようになると思います。先ほど木島参考人が、書面でないために起こってくる非常に問題点があるというふうにおっしゃいましたけれども、実際に何も音さたなく突然支払いをしなくなるということは、これはまた抗弁と別のものでございます。抗弁としてあらわれできますのは、事前に販売業者や信販業者に対する何らかのコンタクトが当然あるわけです。抗弁というのは、消費者にとって最後の手段でございますので、これが何かわからないうちに抗弁接続をされていたということはほとんどあり得ないことではないかと思います。また、そういうことをやはり消費者へ向けて知らせる努力が必要なのではないでしょうか。  以上のようなことから、抗弁事由に対する制限、それから手続に対する制限というのが余りつけられますと、実際の消費者が何をしていいかわからなくなるわけで、その戸惑っている間に時間がたっていくということ、そのために救済できる被害も救済できなくなってしまうということが往々にしてございます。現行法の中でのクーリングオフ手続書面をもってというふうになっておりますが、一番出てきますのは、電話で連絡をしたら、セールスマンがいないからもう少し後に連絡するようにとか、言い逃れをされながら日数を経ていくケースが多くあります。それから、現実に正常な経営をしておりますところでは、制限があって書面をもってとしているときに電話で連絡があっても、それで十分対応しておりますし、それで問題が起こるということもほとんどなく正常な活動を続けていらっしゃいます。書面とか、例えばクーリングオフの場合、内容証明でというような言い方を厳しくする業者ほど、何らかの別の意味を持っていまして、販売方法に無理があったということを営業上認めた上でやっているようなところに限って書面を強調するような感じがいたします。そういう現在のクーリングオフ運用を見てまいりましても、抗弁手続の仕方が必ずしも書面でなくてもそごを起こすようなことはないと存じます。  それから抗弁の問題の中で二つ適用除外の条件が出ております。  政令で定められた金額に満たない支払い総額ということになっておりますが、これはできるだけ金額的には低い額にして適用範囲を広げていただきたいと思います。また、購入者にとっての商行為となる指定商品ということが適用除外になっておりますが、これもできるだけ商行為の判断を素人の消費者が適用されないように制限していただきたいと思います。と申しますのは、現在、例えば美しくなるからとか英語がしゃべれるようになるからというのと同じように、もうかるからというのは非常に素朴な消費者の魅力でございまして、もうかるからという言葉につられて商品購入する場合が多くあります。そのもうかるということが商行為につながるかどうかということは非常に難しい問題でございまして、あくまでも素人が手を出してしまったもうかる話というのは商行為とは言えないんではないかと思います。こういうことで現在自動販売機が商行為として認められるのには最初の一台は除外されておりますけれども、そういった方便で何らかの緩和をしていただきたいと思います。  それからクーリングオフにつきましては四日間という現行どおりになっておりますが、私どもも要望七日間で出しておりますけれども、例えば日曜祭日を四日間の外に出して、カウントしないようにしていただくだけでも随分違います。現実に四日間では困るというのは、例えば現在日曜日はポストの集配がされません。そういうようなことで書面をもってという手続をするためには、四日間というのが日曜日があれば実質三日間にしかならないということが一番ネックになっております。そういうことで、今後、七日間ということが無理ならば、政省令の中でもこの四日間の計算の仕方を考えていただいて、少しでも消費者を救済できる道を開いていただきたいと思います。  私ども要望してまいりました点はかなり入ってきたわけですが、例えばローン提携取引に対しまして抗弁がかからなくなっております。これは苦情事例が少ないということが一つの理由に挙げられております。確かに私どもからも苦情事例をたくさんお出しすることはできませんでしたが、ただ先ほど申しましたように規制のない方へ業者取引は流れていきます。特に悪質な業者ほどそういう方向に流れてまいりまして、マンスリークリアとかローン提携、役務関連取引というような規制の甘い方へ向かって今度は新たなる契約トラブルが起こってくるのではないかということを非常に心配しております。そういうことからも、できるだけ早く包括した法案を考えていただきたいと思います。  ただ現在、先ほど申しましたように非常にたくさんの契約トラブルが参っております。これを一日も早く救済するということが大事なことでございまして、私ども完全に満足しているわけではございませんけれども、個品割賦購入あっせんとか抗弁接続という非常に大きな部分で救済される道が開かれておりますこの改正案をぜひ早急に通過させていただきたいと思いますし、一日も早い施行をお願いしたいと思います。  また今回、法案の中に過剰な販売信用の供与の防止についても触れられておりますが、訓示条項とせずに何らかの具体的な方策を示していただきたいと思います。  また、信用情報の問題に関しましては、個人信用につきましては公開していただいて、訂正することができるような道をやはり開いていただきたいと思います。  さらに、クレジット関係につきましては、消費者にとってまだまだなじみの薄いものでございます。ぜひ消費者教育というのを行政府も徹底することを考えていただきたいと思います。  以上、私ども意見でございます。
  153. 梶山静六

    梶山委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
  154. 梶山静六

    梶山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者に申し上げます。お答えをいただく参考人を御指名の上、質疑をお願いをいたします。  なお、念のため参考人に申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いをいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君
  155. 浦野烋興

    浦野委員 参考人の皆様方から大変貴重な御意見を拝聴いたしまして、私も大変ためにさせていただいておるわけでありますが、時間がございませんので早速質問をさせていただきたいと思います。  竹内先生にまず御質問をさせていただきますけれども先生意見陳述の中で後半に力点を置かれて述べられた総合立法を早急にすべきではないか、既に先生におかれては四十七年の改正時点でそれを主張されたというお話でもございました。これについて世界各国、アメリカ、イギリス等比較も出されたわけでございますけれども、私どもも大変重要なことだと受けとめさせていただいたわけでありますが、重ねてということになろうかと思うのですけれども、いま少し詳しく先生のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。  既に、消費者信用につきましては出資法とか訪問販売法、これはちょっと別な観点からだと思いますが、あるいは貸金業の規制法、そして本日の割賦販売法、さらには質屋営業法というようなものも関係してくるかと思うのですが、そういうものを総合した形での立法を諸外国では既に以前につくられておるのかどうか、その点も含めてお答えをいただきたいと思います。
  156. 竹内昭夫

