運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-05-18 第101回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十八日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 浜田 幸一君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 中島  衛君 理事 井上  泉君    理事 木間  章君 理事 新井 彬之君    理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    金子原二郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       東家 嘉幸君    野中 広務君       東   力君    松野 幸泰君       村岡 兼造君    森田  一君       上野 建一君    竹内  猛君       前川  旦君    山中 末治君       古川 雅司君    伊藤 英成君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁土地局長 永田 良雄君         国土庁大都市圏         整備局長    杉岡  浩君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         文化庁文化財保         護部記念物課長 田村  誠君         厚生省年金局資         金課長     熊代 昭彦君         海上保安庁警備         救難部長    宗形 健壽君         自治省財政局交         付税課長    遠藤 安彦君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       島川 庸一君         参  考  人         (首都高速道路          公団理事)  並木 昭夫君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  実君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   関  晴正君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     関  晴正君 同月十日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     藤本 孝雄君   金子原二郎君     江崎 真澄君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     金子原二郎君   藤本 孝雄君     池田 行彦君     ――――――――――――― 五月九日  都市緑化促進法案藤原房雄君外二名提出、参  法第九号)(予) 同月七日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (岩垂寿喜男紹介)(第四〇〇三号)  同(安田修三紹介)(第四〇〇四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第四〇〇五号) 同月八日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (愛野興一郎紹介)(第四二五五号)  同(岡田利春紹介)(第四二五六号)  同(齋藤邦吉紹介)(第四二五七号)  同(渡辺省一紹介)(第四二五八号)  国民生活関連公共事業推進に関する請願斉藤  節君紹介)(第四三一一号)  国民生活関連公共事業に関する請願斉藤節君  紹介)(第四三一二号) 同月十日  国民生活関連公共事業に関する請願大橋敏雄  君紹介)(第四三七九号)  二分脊椎症児者有料道路割引に関する請願  (唐沢俊二郎紹介)(第四四九四号) 同月十一日  国民生活関連公共事業に関する請願坂井弘一  君紹介)(第四五四六号)  同(津川武一紹介)(第四六二五号)  同(三浦久紹介)(第四六二六号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (林義郎紹介)(第四六九一号)  同(若林正俊紹介)(第四六九二号) 同月十二日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (佐藤誼紹介)(第四九一七号)  (岡田邊誠紹介)(第四九一八号)  同(松沢俊昭紹介)(第四九一九号)  同(山中末治紹介)(第四九二〇号)  国民生活関連公共事業推進に関する請願外一件  (瀬長亀次郎紹介)(第五〇一三号) 同月十四日  国民生活関連公共事業に関する請願関山信之  君紹介)(第五一一二号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (工藤巌紹介)(第五一七四号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第五一七五号)  同(池端清一紹介)(第五三五五号)  同(福家俊一紹介)(第五三五六号) 同月十五日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (瓦力紹介)(第五四八四号)  同(野間友一紹介)(第五四八五号)  国民生活関連公共事業に関する請願梅田勝君  紹介)(第五五七七号) 同月十六日  国民生活関連公共事業に関する請願吉浦忠治  君紹介)(第六一二六号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (福岡康夫紹介)(第六二五三号) 同月十七日  国民生活関連公共事業推進に関する請願小沢  和秋君紹介)(第六五〇九号)  同(津川武一紹介)(第六五一〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  山陽自動車道建設促進等に関する陳情書  (第二八四号)  中国横断自動車道建設促進に関する陳情書  (第二八五号)  高規格幹線道路網建設計画推進に関する陳情  書  (第二八六号)  四国縦貫横断自動車道建設促進に関する陳  情書  (第二八七号)  一般風道バイパス建設促進に関する陳情書  (第二八八号)  水資源対策に関する陳情書  (第二八九号)  直轄河川改修事業促進に関する陳情書  (第二九〇号)  国営備北丘陵公園建設促進に関する陳情書  (第二九一号)  公共事業費後進地域に対する重点投資等に関  する陳情書  (第二九二号)  下水道整備促進に関する陳情書外一件  (第二九三号)  道路下水道等都市整備充実に関する陳情書  (第二九四号)  生活排水処理対策整備に関する陳情書  (第二九五号)  半島振興法制定促進に関する陳情書外二件  (第二九六号)  地震財特法期限延長に関する陳情書外十一件  (第二九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 浜田幸一

    浜田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事京須実君理事救仁郷斉君、理事武田晋治君、首都高速道路公団理事並木昭夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浜田幸一

    浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 浜田幸一

    浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子原二郎君。
  5. 金子原二郎

    金子(原)委員 私は、今回、浜田委員長の温かい御配慮によりまして、本委員会にて国会議員として初めて質問の機会を与えられましたことを光栄に存じ、心からお礼を申し上げます。  それでは質問させていただきます。  まず第一に、公共事業執行に関することをお伺いいたします。  物価の安定と景気回復をより一層確実にするため、去る四月十七日、公共事業前倒し基本方針閣議決定されておるわけでございますが、その内容についてまず御説明いただきたいと思います。
  6. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  去る四月十七日の閣議におきまして、昭和五十九年度上半期におきます公共事業等事業施行等につきまして、その基本方針等が決定されたわけでございますが、その骨子は、物価の安定を確保しつつ、景気回復基調をより一層確実なものとするため、上半期におきまして、内需振興に資するような執行を行うこととし、景気動向に応じて機動的、弾力的な施行推進すること、及び施行に当たっては、各地域経済情勢に十分配意し、景気回復のおくれている地域におきましては、地方公共団体との緊密な連携のもとに施行促進を図ることでございます。
  7. 金子原二郎

    金子(原)委員 景気回復をより一層確実なものとするために、上半期において、内需振興に資するような執行を行い、景気動向に応じた機動的、弾力的な施行推進すること、そして施行に当たっては、各地域経済情勢十分配慮して、景気回復のおくれている地域おいで促進を図る必要があることなどは、私にも十分に理解できます。  そこで、建設省ではこれに対する具体的な方法についてどのように考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  8. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 建設省におきます五十九年度の上半期事業執行につきましては、ただいま御説明申し上げました閣議決定趣旨に沿いまして適切な執行を図るよう都道府県関係公団等に通達をいたしておりますが、その施行につきましては、適切に執行することは当然ですが、地域経済への配慮、さらに建設関係産業振興という観点から、積極的対応を図ることといたしております。  なお、上半期の具体的な契約率目標につきましては、現在都道府県等意向調査中でございますが、ただいま申しましたような対応を進めていくという前提で考えましたところ、現在得ております各都道府県状況等によりますと、おおむね前年度と同程度並み執行が図られるものと考えております。
  9. 金子原二郎

    金子(原)委員 五十八年度においては、上期の前倒しを七三・五%とし、下期の事業確保するために補正予算による追加措置を講じておるわけでございます。当然五十九年度においても、下期の公共事業量確保のために補正が必要と考えられるわけでございますが、大臣はこの点についてどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  10. 水野清

    水野国務大臣 今年度の上半期前倒し方針その他については、今、官房長からお答え申し上げたとおりでございますが、さて、およそ四分の三ぐらいの事業費上半期施行するとしましたら、下半期は四分の一しか残らないわけであります。そうしますと、下半期建設業における受注の動向はどうなるかということはおよそ予想ができるわけでありまして、下半期公共事業費確保については、私としても大変憂慮をしているところでございます。しかし、直ちに今、それだからといって、その次の点についてまだ私がここで公式に申し上げる立場にないので、私の気持ちを申し上げるだけでひとつ御容赦を願いたいと思っているわけでございます。  しかしいずれにいたしましても、建設省としては、公共事業日本経済に及ぼす影響内需中心安定成長に果たす役割などを勘案いたしまして、内外の経済情勢十分配慮をしながら適切な措置が講ぜられるように今後対処していきたい、かように思っているわけでございます。
  11. 金子原二郎

    金子(原)委員 先ほどの御答弁によりますと、特に地域によっていろいろと配慮をするといった答弁があっているわけでございますが、特に公共事業による影響の大きい地域公共事業の仕事の量によって、その地域によっては大変いろいろと景気に変動をもたらすといった特定地域というのをある程度指定して、その地域については特に力を入れてやるといった話も聞いているわけでございますが、その地域についてどのような地域をお考えになっているのか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  12. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 去る四月十七日の閣議におきまして定められました、地域経済情勢十分配慮するといったようなことを具体的にどのように考えていくかということにつきましては、政府に設けられました公共事業等施行対策連絡会議におきましていろいろと御議論があったわけでございますが、現在のところ、この閣議趣旨に沿いまして施行促進を図る地域といたしましては、五十八暦年鉱工業生産指数が前年以下であり、かつ、五十八暦年有効求人倍率が〇・五以下である都道府県地域、または五十八暦年有効求人倍率全国水準の半分以下である都道府県地域という基準に当てはまる地域を選ぶような方向で考えております。  しかしながら、その他の地域におきまして、ではどうするかということになりますが、私どもといたしましては、ただいま先生からお話がありましたように、公共事業依存度の高い地域あるいはまた全体的にこの係数だけではかってはまだ十分実態が把握し切れないような地域もありますので、地域実情をさらによく公共団体とも御相談をしながら、その公共団体意向を踏まえた契約率等考えていきたいというふうに考えております。
  13. 金子原二郎

    金子(原)委員 現在考えられております地域は大体どういうところをお考えになっているか、それをお答えいただきたいと思います。
  14. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま申し上げました二つの基準で機械的に選びますと、現時点で集められましたデータに基づきますと、北海道、青森、秋田、兵庫、和歌山、高知、福岡、長崎、鹿児島、沖縄の各都道府県がこの基準に当てはまることとなっております。
  15. 金子原二郎

    金子(原)委員 従来、公共投資前倒しの場合、政府基準を設けまして、昨年だったら大体七三・五%程度前倒しをしなさいというような、そういった指導全国になさっているわけでございますが、今回は政府でそういった数字を特別決めておやりになっていないようでございますが、その点はどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  16. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 本年度は昨年度と違いまして、経済回復基調をより一層確実なものとするように機動的、弾力的に対応するといったような考えのもとに、特別に契約率方針閣議におきましては決定いたしておりませんでしたが、この閣議決定趣旨に沿いまして、建設省といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在関係公共団体と打ち合わせをいたしております。その公共団体意向等踏まえながら、具体的には、私どもといたしまして近いうちに上半期におきます契約済み額の割合の目標を定めることといたしておりますが、現在まで得られました情報では、建設省といたしましては、おおむね昨年度並み目標になろうかと考えております。
  17. 金子原二郎

    金子(原)委員 そうしますと、今回の場合は、特にそういった指定地域をある程度定めて、その地域については前倒しを認めるという形になりますと、仮にそういった要望のなかった地域についてはどのようにお考えになっているのか。
  18. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどお答え申し上げました具体的な地域の府県の名称につきましては、係数の上でやはり景気回復がおくれているといったような実態にあろうかと思いますので、これらにつきましては、当然促進的な配慮をするわけでございますが、先ほど申しましたように、名前が挙がっておらない地域におきましても、最新のデータ等によりまして、なお景気回復がはかばかしくないというようなものが出ましたら、それはそれでまた考えさせていただきたいと思いますし、それからまた公共団体意向によりまして、自分の県なり市町村ではもっと相当に進捗が図れる、またぜひそのようにやってもらいたいという要望のありますところにつきましては、私どもも積極的に御相談に応じてまいる、そういうようなことで全体的なバランスをとってまいりたいというふうに考えております。
  19. 金子原二郎

    金子(原)委員 従来はそれぞれ前倒し率を決めて各県とも同じような比率で前倒しをするわけでございます。そしてまた、そのした後、下期には大体補正を組んで追加工事を発注しているわけです。そうしますと、今回のように、地域によってアンバランスと申しますか、ある地域はある程度前倒しをする、この地域はしないといったアンバランスが生じた場合、仮に補正予算を後で措置した場合に、その辺の地域によっての格差に対してどのようなお考えで対処するか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  20. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 現段階におきましては、ちょっとまだ補正の有無あるいはまた補正後の措置につきましては、私お答えできるような状況にございませんが、まず上半期におきましては、ただいま申し上げましたような地域経済動向を十分踏まえて適切に対応して、景気回復に資するという立場から事業を進めてまいりたいと思いますし、また下半期対応につきましてどのような状況になりますかわかりませんが、地域経済全体の情勢あるいはまた公共事業執行状況等々を勘案いたしまして、総合的に、無理のないように、また結果的に見て公平、バランスがとれるように考えていきたいと思っております。
  21. 金子原二郎

    金子(原)委員 仮に前倒しをした場合は、先ほどの大臣答弁にございましたとおり、四分の一以下の工事量しかないということになりますと、地域によっては大変経済に大きい影響を与えますので、その点はぜひ下期に対しての手当てというものを十分大臣の方で御配慮をしていただきますことをお願いしたいと思います。  次に、六十年度以降の公共投資についてお尋ねいたしますが、道路河川公園とか下水道住宅などの公共施設整備は、国民生活向上と活力ある経済社会の実現を図るために必要不可欠なものであります。我が国の公共施設整備水準は、先進諸国に比べますとまだ相当低い状況にあり、その向上に対する国民のニーズは強いものがあります。しかしながら、公共事業関係予算は五十五年以降抑制され続けているわけでございます。そこで、六十年度以降の公共投資について、大臣はどのようなお考えをお持ちになっているか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 水野清

    水野国務大臣 日本社会資本整備水準というのは、欧米先進国に比べましておおむね二分の一以下の水準、非常に著しく立ちおくれていることは御承知のとおりでございます。そこで、このおくれを取り戻すために、過去各次五カ年計画を策定をしまして、早く安全、快適な国民生活確保しようということでやってまいりました。また景気維持拡大に努めるためにも、公共事業を着実かつ計画的に推進することが必要だということでやってまいったわけでございます。さて、建設省としては、昭和六十年度の予算編成概算要求がそろそろ始まるわけでございますが、昭和六十年度以降も必要な事業費確保にどうしても努めていきたい、公共投資計画的な推進をやっていきたいということで鋭意努力している最中でございます。せっかくの御指導をひとつまたお願い申し上げる次第でございます。
  23. 金子原二郎

    金子(原)委員 さしあたって六十年度の公共事業関係予算についてでありますが、先般自民党建設部会から、前年度を大幅に上回る予算額確保すること、そして、そのためには当面する概算要求枠の設定に当たっても、これを踏まえたものとするという要請が建設大臣に提出されていると思いますが、この点に対して大臣決意のほどをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  24. 水野清

    水野国務大臣 ただいまも申し上げましたとおり、日本社会資本充実度といいますか成熟度というのは、御承知のとおり非常に低い。また、今、日本が国際的に置かれております経済情勢は、非常に輸出に偏っておって、ともすれば経済摩擦を国際的に起こして問題にされている、こういう実情にあるわけでございます。ですから、どうしても内需振興拡大を図っていくのが、私は、日本経済の今、基本的な命題だ、かように思っております。  そこで、それでは内需の刺激、拡大をするのは何が一番よいかといいますと、経済効率その他から申しまして、公共事業促進ということが一番日本経済に寄与する、いろいろな過去のデータから申しましても、寄与率公共事業費による景気拡大というのが一番高いということは示されているとおりでございます。そこで、公共事業費財源の問題でございますが、そのほとんどが特定財源及び建設公債によって賄われているわけでございます。したがって、昭和六十年度の公共事業関係予算概算要求に当たりましては、ただ単に財政事情だけでなくて、社会資本整備がいかに必要であるかあるいは経済状況などを総合的に勘案して、適切な要求枠が設定されるように、建設省としては目下最大限の努力をしているところでございます。  しかし、私はただいま自民党建設部会から、これを御支援いただく、あるいはむしろ御鞭撻をいただくようなお申し入れをいただいたわけでございます。私どもといたしましても、昭和六十年度の予算編成に当たっては、私個人といたしましても、重大な決意を持って、建設省のただいま申し上げました方針を貫いていきたいという考えを持っておりますので、どうぞひとつよろしく御指導のほどお願いを申し上げる次第でございます。
  25. 金子原二郎

    金子(原)委員 今、大臣の重大な決意をお伺いしまして、大変心強く思うわけでございますが、そこで、ここで道路財源となっている自動車重量税についてお尋ねしたいわけでございますが、本来、道路財源のための諸税は、道路整備費に充当するという約束のもとに、昭和四十六年度から国民負担を求めているわけでありますが、昭和五十七年度からはこの約束が履行されていないのは、私としても非常に残念です。  そこで、現在自動車重量税による財源がどのような形になっているのか、そして昭和六十年度予算にはどのような姿勢でこれに取り組むつもりなのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  26. 水野清

    水野国務大臣 道路財源でございます揮発油税自動車重量税等のいわゆる道路特定財源は、受益者負担あるいは損傷者負担考えのもとに、道路整備費に充てることとして、道路利用者に特別の御負担を求めているものであります。  歳出予算抑制に伴って道路予算抑制またはマイナスの状況にありますために、昭和五十七年度以降、道路特定財源歳入予算額歳出予算額を上回って甘いわゆる自動車重量税オーバーフローというものを生じていることは御承知のとおりであります。このため昭和五十九年度予算編成時におきまして、自動車重量税の取り扱いにつきまして、大蔵、建設両省において折衝した結果、自動車重量税については制度の創設の趣旨、経緯から、今後とも道路特定財源としての原則にのっとって運用を行うものとすることで了解をしたところでございます。したがって、昭和六十年度予算編成に当たっては、自動車重量税にかかわる道路特定財源は、全額道路整備費に充当されるようその具体的な方策について大蔵省とも折衝の上検討してまいりたい、かように思っております。
  27. 金子原二郎

    金子(原)委員 いろいろと大臣にお考えを賜ったわけでございますが、現在の景気浮揚に最も効果的なのは、先ほども大臣が御答弁なさりましたように、大幅な公共事業早期着工であると思います。その意味におきましても、大臣に対する国民の期待は非常に大きいものがあると思います。あらゆる手段を講じて、ぜひ財源確保に全力を挙げていただくことを強く要望いたしまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。  次は、地元長崎県の問題でありますが、一昨年七月の下旬長崎県を襲った大雨は、我が国観測史上初めてという記録的なもので未曾有の大水害をこうむりました。その当時私も県議でありましたが、目を覆わぬばかりの惨状をつぶさに見て、必死の思いで復旧対策に全力を尽くした一人であります。その間、国会並びに政府関係の当局におかれましては、迅速に対応していただくとともに、引き続き格段の御配慮を賜り、復旧工事も着々と進捗いたしております。これに対して心からこの場をおかりして感謝を申し上げる次第でございます。  さて、長崎県においては、この大水害の反省と教訓を踏まえ、総合的な防災対策の上に立った新しい都市づくりが必要であるとの観点から、長崎防災都市構想策定委員会を設置し、昨年の十月にその答申を得ております。  この答申の中では、「総合的な治水対策の推進」と「安全な斜面空間の創成」が強調されており、特に長崎市中心部を流れる中島川については、景観に十分な配慮をした上での河川改修が提言されております。私もこの答申の作成に参画した関係上、その中の数点についてお伺いしたいと思います。  まず第一点は、長崎のような歴史的な市街での河川改修事業は、町並みと調和のとれたものが必要と考えられます。建設省におかれましても、その点十分配慮をいただいておると思いますが、その具体策についてどのように考えているか、お尋ねしたいと思います。  第二点については、より安全な治水対策として、長崎水害緊急治水ダム事業は文字どおり緊急を要するものと理解しておりますが、この事業促進について、また見通しについてお尋ねしたいと思います。  第三に、長崎大水害の犠牲者二百九十九名の約八割は、がけ崩れ、土石流によるものであり、被災地は無論のこと、危険が予想されている箇所は早急な対策が必要であります。これは地域住民こぞっての願望でもありますので、その対策についてお尋ねしたいと思います。  以上、三点について、建設省の具体的な対応についてお聞かせいただきたいと思います。
  28. 井上章平

    井上(章)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の、中島川の改修についてでございますが、先生ただいま御指摘ございましたように、五十七年七月の豪雨によりまして、長崎市を中心に大災害が発生したわけでありますが、特に市内を流れます中島川、浦上川につきましては、浸水による一般被害が非常に激甚であったわけでございます。したがいまして、この二カ所につきましては、再度災害防止の観点から、河川激甚災害対策特別緊急事業を適用いたしまして、ただいま改修の促進を図っておるところでございます。  そのうち、中島川については、特に国指定の重要文化財でございます眼鏡橋を初めとする数多くの石橋群の問題等、地元において解決しなければならない問題が数多くございます。このため、ただいま先生からお話がございましたように、長崎県におきましては、県知事の諮問機関として長崎防災都市構想策定委員会が設置されて、昨年十月に答申を得たところでございます。この答申の中では「中島川改修にあたっては、景観に十分配慮するとともに」、眼鏡橋については、「市民の意向と模型実験の結果を踏まえ、現在位置に残すことが望ましい。」とされております。この答申を受けまして、現在長崎県におきましては、眼鏡橋を現在位置に残すこととして、分水路の具体的な設計を進めておる段階でございます。私どもといたしましては、事業実施主体であります長崎県の意向を十分に尊重いたしまして、地域社会と調和のとれた河川改修が促進されますよう努力してまいりたいと考えております。  それから、第二点でございますが、緊急治水ダム事業でありますが、これにつきましては、特にただいま申し上げました中島川、浦上川の抜本的な治水対策の一環といたしまして、既設のダム、これはいずれも水道専用ダムでございますが、容量振りかえによって治水容量を確保しようという考え方でございます。  中島川につきましては、上流既設の本河内高部ダム及び西山ダムの容量振りかえによりまして、必要治水容量百二十三万立方メートルを確保しようといたしております。また浦上川につきましては、浦上ダムの容量振りかえによりまして、同じように百六十八万立方メートルの治水容量を確保いたす所存でございます。  この計画によって振りかえられます利水機能につきましては、近傍の雪浦川と八郎川に新たに二つのダムを建設いたしまして、洪水調節二百二十六万立方メートルを確保するとともに、ただいまの振りかえ分の必要利水容量を確保しようという計画でございます。  本事業は以上のとおりでございますが、この事業促進に当たりましては、地元関係者の理解と協力を得ることがまずもって重要な事柄でありまして、現在鋭意努力をいたしているところでございます。現在のところ、ボーリング等の地質調査を重点に実施しておりますが、今後、本事業早期着工ができますように鋭意促進を図っていく所存でございます。  次に、第三点であります土石流対策、がけ崩れ対策でございますが、御指摘ございましたように死者二百二十名、家屋の全半壊七百二十九戸という未曾有の大災害が発生いたしました。これに対しまして、直ちに緊急砂防事業及び緊急急傾斜地崩壊対策事業をもちまして約九十六億円の事業を実施したわけでございますが、同時に砂防激甚災害対策特別緊急事業百四十億四千六百万円を採択いたしまして、現在鋭意事業を進めておるところでございます。  五十九年について申し上げますと、砂防激甚災害対策特別緊急事業といたしましては、四十三渓流三十億三千万円で、またがけ崩れ対策といたしましては、急傾斜地崩壊対策事業八十九カ所二十三億二千四百万円の実施を予定いたしておるところでございます。このほか総合的な土石流対策の推進に関しまして、長崎県総合土石流対策推進連絡会を設置いたしておりますが、関係部局とも調整の上、万全の土石流対策の実施を図ることといたしておるところでございます。
  29. 金子原二郎

