運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-07-31 第101回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十一日(火曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 坂井 弘一君    理事 石川 要三君 理事 近藤 元次君    理事 浜野  剛君 理事 竹内  猛君    理事 永井 孝信君 理事 木内 良明君    理事 玉置 一弥君       臼井日出男君    太田 誠一君       高村 正彦君    中西 啓介君       船田  元君    松永  光君       小川 国彦君    関山 信之君       松沢 俊昭君    草川 昭三君       草野  威君    伊藤 英成君       辻  第一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君  出席政府委員         警察庁交通局長 久本 禮一君         総務政務次官  堀内 光雄君         総務庁長官官房         長       門田 英郎君         総務庁長官官房         審議官     手塚 康夫君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       波多 秀夫君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省航空局長 西村 康雄君         建設省道路局長 田中淳七郎君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     井上 幸彦君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         運輸省地域交通         局次長     熊代  健君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      荘司 晄夫君         気象庁観測部管         理課長     山崎 道夫君         建設省国土地理         院測地部長   須田 教明君         自治省財政局調         整室長     横田 光雄君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       佐々木峻一君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      池田  本君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   内田 隆滋君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   萱場 英造君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   横山  章君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 松本  操君         特別委員会第一         調査室長    内野 林郎君     ――――――――――――― 委員の異動 七月三十一日  辞任         補欠選任   草野  威君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     草野  威君     ――――――――――――― 五月十一日  交通事故防止安全施設整備の促進及び身体障  害者等安全輸送に関する請願外四件(箕輪登  君紹介)(第四六三〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  交通事故防止対策の強化に関する陳情書  (第三一〇号) 七月三日  放置自転車問題に関する陳情書  (第四〇二号)  シートベルト着用法制化に関する陳情書  (第四〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件  シートベルト着用推進に関する件      ――――◇―――――
  2. 坂井弘一

    坂井委員長 これより会議を開きます。  この際、去る一日総務庁長官に就任されました後藤田正晴君及び総務政務次官に就任されました堀内光雄君から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。総務庁長官後藤田正晴君。
  3. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 このたび総務庁発足に伴いまして総務庁長官を拝命いたしました後藤田正晴でございます。  御案内のとおり、交通事故による死者の数は、関係機関及び国民各層の御努力により昭和四十六年以降年々減少を続けてまいりましたが、本格的な車社会の到来を背景として、交通事故死者の数は昭和五十五年から一転をして増勢に転じており、情勢はまことに憂慮すべきものがございます。交通事故増加傾向に歯どめをかけ、さらにその減少を図るためには、関係各省庁と一層緊密に連携しながら総合的な交通安全対策推進に努めてまいることが何よりも肝要であると私は考えておるわけでございますが、委員長を初め委員皆さん方の格別の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手
  4. 坂井弘一

  5. 堀内光雄

    堀内(光)政府委員 このたびの総務庁発足に伴いまして総務政務次官を拝命をいたしました堀内光雄でございます。  交通安全対策の重要なることを深く認識いたしまして、後藤田長官のもとで引き続き誠心誠意努力してまいる所存でございます。何とぞ委員長を初め委員の諸先生方の御指導、御鞭撻を心よりお願いを申し上げまして、ごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 坂井弘一

    坂井委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁松本操君、日本鉄道建設公団総裁内田隆滋君、理事萱場英造君及び理事横山章君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 坂井弘一

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。寺
  8. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、昭和五十八年度交通事故状況及び交通安全施策現況並びに昭和五十九年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について説明を聴取いたします。堀内総務政務次官
  9. 堀内光雄

    堀内(光)政府委員 「昭和五十八年度 交通事故状況及び交通安全施策現況」及び「昭和五十九年度において実施すべき交通安全施策に関する計画」について御説明をいたします。  この年次報告は、交通安全対策基本法第十三条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出することになっているものであります。  初めに、昭和五十八年における交通事故状況について御説明をいたします。  道路交通事故による死者数は九千五百二十人、負傷者数は約六十五万人、発生件数は約五十三万件であります。これを前年と比べますと、死者数で四・九%、負傷者数で四・六%、また発生件数では四・八%の増加となっております。  鉄軌道交通については、運転事故による死者数負傷者数は四百四十九人及び七百人で、いずれも前年に比べ減少いたしております。海上交通については、海難による死亡行方不明者は百八十九人で、前年に比べ減少しております。  航空交通につきましては、死者数は十九人、負傷者数は七十人で、前年に比べ減少いたしました。  道路交通事故は、昭和四十六年以降、自動車保有台数増加にもかかわらず、交通安全施設整備対応して着実な減少を続けてまいりましたが、昭和五十年代に入ると交通事故減少率は低下し、最近は増加傾向が顕著にあらわれております。このような状況のもとに、昭和五十八年度は、第三次の交通安全基本計画の第三年度としまして、このような傾向を抑止し、さらに減少に転じさせるため、交通安全施設整備交通安全教育救急救助体制整備等充実を初めとする交通安全対策を強力に推進いたしました。  このほか、踏切道整備、港湾、航路の整備航空保安施設整備等の諸施策推進いたしました。  次に、昭和五十九年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について御説明をいたします。  昭和五十九年度は、第三次交通安全基本計画の第四年度として、道路交通では、交通安全施設整備を初め、交通安全思想の高揚、運転者対策充実交通秩序の維持、被害者救済対策充実等施策を講じることにより、交通事故発生増加傾向に歯どめをかけるとともに、特に、死亡者防止には格段の意を注ぐことにいたしております。  また、鉄軌道海上及び航空交通においても引き続き所要の施策を講じ、交通安全を確保することといたしております。  以上をもちまして説明を終わります。
  10. 坂井弘一

    坂井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
  11. 石川要三

    石川委員 私は、四月の一般質問の際に、今日の交通モータリゼーション時代の中でどうやったら交通安全が確保できるか、こういう点についてお尋ねをいたしまして、その中で私の考え方をいろいろと申し上げましたが、特に、繰り返すようでありますけれども、今日のこのモータリゼーションという時代においては、車をとめて安全を確保するということも必要でありますが、それだけでは不十分ではないか。要するに、いかにしたら円滑に車を運行させ得るかということを私どもは当然考えていかないと、ドライバーの心理的ないらいら、そういうことが重なって結果的に交通事故を増発させるということになろう、私はこういうふうに思うわけであります。  したがって、ドライバー運転をしている間の心理的ないらいらを解除するという点をとらえてみた場合に、やはり道路状況のあり方というものを大きく取り上げてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  と申しますのは、例えば、高速道路などは別でありますが、一般的な、我々が日常生活に供する地方道、あるいは市道、町道村道というような面まで含めまして、そこをたくさんの車が走るわけでありますけれども、車の運行を滑らかにすることを考えた場合に、交通信号機が非常に多くなってきた、その多くなった交通信号機のためにかえって車が渋滞をする。その交通信号機のところで、特に前方に青信号が出て直進できる場合も、一台前の車が右折をしようとするときには、もう田舎の道ですとその一台のために直進ができない。で、いらいらしているうちに、やっと注意信号のときに右折する、あわててそこを多少赤になっても通過してしまうというようなケースもたまたまあります。それでも直進できる車というのはわずかの二、三台で終わってしまう、また赤になってしまう、そういうようなことが繰り返されまして、大変長い交通渋滞の列ができてしまうわけであります。  そういうことを考えた場合に、そこを少しでも通りがよくするためには、交通信号設置してあるところをさらに隅切りを大きくすることによって、右に曲がる車がありながらもその左側を安全に直進できるということであるならば、今るる申し上げたような交通渋滞というものは解決できるんじゃなかろうか、こういうふうに私は思うのです。  こういうことは案外小さい問題でありますけれども、実はなかなかこれはばかにできないことではないか。今日これだけ交通の激しい、車両の多い時代の中で、もちろん高速道路をつくることも必要であるし大きな道路にして交通渋滞を解決することも必要でありますが、それはなかなか言うべくして実現できるものではありません。予算的にも金額的にもそうでありますが、さて、大きい道路をつくる、あるいは道路を大きく拡幅する場合には、日常随時見られる傾向として、総論賛成各論反対である。広くなることはいいが、おれのところの前だけは困るとか、おれの家のところをひっかけられちゃ困るというようなことばかりでありまして、一つの道路をかなり満足な程度に整備するにも、お金だけではなくて非常に長い時間がかかるわけです。  片や年々歳々車増加する一方である、今何千万台あるか知りませんが、年々歳々ふえていると思うのですけれども、そういうようなことを考えますと、今るる私が前段申し上げましたようなことが決してばかにならない問題であるし、これを確実に着実に整備していくことが、その運行を円滑にして、ドライバーの心理的ないらいらを解除して、したがってその結果交通の安全が図られるという、そういうことはデータではなかなかそれを示すことができませんけれども、結果的にはかなり大きいものがあろう、私はこういうふうに思うのであります。  今日、私はたまたま高速道路をほとんど使って通っておりますが、高速道路といいながら、これも不思議なんですけれども高速道路という名前は俗称かどうか知りませんけれどもお金は確かに払っているのですが、ちっとも高速じゃないのですね。こんな毎日高速道路を走ってお金を取られるのはばかばかしいなと思って、この間、これは高速道路じゃないじゃないかと言ったら、その人は、いや、高速道路というのは俗称であって、本当は自動車専用道路なんだから高速でなくてもいいんだ、こういうふうに言われまして、なるほどなと思ったのですが、毎日通っている高速道路もそんなわけですから、まして下の道路がまたそのような状態ですと、本当にドライバーはこんないらいらすることはないのですね。そういうことで、この隅切りを多くとって、今のような問題を解決するのに真剣に取り組んでいただくことが必要ではないかと私は思います。  先般四月にその点を質問いたしましたら、担当者から、その必要性は認める、したがって今後の計画の中にも何カ所かそういうものが予定されておりますというようなことだけで答弁を終わってしまったわけでありまして、私としては、この際もう一度、しつこいようですが、これをモデルケース的にどこか一カ所とってみて、そして、全体に一年間に百カ所、二百カ所どこかでやるでしょうけれども、ぼちぼちやったのではどれだけ効果が出たんだかわからない。ですから、むしろ都道府県の中でどこかそういう顕著な道路を、地方道路を取り上げて、それを思い切って一本やってみる、そうすれば、なるほどこれは渋滞解決には非常に効果があったということが立証されるのじゃないか、そういうことによって、今後の道路整備について交通安全の観点から見て大きく政策的に考えられるべき問題があるのではないか、こういうふうに私は思うわけでありますので、その点、ただ今後の計画にはこういうものが載っております、必要でありますということではなくして、私の害わんとするところを酌んで、そういう考えにどういうふうな御見解を持たれるか、それをやる御意思があるかどうか、ぜひひとつその点をはっきりお答えをいただきたい、かように思います。
  12. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生指摘のとおり、大都市近郊部一般道路交通渋滞を解消するためには、抜本的な対策としましては、いわゆる都市環状道路あるいはバイパスを整備することによりまして通過交通地域内の一般道路に進入するのを防ぐことが必要であり、さらに既存道路につきましても、立体交差化あるいは御指摘右折車線設置等を含みます交差点改良、あるいは現道拡幅等施策を総合的に実施する必要があることは事実でございます。  それで、既設道路におきます右折車線設置を含みます交差点改良につきましては、公安委員会ともよく相談しながら、交通渋滞の解消だけではなく交通安全の点からも非常に有効であることから、交通安全施設等整備事業の一環としまして鋭意整備を進めているところでございます。  ちなみに、現行の第三次特定交通安全施設整備事業におきましても、昭和五十九年度、すなわち本年が第四年目の終了時期でございますが、五十九年度末では交差点改良につきましては一応計画の八〇%の進捗率が見込まれております。ちなみに、交通安全施設等整備事業五カ年計画の現在の進捗率は六九%でございますので、それに比べれば少しは高い値であるかと思います。もちろん今後とも力を入れていきたいと考えております。  お申し越しの何かモデル的なことをやれという点につきましては、ごもっともな意見と思いますし、公安委員会とも相談しまして何とか前向きに検討さしていただきたいと考えております。  以上でございます。
  13. 石川要三

    石川委員 ひとつ検討してやってみたいというお答えでございますから、私も期待をしたい、こういうふうに思います。  でき得れば、例えば国道、要するに出先機関があると思いますが、その出先機関に命じてどこかそういう点をとって、つかまえて、その道路をひとつ積極的にやってみていただきたい。そうすれば必ず、なるほどこの隅切りに対する改善をしただけでこういうふうに道路の流れがよくなったかということを国民が如実に理解できると私は思うんですね。ぜひそういうことをお願いしたい、かように思います。  次に、警察庁お願いしたいと思います。  暴走族が最近多くなったのか減ったのか私にはよくわかりませんが、現況は想像では恐らく減ってきているのじゃなかろうかとも思うんです。あるいはまた、それがグループが細分化されたとか、あるいは何か少し変わった形になってきているんじゃないかと思いますが、まず現況がどうであるか。もし仮に、グループが今まで大編成であったものが今度は小編成になったというような傾向が顕著であるならば、一体なぜそうなったんだろうかという背景も、どんなふうに御認識されているか。そしてまた、そのような状況に対して今後どのような対応をしていくおつもりであるか、その点をひとつ。
  14. 久本禮一

    久本政府委員 まず現況でございますが、昭和五十八年末現在で全国の暴走族の勢力は六百八グループ、約三万九千人と把握をいたしております。これは前年の同期に比べましてグループの数で百ばかり、人数で三千四百人ばかり減っておりますので、御指摘のとおり、若干横ばいないし減っているのではないかなという御感想は正しいところであると考えております。  ただ、この中で少年の占める割合が、前年に比べて横ばい含み減少ということではございますが大体全体の七五%ということでございまして、こういう実態は、暴走族が大きくふえることはございませんが、予備軍が絶えず暴走する、したがって、入れかわり立ちかわり出てくるということで、なかなか思うように大きく減らすということが最近では困難になっておるという状況でございます。  それで、御指摘のとおり、最近は暴走族がたくさん集まっていわゆる大規模蝟集事案を繰り返すことが比較的少なくなっておりますので、小さくなっているのではないかという御感想かと思いますが、まさにそのとおりでございまして、本年の一月から六月まで、上半期に暴走族がどのようにグループをなして暴走したかということを見てまいりますと、蝟集走行した回数で約一〇%、それから人員で二〇%弱、参加した車両台数で二〇%強、それぞれ減っております。  したがいまして、大規模暴走行為は数の上では確かに減っておりますけれども、その反面、御指摘のとおりグループが非常に小規模化いたしまして、そのせいか、なかなかグループを追跡することによって相手を究明できない、私どもがなかなか捕捉できないところで急に暴走を行うということで、ゲリラ化しておるということかと思います。  それと、こういった小グループでございますので、住宅地域の中に今度は入り込んでくる。したがって、数が余りふえてないという割合には、どうも最近暴走族がうるさいという声がなかなか減らない、場合によってはむしろふえるという傾向になりまして、その辺が最近の暴走族の特徴的な傾向かというふうに考えます。  したがいまして、以前は兵力を結集いたしまして待ち構えて対応するということでかなり有効な捕捉ができたわけでございますが、最近は少数でばらばら出てくるものを広範囲に警察力を配備して追っかけないとなかなか捕まらないということで、同じ兵力を使って対応するのでは非常に捕まえにくくなっているという状況がございます。  したがいまして、率直に申しまして、ある程度兵力を集中して取り締まりを続けることによりましていわば大規模暴走は減らすことができましたけれども反対に小規模グループ化した傾向暴走族が移っていった。これに対しましては、今までのような数あるいは警察取り締まり対応ではなかなか有効に捕捉できないということでございまして、率直に申し上げますと、従前に比べて、同じ暴走族対応するのに余計兵力や手間がかかるようになったというのが最近の現状でございまして、警察取り締まりの面ではこれといった有効な対応現状で直ちには見出し得ない状況でございます。当面は、少ない兵力を集中いたしまして、ともかくできるだけ事前に情報もとり、追っかけてこれを押さえ込むという形を繰り返しておりますけれども、これではそう有効な対応をすることは率直に言って困難ではないかというふうに考えております。  そう言いましても手を抜くわけにはまいりませんので、当面、現状の今申し上げたような形の取り締まり対応を繰り返さざるを得ないと思いますけれども、同時に私どもといたしましては、ただ警察力で追っかけるだけではなくて、やはり周辺で暴走族を出さないというか、あるいは暴走族が走りにくくなる環境をつくるといいますか、そういう点で地域協力をいろいろ広範囲に求めまして、できるだけ多くの側面で暴走族を押さえ込むということをやっていかない限り暴走族に有効に対応することはだんだんに困難になるのではないかというように考えておるわけでございます。  これは、率直に申し上げましてなかなか即効のあるという対策ではございませんけれども、これを着実にやるというところに、当面こういった暴走族の変化に対応した方法を私どもとしては考えておるというところでございます。
  15. 石川要三

    石川委員 今のお話を聞いておりましても大変御苦労の多いことであるし、御苦労だけでなくて、最近では、私の選挙区の中でも暴走族を追跡する車が同僚をはねて殺してしまった、こういう痛ましい事件もあったわけであります。  こういうようなことを考えますと、本当にこの対策というものは難しいでしょうけれども、私ども、数多いよき市民を守るためには多少手荒な取り締まりも必要じゃないかな、これは本当に素人判断でございまして、法的な面からもその他の面からも素人立場でございますけれども、何か見ておると、追跡をして、並行して追っているような形は見受けられますが、ただ排除するだけのような面もあるやに感ずるのです。何かもっとできないものか、何かもっとぴしっとした、二度と繰り返されないようなそういうダメージを彼らに与えることができないのかということを一般市民もかなり思っているようです。しかし、これは取り締まり当局から見ると人権だとか何だかんだという難しい問題がいろいろあると思うのです。  それは行き過ぎないようにという面も配慮しなければなりませんけれども、しかし私は、果たしてそれでいいのかな、善良な市民、特にお話を聞いておりましても、細分化されたといってもかえって市街地の中に入ってしまう、そういうようなことを考えると、本当に安眠さえもできないような状況があるわけですから、そういう善良な国民市民立場に立ったら、少しは手荒な療治の仕方が欲しい、こういうように思うのですけれども、どんなものかということをまず一つ教えていただきたい、こういうふうに思います。  それから、総合的な対策として、暴走族ができないような環境云々というような、市民サイド協力というようなことを話されましたけれども、具体的にどんなことをしてもらいたいというのか、すれば今のお話のようなことが満たされるのか、そこの点をもう少し具体的にお聞かせをいただきたい、こういうふうに思うのです。  それから、外国なんかでもこういう暴走族の例はあるのかないのか知りませんけれども、私が知る範囲では余り目につかないのですね。特に、貧しい開発途上国へ行きますと、暴走族なんということは聞いてもわからないような、そういう状況もあります。そういうようなことを考えますと、豊かさの中から来る一つの現象ではないかと思いますが、どういうふうにしたらもっとこれを善導し、減少させることができるか、これは警察の枠を越えた教育面の問題かもしれませんけれども取り締まり当局としての立場から見てどんなふうにこの点を感じられているか、そこいらを具体的にお教えをいただきたい、かように思います。
  16. 久本禮一

    久本政府委員 暴走族現況につきまして大変いろいろ先生が焦燥をお感じであるということは十分にわかるわけでございまして、私どももこの点につきましては日夜頭を悩ましておるところではございます。  まず、取り締まりをもっと有効にすべきであるという御指摘でございますが、もちろんそういう面もあろうかと思いますが、取り締まりを万全にやるということは、そういったものをどのように許容するかという世間の考え方と相まってこれはできることでございますので、この点につきましては今後当委員会の諸先生の御指導も得まして、具体的に必要なやり方は何であるかということにつきましては絶えず考えたいという気持ちでございます。  それから、お答えがちょっと前後いたしますけれども地域でどのような総合的な協力をしてもらうのかというお尋ねでございますが、現在まで私どもがいろいろ働きかけ、あるいは地域で進めていただいて便宜を感じております、効果を感じております方策と申しますと、第一に、これは都道府県あるいは市町村で暴走族の追放決議というものがなされる例が非常に多うございます。これはやはり地域暴走族対策を進めます際に、こういった地域の代表である議会の明白な意思決定が私どもの気分的な大きな支えになり、いろいろ話を進めるのに多くの便宜を感ずるということは確かでございまして、これは一つの地域における私どもへの支援でございます。  また、関係の業界団体等が、暴走族はよく車両を不法改造いたしましてそれで自己顕示性を示すということが多うございますので、不法改造を拒否するとかあるいは不法改造車に対しては給油をしないとかという形で間接的に暴走族の走行に圧力を加えるというような事例がございます。これもやり方はいろいろ問題がございますが、要するに暴走族暴走はいわば社会的に一つの大きなあだ花でございます。そういったものに対しては世間全体の目が冷たいという形でこれを押さえ込んでいくということは、一つの暴走族追放についての地域の関心と動きということではあるまいかというふうに考えているところでございます。  それから、お尋ねの外国でもこんなものがあるのかということでございますが、欧米諸国におきましても集団で暴走を繰り返すというグループはやはりあるようでございます。ただ、これは以前の調査でございまして、現状がどうかというと必ずしも責任を持ってお答えはいたしかねるわけでございますが、その点をお許しいただいて申し上げますと、こういった欧米諸国におけるグループは大体強盗、窃盗、麻薬取引、管理売春といったような犯罪を主として活動目的にするものでございまして、それの手段として暴走を行うという形が多いように聞いております。したがいまして、我が国における暴走族とは多少ニュアンスが違うのではないかなというようなことでございます。これに対してそういった諸国でどのように考え、どういった対応をしているかということについては、申しわけございませんが現在資料がございませんので、こういった点も今後はいろいろ関心を持って把握をいたしたいというふうに考えております。  こういったことに対しましての私どもの基本的な考え方ということにつきましては、現在の暴走族暴走行為というものは明らかに社会的に見ても大きな迷惑をかけることでございますし、車社会のいわばあだ花というふうに考えますので、これを正当に容認する余地は全くない、いわば車社会における暴力団も同然だというのが私どもの考えでございます。したがいまして、やはりこれは封圧をし、根絶をするということを目標にいたしまして、対応策を繰り返し強化していく以外はないというのが私どもの基本でございます。  いろいろな社会学者等の議論もございますけれども、ともかく車社会でこういうものを許すということは、健全な車社会の利用、発展という点につきましても大変支障がございますので、ともかく警察力の許す限りこれに対しましては日夜有効に対応してまいりたいという決心で一線を指揮、指導しているところでございます。
  17. 石川要三

    石川委員 時間がなくなりましたから最後にもう一点お尋ねいたしますが、今も、特に国民サイドから何かそういう問題に協力できる具体的な方法として一、二お話をされました。その中で、地方議会の暴走族追放の決議なんというのは一つの案だということでございますが、一体三千有余ある自治体の中でどの程度議会の中でやっているかわかりませんが、実は余り聞いたことはないのです。もしそれが非常に効果があるとするならば、私どもも側面的にそういう議会の議決がうんとできますように、たくさん出されますように協力をしたいと思いますが、余り数を聞いたことがないので少ないのじゃないかと思います。まあ、それを決議したからどうということじゃないだろうが、一つのバックアップで、そういう警察取り締まりをバックアップするという面においては精神的に大変大きな効果があるのじゃなかろうか、こういうふうに同感するわけでありますので、その点、もしできれば、どの程度あるのか、ひとつ教えていただければありがたいと思うのです。  あとは、ガソリンを売らないとかあるいは車検で協力しないということですが、確かにそういう方々が、全部警察官がそばに立ってくださればそれでいいのかもしれませんが、実際問題として、暴走族がそばに来て、ガソリンがなくなったから入れろ、いや、あんたは暴走族だからだめだと言ったら恐らく身の危険を感じられるのじゃなかろうかと私は思いますので、果たしてそんなことができるかどうか。それは、やるとしたらよほど勇気のある人であって、その近くで警察官がガードしてやらなければできないのじゃないかなというふうな感じもするのですが、そうでないというのであれば、さらにお知らせをいただければありがたい、こんなふうに思います。  最後になりますが、この暴走族は、一つには教育問題の側面があると思うのです。あるいはまた、国全体の政治の問題にも関係があるかもしれません。しかし、その一番身近な問題は、やはり取り締まりを厳重にする、厳格にする、厳しくするということも私はある程度必要じゃないかと思うので、現在かなり厳しくは立場上やっていらっしゃると思いますけれども、私の方から見ると、それが必ずしも厳しいような状況には感じられない。これは全く素人で、聞いた話で無責任でありますけれども、例えば、ある程度グループが来る、警察官はそれと並行して走っているだけでなかなか捕まらないと思うのですね。捕まえることができるのかどうか。また、捕まえても、それを厳しくやるには今の法律内でできるのかどうか、法の改正までも必要ではなかろうかと思いますが、そういう点がもし必要だとするならば、ひとつ勇気を持ってやっていただきたい。私どももできるだけの御協力はしたい、さように思うわけであります。
  18. 久本禮一

