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1984-03-02 第101回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二日(金曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 浜田 幸一君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 木間  章君    理事 新井 彬之君 理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    金子原二郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       野中 広務君    東   力君       村岡 兼造君    森田  一君       保岡 興治君    上野 建一君       関  晴正君    前川  旦君       古川 雅司君    伊藤 英成君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         国土庁長官官房         会計課長    安達 五郎君         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁土地局長 永田 良雄君         国土庁水資源局         長       堀  和夫君         国土庁大都市圏         整備局長    杉岡  浩君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君         建設政務次官  糸山英太郎君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省河川局次 中川 澄人君         長         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  委員外出席者         内閣審議官   照井 利明君         公正取引委員会         事務局経済部団         体課長     植松  勲君         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         行政管理庁行政         監察局監察官  奥山 繁夫君         大蔵省主計局主         計官      兵藤 廣治君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊藤 博行君         建設大臣官房官         庁営繕部長   渡辺  滋君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君         自治省行政局行         政課長     木村  仁君         日本国有鉄道新         幹線建設局長  田中 和夫君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大城 金夫君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  大塩洋一郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  実君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     瀬崎 博義君 同月二十五日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     不破 哲三君 同月二十八日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     瀬崎 博義君     ————————————— 二月二十三日  国民生活関連公共事業推進に関する請願中島  武敏紹介)(第三七三号)  尾瀬の水の広域的運用に関する請願(長谷川四  郎君紹介)(第三七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 浜田幸一

    浜田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事大城金夫君、住宅都市整備公団総裁大塩洋一郎君、理事京須実君理事武田晋治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浜田幸一

    浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 浜田幸一

    浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東力君。
  5. 東力

    東委員 自由民主党の東でございます。  本日は、国土庁長官建設大臣に、先般の所信表明について質疑をさせていただきたいと思います。  まず建設大臣、あなたは、建設行政基本的課題として、「建設行政基本的課題は、社会資本整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあります。このため、道路治水都市公園下水道住宅建設等の各五カ年計画に基づき、国民生活維持向上国土安全性の確保及び国土の発展に資する諸施設整備長期的視点に立って計画的に推進することとしております。」と述べておられます。  大臣のお考えでは、我々日本人は諸外国と比べてどの程度充実した国民生活を営んでいるとお考えですか。大臣が例記された項目の中で、道路都市公園下水道住宅について、アメリカとヨーロッパの一、二カ国と比較して日本がどのくらいのところにあるか、数字でお示しいただきたいと思います。
  6. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの東先生の御質問にお答え申し上げます。  先般、所信表明で申し上げましたが、建設省所管事項につきまして、下水道であるとか都市公園であるとか道路であるとか、それぞれ五カ年計画を作成いたしまして、それぞれ三年目に入ったりあるいは二年目に入ったりしている現状でございます。  そこで、欧米先進国に比べてどうか、こういう御質問でございますが、例えば下水道普及率はおよそ三分の一近い、三分の一しか達成をしていない。公園はどうかといいますと、欧米の首都に比べますと十分の一程度である。高速道路についてはどうかと申しますと、大体四分の一程度である。治水事業についても大変おくれている、こういうような実情でございます。このように整備水準というのは非常におくれているわけでございますが、建設省としては、御承知のように、五カ年計画を作成して進めておりますけれども、御承知のような財政事情でなかなか進捗率伸びないで困っていることも事実でございます。しかし、具体的な問題としては、二十一世紀初頭を目標にして、何とか欧米並みにこの普及率を達成したい。二十一世紀の初頭には、下水道では欧米に比べて約九〇%、都市公園では人口一人当たり面積で大体二十平米、高速道路の延長は七千六百キロメートル、治水事業についてはおおむね概成をしたいというような計画を立てているわけでございます。  しかし、御承知のとおり、この二、三年、公共事業費伸びが非常にとまっておりまして、これを何とか回復したいということで、財投資金を投入するとかあるいは民間資金活用するとか、いわゆる民間活力導入ということも含めて、ちょうど財政停滞伸び率の低い時期でございますので、これを乗り切っていきたい。また、次に財政が大きく伸びる、展開する時期には、飛躍的な伸び率を示して、何とか二十一世紀までに、先ほど申し上げたような目標を達成したい、こういうふうに思っているわけでございます。
  7. 東力

    東委員 下水道都市公園、さらに独高速道路については、二十一世紀初頭にこれくらいのところにいこうということをお示しいただきました。つまり五十八年度におきまして下水道が三三%の普及に対して二十一世紀の初頭には九〇%まで持っていくというようなことでございます。さらには都市公園を一人当たり四・六平米から二十平米に持っていく。しかし、私が学生時代のころから、同じように、都市公園のおくれが大変顕著でありまして、四倍ぐらいにするということは言っておられました。また私は今同じようなことを聞くのでありますけれども、膨大な金がかかると思いますが、長期的にやるといたしまして、予算裏づけ、実行の見通しがあるのかどうか。財政当局がよく理解をして整合性がとれているのかどうか。今大臣財投及び民間資金活用を通じて補っていくと言われましたが、それだけで済むように思えない面もございます。  また、つい最近の新聞で見ましたが、金丸先生が、増税をやってても公共事業はやるべきである、その理由といたしまして、景気の振興、さらには国際的に要請されている内需主導型の経済成長ということを達成し、さらにはおくれている公共投資、その蓄積を早く先進国並みに引き上げるためにどうしても必要であるから増税をしてでもやるべきであるとしておられます。この点について政府見解をお伺いいたしたいと思いますし、また財政投融資活用できる規模、そういうものがどの程度のものか。さらには建設国債を例外的に大幅に発行できないものかどうか。そして最も具体的にお示しいただきたいのは、民間資金活用ということを言われますが、具体的には、今までに対してどのようにどこが違うのか、どの程度違うのか。一括いたしますと、長期目標は結構なのでありますが、これに対するちゃんとした裏づけがあっての話かどうかという点をお伺いいたしたいと思います。
  8. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの御質問は大変哲学的な問題も含まれているわけでございますが、私が増税をしてでもということは、この席で申し上げる資格もございませんからお許しをいただきたいと思います。  私が先ほど申し上げましたのは、今、財政伸びが非常に伸び率の悪い時期である、御承知のとおりの財政再建の時期でございますから。しかし、その中でも、例えば五十九年度予算では、建設省の行います事業はおおむね前年並み予算財投資金その他民間資金活用しましてようやく確保し得た。ほかの事業は全く伸び率がマイナスであったり大変困っていらっしゃいますが、何とか維持をした、こういうことであります。しかし、日本財政がここでこれから十年も二十一世紀までずっとこういうような状態であるということではないわけでありまして、やはり一つ転換期がこの二、三年以内には来るであろう。その転換期にはまたおくれを取り戻していきたい。それまでは民間資金その他財投資金、いろいろなものを利用してやっていきたい。ともかく二十一世紀まで、先ほど申し上げましたような所期の目標を達成していきたい、かように思っているわけでございます。
  9. 東力

    東委員 民間資金活用ということについて、今までがどうであって、今後どうするかという点については答えていただいていないように思います。実は公園とか下水道について、さらには最も公共事業と思われるような項目について民間資金を積極的に活用していく、僕は考え方としては大変立派で望ましいことだと思いますが、具体的に大臣がどういうことを考えておられるかについて教えていただければ大変ありがたいと思います。
  10. 水野清

    水野国務大臣 数字としては事務当局から申し上げますが、例えば都市の再開発について来年度予算で非常に重点的に予算づけをしております。その再開発の中では、今までの密集した市街地を高層化することによって公園をつくっていく。これなどはまさに民間の力を拝借しなければできないことの一つであります。あるいは民間にお金が大変余っておりまして、海外投資などを行われておりますけれども、こういうものを、例えば政府保証債あるいは都道府県縁故債、こういうようなものでなるべく吸収をしまして、都市関係の再開発とかいろいろなことに利用していく。民間資金でございますから、どれにも使えるということではない、ある程度収益率というようなものが問題になってまいりますけれども、その中でそういうものを吸収していきたい、こういうような考え方でございます。  細かいことについては事務当局から数字で説明をさせていただきます。
  11. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま民間資金活用についての数字についての御質問でございましたが、私どもの方で現段階で民間資金導入活用できます方途といたしましては、財政投融資を使っております道路関係公団等におきまして民間資金活用も十分図れるのではないかということで、五十九年度は道路関係の四公団につきまして民間資金を約一兆三千億円ばかり導入することといたしておりまして、その率は前年度に比べまして一七%ほどふえておる、こういうような状況でございます。  また、再開発も当然民間資金が多く使われるわけでございますが、民間需要が大きく推進するための国の予算手当てといたしましては、前年度に比べまして三〇%程度の増を図っておりますので、それをてこにいたしまして、恐らく十倍以上の民間資金活用が図れるものというふうに考えております。
  12. 東力

    東委員 大臣のお答えの中に、例えば公園等についても民間資金活用を図ってまいりたいというお言葉をお聞きしましてちょっと危惧いたしましたのは、市町村のいわゆる宅地開発要綱について私は違う角度から質問がございましたので、今ちょっと関連してその方の御質問もさせていただきたいと思います。  実は、市町村の方が人口急増地域において、特に学校とか公園とかさらにはその他の公共施設民間宅地業者に押しつけてくる。これが行き過ぎではないかという感じがございまして、建設省及び自治省で最近ではむしろ慎重にやるようにという指導をしているやに承っておりますが、その事実はそうでございますかどうかを御確認願いたいと思います。
  13. 水野清

    水野国務大臣 今のお話は、民間宅造業者宅造をやりますときにいろいろな規制がございまして、特に地方自治体が工費負担をその宅造業者にかぶせるというようなお話だと思います。そこで公園をつくらせるということがあって、それは必ずしも民間活力導入とは問題が違うのじゃないか、こういう話だと思います。それはおっしゃるとおりでありまして、余りそういうことが厳しいために、最近土地の供給がある意味では停滞をしている。そこで、昨年の八月でございますか、建設省としては、余り過度のそういう負担開発関係者にかけないようにという事務次官通達を出しております。私が先ほど申し上げましたのは、東京都内あたりの再開発に際して、二階建ての木賃住宅なんかたくさんありまして、それを一カ所に集めて高層ビルを建てる、その余ったところを公園化していく、そういう意味のことを申し上げたわけで、ちょっと混同なさったかもしれませんが、御理解いただきたいと思います。
  14. 東力

    東委員 いや、混同しているのではありませんで、質問宅地開発指導要綱についてついでに関連して御質問させていただきたいということでございます。大臣の御趣旨はよくわかりますので、その点御心配なさらないようにお願いします。  去年の八月に、項目といたしましては、手続や協議期間の短縮が一つ、それから二つ目関連公共公益施設整備適正化三つ目寄附金負担金の取り扱いの適正化ということを指導されたと承っております。この点につきまして、私どもも、いろいろな業者を健全に育成して、質のいい住宅を供給するという我々の要請から考えると、行き過ぎた指導要綱は次のような欠点を含んでいると思います。  例えば、一つには、価格に転嫁されますから価格の上昇につながる。例えば堺市と神戸市の例を私はお聞きしましたが、二千万円ぐらいのマンションをつくっても二百万円ぐらい負担金を取られる。その分だけ最終需要家が余計、金を払わなければならないというようなことになろうかと思います。また宅建業者過当競争にさらに輪をかけて、健全経営の圧迫ということでいろいろな、例えば手抜きとかあるいはそういった問題が起こるということも危惧されると思います。また市町村の放漫な財政運営につながるのではないか。いっそなければしっかりした考え方でいかなければならないのに、そういうことになると、本来切り詰めてでも公共施設に回さなければならないような金に少し緩みがくるのではないかというようなことも考えられると思います。また市等開発公社をつくって、そういうところには負担金はない。そういうふうに、公的な公社の本来の目的は立派だと思いますけれども、また一方で負担金を課される民間業者が過当に競争しなければならない。もし世界的に見られるように、公的な機関が経営効率化努力を怠っても、しかも競争に勝てるような状態であるとすれば、大変行き過ぎた問題が出てこようかと思います。この点につきまして、この負担金とかその他を撤廃されてはどうかと思いますが、この点につきまして、いっそのこと撤廃させて、地方公共団体では、その他別途の手当てをして、明確に自助努力によって行う、そして競争は同じような立場でさせるというのがかえって民間資金活用、さらにはいい競争裏のうちにいい住宅施設をつくっていただく、そういう方向にもつながるのではないかと思いますが、大臣の御見解はいかがでございますか。
  15. 水野清

    水野国務大臣 ただいまのお話は、確かに先ほど私が申し上げましたように、過度開発関係者に対する負担が結局は地価にはね返って、実際は土地が売れないあるいは住宅が売れないという問題に響いて、今日の住宅建設戸数がなかなか伸びないということにもつながっているわけでございます。その点では過度に行き過ぎないようにやっておりますが、余りまたすべて自由ということになってまいりますと、これは大体市街化地域の外の開発、いわゆる大規模開発の問題に問題が集中するわけでございまして、それになりますと、今度は、それではその地域の例えば下水を流すのをどこへ流すのか、それは全部建設省あるいは都道府県のやる下水事業にすぐかかってくる。今、現在下水の五カ年計画をやっておりますが、その外側にあるものをいきなりそこへ入れてしまうということは非常に難しいことじゃないか。でございますから、やはり先ほど申し上げましたように、昨年の夏に次官通達を出しましたが、私どもの方では、先般衆議院の本会議でもそういう御指摘が他党からもございましたし、ともかく行き過ぎないように、例えばもう何が何でも消防車も買わせれば、幼稚園も保育園もつくらせるというような過度の、本来市町村でやるべき仕事を開発業者にやらせて、結局それが全部宅地価格に響いてくるという問題があるわけでございますから、過度にならないようにということで、やはり基本的に道路とか下水とかいうようなものは、その地域の中のものは開発関係者にやっていただかなきゃいけないわけでありますから、その辺はひとつ交通整理をしながら、過度にならないようにということで指導していきたい、こういうふうに思っております。
  16. 東力

    東委員 今大臣が述べられた適正な方向に向かって今後とも建設省自治省大いに指導して正しい方向に導かれるようお願いいたします。  次に、外国との比較において、実は住宅について一番大きな関心を持っていたのでありますが、その数字が抜けておりますので、改めてお聞きしたいと思います。
  17. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 お答え申し上げます。  住宅につきましては、各年度別に着工されます住宅床面積と、それから現に建設をされております既存の住宅、すなわちストック二つに分けられますが、各年度別に着工されております住宅の二戸当たり床面積につきまして、最も新しい資料でございますと、一九八〇年、すなわち昭和五十五年の資料がございますが、それによりますと、我が国は九十三・九平米でございます。それからアメリカが百三十六・一平米と相当の違いがございます。その他の国々につきましては、資料が整っておりませんで大変恐縮でございますが、西ドイツが百二平米ということでございます。  それから、ストックにつきましては、住宅の数が非常に多いために、そういう関係もあろうかと思いますが、私ども方々手を尽くして資料を当たったわけでございますが、現在わかっておりますのは、昭和五十三年の調査我が国は八十・二八平米でございますが、西ドイツフランスがほぼそれに近い規模となっております。  しかしながら、実は我が国住宅規模の測定の方法といいますか、床面積定義と他の国の床面積定義が異っておりまして、我が国壁しんで計測をいたしますが、外国は外壁の内のりで計算をいたします。そういたしますと、そこで約一二、三%程度の違いがあると言われております。さらに外国の場合には、地下室でありますとか屋根裏あるいは共同住宅等共同部分居住室面積には算入しておりません。したがいまして、実質的には西ドイツフランスとも我が国に対しましてかなり大きな規模になっているのではないか、少なくとも二割以上の規模になっているのではないかというように考えております。  ただ、資料が十分整っておりませんで、例えばアメリカイギリス等についての一戸当たり平均床面積がとれておりません。国連の世界統計年鑑あるいはNAHBの資料等々によりましても、この一戸当たり平均床面積につきましてアメリカイギリスがとれておりませんので、大変申しわけなく存じております。
  18. 東力

    東委員 資料がしっかり整っていない点に関しては、今後調査をしていかれることをお願いいたします。  アメリカという国は資料は大変整っている国だと思いますけれどもストックについてなかなか入手しにくいということは大変驚きでありますが、この点に関しましても、正しく我が国現状について国際的な比較の上において知る。さらには我々にとって、狭い国土の中でうまく住み分けながら、人間の情操教育あるいは家庭の潤いと幸せに少なくとも必要な量ということをどのように考えておられるか、いま一つお願いできますか。
  19. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 ただいま申し上げましたアメリカ等資料につきましては、できるだけ早く整備いたしたいと考えております。  それから、住宅の問題につきましては、量的には昭和四十三年以降ほぼ解決が済んでおります。しかしながら、質的な面で、すなわち、居住水準の面で諸外国に比べまして相当立ちおくれていると考えます。例えば最低居住水準として考えております通常の四人世帯規模住宅専用面積が五十平米でございますが、その最低居住水準に満たない世帯昭和五十三年の住宅統計調査でも五百七十四万世帯ございます。そういうようなことで、もちろん住宅居住水準というのは、設備、性能その他いろいろございますが、まずは規模が非常に大きな部分を占めるわけでございます。したがいまして、先生の御指摘住生活の根幹ともなりますいろいろな情操的な問題、そういうことに関連をいたしましても、こういった居住水準向上のために各般の施策を促進してまいりたいと考えております。
  20. 東力

    東委員 もう一つこれからの調査についてお願いしたいことがございます。  実は建設省から、最初一人当たりの部屋数ということについては、欧米日本と変わらないという説明を受けまして、それは私も海外に八年生活したことがございますが、生活実感と違う。同じ一部屋であっても、三畳とか四畳半と二十畳ぐらいの部屋を一人当たり一部屋というのでは大変違うということを建設省に申し上げました。  そういうものに関連して、例えば農家の場合ですと、農家の中の土間、作業場や倉庫を兼ねている土間を入れると大変広くなる。そういうものと、例えばアメリカの最近はやっているタウンハウス、核家族用のタウンハウスと比べて日本の家の方が大きいというふうに仮に思えば、極端な例ですけれども、全部合わして平均した場合の概念をとると、そういうおそれがある。例えばそれはアメリカの子供と日本の大人と身長を比較して、日本人の背の方が高いと言っているに近いような間違いを招くことになると思います。  そこで農村でも、例えば地方都市の勤労者の住宅はどういう状態が、さらには大都市における勤労者の住宅はどういう状態が、そしてこれをどの程度まで広げれば、先進国としての新しい文化的な最低限の水準を達成できるかということについては、我々にもわかるような数字をお示しいただきたいと思います。私は、二十一世紀の初頭には、今住んでいる家すべてが二倍になってもまだおかしくないのではないかというふうに思いますが、この点、大臣いかがでございましょうか。  さらに、広さだけではなくて、私もアメリカから帰ってきたときに公務員宿舎に入りまして、六畳でありますけれども一つの部屋に三人の子供が入らなければならない。そういう狭さプラス湯が出ない。さらには冷暖房施設も全くないというふうに考えると、諸外国では湯は必ず出る。どんな安物アパートでも熱湯が出る。さらには相当のところにも下水道やあるいは冷暖房が完備しているということを考えると、私たちはこの日本で最もおくれているものの一つとして住宅を挙げなければならない。住宅政策を二十一世紀の初頭には思い切って二倍にするんだというぐらいにやっていただきたいと思います。そうすることによって、経済に活力を与えるということにもなり、また内需型の経済成長ということで、各国で起こしている貿易摩擦ということの解消にも役立つというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
  21. 水野清

    水野国務大臣 ただいまお話がありましたように、建設省事務当局としては、例えば先生お話がございませんでしたが、持ち家比率の問題あるいは部屋数の問題、そういう数字だけで申し上げると、確かにお話のように欧米に比してさほど遜色はない。しかし、実際の面積の広さ、部屋の広さとかあるいは共有部分といいますか、廊下とかいったところを含めて、全体から言えばはるかに見劣りがするということは、私も欧米を旅行して確かにそういうことを感じております。しかし、それは一つの大きな問題でございまして、それに対してただいまのお話はどう挑戦をしていくか、こういうお話であろうと思います。またどういうふうに挑戦をしていくかということを考えなければいけないわけでございまして、ただいま住宅局長からも申し上げましたけれども、第四期の住宅建設五カ年計画の中では、昭和六十年までにすべての世帯最低居住水準で、例えば四人家族で五十平米、それから全国の半数の世帯が平均居住水準では四人家族で八十六平米ということを一応政策目標にいたしまして、いろいろな住宅政策とこの五カ年計画を今推進している最中でございます。また、ただいま御指摘のような問題と少し食い違いがあるじゃないかといいますか、見劣りがするじゃないかという御指摘は御指摘として、大いに内部で勉強させていただきたい、かように思っております。
  22. 東力

    東委員 いろいろお聞きしておりまして、住宅を含むいろいろな公共事業に関しては、長期的な目的として適正というかできるだけのことをやっていきたい、しかも欧米先進国に追いつく努力をしたいということを承りまして大変うれしく思います。しかし一方で、財政困難とかゼロシーリングといった問題がいろいろあるわけでありますが、重要な、つまり経済発展という面からも、さらには国民の福祉の水準の向上という点からも極めて重要な公共事業等については、大蔵省からゼロシーリングの例外として扱っていただけるように最大の努力をしていただきたいと思いますが、その点、御所信はいかがでございますか。
  23. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昭和五十九年度の概算要求をするに当たりまして、昨年の六月から七月にかけまして、公共事業費はそれまで従来ゼロシーリングということでございましたが、五十九年度は公共投資といえどもマイナスシーリングにしてほしい、こういったような財政当局からお話がありまして、私どもも現在の経済情勢あるいはまた公共投資のおくれ、これの計画整備の必要性等をいろいろ御説明いたしまして折衝したわけでございますが、国全体の財政が非常に厳しいという中で、やむなくマイナスシーリングということで対応せざるを得ないというような結果になりました。ただ、今後ともやはり私どもの立場といたしましては、公共投資の必要性は強く主張しつつ、チャンスがありましたらこれを拡大し、有効適切に使用するよう努力したいと思っております。
  24. 東力

    東委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  次に、住宅関連いたしまして、税金の面で一言お伺いいたしたいと思います。  現在、良好、良質の住宅、住居水準の向上のために一番ネックになっているのは、土地の流通がスムーズに行われていないという問題があろうかと思います。その一つは、一番よく聞くことでありますけれども、売っても税金がたくさんかかってくる、金額が高いあるいは率が高いだけではなくていろいろな税金がある、何ほども残らないから売らない。そういうことの中で、一つ焦点を当てたい税金は、短期間の譲渡所得税でございます。これはそもそも今大変な重課税になっているわけでありますけれども、もともと高度成長期、しかも日本列島改造論華やかなりしころの高度成長期に土地の投機による地価の暴騰を防ぐために導入されたものだとは思います。しかし、今のように景気がかなり安定いたしました時期になりますと、むしろ時代おくれではないか、環境が変わっているのではないか、あつものに懲りてなますを吹くような状態とは言えないかどうか、こういうふうに思います。この短期譲渡所得税に付された重課税のために、その分だけ地価が上昇するわけでありますし、また売る方も、先ほど申し述べました種々の税金がかかるというので売り惜しみをすることになって、宅地の円滑な供給、その絶対量が減るあるいは妨げられておる、このような供給不足が即地価上昇につながるわけでありますから、宅地の健全な流通を妨げているのではないかと思います。また多くの人がそういうふうに感じていると思いますが、いかがでございますか。
  25. 水野清

    水野国務大臣 短期譲渡に対する重課税の問題というのは議論としては十分出ております。今これをどうするかという問題について、私はここで公式に申し上げることは差し控えなければいけないと思いますが、確かに先生お話のとおり、一つ土地供給のハードルになっていることは事実でございます。それは私どももそういうふうに見ております。来年あるいは再来年の土地税制の見直しというようなときに、こういう問題もひとつ提案をいたしまして、ともかく住宅用地の供給というものをもう少し円滑にしていかなければいけないのではないかと思っているわけでございます。  ただ、ことし今、大蔵委員会でお願いをしておるわけでございますが、来年度予算につきましては、例えば都市開発の場合に費目が違ってもいわゆる買いかえ資産と同じような税制を適用していただくという改正であるとか、あるいは土地問題だけではございませんが、例えば親子税制と言っておりますが、相続税の先取りみたいに、五百万までは親御さんが子供さんに住宅建設の際にお金を出してやっても、五百万の場合は二十万だけの譲渡税しかかからない、そういったような税制もある程度導入してやっているわけでございますが、ただいまのような抜本的な税制改正までことしはやっていただけなかったということも事実でございまして、今後大いに検討していきたい、かように思っております。
  26. 浜田幸一

    浜田委員長 大蔵省伊藤税制第一課長。ちょっとこの問題的確に答弁しておいてください。というのは、私からも特に申し上げておきますが、質問の趣旨の中に時代おくれの税制という言葉がありますかも、その問題も含めて御答弁願います。
  27. 東力

    東委員 大蔵省から答弁していただく前に、私の方は撤廃していただけないかどうかということを聞くつもりでございましたので、撤廃していただきたいということに対してお答え願いたいと思います。
  28. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  現行の土地税制につきましては、先生御案内のように、昭和五十七年度の税制改正で、土地税制につきましては長期、安定的な制度を確立するということで、譲渡所得課税の長短区分につきまして十年にする。それから長期譲渡所得課税につきまして、長期の分につきましては、譲渡益四千万円超の部分につきまして従来の四分の三総合課税を二分の一にする。あわせて短期につきましては、従来の課税方式を維持する。そのときに議論されました考え方は、短期の重課の部分をどう評価するかという点についてでございますけれども一つは、十年にするということとも関連いたしまして、短期の部分を安くする、税負担を軽くするということは、一面では供給を促進する要素もあるかもしれない。しかし他方、その部分を軽くするということは、逆に今度は仮需を発生させる可能性もある。その両面をどう考えるかということで、税制調査会でもいろいろ議論がございました。そこではやはり土地税制というのは、余り頻繁に変えるということは、その後の税制の緩和期待というものを呼ぶことがかえって仮需の方、先ほど申しました二つの要素のうちの仮需を増大させる要素の方により多く働くのではないか。したがって、税制は長期的、安定的なものとして仕組む必要があるということで、五十七年度の税制改正におきましては基本的な見直しをし、長短は従来の四十三年の基準から十年基準にする、それから長期譲渡益については、いま申しましたように、一定の金額を超える部分の四分の三総合課税を二分の一にする、そのかわり短期については従来のを維持するということで、こういったものを今後長期的、安定的な制度として考えていこうじゃないかという答申がございまして、五十七年度の改正でそれを実現させていただき、今日に至っておるというところでございます。
  29. 東力

    東委員 ただいまの税金に対する答弁に必ずしも満足しているわけではありませんで、これから大いに議論してまいりたいと思いますが、本日は、建設大臣国土庁長官、お二人とも出席していただいて、十一時二十分には予算委員会の方に入られるということでございますので、急いで国土庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  ただいまは、三全総の期間の終わりに近づきまして、四全総への構想を練っておられるときだと思います。またこれは、二十一世紀の初頭にかけて日本国土、特に狭い国土をうまく住み分けながら、調和のとれた均衡のある発展を図り、そして経済をさらに成長させながら、我々がその余沢である福祉を享受するということであろうかと思いますが、私の第一の質問は、地方の振興。住み分けるためには地方を振興する。そしてどこに住んでいても同じように、必ずしも同じとは言いませんが、文化的に最低限度の生活をすることができるというふうにしていただく方向には間違いございませんか。
  30. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 今の東さんの御質問でありますが、国土庁の基本的な姿勢というのは、国土の均衡ある発展。そこで三全総のお話が出ましたが、三全総は五十二年につくられていったわけですが、その後、やはり大きな経済の移り変わりと申しますか、社会の移り変わりと申しましょうか、こういったことを基礎として、今、四全総の作業の着手に入っておるわけであります。  地方の問題でございますが、これはもちろん何としても過密過疎、こういった問題をなくしていくというところに大きなねらいと言うとちょっときつい言葉になるかもしれませんが、そこに焦点を当ててこれから作業を進めてまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  31. 東力