    金子(原)委員 それぞれ御懇切な御答弁をいただいたわけでございますが、ぜひ十二分の配慮をしていただきますようにお願いしておきたいと思います。  ただ、私が一番心配しておりますのは、それぞれの災害の復旧工事については、地元の協力もあり、建設省の積極的な援助のもとに非常な進捗率を見ているわけでございますが、特に激甚災害で仕事をやるようになっております中島川と浦上川の二つの河川があるわけでございます。浦上川については大体進捗率も順調に推移しているわけでございますが、先ほど私が冒頭述べました中島川については、仕事が非常におくれております。激甚災の場合は、大体五年間でその仕事を終えるように決まっているわけなんでございます。したがって、五十七年度から六十一年度ということになっているわけでございますが、特に中島川については、現時点でもまだ六%の進捗率でございます。結局、この中島川についてこういった形でなかなか仕事が進まないというのは、あの地域は観光的にも非常に重要なところでございますし、先ほど答弁にございましたとおり、眼鏡橋という歴史的な橋もあるわけでございます。したがって、そういった調和のとれた今後の工事というものを考えていった場合、なかなか地域住民の理解が得られない、非常に難しいというのが一番のネックになっているわけでございます。したがいまして、ことしを入れてあと三年間あるわけでございますが、もしも仮にこれが地域の住民との話し合いがなかなかスムーズにいかず、激甚災は五年以内という規定が決められている範囲内でこの工事を終えることができないということになった場合、建設省としてはどのような御配慮をしていただくか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  30. 井上章平

    井上(章)政府委員 いわゆる激特事業につきましては、再度災害を防止するために短期間に集中投資を行うという考え方でございまして、まさに緊急事業でございますので、したがいまして、おおむね五カ年間にその事業目的を達成するという考え方でつくられた事業でございます。  この中島川につきましても同様な考え方で現在進めておるわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、県におきまして用地処理に大変御努力をされておりますが、難しい問題があるように承っております。  工期の延期の是非でございますが、従来とも、この激特事業につきましては五カ年間で完成し得なかった例もございます。六年、七年と延びた例もございますので、必ずしも五カ年と限定されておるというふうには私ども考えていないわけでございますが、もともとこの事業趣旨から申し上げますと、やはり早期に達成することが大事な事業であるということでございますので、今後とも長崎県と連絡を密にいたしまして、事業効果が早期に発揮できますように努力してまいりたいと考えております。
  31. 金子原二郎

    金子(原)委員 どうぞよろしくお願いいたします。  それぞれお答えをいただいたわけでございますが、こういった大きな水害を経験といたしまして、治水対策は国土の保全の上からも重要な施策であるように思えるわけでございます。災害復旧も重要ではございますが、災害を未然に防止することが一番大事じゃないかと考えるわけでございます。そういった点から考えて、治水事業、砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業などの促進がぜひ急務であると考えるわけでございますが、その点に対して大臣いかがお考えか、お尋ねしたいと思います。
  32. 水野清

    水野国務大臣 日本は、御承知のとおり非常に山岳地帯が多い自然条件から、毎年災害が多く、その災害によりまして多くの生命財産が失われております。国土を保全して国民の生命財産を災害から守ることは国政の基本でもございますし、建設行政の最大の重要な問題点であることは御承知のとおりでございます。  そこで、このために治水事業、砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業等の国土保全施設の整備を強力に推進しなければならない、また現にやっている最中でございます。建設省としては、現下の大変厳しい財政状態ではございますが、第六次治水事業五カ年計画に基づきまして治水事業並びに急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画に基づく急傾斜地崩壊対策事業推進に最善の努力をしていくつもりでございます。
  33. 金子原二郎

    金子(原)委員 よろしくお願いいたします。  次に、長崎県の道路について最も要望の大きい三点についてお尋ねしたいと思います。  まず第一点は、九州横断自動車道建設促進についてでありますが、建設省日本道路公団の御尽力により着々とその実現に向かって進捗しておりますことに対して深く謝意を申し上げる次第でございます。特に九州横断道内の長崎多良見インターより大村インター間が昭和五十七年十一月、横断道路としては初めての開通を得たわけでございますが、これは日本列島の最西端である長崎県にとって経済の活性化及び地域文化の振興を図る上でも大いに期待されているわけでございます。  さて、九州横断自動車道整備状況は、長崎市より大分市まで二百四十五キロメートルのうち長崎−多良見聞十キロメートルを除く二百三十五キロメートルで整備計画が決定されており、それぞれの区間で路線発表のための調査及び用地買収、工事の促進が進められているわけでございます。全区間の開通は六十年代の後半と言われているわけでございますが、社会経済面で立ちおくれている長崎県といたしましては、この横断道の早期開通が必要不可欠なものとなっているわけでございます。開通の見通しと、できましたら、大村−嬉野間を嬉野−武雄間と同時に供用開始できないものか、その点についてまずお尋ねしたいと思うわけでございます。  第二点は、一般国道三十五号武雄佐世保道路は、長崎県北部における産業、経済、観光、文化の中心地である佐世保市や波佐見、三川内などの陶磁器生産地帯と九州の中心地を連結する重要な路線であり、その早期完成が地元から熱望されているわけでございますが、これに対しての今後の見通しについてお尋ねしたいと思います。  第三点は、早岐から佐世保市内へ向けての交通緩和対策は、昨年十一月に針尾バイパスの早岐瀬戸大橋の供用により多大の効果を上げているわけでございますが、今後は佐世保市内流入地点である大塔町より佐世保市街へ向けての交通緩和策が急務であると考えられているわけでございます。この点に関して建設省としてはどのようにお考えになっているのか。  以上の三点について前向きの御見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  34. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 御説明いたします。  第一点の九州横断自動車道の現状と整備の見通してございますが、九州横断自動車道は、先生今おっしゃられましたとおり、長崎市を起点とし、大分市に至る延長約二百四十五キロメートルの高速自動車国道でありまして、長崎市内の一部を除き約二百三十五キロメートルについて整備計画が既に決定されております。長崎市内の方は、道路公団の一般有料道路である長崎バイパスの四車線化をいたしておりますので、当面はこれを使わしていただきたいというふうに考えております。  このうち長崎多良見インターチェンジから大村インターチェンジ間の約十七キロにつきましては、先生お話のありましたとおり、一昨年供用させていただいたものでございます。大村市から嬉野町の間約二十二キロメートルにつきましては、路線の地元説明中であり、嬉野町から武雄市間約十六キロメートルについては、一部区間では用地買収のための協議に入っておりますし、残る区間につきましても、早期に幅くいを設置すべく地元関係者と協議を進めているところであります。また、武雄市から鳥栖市間約五十一キロメートルにつきましては、現在ほぼ全面的に工事を実施いたしております。鳥栖市から大分市間は、玖珠町から湯布院町間を除き施行命令が出されております。このうち鳥栖市から朝倉町間は工事中であり、残る区間についても用地買収及び路線の地元説明等の事業を進めているところであります。  事業の進捗は、用地買収等に要する日時に大きく左右されるものでございますが、大村市から武雄市間の供用は昭和六十年代中ごろになる見通しであり、武雄市から佐賀市間の供用は昭和六十二年度末までに、また佐賀市から鳥栖市間については昭和五十九年度中にも供用すべく鋭意努力しておるところであります。残る鳥栖市から大分市間についても、一部区間は早期に供用いたしますが、全体が供用するのは昭和六十年代後半になる見込みでございます。したがって、九州横断自動車道が全線供用できますのは、昭和六十年代後半になるというふうに考えております。  先生、今御指摘の大村市から嬉野町間と嬉野町から武雄市間の同時供用についてでございますが、この区間については施行命令の時期が大幅に違っておりまして、大村市から嬉野町間が昭和五十三年十一月に、嬉野町から武雄市間が昭和四十八年十月と五年の差があります。このために事業の進捗度合いも異なっておりますので、できたところから供用させていきたいということで、施行命令の早く出された方が幾分早目になるかとは思いますが、ともかく一日も早く供用するように努力していきたいというふうに考えております。  それから二番目の、一般国道三十五号線の武雄佐世保道路整備状況でございますが、武雄佐世保道路は、武雄市から佐世保市に至ります延長二十キロメートルの日本道路公団の一般有料道路でございます。五十五年度に佐世保市から波佐見有田インターチェンジまでを事業化し、五十七年度に波佐見有田インターチェンジから武雄市までを事業着手したものでございます。  一期区間につきましては、地元との設計協議を終え、用地買収を実施しております。五十八年度には波佐見町地先で工事に着手いたしました。二期区間につきましては、中心線測量を終え、現在地元との設計協議を行っているところであります。  本道路は、六十年代中ごろの供用を目途に事業を進めておるところでございまして、一日も早く完成するように最大の努力を払ってまいりたいと考えております。  それから、第三点の早岐から佐世保市内へ向けての交通緩和対策、特に大塔町より佐世保市街地に向けての交通緩和対策についての御指摘でございますが、一般国道三十五号の佐世保市大塔町から佐世保市街へ向けての交通緩和対策といたしましては、佐世保市大塔町から同市卸本町までの間につきましては、早岐バイパスの一部として整備することとしております。現在、この区間は都市計画決定の準備を進めており、この決定を待って用地買収のための作業に着手したいというふうに考えております。  さらに、その先の卸本町から佐世保市街に至る佐世保バイパスにつきましては、現在調査を行っているところでございます。前にも調査を一時やっておりましたが、ルートにつきまして地元の方々の御理解が得られないため一時休止していたところでございますが、先生のお力によって調査に着手することができましたので、調査を進め、関係機関と調整を図り、都市計画決定を行った上で事業化していきたいと思っております。  この区間は、四車線化ができておるものの、一日の交通量が五万数千台と非常に多く、混雑を呈しているところでございますので、できるだけ早くこのバイパスの完成に向けて努力してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  35. 金子原二郎

    金子(原)委員 大変御懇切丁寧な御答弁をいただいたわけでございます。先ほども言ったように、長崎県は西の端ということで道路事情が非常に悪うございます。県民挙げて一日も早い本格的な高速道路を待ち望んでいるわけでございますので、その点についてはよろしく御配慮いただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。  長崎県にそれぞれ建設省日本道路公団のこういった直轄事業施行がいろいろ行われるようになったわけでございますが、私が特に考えますには、地元の経済浮揚と地元中小企業の建設関係の育成のためにも、こういった事業に関しましては、特に地元の業者に対していろいろな配慮がなされて、できれば最優先で発注されていくことを期待しているわけでございますので、この点についてぜひ大臣の御配慮をお願いしたいと思います。  その点について、大臣はどのようにお考えになっているか、お伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  36. 水野清

    水野国務大臣 建設省におきましては、かねてから所管事業執行に当たっては地元業者の受注機会の確保に努めているところでございます。九州横断自動車道、国道三十五号等の工事の発注に当たりましても、工事の技術程度あるいは工事の規模、建設業者の施工能力などを勘案しつつ、極力地元業者の活用を図っておるところでございますが、今後とも先生のお申し出とおり地元業者の育成に配慮するように、地方建設局及び日本道路公団を指導していくつもりでございます。
  37. 金子原二郎

    金子(原)委員 せっかくこういった道路を国の予算を持ってきてつくるということになりましても、特に長崎県におきましては、これといった産業もございませんし、やはりどうしても公共工事というものに非常な期待を持っているわけでございます。せっかくこういった大きな事業を行われるときには、地元の業者としてもぜひ仕事をもらって、そして少しでもそういった恩恵に浴したいといった希望が強いようでございますので、ぜひ大臣の格段の御配慮で、その点をよろしく御手配していただきますように心からお願い申し上げまして、時間を少し残しておりますが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  38. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  竹内猛君。
  39. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は住宅都市整備公団をめぐる諸問題について質問をします。  衣食住は人間の生活に必要な三つの要素であり、そのうちの衣食は、原料は輸入でありますけれども日本が平和である限り限定条件ではあるにしても間に合っておる。住宅は大きく不足しておりまして、とりわけ憲法で求められておるところの健康にして文化的な生活を保障するという状況にはまだ遠いわけでありまして、一千万戸ほど不足をしておる、こういう状況でありますが、ここで我が党及び野党の反対を押し切って都市整備公団が発足してからちょうど三年目になりました。この三年間にいわゆる理想と現実の距離が縮まったかどうか、こういう点について若干経過の前提を述べながら質問をしたい。  社会党は、その六年前に宅地開発公団が設立するときに、三つの理由からこの宅地開発公団について反対をした。その三つの理由を今ここで明らかにしておくことは、将来のこの運営についてやはり大事なことだから、その点を申し上げておきますが、その第一は、住宅供給を円満に行うには、住環境の機能を含めて住宅公団を総合的に充実するべきであって、建物と宅地の整備を切り離して二つの公団で行うことは不合理であるのみならず、造成費や金利等の財政面から見ても不適当である。第二は、既に住宅公団に対しては、狭い、高い、遠いという批判が顕在化しており、宅地開発公団は、公共住宅の供給だけではなしに、宅地の切り売りを行う事業団の内容が含まれておる。大都市において住宅に困窮している勤労者は、良質で低廉な公共賃貸借住宅を求めておるのに、住宅公団の性格から著しく外れているということであります。三つ目は、新公団すなわち宅地開発公団をつくることは、新たに天下りの機関をつくるだけであって、しかも関連公共の費用あるいは負担、金利等が公団の財政を圧迫し、入居者に高負担をもたらし、同時にまた働く職員の労働条件も抑える、こういうことになるであろうことが主な理由であったわけです。  ところが、委員会は社会党の修正案を多数で否決をし、五十六年四月十五日、十項目の全会一致の附帯決議を付して原案を通した、こういう経過があります。以後満三年を経過した現段階において、果たして法律が誠実に実施され、十項目の附帯決議というものが、当時斉藤建設大臣が「附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して、今後の運用に万全を期して努力する所存でございます。」こういう約束をしておりますけれども、それが確実に守られたかどうか。公団の監督は建設省でありまして、建設省は、この三年間住宅都市整備公団がスムーズに進んできたかどうか。そして国民から、なるほどこれは我々の住宅をつくってくれるにふさわしい、要するに親しまれ、愛される公団になっているかどうか。このことについて建設省からの答弁を求めたい。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  40. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、住宅都市整備公団法の成立に際しまして、衆議院の建設委員会で十項目の附帯決議がございましたが、これにつきましての対応状況につきましてできるだけ簡単にお答えを申し上げたいと思います。  附帯決議の第一は、「政府住宅都市整備公団は、住宅を必要とする勤労者等のために良好な公的賃貸住宅等を計画的に建設し、適正な家賃で供給するよう努めること。」ということでございます。これにつきましては、現在の国民住宅に対するニーズが非常に多様化をしてきておりますが、これに的確に対応するよう五十八年度から特別借地方式賃貸住宅制度を創設し、また五十九年度からはフリープラン賃貸住宅制度を試行的に実施する等の計画を立てており、良好な公的賃貸住宅の供給に努めておるわけでございます。用地難等の事情はございますが、五十九年度につきましては、賃貸住宅八千戸、賃貸用特定分譲住宅八千戸、長期特別分譲住宅一万一千戸をそれぞれ建設することとしております。また家賃につきましても、大都市地域の中堅所得階層が適正な負担で入居できるよう措置をしておるところであります。  第二は、「政府、新公団は、都市再開発事業の実施に当たっては関係権利者の意思を十分に反映し、できる限りの公共住宅建設を図るとともに、震災にも対応できる市街地の形成に努めること。」ということでございますが、これにつきましても、市街地住宅を供給する市街地再開発事業といたしまして、現在までに八地区、新しく一地区の計九地区につきまして事業を実施する等、また震災等に対応できるよう特定住宅市街地総合整備促進事業につきまして、六地区の事業を実施しているところであります。  それから第三に、「新公団は、既設の住宅団地については、施設の改善整備と適正な維持、管理のもとに居住者と意思の疎通を図り、快適な生活環境を確保するよう努めること。」ということでございますが、これにつきましても、居住者に対するサービスの向上に努めておるところでございます。  第四に、「政府、新公団は、新公団の事業の円滑な推進を図るため、地方公共団体等の支持を得られるよう努めるとともに、長期未利用地及び新築空家の問題については、その解決に積極的に取り組むこと。」ということでございますが、これにつきましても、地方公共団体等と十分協議を行い、長期未利用地及び新築空き家の問題につきましても、昭和五十八年度末までにかなりの成果は上げたところでございます。  それから第五に、「政府、新公団は、身体障害者のために必要な住宅の供給促進及び法令に定める身体障害者雇用率の達成に努めること。」ということでございますが、これにつきましても、身体障害者を含む世帯に対して、募集時における倍率優遇措置を講じており、また設計上の配慮を行っております。また雇用につきましても、その目標としております雇用率一・八%を達成しているところでございます。  第六に、「関連公共、公益施設の整備については、関係地方公共団体の財政負担の軽減を図るため、所要の措置を講ずるとともに、義務教育施設用地に対する特別措置等について検討すること。」これにつきましても、関連公共施設整備につきまして、公団資金による立てかえ施行を行っておりますが、これの対象施設の拡大等を年々行っております。また義務教育施設につきましても、減額措置を講じているところでございます。  第七に、「新公団は、宅地造成計画の策定及び実施に当たっては、できる限りの公共住宅建設を図るとともに、周辺地域の自然環境との調和に十分配慮すること。」ということでございますが、これにつきましても、宅地造成計画の策定及び実施に当たっては、周辺緑地の確保等自然環境との調和を図っております。また、その際公共住宅用地の確保に努めるよう指導しているところでございます。  第八に、「政府、新公団は、行政改革の趣旨にてらし、業務の効率化に努めるとともに、役員の逓減及び内部登用等の拡充に努めること。」とあります。これにつきましても、職員の適正な配置等によりまして業務の効率化を図り、また役員の逓減と役員及び管理職の内部登用の拡充に努めるよう指導しているところでございます。  第九番目が、「新公団は、従前の労働協約、労使協定、労使慣行を尊重し、統合による労働条件の低下がおこらないよう十分に配慮すること。」とございます。これにつきましても、公団は統合による労働条件の低下がないよう十分に配慮するとともに、両公団の職員の処遇についても公正妥当な取り扱いを行っているところでございます。  それから第十に、「新公団は、その業務に関連する関係法人について、業務の執行等について公団の性格にてらし適正なものとするよう努めること。」とありますが、これにつきましても、関係注入がその設立の趣旨に沿って機能するよう業務執行等について十分指導監督を行っているところでございます。  こういうことで、附帯決議にございました十項目につきまして鋭意その実施の努力を行っているところであります。  以上でございます。
  41. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今の話を聞いていると百点満点みたいに聞こえるけれども、そういうことではないのですね。住宅都市整備公団に対する世論というのは相当強いものがある。今からその問題を申し上げます。  まず第一に、天下りの問題から出発しますが、最初にいわゆる天下り役員についてただしていきたい。  政労協の天下り人事の問題は、単にこの都市整備公団だけではありません。臨調の指摘を待つまでもなく、既に一九七七年十二月二十二日の閣議で五項目にわたって決定したこともあるし、その後、毎年の閣議において、人員の問題、給与の問題、退職金の問題、共済金や渡り鳥についての厳しいいろいろな決定をしてきたし、国会においても各委員会において厳しく取り上げられてきております。なかんずく都市整備公団においては五千四百三十九人の職員の中に十八人の役員がおるのに、八千三百六人の日本道路公団は十三名の役員、四千八百八名の国民金融公庫には八人、雇用促進事業団は五千二百九十九人と今の住宅公団より百四十人くらい少ないけれども、そこは十人の役員で運営しているし、電電公社等は三十万の職員を抱えながら八名というようになっている。水平官房副長官でさえも、この都市整備公団においては役員が多過ぎる、だからもっと減らさなければならないということを言っているように、この整備公団法の十八条には、役員については総裁一人、副総裁二人、理事は十四人以内及び監事は二人以内ということになっているが、職員の数から見て多過ぎやしないか、一体何を基準にしてこういう多数の役員を持っているのかということをまずお聞きしたい。
  42. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に住宅都市整備公団の業務でございますが、住宅建設あるいは管理あるいは都市開発との業務の関係が非常に多岐にわたっておりまして、例えば住宅建設し、それから管理するということのほか、宅地の開発が必要でございます。それからまた都市再開発を行う、ニュータウンの開発を行う、それに伴う公園整備、鉄道その他の関連施設の建設あるいはそれらの管理というように非常に多岐にわたっております。これに対応してそれぞれの担当の理事を置くこととしているために、現在の役員の定数が十八名となっているわけでございまして、その業務が事業の内容にして非常に多岐にわたっているところに先生の御指摘のような役員の数になっているということであろうと思います。
  43. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 理屈を言えば切りがないから、何人いてもそれはいいでしょう。だけれども住宅公団ぐらい役員が多いために、事業の運営に弊害があって、それぞれ縄張りがある、縦の縄張りがあり横の連絡がとれていない、下部との連絡も非常に感度が鈍い、これは役員と役員の間の意思決定に時間がかかり、そして業務の運営が非常に非能率だ、こういうところから——これは例を挙げろと言えば幾らでも例を挙げるけれども、それを言えばまたいろいろ誤解もあるから挙げませんが、大変問題がある。私は幾つかこれは経験している。しかもこれは建設省からの天下りが圧倒的に多くて、建設省が本省であるというならば、整備公団はその分家みたいになっていて、それで批判が非常に強い。だから政労協というものは、各本省の中の分家的存在になってしまっている。だから、私たちは別に都市整備公団だけを対象にして言うわけじゃない。これから水資源公団についても、農林省の関係についても片っ端から取り上げてやらなければならない、そういうふうには考えているのだが、とりあえず一番目立つのは何と言っても都市整備公団だから、この都市整備公団をひとつ中心にこれからやっていくというわけです。  だから、そういう点では今の局長の答弁だけ聞いていたら二十人も三十人も要るんだよ、あれもこれもやるということになれば。そんな非能率的なことをやっておったらどうにもならない。あなた方公団の今の理事建設省なり国土庁なり警察なりにいたときにはもっと機敏に動いたものだ。ところが役員の任期は二年とか四年とかいう形で先がわかっているわけだ。その間いすに座っていればいい、こういう話になる。これでは困る。ところが職員の皆さんは、そこに就職したからには二年や三年でやめるわけにいかない。生涯をそこに許さなければならない。生涯を託すには、その職員の中から有能な人はどんどん抜てきして、内部登用して、そこに生きがいを感じさせなければならない。そういうことをやってないじゃないか。その点がこの決議の中にある。だから、さっき局長がべらべら述べたけれども、そんなことを聞いているのじゃないのだよ。中身はちっともなってないということを言っているのだ。どうです。
  44. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 今、御指摘の点についてお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、住宅都市整備公団の事業の中身が非常に多岐にわたっているわけでございまして、そのためには、事業推進を図るにつきましてかなり専門分化的な形になってそれを推進していくということになります。その担当理事がどうしても必要でありますし、結局事業推進を効率的に行うためには、その理事間の、経営陣の交流や意思の疎通が十分行われていくことが重要であろうかと思います。そのために、経営陣と現場との十分な意思の疎通、経営陣の中での十分な意思の疎通等を図っているところでございますし、内部の職員の登用についても十分考慮しているというように聞いております。
  45. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 だから、あれやこれや弁解しないで、反省すべきところはちょんと反省すると言ったらどうですか。それは悪い面だけでもないけれども、大きく目立つ面は、これは我々だけが言っておるのじゃない。新聞の論調にだって出ているし、臨調だってちゃんと言っているのです。そういう点について頑張っているということになれば、いよいよ攻撃をかけなければならない。例を持ってきてこれはどうだということを言わなければならなくなる。だから、気のついたところについては早く、例えば役員の数は減らすとか、内部の登用をするとか、適材適所に配置をするとか、これはひとつ大臣に聞きたい。どうですか。
  46. 水野清

