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1984-09-27 第101回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年九月二十七日(木曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 天野 光晴君 理事 今井  勇君    理事 田中 恒利君 理事 中村  茂君    理事 薮仲 義彦君       鹿野 道彦君    菊池福治郎君       佐藤  隆君    笹山 登生君       塩島  大君    近岡理一郎君       西山敬次郎君    山岡 謙蔵君       若林 正俊君    兒玉 末男君       細谷 昭雄君    斉藤  節君       中村  巖君    宮地 正介君       安倍 基雄君    伊藤 英成君       菅原喜重郎君    中川利三郎君       林  百郎君  出席国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    大橋 哲郎君         国土庁長官官房         審議官     勝村 坦郎君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         大蔵省大臣官房         企画官     北村 歳治君         国税庁直税部審         理室長     森田  衞君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省社会局施         設課長     荻生 和成君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         林野庁業務部業         務第一課長   塚本 隆久君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     吉沢  均君         中小企業庁小規         模企業部参事官 小川 忠夫君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      山川 宜男君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      津村建四朗君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部業務課長   品川 萬里君         建設大臣官房技         術審議官    杉山 好信君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局砂         防部砂防課長  設楽 武久君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         建設省国土地理         院地殻調査部長 春山  仁君         自治大臣官房参         事官      木下 英敏君         消防庁防災課長 島崎  実君         消防庁震災対策         指導室長    篠田 伸夫君         参  考  人         (東海大学教授)浅田  敏君         参  考  人         (東北大学教授)高木 章雄君         参  考  人         (名古屋大学教         授)      青木 治三君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ————————————— 委員の異動 九月二十一日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     林  百郎君 同月二十七日  辞任         補欠選任   上西 和郎君     兒玉 末男君   遠藤 和良君     中村  巖君   水谷  弘君     宮地 正介君   森本 晃司君     斉藤  節君   菅原喜重郎君     伊藤 英成君   林  百郎君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     上西 和郎君   斉藤  節君     森本 晃司君   中村  巖君     遠藤 和良君   宮地 正介君     水谷  弘君   伊藤 英成君     菅原喜重郎君     ————————————— 八月八日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(昭和五十九年長野西部  地震による災害対策及び地震対策)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和五十九年長野西部地震による被害状況調査のため、去る九月二十五日、長野県に委員派遣を行いましたので、この際、派遣委員から報告を聴取いたします。今井勇君。
  3. 今井勇

    今井委員 昭和五十九年長野西部地震による被害状況調査のため、議長の承認を得て、去る九月二十五日、長野県に派遣されました委員を代表いたしまして、私から調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、佐藤観樹委員長団長として日本社会党護憲共同田中恒利君、公明党・国民会議薮仲義彦君、民社党・国民連合横手文雄君、そして私、自由民主党・新自由国民連合今井勇の五名でありますが、このほか現地においては、中村茂理事、塩島大委員若林正俊委員、林百郎委員及び唐沢俊二郎議員、以上五名の参加を得まして現地の実情をつぶさに調査してまいりました。  九月十四日午前八時四十八分ごろ、長野西部を震源とするマグニチュード六・九に達する極めて大きな地震が発生し、特に王滝村に与えた影響は大きく、目を覆うばかりの惨たんたる被害をもたらしたことは、マスコミ等を通じ委員皆様御案内のとおりであります。長野西部の今回の地震に係る被害額は、九月二十四日現在で国有林関係被害を除いて百六十八億四千万円余に上り、特に王滝村の被害額は、その九三・五%に当たる百五十七億五千六百万円余の多きに達したのであります。  国有林関係被害は、これに加えて百八十九億七千万円の多きに達しているのであります。  また、人的被害につきましても亡くなられた方は九名、いまだに行方のわからない方は二十名の多きに及んでいるのであります。  我が調査団は、ヘリコプターにて被害地に赴き、ヘリコプターよりおりて、まず王滝村東地区すなわち松越地区災害状況をつぶさに遠望し、自衛隊員並びに地元方々が重機を使用しての行方不明者捜索に努力されております姿に心を痛めました。  引き続いてヘリコプター機上から被災地をつぶさに視察いたしました。御岳高原スキー場付近での土砂崩れや土石流のすさまじさ、また、伝上川濁沢川の両岸の巨大な浸食、完全に視野から消えた濁川温泉など、一たん荒れ出した自然の恐ろしさに私ども一同は身のすくむ思いをいたしたのであります。  続いて、王滝村役場に向かい、県及び王滝村、木曽町村会当局から被害状況並びに被害対策等について説明を聴取し、懇談に入り、私たち調査団地元関係者皆さんとの間で道路復旧飲料水確保問題、地震観測体制住宅問題あるいは二次災害可能性等について意見を交換してまいりました。  続いて、被災者が避難されているコミュニティーセンターを訪れ、災害の恐怖と生活の不安のただ中にある被災者皆様方の心労をねぎらい、あわせて当委員会被災地復興促進に最大限の努力を惜しまない決意を伝えてまいりました。  次に、国民宿舎御岳荘の別館を見せていただいたのでありますが、地震により建物が傾き、室内の壁は破れ、戸がゆがみ、蛍光灯の覆いが外れ、今後このままでは全く使用が不可能となった状態でありました。  続いて、村道を走り、氷ケ瀬土砂に埋まった営林署の貯木場を視察し、次いで前日、二十四日に開通したばかりの村道にかかるトンネルをくぐり、近辺の被災箇所を見てまいりました。  このトンネルは流出した土砂でかなりの高さまで埋まり、視察の前日にやっと通れるようになったもので、いかに地震の激しさと流出土砂の物すごさに驚くばかりでありました。御岳山から流出した土石によって柳ケ瀬、滝越地区に至る村道が完全に埋没しておりましたので、ここから奥に入ることができず、引き返した次第であります。氷ケ瀬においても行方不明になられた二名の発見に大勢の方々捜索に当たられ、私ども胸の痛む思いを禁じ得ませんでした。  王滝村においては観光立村を目指して地域住民の繁栄を期待していたやさきの災害でありましたため、その復興を急ぎ、道路橋梁復旧等緊急に対策を講ずべき事業が山積しております。  私どもは、被災地が一日も早く復旧されることを切望し、県、村当局並びに救助活動に長期にわたり携わっておられる方々に対し、深く敬意を表するところであります。また、今次災害で亡くなられました方々の御冥福といまだ行方のわからない方々の一日も早い発見を心からお祈りいたします。  長野西部地震による災害復旧対策に関しまして、長野県から、総合調査実施激甚災害の指定、財政の援助、地震観測体制強化土石流対策事業促進公共土木施設災害早期復旧災害復興住宅資金貸付限度額の引き上げ、林業関係災害早期復旧農地及び農業用施設災害早期復旧及び被災中小企業者に対する特別措置などの要望が、王滝村からは、行方不明者捜索・救出、二次災害発生防止地震監視体制強化生活道路確保被災避難住民の当面の生活確保及び被害に対する財政措置強化について、また、長野木曽町村会からも同様の趣旨の要望が出されました。  これらの要望事項等の詳細につきましては本日の会議録末尾に参照掲載されんことを委員長にお願いいたしたいと存じます。  最後に、本調査に御協力を賜りました長野県、長野営林局王滝村並びに関係各位に心からお礼を申し上げ、報告を終わることといたします。
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 以上で派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでした。  この際、お諮りいたします。  ただいまの報告に係る派遣地からの要望事項につきましては、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。〔要望事項本号末尾に掲載〕
  6. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、昭和五十九年長野西部地震による被害状況について、政府から説明を聴取いたします。国土庁杉岡防災局長
  7. 杉岡浩

    杉岡説明員 お手元にお配りいたしました資料に基づきまして、昭和五十九年長野西部地震被害状況について御報告申し上げます。  資料の一ページをお開きいただきたいと思います。  御承知のとおり、九月十四日八時四十八分ごろに長野西部マグニチュード六・九の地震があったわけでございます。各地の震度はここに書いてあるとおりでございます。また、それによります余震でございますが、翌十五日七時十四分にマグニチュード六・四という余震があったわけでございます。その後、余震は、ある程度続いておりますけれども、だんだん減ってきておる状態でございます。  被害状況につきまして御報告申し上げます。  この一ページの下にございますように、昨日、二十六日の四時現在でございますが、死者九名、行方不明二十名、全壊それから流失が十四棟、半壊が八十六棟ということになっております。  それから、主な施設被害は、右側に出ておりますけれども道路損壊が二百三十二カ所、それから橋梁が十カ所等となっております。  おめくりいただきますと、それぞれの施設被害が出ております。  まず、道路被害でございます。長野県及び山梨県に被害が出ておるわけでございますが、長野県が中心でございまして、国道県道、市町村道合わせまして二百二十五カ所、被害額としては四十六億八千四百万円という調査結果が現在のところ出ております。山梨県にも被害が出ております。具体的な路線でございますが、国道の十九号あるいは三百六十一号につきましては地震被害があったわけでございますが、早急に全面復旧をいたしております。それから、県道御岳王滝黒沢線、これが主たる道路でございますが、これにつきましては現在全面交通どめになっております。ただ村道によりまして迂回をいたしておる状態でございます。それから、県道越木曾福島線、これも不通でございますが、迂回をいたしております。あとの県道につきましては片側通行あるいは全面復旧等をいたしております。  それから、国鉄でございますが、国鉄は本震及び余震のございました十四日ないし十五日に一時不通になりましたが、早急に復旧をいたしております。  おめくりいただきまして、水道状況が出ております。水道につきましては、王滝村を初めといたしまして周辺の簡易水道被害を受けたわけでございますが、王滝村以外は直ちに復旧をいたしております。王滝村は相当被害が出たわけでございますが、今現在五百五十五世帯のうち四百世帯余急速ろ過機をもちまして復旧をして、現在給水を続けております。残る戸数につきましては、隣接の町村から給水車応援を受けたりいたしまして、現在配水をいたしておるわけでございます。  それから、電気でございますが、地震の当日は被害を受けたわけでございますが、翌日復旧をいたしております。  電話も、市外電話は二つのケーブルがあったわけでございますが、一つのケーブルが切断をいたしました。したがって、相当ふくそうしたわけでございますが、衛星通信車載局を導入する、あるいはケーブルをつくるということで、現在は市外電話は完全に復旧いたしております。それから、村内の電話につきましても、家が壊れたというようなところを除きまして回復をいたしております。それから、河川でございます。河川被害長野県それから若干山梨県に出ておりますが、長野県につきましては四十五億七千百万円という調査結果が現在出ております。一番下でございますが、王滝川被害、特に濁沢川から土石流が流れてきたところでございますが、これにつきましてはここのページの一番最後に書いてございますように、天然のダムといいますか、水がたまったところを河道をつくりまして水位の上昇を防ぐということにいたしておりますし、また氷ケ瀬のところにおきましては河道右岸側につけまして水の流れを一定化しております。それからさらには、氷ケ瀬土砂がたまった下流部におきましては床どめの工事を施すことにしております。  おめくりいただきまして、砂防、地すべりの被害額が出ておりますが、現在王滝川の本川及び支川におきまして被害が出ております。現在のところ、一番上にありますように一億二千五百万の被害が出ておるわけでございます。  それから、農林水産業関係被害でございます。ここに書いてございますように、農地あるいは農作物あるいは林業関係、それから国有林といったような施設につきまして、現在、トータルいたしまして二百五十四億四千百万円の被害が出ております。  それから、学校でございますが、これにつきましては、被害が出たわけでございますが、復旧に努めまして、王滝村を除きましては十七日に授業再開をいたし、また王滝村の小中学校におきましては二十五日に授業再開をいたしております。  以上が、主な被害内容でございます。  おめくりいただきますと、これに対しまして政府のとった措置が出ておりますが、政府におきましては、地震発災いたしました十四日に各省連絡会議を開きまして、当面、被害を早急に把握する、あるいは応急対策について対策をとるという申し合わせをいたし、翌々十六日に非常災害対策本部設置をいたしました。国土庁長官本部長といたしまして関係十八省庁非常災害対策本部設置をいたしたわけでございます。その段階におきまして、次のページに書いてございますように、二次災害防止被害状況早期把握行方不明者捜索全力を尽くす、あるいは被災者等に対しまして食糧とか飲料水等確保を図るといったような五項目決定をいたして、それに全力を費やしたわけでございます。  そして、翌十七日に国土庁長官団長といたします政府調査団現地派遣をいたしました。その内容につきましては次のページに出ております。そして、帰ってまいりまして十七日の夜、第二回の会合を開きまして、引き続きまして行方不明者捜索被害把握、二次災害防止、あるいは被災者に対する救援、道路復旧、それから林業農業中小企業学校等々それぞれの対策につきまして万全を期することを申し合わせ、当面の決定をいたしたわけでございます。全部で十二項目決定をいたしました。これが六ページの後半に出ておるわけでございます。  なお、七ページ最後にございますように、この災害につきましては災害救助法発動をいたしております。  以上が、主な対策でございます。  なお、この災害に対しまして実動機関が相当入っております。また、災害関係融資開始をいたしております。その点につきまして、主な点を八ページ以下の資料で簡単に御説明させていただきたいと思います。  まず、実動機関といたしまして、この二番目に警察庁というのがございますが、警察庁といたしましては、発災後九月二十六日までに延べ二千八百人の警察官が現地に入っております。それから、防衛庁でございますが、自衛隊がやはり二十六日までに延べ人員三千八百人が入って、行方不明者捜索あるいは応急対策等々に従事をいたしておるわけでございます。  それから、そのページ最後大蔵省というのがございますが、十八日に国民金融公庫に対しまして災害貸し付け発動を要請し、同時に災害貸し付けをいたしておるわけでございます。  おめくりいただきますと、関係省庁が順番に出ております。文部省は先ほど御説明申し上げたとおりでございますし、厚生省も、災害救助法あるいは水道関係は先ほど御説明をいたしました。  さらにおめくりいただきますと、融資が出てまいります。十ページでございますけれども、環境衛生金融公庫の貸し付けをやはり十八日の日に発動をいたしております。  それから、農林水産省は先ほど御説明をいたしました。  それから、中小企業関係、通産省でございますが、十一ページをおめくりいただきますと、上の方に書いてございますが、中小企業関係の三機関、すなわち中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫、あるいは商工中金、こういった政府系の三機関につきまして災害貸し付けをやはり九月の十八日に開始をいたしております。  それから、ずっとその次のページにおめくりいただきまして、建設省のやはり融資関係でございます。十二ページに出ておりますが、(3)は住宅融資でございます。災害復興住宅貸し付けの受付を十八日から開始をいたしておるわけでございます。  さらにおめくりいただきますと、建設省が出てまいりますが、特に道路、上の方の(3)というのがございますが、道路について若干触れますと、村の中に入ってまいります県道が現在、先ほど言いましたように不通になっておりまして、村道でその代替をいたしておりますけれども、その村道は緊急の輸送道路として非常に活躍をいたしております。したがいまして、これを復旧をいたしまして輸送等に万全を期しております。それから、その主要の県道でございます御岳王滝黒沢線、これにつきましては橋梁が落ちておるわけでございます。したがいまして、建設省が現在所有しております応急組み立て橋を貸与いたしまして、それで全面交通を図るように現在工事中でございます。  それから、自治省関係では、今回の災害にかんがみまして地方財政等の観点を配慮いたしまして、地方債の配分あるいは特別交付税等措置によって地方財政に対する適切な措置を講ずることといたしております。  最後に、消防庁関係、これも災害救助あるいは行方不明者捜索ということに従事をいたしておりますけれども、二十六日までに当該王滝村及び近接の町村応援を得まして延べ二千二百人の消防団員従事をいたしておる現状でございます。  以上、非常に簡単ではございますが、今回の長野西部地震被害状況等について御報告を申し上げました。
  8. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて説明は終わりました。
  9. 佐藤観樹

    佐藤委員長 本日は、特に昭和五十九年長野西部地震について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩島大君
  10. 塩島大

    ○塩島委員 当委員会現地視察を賜りまして、まずもって御礼申し上げる次第でございます。  それでは、国土庁長官に二、三の点につきましてお尋ね申し上げたいと思っております。  今回の長野西部地震山間部におきます直下型地震でありまして、その被害も、山崩れ、土砂流等により多くの方が土砂の生き埋めとなるなど、極めて甚大なものでございました。この災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、行方不明者捜索が少しでも進展しますことを願うものであります。政府におかれましては、地震発生後の十六日には非常災害対策本部を御設置いただき、また、稻村長官におかれましても、中国歴訪中でありながら急遽帰国なされ、翌日にはすぐ現地を御視察いただくなど、迅速な対応をおとりいただきましたことにつきまして、地元選出議員といたしまして心から感謝申し上げる次第でございます。  ところで、本災害による王滝村におきます被害は、先ほど報告にもありますとおり極めて甚大でありまして、多くの方々住宅など大きな被害を受けられたほかに、道路や橋などの、村民の生活にとりまして不可欠の施設が至るところで寸断されておるといった状態であります。村の再建を一日も早く進める上でも道路などの復旧事業の速やかな実施が望まれるところでございます。  つきましては、政府としてできる限りの御配慮をいただきたいと思うわけでございますが、まず長官の御決意のほどをお伺いいたしたいと思っております。
  11. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げたいと同時に、被災者の方にも心からお見舞いを申し上げたいと、まず最初に申し上げておきたいと思います。  先ほど来細やかに防災局長の方から御報告はいたしました。私も現地に参りまして、これは大変な恐ろしいことだな、こういう印象を強く持ったわけであります。そういう意味から、政府対策本部設置をいたしまして、対策本部長という立場で現地視察いたしまして、いろいろな問題がございましょうが、一日も早く皆さん生活平常化を取り戻す、平常な生活ができるようにということできようまで全力を尽くしてまいっておるわけであります。  今、九名の遺体が見つかったわけでございますけれども、まだ二十名の方の遺体が見つかっていないということでありますから、何としても、復旧作業とあわせて一日も早く遺体発見というか、これを何とかしてしなければならぬということでありますが、それと並行して、いま申し上げたようにやはり第二次災害をどう防いでいくかという問題も大事であります。しかしながら、建設省その他各省庁の大変な協力によって、見方によっては切りがないのですが、私としては大変予定どおり復旧作業が進められておる、こういうように判断をしておるわけであります。  一日も早く、そこに住んでおられる皆さん方生活の安定ということでありますから、大型機械の問題でも、既に現地に搬入をされて、工事着工の準備がなされておる。あるいはまた、見積もりをして直ちに着工できるところから着工していくという形で建設省の方にも大変協力を願って、作業が案外必要である。例えば土砂流の問題については、土砂をとめる作業をやるとか、あるいはまた水を、何としても水位を減らしていかなきゃなりませんから、やはり川を取りつけて水の流れをよくしているとか、こういうことでありまして、最大限の努力をいたしております。今後もなお一層、ああいうふうにしてまだ余震が残っておるわけでありまして、生活はなお不安でございますから、そういう意味で復旧の問題もできるだけ一日も早く皆さんが安定できるような形をとる必要があるということで、災害対策本部としては全力を挙げておるということを一言に申し上げることができるのじゃないか、こういうふうに思っています。
  12. 塩島大

    ○塩島委員 次に、非常に重要な問題でございますが、お尋ねさせていただきます。非常に重要な問題としまして、激甚災害指定の見通しについてお伺いいたしたいと思っております。  御存知のとおり、王滝村では道路橋梁が至るところで寸断されまして、また農林業関係でも実に甚大な被害を受けております。ところが、王滝村は人口わずか千三百人余りの小さな山村でございまして、標準税収入も一億八千五百万円程度とその財政力は極めて弱いため、復旧に当たりましては極力村の負担を軽減する必要があると考えます。したがいまして、激甚災害指定により補助率のかさ上げなどの措置は必ず行っていただけると思います。  このような局地的な災害につきましては、市町村における被害額と当該市町村の負担能力を比較しまして激甚災害として指定されるか否かが決まることになっておりまして、このような大きな被害が出ている以上、当然激甚災害の指定はなされるものと思われます。地域住民方々が今後地域の復旧に意欲を持って取りかかれるようにするためにも、一日も早く、この一日も早くということが非常に重要でございますが、本災害激甚災害として指定する方針を打ち出していただきたいと思うわけでございます。  その激甚災害指定につきまして、長官の御所見をお伺いいたします。
  13. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 局部的な災害でありますけれども、大変大きな災害でありますから、当然、今後の復旧等々を考えた場合にこれは激甚災害に指定すべきである、そういうふうに考えて今事務的に進めております。中小企業にしても全く完全に失われております。数は少ないですけれども、すべてが大きな被害を受けておるわけであります。そういう意味から、いろいろ各省庁の事務的なものがございましてきょう直ちに指定をするとかというものではございませんが、しかし、その方向であるし、激甚災害指定を受けたものとして事務的に現在進めていただくことが望ましいというふうに私は考えております。
  14. 塩島大

    ○塩島委員 今長官、激甚指定を受けたものということで事務的なものを進めることが望ましいというように御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。  次に、王滝村は今回の地震によりまして、この村は林業と観光でやっている村でございますが、この林業や観光などの地域の生活基盤に大きな被害を受けたわけでございます。今後村が災害の痛手から立ち直っていくためには、単なる施設復旧を行うだけではありませんで、地域の産業そのものの振興を図っていく必要があると考えているわけでございます。地元方々が今後希望を持って生活再建を図っていけるよう、この点格別の御配慮をいただきたいと思っているわけでございますが、地方振興も御所管なさっておられます国土庁長官におきましてはこの点どうお考えか、お伺いいたす次第でございます。
  15. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今の林業の問題は、林野庁の方から話があると思います。これほほとんど、八割以上が国有林と聞きまして、しかも大変な木材の、ヒノキのすばらしいところである、こういうような関係からこれに携わる従業員の方も大変多いわけでございますから、後で林野庁長官の方から細やかにお話しを願うということにいたしたいと思います。  それで、観光の問題については村長さんからよく聞きましたのですが、スキー客も最近は大変多くなってきた。その他いろんな観光事業に関しては、村としても積極的に取り組んでおります関係から年々観光客はふえてきておる、皆将来に大変夢を持って生活をしておったというわけでありますが、今度の地震によって恐らく観光客として訪れる人も、また地震でも来るんじゃないかというような形で、恐らく皆無になるだろう。それからまたスキー場の復旧等々の問題を考えても、これから先大変心配だ、大変不安だ、こういうことは商工会の皆さんもそれから村長さんも議会の人たちも、また最寄り周辺の皆さん方らもよく言っておられました。私も考えてみて、これはなかなか大変だな、そうかといって日本人の感覚として、やはり生まれ育ったところに愛着を感ずる。できるならば、どうですか皆で、集団でこういう危ないところにはと言おうと思ったけれどもなかなか言えない。そこで日本人の感情として、生まれ育ったところを大事にしたい、そこに住んでいきたいという意欲が大変強いわけです。  そういう意味から、一日も早くこの災害復旧は当然でありますが、国土庁としても過疎対策の一環として、一体どういうことをすべきか、どうしなければならぬのか、あすこでどうして定着をして、安心をして将来に希望が持てる環境づくりをするか、こういうことで振興局長を中心として現在進めておるところであります。特に、ああいう地震が常に起きるわけでありますから、そういつたことも考慮しながら、しかも先ほど来申し上げておるように、ここが我が住むところである、ああいうふうに安心して住める環境をつくりたいというわけでありますから、国土庁としてもこれに対する雇用の環境をここにどう——大きなものでなくてもいいのです。あの村だけというような形でも今検討をいたしておりまして、災害復旧と同時に、必ず明るいともしびがともるように全力を挙げておるわけであります。
  16. 塩島大

    ○塩島委員 次に、各施設復旧あるいは着工見通し等についてお尋ねしたいと思っております。  まず、建設省にお尋ねしたいわけでございますが、今回の公共土木施設災害復旧につきまして、現時点の調査の進展状況それから復旧のための工法、あるいは着工見通しについて各施設ごとにお伺いしたいと思っております。  まず一点が、県道御岳王滝黒沢線、東地区及び松越地区につきましてお伺いいたします。  第二点としましては、村道一号線及び上島−鈴ケ沢−滝越線につきましてお伺いいたします。  第三点としましては、王滝川本川の堆積土砂対策についてお伺いいたします。  第四点としまして、堆積土砂、上流の湛水池の対応についてそれぞれお伺いいたすわけでございますが、よろしくお願いします。
  17. 帆足建八

    ○帆足説明員 お答えいたします。  九月十四日の地震発生以来たび重なる余震の中で、被害調査は、行方不明者捜索活動を優先した関係もございまして、いまだ上流部の滝越地区までの全貌は把握していませんが、鋭意調査を進めており、県道の一部及び王滝川につきましては、柳ケ瀬地区までの応急工事に着手するところまで進展してございます。以下、項目別に御説明を申し上げます。  まず第一点の県道でございますが、今回の地震災における最大の被災施設となりました大又川の合流点付近の新大又橋の流失を含む東、松越地区の地すべり性崩壊によりますところの道路決壊箇所については仮工事に既に着手しているところでございます。  仮橋につきましては、中部地方建設局が所有してございます応急組み立て橋、四十メートル、幅員六メートルのものでございますが、これを架設し、両岸の取りつけ道路約三百メートルを含めまして、工期に約一カ月を要すると考えております。行方不明者捜索の関連もございますので、今のところ開通日は未定でございます。  また、その上段に当たります東地区の決壊箇所につきましては、現在徒歩による人道程度の交通が可能な程度の迂回路をつくってございます。さらに、地元の地権者の了解が得られ次第、応急復旧工事といたしまして車の通れる程度の仮道、これは六百五十メートル、幅員三メートル程度のものでございますが、施工に着手してまいりたい。既に重機等を待機させているような状況でございます。  なお、本復旧の工法につきましては、現在地質調査を行ってございまして、それが完了次第復旧計画を確立してまいりたいと思っております。  また、その他の県道でございますが、六カ所の応急工事を十月末に完成する予定としてございます。  二番目の村道でございますが、牧尾ダム右岸の一号線でございますが、地震発生後一日も早く緊急復旧を行いまして交通を確保しなければならなかったわけですが、現在交通を確保しておりまして、引き続き応急工事及び路面等の維持管理につきまして県の出先機関におきまして一時的に対応させる措置を講じまして、王滝村への生活物資並びに災害復旧資材の搬入路としての確保に当たらせているところでございます。  一号線以外の路線につきましては、各地におきまして道路が寸断されておる状況でございまして、被害状況の全貌の把握はおくれております。今後一層被害調査を進め、実態の判明に努め、現地の実情に合わせた適切な応急工事で本復旧を進めてまいりたいと思っております。  第三番目の、王滝川本川の上流部の堆積土砂対策でございますが、濁沢川からの土石流による柳ケ瀬地区から下流の氷ケ瀬地区に至る間、約三・六キロの堆積土砂につきましては、最大厚さ四十メートルにも及ぶものと推定されております。この堆積区間に二カ所ほどの狭窄部がございまして、これを土石流が通り抜けて下流には行かないと現在判断しております。応急対策といたしましては、氷ケ瀬地区のちょっと上流に当たるわけでございますが、その部分にコンクリートブロックによる床固め工を設置して土砂の流出を抑えることとして現在工事を進めておるところでございます。  四番目でございますが、堆積土砂によってできました湛水池への対応でございますが、濁沢川から流出いたしました土砂王滝川に幅広く堆積しており、この堆積土砂のせき上げによる本川水位の上昇によって再度土石流が発生し、下流へ影響を及ぼすおそれはないと私どもは判断しておりますが、最も急ぐ対応策としまして、上流端の柳ケ瀬地区にヘリコプターによりまして掘削用の重機械を空輸搬入しまして、昨二十六日午後、堆積土砂の一部を開削いたしまして、通水断面を既に確保しておるところでございます。したがいまして、上流の湛水位の水位上昇を抑えておるという現状までいっております。現在柳ケ瀬地区に掘削機械等の搬入のため、下流から氷ケ瀬の上流部において作業用の仮設道路の建設を鋭意進めておるわけでございます。これによりましてさらに大きい通水断面を確保しようというふうに考えております。
  18. 塩島大

