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1984-04-18 第101回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十八日(水曜日)     午後二時一分開議 出席委員   委員長 坂井 弘一君    理事 石川 要三君 理事 浦野 烋興君    理事 近藤 元次君 理事 竹内  猛君    理事 永井 孝信君 理事 木内 良明君    理事 玉置 一弥君       太田 誠一君    加藤 卓二君       高村 正彦君    林  大幹君       船田  元君    関山 信之君       村山 富市君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      波多 秀夫君         警察庁交通局長 久本 禮一君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省自動車局         整備部長    丹羽 一夫君         運輸省航空局次         長       栗林 貞一君         気象庁長官   末廣 重二君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   藤原  享君         警察庁刑事局保         安部外勤課長  望月 秀一君         国土庁土地局地         価調査課長   佐々木 徹君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     谷口 哲彦君         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 田中 誠二君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中  寿君         運輸省海運局次         長       山田 隆英君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 服部 經治君         建設省都市局都         市計画課長   城野 好樹君         建設省河川局水         政課長     青木 保之君         建設省国土地理         院長      田島  稔君         会計検査院事務         総局第一局上席         調査官     大森 昭三君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君         参  考  人         (日本航空株式         会社専務取締         役)      平沢 秀雄君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 四月十一日  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障  害者等安全輸送に関する請願亀岡高夫君紹  介)(第二五六五号) 同月十二日  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障  害者等安全輸送に関する請願左藤恵君紹介  )(第二七六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 坂井弘一

    坂井委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本航空株式会社専務取締役平沢秀雄君の出席を求め、意見聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂井弘一

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 坂井弘一

    坂井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤元次君。
  5. 近藤元次

    近藤(元)委員 大臣、大変御苦労さまでございます。限られた時間で、同僚太田君も質問を予定をされておりますので、基本的なことだけ私からお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、交通安全対策について、当委員会における大臣所信表明、昨年も一昨年も、大臣所信表明については、交通安全対策総論の上に、陸海空にわたり緊急かつ重点的な施策がそれぞれ所信表明の中で表明されておりましたけれども、本年度はその部分が削除されて、実は総論だけになっておるわけであります。その点、どのよう事情でそういうことになられたのか、改めて最初お尋ねをしておきたいと思います。
  6. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ごろの当委員会で、交通安全対策に関する私の所信表明を申し上げたわけでございますが、その中で、今御指摘ように、其体的な陸海空にまたがるそれぞれの部門についての緊急対策については触れないで、基本的な考え方だけを述べたのでございますが、この点につきましては、正直のところを申しまして、私、これまでの当委員会における大臣所信表明の慣行といいましょうか慣例といいましょうか、そういったような点についてよく存じないというふなれな点がありまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  かたがた、いろいろ承ってみますると、詳細な点については政府委員補足説明をするので、総論にとどめることにしたらどうかというような御意見の方もいらしたというようなことで、さようになったようなことのようでございます。まことに遺憾でございますが、御質疑によりまして、いろいろ十分に御検討賜れば大変ありがたいと思います。
  7. 近藤元次

    近藤(元)委員 大臣から遺憾の意を表明されたわけでありますけれども、もっといいところはあるのです。従来陸海空のそれぞれの所信表明部分は、小冊子その他で親切にちょうだいをいたしておる部分は実はいい部分でございますので、その点では私ども大変ありがたいと思っておるわけでありますけれども、小冊子の、せっかくいいことをしてくれたわけですから、そこのところで大臣表明もやはり合わせてやってくれると大変ありがたい、こう思ってお尋ねをいたしたわけでございますので、その点申し添えて、大臣答弁を承っておきたいと思います。  なお、第二点でございますが、交通事故が、大変御努力をされておりますけれども、なお事故そのものにつきましては、とりわけ高速自動車国道における自動車事故については引き続き増加をいたしておるということで心配をいたしておるわけであります。国民皆免許の時代であり、あわせて、私がこう事故の実態を見ながら、どうも事故は、物的、人的の被害者になっておる部分についての責任もかなりの部分あるのではないだろうか。  常に論じられておるのは加害者部分あるいは施設整備部分、そういう部分について、役目柄、仕事の上で力点を置くことは当然のことでありますけれども、それのみで解決をしない部分がたくさん実は残っておって、モラルと言えば一言で尽きるわけでありますけれども、そういう部分について十分な配慮をする、人的、物的、結果は被害者という立場にはありますけれども、そういう立場に立った人間の責任というものもある程度明確にしていかない限り、結果が加害者になればすべての責任加害者にというふうなことで安全対策をとっておるということでは、限界があるように実は思うわけであります。  そういう意味で、責任者であられる方から総括的な御見解を承らしていただき、かつ、安全対策のための措置というものは当然していかなければならぬわけでありますけれども、ほかのことはほかのことで、なかなか見解を表明しにくい部分ではございますけれども、皆さん方部分に限ってでもひとつ改めて所信を表明していただき、御答弁をいただきたいと思います。
  8. 角田達郎

    角田政府委員 ただいま先生指摘ように、高速自動車国道上の事故、これは事業用貨物自動車だけで申しますと、五十七年に対して五十八年度が二〇%の増、これは件数でございます。死亡事故は四五%の増ということで、非常に遺憾な状態でございます。この全般的な原因解析につきましては現在鋭意作業を進めているところでございまして、事故の直接的な原因と考えられますのは、車間距離の不適切とか前方不注意等によるものが多いと思われます。それから、そういう表面的な原因ではなくて、やはりその背景といたしまして、我が国貨物輸送構造変化、すなわち言いかえますとトラック輸送、特に事業用トラック輸送のシェアの拡大、それからこれに伴う車両数増加ということが考えられるのではないかと考えています。  したがいまして、高速道路における事業用トラック事故防止対策といたしましては、安全速度の励行、それから適切な車間距離の保持、わき見運転防止などについてはもちろんのことでございますが、その背後にあります過積載あるいは過労運転、こういった現象を食いとめて、広くトラック運送業界運送秩序の改善を図ることが重要だと考えておりまして、今後ともいろいろな施策を通じまして事業用トラック交通事故防止に努めてまいりたい、かように考えています。
  9. 細田吉藏

    細田国務大臣 今自動車局長から申し上げましたが、補足して私の特に強く感じておる点を申し上げたいと思います。  私は、数年間全日本トラック協会会長をいたしておりました。また、通関連盟会長もいたしておった経験がございますが、今の日本自動車、特にトラックというものについては、これはよほど考えていかないと、この事故は減らないんじゃないかという感じがいたしております。特に、ことしの二月には国有鉄道貨物を大幅に切って、結局これはトラックに移ることになります。トラックがしょい込んでまいるわけでございます。  今も答弁の中にありましたが、過積載、それからトラック運転者の問題、経営の点からある程度無理がかかっておる、全般論としてそういうことが言える。一方で運賃の問題もございます。なかなか定額の運賃がとれないというようなことから、どうしても過積みになるとか時間的にも無理をするというようなことが起こっておるのでございまして、一種の構造的な事故原因が伏在しておると私は思っております。もちろんモラルの問題も大きくあることは否めないわけでございますが、そういった構造的な問題につきましては、トラック運送全体として検討をしてまいらなければならぬ、そういう時期が特に今来ておる、さように思っております。
  10. 近藤元次

    近藤(元)委員 大臣、極めて御理解、認識をしておられるわけでありますからあえて申し上げませんけれども、過積載などを取り締まることは簡単でありますけれども、経済ベースというものを背景にひとつ考えて、運賃のこと、経済ベース経営形態にまで立ち至らないと過積載というものの解決にはならぬことに相なるわけで、答弁の中にそのことも盛られておりましたので、今後その点に重点を置かれて御配慮をお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  もう時間がございませんので、もう一問陸上関係をお願いしようと思っておりましたけれども、海上の関係で、海事お尋ねを一点だけしておきたいと思います。  海運王国と言われた日本の国で、二百海里沿岸地帯で漁業を営み、狭水道の中で日本資源海外に求めておるわけでありますから、これまた海事も他国から見れば頻繁に起きることも、地理的環境あるいは資源海外に求めるとか、いろいろな関係からやむを得ないことだ、こう思いながらも、なお事故防止をしなければなりませんし、かつまた油濁法などによる広域的に沿岸における、また零細漁民にも及ぼす影響タンカー等事故がございますので、かいつまんでここで私の方から、限られた時間の中で答弁をしていただきたいと思うのですが、過去三年間と申し上げるか、五十年代に入っての主な事故、ひとつその内容お尋ねをいたしておきたいと思います。  あわせて、それらの事故が起きたときに対応するのにはどういうようなことで対応して、そして三年間の事故解決済みというようなものがどの程度になっておるかということを御答弁願えればありがたいと思うわけであります。
  11. 山田隆英

    山田説明員 お答えいたします。  油濁の損害につきましては、昭和五十一年から五十八年の間で、PIAジャパンという船主責任保険組合がございますが、ここで扱った事故件数といたしましては百八十四件ございます。  そのうち主な事件をちょっと申し上げますと、五十六年に福岡県で第十一須磨丸という船が起こした事故で、損害額が約千四百万円でございます。それから五十七年の三月に岡山県で第二しおた丸という船が起こした事故で、損害額は約七千七百万円でございます。それから五十七年の四月に徳島県で第八福徳丸事故が、損害額としては約三億八千万円。それから五十八年六月に千葉県で第三神海丸が起こした事故損害額約二百九十万円。それから五十八年の八月に宮城県で第一英幸丸、五十八年十二月に名古屋港外で第三幸栄丸事故がございますが、今申し上げた六件のうちで四件が解決済みでございまして、五十八年の八月と十二月に起きた事件につきましてはまだ解決を見ておりません。  それからこの損害の補償につきましては、我が国船主の場合ですと、日本船主責任相互保険組合というものに船主が入っておりまして、そこで船主損害賠償責任をカバーすることになっております。
  12. 近藤元次

    近藤(元)委員 もう少し詰めたいところでありますが、同僚議員がなお緊急な問題でお尋ねをしたいということで、同僚議員質問を譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  13. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、太田誠一君。
  14. 太田誠一

    太田委員 私は、富士重工スバルレオーネタイプ型式指定を受けるため、運輸省試験に出した試作車申請数値よりも重量で五・五から三十キロくらい軽かったということから、鉛を詰めて申請数値に合わせたという事件がございましたけれども、この件について二、三お聞きをしたいと思います。  まず、型式指定をする際に、重量の問題は安全性の上でどの程度のウエートを占めているのかということをお伺いしたい。
  15. 角田達郎

    角田政府委員 型式指定審査におきます重量測定は、まず空車の状態車両を水平にいたしまして、すべての車輪について各車輪の荷重を測定しまして、その総和を車両重量とするか、あるいはもう一つの方法でございますが、前軸と後軸と二つありますが、その前軸、後軸ごとに各軸重を想定して測定いたしましてそれを車両重量とするか、そのいずれかでございますが、その測定値につきましては、申請の、これは書類で先に出しておりますけれども、諸元値と比較検討いたしまして、完成検査時の許容較差等参考審査を実施しております。  このよう測定しました重量は、しからばどういうよう影響を及ぼすかということでございますが、自動車の走行の安定性を確保する上で必要な各車輪重量バランスの確認、それからブレーキ制動力に与える影響など、自動車の安全の審査上で重要な位置を占めております。  なお自動車重量は、そのほかにも排ガス測定時の負荷等の設定にも影響するものでございまして、公害防止観点からも重要な影響を及ぼすものというふうに考えております。
  16. 太田誠一

    太田委員 今の主なポイントは、安全性ブレーキがどのくらいできくかという安全性の問題、それから公害防止排ガスの問題、おおむねその二点に絞られると思いますけれども、一部の新聞に報道されたところでは、プラスマイナス六十キロ程度誤差は許されるというふうに伺っておりますけれども、これはいかがでしょうか。
  17. 角田達郎

    角田政府委員 車両の種類によりまして、いろいろ大量生産時の重量ばらつき許容の範囲内、決まっておりますが、車種によっては六十キログラム以内であれば問題はないというようなこともございます。
  18. 太田誠一

    太田委員 今言ったスバルレオーネ九のタイプについては、問題のない車種の部類に入っておるのですか。
  19. 丹羽一夫

    丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  車両重量許容誤差の問題でございますが、乗用車の場合はプラスマイナス五十キロ、それからトラックようなものにつきましてはプラスマイナス六十キロ。公差として認められているのは、諸元値といいますか、申請書に書かれてある基本数字と、それから大量生産されますから板厚ばらつきその他の機器ばらつきがございますので、完成車の場合であってもその公差の中におさまるようにというような形で、会社品質管理と材料の選択のすべての誤差を含めたもので、再度繰り返しますが、乗用車プラスマイナス五十キロ、トラックの場合はプラスマイナス六十キロ以内にすべての生産車をおさめるようにというようなことになっております。
  20. 太田誠一

    太田委員 プラスマイナス六十キロということのほかに、なぜこんなことをしたのか非常に不思議だという関係者の話があるわけでありますけれども、実際に試作車申請値が違ってくるということはいかにもあり得るような話でありますけれども、申請数値でそれほど重要な項目でないならばその数値訂正すればいいではないか。その訂正をするということは大変難しい結果、型式指定が大幅におくれるとか、そのような時期的に大きな犠牲を払わなければいけない問題なのでしょうか。
  21. 角田達郎

    角田政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、試作段階でございますので、型式指定申請をするときは、まず車両の諸元の数値書類担当者の方に提出いたします。その後で審査対象試作車を提示するわけでございますが、そこでもし重量などに食い違いがあります場合には、通常書類の方を、こういうことで試作した結果こういう重量になりました、したがって、書類の方の訂正をこちらに申し入れればそこで話は済んだわけでございます。本件ように、そういうことをしないで我が方に提示してきた車両に不正な工作をしたということは、通常は考えられないよう事態でございます。
  22. 太田誠一

    太田委員 そうすると、重量調整をするという不正な工作を行ったということは、どうしてそんなことをしたのかということについてその後運輸省で調べられて、結果的には富士重工の方で生産廃止ですか、製作等廃止届を受理することにされたということでありますけれども、これはどういう理由でそうしたか、そのような不正な工作をしたかということは、もうわかっておられるわけですね。
  23. 角田達郎

    角田政府委員 申請しましたときの書類上の数値と、それから試作車との重量が非常に異なったということで、富士重工の群馬の開発担当の者が本社相談なく、本社相談すれば先ほど私が申し上げたような手順で事は非常に円満に、スムーズに解決するわけでございますが、現場のそういう開発担当責任者だけの判断で、これは数量を一致させなければいけないということで、鉛を埋め込んで不正な工作をした、こういうことでございます。
  24. 太田誠一

    太田委員 そのほか、今回の富士重工の不正な鉛で工作をしたという事件について、運輸省はどういうふうな事情聴取をしておられるか、そこを教えていただきたいと思います。
  25. 角田達郎

    角田政府委員 この問題が最初に報道されましたのは四月七日で、新聞で報道されたわけでございまして、私どもそれをすぐキャッチいたしまして、四月七日に、午後でございますが、直ちに同社の幹部を、専務、常務でございますが呼びまして、自動車局整備部長あるいは車両課長以下がみずから事情聴取を行いました。それから四月の十日でございますけれども、再度事情聴取をしまして、まだ若干不明の部分が残っておったものですから、四月の十三日、最終的に富士重工社長にも来ていただいて事情聴取をしたわけでございます。  この事情聴取内容は、どうしてそういうよう不正行為をされたのか、それから不正行為内容はその重量部分だけにとどまるのか、それからその工作をした時期、それから実施した責任者、それからそういう不正工作の段取り、そういうようなことを調査することによりまして、この鉛詰め不正行為当該型式自動車安全性等にいかなる影響を与えるものであるか、これを解明するために行ったわけでございます。
  26. 太田誠一

    太田委員 これによって生産廃止製作等廃止というふうなことで、どのくらいの周辺への影響が出るかということはわかりませんけれども、聞くところによれば、従来のタイプについては三月で生産打ち切りということにもうなっているようでございまして、そうしますと中小のディーラーもいるわけでありますし、また下請企業もたくさんあるわけでありますから、この辺に対する影響もまた大きいことかと思います。  そうして、ここで今までのお話では、重量を増したということは、これは安全上はむしろ試験が通りにくい工作になっておるし、あるいはまた排ガス対策という観点からしてもその試験を通りにくい状態になっているということでありますから、実質的にはこれは問題はないというふうに受け取れるわけであります。もちろんこういう運輸省型式指定に際して工作をするということは大変な問題でありますけれども、生産廃止というふうな事態ディーラー下請企業に及ぼす影響もかなり社会的に広範囲になるものと思われるわけであります。そしてまた、新聞の報道などによって既に社会的な制裁も受けているわけでありますから、なるべく早くこれは発売にこぎつけられるように、その辺の配慮をすべきであるというふうに思うわけであります。  大臣のこの件につきましての御見解もお伺いいたしたいと思います。
  27. 細田吉藏

    細田国務大臣 富士重工社長にも私もお会いしました。どうしてこんなばかなことが起こったのか、社長自身も大変残念がっておりました。私は大学の同級生で、昔からの友人ですが、もう何とも言えない、こういうことでございます。  そこで、私どもも今おっしゃっているような迷惑を何とか最小限度に食いとめる方法を講じなければならぬということで、いろいろ自動車局の者と相談をしたのですけれども、これはどうしてもそのまま見過していくわけにはまいらない。また、向こうもこれはみずから辞退をするといいましょうか、型式廃止の届け出をするということになったわけでございます。したがって、これは会社自身が重大な損害をこうむっておるわけでございますから、改めて出直すということについては最短の期間で、できるだけ支障がないように、あらゆる便宜を図ってあげるべきだと私は思います。やったことはやったこと、これは現場責任者がおるようでございますが、やったことはやったこと、後のことは後のことと分けて考えるべきだ、かように思っております。
  28. 太田誠一

    太田委員 どうもありがとうございました。
  29. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、永井孝信君。
  30. 永井孝信

    永井委員 運輸大臣にまず冒頭にお尋ねをいたしたいと思います。  大臣は、当委員会における所信表明の中で、運輸行政というものは経済、社会の進展の変化に的確に対応して進める必要がある、そして「それらの施策基本に安全の確保を置き、利用者が安心して交通機関を利用できる条件を整えることが肝要である」、こう述べられているわけですが、その整えなければならない「安心して交通機関を利用できる条件」とは、大臣は何を指していらっしゃいますか。
  31. 細田吉藏

