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1984-04-19 第101回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十九日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 坂井 弘一君    理事 石川 要三君 理事 浦野 烋興君    理事 近藤 元次君 理事 永井 孝信君    理事 木内 良明君 理事 玉置 一弥君       臼井日出男君    太田 誠一君       林  大幹君    船田  元君       小川 国彦君    関山 信之君       草野  威君    辻  第一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 水野  清君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      波多 秀夫君         警察庁交通局長 久本 禮一君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君  委員外出席者         国税庁調査査察         部調査課長   木下 信親君         建設省大臣官房         技術参事官   萩原  浩君         建設省河川局水         政課長     青木 保之君         自治省財政局財         政課長     小林  実君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 坂井弘一

    坂井委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
  3. 石川要三

    石川委員 現在、第三次交通安全施設整備五カ年計画の四年目に入っていると思いますけれども、その第三次の計画額が一兆一千億となっております。これに対して、五十六、五十七、五十八年と、それぞれの年度事業計画額とそれに対する進捗率が示されておりますが、大変低い。特に五十六年度内容を見ますると、公安委員会分道路管理者分を合わせまして、千八百四十一億円に対してその進捗率が一六・七%、五十七年度は同じく千八百四十四億円に対して三三・五%、五十八年度が千八百七十四億円に対して五〇・五%、こういう進捗率であります。果たして五十九年度はどうなのか。もう最後年度になるわけでありますが、これから全体を見ると、できても相当低い進捗率ではないかと思いますが、その理由は一体どこにあるとお考えになっているか。その点をお伺いしたい。
  4. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 第三次特定交通安全五カ年計画の第四年度に当たる昭和五十九年度までの進捗率は、先生今各年度にわたって御説明がございましたが、公共事業関係予算が五年連続で抑制されたために六九・一%と、この計画を完全に達成するために必要な五十九年度までの進捗率七七%を大幅に下回っている状態でございます。当面は、残された期間において五カ年計画完全達成最善努力をしてまいりたいと考えております。
  5. 石川要三

    石川委員 どうも私の頭が悪くてよくわからないのですが、今の御説明では何か作文を読んだような答えですけれども、もっと簡単に言うとどういうわけですか、二八・七とか三三・五とかやっと五〇・五とか、少ない理由です。
  6. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 昭和五十五年度から公共事業全般にゼロシーリングが課せられましたし、さらに昭和五十九年度公共事業全般マイナスシーリングという抑制がかかってまいりました。その中でこの交通安全事業を実施することになりますために、今申しましたような五十九年度における進捗率は、完全達成のための進捗率を大幅に下回ったことになっておるわけでございます。
  7. 石川要三

    石川委員 どうもこれは私の頭が悪いのかな。ゼロシーリングあるいはマイナスシーリング、これはわかりますよ。お金がないから公共事業費を減らしなさい、抑えなさい。だから進捗率が一六・幾つだとか三三・五だとか、こういうふうに低いのだという説明では私の頭では理解できないのですが、ほかの人に聞いてみょうか。どういうことですか、もう一回説明してください。
  8. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 第三次交通安全五カ年計画は、五十六年度を初年度とし、六十年度までの計画でございます。この計画は五十五年度に立てたわけでございますが、その時点におきまして交通事故等が多発しておりますので、こういうものをなくするための交通安全施設を積極的にやっていかなければならないということで、対前年比七、八%の伸び率を考えて計画したものでございます。  ところが、この計画が立てられて、五十五年度からゼロシーリングということになりましたために、当初考えていた伸び率確保できないため、今申し上げましたような進捗率ということになったわけでございます。
  9. 石川要三

    石川委員 二十分しかないので、わからないままだけれども、しようがない。これはさっぱりわからないです。というのは、ゼロシーリング関係で抑えられたから減ってきたのでしょう。これは予算額でしょう。進捗率というのはどれだけこなしたかということでしょう。そうじゃないですか。それが五〇%未満というのは、ゼロシーリングで抑えられたから減ったんだという理由が私はどうしてもわからないのです。それは後で、もう少したったらゆっくり聞きます、時間がもったいないから。  そこで、第三次計画公安委員会分千九百億円、この中で信号機分幾らで何カ所、歩道橋分幾らで何カ所か、簡単にひとつ。
  10. 久本禮一

    久本政府委員 現行の五カ年計画の中で新設として計画されておりますのは、五カ年間で二万七百基ということでございます。これは個々の灯器の計算でございまして、押しボタン式を含むものでございます。
  11. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 歩道橋につきましては第三次五カ年計画で四百九十二カ所、金額で百九十八億円を計画いたしておりました。この分の五十九年分までの進捗率は、六五%の見込みでございます。
  12. 石川要三

    石川委員 今信号機の分二万七百基、金額が言われてないのですが、千九百億円の中の幾らになっているのですか。歩道橋も同じ、金額……。
  13. 久本禮一

    久本政府委員 申しわけございませんが、金額に対応する資料を持ち合わせておりません。後刻取り寄せまして御報告申し上げます。
  14. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 百九十八億円でございます。
  15. 石川要三

    石川委員 ところで、今日の交通安全問題でございますけれども、いわゆる発想の転換とよく言われますが、簡単に申し上げまして、今日のモータリゼーション時代においては、交通安全というものに対してかなり発想も変えていかなければいけないのじゃないか、私はこういうふうに日ごろ感じております。この前のミニカーのときにも申し上げましたが、かつては交通安全というのは、交通事故防止でありますから、できるだけいろいろな施設整備してスピードを抑え、そしてできるだけ交通事故をなくす、こういうことに専念していたと思います。  ところが最近は年々歳々、車両数というものが非常にふえておりまして、私も実は自宅から国会に通っておるのですが、八年間通っておりまして、毎年毎年、それはもう肌に感じるような状況であります。最近は交通渋滞が非常にひどい。昨年の暮れに行われました選挙の際も、私あらゆるところを見て回ったのですが、私の選挙区にとどまらず、全国的にもそうだと思いますが、交通渋滞というのはひどいですね。交通渋滞に対する苦情といいますか、解決というものを非常に有権者から要望されました。そういうようなことを見てみまして、私は、これからのモータリゼーションの中での交通安全というものは、一つには車の流れをさらによくする、いかに車を走らせるかということの発想も十二分に考えていかないと新しい時代交通安全ということにはならないんじゃないか、こういうふうに思います。  そういうことを考えますと、信号機というものも確かに必要な施設ではありますけれども、これが過ぎるとかえって交通渋滞を来し、そのためにドライバーの心理的ないらいらというものを増して、かえって交通事故の源にもなりかねないということも考えなきゃならないと思うのです。そういうことを考えますと、果たして今計画されたようなものを本当に必要とするのかどうか、私には若干疑問でございます。今日至るところに交通信号機アクセサリーのようにできている。道路はまだ完全にできてなくても、一部道路ができると、もう先を想定してそこに信号機だけが先にできてしまうのですね。そういうところが何カ所かあります。それから橋の渡る手前と向こうにもある。それが同時的に連動されていればいいのですが、もし連動されていなければ橋の上で渋滞を来しているというようなところも実は見受けられます。  そんなようなことを考えますと、交通信号機アクセサリーのようにできている現状から見て、これから三次計画に示されているようなものは本当に必要だろうかということを見直す必要があるんじゃないか。現に昭和五十六年の実績を見ても進捗率が一七・一%、五十七年度には三二・三%、これは決して信号機だけではございませんけれども、この中の多くの面は信号機が含まれていることは事実でありますから、そういうことを見てもこれ以上つくることが果たして必要だろうか、十二分に検討して、必要なところにつくっていただくのは決して反対ではございませんが、いたずらに、ただ地域の一、二の要望を取り上げて、それがあたかも民主主義だと言わぬばかりにぼんぽこつくられると、それは信号機意味をかえってなさないのではないか、自動車を渋滞させる機械になってしまうのじゃなかろうかとさえも思われるわけでありますが、この点について全般的な認識、担当の、そして大臣の御所見をいただければありがたい。
  16. 久本禮一

    久本政府委員 信号機公安委員会の判断と責任で設けるものでございますので、私からお答えさせていただきます。  信号機が多い、渋滞のもとであるといったお話は、先生の御指摘のようにいろいろ聞く機会が多いわけでございます。ただ、私どもの現在の認識で申し上げますと、交通渋滞原因というのは非常に多面的でございまして、これがという形ではなかなか確定しにくいものでございますが、その主要なものは、特に都市におきましては主として駐車と沿道のアクセスであろう、それでこれの背景としては、現在の交通過密化ということにあるというふうに考えております。  信号機は、そういったことの中で交通整理の必要がある場合に、その手段として設けるということでございますので、交通整理の必要が生じてまいりますと、人を出せばよろしいわけでございますが、人を出すということは現今では非常に難しゅうございますので、機械によって処理をするのが信号機の基本でございます。したがいまして、整理の必要が継続し、かつ生じている限りは、信号機はこれに対するさばきの手段としてもつけなければならないというのが私どもの基本的な認識でございます。  ただ、その泣きどころは、先生の御指摘の背後にあると思いますが、要するに交通量の変化に応じるということが必ずしも十分できない。これがそういった落差の時間に到達したドライバーにはいらいら、焦燥感を与えるという原因になることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、こういった点をなくしていくということの整備と並行して設けるというのが、御指摘のような問題を起こさないで社会のニーズに対応できる方法ではあるまいかということでございまして、先生指摘のとおり、今後の交通安全はまさに、特に都市におきましては交通流れをいかに安定させ、その中で機能的に、かつ安全な交通確保するかというところにあろうということは私どもも全く同じ認識でございます。したがいまして、現在の事業はもとより、今後の事業といたしましてもそういう点に多くの焦点を当てながら整備をしていくということが今日的な安全と、その機能化の両立を図る交通警察の手法であろうと考えておるところでございます。
  17. 水野清

    水野国務大臣 交通標識とか信号機というのは、御承知のとおり公安委員会の所属でございますので警察庁の方の所管でございます。ただ、建設省のつくっております道路の構造と不可分の関係にございますので、よく両省庁で連絡をとってやりたい、かように思っております。
  18. 石川要三

    石川委員 もうあとわずかですから、最後一つだけお尋ねします。  今申し上げましたように、交通渋滞を解消するということもこれからの交通安全の上で大変必要だという御認識につきましては御理解されているようでありますので、その点につきましては私も了承するわけであります。したがって、車の流れを円滑にやる場合には、もちろん道路をますます整備していく必要がある。特に国道なんかもう渋滞パンク寸前でありますから、そういう大きな幹線道路整備も当然必要でありますが、それには非常に公共事業費を食うというようなこともございまして、なかなか短時日でこれをやることはできない。  そういうことになれば、長期的な展望と短期的な展望を分けて、目先のすぐやれるものとして、それはもう既に予算もとってあると思いますが、例えば私の選挙区、郊外部市でございますが、そういうところの一般道路交通信号機のあるところの状況を見ると、車が右折をする場合、現在の四つ角では隅切りがないものですから、一台が右折をしようと思うと、そこで次の直進する車が動けない、そのために延々と渋滞を来している箇所が非常にたくさんございます。これは毎年毎年渋滞の列が長くなってくる、こういう状況でありまして、ドライバーとしては大変いらいらさせられるところでありますので、せめて隅切りを、ところどころでやっているところがありますけれども、あんなものではなくて、もっと抜本的に——都心の道は全部一本右折の車線がありますから、一台の右折する車があっても悠々通れるようになっておりますけれども、もうローカルの道はほとんどないと言ってもいいくらいなんですね。  信号機歩道橋、渡りもしない歩道橋がいっぱいありますよ。甲州街道を歩いてごらんなさい。歩道橋のその下にちゃんと信号機があるのですから、何のための交通信号機であり、何のための歩道橋かわからない。一日立って見てごらんなさい。ほとんどあそこは歩いてないですよ。あんなもったいないことをやるなら、そのお金をそういう隅切りにうんとかけて、そして田舎の道でも右へ曲がる車があってもどんどん通れるようにすれば、交通渋滞というものはかなり解消できると私は思うのです。それを住民は大変望んでいるようであります。  もうモータリゼーション時代ですから、そういうことをやらなければ、ただ車をとめて、どんなに遅くてもいい、完全にとめて、完全にルールさえ守らせればいいのだという発想ではだめであります。そして、だれが言い出したか知らないけれども、あの歩道橋、当時は一つの流行的に考えたかどうか知りませんが、それは一面では効用があったと思います。しかし、現在の甲州街道を見てごらんなさい。至るところに歩道橋があっても、私が見てもほとんど歩いている人の姿が見えない。おまけにその下に交通信号機があるなんて、ナンセンスきわまりない。  こういうことをやるのは国税の浪費ではないかとさえ思うので、こういう点から見て、隅切りをもっと完全にやった道路をつくってごらんなさい。これは建設省ですね。それも、ここへ一カ所、ここへニケ所なんていうのじゃなくて、どこかモデルケースを選んで、だあっと一本隅切りを完全につくるようにすれば交通渋滞というものはかなり解消できる、こういうふうに私は思います。これについてぜひひとつ、私はそういうふうにやっていくべきであると思いますが、これは大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わらせていただきます。
  19. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 円滑な交通確保のために交差点処理は非常に重要な課題であると考えております。交差点処理としては、先生おっしゃられましたように、右折レーンを設けるとか、あるいは適切な隅切りを実施することが非常に重要でございます。こういう観点から、この第三次交通安全五カ年計画におきましても、右折レーン設置等は積極的に実施しているところでございまして、五十九年度におきましても百四カ所の交差点におきまして右折レーン設置するようにする予定でございます。今後とも適切な交差点処理を実施することによって円滑な交通確保に努めてまいりたいと思っております。  なお先生横断歩道橋はもう無用の長物だというお話でございましたが、横断歩道橋については、通学路等におきまして、学校地元等からの強い要望のもとに設置されたものでございまして、現在でも、学校へ通われる方々は通学路として指定されたこの横断歩道橋を通っていただいておるわけでございまして、それなりの役割は果たしておるというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  20. 水野清

    水野国務大臣 総括的なお話を申し上げますが、交通事故発生件数死傷者数がいずれも対前年比で五%もふえておるというこの内容を見ますと、我々は今後一層この交通安全対策努力をしていかなければならぬというふうに思っております。  このためには、ただいま局長からも申し上げましたが、既存の道路においては、歩道などの設置に重点を置く、それから警察庁ともよく連絡をとって交通の実態を把握して改築その他をやっていく、あるいは域内交通は別としまして、その市町村に関係のない交通というものが市内に入ってこないようにバイパスの建設などに努力をする、こういったことを中心に、今後交通安全対策努力をしていきたい。そして、特に交通事故死者数の著しい地域に、今年度予算、成立させていただきましたけれども、その地域配分に当たって重点的に配慮をしていきたい、かように思っております。
  21. 石川要三

    石川委員 どうもありがとうございました。
  22. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、太田誠一君。
  23. 太田誠一

    太田委員 鉄道踏切でもって事故が起こりますと、多数の乗客を巻き添えにする可能性がありまして、これは何としても避けなければいけない事故であります。また、大臣所信表明の中で「踏切道における交通事故防止交通円滑化を図るため、引き続き立体交差化等事業を推進する」と述べておられますけれども、この種の事故をなくすには、ともかく立体交差化を行ってもらうのが最善方法であるわけです。今この立体交差化事業というのは、どのぐらいの予算を割いて、全国で何カ所ぐらい新規に採択しておられるのでしょうか。
  24. 松原青美

    松原政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘は、私どもで申しております鉄道連続立体交差事業のことかと存じますが、五十九年度におきましては、約七百億円の事業費を計上いたしてございます。全国で六十九カ所実施いたしてございます。うち五十九年度新規採択いたしたものは二カ所でございます。この数は、五十八年度で二カ所完了いたしまして、新たに二カ所追加いたしたものでございますから、箇所的には数字は同じでございます。
  25. 太田誠一

    太田委員 私の地元鹿児島本線箱崎駅の付近に踏切がございまして、昭和五十五年の三月には小学生三人が列車にはねられて死亡するという事故が起こっております。そういう安全性の問題もさることながら、今国鉄がいわゆる採算性を重視したダイヤを組むようにだんだんなってまいりました。ローカル線の方は廃止の方向に向かっているわけでありますけれども、そういう都市の中、大都市間の輸送の方は非常に過密なダイヤになっております。そうしますと、昔よりも本数がふえておりまして、その分だけ遮断機が上がらないということにだんだんなってきているわけであります。そういたしますと、あかずの踏切になるということが恐らく全国大都市周辺では随所で起こってきているかと思うわけでありまして、事態は前よりももっと深刻になっております。  例えば、出前を頼まれて何かどんぶりでも届けるというときの縄張りといいますか範囲、商圏が狭くなって、踏切向こう側には、幾ら注文もらってすぐそこに見えていても行けないとか、あるいは消防車が踏切向こう側に火を消しに行こうと思っても、もうそこで燃えているけれども、立ち往生をしてそれを傍観していなければいけないというふうな事態も何度も今まで起こっているわけであります。  そのような深刻な事態になっておりますので、実は福岡市の地元の方でも要望が強く出ておるわけでございますが、この鹿児島本線の件につきましては、福岡市が、市当局として独自に一千万円の調査費を計上しているわけでありますけれども、この事業について事業採択要望というものは今出されておるのでしょうか。
  26. 松原青美

    松原政府委員 先生指摘鹿児島本線吉塚—箱崎間の踏切は十一カ所あるわけでございます。今お話がございましたように、五十五年の三月に学童の痛ましい事故がございました。地元要望は、この連続立体化について非常に強いものがあるというふうに聞いておりますし、私どもの方にも直接陳情にお見えになっておられます。  今お話がございましたように、市街地熟度が上がってまいりますと、交通混雑というものは重なってまいりますし、踏切遮断時間も長くなってまいります。この交通円滑化を図るとともに、鉄道で分断された市街地一体的整備を図る必要から、この連続立体交差事業が各地で取り上げられておるわけでございますが、福岡市の御指摘区間につきましては、既に三年来福岡市で調査をなさっているということは承知いたしてございます。地元からの陳情は直接私ども聞いておるわけでございますが、現在市が調査段階でございますので、市からの具体的な事業要望はまだ出されていない段階でございます。
  27. 太田誠一

    太田委員 この連続立体交差化事業は、事業費として百七十億円、およそ三・五キロメートルの区間というふうに聞いておりますけれども着工の見通しと、いわゆる連続立体交差化事業というものについて今後どういう考え方で建設省として臨んでいかれるのか、そこをお伺いしたい。
  28. 松原青美

    松原政府委員 この連続立体交差事業一般に非常に多額の事業費を要するわけでございます。そういう大規模な事業でございますので、その効果もただ単に鉄道立体化による踏切除却ということだけではなくて、町づくりという意味効果を大いに発揮させたい、またそういう意味での効果が大きいわけでございます。この連続立体事業と同時に、街路網の新しい形成あるいは市街地の総合的な整備、これをあわせて行うということが期待されておりますし、私どももそういう方向で指導いたしているわけでございます。  したがいまして、御質問のこの福岡市の区間につきましても、このような観点から総合的な交通計画あるいは総合的な市街地整備計画、そういうものがまとめられた段階で、私どもこの事業着工について検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  29. 太田誠一

