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1984-04-11 第101回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十一日(水曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       岸田 文武君    高村 正彦君       近藤 元次君    仲村 正治君       野上  徹君    野田  毅君       野呂 昭彦君    浜田卓二郎君       原田昇左右君    深谷 隆司君       古屋  亨君    綿貫 民輔君       奥野 一雄君    後藤  茂君       浜西 鉄雄君    横江 金夫君       和田 貞夫君    渡辺 嘉藏君       木内 良明君    中川 嘉美君       日笠 勝之君    福岡 康夫君       青山  丘君    永江 一仁君       横手 文雄君    小沢 和秋君       柴田 睦夫君    野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         通商産業大臣官         房長      福川 伸次君         通商産業大臣官          房審議官    棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房審議官    山田 勝久君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         中小企業庁長官 中澤 忠義君         中小企業庁次長 篠島 義明君         中小企業長計画 鈴木 直道君         中小企業庁指導         部長      粟屋  忠君  委員外出席者         商工委員会調査          室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   木部 佳昭君     近藤 元次君   辻  英雄君     野呂 昭彦君   野上  徹君     浜田卓二郎君   青山  丘君     永江 一仁君   野間 友一君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     木部 佳昭君   野呂 昭彦君     辻  英雄君   浜田卓二郎君     野上  徹君   永江 一仁君     青山  丘君   柴田 睦夫君     野間 友一君     ――――――――――――― 四月五日  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案長田武士君外四名提出衆法第一四号) 同月四日  企業管理士法の制定に関する請願(武田一夫君  紹介)(第二一四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第六六号)      ――――◇―――――
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。内閣提出中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田幹生君。
  3. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 初代の中小企業庁長官がたまたま私の方の京都府の知事を二十八年間やっておられまして、非常に個性の強いお方でございましたので、私は、地方議会中小企業庁というのはああいう方ばかりが仕事をやっておられるのかなというイメージを持っておったのですけれども、衆議院に上がってまいりまして、現中澤長官を初め幹部の皆さん非常にきめ細かな行政をしっかりやっていただいておる、そういう点では感心をいたしております。特に、この中小企業要覧を拝見しますと、わずか百八十八人、そうして予算も二千二百億円。限られた人数と予算相当実績は上げていただいておる。この要覧で拝見をいたしまして、その限りにおいては敬服をいたしておるわけでございます。  今度ここに提案されておりまする組合法団体法の一部改正につきましては、組合を取り巻く社会経済環境の変化、それからもう一つは、組合員世代交代期に来ておるからそれも円滑にやりたい、この二つをねらいとして一部改正を提案されておるというように伺っておるわけでございますが、いささか心配になります事柄が数点ございますので、時間の関係でまず最初長官二つずつ続けてお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず最初は、組合債務保証事業拡大についてでございます。  事業拡大しますことは、確かに組合それから組合員、さらにはお客さん、この三者の利益になるということは理解できるわけでございますけれども、これをかなり積極的にやってまいりますると、組合財政基盤が弱ってくることはないかどうか、こういう点についてでございます。このごろは仕事の量が非常に減っておりますから、幾ら安くても仕事をとりたい。そうすると、中には手抜き工事をする人が出てくるかもわからぬ。あるいはまたツケで材料を買った場合の保証、あるいはまた都道府県知事が、河川の砂利をとりましたときの跡の埋め戻し、こういうようなことにつきまして、保証事業拡大をやろうとしておられるのですけれども、そういう場合に今申し上げた組合財政基盤を弱める心配がないのかどうか、この点についてでございます。  さらにもう一つは、出資持ち口数制限緩和についてなのですけれども、現在の百分の二十五を百分の三十五にしようとされております。一般の株式会社でも、一人の株主が三割あるいは四割というように持ち株をふやしてまいりますると、どうしてもワンマン経営、ボスが出てくる、こういうようなことをこれまでに間々聞いておるわけですけれども、そういうような弊害がこの場合にも出てくるのではなかろうかということを懸念するわけでございます。  最初、この二つについて伺いたいのです。
  4. 中澤忠義

    中澤政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の、債務保証事業範囲拡大に伴って、組合財政基盤心配が出てくるのではないかという御質問でございますけれども、私どもといたしましても、仮にもそのような財政上の不安が生じてはならないというふうに感じております。その意味で、私どもといたしましては、組合が長年の経験によりまして従来金融機関に対する債務保証等組合員に対する資力の審査というものを相当見てまいりましたので、そのような経験に照らしてこの事業範囲拡大についても行っていくという点、あるいは財政基盤の担保といたしまして、一組合員当たりに対する引受限度額というものを設定いたしましてこれを指導するということ、あるいは債務支払いに対します基金あるいは積立金というものを組合に積ませていくというような点につきまして、十分な指導をすることによりまして、組合財政基盤に影響が生じないように担保してまいりたい、かように考えております。  第二点の御質問でございます出資持ち口数制限緩和、これによって組合の民主的な運営が損なわれるのではないかという御設問でございますけれども、私どもといたしましても、現行の出資持ち口数限度を超えて百分の三十五まで出資口数を持てるという場合には、これは組合財産の維持の見地から真にやむを得ない場合に限ってこれを認めるということで、総会の特別決議を前提とする、その組合の承認をその決議によりまして経ることを条件としたい、かように考えております。そういう形で組合活動の円滑なかつ民主的な運営を担保するということを考えております。  また、議決権あるいは選挙権でございますけれども、これは組合の特性といたしまして一組合員当たり一個の議決権ということは原則でございますので、そのような議決権平等性ということもございまして、組合の民主的な運営というものは十分担保され得るというふうに考えておるわけでございます。
  5. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 最初質問につきましては、基金から準備金、これを十分に調達をして、その上でそういう弊害のないようにということですから、わかりましたし、それから私も、二番目の出資持ち口数の件につきましては、例えば私のところの京都の場合には和装産業は非常に不況でございます。染色工場を持っておる、もう採算がとてもとれないからやめるわ、そうすると組合をやめていって、そのままほっておきますると非常に基盤が弱くなりますから、だれかそれを穴埋めする、希望者がなかなかおらぬ、員外者に金を出してもらってどうにかつじつまを合わせて経営しておるというような実例がございますので、そういうことを考えますると、やはりこの制限緩和しまして、弾力的に運営をしていくということにつきましては、私はむしろ心配よりも歓迎する方が非常に先立つわけで結構でございますが、ひとつどうぞそういう民主的な運営が損なわれないように格別の御配慮をこれから賜ってまいりたい、これは重ねてお願いをいたしておきます。  それから火災共済協同組合制度の改善についてでございますが、共済金額制限方法を、これまでの契約者一人当たり金額から今度は対象物件一件当たり金額に変わりますよね。そうしますと、大きな建物が全焼した、そうなりますと非常に金額が張ってくる、ふえてくる、こうなりますと、また組合経営基盤が弱まってくるのじゃなかろうかという懸念がいたすわけでございますが、いかがでございましょうか。  続きましては、中央会につきましては事業例示追加が行われております。つまり組合等に関する知識検定、これが追加されておるわけでございますけれども、この知識検定というのは具体的にどういうようなことが行われ、何を目的として行おうとしておられるのか。この二つについてお願いいたします。
  6. 中澤忠義

    中澤政府委員 御質問の第一点でございますけれども、確かに対象物件一件当たり金額に変更することによって過大な損害をこうむることはないかという御心配があるのはごもっともでございます。ただ、私どもの観察といたしましては、保険契約でございますので、保険の場合にはいわゆる大数の法則ということで、契約数が非常に大きくなりますと、それに比例いたしまして事業の安定が図られるという実態にあるわけでございます。今回の場合におきましても、共済金額制限方法が一人当たり金額から一件当たり金額に変更することによりまして対象物件が非常に多くなる。例えば事業協同組合等の場合でございますと、非常に多くの物件がこの中に入っておりまして、これによりまして火災共済がとり得る契約数が飛躍的に数がふえるということによりまして、契約金額ひいては保険料等の収入がふえますので、経営基盤が相対的に安定するということによりまして、ただいま御質問のような不安と申しますか、心配がないように制度上も担保され得るというふうに考えておるわけでございます。  御設問の第二点でございますけれども組合に関する知識検定でございますけれども現状におきましても、全国中央会におきまして有能な人材の確保あるいは養成を目的といたしまして、組合事業に関する知識につきまして検定試験を実施しておるわけでございます。ただ、現在のところ、この検定試験法律上明示されておりませんものですから、多くの方がこの試験に合格いたしましても、所属する組合等から必ずしも十分な評価がなされておらないという恨みがございまして、この際、その努力に何らかの形で報いなければいかぬという問題が従来からございました。  そこで、今回この法案の御改正をいただきますると、検定事業法律上明示されますので、関係者理解が深まりまして、ひいては組合のこの検定を受けました方が、組合事業活動あるいは関係者の間で正当な評価が得られまして、組合活動の十分な基盤強化に貢献されていくというような効果期待されるわけでございます。したがいまして、今回の検定制度の法定の目的というのは、現在も行っておりまするこの検定試験に対する社会的あるいは経済的な評価を高めていただく、こういう点に主眼があるわけでございます。
  7. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 この火災共済につきましては、現在四十一の都道府県それから二つ業界、みそと製綿、この二団体が行っておる。私の地元ではこれは先に消防共済がスタートいたしまして、これが非常に普及して黒字でございますので、組合の方ではやっていないわけなんです。この四十一都道府県と二業界といいますか二団体がやっております、これは現在収支は黒になっておるのですか。今、長官は安定というお言葉を使われましたけれども、こういうように対象物件一件当たりというように切りかえましても、そういう経営の面では心配が絶対ないのかどうか、重ねてお尋ねをいたしますのと、それから中央会例示追加、これにつきましては、これまでも全国中央会がやっておったわけですね。既に二千人ほど受けておられる。ちゃんと法律追加して、法律にうたいとげることによって、検定に合格した人はどういうような利益を受けるのか。今長官は、理解が深められる、こういう御答弁でございましたけれども、そうすると、団体の中で役職につけるのか、昇任あるいは昇給、こういうようなこともある程度加味されていくようなプラス面があるのかどうか、これまではなかったのか、そういう点についても伺いたいと思うわけなんです。
  8. 中澤忠義

    中澤政府委員 第一点の火災共済事業成績でございますけれども、五十七年度末の数字で申しますと、既に組合員数が九十八万人、出資総額五十三億円、契約高が六兆六千五百六十九億円という相当な実績になっておりまして、しかも収支の面につきましても順調な業績を上げております。かつ、今回契約対象のやり方を一物件当たり契約限度というふうに広げますけれども物件当たり限度額を同時に設定するということもあわせて考えておりまして、範囲拡大によりましても、安定した業績というものにいささかも支障を来さないという見通しを私どもとしては持っておるわけでございます。  第二点の、組合に対する検定についていかなるメリットと申しますか、制度上のプラス考えておるのかという御質問でございますけれども全国中央会あるいは県別中央会におきます指導員あるいは組合職員という方は、当然のことでございますけれども組合に関する十分な知識と見識を持っておられることが必要でございまして、組合知識に関する検定というものが法律上も明定されることによりまして、一般的な認識が高まるということも大きな効果でございますけれども、私どもといたしましても、組合指導員あるいは組合職員が採用される場合に、極力組合検定試験を通った方が職員に採用される、あるいは持続的に職種としてついていただくということを指導することによりまして、実質的に組合検定試験権威というものを高めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  9. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 この検定追加につきましては、できるだけそういうような方向で早くみんなの理解を得て、権威が高められるように、指導の面においても格別の御尽力を願いたいと思うわけでございます。  それから、直接一部改正には今度挙がっておりませんけれども、いろいろな機会に御意見が出され、それがまた実現をしておらない問題でございますけれども、同じ中小企業でありながら、例えば企業組合協業組合事業協同組合との間では税制上の取り扱いに不公平があるというように私どもは思って残念でならないわけでございます。法人税率につきまして、企業組合協業組合は三一%でございますのに、事業協同組合は二六%というように、ここに五%の差があるわけでございますね。やっぱりこれは二六なら二六に一律に合わすべきじゃなかろうかというように私は思うわけでございますが、同じようなお考えを持っておられるなら、これまでどういうような努力をされてこられたのか、今後はどういうような見通しをお持ちになっておるのか、これについてお尋ねをいたします。  それから、中小企業団体中央会指導体制を強化するためには、どうしても指導員の数をさらにふやしていく必要があるのじゃなかろうか。ことしの新予算では全国でわずかに三名でございますね。ここ数年間の指導員増員状況、それから、非常に数が少ないから、背に腹はかえられぬということで、出先中央会では地元負担指導員を採用しておるというところもあるやに伺っておるのですけれども、そういうのがあるとすれば、それは合計何人ぐらい現在いるのかということについてもお尋ねをいたします。
  10. 中澤忠義

    中澤政府委員 お答え申し上げます。  企業組合協業組合に対する税制上の優遇措置でございますけれども税制面におきまして、確かに企業組合協業組合事業協同組合と異なった法人税上の扱いを受けておるということは御指摘のとおりでございます。この問題は、企業組合協業組合というものが、企業体としての性格上、一個の企業体として事業を行う法人であるということで、いわゆる普通法人に扱われておりまして、組合としての法人税率軽減あるいはその他の特別措置が適用されておらないわけでございます。ただ、もちろん中小企業向け法人税率軽減その他の振興措置というものは適用されておるわけでございます。  この問題につきましては、私ども通産省あるいは中小企業庁といたしましても、事業協同組合並み税制上の優遇措置がとられることを期待いたしまして、従来、税制改正の要求の段階では、事業協同組合並み優遇措置を要請してきたわけでございますけれども、やはり財政上の問題、あるいは先ほども申し上げました法人としての性格上の問題から、従来これが税制上認められておらないという経緯を経てきたわけでございます。私どもといたしましては、今後ともこの問題につきましてはぜひ検討を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  第二点の、中央会指導員増員の問題でございますけれども指導員増員問題が非常に重要であるということは私どもも認識しております。過去の増員経緯でございますけれども、この五カ年間の増員実績を見ますと、昭和五十五年度におきましては三十名の増員、五十六年度につきましては同じく二十名、五十七年度八名、それから五十八年度、五十九年度はそれぞれ三名ということで、確かにこの増員の数が非常に抑制されてきたということは事実でございます。いろいろな制約からこのような状況になっておるわけでございますけれども、各中央会におきます期待が非常に高いわけでございまして、私どもとしては、この増員確保につきまして引き続き努力をしてまいりたいと思っております。  なお、各中央会におきます自己負担によります職員の数でございますけれども都道府県中央会におきまして、現在補助対象職員が千百二十一名ございますけれども、それに対しまして、補助対象外職員が百五名おられます。府県によりましてむらがございますけれども、たしか二十八の都道府県におきましては合計百五名の対象外職員がございまして、それぞれ中央会の自主的な努力によりまして指導事業についていただいておるという状況になっております。
  11. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 税制上の取り扱いについて今後も検討をしていくというお話でございますが、私は、できることなら、新年度予算は昨日成立をしたばかりでございますけれども、次の年度予算を組みますときにひとつ忘れないように、これも政府税調党税調の方に通産省の方から上げてもらいたい、これを強く要望しておきます。それから、指導員につきましても、地元負担が百五人とおっしゃいましたね。去年、ことしのように三人ずつそれを埋め合わせていきますと、三十四年ほどかかるのです。確かによくできていると思うのですよ。これをずっと末端のどの地域も指導を徹底していこうといたしますと、それは現在の体制ではなかなか御苦労が多い。確かに中小企業庁、百八十八人ではやれぬというので、出先都道府県商工部職員とタイアップし、よくやっていただいておるのですけれども、やはり一つは数の問題ではなかろうかと思いまするので、去年とことしはわずか三名ずつということでございますが、せめて五十五年、五十六年ぐらいの数字に早く戻すことができますように、御尽力を賜りたいとお願いをいたしておきます。  それから、指導員によります指導でございますけれども、個別に指導しますとなかなか手間がかかって能率が上がらない。今はどの組合一つ業界業種ではみんな困っておる。例えば先ほど申し上げました和装なら和装関係全部困っておるのです。織物の方も原糸の方もあるいは染色の方も全部困っておる。そこで異口同音に出るのが、もう和装の範疇、壁を破って洋装の方にも切り込んでいったらどうだろうか。意見は出ておるのですけれども、さあそういう新しい問題になりますと、指導員質問が出ても答弁に頭を抱えてしまうというようなことも現実問題として起こっております。そういう場合には、まず中小企業庁不況なら不況業界業種を選んで、そして講習会をやっていただいて、集団指導を現地ではやるという方が効率が上がるのじゃなかろうか、ニーズにも応ずることができるのじゃなかろうかという気持ちを私は持っておるのですけれども、これについてのお考え。  それから官公需、実は先週の閣議で経企庁長官なり大蔵大臣公共事業の前倒しの問題が話題になったと聞いておるのです。それに関連してお伺いをするのですが、中小企業向け官公需発注、ことしはどれくらいを目標にし、いつごろどの程度のものをやろうとしておられるのかについてお尋ねをいたします。
  12. 中澤忠義

    中澤政府委員 第一点の指導体制の問題でございますけれども現状におきましても、業種別組合を集めまして研修会あるいは講習会等、いわゆる集団指導と申しますかグループ指導と申しますか、こういう形での指導を極力効果的に行うように取り計らっております。ただ、ケースによりましては、やはり個別指導でなければいけないというケースもございますので、今後におきましても、そこの個別指導集団指導とを極力機動的に組み合わせまして、今御指摘のような不況業種につきましてもきめ細かい指導を行ってまいりたい、かように考えております。  それから官公需の問題でございますけれども、現在の建設業あるいは公共事業現状に照らしまして、官公需の比率の確保に対する期待が非常に高いことは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、五十八年度官公需比率を三七・三%と決めておるわけでございますけれども、五十九年度につきましても極力、私ども気持ちとしてはこれを上回る目標設定を行いたいと思っております。既に関係各省と五十九年度目標設定につきまして協議に入っております。今後の段取りといたしましては、各省庁それからその省庁を通じまして、国の機関発注について詰めた議論を行いまして、七月中にはこの目標設定を行いまして、ぜひ官公需中小企業向け発注というものを高めてまいりたい、かような気持ちで現在努力しておる段階でございます。
  13. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 もう質問の時間が来てしまったそうで、最後に簡単に、小此木大臣お尋ねをするのですけれども、こういうもろもろの組合法団体法改正によりまして、大臣としてはどの程度効果期待されておられるのかということがまず第一点。  それから最後お尋ねは、御承知のとおり中小企業というのは、どうしても内需に依存をしておるのでございます。そして非常に、よく言えば安定成長、低成長の中で大企業と渡り合っていかなければならぬ。しかも今、高度情報化社会に急速に向かいつつある、取り巻く環境は非常に厳しいわけなんでございますけれども、そういう厳しい環境の中で、政府としては中小企業をどういうような方向に盛り立てていこうとなさっておるのか、大臣としての基本方針を最後にお伺いをいたします。
  14. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 その前に、今公共事業の前倒しの件のお話がありましたけれども、実はおとといの政府・与党首脳会議におきまして、河本経済企画庁長官がその件に関する大変強い意見を言われまして、それを大蔵大臣が受けて十七日にその構想を明らかにしようということになったわけでございまして、それを受けて、今、中小企業庁長官が申しましたような、通産省としての官公需に対する中小企業の対応策を七月をめどに出していくということになろうかと思います。  御質問のお答えに入りますけれども、今回の改正案の内容は、言うまでもなく、中小企業組合等からの広範な要望によって、これを受けて行ったものでございまして、これは、組合事業に係るニーズの多様化あるいは組合員の世代交代の円滑化、そういったことを重点に置きまして、現在の組合を取り巻く環境の変化を踏まえて検討を行ったものでございます。この改正によりまして、厳しい環境の変化に適切に対応した組合事業活動ができることになりまして、組合の経済的社会的機能の強化とあわせて、組合員である中小企業者の経済的な地位の向上が一層図られるものと私ども考えておるわけでございます。  二番目の問題でございますが、政府におきましても、我が国の経済社会におきまする中小企業というものが、もっともっと基盤が安定しなければならない、また、その重要性も深く認識いたしておるところでございます。国民のニーズの多様化あるいは環境変化のもとで、現在、中小企業が技術力の向上を図らなければならない、あるいは人材の育成を行わなければならない、情報化への対応等もさまざまなことをやっていかなければならない難しい時期に来ているわけでございまして、政府といたしましても、中小企業がその能力と可能性を最大限に引き出し得るような、このような課題に積極的に対応できますように、その活力の向上あるいは経営基盤の強化に向けて、今後ともこのような支援をさまざまな形でもって行っていきたいと考えておるものでございます。
  15. 奥田幹生

