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1984-04-12 第101回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 高鳥  修君 理事 渡辺 秀央君    理事 田中 恒利君 理事 中村  茂君    理事 薮仲 義彦君       越智 伊平君    菊池福治郎君       塩島  大君    田中 直紀君       田原  隆君    近岡理一郎君       西山敬次郎君    原田昇左右君      三ッ林弥太郎君    山岡 謙蔵君       若林 正俊君    渡辺 栄一君       上西 和郎君    田並 胤明君       細谷 昭雄君    山下洲夫君       山中 末治君    遠藤 和良君       武田 一夫君    水谷  弘君       森本 晃司君    安倍 基雄君       菅原喜重郎君    中川利三郎君       山原健二郎君  出席国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   村田 憲寿君         大蔵省理財局国         債課長     松野 允彦君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中  寿君         文部省体育局体         育課長     光田 明正君         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 野崎 貞彦君         農林水産省構造         改善局農政部地         域農業対策室長 佐々木幸人君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     吉川  汎君         林野庁指導部治         山課水源地治山         対策室長    杉原 昌樹君         林野庁指導部林         道課長     松田 忠好君         水産庁研究部漁         場保全課長   山添 健一君         気象庁観測部管         理課長     山崎 道夫君         気象庁観測部地         震予知情報課長 津村建四朗君         建設省計画局民         間宅地指導室長 深沢日出男君         建設省都市局街         路課長     依田 和夫君         建設省河川局水         政課長     青木 保之君         建設省河川局治         水課長     萩原 兼脩君         建設省河川局都         市河川課長   近藤  徹君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省河川局砂         防部砂防課長  設楽 武久君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      成田 久夫君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         建設省住宅局建         築指導課長   片山 正夫君         建設省住宅局建         築物防災対策室         長       梅野捷一郎君         自治省財政局交         府税課長    遠藤 安彦君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         消防庁消防課長 清水 良次君         消防庁防災課長 清野 圭造君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   東家 嘉幸君     笹山 登生君 四月十二日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     山下洲夫君 同日  辞任         補欠選任   山下洲夫君     小澤 克介君     ――――――――――――― 四月十一日  豪雪地区民家排雪促進のための除雪事業の創  設に関する請願浦井洋紹介)(第二五三七  号)  同(経塚幸夫紹介)(第二五三八号)  同(柴田睦夫紹介)(第二五三九号)  同(津川武一紹介)(第二五四〇号)  同(中川利三郎紹介)(第二五四一号)  同(中島武敏紹介)(第二五四二号)  同(中林佳子紹介)(第二五四三号)  同(林百郎君紹介)(第二五四四号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五四五号)  豪雪地域に冬期保安要員制度創設に関する請  願(浦井洋紹介)(第二五四六号)  同(経塚幸夫紹介)(第二五四七号)  同(柴田睦夫紹介)(第二五四八号)  同(津川武一紹介)(第二五四九号)  同(中川利三郎紹介)(第二五五〇号)  同(中島武敏紹介)(第二五五一号)  同(中林佳子紹介)(第二五五二号)  同(林百郎君紹介)(第二五五三号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五五四号)  同(山原健二郎紹介)(第二五五五号)  豪雪休業給付金制度創設に関する請願浦井  洋君紹介)(第二五五六号)  同(経塚幸夫紹介)(第二五五七号)  同(柴田睦夫紹介)(第二五五八号)  同(津川武一紹介)(第二五五九号)  同(中川利三郎紹介)(第二五六〇号)  同(中島武敏紹介)(第二五六一号)  同(中林佳子紹介)(第二五六二号)  同(林百郎君紹介)(第二五六三号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五六四号) 同月十二日  豪雪地区民家排雪促進のための除雪事業の創  設に関する請願梅田勝紹介)(第二六七一  号)  同(瀬崎博義紹介)(第二六七二号)  同(辻第一君紹介)(第二六七三号)  同(不破哲三紹介)(第二六七四号)  同(高鳥修紹介)(第二七五九号)  豪雪地域に冬期保安要員制度創設に関する請  願(梅田勝紹介)(第二六七五号)  同(瀬崎博義紹介)(第二六七六号)  同(辻第一君紹介)(第二六七七号)  同(不破哲三紹介)(第二六七八号)  同(高鳥修紹介)(第二七六〇号)  豪雪休業給付金制度創設に関する請願梅田  勝君紹介)(第二六七九号)  同(瀬崎博義紹介)(第二六八〇号)  同(辻第一君紹介)(第二六八一号)  同(不破哲三紹介)(第二六八二号)  同(高鳥修紹介)(第二七六一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺秀央君。
  3. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 昨年の暮れから異常気象による豪雪災害が、各分野にわたって非常に顕著に見られたわけでございます。特に、人身被害やらあるいはまた家屋やら等々ございますけれども、何といっても雪害は、いわゆる水害とは若干違う形でいろいろな傷跡を残していくことは当然であると思いますし、また今までの雪害の歴史の中から考えられることでございます。政府におかれてはかなり迅速に、しかもまた大変適切に処置をしていただきましたことは、この機会を通じて改めて感謝を申し上げる次第ではございますけれども、実は雪害の実際の問題はむしろ融雪時期から始まる、こう言って差し支えないと私は思うのであります。  稻村国土庁長官は、雪国に生まれ育ち、かつまた雪国を基盤とされる大先輩でございますので、今さら私が長官にこの場をかりて雪のことについていろいろお話を申し上げるよりも、むしろ今日まで御指導、御鞭撻をいただいてきた私の立場からしますと、雪に苦しむ地域に対する温かい政治の思いやり、あるいはまた長官政党政治家としての心、こういうものを、ひとつぜひ新しい機軸の中で稻村国土行政を推進していただき、防災行政を推進していただきたいということを御期待を申し上げながら、私は、これから幾つかの問題について政府質問を申し上げたいと思う次第であります。  時間が余りございませんので、ひとつ端的にお答えをいただきたいのであります。私も余り演説はやめまして、問題点だけを端的に箇条書き的に申し上げていきます。その点はお許しをいただいて、答弁を簡潔にお願いを申し上げます。  まず第一点、これは大臣から御答弁をいただきたいのでありますが、今ほど申し上げたことしの雪害は、百一人の死者、六百七十七人の負傷者という惨事であります。しかもまた被害総額は、いまだに全体を把握できないという状態ではございましょうが、各地激甚災害指定を求めております。この見通しについて、政府見解をまずお聞きをいたしたいと思います。  その中で、大臣の御見解をお聞きした後、それぞれ各行政部門にわたって御答弁を願いたいことのまず第一点は、水稲苗確保対策についてどうなっているかという点であります。これは、融雪促進剤の散布の問題からあるいはまた金融面における助成措置。第二点としては、果樹折損被害対策についてどういうふうな対策を講じておられるか。さらにまた、森林被害対策についてどういう措置を講じておられるか。以上、資金対策をそれぞれ含めながら、簡潔に御答弁お願い申し上げたいと思います。
  4. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 渡辺さんの場合はこの災害対策関係は長いですね。それから、だれに言われなくても自分の選挙区は不幸にして雪が降るという関係から、雪害問題に対しては皆さん大変熱心ですね。私よく見ておるのですが、渡辺さんはまた大変熱心にやっておられます。そういう意味で、あなたの方が明るいので私は一体何を聞くのかと思っておったのですが、今の問題についてちょっと触れてみたいと思います。  まず、雪が豪雪になっての被害ですし、また雪というのは水資源の大変大事な宝であります。特に日本国土の五一%、半分以上のところが雪が降るわけでありますから、これは水資源の涵養ということで大変大きな資源一つにもなってくるわけであります。そういう意味から、先ほど来お話のありましたのは雪という問題、豪雪という問題に対することだと思いますが、新潟は中里の人身被害等々含めて、北陸東北豪雪地帯であります。これについてどういう対策があるかということをこの前私は委員長にも聞いたのです。あなたにも聞いたのです。何かここで、雪国がなるほどなと思う政策なりないものだろうか。私も考えてみたいけれども、みんなできてしまっておるのですね。できてしまっておるが、あきらめずにこの災害対策で何とかひとつ出してくれぬか、私も全力を挙げてその線に沿って努力をしてみる、こういうことをこの前委員長にも、あなたにも申し上げたわけです。  そこで、先ほど来の激甚の問題ですが、林野の問題については全く近々というか、近々ですから大体二日か三日後、何か閣僚になってから発言が重くなって、本当はあしたかあさってと言えばいいのですけれども、近々激甚指定がなされる。ただし、農林関係の問題は、きょう農水省からも見えておられますが、これは雪が解けてみないと被害の実態がわからない。しかし、公共の問題については表に出ているものですから、どういうふうに助成の枠を拡大し、助成の上乗せをしながらどう処理するかということは、各省庁、今鋭意研究努力をしております。  雪については、いつも消えてしまうと忘れてしまうのですが、今度の雪は五六、五九ということでございますから、各省庁とも豪雪被害というのは大変恐ろしいものであるなという認識は大変深くなっておる、認識を改めておる、こういうふうにお考えになっていただければいいと思います。激甚指定の問題は近々ということでございますから、間違いなく林野等々の問題は激甚指定が近々なされる、こういうふうに受けとめていただければいいと思います。
  5. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 四点ほど御質問がございましたので、一括いたしまして私から御答弁申し上げます。  第一点は、融雪が非常におくれておりますことと関連いたしまして、水稲苗確保につきまして支障がないか、確保対策に万全を期せということでございますが、確かに東北北陸等の中山間部中心といたしまして、若干融雪のおくれておることが懸念されておるわけでございます。このため、共同育苗用地除雪等中心といたします水稲苗確保事業というものの実施に関しまして、過去の経緯等を十分勘案して、その具体的実施内容につきまして現在関係方面協議中でございまして、できるだけ早い時期に最終的な結論を得たいと思っておるわけでございます。  それから次に、果樹折損等についての対策でございますが、雪が解けるに従いまして山陰、北陸関東北部あるいは東北という地域で、枝折れでございますとか倒伏、さらには野鼠の被害というようなものが明らかになってきておるわけでございまして、現在その被害状況の把握ということに鋭意精力を費やしておるわけでございます。これまでも被害の拡大を防止いたしますために、除雪なり融雪促進、あるいは枝の掘り出し、樹体の補強というような、栽培管理技術指導というものにつきまして、各般指導を行ってきたところでございます。特に被害の著しいものにつきましては、改植なり補植ということが必要でございますので、今後の調査結果によりましては、幸いにして落葉果樹産地整備事業というような事業もございますので、こういうものの活用なり、あるいは農林漁業金融公庫果樹植栽資金というものの融通等を通じまして、適切な対策を講じてまいりたいと思っております。  それから、第三点目の森林被害でございますけれども、先ほど国土庁長官の方からも御答弁ありましたように、農林水産省といたしましても、この災害激甚災害指定いたしまして、森林災害復旧事業を行うということにつきまして現在関係省庁協議を進めておりまして、近々結論を得たい。具体的にその指定のタイミングや何かというものは少し先になろうかと思いますけれども、結論はできるだけ早く出したいということで取り組んでいるわけでございます。  それから最後に、全体を通じます資金対策でございますけれども、先生も御承知のとおり、農林水産省関係では幸いにしていろいろな資金制度がございます。特に、農林漁業金融公庫のいろいろな資金制度の活用なり、それから既往の貸し付けにつきましても、償還猶予というような処置につきまして既に各般指導はやってきておるわけでございますけれども、今後とも被災者への資金対策につきましては、被害実情あるいは資金需要の動向というものを十分見きわめながら、主務大臣指定施設資金でございますとかあるいは果樹植栽資金、さらには自作農維持資金というような資金を十分活用いたしまして、遺漏のないように対策を講じてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  6. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 大体、近々にという御答弁が大変多いわけで、極めて近々ということで了解させていただきますが、ぜひひとつ今御答弁のように前向き、かつまた農家の皆さん方営農活動支障のないように適切な、そしてまた応分な措置が講ぜられることを心から御期待を申し上げながら、政府処置を厳しい眼で見守ってまいりたい、こう思っております。  私は、災害の問題が起こるたびに実は申し上げてきたのでありますが、雪害、それからまた暴風雨による災害地震災害、後ほどまた同僚議員から地震問題についての質問もあるようでありますが、要するに災害が起こる。我が日本列島災害国であり、また地震国でもある、こんなことを言われてきているわけであります。極めて不名誉なことでもあろうと思いますけれども、先祖伝来国土でありますから、みんなで努力をしてこれを守っていかなければならないのでありますが、しかし、起こる災害はこれは仕方がありません。起こった災害をどうやって復旧し、かつまた、どうやって国民生活に不安のなからしむるようにするかということが、まさにこれは国土庁あるいはまた今度設置される防災局の、災害局でなくて防災局であるわけでありますから、災害を防ぐための局がこれから設置されるということから考えていきますと、私は、災害指定という問題は、これからの国民生活にかかわり合いのある非常に大きな問題であるというふうに思うわけでありますし、また関心が持たれている問題だと思います。  時間がありませんので端的に申し上げます。私は、昭和五十四年のときですか、ないしは五十六年のときかもわかりませんが、この災害対策特別委員会質問を申し上げておりますが、もう一度、局地激甚指定基準緩和あるいはまた激甚災害指定基準緩和等々、政府はこの問題についてどのように考えておられるか。局地激甚に至っては御案内のとおり、市村町の標準税収基準税収を超えることということになっているわけでありますが、昭和四十三年以来既に世界第二位の国民総生産になっている。こういう現状から考えると、被害が多くなければ局甚指定にはならないというようなことになるわけで、極めてこれは相矛盾する形になっていると私は思うのであります。そういう意味において、この基準緩和の問題についてもう少し積極的な努力政府にとって必要であろうと私は思いますが、現状どう考えておられるか、一言で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  7. 田中暁

    田中(暁)政府委員 最初に事務的な御説明をさせていただきたいと思いますが、先生よく御承知のように、局激の場合は四十三年にできたわけでございますが、最初標準税収入の二倍ということになっておりましたのを、御意見もございまして四十六年に現在の同額、一倍ということに変えたという経緯がございます。現在、確かに、その適用の状況を見てまいりますと、特に本激について公共土木がなかなか該当しないというのが今最大の問題になっていようかと思いますし、そういう認識は持っておるわけでございまして、今後、現在の制度の基本になっております国民経済への影響というようなことをどういうように考えるか、十分検討してまいりたいと考えております。
  8. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 本激甚は二千億が最低のようなことになっているわけです、今の状態でいきますと。特にその問題は大きな問題ですが、同時に局地激甚は、直接市町村民生活にかかわる問題であります。特に私は、今後委員長におかれて、基本問題小委員会でこの基準問題について御検討していただくように要請いたしておきたいと思います。委員長、いかがでしょうか。
  9. 佐藤観樹

    佐藤委員長 災害対策の基本問題に関する小委員会もございますので、そこで十分ひとつ検討していきたいと思います。
  10. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 ありがとうございます。それでは、その問題はその小委員会に移させていただきます。  続きまして、個々の問題について全く時間がなくなってきてしまいましたが、雪国における問題点幾つか申し上げて、御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。  一つは、いわゆる融雪期における除雪のために、国道県道幹線沿いにある田畑に除雪した雪が大変積もって、これがまた残るわけであります。これは、幹線道路沿いの農民の皆さん方や住民もそうでありますが、非常に迷惑を受ける。雪国においても、豪雪時においても交通が可能であるようになったことは極めて喜ばしいことでありますが、同時にその問題について、非常にまた被害を受けている人たちも少数ながらいることを見逃してはならないと私は思うのです。この問題について、ぜひひとつ政府として何らかの対策が講ぜられないか、この見解をお聞きをいたしたいと思います。今日まで一生懸命その努力をしていただいたことは認めますが、まだまだ十分ではないと思います。  第二点としては、歩道除雪の問題について質問を申し上げたいと思います。  今申し上げたように、県道国道除雪が非常によくなってまいりました。整ってまいりました。しかし歩道除雪は、児童の通学上においても極めて問題でもあります。一歩過ちを犯せば、子供たちの命をとるようなことにもなっていくわけでありますし、かなりの被害も出ていることは御存じのとおりであります。昨今、歩道除雪用機械が非常に発達をしてまいりました。スノーモービル等非常にいいものができるようになってきた。私は、この歩道除雪にもう少し国として、こういった機械を各市町村に配置する、歩道除雪にもう少し積極的に、もう試験対策から本番の時期に入っているように思いますので、ぜひひとつ御検討をいただきたい。その御見解をお聞かせ願いたいと思うのでございます。  第三点として、全く時間がなくなってきましたが、特にことしの冬は低温でありました。であるがために、舗装道路路面融雪期において非常に傷みやすい条件になっております。この道路の破損の補修復旧に対して、特に町村道がひどいわけでありまして、これに対して速やかに改修、補修に取り組んでいただくようにお願いを申し上げたい。言うならば、これは融雪期における災害の全く一例であろうというふうに思われますので、お願いを申し上げたいのであります。  この三点についてのお答えを聞いて時間が終わると思いますが、希望だけ申し上げておきます。  これからのものは希望でありますが、消雪パイプ施設補助強化について、ひとつ御検討いただくことを希望しておきます。  それから、除雪機械補助基準見直しについて、私は前回も申し上げました。すなわち十キロに一台というのを、特別豪雪地域は十キロに一台という配分ではいかがかという感じもいたします。この更新期間が八年ということになっていますが、もうそろそろこの期間見直しをして、八年を五年がいいか六年がいいかわかりませんが、建設省、これらについてひとつ検討をいただきたい。  さらに、雪崩問題についても、これから非常に危険なことになっていきます。まさに我々は今選挙区を回るのに、毎日危険な状態の中で選挙区回りをしなければならないという事態であります。雪崩危険地域指定して、そこに対して特別に雪崩防止のための施策をするという考え方をお持ちになってはいかがかということを御提言を申し上げて、その他はたくさんございますけれども、また次の機会質問をさせていただくこととして、私の質問に対するお答えをお聞きしたいと思います。
  11. 和田惇

    和田説明員 それでは第一点目の問題でございますが、道路沿線の堆雪の問題でございます。  御存じのように、雪の多い地区では路面の雪を路側にためるということをやっておるわけでございまして、このために、特に豪雪のときにはその雪が解けないで困るというような問題があるわけでございます。従来から農耕等支障がないように配慮はしてきたつもりでございますけれども、道路沿線の雪を全部取り除くということは大変面倒な問題だと考えております。今後とも、沿道の方々に実情を御理解いただきながら私どもとしても十分やってまいりたい、こう考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  それから次の問題でございますが、歩道除雪の問題でございます。  従来から私ども、雪寒地域道路交通確保ということで鋭意努力してきたところでございますが、歩道除雪の問題につきましては歩行者の安全な通行を確保するというような目的から、昭和五十三年度に直轄国道におきまして試験施行を開始したわけでございます。それ以降対象を拡大いたしまして、今年度、昭和五十九年度でございますが、国県道合わせまして二千五百キロの延長にわたりまして歩道除雪試験施行をやることになっているわけでございます。現在道府県に対しましては、歩道用の除雪機械を試験的施行ということで補助の対象にいたしているわけでございますが、市町村道につきましては、この試験施行を通じまして検討してまいりたいと考えております。  それから三点目でございますが、路面補修問題でございます。  建設省といたしましては、道路の改良とか大規模な負担を伴う施設につきまして補助をいたしておるわけでございまして、道路網の整備促進を図っておるわけでございましす。ただ、その維持管理の費用につきましては、それぞれの道路管理者が負担をするというのが原則になっておるわけでございまして、その費用につきましては普通交付税等で処理されているわけでございます。雪寒地域の市町村道につきましても、舗装、新設等におきまして摩耗のしにくい舗装を考えておりまして、そういったような耐久性を配慮した舗装構造といたしておるわけでございます。今回の豪雪におきまして破損原因を調査いたしまして、そして雪に強い舗装構造の検討等その対応につきまして検討してまいりたい、こう考えております。
  12. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 自治省、見えていますか。――大変恐縮ですが、もう一問だけ、ちょっと自治省の見解を聞いておきたいのです。  特別豪雪地域ですと、建築の基礎部分の床下を上げまして、雪から生活を守る雪国の知恵とでも申しましょうか、そういう生活をやってきているわけでありますが、これが一・五メートルぐらいですとまあまあという話ですけれども、われわれのところでは四メートル、五メートルと降雪をするわけで、それがまた屋根の雪をおろしてまいりますと、ちょうど一軒の家がすっぽり冷蔵庫の中に入るというような形になるわけです。したがって、床を上げて家を建てる、これが大体このごろなされている新しい豪雪地域における建築様式でありますが、これをやりますと、二メートルぐらいちょっと高くしますと、いわゆる建築基準面積の中に入れられてしまいまして、これが固定資産税の中に組み込まれていくというようなことになっていくわけであります。これは実は非常に困ることで、豪雪地域人たちのせっかくの知恵が、ここで政府の冷たい措置によって税金を取られていくというようなことで、我々の生活圏からしますと非常に問題が出ているわけであります。  建築基準の見直しではなくて、これは税金の方の問題のようでありますが、せめて土台を高くして――冬場豪雪地域人たち、これはもう雪によって土地利用ができないのです。全く自分の土地か人の土地かわからなくなってしまう。雪によっていわゆる地積が見えなくなってしまうのです。そういう地域人たちの長年の間の知恵、こういうものをむげに、法律があるからということで無理やりこれを適用して、せっかくの生活の安らぎを奪い取るようなこと、あるいはまた快適な市民生活、住民生活政治の思いやりが行き届かないような場面をつくることは、いかがかなという感じがいたしまして、私は、この面における自治省の考え方をお聞きして、これもひとつ小委員会検討をしていただきたいということを委員長にあわせお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  13. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  高床式住宅の関係の問題につきましては、今回の災害等もありまして、主として私どもに要望という形で出てきておりますのは、新築住宅の軽減の関係だと思っております。現在、高床式の住宅を建てた場合に、一階部分を開放している、二万に開放しているような形で、いわば家屋の下部構造であると見られる限りにおきましては、それは床面積に算入しないで家屋の基礎として取り扱って、いろいろな固定資産税上の措置を講ずるということにしております。問題は、完全な一つの住宅になっているものを、そういう雪国の特殊性から床面積から除外をして、いろいろな固定資産税上の措置を講ずるということにつきましては、税の性格上、非常に難しい問題が多いのではないかというふうに考えております。
  14. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 小委員会検討させてください。ありがとうございました。
  15. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、原田昇左右君。
  16. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 まず、大臣にお聞きしたいと思います。  大臣は所信表明の中で、「我が国は、その自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、地震、噴火などによる災害を受けやすい」、こういうように認識されて、強力な施策の推進の必要性を説かれておられます。全く私も同感でございますが、私は、特に大臣の地震対策、震災対策にかける決意のほどを、特に私は静岡県の出身でもございますので、この際お聞きしておきたいと思います。
  17. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 こういう臨調答申の厳しいときですが、国土庁の中で今度防災局の設置がされるわけです。もちろん、日本は災害の多い国ですから、昨年でも水害、地震あるいはまた噴火、豪雪等ありましたが、その中でも特に日本の土地柄、地震の問題は起きやすい。そういう意味で、防災局も地震に相当のウエートを置いて、鋭意、国民に不安を与えないようにということで努力をしてまいるわけであります。
  18. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 中でも地震対策につきましては、立法措置を初めとして各般の施策が講ぜられているわけでございますが、東海地震についていつ発生しても不思議ではないという状況にあると言われておりますけれども、その状況は変わっておらないと思いますか、どうですか。
  19. 田中暁