    太田委員 どうもありがとうございました。
  30. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、小川国彦君。
  31. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、首都圏をめぐる埋立地交通状況の問題、それから埋立地に関連する問題について、建設大臣あるいはまた建設省質問したいと思います。  東京湾埋め立てというのが首都東京、それから千葉、神奈川、東京湾をぐるっと一回りするという形でなされ、そこに湾岸道路建設というものが進んでいるのですが、この埋め立てというものが、地方自治体によって土地利用方法が決められている、こういうために、国の統一的な施策がなされていないということがかねがね公有水面埋立法の大きな欠陥だというふうに考えているわけです。  端的な例が、千葉県の千葉市から木更津市までは京葉工業地帯あるいは新日鉄の進出、もちろん古くは昭和二十年以降に川崎製鉄の進出があって、大きな製鉄会社石油コンビナート工業地帯ができているわけなんですが、千葉—木更津間が、昭和二十年代の企業の進出がないときには三十分で行けたところが、今はもう一時間も渋滞をしている。これは全部国が許可した埋立地なんです。本来なら、これは国が許可した埋立地なんですから、最初に湾岸道路確保されていなければならない。これが地方自治体の思うがままの埋立計画を承認して断片的に埋め立てさせて、そして埋立地を切り売りしていく、そういうことを認めてきたことの欠陥が、三十分で行けたところが、埋立地で土地はふえた、国土はふえたけれども、一時間かからなければ行けない。今だに千葉—木更津間は湾岸道路は完成していないのですね。  こういう事態について、やはり湾岸道路の問題と関連して、こういう埋立地に対する国として統一した利用方法が組めるようなことは考えられなかったのか、まずこれは建設大臣、それからまた関係の事務当局から伺いたいと思います。
  32. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 東京湾岸道路は、千葉、東京、神奈川の交通問題を解決する非常に重要な路線でございまして、当初から計画を立て、その土地の取得に当たっては、今先生おっしゃられますように、埋め立てと並行して逐次取得させてきていただいたものでございます。現在、東京から千葉の方を先行させていただいておりまして、高速道路さらに一般道路を通じて袖ケ浦まで行けるようになっております。ただ途中で、今先生おっしゃられましたように、埋め立て関係で一部区間まだできていなくて、そのために一般道路の十六号線等を使いながら行くというような部分もございますが、今後、埋め立てに伴って、道路用地を取得し、積極的にその整備を進めていきたいと思っております。  なお、高速道路木更津線が、先般施行命令を出したところでございまして、これの内陸部における幹線道路としての木更津線を早急に供用を開始することによって、今先生おっしゃられたような問題を逐次解決していきたいと考えております。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 今、千葉県の浦安のオリエンタルランドに千葉県が分譲協定をして、そして国がそれを認可した。その分譲価格は坪一万七千円なんですよね。そういう価格で土地ができるなら、湾岸道路の用地取得なんというものは極めて安易なことだと私は思うのですよ。横浜から川崎—東京—千葉—木更津—富津に至るまでの湾岸道路なんというものは、もうとうに完成しているはずだと思うのですね。そこに、道路計画都市計画というものは全くない。自治体が思うがままに埋立地を処分してしまって、そして上がってきた都市計画を、三年も五年もたってから建設省はそれを検討するということなんですよ。だから東京湾岸に、東京、神奈川、千葉にあれだけの埋立地ができても、そこに環状線となるべき湾岸道路用地一つ確保されてない、全くぶざまな状況を呈しているわけですね。これは埋立地に対する国の指導が欠如していた最大の問題だと思うのですよ。今後、こういう点について取り組む考えがありますか。
  34. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 埋立問題は埋立問題としてのいろいろな観点からの考え方があろうかと思いますが、私は道路行政を担当しております担当局長でございまして、この周辺における道路交通確保をいかにしていくかという観点から、東京湾岸道路の重要性は十分認識いたしております。  その計画は、十数年前から立て、埋立地ができるに応じて逐次その用地を取得して道路整備を進めてきたわけでございまして、湾岸道路も相当の供用を図ることができております。これが現在の、千葉—東京—神奈川間の交通渋滞問題の解消に大きな役割を果たしておると思っております。まだ一部、東京側でも東雲地区等の供用が来年の今ごろになる予定でございますが、こういうものもできてまいりますと、京葉道路等から湾岸道路への交通の転換が促進されまして、千葉—東京—神奈川の交通問題解決に大きな役割を果たしていくというふうに考えております。
  35. 小川国彦

    小川(国)委員 建設大臣にお伺いしたいのです。  先般の予算委員会の分科会におきまして、東京ディズニーランドが、坪一万七千円という値段で払い下げを受けた土地を、ホテル用地として坪百万円に近い値段で、約五百億円に達する転売が行われている。既に二社分が行われ、これからまた保険会社、さらにもう二社、総額五百億に達する。一万七千円の土地が坪百万円になる、こういう土地転がしの問題について、建設大臣としての指揮監督というものをもっと徹底すべきではないか、こういうことをただしたわけでありますが、大臣はディズニーランド、大変発展しているし、人も集まっているし、従業員の雇用もあるしということを述べておられたのですが、もっと本質的な建設省の埋立認可に伴う行政のあり方としてただすべきではないのかということを、私は最後大臣に申し上げたところです。  果たせるかな、その後御承知のように、ここでは千葉県当局が許可をしない段階においてオリエンタルランド社が昭和四十五年に遠山偕成社、三井不動産、京成電鉄、この三社に対して、後の三井、京成については昭和四十八年に行ったのですが、総計七千五百坪の土地を約三十二億円で分譲する契約を結んだ。しかもこれは埋立免許権者の千葉県知事の承認を得ないでやったということで、前知事の川上紀一氏が激怒してこれを白紙に還元させた。ところが、そこにまた大変な脱税問題が引き起こされている。重加算も課せられている。こういう事態について建設大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。——大臣質問しているのですよ。まず大臣に答弁いただいて、事務当局は後で補足説明をしてもらえば結構です。
  36. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの御質問の件については、先般新聞で拝見をいたしました。しかし、私も細かいことについてはよく存じておりませんから、政府委員から答弁をさせます。
  37. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 ただいま御指摘がございましたオリエンタルランドと遠山偕成との間の土地売買に関する経緯でございますが、これにつきましては千葉県より事情を聴取いたしましたところ、次のとおりでありました。  昭和五十五年四月二十日ごろ、千葉県知事に対して匿名の者から無断土地売買契約の事実ありという話がもたらされたわけであります。  同年同月、知事からオリエンタルランド遊園地用地の売買契約の事実の有無について、県が承認を与えているか否かの調査命令が出されたわけであります。  五十五年の四月二十三日、県からオリエンタルランド社に対しまして調査を行いました。その結果、オリエンタルランド社は三井不動産、京成電鉄及び遠山偕成に対し、昭和四十八年二月十二日、四十八年三月三十一日、四十五年二月十七日におのおの売買契約を結んでいた事実が判明したわけでございます。またこの契約は、県の承認を得ていないことも明らかになったわけであります。  五十五年四月二十八日付で、文書をもって千葉県の企業庁長からオリエンタルランド社に対し、厳重に是正することを求めました。その内容は、県知事とオリエンタルランド社間の昭和三十七年七月十二日付の浦安地区土地造成事業及び分譲に関する協定書第十五条の規定に違反し、かつ県知事とオリエンタルランド社間の五十五年一月七日付東京ディズニーランド事業推進に関する覚書にもとるゆえをもって土地売買契約を解除するように通告したものでございます。  昭和五十五年五月七日、オリエンタルランド社は今申し上げました三井、京成、遠山の三社に対しまして契約の解除を申し入れました。  五十五年五月十九日、遠山偕成はオリエンタルランド社の申し入れを受けて契約を解除いたしました。  五十五年六月二十七日、三井不動産及び京成電鉄は、同じくオリエンタルランド社の申し入れを受けまして契約を解除いたしました。  五十五年七月一日、オリエンタルランド社から県の企業庁長に以上の解除についての報告がなされました。  さらにこの解除に従いまして五十五年八月一日、まず三井不動産に対して契約解除に基づく金銭返還がなされました。その金額は、元金、利息含めて二十五億円余でございます。  同日、オリエンタルランド社から、京成電鉄に対しましても契約解除に基づく金銭返還がなされました。これは元金、利息を含めまして五億二千万円余でございます。  引き続き五十六年三月二十三日、オリエンタルランド社から遠山偕成に契約解除に基づく金銭返還がなされております。これも元金、利息を含めますと十億五千四百万円余でございます。  ところが先日、一部の新聞にこの売買契約に関する疑惑が報道されております。これにつきまして改めて千葉県に事情を聴取いたしましたところ、去る四月十五日付の朝日新聞、読売新聞及び東京新聞によりますと、東京国税局の調査により、遠山偕成の契約解除は行われておらず、オリエンタルランド社が経費として会計処理をした利息相当分は経費として認められない、したがって重加算税を含め追徴課税されたとの報道でございました。  この件につきまして、千葉県企業庁は本年四月十五日、オリエンタルランド社から事情を聴取いたしました。  本件につきまして、県知事はこの事情聴取の結果及び契約解除契約書などの関連書類を改めて確認した結果、国税当局の処置については県の意を差し挟む余地はありませんが、県としては契約解除がなされたかどうかが重要な問題でありますので、これにつきましては契約解除は有効であると認定いたしたとのことでございます。  これにつきまして、当省としてはあえて異議を唱えるべき事柄ではないと考えております。
  38. 小川国彦

    小川(国)委員 建設省においてはこの経過の説明と同時に、オリエンタルランドと三井、京成、遠山偕成三社とのいわゆる解除契約書、そういう書類については目を通されましたか。
  39. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 担当官はそれを拝見いたしております。
  40. 小川国彦

    小川(国)委員 担当官というのはどなたでございますか。
  41. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 水政課長でございます。
  42. 小川国彦

    小川(国)委員 その契約書の中に、この三社の中で遠山偕成社の分については、それぞれ三社とも違約金があるのですが、今局長が答弁された元金、利息それぞれ返還された、返して土地を取り戻したというのですが、契約書の中には、三井、京成の場合には、この契約に違反があった場合は二〇%のいわゆる損害賠償金を払う、それから遠山偕成社の場合は一〇%の損害賠償金を払う、こういう規定がございますね。
  43. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 ただいま確認いたしておりますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  44. 青木保之

    ○青木説明員 おっしゃるとおりでございます。
  45. 小川国彦

    小川(国)委員 その違約金はそれぞれ三社に支払われたのでございましょうか。
  46. 青木保之

    ○青木説明員 千葉県から聞きましたところでは、三井、京成については違約金の支払いは行われていないということでございます。
  47. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、遠山偕成社に対しては一〇%の違約金は払われたのでございますか。
  48. 青木保之

    ○青木説明員 千葉県から聞きましたところでは、五十七年度でございましょうか、ちょっと日にちははっきりいたしませんが、払われているようでございます。
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 これは非常に重大な問題で、建設行政を担当する建設省にしても千葉県にしても、建設省は、埋め立てば公共の福祉に沿って行われるように、みだらな転売が行われないようにということで古くから通達を出しているわけですね。これは建設省として出しているわけですよ。そういうときにこうした転売が行われた。まさに河川局長の名前で通達が出されているのですよね、全国都道府県に。その通達にもかかわらずこういう違法な転売が行われた。しかもそこに不明朗な金の動きがあったというふうに見られる際に、その元金、利息は戻ったけれども、違約金が幾ら、いつ払われたか、こういう事実も確認してないということでは、あなた方は本当に書類に目を通して、きちっと埋立行政を責任を持ってやっているのかどうか。この期日と金額は確認してないのですか。
  50. 青木保之

    ○青木説明員 三井、京成に対する違約金は支払われておらないようでございますので期日はございませんけれども、遠山偕成に対して違約金の支払われた日時がいつであるかは聞いておりません。
  51. 小川国彦

    小川(国)委員 全くだらしがない話ですよ。これは契約書によりますと、非常に問題のある契約書になっているのです。三井、京成の場合と遠山偕成社の場合は違うんです。オリエンタルランドと遠山偕成社の契約書の中では、「前項の場合義務の履行を怠った甲または乙は第二条第一項に規定する売買金額の一割に相当する金額をその相手方に対し違約金として支払うものとする。」これはオリエンタルランドと遠山偕成社との土地売買契約書の中に、一割に相当する違約金を支払うものとする、こういう規定があるわけなんですね。そうすると、こういうように土地を返せということになった場合は、元利のほかにこの一割の違約金を払うというのは当然なことなんですね。この確認をしてないということは、やはり河川行政、埋立行政に携わる建設省としては怠慢だと思うのですよ。大臣いかがですか、こういう点は。
  52. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 まず、このような分譲契約がなぜなされたかということが非常に大事であろうと思います。それにつきましては、千葉県とこのオリエンタルランド社の間で必ずしも意思疎通がなく、その結果、言うなればそれぞれがそれぞれの考え方でやったところ、それが結果的にこの分譲協定に違反しておるという結果になったようでございます。したがいまして、それはもう過去のことでございますので私どもも追及できないわけでございますが、いずれにしても、意図的にオリエンタルランド社が分譲協定に違反することを承知の上で、このような譲渡契約を三社に対して行ったというようなことではないということでございました。  したがいまして、これは千葉県からの申し出によりまして、契約を解除する契約をそれぞれ三社に対して結んだわけでございます。それによりましてすべて有効に契約が解除されたということでございますので、私どもといたしましては、事の経緯はございますが、結果的にはそれでよろしいのではないかと考えております。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 あなたの方は、意図的に承知の上でやったことではない、こう言うのですが、少なくも現行埋立法で——ではもう一つただしますが、ここでこのことは無法状態にある、いわゆる千葉県の埋立地については公有水面埋立法の中では無法状態に置かれておる、こういうふうに考えていいのですか。一般的には、新法では十年間転売禁止の規定があって、それからまた、それについての契約書も組まれておりますね。これについては十年間転売禁止の規定があるのですよ。あると思うのですね、千葉県は。昭和三十七年の基本協定で結んでいる。この基本協定に違反して、千葉県知事の承認を得ないでやっているわけでしょう。基本協定違反であるという事実は認めませんか。
  54. 青木保之

    ○青木説明員 これは、先生のおっしゃることもよくわかるわけでございますが……(小川(国)委員「よくわかるじゃなくて、違反か違反でないかを答えてくれればいいのです」と呼ぶ)はい。これは埋立法の問題と申しますよりも、もちろん埋め立てに関連する問題でございますが、千葉県企業庁と、それからオリエンタルランド社間の分譲協定に絡む問題でございます。もちろん、埋立免許権者といたしまして埋立免許上の監督はしなければならないわけでございますが、それはむしろ分譲協定、千葉県企業庁がこの土地を取得しました後にオリエンタルランド社に渡るということになっておったわけでございますが、そのオリエンタルランド社がそういういわば将来の予約のようなものをやっておったということでございまして、埋立法上は当然、そういう転売等を行う場合には免許権者の許可を受けなければなりませんので、その際、埋立免許権者としては十分チェックできる、こういう仕組みになっているわけでございます。
  55. 小川国彦

    小川(国)委員 仕組みを聞いているんじゃないんですよ。協定に違反しているでしょうということを聞いているんですよ。免許権者の許可を受けなければならないのに、受けないでやった行為ですねということを聞いているんです。
  56. 青木保之

    ○青木説明員 あるいはこれは埋立免許権者を監督する建設省の立場としてお答えすべきことであるかどうかわかりませんが、企業庁の分譲協定に違反している事実であるというふうに考えるわけでございます。
  57. 小川国彦

    小川(国)委員 でたらめですね、建設省、そういうことでは。  あなた方はこういう通達を出しているんですよ。皆さんの方は、昭和四十年九月一日に、各都道府県知事あてに「公有水面の埋立ての適正化について」という河川局長の通達を出しているんです。   近時、公有水面の埋立てによる埋立地の造成により、国土の開発が図られているが、一方において当該埋立地を公有水面の埋立ての免許の際の使用目的以外に転用しようとする事例も見受けられるところである。   埋立ての免許は、国有財産である公有水面について権利の設定をするものであるので、埋立地の使用は、埋立ての免許の目的に従って公共の福祉に適合するようなされるべきものであり、事業の都合のみにより、みだりにその使用目的を変更することは、公有水面埋立法の趣旨に適合しないものと考える。」 こういう通達を出しているんですよ、建設大臣。  河川局長、あなた方、こういう通達を出していて、そして千葉県知事の、免許権者の知事の許可を得なければ十年間は転売してはいけませんという——千葉県知事ですよ。あなた、企業庁と言うけれども千葉県知事とこれは協定が結ばれているんですよ。協定書をしっかり見てください。千葉県知事とオリエンタルランド、それからオリエンタルランドと三井、京成、遠山偕成、こうなっているんですからね。そういう基本協定やそういうものもしっかり目を通してないから、こういう通達を出してもこれは空念仏で、あなた方の出したこの通達は何なんですか、これは。みだりに企業の都合によって転売されることのないように厳重に指導しろ、こういう通達を出している張本人が、免許権者の許可を受けなくて転売されたものを、ただ手続として行われたというように言っていいんですか。  大臣、いかがですか。これは大臣にも聞いていていただきたいと思うのですよ。(水野国務大臣「聞いています」と呼ぶ一聞いていて、やはり大臣としてきちっとした判断をすべきなんですよ。こういう通達を出している建設省が、転売が行われたのは単なる事務的手続だ、違法だとか不法だということを一言も言えないというのは一体どういうことなのか。建設省には常識がなくなったのか。
  58. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 先生が今お話しになりましたのは、昭和四十年九月一日、建設省河川局長、運輸省港湾局長の連名通達でございます。この通達に従いまして、千葉県知事は、埋立免許権者としてそのようなオリエンタルランドの転売契約は認められないということであったわけでございます。
  59. 小川国彦

    小川(国)委員 認められないということに反して行われた行為についてはどうなんですか。
  60. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 認められないわけでありますから、どのような契約が交わされようと、それは是正されるべきものでございます。
  61. 小川国彦

    小川(国)委員 はっきり聞きたいんですが、建設省としても是正されるべきである、こういうふうに考えるということですね。
  62. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 そのとおりでございます。また、そのとおり実行されたという報告を受けております。
  63. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣にもこの際御見解を承りたいと思うのです。
  64. 水野清

    水野国務大臣 私より小川先生の方が詳しいんですが、今のお話を聞いておりまして、日時その他は私も記憶をしませんが、ただいま河川局長のお答えしたとおり、公有水面を埋め立てた、それを他目的にかどうかはわかりませんが、ともかく転売をした、その行為がどういうことかわかって知事から返還命令をさせた、その命令どおり返還が行われた、今の答弁で間違いがないのではないかと私は思っております。
  65. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、大臣もあれですか、国税当局が行われた返還が行われてなかったという指摘については、いや返還は適正に行われていた、こういうふうにお考えになっているわけですか。
  66. 水野清

    水野国務大臣 ちょっとその詳しい国税当局云々の話は、これは建設省の所管でありませんから、私わかりません。
  67. 小川国彦

    小川(国)委員 今、是正を図るべき、河川局長がこういう答弁をしていらっしゃるんですね。大臣はいかがですか。免許権者である知事の、十年間転売禁止である、もし転売する場合は県の許可を得ろ、こういう規定に反して行われたことは是正されるべきだ、こういうふうに河川局長は言っているんですね。大臣としてはいかがですか。
  68. 水野清

    水野国務大臣 ですから、それを勝手に転売をしておったということを知事が発見をして、もとへ戻せという命令を出して、それが実行された、小川先生はその一部がされていないのかどうかという御質問があったようですが、その点は私もつまびらかでありませんけれども、おおむね実行されたような今の河川局長の、あるいは当事者の報告でありますから、そのとおりならば遺漏がない、建設省としてもそれでよかったのではないか、さように思います。
  69. 小川国彦

    小川(国)委員 これは埋立法の実行上非常に重要な問題なんですよ、大臣埋め立て大臣の言うように適正に行われていたものなら、重加算で二億何千万という追徴金は取られないはずなんですよ。二億七千万の追徴金を取られるということは、これは返還が行われてなかったから追徴金が取られたわけでございましょう。このことに対しては建設省としても事実を調査して、なぜそういう追徴金を重加算税で取られるような事態が起こったのかという真相を究明してみる責任はあるんじゃないですか。
  70. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 この契約解除契約が有効かどうかということが大切でございます。国税庁の見解あるいはそれに基づく重加算税の徴収については私どもはよく存じませんが、しかし、それがどうかということよりは、この契約解除契約が有効であるかどうかということが私どもにとっては一番重要な事柄であろうと思います。この点について千葉県知事に事情を聴取いたしましたところ、それについては有効であるということでございますので、私どもも了承したわけでございます。
  71. 小川国彦