    久本政府委員 ただいまお尋ねの暴走族排除決議の実施状況につきましては、府県の議会でその決議がなされましたものが二十八府県議会でございます。それから、市町村の段階におきましては九百三十五ございまして、これは全市町村の二八%強に及ぶと承知をいたしております。これは本年の二月現在の数字でございます。  それから、二番目の給油拒否の動き等はなかなか難しいではないかということでございますが、それは御指摘のとおりでございます。ただ、こういった動きは、一般的には組合の決議等によりまして、個々の業者の意思というよりはむしろそういった業界全体の意思ということで、これをかなり大きく広報、PRもいたしますと同時に、これは警察が全面的に支援をするということを強調をいたしておりますので、そういったバックにおいて、しかも現実には業者の任意の理解と協力によってということでございますので、これがいろいろ副作用を生じたというふうには現在のところ承知をしていない状況でございます。  それから、取り締まりの実施につきましては、おっしゃるとおり、なかなか現実に厳しい取り締まりをしているとは思えないという批判も私どもは承知をしております。私どもといたしましては、限られた兵力でこれだけ、しかも車という手段を使って駆け回る、取り締まり対象といたしましては危険の、我々もそうでございますが、同時に相手方の危険防止ということと、それから、取り締まる以上は明確に法違反を確認をして取り締まる必要がございますので、そういった壁を考えますと、なかなか具体的な検挙事例に遭遇されないという御批判も現実にはあり得ると思いますが、私どもといたしましては、そういった壁をいろいろ感じながら、現行の建前の中では精いっぱいやっているつもりでございまして、そういったことの推移によりましては、御指摘のようにいろいろ制度上の問題というものも今後の検討課題ではあろうと考えております。  以上でございます。
  19. 石川要三

    石川委員 どうもありがとうございました。
  20. 坂井弘一

    坂井委員長 竹内猛君。
  21. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、先般の七月四日に、社会党の国会議員が五名、筑波の六十年に開かれる科学万博の現地を見ながら、さらに学園の建設等に関連をして研究機関を現地調査をしたという中から、交通、警備その他の諸問題について、幾つか検討をした問題について質問をしたいと思います。  ある部分については過ぐる七月二十七日の建設委員会でいろいろ質疑をいたしましたが、そのときに御出席をいただいた各省庁の皆さんに質疑ができなかったということで、改めてきょうおいでいただいたことに対しては大変恐縮に思っております。  そこで、問題の一つとしては、科学万博を成功させ、引き続いてここに人口の定着をし、筑波研究学園を文字どおり熟成をしていくためには輸送力の強化が何よりも必要であるということから、現地並びに県全体としても、中央と学園を結ぶ第二常磐線をどうしてもつくってほしい、こういう要求が強いわけであります。既にこの問題については県としてもいろいろ検討して公表している部面もありますが、関係機関としては第二常磐線の問題について今どういうようにお考えになっているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  22. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  東京圏におきます将来の鉄道網の整備の問題につきましては、先生も既に御高承のとおり、五十七年九月に運輸政策審議会に対しまして諮問を行っておるところでございまして、現在、同審議会におきましては東京圏都市交通部会というものを設けまして鋭意審議を進めているという段階でございます。  この審議会の場におきまして、既に関係の都あるいは各県の方から鉄道網の整備に関します要望につきましてヒアリングを行ってまいってきておりますが、その中で、茨城県、千葉県あるいは東京都などから、常磐線の混雑緩和を図るということがまず第一、そしてさらに筑波研究学園都市と都心とを直結する、あるいは常磐方面におきます新たな地域開発計画への対応を将来に向かって図っていくということの必要性から、いわゆる第二常磐線と申しますか、常磐新線につきましての強い要望がなされているところでございます。  この運輸政策審議会におきましては、今後、今申しましたような各方面、各地域の強い要望を踏まえながら、一方では既設線の輸送力の増強計画の見通し、あるいはそういうものを踏まえながらの地域交通需要の見通しというものを含めまして、総合的な観点から審議を行いまして、二十一世紀を展望いたしました東京圏の鉄道網の整備計画というものの策定作業を今後具体的に進めていくという段階になっております。
  23. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今お話のあったようにこれが進んでおりまして、既に茨城県並びに千葉県等々においては話がそれぞれ進んでおりますが、A、B、C、Dというように路線の方も幾つか公表をされておりますし、既に予算についても六千五百億とか七千億とかというようなことが計算をされていて、茨城県自体の持ち分が二千七百億とか二千九百億とかというようなことも出ている、そして七十五年に完成をしていくんだ、こういうようなことが新聞に大きく出ているものでありますから、これとのかかわり合い、見通しというものについてはどうなのかということについて大変心配をしているものですから、ここら辺について、なお差し支えのない範囲でひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  24. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたA案、B案、C案というような構想というのは、茨城県当局が県の責任で御検討なさった構想、そういうものだというふうに承知をいたしておるところでございまして、その茨城県の検討の中で、そういった各案についての建設費の積算予測というものを行っておられるというふうに聞いております。  この茨城県自体と申しますか、茨城県側で行っておられます具体的なルートの考え方ないしは予算額の積算という問題と、それから先ほど私が御答弁申し上げました運輸政策審議会という場におきます検討というのは一応別個のものであるというふうに割り切って私どもは考えておりまして、今後、運輸政策審議会の場ではそういった茨城県御当局の熱心な勉強の成果というものも踏まえながら、一方ではこのルートについては千葉県あるいは東京都の方にもそれぞれの考え方があるわけでございまして、こうした各方面の具体的な考え方も当然検討の際の参考材料にさしていただきまして、具体的な検討というものが進められていくことになるというふうに考えております。
  25. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それで、これ以上この問題を進めるわけにもいきませんが、常磐線の混雑を解消ということになりますか、克服をして、筑波研究学園を完成していくためには、何といってもこの第二常磐新線が必要だ、こういうふうに思いますので、ぜひ鋭意努力をしていただきたいわけです。  さて、そこで、万博との関連で現地を見た議員の皆さんは、あの駅を六カ月間で取ってしまうのは一体どういうことなんだ、惜しいではないかという声が非常に強い。先般の委員会で、これは科学博覧会の方からのお話では、既に駅をつくるときに六カ月間であれは撤去するのである、こういう非公式の申し合わせをしてあるという話がありました。  しかし、この財政の乏しいときに四十億以上の金をかけてあのような立派な駅をつくって、六カ月間しか使えないということがわかっていながらあそこにあれだけの金をかけるということは、土光さん、頭がどうかしているのではないか。一生懸命あちこちに節約をしろ節約をしろとあれほど言う土光さんが会長になっていて、何で六カ月間のあの駅にあれほどの金をかけるのか、頭がおかしいのではないか、こういうふうに思うのですね。  あの駅を何とか先の方へ延ばして使っていく、町をつくっていくということであるならわかるけれども、土建屋さんに奉仕をしているような、建設屋に奉仕をしているようなものじゃないのかということ。つくるだけにそれだけ多大な金がかかる、取るときにはまたそれぐらいの金がかかるじゃないか。現に科学博覧会の跡地撤去の問題で、当初十四億という計算をしたのが七十億もかかるといってそれ自体が問題になっているときに、あの駅を壊すということは、取るということは、閉鎖するということは、これは住民に対して——仮駅であるならば仮駅のようにつくればいい、あれだけの立派な駅をつくって取るということは、これは許しがたいことだと思うのですが、あなた、どういうふうに考えられますか。
  26. 池田本

    ○池田説明員 ただいまお話のございました科学万博対応の新駅を建設しておる側でございますが、この新駅につきましては、科学博の観客輸送対策として、現在常磐線の牛久と荒川沖の間に設置をするということでございまして、これは博覧会の方の運営主体からの費用負担をいただきまして現在工事を進めておるところでございます。  先生から今お話がございましたとおり、これはあくまでも科学博の開催期間についてのみ設置するということで条件を取り交わしておりますので、したがって、科学博の終了後はこれを撤去するということで考えております。なお、これは先般も今もお話がございましたけれども、国鉄と国際科学技術博覧会協会の会長さんとの間の基本協定におきまして、科学万博終了後は直ちに撤去するものとするということで、こういう前提でスタートいたしておりますので、現在はそのように進んでおります。よろしくお願いいたします。
  27. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう協定があるにしても、そういうむだなことは、これはこれから問題にしていきますけれども、極めて許しがたいことであるということだけは申し上げておきます。また後で引き続いて問題にします。  そこで、この新線をつくっていく上においても、あるいは取手まで来た複々線といいますか千代田線を延ばすためにも、柿岡にある地磁気観測所の存在というものが前々から問題になっておりました。そこで茨城県としては県独自に検討委員会をつくって——従来あれに対しては手がつかない、神聖にして侵すべからずというほどの地磁気観測所の存在であったと思います。大正三年以来これに手をつけることは許されなかった。それが今度ようやく学者等々の意見によって、これは筑波大学の関係者あるいは交通関係関係者等々が集まって、いよいよ移転候補地を何カ所か挙げて今その方向に努力をしておりますが、特に八月二日、これは明後日になりますが、県を挙げて移転促進協議会ができて気象庁に対して交渉する、我々を初めとして十六人の衆参の議員が顧問になって全県を挙げてこれはやるわけですから、今までと違った形の行動が行われます。そうなると、気象庁の関係については、この地磁気観測所の問題について、従来のような守りの姿勢から、これをどういうように活用するか。たまたま東北大学の西沢教授が半導体を発見したということで、この間新聞にも出されたし、テレビでも放送された。それによると、短周期とそれから長周期との問題があるが、そのままにしておいてもまた青電が土浦から水戸の方へ進んでもいいじゃないか、こういうようなこともありますけれども、気象庁はこの問題について、この変化についてどういうように対応しておるのか、その点についてお答えをいただきたい。
  28. 山崎道夫

    ○山崎説明員 先生御案内の件につきましては、気象庁のこの柿岡にございます地磁気観測所は、標準観測所の中で世界的に十六カ所しかございませんし、特に極東域にございます唯一のものであるということでして、地磁気を長期にわたり連続に精密測定いたしまして、その測定値を基準値ということで国内あるいは国外に提供してまいっておるものでございます。  この基準値は、測量でありますとか、海図あるいは磁気図、それから無線通信障害の警報でありますとか、地震予知あるいは火山噴火の予知といったものに広い範囲に利用されてございます。また同所は、一般に用います地球磁気の測定器の検定を行い得る国内での唯一の機関ということでございます。  そういったようなことですので、地磁気観測所の位置につきましては、そういった点から、柿岡でありますことがこれまでもあるいはこれからも一応最適の立地条件であるというふうには考えております。  しかしながら、地域社会の発展と調和する観測所のあり方というものについては大変重要な問題というふうに受けとめてございます。したがいまして、将来の問題ではありましょうが、仮に第二常磐線計画といったものが決定されるというふうになりまして、その整備によりまして地磁気観測所に影響を及ぼすおそれが予想されるといった場合には、その対策につきまして関係機関とも十分協議しながら検討をさせていただくということになろうかと思っておる次第でございます。
  29. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今、西沢教授の問題については触れられなかったけれども、これは後でまとめてもう一度質問します。  そういうことをしているときに、今度はこの間我々が筑波へ行ったときに、国土地理院の労働組合から、気象庁も来ておりましたが、国土地理院でも地磁気の観測をしているんだという話が出た。そこで、ここにある地元の新聞に「県、新たな対応へ」「国土地理院も地磁気観測」、こういう記事が出て、国土地理院もまた同じことをやっているのかということでこの間質問しようとしたら、国土地理院の院長さんが、国土地理院ではそういうことをやっているけれども、気象庁がやっている地磁気の観測とは異なるものである、こういう話がございました。  しかし、地磁気観測をしているということについてこのような発表があるということは、同時に、第三者から見ると地磁気の観測をあっちでもこっちでもやっているじゃないか。この柿岡の地磁気観測所にしても、地震予知の話が出たけれども、地震予知にしてもマグニチュード七以上でなければ予知できない、そのような状況であれば、まずそれが専門でないにしても地震の予知も非常に不十分じゃないか、もっと立派な総合的な観測所というものをつくって、そして労働条件についても別に現在の条件が必ずしもいいというわけじゃないですから引き上げて、もっと権威のある国際的な立派なものに移していくということで考えたっていいじゃないか、こういうふうに思っておりましたが、院長の話を聞くとどうも気象庁とは違うようでありますけれども、この点については今度は建設省の方からお答えをいただきたい。
  30. 須田教明

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  建設省の国土地理院では、全国にわたりまして地磁気の観測をやっております。この点が柿岡の地磁気観測所と異なるところでございます。  私どもがなぜ全国で地磁気の観測をやるかといいますと、先生も先刻御承知のとおり、国土地理院というところは地形図を発行しておるところでございまして、地形図をごらんになりますと、必ず地形図の端っこの方に磁石を使ったときに北がどの方向を指すかということを示しているわけでございます。  ところで、国土地理院は全国を対象といたしましてそういう地形図作製の測量をやっておるわけですが、その全国対象という国土地理院の仕事、これを基本測量と申しておりますけれども、基本測量の一環として全国の地磁気測量をやっているということでございまして、それが国土地理院が地磁気測量をやる目的の一つでございます。もちろん先ほど先生指摘ございましたように、地磁気測量を繰り返すことによって地球の内部の変化がわかるということから、これが地震予知の一つの方法であるというぐあいに現在考えておりまして、そういう意味でも全国における地磁気測量というのは意味がある、国土地理院がやるということでございます。  ただいま御指摘がありましたように、地磁気観測所もあるじゃないか、国土地理院も地磁気測量をやっているじゃないかということでございますけれども、これは先ほど気象庁の方から御説明もありましたように、各機関所属の地磁気観測所あるいは私どもの地磁気観測といいますか、そういうものはそれぞれの機関の目的もございますし使っている器械もそれぞれ違う、あるいは観測の方法も違う、観測の解析、これもまた異なるものでございます。ただいま申しましたように、国土地理院では全国を対象として地磁気測量をやっておりますけれども、観測の結果を処理する、これは地磁気そのものが日によって時間によって場所によって非常に変化のあるものでございまして、それを一定のところに直すというときには連続したデータが要るということで、定量的な連続観測をしている例えば柿岡の観測値を使わしていただく、こういうことになっているわけでございまして、各地の観測所と連携を保ちながら、しかしそれぞれの機関の特徴を生かしながら協力し合うというのが現状でございます。  以上でございます。
  31. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間の関係からそういう細かい質問はできないと思いますし、またそういうことをする場所でもありませんが、今地震の予知にしても、国土地理院も地震予知連絡所があるし気象庁にも地震研究所がある、通産省の関係の地質研究所にも地震を取り扱っているところがある、科学技術庁も公害研究所等においては地震予知をしている、東京大学の地震研究所もあります。とにかく同じ地域にそれぞれが同じような目的でそういう研究をしているところがあってどれが水準が高いのか低いのか、何が専門なのか専門でないのかということはよくわからない。だから、やはりそのようなものについてはもっと総合的な権威のある一つの地震予知機関なりあるいは観測というものができないかどうかということは今後の問題としてありますが、きょうの課題ではありませんが、私はそう考えていつもあそこへ行くたびにどうもよくわからないことが多いのです。  そこで、今は交通問題からここへ入ってきたわけですが、東北大学の西沢教授の半導体論というものは、これも新聞に出ていたのですが、これが活用されるようになると別に地磁気の観測所が移らなくともいいじゃないか、青電は通るじゃないか、こういうことを既に新聞に公表されている。もし西沢教授の論が時期尚早であるというならば、あの新聞の記事について何らかのコメントをしてもらわなければ、あのまま見過ごしてしまわれると我々は非常に迷惑をする。  それから同じように国土地理院の方も、これだけの記事が出ているのですから、これについて、どうしても国土地理院として現段階では、やはり柿岡にも水沢にもあっちにもこっちにも地図をつくるために独自の観測が必要であるということならば、それも断っておかないと、何だ同じようなことをあっちもこっちもやって楽しんでいるじゃないかと言われるのは、甚だ皆さんも迷惑だし我々も非常に説明しにくい。この辺については両方からひとつ答えてもらいたい。こういう記事が出たときには早速皆さんの立場から対応して、反論すべきものは大いに反論するし、聞くべきものは聞いてもらいたいと思う。そういう対応ができなければ非常に困るが、どうですか。
  32. 須田教明

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃる方向で今後対応していきたいと思います。
  33. 山崎道夫

    ○山崎説明員 先生御案内の西沢教授の件でございますけれども、私ども直接車両を製作する立場にございませんし、また専門的立場、知識も持ち合わせませんが、もしそのようなことが実現されるならば、私どもといたしまして大変望ましいというふうには存じ上げておる次第でございます。
  34. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 科学者ですから専門に科学の追求をするのは結構だけれども、やはり社会的な状況というものにも大いに反応してもらいたいと思うのですね。  こういうふうに新聞が出たときには、しかも今一番悩んでいる通勤者が、なぜ取手まで来た複々線が、もう一歩、二歩前進し、土浦から友部、水戸というふうに進まないのか。それは柿岡に地磁気観測所という大正三年に移ったものがあって、これが機能していくためにはやむを得ないのだということで、取手と藤代の間で電流の切りかえをやって、そして、ようやく無理をしている。そのために工場の誘致もできないし、いろいろなところに差しさわりがあるから、産業、地域開発のためにもよろしくない、こういうところから、県を挙げ、また学界を挙げて努力をした、そこへ西沢教授のそういう発見というか発明というか、それが出た、これは非常にいいことだと思いますから、そういうときには巧みにこれに対して対応して、一緒になってこの議論に対して、いいものであるならば採用して進んでもらえれば大変ありがたい、こう思うのですが、そういう点について、なおひとつ機敏に対応してもらいたい。  これはまた八月二日に、直接に気象庁の長官に、県知事を初めとして我々は申し入れをしていきますから、その節にもまたそういう意見を述べますから、これはこれで終わります。  そこで、今度は国鉄にお願いをしたいことが一つあります。  これは、東北線の古河の問題ですが、古河の駅が非常に立派になったことについては非常に感謝をするわけですけれども、その古河と埼玉県の栗橋の間ですが、あそこの間は距離が非常に遠いわけでありまして、その中に、茶屋町というところに住宅ができて、この住宅は相当な数を持っております。高校もできたし小学校もできている。そして、その場所に集まるものは、古河市だけではなしに、猿島郡の総和町、三和町、境町というように多くのところが関係をしてくる。どうしてもそこに新駅をつくってもらいたい、こういう要請があります。荒川沖と牛久の間にできた新駅は取ってしまうというし、今度は、東北線に駅をつくれというようなことを言うのは甚だ矛盾をするようなことだけれども、これはやむを得ない。この点が第一ですが、これはどういうふうになっていますか、前々から古河の方から要請があると思いますけれども
  35. 池田本

    ○池田説明員 ただいまお話しの東北本線の古河と栗橋の間に新駅ができないかということでございますが、この間に新駅設置の御要望があることは私どもも存じております。五十六年に古河市長さんから御要望をいただいております。  ただ、新駅設置につきましては、従前から、個々の駅といいますか、新しい駅ごとに、国鉄の経営収支の問題であるとかあるいは列車ダイヤの問題、あるいは技術的に駅が設置できるかという線路の線形であるとか勾配の問題等々もございますし、また、必要な駅設備ができるかということ、並びに、最後になりますが、やはり工事費の負担、それから駅をつくったとしまして、駅の周辺の、駅としての用地買収あるいは駅周辺の町づくり等々、いろいろと御協力いただかなければいかぬということでございまして、いずれにしましても、これらのいろいろな問題を整理されながら進んでいく問題であると考えております。  具体的に今後どうするかにつきましては、五十六年以来、特に新たなお話が現在のところないようでございますけれども、地元の方々のお話あるいは地域の開発計画等、今後の進捗状況を見守りつつ勉強をさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  36. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 五十六年のときの市長と現在の市長はかわっておりますけれども、市長がかわっても住民の物の考え方は変わりませんから、今話したような地域の町づくりを考えての上での要請でありますから、これはぜひ研究をして対応してほしいと思います。  それから、もう一つの問題は、これは建設省になると思いますが、前橋と古河を結ぶところの県道ですが、ここに、埼玉県の北川辺町と古河を結ぶ新三国橋を渡良瀬川にかけてほしいということが強く要請をされておりますが、これについて建設省は何か考え方がありますか。
  37. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の三国橋は、主要地方道前橋古河線上にございまして、それは渡良瀬川にかかっておる橋でございます。橋長が五百四十六メーター、現在、両側に幅員二メーターの歩道がございまして、総幅員十一メーター、すなわち二車線の両側に歩道のある超大橋梁でございます。この現在かかっております橋は昭和四十三年に完成したものでございますが、その後、交通量が非常に急激に増加しまして、朝夕のラッシュ時においてかなりの混雑を来しているということを県から聞いておりますので、現在、茨城県におきまして、昭和五十九年度より調査検討に着手すると聞いております。  ただ、先生、御案内かと思いますが、渡良瀬川の左岸側は茨城県でございまして、その方向、茨城県側から、御指摘の二車線の三国橋に主要地方道前橋古河線と主要地方道佐野古河線、これが一本になって二車線が来ております。それからまた、反対方向といいますか、ちょっと下の方から、主要地方道古河加須線というのが二車で来ております。したがいまして、四車の道路がたまたまこの三国橋のところで二車になる。さらに、渡良瀬川の右岸側は埼玉県でございますけれども、先ほど申しました主要地方道前橋古河線と佐野古河線が来ており、またさらに市道が新しく来ておりまして、また川に並行に主要地方道古河加須線というふうに、片一方が六車のような感じになっております。  いずれにしましても、適当な時期に新しく二車の道路橋でございますね、橋をつくらざるを得ないと思っておりますが、ただ、架設位置が、今申し上げましたように、いろいろな県道がたまたま橋梁からすぐ近くの地点で交わっているものでございますので、そこら辺の交通処理等々を検討しませんと、そしてその架橋位置を調査しませんと、かえって交通渋滞あるいは交通事故の原因になると思いますので、目下、県で検討しているというのが実情でございます。  以上でございます。
  38. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後にもう三点だけ御質問しますが、これは警察庁関係します。  これも我々が調査の段階で発見したことでありますけれども、科学博覧会に対して観客がたくさん見えます。これについて一番悩んでいるのが交通問題なんです。輸送問題なんです。これをどうして安全に、しかも快適に輸送ができるかということについて、いまだにまだ本当に安心した形にならない。それで三つ質問します。  第一は、警察関係から秘密というか、資料が出ておりまして、関係町内会の責任者に説明をしたところによると、朝の通勤時においては観客優先、従来の通勤車については道路を閉鎖する、こういうことが言われております。これが真実であるとするならば、研究所あるいは学校、そういうところに通う人たちは一体足はどうなるかという形で大変心配をしているというのが第一点。そういうことがなければいいですが、あるとしたら大変なことですね。  第二点は、今度は科学博覧会の場所というのは従来、雑木の生えた原っぱであったわけですから、今そこは陸の孤島と言われているところに大きな道路をつくってそこから入っていくわけですけれども、しかし、それだけではなしに、従来の町村道あるいは農道に対してこれを使う人もいるであろう、ところが、その農道あるいは町村道に入ってくると、そこは車の交換ができない、前から来たものと一緒になったときには、ここでにらみ合いをして、後ろから車が詰まってしまうとどうしようもない、横にも出られない、そういうことのないようにするために、この道路をどのような形で管理をするのかというのが事故が起こらないまさに大きな問題なわけです。この問題については、いまだに何という話も聞いていない。  三つ目。土曜、日曜日と休日に大変殺到するであろう、そのときに、学校であるとか研究所であるとか広い空白の土地を持っていますね、運動場あるいは広場、そういうところが駐車場になるおそれがある。現在、科学博覧会の当事者はたくさんの駐車場をつくっておりますが、それでもまだ足りない、そういうことになるおそれがあります。その点についてはどのような方法をとるのか。もちろん、管理者がいるわけですから無断で入るわけにもいきませんが、しかしそれはわからない。  そういう三つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  39. 久本禮一

