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1984-11-21 第101回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月二十一日(水曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 白川 勝彦君 理事 東家 嘉幸君    理事 森下 元晴君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 神田  厚君       榎本 和平君    桜井  新君       中村  靖君    河野  正君       元信  堯君    池田 克也君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君  委員外出席者         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  中嶋 計廣君         警察庁長官官房         会計課長    立花 昌雄君         総務庁長官官房         会計課長    鈴木 昭雄君         北海道開発庁総         務課長     高橋 昭治君         防衛庁経理局監         査課長     渡邉 正身君         防衛施設庁総務         部施設調査官  鳥羽 浜雄君         防衛施設庁総務         部会計課長   風間  登君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       近藤 孝治君         経済企画庁長官         官房会計課長  長沢 哲夫君         科学技術庁長官         官房会計課長  窪田  富君         環境庁長官官房         会計課長    八木 規夫君         環境庁水質保全         局水質管理課長 小林 康彦君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         国土庁長官官房         会計課長    北島 照仁君         法務大臣官房会         計課長     村田  恒君         外務大臣官房審         議官      木幡 昭七君         外務大臣官房外         務参事官    久米 邦貞君         外務大臣官房会         計課長     林  貞行君         大蔵大臣官房会         計課長     朝比奈秀夫君         大蔵省主計局次         長       的場 順三君         大蔵省主計局司         計課長     西沢  裕君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         厚生大臣官房長 下村  健君         厚生大臣官房総         務審議官    長門 保明君         厚生大臣官房会         計課長     黒木 武弘君         厚生省健康政策         局長      吉崎 正義君         厚生省保健医療         局長      大池 眞澄君         厚生省生活衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省薬務局長 小林 功典君         厚生省社会局長 正木  馨君         厚生省児童家庭         局長      小島 弘仲君         厚生省保険局長 幸田 正孝君         厚生省保険局医         療課長     寺松  尚君         社会保険庁医療         保険部長    坂本 龍彦君         農林水産政務次         官       近藤 元次君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房経理課長   松下 一弘君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      野明 宏至君         食糧庁長官   石川  弘君         水産庁長官   佐野 宏哉君         通商産業大臣官         房会計課長   緒方謙二郎君         運輸大臣官房官         理部長     近藤 憲輔君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         労働大臣官房総         務課長     清水 傳雄君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省河川局河         川計画課長   陣内 孝雄君         自治大臣官房会         計課長     桝原 勝美君         会計検査院事務         総局第四局長  磯田  晋君         会計検査院事務         総局第五局長  秋本 勝彦君         農林漁業金融公         庫総裁     松本 作衛君         医療金融公庫総         裁       北川 力夫君         環境衛生金融公         庫理事長    加藤 威二君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   内村 良英君         参  考  人         (農林中央金庫         専務理事)   赤羽 昭二君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     中村  靖君 同月二十一日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     元信  堯君   玉城 栄一君     池田 克也君 同日  辞任         補欠選任   元信  堯君     城地 豊司君   池田 克也君     玉城 栄一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十八年度政府関係機関決算書  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (厚生省所管医療金融公庫環境衛生金融公  庫、農林水産省所管農林漁業金融公庫)  歳入歳出の実況に関する件(会計内部監査制度  問題)      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず厚生省所管医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行います。  それでは厚生大臣から概要説明を求めます。増岡厚生大臣