    水野国務大臣 住宅都市整備公団の成立の過程から、他公団、事業団に比べて役員の数が非常に多いということは先生の御指摘のとおりでありまして、今私も資料を読みながら先生の御意見ともども考えておったのでございます。  旧日本住宅公団はかつて十四名の役員がございました。また旧宅地開発公団が十名でございましたから、かつては合わせて二十四名の役員を擁しておったわけでございます。これが五十六年十月一日の統合時には、五十四年十二月の閣議了解の第一次削減計画によりまして、五名減らしまして十九名にまで相なったわけでございます。それが五十八年度末の第二次削減計画によりまして十八名にまでなっております。五十九年度末には、これをさらに若干減らしていく計画でございますので、先生の御趣旨も十分考慮いたしまして、役員の定数も減らしていくあるいは住宅都市整備公団の中の合理化といいますか効率化といいますか、そういうこともあわせてやっていきたい、かように思っております。
  47. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひ今、大臣答弁をしたような方向で実行をしてもらいたいと思うのです。  次の問題は、六十条、六十一条は、建設省は、公団の給与、退職金を初めということで、給与問題の監督をすることになっている。渡り鳥と言われて世間から非常に批判をされていることについて附帯決議が行われている。その附帯決議に関してさっきも言ったけれども、それが一つも実行されていない。  例を挙げると、前の住宅公団の総裁であった志村清一という人は、建設省の事務次官、工業再配置。産炭地域振興公団の副総裁、地域振興整備公団の副総裁、宅地開発公団の総裁、住宅都市整備公団の総裁という形で渡り鳥をしてきて、これらの退職金を通算すると五千六十八万円ということになる。建設省にいたときには既に建設省からの退職金をもらっておるわけだから、大変退職金が多いという形で批判されてきた。こういうものについてはちゃんと考えるという形になっているのにちっとも考えられていない。だから、仮に今の大塩洋一郎総裁が任期でおやめになる場合においても、同じような計算ができるということになると、何のために決議をしたかわからない。こういう問題についてはどういうふうに考えられますか。
  48. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 特殊法人の役員の給与あるいは退職金につきましては、民間及び公務員との均衡を図るという政府方針のもとに、統一して一定の基準によりまして定められておるわけでございまして、これは公団の現在の状況を見ますと、私どもは適正な基準ではなかろうかと考えております。  ただ、退職手当につきましては、先生も御案内のように、過去数回にわたりましてその基準の引き下げを行っておりますので、今後とも民間の実情簿をよく調査いたしまして、政府で全体として適正な水準に決められるものであろうかというふうに考えております。  また、先ほどお話がありました公団等をいわゆる渡り歩くといったような問題につきましては、過去にも何回か閣議決定が行われておりまして、私どももこういった意味のたらい回しは原則として行わないというようなことで運用しておるところでございます。現在の住宅都市整備公団の役員の方々を見てみますと、住宅公団と宅地開発公団の統合というような制度的な改正に伴う形式的な公団の渡りはございますが、実質的な意味の渡りはないというふうに理解をいたしております。
  49. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ぜひ世論から指弾をされないような方向で進めてもらいたい。三年間たって過渡的ではあるけれども、将来に向かってそのようにしてもらいたい。  続いて内部登用の問題ですが、理事の中には二人の内部から登用された理事がいる。それから中間管理職の中にも天下りが大変多いわけなんで、中間管理職においてももっと内部の新進気鋭な人間について、これを教育し訓練し適材適所に配置できないものか。そしてその人たちが生涯をこの仕事に託し得るというような、創意性、創造性を発揮できるような、そういう公団にしていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えるのだけれども、これはどうですか。
  50. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 役員の選考につきましては、昭和五十二年あるいはまた昭和五十四年の閣議決定あるいは閣議了解の趣旨に沿って実施しておるところでございます。そういう中で、公団の業務につきましては、御案内のとおり国の行政と非常に密接な関連がございますので、その観点から国家公務員から役員への登用ということも必要であろうかと思っておりますが、また公団が発足以来ある程度年数を経過し、人材も順次育ってきておるという状況を見ますと、今後とも公団内部の人材登用につきましては、適材適所の観点から格段の配慮は必要であろうかというふうに考えております。  また、公団内部の職員の人事管理につきましては、公団の方の御判断でなさるわけでございますが、私ども見ておりますところでは、随分と内部の方々も支社長あるいは部長、課長等の役職に登用されて一生懸命やっておられるように思っております。公団そのものが持っておりますいろいろな問題、そういったものに対しまして、国としても、やはり将来の展望を明示し、その中で公団がいい仕事をしていくように、そういうことによりまして公団職員全体の士気も高揚するようにというふうに、私ども指導いたしてまいりたいと考えております。
  51. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひ内部にあるところの活力というものを発揮できるような公団にしてもらいたい、このことをしばらく見守るということで次に行きます。  事業の見通しに関して非常に不安があります。法案審議の過程においても大変問題になったことですが、役員はふえる、職員もふえた。建設は最高の四十六年が八万八千戸の目標で八万三千戸を建設した。それが最高なんです。四十七年は七万戸の目標で四万七千戸、四十八年も八万戸の目標が四万六千と、目標実態との間には非常に差がありました。五十六年になると、公団の出発の年でもありますが、三万八千戸の目標に対して二万三千、五十七年も三万六千の目標が二万、五十八年、昨年は三万に達したけれども、ことし、五十九年度は二万七千と目標を落としている。合併したにもかかわらず、目標が下がり実績も上がらないというのはどこに問題があるのか。役員がふえ職員がふえただけで建設は縮小した。それはもちろん前々から建設をしたものの管理をしているという面もあるかもしれないが、将来展望というのはどうなるのか。住宅建設の五カ年計画では、五カ年間に二十万戸の住宅を建てる、年四万という目標になっているが、これとの間にはかなり差があるじゃないか。これはどうです。
  52. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、昭和四十年代の半ばには年間八万戸程度まで住宅建設をしたわけでございます。それと比較いたしますと、この数年の公団住宅建設戸数は二万戸から三万戸程度ということでかなり減少しております。これは基本的には住宅の需給動向が変化をしてきておるということ、それから事業の実施に当たりましては、用地の取得が非常に難しくなってきたということ、それからまた周辺住民との調整でありますとかあるいは地方公共団体との調整が難航するということ等によるものであると考えております。  しかしながら、住宅建設につきましてはこういうような状況でございますが、現在までに住宅公団におきましては、約六十四万戸の賃貸住宅のストックを抱えておりまして、これの居住水準向上を図るため増改築あるいは建てかえというような事業も実施をしていかなければなりませんし、また六十四万戸の住宅ストックから生じます空き家につきまして、賃貸住宅の供給を図っていくというようなことも実施をしております。  こういうようなことで、現在抱えておりますストックの有効な活用と住宅の新設というようなことを総合的に実施をいたしまして、今後の住宅都市整備公団の事業を総合的に行っていく。また再開発によりまして、市街地住宅の供給を図っていくというような新しい事業への進展も行っていくことになろうかと思っております。そういう意味で、住宅都市整備公団の事業につきましては、その事業は今後とも多岐にわたって展開されていくものというように考えております。
  53. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 やはり計画実態との間には差がある。あることは認めざるを得ないですね。難しいことはわかるけれども、難しいことを前提にしてそういう計画をつくったわけだから、困難があったって工夫しなければ、役員と人間だけふやして仕事の方はおくれているということではどうにもならぬでしょう。  そこで、会計検査院が来ておりますが、住宅都市整備公団においては、土地、建物を取得して住宅供給を行うことを使命としているが、それらのうち未利用となっているものが多いし、会計検査院でもこの点について何回か関心を持っていると思うけれども、検査の結果についてはどうなっているか、報告をしていただきたい。
  54. 島川庸一

    ○島川会計検査院説明員 お答えいたします。  住宅都市整備公団の事業運営の当否につきましては、公団が事業用として保有しておりますところの土地や住宅の利用状況のいかんに深くかかわっているわけでございますので、御指摘の点につきましては、従前から特に留意をいたしまして検査をしてまいっておるところでございます。  その結果、御案内のように、昭和五十、五十一両年度の決算検査報告におきまして、特に掲記を要すると認める事項といたしまして、長期間保有しており、利用見込みも立っていない、いわゆる長期保有土地や、入居募集ができずに保守管理されているなどの住宅相当多いことにつきまして、問題を提起いたしたわけでございます。その後、これらの事態の推移につきまして調査いたしましたところ、五十五年度末現在におきましても、取得した用地が長期間保有されていて、投資効果が発現していない長期保有土地が二十一地区、千三百二十八万余平方メートル、支出額で申しますと千三百九十五億余円、また建設いたしました住宅が空き家になっているために投資効果が発現していないものが三万四千八百四十九戸、建設費で申しますと四千二百二十八億余円見受けられる状況でありまして、このような事態は、せっかく投下いたしました多額の事業費が、長期間にわたりまして休眠いたしまして、事業効果の発現が著しく遅延するばかりではなくて、このまま推移いたしますと、これらの投資額にかかりますところの金利等の経費負担を年々増加させることになると認められましたので、昭和五十五年度決算検査報告におきまして、この趣旨を特に掲記を要すると認める事項として記述いたしまして、再度問題提起をいたしておるところであります。
  55. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 昨日の新聞によると、公団が建設省に報告しておるところを見ると、かなり努力をしてその差が縮まってきたということでありますから、その点についてはその努力を一応了承するが、古い建物やいろいろのものを修理しなければならない問題もまだあるけれども、時間がなくなってきたから、最後に私は労使関係について質問したいと思うのです。  どういうような事業も、理事者と職員との間にそれぞれの立場の差はあったとしても、要求するべきことは要求し、責任を果たすべきことについてはそれを果たして、お互いが成果を喜び合い、分かち合うということがなければ事業や仕事というものはうまくいかない。公団の五千四百三十九人の職員と十八名の理事との間には必ずしも一体感がないような感じがする。とりわけ昨年の十一月二十二日に労働組合から大塩総裁に提出された公開質問状があります。これは四項目。続いて五十九年三月一日に五十九年度の組織改編についての第二次公開質問が八項目。そして五十九年四月六日に出された第三次の公開質問が十項国あります。総裁の回答は、人間と人間との業務上の信頼関係がなく、上意下達としか見られないような公団の——これは建設省また大蔵省の監督下にあり、総裁、理事といえども限られた権限かもしれないけれども、その中で業務を遂行している者としてはいかにも情けない感じがする。公団内部のことについては、労使が胸襟を開いて話し合い、共通点としてお互いに克服して、勤労国民に愛され、そして良質で住みよい住宅を供給していくということの中から公団が信頼を得ていかなければならない、こういうように思うのです。職員の要求についての姿勢が非常にまずいと思うのです。役員の皆さんは、先ほど言ったように、一定の任期が来ればおやめになって、またどこかへ行くようなことになってくる。それもよくない。それもやめてもらいたいが、職員の皆さんは、一旦そこに就職した以上、悪いことをしない限り、そこで生涯を暮らすわけなんだから、その方々に対して生きがいがあり働きがいがある職場をつくっていかなかったら、これはしょうがない話だ。そういう点について、これは公団自体からその点についてははっきりした答弁をもらいたいし、建設省も監督官庁として万遺憾なきを期してもらいたいと思うが、これはどうだ。
  56. 京須実

    京須参考人 組合との団体交渉の内容につきまして、先生から御指摘をいただきましてまことに恐縮しております。御指摘のように、昨年の暮れ以来三回にわたりまして公開質問状が出ております。いずれも組織の改編にわたる問題でございまして、実は私どもといたしましては、この問題につきましては労使間で交渉して決定すべきものとは考えておりませんでした。それでもございますし、また検討中で答えられないという問題もございました。そのためでございまして、いわば十二分ではございませんが、文書または口頭で回答し、あるいは必要な説明をしてまいったところでございます。しかしながら、先生にもただいま御指摘いただきましたように、私どもといたしましても、組合との意思疎通と申しますか円滑な労使関係確保ということは極めて重要であると考えております。今後ともあるいは団体交渉の場で説明できない点につきましては、必要な事務連絡の場を設けて詳細な説明を行うとか、そういう点も十分配慮いたしまして、円滑な労使関係に尽くしたい、こう考えております。  また、公団職員にやる気を持ってもらうと申しますか、公団を活性化する点につきましても、ただいま再三御指摘ありましたように、内部登用、こういったものを基本といたしまして、今後とも人事運営にも十分配慮したい、このように考えております。
  57. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま住宅公団からお話し申し上げましたように、御指摘の公開質問状の取り扱いにつきましては、公団の自主的な判断によるべきものと考えております。ただ、先生からも御指摘ございましたように、事業を円滑に実施をしていく、そのためには、労使関係については、やはり円満な体制を堅持していくということが重要であろうと考えておりますので、これにつきましては、こういった関係が維持されるように期待をしているところでございます。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだいろいろ質問したい問題もあります。筑波の研究都市におけるところの問題もあるけれども、もう時間が来たからこれでやめますが、最後に水野建設大臣に、今の質疑の中から、都市整備公団が三年たって今迎えているこのいろいろな問題について、感ずるところがあったら二一日答弁を求めて終わります。
  59. 水野清

    水野国務大臣 住宅都市整備公団が発足以来、先生の御指摘もございましたが、役員の定員の削減であるとかあるいは事業の能率化というようなことについて懸命に努力をしてきたところでございます。また、国民住宅に対するニーズというものもだんだんに変わっておりまして、住宅都市整備公団の任務というものも、前身である住宅公団あるいは宅地開発公団の時代とは大きく変わっているというふうに私は思っております。そういう変化を今後密接に業務の中で取り入れまして、また、ただいま御指摘ございましたように、いかなる企業体も、やはり労使の緊密な連携というものがなければ、今日、企業の円満な運営というのはできないわけでございますから、そういうこともあわせて考慮するように指導していきたい、かように思っております。
  60. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  61. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 山中末治君。
  62. 山中末治

    山中(末)委員 私は、本日関西文化学術研究都市その他一、二件について御質問を申し上げたい、このように存じております。  関西文化学術研究都市につきましては、昭和五十三年の十一月に内閣総理大臣が決定をされた近畿圏基本整備計画案、この中身に盛り込まれているところでございますが、その後、五十四年度、国土庁におきまして近畿圏における学術研究都市建設構想策定のための調査を開始なさいました。また、五十六年八月、文化学術研究都市を木津川左岸の京阪奈丘陵に建設する旨の内容を盛り込まれた京都地区近郊整備区域建設計画を内閣総理大臣が承認をされました。以降、昭和五十七年一月、国土庁が関西学術研究都市構想懇談会を設置、開催されておりまして、同年六月に国土庁の調査の結果が関西学術研究都市基本構想として発表をなさっておられました。また、それと並行いたしまして、五十七年度では、六省庁による京阪奈地域総合整備計画調査を開始なすったわけであります。それと相呼応するように、五十八年の三月、関係の三府県の知事を初め学識経験者等を代表委員とするところの関西文化学術研究都市建設推進協議会なるものが地元において発足を見てきておるところでございます。  聞くところによりますと、この関西文化学術研究都市につきましては、国土庁がその窓口担当となられまして、でき得るならば、五十九年度中に何とか事業に着手をしてまいりたいということを意欲的にお考え願っているということを漏れ承っておるわけでありまして、非常にありがたいことだというふうに考えておるわけであります。五十三年以来今日まで歩んでこられました中には、この問題に関しますいろいろな課題があっただろうと思いますが、まず今日の時点におきまして、この大きなプロジェクトにつきまして、現状はどのようになっておりますかという問題と、将来への見通しがどういうふうなスケジュールになっているのかという問題及び今後の課題等を含めまして、これを鋭意推進される立場におられます国土庁長官の御所信も含めてまずひとつお聞きをいたしたい、このように存じます。
  63. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御質問の点でございますが、近畿圏は首都圏と並ぶ日本の中核、極めて大事な土地であります。今後均衡ある日本の国づくりのためには大変重要な役割を果たしているわけでございまして、近畿圏の長く培われてまいった芸術、文化、こういったことを大切にしながら、今後地域関係団体、地域の皆さんとよく相談をしながら、いろいろな面において積極的にひとつ取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  64. 山中末治

    山中(末)委員 今これを推進していただく立場にあります国土庁長官の方からお考えを聞かせていただきました。少し具体的に御質問を申し上げたい、このように存じます。  この計画につきましては、地元からいろいろな形で盛り上がってきます活力といいますか、そういうものをうまく活用しながら、まとめながら目的に対して建設を進めていく、こういうことに力点を置かれているように聞いておるわけであります。これは姿勢としては非常にありがたい姿勢だと存じておりますけれども、新聞論調等によりましても、計画の規模、内容等から見まして、国土開発はもちろん文化、教育、産業など広く高い視野に立った国の計画として進められるべきだというのが大方の期待だということも取り上げられております。まして、この中に設置をされますところのいろいろな公共的なあるいはまた国の立場から見た施設、こういうものの設置になってまいりますと、これは地元からの盛り上がる要望、力だけではどうしようもないというようなものも数多くあるのじゃないか、私はこのように推察をいたすわけでありますが、今日まで京都府の方が発表されております資料等をお伺いしますと、非常に盛りだくさんの希望を持ったところの施設等をぜひとも強く要望していきたい、こういうことが言われております。  一例を挙げてみますと、第二国立国会図書館、厚生年金休暇センター、国立総合芸術センターあるいはまた国立老化老年病センター、そのほかにもございますが、こういうものを非常に強く要望して、今後誘致に邁進をしていきたいということがプリントにも出ておりますし、またその他数多く発表されておりますプリント等にも書かれておるわけであります。これは本年三月に京都府知事が発表されました建設基本計画案でございますが、この中のいろいろな施設につきまして、今日まで、先ほど申し上げましたように、国土庁を窓口とされて各省庁等が調査をなさった、これは近くまとめられて発表されるのではないかと考えておりますが、その内容と京都府が発表されたこの施設設備等を建設したいという内容とひどくかけ離れたものでは大変でございますから、この点について、ほぼ今年の三月に京都府が発表をされております基本計画の線に沿った内容の結果が出ているものであるかどうかをお聞かせいただきたい。  もちろん細かいことまではお聞き申し上げることもいたしませんが、先ほど申し上げましたような大きないわゆる国立的な施設等につきましてのお考え方ですね、それは建てるかどうかはまだ決まっておらないのはわかっておりますが、考えとしては、これは都道府県と国との関係のことでございますので乖離してないと思いますけれども、ひとつ説明をいただきたい、このように考えるわけであります。
  65. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 明細なことについては担当局長からお答えをさせますが、この前、筑波学園に行ってまいりまして、やはりあれは一言に言ってすばらしい、こういう感じを持ちました。長い年月をかけて大事に大切につくられてきたものだと私は思います。  また近畿圏の問題も、二千七百ヘクタールというのは広大なものだというふうに受けとめております。また、あそこと違って条件がばらばらに分かれておりまして、よほど各市町村、各都道府県との協力体制というものが必要である、こういう受けとめ方をいたしております。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕 そんな意味から、今、京都から出されておる、またその他から出されておるというものは当然尊重しながら、各省庁に相当幅広くまたがっておりますので、今そういった都道府県の意見等をも尊重しつつ対応を図っていかなければならぬ、急がずに立派なものをつくる必要があるな、こういうふうに考えておるわけであります。  また、局長の方から細かいことを御報告させます。
  66. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますが、この関西文化学術研究都市は、先生御承知のとおり国、地方公共団体、地元の経済界あるいは学界、こういったものが一体になってこの建設推進しておるところでございます。そのための建設推進協議会もできておるわけでございます。こういった非常に新しい試みの都市づくりということでございまして、我々国の立場におきましても、関係省庁ともども公共団体と緊密な連携をとりながら、その事業の構想の推進を図っておるところでございます。  特に、この地区は京都府あるいは大阪府、奈良県といったように三県にまたがっております。それから開発区域も九つの小都市という特殊な開発の方式であるわけです。したがいまして、ここを貫く交通網、こういったものが非常に大事になってくるわけでございます。あるいは地域内の交通あるいは既存の都市との連絡道路、こういったような交通網の整備あるいは地域における治水の問題、都市基盤の整備の問題、いろいろな観点から、我々は関係省庁六省庁で検討いたしておるわけでございますが、これは当然公共団体と緊密な連絡をとった調査でございます。したがいまして、ただいま先生おっしゃいましたように、先般京都府が発表いたしましたその基本計画とほとんどそごはないというふうに確信しております。  それから、この都市に設置する望ましい施設でございますが、これも我々地元公共団体等とも十分連絡をとりながら検討いたしておるわけでございますが、一つは、学術あるいは研究における共同研究あるいは研究者の交流、こういったための中核的な施設、こういったものを誘致しなければいけないんじゃないかというふうに考えております。そういった観点から、我々は中核機構あるいは最近京都府等で検討されております国際高等研究所等がございますが、こういったものの設置につきましても推進してまいりたいと考えております。また、高度な文化、学術、研究活動のために必要な情報施設、こういったものが必要であるわけでございます。そういった観点から、我々といたしましては、大型の図書館等の情報機関が必要であろうと考えております。現在、先ほど先生の御質問にございましたように、第二国会図書館という構想が国会でいろいろと検討をされております。我々行政府におきましても そういった国会の検討について十分注目していきたいと考えております。さらに、この地区は新しい研究都市でございます。したがいまして、そういった先端産業あるいは民間研究所、こういったものが設置されなければならないというふうに考えておるわけでございます。さらに、この地区における芸術、文化、こういったもののセンター組織の設置といったように、我々はここに望ましい施設を考えております。これは公共団体等とも十分連絡をとりながら、今後その設置等の推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  67. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございます。  今まだ決まったわけでも発表されたわけでもございませんので、ちょっと質問する方が無理なのかもわかりませんけれども、今おっしゃったように、大体京都府がぜひとも誘致をしていきたいというふうにプリントに書いて発行しておられます趣旨、これを是認していただいておると理解をいたしまして、これからこの問題につきましては、年月も相当かかろうかと思いますけれども、私も地元に住んでおりますので、そういうことを皆様方にその都度説明をして協力していくように頑張ってまいらなくてはならぬ、このように存ずるわけであります。この点につきましては終わらしていただきます。  その次の問題でございますが、今、河川関係で治水面の観点から各地で河川の大改修等が行われておりまして、年々水害等の被害が少なくなっていきますように一層の努力を願っているわけでございます。私どもの住んでおります近くの宇治川の改修も現在行われているわけでございますけれども^どうやら塔の島付近は今年度ぐらいで工事がもう終わっていくのではないかというふうに存じておりますが、この宇治川の改修計画の現状、今後の見通し、あるいはまたこれを少し改修を進めておいきになりますと、下流にあの有名な宇治橋等があります。河川改修と関連をして、宇治橋等のかけかえ等も早晩日程に上がってくるのではないか、このように地元では期待をいたしておるわけでありますが、まずその点につきまして御質問を申し上げたい、このように存じます。
  68. 井上章平

    井上(章)政府委員 宇治川の改修でございますが、これは昭和四十六年に定めました淀川水系工事実施基本計画に基づきまして、基準地点宇治におきまして計画高水流量毎秒千五百立方メートルを安全に流下させるべく改修を進めておるところでございます。  宇治川の改修工事の重点でございますが、山科川合流点より上流の区間につきまして、特に流下能力が不足いたしております。現在の流下能力で申し上げますと、九百トン毎秒ぐらいであろうかと思うわけでございまして、この計画に対して四割不足しておるということで、宇治橋より下流の隠元、車田地先の一連区間の引き堤、それから宇治橋上流の塔の島地区の掘削等の工事を進めてまいっております。また、あわせて漏水対策等の堤防補強、あるいは支川東高瀬川の改修を進めておるところでございます。  このうち車田地先につきましては、最大約二十メートルの引き堤をいたすべく昭和五十五年度から用地買収を実施いたしておりますが、五十九年度には用地買収の継続とあわせて築堤に着手する予定でございます。また、隠元地先におきましても、これも最大約六十メートルの引き堤をいたします。そういうことで用地買収を五十五年度から始めておりますが、現在用地買収を継続中というところでございます。  それから、宇治橋上流の塔の脇付近でございますが、これは五十六年度から着手をいたしたものでございますが、この付近は歴史的な景勝地でもございますために、景観保全に十分配慮しつつ工事を進めておりまして、五十九年度からは右岸側の掘削、護岸に本格的に着工することといたしております。  それから、宇治橘の改築でございますが、以上のような宇治川全体の改修工事計画の中で当然取り上げる必要があろうかと思っております。特に、現在の宇治橋につきましては、けた下が低く、また橋脚の間隔も狭いということのために、洪水の安全な流下に問題があるということでかけかえする必要があるということで、現在道路管理者と協議を進めておるところでございます。
  69. 山中末治