    小川(国)委員 中断の事実はあったのですか、なかったのですか。
  72. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが……。
  73. 小川国彦

    小川(国)委員 皆さん方は、千葉県当局にこの関係者が出した、契約は解除いたしましたということは、その千葉県当局に解除いたしましたという報告書を出した以降、その後ずっと今日きょう現在まで適法に契約解除が行われていた、その間に遠山偕成社において契約解除が行われない事実があった、こういうことについてはそういうことはない、契約解除は今日まで適正に行われてきた、こういうふうに建設省は理解しているのですか。
  74. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 遠山偕成社とオリエンタルランド社との間の契約解除契約は、五十五年五月十九日に成立しておるということでございますので、これから後は中断はないというふうに考えております。
  75. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一遍日にちを言ってくれませんか。
  76. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 五十五年五月十九日に契約解除契約を締結したということでございます。
  77. 小川国彦

    小川(国)委員 お金が払われたのはいつでございますか。
  78. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 先ほど申し上げたと思いますが、遠山偕成社にオリエンタルランド社から金銭の返還がなされたのは五十六年三月二十三日でございます。
  79. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、皆さんの方は、五十五年五月十九日に解除契約がなされ、五十六年三月二十三日に元利が支払われた、したがってこれをもって解除契約はなされ、そしてそれ以後今日まで何ら問題なく契約解除はそのまま持続してきている、その間において契約解除が行われてなかったという実態はない、こういうふうに理解しているわけですか。
  80. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 契約解除契約はその間有効に継続いたしておると思っております。
  81. 小川国彦

    小川(国)委員 これは建設省として非常に重大な誤認行為があったと思うのですよ。皆さんの方がそういうことなら、では国税当局にお伺いしたいのですが、国税当局が二億七千万という追徴金を含めた重加算税を取るということは、契約が適正に行われてきている、こういうものに対して追徴金や重加算を課するということはないというふうに思うのです。これは国税当局なりに重加算を課すべき根拠があって課税措置を行ったものだ、こういうふうに理解するわけですが、国税当局いかがでございますか。
  82. 木下信親

    ○木下説明員 国税当局としましては、取引の実態を解明いたしまして、その実態に即応した課税処理をいたしております。また、重加算税はどういう場合に適用になるか、こういうお話でございますが、所得あるいは税額の基礎となる事実、この全部または一部に仮装または隠ぺいの行為があって税額を過少に申告した、こういう場合に重加算税の適用があります。
  83. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、国税当局としては、この返還協定に基づく解除契約というものは、皆さんの方で重加算税を課する時点まで解除は行われてなかった、こういう判断、いわゆる事実が隠ぺいされたり仮装の事実があった、取引の仮装や所得の隠ぺいがあったのでその課税を行った、こういうことでございますね。
  84. 木下信親

    ○木下説明員 具体的な事例につきまして重加算税を取ったか取らなかったかということについては、ちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  85. 小川国彦

    小川(国)委員 二億七千万の重加算税、いわゆる追徴金を取った、これは間違いない事実ですね。
  86. 木下信親

    ○木下説明員 具体的な事例につきましてちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的には関係書類あるいは帳簿、証票、こういうものを検討いたしまして、取引の実態がどうなっておるかということを確認いたしまして、場合によってはその相手方に対する確認も行いまして、これに即して適正な課税処理に努めておるところでございます。
  87. 小川国彦

    小川(国)委員 国税当局においては、本件についても一般的な形での処理を行ってきている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  88. 木下信親

    ○木下説明員 そのとおりでございます。
  89. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、この場合にも当然国税当局としてはオリエンタルランド社だけではなくて遠山偕成社についての調査を行った、こういうふうに理解されるわけでありますが、しかし、私どもが今建設省の御答弁を聞いても契約解除は適正に行われてきた、それから千葉県当局の千葉県知事などに見解を聞きましても、オリエンタルランドに事情を聞いたところが契約解除は行われたと言っている、したがって行われたものと信じている、こういうことで建設省千葉県当局もいずれも契約解除は行われていたというふうに理解をしているわけです。  そうすると、国税当局がオリエンタルランド、遠山偕成社両社を調査の上隠ぺいの事実、仮装の事実、そういうことがあったのでということは、少なくとも解除契約というものが完全に行われていなかった、ここに仮装の事実なり隠ぺいの事実があった、こういうふうに判断をされたということでございますね。
  90. 木下信親

    ○木下説明員 再三申し上げておりますが、個々の事案についての御答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、仮にそういう行為があって、それが時間の経過後に解除されたという場合に、前の行為が仮装、隠ぺいであればやはり契約が解除されておるにもかかわらず重加算税は取られる、こういう結果が生ずることもあるわけでございます。
  91. 小川国彦

    小川(国)委員 仮装の事実、隠ぺいの事実、そういう行為があって、そして時間の経過後是正されたとしても、ある経過の過程においてそういう事実があれば当然そこに課税される、こういうことでございますね。
  92. 木下信親

    ○木下説明員 一般的にそういうことでございます。
  93. 小川国彦

    小川(国)委員 一般とこの例との引き合わせがなかなか大変なんですが、遠山偕成社の遠山一行という社長が、高橋政知オリエンタルランドの社長に出しました「土地売買契約の解約の件」という回答の中に、「謹啓 新緑の候」とかいろいろ書いてあるのです。  五十五年五月十九日に、オリエンタルランドの社長にあてた遠山社長の「ご回答」というのですが、この最後の方に「貴社お申越しどおり同契約の解約をご応諾いたしたく、このむねご回答申しあげます。ただし、将来当該土地が運動場等レジャー用地として処分されることが確定した場合は、本件のこれまでの経緯にもとづき、弊社が優先してこれを取得できますよう、特段のご配慮をお願い申しあげます。」こういう文書が遠山社長からオリエンタルランド社に出されているのですね。こういうものの裏づけがあった、あるいはこれに対するさらに高橋政知社長からのまた遠山社長に対する回答書があった、こういうような経過を踏んで皆さんはこれは解除されてない、こういうふうな御判断をなすったんでございましょうか。
  94. 木下信親

    ○木下説明員 今お読みになりました資料を私ちょっと存じておりませんが、そのほかいろいろな書類、証票、これらに基づきまして判断をしております。
  95. 小川国彦

    小川(国)委員 そうするとずっと契約の過程を見てみますと、非常におかしいのは三井、京成の二社とオリエンタルランドの契約書、それからオリエンタルランドと遠山偕成社との契約は内容に非常に違いがあるのですよ。  例えば土地売買契約の中に三井と京成については、この分譲について県の承認を得られなかった場合の処置として、「協議のうえ、契約内容を変更する」というのが、三井とオリ、京成とオリの間の契約書にはあるのですよ。ところが遠山偕成社の場合には、県の承認を得られない場合の処置というものについて何ら規定がないのですね。だから、ここのところで遠山偕成社との間の場合にはそういう県の承認を得られなかった場合の規定など全く設けてないのですから、この契約はあくまで持続するという腹、三井と京成の方は、極端な話が県の承認を得られなかったら、早く言えばばれちゃったら、これは協議の上で返すしかないだろう。だけれども、遠山偕成に対してはそういう県の承認を得られなかった場合の処置という規定が契約書に入ってないのですよ。  こういうところも私どもは概括的にはおかしいというふうに判断しているんですが、皆さんの方ではそうではなくて、いろいろな証票によって判断した、こういうことなんです。こういった契約書の不備、それから、返すけれども後で優先的に払い下げてくれという要望書が出ていた、そういう客観的な状況を私どもは把握しているんですが、税務当局はさらに進んでいろいろな証票で判断した。しかも重加算を課されるというのは、単なる預かり金的な処理じゃなくて、その利子の取り扱いなりあるいは違約金の取り扱いなりが証票上契約解除になっていない、契約の解除の金としての扱いにはなっていない、こういう御判断をなすったからこの課税措置をおとりになった、こういうことでございますね。
  96. 木下信親

    ○木下説明員 再々申し上げておりますが、本件の個別事案につきましてはちょっと御容赦いただきたいのでございますが、一般的にそういう場合にはそういう処理になると思います。
  97. 小川国彦

    小川(国)委員 一般の場合がまたこれに適用されるわけでございますね。
  98. 木下信親

    ○木下説明員 そのとおりでございます。
  99. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、私もっと重大な問題が潜んでいるのじゃないかと思うのは、いわば私どもから言うと、こういう契約書においてまず県の承認を得られなかった場合の規定がない、それからさらにまた要望書というのが出されているということ、そういうどうも契約解除に積極的でなかったという節が概括的に見られるのです。  もう一つ問題は、例えば利子の場合でいきますと、千葉県当局の説明によりますと、領収書を千葉県当局は持っているというんですね。オリエンタルランド社が遠山偕成社に元利ともに返したという返還時点での領収書のコピーを持っている、こう言うのですよ。領収書のコピーを千葉県が持っているということは、元利ともにきちんとオリエンタルランド社が遠山偕成社に払ってその領収書をもらっていたなら、一般的な判断としては、違約金の問題は一つ別にしましても、元利ともに払っているんですから、領収書があるということは、もうそれは遠山偕成社のお金であってそこに課税されていく、例えば利子に税金がかかるということはわかるのです。その領収書があったということが言われているんです。そうすると、遠山偕成社に課税するのが順当で、どうもオリに課税するのはおかしいんじゃないか、いかがなんでしょうか。
  100. 木下信親

    ○木下説明員 再三申し上げて恐縮なんでございますが、領収書があるからどう、こういう個別の御答弁はちょっと容赦いただきたいと思います。  ただ、一般的に金が相手方に動いたから相手方の益金になって課税が行われるということだけではございませんで、金というのはいろいろな形で動きまして相手方の収入にならない場合もあるわけでございます。
  101. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、そういう金は、一応領収書を持っているというのですから、オリエンタルから出て遠山偕成の方へ行った、しかし、遠山偕成社の中に入らないでまた第三者のところへ行っている、こういう場合も考えられるわけでございますか、一般的な例で。
  102. 木下信親

    ○木下説明員 一般的にはそういうこともあろうかと思いますが、本件の場合はちょっと御勘弁いただきたいと思います。
  103. 小川国彦

    小川(国)委員 私ども刑事訴訟法とかいろいろなことでいきますと、起訴された事件とか判決された事件というのは、公益上必要があればこの限りでないという刑事訴訟法四十七条の規定があって、起訴前にはこの秘密の保持を規定しているのですが、捜査内容は、起訴後においては、あるいは判決後においては公開を前提としているという考え方があるわけなんです。これについては千葉県も建設省も契約解除は適正に行われてきているという解釈を持っているんですね。  これは非常に問題でして、やはり税務当局としても、いわばこういう重加算税の追徴金を取ったということはもう判決が下った後の問題でして、判決下したものは、判決文はだれにでも公開されるんですから、やはり国税庁当局も、その辺のところはこれがオリエンタルの金であるという認定をしたからこそ、支払った金ではあるけれどもオリエンタルに帰属する金であるという認定をしたから課税したわけでございますね。そうすると、それは遠山偕成の所有には帰属しなかった、オリエンタルランドの帰属のもとにその金が使われていた、こういうふうに理解せざるを得ないと思うのですが。
  104. 木下信親

    ○木下説明員 先生よく御存じのとおり、我々税務職員にはきつい守秘義務が課されておりまして、これによって現在の申告納税制度というものが維持されておる、こういうふうに考えておりますので、個々の納税者の課税内容につきましてはひとつ御容赦いただきたいと思います。
  105. 小川国彦

    小川(国)委員 これはちょっと私よくわからないんですが、重加算とか追徴の場合に、その使途の中に不明確なところがあったり、使途が悪質であるというような場合には、これを告訴したり告発したりするという措置がおありというふうに聞いているんですが、本件の場合にはそういうことが考えられましょうか。一般的な例と両方ひとつ……。
  106. 木下信親

    ○木下説明員 先生お話は、刑訴法二百三十九条の告発の義務のことでございましょうか、ちょっとよくわからないのでございますが。
  107. 小川国彦

    小川(国)委員 いいえ、ごく一般的な例でこういう重加算や追徴をして脱税が悪質である場合、それに対しては検察庁にこれを告発するという場合がございますね。そういう一般的なケースというものとしてそういうことがあり得るかどうかということなんですが。
  108. 木下信親

    ○木下説明員 一般的なケースとしては、そういうことはあり得ると思いますが、本件については発言を差し控えさしていただきます。
  109. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、国税庁当局にもお願いをしたいと思うんですが、この問題は建設省千葉県当局においては仮装の事実や隠ぺいの事実というものはなくて、契約解除は適正に行われてきている、こういう判断をしているわけです。しかし、国税当局においてはそういう仮装の事実や隠ぺいの事実があったということで重加算、追徴金のあれを行っているわけなんで、やはりその根拠というものが国民の前に明らかにされませんと、一体国税庁のやっていることが適正なのか、あるいは建設省千葉県の言っていることが適正なのか、国民は判断に迷うと思うのですね。ですから、これはひとつ国税当局でもぜひ御協議の上、これに対して国民の前に、情報の公開ではございませんが真実を知らせる御努力を御検討願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  110. 木下信親

    ○木下説明員 戻りましてよく相談いたします。
  111. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が限られておりますので、私は今後の重大な問題について建設省当局の見解をただしたいと思うんです。  オリエンタルランド社は、昭和三十七年から今日五十九年まで二十二年間という埋め立ての歴史を持っているわけです。しかし、このオリエンタルランドは、東京ディズニーランドという百十万坪の遊園地をつくる、しかし百十万坪はできないから、四十万坪を宅地に売って七十万坪の遊園地をつくるということで始まりまして、今現実にこのディズニーランドの遊園地になっているのは十五万坪でございますから、百十万坪の埋立許可を与えたときから見ると十分の一の規模。そしてその間に第一回目は四十万坪というものが、百十万坪のうち七十万坪の遊園地をつくるんだから四十万坪は宅地に売らしてやるよ、こういう千葉県とオリエンタルランドの協定ができて、四十万坪宅地で売ることになった。  そうして、これをオリエンタルランドが売って遊園地をつくるのならいいんですが、親会社の三井と京成がそのうち二十万坪を取り上げて、坪一万七千円を四万五千円ぐらいで取って、もうすぐ九万、十一万円で転売する、最近は五十万円で売られているわけですね。そういうことが行われた。あるいはまた長谷工ほか十一社に売られた土地、これがたしか四万坪、これも九十万円ぐらいのあれで約四百億近い金、それからこの間のホテル用地が五百億、ざっと見てきましても、もう二千億円ぐらいの土地転がしをやっているわけですね。それでなおかつ今千八百億の借金を持っている。  出発当初は三十人か五十人、つい二、三年前までは百人足らずの会社で、この二十年間に二千億もの利益を得て金が一銭も会社に残っていない。あのディズニーランドをつくる金は千八百億全部借金なんて、これも当初の計画では六百億で始まった事業計画が三倍の千八百億になっている。私はまことに乱脈な経理だと思うのです。今度国税当局が指摘したのは、私は氷山の一角だと思うのですよ。こういうものを埋立行政で正せという通達を出している建設省が全くそれを正していない。  さらに重大なことは、土地の引き渡しが昭和五十年十二月二十五日、五十一年三月三十一日、五十二年十二月二十六日と、三回にわたって今のC地区という約七十万坪近いディズニーランドを中心とする土地が引き渡されているのですが、今の協定でいくと、六十年十二月二十五日、六十一年三月三十一日、六十二年十二月二十六日が到来すると、あのディズニーランドのわきに残っている三十一万坪の未利用地というのは、今日まで全然利用されていなかった土地が、もうこの六十年、六十一年、六十二年には十年間の転売禁止規定が切れてオリエンタルランドの思うまま、坪百万円で売れば三十一万坪で三千百億円になる、こういう事態が引き起ころうとしているのですが、こういうことに対して歯どめをかける措置というものは建設省としてとれるのかどうかですね。
  112. 井上章平

    ○井上(章)政府委員 まず、非常に地価が高騰しているということでございますが、これはこの土地に限らず、一般にこの二十二年間に非常に地価が高騰いたしております。したがいまして、それにつられてその価格が算定されるという意味では先生がおっしゃるような形になるのであろうと思うわけでございます。  ところで、残り三十一万坪についてでございますが、これにつきましては、ただいまのところオリエンタルランド社からディズニーランドの周辺における遊園地計画といいますか利用計画が、これはまだ試案でございますが出されております。したがいまして、私どもはそういうものを逐次具体化していくのであろうというふうに思っておるわけでございます。
  113. 小川国彦

    小川(国)委員 このオリエンタルランドの埋め立てば、公有水面埋立法が改正になる前の旧法の時代の許可なんですね。そうすると、十年間の転売禁止というのは新法で規定されている、旧法には規定はない。そうするとその都道府県知事の、免許権者の許可を受けなければならないという規定は永久に生きているものだ、こういう解釈が旧法ではできるのですが、建設省はそういうふうに理解していますか。
  114. 青木保之

    ○青木説明員 本件の埋立処分は、先生指摘のとおり旧法によるものでございます。旧法による埋立地関係は旧法の規定によるというのが改正法の、四十八年に改正しましたときの規定でございますので、これには旧法の規定が適用されるということでございます。旧法におきましては、「埋立地二関スル権利ノ設定又ハ譲渡ニ付テハ埋立ノ免許条件ヲ以テ地方長官ノ許可ヲ受クヘキ旨ヲ定ムルコト」ができるということになっておるわけでございます。これは登記を嘱託するわけでございまして、本件の場合も登記の嘱託がなされている。  したがって、これの免許条件をもって許可を受くべき旨が定められておるわけでございますので、この免許条件の期間がどのぐらいあるか、こういうお話でございますが、法律上はこの期間はございませんので、免許権者、したがって千葉県知事の裁量によりましていつ解除するかということが決められるような仕組みになっておるわけでございます。その後新法の改正が四十八年にございまして、新法では先生指摘のようにこのようなものは十年間という格好になっておるわけでございます。  これは埋立地と申しましても、もちろん先生おっしゃいますように国民の貴重な海面を埋め立てた土地でございますが、時間がたちますればいろいろ周辺の状況にもマッチしてまいりますし、新たな周辺の状況に応じて土地の利用形態も変わってくるというようなこともございまして、周辺になじんでくるということから、一応十年という制限を設けておるわけでございまして、このような精神というものがございますので、いつまでそういう条件をつけておくかということは千葉県知事の裁量でございますが、そういったようなことも判断して埋立免許権者は判断するのではないかと考えるわけでございます。
  115. 小川国彦

    小川(国)委員 この件については、千葉県当局が再三建設省に相談しているのですが、一体転売禁止の規定が新法の十年という規定に準ずるのか、あるいは旧法では全く規定がないので、そうすると千葉県知事の許可をずっと受けるようになるのか。それからその縛りは、一説によれば千葉県企業庁までは縛ることができる、しかし今度オリエンタルランドが第三者に売ることは縛れないのじゃないかという解釈もあるのですが、その点はいかがですか。
  116. 青木保之

    ○青木説明員 御承知のとおり、この埋立地千葉県企業庁に対して免許されたものでございまして、それがさらにオリエンタルランドに譲渡されておるわけでございますが、千葉県知事はそういう譲渡の際、さらに今回のホテルに対する譲渡の際もそうでございますが、譲渡を認める際にさらに条件をつけておりまして、さらに譲渡をする場合には許可を受けなさい、こういうような条件をつけておるわけでございます。したがって、新たに譲渡を受けた者についてもそういうような制限が現在及んでいる、こういうことでございます。
  117. 小川国彦

    小川(国)委員 そういったがはかけても、結局この辺は法の解釈が、千葉県がいずれ判断するだろうということで皆さん逃げているのですが、建設省として、やはり厳重に公有水面埋立法のあり方というものは判断を示さなければならないと思う。千葉県は何回も相談しているのに回答がない。あと今言ったように六十、六十一、六十二年でこの土地の十年の転売禁止の縛りは全部切れてしまうんですよ。民法上の縛りは全部切れてしまう。そうすると、この土地はオリエンタルランドが幾らでどこに売ろうが、国も県も全くノータッチということになってしまうんですよ。もうけほうだいです。目的以外にどこに売ろうと法の縛りはないということになってしまう。この辺を皆さんも法の判断をきちんと示す、永久に県の許可権が及ぶのなら及ぶ、それがまたオリエンタルランドが転売する先にも及ぶ、そういう解釈ができるのかどうか、その結論は出ていますか。
  118. 青木保之