    田中(暁)政府委員 駿河トラフ沿いに発生すると考えられておりますいわゆる東海地震につきましては、安政の東海地震以来既に百三十年が経過しているということ、それから駿河湾周辺の明治以降の地殻のひずみの蓄積状況を測量等で見てまいりますと、やはり大地震発生の可能性は非常に大きい。今、発生時期をはっきりすることはできないわけでございますが、御指摘のとおりいつ発生してもおかしくないと言われておるわけでございます。まさにこの切迫性が大震法制定の動機になったわけでございまして、その後の研究によります知見はいろいろ加わっておりますが、こういった切迫性ということは基本的に変わっていないというように認識いたしております。
  20. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 大臣の所信表明には、「五十九年度が最終年度となる東海地震対策のための緊急整備事業の一層の推進を図る」、こういうように言われております。法律の期限切れまであと一年残した現在であります。財特法の延長問題と絡んで現在の進捗状況についてお伺いしたいと思いますが、私の調べたところですと、震災時の火災、津波から住民の命を守る避難路、これが二七%の進捗率、社会福祉施設が四八%、公立小中学校が五九%、津波対策に必要な海岸保全施設は三七%などと、その進捗率が極めて低い。心配でございます。これらについて国土庁がどういうように考えておられるか、その辺についてお伺いしたいと思います。ただ、時間が余りありませんので、極めて簡単明快に御答弁いただきたいと思います。
  21. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御指摘のとおりでございまして、昨年度末の進捗率の見込みは全体として六二%ということになっておりますので、もう一年はありますけれども、今までのベースから判断いたしますと、一〇〇%達成ということにはまいらない大変厳しい事情にあると認識しております。
  22. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 このような状況であるとすれば、再度国土庁にお尋ねいたしますけれども、地震財特法の延長というものは避けられない状況にあるのではないかと思われますが、いかがですか。
  23. 田中暁

    田中(暁)政府委員 あと一年ございますので、現段階におきましては我々といたしましては、関係省庁の御協力を得まして、できる限り残りの事業を消化したい、推進したいということを考えておるわけでございますが、今後の一年後の問題ということになりますと、国土庁の態度といたしましては、東海地震が発生いたしました場合の被害をできるだけ小さなものにするという考え方に立って対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
  24. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 審議官からは極めて慎重な御答弁でございますけれども、私ども、率直に言ってこのような進捗率では、ことし幾ら頑張ってもとても目的を達成できないと思うんですよ。十分な地震対策、耐震対策をやるには、やはりこの際決断を要すると思います。これは議員立法でもありますので、この災害特で全会一致で通していただいた法律であります。来年の三月が期限でございますので、決断を迫られていると思うのでありますが、この点、大臣からもひとつぜひ御答弁をいただきたい。
  25. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 まだ一年残っておりますし、その中で計画を各省庁に呼びかけ、協力を願って実現をしていきたい、こういうふうに思っておりまして、ここでどうするこうするということよりか、まず計画を完全に実行してしまうということに努力したい、こういうふうに思っております。
  26. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 一年あるということでございますので、全力を挙げて取り組んでいただくことを期待いたします。それでなおかつ目標を達成できない場合には、私どもは立法府として延長について決断をしなければならない、こういうように思っておりますので、あらかじめ申し上げておきたいと思います。  それから次に、最近の異常乾燥と異常低温によります冷干害といいますか、農作物に対する被害というものは大変大きなものがあることがわかってまいりました。私の出身地の静岡県の例で申し上げましても、昨年の十一月から本年の二月までの異常低温、これはひどいものです。さらに、乾燥による被害というものも出ております。乾燥の度合いをちょっと申し上げますと、十一月には、降雨量は平年は百十五ミリあるのがわずか四十一ミリしかなかった、それから、昨年の十二月に八十ミリ平均あった降雨量が十七ミリしかない、ことしの一月は、八十ミリ平年度ならある降雨量が三十八ミリぐらいしかない、こういうような状況で、乾燥による被害と異常低温による被害と両方が重なって出ております。  そこで、被害額については目下集計中であるということでございますが、先ほど渡辺理事からの話もありましたが、雪害による作物の被害、これと合わせて昨年末からことしにかけての農作物に対する異常気象による被害というものは大変なものだと思うのですね。これに対して実情をどの程度把握されておるか、それに対する対策をどう考えておられるか、農林省にお伺いしたいと思います。
  27. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 実情につきましては融雪を待ってみませんと、雪害関係被害というものが確定いたしませんし、それから寒干害につきましては現在まだ進行中のところがございまして、全体的に幾らという把握は残念ながらできてないわけでございます。それで、被害状況の把握ができたところから、いろいろ既往の金融制度でございますとかそういうものを使いまして対応を行ってきているわけでございますが、特に被害農家から既に借りているものの金融の条件緩和というような要望も強うございまして、そういうものにつきましては、国から県あるいは関係金融機関を通じまして条件緩和についての指導を既に濃密にいたしておりますし、それから金融制度、いろいろ農林漁業金融公庫で手だてを持っておりますので、そういう既往の制度の活用を今までやってきているわけでございます。  今後ともできるだけ早く被害実情を把握いたしまして、主務大臣指定施設資金でございますとかあるいは果樹植栽資金さらには自作農維持資金等、こういう長期低利なそれぞれの資金制度がございますので、そういうものを活用いたしまして営農対策に万遺漏ないように努めてまいりたいと思っているわけでございます。
  28. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 静岡県の報告でも、お茶とかワサビとか野菜、相当の被害です。恐らく各県同様なことだと思うのです。こういうのを一括してまず早く実情を把握していただく。そして、適切に対策を講じていただく。今のお話のように農家が既に制度資金を借りておるのを返せないというような場合には、既往の制度資金の償還延期というようなことも考えていただきたいし、それから自作農維持資金をぜひ活用していただきたい。これは農家には非常に人気があります。こういう際極めて有効であるということでありまして、これをぜひ早急に措置をしていただきたい。それから第三に天災融資法、これは発動条件が非常に面倒なものですからいつも手おくれになるおそれがありますし、この点については一般論として天災融資法をもう少し弾力的に出せるように、これは別途御研究をいただきたいと思いますが、現在の条件においても、今度のような全国的な冷害、雪害、乾燥害に対して当然この発動も早急にやらなければならぬのじゃないかと思っております。この点について、ぜひとも適時適切に対応していただくことを強く要望しておきますが、ひとつ決意のほどを御答弁いただきたい。
  29. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 天災融資法の発動につきましては、被害実情なり資金需要の動向等、こういうものを見きわめる必要があるわけでございますので、目下その把握に鋭意努めておるところでございます。最終的な被害状況をできるだけ早く把握いたしまして、その結果を待たざるを得ないと思っておるわけでございますが、いずれにいたしましてもそれまでの間にいろいろな資金対策をやっていきませんと営農対策上困りますので、先ほどお話ししましたような各種の資金制度がございますので、ひとまずはそういうものを十分に活用して営農対策に十分を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  30. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 では、時間ですからこれで終わります。
  31. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、上西和郎君。
  32. 上西和郎

    ○上西委員 まず私は大臣に対し、災害対策の基本的な考え方をお尋ねしたいと思うのであります。  災害とは何ぞや、災害が発生したときにどのように対応するのか、本特別委員会の主たる任務、その範囲ということで災害に関しどのような御見解をお持ちか、まずそれを基本的にお尋ねしたいと思います。
  33. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 私が所信表明のときに申し上げましたように、我が国は災害の起きやすい自然条件の国土でございまして、災害から人命を守る、あるいはまた国土を保全する、こういう意味から災害対策については万全を期していく必要がある、こういうような認識に立っております。
  34. 上西和郎

    ○上西委員 基本的な見解を承り安心をいたしましたが、以下私は鹿児島県にあります全国でも名立たる活火山、桜島の噴火、降灰に関して幾つかの事実を列挙しながら、今後の対策なりそうしたものについてそれぞれの方々からお答えをいただきたい、このように考えるのであります。  私の乏しい知識では、世界各国であれだけの活火山のふもとに一万人を超える人間が現に居住している極めてまれな地帯だ、こういう基本的な知識を持っているのでありますが、往時、明治維新のころの著名な志士の一人でありました平野国臣が西郷隆盛を訪ね鹿児島に遊んだ日、彼は有名な一首を物しました。「我が胸の燃ゆる思いに比ぶれば煙は薄し桜島山」、こう歌ったのであります。もし平野国臣がこの現代に生きているならば、恐らく彼は、「我が胸の燃ゆる思いも色あせる煙は高き桜島山」と歌ったであろう。それほど異常な噴火、降灰がここ十数年続いているのであります。桜島島内に居住する者はもちろん、対岸の鹿児島市、錦江湾を隔てる垂水市、鹿屋市、その他たくさんの町が筆舌に尽くしがたい被害に遭っている事実を、大臣以下関係省庁の皆さんはもちろん災害対策特別委員皆さん方にもぜひ御理解をいただきたい、このことをまず強調したいと思います。  参考までに、私事を申し上げて恐縮でありますが、私の妻は桜島町の出身であります。母は八十五を超えますが、降灰打ち続く桜島に現に居住しております。現に私自身、鹿児島に仕事があったころ、八年九カ月この母と同居をし、鹿児島に通いました。そのころは今ほどひどくなかったのであります。桜島を離れるころからだんだんひどくなりました。そうした事実を幾つかまず参考までに申し上げますが、噴火が激しく、火山弾が雨あられと注ぐ中で、走行中の車はもちろん、駐車中の車が片っ端からフロントガラスを割られ走行不能になるのが、現実に幾たびも発生しているのであります。  また、土石流というのは瞬時に発生します。常日ごろは一滴も流れていない川が、突然土石流によって覆われ、その監視のために橋上で立っていた地元の方が命を失う。土建業の会社の社長さん御夫妻が、みんなと一緒に仕事をしている。夏休みだった。子供さんが弁当を届けて、そこに来て一緒に御飯を食べていたら、一瞬にして親子五人命を奪われる。こういう悲劇が本当に現実に発生しているのであります。土石流の恐ろしさ、これは現実に見た者でなければわからないと私はあえてここで申し上げたいのであります。  さらには、私の子供が高校に通っているころ、列車通学をする子供たちが学校に来たらばたばた倒れる大変異常な事態が発生しましたので、学校にPTAの有志が行って校長以下養護の教員と話をしましたら、かねては三両連結の通学列車が最近は二両連結だ。垂水方面からの子供たちは積み残し寸前の状態で、押し合いへし合いですし詰めだ。学校に着いたら皆疲れ果てて倒れる。なぜこんなことをやるのかと鹿児島鉄道管理局に、国鉄労働組合や動力車労働組合の協力も得て強硬に申し入れましたら、返ってきた返事は、桜島の降灰のためにディーゼルカーのエンジン部分の消耗といいますか故障が甚だしく、どうしても列車編成のやりくりがつかぬ。こういう目に見えないところにまで、桜島の降灰の悪影響が及んでいるのであります。  あるいは養蚕農家が、桜島の降灰が激しくなってきた、そのころはまだ気がつかぬものですから、桑の葉を一定程度は洗って蚕に与えたら、桜島の溶岩の灰というのは、どんなに小さくても一片一片がぎざぎざのついた溶岩の破片であります。したがってこれを食べた蚕が、腸をずたずたに切り刻まれて大量に死亡、死滅した。養蚕農家は大打撃を受けたという事実も発生しているのであります。  あるいは、初めて大隅半島に県外から転勤をしてきた、これはマスコミ関係の方でありましたが、桜島の取材に行った。灰が目に入ったから、海岸の砂のつもりでこうやったら、あ、痛っというわけで慌てて医者に行ったら、何と眼球に裂傷を受けて全治三カ月間、眼帯をはめる大変なけがをする、こういう事実が出てまいります。  あるいは、電力会社ではこういう事実がありました。住宅団地ができてマンションが建つ。それに対応して設計を立てて電柱を立て、そうして変圧器を乗せていく。ところが鹿児島市内では、とてもじゃないがそれに狂いが生じてしようがない。おかしいというので調べてみたら、降灰がひどく、窓を締め切らないともう家の中もざらざらになります。そういうことで、みんなが窓を締め切り、一斉にクーラーをつけた。大体千二百ワットのクーラーを一斉につけたために、電力会社の需給計画は本当に狂いが生じて、大変苦労したという事実もあります。言うならば、桜島の降灰地域に住んでいる方々は、いや応なしに、天然の涼風のかわりに窓を締め切って、ほかの地域なら必要でもないクーラーを無理やり買わなければならない。平均二十五万円もするクーラーを一斉に取りつけなければならない。家計上の大変な負担行為も強いられている。  こういう事実を私、まずあえて列挙しながら、以下、具体的な問題について幾つかお尋ねをしたいのであります。  第一点は、今申し上げました土石流の対策であります。しょっちゅう降灰がありますから、川はいつも川床がかさ上げのような状態になっておる。そこへわずか十ミリでも二十ミリでも雨が降ると、土石流が瞬発するのであります。これらに対して対応はどうなのかということ。並びに、関係住民がいつも胸を痛めておりますのは、雨がどのくらい降ったら土石流になるのか、いつ避難をしたらいいのか、こういったことで、ある意味では恐怖におののいているのでありますが、こうしたことに関する情報の収集あるいは予報、避難命令の発令、こうしたことに関してはどうなっているのか。この二点について、まず治山問題でお尋ねをしたいと思います。
  35. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  桜島の土石流対策につきましては、従来から砂防事業を鋭意実施しているところでございます。特にその対策が技術的に至難であり、工費も至大であるということから、昭和五十一年度には野尻川ほか六河川、また五十六年度には桜島の北斜面の金床川を直轄施行区域に編入いたしまして、事業の推進を図っておるところでございます。また、あわせまして昭和五十六年度には、全国に先駆けまして火山等緊急対策砂防事業を採択いたしまして、土石流等によって堆積した土砂の排除、こういったことも行うとともに、土石流による砂防災害に対しましては直轄砂防災害復旧事業実施しまして、再度災害の防除と民生の安定に努めているところでございます。
  36. 杉原昌樹

    ○杉原説明員 桜島の土石流対策につきましては、火山活動の活発化に伴いまして、昭和五十一年度から国の直轄治山事業実施しているところでございます。昭和五十八年度末までに約九十二億円をもちまして、降灰渓流の整備とか降灰地の緑化等に努めているところでございます。昭和五十九年度におきましても事業費十四億円をもちまして、引き続き治山施設の整備や崩壊地の緑化等を実施する予定にしております。今後とも、第六次治山事業五カ年計画に基づきまして計画的に事業実施いたしまして、桜島の土石流災害の未然防止に努めてまいりたいと考えております。
  37. 清野圭造

    ○清野説明員 土石流等の警戒、避難体制につきましては、まず第一に、あらかじめ災害危険個所の把握を徹底しますとともに、これを住民に周知しておくということが必要でございます。  次に、災害時には住民が速やかに避難ができるように、市町村が、気象予警報とかあるいは降雨状況等雨量情報の的確な把握や、災害危険地域の巡回等による警戒活動を実施するということが必要になってまいります。  さらには、確認しました雨量情報等に基づきまして、防災無線とかサイレンとか、あらゆる伝達手段を駆使しまして、迅速かつ的確な避難の勧告指示を行うといったことが必要になってまいります。その際、例えば市町村の職員あるいは消防機関の職員等により、適切な避難誘導を行うことも必要になってまいろうかと思います。こういったことにつきましては、従来から指導してきているところでございますが、今後とも地域防災計画の指導等に当たりましては、これらの避難体制につきまして、さらにその実情に即しますように見直しを行うとともに、日ごろから防災訓練、特に避難訓練等を徹底しまして、状況に応じて的確な対処ができますように指導してまいりたいと考えております。
  38. 上西和郎

    ○上西委員 念を押しておきますが、金床川の貯砂ダムができ上がった、しかし下流の方の水路に関しての工事が五十九年度以降の計画になっているようなので、この辺はスピードアップは不可能なんでしょうか。
  39. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  金床川のダムにつきましては五十六年から建設に着手しておりまして、あらかたダムの方はでき上がりつつございます。あわせまして、下流の流路工についても実施を図ってきておるわけでございますが、五十九年度につきましては特に下流の道路のつけかえとの関連がございまして、金床橋のつけかえのための用地買収等を予定しておるところでございます。なお、一部地元で御了解の得られない面もございまして、そういったことも鋭意詰めていきたいというふうに考えております。
  40. 上西和郎

    ○上西委員 次に、道路の問題について少しくお尋ねをしたいのであります。  もし、大正三年一月十二日の規模の大噴火が発生するならば、桜島を取り巻く主要道路は直ちに緊急避難道路に変わらなければなりません。私もしょっちゅうあそこを走っているのでありますが、少なくとも大隅半島には天下に名立たるいわゆる実力者の方がおいでになりまして、道路は極めてよくなってきているのであります。ところが桜島は、いかんせん選挙区が違うのであります。こちらに行きますと、政治家の力量の差とは私は申し上げませんけれども、道路の改良、拡幅等に著しく差があることを現実の姿として認めざるを得ないのであります。したがいまして、国道二二四、この辺の改良、拡幅等についてはどのような計画をお持ちなのか。まだまだカーブが大変残っておりまして危険なのでありますが、その辺についてのお見通しをお尋ねしたいと思います。
  41. 和田惇

    和田説明員 お答え申し上げたいと思います。  昭和四十八年に制定いたしました活動火山対策特別措置法に基づいて作成いたしました避難施設緊急整備計画に掲げられた区間につきましては、昭和五十七年度までに完了させておるわけでございます。現在、その他の区間につきまして、道路拡幅であるとか線形の改良を鋭意図っておるところでございます。  五十九年度につきましては、一般国道の二百二十四号、それから主要地方道桜島港黒神線というのがございますが、そういうところで事業実施いたしておるわけでございます。  事業費でございますが、五十八年度を上回る三億五千万というような事業でございまして、今後とも災害防止という観点から道路の整備を鋭意推進してまいりたい、かように考えております。
  42. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  では次に、降灰問題について少しくお尋ねをしたいのであります。  幾つか挙げますので順次お答えいただきたいのですが、まず第一点は、宅地の中にも大変な降灰があるわけですね。これについて、例えば桜島に一番近い垂水市あたりでは各家庭にビニール袋を配って、それに各家庭で全部除去した灰を入れて所定の場所へ出す、言うなればごみ処理と同じような形でそこへ収集車が回る、こういうことになっているのでありますが、例えばこのビニール袋の購入費なども自治体としては大変な負担になっていくわけですね。それこそ三日に上げずにやります。そうしたことを含めて、宅地内の降灰除去などに関しては国で言う補助金の対象にならないのか。あるいは、もし仮に補助が出ているとすれば、その補助率を高めるお考えはないのか。  次に、市道、町道については、除去は補助対象事業になっているようでありますが、なぜ農道が入らないのか。建設省が強く農林水産省が弱いから農道がないのか、こうなってしまうのであります。桜島の灰は、ああ、あそこは農道だからよけてやろうということはないのであります。走る軽トラ、耕運機、関係住民の方々が通る道路は、国県道、市町村道、農道を問わず、すべてそこにはもうもうたる降灰の山がある。こういうときに、なぜそのような不公平な取り扱いが行われなければならないのか。私は素朴な疑問がありますので、この辺について御見解をいただきたい。  あわせまして、公営でありますが野球場、陸上競技場その他ありまして、そこにも年間相当な灰が降る。それをのけなければ競技ができませんから、従来は年に一、二回で済んでいたでありましょうが、ここ数年は、とてもじゃないがそんな頻度では足りない、こういうことで大変な地方自治体の負担になっているのであります。これらについて、補助なりあるいはそういった意味での助成をしていくお考えはないのか、少しくお尋ねをしたいと思います。
  43. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  活動火山対策特別措置法十一条の規定に基づきまして、火山の爆発に伴い、年間を通じまして一定量以上の降灰があったことを要件といたしまして、市町村が実施いたします宅地等に係る降灰除去に要する費用につきましては、三分の二以内を国が補助することができることになっております。現在、この補助率につきましては、公共下水道または都市下水道に係るものにつきまして三分の二、都市排水路、公園または宅地に係るものが二分の一という補助率になっております。  お尋ねの宅地についてでございますが、この補助率二分の一は都市災害復旧事業として施行されます堆積土砂排除事業復旧事業に係る補助率と同率でございまして、現下の国の財政状況にかんがみますと、降灰除去事業に係る補助率を上げることは困難であると考えております。  それから、もう一点のビニール袋等の問題でございますが、ただいま申しましたとおり、降灰除去事業につきましては、市町村長が指定した場所に集積された降灰について市町村が行う運搬または処分に対して補助をするものでございまして、宅地からこの指定場所までの住民の方々が運ぶ労力とかあるいはその際に必要となりますビニール袋等につきましては、個人に対する補助でございますので、補助にはなじまないというふうに現在のところ考えております。
  44. 佐々木幸人

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  農道の降灰除去対策についてでございますが、降灰によりまして作物等に著しい被害が発生し、農業経営に多大な影響を及ぼしております桜島火山周辺地域につきましては、第一次から第三次までの防災営農施設整備計画に基づいていろいろな事業実施してきているところでありますが、第三次計画までの間におきましては、今御指摘ありましたように、降灰除去の問題につきましては対策事業の中に含めるようにという議論が余りなされなかったという経緯がありますのと、現在提出されております第四次計画の案の中におきましても、今のところ降灰除去対策というのは載ってないというのが実情であります。しかし、今後、農道の除去対策というのが大きな問題になるということになりますと、鹿児島県とも十分相談いたしながら検討してまいりたいというように考えます。
  45. 上西和郎