    ○塩島委員 次に、林野庁にお伺いいたします。今回の災害によりまして地域住民生活に密接な関連を有します林道が被災しているわけでございますが、その復旧の見通しについてお伺いいたします。  もう一つ林野庁関係でございますので引き続き質問させていただきますが、今回の災害につきまして、木曽ヒノキの供給の大幅な減少が地元の工場の操業に影響を及ぼしているわけでございますが、この地元工場の操業に要します丸太を確保する上で重大な影響が出ているわけでございますが、その対策についてどういうようにお考えか、お伺いいたします。  また、王滝署におきます事業再開に必要な林道等の事業施設復旧見通しについてもお伺いいたします。
  19. 吉國隆

    吉國説明員 まず、林道の復旧でございます。  御指摘ございましたように、国有林、民有林を通じて非常に大幅な林道の被害をこうむったわけでございまして、まず民有林の関係では、特に生活関連道路という機能を持っておりますものについて地元からも早期の復旧の御要請がございます。  主な点を申し上げますと、一つは、滝越地区氷ケ瀬地区を結びます王滝林道というのが生活関連の機能も持っておるわけでございますが、これが六キロにわたって埋没または決壊をいたしておりまして、当面の措置といたしまして、王滝川を渡ります仮橋を架設いたしますとともに、国有林の林道で迂回して滝越地区に結ぶというための工事を進めたいということで考えておるわけでございます。  二番目に、春山林道の問題でございますが、王滝村の中心部と上松町を結ぶ迂回道でございます。これについても早期復旧を図るべく、今月中に緊急査定を終えたいというふうに考えておる次第でございます。  それから三番目に、黒岩林道でございますが、これは中心地の松越地区から北方に延びまして御岳高原に向かう林道でございます。これは非常に決壊が甚だしいという状況でございまして、周辺の林道を迂回して御岳高原地区と結ぶという代替ルートの復旧をとりあえず急ぐということで、これについても早急に復旧工事に入りたいというふうに考えておる次第でございます。  国有林地元の木材関連産業を中心といたしまして地元の産業に非常に大きなウエートを占めておるということから、この国有林の正常な事業再開を図るために、緊急を要するものから、国有林内の林道も含めまして、関係施設を含めた復旧を図りたいということで、具体的な進め方を現在協議、調整をいたしておるところでございます。  お話がございましたように、木曽ヒノキの供給という点から、王滝営林署は非常に大きなウエートを占めておりまして、五十九年度の例で申し上げますと、木曽ヒノキの国有林の素材販売予定量の約半分が王滝営林署で賄われておる、地震発生前には、その王滝営林署の計画量の三分の一程度しかまだ生産が実施されておらない、こういう状況でございます。王滝営林署管内の事業再開までの間におきましても、供給量の確保ということで、周辺の他の営林署での供給量の調整を行うといったような考え方を含めまして、現在具体的な計画を練っておる段階でございます。  それから、王滝営林署の復旧の時期についてのお尋ねでございますが、先ほどのような他の営林署の事業調整等との関係も含めて現在検討中でございまして、現在具体的な再開の時期について明確に申し上げる段階に至っておりません。
  20. 塩島大

    ○塩島委員 次に、自治省にお伺いいたしたいのですが、今回の災害でも特に被害の大きかった王滝村の財政状況を見ますと、先ほど申しましたように、もともと財政力が弱いわけでございます。したがいまして、災害で受けました村の財政負担は甚大でありまして、早期復旧のためにも国からの財政上の援助が必要であります。  王滝村はもとよりでございますが、県や他の関係町村をも含めまして普通交付税の繰り上げ交付や特別交付税の重点配分など、自治省としての財政措置に対する取り組みについてお伺いいたします。
  21. 木下英敏

    ○木下説明員 地元被災団体に対する財政措置でございますが、被災団体が行います災害復旧等に要する経費につきましては、関係団体の実情を十分考えまして普通交付税の繰り上げ交付なり、あるいは特別交付税の措置等について適切な措置を講じまして、地元団体の財政運営に支障のないような考慮を払ってまいりたいと思っております。特に、当面急ぐ問題として普通交付税の繰り上げ交付があるわけでございますが、あす二十八日に十一月分の交付を繰り上げて交付したいということで現在準備を進めているところでございます。
  22. 塩島大

    ○塩島委員 次に、大蔵省にお尋ねいたしたいと思っております。  先ほども報告にもありましたとおり、公共土木施設災害復旧に当たりまして、現行の予算枠ではとても不足するだろうというような予測もあるわけでございますが、現行の予算枠で不足した場合には予備費を取り崩してでも行うべきではないかというように考えておりますが、これにつきましてお伺いいたします。  また、もう一点大蔵省にお尋ねしたいと思っておりますが、今回の地震によりまして被災いたしました中小企業者が民間金融機関から経営資金として融資を受けているケースが非常にあるわけでございますが、その返済の繰り延べを認めるよう指導すべきではないかというように思うわけでございますが、これについてもお尋ねしたいと思っております。  また、被災者の手形決済資金等に対しましても制度融資を積極的に行うよう指導すべきではないかというように考える次第でございますが、これについてもお尋ねしたいと思います。
  23. 涌井洋治

    ○涌井説明員 予備費の関係についてお答えいたします。  五十九年度の当初予算には災害復旧費の中に当年災分といたしまして五百二十億円を計上しておるわけでございます。今回の被害額についてはまだ関係省庁調査中でございまして不明でありますけれども、この当初予算の枠内で不足する場合には、予備費等によって災害復旧事業に支障のないよう適切に対処してまいりたいと思います。
  24. 北村歳治

    ○北村説明員 金融面についてお答え申し上げます。  今回の長野西部地震につきましては、当局といたしまして、現地長野財務部を通じまして民間金融機関に対し、災害状況を勘案して適切な金融上の措置を講ずるよう指導しているところでございます。これを受けまして現地の金融機関は、罹災者の利便等、救済を図るため、債務者の申し出によりましてその被害状況に応じて可能な限り債務の返済繰り延べ措置を弾力的に行うこととしているわけでございます。  さらに、その他の融資等の面についてでございますが、現地の民間金融機関は、被害を受けた事業者等に対しまして長野西部地震災害特別融資実施決定しておりまして、災害復旧等に必要な資金を積極的に融資するということにしてございます。  それからまた、現地長野財務部の指導によりまして、手形交換等につきましても次のような特別措置を講じておるところでございます。  すなわち、災害による郵便物の延着のため、支払い呈示期間を経過した手形等につきましても交換に持ち出すことができる、あるいはまた、手形等の不渡りにつきまして、その原因が地震によるものと支払い銀行が認めた場合には、不渡り処分になることを猶予するといった措置を指導しているわけでございます。それに基づきまして、現地金融機関が前向きに対応しているところでございます。
  25. 塩島大

    ○塩島委員 次に、中小企業庁と農林水産省にお尋ねいたしたいと思っております。  今回の地震につきまして、中小企業関係被害が甚大でございまして、復旧には多くの資金が必要でありますが、特に地元の民宿、旅館、生コン会社等の被災中小企業者の中には負債を抱えている者が非常に多いわけでございますが、こうした事態に対処しまして激甚災の指定による特別の金融措置等がぜひとも必要と考えますが、中小企業庁の対応についてお尋ねいたします。  また、農林水産省につきまして、やはり同様に、農協あるいは信連等の融資を受けている者が多いわけでございます。これにつきまして、支払いの繰り延べ等の措置が必要でありますが、それに対しまして農林水産省の対応についてお伺いいたしたいと思います。
  26. 小川忠夫

    ○小川説明員 今回の長野西部地震によります中小企業関係被害につきましては、長野県と十分連絡をとりながら、現在調査中でございます。  現在までのところ、特に被害が大きかった王滝村につきましては、民宿、旅館等を中心にいたしまして被害件数で八十七件、被害額は七億五千万円という報告を受けております。中小企業庁といたしましては、既に九月十八日付で政府系中小企業金融三機関に対しまして災害貸し付け発動を指示いたしました。これによって、一般貸し付けとは別枠の貸付限度額の設定とか、あるいは担保の徴求を弾力化する、こういったような貸付条件の緩和あるいは個々の被災中小企業者の実情に応じまして既往の貸付金の償還猶予とか、こういう措置を講じたところでございます。  今回の災害中小企業関係につきまして激甚災害になるかどうかにつきましては、今申し上げましたように、被害額等につきまして目下精査中でございますので、現時点では明確に申し上げられませんが、王滝村につきましては、民宿、旅館等を中心に甚大な被害中小企業関係は受けたという点につきまして、中小企業庁としても十分認識しておりまして、迅速に実態の調査を進めまして、被害実態に応じて所要の措置を講じてまいる考えでございます。  仮に激甚災害に指定された場合には、御承知のように貸付条件等につきまして大幅な緩和がなされることになっておりまして、激甚災害法に基づきまして、特に被害の著しい特別被害者に対しましては年三%、その他の被災中小企業者に対しましては年六・〇五%の低利の特別貸し付け、あるいは信用保証の限度額を一般保証とは別枠で同額認めるというような特別措置が講じられることになろうかと考えております。
  27. 吉國隆

    吉國説明員 農林漁業者に対します制度資金につきましては、償還期限の延長等の措置を実情に応じまして講ずることにしておりまして、今回の災害につきましても、関係の金融機関等に対しましてそのような指導を行ったところでございます。農協等の系統プロパー資金につきましても、今度の災害の実情に応じまして農協系統金融機関に対して実情に応じた償還期限の延長等の措置がとられるよう、長野県を通じまして指導しておるという状況でございます。
  28. 塩島大

    ○塩島委員 最後に、地震の予知観測体制の推進に対しまして、国土庁長官の御所見を承りたいと思います。
  29. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 地震予知の問題ですが、これは現段階においては予知をするということがなかなか難しい。しかしながら、難しいということでも、いつも難しい難しいと言うわけにはいかぬので、それではどうしたら予知できるかということで、もう一歩二歩突っ込んで検討をすべきであると私の方からも強く指示をいたしております。
  30. 佐藤観樹

    佐藤委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。天野光晴君。
  31. 天野光晴

    ○天野(光)委員 時間がございませんので、簡単に申し上げますから要所だけ答弁してもらえば結構です。  まず、災害復旧の応急措置復旧と恒久措置と二つあるわけだが、応急措置と言っても、村の中の交通が完全に維持できる程度のものをやらなければこれは意味がありません。そういう点で、御存じのように、もう十一月末になれば雪が来ます。そうですから、間違いなくそれまでの期間に仕上げることができるという前提条件でやっていると理解しているのですが、それでいいですか。それから、王滝川の埋没地区の問題ですが、話に聞けば、今の御説明で約四十メートルの厚さがある。四十メートルの厚さというと四十メートルの高さがあると推測していいと思うのですが、四十メートルのところに水がたまれば、相当大量の貯水池になるわけでございます。そこで、水がたまることによって受ける、要するに二次災害になるわけですが、その点はどうなっているのか。四十メートルと言えば、ダムをつくったって相当高いものでありますから、それだけの水、埋没したのが三キロ半も続いているというのですから容易なものではありません。そうですから、それに対する対策を、二次災害を受けないところまでの措置を十月いっぱいにやるように緊急措置をすべきだということ、それがどうなっているかということです。  もう一つ、予算の問題ですが、これは大蔵省は、今答弁したように、予備費で足りない分は補いをつけると言っているが、工事を今措置するのに予算の流れぐあいがまずいようなことはないだろう。予算によって工事を左右するようなことがあっては大変ですから、そういう意味で、応急措置にはいろいろな手順があると思います、手順はあると思いますが、災害だけはこれは別物ですから、査定をするのに何日もかかるとか、ひどいのになると二月も三月もかかる場合があるのですから、そういうことがないように、応急措置だけは完全に今持っている予算でできるのかどうか。要するに、一般会計からやりくりをすべきだと言っているのじゃないのですから、その点誤解がないように。あくまでも災害は予備費的な性質のもので、建設省災害の予算がとってあるはずはありませんから、そういう意味で、きょうは大蔵省の担当主計官が見えておりますから、そういう点で間違いなく一〇〇%要求するだけは出してもらってやれるんだという前提条件に立っておるかという点をお聞きします。  以上です。
  32. 帆足建八

    ○帆足説明員 お答えいたします。  まず、道路の応急復旧でございますが、通常は本査定をやって応急復旧を行うことになっておるのですが、こういう緊急事態の場合は、仮本工事と仮工事というのがありまして、例えば仮工事というのは仮橋などをつくる、仮本工事というのは査定前に本工事にかかるという制度でございますが、これは通常一千万以上のものは事前に本省協議ということになっておるわけでございます。今回非常に案件が多いものですから、既に総括査定官を現地派遣いたしまして、現地で協議済みのものもございます。それから、さらに今後も査定官を現地派遣いたしまして、現地で協議し、必要なものを、また、その査定官だけで判断できないものは本省に連絡するというような特別な措置を講じまして、工事がおくれないような配慮をしてまいりたいと思っております。  第二点目の、二次災害の件でございますが、これは、私も既に政府調査団並びに建設大臣と現地で二日間にわたりまして調査いたしておりますが、次に申し上げる三つの理由によりまして二次災害は起こらないと判断してございます。  まず第一点でございますが、堆積しております土砂の土粒子はかなり粗いものを含んでおりまして、簡単に流出しないだろうということでございます。第二の理由は、濁沢川王滝川の合流点に位置する柳ケ瀬の地区から下流二カ所ほどかなり狭窄した部分がございます。その狭窄した部分を通り抜けて下流に大量の土石が流下していくことはないだろうということでございます。第三点でございますが、土砂王滝川に幅広く堆積してございまして、現在の堆積のせき上げによって土石流が発生するほどのエネルギーは持っていないだろう。その理由は、ただいま堆積しております土砂は標高にいたしますと二千八百メートルから千メートルぐらいのところに滑落しておってとまっておるわけでございます。それを再度動かすということは、四十メートルぐらいの水位で押し流すことはないであろうということでございます。  それから、別の考え方をすれば、三・六キロ間にわたって、土質は悪いけれども、アース堰堤みたいなものが連続してあるというような考え方もできるわけでございます。しかしながら、かなりの降雨がございますと表面の土砂を流出することがあるだろうというようなことで、非常に異例の措置でございますが、上流部せき上げを小さくしていこうということで昨日一部開削をして、水位をこれ以上上げない。それからもう一つ、上流に三浦ダムというダムがございまして、これがまだ二千四百万トンの容量を持っております。それの方を、今発電をとめて貯留しておるわけでございます。その辺の対策をある程度講じてから発電を開始するというような間接的な対策も講じてございます。  それから、予算面のことでございますが、この辺につきましては本年度の当初予算等を十分活用、それから緊急性、特殊性を配慮しまして配分いたします。さらに、足りない部分につきましては大蔵省と協議し、円滑に災害復旧を進めてまいりたいと思っております。
  33. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私の言っているのは、二次災害は、堆積した土砂が流れて二次災害が起きるという意味でなくて、その堆積されたものにせきとめられて、四十メートルも高いわけだから、その浸水によって二次災害は起きないのかと聞いているのです。間違えないように。
  34. 帆足建八

    ○帆足説明員 ちょっと理解が不足で、失礼いたしました。  上流側の湛水でございますが、現在のところ、水路を開削したことによってもうそれ以上の水位上昇はないわけでございます。あと考えられますのは、上流に滝越という部落がございますが、そこに影響がない限り大きなものはない、標高から見ましてその辺には大きな影響がないのではないかと判断してございます。
  35. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、中村茂君。
  36. 中村茂

    中村(茂)委員 今回の長野西部地震について、私も本委員会調査に行きました二十五日を含めて三回王滝村の現地にお伺いいたしました。島崎藤村が木曽路は山の中である、こういうふうに名文句を残したわけでありますが、私どもヘリコプターで上から見せていただいて、緑の山々、谷間には家が散在して稲穂が黄色く見えるというふうに、非常に自然に恵まれた豊かな山村であります。それが一瞬にしてこういう災害が起きて、村が存立するかどうかというようなところまで追い込まれてしまった。ですから、深度が非常に浅い内陸直下型の山岳地震というものについての恐怖というか、恐ろしさを非常に感じたわけであります。  長官も早々に現地に行かれまして、その実態をつぶさに見てこられたというふうに思います。今申し上げましたように、このような内陸直下型の地震長官の行ってこられた所感、それから対策についての決意をまずお伺いいたしたいというふうに思います。
  37. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 私も現地に行ってまいりまして、地震の恐ろしさと申しますか、被害の大きさと申しますか、本当に恐ろしいな、実感としてそういうことを肌に感じたわけであります。お説のとおり、山村というか、のどかな部落であったことは私も推察ができるわけです。しかしながら、一瞬にしてあのような大きな被害を受けたということで、村の方々は将来に対する夢と期待というものが失われた、途方に暮れておられるというのが現状であるというふうに考えております。  そういう意味から、一日も早く平常な生活と平常な環境づくりをするということについてやはり政府としても全力を挙げていく必要がある、こういうふうに考えておるわけであります。なすことは極めて多いのでありますけれども、先ほど来からお話がありましたように、復旧の問題についても一つ一つ緒について進められておる、また進めておる、私はこういうふうに考えておるわけであります。  ただし、おとつい長野の知事さんが来られまして、もう一回ぜひ災害地に、王滝村に来てもらえないかということで、私も、それでは参りましょうと約束いたしました。しかしながら、ただ行くというわけにはまいりませんので、そのためには道路県道がどうなっておるか、あるいはまた村道はどういうふうに復旧をされるか、その見通し、計画等々も私の方で報告をさせております。そういう意味から、行くことに極めて大きな意義がある。それまでに、まだ見つからないところの遺体に対して全力を挙げてもらう。これは市町村協力あるいは消防団、自衛隊協力等々も大変な協力を願っておるわけでありますけれども、現在なおそのかいもなくまだ二十名という人が埋もれておられるということでありますから、遺族の方々の心を察すると私は大変心が痛む思いがするわけであります。二次災害等々の防止も極めて緊急を要する問題であるけれども遺体捜索についても地元、県等々も全力を挙げてもらいたいということを強く要請をいたしておるわけであります。  何はともあれ、所感ということになりますと、私もちょうど中国に行っておったわけでございますが、十五日の晩そういった連絡を受けまして、直ちに引き揚げて、現地に参ったわけでございまして、私はやはり現地に入ったということに大変大きな意義があったというふうに今感じておるわけでございますので、今後もこの委員会あるいはまた各党の御協力によってできるだけ早く解決をする必要がある、こういうふうに考えておるわけであります。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 長官は特に長野西部地震非常災害対策本部長でもございますので、国を挙げて対策に取り組んでいただきますようお願いを申し上げたいと思います。  今も長官からお話がございましたが、きょう現在で死者九名、行方不明者二十名、亡くなった方に心から哀悼を申し上げるとともに、行方不明者の方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。行方不明者捜索について、どんなに金がかかっても、どんなに時間がかかっても大型機械を導入して徹底的に捜索し、全員が見つかるように私は心からお願いを申し上げたいというふうに思います。  ここで、委員長、速記をちょっととめていただきたいのですけれども
  39. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  40. 佐藤観樹

    佐藤委員長 速記をお願いします。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 これは長官も先ほど言われましたから、今申し上げましたように全力を挙げていただきたいということをお願い申し上げます。  そこで、災害復旧とか今後の対策に入るわけでありますけれども、ここで私は災害復旧とか今後の対策について三点ほどポイントになる点を申し上げておきたいというふうに思います。  木曽路というのは、木曽郡全体では山が九四%、王滝村は山が九六%、そして国有林が八三%、言えば山で生きてきた村なんです。しかも、国有林は日本の三大美林と言われるヒノキが二百年、三百年という、私も何回かその美林を見に行っているわけでありますけれども、本当にすばらしいヒノキがあったわけであります。ですから、村の多くの人たちは、この山、いわゆる林業関係することによって、そこで働き、村が存立してきたわけであります。  それから、特に霊山と言われる御岳山があるわけで、そこには全国で二百万と言われる信者の方々がそれぞれおられて、この山、それから全体的な美しさ、こういうものから観光によって村を立てていこうではないか。しかも、御岳山の噴火によって非常に観光ということについても足踏みをしたわけですけれども御岳山の噴火によってそういう状態に追い込まれたときに、私も経験があるのですけれども、こういうことを言われたのです。もう噴火で大変だ大変だというふうになってくると観光はどうにもならないから、早く山に入れるように解除してもらいたい、こういう陳情を実は村から受けたのです。  そのよしあしは別にして、いずれにしても今度こういう災害に遭ってしまった。ですから、村が立っていくには何といっても山の再生と、それから観光というものを一日も早く復活させるには、先ほどからいろいろ出ております道路とかさまざまな復旧を早くして、皆さんがあの美しいところに来れるという状態をつくっていくということをまず一番のポイントにしなければいけないのじゃないか、こういうふうに思います。  それから、現地へ行って、なるほどあの災害を受けたショックというもので外ではわからない心境になるものだなということを私はつくづく感じたのですけれども、それはこういう内容です。  私が郵便局へ行ったときに、局の皆さんがこういう話をしてくれました。十四日に地震が起きて、十五日から相当局舎も傷んでいるけれども全員が出てきた。それから、上部の方からも相当な資金を送ってきて、すぐ金が必要ならもうどんな方法ででも、通帳一つで判こがなくてもおろせるから、こういう周知をしたそうです。ところが、皆さんが来たのを見ると、金をおろすという人は一人もいなかった。金を持ってきて、これを貯金してもらいたい、貯金してもらいたいという貯金をする方の方が多かった。これは私どもが外にいて考える考え方とは全く逆なんです。まだ余震がある、大変だ、こういう中では、金をおろしてきてどこを直すとかどうだとかいう心境ではなしに、たんす貯金かどうか知りませんけれども、そういうところにお金を置いていた、これでまた家が倒れたりしたり火事にでもなればその金はどうなるかわからない、したがって郵便局へ持っていって預けておけばそれが将来に生かされる、こういう心境にあるから、金をおろすということよりも、その金を持ってきて貯金貯金ということで、まず、いまだかってないような貯金になった、こういうわけです。それが被害を受けた皆さんの気持ちというものを端的にあらわしている事象ではなかったか、私はこういうふうに思うわけであります。  したがって、山の復活、観光立村、そして、そういう災害のときの人の心、こういうものを踏まえてこれからの復旧対策に当たっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  まず、今申し上げた点について総括的に長官からお答えいただいて、個々の問題については後でそれぞれお伺いしていきたいというふうに思います。
  42. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 全くお説のとおり、あそこは林産業によって大部分の人たちが生活を支えておられるということは、国有林野が八十数%ということですから、大部分が国有林野であり、そこの国有林野も大部分が一番上等のヒノキであると同時に大木が生い茂っておるということでありますから、あそこは林産業で生活を支えておられるという人が極めて多いということは現地においてよく承ってまいりました。そういう意味から、林野庁もよくあれだけの林道を整備してあるな、こういうふうに私も見てまいったわけでございますが、それがずたずたということでございますから、今後の林産業等々を考えても、改修と、そのほかに必要な林道等々をつくられて、この産業にたえ得る環境をぜひひとつつくってもらわなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけであります。  観光の問題についても現地においてよく承りました。御岳山に参拝をされる信者の方々ばかりでなく、スキーに訪れる人たちが年々多くなっているという状態等々承ってまいりました。そういったことから、観光ということを考えましてもどうしても道路の整備ということが緊急を要する問題である。今度の場合も辛うじて村道が残ったわけであります。そのために何とか細々と地域の住民の方々の交通が維持をされておるというふうに見てまいったわけでありますが、そういう意味からも一日も早く県道等々の改修その他道路等々の問題も過去に増して整備をしていく必要があるということを私は強く受けとめてまいったのであります。  そういう意味から、観光と林業が大方の生活の支えであるという認識を持ってまいりましたので、これに政府としてはできるだけの協力をしなければならぬ。特にあの危険な場所にある、私がおるときでも震度三と言われてぐっとくるというのが二回ありましたですか、その中で生活をしていかれるわけでありますから、ここが我が定住の地なりと考えておられるわけでございますから、定住構想にふさわしい環境づくりをするということにひとつ全力を注いでまいりたい、こういう決意を強く持っておるわけであります。
  43. 中村茂

    中村(茂)委員 まず公共土木の関係で、特に道路ですけれども、先ほども塩島委員の質問にそれぞれお答えしていたわけですけれども、次の点についてひとつはっきりさせておいていただきたいというふうに思います。  先ほどは工事がおくれないようにしていく、こういう言い方になっていたわけですけれども、私は重点的に生活関連道路、まだ道路復旧していなくて行けない部落があって避難している人もいるわけですけれども、いずれにしても生活関連の道路はどんなことをしても優先的にきちっとやってもらいたい。  それから、観光という面で、特に冬のスキーに間に合わせてもらいたいという要望が非常に強いわけです。それはリフトも新しく二基つくるということで工事に当たっていたわけですけれども、それも今中断されているけれども、いずれにしてもことしの冬にスキーぐらいはできるように道路を完備して間に合わしたい、これは観光立村としての願いのように今なっているわけであります。特に、観光といって今までやってきたわけですけれども、先ほどから言っておりますように夏山、ああいうところですから、非常にきれいですし、来るわけです。しかし、冬がどうも観光で来る人が少ないということで、数年前からスキー場の開発ということに物すごく力を入れてきた。ですから、冬に向かう現在、このスキー場に行く道だけはという強い願い、生活関連道路、スキーに行く道路、これだけは最大の力を投入してやっていただきたい、このことを強く要望し、お答えをいただきたいと思います。
  44. 帆足建八