    細田国務大臣 各交通機関によりましてそれぞれ固有の特別な事情があると思います。しかしながら総括的にこれを申しますれば、このごろの言葉で言うといわゆるハードとソフトと両方だと思うのでございまして、ハードの面は輸送機器が安全に製作され、安全が保たれておること、これは動く物だけではなくて、道路あるいは地上、飛行場の滑走路、そういうものも含めてさようでございます。これについて十分なる安全が保たれておるようになっておるかどうかということだと思うのでございます。それから、今もレオーネの話が出ましたけれども、これなどもその輸送機器の安全の問題として取り上げられておることでございまして、典型的な一つの例だ、かように思うのでございます。  私は、ハードの面は、今これから述べるソフトの面よりも注意をし、相当金をかけて丁寧にやれば、どちらかというと比較的安全確保ということが守れると思っております。難しいのはソフトの問題じゃないでしょうか。何としても無人の物はございませんので、人間が運転をする。機械が相当進む、特に計器が進む、安全装置が非常に進んでおりますけれども、最高度の安全装置が施されておりましても、航空機に見るような大きな事故が操縦者の誤りによって起こされております。これは人間がやることでございますので、この点については絶えざる訓練、そして訓練と同時に精神的な問題、肉体的な問題について、病気があるというようなことについては大きな結果をもたらすことが考えられるわけでございます。全部の機関に総合して言い得ることはそういうことだと思っております。個々のものについてはそれぞれまたいろいろな点を考えなければならない、かように思っております。
  32. 永井孝信

    永井委員 そこで、最近の交通状況から若干気になる面にちょっと触れてみたいと思うわけであります。  例えば、国鉄とか私鉄とか国内にたくさんの軌道があるわけですが、最近も千葉の方でしたか、ダンプカーと国鉄の列車が衝突して運転士が死亡するという事故もありました。この踏切対策などは従来からずっと触れられてきているのですが、国鉄とか私鉄のそれぞれの企業体に全部負担させて踏切対策を強化するといってもなかなか難しい問題があるのです。投入する資金と、そうしてそれによって増収が図れるということがつながっていかないわけです、安全問題ですからね。そういう面は運輸省として一体どのように具体的に援助していくのか、あるいは指導していくのか。  国鉄でいいますと、財政再建の途上にありまして、財政状況が非常に厳しい。こういう中でついつい、例えば国鉄の車両にしても、本来取りかえるべき時期が来ておっても取りかえないで修繕をしなくてはいけない、その修繕費も削減をされる、新製車両はなおさらのこと抑制される、こういうことになっていきますと、本来の安全輸送ということが確保できないと思うのですが、これについてどうお考えですか。
  33. 細田吉藏

    細田国務大臣 踏切の問題というのは非常に大きな問題でございまして、終戦直後私がまだ運輸省におります際に、今後自動車増加してまいる、列車もふえるしスピードアップをする、踏切というのは天下の大問題になるぞということを私申しました。頭山さんの息子さんが踏切事故で亡くなられたといったよう事件も起こりました。そこで、踏切対策についてはその際からいろいろ立てられたのでございまして、踏切については国から補助金を出す、詳細についてはまた政府委員から答えさせますが、補助金を出して整備をさせるということをかなりな程度にやっております。これは今資料で持っておるわけではありませんが、終戦直後からその後ずっと踏切についてどれだけ改善がされたかという資料はあるはずでございますから、場合によっては御提出をさせていただいても結構ですが、非常に進んでまいったと思います。  ただ、私の考えを率直に申し上げますと、踏切で事故が起こるというのは、運転者が、踏切のバーがおりておっても、踏切のベルが鳴っておっても冒進するというような例もないことはありませんけれども、概して言いまして踏切事故が起こるのは無人踏切でございます。ですから無人踏切をなくするということでずっと進めてきておるわけでございますし、警報機をつけるといったようなことでだんだん減らしてきておるのですが、やはりこれらの点については地元の住民の皆さんとの話し合いも十分やっていかないとなかなかやめ切れない、小さい道の踏切をやめてもらっては困る、大変な遠回りになって困るというような場合がかなりございまして、そういう狭いところの無人踏切に自動車が無理をして入ろうとするからおっこちて、そこへ電車が来る、汽車が来るという場合が踏切事故件数のかなりな原因になっておると思います。  こういう点につきまして、やはり住民の皆さんの御協力も得ながら、でき得べくんばもう無人で無警報機の踏切というものはゼロにいたしたいものだ、かように私は考えておりますが、まだそこまで至っておらないことを遺憾といたしております。  なお、今国鉄その他の車両の安全の問題について、国鉄の工事経費、修繕費等を非常に削る、あるいは私鉄についてもそういう点について無理がいっているのではないかという御心配でございますが、であればこそ私は運輸大臣就任以来、安全第一、安全というものが損なわれてはもうどんなことがあってもだめだ、こう言っておるわけでございまして、どのような窮屈な予算の中でも安全確保ということだけは最優先に予算を使うべきである、公私を問わず使うべきである、かように存じておる次第でございます。
  34. 永井孝信

    永井委員 大臣から積極的に、安全対策のためには政府も行政の立場から懸命の努力をするという意味の御発言があったわけでありますけれども、現実はなかなかそう簡単にこの問題が解消していない。だからむしろ安全面を重視する立場で、国鉄、私鉄を問わず、踏み切り対策、あるいは特に国鉄などは、予算があれだけ厳しく制約されておるのですから、その中でも車両の修繕費を削ったりすることのないように、ひとつ積極的な対応をしてもらいたいということを特に強くお願いをしておきたいと思うわけであります。  その次に、同じ安全問題で航空問題、これはもう大変な問題でありまして、航空会社にとっては安全運航はもちろん最大の課題であります。また、そのことが基盤として整備されており底ぜんと、安心して乗客が飛行機を利用することにならないわけでありますけれども、この基盤施設である空港とかあるいは航空路施設の整備、その管理、これらは全部運輸省責任を持つわけですね。今までも何回か当委員会からも各地に視察をしているわけでありますけれども、ローカル空港などはまだまだ滑走路の距離が短いという問題があると思うのですね。あるいはローカル空港の中には、どんな天候にでも対応できるようなレーダーの誘導装置というものは未設置箇所が多いと思うのでありますが、この現状と対策はどうですか。
  35. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 航空関係で、特に今飛行場の話を先生おっしゃられたわけでございますが、その点については、滑走路を初めとするその基本施設の問題、もちろん航空保安施設を含めまして、そういったハードの面の点につきましては、一部地方公共団体が負担する分もございますけれども、空港整備特別会計で整備を行ってきております。  それで、国がさらに管理する分と地方公共団体が管理する分というのがあるわけでございますが、いずれにいたしましても安全の問題は基本でございまして、例えば滑走路の話も今先生おっしゃられました。滑走路の長さの話でございますが、これについては千二百メートルのものもあり、二千メートルのものもあり、それ以上もございます。それはそれぞれ使用する機材に応じて、その安全上問題がないということで整備を進めておるわけでございまして、もし需要があり、かつジェット機の大分長いところを飛ぶ、あるいは相当大きな能力を持つ飛行機をどうしても飛ばす必要があるということであれば、それに応じた滑走路の長さあるいはそれに応じた管制あるいはその他の保安施設、これは整備していくということで五カ年計画もつくりまして、順次整備をいたしておるところでございます。  レーダーにつきましては、飛行場に設置するレーダーと航空路を監視するレーダーがございます。これはそれぞれに計画をつくりまして、例えばジェット機が就航する空港についてはこの程度のものが必要であるということで、空港を監視するレーダーでございますとか、さらにそれを技術的にチェックするレーダーでございますとか、そういったものを順次つけておりますし、またレーダーのデータをさらに電子計算機で処理するシステム、これも順次整備を行いつつあります。さらに航空路を監視するレーダーにつきましては、これは全国的に整備を計画的に進めておるわけでございますが、これも大分進んでまいりまして、ほぼ日本全国を二重にカバーできるような体制に近づきつつありますので、さらにこの点は整備を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  36. 永井孝信

    永井委員 かなりそういうふうに積極的に推進はしてもらっておりますけれども、最近は幸いにしてしばらく途切れておりますけれども、毎年航空機事故というものは後を断たないわけですね。これは、他の交通機関も一緒でありますけれども、航空事故というのはとりわけ人命を失うことが非常に多うございますので、これについては特段の御努力をお願いしておきたいと思うのであります。  それにつけて、例の五十七年の日航機事故というのはいまだに利用者の脳裏にしみついていると思うのですね。非常に恐怖心を抱かせた。私どももあの当時、事故直後に羽田へ直ちに調査に行ったわけでありますが、あいた口がふさがらぬというほどの状況でありました。ようやく今、民間航空に対する信頼回復というものもできてきたとは思うのでありますけれども、つい忘れたころに事故がやってくるというのが通例でありますから、そのことを考えますと、あのときの事故責任は一体どうなっていったのか。当時高木社長参考人として来てもらって私どもが集中的に質問した経過もあるわけでありますが、捜査結果というものは、一体今現在どうなっているのか、機長の責任の問題あるいは会社自体の責任の問題、これらについては今の段階ではどうなっているか、ひとつ簡単にお知らせいただけませんか。
  37. 藤原享

    ○藤原説明員 お答えいたします。  羽田沖の日航機墜落事案の概要でございますが、先生ただいま仰せになりましたように、昭和五十七年の二月九日午前八時四十五分ごろ、羽田空港の沖合南東三百六十メートルの海上に、福岡から東京空港に向かっておりました日本航空旅客機DC8型機が墜落いたし、百六十五名が死傷した事案でございます。  この事案発生後、警察といたしましては現場検証、関係者からの事情聴取、被疑者の取り調べあるいは精神鑑定、こういった所要の捜査を遂げまして、この結果、本件事件は同機の機長が機首下げ操作など常軌を逸する行動があったことが判明したなどの状況から、昭和五十七年九月十日に、同機の機長を航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律違反で、また、精神に障害のある者が機長として航空機の運航に当たっておりましたので、日本航空側の管理上の責任につきまして、昭和五十八年の七月十六日、日航関係者六名を業務上過失致死傷罪で東京地方検察庁へ書類送致いたしましたほか、法人でございます日本航空株式会社につきましても、航空法違反で書類送致いたしたものでございます。
  38. 北島敬介

    ○北島説明員 お答えいたします。  御指摘事故につきましては、ただいま警察庁からお話がございましたように、昭和五十七年九月十日、機長につきまして航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律違反ということで事件送致を受けまして、捜査を行った結果、同機長は、本件犯行当時心神喪失の状態にあったというふうに認められましたため、昭和五十七年九月十七日、不起訴処分といたしました。  また、本件墜落事故に関しましては、昭和五十八年七月十六日に、日本航空の運航本部乗員企画部長など、運航管理あるいは乗務員の健康管理等に従事していた日本航空関係者六名に対する業務上過失致死傷などの被疑事件につきまして、警察から事件送致を受けました。また同年、つまり五十八年十二月一日及び十六日、本件墜落事故被害者の方から、やはり右の六名に対する業務上過失致死傷の告訴を受理しております。東京地検といたしましては、これら日本航空関係者等の刑事責任の有無等につきましては、現在なお捜査中でございます。
  39. 永井孝信

    永井委員 機長が心神喪失で不起訴になったことは刑法上やむを得ないと思うのでありますけれども、被害者の側からすれば、何とも言えぬやりきれない気持ちだと思うのですよ。だから、事は安全問題にかかわるものであるだけに、捜査、公判を通して何に問題があったのかということをあくまでも明確にして、それを除去することでなければならない。単に罰すれば済むというものではないわけですから、その原因を除去しなければならないと思うのですね。当時の状況を今思い起こしてみるのですけれども、当時確かに日航の場合、運航部長の管理下に健康管理室が置かれておったのですよ。だからそういうところに、機長の健康管理をするべき責任のあるところが運航を第一にするところの命令を聞かなくてはいけない、こういうことからも私は問題が起きておったと思うのです。  ついでのことで申し上げますが、古い話でありますけれども、五十七年の二月九日に事故を起こす直前に、たまたま私ども社会党から、日本航空を初め東亜国内航空、全日空と羽田へ調査に行ったのですね。それは、日本航空の会社の中での労使問題が非常にこじれておりまして、そのことを放置しておくと重大な航空事故につながりかねないという問題の提起も該当の労働組合からあったものですから、私たちは調査に行ったことがありました。日本航空だけ調査するのもどうもいかぬということで、全日空も東亜国内航空も一緒に順番に回って、一日かかって調査したわけです。  ところが、事前に資料要求しておったけれども、東亜国内航空と全日空は関係の資料は全部出してくれました。肝心の日本航空はビラ一枚も資料提出はしなかったのです。拒否をされたのですね。企業内のことであるからということで要求しても一切資料を出さなかった。そういうところに私は遠因があるんではないかと今でも思っているのですよ。そのことは労使間の問題でありますから、今ここで、この委員会で直ちにこのことを取り上げようとは思いませんけれども、そういう安全管理、健康管理という問題がその後果たして改善されているのだろうか、運輸省は、航空局は、そういうことについてどこまでタッチをして改善さしているのかお答えいただけますか、ひとつ簡単に頼みます。
  40. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 日本航空の羽田沖事故の問題につきましては、事故の状況があのように非常に異常なことであったということにもかんがみまして、運輸省といたしましてはこれを大変重視いたしまして、その後会社に対して立入検査をし、具体的に状況をチェックいたしまして改善を求めました。また一方、航空審議会におきましても、健康管理部会におきまして、乗員の健康管理全般について一年余りにわたりまして学識経験者に審議をお願いして先般結論を得たところでございまして、その実施をいたしておるところでございますが、日本航空におきましても、運航乗員健康管理部というものを新しくつくるとか、それから常勤医を精神科医を含めまして増員する、そのほかいろいろな対策を講じておるというふうに報告を受けております。  また、先ほどちょっと申し上げました航空審議会の答申に基づいて、健康管理の問題について、特に航空乗員の身体検査証明というものを航空会社から分離した格好で客観的、公平にやるべきであるというような答申もいただいておりますので、それを第三者機関に行わせるという方向で今相談をしつつございます。
  41. 永井孝信

    永井委員 大臣、今問題提起しておりますように、安全問題を論ずるときに、労使問題というのはある意味では切っても切り離せない問題があるんですね。私は、最近も日本航空は、何か副機長ですか、副操縦士を地上勤務にすることでストライキが起きたということも承知しているわけであります。航空問題だけに限らず鉄道もそうでありますが、労使問題ががたがたするところに本当の安全というものは確保できないと思いますので、そういう問題はむしろ労働省の所管であるかもしれませんけれども、やはり運輸行政を預かる責任者として、そういう問題については十分に労働省とも連携をとりながら、安全管理が脅かされるような労使関係になっていかないようにひとつ御努力を願いたいと思うのです。それについてどうですか、一言。
  42. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃるとおり、労使関係につきまして我々非常に重要なウエートを置いて考えております。幸いにいたしまして、最近の労使関係というものは、全般的に見ますと、交通関係について一時よりも非常にスムーズによき慣行が定着しつつあるというふうに考えて大変喜んでおりますが、もちろん、これは労働省所管というようなことでなくて、運輸省の所管の一部であると考えて特に注意をいたしたい、かように考えております。
  43. 永井孝信

    永井委員 ついでに航空局に一つだけお聞きしておきます。  運輸行政の中でどこまで指導を徹底させることができるかという問題一つだけ触れておきますが、大阪国際空港で例の裁判問題にもなりました騒音問題の関係から、九時以降の夜間飛行は禁止しているわけですね。最近門限破りが非常に多いのですよ。これはなぜ運輸省はとめられないのですか、一言でいいから答えてください。
  44. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 先生おっしゃいましたように、大阪国際空港では夜九時以降の運航を禁止いたしております。それで、確かにことしに入りましてちょっと九時以降に離着陸する飛行機が多かったのでございます。そこで私どもは、この大阪国際空港に発着する航空会社に対しましては、そういう事例がありますと、その都度どういう理由であったかということを大阪の空港事務所からただしまして是正を求めております。  それから、実はことしに入りましてからは、ある航空会社がちょっとその航空会社だけ多いという事例がございました。これはそのままほっておくわけにはいかないということで、私ども文書あるいは口頭によりまして、その航空会社責任者を呼びまして事情を話し、指導いたしました。その結果、私ども聞いておりますところでは、これはやはりいろいろな事情でおくれがあり得るということでございますので、そういうことがあっても九時の時間にできるだけおくれないようにダイヤを繰り上げるというふうなことも航空会社としても考えてみようということで、改善の方向に進んでいると思っております。
  45. 永井孝信

    永井委員 余りこの門限破りをどんどんやられると、我が国の行政の姿勢が疑われますから、それが外国の航空会社であっても、余り門限破りをするような場合は乗り入れを拒否するぐらいの強硬な姿勢で対応してもらいたいということを要望しておきたいと思います。  その次に、最近我が国でいろいろなスポーツが盛んになっておるわけでありますが、航空スポーツの愛好者による超軽量動力機というのですか、これが各地で人気を呼んでおるわけですね。これが人気を呼ぶことは構わないのでありますけれども、運輸大臣所信表明で言っておりますように、事故防止するためには、輸送事業者が安全管理体制を一層充実させるとともに、運航関係者一人一人が常日ごろから安全確保の責務の重大性を自覚し、事故の絶滅に努めることが肝要だ、こういうふうに所信表明大臣も言われておるわけであります。  ところが最近、ちょっと調べてみましただけでも、いわゆるモーター付ハング・グライダーと言った方がわかりやすいと思うのですが、これが五十六年以降だけでも十三件の事故を起こしているわけですね。一番新しいところでは、ことしの一月十五日に千葉県で墜落事故を起こして、操縦しておった人が死亡しておる。この十三件の墜落事故のうち、操縦しておった者の死亡が六人いるわけですね。重傷者は別にして、死亡だけで六人いる。その原因を見てみると、翼の折損というのが圧倒的に多い。もちろん技術の未熟というものもあります。こういうものがこれからもどんどん起きていくということになると、私は大変なことだと思うのですね。  そこで、私は具体的な問題として聞きたいのでありますが、航空法第十一条あるいは第二十八条に基づく飛行許可の手続を行っておったのかということで調べてみると、この十三件全部認可を受けていないのですね。勝手に飛んでいるわけですよ。こんなことが許されていいのか。これじゃ航空行政はどこかで欠陥行政と言われてもやむを得ないのではないか。運輸省はこういう問題についてどう指導しておったのかということをまず聞きたい。  それから、時間の関係があってはしょりますけれども、例えば航空法に違反をしてこういうものを飛ばした場合に、当然これはそれの違反で罰則規定があるわけですね。こういうものについて警察庁はどのように取り締まりをされたのか、あるいは検挙内容はどうなってきているのかということですね。  もう一つは、建設省にお伺いしますけれども、この飛行機を使っている場所というのは主として河川敷が多いのですよ。河川敷というものは、本来公共的に供用されるものであると思うのでありますが、とりわけこういう飛行機を飛ばす場合、その飛ばす土地の所有者から利用してもいいという許諾をもらって、そして航空局に申請をすることになっているわけでありますがそれもとられていない。では、国の管理する河川敷を一方的に使われた場合、河川局はこれからはどう対応するのか。  まとめて言いましたけれども、それぞれ御答弁いただけますか。
  46. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 エンジン付ハング・グライダー、つまり超軽量の動力機でございますけれども、これにつきましては、私ども航空法上の航空機であるというふうに考えております。  先生おっしゃいましたように、確かに特に昨年事故が多うございました。それで、このモーター・ハング・グライダーといいますのはここ数年急速に実はふえてきたわけでございまして、私どもその実態を見まして、五十七年にこれは航空法上の航空機であるということを通達で流しまして、周知に努めてきておったわけでございます。しかし、残念ながら、確かに昨年事故を起こした者は航空法上の手続をとっていなかったということでございます。  そこで、特に昨年の一月ごろに事故が相次ぎましたので、私ども四月に、これは航空法上の手続をとらなければいけない、今先生おっしゃいました航空法第十一条ただし書きの許可というものがあるわけですが、これは機体に関連した飛行許可でございます。それからさらに航空法二十八条で技能証明に関連した運輸大臣の許可もございます。それから離着陸の許可というのもございます。そういうものをすべて手続を経なければいけないということを重ねて通達もいたしまして、私ども自身で周知徹底に努めると同時に、日本航空協会という財団法人がございますが、その辺がそういう民間の方々と非常に関係も深うございますので、その団体の中に特に委員会もつくっていただいて、その周知徹底に努めているという状況でございます。
  47. 望月秀一