    ○上西委員 農道の関係については、早急な善処方を強く要望しておきたいと思います。  なお、ここで、降灰の問題について私、非常に素朴な疑問があるのです。それは、建設省大隅工事事務所の出先が鹿屋、垂水、それから桜島とございます。そしてそこに、いわゆる降灰対策の特殊な作業車等も配置されているのでありますが、降灰量がここ十年間激増しているわけですね。ところが、人員なり機材なりの増強が行われていないものですから、私の手元にありますデータによりますと、ことしの正月などは、極端に言うと五十メートルずっと灰を吸い上げていくと満タンになって灰捨て場に行かなければならぬ。五十メートルで満タンになるほどの降灰量が国道であるわけです。これはもう正確に地元のマスコミも報道しております。ところがそれに対して、そういった実態にあるにもかかわらず、予算を言えば切りがないでしょうけれども、関係住民がそれだけ困却をしているにもかかわらず、設備というか能力というか機能というか、そういうものを強化されようとしていないのではないか。少なくとも建設省の出先のそうした能力を強化をして、地域住民の期待にこたえるべきではなかろうか。現在のそうした除去能力で事足れりとお考えなのかどうか、その辺の見解を承りたいと思います。
  46. 和田惇

    和田説明員 桜島付近の問題でございますけれども、従来から降灰量が大変多いわけでございまして、他の地区と比べまして清掃回数をふやして定期的に路面清掃を行っておるわけでございます。さらに、桜島の爆発によります降灰の状況に応じまして、他の出張所から機械の応援を求めるなどいたしまして、適時適切な清掃を行っておるわけでございます。  五十八年度でございますが、大変爆発の回数も多かったわけでございます。また、それに伴いまして降灰の量も多かったわけでございまして、これに対しましては清掃回数をふやして対処してきたところでございますけれども、先生の御指摘でございます、今後とも一層きめ細かな対応に気を配ってまいりたい、かように考えております。
  47. 上西和郎

    ○上西委員 正直申し上げて、せっかく出先をおつくりになった、その努力は私たちも評価するのでありますが、今お答えになったように降灰量に追いつかない処理能力ということは歴然たる事実でございますので、より一層の早急な改善、このことを重ねて強くお願い申し上げておきたいと思います。  次に、軽石対策であります。大変な量の軽石が錦江湾に浮遊するのであります。それが押し寄せるために、小さな漁船などはスクリューを折られたり、それで被害が出てくる。錦江湾内は結構漁業が盛んでございまして、定置網その他に押し寄せて、時によっては網が切られる。せっかく手塩にかけて育ててきた魚が流れてしまう。被害が続発をしているのでありますが、相手が何せ桜島の噴火でありますから決め手がないのであります。ただしかし、これだけの被害が出ていることは事実です。この軽石対策について、関係のところではどのような御見解対策をお持ちか、お答えいただきたいと思います。
  48. 山添健一

    ○山添説明員 先生御指摘のとおり、錦江湾にといいますか、流れ出しました軽石が主に桜島の一番陰といいますか、鹿児島湾の奥にありますハマチの養殖生けす、ここに流れ込む、こういうことで漁業被害を生じておりまして、軽石の除去作業に非常に多大の労力を要している、こういう現状でございます。  私ども水産庁といたしましては、軽石が海に流れ出した後でもって除去するというのは非常に困難でございますので、基本的には発生源において防止する対策を講ずることが必要というふうに考えておりますが、現実には海上に流出がとめられない。また、漁業者の方が非常に困っているということもございますので、これにつきまして何か有効な対策を立てたいということで、五十七年度から、流出した軽石の漁業に対する影響、それから海における軽石の挙動というものを調査してまいりまして、この調査につきましては、地元の事情に詳しい財団法人鹿児島県公害防止協会に委託してやってきたところでございます。現在、このような検討に必要な基礎データがやっと集まったという段階でございまして、ちょうど今年度に入りましてから地元の方と連絡をとりつつ、有効な対策は何かということを検討を開始したところでございます。  私ども水産庁としましても、技術的に可能な方法があればそれで対応していきたいというふうに考えております。
  49. 上西和郎

    ○上西委員 せっかくそういった調査結果がまとまりつつあるそうで、できるだけ早い時期に極めて効果的な対策をお立ていただくようにお願いをしたいと思います。  次は農薬の被害問題でありますが、実は今度の質問をするに当たって関係市町、いろいろ資料提出を求めたときに、防災営農対策事業を延伸をしていただいたことに大変感謝をしている地元の気持ちを関係省庁にお伝えいただきたい、こうありましたから、このことを冒頭お伝えしますが、桜島の爆発が続く限り、この法律を半恒久的にずっと更新されることを、あわせてお願いを申し上げておきたいと思うのです。  ただ私、現実に実態を知っているという立場から申し上げますと、果たして現在の対策事業はこの法律のままで事足れり、十二分に対応できる、このようにお考えなのか。仮にもし、この法の運営で対策事業の中で欠陥がありとするならばどういうことがあり、どのようにそれを改善しようとお考えなのか、このことについてお答えいただきたいと思うのであります。
  50. 佐々木幸人

    ○佐々木説明員 桜島火山地域におきましては、火山の爆発に伴って降灰が非常に多く、農作物に著しい被害が発生し、農業経営に大きな影響を及ぼしているということでございます。このため、活動火山対策特別措置法における防災営農施設整備計画に基づきまして、火山周辺地域の土壌等の矯正事業、それから降灰防止、降灰除去施設等の整備事業、それから灰に強い作物等の導入事業地域の実態に即しまして総合的に実施してきておりますが、農業者の経営の安定及び地域農業の健全な発展に今後とも努めてまいりたいというように考えております。  昭和五十九年度におきましては、五十九年度から六十一年度を対象期間とする第四次の防災営農施設整備計画を樹立し、これに基づいて、特に五十九年度は最近の降灰状況にかんがみまして、降灰による土壌の酸性化を防止する、並びに地方の維持を図るため土壌改良資材等を投入し、土壌の矯正を行う。あるいは、露地野菜の降灰被害を防止するための被覆の施設、それから降灰を除去するための施設、そういうものを整備する事業中心実施してまいりたいというように考えております。
  51. 上西和郎

    ○上西委員 桜島は御承知のように、天下に有名な桜島大根を初めビワ、ミカン、あるいは垂水市あたりでは日本一のキヌサヤエンドウと、大変農業経営が多角化し、すばらしい産品を出しているわけでありまして、今お答えいただきましたけれども、よりきめ細かな、例えば品目、種目を若干制限しているとか、いろいろあるようでございます。そうしたことについて、同じビニールでもこれだけ降灰がひどいと防じんビニールにせにやならぬ、あるいはちょっと道路から遠い畑などは、大型機械を持っていってでも深耕をやらないと土壌の活力が残らない。こういうことが出てまいりますので、より一層きめ細かな御配慮と対策の樹立をあわせてお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、火山ガスが大変発生しているわけです。降灰と火山ガス、この中に言うならばまみれている関係住民、とりわけ将来の日本を背負って立つ児童生徒の健康問題、こうなっていきますと、私はやはり一抹の不安を覚えざるを得ないのであります。よく公害問題で、あちらこちらで話題になりますけれども、比較にならない現実の降灰地域の住民にとっては健康管理、大変な問題でありますが、一般住民のそうした健康管理対策、とりわけ児童生徒のそうしたことに関してはどのような対策がとられているのか、また将来的にどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  52. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 火山ガス、降灰等の人体に及ぼす影響についてでございますが、国及び県によりまして従来から住民健診等の調査研究を実施しておるところでございますが、今までの結果といたしましては、火山ガス、降灰等による特異な疾病は発生しておりません。したがいまして、火山ガス、降灰等が健康人の健康に危害を及ぼすものではないという調査報告を現在までは得ているところではございますが、引き続きその監視体制をとっていかなくてはいけないということでございまして、県と緊密な連携を持って今後の問題に対処してまいりたい、かように考えております。
  53. 青柳徹

    ○青柳説明員 お答えいたします。  児童生徒等に対する健康診断の件でございますが、これにつきましては、定期または必要に応じまして臨時の健康診断を行うということに相なっております。定期健康診断の検査項目等につきましては、全国的に一般的な定めを持ってやっておるわけでございますが、それぞれの地域におきます実情を勘案しながら、各設置者において適宜その他の検査項目を加えながら実施をしていただいておるという状況でございます。  桜島周辺の地域におきましては、県の民生部が五十三年ごろから、児童生徒も含めまして一般の住民を対象として、桜島降灰健康検診事業というのをやっておるというふうに聞いておるわけでございます。学校で特に降灰に絡んでの特別な健診はやってはいないわけでございますが、こういった地域事業子供たちも参加をすることによりまして、現在この問題に対応しているというふうに承知をいたしておるところでございます。  今後の問題につきましては、こういった措置をさらに地域で充実していただくと同時に、私どもとしましても県と連絡をとりながら、なおいろいろな面での検討を続けてまいりたいと思っております。
  54. 上西和郎

    ○上西委員 最後にお尋ねしたいのは、今児童生徒のことについてお答えいただきましたけれども、実は桜島降灰の非常にひどい地区では、プールに水を張って、これからというときに、例えば夜爆発があったら、次の日は水をかえてプールの清掃をしなくてはならない、こういうことが頻発をし、おかげで桜島島内の鹿児島市立の小中学校、桜島町立の小中学校はプールが屋内化されているわけです。しかし、必ずしもその周辺の地域ではこれが進んでおりません。こうしたことに関してどのような計画をお持ちなのか、お尋ねしたいと思うのであります。
  55. 光田明正

    ○光田説明員 文部省といたしましては、小中高の学校プールにつきまして、降灰等のためにプールの上屋の補助をいたしております。それからまた、プールクリーナーをつける整備事業に対して補助をいたしております。具体的なことにつきましては、市町村や県からの要望に応じ進めていくということになっております。
  56. 上西和郎

    ○上西委員 それぞれお答えいただいてありがとうございました。  私、ここで、この特別委員会に現在御出会になっている皆さん方におわかりをいただきたい事実があるのであります。それは、大正三年一月十二日の爆発によって、御承知かと思いますが、独立しておりました桜島は鹿児島県大隅半島と接続をしたのであります。それまであの桜島と大隅半島の間には、黒之瀬戸といいまして比較的急流が流れていた。幅員約五百メートル、当時の帝国海軍の駆逐艦が楽々と通航できるだけの幅と深さがあったわけであります。それが、言うならば一夜にして陸続きになる。大変な自然の威力が桜島には秘められているのであります。その威力の片りんが打ち続く降灰になっている。  私の前に異常豪雪で御質問がありました。私は、小学校から旧制中学の入学時点までは北海道に住んでおりましたから、雪の恐ろしさも知っております。しかし、真夏に雪が降ることはありません。しかし桜島の降灰は、一年三百六十五日、所嫌わず降っているのであります。確かに、鹿児島県にとっても局部的な問題かもしれませんけれども、その地域関係住民にとってはまさに地獄の苦しみなのであります。このことに関し改めて御理解いただくと同時に、本特別委員会の御高配によりまして、一刻も早く現地に調査団を派遣をしていただきたい。とりわけ本特別委員会は、昨年の新旧交代の著しい現象の結果、私の調査では、四十名中十四名の方が私を含めて新人のようであります。百聞は一見にしかず、一日も早く桜島現地を訪れ、すさまじいその被害状況に目を向けていただいて、今後より一層きめ細かな対策をお立ていただきますよう、とりわけ委員長並びに大臣関係の皆様方にお願いをし、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  57. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、武田一夫君。
  58. 武田一夫

    ○武田委員 私は二十分の持ち時間しかございませんので、御答弁はひとつ簡潔明瞭にお願い申し上げます。  最初長官にお尋ねをいたします。災害対策に当たって常に心がけなければならない、要するに災害に臨む基本的な姿勢というものにつきまして、長官の御見解をまず伺っておきたいと思います。
  59. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 この前の所信表明のときにも申し上げましたように、やはり国土を保全をする、災害から人命、国民の財産を守る、こういう意味で各省庁緊密な連絡をとりつつ、災害対策に万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  60. 武田一夫

    ○武田委員 緊密な関係の中で万全を期すということでございますが、私は、先ほども長官からお話がありましたように、国民の生命の安全と財産を守るという観点から、地域住民、国民がひとしく安心して生活できる環境づくりに取り組むことがやはり一番大事であろう、こう思うわけでございます。  そこで、政府としましては、そうした基本姿勢を踏まえて各種の災害に対処するために、いろいろな対応をなさっていると思うわけでございますが、重点的になさっている、またこれからなさろうとしている内容につきまして、ひとつ簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  61. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 多種多様にわたって大変災害が多いわけです。昨年なんかを見ましても、水害、地震あるいは噴火、豪雪等、どの災害国民生活を脅かすというか、大変重要な災害がたくさん起こっておるわけであります。  そういう意味から、厳しい臨調の中でありますけれども、今度防災局を設置をすることにさせていただいたわけであります。そうして、あらゆる災害に対応すべく、災害の重要性を再認識して、各省庁と緊密な連携をとりつつ、防災局の充実に努力をしておるところであります。
  62. 武田一夫

    ○武田委員 防災白書を見ますと、一つは「防災に関する科学技術の研究の推進」ということを大きなテーマにしております。二番目には「災害予防の強化」、三番目には「国土保全の推進」、それから四番目には「災害応急対策及び災害復興の迅速適切化」ということを重点にした災害対策を推進するというように報告がされております。  しかし、これはちょっと予算を見てみたのですが、五十七年から五十九年、各項目について予算を見てみますと、残念ながら寂しい感じがします。いろいろと予算的な問題では厳しい中ではございますけれども、特に生命の安全という観点から考えたときに、例えば「災害予防」の五十八年、五十九年度の予算を見ても、あるいは「災害復旧等」の予算を見ましても、マイナスであるということは非常に深刻な問題だと私は思うのでありますが、この点について長官はどういうふうに思いますか。  例えば「災害予防」では、五十八年が三千八百三十二億七千万、五十九年は三千七百八十一億九千万。それから「国土保全」の場合は、五十八年が一兆二千百八十二億九千万、五十九年が一兆二千百八十七億六千万。「災害復旧等」の予算としては、五十八年が四千八百六十九億二千五百万、五十九年が四千五十億二千九百万。「国土保全」を除いていずれもマイナス。各地で災害復旧等々、また事前に災害防止をしなければならない地域がたくさんある。洪水や風水害によってはんらんという心配の箇所がたくさんあるということを考えると、これでは非常に寂しく、また怖いというふうに思うのであります。この点について、私はもっと積極的に安全対策の面のてこ入れをしてほしいと思うのですが、いかがでしょう。
  63. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今数字でおっしゃったわけでありますが、例えば豪雪の問題についても、見方によっては十分ということでないかもしれませんが、私なりに考えてこれは十分になされたものだと思います。あるいは昨年の三宅島の噴火にいたしましても、あるいは水害にいたしましても、また地震にいたしましても、私は完全に各省庁の協力を得て対策をとられたものである、こういう自信を持ってここでお答えすることができるのではないかと思います。  問題は、国土庁というのは、各省庁というか大変強い省庁との連絡機能の役割を果たすという省庁でありまして、言うなれば力強い下請がたくさんおりますから、どういう場合においても人命を守る、国民の財産を守る、国土を保全する、こういう使命を持っておりますから、どの災害についても完璧な対策がとられておりますし、また今後起きるであろうと予知をされた問題についても、完璧な体制を各省庁と連携をとりつつやっていかなければならぬということを申し上げておきたいと思います。
  64. 武田一夫

    ○武田委員 今力強い下請がたくさんいて、いろいろな味方がいる、省庁の統括のところに長官がいる。そこで、その味方の一番心強いのは建設省ではなかろうか、こう思いますので、長官は完璧な対策をしている、こう言って信頼をなさっているわけでございますから、まず河川事業について一つお尋ねを申し上げます。建設省、ひとつよろしくお願いいたします。  重要水系に係る河川及び最近の災害により著しい被害を受けた中小河川あるいは都市地域に係る河川等の改修工事は予定どおり進んでいるものかどうか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  65. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  先生御指摘の河川に関してでございますが、私ども現在第六次治水事業五カ年計画、計画年次が五十七年度から六十一年度にわたるものでございますが、この計画に基づきまして大河川及び中小河川の改修を実施しておるわけでございます。五十九年度の予算の成立を見ました今の時点で三年度目までの予算が大体確定したわけでございますが、ここまでの事業の平均進捗率が四六・三%になってございます。これは計画進捗率と比べますと数%ダウンしておりますので、後年度の六十年度、六十一年度に相当努力をいたす必要がある、そのように考えております。
  66. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろな計画を見ましても、大体計画というのは計画であって予定どおり進まない、これは残念です。数%というダウンを後年度でカバーするというわけでありますが、これはできると言うよりできないと言った方が正直で、答弁していながらも、これはできないけれどもしたいなという希望的観測ではないかと思うのです。  そこで、私は具体的な一つの問題を取り上げて、先ほど長官はいろいろと完璧な対策をしているとおっしゃっておりますので、それはそうと私も受け取っていきたいのですが、しかし、現実あちこち歩きますとそうでないケースが川についてはたくさんある。同じところが何度もやられて困っているケース、幾らお願いしてもなかなか工事が進まないケースがたくさんございます。そのために、改修工事のおくれでいつ災害が発生するかという不安の中で、ずっと何年も苦労しているケースがたくさんあるわけです。  私は宮城県でございますが、宮城県の黒川郡大和町落合桧和田地区の吉田川左岸の改修という問題があるわけです。これは、昭和五十六年以来今日まで地域住民百戸二百五十人、雨が降れば雨、雪が多ければ雪等々の水害、洪水の危険におののきながら生活をしております。しかも、これは宮城沖地震の影響もございまして、堤防の沈下等もあり、特に五十七年の九月の大雨の際は地域住民が出て、必死に土のうを積むやら漏れ水を防ぐやら大変だった。これは五十六年のときにもそういうケースがあった。しかも、三百ヘクタールにわたる田んぼがありまして、もう優良な農地でございまして、こういう地域皆さん方は今度来たらおしまいだというような大変な不安と恐怖の念で必死にお願いをしているわけでございますが、こういうようなケースは私はあちこちに点在していると思います。  そこで、この吉田川左岸工事の改修は、それではいつごろ仕事が始まっていつ完成する、その間どういう安全対策をなさっていただけるものか。具体的な例の一つでございますが、こういうケースが各地にあることを思えば、この点についてひとつ関係当局のお答えをちょうだいしたい、こう思います。
  67. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えをいたします。  御指摘の鳴瀬川の支川吉田川の桧和田地区でございますが、桧和田地区につきましては左岸側の堤防が大体半分ぐらいまで、完成堤防と申しますか、上流側から高くできておるかと思います。先生御指摘の分は恐らくそれから下流、山付けへ向かってのあと半分の三キロくらいかと思うわけでございますが、まず何としましても、それは全部一斉にできますのが一番よろしいわけでございますが、御存じのように吉田川あるいは本川の鳴瀬川も、非常に堤防の延長の長い川でございます。大正十二年ごろから改修はやっておりますので、一次改修と申しますか旧の計画に対しまして低い堤防は一通りできておるわけでございますが、それを途中で計画を改定してさらに高い、幅のある堤防にしている最中なわけでございますが、そういう中で当地区につきましても上流側の半分は頭水を防ぐというような考えで、まず四十四、五年から四十九年ぐらいにかけて増強をしておるわけでございます。  その後、この地区につきましては身洗川という支川が左側から入ってきておりまして、これが圃場整備の関連その他で改修の必要がございます。そうすると、直轄の部分とつなぐために水門工事が必要でございまして、五十四年ぐらいからその水門工事を重点的にやっておったわけでございますが、五十九年度をもちまして大体その水門の完成のめどが立ちましたので、御指摘の箇所につきまして本年度から、堤防の断面を広くいたしますために用地が必要でございますので、その用地買収に着手させていただこう、そういうふうに考えておるわけでございます。
  68. 武田一夫

    ○武田委員 そうするとそろそろ始まる、そういうときに来た。ただ、ことしは異常気象ですから、これから夏場にかけましていろいろとまた水の出ぐあい、雪も宮城県も結構多うございまして、その結果の増水等々考えますとその間の安全対策はしっかりと、パトロール等はしておいでだと思うのでございますが、やはりしていただかないと、特にお年寄りが多いものですから、みんな働きに行っている場合などはどうするのだということで、お年寄りが集まりますと心配はそのことばかりです。そういう点も安全管理というものに対応しながら早目に、ここは一番低くなっているところですから、向かい側は物すごく高い、それだけに一層低くなっておりまして、いつ水が入ってきても全部濁流となってのまれる地域である、こういう危険な地域だけに早急に対応してほしい、こういうふうに思うのです。要望しておきます。  それから最後に、時間になりましたので一つ聞いておきたいのは、地形や地質条件の悪い地域に市街化が進展しまして、人口が集中して家が建ったりしてくるケース、それから市街地の拡大が非常に軟弱地盤の方まで入り込んでいっている、そういう地域での例えば土砂災害の危険とか地盤沈下による住宅に対する影響とか大変問題を醸しているわけでございますが、これに対する対策をしっかりとしておかぬと、また指導しておかないといろいろ事件が起こると思う。宮城県沖地震を経験した一人としまして、砂、シルトなどの堆積した沖積層の地盤は特に地震のときには弱い、それで倒壊あるいは傾く等々の大変な被害をこうむったという経験もあるわけでございまして、こういうところに対する未然防止対策というものはいかがなさっているものか、お尋ねをしたい。  今後、こういう地域がふえるような気がしてならぬのです。なぜかというと、一軒家を志向する方々の数というのは多いわけでありまして、そういう方々が土地がないということでそういうところまで建てる傾向が多いということを考えると、これはほっておけない。しかとした地盤のところに住んでいただくようにしていかないといけないということを考える意味で私は御質問申し上げるわけでございまして、当局の御見解をお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  69. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答え申し上げます。  宅地開発等に伴いまして開発をするわけでございますが、一般に都市計画区域内におきましては都市計画法によります開発許可が必要でございますが、この開発区域内に軟弱な土地がある場合には安全上必要な措置を講ずる、そういう設計がなされていないと許可がなされないことになっております。  安全上必要な具体的な措置といたしましては、土地の置きかえであるとか水抜き等の措置を講ずることになっておりますが、具体的には土地の全部あるいは部分的な置きかえだとか、サンドドレーンあるいはペーパードレーン等による排水の工法、あるいはハイブロフローテーションによります土の締め固め等々の各種の工法を採用いたしまして、地形、地質、経済性等々を総合的に勘案して、適切な措置をとることになっているわけでございます。  建設省におきましても、毎年この出水期等を控えまして都道府県知事に対しまして通達を流しているところでございますが、今後とも宅地造成に伴います災害防止につきましては、法令の適切な運用を図りながら地方公共団体を指導してまいりたい、かように考えております。
  70. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来たようですから、最後に土砂災害の危険性がある地域、この実態がどうなっているのか説明してもらいたいのですが、これはしっかりやってもらわぬと困る問題があります。これは時間がありませんのでこの次にまた質問しますが、実態だけ知らせてください。
  71. 成田久夫