    ○帆足説明員 お答えいたします。  村道県道につきましては、先ほど来申し上げておりますように、応急仮工事等によりまして、鋭意進めておるわけでございます。しかしながら、村道の末端の部分につきましては、まだ調査が終わっていないところ、それから土質調査で、どういうふうに復旧すべきかということが不明な箇所が随分あるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、技術的な問題もその中にかなり含まれているわけです。工法によりまして工期も変わってくるものもあるわけでございますので、その辺につきましては、現地に査定官を、県の方は大体十月一日ぐらいから、先ほど申し上げました査定官を派遣して常駐させてほしいという要望がございますので、その時期から派遣しまして、そこで最大限の努力を傾けまして、応急復旧、仮道路程度でも開通するように努力してまいりたいと思います。現在の段階で、それぞれの開通目標を言えるほど調査が進んでおりませんので、その辺につきましては御了解していただきたいと思います。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次に、いわば砂防、地すべり、この対策ですけれども、県の土木部からもらった資料によりますと、地すべりとかさまざまありますけれども砂防事業として、緊急激特事業で対応するというのが四カ所、それから地すべりの激特事業で対応するというところ二カ所、そういうことで、それぞれすぐ計画を立て、やっているわけであります。  それから、林務部からもらったのによりますと、これまた治山激特事業、それから緊急治山事業、こういうところでそれぞれ、これも六カ所程度計画を立て、進めている。これはそれぞれの事業で積極的に進めていただきたいと思いますが、この中で、将来どういうふうにしていくかというふうにどうしてもわからないのが土石流対策、これは砂防事業の中でとめるとか、いろいろなところがありますけれども、この土石流対策はどういうふうな形で考えているのか、まずお伺いしたいと思います。
  46. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  砂防事業につきましては、今回の王滝川の支川関係でございますが、土石流対策といたしまして、大又川あるいは濁沢等におきまして、まず災害関連緊急砂防事業で当面の対応をいたしまして、その後、砂防激甚災害対策特別緊急事業実施をしようということを目標に、ただいま調査検討を加えているところでございます。  今先生おっしゃいました箇所につきましては、まだ詳細な調査が、現地に入れないところもございまして、未了のところもございますので、今後さらに調査を進めまして、激特で対応できるように検討していきたいというふうに考えております。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 いずれにしても、ここで示しているのについては、まだ調査も完了していないところもあるけれども、激特事業災害復旧事業、これで行う、そして、この土石流措置については、そういうものをきちっとしていく中でなお検討していく、こういうふうに理解していいのかどうか。そして、先ほどの土石流によって、自然的なダムができているという問題についてやりとりがあったわけですけれども、確かに、排水溝をつくってそこの水をある程度抜いていく。そうすると、将来にわたってそこは自然のダムというか湖水になるというふうに理解していいのか。そのために、まだ工事とかいろいろなものが起きてくるだろうけれども、しかし、その水を抜くのは、あそこに水が全然たまらないところまで深くして、水を将来ずっと抜いていってしまうのか、そこら辺の計画というか、やり方はどういうふうになっているのか、その二点について。
  48. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  まず、砂防関係事業でございますが、先ほど申し上げました砂防事業、それから松越地区等におきます地すべり事業、それから急傾斜地崩壊対策事業で対応するものもございますが、いずれにいたしましても、こういった関係土砂災害に対しましては、再度災害のないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  49. 帆足建八

    ○帆足説明員 上流の湛水池をどういうふうに本復旧でやられるかということでございますが、現在、私どもが推定しています堆積土砂量は四百万立米もしくは五百万立米と推定しておるわけでございます。その湛水池をなくそうと思えば、その土砂をどこかに運搬し、処理しなければならないという膨大な工事費と工期と要るわけでございます。それと、まだその土砂の性質等の調査も実は終わっていないわけでございまして、応急的に、先ほど私が申し上げました上流部の仮排水路で水位を抑えるという工事と、下流に流出しないように床止めをつくるという工事と、それから、まだ説明しておりませんでしたが、例の氷ケ瀬の貯木場がございましたところ、あそこの瀬がえをしまして、流路を固定するというのを暫定的な三つの応急工事と考えているわけでございますが、本工事につきましては、実は林道があの間、全部埋塞しておるわけでございます。そのほか、その土砂の処分をする場合はどういうところに処分するかということと、それから上流の滝越部落がございますが、その辺が将来どういうふうになるかということと微妙に関連してくるわけでございまして、実は本復旧につきましては、今後どういうふうに進めていくべきかということを今県と詰めている段階でございまして、現在のところ成案はできてございません。でき次第またその辺を、詳細なデータに基づきまして、村並びに県と連絡をとりながら計画を立てなければいけないと思っております。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 冒頭申し上げましたように、林業、観光、それからそこで住めるような、こういうところに力点を置いて、また地元と相談しながら、早急に計画を立てていただきたいというふうに思います。  次に、時間もなくなってきましたけれども、林野庁にちょっとお聞きしたいのですが、先ほどの県の林務部の資料によりましても、緊急治山対策または復旧対策でそれぞれすることになっているわけでありますけれども、それはもう早急にやっていただくとして、あの土砂で流れてしまった林業の再生、これは可能であるかどうか、そういうところに力点を置いて復旧もしていくのかどうか、その点をひとつ聞いておきたいというふうに思います。
  51. 吉國隆

    吉國説明員 国有林で濁川地区を中心といたしまして大規模な林地崩壊が発生をし、立木に被害が発生したところでございます。これにつきましてどのような復旧を図っていくかという点につきまして、現在林野庁の担当官並びに大学の先生等の専門家に現地調査していただいておりまして、復旧対策について検討を行っておるという段階でございます。まずもって、二次災害の発生のおそれのある箇所につきまして、緊急治山事業等、お話のございましたような当面の対策を講ずるということを急がなければならないわけでございます。  林業という面での復活という点につきましては、率直に申し上げまして、崩壊したところについて土層等も変わっておりますし、まず土砂の安定化を図るということが急務でございますけれども、その上で種子のまきつけ等を行いまして斜面の緑化を図っていくということでございますが、崩壊地の植生の回復ということをそれによって図っていくわけでございます。森林という形で、特に木曽ヒノキというような形での復旧ということには相当な長期を要するのではないかというふうに考えておりますが、なお専門家の御意見等も参考にしながら適正な復旧を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 中村茂

    中村(茂)委員 美林と言われるところですから、はげ山などにしておかないで、相当長期な構想になってくると思いますけれども災害復旧という面はもちろんですけれども、やはり山の再生という面についても真剣な御努力を御要請申し上げておきたいというふうに思います。  次に、激甚災害の指定ですけれども長官、もう指定になると思っていろいろやってもらってもいいというお話がございました。この後聞いておりましたら、大蔵省の涌井主計官が、激甚に指定されるとすればというような御発言もあって、この問題は確かに局地で何といってもしてもらわなければなりませんけれども、この委員会も激甚指定のあり方について相当研究もし、考え方をまとめて報告した経過もあるわけです。これは数字だけではなかなかすっぱりと出てこない面もあったり、長崎の災害のときにはついに激甚指定には、数字が出てこなくてならなかった。あれだけの災害がならぬような激甚などどうかというような論議もございまして、いろいろ経過はあったわけですけれども、もう一度、激甚指定はします、だから、それに基づいて事業なり計画をどんどんしてもらってもいいのですというふうに明確に言い切っていただきたいというふうに思います。
  53. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 局地でありますけれども被害というのは極めて大きいわけです。だれが見ても激甚災害の指定をしなければあの村の復興はあり得ない、私はこういうふうに考えております。  そういう意味から——それは大蔵省というのはどうしても言うことになっているのですよ、そういうことは言うのですよ。しかし、そう言うけれども、役所の立場で、そういった事務的なことを省略をしてとはなかなか言い切れないのです、役人の立場から。私の場合は、多少言い過ぎてもそれは実行していけばいいことでありますから、重ねて申し上げますが、激甚指定は間違いはありません。そういう意味で、作業をぜひ進めてもらうということは望ましい、私はこういうふうに思っています。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 時間も参りましたけれども、もう一点だけ。  この地震が起きてから、新聞、テレビ、相当報道がありました。ほとんどの新聞は社説なども出しました。私は、見る限りの社説なども見せていただきました。その中でやはり予知の問題、内陸型直下型地震という問題、この問題が非常に取り上げられているのです。  それで、今度の地震状況を見ると、幸いにして火事というのがなかったのですね。営林署の貯木場のところがボンベか何かでちょっと火事になったのが、今度は土砂で消えたようですけれども、火事という火事はなかった。それから、学校の子供さんが、みんな学校へ行ったときに机の下などに入ったために負傷者が一人もなかった。こういう点については、地震というものについてある程度周知してきているのじゃないか、こういうふうに思うのです。  ところが、今回のようにああいう地すべり、土砂、言えば山津波というのですか、こういうものについての対応というものがなかなか周知されていない。ところが、営林署の職員の皆さんは、無線で連絡をとりながら、きちっとして、こういうときにはとにかく山へ登れと。それで、連絡をとりながら、車で行った人もこの地震と同時に山へ駆け上がった、振り向いて見たらその車が土砂で流されていた。だから、営林署の職員はある程度知識があり、そういうことを無線で連絡をとりながらやって、幸いにして被害者というものは出なかった、こういう報告現地の営林署関係皆さんから私は受けました。  それから、制度的にいろいろ見ていきますと、時間があればその点もちょっと触れたいと思ったのですけれども、確かに都市型の地震というものについては、大規模地震などを中心にして法律もでき、対策が進んできている。地震による津波などについても、幾つかの経験の中から対策が相当でき、対応が進んできている。しかし、内陸の今度のような地震については、予知というか観測体制、こういうものも非常に不備だ。したがって、予知などについても、明確な予知はないにしても、それに伴う対応、そして、そこにいる皆さん地震のときの行動、こういうものがどうも内陸型については不足していたのではないか、こういう気がしてたまりません。  そこで、大筋でいいのですから長官に、この地震対策というものに対してのいわゆる観測体制、予知、これは予算が厳しい中ですけれども、六十年度の予算の中で思い切った要求をして体制確立に努力していただきたいということを最後にお願い申し上げておきたいというふうに思います。
  55. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほども申し上げたように、予知という問題は、内陸直下型についてはなかなか難しい難しいと言うだけでもいかぬので、やはり踏み込んでひとつどうしてもこの体制をつくっていく必要がある。これには相当の予算をかけたり今の十倍もの人員を置けばとかという一つの説も出てきているわけでありますが、予算によって人の命を守れる、財産を守れるということならば、それは思い切ったことをやらなければいかぬのではないかな。ただ、観測の問題については曲がりなりにも整備されておるわけでございますけれども、観測の体制というものはもっと強化すべきである。特に土石流であるとか山崩れ、こういう問題については余り訓練がなされていなかった。ああいう大きな被害を受けたということについては、土砂災害あるいは地すべり等々の問題についても、そういう地域に対しては一つの観測体制、特にやはりそういうときにおけるところの訓練というものは必要である。あの辺は常に地震を予測して訓練をされておったから火災等々は、完全にこういったことは守られたのではないかなというふうにも私は考えておるところであります。  地震の予算等々については、昨日も指摘を受けたわけでございますが、ダウンをしておるということでございます。防災局も設置をされたわけでありますから、これからの問題になってくると思いますが、できるだけ全力を挙げて予算獲得に踏み切ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  56. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、薮仲義彦君。
  57. 薮仲義彦

    薮仲委員 このたびの長野西部を震源としますマグニチュード六・九の長野西部地震は、長野木曽王滝村を中心として数多くの死者、行方不明の方を出すとともに大変大きな被害をもたらしました。まずもって被災地方々に対しまして心からお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。また、一日も早く復旧が進み、平素の生活ができるよう心から祈るものでございます。とともに、いまだ行方不明の方々が一日も早く発見されることを心から祈念をいたすものでございます。  我が党も、この地震発生と同時に、甚大な被害に驚きまして、党に多田副委員長団長とする調査団対策本部を設けまして、発災翌日の十五日に現地に飛びました。被害状況視察すると同時に、被害に遭われた方々の激励、救援等の努力をさせていただきました。長官も直ちに現地に赴かれ、現地方々を激励された。現地方々は大変そのことを心強く思っておられました。このことに対しては敬意を表する次第でございます。  今回の地震は直下型の地震の怖さを嫌というほど教えてくれましたし、これからの地震対策に対しての多くの教訓を私たちに教えてくれました。最初に地震対策長官の万全な対策に対する御決意を伺いたいわけでございますが、何といっても行方不明になられた方の救助、捜索というものは全力を挙げていただきたいし、人命尊重を第一として被災地域の方々生活の安定確保全力を注いでいただきたい。先ほど来御指摘ございましたように、あの村が再び立ち上がれるように万全の対策を速やかに講じていただきたい。林業観光立村をもってこれからというときにあの大きな災害に遭われた方、これから冬のスキーシーズンまでが一つのまた大きなあの村の方々の期待でもあり希望であるのかもしれません。そういう意味で、災害復旧と同時に万全な対策をというあの方々に対する気持ちを長官が今後の努力によって実現をしていただきたい、こういう願いが込められているわけでございますが、冒頭に長官の御決意をお伺いしたいと思います。
  58. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 まず最初に、亡くなられた方々に心からの弔意を申し上げたい。特にまた、今なお見つからない皆さん方に対して遺族の方々が大変心に痛みを感じておられると思いますので、一日も早く、この捜索全力を挙げたいということを申し上げておきたいと思います。  行ってまいりましたけれども、ああいう経験が私もないものですから、普通の風水害とかあるいは一般災害——地震という、特に直下型地震というのは恐ろしいんだな、この部落は果たして立ち直れるという意欲があるかどうか、こういう問題を口に出すわけにいきませんけれども、大体そういう思い皆さんと話をしておったのですが、やはりここは生まれ育ったところである、その土地に対する愛着というものはどこの人よりも大変根強いものがあったし、私はあったというふうに肌で感じたわけであります。  そういう意味から、できるだけここに定住というか、定住をできるという環境づくりということが大事である。そのためにも、第二次災害は言うに及ばず、今後の復旧作業というものはそういったことをかみ合わせながら全力を注いでいく必要がある。特に一日も早く、これは期待感だと思います。不安でしょうから、一日も早く。そういう意味で、災害復旧というものは、自分で申し上げて大変恐縮でありますが、大変順調というとこれは大変なことになりますから、私が考えておる計画どおりに進んでおる、私はこういうふうに報告を聞いて受けとめておるわけであります。  そういう意味から、今後各省庁にまた大変な御協力をちょうだいするわけでありますが、各省庁を叱咤激励というよりかむしろ叱咤御協力をちょうだいして、できるだけ早い期間に私は復旧のめどをつけてまいりたい。特に、知事さんがおとつい参られまして、これも一つのめどになると思いますが、私は来月の中旬ごろに参ります、そこで県側としても県側でやれるところの県道等々についてはそれまでにひとつ完全復旧というところまでいかないにしてもある程度のめどをつけてもらわなければ困る、生活道路においては特にしかり、こういうことで具体的に知事さんには要請をいたしました。後で連絡ありまして、三日延ばしてくれ、五日延ばしてくれということで、大体来月の二十日ごろに相当、道路等々の問題については橋等々は仮橋とかいろいろなことになるでしょうが、大体のめどをつけていただくのではないか、こういうふうに考えておりまして、いま御指摘の問題については全力を挙げる、こういう決意でおるということをまず申し上げておかなければならぬと思います。
  59. 薮仲義彦

    薮仲委員 我が党の申し入れのときも長官にお願いしましたが、重ねて確認の意味で御答弁をいただきたいと思います。  今回の被害の甚大さからかんがみまして、激甚災害特別措置法にかかわります局地激甚の指定というものは、指定されて当然であると私も考えますし、ここにいる全委員長官もそうお考えであろうと思います。特に、公共施設災害復旧事業、これは三条、四条にかかわることでございますし、また農林水産共同利用施設災害復旧事業、五条、六条、あるいは中小企業にかかわります十二条、十三条、十五条、これは被害金額を我々が概算で聞いても、公共施設についてはあるいは数百億というオーダーも出ておりますし、中小企業も既に数億という被害金額は内々に報告を受けております。これは当然指定基準に数字の上からも該当する甚大な被害であって、局地激甚の指定は早期に指定されてしかるべきである。先ほど来長官もおっしゃられておるように、この行革の世に、国土庁にわざわざ防災局までつくって、長官がその防災の御決意、さらに中曽根総理大臣も国土の防災が肝要な施策であるとさきの国会でも発言があったように、こういう災害のときに長官の指揮、そして采配というものは重要な意義を持ちますので、私は改めて、局地激甚は当然指定されるべきだ、長官のかたい御決意をお聞きしたいと思うのでございます。
  60. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 中村さんにもお答えしたとおりです。激甚の指定は必ずやる、できる、そういう踏まえ方をしませんと、できるのかな、できぬのかなとやっていると、事務的になかなか進んでいかないと私は思います。局部の災害でありますけれども激甚災害の指定にならないとか、決してそういう問題ではないと私は思う。しなければならぬ。特に王滝村等々考えてみると、そうしなければ復旧ができないし、また、そうしなければ村の人たちは大変不安になるのです。そういう意味から、きょう現在、激甚災害の指定がなされたものとして各省庁はぜひひとつ事務的に詰めていってもらいたい、こういうふうに考えております。   〔委員長退席、田中(恒)委員長代理着席〕
  61. 薮仲義彦

    薮仲委員 その決意を聞いて、関係の村の方々は大変喜んでいらっしゃると思います。  次の問題に移りたいと思いますが、やはり復旧に対する財政的な措置というものは非常に重要でございます。先ほど来指摘がございましたように、財政力の弱い、災害に遭われた木曽部下の村では大変心を痛めていらっしゃると思います。普通交付税というものは、本年度分についてはもう八月二十八日に決定されて、それが九月、十一月に交付されるわけでございます。その十一月に交付される普通交付税については、当然繰り上げの措置を講じてほしいという要望があり、自治省としても当然そのお考えであるやに伺っておりますけれども、もし、その繰り上げの金額、九月分、十一月分について金額等についても精査されている段階であればここでお知らせいただきたいし、また木曽部下の中で王滝村の甚大な被害と同時に三岳村も、被害状態報告を聞いてみますと、やはり財政的な措置が必要ではないか、こう考えます。三岳村に対しても普通交付税の繰り上げ交付というものがあってしかるべきであると考えますけれども、その辺のお考え、いかがでございましょう。
  62. 木下英敏

    ○木下説明員 普通交付税の繰り上げ交付についてでございますが、実は九月の定例交付の日が九月二十八日になっておりまして、したがいまして、九月分の定例交付の日に合わせまして十一月分の交付の一部を繰り上げて交付したいということで手続を進めております。  その十一月分につきましての繰り上げ交付の額は、先ほど御指摘いただきました王滝村及び三岳村、この二村が該当になりまして、合わせまして  一億八千七百万を予定いたしております。
  63. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは重ねてお伺いしますけれども、やはりこういうときに必要ならば特別交付税の重点配分ということが問題になってくると思うのでございますが、特別交付税の重点配分に対するお考えと、それから特にああいう財政力の弱い村が災害復旧事業を行うときの裏負担、当然これは起債によると思うのでございますけれども、起債の許可、さらにそれに対する普通交付税による充当、こういう問題は、あのような非常に財政力の弱い村にとっては重要な事柄だと思います。激甚な災害を受けた村の災害復旧という観点から十分な御配慮があってしかるべきだと思いますけれども、この点いかがでございましょう。
  64. 木下英敏

    ○木下説明員 特別交付税につきましての配慮という点でございますが、当然私どももこの問題につきましては十分な配慮をしてまいりたいと思っております。当面十二月分の特別交付税が対象になるわけでございますが、被災団体の実情を十分調査いたしまして、その財政運営に支障のないように適切に対処してまいりたいと思っております。  また、災害復旧事業の地方団体の負担分につきましては、当然起債措置を行うということでございまして、この分につきましては政府資金を充てる。一定の元利償還につきましては当然交付税措置をしてまいる制度になっております。  いずれにいたしましても、地元団体の今後の財政運営に遺憾のないように適切な配慮をしてまいりたいと思っております。   〔田中(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 薮仲義彦

    薮仲委員 それ以上は聞きませんけれども、どうか温かい配慮でこの災害復旧が進むように、自治省の特段の努力を重ねてお願いいたしておきます。  次に、私は二次災害の件についてお伺いいたします。  先ほども天野先生から御指摘がございましたように、私もこの二次災害が非常に重要な事柄だろうと考えております。何点かございますけれども、まず最初に、伝上川、濁川、あの一帯がちょうど鋭いきばに切られたように山肌が出ております。私は、確かに応急的な措置としてのお話はわかりました。でも、ことしは非常に恵まれたといいますか、台風がまだ来ておりません。しかし、台風シーズンを迎えますと、あの赤茶けた山肌に多量の雨を吸い込んだ場合に、二次の土石流が起きないという保証があるのかどうか。私はこれは非常に危険だろうと思います。それからさらに、これから降雪期を迎えます。あのようなヒノキの美林に囲まれた山肌であれば、それなりの雪に耐える力があったかもしれません。あそこに雪が積もったときに雪崩の現象は起きないのか、さらには来年の春、融雪期にあの山肌をどういう形でえぐってくるか、これまた深刻な状態であろうと思うのでございます。  先ほど来当面の対策はわかっております。我々も現地に行って見ております。でも、やはりここで考えなければならないのは、次の台風のときに大丈夫か、さらには雪が降ったら大丈夫か、融雪期にはどうするんだ、二重、三重の対応があってこそ、あそこに住んでいらっしゃる住民の方が安心してあそこでなりわいを続けられるわけでございますから、その点、いわゆるあの伝上川、濁川の雨、雪、そういうものに対する今後の対応についていかがお考えか、お示しいただきたいと思います。
  66. 吉國隆

    吉國説明員 濁川地区の山林崩壊に伴います復旧措置につきまして、緊急的な対策を講じて、再度災害防止するという観点から対策を進めてまいりたいということでございます。先生御指摘ございましたように、大規模な崩落がございまして、どういう復旧工法でやることが最も効果的であるかという点につきましてただいま専門家の方々、大学の先生を含めて現地で御調査をいただいておるという段階でございまして、その調査結果を踏まえて可能な限りの措置を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  67. 薮仲義彦

    薮仲委員 調査の段階でございますから、これ以上言っても論議は進まないと思いますけれども、これはどうか長官、心にとめていただきまして、今後の対策の中で台風並びに降雪、融雪の対策を御配慮いただくようにお願いをいたしておきます。  それから、二次災害の第二番目は、これは当然、関西電力の持っております三浦ダムが上流にあるわけでございます。これは建設省所管ではございませんけれども、ダムというものは河川に構築された構造物であり、ダム操作規定は建設省がその承認をしているわけでございます。あの三浦ダムの放流という問題は、建設省も非常に関心を持っておると思います。  念のためにこの三浦ダムの現状について何点かお伺いいたしますけれども、私の手元に九月二十六日現在、空き容量の数字がございますけれども、二千四百万立方という数値が来ておりますが、この数値が間違いないかどうか、これが一点。この空き容量というものは、現在ダムに流入量が日量何トン、それからあと何日ぐらいで湛水状態になるのか、その辺のところをまず数字だけちょっと、関心を持っていらっしゃると思いますので、関係ないと言わないでお答えをいただきたい。
  68. 志水茂明

    ○志水説明員 お答えいたします。  三浦ダムにつきましては、現在上流から入ってくる全量を貯留いたしております。現在の空き容量は、二十七日九時現在で約二千三百八十万立方メートルでございます。それから、上流からの流入量でございますが、これは大体毎秒四トンぐらいでございまして、日平均に直しますと大体三十万ないし四十万立方メートルの流入量が入ってきております。したがいまして、現在のこの二千三百八十万立方メートルに対しましてこういう容量でございますから、今すぐどうというわけではございません。しかし、いつまでもこういう状況は続けられないと思っております。
  69. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは三十万立方といいますと何日分ぐらいですか。
  70. 志水茂明

    ○志水説明員 約八十日。
  71. 薮仲義彦

    薮仲委員 計算等を、後で誤りがないかどうか、もう一度正式にやっていただきたいと思うのでございますが、これは例えば雨量に直すと何ミリぐらいの雨量に耐える量でございましょう。
  72. 志水茂明

    ○志水説明員 上流域の雨量に直しますと、約三百四十三ミリに相当いたします。
  73. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官もこのダムの問題については心にとめておいていただきたいと思うのですが、長野県一帯は年雨量が大体二千ミリ前後でございます。特にこれから台風シーズンを迎えますと、あそこにどういう雨量が降ってくるかはまだ予測しかねると思います。また局地的な、集中的な豪雨があれば、ダムというのは絶えず予備放流をしなければなりません。お話のように、現在はダムのゲートをとめて下に流さない、それは二次災害防止のためにダムのゲートを閉じておるわけでございます。しかし、ダムがある一定量を超えますと放流しなければならない。それにバランスをとって河道の方が果たしてどうなるか、また堆積した土砂が二次災害を誘発する危険性がないかどうか。ダムのゲートをあけたときの突出する水の勢いというものは物すごいものがございます。私も地元河川でいつもダムのゲートのあけ方については問題にしているところでございますけれども、特にあのように河床が不安定な状態で大量の水をダムゲートから放流しますと、非常に危険な事態が予測されます。豪雨あるいは台風時、こういう点で当然建設省は十分な、今開発課長も専門でございますから、二次災害の危険について十分配慮してダムの操作はやっていらっしゃると思うのです。しかし、将来を予測して、いつまでもあれをためておくことは逆にかえって危険を増大するかもしれませんし、住民のよき理解を得ながら、ダムというものが大きな被害をもたらす引き金にならないように十分な対策を講じていただきたいと思いますので、これは現時点においてはまだ予測しかねることかもしれませんけれども長官に、そして建設省にお願いしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  74. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほど防災課長等がいろいろ説明をしておりましたし、また私も報告を受けておるわけですが、これから先の問題については、これは恒久的な問題ですが、現状の時点においては心配はない、本当に心配はないのか、まあ心配はないということでございますから、私も三浦ダム等々の問題についてここが原因の発生かどうかいろいろ追求をしてみておったのですが、そればかりではない、こういうようないろいろ御報告を聞いておりますので、まず建設省、技術者を信頼をするというよりほかにないのではないか、こういうように思っております。
  75. 志水茂明