    ○青木説明員 先生おっしゃいますように、これは分譲協定の方と埋立免許の方と両方あるわけでございますが、千葉県からいろいろお話を伺っているところでは、分譲協定の方におきましても、十年の期間が切れた後におきましても、これは分譲協定に基づくということにはならないことになろうかと思いますが、いろいろな手段で実行を担保していきたい、こういうふうに申されておるわけでございます。  それから埋立免許の方でございますが、これは先ほど申し上げましたように、基本的に免許権者か判断して決めるべきものでございますが、その際千葉県知事は、現在までのいろいろな経過あるいは新法のできないきさつといったようなものを考えて総合的に判断されると思いますが、県知事からそういうような点について御相談があれば我々としても御相談に応じたいというふうに考えております。
  119. 小川国彦

    小川(国)委員 分譲協定で十年が切れるといろいろな手続、手段というのはもう考えられない、それから免許権者の判断、知事から相談があったらということなんですが、そういうことを待っているんじゃなくて、もう六十、六十一、六十二年に国民の海を埋めてつくった埋立地が全く一私企業の土地転がしに使われていくという事実に歯どめをかける。もうあと二年、三年しか残されてない期間に国が適正な指導措置をとる。法律によれば十年間も未利用で行われたところは買い戻し規定もあるんですよ。それも今言った六十年、六十一年、六十二年の期限の間ならば買い戻し規定の発動もできるけれども、それを過ぎたらできなくなる。建設省の指導は、この二、三年、一私企業の土地転がしの暴利を許していくか、歯どめをきちっとかける行政措置の指導がとれるか、それは私は今重大な時期に来ていると思う。  最後に、建設大臣にそうした問題点を含めて、これを是正していく考え方がおありになるかどうかお伺いしたいと思います。
  120. 水野清

    水野国務大臣 千葉県の企業庁といいますか、千葉県の知事とオリエンタルランド社との契約の詳細も検討して、これは免許権者は千葉県でございますから、千葉県側の意向もよく聞きました上で建設省として一応検討してみたい、かように思っております。
  121. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  122. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、関山信之君。
  123. 関山信之

    ○関山委員 建設大臣の御出席をいただきまして、所信表明に触れて若干のお尋ねを申し上げたいと思うのですが、ここ近年また交通事故、とりわけ死亡事故が騰勢に転じたということで、本委員会におきましても、先般来さまざまな角度から交通安全についての御議論が交わされておるところでありますし、また交通安全施設整備五カ年計画によってさまざまな手だてが今日まで講じられてきていることも承知をいたしておるわけでありますけれども、私は、特に死亡事故にかかわって、いわゆる貨物自動車が死亡事故に及ぶ重大事故の大きな発生源になっていることについて、以下、特に貨物自動車の運転手の過労運転の防止という観点から、休憩施設のことについてお尋ねをしたいと思うのであります。  申し上げましたように死亡事故、これは八二年の数字でありますが、全国で九千七十三件のうち貨物自動車のかかわった死亡事故、第一当事者になった事故が二千一件という数字でありますから、これは極めて大きなウエートを占めておるわけであります。しかもまた、御案内のとおり国鉄の合理化という事態を迎えまして、今まで国鉄によって運ばれておりました貨物がトラックに転換をするという事態がますます急速に進むことになるわけでありまして、そういう点ではこの問題は、古くしてまた新しい観点からいろいろな施策を講じられなければならないのではないか、かように考えておるところであります。  御承知のとおりトラックの運転者に対しましては二七通達というのが出されておりまして、労働時間の改善基準を示して、この面から安全対策が講じられておるわけでありますけれども、現場の労働者のアンケートなどを見ますと、休みたくても休む場所がない、あるいは高速道につきましてはサービスエリアやパーキングエリアが狭い。とりわけ一般道路につきましては、ドライブインでは大型が締め出しを食う。一般道路におけるトラック運転手の休憩はどういう状態で行われているかというアンケート調査に対しましては、道路の路肩でというのが五〇・八%にも及んでいるという状態があるわけであります。  過労運転というものがいかに重大事故に結びつくかということについての御認識はもう申し上げるまでもないと思うのでありますが、幸いにして大臣所信表明の中には、「交通安全施設等に十分配慮した道路整備することとしております。」こういうことがあるわけでございますけれども、ここで大臣のおっしゃっていらっしゃる「交通安全施設等に十分配慮した道路」というものはいかなるものであろうか。  私は、申し上げましたような観点からいえば、休憩施設、これはさまざまなものがあるようでありますが、まだ制度的にも法律的にも十分な枠組みが整っているとは言えないジャンルでございますけれども大臣のこの所信の中には当然こういった施設を安全施設の中に組み入れてお話があったのだと思うのでございまして、この点についてまずお考えをお聞かせいただきたい、かように思います。
  124. 水野清

    水野国務大臣 所信表明に「交通安全施設等に十分配慮した道路」ということを申し上げましたが、「交通安全施設等に十分配慮した道路」と申しますのは、道路交通の現況、道路の構造などに応じまして自動車、歩行者、自転車などの質の違った交通を分離する歩道、自転車道などが設置されること、また、主要な交差点におきまして、交通島といいますか安全島といいますか、導流島が整備されること、四車線以上を有する幹線道路におきましては、中央分離帯の設置がなされるとともに、さらに必要に応じては防護さく、道路照明、道路標識、立体横断施設などの整備がなされるということが含まれております。  そこで、先生の御質問は、休憩施設交通安全施設かどうかという御質問であったと思いますが、休憩施設交通安全施設整備事業に関する緊急措置法で規定する交通安全施設ではございません。残念ながら入っていないのでございます。高速自動車国道など長距離交通の利用が多い道路におきまして、利用者の利便を増進し、交通安全に資するものでございますので、そういうものに入っておりませんが、今後とも適切に設置をして、なるべく過労による事故が発生しないように、高速道路の中では十分な配慮を施してやっていきたい、かように思っております。
  125. 関山信之

    ○関山委員 大臣、今の前段の御答弁は、お役所に聞けばそういう答弁しか返ってこないわけでありまして、あえて私は、所信表明大臣のさまざまな御意思を含んだものだ、こういう観点からお尋ねをしておるわけでありますから、余りメモにおこだわりにならずにお答えをいただきたいのです。  過労運転というものを防止する手だては幾つかあるでしょうけれども、しかし現実的に、申し上げたような休憩施設、これは既にさまざまな形態をとって、トラックに関して言えば、後ほどお尋ねいたしますようなトラックステーションでありますとか、あるいはトラックターミナルというのはちょっと性格も違うようですけれども、あるいは高速自動車道などはそれなりにサービスエリアの改善なども進んでおるわけでありまして、既にそれなりの事態も進んでおりますから、ぜひ、ここでおっしゃっている、法律的にどうこうということではなしに、交通安全を考える上で、安全な道路というものについて、休憩施設の必要性については後段でお認めになっていらっしゃるようですが、重ねてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  126. 水野清

    水野国務大臣 大変難しい問題でございまして、交通安全施設というのは法律で範囲が規定されております。  今申し上げましたように、高速道路ではこれがスペースの点でも十分確保できるわけでございますが、一般国道であるとかあるいはその以下の道路において休憩施設をどういう形でそこへ設置をするか、まずスペースの問題もあろうかと思います。あるいは現在の道路五カ年計画の資金量その他からいって、お気持ちも十分わかるわけでございますし配慮はしたいわけでございますが、なかなかそこまで手が回らない、こういうことがございますので、大変残念なことでございますが、高速道路以外には現在のところちょっと配慮しがたい、こういうことでございます。
  127. 関山信之

    ○関山委員 御答弁のお気持ちは十分わかりますが、今直ちにこの問題についての解決をすべて迫っているわけでも何でもないのでありまして、少なくとも九千七十三件中の貨物の二千一件、こういう数字を見ますと、そういうものが過労運転にかかわっている部分がどれだけかという数字のデータも今具体的には持ち合わせがありませんけれども、かなりな部分が、直接的間接的にそういうものに起因をしているということがありますだけに、ここはぜひひとつ、将来の課題としても、道路の概念の中にそういうものを取り入れていく方向で問題を考えていただく、やれるやれないのお金の話はまだ大臣に申し上げておるわけではございませんし、その辺は承知をしておりますけれども、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  128. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 長距離を運転されるトラック運転手さん等のために、休憩施設事故防止する観点からも非常に重要なものだと考えております。  高速道路におきましては、ほぼ五十キロ間隔にサービスエリアを、さらにその中で二、三カ所、すなわち十五キロから二十キロぐらいにパーキングエリアを設置いたしておりますから、そういうところで車をとめて休んでいただくこともありましょうし、さらにサービスエリアには、道路施設協会が一括して占用を受けまして休憩施設を設け、その施設の運用等についてはまた一般の民間の方々に営業を委託するというような形で、そこでは給油も行われたりあるいは食事もできるというような施設を設けておるところでございます。こういうものの需要は、高速道路をつくってから、交通量の多い区間、特に東名、名神では当初予想したよりもはるかに多うございましたので、こういう施設をその後、東名、名神では大幅にふやしてまいりました。それからその他の高速道路におきましても、東名、名神の例を参考として、こういう施設をふやしておるところでございます。  ところで、一般道路でございますが、一般道路は高速道路のようにクローズされたところではございませんので、その一般道路に接してドライブイン等が民間の手でいろいろ設けられておるところでございまして、そういうものを現在使っていただいておるところでございます。現在、財政事情も大変苦しく、民間の力をできるだけ活用しながら、こういうものに的確に対応していくことが非常に大切ではないかと思っております。しかしながら、一般道路をつくる場合におきましても、用地買収に伴ってできる残地等を活用して、そういう駐車スペースの増大に努めておるところでございます。
  129. 関山信之

    ○関山委員 そこで、道路局長、少し理屈っぽいことを申し上げて恐縮ですけれども大臣の御答弁を聞いておりますと、それ以上になかなかお答えが出ないのかもしれませんが、道路法第二条の道路に附帯する設備の中における「道路に接する自動車駐車場」ですね。休憩施設という概念そのものがなかなか確定しがたい部分があるわけですけれども、これはどういうようなものとして位置づけられているのか。  つまり、一般的に駐車場という言葉の中には車の保管場所、あるいは道路渋滞を防ぐために一時的にまさに車を駐車させる場所というようなことと同時に、実態として運転者の休憩をする場所であったり、あるいはさまざまな故障の作業をする場所であったりといったような実態があるわけですけれども、この法律の条項で言っている自動車駐車場とはどういうものになるのですか。
  130. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 道路法第二条第二項第六号に規定いたしております先生のただいま御指摘ありました自動車駐車場とは、道路の附属物として道路管理者が道路設置して設けるものでございます。自動車駐車場の設置につきましては、道路構造令第三十二条において、「安全かつ円滑な交通確保し、又は公衆の利便に資するため必要がある場合に設けるもの」と規定されており、原則として駐車と乗客の乗りおりのための場所である駐車区画と、自動車を駐車区画に導く車路から構成されております。  出入制限が行われております高速自動車国道等につきましては、パーキングエリアとかサービスエリアに休憩施設等を設けることを原則としておりますが、それら以外の道路についての休憩施設等の設置は、現状の道路整備のニーズと財源の需給関係等から見ても大変難しい状態にございます。しかしながら、運転者の利便に資する駐車施設につきましては、地域状況に応じ、道路改築に合わせて設けるよう努めておるところでございます。
  131. 関山信之

    ○関山委員 そうしますと、この自動車駐車場という用語の概念と休憩施設という言葉の概念とは別のものである、あるいはダブる部分もある、どういうふうに理解をしたらよろしいでしょうか。
  132. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 この第二条の二項六号で今申し上げております「道路に接する自動車駐車場で第十八条第一項に規定する道路管理者の設けるもの」というこの第十八条第一項というのは、本来の道路管理者と私たち言っておるのでございますが、設ける駐車場については、短時間そこで車がとまるような必要がある場合、あるいはそこで乗りおりをするというようなことを頭に描いておるのでございまして、ここでトラックがとまって、そこで長時間仮眠をするというようなことにまで対応できるようなものまでは、現状において設置することがなかなか難しいというような状態でございます。  駐車場でございますから、当然車は必要に応じてそこに駐車し、必要な行動をとることになろうとは思いますが、たくさんの交通があるわけでございまして、そういう方々がそこでとまって長時間休む、あるいは眠るというようなことにまで対応できるようにはなっておりません。
  133. 関山信之

    ○関山委員 そこで私は実態論といいますか、実態論とあわせてお金の話にいってしまうのですけれども、最初に申し上げたように、私の申し上げている趣旨は新しいジャンルでありますだけに、そういう方向に向けて皆さん方の御理解を進めていただくということを求めて申し上げているわけでありまして、そういう点では、今の規定から言うと、休憩施設というものは高速道の方はそれなりに法律的にも実態的にも進んでいるわけですから、これだって十分とは言えませんけれども、しかしまあ進んでいるわけですし、一般国道についてもいずれ新しい問題としてこれは検討されなければならぬ、休泊施設というのは道路附属物としてという方向で問題を考えていくということになるのでしょうか。
  134. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 国の財政も非常に豊かになり、いろいろな問題、サービス水準も他も非常に上がるというような二十一世紀の時代になったらどうかということについては、私もそうなる可能性もないとは申し上げませんが、当面の間、そこまでのサービス水準を道路側からしていくということは非常に困難であり、そういう観点からも道路の附属物として休憩施設を位置づけていくことは非常に難しいことであろうというふうに思います。
  135. 関山信之

    ○関山委員 この問題で押し問答していてもしようがないのですけれども、私の聞いていることは、最前から申し上げているように、実態としてできるかできないかの話ではなくて、やはり少なくとも、高速自動車道における交通安全と、一般国道のすべてではありませんけれども、主要な国道についての安全性にかかわっての休憩施設、過労運転の問題というのに、では逆にどこに区別がありますか。片っ方はやっているのですからね。片っ方はやってない。
  136. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 高速道路の場合は、自動車専用道路でございまして、クローズされた中で行動しなければなりませんので、一般高速道路の中を通る車に対してはサービスエリア、パーキングエリア等を設けて一時休憩していただいたり、休んでいただいたりするわけでございますが、一般道路については、出入制限がされておりませんので、民間の方々がこの沿道にドライブインとかそういうようなものをいろいろ設けて、ここを通る方々の利便の増進に資することができるわけでございまして、現に一部そういうふうな形での使われ方がしておるわけでございます。  これをもっと高速道路並みに五十キロに一カ所ずつあるとか、あるいはそれのうちにパーキングエリアというようなものが二、三カ所あるとかいうふうには、実態はそこまで進んでいないわけでございますが、それを補完するような意味で、改築のときに残地等を利用して小さいながら駐車場もつくらしていただいておるわけでございます。
  137. 水野清

    水野国務大臣 先生の御質問に対してお言葉を返すようでありますが、実は交通行政というのが、日本は諸外国と形態がちょっと変わっておりまして、外国では道路局というのは交通省に入っておることは御承知のとおりであります。中国もそうでありますし、西ドイツなんかもそうであります。そこで、交通省になっておりますと、例えば道路の上を走る運送会社、トラックなどの御質問が今中心でございますが、そういうところの行政も一元化をしているわけであります。私は、この辺に確かに日本の行政の一つの欠陥があるな、これは一議員としてかねてそういうふうに思っておりました。  確かに先生お話のようでございますが、一つは、今の長距離輸送のトラック会社の労務管理の中で、給料をどんどん上げて仕事をさせるというやり方で能率を上げておられますけれども、片っ方では、やはり幾ら給料を上げても人間の能力の限界というのがあるわけでございまして、私どもの知っている宅急便の運転手さんたちの話を聞いてみたことがありますが、この人たちは非常に高給を取っておりますけれども、休憩時間とかそういうものは非常に少ないわけであります。  それは一つはノルマで仕事をさせられる、そこにもう一つ別の角度から行政上メスを入れていただくということも必要ではないんだろうか。私ども一般国道における休憩の施設の問題というのも、先生の御提言は大変貴重な提言だと思って、先ほど来拝聴しておったわけでございますが、実は道路管理面からだけで一体メスが入るだろうか。ちょっと一般論として、建設大臣というよりも私の一つの哲学として申し上げたわけでございますが、そういう角度からもひとつ御検討いただければありがたいと思っております。
  138. 関山信之

    ○関山委員 それは前提として休憩施設だけで問題が片づくなんて申し上げているわけでじゃありませんし、当然、一番最初に申し上げましたように、労働省は労働省のサイドで、あるいは業界は業界のサイドで厳しくお話にありましたような運輸業界の実態にメスを入れていくということは当然だと私は思います。  ただ、私は、きょうはせっかく建設大臣おいでですから申し上げましたように、お話ありましたように、まさに縦割り行政でして、皆さんお集まりのところで、みんな集めてやれる機会があればまた少し違った議論の展開になるのでしょうが、きょうは建設省サイドでお話を承っているわけですから御理解いただきたいと思うのです。  そこで高速道、一般国道も含めてなんですが、昨年の第九次道路整備五カ年計画を策定するに当たって、運輸省のサイドから建設省の方に幾つかの申し入れをしている中で、官計第五号というものですけれども、「高速道路の駐車施設等について」ということで、「長距離トラック運転者の過労運転の防止に資するため、高速道路の駐車施設、休憩施設等の充実を図られたい。」という運輸事務次官の文書がありまして、さらに大臣官房の総務審議官からの官計第二十六というのがありまして、それを受けて建設省道路局長名で、第九次道路整備五カ年計画について、当該の項については「実施に際し十分配慮してまいりたい。」という御回答があるわけですね。  そこで、なお私は先般の交通安全委員会で、これは高速自動車道だけではないか、一般国道についてもそれはそれなりにやはり申し入れをすべきじゃないかというお話を承りましたところ、これは口頭で、四者協というのがあるそうでございますけれども、そこで建設省の方には申し入れもしておるということなのですが、既にそういうレールに乗っていることでもあるものですから先ほど来の御議論を申し上げているわけですけれども、この第九次道路整備五カ年計画の中でどのように取り入れられているのか。あわせて高速自動車道の休憩施設状況など、さらに仮眠施設ども高速自動車道の場合既に二カ所できているわけでありますから、現状と利用状況などについてお聞かせをいただいておきたいと思います。
  139. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 先生今御指摘のありましたように、第九次道路整備五カ年計画の策定に当たりまして運輸省からの申し入れがございました。  八項目ございまして、その一つに「高速道路の駐車施設等について」、内容としては「長距離トラック運転者の過労運転の防止に資するため、高速道路の駐車施設、休憩施設等の充実を図られたい。」ということでございます。この線に沿いまして、高速道路におきましてはサービスエリア、あるいはパーキングエリアなどの拡大に努めてきておるところでございます。  五十八年度までに東名、名神等で見ていただいた場合に、大型車に対する駐車スペースは当初に比べて一・八八倍、小型車で一・三二倍、全車で一・四九倍というふうになっておりますし、また五十八年六月に、東名高速道路の大井松田から御殿場までの間の六車線化の拡幅の施行命令を出したところでございますが、この際におきましても、足柄サービスエリアとか鮎沢パーキングエリアを拡充することも計画の中に含めて施行命令を出しております。その他東北道、中央道、関越道におきましても駐車スペースの拡大を図ることを実施しておるところでございます。  さらに仮眠施設設置状況でございますが、高速自動車国道利用者の疲労回復に資するために、東名高速道路の足柄サービスエリア、これは上り線の方でございます。及び名神高速道路の多賀サービスエリアに仮眠休憩施設を試行的に設置いたしております。  これは道路施設協会が一元的にサービスエリア等の占用の許可を受けまして、この施設建設、管理いたしております。通常いろいろなサービスを高速道路内でいたす際には、そういう施設道路施設協会が建設、管理し、そしてその運用は民間の方々に競争入礼で委託して実施しているのでございますが、この仮眠場であります足柄及び多賀サービスエリアに設けられました施設は試行的なものでございますので、道路施設協会が直接現在営業しておるわけでございまして、この足柄サービスエリアの施設は、五十二年九月十二日から営業しております。次第に利用者も増加いたしまして、昭和五十七年度には年間五万七百九十一人の方に利用していただいております。このうち職業運転手が非常にシェアが高うございまして、三万三千七百二十人で、一日当たり九十二人となっております。  そして先日の四月三日に多賀サービスエリアの施設を開業したわけでございますが、ここの施設は足柄サービスエリアの施設の営業の経験を踏まえまして、また利用者の要望等も取り入れまして、休憩室に簡易ベットを置くなど利用しやすいような改善を図ったところでございます。足柄サービスエリアの施設とあわせて利用者の疲労回復に役立つというふうに考えておりますが、このような施設を他のサービスエリア等にも設置することにつきましては、今後この二つの仮眠施設の利用状況とか営業の実態等を見ながらひとつ検討していきたいというふうに考えております。
  140. 関山信之