    東委員 このような趣旨から、稻村長官が二月四日に金沢で発言されたと言われます半島振興法の立法化を促進する努力、そのために地方振興局長のところに私的懇談会として半島振興問題懇談会を設置され、またこれを受けて、関係知事らで構成する半島地域振興対策協議会が発足したと理解しております。長官が石川県の半島の御出身であれば、私もちょうど和歌山県の出身でありまして、仮谷知事や県議会も挙げて県勢浮揚にとって喜ばしいと大きな期待を寄せているわけでございます。  そこで、私は長官に、真意、さらにはどのような今後方策でいくかということについて、御確認をこの場でさせていただきたいのでありますが、少し気になりますのは、臨調の第一次答申に、例えば「経済活動と行政」というところで、「ア・公共事業」というところがありまして、「公共事業関係費については、前年度と同額以下に抑制する。事業の実施に当たって、その効果の早期発現を重視し、新規事業を極力抑制する。また、補助負担率の地域特例については、終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行うとともに、財政再建期間中現行の嵩上げ率を引き下げる。」というふうに書いておりますが、こういう臨調の答申の趣旨、さらには財政の困難な折にもかかわらず、公共事業のかさ上げを含み、さらには政策金融、そして民間資金活用、税の特別措置を含む半島振興法に邁進しようとされる。私はこれは大変賛成でございますけれども、その理由を長官はどのように考えておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
  32. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御指摘のとおり、大変厳しいということを承知をしてかかっております。私は以前に沖縄開発庁長官をやりました。それから今度はまた北海道開発庁長官あるいはまた離島に関する——あるいはまた奄美大島等々のいろいろな状態調査しまして、島というところ、半島というところは、政治、経済とは大変遠いわけであります。そういう関係から、道路整備あるいはまた港湾の整備等々、また土地においても、山が急峻である、いろいろな昔からの波のあれによってつくられていったところでありますから、そういう意味道路等々の問題についても、これは大変おくれておるわけです。特に産業等々の問題では、今申し上げたところは、道路の問題その他において、産業の立地はほとんどなされていない。社会的にもあるいはまた経済的にもこれくらい大きな格差がついておるというところはないはずであります。  そこで、先ほど来私は沖縄の問題を申し上げましたが、沖縄の振興というのは沖縄開発振興法によって守られておる。また北海道においても同じことであります。その他離島においても同じことであります。そういう意味から、このおくれておるところの地域という問題は、いろいろな臨調その他のことはよく承知しておりまして、その他重なり合う振興法もあることもよく承知しておりますが、こういった問題を整理をしながら、半島で苦しんで生活をしておられる人たち、半島によって出稼ぎに出なければならぬというように運命づけられておるところのこの社会的な問題を考えた場合、私はやはり政治家の哲学として、この問題を解決することこそが政治、行政に課せられた最大の課題である、こういうふうに信じておるわけであります。  もちろん、この問題については、先ほど来もお話がありましたように、有識者によっての懇談会、特にまた党の方も、近くこの問題の議員懇談会ができるというふうに聞いております。そういう意味から、やはり半島に住む人々のために、いや、日本全体の過疎地域に住む人たちの結集によってつくり上げていくということは、そこに住む人たちにこれからの大きな夢を与える、こういうことになろうかと思って、ぜひひとつ皆様方からの御協力をちょうだいしたい、こういうふうに思うわけであります。
  33. 東力

    東委員 長官の行政及び政治に対する哲学には大変感服をいたしましたし、またぜひ頑張っていただきたいと思います。私どもも大いに応援してまいりたいと思います。そこに住む人たちだけではなくて、狭い国土を住み分けて、さらに観光とかあるいは余暇、さらには地域開発、発展を図るということは、日本全体のために大変重要なことではないかと思います。  そこで次には、いつどの程度のことをやっていただけるかということを可及的速やかに明らかにし、我々がビジョンを持てるようにしていただきたいと思います。私もこの紀伊半島という日本で一番大きいところに、しかも一番取り残されたところに住んでいるわけでございまして、願わくは半島振興法の成立によって、関西新国際空港はもとより、さらには紀伊半島の高速道路はもちろん、さらに白浜空港のジェット機化はもちろんやっていただけるものと思います。さらに新幹線もつくっていただけるのではないかという期待も持っておりますが、この点、長官お急ぎだったらもう結構でございますが、国鉄当局、さらには運輸省いかがでございますか。
  34. 浜田幸一

    浜田委員長 棚橋国有鉄道部長——名前を呼んだ順に出てください。
  35. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 国有鉄道部長でございます。申しわけございません。最初に手を挙げたもので、最初に答えさせていただきます。  御承知のように、新幹線につきましては、全国新幹線鉄道整備法がございまして、これに基づきまして、まず計画線を決め、それからその中から整備線を決め、さらにその中から工事を指示をいたします工事線にするということで、順次やっておるわけでございます。先生指摘の紀伊半島につきましては、ただいま計画線の中にもまだ入っていない段階でございまして、あとその前に七千キロ、そのうち東海道と山陽、東北が開通しておりますが、そのような新幹線の計画があるわけでございまして、それらを順次検討いたしまして、その先におきまして検討をされる段階ではないかというふうに思っております。御承知のように、財政が非常に厳しいわけでございまして、整備線もまだ当面見合わせるという臨調の御答申をいただいている段階でございまして、そういう中で将来の問題として検討させていただきたいというふうに考えております。
  36. 東力

    東委員 将来の問題、それもなるべく早い将来の問題としてぜひ具体的に推進していただきたいと思います。  次に、大臣が去られまして大変残念なんですけれども、それにかわってそれ以上に責任のある方にお答えいただきたいのでありますけれども、それ以上ということは申しませんが、それに劣らない程度に。  実は災害でございますけれども、豪雪地帯、ことしは大変異常な気候でございまして、雪の被害が大変重うございます。しかし、地方公共団体では財政的に大変逼迫しておりまして、その復旧のために、生命や財産が危険にさらされた人たち、その人たちへの雪崩を防ぐために、あるいは道路や田畑の除雪をするために予備費を使ってでもやっていただく用意があるかどうか、この点、私たちの要望、さらには豪雪地帯の皆さんの要望をお伝えし、ぜひ災害から生命、財産を守るために緊急の措置をとっていただけるようお願いいたしますが、この点についてお答えをお願いいたします。
  37. 石川周

    ○石川(周)政府委員 今冬の豪雪対策につきましては、政府といたしましては、去る二月十日に昭和五十九年豪雪対策本部を設置いたしまして、二次にわたる調査団の派遣、道路交通の確保等の当面の重点事項につきまして決定いたしまして、各省庁全力を挙げて取り組んでおるところでございます。御指摘の予備費を取り崩しての緊急措置という点につきましては、現在被害状況その他を鋭意調査中でございます。その調査結果を待ちまして、適切な措置で対応してまいりたいと考えております。
  38. 東力

    東委員 この際、財政事情等いろいろわかりますが、人の生命と財産に直接脅威を与えているような問題でもありますし、またその地域の経済発展、さらには生活活動に直接脅威を与えている問題でありますので、ぜひとも予備費を含めて、さらには地方交付税交付金の算定基準に今後雪を入れる、雨や風や水や火山灰まで入っているのでありますけれども、今は道路の除雪等ほかの法令によってできるもの以外は含まれていないというふうに承っておりますが、この点、算定基準に入れるか、さらには特別交付金等あらゆる手段を講じて努力をしていただきたいと思いますが、この点、約束していただけるかどうか、お答え願います。
  39. 二橋正弘

    ○二橋説明員 お答えをいたします。  除排雪経費に関します交付税の措置でございますが、これにつきましては、原則として平常分につきましては、普通交付税におきまして寒冷地補正ということで財源措置を行っております。その普通交付税の額を上回りました場合には、そういう団体につきまして所要経費の報告を求めまして、その報告数値をもとにして普通交付税の措置額あるいは降雪量、これらを考慮いたしまして、特別交付税の配分を行うというふうなことにいたしておりまして、本年度もそういうことで現在報告を求めて作業を行っておるところでございます。
  40. 浜田幸一

    浜田委員長 ちょっと待ってください。今質問者が言われた豪雪地帯で被害を受けておる人たちに迷惑をかけないように国が責任を持って処理されますかされませんか、再度お答えください。
  41. 二橋正弘

    ○二橋説明員 ただいま申しましたように、特別交付税はそういうことで算定を行うことといたしておりますが、現在報告を求めました数値をもとにいたしまして、特別交付税とそれから既に算定いたしております普通交付税、これを合わせまして、できる限りの財源措置を行いたいというふうに考えております。
  42. 東力

    東委員 今、委員長がはっきり繰り返してくださったように、我々が重大な関心を持って見ておりますので、ぜひとも適切な措置をとられるように改めて要請させていただきます。  さらに、災害についてあと一つ質問をさせていただきます。  建設大臣は、災害の発生を未然に防ぎ、国土の保全と国民生活の安定を図るため、保全施設整備促進を図り、必要な事業の推進を図っていくと述べておられます。しかし、膨大な海岸、日本にはたくさんありますが、日本海側にも地盤の沈下が激しくあると聞いております。私、日曜日に和歌山県に帰ったのでありますが、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下里高芝というところの海岸が砂がほとんど取られて、堤防に太平洋の黒潮の荒波が直接当たっております。ある家はもう波にのまれたと聞いておりますし、さらにある家族は避難をして引き揚げていった。しかし、そういう金もない、行く当てもないような人たちが、生命と財産の危険を毎日感じ、また悪夢にさいなまれながら生活しているわけでございます。この点につきまして、県あるいは建設省の出先の機関に何度陳情いたしましても、災害が起こったらやってもいいというような、とても政治的には想像がつかないような返答をいただいているというふうに承っております。私は人一人といえども、生命の安全ということについては全力を挙げて国が迅速な措置をとってくれるように、そういうふだんから監視するシステムの確立、さらには住民の訴えを聴取するシステム、そしてそれを直ちに実行していく機構というものをつくっていただきたい、この点について私は政府見解をお伺いいたしたいと思います。
  43. 中川澄人

    ○中川(澄)政府委員 私から事務的にお答えを申し上げます。  ただいま御指摘の和歌山県の那智勝浦町地先の海岸でございますが、一応堤防がございますが、その後四十五年から十年ばかりかけまして、さらに離岸堤、突堤を整備をいたしておりますが、その後離岸堤の沈下等がございまして、現在その対策を検討中でございますが、五十九年度から施設のかさ上げ等をもって対処を考えておるわけでございます。
  44. 東力

    東委員 時間が終了いたしましたので、この点は私ここで御質問いたしまして、これは私ども地元というだけではなくて、日本は海に囲まれているわけでありますから、力を入れて、いつでも直ちにやっていただける体制をとっていただきたいと思います。  最後に、もうお答えしていただく必要はございませんが、大臣所信表明建設事業の国際化ということを言っておられますが、向こうから、外国からちょうど日米の貿易交渉のように、さらには金融業にアメリカやその他が入ってきているようなそういう行政について、また機会があったら承りたいと思いますし、そういうことについて資料があったら委員会に回していただきたいと思います。同時に、日本建設業界も、韓国その他に比べて、あるいは日本の他の業種に比べて海外進出がおくれてきたわけでありますけれども、それは日本経済成長が激しくて、中において十分な需要があったということもあろうかと思います。しかし、今後は東南アジア、さらには中南米そして中近東、どんどん出かけていくようになってまいりました。こういう新しい事態に際しまして、大臣も述べておられますように、非常にカントリーリスクの大きいところに行くわけでありますから、輸出保険等のようなものを含めて、今後奨励、保護そして監督といったことを——監督というよりか奨励ですね、奨励そして保護をされるように、そういった国際的な、相互依存的な国際経済に立った建設行政のあり方についても、いずれ建設省見解を書類にして提出していただければありがたいと思います。どうもありがとうございました。
  45. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  國場幸昌君。
  46. 國場幸昌

    國場委員 質問に入る前にお礼を申し上げます。  沖縄が復帰いたしまして十二カ年を迎える今日、政府並びに議会の御理解あるもとにおいて、沖縄のアメリカ統治二十七カ年の立ちおくれ、かようなる沖縄問題に対しまして、特段の御配慮をいただきまして、目覚ましい振興を見ておることに対しまして、今日までの御協力に対しまして厚くお礼を申し上げます。  なお、十カ年開発計画は立てたといえども、十カ年経過して今日七〇%の復興しか見ておりませんので、今後とも引き続きよろしくお願いを申し上げまして、質問に入ります。  まず質問の一点は、沖縄においては現在、沖縄県政始まって以来、今度国体が六十二年度に開催されるということで、沖縄県民はひとしくその開催に向けて期待しておるわけでございます。御承知のとおり、国体は全国の各県を一巡して、最後に今、沖縄に来るわけでございますが、開催が決定されたものであるといえども、この成功は沖縄県にとっても、また全国的に見ても極めて大きな意義を有するものと考えておるわけでございます。  そこで、この「海邦国体」の開催に向けての施設整備状況について説明を願いたいと思います。これは沖縄開発振興局長、ひとつどうですか。
  47. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えをいたします。  昭和六十二年に開催が予定されております「海邦国体」につきましては、現在県及び市町村におきまして、主会場を初めとする競技場施設整備を積極的に進めております。  御案内のとおり、主会場といたしましては、沖縄市の泡瀬地区に大規模な県営総合運動公園建設することといたしまして、昭和五十六年度から都市公園事業により整備を進めておりますが、その工事も昭和五十八年度から最盛期を迎えている状況にございます。主会場以外の競技施設につきましては、都市公園の運動施設あるいはまた社会体育施設等を活用することといたしまして、これらの施設につきましても鋭意整備の促進を図っておるところでございます。  また、国民体育大会の円滑な遂行を図るためには、競技施設整備とあわせまして、沖縄自動車道の建設、那覇空港ターミナル地域整備のほか競技会場に通じます道路網の整備、または主会場区域を処理区といたします流域下水道整備など関連する公共施設整備も鋭意促進をいたしておるところでございます。  現在、国会において御審議をいただいております昭和五十九年度の予算案におきましても、国体関連施設整備の促進は予算の最重点項目一つとなっておるわけでございまして、沖縄開発庁計上の国体関連経費について申し上げますと、道路公園下水道、空港、港湾及び社会体育施設を通じまして、五十八年度予算に対し二九%増の百七十八億三千百万円を計上しているところでございます。  なお、御案内のとおり、国体関連事業といたしましては、このほかに日本道路公団による沖縄自動車道の建設という大きなプロジェクトがございますことは、先生承知のとおりでございますが、日本道路公団におきましても、五十九年度においては大幅な予算の増加を図っていただいておる、かように承知いたしております。
  48. 國場幸昌

    國場委員 これは公団の方に答弁をいただきたいのですが、今、振興局長の御答弁にもありましたとおり、進捗状況の中で、聞くところによりますと、宜野湾市の長田、我如古という地域がございますが、そこを自動車高速道路は通らなければいけない。この用地問題をめぐって、またそこを通す通さぬの問題について随分悶着があるようでありますが、そのことに対しての現状を明確に、これは重要な問題ですので、これはタイムリミットの問題と絡む問題ですから、この問題が長く解決することなくしてでは、この重要なる国体に結ぶところの高速道路——鉄軌道はございませんので、その重要なる役割を持つところの南伸自動車高速道路のいま申し上げた宜野湾市の長田、我如古地区の問題に対して、公団から進捗状況についてちょっと御説明をお願いします。
  49. 大城金夫

    大城参考人 お答えいたします。  道路公団は、路線発表以来各地区ごとに事業の説明会を行いまして、了解の得られた地域から中心ぐいを設置いたしまして、設計協議いたしまして用地取得、こういう段取りで作業を進めてきておるわけでございます。宜野湾地区におきましても、路線発表以来地元説明会を実施すべく交渉を始めたわけでございますけれども、地元の住民の方々はルート変更を要求されまして協議が難航してまいりました。周辺の進捗状況及び全体の工程から見まして、当地区が全体工程上のネックとなる、こういう状況になりましたので、関係機関と協議いたしまして、昨年の十月、土地収用法に基づく立入測量を実施いたしまして中心ぐいの設置を行いました。中心ぐいの設置後、地元住民と設計協議に入るべく努力を重ねてきました。いろいろ難航いたしましたけれども、先月の二月二十五日にようやく市を交えて話し合いの場が持たれたところでございます。これからもこの話し合いの場を生かしながら、地元住民に高速自動車道の意義を十分に説明いたしまして、協力が得られるよう協議を何回も重ね、早期に問題解決を図るよう鋭意努力する所存でございます。
  50. 國場幸昌

    國場委員 それでは沖縄担当の開発振興局長、今御説明のとおりでございますが、国体を開催するにおいて、世紀の祭典と言われて沖縄では期待しておりますが、その問題が解決しないと、タイムリミットは六十二年ですから、もうあと三カ年しかございません。その問題に対して担当の開発振興局長はどうお考えですか。
  51. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 申すまでもなく、沖縄自動車道は第二次沖縄振興開発計画におきましても最も重要なプロジェクトの一つであるばかりではなく、御指摘のとおり、六十二年の「海邦国体」に関連いたしましても極めて重要な事業でございます。沖縄開発庁といたしましても、その早期完成が図られますよう従来から建設省及び日本道路公団にもお願いしておるところでございます。一方また、ただいまお話がございましたような地元対策と申しますか、用地買収等の問題につきましては、沖縄県及び関係市町村に対しまして十分協力するように要請をしてきたところでございます。  ただいま道路公団の方から御説明がございましたとおり、実情はなお一部の地域におきまして地元折衝が難航いたしておりまして、私ども沖縄開発庁といたしまして深く憂慮をいたしておるところでございます。この事業の早期完成と申しますことは、沖縄全般の振興開発だけではなくて、先生指摘のとおり、この国体の完成にとりまして非常なポイントとなるものでございます。そういうことで私どもも実は焦慮いたしておる次第でございます。  当庁といたしましては、今後建設省及び道路公団はもちろん沖縄県とも十分連絡をとりながら、関係市町村及び関係の住民の方々の理解と協力を得まして、一日も早く予算の円滑な執行が図れますようなお一層の努力をしなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  52. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  53. 浜田幸一

    浜田委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。  御苦労さまでした。     午前十一時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  54. 浜田幸一

    浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木間章君。
  55. 木間章

    ○木間委員 建設大臣そして国土庁長官に、最初に建設行政一般について、その所信に対する御質問を申し上げたいと思います。  建設大臣の所信を伺っていますと、国民は将来の生活環境について安心して期待できるやに聞こえてくるのであります。例えば社会資本整備については、各事業とも五カ年計画に基づいて国民生活維持向上国土安全性の確保、そして国土の発展に資する施設整備長期的視点に立って計画的に推進するとされています。しかし、私は、水野建設大臣は所管の五カ年計画のことについて全体を掌握されているかどうか、示された予算案その他を見ておりましてちょっと危惧の念を持つわけであります。  事例を挙げますと、下水道公園住宅などの五カ年計画は、それぞれ五十六年度を初年度として始まっておるのでありますが、そのときには既に低成長期に入っておりましたし、また財政状況も困難になっておったのであります。あわせて地価の上昇あるいは環境破壊など隘路がたくさんあったと思いますが、私たちは、そのときからこの計画などなどについては過大ではないだろうか、そういう疑念を持ちましたし、また論議にも参加をしてきたところであります。  下水道については、一度出された計画案が修正をされまして、そして当時、五年後の普及率は前期は三〇%でありましたが、五%を目指してやっていく、結果的にはそういう中身になったのであります。五十八年度の見込みも三四%と聞いておりますし、そういった点では五十九年度の事業費一兆四千七百四十一億円によって進捗率はわずかに一%しか望めない、こういうことであります。また投資規模進捗率を見ておりましても、五八・二%です。そしてこの五次五カ年計画については、私たちは、先ほども言いましたように、無理なんだから少し修正したらどうか、こういうことであったのですが、当時の建設省局長以下皆さんは、自信があるから大丈夫なんだということで、結果的には押し切っていかれたものでありました。またこの下水道については流域下水道の問題もありまして、私たちも疑念を抱きながら反対の態度も申し上げてきたのでありますが、建設省はスケールメリットを強調されまして押し進められましたが、今日ではどのように変化をしておるだろうか、スムーズにいっておるだろうか。ついに建設省も二条管方式に改められまして、結果的にはみずから過ちを認めておいでるのではないだろうか、私たちはこう見ざるを得ないのであります。  また、都市公園整備事業五カ年計画も、人口一人当たり五平方メートルを目指すのだ、こういうことで二兆八千八百億円の計画でありますが、五十九年度を終えましても一人当たり四・七平方メートル、進捗率は五九・二%という状況であります。  住宅五カ年計画も、公営住宅は三十六万戸に対しまして二十二万四千戸、六二・三%、公団住宅は二十万戸に対しまして十万戸と半分の進捗率でありまして、しかも、これは計画ベースであります。  大臣の施政方針で、各五カ年計画に基づいてそれぞれ計画的にとおっしゃっておいでますが、これはうそだと言われても仕方がない。したがいまして、私たちの内部には、この施政方針演説の訂正を求めてはどうか、そういう意見もあるのは事実でございますし、またこの五カ年計画をそれぞれ華々しく打ち上げられた五十六年度春の国会審議で大見えを切られた方々の責任を追及したらどうか等々の意見もあったわけでありますが、こういったことを踏まえられて水野建設大臣はどのように今後対応していかれるのか、あるいはそのままほおかぶりをして押し通していかれるのか。大臣の率直な所見をお尋ねしておきたいと思います。
  56. 水野清

    水野国務大臣 ただいま木間先生から大変難しい、しかし時宜を得た御指摘をいただきました。建設省はたくさんの道路であり下水であり都市公園であり、住宅であり河川であり、それぞれの五カ年計画を今策定して遂行中でございます。そしてその中でちょうどこの財政の非常に難しい時期に遭遇をいたしまして、当初考えていたほど進捗率伸びていかないというのも御指摘のとおりでございます。しかし、まだ五カ年計画の半ばに達しているものもございますし、今ここで弱気を出してしまってはというのが私の率直な考え方でございます。ともかく当初の目的に際して、五十九年度でも十分とは言えない数字でございましたが、あの計画があったればこそ予算編成の中で大体前年度並みというものを達成できたわけでございますし、鋭意この問題については努力をして、六十年度予算も概算要求というのがこの六、七月ごろから始まりますが、挑戦をしていきたい。まだ改定をするとかそういう時期には私は早いのではないか、かように思っております。
  57. 木間章

    ○木間委員 まだ年度半ばだから今後に期待をかけたい、頑張るぞ、意欲は大変私たちも理解できないわけではありませんけれども、しかし、現実に財政事情等々をいろいろ大臣も見ておいでるように、そうたやすい展開は困難だろうと思います。したがいまして、今求められております国民ニーズからいって、率直に非を認めていただきまして、そして新しい計画を立て直す、これが極めて大事じゃないだろうか、このように考えております。いつの場合でもそういった形で押し切られておりまして、甚だ遺憾だと言わざるを得ませんけれども、いずれにいたしましても、私たちは大臣と心を一にいたしまして、今大変求められておりますこれらの各事業についての達成に努力をいたしていくものでありますが、ぜひそういった事情も御勘案をいただきまして、水野大臣が在任中にはこのような困難を押しのけて頑張ったのだ、国民のために頑張ることができた、ぜひそのように決意を新たにして臨んでいただきたいのであります。  続きまして、国土庁長官にお尋ねをしておきます。  私たち社会党は、地価が安定期に入った今こそ土地政策を抜本的に改革をすべきではないだろうか、二度と物価上昇を超えるような地価上昇を繰り返してはいかぬ、こう主張してまいりました。またその一環といたしまして、公的評価額の一元化を要求しておるのも御案内のとおりであります。同時に、この問題は第二臨調の答申の中にも入っておりますが、国土庁では、今検討中ということで具体的にはどうも着手をすることについての二の足を踏んでおいでるような気がしてならぬわけであります。  一、二の例を申し上げてみますと、東京町田市の旭町の地価公示価格は一平方メートル当たり十六万二千円です。この土地が、相続税の評価になりますと十万八千円、固定資産税評価になりますと五万二千円です。しかし、町田の住宅地が坪当たり五十四、五万では買えるはずないのであります。国土利用計画法第二十三条の届け出に基づく適正価格は、状況に応じて異なるでしょうけれども、一応公示価格の四割増し程度までは認められているやにお聞きいたしますが、これで計算いたしますと、幾ら低く見積もっても七十六万円前後が実勢価格ということになるでありましょう。つまり公示価格を一といたしますと、相続税価格は〇・六六、固定資産税評価額は〇・三二、そして実勢価格は一・四前後となるわけでありまして、これでは今後強力な土地価格政策をやっていこうといってもなかなか行い得ないのであります。  稻村長官は、先ごろ資産を公開されました。不動産の部分は固定資産税の評価額です、実勢価格はその四倍ないし五倍ではないだろうか、こうおっしゃっておいでるのでありますが、今、評価額そのままで、公示された価格そのままで木間章が買わせていただきたいと言ってもなかなかそうはいかないと思うのであります。ですから、私たちは固定資産税の評価額を上げていくべきだと主張しておるのではないのです。つまり土地の評価を一元化して、それぞれの分野で税率を定めて進めることが大事じゃないだろうか。あるいはその中にも問題がないではありません。評価の方法なり地点が違うという困難性がありましょうが、そもそも国土庁は昭和四十九年に発足をいたしまして、土地政策を的確にやっていくのだということで今日努力をされておるのでありますから、やはり積極的に取り組んでいただきたい、またいくのがその所管の任務じゃないだろうか、こう私は思っておるのであります。昭和四十七年、四十八年のあの急騰を経て、安定に転じた価格は五十三年から再び上昇いたしましたし、比較的安定的と言われる今日だって経済成長を上回っておるのであります。ですから、そういうややこしい、だれが見てもわからない、そういう土地政策であってはいけないと思いまして、今こそこの土地価格の一元化を始めていただいて、そして土地政策が進むようにやる時期じゃないだろうか、こう私は思っておりますが、長官の御決意をひとつお願いいたします。
  58. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 土地価格、これはなかなか難しいことであると私は思います。幸いにして、経済の流れと申しますか、その変化によって土地が安定をいたしております。土地の上昇というのがやや安定をしておる。こういうときにやはり思い切って土地政策を考えていく必要があるだろう、私はそういうふうに考えております。  ただ、いろいろ問題の専門的なことがありましたから、後で土地局長の方からお答えをするということにいたしまして、やはり問題が、他の国と所有権のあり方が違いまして、そういう意味から、これは大変に難しいことでもあるけれども、今の御指摘の問題は十分考えて、安定していますから、今、抜本的にやることが一番いい、またやらねばならぬときではなかろうか、こういうふうに思います。細かなというか大事な問題については、土地局長の方からお答えをさせたいと思います。
  59. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  大臣から今、御答弁申し上げましたように、最近比較的地価が安定しておりますので、こういうときこそ強力な土地対策をやっていかなければいかぬというふうに考えております。その基本は、利用の効率化を図っていくことだと考えておりますが、これは大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  御提案の地価の公示の価格国土庁でやっております公示価格、それから大蔵省でやっております相続税の評価額の問題、自治省でやっております固定資産税の評価額は、御指摘のように、全部それぞれ価格が違います。それはそれぞれの目的が違って制度をつくってやっておるわけでございます。  具体的に言いますと、私どもの公示地点は、約一万七千地点ぐらいでございます。大蔵省の相続税の評価の地点は、ちょっと今正確な数字は覚えておりませんが、約二十万地点ぐらいだったと思います。固定資産税はもっと多くあったように思いますが、それぞれの目的に従って調査をし、やっておりますので、それぞれの歴史と経過を持っておりますから、形式的にそれを一本にすることはなかなか難しい問題があろうかと思います。したがいまして、相続税の方は、大蔵省の方はできるだけ近づけるように努力するとは言っておられますが、かなり時間のかかる問題だろうと思いますので、もっと各省庁との連絡はして研究はいたしておりますが、直ちにということはなかなか難しかろう、かように考えております。
  60. 木間章