    ○志水説明員 三浦ダムの実態は先ほど申し上げましたとおりでございまして、現在下流の行方不明の方々捜索、それから災害復旧対策の進展とあわせまして今後これをどうしていくかということにつきましては現在関西電力、それから長野県などと協議を行っておりまして、万全の対策を講じていきたいと思っております。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかこのダムの対策につきましては十分な検討を加えていただくよう重ねてお願いをいたしておきます。  それから、先ほども御指摘がございました氷ケ瀬から柳ケ瀬に至る約三キロにわたります四百万立米あるいは五百万立米と言われる堆積があるわけでございます。確かにロックフィルダムを考えればダムの崩壊はないというお考えはわかりますけれども、先ほど御指摘がございましたようにダムの浸透水の問題等もございますので、それで安全ということで安易に気を許さずに、河道並びに水位の状況については十分な御注意をいただきたい、お願いいたしておきます。  時間が限られておりますので、突っ込んだ話はやめにして、次の問題に移らせていただきます。  国土地理院はお見えになっていらっしゃいますか。国土地理院の方に事柄の正確を期すためにちょっとお伺いしたいわけでございます。これは国土地理院と言った方がいいのか、あるいは予知連絡会がと言った方が正確なのか、その辺を確認したいわけでございますが、五十三年に全国の八つの地域を特定観測地域と指定なさいました。これは国土地理院と言った方がいいのか、あるいは予知連が指定したと言った方がいいのか、その辺の事柄の正確さをちょっと教えていただきたいのですが。
  77. 春山仁

    ○春山説明員 御説明いたします。  五十三年八月に特定観測地域の見直しを行っておりますけれども、これは地震予知連絡会が行ったものでございます。
  78. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官も御承知のように、予知連というのは国土地理院の院長の私的諮問機関でございまして、その私的諮問機関が八つの地域をこのように特定観測地域というように指定したわけでございます。  気象庁、お見えでございますね。気象庁にお伺いしたいのでございますけれども、気象庁としては、今お話のありました特定観測地域、特に今回の地震の場合は、長野西部、岐阜県東部という地域に入っているわけでございますけれども、こういう特定地域に対して、気象庁は重点的に観測網を強化するという責任なり、行政上のそういう措置を講ずる立場にあるのかどうか、この辺ちょっとお伺いしたいのですが。
  79. 山川宜男

    ○山川説明員 気象庁では、高感度地震観測網を全国に展開いたしておりまして、特定地域を含めまして、特に内陸部につきましては地震予知連絡会あるいは地震予知推進本部等で、気象庁が観測担当とされております大地震よりもさらに小さい地震まで観測する体制を整えております。しかし、今後さらに地震活動の監視強化に向けまして、大学等関係機関協力を得まして、総合的な地震観測体制強化に努めてまいりたいと存じております。
  80. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっとそこにいて、時間がないから。  私の聞いているのは、気象庁は、今申し上げた特定観測地域に、例えば地震計なりひずみ計なり傾斜計なり、いわゆる気象庁が当然持っている機能というものを重点的にそこへ設置する義務があるのかないのか。いわゆるそこへやらなければならない立場にあるのですかということを聞いているのです。あるのかないのか。
  81. 山川宜男

    ○山川説明員 私どもとしましては、特定観測地域に起こります小地震その他を把握する義務は持っておると思っております。しかし、地震の波は広がってくるものでございますので、周辺に適正な観測網が配置されておりましたら、特定観測地域及びその周辺の観測体制で、そういう気象庁が義務とされておりますものをつかまえることができると考えておる次第でございます。
  82. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土地理院とか気象庁にこれ以上言うのもちょっといかがかと思うので、これは建設省の技術審議官お見えだと思いますのでお答えいただきたいのです。  私がなぜこういうことを言っているかというと、地震の予知という問題について、一元化というものの、非常にいろいろな対応があるわけです。先ほどの御答弁の中に地震予知推進本部というお話が出ておりました。これは文部省の測地学審議会が建議した事柄によって閣議決定された予知推進本部というものがあるわけでございます。これはどちらかというと、中心は科技庁です。今お話しの予知連という対応で新聞に出てくるわけです。予知連というと、とかく国民の受けとめ方は、いわゆる強化地域と特定観測地域という差がわからない。いわゆる観測強化地域といいますと、東海と南関東です。ここにはきちんと、ある意味では行政が財政措置をつけて観測機器を重点的にそこへきちっと入れております。ですから、東海地震を中心として、あるいは南関東を中心としての地震観測網というものは、財政的な裏づけできちっと進んでいるわけでございます。  しかし、気象庁もなかなかすぱっとは言えなかったと思うのですが、特定観測地域というのは、いわゆる国土地理院の私的諮問機関の予知連が、いわゆる学術的な立場から地域を指定したわけであって、それを行政ベースに乗せてそこを重点的に観測しなければならない法律的な裏打ちもなければ財政的な仕組みにもなっていないわけです。ですから、長野県の方では、ここは特定観測地域になっているのに気象庁は観測の体制を解いたとか、こういう言われ方をします。  ここで私、問題なのは、これは長官、将来にかかわる問題でございますけれども、予知の体制が、文部省、科技庁、国土庁、多岐にわたっています。しかも、予知連というのは社会に認知されておりますけれども、法律的にはいわゆる国土地理院院長の私的諮問機関です。認知されてないとは言いませんけれども、何らそこに観測機器を入れなさいという権限は持っておりません。ですから、地域指定しつ放し、ほかは各大学が、長野県ですと名古屋大学がやろうとか、北海道なら北海道大学がやろうというような、言うなればやる気のある人がやっているという実態が現状だと思うのです。これは私は現地をいろいろ聞いてみました。結果はそうなんです。  ですから、私は技術審議官にお願いしたいのは、これだけ社会的には予知連の発言というのが非常に影響性を持っています。地震の将来についてこうである、ああであるという発言に対しては国民は関心を持っています。ですので私は、この予知連がこのように指定したところについて、これは国土地理院の主務官庁としての建設省、そして国土庁長官との協議の中で、来年からわざわざ予知連が指定した特定観測地域については話し合って、重点的に地震の観測を整備して、将来にわたって観測が充実していくような十分な対応を図っていただきたいと思うのでございますが、長官と技術審議官のお考えをお伺いしたいと思うのです。
  83. 杉山好信

    ○杉山説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、地震予知連絡会におきましては、行政権限というものはございませんで、各関係機関の情報交換、それから、それをもとにして専門的な判断をするという立場で活動しているわけでございます。  研究段階の問題につきまして、先ほど先生おっしゃいましたように、地震予知推進本部が行政の立場として内閣に設置されておりまして、ここで地震予知計画といいますか、全体のまとめをやっておるわけでございますが、こういう中で今後の研究調整の問題がこの推進本部の役目でございますので、そこでやはり検討されていく必要があるのではないかというふうに感じております。
  84. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 政府機関として推進本部が置かれているわけです。これは各省庁またがっておりまして、一元化という意見も出ておることも事実です。でき得るならばその方が好ましいのではないかなと思っておりますけれども、現在のところ、各省庁いろいろな意見があるわけですが、この推進本部で取りまとめながら対策を立てていくということが現時点においては望ましい。また、将来において、今申し上げたところの一元化問題ということが出てくるとするならば、これは皆さんでよく検討していただいて、どれが的確に国民に対して不安を与えないか、予知問題というのはやはり大変重大な問題でありますし、関心が特に寄せられておるわけでありますから、今後の推移によって決めていくべきであって、現在のところは、今申し上げたところの政府機関としては推進本部である。これが各省庁の技術的な粋を集めて、いろいろ調整をしながら実行していくわけでございますから、今の場合ではその方が極めて適切ではなかろうか、こういうふうに考えています。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題は将来にわたってまた検討をいただくようにしたいと思いますけれども、私は地震のメカニズムというものが非常に複雑であって、困難である。ですから、文部省の測地学審議会といいますか、そこが建議をした事柄によって推進本部ができた、この辺のいきさつは私も十分知っております。しかし、そういう学術的な、研究的な問題からさらに行政ベースでよしというものを現在はその都度指摘されてまいります。特にこうなってまいりますと、こういう直下型の大地震がございますと、行政ベースで物を判断し、考え、対応しなければなりません。この辺の対策が学術的な分野と行政とのどこかで一元化を図っていく必要は、将来の課題として長官の大きなお仕事の一つだろうと私は思います。この辺はきょうは時間の関係でやめておきますけれども、どうか心にとどめて予知並びに対策の一元化についてはよろしく御検討いただきたい、お願いいたしておきます。  次に、大事なのはたくさんあるのですけれども水道の問題をお伺いしたいのでございますけれども被害に遭われた方がこれから安定した生活を営むためにはやはり安心して飲める水というものが大事でございます。この対策がある意味では非常におくれているのではないか。我々も現地に参りましたけれども、いわゆる厚生省現地に入るのが、道もないので非常に困難だという実態はわかります。でも、水道水源と良質の水を供給することが二次災害、言うまでもなく疫病とか悪い病気を起こさせないためにも良質の水の確保ということは行政上の重要な責任であろうと私は思います。確かに急速ろ過機を持っているからいいんだという報告はございますけれども、やはりろ過あるいは殺菌というのは一時的な措置でございまして、良質な水源を確保して完全な供給体制を敷いて安心して水が飲める体制をつくることが大事だと私は思います。  と同時に、この災害復旧の場合の、水道というのは公営企業でございますので、その財政的な負担というものが地方財政にとってやはり非常に困難でございます。自治省の公営二課の御担当だと思うのでございますけれども、こういう水道復旧についてやはり財政的な点で心配がないという措置と配慮をいただきたいと思うし、厚生省も早く乗り込んでいって水を供給できる完全な体制をつくっていただきたい。  それから林野庁、時間がないから重ねて言っておきますけれども、ライフラインというものは私は絶対大事だと思うのです。今あそこで一番困っているのは、滝越の部落の方が全員避難していらっしゃる、確かに避難命令下にあることは当然でございますが、避難していらっしゃるという事態の中に道がないわけです。御承知のように、柳ケ瀬、氷ケ瀬のところの林道は全部壊滅状態です。途中までは村道ですが、通ずる道はほとんど林道でございます。これは林野庁の責任でございます。あの道を復旧するということは、私は現地に行ってみて不可能だと思います。川の対岸に道路をつけかえて今ある林道を生かすか、対岸を使っての迂回路をつくるか。しかし、迂回路は距離が物すごくかかります。時間も数倍かかる。自動車が通れるかどうかもわからない。とりあえずは応急的な措置として迂回路をつくるべきだと思う。橋をかけても迂回路をつくってライフラインは確保すべきです。道路がないということは民生の安定上最もよくないと思います。これはつくっていただきたい。  と同時に、迂回路だけではなくて、あの対岸につけかえ道路、これはどうしてもつくるべきだと思う。災害復旧事業としてつけかえ道路を緊急にやるべきだ。確かに災害復旧事業は三年かかるかもしれませんけれども、こういうときには三年とは言わず一年でやるくらいの決意で林野庁は取り組んでいただきたい、この二点についていかがでしょう。
  86. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明申し上げます。  王滝村の場合には簡易水道が四カ所ございまして、いずれもわき水を水源としておりまして、地震直後わき水が濁りましたという報告を受けたものですから、これを処理して配った方がいいだろうということで、ちょっと離れておりますけれども、佐久市で使っておりました急速ろ過機をトラックとヘリコプターを使って輸送いたしまして、これでもってとりあえず濁った水を浄化して給水しております。ただいまのところ、わき水の方は水質も安定しております。これがずっと今後とも今までのように安定したいい水質のものが得られるかどうか調査させておりますけれども、仮にそれが困難であるという場合には、水源の転換を含めまして恒久的な施設整備をしなければならぬと考えております。それにつきまして財政援助の関係でございますけれども、従来、水道施設災害を受けた場合には、豪雨等によって災害を受けたような場合には二分の一という国庫補助をしておったわけでございますが、特に大きな災害の場合、例えば古くは新潟地震あるいは有珠山の噴火、昨年の三宅島の噴火、こういったものについて、当該市町村財政規模に比べて被害が大きいという場合にはいわゆるかさ上げと申しましょうか、高率の補助をした例もございますものですから、こういった過去の例に倣いまして地元の御負担ができるだけ少なくなりますよう今後財政当局と御相談してまいりたい、このように考えております。
  87. 吉國隆

    吉國説明員 滝越地区への連絡を確保するための王滝林道にかわる道路復旧問題でございます。  お話ございましたように、当面の措置といたしましては王滝川に仮橋を架橋いたしまして、それと国有林内の林道をつないで迂回して滝越地区に至るという区間の復旧をとりあえず急ぎたいというふうに考えておる次第でございます。  王滝林道の本格的な復旧工事といたしましては、お話ございましたように、対岸につけかえるという考え方で、これはしばらく時間がかかると思いますけれども、そういう方向で調整をし、準備を進めたいというふうに考えております。
  88. 薮仲義彦

    薮仲委員 まとめて最後の質問にしたいと思います。  一つは、防災無線。今度の災害で人命が非常に助かったといいますか、あるいは被害現場から逃げることが可能だったのは営林署の方々が無線を持っておった。これはお互い同士、また被害に遭った方々との連絡にも十分活用できた。あそこは有線施設がございますが、全部破壊されて役に立たなかった。防災無線というものはこういう災害のときの災害復旧に非常に有力な、また現状把握に大事なことでございます。きょうは時間がございませんので、何点かお伺いしたいのでございますが、特に財政負担が地元では非常に大きな課題になっております。特に先ほど申し上げたいわゆる特定観測地域と言われるような地震災害のおそれのある地域については財政的な措置並びにいろいろな知恵を出して、ああいう地域の防災上、防災無線の整備ということが非常に大事だと私は思いますので、これはきょうは自治省にお願いをしておきたい。防災無線の設置は全国的にはまだ三〇%を下る率でございますけれども、何とか特定観測地域等については十分な御配慮をやっていただきたい。やってくれるかどうかの御返事。  それから、中小企業は先ほども御返事がございました。これから一度心を落ちつけて御自宅へ帰られる、自分の生業を再建しようというときにはやはり先立つものは、大事なのは低利の融資制度であろうと思います。実態が判明し次第、この融資内容についてはどうか十分温かい配慮のもとに村の再建が可能なように御配慮をいただきたい。心からお願いをいたします。  それからもう一点は、いまだ具体的には出てまいりませんけれども、我々も空から見たときにはおうちというのはそう壊れていないのかというほど外観は整っておりますけれども、一歩中に入りますと大変傷んでおります。これを建てかえなければならない、あるいは復旧しなければならないときの災害復興住宅資金、この制度資金の運用については条件を極力緩和して、おうちの建てかえができるような御配慮をいただきたい。  この三点について、結論だけ簡略に明快に御答弁いただいて私の質問を終わりたいと思います。
  89. 島崎実

    ○島崎説明員 防災行政無線についてでございますが、ただいま御指摘がございましたように、災害時には極めて有効であるというふうに私どもも認識しておりまして、今後整備の一層の徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それで、特に私どもも補助対象ということで特定の危険な地域、例えば地震でございますとか台風とかそういうふうな特定の地域に対して助成をしているわけでございまして、特定観測地域等につきましても五十七年度から補助対象にするというふうなことにしているわけでございます。市町村要望等も十分踏まえまして整備の徹底に今後さらに一層努力してまいりたいと考えております。
  90. 小川忠夫

    ○小川説明員 今回の地震による中小企業関係被害王滝村に相当集中しております。現在、現地の実態調査を急いでいるところでございますが、金額で七億五千万という甚大な被害が出ております。実態調査が終わり次第、先生の御指摘の御趣旨を生かしまして、関係省庁ともよく相談いたしまして万全の措置を講じてまいりたい、こう考えております。
  91. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 公庫の災害復興住宅貸し付けにつきましては、一般住宅の建設あるいは補修の貸し付けよりも限度額あるいは利率、償還期間等の面におきまして大変有利な扱いになっております。九月十八日から早速融資開始するということで、現地でも周知をさしていただいております。先ほど来お話のございました激甚災害の指定がございますと、さらに利率につきましても有利になるような仕組みになっております。  以上であります。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  93. 佐藤観樹

    佐藤委員長 午後一時二十分から委員会再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開議
  94. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤英成君。
  95. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 九月十四日に長野御岳山ろくで起きたマグニチュード六・九の長野西部地震は、震源地の王滝村に大規模な土砂崩壊などで大惨事を生じ、死者、行方不明が二十九人にも及んでおります。被害に遭われた現地方々に心からお見舞いを申し上げます。  民社党は、いち早く小沢貞孝議員を本部長とする長野西部地震災害対策本部を設置し、十九日現地視察し、調査をしてまいりました。行方不明の捜索もはかどらない状況ながら余震もおさまりつつあり、ようやく災害復旧が本格的に開始をされました。  今回の地震は内陸の直下型地震の恐ろしさ、土砂崩壊、土石流の凶暴さ、未確認の活断層の多さ、地震予知の難しさを強烈に知らしめました。日本は世界屈指の地震国であり、昨年の日本海中部地震被害もあり、全国的に総合的な地震対策の必要があると思われます。  こうした観点から、次の点について関係機関の考え方をお聞きしたいと思います。国土を守り、国民の生活を守るという意味で、真摯な答弁をお願いを申し上げます。  私自身も現地を直接視察し、調査をしてまいり、現地状況要望を踏まえて質問をしたいと思いますが、国土庁長官もいち早く現地視察され、既にいろいろな対策を講じられております。大変御苦労さまに思います。長官を初め政府皆さん方がまさに真剣になって頑張っておられることに対して敬意を表しますけれども、まず最初に、国土庁長官現地を見られた印象と対策への決意をお伺いいたしたいと思います。
  96. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 まず最初に、被害を受けた方々に心からお見舞いと心からなる弔意の言葉を申し上げたいと思っております。  行ってみて、やはり地震というのは恐ろしいな。私も初めての経験ですから、何という無残な恐ろしいものであるかなということをこの身に肌に感じたわけであります。そういう意味から、向こうの視察に参りまして住民の皆さん方とお会いをいたしますと、こういうところによくということは口に出せないし、そういう考え方で地元の人と接したわけでありますが、やはり生まれたところに対する愛着というか、生まれ育ったというところを大変心として、今後もここで住んでいこう、定住をしていこう、そういう気持ちが大変強いわけであります。そういう意味から、これに対してやはり何としても一日も早く地域住民皆さんまたは地元皆さん方のために復旧をしなければならぬ、特に安心をしてもらう、一日も早く平常に戻さなければならぬという決意を強く私の心に刻んだわけであります。そういう意味から、大変各省庁協力を得まして、大変順調というわけにはまいりませんでしょうが、計画どおりに進んでおるものであろう、こういうふうに私は考えております。今後も最大限の努力をいたしまして一日も早く正常な姿というか、正常な形で復旧する必要が私はある。特にこれから一体どうしていくんだろうか、これからどうなるんだろうか、そういう不安がやはり物すごくあるわけです。それは観光事業を一つ見ましても、恐らくここへ皆ざんが来るだろうか、恐ろしくて。こういう不安は当然取り除くことはできません。あるいはまた林野にいたしましても、その他の問題についても、特に中小企業は完全な崩壊状態である等々の関係から一日も早く復旧をする必要がある、こういうふうに考えております。何はともあれ全力を挙げて復旧のために努力をする。特にまたもう一つ大切なことは、やはりいまだ遺体の見つからないというか、この捜索には全力を挙げていく必要がある、私はこういうふうに考えております。と同時に、第二次災害の起こらないように、第二次災害を未然に防止するように、こういうことで全力を挙げるということをまず最初に決意として申し上げておきたい、こういうふうに思います。
  97. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。今のお言葉に沿って全力を挙げられるようお願いを申し上げます。  それから、最後に言われました二次災害防止の問題についてもぜひその対策を講じていただきたいと思います。  国土庁にもうちょっと具体的にお伺いしたいんですが、今回の被害の大きさにかんがみて早急に激甚災害の指定を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 何度も繰り返し繰り返し答弁をさせていただいておるわけでありますが、これは激甚災害の指定をしなければとてもじゃないが、あすこの村の復興は私はあり得ない。局部的な問題でありますけれども、私はきょうこの日を激甚災害の指定をした日である、こういうふうに受けとめて各省庁に事務的な形を進めてもらいたい、これは当然です。今伊藤さんがおっしゃったように、激甚災害の指定は当然なことであると受けとめていただきたい、こういうふうに思っております。
  99. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、厚生省建設省にお伺いしたいんですが、大きな人的被害を発生をさせたことに配慮して速やかに災害弔慰金の支給をすること、また被災家屋への災害復興住宅資金の貸し付けを早急に実施すべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  100. 荻生和成

    ○荻生説明員 災害弔慰金の関係でございますけれども、県を通じまして、五つの町村に対しまして弔慰金の早期支給を指導しているところでございますが、具体的には、九名中七名の方の遺族には本月中にも支給されようということです。それから、他の二名の方の遺族には、少なくとも十月初めには支給される見通しです。
  101. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 住宅公庫が行っております災害復興住宅資金の貸し付けにつきましては、既に九月十八日から融資開始いたしております。  王滝村の場合につきましては、木曽農協王滝村支所におきまして受付をやっておりますが、ただいまのところまで、お申し越しをいただいたという事実はないようでもございますが、これからさらに御利用の方をPRしてまいりたいと思っております。
  102. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。今のPRの件もぜひよろしくお願いいたします。  それから、自治省にお伺いいたしますけれども、普通交付税の交付を早急に行うこと、特別交付税について特別の財政措置を行うこと、それから、地方債の発行についても特別の配慮を行うことを要請したいと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 木下英敏

    ○木下説明員 普通交付税の繰り上げ交付につきましては、あす二十八日の九月定例分の交付日に合わせまして十一月分の交付分の一部を繰り上げて交付する予定にしてございます。  それから、特別交付税なり地方債の配分につきましても、今後災害復旧費の補助事業につきましても地方負担分もございますし、また単独の事業というものもございますので、当然そこら辺の状況を十分見きわめながら適切に配慮してまいりたいと思っております。
  104. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 林野庁にお伺いしたいのですが、林業関係災害について特に国有林関係被害は非常に甚だしいわけですが、緊急治山事業及び林道災害復旧事業の早期実施を図るとともに、林業関連従事者の就労への配慮等を図ってほしいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  105. 吉國隆

    吉國説明員 国有林が地域産業との関係で非常に大きな役割を果たしておるわけでございますので、国有林の早期事業再開と再度災害防止という観点に立ちまして、緊急治山事業なり林道の災害復旧なりを進めてまいりたいというふうに考えております。  林業に依存しておる方々もかなりの数に上っておる地域でございますので、そういった方々の就業の場の確保という点からは、国有林事業再開までの間におきましても、事業の実行箇所の変更等を通じまして、さらにはまた公共土木関係事業等への雇用のあっせん、そういった形を通じまして就労の場を極力確保するように努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  106. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほど申し上げたように、私も現地に行ってみまして、本当にそれぞれの方が大変不安に思っているわけです。今の林業関係の方たちもまさに自分たちの働く場所というような意味でも大変な不安の状況にあり、関心を抱いておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、観測体制についてお伺いいたします。  長野西部、それから岐阜県東部の辺は阿寺断層などの活断層が分布をしており、地震予知連絡会から全国で八カ所の特定観測地域に指定をされておりました。しかしながら、観測の基本であるべき地震計は、王滝村から四十数キロも離れた飯田市、高山市等の四カ所に設置をされているにすぎないようであります。それも、地殻の変動を見る体積ひずみ計などの観測機器もなく、特定観測地域とは名ばかりの体制ではなかったかというふうに思われます。  この地域は五十一年から断続的に群発地震が発生し、五十四年には御岳山の噴火もあり、他地方  でこの間に発生している地震、噴火との関連の有無を究明し、今回の地震を事前に予知できる可能性はなかったのかどうか、これを気象庁にお伺いしたいというふうに思います。  それから同時に、これは科学技術庁にお願いしたいのですが、今後特定八地域の観測体制をどうするのか、この点についてもお伺いをしたいと思  います。
  107. 津村建四朗

    ○津村説明員 まず、後段にございました地震が予知できなかったのかという問題についてお答えいたします。  この地域では、御質問のとおり昭和五十一年から群発地震が始まりまして昭和五十三年にピークに達しております。その後ほぼ静穏化いたしましたが、微弱な活動がずっと続いていたという状況でございました。また、昭和五十四年十月に御岳山が噴火しております。今回の地震は、この群発地震活動のピークから約六年、それから噴火から約五年を経て規模の大きい地震が発生したという経過になっているわけでございますが、従来このような経過で大きい地震が発生したという例がなかったために長期的に予知することはできなかったわけでございます。  それから、気象庁は、大学、関係機関と緊密に協力いたしまして、この群発地震活動の推移は把握していたわけでございます。しかし、その後の詳しいデータの分析を含めまして、短期的な予知を可能とするような直前の異常活動というものが今回のケースについて認められなかったわけでございまして、このため短期的予知もできなかったわけでございます。  観測体制につきましては、気象庁では、高感度の地震観測網を全国に展開いたしておりまして、これによって特定観測地域を含め、かなり小さい地震まで捕捉する体制を整えております。しかし、さらに地震活動の監視強化に向けて、大学や関係機関により設置されております地震計等のデータの利用も含めて、そういう協力を得て今後総合的な観測体制強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  108. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 我が国における地震予知観測研究につきましては、内閣に設置されております地震予知推進本部、これは本部長は科学技術庁長官でございますが、これを中心といたしまして関係機関の緊密な連携協力のもとに、地震予知技術の向上を図るための研究あるいは観測を積極的に推進しているところでございます。  長野西部、岐阜県東部のこの特定観測地域及びその周辺につきましては、先ほど気象庁の方からもお話がございましたけれども、気象庁におきましては大中小地震観測、それから国立防災科学技術センター、これは科学技術庁の中にございますけれども、及び国立大学によりまして微小地震及び地殻変動の観測等の研究が行われておるわけであります。このほかに国土地理院におきましては測地測量が実施されております。  今後ともこの特定観測地域における観測研究の充実につきましては、関係機関の御協力も得まして積極的に進めてまいりたいと考えております。
  109. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほどの気象庁の説明につきましてもうちょっと確認したいのですが、先ほどのお話は、今回は予知はできなかったけれども、やろうと思えば、策をいろいろしておれば予知は可能だったのでしょうか、不可能だったのでしょうか、もう一度御答弁願います。
  110. 津村建四朗

    ○津村説明員 一般的に申しまして、こういう直下型地震の予知というのは、現在の予知の技術レベルでは大変難しい。ですから、今回のケースも、現在まで得られているデータを詳細に検討いたしまして難しかったわけでございますけれども、その他の地震についても今はまだ難しい段階にある、研究段階にあるというふうに考えております。
  111. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 既に研究にも着手されているようでありますので、ぜひ精力的に進めていただきたいというふうに思います。こういう地震はこれからいつまたどこで起こるかもわからない状況ですので、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、防災体制について郵政省にお伺いいたします。  全国の農村には有線放送電話が普及をしております。放送機能を持つ有線放送は、今回の地震にも加入全世帯に情報を流し、その威力を発揮いたしたとも聞いております。郵政省の地域情報通信システム調査研究会は、電気通信局長に、有線放送と自治体の防災行政用無線を接続して地震や台風時に加入世帯に素早く緊急情報が流れる体制を整備すべきだとの報告をまとめ提出した、こういうふうに新聞報道にもありました。広い範囲に張りめぐらされたネットワークを持つ有線放送と防災行政用無線との接続を積極的に推進すべきである、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  112. 品川萬里