    ○成田説明員 土砂災害につきましては、急傾斜地崩壊対策あるいは土石流の危険渓流の対策等がございますが、急傾斜地崩壊危険箇所につきましては、昭和五十七年の調査によりますと全国で約七万二千カ所ございます。これに対しましては、昭和五十八年度を初年度といたします急傾斜地崩壊対策事業の五カ年計画を策定いたしまして、これに基づいて事業を進めておるところでございます。  土石流危険渓流につきましても現在約六万二千渓流ございまして、これにつきましても第六次の治水五カ年計画に基づきまして、事業の進捗を図っておるところでございます。
  72. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございます。
  73. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、遠藤和良君。
  74. 遠藤和良

    遠藤委員 若干時間がおくれているようでございますし、私も短い持ち時間でございますのでぽんぽんぽんと質問してまいりますから、答弁の方も速いテンポの答弁をよろしくお願いいたします。  最初に、大変基本的なことを聞いて恐縮なのですが、日本の河川の管理責任者は一体どなたでございましょうか。
  75. 青木保之

    ○青木説明員 河川管理につきましては、治水利水の及ぼす影響が広範囲にわたりまして一地方の利害にとどまらないため、広域的な見地から行う必要がありますので、河川に関する事務は国の事務ということで位置づけてございます。  このような観点から、河川法では河川を水系ごとに管理することといたしまして、その重要性に応じまして一級水系の河川、一級水系以外の二級河川及びそれ以外の準用河川として指定し、一級河川については原則として建設大臣、二級河川及び準用河川については国の機関としての都道府県知事または市町村長が第一義的に河川管理の責任を負う、こういう仕組みにしてございます。
  76. 遠藤和良

    遠藤委員 一級河川は建設大臣ということでございますし、二級は知事さん、準用河川については市町村長さん、河川法ではこういう形になっておるわけでございますが、法律の本来的な趣旨からいいまして今ちょっとお答えがありましたけれども、治山治水は国策の第一歩でございまして、すべての日本の河川の責任は建設大臣にある、それをたまたま知事あるいは市町村長さんに機関委託しておる、こういうふうに考えたいと思いますが、これは間違いありませんかどうですか、確認します。
  77. 青木保之

    ○青木説明員 お説のとおりでございまして、建設大臣からそれぞれ委任をしておるということでございます。
  78. 遠藤和良

    遠藤委員 そこでお尋ねいたしますけれども、知事あるいは市町村長が管理者になっております二級河川並びに準用河川につきまして、国としては具体的にどういう方策を講じておるか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  79. 近藤徹

    ○近藤説明員 二級河川及び準用河川についてどのような対策を講じておるかという御質問でございますが、先ほど言いましたように、二級河川につきましては、基本的には一時的には知事が管理しているところから、知事がそれぞれ計画を立て改修を進めていくということになっておりますが、この事業の本質にかんがみまして、国庫補助事業によりまして各種の補助事業を推進しているところでございます。  次に、準用河川につきましても、地域住民の生活環境に非常に密接しているところから、その事業の重要性にかんがみまして、建設省では昭和五十年度から準用河川改修の補助制度を設けまして、整備の促進を図っているところでございます。予算的にも発足当時から比べますと、現在約十四倍というような事業費になっております。今後とも、一層の促進に努めてまいりたいと考えております。
  80. 遠藤和良

    遠藤委員 準用河川につきましてちょっとお尋ねしたいわけですが、国庫補助率が三分の一というふうに地方財政法十六条でございましたか、規定されておりますけれども、この三分の一という数字に何か根拠はございますか。
  81. 近藤徹

    ○近藤説明員 法律的には特に根拠があるわけではございませんで、先ほど先生おっしゃいましたように、地方財政法に根拠を求めまして採択基準の上で国庫補助率を三分の一として、それに基づきまして市町村から要望のあったものについては、積極的に採択をする方向で進めておるわけでございます。
  82. 遠藤和良

    遠藤委員 自治省の方にちょっとお聞きいたします。  三分の一という補助率が大変多いわけでございますけれども、できれば希望的でございますけれども、国が三分の一で県として三分の一を負担していただきまして市町村で三分の一、合わせて一〇〇というふうなことをこの三分の一のねらいとしては持っているんだというような話がございますが、この辺はいかがでございますか。――自治省見えておらぬようですから、これは後で委員長の方からお聞きいただいて、御回答いただきたいと思うわけでございます。  次に、具体的な問題になりますが、徳島県に明神川という川がございます。これは二級河川でございますけれども、昭和五十一年でございましたか、台風十七号の影響を受けてはんらんをいたしまして、大変にたくさんの方々が床上浸水をしたわけです。その局部改良工事が進められておるわけでございますが、今年度の予算の決定額をちょっとお知らせください。
  83. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  明神川でございますが、新年度の予算、九千九百万円を予定いたしております。
  84. 遠藤和良

    遠藤委員 この地域につきましては、地元に明神川改修期成同盟が結成されまして、理事長が西野倫将さんという方でございます。私も現地を視察して参りましたが、皆さんともよくお話を伺ったわけでございます。この明神川本流につきましては、工事が着々と進んでいるわけでございますが、この支流に北中山谷川という川がございます。これをちょっと聞きたいわけでございます。  その北中山谷川の上流にただいま建設省の直轄工事といたしまして、国道十一号吉野川バイパスの工事が進んでおるわけでございます。その関連の工事といたしまして、北中山谷川のつけかえをやっておる。川の改修が五百三十六メートルにわたってされておるわけでございますが、この上流と改修が進んでおります明神川との間が約四百メトールぐらいあるわけでございます。これは準用河川でございまして、いわゆる市管理の川ということでございます。ここは依然として前のまま放置されておりまして、工事の着手のめどがついておりません。これは、最初私が確認いたしましたように、日本の河川管理の責任はあくまでも国、いわゆる建設大臣にあるわけでございますから、この上流が改修され下流も改修されておる、真ん中だけほったらかしで置いておく、これはまことにけしからぬと思うわけでございまして、この辺の指導並びに県、市と国、建設省に話し合いを進めていただきたいと思うわけでございますが、この辺はどうなっておりますか。
  85. 近藤徹

    ○近藤説明員 御指摘の箇所は、徳島県の二級河川明神川に合流する準用河川北中山谷川及びその普通河川の区間になるわけでございますが、その上流の普通河川の区間で国道十一号バイパスの建設に伴い現在つけかえが実施されているところでございまして、下流区間につきましては、鳴門市が指定しました準用河川約四百メートル区間にあります。  ここは、御指摘のようにまだ整備がなされておりませんが、ここにつきましては、今後の整備について地元でバイパスの事業者徳島県及び鳴門市が協議を進めておるところでございまして、まず準用河川の管理主体である鳴門市が昭和五十九年度中に調査実施しまして、昭和六十年度以降準用河川改修事業に着手する方向で関係者で話が進んでいると聞いております。国としてもこれらの機関の検討に基づきまして、その計画が実現できるように今後努めてまいりたいと考えております。
  86. 遠藤和良

    遠藤委員 ただいまの答弁、大体わかるわけでございますけれども、地元の方々の気持ちといたしましては、国の行政がばらばらである、こういうふうなことが言われておるわけでございます。特に建設省の中におきましても、道路局と河川局は整合性があるのか、こういう問題を言っておるわけでございます。上流の方は確かに道路局の方の所管で進んでおるわけでございますが、真ん中、ちょうど間約四百メートルでございますが、私も視察しまして、そんなに工事費としてはかからないように感じたわけでございます。  これは、もう少し道路局とよく連携をとっていただきまして――市が管理する責任でございますので市で予算をつけなければどうしようもない、これもよくわかるわけでございますが、一貫して建設省としてどんどんと事業を進めていただきたい、こういうことが地元の要請でもございます。また、川というものは一本つながっておりまして初めて効果を持つものでございまして、大体川の改修は下の方から始まっていくわけです。それが、上流ができた、下流もやっている、真ん中だけほったらかしというのでは、行政の整合性という面からいっても大変ばらばらな感じを受けるわけでございまして、建設省は責任を持って強力に推進方をお願いしたいと私は思うわけでございます。もう一回、明確な御答弁お願いします。
  87. 近藤徹

    ○近藤説明員 私どもも、全国細部について全部掌握しているわけではございませんが、現地における担当者間で十分協議をしていただき、その協議関係におきましていささかでも先生が御指摘するような問題が起こらないように日ごろから指導しているところでございまして、そのような問題の起こったものにつきましては、予算等についてもできるだけの努力をして進めてまいりたいと考えております。
  88. 遠藤和良

    遠藤委員 今、五十九年度に調査を開始して六十年度でございましたか、工事に着手する計画でおるということでございますが、これは実現いたしますように、六十年度から事業が始まるという方向で建設省としても力を入れていく、こういうことでよろしいですか。
  89. 近藤徹

    ○近藤説明員 地元からの要請があれば、そのとおり実現する方向で努力したいと考えております。
  90. 遠藤和良

    遠藤委員 よろしくお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、昨年台風十号で大変な被害を受けました徳島県山城町の災害復旧工事の現況と今後の見通し、二年間くらいでできるのじゃないかと思うのですけれども、その辺の見通しを明らかにしていただきたいと思うわけです。
  91. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生御指摘の山城町の災害復旧工事でございますが、昭和五十八年九月の台風十号により被災したものでございますが、山城町関係建設省所管の公共土木施設につきましては、県工事が九十カ所十四億四千八百万円、町の工事が百七十一カ所五億八千七百万円、計二百六十一カ所二十億三千五百万円の災害復旧工事費を決定しております。そのほかに災害関連事業といたしまして二カ所、全体工事費で合計四千四百万円を採択しております。  昭和五十八年度は、災害復旧工事につきましては県工事で六十七カ所十一億六百万円、河川災害関連事業につきましては二カ所二億五千五百万円の予算措置を行いまして工事を実施しておりまして、今後も一層その進捗に努めてまいる予定でございます。  なお、全体といたしましては、先生承知のように三カ年復旧ということになっておりますので、六十年度に完成の予定で実施しております。
  92. 吉川汎

    ○吉川説明員 台風十号によります山城町の農地、農業用施設災害復旧事業でございますが、二百四十カ所約四億五千万円の事業費が確定いたしております。このうち五十八年度には約二億四千万円、進捗率にいたしまして五四%の割り当てを行ったところでございますが、一月、二月の豪雪のため工事は若干おくれているという報告を受けております。  なお、五十九年度におきましては、現在県と協議中でございますが、おおむね九〇%程度の復旧ができるべく予算措置を準備いたしておるところでございまして、営農に支障を来さないようなお県を督励しながら早期復旧を図ってまいる所存でございます。
  93. 松田忠好

    ○松田説明員 林野関係について申し上げます。  まず、林道でございます。  林道につきましては、路線数で十四路線、九十一カ所、これは既に昨年の十一月に査定を終わっておりますが、金額にいたしまして約二億七千八百万円という被害が出ております、復旧についてでございますが、五十八年度におきまして約五四%、五十九年度までに六七%、六十年度末までには全部復旧するということでただいま努力しております。  それから、治山関係でございます。  いわゆる治山施設については今回は災害がなかったということでございますが、林地の荒廃が十五億六千五百万円ほど出ております。これの復旧でございますが、次期の降雨等によりまして人家あるいは公共施設が心配で、被害を受ける可能性のあるものにつきましては、五十八年度におきまして緊急治山事業において四千六百万円、林地崩壊防止事業ということで三千七百万円の復旧をしております。今後、五十九年度以降につきましても、緊要な箇所から順次復旧していくということで努力していきたいと思っております。
  94. 遠藤和良

    遠藤委員 時間がございませんので細かい論議は差し控えますが、関係省庁の皆さんの大変な御努力によりまして、現地としても復旧工事が着々と進んでおる。大変に感謝の念で皆さんの御努力を評価しておりますので、その気持ちだけ伝えておきます。大変ありがとうございます。  最後に、国土庁長官にちょっとお伺いしたいわけでございます。  ただいまの山城町、徳島県でございますが、台風常襲地帯の指定を受けているわけでございます。これに関連しましてお話を承りたいのですが、昭和三十三年の四月でございますか、議員立法と承知しておりますが、台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法という法律が施行されました。これによりまして、台風常襲地域指定が行われたわけでございます。この法律の中では、災害防除事業五カ年計画を決定するというようなことも盛り込まれておりますが、その後いろいろな法律ができまして、治山治水五カ年計画に吸収されておるということも聞いておりますが、この法律が休眠状態にあるような感触を受けるわけでございます。  それで、台風常襲地帯にせっかく指定されたわけでございますので、この台風常襲地帯に対する今後の基本的な防災の取り組み――雪国に対する、雪害に対する基本的な取り組みは大変大事なわけでございますが、台風というのは日本にとっては大変大きい災害の元凶でございますし、これに対する予防といった意味から、大臣の御決意を最後に伺っておきたいと思います。
  95. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 徳島県全県が台風の常襲地帯として指定がされておるように聞いております。そういう意味で、豪雪地帯には豪雪の特例法がございますし、それなりにいろいろきめ細かく法律によってされておるわけでありますが、後で政府委員の方から細かに答弁をさせますけれども、台風常襲地帯にも常襲地帯なりのそういった施策が講じられておるわけであります。  ただ、せっかくの法律が何も活用されていないということでありますが、私もちょっと勉強不足でありまして、もしされていないとするならば、それはどういうふうにして動かしていくのかということについて研究してみたいと思っています。
  96. 田中暁

    田中(暁)政府委員 先生おっしゃいましたように、現在、常襲地帯の法律がいわば休眠状態になっておるわけでございますが、実質的にはこれにかわります治山治水、海岸等の各五カ年計画の中で、常襲地帯におきます災害の防除につきましては十分考慮するということが、これは総理府の告示をもってはっきり決定されておりまして、そういった取り扱いがなされておるわけでございます。  今後の台風に対する被害軽減対策でございますが、我々といたしましても、近年伊勢湾台風などのような超大型の台風は来ておりませんけれども、非常にこの対策は我が国として重要であるというように認識をいたしておりまして、今後とも治山治水事業等の国土保全事業を計画的に推進する、また気象観測施設とか防災無線網などの整備によりまして、いわばソフト面からの警戒避難体制を一層充実させる、この二つの対策を両輪といたしまして、各省庁と連絡をとり合いながら推進を図ってまいりたいと考えております。
  97. 遠藤和良

    遠藤委員 時間が参りましたので、いわゆる台風常襲地域に対しまして総合的な、整合性のある積極的な取り組みをひとつ長官お願いをいたしまして、質問を終わらしていただきます。
  98. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、安倍基雄君。
  99. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は民社党の安倍基雄でございます。  ちょっとさきに原田委員が、静岡県選出でございますけれども立たれて、私が考えているのと似たような質問をされましたので、若干重複する点もあるかと思いますけれども、地震を中心にしてお聞きしたいと思います。  その前に、実はやはりこの委員会におきまして雪害が非常に問題となっておる。原田委員も言及されましたように、冷害と申しますか、異常気象による農作物の損害ということが意外と忘れられている。秋の冷害は非常に問題になるのでございますけれども、春の冷害というのは余りなかった。例えば、私どもの県はお茶を中心としておりますけれども、霜がおりますと、最初のいわば一番茶と申しますか、それがちょっとやられる。となりますと、それに相当収入のウエートを持っている農家もあるわけでございます。さっき原田委員被害調査して適当な処置をとってくれというお話をいたしましたけれども、こういった点について現在の農林省の御見解、そして御決意を聞きたいと思います。
  100. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 農家の経営の安定を図るという点からいいますと、春の被害であろうが秋の被害であろうが冬の被害であろうが、いずれも我々といたしましては同じスタンスで臨んでいるわけでございます。また、特にことしは去年から引き続きの冷害、それから雪害、それに引き続いての今度の寒干害というようなことで、いろいろな気象要件が重なりまして、いろいろな態様の農作物被害が出ておるわけでございます。先ほども御答弁いたしましたように、残念ながら今のところまだ被害がすべて把握できているわけじゃございませんので、一日も早く被害の実態の把握というものに努めたいと思っておるわけでございます。  それと同時に、被害状況が少しでも明らかになったところにつきましては、特に望まれております金融対策でございますとか、あるいは物によりましては農業共済の早期支払いというふうなことを通じまして、あすへの営農に支障のないように努力しているところでございます。
  101. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 冷害の問題はこのくらいにいたしまして、静岡県で一番問題となっておりますのは地震の問題でございます。これは、静岡県のみならず特に関東地方の大きな問題、日本全体の問題かと思います。  さきに原田委員からも質問ございましたけれども、そこで一つ抜けている点でございますが、現在における財特法の事業の進捗状況と、それが非常におくれている。おくれている理由をお聞かせ願いたい。
  102. 田中暁

    田中(暁)政府委員 地震対策緊急整備事業でございますが、総事業費が五年間で四千百八十億円でございます。五十八年度末におきます実施済みの事業費は二千五百七十二億円でございますので、進捗率は六二%になる見込みでございます。  ややおくれぎみということは御指摘のとおりでございますが、このような理由といたしましては、基本的には大変財政事情が厳しゅうございまして、公共事業費の伸びが余り見られない、これがこの事業に反映しているということであろうかと考えますけれども、そのほかそれぞれ地元に個別の理由がございまして、そういったものの結果がこういった進捗率になっていると考えております。
  103. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 事業の中で国が負担する分と地方公共団体が負担する分と、それぞれ分かれておるようでございますけれども、このうち国の支出はどのくらいになりますか。
  104. 田中暁

    田中(暁)政府委員 実施済み事業費のうち国費の額は約千三百二十二億円でございますので、割合といたしましては五一%程度でございます。
  105. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 国も非常に困っておりますけれども、地方も困っておる。地方の財政の困っているのが足を引っ張っているという事情がございますか。
  106. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御指摘のように地方の財政も大変苦しいわけでございますので、それは確かに影響はあろうかと思いますが、非常に多くの事業は補助事業でございますので、基本的にはやはり国の公共事業の伸びの停滞ということの方が、要因としては大きいのではないかという気がいたします。
  107. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 地震の問題は、やはりいつ起こるかわからない、そういう意味合いにおいて、私としては事業が進捗するようにと、それを希望してやみません。そのために今いろいろ手だてを尽くしていただきたい。  こういったことを考えますと、このいわゆる財特法、これはやはり延長しなければならないのじゃないかと考えておりますけれども、この点について、もう一度大臣のはっきりしたお答えを願いたいと思います。
  108. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 まだ一年ございますから、そこで、進捗率は先ほど来御答弁をいたしたとおりでありますが、重要な問題です。また、皆さんも大変不安に思っておられるものを解消するためにも、公共事業の伸び率とかいろいろな問題がございましょうが、各省庁にひとつ協力を呼びかけて、できるだけ計画をされておるものを完全に実施をしていく。その結果これを延長すべきか延長すべきでないか、これはまあ議論を待たずして当然その方向に行くだろうと思いますが、まだ一年ございますから、そういう意味でぜひ一年間は全力を注いでいきたい、こういうふうに思っております。
  109. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣の前向きの御答弁と理解して、次に移ります。  災害発生時における体制、いろいろ予防事業をしておりますけれども、災害発生があったとき、その体制は十分かどうかということがまず問題になるかと思います。地震の予告制度、あるいはまた津波などにつきましても、前回の日本海中部地震は警報がおくれて被害も出た。そういったことも含めまして、予告体制の状況についての御説明を承りたいと思います。
  110. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御承知のように、大震法の特色といいますのは、東海地震の直前予知が可能であるということを前提として、予知とされた場合に警戒宣言という形でそれを行うわけでございますが、事前の対応を行うということにあるわけでございまして、国の基本計画に基づきまして地方もそれぞれ強化計画をつくりまして、警戒時におきます諸般の対応を定めておるわけでございます。また、それに基づきまして警報の伝達体制、あるいは食糧、医薬品の備蓄、あるいは発災時の応急対策等々についてきめ細かい規定を置き、充実に努めておるところでございます。
  111. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 気象庁の方も何かありますか。
  112. 山崎道夫

    ○山崎説明員 御説明申し上げます。  東海地震につきましては、予知を前提といたしまして防災体制が確立しておりまして、事前に出されます地震予知情報等の中に津波に関係いたします情報も当然含まれてまいります。この情報は、地震発生の前から防災機関あるいは報道機関を通じまして広く周知されることになっておるわけでございます。
  113. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 現在予測される地震は、マグニチュードどの程度のものまででございますか。
  114. 津村建四朗

    ○津村説明員 お答え申し上げます。  マグニチュード八程度でございます。
  115. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この精度は、もう少し上がることはできないわけでございますか。
  116. 津村建四朗

    ○津村説明員 お答え申し上げます。  東海地震のような海洋型のマグニチュード八クラスの大規模地震につきましては、その発生の機構がほぼ解明されており、前兆現象が出現する可能性が高いと考えられております。東海地域には各種の観測計器が高密度に展開されておりまして、そのデータが気象庁にテレメートされ、常時監視の体制が既にとられております。そのため、前兆現象をかなり高い確度で捕捉し、発生を予知できるものと考えております。  なお、今後とも予知技術の進歩を積極的に取り入れて、見逃しをしない覚悟で予知の確度の一層の向上を図っていきたいと考えております。
  117. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 万が一地震が発生した際の対策でございますけれども、防衛庁その他の出動ということもあり得ると思いますが、そういった総合対策の点についてどのような対策がなされておりますか。
  118. 田中暁