    ○竹内参考人 ただいまお話しになりましたとおりでございまして、質屋営業法とか貸金業法とか、また利息制限法とか、こういう消費者信用取引の局部局部について幾つかの法律を積み重ねてまいっておるというのが各国とも大体共通して見られるところでございます。そういう幾つかの法律をつくって、また幾つかの改正を重ねてまいりました結果、アメリカなどでは消費者信用に関するそれぞれの州の法律がどうなっているのかということを調べるのは弁護士にとっても非常に大変だというような状態に立ち至ってしまったわけでございます。こうなりますと、消費者にとって自分の行っている取引がどの法律のどの条文の適用を受けるのかというふうなことを素人がわかるなんということはとても考えられない。そこでそういう古い、ホッジポッジと申しますか、局部的な立法を積み重ね改正をしてきたものを一遍御破算にして新しいものをつくり直そう。新しいものをつくり直す場合に大事なことは、先ほど私がちょっと申し上げたことでございますが、いろいろな業態相互間で不公平をなくす。例えば割賦販売業者だけを厳しく規制する。そうしますと、サラ金業者とかあるいは銀行とか、これはお金を貸すという取引でございます。消費者にとっては、月賦屋さんでテレビを買うのか、それとも現金を借りてきて現金払いでテレビを買って代金を銀行やサラ金業者に月賦で返していくのか、これは取引の経済効果としては同じことでございます。ところが、一方だけを取り締まって、一方だけを規制しないということになりますと、業態相互間に不公平が起きます。これでは公平な競争というのは成り立たない。これが一つの理由でございます。  それからもう一つは、割賦販売業者との取引に当たっては十分な消費者保護が与えられるけれども、金融取引については十分な保護が与えられないということになったのでは、これは消費者保護に欠けるわけでございます。  貸金業者規制法ができるまでというのはまさにこういう状態が続いておったわけでございまして、割賦販売業者割賦販売法によって非常に厳しい規制を受けるけれども、融資、金融取引をする事業者の方は利息制限法とか出資法のようなごく大まかな法律しかないという意味で極めてバランスを欠いた状態であったわけです。そういう状態を改めて、包括的にしかも均整のとれた法律をつくることによって、一方において消費者保護の万全を図るとともに業態間の不平等をなくする、これが各国の新しい法律考え方であり、私がかねてから主張してきているところでございます。
  157. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございました。  先ほど消費者の代表の方々から業界に対してのいろいろな意見が述べられたわけであります。また、業界の皆様方、代表の方からは、今回の改正について、私の感触では、ややもすると厳しい改正である、こういうような受けとめ方をされておられるというふうに感じたわけでございます、これはまた当然のことであるかもしれませんけれども消費者の方のお話で大変数多くの苦情が舞い込んできておるということでございますけれども、これに対しまして業界サイドでは、消費者保護のための改正でございますから、業界として消費者に迷惑をかけぬ、こうした努力をされるべきであり、既にもうそうしたお気持ちでやっていただいておるわけでありますが、その中で、青柳さんのお言葉中に、なかなかこれは時間もかかることだというような御発言があったかと思うのでありますけれども、私からいたしますと、やはりこれは早急にひとつ態勢を立て直していただいて、もともと脆弱な基盤での中小小売業がある、御苦労もあろうかと思うのでありますが、この点におきます理事長さんの取り組みのお考え方というものを改めて御発言いただきたいと思います
  158. 青柳忠一

    ○青柳参考人 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  私は、今回の法改正業界におきましては、業界の健全な発展を図るため、また、消費者保護を一層徹底するという観点からやむを得ないものというふうに受けとめておるということを申し上げました。ただ、この法律が施行される場合に、取引の安定並びに混乱等を生じないために相当な準備期間が必要であるということを申し上げたのでございまして、これは現在の法案にありますところの六カ月以内に施行するということをあえて反対しているとかいうことでは決してないわけであります。  当然協会といたしましても、先ほど申し上げましたように、この法律が成立いたしますれば、業界内部にもまずこの法律趣旨、内容について早急に徹底を図っていきたい。また、それに必要な準備を進めてもらうようにいたしたいというふうに考えますとともに、先ほども申し上げましたように、消費者に対しましても、この趣旨、ねらいとするところを徹底していくことを今後特に努めてまいりたい、かように考えております。
  159. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございました。  消費者の代表の方、清水さんにお尋ねを申し上げたいと思うのでありますが、これは松岡さんからもお話があったことなんですけれども、ただいま私は業界の青柳さんに御質問申し上げたのですけれども消費者の皆さん方も、割賦販売のあり方をよく熟知していただかなければならぬと思うのですね。苦情はたくさん受けておるということでありますが、私、不勉強で主婦連合会あるいは日本消費者協会、どういうお仕事をやっておられるのか、実はつぶさに承知しておりません。消費者に対して主婦連合会として消費者教育というような面で周知徹底を図る、そうした面での努力というものはされておられると思うのです。この点についてはいかがなものでございましょうか。
  160. 清水鳩子

    ○清水参考人 今の先生の御質問に対してお答えいたしますけれども、例えば一つの苦情を御紹介いたします。その苦情の内容を御紹介して、それに対する業界の対応の仕方ですとか、それからなぜその苦情が十分な解決を得られないかというようなことを、法律的にどこに問題があるとか、消費者側にも問題があるところがあると思いますし、それから業界側の対応でどういうところに問題が生じているかというふうなことをケース・バイ・ケースに紹介することが一番一般の消費者の方にはわかりやすい導入方法だと思います。  一般的に、余り上手な文章で書き連ねましても、苦情をあらかじめ予測することはできないわけですから、いざ具体的にその苦情に当面しましたときに、前に勉強したことが即自分の苦情の中に十分活用されないという面がありますので、これは消費者協会も同じだと思いますし、センターも同じでございますけれども、具体的な苦情の例をなるべくたくさん消費者に伝えていくということで啓発と警告というようなことをいたしております。 また、これは私の答える範囲ではございませんけれども、センターでも、それから通産省でも経済企画庁でも、そういう意味の情報というものは相当数たくさんつくっております。しかし、先ほど私の意見の中でも申し上げましたように、なかなか法律の言葉が難しいということ、それからセールスマンが言ったことがあたかも契約者の中に書いてあることだというふうな錯覚を起こす消費者がまだあるということが苦情の大きな原因になっていることも否定できないと思っております。これからも一生懸命やってまいるつもりでおります。  私たちの会の性格につきましては、先生のせっかくの御発言ですので、後で資料を持って参りたいと思っております。
  161. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございます。  早稲田大学の宇野政雄先生、そして日本信販取締役社長の木島さんにお尋ねを申し上げたいと思うのですが、クーリングオフ期間につきましては、消費者の代表の方から、四日ではどうも短いので、もうちょっと長くしてほしいという御要望の御発言がございました。これに対して私の耳にも幾つが入ってきておるのですけれども、産構審に携わられた宇野先生のお立場として、どんなお考えでございましょうか。また、業界のお立場から木島さんはどのような受けとめ方をされておられるか。これにつきましてひとつお答えいただきたいと思います。
  162. 宇野政雄