    奥田(幹)委員 終わります。
  16. 梶山静六

  17. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 このたび、中小企業等協同組合法、それに関連する法の改正が上程されまして、それに対しまして、中小企業の実態の立場から数点にわたって御質問申し上げたい、こう思うわけです。  改正目的が、ここにもありまするように、これら各組合はそれぞれ現在に至るまで大きな成果は上げてきた、しかし、今後においても中小企業が集団化し、共同化して大企業と対等に伍していく上で組合は重要な役割を果たすことが見込まれ、組合が経済社会環境の変化に対応した事業活動を展開し得るようにするために組合法及び団体法改正する、こういうことが必要になった、こういうような御趣旨で今回これの提案があったわけですが、そういう経済社会環境の変化に対応するために、当然この改正は幾多の面で行われなければならぬ、こう思っていたわけです。  そこで、まず第一に中小企業の置かれております経済社会環境について御質問申し上げたい、こう思うわけでございます。  FRB、アメリカの連邦準備制度理事会が、四月六日から公定歩合を〇・五%上げまして九%になったわけです。さらに、近く〇・五%上がるのではないかと言われております。これはプライムレートが三月十九日以後、二回にわたりまして〇・五%ずつ上がって一%上がって現在一二%になっておるのと連動するのではないか、こんなふうに言われておるわけですが、これについてのお見込みはどんなふうでございますか。
  18. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカの景気が、昨年の第四・四半期がGNPで五%、この第一・四半期が今の推測では大体七・二%ということで、いずれの数字もかなり強いわけでございます。それ以外の経済の諸指標が非常に強い、そういうことを受けまして、今御質問にありましたように金利が上がってきている、実勢金利が上がったのに追随する形で今回の公定歩合の引き上げがあった、こういうふうに発表されておりますが、思うに持続的な成長をねらったのではないかと推測されます。
  19. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 国内の個人消費の実態を見てみますと、政府は当初前年対比三・九%の増加を見込んでおられたわけですが、その後改定をされまして三・二%に下方修正された。しからば今度改定後の二月、三月の状況等はどうなっただろうか。この改定理由につきましては、個人消費が伸びない理由に、個人の収入が伸びておらない、これが大きな原因だ、こうおっしゃっておるわけですが、昨年の春闘とことしの春闘とを比較いたしましても、果たしてこれが大きく伸びるだろうか、いろいろな見方があると思うのですが、日銀券の発行残高を見ましても、昨年の三月が前年対比で七・三%増加をしておる、ところが今年の三月は三・一%の増加と昨年の半分以下にとどまっておる、こういう実態、こういうところから判断いたしまして、まず第一に個人消費がこのように低迷をしておる、これは否定できないのじゃないか。これだけの異常な寒波があって冬物が売れ、燃料等が売れて、それでもこれだけの低迷があるということになりますと、五十八年度のこの政府の見通しは果たして達成できたのかどうか、これを承りたいのです。
  20. 廣江運弘

    廣江政府委員 五十八年度の政府経済見通しといいますか、実績見通しの消費の達成ぐあいはどうかということでございますが、これは、国民所得統計はまだ十二月までしか出ておりませんので、五十八年度全体がどうなるかということにつきまして今確たることが申し上げられない事情でございます。  ただ、最近のいろいろの指標から、消費が一体どういうぐあいかというふうに変えてお答えを申し上げますが、消費を見ますときにいろいろの指標がございます。家計調査もございます。家計調査は、昨年の第四・四半期までは〇・九%前年同期比伸びておりましたが、一月は若干期待を裏切るような形でマイナス三%と大きく落ち込みました。ところが、一方大型店等の小売の売り上げを見ますと、これは一月以降も最近時点まで出ておりますが、割に強い数字が出ております。そのほか、自動車の登録台数等も強い数字が出ておりますし、また電気製品等の先端商品が割に強く売れております。  いろいろの指標を見ないといけないわけでございますが、一方生産、出荷を見てみますと、消費財、中でも輸出の影響を一番受けないと思われます非耐久消費財の出荷は、年を越しましても割にしっかりしているわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような一月の家計調査はかなり落ち込んでおります。これは雪のせいということも若干考えられるかと思いますが、非常に強いとは言えないと思います。  それから、先生の御指摘になりました所得の状況が、もともと五十八年度は一人当たり雇用者所得を五・二%と見ておりましたのが、実際は昨年の暮れといいますか、五十八年度実績見通しを出しますときには三・五にまで下方修正をしております。そういういろいろのデータを勘案いたしまして、政府としては今、消費は緩やかな増加をしている、こういうふうに余り強い評価をいたしていないのが現状でございます。
  21. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 この点もう一遍承りますが、そうすると三・二%に下方修正された個人消費は、まだ明確な数字は出ておらないが、果たしてこのハードルは越えておるのか、あるいはまたそれを下回ったのか、この点はどうですか。
  22. 廣江運弘

    廣江政府委員 これは私が先ほどの答弁で申し上げましたように、いろいろのデータを総合勘案いたしまして、経済企画庁の国民所得部で、最終的には六月ごろに出るわけでございまして、当初の見込みを今回の実績見通しのときに下げておりますので、私どもとしますと多少の期待はございますけれども、その程度はいくのではないか、いってもらいたい、こういうふうに思っております。
  23. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 この論争は水かけ論になりますので、六月あるいはまたある一定の時期を待たなければならぬと思いますが、日銀券の発行ぐあいその他から見て、大雪その他の一時的な異常な気候による、そういう消費はあっても、個人消費そのものは伸びておらないのじゃないか、私はこういうように見ておるわけです。  そうすると、今日景気回復が緩やかに行われている、これは輸出主導による景気回復論だと多くの方がおっしゃるわけですが、この点についてアメリカの景気の拡大、回復が大きな要因として日本経済を引きずってきておることは自他ともに認めるところなのですが、そこにアメリカの景気の拡大を若干引き締める形で今度の金利の引き上げが市中金利に連動して行われた、こう言われておるわけです。  この点につきまして、果たしてアメリカの景気がどのような過熱かということは指標を見ればわかるわけですが、この一、二、三の見通し等が七%台なのです。昨年の第一・四半期、第二・四半期等を見てみますと、九%以上のときもあるわけですね。こういうふうな意味から見て、今度のアメリカの金利の引き上げ等によって、アメリカ景気に景気の陰りが出てくる心配はないかどうか、この点についてはどうですか。
  24. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカの景気の現状及び今後でございますが、現状は、先ほどもお答えいたしましたように、かなり強い指標が出ております。もっとも消費等は非常に高いのですが、若干ここへきて少し下がる指標もないことはないのですが、もともとレベルはかなり高いわけでございます。しかしながら、見てみますと、まず物価は、寒波の影響等で一、二月少し強目の指標が消費者物価、卸売物価ともに出ておりますが、基調は落ちついております。と申しますのは、生産性が割にしっかりしているということ、それから賃金もまず落ちついておるというような要素がありますし、何より石油の価格が落ちついておるというようなことがありまして、まず物価についてはそういう状況にあるという点が一つ。  それから、通常のアメリカの景気回復のパターンにおきましてあらわれるのと同じように、設備投資がここへきてかなりしっかりした数字を出しております。商務省の調査では一三%を超すというような調査が本年度出ております。そういうことを考えてみますと、アメリカの景気回復の骨子といいますか、そういうものはかなり強いと思います。いろいろ今心配要因を先生もお挙げになりまして、そのこと自体を否定するものではございませんが、まずアメリカ政府が言っておりますように、本年度の平均成長率が五・三%でございますか、第四・四半期の年中止昇率が四・五でございますが、この程度、これに近い数字は八四年に関しては実現するのではないか、こういうふうに思っております。
  25. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 アメリカの景気回復政策、レーガノミックスとも言われておるこの部分について、多分に大統領選挙を一つの視点に置いて行われておる政策が強い、こう言われておるわけですね。そうすると、この大統領選挙のことは私どもにはわかりませんが、民主党の場合、今候補選び中ですが、今の見通しで仮にモンデール氏が大統領候補になった場合、そして大統領選挙が行われてモンデール氏が大統領になった場合、果たして今の政策が続くのかどうか。それからレーガン大統領がまた再選を受けた場合、今のレーガノミックスをこのまま継続するのかどうか、この点についてはどうですか。
  26. 廣江運弘

    廣江政府委員 先生も御指摘のように、民主党は候補者が決まっていないわけで、今にわかに私どもがこれに意見を申し述べる状況にないわけでございますが、過去を見てみますと、アメリカにはポリティカルサイクルというのがあると言われたぐらいでございまして、政権の交代に伴って景気循環が起きる、こういうふうに言われておりますので、一般論といたしますと、今先生の言われたような趣旨をもとにいたしまして、若干の政策の動きがあるということも一般的には考えられると思いますが、現在の段階でどうこうということはちょっと私どもからは申しにくいということを御了解いただきたいわけです。
  27. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 モンデール氏そのものはまだ決まっているわけじゃありませんのでなにですけれども、しかし、あの三人の政策その他を比較いたしますと、それほど大差はないわけです。そういたしますと、この大統領選挙を目当ての政策がもし今のアメリカの景気を異常に拡大させておるとするならば、今度この大統領選挙を一つの区切りとして何らかのことが起きるのじゃないかという予想、心配、これを日本の経済としては考えざるを得ない。特に莫大な財政赤字を抱えておるアメリカの今の実情から判断いたしまして、この危惧は、大企業であろうと中小企業であろうと、この心配は一緒なのです。一様なんですね。そういうような意味から見まして、今のアメリカ経済に引きずられて拡大あるいはまた緩やかな回復だと言われておる日本の景気でも、まだまだ中小企業には潤すところまで至っておらない、こう私どもは見ておるわけです。  こういうところから判断いたしまして、当面の、まだ〇・五ですが、将来また〇・五上がるのかどうか、あるいはまた、それによってアメリカ景気の変動あるいはまた大統領選挙等を考えたときに、果たして中小企業が今日のような苦しい中で、緩やかな回復だと言いながら、ばらつきの多い実態等からも考えまして、もしも今のようないろいろな条件によって、あるいはまた数カ月後の大統領選挙等の変動によって、潤いの来ないうちに中小企業にはまたもや不況が来るようなことになれば、これこそ中小企業はもう息が続かないのではないか、こう考えるわけなのですが、これについてのお見通しはどうでございましょう。
  28. 廣江運弘

    廣江政府委員 我が国の経済自体は、輸出が増加をいたしております。そして、このところ国内需要にも持ち直しの動きが見られております。もともと中小企業は景気のしわを一番受けやすいところでございますが、全体の景気がそういうふうに緩やかながら着実に回復をいたしてきておりまして、中小企業にもこのところ徐々にそういうものが波及してきておるのではないかと思います。それは、まず生産などの指数を見ましてもそういうことがうかがえますし、日本銀行あるいは中小企業金融公庫あるいは商工中金あたりのアンケート調査等の数字も、業況、景況それから収益の状況等もよくなってきているということを端的にあらわしております。さらに、最近の金融機関等からのヒアリングによりますと、資金需要が若干出ておりますが、その資金需要が出た要因の一つには、中小企業の設備投資に動意が見られるというような報告も私どもは耳にいたしております。  こういう状況でございますから、中小企業の景況にも徐々に明るさが広がりつつある、こういうふうに言っていいと思いますが、二つほど注意をしなければいけない点があると思います。  それは、マクロの経済全体についてもそうでございますが、まず、まだかなりばらつきがあるということでございまして、業種によりましても、輸出関連業種とそうでない内需中心の業種といったようなものにつきましては、ばらつきがまだかなりあるということが一つ。さらに、長期にわたります不況を持ちこたえられなくて、ここへきて特に中小企業の倒産がふえておるということは注意を要しないといけないと思います。したがいまして、こういう点に常に注意をしながら、内需の回復ということをより一層図っていかなければいけない、こういうふうに思います。
  29. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 今、いろいろ明るい指数もある、こういう御答弁をいただいたわけですが、私は、それだけに余計また心配するのです。心配性かもしれぬのですけどね。中小企業の設備投資にも明るさが出てきておる、設備投資の資金需要も出てきた、これは僕も認めるのです。ところが、この数年間設備投資がむしろ放置というか凍結、もうやりたくてもやれなかった。     〔委員長退席、田原委員長代理着席〕 しかし今は、やらなかったらいわゆる小ロット多品種短サイクルの時代に合っていけない、あるいはまたエレクトロニクス化の、これだけどんどんと技術が革新する世の中で、どうしてもやらざるを得ないということから踏み切った企業を私はかなり散見しておるわけですが、そういうだけに、僕は決して明るい材料とこれを見ておらないのですね。苦しいけれどもやらざるを得ないといういわゆる必死の努力だ、こう見ておるわけです。  ところが、必死の努力をしたが輸出主導型、アメリカの景気に引っ張られながら景気が緩やかに回復したというときに、アメリカが落ち込んだとすると、せっかくそれを設備して軌道に乗りかけたときには物が売れない、輸出できない、つくらなくてもよくなったら、それこそ大変なんですね。そういうような意味で、私はこの点について質問したのです。  そうすると、今度は国内需要は、個人消費は決して上向いてこない。今、年金も上がる、税金も上がる、いろいろなものが上がってきておる、教育費も上がっておるのですから、実質の可処分所得というのはむしろ低下しておるのですね。これはもう御承知のとおりです。そういうところから見て、個人消費がそうふえると私は思わないのです。  そういうふうに見ますと、今の設備投資その他について、明るくなったというよりも、むしろやむにやまれないのだということから判断いたしますと、中小企業の倒産件数なんかを見ましても、まだ三月末は正確な数字が出ておりません。しかし、私が知り得た限りにおいては、私はこの前も、一月、二月もふえました、三月もふえると思うと申し上げたわけですが、前年三月の千六百六十七件、これに対して三月は予想ですが千九百件の大台を超えたと言われておるわけです。三月はいつの場合でも多いのですけれども、それでも前年の千六百六十件に対して千九百件の大台を超えた、こう言われておるのです。あるいはまた、マミヤ光機等もありまして、金額は史上最高と言われる三千二百億を超えておるのじゃないか、こう言われておるのです。  こういうところから見ますと、倒産その他があるということは当然失業者もふえるし、物を買わない、こういう悪循環のアクセルをまた踏んだと同じ結果が出ておるわけですから、私は、そういう楽観的な見通しによる中小企業対策というのは危険じゃないか、こう思うので、この点についてもう一遍お聞かせをいただきたい。
  30. 廣江運弘

    廣江政府委員 先生の言われる趣旨はよくわかります。ただ、私が申し上げましたのは、中小企業が例えば更新投資がかなりあるとか、あるいはどうしても競争上技術的な革新をやらなければいけないというような要素だろうと思いますが、少なくとも、そういうやろうという意図が起こってきたということは、それなりの評価をできるということを申し上げたのでございまして、全体としての先生の御意見に私どもとしてどうこう言う筋ではございません。  それから一つ、輸出関連で、アメリカの景気がここで挫折をした場合の影響を言われました。なるほど今回の回復というものはアメリカの景気回復によるところが多いわけでございまして、そのことは今後についても当てはまるだろう、こう思います。ただ、アメリカは、先ほども申し上げましたが、現在の景気の状況あるいは過去の景気回復のパターンなどを見ましても割に強い、こういうふうに思っております。  しかし、そういうことを申し述べましても、先ほども申し上げましたが、全体として中小企業考える場合、あるいは日本の景気全体を考える場合には、やはり内需の回復というものに一番ポイントを置いた政策運営がなされなければいけないということは申すまでもないことでございます。
  31. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 時間もありませんので次に進みますが、今おっしゃったように、内需の拡大こそ景気回復の本流でなければならない。とともに、中小企業の製品はそこで初めて売れていくわけです、簡単に言えば。そういうような意味で、ぜひその方向で進めていただきたいわけです。  そういう観点から今度の法改正考えてみますと、数点出てまいったわけですが、まず、その第一の目玉として出てまいりましたのが、組合事業活動を広げる意味におきましても、それにかかわる組合員のための債務保証組合が行えるようにしたい、こういうことで今度の改正が出されたわけです。それによりますと、一つの例として、組合員が施行いたしました工事の欠陥や不備があった場合に、組合が負担する債務等についての保証、いわゆる工事のやり直したとかあるいはそれに関連すること、それから仕入れ代金が払えないときにそれを保証してやる、あるいはまた組合員が土砂等を採取した跡の埋め戻し等をようやらない場合に組合保証してやる、こういうようなことを想定してこれを出したということでございますが、私はそれぞれごもっともだと思うのです。  しかし、これをずっと見ますと、これは現在のこういう深刻な実態の中にある中小企業の援護、支援といいますか救済ということではなくて、まず自助努力をしなさい、これは当然ですが、それだけのものに感ずるのですね。組合でこれらのことを負担義務を負って、そして生きていきなさい、非常に冷たく感ずるわけです。これでは中小企業に対する指導育成の債務保証制度ではないのじゃないか、こんなふうに思うのですが、どうですか。
  32. 中澤忠義

    中澤政府委員 先生御指摘になりましたように、今回の債務保証事業範囲拡大という法改正自体の問題といたしましては、この改正が行われることによりまして、いわゆる顧客と申しますかユーザーの期待にこたえて組合員仕事をとりやすくなるという点に大きな主眼があるわけでございます。  組合自体の育成強化という点につきましては、御高承のとおり、政府といたしましても、組織化対策という国の施策の一環といたしまして、組合指導事業あるいは人材の養成に対するもろもろの事業、あるいは組合が持ちます共同施設、あるいは行います事業等、高度化の事業につきまして有利な資金を供給する、あるいは組合が行いますビジョンの作成、あるいは販売拡張の事業等につきまして組合事業の助成を行うというような、もろもろの予算上あるいは金融上の助成策を広範に講じますことによりまして、組合の活動を活性化するという方向で行っておるわけでございまして、今回の法改正と政府の予算あるいは財政金融上の措置とが相まちまして組合事業の活性化が図られていくというふうに考えておるわけでございます。
  33. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 こういう保証によって工事が果たしてとりやすいかどうか、私はこれは非常に疑問だと思っています。なぜかと言うと協同組合等は有限責任でございます。そうすると、組合員は五千円なり一万円なり出資をしておる。組合が今度それを工事に対して保証の判こを押した。そうした場合に、もしそれが瑕疵があって保証責務をとらざるを得なくなったという場合には、百人おりました組合員あるいはまた千人でもいいのですが、一万円出しておったら一千万円の資本金がある。これは大変だということになれば組合員が逃げてしまう危険もあるわけですね、加入、脱退は自由でございますから。有限責任でさっと逃げた。これは私は意味がないのじゃないか。もちろん、そんな組合ではいかぬとおっしゃったって、今それぞれが生きていくために命がけの経済環境なんです。  そうすると、当然、これに対して組合保証するからには、累積のすばらしい資産があるとか、あるいはまた特別な資産を持っておるとかということならいざ知らず、そうでない組合の場合であれば、協同組合ですから当然資産を目的にしませんので、とすれば、これには何らかの基金制度の裏づけがないと、これは絵にかいたもちではないか。実際問題としてこれは効力を発揮する可能性が少ない、私はこう思うのです。  当然ここで基金制度の裏づけが必要ではなかろうか。それとともに、ではそういう基金を拠出したら、これが組合にとっては資産として扱われる、出した組合員もこれは当然益金として扱われる、こういうことになったのでは、出す方もえらいし受ける方も大変なんですが、その意味で、これを何らかの形で税法上恩典を与えてやる、恩典というより優遇してやる、優遇というのもおかしいのですが、当然の措置だと思うのですが、貸し倒れ準備金のような形である一定の限度を設けてこの基金に対しては減免措置を講ずることも二つ目に必要じゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  34. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合が行います債務保証を担保するものとして、一定の積立金あるいは基金というものが必要ではないかという御指摘は、まことにそのとおりだというふうに考えます。私ども考えといたしましても、組合が不測の損害をこうむらないという観点あるいは一定の限度でこの債務を保証することを担保するという意味から申しましても、積立金あるいは基金というものを積む必要があるというふうに考えております。  これにつきまして税制上の優遇措置をとるべきではないかという御指摘は、一つ制度論としてはまことにうなずけるものでございますけれども、なかなか現実問題といたしまして、こういう新たな準備金についての税制上の減免措置を新設するということは、現在の客観情勢では非常に厳しいということは御高承のとおりでございます。私どもといたしましては、そういう問題につきましても、もちろん今後の問題として検討することにやぶさかではございません。できればそういう制度をとりたいという気持ちはあるわけでございますけれども、なかなか困難な問題を伴うということでございます。  むしろ現実的な解決といたしまして、こういう組合が行います保証に対し、それを再保険するというような動きが民間の一部にすでに構想としては出ておりまして、そのような形がとれますれば、組合にとりましても、実質的な準備金をそう多額なものを積まなくても、それが危険負担という形で再保証、再保険が行われるという形で担保されていくことができ得るわけでございまして、これも一つの解決方法ではないかというふうに考えております。
  35. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 税制上の措置につきましては、厳しい客観情勢の中であっても、この基金、出捐金と言うのがいいのか、名称は僕は特定の考え方を持っておりませんが、そういう基金制度に対する税制措置についてはぜひ御努力をいただきたい。  それとともに、そういう自己担保だけでは不可能だから再保険ということも当然考えられると思うのです。そこで、現在の建設省でも続けておらる住宅保証機構でございますね、財団法人でやっておられるわけですが、この制度との関連ですね。協同組合で今これをやっておるわけです。今度新しく法改正が出てこれをおやりになるわけですが、この協同組合でやる債務保証制度と、それから既に進んでおる財団法人住宅保証機構との関係はどういうふうになってくるのか。それから住宅保証機構に対しては再保険がなされておるわけですが、これに対して今おっしゃったように協同組合の方も再保険を民間が考えておるということですが、私は、民間に任せるのではなくて、何らかのものを中小企業庁としても通産省としても考えて対応すべきじゃなかろうか、こう思うのですが、どうですか。
  36. 中澤忠義