    久本政府委員 先生指摘の、ないしょの文書でいろいろ朝の交通を抑えるということの連絡等をしておるということでございますが、基本的に茨城の科学万博の交通処理につきましての私どもの考えで申し上げますと、こういった規模のいわば大きな行事が、こういう地理的条件にありますのがすべて自動車交通に依存するというのは、私どもといたしましては、かなり特殊な行事であり、これはそう生易しいことで処理はできないだろうということで大変頭を悩ましておるというところでございます。  鉄道でもつくってもらえばよろしかったわけですけれども、最終的にはこれはできないということで、私どもそれを聞きまして、これはえらいことだという感じを率直に言って持っておるところでございます。したがいまして、この交通処理にはかなりいろいろ無理をしなければ、地元の交通と、それから万博を見に来る観客交通との両方をうまくさばくことはできないだろうというふうに考えているところでございます。  ただ、その中で、極力地元には大幅に不便を強いることになったということにならないように、できるだけ地元の平常な交通についてもこれを確保するようにしてまいりたいというのが私どもの基本的な考えでございまして、こういった規模交通でございますから、茨城の中で影響が終わるとは思っておりませんので、ほかの周辺の県にも相当影響が及ぶと思っておりますけれども、そういう意味で、関係県の担当者等にいろいろ協議いたしましたときにも、できるだけ茨城の大きなこういった問題についてはこれを受けとめるように努力してくれよというような指示、指導もしているところでございます。  したがいまして、極力そのような形にはいたしますが、最終的に地元の方に全く不便がないという交通で万博開催中交通処理等をするということは、これは率直に言って不可能であろうというふうに思います。極力その点の圧縮につきましては努力はいたしますが、ある程度の不便も地元の方に忍んでいただくということはやむを得なかろう、まことにやむを得ないと考えているところでございます。  そこで、具体的な交通規制につきましては、茨城県警が大変頭を絞りまして、万博交通の安全と円滑とともに地域の影響を最小限度に抑えるという形で規制計画をしておりまして、具体的に申し上げますと、その中心になりますものは、臨時駅と会場との間のバス通行を確保するためのバス専用レーン規制、それから、臨時駅と国道六号線との間の道路における通行規制、それから、博覧会会場周辺の道路における通行規制、それから、バス専用レーンの通行を確保するために、この道路に係る細街路あるいは交通につきまして若干の右折規制をするということが大体その基本でございます。  こういう点につきまして、茨城県警は本年の四月、五月の二カ月にわたりまして規制計画を地元に説明する際に資料を配っておるというふうに聞いております。ですから、先生指摘の、いわば内々にいろいろ資料を出したということはあるいはこの資料ではないかというふうに考えますが、これは別に秘密でも何でもございませんので、これはオープンにして、できるだけ広く理解をしていただくという構えでしておりますので、特にこの点について内々でというふうに扱っているというふうには聞いておらないところでございます。  ところで、こういった規制につきましては、要するにもう車で運ばざるを得ないわけでございますから、鉄道が会場まで人を運んでくれないわけでございますから、いわば地元の交通も万博交通も一緒くたにあの付近で渦を巻く、したがいまして、これをできるだけ分離をして両方がうまく両立するようにしたいということでございますので、そのためには、バス専用規制というのは、これは一般のところでもそうでございますが、特にこの万博絡みにつきましては重視せざるを得ない。  したがって、こういう道路につきましては、バスレーンを有効に通すということは一般交通にできるだけ影響を少なくするということの基本的な戦術でもございますので、これに邪魔になるような交通は、場合によっては若干迂回をしていただくということにならざるを得ない。その点では、今まで行けた道路が若干回り道をしないと目的地へ行けなくなるということは、これは関連の規制上では出てくることでございます。そういう点につきまして、それは不便になるという議論があることも承知はいたしておりますが、これは、そういった万博交通と地元の交通の迷惑を最小限度にして両立を図るという点から、やむを得ない規制であるというふうに私は承知をしているところでございます。  また、会場周辺道路における通行禁止規制につきましても、これは一般車両を無制限に入れますと混乱が生ずることは必至でございますので、これを抑えるために、ともかくある一定の地域内には普通の交通を入れないということでの通行規制でございますが、これは沿道住民の方の便宜もございますので、沿道住民の方に対しては通行許可証を交付して通行を確保するということを計画の基本にしておりまして、これはそういった交通のさばきと住民の利便との両立をできるだけ図るという形で処理をしていることでございます。なお、通行禁止規制の主要な対象道路はほとんど新設道路でございまして、この規制が既存の通過交通に影響を与えるということはまずないのではないかというふうに考えているところでございます。  したがいまして、ともかく基本的には、ああいった地域一般地域交通と膨れ上がる観客交通との両方をさばくということは、これは率直に申して大変条件も悪いし無理なことでございまして、しかし、それでもこれを何とかさばくということは私どもの課題でございます。そういうことから、地元の迷惑は最小限度に抑えるということを中心にしていろいろ計画を立て、これで地元の方にも説明をしているということでございますので、ある程度の従前の交通が確保できないということは、現実にどうしても起こることでございますので、これは私どもとしては最小限度のものとして考えるよう努力をしておるということでひとつ御了解をいただきたいということでございます。  それから第二のお尋ねでございますけれども、確かにあの辺は農道に毛が生えたような細い道路がたくさんございまして、そこに万博交通が入り込んでくるということも当然に予想されるところでございます。したがいまして、これはやはりできるだけ情報、管制、誘導ということを有効にいたしまして、頭と頭がぶつかってどうにもならないというようなことを防止したいと思いますが、最も物理的に有効な方法というのは、やはり一方通行をできるだけ入れることでございまして、多少回り道になってもぶつかり合うことがなく目的地には地元交通も観客交通も行けるという方法を取り入れるのが有効ではないかと思っております。  ただ、一方通行ということになりますと、大分いろいろ抵抗、摩擦がございましてなかなか思うようにはまいりませんけれども、私は、もし本格的に細い道路でもなるべく邪魔にならないように円滑にするということでございますれば、一方通行をなるべく取り入れまして、それに情報と誘導を加えて交通の織り込みを最小限度にしていくということしかないと思っております。  県の方もそういうことを頭に置いていろいろ相談もしているようでございますが、なかなか今通れる道路が通れないということを納得していただくことは難しいということで、思うように進んでいないというのが現状でございますが、そういったことの中で、極力物理的な通行の確保をいたすように努めてまいりたいというふうに考えます。  第三の駐車場のお尋ねでございますが、これはほうっておきますと、お尋ねのようにどんどん車が入り込んでくるという可能性があると思います。したがいまして、これはむしろ管理者の方に了解をいただいて、そこを駐車場として開放できるということが可能であるならば非常に望ましいというふうに考えております。管理をされた形で駐車需要に応ずるということが望ましいと思いますので、これは地元の茨城県警といたしましては、既に文書で関係の向きに、万博開催中はひとつ駐車場の開放をしていただきたいというようなことをお願いしているようでございますが、先生の御懸念等は私もっともだと思いますので、こういったお尋ねがありました機会に、私どもといたしましても、周辺の公共機関の敷地利用につきましては、御懸念の趣旨を踏まえまして協力を得られるような申し入れ等もひとつ試みてみたいというふうに考えております。  以上でございます。
  40. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間が来たのでこれで終わりますが、建設省の方にさらにもう一点だけ聞いておきたいことがありまして、これはまた後にしますけれども、一種住居地域と二種住居地域の、一番難しい、学園の最大の問題があることを建設省よく承知をしてもらって、この点についてはこれからも十分に対応してもらいたい。  それから、警察の方については、くれぐれも交通の混乱がないようにひとつしていただきたいし、物事の調整については、秘密じゃなしにオープンにして明朗にやってもらいたい、秘密文書などということを言われないようにしてもらいたいということをお願いしておきます。
  41. 坂井弘一

    坂井委員長 永井孝信君。
  42. 永井孝信

    ○永井委員 最近の交通事故現状というのは非常に深刻な社会問題となっているわけであります。幸いにして、死者数もあるいは負傷者数もことしに入っては若干減少をしてきているわけでありますが、これについては関係機関の方々の努力を多としたい、このように実は考えるわけであります。しかし、高速道路やあるいは自動車専用道路における死亡事故の原因については、大型トラックの無暴運転によることが非常に多うございますので、これについては答弁は要りませんけれども、私の持論でありますが、単なるスピード違反の取り締まりよりも、重大事故防止の視点から、これからも十分に関係当局において対応してもらいたいということをまず冒頭に御要望だけ申し上げておきたいと思うわけであります。  さて、そこで、大蔵省と運輸省が五月二十一日に自賠責保険審議会を開催しているわけですが、その目的は端的に言って何なのかということを大蔵省、お答えいただきたいと思います。
  43. 鏡味徳房

    鏡味説明員 二十一日に自賠責審議会を開きました目的は、最近の自賠責保険収支の状況を御説明すること、それは最近に至りまして急激に悪化の状況にございますので、その状況を御説明し、現在どういう問題があるかということを御説明したわけでございます。それから、一つは収支改善策というものをどういうふうにして考えていったらよいか、それから支払い限度額の改定という要請がございますが、その要否、あるいは決定するとした場合の改定幅とかその財源をどう考えるか、それから自賠責の保険特会に累積運用益がございますが、この活用方策をどのように考えていくか、そういったものにつきまして、今現在自賠責をめぐりまして種々の環境変化と問題提起がされておりますので、その点につきまして状況を御説明し、御議論をお願いしたわけでございます。
  44. 永井孝信

    ○永井委員 「自動車損害賠償責任保険制度の当面する検討課題について」という文書が大蔵省から出ているわけです。その中にはいろいろなことが問題点として提起をされているわけでありますが、端的に言いますと、収支の状況が非常に悪化している、そして交通事故が多発してきている、一方で保険料率は長年にわたって改定されていない、そうして支払い限度額はかなり大幅に引き上げてきた、そういうことからかなりの料率引き上げが必要であると予想されるというふうにその資料の中には書かれている。もちろん、累積運用益の活用による料率の引き上げ幅の圧縮についても検討を加えなくてはいけないということは触れられているわけでありますが、今御答弁を聞いておりますと、収支の状況説明し、今の問題点を提起をして、そしてこれからのあるべき姿ということを諮問されているというふうに思われるわけであります。  そこで、私は端的にお尋ねしたいと思うのでありますが、この五月二十一日の資料によりますと、昭和五十八年度で二千四百億円の赤字が出る、単年度でいいますと千九百億円の赤字である、こういうふうに資料が実は出されているわけであります。同じ自賠責保険審議会に昨年の一月二十六日に同じような資料が出されているわけでありますが、それによりますと、五十八年度の収支の推計は百四十七億円黒字になるという推計をしているわけですね。もちろんこれは五十八年度の推計でありますから、そのときはまだ年度に入っていないということでありますけれども、その当時いろいろな角度から検討を加えて百四十七億円の黒字が想定されておったのに、ことしの五月二十一日に出された資料によると逆に二千四百億円も赤字が出ているというふうに推計がされている。これは一体どこにそういうことになった原因があるのか。資料によりますと、ポリシー・イヤー・ベーシスにより推計されているというふうになっているわけでありますが、それにしても余りにも数字上変動が大き過ぎるのではないか。ずっと歴年の収支状況を見てみますと、この五月二十一日に出された資料で見ますと、昭和五十六年まではずっと長年の間黒字が続いてきたわけですね。そして、五十七年に入って初めて五百億円の赤字が出た。そして、五十八年度の推計は百四十七億の黒字が予想されておったのに、今回の資料によると二千四百億円の赤字、余りにもこの変動が大き過ぎますので、それは一体どこに原因があるのかということを明らかにしておいてもらいたいと思う。
  45. 鏡味徳房

    鏡味説明員 まず、今御質問のございました収支の状況でございますけれども、確かに御指摘のように、五十八年度の検証におきましては、五十八年度末に累計で二千四百億円の赤字が出るという推計になっております。ただ、これは累計でございまして、単年度でごらんいただきますと、五十三契約年度以来赤字がずっと続いているのが状況でございます。それで、五十七年度の検証におきましては、今御指摘がございましたように、五十八契約年度の赤字幅は千百億でございますけれども、累計ですと百四十七億という黒字が見込まれたわけでございます。  それで、五十七年度の検証と五十八年度の検証でどういうところが異なっているかということを申しますと、まず一つには、警察の統計にもございますように、交通事故発生状況が五十二年までずっと低下をしたわけでございますが、五十三年以降発生件数が徐々に増加してございます。それが五十七年には三・四%、五十八年には四・八%ということで、その延び率が今までの趨勢に比べますと著しく上がってきているわけでございます。  それからもう一つは、収支表の計算方法でございますけれども、五十七年度検証の数字は、五十六年度末までの保険料収入それから保険金支払いの実績に基づきまして自動車保険料率算定会が行った検証によって作成されたものでございますけれども、ことしの自賠責審議会で配付した収支表は、五十七年度末まで、つまり五十八年三月末までの実績に基づいて作成したものでございます。  それで、自賠責保険の収支は、一般的に当該年度中の契約保険料とその契約に対する発生保険金とを対比するといういわゆるポリシー・イヤー・ベーシスにより算出されているものでございますけれども、事故発生から保険金の支払いまでに長い期間を要する自賠責保険の収支においては、直近年度ほど推計部分が多くなってくるわけでございます。したがって、年数の経過によって実績部分が多くなるにつれ、当初の予測と差異が生ずることがございます。  それで、特に今御指摘のございましたように、五十七年度検証と五十八年度検証におげる収支の差でございますが、例えて申しますと、五十七年度の検証で五十八契約年度の収支を見ますと、単年度で千百億円の赤字だったわけでございます。それから、五十八年度の検証でございますとそれが千九百億円の赤字ということで、単年度の収支でも八百億円見込み違いが生じているわけでございますけれども、その原因は、一つには自家用乗用車の新車の車検期間が五十八年七月から三年となったわけでございまして、これに伴いまして保険期間も三年となりましたので、これに伴います保険料も増収になりますけれども、現在単年度で赤字ベースになっております保険財政から申しますと、支出の方が多く見込まれるということになりますものですから、そこで四十億円程度の赤字要因が発生しているわけでございます。  ただ、これは八百億円の差を説明するには大宗とは申しませんが、それでは差異の大宗は何かと申しますと、先ほど交通事故発生状況でも御説明しましたように、事故件数が五十七年度に見込んだ以上に増加していることでございます。これは、五十七年度検証は先ほども申し述べましたように五十六年度末までの実績に基づきまして五十八契約年度の事故率を推定しておりますが、全事故の伸び率というのは五十四年度以降増加傾向にありますので、五十六年度の事故の傾向をどう見るかというのは大変難しい問題だったわけでございます。  ただ、事故の中で大半を占めます後遺障害につきましては、五十六年度に発生します事故が、実際にわかってまいります、いわゆる支払い請求が出てまいりますのは、ほんの全体の七%程度しかその時点ではわからないわけでございます。したがって、その七%程度の実績をもとに増加傾向を高目に見るか、それともかた目に見るかということでございますが、従来の財政は、保険数理は、警察の統計にもございますように、交通事故発生状況が比較的安定しておりましたものですから、比較的事故の趨勢をかた目に見る、低目に見るという計算方法をやっておりまして、わずか七%の傾向で急に上昇傾向が出てきたものをそのまま伸ばすというわけにはいかないので、五十七契約年度ではかた目に見たわけでございます。  ところが、五十七年度末まで、つまり五十八年三月末までの実績につきましてその状況を見ますと、そこでは後遺障害につきましても五〇%程度の支払い請求が出てくるわけでございます。そうしますと、やはり五十六年度に事故が発生したものが相当出てきているという状況が明らかになってまいりましたものですから、それでその傾向を保険計算の上に入れましたところが、その差額になったわけでございます。ただ、それも将来推計につきましては、今後さらに事故がどんどん発生するというんじゃなくて、今までのやり方と同じように、将来推計につきましてはややかた目の、事故の発生状況は低目の推計をしているところでございます。
  46. 永井孝信

    ○永井委員 なるほど、説明を聞いてみますと五十八年度の単年度では千百十一億円の赤字になっているわけですね。しかし、この審議会に収支の状況を資料として提供する場合に、その資料に基づいて保険料率を引き上げるべきだとかあるいは据え置くべきだとかいろいろな議論が出てくると思うのです。その際に、いろいろな理由は今宵われたようにあるのでしょうけれども、しかし、当初の見込みと実際の数字とが二千六百億円からも違ってくるということでは、どうやってもその推計の仕方に私は納得できないものがあるわけです。もっと的確に実情が把握できるようなそういう資料の作成に心がけるべきじゃないか、このように私はまず一つ思うわけであります。そうして、これからもそういう推計方法については、さらに新たな視点で検討を加えることが必要なのではないか、こう思うのですが、どうでございますか。
  47. 鏡味徳房

    鏡味説明員 お答えします。  先ほど先生、自賠責審議会でもう諮問が始まって、保険料率の問題について議論が始まっているというふうに御認識をお示しになられましたけれども、私どももその一年限りの数字でもってこの傾向をとらえるというのはやはり危険性があるのではなかろうか。したがいまして、本格的に自賠責審議会で、審議をお願いしますのはことしの秋以降と考えておりますが、そのときには、五十九年の検証の数字が例年よりもできるだけ早い形で何らかの形が出てこないか、それでその検証の結果を踏まえながら収支改善問題を、あわせて、先ほどからも申し上げていますように、運用益の活用方法も含めまして御検討を本格的にお願いしよう、そのように考えているわけでございます。  それで、今御指摘がございましたように、保険数理の基礎となります推計につきましては、その事故率によって大変振れることは事実でございます。それで、その事故率は安定的なところで傾向を見込むか、それから振れたところで傾向を見込むかというのは大変難しいわけでございますけれども、従来から、四十四年に保険料率の引き上げをお願いして、それ以来十五年間ずっと据え置いてきた実績を見ますと、保険事故の傾向は五十三年までかなり低下傾向がございましたものですから、また五十三年以降増加傾向に転じておりますけれども、できるだけかた目に推計するというやり方をとってまいりましたものですから、そのような差異が生じてきたわけでございますけれども、御指摘のように、保険数理の計算、保険計算をどのようにやっていくか、これは自動車保険料率算定会におきましても絶えず研究を行っておりまして、入手可能なあらゆる統計資料、それから社会の動き等を種々加味しながらその改善に努めているところでございます。
  48. 永井孝信

    ○永井委員 今直ちに審議会に対して保険料率の引き上げを大蔵省当局が諮問しているというふうには聞いてはいないのですけれども、しかし、審議会で保険料薬の改定を求めていくという姿勢については変わっていないのではないかという気がするわけですね。とりわけ大蔵省の資料によりますと、収支改善のための料率引き上げの幅がかなりのものになると予想される状況のもとで、限度額引き上げの問題を一層拡大することがかえって料率の引き上げにつながっていくということで、言いかえれば、被害者に対する限度額の引き上げは否定をするという方向を示唆しながら保険料率の引き上げについてはむしろそれを求めていくということに、この大蔵省の出されている資料では受けとめざるを得ないわけです。  そこで、私はさらにその関係について具体的に私の考え方あるいは問題点にちょっと触れてみたいと思うわけでありますが、今も触れたように、交通事故が多発してきたということもあるでしょう。重大事故がふえてきたということもあるでしょう。しかし、それにしても去年の一月に出された資料とことしの資料では、今言ったように二千六百億円からも数字上差がある。片方で、去年はこれと同じように、数字上は近い数字でありますけれども、当委員会で大変問題になったのですけれども、自賠責の特会から一般会計へ二千五百六十億円繰り入れをしているわけですね。これについてはかなり反対のための議論がありました。  ユーザーの側から見ると、累計赤字が二千四百億円に到達をした、だから保険料率の引き上げにつながるかもわからぬ。片方で二千五百六十億円の運用益が一般会計に繰り入れられた。どのように法的な手続、あるいはどのように大蔵当局の内部で理由が存在をしておったとしても、ユーザーの側から見ればどうも納得できないんですね。そうでしょう。二千五百六十億円運用益から一般会計へ繰り入れて、そして片方で、二千四百億円累計赤字が出たからこれが保険料率の引き上げにつながっていくということになると、どう考えても心情的に私は理解ができないんですね。だから、大蔵当局がこれから審議会にいろんなことを検討してもらう場合に、そういうユーザーの心情とかいう問題について考えた上でこれから作業を進められようとしているのかどうなのか、その辺を御答弁いただけますか。できるだけ簡単に答弁してください。
  49. 鏡味徳房

    鏡味説明員 御指摘いただいたユーザーの立場、それからユーザーに納得いただいた形でやっていくということは当然のことだと考えております。
  50. 永井孝信

    ○永井委員 秋ごろから本格的に審議会で検討してもらうということですが、端的に言って、大蔵省はそのときに保険料率の引き上げを考えているんですか、どうですか。
  51. 鏡味徳房

    鏡味説明員 ここのところは簡単にちょっと御説明できないものですから、詳しく御説明させていただきたいと思いますけれども、自賠責保険の保険料率は、御質問にもございましたように、四十四年十一月に改定されて以来、十五年間据え置かれたまま今日に至っているわけでございます。その間、物価とか賃金の上昇あるいは賠償水準の上昇に合わせるために、保険金の支払い限度額につきましては三回にわたって改定されているわけでございます。そして、死亡、後遺障害は四倍に、傷害は二・四倍に引き上げられておりまして、それからまた保険金算定の基準となる支払い基準につきましても、ほぼ二年ごとに引き上げられるなど、保険金支払い内容の充実が図られてきているわけでございます。  これはどうして行われたかと申しますと、四十四年以降、交通事故の事故率が低下したものですから、四十四年当時見込んでいたものに比べますと収支に余裕ができたわけでございます。したがいまして、そういうことで保険金限度、それから支払い基準の引き上げを累次行ってきたわけでございますが、保険金限度につきましては、五十三年に引き上げを行ったままで今日に至っているわけでございます。  なぜ五十三年に引き上げができたかと申しますと、五十三年まで交通事故発生件数が少しずつ低下傾向にあったということで、保険の収支の中で余裕があったものでございますので、その中で精いっぱいの保険金限度の引き上げを行ったわけでございますが、五十三年を境としまして徐々に事故の発生件数増加してきているわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように五十三契約年度以来、単年度では収支が赤字が発生してきている、そしてずっと収支が累年赤字が続いてきているというのが実情でございます。  したがいまして、このような状況でまいりますと、運用益の問題をどのように契約者に還元していくかという問題は、別途運輸省の方で御検討いただいているわけでございますけれども、現在の推計でいきますと、五十九契約年度には四千五百億円の累積の赤字が生ずる見込みになっておるわけでございます。運用益は合わせまして五千億ちょっとでございますけれども、それを全額使ったとしても一年累積赤字を埋めるだけで、その後の単年度の赤字が埋められるかどうかという状況になってきておりますので、そのために収支改善をどのようにやっていくかということは、やはり保険財政の健全化という観点からいたしましても検討せざるを得ない状況にあるということは間違いないと思います。
  52. 永井孝信

    ○永井委員 どうもはっきりしないんですけれども、聞いていると、長い間保険料率の引き上げを行っていないし、支払い限度額の引き上げは数倍にもなっているというこの現状から、結果として保険料率の引き上げはやらざるを得ないという答弁のように私はやはり聞くわけですね。  そうしますと、今申し上げたんですけれども、昨年この特会から一般会計へ繰り入れたときに、大蔵委員会でも附帯決議がなされていますね。その附帯決議の中の第七項に、「自動車損害賠償責任再保険特別会計に滞留している運用益について、保険契約者の利益のために活用するための具体的方策の検討を速やかに進めること。」これがまず一つ。「また、今回の繰入金相当額の一般会計から同特別会計への繰戻しについては、国の財政事情、同特別会計の収支状況を踏まえ、できる限り早期にかつ適切に行うよう努めるとともに、今回の繰入れを理由として安易な保険料の引上げは行わないよう努めること。」という附帯決議が大蔵委員会でもつけられているわけであります。もちろんこれは参議院の方でも同じような附帯決議がつけられているわけです。  ですから、今の説明を聞いていますと、長い間保険料率を引き上げてない、そして物価の上昇があった、支払い限度額を引き上げてきた、そして現在では赤字の傾向が続いている、だから、保険料率の引き上げはその時期に来ているんではないかということの答弁のように私は聞こえるわけでありますけれども、ユーザーの側からすると、私は何回も言いますけれども、あれだけ去年反対があったにもかかわらず、法律をつくってまで特別会計から一般会計に繰り入れを行って、そうして片方で保険料率の引き上げということになると、これは特別会計であろうと一般会計であろうと、運用益であろうと、そんなことはユーザーの側は専門的に知っておるわけじゃないんですから、どう考えても保険料率の引き上げということについてはやはり納得ができないということが私は大方の意見になってくると思うんです。これは理屈の問題じゃないと思うんですね。  だから、交通事故をなくすることにもちろん全力を挙げる、そのことが保険の収支を改善していくことになっていくわけでありますから、片方で当委員会に課せられておる任務としてそれはやっていかなければいかぬ。やっていかなければいかぬけれども、だからといって安易にこの保険料率の引き上げということは、私は行うべきではないと思うんです。  そこで、時間がありませんから、あえて引き続き申し上げますけれども、同じこの保険審議会から昭和四十四年とそしてその次が昭和四十八年、そして五十三年と、ここ最近三回にわたって答申が出されているわけですね。この答申の中をずっとつぶさに見てみますと、保険収支の悪化を防ぐためにという目的もありまして、いろんなことが提言されているわけです。例えば治療費の支払いの適正化であるとかあるいはメリット・デメリット制度の導入であるとか、あるいは加害者の少額負担制度の創設であるとか、とにかく保険だけに頼らずに、加害者も、加害者の場合は一部でも負担しなさいということも取り入れるべきであるとか、それがいいとか悪いとかいろいろ問題はあると思いますよ。あるいは酔っぱらい運転、無免許運転で事故を起こした場合の加害者の負担であるとか、こういうことも法的に取り入れるべきではないかということが答申で出されているわけですね。同じようなことが二回にわたって答申されている。しかし、それに対して具体的な行政当局の側の対応は示されていない。これは一体どういうことなんですか。
  53. 鏡味徳房