    ○宇野参考人 今の、消費経済部会の世話役という意味での発言をということでございますが、この問題は、いわば訪問販売に関して別の法律があるわけでございますし、そのところでもクーリングオフという問題が当然あるわけでございますが、何かこの辺で訪販をも含めてもっと取引に関しましての検討というのは消費経済部会ですべきではないか。この間の割賦販売に関しましての検討のところでも、この審議会としては附帯意見がございまして、このような面も検討すべきであるということになっておるわけです。  その意味から申しまして、これから早急にこの問題も検討すべきだろうと思うわけでございますが、私個人といたしましては、やはりだんだん土日が休みになっていくということで、消費者の方でもう少し、今のような四日ということではない方がいいのではないかというお話もあるわけでありまして、その意味では十二分に研究すべきであろうと個人的に思っている次第であります。
  163. 木島利夫

    ○木島参考人 現在四日ということで、短いという声が多いようでございます。しからば幾日が適切であるかとなりますと、これはなかなかお答えしにくい問題でございますが、各国の例その他取引実態に合わせまして延ばすということについては、私どもはやぶさかではございません。ただ、余り長くなるということでは困りますので、その辺におのずから常識的な限度があろうかとは思いますから、実態を見ながら決めるのが適当じゃないかと思っております。
  164. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  165. 梶山静六

    梶山委員長 和田貞夫君。
  166. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。  私、まず清水さんと松岡さんにお尋ねしたいのですが、今お二人の意見をお聞かせいただきまして、一つには、今度の改正案がまだ物足りない、不十分である。しかし、一面ではこれを通して成立をさすことによって今までの被害あるいはトラブルが解消するのだよということで、言いかえると痛しかゆしというように受け取っておるのですが、私もまさにそのとおりに思うのです。  そこでお二人から、きょうは業界の方も来ておられるわけですし、また通産の方も聞いておられるわけですから、なぜ物足らぬのか、例えば役務の問題を含めてこういう卑近な例があるのでという一つの例を出していただきたいと思うのです。それからもう一つは、いわゆる銀行系の経営体、これは通産省の方はトラブルの事例が余りない、少ないから今度の対象外にしたのだというように言っておるのですが、もしもその点の事例がありましたら、例え一つでも結構ですから、この機会に出していただいたら結構かと思うのです。
  167. 松岡萬里野

    ○松岡参考人 事例の突然の御質問ですので、十分でないかもしれません。  先ほど私ども不満と申しました役務の点につきましては、最近特にいわゆる予備校的なものがございます。これは固有名詞を挙げるのはなにかと思いますので名前を申し上げませんけれども、大体該当する高校生のいる家庭に電話でかなりしつこく勧誘いたしまして、その上訴間して勧誘するわけですが、受験生となる高校生に対してもかなり勧誘するわけです。これは自分のところの塾に入ってくれれば入学試験は絶対大丈夫だというような形で勧誘してきます。ところが、金額的には大体四十五、六万で、どういうわけか人によって金額が幾分違います。そういうことで勧誘されますが、高校生自身が進路を必ずしもきちっと決めているわけではなくて、半年くらいしまして、進路が受験の問題とは違うなんということが出てきます。また高校生自身が勧誘に応じても、親としてとてもそういうことは適当でない、もっといい方法があると考えて解約を申し出るということはございます。ところが、なかなか応じてくれないという形のトラブルが、ちょうどシーズンでございますので今非常に多く参っております。  こういうものも、今までかなり有名になりました倒産しましたコーキ出版のような場合は、塾だけというのもありましたけれども、教材がついておりましたので塾つきということで処理してまいりましたが、入試を目指した者にとりまして純然たる役務だけになってしまうわけです。そうしますと、実際にはこの法律の範囲には入らないわけでございます。これが非常に大作なトラブルになってきた場合どうしたらいいのか、今出だした問題ですので、私たちも非常に重視しております。  それから銀行系というか、マンスリークリアのケースではボーナス払いというのは結構ございます。専門店なんかの関係での契約がございまして、普通でしたら購入した商品を受け取ってしまうわけで、余り問題は起こらないわけですが、修理に戻してしまった、買ったけれどもぐあいが悪くて修理に出したとか、洋服のサイズ直しを出したとかいうことで、商品を受け取らないうちに販売店が倒産するというケースがやはり幾つかございます。そういうときには商品も受け取れない、支払いだけが残るという形でございます。そういうことが一番大きな問題じゃないかと思います。  あとは、ローン提携の方の問題につきましては、オートローンのようなものが該当するのかどうかといろいろありますけれども、オートローンは現在非常に多くなっておりますので、今後金額の高いものはそういうローン提携の方へ移動していく可能性は十分にあると考えています。  ちょっと準備不足でございますので、十分事例を御紹介できませんけれども、以上のようなことでございます。
  168. 清水鳩子

    ○清水参考人 役務が落ちた場合に私が非常に心配いたしますのは、最近、商品役務が付随した取引が多うございますので、そうした場合に片方は法律対象の中で規制を受けるけれども役務のことについてはどうするかということですね。先生十分御存じと思いますけれども、教材と塾がセットになった取引、ああいう問題が非常に多うございますので、役務を外すという場合に商品と一緒になった取引をどうやって救済するか。これは方法としましては、契約書面のところで省令で書くということも可能なように伺っておりますけれども、どの時点で役務を評価するかとか、役務の範囲をどこで限定するかという技術的な問題が非常に多いというふうに伺っておりますので、今回無理でございましたら早急に役務実態を調査しまして、どういうふうにやったらいいかということを詰めることも大事だと思うのです。あいまいな形で入ることがまたかえっていいか悪いかという問題もございます。初めに申し上げました商品役務が付随したものについてはもう現実に動いてくるわけですから、これについての扱い方というのもひとつ考えていただければと思います。  もう一つ、自動車教習所の信国産業があるのですね。公認でないために実地試験が免除にならないということを習いかけて初めてわかった。それでは困るので、それを解約したいと思ったけれども、もう信販契約に移ってしまっているために、結局実地試験をまた別のところで受けなければならなかった。そういうことが消費者は受けてみて初めてわかったというふうな例もございます。
  169. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 清水さんと松岡さん、今後そういう役務関連あるいは役務を伴う商品トラブルの事例、そういうものをできるだけ我々の方に資料として提供してもらうようにひとつお願いしておきます。  木島さんと青柳さんにお尋ねしたいのですが、先ほど消費者のお二人の方から言われておりましたように、実はトラブルが一番多いのは契約の時点での原因が一番多いというように言われておったとおりでありまして、決して消費者業者業界は相対立するものであってはいけないし、またそうではないと思うのです。したがって、いみじくも消費者団体の方から言われておったように、そういうように消費者の苦情というものを業界の健全な発展のために生かしていただく、ぜひそういう立場に立ってもらいたいものだと思っておるのです。  そこで、御質問をさせていただきたいのですが、いわば販売員、セールスマンが購入者との間にいろいろな口約束、あるいはさもあり得ぬような言葉が出てくるというようなこと、あるいは一定のセールスマンが今日、信販業界の過当競争の中で峠を通ってこなくてはならないということで、無理な販売の方法の中でそういう問題が出てくるやにも思いますので、消費者との間に信頼度を高めるためにも営業マン、セールスマンに対する徹底した教育というものがなされなければ、幾ら法律改正されたとしてもそういう問題が伴ってくるような気がするのです。そういうような点で、現在も、あるいは将来にわたって、しかもこの法律改正によって、今いみじくも準備ということを言われておりましたが、そのことを含めて準備というようにお考えになっておられるのか。今後トラブルを解消するために、消費者の皆さんに迷惑をかけないために、我が社、我が社とこぞってそういうトラブル解消のための教育というものをお考えになっておられるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。  それから二つ目は、大方は善良な販売業者であるわけですけれども、中には余りにもあなた方の方の過当競争の中で、好ましくない、悪質、悪徳な販売業者あるいは訪問業者、そういうものを契約店に組み入れることに、今度は抗弁権接続されたわけですから、今までのようにはならないと思いますけれども、そういうことについてけじめのとれた、秩序ある契約店と契約していくというようなことをこれからやってもらわなくてはならないのじゃないかというように思うのですが、その二つの点について御両人からお述べ願いたいのです。
  170. 木島利夫