    ○木間委員 安定をしておる、動かぬから確かにこれはそうなるわけでありまして、景気が回復いたしますと、再びまた動くことも、これまた御案内のとおりでありますから、やはり今手をつけなければいけない時期ではないだろうか。手をつけたいのだがとおっしゃりながら、それぞれ歴史と伝統を持っておるから大変困難だ。先ほど私が最後に申し上げましたように、公示価格をきちっと決めて、大蔵省あるいは自治省それぞれ一定の倍率をお互いにそこで出し合ったらどうか、実はこう申し上げておるわけでありまして、ぜひ前向きに真剣にひとつ取り組んでいただきたいのであります。  続きまして、豪雪、雪害の問題について申し上げ、それぞれ皆さんからお考えを示していただきたいのであります。  この質問に入る前に、今般の五九豪雪に際しまして、いち早く稻村大臣には被災現地をお見舞いいただきまして、そして各所管官庁の皆さんにも調査をいただきまして、雪国の一人として心から感謝を申し上げるのであります。そのときには、不幸にして亡くなられた方々に対して、温かいお見舞いをいただき、被災地で頑張っておる皆さんに対しては励ましをいただきまして、本当に私たちは喜んでおります。今この時期に再び起こらないように手だてをしていくことは言うまでもありませんけれども、ぜひ国土庁長官にもそういう御決意でお願いを申し上げておきたいのであります。  今度の大雪は従来の豪雪地域のみならず、四国、九州にも何遍となく積雪を見ましたし、大都市東京や大阪や名古屋にも降雪があったわけであります。この全国的な状態を見ていただいた大臣に、まず御感想をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  61. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 先ほども予算委員会におきまして、国土庁は金を持っていないからという質問がありました。しかし、金は国土庁にはございませんが、大変力を持っておるところの各省庁がございます。そういう意味から、その力を結集いたしまして、その総合調整の役割を十分果たしました。今度の豪雪は異常な豪雪である、一番被害が多いということから、私が政府調査団の団長として、北陸を中心としてあの四県、新潟、富山、石川、福井、それから第二次調査団として東北です。これは政務次官を団長として二十七日、二十八日、その調査が大体まとまりつつございます。そういう意味から、できるだけ雪国の人たちの希望と申しますか、大変恵まれない、余分なものが降る雪の国の人々に何とかして明るい、毎年のことでありますから、少しでも明るい夢を持っていただく、少しでも希望を持っていただくという意味から、当面の問題としては、除雪費等々の問題につきまして、全力を挙げて五六を下回らないように、いい制度が二年前にあるわけでありますから、あの制度を見習って、経済変化等々もその後大きな変化もありませんし、あの例を下回らないようにひとつ全力を尽くす、こういうことで各省庁に協力の要請もいたしておりますし、また財政当局についても、この問題は強く要請をいたしておりますので、今木間さんがおっしゃった問題についても、同じ雪国でございますから、皆さん方にも御協力をちょうだいして、そしていかなることがあっても五六を下回らない、こういう不退転の決意で臨んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  62. 木間章

    ○木間委員 ぜひかたい決意で臨んでいただきたいのであります。  同時に、地域で一番困っておるのは、やはり公共事業とのかかわりだろうと思います。お金を持っておいでるおいでないは別といたしましても、特に公共事業の中心でありますのは建設行政でありまして、水野大臣にこの豪雪に対する所感を述べていただきたいのであります。特に水野大臣は千葉の御出身でございまして、従来千葉には余り積雪がなかったのでありますが、今度は六回ないし七回、嫌というほど経験されたでしょうし、そういった点では雪国はどういう気持ちになっておっただろうか、御想像もいただけたと思います。国会の活動にも往復されておったのでありますから、そういう御経験の中から率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  63. 水野清

    水野国務大臣 北陸及び東北豪雪地帯のこのたびの状況につきましては、国土庁長官、内閣の本部長でおられますが、お話がございましたし、私どもも十分認識をさせていただきました。千葉県の例を申し上げては恐縮でございますが、私の県でも初めてこんな積雪があったり降雪の回数がございまして、かなりの古老まで初めての経験だ、こう言っているわけでございます。大変身にしみて経験をさせていただきました。  さて、建設省では何をやってきたかということでございますが、建設省の中に対策本部をいち早く設置いたしました。ただ、建設省の仕事は国道、県道の除雪が主でありまして、この点につきましては、かつての豪雪に負けない以上の十分のことをやってまいりました。私は、その努力が実って、少なくとも幹線道路については不通になったところがない、そのために灯油などの必要生活物資も十分に回送されているというふうに思っているわけでございます。  ただ、問題は、市町村道の問題でございまして、これは御承知のとおり、自治省からの交付金によってその除雪費が賄われているわけでありますが、既にこれが底をついている。建設省から除雪機械の補助とかその運転の経費とかいったようなことは見ておりますが、既に市町村における除雪対策費というものは底をついておって、何とか対策をしなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。これについては、私が申し上げるのは僭越でありますが、国土庁長官が対策本部長になられまして、内閣全体として考えて、臨時特例の措置も考えざるを得ないであろう、かように思っている次第でございます。
  64. 木間章

    ○木間委員 ありがとうございました。両大臣とも今日まで、現在与えられておる仕組みの中で大変御苦労されておることはうかがい知れるところであります。  しかし、私は、この雪を災害と見るかどう見るかということが、いろいろの法律や制度をつくっていくあるいは施策を進めていく場合にもまず根本であろうと思うのです。率直に言って、国は今日まで雪を災害としか見ていないというところにまず発想の転換をお願いしなければならないのじゃないだろうか、私はこう申し上げたいのであります。きのうも災害対策特別委員会国土庁長官と若干の議論を申し上げたところでありますが、私は、大臣もあのときに、災害ではないんだ、大変意を強くいたしました。しからば、災害ではないとすれば、その先は一体何なのか、こういうことであります。物の本によりますと、日本列島には大陸から吹き込む季節風に乗って年間五百億トンの降雪があるということであります。いろいろの見方もありましょうが、私は、大事な資源である、この資源と対応するのに災害として見てはいけない、こうかねがね自分で肌で受けとめてきたのでありますが、まず稻村大臣から、災害としての範疇でとどめるのか、あるいはいま一歩前向きに取り組むとすればどういう見方でおいでるのか、お尋ねしたいと思います。
  65. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 きのう災害の特別委員会でこの問題が議論をされたわけでありますが、雪の被害は災害であっても、雪を災害として見るべきではない。日本の国のやや半分に雪が降るわけでありますが、この雪は、我々国民生活の中で欠くべからざる水資源をつくり上げておる、水の環境をつくり上げておる、こういう意味から大切な一つの資源である、こういうふうに私は考えておるわけです。特に、これからの水問題として、緑のダムと申しまして、やはり緑の多いところには雪が吹き飛ばされることなく積もりながら、それが滑らかにダムに流れ込んでいくという良質なこの水というものは大変大切である、その水のもとはやはり雪である、長い豪雨と違って雪がやはり大きな水資源をつくり上げておる、こういう意味から、雪は災害というふうにとることは過ちであるというのではなく、そういう決め方には多少の異論がある、こういうふうにきのう申し上げたわけであります。そういう意味から、被害は災害であるが、雪は災害ではないと再度申し上げておきたい、こういうふうに思います。
  66. 木間章

    ○木間委員 さすがにおらが大臣といいましょうか、雪の経験をされておる稻村大臣のお考えでありまして、敬意を表しておるところであります。間違いますと、確かに災害になるわけであります。先ほども申し上げましたように、この五百億トンのもたらす意味は、今日ではまだ水資源としての問題で、それ以上のものはまだ未開発のようでございますけれども、仮にこの雪が降らなかったら一体どうなるのか。大東京圏は利根川の水によって今日の繁栄がありますし、また大大阪圏にいたしましても、琵琶湖の水を活用しておるところであります。また雪国の私ども日本海側にいたしましても、この水資源を活用いたしまして、先人は農業を、あるいは林業を、そして電力を開発してきまして、私ども地域にも繁栄をもたらしてくれましたし、またそれは日本国じゅうに連なっていったわけでありまして、私はそういう意味では大変貴重な財産だ、こういう認識に立っておるのであります。  そこで、今、富山県でも何とか雪に対する基本的な県政をしこう、こういうことで克雪条例を準備されております。一地方でつくるといたしましても、単なる宣言的なものであってはいかぬのじゃないだろうか。おっしゃるとおりでありまして、そこにはやはり国の後押しといいましょうか、むしろ国の基本的な雪に対する立法が考えられていいのじゃなかろうか、こう私は思っております。災害面につきましては、災害対策基本法を初め諸政策がありますが、私はやはり雪を資源として使う、国民共有の財産であるという認識に立ったときに、そういった雪対策基本法を考えていくべきではないだろうか、そういうことについて国土庁ではどのように理解をいただいておるか、お尋ねをしたいと思います。
  67. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  先生指摘の点とちょっと視点が違うかもしれませんけれども、私どもといたしましては、いわゆる豪雪地帯対策については、現在豪雪地帯対策特別措置法というものがございまして、その法律に基づきましていろいろな雪対策を講じておるということでございまして、この法律が基本的には我が国の雪対策に関する基本法であろうかというふうに思っております。ただ、ただいまお話のございましたような観点から雪の問題に対処していくということは、確かに一つ考え方でございまして、そういう考え方に基づいて、実は雪に耐えるとかあるいは雪の災害を防止するとかという観点だけではなくて、雪を克服する、克雪するという観点からのいろいろな施策国土庁としても現在始めているところでございます。  そういうことでございまして、そういった点に私どもも意を用いてきておりますが、その延長線上で先生のおっしゃいますようなことが必要かどうか、今後の検討課題であろうと思います。(私語する者あり)
  68. 浜田幸一

    浜田委員長 静粛に願います。
  69. 木間章

    ○木間委員 今後検討をしていく、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいのでありますが、ただ、地方が何とか無雪害町づくりを目指そう、そして逆に「おしん」ではありませんけれども、雪に耐えるという時代ではなくなって、今度は雪を克服していく時代なんだ、そういうことで今取り組んでおりますので、例えばこの克雪条例を手がけようとしておる地方に対しまして、要綱などをつくって、準則みたいなものをつくって指導をいただけたらどうか、こう実は考えるものでありますが、そのことについて何かお考えがあればひとつお示しいただきたいのであります。
  70. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 富山県におきまして雪に関する条例をつくる動きがあるので、その際、国で要綱などを示したらどうかというお話でございますが、そういう先進的な試みにつきましては、できるだけ地方団体と申しますか、県の自主性を尊重いたしましてやることの方がいいのではないかと思いますけれども、県の方からいろいろ御相談がございましたならば、私どもも御相談に乗っていいものができるように御協力をいたしたいと思います。
  71. 木間章

    ○木間委員 ぜひお願いをしておきたいと思います。  次の問題は、北陸の雪質はほかの各地の雪質とは違ったものである、つまりべた雪であるということは御案内のとおりであります。特に、今度の災害におきましても、人的災害は、残念でありますが、富山県は人口比率からいっても全国一であります。三八のときも五六のときもそうでございました。それで率直にお伺いをしたいのでありますが、このべた雪の研究施設をぜひ北陸につくったらどうか。既に新潟の長岡その他でやっておいでのようでございますけれども、しからば、その出先機関程度どもどうだろうか、こう考えておりますが、建設省のお考えをお尋ねいたします。
  72. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまの雪に関します基本的な研究は、私どもの方の土木研究所におきましても勉強させていただいておりまして、特に、現地に即しました研究は、土木研究所の出先の機関でございます新潟試験所がございますが、そことかあるいはまた北陸地方建設局の技術事務所がございますが、そういったところで勉強させていただいております。今後とも一層効率的に研究を重ねまして、これらのべた雪に対する対策を講じてまいりたいと思っております。
  73. 木間章

    ○木間委員 私たちが雪災害で現地調査に入りますと、率直に言って、何かひとつ対応してもらいたい、国の方でもやっておいでるけれども、毎年襲いかかってくるこの問題については何とかひとつ前向きでやってもらいたい、こういう要望が大変強いのです。私は、例えば地方からそういう研究施設をつくってやりたいからひとつ国の方で、例えば事務の移管をするとかあるいは何かそういったお手伝いをしていただきたい、そういうことになっていきますと、前向きで取り組んでいただけるかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。
  74. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公共団体におかれましていろいろな御研究を進められることは非常に結構だと思いますし、私どもの研究と共同いたしまして、さらにレベルアップができるといったような方向につきましても検討を重ねてみたいと思っております。
  75. 木間章

    ○木間委員 私たちは、積雪、特に豪雪になりますと、自治体のみならず個人のみならず町ぐるみで除雪、排雪をやっておるのであります。ところがこの雪捨て場に大変困るわけです。私は結果的には河川をお願いせざるを得ぬのじゃないだろうか、こう実は思っております。あの五六豪雪のときに福井では城址公園のお堀に雪をたくさん積めました。金沢ではグラウンドに山積みにしたのでありますが、まあ雪解けになりますと大変な大騒ぎです。周りは消えたけどグラウンドは雪の山である。そしてだんだん雪が少なくなっていきますと、雪の中に埋もれておったいろいろのゴミやそういったものがまた醜く散らばっておるなどなど、結局あいておるところといいますと、農家の田んぼを利用しようじゃないか。ところが農家の皆さんは耕作に響くものですから、小っちゃな砂利まで拾っていくことが条件になるわけでありまして、大変場所探しに難を極めるわけであります。  そこで、建設省あるいは地建や工事事務所等にいろいろ御相談を申し上げるわけでありますが、河川管理という面で大変な障害がまたぶつかってくるわけです。特に私ども地域に一級河川の庄川がありますが、ここはいろいろの事情から水位が大変低い。その低水護岸をまずやってかかれ、これをつくるには億の字がかかるわけでありまして、これまた財政負担が多大であります。そういったことなどを考えまして、やはり建設省に何とか、みんなで苦しんでおる、これから立ち直らせるために、ぜひ河川の提供をお願いしなければならないんじゃないか。しかし、それにも余りきつい条件がつきますと、地方は財政負担その他にこたえ切れないわけでありますが、そういった河川敷の開放について建設省はどのようにお考えか、お尋ねしておきたいと思います。
  76. 水野清

    水野国務大臣 雪捨て場について河川敷を利用するということは、過去にもやっております。いろいろその地域地域でいろいろな問題がございますので、細かいことは河川局長から御答弁を申し上げます。
  77. 井上章平

    井上(章)政府委員 冬期間、雪捨て場として河川敷を一時使用することにつきましては、既に従来より河川敷の状況を個別的、具体的に判断いたしまして、住民の要望にできるだけこたえるという形で、河川管理に支障のない方法で承認しておるところでございます。今後とも、例えばやがて融雪期に入るわけでございますが、その融雪出水対策等を考えますと、やはり河川管理上の支障のないよう配慮をしつつ、できるだけ地域の除雪対策に協力してまいりたいと思っております。
  78. 木間章

    ○木間委員 ぜひそのときには地方が困るような条件をつけられないように、ひとつこの機会に要望をしておきたいと思います。  今度のこの豪雪もだんだん量的には減ってきておるわけでありますが、いよいよ路面が出てまいりますと、その路面に大変厄介な問題が横たわっておるのであります。それは例年気温の高いときに降った北陸でございましたけれども、今度は気温の低いうちで積雪が長期に続いた関係で、路面が大変荒れてまいりました。アスファルトをスパイクタイヤで削ったと申しましょうか、いよいよこの春先には、その復旧工事から始めなければ私たちの雪解けが来ないという状況であります。今、公共土木事業の災害復旧費に対しての法律がありますが、実は路面修繕がこの法の適用になっていないのであります。建設省は地方の路面復旧の手だてについて、この法律を適用する用意があるかどうか、まずお尋ねしておきたいと思います。
  79. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 道路の舗装路面につきましては、道路本体の一部と考えられております。豪雪等異常な天然現象によりまして被災した場合には、道路の災害復旧事業として、現行の国庫負担法によって採択することが可能であります。  ただ、道路交通に起因する、例えばスパイクタイヤ、チェーンによる路面の摩耗等につきましては、このような路面補修は道路の通常の維持工事とみなされておりまして、同法の対象とすることはできないということでございます。
  80. 木間章

    ○木間委員 スパイクタイヤなど他の要因から道路が損傷した場合には対象にならない、こういうことでございますが、私はいかがなものかと実は思っております。確かに雪寒道路でも、この公共土木事業の災害復旧の法律にいたしましても、私は雪国の皆さんの気持ちをくんだ法体系になっていない、こう言わざるを得ないのです。例えば雪寒道路でも、積雪寒冷地域道路は全部雪寒道路じゃないだろうか。あるいはスパイククタイヤが削ったんだとおっしゃいますけれども、交通安全あるいはそういう中で市民生活、企業活動をやっていくときには、これしかないわけでありまして、それによってやろうと思ってやったわけでないのでして、そういうお考えで今日まで臨んでおいでだとしたら、私どもは納得いきません。ですから、この現状をまず認識していただこうということで、私は冒頭から雪は一体何なのか、こういうことから始めたわけでありまして、ぜひそういう考え方でいま一遍お考えを示していただきたいのであります。
  81. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  スパイクタイヤなどによって道路が損耗して補修等が必要になった場合、どういうふうな対策があるのかということでございますが、近年の雪寒地域におけるスパイクタイヤの普及に伴いまして、舗装の摩耗が著しく、道路管理者にとっても大きな問題となっております。建設省では、この問題の対応策の検討を進めるため、スパイクタイヤ対策調査特別委員会を設置し、昭和五十七年度から調査を実施しているところであります。現在一般国道及び道府県道において、スパイクタイヤ等によって摩耗が著しい舗装の補修につきましては、耐摩耗性のよい舗装材の使用や摩耗層の設置も補助の対象といたしております。また市町村道の舗装新設の補助の際にも、雪寒地域におきましては、今申し上げたと同様の措置も講じておるところであります。  また、先生は雪寒地域道路は全部雪寒法で指定したらどうかということでございますが、国県道は全国で十七万一千キロございます。このうち積雪地域にある道路が六万五千キロで、この六万五千キロのうち約五万四千キロが除雪区間等として指定され、雪寒法の対象となっておるところでございます。
  82. 木間章

    ○木間委員 なかなか私の気持ちにすとんと落ちない答弁でありまして、どうもややこしくてわかりません。  もう一遍端的にお伺いいたしますけれども、確かにスパイクタイヤは個人のものでありあるいは事業所のものでありましょう。しかし、市民生活、企業活動になくてはならない雪国のこれまた必需品であります。それによってなったんだから、おれ知らないよでは私は納得できませんし、これまた特異な豪雪であったという御認識をいただくならば、私はおのずから答えが出てくるんじゃなかろうか。市町村が困っておる、だからぜひこの機会に手だてをしなければならない、明快にひとつお答えをいただきたいと思います。
  83. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 道路法上では建設等については補助等を行いますが、維持管理については原則として道路管理者が実施することになっております。しかしながら、積雪寒冷地域におきましては、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保法、いわゆる雪寒法と申しておりますが、この雪寒法が制定されまして、国県道等について今申しましたようないろいろな対応ができるようになっておるわけでございます。  具体的に申しますと、除雪費あるいは防雪費あるいは凍雪害防止事業あるいは除雪機械の補助というものを実施して、積雪地域における交通の確保ができるように一生懸命努力しておるところでございます。またこのスパイクタイヤによっての損耗の激しいところにつきましては、ただいま御説明したように、舗装の補修につきましては、耐摩耗性のよいもの、これはゴムの添加材を加えたような改質アスファルトでございますが、そういうものを用いたり、あるいは摩耗層と申しまして、摩耗を前提として二、三センチ厚くするというような、そういう構造に対して補助するということも実施いたしております。また市町村道につきましては、舗装新設の際に、今申しましたようなすぐれた舗装材あるいは摩耗層も加味して補助するようにしておるところでございます。
  84. 木間章

    ○木間委員 五六豪雪のときに、この公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法でガードレールの問題を取り上げて議論をいたしました。最初の御答弁では、この法律適用範囲にガードレールが入っていない、こういう答弁であったのです。確かにこの法律制度は昭和二十六年にできております。二十六年にガードレールがあったかどうか、私はそのことをきつく申し上げたのであります。したがいまして、先ほどから議論になっておりますこのさまざまな問題は、今日では既に国民の生活ニーズに合ってない制度じゃないだろうか。雪寒法のときにもちょっと申し上げましたけれども、やはり積雪寒冷地帯の生活道路にしたって、国民のニーズからいきますと、これは雪寒道路なんです。ただ、役所の方の手続その他で最終的に大臣の指定するものということになっておるのでして、私から言いますと、勝手に皆さんの方でそう意義づけているだけであって、国民のニーズから見ますと全然合っていない。  そこで大臣、今、雪寒地域は全国土の六割を超えております。人口も四分の一です。また積雪地域は全国土の五二%です。人口は二千万です。そんなたくさんの皆さんの住まいをしておるその道路、その他の行政の手当てについて、今のようなお考えでいいのかどうか。あるいは将来に向けてスパイクタイヤの効能その他の利害あるいは反利害などを研究しながら新しいものを研究していくにいたしましても、それは後追いであります。今直ちに困っておる者についてどう手を伸べなければならないのか、大臣の御決意をお願いしておきたいと思います。
  85. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの木間先生のスパイクタイヤの問題というのは、今、道路局長からお答えしましたように、建設省としてはいろいろな研究もし、舗装材その他に補助をしておるわけでございますけれども、私もお話のとおり、二、三年前でしたか、仙台市の雪が解けた後、道路が摩滅して、ちょうど春の風が吹いてきて非常に市民が困っているというテレビの番組を見たことがあります。私どもの千葉県なんかでは考えられないことだと思って拝見をしておりましたが、積雪地帯の方々にとっては非常にお困りのことであろうと思って拝見をしておりました。今、木間委員の御指摘もまさにそのとおりでありまして、確かに今までの法律の範囲でスパイクタイヤというものが出てなかったわけでございますから、法律をつくったときと状況が変わっております。ただ、そういうものに対する補助というものを厚くしていくことが、実は公共事業費全体の、いわゆる道路整備の今、第九次五カ年計画をやっておりますが、そういうものとの兼ね合いがあるものですから、大変消極的な道路局長の答弁であったということで御不満のようでございますが、ひとつこれは省を挙げて勉強させていただきたい、先生の御趣旨を生かして前向きに検討させていただきたい、こういうことでございます。
  86. 木間章

    ○木間委員 大臣の御決意に感謝をいたしますし、ぜひ強力に進めでいってもらいたい。また私どもも皆さんと一緒に国民のために頑張りたいと思います。  先ほどガードレールのお話もちょっと申し上げたのでありますが、あの五六豪雪の経験からぜひガードレールの補修をひとつ見よう、こういうことで前向きに取り組んでいただきましたが、その具体的内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  87. 井上章平

    井上(章)政府委員 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法は河川局の所管でございますので、私の方からお答え申し上げたいと思いますが、ガードレールは、先ほど来お話がございましたように、これは道路附属物として、これのみでは現在の国庫負担法の対象にならない。その理由は、やはり小規模であるあるいは維持工事とみなされておるというような考え方に立脚しておるわけでございます。ただ、昭和五十六年の異常な豪雪に際しまして、特例として採択した事例がございます。したがって、今回もその実態が判明次第同様の措置が講ぜられますよう適切に対処してまいりたいと思っております。
  88. 木間章

    ○木間委員 五六のときにはそういうことでやっていただきました。ただし、あのときには、大蔵省との関係から緊急避難的に五六だけですよということがあったようでございます。私はそうではいかぬ。やはりガードレールも今日の車歩道の分離、市民生活にはなくてはならない道路附属物の一つであります。  いま一点。五六のときの処置については、山間地のみ対象になっておりまして、町の中と言いましょうか、人が毎日行き来しておるところのガードレールは全く対象外でありました。私は実はこれが残念でならないのであります。ガードレールは確かにがけ地にもなくてはならない構造物でありましょうが、今日では町の中にこそ、人口が密集しておるところにこそ大事ではないだろうか。車から人を守る、人命を守るということは極めて大事な課題でありますから、一時しのぎのその場逃がれのやり方では私は納得できません。幸いこの後この法律の一部改正もあるわけですが、そこでまたみっちり議論をしたいと思いますけれども、ぜひそういう決意で、いま何が大事なのかということで臨んでいただきたいと思います。  時間もなくなりましたので、あと一点だけ申し上げておきます。  その先に要望を申し上げておきますが、雪国は除雪、排雪でいろいろお知恵を出し合っておりますけれども、どうにも手の届かない課題が山積されております。先ほどお話がありましたように、スパイクタイヤとどう対応していくのかという問題もありましょうが、例えば除雪専門の機械の開発研究に手をつけていただきたいことや、あるいは歩道の除雪について今少し知恵を出し合って、皆さんのお力をかしていただきたいことや、たくさんあるわけでありますが、最後に一つ、この雪と地方定住圏のことについて手短にお願いをいたします。  全国四十四の圏域を定められまして、そこに偏らない、そして同じような快適な市民生活が送られるように、こういうことで定住圏を設定をされ、今着手をされたところでありますが、一たんこのような豪雪になりますと、市民生活はたまったものではありません。ですから、その強化充実をお願いしたいのでありますが、同時に、国土庁では克雪生活圏整備事業を昨年度からやっておられます。ぜひそういった雪を乗り越えていく、そういうことで、この事業もさらに拡大強化をお願いをしたいのであります。  特に本県では、先般、富山、高岡テクノポリス指定もあったわけであります。これからそういう時代に合った町づくりをやっていこうということで努力をされておりますし、その中心地は小杉町になっております。この小杉町は、各種の技術陣も既にそろっておりますし、ここでは、日本海側随一じゃないだろうかと思っておりますが、三千戸の新しい団地も今産声を上げまして、市民生活が営まれております。ただ、この団地は、全国各地から集まっておいでになるという市民性もありましてか、雪に対するアレルギーが大変強い町です。端的に申し上げますと、手にも足にもかからないごみ同様のこの難物を町がいつ集めに来てくれるかという電話、問い合わせが私どもの方へ来るわけでありまして、そういった点では、町当局も頭を抱えて悩んでおるところです。ですから、せっかく皆さんが進めておいでになりますこの定住圏事業が進んでいくように、そういう中で克雪生活圏整備事業もぜひ充実強化をさせるということで、前向きにひとつ考えていただきたいのでありますが、この質問を最後に、終えさせていただきたいと思います。
  89. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 ただいまお話がございましたとおりに、定住構想がねらいといたしますところは、自然環境、生活環境、生産環境の総合的な整備を図ることでございます。現在、四十四モデル定住圏がございますけれども、やはり積雪地帯のモデル定住圏におきましては、定住圏計画の中で、特にその憲章等におきまして、雪に強い町づくりを実現したいということを目標に掲げてあるところが多うございます。今もお話がございましたように、そういうところでは克雪のためのいろいろな事業を取り入れてやっておられるわけであります。私どももそういったことは大変結構であるというふうに思っておりまして、克雪地域づくりモデル計画策定事業とか、あるいはいまお話のございました克雪生活圏整備事業等を通じて、できるだけ御支援を申し上げてまいりたいと思っております。
  90. 木間章

    ○木間委員 以上で終わります。
  91. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  関晴正君。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  92. 関晴正

    ○関委員 私は、二月二十一日に発表されました公取のいわゆる談合問題に対するガイドライン、この文章を読みまして、公取の委員会というのは、これはだれのために奉仕をしている委員会なのだろうかという疑問を持ったわけであります。一昨年、それからその前の年から、静岡県の建設業者のかかわる問題で日本国じゅうを驚かせたのが談合問題であった、こう思います。そういう談合問題について、何としてもこれは取り締まらなければならない、この問題については、きちんと工事が行われるように、また国民の税金がむだなく使われるように、そういう願いに立ちまして、お互いに知恵を絞って談合を防止しなければならない、談合罪の発生なんということは見てはならない、こういうことでそれぞれ力をいたしてきたところであった、こう思うのです。  ところが、このたび出されました公取のこの談合問題にかかわる建設業者建設業界と言っていいでありましょう、それらの方々に対する、その業に対する一つのラインというものが、あたかも談合してもよいと言わんばかりの文意が外に示されていたのではないだろうか。これはまさに重大な問題だ、私はこう思うわけでありまして、こんなことで事が進められるようになるならば、建設の仕事においても、あるいは国土庁のこれからの仕事においても、何ら抵抗なく、何らそこには反省もなく事が運ばれていってしまうのではないだろうかということを心配するわけであります。  そういう意味において、ひとつこの際、公取の方から、これの出した真意、それからこれの与える影響、またどうしてこういうものを、だれの命によってと言えば極端な言い方になるのでありましょうが、どこの団体やどこの政党が特にこれを求めてこうした形になったのかという経過等も含めてお話しをいただきたいと思います。
  93. 植松勲