    鏡味説明員 いま御指摘がございました自賠責審議会の答申でございますけれども、これは御指摘のように昭和四十四年それから四十八年に幾つかの御意見をちょうだいしているところでございます。  この御指摘に対して、実施可能なものは既に実施をしているところでございますけれども、実施困難なもの、特に今御指摘にもございましたようにそれぞれ一長一短があり、御議論の分かれるところについては、その問題点等につきまして以後の審議会あるいは国会でも御説明を申し上げてきたところでございますけれども、そのために審議会でも大変難しい問題があるということは御理解が深まりまして、昭和五十三年、最近直近に出されました制度全体にわたります答申につきましては、二点が指摘されているわけでございます。  これは一つは重度の後遺障害者救済措置でございまして、それからもう一つは滞留資金の運用益の活用でございます。この二点につきましては、例えて申しますと、重度の後遺障害者については自動車事故対策センター附属千葉療護センターを開設するなどその措置を講じておりますし、滞留資金の運用益の活用につきましても、審議会の答申の趣旨を体した運営が行われているわけでございます。  確かに御指摘のように、医療費の問題につきましては四十四年、四十八年の答申で御指摘をいただいておりまして、現在でも大きな問題になっていることは事実だろうと考えております。医療費の適正化のためには、いたずらに手をこまねいていたというわけではございませんで、これまでも最大限の努力をしてきているわけでございまして、例えて申しますと診療報酬明細表の提出を義務づけるようにいたしておりますし、それから自動車保険料率算定会の出先機関であります調査事務所において医療費調査担当者が診療費のチェックを行っております。また、高額請求事案あるいは過剰濃厚事案と思われるものにつきましては、自動車算定会の顧問医の助言を得ながら問題のある医療機関に照会、改善依頼を行うことなどによって医療費の適正化に努めております。  また、医療費支払いの適正化あるいは過剰濃厚請求事案等の改善を図るため、損保協会の地方委員会から地方医師会に協力要請を行うなど、話し合いの場も持たれております。また、大蔵、運輸、厚生の三省による医療費適正化対策のための三省協議会を設け、十三回の協議を行われた結果、今まで申し上げました内容のほかに、医療費統計を充実していく、それで医療費調査のより一層の精密化を図ることが確認されております。今後ともこのように努力を続けまして、医療費の適正化を図っていく必要があろうかと考えております。  それから、今御指摘がありました加害者の一部負担でございますが、これは追加保険料という制度を導入いたしましたので、同様の効果がそれでもたらされると考えております。  それからメリット・デメリット制度につきましては、大変難しい問題でございまして、自賠責保険の場合には、無保険者防止の観点から車検にリンクして車両単位に保険が強制される仕組みになっております。一方、任意保険におきますメリット・デメリット制度は、運転者の事故歴に着目しまして過去の無事故を評価する制度でありまして、これを自賠責に導入するという場合には、次のような問題があるわけでございます。  一つは、仮にメリット料率を適用している車両をメリット料率を適用できない第三者に譲渡した場合には、車両と有効車検及び自賠付保とが一体として譲渡されることが常態となっている自賠責につきましては、ごく例外的に付保つきで譲渡される任意保険と異なりまして、保険料率の差額を徴収すべきこととなるかどうか。それから、損保会社がすべての譲渡人の事故歴等を常時把握する立場にないのではないかというような技術的な問題もございますし、仮にそのようなときに追加保険料を支払わない場合には、そのメリットの適用除外者として保険から免責というようなことになりますと、これは被害者の基本的な補償に欠けることになってしまうわけでございます。  それから、契約の段階で適用料率を確定するに足る十分な事故歴の情報が把握できるかという問題と、それから、自賠責保険の場合には無過失責任に近い運営がなされておりますけれども、このもとでメリット・デメリット制度を導入するということになりますと、無過失か過失かの争いが必ず出てまいりまして、無過失でもって賠償責任を負うのにデメリットもあわせて負わなければならないのかという議論も出てきますし、あるいは後遺障害事案のように請求が事故発生後かなりたってから行われるものが多くなってまいりますと、発生ベースで保険事故把握が困難となってまいりますものですから、判明した時点でデメリット料率を追徴するというようなことが果たして可能かというような問題もございます。したがいまして、この問題につきましては今後とも慎重に検討していく必要があろうかと考えております。
  54. 永井孝信

    ○永井委員 大変答弁が長いので質問が全部できないのですけれども、この審議会の答申が、一番最近の昭和五十三年の答申では主たる項目が二項目に絞られておった。これはいろいろ言われておりますけれども、四十四年とかあるいは四十八年に出された答申が、すべて行政当局が誠意を持って対応して、それがいわば全部決着がついてしまった、だから五十三年のときは二項目に絞られたということなら私は非常にすばらしいことだと思うのです。ところがそうじゃないのです。一部手をつけたことはありますよ。しかし、その検討されてきた内容というのは必ずしも具体化されていない。具体化されないままに、一番最近の答申ではそのことに過去にさかのぼって触れてないからそれは済んだことだということがもしまかり通っていくとすると、私は問題だと思うのです。  余分のことになるかもしれませんけれども、行政改革なら何が何でも答申を生かすことに片方で政府は強い姿勢を示しながら、この種の問題についてはなかなかそうなっていない、私はそういう点で非常に不満を覚えるわけです。もちろん全部が全部できるとは思いませんけれども。したがって、せっかく三回にわたって答申がされたことでありますし、とりわけ五十三年五月三十一日にはこの委員会でその問題が提起をされまして、そして今答弁もありましたけれども、大蔵、運輸、厚生の三省による医療費適正化三省協議会というものもつくられているわけですね。  ですから、そういう今までの答申と行政当局が対応してきた対応の中身、そうして検討課題として残されているもの、これをわかりやすく資料にして提出してください。もうきょうは間に合いませんから、どういう経過でこれに対応されてきたということをひとつ資料にまとめてもらいたいと思います。それはよろしゅうございますか。
  55. 鏡味徳房

    鏡味説明員 今御指摘がございました点につきましては、各省にまたがる事項が相当ございますので、各省と相談しながら対応させていただきたいと考えております。
  56. 永井孝信

    ○永井委員 そこで、もう一回問題を本論に戻すわけですが、ことしも聞くところによるとこの秋ごろから審議会が開かれて、これは仄聞ですからどこまで正確かわかりませんけれども、保険料率を二〇%ないし三〇%引き上げることになるのではないかと仄聞をするわけです。今言ったように特会から一般会計へ繰り入れたこともありますし、そうして今までこの審議会が、保険の、どういいますか、みんなが掛けた、ユーザーが掛けた保険料の節減のために手を打つべきこと、これらについてもまだまだ不十分にしか対応できていない、こういう現状でありますから、私としては、あくまでも保険料率の引き上げというものは慎重な上にも慎重でなければいかぬ。そうして、昨年の大蔵委員会などで附帯決議で出されているのですから、当時大蔵大臣は、この附帯決議についてはその趣旨を生かすように十分に努力をさしていただきますという答弁もしているわけでありますから、この附帯決議も生かすように対応してもらいたい、こう思うのですが、その対応についての大蔵省当局の考え方をお聞かせください。
  57. 鏡味徳房

    鏡味説明員 御指摘のように、その保険の収支改善の問題につきましては、五十九年度の検証も踏まえましてあらゆる角度から検討さしていただきたいと思っております。  ただ、先ほど来から御指摘がございます自賠責特会の運用益の繰り入れの問題でございますけれども、これは将来繰り戻すということでございまして、繰り入れの実態は貸付金ということで自賠責特会において資産計上されているところでございます。したがいまして、今回の収支の悪化の問題はこの繰り入れとは直接関係がないところから発生している問題でございますけれども、この繰入金も含めた自賠責特会の運用益を今後どのように活用していくかということも含めまして収支改善の問題を検討さしていただきたい、かように考えております。
  58. 永井孝信

    ○永井委員 時間がなくなってしまいましたのでちょっと質問を積み残してしまいました。やむを得ないと思うのでありますが、最後に、自賠責を損保協会と自賠責の農協共済、この二つが今扱っているわけでありますが、前々から私も指摘してきたことでありますが、もちろん加入者の地域的な状況の相違もあろうと思いますが、農協共済の自賠責の収支というのは非常にうまくいっているといいますか、努力がされているように私は思えてならぬわけです。損保協会の方のは非常に赤字になる傾向が強い。こういうところはどうも私ども素人にはわからぬわけでありますけれども、せっかくのユーザーが掛けた保険金でありますから、これが今言ったように放漫経営になっていかないように、そのことがまた保険料率の引き上げにもつながっていくと思いますので、ひとつその辺のところは十分に監督官庁として御指導いただきたいということを最後にお願いいたしまして、質問を積み残してしまいまして残念ですが、またの機会に譲りまして、質問を終わりたいと思います。
  59. 坂井弘一

    坂井委員長 小川国彦君。
  60. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最初に私は、警察庁の方にお伺いをしたいと思いますが、成田空港の予定敷地内に住んでいる方々、特に成田市木の根部落の方々の出入りについて、警察当局の警備が厳重をきわめている。そのために住民の方々が、自分の家屋からの出入りごとに検問を受けるということは日常生活においての苦痛が容易でない、こういうことを訴えておられまして、私ども以前にも国会でこうした警備の改善についてお願いをしたところでございますが、その後の状況について、この実態をぜひまたお調べを願って、改善についての御検討を願いたい、こういうふうに思うわけでございます。
  61. 井上幸彦

    ○井上説明員 御承知のとおり、極左暴力集団等は、今も相変わらず新東京国際空港の完全廃港あるいは第二期工事絶対阻止等を呼号いたして過激な反対闘争を続けているわけでございます。ことしに入ってからもう既に六件のゲリラ事件を敢行しておりますし、また、成田用水事業に絡みまして、工事関係者に対する脅迫行為を行って検挙者を出す等の事案も引き起こしておるところでございます。特に、第二期工事に予定されております区域内に、極左暴力集団等のいわゆる団結小屋というのが十二カ所もあるわけでございますが、これらの団結小屋が各種の反対闘争の拠点として使用されている現状にございます。  警察といたしましては、犯罪の予防という見地から、この地区に出入りする車両等に対して検問を実施いたして不審動向の把握に努めておる、こういう実情にございます。申すまでもございませんけれども警察は犯罪の予防、捜査等に当たることを責務といたしておりますので、新空港の安全と円滑な運営を確保するために治安維持の立場でこの検問等を実施しておるということでありますが、この種の警察活動は、まさしく法に基づく正当な執行務と言ってよろしかろうと思います。  もとより、この検問につきましては、やはり付近住民等の皆様方の協力等も得るわけでありますが、検問の結果不審点等が解明されれば直ちにお通りいただいておるという実情にもございますが、何分にも、犯罪の予防という見地から今後とも住民等の皆様方の協力も得つつこの種の活動を実施してまいりたいというふうに思いますので、よろしく今後とも引き続き御協力を賜りたいものと考えております。
  62. 小川国彦

    ○小川(国)委員 特定のそういった法を犯す集団に対しての対策というものが厳正に行われることは、これは当然のことだと思うのです。ただしかし、そのことのために全く関係のない一般の住民が巻き込まれて犠牲となるという状態は、やはり放置されるべき問題ではないというふうに思うわけなんです。  特に木の根部落は、もう何十年とそこに住んで農業生活を営んでおる方々であって、そして小学校や中学校へも子供たちが歩いて通えた。しかし空港ができたために、そこを迂回して二十分も三十分も学校へ行くのにかかる。その子供たちを車で送っていこうという家族がその都度検問を受けるという状態が今日も続いている。これは、協力を願うといっても、そこにもう何十年来住んでいる人なんで、交番のお巡りさんでも自分の受け持ち区域になればそこの居住者の顔ぐらいは覚えるわけですし、当然空港警備で参っている警察の方々にしても、そこに何十年来住んで毎日農業をし普通の市民生活を行っている人の状況というものはわかるはずであって、それを朝晩検問をやるというのは、これは協力とはいいながらやはり人権侵害になるのではないか。  そういう点については、やはり法の運用をするに当たっては運用のあり方というものがあるはずでありまして、一般の普通の市民に対するのと犯罪を発生するおそれのあるものとを一緒の警備の中に巻き込んでおくということはやはり避くべきではないか。そういう点の警察当局としての識別なり判断というものをきちんとやっていただいて、一般市民生活にまで過重な負担なり迷惑が及ぶことのないように、私は、そういう配慮を考えてしかるべきではないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  63. 井上幸彦

    ○井上説明員 検問のやり方ということになりますと、やはり時間により日により部隊が入れかわり立ちかわるというようなこと、あるいはまた昼夜を問わず状況によって検問をするというようなことでございます。そのようなことでございますので、特に夜間等になりますと、実際に車等をとめてみてチェックの結果近くの住民の方であるというようなことがわかるというケースが往々にしてあるわけでございます。もちろんただいま御指摘のような点も考えられるわけでありますが、私どもの方としたら、住民の協力は得つつも、できるだけ不便さといいましょうか、というものを感じさせないような形で、工夫をしつつ、御協力を得つつ、これらの検問活動というものを犯罪防止立場から今後とも推進してまいりたいというふうに考えております。
  64. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間により日により部隊が入れかわるということですが、現地に駐在しているのは千八百人の機動隊で、その機動隊の人たちはこれがもう自分の毎日の職場でございますから、しかもそういう統制なり指導が徹底するという警察組織から考えてみれば、ここにはこういう家族が住んでいるということは、これは私は当然周知徹底するはずだというふうに思うわけです。したがって、今課長さんがお答えになったように、夜間識別の困難なときには、これはもうお尋ねすることがあってもやむを得ないと思うのですが、例えば朝子供の通学時間で学校に間に合わない、家族が、奥さんなりあるいは息子さんが送っていこうというのを、これをやはり検問でとめて、わかっているのに一々確認をするというのは、当事者にとっては大変な苦痛だと思うのですよ。ですから、一般交通の検問などと違って、そこに住んでいる人の毎日の出入りの検問というものについては、何らかの身分的なものを明らかにするというようなことで、これはきょう公団の副総裁も来ておりますが、空港公団だって認識をしていることだし、市の方でも認識をしていることですし、もちろん警察も認識されていることなので、そういうところで御協議を願って、そういう一般の住民を巻き込んで負担や苦痛を与えることのないような御協議をぜひひとつ願いたい、これを重ねて申し上げたいわけなんですが。
  65. 井上幸彦

    ○井上説明員 もちろん、住民の皆様方の利便ということに重大な支障にならないような配慮ということを、私ども立場からは十分に配慮させるつもりでございます。御指摘の点もよく勘案いたしまして、御協力を賜りつつ、工夫を凝らして検問を実施していく、こういうことでございます。
  66. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今後ひとつその点の関係者による御協議をお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  成田空港周辺における航空機から落下物の問題が非常に激増してきております。開港以来今日までの落下物事故の件数、その内容について簡潔に御説明賜りたいと思います。
  67. 西村康雄

    ○西村政府委員 新東京国際空港周辺におきまして落下物がしばしば生じておりますが、今日まで私どもが知り得ておりますのは三十三件でございます。その落下物のおおよその傾向は、氷が十八件、航空機の部品十五件という状況でございます。
  68. 小川国彦

    ○小川(国)委員 参考のためにお伺いしますが、大阪空港、羽田空港でこの五年間における同様の事故は何件ぐらいございまして、その内容はどういうものであったのでしょうか。
  69. 西村康雄

    ○西村政府委員 大阪空港ではこの五年間で三件、羽田空港では三件でございます。大阪空港で起きました事件は、氷が二件、それからエンジンの部品が一件でございます。それから羽田空港でございますが、羽田空港につきましては、氷が二件、部品が一件でございます。
  70. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今の御報告を聞きますと、この五年間で大阪が三件、羽田三件、成田三十三件、十倍もの落下事故が発生している、こういうことは少し異常な事態ではないかというふうに思うわけなんです。幸いにしてまだ人身事故は起きていませんけれども、去る七月十九日のノースウエスト機の事故では、十三キロのタイヤの破片が小学生、幼児の数メートルのところに落下している。また、その他の周辺市町村でも、いつ人命にかかわるような事故が起こるかと毎日本安に駆られている。  特に航空機の部品等の落下事故は、五十六年一件であったものが五十七年三件、五十八年四件、五十九年七件と毎年増加をしてきているわけですね。この部品等の事故が増加しているというのは、整備の不良といいますか、航空会社の取り組みの問題など、いろいろ問題が潜んでいるんじゃないかというふうに思うわけなんですが、なぜ羽田や大阪の十倍もの事故が成田において発生しているのか、運輸省当局としてはこの点をどういうふうに把握をしておられるか。
  71. 西村康雄

    ○西村政府委員 成田空港周辺におきまして落下物が他の空港に比しまして多いということは御指摘のとおりでございます。  この原因がどうであるかということはなかなか論定することは難しいわけですが、ただ言えますことは、羽田、大阪の空港と違いまして、これは国際空港で長距離の路線が非常に多いということでございますので、そういう点で、氷などの問題は一つそういうのが大いに原因があるということが言えようかと思います。  また、その他の部品の問題につきましては、これはなかなか実際にどういうことでこういう結果が生じているかということは一概に言うことは非常に困難でございます。あるいは今御指摘のように整備の問題というようなことも一つの原因かとは思われますが、いずれにしましても、個別の事故の態様に応じましてこれらの原因を特定していかなければならないということで、必ずしも現在まで、整備不良がその原因であったということを、非常に外国エアラインの整備不良が多いということを論定するわけにもいかない。しかし現実には確かに航空機の構造から来ること、あるいは整備の不良に基づくもの、さらには滑走路面でいろいろな異物と遭遇してというようなことも原因かと思われますが、整備不良そのものに基づくという推定はされておりますが、個別のケースについてかくかくしかじかであるということまで当方で決めるわけにもいかないというのが現状でございます。
  72. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この三十三件の事故のうち、どこの会社の航空機が落としたのかというその航空機が特定できない。特定できたのがわずか五件で、あとの二十八件はどこの飛行機が落としたのか特定できない。どこの航空会社も自分のところではないと逃げの姿勢が目立って、そのことがまた地元の不安を高めている。  この航空機を特定することすらできないで、具体的な改善対策にも、その補償の責任についても大きな問題が残っているんじゃないかというふうに思うわけなんですが、この航空機を特定するというようなことは、現実にはその究明は行われているんでしょうか。
  73. 西村康雄

    ○西村政府委員 落下物の届け出がありますれば、その都度、その時期に飛行した航空機の範囲を一応想定をして、これに照会をする等のことをしております。しかしながら現実の多くのものは、いつ落下したかわからない。落下してしばらくたってから落下したという物の発見が行われ通報されるということでございますので、航空機の概略の範囲を推定するということもできないものがかなりあるということでございます。  しかしながら、できる限り私ども、成田空港に離着陸する関係の航空会社に対して、事故の都度その点を注意を喚起し、調査協力を求めているということでございます。
  74. 小川国彦

    ○小川(国)委員 参考のために伺いますが、外国の空港ではこういう落下物の発生件数はどれぐらいになっておりますか。
  75. 西村康雄

    ○西村政府委員 残念ながら、外国の空港での実例がどうかという点についてはまだ調査が不行き届きでございます。国際会議等で我が国からこの落下物の問題について話を出したことがあるのですが、どうも各国の反応が乏しい。余り落下物について特にお悩みになっているような向きがない。付近が割合欄密なところが少ないということもあるのかもしれませんが、ともかくそういうようなことで各国の反応が割合低いということでもございますので、現在これからもう少し組織的に調べていきたいというふうに考えているわけでございます。
  76. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは落下されているコース直下の住民から見れば、落下したらそれは苦情や不満が出てくるのは、抗議が出てくるのは当然だと私は思うのです。わからないということはやはりそういう事例が少ないということも考えられるので、これは航空局がみずから調査をするつもりになれば、関係のエアラインなりあるいはそのエアボードなりの管理をしているところに問い合わせをしていただけば即刻この調査はできるのじゃないかと私は思うのです。そういう上に基づいて、成田が異常に多いということであれば、それはやはり厳重に——もちろん比較の上で物を言うことではないと思いますが、しかしその実態についても、どういう状況にあるのかということを即刻調査願いたいと思うのですが。
  77. 西村康雄

    ○西村政府委員 各国がどのような落下物対策をやっているかということについては、私どもも大いに参考になると思うのでございます。そういう意味でも、各国の空港で実際にその周辺でどんなふうな状況にあるかを知りたいと思っておりますので、早速に調査を進めたいというふうに考えております。
  78. 小川国彦

    ○小川(国)委員 同時に、その発生件数対策がどう行われているかもひとつ御調査願いたいと思います。
  79. 西村康雄

    ○西村政府委員 御趣旨の方向で調査をしたいと思っております。
  80. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それから、事故が起こった場合、補償の責任はどこが負うのかということなんですが、航空機が特定できた場合と、どこの航空機が落としたか特定できない場合があると思うのですね。それぞれの場合にどういうふうに補償の対策は立てられているのでしょうか。
  81. 西村康雄

    ○西村政府委員 落下物の原因看たる航空会社が特定され、被害が生じましたときは、当然この航空会社に対して賠償の請求を行うということになるわけでございます。現在のところ、これらの成田に出入りしております航空会社のほとんどは、そのための賠償責任についてさらに保険をかけるという体制をとっております。  ところで、特定ができない場合に被害者が現に生じた、これは泣き寝入りになるという事態はぜひとも避けたいところであります。そこで、既にこの責任保険に加入している各社に対しまして行政指導の結果、関係保険会社の協力も得まして、特定できないという場合には、少なくとも可能性があるというように認定される航空会社をある程度委員会をつくりまして絞るというようなことをやることにしております。そうしまして、こういう可能性があるというふうになりますと、その会社が一応賠償をするという建前をとろう、しかしその賠償については、先ほどの第三者に対する責任保険ということのこの責任保険からその金額を支出しよう、こういう仕組みが一応できております。これは五十八年の三月一日にできたわけでございます。したがいまして、今後はこういう仕組みで特定できない場合の賠償の体制を進めていこうということでございます。
  82. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その場合に、補償についての具体的内容というものが住民にもわかっていない、そして航空会社と保険会社の約款、そういうものもどういうふうになっているのかわからないということなんですが、具体的に、第三者に対する責任保険というものは、対人の場合と対物の場合とどのような補償額になっているのでしょうか。
  83. 西村康雄

    ○西村政府委員 責任保険を掛けておりますが、賠償の問題というのは、相手方が特定できました場合にはもちろん通常の損害賠償の手続をとっていただくということで、これは他の事例と変わらないと思います。  それで、現在の第三者に対する責任保険の限度額は、一事故当たり対人、対物含めて百二十億円ということになっているわけでございます。
  84. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは、飛行機の落下事故等が起こった場合の保険、その中にこの物を落とした場合のものも含まれている、こういうことでございますか。
  85. 西村康雄

    ○西村政府委員 ただいまの保険は、航空機からの落下物に起因する損害に対する責任でございます。
  86. 小川国彦

    ○小川(国)委員 航空機の落下自体もこの保険の中に含まれているのですか。
  87. 西村康雄

    ○西村政府委員 航空機そのものの落下に基づくものは入っておりません。
  88. 小川国彦

    ○小川(国)委員 航空機からの落下物も大なり小なりいろいろあると思うのですが、そうすると、この百二十億円というのは最高限度額、航空機からの落下物があって、地上におった人なり物なりが損害を受けたというときの補償額の最高額が百二十億円、こういうことでございますか。
  89. 西村康雄

    ○西村政府委員 航空機からの落下物に起因する地上の人または物の損害額をてん補する責任の限度額が百二十億円ということでございます。
  90. 小川国彦

    ○小川(国)委員 落下物に起因する損害をてん補する責任の限度額、こういうことですね。  それで、その場合、今の百二十億円というのは、落下物を落とした航空機が特定できる場合はその会社の掛けているいわゆる落下物の賠償責任保険でやる。それから、特定できない、いわば疑いを持たれる航空機が数機あった、特定できないという場合にもこの今の百二十億円が適用される、こういうことになるわけですか。
  91. 西村康雄

    ○西村政府委員 一社の航空会社が原因者と考えられる場合には、その会社が単独でその会社の付保している責任保険からてん補が行われますし、また数社が疑いが持たれているという場合には、数社の付保している保険会社の責任保険の中から数社合計百工十徳を最高限度としててん補される、こういう趣旨でございます。
  92. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ただ問題は、地域関係自治体や住民の側からいいますと、どうも保険会社と航空会社の契約約款が明らかでない。そうすると、今百二十億円という限度額はわかったわけですが、具体的にどういうようなケースの場合にこの補償対象になってくるのかというのは、契約約款が明らかでないと内容が不明であるわけですね。ですから、少なくとも航空会社が保険会社と結んでいる契約約款ぐらいはやはり運輸省当局が把握をしていただいて、関係自治体には、こういう約款になっているということの明示ができないものかということが言われているのですが、この点はいかがでございますか。
  93. 西村康雄