    ○木島参考人 お答え申し上げます。  今の先生の一と二の御質問は相関連していると思います。まず一の方でございますが、私ども業者のセールスマンをしっかり教育しろ、こういうお言葉でございますが、これはいろいろな角度から現在やっております。特に最近のように消費者トラブルが多くなる原因が主として不良加盟店に起因していることが多うございますので、その加盟店についての日常のしぶりについてこういうところをチェックしなさいということはよく教育しているわけでございます。  例えば、業界の評判はどうだとか、あるいは付近の評判はどうだとかいろいろなことで、場合によっては、こういう事態に立った場合は興信所の報告をとりなさいとかという教育はしているわけでございます。そういうことで、私ども業者のセールスマンは教育しているわけでございます。  さて二番目の、加盟店はそれでは一体どういうセレクトをしているのかということでございますが、これにつきましては今申しましたように、いろいろな点でチェックをしているのでございますが、私どもの商売は銀行と違いますので、銀行の融資のようにシビアにやるわけにもまいりませんし、また、加盟店の中には零細なものもございます。また、零細なものを排除するわけにもまいりませんので、その辺につきましては、今申しましたような業態あるいは世評、そういうものを中心にして判断をしているということが中心になっております。ここさえ見れば不良加盟店であるかどうかということがわかるというような決め手はございませんので、私どもの協会には、信販協会という協会がございますが、そういうところでも不良加盟店の情報は交換しておりますので、もしおかしなことがあれば契約をすぐ打ち切るというような処置はとっております。  以上でございます。
  171. 青柳忠一

    ○青柳参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。ただいまの御質問は、主として訪問販売における販売員の教育並びに加盟店選定の問題というふうに理解をいたしましてお答えを申し上げたいと思います。  訪問販売に関しましては、御存じのように日本訪問販売協会というものがございまして、ここでもいわゆる販売員の登録制度ということを行っております。この点につきましては、訪問販売協会におきましてまず登録ということによって販売員を限定していきまして、特に販売員の教育の問題につきましては、訪問販売協会においても現在いろいろな教育を行っておりますが、当割賦協会におきましても、やはり販売員についての教育を現実に行っております。今後とも、この法律の施行に伴いまして、こうした訪問販売に関する問題は別途訪問販売員の方の問題にも関連するのでございますが、当協会としては引き続きそうした教育の点につきまして一段と努力をしていきたいというふうに考えております。  次に、加盟店の問題につきましては、ただいま木島社長からお話がありましたが、加盟店選定ということがどの程度シビアに行われているかということにつきましては、確かに会社によりまして相当の相違があろうかというふうに考えられるわけでございます。それだけにこの加盟店の選定ということが相当慎重に行われるということが今後必要になろうかと思います。特に今回の法律によりまして抗弁権接続ということが割賦購入あっせん業者にも課せられてきたわけでございますので、この加盟店選定ということがまず第一の段階において慎重かつシビアに行われるということによって、善良な加盟店の選定が行われていくということから、健全化が図られるのではないかというふうに思います。  なお、悪質業者の公表制度というような考え方もいろいろございまして、協会としてもいろいろ検討もいたしておりますが、自主的にこれをどういう形でやるかというようなことにつきましては、なおいろいろな問題点がありまして、引き続き検討いたしておる段階でございます。  以上でございます。
  172. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 つけ加えて、先ほど、運用に当たっての政令、省令で要望したいのだ、お願いしたいのだ、こういうことですが、これは消費者団体の方も言われておりましたように、そこがまた心配になってくるわけです。日本の法の運用というのは、役所のお偉いさんが法律は表面的にはこうなっているけれども、その内容は、実際の運用に当たっては政令、省令でということを言われるので、肝心かなめの国民が表面だけしか見ていない。実際はこうだというようなことであっては、これは我々の立場から言うならば余り気に入らないことなんです。だから、正面にぶち当ててもらって、あなた方の立場がどうしてもということであれば、その省令や政令の方の運用の中でこうしてもらう、ああしてもらうということでなくて、やはり法自体をこういうようにすべきである、ああすべきであるという意見を言ってもらうように私はお願いしたい、議論じゃないですからお願いをしたいと思うのですね。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕  それから、時間がありませんのでなんですが、竹内先生と宇野先生から、消費者立場からそれぞれ非常に結構な御高見を拝聴いたしました。本当にありがとうございます。お二人とも産構審のメンバーでございますので、今回なお取り入れることができなかった役務の問題、あるいは銀行系形態も拘束するという立場、あるいは訪問販売の問題もこれから引き続いてぜひともひとつお骨折りをいただいて、消費者保護立場をこれからも貫いていただいて御努力、御検討をお願い申し上げたいと思うのです。  そこで、竹内先生先ほど言われましたように、すべての商品、すべての役務、これは網羅していなくてはならぬのでありますが、しかも答申がそういうように明記されておるにもかかわらず今回盛られておらない。私も不満を持っている一人であります。  私は、この割賦販売法という法律の内容をこのように緊急改正を繰り返していっても後追いになっていくような気がしてならないわけでありますね。やはり先越しに、ここを拾えばこういうようになっていくだろう、ここをこういうように改正すればこれまたこういうような手が打たれてきてトラブルが起こってくるだろうというようなことが予測されますので、やはり竹内先と言われましたような総合的、包括的な、この法を改正するということでなくて、別建ての新しい消費者保護法律というものをつくるべきではなかろうかということをおっしゃったのじゃないかというふうに私は思うのですが、この点についてもう一度両先生の方からの御意見をひとつお願いしたいと思います。
  173. 竹内昭夫