    田中(暁)政府委員 発災時におきます対応策につきましては、それぞれの地方団体におきます地震防災強化計画において定められておりまして、その中で自衛隊等の出動といった応急対策についても定めておるわけでございます。
  119. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 地震の場合には、どの程度のものが起こるか起こらないかという問題はございますけれども、第三の問題に移りまして、地震の場合に、その場でどういう行動をとるかというよりも、以前からどういうものを考えておくかということが非常に大事だと私は思うのでございます。中でも私が一番恐れておりますのはビル火災でございます。  これは突然の話でございますけれども、大臣、「タワーリング・インフェルノ」という大きなビルが火事になった映画を見たことございますか。
  120. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 見ておりません。
  121. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 突然の質問でまことに申しわけないのですけれども、これは大きなビルが火事になったというアメリカの映画でございます。途中の階から火が出て、人々は上へ上へと逃げていく。手の施しようがない。最後にある勇敢な人が、ビルの屋上にずっとためてある水を爆破して、それでどうにか鎮火したという映画でございます。いろいろ防災対策が行われているのでございますけれども、私は、地震で一番怖いのはやはり火事じゃないかと思っております。  消防庁の方にお聞きしたいのですけれども、現在何階程度の火事まで消せますか。
  122. 清水良次

    ○清水説明員 現在の消防力から見ました屋外からの消火能力につきましては、御承知のはしご車がございますけれども、はしご車は国内では大体四十メートルクラスまでが運用されているところであります。一階が大体三メートルくらいといたしますと、階数にいたしまして十三階から十四階くらいまでがはしご車によって消火が可能なものでございます。  さらに、そのはしご車が使えないような高層の部分につきましては、例えば非常用のエレベーターなどがございますので、それによって屋内に侵入いたしまして、連結送水管という送水管がございますので、そうしたものを利用した消火活動を行うということになっております。
  123. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私、考えますのに、地震の場合には水道管も必ずしもそのままではないと思います。破裂するかもしれない。となりますと、大地震が発生しますと軒並みビル火災が発生する懸念がございますが、その点について国土庁はどうお考えですか。
  124. 清水良次

    ○清水説明員 それぞれの消防機関といたしましては、その災害実情にまさに即した形で、集中的に戦力を投じまして対策を講ずるということになろうかと思います。
  125. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 全力投球するということはわかるのでございますけれども、私、関東大震災の経験から随分長い間たっておりますけれども、本当に火災が一番恐ろしい。しかも、当時においては、現在ほど高層ビルが建ち並んでいる状況ではなかった。でございますから、もし地震が起これば、本当に東京あたりは大変な問題になる。例えばホテル・ニュージャパンで何人か死んだ、それだけで大騒ぎをした。それがもし一たん地震が起こったときには、まさに目を覆うばかりの事態になるのではないかと私は考えております。その意味合いにおきまして、私は地震対策というのは、単にその場でちょっと前に予報をして、それでどうにかみんなを避難させるというだけではなくて、日ごろからよほど考えていかなくてはならぬという考えでございます。例えば高層建築の場合に、一定以上のものにつきましては不燃で統一する。現在の高層建築についてのいわば規制と申しますか、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  126. 梅野捷一郎

    ○梅野説明員 高層建築物につきまして火災が発生した場合にどうなるかという対応でございますけれども、もともと火災の発生をなるべく抑える、あるいは大きな火災に発展しないというようなことで、高層建築物についてはいろいろな区画を設けて、火災の単位を小さくできるような区画を設けますとか、あるいは壁であるとか天井、そういうところの仕上げの材料を燃えないようにするとか、そういうようなことで火事の発生をなるべく抑える。あるいは、火事が仮に発生した場合に大火災に発展しないようにするというようなことを、建築基準法等によって制限を設けてやっているところでございます。
  127. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 非常に抽象的な御答弁ではっきりしないのですけれども、一体どの程度というか、どういったものを使ってはいけないとか、あるいは何階以上のものについては不燃性に統一するとか、そういう基準はございますか。と申しますのは、現在の災害は、火のみならず有毒ガスが非常に多い。室内のいろいろな備品などがある、それが燃えると有毒ガスを発生する、それで参ってしまうというようなことも聞いております。今の建設省の御答弁では非常に抽象的でございまして、もう少し具体的にお答え願いたい。
  128. 梅野捷一郎

    ○梅野説明員 ただいま御説明申し上げました幾つかの要素といいますのは、建物の用途でございますとか面積でありますとか高さでありますとか、そういうものをいろいろ組み合わせをいたしまして、かなり複雑な制限として設けてございます。その中で、先ほどからお話がございます高層建築物の中の例を申し上げますと、例えば十一階以上というようなかなり高い建築物の場合には、内装を下地、表面の下を含めまして、基準法で申しております不燃材料あるいは準不燃材料だけしか使ってはいかぬというような制限、そこは一番厳しい方の制限でございますけれども、そういう制限も設けております。
  129. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 繰り返すようでございますけれども、本当に地震対策は防火対策が大きい。そのためには、建てるビルについて日ごろからよほど考えておかなくてはいけないのじゃないか。現在、これだけビルが建っておりますけれども、この中でいざ地震のときに火を発生しないビルが幾つあるだろうかと思うと、非常に肌寒い思いがするわけであります。その意味合いにおきまして、今までの地震対策は非常に表面的に過ぎるのじゃないか、本当に一歩突っ込んだ対策が必要じゃないかと思うのでございます。大臣、いかがでございますか。
  130. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 最近、高層ビルにつきましても耐震ということに大変気を配りながら、地震対策ということで考えておる構造になっておるわけでございます。先ほどの内装の問題についても、これは今厳しいのですよ。前のようなわけにはいかないのです。例えば、民間でも基準法等々によって内装は不燃化ということで大変厳しく、耐震あるいは火災等々に向けて大変な厳しい規制がなされておることは、これは事実だと私は思います。そういう意味で、大震災のときと大分構造が違うのです。もちろん、あれを教訓として進めておるわけでありますが、あの当時と今とは建築の構造が相当大きく変わっております。そういう意味から、日々大震災の教訓を教訓として、災害というか地震対策については、あるいは火災等々については、完璧を期しておるというふうに私は考えております。
  131. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私が今お話ししたのは、耐震というのが倒れないということに今までは非常に中心があった。燃えないということについての配慮がもう少しなさるべきではないか。やはり国土庁が地震の責任という立場から、積極的に推進してもらいたいと私は思っております。  話は関東大震災に参りましたから、その話をちょっとしたいのでございますけれども、関東大震災における被害額というのは大体どのくらいであったのか。GNPあるいは国家予算と比べてどのくらいであったのか。それが現在同じようなマグニチュードの震災があった場合には、どの程度の被害が起こると推計されるのかということについての御意見を承りたいと思います。
  132. 田中暁

    田中(暁)政府委員 関東大震災の被害額につきましては、東京市役所が出しました東京震災録というものがございまして、その中の記述によりますと、五十五億円ということを言っております。現在の物価に換算いたしますと、三兆五千五百七十二億円程度になるわけでございます。  一方、大震災が起こりました大正十二年の国の予算額は約十三億八千九百万円でございます。したがいまして、被害額はその当時の国家予算の約四倍に達したということでございます。また、大正十二年のGNPでございますが、これは学者の推計によりますと約百二十億円であったということでございます。したがいまして、関東大震災の被害額は、当時のGNPの四五%、半ば近くの率に達したということでございます。  現在、関東大震災と同じ程度の規模の地震が東京、南関東を襲った場合はどうかということでございますが、こういった想定のもとで五十六年以降被害想定をやっております。ただ、これはまだまとまっておりません。そしてその中では、制度の問題もございまして、被害を金額に換算して推計することは予定いたしておりませんので、現段階におきましてはGNPに対する比率を求めることはできないというような状況でございます。
  133. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 関東大震災に際して発行した外債がどのくらいあるか、それがいつごろ償還されたか、この点についてお聞きしたいと思います。
  134. 松野允彦

    ○松野説明員 関東大震災の復興資金の調達のために国が発行しました外債が二本ございます。一本がイギリスのポンド建てでございまして二千五百万ポンド、当時のレートで円に換算いたしますと二億四千四百万円になります。それからもう一本がドル建ての国債でございまして、これが一億五千万ドル、円価換算いたしますと三億百万円ということになりまして、合計しますと五億四千五百万円という数字になります。  なお、これ以外に地方公共団体が政府保証を受けて発行した地方の外貨債がございます。これが三本ございまして、東京市が二本合わぜて円に直しまして一億円でございます。これは当時の円でございます。それから横浜市が一本出しておりまして、これが円換算額で四千万円でございます。  これらの国債あるいは地方債につきましては、昭和四十三年までにすべて完済されております。
  135. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今の額全部を現在の価値に直すと、大体どのくらいになりますか。
  136. 松野允彦

    ○松野説明員 現在の円建てで幾らになるかと換算するのは、いろいろなやり方がございますけれども、仮に現在の為替レートを用いまして換算いたしますと、今申し上げました国債の二本及び地方債三本合わせまして約五百三十億円ということになります。
  137. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 次に、いわゆる地震保険というのを大蔵省でやっておりますが、その保険の現在の蓄積額、あるいは保険料は通常の火災保険に比べてどうかという話、たしか限度が設けられると思いますけれども、その点についての御説明を承りたい。
  138. 田中寿

    田中説明員 地震保険に関しましては、昭和四十一年六月に実施に移されたわけでございます。これは、民生用の建物と家財を対象にいたしまして、民間の保険会社が引き受けたものを政府が再保険を受けるという方式をとっておるわけでございます。この地震保険に関しましては、本来なかなか保険数理に乗りにくいという性格のものでございます。一度発生いたしますと非常に損害額が巨大であるということでございますし、しかも逆選択が働きやすいものであるということもございまして、現在一回の地震に対する支払い限度額といたしまして一兆五千億と定めてございます。  民間で一たん引き受けました保険を政府の地震再保険特別会計で再保険を受けるわけでございます。これは一定のスキームに従いまして、現在五百五十億までは民間が全部受けますが、五百五十億を超え二千八百億になりますとそれを折半する。それから、二千八百億を超えるものは九五%は政府が受け、五%は民間の損保会社が受ける、こういう形になっておるわけでございます。  先生質問のように、そういうことで、現在保険料収入といたしまして、五十七年度実績で元受けベースで大体二百五十一億ございます。この約四割が政府、残余を民間で受ける、こういうことになってございます。蓄積でございますが、政府の特会にありましては、再保険料収入から事務費、これは特会に所属いたします職員の人件費が大半を占めるわけでございますが、事務費を差し引きまして運用益収入を加算いたしましたいわば収支残の全額を責任準備金に毎年積み立ててございます。五十七年度末現在におきましてそれは千二百二十億ございます。他方では民間におきまして同様の算出をいたしまして、千五百四十五億円の準備金を積み立てているのが現状でございます。
  139. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いろいろ御説明を承りましたけれども、現在関東大震災級の地震が起きたら、この前の地震でもGNPの四五%ということでございますから、恐らく百兆円あるいはそれ以上の被害が起こってくるかと思います。むしろ百五十兆ぐらいになりましょうか。そういったようなことを考えますと、あの当時と比べて現在は高層ビルもあり社会は高度化している。今の地震保険の蓄積額はまだまだ大したこともないし、また限度額も一兆円前後でございますが、その一兆円でカバーできるとお思いでいらっしゃいますか。
  140. 田中寿

    田中説明員 一回の支払い限度額を一兆五千億というふうに決めてございます。それで、一兆五千億というのはどういうふうに決めているかといいますと、現在の地震保険のスキームは、火災保険の一般的な主保険を受けまして、それに附帯して掛けていただくということになってございます。その掛ける場合には、主たる保険の三〇%から五〇%の範囲内で掛けていただく。それから支払い額につきましては、建物につきましては一千万、家財は五百万という限度を設ける。  そういう制度の内容と、それから普及を前提にいたしまして、関東大震災が起こるとすれば、支払い予想額、いわば最高損害額を出しまして、これに若干のアローアンスを見まして、これをカバーできる数字で限度額を設けているわけでございます。したがいましてこの限度額は、利用状況をずっとウォッチしておりまして、これまでも増額をしてきておりまして、現在五十七年四月から実施しておりますのがこの一兆五千億ということでございます。
  141. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私も、昔保険をしたことがございますので理解しておりますけれども、財政事情もあり個人の負担限度もあり、地震保険と言ってもそう何もかもカバーできない。  一つ聞き落としましたけれども、ロイドとかなんかに再保険をしておりますか。
  142. 田中寿

    田中説明員 現在の再保険のスキームは、民間損保会社が普通火災でありますとか居住用の建物の火災保険の引き受けを受けます。これはたくさんあるわけでございますが、普通火災以外に長期総合保険ですとかいろいろございまして、この保険を受けましたときに附帯をして掛けていただくわけでございます。  掛けますと保険会社は、日本地震再保険株式会社に一たん全額再保険を出しまして、この再保険を政府がこのスキーム、超過損害額再保険方式と言っておりますが、これに従いまして再保険を引き受ける、残余をさらにまた保険会社に再保険さ起るという形で、民間と政府との間で再保険システムをつくっているわけでございます。現在のところ、約四〇%を政府が受けているという形になっておるわけでございます。
  143. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間もございませんから、そろそろあれでございますけれども、いずれにいたしましても今お話しいたしましたように、もし一度地震が起きればGNPの半分近くがすっ飛ぶんだ、しかもこれだけ高度化した社会、恐らく被害は大変なものでございましょう。これを考えますと、教育臨調とかいろいろな行政改革がございますけれども、地震問題というものはこれから当面する非常に大きな問題だと考えております。  さっきお話しいたしましたような、例えば新しく建てる建物などにつきましてもよほど考えていかなければいかぬ。もっとも、建物の防災基準がくるくる変わると、旅館業者とか建築家が困るのでございますから慎重にしなくてはいけませんけれども、日ごろからそういう面についても考えていかなければいかぬと思うのでございます。そういう面におきまして、長官が先頭に立って長い目で見た地震対策を推進してもらいたいと思うのでございまして、その御決意のほどを承りたいと思います。
  144. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 そういった意味も含めまして、七月一日から防災局国土庁内に設置されるわけであります。災害ですからあす来るとも限りませんし、特に地震の場合の被害は局部的にも大きいだろうということを私は考えております。そういう意味から、全力を挙げてこの防災局の内容を拡充し、各省庁と連携をとりつつ万全を期していきたい、こういうように考えております。
  145. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 局を一つつくるということだけじゃ決して解決になりませんから、これはむしろ総理大臣お願いしなければいけないことかもしれませんけれども、内閣を挙げて考えるというくらいのことは必要かと思います。それから、いざ災害が発生したときのいろいろな措置、例えば財政なんかについても将来どうしたらいいのだ、どのくらいの被害があるかわからないけれども、そういったことも含めて長期的な対策を講じてもらいたいと思います。  私の質問を終わります。
  146. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、休憩いたします。     午後一時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時十分開議
  147. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川利三郎君。
  148. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きょうは造成宅地の軟弱地盤問題でお聞きしたいのでありますが、その前段に、国土建設省に一通り聞いておきたいのは、宅地とは何なのか、宅地の定義についてお答えいただきたいと思います。
  149. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答え申し上げます。  宅地の定義は、それぞれの法律によっていろいろ違いがございますが、大ざっぱに言いますと、農地、山林、林野等いわゆる農地的な利用以外に、主として建築物の用に供するというために利用される土地であるというふうに理解しております。
  150. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 国土庁はどういう理解を持っていますか。
  151. 田中暁

    田中(暁)政府委員 ただいま建設省からお答えになったと同じ認識を持っております。
  152. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 宅地とは、今建設省国土庁からお話をいただきましたが、単なる土地じゃないということが一つありましたね。それから住宅、そういうものを建てる、いわばその構造物が安全でなければならないというのは当然御答弁の前提にあることだと思いますが、そういう前提を置いて本論に入らせていただくのであります。  造成宅地の軟弱地盤問題、これはたまたま地震騒ぎのときに一挙に噴き出て問題になりましたけれども、実態からいえば地震とは関係なしに、これまでも大都市のベッドタウン、東京、大阪、京都、宮城、いろいろなところで常に発生し続けていたものでありまして、これまで地盤問題といえば工業用水の地下水のくみ上げたとか、あるいはがけ崩れによる被害だとか、その程度しか国会の論議でも大きくならなかったわけであります。  造成地の軟弱地盤の問題が、防災上あるいは国民経済上大変な問題を内包するにかかわらず余り論議されていなかったということは、地震と違いまして、一時的に一定地域だけに限定され集中的に大発生する、そういう性質のものでないためについ見落とされがちでありますが、その被害件数や被害額というのは全国的に膨大なものだと言われています。せっかく自分の造成宅地に建てた家が、その直後から不等沈下のために日常に支障を来すばかりか、ついに転売しようと思っても、そんな家はだれも買い手がないわけであります。しかも、そういう格好で大損しても文句の持ち込み先もない。ほとんどの方々が泣き寝入りをしている現状です。静かに、しかも継続的に発生し続けているこうした造成宅地の地盤沈下の被害状況やその実態について、どのような位置づけと問題意識をお持ちになっていらっしゃるかということです。この点をまず国土庁にお伺いしたいと思います。
  153. 田中暁