    ○植松説明員 ただいまお尋ねのとおり、二月二十一日に発表いたしました「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」これについてのお尋ねでございますが、今回公表しましたこのガイドラインは、従来からの当委員会の談合問題に対する対応を五十四年八月に一般の事業者団体向けに「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というもので出しておりますが、その内容を踏まえながら、独禁法の枠内において単品受注請負型産業であるとか、そのほとんどが中小企業でありまして、指名制度や予定価格制度といった内容の競争入札制度のもとにあります公共工事にかかわる建設業の諸特性を勘案しながら、建設業の実態に即した用語を用いて、建設業者の団体の情報提供活動や経営指導活動などについて、原則として違反とならない行為を指針として例示しまして、関係団体などによりわかりやすいように具体的にまとめ上げたものでございます。今回のこの公表のガイドラインは、独禁法違反行為の未然防止、これを図るために役立つのではないかと考えておるものでございます。
  94. 関晴正

    ○関委員 未然防止ということは、枠を緩めて、そういう意味で未然防止ということは成り立つかもしれません。だがしかし、発注者、受注者のお互いの間柄にある者、立つ者が情報交換という名のもとに話をしてもいいなんということになったら、それは露骨な話をしても表に出ないでしょう。言うなれば、どなたが請負人になる、どの金額でそれをとる、そういうようなことを話し合ってみたところで、それが違反にならないということに、見逃してやるということになってしまうんじゃないでしょうか。それだから未然に防止だ、やっても何ら取り締まりの対象にならない、こういう意味だとすれば、今の未然防止の意味はわかりますよ。それが公取のあり方で是認できると思っているんでしょうか。何でこんなことを出さねばならないんです。しかも、ここの中にこう書いていますよ。「競争入札において、一定のルールを定める等により受注予定者又は入札価格を決定したりするようなこととならない限り、独占禁止法に違反することとはならない。」じゃ、一定のルールを定めることなしにはやってもいい、裏返しにいけばそうなるでしょう。これはどういう意味ですか。あわせてお答えください。
  95. 植松勲

    ○植松説明員 今まさに御指摘のとおりでございますが、ここのところにございますように、情報提供活動、経営指導活動、それ自体は、先ほど答弁いたしましたように、五十四年八月の一般事業者団体の活動指針におきましても、それ自身は原則として違反とならないカテゴリーに分類されている行為でございます。それをこれらの情報提供なり経営指導の活動につきましては、ここの前文に書いてございますように、「競争入札において、一定のルールを定める等により受注予定者又は入札価格を決定したりするようなこととならない限り、」これは独禁法に違反することはない。逆に申しますと、それらの、本来違反でない情報提供活動なり経営指導活動などを用いまして受注予定者なり入札価格を決定すれば、やはりアウトである、こういうふうに書いてあるわけであります。
  96. 関晴正

    ○関委員 あなたはどんな物の見方やあるいは認識をされておられるのかわかりませんが、公取の委員会の任務というのを何だと心得ていますか。
  97. 植松勲

    ○植松説明員 独占禁止法違反行為に対しては厳正な態度で臨むことでありますし、またその違反が起こらないように予防に努めるということが我々の任務だと思っております。
  98. 関晴正

    ○関委員 あなた方のそういう構えはいいけれども、これでは談合しても取り締まりができなくなるんじゃありませんか。言うなれば、近づくな近づくなといって、近づいてはならない範囲を決めようとしていながら、極限までは行けないけれども、その手前までは行ってもいいというようなこれは導き方でしょう。防止をするというならば、できるだけ危険なところから離れて離れて離れてというのが防止策じゃないですか。近づいて近づいて近づいて防止策というのは策として適当ですか、あなた。ですから、私は公取の委員長にきょう出てもらいたいと思ったんだけれども、公取の委員長はこちらの方に出れないということだから、これは仕方ないとしても、公取の委員の皆さん方の考え方というのが、建設業者の談合というものはもう手がつけられないんだ、こういう認識で統一されてしまったのだろうかという疑点が一つあります。  それから、自民党のこの問題にかかわる小委員会というのがあったでしょう。小委員会ではあなた方に何という一つの要求を出されましたか。お示しください。
  99. 植松勲

    ○植松説明員 建設業界におきましては、五十一万を超す事業者がありまして、その九九・四%ですか、ほとんどは中小零細企業である。五割を超すものが個人経営である。こういうようなところから、先ほど冒頭先生おっしゃられましたように、静岡の談合事件以来大変業界が混乱しておる。それで適正な情報提供なり経営指導活動について、できるだけ相談に応ずるなり指針を示すなりするようにという要望なりこちらに相談もございました。それでこういうものを昨年来検討いたしまして、この予防行政に資する観点からまとめたわけでございます。これでもって一つの判断基準として、できるだけこのガイドラインを利用されて、業界で適正な活動に努めていただきたい。もしまた今後とも違反の具体的な事実に接した場合には、これはまた独禁法違反事件として厳正に処してまいる所存でございます。
  100. 関晴正

    ○関委員 少なくとも公正な取引、だれが見ても納得のいくような公正な取引、これは今の自民党の、資本主義の爛熟している時代には難しいことかもしれませんよ。田中角榮一人でももてあましちゃっているんだから、これは難しいかもしれませんよ。でもしかし、どんなに難しくても、少なくとも公正取引委員会というのは独立の機関として、これだけは国民に信頼されなければならないと思うのです。その存在の意義というものをあなた方がみずから投げ捨てたときには、国民は一体だれを信頼し、よりどころにして物を進めていけばいいのですか。あなた方までそこまで落ち込むのかということになると、世の中は真っ暗やみじゃないですか。私が先ほどから自民党はどういう案を出したかと言っても、あなたは答えてくれませんね。自民党の方は何もあなた方の方の委員会に要望だとか意見だとかというのは出されませんでしたか。いろいろ出されたでしょう。その実態、その内容を示してください。
  101. 植松勲

    ○植松説明員 先ほどお答えいたしましたように、情報提供なり経営指導、団体として適正にやれる活動の具体的な範囲をできるだけ親切に零細の多い建設業界に教えるなり、ガイドラインを出すなり、そういう形で指導するようにというお話だと思いますが。
  102. 関晴正

    ○関委員 何の答えにもならない。聞いていることに答えない。私は自民党の方から——じゃ、自民党の方からと言わなければ、もっと別な言い方で言いますか。ちゃんと自民党の中にはこれが対策の小委員会というのがあるでしょう。委員長もあるでしょう。事務総長もあるでしょう。事務総長は何という方だか御存じですか。井上孝さんという方でしょう。この方がいろいろとあなた方と折衝したでしょう。したかしませんか、それだけ答えてください。
  103. 植松勲

    ○植松説明員 このガイドラインをまとめるに当たりまして、昨年の春以来関係諸団体、それから発注官公庁、いろいろヒアリングをいたしました。それから会計法令の制度なども随分勉強させていただきました。それを踏まえましてまとめたわけでございますが、何分にもこの建設業界につきましては、主務官庁である建設省さんが一番詳しいわけでございますので、建設省さんとは十分意見交換をさせていただきました。建設省さんを通じてあるいは党の方に何かの説明があったかどうかということは私どもつまびらかではございませんけれども、そういうことで進めてまいったものでございます。
  104. 関晴正

    ○関委員 もっともこれをまとめるに当たっては、建設省と自民党とそれから公取と三者の間でじっくりお話をされた、こう聞いております。そういう点からいけば、公取の方はあるいはじっくりお話まではいかないのかもしれませんけれども、言うなれば、最も日本の権力を握っている自民党の中で、これについて求める内容というものが、建設省との間にそれぞれ話し合ったとありましたが、どういう点でお話しになったのでしょうか。これは建設省の方から伺いたいと思います。
  105. 台健

    ○台政府委員 このガイドラインは、先ほど公取の方からお話がありましたように、公正取引委員会が発注諸官庁、それから学識経験者、業界団体等からのヒアリングや調査をもとにして作成したものでございますが、建設省といたしましても、公正取引委員会に対しまして、入札制度の仕組みや運用の実際、それから建設業の実情や建設産業の施策考え方等につきまして御説明申し上げますとともに、建設業の健全な発展に資するような内容となるように意見を申し述べてきたところでございます。
  106. 関晴正

    ○関委員 自民党からどんなお話をされたかと聞いているのです。答えてください。
  107. 台健

    ○台政府委員 自民党におきましては、「建設業等の契約問題について」ということで昭和五十七年八月二十日に決定がございました。これにつきましては、内容につきまして、党の方から関係各省につきましての御説明がございました。(関委員「どんな説明があったのです。簡単でいいよ」と呼ぶ)契約問題につきましては、入札制度全般につきましての改善点につきましてのお話があったわけでございます。
  108. 関晴正

    ○関委員 中心から離れよう離れようとして答えているわけですね。もっと率直に言ったらいいでしょう。建設業界の一つの特色といいましょうか、あるいはまた経過といいましょうか、現状といいましょうか、そういうものからいけば一つの調整活動、そのためには談合もやむを得ないものだから、その辺のことが認められるようにされないか、こういうお話が強くあったんじゃないでしょうか、どうですか。
  109. 台健

    ○台政府委員 建設業の特殊性を考慮いたしまして、建設業の健全な発展と公共事業の執行が円滑に行われるようにすべきであるというふうな意見をちょうだいしております。
  110. 関晴正

    ○関委員 そういう意味で、意見交換の中には、絞り込みになったとしても、自然にそうなればなるようにしてもいいじゃないだろうか、こう強く要請されたでしょう、どうです。
  111. 植松勲

    ○植松説明員 情報交換、経営指導活動についてできるだけ明快に指針として明らかにできるようにということで私ども努力をしたわけでございます。
  112. 関晴正

    ○関委員 私は、この指針は非常に誤解を招くし、そしてまた国民の信頼を一身に受けて公正な取引に責任を持つ公取の委員会としては、もう一遍吟味をして、そうして考え直して、国民のだれでもがなるほどとわかるような、信頼にこたえるようなものに変えるべきだと思うのです。これでもそんなに建設業者たちは喜んでいませんよ。今までびくびくしてきた談合が幾らかは公になったかなというところだけれども、それでも談合の基本の話までは触れられない、基本の手前までは行ける、こういうところですからね。こんなものを公取が出すなんというのは、私はもってのほかだと思うのです。そういう意味においては、こういうもので今度行政指導したり行政を執行する側においていろいろな御迷惑がかかってくるんじゃないだろうか、こう思います。大体、入札というものは一般競争入札、これが原則だといって大蔵省の会計法においてもきちんと第一の原則を立てているわけです。  この際、大蔵の代表の方に、こうしたものが出されておることと方針というようなものについて、ぐらつくようなことがないのかどうか。また警察当局においても、こういうものが出て、取り締まりにおいてまた大変な抵抗を感じているのではないだろうかと思うのだが、そうなって、すべて見ても見ないふりをするようになってしまうならば、警察もまたありがたくないことになってしまうので、そういう意味においては警察当局。この二つのところから……。あわせて、行政管理庁がいろいろと指導をしてきているわけですね。この指導と全く相反する方向に今歩みがとられようとしておりますので、その三つの団体からとりあえずこの問題についての見解。またこれがあろうとなかろうと、とるべき方針等について明確にお答えいただければと思います。
  113. 兵藤廣治

    ○兵藤説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、会計法令に基づく現行の入札制度の趣旨というのは、国民の貴重な税金を財源としてする調達行為でございますので、公正かつ経済性の確保の見地から、入札を通じまして、入札者、参加者間で、公正、自由な競争が行われて、国に最も有利な者を契約の相手方とするというのを基本としておるわけでございます。  そこで、今回公正取引委員会がお出しになりました指針におきましては、先ほど先生も御指摘になりました箇所で申し述べてますが、「競争入札において、一定のルールを定める等により受注予定者」を決めたり、入札価格を決定したりしたようなことがあってはいかぬ、それは独禁法に違反することになるけれども、その他いろいろ情報を業者間で収集したりすることであれば、一応独禁法には触れないという御判断を示しておるわけでございます。そういう点では、入札の段階で受注予定者が決まり、また価格も決まっていくということは確保されておるものと考えるわけでございます。独禁法や会計法の規定の対象要件は、一応その事柄の事象が違いますけれども、いずれにしましても、自由競争が必要だということには変わりがないと考えております。  以上でございます。
  114. 上野浩靖

    上野説明員 警察といたしましては、昨今の状況からいたしまして、談合事犯につきましては強い関心を持っておりまして、各都道府県警察に対しまして、違法な談合事犯については積極的に対処するよう従来から指導してきているところでございます。これまでにも、公正な価格を害し、または不正な利益を図る目的をもってなされた談合事犯については、これを看過することなく捜査、検挙してきたところでございます。  なお、今回の公取委が示されました指針については、私どもとしてはあくまでも独占禁止法上のガイドラインを示されたものであると理解しております。したがいまして、警察としては、従来どおり、刑法の談合罪の構成要件に該当する事犯につきましては厳正に対処してまいりたいと考えております。
  115. 奥山繁夫

    ○奥山説明員 お答えいたします。  先生のお尋ねは、行政管理庁がこれまでに実施いたしました調査との関連についてのお尋ねであろうと存じます。それについてお答えいたします。  行政管理庁のいままで行いました調査は、いわゆる発注者サイドの業務の適正化について調査したものでございまして、今回の公正取引委員会の指針は、いわゆる受注者サイド、すなわち独占禁止法の枠内で適法な範囲を示したものでございます。したがいまして、両者は、発注者と受注者の異なった見地からの提言でございますけれども公共事業は、公正性、機会均等、経済性といった見地から適正に実施されなければならない、このように考えております。  以上でございます。
  116. 関晴正

    ○関委員 地方自治法上の関係で、自治省の方もおいでになっているかと思いますが、自治省の方からもこれについての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  117. 木村仁

    ○木村説明員 自治省といたしましては、公共工事の発注者であります市町村の契約業務の適正な運用ということにつきまして、従来指導を続けてきたわけでございますが、現在おただしの指針につきましては、独禁法の解釈を明確にされまして、事業者団体の活動について許される範囲を明確にするものでありまして、従来違法とされていたものを適法としたものじゃない、こういうふうに理解をいたしております。したがって、地方公共団体におきます公共事業の入札あるいは契約に、この指針が特段の影響を及ぼすものではないというふうに考えておりますので、従来どおり、契約業務、特に競争入札業務の厳正な執行ということにつきまして指導をいたしてまいりたいと考えております。
  118. 関晴正

    ○関委員 この問題は何時間でも取り上げなければならない問題でありますけれども、この後は我が党のそれぞれの議員によって、関係する委員会予算委員会等においてまた取り上げていかなきゃならない問題でありますので、私はきょうはその程度で置いて、次へ入りたいと思います。  建設大臣にお尋ねをしたいのでありますが、道路整備五カ年計画というのがありまして、とにかくいろいろとこれに当たっているわけでありますが、私は前の委員会のときにも申し上げましたけれども、今日大変な豪雪、そうしてまた、それでなくても狭い道路が余計にまた狭くなっているのが北国の道路現状であります。だがしかし、それでも道路があればまだいい方、雪が降るというともう道路が全くなくなってしまう、こういう国道があります。私どもの青森県には、夏でも十分に通れないような国道が下北半島の言うなれば西側を走っております。海峡ライン、いい名前であります。ところが、この海峡ラインが夏でも交通が十分でない。したがって、佐井村から脇野沢という隣村まで行くのに、国民がせっかく観光地だと言って訪れていながら、回れ右をしてまた百キロも走らなければならない。隣のわずか四キロか五キロのところへ行くのに百キロ以上また回れ有しなければならないという現状がございます。また今日のように雪が降ると、もう全く交通が途絶えたままであります。こうした状態というものは全国で恐らくここ一つじゃないだろうか。(「そんなことないうちなんかたくさんある」と呼ぶ者あり)国道ですよ。よく聞いてください。市町村道や県道じゃありませんよ。国道で、そうして未開通のまま。だが何とか一車ぐらいは走れる。雪が降るというと一車ところか全く途絶えてしまう。恐らく私はそんなにないだろうと思うのです。ただし、山奥を越えて、また隣の隣へ行くというのはまた別であります。国道がせっかく設定されていて、そうして雪が降るというと通れなくなる。この間の状況というものはどのくらい不便であるかわからない。三十一億くらい事業としてかかると言われています。三十一億かかるんだが、この五年間にどれだけしたかというと、わずかに一億くらいしかしておりません。この勘定でいきますと、百二十年かかっても道路ができないということになります。高速自動車道路の促進もこれは必要であります。あわせて国道においてこうした未開通、そしてまた一時閉鎖というようなところは、やはり早く手をつけてやらなければならぬじゃないだろうかと思う。  御承知のように、皆さん、下北半島といえば原子力船「むつ」の関根浜、知らない人はないだろうと思う。関根浜の方は津軽海峡の方に面して通行はいい方であります。西側の方になりますと、言うなれば、下北半島のまさかりの刃の方です。このまさかりの刃の方は刃がこぼれ落ちたように全く道路状態というのはよくないわけです。この点について私は、新しくなられました建設大臣に——総理が下北を原子力のメッカにするなんという物騒なことを言ったんですが、私はこの下北を観光のメッカにするという構えで当たっていただきたい。そのためには三十億やそのくらいの金は直ちにぶち込んで——原子力船には三百億もぶち込もうと言っておるわけですよ。これむだ遣い。その一割で済むわけです。ですから、そういうようなことは、国民に喜ばれることでもあるし、また地域産業のためにもなることなんで、ぜひこれには取り組んでいただきたい、私はこう思うわけであります。それが一つ。  もう一つは、国道で六車線で、そうして橋が四車線しかないというのが日本にどれだけあるかというと十カ所ございます。その十カ所のうち五カ所は今日工事に着手されております。残りの五カ所のうち東北、北海道では、青森市の古川の跨線橋だけが取り残されたままであります。  この間、選挙の際に雪が降りました。橋を越えてすぐ近くの個人演説会場へ行くのに一時間半かかって行くわけです。わずか四、五百メートルの間をこの青森市の町の中で一時間半もかからなければ橋を越えていけないという実態が一つあります。これは内海建設大臣のときにも申し上げました。きちんとやってくれ、青森へ来たならばよく見てくれ。よく見ていってくださいました。しかしながら、見ただけでこれについての取り組みが進められないのであっては何の意味もない。私はこの際、ことしの仕事を進める中に何としてもこれには取りかかってもらいたい。県都の青森、県庁所在地のところから西に走るのが国道の七号線、東に走るのが国道の四号線。四号線の方はすぐそばにある橋でもみんなうまく片づいた。七号線の方ははかばかしくないわけです。そういう意味において、これは何としても手をつけていただけないだろうか。  青森県民は、百六十万県民は、県都へ来る場合に、これは一体何たるものだろう。田中角榮が青森におれば、いつの間にかできたんじゃないだろうかとさえ言って、うわさをしているわけなんだ。青森県には田中角榮がいないからできないんだろうとも言っております。しかしこれは、必要性と緊急性、そういう意味において、どこの地域のものよりも高いところにあるんじゃないだろうか。これをしも投げ捨てて、また事を運ぶということは適当ではない、こうも思いますので、何とかひとつこの点、大臣考えるところを示していただけないでしょうか。
  119. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 では、二点についてお答えさせていただきます。  最初は、一般国道三百三十八号の整備についてでございますが、一般国道三百三十八号は、函館市を起点とし、青森県大間町、佐井村、脇野沢村、むつ市、三沢市等を経て、同県下田町に至る路線であり、このうち函館市からむつ市間は昭和五十七年四月に国道昇格したものであります。本路線の整備状況は、五十七年四月現在でございますが、改良率が七五%、舗装率が簡易舗装を含んだ場合八三%、簡易舗装を除きますと六七%となっております。  しかしながら、御指摘の佐井村から脇野沢村にかけての区間は、幅員が狭隘で線形が不良であるなど、ほとんど未整備の状況に置かれております。このため、現在佐井村において一次改築事業として、牛滝から野平間の工区、延長四・七キロメートル及び特殊改良一種事業として、磯谷工区、延長一・二キロメールの整備を進めているところであります。このほか防災対策事業や雪寒事業をも実施いたしております。  しかしながら、全区間の整備にはなお相当の期間を要するものと考えられますが、本路線が今、先生指摘のとおり、下北半島循環線として重要な位置づけにあることにかんがみ、その整備促進に努めてまいりたいと考えております。  二番目の古川跨線橋についてでございますが、古川跨線橋と同様に、橋梁の前後が六車線で橋梁が四車線の箇所は、御指摘のとおり十カ所ございます。このうち、橋梁拡幅のための用地が確保されておる五カ所につきましては、現在事業を実施いたしております。残りの五カ所につきましては、今後前後の用地取得の進捗状況、関連する代替路の整備状況等を勘案しつつ拡幅事業に取り組んでまいりたいと考えております。  この古川跨線橋につきましては、現在橋梁の耐荷力調査や拡幅に伴う技術的な調査を行っております。今後拡幅工事中における橋下の鉄道の安全確保や自動車交通の処理などの対策を検討の上、拡幅計画を早急に取りまとめ、これに基づいた都市計画決定を進めていきたいと考えておりますが、この橋のところは交通量の非常に多いところでございますので、工事中の交通を確保するためにはどうしても代替路が必要でございます。この代替路といたしましては、現在、青森環状道路を西側の七号線の新城を起点といたしまして、青森十和田線の交差点までの事業化でございますが、これについては五十九年度中に全線が供用する見込みでございます。それと、その環状道路と現在の一般国道七号線を連絡するための柳町立体交差事業が現在進められておりますが、これの全線が開通するのが昭和六十年度と見込まれております。これができますと、ある程度代替道路としての機能が確保されてくるのではなかろうかと思いますので、そういうことからこの古川跨線橋の拡幅工事については積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  120. 水野清

    水野国務大臣 関委員の御郷里の青森県の開発といいますか、道路整備についてのお気持ちは、私も同じ議員でございますから非常によく理解ができます。ただいまの議員の御質問に対しまして、私も帰りまして、今、道路局長から御説明申し上げましたが、実情をよく把握をいたしまして、前向きな検討をさせていただきたいと思っております。
  121. 関晴正

    ○関委員 新しい大臣だけにひとつ全力をぶち込んでやっていただきたい。わずか三十億の金で何十年もかけるんだというようなことは、この際解消をして、そして速やかに下北半島が全国民の観光地として環状線が生きるようにしていただきたい。環状線がとまって、そうして逆戻りしなければ歩けないような、そういう観光道路に長くしておくわけにはいかないだろうと思いますので、本当にこれは取り組んでいただきたいと思います。  それから、古川跨線橋の問題については昭和六十年度にひとつ当たりたいという局長お話でありますが、その前に都市計画の決定等もした上で当たりたいということですので、ぜひこれも積極的にぶつかっていただきたいし、これは本当に難所であるだけに、今日までもまた手を加えるのが難しかったかと思いますが、しかし、これ以上手放しで投げておくわけにはいかないという現状の理解に至ったものとして私は期待しておきますので、よろしくお願いしたいと思います。  次は国土庁長官、青森県というところは問題の多いところでありまして、むつ小川原という開発計画が打ち出されましてもう二十年近くなると言っていいでしょう。しかしながら、むつ小川原開発計画というものは完全に挫折したと言っていいでしょう。それで三全総というものの失敗が、この三全総というものを立てたのが五十二年の十一月、そうしてわずか三年たつかたたないうちに、五十五年の六月にはもう見直しをしなければならないという羽目に追い込まれているわけであります。三全総というものがいかにむなしいものであったかということを嫌というほど今感じておられるのではないだろうか。今度四全総に取り組むというのですけれども、四全総に取り組んでみても、この全国総合開発計画というものは、そのときそのときの書いた人の野心なり要求を満足するものにはなるかもしれませんけれども、書いたものが行われるということにはほとんどなっていない。失敗の連続であった、こう言っていいと思うのです。今深くこの三全総から四全総、また三全総そのものの批判、検討をする時間はきょうはありません。後刻に譲りたいと思います。  だが、どうしても聞いておきたいことは、あのむつ小川原開発計画というもの、これは五千二百ヘクタールの広大な土地です。そのうちの三千二百ヘクタールは農民の土地を買収して得たものであります。この三千二百ヘクタールのうちわずかに二百ヘクタール程度が備蓄のタンクとして設定されているだけ。しかも、この備蓄のタンクも十二月二十三日には油漏れの事故が起こった。何で起こったかといえば、言うなれば、あの大きなタンク、北国でありますから油が凍るわけです。油がかたくなる。かたくなっては困るというので温風のパイプをタンクの中に通しておく。これは北国であるためにやらなければならなかった一つの技術でしょう。油というのもやはり暖かい国の方のタンクの方が私は適当していると思います。そういうことで要らぬ事故が起きました。しかも、この事故は隠されたまま三日間、ひどいものです。三日間も隠しておいて、隠し切れなくなってようやく発表した。私は、この原因をいま深く追及しても、これも時間がありませんので、申し上げるだけ申し上げておきます。  つまり一つ十一万キロリットルというようなタンクをあそこに五十一個も並べて何とかしようとしたとしても、この目的とするものは、むつ小川原開発株式会社の借金返済のための土地購入にあずかっただけであります。そしてねらったところの工業開発というものは何一つできない。そこでこの会社は今あの広大な土地を抱え、今日千四百億円の借金です。その借金のうちの半分近くを北海道東北開発公庫が持っております。よくもまあ出したものだと思います。これについての追及は次にじっくりやりたいと思っています。  そのむつ小川原開発地域に、最近むつ小川原開発という巨大プロジェクトはもう瓦解したから、ここに核燃料サイクル基地をという一つの構想が出てきております。ことしの元日、新聞紙上をにぎわしました。また全国にその話が伝わって、長官も承知かと思います。あの地域に言うなれば核燃料のサイクル基地を持っていこうということになりますならば、これもまた我々としては大変に容認できるものではありません。  またもう一つ、その北側の方に東通村がありまして、ここには二千万キロワットの原発が計画されております。その方向にまた行くのではないだろうかとも推測をされております。  もう一つは、原子力船「むつ」の関根浜、定係港から新港に移った。新港とは何ぞやというのが今度の国会においてもいろいろ論議され、自民党の中でも混乱が起こり、また林寛子提言というものが相当に権威のあるものとして見られているわけです。  私は、青森県というものを核燃料サイクル基地、再処理工場、廃棄物の処理場、ウランの濃縮工場、そういういわゆる三点セットの場に落ちつけようじゃないかというような計画をお持ちになっているのかどうか、そういうことについて国土庁は、事ここに至ってはそういう方向にでも転じよう、こうお思いになっているものなのかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  122. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 時間の関係上、お言葉を返すようでありますが、三全総は失敗をしたということではなく、これは大きな経済の流れの変化によって時代のいろいろな環境が変わってきたということで、二十一世紀に向けてビジョンのある国土づくりということで四全総に着手したわけであります。  そういう意味から、今のむつ小川原に対して核燃料の基地、むつ小川原が完全に失敗した、私はそう考えていないのであります。これだけの大きな規模の団地というものは、日本ですと恐らくこれからつくれるものではない。五十二年には青森県を挙げて地域開発という一つの面からこの計画が策定をされて、基本計画に基づいて、基本計画を調整しながら今日に来たわけでございます。そういう意味から、やはりこれから有力な企業、優良な企業を誘致しなければならぬということで、国土庁、特にむつ小川原の会社が社長を先頭として取り組んでおるというような実態であります。  そこで、核燃料の問題は、私は直接は聞いておりませんが、うわさには聞いております。しかし、これは電力と電力等々間の話であり、また電力と青森県との話であり、また青森県とむつ小川原の株式会社等との話し合いということであって、まだそういった問題が決定をされたという問題でもありませんし、また核燃料を引き受けるためのそういった作業はうわさとして話をされていますけれども、具体性というものは一つもない、こういうことを申し上げておかなければならぬと思います。  ただいま関さんも時間の制約があるようでありますから、具体的に申し上げるわけにもいきませんが、もしもっとかみ砕いて、もっと掘り下げてということになりますならば、事務当局の方から細やかに御報告をいたさせます。
  123. 関晴正