    ○竹内参考人 おっしゃるとおりでございまして、そういう新しい総合的、包括的な立法ができるとすれば、今まで通産省割賦販売法という形で積み重ねてまいりました消費者保護施策はその中に取り込まれるわけでございます。と同時に、大蔵省所管の貸金業法、これもかなり大幅な手直しをした上でその中に取り込む。そういうふうに両方をリンクさせることによって間から落っこちていってしまうような、つまり法律家がちょっと頭をひねれば現在の法律をすいと抜けられるようなバイパスを防いでしまって、その上で必要な消費者保護施策を講じ、それによって業界の平等な発展を図るというような立法を将来していく必要があると私は考えております。
  174. 宇野政雄

    ○宇野参考人 今の竹内先生と同じようなことになると思います。いずれにしても、消費者立場から見ますと販売信用の手段としていろいろ活用してきているわけですが、これが抑えられれば今度は、先ほどのお話にもありましたが、貨幣信用の方へと入っていく。こういう形で、要は物が買えればよろしい、サービス購入できればよろしい、こういう形になって、そこに規制の上でもアンバランスが出てくるということは当然であろう、こう思うわけです。そういう意味においては、包括的にいろいろと検討すべき時期に来ているなどいう印象を私も個人的には持つわけでございます。  ただ、その点から見ますと、先ほどの役務というものを今度の割賦販売の方でも取り除いてある、こういうような点でむしろ実態を少しく検討する必要があるじゃないかという御意見があったと思うのですが、私もそのように思うのでありまして、全体的にその対象になるべきものをどう見たらいいのか。先ほどのクーリングオフの問題じゃございませんが、訪販の問題もございますし、その辺で全体として消費者保護という点でこれからの方向を十二分に検討していくべきだろう、特に審議会などで検討していくべきじゃないだろうか、かように思っておる次第でございます。
  175. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  176. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)委員長代理 福岡康夫君。
  177. 福岡康夫

    ○福岡委員 参考人の皆様、どうも御苦労さまでございます。  私は清水参考人にお尋ねしたいのでございますが、公明党・国民会議提出の割賦取引等に関する法律案、御存じだと思いますが、これは政府提出の法案と比較いたしますと消費者保護を一歩前進したものだと私は思っておるわけでございますが、主婦連合会から見ていかに評価されておられるのか、これが一つ。  第二には、先ほどお話を聞いておりますと、政府提出の法案ではクーリングオフ現行法どおり四日となっておるが、自分の方としては七日を要求する。なぜ七日間が必要なのか。  それから、先ほど清水参考人のお話の中に、主婦連にいろいろの苦情が多数上ってきておって処理し切れないような状態だ。この中には悪質加盟店と信販会社、それと現金を払わないで消費者が署名をするというところに一つの魅力がございます。それに対する署名等のトラブルの問題その他多数の問題点があるかと思いますが、やはり主婦連合会というのはいろいろ貴重な、下から上がってきた苦情処理の体験をお持ちでございます。時間がございませんので、重要な部分だけ一つか二つお話しいただければ幸せだ、かように考えております。
  178. 清水鳩子

    ○清水参考人 公明党の案につきましては、私も十分に勉強したわけではございませんけれども、先ほど私が意見として申し述べましたように、役務が入っているとかクーリングオフ期間が長いとかということで、むしろ産構審の答申に近い内容を持っていると思いますので、そういうふうになればその方が改正案としては大変消費者のためになると私も思います。しかし、役務につきましては非常に難しい問題を抱えているということも反面事実でございますので、その辺、これからの国会での御審議を十分していただけたらと思います。  それからもう一点の、苦情が多発していて大変なのでどうしたらいいかということでございますけれども、これは各センターでも消費者団体でも全部同じでございますけれども、今は支えるべき法律が不備なために全部ケース・バイ・ケースで努力して解決しているわけですね。これはこの前の審議会のときに質問したのでございますけれども努力の限界はもう超えているわけですね。そのもとになります法律改正されないと、今の処理の形はケース・バイ・ケースですから、Aという苦情が非常にうまく処理できても、必ずしもBという同じケースの処理にそのまま当てはまるという義務づけはないわけでございますから、ここまで参りましたらやはり法律改正することによって、松岡さんもおっしゃっておられたように、それぞれの苦情を担当しております者は相当苦情処理がやりやすくなると思います。  確かに物理的には、例えば苦情処理担当者を倍にふやすとか極端に十倍にふやすとかで処理はできますけれども、そういうふうに処理してみましても、それは次の苦情を予防することにはならないわけです。あくまでもケース・バイ・ケースの当面する処理にしかすぎないわけですから、やはり今の段階では法律改正以外に道はないと思っております。  クーリングオフの問題につきましては、例えば、ほかの参考人もおっしゃっておられますように、最近は週休二日とかということがございますし、もう一つはあらかじめ消費者クーリングオフをどういうふうに行使したらいいかということを知っている人ばかりではないわけです。それでまごまごしているうちに一日過ぎ、そしてそれはセンターとか消費者団体の苦情相談窓口に聞けばいいのだと思って聞きますと、その間に土曜、日曜が入るともうそれで四日ぐらい過ぎてしまうわけです。通産省の方に伺うと、今の苦情というのはクーリングオフを四日を七日にふやしたからそれですべて解決するものではないというふうにはおっしゃっておられますけれども、最低の救済はできると思うのです。
  179. 福岡康夫

    ○福岡委員 松岡参考人にお尋ねしたいのでございますが、日本消費者協会の立場から見まして、今回の政府提出法案の評価できる点、それと今後通産省に要望したい点をお聞かせ願いたい、これが第一点でございます。  第二点の御質問させていただきたいことは、公明党・国民会議提出の法案はクーリングオフは七日間となっておりますが、この点についていかがお考えでしょうか。  第三には、主婦連の代表の方のお話にもありましたように、消費者協会の方にも信販を囲んでの一般消費者と加盟店との三者のトラブル関係で問題点が相当数上っておると思いますが、その中で一つでも二つでも大事なことがございましたら、この機会に時間の許す限りお話をお聞かせ願いたい。この三点についてお伺いしたいと思うわけでございます。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 松岡萬里野