    ○西村政府委員 どのような保険を付保しているかということは、実はこれは保険会社と航空会社の関係でありまして、損害賠償を請求する者と航空会社との関係には本来これは関係がないのが法律上の大原則ではございます。要するに、生じた責任をどのように代位して保険でてん補するかというのは責任をとる方の航空会社サイドの問題でありまして、実際に航空会社がみずから直接払うか保険会社にてん補させるかというのは航空会社サイドの問題ですから、航空会社と保険会社との関係を直接公示するというのは通常は考えられないことだろうと思います。  ただ、実際に、今言われたような地元の方の不安というものを除去するのにそれがまた有効であるということであれば、実際に航空会社側がそういうものを公示して特に支障がないという事情であれば、これは公示するように私どもの方から指導したいというふうに考えます。
  94. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私はこういう事故が対人的にも対物的にもあってはならないというふうに思うのですが、しかし万一あったときのことを考えますと、そういうときの補償というものがどういう形になっているのかということが明示されている必要というのはやはりあると思うんですね。事が起こってからその問題においての紛争が起こるというようなことは好ましいことではないわけでありまして、そういうことはあってはならないことだけれども、そういう事態を想定して、やはりその補償内容というものが明示されている必要があるんじゃないかというふうに思いますので、その点はやはり運輸省当局としても積極的に取り組んでいただきたいと思いますが。
  95. 西村康雄

    ○西村政府委員 既に、私が先ほど御説明申し上げましたが、基本的には、今度の制度のあり方につきましては、新しい航空会社の連帯した、そういった特定できない場合の救済等につきましての制度発足に当たりましては、そういうことがやれるようになったということは新聞等報道機関に対して説明をいたしましたし、また関係の地方公共団体にも内容の説明は行っております。したがいまして、なお内容について不分明なところがあれば、地方公共団体とよく相談をして周知させるようにいたしたいと思います。
  96. 小川国彦

    ○小川(国)委員 内容が不分明のところがあればということは、約款のことも当然含まれる、こういうことに解釈してよろしいですか。
  97. 西村康雄

    ○西村政府委員 実際に保険会社からどのようなことを航空会社がてん補を受けられるかということについていろいろと御疑問の点があれば、そういう約款の取り扱いについても御説明をさせるようにしていきたいと思います。
  98. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは、大体成田空港から太平洋に上がっていく九十九里の沿岸の市町村が一番落下物が多いんですね。その市町村の中でやはり非常な不安がある。その中でこういう約款も明示されないということがもう具体的に出ているわけなんです。ですから、この点については運輸省でも具体的にこの約款の内容をそうした関係自治体に知らしめるようにひとつ措置を願いたいと思いますが。
  99. 西村康雄

    ○西村政府委員 航空機の経路にある関係市町村等に十分連絡をしたいと思います。
  100. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いずれにしても、根本的には事故の絶滅を期する、落下物事故をなくすということが根本ではなかろうかと思うんですね。運輸省でも航空機の落下物対策委員会、現地の対策委員会等もあるようでございますが、これについてはやはり航空会社に対するところの厳重な運航指示、それから場合によってはそのペナルティーも含めて科するというぐらいの厳しい態度を持って臨まないと、万一の事態が発生してからでは遅いわけでありまして、その点のさらに積極的な態度を望みたいと思います。
  101. 西村康雄

    ○西村政府委員 航空会社に対しましては、もちろん原因者であるということが判明しました場合には、厳重な指導あるいは場合によりますと抗議という形でこれまでも措置をしておりますが、今後とも、特定した場合はもちろん、特定できない場合におきましても、これに関係する運航関係各社に十分注意を喚起していきたいということで、その具体的な事故内容、事故原因等も関係者に十分周知させるということで、同種の事故が発生しないように、これは現実にそういう事故防止が可能なようないろいろな手だてを講じていきたいと考えます。
  102. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、空港公団の副総裁がお見えになっておりますので、現地の騒音対策の問題について伺いたいと思うのです。  大阪空港は八十七億という大金をかけまして、環境調査その他五年の歳月もかけてから閣議決定して空港を決定した。しかし成田の場合には、問題が提起されてから閣議決定まで、もう本当にわずかの、一カ月足らずの期間で行われたわけで、現地の環境対策というものが非常におくれているというふうに私ども思うわけなんです。  既存の三里塚とか大清水とか住民の住んでいる集落のわきに滑走路をつくったということで、騒音を途絶するために防音堤、防音林というものが計画をされたわけです。既存の集落と並行して滑走路ができた、その真ん中に防音堤、防音林をつくって音が周辺集落に及ばないようにということがなされたのですが、現実にはその防音堤が千三百メートルぐらいしかつくられていない。その防音堤のあるところは土手ができているわけですから、離陸の際の整備音とか離発着のときのエンジン音とか、それはそれなりにかなり防音効果は発揮していると思うのです。ところが、千三百メートルつくって終わりになってしまっている。それから、その上に木を植えたそうですけれども、これは現実に私どもも見ているわけですが、その木もいろいろな病害虫が出て枯れてしまって、林にはなってないというような実態もあるわけなんです。  この防音堤、防音林をさらに延長して滑走路と並行したものをつくって、関係住民の夜が少しでも安らかなものになるような、こういう配慮なり努力は必要だと思うのですが、この点はいかがですか。
  103. 松本操

    松本参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように、A滑走路の西側の方、特に西側の南の方は、三里塚のかなり人家の多いところに近いところに滑走路ができてまいるということもございまして、今お話がございましたように、私どもとしましてはいろいろと学問的な勉強もしてもらって、防音堤、防音林、こういうものをつくっていったわけでございまして、現在、堤、林合わせましてほぼ二キロ程度の長さに及んでおるわけでございます。その実質的な効果も、大体十から十五ホンと申しましょうか、その程度の減音効果が出ているのではないか、このように思っております。  さらに、この北側の方でございますが、先生もおっしゃいましたように、大清水の部落あたり、人家の密度はかなり低くはなってまいりますけれども、やはり空港内の地上騒音、滑走あるいは着陸の際のジェット騒音、こういったようなものを遮断するという目的で今後ともいろいろと整備をしていきたい、こう思っております。とりわけ滑走路の西側の北の方でございますけれども、今、用地の確保があと大体四ヘクタールぐらい土地を買い増していかなければならない面がございますので、その用地の買い増しについて今いろいろと努力をしております。  それからまた、木を植えていくのに当たりましても、どういう木をどういうふうに植えていくかということは前から大分勉強いたしましたけれども、ただ、周辺の地主さんとの関係で日照の関係等もございまして、植える場所をどうするかというふうな点ではやはり細かにお話を詰めていかなければならない面もあるようでございます。  したがいまして、集約的に申しますと、今後、西側の北の部分につきまして、四町歩、四ヘクタールばかりの未買収地域につきまして、いろいろと積極的に用地の手当てをしながら、また、周辺の地主さんともよく御相談をいたしまして、既に林ができている、既存の林のあるようなところは、それと重ねるような形で私どもの林を活用するとか、地主さんの方の御希望にも応じながら、今先生指摘の防音効果がより発揮できるような方策を求めて今後とも努力を続けてまいりたい、このように思っております。
  104. 小川国彦

    ○小川(国)委員 騒音対策については、関係住民の立場に立ちますと毎日の生活の本拠を守っていただくということでありますから、今後の努力をお願いして、時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思います。
  105. 坂井弘一

    坂井委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  106. 坂井弘一

    坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木内良明君。
  107. 木内良明

    ○木内委員 初めに、シートベルト着用義務化についてお聞きをします。  当委員会で四月十八日、私は安全な交通社会実現への重要施策の一つとしてのシートベルト着用義務化のための提言を具体的に行ったわけであります。こうした発言もこれあり、行政当局においては既に具体的検討と諸準備の作業に取り組んでこられたことと思います。同時に、こうした議論の展開とともに、国民各層各位によるこうしたシートベルトへの関心、またその重要性への認識といったものも大きな前進を見てきているもの、こういうふうに私なりに確信をしているわけであります。  言うまでもなく、生命尊厳の観点から、安全で快適な社会を確保することはすべての国民の願いであります。しかるに、近年交通事故は再び増加傾向に転じて、年間死亡者数は全国で一万人に迫るなど極めて憂慮すべき状況になっております。こうした交通社会の現状におけるシートベルト着用効果の意義について、まず、こうした当特別委員会における歴史的な日でもございますので確認をいたしておき.たい、こういうふうに思います。  まずその効果の第一は、正面衝突、追突あるいは落下等の事故において乗員が頭部、胸部をフロントガラスや車内で打つことを防止したり、あるいは車外放出を防止するなどのいわゆる事故のときの乗員保護効果というものが一つあります。  加えて第二点としましては、運転疲労の軽減でございますとかあるいは動態視力の向上、さらには安全意識の向上といったさまざまなメリット、事故予防効果というものが挙げられるわけであります。  先ほど後藤田総務庁長官からは交通安全に対する御決意の披瀝があったわけでございますけれども、まず、申し上げた点についての確認の意味も含めて、警察庁交通局長、さらに後藤田総務庁長官の方から答弁を願いたい、このように思います。
  108. 久本禮一

    久本政府委員 シートベルトの着用効果につきましては先生の御指摘のとおりであると存じます。  具体的な数字の傾向につきまして私どもで把握をしているものを申し上げますと、昭和五十八年中の自動車乗車中の死者は三千四百八十七名、これは全死者の約三七%でございますが、これを死亡の際の身体の損傷部別に見ておりますと、頭部、顔面を損傷して死亡した者が全体の五八・四%、次いで胸を打った者が一八%、頸部を打ちました者が一〇・六%、腹を打ちました者が八・二%といった順になっているところでございます。  このうち、乗用自動車または貨物自動車に乗っておりまして死亡いたしました死者三千四百五十一名の中で、シートベルトをつけないで死んだ者、これが大部分でございますが、九七・九%、三千三百七十九人について見ますと、ハンドル、フロントガラス、計器盤回りあるいは天井に体をぶつけて死亡したという者が合計で千八百四十二名、五四・五%でございます。それから車外へほうり出されて死んだ者が三百二十二名、九・三%でございまして、これらの者の多くは、常識的に見てシートベルトをつけておれば助かったのではないかと推定をいたすところでございます。  このように、事故時の乗員保護の効果につきましてはこういう数字が示すところでございまして、その点御指摘のとおりでございますが、これに加えまして、やはりシートベルトを着用することによって、運転の姿勢を正しく保つ、座席に固定されるということは注意力の集中につながるわけでございまして、カーブ時における体の動揺もこれによって固定される、したがいまして余分な身体の動きを防止するということから運転疲労の軽減、さらに、御指摘のとおり身体が車体の動きによく調和いたしますので、動態視力の向上につきましても効果があるというふうに言われるところでございまして、その点におきまして、御指摘のとおりシートベルトを着用することによる安全上の効果は明白なものがあるというのが私どもの認識でございます。
  109. 波多秀夫

    ○波多政府委員 ただいま詳細につきましては警察庁の方から御答弁がございましたように、私どもといたしましては、シートベルトの着用によりまして、事故発生時の乗員の保護、あるいは注意力等が向上する、あるいは疲労軽減の効果があるといった点からの事故防止効果があるという点につきましては十分認識をいたしておるところでございます。
  110. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今警察当局、交通安全室長からお答えしましたように、シートベルトを着用しておるならば、今一番よく亡くなる原因は、頭を打ったり背骨を折ったり首を折ったり胸部を強打したりというようなことでありますから、これをつけておれば半分近くは減ると一般的に言われておりますから、これは着用を推進するということが重要なことであろうと私は思うわけでございます。  ただ、それでは現在の着用状況がどうかといいますと、多少高速道路の方が率が商いようですけれども、いずれにせよ二十数パーセントという低い率でございます。自分の命を守る、これは自分自身が一番気をつけなければならぬことで、今シートベルトはみんな安全基準の中に入ってついているわけですから、つけてもらうのが当たり前だと思うのだけれども、残念ながら日本はまだそこまでいっておりません。  そこで問題は、効果は極めて明瞭なわけですから、装着をするような運動をしてもらう、その推進方策をどう考えるかということが一番肝心なことであろう。それには、何といいましても自動車の教習所での教育の際あるいは運転免許証の書きかえの際の講習、それからそれぞれの会社等における運転管理者の乗務員に対する教育あるいは地域交通安全協会等、安全確保の各種の組織がありますから、これらを総動員をして、自分の命を守るんだということで装着をできる限りやってもらうような国民運動といいますか広報活動といいますか、これが何よりも肝心なのではないか、かように思うわけでございます。  それらの状況を見ながら、御提言の義務化をどうするかといった問題も私は当然論議の課題として上がってくるであろう、こう思いますが、何しろ今の状況で罰則で担保するのがいいのか、それとも着用義務は仮に立法化するとして、立法化した場合に、着用していなければ民事の賠償の場合には相当マイナスの評価を受けざるを得ないわけですから、そういったようなことがいいのか。今いきなり罰則といったようなことになると、これはもう恐らくほとんどの人が警察官の取り締まり対象になって、いわば前科一犯ということになりますから、まず肝心なことは国民運動だ、そしてそれらの状況を見ながら、立法をする際に罰則で担保するのかどうかというようなことはこれから政府の各機関真剣に検討を要する課題であろう、かように考えるわけでございまして、せっかくの御提言でございますから、これは十分頭に置きながら政府としても対応を考えていきたい、かように考えるわけでございます。
  111. 木内良明

    ○木内委員 今、警察庁交通局長交通安全対策室長、さらに総務庁長官からシートベルトの効用についての認識、御答弁があったわけであります。とりわけ、有力閣僚の一人である総務庁長官もこれについての認識は極めてしっかりしたものをお持ちのようだし、意を強くしているわけであります。確かに、答弁にあったように、一方では国民各位に対する啓発運動のレベルアップ、着用率の向上を目指すとともに、ある意味では環境を勘案しての法制化による義務化ということが当然考えられてしかるべきでありますし、今の答弁、私も十分聞きましたので、今後閣内あるいは各省庁との連携のもとにこの趣旨が実現に向かうように配慮を願いたい、このようにまず申し上げておきたいと思います。  申し上げるまでもなく、昨年の交通事故による死亡者は九千五百二十人、このうち自動車乗車中の死亡者が約三千五百人。各地の警察本部が発表した分析結果によりますと、恐らくこのうち千七百人から二千人程度は当時シートベルトを着用していたならば命が助かったであろう、こういうふうに言われているわけであります。交通安全対策を考える上から諸施策がそれぞれに重要な意味を持っていると思いますけれども、とりわけこのシートベルトの着用率の向上を図り一般ドライバーの人命を守るということは、交通安全対策上の重要な施策の一つ、切り札であるというふうに考えておりまして、再三当委員会におきましてこれを取り上げているわけでございますので、ぜひその方向で御検討を願いたい、こういうふうに思います。  次に、交通安全対策上のシートベルトの位置づけの問題でありますけれども、いわゆる交通先進諸国におけるシートベルト着用義務化の傾向というものは今相当に進んできているわけであります。あえて誤解を恐れずに私自身の認識として申し上げれば、シートベルトの着用率は交通社会における文明の尺度である、こう申し上げたいわけであります。  七月十一日、アメリカの運輸省は、エアバッグと並んで自動シートベルトの装備を八七年型車から義務づける新しい規則を発表しております。また、これに連動してニューヨーク州ではシートベルト着用義務づけの法案を可決するなど、諸外国の趨勢は着用義務化の方向で推移している、このように思っております。三十カ国近くが着用義務法を制定しておりまして、うち二十カ国以上が罰則を設けている。こうした現状あるいは趨勢をどう掌握されておられるか、簡単で結構ですから、これは交通局長の方から……。
  112. 久本禮一

    久本政府委員 先生指摘になりましたとおり、シートベルトの着用を推進する制度につきまして最近の諸外国の動きを見ておりますと、シートベルトの着用を法上義務化をしているところが徐々に目立っておることは事実でございます。  昨年の一月からはイギリスで罰則つきの義務づけを行う法律が施行されており、また本年七月十二日には、御指摘のとおりアメリカのニューヨーク州で、これも罰則つきの着用義務の法が成立いたしまして来年の一月一日から発効することになっているように聞き及んでいるところでございます。また、従来義務づけはしておるが罰則のなかったオーストリアでは、本年の七月一日から罰金が導入され、同様に西ドイツにおいても本年八月一日からは違反者から罰金を徴収することになっておると聞いておるところでございます。  したがいまして、現在罰則によりシートベルトの着用を義務化しておる国は二十数カ国に及んでいるところでございまして、その中に、従来はシートベルトの着用はいわばみずから身を守るということであるので罰則を設けるという点については慎重であった国が含まれているということは、この問題についての一つの最近の車社会での認識の変化を示すものではないかと考えております。  これらを直ちに我が国の制度にどのように反映させるべきかという点については十分慎重に考えるべきでございますが、この問題が諸外国においてこういった傾向の中にあるということは、私どもといたしましても十分に注意を払って研究をしてまいる必要があると考えておるところでございます。まだ資料は十分に収集しておりませんが、今後ともその辺の収集に努めたいと考えております。
  113. 木内良明

    ○木内委員 総務庁長官が何か時間の御都合があるようなので、先にお聞きします。  今交通局長の答弁に若干ございましたが、シートベルト着用のように、個人がみずからの生命を守ることに国家が法律により強制を行うことに対して疑問を唱える意見もあるわけでありますけれども、はっきり申し上げると私はこの意見反対であります。被害の軽減だけでなく、医療費や損害賠償の総額の減少、支払い保険金額の減少に基づく保険料率の低率化等の社会的費用の軽減効果ということはよく言われることでありますけれども、こうした理由もさることながら、国民一人一人の生命と安全を守るというこの大命題に立つならば、私はこうした点から、交通安全政策に携わる政治家の良心として、この着用率向上のための諸施策の具体化を行っていかなければならない、このように強く訴えるものでありまして、こうした一部の意見に対しての総務庁長官の見解、先ほども若干触れておられましたけれども、簡単で結構でございますから、責任あるお立場としてぜひ明確な御答弁を願いたい。
  114. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今御質問の中にもございましたように、この問題は広い立場で何とか装着率を高めていくということ、これだけは何としてもやらなければならぬと思います。  問題は、諸外国の立法例の推移、また諸外国における車のスピード、それと日本国内のスピード。それから同時にまた、日本人というのは御案内のように法律で罰則をつくりますと、これはまた大変きちょうめんに警察官は一つ一つやるわけですよ。そこらもよほど考えませんと、まあ大体ドイツ人あるいは日本人がその典型だろうと思います。しかし、本当にこれを装着をさせなければとてもじゃないが人命が守られないといったようなことであれば、何もそれは罰則つきで一向遠慮することはないと私は思いますけれども、そこらはやはり今しばらく政府としても関係方面と検討さしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  115. 木内良明

    ○木内委員 総務庁長官の明確な御答弁がちりばめられておりましたので了としたい、このように思います。  シートベルトについて最後に一問お聞きします。  申し上げたように、当委員会における質疑あるいは国会における議論、国民世論の高まりの中で、警察庁では本年七月、八月を、ちょうど今その最中でありますけれどもシートベルト着用推進月間として、大変な御努力と御苦労によって着用率向上に努めておられるわけですけれども、この期間とこの運動の効果がどうなっておるか。あわせて、ぜひこうしたいわゆる公の場で御報告願えればありがたいのでありますけれども着用推進のための現場で任務についておられる警察官の方々の作業を通して、一般ドライバーからシートベルト着用に関する種々の意見等があるいは吸い上げられているのではないか、こういうふうに思いますので、その点どんな実態か、簡単にお答えください。
  116. 久本禮一

    久本政府委員 お尋ねの点につきましては、現在七月を御指摘のとおり警察庁独自での着用率向上のための街頭活動の強化に当て、引き続きまして八月は従前に倣いまして総理府主唱のシートベルト着用強化月間の行事につないでおるということで、本年は私どもといたしましても特に力を入れてこの向上に努めたいと思っているところでございます。  その具体的な実施といたしまして、期間中に何回か全国一斉の街頭指導日を設けまして、その際の具体的な指導の結果を数量化いたしまして今後の指導あるいは啓発の素材といたしたいと思っておりますので、この点は現在集約中でございますので、ある程度その数字が出ましたならば御報告を申し上げたいと思っているところでございます。まだその辺の数字につきましては明瞭なものがございませんので、本日はお許しをいただきたいと思います。  ただ、本年春の全国交通安全運動期間中に安全運動の大きなテーマとしてシートベルトを取り上げたという経緯から、期間中に私どもが行いました調査を御報告いたしますと、高速道路等におきましては運転者席が二六・八%、助手席が二三・七%、一般道路におきましては運転者席が二四%、助手席が一八%という数字が出ております。率直に申し上げまして、これはちょっと甘いのではないかなという感じがいたしておりますので、この辺をひとつ手がかりにいたしまして、今度の夏の月間の数字がどのように変化をしてきたかということはフォローいたしまして今後に資したいと思っているところでございます。  なお、これは余談でございますが、私先日北海道へ参りまして、現場のシートベルトの着用の指導をいたしております警察官の経験談等を聞いておりましたけれども、非常に素直に話を聞いてその場でつけてくれた人もおれば、今制度になっているのかという反論をして、今別に制度化されているわけじゃないと言いましたら、それじゃ制度化したらやるよという形でブーっと行ってしまったという者もおりますし、その辺は要するに今のドライバーの反応というものは非常に千差万別である。これに一定の考え方を浸透させて一つの制度を十分に定着させるということは、なかなか口で言うほど簡単でないなという実感は得てきたところでございます。その辺をひとつ踏まえまして今後も実効のある推進方に努めてまいりたいと考えております。
  117. 木内良明

    ○木内委員 何か今総務庁長官が退席された後、制度化されれば締めるよなんという、こういう声が上がるようですから、ぜひ後ほど伝えておいてください。現場の声としては実はそういう実態も報告されているということですからね。  次に、当委員会でかねてから私も主張してきたところでありますけれども、いわゆる暫定免許制度についてきょう申し上げたいと思います。  運転者の経験年数別違反者及び事故者率というものを見てみますと、まず違反者率でありますけれども、免許保有者全体の平均で言えば百人当たり一〇・五という数字が出ておりますけれども、これが経験年数一年未満では一八・五、一年以上二年未満では一四・五、二年以上三年未満では一二・八というぐあいに一年ないし三年までが高い率になっているわけであります。また事故者率で見てみますと、これは一万人当たりの数値でありますけれども、保有者全体の平均が四七・五であるのに対して、経験年数一年未満で実に九三・六、一年以上二年未満で七三・四、二年以上三年未満で六四・八というように、やはり経験年数一年から三年の間の者が極めて高率になっているわけでありまして、いわば初心運転者の事故率、違反率が経験多年数の運転者のそれに比べて高率となっている実態が指摘されるわけであります。こうした実態が交通安全社会の確立に向けてのブレーキ要因の一つとなっていることも否定できない事実である、このように考えます。  こうした実態に対応し、初心運転者の安全意識の向上を図るとともに、交通事故防止し、安全で円滑な交通社会の一員としての資質の定着化が行われるまでの一定の期間、付与される免許をいわゆる暫定免許として特例的な扱いをすることが必要だ、このように私は考えるわけであります。  いわゆるこの暫定免許制度の採用という問題でありますけれども、これに対する警察庁の基本的な考え方、またその必要性に対する認識をお聞きすると同時に、時間の関係がございますので、何点かまとめてお聞きをしたいと思います。  諸外国において制度化の行われているところ、暫定免許制度の実施されているところ、この内容についてどう掌握しておられるか。  それから、私自身の提言でありますけれども、仮にこの暫定免許制度というものが施行される段階で、いわばこの制度をさらに効果あらしめるための、いわば暫定免許保有者に対する特例的な扱いというものが必要となってくると思います。  何点か警察庁の方でも検討されていると思いますけれども、私自身の独自の考え方で申し上げれば、一つには、申し上げたこの一年ないし三年未満の初心運転者の事故率、違反者率が高いわけでございまして、こうした原因をドライバーグループの皆さんといろいろ話し合ってみたところ、一つの結論が出ました。  それは、教習所で一定のカリキュラムなり教習は受けるけれども、免許証をもらってそのまま路上にほっぽり出されると、例えば女性運転者であるならば、車線変更にしてもあるいは右折の際のタイミングのとり方にしても、あるいは高速道路上のいわゆる運転技能についても教習所等では教習を受けておりませんので、どうしてもまごまごしてしまう。運転している最中に、ハンドルを握りながらアクセルを踏もうかブレーキを踏もうかどうしようかという判断に迷うことが非常に多い、こういうようなことでありますので、いわば申し上げたような主婦であるとか女性の場合は女性のクラス編制を行っていく、あるいは高齢者であることの特殊ないわゆる運転の形態というものが当然ありますので、こうしたような場合にはいわゆる年齢別のクラス編制を行ったり、さらにまた、この期間中に違反を起こしたりあるいは事故を起こしたりしたような、そうした者のクラス編制というものも行って、それぞれのドライバーの特質に見合った講習というもの、あるいは運転経験の現場におけるいろいろな問題点についてのアドバイスが行えるようなこうした制度も必要なのではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。  他面、違反点数のダブルカウンティングでございますとかあるいは表示マークの問題等ございますけれども、最後に申し上げた二点を除いて、簡単に私の提案に対するお考えを聞ければ、こういうふうに思います。
  118. 久本禮一