    ○関山委員 今、足柄の利用状況を伺いまして、これは一日平均九十二というのですか、室数がわずかに二十三室ですかね。定員は二段ベットのものもありますからもう少しふえるのでしょうけれども、いずれにしてもかなりな利用率があって、それなりに私は有効な役割を果たしてきているのじゃないか、こう思いますし、ぜひともこの種の施設の充実に努めていただきたいと思うのですが、あわせて一般道路については、今申し上げたような五カ年計画との絡みの中ではいかがなものでしょうか。
  141. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 我が国の道路整備は、実は昭和二十九年からやっと本格的な整備を始めたばかりでございまして、所要の二分の一程度がようやく整備されたところでございますし、諸外国に比べても大変立ちおくれております。そういうことが交通渋滞等を招来する一つの大きな要因ともなっておりまして、輸送業に携わる方々にも大変御迷惑をかけておるわけでございます。  こういう方々へのサービスの第一は、何と言ってもいわゆる安全かつ円滑な交通確保をしていくことであろうというふうに考えておりまして、そういう方面の道路整備を現在一生懸命やっておるところでございます。しかしながら、昭和五十五年からゼロシーリング、さらにことしはマイナスシーリングという中で実施いたしておる関係上、一般道路は、事業量は大変ダウンしております。そういう中で今申しましたような事業を鋭意進めておるわけでございまして、そういう関係からも、こういう民間の方々に協力していただいてできるような施設についてはひとつ民間の力を活用しながら、先ほど来申し上げたようなドライブイン等の施設をできるだけ設けていただき、そこで休んでいただくというようなことに努めたいと思っております。  ただ、先ほど来もたびたび申しましたように、新しくつくる道路についてはそういう用地買収の際に、余分に買うというと大変語弊があるのですが、ある程度残地というようなものでまとまったようなところには駐車施設を設けるよう指導しておるところでございます。
  142. 関山信之

    ○関山委員 お金がないという話が先に来ちゃいますと、何も物が言えなくなるわけですけれども、これは先ほど石川委員の御質問がありましたように、五カ年計画にしてもそれなりの選択の問題ですから、絶えず安全行政というものについての見直しをしながら、どこの部分にお金を使うかということの問題でもあるわけですから、そのように御理解をいただいてこの問題に取り組みを進めていただきたいと思うのです。  ところで、トラックターミナルあるいはトラックステーションの利用の問題について、これは高速道の中にあれば利用が非常に簡単なんでありますけれども、外に設けられる場合が非常に多い。非常に多いというよりもほとんどそうなんですが、そうしますと、一たん外へ出なければならぬという問題があったり、あるいは出て料金とのかかわりがあったりして、建設省の方もそれなりの試行的な対応はなさっていらっしゃるようですけれども、今財源がない、そういう施設はなかなか面倒だというお話がある中で、トラックターミナルも全国にかなりな箇所ございますし、ターミナルそのものは休憩施設というものと直接結びつきませんけれども、しかし、少なくともそこへ行けば休憩できるという施設もあるわけですし、あるいは全ト協のやっているトラックステーションもかなりな数に上っているわけですけれども、これの高速道路の対応が、申し上げたような点で極めて問題があるということを伺っておりますので、これはぜひひとつ解決の方向に向かって取り組みを進めていただきたいと思うのです。  時間がないものですからあわせて、これは先般新聞に出ておりまして、参議院で公明党の刈田議員の質問で、ドリンク剤の交通事故に及ぼす影響についての御指摘がありまして、私もびっくりしたわけでございますが、高速道の場合は、まさに公団そのものが管理をしているさまざまな施設の中でこういうものが売られているということになりますと、これは大変なことだなと考えながら、今の時点でどのような対応があるか。もう一問ありますから、ひとつ簡単に答えてください。
  143. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 最初にドリンク剤の方から申し上げたいのですが、日本道路公団は高速道路のサービスエリア等における酒類の販売を禁止しておりますが、ドリンク剤はすべて現在のところ清涼飲料水であるということで売られておるものでございまして、これに対しては規制いたしておりませんが、今後ドリンク剤のアルコール分が表示され、酒類に該当すると判断されれば、当然その販売を禁止したいというふうに考えております。規制していきたいと考えております。  それからトラックターミナルについてでございますが、日本道路公団が出資して、現在高速道路ターミナル株式会社を設立し、そこが営業しておるトラックターミナルがございます。現在五カ所ございますが、黒字が二カ所で赤字が三カ所でございます。利用率は、昭和五十八年度で六五・四%から九五・三%ということでございますが、今後は景気回復の兆しもあり、徐々に利用率も高まるものと期待しております。これまでの経営実績を十分に踏まえて、テナントにとって魅力ある方策を考えていきたいというふうに考えております。しかしながら、用地は買ってあるけれども、まだトラックターミナルとして営業していないところもございますが、こういうものにつきましても、これからの利用見込み等を想定しながら、ターミナル等を設置していきたいというふうに思っております。  それから、トラックターミナルの利用をふやすためのいろいろな施策をもっとしたらどうかという御提言でございますが、長距離逓減制をそこで切れないように持続させるようにしてはどうかということで、実は試行をしてみたのでございますが、なかなか煩雑で、その結果がうまくいかなかったのが結論でございますので、この長距離逓減制を適用するにしても、先般やったような方式、すなわち別の料金で、運転している方々のそういうカードを料金徴収所で預って、また入ってきたときに渡すことで継続性を維持するというのはなかなか難しいという結論が一応出ております。しかしながら、今後トラックターミナルの利用者をふやすためには、そういう料金制の面からも研究していくことが非常に重要だというふうに思っております。  それからトラックステーションでございますが、トラックステーションは、これは軽油引取税の値上げの際の二分の一がそういう関係に交付金として回されることになったわけでございまして、全国でも今九カ所ぐらいでしょうか、トラックステーションができて、運転手方のために大きな役割を果たしていると聞いております。これは運輸省の方の所管でございますが、そういうものを踏まえながら、私たちも長距離トラック運転手の安全運転に資するための施策を講じていきたいというふうに考えております。
  144. 関山信之

    ○関山委員 どうも時間が来てしまったようですが、建設省ではないのですが、きょう警察庁と自治省からおいでいただいておりまして、ちょっと先般の質問の継続みたいなものなんですが、一括して見解を承っておきたいんです。  まず警察には、反則金と、それから同じ道交法上違反をして裁判で争った場合の罰金との間に本質的に違いがあるのかないのか、これが一点です。  それから自治省に対しましてお伺いをしたいんですが、申し上げているのは、道交法の違反の罰金は、反則金の場合はみんな特交金へ戻るのですけれども、そうでないものが向こうへ行ってしまうというのはどうにもこれは理屈に合わぬわけでありまして、この辺について今後新しい交通安全の財源として考えていくべきじゃないかと思うのですが、それぞれ簡単に御見解をいただいて質問を終わりにします。
  145. 久本禮一

    久本政府委員 先生指摘の反則金につきましては、これはそもそも制度の初めから、当分の間交通安全対策の一環として交通安全施設設置及びその費用に充てるということでございまして、その運用は交通安全対策特別交付金ということで、自治省の交付税特別会計の中で地方財源として交付をされるというものでございます。これは、現下の厳しい交通情勢の中で対処するということで、国民の交通安全への願いにもかなうことでございまして、そういったコンセンサスが土台になりまして、そういう制度として受けとめられているということでございます。  罰金と反則金、交通違反で取られることについては変わりないじゃないかという先生の御指摘にも確かに感覚的に一理ございますけれども、そもそもそういう制度ででき上がってそれなりの理解がされておるという特交金の制度と、そもそも交通違反だけでなくてあらゆるものにかかってくる罰金に対する考え方というものは、事実上やはりその辺の受けとめ方に相違があるということは否めないと思いますので、現実的にはなかなか難しい問題だと考えております。ただ、一つの御意見として、私どもは大変興味を持って承っておるところでございます。
  146. 小林実

    ○小林説明員 ただいま警察の方から御答弁がございましたことで尽きると思いますが、この反則制度ができましたのは四十三年だったと思いますが、それ以前では道路交通法上の罰金というのは国に帰属しておったわけで、この反則制度ができましたときに、交通安全施設整備に関する財源ということで決まった経緯がございまして、制度創設のときから罰金と区別してできたものでございます。  刑罰たる罰金は、この道路交通法のものばかりでなく、その他のものにつきましても国に帰属するというのが従来からの取り扱いでございまして、現実問題としてはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  147. 関山信之

    ○関山委員 どうもありがとうございました。
  148. 坂井弘一

    坂井委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後二時四十四分開議
  149. 坂井弘一

    坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  150. 草野威

    ○草野委員 本題に入る前に一つだけ建設大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  去る十六日に、建設大臣が私どもの神奈川県にわざわざお見えをいただきまして、御視察を賜りまして大変に感謝をしております。中でも湾岸道路建設促進、また東京湾横断道路、これらの問題につきまして非常に積極的な御発言があったということを新聞で承っております。大臣が我々の地元へ参りまして、これらの重要問題でいろいろと御発言をいただきますと、その影響などもかなり大きいようでございまして、翌日の地元各紙にはかなり大々的に報道されておりました。  これらの新聞を私も一通り読ませていただきましたけれども、その中で、例えばある新聞によりますと、東京湾横断道路につきましてこのような御発言の記事が出ております。「建設省は第九次道路整備五カ年計画の終わる六十二年度までには着工したいと、横断道路建設へ改めて強い意欲を示した。」このような記事が出ておりまして、見出しなどを見ますと、長洲知事が建設大臣と会談後一転して積極的態度に変わった、こういうような記事も出ております。さらにまたこの記事を読んでまいりますと、大臣が「トップ会談後の記者会見で、神奈川を訪れた狙いが東京湾横断道路建設促進にあったことを強く示唆するとともに、県も川崎市も、私の気持ちはアウンの呼吸でわかってもらえるだろうと次のように語った。」ということで、いろいろ記事が出ております。  この一連の記事を読みまして、建設大臣東京湾横断道路建設に非常に強い熱意を示された、このようなことも承ったわけでございます。しかし、御存じのように、神奈川県は神奈川県としてのいろいろな考え方もあるようでございまして、今後地元に与える影響も非常に多い、そういうことで、きょうは当委員会におきまして、突然でございましたけれども、この問題につきまして建設大臣の御真意というものをもう一度改めて承らせていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いします。
  151. 水野清

    水野国務大臣 月曜日でございますから十六日、おっしゃいますように川崎市と横浜市を訪れまして、川崎市の再開発事業であるとか街路計画であるとか、あるいは横浜市におきます東京湾湾岸道路の先にございます羽田沖の、現在埋め立てばやっておりますが、ここへ湾岸道路が立体的に入るわけでございまして、その実情であるとか、あるいは横浜港の入り口に今かけておりますベイブリッジの工事現場であるとか、あるいは横浜市が今やっていらっしゃいます「みなとみらい21」であるとか、こういうのもを視察をさせていただきました。  いずれも建設省でやっております大変大型の事業でございますが、私の第一義的な目的はまずそれを見せていただく。今までの私の前任の閣僚の方で神奈川県下を視察した方が割合に少ないようでございましたので、まずそれを見せていただきたい。その中で川崎市長さんと長洲知事のお二人にお目にかかるであろうと思いましたし、時間もお約束をいたしましたが、お目にかからせていただいた、こういうことでございます。  そこで、お目にかかればどうしても、私が就任以来東京湾の横断道路を第九次五カ年計画内で何とかしたいということを言っておりますだけに、当然記者会見でその御質問があった、こういうことでございますが、私の申していることの真意にはちょうど盾の両面がございまして、第九次五カ年計画の中で東京湾横断道路着工のめどをつけるということは既に閣議了解事項になっているわけでございます。細かいことは後で道路局長に補足をいたさせますが、そこで私は、一面では第九次道路整備五カ年計画内に何とかこのめどをつけたい、こういうことでございますが、同時に大変巨大なプロジェクトでございまして、片面では、東京湾の大きな環境問題であるとか、あるいは東京湾をめぐる千葉から東京—神奈川に至る大きな交通のローテーションをどうするかという問題がございます。あるいは東京湾の中の船舶航行の問題も一体うまくいくだろうかというような問題がございまして、御承知のとおり現在巨額の予算をいただいて調査中でございますが、調査は非常に慎重にやっているわけでございます。  今まで、実は私が千葉県出身の建設大臣だという形に結論としてなるわけでありますが、千葉県側からは大変性急に、早く着工しろ着工しろということを言い、神奈川県側が賛成しないからできないかのような印象を千葉県側では持っておるわけでございます。さりとて、それではどんなお話をしたかというと、それほど公式のお話をした人もいない。儀礼訪問も正式に余りやってない。ですから現地の記者会見で申し上げたのですが、千葉県ばかり片思いでいろいろやっているが、神奈川県側に意思が届いているかどうかも確認した人もいない、そういう表現をとったわけでありますが、きょうは、きょうはというのはその十六日の日は、建設省のやっている諸事業を現地に視察をさせていただいて、お顔を拝見をしてというところでございますということで、事実、川崎市長さんとは一切横断道路の話はしておりません。  これは二人で会ったわけでもございませんで、大勢の方がそこにおられたのでございますから、御心配要らないわけでございます。今川崎市長さんにそんなことをお尋ねしたりすることはかえって御迷惑だろうと思いましたから、私は一切申し上げませんでした。記者会見でも一切出ていない。しかし何かあるだろう、こういうお話ですから、何も言わないことがいいんじゃないですかというような、強いて言えばあうんの呼吸ですか、こう言ったのが新聞記事になったようであります。  それから神奈川県庁に参りまして、神奈川県下の建設行政について知事さん以下幹部の皆さん方からお話を承りました。この席でも、私の方から横断道路を早くやってもらいたいとか承諾をしてもらいだいとかいうお話は一切いたしませんでした。ただ帰り際に知事さんが、私も今までみたいに、そんな強くノーと言っているわけじゃないですよというお言葉はいただいた。それを私は、知事さんはノーと言っておられましたが、ノーと言わないと言っておられたのを記者会見でも申し上げていいかと言ったら、それはいいですよと言っておられましたので会見でそういう話をした。新聞記事になりますと非常にめり張りがつきますからこうございますが、平たんに申し上げるとそういうことでございます。  ですから、今も国会の本会議で、ロビーである神奈川県の先生と立ち話をしたのでございますが、神奈川新聞は横断道路でなく湾岸道路の視察に来たような見出しであった、東京新聞は千葉県側なのか、東京の新聞は横断道路の見出しがついておった、こうも違うのかね、こういう話も今したところでございます。正確に申し上げますとそういうことで、第九次道路整備五カ年計画の期間内にめどの話は、道路局長から正確に申し上げさせていただきます。
  152. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 東京湾横断道路と第九次道路整備五カ年計画関係を簡単に御説明させていただきます。  五カ年計画で閣議決定されるものは、道路整備の目標と道路整備事業の量の二つでございます。この道路整備事業の量は積み上げ積算を行うものでございまして、私たち、この事業の量を積み上げるに当たりまして東京湾横断道路、それから首都圏中央連絡道路北関東横断道路、第二京阪道路を含めて第九次五カ年計画期間中の事業費として千二百億円を見込んでおります。  さらに、この道路整備の目標の中におきましては、継続しておるビッグプロジェクトは名称を挙げますが、これから新しくやっていこうというようなものは「等」というような中で読み込めるようにいたしております。したがって建設省としては、第九次五カ年計画期間内にこの東京湾横断道路着工すべきという考え方で九次五計を作成したわけでございますが、閣議決定の中でその名称は具体的に挙がっておるわけではございません。今申しましたような積算内訳等では見込ましていただいておるものでございます。
  153. 草野威

    ○草野委員 ただいまの建設大臣お話を承りまして、大臣のお気持ちはよく理解することができました。ただ、大臣が御発言になりますと、非常に重大な問題であるだけに、影響は非常に大きい。東京新聞、神奈川新聞とお話も出ましたけれども、ともかく東京新聞の記事については神奈川県の知事も非常にいろいろなことをおっしゃっていたようでございまして、事実無根の記事だと厳重にその訂正方を東京新聞には申し入れたそうでございます。御存じだと思いますけれども、長洲知事としての立場、神奈川県としての立場はあくまでも湾岸道路優先である、この点は従来の方針に変わりがない、このことだけは大臣もおわかりだと思いますが、ひとつその点はお含みをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  154. 水野清

    水野国務大臣 私も、帰ってきまして翌日が火曜日でございますので、閣議後の記者会見で、長洲知事がそういうことをおっしゃらなかったということは東京の記者会見で、訂正じゃないのでありまして、正確に建設省の記者クラブに申しておきました。  それから、私の申し上げておりますのは、今先生お話にもございましたが、決して湾岸道路より先に横断道路をやろうなどということではないのでありまして、それは建設省の中も、東京湾全体の交通のローテーションということが先でございます。これは湾岸道路が現在のところ優先する。横断道路がもし六十二年に着工になりましてそれが使えるようになりましても、それはさらに十年先の話でありますから、湾岸道路がそのころはどんなことがあっても大体完成しているだろうと思うわけでございます。  私がこれは個人的に川崎市の市長とお話をしたわけでもございませんから誤解をいただかないようにいたしますが、私どもが川崎市内を拝見をいたしておりまして、簡単に千葉県で考えているように横断道路を、川崎に橋をかけて、川崎市の市内の交通問題あるいは環境問題、そんなことを無視して簡単にできるはずはないという認識を私は得たわけでございます。
  155. 草野威

    ○草野委員 では、次の質問に移ります。  本日は、時間の関係もございますので、高速道路のトンネルの安全、防災対策、ここら辺に絞って何点かお尋ねをしたいと思います。  初めに、警察庁にお尋ねいたします。高速道路のトンネル内の事故、これが昭和五十四年の日本坂トンネルの事故以来現在に至るまで、やはりかなりの数があるように伺っておりますけれども、この事故状況についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  156. 久本禮一

    久本政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十五年以降の高速自動車国道のトンネル内における交通事故の発生状況は、昭和五十五年におきまして人身事故七十四件、物損事故二百一件、合計二百七十五件、五十六年で人身事故六十七件、物損事故二百七十八件、合計三百四十五件、五十七年におきまして人身事故五十件、物損事故二百二十五件、合計二百七十五件、昨年、昭和五十八年におきましては人身事故六十件、物損事故二百五十三件、合計三百十三件と確認をいたしております。  なお、この四年間にトンネル内におきますところの人身事故の死亡事故は、合計六件でございます。
  157. 草野威