    田中(暁)政府委員 宅地の造成地盤の問題でございますが、御指摘のように、近年、例えば山を崩して宅地を造成するというようなケースが非常にふえてまいりまして、社会的に重要な問題になっているということは十分認識をいたしておるわけでございます。また、先生は通常急激には発生しないとおっしゃいましたけれども、地震等の場合には、例えば宮城沖地震に際しましての造成宅地の崩壊問題ということは、防災、地震対策上の問題どいたしましても、大変重要な問題として表面に浮かんできたわけでございまして、国土庁といたしましては、今後建設省等ともよく連絡をとりまして、この問題に適切に対処してまいらなければならないと考えておる次第でございます。
  154. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 建設省にお聞きしますが、今の軟弱地盤の宅地問題についてどのように被害の実態だとか状況をつかんでいらっしゃるか、この点お聞きしたいと思います。
  155. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答え申し上げます。  私の方は、都市計画区域内におきまして宅地造成等が行われます場合に、開発行為ということで開発許可をとらなければならないということになっておるわけでございます。それを所管しているものでございますけれども、いわゆる宅造規制区域内等におきまして災害が起きました場合には、各県を通じまして我々の方に状況報告をしていただくというふうになっておるところでございます。
  156. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 国土庁は大変重要だと認識しておる、建設省被害の実態が起こったところから報告してもらうようにしておる、こういうことであります。  建設省にお聞きしますが、私が聞いたのは、被害の実態だとかそういう全国的ないろいろな状況を数字的に把握していらっしゃるのかどうか、このことをお聞きしているわけです。
  157. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答えします。  先生質問の軟弱地盤そのものについてと申しますよりも、いろいろな災害が起こるわけでございますけれども、例えば集中豪雨あるいは地震等々の災害におきまして、いわゆる宅地造成に伴います災害というものはどういう実態になっているかということについて、我々は把握しているところでございます。
  158. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、先ほど前段私が申し上げましたように、これは地震だとか集中豪雨だとか、そういう災害があれば初めて問題になるわけですが、確かにそういう軟弱地盤であるからこそ、集中的にそういう場合はどっと被害が起こるわけでありまして、実態として見れば、そういう地盤そのもので皆さん方が大変お困りになっていらっしゃる、持って行き場のない、泣き寝入りしなければならない、そういう実態は今の御答弁の限りではほとんどつかまえていないということだと思うのです。これは御確認できますね。  それで、私がいろいろ調べてみたところによると、この東京近郊でさえも、例えば春日部、松戸、川崎、町田、さがみ野、流山、大宮、埼玉のぜんげん台、そんなところが全部そういう被害で泣いている。そういう問題で実際裁判になったり紛争が起こったりして、大変な問題になっておるのです。  全国的にちょっと見ただけでも、宝塚市というところでは、大林組が造成してクラレ不動産が分譲した中山台団地というところで、五十戸が建て直したとか引っ越しの事態で裁判になって、業者責任が認められたのです。あるいは、宮城県の大河原町で町が造成した上谷団地で、地震もないのに宮城県沖地震並みの大被害、百戸中五十戸が被害を受けて、最高一・一メートル沈下して、町が補償しているという問題も出ているのですね。私が直接聞いた高知市の針木東団地では、最大一・五メートルも沈下して道路が波打っている。浸水地帯に生ごみを埋めて造成したもので、業者が分譲の際に入れた断り書きが、そこへ重い庭石なんか置かないでくれという条件であったという、そういう状態ですね。そういうものが許可され、販売されているということです。  まだまだ言えばたくさんありますけれども、私の秋田でも、横森というところで市の公社が造成した団地がほとんどそういう被害を受けて、市役所がこっそりと住民に三千万円払って、だれにも言わないでくれなんということで解決するというような例がたくさんあるのですね。そういうことを全然皆さん掌握されておらない。したがって、民間の研究者やいろいろな関係者の人方に自主的に自発的に任せられているところに、今のこの問題の深刻さが一層深くなっているということだと思うのですね。私の手元に宅地災害問題連絡会という、まさに民間の方々が毎週こうしてはがきを、「宅地災害問題ニュース」なんというものをずっと出していらっしゃるような動きすらもほとんどわからないと思うのですね。そういうことですから、この問題でいつまでもそういう投げやりな状況の中で住民が泣いているということになろうかと思うのですね。  そこでお聞きするのでありますが、宅地造成というものは、国土法や都市計画法によって開発行為の許可がないとやれないことになっていますね。許可さえ受ければ、きのうまで田んぼであったものの上にきょうの午前に泥をかぶせて、砂をかぶせて盛り土しても、それでちゃんと商品として流通することになっておるのです。そういう現状だけれども、建築基準法の建物については確かにいろいろな安全率というものを数字ではっきりさせているのにかかわらず、肝心の構造物を支える宅地については何一つ明確な基準が示されておらない。つまり、中身が全くわからない状態になっていますね。  このことは、先ほど宅地とは何かということを私は言いましたけれども、その上に建物が建つわけですから、宅地というのは、大概の人は一生に一回しか買うことのできない生涯最大の買い物、商品ですね。そういう状態の中にいることについて、そのような対応でいいのかどうかということを、これはひとつ建設省のしかるべき責任ある方から答弁していただきたい。
  159. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答え申し上げます。  都市計画区域内におきまして宅地造成等の開発行為が行われる場合には、都市計画法の三十三条によりまして、開発区域内の土地が軟弱な地盤である、そういう土地であるというときには、安全上必要な措置が講ぜられるように設計しなければならないということが開発許可の条件になっているところでございます。具体的には施行令に書いてございますけれども、地盤の沈下だとか開発区域外の地盤の隆起が起きないように、土の置きかえだとか水抜き等々の措置が講ぜられるように設計しなければならないということになっているわけでございまして、その設計は一定面積以上のものにつきましては一定の資格者、しかるべき資格を持った者が設計するということになっているわけでございます。  これらを受けまして、それぞれの宅地開発の設計に当たりまして、土の全部または部分の置きかえ、あるいはサンドドレーンとかペーパードレーン等によります排水の処理の問題、あるいはバイブロフローテーション等によります土の締め固め等の工法があるわけでございますけれども、いろいろな工法の中で、いろいろ条件が違いますから、その条件等を勘案しながら適切な工法を採用いたしまして、軟弱地盤に対します安全対策が講じられるということになっているわけでございます。  しかしながら、今先生御指摘のように、軟弱地盤というものについていろいろ被害があるという御指摘もございますが、現在の法律制度はそのようになっておりまして、適宜必要に応じてしかるべく対策がとられる、また現にとられているというふうに我々は考えているところでございます。
  160. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 建設省は都市計画法の第三十三条があるとか、その一項七号だと思いますが、これがあって、それでやっているから、それにはいろいろなそういうチェック機能が働いているのだ。働いているなら、なぜこんなにたくさんの災害が、軟弱地盤の沈下で人方がたくさん泣いているのかということですね。  それで、私が聞いているのは、建築基準法ではあれだけ数字で安全率をちゃんと出して、これでなければならない、これでなければならないという基準を出しているのですよ。それを支える宅地については、都市計画法の三十三条があるから大丈夫だ。大丈夫なところにこういう問題が起こっているだけじゃなくて、これに対して何も数値がないでしょう、数字のそういうものが。だから、あなたはそうおっしゃるけれども、あなた方の命令を最もよく聞かなければならない市段階の開発、公社を使ってやらせるような開発――能代市なんか、せんだっての地震でほとんど全戸被害を受けたんですね。つまり湿地帯に堂々とやっているんですよ。地盤のことは何にもやっていないでね。  今これは大変な問題になっていますけれども、もしも宮城沖地震だとか新潟沖地震の教訓を生かすならば、ちゃんとそういう点で歯どめなり、そういう数値をはっきり出しておけば、秋田沖のせんだっての地震の被害はもう何分の一で済んだんじゃないか、あれだけ人々が泣く必要がなかったんじゃないかというのが大方の専門家の意見だということも、あなたは一番わかっているはずなんだな。都市計画法という法律があるのはわかっていますよ。確かにそういうことが書いてあることもわかっていますが、魂が入っていないじゃないですか。中身が何もない。こう言っては悪いけれども、一種の精神規定みたいなものでね。それに対してあなた方は、何一つ積極的なアプローチだとか対応をやっていないでしょう。だからこういうことが起こるのであって、そうでないというならば、なぜあれがありながら今日これだけ歯どめもなくそういう災害がどんどん広がっているか、この説明をしていただきたいと思うのですよ。
  161. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答え申し上げます。  宅地造成された土地、宅地開発された土地におきましていろいろな被害がある、それを防止するためにどうすべきかということになろうかと思うのですが、いろいろな方法があろうかと思います。例えば先生今御指摘のように、建築基準法等ではいろいろな基準がございます。建物の基礎工事等を十分にやるということになりますと、ある程度その被害は防げるというふうに思いますけれども、宅地は宅地サイドでどうあるべきかということを考えなさい、こういう御指摘だと思いますが、宅地につきましても先ほど申しましたような措置が講じられるということになるわけでございます。いかなる災害に対しても、絶対被害は起こらないということはなかなか難しゅうございますけれども、いずれにしましても建設省としまして、宅地造成に伴います災害の防止というものに努めるべく、公共団体を指導するということにしておりますけれども、軟弱地盤におきます宅地造成問題につきましては、昨年発生いたしました日本海中部地震等の実態を十分に把握いたしまして、今後それを十分研究してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  162. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そんなのは答弁にならない。あれだけの地震、宮城もあった、その前は新潟もあった、秋田もあった、ああいう中から当然教訓を引き出して、新潟段階では秋田の、その次に起こる地震のためにそれなりに法改正だとか、そういう制度の中身を詰めていくとかいろいろなことをやらなければいかぬはずなんだ。何か地震があっても一向に同じで、あなた方が一つもやろうとしていないから今日こうなっているのでしょう。現に、あなた方はやらないけれども、例えば秋田市の農協なんというのは、これも宅地造成していますけれども、全部地質、地盤についてちゃんと調査して、しかも保証書まで出しているのですよ。そういうことをちゃんと心ある民間はやっているんだな。ところが、今あなたはこれから研究調査してみたいなんという、そんななまっちょろいことだからいけないのであって、少なくとも前向きというか、皆さん方が業者サイドでなくてそういう消費者の問題を本当に真剣に考えるならば――考えたことないと思いますけれども、だからこういうことになっているわけですから。やはりこれは、即刻にできるものからやらなければいかぬと思うのですね。  その話は後でいずれするといたしまして、まずちょっと国土庁にお聞きします。  つまり、中身はわからないんだ、造成宅地というのは。内容のわからないものに、立地条件あるいは場所だけで値段が出される、値段が決められるわけだ。開発行為の地価というのは、国土法であなたの方でやっているわけですから、一般に発表するあの地価と違って、開発行為の値段というのはどういう関係で出るのですか。
  163. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 中川さん、大分専門的なことになりますから、土地局長を呼んでおきます。大分あなたの質問が専門的ですから、土地局長から答えさせた方が間違いないと思います。
  164. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは、建設省にお聞きします。  都市計画法の三十三条の一項七号では、急傾斜地、軟弱地盤などについて地盤改良等安全設計がやられなければならない、たしかあなたのおっしゃるとおりそう書いてありますね。しかし、地質の調査だとか地盤の支持力の明確な数字、例えばトン数、五トンとか三トンとか、こういうものでさえも示されていないんだな。これはやはりおかしいんじゃないですか、あなた。
  165. 深沢日出男

    ○深沢説明員 今先生御指摘のように、地盤の改良等具体の措置は書いてございますが、数値は書いてないわけでございます。これにつきましては、地形、地質、いろいろな条件があろうかと思いますが、その辺は先ほど申し上げましたように、いろいろ被害実態等を十分に把握しながら、今後研究してまいりたいというふうに考えております。
  166. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何だか川の中でへをしたようなよくわからない答弁ですが、その程度にしておきます。  私が今まで言いたいことはどういうことかというと、デベロッパー本位、開発業者本位にずっと行政がやられてきておって、消費者の立場からの配慮というのはほとんどなされていない。ですから、開発業者にとっては国からの具体的な義務づけが一つもなされていないから、そういうものの甘さを逆に利用して、手っ取り早く安上がりの手抜きの工事で間に合うわけだ。それを許可する直接の責任がある地方行政の立場からすれば、ともかく国から何も言ってこないんだ、ただ都市計画法三十三条一項七号をやりなさいよというだけの話で、やろうがやるまいがチェックというのは何もないのですから、実際はやりようがないんだよ。そういうことでして、安易に許可業務をやっているというところだ。そうした相互のもたれ合いの中で、今日これだけ人々が泣いているというんだよ。こういう流れだと思うのです。  そこで、先ほどもちょっと申し上げましたように品質保証、つまり中身の全然わからない商品、土地もそうですが、例えば自動車を売る場合、エンジンのない自動車を売ったと同じだと私は思うのですよ。例えば中身の見えない缶詰と同じで、毒と知りながら売られている薬も同じ例になると思います、まあ言い過ぎですが。これらは規格、品質など、行政の厳重な管理指導を受けているわけです。JISマークだとかなんとか、いろいろなものがありますね。だから、そういうのを受けながらも欠陥商品として発見されれば、回収だとか消費者に対する補償というものはずっとやられているのです。宅地については、人生最大の買い物でありながら、しかも取り返しのつかないそういう被害を受ける、いずれも何もないんだということはこれでいいのか、簡単に言えばそういうことであります。  きょう経済企画庁来ていると思いますが、ちょっとお聞きしたいと思うのです。  経済企画庁の担当の消費者保護基本法というものがございますね。これは、すべての商品は規格化をするというような意味のことを書いてあるわけでありますが、こういう大事な宅地地盤についても、やはりおたくの国民生活審議会で取り上げて真剣な検討をすべきものであると私は思いますけれども、まず、消費者保護基本法の立場からいってこういう問題をどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  167. 村田憲寿

    ○村田説明員 お答え申し上げます。  消費者保護基本法というのは、御存じのとおり、消費者保護施策に関する一般的かつ基本的な事項を定めておるものでございます。個々の施策につきましては、個別の法律によってその実現が図られるというような体系になっておるわけでございます。  ただいま御指摘の宅地につきましても、関係法令により規制が行われておるわけでございますけれども、私ども経済企画庁といたしましてはこの問題につきまして、専門的分野にわたる問題でもございますので、関係省庁と協力しながら進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  消費者保護会議の決定の中にも、事業者の消費者志向体制の強化ということが盛り込まれておるわけでございまして、こういう方向での事業者の体制の強化ということにも努めてまいりたいと思っておりますし、それから各地の消費生活センター等における消費者苦情の適切な処理、あるいは消費生活センター等への適切な情報提供といったようなことに努めてまいりまして、消費者保護に遺漏のないようにしたいと考えておる次第でございます。
  168. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、消費者が選択できるように規格の整備を進めるというのが消費者保護基本法の最大の考え方だと思いますが、ここでは時間もありませんから余り……。  それで、さっきも言いましたように、自動車ならば、欠陥だということが発見されますと全部回収され、直したりするわけですね。現に進行しておる、今日大きい問題になっているこういうものが、国会の場でもほとんど取り上げられたことがない、何か特別な地震なんかと関連しない限りは。そういうことで全部妙なことになって、非常に重要な問題が忘れられている。  建設省にお聞きしたいのですが、こういう状態があってもこの造成宅地については現行のまま、つまり今までどおりの行政指導やらおたくのやり方で結構だ、こうおっしゃるのですか、うまくいくということですか。
  169. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答えします。  法律等の現行の制度につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。とはいいましても、日本海中部地震等を見ましてもいろいろ被害が出ているという状況もございます。それらを踏まえまして、我々はその実態を十分に把握し分析して、今後研究してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  170. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私がお聞きしたことは、つまり今後分析、研究でなしに、そういうものから何を教訓として学びとって、現行法のままでいいのかどうか、それにちゃんと間に合っているということをお考えなのかどうか、こう聞いているんですよ。これはやはり不十分だとか不備だとか直さなければいけないとかなんとか――今後いろいろ資料を取り寄せて分析、研究をするのだったら、何も建設省なんて要らないですよ。あなた方を通り越して民間でどんどん皆やっているんですからね。そこのところが国民が一番聞きたいところなんです。もう一回答えてください。
  171. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答えします。  今先生が言われました、どうするんだ、こういうことでございますけれども、その実態について十分把握して研究した結果、どういうふうになるのか、その辺もう少し研究した段階で我々は検討してみたいというふうに考えておるところでございます。
  172. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 新潟沖であれだけ被害が出て、あれだけ教訓が出たね。宮城沖でもそうだね。そのときも全然、今後研究すると同じことだ。秋田沖でも今も同じだね。たまたま地震になれば、そうした軟弱地盤に住んでいる人方が、そこに被害が集中するから地震関連の問題として処理されているだけなんですね。これは、静かに深くずっと進行しているこういう問題がおたくの関心の外側であったということは、きょうの論議の中で大体わかったわけですが、それにしても私がお聞きしたいのは、都市計画法の第三十三条という、私は、確かにいろいろなものが書いてありますから立派な入れ物だと思うんですよ。入れ物はあるけれども中身がないということですね。だから、それに具体的な内容を持たせることですね。  その内容が例えばどういうことかといいますと、別に一銭も金がかかるわけじゃないですよ、皆さん方は。支持力、N値、地耐力、あるいは沈下量の上限、宅造後の地盤の安定期間の設定――これは私の提言ですよ。さらには、最終的には湿地帯だとか急傾斜地での規制を含めて、そういう点をはっきりさせたら、これはもう行政指導というか、皆さん、通達一つでできることだと思うんですね。長い間何もやってくれなかった。これは、確かにあそこに書いてあることは、安全にとかよく締め固めてというような言葉が法律にあるわけですね。よく締め固めると言っても、ただそこを二、三歩歩くのも、あるいは何かでたたくのも締め固めですが、そんな抽象的なことではもうどうにもならないところに来ているということですね。したがって、別に予算がかかるわけでもない、こういうことは速やかにやるべきであると私は思いますけれども、皆さんの御所見はいかがでございますか。
  173. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答えします。  やはり被害の実態といいますと、地域、地形、地質等々、いろいろな条件によりまして違いが出てくると思います。そういうものを見ながら研究してまいる所存でございます。
  174. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それじゃ何にも答えにならないじゃないですか。私の聞いていることの答えじゃないじゃないですか。あなたは、地形、地質というものは皆違うものだと。缶詰の中身だって、中身に肉がどれだけあるか、汁がどれだけあるかによって違うはずですよ。しかし、規格されているということはこれは当然のことですよ、商品ですからね。そしてそれを、土地条件がそれぞれ違うからそれはなかなか難しいなんということを言うことは、まさに言い逃れ以外の何物でもない。さしあたって、今三十三条があるから大丈夫だじゃなくて、それに魂を入れなさい、例えばこういうことじゃないか、支持力、N値、沈下量の上限、宅造後の地盤の安定期間を設定するとか、こういうことはできるでしょうということですね。このことについてはいかがなのですか。
  175. 深沢日出男

    ○深沢説明員 お答えします。  今先生御指摘の地盤の沈下量等々の問題、これは実際問題、いろいろ分析してみないと、そこで明確な数値という格好で出せるかどうかということにつきましても、やはりいろいろ条件が違いますものですから、果たしてそういうものが出てくるかどうかということについては疑問はあるわけでございますけれども、いずれにしましても、やはりもう少し我々、研究をさせていただきたいというふうに思っております。
  176. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今の答弁もまだ前段と同じことですが、私は、少しは答えていただいたと思います。あなた、骨身にこたえようが、大したことはありませんけれども、少しは重要性を認識していただいたと思うんですね。私は、通達一本で、運用のやり方次第で、この問題はもう解決できる部分がたくさんあると思うんです。今言ったような問題、例えば地質調査を義務づけていくとか、造成前と造成後の地形図を添付させて、許可行為の申請のときにそれを必ず出させるとか、例えば五百分の一の図面、これは業者は持っていますね、これを添付させるとか、あるいは消費者にも公開するとか、盛り土の高さ、土質の表示など、そういうことを行わせるということは十分可能だと思うんですね。前段で言ったことと同じような意味もありますけれども、専門家、学者の間でも、例えば前の古い地形図と新しい地形図と二つあれば、それを重ね合わせれば相当違うというんですね。そういうものを出させるというようなことだとか、あるいはそういう開発行為の申請があったときにそれをすぐ公開する。公開すればその情報が蓄積して、いろいろな面で役に立って皆さんもいいだろう、研究者も消費者もみんな助かるだろう、こういうことも言われているんですね。そういうこともぜひひとつ考えてもらわなければいけない。  同時に、私の時間もやがて来るようでありますが、宅地の問題がこれだけ全国で発生しているわけでありまして、消費者保護の面から、経済企画庁にも今申し上げたわけでありますが、建設省としても建築研究所なんというのがありますし、そこを十分活用して、こうした宅地災害の全国調査だとか情報のセンターをつくって、それを宅造業者、消費者、自治体、学者などにも公開して、安全な宅地づくりに資するようにすべきだ、この点はどうだということですね。  また、地盤の安全性のため、研究面の強化も求められているわけでありますが、これらについてもやはり真剣に取り組む、そういう意欲といいますか決意はおありかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  177. 片山正夫

    ○片山説明員 建築物の安全性を担保いたしますために、その地盤の状況を調べることは大変重要なことだとは私もかねがね考えております。しかしながら、軟弱地盤に関します全国的な調査となりますと、これが宅地の単位のところまでブレークダウンした状況での全国調査ということになりますと、各宅地地盤の固有性の問題とかいろいろございまして、また地盤調査自身、大変費用と時間がかかることでございますので、現状においては大変困難なことだと思われますけれども、今後の研究に対します貴重な御意見として承らせていただきたいと存じます。
  178. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 高層ビルの場合は、全部いろいろなそういう地質調査が義務づけられているわけですね。一般の住宅に入る人は、せいぜい二階建てですね。二階建ての重さというものはわずかなものですよ。何トンですか、本当に二、三トンぐらいなものだと思うんですよ。むしろ二、三トンもないんじゃないかと思うんですがね。だから、その程度の開発業者がやるわけですから、それを開発業者が、いろいろ調査を義務づければやるわけです。その面、若干値段が高くなっても、その被害のあれから見るならば、国民経済的に言うならば、国の義務としても非常に意義あるものだと私は思うし、当然行政としてはそれはやらせなければならないと思っているわけであります。ひとつ、その点を大いに考えて強化していただきたいということ。  そこで最後に、せんだって私のところの日本海中部地震といいますか、ああいう名前は私らは全く心外にたえないのです。秋田の沖で起こったわけですから、やはり秋田沖、青森・秋田沖でも何でも構いませんが実際の地名がはっきりしないと、日本海中部地震と言ったってどこら辺だかだれもわからないということになっていますからね。  まあ、それはそれとして、住宅被害があのとき多発しまして、秋田県内で住宅の全壊が千百三十二戸なんです。住宅被害の半分は能代市、そのほか男鹿市あるいは八竜町、若美町、秋田市を含めると九割がそこへ集中しているのです。で、すべてと言っていいほど軟弱地盤、盛り土が原因なんですよ。つまり、前段申し上げましたとおり、そういう弱い地盤のところに集中的に、液状化だとかああいう格好であらわれたということだと思うのです。宅地地盤の安全性ということは、今議論いたしましたように何らチェックされていなかった。  そういう面から言えば、これは決して天災ではなくてまさに人災、行政災と言う人さえいるわけでありますけれども、そういう点で、単なる天災で済まされるわけがないと思うのですね。むしろ私は、全くの人災、政治災であると思いますが、この点については、個々の事情については災害対策委員ですから、私はこの次の機会に秋田沖のこの地震の問題を専門にやらしていただきたいと思います。いずれ、あれは天災では済まされないんだということです、今言った軟弱地盤の問題も。やはりそういう人的な、行政的な問題が当然入っていると私は思いますけれども、この点は最後のあれでありますので、稻村国土庁長官から御所見を伺って私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  179. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 宅地造成は良質な土地を消費者に提供しよう、これは御指摘のとおりであります。特に軟弱地盤においては、開発行為のときには過去のいろいろな経験にかんがみ、相当具体的に厳しくこれは規制をしてあると思います。特に建設省はその法律を各都道府県に移譲いたしておりまして、そういった直接の指導面には当たる余地と言ってはおかしいですが、当たることはないのでありますが、今御指摘のその点を十分踏まえまして、今後建設省ともよく連絡し合って、良質な、消費者に喜ばれるような宅造の問題について全力を挙げてまいりたいと思っております。
  180. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  181. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、山下洲夫君
  182. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は、岐阜県の加茂郡に丸山ダムというダムがあるわけですが、そのことを中心質問させていただきたいと思います。  その前に、大変申しわけないのですが、国土庁長官に対し質問の要求はしていなかったのですが、せっかくいらっしゃいますので、冒頭一言だけお尋ねさせていただきたいと思うわけでございます。  今ちょっと触れたわけですが、実は昨年九月二十八日に岐阜県の美濃加茂市の約九割と、その隣に坂祝町という町があるわけですが、そこが残念ながらダム化してしまったわけでございます。私自身は個人的には、木曽川の上流に丸山ダムがございますから、その操作に若干のミスがあったのではないか、そのことで町があんなに大きくダム化してしまったのではないか、そのように考えておるわけでございます。  国土庁長官としまして、日本の国土を守って立派にしていくという立場でございますし、また全国にたくさんダムがございます。そういう意味で、これからこのようなことを二度と繰り返さないためにも、ダムの点検を国土庁としてもしていただきたいと思います。同時に建設省にも大きく指導していただきたい、そういう立場から、ちょっと一言、最初に決意をお尋ねさせていただいたわけでございます。
  183. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 大変不幸な災害でありまして、心からお悼みを申し上げます。  ただ、私これ発言するとちょっと大きくなりますから、建設省の方からやってもらいましょう。
  184. 志水茂明

    ○志水説明員 先生先ほどお尋ねの件につきましては、丸山ダムの洪水調節計画と申しますのは、常時満水位百七十九・八メートルから上、洪水時満水位標高百八十八・三メートルまでの容量二千十七万トンございますが、この容量を利用いたしまして、ダム地点におきます計画高水流量毎秒六千六百立方メートルを毎秒一千八百立方メートル調節をいたしまして、下流の水害を軽減しようというものでございます。  昭和五十八年九月の台風十号によります出水は、この丸山ダムにおきましては、計画の毎秒六千六百立方メートルを大幅に超えます八千二百立方メートルという流入量でございまして、その一つの山がありましてから二時間四十分ほどたちました後、再度二つ目の山、毎秒約七千九百立方メートルの流入がございました。このために丸山ダムにおきましては、一山目の八千二百立方メートル、この最大流入量に対しましては所定の洪水調節を実施したわけでございますが、引き続きます洪水の流入に対しましては、この洪水調節容量を大幅に上回ることが予想されましたために、規定によりまして流入量をそのまま放流する操作に移行したわけでございまして、結果的に十分な洪水調節効果を発揮することができなかったわけでございますが、当ダムの操作につきましては、こういった計画を上回るような出水に対応して定められております規定に基づきまして適正に行われたものである、このように考えております。     〔委員長退席、中村(茂)委員長代理着席〕
  185. 山下八洲夫