    ○望月説明員 事故防止を一般的に担当しております外勤警察部門からお答えをさせていただきたいと思います。  ただいま先生質問の前提でありますモーター付ハング・グライダーが航空機であるかどうかということにつきまして実は疑義がございましたので、警察の捜査担当部門から運輸省の方に照会を発しておりまして、航空機であるという回答が来ておりますので、今後は航空法違反ということで取り締まりができるかと思います。外勤警察部門では、一般的な事故防止という観点から、実はモーターのついていないハング・グライダー等も事故を起こしておりますので、そういう面で配意をしております。一つには人の問題、それからマシンの問題、そしてそれの供用の場所の問題がございまして、この三点から外勤警察としては一応押さえていきたいと思っております。  ただ、人の場合には、確かに御指摘ように無許可で、あるいは全くだれにも断りなしに個人の趣味として飛ぶという人がおりますので、これは飛んでみないことにはどこのだれかわかりませんから、努めて把握すべく努力はしておりますけれども、若干問題点はあろうと思います。  もう一つはマシンの問題でございますが、これは販売業者の方の協力を得まして、店舗を持って販売をしておりますので、こういうところを警察としては把握をして、愛好者についてはこちらの方から組織化するように、そして必要な許可をとるように、あるいは必要な事故防止の措置を講ずるように指導をしてもらうということをやっております。  もう一つは、飛行の供用の場所でございます。これはやはり高低の差のある広さのあるところでないとそういうものが飛べないわけでございますので、そういう場所を所轄しております警察署の方のパトロールによりまして、現に飛行の準備をしておる、あるいは飛んでおる者がおりましたときに、しかるべき時点で職務質問をかけまして、許可証を持っておるかどうか、あるいは機体の証明があるかどうかといったよう観点調査をいたしております。そういう形で事故防止を図ってまいりたいと思っております。
  48. 青木保之

    ○青木説明員 最近、河川敷を利用いたします原付ハング・グライダーが増加しておりまして、地元住民から騒音、墜落の危険等があるといたしまして、河川管理者に対し、禁止する要望が各地で相次いでおるところでございます。河川管理者といたしましては、特に都市部の河川におきましては高水敷が次第に整備されてまいっておりまして、河川敷が現に多くのいろいろな一般の利用に供されておりますので、このような場所で騒音を発し、危険を伴うような利用があるということの対応に苦慮しているところでございます。  河川法上は、一定区域を長期間にわたりまして排他的に占用いたします場合には河川法の二十四条という規定がございまして、河川管理者の許可を受けなければならないことになっております。これはできるだけ公的なものに占用させるような運用をしておるところでございますが、直轄管理区間、大臣が直接管理しております区間について調べましたところ、現在そのようなハング・グライダーの利用に対して占用の許可を与えているという事例はないということでございますので、河川敷でそのような利用が行われているとしますれば、これはいわゆる一般的な利用という形で行われているというように理解されるわけでございます。  もともと河川敷は公共の一般の利用に供されるということでございますので、他人の迷惑にならないような利用ということであれば一般的に使えるというようなことがございますので、そのような範囲のものであれば一般に使われるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、都市部における地域住民でございますとか一般の利用者に迷惑をかけ、あるいは危険を及ぼすような利用というのは非常に困りますので、そのような特に地元からいろいろ問題が提起されたような場所につきましては、そういうところでそのような利用を行わないように利用を行っている者に注意をし、地元地方公共団体とも連携をとっているところでございますが、今後とも一層地元ともよく連絡をとりまして、適切に対応してまいるように努めたいと存ずる次第でございます。
  49. 永井孝信

    永井委員 御答弁いただいたわけでありますが、超軽量動力機ですか、固定翼のもの、これだけでも現在わかっているだけで四百二十機あるのですよ。ジャイロプレーンが七十五機あるわけですね。もっと実数はふえているかもわかりません。これだけの機数を持っているわけでありますから、これからもどんどん飛ばすことになってくると思うのですね。だから飛行許可の手続については運輸省は厳格に当たってもらいたい。そうして当たる場合に、今も土地の問題が出ておりましたけれども、土地の関係などは単に申請者に任せるのではなくて、土地所有者に対しても土地の使用を許可しているかどうかという確認までとるぐらいのきめの細かいことがやられることが望ましいと思うのです。  そういう立場でこのモーター付ハング・グライダーの事故が絶滅できるように、あるいは無謀な飛行がされないように、この事故の中には翼の折損事故が極めて多いわけでありますが、それは構造上非常に問題があると思うのですね。だから、そういう構造上の問題も事前にチェックをして初めて許可を与えるようにということでひとつ対応してもらいたいと思います。  警察も今御答弁いただいたのでありますが、人手も足らぬと思いますけれども、積極的に対応してもらいたいと思います。運輸省の方からまとめてこれからの対応、その進め方についてお答えいただけますか。
  50. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 先生おっしゃいましたように、今このモーター・ハング・グライダーだけで四百二十機ぐらい、私どももそういうふうに把握しております。  それで、許可に当たりましても、第一段階、第二段階ということで条件をつけまして、最初はもう本当に、滑走路の上へちょっと浮く程度のものでまずやらす、それから何十回もそれをやった十分経験がある者について第二段階に行くというようなきめ細かなことをやっておるつもりでございますが、なお今後許可の運用に当たって十分先生おっしゃいましたことも留意してやっていきたいと思います。  実際問題といたしまして、これだけふえてまいりますと、どういうふうにどの点まで確認できるかというのが一つ問題点でございます。その点につきましては、私どもは先ほどもちょっと申し上げましたが、日本航空協会の中に専門の委員会をつい先日つくっていただきまして、それで関係の方、学識経験者も含めてそこに入っていただいて、それでいろいろなこの関係の指導、周知徹底、そういったことを中心に強力にやっていただくということで、関係省庁とも連絡をとりながら何とか事故のないようにやっていきたいと考えております。
  51. 永井孝信

    永井委員 次の問題に入っていきますが、最前も質問がされておりましたけれども、例の富士重工の型式の認定をとるに当たっての不正事件がありました。これはユーザーの側から見ても、メーカーに対して非常に不信感を持ったと思うのです。今回は富士重工スバルレオーネの問題が出てきたわけですけれども、ほかにもこういうことがあるのではないかという不信感は大変大きいものがあるし、私はこれはゆゆしき問題だと思うのです。これは最前も質問されておりましたから、この問題については直接もうこれ以上触れません。しかし、こういうことが起こらないように強力に指導してもらいたいと思うのでありますが、その型式の指定制度のあり方について私は若干お尋ねをしてみたいと思うのであります。  最近の自動車のメーカーによるリコール状況を見ますと、製作後日数もまだ余りだっていないのに、あるいは走行距離も少ないのにリコールがたくさん出てきているという現状は、私は大変問題だと思うのです。例えば昭和四十四年度から五十七年度までの総計で見ましても、件数が二百四十三件も出ている。台数にすればリコールの車が一千万台をはるかに超えているわけですよ。しかもその中身というのは、制動装置であるとかかじ取り装置であるとかという非常に重要な部分が多い。私はこれは非常に問題だと思うのです。したがって、型式を指定する場合に、どこまでその問題がチェックされているだろうか。この保安基準の均一性というものは果たして担保されているのかという問題をもう一回洗い直してみる必要があるのではないかと思うのですが、どうでございますか。
  52. 丹羽一夫

    丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  欠陥車の最近の事故件数が多いということでございますが、五十七年度で国産車では十五件、外国車で六件、合わせて二十一件単年度で起きておりまして、従前から、四十四年度から累計いたしますと先生の御指摘のとおりでございます。  特に最近欠陥車、リコールというような問題になっておりますのは、製作上の問題に起因するものが数多くございます。次第に排気ガスの規制をし、また安全の規制が厳しくなってまいりますので、車の構造装置の部品点数というものもふえてまいります。部品点数がふえたからそれの率で欠陥なりふぐあいが起きていいかというと、そういうことじゃなしに、そういうものを乗り越えて、なおかつ件数が減っていくということが大事で、従来の型式指定に当たっては、一方で業務の簡素化、手続の簡素化というものは国際問題にもなっておりますが、一方で国民の安全また健康を守っていくという立場からは、その部品なり製作工程の管理を十分にしていただく必要がある、そういうようなことで、これから型式指定に当たりましてはそういう品質の管理、製造工程の管理というものにさらに細心の注意を払っていただくよう注意をし、強力に指導してまいりたいと考えております。
  53. 永井孝信

    永井委員 答弁はそうなるんですけれども、現実にこれだけのリコールが出てくるということは、私は現実に大変な問題だと思うのです。しかもこれが、今私が申し上げたように制動装置にかかわるような問題がかなり多うございますので、走行中突然そういう欠陥が表へ飛び出してくると死亡事故につながりかねないという問題があるわけですね。運輸省が一たびその型式を認定いたしますと、あとは量産体制に入るわけですよ。だからその量産体制に入るということについていえば、全くメーカーの側にフリーハンドを与えてしまうということになりますので、積極的な運輸省の安全行政というものが非常に大切になってくるわけです。  そういう面からいってこれだけのリコール件数を見ると、今の運輸行政が果たして完全に安全面をチェックした上で型式を認定しているかどうかということになると、疑問を持たざるを得ないわけですよ。だからこの品質管理の充実強化を図るということの一点に絞ってこれから積極的に対応してもらいたいということを強く要望しておきたいと思うのです。ましてこの富士重工ように、型式認定のときに不正行為を働くようなことは断じてあってはならない。それが直接安全運行にかかわりのない部分であったとしても、そういうことがもし仮に通っていくと、他の部面でも広がってくるわけでありますから、時間の関係がありますので一方的に言いますけれども、ひとつ重大な決意を持ってこの型式認定には当たってもらいたい。メーカーの販売を助けることだけになってしまうような結果では困りますから、そういうことを強く要望しておきたいと思います。  その次に、自賠責の保険料の問題について一言触れてみたいと思うのでありますが、せんだっての予算委員会の分科会でも私はこの問題を取り上げました。いわゆるこの自賠責の料率の算定に当たっては、損保会社の収支の関係だけではなくて農協共済も自賠責を扱っておるわけでありますから、農協共済の内容も当然対象にして料率の算定を図るべきだ、私はこういう提起をしたのでありますが、その分科会のときにおける大蔵省の答弁は、農協共済の関係についても参考にしたい、こういうことにとどまっているのですが、もう一歩踏み込んで、参考ではなく具体的に料率算定の基礎として扱うべきではないかと思いますが、どうでございますか。
  54. 田中寿

    田中(寿)説明員 自賠責保険料に関しましては、五十三年以来ずっと単年度収支で見てまいりまして、もう先生御案内のとおり非常に収支が悪化してまいっておりまして、赤字幅も逐年拡大しておりまして、速やかな料率の調整をしなければいけない、御理解をいただかなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございます。  先生指摘のとおり、自賠責制度は自賠責保険、これは民間損保が引き受けております自賠責保険と農業協同組合責任共済、こういうことでやってございますが、大体保険料収入で見まして、最近時点で九三%が自賠責保険で引き受けておるわけでございます。今申し上げました状況は自賠責保険の状況でございます。  さて、先生が御指摘のとおり、自賠責保険と責任共済の掛金率は同率ということが大前提でございますので、今後料率の改定の検討に当たりましては、もちろんその双方を参考にしながら検討を進めますとともに、具体的な改定幅は運輸省、それから共済に関しましては農林省が共済規程の承認ということで行政的には扱われるわけでございますけれども、承認されるに当たりましては運輸大臣、大蔵大臣協議をされ、しかも自賠責審議会に諮問した上答申をいただいてやるということになってございますので、そういう所要の手続を踏んだ上でその取り扱いにつきましては検討させていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  55. 永井孝信

    永井委員 参考にするという話でありますけれども、私が再度申し上げておりますように、単なる参考ではなくて、ユーザーの側からすれば、これが農協共済であれ損保の会社であれ、自賠責の保険料を払うことは同じことなのであって、ここはひとつもう一歩踏み込んでもらいたいと思うのですね。  そして、それとの関連でありますが、いわゆるノーロス・ノープロフィットの関係でありますけれども、現在、純保険料の四〇%を保険会社の手持ちとしてその運用を任しているわけですね。これについて、もちろんその原資というものは保険料から発生したものでありますから、保険会社としても、営利会社である以上、当然何らかの利潤的要素が考慮されていて不思議はないと私は思うのですが、しかし、その適正な利潤を排除することになってしまっている。したがって、この四〇%部分の各損保会社の運用実績を明らかにして、ノーロス・ノープロフィットの原則に従うように大蔵省当局が積極的に指導をすべきだと思うのですが、これはどうですか。
  56. 田中寿

    田中(寿)説明員 ノーロス・ノープロフィットの原則を、具体的に民間損保が受けておりますものにつきましてどういうふうに対応しているかということだと思います。  自賠責保険は、六割は政府の方に再保険で出します。四割を民間損保が最終的に引き受けるわけでございますが、まず、今先生指摘ように、純率部分につきましては、大原則といたしましてこれは他の保険事業とは区分いたしまして、区分経理をすることにいたしております。したがいまして、純率部分につきましては、純率部分としてしかるべk責任準備金に積み立てるということでございますし、それから社費につきましても、余剰が出れば付加率積立金ということで積み立てるということでございます。  先生の御指摘の点は、いわゆる運用益の運用利回りについて一体どうなのかということでございますが、こういうふうに区分いたしました保険会社の自賠責にかかわる滞留資金につきまして発生いたします運用利回り、これを運用益積立金として区分経理させ、積み立てているわけでございます。具体的には、年間を通じました平残の自賠責資金の滞留資金、これに損保全社の平均運用利回りを出しまして、ちなみにこれを五十七年度で申し上げますと六・〇一%でございますが、これをもって運用益が発生するということで区分経理して積み立てているということでございます。  この運用利回りは、損保全体のいわゆる運用資産の平均利回りでございまして、これは、いろいろ自賠責保険を引き受けて保険事業をやっていく上で必要な物的施設、これは店舗もいろいろございますし、こういうものをいわば運用資産といたしまして現実に発生いたしました運用収入、これは適正な原価計算、企業会計原則に従い、しかも保険業法としての統一経理基準のもとで経理させましたところで発生いたします運用収入、この運用収入に対します総資産の割合、これを平均運用利回りとして計上させているということでございます。
  57. 永井孝信

    永井委員 まだちょっと納得がいきかねるのですけれども、時間がなくなってしまいましたので、次の問題に入っていきたいと思います。  自賠責保険における後遺障害者の等級の問題についてひとつ触れておきたいと思うのでございます。  後遺障害者の等級表、これについては年齢とか職業などは、実は全く加味されていないのですね。労災が下敷きになっているというのでありますけれども、同じ後遺症が出ても、若い御婦人とお年寄り、そんなことを言っては失礼でございますけれども、お年寄りの御婦人とは違うだろうし、あるいは職業の内容によっても、その後遺症によって受ける影響はかなり違うと思うのでありますが、そう考えていくと、この後遺症の障害についての等級を見直しをすべきではないかと思うのです。判例でも、例えばむち打ち症で受傷後五年間は七級で、その後十年間は九級とするという判例もあるのですよ。そういう現実を見てみると、補償問題が被害者を救済するという立場に立った場合、この等級を見直すということもあっていいのではないかと思うのでありますが、これはどうでございましょうか。
  58. 角田達郎

    角田政府委員 後遺障害の認定の基準の問題でございますが、これは先生ただいまおっしゃいましたように、労災保険をベースにして後遺障害の等級表それから認定基準を採用しているわけでございます。したがいまして、この基準は後遺障害の部位、程度に着目したもので、被害者の年齢とか職業などは基本的には加味していないわけでございます。被害者事情によっては、こういうようなことは問題なしとはしない点は私どもも承知しておるわけでございますが、後遺障害だけでなくて、これに被害者のいろいろな事情を連関させた新たな基準を設ける、これはなかなか大変な難しい作業でございます。  問題点としては十分認識しておりますが、ひとつ長期的な課題として検討させていただきたいと思っております。
  59. 永井孝信

    永井委員 現在矛盾があることは御承知のようであります。これはかなり難しい問題ではあります。これは私もわかりますけれども、ひとつ積極的に見直しをする方向でこれから検討に着手をしてもらいたいと思います。よろしゅうございますか。——よろしいようでございます。  最後に、どこでもあることでありますけれども、交通事故の起きたときに、示談をめぐりましてどうしても問題が起きやすいのですよ。その場合に、示談を扱ってくれた人がその示談の中で相手をおどかしたり、あるいは真実にかけ離れたことで相手を追い込めるとかいう問題もかなり見られるのでありますが、これについては、そういうことが起きないような指導を、保険会社とかそういうところにもひとつきちっと強化してもらいたいと思うのです。これはもうちょっと深く掘り下げたかったのでありますが、時間がなくなってしまいましたので、そういう問題を提起だけしておいて、不正行為が示談ということを通して行われないように、これは監督官庁の大蔵省の方もきちっと対応してもらいたいと思うのです。  そのことに関連をして、ここにサンプルをたくさん持ってきましたけれども、これは保険のいろいろな商品のパンフレットです。このパンフレットを見る限り、どのパンフレットを見ても、いわゆる約款といいますかそういうものは掲載されていないのです。いいこと尽くめでありますから、どうしてもそれにユーザーの側が飛びついてしまう。飛びついて、実際に事故が起きたときに、実は約款ではこうなっておりますからこのケースでは支払いができませんと拒否される場合もある。これは、加入者の方も不注意と言えば不注意かもしれません。不注意かもしれませんけれども、私は、こういう広告を出していけないと言うのではないのですよ。しかし、こういう広告には、そういう問題が起きたときに備えてきちっと約款も掲載をして、後で問題が起きないようにすべきではないか。  例えば、限定された場合、二十一歳、二十六歳などによって掛金も違うわけですね。しかし、加入者はそこまで知らぬで加入してしまう。掛金の安い方にどうしても加入しやすい。加入して事故を起こしてみたら、いや、この約款によってこれは支払いができません、こうなってくると問題なので、私はここにサンプルをたくさん持ってきましたが、これを詳しく今説明する時間がなくなってしまいましたので、監督官庁は大蔵省になりますかね、大蔵省はそういう問題が起きないようにという立場で対応してもらいたいと思うのですが、どうでございますか。
  60. 田中寿