    ○品川説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘ございましたように、災害時におきましては情報というものは大変重要でございます。一般的な情報につきましてはラジオ、テレビ等で伝達できるわけでございますが、被災地方々が直ちに必要とする情報につきましてはこれでは十分とは言えないわけでございまして、今御指摘ございました防災行政用無線あるいは有線放送電話というものが大いにその機能を発揮する分野であるわけでございます。  今御指摘ございましたように、私ども電気通信局長の私的な勉強会でございますけれども、地域情報通信システム調査研究会の方から、今申し上げました有線放送電話と防災無線の接続ということにつきまして積極的に推進すべきであるという御指摘をいただきました。郵政省といたしましても、通信システムと防災ということについてはかねてから十分な注目を払っておるわけでございますが、御指摘のような線で今後積極的に、防災行政無線あるいは関係の無線そして有線放送電話の接続というものについて十分積極的に対応できるように努力してまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  113. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、過疎対策についてお伺いをいたします。  今回大災害を受けた王滝村は長年の過疎化に悩んでおります。王滝村等を含む木曽郡十一カ町村全体が持っている最大の悩みであります。     〔委員長退席、中村(茂)委員長代理着席〕  観光と林業のほか産業もなく、子供たちは中学、高校を卒業するとみんな村を出て都会に就職をして帰りません。災害復旧を第一にすることはもちろんでありますけれども、この機会に過疎化に対する対策にも力をかしてやってほしい、こういうふうに思います。  長野県はことしから村興し事業として高齢化の進む山間地の農業、産業に力を入れ、魅力ある山間地づくりを目指しておりますが、国の一層の援助をお願いし、一日も早く被災住民の皆さんが立ち直れるようにしていただきたいと思います。その対策等についてお聞きしたいと思います。
  114. 勝村坦郎

    ○勝村説明員 お答えを申し上げます。  王滝村は御指摘のとおり、過疎と申しましても従来人口減少がかなり顕著な村でございまして、数字で申しますと、過去十年間に二二%余りの人口減少がある、こういうことでございます。したがいまして、従来から過疎地域の振興事業の推進を強く図ってまいりまして、御指摘ありましたように観光事業、林産木工関係の産業興しを中心に県、村挙げて非常な御努力を進めてこられております。また、同村は振興山村にも指定されておりまして、山村振興対策の施策を同時に従来推進してまいったところであります。現在の段階でございますと、やはり二次災害防止災害復旧事業の推進に全力を挙げなければならない状況でございますけれども、私どもといたしましては一日も早く災害復旧の基礎が固まりまして村の方々が今後に向けての展望を築いていかれることを切に願っておるわけでございます。  過疎対策といたしましては、今年度が五十五年度に始まりました前期過疎振興計画の最終年度に当たっております。来年度、六十年度から後期の過疎振興五カ年計画というものを各市町村につきまして策定をいたしまして、新しい振興施策を推進していく、こういう段階でございます。したがいまして、今年度の年次計画につきましても今度の災害に関連いたしまして見直しが必要な部分があるということでありましたら、私どもといたしましてもできるだけの努力を払ってまいりたいと思いますし、来年度以降の後期五カ年計画策定に当たりましては災害復旧の本格事業と時期的にかなり重複せざるを得ないと思いますので、災害復旧事業との有機的な関連を図りますと同時に、今度の災害でいろいろ環境条件が変わっていると思います。そういうものを十分踏まえまして新しい過疎地域振興対策を進めてまいりたい、万が一にも今度の災害のために人口流出が一層激化することのないように万全の措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  115. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、王滝村の地熱発電調査の推進についてお伺いをいたします。  御承知のとおりに、本年度、地熱開発調査は四カ所が決まっております。適地調査から王滝村は当初有力と見られておりましたけれども、山の裏側の方の事情もあり、調査実施のゴーサインが出てはおりません。早くゴーサインが出るよう地元王滝村、長野県が心血を注ぐ運動中のやさきに今度の地震が起こったわけであります。当面、災害復旧が最優先ということで県、地元挙げて早期復旧をお願いしているところでありますけれども、戸数四百二十七戸、人口千三百余人のこの村が今後自立していくためにはこの村での地熱発電がどうしても必要である、こういうふうに現地の方も考えております。今、村長初め村当局が、今後村民をこの村の中に踏みとどまらせるために本当に一生懸命でやっているわけであります。どうかこの機会に、災害で打ちひしがれている村民を激励をするためにも、政府は地熱発電の調査に前向きに対応していただくようにぜひお願いを申し上げたいと思います。資源エネルギー庁、いかがでしょうか。
  116. 吉沢均

    ○吉沢説明員 地熱発電所でございますが、先生御案内のとおり、単に電気を起こすだけではなく、蒸気井から同時に出てまいります熱水がございますが、その熱水を暖房、給湯あるいは施設の園芸、観光、その他に有効に利用することによりまして地域の振興に役立つものと期待されているところでございます。  先生御質問の地熱開発促進調査の件でございますが、これは新エネルギー総合開発機構が実施している事業でございまして、地熱資源が有望とされながらも調査データ等が不十分な地域につきまして国が先導的な調査を行うというものでございまして、毎年初め、新エネルギー総合開発機構に設けられました委員会におきましてどういう地点をやるかということを検討の上、新エネルギー総合開発機構が地点を選定しまして私ども通産省に補助金の申請を行う、そういう手順になっております。  この新エネルギー総合開発機構におきます地点の選定の考え方でございますけれども、まずその地点が地熱資源賦存の可能性が高いかどうか、あるいは自然公園あるいは温泉等の調査開発に当たりまして障害が少ないかどうか、あるいは地元の理解と協力調査実施の上で得られるかどうか、そういう観点から総合的に考えて決めるという段取りになっております。  六十年度の地熱開発促進調査でございますけれども、現在予算要求中でございまして、確たることが申し上げられないわけでございますけれども、例年の日程からいたしますと、この地点選定のための新エネルギー総合開発機構の作業でございますけれども、大体三月時点から検討段階に入るということでございます。  王滝地域でございますけれども、この委員会におきましてさきに申し述べましたような地域選定の要件や、あるいはいろいろ地元状況等も勘案しつつ十分検討がされるものと考えておりますけれども、この王滝地域でございますが、地熱資源の兆候がございまして、また地元協力も期待されるということからしまして、六十年度の新規地点、新規採択地域ということでございますが、その有望な地域の候補の一つとされていると聞いております。新エネルギー総合開発機構におきましてもこれらの点を十分踏まえまして検討がなされるものと承知しております。また、そのように指導してまいりたい、こう考えております。
  117. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の地熱発電の件も、六十年度には有力な候補地として考えている節がありましたけれども、ぜひよろしくお願いを申し上げます。  それから、時間がもう余りありません。最後に、国土庁にお伺いいたしますけれども、昨年も日本海沖の地震があり、それから今回長野西部地震もあります。あるいは最近では房総沖でも、あるいは伊豆の群発地震、さらには東海地震の発生の可能性についてもるる言われている中であります。そういう中で、今回のこの長野西部地震の教訓を今後の諸対策に生かさなければならぬと私は思うのです。そういう意味で、今後これからの対策にどのように反映させようとしているか、先ほど来も幾つかそれに関連することがありましたけれども、改めてこれからの施策にどのように反映をさせていくか、お伺いをしたいと思います。
  118. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  地震対策につきましては、東海地震のように事前に地震予知ができまして、あらかじめその地震の発生に備えるという対策があるわけでございますが、今回のような地震は突発型の地震でございます。これにつきましては、常日ごろから防災体制の整備ということが必要になってくるわけでございます。現在災害対策基本法に基づきまして国及び県あるいは市町村におきまして防災計画をつくりまして、そういった災害が生じた場合に住民をどこに避難させるか、あるいはどういう応急対策をとるかという決めをいたしておるわけです。それに基づきまして、常日ごろから訓練をしておかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  また同時に、その訓練を通しまして住民の各位が地震の知識を持つ、あるいは防災意識を高めるということが必要であるわけでございます。今回のような地震がございましたときに火事が一件も起こらなかったということも一つの防災意識の高揚がなされておるというふうに私は確信しておるわけでございます。  そういったような防災体制の強化あるいは防災訓練あるいは防災意識の向上といったようなソフトな面と、同時に、いろいろな危険箇所、こういったものの整備、こういったことが必要になってくるというふうに考えておる次第でございます。我々も今後この災害を契機にいたしまして、さらに地震対策につきまして徹底を期してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  119. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今もお答えをいただきましたけれども、これは本当にいろいろなところに生かしていかなければいけないと思うのですね。実は私は建設委員会の場でもこの地震対策の問題について言及をしたことがありますけれども、今政府の推進する計画の進捗状況を見ても必ずしも十分ではありません。例えば東海地震の想定される地域においても、避難路について言えば、その進捗率はたしか二七%ぐらいであったというふうに私は思いますけれども、しかも、それは目標年次に近づいていてそういう状況なんですね。そういう意味では、今の計画自体の進捗も悪い、さらにそれが今回の地震ではいわば予想されなかったような形での地震も起こっている。そうしたら、それをどういうふうにこれからの対策に生かしていくか、反映をさせていくかということはまさに即やらなければならない問題だ、こういうふうに思います。  いずれにいたしましても、この地震の問題は人命、財産にかかわることでありますので、万全を期してこれからの対策にも生かしていただきたい、このように強くお願いを申し上げます。  そして同時に、先ほど来いろいろな御質問等をさせていただきまして、それぞれ今とられつつある対策なりあるいはこれからの考え方についてお話も伺いました。ぜひこれからそういう問題について力強く進めていただいて、現地皆さん方に少しでもあるいは一刻も早く救いになるようによろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  120. 中村茂

    中村(茂)委員長代理 次に、林百郎君。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 まず、これは気象庁の予知連の方かと思いますが、本件の直下型地震でこのような五百万立方メートルとか、そう言いますと霞ケ関ビルの九・七倍の量の土石流が崩壊しているわけですけれども、これは何が原因でこういうことになったのか。その辺はあれですか、政府あるいは政府の管掌しておる委員会でも結構ですが、結論は出ているのですか、説明願いたいと思います。というのは、学者がいろいろな説を述べていますね、断層だとか、断層でもどの断層であるとか。
  122. 津村建四朗

    ○津村説明員 今回の地震について観測結果から現在までわかっていることは、震源地は王滝村のほぼ直下でございまして、震源の深さは約五キロメートルでございます。それで、ほぼ東西に近い方向に約十五キロメートルの断層が地下で生じたと考えられております。その断層の動き方はいわゆる右横ずれというタイプでございます。この地震を起こした力は、この断層の向きから考えますと、北西、南東からの圧縮力によって引き起こされたと考えられております。  現在までわかっていることは以上のことでございます。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 断層という意見もありますし、あるいは牧尾ダムとの因果関係だという説もあるのですが、その辺のことは断層があるということでいいのでしょうか。断層があるとすれば既存の断層でしょうか、あるいはその断層はどの断層であるかわからないということなのでしょうか。
  124. 津村建四朗

    ○津村説明員 お答えいたします。  今回動きました断層については、これまでの調査でそれを修正しました活断層図には記載されておりません。個人的な論文にはあるものもあるというお話もございますが、比較的公式に認められている活断層分布図には記載されておりません。しかし、この地域は地下に活断層がたくさんあると思われる地域でございますので、その一つが動いたものと理解しております。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 どの断層かということは特定できないということですね。阿寺断層だとかそれとクロスしているいろいろな断層がありますね。断層の巣がある。これは既存の断層としてちゃんと書き込んでもありますがね。それのどれかなのですか、それとも今度地震の起きた原因である断層は表面へはあらわれていないということなのですか、どっちなのでしょうか。
  126. 津村建四朗

    ○津村説明員 こういうマグニチュード七を切るような地震の場合には、一般に表面にあらわれることもございますし、地下で断層が生じて表面にあらわれないこともございます。今回の断層では、地質学者の方が綿密に御調査なさいましたが、その結果では表面にあらわれていないということでございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 牧尾ダムがあって、それとの因果関係だという説もあるわけなのですが、学者はいろいろな説を唱えていますが、そうすると、そういう見解はまず成り立たないと見ていいのでしょうか。
  128. 津村建四朗

    ○津村説明員 現在のところ、気象庁としてはそういうふうには考えておりません。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 それと御岳の噴火、活火山だということとの因果関係地震が起きたということも、かつてはそういうことでこれが特定観測地域に指定されたこともあるのですが、それもないということでいいというか、それもないという考えですか。
  130. 津村建四朗

    ○津村説明員 直接関係があるというふうには考えておりません。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、これはどういうことなのでしょうか。  御承知のとおり、一九七九年十月に御岳山の噴火で大災害が起きた。それから、七八年から七九年の群発地震の際に地震計が設置されたけれども、群発地震が起きていたのに、八一年三月、火山噴火予知連絡会では安全宣言を発して地震の測量計を取り除いてあるわけですね。それ以後はこの地域には体積ひずみ計や傾斜計等がないわけなのですけれども、これはそういう経過なのですか。
  132. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいま先生御指摘の昭和五十四年十月二十八日に噴火しました際に、気象庁ではその翌日に火山機動観測班を現地派遣しまして火山の噴火活動の監視のために地震計を設置したわけでございます。その後、先生御指摘のように一年半ほどたちまして噴火予知連絡会で火山活動が鎮静化したということでございますので、その火山活動監視のための地震計観測を中止したわけでございます。その他、地殻変動観測のためのひずみ計等のデータでございますけれども、これにつきましては、気象庁では直下型地震予知を目的といたしまして昭和五十八年度と五十九年度に研究室を二つ増設いたしましてその実現のために努力しているわけでございますけれども、その研究室の研究テーマにも直下型地震に対してこういう体積ひずみ計がどのように有効かということを取り上げておりますので、そういうものの成果を待って設置を検討していきたいと存じている次第でございます。  申しおくれましたけれども、大規模地震、東海地震のようなマグニチュード八クラスの巨大地震の予知に対しましては体積ひずみ計は非常に有効であると考えておるわけでございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 予知連の特定部会では「この地域には、比較的規模の大きい活断層も存在しており、今後も観測研究を続けて行く。」こういうのが出ていますね。これは建設省の管轄になるわけですか。こう言うのに、火山の噴火地震の安全宣言があったからといって、活断層が地震の原因になるとすれば、どうして地震計を外してしまうのですか。
  134. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいま御指摘の件でございますけれども、噴火の翌日に御岳山に設置いたしました地震計は、あくまでも火山活動、火山性微動だとか、そういう火山に関係する微動その他を観測する地震計でございましたので、一応目的を果たしたと思いまして撤去した次第でございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 火山は落ちついたとしても、断層がクモの巣のように張りめぐらされているわけでしょう。どこの地図を見てもみんなそうですね。それで特定観測地域に指定されているわけでしょう。それなのに、火山の方だけが静まったから地震計は外していいということになるのですか。今度の災害の大きな原因は、地震計あるいはひずみ計、傾斜計等の予知に必要ないろいろの測量計を置いて常時観測する必要があったと思うのです。それはどこもやれといっても、予算やらいろいろあるでしょうけれども、ここは特定観測地域に指定され、しかも過去に一度地震計まで設置したところですから、それを外してしまうというのはやはり行政の方の手落ちじゃないかと思うのですね。その点はどうでしょうか。
  136. 山川宜男

    ○山川説明員 先ほど予知情報課長も御説明申し上げたと思うのでございますけれども、火山の噴火の前に頻発しておりました群発地震も、地震計を撤去する時点ではおさまっておりました。そういうこともございましたので、先ほど申し上げましたように撤去した次第でございますけれども、あの地域の地震活動につきましては、一応気象庁は五十キロ前後のところに一万倍級の、気象庁としては最高倍率の地震計を含めまして地震活動を監視しておりますので、現在、長野西部地震が起こりました後も頻発しております余震につきましても、現地皆様方が有感とお感じになる地震の、数にいたしまして三倍程度の小さい地震まで捕捉して観測を続けております。その程度の捕捉状況がございますので、私どもとしては、火山監視のための地震計は、噴火の心配がないということで外させていただいたわけでございます。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 火山噴火のための地震計はないにしても、活断層によって地震が起きる可能性がある。今度のは予知連の特定部会では「活断層も存在しており、今後も観測研究を続けて行く。」とありますから、これはどうしても観測計は置かなければいけない地域じゃないでしょうか。
  138. 山川宜男

    ○山川説明員 私どもとしましては、今後もさらに地震活動の監視強化のために大学等関係機関の御協力も得まして総合的な地震観測体制強化に努めてまいりたいと存じております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 長官、あなたもこの問題では大分御苦労なさっていることはわかりますが、どうも観測体制が臨調、行革の関係やいろいろあると思いますが、この一番近い観測所が私の選挙区の諏訪というところにあるのですが、二人の所員がいたのを一人にして、夜は何もないというのですよ。じゃ、どこへ行くかというと、長野の北の善光寺の外れの方の観測でいいというのですが、これはここと一番近いのです。そこをどんどん人を減らしているのですね。  それで私は、国防とかなんとか言うけれども、国民の生命の安全が保障できなくて国防の大砲や鉄砲やいろいろつくってもこれは本当の国防にはならないと思う。まず国民が安心して国土で生活できるような体制を整えることが、そういう意味であなたの任務は非常に重要ですよ。  そこで、私は提言するのですが、一つは学者の人たち、ここの学者を見ますと、東大の教授だとか名古屋大学、信州大学、それから隣の飛騨の方の大学だとか、学者がそれぞれ来ているのですが、学者はこういう研究のための十分な国の補助をもらったり、あるいは十分な研究ができるだけの財政的な援助も受けていないのじゃないかと思うのです。だから、そういう良心的に研究している学者にこういう問題の研究に値するだけの施設財政的な援助もしてやる。それから、同時に、こういう特定地域には観測のためのあるいは予知のための施設を充実しておく。そしてまた、こういうところで災害が起きましたら、激甚災と同じですが、地震強化地域の財政的な補助が学校施設とかいろいろありますね。わざわざそういう特定観測地域に指定したのですから、そういう財政的な援助を将来してやるような配慮もする必要があると思います。  要するに、国民の生命に危害を及ぼすような地震だとか災害、そういうものに対する予測の研究を充実することと、それから、そういうものに対する施設を充実させるということが再びこういう災害を起こさない備えになると思うのです。東海の方では二十四時間常時、地震測定器で測定がされているようですけれども、こういう特定観測地域、殊にこの地域ではそういうプアな施設状態ですから、国土庁の所管になると思いますけれども、そういう点は将来十分考慮する必要があると思います。これは財政的な問題があることは重々わかっていますよ。あなた一人の努力でそれが十分できるとは思いませんけれども、そういう方向を志向する必要があるのじゃないかと思いますけれども、どうでしょう。
  140. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 予知の問題というのは大変難しいのだなということは私も最近つくづく考えておるわけですが、そうかといって、林さんの御指摘のとおり、強化地域等々についてやはり何とかしなければならぬのではないかという質問でございますが、これは私はなかなか難しいと思うのです。思いますけれども、そういった地域の皆さんの安定というか安心というか、そういったことのためにも、一歩を踏み出して考えてみる必要があるのではないかな、こういうふうに考えておるわけであります。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 私たちの党としては、むしろ軍事費を減らしてもこういうことこそ充実させる必要があるんだ、それは長官と立場は違うかもしれませんが、そういう主張を我々はしているのですけれども、将来十分配慮してもらいたいと思います。  それから、長官が激甚災の指定は間違いないと言いますが、私の方も数値的に計算してみて、これは何も長官の勇み足じゃないと思うのです。被害の暫定事業と当該市町村の標準税収入とを比較してみますと、当該市町村の標準税収入、これが一億八千五百万で暫定事業費が当該の村で、これは県の査定ですが、二十二億二千五百七十万円で、これは十分公共土木事業災害復旧に関して激甚災の適用の基準を達しておりますし、また中小企業の面を見ましても中小企業の年の所得が十四億でその一割というと一億四千万ですが、中小企業被害額が七億四千六百九十四万で、この点からいっても激甚災の適用の数値がちゃんと出ているわけです。これは県の数字を使いましたけれども、これだと長官の言われたことは勇み足ではなくて数値の上からちゃんと裏づけられていると私は確信を持っているのですが、この点は大蔵省の方がネックなんですか。長官がいいと言えばいいのでしょうね、これは。どこだか知らぬけれども、それ答弁してください。
  142. 杉岡浩

    杉岡説明員 事務的にお答えいたします。  まず、ただいま先生のおっしゃいました当該王滝村の標準税収入、これは一億八千五百万、おっしゃるとおりでございます。それから、被害状況でございますが、相当大きな被害が出ておりますけれども、現在県、市町村全体で九億ほどの被害報告がなされておりますけれども、査定とかあるいはそれを確定しなければならないということがございますが、被害額最後は相当の額に上ることは先生のおっしゃるとおりだと思います。  それから、中小の方でございますが、今のところ、先ほど通産省からも御報告がありましたように七億四千七百万円程度の報告が出ております。ただ、その標準になります当該市町村中小企業所得推計額、これがまだはっきりいたしておりませんので、その辺を通産省もこれから調査をされまして、そういった点が十分把握されればその報告に基づきまして早急にその方針を決めていきたいというのが事務的な手続でございます。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 県の方では十四億というのを出しておりますので、これをひとつ参考にして、県の方に十分問い合わせてください。その一割というと一億四千万になるものですから、これは数字的にも、少なくとも県の方の数字で言うと間違いないということになりますので、これは長官、もう一度。
  144. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 林さん、これは事務的に言うと二月末になります。そういう意味で、これはある程度政治的——この前あなたがおいでになったときも、私は災害対策本部長としての責任において激甚災害の指定をしなければならぬ。あそこへ行ってみて、あそこの部落の状態等々を見ましてもわかるのです。そういう意味で、今ここで激甚災害の指定をやる、こういうことによって事務的に進んでいくわけですから、私は責任を持って——これは勇み足じゃないんです。各省庁よく検討しておりますから、たとえそれが勇み足であったとしてもそのように決定していかなければならぬわけです。大蔵省、各省庁に聞きましても、役人の立場から、今調査中でございますと、それはいろいろなことがあると思いますが、きょうは林さんの質問に対して災害対策本部長として責任を持って激甚災害の指定をする、大体こういうことでお決め願っておいた方がいいのではないか、私はこういうふうに思っております。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 事務的、数字的答弁もありましたし、政治的な答弁もありましたので、地元はきょうのこれを聞いて喜ぶと思います。  それから、建設省にお尋ねしますが、土石流対策でダムの問題があるのです。  濁沢川の方については目に見えるところですから、ここは県の方の方針としても建設省、国の補助を受けて三つあるいは四つぐらいダムを設けたい。それからもう一つ、鈴ケ沢というところがあるのですが、御承知でしょうか。ここも崩壊しております。私、行ってみましたけれども、ダムが据えつけてあるのですが、このダムのおかげであそこの部落は救われているのです。しかし、今度の災害ですっかりそれが埋まってしまいまして機能を発揮しないので、県の方はここへも三つぐらいダムをつくりたいと言っております。それから、大又川の方も、これは大して崩壊はなかったのですが、ここもダム工事をしたいと言っております。  この濁沢川、大又川、鈴ケ沢で県の方でそういう計画を立てていますが、国の方はどういうようにお考えでしょうか。
  146. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  今お話のありました大又川、濁沢川、鈴ケ沢、こういった支川各川につきましては土石流対策といたしまして緊急砂防事業で当面の対応をいたしますとともに、今後状況調査をいたしまして、現在調査中でございますが、調査を加えまして砂防激甚災害特別対策緊急事業実施をただいま検討いたしておるところでございます。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大体県の方のこの要望にはこたえる方向で検討されているのですか。それは県の方の独自で、我々はそこまでは考えていないというのですか、どうでしょうか。
  148. 設楽武久

    ○設楽説明員 ただいま県の方が調査をいたしておりまして、その結果で第一段階の協議を済ませておりますが、なお現地を詳細に検討する必要があるということで、ただいま先生がおっしゃいました三基とか四基とかいうことは当面の県の方の目標でございまして、それらを参考にして今後の詳細の資料を得られた時点ではっきりと何基どこに入れるというようなことを含めて検討を加えたいということでございまして、実施を前提に検討をいたしておるということでございます。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、住宅の問題ですけれども災害による住宅金融公庫の貸し出し、特殊の、いろいろな条件の貸し出しですね。これは全壊または半壊以上とあるわけですね。ところが、あそこに行ってみますと、半壊といっても建物は普通の建物ですが、中へ入ると壁は落ちている、天井は落ちている、ゆがんでいる、戸は閉まらないというような実質上の半壊があるわけですね。そういう実質上の半壊でも住宅金融公庫の災害貸し出しの条件である半壊ということでひとつ実情に合った貸し出しをするようにぜひ考えてもらいたいというのが一つ。   〔中村一茂)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、これは農水省の方ですが、あそこは農業災害のうちの建物更生共済というのが入っておるわけですが、これは五%以上の災害があった場合は、火災の場合は全額、自然災害は五〇%でいつでも貸し出しの態勢を整えていると言っていますが、これは農水省の方ですか、ひとつぜひそれを至急に貸し出すようにというようなアドバイスをしてもらいたいと思うのです。私、中央会へ行ってこの係に会いましたら、いつでも貸し出すような態勢になっていますからと言っていますが、これは全戸、全部入っているのです。だから、その点を農水省の方で何かプッシュしてもらえたらいいと思うのです。向こうの方もそれがなくても貸し出すと思いますけれども、なお農水省の方からそういうアドバイスがあればいいと思いますが、この二つをお答え願いたいと思います。
  150. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 先生御案内のとおり、住宅金融公庫が行っております災害復興住宅資金の貸し付けば補修と建設と両方ございます。もちろんその被害の程度に応じましてどちらかを選択して利用していただくわけでございますが、建設資金の方は、御指摘のとおり半壊または全壊ということで取り扱いをいたしております。半壊の程度の判断につきましては個々の事情に応じましてもちろん公庫の方と御相談をちょうだいいたしまして御要請に沿うように措置をさせていただけたらと思うわけでございます。(林(百)委員「実情に合ったようにやってもらえるわけですね」と呼ぶ)そういうことでございます。お願いをいたします。
  151. 吉國隆