    山下(八)委員 大変先急いで、お尋ねしていない分をどんどんお答えなさっているようで大変不愉快であるわけです。私は今、国土庁長官にほんの決意のさわりだけをお尋ねして、そんなことは何もお尋ねしていないわけでございます。その辺について、お尋ねした分だけをお答えいただければ結構でございますので、まず御要望しておきたいと思います。  私が申し上げたいのはそういうことじゃなくて、ダムというものは少なくとも、ここの場合多目的ダムでございますから、一つは電力、一つはやはり水害その他、そういうものをなくするためにあるのだと思うわけです。それと、治水その他いろいろとあるわけでございますが、そういう中で現実にあのような大きな災害が起きたことは事実であるわけです。そういう中で、当時の天気予報を詳しく申し上げると時間がなくなりますから申し上げませんが、岐阜地方気象台発表でいきますと、二十七日の十時五十分には大雨洪水注意報が出ているわけです。そして、二十時四十分には大雨情報が出ているわけです。二十八日の十一時二十分に大雨洪水警報が出ているわけです。そして、二十八日の十六時三十分に台風情報が出ているわけです。二十八日の十八時四十五分に大雨情報。そして、二つ目の山が来ましたというところは二十八日の二十二時三十分ごろ、この付近であるわけでございます。このとき洪水警報が来ているわけです。やはりダム管理をしておりますと、天気予報というものは常に刻々と入り、その状況を見ながらダム管理をされているというわけでございます。  そういう中で私が申し上げたいのは、特に二十七日の十二時ごろから随時見ていただくとわかると思うわけでございますが、まず二千五百立方になるまでは、これは二十八日の三時四十分ごろ二千五百立方になり、建設省の方に移っているわけでございますね。その前は、少なくとも関西電力の方で管理をなさっているわけです。だが、この間の時間というのは長い時間があるわけです。今申し上げましたこの天気予報をしっかり見ているだけでも、もうちょっと慎重に流入量に対する放流量を的確にやっていれば、このような大きな山を抑えることができたと思うわけです。その前段として、建設省はまず関西電力に対してどのようなダムに対する指導をしたのか、その辺をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  186. 志水茂明

    ○志水説明員 岐阜地方気象台からいろいろ情報、注意報、警報、その他情報が出されております。私どもにおきましてもこういった情報は十分受け入れ、また私どもの雨量観測所等もございまして、あるいは上流の各地点の流量、こういったものも押さえております。先生承知のように、流入量が毎秒二千五百立方メートルになるまでは関西電力が管理をいたすことになっておりまして、通常利水だけの専用のダムにおきましては、河川法の第四十四条でございますが、これで、洪水時におきます従前の河川の機能が減殺される場合には、これを防ぐようにあらかじめ予備放流などを行わせるような措置をとることがございます。ただこの場合には、そのような容量を最初から計画として持っておるわけでございまして、それと丸山ダムは御承知のように、発電とともに洪水調節も持っておるわけでございまして、一つの多目的ダムでございます。このような洪水調節の機能を持っておりますダムにおきましては、こういった従前の機能の減殺ということがございませんので、これは四十四条に基づくような予備放流をやるということにはなっておりません。  いずれにいたしましても、多目的ダムと申しますものはそれぞれの参加しておるもの、丸山ダムにおきましては洪水調節と発電でございますが、これらがそれぞれの得るべき効用に応じましてそれぞれ適正な費用負担をし、つくっておるダムでございます。したがいまして、洪水調節の容量と発電に使います容量は明瞭に区別をされておりまして、公式的にはその容量の中で自由に運用することができるわけでございます。  今回の場合洪水注意報が発令されました時点、この時点で丸山ダムヘの流入量が計画の規模を上回るような流入量になるかどうかということはとても予想できる話ではございませんし、それに、特にこの丸山ダムの最大のピークといいますか、これを支配するのは大体三時間程度の降雨量によって支配されるわけでございます。したがって、相当以前からこれが計画規模を上回るような流入量になるということはとても想定できないわけで、そのような段階でこの予備放流をやるといったようなことまでは考えていないわけでございます。
  187. 山下八洲夫

    山下(八)委員 河川法の五十二条では「河川管理者は、洪水による災害が発生し、又は発生するおそれが大きいと認められる場合において、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するため緊急の必要があると認められるときは、ダムを設置する者に対し、当該ダムの操作について、その水系に係る河川の状況を総合的に考慮して、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置をとるべきことを指示することができる。」とあるのですよ。ところが、木曽川の上流工事事務所は、この条文は丸山ダムには適用されないと、そして指導しないわけです。今答弁されたのと全く同じですよ、私から見れば。ただ、やはりこの河川法の五十二条からいけば、当然電力会社にも指示すべきだし、指導すべきだと私は思うわけでございます。特に、これだけいろいろな気象台発表の予報が出ているわけですね。  まず最初に出ましたのは、先ほど言いましたけれども、九月二十七日の十時五十分に大雨洪水注意報が出ているわけです、これはおたくからもらった資料でございますけれども。その後大体十二時ごろ、二十七日の貯水位を見ますと、貯水位が百七十五・九三で、流入量が三百三、そして放流量が二百七十六となっておるわけですね。放流量より流入量は上回っているのです。これは少なくともためていることですね。これが十二時、十三時ずっと、要するに二十八日の三時四十分まではためたわけなんです。この間一日以上あるわけですね。この間ためて二千五百まで持ってきて、その間に二千五百になったから建設省に移しているわけですよ。これだけ刻々と天気予報の情報が入り、やっているわけですから、当然五十二条を適用して指導して、水位をもう少し下げていくという努力があれば、二つ目の山場というのはあんなに来ないというのが現地の考え方でもあるわけなんですよ。  その辺についてもう一度、まず前段の三時四十分までの範囲の、なぜ流入量を放流量より刻々とふやしていって、一時間前にどんどんふやしていってためたのか、その辺について御答弁をいただきたいと思います。
  188. 志水茂明

    ○志水説明員 先生御指摘のとおり、河川法第五十二条で、緊急の必要があると認められますときには必要な措置をとることを指示することができます。しかしながらこの規定と申しますのは、あくまで緊急事態に対処するための措置でございまして、局地的な集中豪雨がどこにいつどの程度の雨が降るかといったようなことは、なかなか予測できない状態でございます。確かに気象台等のそういう情報はございますが、先ほど申し上げましたように、丸山ダムの流入量のピークを支配します量と申しますのは、大体上流に降ります三時間程度の降雨量、これも上流に雨量観測所は二十カ所ほどございますが、これを流域平均雨量という形に直しまして推定をいたしますので、これらの状況から見ますと、なかなかそういう、いつ実際に緊急事態になるかどうかということが予想できないし、また、予備放流が逆に洪水を引き起こすような問題も出てまいりますので、その発動につきましては慎重に考えていかなければならないだろう、このように思っております。
  189. 山下八洲夫

    山下(八)委員 緊急時でわからなかったというようなお答えであるわけでございますが、そうでなくて、私は、これ、二十八日にこのような大災害が起きまして二十九日の朝駆けつけておりますし、同時に三月九日の日には社会党の参議院の村田秀三先生を団長に、ここに見えます理事田中先生等も現地を視察していただいているわけでございます。特に、私はこの丸山ダムから百キロくらい離れたところに住んでいるわけでございますけれども、二十七日の台風十号によります天気というのはテレビもしょっちゅう放送していたわけでございますよ。私は生々しく記憶をしているわけですが、この日は蒲郡に泊まる予定で蒲郡に行っていまして、余りのひどさに自宅へ帰ってきた日が二十七日であるわけです。  そうしますと、このダムを管理して、いつも天気あるいはその状況とにらめっこをしていらっしゃる方が、これは突然起きたことだといって、そのような詭弁で判断されたのでは、何のために三十七カ所もテレメーターを設置してダム管理に取り組んでいるのか、さっぱりわからないわけですよ。その辺についてちょっと御答弁いただきたいと思います。
  190. 志水茂明

    ○志水説明員 先ほどから申し上げておりますように、丸山ダムの、これが異常な事態になるかどうかということの判断につきましては、私どもの記録では、大体二十八日の十八時ごろには、これがかなり計画の規模を上回るような出水になるんではないかと予想をいたしました。ただ、その時点では、既に流入量が四千五百を超えるようなことになっておりまして、この時点で予備放流云々というわけにはちょっといかないわけでございます。
  191. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そこが私の考え方と相入れない部分であるわけでございますが、私が先ほどからずっと申し上げておりますのは、二十八日の三時四十分から以降の問題ではなく、三時四十分以前の問題についていろいろとお尋ねしているわけです。と申しますのは、ダムを管理しながら本当にすべて安全の面も見ていきますと、あの天気の環境からいきますと予備放流をしていくのが当然であり、またそれを建設省が関西電力へ指導すべきだと思うわけでございますよ。それが指導ができないということにはならないと思うわけですね。  先ほどちょっと触れましたように、五十二条につきましても、そういうことで指示ができるとはっきりと明記されているわけですから、あのような危険な状況のときには、今度はいかに住民を守るか、あるいは災害を小さくするかという努力が必要だと思うわけでございます。ただ、建設省におきましては、大体三時四十分を過ぎてから二千五百を過ぎてから一生懸命その方向で取り組んだという答弁をされているわけですけれども、なぜ三時四十分以前にもう少しそのような態勢がとれなかったのか、その辺をお尋ねしたいわけでございます。
  192. 志水茂明

    ○志水説明員 先ほどから申し上げておりますように、五十二条の指示といいますものはそういう緊急事態に対応するものでございますから、十五時四十分以前の段階におきましてこれが緊急事態になるかどうかということは明瞭でなく、これは基本的には異常事態にならなければ現在の計画でおさまるわけでございますから、五十二条の発動につきましてはやはり慎重に考える必要があるだろうと考えております。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、丸山ダムの洪水調節のための容量と発電のための容量というものが明確に区分されておるわけでございまして、原則としてはその発電の容量内では発電が自由に使ってもいい。とはいうものの、この九月の出水におきましては、丸山ダムヘの流入量が毎秒二千五百立方メートルに達しましたとき関西電力から建設省に管理が引き継がれるわけでございますが、このときには常時満水位から約一・四メートル下の水位、容量では約二百九十万立方メートルを上回る空容量をもって引き継がれたわけでございます。したがいまして、関西電力の予備警戒時といいますか十五時四十分以前、若干の水位上昇が行われておりますが、この時点ではそれほど問題になるものではなかった、このように考えております。
  193. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この点につきましては、もう時間がなくなりますからやめたいと思います。  それでは、ダムの流入量が二千五百立方になってからのダムの管理所のダム操作について、果たして本当に誤りがなかったのか、その辺もひとつお尋ねしておきたいと思うわけです。  ダムの管理所の操作要領には、次のようなことが定めてあるわけでございます。「流量が増加して毎秒二千五百立方米に達し、なお増大するおそれのあるときは、可能な限り水位を当該流量に達した時の水位以下に保持するよう、漸時門扉を開きつゝ放流するものとする。」というふうになっております。ところが、二千五百立方に達した午後三時四十分以降、午後六時の四千八百立方、計画放流量ですが、ここになるまで、流入量が放流量を上回って、水位がぐんぐん上がってきているわけです、この資料を見ましても。その点につきましてちょっとお尋ねしたいと思います。
  194. 志水茂明

    ○志水説明員 丸山ダムの操作要領の第十一条に、今おっしゃられた項が記入されておるわけでございますが、この十一条というのは、流入量が毎秒二千五百立方メートルから四千八百立方メートルになるまでの間におきまして、先生がおっしゃいましたように最初の間は二千五百立方メートルに達したときの水位を可能な限り上げないようにする、それからこれが不可能になりました場合には、ゲートを全開して流入量に等しい放流に努めることを規定したものでございます。  実際には、流入量が非常に急激に増加するような場合には、流入量を超える放流は極力避けるということで幾分水位の上昇はやむを得ないものと考えております。ただ、物理的にも、丸山ダムでは五つの水門がございますが、この水門を上げていくための時間が必要でございます。一連の操作を行いますのに約十分かかります。したがって、放流量を決定するに当たりましては、流入量がわかっております時点から実際の操作ができますのは十分後、ゲートが上がり切るまでに十分かかりますから十分おくれの形になってまいりまして、その間の若干の貯留はやむを得ないと考えております。これが流入量の波形が急激であればあるほど、ここの差が大きくなってまいります。
  195. 山下八洲夫

    山下(八)委員 仮にゲートを解除するために十分かかったとしましても、その間約二時間あるわけでございますね。この二時間の間は全開をして、自然溢流をさせておけばいいわけでございます。それが、このゲートの開度表を見ましても、全開されていないわけですね。ですからそういう点では、あくまでも一生懸命ダムの中へためようなめようとして、そして二つ目の山が来たときに完全にダムが耐え切れない状況――ある面では操作の、完全な間違いとは言いませんけれども、ミスも含めて、このような状況が生まれてきたのじゃないか、そう思えてならないわけでございます。その辺についてお願いします。
  196. 志水茂明

    ○志水説明員 全開をされていないというお話でございますが、これは私どもから御提出いたしましたゲートの開度表でございますが、なるほどゲートの天端は十五メーターでございまして、この資料で見る限りは全開になっておりません。しかし、実際には貯水池でゲートの間際に近づいできますと水位がぎゅっと低下いたします。したがって、十八時から十八時二十分ぐらいの間に全開と同じ形になっておりまして、貯留ということにはなっておりません。
  197. 山下八洲夫

    山下(八)委員 十五時四十分で大体三メーター五十六、平均でいきますとあいているのですよ。そして十六時、大体五メーター十ですよ。十七時、七メーター九十六あいているのですよ。これは先ほどの流入量からいきますと、もっと速やかに一この間が一番大事だったと思うわけです。二つ目の山が来る来ないは予想できないといたしましても、一つ目の山を支えるためにはこの付近の二時間というのは一番重要なときだと思うわけです。ただいま、開度に約十分時間がかかるとおっしゃったですから十分を引いても、たとえ三十分引いても、あと一時間半ぐらいを本当に全開して最大限放流しておくと、このような大きな災害にならなくて済んだのではないか、私はそのように考えているわけです。そういう点で、この開度についてもある程度の操作の誤り的なものがあったのではないか、そう思えてならないわけです。
  198. 志水茂明

    ○志水説明員 先生御指摘のとおり、その時間は非常に重要な時期でございます。しかもまた、ここの流入量のふえ方というのは非常に急激でございまして、先ほど十分と申し上げましたのは、放流の水流によります振動等による悪影響を防ぐために、全五門を少しずつバランスをとりながらあけていきますので、十分で所定のものが全部上がるのではなくて、順次連続的に十分、十分、十分というように少しずつあけていくわけでございます。そういたしますので、ここではゲートを上げるということで精いっぱいの努力をしておるわけでございますが、流入量のふえ方が非常に急だったために、ここはやむなくそういう形になったわけでございます。
  199. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう時間もなくなってきましたので、最後に三点ばかり申し上げておきたいと思うわけです。  私は、結論的に申し上げますと、洪水調節が十分可能であったにもかかわらず、ダムの操作における管理義務違反のもとで起きた災害であると申し上げたいわけでございます。今若干議論もさせていただいたわけでございますが、まず三時四十分以前の問題を見てみましても、あのような状況下でなぜ流入量より放流量を上回った指導をしなかったのか、その辺が一つどうしても納得できないわけです。それをすれば、一つ目の山も最大流入量八千二百十七立方、こんな高い山にもならなかったというふうに思うわけです。もっと低く抑えることができたのではないか。一つ目の山を少しでも低く抑えられれば、二つ目の大きな災害になってきました流入量七千八百七十二の山もおのずと小さくなってきます。そうしますと最大放流量も、ピーク時が七千八百三十六というこんな大きな放流量にならなくて、もっと下げることができたと思うわけです。いずれにしても大変な大雨の災害でございますから、被害が全くなかった、そこまでは私は申し上げませんけれども、あの美濃加茂市の三分の二、また隣の坂祝町を大きく巻き込んでダム化するようなことを少しでも防ぐことができたのではないか、そのような考えがあるからでございます。  また同時に、私はなぜ三時四十分以前の問題をお尋ねしたかと申しますと、冒頭触れましたとおり、岐阜地方気象台発表の大雨洪水注意報を初め、当時いろいろな情報がどんどん流れていたわけでございます。それだけにダム管理者も、一生懸命取り組んでみえたと私は推測いたします。それと同時に、この丸山ダムに対しまして三十七カ所ものテレメーターの設置をしたら、例えばどの部分で一時間にどれぐらい雨量があったか、刻々とデータが入っていると思うわけでございます。それを総合判断しながら、早目に少しでも人災的にならないように努力して管理するのがこの操作ではないか、そのように考えるからであります。そういう意味ではこのテレメーター、それと同時に注意報の問題からも大きな疑念を持つわけです。  もう一つは、河川管理の責任を持つ建設省、あるいはまたここは直接的には関係ありません県は、ダムの操作の指示命令の具体的内容として予備放流、それから貯留制限あるいは洪水調節があるにもかかわらず、洪水を調節、防除する責任を十分に果たさなかったのではないか。といいますのは、今申し上げましたようなことが考えられますから、私はそのようなことを申し上げるわけでございますが、そういう見地から今回のは、私は人的災害とは申し上げませんけれども、堰堤のゲートの開度の問題を中心としまして、ダムの操作にある程度のミスがあったのではないか、そう思えてならないわけです。そのことを最後に申し上げまして、私の質問時間は終わったようでございますから、その答弁を含めてお聞きして終わりたいと思います。
  200. 志水茂明

    ○志水説明員 再三申し上げておりますとおり、十五時四十分以前の問題といたしましては、なかなかこういう計画規模を上回るような出水というものはまだ予測される以前でございまして、通常の貯留圏の範囲内である程度貯留されることについてはやむを得ないと考えております。ですが、今後こういった洪水予測技術の向上には大いに努めまして、こういう緊急時に対しますダム操作には万全を期すように努めていきたいと考えております。  なおまた、この丸山ダムの現在の洪水調節容量は、二千四百九平方キロに対しまして二千十七万立方メートルと非常に小さいわけでございまして、非常に不完全でございます。したがって、現在私どもでは五十五年度から、この容量を約三・五倍の七千二百万立方メートルにふやすような丸山ダム再開発事業というものの実施計画調査を行っておりまして、下流の改修の促進とあわせまして、こういったものを積極的に進めていきたいと考えております。
  201. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どうもありがとうございました。
  202. 中村茂

    ○中村(茂)委員長代理 次に、森本晃司君。
  203. 森本晃司

    ○森本委員 私の選挙区でございます奈良県では、五十七年八月一日から三日にかけまして、台風十号、そして台風九号崩れの低気圧による大変な豪雨がございました。そのために山崩れがあったり、また大洪水が多く発生したわけでございまして、私もこのとき救済活動にその中を駆けめぐりまして、いまだにその生々しい記憶を持っておるものでございます。  特に奈良県におきましては、西吉野村に日本の三大地崩れの一つであると言われるほどの大きな地崩れがございましたし、また大和川水系で長谷川が決壊した。それから大和川の同じ水系で邑地町、三郷町一帯が水浸しになったということがございました。私は、その後、関係省庁皆さん方に大変いろいろと御尽力いただきまして、西吉野村の山崩れも、工事が相当順調に進んできておりまして完成のめどがつき始めているということ、それから田原本町の水害も非常に御尽力いただいて順調に進んでおりますことに対しまして、非常に感謝申し上げる次第でございますが、どうか最後の工事完成に至るまで手を緩めずに、さらなる安全を期して御尽力をお願いしたいと思うわけでございます。  本日は、その激甚地の指定を受けた中でも、大和川上流激甚災害対策の問題について特に御質問をさせていただきたいと思っておるわけでございます。  この災害が発生してから、五十七年度から六十一年度までの五カ年でその大和川と葛下川を改修するという工事計画が立てられました。大和川は千五百三十メーターを三十六億円、葛下川は千二百七十メーターを七十一億円、合計しますと二千八百メーターを百七億円、こういう費用をかけて今改修に当たっていただいておるわけでございますが、この計画ができましてから二年たっております。五十七年、五十八年の二年間でこの計画がどの程度進んでいったのか、この点をまずお尋ね申し上げたいと思います。
  204. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  先生がただいまおっしゃいましたように、全体は百七億六千万円で事業を行っております。五十七年、五十八年と二カ年をかけまして、事業費で全体の二一%に当たります二十三億一千万円を五十八年度までに使っております。やりましたことは、まず本川側の工事につきましては、右岸部の用地買収を行いました。その買いましたところともともと川原でありますところを含めまして、川底の掘削と一部護岸工事をいたしました。また、支川の葛下川につきましても、堤防の用地が必要でございますので、この用地買収をやらせていただいております。
  205. 森本晃司

    ○森本委員 二一%というのは、五カ年計画の中で順調なのかどうなのか。その進捗状況はいかがでございますか。
  206. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  五カ年で単純に二年分というと、いわゆるパー割り計算をすれば四割くらい進んでいなければいけない、こういうことになるわけでございますが、御存じのように激特事業と申します制度は、その年に災害が起こりましてその後全体計画を決めまして、その災害が起こりました年のうちに採択を決めるわけでございまして、それを五年のうちの一年度目にカウントしているわけでございます。ですから五十七年も、実際に災害が起こりましてから全体計画を決めまして、事業採択が決まりましたのは十二月ごろでございますので、五十七年度というのは実際には年が明けまして三カ月しかないわけでございます。それを考えますと、二カ年終わりまして二一%は、ほぼ平均的な進捗率ではないかと私どもは考えております。
  207. 森本晃司

    ○森本委員 済みませんが、もう一度お願いいたします。  今御報告を聞きますと、順調に進んでいるということでございますが、計画は五カ年でございます。地元民は、果たしてこのまま五年で仕上がることができるのか心配しておりますが、五年というめどででき上がる確信がございますかどうか、その辺よろしくお願いします。
  208. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 五カ年でできるかできないかは、一つは予算づけの問題があると思いますが、もう一つは、地元の御協力で相当な分の用地買収をさせていただかなければいけない、それがうまくいくかどうかということがあるかと思います。  おかげさまで本地区につきましては、大変地元両町の御協力をいただきまして、今のところ用地買収は大体私どもが考えておりますとおりに進めさせていただいておりますし、五十九年度にもそれ相当の予算を用意してございますので、ただいまのところ五カ年度で大体完成を見るのではないか、そういう推定を立てております。
  209. 森本晃司