    田中(寿)説明員 自動車保険の場合でございますと、これは第三者、対人賠償保険が中心になりますけれども、いろいろ被害者救済という点で、加害者に対して賠償資力を付与するという損害保険本来のいわば社会的使命があるわけでございます。こういう観点から、引き受けに当たりましては、契約者に納得できるような商品の中身につきましての説明を十分する、そういう対応もしておりますし、そういうふうに指導もしているわけでございますが、そういう意味で、契約者が契約内容の不知ということで不幸な事例にならないように、一層そういう点については今後とも注意してまいりたいと思います。
  61. 永井孝信

    永井委員 時間が参りましたので終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  62. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、竹内猛君。
  63. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、交通安全の関連で、地震の問題と筑波研究学園の建設に関係する交通問題、さらに土地利用を含め、なお時間の関係でもし許せば、昨年九月一日に起きた大韓航空の墜落事故に対する処置の問題についてお伺いをします。  まず最初に、交通安全の立場から、最近十年くらいの間で、地震によるところのというか、事故ですね。交通事故の中でその中心になっている事故原因について、主要なものからちょっと報告していただきたい。
  64. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  大変恐縮でございますが、ただいま先生の御質問の趣旨を完全に把握しておらないわけでございますが、最近、地震を原因とした大きな事故と申しますのは、昨年起きました日本海中部地震における津波を中心とした人災及び建造物、家屋等の損壊であろうかと思っております。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私が尋ねているのは、気象庁だけではなくて、運輸省の方から、交通事故の中で主なものは何が中心にあるか、例えば地震もその一つだし、その他たくさんいろいろあると思いますね。運転手の誤りもあるだろうし、そういうことの中で、地震が事故に及ぼした影響というものはどの程度のものであるかということについて若干統計から聞きたい、こういうふうに言っているのです。
  66. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 運輸省の関連しておりますいろいろな交通の安全の問題でございますが、交通事故そのものは、最近大きな事故というのは、例えば道路交通でございますと、年々減少してきたのが最近また増加しているとか、航空事故につきましては、おおむね平均的な推移で、特に重大事故という異常な事態が起きない限り、平均的に安全な状況を保っているとか、あるいは海難につきましては年々逐次減少をしてきているとか、踏切につきましては、踏切道の立体交差化等に伴いまして逐次減少しているというような一般的な状況を御報告するわけでございますが、その中で、地震等が交通事故に及ぼした影響ということになりますと、これらの交通事故が地震とどのように競合しているかという点については詳細は把握しておりませんが、大きな地震の際に問題となりますのは、しばしば道路における自動車がとまって、それで交通渋滞が起きるとか、あるいは鉄道がそのたびに停止して交通渋滞を起こすとかいうような問題はございますが、直接交通事故と結びついたというような話は承っておりません。
  67. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 直接に起きたことはないと言われるけれども、震度四ぐらいの地震が出ると新幹線はまずとまってしまう、あるいは常磐線でも幾たびかとまったことがある。これは慎重を期するために結構だと思うのですけれども、そういうことで、地震というものがいろいろな面に及ぼす影響というものは非常に大きいということをまず前提にして伺ったわけです。  次に、私はこの間から地震の問題について建設委員会でも取り上げてきたわけですが、地震に対する研究が、各省庁においてそれぞれの専門の立場からやられていることは非常に結構だと思うのです。多元的に大局的にやられるのは結構だと思うのですが、そのデータを一元的に集約をして、それを分析して予知を行い、そしてそれを警報として出していって、できるだけ国民が惑わないように、しかも、確率の高いものを出していくためにはどうしてもその体制が必要であるということをこの間から主張してきて、研究の多元化、資料の収集の一元化、そして情報において確実なものを出していく、こういう体制がとれないかどうかということについていろいろ主張してきたわけですけれども、きょうは、気象庁の長官は地震の専門家ですから、今日の段階でそれはどういう形になっているのか、その点についてひとつお尋ねしたいと思う。
  68. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  地震予知にかかわります業務は、地殻の変動の非常に幅広い各種の分野に広がっておりまして、したがいまして、先生指摘のとおり、現在完全に一省庁、一機関でこれを行っているということではございませんけれども、地震予知にかかわる業務は、地震予知推進本部、測地学審議会及び地震予知連絡会がそれぞれ調整機能、計画機能及び評価機能を持ち、それらが現在極めて有機的に活動して、関係機関が一体となって国家的課題である地震予知計画を推進しております。  地震予知に関する研究、観測は着実に進展しておりますが、現在の学問、技術的水準と申しますと、東海地域に予想される大規模地震を除き、その発生機構などがまだ研究開発する分野にございまして、これを予知の実用化に結びつけるという段階には達しておりませんので、それぞれの機関の特色と機能を生かすことがより効果的であると思っております。  しかしながら、御指摘のとおりの一元化につきましては、大規模地震対策特別措置法というものがございまして、これの地震防災対策強化地域に指定されております東海地域に予想される大規模地震につきましては、現在の技術で予知が可能であるという域に達しておりますので、各省庁、大学が協力して観測をし、これが一元的に気象庁に集中されまして、私どもが二十四時間の監視をしておりまして、これは一元的にやっております。そして気象庁長官が地震予知情報を内閣総理大臣に報告することが定められております。したがいまして、観測そのものは幾つかの省庁、大学が行っておりますが、これを一元的に集約して監視し、また異常時には、それが大規模地震に結びつくおそれがあるかないかの判定は一元的に行われているわけでございます。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一元的にやられているというのは非常に結構だと思うのですけれども、国土庁の長官も地震については責任を持っていると言われるし、それから建設省の中にも国土地理院で予知連絡部というのがあるということ、そして最終的には内閣総理大臣がこれに対しては責任を負うのだというような話も聞いている。だから研究なり資料をつくるためにはそれぞれの専門の分野でやって結構だけれども、地震に対する一元的な予知、そしてそれを国民に対して告知していくということについては確実な形でしていかなくちゃまずい、こういうふうに思っているわけですけれども、まだそこまではいっていないじゃないですか。
  70. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  現在の技術で予知が可能とされております海洋型の大規模地震につきましては、法の整備もできておりますし、防災の方はどこが責任を負うということがきちんと規定されております。しかしながら、目下研究技術を開発中である、被害は起こしますけれども、学問的にまだ解明の度合いの進んでおりませんマグニチュード七クラスの、いわゆる皆様のおっしゃいます直下型の地震につきましては研究段階でございますので、それぞれの機関の特徴を生かす、ただし横の連絡は非常に緊密にするということで当分はよろしいかと存じておりますし、またそのよう事態は進展しております。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで私のところの茨城県ですけれども、この茨城県については確かに地震の多発生地域であるけれども、大型の地震はいままでなかったし、これからもないであろうということを、先ほどの委員会で国土地理院の院長からそういうお話がありました。そのときに、それだけの確信があるのなら、現在茨城県の中では県知事を中心として一ここには日立のコンビナートがあり、原子力研究所があり、鹿島の工場がある。そして筑波にはそれぞれの研究機関があります。こういうところで毎日のように地震の問題が新聞に出ている。水戸の方面では、地震が来た場合に水をどうするかという形で、百リットル入りの水槽を準備するというところまで市民が地震に対しては注意を払っているし、県の中でも、国の方で大規模地震の範囲、また重要な地域でもないというようなことから、全国の八地区からも外れているというようなことから、何とか専門家を通じて連絡の会議をつくり、研究組織をつくっていこう、こういうようなことをこの間から言っている。  科学万博が来年開かれるわけですけれども、これに関しても全く地震については無防備の状態だ、こういうようなことが新聞に書かれている。知ってか知らないかわからないけれども、毎日のように大小の地震のことが出ているわけですから、心配するのはこれは当然だと思う。だからそういうことについて、地震が中部地区を中心として、法律は大規模地震の中部が中心でありますけれども、そしてその他八地区というものが重要な地区に指定をされているわけですが、秋田県のように去年の五月に地域が指定されておりながら、しかも男鹿半島の土地が隆起をしているということがわかりながらなおあれだけの被害が生じた、こういうようなことを考えてみると、必ずしも手放しで喜んでいるわけにはいかない。  それですから、やはりこの地域におけるそういう心配に対して、気象庁なりあるいは建設省なりそれぞれが、そういう地元でできた連絡会議に協力をしていくというぐらいの気持ちはあってもいいのじゃないかと思うのですけれども、これについてはどうですか。
  72. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、茨城県及び茨城県沖は大変地震の多発地帯でございまして、過去にいわゆる海溝型の大規模地震こそ起きておりませんが、明治二十九年、大正十二年、昭和十三年、昭和五十七年等、それぞれ小被害を伴った地震は起きているわけでございまして、私ども地震から茨城県は安全であるとは決して思っておりません。  ここが特定地域に指定されてない理由は国土地理院からお聞き取りいただいたと思いますが、私ども気象庁では全国的な地震の監視を二十四時間やっておりますので、ただいま先生御発言のとおり、県あるいはその他地方公共団体においてこういうことをしてほしい、こういう資料を欲しいというお声をかけていただければ、私どもできるだけの御協力をいたすつもりでございます。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 気象庁の長官のそのお答えはそれで結構だと思うのですけれども、国土地理院の方はこれに対して、この間の答弁に対してさらにつけ加えて何か言うことはないですか。この間の答弁のままでは私はちょっと納得しないのです。
  74. 田島稔

    ○田島説明員 お答えいたします。  先日の建設委員会では、地震予知連絡会が地域指定をする基準等について御説明したわけでございます。さらにちょっとそのことにつきまして補足いたしますと、茨城県につきましてに全国の七十五%に及ぶ地域が地域指定でない地域でございますが、茨城県もそのうちの一つでございますが、そのような地域におきましても、国土地理院といたしましては繰り返し全国の測量を行っております。その結果、異常な地殻変動が発見されれば直ちに地震予知連絡会に報告することになっておりまして、その場で検討することになっておる次第でございます。茨城県につきましても、そのような現象が発見されれば直ちに予知連で検討していただくということでございます。  次に、県の中で地震に関する連絡会を発足させて地震対策に取り組んでおられる、これに対する国土地理院の協力関係はどうなのかというふうな質問かと存じますが、地震予知連絡会では、一般市民の地震に対する理由のない不安等を解消することも非常に重要な任務の一つと考えております。事務局としての国土地理院では、連絡会開催の都度地方自治体等に対しまして説明会を開いて、連絡会での討議内容を詳しく御説明しておるわけでございまして、その中には茨城県にも参加していただいております。  茨城県の地震対策につきましても、県の方から要請がございますれば、これらの県の連絡会等に私ども参加いたしまして、地震予知観測研究に関する情報等を提供いたしましたり、あるいは技術的助言あるいは協力をすることにやぶさかではございません。  以上でございます。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ぜひ気象庁、それから建設省の国土地理院——国土地理院も茨城県にあるわけですから、また気象庁の研究所もあるわけですから、十分に県の提起をする連絡会に協力してほしいということを要請して次に移ります。  次は、筑波の研究学園が二十万都市をつくろうということで出発をして、今概成から完成、やがて熟成という段階に入ってきておりますけれども、依然として人口が十四万というところでとまっております。機関は既に移るべきものはほとんど移っております。ところが人間がそれに伴っておらない。この問題についてまず最初に伺いたいのは、大蔵省に伺いますが、あそこに公務員の住宅を何戸つくって、今どのような利用のされ方をしているか、それについてお答えをいただきたい。
  76. 田中誠二

    田中(誠)説明員 お答え申し上げます。  筑波研究学園都市の合同宿舎につきましては、昭和四十五年度から五十四年度までに建設が行われまして、現在戸数は七千七百二十五戸となっております。この宿舎戸数七千七百二十五戸に対しまして、五十九年四月十五日現在の入居戸数でございますが、これは七千三百五十四戸になっておりまして、入居率は九五・二%ということでございます。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それは公務員だけですか。他の者は入っていませんか。
  78. 田中誠二

    田中(誠)説明員 お答えいたします。  これに入居しておりますのは公務員だけでございます。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 例えば科学博覧会関係の者とか、そういう人は臨時に入っていませんか。
  80. 田中誠二

    田中(誠)説明員 入っておられません。ですが、いろいろまたそういうお話がございましたら検討したいというふうに思っております。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはやはり家を挙げて移るというのではなしに、単身赴任という形をとっているのが非常に多い。私たちは年じゅうあそこの住宅の前を歩くと空き家が目立つということで、これは困ったことだな、みんながそういうふうに言っているわけですね。  その上にもってきて、今問題になっているのは土地利用の形態に問題がある。これも十六日に、私は首都圏の国土開発審議会の特別委員でありますから、そこでも報告をしたわけですが、学園の内部で日本住宅公団が造成をした土地があります。これが旧地主に返されておりますが、その地域ですね、学園内部の地域に十万人を予定をしておる地域が現在三万三千人しか入っていない。この地区は、土地の利用は第二種住居地域、九町村の集落は第一種であります。したがって、公務員の皆さんが最低五十坪の土地を買って、一階、二階を建てるというときに、旧地主はそこに大きな五階、六階のマンションを建てて、今紛争が各地区で起こっております。  建設省はこの責任者であり、国土庁もこれに関連をしていると思うけれども、あのよう状態をこのままずっと見ていくのか。最近は建築基準法の見直しとか、あるいは線引きの見直しとかいろいろなことを言っておりますけれども、研究学園のあの状態の中で、今のような土地利用の地域指定といいますか、そういうものをそのままほっておくのかどうなのか、これについて考え方を聞きたい。
  82. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  筑波研究学園都市は、筑波研究学園都市計画ということで決定をされておりまして、今お話しの第一種住居専用地域と第二種住居専用地域が住居系のものとして指定をされております。そのほかに研究学園機関等におきましては、住居地域という指定をいたしております。第一種住居専用地域は二百七十七ヘクタール、第二種住居専用地域が千三十九ヘクタールでございます。それぞれその割合で言いますと、七・五%、二八・三%というような割合になってございます。  先ほどお話がございました研究学園都市内の一種住居専用地域、二種住居専用地域の見直しにつきましては、用途地域の決定そのものが、筑波研究学園都市の建設法に基づき策定されました研究学園地区建設計画という、これは国土庁の方でお定めいただいた内容に基づいて決められておりますので、現在のところまだ十分熟成をいたしていないという段階でございますので、直接的な見直しということにつきましては、市町村並びに県の方においても行われていない状態かというふうに考えております。  それから先ほどお話しの、近隣の高層と中層、低層のものが混在することによります。辺住宅とのトラブルということにつきましては、建設省の方といたしましては、地区計画制度というようなものの導入によりまして、建築物の壁面の位置の制限だとか、高さの最低、最高限度というようなものをきめ細かく決めることによりまして、そういう紛争が起こらず、また良好な住宅地の形成を図るというのが地域の発展上望ましいというふうに考えておりますので、その積極的な活用が行われますように、関係地方公共団体に寄り寄りお話を申し上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 県の方へ行けば、これは国がつくった学園都市だから国の方でしっかりやってもらいたいと言うし、町村へ行けば、六カ町村がそれに関係しているから一つの町村ではどうにもならないと言う。あるところには指導要綱があるけれども、あるところには指導要綱がない。いずれもなすり合いをしているんですね。それで学者に聞けば、それは地主と居住者との関係だ、こう言う。それじゃ地主と居住者が関係をして、地主は減歩をとられたわけだから、今度は五階、六階のマンションを建てて一もうけしよう。ところが公務員の皆さんは、高い地価でこれを買って家を建てて住むということになると、現在の給与あるいは退職金等では到底払い切れないような価格になってしまっているわけですから、三階も四階も建てられるはずがない。そうなると、せっかく入ろうと思ったけれどもそこには住み込めないという形になる。したがって家が建たなくなってきて、多くの方々は周辺、つまり学園の外から今度は職場に通うという形で、最近は松戸とか取手とかあるいは柏とかいうところに住むようになっております。  こういう状態を黙って見ていていいか悪いかという問題については、これは積極的に調査をしてもらわなければ困る。そうでないと地主と公務員、主として公務員の入居者との間では現に幾つかのトラブルが起きておるが、さらにそれが深まっていく。こういうことについて、もう一度担当の、これは建設省か国土庁か、いずれにしても両方に責任があるわけだから、責任の省庁からはっきりした答えをもらわなければどうにもならないですね。
  84. 谷口哲彦

    ○谷口説明員 お答えを申し上げます。  ただいま専門的な事柄に関しましては建設省の方からお答えがございましたけれども、筑波の研究学園都市の基本的な考え方につきましては、御承知のとおり研究学園地区建設計画で基本的な方向を定めておりまして、それに基づきましていろいろな施策を講じておるという次第でございます。こういった基本的な方針を踏まえながら、個々の事例につきましては、いろいろ関係省庁あるいは地元の方々と御相談をしながらできるだけ快適な町に仕上げていくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 きょうはこれくらいにして次に入ります。  国土庁に伺いますけれども、この間土地価格公示表というものをつくった。あれは一体何のためにつくるのか。現在この筑波の価格は相当な高い価格で売られているけれども、公示表によったら筑波の土地は一体幾らになるのか。これはどうなりますか。
  86. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 去る四月三日、官報に告示いたしました昭和五十九年の地価公示によりますと、筑波研究学園都市内の主な標準地でございますが、すべて住宅地でございますが、一平方メートル当たりの単価は、桜村の梅園二丁目の標準地が七万二千八百円でございます。谷田部町春日四丁目の標準地が五万三千八百円、大穂町大字花畑二丁目の標準地が三万八千六百円、いわば北に行くほど安くなっております。
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それは坪ですか。
  88. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 いえ、一平方メートル当たりの単価でございます。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それじゃ坪なら三倍だね。
  90. 佐々木徹

    ○佐々木説明員 はい。三・三倍していただけれ、ばよろしいかと思います。  それから、どういう方法で地価公示をやるのかという御質問でございますけれども、私ども地価公示をやるに当たりまして、一つの標準地につきまして国土庁の土地鑑定委員会が二人の鑑定士に鑑定を依頼いたすわけでございますけれども、そうしますと、鑑定士は当該標準地の周辺の取引事例というものを収集いたしまして、当該地と事例地との間の形状とか道路の接面状況、そういうものを比較しながら標準地の価格を推定いたします。また、収益還元法といいまして、近傍類地の地代等から推定する価格、さらには原価法という方式、三つの方式を採用いたしまして鑑定評価額を出すわけでございます。鑑定評価を私ども国土庁に提出していただきますと、土地鑑定委員会で調整、修正いたしまして一つの価格を判定していくということでございます。  以上でございます。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうやってせっかく出してくれるけれども、実際にそういう価格では土地は取引をされていない。だから、実際に取引をされていない状態のときにこのような価格を出してもらっても実は非常に迷ってしまう。実際は、この何倍かの価格で取引をされているから、だれも手を出す者はいないという形になっていることだけはここに明らかにしておいて、時間がないから次へいきます。  そこで、先ほど大蔵省の方から住宅の問題のお話がありまして、約三百幾つかがあいている、こういう形になっているのですが、会計検査院の方ではこういう状態はやむを得ないことだと思うのか、どうですか。
  92. 大森昭三