    ○松岡参考人 先ほど述べましたように、私たちが政府原案の非常に評価する点と申しますのは、個品割賦購入あっせんが対象となったということ、それからリボルビングのような新しい方式も組み込まれたということ、それと耐久性を有しないものも該当するようになったというように、現行よりは広がったということについて評価するわけです。それから、一番大きな評価といたしましては、やはり抗弁接続というのがかなり自由な形ですることができる、知識のない消費者抗弁を使いやすくなるということです。これが一番大きなことだと思います。  それから、非常に残念な点も、先ほど言いましたけれども役務関係、今苦情がふえておりますので何とか入れていただきたかったということです。それから、次の問題と重なりますが、クーリングオフ、公明党案の七日間というのは、私どもも要望を七日で出しておりますので、全く同意見でございます。  それから、通産省への要望というのは、先ほどから出ております政省令によってこの法律の具体的なよしあしというのが決まりますし、私どももそれに非常に期待をかけておりますので、一刻も早く政省令をつくっていただきまして、よりよい消費者保護の政省令にしていただくこと、運用消費者保護に向かってしていただきたいこと、それから一日も早く施行していただきたいことを通商産業省にはお願いしたいと思います。
  181. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、木島参考人にお尋ねしたいのでございますが、先ほど御説明の中に、書面は出さなくてもよいということに困惑している、まだかなり問題が残っていると言われましたけれども、簡単で結構でございますが、具体的にその理由を御説明いただけたらと思うのでございます。
  182. 木島利夫

    ○木島参考人 いろいろなケースがございますが、代表的なケースを二、三申し上げますと、一般の方は、私どもが請求したらすぐ払ってくださるお客さんばかりと思っていらっしゃるかもしれませんが、これはそうではございませんで、請求書を出してもなかなか払っていただけないお客さんが多いわけでございます。それは、旅行していて知らなかったとか、いろいろな理由がございます。これは善意の方でございます。ところが、今度の場合のように何もしなくても抗弁ができるのだとなりますと、その払っていただけないお客の中でどの方が抗弁権を行使して払っていただけないのか、どの方が善意であるのかということが全くわからないということは私どもが一番困惑するわけでございます。  それからもう一つのケースは、これはさらに悪質になりまして、悪い加盟店もおりますが、消費者にもなかなか悪知恵のある方もおられまして、例えば電気製品を買いました。そういたしますと、どこかにきずがあったから、あるいはどこかぐあいが悪いから払わないのだということを言ってくる。その言ってくるときに、何回も請求しないと、それが私どもにはわからない。そこで書類を出してくれと言っても、そんな面倒くさいものは出せないというようなことで、この法律でも「努めなければならない」わけでございますから、出さなくても何も罰則はないわけでございます。努めない方もいるわけでございます。そういたしますと出していただけない。そこで私どもは、場合によっては債権の買い戻しもお願いしなければいけませんので、電気屋さんに行ってかくかくしかじかのお客さんがこういうことを言っていますよというようなことを仮に言うとしますと、あのお客さんはいつもああいうことを言うのですというようなことが起こるわけでございまして、私どもはその二者の間に立って行ったり来たりするわけです。日常の売買でこういうトラブルを繰り返しておるようでは大変コストがかかって、私どもの仕事というのは前に進まないわけでございます。  ちょっと蛇足かもしれませんが、信販業というのは、私どもの会社は三十二年前につくった会社でございまして、債権買い取り業務というのはわずか三十二年の歴史しかございません。したがいまして、今発展途上にあるわけでございます。こういうことでその発展の一つの芽をそがれるおそれがあるのではないかということを私どもとしては危惧している次第でございます。  以上でございます。
  183. 福岡康夫

    ○福岡委員 時間がございませんので最後にお尋ねしたいのでございますが、青柳参考人にお尋ねいたします。  今後我が国の消費者信国産業の健全なる発展を図っていくためには、個人信用情報機関整備による多重債務の防止が緊急課題であるのではないかと私は考えておるわけでございます。先ほどの青柳参考人の御説明によりますと、日本割賦協会信用情報交換所と株式会社日本信用情報センター、社団法人全国信販協会、この三つの一元化の問題がちょっと御説明に出ておったのでございますが、これの現況と今後の見通しについては、我が国の消費者信国産業の健全な発展のために非常に重大な問題があると思いますので、現在御発表できる範囲内で、現在の状況と今後の見通しについてお話をお聞かせ願いたい、こう思うわけでございます。
  184. 青柳忠一

    ○青柳参考人 ただいまの点について御説明申し上げます。  私も全く同感でございまして、先ほども申し上げましたように、ぜひともこの業界の健全な発展と多重債務の防止という観点から個人信用情報機関整備統合が必要であると考えておるわけでございます。この点につきましては、通産省行政指導もありまして、お話しのように現在三者による話し合いが行われているわけでございますが、まず統合のシステムをどういうふうなものにするか、それに伴いまして総合的な運営をどういうふうにやっていくか、さらに新しい情報機関としてどういう組織でこれを行うか、株式会社で行うかあるいは社団法人で行うか、その他いかなる組織で行うか、そういった点につきまして現在三者による統合準備委員会というもので鋭意検討している段階でございます。  ただ、この問題につきましては、同協会並びに全国信販協会の会長でもあります山田会長からも、できるだけ早くこの問題についての具体化を図るべきであるという御意見もありますので、鋭意その点で話を詰めておりまして、何とか基本的な線は五月中ぐらいにまとめたい、かように考えております。もちろん三者による話し合いでございますので、最終的な見通しはまだございませんが、何とか五月中ぐらいにまとめまして、ある程度の準備期間を置いて、年内には販売信用業界における個人信用情報機関の統合に向かって実現を図りたい、かように考えております。
  185. 福岡康夫

    ○福岡委員 いろいろ前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。ただ私自体、これを進める上においてぜひともお願いしたいことは、消費者プライバシー保護、この点については十分御留意されまして、前向きに御検討願いたい、かように考えております。  質問を終わります。
  186. 梶山静六

    梶山委員長 次に、宮田早苗君。
  187. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの質問と重複するわけでございますが、せっかく宇野先生、竹内先生お見えになっておりますので、もう一度ただいまの質問についてお願い申し上げたいと思うわけです。  消費者保護といいましても、そういう別な観点で考えなければならぬ事態がこれからますます多くなるんじゃないかと思います。人間というのは欲望が非常に強いものですから、カードを持っていけば何でも買えるということになりますと、つい買い込んでしまいまして、今言いました多重債務ということになりがちでございます。この法律ができて、これから運営がされるわけでございましょうが、サラ金というような汚名を受けないように十分に気をつけていかなければならぬ、当たり前のことと思いますが、そういう意味から過剰与信防止を何としても図らなければならぬ。個々のいろいろな立場からは調査機関はあるようでございますけれども、それだけでは全く片手落ちでございますので、広く全般にわたったところの機関というものが地域ごとには当然必要になると思いますので、そういう面について両先生お考えがございましたならば参考のためにぜひお聞かせ願いたいということでございます。
  188. 宇野政雄