    山中(末)委員 せっかく大臣がお出まし願っておりますので、余り長くおとどめしておくのはいかぬと思います。大臣に対する御質問を先にいたしたいと思います。  ただいま河川の改修等で宇治川の橋のかけかえ等も日程に上ってくるというお話も伺いましたが、京都は、御存じのように六十三年に国民体育大会が開催をされる地元でございまして、この国体に向けて河川道路公園等の整備要望が非常に強うございます。所管の大問とされまして、六十二年国体を迎えるに当たってのひとつ強い決意のほどを、御所信を承らせていただきまして、公共事業推進に一段と拍車をかけていただきたい、このように思うわけで、御質問申し上げます。
  70. 水野清

    水野国務大臣 昭和六十三体の京都国体に向けての道路整備あるいは公園等の関連施設の整備についてということでございますが、国民体育大会の開催など各種の大規模な催しが行われる際には、道路は御承知のとおり必要不可欠な施設でございます。特に会場となる施設に関連する道路整備については、地元自治体と協力をしながら計画的に整備をしていくように努めていくつもりでございます。  昭和六十三年に開催をされる京都国体に関する道路につきましては、一号バイパス、九号バイパス、二十四号バイパスを初めとしまして、各地区で道路整備を進めておりますが、今後とも地方自治体と協力をしながら必要な整備を図っていきたい、かように思っております。  また、都市公園、街路等の問題でございますが、国体関連施設について京都府及び地元市町村と調整を図ってございまして、その整備を鋭意進めていく所存でございます。  なお、この委員会を通じてでございますが、実は京都府知事からの強い御要請がございまして、明日、御案内を諸先生に、京都府関連の諸先生には御連絡を申し上げてあると思いますが、京都府知事の要請に基づきまして、この国体関連の施設等を現地の視察をいたしたい、かように思っております。
  71. 山中末治

    山中(末)委員 明日そういう御日程があるということを漏れ承らしていただいております。そのときにはまたいろいろな要望が出ると思いますが、ひとつ今御答弁いただきました御所信に沿いまして御尽力を賜りたい、このように存じます。  大臣に対します質問は終わらしていただきます。  先ほど、河川の改修に伴いまして、いずれ宇治橘のかけかえ等の日程も出てくる、こういう御答弁を賜ったわけでありますが、実はこの宇治橘の付近に、御承知のように主要地方道でありますけれども、京都宇治線あるいはまた宇治白川線という街路、道路等が起終点を持っているわけであります。宇治市は、御承知のように、京都だけの宇治市ではなしに日本の宇治市だということで、お茶の出荷もさることながら、風光の明媚な山紫水明の地として名高いところであります。この宇治橋が河川の改修等によりましてかけかえの日程が上がってきますまでに、あらかじめこの風光、水寺に合った現在の宇治橘のようなあるいはそれよりももっとすぐれた形の宇治橋にぜひとも復元をしていただきたいという地元の要望が強いわけでありますが、先ほど申し上げましたように、都市計画街路の宇治白川線の終点、まあ起点、それから京都宇治線の、これも主要地方道でありますが、それの終点、これは宇治橋を含めて終点になっておるわけでありますが、この路線がそこに集中をしておりまして、そしてそこを通行する車両等はもう御承知のように非常に多いわけであります。この宇治白川線が川に突き当たって直角に右へ折れて、三十メートルないし五十メートルほど行ったところでまた左に直角に折れなければならない、こういう状況になっております。今、建設省の方ではすみ切りあるいはまたそこをロータリー化するという計画をお考えのようでございますけれども、いかにもここはすかっと真っすぐ通らないような状況のところでありますが、先ほど川の改修に伴いまして宇治橋のかけかえが日程に上がってくるということでございましたから、川だけあるいはまた道だけの考えじゃなしに、ひとつ総合的に御判断を願って、京都宇治線あるいはまた宇治白川線とスムーズな連絡ができるような考え方でひとつお進めいただくわけにはいかないだろうか、このように存じます。これは建設省の内部の河川局とか都市局とか道路局とか、こういうことを念頭に置きながら、それを合わせたようなものが何とかできないだろうかと思いますので、質問を申し上げたいと思います。
  72. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  先生から京都宇治線と宇治白川線、両路線の問題の御指摘がございました。御承知のように、京都宇治線は、これは昭和三十二年に決定したわけでございますが、現在幅員が十二メートルで都市計画決定が行われております。京滋バイパスが開通いたしますと、交通量の増大が当然予想されますので、その区間につきまして、現在京都府と宇治市で計画の見直しが検討されていると聞いております。この見直しに際しまして、御指摘のとおり、特に宇治白川線との連絡方法につきましては極めて重要な事項でございますので、建設省としても適切な計画が立てられるよう京都府を指導してまいりたいと考えております。
  73. 山中末治

    山中(末)委員 今もおっしゃいましたので、重複を避けますが、実は京滋バイパスの問題もこれから俎上に上ってまいりますので、それの関連もございますので、今申し上げました京都宇治線の通過交通をうまくさばくということも含めまして、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  それからもう一つ、今、京滋バイパスというふうな話が出ましたが、大規模な道路を構築される、新設される場合、非常な障害等が出てまいるものでございます。私もしばらく道づくりをやったこともございますが、でき上がってしまえば道は非常にいいものですけれども、でき上がるまでの工事中等には、いろいろ付近の市民の方々にも迷惑をかけたりすることがあります。今度お聞きしたいのは、大規模な道路を新設、建設する場合、どうしても土砂の搬入搬出という問題を欠かすわけにはいきません。その場合、新しい道をつくるわけですから、既設の道路を何とか活用しながら、土砂の搬入搬出あるいはまた建築資材の搬入搬出等をしなければなりません。この大規模な道路建設する場合の既設道路、生活道路としての既設道路等を土砂あるいは資材等の搬入搬出に使われる場合、基本的にどういうお考えをお持ちか、対策等も含めてお尋ねを申し上げたいと思います。お尋ねの内容が少し抽象的過ぎたら、もう少し詳しく申し上げたいと思いますが、それがまず第一点であります。  それからもう一つは、今度はこの京滋バイパスの話になりますが、滋賀県から京都府側に入ってくる場所で実は山間地がございます。この山間地の部分で既設道路がない場合、道路構築を進めていかなくてはなりませんけれども、その場合、工事用の道路を、あるいはまた先ほど申し上げました土砂、資材等の運搬の道路として、建設省はどのようにお取り組みなさる御方針を持っておられますか、あわせてお聞かせいただきたい、このように存じます。
  74. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初の、大規模な道路建設する際に、生活道路として利用しているような既設道路に対して、土砂、資材の搬出入にそういうものを使用する場合の対策がどうかということでございますが、土砂や資材運搬の計画に当たりましては、交通安全に留意するとともに、騒音、振動対策に十分配慮する必要があります。このため、運搬路の選定につきましては、あらかじめ道路及び付近の状況について十分調査し、通勤、通学、買い物等で特に歩行者が多く、歩車道の区別のない道路はできる限り避けること、さらに必要に応じ往路復路を別経路にすること、それからできる限り舗装道路や幅員の広い道路を選ぶこと、急な縦断勾配や急カーブの多い道路は避けることとしておりまして、関係道路管理者、公安委員会とも十分打ち合わせをすることとしております。その他、運搬車の走行速度につきましても、道路及び付近の状況によっては必要に応じ制限を加えるようにもいたしております。また、運搬路は点検を十分にし、特に必要がある場合は、維持補修を計画に組み込むなど問題のないように努めているところでございます。  二番目の、京滋バイパス等で山間部で既設道路がない場合は、工事用道路をつくってやっていくんであろう、そういう場合に、工事完成後その道路をどういうふうに扱うのかというような御質問かと思いますが、山間部の工事におきましても、土砂や資材の搬出入にはできる限り既設道路を使用することといたしておりますが、現地の状況によっては工事用道路をつくることもございます。これらの工事用道路は、原則として借地により敷地を確保して整備し、工事完了後には原形に復旧することといたしております。しかし、例は少ないのでございますが、道路存続のために関係地方公共団体が当該道路の敷地の権原を取得して、そしてそれを一般道路として使用したいというような場合には、関係市町村と十分協議して、今申しましたように、敷地につきましては、工事期間が終わりますと、道路として借用しておる方の側としては権原を持たなくなりますので、そういう存続を希望する関係地方公共団体の方で敷地の権原を取得するなり道路法上の道路として存続するような手当てをされた場合におきましては、これを市町村道とすることもございます。
  75. 山中末治

    山中(末)委員 二点目はよくわかりました。  一点目の場合は模範的な回答をいただいたわけですが、そういうものが適用されない場合ですね、いわゆる既設の生活道路としてありますけれども、その幅貝が三メーター程度とかでなかなか通りにくい場合、工事を進めていく中で必ずそれを活用しなければならぬ場合が出てくると思うのです。こういう場合に、具体的にその既設の生活道路等は資材の運搬に必要な幅員を確保し、また土砂崩れ等の起こらないような措置事業者自体、建設省自体が講じられるべきではないか、このように実は思うわけでございますが、局長のおっしゃったようなそういう回り道、例えば原則として往路はこっちの道を通って復路はこっちの道を通りますよとおっしゃいますけれども、京都と滋賀の境の山の中の話をしますと、必ずしもそういううまく利口な道がないと思うのです。その場合は既設の生活道路というものを活用しなければならないだろう。そういうときには、その道路をうまく拡幅したり補強したりしながら通行せざるを得ない、私はそう思うのです。その場合に、そこに住んでいる住民の人は、一時的には工事の騒音とかトラックのほこりとかで迷惑をこうむりますけれども、工事が済んでしまえば、もとの生活道路よりは幅員も多少広がったし道路としての値打ちも上がってきた、こういうふうなことにならぬことには、工事用道路確保というのはなかなか難しいのじゃないかと思いますので、そのあたりを御質問申し上げておるわけです。
  76. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 今私が御説明申し上げましたのは、実は「建設工事に伴う騒音振動対策技術指針について」という官房技術参事官からの通達がございまして、この主な内容を御説明したわけでございまして、これが一つの原則でございます。  ただ、現場にはいろいろなケースがございますので、今先生おっしゃられましたようなものについては、その地元の方あるいは道路管理者あるいは公安委員会といろいろお話しながら、交通の安全の確保と環境の保全を図りつつ工事用道路として使用させていただいておるものでございますし、ケース・バイ・ケースのことでございますので、ここでその場合にはどうというふうには申し上げられませんが、そういう実態等がございましたら、また個々にいろいろ御相談させていただきたいというふうに思います。
  77. 山中末治

    山中(末)委員 一言で結構ですが、私が御質問申し上げておりますのは、地元の市町村にあなたのところでやりなさいということはございませんね。市町村でおやりなさいということはないですね。
  78. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 その地元の道路管理者と協議等いたしまして、場合によっては一級、二級、幹線市町村道等であれば補助金等を交付して先行的にそういうものをやっていただくというようなこともあろうかと思いますが、そういうのはあくまでも地元の市町村あるいは府県、公安委員会と協議の中で定められていくことでございまして、決して一方的に押しつけるというようなことはございません。
  79. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。  もう時間が二分ぐらい前になりましたので、これで終わらせていただきますが、先ほどの御質問の方の中にもありましたけれども公共事業推進していくということについては、景気の刺激をする非常に大きな要素があると思います。特に、こういう大きな事業を進められる場合には、大企業もきることながら、地元の中小企業等にも十分工事をさせていただくように大きな御配慮を賜りたい、このように切に要望申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  80. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  午後一時二十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時二十一分開議
  81. 浜田幸一

    浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上野建一君。
  82. 上野建一

    上野委員 私は最初に、東京湾横断道の問題について、前回に引き続いて質問したいと思います。  まず、水野建設大臣にお伺いしたいのですが、水野大臣は、先般、神奈川県、川崎市、いわゆる神奈川県側との会談をされたようですが、その内容を簡潔で結構ですからお伺いしたいと思います。というのは、大臣の発表された内容と現地の神奈川における反応がどうも食い違っているように——全部ではございませんが、大臣の言われるほど、神奈川県側はこの横断道の問題についてそう積極的に賛成じゃないようで、そこら辺を含めて、それから大臣の感触を含めてお伺いしたいと思います。
  83. 水野清

    水野国務大臣 先般、私は神奈川県下、川崎市、横浜市を視察をいたしました。その視察は、建設省が現に川崎市で行っております再開発事業あるいは街路事業、あるいは横浜におきましては、東京湾の湾岸道路の神奈川県の部分に当たります地域、あるいはその一部になる予定でございますが、ベイブリッジであるとか、あるいは横浜市が鋭意今、再開発事業としてやっております「みなとみらい21」、こういった諸事業を視察をしたわけでございます。  その際に、川崎市長さんともお目にかかりましたが、横断道路の話は全くいたしておりません。これは二入だけで会ったわけではございませんので、多くの関係者大勢で出席をしていただいて、川崎市の建設行政の御説明をいただいただけでございますから、いろいろ報道されておりますが、私の申し上げることは裏も表もない、こういうことでございます。  それから、横浜におきまして長洲知事ともお目にかかりました。しかし、これも大勢の方々と一緒でございまして、別にこちらから横断道路について賛成をしていただきたいとかというような話は一切いたしておりません。ただ、お別れに際しまして長洲知事から、私も横断道路について今までみたいに拒否反応だけを示しているわけではない、こういう非常に意味のあるようなお話をいただきまして、環境づくりといいますか、ともかく東京湾横断道路を千葉県側としては非常に熱望しているわけでありますが、神奈川県側としては、これまでどちらかと言えば逃げ腰といいますか、余り乗り気をしておられなかったわけでありますが、少しでも環境づくりに役立つことができたかなという感じでいるわけでございます。
  84. 上野建一

    上野委員 そこで、横断道の問題で各論に入ってお伺いをしたいのですが、その第一は、今までの調査の問題でありますけれども、既に予算は百億を超えているわけでございまして、その意味では、本来の調査ならもうとっくに完了している時期だろう、こう思います。何か私ども見ていますと、調査費を毎年づけることで横断道の実現をつないでいるような感じすら少しいたします。というのは、この調査の内容を立ち入って見ますと、率直に言って大変ずさんな面がございます。  順次御質問いたしますが、まず、これからの問題として重要なのは、東京湾をめぐる問題であります。この橋をかけた場合を仮定いたしますと、いろいろな東京湾をめぐる問題が発生をいたします。したがって、これは事前に十分な調査をし、そしてその調査に基づいてこの橋の問題を、一都三県といいますか、広くこれに対して理解を得るということが必要だろう、こう思っております。  その中で具体的に申し上げますと、「東京湾横断道路海洋生態調査について」というのを私どもはいただきました。これに基づいて実際に漁民の方々とも接触をしてみますと、大変問題が多い。多いというよりも、魚の問題なんかについでも、明確じゃない、あるいは間違っている点が非常に多い、こう思います。  そこで具体的にお聞きしますが、この調査は一体どこでやられたのか。また、この水質とも関連し、一方に「水質影響調査について」というのがございます。これも同じ名前で出されておりますが、これはどういう機関でやられて、費用はどのくらいかかっているのか。これがまず第一点。  それから、この中に魚類の問題についていろいろございますが、これが間違えている。例えばこの十二ページにございますが、湾の奥の方でとれる魚類の中でイシモチが一番重要だ、こう書いてあるのですけれども、実際はスズキだということであります。そういうことで、そのほかにもいろいろございますけれども、そういう既に東京湾に住んでいる魚の種類まで間違えるような調査というのは一体どういうことなんだろうか、こういうことです。  それから、東京湾の中でとられていないというようなことを言っているのもある。ところが、その魚は今でもなおとられている。特にこの辺のところは、船橋の漁協の有志の指摘もございます。何人かの指摘を聞きましたが、この調査では率直に言って話にならない、こう言っておるわけであります。そういう意味で、この調査について私は非常に大きな疑問を持っている。  それから、今までの調査の中で、ほかのマスコミなどにも一部出ておりますけれども、どうもこの調査費を使って海外を見に行く方がかなり多かったと聞いているのですけれども、その調査費の中で、海外出張などで海外を調べたのはどのくらいあるのか、それもついでにお伺いしておきます。
  85. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 御説明いたします。  東京湾横断道路調査についてでございますが、昭和五十一年度からは日本道路公団が調査の実施に当たっております。  この調査の実施に当たりましては、調査項目としては五つございまして、それらの項目ごとに学識経験者等から成る委員会を構成いたしまして、そこで検討していただいておるものでございます。  調査項目としては、経済調査、それから環境調査、今、先生のお話のありました海洋生態調査委員会は、前東京水産大学教授の山路勇さんを委員長として、学識経験者等から構成された委員会として昭和五十二年に設置され、その後こういう関係調査をしていただいておるものでございます。それから設計調査がございます。それから船舶航行調査がございます。それから漁業等調査、これは漁業、魚類という水産資源の調査でございまして、日本水産資源保護協会会長の久宗さんに委員長になってやっていただいているものでございます。この二つは、今、先生の三番目とも関係いたしますので、具体的に説明させていただいたものでございます。  そこで、お金がどれぐらいかかったかということでございますが、それぞれについての調査費用が幾らというのは、私今ちょっとここに持ち合わせがございませんので、また後日御報告させていただきたいと思います。  それから三番目の、内容が非常にずさんではないかというお話でございましたが、実は先生のお手持ちの資料は海洋生態調査でございまして、この調査は東京湾横断道路建設が東京湾の水質やいわゆる海洋生態という自然環境に及ぼす影響程度を把握することを目的としたものでありまして、東京湾に生息する魚類などの水産資源を正確に把握することを目的としたものではございません。したがって、海洋生態調査では、自然環境をあらわす指標として、主として海の底で住んでいる底生生物、例えば貝とかカニあるいはまた付着生物であるフジツボなどを対象として実施したものでございます。東京湾の水産資源に関する調査につきましては、私先ほども御説明しましたように、昭和五十八年度より日本水産資源保護協会に専門家より成る調査委員会を設けまして、ここで実態を含む詳細な調査を今実施しておるところでございます。したがって、調査の目的がそれぞれ異なっておりますので、その目的に照らして最も効率的、重点的にやれる方法をとらせていただいておるというところでございます。  それから四番目に、東京湾横断道路調査については、毎年海外視察に行っているのではないかというお話でございますが、まず実態から御報告させていただきますと、調査項目の中にありました設計調査、これにつきましては、五十五年に学識経験者の方が二名ヨーロッパへ行っております。五十六年に同じく学識経験者の方が一名米国へ行っております。それから五十七年に学識経験者の方が二名米国へ行っております。それから船舶航行調査につきましては、五十四年に学識経験者の方が三名ヨーロッパへ、さらに五十七年に三名ヨーロッパへ行っているわけでございますが、それぞれの方々については明確な目的等がございまして、またそういう調査成果をこの研究会でいろいろ生かしつつ今検討させていただいておるところでございます。
  86. 上野建一

    上野委員 生態調査だからいいかげんでいいということにならぬと思うのです。しかも、この「はじめに」という中にちゃんと書いてあるのです。今まで長い関東京湾内の魚介類その他動植物プランクトン、底生生物、付着生物、ノリ及び盤洲干潟生物相、そういうのもずっと調査研究を行ってきている、それに基づいて現況調査、生物相の把握についてやっているのだ、これはこうなっているのですよ。その基礎になっている魚介類の分類が間違っていたりなんかしたら何にもならぬじゃないですか。そういう全体の生態とかというものは、そういう個々の魚類その他を基礎にして、どう住んでいるのかということになるのでしょう。それがいいかげんなことになっていて、それでいいということにはならぬと思うのです。しかも、重要な魚の中に盛んにイシモチを挙げているのですけれども、この中では東京湾内の魚類はむしろカレイとかスズキとかコノシロ、イワシ、ボラ、サヨリ、そういうものがずっとあるのです。そういうものの方が今、東京湾のあれとしては重要なものになっているのです。イシモチも重要は重要でしょうけれども、そういう点が非常に明確じゃないし、いいかげんになっている。言っていることが違うのですね。そうすると、そこら辺のところはどういうことなんですか。生態調査だからそういう魚類なんかはどうでもいい、漁民の現状についてはいいかげんでいいのだ、こういうことになりますか。
  87. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 海洋生態調査は自然環境調査の一環として実施しておるものでございます。東京湾に住んでいる魚介類が東京湾横断道路をつくることにょってどういう影響を受けるかということを調査しておるわけでございまして、東京湾に住んでいる貝、点その他すべてについて一つ一つの調査をしなくても、ある代表的なものによって、そういうことを知ることによって、東京湾内に生息している魚介類が東京湾横断道路をつくることによってどういう影響を受けるかのある程度の概要はつかめるということで実際行っているものでございます。  先生おっしゃられるように、東京湾の中にどれくらいの魚が住んでいるか、そういうものがどうなるかということについては、実は今申し上げましたように、漁業等調査という中で漁業影響調査委員会を設置いたしまして、これは日本水産資源保護協会に委託して実施しているものでございますが、この委員会においてそういうものがどれくらい生息しているかというようなことを詳細に調査しようとするものでございます。
  88. 上野建一

    上野委員 余り時間がないからあれですけれども、誤りは誤りで認めたらいいじゃないですか。実際やってないでしょう。どういうふうに流れるとかといったって、その魚がどう流れるかわからないで、基礎が間違っているのですよ。生態というのは一体どういうことですか。東京湾にどういう魚類が住んでいるかがわからないで、どういう生態になるのですか。そんなばかな話はないですよ。あと細かいところは、それはこれからやるかもしれませんね。何匹住んでいるかまでわかるかどうか知りませんけれども、どのくらい住んでいるかというのはわかるけれども、そうじゃなくて、今、実際に漁業としてどういうものがとられているかということはちゃんと書いてあるのです。これは書いてなければいいですよ。基礎になっているものを書いている。しかも、この中には図鑑まで入っているのです。そうでしょう。魚の図鑑まで入っているじゃないですか。だから、一体この調査はどのくらい費用がかかってやったのかとさっきから聞いているのです。そういう一つの例として聞いているのだけれども、だから、だめなものはだめで、間違っているのなら間違っているで、これは調査し直さなければいけないのではないですか。だから、指摘しようと思えばもっと幾らでもありますよ。ありますけれども、役所の人というのは何で間違ったものを間違ったと認めないのですかね。イシモチが重要だと言っているけれども、これはイシモチじゃないんだと言っているわけです。ちゃんとそれは例を挙げて言っているのです。しかも、今の漁業の調査にも載ってない。それから生態についても違うと言っているのですよ。  それから、東京湾の名について、例えばしゅんせつで東京湾の中にあちこち穴があいているのですよ。砂を取ってあるから、深くなっていて、今はそこには魚がいないのです。そういう調査なんかこれにはないのです。これはどこでやるのですか。東京湾の中の穴があいたりなんかしている現状についてはどこで調査するのですか。そこは全部魚がいなくなっているのです。  それから、この中で水域の問題も出ているのですよ。その中では多摩川のところがありますけれども、ここでは多摩川を余り重視していないけれども、この海域は多摩川の淡水と湾の海水とが合流するわけですね。そこにはプランクトンが非常に多いから、東京湾の中ではスズキとかボラとか、まさに宝庫みたいなものになっている。そういうことについても、この調査というのは抜けているのです。そういう生態について事実上抜けているのです、生態ということだけでも。何匹いるかまで要求しているわけじゃないのですよ。そういう点で、その調査というものをこれはやり直さなければいかぬだろうと思うのです、この生態調査も。  それから、この調子でやっているとするならば、私はほかの全体の調査も、僕らも要求しても余り調査資料出て来ないけれども、一体これはどの程度まで調査は進んでいるのですか。今までのお金のかけ方というのは一体どういうふうになっているのですか。五つあると言っていましたけれども、どういうかけ方をやっていますか。
  89. 浜田幸一