    ○関委員 どうぞ。
  124. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣が御答弁申し上げましたことに尽きるわけなんでございますけれども、私どもといたしましては、このむつ小川原地区が全国でも数少ない、かけがえのない大規模工業基地であるわけでございまして、また下北半島の地域振興のためにも大変重要なプロジェクトであるというふうに考えておりまして、基盤整備を初め、御指摘の企業誘致につきましても、鋭意関係者とともに努力をいたしておるところでございます。  核燃料サイクル基地の構想につきましては、ただいま大臣お話しになりましたとおりでありまして、私どもは、むつ小川原地区を含む周辺地域において、核燃料サイクル基地の候補地の一つとして電力業界と関係者の間で検討をされておるということは承知をいたしております。
  125. 関晴正

    ○関委員 問題は、検討されているあるいは他の方でささやかれている、そういうことについて、むつ小川原開発という計画ですね、今の大臣の話によれば、まだ計画は生きているのだ、捨てたものじゃないのだ、こう言っておるのだけれども、では、その計画を進めるのであって、むつ小川原開発会社が何を言おうと、あるいはまた電力会社が何を求めようと、そんなことは国土庁長官としては考えていない、それはとても許せることじゃないのだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  126. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 現行のむつ小川原開発計画が五十年に策定をされまして、それを政府といたしましては五十二年に閣議了解でできるだけ推進をすべきものというふうになっておることは御案内のとおりでございます。その計画の中身が、いわゆる第一次計画につきましては、石油精製、石油化学、石油専焼発電所の建設ということになっておることも御案内のとおりでございます。  そこで、この計画の策定の主体は青森県でございます。先ほど御指摘のございました、この核燃料サイクル基地につきまして、今後どういう経緯をたどるのか、私どももわかりませんけれども、仮にそういうものが出てくるということになれば、県では当然計画の変更ということをお考えになるであろう、それを私どもは受けて、その点についてどう考えるかということは、今後の検討課題ではなかろうかというふうに考えております。
  127. 関晴正

    ○関委員 これは国の方の責任から県の方に責任を移そうとしている御答弁だ、こう思いました。  この問題についてはナショナルプロジェクトだということで、特別閣議の決定というものがあって事を進めたわけです。さればこそ、あの地域における住民たちはやがてここに三十万の都市ができる、今度は出稼ぎせぬでも働く場所ができる、おれたちの時代じゃなくて孫子の時代において発展が期待できるというので、売った土地の代金というものを子供の教育にかけて、そうして工業関係の専門学校にあるいは大学にと入れたわけです。金を出し尽くしてしまって、さて自分たちの子供たちがこの地域に就職できるであろうと思ったところが、全くその道はない。言うなれば開発難民、そうして難民から今や乱民になろうとしていますよ。何のためにこんなことを我々は受けなければならないのだろう。言うなれば、石油精製、石油化学、そうして火力発電、これは三本の柱なんです。この三本の柱が進められるために閣議決定というものをにしきの御旗として強引にやってきた。そのことがうまくいかないことになったときに、国はどんな責任をとるのです。ただいまの答弁によりますと、その時点になって県が計画変更を持ち出しても、これはそのときの話だ、こういう答弁ですよ。私はこうなってきたことを本当に悲しむのです。言うなれば、大変な努力をして国の一つの方針というものを受けてやってきたのです。これが実らないままに今終わってしまっている。五千二百ヘクタールですよ。取得した面積、取り上げて買った面積三千二百ヘクタールですよ。そこに何もできない。そうして備蓄タンクだけ。その備蓄タンクもやがて私は邪魔になるであろう、こう思っております。しかしながら、備蓄タンクが欲しいという県もあります。もう金が欲しいから、あれを呼ぶなんと言ってもむだだから、青森にはやらないと言っているから、別な方につくろうじゃないかということが進んでいるようです。私は別な方に進むことについては別に文句は言いません。ただ、問題は、タンクだけ置いていって、そうしてあの場所が描いたようなバラ色の夢、バラ色の構想、計画というものは無残にも打ち砕かれて、おしまいになっているわけです。そうして次に来るものが核燃料のサイクル基地。どうだろう、ウランの濃縮工場なら余り害もないし、核分裂と違って被害もないから、これならいいのじゃないだろうか。飛びつきそうなものを少しぶら下げつつ、再処理工場と廃棄物の処理場、これを三点セットにして今あそこに押しわけようじゃないか、こう言っているわけです。  この計画について、国土庁としては、これまでの計画から変更して、県がそういうことになってくればやるのだというような話ではうまくないと私は思うのです。国土庁としての考え方はどういうものなのか。国土庁としては、今日まで押し出した線について一定の区切りをつけなければならないのじゃないでしょうか。県が持ってくる変更計画までは黙っているのだということでは、私は、責任を投げたままではないだろうか、こう思うのです。閣議決定というものがいかに大事であったか。そしてそれがうまくいかなかった場合には、その被害については、かけた迷惑については何としても負うのだ、こういう行政の責任がなければならないと私は思う。そういう意味において、新しく長官になられました国土庁長官に、私はよく考えていただきたいと思うのです。長官もなったばかりで、今言われたこと、教えられたことでお答えしているのでしょうけれども、長い目で見れば、長い目で見ればと言って、ただ長い目で見ればという言葉だけで、どれほど長い時間をかけて、ここにむだな時間とむだな金が投ぜられてきたかわからないのです。ですから、やはり転換をするならば早く転換する。その転換の方法はきちんとした、納得のいくようなものに方向転換をするならばする、こう向けていかなければならぬのではないだろうかと思います。  最後に、私はあの地域考えできていながら、小川原湖の水の淡水化、またあの水を利用しての上水道計画、こういうようなものはとてもこれ以上進むものにはならないであろう、こうも思うのですが、まだ捨てていないのだからこれもどんどん進めます、小川原湖の漁業補償もこれから取り組んで年内に払うつもりだ、こう思っておられるものかどうか。この点を最後に聞いておいて、質問を終わりたいと思います。
  128. 井上章平

    井上(章)政府委員 小川原湖の総合開発事業につきましては、現在計画を変更する考えなく進めておるわけでございます。
  129. 関晴正

    ○関委員 これは今のお答えで済む問題じゃないですよ。つまりこういうような事情にあって、今、振興局長が言ったでしょう、計画の変更があればそれに乗らざるを得ない、そこまで事態が来ているでしょう。そこまで来ていながら、既定方針どおりやりますなんて答えても、お答えにならないと私は思う。やはりその事情も踏まえて検討せざるを得ないところに今来ているのじゃないだろうか。では、五百億近い漁業補償をことし出すつもりですか。あるいは淡水化事業、上水道計画、既定方針どおり進めてやるつもりですか。三十万の都市なんかできないのに上水道計画だけはやるということですか、どうなのですか。
  130. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 もし誤解が生ずるといけませんので、再度答弁させていただきたいと思いますのは、計画の変更のことなんでございますが、仮に核燃料サイクルの話が現実のものとなったと仮定いたしました場合においては、現行の第一次計画に盛られました計画事項と違ってまいるわけでございますから、県のイニシアチブに基づいて検討をしなければならぬ問題ではなかろうかというふうに思っておるわけでございまして、その点、申し添えさせていただきたいと思います。
  131. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 また、お言葉を返すようでありますが、だめだ、だめだと、もう断絶の状態のように言われておりますけれども、私はそうは考えておりません。仮に、その計画を変更するという場合においても、仮にという話もこの席ですべきではない。それは県が策定をし、県が計画を立て、地元地域住民との中で変えられていくものであって、そこで仮にやった場合は、変更しなければならぬというよりか、求めることのできないこの大規模な工業団地をいかにして地域住民の期待にこたえて埋めていくか、これをやはり計画どおりにどう推進していくかということに全力を尽くす必要がある。そういう意味で、この前もむつ小川原の役員の皆さんにおいでを願って、その計画の実施、過去におけるところの経過等々を踏まえました。そういう意味から、産業立地のためにも、具体的に進める方向をとっておりますので、だめだ、だめだとみんなで言いかかると、本当にだめになってしまいますから、だめだということでなく、計画を実現をさす、こういうことで関さんにも御協力のほどお願い申し上げたいと思います。
  132. 関晴正

    ○関委員 時間がないので申し上げられませんが、ただ、今のように長官がそう言っても、この計画がいつ策定されて、どういう経過をたどって、今日どういう現状にあって、将来がどうなるかということについての一つの見通し等について、まだ不十分なものがあると私は思うのです。これは石油シリーズと申しましょうか、石油の産業地帯にしようという計画は、完全にもう無理だと、これは日本全体なんです。エネルギーの方の今後の見通し等についても、みんなダウンしてきてしまって、二千年までどうなるかという計画等についても出ているわけです。ですから、その計画からいっても、もうここでおしまいになるものはおしまいになって、次の道を聞かざるを得ない。にもかかわらず、長官はその計画にまだ希望があるなんということでいけば、長官が思っていることまでは否定はしませんが、それは少し無理なんであって、だけれども、青森県のむつ小川原の諸君たちは、口を開けば、この責任をどうすると言ってしりをまくるものだから、いろいろとまたやっているわけです。  関根浜においても、私はあの原子力船の「むつ」の廃船の方法は、安いうちに片づける方法がある。だが、しかし、そんなことを言うと、また困るというので、いろいろなことでしりをまくる。しりをまくられて、そうかそうかと言って、何といいますか、そこで温存したままなんです。もっと厳しく、もっと冷静に判断をしていかなければならない問題なんです。  ですから、長官、わざわざ私のお言葉を返すようでと言いながら言っておりますが、これは本当に難しい問題で、長官になって一番損するのが、この仕事なんですよ、あとの方は割合にいいのだけれども。だから、そういう点でよくマスターした上でまたやってください。私は県議会の議員時代から二十年、これはやってきた問題ですから、どうぞひとつ承知しておいてください。おきますから。
  133. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 新井彬之君。
  134. 新井彬之

    ○新井委員 私は、建設大臣並びに国土庁長官所信表明に対しまして、若干の質問をしたいと思います。  本年度の予算を見ますときに、いろいろと各省、各局からも予算の内容をお伺いしたわけでございますが、予算が非常に削られる中で各局とも非常に苦労をされているということは非常に感じたわけでございます。そういうわけではございますけれども、今のこの非常な財政赤字の中にありまして、今後公共投資の役割というのは非常に大事なものがある、こういうぐあいに考えるわけでございます。  そこで、我が国公共投資は、長期にわたりまして社会資本整備と景気対策の両面で大きな役割を果たしてまいったわけでございます。しかし、国家財政の逼迫を理由に公共事業費は今まで四年連続いたしまして伸び率ゼロに据え置かれ、さらに五十九年度案では対前年度比マイナス二%、一千三百五十四億円減額されようとしておるわけでございます。先ほども話がありましたように、先進諸国に比べて社会資本整備が大幅に立ちおくれている現状にありまして、依然として都市化時代が続き、しかも世界に例を見ないほどのスピードで高齢化が進む中で経済の活力が低下し、社会保障支出の増加に引きかえ、社会資本整備の財源確保はますます厳しくなる状況にあります。  そこで、まだ豊富な労働人口と高い貯蓄率を有し、投資余力のある今世紀中に長期的展望のある社会資本計画整備を図る必要があると考えるわけでございます。まずこれについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  135. 水野清

    水野国務大臣 新井委員の御指摘のとおり、公共事業が諸事業とも西欧諸国に比べて非常におくれているということは事実でございます。そして建設省の仕事が社会資本整備の水準を向上させるということに大きな目標を持っているということも事実でございます。また同時に、公共事業が、今国際摩擦などを起こしておりますが、内需の拡大のためにも非常に大きな役割を果たしている、景気、雇用その他いろいろな意味で大きな役割りを果たしているということも御承知のとおりでございます。  ところで、来年度の予算編成をやりまして、ただいま御審議をいただいている最中でございますけれども、残念ながら国の予算については非常に厳しい状況にありまして、昨年度、五十八年度に比べて若干下回るということもやむを得ないわけでございます。しかし、建設省の五十九年度の予算におきましては、財政投融資資金を活用するあるいは民間資金その他を活用するということによりまして、建設省の所管事業についてはほぼ前年並み事業費の確保が図られた、こういう実情でございます。  今後は、この与えられた予算を効率的に活用いたしまして、効率的な事業の執行を行いまして、ともかく与えられた内需拡大という使命を達成していきたい、かように思っているわけでございます。
  136. 新井彬之

    ○新井委員 今、大臣からも答弁がございましたが、社会資本整備のための公共事業というのは、決して財政再建に相反するものではない。要するに、公共事業の乗数効果というのは、以前に比べて幾分低下はしておると言われておるわけでございますけれども、その効果というのはまだまだ非常に大きい、こういうことでございます。したがいまして、ただいまも財政再建のために予算が削られたということでございますが、逆に言えば、景気の波及効果を、この公共事業を積極的にすることによって景気回復を行う、こういう考えもあるわけでございますが、それについてはいかがにお考えでございますか。
  137. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、公共投資の波及効果は他の政策手段に比べまして高いものがございます。そういったような意味で、私どものあずかっております仕事は、景気の維持拡大を図るというような意味でも格段の役割を果たすものと考えております。ただ、しかし、昨今のような厳しい財政状況の中で、国費につきましては若干のマイナスとなったことはやむを得ませんが、それをカバーするために、事業費では何とか前年度並み事業費を確保いたしまして、このような公共事業を的確に執行して、その役割に沿いたいというふうに考えております。
  138. 新井彬之

    ○新井委員 一つの面から見ますと、先ほどから問題にもなっておりますが、各五カ年整備計画、こういうものがずっとあるわけでございますが、その進捗率については非常に悪いわけです。これは一つ目標であるということなら、それは目標であるということになるわけでございますけれども、この目標を立てるときには、当然この五カ年計画というものは実施をしなければいけない、実施をしても、なおかつまた次の五カ年計画を立てでもっと整備をしなければいけない、こういうような現状にあろうかと思います。したがいまして、予算が削られた分だけ五カ年計画がおくれるわけでございますけれども、今、五カ年計画をお持ちの各局長さんが、では、一体この五カ年計画で何%ぐらいまで達成できるんだ、その以後どうされるのかということを一度各局長からお伺いしておきたいと思います。
  139. 松原青美

    ○松原政府委員 私の方が下水道の五カ年計画都市公園の五カ年計画二つ所管してございますので、まず答えさせていただきます。  御指摘のように、この五カ年計画進捗率は、私どもが当初予期し、計画していたものより下がってございます。数字で申し上げますと、下水道事業につきましては、五十九年度、現在御審議いただいております予算によりまして五八・二%、総事業費ベースでございます。それから都市公園につきましては、五十九年度で五九・二%でございます。来年度予算で、六十年度で御承知のとおり締め切りでございますので、この一〇〇%達成ということが極めて困難な状況でございます。  こういう結果になりましたのは、先ほど来お話のありますような国の財政事情によるものでございます。当初目的にいたしました整備水準の達成ができないという状況になりまして、甚だ残念でございますが、私ども都市整備の目標といいますのは、一つの長いタームで見ました都市の望ましい環境整備のための目標水準でございますので、この目標水準自体は私ども変えるつもりはございませんで、なるべく早期にこの達成を図ってまいりたい、次期五カ年につないでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  140. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 住宅建設の五カ年計画でございますが、最近住宅建設が低水準で推移しておりまして、第四期の住宅建設の五カ年計画進捗率は、昭和五十七年度までの実績見込みで、公的資金による住宅が四〇・一%、民間資金による住宅が二二・九%と民間住宅におくれが見られます。しかしながら、公的資金による住宅につきましては、計画を含めますと昭和五十九年度までの四カ年で七九・五%とほぼ計画どおりでございます。計画どおりの水準に公的住宅については達するものではないかと考えております。
  141. 井上章平

    井上(章)政府委員 河川局所管事業は三つございますが、まず第六次治水事業五カ年計画でございます。これは五十九年度で第三年度に入りますが、五十九年度予算を含めまして計画進捗率は五四・五%でございますが、これが四六・三%でございまして、残伸率を見ますと四三・八%となりますので、かなり厳しい状況でございます。あと海岸事業五カ年計画は第四年目に入りますが、六五・四%でございまして、残り一年で残り三四・六%を実施しなければ達成しないという状況でございます。それから急傾斜地崩壊対策事業につきましては、二年目に入りますが、累計進捗率は三二・一%でございます。
  142. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 道路事業の場合は、財投あるいは民間資金等を活用して事業費の確保を図っているところでございます。例えば五十九年度で申しますと、国費は対前年度一%減でございますが、事業費は二%増となっております。と申しますのは、有料道路事業について対前年度事業費を八%伸ばして、そのために国費が一八%増になっておりますが、そういうふうな関係でかなり順調に進んでいけるのではなかろうかというふうに思っております。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕 ちなみに、五十九年度までの累計進捗率は約三四%となっておりますが、計画ではこれが三五・六%でなければなりません。ということから、五カ年計画を現在進める上で有料道路制度を活用することによって恐らく九〇%台に持っていけるのではなかろうかというふうに考えております。
  143. 新井彬之

    ○新井委員 今の五カ年計画、非常に進捗率が悪いわけでございますし、このままいきますと、当然また次の五カ年計画をつくっても進捗率は悪くなるのじゃないか。こういう中で建設大臣からも、民間活力民間の力を活用する、こういうことが言われているわけでございますが、私も当然そうあちなければいかぬ、こう思うわけでございますが、この民間活力導入についてどのような考えを持っておるものか、お伺いしたいと思います。
  144. 水野清

    水野国務大臣 民間活力導入というのは、内閣全体としての一つ目標といいますか、政策でもございます。建設省では、特に市街地の再開発の問題あるいは新しい市街地の造成、こういったことに、事業の性格から民間の建築物あるいは宅地造成等の事業とあわせてやれる仕事でございますから、そういうところへ力を入れていきたい。そういう中に下水であるとか周辺の道路あるいは公園、緑地の造成、そういったものをやって、官民協調型の事業を推進していきたい、こういうふうに思っております。  それから、このような措置を推進するために、税制の改正ということもただいまこの国会にお願いをしている最中でございます。予算措置につきましては、五十九年度の予算では、市街地再開発事業の重点投資としまして、一般会計からは対前年度一・三〇、道路特会から一・〇九というような傾斜的な予算の配分もいたしております。さらに老朽化した公営住宅木賃住宅とかいろいろなものがありますが、こういうものの建てかえにつきましては、周辺市街地の整備などとあわせてやっていく所存でございまして、例えば西戸山の再開発につきましては、民間資金導入して、第三セクターのような民間会社をつくって現在進行中であるということは御承知のとおりだと思います。
  145. 新井彬之

    ○新井委員 民間活力導入をするに際しましては、これをより効果的に進めるために、旧来の複雑な許認可手続や過度の法律的制約等を簡素合理化すべきであると思うわけでございます。例えて言うならば、宅地開発のための事前協議期間、これはもう八十八カ月、七年四カ月ですか。それから開発の許可期間が三十六カ月。これでは宅地開発に取りかかるまで非常に長い時間がかかるわけでございまして、こういう短縮の問題あるいは低層制限地区指定制度や等価交換方式の拡充の問題、都市開発事業の際の錯綜する権利関係の調整の問題、空中権に関する法体系の整備の問題、こういうようないろいろな制度の法体系の簡素化、合理化を行わなければなかなか進まない、こういうように言われておるわけでございますが、この問題についてはどのようにやられますか。
  146. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  まず、手続の簡素合理化を図るべきではないかという問題につきましてお答え申し上げます。都市計画法に基づきます認可あるいは事前協議の問題につきまして長時間かかっているという御指摘でございます。この問題につきましては、制度本来の趣旨から申しまして、手続を省略するということは非常に難しいわけでございますが、御指摘のとおり、申請がありました場合の手続の迅速な処理ということは極めて重要でございます。五十七年の七月と十月に関連部局等円滑な調整システムの整備を図るための協議期間の短縮等につきまして、地方公共団体に対して計画局から指示したところでもございます。  それから、低層制限の問題につきましては、土地の高度利用を促進すべき地域での第一種住居専用地域、ここで高さの制限に一番厳しいものがあるわけでございます。この見直しにつきましては、現在、特に東京都などでその見直しの検討作業を進めておりまして、土地の高度利用を促進すべき地域では、これを見直してまいろうという作業を進めてまいっているところでございます。  それから、等価交換方式のお話が出ましたが、再開発的な意味を持ちます中高層耐火共同住宅建設促進のために極めて有効な方式であると評価いたしております。このための買いかえ等の場合の課税の繰り延べ制度の適用対象区域を、五十八年度から三大都市圏の既成市街地から三大都市圏の近郊整備地帯に拡大するなど、その拡充を図ってまいりました。今後とも努力してまいりたいと考えております。  それから、再開発事業の権利調整の円滑化の問題でございます。これが今非常に長くかかっておるのでございます。再開発事業が時間がかかりますのは、一にかかって権利調整が難しいということにあるわけでございます。市街地の非常に権利の錯綜した地区での事業でございますので、非常に難しいわけでございます。これを迅速化いたしますためには、権利者に対してわかりやすい再開発のビジョンを早く示すということ、あるいは特に問題になります零細な権利、小さい権利を持っておられる人々の生活再建の道が立ちやすいような措置を講ずるということが必要だろうと思っております。そのために事業の早い段階で調査設計についての助成を充実していくということ、あるいは再開発住宅制度とか再開発関連の融資というものの充実を図って、関係権利者の生活再建を立ちやすくする、合意形成が早くできるように今後とも努力を進めてまいりたいと思っております。  それから、空中権のお話が出ました。いわゆる空中権につきまして、アメリカヘ昨年私どもの方から現実にどういう運用実態がなされているかということで調査団を派遣いたしました。その結果を踏まえまして、現在特定街区制度あるいは区分地上権制度等の現行制度でどのように活用できるか、あるいはその改善をどのように図っていったらいいかということをただいま検討しているところでございます。  いずれにしましても、民間の活力を活用しまして、魅力ある町づくりを進めていくということは極めて重要なことでございますので、今後ともさらにその施策を展開してまいりたいと思っております。
  147. 新井彬之

    ○新井委員 これからそういう方向にずっと向くわけでございますが、とにかく民間活力、こういうものを活用していく場合においては、特に今言ったような問題が簡素化されなければ現実にはなかなか進まない。今もお話がありましたけれども都市開発事業で権利者が二十名以上になると着工までに大変長期化するという問題もあります。ちょうど昨年の十一月十五日に起工式を行った六本木の赤坂再開発事業は、四十六年にスタートをして十二年間かかっている。これまでにまた大分内容も変わるわけですね。そういうようなことで、とにかく法体系と許認可の問題については、やはりきちっと見直しをしなければならない、こう思うわけでございます。  次に、民間活力の具体的な活用方法として一番速効性があるものとしては、これは国とか地方自治体や国鉄などの所有する遊休地や低利用地の払い下げや貸与を行い、都市整備や宅地造成などを早急に具体化する、これが一番速効性がある、こう言われているわけでございますが、総理もそういうような民間活力導入して、国有地、公有地あるいは国鉄の低利用地、遊休地、そういうものを有効に活用したい、このように言われているようでございますが、遊休地もたくさんございますけれども、具体的に活用できる土地現状とか見通しというのはどのようになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  148. 照井利明

    ○照井説明員 内閣に設けられております国有地等有効活用推進本部の庶務を預かる立場におるので、ちょっと御説明さしていただきます。  御指摘のように、国有地等の有効活用は、国内民間需要を中心といたしました景気の持続的拡大という観点からも重要でございますが、また都市開発とか住宅建設等を促進しまして、健全な活力ある都市づくりを行っていくという観点からも重要であるということで、昨年の十月でございますが、内閣に……
  149. 浜田幸一

    浜田委員長 もうちょっと大きな声で。
  150. 照井利明

    ○照井説明員 内閣に総理大臣を本部長といたします国有地等有効活用推進本部が設置されたわけでございます。十月二十八日に第一回の本部会議を開きまして、その際、本部長であります総理から御訓示をいただきまして、国有地等につきまして行政財産を含めまして幅広く総点検をしなさい、その結果、有効活用の可能性があると判断される財産につきましては、特に民間活力導入活用という点に重点を置いて事業化の具体的方策の検討を進めなさいという御指示をいただきまして、それ以来、関係省庁にその総点検をお願いし、また有効活用の進め方についての御検討もお願いいたしまして、去る二月三日に第二回の本部会議を開きまして、そこで総点検の結果出てまいりました有効活用が可能と考えられる財産の報告を受け、またそれをもとにして、今後反間活力を活用して、その有効活用を進めるための方策についての申し合わせもいたしたわけでございまして、今後これに基づきまして関係省庁の協力を得まして、積極的に有効活用を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  151. 新井彬之

    ○新井委員 大きな土地もそうでございますけれども、わりかた小さな土地もございましていろいろ放置をされている。どういいますか、民間の方が、小さければ十坪ぐらいのものも大分放置されておるのがあるわけでございますが、そういうものを貸していただきたい、あるいは分けていただきたい、こういうような申し入れがあった場合においては、近所の方々、欲しい方々全部相談をして、だれが買うかというようなことになるようでございますが、しかし、そういう問題についても、本当に小さい遊休地でも非常に活用されていないような面もあるわけでございます。したがって、大きな一つの遊休地がある、これは何かに開発できるというような問題もございますけれども、ひとつその審議のときには、道路をつくったときに余分に買っているところもありますし、いろいろなところに細切れみたいなのがたくさんありまして、なかなかそれを活用させてもらえないというような問題がありますので、一緒にひとつ御検討していただきたい、このように思うわけです。  それから、地区開発や地区再開発には設計コンペ方式を積極的に導入して、民間の企画力、技術力、資金、施工能力等を十分に活用してはどうか、こういう提言がありますけれども、どのようにお考えでございますか。
  152. 松原青美

    ○松原政府委員 公的な地域開発住宅建設、再開発等につきまして、民間の創意工夫を生かして魅力ある町づくりを図るということは非常にいいケースが多いわけでございます。必要に応じまして設計コンペ等を現に実施しております。例えば住宅建設関係では芦屋浜あるいは大阪南港開発、そういうところでやっておりますし、再開発関係では京都駅南口とか大宮駅前地区とかいう実例が現にございます。今後とも民間の活力の活用という観点から、民間の企画力、技術力等の活用を図っていく必要があると考えておるところでございます。
  153. 新井彬之