    ○草野委員 今お話がございましたように、毎年三百件前後の事故が続いているわけですね。五十四年の夏に日本坂トンネルの大変大きな事故があったわけでございますけれども、こうやって見てまいりますと、あの事故の教訓がどのような形で生かされてきておるのか、そういう点、私も非常に心配でございます。大臣も御存じのように、あの日本坂トンネルの事故は、中にとまっていた車に後続車が次々と衝突いたしまして、死傷者が九人、そしてまた百七十三台の車が被災を受けた、そして一週間トンネルの中は燃え続けた、また二カ月間も完全に使用するに至らなかった、こういうような我が国の高速道路史上最大の事故だ、このように言われているわけなんですね。あの悲惨な事故の教訓がその後一体どのように生かされてきたか、まずこの点をひとつお尋ねしたいと思います。
  158. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 高速自動車国道におけるトンネル内の安全対策につきましては、従来からも、火災検知器、消火栓、道路情報板など種々の施設設置し、安全な交通確保に努めてきたところでありますが、先生今御指摘のように、昭和五十四年の東名高速道路日本坂トンネルで大きな火災事故が発生し、それにより死者も多く出したようなことでございますが、それを契機に関係省庁の方々に集まっていただきまして委員会をつくり、その委員会の結論を踏まえまして、昭和五十六年四月に道路トンネル非常用施設設置基準を、従来のものを強化すべく改定いたしました。それに基づき、事故防止事故の拡大防止のための施設の改善等の安全対策を図ってきているところであります。  例えば新設のトンネルは、建設当初から今の改定いたしました基準に基づきまして諸施設整備いたしますし、供用中のトンネルにつきましても、昭和五十七年度までに、長大トンネルや特に交通量の多いトンネルなど、緊急に対策が必要なものについてはすべて改善整備が完了いたしております。昭和五十八年度からは残りのトンネルについても逐次改善を進めておるところでございます。  長大トンネル内の交通安全対策につきましては、火災事故が発生した場合は火災検知器が自動的に感知し、トンネル坑口部に設置されている可変情報板にその事故状況と規制内容が文字により「火災、進入禁止」が表示され、赤の注意灯が自動的に作動し、サイレンが鳴るシステムとなっており、ドライバーに文字により具体的事象を知らせるとともに、トンネル内への車両進入を阻止することといたしております。また、既にトンネル内に進入している車両に対しましては、可変情報板の運用により「速度おとせ」から「火災とまれ」まで段階的に情報の提供を行い、追突事故など二次的事故を防ぐことといたしております。さらに、トンネル内カメラにより、火災事故現場が管制室モニタテレビに自動的に映し出されるシステムとなっており、火災事故現場の水噴霧設備が作動し、火災の延焼や拡大を抑制することになっております。  そのほか、交通規制の遵守、運転者のマナーのPR、火災事故等の未然防止、さらに事故発生後の緊急かつ適切な救急活動について関係機関との連携を強化しながら、今後とも対策を講じていきたいというふうに考えております。
  159. 草野威

    ○草野委員 来年の春に全面供用開始が予定されております恵那山トンネルの安全防災対策でございますが、これは八千六百二十五メートル、全国で一番長いトンネルになるわけでございます。このトンネルの安全対策につきまして、具体的にひとつこの中身を教えていただきたいと思います。
  160. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 ただいま御説明いたしました五十六年に改定された道路トンネル非常用施設設置基準に基づいて整備いたすわけでございますが、この設置基準の改定の一番の大きなところは、従来の基準におきましては、トンネルの延長と、それから交通量を関数としてトンネル等級を定め、そしてそのトンネル等級に応じて種々の非常用施設を設けることとなっておりましたが、その場合も、必要に応じてそういう非常用施設設置するという基準になっておりました。  今回の改定では、非常に長大トンネルで、かつ交通量の多いもの、具体的に申し上げますと、トンネル延長十キロ以上のものは示される非常用施設はすべてを、さらに、例えば八キロ、今の恵那山トンネルの八キロあたりですと、交通量が九千台ぐらいでございましょうか、それ以上になるものについてはAAランクになるのでございまして、恵那山トンネルはAAランクに属しております。このAAランクは、基準で示されておる非常用施設のすべてを設置するということになっております。  非常用施設の主なものを申し上げますと、非常電話、それから押しボタン式通報装置、火災検知器、非常警報装置、それから消火設備としては消火器、消火栓、それから避難誘導設備としては誘導標示板、排煙設備または避難通路、それからその他の設備としては給水栓、無線通信補助設備、ラジオ再放送設備、または拡声放送設備、水噴霧設備、監視装置というものでございまして、恵那山トンネルはAAランクでございますので、今申し上げた非常用施設はすべて設置することになっております。
  161. 草野威

    ○草野委員 可変情報板というのはどういうものですか。
  162. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 いろいろな情報を文字によって提供するわけでございまして、具体的には、もし何か火災等があれば、事故等があれば、事故があったからとまれとか、そういうふうにトンネル内の利用者に具体的に情報を伝達するものでございます。
  163. 草野威

    ○草野委員 可変情報板というのは、事故があったら、とまれ、こういうような文字で出るそうでございますけれども、これは何か信号みたいなのがついているわけですか。
  164. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 可変情報板のところには注意灯が併設されております。火災検知器と連動しておりまして、即時即地的に必要な情報が標示され、赤とまれ、または黄、とまれ以外が点滅する、また手動的にも操作が可能なようなものでございます。
  165. 草野威

    ○草野委員 そういたしますと、その赤ランプと黄ランプが点滅するような装置になっておる、こういうことですね。  これは道交法上の信号機とどういう関係になりますか。
  166. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 道交法上のゴーストップをする赤、青というものではございませんが、それにかわって具体的な情報を利用者に提供し、そしてそれに従って利用者が行動できるようなものでございます。
  167. 草野威

    ○草野委員 道交法上の信号機とは違うものだ、こういうことですね。  そういたしますと、道交法の七十六条には、信号機と類似したものをつけてはならない、このように決まっておりますね。これは類似したものに当たりませんか。
  168. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 類似、紛らわしくて、利用者に誤解を招かせるようなものではございません。可変情報板が連続的に系統的に設置されておりますので、そういう文字によって情報が受けられるということでございますので、そういうものがそこにあるということを示すものが、今の赤、黄色等の点滅灯でございますので、そういう機能が違うこと、また連続的にそういうものが設置されていることによって、利用者に誤解を招くことはないと考えております。
  169. 草野威

    ○草野委員 道路標識で、文字で事故があったからとまれという標識が出る。すぐそこに今度は赤ランプと黄色のランプがついているわけですね。そして事故があるとその赤ランプが点滅するわけでしょう。赤ランプが点滅をするということは、その車両はとまれ、こういうようなことをドライバーに対して注意しているわけですね。そうするとこれは信号機とまことに類似した、そういう働きをしているわけですね。誤解を与える、与えないの問題じゃなくて、ドライバーの方はその信号を見れば、これはとまらなければいけないんだなとか、何かそういうことになるんじゃないですか。
  170. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 可変標示板でございますから、そのときどきに適切な指示を示す文字が流れるわけでございます。一般に赤でただ単にとまれと言われた場合に、なぜとまるのかというような疑問が出るわけでございますが、この信号機では、火災の事故であるからとまるとかあるいは徐行するとか、そのときに応じた適切な指示が可変情報板によって示されるものでございまして、点滅するのは、今可変情報板が作動しているということを示すものでございます。
  171. 草野威

    ○草野委員 どうもおかしいですね。それはドライバーの立場からすると、いわゆる通常の道路にある信号、赤、黄色それから青、この信号を見れば、ドライバーはその信号によってとまったり、注意したり、必ずそれを守るようになっているんです。それと非常に似たような信号がついているわけですね。確かに文字は文字であるんでしょうけれども、別にまたそういう同じようなランプがついているわけですね、赤と黄色と。ドライバーの方から見ると、非常にこれは紛らわしいわけです。やはりこういうことは、ドライバーに対して信号機に対する信頼というものを低下させるような、そういうようなことを私は非常に心配するのです。警察庁、いかがですか。
  172. 久本禮一

    久本政府委員 ただいまお話のございました灯器につきましては、特に私ども御相談は受けておりませんし、現物を見ておりませんので、現物を確かめませんとはっきりしたことは申し上げられませんが、伺う限りでは、その形状、色彩等から見まして、社会通念上信号灯のようなものでございますれば、信号機類似設置行為に当たり、道交法の禁止行為に該当するおそれがあると考えるわけでございます。  その点はさておきまして、何よりも法的規制を伴わないものを設置するということは、おっしゃるとおり道路交通法上の信号機の信頼性を薄くいたしまして、ドライバーの法秩序無視につながるおそれがありますので好ましくないと考えております。
  173. 草野威

    ○草野委員 私も見ておりません。また、交通局長もごらんになってないそうですから、見ない上で議論してもこれは始まらない問題と思います。しかし、我々が今まで説明を受けた範囲内で想像しますと、やはりこれは七十六条に違反するような工作物である、このような感じがしてならないわけです。したがってこの可変情報板については、関係省庁とさらによく煮詰めをしてから決定をすべきである、このように思います。  それから次に、信号機の問題についてお尋ねをいたします。  日本坂トンネルの事故がありまして、信号は現在、日本じゅうのトンネルの中で日本坂トンネル一カ所だけついている、このように伺っております。今回の恵那山トンネルにつきまして、やはり信号機設置することになったというふうなことも伺っておりますけれども、どのような信号機を、上下線それぞれ何カ所に設置をされるわけでございますか。
  174. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 恵那山トンネルに信号機設置するのかということでございますが、これについては公安委員会の方とよく相談し、また検討の上つけるべきものと考えておりますが、先ほど来申しましたように、いろいろな角度から信号機設置するかどうかについて検討する必要があるのではないかと思っております。  と申しますのは、確かに信号機設置することによって非常に道交法上の規制効果があるという反面、トンネルの中で急に赤が出てきたということで、トンネルの中における利用者のドライバーの心理というのは非常に微妙でございまして、かえって早く抜け出さなければいけないとかいろいろな行動が起こるわけでございまして、そのためよりも、適切な情報を可変標示板あるいはラジオ再放送設備、場合によっては拡声機等で適切に指示するのがいいのではないかという意見もございますので、この点については今後公安委員会等とも十分検討し、協議していかなければならないというふうに思っております。
  175. 草野威

    ○草野委員 日本坂トンネルの信号機の運用状況を拝見さしていただきますと、ここへ信号がついてから、昭和五十八年中には六百四回信号が点灯をされたことになっております。さらにまた、その前年はこれを上回っているということも聞いておりますけれども、六百回とか七百回とかいいますと、一日に二回平均ぐらい信号がともる。  この内容を見ますと、交通事故で四十二回、車両故障で二百二十回、落下物等で六十五回、工事件業で二百四十七回、交通渋帯で二十五回、保守点検一回、その他四回、計六百四回信号がともっているわけですね。これから見ていきますと、信号機というものが非常に大きな役目を果たしているんではないか、このように思うんですね。  今局長さんのお話、何か伺っておりまして、この信号機効果というものについて、トンネル内につけた場合には追突その他のおそれがあるのじゃないか、こういうようなニュアンスを私は受けたわけでございますけれども、しかし、今回の恵那山トンネルの場合にも、何かそれに似たような信号をトンネルの中へ何カ所かつける、このようなことですね。したがいまして、信号の効果ということにつきましては局長もある程度はお認めになっているのではないかと思うのです。  そこで、現在は日本坂トンネルーカ所しか信号はついてない、入り口に。今後、長大トンネルと言いませんけれども、例えば千五百メートル、二千メートル級以上の各トンネルの入り口には信号機設置する、そういうお考えはございますか。
  176. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 日本坂トンネルにおきましては、今後その効果を検討するということで入り口に信号機を設けたものでございまして、今度恵那山トンネルにおいでどのようにするかについては、そういう成果、効果等も、プラス・マイナスいろいろあったろうかと思いますが、今申し上げましたような両面を踏まえながら、公安委員会と検討していきたいというふうに考えております。
  177. 草野威

    ○草野委員 ちょっと大臣にお尋ねしますけれども、今の局長さんのお話を伺っておりますと、日本坂トンネルには信号をつけた、今度は恵那山トンネルにつけるかつけないか公安委員会と今相談中である、こういうことですね。しかし、大事なことは、日本坂トンネル事故が発生した昭和五十四年の十二月に、交通対策本部で決定しているのですね。「トンネル等における自動車の火災事故防止対策について」、このように。何項目かその中できちっと重大な決定がされているわけです。  その中で、特に「トンネルにおける交通規制の強化等」ということで「トンネル延長・形状、トンネル内の交通量等を勘案し、進路変更の禁止、追越し禁止等の交通規制を必要に応じ行うものとする。」また、「トンネル内で火災等の非常事態が発生した際に、運転者に対する進入禁止規制を担保するため、道路交通法上の信号機を必要に応じ設置するものとする。」こういうものが五十四年十二月にすでに決定しているわけだ。あれから四年以上たっているわけです。十分にここら辺の検討はされてきたと思うのですね。今の局長さんのお話を伺っておりますと、まだまだこれから検討するようなことを言っている。だから毎年三百件くらいの事故が相変わらず起きているのです。これがどんな重大事故につながらないとも限らないのです。こんなことでいいのでしょうか。
  178. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 高速自動車国道におけるトンネル内の防災対策につきまして、今先生のおっしゃられたように、昭和五十四年十二月二十日の交通対策本部決定事項がございました。これに基づきまして、先ほど申し上げましたように、関係省庁の方々にも参加いただきまして、この非常用安全施設の技術基準を検討していただいたわけでございまして、それを踏まえてその技術基準が改正されたわけでございます。  従来に比べて非常に強化された形で情報伝達あるいはまた避難、消火、そういうことが行われるシステムになったわけでございまして、日本坂トンネルのあの当時に比べまして、そういう非常用施設が非常に進歩したり、また物を使ったり、あるいは組み合わせ等においても非常に強化された状態になっておりますので、そういう面も考慮しながら、今後の対応を考えていくことが必要であるというふうに思っております。
  179. 草野威

    ○草野委員 非常になまぬるいと思うのですね。建設省さんのこういう高速道路の、しかもトンネルの中の事故の安全対策についてはちょっと手ぬるいような感じがしてならないのですね。これはもう少し積極的に取り組まなければいけないと思うのです。大事なことは、交通安全対策に取り組む建設省その他のいろいろな省庁がございますけれども、その省庁間において考え方が違っているというようなことになれば、私これは重大な問題だと思うのですね。高い料金を払ってドライバーはみんな利用しているわけですが、安全対策の考え方がいまだに違っているということではならないと思うのですね。  警察庁は、このトンネルの中の信号の問題について、トンネルの入り口に信号をつける、また必要に応じてトンネルの中に信号をつけた方がいいのか、つける必要がないのか、率直な警察庁の考え方を聞かしてください。
  180. 久本禮一

    久本政府委員 高速道路におけるトンネルの安全確保につきましては、トンネルの性格上極めて手厚い安全対策が必要であるというのが基本的な立場でございます。これを確立するためには、日本坂トンネルの災害の教訓並びにその後の交対本部決定の趣旨にかんがみまして、特に長大トンネルにおきましては、トンネルの入り口並びに必要に応じてトンネル内部におきましても道交法上の信号機設置する必要があると考えております。  この点に基づきまして、恵那山トンネル並びに関越トンネルが最近の開通予定の長大トンネルでございますが、これらにつきましては、関係の県警察が、すでに信号機設置につきましての計画を設定して道路公団当局の協力を求めるという措置をしております。恵那山トンネルにつきましては、昭和五十七年十二月に信号機施設整備についてのメモを提出し、文書についての申し入れば五十八年の二月十日にしておるという状況でございます。関越トンネルにつきましても、これと相前後いたしまして文書による申し入れをいたしまして、公団当局の協力を求めているというのが現状でございます。
  181. 草野威

    ○草野委員 今のお話を伺いまして、トンネルの信号については、警察庁としては設置の必要性を認めている、建設省のお考えはどちらかというとちょっとまだ慎重、こういうような感じがするわけですね。やはりこの辺の煮詰め、調整というものは、一日も早くきちっとつけていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、トンネル内の進路変更の禁止、この問題でございます。  現在、ほとんどのトンネルにおきましては進路変更の禁止が行われておりません。もし悪質なドライバーが頻繁な進路変更等をやりましてこれで事故を起こしますと、これまた大災害の原因になるわけでございますけれども、トンネル内の車両の進路変更は禁止をすべきではないか、このように思いますが、公団と警察庁の両方のお考えをひとつ聞かしてください。
  182. 久本禮一

    久本政府委員 お尋ねのとおり、高速自動車国道のトンネル内における車両の進路変更は、交通流れを乱しまして、トンネル内における重大事故の発生につながる危険性が極めて高いわけでございます。したがいまして、御指摘のように、トンネル内の進路変更禁止は重大事故防止のために極めて有効な対策であると考えております。  このため、警察庁といたしましては、五十四年の交対本部の決定の趣旨を踏まえまして、広くこれを実施するのが理想ではございますが、当面はおおむね二千メートル以上程度のトンネル並びにトンネルが連続をする区間等を対象に実施をいたしたいと考えておりまして、この方針に基づきまして個別的に公団当局にも協力の申し入れをしているところでございます。
  183. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 トンネル内の進路変更は、今先生お話しのとおり非常に危険をもたらすこともございますので、そのトンネルの実情等を踏まえながら、進路変更禁止の標識なり規制なりを講じていくことは必要だというふうに考えております。
  184. 草野威

    ○草野委員 警察の方では、今のお話では具体的に二千メートル以上のトンネルについてと、こういうようなお話がございました。私は、例えば二千メートルと、ただ長さだけではまずいと思うのですね。神奈川県にある都夫良野トンネルは、一日平均五万台ぐらいの車が通行しております。長さは千七百メートル程度だと聞いておりますけれども、やはり二千メートル以上ということじゃなくて、交通量の非常に多いトンネルについては規制の対象にすべきじゃないか、このように思います。  今建設省さんの御意見ですと検討するということでございますけれども設置をするとすると何メートル以上、そういう条件についてはお考えがございますか。具体的におっしゃってください。
  185. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 進路変更禁止の措置は公安委員会でとっていただくことになりますので、公安委員会等と十分協議し、調整し、トンネル内における事故防止に努めていきたいというふうに考えております。
  186. 草野威

    ○草野委員 公安委員会と十分に意見を調整して決定をしたい、こういうお話でございます。結構だと思います。  ただ、大臣、今の両方のお話を伺っておりまして、やはり食い違いがあるのですね。格差というのですか、これでは困るのです。やはりこういうものは、ぜひとも一日も早く解消をしていただきたいと思うのです。それは、交通安全基本法の精神だとか交通安全基本計画、こういうものに反することに結果としてなりかねないと私は思うのですね。  そこで、御答弁の最後にございましたけれども、これから公安委員会と相談をしながら、信号機の問題、それから進路変更の問題とか、こういうことをいろいろ調整をしていくということなのですけれども、こういう規制措置、これの費用は一体どこからどのような形で出ることになっているのですか。
  187. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 そういう施設設置については、従来道路公団の方で設置し、公安委員会の方で作動すべきと申しますか、公安委員会の権限に属するものについては公安委員会でその運用をしていただいておるものでございます。  そこで、そういうものについて、なぜ公団が自分で設置するかということでございますが、道路管理者も道路の構造上に支障があるというような場合に交通を規制することが道路法上できるようになっておりますし、また道路に関する工事のために必要ある場合には交通規制も行うことができるようになっております。したがって、そういう交通規制することについて、道路管理者も、また交通警察の方もできるというようなことがございますので、両方で別々に設置するというような必要はございませんで、どちらかが設置すれば足りることでございます。  またその費用について申し上げますと、高速道路は、現在我が国では有料道路として建設、管理しておるわけでございまして、本来なら無料のお金で高速道路をつくるということが一番望ましいわけでございますが、まだ一般財源、いわゆる税金でいただくお金が非常に不足しておるために有料道路制度を活用しておるわけでございまして、受益者負担の理念のもとにいただいている料金で高速道路建設、管理しております関係上、そういう信号機等についても一もし設置する場合、利用者に負担していただいても今までの理念からいって外れないし、かえってそういうことがこの財政の厳しいときに適切であるというようなことから、今後ともそういうふうな対応をしていきたいというふうに考えております。
  188. 草野威