    中澤政府委員 現時点におきましては、この法律案で御提案申し上げておりますように、組合の債務保証範囲拡大をまず行うということでございますが、御指摘の住宅保証機構との関係、これは協同組合と直ちにリンクする形で実現するかどうか疑問の点もあるわけでございますが、民間の制度だけではなくて、政府としても何らかの制度検討が必要ではないかという点とあわせまして、今後引き続き詳細検討させていただきたい、かように思います。
  37. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 この住宅保証機構に対して国が助成をどういうふうにしていらっしゃるか。そして今後、通産省中小企業庁としては、もし何らかのものを考えるならどういうふうに考えるか、これをひとつお聞かせいただきたいことと、住宅保証機構そのものも、個々の組合員からいろいろ意見を聞きますと、まずこの保証金、保険料ですか、十二万五千円ですね、大変高いということ、それから各府県にまたがっておるときには追加金が取られたわけです。今度それが緩和されておりますが、いずれにしてもこの十二万五千円は非常に高いということとともに、悪い言い方をすると、まじめな工事業者がそうでない人のしりぬぐいをする危険がありはしないか、いろいろな意味でですね。こういうことが現実に起きており、私どもの耳に入ってくることなんです。  そういう点から考えまして、今度中小企業庁通産省考えられたこの債務保証制度というもの、これもいわゆる正直者がばかを見るようなことになったら大変なんです。そういう者をうっかり入れたことによって、これは危なくて、逃げなければ債務保証がみんなに来るぞということになったら大変なんですが、こういう点、やはり法律をぽんと出すだけではなくて、きちっとした裏づけ、担保、そういう機構を整えてやるべきではなかろうか、こう思います。そういう保険その他が高くては意味がないわけですが、この点についてはどういう御構想をお持ちですか。
  38. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合が債務保証を行うことによりまして、組合員一般に不測の損害が起きてはいけない、あるいは組合財政基盤が損なわれることがあってはいけないという点は、確かにこの制度の導入を行います場合の非常に大きな問題点でございます。  しかし一方、その債務保証に対する要請というものも非常に強いということで、私どもといたしましては、そのバランスをとる意味で、今回組合が債務保証を行います場合には、一組合員当たり保証限度額をあらかじめ明定をする、あるいはその保証を履行する義務が発生した場合に、その履行を担保し、かつ一定の限度で歯どめがかかるという意味で、基金の設定をするというような形で、債務保証の結果、不測の損害が広範に組合あるいは組合員の負担にかかっていくということを防ぐような仕組みを考えているわけでございます。  先生が御指摘の住宅保証機構というものは建設省の方で御所管になっておるわけでございますが、私ども承知しておる限り、県のレベルにおきまして財団法人というような形で、第三セクターの機能が営まれておるというふうに承知しておるわけでございまして、国が直接これを助成するという制度にはなっておらないというふうに承知しておるわけでございますけれども、この制度組合保証制度に対する一つの参考例になるものかどうか、これも私どもの今後の一つの研究課題にさせていただきたい、かように思います。
  39. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 保証限度基金の設定その他、いろいろなことをこれから検討していきたい、こういうことですが、私は、それならそれでいいのですけれども、じゃあ、自己資本に対して保証限度をどのくらいのことを考えるかということですね。この点をこの際明らかにしておかれる方がいいのではないかということと、それから、それぞれの県でやっておりますが、住宅の方は国の方からも指示しておるわけなんですが、私はやっぱりこれからこういうことをやっていくことをひとつお願いをしておきたい。  それからもう一つ、品質保証、表示の問題ですけれども組合で品質保証、これは一〇〇%ウールですよとか、これは間違いなく十年もつものですよとか、いろいろな品質表示を保証つきでやる場合、大きなメーカーですと自分のところの会社でやるわけですが、中小企業の場合には組合でこれをやれるのかどうか。もしそうした場合に、今度品質表示をしたので、それに対して瑕疵をつくった組合員があった場合、品質表示法の関係でいろいろな規制はありますけれども組合が消費者から損害賠償の請求なんか受けた場合にはどうなるのか。だから、この品質表示の問題は今度の債務保証とは全然関係がないのか、入れてないのか入れるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  40. 中澤忠義

    中澤政府委員 最初に、あらかじめ組合の自己資本に対する準備金なり基金あるいは債務保証限度を明確にしておいた方がいいのではないかという御指摘でございますけれども、これはやはり組合の実態によりまして、それぞれ債務保証を行います能力なり組合員としての意識の問題等がございますので、一律に私どもの方でこれこれの比率ということをあらかじめ指示する、あるいは指定するということはむしろいかがかというふうに考えておりまして、組合の自主的な判断、民主的な運営にまちたいというふうに考えております。  さらに、品質保証の問題あるいは品質表示の問題でございますけれども、今回の改正に直ちにこれが直結するということはないかと思います。ただ、場合によりましては、明示的な方法で顧客に対してその品質を組合として保証する表示と申しますか、記載がございますれば、やはり今回の改正の内容に含まれると思いますけれども、一般的には、組合が認定したマークといいますか、ある一定の表示をつけたことによりまして、組合が、組合員によってつくられた品質の性能あるいは機能の保証をする、債務保証に及ぶというふうには直ちに考えられないかと思います。
  41. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 そうすると、もう一遍承りますが、品質表示を組合としてやった、これは今度の債務保証の枠内ではない、こういうことですか。
  42. 中澤忠義

    中澤政府委員 恐らくこれは具体的にケースを特定しないとなかなか確定しにくい問題かと思います。と申しますのは、ある一定の品質なり性能なりを組合として明示的に保証するということが、取引関係あるいは販売の時点で明らかに明示されておるということでございますれば、今回の保証範囲の一環になるというふうに考えられます。ただ、私どもが承知しておりますのは、ある組合員のところでつくられたものであるという単純なマークとか、一つのデザインを表示するようなものでありますと、何を組合保証したかということは非常にあいまいなわけでございます。そうしますと、今回組合法改正しておりますのは、組合としての非常に明らかな債務を保証するわけでございますから、そういう非常に限定的な債務保証とは直接関係してこないのではないかというふうにお答えしたわけでございます。
  43. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 私は製品の表示を言うたのではなくて、いわゆる品質の表示ですから、中身はこういうもので、こういう機能があって、こういう品質なんだ、こういうことですから、そうすると当然それは債務保証の中に入って、組合としても責任を持ってやっていく、こういうふうに理解していいわけですね。
  44. 中澤忠義

    中澤政府委員 先生御指摘になりましたように、非常に明示的に、しかも確定的に物の品質を担保するということが明らかに表示されておって、しかもそれが組合の責任において担保するということが表示されておれば、組合がその品質なり性能を保証したということになるかと思います。したがって、この規定に該当するかと思います。しかし、具体的な案件が限定されませんと、なかなか一般的にはお答えしにくいことでございます。
  45. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 時間がありませんから次に行きますけれども、またいろいろなことがありましたときにはその都度申し上げるとして、次に、企業組合の法改正が出てきたわけですね。この企業組合につきましては、私も、協同組合を含めまして、昭和二十四年からこれに取り組まさせていただいて、成功した例もあれば失敗した例もあり、いろいろ叱咤激励を受けておる実情なんですが、過去、昭和二十四年の五月にこれが制定以来、これに対する法改正については、中央会あるいはまた単位の企業組合、あるいはまた企業組合全国連合会から何回もお願いをしたわけです。ところが、この法改正が、制度の問題を含めまして、なかなか改正されずに、むしろ行政と政治の谷間に置かれて、人によれば、鬼子扱いを受けてきたというのが実態だと思うのです。しかし、幸い今日ではいろいろ行政の手も差し伸べられてきておるように思いますが、まだまだの感があるのです。  ところで、三十五年ぶりに改正が出てきたのがこの中身なんですね。実際のところ、むしろがっかりするような改正の内容なんで、そう申し上げては失礼なんですけれども組合員期待はこんな程度のものではない。ただ私は、こういう改正は、企業組合の持っておる人的結合というもの、それから資本と労働は分離しないんだ、分離しないことが好ましいんだ、だから資本、経営、労働は一体であるべきなんだ、こういう企業組合の本来の姿に対して、むしろ今度緩和するわけなんですから、この企業組合の本来の姿からは決して好ましい改正だと思わないのです。ただ、時代の変化等を考えて、世代交代で、心身の障害その他で労働そのものが困難になった場合には、組合員としてはとどまるけれども、いわゆる普通で言う株主ですね、簡単に言うと、資本は提供しておるけれども労働は提供しない、こういう人がふえるわけですね。こういう点について、私は先ほど申し上げたように、企業組合の本来の姿からは好ましいとは思わないけれども、こういうことによって企業組合の本来の目的が失われないかどうかということと、心身の故障とはどの程度のことを指してくるのか。  それとともに、もう一つついでに聞いておきますが、それぞれの企業組合で定年制を設ける場合もあるのですね。そうした場合に、定年で六十五歳、大体企業組合の定年は六十ぐらいでは切らないのです。むしろ六十五くらいで切るのですが、定年等でこれを労働から外した場合どうなるのか、これを承りたい。
  46. 中澤忠義

    中澤政府委員 御指摘のように、企業組合性格は、資本、労働あるいは経営能力というものを一体として組合に投入いたしまして、いわば一個の企業体としてこれが経営されていくというところに特色があるということでございます。したがいまして、今回の制度改善につきましても非常に慎重を期したわけでございますけれども、今お話しのように、いわば世代交代のために次第に従事比率等の減少が行われていくということで、真にやむを得ない場合に限って緩和をすることにいたしておるわけでございまして、企業体として、あるいは企業組合としての持続性、一体性が今後とも十分図られていくというふうに、私どもといたしましても指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  心身の故障とは何かということでございますけれども、負傷をした、あるいは疾病を得たということが一般的なケースでございますけれども、必ずしも特にその原因を問わないわけでございまして、企業組合に従事することが困難になったという場合は当然これに入るわけでございまして、いろいろな事情を考慮いたしまして、社会通念上勇退されることが適当だという場合にこれを考えるわけでございます。六十五歳定年がこれに該当するのかどうかということは、必ずしも一義的には線が引かれないわけでございますけれども、要は、組合の中のメンバーの総意としてそういうものができまして、しかも、老齢に達した方がみずからの気持ちとしてもう後継者に譲りたいということであれば、この規定に該当していくと考えておりまして、自主的な運営の方針に待ちたいと考えております。
  47. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 ちょっと時間がありませんので急ぎますが、そうしたら、心身の故障による労働の困難ということと、定年の問題等は組合の判断でよろしい、こういうことですね。
  48. 中澤忠義

    中澤政府委員 私ども「心身の故障のため当該企業組合の行う事業に従事することが困難となったことその他これに準ずるやむを得ない事由により」と規定しておりますので、そのケースが「やむを得ない事由」に相当するということであれば、御指摘のとおりだと思います。
  49. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 次に、私は前から言っておるわけですが、この企業組合に対する法改正につきましては、分散型の企業組合が今主流を占めて、これが企業組合一つのパターンになってきたわけですが、これに対しては、ぜひひとつ事業所ごとにいろいろな制度融資の活用、いわゆる近代化設備貸与あるいはまたマル経資金と言われるものですが、こういうものが事業所ごとに活用できる制度改正をお考えになりませんか。
  50. 中澤忠義

    中澤政府委員 企業組合の構成員の方に事業所ごとに融資あるいは資金の供給を行うべきではないか、あるいは行ってほしいという強い御要望があることは私どもも十分承知しております。ただ、先生が御高承のとおり、この企業組合性格自体が一個の企業体とみなされておりまして、それに従事しておられる方はいわば勤労者的な立場とみなされております。したがいまして、この制度上の前提を置く限り、メンバーに対して、あるいは事業所に対して個々に融資をするということは非常に困難でございます。むしろ難しいとお答えした方がよいかと思います。ただ、制度融資にいたしましても、あるいは近代化資金につきましても、組合を通じまして貸し付けを受けることは当然のことながらできるわけでございまして、現状では、制度論としてはそういう形で資金の活用を図っていただきたいとお答えせざるを得ない状況でございます。
  51. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 この問題はまた後日繰り返しいろいろ申し上げたいと思っております。  次に、協業組合の生前贈与の問題です。これはこの三月に御指摘申し上げて、前向きに検討、そして法改正が出てきた、本当に結構だと思うのです。ただ、そのときにも申し上げたように、これが生前贈与で贈与税の対象になりますと、ざっと計算したんだけれども、五百万円の出資金の生前贈与を受けますと百三十万から百四十万の贈与税が要るんですね。これは大変なことなんです。これについて、農業後継者のような何らかの、生前贈与に対しては相続税を一定の間棚上げをしておいて、そして相続が発生したときに相続税を取れるような措置にしてやらないと、贈与税対象にしたら大変なんですが、この点について。
  52. 中澤忠義

    中澤政府委員 中小企業におきます生前贈与の問題が、中小企業一般の相続問題として重要な課題であることは私どもも十分承知しております。五十八年度評価方法の問題として相続税の改善がなされたわけでございますが、この生前贈与の問題自体は、農業と同様な生前贈与を特例措置として設けるということにつきましては、農業者の農地と性格が相違するというような問題がございまして、現在この特例が講じられておらないわけでございますけれども、これらの問題を踏まえながら、また五十八年度にとられました中小企業承継税制の改善の効果も踏まえながら、今後も引き続き検討してまいりたいと思っております。
  53. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 時間がありませんので、最後に一点。今度の中央会検定制度ですけれども、これにつきましては、この制度を新しく入れられた意味はよくわかるわけですが、入れられたなら、この際中小企業組合士等を全中で今検定でやっていらっしゃるわけですが、こういう組合士に対してはやはり通産省に登録してもらって、中小企業庁全国的にこれをいわゆるそういう視野で意味づける、資格づけるといいますか、そういうこととともに、こういう組合上等で検定に合格した人に対しては何らかの資格を与えた方がいいのじゃないか。設備近代化資金の代行事務であるとか、高度化資金の書類をつくる代行事務だとか、そういうことをやるのだとか、何らかの恩恵も付与しておくことをこの際考えられないかどうかということです。  いま一つは、もう時間が超過いたしておりますが、ちょっと委員長、御勘弁いただいて、最後に、先ほども申し上げました中小企業の倒産がふえておる、そして深刻な実情にあるわけですが、今度の中小企業等協同組合法等の改正は一切予算を伴わない法改正なのですね。少なくとも私は、先ほどからるる申し上げたような実態から見て、これらにはそれぞれ予算措置を講じ、そして中小企業対策の万全を期していただくべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、最後の点については大臣からも御答弁をいただきたい、こう思うのです。
  54. 中澤忠義

    中澤政府委員 第一点のいわゆる組合士に対する制度上の担保の問題でございますけれども、率直に申し上げまして、公的な資格制度につきましては、今回の臨調の方針として、これを極力整理していくという方針が打ち出されておりまして、中小企業診断士の登録業務につきましても民間に移譲されるという例すら出ておるわけでございまして、逆に政府の登録に引き上げるというのはなかなか困難な事情にあるわけでございます。ただ、組合の役職員の資質向上という観点から、この組合検定制度が健全に発達していくということは望ましいわけでございまして、中央会検定試験に対しまして政府としても助成を行っておるということでございますし、今後、都道府県中央会におきます情報連絡員の選定を行う場合におきましては、極力中小企業組合士を優先的に取り扱っていきますように指導してまいりたい。そのほか、もろもろの制度の中でこの組合士の制度が定着し、認識が深まっていくと期待しておるわけでございます。  また、この組合法改正に伴いまして、あるいはこれに並行いたしまして組合の活動に対する十分な助成あるいは支援を行うべきではないかということは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、中小企業予算、非常に厳しくて、全体としてはマイナスシーリングの中でございましたけれども組合事業に対しましては約四十億円の資金をもちまして、前年度対比といたしましても四%弱の伸び率を示すという形で各般の助成、支援を行ったということが五十九年度予算につきましても言えるわけでございまして、この点はぜひ御了解をいただきたいと思っておるわけでございます。
  55. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 やりとりをお聞きしながら、渡辺委員の御意見も拝聴してきたわけでございますけれども、要するに中小企業組合は、中小企業者が結集する、協力することによってお互いの経営上のいろいろな難しい問題を克服するというところにあるわけでございまして、その組織こそ通産省としての中小企業対策の中心であり、根幹となるものであると私は思うのです。それゆえに、今回この組合機能というものを強化する、あるいは世代交代というものを円滑化するということがねらいであるわけでございます。  もちろん、従来、中小企業対策といたしまして、組合に対して融資であるとか保証であるとか、さらには税制の面で便宜を図ってきたわけでございますが、中小企業対策というと、どうしても融資だ税制だというような型どおりのことを言いがちでございますけれども、同じ金融にいたしましても、同じ税制にいたしましても、そこにきめ細かい、奥深い配慮が当然あるわけでございまして、今後はこのような観点からさらに温かい配慮のある中小企業政策を私どもは推進していかなければならないと考えております。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 終わります。
  57. 梶山静六

    梶山委員長 浜西鉄雄君。
  58. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 大臣もお疲れでしょうし、我々も食事抜きの委員会ということで大変基準法違反であります。そこで、最初に申し上げておきまして、後ほど、中小企業中央会事業関係とあわせて大臣答弁を願いたい、そのことをまず冒頭に申し上げておきます。答弁最後で結構だと思います。どうぞその間に食事をされてください。  さっきから二名の委員それぞれ質問をなさっておりますが、基本的には、こういった思いやりのある法改正ということも必要だけれども、何としても日本経済の六〇%を占めるという消費経済が中心になって、つまり国内需要が盛んになって初めて中小企業仕事というものがふえてくる、需要がふえてくる、そういうものに目を向けない限り抜本的な中小企業の活性化はない、私はそのように思います。したがって、こういった観点から、行政の中におられるわけですから、大臣の基本的な問題についての考え方を、中央会事業関係とあわせて最後に御答弁願いたいと思います。  そこでまず、今回の法改正の中で私ははたと気がついたのですが、小組合というのがあります。小組合事業協同組合との性格の違い、あるいは手続的にどんな違いがあるものか、どういういきさつで小組合ができておるのか。つまり五人以下という小回りのきく、それこそ一〇〇%お互いが労働者であり事業主だという、そういうものかなと思ってみたり、その辺の根拠なり性格づけなり、違いの点、税制の違いだとか補助金の違いとか、何かどこかに違いがあるのかどうなのか、こういう制度の中身についてまず冒頭教えてもらわなければいけませんので、その辺の説明をお願いいたします。
  59. 粟屋忠

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  事業協同小組合でございますが、これは先生御高承のとおり、昭和三十二年の協同組合法改正の際に追加的に取り入れられた制度でございまして、一言で言えば零細企業者のための小型の事業協同組合とも言えるものでございますけれども、その実施事業の内容自体につきましては、協同組合と全く同一のものを考えているわけでございまして、両者の違いは専ら組合員たる資格にあるわけでございます。  組合員たる資格といたしましては、既に御指摘のとおりでございますが、一つは主として自己の勤労によって事業を行う事業者ということでございます。それから、小規模性ということにつきましては、おおむね常時使用する従業員の数が五人、これは製造業の場合でございますけれども、商業とかサービス業を主たる事業とするものにつきましては二人ということで、五人ないし二人を超えないもので定款で定めたものということになっているわけでございます。  それから、事業協同組合事業協同小組合との関連につきまして、一つは零細事業者を事業協同組合にいわば団体加入をさせるということによりまして、事業協同組合が持っております共同事業の各種の施設を積極的に利用させるという目的で、事業協同小組合に他の事業協同組合組合員として加入できる資格を与えているというような点につきまして若干の相違があるわけでございます。
  60. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 ほとんどが性格的には変わらないということで、もし、主として自己の勤労によってということが一〇〇%でない場合には二名ということ、商業またはサービス業を主たる業務とするものについては二名、そういうこと。これはほとんど変わらないということですね。どうもその辺、変わらないものを小組合ということでつくっておくことが、何か無用の長物のような気がいたしますので、これはお互いに検討課題にしておきたいと思うのですが、ちょっとこれには疑義を感じております。  次に、今さっきも、最初奥田委員質問に対する答弁にもありましたが、保証問題ですね。その保証額の関係については指導しておるというふうに中澤長官はお答えになりましたが、指導というのは、限度額の具体的な指導をされているのかどうなのか。実は私は、地元の山口県の、これはたまたま建設協同組合連合会、これの事業規定というものをもらってきたわけですが、この中を見ますと、最高二千万円という規定になっておるわけですね。そうすると、全国でそういうふうな指導をしておるのか、それはまちまちで、めいめい勝手に能力に応じてやって、最終的には総会か何かで恐らくそういうものをきちっと決めるという段取りだろうと思いますが、今さっき答弁にありました、保証額を指導しておるという指導とは、その金額なのか、その扱いの指導なのか、その指導の中身がちょっとわかりませんので、その辺をまずお聞きをしておきたいと思います。
  61. 中澤忠義