    ○宇野参考人 基本的には先ほどのお話、ほかのところでもお話が出ておったわけでありますが、まず私の感じでは、消費者教育というものをもっと徹底すべきじゃないかという気がしております。自分がどういう生活をしていくのかという、そういう生活設計の上で金を借りるといいますか物を買うべきであって、その意味で、こういう問題というものは便利なものほど実は危険があるわけですから、それについての消費者教育をどう展開するかということがまず一方においてはあるだろうという気がしております。  それから、今の御指摘の問題は、そういったようなことがあるとしても、やはりまだ多重債務というような問題が起こってくるということでありますが、その点では先ほど来業界の方で検討しておりますような、一本化した情報の機関をうまく設立して、そしてこれが積極的に動いていく。しかもでき得べくんば、そのものと直接結びつくことになるかどうかは別といたしましても、今申し上げましたような、一方で消費者教育というものが展開できるような、こういう二面作戦をやらないと問題は解決できないのではないか、こういうような意識を持っております。
  189. 竹内昭夫

    ○竹内参考人 私は、消費者信用情報機関というものを整備することによりまして、それによって購入者の支払い能力を超えると認められる割賦販売等を行わないように努めなければならないという、こういう規定はちょっと見当外れではないか、かように考えております。事業者は、取りはぐれの起こらないように十分情報に基づいてこれが安全な与信限度であるということを判断するのは当たり前のことでありまして、これは事業者が安全に有利な取引をするためにやるわけでございます。ところが、これで見ますと、消費者保護のために事業者の方で情報を十分考えて売れということのように思えるわけでありまして、そういうことを言うと、例えばレストランのおやじさんはお客さんの腹かげんを十分判断して、あなたはこれでやめておきなさい、あなたはもう一杯食べても結構ですというふうなことを言うのだろうか。そんなことまで事業者におんぶしようというのはおかしいのではないかと私は思うわけであります。  ただ、そのことと、消費者信用情報機関というものが事業者の事業運営のために必要だということでそれはほっぽっておいても整備される、したがって、その情報が間違って利用されないように、正しく利用されるように法律上の歯どめを厳重にかける必要があるということとは別問題でありまして、事業者のおかげで消費者保護してもらおうというようなことを考えるとすれば、それは甘えに過ぎるのではなかろうかと思っております。
  190. 宮田早苗

    ○宮田委員 青柳理事長にお聞きをいたしますが、この法律ができて施行されるまで、ある程度の準備が必要だから期間をいただきたい、こういう説明があったと思います。その準備とはどういうことをお考えになっておるか、その点をお聞きいたします。
  191. 青柳忠一

    ○青柳参考人 お答えいたします。  この法律は公布以後六カ月以内に施行されるわけです。何カ月目に施行されるかはわかりませんが、最大六カ月ということでございます。その六カ月以内においてある程度の準備期間が必要である。これは今回の法律消費者保護観点から、相当いろいろな取引形態について法の規制対象に新たになったわけでございますし、さらに画期的なと申しますか、抗弁権接続というような問題もあっせん業者に新たに明確にされてきたというようなこともございますので、そうした点をまず業界内部において、また企業内部において、それに対応する体制を考えていかなければならないと思うわけでございます。また、先ほども申しましたように、私ども団体といたしましても、業界にその趣旨を徹底していかなければならない、また消費者にもこの内容の周知を図っていきたい、そういったいろいろな意味におきまして、相当な準備期間が必要であるということを申し上げた次第であります。
  192. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、木島社長にお聞きするわけですが、今度の改正は割賦購入あっせんに対して配慮されておるので加盟店の選択が容易になった、こういう御意見があったと思います。  そこで、消費者はほとんどの人、これは特に田舎の方でございましょうが、初めからクレジットカードを持って電気製品を買う、あるいはまたいろいろ寝具を買うとかいうことはしないと思います。持ってないと思います。そこで、お店に行きまして、月賦にしてくれないかと言うと、そのお店の主人が、月賦の方法がございますということになると思いますが、消費者が選択をするということよりは、その商店主なり、かかわっておる人々の選択の方が優先するように実際問題としてはなると思います。その辺はどうですか。
  193. 木島利夫

    ○木島参考人 ちょっと御質問趣旨がよく理解できないのですが、商店主が選択するというのは何を選択するわけでございますか。(宮田委員クレジットの……」と呼ぶ)クレジットでお買いになるか現金でお買いになるかを選択するという意味でございますか。それはおっしゃるとおりだと思います。消費者クレジットという制度のことがよく理解されてない場合は、こういう便利なものがありますよということで勧められた場合には、消費者クレジットを使うということが多いのじゃないかと思っております。
  194. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  195. 梶山静六

    梶山委員長 小沢和秋君。
  196. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 共産党の小沢でございます。きょうは御苦労さんでございました。私が最後ですので、もうしばらくお願いをしたいと思います。  最初に、竹内参考人にお伺いをしたいと思うのですが、先ほどから多くの参考人の方々が、役務を外されたことは大変残念だということで皆さんおっしゃっておられる。私もそう思うのです。そこで、せっかく答申には盛り込まれたのになぜ外されたんだろうか。一体答申までに至る論議でその辺はどの程度詰まった議論になっておったんだろうか。私は、大体はいけるということになって答申に盛り込まれたんじゃなかろうかと思っていたのですが、その辺ぜひ御説明願いたい。いかがでしょうか。
  197. 竹内昭夫

    ○竹内参考人 役務も含めるべきだという基本方針、これ自体は多くの方々が考えておられたところでありまして、早くからその方針は打ち出されていたように思うわけでありますが、法律的な詰めは産業構造審議会では余りいたしておりません。それは各界の業界の代表の方々、消費者代表の方々、それに我々のようなものも若干加わりましてやっておるわけでございますけれども法律的な詳細な詰めはやっておりません。したがって、結論が出た後で、いよいよ法律的な詰めをする段階になって、法律技術的な面で今回の法律案作成までの間に詰め切れなかったというのが恐らくそれがおっこった理由であろうと思います。したがって、私が承知している限りにおきましては、通産省の内部においてはもちろんのこと、関連各省庁の中におきましても、役務を入れるという、その方針それ自体について反対の意見はなかったように聞いておりますけれども、技術的な詰めが間に合わなかったということではないかと思っております。
  198. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 竹内先生にもう一問お尋ねしたいのですが、私もこの改正について勉強してみる過程で、次々に新しい消費者信用商品が出てくる。そうすると、それを次々に法律に盛り込んでいくというのでは常に後追いになる。だから、どうしても、先生が先ほどおっしゃったような総合立法をすることによって初めて立法の方が、さあ来いということで先手をとることができるんじゃなかろうか。その点で非常に先生が言っておられる総合立法ということに関心を持つわけなんですが、これは先生ごらんになって、今の立法技術論も含めて、我が国でそういう法律を制定するということは現実的に十分に可能だ、それもごく近く、詰めて一生懸命作業をやれば割に近い時期に可能だ、そういうようなお考えをお持ちかどうかということも伺っておきたいと思います。
  199. 竹内昭夫