    ○大森会計検査院説明員 お答え申し上げます。  空き家の状況につきましては、大蔵省の方からお話があったわけでございますけれども、私どもも人事異動等の関係から、ある程度の空き家が出るのはやむを得ないと思っておるわけでございます。しかし、今後とも宿舎の効率的な利用につきましては厳しく検査してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一方においては土地が高くて入れない、そしてせっかく買った土地に家が建たない、紛争が起きている、そっちの方は余り手がつかない。せっかく入るべくして建てたところは空き家になってしまっている、そしてそれはだんだん傷んでくるというよう状態というものをこのままにしておいてはいけないと思うのです。何とかしてこれが十分に活用をされて、せっかくの学園都市というものがもっとしっかりするようにしなければならない。  その一つには、東京とこの筑波学園との間の交通の問題があります。交通問題が二つに分かれている。一つは常磐線の輸送力を強化しなければならないという問題。この問題については前々から、気象庁の関係をする地磁気観測所を移転して、交流、直流についてこの問題を解消する、そして複々線にしていこう、これが一つ。  もう一つは、それができなければ機関車を交流の機関車にして、なお時間を短縮して活用する、こういう道が二つ目。  それからさらに、これは大臣にもお伺いしたいのですが、第二常磐線という話が常に話題に上っていて、千葉県、茨城県等々では運動が起きております。この第二常磐線を早急につくって交通の便益を図ることが、これらの渋滞をしている、困難な筑波研究学園を完成に向かって進めることではないかと思っているわけですけれども、この点についてお答えをいただきたい。
  94. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えいたします。  常磐線は、今先生がおっしゃいますように、確かに直流と交直流の両方で運営をされておりまして、直流区間につきましては先生指摘ように取手と藤代の間にセクションがございまして、こちらから東京までは直流で、そしてここに走っておる車は、主として東京の山手線に走っております一〇三系という直流電車が走っておるわけであります。したがいまして、これを交直流に改造するといたしますと非常に巨額な工費が要るということで、必ずしも現実的ではないというように考えております。したがいまして、今の時点で考えますのは、今あります交直流の電車で、十二両編成で走っておりますので、これにつきまして十五両化をやりまして輸送力を増強して混雑緩和を図りたい、かように考えておるところでございます。
  95. 細田吉藏

    細田国務大臣 東京を中心にしました鉄道網の整備、広い意味では交通網全体の整備ですが、特に鉄道網の整備というものは今非常に大切な時期に来ておると思っております。したがいまして、今運輸政策審議会でホールプランについていろいろ御検討いただいておるというところでございます。その中で第二常磐の問題は取り上げられておるのでございまして、どういう結論になるかわかりませんが、何しろ御承知のように常磐は大変行き詰まった状態、国鉄が応急に十五両編成云々というようなことはやるにしましても、あの地域一帯が大変交通難、通勤難でございます。したがって、私は、運輸政策審議会が恐らくこの問題を何らかの形で大きく取り上げてまいる、かように存じておる次第でございます。
  96. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひ国鉄の方にも、常磐線は黒字ですから、少しかわいがってもらって輸送力を強化して、科学博覧会を足場にして県南、県西の輸送力を増加するとともに人口をふやしていく、こういうふうにしたいと願っておりますので、これはよろしくお願いをしたいと思います。  そこで最後に、去年の九月の問題で運輸省の皆さんにおいでをいただいたわけだけれども、時間がなくなってこれは質問ができません。せっかくおいでいただいて大変恐縮ですけれども、これはいずれ日を改めざるを得なくなりました。  ただ、そこで一点だけ、私は気象庁の皆さんにもぜひ考えてもらいたいし、大蔵省にも考えてもらいたいことがあります。それは五十五年から五十九年までの間の国の予算の中で見た場合に、同じように人命と財産と生産を守るという形で、気象庁というのは、機構の面からあるいは観測の面から大変努力をしている。秋田県の地震のときには、朝日新聞は論説の中で、ともかく人と予算が足りない、あるべきところに人が行ってない、地震の観測を気象の観測の者が兼務をする、あるいは青森県のあるところではそこに観測員がいなかったということで大変な事故が起こっているということで、具体的にここに新聞もありますけれども、指摘をしておるのです。私もそう思う。  防衛庁の方の予算は年々ふえておるのですが、気象庁は人も予算も減っているということを思うと、これはひとつ大蔵省の方で考えてもらいたいのです。行政改革の中でこういうことを言うのはおまえおかしいじゃないかと言われるかもしれないけれども、あえて私はここで主張したい。五十五年のときには気象庁の予算は四百四十六億九千九百万円ですか、国の予算の〇・一三%、そのときの人員が六千五百八十九名。ところが五十九年では五百六十八億六千万円、それで六千四百五十六人と百三十三人減っておるのです、気象庁は。ところが防衛庁の方は五十五年が二兆二千三百二億、人員にして二十九万七千八百二十四人、これが五十九年になると二兆九千三百四十六億で二十九万九千百六十四名、千三百四十人ふえている。予算のパーセントは国の予算の五・八%になっている。  こういうふうに考えてみると、これは全部削れとは言わないけれども、少なくとも気象条件、あるいは地震、あるいはその他の自然現象というものについて昼夜観測しているところに十分な機材と人と予算がいかないということは大変国益にならない、こういうように私は思うのです。だからそういう意味においてはできるだけ配慮してもらいたいということを、これは大臣にも所感をお聞きしたいし、大蔵省から主計官も来ておりますからお答えをいただいて終わりたいと思います。
  97. 日高壮平

    ○日高説明員 ここ数年財政改革あるいは財政再建ということで、厳しい財政事情のもとで歳出削減に私ども鋭意取り組んできていることは先生御承知のとおりでございますが、例えば五十九年度の予算におきましても、御承知のように概算要求の段階からマイナス一〇%という厳しい予算編成を行ってきている、そういう状況でございますので、予算全体としてふやしていくということはなかなか難しい状況にあることはもう重々御承知のとおりだろうと思います。  ただ、五十九年度におきましても、一般歳出予算が運輸省全体としては五百十六億円のマイナスになっている状況のもとで、気象庁予算につきましては前年度に比べて七億円増額している、そういう状況でございますので、厳しい財政事情のもとで私どもなりに努力しているという点は御理解いただければと思います。
  98. 細田吉藏

    細田国務大臣 今主計官からの答弁もありましたが、運輸省の中で気象の関係では、特に衛星の関係と地震の関係は、苦しい中であるが重点的に増員を見ております用地震火山部という組織も行革の時代に新設を認められるということでございます。大変な応援団で応援をしていただけますことを非常に感謝いたしております。
  99. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  100. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、木内良明君。
  101. 木内良明

    ○木内委員 きょうは何点かについてテーマを選んでお聞きしたいと思います。  まず初めに、首都交通網におけるモノレールの問題でございますけれども、大臣は過般の基本施策をお述べになった中で、「都市交通の分野におきましては、都市高速鉄道、都市バス等の整備改善を進め、公共交通機関を中心とする交通体系の確立を図ってまいります。」こういうふうに述べておられるわけでありますけれども、都市交通問題は、交通公害あるいは交通事故と大きな社会問題になっているわけであります。  そうした意味合いも考え合わせまして、これからの目標として交通の混雑緩和という単一的な目標ではなく、総合的な都市問題としてとらえるべきではないか、その上で新たな交通機関として、都市におけるモノレールあるいはまたそのほかの新交通システムを積極的に取り入れるべきではないか、私はこう思うわけでありますけれども、まず、この点についての大臣の所見を伺いたいと思います。
  102. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  私は、個人のことを申し上げて恐縮でございますけれども、日本モノレール協会というものができて二十年になるのですが、その間ずっと副会長を務めておる者でございまして、モノレールの補助の法律も私が手がけてつくったというようなわけでございまして、特別な関係を持っております。  申し上げるまでもございませんが、都市の交通をどうするかということについては、大量交通機関に頼らなければならぬ。マイカーがどんどん走ると道路が混雑し交通麻痺が起こる、こういうことでございまして、大量交通機関で考えなければならぬ。その大量のうちで特に大量なものは地下鉄——地下鉄協会の方も私、会長を長年やっておるわけでございますが、地下鉄等でございます。それから次に都市高速鉄道でございます。それほどの数量でもない、それほどの運輸量がないというところについてはモノレールが非常に有効である。建設費は地下鉄がうんと高くて、今キロ当たり二百億でもできるかどうかと言われているわけでございまして、モノレールの方はそれよりは、また一般の高速鉄道よりも安くできる、こういう点から、交通量がやや低いところについてモノレールで考えていく。  御案内のように、オリンピックの年に羽田−浜松町間のモノレールができたのでございますが、当初は閑古鳥が鳴いて経営に大変苦労したものでございますが、今は幸いにいたしまして、これは幸いというよりは道路が混雑するものでございますから非常な繁盛をいたしてまいっておるわけでございます。  モノレールはその後全国的に見まして伸び悩んでおりましたが、最近都市交通の中でいろいろなところで取り上げられまして、一番大きなものは沖縄で、昔は小さい軽便鉄道があったのでございますが、モノレールを本格的に取り上げるということになっておりますし、千葉県でも御承知のように取り上げられる。今モノレールを計画しておられるところは非常に多くなっております。特に地方の中核都市では本格的な地下鉄や本格的な高速鉄道でなくて、モノレールでやっていこうというような空気が非常に強い。私はモノレールの分野、モノレールの職分というものがあると考えておる次第でございます。
  103. 木内良明

    ○木内委員 モノレール協会の副会長ということで、とりわけ造詣の深い答弁をいただいたというふうに思います。また同時に、大臣のモノレールに対する思い入れというものも相当に感じられました。極めて力強く感ずるわけであります。  また同時に、大臣はこのようにもおっしゃっておられるわけです。「地域交通は、新しい地域社会づくりの基盤となるべきものであり、地域ごとの交通計画の策定、推進等を通じて、今後とも地方公共団体との連携を深めながら、効率的で質の高い地域交通体系を形成してまいります。」と言っておられるわけであります。特に今の大臣答弁の中にもございましたように、今後のいわゆる交通社会におけるニーズ、それからまたコストの問題、あるいは公害がないとか、いろんな面で相当にメリットが考えられるわけでありまして、今後の趨勢も含めて、とりわけ現在進められております事業についてもその進捗状況をお聞きしたいと思います。  その第一は、首都圏交通網としての千葉県の千葉都市モノレール株式会社、これがあるわけでありますが、この事業の進捗状況並びに東京都多摩地区における都市モノレール及び新交通システム事業の進捗状況、申し上げたように総合的な交通体系の中におけるこの事業の位置づけ並びに進捗状況をお聞きしたいと思います。
  104. 服部經治

    ○服部説明員 まず、千葉都市モノレールでございますけれども、この千葉の都市モノレールは、千葉市内におきます道路渋滞状況の中での市内旅客輸送需要の増大というような状況に対処をいたしますために企画、計画されたものでございまして、昭和五十六年三月に全線十五キロ余にわたります区間につきましての軌道業の特許を取得いたしまして、引き続き五十六年の十月から五十八年の五月にかけまして、全線区間の中のスポーツセンターそれから干城台間約八キロメートルの区間につきましてさらに工事の施工認可を得まして、昭和六十三年の春の開業を目途に現在鋭意工事を進めているところでございます。  それから次に、多摩の都市モノレールでございますが、この東京の多摩地区へのモノレールの導入につきましては、東京都におかれまして昭和五十四年ごろから基礎調査を行ってきたところでございまして、昨五十八年度からは、具体的な地形の測量とか路線の調査等を開始しているというふうに承知いたしております。  なお、この多摩のモノレールにつきましては、私ども詳細具体の説明は受けているという状況ではございません。したがって、今後特許等の申請があれば、その段階で十分内容も勉強いたしまして適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  105. 木内良明

    ○木内委員 特に今後段の部分では、多摩地区におけるモノレールの今後の見通しというものを、若干段階的に不十分ではありますけれどもお話しいただいたわけであります。  申し上げておりますこの東京都の多摩地区におきましては、東西に国鉄の中央線、それから京王線、西武線、こういったものが都市交通の重要な機関として役割を担っているわけであります。ところが、南北を結ぶ都市交通網というものが、どうしてもあの地域につきましては未開発の状態ということであります。御案内のように、この多摩地区は近年住宅、工業、商業あるいは学園等、いわば総合的な都市形態を形成しておりまして、二百万人近い人口を擁する地域として発展を続けておりますし、また今後相当な発展というものが見込まれるわけであります。  そこで、申し上げましたような各地区を結ぶ足として、地元の皆さんの都市モノレールに対する期待というものは非常に大きいわけでありまして、今青写真の段階ですけれども、計画されておりますこのプランの地図を見ますと、相当点線等の確定していない部分があるわけでございますけれども、きょうは大臣もおられますので、ぜひ今後都市発展のために、あるいは交通網の整備における重点政策として、多摩地区におけるモノレールの推進というものをお願いしたい、ぜひ大臣の御見解も伺いたい、こういうふうに思います。モノレール協会の副会長にぜひお伺いしたい。
  106. 細田吉藏

    細田国務大臣 多摩モノレール南北線計画、これはもう図面を見ただけでも想像がつきますように、今おっしゃった東西に走っておる線路を結ぶということで、まさにモノレールが背負うのにふさわしいようなところだと私は思います。大都市の中でございますからいろいろ問題はあるわけでしょうが、これは私ども、大いに今後都市交通という見地から見ると推進をしていくべきものだと考えております。
  107. 木内良明

    ○木内委員 ぜひ今申し上げました多摩地区については、御決意のとおりに可及的速やかな御準備並びに検討さらに進捗をお願いしたい、要望しておきます。  次に、都市モノレールとして昭和三十九年に発足いたしました現在の東京モノレール会社の件でございますけれども、これは羽田空港の沖合展開と東京モノレールの延伸計画によりまして、今後四カ所が新駅として計画されているというふうに聞いているわけでございますが、本来のこの東京モノレールの趣旨というものは、都心と空港を結ぶいわゆるアクセス機能というものを相当メーンの、メーンといいますか、そのためにいわば設立が行われたというふうに聞いております。  と同時に、この東京モノレールが空港アクセス並びにこの地域の発展に尽くした功績というものは非常に大きいわけでございまして、例えば開業以来約二十年間の歴史を振り返ってみますと、その沿線においては非常に開発が進んでおりまして、例えば大井競馬場周辺につきましては、大井地区の埋立地に新幹線基地またコンテナ埠頭が建設されております。また、スポーツの森を初め海浜公園も相当に整備をされてきているわけであります。また、その沿線には最近いろいろな人口の集中形態というものがあるわけでございます。  実は何駅か浜松町から空港までにあるわけでございますけれども、申し上げましたように、例えば東京都の港区港南地区等におきましては、近くに都営住宅の港南団地でございますとかあるいは公団住宅、加えて民間マンションの建設等が相当進んできているわけでございます。また、隣接する品川区の方におきましても、二十年前とは相当に形態の違う町の構造というもの、人口集中というものが見られるわけでございます。  そこで、私はぜひこれは新たな御検討を願えればと思うわけでございますけれども、今回この延伸計画がある、同時に新駅の増設というものも考えられる。こうした中で、本来的に掲げられております空港アクセスというこの目的に加えて、先ほど来運輸大臣の方からもモノレールにおけるいろいろな利点、首都交通網の中の位置つけというものについて御答弁願ったわけですが、こうした地域の発展に応じたニーズにこたえる形での新駅の設置というものがあるいは検討されてよいのではないか、こういうふうに思うわけであります。  特に、港区の港南につきましては相当に人口の密集が進んでいるわけでございまして、国鉄の山手線の駅からは遠い、バス等につきましても日中は本数が少ないということで、かつては離れ小島などというふうに言われていた地域に相当に人口が集まってきているということでございますので、まず大臣からひとつ御答弁願えればと思います。
  108. 細田吉藏

    細田国務大臣 御存じのとおりに、あれができたすぐのときは浜松町から一本で、途中の駅がなしで羽田まで行ったわけです。羽田の空港のいろいろな従業員が通勤が非常に不便だというので、羽田の手前に羽田空港の従業員向けの整備場前というんですか、あれができた、御承知のとおりでございます。また、最初はなかったんですが、浜松町との駅の連絡というものができた。まあしかし、このモノレールは四苦八苦いたしまして、随分と借金を抱えて赤字で困ったものなんでございます。私ども、最初からこれをじっと横から見ておるわけでございますが、その後、今おっしゃったように、だんだんいろいろな交通需要がふえまして、競馬場あるいは流通センターというようなところができたわけでございます。  私どもはこの駅をどうするかということについては、主として会社と地元との相談で決められるべき問題だと思うのでございまして、会社も今度大工事をやって、羽田沖合展開に伴う延伸工事もやらなくてはいけない、したがって日立モノレールという会社も相当な借金をしてこれからやるわけですから、営業の問題も考えなければならぬだろうと思います。そういった点でよく地元の皆さんと御相談をすることになると思いますが、一般論として申し上げれば、本来の使命である東京都心部と羽田空港とを結ぶ時間が余り延びても困りますし、ですからそこらの兼ね合いをどうするかによって会社が態度を決定するということになるのではなかろうかと思うわけでございます。  むしろ運輸省としては、それらの点を総合勘案してどうであるかということで判断をしてまいらなければならぬ。交通需要のあるところ駅ができるというのは極めて自然なことでございますので、これらについては地元と会社とが相談をされれば結構ではなかろうか、かように思っております。
  109. 木内良明

    ○木内委員 予想しておりました答弁よりも非常に前向きであったというふうに思います。一般論としてということでおっしゃいましたし、同時にまた、地元と会社との話し合いによっては、交通におけるニーズにこたえようというニュアンスが感じられたわけでございまして、それじゃ一言で結構でございますので、そういうことで受けとめてよろしいですね。
  110. 細田吉藏

    細田国務大臣 ですから、途中に駅をつくりますと、メリットとデメリットとあるわけですね。運転の時間がそれだけ延びるわけでございます。もっとも浜松町−羽田空港間二十分ぐらいな運転だと思いますが、今度は沖合へ延びてくるわけですけれども、それとの兼ね合いの問題以外には、私は輸送の需要があれば会社はやるんじゃなかろうかと思いますよ、会社も私はよく知っておりますけれども。
  111. 木内良明