    浜田委員長 順を追って的確にお答えください。
  90. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 あくまでもいわゆる海洋生態調査というのは、東京湾の自然環境に及ぼす影響を目的としたものでございますので、すべての魚について調査することを目的としておりません。代表的なものについて、それを的確にあらわせるようなものを選んで実施いたしておるものでございます。  ただ、先生イシモチとかスズキとかいろいろなことをおっしゃられましたが、私もそちらの方の専門家ではございませんので、そちらの方の専門家の方々に集まっていただいて、その方々の調査方法に基づいて実施しているものでございますので、先生のただいまのような御指摘につきましては、この委員会にまたそういうことを伝えたいというふうに考えております。  それから、この五つに分けた調査項目について、それぞれどれだけ費用を今までかけたかについては、今手持ちがございませんので、早急に調べて、また御報告さしていただきます。
  91. 上野建一

    上野委員 この調査は幾らくらいかかっているのか、今の生態調査に。この本一冊つくるのに。
  92. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 また調べて御報告さしていただきます。
  93. 上野建一

    上野委員 これはもう話にならぬからやめます。  ただし、これについてはちゃんとした内容調査、さらには私質問書を出しでもいいから、それについてちゃんと答えてもらいたい。そうでないと、ただ橋をかければいいというものではないだろうと思うのです。現実にアセスも含めてもう調査が極めて不十分です。私はもうわからないのは、橋をかけることだけに調査の主力がいっているのか。その橋をかけるために必要な条件を整えるためには、環境調査というのは極めて重要だと思っているのですけれども、その点が全部おくれている。これはもうどう考えてもおかしいと思うのですけれども、そこら辺を含めて、後で、きょう聞いたことも含めて、答弁を文書その他でいただきたい、こう思います。  時間の関係がありますから、その点はやめます。ただ、いずれにいたしましても、東京湾の漁業に対する調査が極めてずさんであり、不十分だ、この点をまず指摘しておきたいと思います。  次に、この調査との関係では、四十九年に東京湾船舶航行調査報告書という建設省の関東地方建設局で作成されたのがあるそうですけれども、これはかなり東京湾の船舶の航行についていろいろな問題点を指摘されていると聞くのですけれども、この内容は、この資料、調査報告書は、我々には見せることができないのかどうか、その点をまずお聞きしておきたいと思います。
  94. 浜田幸一

    浜田委員長 直接担当宮、お答えください。
  95. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 いつでもお見せすることができますし、一般の方もごらんになっていると思います。
  96. 上野建一

    上野委員 それではお伺いいたしますが、この東京湾の今の海上交通の問題については、今でも大変多くの問題が出ていて、しょっちゅう衝突をしておる、海難事故が次々と起こっております。  海上保安庁にお伺いいたしますが、最近の事故の多発状態、こういうことからいって、東京湾横断道ができた場合に、例えば一つの例を挙げますが、大変多くめ船が航行する。島から島という今の設計計画が案としてあるようですけれども、あの地下に潜る部分ですね、したがって、その上は自由に通れる部分、この部分だけで航路というのは十分なのかどうか、これをお伺いします。
  97. 宗形健壽

    ○宗形説明員 お答えいたします。  海上保安庁としましては、東京湾横断道路建設計画につきまして、建設省から概略その説明を受けておりますが、本計画は、その建設段階から完成後に至るまで船舶交通に大きな影響を及ぼす、そういうおそれがあると考えておるわけでございまして、安全かつ円滑な海上交通が確保されますよう、運輸省と建設省との間で設置されております東京湾横断道路計画連絡調整会議、これらの場におきまして、関係者と十分協議しながら慎重に対応していきたいと考えております。
  98. 上野建一

    上野委員 そこで、具体的な問題で今晩に指摘されている点が幾つかあると思いますが、その中の一つで、例えば船が避難を要するような台風とか災害時の問題なんですけれども、その場合に、計算では、いわゆる自動車で言えば駐車場ですけれども、錨地ですね、船をとめておく場所が二百三十五隻分必要だと聞いておりますけれども、ところが現在はそのうち百二十六隻分しか錨地はない。そういうことから大きな船は台風が来ると外に追い出す、こういうふうにも聞いているのですが、それがさらに今度横断道ができると、七十三隻分に減る。というのは車みたいに船というのはぴたぴたつけるわけにいきませんから、東京湾横断道ができることによって船をとめておく場所が小さくなる、そういうふうに聞いているのですけれども、この辺のところはどうなのか。七十三隻分しかもし錨泊地がなくなるとするなら、これは大変なことになると思うけれども、どうでしょうか。
  99. 宗形健壽

    ○宗形説明員 お答えいたします。  先生おっしゃられましたように、横断道路が設置されることに伴いまして、湾内船舶の錨泊地は、橋から両サイド二キロメートル以内は使えなくなるのではないかというふうに考えております。そのため東京湾に入ってまいりました船舶の錨泊に支障がないかどうか。また先ほどお話がありましたように、台風来襲時等緊急時の避難、特に大型船の湾外避難につきまして、横断道路、トンネル上の航路だけで円滑に湾外に避難できるかどうか。これらの船舶交通の安全問題につきましても、先ほど申し上げました東京湾横断道路計画連絡調整会議、この分科会におきまして、具体的に安全問題について検討を行うということにしているわけでございます。
  100. 上野建一

    上野委員 そうすると、海上保安庁は、今ですら大変な状態になっている。もう本当にいつ事故が起こるかわからないという状態。ここに資料がございますけれども、全部でいろいろな事故が五十五年で百十三件も起きている。こういうことが海上保安庁の白書にもございますが、こういう中で、そうすると、今の答弁を聞くと、まだこれにさらに湾を狭くする、いわゆる航路をふさぐあるいは錨泊地を少なくする、そういうものに対して、まだ海上保安庁は的確な意見なり考え方を持っていないということでしょうか。
  101. 宗形健壽

    ○宗形説明員 お答えいたします。  現在示されました計画案につきまして、具体的に船舶の交通の安全面から、今後道路が設置された場合、支障のないようにいかに対策を講ずるかということについて検討を加えることにしておるわけでございます。それから、ちなみに申し上げますが、東京湾における船舶交通のいわゆる船舶の混雑の状況でございますが、横断道路計画場所における船舶交通状況は、昭和四十五年日本海難防止協会のレーダー観測によりますと一日八百ないし千隻となっております。これら船舶につきましては、昭和四十八年七月施行の海上交通安全法で定められました航路等を航行することによりまして、湾内における船舶の事故も、海上交通安全法の施行以前に比べまして、最近は大変な減少を示しております。
  102. 上野建一

    上野委員 それで、これも時間がございませんので、また続いて後の機会にやりますが、いずれにせよ、東京湾横断道の設計はある程度でき上がりつつある。ところが海上交通の問題については対策がまだこれからだ。すると、島から島というのは距離が決まっていて通るところが大体固定化されつつある。それでいながら一方ではまだ調査不十分で対策ができてない。そういうようないいかげんなことじゃ困るので、まず湾内の船の安全、これは仮に船が爆発なんかしたら大変なことになるんです。周辺のコンビナート地帯に飛び火したら一体どうなるのか。けさの新聞でも出光で、田畑に油の雨が降った、洗濯物も全部べったりになった、こういうことです。県には公害協定というのがあるんだけれども、それは紳士協定であって役に立たない、こういうことのようですね。そういうところへもし船が爆発したとかなんとかということになったらえらいことになる。そういう安全についてここまで来てまだなお不十分だ。これはやはり海上保安庁はもっと積極的に、こういう点では困るんだ、こうなっては困るんだというものをもっとはっきり出すべきじゃないでしょうか。海上保安庁は船の安全をまず第一に考え立場だと思うのです。建設省の方は橋さえかければいいという気持ちが大分多いだろうと思う。そういうふうになると、両者がなれ合ってはいかぬので、四十九年に出した中では大分問題が既に指摘されているわけですから、それについて海上保安庁は少し勇気を持って明確にしてもらいたい。なおそこら辺の問題については、後ほどお聞きしていきたいと思います。一そこで、国土庁長官に一言だけお伺いしたいのですが、実は東京湾横断道ができるということから、千葉県の土地の買い占めが進んでいるということが盛んにマスコミその他で宣伝をされております。それは県議会などでもかなり問題になっているようですけれども、そういう事実があるのかどうか。それから上総研究都市の構想などもこれとつながっているようですけれども、そういう意味で横断道ができることによって千葉県の土地が急騰したりしたら困るので、何のために橋をかけるのか。一部には住宅ができる、通勤が速くなる、こういうことを言われている点もあるわけですけれども、買い占めによる土地の値上がりの可能性があるのか、現状はどうなのか、それを一言お聞きしたいと思います。
  103. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御指摘の問題ですが、投機による買い占めとかあるいはまたそれによる価格の上昇とかいうものについて、県側にも御依頼を申し上げて調査方をお願いしてわったわけでありますが、そういった事実はありません。
  104. 上野建一

    上野委員 ないということですから、あったらまた次に質問をすることにして、最後に建設大臣にお伺いしたいのです。  実は私どもの千葉県の中に埋立地として東京ディズニーランドができ上がっております。これについては、国民の財産である海を埋め立ててつくった土地の上に成り立っているわけでありまして、このディズニーランドが成り立つ上においては、大変公共的な県や地元の市を含めて全面的な協力があったわけでございます。ところが、このディズニーランドの建設に伴って土地転がしがあるとかいろいろなことが言われております、あるいは脱税があるとか。そういうことですので、私ども社会党は建設部会で現地の調査を視察を兼ねていたしました。  そこから質問をいたすのでありますけれども、その経過の中では、オリエンタルランドという会社、許可をもらって埋め立てをしディズニーランドをつくった会社ですが、その会社が直接土地転がしをやったという経過は認められません。ただ問題は、この埋め立てをした土地のうち四十二万坪を坪四万五千円で、ディズニーランドの会社であるオリエンタルランドから三井、京成が原価とも思われるわずか四万五千円で持っていっている、そういう事実があります。そしてその金は、四十二万坪をわずか百八十九億で持っていっている。ところが、その後いろいろな経過を考えますと、これを転売したとすればざっと二千百億で売れるはずです。これはいろいろな費用がかかっておりますから、話半分にしても一千億のもうけが三井不動産、京成電鉄に入っていく計算になります。もちろん中身はいろいろ複雑でしょうから、私の概算ですけれども、そういうことになります。むしろそこに今度のオリエンタルランド、ディズニーランドの一つの問題がある。しかも、この会社の株は三井不動産と京成電鉄二社で一〇〇%保有している。したがって、ディズニーランドをつくるについては大変責任があると同時に、これは県から承認を得てやっておるわけですから、三井不動産にしても京成電鉄にしても、このディズニーランドの建設には積極的に力を入れなければならぬはずなんです。私ども何回かこれを催促してやっとでき上がった。ところが、中身を見ると、実際には合計一千八百億の借金を今オリエンタルランドは持っている。それでは、この親会社である株を持っているこの二社はどれだけ金を出したのかというと、京成はゼロ、株の金だけ、それから三井不動産は十五億のお金を低利でオリエンタルランドに貸している、こういう状態です。事実上彼らは山分け、半々にしても五百億ずつは間違いなくもうかっておる、こう思われるその会社が、自分たちの責任でやらなければならぬディズニーランドの建設にはほとんど積極的なあれをやってないですね。そのことから、今日、ディズニーランドをめぐるいろいろな問題が出てきているんだと思うのです。  ところが、今このディズニーランドを見ますと、いろいろな経過があったにしても、あれだけのものができ上がった。しかも県の要望に従って遊園地をつくった。現在二千人の正社員を持っている。それから準社員が七千人いる。この雇用というのは今の不況の時期に大変重視しなければならぬ問題である。それから既に一千万人の人があそこに来ている。その中の一割は外国人なんです。そういうことから見ると、もうこの会社を、つぶれもしないでしょうけれども、つぶすなんということは我々考えていないし、これはむしろ今までの経過からいうと、基礎は公共性を持った上ででき上がったものだ、今は商業活動でしょうけれども、そうだった。  時間がありませんので、端的にお伺いしますが、そうだとすれば、このディズニーランドの事業が、将来は県なり市、いわゆる地元に、公共的な地方自治体に利益を還元する必要があるだろうと思うのです。そうしなければ、これだけ県なり地元の市なりあるいは国の財産まで埋め立てをさせてでき上がった関係がどうもおかしいということになるわけで、そういう意味では、この会社がこれからどうなるかは別にいたしましても、将来の問題としては、これは十分採算が合っていく形になるだろうと思うのです。そうだとすれば、二社で独占をして株を持っていること自体が間違いではないか、私はこう思います。  そこで、これは県が指導性を持っておるわけですけれども、今の土地を売るなとか売るとか、いろいろ話がありますけれども、いよいよ会社が成り立たなくなれば、これは売るに違いないだろうと思うのです。ところが、特約があるのは、県がストップをかけられる、売ったらそれを買い戻すことができるのは来年までなんですね。十年間の特約なんですから、来年で切れるのです。そういうふうにいろいろ考えますと、行政指導というか、これは水野建設大臣、千葉県の出身ですから特にお願いしたいのは、行政指導、政治指導も含めて、これはやはり株を増資するなり何かしてもいいですが、地方公共団体に関連する形で還元する形にならぬのかどうか、この辺の政治指導をやる気はないかどうか。これは千葉県議会でもそういう要望が出されている点なんです。いわば株を公開するといろいろなところが買われて、いろいろな問題になってはいけませんから、株を買い占める人がいるようですから、それは困るので、やはり地方公共団体あるいは公社がありますから、そういうところでも結構なんですけれども、将来はそういうことで行政指導あるいは政治指導をやるつもりはないかどうか、またやるべきではないかと思うのですけれども、その点だけお伺いしておきたいと思います。
  105. 水野清

    水野国務大臣 オリエンタルランドの会社の持ち株の問題は、今、先生のいろいろ御指摘をいただきましたが、一つのお考えであると存じます。しかし、株式の一般公開という問題は、一企業の経営問題でございまして、建設省としては、それに対して行政指導をするという権限を御承知のとおり全く持っておりません。ただ、上野先生からそういう御意見がこの委員会にあったということを千葉県知事にお伝えをしたい、かように思っております。
  106. 上野建一

    上野委員 終わります。
  107. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  古川雅司君。
  108. 古川雅司

    ○古川委員 建設行政にかかわる問題点について、短時間で多岐にわたりますが、若干の質問をいたします。  初めに、第二電電に関連をいたしまして、建設省は電気通信事業の自由化に対応して、同事業に積極的に進出をする方針を決めたというふうに聞いております。全国の高速道路網を活用した光ファイバーケーブルによる情報ハイウェーを建設していく方針を決めたというのがその問題でありますが、六月にはこの計画推進させる機関として財団法人道路新産業開発機構を発足させて、昭和六十一年四月には電気通信事業の中核になる子会社を民間企業による出資を前提として発足をさせる、このように決めたとも言われておりますが、これに相違ございませんか。
  109. 水野清

    水野国務大臣 高速道路における光通信網敷設構想についての御質問でございますが、現在、電気通信法体系の改革が、これは郵政省の御所管でございますが検討されて、今、逓信委員会にかかっているということは先生も御承知だと思います。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕 電気通信事業分野にその法律ができますと、電電公社が株式会社になりまして、競争原理、いわゆる独禁法上の競争原理が導入されることとなり、大容量の通信回線サービスについて新規参入をしなければいけない、こういうことが予想される、こういうことも一つの社会的な流れとして報道されているとおりでございます。  ところで、建設省の所管をしております高速道路には、既に建設省内部のあるいは道路公団その他の道路関係四公団の内部連絡用の、あるいは道路情報を一般の道路利用者にお伝えするための通信回線がその全線にわたって約三千四百三十五キロ、これは昭和五十八年度末の状態でございますが敷設をされているわけでございます。そうしてその通信回線が一部はもう既に光ファイバーに取りかえられておりますが、将来それが全線にわたって光ファイバーに敷設をされかえるという事態もいずれ来るであろうと予想をしております。  そこで、建設省としては、道路情報を含む多様な情報を伝達する大容量の光ファイバーをこの際敷設をして、まず第一には高速道路利用者の利便の増進に資することを考えたい。今よりも私は道路の混雑とか、例えば東京から青森に行く際は、途中でかなり雪が降っているということもあると思いますし、いろいろな気象状況も大いにあろうと思いますが、自動車の中では割合にそういうものがキャッチしにくい。ですから、そういうことも何かの方法で道路利用者に絶えず地域的にもあるいは広域的にもお伝えをする必要がある。ですから、そういうものを道路サービスの中で私はもっとやっていくべきだと考えております。また、現にやっておる事業を伸ばすべきだと考えているわけでございます。  さっき申し上げましたように、一方で大容量の光ファイバーを埋設するわけでございますが、どうせならば、自家用の需要以外に、さらに容量の大きいものを埋設しても、その埋設の工事費は同じでございますから、実情はむしろその利便の費用というものが薄められる可能性もある。こういうようなことから、幅広くひとつ通信回線として活用することができないかということから発足をしまして、今いろいろと検討している最中でございます。  検討に当たりましては、各界の有識者の方々から成る懇談会をつくりまして、これは私的懇談会でございますが、私の就任以来懇談会をつくりまして、ただいま御意見をいただいているところでございますが、その具体化については、新しく設立いたします予定の財団法人道路新産業開発機構、これは仮の名前でございますがつくりまして、調査研究を進めていきたい、かように思っております。  この財団法人、仮に道路新産業開発機構という名前でございますが、これは新情報システムの具体的な構想を含めて、その他民間活力の活用によりまして道路の多面的な利用、調査研究をすることを目的としております。例えば共同溝の多目的利用であるとか、共同溝が大都市でまだ進捗しておりませんが、消防関係者から、高層ビルの火事の際に、はしご車をかけますと高圧線に触れる、そこで消防士が非常に危険にさらされる、何とか少なくとも大都市の中央だけでも早く電線を地中に埋設してほしいというような強い要望が先般来あったところでございまして、こういうこともあわせてこの新しい財団法人で調査研究をしてもらいたい、本年七月初めを目途にできれば設立をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  110. 古川雅司

    ○古川委員 水野大臣は電気通信分野の御専門でいらっしゃるということで非常に御丁寧な御答弁をいただいたわけでございますが、いずれにいたしましても、これらの構想は今国会に提出をされております電気通信事業法案の成立を一つの前提にしていると思います。この法案の趣旨について論及するのは避けますが、建設省主導によっていわゆる第二電電の構想が行われていくというふうに受け取りますと、これは本当の民間活力の導入、有効な活用につながるかどうかという声も一部にあるわけでございますが、あるいは既にこれは天下り先をつくるものではないかという声も聞かれておりますけれども、この辺について大臣の御見解はいかがでございますか。
  111. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの先生の御指摘は、私もこれは注意をしていきたいと思っております。  それと、ただいま申し上げましたのは、何か財団法人ですべてをやってしまいまして、民間の活力が導入できないのではないかというような御指摘でございますが、これは将来のことで何ともわかりませんが、その財団法人を一つの足場にして、やはり先ほど申し上げましたように、電電が株式会社になるわけでございまして、財団法人で通信事業ができないことはないと思いますが、新しい通信事業はやはり株式会社の形態をとる方がよかろう。そういう際には、一体株式をどういう配分をするかということもございましょうから、先生の御指摘のように、十分建設省の電話会社だというようなことにならないように、なるべくその株式はたくさん民間に放出をして、むしろ利用者の一つの合同の企業体になるような運営をさしていきたい、かように思っております。
  112. 古川雅司

    ○古川委員 では次の問題に移ります。  建設大臣は、先般訪中をされまして、その際、中国側の交通関係者といろいろ意見の交換等をなさったようであります。その際、中国側は日本に対しましていわゆる高速道路建設と管理についての技術協力について非常に強い要請があったというふうに聞いているわけでございますが、これは日中両国の友好促進という視点から考えましても、できるだけ協力をすべきであると私は考えます。  ただ、具体的には道路公団などが事業の企画であるとか設計管理面などそうした道路の高度技術のノーハウを提供することになるわけでありまして、今後そういう方向で大臣がお進めになるというお考えを持っていらっしゃるとすると、いわゆる現行法である日本道路公団法との関連で一つの壁があるのではないかと思うわけでありますが、この点どういうお考えでしょうか。
  113. 水野清

    水野国務大臣 中国を訪問いたしましたのは、建設行政道路の部分でございますが、日中間で一つの技術交流というようなものができればと思って訪中をしたのは御承知のとおりであります。その中でいろいろ中国側から要請を受けたわけでございますが、御承知のとおり、日本道路公団は海外のコンサル事業であるとか、あるいは直接その他いろいろな事業に参加をする、あるいは進出をするということはできないわけであります。そういう点は中国側によく説明をいたしまして、実際に中国側と話をいたしましたのは、日本道路がこれだけ整備されたのは、実は、御承知のとおり重量税であるとか揮発油税であるとかいったような道路利用者自身が自分で払う税金の中からいろいろな高速道路網というものが整備されてきたという日本道路の今日のように伸びてきた歴史を説明しまして、中国側にも基本的にはそういうような方法が望ましいし、ぜひひとつそういう点においていろいろ情報の交換をしたい、あるいは道路建設についてもいろいろ技術的な面では連絡をし、お互いにノーハウを教え合うようなこともいたしたい、こういう話をしたわけでございます。  そこで、日中の道路交流会議というものを設置しまして、でき得れば本年中に中国側から直接の関係者に来てもらって、日本道路建設の一つの仕組み、財政的なものから始めまして仕組みをひとつわかっていただきたい、あるいは技術的な面でも御援助をしたい、こういうような話し合いをしたわけでございます。  さて、そこで道路公団の法律改正をする意思があるかどうかということでございますが、いろいろ建設省内には海外事業に足がかり手がかりをつくりたいという希望を持っている向きはよく存じておりますが、まだ今のところそこまで私どもは積極的に問題を固めておりません。
  114. 古川雅司

    ○古川委員 こうした省内での意見の調整ということも今、大臣おっしゃいましたが、国内的にいろいろ対応することで各省間の意見の調整ということもあると思うのです。昨年来関係公団のいわゆる技術協力にかかわる海外コンサルタント業務、その点について建設省と国土庁、この両省が日本道路公団法や水資源開発公団法、そうした関係法の改正案を国会に提出しようという意図があったというふうに伝えられております。  ただ、こういうことに対して外務省あるいは国際協力事業団、その辺で非常に大きな意見の相違があった、そういう事情から実現しなかったということでありますが、この辺の調整については、大臣としては今後どういうお見通しを持っていらっしゃいますか。
  115. 水野清

    水野国務大臣 御承知のとおり、日本の海外経済協力は国際協力事業団、JICAが中心になって、窓口になりましてやっているわけであります。あるいは金融という面では海外経済協力基金が中心になってやっておるわけでございます。そうしますと、ほかの公団、事業団がたくさんの頭脳集積といいますか知能集積、技術集積、そういうものを持っているわけでありますが、それが生かされないでいる。各公団、事業団あるいは特殊会社などで非常に海外のいろいろな事業に進出をしたいという希望を持っております。しかし、これは内閣全体の問題でございまして、今後ひとつ内閣の中で、特に外務省とでございますが、いろいろな話し合いはしていきたいと思っております。
  116. 古川雅司