  3. 増岡博之

    増岡国務大臣 昭和五十六年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算額につきましては、歳出予算現額八兆九千九百九十五億四千九百三十七万円余に対して、支出済み歳出額八兆八千二百四十七億三千百七万円余、翌年度繰越額四百四十三億一千六百十六万円余、不用額一千三百五億二百十三万円余で決算を結了いたしました。  次に、特別会計歳出決算大要について申し上げます。  第一に、厚生保険特別会計につきましては、健康、日雇健康、年金児童手当及び業務の五勘定を合わせ、一般会計から一兆三千百八十一億五千百五十七万円を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額十三兆二千六百三十億一千七百八十五万円余、支出済み歳出額八兆九千四百七十二億九千四百三十三万円余、翌年度繰越額十六億六千二百八十六万円余でありまして、差し引き四兆三千百四十億六千六十六万円余については、この会計積立金として積み立てたほか翌年度歳入に繰り入れることとし、決算を結了いたしました。  第二に、船員保険特別会計につきましては、一般会計から三百四十億三千六百三十二万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額二千四百三億五千六百五十四万円余、支出済み歳出額二千二百二十三億九千九十八万円余でありまして、差し引き百七十九億六千五百五十六万円余については、この会計積立金として積み立てたほか翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第三に、国立病院特別会計につきましては、病院及び療養所の二勘定を合わせ、一般会計から九百九億一千八百四十九万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額五千七百二十一億一千五百六十四万円余、支出済み歳出額五千六百九億九千二十万円余、翌年度繰越額八十億七千三百二十万円余でありまして、差し引き三十億五千二百二十二万円余については、この会計積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第四に、あへん特別会計につきましては、収納済み歳入額十八億八千二百四万円余、支出済み歳出額四億七千七百七十八万円余でありまして、差し引き十四億四百二十六万円余については、この会計の翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第五に、国民年金特別会計につきましては、国民年金福祉年金及び業務の三勘定を合わせ、一般会計から一兆七千三百十六億三千五百九十三万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済み歳入額四兆六千百八十六億七千百七十五万円余、支出済み歳出額四兆二千七百二十一億九千五百六十六万円余、翌年度繰越額一千四百五十四億六千百四十九万円余でありまして、差し引き二千十億一千四百五十九万円余については、この会計積立金土して積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  以上が厚生省所管に属する昭和五十六年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算大要であります。  最後に、昭和五十六年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。  指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務執行の適正を期する所存であります。  以上をもちまして厚生省所管に属する一般会計及び特別会計決算説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 横山利秋

    横山委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。磯田第四局長
  5. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 昭和五十六年度厚生省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五十九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一二号及び一三号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険保険料徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる被保険者報酬月額把握が的確に行われなかったことなどのため保険料徴収が不足しているものであります。  検査報告番号一四号及び一五号の二件は、医療給付費に係る保険給付費及び補助金支払いが不当と認められるものであります。  保険医療機関入院患者看護を行った場合には、基本看護料のほか看護の程度に応じて定められた基準看護に係る加算金を加算して支払い機関に請求することを認めておりますが、五十六年六月からは一般病棟の二類及び三類の基準看護に係る加算金厚生省保険局長通知により廃止されているのに、鹿児島市内の二保険医療機関では、従来どおりこの廃止された二類の基準看護に係る加算金を請求し、保険者の方でもこの誤りに気づかずそのまま支払っていたもので、この支払いに係る保険給付費及び補助金支払いが不当と認められるものであります。  検査報告番号一六号から一八号までの三件は、救急医療施設運営費等補助金経理が不当と認められるものであります。  