    中澤政府委員 あるいは私の御答弁が舌足らずだったかと思いますが、指導しておるというのは正確ではなかったと思います。  この法律が制定されますれば、債務保証範囲が広がりますので、それにかかわります債務保証につきまして、模範定款例等によりまして、組合が規約によってその限度、すなわち一組合員当たり保証を行う限度を定めるように指導をしていく、模範定款例と申しますか、そのような規約を設定するように組合指導していくということでございまして、先生が御指摘になりましたように、その個別の額を特定して指導するというのではなくて、むしろ規約によってその限度額をそれぞれの組合で自主的に決めるように、あらかじめ決めておくように指導するという趣旨でございます。したがいまして、これも先生が御指摘になりましたように、それぞれの組合におきまして、定款によります規約によって決めますので、総会等の決議、決定を要するわけでございまして、組合員の意向がそれに反映されることによって、あらかじめ限度額が決まっておるというふうな形で担保されていくというふうに御理解いただければと思います。
  62. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 これは定款で保証限度額を決めるということ、これは四十一条の総会の中で決めることになっておるようですが、今さっきも同僚議員がこのことについてかなり詳しく質問いたしましたが、最高限度額が、今の中澤長官答弁を聞きますと、やはりそれぞれの模範的なものは示すけれども、それはそれなりに総会で決めてもらえばいいということなのですから、そうするとやはり限度額と能力の関係が生じてくると思うのです。  そこで、この保証能力の関係は今さっきから随分ありましたが、私は、角度を変えて見た場合に、これをもう少し全国的な視野でリスク保険のような制度、裏打ちをしてやって、責任体制、それだけ請け負っても仕事はやれるんですよ、いざとなれば、そういうものに対する保証がこのように後ろに構えてあるんだというようなことで、やはり仕事がどんどんもらえるための裏打ちとしてのリスク保険のようなことをやったらどうかと思いますが、そういったことは検討段階であるのかないのか、一言聞いておきたいと思うのです。
  63. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合保証業務を円滑に進めていくという点でも、そのようなリスク保険というような、いわば保険の構想というものは非常に適切なものというふうに考えられますし、この点については、私どもといたしましても、今後関係方面と検討してまいりたい、かように考えております。
  64. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それでは次へ進みますが、実はこの仕事中小企業仕事ですから、資金力もなし、四苦八苦して皆さん頑張っておられるのですが、これは事例を言った方がいいと思うのですけれども、資金力のある大企業といいますか、力のある他の業種が小企業仕事を取ってしまうということが往々にして実例もあったようですし、一つの例を言っておきますと、例えば下関、山口県ですが、水道工事の事業者ですね、水道事業者が組合をつくっておるわけですが、電気工事会社ですね、中国電力の下請、これは大きいわけですが、その電気工事の会社は資金力なり力があるわけですから、水道工事まで仕事を取って、そうして中小の水道のさらに又請をさせる。悪く言えばピンはねをするというような動きが過去にあったので、業者が一致団結をして、いろいろな方法を講じて何とかそれは避けたけれども、そういうものがひしひしと感じられるが、全国的には一体どうなっておるのだろうという、まことに現実的な質問が私の方にやってまいりまして、そこで全国事情として、そういう中小企業が絶えず脅かされる状態にあるわけですから、そういう実例がほかにないのかあるのか。ただ単に山口県の一下関方面で起こったことで、全国的にはそういう憂いは全くないということであればそれで結構だと思いますが、全国的にそれはどうなのか、ひとつ建設省あたり、実例があればちょっと教えていただきたい。
  65. 豊島格

    ○豊島政府委員 電力会社の子会社である電気工事会社が水道工事をやっているかどうかということでございますが、私ども、調査いたしたところによりますと、全体の仕事の中では非常に小さいということで、現に全く水道工事は行っていないという会社もございます。  それから水道工事をやる場合の内容でございますが、大体は屋内で空調施設等を取りつける電気工事、それに伴って水道工事をやっているというのがかなり大部分であるということでございます。  そんなこともございまして、実際問題として、電気工事業者と水道工事業者との間で、先ほど先生の御指摘になったようなトラブルがあちらでもこちらでも起こっているかというと、我々としては、余り起こっておるとは聞いておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう事態があるかどうか、御指摘もございましたので、実態把握に努めていきたい、このように感じておる次第でございます。
  66. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今の答弁でいきますと、屋内工事のような程度のことで、そう大々的に侵入してくるというような状態でないというふうに受け取られますから、それが事実ならば、仕事の性質上、その程度ならあり得ることとして受けとめておきますが、やはりいつも中小の皆さん方は、そういう資金力のある大企業仕事を取られるというおそれがいつもあるわけですから、ひとつ通産省としてもいろいろな機会に、そういったことのないように、他の省庁との関連もございますから、適切な指導なりそういうきちっとした保護政策と申しますか、そういうものに努力を続けてもらいたいと思います。  そこで、次の出資持ち口数制限緩和の問題に行きますが、これはいろいろな歴史を経て、今日世代交代その他いろいろありまして、このことについて基本的に異論はありませんが、ただ一つ、違う業種が集まった一つ組合、異業種組合、この場合にはもっと緩和をさらに拡大してもいいのではないか。例えば百分の五十ぐらいでもいいのではないかという意見があるわけであります。  例を申し上げておきますと、適切なものは今ございませんが、例えば結婚式、セレモニーの組合があるとします。すると、それには貸し衣装もある、引き出物の販売もある、新婚旅行のあっせんもある、家具調度品もある、あるいは新住居建設、まあ墓場まではいかぬにしても、一連のそういう産業と申しますか、そういうようなことで組合を結成した場合は、これはやはりいろいろ性格の違ったものが集まってやるわけですから、その場合の持ち口数は最高限度の百分の五十ぐらいあった方がそういう組合をつくりやすい、運営しやすいという面もあるわけですが、この問題について過去そういった要望があったのかどうかわかりませんが、この関係について考え方だけをひとつ聞いておきたいと思います。
  67. 中澤忠義

    中澤政府委員 最近の組合事業の傾向といたしまして、異業種連携あるいは異業種連携組合が次第に活発化してくるという事態は御指摘のとおりでございます。また、率直に申しまして、ただいま先生が申されましたように、異業種連携の場合に組合の持ち口数の緩和というものをさらに大幅にできないかということも、検討段階では組合の一部からの要望もありまして、真剣に研究した次第でございます。  私ども、政策的な方向といたしましては、異業種組合の振興ということについては積極的な姿勢を持っておりまして、今回の予算におきましても活路開拓事業等に異業種連携枠ということで、異業種連携組合の支援を行うということも決めておるわけでございます。  また、組合制度といたしましても、オルガナイザーの役割を果たすという意味で、この組合の持ち口数の例外をさらに広げるべきだという考え方も当然のこととしてあるわけでございますけれども、今回の改正ではむしろ同業種組合としての出資持ち口数制限緩和という要望が一方に強くございましたので、これとの要件を合わせるという意味で、一定の要件に該当する場合に限って、ほかの立法例を参考といたしまして百分の三十五という形で緩和をしたわけでございます。  今後の問題としては、異業種連携組合の振興策の一環として、ほかの組合とのバランスを考えながら、今後の検討課題として引き続き残してまいりたいと思っております。
  68. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私が地方へ行きまして実態を見たわけですが、この組合の体育施設等の地域住民への開放ですが、これは全国的にはどうか知りませんが、山口県は非常に少ないわけでして、広い体育場みたいなものは全くありません。これは地域の皆さん方のコミュニケーションの場として中小企業仕事理解してもらったり、あるいはそのことを通じて仕事がふえていくということで大変必要だと私は思います。  しかし、そういう施設がなかなか見当たらない。ずっと調べてみましても、研修所のようなもの、あるいはちょっとした小集会所みたいなものを合わせて山口県内に五十三あるだけでして、広い体育施設にたくさんの人に集まってもらって例えば運動会をやってもらう、あるいはバレーボール大会をやるというような施設は全くない。このような施設をつくろうとする場合に何か便法というか、高度化資金のようなものの利用の仕方など、もっとほかに適切な何かがあればこの際聞いておいて今後の私の資料としたいので、こういった高度化資金というのが適切かどうか知りませんが、そういうものを積極的に進めていくという姿勢があるのかどうか、あるいはその場合のそういう手の差し伸べ方、援助の方法について、あれば教えてください。
  69. 中澤忠義

    中澤政府委員 現状におきまして、体育施設等を有している組合の数につきましては、確かに集会所とか研修所は千四百件あるいは五百件近い数でございますが、体育館等は二十二とか、あるいはテニスコートは二十四とかいうような数でございます。  御質問の、体育館等に対する助成措置は何があるかということでございますが、組合組合の共同事業として体育館等の施設を建設いたします場合には、一定の手続を経まして中小企業事業団によります高度化資金を融資するという道が開かれておりまして、御高承のように、高度化資金は非常に長期低利の融資でございますので、組合の施設として建設がしやすいような制度ができております。これは組合員なり組合の生産活動等に間接的にこのような施設が貢献するという趣旨から、このような優遇をされる制度を用意しておるということでございます。
  70. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私が聞いた範囲内では、高度化資金というのは組合のそういった土地及び建物というふうに聞いておるわけですが、今の質問の趣旨は、地域のコミュニケーションの場というか地域の人たちとの交流の場のために組合が運動場を持ち、あるいはかなり専門的な体育場を持ち、そこを使ってもらって親しくするというようなものに高度化資金というものは使っていいのかどうなのか、簡単に言えばそういう意味ですが、ちょっとお聞きしておきたい。
  71. 中澤忠義

    中澤政府委員 専ら近隣の地域住民のために、あるいはその用に供するための施設と申しますか、体育館等を組合が設置するということにつきましては、これは高度化事業の趣旨から申しまして該当しないということだと思います。  組合組合員のための施設として設置いたしまして、それを地域住民に開放するということを兼ねる場合は当然高度化事業の対象となるというふうに御理解いただきたいと思います。
  72. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 わかりました。  そこで次へ進みますが、さっきも同僚議員が申し上げましたように、企業組合制度の改善でこの辺がやりやすくなる反面、時代の趨勢で、言ってみれば世代交代などのそういう条件もあってこうすべきだというふうになったと思うのですけれども、しかし、本来的にそれぞれが資本家であり労働者であり一体のものだという趣旨からやはり離れていくという危険性がこの中では感じられるということがまず一つあります。  それから、それらをつなぐものとして統一的な指導教育というものがなされないと、組合一つの団結と申しますか、事業でしっかりお互いが協力し合っていくということが、何か一つそこに失敗が起こってみたり、あるいは何かそこに外部的な要素が起こると、その組合運営がうまくいかなくて、支離滅裂で分散をするというおそれもあるし、あるいは持ち株の関係でボス支配になるとか、何やらかにやらまだまだ危険性もこの中にあると思うのです。  したがって、今回のこういった企業組合制度の改善をよりよくするために、それを裏づけるために、運営をスムーズにいかすために、もっと統一的な国の政策として、そういう教育と申しますか、関係者に対してパンフレットでやる場合もあるだろうし、県単位ぐらいでそのための研修を年何回か行うとか、そういう計画的な、統一的なそれを補完するものとしての教育指導というものがあってしかるべきだと思いますが、この点についてお考えがあったら聞いておきたいと思います。
  73. 中澤忠義

    中澤政府委員 御指摘のように、組合の継続性を維持するために、ある程度の要件を緩和するということと、組合の一体性の保持ということを守っていくということは二律背反の面があるということだと思います。このバランスをいかにとるかということが今回の改正でも非常に意を尽くしたと申しますか、相当突っ込んだ研究をしたわけでございまして、ぎりぎりの線としての要件緩和を設けたつもりでございます。  ただ、これを補完するものとして、組合事業の一環として組合員に対する指導教育あるいは組合員の意識の保持のための研修を行うということは必須の問題だというふうに考えておりまして、従来も、組合事業の中核でございます指導事業には多くの精力と助成をしてきたわけでございますが、今後ともこの指導事業につきましては力を入れてまいりたいと思っております。  現状といたしましても、組合に対します実地指導につきましては、組合数、延べで申しますと七万一千件という組合数、これは延べ数でございますが、に対しまして十万件数というような、非常に膨大ないろいろな形での実地指導をしておりますけれども、そのような中の一環といたしまして、組合員組合に対する意識の向上と申しますか、一体性の問題に対します指導につきましても力を入れてまいりたいと思っております。
  74. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 ひとつその点は今後も十分な指導教育をお願いしたいと思います。  そこで次は、これはややこしいのですが、まずこれから聞いておきたいと思います。協同組合制度の改善の中で気がついたのですが、後継者が、生前持ち分、これをもらうときに、そのもらう人は、譲受する側は推定相続人ということで、その推定相続人とはどういうことなのか。親族関係なのか、血族なのか、親族なのか、ちょっとその辺の区分というものを先に聞いておきたいと思います。
  75. 中澤忠義

    中澤政府委員 推定相続人の定義でございますけれども、これは今回の場合でいえば、その組合員が仮に死亡いたしました場合に、現状でその相続が開始されれば直ちに相続人となるはずの者を言いまして、例えばでございますけれども組合員に配偶者または子がいる場合でございますれば、配偶者及びその子が推定相続人となるということでございます。
  76. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 概念的にはそれでわかりましたが、じゃ例えば例を申し上げておきます。  大体普通子供という、常識的にはそうなると思いますが、例えば娘婿で優秀な大工さん、これは後継ぎにいいのじゃないかというような場合も含まれるかどうか。むしろ具体的に言った方がいいと思いますが、一般的に男の子がおらないで娘の場合には娘ということになりますが、事業性格からいってその婿さんということになる。その場合はどうなるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  77. 中澤忠義

    中澤政府委員 推定相続人、すなわち相続された場合の相続人に当たるものでございますので、この例でございまするとその娘さんが相続人でございますので、その娘婿はこれに該当しないということかと思います。
  78. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それじゃちょっと聞きますが、私は、優秀な弟子で娘婿というふうな人も含めた方がより現実的ではないかと思うのですけれども、そうしない方がいいという説明と申しますか論拠というか、これを、じゃ逆に聞かしてください。
  79. 中澤忠義

    中澤政府委員 ちょっと補足いたしますけれども、先ほどの例でも、娘婿さんが養子である、あるいは法定相続人であれば当然よろしいわけでございます。  一般的に推定相続人に限定したということの趣旨でございますけれども、これは例えば番頭さんであるとか、あるいは一般の組合に働いておる職員にもこの資格を与えるべきではないかという議論も確かにあったわけでございますけれども、やはり今回の改正では、組合員たる地位を生前にその相続人に引き継ぐということが組合員としての継続性を保持するということで、その事業を現に行っていないけれども、相続人に対して生前の贈与を認めるということに限定してこれを認める。これは協業組合一つ性格から出てきたわけでございまして、先生が御指摘になりましたような従業員のうち、あるいはその組合に従事しておる者のうち、その組合の中で一定の地位を認めたらどうかという点につきましては、その組合の員外役員というような形で組合に参加していただくということで、その業務能力を組合に生かすという道もあるということから、今回の改正では取り入れられなかったという経緯があるわけでございます。
  80. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 大体その辺の、しかし員外役員という道があるというわけですから、さしむき実態とすれば差し支えないような気もしてまいりましたが、これはひとつ私も研究をいたしますし、政府側においてもこの扱いについて、将来いろいろまた機会があるわけですから、十分検討していただきたいと思います。  そこで、火災共済関係ですが、これは全国事情をちょっと知りたいわけですけれども、山口県の場合は大変実情が、火災共済事業と申しますか、良好な経過をたどっておると思います。今のところ一千二百億円で参加人員が二万四千五百人というふうに聞いておりますので、これが順調にいくことは結構なんですが、全国的には政府としてどのような把握をされておるか、うまくいっているのかどうなのか、その辺の実情だけを説明してもらいたい。
  81. 中澤忠義

    中澤政府委員 全国ベースにおきます組合の数とその状況でございますけれども、現在都道府県単位の地区組合が四十一組合ございます。また、業種別組合として二組合ございまして、これらが設立されておるわけでございます。組合員の数といたしまして約九十八万人、出資総額が五十三億円、契約総額が六兆六千五百六十九億円ということで収入共済金が約百五十一億円ございまして、非常に順調な業績全国的にも上げておるということが言えるかと思います。
  82. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 結局これが一般の者、つまり百分の二十までは他の者が利用できるということですから、これからもそういった意味では事業が少し発展する、ふえていくことでさらに運営がやりやすくなるという意味で、この問題については歓迎しておきたいと思います。  さて、次の関係ですが、中小企業団体中央会例示関係ですが、現在検定試験の中身と申しますか科目というか、これを私は全然わかりませんので、何か聞くところによると制度運営、会計というふうにぱっぱっと出るのですが、これをちょっと説明していただけませんか。     〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
  83. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合に関する知識についての検定でございますが、その検定の対象がどういうものかということでございます。これは検定試験の科目が大きく分けますと三つに分かれておりまして、一つ組合制度の問題、それから第二が組合運営の問題、第三に組合会計の問題ということでございまして、さらにそれぞれの科目ごとに、例えば組合制度でございますと組織論の問題とか協同組合法の内容でございますとか、非常に細かく試験科目の内容が分かれておるわけでございます。
  84. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そこで、この組合制度関係運営、会計ということを並べてみますと、ある意味ではオルガナイザー的な役割を果たすための人材育成にも見えるわけですが、この試験を始めた動機と、それからその試験を受けた人の資格、それがどのように、検定に受かった人、これの運用の仕方というか使い方、これは大体どういう目的で、現在どういうふうなことに試験を受けて受かった人が使われておるのか、その実態をちょっと聞かしてください。
  85. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合運営自体もそうでございますけれども組合運営指導あるいは連絡するというような組合中央会、あるいはそれをまた統括いたします全国中央会もございます。このような組織につきましては、それに従事する職員の方、あるいは連絡員の方、指導員の方、それぞれ組合に対します十分な知識と、それから組合の活動につきましての現実の理論と申しますか、識見というものを要求されることは当然でございます。先ほどお話ししましたような科目の内容につきまして一定の試験をいたしまして、その試験に合格した方が組合活動あるいは連絡活動におきます職員として、その試験の合格者が極力これに登用されるように、私どもといたしましても指導しておるわけでございますけれども、そういう知識検定を受けることによりまして、組合の方々からもその能力が評価されるということが浸透していくことが望ましいわけでございます。  今回、法定事項としてこの検定試験を特記いたしましたことも、まさに法律事項になりますことによって、さらに一層この組合士と申しますか、組合試験に合格した方が組合の内部あるいは外部から評価されまして、その能力がおのずから高まっていくということに期待した次第でございます。
  86. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そこで、だんだんとこの辺の重要性があって今回法定事項というふうになってきたと思います。  聞くところによると、私詳しく知りませんが、販売士というのがあるそうですが、これは国家試験であって、つまり国家資格が与えられるというふうに聞いておりますが、今説明がありました、今回提起されておる組合士、これをむしろこの際国家試験として位置づけていく。合格者は一つの国家資格として、まず社会的にも国家的にも認知をされて、胸を張って中小企業活動あるいは組合結成その他に積極的に当たれる意欲を持つような人材育成のためにも、これはむしろ国家資格を与えるべきだと思います。  というのは、やはり最終的に、こういった業者の方々と話をいたしますと、事務局体制と申しますか手続、これは一口に言ってなかなか事務を扱うのは面倒くさい。しかも県の方にも山さにゃいかぬ、中央会にも書類を出さなければいかぬ。大変煩瑣だ、面倒だということで、とかくうまくかみ合わないことだってある。やはりそこにはきちっとした指導者がおって、そのことについて注意を払って事務局体制がうまくいくように指導し、オルガナイザーの役目を果たすということが、これからの中小のこういった団体の活性化にも大いに役に立つと私は思います。  したがって、冒頭に私は大臣答弁をお聞きしたいということとあわせて、この問題について国家資格を与えるべきだと、私は強い一つの要求なり信念を持っております、意見を持っております。大臣の、このことに対するお考え、まず聞いておきたいし、それから、冒頭申し上げましたように、法的な手続的ないろいろなことを手直しをして、よりよくするということも非常に大事でありますけれども、基本は、我が国の経済政策の一番根幹である消費活動が活発でなければ内需拡大にはつながらない。だから、これはただ単に、それこそ通産省だけがこのことを考えるのではなくして、行政の中にあって通産大臣としても、他の省庁にも絶えずそういった機会をとらまえて、やはり国内需要を盛んにすることについてのいろいろな指導なり発想なり、あるいはチャンスを見ていろいろ国会に提案されるようなことなど含めて、積極的に内需拡大を図ることの政策遂行が中小企業の皆さん方の本来的に望むところであると私は思いますので、以上の問題について大臣のお考えを聞いて、他の質問事項を考えてまいりましたが、前二人の議員の方が申されましたので、重複を避けて早目に切り上げるつもりでございますので、大臣答弁最後に聞いておきたいと思います。
  87. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合士の問題につきましては実態的な経緯がございますので、私から事実関係を御説明しておきます。  いわゆる組合制度組合事業の活性化のために非常に重要であるということは私も全く同感でございまして、組合事業の中核としてこれらの方々に活躍していただきたいという気持ちでございます。まさにそのためにこそ、今回法定事項として組合に関する知識検定という問題を中央会事業として明定したわけでございます。  ただ、これを国家試験にするということにつきましては、一般的な全般の政府の方針といたしまして、国家試験を限定的に取り扱うということで、従来国家試験として、あるいは国家的な登録として行われてきたものも民間に移譲するというような現状でございますので、この点につきましてはむしろ今回の法改正を契機に、実質的にこの組合検定の信用と申しますか成果というものが定着していく方向で私ども予算上、制度上あるいは行政上も支援していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  88. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 言うまでもなく我が国の中小企業は、事業所の数からいっても従業者の数からいってももう日本のほとんどを占めるものでございまして、その重要性は今さら私が申し上げるまでもなく、我が国経済の原動力となっているものでございます。このため今後も中小企業対策に私どもは万全を期していくことは言うまでもございませんけれども、そういう中において内需の拡大ということを今後どういうふうにやっていくのかという御質問でございます。  日本経済全体を見ますと、確かに、先ほどの質問等にもございましたけれども、倒産件数が、おさまるどころか非常にふえてまいりまして、まことに憂慮にたえない状態ではございますが、政府機関の調査によりますれば、景気の回復も非常に緩やかなテンポではございますけれども数字的に回復の基調にあるということも事実でございます。このため政府といたしましても、通産省といたしましても、内需を中心とした景気の回復というものを心がけてまいらなければなりませんが、それでは具体的に現在どうするのであるかといいますれば、やはり民間活力を旺盛にするためにその環境を整えなければならない。そのためには中小企業においても設備投資を促さねばならぬ。そのことによって、財政は非常に厳しい折ではございましたけれども通産省中小企業の新技術体化促進税制というものを創設いたすことにいたしたわけでございます。さらに各種の規制を緩和して、その中に民間活力を導入して事業を活発にする、あるいはこれはいつも申し上げることでございますが、このような時期ではございますけれども、機動的なあるいは適切な金融政策を行っていかなければならない。当面この政策を推進するわけでございますが、私といたしましても、例えば政府・与党首脳会議であるとか、そういうような機会をとらえまして通産省考え方というものを政府部内に広めていく、さような考え方で今後中小企業対策を推進してまいる所存でございます。
  89. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 終わります。
  90. 田原隆