    ○草野委員 一般道路におきましては、信号機その他規制標識、こういうものは大体主として公安委員会の定めによって警察庁予算で実施してきたと思うのですね。高速道路の場合はそうではなくて、ほとんどが道路管理者の側で負担をしてやっている、こういうのが実情のようですね。一つわからないことは、やはり高速道路における標識等の設置費用の区分ですね、これは法的根拠というものは一体どうなっているのだろうか。やはりあいまいじゃいかぬと思うのですね。この法的根拠は一体どうなっているかということがまず一点、これを伺いたいと思うのです。  それからもう一つは、今、受益者負担、こういうお話がございました。確かに五十九年度の日本道路公団の料金収入の見込み額は七千百二十八億円、このようになっております。この中から、そういうような費用に回されると思うのでございますけれども、やはり規制標識でございますから、道交法の第四条で定められている交通規制に要する費用は、毎年必要な額だけはきちっと予算化をして、そしてそれを公団なら公団、また警察なら警察、このようにきちっと責任分担というものを明確にする、これは私は大事じゃないかと思うのです。  今までのきょうのお話、議論を伺っておりますと、警察の方ではこういうものはぜひ設置をしたい、こういうような要望がある、道路公団の方、また建設省としては、何となくそれをしり込みしているような感じも私はいたしました。それであってはいかぬと思うのですね。必要なものはどんどんやっていかなければならない。しかしその費用の問題になってくると、これは道路公団が全部抱えている。警察の方はつけたいと言ってもなかなかつけることもできない。これはちょっとおかしいと思うのですね。この辺のところをやはり法的根拠をきちっと明確にして今後はやらなければならない、私はこのように思いますけれども大臣初めひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  189. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 道路公団は高速道路建設し、そしてそれを管理していく上において必要とする施設を自分で建設し、それに必要な費用を料金として徴収する機能が付与されたものでございます。その理念は今申し上げましたようなことでございまして、一元的にクローズされた高速道路の中の施設建設、管理していくということが一番効率的でもあり、円滑に行われる方法ではなかろうかというふうに考えております。
  190. 久本禮一

    久本政府委員 公安委員会道路管理者とは同種類の権限、責任で、相互に協力関係にございますが、それぞれ別個の責任を持っております。したがいまして、その権限を担保すべく、予算面においてみずから執行するというのが原則であることはおっしゃるとおりでございまして、制度として、この点若干異様であるということは否めない事実でございます。しかし、ただいま建設省からお話がありましたように、慣行として、道路管理者である道路公団に、公安委員会の必要とするものにつきましても全面的に依存をしているという実態があることも事実でございます。  その一例として、昭和五十五年度予算で大蔵省に対しまして、日本坂トンネル事故の教訓を踏まえまして、高速道路におけるトンネル信号機整備に関する経費を要求したことがございますが、道路公団に予算をつけてあるので、従前の慣行に従って公団が費用を負担すべきであるということで要求が認められなかった経緯がございます。これも一つ予算執行上の既成事実でございますので、私どもといたしましては、建設省が高速道路におきまして公安委員会の必要とする安全施設設置について全面的に協力をしていただけるという事実があるならば、一応現状ではそれに信頼をして施設を設けていくという形にいたさざるを得ないというのが現状でございます。
  191. 水野清

    水野国務大臣 ただいま先生の、建設省警察庁との間の行政の組織が違うものですからいろいろな食い違いがあるという御指摘を承っておりまして、大変勉強させていただきました。両省庁で今後遺漏のないように、よく連絡をとるように指導をいたしたいと思います。
  192. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  193. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、玉置一弥君。
  194. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今回の大臣所信表明、いろいろお話をお聞きをいたしました。例年のことながら、特に道路管理者としての対応、これが非常に交通安全に大きな要素を持っているのではないか、こういう感じを受けたわけでございます。総理府なりあるいは警察庁、運輸省、いろいろなところが連携をとりながら交通安全対策をやっておられますけれども、まさにその施設をつくり、また管理していく、こういうことが全くお金にかかわりなく順調に進んでいけば交通事故というのはかなり大幅に低減をされる、そういうふうに思うわけでございます。  そういうところから見ていきますと、非常にふえてきております交通事故に対しまして、なお一層の建設省としての努力をお願い申し上げたいと思うわけでございます。せっかくつくったものがすぐ壊されてしまう、こういうこともよくあるわけでございまして、それを補修していく、この費用も大変なことではないかというふうに思いますし、また、壊されないように管理をする、あるいは取り締まるということもやっていかなければいけない、こういうふうに思うわけです。  ことしの二月に交通委員会の調査室からいただいた資料の中で、過積、これについて非常に件数がふえてきているというようなお話がございまして、特に大型車による過積、これが毎年十万件をオーバーしている、こういうような結果が出ております。今までせっかくつくられた道路、橋、あるいは道路際の電柱だとかあるいはガードレール、こういうものが次々と壊されていくということが続いておりまして、ダンプカーだけで毎年二万件を超えるというようなことがあるようでございまして、なかなかお金をかけてつくったものが守り得ないというのが現状である、こういうふうな感じで受けとめております。  そこで、まず大臣道路管理者としての道路行政を踏まえて、交通安全対策から見てどういう決意を持って臨まれるのか、それから、今申し上げましたように、せっかくつくったものが非常に簡単に壊されていく、これが特に建設関連のいろいろな業者の方に非常につながってきている、こういう状態、毎年二万件ぐらいがダンプカーである、そして過積そのものが十万件以上続いている、こういうことを頭の中に入れていただいて、これからの道路管理、道路行政、そして交通安全対策というものの考え方といいますか、見解、これをまずお聞きしたいと思います。
  195. 水野清

    水野国務大臣 ダンプカー等の大型自動車の過積載に対する建設省の指導取り締まり方針といいますか、そういう御質問だと思いますが、道路法及び車両制限令に違反する車両の違法な通行による道路の損傷、交通の危険を防止するために、車両重量計などの整備をしております。また、警察等の関係機関と緊密な連絡をとりながら、これらの車両の違法な通行に対する指導取り締まりを建設省としては実施しているところでございます。  車両重量計などの整備状況について申し上げますと、昭和五十七年四月一日現在で、車両重量計が二百二十八カ所、軸重計四百五カ所となっております。また、指導取り締まりにつきましては、昭和五十六年度には約一万五千回、時間にいたしまして、延べ三万時間の指導取り締まりを実施してまいりました。  ただ、私も就任以来、ダンプカーの対策というのは、今仰せのとおり非常に重大だと思っているわけでございますが、今後とも関係省庁、特に警察庁との間で十分連絡をとって、まだまだ重量計その他の設置が不十分ではないかという認識を私は持っておりますから、両省庁間でよく連絡をとりながら、今後取り締まりを厳重にやっていきたい、かように思っております。
  196. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確かに施設としてはたくさんあるような気がするわけですけれども交通事情から迂回路をとったり、あるいは従来はメーンであった道路でも今はバイパスができて、結局もとの本道といいますか、そちらの方に設置されたままで使われていないというものがたくさんあるようですし、我々がいつも通行しておりましても、機械はあるんだけれどもなかなか使った形跡がない、こういうようなことが続いているようでございます。  警察庁、来ておられると思うのでお聞きしますけれども、ここにいただいた資料では、五十六年、五十七年、一応出ておりまして、それぞれ十万件を上回る数字が出ているわけですけれども、五十八年の傾向ももしつかめていればお聞きをしたい、そしてこの過積に対してどういう取り締まり方法でやられてきたか、簡単にお教えいただきたいと思います。
  197. 久本禮一

    久本政府委員 五十八年におきますところの過積載の取り締まりの実態でございますが、これは積載方法違反を含んでいることをお断わり申し上げますが、総件数が十一万五千七百七十九件でございます。これは前年に比べましてちょっと減少いたしております。ただ、超過割合別、要するにどのぐらい余計積んでおるかという割合でございますが、この違反で見てまいりますと、最大積載量の二倍以上を積んでいるという十割以上の違反というものを一万九千百九十九件取り締まっておりまして、これは前年に比べまして六・三%ばかり増加をしているという状況でございます。  ただいま御指摘のとおり、いわゆる過積みの違反につきましてはできるだけ周到な網を張って取り締まるということでございますが、中でも、限られた取り締まり力でもございますので、できるだけ悪質な、違反程度の高いものを網から逃さないということに焦点を置きまして取り締まりをするということでございます。したがいまして、これを有効たらしめるために背後責任の追及を積極的にやってまいりたいということで、同じく五十八年中の背後責任を追及いたしました件数は、四千六百四件でございます。なお、これに伴いまして自動車の使用制限処分をしたものが五十五件、八十三台ございます。  こういったところで警察の取り締まりの方向につきましてある程度御理解いただけるかと思いますが、こういう方向を持続いたしまして、今後とも悪質危険なものを特に完全に捕捉をするという形で、強力に取り締まりをしてまいりたいということでございます。
  198. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 強力な取り締まりをやっておられるように聞こえるわけでございますけれども、どういうわけか年々横ばいな数字が出てきている。横ばいというか漸増になっておりますね。これを見てみますと、一つは、ある程度積まざるを得ないという状態かもしれないという感じもするわけです。  それと、また逆に言えば、簡単に積める構造になっているという両方があるわけです。積載制限についてのいろんな法律の規制があるわけでして、一つ道路交通法五十七条第一項、七十五条一項六号、道路運送法四十三条、道路運送車両法四十条、道路法四十七条、こういろいろあるわけです。それぞれ罰則規定もございまして、この内容から見ると、かなり厳しい感じがするわけですけれども、これでも過積が全然なくならない。むしろ過積を常習としている方が非常に多いというような感じも受けるわけです。  特に業種から見まして、先ほど申し上げましたダンプカー、このダンプカーでも後ろのあおりといいますか、外側の落ちないようにする囲いのところですけれども、一番後ろの、本来なら後ろへ落とすときに開くところ、これが全く後ろが見えないほど高いものがある、そして本来の、上に差し板ですかをやってさらに大きく積み上げる。場合によっては前から積んでいるものが見えるぐらい積んでいるというのがよく見受けられるわけです。そういう方に限って運転は非常に荒っぽくて、前に停車している車があるとその右側を通って一番前に出て、そして信号が変わるか変わらないかのうちに既に通過をしているというような状況が非常にたくさん見受けられまして、そういう状態を見ておりますと、まさに取り締まりがやられてないんではないかというような感じも受けるわけですし、また道路破損が非常に急激に進むということになると思います。  これも、五十七年の取り締まり状況なんかを見ますと、先ほどのお話もそうでございましたけれども、積載十割以上、例えば十一トンの車ですと二十二トン以上の積載をしている、こういう車がある。そして積載十割未満五割以上ということで、この両方で約半分になるわけです。そして五割未満がほぼ三分の一ぐらいありまして、あとは積載方法違反というのがあるわけですけれども、こういうことを見ておりますと、黙って積める車の構造もちょっと強度があり過ぎるのかなという感じがするわけですね。いろいろ調べてみますと、例えばコークス運搬車というような許可をとって、コークスを運搬するということで、比重が違いますから、それを積めるだけのボディーをつくるということでやられる、こういうこともあるようですし、特に業種、先ほども言いましたように砂利とか砂を積むダンプカー、そして今非常に多いのはスクラップ屋さん、スクラップ屋さんは車体がひん曲がるぐらい積んで移動されている、こういうこともあります。そしていわゆる木材運搬車、これなんかは横にいるのが、あるいは後ろにいるのが怖いぐらい積んでいるわけでございます。  そういうふうに見ていきますと、まさに十割以上の常習者と思われる業種になっているわけです。これが幾ら指導されても、取り締まりしてもまずなくならない。一つ原因、常習者が出るというのは、やはり運べば運ぶだけ運賃がもらえるということも言えるかと思いますし、逆にいろんな資材購入の査定単価そのものが、過積を前提として計算をされているというような感じを受けるわけです。私たちが公共事業のいろいろな査定のときに、どうも建設省の査定単価というのは時代が古いんではないかというお話を昔よく聞きまして、少なくとも三年おくれ、三年前の単価を拾い上げて使っているのではないか、そういうような感じを持ったわけです。府県へいくともう一年ぐらい繰り上がってくるわけです。そういうふうにだんだんと小さくなるに従って査定単価が高くなるというようなこともあるわけですけれども、今申し上げましたように、過積を行わないと採算に合わない、こういうふうな感じでやられているのではないかというふうに思うわけですが、これについて建設省の見解を伺いたいと思います。
  199. 萩原浩

    ○萩原説明員 ただいま先生指摘の、公共建設工事の予定価格の積算の問題でございますが、これにつきましては予決令に、取引の実例価格等を考慮して算定するという規定がございます。規定はそういうふうになっておりますので、そのための根拠資料といたしまして、公益法人建設物価調査会等の資料を使用いたしまして、それを積算の価格として算定をいたしておるわけでございます。  ただいま先生指摘のように、結果としては過積載で運ばれたその値段を積算に採用しているではないか、こういう御指摘でございます。結果としては確かにそういうことになるわけでございますが、こういうような規定が一方でございますことと、それから、こういう骨材はいろいろな産地から集まってまいります。その運搬方法は、あるいは船で運ぶものもございますし、ダンプトラックで運ぶものもございます。そのダンプトラックも距離が千差万別でございますので、こういうものをどういうふうに積み上げて積算をしたらよろしいかということの方法もまたないわけであります。  したがいまして、実態としても実例価格を積算の価格として採用せざるを得ないわけでございますので、発注者といたしましては、水平積み運動が推進されまして過積載がなくなることを強く希望するものでございます。その結果、材料価格が変動した場合には、できるだけ早くその実勢を発注単価に反映できるよう措置してまいりたいと存じます。かつて、五十三年末にこのような事態がございまして、そのときはもうかなり早く、半月ぐらいの単位でこの積算価格を改定した、こういういきさつがございます。私どもはそれを切に望んでいるわけでございます。
  200. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 五十三年にやられた後も、全然過積というのはおさまってないのですね。だから、そういう意味でいきますと、まさに単価が悪いだけではないと思いますけれども、確かにこれでやってきたから続けるんだというような部分もあるかと思います。そして建設省の方から、建設業者に対する交通安全についての指導等ということで、いろいろな項目について建設業者団体に対して通達をされたということがございますけれども、これがまさに全然守られていない。こういうことは、ただ通達というのは出せばいいということじゃなくて、やはりいかに守っているかという、後のフォローが要ると思うのですね。どういうふうにフォローされているのか、これについて若干お聞きしたいと思います。  特にこちらに書いてあるのはダンプカーが大半なんですけれども、ダンプカーというのはどうも荒っぽい人が乗るのか、あれに乗ると荒っぽくなるのか知りませんけれども、通常の運転ルールを外れた運転マナーというか、そういうのが非常に目立つわけです。乗用車に乗っている人が、あれにぶつかるとつぶされるような気がしてみんな逃げてしまう、それに乗じてまた荒っぽい運転になってしまう、こういうことがあるのです。逆に言えば、それだけ危険なものに乗っているということであるのですから、もっと慎重にならなければいけない。そういう面から、大型免許の中でやはり再教育というものが、特に業者としては必要じゃないかと思うのですけれども、その辺についてフォローをどうされたかというのと、これからさらにどういうふうにされていくのか、重ねてお聞きします。
  201. 台健