    久本政府委員 先生指摘のとおり、運転者の中で特に免許取得後日の浅いいわゆる初心者の事故率が高いことは実績が示しておるところでございます。したがいまして、このような階層に特に焦点を当てて有効に対応するということが行政効率を高めて交通の安全を図るゆえんであろうということは御指摘のとおりでございまして、そのために暫定免許というのが一つの考え方でございますが、初心者に対しまして一般経験を積んだドライバーに比べて何らかの特別のオブリゲーションを課すということは、一つの効果のある施策であろうと考えているところでございます。  そのためにどういう制度がよろしいのかということは、これはなかなか難しい問題ではございますが、前回にも申し上げましたとおり、暫定免許制度がそういった対策の中での有力な案であることは変わらないところでございます。問題は、それが真に実効のある制度となるためにどのようなことが検討されなければならないか、この辺の議論を尽くしませんと制度論として浮上いたしませんので、幾つかの案の中の一つとして、ただしそういう点では非常に将来性に富む一つの手法として現在これを見、かつ検討を進めているというところでございます。  それから、諸外国におきますこういった考え方につきましては、いわゆる暫定免許制度というものに近いものであろうと思いますが、現在オーストラリアの諸州であるとかあるいはノルウェー等で導入されているという事例を聞いております。ただ、その内容は必ずしも一様ではございません。オーストラリアの諸州におきましては、州によって内容が異なりますが、期間は一年から三年の間で、いわゆるPマークと称する外部表示と最高速度制限を課しておるということが一般的な例のようでございます。ただ、その効果につきましては明確な資料をまだ入手いたしておりません。  一方、ノルウェーにおきましては、暫定免許期間二年ということで、その間は各種の講習の受講等が義務づけられておる、このような講習を受講しないと本免許の取得ができないというシステムになっている由でございます。なお、その効果についてはまだデータ未入手でございます。  こういった点を含めまして、こういう制度をとります場合にはどのような処置あるいは行政処分、講習、教育とかというものが必要かということは、これは日本の車社会の実情とドライバーかたぎというものを十分に踏まえまして、できるだけ抵抗感なく受け入れられる、しかも実効のある制度をつくり上げていくことが必要であろうと思います。こういった点を含めまして、現在私どもといたしましてはいろいろ勉強を重ねておるというところでございます。
  119. 木内良明

    ○木内委員 ぜひ意欲的に検討を願いたい、このことを要望して次の問題に移ります。  航空機からの落下物事故の問題であります。  この七月十九日、ノースウエスト航空機でありますけれども、成田空港周辺の飛行コース下に当たる千葉県芝山町の寺院境内に縦一メートル幅六十センチ厚さ三センチ、重さ十三キロというタイヤ片が落下した。当時落下地点からわずか五メートルないし十メートルのところに小学生それから赤ん坊、老人を含む四人がいた、一歩間違えば大事故であった、こういうことがある。  また先月、六月十日に、これは大韓航空機でありましたけれども、午後四時過ぎに大阪国際空港の西約六キロ、ジェット機の航空路に当たっている伊丹市立池尻小学校の敷地内、体育館から約五メートル離れたポンプ室の屋上に、底部直径六十二センチ上部直径十四センチ高さ九十センチ、重さ七・五キロものジェットエンジンのテールコーンが落下している。体育館では当日バレーボール大会が午後四時前まで開催されていて、落下時刻には体育館内に小学五、六年生の生徒十五人が残っていた、もしもテールコーンが体育館の屋根を直撃していたらば大変な惨事になるところであった、こういうような事故であります。  ことし六月、七月のわずか二カ月間に限ってみても、目撃、発見されたものだけでも、全国の第一種第二種空港周辺のもので五件の落下物事故がある。また、五十五年から五十九年七月現在までの四年余りの間に実は四十五件の落下物事故が起こっている。この数字は報告のあったものだけであります。航空機による落下物は、第一に山中あるいは航路下の全地域にわたる場合があり、第二には航空機によるものかどうか判別が困難であるということ、第三に氷の塊が解けてしまう等々の理由によりまして、実際にはなかなか発見、報告されないことが多いわけでありまして、現実的には相当の事故件数に上っていることが考えられるわけであります。こうした事実に対しては、国民の生命と生活を守る上からも、またより大きな航空機事故の前触れ現象というようなとらえ方からも、重大な問題意識を私は持つものであります。  そこで、時間の関係で二、三問しかお聞きできないと思いますけれども、まず特徴として、エアラインの国内、海外別について言えば、国内各社については申し上げたような事故はほとんどなく、海外エアライン各社によるものが大部分であるとの認識を実は私の手元の資料では持っているわけであります。この点についてはどういうような認識を運輸省は持っておられますか。
  120. 西村康雄

    ○西村政府委員 まず最初に、航空機からの落下物のもたらす危険につきましてはただいま先生の御指摘のとおりでございまして、運輸省としてもこの問題の防止について何とか努力をいたしたいということでございますが、ただいま先生から御指摘のように、外国のエアラインのものが多いだろうということでございますが、確かに航空機の落下物の発生件数のうち、原因者が特定できた事例は十六件ございますが、そのうち九件は外国のエアラインでございます。一般的に外国のエアラインが多いということを直ちにこれをもって結論づけるかどうかは、必ずしもこれまでのケースだけで直ちに論定するわけにいきませんし、実際に落下物の多い新東京国際空港では、乗り入れているものは外国のエアラインの方がはるかに多いわけでございますので、そういう点から外国のエアラインが結果的に多くなるということも言えますし、外国のエアラインの多いということが直ちにいろいろな問題を外国航空会社が持っているとも現在まだ言いかねるところが非常に多い、そこら辺はこれから実際に落下の原因をケース・バイ・ケースで十分注意していきたい、調査してこの対策に取り組んでいきたいと考えております。
  121. 木内良明

    ○木内委員 この航空機落下物の問題については実は相当設問を用意しておりましたけれども、時間が甚だしくなくなってまいりましたので、ポイントだけ申し上げます。  私の調べた限りでは、落下物の原因というのは何点かあります。一つはエンジンを初め機体のいわゆる設計上の問題、次にはいわゆる整備点検上の問題、それから全く原因不明のもの、この三種類に分けられるわけであります。  例えば氷片、氷の塊が落ちてくる事故でありますけれども、先週私は実は国内エアライン各社の御協力をいただいてハンガーに行ってまいりまして、この給水バルブあるいはダブルチェックのメカ、こういったものについて実際に見てまいりました。二重構造になっておりますので構造上全く問題がございません。ところがこれがどういうわけか漏水をしてきて機体に付着して氷になる。高いところを飛んでいるときには凍った状態ですけれども、低空に移ってきたときに、機体が熱くなったり、そして機体と氷と剥離をして落下してくるという原因については究明されておらないのが現状であります。  それから、例えばタイヤ片の落下でありますけれども、きょうは実は時間があればゆっくり御説明も申し上げようと思って持ってまいりましたけれども、実はこれがいわゆる航空機のタイヤの断面であります。これが巨大な形になってついているわけでありますけれども、離着陸を何度か繰り返すうちにこのトレッド部分というのが摩耗してくるわけであります。この摩耗限度というものが今〇・八ミリということになっておりまして、その摩擦係数が小さくなってくるために、これを張りかえる作業をするわけであります。これがいわゆるリトレッド工程というもので、何回かこれを張りかえるわけであります。ところが、張りかえて張った部分が、このタイヤの中に入っている窒素ガス、あるいはまた繰り返して行われる離着陸によるゆがみによって剥離をしてくる。たまたま上空に行ったときにこのリトレッドの部分が落下をしてくる。これについては原因の究明、半分できていて対策が講じられていない、こういうような実態であります。  あるいはまた摩耗防止板についても同じわけでありまして、こういうベークライト製の摩耗防止板というのがいわば翼の断面のところにあるわけであります。これは接着剤で張られているわけでありますけれども、何回も動くことによって落下してしまう、これのもっと大きなものが。非常に危険なわけであります。この原因としては、一つは、補修のときに前の接着剤の跡を十分削り取らないで接着剤をつけたために落ちやすくなってしまう場合と、接着剤自体の材質の問題、これが挙げられるわけであります。  こうした点については、きょういろいろと議論を申し上げたかったわけであります。いずれにしましても、解明されていない状態のもの、それから整備点検が不十分であるもの、こうしたいろいろな要因が考えられるわけでありますけれども、そうした個々の対策をさらに講ぜられるよう要請をして、甚だしり切れの質疑になって恐縮でありますけれども、私の質問とさせていただきます。
  122. 大島士郎

    ○大島説明員 お答えいたします。  氷、部品等の航空機からの落下物につきましては、先生指摘のとおり、下に住む住民に与える心理的また実際的影響が非常に大きいということで、私どもも重大な関心を持って対応に努力しているところでございます。  氷につきましては、成田空港における再三の氷の付着の調査、あるいは国内航空会社の協力を得て行いました調査等によりまして、氷の付着状況あるいはこれが落下に至る状況等についてかなりわかりかけてきております。これまでも、航空会社に対して給排水系統その他水を使う航空機の系統についての整備点検を十分行うように強く要請、行政指導をしてきたところであります。幸い、五十九年の冬からのデータを見ますと、氷の落下というのは前年に比べて減ってきておりますので、こういった整備点検の強化が効果をあらわしているのではないかと期待をしておるところでございます。  さらに、機体自身の構造上の問題等につきましても検討を進めておるところでございます。  また、タイヤも含めまして部品関係の落下につきましては、ただいま先生も御指摘がございましたが、それぞれの部品についてそれぞれ特有の状況がございます。私どもとしては、部品につきましては、それぞれの特殊要因、これを追求いたしまして技術的な対策をとっていきたい、かように考えております。また、技術対策がわかりましたものにつきましては、航空機のメーカーあるいは関係の航空会社の整備の強化、こういうことを行政指導し、あるいは外国の航空会社に対しては強く警告、要請をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  123. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  124. 坂井弘一

  125. 草川昭三

    草川委員 草川でございます。  少し時間をいただきまして、国鉄岡多線、瀬戸線の新豊田−高蔵寺間の開業問題についてお伺いをしたいと思います。  この新豊田−高蔵寺間の基本工事というのは一〇〇%完成をしておるわけでございますが、このたび国鉄は、赤字になるのではないかというので、この引き受けを拒否というと言葉が悪いのでございますが、国鉄が運営を放棄をいたしまして、新たに第三セクターで運営をしてもらいたい、こういう提案をしておりまして、沿線の各自治体は寝耳に水の話というのですか、大変びっくりしておるわけでございまして、非常に困っておるわけであります。  そのことについてお伺いをするわけでございますが、まず、工事をやっていただいた鉄建公団にお伺いをしたいわけでございます。  鉄建公団としては、毎年事業計画の認可というのがあって、予算あるいは資金計画等で運輸大臣の許可を得てやっておるわけでございますし、当然のことながら、国鉄新線の工事実施計画についても、それぞれ公団法によるところの手続をしておるわけであります。  でございますから、まず最初にお伺いをしたいのは、ことしの五十九年度の予算の要求時に、国鉄側の方から引き受けをしないかもわからないというような意思表示があったのかないのか、まず明確にお答えを願いたい、こう思います。
  126. 横山章

    横山参考人 お答えいたします。  毎年事業計画の決定の前に国鉄と打ち合わせをいたしますが、ことしの三月に国鉄と打ち合わせをいたしまして、そういう場合になるかもしれない、国鉄はそういうことを考えているという旨のお話はございました。
  127. 草川昭三

    草川委員 そういう意思があったということになりますと非常に重要だと思うのでございます。当然のことながら、だれか、第三者というのですか、新しい事業主体を考えなければいかぬわけでございますが、そうなりますと、現実の工事の内容ですが、地方自治体が、いわゆる第三セクターが運営をするということになりますと、当然相手が変わることになると思います。そうすると事業計画も変わらなければいけない。事業計画が変わらないまま、ことし一年間工事をやった、そういうことになると思うのでございますが、そういうように理解していいわけですか。
  128. 横山章

    横山参考人 私どもは、国鉄の今回の発表は、第三セクター化について地元の意向打診をしたというふうに理解をいたしておりまして、第三セクターとして開業する場合と国鉄線として開業する場合とで当然違ってくる場合もありますけれども、鉄道として完成をするためにはほとんどの部分では変わらないと思います。したがいまして、現在はそういう手戻りのない範囲で工事を進めさせていただいております。  今後の進め方につきましては、どういうふうに仕分けをしてまいるか、国鉄とも十分に打ち合わせをして進めていきたいというふうに考えております。
  129. 草川昭三

    草川委員 総裁にお伺いしたいわけでございますが、いろいろと話はありますけれども、鉄建公団としてはできたものを国鉄が引き受ける前提で工事をなされたと思うのです。ところが今回、それはちょっと困る、こう言い出したわけです。だから鉄建公団としては、例えば来年度の予算編成に、残工事がどの程度あるかわかりませんけれども、そう大きな金額じゃないと聞いておりますけれども、その金額を鉄建公団は要求するのか、あるいは本当に今困っておみえになるのか、今のお話にもあるように、やむを得ないと思っておみえになるのか、どのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。
  130. 内田隆滋

    内田参考人 この工事は相当前から着工しておるわけでございまして、その間、日本の国の国情あるいは交通事情等が大変激変をしておるわけでございまして、現在のところこれはやむを得ない措置ではないかというように考えておるわけでございます。  したがいまして、ただいま横山参考人の方から申し上げましたとおり、鉄道としてはほとんど工事の内容その他変わりませんので、来年度の予算要求につきましても引き続き要求をしてまいりたいというように考えております。
  131. 草川昭三

    草川委員 やむを得ないとお考えになっておるということになりますと、第三セクター方式に移行をせざるを得ないということになっていくわけでございます。  自治省にお伺いをしたいわけでございますが、自治省として、特定地方交通線というのでしょうか、まだこの岡多線は特定地方交通線ではございませんけれども、採算なり将来の見通し等からいって、赤字を生ずるのかどうかというところがポイントだと思うのでございますけれども、地方財政の運営に対してどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  132. 横田光雄

    ○横田説明員 本件の問題につきましては、私ども関係地方公共団体から具体的な話を聞いておりません。したがいましてコメントは避けさしていただきたいと思いますが、ただ、委員指摘のとおり、第三セクターにするかどうかということにつきましては大変重大な問題だと思っております。したがいまして、極めて慎重に対処していただきたいと考えております。
  133. 草川昭三

    草川委員 次官通達というのが五十九年の五月三十日にあるわけでございまして、市町村の健全な財政運営に支障を来すことのないようにというので、例えば「特定地方交通線等については、採算の現況等からみて、第三セクターにより経営を行う場合であっても、赤字を生ずるおそれが多分にあり、その結果、地方団体に負担が転嫁される危険性が大きいので、各地方団体は、第三セクターに加わることについては、慎重に対処すること。」こういう通達があるわけでございますから、今のような御答弁になっておると思うのです。  国鉄にお伺いをしますけれども、第三セクターに任せて将来は黒字になるという見通しがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  134. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 第三セクターでスタートいたしました後におきましての経営の状態でございますけれども、これはこれからの問題でございまして、いろいろと見方もあろうかと思うのでございますが、それぞれ地域に密着した鉄道といたしましてお客様の御利用をいただくこと、それからまた、合理的な運営の方法をとることによりまして、将来の見通しとしては経営的に収支成り立つものと考えるわけでございます。
  135. 草川昭三

    草川委員 じゃ、経営が成り立つならどうして国鉄は引き受けないのですか。
  136. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 国鉄全体で運帯いたします場合に、やはり運賃におきまする一つの制約でございますとか、それからまた経費の問題におきましても、やはり全国を一体といたしましてのいろんな条件でございますとか、そういうふうなことで、それぞれの地域地域に密着した形におきまする経常のユニークさというものがどうしても図れないというふうな面が一つあるわけでございます。  それからまた、地域の鉄道、マイレールというふうな形でそれぞれの地域の方々に自分の足として育てていただく、こういうふうな形でもまた地域の利用の実態というふうなものも変わってまいるというふうな面もございます。さらにまた、その地域の鉄道といたしまして各種の事業にもいろいろと関与してまいるというふうなこともございまして、総体的に申しまして、地域の足といたしましての経営の着実な伸びというものが期待できると考えるわけでございます。
  137. 草川昭三

    草川委員 国鉄はその点では、押しつけられた路線ではなくて、これは国鉄も積極的に大環状線構想ということで推進をした経過があるわけです。その経過からした割には、今の答弁は、なりふり構わないというのですか、少し無責任だと私は思うわけです。地方自治体を含めた第三セクターでやってくれと言われたって、そちらの方だって全く素人ですからね、それは大変なことになると思う。  だからそれは、例えば地方自治体の方で受け入れ態勢がない、国鉄が引き受けないということになると、だれが損をするのですか。鉄建公団が損をするという言葉が適当かどうかは別として、鉄建公団が最終的に金利を払うということが損になるのか、鉄建公団は全く関係がないのですよということになるのか、どこに我々は問題提起をしたらいいのかということになります。だから、総裁せっかくお見えになっておられるので、ざっくばらんにお伺いをしたいわけですが、これは鉄建公団は損をしないのですか、どうですか。
  138. 内田隆滋

    内田参考人 この線区は、先生御承知のように利子のついた金で建設をしております。したがって、建設費も含めて、これを何らかの形で回収いたしませんと、公団としては大変困るわけでございます。したがいまして、それらの点につきましては、政府並びに国鉄が御協議をいただきまして、公的負担というようなことで国会議決をいただくということが前提になるのではないかと考えております。
  139. 草川昭三

    草川委員 当然、公団としてはそういうふうにおっしゃるわけです。  じゃ今度は運輸省にお伺いしますが、今度はそれを受けて運輸省がまとめの立場になると思うのです。今公団は困っておる。それは確かに困ると思うのです。公団法というのは、つくれば国鉄が引き受けてくれるという前提でつくっているわけですから。ところが国鉄は嫌だ、こう言うわけです。  じゃ、国鉄が引き受け義務があるのかないのかという議論は、私どもは内部でやったわけですが、まだなかなか難しい点があるようでございますね。例の国鉄再建法の関係があるわけですから、それに基づいて言うのでしょう。あるいは地域の第三セクターに対して、財産の帰属ということで、鉄道施設、すなわち公団の財産ですが、これを無償貸し付けをしますよということを言って第三セクターをつくらせようとするわけですが、果たして国鉄に無償貸し付けということを今言うだけの法的な裏づけがあるのか、いわゆる再建促進特別措置法のいろんな条令があるわけですが、読みかえでそこまで言えるのかどうか、かなり私どもは疑問があるわけです。  きょうはそういう法律論争ではなくて、運輸省にお伺いをしたいわけでございますが、一体、運輸省はこの第三セクター方式を了解しておるのかどうか、そして、地方自治体に対しても運輸省として話し合いを今後するのかどうか、あるいは鉄建公団に対してどのように指導するのか、お伺いしたいと思います。
  140. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 国鉄の方から岡多、瀬戸線につきまして第三セクター化についての地元の意向打診が開始された段階でございます。  御承知のとおり、国鉄の財政の状況は非常に、臨調答申の言葉で言いますと、危機的状況を通り越しまして破産的な状況にあるわけでございます。そういう状況を踏まえまして、長期的なあり方といたしまして、経営形態なりあるいは長期債務をどうするかについて国鉄再建監理委員会において現在鋭意検討を進められ、来年の夏にはその最終的な報告が出る見込みになっております。その間におきましても、連日のように赤字がふえてまいっておるわけでございまして、そういうものを国鉄自身の努力によって極力節減していくということが臨調の答申でも指摘されております。そのために、地方交通対策なりあるいは設備投資の抑制なり、そのほかの、赤字を少なくするための緊急対策が実施されておるような状況でございます。  そういう状況を踏まえまして、国鉄といたしましても、従来国鉄開業を前提として工事を進めてまいりました岡多、瀬戸線について、地元の御協力によって第三セクター化を図りたいということでの意向打診が開始されたところと私どもも理解しております。まだ地元に対してその打診が開始されたばかりでございますので、運輸省といたしましては、この国鉄の意向打診に対する地元の反応を見守ると同時に、国鉄と地元との調整状況を見守りまして、そして対応策を検討してまいりたいというふうに考えております。
  141. 草川昭三

    草川委員 これは国鉄に聞いてもいいんですが、運輸省に聞く以外にないと思うのですが、とりあえずとにかく基幹工事は一〇〇%終わったわけです。あともう残されたのはごくわずかです。ですから、公団として従来どおり予算を来年も要求する、こう言っておるわけですよ。来年どういう計画になるかというのですけれども、来年度の工事というのは、これは国鉄が引き受けるという前提と第三セクターが引き受けるという前提で工事は大変違うわけです、細かいことは言いませんけれども。しかし、予算は要求する、こう言っておるわけです。運輸省はどちらの立場をとられますか。要求するんですか。
  142. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいまの御質問につきましては、岡多、瀬戸線の六十年度の建設費の予算要求でございますが、この工事の中でもほかの公共事業との協議に基づいて施行しているものもございまして、鉄道施設として利用する場合に手戻りとならない範囲の工事がまだ残っておりますので、そういう工事は継続すべきだと考えておりますので、どういう内容の予算要求をすればいいかということを現在公団とも相談しながら検討しているところでございます。
  143. 草川昭三

    草川委員 それからもう一つ。この問題を詰めていきますと、詰めていく窓口というのは、あくまでも本来は新線を引き受けるべき国鉄がそれにかわるべき第三セクターを説得する立場にあるのか、あるいは今後は運輸省が、そうは言うけれども、全体的な取りまとめをしながら地方自治体とも話し合いをしていくのか、責任の所在はどちらになるんですか。
  144. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 基本的には、国鉄開業を前提として工事を進めてまいりました線でございますので、国鉄の側から地元に第三セクター化についての御相談を申し上げ、その話を進めていくということでございますけれども、私どもとしても情勢を的確につかみながら、国鉄なりあるいは公団とも相談しながら、善後策と申しますか、将来の対策については真剣に検討していかなければいけないというふうに理解しております。
  145. 草川昭三

    草川委員 今度は国鉄にお伺いいたしますが、当然のことながら、今運輸省がおっしゃったような形で各地方自治体にも説得をされていくことになりますけれども、その地方自治体を説得するには、実はいろいろな条件を出していかなければいけないと思うわけです。今申し上げましたように、無償で施設を貸与するのか、あるいは転換交付金の問題あるいは新線補助金の問題等も含めなければならぬと思うのですけれども、いわゆる鉄建公団の方にしわを寄せないようにするには相当いろいろな附帯する関係が出てくると思うのです。それをどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたい。  それと同時に、この瀬戸線だけではなくて、今後他の新線が建設されてくるわけでございますが、都市圏交通に影響を及ぼす他の線にも同様な考え方を持たれるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  146. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 七月十六日に私ども国鉄から、愛知県それから沿線の四市にこのお話を申し上げてまいったところでございます。この場合に、国鉄線として開業いたしました場合には有償線区ということでございますが、国鉄といたしましては、第三セクターによります運営を可能にするためには鉄道施設の無償貸し付けが必要であると考えておるのでございますが、この取り扱いにつきましては、今後運輸省と関係方面と御相談をしてまいりたいと考えております。  それからさらに、今先生お話しのような新線に対する補助金でございますとかあるいはその後の欠損の補助、こういうような問題につきましても、これからの問題として関係の方面と御相談をしてまいりたいと考えております。  それから、他の線区に及ぼす影響でございますが、これは岡多、瀬戸線につきましてのお話として御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  147. 草川昭三

    草川委員 他の線については考えてないということでございますかね。  それでは、最後に鉄建公団にお伺いしますが、例えば国鉄の引き受けが一年おくれたとしますと、アバウトな計算でございますけれども、鉄建公団の金利負担、本来の供用開始ができないための損失、これは幾らになるのか、お伺いしたいと思います。
  148. 萱場英造

    萱場参考人 お答え申し上げます。  種々前提のとり方によりまして必ずしも確定的なことは申し上げられませんが、ある仮定を置いて計算いたしますと、一年間で約七十億円程度かと思います。
  149. 草川昭三

    草川委員 引き受けをしないために一年間で七十億の損失になるわけですが、これは当然鉄建公団だけの問題ではなくて、国民立場からも重要な問題だと思います。ぜひ理解のいくようにしていただきたいと思うわけであります。  時間が来てしまいましたので、もう一問あったのでございますが、これは要望にしておきたいと思うのです。  自動車保険の約款について、実は私、自分の選挙区の個々の問題ではございましたが、東京海上火災との契約車両が契約期間内に車の入れかえが行われたわけでございますけれども、その手続が、販売会社の手違いというよりもユーザーの手違いで三十日過ぎた後に行われた。その後の事故で保険請求をしたわけでありますけれども、免責だということで支払いが拒否されておる問題があるわけです。これについて私どもいろいろと関係の方々とお話をしていたら、実情は個々のケースによってはそんなに四角四面ではないよというようなお話があったわけでございますけれども、残念ながら現状は拒否の段階になっております。  それで、これは大蔵省の保険部長にもお願いをしたいわけでございますけれども、保険約款というのは会社の都合によって変わるということでもないと思いますし、いわゆる契約者というのはやはり弱い立場でありますからそれなりの配慮があってもいいのではないか、こう思うわけでございまして、今回の東京海上の取り扱いと自動車保険の約款の解釈というのをひとつ明らかにしたい。私もこの問題については非常に重大な問題意識を持っておりますので、ひとついろいろな関係書類等については当委員会に提出をしていただいて、また、委員長からよろしく御配慮願いたいということだけ要望いたしておいて終わりたい、こう思います。どうもありがとうございました。
  150. 坂井弘一