    ○田原委員長代理 木内良明君。
  91. 木内良明

    ○木内委員 五十五年の当委員会におきましても、この法律につきましては審議がございまして、私もその審議に参加した一人でございます。これまでの委員会審議等を踏まえていろいろお聞きしてみたいと思います。  まず、一般的に言って、中小企業は規模の過小性、技術力の問題あるいはまた信用力という点で大企業に比べて極めて不利な立場に立たされているのが現状であります。こうした点から、同業者などが相寄って組織化を図り、もって生産性の向上を図り価値実現力を高めると同時に、対外交渉力の強化等を行っていくことがどうしても必要であるわけであります。その意味から中小企業者が相互扶助の精神に基づき、共同して事業を行うことにより、公正な経済活動の機会を確保するとともに、その経済的地位の向上を図ることを目的とするところの、本日議題となっておりますこの中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の持つ意味は極めて大きいと言わざるを得ません。近年における我が国の中小企業組織化の現状について、まずお聞きをするわけであります。  その具体的組織化の促進に当たりましては、全国中小企業団体中央会並びに県中央会の皆さんのこれまでの大変な御努力があって進められてきているわけでありますけれども、例を事業協同組合に引いてみたいと思うのです。  すなわち、設立状況の年次報告を見てみますと、昭和五十六年度三万八千四百五十六、昭和五十七年度三万九千二百四十九、五十八年度三万九千三百三十三となっているわけであります。こうした増加の現象の背景には、申し上げたように関係者の方々の御苦労があり、またその成果が感じられるわけでございますけれども全国中小企業者数、いわゆる総量から見た場合の組織率という点からどういう現状の認識をしておられるか、まずお聞きします。
  92. 中澤忠義

    中澤政府委員 中小企業者の組合に対します加入状況、いわゆる組織率でございますが、製造業について見ますと、五十六年十二月末現在におきましては、事業協同組合につきまして二九・五%、約三〇%が加入しております。そのほか商工組合には九・九%という形になっております。卸売業につきましても、事業協同組合に二七・二%、商工組合には二三・二%ということでございまして、小売業につきまして申しますと、事業協同組合に一九・二%、商工組合に二九・四%、それぞれ加入しておりまして、総じて見ますと中小企業者のうち約半数が組合に加入しておるという状況になっております。
  93. 木内良明

    ○木内委員 約半数が加入という報告がありました。今日までの推移は別にいたしまして、今後の組織率の目標というものが当然あってしかるべきであると思います。現状のままでよいのか、当然そうであってはならないわけでありますけれども、今後の具体的施策を講ずることによって組織率はどの程度のものが理想であると考えるのか、こうした基本理念というものがあって初めて個々の行政の具体策が生きてくるわけでありますし、またその逆算によるいわば年次ごとの計画というものがなければならない、このように思います。
  94. 中澤忠義

    中澤政府委員 中小企業におきます組織化の推進というのが今後もますます重要であるという点は御指摘のとおりだと私どもも認識しております。ただ、これを一律に年次ごとの組織目標を定めるというようなことにつきましては、私どもそういう計画性を持ちました組織化ビジョンというものを現状では持ち合わせておりません。  昭和五十六年度中小企業庁から全国中小企業団体中央会に対しまして「中小企業組織化政策ビジョン」というものの策定を委託したことがございますが、むしろこういう中央会におきます組織化ビジョンというものを具体的にフォローアップしていくという形で着実に組織化の実を上げてまいりたいと考えております。  もちろん各産地組合でございますとか業種別の対策ということで、業種に即しましてそれぞれの組織化が計画的に進められていくということは必要だと考えておりますし、それの総合したところの長期の組織化ビジョンというものがあるべきだということは御指摘のとおりでございますけれども、一定の年次を設定いたしまして、組織化率を計画的に設定するという意味での組織化ビジョンというものを私ども現在持ち合わせておるわけではございません。
  95. 木内良明

    ○木内委員 今言われた五十六年度組織化政策ビジョン、中央会に委託されたものでありますが、この内容はどうなっていますでしょうか。
  96. 中澤忠義

    中澤政府委員 「中小企業組織化政策ビジョン策定調査研究報告書」という五十七年三月の報告書がございまして、非常に大部なものでございますので一言ではなかなか御紹介がしにくいわけでございますけれども、この中におきましては、一九八〇年代に入りましてからの組織化をめぐる損境の変化というものをまず分析いたしまして、中小企業組織の位置づけ、組織のあり方等につきましての非常に幅広い検討を行っております。さらには今後の問題として、組織指導のあり方、組織化政策のあり方ということもこの報告書の中で決められておりまして、特に重要と思いますのは、この中で取り上げられました組織化政策のあり方ということに基づきまして、その後の組織予算等を編成しておるということでございます。
  97. 木内良明

    ○木内委員 どうもお聞きしたことにお答えいただいてないようであります。私が先ほど申し上げたように、組織化に対する総合的なビジョンは指摘のとおり大事であるという答弁が今ありました。五十六年の中央会に委託をした、その内容についてお聞きしましたところ、今いわゆる総論についてのお答えがあったわけです。  私が聞いておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、組織化率の問題、我が国の中小企業の育成また健全経営の環境づくりということから申し上げて、どの程度までの組織化が行われることが必要であり理想なのか、そしてまた、いわばその長期的ビジョンに立った現状の認識というものが大事なんだということを申し上げたいわけでありまして、その総合ビジョンの策定は必要だけれども考えていないという答弁、こういうふうに受け取れるわけであります。ということは、中央会にビジョンづくりは委託したけれども通産省としては考えていない、こういうふうに受け取っていいのですか。
  98. 中澤忠義

    中澤政府委員 私の言葉が足りなかったかと思いますけれども、一定の組織化率を設定するという意味でのビジョンというものを私どもは持ち合わせておらないということでございまして、当然のことでございますけれども、私どもが委託しました調査の目的と申しますのは、組織化政策に対する一定のビジョンをつくり出すというところにあったわけでございまして、組織化政策のビジョンというものにつきましては、この報告書の中に十分検討され、浮き彫りにされておるわけでございます。  その中では、例として申しますと、需要の多様化に向かって組合が対応していかなければならないという、多様化への対応、あるいは組合における情報活動のあり方、さらには組合における研究開発のあり方というふうに、いわゆる高度成長時代におきます生産設備中心と申しますか、生産の高度化という目標とは別に、情報、技術、人材というようなソフトの経営資源に対して組合活動が取り組んでいかなければならないというビジョンが明確に出されておるわけでございまして、そのような意味で、新しい組合の方向づけということに対して政策支援を行う現状にあるということを申し上げたわけでございます。
  99. 木内良明

    ○木内委員 確かにビジョンということでお答えいただいたわけですけれども、ビジョンはある。だけれども、最終的にこのビジョンを達成する目標は何かということがあって初めてビジョンたり得ると私は思うわけです。現状の分析あるいは政策的にやる必要のある課題等については、私は勉強しましたけれども、このビジョンの中で相当盛り込まれているわけであります。しかし、これはあくまでも努力であって、あるいはこうしなければならないという分析であって、あくまでもビジョンであって、最終的ないわゆる組織化の目標というもの、ガイドラインでも結構ですけれども、そうしたいわゆる率の設定というものが必要じゃないかというふうに思うのです。  そうしなければ、一生懸命頑張っているけれども、どの程度までこの目標に対して状況が満たされてきているのかという判断ができないわけでありまして、逆に言えば、中央会の皆さんの御努力というものが正当に評価されない結果にもなってしまう。その意味から、私は、中小企業庁通産省がしっかりこの問題に取り組み、具体的な目標づくりをされていいんじゃないかと思うのです。  同時に、お聞きするわけですけれども、先ほど申し上げました事業協同組合に限定して、各県別のここ三年間の組合設立状況というものを見てみました。おおむね微増の傾向にあるわけであります。多い都道府県によっては二けた、あるいは少ない県でも一けたの設立の増加がなされているわけでありますけれども、あえて県名は申し上げませんが、私の調べでは、六県について減っているという現状があるわけです。これについてはどう認識されますか。
  100. 中澤忠義

    中澤政府委員 大きく分けまして二つの要因があるかと認識しております。一つは、五十年代半ば以降におきまして、いわゆる休眠組合の整理を精力的に行いまして、事実上組合活動を行っておらない組合につきましては登録から抹消するという作業を行ったわけでございます。第二点は、やはり第二次オイルショック以降、御高承のとおり、日本国におきましても経済活動が非常に大幅にスローダウンをいたしまして、中小企業は特に景気後退の余波を受けたわけでございますけれども組合の設立につきましても、やはり全体の経済活動の一環でございますので、高度成長期に比べますと、組合の設立についてはなかなかその精力と申しますかエネルギーがなかったという実態も認めざるを得ないわけでございます。  そのような形で、一つは人為的に休眠組合の整理を行ったということと、景気後退の余波を受けたということに、最近の組合の設置数と申しますか存立数の後退があるというふうに認識しております。
  101. 木内良明

    ○木内委員 今、幾つかの要因について列挙していただきました。休眠組合の整理等も当然あると思います。しかし、長官御自身が今言っておられたように、いわゆる県中の対応力にもう一つ踏ん張りがあれば設立が期待できたのではないかという、これは当事者からの意見も実は私はじかに聞いておりますし、指導員の問題、さらにまた具体的な組織化への対応というものが、県別、特殊な地域性でございますとか経済環境の中でまちまちになっている現状がある。  私は、先ほどの通産省としての組織化の長期的プランについて申し上げたわけでありますけれども、これも踏まえながら、やはり県別組織化のプランというものを、努力規定でも結構でございますし、努力目標でも結構ですから、こういったものを設定をして、それこそ年次ごと、あるいは二、三年、五年ごとでも結構ですから、それを目標組織化を図っていくという、そのぐらいのいわゆるきめ細かな行政面での対応がなければ、幾ら総論を振りかざしても、あるいは抽象論を展開しても、いわゆる血の通った--右往左往している、経済活動をどうしていいかわからない、やる気はあるのだけれども残念ながら知恵がない、法律的な知識がない、そういう中小企業の方々を組織化することは難しいわけであります。逆に言えば、自主的にどんどん設立の促進を図っている県中もあるわけでありまして、そうしたいわゆる県中央会に対しましては、事あるごとに設立の率といいますか成果について宣揚をしていく、こういうことをきめ細かくやって初めて各県中のそうした組織化への対応というものが行われていくのじゃないか、こういうふうに思うのです。  これは長官にもぜひ御答弁いただきたいけれども大臣、ぜひひとつ具体的な、固定した目標じゃなくても結構ですから、通産省として目標の設定について検討されるというような見解をお示しいただけないか、このように思います。初めに長官に。
  102. 中澤忠義

    中澤政府委員 昭和五十年代に入りましてから、特に石油危機、それから変動相場制によります円高等が多くの組合、特に産地組合等々に大きな影響を与えまして、組合の存立あるいは活性化の問題として非常に危機意識をもたらされたということでございます。私どもといたしましては、組織化の問題と現存組合の活性化の問題は非常に重要であるということから、五十年代に入りましてから組合の活路開拓事業というような事業を新設いたしまして、新製品の開発、販路の開発あるいは人材の養成というような具体的問題につきまして、ビジョンをつくりながらかつ新しい事業を展開するということを中心に非常に大幅な助成と指導を行ってきたつもりでございます。  将来の問題といたしまして、今後のビジョンが重要であるということは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、やはり組合あるいはこれを束ねます中央会指導力あるいは自主的な意識というものが重要だと考えておりまして、いたずらに政府の方から形式的な数字を設定してこれを押しつけるということはいかがかと思いますけれども組合の当局あるいは中央会等と十分御相談をしながら、それぞれの圏域なり業種別組合組織率あるいは活動につきましてビジョンをつくり出していくということは非常に適切な御提言だと思いますので、一つ検討課題として受けとめさせていただきたいと思うわけでございます。
  103. 木内良明

    ○木内委員 長官の方から今明確に、私の提案に対して、重要な検討課題であるという御答弁をいただきましたので、大臣は結構でございます。  中小企業の問題は、我が国の経済の中で最も重要な存在であると私は認識しておりますし、引き続いてフォローしていきたいと思いますので、具体的な作業に早速入っていただきたい、こういうふうに思います。  次に、火災共済組合の問題について聞きます。県別の加入状況がどうなっているか。先ほども他の委員の方から質疑があったわけでございますけれども、簡単で結構ですので、この火災共済が果たしてきた役割、現状についての認識を述べてください。
  104. 中澤忠義

    中澤政府委員 火災共済につきましては、県別に設立が行われたわけでございますけれども、設立後非常に順調にその事業を伸ばしておりまして、中小企業者自体の自主的な共済という形での火災保険のカバレージが着実に伸びておる、かつその事業運営が着々と順調に進んでおるという状況でございます。
  105. 木内良明

    ○木内委員 この火災共済のあり方に対する組合員の要望、要求というものがあるわけでありますけれども、今回の改正案に盛り込まれていないものがあります。どういった点をお考えになられますか。
  106. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合員の要望を総じて申しますと、保険のバラエティーと申しますか種類を、なるべく広範なものが取り上げられるようにしてほしいということが最大のポイントではないかというふうに承知しております。
  107. 木内良明

    ○木内委員 今回通産省の方から用意されました資料を七項目拝見しました。五十五年改正の際のあの附帯決議は一体どこへ吹っ飛んじゃったんだろう。国会審議軽視も甚だしいと私は思ったわけであります。  すなわち、協同組合法第九条の七の二「組合員のためにする火災共済事業(火災により又は火災及び破裂、爆発、落雷その他の省令で定める偶然な事故の全部若しくは一部を一括して共済事故とし」云々というふうにある。そして「省令で定める偶然な事故」とは一体何を指すかということでありますけれども、これはまず長官、答えてください。
  108. 中澤忠義

    中澤政府委員 五十五年改正当時の附帯決議は私どもも十分承知しておりますし、またその中で地震等の保険対象の追加を引き続き検討すべきだということが指摘されていることは十分承知をしております。  それに対するコメントは後ほどいたしますけれども、ただいま御質問の共済事故の範囲でございますが、「省令で定める偶然な事故は、次のとおりとする」ということでございまして、一、破裂、二、爆発、三、落雷、四、建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突または倒壊、五、騒擾もしくはこれに類似の集団行動または労働争議に伴う暴力行為または破壊行為、六、建物内の給排水設備に生じた事故による漏水、放水または溢水による水ぬれ、七、盗難、八、風水害、九、雪害ということでございます。  地震につきましては、これを対象としました場合、一定地域に一時に極めて多くの損害が発生するということで、共済組合の財産的基盤からは現在直ちに採用することは困難だというふうに認識しておるわけでございまして、他の組合におきましてもこれを保険対象として取り上げられている組合は少ないというふうに承知しております。
  109. 木内良明

    ○木内委員 組合員の皆さんからの要望が非常に強いところでございますし、今回の改正というのはかなり大がかりな改正であると受けとめておりまして、これまでの審議経過を踏まえますと、今申し上げております災害事由、この問題に触れておられないというのは甚だ片手落ちであるというふうに認識せざるを得ません。  五十五年五月の当委員会で私たちはこの点について質疑を行っております。まず地震についてでありますけれども一つには今長官も若干触れられましたが、財政基盤状況あるいは事務処理体制の未成熟さという理由から今回はこれにとどめて、これはさらに今後の検討課題あるいはまた、力をつけていって次の段階での問題というふうに考えているという趣旨の答弁が実は政府側からあって、私は、当然今回の改正で、これもあるいは変形した形かもしれませんけれども、若干は踏み込んだものとなって提案されるだろうと思って、政府の方の説明を事前にいろいろ聞いた。全く入ってない。あのときの答弁は一体どうなっているのでしょうか。財政状況という点については、私も諸般の事情を勘案しまして納得できないわけではありませんけれども、もう一つは事務処理体制、こうしたそれぞれの点についてその後当然検討が加えられているだろうと私は判断しています。何らかの進捗が見られていてしかるべきである。国会審議の重要性というものを考えれば、各党こぞって附帯決議をつけているわけであります。念のためこれ読んでみます。「今後における事業経営基盤の充実安定に対応して、例えば地震による損害等も対象とする等、てん補範囲拡大等について検討すること。」この附帯決議についてどういうふうに受けとめておられるのでしょうか。
  110. 中澤忠義

    中澤政府委員 附帯決議の重要性は、私ども政府の一員でございますので当然のことでございますけれども、極力これを尊重しなければならないというふうに認識しておりますし、現に今回の改正におきましても、火災共済協同組合のてん補範囲に地震事故を含まし得ないかということは真剣に検討し、取り組んだわけでございます。  ただ、遺憾ながらその検討結果というものは、次に述べますような理由で、当面火災共済協同組合に実施させることが現状におきましても困難だという結論になったわけでございます。もちろん、今回の改正では時期尚早であるという判断をしたわけでございますけれども、将来の課題として、国会の附帯決議もあることでございますので、慎重に検討してまいるという状況には変わりがないわけでございます。  その理由でございますけれども、第一に、先ほど述べましたような負担能力の問題、一つの事故が起きました場合に、その規模が巨大でございますので、現在の火災共済協同組合財政状況から見ますと、遺憾ながらまだその負担能力はないと判断せざるを得ないわけでございます。  第二の理由でございますけれども、大地震が発生した場合には、大量かつ迅速な損害調査が必要となるわけでございますけれども、これに的確に対処するために、やはりそれにふさわしい事務処理能力が必要であるわけでございますけれども、この事務管理体制というものが、現在の組合の実情から見ますと困難であるというふうに判断せざるを得ないという点が第二点でございます。  第三点でございますけれども、過去の経験から申しますと、地震の発生する地域というのは、頻発地域と、それ以外になるわけでございますけれども、そのような地震というような性格のことからいたしまして、これを実施いたします場合には、全組合がこれに加入いたしまして全国プールで行いませんと、保険性格上これをカバーすることが難しいということでございまして、仮に個別の組合でこれを取り上げますと、逆選択の形で、弱いと申しますか、地震が起きやすい組合にこれが集中すると申しますか、財政上も非常に危ないことになるということでございまして、制度上も、現状から見ますと、この保険事故として地震を採用するに踏み切るにはなお時期尚早であるという判断をした次第でございます。
  111. 木内良明