    ○台政府委員 建設業関連の資材運搬といたしましては、建設業者が自社で車を運行する場合と、それから運搬業者が運搬する場合、あるいは砂利業者等が運搬する場合、いろいろな場合があるわけでございますが、いずれにいたしましても、過積載の問題につきましては、建設省といたしましても交通事故防止観点から、機会あるごとに通達で建設業者団体を指導しているところでございます。  具体的な内容といたしましては、事業の実施に当たりましては交通事情等を十分把握した上で材料等の運搬量あるいは搬出入の時期、運行時間等を定めた合理的な運行計画を立てるようにすること、それから工事を下請に出す場合におきましては、下請業者あるいは資材の納入業者の能力等を十分考慮いたしまして、無理な運行を強いる結果とならないように工期、工程、作業時間等を定めること、それから資材業者に資材を納入させる場合におきましては道路状況交通事情等十分把握の上、無理な運行に陥ることにならないように、納入時期、納入方法を定めること等を指導しておるところでございます。  これを受けまして、主要な業者団体におきましては、通達の趣旨を踏まえまして、交通対策部会等の組織をつくりまして交通事故防止対策指針を定めるとともに、講習会の開催、パンフレットの作成、パトロール等による会員会社の指導に努めるという報告を受けております。通達につきましては、その都度適当な時期に結果の報告を徴収いたしまして、さらにその次の指導に努めているわけでございますが、今後とも過積載をなくするように一層の指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  202. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 時間の関係で、まだまだ本当は過積について聞きたいわけですけれども、いずれにしても、せっかくつくられたものが予想された耐用年数よりもはるかに短い期間で、補修せざるを得ないという状況が大分激しくなってきているようでございますから、なお一層の過積取り締まりについての各省のこれからの対応をお願い申し上げたいと思います。  次に、高速道路交通安全という面から、近年特に高速道路渋滞というものが非常にひどくなってきております。そして、その渋滞の箇所が必ず固定化されてきておる。最近ですけれども、高速道路渋滞の結果、玉突き衝突、それもかなり大規模な玉突き衝突がふえておりまして、高速道路というのは順調に走らないと危ないんだというような感じを受けるわけです。先ほどからトンネルの中の話も出ましたけれども、高速道路そのものでスピード感覚が違う。そしてトンネルの中に入りますと、もっと変わってくるわけであります。  これを見ておりまして、例えば関越などの首都高速とつながっていない高速道路については比較的順調に走っているわけでございますが、東名高速だとかあるいは名神、これなんかですと、首都高とつながったり阪神高速とつながったりということで、非常に車の数そのものも多い。そして、その連結部分での渋滞が非常に多いということも言えるかと思います。特に、私の地元でございます京都、大津、ともに観光名所でもございまして、日曜日、休日になりますと、高速道路からおりる人たちがその入り口に集中をして、それで一車線をふさいでしまう。外から回り込もうという車があって二車線ともふさいでしまう。これが渋滞原因になっているわけであります。今度、道路公団、建設省の方で名神の、特に京都—茨木間を拡幅されるという構想をお聞きいたしまして、非常に期待をしているところでございますけれども一つは拡幅をまだまだやらなければいけないところもあるわけですし、少なくとも今お決めいただいた名神の京都—大阪間の拡幅について、より積極的にやっていただきたいと思います。  拡幅だけではなかなか済まない。せっかくいい話が出てきておるのにけちをつけるようなことになりますけれども、例えば拡幅をしてその間は流れる。だけれども、両側が詰まっていれば結果的には同じことになるということも言えるかと思うので、拡幅の実施計画といいますか、いつごろどうなるのだという話と、それから出入り口、京都南そして大阪側、それぞれ交通量を消化していこうということですから、それなりの対応策があると思いますので、どうされるのか、それについてお聞きしたいと思います。
  203. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 東名、名神高速道路は非常に交通量が多く、一部区間において渋滞の起こるところもございましたので、今回六車線の拡幅事業に着手したところでございます。  東名道路では大井松田から御殿場に、名神高速道路では、この中でも一番渋滞が多い京都南—吹田間に着工したところでございまして、それぞれの供用できる見込みの年月日は、吹田—京都南で六十年代中ごろでございます。東名の方は第九次道路整備五カ年計画内に拡幅を終えたいと思っております。ただ、例えば御殿場—大井松田ですと、この区間渋滞いたしておりました一番の原因は、トンネルがあること、さらには線形が悪いことなどだったと思いますが、これが六車になりますと、その先がまた渋滞するというようなことになろうかと思いますので、逐次拡幅事業を進めていかなければならないと思っております。  そこで、京都南—吹田間の拡幅に伴いまして、この区間はどんどん走れても出口では非常に渋滞するじゃないかというお話でございますが、全体的に六車線の工事を逐次やっていくことで将来的には解決しなければなりませんが、例えば今の京都南の場合ですと、このインターチェンジからおりますところの一号線が非常に混難いたしておるわけでございます。ここにつきましては現在京滋バイパスに着手して事業を進めておるところでございますので、京滋バイパスができますと、京都に用のない車で大津の方から、滋賀県の方から来る車等は、この京滋バイパスを経由して行ける。  さらには将来計画ではございますが、第二京阪というようなものができますと、そういうものを伝わっていくことができますので、この京都南のインターチェンジのところの一号線の交通量がそちらの方に転換するというようなことで渋滞の解消が図られていくと考えております。
  204. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今一号線の話が出ましたけれども、京都市内から京都南に入る一号線は、一車線がほとんど高速道路へ入るための道路みたいになっておりまして、それが南下する車を渋滞せしめているというような状況でございます。二、三年前に百メーターぐらいですか、橋の拡幅をやっていただきまして、それで大分ましになったのです。だからもうちょっと延ばしていただければもっと楽になるのではないか。同じようなことが高速の出入り口各所に言えるわけでございまして、おりたらすぐ一般道路だということで、どんどんと出てくる車のたまり場所がない。逆に入るときに車が渋滞する。これが一般道路、高速道路ともに渋滞原因になっておりまして、ここでよく事故が起こるわけです。そういう意味で流入のあるところ、流出のあるところについての考え方、これをぜひ見直していただきたいと思います。  一番悪い例は首都高速でございまして、同じ太さが二本一緒になって同じ太さになると、計算上どうしても流れが遅くなるのですね。これは流体力学とかいろいろな学問で実証されていまして、何で設計屋さんがそういうところに気がつかなかったのかな、大体車に乗ったことがない人が計算されたのじゃないかなという感じもするわけです。本当言うと、首都高速は思い切った手直しをやらないと、今の渋滞状況なんてとてもじゃないけれども解消できないと思うのですね。環七の周りに外環がつくられたように、首都高速もまた周りに外環をつくるようなこともやらなければいけないのじゃないかというような感じがいたします。  そういうことはお金がかかることですから、極力お金をかけないで、部分手直しでやっていくだけでもかなりのメリットが出てくるのではないか、私はこういうように思っております。けさの石川先生お話の中にも隅切りお話がございました。隅切り一つ方法だと思いますし、非常に狭い道で右折れ車線がないために、その車が一台あっただけでも渋滞をするというような形です。  私の地元の二十四号線の久御山町—宇治淀線ですか、それと二十四号線バイパスの合流地点がありまして、これが朝でも夕でも絶えず渋滞をしている。いろいろ考えておりますと、左に曲がる車も邪魔になる、右に曲がるのは当然ふさいでしまうということがわかりました。我々こちらにいた者からすると大した交通量じゃないと思うのですけれども、国道バイパスがそれぞれまだ片側しか供用されておりません。残りは用地買収は終わっておりますけれどもまだ工事にはかかってないわけですね。  ですからそこの部分を、例えば交差点から二百メーター前後を右折れ、左折れを入れた三車線にしていただくということだけでも、ほかはもう一車線ずつでもいいわけなんです。それだけで混雑解消ができると思うのです。いずれまた道路で拡幅されるわけですから、そこの部分についてはそう大して二重投資にはならないということも考えられますので、既に土地買収も終わった地域でもございますし、それをやるだけで道路ができるまでの我慢ができるということにもなってくるので、ともかく全部できるまで待ってもらうということではなく、少しでも住民の方々の便宜をお金をかけないで図るということでぜひお考えをいただきたいと思います。  余り時間もございませんので、今まで申し上げた中で、特にお金をかけないでやる方法、これについて建設省としてこれからどういう取り組みをされるのか、突然お伺いするわけですけれども、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  205. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 お金をかけないで円滑かつ安全な交通確保をすることをやるべきだという先生の御指摘でございますが、全くそのとおりでございまして、私たちもできるだけそういう方向で検討させていただいております。その一つとして、右折レーンあるいは隅切りというのは有効な手段でございますので、右折レーン設置については毎年相当の箇所を手がけておるところでございます。  ただ、一般に主要交差点というのは、その辺の地価は大変高く、土地利用は高度化されておりますので、なかなか土地を手に入れるということが難しい面もございますが、主要交差点で土地が手に入れられるような地区についてはできるだけ右折レーンあるいは隅切り等を実施していきたいと思っております。  今先生おっしゃられました二十四号線の久御山町における交差点処理については、早速帰って調査して、そういう交差点の土地等が手に入れられるようであれば前向きに対応していきたいというふうに考えております。
  206. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ついでのことであれですけれども、国道九号線というのが京都にございます。京都市内からわずか十キロばかりのところに亀岡市というのがございまして、今九号線バイパスをやっていただいておりますけれども、これもわずか十キロ行くのに二時間かかる。帰りも同じだけかかるわけですね。こういうところがございまして、ともかく何もやってもらいたくない、これだけやってくれという話を必ず聞くわけです。それほどひどいところがございますので、今度五月十四日に大臣、京都へ来ていただいて、何か学術研究都市か何かの  まだ決まってないのですか。うわさを聞いておりますが、もし京都へ来られましたら一番込んだところにみんな連れていけと言っておりますので、ぜひゆっくり見ていただきたいと思います。  そして、高速道路に入りますと非常に見通しの悪いところがたくさんございます。特に湾岸道路の遮へい板がございます。カーブで、制限は六十か七十だと思いますけれども、みんな大体かなりのスピードで走っておりまして、壁の向こう側が全然見えない、こういうふうな形に今なっております。交通安全対策からいくと大変な問題で、一部船橋の近辺で窓がついておりますけれども、それ以外は全く見えない。せっかく景色もいいだろうと思うのですけれども、見えないものですからわかりません。あの辺を交通安全対策としてちょっと考えていかなければ、いずれ大事故につながる心配があるというふうに思いますけれども、これについて建設省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  207. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 防音壁等がない方が高速道路利用者にとりましては視距もよくききますし、また、周りの景観も観賞することができるので、ない方がいいことは私たちも全くそのとおりでございます。しかし他方で、その高速道路の沿道の方々に騒音という公害をもたらすことも事実でございますので、そういう沿道の人たちの公害をなくするために防音壁を設けさせていただいているわけでございます。しかし、防音壁を設置いたしましても、必要とされる視距はスピードとの関係で決まるわけでもございますが、速度規制を守っていただければ、それに必要な視距が十分確保できるようなことにはなっております。
  208. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 カーブで何かとまっていると危ないなと思いながら走るのと、ここは高速道路だからまずとまっていないと思って走るのと全然違う。それとスピードですけれども、制限速度を絶えず守っている方もおられますし、そうでない方もいるということで、例えば最悪の場合、両側の車線で故障車があった、あるいは一車線にあったものを避け損ねて事故を起こした、そうなってきますと、そこへみんながぶつかってくるというようなこともあるわけですね。  さっきの信号機の話じゃございませんけれども向こうが見えるようにするか、事故があったときに何かを知らせるような対策を考えていかないといけないと思うので、これからぜひお考えいただきたいと思います。今のところ事故はありませんけれども、あれだけ走っていれば必ず大きい事故が起こるだろうというふうに予測をしておりますので、事故が起こる前にぜひ対応を考えていただきたい、かように思います。  時間が参りましたので、これで終わりますけれども、まさに財政難でございまして、来年六十年以降も投資部門の切り込みというのもあるようでございます。そういう中で、ぜひ交通安全対策として十分皆様方のお知恵を働かせていただいて、十分な交通安全対策が実施できるように頑張っていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  209. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、辻第一君。
  210. 辻第一

    ○辻(第)委員 交通事故が一昨年から再び増勢に転じてまいりました。昨年は九千五百人を超えるという大変な状態になりました。私の出身の奈良県でも、昨年は発生件数が五千百二十八件、一四・二%増です。死者は百二十七人で二十二人ふえまして、二一%ふえました。人口十万人当たりの死者数は全国十六位、自動車一万台当たりでは全国三位ということになりました。交通安全対策の重要性をいよいよ痛感をしているところでございます。  警察庁交通局の昭和五十八年中の交通事故発生状況という資料によりますと、交通死亡事故の特徴を五つ挙げておられるわけでございます。  その第一に「都道府県間の事故率の格差が大きいこと。 交通安全施設など交通安全の基盤の整備が進んでいる大都府県では人口十万人当たりの事故率が低く、逆に、これらの整備が立遅れている県では、高い事故率を示し、その格差は依然として大きい。このため、これら都道府県間の事故率の格差を解消させるための対策の推進が急務である。」こういう一項があります。また、第四番目には「歩行者、自転車乗用者の死者の占める割合が高いこと。」こういうふうにあるわけでございます。歩行者は二九・三%、自転車乗用者は一〇・一%、合わせますと三九・四%という高い率になります。また、諸外国の比率との比較でもやはり高いということでございます。しかも、その中でも子供さんとお年寄りの占める割合が高い、このように聞いているわけでございます。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、建設省には交通事故防止にいろいろと具体策をいただいている、御努力をいただいているということですが、とりわけ歩行者、自転車乗用者の交通事故の比率が高いということでございますし、この歩行者や自転車乗用者、交通上弱い立場の人々に対する交通安全対策が一層重要だというふうに私は考えます。歩行者、自転車乗用者に対する交通安全対策についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  211. 水野清

    水野国務大臣 御指摘のとおり、交通事故によります死者の数が増加をしておりまして、建設省としても大変深刻に受けとめております。また、その死傷者が、どちらかというと今御指摘のように高齢者の方、自転車の通行者の方、あるいは通学途上の学童に及んでいるというようなことで、  この問題は大変重大なことだという感じがしております。  歩行者などの安全を確保するためには、先生も御承知だと思いますが、基本的には歩車分離といいますか、人と車とを分離することが本来必要でございます。そのため、歩道、自転車歩行者道あるいは立体横断施設等の施設を、部分的にはもう既に設置をしておりますが、これを一層促進するとともに、人と車が共存できるようなコミュニティー道路といいますか、こういったものの整備をぜひ促進していきたい、かように思っている次第でございます。  それから、これは御質問に特になかったのでございますが、幼稚園の子供さん、小学生の事故が多いという問題も引き続いて申し上げてみたいと思います。  通学路におきます交通安全対策としては、歩道、自転車歩行者道及び立体横断施設等の設置を行っている、これはただいま申し上げたとおりであります。これらの施設整備の促進を図るために、採択基準の緩和などをいたしております。さらに、市町村道につきましては、補助率のかさ上げも行いまして、なるべく各自治体で通学路交通安全対策についてさらに補完をしてもらえるように、建設省といたしましても積極的に取り組んでいる最中でございます。
  212. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、通学路の問題についてもお答えをいただいたわけですが、通学路というのは歩行あるいは自転車ということで、幼稚園や保育所や小学校、中学校の子供さんが通られるわけでありまして、いわゆる交通弱者の部類に入るわけでございます。通学路交通安全対策というのは本当に大切な問題だというふうに考えるわけでございます。通学路の現状がどのような状態になっているのかという大臣の御認識をお伺いしたいと思うのですが、いかがですか。
  213. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 五十七年度整備されております歩道の延長は全国で七万一千八百キロでございます。このうち通学路は四万五千八百キロとなっておりまして、歩道設置の非常に高い部分を占めておるわけでございます。  この第九次道路整備五カ年計画が始まります直前、五十八年三月でございますか、この時点で全国の歩道延長は約七万三千キロでございました。長期的に必要な歩道延長は約二十三万キロでございますので、この第九次五カ年計画でも、九万七、八千キロまでに七万三千キロを上げるべく、最重点事項として歩道の設置に取り組んでおるところでございます。
  214. 辻第一

    ○辻(第)委員 子供を本当に交通事故から守っていく、中でも通学上の交通安全ですね、通学路の安全確保ということは御父兄、また学校当局でも大変な関心事でございます。子供を交通事故から守るという点では、交通安全教育、これは文部省や警察庁やあるいは総理府に大変御努力をいただいておるわけでございます。そしてまた通学路指定というようなことでは、学校、教育委員会が指定されて安全対策に御努力をいただいているということであります。物理的な通学路の問題を見てみますと、今数字ではお示しをいただいたのですが、実際の中身は大変憂慮すべき状態にあるというのが私どもの考えであります。  殊に奈良県は、人口が急増いたしております。全国一、二位という状況です。大きな団地もできますが、いわゆるミニ建設というのですか、小さいのもできます。無秩序にできているというような状況もあります。新しい大きなところはいい道路ができるのですが、そこへ入るまでは本当に昔の道路そのままで、もう入り口は本当に細いというようなところがたくさんあるのですね。そういう状況で、そういうところを通学しなくちゃならないというようなケースがたくさんあるわけでございます。道は狭いし、交通量は多いし、しかも歩道はない、ガードレールもないというようなところがたくさんございます。  また、こういうふうに人口がふえますと新設校がたくさんできます。そうすると新しく通学道路がいっぱいできるのですが、それを整備しなくちゃならない。また、一つ範囲を超えますけれども、奈良県は今高校がどんどんつくられているのですが、高校生になりますと、大体電車で通う子供が多いですね。そうすると、電車から一度に何百人というような生徒さんがおりて、そして古い昔の道を一キロ以上歩くというようなところもたくさんあるわけであります。そうなりますと、その時間はもう車が走れないし、危ないこときわまりないというような感じもするところがたくさんあるわけでございます。  こういう状況の中で、私どもいろいろ地元の方とお話し合いをするときに、通学路を何としても改善をしてほしいというような声がたくさん出るわけであります。そういうことで、私ども先般アンケート調査をしたわけです。これを一部分持ってきたのですけれども、私どもは絶えず関心を持って見ているつもりなのですが、気づかぬことがいっぱい出てきているわけです。たくさん御要望が出てきているというのが奈良県の現状でございます。道幅が狭く、交通量が多い、歩道がない、ガードレールもない、それから側溝が非常に不十分で危ないというようなところですね。カーブミラーなんかも十分でない、こういうところ。それから建設省の範囲を超えるのですが、防犯灯がなくて、このごろ痴漢が出て云々、高校生、中学生のところではそういう御心配もあるようなところがたくさんあるわけであります。  この間聞いた話では、この二年間に二人の、一人は中学生、一人は小学生が交通事故で亡くなったという、そんな十字路があるのですね。ここのところは、一千二、三百年前からの奈良の古い中ツ道という道と新しい道の交差点のところなのですが、そんなところもこの間お話を聞いたわけであります。通学というような問題で大変な状況があるというふうに思うわけでございます。  それで、この間アンケートの中に国道二十五号線の竜田大橋というのがあるわけでございますが、そこのところは非常に交通渋滞をするし、いろいろな点で問題になるところであります。そこもやはり小学生や保育所の子が通る。それで、ここを何とか改善してほしいというようなお話があった。これは私どもがかねてから要望しておりまして、近く大改修がやられるということを聞いておるわけであります。ついでに聞きたいのですが、いつごろから改修が始まっていつごろ完成する見込みなのか、局長、御存じですか。
  215. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 今先生指摘一般国道二十五号線の竜田交差点は五差路になっておりまして、非常に交通渋滞をする危険な箇所となっております。したがって、その解消のために、一般国道二十五号線が奈良側から来まして一般国道百六十八号に右折するようになりますので、このところに右折レーンを設ける工事に着手しているところでございます。ただ、その右折する手前で待つところが橋になっておりますので、この竜田橋の拡幅によって右折レーン設置するようにいたしております。この竜田川は五十五年度から河川改修事業も行っておりましたので、現在これに伴って、影響を受ける橋脚二基について七月末に補強工事を完了いたしまして、さらに他の橋脚についても現在下部工事を進めておるわけでございます。上部工事につきましては五十九年度中に完了して、この右折レーン設置したいという目標で現在計画しておるところでございます。  ただ、このところは五差路でございまして、新設の場合は五差路は構造令では禁止されておるような構造でございまして、ここで右折レーンを設けることによって従来に比べれば大幅な改善ができるものの、こういう交通渋滞等の問題が完全に解決するわけではございませんので、現在この地区に斑鳩バイパスを計画して事業化したわけでございますが、地元から環境問題でルートを変更しろというような問題があって、この斑鳩バイパスの改修事業がおくれていることが一番大きな問題じゃないかというふうに考えております。
  216. 辻第一

    ○辻(第)委員 御丁寧に答えていただいたけれども、私は、いつ始まっていつ終わるのかということをお聞きしたがったわけでございます。とにかく、このところは通学もなさる方があるわけです。いわゆる狭義の通学路の範囲には、人数その他で入っていないかもわかりません。しかし、子供さんが通ることは確かでございますので、そういう観点からも、私はまたお願いをしますけれども、どうかひとつよろしくお願いをしたいと思います。  こういう通学路の問題は、奈良県の現状は大変な状況にございます。先ほども申しましたように、新設校がどんどんできてくるということになりますと、学校一つできますと、それに通学路というものがいろいろついて回るわけでございます。それに十分な対応をしていただくということになりますと、なかなかそう簡単にまいらない。それから、わかっちゃいるけれどもどうにもならない、そういうところも、実際問題として先ほど申しました竜田川大橋のところでもこれまで大変だったけれども、なかなか手がつかない、そういうことだったと思うのです。  そういうことで、通学をする人も大変だし、それに対応される地方自治体あるいは教育委員会あたりも大変なことでございます。また、道路をよくするということになりますと、これはまた経済的なものがつきまとうわけです。財政的なものがつきまとうわけでございますので、先ほど大臣は、かさ上げもしますとかなんとか、御努力をいただいておることをお話しになったわけですが、どうかひとつこの新設校に関しては、特に通学路を改善していく、安全対策を十分していくという点についての十分な御対応をいただきたい、このようにお願いをするわけですが、いかがですか。
  217. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 人口急増地域等において、新設学校建設に伴い必要となる通学路の歩道、自転車歩行者道等の設置につきましては優先的に採択し、開校時までに整備されるように努めておるところであります。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど大臣は京都へ行かれるかもしれないというようなお話でしたけれども、もし京都へお越しでしたら、ついでに奈良までお越しをいただいてぜひ通学路を見ていただきたい、このように私は思うわけでございます。  建設省とされましては、自動車の通る大きな道をということが建設省の使命ではないかというふうに思っていらっしゃるのではないかと思うのですが、そういう道も大事でしょうけれども、生活道路、こういう通学道路の問題に本当にもっともっと力を入れていただきたい。これは大体が地方自治体の仕事で、建設省はまあまあというようなことではなしに御努力をいただきたいと思いますし、先ほどの国道二十五号線あるいは二十四号線の問題でも、通学の問題でもいろいろ問題になるところがたくさんあるように私は思いますが、そういう点も含めて十分な御対応をいただきたいというふうに思うわけです。  最後に、この通学路の問題は通学路という視点でいろいろ実態を把握していただく、調査をしていただく、その上で他の、総理府だとかあるいは文部省、警察庁、運輸省等にも御協力をいただいて通学路についての御対応をいただきたい、こういうように思うわけです。特に通学路という視点での調査をやっていただきたい、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  219. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 第三次交通安全五カ年計画を策定する際におきましても、通学路等調査をいたしまして、歩道等の整備を最重点にして実施したわけでございます。それが、昭和五十七年度末で歩道設置延長が七万一、二千キロ、そのうち通学路が四万一千キロという非常に高い率を占めていることからも御理解できるのではないかと思いますが、今後とも、また新しい交通安全五カ年計画を策定する際にも十分調査して対応していきたいというふうに考えております。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度念を押しておきますが、いわゆる狭義の、子供が四十人通るとかあるいは一キロ以内云々ということじゃなしに、もう少し幅の広い通学路の問題にも十分対応していただきたいというふうに思います。  最後に、大臣に、通学路対策についての御決意のほどをお願いしたいと思います。
  221. 水野清

    水野国務大臣 小学児童の通学路対策というものは、先ほど御指摘をいただきましたように大変重要なことでございます。第三次交通安全施設等の整備事業五カ年計画というものがございますが、その中でなるべく充実をさせていきたい、かように思っております。
  222. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  223. 坂井弘一

    坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会