    ○木内委員 この問題は引き続きまた機会がございましたならば当委員会で取り上げていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。  次に、シートベルトの問題についてお聞きしたいと思います。  総合的な交通安全対策の中におけるシートベルトの問題の大きさというものをお互いにぜひ認識をしたいと思うわけでございます。と申しますのは、交通安全対策の強力な推進とその充実は、今や国民的な緊急課題であるということは申し上げるまでもないと思うのです。  すなわち、交通事故による死亡者が実は昭和五十四年をボトムの状態にしまして、その後残念ながら増加の一途をたどっているわけであります。特に昨年は九千五百二十人という大変な数になりましたし、元来目指しておりましたラインを大きく超えてしまっている。このまま悲観的な推移をいたしますならば、あるいは年間一万人を超えてしまうのじゃないかというような観測も一部にあるほどでございまして、当委員会としましてもさることながら、政府としても断じてこの事態は避けなくてはならぬ。と同時に死亡者の減少、交通安全対策の充実を図る上からも当然これは行っていかなくてはいかぬ。したがって重大な責任と使命をともどもに感じたいと思うわけであります。  過日の本委員会におきまして、私は、四月の初めに提言をさせていただきました私どもの政策について種々申し上げたわけでありますけれども、この提言の中には特別には盛り込んでおりませんでしたが、実はシートベルトは、一般的に社会的に認識されている以上に大変な交通安全に効果があるものであるということをまず訴えたいわけであります。  例えば交通安全対策における重要な指標の一つに、申し上げております交通事故による死亡者の数というものがあるわけであります。例えば諸外国の例を見てみますと、イギリスの場合ですけれども、着用率が四〇%のときには交通事故における全死亡者が約二千二百人いたわけであります。これが、恐らく国挙げての運動でしょうけれども、シートベルト着用の運動を推進した結果、最近になって九五%まで着用率が上昇して、その結果どうなったかといいますと、死亡者数は千七百人に減って、パーセントでいえば二三%減少しているわけです。また、これはオーストラリアのある州の例でありますけれども、当初一八%の着用率のときに年間三百九十九人この州で死亡者が出た。これがやはり強力な推進運動の結果八五%まで上昇した、そして死亡者が約二二%減少を見ることができた、こういうことでございます。  私もいろいろ提言にも申し上げた内容、さらにまたシートベルトの問題等、一体いかなる施策を講ずれば、いかにすれば交通事故による死亡者が減るかということをいろいろ考えてみました。その結果得た結論の一つがこのシートベルトの着用率の効果ということでございまして、まさにこの問題における切り札とも言えるのがシートベルトの問題ではないかというところまで極言してもはばからない、こういう気持ちでおります。なお、このシートベルトにつきましては、申し上げたような発生事故における人命の保護あるいは人体の保護というようなものに加えて、安全意識の向上あるいは動態視力の向上に加えて運転疲労の軽減等、大きな事故予防対策上の機能が期待できるわけであります。  この死亡者数におけるシートベルトの効用を証明する実はもう一つの数字があるわけでありますけれども、各地の警察本部が発表した事故の結果を分析、集計してみますと、自動車乗車中の死亡者のうち約五〇%はシートベルトを着用していれば助かったと思われるという結論が出ているわけです。本日この委員会におられる皆さんは専門家の方が多いわけですから当然御存じでしょうけれども、シートベルトを着用していれば半分の人は助かっているんだという数字が出ているわけなんです。また、年間の自動車乗車中の死亡者が約三千五百人、このうち事故形態等分析をいたしますと、この三千五百人のうち、シートベルトをしていれば千七百人は命を落とさずに済んだと推定されるデータも実はあるわけなのです。  質疑という場でありながら私の主張をるる長々と申し上げたわけでありますけれども、以上の点から、現今シートベルト着用の適切かつ強力な推進が焦眉の急である、大変大事な課題である、私はこういうふうに申し上げたいわけであります。  これについての認識についてお聞きをしたいと思いましたけれども、これは申し上げたとおりであると思いますし、簡単な認識についての御返事で結構でございますので、大臣は何かちょうど今いらっしゃらなかったわけですけれども、ひとつ交通局長の方からでも一言だけ答弁を願えればと思います。私が申し上げたことについてです。
  112. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生の御所論は、十分敬意と興味を持って拝聴しているところでございます。
  113. 木内良明

    ○木内委員 るる申し上げましたけれども、着用率の問題ということでお聞きします。  まず、全国の着用率の推移を、高速道路における運転者の着用率のデータで見てまいりますと、四十九年の八月の調査で六・六%でございましたものが、その後上昇をたどっておりまして、昨年の九月には二八・七尾まで伸びております。また、一般道路で見ましても、五十三年九月に一〇%台に達しまして、その後多少の跛行現象はあるのですけれども、昨年九月で二三・四%まで着用率の上昇というのが進んでいる、こういう状態です。  一見、これは随分着用率が上がったんだなということも言えるわけでございますし、関係者の方の御努力に負うところが非常に大きいわけでありますけれども、ただ、交通先進国と言われる諸外国とこれを比較してみますと、これまで上昇はあったけれども、決して十分ではないということが言えるわけであります。例えば、シートベルトの着用が義務づけられております国の実態に比べて著しく低いと残念ながら言わざるを得ない現状でありまして、特にオーストラリア、イギリス、スイス等ではいずれも九〇%を超えているのです。  したがって、これは運輸大臣に一言御答弁を願えればいいわけですけれども、私はあえて誤解を恐れずに申し上げれば、シートベルトの着用率こそは、自動車社会における文明度のバロメーターじゃないかというところまで極言して差し支えないのではないかというふうに思うのです。簡単で結構です、大臣、この点をお答えください。
  114. 細田吉藏

    細田国務大臣 全くおっしゃるとおりの見方ができると思っております。今の日本状態では、まだ非常に遺憾な状態であると思います。
  115. 木内良明

    ○木内委員 それで、いかにすれば着用率の上昇が期待できるかということで、私もいろいろ考えてもみたし、提案もしたいと思います。  まず、全国の都道府県単位で着用率の状況をいろいろ調べてみました。一般道路でございますけれども、まずよいところについて申し上げます。  岩手県四四・五%、長野県四二・三%、大分県四二・六%、宮崎県四一・五%、四〇%以上のところが実は四県あります。また、その逆で、進んでいないところ、これはあえて個別の県名等はこういう場でございますので触れませんけれども、一〇%以下のところが実は四カ所ございます。同じ我が国の交通安全運動に取り組む各県の組織、システムがありながら、これほどの開きがあるというのは一体原因はどこにあるのか、また、進んでいるところの交通行政に取り組む熱意が形となってあらわれた具体例が相当にあるわけでございまして、まずこの辺について、これは交通局長の方にお聞きしたいと思うのです。
  116. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生が御指摘になりましたように、確かに全国の府県別着用率の実態を見ますと格差がございます。その辺の背景につきましてはなかなか難しいところでございまして、的確なお答えができるかどうか私も自信がございませんが、一般的に幾つかの要因の重なり合いであろうとは思いますので、そういったところで若干の例を申し上げますと、やはり都市の中で頻繁に乗ったりおりたりする回数が多いところでは、どうしても一般道路では着用率が向上しないという背景はあろうかと思います。  高速道路において比較的着用率がいいということは、高速道路でほうり出されたら大変危ないという危険感がドライバーにあることも事実でございますが、同時に、高速道路におきましては比較的長時間継続的な運転が維持されますので、したがって、シートベルトをつけるという気になりやすいといったような状況もあろうかと思います。したがいまして、先生がお挙げになりましたような県では、そういった交通の実態がその特色として潜在的にあるのではないか、これは一つの条件でございます。  ただ、先生おっしゃるように、そういったものはあくまでも幾つかの条件でございまして、これを決定的に意義つけるものはやはりその県における具体的な取り組みの熱意が大きく物を言うだろうということは、私どもも交通の実務者として容易に想像できるところでございます。
  117. 木内良明

    ○木内委員 交通局長の方からそういう答弁でございました。  私の勉強の成果というと口幅ったいですが、特徴があります。一つは、今交通局長が言われた熱意の問題、もう一つは、官民一体となって着用率を上げるための運動を展開したところ、これが非常に成功しているわけです。  実は、大船渡市というのが東北地方にあるわけでございますけれども、ここで非常にシートベルトの着用運動が実を結んだということを聞きました。一昨日ですか、大船渡の次長のところに連絡をとりまして、今日までどのような御苦労をされたか、いろいろ聞いてみたのです。そうしましたところ、大船渡、陸前高田、三陸町、住田町というのでしょうか、二市二町が大船渡警察署の管轄するところで、非常に広い地域なのですけれども、モデル地区を設けて、毎月三回の着用指導日というのを設けまして、警察関係者はもとより、一般市民、町会の役員あるいはPTA関係者、こうした方々に警察が相当力強く協力を要請して、数百人が、四日と十四日と二十四日、シートベルトですから四の日だそうですけれども、出まして、やったそうです。一般道路で、交通課長あるいは署長、次長がみずから飛び出して、着用してない車を全部とめて、そこでシートベルトを着用するように訴えた。当初は、中には食ってかかる者もいた。それでもシートベルトの効用を訴え続けて、現在では実に八一%の着用率であるというようなことでございました。これは一例です。  実は、申し上げるように、こういう熱意と官民一体となっての取り組みで、地元の警察署の皆さんが大変苦労されて実行されたところは、こういうふうに非常にうまくいったケースがある。ですから、各都道府県におきましても、私は横並びの状態ということはなかなか事情があって難しいと思いますけれども、こういうシートベルト着用について見事な成果を上げたところのノーハウなりそうした手法をどんどん警察庁が中心となって吸い上げてはまたそれをおろして、各県レベル単位のこういう運動をさらに展開されたら相当の成果が期待できるのではないか、私はこういうふうに思います。  また、その具体策としては、申し上げましたようばらつきがありますけれども、それぞれの県で、今何%だが、来年の秋の交通安全週間までには、あるいはその後までには何とか何%までにしようじゃないかという目標も立てられて、そうして具体的な施策の推進を行うように指導されたらどうか、こういうふうに思います。そうしたいわば各府県別の地域性に応じた具体的な施策というものがまた出てくるでしょうし、そうした成果を踏まえつつ、並行して、また国としてもシートベルト着用のいわゆる目標値というものを定めることもあるいは可能になってくるんではないか。申し上げました今の前段の部分、府県別のいわば目標並びにそういうノーハウの伝達、こうした協議というものが行われるようにぜひ提案をさせていただきたい。簡単で結構ですからぜひ御答弁ください、交通局長。
  118. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生のおっしゃることは、私どもとしては非常に興味を持って伺っているところでございます。ただ、県ごとの目標を数字において設定するということは、いろいろの県の立場、受け取り方等もございますので、これは一つの興味ある御提案として、私ども、この辺の県の受け取り方等も十分に打診しながら考えてまいることにいたしたいと思います。
  119. 木内良明

    ○木内委員 実情としまして、目標を設定できるところとそうでないところがあると思いますが、今の答弁につきましては、できるところについてはぜひ進めようというようなことである、こう受けとめたいと思いますので、ぜひ早急な検討並びに具体化をお願いしたい、このことを要望いたします。  それから、これも大事な提案をぜひさせていただきたいと思います。  現在、運転者のシートベルト着用は高速道路上では義務づけられておりますけれども、罰則規定がない。先ほども数字を挙げましたけれども、いわゆる違反者が堂々と走っているということですね。外国では、昨年三月現在の資料で恐縮ですけれども、二十八カ国近くが着用義務法を制定しておりまして、うち二十三カ国が罰則を設けております。中には死傷者数を一気に年間で六〇%減少させたという国もあるわけです。  私も、この委員会質疑をいたしますのに、私なりにいろいろ考えました。このシートベルトに罰則を設けたり規制を強化するということはどうか。本来はこの種の規定というものは、罰則を設けないで運転者の自主的判断に任せるべきであるという考え方もあることは十分知っております。しかし、これまでの運動に対するドライバーの対応といいますか感触等を見てまいりますと、この際高速道路における着用義務を強化しまして、不着用のケースには免許証の持ち点を減点するといういわゆる点数制度の組み込みを行うように訴えたいと思うのです。  これはいきなりやりますとやはり大きな問題が生じますので、半年なり一年間なりというものは、法制定の後に経過期間を設けて十分な指導を行う、しかる後にこの実施を行う。規制をして着用率を上げるということは必ずしも適切な方法ではないけれども、しかしながら、交通事故を撲滅させ、死亡者を減少させるという点から見れば、これは切り札の一つだと申し上げましたけれども、ぜひ実行されたい、このことを訴えます。  また同時に、当委員会でこうした質疑が今あるわけでありますけれども、こうした具体的なものがマスコミ等を通じて社会に出た段階で、今度はこの問題に対する国民の皆さんの議論というものが相当高まってくると思うのです。この議論の高まりの中で、シートベルトヘの認識というものがさらに深まっていくことも期待されるわけでございまして、ぜひ御検討願いたい。一言で結構ですから御答弁ください。
  120. 久本禮一

    ○久本政府委員 シートベルトの着用率を高めるために強制規定を設けるということが有効であることは、先生指摘のとおりでございます。したがって、この点につきましては、私どもといたしましては絶えず検討をしているところでございまして、法によって強制するということが、結論的に極めて好ましくないという考え方にとらわれているわけではございません。要は、この問題をどのようにするのが国民のコンセンサスに基づいた実効のある方法であるかということについて、十分に見きわめ、見定めていくということであろうと思います。この過程では、先生の御意見も十分に踏まえまして検討に資したいと考えておるところでございます。
  121. 木内良明

    ○木内委員 検討に資したいということですから、検討をされるということだと思います。  これは私の提案ですから、お聞きいただけばいいのです。  第一に、このあり方ですが、点数制度の組み込みによる罰則の規定は高速道路だけに限定する。それも運転者並びに危険なポジションでございます助手席の同乗者をまず対象とするということです。  それから着用義務につきましては、今の高速道路における着用義務、これを一般道路にまで拡大いたしまして、ただし、これには罪則は設けない、こういうこと。国民世論の高まりと推移の中で一般道路については着用の推進を図っていきたい、このように思います。ある新聞の交通安全に関する世論調査では、交通事故死亡者の減少に効果があるならということで、こういう注釈つきも含めて六五%が強制着用に賛成をしているという実態もあるわけであります。ぜひともこれについても前向きの検討を願いたいと思います。  それからもう一点。これは高速道路における着用義務強化の際の子供のケースなんですけれども、これもあわせてぜひ検討されるようにお願いしたいと思うのです。といいますのは、小さな子供ですから、自動車の中では自分の生命を親である父親やあるいは母親に託しているわけですね。ところが、重大事故発生ということになりますと、シートベルトは全くききません。むしろ首つり状態であるとか、あるいはシートベルトの構造によってはダッシュボードに頭を強打して死ぬというようなことがありますし、また、こういうケースというのは、今後女性ドライバーが増加してくる中で非常に考えられる悲惨なケースと言わなければいけません。このために保護装置というものの助手席における義務化、あるいはフランス等で行われておりますような、高速道路を走る際は、幼児、子供については必ず後部座席に乗せるというような、いわゆる人体保護、生命保護の立場からの施策もあわぜて検討を願いたい、このように思います。  大臣、大分お待たせいたしました。  大臣は今、車は何にお乗りでございましょう。
  122. 細田吉藏

    細田国務大臣 トヨペットだと思います。
  123. 木内良明

    ○木内委員 トヨペットというのは非常に大ざっぱな分類なんですね。トヨタのセンチュリーに大臣は今御自分でお乗りになっておられる。トヨタのセンチュリーで使われておりますシートベルトの着用方法大臣、御存じでしょうか。
  124. 細田吉藏

    細田国務大臣 何回かやってもらったことはあります。秘書官に助けられてかけてもらったことはありますが、自分ではちょっと自信がありません。
  125. 木内良明

    ○木内委員 この運輸大臣にして着用の仕方を完璧に御存じないという、これが恐らく今の平均的な問題の本質ではないかというふうに私は思うのです。  実は、大臣の乗っておられる車に装備されているシートベルトはこれです。これはいわゆるエマージェンシー・ロッキング・リトラクターという非常に快適性があり、機能としてもいいものであるということなんです。  実は大臣、これは御自分でやっていただくとわかるのですが、着装するときは、これをこの状態でゆっくり引っ張りますとベルトが出るのです。それで、自分で快適だと思う段階でこれをセットしてしまえばいいのです。いかなるときにこのシートベルトがロッキングされるかと言いますと、急激に衝突をいたしまして、そうして乗っている人の体が前に急激に出た場合、そうしますと、当然このベルトといいますのはこういうぐあいに飛び出しますね、こっちは固定ですから。緩いスピードで出した場合には幾らでも伸びるのです。ところが、急激に今申し上げた状態になりますと、速いですからこれでとまるわけです。  もう一つは、事故において車が急に傾いたり、あるいはがけから落下する、こういうような場合には、これが二十度傾きますと自然にロッキングされるようになっているのです。大臣、これはそうなんですよ。この状態では伸びるでしょう。これを伸ばしながら二十度傾けますととまっちゃうのです。あるいはこちらでもそうです。とまっちゃうわけです。ちょっとやってみてください。(木内委員大臣にシートベルトを渡す)  それと、そういうふうに便利になってないのも中にはあるのです。これがそうなんですよ。ノン・ロッキング・リトラクターというもので、これはベルトを最後まで全部出さなきゃだめなのです。ここまで出して、その上で調節の器具を使って自分の体にフィットさせてやらなくちゃならないのです。  実は大きく分けますと、シートベルトというのは、今巻き取り装置は四種類あります。四種類ありますけれども、非常に着装しやすく快適性があり、運転に差し支えない、心理的によいものと、申し上げたようにがっちり固定しちゃって何か違和感を感じるようなものといろいろあるのです。いい車には先ほどのそれがついている。大体デラックス以上は、各メーカーによって違いますけれども、つくケースが多くて、スタンダードになりますとこっちになってしまう。だから、つけようにも面倒になりますとつけたくないという理由も実は着用しない人の中で多いのですね。  そこで、本当に時間がなくてスピードで申しわけないのですけれども、まず一つは、今四種類については評価もコストもいろいろな点での評価がもう既に出ておりますので、より着装しやすい、また事故の際に安全な、それでいてコストのかからないもの、こうしたものに統一をする必要があるのではないか、こういうふうに思うのです。時間の関係大臣、率直におっしゃってください。
  126. 細田吉藏

    細田国務大臣 その方が結構ですね。航空機の場合は統一されておりますから、世界じゅうどこへ行っても同じだから非常にかけやすいですね。
  127. 木内良明

    ○木内委員 整備部長、大分心配な顔をされておりますけれども、大臣のそういう答弁です。大変御理解のある大臣ですよ。国会審議ですから重大な答弁としてぜひお聞きいただきたい、このように思います。  それから車検制度への導入、私は事前の勉強の段階でいろいろ運輸省の方にも聞きました。車検のときに保安基準としてチェックされるということも言っておられました。ところが、実際に道路運送車両の保安基準というところを見てまいりまして、定期検査でございますとか車検のときにシートベルトについてどんなチェックをするかということになりますと、非常にこれがあいまいになっておりまして、座席ベルトの状態、このチェックそれだけなんです。そのままの状態であるかどうか、全部引っ張ったり、衝撃に耐え得るかという検査は今ないわけであります。これは整備部長の方で御存じだと思うのです。  ですからこの点については、実はナイロンといいますのは紫外線に相当弱い材質のものでございますし、それから専門家の中には、このシートベルトも四年に一遍ぐらいは交換した方がいい、使用頻度にもよるわけでありますけれども、そういう意見もあるぐらいでございまして、このシートベルトの運動というものは、私は本委員会で今後もたびたびにわたって取り上げていくつもりでおりますし、同時にこういう運動の展開により着用率が上昇する中で、今度はこれの技術基準の設定を初め、いろいろと管理をされる運輸省サイドとしてもしっかりした構造、技術基準、材質のものにしていく必要がある、こういうふうに思うのです。これは私は間違ってないと思うのです。したがって、ぜひ定期点検なり車検の際チェック機能というものを厳しくされる方向で御検討願えればというふうに思います。これは整備部長、その方向かどうかということで、簡単に答えてください。
  128. 丹羽一夫