    ○古川委員 では、三番目の質問に移らしていただきますが、いわゆる公共事業の請負業者が不正事件であるとか何らかの事故を起こした場合には、指名の停止あるいは入札の停止等一定の行政処分を受けるわけでございますが、この措置の細目は、建設省あるいは各自治体において何に準拠して運用されているのか、こういう問題についてでございますが、その具体的な内容の一例として、こうした行政処分を受けた場合に、一つにはどういう方法で一般に知らされているのか。官報に掲載するとかあるいは業者にだけ通知をされるとかあるいは自治体に公告をされるとか伝達をされるとかいうことがきちんとしているのかどうか。  さらに、続けてお伺いをするわけでございますが、公共事業を請け負った工事の施工中にこうした事故が発生した場合、あるいは発覚した場合あるいは司法処分が明らかになった場合、これにどう対応しているのか。三点にわたると思いますけれども、この点について御答弁をお願いいたします。
  117. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもの方の工事の契約につきましては、一般的に地方建設局すなわち地方支分部局に委任いたしておりますので、発注あるいは指名といったことにつきましては、地方支分部局の長が責任を持って行うということになっております。  その際、ただいまお話がありましたように、何らかの事故があるあるいはまた不正事件に関与したといったような場合に、指名をどのようにするかということにつきましては、全国的な統一基準に基づいて実施した方がいいだろうということで、事務次官名をもちまして地方支分部局長に要領を定めて通知をいたしております用地方支分部局長はこれに基づいて実施しているわけでございますが、従来、私どもこれは建設省独自のものとしてやっておりましたが、関係の公共工事の発注官庁がそれぞれ余りにもばらばらであってはいかがであろうかということで、中央公共工事契約制度運用連絡協議会というものを中央の公共工事を発注いたします官庁で持ちまして研究をいたしてきておりましたところ、ことしの三月二十三日にこういった指名停止に係りますところの標準的なモデルをつくることができました。私どもも従来の要領を改めまして、このモデルに準拠いたしまして、ことしの四月一日から実施をいたしております。  その際、この基準につきましては、事務次官名の通知をいたしておりまして公になっておりますので、関係の業界の方々もこの要領を御存じになっておられます。また、指名停止の基準に該当して指名停止をいたします場合には、地方支分部局長から関係の会社、会社といいますか事業者の方に御連絡をすることにいたしております。  それからまた、具体的な事故があったとか契約違反があったとかあるいは贈賄等の刑事犯にかかわるような問題があったとか、その他不正または不誠実ないろいろなことがあった場合、その態様に応じまして指名停止の中身は異なっておりますが、これらはその事実を認定したときあるいは逮捕されたとき、あるいは公訴といいますか訴訟を提起されたとき等々その時点時点におきまして、責任者が明らかになった場合に、これに基づいて私ども必要な基準を設けまして、一定の基準の範囲内で状況を判断いたしまして、適正と思われる期間につきましての指名停止をしている、このような実態でございます。  建設業関係につきましては、担当の局長の方からまた御答弁させていただきます。
  118. 台健

    ○台政府委員 ただいま官房長からの公共工事の発注側としての取り扱いのお答えでございましたが、そのほかに、公共、民間工事を問わず建設業法に基づく処分の制度がございます。建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたときあるいは業務に関しまして刑法その他の法令に違反して建設業者として不適当であると認められるような場合には、建設業法に基づきまして指示、営業の停止、許可の取り消しあるいは営業の禁止等の処分を行うことができることになっております。これはそれぞれの内容に応じまして、このいずれかの処分を行うことができることになっておりまして、なお、この場合にはあらかじめ当事者から聴聞を行うことになっております。  以上でございます。
  119. 古川雅司

    ○古川委員 ちょっと御答弁を聞き漏らしたのかと思いますが、後段に伺いました、こうした行政処分を行った事実を業者に通知するというのはわかるわけでありますが、これを一般に知らせる、官報によって公表するとか自治体に通達をして混乱を起こさないように図るとか、その点はどうなっているのか、ちょっともう一度御答弁をいただきたいと思います。  それから、既に事業にかかっている、工事の施工中にこういう処分を受けた場合にどう処置をするのか、その点が明らかになっておれば、あわせてこれも私聞き漏らしておれば、重ねて御答弁いただきたいと思います。
  120. 台健

    ○台政府委員 建設業法に基づく処分につきましては、これを公表する等の措置はとっておりません。  それから、許可の取り消し等の場合における現に施工中の建設工事の場合におきましては、許可を取り消された工事につきまして、営業の停止等の期間につきましては施工できなくなるわけでございます。
  121. 古川雅司

    ○古川委員 この点につきましては、時間がございませんので具体例を挙げてお伺いするわけにまいりませんが、いろいろと問題点が出てきておりますので、さらにこの運用については重ねて御検討をお願いすることになると思われます。  通告をいたしております質問がまだ残っておりますので、次に移らせていただきます。  いわゆる国土開発幹線自動車道の建設促進についてお伺いをしたいのでございますが、約七千六百キロメートルと言われている予定路線、その進行状況も非常に気になるところでありますが、いわゆる国幹道建設法に基づきまして高速自動車道の建設促進、これを大いに図っていかなければならないと思います。  建設省に対しまして広島県から非常に強い要請のございます陰陽連絡自動車道、これは尾道市と松江市をつなぐ構想の道路でございますが、四国との連絡道という意味も込めて、これを予定路線に追加してほしいという非常に強い要請でございまして、この見通しはいかがなものか。さらに、そのルートにつきましては、庄原市と並んでこの備北圏の中心都市である三次市、これと結びつくことは、国幹道路としてはさらに重要性を高めるものであると考えるわけでございます。この事業全体の見通しとあわせて、この陰陽連絡自動車道の構想に対しての建設省のお考え、さらにこの必要性が飛躍的に増大をしている折でございますので、その点の御当局の御見解を伺っておきたいと思います。
  122. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 高速道路全体の整備につきましては、第九次道路整備五カ年計画が発足いたします五十八年四月におきまして供用延長が約三千二百キロでございましたが、この第九次五カ年計画期間中に千百キロの供用を追加する予定でございまして、四千三百キロ程度になろうかと思っております。  さて、我が国の国土面積、人口配置、産業規模等からいって高速交通ネットワークを形成するにはこの七千六百キロでは十分でないと考えますが、第三次全国総合開発計画におきましては、全国的な幹線交通体系の長期構想といたしまして、既定の国土開発幹線自動車道を含めおおむね一万キロメートル余で形成される高規格の幹線道路網が昭和五十二年十一月に提唱されたわけでございます。建設省におきましては、この構想を受けて、現在、高規格幹線道路網について基本的な調査を実施しているところであり、今後さらにその路線、整備手法等に関する調査推進し、第九次道路整備五カ年計画期間内に高規格幹線道路計画を策定したいというふうに考えております。  先生、今御説明のありました陰陽連絡自動車道松江尾道線につきましては、昨年の七月、広島県、島根県両知事さんよりの陳情で私たちもこういう名称等を知ったわけでございますが、この路線につきましても、ただいま申し上げました調査の中で調査を進めて、この一万キロ構想の中でどういうふうに処理するかを検討していきたいというふうに思っております。その中で、尾道から松江へ至る主要な経由地等も決められていくことになろうかというふうに思っております。
  123. 古川雅司

    ○古川委員 お約束の時間が迫ってまいりまして、非常に多岐にわたりまして恐縮でございましたが、住宅局長に対しまして、良好な住宅建設住宅ストックの有効活用という点で、住宅の増改築、中古流通の問題についてお尋ねをする予定でございました。時間がなくなりましたので、一問だけ伺いまして、次の機会にまた詳細にお尋ねをしたいと思います。  今、表題を申し上げたわけでございますので、概略御存じたとは思いますが、一般的には、中古住宅を取得する人は、新築住宅を取得する人よりも所得の低い場合がほとんどであると考えられます。そういう点では、まず少なくとも融資の金利等におきまして新築の住宅並みに引き下げる措置をとるべきではないかということ、さらには低利の融資につきましては、新築に限られているわけでございますが、これを中古住宅の流通に広げるとともに、適用対象の地域が限られておりまして、これを大都市に限定することなく、さらに中小都市に拡大をすべきではないか、あるいはもう限定をしないで、そうした対象を全域に広げるべきではないか、そのように考えるわけでございますが、この二点はいかがでございましょう。  これをお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  124. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、住宅政策上、住宅ストックの有効な活用を図るということは極めて重要なことでございます。その中でも、増改築の促進あるいは中古住宅の流通を促進することは、今後ますます重要なことになろうかと存じております。そのため、住宅金融公庫につきましては、中古住宅融資につきまして昭和五十七年度に貸付金利を七・五%から六・五%に引き下げまして、逐年制度の改善を図ってきたところでございます。ただ、中古住宅につきましての貸付利率が新築住宅の貸付利率五・五%に対して一・〇%高いわけでございますが、これは、一つは、新築住宅に比べまして価格が相対的に割安であるということ、それからもう一つは、良質住宅ストックの形成に直接的には関与しないということ、こういうような観点からでございます。  それから第二点目の、地域拡大につきましては、現在のところは三大都市圏及び人口五十万の地域に限っておりますが、この地域に限っている理由といたしましては、中古住宅の流通の面と、それから新築住宅の取得の難易度というような点からそういった地域に限っておりますが、今後さらにこの地域拡大についても検討していきたいと考えております。
  125. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  126. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 ちょっと待ってください。計画局長よりちょっと追加の答弁がありますから。計画局長。
  127. 台健

    ○台政府委員 失礼いたしました。先ほどの私の最後の御説明でございますが、許可の取り消しとか営業停止等の処分を受けました場合には、その前に締結された請負契約に係る建設工事だけは施工できるという建前になっております。ただし、建設大臣等が必要がある場合には施工させないことができるということになっております。訂正させていただきます。
  128. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  129. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 御苦労さまでした。  新井彬之君。
  130. 新井彬之

    ○新井委員 非常に短時間でございますが、時間の許す限り質問させていただきます。  初めに、公園の問題、そしてまた緑化の問題等についてお伺いするわけでございます。  今、公園問題についても非常に努力をいただいているところでございますが、この公園とかあるいはまた緑化の問題というのは、今後ますます大事になってくるのではないか、こういうぐあいに考えるわけでございます。私たちが小さいころには、お号とか神社とかそういうところでよく遊んだりしましたし、比較的よく運動も足りましたし、楽しく遊べる場所というのはたくさんあったわけでございます。ところが、御承知のように、今、学校も警備保障会社が警備するというようなことでなかなか使いにくくなっておりますし、もちろん子供さん方は家にいて、よく勉強されるとか、そういうような一つの時代の流れもありますけれども、今後子供さん方が健全にどんどん成長する、あるいはまたお年寄りの方も、今大変ゲートボール等がはやっておりまして、本当に朝早くから皆さんで楽しんでおられる。しかし、そういうゲートボールをやる場所というのがなかなかないわけでございます。そういう中で、総合公園とかそれからまた児童公園あるいはまたそういういろいろな施設については、本当に精神を潤す、本当に健全な社会生活をするためにはこれからますます必要になってくる、こういうぐあいに思うわけでございますが、建設相のまずその辺の所感をお伺いしておきたいと思います。
  131. 水野清

    水野国務大臣 都市機能の中で公園の役割、位置づけということについての御質問だと思います。  御承知のとおり、今、新井先生の御指摘のように、我々の子供のころは、周辺に公園とはいえないが何となく空き地があったり、神社や仏閣の境内があったり、学校の校庭でも遊べたりというようなことで、確かにそういうものがございました。しかし、人口がだんだん周密化してきて、そういうものが次々と失われていって、都市に住む方々がいろんな意味で非常に不便をしている、あるいは自然との触れ合いがそこで失われていくというのが実情であります。  都市公園というのがどういう役制を持っているかということについて、今、御質問の点で考えてみたのでございますが、都市内の自然との触れ合いや魅力のある風致景観の保全というようなことは、良好な都市環境のために必要なことであるというふうに考えております。それから、都市はやはり自動車とか工場とかいろんなものが多いわけでございますから、都市公害というものを緩和する役割も一つあるであろう。それから、万一の地震とか火災のような災害時の避難場所にもこれがなるであろう。それから、ただいまお話があったように、児童、青少年に対する健全な遊び場を提供してくれる。あるいは最近は老人クラブの方々がゲートボールなんかをやるようなことが多いわけでありますが、そういう老人の憩いの場所の提供にもなる。さらには町内会が夏なんかよく盆踊りなんかをやりますが、文化とかコミュニケーションの場所の提供になる。こういうふうに非常に多様な機能を持って、都市住民にとっては非常に必要な、今後ともこういうものをもっとふやしていかなければならないという大きな使命を持っているというふうに感じております。
  132. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、本年度も予算がいろいろつけられておるわけでございますが、例えて言いますと、姫路市の場合においても、これは当然五〇%程度は単独の費用でやる、あとの五〇%については一応この補助対象になる、こういうようなことでございまして、いろいろと一生懸命にやっておるわけでございますが、その地域からすると、大変な要望がある地域でございますけれども、補助が三カ所もゼロであったということで非常に嘆いているというようなこともあるわけでございます。予算が非常に少ない中でございますけれども、やはり希望を持っていただくために、たとえ少額たりとも順次つけていただきまして、やはり今後の都市整備の中にありまして、ここはやはり公園地域になるのだ、そして今後こういうふうに発展させるのだ、こういうことで、ひとつそういう面もすぐはできなくても、希望を持たせていただくようにお願いをしたいと思うわけでございます。例えて言うと、北平野南であるとか大塩稲荷とか宇佐崎というのがありますが、そういうようなところは全然ゼロでございまして、そういうところをひとつよく御勘案を願いたいと思うわけでございます。  それだけにとどまらず、今、借地方式というのも採用されているようでございますけれども、この借地方式にしましても、固定資産税だけ減免するというのではなくて、例えて言いますと、お年寄りになりまして、わりかた土地もたくさん持っておられる、自分もまたゲートボールをしたいのだということがいろいろあるわけですけれども公園に貸してあげようというところについては、今後やはり新しい手法として考えていかなければならないのじゃないか、こういうぐあいに一つは思うわけでございます。そういうことで、公園の方も新しくどういうぐあいにすればより多くできるかということをひとつお考えをいただきたい。これは要望をしておくわけでございます。  それから、植樹も五カ年計画を今、一生懸命やられておるわけでございまして、一万四千ヘクタール、それでキロ数に直しますと四千三百キロメートル、本数で千四百三十八万本、これだけの植樹計画があるということでございますが、緑化の問題はきょうは時間がありませんから長々とお話しできませんが、緑の効用というのはもう大変な効用があるわけでございます。そういうことで、もちろん地域を決めて植樹するということも非常に大事なことでございますけれども、やはり日本の国は全国的に山林もたくさんありますから、そういう地域は別としまして、都市の人口集中化に伴いますことから考えますと、木の数が非常に少ない、こういうことでありますので、これは例えて言うと、国道四十三号線、これは非常に公害道路だということで、全部側道に木が植えられておりまして、非常に騒音を出すとか、公害を出す割には走っていても非常に気持ちのいい道路になっております。     〔中島(衛)委員長代理退席、北口委員長代理着席〕 そういうことですから、植えられる範囲でとにかく国道なんかの舗道なんかにもどんどん植えていくというようなこと。あるいはまた苗木が幾らぐらいするか知りませんけれども、とにかく植樹というものについて、年に一回ぐらいは木をみんなで植えようじゃないか。建設大臣が中心になりまして、「植樹の日」なんかを設けまして、一本ずつ植える、こんなことも非常にいいことではないかと思うわけでございます。学校なんかで卒業するときに松の木とかあるいは杉の木なんかをもらってまいりまして、子供がもらってきたわけですから、自分で植えて、それがだんだん成長する、そういうのを見まして、ああ、あのときに自分は先生からこういうぐあいに言われて、その木がこれぐらい大きくなっている、自分も成長しなければいけない、こんなこともあるわけでございます。そういうわけでございますので、植樹については、一部の方々がやるというよりも、今、例えて言いますと、兵庫県の山崎町はもうサツキという木については非常に有名でございまして、そのサツキの日になりますと、大阪からも神戸からもたくさんの人が集まってサツキを買いに来て、みんなで家で育てるといいますか、そういうことをやっているわけでございます。そういうことで、こういう木ならどこに植えたらいいですよとか、そういうようなことも一遍にはいかなくても、歴史を経るごとにみんなで植樹をする、年に一回ずつぐらいは植樹をするというようなことで、「植樹の日」なんかを設けられたらいかがかなと思うのですけれども、そういうことについて御見解を承っておきたいと思います。
  133. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  まず最初にお話がございました都市公園予算の問題でございます。  五十九年度は事業費にしまして千九百八十三億円でございまして、これは前年度に対しまして一%の減になってございます。御承知のとおり、第三次の都市公園整備五カ年計画の四年度目でございますが、その進捗率は五九%ということでございまして、公共団体要望に十分こたえられない非常に厳しい状況になってございます。今後とも事業促進予算確保について努力をしてまいりたいと存じております。  それから、公園につきまして借地方式の公園考えたらどうか、さらに進めていったらどうかという御指摘でございますが、借地方式の公園整備につきましては、現行法制でも十分可能でございますし、現に都市基幹公園のような大規模な公園につきましても、一部借地方式で公園整備を進めているところもございます。また最近では、昭和五十六年度からでございますが、私どもいわゆるタウンズファームと言っておりますが、都市内の農地につきまして、当分の間宅地化する意思のない土地につきまして賃貸借をいたしまして、これを公園緑地と位置づけまして一般市民に公開する、こういうことを始めでございます。お話にございましたように、こういう土地買収でなくて借地方式の方が土地所有者の理解も得られやすいケースもございますので、こういうこともあわせて進めてまいりたいと考えております。  それから、都市緑化の問題でございます。  お話の中にございましたように、現在五十七年から六十一年までの植樹五カ年計画を実施いたしてございます。この中で街路樹でも、道路につきましては四千三百キロの街路樹を整備していこう、五カ年間でございますが、そういう計画を立ててございますし、何と申しましても、町の緑化といいますのは、その緑の五〇%以上は民有地の緑で支えられておるわけでございます。そういうことから都市緑化の啓蒙推進活動ということが特に重要でございまして、現内閣でも内政の重要課題の一つとして全省的に進められているわけでございます。私ども建設省としましても、春秋二回の緑化運動をいたしまして、苗木の配布等もいたしてございます。また木を植えるに際しまして、なかなかその知識が得られない、気軽に相談できるところということで緑の相談所を全国で設置を進めてございます。まだまだ全国的には数が少のうございますが、都市緑化植物園という名前をつけまして、身近にある木の取り扱い、栽培の仕方というものを市民の皆さんに簡単に気軽に教えられるよう公園の一角等にそれを現に設置いたしてございますが、まだまだ不十分でございますので、こういうものもふやしてまいり、町の緑をふやしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  134. 新井彬之

    ○新井委員 大変いろいろとやっていただいておりまして、その点については非常に感謝するわけでございます。ただ、私も今ちょっと木が比較的好きになっているのですけれども、「緑の週間」とか何かいろいろありますけれども、日ごろからやっているのですけれども、いつ植えたらいいのかという踏ん切りがつかないようなこともあるので、やはり「何々の日」などということで、建設大臣なら建設大臣が中心になりましてやるようなことにした方がみんな一斉にやられるのじゃないか。特に民間の方々がみんなでやらないと、どこかがやっても手入れが悪いし、興味がありませんし、なかなか長持ちしないのじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございます。そういう面につきましても、今後ひとつ御検討をお願いしたいと思います。  それから、次に土地区画整理事業についてお伺いするわけでございますが、この土地区画整理事業というのは、組合施行にしましてもあるいは公共団体施行するにしましても、話し合いがなかなか大変ケことでございます.そういう中で話し合いがまとまってやろうというところは、やはり先行的にやるのが当然だと思いますし、旧市街地などを再開発するといいましてもなかなか大変ですし、道路一本引くにも立ち退き問題、今まで私はここに住んでいたとか、いろいろ事情がございまして進まない。そして本当の住みやすい道路なり公園なりというものを確保するというのにはおよそほど遠いような現状になっておるわけでございます。やはり区画整理事業がきちっとできておりますと、家は余り建っておりませんけれども道路は完備しておりますから、道路だけでも非常に気持ちがいい。どうせ建物は必要に応じて順次いろいろと建ってこようかと思うのです。この土地区画整理事業というのは、都市を立派にするためには先行投資として非常に大事なことであろうというように思います。会計検査院が、それは効率が悪いではないか、建物等がなかなか建たないというようなことを言われたようでございますが、それも建設省とよく話し合いをされまして、もうよく御理解をしていただいたということでございます。各都市に参りますと、区画整理事業をやる以外にどうしても本当によくならないということで期待をいたしておりますので、今後のこの面についての推進についてお伺いをしておきたいと思います。
  135. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  土地区画整理事業につきまして非常に御理解のある御指摘をいただいたわけでございます。御承知かと思いますが、土地区画整理事業は戦前から行ってございますが、現在までに全国で約七千五百ヵ所、二万九千ヘクタールという実績を上げてきております。既成市街地面積が五十五年度の国勢調査の結果で見ますと百万ヘクタールでございますから、約三割に相当するわけでございます。私ども実は、計画的な整備が行われないで市街地がどんどん拡大していったというところに今日の都市問題の大きな原因の一つがあると考えておりまして、この土地区画整理事業をさらに進めていく必要があると思っております。特に新市街地につきましては、御指摘のとおりぜひこれを先行させて整備を進めてまいりたい、こういうことで努力してまいってございます。  区画整理事業につきましては、道路特別会計から補助金が出てございます。これは区画整理によってつくられます都市計画決定されました幹線道路につきましての造成費を道路管理者が道路整備立場から補助金として出すわけのものでございます。先行的な整備を図るあるいは新しく道路をつくるものについて公平に負担しあるいはその開発利益を公平に分かち合う、こういう意味からいきましても、区画整理事業は非常に好ましい仕組みでございます。我が国の都市を見ましても、区画整理が非常に盛んで熱心に行われてきた都市におきましては、例えば名古屋市あるいは福井市、先生の地元の姫路市のようなところは区画整理が従来から非常に熱心に行われておりまして、その町並みは割合整然とつくられてございます。そういう例を見るまでもなく、今後とも全国的に区画整理事業を積極的に進めてまいりたいと思っております。  なお、お話にございました会計検査院の指摘につきましては、これは不当事項とかという意味の御指摘ではなくて、せっかくできた宅地をさらに有効に活用するような努力をすべきではないかという趣旨の御指摘でございまして、この点につきましては、私ども通称ペンペン草対策と申しまして従来からいろいろ進めてきたところでございますが、今後ともさらに努力してまいりたいと存じております。
  136. 新井彬之

    ○新井委員 姫路市でも、また船場川東地区とか高浜東地区、大井川地区、そういうところで今計画をずっとやっておりまして、今後本当に立派な都市計画のもとにやっていこうということでございます。そういうことでまた今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  それから、時間がありませんけれども、国土庁にもあと一問お聞きをしておきます。  我が国の重要な位置を占めております近畿圏の問題についてお聞きをしておきますが、近畿圏につきましては、近年人口、産業が伸び悩みあるいは減少しており、また大企業の本社も東京に移転するケースが見られるなど、近畿圏の総休的地位の低下が顕著になっております。  これを具体的な数字で申し上げれば、例えば昭和五十年から五十五年の近畿圏の人口の社会増減を見ますと、実に二十万人の減少となっております。また近畿圏の工業出荷額の対全国比は昭和三十五年の二七・六%から昭和五十六年には二一・八%にまで低下しております。これは全国的な工業再配置の観点から見れば、ある程度やむを得ない面もありますが、それでもなおその低下のピッチは速過ぎるのではないかと思います。  言うまでもなく、近畿圏は我が国の第二の大都市圏であり、産業のみならず文化の一大中心地であります。したがって、近畿圏のこうした現状を放置しておくならば、近畿圏だけではなく、我が国の将来に極めて重大な問題を投げかけることとなるのは必至であると言わなければなりません。こうした状況に対し、国土庁は近畿圏の発展、その地位の向上を図るため、最近「すばるプラン」の策定等に取り組んでいると聞き及んでおり、大変心強く思っているところでありますが、今後の近畿圏の整備の方向についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  137. 北口博