    坂井委員長 伊藤英成君。
  151. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 シートベルトの着用についてお伺いいたしますけれども、自動車乗車中の交通事故死亡者のうちで半数以上、あるいはきょうのこの「人と車」という雑誌を見てみますと、これではその死亡者のうちの約七割というのはシートベルトをしておれば助かる、こういうふうに言われております。そのくらいシートベルトというのは効果が大きいわけであります。  ところが、我が国のシートベルトの着用率というのは高速道路でも二十数%、三〇%を割っている状況ですし、一般道路ですと二〇%弱ぐらいということであります。一方、例えば西ドイツなんかを見ますと、罰則規定はなくても、高速道路、アウトバーンですと八〇%ぐらい、一般道路でも七〇%近く装着をされているという状況であるわけですけれども、日本のシートベルトの着用率がそういうふうに非常に低い中で、シートベルトの着用率を高めるために一体何をすべきだと考えるのか、そして現在どういうPRをしておって、その効果はどういうふうに考えておられるか、まずお伺いいたします。
  152. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘のとおり、シートベルトの着用は交通安全上極めて有効なことははっきりいたしております。これを、制度のいかんにかかわらず実質的に高めることが交通安全対策上意味のあることであることもはっきりいたしているところでございます。したがいまして、今後の制度をいかにするかということはさておきまして、現状においてできるだけこれを推進するということで、毎年八月に関係省庁があわせて実施をいたしますシートベルト着用強化月間はその一つのあらわれでございますし、また春、秋の交通安全運動におきましてもこの課題は大きなテーマとして進められているところでございます。  ただ御指摘のとおり、現在の制度におきましては、シートベルトの着用率を高めるということは指導あるいはPRという段階で実施をいたさざるを得ませんので、そういった意味におきまして、交通安全運動あるいは交通上の広報の中で一般の方法とあわせてこれを実施をしておるというところでございます。  したがいまして、警察といたしましては、街頭におきます安全指導あるいは安全広報の際におけるシートベルトの着用指導、それから警察の各種の機会に行います講習会等におきまして、このような着用の効果とその推進につきまして啓蒙ないし講習の実施を行うということ、さらには通常の広報手段と同様でございますが、各種の視覚に訴えるようなポスターあるいはリーフレットといったような手段をできるだけ活用いたしまして、このような趣旨の普及に努めるというところが当面のやり方であろうと考えております。
  153. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今いろいろやっておられる話を伺いましたけれども、私はこう思うのですね。やはり多くの人は事故に遭ったときのシートベルト効果というのを本当に認識してないんじゃないかという気がするのです。よくいろいろ言われたりするのですね。それが役に立つということもいろいろ言われたりする。そしてその上に立ってでしょう、例えばポスターがつくられておりますけれども、そのポスターに「忘れずに笑顔とベルトで」と書いてあったりします。でもそれを見たときに、一般ドライバーに、ああシートベルトをしなければいけないな、シートベルトはこんなに役に立つんだなというふうに思わせているんだろうかというと、そんなふうになってないと私は思うのです。  そういう意味で、さっきも例えば視覚に訴えるためにというようなことをいろいろ言われましたけれども、私は、例えばテレビにもっともっとシートベルト効果についての番組キャンペーンを張ることが必要なんじゃないかという気がするのです。それはただシートベルトをつけましょうとかいうようなスローガン的なものじゃなくて、どういうふうに役に立つんだよ、これをするとこういうふうに効果が上がるんだよということをわからせるためのものでなくてはいけないと思うのです。そういう意味でぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  154. 久本禮一

    久本政府委員 この点はまさに先生の御指摘のとおりでございまして、大体テレビが多うございますが、これが特にこういった種類のPRに大変効果があるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、スポットあるいは特殊番組等にもう少し力を向けることができればいいなという気持ちは率直に言って私ども常々持っておるわけでございますが、当面私どもがそういうことを自由に十分にできるという体制にはございませんので、総理府の広報室あたりの協力も十分に得まして、おっしゃるような形でのPRを少しでも広げていきたいという気持ちは十分に持っているところでございます。  政府だけではなくて、民間でもこういった運動に興味を持ち、あるいはこれを課題と思うような向きにつきましては、そういう方向を今後できるだけ慫慂して協力を求めていくようにしてまいりたいと考えております。
  155. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の点にさらにつけ加えたいんですけれども、例えばテレビでそういうようにやるということもそうですし、あるいはPRの仕方としては、万一事故に遭った場合に、シートベルトをしていた場合にはこういうふうに保険金も割り増しをされるんだよというようなPRをするとか、今のような話は私は本当にたくさんの方が知らないと思うんですね。気がついてないと思うんです。そういうことをやること。あるいは事業所の話もありましたけれども、事業所にしてもそうですし、あるいは各地方自治体の取り組みにしてもそうですし、本当に一生懸命でやっているところはその効果は大変上がっているわけです。それはぜひやっていただきたいと思います。  今、国会の場でもシートベルト法制化をしようというような話さえ論議をされている時期なんです。そういうことから思えば、もっともっといろいろなことができるはずだ。にもかかわらず、今はある意味では形式的なことばかりになっていやしないかと私は思うんです。そういう意味でぜひお願いをいたします。  それとあわせてなんですが、今も局長からもお話がありましたけれども、今いろいろと諸対策を講じようとしております。あるいは講じておりますけれども、それによって、あるいはこれからの活動によって現在の交通事故死亡者の数の水準というのは減らしていけると思われますか、あるいは今の第三次交通安全基本計画交通事故死者抑止目標となっているものの達成は可能だと思われますか。
  156. 久本禮一

    久本政府委員 これは大変難しいお尋ねでございます。もちろん政府が決意をもって定めた目標でございまして、これが私どもの行政の支えでございますので、これを実現すべく努力をするというふうにまず申し上げねばならないと思うわけでございます。  ただ御承知のとおり、最近厳しい財政状況の中で、私どもが今までやっておりましたような交通安全対策が必ずしも十分に実施できないという状況が出ております。私どもで申しますと、例えば交通安全施設等の整備等についても必ずしも今までのように十分にはこれを設けることができないとか、あるいは交通警察官の街頭活動等におきましても、人員あるいは装備両面から必ずしも従前のような形でのてこ入れがしにくいという状況がございます。もちろん、こういう状況にもあえて挑戦をしてその効率を上げるような形で進めていかなければならないとは存じているところでございますし、そういう決心で進めているところではございますが、そういう点で、諸条件は私どもが当初考えましたときよりは厳しくなっているというところがございますので、なかなかこれを達成することにつきましては、従前考えたようにそう簡単にはいかないという危機感は持っております。  しかし反面、論理的に申しますともっともっと事故を減らせるという要因はあちこちに転がっているわけでございまして、これに思い切って挑戦するということもこういう時期における一つの安全対策であろうと思うわけでございます。そういった意味で、シートベルトの問題等は、頭の中の話ではございますが、少なくともシートベルトが完全にできておるならば、現在たまたま不幸にして死亡事故を起こした被害者の中の相当の者は助かったであろうということを考えますならば、やはりそういったシステムを進めることによって事故を減らすという余地はあるんだ、そういうものを見つけ出していくということも今後の一つの課題であろうというふうには考えております。  したがいまして、交通安全対策は一つのものを進めるだけで効果があるというわけじゃございませんので、そういうものをやはりきめ細かに掘り起こしていくという点でまだまだやることはあろうと思っておりますので、そういったことの中から極力目標に近づいた実績の上がるような安全対策を進めてまいりたいという決意をしているところでございます。
  157. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に、自動車保険についてお伺いしたいのですけれども、自動車保険の料率は、五十八年の七月に平均一二・一%の引き上げが行われて、ことし七月には等級制度導入による悪質契約者への料率引き上げも行われております。七月二日の日刊工業新聞によりますと、自動車任意保険の損害率が上昇したため、異常危険準備今からの支払いが増加し、底をつきかけているというふうに報道をされております。新聞報道で明確ではないのですけれども、損害保険会社が再び料率を引き上げようと考えているのか、管理官庁である大蔵省にお伺いいたします。
  158. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自動車保険につきましては、今先生からお話がございましたように、五十八年七月に対人賠償保険と搭乗者傷害保険が引き上げが行われていますが、これは、対人の方は四十九年に一四%の引き下げが行われ、それから五十一年に微調整で〇・八%の引き上げがあったわけですが、引き続き五十三年に一・九%の引き下げが行われた後を受けまして、五十八年七月に引き上げが行われたものでございます。それから搭乗者傷害につきましても、四十八年に二六%の引き下げ、それから引き続き五十一年に四一%、五十三年に五%と引き下げが行われた後、五十八年七月から引き上げが行われたものでございます。  このように、自動車保険につきましては、年々の保険収支計算、保険計算をいたしまして、自動車保険料率算定会の方でそのような計算を行った結果に基づきまして料率の検証が行われているわけでございますが、最近、対物、車両を中心にしまして収支状況が悪化してきているわけでございます。対物につきましては、五十六年に七・六%の引き下げを行っておりますし、車両は同じ五十六年に一六・三%の引き下げを行っているわけでございますが、その後収支状況が悪化してきているという状況でございます。  しかしながら、その保険料を引き上げるか否かにつきましては、昭和五十八年度の収支状況に基づいて自動車保険料率算定会が検証を行うことになっておりますので、その結果を見た上で判断されることになろうと思います。
  159. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 自動車任意保険の場合は、これは保険契約者の信託を受けてやっているわけでありまして、したがって当然保険契約者に運営の内容あるいは料率制度等を公開して了解を得てから料率を引き上げるべきであるというふうに考えますけれども、大蔵省はどういう方法で保険契約者の了解を得ているわけでありますか。
  160. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自動車保険の料率の改定につきましては、今御説明申し上げましたように、自動車保険料率算定会から、その検証結果に基づきまして認可申請が行われることになっておりますが、まず自動車保険料率算定会では、学識経験者八名を含みます理事会で料率引き上げの検討をした後、大蔵大臣あて申請することになっております。  それで、料率引き上げの認可申請がなされたときは、法律に基づきまして、認可申請後一週間内に日刊新聞に公告がなされ、保険契約者等の利害関係人は保険料率表の閲覧、交付を請求することができます。また、利害関係人は、損害保険料率算出団体に関する法律に基づきまして、保険料率の算出の基礎となった資料の閲覧ができることとなっております。さらに、認可申請をした保険料率に不服があるときは、大蔵大臣に異議の申し立てもできる制度となっておりまして、このような制度により保険契約者の了解を得ているところでございます。
  161. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話で、異議がある場合には異議申し立てができるというふうになっております。しかし、ここで閲覧できるのは料率の変更点のみで、その裏づけとなるデータが公表をされておりません。単に算定結果のみであって、そういうやり方というのはやはり保険契約者を無視したやり方じゃないか、こういうふうに思うわけであります。したがって、その収支の内容とかあるいは損害率、料率算定手法等を公開をして保険契約者にその了解を得るのが本来のやり方ではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがですか。
  162. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほどの手続の中で、法律に基づきまして利害関係人は保険料率の算出の基礎となった資料の閲覧を求めることができることになっておりますが、その資料の中には、算出結果のみならず、今先生指摘ございましたような損害率とか料率算出の方法等を含む広い資料が含まれてございますので、御指摘の点については既にそのような形で実行されているものと考えております。
  163. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に、ちょっと自賠責保険についてお伺いをしたいわけであります。  自賠責保険の場合には、自動車の任意保険と比べると、さらにそれが強制であるというところから見て公共性の高いものになっているわけでありますけれども、その自賠責を管理している大蔵省、運輸省は、どういう方策で保険契約者にその運営内容を公開をし、了解を得ているのか、お伺いします。
  164. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責の運営内容でございますけれども、まず、毎年自動車保険料率算定会におきまして自賠責保険統計あるいは自動車保険の概況等を発行しておりまして、これは国会図書館、新聞社、関係図書館、そういったところへ広く公開してございます。  それから、まず自賠責保険の運営に関する重要事項につきましては、先生おっしゃいましたように自賠責保険が公的性格があるということから、学識経験者及び自動車関係団体、保険事業、それから行政機関の関係者から構成されます自賠責保険審議会に御報告しておりまして、また、審議を願っているところでございます。そのようなことから、保険契約者の立場からの御意見等も十分反映されるような仕組みになっていると考えております。  また、特に自賠責保険の保険料率につきましては、自動車保険料率算定会において毎年保険料率の検証が行われておりますけれども、算定会の理事には学識経験者も委嘱されておりまして、そこでも公平な検証が行われるような配慮がされているところでございます。
  165. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 自賠責の場合には保険契約者が異議申し立てということはできるのでありますか。
  166. 鏡味徳房

    鏡味説明員 任意の自動車保険と異なりまして、自賠責保険につきましては法律上、大蔵大臣に認可申請した保険料率に対して契約者が異議申し立てをできるというふうな制度にはなっておりません。  これは、自賠責保険料率に関する認可に当たっては、先ほど御説明いたしましたように、大蔵大臣は自賠責審議会に諮問することを自賠法上義務づけられておりまして、学識経験者や自動車関係者、ユーザー等を構成員とする同審議会の審議を必要とすることが制度化されております。したがいまして、契約者の異議申し立て制度を採用するということになりますとこの制度と重複することになりますものですから、このような制度が採用されてなかったものと考えております。
  167. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話の論拠になっているのが、自賠責審議会並びに自動車保険料率算定会というものに審議をしてもらっているからということであるというふうに思いますけれども、その自賠責審議会のメンバーも、今、十六人中保険契約者の利害を代表するというふうに考えられる人というのは非常に少ないと私は思います。同時に、自動車保険料率算定会に至りますと、ユーザーを代表するのは一人だけだというふうに私は思うんですね。ところが保険会社の関係者というふうに考えますと、七、八名になると私は思うんです。そういうような状態で、今言われたような意味で公共性に基づく公平な運営というのが可能だというふうにはちょっと思いにくいですね。  そういう意味で、自賠責審議会並びに料率算定会のメンバーというのを見直すべきだ、そして保険契約者の意見が十分に反映されるようにすべきであるというふうに私は思います。どうでしょうか。
  168. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責審議会の委員につきましてでございますが、今先生から御指摘がありましたように、ユーザーの立場を考えている委員の方が何人おられるかというのは、審議会ですから当然ユーザーの立場も踏まえながら議論はされるわけで、大変難しいわけでございますけれども、今の構成を申し上げますと、まず関係行政機関の職員が五人と学識経験者が四人、それから自動車運送関係者が二人、保険事業関係者が二人の十三人に加えまして、臨時委員としまして、自動車運送関係者でございますけれどもユーザー代表、それと関係行政機関の職員、それから保険事業関係者一人、合計で十六名ということになっておるわけでございます。また、自動車保険料率算定会の理事でございますけれども、これは、損害保険事業関係者は六人でございまして、学識経験者が八人、それから常勤理事七人ということで、合計二十一人という構成になっております。  自賠責審議会委員及び自算会理事の人選に当たりましては、このような観点から広く各方面の意見が反映されるよう配意されてきておりますし、また、そのような指導も行ってきているところでございますけれども先生の御指摘も含めまして今後とも引き続きそのような方向で努力したいと考えております。
  169. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今おっしゃられたうちの料率算定会の役員の中で、ユーザーを代表する人の数は言われなかったというふうに思いますけれども、私は一人ではないか、こう思っておりますが、いずれにしても、今私が申し上げた意見を踏まえて考えてくれるというふうに理解をいたしますけれども、そういうことでよろしいですか。
  170. 鏡味徳房

    鏡味説明員 ユーザーの代表という形の委員、役員をどのように分類するか、色分けするかというのは大変難しい議論でございますけれども、学識経験者八人の中に、おっしゃるように日本自動車連盟の会長が入っておられます。そういうことでユーザー代表は一名と先生はおっしゃっているのかもしれませんが、先ほど来申し上げておりますように、こういった審議会、それから算定会の役員、委員の構成につきましては、各方面の御意見が反映されるよう努力してきているところでございまして、先生の御指摘も踏まえまして、今後ともそういう方向で努力していきたいと思っております。
  171. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 こういったユーザーの意見を反映する問題、運営の公開の問題についても今後ずっと関心を持って見守っていきたいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  それから次に、自賠責の収支状況についてお伺いいたします。  自賠責の単年度収支が悪化をしているというふうに聞いておりますけれども、具体的にどれほどの赤字が発生をしているのか。簡単にお願いいたします。
  172. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責保険の単年度収支で申し上げますと、五十三契約年度以降赤字となっております。赤字幅は年々拡大の傾向にありまして、五十八契約年度における単年度の赤字は約千九百億円に達し、推計ですと、五十九契約年度には約二千百億円となる見込みになっております。それから累積収支の方で見ますと、五十七契約年度から赤字となっておりまして、五十九契約年度における累積赤字額は約四千五百億円に達する見込みとなっております。
  173. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 五十八年の一月二十六日の自賠責審議会で配られた資料によりますと、単年度収支が五十七年にマイナス八百六十八億円、五十八年にマイナスの千百十一億円、それから収支残の累計で五十七年度に千二百五十八億円、五十八年度に百四十七億円の黒字というふうになっております。  先ほどの説明等考えますと、一年の予測時期の違いで、五十八年度の予測でいきますと合計二千五百億円余、二千五百四十七億円の見込み違いが発生をしているわけでありますけれども、これはどういう理由でありますか。
  174. 鏡味徳房

    鏡味説明員 昨年の自賠責審議会で配付いたしました収支表は、五十六年度末、すなわち五十七年三月末までの保険料収入、保険金支払いの実績に基づきまして自動車保険料率算定会が行った検証に基づいて作成されたものでありますが、ことしの自賠責審議会で配付いたしました収支表、先ほど御説明いたしました収支は五十七年度末までの実績に基づいて作成されたものでございます。  その収支は、一般的に計算をいたします前に、当該年度中の契約保険料とその契約に対する発生保険金と対比する、いわゆるポリシー・イヤー・ベーシスにより算出されているものでございますけれども、事故発生から保険金の支払いまでに長い期間を要する自賠責保険の収支においては、直近年度ほど推計部分が多くなっております。したがって、年数の経過によって実績部分が多くなるにつれて当初の予測と差異が生ずることもございます。  今先生から御指摘ございましたように、五十七年度の検証と五十八年度検証における収支が差がございますが、これは、各年度についてそれぞれ推計と実績がより多く出てきたところでの差が出てきたわけでございます。  一番簡単に五十八契約年度についてどういう差があったかということを御説明いたしますと、五十七年度検証では、単年度で五十八契約年度には約千百億円の赤字が生じると私どもは見ていたわけでございますけれども、五十八年度検証では約千九百億円の赤字となっております。その差は約八百億円となっておりまして、先生指摘のような差がその五十八契約年度について生じてきているわけでございます。  これは理由は二つほどございまして、一つはそれほど大きな理由ではございませんけれども、自家用乗用車の新車の車検期間が五十八年七月から三年となっておりまして、これに伴いまして保険期間も三年となっております。これによりまして、保険料も当初五十七年度検証で見込んだときよりも増収になっておりますけれども、先ほど来御説明しておりますように、五十三年度以来単年度で保険財政が赤字体質になってきておりますものですから、むしろ保険金支払いの方が多く見込まれるようになりまして、車検の三年延長に伴う保険収支は約四十億円の赤字要因、これが一つの誤差でございます。  それから、差異の大宗でございますけれども、これは事故件数が五十七年度に見込んだ以上に増加したためでございまして、これはやや保険数理の話でございますので専門にわたって恐縮なんですけれども、五十七年度検証は、先ほども申し述べましたように五十七年三月末までの実績に基づいて五十八契約年度の事故率を推定しておりますけれども、保険事故の実績は実際には支払い請求があったものでしかとらえられません。したがいまして、五十六年度に事故が発生したものでも、すぐに支払い請求が出てまいりませんものですから、その事故率をどのぐらいに見るかというのは支払い請求が来た段階でしかわからないわけでございます。  それで見ますと、例えていえば五十六年度の死亡事故は約六〇%が五十六年度中に支払い請求が参りますけれども、後遺障害は七%、それから傷害では五〇%でございまして、特に、後遺障害の七%という数字で事故の趨勢を推定するというのはいかがかということで、従来からのやり方は、その前の年までの事故率を用いまして、それからかた目に推計をしている。と申しますのは、交通事故発生件数も五十三年までが比較的落ちついた情勢になっておりまして、その後は徐々に増加し、五十七年、五十八年と、従来の趨勢から見ますとやや急激に上昇を見ているわけでございますけれども、それまでが比較的落ちついていたということで、事故率はかた目に推計するというならわしになってございます。  ところが、今度は五十七年度末、五十八年三月末の実績を踏まえた五十八年度検証で五十六年度に発生した事故を見てみますと、そこでは支払い請求が、死亡、傷害では約九六%までございましたので、かなりこれが実績として利用できるようになっておりますし、それから後遺障害も約五〇%が支払い請求が来ておりますので、これが推計のベースになるということでございまして、そのベースを用いますと相当事故率が変わってきているわけでございます。  しかしながら、今申し上げましたように五十八年度以降の推計につきましては、事故率をかた目に見ているというのが現状でございますが、そういうことでやりましても、先ほどの三年車検とあわせまして、八百億円ほどの差異が生じたわけでございます。
  175. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今いろいろ御説明してくださったわけですけれども、ある意味で非常に抽象的だと私は思うのですね。本来ならばもう少しわかりやすく、それこそどういう予測のカーブになってどういうふうになるのだよというふうな説明をしていただかなければ、今のお話でああそうですがというふうに納得することはとてもできません。  それはなぜかというと、先ほど五十八年度の単年度の数字で千百十一億のマイナスからマイナス千九百億、約八百億でした、そのうちの四十億はこういうことでしたよという話はありました。しかし、考えても四十億なんというのは八百億の中から見ればほんのわずかのものでありました。それと同時に、そういうふうに考えたときに、約倍ぐらいの差があるわけでございますね。ということは、予測の仕方がよほどおかしいかなんかだと私は思うのです。一年の差でもってこれだけの大きな差が出てくるというふうにはとても考えにくいというふうに思うのです。あるいはその大きな差でもって政策の決断をしていくというのはまた極めて危険だというふうに思います。そういう意味で、また別の機会にぜひわかりやすく、それこそ一般の保険契約者から見ても十分にわかるような説明をぜひお願いをしたいというふうに思います。  そして先ほど、一番最初に警察庁からもお話を伺いましたけれども、今、シートベルトも含めて、これからもさらに積極的に事故防止のためあるいは事故死防止のために大変な熱意でもって取り組んでいるわけであります。それがまた反映をされたやり方というものがされてしかるべきだというふうに私は思います。先ほど、先の問題についてはややかた目の予測をしてというような話はありましたけれども、私は、警察庁その他関係者の努力によって、あるいは国民的な運動によってこれからさらに事故を減らしていくことは可能だというふうに思いますし、そういうものをぜひ取り入れていっていただきたい。  そうでなければ、一年たっただけで二千五、六百億も違うような予測の仕方をベースにしたもので料率引き上げをするなんていう話が起こっていくとすれば、私は、契約者に対する背信行為じゃないかというふうにすら言いたくなると思うのです。そういう意味でぜひよろしくお願いをいたします。  時間が余りありませんので次に移ります。  自賠責特別会計の運用益についてでありますけれども政府が五十八年度予算において保険契約者の了解を、まさにこの問題についてもそうなんですが、保険契約者の了解を得ることもなく、自賠責特別会計の運用益のうち二千五百六十億円を一般会計に流用いたしました。そのときの返済条件は、私の理解では、三年据え置き七年返済、無利子ということになっていると思います。そして同時に、自賠責の運用益の運用利回りというのは七・〇四%であるというふうに理解をしておりますけれども、まず、この理解は正しいでしょうか。
  176. 日高壮平

    ○日高説明員 初めに、五十八年度予算編成の際に、本件、一般会計へ繰り入れるという措置を政府部内で決定したわけでございますが、そのときの大蔵大臣と運輸大臣との間の了解では、この返済条件については先生指摘のとおりになっております。
  177. 熊代健

    熊代説明員 自賠責の特別会計の運用益についてでございますが、自賠責特会の現金におきます余裕金につきましては、特会法によりまして資金運用部に預託することになっております。我々といたしましては、その範囲でできるだけ有利にこれを運用してまいるように努めております。原則といたしまして、資金運用部の一番有利な利回りが得られます七年物で運用をするように努めております。先生、平均利回り七・〇四とおっしゃいましたけれども、我々としましては、中心が今申し上げたようなことでできるだけ七年物の一番有利なもので運用しております。ことしの二月以前はこの七年物が七・三%でございました。二月以降七・一%になっております。そういう状況でございます。
  178. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話ですと、ちょっとこれは私が自分で試算したものでありますけれども、したがって金利の部分がやや違うかもしれませんが、ざっと計算をいたしますと、利息収入がほぼ千六百五十億円くらいになると思うのです。先ほどの二千五百六十億円を流用した分ですね。そうしますと、二千五百六十億円と合わせて四千二百十億円くらいの巨額の金が一般会計に流用をされているというふうに逆に考えればなるというふうに思います。  そうしましたときに、五十三年の自賠責審議会の答申の精神である、自賠責特会の運用益は交通安全対策、収支改善に充てるということを遵守して、保険契約者の信頼にこたえるためにも、即刻その分は返すべきだというふうに思いますけれども、大蔵省としてどうでしょう。
  179. 日高壮平