    丹羽(一)政府委員 先ほどから先生指摘ように、シートベルトが衝突時の乗員の保護ということについて有効な手段であるということはごもっともでございます。  そういうことで、シートベルトのどういう形のものをどのように普及さしていくか、着用の義務づけの問題とは別に、ハードとして車にどういうようなものをつけるかというようなこと、またその技術基準を決めてございますが、何分にも実際に使っていただく人が安全でかつ使いやすいもの、よりよいものを求めていくということが一番大事で、先ほどから先生指摘ように使いやすいというような形には幾つかございます。だからよりよくて安全で使いやすいものをさらに開発し、なおかつそれを普及さしていくということが私たちの使命だというふうに理解しております。
  129. 木内良明

    ○木内委員 整備部長、今私が言ったのはそのことじゃなくて、車検並びに定期点検の際のシートベルトに対するチェック、このあり方をもっと一歩踏み込んで行うべきである、この方向で検討願えないかということです。ちょっと御答弁が違うのです。
  130. 丹羽一夫

    丹羽(一)政府委員 車検及び定期点検の際にいろいろ細かいマニュアルをつくっておりますので、さらにそういう点のチェックを充実していくというふうに検討してみたいと思います。
  131. 木内良明

    ○木内委員 非常に実行効果の期待できる御答弁がわずか五十二分の間に相当出ましたので、ぜひ実行されるようお願いいたします。  残念ながら時間が来てしまいました。最後に踏切の問題、それから最近問題になっております任意保険における初心者の保険引き受けを停止している実態について、これも大変重要な問題でございましてお聞きをしておきたいと思いましたけれども、関係の省庁の皆さんにはお忙しい中をお越しいただきましたのに、こうした時間で質問を終了さしていただきますことをおわびいたします。  以上で終わります。
  132. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、玉置一弥君。
  133. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 先日、交通安全に対する運輸大臣所信表明を伺いまして、大変財政上厳しい中で、総合交通体系の整備とかいろいろな大きな課題を抱えながら運輸行政を進めていかなければいけない、こういう面で大変だなという感じを受けました。  しかし、いずれにしましても交通安全というものは生命を守るという意味から、特に最近交通過密の時代でございますから、どうしてもやっていかなければいけない大変大きな部分でございまして、大臣の決意を承ったわけでございますけれども、こういう決意の中に、大変環境の厳しさというものがありながら、また基本に戻って安全の確保をやっていかなければいけない。そして交通管制システムの高度化等、秩序ある交通運輸活動を確保するための施策を推進していく、こういうお話がございました。もっともなお話でございます。  そしてその次に、国鉄についても事業の再建を図りながら設備投資全般を見て、安全確保の観点から、保安、取りかえ投資について支障のないような額を確保していく、こういうお話があったわけでございます。  ところが国鉄の方の予算を見てみますと、五十八年度在来線予算が五千九百億円ございましたのが、五十九年度になりますと四千二百五十億円というふうに大幅に削減をされております。整備新幹線等の投資費用につきましてはそのままスライドして計上されておるということでございまして、大臣が言われた内容と、実際国鉄の予算とが大幅な食い違いになっておるというような感じもするわけでございますし、また都市交通あるいは総合交通体系といった部分の動きがまだ具体的に進行しておりませんので、そういった部分での予算というものがなかなか拡大をされない、こういうことを考えていきますと、いわゆる複合交通といいますか混合交通、こういうような形がまだまだ続いていくような感じがするわけでございまして、ここでまず大臣に、所信表明にございました、保安確保の観点から所要の額を確保していく、こういうことも踏まえて、再度交通安全に対する決意をお伺いしたいと思います。
  134. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、大臣就任の第一声でも、交通の安全ということを第一に言っております。これは実を言いますと当然過ぎるほど当然の話で、当たり前の話をなぜ出すんだと言った人もおります。しかし、安全という問題はえてして忘れられがちなんです。通常状態交通機関あるいは交通のいろいろな車や船や飛行機が動いておりますと、ついうっかり忘れてしまう。そしていたずらにと言っては語弊がありますが、量的なものやスピードや、そういうものを求めるということになりがちでございます。安全の問題が置き去りにされる。ところが、いざ何か起こるとどうしていたんだということで、騒ぎが大きくなるわけでございます。  おととしの日航機の事故というようなもの、それから新幹線は二十億人から運んでおりますけれども、これは一遍も事故がない。人命の損傷は、新幹線のせいによる死者というものはない。いろいろなものを考え合わせますと、やはりこれは安全というものを考えることが交通機関としては一番大事だ、運輸行政としては一番大事だ、かように考えておるわけでございます。  なお、今お話の中にございました、恐らくおっしゃったのは国有鉄道の工事経費が削減をされておるということだと思いますが、工事費は相当いろいろ改良の部分もあるわけでございますね。ですから、安全と直接関係するものについては絶対に確保していく、こういうことで、トータルの額は減っても事安全に関する部門については減らさない、ないしは必要があればふやしていく、こういう考え方でございます。つけ加えて申し上げます。
  135. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 従来の運輸委員会とかあるいは当委員会におきましても、国鉄の老朽した橋梁あるいはトンネル、いろいろな施設等の話がございまして、だんだんふえてきているということで、大変なところに差しかかっておるわけですけれども、そういうものを含めても、費用がかさむ一方になってきているというような感じがするわけです。きょうはそういう話じゃなくて、新幹線主体にやりたいと思うのです。  この中で五十九年の四月十二日、ごく最近でございますけれども、日本国有鉄道から、「昭和五十八年度の運転事故・運転阻害について」というような発表がございました。特に運転阻害について急増している。それも部内原因、災害原因というものが主な要因であるということになっております。重大な事故は例年に比べて減少してきているということでございますけれども、乗務員によるいわゆる誤認事故といいますか、こういうものが非常に急増しているということでございまして、大臣の方にもこの内容が入っているかと思いますけれども、これまでお聞きになってどういうふうに対処されたのか、そしてどういうふうに感じられたのか、そしてこれをどう運輸行政の中で生かしていかれるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  136. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 国鉄の事故の報告につきまして、この前そのようなことが発表されたのは御指摘のとおりでございます。  実は事故の統計のとり方とか、いろいろなことがございますが、例年責任事故はずっと減少してきたわけでございますけれども、若干いろいろな部分でふえている点があるというのはまことに遺憾なことだと思っております。その点につきましては大臣にも報告をいたしまして、今後国鉄において十分な対応を検討するように、目下国鉄との話し合いをしておるところでございます。
  137. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 五十七年、五十八年対比だけでも約四千件の増加があったわけでございまして、要因別にもいろいろ出ておりますけれども、この要因別を見ましても、信号違反、中身はわからないのですけれども「部内雑」とか、これはいろいろあるわけですね。長時間の列車遅延というのは余りないわけですけれども、十分以下の列車遅延が二十倍以上にもなっているというようなことも出ておりますし、信号取り扱い確認というのが十倍以上も悪くなっておる。  ただ遺憾に思うだけではなかなか済まないと思うのですが、どういう分析をなされておりますか。
  138. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えいたします。  先ほど、白書で運転阻害が非常にふえた、御指摘のとおりでございますが、私どもとしましては、何といいましてもお客様にけがを与えないように、重大事故をいかに防いでいくかというのを第一義に考えております。したがいまして、従来ややもしますと管理局の段階で処理されていた事故等がかなりございまして、昨年度の運転事故防止基本方針の中に、正しく小さな事故まで全部把握して十分分析し、なおかつ背後要因に至るまで究明いたしまして、本当の意味で対策を立てようということで、昨年の一つの大きな柱として推進したわけでございます。したがいまして、ただいま先生指摘のとおりでございまして、運転阻害の中で約二千件くらい部内原因事故がふえております。  それから災害の原因につきましても、先ほどありましたように千五百件くらいふえておりますが、この災害の主たる原因は、いわゆる今年度の豪雪、五六豪雪というのがございましたが、今年度もそれを上回る豪雪のために非常にお客様には御迷惑をおかけしたわけでありますが、東海道新幹線におきましても、運転の規制が七十四日間とか、あるいは連続三十六日運転規制が続いたというようなことで、お客様に多大の御迷惑をかけまして、私どもとしましても、こういった面についても大いに反省いたしまして、何とか今年度の事故にかんがみましてこの対策を立てたいというふうに考えております。  責任事故につきましても、そういったことで、先ほど御指摘がございました信号違反というのは、一見非常に物すごい大変な事故ように見えるわけでありますが、実際は信号機のちょっとした、てこ扱いを間違えまして赤現示が出たという、ほとんど運転事故のないフェールセーフにつながる事故でございますけれども、そういったことの扱いまで全部取り上げて本社に上げてきたということで非常にふえたわけでございます。  したがいまして、今年度もこれにかんがみまして、やはり正しい事故の把握については十分こういった面で取り上げてまいりまして、また小さな事故、いわゆる五分とか三分とか、列車影響の少ない事故に至るまで事象をとらえまして、背後要因、本当の原因まで、表面的な原因のみならず、そのよってきたる原因を十分究明いたしまして大きな事故を未然に防ぎたい、こういうことで考えているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、今年度も最大の輸送サービスの基本は安全、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、何といいましても輸送サービス、鉄道としては安全運行をまず第一義に考えて、これを前提に物事を運営したいというように考えております。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕 それにはすべての職場がきちっとしているということと、一人一人の職員がやはりその職責を十分自覚いたしまして、意欲を持ってそれぞれの業務を実行するということに努めることが基本であろうと思いまして、本社でやるべき役割、あるいは管理局でやるべき役割、あるいは現場でやるべき役割とおのおの連携をとりまして、細かいところまで対策を立てようということで推進したいと考えている次第でございます。
  139. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 災害というのは、大臣がおっしゃるように、ふだんからいろいろやっていても出てくるものでございますし、そして忘れたころにどかっと来るということもあるわけでございます。日常何もなかったらやらないということではなくて、絶えずチェック機能を働かせていただいて、ぜひ成果を上げていただきたいと思います。件数がふえたことは、逆に言えばチェック機能が働いて、今まで以上の精度が上がってきたというふうにも受け取っておりますので、ぜひこれからの苦しい財政再建の中でございますけれども、御努力をお願いしたいと思います。  それで、新幹線でございますけれども、私も週に大体四回ぐらい新幹線に乗せていただきましていつも心配するのは、乗っている最中に地震になったらどうなるんだろうというのと、冬になりますと雪で本当に時間どおり動いてくれるのかな、この二つの心配があるわけです。  まず、今の新幹線は地震対策についてどういうふうな対応ができるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  140. 村上温

    ○村上説明員 お答えいたします。  東海道新幹線は、御承知かと思いますが、沿線の変電所に感震器、地震が来たときに加速度を感ずる機械が置いてございまして、四十ガル及び八十ガルという加速度のときにその地震計が作動することになってございます。地震が参りましたときに、四十ガル以上の地震でございますとその感震器が作動して自動的に電気が切れる、列車がとまるという仕組みになってございまして、列車がとまった後で、その地震計の四十ガルと八十ガルの両方が作動したのか、片方だけかということに応じてその後の線路の点検方法の詳しさが変わるわけですが、それぞれ点検をして列車を開通させるというふうなシステムにしてございます。
  141. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 四十ガルとか八十ガルというのはどういうことなんですかね。それがちょっとわからないのと、それから、例えば一応電源が切れて惰性で走るということになりますけれども、とまるまでに何キロかかるのかというのも非常な大きな問題点だと思うのです。その辺についてもお伺いしたいと思います。
  142. 村上温

    ○村上説明員 四十ガル−八十ガルというのは加速度の単位でございまして、説明がかなり難しいのですが、通常のよく言われております気象庁の震度というので言いますと、大体震度が四程度ということで、それほど大きい地震ではないわけです。  それから、ブレーキは出ておるスピードによるわけで、幾らということはいろいろの場合があるわけですが、それほど時間がかからず、長い距離でなくブレーキがかけられるということにはなってございます。ちょっと数値は記憶してございません。
  143. 坂田浩一

    ○坂田説明員 大体最高時速の二百キロぐらいで走っておりますので、それから二キロで非常ブレーキでとまることになっております。
  144. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 二百キロで走っていて二キロということでございまして、心配なのは、トンネルの中でとまったり鉄橋でとまったりということで、大災害になりますと、鉄橋でとまっておりられないということにもなるわけでございまして、その辺の調整ができるのかどうかというのもあります。  それから四十ガルで一応震度四になりますと、八十ガルになると倍と数えていいわけですか。二倍、もっと……。
  145. 村上温

    ○村上説明員 これも非常に説明の難しい御質問でございますが、八十ガルといいますのは加速度が倍ということで、揺れ方が倍ということですが、地震の被害というのは、ある程度以上の大きさになりませんと鉄道の線路とか構造物に被害が出るような大きさにはなかなかならないので、この程度の範囲ですと、倍になりましても直ちに被害が倍ということにはならない。通常言われております震度が五とか六とかということになりまして初めて大きい被害が出てくるというような状況だと思います。
  146. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 非常に心配するのは、高架部分ですと走っているときに弓のようにはね上がる現象があるかと思うのです。これにどういう対応策があるのかなという心配がある。それから、トンネルのところへ行ってトンネルが先につぶれたらその上へ乗り上げるというようなこともあるわけですから、その辺が本当に対応できるのかな。とまるまで二キロですからね。そういう意味で非常に心配しているわけです、まあ乗るときはいつもあきらめていますけれども。しかし、実際各震度ごとにいろいろな対応策というのをそれぞれ分けて考えておかなければいけないと思うので、単に感知したからどうということではなくて、本当に事故があったときにどうするかというのも重要だと思うのです。それについては今現在どういうふうに考えられておりますか。
  147. 村上温

    ○村上説明員 今高架橋とかトンネルの話が出たのですが、一応新幹線をつくりますときには震度五といいますか、加速度でいきますと百七、八十ガルに対して安全なように設計がしてございますので、たとえ橋やトンネルの中で列車がとまったりしましても、ある程度以上の、その設計震度以上の大きい地震でなければ被害がないということで、日常からトンネルや橋の点検をいたしまして、少しでも異常がありますとそれに補修を加えて、大きい地震が来ても大丈夫なように設計、管理をしておるわけでございますが、それをさらに超えた超弩級の地震が来たということになりますと、当然これはなるべく早期に復旧するということを考える以外にはないということでございますが、通常程度の大変な地震に対しては大体大丈夫というふうに設計がされてございます。
  148. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今答えが欲しいのは、救助をどういう対応でできるかということです。
  149. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えします。  大規模地震の対策としまして国土庁が主宰しておられます防災訓練ということの中に、新幹線に関しても細かくマニュアルを決めておりまして、それに対応した救助の問題、長い間列車がとまったときの供食の問題あるいは旅客の案内の問題等、自治体とも十分連携をとって対応するように、しかも訓練をするということで現在やっておるところでございます。
  150. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 雪害対策なんですけれども、東北新幹線がとまらないのに、何で雪の少ない方を走っている東海道新幹線がしょっちゅうおくれたりとまったりするのかという非常に単純な疑問がございまして、とまり始めてもう二十年でございますけれども、とまり始めて二十年たっていまだにとまるというのはどういうことかということで、ひとつ弁明をお願いしたいと思います。
  151. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えいたします。  まず東北・上越新幹線は、高架橋というコンクリートで固めた上に線路を敷いて極めて頑丈にできております。したがいまして、スプリンクラ、いわゆる消雪装置というのも十分できておりまして、いわゆる温水消雪装置のスプリンクラーを動かしまして完全に雪を解かし得るような構造にもなっておる。なおかつスプリンクラー、水をまくということでございますので、一つは取水の問題がございますが、高架橋でございますのでリターンの水が使えてそれをさらに再利用できるという、ある意味では非常に画期的な、勉強をした結果、そういったことで今年度の上越・東北につきましては、先生おっしゃるようにほとんどの運転阻害がなかった、列車に影響がなかったということでございます。  東海道新幹線は主体が盛り土区間ということで土盛りでできておりまして、土盛りでございますと水をまくにも限界がございます。したがいまして、現在とっております対策につきましては、どうしても雪を解かすというシステムではございませんで、雪をぬらして床下に着雪しないような対策になっております。なぜこういうことをやったかといいますと、当初開業以来二年後において、車両につきました雪が落下いたしまして、ハラストをはね上げて車両機器を壊して事故になったということから、できるだけ車両に雪のつかないようにするにはどうしたらいいかということでスプリンクラーというのをやったわけであります。残念ながら先ほど申し上げましたようなことで、上越の場合は一時間の量にいたしまして四十ミリから七十ミリくらいの温水をまいても大丈夫でございますが、東海道につきましては現在のところ三ないし五ミリ程度の、いわゆる大雨ということのない限界でやっているということでございます。  しかしながら、そうはいいましても、今年五百万人のお客様に御迷惑をおかけしたわけでございますので、昨年来三ないし五ミリの水が、もっと十ミリなり二十ミリなり、限界的にどの程度までふやし得るか、しかもそれは連続、間欠いろんな勉強をいたしておりますと同時に、もう一つのポイントは、今水をまいておるわけでありますので、この水をさらに十五度とか二十度に加熱してもっと効果を上げようというようなことで、そういった勉強をいたしております。したがいまして、精力的に現在進めております。  そのほかいろいろシェルターの問題だとか、あるいは赤外線で解かす方法だとかいろんな方法についてもあわせ検討を行っておりまして、現在の中で余り巨大なお金をかけずに、工期的にもそう時間がかかっては効果ございませんので、工期的にも短縮し得ると考えられるのがただいま冒頭に申し上げました温水消雪装置ではないかということで、この面について精力的に今詰めております。したがいまして、これについてぜひ来年間に合わすようにしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  152. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 本当はいろいろ聞きたいのですが、ちょっと時間の関係で三十五分には終わりたいと思いますので、あと一つだけお伺いしたいと思います。  今の話は、当然車両改造ということでいろいろやられている話も聞いておりますし、逆に路盤の土砂が流出をするという、いつも通っていて確かにそう思うわけです。その割にはかかっているのが物すごく細いノズルから出ておりまして、そういうので本当に大丈夫かな、単にぬらすだけ、落とす力もない、こういう感じを受けておりましたので、大量に降ったときには対処できないというような感じもあったようでございまして、ぜひ何らかの対応、そして車両の改造をお願いしたいと思います。  開業以来二十年ということでございまして、中にはちょっとおんぼろの車両も大分目立つようになりまして、本当にどこまでもつのかなというのも非常に気になるところでございます。非常に高速でございますから、加速度というか衝撃がかなり従来に増して強いということもございまして、車両の疲労、そして材料の疲労というものがかなり出てきているのではないか、それのチェックの方法、それからどういうふうな手順で取りかえをやっておられるのか、これについてお聞きしたいと思います。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 坂田浩一