    ○北口委員長代理 この際、都市局長から発言の訂正がございますので許します。松原都市局長。
  138. 松原青美

    ○松原政府委員 まことに失礼いたしました。先ほどの答弁中、区画整理済みの土地の面積が二万九千ヘクタールと申し上げたようでございますが、二十九万ヘクタールの間違いでございますので、訂正させていただきます。
  139. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、近畿圏は首都圏と相並びまして我が国の枢要な地位でございまして、近畿圏を整備することは、国土の均衡ある発展のために非常に大事なことでございます。ただいま先生から御指摘がありましたように、近畿圏につきましていろいろな面で総体的な地盤沈下が出ておるわけでございます。申し上げるまでもなく、近畿圏は文化等の遺産も非常に大きいものがございますし、それから学術、産業といった面の蓄積も非常に多いわけでございます。したがいまして、こういった過去の蓄積といったものを生かして、今後近畿圏を整備していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。こういった状況の中で、最近関西文化学術研究都市あるいは関西国際空港といったような大規模なプロジェクトが近畿圏の中で構想をされておるわけでございます。  国土庁といたしましては、こういった大規模なプロジェクトをインパクトといたしまして、近畿圏の整備に努めていきたいということで、二十一世紀を展望いたしました近畿圏の計画、すなわち新近畿創生計画、これを「すばる計画」と称しておりますけれども、現在、関係公共団体あるいは財界、学界、言論界、それから地域の住民の方々、こういった方と一緒になって懇談会をつくりまして、近畿圏の地位の向上、近畿圏の整備のために現在努めておるわけでございます。  現在、我々が考えておりますのは、近畿圏の各地域が連携を強化するための総合的な交通体系の整備、すなわち東西軸あるいは南北軸の整備、あるいは国際化の進展に対応いたしました国際機能の強化、さらには新産業の導入によります産業構造の高度化、それから情報化の進展に対応いたしました情報機能の強化、こういったような課題について、現在検討を進め、昭和六十一年ごろまでに新近畿創生計画をまとめていきたいと考えております。
  140. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  141. 北口博

    ○北口委員長代理 小沢貞孝君。
  142. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 現在実施中の各種公共事業五カ年計画の進捗状況は芳しくありません。建設大臣は去る三月九日の建設委員会で、この点について特に発言をされて、こう言っております。「各五カ年計画の実施については、計画策定後の経済財政事情等を勘案しつつ弾力的に行うこととされており、計画と実施の乖離が直ちに計画改定を必要とするものではない」こういうように発言をされました。公共事業費が国の財政事情に制約されることはやむを得ない面もあるとしても、公共事業の果たす役割の重要性を考えれば、五カ年計画達成を、単なる願望というか努力目標に終わらせてはならないと考えるわけであります。この点について建設大臣の所見をお伺いいたします。  というのは、私は後で官房長にでも聞こうと思っているのですが、どういう過程で五カ年計画をつくったか、それは国会に報告もなければ国会の承認も経ない、そういうものであります。そして政府が勝手に約束をして、政府が勝手にそれを破っている、国民から見ればそういうふうに見えるわけです。だから、これは大臣、私は非常に重要視いたしますので、十分気をつけてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  143. 水野清

    水野国務大臣 建設省所管事業の各種五カ年計画につきましては、公共事業予算が今年度で五年連続の抑制になっております。そこで、御指摘のとおり、進捗が非常にはかばかしくございません。特に、五十六年度から六十年度を計画期間といたします下水道、都市公園等、海岸、特定交通安全施設等及び住宅の各五カ年計画につきましては、住宅建設五カ年計画の公的資金住宅を別といたしまして、その達成は非常に厳しい状況となっておりますが、なお、残された期間において最善の努力をするということが、実は私が現在できる答弁でございます。  それから、昭和五十八年度から計画がスタートいたしました道路整備及び急傾斜地崩壊対策事業並びに五十七年度からスタートいたしました治水事業につきましては、まだ四年ないし三年の計画期間を残しておりますので、できる限り計画目標の達成を図るように努めるつもりでございます。
  144. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 五月十六日付のこれは日本経済ですか、「財源難で達成断念」こういう記事が載っております。その中の例えば下水道主力年計画をとってみると、予算計画五年間で「十一兆八千億円の事業費をつぎ込んで、普及率を約四四%に引き上げることを目指している。」ところが、これは断念をいたしましたという記事であります。だれが断念したかというと、大蔵省が断念をしました、こういう記事であります。私は大変いろいろの問題を含んでいると思います。  一番に聞きたいことは、こういう五カ年計画をつくるプロセスというか、それは例えば建設省所管であったならば、下水道であるならば都市局ですか、それから計画局ですか、そういうところが一つの案をつくって大蔵と合議をするわけですか。そして最後は閣議決定で決めるわけですか。これは事務的に後で説明をいただきたいと思うわけであります。そうであるならば、一体、何で大蔵省が勝手に断念をいたしましたと、——これだけのことを国民約束するのだったら、それを法律事項とするというか、あるいは国会に報告をする、国会の承認を得る、何らかの措置が行われていなければならない、私はこう思うわけで、そうでなければ、政府閣議で勝手に決めておいて、国民約束をしたものを、これは大蔵が勝手にやめました、これはいかんとも国民をばかにしている、国会をばかにしている、こういうように見えるわけで、どうぞその辺の事務的なことだけで結構ですから。
  145. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありました五月十六日付の日本経済新聞の記事でございますが、これにつきましては、そういったような報道も私、記事として見せていただきましたが、これは政府方針として決定したわけでもない、多分いろいろなところから取材をされた結果として、一つの推測的な記事であろうかと考えております。大蔵省の方でも、このようなことにつきまして断念したというような決定をしたとは聞いておりません。  なお、今お話がありました五カ年計画は、どういうふうな仕組みで、どのようにしていくのかということでございますが、例えばただいま先生から例として出されました下水道でございますが、下水道につきましては、下水道整備緊急措置法という法律に基づきまして、「下水道の緊急かつ計画的な整備促進する」ということのため、下水道整備五カ年計画建設大臣が案をつくりまして、これを閣議決定を求めるというような仕組みに法律上相なっておるわけでございます。もちろん、その中身には、「五箇年間に行なうべき事業の実施の目標」であるとか、あるいはまた「事業の量」であるとかが具体的に記されるわけでございますが、一般的な手続といたしましては、私どもがその五カ年計画のいわば建設省としての考え方の案を提示いたしまして、財政当局とも十分御相談をし、最終的に予算編成の過程におきまして、政府としての案をまず定めまして、それを法律が、大抵の場合は一定の期間が定められておりますので、その法律の延長を国会におきまして議決していただきました上、政府閣議決定といたしまして五カ年計画を定める、このような手続によっているものでございます。
  146. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 手続はわかりました。何とか法に基づいて建設大臣が案をつくって、そして閣議の決定を求める、こういうプロセスを経ているわけで、だからこれが全然達成されないということは、私は政治責任を負わなければならぬような重要なことだと考えるわけです。そうじゃないでしょうか。それを大蔵省が勝手に、今も聞けば、まだ決まったわけではないとこう言うけれども、断念をした、こういうことを勝手に発表さして、それはどの建設大臣の時分にやったか知らぬが、これは建設大臣が怒って大騒ぎをしなければならぬほどの重大なことだと私は思うわけです。それだけの政府は責任をとるぐらいな強い意思を持ってあくまで計画は達成する、こういうぐあいにいかなければ、私たちはこの問題は納得できません。  そこで、前の委員会でも私、発言をしておいたけれども、各種五カ年計画があるわけです、建設省所管の委員長に私はお願いをするのは、私たちはこの扱いというものを建設的に党派を超えて、要は計画ができたのを実現をしたい、それがどうしたらいいかということについて、やはり委員会相談をしていただきたい。多分、前に浜田委員長はそうしましょうみたいな話になっていたような気がしたのだけれども、その後さっぱり取り上げないので、これはどうぞ理事会に諮って、具体的にこの問題の、これから五カ年計画をつくる場合には、国会に報告するとか承認を求めるとか、さらにまた今の計画が達成できないものはどういうように扱ったらいいか、そういう問題についてはひとつ党派を超えて重要な問題で、委員長よく建設的にと言うのだから、私は建設的に大いにやってまいりたいと思いますので、どうぞ理事会でこり問題の取り扱いというものをやっていただきたい、こう思います。
  147. 北口博

    ○北口委員長代理 小沢貞孝委員の御指摘の件は、理事会で検討さしていただきます。
  148. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がないので、そういうような扱いをしていただいて、先に進めさせていただきます。  ここ二年の豪雪によって雪寒地域道路の破損が大変著しいわけでありますけれども、国、県、市町村道を通じて、雪寒地域道路の舗装補修事業の実施状況はどういうことでしょうか。それが一つ。  二つ目には、県道、市町村道についての舗装補修事業が国庫補助の対象となるためには、難しいことがなかなか書かれております。車道幅員五・五メートル以上とか、交通量が一日当たり三千台以上とか、事業規模一カ所当たり六千万以上の三つの要件をすべて満たす必要があるように言われております。しかし、道路の破損の多くは一カ所に大規模に集中して生じるものではなくて、随所に小規模に生じるものであり、このため国庫補助の対象とならない場合が多く、県、市町村が単独事業で実施しているのが実情であります。  ちなみに、舗装補修事業に対する事業実績を見ると、都道府県道のうち国庫補助事業は約六十四億円、都道府県の単独事業は約五百四十一億円となっております。市町村道の方はまだひどくて、国庫補助事業はなし、市町村単独事業は約一千二十七億円となっております。舗装補修事業の国庫補助事業採択基準の要件を下げるべきではないか、こういうように考えるわけですが、お答えをいただきたいと思います。
  149. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 昭和五十六年と五十九年の豪雪におきまして、雪寒地域道路相当に破損したわけでございますが、これに対する舗装補修をどのようにやってきたか、またこれからどういうふうにやるかというような御質問かと思いますが、道路の維持管理に要する費用は、当該道路の管理者が負担することが法律上原則となっております。しかし補助国道及び道府県道の舗装補修につきましては、大規模であるなど一定の基準以上のものに限りまして国庫補助の対象といたしております。  昭和五十六年の豪雪直後におきましては、雪寒地域の補助国道及び道府県道に対し百三十五億円の舗装補修費の補助を行いました。五十九年度はこれからでございますが、雪寒地域の補助国道及び道府県道の舗装破損に対しましては、百三十六億円の舗装補修費の補助をこれから行うことといたしております。また幹線市町村道の舗装破損に対しましても、破損した舗装を必要な舗装厚さにするための特攻四種事業の箇所間流用で対処していきたいというふうに考えております。それから異常低温による凍上などによる舗装破損につきましては、災害復旧事業で対処していきたいというふうに考えております。  先生、採択基準をもう少し下げてもっと採択量を多くしてはどうかということでございますが、現下の非常に厳しい財政事情のもとでございますので、これを下げて実施するということもなかなか大変でございますので、今申し上げましたような箇所間流用等を活用して雪害で傷んだ道路舗装の補修を積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  150. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私には箇所間流用というような専門語がよくわからないわけですが、要するに災害には、この間も負担法が改正になって、何とかは災害で採択いたしますと、こういうように、道路は省令で何かガードレールもやります、こうなっておったのですが、要するに、去年、ことしの多しみ上がってしまって傷んだものに災害復旧費を出せるわけですね。箇所間流用とかいう言葉は別としても、出せる道があるわけですね。
  151. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 異常低温による凍上は自然災害ということでございまして、もちろんその自然災害に適用されるかどうかについてはいろいろな基準があるわけでございますが、それに該当するような規模の舗装破損であり、今申しました異常低温による凍上が自然災害になるような程度のものであれば、災害復旧事業ということで採択していただけることになっております。  それからまた、先生今、箇所間流用というお話でございましたが、幹線市町村道の舗装破損等で相当程度破損したものについては、必要な舗装厚さにするための特攻四種事業というのがございます。これは一部で現道舗装というような言葉でも呼ばれておるわけでございますが、こういう特攻四種事業がほかの路線等であった場合、この幹線市町村道で雪害等で舗装破損の著しいところにそういうようなものを箇所間流用して舗装の補修を図っていくというようなものでございます。     〔北口委員長代理退席、中島(衛)委員長     代理着席〕
  152. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 二日、三日前に長野県の土木技監や何かが陳情にきた文書を今ここへ来て見せてもらったわけですが、五十九年冬の異常寒冷のために、県内の国道、県道、市町村道は、凍上により甚大な被害を生じておる。県においても、「当面の道路維持には舗装修繕費の増額など最大限の努力をしておりますが、例年になく深い凍結深のため、通常の維持補修のみでは対処し得なく、苦慮いたしているところであります。」とある。要するに、今、災害の箇所間流用でやれるということは、この間負担法で決めた五十メートルか何かの中に何カ所傷んでいて、採択基準を今度三十万に上げたわけですが、そういうことに適用しなければ災害では採択してもらえない、こういうことなんですが、それをまだもう少し緩和してやっていただけるわけですか。
  153. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 異常低温による凍上等による舗装破損に対して、これを災害復旧事業として取り扱うのは、今回の法律改正前でもこういうふうにできるようにはなっておりました。ただ、先生今おっしゃいましたように、県から出された中で、凍結深等が非常に深くて、全面的な破損をしたというようなものでなければなりませんでしょうし、またそういうものについては、先ほど申しました特攻四種事業ども適用できましょうし、そういういろいろな手法を講じつつ舗装補修をやっていきたいというふうに考えております。
  154. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 できるだけそこは弾力的に解釈をしていただいて、私も各市町村から、大変そういう問題が多いので困ってしまったという話を最近聞いているわけですが、できるだけ弾力的にあれしていただいて、災害等で復旧ができるようにしていただければありがたいと思います。  恐らくそれにしてもまだ落ちこぼれみたいなものがたくさんあるのじゃなかろうかと思います。地方交付税のうちで、普通交付税の算定に当たって、寒冷度に応じて適当な寒冷補正をしておるけれども、この補正値の中身を見ると、人件費、光熱費、除雪費となっております。しかし近年、スパイクタイヤの普及に伴い路面の破損は極めて著しい。ちなみに今年の冬は、東京でも雪が降ったために、読売新聞によれば、首都高速道のスパイクタイヤやチェーンによる破損の補修費が十五億であり、これは普通の年の道路補修費の約一年分に当たると言われております。このことを見てもわかるように、スパイクタイヤによる道路の破損により必要となる補修費は決して無視できる金額ではなく、寒冷補正の中に当然加味すべきではないか、こういうように考えるわけです。  これは交付税のことですが、自治省がいたら御答弁をいただきたいし、また、こういうような寒冷の中へ、道路がこれだけ傷んでしまった、こういうものを入れるようにということは、建設省から自治省へ頼まなければならぬことだと思うのですが、建設省、どうしてくれますか。自治省はこれをどうしようとしております。
  155. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答えを申し上げます。  スパイクタイヤによる道路破損の場合必要となる補修費でありますが、これに対する財源措置をどうするかという御質問であろうと存じますが、積雪地域におけるスパイクタイヤの問題については、関係団体が大変困っておることは事実でございまして、スパイクタイヤを使用することを自粛するように呼びかけを行っているといった事例も出ておるわけでございますけれども、なかなか効果的な防止策が講じられない、対策にむしろ各地方団体が苦慮しているという現状にあると思います。  自治省といたしましては、この問題につきましては、地方団体だけで解決できるという問題ではないというように考えておりまして、むしろこのスパイクタイヤの問題については、国のレベルで具体的な防止策というものを検討すべきではないかと考えておるわけであります。関係省庁でこのスパイクタイヤの問題についての検討委員会といいますか、連絡会議も持たれておると聞いておりますけれども、そういった中で検討されまして、具体的に決まりますれば、地方団体に対する財政措置というものも、その段階で検討していかなければならないというように考えております。  ただ、いずれにしましても、この道路の維持管理と、特に融雪時あるいは積雪時の道路の傷みに対する補修賛の問題は、スパイクタイヤだけでなくてチェーン等でも起こる問題でございますので、現在、普通交付税の算定上は、積雪地域における寒冷補正の中に、路面の補修等維持費というものが増加するわけでございますので、そういう経費を寒冷度の中に算定内容として算入をいたしておりまして、積雪地域については、通常の地域以上に路面の維持補修にかかる増高経費については普通交付税上措置いたしておるということでございますので、御了解賜りたいと思います。
  156. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと建設省答弁の前に。  先ほどは、災害で取り上げていただけるものはなるべく取り上げていただきたい、それ以外のものについては、今の自治省の御答弁によれば、交付税法上算入されるようなぐあいに当然道が開かれておる。それでは特交で面倒を見ろというのがいつものあれなんですが、特交を待つまでもなく道は開かれておるわけですか。
  157. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 先ほど御答弁申し上げましたのは、スパイクタイヤにかかる道路の維持補修の増高経費ではなくて、通常の冬期間におけるチェーン等で傷む部分については、積雪度という補正がございまして、その中で算入をいたしてございます。  先生、御指摘のスパイクタイヤによる問題につきましては、やはり国の段階でこのスパイクタイヤの問題をどうするかということを決着をつけるべきじゃないかというように私ども考えておりますので、その段階で、国のレベルで具体的な問題が決まれば、その財源措置については私どもも検討していかなければならないというように思っております。したがって、特別交付税も普通交付税と合わせて財源措置の一環でございますので、普通交付税及び特別交付税でこのスパイクタイヤの問題を今直ちに取り上げるということは、当面ちょっと考えていないということでございます。
  158. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、しみ上がりというのでしょうか、凍上でことしは特別道路が傷んだ、それをさっきは建設省は、災害でできるだけやりましょうと、だから、そういうことについての建設省で取り上げてもらえないような地方の負担が非常に多いわけで、それは交付税法上当然取り上げられる道が開かれておるか、こういう質問であります。そうでないならば、これは特別交付税で、ことしは異常凍結でありますから見てもらえるか、簡単に言うとそういう質問です。
  159. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  地方団体で管理いたします道路の維持補修につきましては、第一義的に地方団体が管理する責任を負っておりますので、通常のそういう凍上とか、それからチェーンで道が傷むというものの維持補修費については、先ほど来申し上げておりますように、普通交付税で措置をいたしております。  今度の異常豪雪にかかる場合、除排雪も含めまして非常に大きな支出が地方団体でかかる、しかも、当該地方団体の財政運営上非常に問題があるということで、そういった部分については特別交付税で措置いたしておりますので、個々の団体からの要望というものはあろうかと思いますから、そういった段階で個々の団体の実情もよく聞き、当該団体の財政運営上非常に困るということであれば、特別交付税で所要の検討をしてまいりたいというように思っております。
  160. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 建設省からの答弁はいいです。今のでわかりました。ありがとうございました。  手短に御答弁いただきたいのですが、現在都市再開発の必要性が論じられておりますが、都市再開発のあり方に対する建設省の基本的理念、基本的構想はどのようなものであるか。それから、駅前の再開発を除いて、都市再開発、市街地再開発事業はこれまで大きく進展したとは言えない状態にあるが、その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  161. 松原青美

    ○松原政府委員 お答えさせていただきます。  都市の再開発を推進するに際しましては、社会経済情勢や市民の意識の変化に対応して、都市の活性化と都市環境の改善を図ることを基本理念といたしまして、木造建物の密集や避難のための街路、公園等の不足による防災性の低下、区画街路等の公共施設の未整備や低質な住宅の密集による低水準の居住環境、都市計画街路、駅前広場等の公共施設の未整備や不適切な土地利用による都市機能の低下、スプロール現象による職住の遠隔化及び都心部の空洞化、商店街の衰退などによる地域経済の停滞などの問題を解決することを目的としております。そのために、都市の高度利用及び建物の不燃化、道路公園等の公共施設整備、良好な市街地住宅の供給などを総合的に行う都市の再開発を今後さらに推進する必要があると考えているわけでございます。  次に、駅前再開発を除き市街地再開発事業は余り進展していないのではないかという御指摘でございますが、昭和四十四年に都市再開発法が制定されて以来、現在までに二百六十八地区で市街地再開発事業が完了しあるいは施行中でございます。そのうち五二%が駅前型になっております。したがいまして、必ずしも駅前型中心というわけではございませんで、駅前以外でも相当の市街地再開発事業が進められております。駅前で特に過半数を占めているその原因といたしましては、駅前地区は鉄道と道路の交通結節点となっておりますために、駅前広場、道路等の公共施設整備が最近緊急の課題となってまいっております。そういう都市が多くて、かつ駅の付近というのは商業業務の中心地区となっている例が多うございます。そういうことから土地の高度利用が要請されておりまして、市街地再開発事業に適しているということから、過半数が駅前型の市街地再開発事業となっておるわけでございます。
  162. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そちらへ出してある質問みんな飛ばしていきますけれども、今後建設省はどのような基本姿勢に立って都市再開発を進めていこうとしているか、その際に、国鉄跡地などの国、公有地の活用をどう位置づけて進めようとしているか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  163. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 民間活力の活用という問題につきまして、私まとめ役をしておりました関係から、国鉄用地の問題等も担当しておりますので、私からお答えさせていただきます。  再開発の意義につきまして、先ほど都市局長から答弁ございましたが、再開発それ自体を進めることは、先ほどの答弁のように必要であり望ましいことであります。この再開発を進め都市の機能を高度化させるとともに、環境を整備していくという意味におきまして、官の立場、民の立場ともどもに進めていくことが必要だと思っております。特に民の立場でございますが、再開発の中にはもともと民のなじむ分野が多うございまして、大変民が従来からやってきております。そういう立場推進するために、建設省といたしましても、いろいろな角度から総合的に推進策も講じてきておるところでございますが、先生御指摘の国鉄の跡地の活用などもその一つの例かと思います。ただ、国鉄の跡地などにつきましては、比較的都心部に近いところに大きな土地がございまして、その利用というものは、都市の中の非常に貴重な空間資源ということでございますので、どういうふうに利用するかということは非常に大きな問題でございます。関係地方公共団体とも十分協力しながら有効活用を推進する必要があるわけでございます。  政府におきましては、昨年の十月に国有地等有効活用推進本部というものをつくっておりまして、これの有効活用ということについてはかなり力を入れて検討しておるわけでございます。ただ、国有地のうちで都市の再開発等を推進するために必要だと認められるものにつきましては、その利用方法でございますとか土地の基盤整備というものを総合的に進めていく必要がございますので、そういうものを各省ベースで検討していこうということを相談しております。  なお、そうした再開発事業あるいは区画整理事業、そういったものを進めていくために公共団体が種地として使うことが相当なところもございます。そういうようなところにつきましては、公共団体とも協議の上、有効に活用しようというようなものにつきましては、基本的にこれを優先するというようなことも必要ではないかというふうに考えております。
  164. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いろいろ質問したい点がありますけれども、一つ最後に、この都市再開発がちっとも進まないのは、総論賛成、各論へくると文句ばかり言って権利ばかり主張して、その権利の調整に大変な暇がかかってしまうということがなかなか進んでいかない大きな原因の一つではないか、私はこういうように思うわけです。そういうことを含めて、建設業者に権利調整までみんなやってこいよ、こういうことを含めて契約をさせて、これが民間——民間活力の利用というと総理か何か言い出したことだと思うのですが、それがいいことではないかなと私は思うのですが、これは特段のネックがあるでしょうか。  私きのう松本で床屋へ行っていたら、床屋のおやじさんが、このうちの前が二十四メートルになるそうです。それから始まって、そういう計画はみんな相談をしてやってあるにもかかわらず、今度は各論になると、これはいろいろな文句が出てきちゃってどうしようもない。ただ、私は民間の、例えば発電所等をやっているのを見ると、補償費なんというのはもうすばらしい勢いでたちまちに解決して、金をかけ出したらばばっとその投資したものが元が取れるようにということを民間は非常にやっているわけです。ところが、権利調整に延々と暇がかかってしまって、これはいろいろと都市局からも御指導をいただいておるのだけれども、また地元で役人様がいろいろやっているのだが、これはなかなか暇がかかっちゃっていかぬ。私はそれをみんな建設業者なり何なりそういうことまで含めてやってこい。当然請負金額は高くなると思うけれども、そのことの方がすばらしく進むのではなかろうか。これは簡単にはいかぬ問題で、政府のポリシーの問題でもあろうかと思いますが、そういうことを考えたらどうであろうかと常々考えているわけです。ただ、それには建設業者も社会的責任を負うような立派な業者でなければなかなか簡単に任せるわけにはいかぬかとも思うのですけれども、その方がいいのではないか、こう思うのです。どうでしょうかね。
  165. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいまの先生のお話でございますが、市街地再開発事業の場合の組合施行の場合でございますが、この場合には、基本的には地元の地権者の発意と意思によってその事業が行われるわけでございます。したがいまして、地権者間の権利調整事業を成立させるための保留床の処分等も組合が行うものでありますが、地元の地方公共団体は技術上、財政上の援助を行うとともに、その間に再開発コーディネーターという専門コンサルタントが組合の委託によりまして事業のための取りまとめを行っている場合が多く、その事業について、地域によっては実際問題として建設業者が事業の取りまとめを行っている場合があります。こういうようなことでございまして、御指摘の権利調整等を含めて建設業者に請け負わすことはどうかということにつきましては、権利の調整、保留床の処分等組合の意思決定にかかわる部分につきましては、これはやはり組合がみずから行うものでありますけれども、地元の権利者の意思によりまして、すなわち組合の意思によりまして、建設業者の協力を得て事業を進めようではないかということについては、これは差し支えないのではないかというように考えております。
  166. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間ですから、これは私も意見があるわけですが、これは非常に大事な問題であると思います。中曽根総理か何か民間活力の利用土言うわけですが、私は、もし権利調整まで含めて民間に契約をしてやらせるならば、もっとスピーディーにいくと思う。大体民間でそういうことをやっているのを見れば、もっと熱意がある。夜中よっぴて交渉をやっている。役所では、五時になれば終わって、また来月相談いたしましょうなんてやっているものだから、これは容易な話じゃないと思います。その点ひとつ大臣ぜひ民間活力を利用するというような意味からも御研究をいただきたい、こう思います。
  167. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの小沢先生の御提言というのは、要するに民間のいろいろな区画整理事業とかいろいろな事業実態を把握した非常に現実的なお話だと思います。  確かに先生のお話のようなことができれば、もっと区画整理事業あるいは再開発事業がスムーズに進むだろう、こう思っておりますが、なかなか日本の国というのは建前が非常に大事でございまして、この建前に非常にとらわれてしまっておって、どうも実質が非常に遅延して、私の郷里の千葉県でも各種の区画整理事業をやっておりますが、一体何年やっておるんだろうと思うくらい長い間かかっている。しかもその大半は、土地の交換分合で手間取っているというのが実情でありまして、今後ひとつ民間活力の導入ということでいろいろな各種の再開発その他をやるならば、そういう手法も入れていければと思っておりますが、これにはいろいろな法律上の問題も私は若干あろうと思います。例えば国公有地の問題でしたら、やはりそれは簡単に法律をちょっと無視してできない問題もあろうと思いますので、ともかく先生の御提言は前向きに私は考えていきたい、検討してみたい、かように思っております。
  168. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今、行革が政治の大問題である。電電公社の行革がぽっぽっとうまくいくのは、これは民間人が経営者のせいです。国鉄がさっぱりだめなのは、役人の上がりが総裁になったり、それは高木さんの後だれか民間人でも来て総裁になれば、これはスムーズにいくと思うのです。専売の行革だってちっともうまくいかぬのは、これは大蔵省のOBが来て総裁になっているからいかぬと思う。私は一事が万事だと思います。  もっと突き詰めて言えば、行政の民間化あるいは行政の民営化、こういうことをこれからの行革のスローガンにしていかなければ、能率は上がらぬじゃないかな、こう思うわけで、ぜひまた私の提言については御検討いただくようにお願い申し上げて、終わります。
  169. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 中島武敏君。
  170. 中島武敏