    吉國説明員 農協の建物更生共済の関係でございますが、お話ございましたように王滝村で二百九十五戸の方がこれに加入しておられまして、現在地元の農協、木曽農協のほかに県共済農協連からも査定の応援に出向いておりまして、九名出向いておるそうでございます。できるだけ早く査定を終了して共済金の支払いをする態勢を整えておるようでございますが、迅速な取り進めについて私どもの方から全国連を通じまして指導をさらに徹底したいというふうに考えております。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 三つほどまとめてお聞きしたいのですが、農水省についでにお聞きしますが、あなたも現地へ行ってごらんになったと思いますが、稲がもうすっかり実って、御主人の亡くなったうちは隣接の農協の婦人部が行って刈り取りの手伝いをしておりますが、そうでない方は働き手がみんな消防団で、亡くなった方あるいはまだ行方不明の方の探索というのですか捜索というのですか、それに追われておりましてほとんど農業の方へ手を回す余地がないような状態なのですが、これはもう刈り取って脱穀して供出しなければ金になりませんので、これについては何か特別の配慮をされているかどうかというのが一つ。  それから、消防団の方は行政的にはどこですか、消防団の人たちがもうくたくたになっているわけですね。私は消防団長に会ったのですが、朝五時ごろから夕方の暗くなる六時か七時ごろまで毎日出ているわけですね。それで、うちの方の始末はできないし、もうくたくたになっているので、災害救助法によると、もし人夫を使うなら、その人夫に対しての費用は国が見るということになっておりますので、これはやはり何とか交代をするなりして、秋にもなりますし、うちの方の整理もしなければならないし、あるいはその労に報いるような措置を講じなければならないと思うのですが、この点が一つ。  それから、中小企業の方で、これはどなたもお聞きにならなかったけれども、税金を減免する措置を講じてやらなければいかぬと思いますが、この点はどう考えているか。  この三つをまとめてちょっとお答えくださいませんか。
  153. 吉國隆

    吉國説明員 稲刈りの手伝いの問題につきましては、私ども具体的なことを聞いておりませんので、地元に問い合わせてみまして、何らか有効な方策があるか、相談をしてみたいというふうに考えております。
  154. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 消防団の関係でございますけれども、確かに御質問のように消防団は大変くたびれております。それで先日、県の方に問い合わせましたところが、県下全域の消防団の応援を要請したいということで、地元だけでは対応が大変でございますので、そういうことで県の消防の方の協会長と話を進めておりまして、そういうような方向になるであろうということでございました。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 特別に何かその労力に対する対価とかなんとか、そういうものはあるのですか。
  156. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 救助法の関係はちょっと私の方でやっておりませんので、厚生省の方で担当しておりますので。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 消防庁では何かそういう物質的な、労に報いる措置というのは考えておらないわけですか。
  158. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 消防庁として、所定の規定に認められたもの以外は恐らく考えていないのじゃなかろうかと思いますけれども、その点についてはちょっと調べてみないとわかりません。
  159. 森田衞

    ○森田説明員 税金の関係でございますが、お答えいたします。  今回の長野県の西部地区地震によります王滝村を中心といたしました被害につきましては、所轄が関東信越国税局でございまして、税務署が木曽の税務署でございますが、私どもの方から既に被害の実態を正確に把握しまして、課税上の措置につきましても納税者の方々がいささかの不安も抱くことがないように広報に努めておりますし、また納税者の方々からの相談にはいつでも応じられるように万全の対策をとるように既に指示しているところでございます。  具体的にどういうふうな税金面での救済措置があるかということでございますが、中心となりますのは所得税でございましょうが、事業を営んでおられる方でお店が壊れたとか事務所が壊れたとか、それから商品が流れたとか、そういう重要資産につきまして損害が出ました場合には、その資産そのものの損失額のほかに、後片づけは大変でございましょうし、そういうような費用も含めまして事業所得の算定上、それは必要経費であるということになっておりますし、また、そういう事業を営んでおられない方々、例えばサラリーマンのような方々、こういう方々につきましては雑損控除というものもございますし、また災害減免法による所得税の減免という措置もございまして、どちらか有利な方を選択していただくということになっております。したがいまして、これらの減免につきましては、最終的には来年三月の確定申告のときに確定するわけでございますが、それらに向けまして、救済措置につきまして十分説明会等も開催いたしまして、広報に努めていきたい、かように考えている次第でございます。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 林野庁にお聞きしますが、ここは長野県でも最も所得の多い、殊に王滝の営林署はそうなんですね。ここは年間どのくらい所得というか、営林署ですから個人の所得とは違いますが、どのくらいの売り上げをしておるのか。それから、そのために職員はどのくらいそこで働いているのか、まず、そこをお聞きしましょう。
  161. 塚本隆久

    ○塚本説明員 民有林関係の所得については押さえておりませんが、国有林関係王滝営林署の年間の収入は約九十億円見込んでおります。  それから、王滝営林署関係の職員数につきましては約三百人でございます。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 三百人職員が働いているというんですね。それは王滝の営林署ですね。王滝だけですね。  そこで、年間約九十億近くの売り上げをしているのですが、この災害によると、今度はどうなるのですか。それがどう変化するのですか。
  163. 塚本隆久

    ○塚本説明員 現在、三分の一程度の収入が上がっておりますので、三分の二程度の収入は今のところ見通しが立っておりません。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 何ですか。ちょっと大きな声で言ってください。
  165. 塚本隆久

    ○塚本説明員 現在三分の一程度の収入が上がっております。つまり、三十億程度の収入が上がっておりますが、あと六十億程度の収入は、材が出てまいりませんので収入見込みは立っておりません。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう状態がどのくらい続くのでしょうか。  それから、国有林でいいのですが、林相がこの被害から回復するまでにはどのくらい年数がかかるのですか。新聞なんかでも書いているようですけれども、あなたの方の見積もりではどうなるのですか。
  167. 塚本隆久

    ○塚本説明員 事業見通しにつきましては、現在調査を行っておりますのではっきりしたことは申し上げられませんが、かなりの長期間、事業再開は困難であるというふうに考えております。ただし、林道等につきましては早急に復旧をいたしまして、できるだけ早く事業再開いたしたいと思っております。  それから、今回の立木被害でございますが、これは土石流によりまして山肌がえぐり取られて立木が流失する、あるいは埋没する、こういう被害でございまして、そういう土石流被害を受けた箇所については大変ひどい被害になっているわけでございますが、それ以外の箇所につきましては比較的軽微な被害で済んでおります。したがいまして、林道等が再開されれば、事業地等を変更することによりまして、材を出すのは比較的簡単ではないかというふうに考えております。ただ、現在土石流に埋まっております。そういう地帯につきましては、一遍に植生を回復するということは大変困難でございまして、治山工事等をやりながら逐次植生を回復していく、このようなことになろうかと思います。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 これは現場で営林署の方にも聞いたのですが、職員が三百人ですね。しかし、直接、間接、下請やいろいろなものを入れますと、もう少し大きな四けた単位の人たちが働いているのじゃないかと我々は思うのですが、新聞もそんなようなことを書いておりますけれども、そこからの上がりが三分の一しかないということになると、その職員の人たち、主にその職員の人たちは、王滝村の人たちは、あそこは、けさほどから指摘されておりますように観光と林業生活を立てているわけです。殊に営林署で働いてその収入で生計を立てている人は、その収入が大事な生活のもとになると思うのですが、そういう人たちに対する処遇はどう考えておいでになるのでしょうか。
  169. 塚本隆久

    ○塚本説明員 三百人と申し上げましたのは、営林署に直接雇用されておる職員でございまして、そのほかに請負事業等に従事する者約二百名というふうに推定いたしておりまして、それを合わせれば約五百名が王滝営林署で生計を立てておるということになろうかと思います。  これらにつきましては、直接雇用する者はほとんど通年雇用でございますので仕事がなくても生計には困らないということでございますが、請負の方につきましては、仕事がなくなれば当然請負の事業もストップするということでございますので、これにつきましてはできるだけ事業再開するとか、あるいは隣接の署等に対して仕事のあっせんを願うとか、あるいは公共土木等に仕事をあっせんするということによりまして、できるだけ就業の機会をつくってまいりたいと考えております。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 長官最後に締めくくりにお尋ねいたしますが、いいですか。私の方で村の財政など聞きましたところが、通常予算で約十二億七、八千万ですか、税収が一億七、八千万、それから、あとはほとんど交付税でやっておるわけです。起債残高が一年の通常予算よりももっと多くて十八億と言われております。村の財政としては、村民の生活はある程度豊かなところだというふうに書かれているものもありますが、村の財政は非常に窮迫しているわけですね。そこへこういう予想せざる、想像を絶するような被害を受けましたので、これは相当長期に及んで国がいろいろな面で村をバックアップしてやらないとあの村はもう崩壊する危険があるのではないか。これは地元では言えませんけれども、先ほど長官は、将来落ちついたときには集団的な移転ということの考慮の余地もあるのではないかと率直に言われましたけれども長官ですらそういうことを考えるような立場なんですね。村の人たちは先祖伝来長い間あの村に住んでいるわけですから、できたら住みたいというのが情感だと思うのですね。  そういう意味で、あの村の災害に対して国は全面的にバックアップしてやることが、しかも、それを長期にわたってやる必要があると思いますが、この点についてひとつ長官の所感をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  171. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 観光事業も年々伸びてきておりまして、特にスキー客なんかは相当多く来ておる、あるいはその他手づくりのいろいろな創意工夫という形で大変期待をかけてこられたわけですけれども、今度の地震によって壊滅的な状態になってきたわけです。恐らく今年度あるいはまた来年度等は観光客というものは訪れることはないのではないか、特に地震というものを心配して。こういう問題は私はあると思うのです。今林さんがおっしゃったように、みんなあそこに住んでいきたいというこの意欲はものすごく強いですよ。  そういう意味から、定住構想という問題をどういうふうにして考えていくか。もちろん林業も大変大事であります、ここが基幹のように思います。しかし、そのほかのことも国土庁として過疎地域に対して何か考える点がないかどうか。これは村長あるいはまた部落の人たちとよく相談をして、安心をして定住できるような考え方になってもらうような形をつくるということについては、国土庁内におきましても、普通の災害と違って地震災害ということでありますから、真剣に考えております。ただ、今復旧の半ばですが、そうかといって復旧を終わってからというわけにもまいりませんので、復旧の進みぐあいとあわせながら、また県当局、村当局と話し合いながら御指摘の点については十分踏まえて進んでまいりたい、こういうふうに考えています。
  172. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて質疑は終了いたしました。
  173. 佐藤観樹

    佐藤委員長 引き続き、地震防災対策について調査を行うことといたします。  本日は、参考人として東海大学教授浅田敏君、東北大学教授高木章雄君及び名古屋大学教授青木治三君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわりませず当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位には、専門家としてのお立場から地震問題全般について忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いをいたします。  なお、議事の順序について申し上げます。  御意見の開陳は、浅田参考人、高木参考人、青木参考人の順で、お一人十分程度お述べいただき、次に委員から質疑がありますので、これにお答えをいただきたいと存じます。  それでは、浅田参考人にお願いをいたします。
  174. 浅田敏

    ○浅田参考人 浅田でございます。  これから、地震予知の大体についてまず御説明申し上げます。  地震予知は、非常に簡単にまとめますと、まず大局的にどこに起こるかという予想をしたい。それから、その長期的前兆といわれておりますものを捕捉したい。これは年の程度でうまくいけば予測できるものでございます。それから最後に、直前の前兆を捕捉するということになっております。理屈はこのとおりでございますけれども、実際問題といたしましてはいろいろ問題がございまして、例えば大局的な予想をつけることは太平洋沿岸の地震についてはいつも非常にうまくいくのでございます。既にもう今を去る数十年昔、東大の今村明恒という地震学者が、関東大地震、南海地震、東南海地震がいずれ起こるということを予想しておりまして、それはいずれも今村博士の存命中に起こったのでございます。今日はもちろんそのときより非常に知識が進みましたので、もう少し正確といいますか、もうちょっと細かなことまで考えてそういう予測をするようになっております。  しかし、ここで一つ申し上げておきたいことは、いわゆる内陸の地震についてはこういう予想は事実上非常に難しいということでございます。と申しますことは、内陸の地震というのは、さっきの太平洋沿岸の地震についてもでございますけれども、大局的な予想というのは、地震というものは同じ場所に繰り返し起こるんだということがその一番の根本になっております。これは太平洋沿岸の地震についても内陸の地震についても同じことでございますが、太平洋沿岸の地震は全体に、東南海地震、南海地震というふうに名前をつけられるほど非常に数が少ない。かつ、その繰り返しの時間は百年とか二百年とかいうふうに短いので、こういうやり方は成功するのでございますが、内陸の地震は起こる可能性のある場所は非常に多い。ただし、起こる期間は非常に離れておりまして、千年とか何千年とか、物によっては何万年に一つしか起こらない。でありますから、起こる可能性のあるところは多くても、ある特定の場所を考えたときに、そこに起こる確率は非常に小さいのでございます。こういうわけで、その大局的な予想というのは専ら太平洋沿岸の地震についてだけ成功することになっております。  地震予知計画が始まって以来もう二十年もたちまして、その間に知識は非常に進歩しました。我々はその中にいるものでありますから、ちょっと昔を思い出してみないと気がつかないのでございますけれども、昔と今とでは具体的な考え方なども非常に違っております。もう一つ、観測も進歩いたしました。例えば地震観測なども、その感度も観測の密度も非常に上がりました。ただ、海底地震観測はまだ十分に行われておりません。それから、測量も昔に比べますと非常に繰り返し、繰り返し行われるようになりました。また、さらに直前の前兆を捕捉するためのネットワーク、観測網も非常にできておるのでありますけれども、これの大部分は東海地域でございます。  次に、長期的前兆と申す前兆についてちょっとお話し申し上げますが、これは何年も続く前兆で、しかも地震が大きいともっと長く続くのでありますが、今度太平洋沿岸の地震はかえってこれに適しない。その理由で、東海地震がいつ起こるかということについての目算が非常につきにくいのでございます。これは二十年も三十年も続くものでありますから、観測開始の歴史の底の浅さがそういうことをだめにしておるわけです。また、我々はその真つただ中にいるとかえってわかりにくいものでございます。それに比べますと内陸の地震は小そうございますから、その長期的前兆も数年、二、三年が予想されまして、これはやりやすいはずでありまして、今までの考えでは、今でもまだ変わっておりませんけれども、レベリングを繰り返して隆起を発見するというのが一番基礎的なことの一つではないかと思われます。でありますから、レベリングルート、水準測量の通る道はできるだけ細かい方がよろしい。それから、繰り返しはできるだけ密の方がよろしいのでございます。  それから、直前の前兆を捕捉することでございますが、これはおよそあらゆるいろんなことが前兆としてあらわれるのでございます。そのうちには、予想できるもの、納得できるものも、どうしてあらわれるのかわかりにくいものもいろいろございますが、私の個人的な今の感想でございますけれども、直前の前兆を能率よくつかまえるようなことが一番進歩が早いのではないかと思っております。これが進歩が早ければ、例えば東海地震以外の場所でも、適当な地域を選んでそういう観測を始めていくのがよろしいのではないか、具体的なやり方ではないかと考えておりますが、まだ直前の前兆をとらえるネットワークは、東海地震の地域が大部分というのが現状でございます。  地震が一つ起こるごとに非常に我々は利口になる。後から利口になっても、まことに申しわけないようなものでございますけれども、例えば日本海中部地震などというものは、起こって一週間ぐらいで、もうほとんど全員地震学者が同意するようによく理解してしまったわけです。それに比べますと、今回の長野西部地震は小さいもので、具体的な問題の困難さを提起している面がございます。  最後に、東海地震に入りますけれども、東海地震は長期的前兆の見地からはどの地位にいるかということは、正直に申しますとよくわかりません。現在の方針といたしましては、直前の予知を非常にうまくするということが問題でございます。しかし、これは考えれば考えるほど問題でありまして、いわゆる空振り、見逃し、見逃しはしないだろうと思いますけれども、空振りを何回できるかというような問題は非常に問題でございまして、いたずらに世の中を騒がせる危険性があるので、我々の感情といたしましては、いや感情ではなくて論理的でございますけれども、ネットワークはもうできるだけ種類の大きいものをできるだけたくさん、極端に言えば、これでいいということは言いたくないのであります。もう念には念を入れたいというのが希望でございます。  最後に、いや最後の一つ前でございますけれども、最近の地震活動と東海地震関係について申し上げます。これは直接には関係はございませんというのが一致した意見でございます。例えば、それではどういうのが直接に関係のある地震かといいますと、東南海地震と南海地震はお互いに直接関係しております。東南海地震が起きれば遅くとも三年以内に南海地震が起こるというのが何回か我々の経験であります。今回の地震が起こったために東海地震が早く起きるということはございません。それから、房総沖の地震が起こったから東海地震が起こるということもございません。しかし、長い目で見ますと、地面はつながっておるものでございますので、その関係は、そういう息の長い目で見た関係はあるのではないかと思っております。  最後に、話すように言われましたことは、地震予知と予算について触れることでございます。予算の話は、非常に技術的に、ある意味で精密なものでございまして、我々素人は簡単に論評できないのでございますが、我々がすぐわかることを申し上げますと、大体六十億円足らずだと思っております。六十億円というお金は大きいお金だと思いますが、これは巨大科学と言われるものに匹敵するわけではございません。巨大科学というものは千億円とか何千億円とかいうお金を使っております。  では、地震予知の予算と地震予知の進歩とはどういう関係をするかということでございますけれども地震予知の進歩のためには頭を働かすことが大事でございます。これは順序不同でございますけれども。それから、もちろん予算が必要でございます。それからもう一つ、ほかのサイエンスと違って時間が必要でございます。実験室のもののように、こっちが勝手に頑張ってスピードを上げることができません。ですから、頭の働きと時間と予算でございます。恐らく予算は、例えば今のままでも、さっき申し上げましたように進歩してきていることは間違いないのでありますが、予算の金額というものは進歩のスピードに関係すると思っております。どの程度が最適であるか。もちろん、例えばこれが千倍になっても、これはとても現実的でございませんし、千倍になったからといって能率が上がるわけじゃなしと思いますが、どの程度が最適であるかということはなかなか難しい問題であって、ここですぐには申し上げられませんけれども、予算は、一般的には多ければ進歩は確かに早くなると思っております。  では、おしまいにいたします。
  175. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ありがとうございました。  次に、高木参考人にお願いをいたします。
  176. 高木章雄

    ○高木参考人 高木でございます。  私、事務局の方からいろいろな御質問がございまして、それに対して、東北地方で地震予知の研究観測のネットをつくって今第一線で研究観測を続けている立場で、きょうは図面を用意しましたから、それに基づいて、例えば地震予知の現状あるいは予算あるいはこのたびの王滝村の地震と東海地方の地震についてのことについて、直接的あるいは間接的な説明でお答えをしようと思っています。  まず第一に、このような日本列島がある図面をごらんいただきます。これは昭和元年から昨年まで日本列島及びその周辺に起こりましたマグニチュードが七以上、あるいは内陸の場合にはマグニチュードが六クラスでございましても被害のあった地震の分布図でございます。分布図と申しましても、小さなマルになっていますけれども、この図は約一カ月間余震が伴ったところを面積として楕円であらわしているわけです。強いて言いますと、そこの場所は大地震によって破壊された領域が平面に投影されたものと考えていただければよろしいわけです。それから、右の方に線状になった黒いところは千島海溝、日本海溝、伊豆マリアナ海溝、及び日本海にある黒いところは日本海盆、それから、この南側にある黒いところは四国海盆でございます。  これを見ますと、過去たった五十八年間に日本列島にはこれだけの地震が起こっております。かつ、この海溝沿い、例えば太平洋の沿岸に沿っては巨大地震が北海道から九州までこのようなタイプで起こっているわけです。この場合に、我々はこれを海の地震と申しておりますけれども、これに関しましては後で申し上げますが、先ほど浅田参考人が申し上げましたようにかなりはっきりした知識がございます。  それに対しまして、これは年代が書いてございますけれども、内陸にぽつぽつ起こっている地震がございます。一見しまして、この五十八年で圧倒的に、太平洋側の地震に比べて内陸あるいは日本海の地震は少のうございます。しかも、太平洋の方では、例えば日向灘あるいは三陸沖に関しましてはこの五十八年間に何回も何回も繰り返して同じ場所に地震が起こっているにもかかわらず、内陸の場合にはそれぞれのテリトリーで、自分の場所をわきまえて、同じところに起こっておりません。これは非常に重大な事実でございます。  ただ、このような問題に関しまして、たった五十八年でございますけれども、これを見ましてすぐ誤解を招くことは困りますからちょっと御指摘しますけれども、内陸に関しましてはいかにも地震が少ないように見えますけれども、過去四百年間さかのぼってみますと、これ以外に滋賀県とか、これに長野県が入っていませんが、長野、東京、神奈川、京都、奈良、和歌山、秋田、このようなところには相当内陸地震が発生しております。そのことに関しては後で御説明申し上げます。  次のページに行って上の図を見ていただきます。これは東北地方の北緯三十九度から四十度にかけて昨年一年間に発生した地震を、東西の鉛直断面にカットして深さごとにどのように地震が起こっているかということを平面的ではなくて南側から鉛直に見た図でございます。そうしますと、これを見てすぐおわかりのように、東北地方の内陸では、私たち地殻と申しておりますけれども、割合に浅いところに直下に地震が起こっています。その地震は内陸直下ばかりでなく日本海沿岸あるいは日本海の外側はるか沖合にもはみ出て起こっております。それ以外に、驚くべきことに、太平洋の、一番右側が日本海溝でございますけれども、その日本海溝から日本列島に向かって地震がだんだん深く発生していることがわかります。これを我々は深発地震面と言っていますけれども、この面が、実は別な測定から最近わかりましたけれども、上の物質と下の物質が全く違うのだ、いわゆるプレート——皆さん最近よくテレビや何かで聞かされることと思いますけれども、プレートと申しまして、太平洋のプレートが日本列島に潜り込んでくる、まさに境界でございます。ここにプレートと申しますのは、本当にプレートかどうか、まだはっきりわかりません。しかし、説明には非常にわかりやすい言葉でございますから、あるいは概念的な意味でプレートという言葉を使っていますけれども、上面が一つの境界がございまして、そこにも地震が発生しているということがわかっております。  さらに、昭和五十三年、宮城県沖地震が発生しました。その下の図は、その発生の過程を一年前から六カ月後くらいの割合でどのように宮城県沖地震の前にその周辺で地震活動があったかということを調べた図がこれでございます。そうしますと、驚くべきことに、地震が発生する手前になります——下から二番目の図でございますけれども、左が平面図、右が鉛直断面図でございますけれども、大地震が発生する直前になりますと、今申し上げましたプレートの境界に地震が集中して、最後に、一番下の図でございますけれども、まさにこのプレートの境界に大地震が発生しているわけです。これで、先ほど浅田先生が申し上げましたように、海の地震に関しては相当、定性的のみならず、定量的によくわかってきました。  これはどういうことかといいますと、一九六五年前後にかけて世界的にプレートという概念が出てきまして、それに対してたまたま地震予知の事業が日本の国で始まりまして、昭和四十九年から地震予知の予算を非常にふやしていただいて、山の中の観測点からも無線あるいは有線のテレメーターによって集中観測ができる、それによって非常に精度の高い観測がされるためにこういう結果を出したと思っております。このようなことが現在の海の地震に関する背景として東海地方の地震予知を実行しようということに大きくつながっていると考えております。  次に、また前の図面に戻っていただきますけれども、その図面に、北海道から東北地方を通って関東地方に線が引っ張ってあります。その線が日本海の方に伸びておりますけれども、それぞれ百キロメーターとか二百キロメーターという数字が打ってあります。これは今申し上げました太平洋の岩石圏、プレートが日本列島に潜ってきている深さの、等深線でございます。だから、日本列島はこのような大きな岩石圏に押されているというのがこの図からはっきりおわかりになると思います。  同時に、伊豆マリアナの海溝から関東地方、それから東海あるいは和歌山あるいは四国、それから九州の日向灘、その辺を通じましてフィリピン海プレートというのがございます。それもやはり太平洋プレートと同じように、今度はほぼ北側に日本列島に押し寄せてくるわけです。現在その先端がどこであるかということはまだ研究の途中でございますけれども、大まかのことはわかっております。そういうような力によって内陸が、いろいろそういう太平洋プレートそれからフィリピン海プレートの外力によってそれぞれレスポンスしまして、応力が集中して地震が起こっているわけです。  そうしますと、大変問題なことは、内陸の地震に関して起こるメカニズムが海の地震に比べてまだよくわからないことがある。それから、そこにございますように繰り返す地震の回数が、一千年以上、一周期と申しますか、そういうのが一千年以上で有史以来のデータではなかなかわからないことが多い。そうしますと、太平洋のように繰り返し起こっているからそこは危ないのだということではなくて、むしろ今まで起こらないところが危ないという、逆な立場になる可能性もあるわけです。そういうような難しさがございます。  それから、直下での地震でございますから、マグニチュードが小さくても被害が起こる、そういうことを考えなければいけない。そうしますと、小さな地震に関しましては異常が出る範囲が非常に小そうございますから、観測点密度を徹底的に小さくしなければいけない。そうすると、非常に多量の観測点が必要である。それからもう一つは、被害が大きいということは人間が住んでいることと直結します。そうしますと、観測そのものに対して人工的な擾乱が多うございますから、観測が非常に難しい。と申しますよりも、普通の観測に比べて非常にいろいろな高級な手段が必要となる。そういうようなことから、内陸の地震に関しましてはなかなか問題点がございます。それで、予算を考えますと、まず観測点をふやすと同時に、そういう基礎のことをはっきり研究を進めない限りは、内陸のことに関してはなかなか難しいだろうと思っております。  最後に、東海地方との関係につきましては、先ほどの浅田先生と同じような見解でございまして、内陸ということと東海地方のこと、この図で見てもすぐおわかりでございますけれども、全く直接関係するとは思いませんが、長い目で見れば関係があるといっても間違いないと思います。しかし、我々は、東海地方に関しては現在ある観測網で監視観測しておりますから、その観測をさらに着実にしていただくことをこいねがっております。  以上でございます。
  177. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ありがとうございました。  次に、青木参考人にお願いいたします。
  178. 青木治三