    ○新井委員 これはアメリカにもいろいろございますけれどもフランスでは高速道路五千七百十五キロメートルの約二二%に当たる一千二百六十八キロメートルは民間企業が建設運営して、沿線でレストランとかガソリンスタンドの経営、観光情報の掲示などの総合サービスをやっておりまして、無料の国道に十分対抗できる競争力、採算の向上を図っておるようなのがあります。  また、今もお話がありましたように、熱海のシーサイドロードあるいは神戸の六甲ハイウエー、これも民間によるものでございますけれども、こういうのをもっと積極的に行えば、道路財源がなくても道路は、もちろん日本道路公団というのがあるわけでございますけれども、もっと充実してやることができる。地域におきましても、神戸の六甲ハイウエーに一つ道路をつくってくれといいましても、これは道路公団にやれといってもなかなか難しい問題でございます。やはりあそこは一つの観光地としてきちっとした道路がなくてはいけない、非常に坂でもございますし、たくさんの車が来る。こういうときにやはり民間活力導入してどんどん許可を与えてあげる、こういうような方向性でないと今後ならないんじゃないかと思います。そういうことで、いろいろのところからいろいろの条件で出てこようかと思いますけれども、ひとつよろしく検討していただきたい、このように思うわけでございます。
  154. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 有料道路事業につきましては、公共性が極めて高いこと、その調達資金の規模が大きく償還期間が長いなどの経営の特殊性があることなどから見て、現行の道路関係公団による実施が適切であるというふうに考えております。しかし、従来から有料道路事業の資金調達については、財投資金のほか縁故債民間借入金等の民間資金活用を図ってきたところであり、五十九年度予算案におきましても、民間借入金を対前年度比約五〇%増とするなど民間資金の一層の活用を図ることといたしております。  先生おっしゃられました外国における民間の有料道路事業についてでございますが、フランス高速道路について先生おっしゃられましたので申し上げますと、フランス高速道路建設管理は当初直轄事業によって行われておりましたが、一九五五年からは半官半民の公社が、さらに一九七〇年からは民間認可会社も建設管理できるようになってきております。その延長は、先生おっしゃられましたとおり高速道路延長五千七百十五キロのうち、無料高速が千六百八十四、民間認可会社によるものが千二百六十七、公社によるものが二千七百六十二キロあったわけでございます。そしてこの民間認可会社は四社できたわけでございますが、実はこのうちの三社は最近経営状態が悪化いたしまして、債権の返済も困難となり、その肩がわりを国に求めまして、その結果、一昨年の十二月、政府がこの民間の会社の資本金を買い取りまして公社化せざるを得なくなったと聞いております。  また、イタリーにおきましても民間特許会社が有料道路事業を実施してまいりましたが、いずれも経営が困難になって公社化の道をたどっておるというふうに聞いております。
  155. 水野清

    水野国務大臣 私から少し補足して説明いたしますが、確かに高速道路民間資金導入するあるいは民間経営をさせるというのは一つの方法でございますが、私も就任をしましていろいろ話を聞いてみました。  今、御承知のとおり国土で縦横に一万キロの高速道路計画を持っております。そのうち三千三百キロ余りが完成し、約五千キロに既に着工命令などがおりているわけでありますが、大体今までできたところが非常に採算の高いところなんであります。これからやるところはどちらかというと非常に採算性が低い、むしろ民間会社が手を出しそうもないようなところばかりが残っている。それを、先ほど関委員からお話がございましたが、僻地対策であるとかあるいは過密と過疎の平均化をするとか、そういった政策的な意味高速道路網をいろいろな悪条件があってもやらざるを得ないというような中でございますので、私は開放することにやぶさかではないわけでありますが、民間資金がそういうところへ入ってくるであろうか。ただいま道路局長からも御説明申し上げましたように、資金の回収その他も非常に長期間にわたりますし、日本のような経済構造の国でなかなかむずかしいんではないだろうか。強いてあれば、例えば東名の第二東名みたいなものをやる際に、これは私が部内で話をしているわけでありますが、例えば国鉄の旧東海道本線と一緒にやってみたらどうだろうかとか、そんなようなことでもない限り、なかなか私は手がつかないのではないだろうかというふうに思っております。
  156. 新井彬之

    ○新井委員 確かに今の民間活力導入するという問題については、民間会社というのは非常にそういう採算ベースのことも考えます。したがって、本来道路というのは国民の共有財産でございますから、国がつくりあるいは道路公団がちゃんとつくるというのが当然であろうかと思いますが、何しろこの五カ年計画進捗率が非常に悪い。これは、何といいましても財政が逼迫しているわけでございますから、今後ますますおくれてくるだろう。そういう中で、片方では社会資本の充実ということが非常に言われるわけでございます。この社会資本の充実というのは、私から考えれば、今一軒の家を建てる。その建てる場合にお金がないわけですから住宅ローンを借りた。これで家が建って住めた。しかし、非常に環境のいい中でお金を返した方がいいのか、あるいはまた、お金をためてから家を建てて住んだ方がいいのか、こういうような問題になろうかと思うわけですが、やはり二十年も三十年もお金をためて家を建ててみても長く楽しめることもない。そして地価は上がる、建設費は上がる、苦労してみても短い時間しか入れない、こういうことがあるわけでございますから、社会資本というのは、これはやはり借金してでも、借金といえども子孫に残すべき財産である、こういうぐあいに私は考えるわけでございます。  そういう中でいまの景気の状況を見ますと、今まで三%台くらいしか成長がなかったが、ことしは四%ということを政府も言っているし、民間も言っているわけでありますが、景気もだんだんとことしはいいんじゃないかと言われますが、内容を見ますと、どうしてもこれは貿易の伸びによって景気がよくなる、内需の拡大ということはちょっと見当たらないわけでございます。したがいまして、ここで一兆円の国債なら国債というものを発行して、社会資本を充実する、こういうことにつきましては、確かに国債費という利率が上がるわけでございますから、民間も金利が非常に上がって設備投資がしにくいという面が一応出てこようかと思います。しかし、それはともかくとして、その一兆円の追加なら追加の事業をもしやった場合におきましては、これは工事のやり方によって非常に景気浮揚策になる。景気浮揚策によって増収になって財政再建をということを考えないと、これは何にもならない。したがって、公共投資の場合は、皆さんにもきちっとした社会資本というものを与え、そしてまた景気浮揚策になる。やり方によってはそうなるだろうと思うわけでございます。そこで、お金がないわけでございますから、当然これは民間の資金を導入しなければいけない。今、民間資金が海外に七兆円ですか、流出をしているということがありますけれども、国内にあって何かしようと思っても規制があるし、あるいはまた民間がしようと思っても、やはり官庁のすることは官庁しかできないのだ、こういうような歯どめがあった場合におきましては、なかなかそういうことに手を出せないわけです。したがって、海外に何かいいことがあれば、そちらに投資をしよう、こういうことで流出をしているのではなかろうかと思うわけであります。そしてまた投資をする場合におきましても、土地を買って終わってしまったとか、そういう一部の形にしかお金が流れないようなことはやめまして、当然そこには建物を建てるとか住宅を建てるあるいは河川の改修をする、たくさんの方々が潤うような予算の使い方をしなければいけない。そうしますと、今、土地というのは非常にないわけでございますから、その土地については市街化調整区域内の農地なんかも大分いろいろな事情で置かれておる、そしてまた開発しようとしてもなかなかできない。実際問題、東京都区部でもって家を建てるなんということはもうなかなかできない状況です。もう一平米幾らという全く退職金をもらったってそんなものは建てられない、そういうような土地の不足が片面ある。したがいまして、公有地とか国有地、そういうものを活用する、あるいはまた今の非常に老朽化された公営住宅とか直さなければいけないものはたくさんあるわけでございますから、そういうところに投下することによって、予算の執行の効率によって、とにかく景気の浮揚策もできるのじゃないか、こういうぐあいに私は考えて、今、一連の質問をさせていただいているわけでございます。  したがいまして、先ほど大臣おっしゃいましたように、社会資本の投下が景気浮揚策につながらないというなら、これは毎年毎年予算がこれで四年間ずっとマイナス、本年マイナス二%になっているわけでございますから、来年度減らされてもどうということはない。そして片面では、市町村はどういうぐあいに言っているかというと、やはり下水道整備も国にあわせて一生懸命やっているあるいは河川改修あるいはまた公園の設置、あるいはまた災害なら災害につきましても、毎年起こる災害を見ますと、非常な損害をこうむっておりますし、逆にお金を始末したために多額な災害復旧費というのが要るようになっている。そういうようなことをいろいろ考えますと、やはり建設大臣国土庁長官の任務というのは、非常に重要な立場に今立っておるのじゃないか。そういうことで、建設大臣国土庁長官は一生懸命に大蔵省に対して、これはこうだという説得はよくされたと思いますけれども、これは大蔵省がどんな考え方で、公共投資はちっとも景気浮揚策に関係ないよというような形で思われているのかどうか知りませんが、画一的に予算をマイナスシーリングで切ってくる。それでいいのかどうかということについては、やはりこれだけおくれている社会資本の中でありますから、当然建設費だけはある程度伸びというものが見込まれてしかるべきではないか、このように私は思うわけでございます。  そういうことで、土地の問題もいろいろ具体的にあるわけでございますが、時間が余りありませんので、そういう使い方につきましては、とにかくより景気浮揚につながるような使い方というのがあるわけでございますし、民間の活力の導入ということにつきましても、今まではそういうことは余りやらなかったわけです。確かに、民間は採算ベースに乗らなければやりません。やりませんが、さっきも六甲のハイウエーのことをちょっと申しましたけれども、そういうやりたい地域については極力民間でどうぞやってくださいという方向性ですね、これをやれば、みんな民間の方々というのは非常に活力があるわけでございますし、いろいろなことを考えて提案をしてくるのじゃないか、そうすれば、社会資本投資とかあるいは公共投資による景気浮揚策にもなってくるんじゃないか、こういうことでお伺いをしたわけでございます。  そういうことで、今の私の話に対しまして一言ずつ大臣から答弁をいただいて、この問題は終わりたいと思います。
  157. 水野清

    水野国務大臣 先生の御提案に対して、やや否定的な答弁ばかり申し上げたので失望なすったと思いますが、実はそうではないのでございまして、先ほど内閣の審議室の担当者からも御説明申し上げましたように、内閣全体としては、行政財産を含めて今、大変よそのことで失礼でありますが、国鉄の不用の用地であるとかあるいは大蔵省所管の用地であるとか、そういったものを洗い出しまして、ただいまそれをどういうふうにして再開発をしていくか、その再開発に際しては、なるべく政府機関等がやるよりは、民間の資金あるいは民間関係者を集めまして、民間活力を刺激をしていこう、こういうふうにやっております。その点はひとつ御理解を願いたいと思う次第でございます。
  158. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御指摘公共投資の問題でございますが、国土庁としてはやはり土地の問題であります。そういう意味から、現在低迷をたどっておる住宅政策等々は、根本は土地の問題でなかろうかと思います。そういう意味で、国土庁としては、土地づくり、こういった問題を、いろいろ地方自治体等との兼ね合いがありますが、調整区域をいつの時点でどうしなければならぬのか。先ほど御指摘のあったように、この辺ですと住宅はすぐ入居者が入ってしまう。あるいはまた、その他こういったことに兼ね合いのあるところの問題を、できるだけ早くというわけにはいかぬでしょうけれども、地方自治体と話し合いながら、土地づくり、しかもまだ一番公共に役立つというと、すそ野の広い住宅建設が一番妥当だ、こういうふうに考えておりますので、今後その線に沿っていろいろ協力団体等とも話をしながら御要望の点にこたえてまいりたい、こういうふうに考えております。
  159. 新井彬之

    ○新井委員 次に、もう時間がありませんから一つだけお聞きをしておきますが、高度技術工業集積地域開発促進法、いわゆるテクノポリス法でございますが、これは昭和五十八年五月十六日に成立をしているわけでございます。その前に、三十七年五月十日、新産業都市建設促進法、それから三十九年七月三日、工業整備特別地域整備促進法、今回、五十八年五月十六日にこのテクノポリス法が成立した。これは今、大体きちっとした法律あるいは政令、また内容等が各都道府県に連絡が行っておりまして、各都道府県では、そのやりたいところについては今鋭意計画を練っておる、こういうことでございますが、この計画が合致している場合においては何カ所でも受け付けをするのかどうか、それをまずお伺いします。
  160. 水野清

    水野国務大臣 テクノポリスの指定については、先ごろ、約二週間以上になりますが、公表されたことは御承知のとおりでございます。  西播磨地区の問題について御疑問を持っていらっしゃると思いますが、このことについて経過を申し上げますか。(新井委員「結構です」と呼ぶ)  具体的に申し上げますと、建設省としては、正式にその開発計画の承認申請がなされた段階で、審査の上、これからも追加で指定をすることにやぶさかでないということだけは申し上げておきます。
  161. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 テクノポリスの指定の問題でありますが、これは地域づくりと申しますか、産学住、これは地域振興のためには、先端産業等々を導入して、地域づくりのために大変に大きな効果をもたらしていくのではないかと私は思います。  そこで、第一次の問題は、これは十四カ所、条件がかなったというとおかしいですが、熱心に申請をされたところ、そのところから一応は第一次受け付けが完了した。しかし、そこが決定をされておるというものではありません。今後いろいろな県の、あるいはまた地域の御要望がございますならば、その計画にはまるというか、計画の線に沿おうとするならば、それは大いに各省庁と検討し合って、その地域の皆さんにこたえていく、こういう必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  162. 新井彬之

    ○新井委員 今までの経過であるとかあるいは法律の内容、これをやっているとまた二、三時間かかる問題ですから、そういうのは全部省きまして、この経過、今の法律の状況を見ますと、一番初め計画されたよりも大分国の援助というかそういうものが減っているように思うわけでございますが、とにかくその地域設定については、高速道路であるとかあるいは新幹線だとかあるいはまた飛行場だとか、そういうものがなくてはいけないとか、いろいろたくさんの条件があります。その中で、やはり国道が通っていて飛行場まで行けるあるいは新幹線まで行ける、いろいろあるわけでございますが、そんな場合に、どうしても国道の整備一つ入らなければいけないというときにつきまして、今後申請する場合において、そういう国道はテクノのためにちょっと充実をしたい、そういうようなことも要望があろうかと思いますし、いろいろとそのでき上がるまでの段階におきまして、非常に協力をしてもらって計画ができるというようなことがあろうかと思うわけでございます。したがいまして、そういう問題について各都道府県からいろいろ御相談がありましたときにおきましては、この法律においては、できればこういうことをするということが書いてありますけれども、それをしてあげればできる場合もあろうかと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  とにかく、今までもいろいろの法律がございました。今回こういうのができて、産学住、もう非常に理想的な一つのプランというのができ上がっているわけでございます。これが何カ所になるかはわかりませんけれども、今までの新産都市、工特地区、いろいろございますが、確かに今までの工業の時代から今度は情報社会に移っていく、そのためにこういうことをしなければいけないんだということになっているわけでございますが、これについての、今後の国土行政としての一つの、人口が過疎過密あるいはまた中央集中、こういうことがどの程度緩和されると思われているのか、それだけお聞きして質問を終わりたいと思います。
  163. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 これは大きな夢を地域に持っていただける。言うならば立地問題、産業の問題、このためには道路を必要とするならば、これは道路をやはり計画をすることは当然のことであります。あるいはまた学の問題、これは教育、産業ということであります。これぐらい過疎過密を解決していくものはないのではないかと私は思います。そういう意味から、これを実施する場合においては、まあ国土庁としては、その力は、実際のところ金を持っておりませんが、しかし、各省庁は大変な力を持っておりますから、これを各省庁を有機的に連絡調整をしながら、その産学住、大変地域の発展に役立つ問題でございますから、これは地方にとってもこれぐらいに調和のとれたものはないのではないか、こう考えますので、ぜひひとつ、私の考えますのには、できるならばやはり各県ごとに、ちょっと大げさになりましたが、本当はそういうはずじゃないのですが、各県ともにやはり産学住、特に過疎地域にはこういった問題をぜひひとつ完成をしていただくということを御希望を申し上げておきたいと思います。
  164. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  165. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。伊藤英成君。
  166. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 建設大臣国土庁長官所信表明に対しまして、他の委員の方の質問と一部重複するところもありますけれども、御質問をいたします。  最初に、公共事業費の抑制について大臣の御所見をお伺いいたします。  最近、景気は緩やかながら着実に回復しているというふうに言われております。しかしながら、この景気回復は、基本的にはアメリカ経済を中心とする世界景気の回復、これに伴う輸出の拡大によってもたらされたものであって、まだ国内需要の盛り上がりは十分なものであるというふうには言えません。このために輸出関連産業以外の業種あるいはこれらの産業を持たない地方の経済というのは依然厳しい状態にあります。私はこのような輸出拡大による景気回復を続けること自体が経常収支の黒字幅の拡大あるいは貿易摩擦の発生等を招いているということであるというふうに思うのです。したがいまして、このような状況を改善するためには、何としても内需の振興を図ることが重要である。公共投資の拡大はそのための有力な手段というふうに考えているわけであります。しかるに、今回の五十九年度の予算案は、公共事業費については対前年度比マイナス二%と厳しく抑制をされているわけであります。こうした点について大臣の御所見をまずお伺いいたします。
  167. 水野清

    水野国務大臣 ただいま伊藤議員の御指摘のとおり、五十九年度予算、ただいま審議をお願いをしておりますが、公共事業費についてはマイナス二%という大変厳しい結果となっております。しかし、これは財政再建という中でまことに残念でございますが、やむを得ない措置でございまして、五年連続抑制ということは、建設省としてはまことにつらいことでございますが、やはり内閣全体の措置として従わざるを得ないと思っているわけでございます。  ただ、公共事業費が前年度を下回っておりますが、それを補うために、先ほども委員の御質問にも申し上げましたが、財政投融資資金をたくさん導入するとか、あるいは民間資金政府保証債とかそういった形で借り入れまして利用することによりまして、実質的には五十九年度の公共事業は大体五十八年度並みというような事業費を確保いたしました。  問題は、この金をひとつ効率的に活用していきたい。といいますのは、例えば九五%まで完成しているような事業については、少しぐらいの問題があっても一〇〇%完成して、そこに経済効果を発生させるというような弾力的な活用事業の運行をいたしまして、それを補っていきたい、かように思っております。  またさらに、先ほど来新井委員からも御指摘がございましたが、建設省予算の中で新しく税制改正をしていただきましたり、あるいはその他の、特にこれは再開発関係でございますが、予算を傾斜的に使いまして、そういう中で、今度は財投資金とか政府保証債とかいう形でなくて、直接の民間資金をできるだけ導入をして、民間活力を内需の拡大に刺激をしていく、こういうことを考えて行政をやっていくつもりでございます。
  168. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今お話の出ました民間活力導入という問題についてお伺いいたしますけれども、今の厳しい財政状況下での内需の振興を図って、また立ちおくれた日本住宅社会資本整備を進めるためには、公共投資の拡大とあわせて民間活力活用を図ることが重要であるというふうに大臣も言われたわけでありますけれども、こういう目で建設省の所管の行政を眺めるときに、都市開発あるいは住宅宅地等の分野というのはもともと民間の経済活動によって担われている部分が大きくて、こうした分野についてはさまざまな工夫を凝らすことによってより一層の民間活力を引き出すことができるというふうに思うわけであります。この点について所信表明の中でも大臣は言われましたし、今も触れられましたけれども、その具体的な事例ということにつきまして、もう少し詳しくお聞かせいただきたいというふうに思います。
  169. 水野清

    水野国務大臣 これは民間活力を利用するということにつきましては、問題が二つございまして、一つは制度、規制とかそういったことが、先ほども委員からの御指摘もありましたように、土地開発であるとかいう点において公共負担が非常に多過ぎるとかいろいろな点がたくさんございます。そういう点では、これは昨年来次官通達を出してなるべく開発事業に対する規制を、もちろん限度がございますが、緩めるようにという指示をやっているわけでございます。  それから、都市の中の再開発につきましても、やはり税制であるとか所有関係とかそういったことで非常に複雑多岐にわたっておりますから、それが一つのハードルになっておる。これも何とかひとつこのハードルを越えられないかということで、例えば再開発の際に、住宅用の土地であったものを、今これは税制改正でお願いをしておりますが、例えば事務所用の土地に切りかえるという際には今まで課税されておったわけでございますが、そういったこともいわゆる買いかえの対象にしていただくような改正をお願いをしております。あるいは、これも民間活力ということに入るかどうかわかりませんが、先ほど申し上げました親子税制、将来を考えまして、生前贈与という形で、孫子供に家を建てさせてやる際には五百万までの贈与ならば二十万で済むというような制度を、これも税制改正でありますが、導入させていただいた、そういったようないろいろなことをやっているわけでございます。  それから、民間資金の問題は、先ほど申し上げましたから、もう時間がかえってお邪魔でございますから申し上げませんが、政府保証債であるとかその他で民間資金を借り入れて、これを活用させていただいております。  具体的な事例というのは、後ほど担当者からも申し上げますが、例えば西戸山の公務員住宅を再開発するに対して、西戸山何とかという会社をつくりまして、民間の不動産あるいは開発関係の人たちが集まって新会社をつくって、そこへ参加をしていただいてやっているというのが一つの例であろうと思いますし、内閣でやっております推進本部の中でも、その他二、三——例えば大阪の駅の周辺で再開発をするとか、そういったような事例が今進みつつございます。
  170. 浜田幸一

    浜田委員長 吉田審議官、何かありますか、補足説明。
  171. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 一言つけ加えて申し上げますが、先ほど申し上げましたように、昨年民間活力対策といたしまして諸制度の見直しをいたしました。この諸制度の見直しによりまして、実際上の事業が進めやすくなるという方向に確実に動いていくというふうに思っているわけであります。  具体のモデルといたしまして、まず最初に、国鉄関係につきまして、これは昨年の六月でございますけれども、東京の錦糸町の北側のところの区域、それから大阪の梅田の駅の南口のところですが、この二つの区域を早急に着手するモデルといたしまして、大阪の梅田の南につきましては、新年度には区画整理の段階に入っていくように現在いろいろな事務は進みつつございます。錦糸町につきましても、地元との関係でいろいろと話を詰めている段階でございます。  そのほか、大きなものといたしまして、東京の汐留の貨物駅の跡とか新宿の貨物駅の跡等については、現在若干使っているような問題もございますので、これを検討する会合を開いて、関係者が寄り寄り地元の区、都も含めまして検討をしておるところでございます。  大臣が申し上げました新宿西戸山の問題につきましては、これも公務員住宅の建てかえをしまして、一部の質を充実したものをつくる。それから高度利用するために土地があきますので、その土地民間の力を利用して、これも新しい会社をつくる——できたわけでございますけれども、そういう会社の手によりまして進めていく、だんだん軌道に乗りつつあるわけでございます。  またさらに、先ほど内閣審議室の方からお話のありましたような地区につきましても、その具体化について関係者が協議して進めていくという段階でございます。
  172. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の民間活力を引き出す問題につきまして、今もちょっと触れられましたけれども住宅建設についてであります。五十九年度について見ますと、いわゆる公庫融資についての貸付戸数が減少しているわけですね。そしてまた一般の貸付限度額についても、特に改善が見られないわけであります。そういう意味では、政府民間活力導入を本当に考えるというふうになりますと、公庫貸し付けの戸数を拡大するとかあるいは貸付限度額の拡大を図るというのは、やはり重要な施策ではないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  173. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 ただいま御質問のございました民間活力関連をいたしまして、住宅金融公庫の貸付戸数が五十九年度減少したではないかということでございます。確かに今年度に比べますと、来年度予算案においては一万戸減の五十万戸でございますが、これについては無抽せんによる貸付体制を堅持することとしておりまので、需要の動向を見て十分な戸数の確保を図っていきたいと考えております。  また、貸付限度額については、百三十五平米を超え百六十五平米以下の大型住宅について、個人建設の場合で六十万円の引き上げを行うことにいたしております。  さらに、現在進行しております高齢化に対応いたしまして、良質な住宅取得を形成するために、二世帯住宅については七十万円の割増し融資を行うということにいたしております。  また、住宅の増改築等住宅改良について、既存部分の外壁の不燃化工事を伴う場合については、貸付限度額を三百五十万円から三百七十万円に引き上げることとしております。
  174. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の住宅の問題については、今言われたとおりに、大型住宅等についてはそうした改善が図られておりますけれども、先ほど私が申し上げた、いわゆる一般の貸し付けについては限度額も改善されていないということで申し上げたわけであります。住宅というのは、それを求める人は多いわけでありますし、あるいは質のよいものということを思っている人は非常に多い。しかも、実際には民間資金を使ってやるわけなんで、財政的な負担も少なく、景気浮揚効果も非常にあるわけなんで、これからも住宅問題というのはぜひ重視して、その拡大を図る施策をしていただきたいと思います。  それから、次に移りますけれども、先ほどの委員質問にも出た話でありますが、もう一度ちょっとお伺いしたいのですが、建設省関係の幾つかの五カ年計画についての達成状況についてお伺いをいたします。  まず第一に、第九次道路整備五カ年計画というのは、五十九年度が二年目になりますけれども、一般事業、有料事業においては計画額の三四%の達成率が予定をされておりますが、地方単独事業の五十九年度に予定されている額及び地方単独事業計画額に対する同事業の五十九年度までの達成率はどの程度になるかお伺いいたします。
  175. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  第九次道路整備五カ年計画の投資規模は総額三十八兆二千億円であり、このうち地方公共団体の行う地方単独事業は、第八次道路整備五カ年計画の実績等を考慮して十一兆七千億円といたしております。昭和五十九年度の地方財政計画によりますと、地方単独の道路事業費は約一兆九千億円と見込まれており、この結果、同計画の地方単独事業昭和五十九年度までの進捗率は約三四%となる見込みであります。
  176. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 さらにお伺いいたします。  第六次治水事業五カ年計画について、五十九年度はその治水事業において計画額の四六・三%の達成率が予定をされております。現時点でこの計画の達成の可能性についてお伺いいたします。
  177. 井上章平

    井上(章)政府委員 第六次治水事業五カ年計画につきましては、先生指摘のように、三年間での累積進捗率は四六・三%でございます。したがいまして、残り二カ年の残伸率は四三・七%になるわけでございます。近年の財政制約のもとで、この五カ年計画の達成の見通しは非常に厳しいことは考えられますが、治水事業の重要性にかんがみ、計画目標達成に向けて今後最大の努力をしてまいりたいと思っております。
  178. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 さらに聞きますけれども、第五次下水道整備五カ年計画は、この五十九年度が四年目になりますけれども、一般公共において計画額の五五・一%と極めて低い達成率が予定をされております。この下水道整備五カ年計画の達成の見込み並びに六十年度終了時にこの下水道普及率がどの程度になるというふうに見込まれておられますか、お伺いいたします。
  179. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、第五次の五カ年計画、第四年度目を迎えます五十九年度で総事業費ベースで五八・二%、先生指摘の補助対象事業費ベースで五五・一%という達成率になるわけでございます。六十年度で計画完了するわけでございますが、この見込みということでございますが、現下の財政状況から見ますと極めて困難な状況でございます。したがいまして、六十年度末の普及率は、来年度の予算がどうなるかということもございまして、ただいまではちょっと申し上げかねるわけでございますが、五十九年度、来年度の現在の予算がそのまま成立いたしますと、私どもの見込みでは普及率が三五%になる見込みをいたしてございます。
  180. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう一つお伺いいたします。  第四期住宅建設五カ年計画はやはり四年目に入りますけれども、公的資金住宅三百五十万戸の計画戸数に対する達成率は七九・五%というふうになっております。したがって、公的資金住宅計画戸数はほぼ達成されるのではないかというふうに思いますけれども、種別の計画戸数に対する達成率には大きな差異が見られます。特に公庫住宅がかなりの高い進捗率を示しておるのに対しまして、公団住宅は五〇%、公営住宅六二・三%というふうになっております。その公団住宅等の低率の原因及び最終年度の伸び率についてどういうふうに考えておられるか、お伺いいたします。  また、総建設戸数七百七十万戸中の民間建設戸数四百二十万戸の五十九年度までの達成率をどの程度に見込んでおられるのか、お伺いいたします。
  181. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 ただいま御指摘のように、第四期の住宅建設五カ年計画の進捗の状況の中で、公的住宅につきましては七九・五%とほぼ計画目標の達成が見込まれているところでございます。しかしながら、内訳を見ますと、御指摘のように、公庫住宅は九一・七%と大変好調に進捗をしておりますが、公営住宅が六二・三%、公団住宅が五〇%ということでございます。これは公営住宅あるいは公団住宅等につきましては、直接住宅の適地を取得いたしまして建設をしていくということで、住宅適地の取得難あるいは関係住民との調整難等によりまして、その建設におくれが見られているところでございます。  また、民間自力建設住宅につきましても、景気の状況等によりまして、現在のところは御指摘のとおり、その進捗状況は厳しい状況にあるわけでございます。  この見通してございますが、私どもといたしましては、こういった公営住宅あるいは公団住宅につきましてできるだけ的確に住宅建設の促進を行いまして、また民間自力建設住宅につきましても、先ほど大臣からお話がございましたように、親子間の住宅取得資金の贈与の特例の創設等により種々税制の改善、あるいは民間住宅ローン金利の引き下げ等によりまして、住宅建設の促進を図っていきたいと考えております。
  182. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ただいまそれぞれの計画についての状況をお伺いしたわけでありますけれども、今のを聞いておりますと、一部のものを除きまして、それぞれの五カ年計画の完全達成というのは無理な状況にあるというふうに思うわけであります。こうした状況の中で、これからどういうふうにされようとするのか、ちょっと大臣の御所見をお伺いいたします。
  183. 水野清