    ○坂田説明員 新幹線の車両は在来線に比べまして倍ぐらいの速度で走っておる関係で、整備に当たりましてはそれなりの配慮をやらなければいけないということは御指摘のとおりでございます。  現在、新幹線の車両につきましては、二年半に一回オーバーホールという全般検査ということでやっております。その中間に二回、主として足回りであるところの台車検査というのをやっております。それから三万キロというところでチェックをやっておりまして、そういったことで安全性を保つように努力しておりまして、おかげさまで二十年間そういった事故がなかったということでございます。  ただし、先ほど御指摘がございましたように、新幹線はかなり高速で走っておりますので、各部の疲労がどうであるとかいろいろそういった問題がございますが、全般検査の都度各部の状態を十分系列的に履歴管理の状態で、あるいは絶縁の問題、あるいは車両の劣化問題いろいろな問題について履歴管理を施しております。その結果、新製後八年ぐらいたったときに若干の部分で経年変化の傾向が見られるわけでございます。したがいまして、そういったときに、八年ないし十年目の車両につきましては各部の劣化が進行しているということでございますので、そういった部分を全般検査の上、約五割ぐらいの費用、全般検査プラス半分ぐらいの費用をかけまして、主として傷んでいると思われる屋根鋼板だとか各部材、あるいは機器あるいは配線の取りかえ、あるいはモーターの更新とか絶縁更新といったようなことで、極力そういうことで安全を確保する体制を考えております。  ただ、そうはいいましても、かなり使ってまいりますと、今度は逆に陳腐化の要素あるいは修繕費がかさむという要素がございますので、現在はそういった経済的な事情、物理的な寿命あるいは陳腐化的要素を加味いたしまして、大体十五年ぐらいで取りかえております。そういったことで、今後ともそういうところをめどに取りかえていきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  154. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 心配なのはガラスなんですけれども、ガラスもあれは強化ガラスですね。強化ガラスというのは、あるところに圧力がかかりますと、その圧力がいつまでも固定しないでだんだん分散するわけですねバランスが崩れると急激に割れるということで、あの高速でガラスが飛び散ったならばどうなるかという心配がありまして、部分的にずっと見ていきますといろいろな問題が出てくる。それを本当に手順よくやっていただかないと、新幹線に乗っている方の事故よりも外の方に出ていく可能性もあるわけでございます。  そういう面では財政が非常に厳しい折、特に国鉄の経営内容から見て経費節減という大変大きな使命を持っておられるわけでございますが、この辺、なおかつ交通安全対策という意味でも、運輸行政を安全に進めるためにも思い切った対策というものをお願いしたいと思います。  本当は四十二分までなんですけれども、ちょっと時間がございませんのでこの辺でやめますけれども、また機会があったらお聞きしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  155. 坂井弘一

    坂井委員長 次に、辻第一君。
  156. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、航空機の安全運航に関連をして質問をいたします。  きょうは参考人として日航の平沢専務にお越しをいただいていると思います。お尋ねいたします。  まず第一に、日航の外人機長問題についてお尋ねをいたしますが、現在外人機長は何人ですか。また、この七年間ぐらいの変化を教えていただきたいと思うのです。
  157. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  現在、本年の四月で外人機長は五十三名でございます。それから、昭和五十年には外人機長が百三十三名おりましたが、その後毎年逐次減少をしてまいりまして、例えば昭和五十四年には八十九名、そして先ほど申し上げましたように五十九年の四月には五十三名、こういうふうな数でございます。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 昭和五十二年五月二十五日の当委員会で、当時の高木副社長、現在の社長が、できるだけ早く外人機長を日本人によって置きかえたい、このような御答弁がありました。その時期について、当初計画の昭和六十年から二年から二年半繰り上げて、大体五十七年の終わりか五十八年、このように述べておられるわけであります。御存じだと思います。現状を見ますと、既に五十九年度に入っているのにまだ相当数の外人機長が残っておるわけでありますが、どういうことなんでしょうか。
  159. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生からございました、五十二年当時の高木現社長の発言はそのとおりでございますが、それにつきまして現状を申し上げたいと思うんですが、当時の発言は、事業計画や機長養成が一定の前提のもとで推移いたしました場合に、昭和五十七年から八年ごろに日本人のみによる運航の維持が可能になるのではないか、こういう見通しを申し上げたわけでございます。  それはさらには、具体的には昭和五十年に作成いたしました当時の日本航空の長期機材展望というものを前提にいたしまして、さらに機長養成を年間約四十名のペースで行う、こういう想定でやった場合に、五十七年度末から五十八年度の初めにかけまして、日本人機長の配置数が総必要数を上回るであろう、こういう見通してございましたのでそう申し上げたわけでございます。しかしながら、その後の諸種の状況は当時の想定どおりに進行いたしておりません。そういう結果、外人機長が現在でもゼロにできない、こういう状況にございます。  その状況の変化と申しますのは、一つには当時の想定機数に比べまして毎年の総機数がふえている、こういうことでございます。一例を申し上げますと、五十八年度では当時の想定に比べまして八機総機数がふえておる、こういったようなことでございます。機数がふえますと、当然必要な機長の数がふえる、こういうことになります。  それから、機長の養成が、大変残念でございますが、当時想定した数に達してないということがもう一つございます。  それから三番目には、所有の機数を使いまして我が社の路線を運航するわけでございますが、長い距離を飛ぶ路線が増加をいたしました。これはそういう路線がふえますと、同じ一機の飛行機に対しましても機長の数を多く必要とする、こういうことになるわけでございます。  それから、その他例えば一昨年の我が社の事故の後、運輸大臣から勧告をいただきました安全対策の強化、こういったようなこともございまして、機長にそういう仕事もやってもらわなければいけないという点も若干ふえました。そういうことがありまして必要数が結果的に増加いたしましたために、今日なお外人機長が残っている、こういう状況になっております。
  160. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ今その理由をお述べになったわけでありますけれども、しかし五十二年当時、当時の高木副社長がおっしゃっていたこと、またその当時高橋航空局長だったと思うのですが、やはりその問題で、五十七年、五十八年度ぐらいをめどに外人機長を日本人に切りかえたい、そういう努力もしたい、こういうお話だった、運輸省もそういう御見解であったと思うわけであります。ところが現在五十四名ということですか、そういう状況であります。私は、やはりいろいろな理由があったにしても努力が足りなかったではないか、そういう側面があるように思います。中には、もうあれは前の方針で、今はそのようなことを考えていないというようなことを言われている。  昭和五十三年十月四日の日航本社において、朝田社長初め重役陣など日航当局側と、日航乗員組合との間の経営協議会が行われた。その席である重役は、外人雇用をなくすとの国会発言は発言時点における見通しの話であり、外人削減は行わない、このように発言をされた、こういうことも聞いているわけであります。そういうことでどうも十分な対応をとられなかったというふうに私どもは考えるわけであります。  次に、航空機の安全運航にとって良好な労使関係が不可欠だ、このように考えます。殊に、昭和四十七年からだったと思いますが、日航は約五件の大きな事故を起こしていらっしゃる、合計二百十四人だったと思いますが死者が出ているというような状況だと思うわけであります。そういう問題も含めて、私は本当に安全性ということをもっと大切にしていただきたいというふうに思うわけであります。数日前、運輸委員会で関西新空港の問題で質問をしたのですが、その中でも、ある航空会社社長さんは、安全を守るために毎日神様に祈るような気持ちでおる、このようなお話もあったのです。そういう点から、何としても航空機の安全運航を守るためには良好な労使関係が欠かすことのできない問題だ、こういうように考えます。日航の認識はいかがですか。
  161. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、良好な労使関係というものは、基本的に運航の安全あるいは我が社の事業計画、業務をやっていく上において非常に大事なものであるというふうに認識をしております。
  162. 辻第一

    ○辻(第)委員 ところで、三月に入ってから、日航の副操縦士の地上勤務の問題をめぐってたびたび新聞紙上をにぎわしておりますし、月末にはストライキがあったということでございます。この問題は、いわゆる経営の安定ということで、副操縦士を三十四名だったですか、地上勤務にさせようということであります。しかも、乗員組合の合意や納得を得ない状態で、これを業務命令として命令をしたというような状況の中でこの問題が起こっているということだと思うのですが、この外人機長の問題が本当に熱意を持ってやられて解決をしておられれば、私はこの副操縦士の地上勤務というような問題はまず出てこなかったのではないかと思います。それからもう一つは、もっと機長を養成するという点での御努力が足りなかったということもあったと思うわけであります。  いろいろな問題はあろうと思いますけれども、大体何年先には副操縦士はこれぐらいになるだろうとか、機長はこれぐらい要るだろうとか、そうきっちりはいかぬと思いますけれども、そこそこのめどは私はあると思うわけであります。今日は予測できたと私は思うわけであります。そうなりますと、機長をもっと養成するとか、そして外人の機長を日本人の機長にかえていく、こういうことがやられれば、このような問題はこういう状態にならずに解決をした、こういうことだと思うわけであります。  この問題では、乗員組合の方だけではなしに、機長会の方も見解を発表されているわけであります。「機長会として現在、行なわなければならない事は、今後副操縦士の乗務機会が減少していく現実を認識し、乗務機会増大・技リョウ維持向上が図られる施策の検討をすすめる事です。余剰時間活国策としての副操縦士の地上業務については、当該副操縦士の技リョウ低下につながるおそれがあり問題があると考えます。」このよう見解を発表されているわけです。これは五十八年の五月二十一日にこの見解を発表されて、そしてさらに五十九年三月八日にこの見解を再確認されております。さらに「会社の都合でどんな業務でも命ずる事ができるのであれば、機長を含めた全乗員の合意を得るのはむずかしいと考える。この問題で労使関係が紛糾し、争いが長期化ずるのは好ましくないと考える。」このよう見解も新たにつけ加えられているという状況であります。  全く一方的にこういう操縦士になる副操縦士の人に地上勤務をさせるということは、私はとんでもないことだと思います。私も言うなら技術者でありますが、副操縦士というのは長年訓練をして、そして技量が向上をして、もうすぐ機長になるというようなときは脂の乗り切っているときで、どんどん技量が上がっていく、そういう時期じゃないかと思うのです。  そういう時期に会社は見通しを誤りというんですか、十分な対策をとらずに、外人機長は十分減らないし、機長の養成も十分できていないというような状況、それだけじゃなしに、今度は地上勤務だというようなことになれば、これは合意や納得の得られるような問題ではないと私は思います。それを合意もないのに業務命令だと一方的に押しつける、そういう状況の中で、そうなればそれは組合も頑張りますから、ストライキというようなことになったわけだと思うのです。そのことはやはりお客にも迷惑をかけますし、また国民の信頼もそれで失われることになると思うのです。  私は、こういう状況の中で、日航当局はメンツだとかいろいろあると思うのですけれども、ここで副操縦士の地上勤務を白紙で撤回をされることを望むわけであります。しかも副操縦士が地上勤務するということによりまして、技量維持が低下をしてくる、私はそういうことも心配をするわけであります。労使の安定という面からも、あるいは技量が後退をするという面からも、安全性にとっても重大な問題があると私は考えるわけですが、いかがお考えか、お尋ねをいたします。
  163. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から副操縦士の地上業務に関連いたしまして、機長の養成その他いろいろなことについて御指摘がございました。  そこで、それにお答えを申し上げますが、その前に、まず副操縦士の地上業務撤回を求めまして、乗員組合が三月末に三日間連続でストライキを決行いたしました。利用者の方々を初め世間に多大な御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして、公共輸送事業の経営に当たる者といたしまして大変申しわけなく遺憾に存じております。それで、現在の私どもの考え方、あるいはなぜこういうことになっているかということについて御説明をさせていただきたいと存じます。  まず一番先に機長養成の点でございますけれども、私どもは、従来から可能な限り機長を養成するということで最大限の努力をしてきているつもりでございます。ただいろいろな要素がございます。養成の場ですとか、あるいは実際に養成に入った人の中で予想以上にフェイルをしたとかいろいろなことがございまして、先ほど申し上げましたように、初めに推定しました数には達しなかったという点は大変残念に思っておりますが、しかし関係者一同一生懸命努力をしてやってまいりました。今後ともそういう努力を続けていくということを当然のことながら考えております。  それで次に、副操縦士の余剰の結果として、その余剰の時間を活用して地上業務を手伝ってもらう、こういうことにつきましては、もともと操縦士、特に機長になるためには、操縦士要員として採用いたしましてから、私どもの会社でございますと十五年ぐらいかかるということでございます。したがって操縦士要員の採用というのは相当前向に計画いたしまして、そのときに長期の展望をしまして必要なと思われる数を採用するということでございます。  昭和四十三年から四十八年、高度成長の時代に、そういう高度成長を前提としまして、その先の長期計画というものに基づきまして当時操縦士要員を採用したわけでございます。したがいまして、これは相当な数の要員を採用いたしました。オイルショックが起きまして会社としてはその成長率が低くなったわけでございますが、そういう大量に採用しました操縦士要員がその後セカンドオフィサーになりまして、それからさらに五年を経ましてファーストオフィサーに昇格をしてきておる。したがいまして、現在ファーストオフィサーの数が必要以上に存在するという背景はそういう状況が一つあったわけでございます。  そこで、先ほど機長会の発言をリファーされたわけでございますが、私どもといたしましても、数がふえてまいりますと乗務できる時間というのは減ってまいります。したがいまして、それに対しましては乗務機会をふやす、しかし実際に操縦席に座る人数というのは便数によって限られてまいりますので、そうではなくて、もう一人その後ろにオブザーバーとして乗せまして、ほかの同僚のコーパイロットが乗務をしているのを後ろから見させる、機長が乗務をしているのを見させる、そういうことによって本人の教育、技量向上の効果がある、こういったようなことでのオブザーブということもやっております。  さらに技量の維持向上を図らなくてはならないということから、通常やっております定期的な訓練、審査のほかに追加いたしまして、例えばDC8型機でございますと実機の訓練も追加して実施しております。それからそのほかの機種でも、シミュレーターという地上の模擬飛行装置ですが、それを使いまして追加の訓練というものをそれぞれやっております。そういうことで技量の維持向上を図る。しかし、なお余剰の時間がございます。  第二次オイルショック以降、我が社としては深刻な経営環境に直面いたしまして、五十七年度には二百七十億円という未曽有の経常損失を出したわけです。それに対しまして五十九年度には何としても復配を達成しなくてはならないということで、現在、全社一丸となって取り組んでいるわけでございます。その中の一環といたしまして、人件費効率の向上という中で、やはり副操縦士の人にも余剰時間についてはぜひ会社、特に私どもは運航本部の中の地上の仕事を言っているわけでございますが、そういうものに参画をして手伝ってもらいたい、それによっては今後地上職の人員の増の要因を抑制できるとか、あるいはさらに、定着すれば地上定員を減らせるというようなこともございますし本人たちのためにもなる、こういうことでやっているわけでございます。したがいまして、副操縦士の技量が下がるとか、あるいは安全運航に問題が出るとかいうようなことにならないように十分配慮した上でこういうものについてもらいたい、こういうふうに言っているわけでございます。  したがいまして、現在はこういう状態になっておりますが、さらに一層そういった会社の考えているところをよく説明を続けまして、そして理解をしてもらっていく、こういうことにさせていただきたいというふうに思っております。
  164. 辻第一

    ○辻(第)委員 今るる御説明をいただいたわけでありますけれども、私はとても納得はできないですね。やはりそういう副操縦士を地上勤務にさせるというようなことは、どう考えてみても安全性あるいは技量の低下を招く、いずれにしても安全性に問題がある、こういうふうに私は考えざるを得ません。  時間がありませんので、いろいろ申し上げたいことがあるわけですが、三十四人、一カ月に五日間ですか、それをやってみてそれで経営的にどうなるのか。そんなことをやって労使がこういう紛争になって、そしてお客さんにも御迷惑をかけて、それでうまくいくのか。私は、一方的にそういうことを押しつけて、合意なしに業務命令としてやらす、押しまくるということは、どう考えてみても納得できません。私は、ぜひ日航の経営側の案を白紙撤回されて、今後話し合いを進められるべきだ、こういうふうに強く要望をするものであります。  最後に運輸省お尋ねをしたいと思うわけでありますが、外人機長の問題も、努力をいたします、そういうふうに指導をいたします、こういう話であったわけでありますが、現実はこういうことであります。そういう問題と、そして今副操縦士に地上勤務をさぜるというような、技量の低下につながり、それが紛争につながり、安全性が低下をする、このよう状態が起こっているわけであります。この問題を正しく解決をされるためにぜひ御努力をいただきたいと思うわけでありますが、御見解を聞きたいと思います。大臣ひとつ。
  165. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 今お話がございました中で、外人機長の問題につきましては、やはり日本人機長の養成を促進するというところが一つポイントでございます。その点については、運輸省といたしましても、日本航空に対して従来から指導をしてまいったところでございますが、当初の予想とは違ったよう条件の中で、当初考えておったようなことには必ずしもなっていないという点は日本航空の方から説明したとおりでございます。しかし、本年に入りましてからは機長養成の点も軌道に乗り始めておるようでございますし、なお従来からの方針に従って進めていかなければならないと思っております。日本人機長の養成の問題は今後とも促進されていくものと考えております。  それから副操縦士の地上勤務の問題でございますけれども、これにつきましては私ども報告を受けております。  これにつきましては、御承知のように、臨調答申もございまして、厳しい経営環境の中で日本航空が経営体質の改善を図っていくという努力のあらわれであるというふうに受けとめております。私どもといたしましては、この問題は、日常の運航とか安全に支障がない範囲内である限り、労使間において十分お話し合いをして円満に解決されるべきものであるというふうに考えております。この問題は、聞くところによりますと、一年前からの話で、いろいろ話し合いもあったようでありますが、なお労使間の話として十分話し合いをして、利用者にもできるだけ迷惑をかけないようにやっていただきたいと考えております。
  166. 細田吉藏

    細田国務大臣 外人のパイロットの問題につきましては、極力早くなくするという方向で強力にやるべきだと思います。  後の問題に対しましては、あなたの御意見は御意見でございますけれども、これは労使双方立場がありまして、話し合いをしていただく、円満な労使関係が、特に安全確保の点、日航の経営の点から見て重大であることはもう言うまでもございませんから、十分話し合ってもらいたいですね。それで、ストライキというのはないことにしてもらわないと、国民の日航に対する信頼が失われますから、労使双方でないように努力をしてもらいたい、こう思っております。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、ストライキをしなくても済むようなきちっとした対応を経営としてやっていただきたい、原因経営の方にあるということを私は指摘をいたしまして、運輸省としてもしっかりした対応をしていただきたいということをお願いをして、質問を終わります。
  168. 坂井弘一

    坂井委員長 次回は、明十九日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時八分散会