    ○木内委員 私が申し上げたいのは、国会の場における政府の御答弁あるいは附帯決議の重要性というものをもっとしっかり認識してもらいたいということです。法案さえ通れば附帯決議をどう扱ってもいいとか、あるいはこの法案を通すために、そういうお気持ちではないでしょうけれども、うまく言い逃れるというようなことがあっては断じてならぬと私は思うのですね。この地震災害に対する考え方は私もよく理解をできるところでありますけれども、次の段階での問題というふうにはっきり答弁しているわけでしょう。次の段階というのは今をおいてないわけですよ。今後ぜひとも御答弁には責任を持っていただきたい。地震の問題については以上にいたしますけれども、この点まず申し上げておきます。  同じような災害事由の中の地震による損害等の中に入るわけでありますけれども、地震ほど一斉には発生しない事故、あるいは事務処理の体制からいきましてもそれほどのものが要求されない事項として自動車事故というのがあります。当時の政府答弁は、事務処理能力等も勘案し、現在の範囲にとどめる、そういう旨のものであったと記憶しております。このときの自動車事故等をこの適用範囲に入れなかった理由は事務処理能力ということでありました。四年たっています。この間の検討についてはどう行われたでしょうか。
  112. 中澤忠義

    中澤政府委員 火災共済組合保険対象といたしまして幾つかの対象が考えられるわけでございますけれども、それを取り上げるいろいろなファクターとして事務処理能力の問題も一つはございますけれども、そのほかに他の組合あるいは事業との競合について適切な配慮をするということも一つの配慮要因でございます。自動車保険の問題につきましては、事業協同組合等におきまして自主的な共済という形でこれを対象としておる組合もございまして、それとの分野の調整と申しますか、競合を避けるということも一つの配慮要因でございまして、今回の改正にはそれを取り上げなかったという経緯でございます。
  113. 木内良明

    ○木内委員 基本的な考え方としては組合員の利便に供する、あるいは災害時の対応にこたえ得る制度の改善ということを考えておられる、これは間違いないでしょう。
  114. 中澤忠義

    中澤政府委員 共済組合によります保険でございますから、一つの大きな眼目が組合員に対する相互共済と申しますか、保険リスクの蓋然率をカバーするということが一つの要素でございますけれども、ただ、この保険対象に加えること、あるいは保険組合員範囲をいかがにするかというようなことにつきましては、他の組合あるいは他の事業主体との調整を図らなければならないということも別の配慮要因でございまして、例えば今回の改正につきましても、農業協同組合事業との調整あるいは大蔵省が行っております保険会社との調整等につきまして、関係各省と非常に詰めた調整を行ったという経緯がございます。そういうようなことも一つの制約であるということを御認識いただきたいと思います。
  115. 木内良明

    ○木内委員 その制約を取っ払ってまでもこの自動車事故も適用対象とすべきであるというお立場が、中小企業を守るサイドにある通産省の立場じゃないかと思うのですよ。障壁があるからできないんだ、努力はしたけれどもだめだったでは済まないのがこの中小企業に対する保護施策の基本的なあり方ではないかと思うのです。したがって、この問題については以上にいたしますけれども、ぜひともそうした隘路を解決していただきながら、火災共済のあり方についてはなお一層充実した内容になるよう御努力を願いたい、このことを申し上げておきます。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕  次に債務保証事業の問題について聞きます。  現在、組合組合員金融機関に対して負担する債務についてしか保証することができないわけですけれども、今回の改正によってこの範囲拡大されて、これが通れば、組合員事業活動に係る債務の保証組合が行なえることになるわけであります。よりユーザーニーズにこたえ得る受注環境の整備あるいは総じて経済活動の活性化を促すという点から意義のある施策と私は評価しております。新たに対象となる債務保証事業として想定されるものは具体的にどんなものがあるでしょう。
  116. 中澤忠義

    中澤政府委員 具体的には幾つかございますけれども一つは、組合員が行った工事につきまして不備があった場合に、組合員がそのやり直しを行う債務を保証するということでございます。  二つ目に考えられますのは、組合員が原材料等を購入した際に、その購入先に対する組合員の代金支払いにかかわる債務の保証をするということでございます。いわゆる代金支払い債務の保証でございます。  三つ目に考えられますことといたしまして、組合員が土砂等を採取した場合におきます組合員の跡地整備実行にかかわる債務の保証等がございます。これは跡地整備、跡地の原状復帰等が組合員の契約内容として債務がある場合に、それを組合員が行わなかった場合に組合がこれにかわってこれを実行するという種類の保証かと考えております。
  117. 木内良明

    ○木内委員 こうした制度改正によってかなり組合の経済活動というものが活性化される、このように期待をしているわけであります。しかし、同時にその反面、この債務保証事業範囲拡大することによって生じる、いわゆる組合財政基盤の弱体化ということが考えられるわけです。この点への対応はどのように考えておられますか。
  118. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合がこのような債務保証を行いまして、組合自体の財政基盤に損害が生ずるというようなことがあってはなりませんので、幾つかの方法によりましてこの担保を考えております。一つは、保証を行います際にも、組合員一人当たり限度を総会におきまして議決いたしまして、一定の歯どめをつけるということでございます。また、組合保証能力が無限に広がってはいけませんので、この保証等を行います際に、組合におきまして一定の基金なりあるいは積立金を設けまして、これに見合った額で保証活動を行うということで、これまた保証の担保と同時に歯どめをつけるということを考えております。  いずれにいたしましても、この保証限度なり基金の積み立てということにつきましては、極力組合の自治を尊重するということにいたしたいと考えておりまして、組合がその保証能力を超えて過大な保証を行うことのないように、定款例等を設定いたしまして、十分な指導を行っていきたい、かように考えております。
  119. 木内良明

    ○木内委員 この保証能力範囲の設定の仕方ですけれども、いわゆる基準となるようなマニュアル的なものはあるのでしょうか。今後おつくりになる予定はありますか。
  120. 中澤忠義

    中澤政府委員 この点につきましては、法律の御可決がいただけますれば、それに則しまして組合あるいは中央会等と十分実態を踏まえながら検討いたしまして、模範定款例あるいは模範の規約というような形での例示をつくっていくというふうに考えております。
  121. 木内良明

    ○木内委員 定款例については後に触れるわけでありますけれども、ここで私が問題にしたいのは保証能力の範囲、これをどのぐらいに抑えるかという問題なんですね。あるいは拡大するかということ、これは組合における事業活動の活性化にも当然反映されるわけでございまして、この財政基盤をしっかりとフォローアップしていくということが非常に大事になるわけであります。現在のところ、基金準備金ないしは組合の自主的財源等によってこれを行おうとするわけでありますけれども、私は、甚だしくこれでは不十分であるというふうに思いますし、また、こうした旧来の考え方にさらに乗せて保証能力というものを付与する必要があるというように考えます。  その一つ考え方でございますけれども、民間の保険会社に、この債務保証事業に関連する保険を新規商品として設定をさせて、そうしてぜひこの保証能力の範囲拡大させてほしいという組合の方の御意見もありましたし、いろいろ後に触れる問題もありますけれども、しかしながら、保証能力の拡大ということでは非常に重要なことであると思うし、私も、ぜひ提案をしたい、こういうふうに思います。どうでしょう。
  122. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合保証能力を担保し、また同時に、組合財政的な基盤確保していくという、この二つ目的を同時に達成するために、ただいま御提案のありましたような組合の債務保証についての保険あるいは保証という問題が一つの重要なかぎであるというふうに私どもも認識をしております。民間の損保業界の一部でもそういう検討が行われているというふうにも聞いておりますけれども、しかし、このような保険をつくります場合には、新しい種目でもございますので、これを制度として実現するためには、いろいろの関係方面と十分検討する必要があるわけでございます。ただ、私ども中小企業庁といたしましては、こういう制度を御提案しているわけでございますので、これが実現した場合には、そのような保険あるいは保証制度につきましても、十分関係方面と連絡をとりながら、実現のための検討をしてまいりたい、かように考えております。
  123. 木内良明

    ○木内委員 これについて、私も長官も同意見であるということです。しかしながら、今後の実現に向けては、またいろいろなネックもあるのは当然であります。しかしながら、財政基盤の充実あるいは保証能力の付与ということから考えれば、ぜひともこういう形ないしはこれに取ってかわる方法、すなわち旧来のものにプラスされるものがなければ、この問題は解決しないというふうに思うのです。  実は、ほかからもお聞きしましたし、また、けさも当委員会に参ります前に大手の損保会社に私は聞いてみたのです。大手の損保と言っても、外国の、何でもかでも保険引き受けをするというような会社ではなくて、国内の損保会社ですが、結論から申し上げれば、非常に否定的、消極的でありました。その検討はあるやに聞いているけれどもというような前置きの次に、やはり実際どうでしょうか、組合によっては業種の違い、あるいは実績の違い、あるいは人的資質の問題、いろいろ保険引き受けに際してチェックしなければならないファクターというものが余りにもまちまち過ぎる、したがって、また別の面で言えば、リスクも非常に大きい面が出てくるので、この新規商品としての考え方というものは慎重にならざるを得ない、実はこういうような話があったわけですよ。あえてこれも社名を申し上げませんけれどもね。  そうすると、この債務保証事業拡大を行う上で不可欠とされる財政基盤なり保証能力のフォローアップというものが行われなければ、結局制度はできても血が通わない、こういう結果に終わってしまうのではないかという心配があるわけです。したがって、さっき長官も、関係各方面と検討されるという話でありましたけれども、率直なところを、きょうは大事な法案審議ですから、ひとつおっしゃっていただきたい。  まず、大蔵省との話はどうなっておりますか。
  124. 中澤忠義

    中澤政府委員 この改正案自体につきましては、当然のことながら関係各省ということで大蔵省と協議しております。また、その協議の過程におきまして、一つのアイデアと申しますか構想ということで話題には上っておりますけれども、まだこういう新種保険の実現ということで詰めた折衝と申しますか、議論に入っておるという段階ではございません。
  125. 木内良明

    ○木内委員 それでは長官、これは全く非公式で結構なわけです、長官御自身の感触で、民間の保険会社のこの問題に対する受けとめ方はどうですか。
  126. 中澤忠義

    中澤政府委員 これは損保業界全般にこの問題を私どもから投げかけたわけではございませんので、一般的な反応というわけにはいかないわけでございますけれども、恐らく先生御指摘になりましたように、非常に慎重な保険会社も当然あることかと思います。  ただ、私どもには、ある会社はむしろ積極的に、このような構想で考えられるということでアプローチしてきた会社もあるわけでございまして、恐らく現段階では一様な反応ではないのではないかと思います。もちろん保険でございますのでリスクの態様あるいは保険事故の内容によりましてまちまちでございますけれども、現在の保険制度の発達の状況から見ますと、いろいろな形での保険カバレージが研究されておるわけでございまして、一概にこの制度保険につながらないというふうに断定するのは尚早な判断ではないかというふうに考えております。
  127. 木内良明

    ○木内委員 長官、尚早な判断かもしれませんけれども、しかし、でき上がる制度をより充実した、血の通ったものにするために必要な周辺の整備というものも大事じゃないですか。確かに必要だけれども尚早だ、必要な要因の一つだけれども尚早だというふうにおっしゃったと受けとめたいと思うのです。そうでなければ私は一体今何をしゃべっているのか、非常に納得できないですよ。とんでもない話だ。
  128. 中澤忠義

    中澤政府委員 私が申し上げたのは、これが保険のカバレージにならないと判断するのは尚早だと申し上げたので、これは十分保険の対象となり得る可能性がむしろあるのではないかということで尚早という言葉を使ったわけでございまして、できないという判断をするのが時期尚早だという趣旨でございます。
  129. 木内良明

    ○木内委員 長官、これはぜひ申し上げた趣旨を御理解いただいて、民間保険会社並びに関係方面との議論を煮詰めていただいて、この制度のフォローアップができるような形になるように御努力願いたいと思います。  そうした議論の際に、これは御答弁いただかなくて結構でございますけれども、ぜひ御配慮願いたいということがございますので、聞くだけ聞いてください。  弱い体質の組合と、保険引き受けを容易に行い得る組合というようなものが当然そうした段階で出てくることも考えられるわけであります。これは言いかえれば、債務保証能力が非常に大きい組合、そうでない組合というようなものがこの保険制度の適用によってあるいは出てくる可能性がある。そうしたいわゆる組合間の格差をなくす方策がそこで同時に議論され、考えられなくてはならない、こういうふうに思うのです。申し上げたように御答弁は必要ありません。  ただ私は思います。一つ制度というものを本当に考えるときに、先々を見ていただいて必要なものは早い時期から手を打っていく、後追い行政にならないような行き方が必要だ、こういうふうに思うのです。  次に、債務保証能力という、保証事業の点でもう一つの提案を申し上げたいのです。  中小企業対策の重要な一環であり、同時に信用補完制度の柱をなす中小企業信用保険公庫というのがありますけれども、この中小企業信用保険公庫による債務保証事業保険引き受けをぜひ検討するように私は提案したい。きょう幾つか大事な答弁もいただいているし、実り多い質疑にしていきたいと思っておりますけれども、これは大事な質問です。公庫の本来の設立趣旨、中小企業対策の重要性を考え合わせるならば、これは考えられて当然である、検討されなければならないと私は考えるわけです。どうでしょうか。
  130. 中澤忠義

    中澤政府委員 中小企業信用保険公庫でございますが、これは御承知のように法律によりまして設立された政府機関でございますし、その業務も法定されておるわけでございます。中小企業信用保険公庫の業務と申しますのは、信用保証協会を相手といたしまして、中小企業者等に行いました信用保証協会の信用保証を再保険するということが任務でございます。したがいまして、この信用保険公庫が組合に対しましてストレートに保険をする、あるいは保証をするということは、この機関性格上なじみがたいのではないかというふうに私は判断しております。
  131. 木内良明

    ○木内委員 その公庫の本来のあり方、基本理念というものは、せんじ詰めれば中小企業保護ということだと私は思うのですよ。ですから、この公庫の骨組みは当然残さなくては、残すどころか尊重しなくてはいかぬわけですけれども、何といいますか、派生的ないわゆる公的機関としての使命の拡大を行うことがあってもいいのではないか。同時に、この制度内容をいじくることによってそれが可能になるのではないかというふうに思います。聞くところによりますと、そういう御意見も省内におありだったと聞いておりますけれども、大蔵の方からクレームといいますか、ストップをかけられたといういきさつがあるやに仄聞しておりますけれども、その点いかがですか。
  132. 中澤忠義

    中澤政府委員 私が承知しております限りでは、保険公庫の機能といたしまして、ストレートに組合の債務保証保険するということを内部的にせよ取り上げたとは承知しておらないわけでございます。保険公庫は、この法律上も明確になっておりますように、県の信用保証協会、これが行います保証業務を再保険するという形で中小企業者に対する信用補完を行っておるわけでございまして、組合事業につきましても、組合金融機関から借り入れた債務につきまして、信用保険協会の保証を得ることによって資金的な基盤を強化していくという形で、信用保証協会を通じます信用補完を保険公庫が担保するということになっておりますので、いずれにいたしましても、新しい業務範囲拡大してまいりまして、組合が資金的な借り入れを行う、あるいは信用力を増していくという過程におきまして、信用保証協会を通じまして保険公庫がその信用補完を裏打ちするというような形でこの制度を活用していただくというのが本来のあり方ではないかと考えておるわけでございます。
  133. 木内良明

    ○木内委員 どうも私の持ち時間があと数分になってしまいまして、相当積み残しができて残念でならないわけでありますけれども、簡単にお聞きしますので簡単に答えてください。  今回のこの改正に当たってベンチャー型組合の問題、出資持ち口数の問題でありますけれども、当初はこのベンチャー型組合については、核となる企業についての持ち口数の制限緩和する考えのようであったというふうに聞いておりますけれども、今回はこれが盛り込まれなかったという経緯があったようですね。その辺についてはどうでしょうか。
  134. 中澤忠義

    中澤政府委員 ベンチャー型組合あるいは異業種組合について持ち口数の例外を設けたいということは、一つの重要な検討課題として最終段階まで相当検討したわけでございます。ただ、結論的に申しますと、この事業協同組合法あるいは団体法と申しますのは、組合法にかかわります一般法でございまして、そのような形での例外を考えるという場合には、一般法におきます例外を設けるというよりは、別途の観点からその振興なり法制度の問題として取り上げる方が適当ではないかということでございまして、今回の改正提案には見送らせていただいた経緯がございます。
  135. 木内良明

    ○木内委員 今の問題、今後の対応についてはどうでしょうか。
  136. 中澤忠義

    中澤政府委員 異業種組合、ベンチャービジネス等に対する振興策については、五十九年度中小企業予算一つの大きな中核でございまして、振興策は十分に考えております。また、組合法の問題としても今後の一つ検討課題だと思います。ただ、どのような形で取り上げるかにつきましては、今後なお慎重に検討させていただきたいと思います。
  137. 木内良明

    ○木内委員 時間になりましたので、最後に一問だけお聞きします。  中小企業団体中央会の果たすべき役割というものが、本日の審議経過を踏まえても一層重要になってくるわけであります。したがって、その指導体制の強化を図る必要があります。そのためには、第一に、指導員等については増員及び待遇改善を行うことによって人材の確保を図ることが必要です。  さらに第二番目としましては、中央会の事務効率化を図るための機器の導入ないしはそうした関連の問題の解決ということが非常に重要になってきます。  三番目としては、各県の性格の異なる地域における組合指導をきめ細かく行うために、地域別の組合指導体制を整備することも大事であろうかと思います。特に三番目の問題につきましては、先ほども大変大事な答弁がありました。数も含めてのプランニングということの答弁もありましたので、これもひっくるめて重要であるということを申し上げるわけでありますけれども、これらについての具体的な対策についてお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。大臣にお伺いします。
  138. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 中小企業団体中央会指導体制につきましては、逐年その充実強化を図ってきているところでございます。五十九年度におきましても、組織化推進事業の強化、指導員増員及び資質の向上のための研修活動の強化等も行ってきているところでございます。さらに、中央会の行います各種の事業に対しまして、厳しい財政事情下ではございますけれども、補助金の交付等の支援措置も行っている次第でございます。  今後とも、政府といたしましても、可能な範囲。でもってこの事業努力してまいる所存でございます。
  139. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  140. 梶山静六

    梶山委員長 横手文雄君。
  141. 横手文雄

    ○横手委員 私は、今回提案をされました中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、大臣並びに関係者に御質問申し上げます。  申すまでもなく、我が国産業を支えている中小企業の強化育成はいつの時代にも不可欠の課題であります。本二法に基づいて組織された中小企業組合は、中小企業経営の合理化、経済的地位の向上等のために各種共同事業を展開し、これまで大きな役割を果たしてまいりました。さらに今回、時代の変化に即応する中小企業組合へと脱皮、飛躍するために、業界の要望も組み入れながら一部改正が提案されていることは評価すべきものと考えます。関係者に敬意を表するものであります。  まず大臣に御質問申し上げます。  申し上げてまいりましたごとく、本法の中小企業組合に対する役割は極めて大きなものであり、したがって、大臣も提案理由の中で「中小企業者の組合は、集団化、共同化によって中小企業が地位の向上を図っていく上で、従来から重要な役割を果たしてきております。しかしながら、近年、安定成長の定着、消費者需要の多様化、経営者の世代交代等中小企業者の組合を取り巻く経済的、社会的環境は大きく変化してきております。このような環境の変化に適切に対応する組合事業活動の展開及び組合員の世代交代の円滑化が必要になっていることから、組合機能を充実強化し、あわせて組合制度の改善を図るため、」と強調されたのであります。中小企業関係者期待も大きく、本改正に当たって多くの要望も出されているところであり、これら要望にできるだけこたえていくことがまた本法の使命であると存じます。大臣の御決意と御所見を承りたいと存じます。
  142. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 横手委員のおっしゃるとおり、中小企業を取り巻く環境は非常に厳しいわけでございます。これは安定経済成長が定着した、国民のニーズが非常に多様化、高級化している、技術革新の波が非常に高まっている等さまざまな問題もあるわけでございまして、また、戦後この時期において中小企業の世代交代というものも円滑に行っていかなければならないところでございます。  こうした中で今回の改正は、この環境変化に対応いたしまして、組合の機能を強化しなければならない等々のねらいによりまして、組合活動の円滑化が今後行われるように私どもは最大の努力をしなければならないということがその趣旨でございます。
  143. 横手文雄

    ○横手委員 それでは、大臣のそういった決意、所見を背景にしながら、順次、具体的項目について御質問を申し上げます。  債務保証事業範囲拡大についてであります。  組合組合員の債務の保証を広げることは賛成をいたします。が、この債務保証にはおのずから一定の限度があると思われます。その保証範囲限度はどう考えておられるか。ざらに、範囲拡大によってトラブルが発生をしないかと懸念をされますが、そのようなことは考えられないか。もし考えられるとするならば、その対応策はどのようにしようとしておられるのか。また、範囲拡大に伴う組合保証能力の強化、つまり裏づけといいましょうか、財政基盤の強化対策はどのように指導されますか。さらには、組合が実際にどのような債務保証事業を行うかは定款で定めなければならないこととするとありますが、模範定款例の内容等があればお示しをいただきたいと存じます。
  144. 中澤忠義