    ○竹内参考人 アメリカやイギリスで既に行われたことでございますから日本で不可能だとは決して思いません。ただ、アメリカでもあの連邦の法律は九つの省庁が共同して運用しておる、そういう法律でございます。それぞれの所管業種について同じ法律を各省が動かす。したがって、私十年以上前に、そのことによっていろいろ不便な点はないかということを質問したことがございますが、毎月一回集まって打ち合わせた上でそれぞれの省庁が運用しておるから、ともかく何とかなっておるということを答えておりました。日本でも、そういうようなつもりで、つくるつもりになればできなくはない。ただ、詰めてやれば短時間のうちにできるかといいますと、これは、私は必ずしも安受け合いはいたしかねる。アメリカでも七年、八年かけております。やはり前回の、ここで参考人として意見を申し上げたときにも申し上げたことですけれども法律をつくるということは人手も時間もお金もかかります。私は、法律をつくることを任された、命ぜられた役所に、人手や予算は考えてやるからどうか頑張れという国会での御意見をぜひ賜りたい。人手もお金もなし、ただ頑張れということをおっしゃっていただいてもこれは無理じゃないか、かように考えるものでございます。
  200. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ありがとうございました。  次に、青柳参考人に伺いたいと思いますが、業界の御意見として、全体としては今回の改正は結構だけれども部分的に意見もあるので、それは政省令をつくる段階で反映させたいというふうにおっしゃいました。それに対して消費者の代表の方から、その政省令というのが実は実際の運用上のかぎになる、だからそこで曲がってしまっては困るというような疑念も表明されたわけですが、私ここではっきりひとつ、どういうような政省令に対して運用上の注文をつけたいというふうにお考えなのか承っておけば、そういう疑念もなくなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  201. 青柳忠一

    ○青柳参考人 お答えいたします。  私が先ほど申し上げました点は、例えば木島参考人がお話を申し上げたような点もあるわけでございます。決して政省令、通達の段階法律そのものの趣旨なり目的が曲がるようなことは、これは役所としてもおやりになるはずはございませんので、そういうことはないと思います。具体的な運用について政省令あるいは通達で決められる面が多いわけでありますから、実際上業界はその業務をやるためにはそういう具体的な段階においていろいろ問題がある、そういう意味において……(小沢(和)委員「その内容ですよ」と呼ぶ)これは具体的に今後検討する問題であるというふうにお答えを申し上げるよりございません。
  202. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これから検討するとおっしゃられたのではちょっとそれ以上質問ができませんから、これはその程度にいたしまして、次に木島参考人に一言お尋ねをしたいと思います。  今までは抗弁が切断をされておりましたために、とにかく契約をとってしまって、おたくの方がお金を払ったら後は消費者に対してびしびしお金を取り立てることができるという安心感があったかもしれませんが、今後は接続されるということになればちょっとそうはいかなくなると思うのですね。そうすると、特に販売店との関係で、私は、今までとは抜本的にその信頼度の調査その他いろいろ改善を迫られるだろうと思うのです。その点でどういうような抜本的な改善策をお考えかということをお尋ねします。
  203. 木島利夫

    ○木島参考人 最初にお断り申し上げておきますが、現在の、法改正がなかったから消費者のクレームは全然受け付けないというようなことは現在絶対ございません。それは私どもの約款に、購入目的を達しないようなものについては言ってくださいということはちゃんと書いてありまして、そういう点では大きな問題は現在解決されておると私は思います。これから出てくる問題はそれに至らないような問題が恐らく出てくるのではないかという意味で先ほど申し上げたわけでございます。  それからもう一つの、今の加盟店の問題、これは御指摘のとおりでございまして、これは従来から私どもももっともっと厳正にやりたいと思っておったのでございますが、なかなか業界の実情が、過当競争と申しますか、許さないという点がございまして、必ずしも我々が考えるほど厳正には至らなかった面が多々ございますので、そういう点につきましては今後さらに一層厳正に審査をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、結局今のトラブルの問題を突き詰めますと、不良加盟店といいますか、加盟店のしぶりがよくないために起こっているケースがほとんどであろうかと思いますので、なおさら今の御指摘のような点につきましては、今後この法律の成立を契機に一層厳しい審査をやっていきたいというふうに思っておりますし、またこれは私が私の会社だけのことで申し上げるのでなくて、恐らく業界全体がそういうふうな方向に行くのではないかというふうに思っております。
  204. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 じゃ、これで最後にしますが、清水参考人にも一言だけお尋ねしたいのですけれども消費者が賢い消費者でなくてはならぬ、現役の消費者についてはいろいろ消費者教育をやっていただいているという話があったのですが、どうも業界の戦略なんかを見ていると、我々のような五十になったようなものは大体余りカードなんか使い切るまいというので、若い人、まだ余り世間のことを知らぬような人たちに戦略のねらいがつけられているように思うのです。  それで、私は、学校教育からこの問題は取り入れないと、本当の意味での次代を担う賢い消費者は育ってこないのじゃなかろうかという気持ちを持っているのですが、その点、いかがでしょうか。それで終わります。
  205. 清水鳩子

    ○清水参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。特に日本の学校教育はなるべく新しいことを控え目控え目に教育するということございますけれども、去年の夏私アメリカへ参りましてノーマン・トーマス・ハイスクールという高校へ参りましたら、はっきりとクレジットについて、まだクレジットを使えない子供ですけれどもクレジット利用する場合にはこういう点をちゃんとチェックしてから使いなさいということで、金利その他ちゃんと何項目か書いて、それを教育しておられるのを見まして、やはり日本の実情と随分違うなというふうに思いました。  それから、今、若い者たちの消費者意識というのが随分変わってまいります。それは消費者自身にも問題があるとは思いますけれども、例えばカードのようなものは注文しなくても一方的に向こうから若い子供に送ってくるわけですね。そうしますと、それは送ってきてもそんなものは使うべきじゃないといいましても、これだけ豊かな時代ですと、自分が頼まないけれどもカードを向こうから送ってきたら、使ってみようかというふうな気持ちもあると思いますので、そういう点の業界の、何というのでしょうか、倫理的な問題も残っているのじゃないかと思います。
  206. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうもありがとうございました。
  207. 梶山静六

    梶山委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しい中を御出席賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、明十八日午前九時五十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会