    中島(武)委員 最初に、埋蔵文化財の発掘に絡む問題についてお尋ねしたいと思います。  報道によりますと、建設省は埋蔵文化財発掘問題で文化庁と協議をする、文化財発掘に当たって開発業者の費用負担の軽減や期間の短縮を図ることを検討していると言われていますが、そうですか。
  171. 台健

    ○台政府委員 お答えいたします。  宅地開発事業に伴いますところの埋蔵文化財の問題につきましては、宅地開発指導要綱の取り扱いの問題といたしまして、昨年八月に措置方針を定めたわけでございますが、その措置方針の中で、埋蔵文化財の問題につきましては調査を進めて検討するということにいたしたわけでございます。その延長線といたしまして、宅地開発事業に伴います埋蔵文化財の発掘調査実態につきまして、現在都道府県それから政令都市の指導内容それから調査体制、それと民間開発事業者等の開発に伴う発掘調査の内容等につきまして調査を行いまして、現在その調査結果を取りまとめ中でございます。  なお、埋蔵文化財の保護と、それから宅地開発事業との調整につきましては、従来からその円滑な実施が図られるように文化庁と協議をしておるところでございますので、今度も調査結果がまとまり次第、文化庁とも御相談したいというふうに考えております。
  172. 中島武敏

    中島(武)委員 実は開発に当たっての埋蔵文化財発掘についてはさまざまな問題があります。開発業者が文化財を破壊してしまうということが問題になって、文化財保護法によって、文化財を発見した場合には、文化庁長官に届け出義務が規定されている。また今もお話があったように、市町村によっては、宅地開発指導要綱によって市町村とその取り扱いについて協議することになっています。全国に約三十万カ所に上ると推定されている貝塚や古墳などの埋蔵文化財は、我が国文化を保存する上でも、さらには我が国歴史の真実追求の上でも非常に貴重なものであります。この埋蔵文化財の発掘が利権の対象とされるならば、言語道断と言わなければなりません。  初めに厚生省にお尋ねしたいのです。厚生省所管の公益法人である日本分栄協会の乱脈経理ぶりについて、四月二十五日の衆議院決算委員会で同僚の中川利三郎君が明らかにいたしましたが、この労労協会が年金福祉事業団から融資を受け、勤労者に廉価で良質の住宅を供給すると言いながら、一部幹部が業者や地元住民への工作と称して巨額の交際費、つまり五十七年十二月から五十八年六月の約半年間で八百五十二万円の遊興を重ねたことは、既に問題があると認められましたが、さらにその上、昨年の四月二十八日から五月二日にかけて鹿児島の住宅生協の会議に出たと称して、実は台湾にいかがわしい旅行に行ったという事実を明らかにしましたが、このことについて調査されましたか。
  173. 熊代昭彦

    熊代説明員 御指摘の件につきまして調査いたしまして、五十八年の四月二十七日から二十八日まで全住連の東部ブロック会議出席と、その後鹿児島に赴いたと申しておりましたが、実は御指摘のとおり、四月二十八日から五月一日まで台湾旅行に参加したということでございます。
  174. 中島武敏

    中島(武)委員 本人は認めているわけですね。それに対して厚生省としては何らかの措置をやっておりますか。
  175. 熊代昭彦

    熊代説明員 労労協会の理事長と専務でございますが、それを認めた後、直ちに旅費の精算をして払い戻しはいたしておりますが、これに関しましてどのような処分が適当であるかということは、現在厚生省としては検討中でございます。
  176. 中島武敏

    中島(武)委員 警察庁の方ではこの問題についてどのように扱っておられますか。
  177. 上野浩靖

    上野説明員 お答えいたします。  日本分栄協会をめぐります問題につきましては、先般御指摘もございまして、私ども、ただいま関係者から事情を聴取するなど、現在その実態を解明中でございます。  ただいま御指摘の点につきましては、これも同様でございまして、その事実関係あるいは関係当局の今後の対応を見きわめながら適切な措置をしてまいりたいというように考えます。
  178. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、この乱脈経理の上に横領まがいのことをしていた労労協会の幹部が、千葉県小中台というところに住宅建設を行うということで、五十八年六月十五日に文化財の発掘調査を国際企画開発株式会社に委託していますけれども、これは幾らの契約で行って、現在まで幾ら支払っているか、この点をお尋ねいたします。
  179. 熊代昭彦

    熊代説明員 二億一千万円の契約で、現在まで一億九千万円の支払いをしているということでございます。
  180. 中島武敏

    中島(武)委員 文化庁来ていらっしゃいますか。——文化庁にお尋ねいたします。  この調査に当たっては、千葉市遺跡調査会と国際企画との間で契約を結んで、そしてこの調査は五十八年四月二十七日から五十九年三月三十一日まで行い、既に完了し、入金もされていると聞いておりますが、この契約額、それから入金額、これはそれぞれ幾らですか。
  181. 田村誠

    ○田村説明員 お答えいたします。  千葉市の小中台遺跡群の発掘調査についてでございますが、千葉市遺跡調査会が株式会社国際企画開発との間で発掘調査の委託契約を結んでおりますが、その金額は九千二十一万円でございまして、五十八年四月二十五日に契約を結んでいるというふうに聞いております。  なお、発掘調査自体はこの三月に終わっているようでございますが、四月からは引き続き遺物の整理を継続中だということでございます。  入金については、特に把握いたしておりません。
  182. 中島武敏

    中島(武)委員 県の庁の話によりますと、六千六百万円入金をされているというふうに言っております。そうすると非常に問題なんですが、九千二十一万円の契約で、実際私の調べたところでは、県から聞いたところでは入金は六千六百万円。ところが、労労協会と国際企画との間では二億一千万円の契約がやられて、既に一億九千万円が支払われている。こういうことはちょっと常識では考えられない。つまり一億数千万円の額が国際企画の懐に入ったということになるわけであります。商売として見れば大変なぼろもうけだということになるのですけれども、しかし、商売としてもこういうことは一般的にはちょっと考えられないような問題なんです。まして、文化財の発掘をえさにして巨額のもうけを懐にするということになると、これはまた重大な問題であります。しかも、この金が千葉県選出の国会議員に渡ったということ直言われている。文化財発掘を急ぐために政界工作がやられたとも言われています。私は文化財を食い物にすることは絶対許されないことだというように思うのです。  まず、文化庁の見解を伺いたいと思うのです。
  183. 田村誠

    ○田村説明員 ただいまお答えいたしましたように、千葉市の千葉市遺跡調査会と国際企画開発との間の契約については私ども把握できるわけでございますが、財団法人日本分栄協会とこの国際企画との間でどのような契約が取り交わされているかということは私ども把握できないわけでございます。  発掘調査の場合に、この契約では発掘そのものの契約になっているわけでございますが、造成工事との関係で表土をはいてもらう、それは発掘調査に先立ってやっていただくというようなこともあるわけでございますし、また現場の事務所を貸していただく、造成工事で事務所ができるので、そこを発掘調査の事務所のために貸していただくようなこともあったりしまして、労労協会と国際企画との間でどのような契約内容で契約が取り交わされていたか、契約金額が二億一千万円ということであったとしましても、その内容が私どもちょっとわかりかねますので、それが適当であったのか不適当であったのかあるいは問題があったのかというようなことは、今申しかねるわけでございます。
  184. 中島武敏

    中島(武)委員 先ほど既に厚生省の方でも認めていらっしゃることであって、このことは非常にはっきりしているのであります。しかも機械その他を使う。それは使っているでしょう。だけれども、それは大した金額のものではありません。あるいは現場に事務所を設ける、これも大したものではありません。  では、厚生省に聞きますけれども、厚生省は今のこういうことについて一体どういうふうに考えておられるのか。
  185. 熊代昭彦

    熊代説明員 お尋ねの契約でございますが、エゴダ遺跡発掘調査と谷津台貝塚発掘調査、二カ所の調査でございまして、総面積二万六千九百平米という調査を国際企画に委託しているわけでございます。平米当たりの単価にいたしまして七千八百七円というようなことでございまして、私どもは所管の官庁でございませんので専門的なことはわかりませんが、我々が労労協会からお伺いした限りでは、妥当な単価ではないかという説明でございました。  それから、委託の先で再委託がございまして、御指摘の千葉市遺跡調査会、九千六百万円の契約でございますが、精算で九千二十一万円ということでございます。そのほかに文化総合企画に、株式会社でございますが四千四百五十万円、これは土工事とか測量、機材の搬入、仮設建物の設置、什器の借り入れ等を実施、それから熊谷組小中台作業所、八百六十万円の再委託というようなことを労労協会の方から国際企画に問い合わせていただきまして回答をいただいております。
  186. 中島武敏

    中島(武)委員 話をわかりにくくしている。これは三回調査をやられているのです。昭和五十六年六月十一日から七月十一日まで。これは五十六年ですよ。これは千葉市小中台A地区のエゴダ遺跡調査。契約金四百九十六万円、精算後の額は四百八十万一千円。第二回目は昭和五十六年十二月五日から十二月二十一日までB地区の一部谷津台貝塚、契約額は六百十九万円、精算後の額は六百十九万円。これも昭和五十六年のことであります。これは労労協会と千葉市遺跡調査会との間でやられているものであります。  そして、私がお尋ねし、今ここで問題になっているのは昭和五十八年です。五十八年四月二十七日から昭和五十九年、本年の三月三十一日までのものなんです。これはB地区の残りであります。いろいろなことが絡んでいるのです。いろいろなことが絡んでいるのですけれども、この契約については、先ほど厚生省の方で童言われたとおりなんです。ですから、このB地区の残りの契約という問題で、先ほど厚生省認められたような二億一千万円の契約でこれだけのお金、一億九千万円というものが払われている。ところが、実際にかかっている費用というのは、これは先ほど申し上げたとおりでありまして、契約額は、これも認められているとおりですが九千二十一万円、こうなっておるわけです。これは非常にはっきりしているのです。間違いないでしょう、厚生省。
  187. 熊代昭彦

    熊代説明員 先生御指摘の五十六年六月十一日から五十六年七月四日、それから五十六年十二月一日から同十二月三十一日までの二つの発掘調査は、確かに千葉市遺跡調査会に直接に委託されておりますが、先ほどお答えいたしましたのは、その残余のA地区及びB地区にかかわりますエゴダ遺跡調査の件でございます。実際に払われました一億九千万あるいは契約の二億一千万でございますが、千葉市遺跡調査会に払われましたのは確かに九千二十一万ということでございますが、二億一千万円の内訳といたしまして、文化総合企画にも国際企画開発は再委託いたしまして四千四百五十万円、それから熊谷組小中台作業所に八百六十万円を再委託して支払った、かように言っているというふうに聞いております。そのように申し上げたわけでございます。
  188. 中島武敏

    中島(武)委員 それにしてもまだ随分不明金が出てくるのですね。これはもう明瞭なんです。こういう文化財の発掘問題というのは、はっきり申し上げますけれども、その利益を生むようなことがやられるということはいけないと思うのです。警察庁の方ではどういうふうにこの問題について考えられるか。私はこれはちゃんと捜査をしなければいけないというふうに思うのですけれども、どうですか。
  189. 上野浩靖

    上野説明員 ただいま御指摘の事案につきまして、私どもまだ事実関係を十分把握していないことでございますので、今後先ほど申し上げましたように、そのほかのことにつきましても実態解明中でございますので、その過程において明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  190. 中島武敏

    中島(武)委員 この問題の最後にちょっと大臣の所感を伺っておきたいのですが、やはり開発に当たって文化財の発掘についてはこういういろいろな問題が絡んでいる場合があるのです。すべでがそうだとは申しません。しかし、こういう場合がある。私はやはりよほど慎重にやらないといかぬのじゃないかということを思っておるのですけれども大臣の方の見解を聞きたいと思うのです。
  191. 水野清

    水野国務大臣 一般的な問題としては、中島委員のおっしゃるとおり、文化財の発掘というのは最近非常にいろいろな問題をはらんでいると思います。ただ、私ども建設行政の中でこれは所管でございません。正直に申し上げますと、これは文化庁の所管でございますので、それについて指示をするとか指導するとかという権限がないわけでございまして、ひとつその点は御答弁を申し上げる資格がないということで御容赦を願います。
  192. 中島武敏

    中島(武)委員 いや、費用負担の軽減だとかあるいは期間の短縮問題だとかあるいは指導要綱についていろいろ今、調査をしているとかという問題については慎重にしなければならぬという話を私は申し上げたのです。時間もありませんから、ちょっと先へ行かしてもらいます。  次に、首都高速道路王子線の問題についてお聞きします。  去る五月十日、首都高速道路王子線に関する環境影響評価案が発表されました。この問題について一、二お尋ねをしたいと思うのです。  このアセスメントによりますと、大気汚染の濃度は環境基準値以下となるとあります。そこでお尋ねをしたいのですが、窒素酸化物について見ますと、東京都における窒素酸化物総量削減計画の概要で示されております窒素酸化物総量削減計画が予定どおり達成されていくということが前提になっているのではないかと思いますが、いかがですか。
  193. 並木昭夫

    並木参考人 お答え申し上げます。  窒素酸化物の総量規制につきましては、大気汚染防止法に基づいて定められたものでございます。私どもその達成の見通しにつきましては申し上げる立場ではございませんが、私ども公団といたしましては、関係機関の御努力によりまして達成されることを期待しているものでございます。
  194. 中島武敏

    中島(武)委員 それはちょっと答弁にならぬな。これは出しましたでしょう。環境影響評価案です。これはあなたのところも関係していらっしゃる。そうですね。私これを読んでいるのです。その上でお尋ねしているのですが、どうなんですか。
  195. 並木昭夫

    並木参考人 王子線に関します環境影響評価は、王子線を都市計画決定いたします東京都知事が行うこととなっております。私ども公団は、都市計画決定をされた後に事業をやるということで、事業予定者という立場で御協力を申し上げているということでございまして、私ども総量規制の見通しについて申し上げる立場ではございませんが、あえて申し上げますと、影響評価がというより総量規制が達成されるというのは知事の計画でございますし、都知事が行います影響評価でございますので、それを前提として評価するというのは適当なことではないかというふうに拝察いたしております。
  196. 中島武敏

    中島(武)委員 これはちょっと答弁がそういうふうになると、私、これは質問してもなかなかきちんとした答弁をする立場にない、こうおっしゃるから、これは非常に質問しにくい問題なんですが、東京都におけるNOxの削減計画というのがあります。これによりますと、昭和六十年に達成されるというふうになっています。ところが、NOxの実際はどうなっておるかということを言いますと、自動車排ガス測定局の測定によりますと、基準年である昭和五十一年、これは区部平均におけるNO2・の濃度は〇・〇四一ppm、昭和五十七年には〇・〇四二ppm、逆にふえているのです。それからさらに昭和五十一年には自動車排ガス測定局二十六カ所のうち環境基準を達成していたのは六カ所あった。ところが五十七年には二十七カ所のうち五カ所しか達成できていない、こういう問題が起きてきておるのです。しかもNOxは排出量の多い大型車の混入率がますます多くなっていく。それから直噴車がふえる傾向にある。それからNOxの減少装置が四十五キロから五十キロを超えると働かなくなるというので問題になっている。使用過程車の排ガス規制はうまくいっていない。ところが六十年にNOx総量で四〇%削減する。それから自動車については四八%もNOxの総量を減らすことができるとされているのですけれども、六十年といえば来年なんです。五十七年から数えても三年間、この三年間で約半分近くを削減することは可能なのかどうか私は尋ねたいと思ったのです。思ったんだけれども、あなたの先ほどの答弁で、これは私が尋ねても返事が返ってこないということになるんだね。それではしょうがない。また東京都の方でしっかりやってもらわなければいかぬけれども、私はやはりこの削減計画というのは科学性を欠いている、説得力を失っていると思うのですね。これを土台にしている、前提にしている今度のアセスメントについても、やはり科学性や説得力を失っているものだ生言わなければならぬわけです。だから、本当にやろうと思ったらもっと住民に納得のいく科学性のあるものを出さなければいかぬということを申し上げておきたい。お答えくださると思ったら答えられないというお話なので、引き続き次の問題をやらせてもらいます。  住宅都市整備公団にお尋ねしたいと思うのです。時間がありませんから、私も簡潔にお尋ねしますので、ひとつ簡潔に答えてください。  四月十二日付で主として四十八年度に管理開始された住宅について建設大臣に家賃改定の申請を行って、五月十日に建設大臣はこれを承認しました。私はこれは値上げのやり方が、生活実態から見ましても、また居住者の意見を聞くこともなく一方的に行われたという意味においても、不当だと思うのですけれども、幾つかの問題をここでお尋ねしたいと思います。  まず一つは、値上げ額のことですけれども、団地の居住者が支社に問い合わせをしてもきちんと教えてくれないということで不満が出ているようであります。一体どれくらい値上がりするのかわかれば——一般的なことは私知っています。具体的に答えられるかどうか、この点が一つです。  それから第二の点は、今回の値上げに当たっても、昨年の値上げと同様に政府要望事項を誠実に実行するかどうかという点であります。  それから第三は、政府要望事項の四にあるのですけれども「値上げ増収分については、極力修繕等の促進に使用すること。」こういう内容になっています。ところが皆さんの方でお出しになった「お知らせ」の中を読みますと、「今後できるだけ計画的に行っていく主な修繕等項目とその内容等」というところで、比較的古い団地にいろいろと修繕を行うというふうになっています。ところが高島平とか豊島五丁目団地、こういう団地にはいろいろな要求がたくさんあります。天井から吹きつけた粒子が落ちてくるとか浴室のドアが木製のために腐ってしまうとか、あるいは1DKなんかは特にそうですけれども、二戸を一月に広げてほしいとか二部屋を一つにしてほしいとか、二戸貸しをしてほしいとか増築してもらいたいとか、こういう要求がある。あるいは豊島五丁目団地なんかで言えば、どうもカビが生える、それから水漏れがひどい、それから音がうるさいというようなことで欠陥団地じゃないか、こういう声もあるわけであります。こういう点について、比較的新しい団地も住民の要望をきちんと入れて修繕を図るべきだと思うのですが、いかがですか。  以上、三つまとめてお尋ねしました。
  197. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  まず第一点目の、今度の五十九年度に値上げいたします団地の値上げ額の問題でございますが、まだ個別、具体の団地につきましては引き上げ額は決まっておりません。現在算定をいたしております。概算で申し上げますと、改定前の平均家賃は約二万八千九百円でございまして、改定後の平均家賃は約三万一千四百円となりまして、平均約二千五百円、約九%の引き上げとなる見込みでございます。現在、大臣の承認をいただきまして、細かい計算を具体にやっております。おおむね来週後半程度になりますと、各団地に詳細の額を御通知することができると考えております。  第二点の問題でございますが、この五十九年度に値上げいたします公団の家賃改定につきましては、昨年五十八年十月に実施いたしました第二次一斉改定と同様でございまして、一連の改定だという取り扱いをしております。内容等にいたしましても全く同じものでございますので、さきの委員長要望事項を十二分に尊重して算定をいたしたものでございます。  第三点の修繕事項の問題でございますが、修繕等の実施に当たりましては、御承知のように、修繕という事柄の性質上、修繕箇所等を調査確認いたしまして、損耗等の状況を勘案いたしまして、緊要度の高いものから実施をしているわけでございます。したがいまして、今後とも偶発的に生じますところの破損等の補修や経常的な修繕はその都度行いますほか、外壁塗装、給配水管取りかえなどの損耗の状況に応じまして実施する修繕につきましては、一般的に古い住宅から順次実施しているところでございます。  今後実施いたします修繕につきましては、これまで実施してまいりました修繕がかなり促進されておりますので、比較的新しい住宅も実施することができるようになると思っております。したがいまして、給水施設の改良とか共用廊下等の床シート張りにつきましては、管理年度にかかわりませず、必要のあるものについてできるだけ各団地において修繕が行えるように配慮してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  198. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 時間が参りましたから……。
  199. 中島武敏

    中島(武)委員 では終わります。
  200. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会