    ○青木参考人 名古屋大学の青木でございます。  きょう、こういう席で話をするときに何をしたらいいかということでちょっと迷ったわけでございますが、お二方の先生が海の地震ということでお話しいただきましたので、私は、それより予知の難しい内陸の地震について今どういった現状であるか、今回の長野西部地震を材料にいたしまして、それに関連したことを少し述べさしていただきたいと思います。  私ども名古屋大学の観測の範囲は、実は東海地震の真つただ中にございまして、その背後にこの特定地域を控えておるわけでございまして、現在までに高山地震観測所と名古屋のセンターを合わせましてこの地域は我々としては最大限の力をもって監視を続けてきたわけでございます。  その結果、今回の地震がどういうような形で起こったかという大体の形がわかってまいりました。それは、お渡しいたしました図面の線を引いてある方の左下の図から見ていただきますといいと思いますが、昭和五十一年にこの地域に群発地震が発生いたしました。それから、延々何年間続いているわけでございますが、その間にもちろん消長がございまして、昭和五十三年にはマグニチュード五・三というかなり大きな地震がございまして、大した被害はなかったわけでございますが、その後も延々と群発地震が続いております。  その当時から我々は、この群発地震の南側と北側は何となく様子が違う、一体それは何であるかということがいつも気になっていたわけでございますが、実は我々の力の足らなさといいますか、今回の地震関係があるということまでは地震が起こるまでは気がつくことができなかったというのは、私としては非常に残念でございます。  五十一年から現在までにどういうように群発地震が広がってきたかといいますと、最初のころは大体西側の方に集中しております。それが次第に範囲を広げてまいりまして東の方まで来て、ちょうど牧尾ダムのあたりまで広がったときに今回の地震が起きたわけでございます。  それで、先ほど南側と北側は違うという話を申し上げましたが、これは実は専門的なことになりますので細かいことはちょっと申し上げられませんが、その違った線といいますのは実は今回の地震の震源域にぴたり合っている、ぴたりといいますか、一、二キロ程度の誤差は当然ございますけれども、どうもそれは非常に関係があるようである。今から考えてみますと、恐らくそれは昔からあった活断層を上の火山灰が隠していて我々は知らなかったわけでございますが、精密な地震観測によりましてそれがおぼろげながら何となくわかってきていたのではなかろうか、そういうことが一つの成果だと私は思っております。  それで、今度実際に五十九年九月十四日、大きな地震が起きまして、上の図にございますように余震が発生いたしました。これは我々の方の観測は抜き取り観測でございまして、一応半日分を書いてございますが、数は無数といった方がよろしいかと思います。その「本震」と書いてあるあたりから始まりまして左右に割れ目が広がったわけでございます。  この図では様子がよくわかりませんけれども、これが実は単純な断層ではないということがけさ判明いたしました。けさといいますか、実は前々から薄々気がついていたわけなんですけれども、東北大学等と協力をいたしまして、現地に観測班を送り込んで測定をいたしましたところ、やはりこれは二つないし三つに分かれている気配があるということがわかってきました。こういったものは、断層の屈曲といいますものは災害に非常に関係があると思われますので、そういう点からも、地震の起こった後ではございますが、こういった山間地域における地震というものが一体どういったような災害をもたらすかというようなことが次第にわかってくるんではなかろうかと思っております。  この地震につきましては、詳しいことはもちろん学会で発表する予定でございますので、次に、その右側の方のこの地域全体の話に移らしていただきたいと思います。  その右側には「中部地方の被害地震の分布」と書いてございますが、これはマルで書きましたが、マルの大きさに合わせましてマグニチュード別に書いてございます。大体の目安だと思っていただければいいと思います。大きなマルがマグニチュード八、M八と書いてございます。それから、今回の地震はそこに黒い楕円で書いてございますが、大体この範囲が破壊されたと思っていただいていいと思います。それから、線がいろいろ書いてございますが、これが先ほどからいろいろ問題になっております活断層です。実は活断層というのはこれだけございまして、このうちのどの活断層が動くか、どれが危険であるか、そういうことが非常に難しいわけでございます。特に長野県の方になりますと、ちょうどこの地図でいきまして長野市付近あたりに地震が密集しております。こういったのが、実は東海地方の地震に前後いたしまして発生しているものが多い。例えば宝永地震、安政地震、その前後に発生しておる地震がございますので、これはある程度内側と外側との関連があるかもしれない。そうでない地震ももちろんございます。  それで、こういう地震を調べてみますと、昔の被害といいますのはどの程度正確に記述されているかわかりませんが、七に近づきますとほとんど山崩れが起きているようです。ですから、内陸の七といいますのは非常に怖い地震でございまして、マグニチュード七となりますと、これは大災害を生ずると思っていいと思います。  今回は六・九で七に近いことは近いのですが、それプラス上の火山灰、火山があるために地質が悪くて、火山といいますのは急傾斜で岩質も悪いということがございますので災害を大きくした、非常に運の悪い例ではなかろうかと私は思っております。  それで、現在こういったような形で一つ一つの地震を見ていきますと、いろいろなくせがございます。例えばある地震は連発型である、ある地震は群発を伴う、それからまた別の地震は何の前ぶれもなしに起こる、こういうことがございますので、その地域地域についてきめ細かに調査をしていく必要があるというように思っております。  ですから、現在のプレート境界といいますか、海の巨大地震に関しまして、特に東海地震に関しましては予知を目指した観測をしておりますけれども、この内陸に関しましては、残念ながら今のところは地震がどこに、どういった形で起こるか、そういう資料から始めていかなくてはならない。それがうまくいきました後にはその危ない地域に観測網を集中する、そうして予知を目指した研究を始めて、最後には予知に結びつけていく、そういった方針でございますので、まだまだ時間はかかると思いますが、何せ相手が地震のことでございまして、そう急にはいかない。ですが、着実に一つ一つの地震について新しい知識がつけ加わっているということだけは間違いございません。  これで私の話を終わらせていただきたいと思います。
  179. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
  180. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  181. 今井勇

    今井委員 質疑と申しましても、こちらに全く知識がないものでございますから教えていただくという方が本当かもしれません。したがって、これからお尋ねをいたしますことも先生方にとりましては実にばかばかしいことになるかもしれませんが、ひとつその点はお許しを賜りたいと思います。  まず、お三方に共通してお尋ねしたいことなんでありますが、私どもよく知らないのですが、内陸型の今度のようなものと、それから初めの浅田先生と高木先生がおっしゃいましたが、内陸型でないといいましょうか大洋型というのですか、表の方とその規模が著しく違うのだ、内陸型の方はいってみれば子供で、そうでない方が大きいんだというふうに理解をして、そんな考え方で間違いがないかどうか、幾つか申し上げますが、まず一点お答えいただきたいと思います。  それから、私ども素人にとりまして、予知ということと行政に対する皆様方の御要望なりを極めて知りたいわけでございます。地震というのはどの程度まで予知できるものか、今のお話によりますとなかなか難しいのだということでございますが、難しい中でも予知がだんだんとできるようになりつつあるような感じもいたしますけれども、その予知ということに対する今後のお見通しのようなものをお述べいただきたいということと、それをやります上で行政で一体どういうことが最も大事なのか。  今、予算の話も浅田先生からございました。予算を十倍も二十倍ももらっても、一遍にもらってもなかなか大変だという趣旨で私は受け取りましたが、私もそうであろうと思います。したがって、予算がちゃんとついたからすぐできるというものでもない、やはり基礎がだんだん詰まっていかなければならないのだろうという感じはいたしますが、その予知と行政に対します要望、特に予算等についての御要望がございますれば、ぜひ御三方からそれぞれのお立場でお話を承りたいと思います。  それから、青木先生に内陸型のお話を先ほどちょっとお伺いいたしましたが、内陸型のものについての先生の御研究に対しまして今後のお見通しといいましょうか、今後特にこういうことを行政の立場で対応してくれたらなおいいのだがということがもしおありになりますれば、つけ加えてお答えいただければ大変ありがたいと思います。  質問が大変雑駁である上に要領を得ませんのでお答えにくいかもしれませんが、意のあるところをお酌み取り願いまして簡単にお答えいただければありがたいと思います。
  182. 浅田敏

    ○浅田参考人 今の御質問にお答えいたしますが、太平洋の地震が大人で内陸の地震は子供であるというふうに思っても構いませんけれども被害に関してはそうではない場合が多いのでございます。  例えば太平洋の地震は、東海地震は陸に近うございますから陸での被害もかなり出るのではないかと想像されますけれども、三陸沖の地震などですと被害は全部津波で、震動による被害はございません。それから、北海道の根室沖とかなんかは地震が大きいにもかかわらず被害は比較的少ない。南海道地震、東南海地震も、これも非常に大きな地震でございますけれども、千人ぐらいしか亡くなっていない。千人で被害が少ないというのは妙でございますけれども、例えば福井地震などはマグニチュード七・三と言われておりますにもかかわらず、四千人も亡くなっております。一九四五年の三河地震は、マグニチュード七あるいは七・一と言われておりますけれども、二千人も亡くなっております。でありますから、被害に関しては子供であると言うことはできません。起こり方も性質も違いまして、内陸は非常に時間の間隔が長いのでありますから、一度起こったところにはそれと同じ地震はもう起こらないと言ってもいいのでございます。  それから、予知と行政でございますが、地震の予知というものは自分一人で予知して黙っているのなら幾らでもよろしいと思いますけれども、だれかが何月何日、これから何時間後に地震が起こるというようなことをまじめに、あるいはまじめに見えるような形で言うことは本当に行政の裏づけがなければすべきことではないと思っております。今、行政の裏づけがあるのは東海地方だけでございます。これを内陸とかなんかに広げるのは、どういう手順で広げるかというのは非常に難しい問題で、決断のつきにくい問題でございます。  予算のことでございますけれども、私が申し上げたのは、百倍や千倍では多過ぎると申し上げたのです。十倍で多過ぎるかどうかということはわかりません。やはり多過ぎるのではないかと思いますが、例えば倍なら常識的には穏当な数字でございますけれども、倍になればスピードアップすることは確実だと思います。しかし、今まで各省庁の、ほかとも影響すると伺っておりますので、これは我々素人が余り勝手なことを申し上げるのもよろしくないかと思っております。
  183. 高木章雄

    ○高木参考人 私の考えを申し上げさせていただきます。  規模に関しましては、浅田先生と同じように、マグニチュードが一つ低くなるとエネルギーは三十三分の一になりますから、年で一歳と三十三歳、親子と考えれば親子のような感じがします。  ただ最近、私は宮城県沖地震とか日本海中部地震に直接関係しまして、行政のことをも含みますけれども、これから非常に変えなければいけないと思いますのは、古来から、例えば太平洋に起こっておる地震は加害者ですけれども、それは全く同じところに同じ大きさの地震が起こっておるわけです。しかしながら、被害を受ける我々の立場は随分地震に対する環境を悪くしています。海の地震も津波だけであるとばかり思っていましたが、地震動に対しても、いろいろな土地の改良、あるいは自分たちの生活をよくするためにはそちらの方の環境を非常に悪くしている。そういう意味で、昔はこうだったけれどもというのがどうも最近通じなくて、自分の周りを見直す、地震に対する環境を見直すということがこれから大事ではないかと思っております。  それから、予知の見通しに関しましては、浅田先生が地震予知の会長でございますから御意見どおりと思いますけれども、海のことに関しまして、私たち海の観測まではまだできませんで、内陸の観測網から海の地震活動を調べているわけです。そういう意味では、沿岸のたかだか八十キロくらいまでが精度がよくて、あとだんだん精度が悪くなりますから、海底観測というのは日本は海に取り囲まれておりますからこれから非常に重点的にしなければいけない観測だと思っております。そういう意味で、それが完成されますと、例えば南海あるいは東海地震などは百年ないし二百年の間には必ず一回ずつ来ることがわかっております。そうしますと、九州から太平洋ベルトに海底地震計を並べたって日本列島には非常に有効ではないかとさえ考えております。そういう意味で、海の地震予知は、東海地方で実施するように海底観測が充実すれば相当な精度でできるのではないかと思っております。  ただし、陸に関しましては、先ほども申し上げましたように、陸になぜ地震エネルギーがたまるか、それは予想はついております。それは地殻の構造の不連続があるためにそういうところにエネルギーがたまって、その破壊によって活断層を起こすのだということはわかっておりますけれども、そういうようなことがまだどこがどうだというように具体的にはなっていないわけです。多分そういうメカニズムでいくであろうということはわかっておりますけれども、それでは、そういうものがどこであるかという観測も研究も一部にしか実施されておりませんから、日本列島に全国的な規模でそういうことが実施されつつ、今まで地震多発地帯などの特定地域にもう少し密な観測をしていますと、内陸に関しても全然不可能だというのではなくて、難しいながらだんだんと見通しがついていくのではないだろうかと思っております。  予算に関しましては、私たちは全然素人でございまして、どれが適切かということはわかりませんが、予算を投入すればそれだけの効果があったという単純なものではなくて、基礎研究と監視観測のようなダイレクトに関係するものとがございますから、そういう意味でなかなか適切な数値的なことは申し上げられないと思います。  以上です。
  184. 青木治三

    ○青木参考人 規模に関しましては私はちょっと違った考え方を持たざるを得ないと思っております。と申しますのは、中部地方の最大の内陸の地震は濃尾地震マグニチュード八でございます。ですが、エネルギー的に言いますと、海の地震が百年に一遍大地震があれば、内陸の方では何千年に一遍、同じ場所ということでございますので、災害という面からいたしますと、起きれば非常に大きな被害が生じますけれども、全体として見ますと、やはりエネルギー的には海の巨大地震の方が怖いというように思っております。  そういった予知に関するいろいろな見通しなんかということでございますが、これは私もいろいろ悩んでいるところでございます。といいますのは、やはり地震の予知といいますのは勉強しながら次の新しい手を練っていくという面がございます。そうかといって、しっかり勉強しておいてから始めましょうというのでは到底間に合いません。観測が非常に大切になってまいります。ですから、そういった観測を進めながらなお基礎研究を進めていくためには、私自身のことで言えば、物を考える時間が欲しい、これは私自身の率直な感想です。ですから、それを引き伸ばしますと、やはりマンパワーと予算というのはバランスをとってふやしていっていただきたい、そういたしますと地震の予知というものの加速の仕方が違うだろうというように思います。  それから、特に内陸型についての質問でございますが、これは海の場合に比べますと、海の場合といいますか、予想される東海地震に比べますと随分難しい話でございます。大体どこに起こるかわからないということで、規模が非常に小さなものが多い。  今度の地震の観測で非常によくわかったことなのですけれども、精密な観測をすればそれだけの成果が得られるということです。そうかといいましても、精密な観測を全国にばらまくといいますと、これはもう恐ろしい金額になってしまいます。ですから、我々の方針としましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まず第一に重点地域を決める、これは特定観測地域というのはそのうちの一つでございます。その中でなお細かくここが危ないとか、こういった点を追求するのが地震予知に結びつくとか、そういった研究を進めながら観測を重点的にしていって予知の腕を磨く、これが現在我々に課せられた任務であるし、それが一番の近道ではないかと思っております。
  185. 今井勇

    今井委員 大変ありがとうございました。確かに、おっしゃいますように予算をどんどんつぎ込んでみましても、それは限度があろうと思います。やはり先生方のマンパワーの問題、学問の、研究の進度の問題等々とのバランスの問題だろうと思います。しかし、浅田先生がおっしゃいますように、やはり今のままでは私どもも極めて微弱だと思います。先生は非常に慎重に、しかも控え目に倍ぐらいであろうというふうにおっしゃいましたが、倍なんというものではいけないのだろうという感じが私は実はいたすわけでありまして、こういう機会に私どももよく先生方とお打ち合わせをしながら、やはり先生方が自信を持って、しかも、これからの日本の地震に対して十分な措置が学問的に深められるような、そういうことを私どもも一緒になってやっていくことがきょうのこういう公聴会をやった一つの大きな目的だろうと思いますので、今後またひとつどうぞいろいろの面で御指導を賜りますことをぜひお願いをいたしておきたいと思います。  大変きょうはありがとうございました。
  186. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、細谷昭雄君。
  187. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 御三方の先生方、きょうは御教示ありがとうございました。  主として私は三つの問題について先生方にお聞きいたしたいというふうに思います。これは浅田先生、高木先生、青木先生それぞれということでありますけれども、どなたの先生でも結構でございますので、もし補足されてお聞かせ願えればありがたい、こういうふうに思っております。  最初に、浅田先生にお伺いしたいのですが、今地震予知というのは大変に難しい問題である。大ざっぱに言いますと、東海地震というのがある程度予知が進んでおるのだけれども、内陸型、こういったものに対しては大変難しいというお話がございました。  そこで、私はお聞きしたいのですが、何でもそうなんですが、これだけはぜひ最低限観測に必要である、こういうガイドラインみたいなものがあるのではないか、こういうように思うのです。これは具体的な予算の問題とも絡むわけでありますが、少なくとも現在よりはましな、例えば太平洋側の地震なり日本海側の地震なり、ないしは内陸型、特に難しいと言われております直下型の地震、こういうものの予知体制にとりまして現在何が少ないのか、何が欠けておるのか。例えば基礎研究の問題があり、観測点の問題があり、いろいろな問題があろうかと思うのですが、浅田先生から、率直に言いましてこれだけは絶対欲しい、これが欠けておるのだ、したがって、学者の皆さん方が、ないしは観測に従事されておる研究者の皆さん方が、これだけは絶対欲しいというある程度のガイドラインがおありでしたら、ないしはつくらなければならないというふうなお考えがありましたらお願いしたいということが一つです。  第二に、高木先生にお伺いしたいのですが、私自身秋田ですので、先生には直接的に日本海中部地震では大変お世話になりました。そこで、地震予知という問題からしますと、いわゆる地震予知連が特定観測地域を指定しておるわけでございます。日本海側には三地域がございますが、今までのお話をお聞きしましても、太平洋側の研究体制と比べてみますと、どうも日本海側の観測体制というのが、私は素人で考えますので、薄いような感じを持っておるわけでございます。一体なぜ薄いのか、薄くてもいいのかどうか。先生の表によりますと確かに太平洋側と比べますと巨大地震が少ないということはございますが、そのために、いわゆる重点という点からして薄くてもいいのか、こんなことがいろいろ理論的にもあると思うのですが、私ども日本海側に住んでおる者からしますと、一体これでいいのかという感じを持っておるわけであります。したがいまして、この日本海側の危険性という点は、一体理論的に薄いのか、薄いから今言ったような観測体制でいいのか、そこら辺の問題を中心に、生々しい昨年の日本海中部地震を私たちは体験しておりますので、ぜひひとつその点での御解明をお願い申し上げたいというふうに思っております。  それから、青木先生にお願いしたいのですが、山間部の内陸型直下地震というのはいわば小さいけれども大変に被害が大きい。今回の地震を見てもわかるわけでありますが、その場合、基礎研究が必要であるということを先ほど高木先生も御指摘になりましたし、それから先生も御指摘になったわけでありますが、具体的にこの基礎研究というのがどんなことであるのか。例えば大学における理学部でのいろいろな研究なのか、それとも例えば気象庁内にもう少し何とか必要なのか、そこら辺を具体的な御指摘をお願いしたいと思うわけであります。どこに起こるかわからないという不気味な内陸型、こういうことでありますので、むしろ予知という点からしますと、この内陸型の基礎研究なり観測点の設置というのが焦眉の急ではないかというふうにも考えられますけれども、そんなことをひとつ先生からお伺いしたい。  最後に、これは三人の先生方にそれぞれお伺いしたいと思うのです。  一つは、先ほど先生方の御指摘がありましたが、例えば関東大震災というのが第二次が起こるとすれば、当時と比べると環境が非常に悪い。都市構造の上でも非常に悪い。したがって、同じ程度の第二次関東大震災が起きますとどれだけの被害が及ぶのか。この程度という一つの予備的な知識が私たちありませんので、都市構造の変化、そういう生活環境の変化というのがはかり知れない被害をもたらすのではないかというふうに予想しておるわけであります。その点について、それぞれ三人の先生方からお教え願いたい。  もう一つは、民間の経験というのが昔からございます。昔から民間の伝承的なもの、ないしは民間の知識、野にある知識、私は秋田ですが、本荘というところに「地のささやきを聞く会」なんというのがございます。これはアマチュアでありますけれども、井戸水の水位を毎日はかっておる。こういういろいろな人方が野におるわけでありますが、こういう人方と比べますと先生方はもちろん専門の学者でございますけれども、行政ではこういうことは結局全然取り上げておらないというふうに思うのですよ。したがって、地震予知という行政、特に観測点、そういった研究が非常に限られておるという現状では、こういう民間の経験ないしは民間の知識というのを皆さん方はどうお考えなのか。あんなのは全然、もちろんナマズなんという問題もございますが、ナマズまでいかなくてもいろいろな経験があるわけです。そういうものをどのように活用したらいいのか、行政の上でも政治の上でも、その点について。この二つの点については先生方からそれぞれお教え願いたい、こんなふうに思っております。  以上です。
  188. 浅田敏

    ○浅田参考人 最小限こういうことを進歩させることが望ましいとはどういうことであるかという御質問だったと思いますが、非常に簡単に申しますと、まず測量の繰り返してございますね。これは昔よりたくさん行われるようになりました。進歩しておりますが、今後もますますそういう方針で進めていただきたいと思っております。  それから、気象庁の地震観測も、今でもかなり立派でございますけれども、もう少し磨き上げる。それから、例えば気象庁で扱っております容積変化計も、今は主として東海地方でございますけれども、もっとほかの場所にも欲しい、こう考えております。  私がその基礎研究のことを、これも実は両方とも基礎研究でございますけれども、行政官庁でございまして、行政官庁の常時観測について申し上げていることは、そういうものの厚みを増すことが底を持ち上げることである、こういう認識に基づいておるからでございます。
  189. 高木章雄

    ○高木参考人 お答え申し上げます。  日本海地域が観測に関して非常に薄いではないだろうかというお話でございますけれども、これは日本海地域ばかりでなくて、今、東海地方あるいは南関東地方が強化地域になってございまして、そこと比較して、これはもう日本海ばかりじゃなくてあらゆるところが差がございます。ただ、一般的には特定地域というのがございまして、そこで地震予知に関する研究観測を有効的に、あるいは効果的にやろうという場所が選ばれておりますけれども、そういう図面を見ますと、必ずしも日本海沿岸が非常におくれているというようなことではないような感じがします。  特に私たち東北地方では、この地震予知が昭和四十年に出発しましたけれども、まず第一に、本荘を中心にした、あるいは男鹿半島を中心にした観測点をつくり始めております。そして、徐々に太平洋に向かって観測点を広げているような事実がございます。また、京都大学も北陸とかあるいは鳥取に一番最初に観測網をつくっております。これは共通して申し上げられることは、先ほどからも申し上げておりましたけれども、日本海あるいは内陸に関しましては地震の繰り返す時間が非常に長い。だから、日本列島にとっては知識が非常に少ない。我々は経験が少ない。だから、なるべくそういう環境のところから観測を始めようということでやっておりますから、そうは申しましても、まだ二十年たたないことでございますから、そういう意味ではさらに強化することが望ましいと思っております。  それから、関東地震被害についてということでございますけれども、これは私たち、被害に関する専門ではございませんけれども、ただ宮城県沖地震とか日本海中部地震などで新しい地震災害のパターンがございます。と申しますのは、今は社会的な機能がお互いに、ここで申すと余り品のいい言葉ではございませんけれども、お互い同士おんぶにだっこになっておりまして、もたれかかっておるわけです。ですから、一たんショックがあって破壊が起こりますと、昔ではそのショックの被害がイコール被害でございました。しかし、昔は井戸も自分で持っていますし、煮炊きも自分でできますから、そういう意味で後々非常に困るということはなかったわけでありますけれども、最近は電気が消えればいろいろなものが全部ストップするとか、そういう波及的に災害の効果が非常に長引いてきますから、それが積分されて被害という定義になって、昔と非常に違った形になっておりますから、そういう意味で関東地震のことと同じものが今起こったと仮定しますと、これはもう全く最近の目でそういう被害を見直さなければいかぬと思っております。  それから、民間の知識でございますけれども、これは非常に大事なことでございまして、先祖伝来のいろいろな知識がございますけれども、それは活用すべきでございます。そう申しますのは、例えばいろいろな被害がございましても、長男の家だけが被害がなくて最近の分家の方がいろいろ被害があるという、昔からの生活の知恵と申しますか、そういうものがいろいろございますから、民間の知識というものは有効に活用したいと思っておりますし、先ほど先生のおっしゃった「地のささやきを聞く会」には私は顧問として民間の人たちを大いに鼓舞しております。  以上です。
  190. 青木治三

    ○青木参考人 内陸の山間部地震のことでございますけれども、これは先ほど申しましたように非常に規模が小さくて、観測を密にすることがなかなか難しいということでございますが、それをいかに効率よくやるかということが実は一番の問題点でございます。ですから、それ以前に、実はこういう研究がうまくいくようになるまでに、やはり災害予測というようなものはかなり綿密に立てておく必要があるのではなかろうか。例えば活断層の分布というのがある程度わかっておりますので、これが動いたらどうなるかというようなことの災害予測が一つだろうと思います。  それから、予知の方に関しましては、これは意外に幅の広い研究が必要であるのと、それから本当の意味での基礎的なデータ、例えば地震の観測であるとか、それから測地測量、こういうものはやはり官庁関係で充実していただきたいと思います。むしろ大学といたしましては、予知の手法の開発であるとか、あるいは特定の現象をつかまえてそれを解明する。例えば一つ例を挙げますと、同じ活断層でも阿寺断層というのは地震はほどんどございません。ところが、北にございます跡津川断層というのは地震が密集しております。全く対照的な活断層ですが、どうしてそういう違いが出てくるのか。あるいは宝永地震の際に、中央構造線とかあるいは糸魚川−静岡線のあの付近あたりに地震活動がございましたけれども、それはどうしてそういうことになるのか。そういった理学的な面での研究もまた非常に大切になってくる。こういうものが合わさりますと、やはり次の目標というものを定めやすいというふうに私は思っておりますので、かなり幅の広い研究、それから本当に基礎的に必要なもの、両立して進めていっていただきたいと思います。  それから、関東地震その他の被害、これは私、専門ではございませんし、高木先生以上のことを述べることも、わかりませんので遠慮させていただきたいと思いますが、民間の知識、これは一つ例を申し上げた方が早いのではないかと思います。  愛知県では何人かで井戸水の観測をしているグループがございまして、そのデータを県の方で集めております。我々はそれを専門家の目で見直す。それをまた皆さんにお返しして、次にまた新しい観測をしていただく。それを一、二年繰り返しましたところ、観測の質が非常によくなりました。時には苦言を呈して怒られたこともございますけれども、とにかく専門家と民間が共同できるという一つの例であると思います。同じようなことは静岡県でも京都大学の防災研が指導する形で進めておりますので、とるべきデータはそういった形でもとりたいと思います。  それから、そういったような事業一つ一つが地震に対する知識、そういったものの普及にもつながっている。これは実際に地震が起こったときの被害を軽減する意味でも、地震に対する知識があるかないかというのは随分違うと思います。例えば津波の知識があれば、海で大きな地震があったらばどうすればよろしいかということはすぐわかるはずでございます。そういうようなこともございますので、できる限りそういったものは進めていっていただきたいと思っております。
  191. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 どうもありがとうございました。
  192. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、薮仲義彦君。
  193. 薮仲義彦