    水野国務大臣 先ほども委員から御質問があったわけでございます。この問題、建設省は八つの五カ年計画を抱えておりまして、それぞれの計画進捗率がはかばかしくない。道路と急傾斜地の方は比較的いいわけでございますが、ほかは必ずしもはかばかしくない。今、各局長が申し上げたように、数字を見れば、五カ年計画の最終年度までに達成できそうもないということもございますが、ともかく当面五十九年度の予算編成においては、これを目標としているのであるから、何とかひとつ予算の獲得をいたそうということで、あらゆる知恵を絞ってやってきた、これが実情でございます。  そこで、次の昭和六十年度の予算編成でございますが、次の問題としては、さらに次の五カ年計画、それぞれの五カ年計画というものを策定をして、それに引き継ぐか、改定をするか、いろんな問題が出てくるだろうと思います。まだこの問題については、今五十九年度予算の成立をお願いしている最中でございますので、もう少し時間をかけさせていただきたい。いずれ省内でこういう問題につきましての考え方を取りまとめてい。きたい、かように思っております。
  184. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 実はさっき道路整備についての話もちょっとありましたけれども、五十九年度の予算を見ますと、道路整備についてもやはり非常に難しい状況になりつつあるのではないかというふうに言えるのではないか、こう私は思います。ともかくも、計画そのものについても多くのものが達成をされてない状況、やはり計画というのは、それを達成するために努力しなければいけないし、もし何かがあったときには、それについて計画を変えるなりあるいはもろもろのアクションをとらなければいけない。いわゆるプラン・ドゥ・チェック・アクションというか、そういうサイクルを回したものが行われなければいけないと思うのですね。そういう意味でぜひいろいろの計画について取り組んでいただきたいな、こういうふうに思います。  同時に、次のことを申し上げたいのですが、私ども民社党は、日本の経済というのは、いわゆる高水準の貯蓄率やあるいは労働生産性などによって、中長期的に実質五%程度経済成長を持続することができる、そういう力を持っているというふうに思うわけであります。したがって、今なお楽観を許されない景気の現状を克服して、速やかな景気回復を実現するためには、これまでの縮小均衡型経済運営を転換して、拡大均衡に持っていかなければならない、そのためにも公共事業費の追加をしなければいけない、こういうふうに考えているわけであります。  それで、建設省にお伺いしたいのですけれども、これから二十一世紀というものを展望していったときに、今こそこの経済運営を拡大均衡型に転換すべきときではないだろうか。それで、建設省考えておられます公共投資の経済に与えるいわゆる乗数効果等も踏まえて、その辺のお考えをお願いをしたいというふうに思います。
  185. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答え申し上げます。  今、御指摘公共投資の乗数効果は、そのときそのときの経済情勢によっても異なるわけでございますが、私ども承知しております、例えば日経NEEDSモデル、五十七年度のスタートでは、公共投資の一年目の乗数効果は一・五一となっておりまして、減税の〇・八七よりかなり高いものと承知しております。そういうようなことでございますので、他の政策手段の乗数効果から考えますと、経済に与える影響は大きい。また二十一世紀を展望いたしますときに、私どもが現在大変おくれております公共投資をできるだけ、今の貯蓄率が高く、また高齢化が余り進行しない、こういったような時期に、計画的に公共投資を進め、社会資本整備していくということが必要である、そういうふうに考え、折に触れまして私ども考えを主張をしているところでございます。ただ、単年度、単年度の予算につきましては、御案内のとおり政府全体の財政状況ということもありますものですから、先ほど大臣からお答え申し上げましたような予算案をお願いをいたしておるところでございます。
  186. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、現在の経済情勢から見て、公共投資の増加をさらに図ることと同時に、もう一つ公共投資の前倒しということも考える必要があるのではないかというふうに思うのですが、今まで例年実施されておりますけれども、五十九年度についてどういうふうに考えておられるか、お考えをお伺いいたします。
  187. 水野清

    水野国務大臣 五十九年度の予算執行に際して、公共事業費を前倒しをして使うかどうか、こういう問題につきましては、現在五十九年度の予算をお願いしている最中でございまして、例えば私の聞いておりますところでは、自由民主党の中でそういう御議論があったということも聞いております。あるいは一部の経済評論家などは、五十九年度の経済動向を見ますと、下期は、先ほど来御指摘のように、アメリカの経済がよくなる、それにつれてヨーロッパもある程度日が差してくる、そういうことに関して輸出動向が非常に刺激されていくであろう、それならば、上半期に公共事業費を前倒しで使って、さらに日本経済に対して刺激を与えたらどうだろうというような経済論議というものも私どもは耳にしております。ただ、私どもは、現在はともかく五十九年度の予算の成立をお願いしている最中でございますから、そういう不謹慎なことはなかなか申し上げにくいわけでございまして、お許しをいただきたいと思います。
  188. 浜田幸一

    浜田委員長 もう少し突っ込んでやった方がいいと思います。
  189. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございます。もうちょっとお伺いします。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、前倒しというのは従来もやってきているわけですね。そして今回しないというふうにもしも考えたといたしますと、前回しているだけに、その景気に与える影響というのはかなりのものがあると思うのですね。マイナスサイドである。さらに五十九年度予算において公共事業費というのがマイナス二%というふうになっています。これは名目値でマイナス二%というふうになっているわけなので、実質ベースで考えれば、さらに事業は減るということになるわけですね。そういう意味で、今論議するのは不謹慎だから云々という話がございましたけれども、これからの日本の経済の状況を見たときには、やっぱり真剣に考えなければいけない話だろうというふうに私は思うのです。そういう意味で、そのことを申し上げて、ぜひ真剣に考えていただきたいということを申し上げておきます。  それから、次に移りますけれども、いわゆる経済計画あるいは総合開発計画、さらには道路整備という問題について国土庁にお伺いしたいというふうに思います。  私は、日本の経済活動を発展させていくためには、道路整備というものが必要不可欠であるというふうに思います。逆に言えば、道路整備がタイミングよく、しかも適切に実施されていかなければ、長期的に日本の経済発展計画もあるいは絵にかいたもちになってしまうだろうというふうに思います。実際に私が例えば今の東名あるいは名神という高速道路を走ってみますと、まさに産業道路としての色彩が非常に濃いわけですね。しかも、既にその能力いっぱいの状況になっているというふうに思うのです。そういうふうに見たときに、将来大丈夫なんだろうかということを本当に懸念するわけですね。そうした点から今の三全総というものをどういうふうに評価しておられるのか、そしてまたこれからの四全総において道路整備の問題というのをどういうふうに組み入れて検討をしておられるのかをお伺いいたします。
  190. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 お答え申し上げます。  道路整備意味づけにつきましては、先生のおっしゃったとおりでございまして、それで三全総におきましても、そういう観点から、国土の均衡ある発展を図るための高速道路計画あるいはその他の道路計画について明らかにしているところでございます。  その後の道路整備状況につきましては、先ほど建設省の方からお話のあったような状況でございまして、道路整備方向につきましては、おおむね三全総の示す方向に進んでまいっておりますけれども、しかし、その整備量につきましては、近年の財政制約等に伴う公共事業の抑制等によりまして、三全総の想定どおりには進捗していないという状況にあろうというふうに思っております。  国土の均衡ある発展を図ってまいりますためには、高速道路その他の幹線交通体系の整備あるいはその他一般的な道路整備といったことが肝要でございまして、今後とも長期的な観点から着実な整備を進めていく必要があると私ども考えておりまして、そういう観点から、それでは四全総においてどういうふうにそれを扱うのかという御質問でございますけれども、御承知のように、国土庁におきましては、二十一世紀への国土づくりの指針を示すための新しい計画、第四次の全国総合開発計画昭和六十一年を目途にいたしまして策定したいということで、現在その作業に着手したところでございまして、その中におきまして、高速道路網あるいはその他の道路の位置づけにつきましては、例えば国土の均衡ある発展を図るためには、幹線交通サービスの地域間の格差の是正をしなければならない、それをどういうふうにするか、あるいは地域経済社会活動に対応した全国的なネットワークの効率性の確保をいかにしたらいいかといったような点も含めまして、多面的な角度から検討をして、その内容を明らかにしてまいりたい、このように考えております。
  191. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 道路整備に関しまして建設省にお伺いいたしますけれども、先ほどもちょっと触れましたが、これからの二十一世紀を展望したときに、日本はいわゆる貿易摩擦等厳しい国際環境の中で、しかも急速に高齢化社会を迎えよう、こういうふうにしているわけでありますけれども、そうしたたくさんの問題がいろいろある中で、一つ一つ取り組んでいかなければならない状況にあるわけです。  それで、そうした我が国を取り巻く諸条件の変化に対応しつつ、なお我が国の高度な経済活力を維持増進して、国民の生活水準の向上を図っていくために、効率的な交通ネットワークの確保というのが必要不可欠である、中でも自動車交通の役割は大変大きなものがある、こういうことだというふうに思うのです。しかしながら、これはもう触れられもいたしましたけれども道路整備水準というのは欧米諸国に比べても大変おくれております。さらに道路整備の一層の推進というものを図っていかなければならない、こういうふうに思います。  そこで、こういう事態に対応して、長期的な展望を踏まえて道路整備のあり方というものについてお考えをお伺いいたします。
  192. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 我が国の近代的な道路整備の歴史は、ようやく四半世紀を数えるにすぎず、その水準は目標のおおむね二分の一程度に達した段階であり、今後とも着実に道路整備の推進を図っていく必要があると考えております。  欧米におきましては、一八八五年にドイツでベンツが今の自動車を発明いたしたわけでございまして、数年後にそれが一般車として普及し出し、そのころから既にアスファルト舗装の道路をつくっていたわけでございまして、百年の歴史を持つ国とわずか四半世紀しか近代的道路整備が経過していない国との大きな差があるというふうに考えております。  しかし、我が国経済社会は、現在大きな転換期を迎えており、産業構造の高度化、地方定住と都市化の進展、高齢化社会の到来など、今後予想される経済的、社会的諸条件の変化を踏まえ、道路整備に対する新たな要請にも的確にこたえていく必要があると思っております。  このため、今後の道路整備当たりましては、二十一世紀初頭を目指した道路整備の長期計画に基づきまして、高速自動車国道から市町村道に至る道路網を体系的に整備することとしております。その際、道路交通の安全確保、生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備維持管理の充実などの五つの施策について、バランスをとりつつ計画的に推進していきたいと考えております。  具体的に申し上げれば、七千六百キロの高速道路は、これを全部供用する。それから十七万一千キロあります県道以上の幹線道路については、いずれも車がすれ違えるような状態にするというようなことを基本として進めていきたいというふうに考えております。
  193. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今お話のありました高速道路並びに高規格幹線道路網についてもう少しお伺いしたいのですけれども、今も七千六百キロ云々の話が若干触れられましたが、三全総の中にも一万キロメートルという構想もあったりいたしております。そういう意味で第九次道路整備五カ年計画も今あるわけでありますけれども、この関連並びにこれからの計画というか見込みについてお考えをもう少しお願いいたします。
  194. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 第三次全国総合開発計画におきまして、全国的な幹線交通体系の長期構想として、既定の国土開発幹線自動車道を含め、おおむね一万キロメートル余で形成される高規格の幹線道路網が提唱されております。建設省におきましては、この構想を受けて、現在高規格幹線道路網について基本的な調査を実施しているところであります。今後さらにその路線、整備手法等に関する調査を推進し、第九次道路整備五カ年計画期間内に高規格幹線道路計画を策定したいというふうに考えております。
  195. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 道路整備の財源問題についてお伺いしたいのですけれども道路整備は今まで九次にわたる道路整備五カ年計画に基づいて進められてきておりますけれども計画実施のための財源については、いずれの計画においても、自動車ユーザーの負担にかかわる道路特定財源の収入によってその相当部分が調達をされております。私自身道路特定財源制度は道路整備の推進に大きく寄与していると考えておりますけれども、一方では自動車ユーザーの負担も相当な水準になっていることも事実であります。  そこで、今後の道路整備に当たっての財源的基礎についてどう考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。
  196. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  揮発油税等のいわゆる道路特定財源は、受益者負担あるいは損傷者負担考えのもとに道路利用者に特別の負担を求めているものであり、我が国の立ちおくれた道路整備推進に大きく寄与してきたものと考えております。第九次道路整備五カ年計画におきましても、現行税制を前提として、従来同様の方針により計画実施に必要な財源の相当部分道路特定財源により確保し、道路整備を推進してまいりたいと考えております。
  197. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 きょうはもう時間が余りありませんので、余り詳しくあれしませんけれども、御存じのとおりに、今道路の効果という問題から考えますと、もっともっと一般会計からも投入をするとか、そういうようなことも将来的には考えていっていいのではないかというふうに私は思うわけであります。そういう意味できょうは詳しくはちょっとあれしませんけれども、ぜひまた考えていただきたいし、これからまた関心を持って取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、時間が余りありませんのでちょっと急ぎますけれども、さらにその財源問題に関連いたしまして、いわゆるオーバーフロー問題をお伺いしたいのですが、揮発油税それから自動車税等の道路特定財源は、近年道路予算が抑制をされているために、過去二年にわたって自動車重量税がオーバーフローを生じて、また五十九年度予算案においても同様の事態が生じておるというふうに聞いております。道路特定財源は道路整備に使用する約束のもとに自動車ユーザーが税負担に応じているものであります。この点を踏まえた取り扱いが図られなければならぬ、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いします。
  198. 水野清

    水野国務大臣 先ほど道路局長が御説明申し上げましたように、第九次道路五カ年計画の達成につきまして、特定財源から八兆八千億余りの財源を期待しております。それから財政投融資から八兆円余りの資金を期待しておりまして、一般財源では三兆円、重量税で二兆円、大体こういう仕組みになっておりますが、御承知のとおり、財政難の中で自動車重量税のオーバーフローの問題が出てきております。  現在、道路特会としては、これは大蔵省にお貸しをしている、こういうふうに私どもは認識をしております。例えば五十九年度の予算編成に際しましては、オーバーフローの額が千九十六億円ございまして、これは大蔵省にお貸しをしております。五十七、五十八、五十九年度の総計では、既に四千百億余りの貸し越しをしている、こういうわけでございまして、これは当然お返しをいただいて、ここにも大蔵省がおるでしょうが、この道路五カ年計画の達成のために使わしていただきたい、かように思っているわけでございます。
  199. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、大臣もまさに当然返してもらわなければならないものであるというふうに言われました。可及的速やかに返していただくようにぜひよろしくお願いいたします。そうでなければ、あの問題というのは、まさにユーザーに対する背信行為だと私は思うのですね。そういう意味でぜひそれは実施をしていただくように要請をしておきます。  それから次に、国土庁にお伺いいたしますけれども、長官の所信表明の中で「大都市整備の推進」を明らかにされております。その中で、中部圏の新しい基本計画の策定作業に着手する旨について表明しておられますけれども、中部圏の国土計画上の位置づけについてお伺いをいたします。
  200. 浜田幸一

    浜田委員長 伊藤君にお断りしますが、大臣予算委員会出席のために、長官、お許しをいただきます。かわって答えさせます。
  201. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えいたします。  先生承知のとおり、中部圏は我が国の中央に位置しておりまして、交通の要衝であります。また水あるいは土地等に恵まれた四面を持っておりまして、開発の可能性の非常に高い地域でございます。ただ、日本海沿岸地帯、中部山岳地帯、それから太平洋沿岸地帯というふうに複雑な圏域に分かれておりまして、今後、それぞれ圏域に沿った、特徴を生かした産業あるいは文化の発展、こういったものを整備していかなければならないと考えておるわけでございます。  現在の計画昭和五十三年度にでき上がったわけでございますが、おおむね十年ということになっております。現在、これについていろいろな角度から改定ともども検討いたしておるところでございます。
  202. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今触れられました五十三年の中部圏基本開発整備計画につきまして、今までの達成度及びその評価についてお伺いいたします。
  203. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答え申し上げます。  現在の中部圏の基本計画につきましては、先ほど申しましたように、五十三年に策定されたわけでございます。自来、この計画に基づきまして中部圏の整備を進めておるところでございます。計画の中身、具体的なものといたしまして、例えば幹線交通網の整備、こういうものがあるわけでございます。例えば五十三年以来東名、名神等の東西軸は既に供用されておりますけれども、中央自動車道の全面供用あるいは北陸自動車道の相当部分の供用あるいは南北軸でございます東海・北陸自動車道、これの事業の着手等、幹線交通網等の整備につきましても鋭意進めておるところでございます。
  204. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今伺いますと、何となくニュアンスとして余りうまくいっていないのではないかなというふうにちょっと思えるわけでありますけれども、これは先ほど局長お話の中にもありましたけれども、もう随分前から中部圏というのは、将来の発展の可能性がある、発展が見込まれるということでいろいろ言われてきたわけです。そういう中で、今回、長官の所信表明の中にも、先ほど申し上げたように、二十一世紀を展望して長期ビジョンを策定するための調査をするということであります。その辺で、今後の施策方向あるいは問題意識も含めてもう少しお伺いいたします。
  205. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 現在、中部圏の基本計画を推進するに当たりまして、いろいろな課題があるわけでございます。  一つは、この中部圏、日本海地帯から太平洋沿岸に至る相当広い区域でございまして、南北軸の交通整備、こういったものがまだ十分でございません。そういった観点から、そういったものに今後力を入れていかなければならないという課題を抱えております。  それから、また中部圏は工業出荷額等におきましては、非常に大きな集積を持っております。ただ、やはり自動車産業を中心といたしまして、窯業とか繊維業、工作機械等の産業もございますけれども、エレクトロニクスあるいは精密機械、こういったものは必ずしも十分ではない。したがいまして、今後中部圏の産業につきましては、高度化あるいは先端化を進めていかなければならないと考えておるわけでございます。  また、中部圏は、首都圏、近畿圏の間にありまして、中枢管理機能が必ずしも十分に集積されてないというふうに我々は認識しております。そういった観点から、中部圏におきましての中枢管理機能、これは情報機能等も含めましての意味でございますが、そういったものの整備を進めていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。  そういった観点から、我々といたしましては、今後中部圏の基本計画につきまして改定をするとともに、さらに二十一世紀を見込んだ長期ビジョンを策定してまいるという考え方に立っておるわけでございます。
  206. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、問題意識というか、あるいは今後の方向につきましても若干お伺いいたしましたけれども、その可能性を持つ中部圏であるわけなんで、ぜひ今言われましたことも含めて積極的に取り組んでいただきますように強く要請をいたします。  それから、最後の問題に移りますけれども、震災対策についてお伺いをいたします。  長官は、所信表明の中で「大都市震災対策の一層の推進を図る」ということを明らかにしております。しかしながら、我が国の震災対策というのは、まだまだこれからいろいろとやっていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども政府の震災対策がどういうふうになっているのか、お伺いをいたします。
  207. 田中暁

    田中(暁)政府委員 政府の震災対策の基本ということでございますが、昭和四十六年度に中央防災会議におきまして、大都市震災対策推進要綱というものが決定されまして、一つには都市防災化の推進、二つ目には防災体制の強化と防災意識の高揚、三つ目には地震予知の推進ということを決めまして、これを基本としてこれまで進めてまいったわけでございます。  さらに、昨年五月には、同じく中央防災会議におきまして、当面の震災対策といたしまして、東海地震に係る地震対策緊急整備事業の促進あるいは南関東地域におきます広域の地震防災計画整備あるいは震災訓練の充実等、九つの事項を決定いたしまして、現在その積極的な推進を図っているところでございます。
  208. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いまお話の出ました東海地震対策の件でありますけれども、五十九年度が最終年度となる緊急整備事業に関しまして、その進捗状況がどういうふうになっているか、お伺いいたします。
  209. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御質問のいわゆる地震財特法に基づきます緊急整備事業進捗率でございますが、昭和五十五年度から五十九年度までの五カ年間に総事業費四千百八十億円で実施することにいたしておりまして、四カ年を経ました五十八年度末の進捗率の見込みが六二%でございます。
  210. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いま全体で六二%ということでありますけれども、全体の六二%も、こういうことで五十九年度までにできるのでしょうか。
  211. 浜田幸一

    浜田委員長 できない場合はできないとお答えください。
  212. 田中暁

    田中(暁)政府委員 あと一年という段階で六二%ということでございますので、五十九年度までにどのくらい伸びるかということは、通常のベースでまいりますと八〇%前後ではなかろうか。したがって、完全な達成はむずかしいであろうというように考えております。
  213. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いま完全に達成するのはむずかしいという話がありましたけれども、私の持っている資料によりますと、各事項ごとにもかなりのばらつきもあります。この手元にある一番低い達成率、進捗率項目は避難路でありますけれども、避難路の達成率が二七%しかない。二七%しかなくて避難できるんだろうかというようなことにまで発展していく問題だというふうに思うのです。  そういう意味で、もう時間がなくなってしまいましたので、きょうはこれ以上あれいたしませんけれども、やはりこういう問題というのは、まさに人命あるいは財産にかかわってくる問題であります。そういう意味では万全を期してその対策をとるように切にお願いをいたしまして、質問を終わります。
  214. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  伊藤君の質問が終わるにあたりまして、実は東君から伊藤君にわたるまで、質疑の中で、建設省の五カ年計画に対する質疑がたくさん行われました。それがもし達成できない場合には、五カ年計画の変更を明確にされて、国民の希望を達成するよう努力されたいという意見がその中に含まれていると思いますので、大臣初め担当官におかれましては、次回までにまたよりよく御検討をいただいて、御答弁をいただくようお願い申し上げます。  中島武敏君。
  215. 中島武敏

    中島(武)委員 建設大臣にお尋ねします。  きょうは住宅政策の問題と建設業に関する問題についてお尋ねしたいと思っています。  最初に住宅政策についてです。第四期住宅建設五カ年計画の進捗状況を見ますと、昭和五十九年度住宅関係予算説明資料によりますと、五十六年度、五十七年度は実績見込み、それから五十八年度、五十九年度は計画なんですけれども七九・五%、こうなっています。計画と実績がはなはだしく乖離することは、もはや常識に属しておると申し上げても言い過ぎじゃないんじゃないかと思うのです。それで特に大都市を中心とする住宅事情というのは依然として非常に深刻であります。ところが予算に占める住宅関係費の割合を見ると、ここ数年減少の一途をたどっております。特に五十九年度は一般会計で事業費で対前年度比〇・九七、国費で一・〇〇、実に二十九年ぶりのマイナス予算であります。建設戸数も一万九千九百戸減、住宅予算国民生活向上に非常に密接な関係を負っているにもかかわらず、四年連続異常突出の軍事予算はもちろんのこと、事業費で二%増になっておる道路予算に比べても、その低落ぶりは大変著しいと言わなければなりません。すでに同僚議員もこの問題に関してお尋ねをしておりますが、私からも建設大臣にお尋ねしたいのは、こういう状況では四期五計の達成は不可能といっても言い過ぎではなかろうと思うのです。大臣はどう考えておられるか。また計画達成のためにどういう手だてを講じられるつもりであるか、この点を最初にお伺いしたいと思います。
  216. 水野清

    水野国務大臣 先ほど来諸先生の御質問にもございましたように、現在進めております住宅の五カ年計画の達成率が非常に低いじゃないか、あるいは予算上の措置もやや落ちるではないかというようなお話でございます。私どもそういうことは十分認識しておるわけでございますが、ともかく五十九年度の予算では精いっぱいの努力をやってまいりました。例えば無抽せんて住宅金融公庫の融資ができる方策を講じたとか、また税制その他でも住宅着工に至るための刺激策をいろいろやってきたわけでございます。  ただ問題は、一つは地価の高騰ということが非常に大きく住宅建設の足を引っ張っておりまして、その点で非常に残念であるというふうに思っております。先ほど委員長からも住宅建築その他についての五カ年計画の全体につきまして、各種の五カ年計画につきまして余りにも計画と実績が乖離しておるではないかという御指摘をいただきまして、私どももこの問題については少し真剣に考えて、改めてまたこの委員会で御回答申し上げたい、こう思っております。
  217. 中島武敏

    中島(武)委員 特に公共住宅建設戸数進捗率が非常に低いわけですね。五十九年度までの計画を含めて公営で六二・三%、公団住宅で五〇・〇%。しかも、こういう実情にあるにもかかわらず、ここ十年の公共賃貸住宅計画戸数はどうなっておるかということを見てみると、減少の一途をたどっていると言っても決して言い過ぎじゃないと思うのです。昭和五十年公営が八万五千戸でした。ところが五十九年は五万一千戸になっている。公社住宅は五十年に九千三百戸、五十一年は一万五千三百戸とふえていますが、五十九年は二千五百戸とどんどん減ってきているわけです。公団住宅はどうか。昭和五十年が二万四千戸、五十一年が二万八千戸。ところがその後減り続けて五十七年が五千戸、五十八年、五十九年と頑張って五十九年度は八千戸というふうになっています。私は、公団の賃貸住宅が頑張っていることを認めないわけではありません。しかし、全体としては減少の一途をたどっていると言って決して言い過ぎじゃないと思うのです。  それで、建設大臣に伺いたいのは、公共賃貸住宅を今後どうするおつもりであるか。重視して大いにやっていく、こういう決意であるのか、それとも、最近はやりの民間活力活用ということで、それはそっちの方に任せる、こういうお気持ちなのか、この辺をしかと御答弁をいただきたい。
  218. 水野清

    水野国務大臣 後ほど住宅局長から詳しく説明をさせますが、公共の賃貸住宅につきましては、今後とも力を入れてやっていきたい、かように思っております。それは一つは低所得者層の方々に対する国家としてのサービスであるというふうに認識をしております。
  219. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 ただいま先生の御指摘のように、公的な賃貸住宅建設計画戸数につきましては、公営住宅を中心として次第に減少をしております。しかしながら、公団の賃貸住宅につきましては、五十七年度より若干ふえてきておる。また五十七年度の公的賃貸住宅に比べますと、五十八年度の公的賃貸住宅は若干でございますがふえております。ということでございますが、確かに御指摘のように、十年前に比べますと、その戸数につきましては減少しておるわけでございます。  これの主な理由は、もう既に御案内のことと思いますが、公的な賃貸住宅は、地方公共団体なり住宅公団が用地を直接取得いたしまして、そこに賃貸住宅建設していくということでございます。そうなると、用地の取得につきまして次第に厳しくなってきておる、特に大都市圏において厳しくなってきておるという事情がございます。また周辺住民との調整のおくれというようなものが出てきておりまして、事業の執行が非常に厳しい状況になってきております。東京都あるいは大阪市において特にその状況が顕著でございます。  そこで、既存ストックの有効活用であるとか、建てかえの促進あるいは関連公共施設整備促進事業の推進等によりまして、今後できるだけ公共賃貸住宅の的確な供給に努めてまいりたいと考えておりますが、なお五十九年度におきましても、厳しい財政事情の中ではございますが、公営住宅は五万一千戸、改良住宅は五千九百戸、公団賃貸住宅八千戸の確保を図っておりますし、また民間賃貸用特定分譲住宅としまして、公団住宅の中で八千戸の、終局的には賃貸アパートになるものでございますが、八千戸の住宅の供給を図っていくということにしております。
  220. 中島武敏