    ○日高説明員 先ほど申し上げましたとおり、本件繰り入れにつきましては、原則として三年据え置き七年間、計十年間ということでございますが、そういう了解が運輸大臣との間でもできておるわけでございますし、私どもとしては、最終的にはこの運用益につきましても保険契約者の利益のために活用することが望ましいというふうに考えておりますが、この繰り入れ分につきましては後日繰り戻すということにしているわけでございますので、五十八年度予算の際に決められた考え方に沿って今後対処してまいりたいというふうに考えております。  なお、運用益の具体的な活国策につきましては、今後自賠責審議会において検討される予定というふうに伺っております。
  180. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 新聞等によりますと、大蔵省は六十年度に自賠責の保険料を引き上げる方針のように書かれております。今申し上げたように、四千二百十億円という巨額の金がユーザーあるいは保険の契約者から見ますと要するに横取りをされているというような状況において、しかも、それが保険契約者から見るとそれこそ了解も得ないで、今度は料率を引き上げるというようなことになっていきますと、まさに倫理的にも許される問題ではない、こういうふうに思うのです。  そういう意味で、その全額返済をするまではともかく料率を引き上げはしないというふうにぜひやっていただきたい、こういうふうに思います。約束をできますか。
  181. 鏡味徳房

    鏡味説明員 五十八年度予算において自賠責特会から運用益が一般会計に繰り入れられた理由につきましては、先ほど御説明があったところでございますけれども、一方、自賠責保険の収支につきましては、先ほど来御説明しておりますように、五十三契約年度以降、単年度赤字となっておりまして、累積収支も先ほど来御説明したような額になろうとしているところでございます。  ただ、先ほどの運用益の一般会計への繰り入れにつきましては、その当時の約束によりまして将来繰り戻される、いわば特会の資産に計上されているものでございますので、そういった運用益全体をどのように活用していくかということにつきましては、現在運輸省でも検討されているところでございますし、そのような運用益を活用しながら自賠責保険の収支の改善を今後どうやっていくかという問題を、これは先ほど御説明しました検証が今度は五十九年度の検証も出てまいりますので、その結果も踏まえながら検討していく必要があろうと考えております。
  182. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 もう時間が過ぎてしまいましたので多くを話しませんけれども、私は先ほど申し上げたとおりに、今出されております予測の仕方についても不信を抱いております。これは、私も一人の保険契約者として現在の状況というのは問題だというふうに思っております。そして料率の引き上げの問題についても、一般会計に流用をされている段階で引き上げが行われていくというのは、それはどういうふうに考えてもおかしな話だ、こういうふうに思っております。そういう意味で、重ねて申し上げますけれども、全額返済をするまで料率引き上げをすべきではないというふうに思います。  また、実は自賠責の問題については、例えば車種別の損害率の格差の問題であるとか、あるいはメリット・デメリット制の導入の問題であるとか、あるいは今自賠責と任意保険というものが両方ある仕組みになっているわけですけれども、そういう中で自賠責保険というのはそもそもどういうふうにあるべきなんだろうかという、そのあり方の問題等々含めてたくさんの問題があると私は思っております。そういう意味で、これからもこの問題に大きな関心を持って私自身も取り組んでいきたい、こういうふうに思いますので、それも申し添えまして、質問を終えます。どうもありがとうございました。
  183. 坂井弘一

    坂井委員長 辻第一君。
  184. 辻第一

    ○辻(第)委員 昨年三月十一日、北海道の中標津空港で日本近距離航空のYSH型機の墜落事故がありました。この事故調査に関して私は質問をいたします。  運輸省の航空事故調査委員会、これの目的というのは、航空事故を防止する、そのために航空事故の原因を究明する、そのための調査を適確に行うということだと思うわけであります。また、設置法の十三条には、公正に調査を行うということに関係する条文があるわけであります。再発防止のために適確な調査、公正な調査ということが要求をされるというふうに思うわけであります。  ところで、事故調がこの中標津空港での墜落事故の調査について、中間報告であるとかあるいは聴聞会、このようなことをやられたということは一定の評価をするわけでありますが、この適確な調査、公正な調査ということについてはいろいろと問題があるということでございます。  この聴聞会は昨年の十二月二十一日に行われて、その後に、プロペラあるいはエンジンの問題の詳細な分解検査、全面的な分解検査がことしになって行われたというふうに聞いているわけでございますが、いつ、どこでやられたのか、お答えをいただきたい。
  185. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 お答え申し上げます。  航空事故調査の目的は先生おっしゃられたとおりでございまして、そういった趣旨を実現するために航空事故調査委員会が設けられておるということもまた御指摘のとおりでございますし、また、事故調査のいろんな手続においても、公正、適確な調査ということでいろいろな規定を置いておることも御指摘のとおりでございます。  事故調査委員会といたしましては、今の中標津事故についてもそうでございますけれども、すべての航空事故につきまして、その原因を究明して再発防止に資するという観点から、適確な調査をするように努めておるところでございます。  ただいま最後に御質問になられました、具体的な調査につきまして、いつ、どこでということでございますけれども、中標津事故につきましては、今先生もおっしゃいましたように、まだ事故調査として継続中でございますので、その過程に関します事項につきましては、まだ委員会の最終的な判断を表示してない段階でございますので、私どもとしてその事故調査の過程に関連するような事項について申し上げるのはまだ差し控えさしていただきたいというふうに存ずるわけでございます。
  186. 辻第一

    ○辻(第)委員 それはけしからぬですね。どうしてそんなことが答えられぬのですか。国会ですよ、ここは。それぐらいのことがどうして答えられないのですか。
  187. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 お答えを申し上げます。  繰り返すようで大変恐縮でございますけれども、エンジン、プロペラにつきまして、事故調査委員会といたしまして、事故の原因を究明するために必要と考えられる調査につきまして、分解調査等も含めてやっておることは一般的に否定申し上げるわけではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、事故調査の内容に関連しますような事項につきまして今の段階でお答えするというのは、いろんな状況を考えました場合に妥当でないというふうに私ども判断しておるわけでございまして、今の段階での公表は、大変恐縮でございますけれども差し控えさしていただきたいというふうに存ずるわけでございます。
  188. 辻第一

    ○辻(第)委員 本当に許せない問題だと思いますね。私、時間がありませんので、それではこちらから言います。  二月の段階で、エンジンについては三菱重工、それからプロペラに関連をしては住友精密でやられたということは間違いないと私どもは考えておるわけであります。それで、三菱重工、住友精密なんというのは、いわゆる関係者と言われるような立場の企業であります。「朝日ジャーナル」のことしの七月二十日号ですか、それには「YS−11のプロペラのオーバーホールを担当しているのが住友精密工業であり、事故の原因がプロペラの異常にあるのではないかと指摘されており、後述するようにそのオーバーホールにも重大な疑惑が存在するのに、住友精密工業に事故機のプロペラの解析を依頼するのは、被疑者に被疑者自身の取り調べをまかせると同じように異常なことであった。」こういうふうにも書いているわけであります。  それで、公正なという立場からいいますと、このような関係のある企業に分解検査なる調査を依頼をするということになりまして、そのような関係者である企業の職員といいましょうか人々がその実作業に当たる、その調査にかかわるということであります。これでどうして公正さが保たれるのかということであります。  それともう一つは、費用についてそのすべてを事故調が払っておられるのかどうか、どのようにされておられるのか、その点をお答えをいただきたいと思います。
  189. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 先ほど申し上げましたように、具体的な中標津の事故につきまして、具体的にどういう場所でだれがということは、先ほど申し上げましたようなことで、具体的な調査の過程においては妥当でないと思われますので控えさしていただきますけれども一般論といたしまして、委員会といたしまして調査を進める過程におきまして、細部の純技能的と申しますか、そういった分野につきまして特殊な施設や機械を有する等、これに対応できる技能力を持っております部外の者に、委員会の判断によりまして、その管理のもとに事実調査の作業の一部に限って分担してもらい……(辻(第)委員「そんなことは聞いていない、費用はどうなっているか的確に答えてくださいよ」と呼ぶ)それによって得た資料を委員会の判断の材料とすることはあり得るというふうに考えておるわけでございまして、今、最後に具体的な御質問としてございました費用につきましては、恐縮でございますけれども、現在手元に資料を持っておりませんので、ちょっとお答えできかねる状況でございます。
  190. 辻第一

    ○辻(第)委員 それはひどい話ですね。そんなに具体的でなくてもいいですから、事故調が全部費用をお持ちになっているのかどうか、その辺はどうですか。企業から出ていないのかどうか。
  191. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 大変恐縮でございますけれども、原則として、民間に行います場合に、私どもで費用を負担いたします場合と、それから一部事業者において事実上負担をお願いするという場合があるようでございますけれども、当該のケースについてどういうふうな費用負担でございましたか、大変恐縮でございますが、きょうは手元に資料を持ってきておりませんので的確にお答えできかねる状況でございます。
  192. 辻第一

    ○辻(第)委員 一般論でお答えになったのですが、今度の問題も、企業の方からも出ているということはまず間違いないというふうに思うわけでございます。このようになりますと、関係のある企業が実際の調査、分解検査をやる、そこの職員の方がそれに携わっていくということ、しかもその費用までその企業が持つ、これでは公正な調査ができるはずがないということであります。  私はやはり、公正な立場でできるような、運輸省の機関であるとかあるいは政府のいろいろな機関で少なくともやるべきだ、公正にやられるべきだということがまず第一点。  それから、公開をするということですね。政府機関でやられようと、あるいはそういう企業でやられるというのは許されない問題でありますが、少なくとも公開をしていく、そうすれば少しでも公平が保たれる。いかがですか、その公開の問題について。
  193. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 お答えを申し上げます。  今、先生指摘のように、航空事故調査に際しまして、事故の原因を適確に究明をいたしまして事故の再発防止に資するという観点から公正に調査が行われるべきだということは当然でございまして、そのために得られましたデータをできる限り公表していくということは、私どもとしても大変重要なことであるというふうに思っておるところでございまして、御承知のように、事故調査の過程におきまして収集いたしました物件あるいは情報等につきましては、委員会としても事故調査、原因の究明に必要な範囲においてはできるだけ公開していく、こういう方針でやっておるつもりでございます。
  194. 辻第一

    ○辻(第)委員 公開というのは、文書で公開するということではなしに、ほかの立場の人も立ち会うことができるとか、そういう意味の公開も含んでいるのですよ。
  195. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 事故調査の過程で得られました物件なり情報なりといったものにつきましては、実はいろいろな問題を含んでいる情報もあるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、それらの中から委員会が必要だ、妥当だと認めて判断したものは、事故調査の原因に関連するものとしてこれは最終的には報告書でそのデータを公表するわけでございますけれども、一定の事項につきましては、中間報告の案でございますとかあるいは聴聞会におきます事実調査に関する報告の案というふうな形でできるだけ公表いたしまして、関係者の方々のごらんに供するというふうなことも実施をしているつもりでございます。
  196. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういうことを言い張っても、国会で、いつ、どこでやっておられるのかというぐらいも言わないで、費用もどうなっているのかと言えば今わかりませんなんて、それはもう答弁にならぬですよ。そんなことを言っておいて、民間の方やほかの方が公開せよと言っても公開しないという状態がいっぱいあるというのは、私はそういうことだと思います。  それで、時間が非常に短くてなんなんですが、本当にそういう不公正な状態での調査というのは改めるべきであると思いますし、それから、きちっと公開をして少なくとも公正を図るということをぜひやられるべきだと強く要望しておきます。  そして、私は本当に再発を防止するためには多くの意見を聞くということが必要だと思います。そのためには、求められれば情報を公開して、そして原因を本当に明らかにしていく、その手だてを尽くすべきだと考えるわけであります。企業のサイドにはいろいろな事情もあるのでしょうけれども、一方ではそういうことを許しながら、一方では、今度の事故の機長であるとかあるいは副操縦士であるとか、そのときに乗っておられた整備士の方あるいは乗員組合の方などが、いろいろなことで、情報を公開せよ、調査の中で明らかになった事実を明らかにせよ、知らせてくれということを要望されても、そのことについては全く無視をするというような状態が起こっておる、私はこれは大きな問題だというふうに考えるわけであります。  殊にボイスレコーダー、事故調はボイスレコーダーを聞かれたとき何回も聞かれたというふうに言っておられるのですが、その中で、当該機長が自分で言ったことのない、どう考えてもそんなことを言った覚えがない「パワーアップ」というようなこと、これが音声の分析機などを使って出てきているというような問題もある。これは納得できない。どうしてもそのテープのコピーを提供されて何回も何回ももっと聞いて確かめてみたい。また副操縦士の方は、ちょうどその事故の起こったときのことは逆行性健忘というような状態が今起こっているわけですね。そういうものを何回も聞いておる中で、また何かひょっと思い出されるかもわからぬということも期待されるということであります。こういうボイスレコーダーの問題であるとか、あるいはプロペラの分解検査に立ち会わせてほしいというような要望が出た、これも一方的に認められないというような状態があったということであります。  本当に事故の再発を防止する、そのための原因を明らかにするという観点から言えば、同じYS11型で起こったあの松山事故と今度はよく似ている面があるのです。あのときは乗員の方は亡くなっておられる、今度は幸い生存しておられるということは、事故を究明する上に大きなプラスの面であるわけであります。私は、このような乗員の方々の証言であるとか要望を本当に尊重していただいて、そのような証言などの背景についても十分調査をされる必要がある、このように考えるわけであります。そのボイスレコーダーのテープのコピーはぜひ機長などの乗員に提供されたいというふうに考えるのですが、いかがですか。
  197. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 先ほどいろいろ御指摘の中で、その情報公開に関連して適正さに欠くる点があるではないかという御指摘が前提としてあったわけでございますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたように事故の原因究明に必要なデータにつきましてはできるだけ公表するという方針でいっておるわけでございます。  中標津の事故に関してのお尋ねでございますので、現在まだ最終的な判断に向けての経過中ということもあり、いろいろお答えできないという点もあることも、繰り返すようでございますけれども御理解をいただきました上で、今御指摘のございました機長やその他の関係者の意見を十分聞いてもらいたいということにつきましては、法律の十九条等に「委員会は、航空事故調査を終える前に、当該航空事故の原因に関係があると認められる者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。」という規定もあるわけでございまして、最終報告書を作成いたします前には、機長を初めとして関係者の意見をまた聞く機会を当然持つつもりでございます。それから、先ほど御指摘の聴聞会におきましても、その時点までに私どもとして知り得た事実をお示しをいたしまして、機長さんを初め関係者の御意見も伺っておるところでございます。  そういったことで、関係者の御意見はまさに先生のおっしゃいますように事故の原因解明に非常に重要な情報を提供していただけるものであることは間違いのないところでございますので、そういった趣旨で、関係者の御意見も十分承って適確な事故調査に資するという姿勢は今後も貫いていきたいというふうに考えておるところでございます。  最後の、具体的なCVRのコピーの件でございますけれども、これも事故調査に非常に重要な意味を持つものでございますので、委員会としてもこのCVRの解析ということを調査の実施上非常に重視しておるわけでございまして、事故調査報告書におきましても、事故の原因の究明に必要と考えられる部分については委員会の判断において公表するのを常としておるわけでございます。  しかし、このCVRにつきましては、事故調査の目的のみで航空機に設置されているという経緯もございまして、そういった観点からこの全部のコピーを公表するということにつきましては、私どもとしてはいろいろ難しいあるいは適当でない問題もあるというふうに考えておるわけでございまして、事故原因の究明には全く関係がないと考えられる部分でございますとか、あるいは類似することでございますけれども、私的な会話や音声等でプライバシーの保護との関連において公表することに問題があると考えられるような部分もあるわけでございまして、全体を逐一公表することにつきましては、私ども立場としては適当でない場合があるというふうにも考えておるわけでございます。  なお、具体的に機長その他の当事者の方々の記憶の確認といいますか、そういった意味で当事者に聞かせるべきだ、こういう御意見につきましては、委員会といたしましても、先ほど申し上げましたような意味で重要なデータでございますので、これの音声の解析には万全を期するということで行っておるわけでございまして、その一つの措置といたしましておっしゃいますような機長その他の当事者の方々に確認をしていただくという措置も、私どもとしては必要な範囲において十分行っておるつもりでございます。
  198. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がないので私の質問に的確に答えてください。どっちかといったら、あなたはもう答えて要らぬことばかり答えているわけです。そんな時間稼ぎみたいなことをやめて、もっと的確に答えてください。  再度ボイスレコーダーのテープのコピーを提供されるように強く要望するものであります。そもそも、今、情報公開というのは大きな問題になってきているのですね。世界的にそのような方向に進んでいるわけです。これは、民主主義や基本的人権の問題、知る権利の問題から当然の問題であります。同じようなアメリカの事故調では、調査で明らかになったもの、事実、それはもう、お金が少し要るようですけれども、ちゃんとコピーで、文書で、だれが求めても公開される、出されるというふうな形にもなっているわけですね。日本はどうですか。今のあなたの、国会で、いつ、どこでやっておられるのか、そんなことまで答えられないというようなことではどうなるのですか。本当に真剣に、事故が二度と起こらない、このために十分な調査、そのような体制をとられるということを強く要望するわけであります。  それから、事故調の姿勢、対応、これについて少しお尋ねをしたいと思います。それに関連して、事実調査に関する報告書の案というのが昨年の十一月だったか出されたと思いますよね。それにも関係してお尋ねをします。  今度の問題では、右と左のプロペラの先端の曲がり方がはっきり違うのですね。たしか右だったと思うのですが、これが後ろ側へ曲がっていた。左は前へ曲がっていた。たしかそうだったと思うのですが、このことは、私はそういうことは専門家ではありませんでなんですが、航空工学の専門家から見れば、それはもう、すぐ問題だということがわかる問題で、そういう状態でありますと、右のエンジンの推力が落ちているということがすぐ考えられる問題だ。プロペラ、エンジン系統に問題があるということであります。  こういう重大な問題について的確に対応されたのかどうかということでありますが、実際、このプロペラの分解がやられたのは半年後だというふうに聞いているわけであります。疑わしい右エンジンについては、その全面的な詳細な分解検査、それは、先ほど言われたように二月からやられているというようなことであります。  そして、この事実調査に関する報告書の案には、どういう状態で調査をされたのかといいますと、十七ページに、「エンジンに関する調査は、機体墜落時の衝撃による損壊以外のエンジンの不具合発生のもととなる故障又は異常の有無について、必要な範囲内に限って分解調査を行った。」どの辺までが必要な範囲内なのかわかりませんけれども、不十分な分解検査だったということだと思うのですね。ことしの二月になってから、聴聞会の後、本当に詳細な全面的な調査がやられたということであります。  しかも、そのような不十分な調査、検査の中で、これは二十ページにあるのですが、多くを言うことができませんが、「第一及び第二エンジンには異常は認められなかった。」あるいは「同機のエンジン及びプロペラには事故発生に至るまで不具合はなく出力状態にあったものと推定される。」このような報告書の案が出されているということであります。これは、本当に的確な対応をしていない、非常に不十分な状態でこういうことをやったということの一つの例証であると思うのです。  それからもっとほかに言えば、この中に、図表なんかに間違いがあるのですね。  それから、もう一つ大事なことは、事故が起こるまで機体に異常がなかったかということで、二月だったと思うのですが、何日間か機体に振動があった、プロペラに関する振動があったというような報告が会社に出されているのですが、そのことについては書かれてないですね。あるいは乗員の証言なんか、そういう問題もよいとこ取りというのでしょうか、そちらの御都合のいいようなものだけをちょっと載せている、そういう側面もあるのですね。これはやはり全体として重要な問題だ。本当に的確な対応がされていないと言わざるを得ない内容であります。  だから、本当に的確な対応をされることと、そして聴聞会後、ことしになってからプロペラ、エンジンについて詳細な全面的な分解検査が行われた、このことについてもはっきり公表する、そして関係者の意見もまた聞いて本当に事故の原因を明らかにする、どうしても再発を防止する、この立場をとられるべきだというふうに考えるのですが、いかがですか。
  199. 荘司晄夫

    ○荘司説明員 ただいま事実調査の報告書の案で御指摘がございましたが、御指摘の記述があることは確かでございます。  これも繰り返すようで恐縮でございますけれども、具体的な中標津の事故については申し上げるわけにまいりませんけれども委員会といたしまして、事故の原因に関係する可能性があると考えられる事項につきましては、すべてその事実について調査を行うという姿勢で臨んでおるわけでございまして、エンジン、プロペラについてもその例外ではないわけでございます。その調査の方法につきましても、委員会において必要と考えられる内容の調査はすべて行ってまいりたいというふうに考えております。  これは今後につきましてもそういうことでございまして、エンジン、プロペラも含めまして、事故の原因につながる可能性のある事項の調査につきましては万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  200. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が済んで恐縮なんですが、最後に、本当に事故調の密室性というのですか、非民主性というのですか、私は今それをつくづくと感じました。本当に民主的に、調査で知り得た事実はもっともっと公開をしていくということ、しかも公正にやられることを重ねて強く申し入れたいと思います。  そして、その費用の面ですね。企業からそういう費用の提供を受ける、援助を受けるということのないように、きちっとそのような費用は事故調で持てるような予算を得られるように、また中標津の空港なんというのは非常によくない空港、いろいろな条件の中で考えるわけですが、そういう空港をなくすためにも御努力をいただきたい、重ねて要望して、質問を終わります。      ————◇—————
  201. 坂井弘一

    坂井委員長 ただいま、石川要三君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五党共同提出に係るシートベルト着用推進に関する件について委員会において決議されたいとの動議が提出されております。  本動議について議事を進めます。  この際、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石川要三君。
  202. 石川要三

    石川委員 ただいま議題となりましたシートベルト着用推進に関する決議案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表し、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     シートベルト着用推進に関する件(案)   交通事故防止し、安全で快適な交通社会を確保することは、すべての国民の願いである。   しかるに、近年、交通事故は再び増加傾向に転じ、死者数は全国で年間一万人に迫る勢いであり、誠に憂慮すべき状況となっている。   このような悲惨な交通事故を少しでも減少させるため、政府は、生涯にわたる交通安全教育の普及徹底、自動車運送事業者の運行管理体制の充実強化、著しい速度超過等の悪質、危険な交通違反に対する取締りの強化等を図るとともに、この際、乗員の人命保護等に極めて有効なシートベルト着用推進について、速やかに適切な措置を講ずべきである。   右決議する。  我が国における交通事故死者数は、四十五年をピークに年々減少しておりましたところ、五十五年から再び増加傾向に転じ、ついに昨年は九千五百二十人の多きに達し、六十年までに死者数を八千人以下に減らすという第三次交通安全基本計画の目標に逆行する事態に立ち至ったのであります。  交通事故防止し、減少させるためには、総合的な交通安全対策推進が必要であることは言うまでもありませんが、現今の交通戦争と言われる事態に対処するためには、特に、生涯にわたる交通安全教育を通しての安全意識の高揚、自動車運送事業者の行う運行管理業務の充実強化、さらに、違反や事故を繰り返す悪質、危険なドライバーに対する取り締まりの強化等が喫緊の対策として要求されているのであります。  一方、昨年の状態別交通事故死者数の内訳を見ますると、自動車乗車中の死者数は約三千五百人であり、死者三人に一人強が自動車運転者または同乗者となっているのであります。このような自動車乗車中の死亡事故を防止し、また被害を軽減するためには、シートベルトの着用が極めて有効であることが官民各機関の調査研究により立証されているところでありますが、我が国においては、高速道路でのシートベルトの着用が義務づけされているにもかかわらず、着用についての国民の意識は低く、官民一体となったシートベルト着用推進運動も実効が上がっていないのが実情であります。  このように、シートベルトの着用啓蒙運動のみでは、もはや現在以上の着用率の向上は望めなくなってきており、今後着用を徹底させ、交通事故死者数を減少させるためには、着用義務を強化する等適切な措置を速やかに講ずる必要があります。  現在、我が国における道路交通事故の多発は深刻な社会問題となっており、事故防止のための有効かつ強力な対策が急がれております。よって、政府は、人命尊重の見地から、本決議案の措置を強力に推進するため特段の努力をすべきであるというのがその趣旨であります。  何とぞ、各位の御賛同をお願いする次第であります。
  203. 坂井弘一

    坂井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  石川要三君外四名提出の動議のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 坂井弘一

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議のごとく決議することに決しました。  なお、議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 坂井弘一

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、総務庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。後藤田総務庁長官
  206. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、関係各省庁全般に関することでございますので、御趣旨を体して、一層緊密に政府部内の連絡調整を図り、その実現に努力をしてまいりたいと存じます。
  207. 坂井弘一

    坂井委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四分散会