    中澤政府委員 債務保証性格あるいは限定と申しますか、その内容につきましては、定款で定めるところによるということはそのとおりでございます。御指摘のように、具体的な債務の内容をそれぞれの組合が定款によりまして定めることにしておりますので、一概にその内容をここでは限定しておりませんけれども、いわゆる代金支払いに対する保証でございますとか、あるいは仕事の内容に対する実行の保証でございますとか、そういういわゆる金銭債務保証以外の債務につきまして具体的に定款に定めますれば、組合保証を行い得るという形で進めてまいることにしております。その場合、当然でございますけれども組合の実態等、十分勘案いたしまして、模範定款例のような形で組合に対して極力その内容が明確になるように指導してまいりたいと思っております。  また、組合財政基盤との関係でございますけれども一つ組合に対します保証限度額をあらかじめ定めておくということ、あるいはその組合積立金なり基金なりをあらかじめ設けておきまして、その範囲内で債務保証に対する担保とするというような点につきまして、十分これも組合の実態と合わせながら指導してまいりたいと思います。ただ、具体的にその限度額あるいは限度につきましていかほどのものにするかというのは、やはり組合の実情に即して決められなければいけないと思っておりまして、これはそれぞれの組合の自主的な判断によるというふうに考えております。  またトラブルの内容でございますけれども、これは今後の問題でございますので、必ずしも予測し得ないわけでございますけれども組合員がいたずらに、能力があるにもかかわらず実行しないために組合に不測の損害が及ぶというようなことで、組合組合員との間でトラブルが生ずるというようなことも予想されないわけではないわけでございますけれども、このような場合にも、先ほど申しましたような組合保証限度なり、あるいは基金を設けるというような制度的な担保を設けることによりまして、そのようなトラブルが極力回避されるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  145. 横手文雄

    ○横手委員 このことにつきましては、組合の機能を強化するということと裏腹の関係で、今御指摘申し上げましたようなことも必然的に一方ではついてくるわけでございます。どうか適切な御指導を御要望を申し上げておきたいと存じます。  次に、出資持ち口数制限緩和についてであります。この改正案は百分の二十五の現行から百分の三十五まで緩和するとなっておりますが、その要件が、組合員の脱退者が出た場合あるいは組合が合併した場合、いずれにしても組合員組合員でなくなった場合にのみ限定をされております。このことも必要なことでございますけれども、さらに進んで、これから多く考えられる事柄でございますけれども、最近の中小企業活性化の一環として組織化されつつある異業種連携組合においては、組合事業遂行の中心となるシステムオルガナイザーが不可欠とされ、その組合員は出資においても相当部分を負担せざるを得ない等、合理的な理由がある場合、その緩和を行うことが必要である、このような業界の一部の意見もございますけれども、これらの問題については全く無視されているわけでございますけれども、こういうことは今後も考えていかなければならないことではないか。  私は、一人の方に偏ってしまって、それがオーナーになり、そしてまたそこに協同組合としての機能が失われる、このようなことは断じて避けなければならないというのは大前提に考えておりますけれども、今申し上げましたように、ある一つの核となる業者、組合員が、その人が持っておられるアンテナショップなり、今日までの技術なり、あるいは販売力なり、あるいは先を見通す透視力といいましょうか、そういうものにあこがれて、引かれて一つの協同組合をつくろうというようなことも、今後はあり得るのではないかということが容易に予想されるわけでございますけれども、こういった事態に対する配慮についてはどのように考えておられますか。
  146. 中澤忠義

    中澤政府委員 異業種連携組合あるいは異業種提携というような形での中小企業の振興というものが非常に重要性を増しておるというのは、私どもも認識を深めておるわけでございます。今回の法律改正検討過程におきましても、この異業種連携の場合には、御指摘のようにオルガナイザーに相当する組合員の持ち口数をウエートを大きくして、例外的な措置を盛り込むべきではないかということも真剣に検討したわけでございます。  ただ、今回の改正は、世代交代等に伴います一般的な、一般法としての組合法改正を取り上げるということで、このような異業種連携に対する振興策というのは、五十九年度予算にも盛り込まれておりますように、技術対策費でございますとか、あるいは金融措置でございますとか、そういう面でいろいろな振興策をとることによって、現状では振興を支援をするという形でこれを進めるということで一つの割り切りをしたわけでございます。  当然のことながら、一般的な今回の三五%までの例外枠につきましては、この要件に該当する限り異業種組合にももちろん当てはまるわけでございまして、その限りでは異業種組合も活用できるわけでございますけれども、本来的な異業種組合振興策としての持ち口数の例外ということにつきましては、異業種組合あるいはベンチャービジネスの振興策という形で、この組合問題を取り上げる際に検討しようということで、今後の検討課題ということで残させていただいた経緯があるわけでございます。
  147. 横手文雄

    ○横手委員 確認をいたしますけれども、この百分の二十五から三十五に緩和するというのは、脱退者が出た場合に、極めて狭い範囲内で限定をされているわけでございますね。長官は今、私が先ほど述べましたようなことも今後は考えられることだというお答えでございますけれども中小企業庁の頭の中には、今後これらの異業種による組合の発生も容易にあり得る、その場合にはそのオルガナイザー的な組合員も必要であろう、その中にまたその組合の発展の道がある、こういった組合もあってもいいではないかということが根底にはある。しかし今回は、当面、脱退者によって困ったという声がいろいろなところから起こってきたから、それのみをフォローした、こういうことであって、将来的にはかくのごとき展望も持っておりますというのが通産省のお考えでございますか。
  148. 中澤忠義

    中澤政府委員 今回の改正で予定しておりますのは、脱退者が出た場合あるいは組合を合併した場合というような形で、要件としては、その組合員の脱落あるいは吸収合併というような際に、結果的に百分の二十五を超えて三十五まで口数比率が伸びることを認めたわけでございます。しかし、そのような形、これは一般的な形でございますけれども、ただ結果的には中核になるような組合企業が他の組合員の口数を引き取るというようなことがこの形で認められるわけでございまして、部分的にはいわゆる中核オルガナイザーの果たす役割が認められるという、結果的な効果があるということを先ほど触れさせていただいたわけでございます。  御指摘のように、異業種組合自身の例外を設けるということを目的の中央に据えた改正ではないということでございまして、この問題は、現状ではもろもろの振興策を通じて異業種組合の振興を支えていきたいというのが私どもの現在の立場でございます。
  149. 横手文雄

    ○横手委員 私が申し上げておりますのは、御答弁の中にもありましたように、三五%までは認めるということでございますけれども、それはオルガナイザー的な組合が出てくる可能性があるからということではなくて、今回の法改正は、脱退者がおった、あるいはだれかと合併をした、したがって、やむを得ずというのがその根底であろうと私は思うわけでございまして、そのような中核的なものを核としたこれからの組合づくりというものも発生するということは容易に予想されますので、そのようなことを今後の課題として検討していただきたいということを申し上げたのでございまして、今後そのようなことも考えられると思いますから、どうかそういった点についても御配慮をいただきたいというぐあいに御希望を申し上げておきたいと存じます。  次は、員外利用制限緩和についてであります。  組合が所有する運動場、体育館、これらは一般開放しても員外利用としてカウントしないということで、これまた当然のことでございましょうが、組合員による共同施設の利用率が低く、利用コストが高くなるので、組合事業の適切な運営を図るためには、一時的に共同施設の利用者の範囲拡大し、組合員以外の者による利用に依存する割合を高めることとすることが必要であるということで、一つは、団地組合の場合であって、そこへ全部が集結をし終わるまでの間という一定の期間、いま一つは、組合員が脱退した場合にその共同施設の利用に穴があいた、したがって新規に組合員が入ってくるまでの間ということに限定をされております。これも大変大事なことだと思います。  ただ、私は、ここに①②とございますが、③を加える必要があると存じます。その内容は、一部組合員が一時的に仕掛かり品種の変更を余儀なくされた場合、その共同施設の経営維持のために営利事業化しない一定の条件のもとで員外利用制限緩和する必要があると考えまして、この③をつけ加えるべきであると思いますが、いかがでございますか。
  150. 中澤忠義

    中澤政府委員 御承知のように、組合事業には幾つかの前提と申しますか、設立時期におきまして組合設立の目的があるわけでございます。すなわち、ある業種にかかわる事業について組合員が参加いたしまして、共同して事業を行うというような前提があるわけでございまして、員外利用なり、その組合員の資格の前提も、そのような一定の前提のもとにスタートしておるわけでございます。  ただいま例示として挙げられましたような、組合員が営利目的でないにせよ、一定の品種と申しますか、従来の事業を変更して、組合のいわゆる事業内容から離れていくというような場合には、員外利用の制限というものが該当するのではないかというふうに判断されるわけでございますけれども、私ども、法案作成の段階では、そのような事例が数多くあって、改正一つの項目にするというような提言が幅広くございませんでしたので、今回の中には取り上げてございません。具体的な事例がございますれば、何か別途の方向でそれを救えないものかどうか、よく御協議申し上げたいと思います。
  151. 横手文雄

    ○横手委員 それでは具体的な例を申し上げます。  前回四月三日の織工法の一部改正の際にも申し上げたことでございますけれども、例えば福井県の織物関係であります。ここはかつてジョーゼット、つまり薄物の強撚糸物が大変好況でございました。したがって、協同組合が設立をされて、強撚糸、強いよりをかける共同施設がつくられました。そして、幾つかの組合員が寄って当然つくられたことでございます。組合員はその強撚糸の施設を利用して機を織っておりました。  ところが、昨年アメリカでこの強撚糸物が大変ブームを呼びまして、売れに売れた。したがって、アメリカでもこれを始めようとした。ところが、日本の技術に勝てないということで彼らなりに試算をして、日本の品物は、この薄手のものは実に二〇〇%のダンピングである、こういったような提訴をいたしました。そして、その後日米交渉が行われて、現在は我が国が輸出量の自主規制をいたしますということで、その問題は決着はついたのでございますけれども、アメリカ向けのジョーゼットの輸出はばったりととまりました。そこで、その組合員の一部の人は、とてもそれでは食っていけないということで、かつてやっていた平織りに一時避難をしなければならないということになったのであります。  しかし、中東向け等については多少まだ薄手のものは出ておりますから、この地域では強撚糸の織物はまだ一部残っております。したがって、その組合員が品物を変えざるを得なかったということで、よその撚糸業に頼まなければならない。その間、ほかの薄物をやっておられるところがしばらくその撚糸機を貸してもらうということに相なります。しかし、強撚糸物から一時撤退をされた方は、これはまた必ず帰ってこられるのであります。  これは専門家の見方がいろいろございますけれども、秋口にはまたあの薄物はブームとまで行くかどうかわならないけれども、好況になるであろうということが予測をされます。そういう事態になってまいりますれば、その人はまたもとの仕事に戻りますから、当然のこととして、自分たちがつくっておる自分の組合の共同施設を利用するということに相なります。したがって、脱退はしません。  先ほども申し上げましたように、一時仕掛かりの品物を変更せざるを得なかった、こういう現象が起こっているわけでございますが、ただこれが一月や二月ぐらいだったら、年間を通じて員外利用の二〇%の中に何とか入るということでございますが、あのようなものについては大体半年から一年ぐらいの波があるわけでございますから、その間は員外利用がふえてしまう。そしてその組合に対して、厳密に言うとペナルティーが科せられてしまう。一体全体どうすればいいんだろうという悩みが現実にあるわけでございます。  これらの人たちに対して、脱退ではございません、帰ってくるわけですから。このような業界に対して、このような組合を救済する道というのは全く閉ざしてしまうのでございますか。この質問でございます。
  152. 中澤忠義

    中澤政府委員 ただいま実態を伺いますと、まことにやむを得ないと申しますか、経済の現状といたしましては、組合が事実上のニーズに合わせてそのような員外利用を図るという実情はよくわかるわけでございます。わかるわけでございますけれども、今回の組合法改正によります員外利用の性格は、先ほども申し上げましたとおり、団地組合の立ち上がり期、あるいは組合員の脱退を生じた場合などによります員外利用の緩和を前提としておりますので、ただいまお話しのように、脱退をしたわけではなくて、共同施設の利用を一時休止するような場合に、そのすき間を員外利用に充てるというような場合は想定しておらないわけでございます。したがいまして、今回の要件にはただいま御指摘のようなケースは当てはまらないというふうに申し上げざるを得ないわけでございますけれども、これはまたよく検討させていただきたいと思います。  それらの組合がそれぞれ共同施設を持っているというような場合に、組合の施設の相互利用という問題でございますと、仮にその組合同士が連合会を組織いたしまして、その連合会の中での共同施設利用というような形をとることができるとすれば、そのような形で対応が可能ではないかと思うわけでございます。もちろんそれには付随するいろいろな問題も出てくるわけでございますので、一概に断定はできませんけれども、仮に解決するとすれば、そのような形で解決するのが一つの便法と申しますか、方途ではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今回の改正には残念ながら形式的には該当いたしませんが、具体的な問題に即しましてまた十分検討させていただきたい、かように思うわけでございます。
  153. 横手文雄

    ○横手委員 中小企業庁長官としての発言では、それ以上のことはなかなか出てこないと思うのですけれども、現実にそういった悩みを持っておられますし、私も見てまいりました。ここはまさに日米繊維交渉の問題、あるいはかの国の不当な、理不尽な二〇〇%のダンピング税をかけるぞ、こういったことが発生をして一時的に輸出が全部とまってしまった、せっかく持っておる強撚糸の共同施設を使えないわけでございます。それを今長官は、共同施設の利用を拒否したとおっしゃいますが、拒否したのじゃないのです。転換せざるを得なかった、こういう実態が現実にあるわけでございます。  冒頭にも、前回の織工法の一部改正のときにも申し上げたことでございますけれども、そのような業界の皆様方の実態を十分に掌握しながら、弾力的運用によってこの法律を生かしていくという道があってもいいではないか、このように考えますが、大臣、いかがでございますか。
  154. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 私もいろいろな商売を経験してまいりましたけれども、そういう仕事の中では想像もつかないような場合でございまして、貿易上のいろいろな問題もそこに挾まっておりますが、非常に難しい問題であると思います。弾力的な対応ということでそれができるものかどうか、にわかに判断は難しいところでございますが、今後の問題として早急に考えてみなければならない問題であることは確かだと思います。
  155. 横手文雄

    ○横手委員 大臣、くどいようでございますけれども、もう一遍お伺いをいたします。  一遍考えてみなければならないことだろうなということでございますけれども、現実に、アメリカのダンピング提訴によって一時的にとまってしまった、その人たちの共同施設を遊ばせておくわけにいかないから、まだ一部では、ジョーゼットが織られておる、強撚糸物がある、その仕事をしばらくでもとってくるということになれば、組合法に反するから、これを捕まえるというのが大臣答弁であるのか。そうではなくて、いずれにしてもその人たちは、ことしの秋ごろにはまた調子が戻ってくるであろうということが予測をされているわけですから、帰ってくるまではそれは仕方がないことだ。だから、冒頭申し上げましたように、営利を目的とするということではなくして、一定の条件下にある場合にはということで、大臣として、多少窓口を広げてみるということはあっていいのではないかと思いますが、どうですか。
  156. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 事務的に答弁をしてもらっている間に考えましょう。ちょっとお待ちください。
  157. 中澤忠義

    中澤政府委員 非常に個別、具体的なケースでございます。やはり員外利用は二〇%までは利用可能ということでございますので、このようなケースの場合、年間通じてその二〇%の範囲内におさまらないものかどうか、かつ、その組合同士が相互に交換するというような場合でございますと、連合体としての組合を組成するというような形で解決ができないものかどうかということが判断の前提になると思うわけでございますけれども、やはり組合法の原則として二〇%の員外利用の限定ということがあるわけでございますので、実情としては同情すべきケースではあると思いますけれども法律の運用上、範囲を超えて員外利用を認めるということを、容認すると申しますか、弾力的な運用の範囲内で考えるということを政府の当局として申し上げることはできないというふうに考えておるわけでございます。
  158. 横手文雄

    ○横手委員 私は、事務当局の責任者としての長官の御答弁はそこから先はなかなか出ないであろうということを承知しておりますが、それを今度は大臣、いかがですか。
  159. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 その業界が一時的に大変な利益を上げたことは確かなんですね。その大変な利益を上げた時点でもってダンピングということで提訴された。そして一時仕事から撤退あるいは中断というような状態である、しかし秋ごろにはまたかなりな利益を上げられるという予測が確実に持たれているわけですね。それは確かですね。  そういう中でもって、今中小企業庁長官が述べたように、法的な範囲内でもってそれがどう救えるかということは、極めて希有な例であるだけに、私は先ほどにわかに判断しがたいと申し上げたわけでございますが、この場では、長官の言ったような、法の範囲でどのような適用が可能であるか、それは弾力的な措置でこれを行うとはいうものの、今しばらく考えてみなければならないということは御理解願いたいと思うのです。
  160. 横手文雄

    ○横手委員 今大臣の御答弁の中にございましたが、私は、現実にその実態を見てきたときに、秋に必ずよくなる、そしてまた活況を呈するであろうという予測が一部にあるということなんですね。だから、せっかくつくった共同施設であるけれども、一時的にその製品からの撤退を余儀なくされた。これはみずからの責任ではなくて、そういった外的な大きな要因によって余儀なくされたというような人たちに対する配慮というものをぜひお願いを申し上げておきたい、そのことを強く御要望申し上げます。そして、大臣きっとやっていただけるに違いないという希望を残して、次に入ってまいります。  次は、この法律案の中に盛られていないことでございますけれども、特に業界の皆さん方から要望として出ておるものが幾つかございますが、それをまとめて申し上げてみたいと思います。  一つは、組合員の自由脱退の制限、これも憲法上いろいろな問題があると思いますけれども、しかし、みんなでやろうということで決意を固めてやったわけでございますから、それが残った人たちに迷惑がかかろうと、どうしようと、これは全く自由でございますということで抜けていかれたのでは、後に残された人は、あれはもう脱退は自由だから仕方のないことだということであきらめがつかない、何かしら裏切られたというようなものが残ってしまうということがあるということを聞いております。  したがいまして、その抜けていく者に対して手かせ足かせをはめるというのも大変な問題だろうと思いますが、脱退への一定の制限をする、例えば他組合員の持ち分の譲渡をきちっと済ましてから脱退をしなければならないというような、一部の制限を加えるべきではないかという意見一つ。  それからいま一つは、これは大臣にお伺いを申し上げたいのでございますけれども、この協同組合中小企業組合をつくる場合には、すべて都道府県がその指導に当たっているわけでございますけれども、大蔵省、運輸省の所管する業種に属する組合については、いわゆる他業種との合併についてもそれが県知事の範疇にない。これは二カ所にそのことを出さなければならないという非常に煩雑なことがある。なぜこの二つだけそういうことをしなければならないのだろうかということで、組合設立の皆さん方に対して大変不自由なことになっておりますが、ほかの省庁がすべて都道府県にそのことを譲渡されているということであるとするならば、この二つの省も同じような歩調をとられるべきではないかと思いますけれども、きょうは大蔵大臣、運輸大臣おられませんので、通産大臣としての御見解をお伺い申し上げておきたいと思うのであります。  それから、組合員の生前譲渡制の導入については、この道を開こうということでございますけれども、ただ、組合員の方が年とられた、いわゆる身体に故障が起こった場合には、その後継者である息子なり、あるいはその人たちに生前に譲渡しておこうという道を開くということでございますが、その息子さんがまたそこへ帰ってこないというような場合もよくあるわけでございます。そのときには最も優秀な従業員の人であっても、そういうことがあってもいいではないか、こんな要望が出されておりますけれども、それも一つの理屈だと思いますが、これに対する御見解はいかがでございましょうか。  もう時間も参りましたので、以上まとめてひとつ御答弁お願い申し上げます。
  161. 中澤忠義

    中澤政府委員 組合員の自由脱退に対して何らかの制限をしてはどうかという点でございますが、確かに組合の一体性の保持をしていくという観点からいたしますと、安易に組合を脱退していくということにつきましては、これを何らかの制限をしてほしいという組合員の要望が強くあるということは私どもも承知しておりまして、この点についても今回の検討の対象にはしたわけでございます。  ただ、これを検討しました結果、やはり組合に対します加入、脱退の自由という問題につきましては、相互扶助を目的といたします人的結合体である組合の場合には、これの自由というものが基本的な大原則であるということでございまして、これを制限することは、先ほど先生も御指摘になりましたけれども組合制度上も困難でございますが、憲法上の問題、疑義も生ずるということで今回の改正からは除外したわけでございます。この問題は、組合として自主的にそのような形で人的結合を強固にしていくという方向で解決していただきたいというふうに念願しておるわけでございます。  次に異業種組合の所管行政庁の問題でございますけれども、御指摘のように、大蔵省所管業種及び運輸省所管業種につきましては都道府県知事に対する委任が認められておりません。したがいまして、これらの業種を含みます異業種組合ができます場合には、県知事とそれぞれの所管庁に申請をせざるを得ないということがございまして、その簡素化の要望が出されております。これらの問題につきましては、異業種組合ケースの場合には、組合の中の業種構成が必ずしも安定的でないというような場合もあるわけでございまして、そうした問題点を含めまして、関係省庁には問題点の指摘を含めまして引き続き検討していきたいというふうに考えております。  最後に、協業組合組合員に対しまして、組合員資格の承継の問題でございますが、御承知のように協業組合の場合にはその組合員は当該事業を行っておるということが前提になっておりますので、この生前贈与を認めましたのは、将来その事業を継承すべき推定相続人にその例外の道を開いたということでございまして、その事業を行っておりません、いわば従業員の方に組合員資格を与えるということにつきましては、協業組合性格上、その道が開けないわけでございます。その点は御了解いただきたいと思います。  ただ、そのような方につきましては、組合員としての資格は与えられませんけれども、員外役員というような形で組合事業に実質的にその中核として執行能力を生かしていただくというような形で、組合に参加していただくという道が開かれておるわけでございまして、従業員の方あるいは組合員以外の職員の方につきましては、そのような形で協業組合への積極的参加の道を期待するというのが私どもの現在の判断でございます。
  162. 横手文雄