    中島(武)委員 用地難その他があることは既に明らかなとおりであります。大臣が今大いに頑張ると言われたように、こういう方向で大いに頑張ってもらいたいと思うのです。     〔委員長退席、北口委員長代理着席〕  それで、それに関連して次にお尋ねしたいのは、本年の一月二十五日に閣議決定をされました「行政改革に関する当面の実施方針について」、この問題についてなんです。  この中で「特殊法人等の事業の縮小等」というところがありまして、ここでは「答申で指摘された法人については、次のとおり事業の縮小、重点化等を図る。」とされております。その中で住宅都市整公団に関してですが、ここでは「分譲住宅については、民間では十分な対応が期待できない計画的な街づくりと密接な関連を有するものの建設を原則とし、賃貸住宅については、管理の適正を期するとともに、建替えのための検討を進める。分譲住宅及び賃貸住宅の新設については、事業地域を四大都市圏とし、このうち二大都市圏に重点を置くものとする。」こういうふうにあります。  それで、この点について、閣議決定でありますから最初に大臣に伺いたいのです。  公団住宅建設は、事実上二大都市圏に狭められてしまう、そういうおそれはないかどうか、この点について質問したいと思います。
  221. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 今、御指摘のように、本年一月二十五日付の閣議決定におきまして、特殊法人等につきまして、そのうち住宅都市整公団につきましては、「分譲住宅については、」「計画的な街づくりと密接な関連を有するものの建設を原則」とする。それから「賃貸住宅については、管理の適正を期するとともに、建替えのための検討を進める。」こうなっております。  今、御質問事業圏域の点でございますが、これはあくまで事業地域については四大都市圏とするということでありまして、ただ、特に住宅事情が非常に厳しい東京、大阪といった二大都市圏に重点を置くということでございますから、事業地域全体はあくまで四大都市圏を今後とも事業の範囲として考えていくということでございます。
  222. 中島武敏

    中島(武)委員 事業の範囲、これまた事業にはいろいろな事業がありますので、大臣にお尋ねしたのですが、局長からお答えがありました。  重ねて公団総裁にお尋ねしておきたいのですが、この点は、私が今聞いたことと同じことなんですけれども公団は、この二大都市圏に限定するという考えじゃなくて、四大都市圏で大いにやっていく、こういう決意でありますか。
  223. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 ただいま住宅局長から御答弁のあったとおりでございまして、私どもとしましても、四大都市圏におきまして、住宅困窮者の非常に多い地域でございますので、今後この住宅建設の推進に努めてまいる所存でございます。
  224. 中島武敏

    中島(武)委員 同じ閣議決定のその次のところに書かれている問題についてお尋ねします。  「また、昭和五十九年度において、今後の事業方向も踏まえた機構及び人員配置の適正化措置を講ずる。」このように閣議決定をされております。これについて公団にお尋ねしたいのですが、この問題をどういうふうに受けとめてどうしようとしておられるかということについてお尋ねします。
  225. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 閣議決定の趣旨、これは今後の事業方向を踏まえつつ機構とか人員配置の適正化を図るということでございます。私どもとしましては、この趣旨に基づきまして、今後の非常に難しい環境にあります住宅建設に対してどのように効率的に事業を進めていくべきかということを真剣に検討いたしておりまして、五十九年度におきましては、この方針に基づいて本社をできるだけ軽量化しつつ現場の組織を充実強化してまいりたい、こういう方向で目下検討しておる、こういう次第でございます。
  226. 中島武敏

    中島(武)委員 総裁に重ねてお尋ねします。  どうも私が聞くところによりますと、だんだん住宅建設部門から撤退をしてあるいは縮小をして、そして都市開発事業の方に力を入れていくのじゃないかというように聞くところがあるのですけれども、どうなのかということです。今、住宅建設の問題というのは、再開発が必要じゃないと私は言っているのじゃないのです。そうじゃないのですけれども住宅建設を大いに進めるということは極めて大事なことであります。きょうはこの委員会でも随分とこの問題をめぐって質問がこれだけ集中したぐらいなんです。ですから、そういう点からいって総裁はこの点は一体どうなのかという点をお尋ねしたいと思います。
  227. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 住宅公団法におきましても、大都市圏における住宅及び宅地の供給ということは、当公団の最も大きな重点的な柱でございます。そこで、住宅建設を進めていくためにいろいろな障害はございますけれども、これを隘路を打開しつつ鋭意推進していくことが公団の務めであるというふうに考えております。
  228. 中島武敏

    中島(武)委員 それはそのとおり。そのとおりなんだけれども、もうちょっと突っ込んだ話にならぬと、その言っていらっしゃるところがわからない。私は率直に言います。住宅建設部門をだんだん縮小していくのじゃないかというおそれですよ。やはり人員問題にしてもそうですが、再開発とかそういうところにぐっと力を入れていってそういうことになるのじゃないかというおそれを感じているのです。だから、ここはしっかりしなければいかぬというところへもうちょっと突っ込んだ話をしてくれなければいかぬわけです。
  229. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 私どもは、再開発あるいは新都市開発とあわせて行う宅地の大量供給という任務とともに、先ほど申しましたように、住宅の供給というのは最重要部門の一つだというふうに考えております。したがいまして、重点を住宅建設の方から他の方へ向けて、住宅建設の方を縮小の方向へ持っていくというような気持ちはさらにない。そういうことではなくて、現下の大都市における環境づくりの中で、住宅建設していくためのいろいろな対策を講じつつ、これを一生懸命やっていく、こういう決意で仕事を進めてまいる所存でございます。
  230. 水野清

    水野国務大臣 先ほど住宅局長公団の総裁からも申し上げましたように、住宅都市整公団のそもそもの目標は、四大都市圏における住宅提供、しかもなるべく低所得者の方々あるいは住宅取得の困難な地域に再開発をする、そういう問題が主でございます。何か大変御心配をいただいているようでございますが、住宅公団住宅供給を投げ捨てて都市開発に専念するというようなことになれば、住宅都市整公団自身の存在価値が問われるわけでございますから、大変ありがたい御心配でございますが、そういうことはないということを私が申し添えさせていただきます。
  231. 中島武敏

    中島(武)委員 総裁からも決意が述べられ、大臣からも述べられましたので、ぜひひとつそこはしっかり頑張ってもらいたいということを申し上げて、次の問題についてお尋ねします。  四期五計で最低居住水準の到達率を見ますと、全体の最低居住水準を引き下げているのは、これは率直に申して公共住宅であります。五十三年の、五十三年ですから決して新しいものじゃないのですが、その次の住宅統計調査がまだ出ておりませんので、この資料による以外にはありませんけれども、この住宅統計調査によりますと、最低居住水準未満の世帯は全国で一四・八%、こうなっています。ところが公営、公団公社の賃貸住宅で三八・〇%、随分大きいのです。全体平均の二倍以上あるのです。特に大都市はひどいのです。東京の最低居住水準未満が二二・六%という数字に対して、公団公社、都営は四〇・六%という水準になっています。  そこで、大臣にお尋ねしたいのは、最低居住水準を満足させるという問題で見ても、公共住宅の果たす役割というのは非常に大事だ、こう思うのですね。それで最低居住水準未満の世帯をなくするためにどうしようとしておられるかという点についてお尋ねします。
  232. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 今、御指摘のように、公的な賃貸住宅における居住水準の状況というのは必ずしも十分な状況でないわけでございます。それはやはり戦後大変厳しい住宅事情にありました。その中で、とにかく小さくてもよいから大量の住宅建設していかなければならないという目的のために、若干規模の小さい住宅建設してきた。それが例えば公営住宅で申しますと約百九十万戸建設をされまして、今約百七十万戸に世帯が、家族が住んでいるわけでございます。そういった状況の中で、どうしても戦後建って間もないころの規模の小さい住宅に住んでいる部分最低居住水準未満として残っているという状況にあると思います。  そこで、こういった最低居住水準未満の住宅を解消するためには、できるだけ規模の大きい新規の住宅を建てていくということと同時に、現在ありますストックの改善を行っていく必要がある。そのためには、増改築を行うとかあるいは建てかえを行うあるいは住みかえを促進していくということを積極的にやっていく必要があろうかと考えております。現に、例えば公営住宅で申しますと、五十八年度で建てかえの戸数が一万八千四百戸でございます。これは全体の建設戸数に対しまして約四〇%近い比率になっております。それから既設の公営住宅の改善、すなわち増改築の事業でございますが、これも五十八年度で約七千戸の事業を行うこととしております。ということで、公的な賃貸住宅を中心といたしまして、ストックの改善に今後一層努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  233. 中島武敏

    中島(武)委員 なかなかこのストックの改善が追いつかないのですね。東京に赤羽台団地という団地があります。これは公団団地です。たしか三十七年から管理開始の団地だと思います。それから蓮根団地があります。これはたしか三十二年の管理開始じゃないかと思いますが、こういうことになっているのを御存じでしょうか。これは住宅局長もそうですが、公団の方もそうです。  二DK、大多数は二DKなんですよね。御夫婦と子供さんが二人、標準家庭です。男のお子さんと女のお子さん。ところが二DKなんです。中学生になった。どういうふうにして就寝しますか。夜寝ますか。御存じでしょうか。結局多くの御家庭は、この場合に、御主人と男の子と一緒に一つの部屋に就寝するわけなんです。奥さんと娘さんが一緒の部屋に就寝するのです。これは非人間的だと思いませんか。しかし、多くの場合にこういう状況なんですよ。私は、一体どうやって生活しておるのか、どうやって就寝しておるのかと思って、大変だという話を聞くからお尋ねしてみたら、そうなんですね。  ところが、だんだん子供さんは大きくなった。受験期になる。勉強部屋が欲しい、そう思っても、勉強部屋の確保ができない。あるいは大学生になる。どうされると思いますか。御存じかもしれませんが、多くの御家庭は一人表へ出すのです。下宿あるいは近くのアパートを借りて、そこへ住んでもらう。それで食事は一緒にする。就寝するときはそっちへ行って寝る。勉強もそっちでやる。こういうふうになる。あるいはその同じ団地に一DKがあるときは、子供さんたちが大きければ、資格を持っていれば、子供さん達の名前で抽せんを申し込むのです。空き家抽せん。なかなか当たらないけれども、それでもやっとの思いで当たるという場合もあります。それで食事は親のところへ食べに来るのです。それでまた食事が終わったら帰るのです。たくさんあるのですよ、これは。  それから、お客さんがあったらどうされると思いますか。家が狭くて、これまたたくさんある例ですけれども、自分の家ではお客さんを招くことはできない。それで近所の喫茶店で応接をする。これも何も珍しい例ではありません。  あるいはもっと深刻なのは、お年寄りを抱える世帯です。これは非常に深刻なんです。お年寄りは第一、寝るところがない。どこへ寝ていると思います。台所の一畳しかないところへ寝ているという例はしばしばであります。それからお年寄りの居場所がない。朝食事をする、狭くて居場所がないという場合はどうしますか。何とこれは外へ出てしまうのです。朝早くから冬でも外へ出て、お年寄りの人たちはたくさんたむろしているのです。こういう例がある。あるいはお年寄りとその他の人たちとの生活のリズムが違うのです。どうするか。近くのスーパーへ行く。スーパーには冷暖房の施設が設備されている。そこで一日過ごすというお年寄りさえいるのです。これは深刻な問題なんですね。  それから、お年寄りだけの世帯、特に一人暮らし、こうなってくると問題はますます大変なんです。こうなりますと、水漏れ事故とかガス漏れ事故とか、こんなのは随分たくさん、もう日常茶飯事のようにあります。あるいは死亡してもだれも気がつかない、こういう問題さえ起きてくるのです。  私は、居住水準向上最低居住水準を満足させるという問題は、単に数字の問題じゃなくて、その数字の陰にはこういう実態があるのだということを、大臣も、それから総裁も局長もよく認識していただきたいと思います。そしてやはりこれを引き上げなければいかぬ、これは非常に重要な問題なんです。私は、そういう点で、一体どうしたらいいのかということについて、大臣見解も聞きたいし、それから総裁の見解も聞きたいし、局長見解も聞きたい。
  234. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 古い公的な賃貸住宅におきまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、規模が小さい、その中に世帯構成の大きな家族が住んでいるというような場合が見られることは事実でございます。そのためには、できるだけ住みかえを行っていくように、そういった制度によりまして促進をしていきたいということ。それから前に御答弁申し上げましたように、増築とか改築あるいは建てかえによりまして規模をふやしていく、こういったことを着実に実行していくことが重要ではないかというように考えております。     〔北口委員長代理退席、委員長着席〕  また、老人同居の世帯につきましては、御指摘のような問題がございますので、例えば公営住宅におきましては、五十五年度より六十歳以上の老人を含む六人以上の世帯向け公営住宅については、現行第一種公営住宅で、政令の規模上限が八十平米でございますが、これを五平米引き上げまして八十五平米とする、あるいは第二種公営住宅につきましても同様五平米引き上げるといったような措置を講じておりますし、また公団住宅等につきましては、住宅の変更制度を実施をしておるというところでございます。また公営住宅につきましては、建設戸数はまだ十分ではございませんが、ペア住宅建設を行っております。ということで、できるだけ住宅政策の基本的課題であります居住水準向上のために今後とも努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  235. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 公団が管理しております六十三万戸の賃貸住宅の中におきまして、二DKあるいは三Kといった三K以下の住宅の占める比率が約八割というような比率になっております。こういった状況を踏まえまして、私どもとしましては、これをできるだけ、ただいま局長から申されました住みかえの優遇措置を講じることはもちろんでございますけれども、この社会資本ストックを改善いたしまして、社会的陳腐化を起こしているものにつきましては、これを改造し、あるいは増築をし、広さを確保するために二戸一改造等を行っているところでございますが、今後この問題は公団の非常に大きな課題の一つになると考えまして、今ストック改善委員会というようなものをつくっていただきまして、その中で検討を進めている段階でございます。私どもも、このストックの改善につきまして、今後とも、この改善の方策を立てました上で、着実にこれを進めてまいりたいというふうに考えておりまして、本年度の予算におきましても、中層住宅につきましても増築をやるというようなことまで考えて着実に着手していく方向で進んでおります。
  236. 水野清

    水野国務大臣 中島委員の先ほどの話は、大変身に迫るお話を聞かせていただきました。今、住宅都市整公団の総裁が申し上げましたように、そういう小さい二DKであるとかあるいは建築の非常に初期のものについては、改造であるとかあるいは住みかえであるとかいろいろなことをやらせておりますが、なお一層ひとつそういう点で努力をさせたい、こういうふうに思っております。
  237. 中島武敏

    中島(武)委員 住みかえは大変大切だと思うのですね。しかし、これはきちっと制度として確立されているのか、そこは優先的にちゃんと住みかえることが保証されているのか、ここが大事なんだ。これは私の承知している限りではそうはなっておりませんよ。だから空き家抽せんて一生懸命頑張らなければいかぬ、こういうふうになるのです。ここはひとつ検討願いたいということです。  それから、二戸一改造にするということを言われましたね。この問題についてもそうですけれども、東京じゃ二戸一の改造なんというのは、大都市ではありませんよ。私は大都市においても——今申し上げたのは東京の話なんですからね。どこの話でもないんです。だから、そういうことに着手しなければならないところへ来ているんじゃないかということを私は申し上げたい。  それから、それでも私は足りないと思うね。一番住民が望んでいるのは何を望んでいるかと言えば、二戸を借りることができるという問題を望んでいるんです。これは御承知だと思います。それは先ほどお話し申し上げたことでもありますが、子供さんなりお年寄りの方々なりが、一緒の食事をして、また別のところに住んでいる。住んでいるが、しかし一緒に食事することはできる。これですよ。これをやろうと思ったら、二戸一改造あるいは二戸を借りることができる、こういうふうにする以外にはないと思うのです。それから結婚をした、そうしたら出ていかなければならない。これもその団地に住むことがもしできるならば、そういうふうにするならば、つまり二戸借りですね、できるならば、お年寄りは年をとっても面倒を見てもらえる、行き来がある、こういうふうにできるんです。これをやらないから社会問題にまでなるくらいな実態が生まれているんですよ。私はここは真剣に考えなければならぬところだと思うね。増改築も、先ほどお話のあったように必要であります。  私はそういう点で、これは単に先の話じゃなくて、もう既に古い団地の現在は、現在の新しい団地の将来の姿なんです。決して敗戦直後、終戦直後につくった団地にだけこういうことが起きているというこじゃないのです。この実態をよく踏まえて、私はよく検討してしっかりやってもらいたいと思います。  それからもう一つ、増改築をする場合には、公営住宅の場合には補助制度があります。公団に対しても、私はそういう助成の制度、つまり利子補給とかそういうことは必要だと思うのですが、これはそうなっているのかどうか、なっていないとすれば、そうするべきだということを、この二点をちょっと聞きたいと思います。
  238. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  住みかえ制度につきましての制度の問題でございますけれども、一応制度としては確立されております。ただ、問題といたしましては、住みかえていただく大規模住宅等が非常に少ないという問題がございまして、十二分に目的を達せられないという問題はございます。  それから今の、例えば二つ住宅を借りるというような問題につきましても、制度といたしましては、特定の団地についてはそういうことができるような仕組みになっております。場所によりましては、家賃等の減額等も考慮した上でお借りいただくような制度もできているわけでございますが、御承知のように、これも対象にいたしますところの住宅に限定がございますので、必ずしも十分なものではないという状況かと思います。  それから、そういうような状態になっておりますのは、先生も御承知のように、先ほど例をお挙げになりました蓮根団地等につきましては、空き家倍率等でまいりますと二百三十八倍というような状況でございまして、そういう状況から考えてまいりますと、すべての方々に先生のおっしゃるような条件を整えることは非常に難しい状況にあろうかと思います。したがいまして、先ほど総裁もお答えいたしましたように、既存の賃貸住宅等につきましての増築等の検討をなお進めていかなければならない、あるいはまた建てかえ等をすることによりましての大規模住宅を準備していくというようなことが必要かと思います。  それから、補助制度の問題でございますが、御承知のように、公団につきましては、財投資金を利用いたしまして住宅建設等をいたしているわけでございまして、その制度はございません。
  239. 中島武敏

    中島(武)委員 私、重ねてちょっと要望しておきたいのですが、今やるということが大事なんですね。応募率が多いからといって先に延ばしていく、そうすると、この状態というのがいつまでも続くということになるのです。だから、今やる、もう現在から開始するということが非常に必要だということを申し上げたい。  それから、倍率が多いからできない、なかなかしにくい、だからこそ住宅建設を大いにやらなければいかぬのです。ここが大事なところなんです。パイを大きくしなかったら、この問題は根本的には解決つかない問題なんです。ですから、住宅建設を大いにやっていただきたい。  さらに、もう一つつけ加えておきますと、だんだん高齢化社会になってきて、年金だけで生活をするという方々が出てきます。これに対してやはり一定の家賃の減額制度というようなものも導入するべきじゃないか、そういうことを検討していただきたいということを重ねて申し上げて、次の問題について質問します。  これは公団総裁にお尋ねしたいのですが、五十八年の値上げに際して——つまり昨年です。昨年の四月十二日に本委員会で、住宅都市整公団の家賃値上げに関する要望事項というのを決めました。この問題についてその後の進捗状況についてお尋ねしたいのですが、時間の関係もありますので、全部お尋ねするという時間的余裕がありませんので、ポイントを絞ってお尋ねします。  第三項です。第三項は、「公団は、今後の家賃の改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」こうあります。この点について、必要なルールづくりをどのように進めておられるか、お尋ねしたいと思います。
  240. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 今回行われました家賃改正につきましては、改定のあり方等につきまして、当公団の中に基本問題懇談会というものをつくりまして、各層の意見を聞きながら家賃改定のルールづくりを行った。先生承知のとおりでございますが、今後の問題といたしまして、委員長要望の趣旨に沿いまして、公団といたしましては、やはり基本的な家賃のあり方等の問題を含めながら正式の場としては、この基本問題懇談会という場を活用いたしまして、この場において意見を伺いながらやることが、やはり現在においては最も適当な方法ではないかというふうに考えており、また家賃をどういう場合に変更したらいいかというような判断の基準とか、あるいは算定の方法なり、あるいは周知の方法なりというものにつきまして、今から円滑に行われますように検討を進めておるところでございますが、まだその過程でございます。
  241. 中島武敏

    中島(武)委員 今、基本問題懇談会の場所を活用してルールづくりを進めたい、こういうふうな御答弁だったと思うのですが、私は、必要欠くべからざることは、やはりこの入居者、つまり住民代表の意向が十分に反映されるということが保証されなければいけないのじゃないかというふうに考えるのです。入居者は置いてきぼり。そして基本問題懇談会でいろいろやっているといっても、入っているのは入居者ですからね。ですから、そういう点で住民代表の意向というのがやはり非常に反映されるように保証されなければならないということを考えるのです。この点は一体どういうふうに考えておられるのか、そこをお尋ねします。
  242. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  この前の五十八年度の家賃改定の際にも実施したわけでございますが、居住者の方々の御意見を聞くことは必要なことだろうというように考えております。したがいまして、基本懇談会の家賃部会の場所に居住者の方にもおいでいただきまして、いろんな御意見をちょうだいしたわけでございます。たまたまある一部の団体の方々は都合がございまして委員会に御参加いただきませんでしたので、しかしながら、家賃部会におきましては御意見を述べていただくというような機会を実はつくり上げたわけでございます。御承知のように、問題が家賃改定に伴いますルールづくりでございますので、公団といたしましては、第三者の方を含めた各界各層の方々で構成されておりますところの基本問題懇談会におきまして、いろんな御意見を伺いながらルールをつくっていくことが最も客観的で妥当なルールづくりができるんだろうというふうに考えておるわけでございます。もちろん懇談会の中には、部会等になるかと思いますけれども、居住者の方にも委員となっていただきまして、十分意見を述べていただくということが必要だと考えております。自治協の方にもぜひ現在の係争中の問題等を早く処理をしていただきまして、この委員会等に御出席いただいて、前向きの御意見等ちょうだいできれば結構かというように考えております。
  243. 中島武敏

    中島(武)委員 基本問題懇談会を私は一概に否定するわけではありませんが、しかし大事なのは、基本問題懇談会だけにこだわらないで、住民代表が公団の皆さんと話し合いが十分円滑に進められるという場所を保証することだということを重ねて私は申し上げたいと思うのです。この形がどうなるかということについてはいろいろなことがあると思うのですよ。あると思うのですが、そこは相当よく考えてもらいたいと思います。  それから、総裁が今、判断基準、算定基準、それから周知基準、こういうふうに言われましたが、単に周知するということだけじゃなくて、これにはもうちょっと広い意味を含めなければならぬのだと私は思いますけれども、こういう問題を進める場合にも、やはり住民の皆さんの方からも案が出されているわけです。それについても住民代表、公団自治協という言葉も出ましたが、それらの人たちとの間できちんと進めていただくということ、軌道に乗るようにちゃんとする必要があるんじゃないだろうか。あるいはまた今のお答えにもちょっと触れられましたけれども、八項に関する問題です。「建設大臣は、公団と入居者との間の係争中の問題について、早期に解決を図るよう努力すること。」という、後で大臣にもお尋ねしたいと思っておりますが、そういう第八項目もあります。それでこういうのをきちんと進めていく、係争中の問題を解決するということのためにも公団と住民代表との間の話し合いが必要なんじゃないかということですね。何しろぶった切れておったのではどうしようもないわけでして、これはちゃんとルールに乗せる、軌道に乗せるということが必要だと思うのです。  そういうことを私が申し上げて大臣にお尋ねしたいのは、これは内海建設大臣のときの要望事項なんですけれども、こういうことはちゃんと当事者間の話し合いということが必要だと思うのです。建設大臣は、早期に解決を図るように努力する、そうしなければならぬ、こういうふうに決まっているんですが、どういう努力をしてこられたか、またこれからどういう努力をするおつもりであるかということについて、大臣にお尋ねします。
  244. 松谷蒼一郎

    松谷政府委員 今の御質問でございますが、昨年の五月二十七日に私どもが立ち会いまして、公団の自治協それから公団の担当理事の間の話し合いのためのあっせんをいたしました。その後、公団からの報告によりますと、二月現在までに三十七回の精力的な話し合いが行われていると聞いております。居住者の間のこの話し合いにつきましては、その中身につきましても次第に進展が見られているというように聞いております。今後さらにこの話し合いを続け、できるだけ早期に解決を図るよう私どもとしても望んでいる次第でございます。
  245. 水野清

    水野国務大臣 公団と入居者との間の紛争につきまして、建設省としても鋭意努力しているのは、今、住宅局長から申し上げたとおりでございます。  先ほど来の御質問を聞いておりまして、公団一つの採算性の中で仕事をしておりますので、ある時期、ある段階では家賃の値上げその他についてやらざるを得ないときもあるかと思います。しかし、そういう際に、確かにお話しのように、当事者だけで勝手に一方的に上げるのではなくて、周辺のいろいろな、学識経験者という言葉が正しいかどうかわかりませんが、関係者の方々にも入っていただいて、中立的な立場でそれを判定していただく、また入居者の方々の御意見もそこに吸収していくということは当然のことだろうと思いますので、今後ともこの家賃の問題につきましては十分注意をして、本来住宅都市整公団の設立の趣旨というのは、やはり低所得者に対してあるいは住宅の取得の非常に難しい地域に対して住宅を供給するということが目的でございますから、その趣旨に沿って運営をさしていきたい、こういうふうに思っております。
  246. 中島武敏

    中島(武)委員 以前は住宅公団公団自治協との間で定期の協議がやられておりました。ぜひひとつ早くそういう方向に進むように、ひとつ大臣の方もそれから総裁の方も努力をしていただきたいと思います。  時間がなくなっちゃったんですが、もう一問だけ……
  247. 浜田幸一

    浜田委員長 最後の一問、結構です。
  248. 中島武敏

    中島(武)委員 別の問題ですが、お尋ねします。  これはほかの問題、建設業に関する問題なんです。今、建設業の景気動向というのは非常に厳しいわけですね。特に中小建設業についてはしかりであります。そういうときに官公需の中小企業向けの発注率を高めるということは非常に大事なことだと思うのです。同時に、中小企業発注の方法を改善するということも大事なことだというふうに思っております。  端的に申しまして、ジョイントベンチャー、JVの活用問題であります。時間がないから私の方からはしょって申し上げますけれども、国、政府関係あるいは公団などを含めてもですが、主として国関係、それから建設省関係、こう申し上げてもいいのですが、JVの活用状況というのは大変少ないのです。率直にこれは申し上げます。それで東京都なんか地方自治体の場合にどうしているかというと、これはあるいは御存じかと思いますけれども、JVを非常に活用するということをやっています。東京都のJVの場合は建設省方式の甲型のJVです。能力増強型のJVじゃなくて、中小企業に発注の機会をふやすという、そのことを目的とした、いわば工事分配型のJVであります。建設省あるいは政府関係ももっとこのJVを重視しなければいかぬのじゃないか。そういう中でも、特に中小同士の、中小企業同士のJVをもっとふやすということを心がけなければいかぬのじゃないか。つまりそのことによって中小企業に対する発注率をふやすことができるということですね。それから大型の工事の場合でも、やはり中小企業を育成していくという立場に、ABC・JV発注というようなことを考慮すべきではないかというように考えているのです。  この問題について、建設省の方の見解を聞きたいと思うのです。
  249. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 中小建設業の受注の確保につきましては、御案内のとおり、従前から発注標準の遵守、それから分割発注の推進、共同請負制度の活用等の方策によりまして推進してまいっておりまして、私どもの直轄工事におきます中小建設業者の受注割合は、契約金額の率で申しますと、五十五年度四五・一%、五十六年度四五・三%、五十七年度四七・七%、逐次着実に増大しております。  なお、ただいまのJVの関係でございますが、これにつきましても、お互いに技術力なり労働力等提供し合いまして、工事の円滑な施工が期待されるような場合には、極力これを活用するよう指導しておりまして、その際、完成工事高であるとか自己資本額、職員数等につきましては、これをその和をもって評価する等々の措置をとってきているわけでございます。  ただ、ただいま御指摘がありましたように、それでもまだ総体的に見まして大きな数にはなっておらない点がございますので、今後の発注を通じまして、関係の業界を指導しつつ着実にこれらの実績がふえるように努めてまいりたいと思っております。
  250. 中島武敏

    中島(武)委員 これで終わりますが、東京都の場合には、三億円以上の工事はすべてジョイントベンチャー発注というふうにやっているのです。このために中小企業に対する発注の機会が非常に増大をするわけですね。ぜひひとつ建設省においても、また政府関係においても、このことを御努力いただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  251. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  次回は、来る七日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会