    薮仲委員 参考人の諸先生には、大変お忙しい中、貴重な御意見の開陳をいただきまして大変にありがとうございました。先生方お一人お一人、大変失礼でございますけれども、順次お伺いしたいことがございますので、お聞かせをいただきたいと思うのでございます。  最初に、浅田先生にお伺いしたいのでございますが、先ほどもございました東海地方の観測でございます。先生の現在の判断では、観測の体制といいますか観測機器の状態というのは、マグニチュード八に限りなく近いような巨大地震に対して必要な措置は十分である、そのようにお考えであるか、あるいはこういう点をもう少し充実した方がいいというお考えがあるのか、この点が第一点でございます。  第二点は、先生も当然十分そこに関係なさった上で、予知連が特定観測地域というものを八カ所指定してあるわけでございますが、これは先生御承知のように、国土地理院の院長の私的諮問機関でございますので、そういう地域を指定したということでございます。それが、各大学等の機関によって観測強化しようという体制には話し合いは進んでいるようでございますけれども、現在、その指定された地域の観測網というものは地震を予知するに足るような観測の状態が進められているのか、あるいは各機関でもう少し話し合って積極的に観測のネットワークをもっと充実しなければならないとお考えか、この辺をお伺いしたいと思います。これが第二点でございます。  三番目は、予知の一元化ということについて先生の御意見をお伺いしたいわけでございますが、現在国の行政ベースに乗ってまいりますのは予知推進本部がございます。これは正式には文部省の測地学審議会の建議に基づいてできた事柄でございます。そこには文部省、中心は科学技術庁でございます。先生が深くかかわり合っていらっしゃる予知連等は、どちらかと言えば建設省の国土地理院の私的諮問機関、これは国土地理院がその中心の官庁でございます。さらに、東海地震となってまいりますと、地震対策特別措置法にのっとって判定会がございます。先生が会長でございますけれども、その判定会は気象庁の長官の招集によります  ざっと考えてみますと、各省庁がかかわり合っているということは、非常にいろいろな意味で貴重な意見が収集されるという利点はあるかもしれませんけれども、将来これが学術的な面ではなくて行政的に対応するということになったとき、また予算の措置等を必要とするようなことを考えますと、現在のような予知の体制、各省庁にまたがっていることは一面好ましいのですけれども、将来これを一元化するような方向というのは必要か必要でないのか、先生の御意見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。  以上三点、先生からお伺いしたいと思います。
  194. 浅田敏

    ○浅田参考人 最初に、東海地方の観測、直前の前兆をつかまえるための観測だと考えますが、十分かという御質問だと思いました。これはさっきも申し上げましたように、我々は本当のところ初めてのことをするのでございますから、本当はこれでもう十分だと思ってはいけないわけです。何でも少しでも新しいものがあったらそれも試みてみる、密度ももっと密にしたい、そういうふうに考えております。したがって、現在十分であるというふうにはお答えするのは適切でないと思っております。といいましても、現在のものは全く見当もつかないほど不十分である、そう申しておるわけではございません。かなり急いでできまして、かなりの数のものが気象庁にテレメーターされておりまして、直前の前兆はつかまえることはできるのではないかと思っております。しかし、その精度を上げることが非常に大事でありまして、精度が悪いと非常に社会的混乱を生じるものでありますから、そういう意味で充実したい、こういうふうに言っておるわけでございます。  それから二番目は、予知連が特定を八カ所指定しております。これは元来測地学審議会の建議案に書いてございまして、適当な場所を何カ所か指定して、そこで測器の開発、磨き上げること、あるいは地震予知の練習もしましょう、こういうふうに言ってあるわけであります。そういう測器の数は東海地方に比べると圧倒的に少ないわけでございます。それも、その場所によって、例えば地殻変動連続観測の観測所が何カ所かあるところもあればほとんどないところもあれば、いろいろでございます。それで、正直に申しますと、それで予知をするということはとてもできないだろうと思います。ただ、観測網のそばで地震が起こってくれれば前兆をつかまえることはあり得ます。しかし、その場合も、さっき申し上げましたように、行政の対応がとれてない場合には予知は事実上できない。それから、もう一つ申し上げておきたいことは、現在の程度の観測では、ここも行政の対応をすべきであるというほど自信に満ちた予知などは到底できないだろうと思います。  それから、予知の一元化でございます。ちょっと表現が難しいのでございますけれども、言ってみれば予知というものが、研究の必要性、あるいはもうちょっと人間の感情をあらわすように言いますと、研究をする魅力がなくなってくるような時代になれば当然一元化された方がいいと思いますが、現在はその研究というものがまだかなり必要とされている時代でありますので、現在のスタイルがよろしいのではないかと思っております。
  195. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうもありがとうございました。  次に、高木先生に一点だけお伺いしたいのでございます。  先生は、いわゆる重点的に観測の結果を積み上げていくことは予知に非常に必要であるというお話でございました。今、特定観測地域が八カ所決まっているわけでございますけれども、先生の先ほどの日本全体の地震の発生を調べられたお立場から、このほかにさらに重点的に観測機器を埋設してデータを収集した方がいいな、そういうふうにお考えになるような重要な地点をお考えでございますかどうか、その辺をお伺いしたいのでございます。
  196. 高木章雄

    ○高木参考人 お答えします。  特定地域が現在八カ所ございます。それで、この特定地域に関しましては、ただいま浅田先生から申し上げましたように、ここで予知をやろうということは現在考えておりません。と申しますのは、ここには監視観測というのがないからです。これに対して、これ以外にどうだろうかというお話でございますけれども、私たち地震予知を目指している者にとりましては、四角に囲んで線が引っ張ってございますけれども、そこを非常に大事に考えて、そこから少しでも外に向かっては研究をしないのだということは全然思っておりません。むしろそういうことを中心にして、非常に大きな意味でその付近だというふうに理解しておりますから、そういう意味では現在の我々の研究陣のパワーからして、この程度で、これを充実していくことがまず大事であろうと思っております。
  197. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうもありがとうございました。  最後に、青木先生にお伺いしたいのでございます。  これは素朴な質問でございますけれども、直下型の地震の予知というものが将来できるのか。先般国土審議会でも二十一世紀の将来を見通したいろいろな研究が出ておったのですが、その中には将来は直下型の地震について予知が可能であろうという推測がなされておるわけでございますが、やはり先ほど来いろいろお話を伺っておりますと、直下型というのは可能かな、いわゆる観測網の精度といいますか、そういうものの密度を濃くすれば、あるいはまた地震資料というものが百年、二百年、三百年というオーダーで蓄積されて、ある程度のメカニズムについて理論的な裏づけがなされれば直下型が予測可能なのかどうか、その辺の現時点でのレベルでの先生のお考え、それから、先ほど先生のお話の中で地震にはいろいろな出方があります、群発型とかいろいろお話がございましたが、前兆が全くないというお話もございました。前兆がないということは、もう少し正確にお聞かせいただきたいのですが、全くないのか、それとも現在の観測精度が低いがために捕捉できなくて前兆がないという判断に立たれるのか、その辺のところをもう少しお知らせいただきたいと思います。  それから、第三番目でございますけれども、これは先生が今度のいわゆる長野西部地震について非常に詳しいというお立場から、参考の御意見で結構でございますが、一部我々が文献等を読んでみますと、ダムと活断層といいますか、そういうダムの湛水にかかわる浸水に伴う地震の発生のメカニズムも海外の例あるいはいろいろと国内でも研究がございますけれども、今度の地震に限ってというとちょっと発言しにくい面もおありかと思いますけれども、牧尾ダムとの関連等はもしも余り好ましくなければそれは別にしても結構ですが、ダムの湛水と地震という関連性については先生、いかがお考えでございましょうか。
  198. 青木治三

    ○青木参考人 直下型の地震の予知は可能かということでございますが、これは私は遠い将来かあるいは近い将来、近い将来といいましても十年やそこらはだめと思いますが、いずれはできるようになるだろうと思います。ですが、本当の岩盤の近いあたりの直下型と、それから首都圏のような上に非常に厚い堆積物をかぶっているような直下型、これは少し攻め方が違うので、後の方が難しいのではないかと思いますが、地震の危険度というような後のことまでいきますとかなり進歩はするのではないかと思っております。  それから、前兆が全くない地震があるかどうかということでございますが、これは室内で岩石を壊している限りではそういったものはないようです。必ず何らかの前兆があるわけですが、非常に小さ過ぎてとても普通の観測ではっかまらないというのが結構ございます。ですから、そういったものを我々としては、観測しておる者の立場からしますと前兆がないと言わざるを得ないような形になると思います。ですが、また別の新しい観測項目を探せばそれでつかまるという可能性はあるかもしれませんので、今の観測手段ではというようにお考えくださればいいと思います。  それから、今度の地震がダムと関係があるかどうかということでございますが、実は私もこの件に関しましては群発地震の始まったあたりから関心を持っておりました。普通のああいったダムと、それから地震の近さからいたしますと、一応関係があると疑って調査するのが普通で、海外の場合はそうでございますが、一つわからないのはもう十何年も時差があるということです。それから、毎年の水位の変動と余り関係があるとは思えない。そんなわけで、今のところ関係がないと言い切れないと私は思いますけれども関係がある証拠は何も見つかっておりません。要するに、白か黒か全くわからないというのが私の率直な意見です。
  199. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうも大変ありがとうございました。
  200. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、安倍基雄君。
  201. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 参考人の諸先生方、本当にお忙しいところ、ありがとうございます。大体同僚議員がいろいろな質問をした後でございますので、とりたてて言うこともないのでございますけれども、しかし、私考えますのは、地震の場合予知も大事だけれども、例えばいざ起こりますよという話がもしわかっても、その瞬間的に電気をとめるとかガス、水道をとめるというようなことができましょうけれども、それよりは、何と申しますか、日ごろの考えと申しますか、この前私、実はやはり災害対策委員会地震のことについて聞きまして、今ちょっとお話もありましたけれども、関東大震災の被害は当時におけるGNPの幾らくらいだという話を聞きましたら、半分くらいだ、予算の四倍であるという話をしておりました。もし、今にそのまま直せば百四、五十兆のすごい額になる。そのいわば債務は、海外でいろいろ外債なんか出したりしたわけですけれども、いつ償還したかということを聞きましたら、昭和四十三年までかかった。それはもめた問題があったりいろいろございますが、それだけの大きな被害があったということでございまして、私は予知の問題もさることながら、日ごろいわば都市工学と申しますか、どういうぐあいの都市づくりをしていくのがいいのかということが一番大切じゃないか。  私はそのときに消防庁の方に一体何階建ての火事まで消えるのか、前に「タワーリング・インフェルノ」という映画があったけれども、あれはちょっと大火事で、要するに塔全体がだめになった。それを消すのは大仕事だった。ホテル・ニュージャパンのあの火事で大騒ぎになった。これから東京あたり大地震が起こったら、水道はとまってしまうかもしれぬ。消防庁の方に聞いてみますと、大体十二、三階まではみんな届く、それ以上は届かぬというような話もございました。ですから、私はその際に、もう高層建築は一定階以上は絶対燃えないものにしなければいかぬ、倒れぬばかりではなくて、燃えない、しかも有毒ガスを発生しない材料に統一しなければいかぬというようなことまで考えるべきではないかという話をしたのでございますけれども、私がちょっとお聞きしたいのは、現在の地震学会がそういう都市工学と申しますか、都市づくりとの関係でどういう連携を保って考えていらっしゃるのか、あるいはそういった制度がないのか、あるいはもしあればどういう提言をその面でお考えであるかということを、それぞれの参考人にお聞きしたい。もし万が一大災害でもあったというときに、じゃ新しい都市をどこにつくったらいいかというような問題まで起こらないとも限らない。これは随分大きな話でございますけれども、私はかつて大蔵省におりましたときに、地震保険というのに若干タッチした。大体百年に一遍くらい大地震が関東地方にある。昔は、今おっしゃったように、江戸時代の、まあ太田道灌のころは家が何軒か倒れたりするんだけれども、年々大きくなってきておる。関東大震災級のものがあって、恐らくGNPの半分といったら大変なものになる。私はそのときにやはりいろいろな面でこれから財政的にもどうするとか、臨調のあれもいいけれども地震対策についてはよほど基本的に考えなければいかぬじゃないかということをお話ししたこともございました。  今、予知の問題が中心でございますけれども、諸先生方の都市工学との関連において何らかの考え方、御提言があるのかどうか、それぞれの参考人の方にお聞きしたいと思います。
  202. 浅田敏

    ○浅田参考人 大変難しい問題でございまして、実は地震工学あるいは工学的地震学というものがございまして、耐震や今先生が言われたようなことを扱っております。その中に純粋の地震学出身の者も何人かおりまして、そういうふうになってつながりがとれております。私自身は、正直な話何も知らないのでございます。でも、非常に簡単に考えたことを言わしていただくとすれば、例えば道路はみんな幅を百メートルにする、それから建物は全部鉄筋にする、それから今申されたように、すべての物は不燃化にする、それから電信柱その他は全部地下の共同溝に埋める、そういうふうにすればやはり被害は少ないかと思いますが、しかし、こう申すと、そのことはもう政治の問題自身ではないか、そういうふうに考えております。技術的な問題の範囲は超えておるのではないかと思っております。
  203. 高木章雄

    ○高木参考人 私も都市づくりに関しては素人でございまして、適切なお答えができませんけれども、全く先生の御意見と同じと思いますのは、地震予知は、そのものでなくて防災の一つの手段と考えております。だから、予知だけではもう全くナンセンスでございまして、災害を軽減するという防災の面を非常に考えなければいかぬと思っています。そういう意味で、地震学会も今浅田先生申されましたように、地震工学の方たちと同時に仕事をしておりますけれども、私たちもその場合に一つ、ある場所でどのような災害が起こってどのような対策をしなければいかぬというときに、我々の分野ではその地震を予測する作業をします。それはその地域に、例えば東京都では大きな、例えば震度五あるいは六くらいの地震はどこに起きるか、それはどのような特徴ある震動を伝えるか、そのようなことを予測して次の地震工学の人たちに渡します。そうしますと、地震工学の方たちは地盤を考えて、基盤地震といいますけれども、基盤地震を私たちも答えとしてそれを受け取って、地震工学ではいろいろの地盤の上ではどのような震動になるか、そういうことをさらに建築あるいは土木の方に伝えて、そういう一定の連鎖的な研究で今先生おっしゃったような防災というものを考えていて、しかも、それに対しては官庁の方も加わった研究のあれもございます。
  204. 青木治三

    ○青木参考人 地震学の中に長周期の記録を取り扱いまして地震がどういうふうに起こったかということを研究しているグループがございます。これが非常に大きな成功をおさめまして、海の巨大地震その他すべて解明していったわけでございますが、それだけですと地震被害に結びつく計算ができません。そこで、現在は断層がどのように動くかということを具体的に話を進めていきまして、実際にどのような震度でもってどのような災害を起こすか、そういった一つの分野が成長しつつあります。この分野を育てることによりまして、あとは地震工学の方たちと相談しながら災害の予測ができるのではなかろうか。どうも地面の上のことは我々の方はよくわかりませんので、そのあとはその道の専門家にお任せして、全体としての防災ということを考えていくのが当然私たちも考えなければいけないことだと思っております。
  205. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この問題はちょっと大きな問題過ぎるのでございまして、参考までにこれから大都市、大都市は東京でございますけれども、これからちょっとした都市は原子力もあれば石油化学もあれば、大変ないわばメガロポリスみたいな格好になるわけですが、これから日本の国内でどこか比較的安全と言えるような地域はあるのでございましょうか。大分大きな話でございまして、この問題に長く深入りしますと問題が大きくなりますから、どちらかと申しますと将来比較的いいというこの点だけ簡単に一言。
  206. 浅田敏

    ○浅田参考人 これもまた難しい問題でございまして、人間が集まって都市をつくるところはどうもみんな地盤の悪いところだけのようでございますので、地盤のいいところを探してつくり直した方がよろしいのではないか、極端に言えばそういうふうに思っております。
  207. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この問題はこのくらいにいたしまして、次の皆さん専門の予知の問題ですけれども、いろいろとお聞きしておりましたから大体質問は尽きるのでございますが、結局今までとこれからということで予知の今までの方式が大分変わってきているのか。大分精度が上がってきているという話がございましたけれども、従来主としてこういう面で予知してきたけれどもこれからはむしろこういった方向で予知していけばいいのではないかとか、そういった場合には今まで予知がこのくらいの範囲でわかったけれどももっとわかっていく、非常に技術的な問題でございますけれどもその辺をちょっとお聞きしたいということがまず第一点でございます。
  208. 浅田敏

    ○浅田参考人 実は十何年昔は、内陸の地震は、さっき申し上げましたように、まず測量を物すごくして、隆起があったらそこに直前の前兆を知らせる器械を置く、そういう作戦でございました。根本的にはこういうことは間違ってないと思います。しかし、直前の前兆をとらえることがこの十何年以来非常に多様化してまいりまして、それこそ井戸の水位も役に立つ場合がある、あるいは地下水の化学成分も役に立つ、それから場合によってはラジオに聞こえる雑音も関係あるようであるといったあらゆるものが出てまいりましたので、そういう方を組織的に研究して採用して、私の考えでは、観測網を密に密にと申し上げましたけれども、それほど密でなくても少しは遠いところから見当がつくというふうに発達させて、直前の予知を実行するように進めていくのがいいのではないかと私は今思っております。
  209. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この私の質問は、今例えば予算が十倍になるというような話の場合に、そういういわゆる観測器械を広く、さっきちょっと質問があったかもしれませんけれども、基礎研究というか、そういう方へ投げ込んだらいいのか、あるいは海洋の方の海底の調査のようなものか、非常にばらまき的に研究費を使っていくのか、まあまあ集中的に質の方にやっていけば大分よくなるのか、その場合さっき言ったように、百倍にしてもしようがないという話がございましたけれども、それじゃ十倍という場合に我々のこれからの予知の方向、予算のいわば配分をどちらの方向に持っていったらいいのかという問題が一つあるものでございますから、その点をちょっとお聞きしたいのです。
  210. 浅田敏

    ○浅田参考人 デリケートな問題でございますのでお答えしにくいのですけれども、私の考えではルーチンと言われる観測、地震観測あるいは測量あるいはもちろん地震観測には海底地震計、海底ケーブルもやる、それから東京都の周りには深井戸もつくる、そういうふうな設備にお金をかけることは我々の知識に厚みを増すことになると思っております。ということは、基礎研究はお金は要らないのだ、こう申しておるのではございませんが、どだい地震予知で何かしますときお金のかかるのは、そのルーチンの観測網をつくることに圧倒的にお金がかかるものですから、おのずからそっちにいってしまうのではないかと考えております。
  211. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 最後に。大体もう話は尽きたのですけれども、こういう公の席でどうのこうの言うのもなんですが、最近伊豆沖あたりで地震が発生したり、雑誌なんぞはドーナツ現象と称して、ドーナツの中心が一体東海にいくのかあるいは関東にいくのかということまでうわさされておりますが、これは別に公の席でどうのこうのという、差しさわりがあればあれでございますけれども、私自身も今の薮仲さんと同じようにいわば静岡県の選挙区でございまして関心が深いものでございまして、その辺についてちょっと御見解をお聞きしたいと思います。
  212. 浅田敏

    ○浅田参考人 ドーナツの中心が関東地方だとは思っておりませんけれども、ドーナツに中心があるとしたら、やはり東海地震だと思っております。しかし、東海地方にひずみがたまっていることは明らかな事実でありまして、その一環であって、ドーナツがあったから地震が早く起こるとかなんとかそういうことはないと思っております。ドーナツ現象ということ自体がまだ確立されているとは思っておりません。しかし、注意して見ております。
  213. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まだ時間もございますけれども、もう既にいろいろ質問が尽きておりますので、このくらいにいたします。
  214. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、中川利三郎君。
  215. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間の関係もございますから、簡単にお三人の先生に一問ずつお聞きさせていただきます。  まず初めに、浅田先生でありますが、先生の著書を私いろいろ拝見させていただいているわけでありますが、まず発想の転換がなければならないということを先生非常に力説されて、私非常に共感しているわけでありますが、例えば天気予報は、宇宙からひまわり衛星で見て、地上には豆をまき散らしたように観測所があり、気象庁職員五千人が携わっている。そして、百年の歴史がある。ところが地震は、ルーチンでやっている者は気象庁に百人くらいで、大学の先生を入れてもわずか二、三百人を超えないだろう。これではとても地震予知に、地震が来たときの責任を持てといったって持てる話じゃないということをおっしゃっているわけです。まさにこれは政治の問題だ、政治的決断の問題というものと関連するということを力説されて、私、もっともだと思うのですよ。  同時に、ごく最近の週刊サンケイなんかを見ましても、先生の所説が出ておるわけでありまして、やはり金をかければちゃんとなるんだということ、そのためには発想の転換が必要だ、このことをあなたは大胆に大きく国民に呼びかけていらっしゃるのですね。  ところが、先ほどのお話をお聞きしますと、非常に謙虚で控え目で、専門外だ専門外だということをおっしゃりながら、予算の面、つまり政治の決断については、専門外なことはわかりますけれども、非常に控え目すぎるのじゃないか。ですから、首尾一貫するためにも、やはり国民の共感を得るためにそういう発想の転換、先生の持論であるそれをやるためには、もっと堂々とこういう場合でも御発言をいただければ私はいいと思う。  なぜかといいますと、今気象庁の予知の予算がわずか六十億円足らずでしょう。P3Cという飛行機一機買えば百二十七億円ですよ。その半分でやられているということで、学者としての先生のお気持ちが許すのかどうか。これは非常に失礼な質問でありますが、この点について先生の御所見をいただきたいということ。  それから、ついででありますから、次の高木先生に私お聞きするわけでありますが、前の予知連の会長さんであった萩原さんですか、あの方は地震予知の研究も非常に大事だ、しかし、やはり防災が基本だ、こう言っていらっしゃるのですね。だから、防災を鬼に例えれば予知の方は金棒だ、そういう位置づけをしたわけでありまして、私はけだし名言だと思っているわけであります。  そこで、予知を幾らやっても、その方をうまくできて人は逃げても、やはり被害は起こるのですね。だからといって、全部すぐ対応せよといったってなかなかできませんので、そういう意味で、危険だと言われる箇所、地域、とりわけ特定観測地域だとか強化地域だとか、そういうところに大規模な防災公共投資を思い切ってやる必要があるというふうに私思うのですけれども、この点について先生の御所見はどうかということ。  もう一言言わせていただけば、例えば今回の王滝村だとか秋田沖だとか宮城沖、ああいうところにいろいろな教訓が出ていろいろなモデルが出ていると思うのですね。これから起こり得る、あるいは特定観測地域になっておるまだ起こっていないそういう地域に対して、そういうモデルを十分に活用した格好の被害想定というものを明らかにつくることができるし、そういう必要があるのではないだろうかという考えを私、持っているのですが、この点に対する御所見をいただければありがたいと思うのです。  最後に、青木先生でありますが、内陸型、海洋型の型はともかくといたしまして、私、秋田でありますが、秋田沖地震も特定観測地域で起こりました。長野県の今回の地震王滝村もやはり特定観測地域に指定されておったわけでありますね。ですから、学者の先生方が危険だ危険だと言っているところはやはり危険だということがはっきり証明されたと思うのです。だてにそう言っているんじゃなしに、はっきり重要だからそういう指摘があったわけでありまして、そういう地域については手抜きはしてはいけないんだ。指定された以上それは十分な根拠があるのだということだと思うのです。だけれども、根拠の背景が、どういう根拠で指定されたのかというようなことが我々素人はよくわかりませんので、ただ危険だ、指定されたんだと言うけれども、実際国民からしますと、我々秋田の場合も、何だかそうだそうだという程度にしか理解しないで、何でもなければ今の王滝村でも観測機器を取り外してしまうというようなことが起こるわけであります。その根拠みたいなものを、どういう根拠かということも含めましてもっともっとPRする必要がある。国にも働きかけ、国民にもわかっていただけるような、そういう点の力説がやはり必要だし、そこら辺がちょっと手薄じゃないだろうかと思ったりしているわけでありますが、それなりに御回答を順番にお願いできれば大変ありがたいと思います。
  216. 浅田敏

    ○浅田参考人 私の著書を引用してくださいまして今先生が申されたことは全く本当だと思うのです。発想の転換、いろんな意味を含めておりますけれども、もちろん必要だと思います。ただ、さっき申し上げました頭の働きと予算と時間がかかるという、そういうことを本に書くときは、時間がかかるということを書きますと調子が落ちるものでございますから、それは書いてないのでございます。こういうところでお話し申し上げるときには、じゃ、どうやって進めていくかということがいつも頭の中に出てくるものでございますから調子が下がるのでございます。本当は一刻も早く、少なくとも天気予報のレベルまで持っていけば——いかに早く持っていくかということが問題でございまして、そこまで持っていけば、逆の言い方でございますけれども、全国の予知もできるようになるのではないか、こう思っております。
  217. 高木章雄

    ○高木参考人 予知の研究だけでは、これは萩原先生の言葉でございますけれども、これは全くそのものずばりだと心得ております。そういう意味でハードの問題は、私たちも建設省などの方にいろいろ質問されまして、ライフラインをどうするかというようなことに関して地震被害想定などでもいろいろ御相談に乗っておりまして、そういうことも努力はしております。  それ以外にソフトの問題で、ひとつ完璧な都市をつくろうということと同時に、私いつも感じますのは、防災の知識の普及ということがもう一つの輪になっているのではないかと思います。と申しますのは、先生は秋田ということをお伺いしましたから、例えば日本海中部地震被害の例をとってみますと、あれはちょうど十二時だったのですけれども、もし、あれが夜中であったらば多分津波で亡くなる方はいなかったと思います。しかし、もし、あれが七月の終わりのお昼ごろでしたらば、海水浴場に非常にたくさんの人がいましたから全く大変な被害が起こる。そのように一つの地震あるいは津波に対して災害の形態が全く分散してしまうというのは、むしろ普及効果、教育効果、防災の知識の普及がされていますとそれは非常に少なくなると思います。  そういう意味で、ハードとともにソフトの面がこれから非常に強調さるべきで、先ほど私申し上げましたけれども、自分が住んでいるところあるいは自分がいるところは地震に対してどんな環境であるか、そういうことを知るような知識の普及をすることがこれからの防災の面で非常に大事じゃないか、そういうふうに思っております。
  218. 青木治三

    ○青木参考人 特定観測地域についてでございますが、その根拠は実は国土地理院の方から明確に示されているわけであります。地震活動が過去に起こったところとかあるいは活断層あるいは人口密集地域を考慮するということがございますが、実際問題として特に注意していただきたいのは、我々はこの付近という言い方で言っているだけでございまして、決して線を引いた内側だけということを言っているわけじゃございません。それから、その場その場によりましてもどういった地震があって、どういった断層があるか、そういったことの教育ということになりますと、やはり地震学の普及という形ではないかと思います。恐らく、その住んでいる方、その土地土地によりまして関心の対象が違うと思いますので、それに合わせた教育というものを進めていっていただければ、かなりそういったことでいろんな知識が出てくるんではなかろうかと思っております。
  219. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間の関係がありますので、これでおしまいにします。
  220. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。午後四時三十一分散会      ————◇—————