    ○横手委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  163. 梶山静六

    梶山委員長 小沢和秋君。
  164. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに二問ほど大臣お尋ねをしたいと思うのです。  今回の改正の対象になっております組合法団体法を初めとして、中小企業基本法など、いろいろな法律に基づいて政府としては今日まで鳴り物入りで中小企業対策を進めてきたわけですけれども、現在どういう状況か。これは私が多く語るまでもなく、戦後最大の中小企業倒産、あるいは大企業に比べて付加価値生産性などが大きく立ちおくれている、こういったような経営難がだれの目にも見える状況だと思います。一体、いろいろ施策を講じてきたにもかかわらずこういう状況であるのはなぜか、この点について政府としてどのような反省をお持ちかということをまずお尋ねしたいと思うのです。
  165. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 中小企業が、自主的な努力と国及び地方公共団体の施策の効果が相まちまして、戦後の我が国経済の発展を支える大きな力として成長してきたことは御承知のとおりでございます。  しかし、最近に至りまして国民ニーズの多様化であるとか、高度化あるいは技術革新の進展等の新しい環境のもとで、技術力の向上であるとか、人材の育成であるとか、情報化への対応等、いろいろな問題に直面してきたことは事実だと思うのです。したがって、政府といたしましては、今後中小企業がこれらの課題にどう対応していくか、どう積極的にやっていくかということを考えながら施策を展開していく所存でございます。
  166. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今大臣が言われた、中小企業が困難に逢着している原因として、ニーズの多様化とかいろいろ挙げられたのは、今までも言われてきた問題じゃないでしょうか。それを突破できなかったという点では、やはり政府として今日の事態について責任を感じていただかなければならぬと私は思うのです。  こういう危機の中で組合活動も非常に沈滞してきて、私が調べてみたところでは、新設数はどんどん減っているし、休眠組合数がふえている、こういう状況になっているわけですね。  商工中金の調査部に伺ったところによると、組合設立数は昭和五十年ごろは年間千五百六十九件ぐらいあったのですが、年ごとにずっと、見事なぐらいに減り続けて、昭和五十八年度は六百八十三組合、半分以下に減ってきている。これはやはり組合活動などが沈滞しているということのはっきりしたあらわれだと私は思うのです。今回久しぶりに本格的な改正をやるということになるならば、こういう沈滞している状態を再活性化することが、だれが見てもなるほどと言えるような改正でなければならないと思うのですが、今回の改正によって、法律目的として明記されております中小企業の公平な経済活動の機会確保とか、経済的地位の向上などが本当に実現できるのかどうか、私は甚だ心もとない気がするのです。大臣、いかがでしょうか。
  167. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 確かに国民ニーズの多様化とか技術革新に対応するためにということは今まで言ってきたことでございましょう。しかし、このような変転目まぐるしい経済情勢の中で、五年前の国民ニーズの多様化あるいは技術革新と、今の時代の国民ニーズの多様化とはまた相当な開きがあるわけでございます。したがって、そのような考え方のもとにこの法改正をするということでございますが、その法改正が果たして実態にこたえるためのものであるかというような疑問を委員はお持ちのようでございます。  しかし、これは政府としても通産省としても、そのような業界の要請あるいは希望というものをかなりきめ細かく配慮し、またそれを聞いた上でのものでございますから、私どもはそれほどいわゆる冷たいものであるというような判断はしておりません。むしろ温かい配慮を施したものであるということを御理解願いたいと思うのでございます。
  168. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、業界の要望に基づいて今回の改正を行ったというふうに言われましたが、私も確かにそうだろうと思うのです。つまり中小企業で転廃業者が相次ぐとか、あるいは後継者が不足しているとか、こういうように非常に困難な中で、例えば組合などで言えば脱退者などが相次いで、組織の維持にも困難を来しているというような状況の中で、何とか組織を維持するためにこういうふうに改めてもらいたいというような要求が今度反映されたということではないかと私は思うのです。だから、そういう意味では現状追認的なものが大部分で、なるほどこれは積極的に組合活動を活性化させるだろうというようなものは、今回の改正の中では甚だ少ないのではないかと私思うのです。中には、そういう改正であることはわかるけれども、やはり危惧の念を感ぜざるを得ないものもあるわけです。  先ほどからお話が出ている出資持ち口数を、従来の百分の二十五から百分の三十五まで認める。これもいわゆる脱退者とか、あるいは合併などというような例外のときの措置だということになりますけれども、やはりこれだけ特定の組合員が持ち口数を多く持つというようなことが認められてくると、一人一票だ、そういう点で平等だというふうに言っても、現実にそれだけ持ち口数を持っておるということの重みは無視できない。どうしてもそういう特定の組合員の影響、悪く言えばボス支配といったような状態が強まってくるんじゃないだろうか。こういう点について歯どめがあるかどうか。  先ほどからのお話では、いや、むしろこの機会に積極的にオルグというかリーダーというか、そういう持ち口数を多く持った人が役割を果たすということになれば、それはそれでいいんじゃないかというふうに言われたようにも思いますけれども、私は、それは協同組合法から一歩踏み出しちゃって、例えば協業組合とか、あるいはもう会社などに実体としてはなっていくということになって、それは協同組合の分野からははみ出しちゃうのじゃないかと感ずるのですが、その点いかがでしょうか。
  169. 中澤忠義

    中澤政府委員 ただいまの御指摘の前に、組合法の今回の改正組織化の活性化に通じないのではないかという御質問もあったわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、今回の改正のみで組織化の強化を図るということではございませんで、五十九年度予算、財投等を通じまして約四十億円の指導事業の強化あるいは新しいマーケティング事業の強化あるいは新規の組合の開発事業に対する助成というものを用意しておるわけでございまして、そういうような振興策と相まちまして組合事業の活性化を図っていきたいと考えております。  ただいま御質問の、出資持ち口数制限緩和した場合に、組合の原則を逸脱して、いわゆる特定の者のリーダーシップにゆだねられるのではないかという御懸念でございますけれども、今回の改正におきましても、組合員が現行の出資口数限度を超えて出資口数を持つと認められますのは、組合財産の維持の見地から真にやむを得ないという場合に限りまして、総会の特別の議決に基づく組合の承認を経ることを条件として認めるわけでございます。また、それと同時に、組合活動の円滑化と組合の民主的運営の調和を図るという観点もあるわけでございまして、組合運営制度上一人一票制の原則というのは確保されておりまして、そういうような点から申しましても、組合運営が相互扶助の原理原則に基づいて今後も継続されていくということは十分に担保されておると確信しておるわけでございます。
  170. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、企業組合やあるいは協業組合などの今回の改正、これは私もやむを得ないことだと思うのですけれども、例えば企業組合などで員外監事を認めるということになるわけですが、そうすると取引先の大企業などが人を送り込んできて、経営状態などが握られてしまう、そういう組合の自主性とか自律性を損なうような事態が起こらないかという懸念を私は感ずるのですが、そういう点での歯どめがあるかどうかということをお尋ねしたいと思います。  それから、企業組合の多くが今経営的に非常に困難で、年ごとに組合の数も減少していることは事実が示すとおりでありますけれども、その大きな原因は、協同組合の中でもまま子扱いされて、金融や税制などで差別されているということがその原因になっているというような意見も私聞いたんですけれども、少なくとも他の協同組合並みに扱いを改善するというようなことはこの機会に考えられないかどうか、お尋ねします。
  171. 中澤忠義

    中澤政府委員 員外監事の問題でございますけれども、員外監事の選任につきましては、今後とも組合員によります選任によってこれが任命されるということでございますので、御懸念のような大企業からの介入と申しますか、影響力につきましては、今後とも心配はないというふうに考えます。むしろ、専門的な知識を有する監事が選任されることによりまして、今後は組合運営がより適正に行われるということが担保されていくというふうに考えております。  また、企業組合の金融、税制上の扱いでございますけれども、金融上の取り扱いにつきましては、事業協同組合等と同様に政府系の金融機関あるいは他の制度融資等の対象として平等に扱われているというふうに承知しております。  また、税制上の問題でございますけれども、これは事業協同組合組合として低率の法人税等の扱いを受けておるのに比べますと、企業組合協業組合というものが一つ企業体としての性格を有するという、法人としての性格組合法上位置づけられておりますので、通常の中小企業者に対する優遇税制が適用されておるというのが現状でございますけれども、これは私どもといたしましても、できる限り同じ扱いが与えられることが好ましいと考えておりまして、例年、この税制要求の段階では、事業協同組合並みの扱いをとりたいということで要求をしておるという状況でございます。
  172. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 最後のところは、それでは一層努力をしていただくということでお願いをしておきたいと思います。  債務保証事業範囲拡大とか、組合施設の員外利用制限緩和とか、あるいは火災共済の員外利用枠の拡大とか、こういうようなことはそれなりに積極的な改正だとは私も思うのですが、現実にそういうようなことによってどの程度組合が活性化していくであろうかという点で、私、一つお尋ねしたいのです。  例えば債務保証などは今までは金融についてだけ組合保証することができたわけですが、私が実態をお尋ねしたところ、組合保証すると非常に危ないというので、近ごろはもう連帯保証などほとんどしない、組合としてはせいぜい同意書を出すという程度にしているというようなところが多いようなんですね。この上さらに、そういうような弱体の組合が、工事や原材料代金などの保証までやろうかという組合はそう多くないんじゃないかと私は思うのですが、実際にこういう改正がやられたらこれくらいの組合がやろうとしているという割合などをつかんでいらっしゃいますか。
  173. 中澤忠義

    中澤政府委員 まず、金融債務に対する保証について、組合がそれほど多くの実態がないのではないかという御設問があったわけでございますけれども、私どもが把握しておるデータによりますと、約二割の組合金融機関に対する保証につきまして、これを定款上規定しておるという実態があるわけでございます。  また、今後拡大する債務保証について、現実的にどのくらいのメリットと申しますか、効果があるかという点でございますけれども、私ども定量的にどのくらいの事業量がふえるというようなデータを数字的に持ち合わせておるという状況ではございません。  ただ、組合等からのヒアリング等によりますと、建設業等につきましては、地方公共団体等々からの発注に際しまして、組合保証があれば組合員に対して発注するというようなケースが相当あるというふうに承知しておりまして、私どもとしては、この保証業務の拡大組合員仕事の実現に対して効果が出てくるということを期待しておるわけでございます。
  174. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 あとの時間、この機会に、中小企業組合の活動を強化するという点で、私の希望も含めて幾つかの質問をしたいと思うのです。  一つは、官公需適格組合の問題です。昭和五十五年、前回の法改正時に本委員会で協同組合などの官公需の受注機会の増大が決議されております。ここ数年適格組合がどれくらい増加し、官公需がどれだけこれらの組合発注されたか、政府としてこれをふやすためにどういう努力をしているか、これについて簡潔にお答えください。
  175. 中澤忠義

    中澤政府委員 官公需適格組合実績でございますが、昭和五十三年度と五十七年度の五カ年間を比較いたしますと、適格組合の数で申しまして、昭和五十三年の二百八十六組合から五十七年には四百四十三組合にふえております。  それから、受注額につきましても、二百五十九億円から六百三十三億円というふうに倍増以上の実績を示しております。相当な効果が上がっておるというふうに考えます。  また、この利用の促進についてでございますけれども、適格組合発注拡大につきましては、各発注機関に対しまして、この制度の周知徹底を毎年通達しております。また、中小企業庁といたしましても、中小企業側の努力を促進するという意味合いから、中小企業団体中央会を通じまして業種別の受注対策事業あるいは官公需問題懇談会の開催というような形で情報の提供に努めておりまして、いろいろな形でこの適格組合の活用が図られるように促進しておる次第でございます。
  176. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、組合数も受注額も大きく伸びているというお話で、それはそれなりに努力が行われていることは私は評価したいと思います。しかし、我々が今回聞いているところでは、適格組合をつくって一生懸命回るけれども、例えばある組合の場合は、毎週一回ずつ二年間住宅公団に通って、ようやく初受注に成功したというような話もある。まだまだ簡単には受注できるような状況にない。だから、さらに努力お願いしたいわけです。  今あなたが、官公需適格組合の助成策の第一に、業種別の受注対策事業ということで、専門家などを派遣して指導をしているというようなことを言われたわけですけれども、この指導者を派遣している組合の数あるいはそのために全中に出されている補助金の額などを見ると、補助金はここ数年ずっと二千六百万四千円で頭打ちでしょう。それから指導組合数も大体二十前後のところでずっと推移しておって、ほとんどふえたりしていないのじゃないですか。今言われたように組合の数が随分大きく伸びて四百を超しているというような中で、指導組合は二十くらいのところをうろうろしている。これが第一の助成策であるというのでは、大変立ちおくれているとしか言いようがないのじやないかと思うのです。この点のもっと積極的な努力お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  177. 中澤忠義

    中澤政府委員 御指摘のように、予算的なレベルにつきましては、おおむね各年度平準的な形で推移しておりますけれども、この組合致につきましては、二十六組合の適格組合を対象としておりますけれども、その指導対象は随時年度ごとにこれを巡回して回っておるわけでございまして、そのような積み重ねが適格組合実績の向上に大きく貢献しておるというふうに考えております。  また、この適格組合の活用につきましても、基本的には発注者側からの情報の提供、組合に対する姿勢というのが一番基本でございまして、そういう意味では、例年の閣議決定の際に、各政府機関に対しまして、地方の組織を含めましたところの発注情報の提供を適格組合あるいは中央会に行うようにお願いしておるわけでございますし、また、先ほど申しましたように、組合側につきましても中央会等を通じまして情報の提供を行うという形で、そのような両面の指導を十分強化するという形で実績を上げておるわけでございます。今後ともこの方向によりまして適格組合の活用が図られていくように指導してまいりたいと思っております。
  178. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、下請組合の問題でちょっとお尋ねをしたいと思うのです。  我が国では、もう私が言うまでもなく、製造業の中小企業の三分の二が下請と言われているわけです。この下請業者が協同組合などを組織しているケースもかなりあります。今、親企業がみずからの合理化のために下請を再編成して、かなりの部分を切り捨てたり、あるいは単価を切り下げたり、発注量の削減を行ったりというような事例がいろいろ出てきているわけですけれども、こういうしわ寄せを防ぐ上で下請の組合の活動を一層強化すべきでないかと思います。  この点で一つお尋ねをしたいと思いますのは、中小企業等協同組合法の第九条の二に、つまりこれらの協同組合などの事業一つとして、「事業協同組合又は事業協同小組合組合員と取引関係がある事業者」、これは親企業というふうに読むことができると思うのですが、この事業者は、団体協約を締結するため交渉したい旨の申し出を受けたときには、誠意を持ってその交渉に応じなければならないということが規定をされているわけです。これはなかなか注目すべき規定だ、ぜひ活用しなければならぬと私は思うのですけれども、実際にはほとんど活用されていないのじゃないですか。それはなぜか、その点をお尋ねします。
  179. 中澤忠義

    中澤政府委員 ただいま御指摘の点は、下請中小企業振興法に基づきます振興基準という形で、親企業者と下請団体あるいは下請事業者との取引関係を明確にするという形で、詳細な点に至るまで基準が設けられておりまして、この周知徹底が親企業者の方にもよく行き渡るように、行政当局としても指導しておるわけでございます。下請取引の改善につきましてのいろんな講習会あるいは適正化月間も設けておりますし、下請振興協会というものも各県に置かれておりまして、このような組織を通じまして、下請取引の振興につきましても従来から意を用いておるところでございます。
  180. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 こういう条文があることは周知徹底を図っているというふうに言われましたし、この協同組合法の根本的な特徴ということで、本委員会の調査室がつくった資料の中でも、第四として、中小企業関係で初めて団体協約の締結権を認めだということを指摘しているほどでありますけれども、実際にこれがほとんど活用されないというのは、こういうことを親企業などに申し出た場合には、場合によるとその中心的な幹部の会社は発注打ち切りなどを覚悟するくらいの決意がないと、こういうこと自体も申し入れたり交渉もできないという現実の力関係があるからじゃないでしょうか。そういう力関係のギャップをどう補って、実際にこれを機能させるかという点で、政府としてもっと努力が要請されているのじゃないかと思うのですが、重ねてその点をお尋ねします。
  181. 中澤忠義

    中澤政府委員 下請関係の振興という点につきましても、この協同組合等組織化というものが大きな貢献をするということは、私どもも同じような認識を持っております。そのような意味で、振興基準の中におきましても、親企業者と下請団体との関係につきまして明確な振興基準等を設けておるわけでございます。  私どもの最近の調査によりますと、日本の経済構造の中におきます下請の比率及びその実績というものはむしろ逐年向上しておりまして、トータルとしての下請関係を見ました場合にも、日本の経済構造の一つの特色として、この下請関係が大きな効用をなしておる。むしろ下請の健全な発展が次第に定着しつつあるというふうな認識を持っておるわけでございます。
  182. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうも私が聞いていることに的確に答えていただいているような感じがしないのですよ。こういう下請業者が組合組織されているその力で親企業と本当に対等に話し合って、自分たちが不当なしわ寄せを受けたりしないようにしていく上では、やはり政府がそれなりに、そういう事業者たちの活動を守っていくという毅然とした姿勢を示すことが必要じゃないかと思うのです。  同じようなことを私は下請代金支払遅延等防止法の運用でも感ずるのですよ。この法律で下請業者の方が、自分のところでなかなかきちんと支払いをしてもらえないということで、訴えをしたりすることができるように道は開かれているのです。ところがそれがどれくらい件数があるかと聞いたら、年間に十数件ぐらいじゃないかと思うという話が先ほどありました。これだけ膨大な下請企業があり、そういう下請企業へのいろいろなしわ寄せが社会的に大きな問題になっているくらいなのに、何で十数件しかそういう話がないかといったら、そういうことを申し出るということは、場合によったらその仕事を棒に振るかもしれぬという懸念を感じているからじゃないかと私は思うのですよ。だからその点でも、私はもっと政府が毅然として対処をしていただきたいと思うのです。  先ほどいただいた「下請代金支払遅延等防止法施行状況」というのを拝見しますと、疑いのある事業所数も年々ふえていっている。これで昭和五十三年と五十七年を比較しますと、七割ぐらいふえている。ところが、立入検査など具体的な手を打って指導をしたという件数の方は、五十三年の千六百十二件が五十七年には二千百五十三件と、三五%ぐらいの増にとどまっている。つまり、違反しているのじゃないかという件数の方は七割くらいふえているのに、こっちの方は四割にも満たないくらいの伸びということは やはり政府の姿勢に甘さがありはせぬかということを私は感ずるわけです。そういう点で、政府の一層厳しい対処をお願いしたいと思うけれども、それがどうか。  時間が来たようですから、あと一問だけ簡単に言いますが、商工中金の融資について今度いろいろ聞いた中で、金利が高くて手続ばかりが面倒で時間がかかるという、大変な悪評を耳にしているわけです。銀行なら二週間ぐらいで借りられる運転資金が一カ月半から二カ月もかかるというようなことを聞いたわけですが、これは改善することが利用者のためにぜひ必要でないかと思うのです。その指導考え方について最後お尋ねをして、終わりたいと思います。
  183. 中澤忠義

    中澤政府委員 下請取引の適正化につきましては、下請代金支払遅延等防止法によりまして確実な実効を期しておるところでございます。五十九年度におきましては、調査事業所数も悉皆調査ということで五万六千件を対象とするということにしております。  先ほどの数字でございますけれども、先生が御指摘になりました二千百二十四件というのは即時改善等の数字かと思います。立入検査数につきましては、五十三年から五十七年に対しまして千二十六件から千六百二十件ということで、約六割の増加をしておるという状況でございまして、下請取引の適正化につきましては従来同様十分な意を尽くしてまいりたい、かように考えております。  次に、商工中金の申し入れ状況、それから業務の状況でございますけれども、商工中金の融資の実態を見てまいりますと、既往の取引先に対しまして通常一日、二日程度の期間で貸し付けを行っておりますし、新規の取引先の場合につきましても、通常二、三週間程度で実行をしております。商工中金におきましては、これまでも支店長決裁というような形で審査の迅速化を図っておりまして、業務の改善には努めております。私どもといたしましても、商工中金を含めまして政府系の中小企業金融機関の融資手続の迅速化につきましては、今後とも十分指導してまいりたいと思っております。
  184. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  185. 梶山静六

    梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  186. 梶山静六

    梶山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  187. 梶山静六

    梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  189. 梶山静六

    梶山委員長 次回は、明後十三日午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十二分散会