    ○森本委員 余りにも被害が大きかっただけに、ぜひ五年内におさめていただくよう工事の無事を祈りますとともに、関係者の皆さんの御尽力をお願いしたいわけでございます。地元の方もやはり、一日も早い改修を願いまして一生懸命用地買収等々に全力を挙げておるようでございまして、どうかよろしくお願いしたいと思います。  ところで葛下川の方でございますが、去る三月二十四日にある程度の用地買収、葛下川の改修に必要な分を終えたようでございますが、先日現場へ行ってみましても、いまだにブルドーザーがその中に入っておりませんし、ブルドーザーの進入路すらまだめどが立っていないのではないかと思うわけです。いよいよ雨季を迎える時期になってまいりまして、地元民は一生懸命用地買収に協力したけれども、建設のつち音が全然聞こえない、この辺は一体どうなっているのですかという声を私は聞いてきたわけでございます。  いつから葛下川の工事にブルドーザーを入れてかかっていただけるのか。ことしの雨季には、必ずしも前回のような雨量がないとは言えませんし、そういったときに、今工事中だから、今改修中だから、今回やむを得ずまた水害に遭ってしまったということは言えないと思うのですが、その辺は、いつから葛下川の工事にかかるのか。本川の方は目に見えて工事が行われておりますので、その点はわかるわけでございますが、葛下川の方をひとつよろしくお願いします。
  210. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 先生もおっしゃいましたように、この工事は、本川の部分と葛下川の部分と二つに分かれておるわけでございます。  五十七年八月の災害をいろいろ考えてみますに、水があふれましたのは、確かに葛下川の堤防が低かったためにあふれたわけでございますが、これは大和川、本川の水位が非常に高くなりまして、いわゆる背水、バックウォーターと申しますが、本川の高い水位の影響が葛下川に及びましてあふれた、こういう水理現象かと考えておるわけでございます。  したがいまして、もちろん手のつけられるところからどんどんやるべきでございますが、私どもとしては、まず本川の川底を掘りまして、もう一度水が出ましても、今度は少しでも本川の水位が低くなるようにということをおもんぱかりまして、御指摘のように五十八年度はもっぱら大和川、本川の掘削を行ったわけでございます。これは、大体八万立方メートル以上のものを掘ってございますので、今度同じような水が出ましても、これで幾分か葛下川の方にも水位が下がるいい影響が出てくるのではないかと思っているわけでございます。  葛下川そのものの方でございますが、先生もおっしゃいましたように、年度末ぎりぎりに用地を一部片づけていただいたようでございますが、出水期に向かいまして、買いました土地にかかわります築堤はできるだけやろうと思っております。全長に対しますと、まだ三百数十メートルぐらいな堤防ができるかできないかということでございますが、おっしゃいますように少しでも夏の出水に役に立てるべきだと思っておりますので、精いっぱいやらしていただこうと考えております。  なお、樋門等につきましても、できるものにつきましては一生懸命やっておりますので、それぞれお役に立つかと考えておるわけでございます。
  211. 森本晃司

    ○森本委員 用地買収の終わった地域から、できるところから一日も早く皆さんが安心できるように、工事に入っていただきたいということをお願いするわけでございます。  次に、本川のところにかかっておる国鉄関西線の第三大和川橋梁について、お尋ねしたいわけでございます。  先日も私、その現場へ行きました。河積の幅を拡大するということで周りが掘られ、そして堤防が築かれていっているわけでございますが、あの鉄橋が、今の状況で今度出水があった場合にもつのかどうか。大変大きな鉄橋でございますし、上は汽車が走るわけでございますので、この鉄橋については国鉄とのいろいろな関係もございますが、どのように考えておられるか、お考えを伺いたいと思います。
  212. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  おととし激特事業の計画を立てました段階で、申し上げましたように本川部分の川底を大分掘りますので、当然御指摘の第三橋梁につきましてはこの激特事業の中に含めまして、ピアといいますか橋脚を補強する必要がある、こういう考えで考えの中に入れてございます。ただ、これは当然国鉄と協議が必要なわけでございまして、橋脚だけを補強するよりは川の中心に当たります部分の橋げたもかけかえた方がいいのではないかというような国鉄の方のお考えもございまして、ただいま国鉄の方と私の方とで協議をしております。いずれにしましても、十分な手当てをいたしませんといけないと考えておりますので、両者の協議が調い次第橋梁につきましても着工さしていただこう、そういうふうに考えております。
  213. 森本晃司

    ○森本委員 あの鉄橋、素人目で見ても、ただ単に補強だけではまた第二、第三の事故を招きかねないというふうにも思いますので、よく国鉄と折衝しながら、先ほどお答えいただきましたようにでき得ればつけかえていただくことが一番理想的ではないだろうか、素人目でそう思う次第でございます。  次に、現在の大和川流域は非常に急激な開発と都市化が進みまして、またそのことによって非常に資産の増大が著しく、今のままの延長線上で果たしてとうとい命を守れるのか、財産を守れるのかということが大変心配でございます。五十一年に大和川工事実施基本計画の改定を行っていただいたようでございますが、五十七年八月の未曾有の豪雨を目の当たりにいたしましたとき、さらに安全度の高い基本計画に変えなければならないのではないだろうかと思うわけでございますが、その点は五十一年度の計画のままで今進んでいっているものなのか、あるいはそれで十分対応できるという考え方なのか、お尋ねしたいと思うのです。
  214. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のように、大和川水系につきましては昭和五十一年に工事実施基本計画の改定を行っておりまして、それが現在私どものやります河川工事のいわば基本になっておるわけでございます。ただこれは、雨量を考えましても流量を考えましても相当大きな安全率のもの、いわば日本国じゅうの一級河川で大阪まで含めますと流域の資産が非常に大きい川でございますので、利根川とか淀川と並べまして一番安全率の高い、俗に超過確率という言い方をしておりますが、その言い方で言いまして二百分の一程度に、俗に言いますと二百年に一回起こるかもしれない、このくらいの洪水を対象にその工事実施基本計画では流量を定めておるわけでございます。  それに対しまして、おととし降りました雨、それからこれによります出水を眺めてみますと、ちょうど奈良県側について見ますと、王寺のところに基準量水標がついてございます。私ども計画上立てました工事実施基本計画では、この王寺の地区で毎秒三千四百立方メートルぐらいの洪水に安全な河道にいずれしなければいけないと考えておるわけでございますが、おととし出ました水の実績はそれに対しまして毎秒千七百トンから千八百トンぐらいじゃないか、まだ計画よりは小さいわけでございます。今回激特事業ということでやります事業の規模も、大体おととしの出水に対してとりあえず対応するようなということでやっておるわけでございまして、先生よく御存じのように当河川には亀の瀬という狭窄部がございまして、ここの処理をいずれやらなければならないわけでございますが、それがどうできるできないで大きく動いてくるわけでございますが、今回の出水を見てみまして、さしあたり工事実施基本計画の計画規模ないしは安全度を変える必要はないのではないかと考えておるわけでございます。
  215. 森本晃司

    ○森本委員 今お話の中でも出てまいりましたが、大和川改修の最大の課題は、奈良盆地並びに大阪の人たちを水害から守ることの今最大のアキレス腱になっているのは亀の瀬の地すべりではないだろうか、このように思われるわけでございます。亀の瀬の地すべりは明治の時代からずっと続いてきておりまして、いろいろと研究し、ありとあらゆる手を使い工法を使いやっていただいて現在に至っているわけでございますが、いまだ決定打がないというところでございます。もう一つ奈良県側から見ますと、あの亀の瀬の地すべりがあるがゆえに川幅を広げることができない、そのために逆に奈良盆地を遊水地域にして、そこから大阪を守ろうとしているのではないだろうかというふうな考え方も中にはされるわけでございます。  この亀の瀬の地すべり、現在どういうところまで行っているのか。それから、この地すべりが今とまっているように伺っていますけれども、この地域の狭窄部のところを拡幅する計画はあるのかどうか、その辺がこれからの大和川の大事なポイントになってまいると思いますので、お尋ねいたします。
  216. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいま先生のおっしゃいました亀の瀬地すべり地域は、先ほどのお話の中にもございましたように、鉄道あるいは道路、人家への影響等も非常に大きいものでございまして、全国的にも有数な地すべり地域でございます。こういった観点から、昭和三十七年から直轄の事業といたしまして毎年相当の工事を行ってきたところでございます。現在のところ、これらの地すべり対策工の効果によりまして、地すべりの動きは小康状態を保っておるわけでございますが、今後も引き続き地すべりの安定を図るために、対策工事の促進を図ってまいりたいと考えております。なお、五十九年度は約十三億四千万円で排水トンネル工事、それから深礎工事等の工事を実施する予定にいたしております。
  217. 森本晃司

    ○森本委員 いろいろと地すべりの手を打っていただいておりますが、あの地域、あの川の部分拡幅する計画はあるかどうかという点について、地すべりの程度にもよってくると思いますが、お願いします。
  218. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 先ほど先生も御指摘ございました、五十一年に改定をいたしました河川工事実施基本計画で決めましたとおりの流量を安全に流下させますためには、いつの時期にか亀の瀬を開削しないとそのとおりの安全率が確保できないわけでございます。しかし、今保全課長が御説明をいたしましたように、とにかく今動いていたものを何とかとめた、これが完全にとまる、それがまず一番大事なことでございまして、さらにそういう危険なところを開削するのは慎重にかからなければいけないことだと思っております。また、技術的に解決しなければいけない問題も非常に多いのではないかと思っております。ただ、当然に永久に不可能ということではございませんので、いつの時期にかということで、私ども今いろいろ技術的に検討しておる段階かと考えております。     〔中村(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  219. 森本晃司

    ○森本委員 大和川の改修については今非常に県民が関心を持っておりますので、今後総力を挙げてお願いしたいと要望するものでございます。  最後に、農作物の被害状況について伺う予定でございましたが、時間が参りましたので要望だけさせていただいて、終えさせていただきます。  この間の五九豪雪では、農作物の被害が三百六十四億あったということでございますが、私は、そういった被害者の方々の声を聞いてまいりますと、特に農作物で特産品等々をつくっておる人は、余り被害状況を言いたくないという気持ちがたくさんございます。これは、天災融資法を受けるとかそういうことを申し上げますと、その特産品の品質のイメージダウンになってしまったり、あるいは買いたたきが行われるのではないかという心配で、できるだけそういった問題については黙っていらっしゃるわけでございます。しかし、こういった人たちは今大変な状況にありますので、こういった人たちの気持ちを酌んできめ細かな施策を行政面がやっていかなければならない。今後ともそういった農家の人たちが経営を安心して維持できるよう、融資の面等々御尽力いただきたいことをお願いいたしまして、質問を終えます。ありがとうございました。
  220. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、山原健二郎君。
  221. 山原健二郎

    ○山原委員 十二年前に起こりました高知市の比島山災害、十名の方が亡くなった集中豪雨による山崩れの被害でありますが、この裁判がありまして第一審が三月十九日に判決を出しております。これに対して去る四月三日に高知県、四月四日に高知市が高等裁判所に控訴いたしておるのでございます。この問題について、事前に建設省協議検討していると聞いているのでありますが、その際建設省としてはどのような対応をされたのか、最初に伺っておきます。
  222. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいまのお尋ねでございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように一審の判決が出たわけでございますが、高知県からは高知地方裁判所の判決に対する内容の説明を受けまして、国として急傾斜行政についての一般的な考えを申し述べまして、控訴に対する云々の話はそのときにはなかったわけでございます。
  223. 山原健二郎

    ○山原委員 私ども聞いておりますところでは、これは国からの強い指導があって、県、市は踏み切ったのではないかというふうに聞いておるわけでございますが、この問題は、第一審における争点を見てみますと、県が災害の危険性を予見できたかどうかということが問題になったわけです。この点について判決は、県が建設省の通知していた危険箇所の総点検の実施要領に基づいて調査に当たっていれば、比島山の災害危険性は予見できた、こういうふうに述べておりまして、極めて具体的事実で論証をいたしておるわけでございます。  実際は、県側の調査内容は独自の県の基準に基づいて行っておりまして、県の基準を見ますと危険度のランクがA、B、C、Dとなっておりますが、これは時間の関係で申し上げませんけれども、これは災害復旧のためには参考となるかもしれませんが、しかし今後の災害発生の予知については、このランクでは判断を誤らせる基準であったと私どもは考えております。また、そのことを裁判所は指摘をしております。  建設省は、この事件が起こりますまでに四回にわたって総点検を実施しているわけですね。そして、昭和四十七年の通知とそれに伴う実施要領は、従来と比べまして極めて詳細に指示しています。また、県の担当官を呼びまして講習会までやっているわけですね。これによりますとランクはA、B、Cとなっておりまして、詳細であると同時に危険度の判定の基準も県のものとは違っております。例えば比島山の場合は、Aランクが九点以上、Bランクが六点から八点、Cランクが五点以下という建設省の基準によりますと、これで計算しますと十二点以上になるのです。最も危険なランクになるわけでございまして、判決は、県が国が通知した総点検をやっておればこの災害は防げた、こういうふうに指摘をいたしておるのでございますが、この点建設省はどういうふうにお考えになりますか。
  224. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいまの御指摘でございますが、昭和四十七年の点検につきましては、四十七年が全国的に集中豪雨、あるいは集中豪雨でがけ崩れ、土石流等の災害が非常に多発した年でございまして、そういった観点にかんがみまして事務次官通達をもって各都道府県知事に対しまして、危険箇所の総点検を実施するように指示したものでございます。調査実施に当たりましては、県の担当者に対しまして建設省調査要綱を説明いたしまして、調査の内容についての指導をしたところでございます。
  225. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう指導をして実際にそれに基づいて点検が行われたか、あるいはその結果についてチェックをするとかというふうな念の入ったことをやっておるのでしょうか。
  226. 成田久夫

    ○成田説明員 先ほども申しましたように、四十七年は非常に災害の多かった年でございまして、それに基づいた調査をやったわけでございますが、この調査の報告は、四十七年の十月末日までに建設省に報告されるようにその要綱で指示をいたしておりまして、それぞれの県では調査の内容を検討し、さらに建設省の方に報告されておりまして、建設省の方でもその調益の内容はチェックをいたしております。
  227. 山原健二郎

    ○山原委員 これまでの経過を申しますと、この年の七月五日に高知県の繁藤で大災害が発生をしております。これは第二次災害でありますけれども、原因は山崩れですね。六十名の方が亡くなっておるのです。そういうことが当時次々起こっておりますし、またその後においても問題の解決にはなっておりません。一昨年の長崎の山崩れ、そしてことしの山陰のあの大惨事というのを考えてみますと、建設省は通知を出したんだけれども、また実施要領を出したんだけれども、それに基づいて本当に綿密な点検が行われているかどうか、これは人命を守るという意味で極めて大事な教訓なんですね。それが本当に生かされておるかどうか、この点について一言伺っておきます。
  228. 成田久夫

    ○成田説明員 急傾斜地崩壊につきましては、現在のところ崩壊の機構そのものも非常に難しい面がございまして、まだ十分解明されていないところもあるわけでございます。しかしながら、先ほど御指摘のありました調査要綱の中に、地形の傾斜度あるいは斜面の形状、それから湧水の有無、そういったいろいろな要素を加味いたしまして、できるだけ客観的にそういうものが、危険度が判定できるような手法を考慮してやっておるわけでございます。  しかし、先ほどの御指摘の中にもありますように、昨年の島根県西部、それから一昨年の長崎県等々で依然として山崩れの災害が起こっておるわけでございますが、私どもとしましては、こういう調査を通じ、あるいは崩壊の機構をいろいろ学問的な検討もいたしまして、できるだけ崩壊の予測をするような方向で現在検討をいたしております。
  229. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一言聞きますが、建設省が通知を出し、しかも経験に基づいて実施要領を出しまして、それに基づいた点検を行政側が行っていない、これが判決の中に出て行政側が敗訴しているわけです。これは最近の例として、高知県においても繁藤裁判、愛宕山災害の裁判も全部行政側が敗訴なんです。住民側が勝訴しているのです。全部控訴するのですね。今度は今のお話では、建設省としては控訴しなさいという指導はしていないということをおっしゃったわけですが、そうしますとこれは県が独自でやったのですか。
  230. 成田久夫

    ○成田説明員 先ほども申し上げたとおりでございますが、裁判の当事者であります高知県が第一審の判決の内容を判断して控訴をされたわけでございまして、建設省としては控訴についての意見は特に申し上げておりません。
  231. 山原健二郎

    ○山原委員 それもおかしいじゃないですか。建設省がさまざまな経験に基づいて、本当に国民の人命を守るという立場でこういう点検をしなさいと、実に綿密に出しておられますね。航空機で調べるとか、あるいはさまざまなことを書かれているのです。これをやっておればあのときの災害は起こらなかった、十名の人が死ななくてもよかったんだとおっしゃっているのが判決の中身です。建設省の通知あるいは実施要領に対して従わなかったのです。そのことが判決で問われておるときK裁判の結果が出ましたとき、控訴するのはやめなさいということをなぜ指導しないのですか。何で言うことを聞かなかったのですかと、なぜ言えないのですか。なぜ、控訴を取りやめなさいと指導できなかったのですか。国側が敗訴したら全部上告しているじゃないですか。これで住民が泣いているわけですよ。自民党政府とはそんな冷たいものかと言っているのですよ。私はそうではないと思う。本当に、建設省がわざわざ指導している、それに対して従わない。どんなことをやっているのか御承知ですか。  これは最近出ました新聞ですけれども、片岡さんというある地方新聞の記者の方が書いております。昨日の記事です。こう書いております。「高知市比島町の被災現場へ向かった。そこで目にしたものは膨大な土砂と原形をとどめない家屋。必死の救出作業。阿鼻叫喚。何から取材すべきか、新聞記者の私はただ戸惑うばかりだった。」これは十二年前のことです。「判決文を読むと、空恐ろしくなる。四十七年八月に行政側が行なった比島山の総点検は、住民無視も甚だしい。担当職員は山へも登らず、住民から事情も聴かず、山すその道路から見上げただけのものだった。時間雨量九十一ミリの豪雨は予測できなかったと、天災説を主張した行政側だが、判決では『高知市の防災計画では最大時間雨量百六ミリを想定しているではないか』とKOパンチを食った。これほど明快な判決でありながら、県・市は控訴に踏み切った。今なお予見不可能説にこだわり、原判決では作為義務の根拠と範囲が明確ではない、というのがその理由だ。さらに長期の法廷闘争を強いられる原告の苦しみは察して余りある。」こう書いております。  私は、痛烈な告発だと思うのですね。あのときに子供さん二人を亡くされた尭天さんという方がおいでになりますけれども、十二年間の裁判の中で、裁判のたびに子供を思い出して、これが耐えられなかった、十二年の判決が出たときにほっとしたのだ、それがまたこれから長引くのかと思うと、私はもう耐えがたい気持ちだということを訴えておられますし、また報道関係にも報道しておられるのです。  建設省が出された行政指導に従わないで行われた。山を下から見ただけなんです。建設省指導はそうではないでしょう。それに従わないこの総点検に対して、そこで事故が発生し、警告も出されなかった。人命は十名失われた。そのときは建設省として、なぜそんなことをするのですか、なぜもっとちゃんとした点検をしなかったのですか、判決の結果には少なくともこの事件は従うべきだという指導がなぜなされなかったのか。私は河川局長に電話しました。県側の弁護士さんも、  これはだめだということをおっしゃっているから、控訴することはおやめになったらどうですか、そういう意味での御指導をなさってはいかがですかということを申し上げたのでございますが、ついにこれらの住民の気持ちは聞かれず、四月の三日、四日に控訴に踏み切ったわけですが、私は納得いきません。  ここに建設大臣がお見えになりませんけれども、稻村国土庁長官がおいでになっているわけでございますが、直接裁判の問題とは関係ない長官ではありますけれども、私は、少なくとも、国土、国民の生命を守る立場にある国土庁としましても、本当にそういう温かい心が行政には必要ではないのかということを訴えたいのでございますが、まず建設省の御答弁をお伺いし、そして、稻村長官の御見解を承っておきたいのであります。
  232. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいまの問題でございますが、昭和四十七年の調査要綱に基づきまして、高知県の場合は高知市が危険箇所の点検をいたしておりまして、一部、先生の御指摘のように現地をやや遠くから点検をしたというようなところもございますが、それぞれの箇所によって事情が異なっておりますので、その点については十分点検がなし得たというように考えております。なお、点検の結果につきましては、建設省へ報告いたします十月末日のすぐ後に、高知市の公報に掲載いたしまして、危険箇所を地域住民に周知させている状況でございます。
  233. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 被害を受けられた方々に、本当に心から御同情申し上げなければならぬと思います。ただ問題は、当事者が高知県と高知市でありますから、建設省、ほかの省ですけれども、これに対してこうしろ、ああしろ、これはなかなか言えないのが本当だろうと私は思います。  ただし、災害から人命を守る、これは基本的なことでありまして、一昨年ですか、長崎あるいは山陰の災害でもとうとい人命が失われております。そういう意味から国土庁といたしましても、今後は治山治水等々の問題につきましても積極的に進めて、今後二度と再びそのようなことのないように努力しなければならぬというかたい決意でございます。
  234. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、長官言われましたが、被災者の長年の苦しみを本当に考慮して、判決内容を謙虚に受けとめるのが国のとるべき態度ではないか、行政側がメンツにこだわって何でもかんでも控訴していく、負ければ控訴するという古い体質は捨てるべきであるということの意味において、私はきょうこの問題を取り上げたわけでございますから、その点おわかりいただきたいと思います。  そして、現在こういう危険個所が全国で七万二千カ所あります。高知県の場合は三千六百三十三カ所、長崎県とともに一番多い県になっているわけでございます。急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を見ますと、昭和六十二年まで五年間に三千四百カ所整備するとなっておりますが、これは七万二千カ所のうちのわずか二十分の一にすぎません。昭和六十二年になりましてもまだ大分残るという事態、しかも、財政事情が厳しいということになりますと、これがまたさらにペースダウンするのではないかという心配もあるわけでございます。この急傾斜地崩壊対策事業は、先ほど言いましたように財産、生命を守る意味におきましても、最優先の課題として取り上げるべきものだと私は思うのでございますけれども、国土庁長官としましてペースダウンさせないという決意で臨まれるかどうか、伺っておきます。
  235. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほど委員会に入る前にも、どうだ予算のぐあいはと、課長と話をしておったのです。他の災害も土砂崩れ、いろいろな問題がありますけれども、急傾斜地における崩壊というのは一番大きいのだ、これは何としても国民の生命、財産を守るという意味からも完璧を期さなければならぬ、こういう話をその入り口でしておったわけです。  そんな意味で、当然課長としても不退転の決意で、予算等の問題にはよく頑張っておられたと私は思います。私も、国土の保全ということばかりよりか、災害を受け持つ担当の責任者として、必要なところには重点的に、いろいろな問題がございましょうが、予算等の問題については全力を挙げて確保する、こういう決意であります。
  236. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  237. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会