これらの補助金都道府県市町村等が行う各種救急医療事業運営に要する費用に対して補助するものでありまして、その交付額は、厚生省が定める基準額補助金交付対象となる人件費委託費などの実際の支出額運営のために実際に要した総事業費都道府県市町村が交付した補助金などをもとに算定することとなっておりますが、事業主体において補助金交付対象となる人件費委託費などを過大に計上したなどのため、補助対象事業費精算が過大となっているものであります。  検査報告番号一九号から三四号までの十六件は、老人福祉施設保護費補助金経理が不当と認められるものであります。  これらの補助金は、措置を要する老人特別養護老人ホームに収容した場合に、その措置に要する費用都道府県または市町村に対して補助するものでありまして、その交付額は、措置人員に応じた事務費生活費等の額から扶養義務者等税額等基準として算出した徴収金を控除した額を補助対象事業費として算定することとなっておりますが、事業主体において、費用徴収対象となる扶養義務者がいるのにこれをいないとしたことなどにより徴収金算定を誤ったため、補助対象事業費精算が過大となっているものであります。  検査報告番号三五号から六四号までの三十件は、児童保護措置費補助金経理が不当と認められるものでありまして、このうち三五号から六一号までの二十七件は保育所措置費補助金に関するものであり、また六二号から六四号までの三件は収容施設措置費補助金に関するものであります。  これらの補助金は、保育を要する児童保育所に、また保護者のない児童児童収容施設に入所させた場合に、その措置に要する費用都道府県に対して補助するものでありまして、その交付額は、児童措置のために要する経費から扶養義務新等税額等基準として算出した徴収金を控除した額を補助対象事業費として算定することとなっておりますが、事業主体において、扶養義務者税額把握を誤るなどして徴収金算定したりなどしたため、補助対象事業費精算が過大となっているものであります。  検査報告番号六五号から七〇号までの六件は、環境衛生等施設整備関係補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。  このうち六六号を除く五件は、簡易水道施設整備事業等において、事業主体が工事の契約に当たり予定価格の九〇%から九八・四%という高率な最低制限価格を設定したため、最低価格で入札した業者が排除されて割高な契約がなされていたというものであります。また六六号は、他省補助金で既に実施した事業がさらに厚生省補助対象とされ、補助金が二重に交付されていたというものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは国立病院等における受託研究に係る経理に関するものであります。  厚生省所掌国立病院国立がんセンター国立循環器病センター及び国立療養所では、製薬会社等からの委託により、医薬品等臨床試験によるその効果及び副作用の研究等が行われてきております。これを治験といっておりますが、この治験は、従来から国立病院等医師等個人受託研究として実施されておりまして、その経費に充てるために製薬会社等から受け入れた現金の受け払いも国の歳入歳出とは別個に経理されておりました。  しかしながら、国立病院等における治験は、本来国の受託研究として取り扱うべきものでありまして、これにより受け入れた受託研究費は国の歳入とし、これに要する経費は国の歳出とすべきであると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、厚生省では、五十七年三月、従来の取扱準則を全面的に改めまして、治験を国の受託研究として取り扱うこととし、これに伴う収入支出を五十七年度予算に計上して、国の歳入歳出とするよう処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十五年度決算検査報告に掲記しましたように、保育所措置費補助金について処置を要求しましたが、これに対する厚生省処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。
  6. 横山利秋

    横山委員長 次に、秋本第五局長
  7. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十六年度医療金融公庫及び環境衛生金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 横山利秋

    横山委員長 次に、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫当局資金計画事業計画についての説明を求めるのでありますが、便宜これを省略し、本日の委員会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――    昭和五十六年度業務概況                医療金融公庫  医療金融公庫昭和五十六年度業務概況について御説明申し上げます。  昭和五十六年度貸付計画額は、貸付契約額千百五億円、貸付資金交付額千八十八億円を予定し、その原資としては、資金運用部資金借入金千二十四億円、貸付回収金のうち六十四億円、計千八十八億円を充てることといたしました。  この計画額に対する実績は、貸付契約額千百五億円余、貸付資金交付額千五十七億四千万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、貸付契約額で三三・四%、貸付資金交付額で一二・〇%の増となりました。  なお、この原資として、資金運用部資金借入金千二十四億円、貸付回収金のうち三十三億四千万円余、計千五十七億四千万円余を充てました。  貸付契約額の内訳は、設備資金千百三億円余、長期運転資金一億九千万円余であります。  また、貸付残高につきましては、前年度末五千五百五十四億七千万円余でありましたが、昭和五十六年度中に千百五億円余の貸し付けを行い、四百六十六億九千万円余を回収いたしましたので、当期末においては、六千百九十二億七千万円余となっております。  なお、貸付金延滞状況につきましては、昭和五十六年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は三千六百六十五万円余であります。’  次に、昭和五十六年度収入支出決算について申し上げますと、収入の部におきましては、収入済み額四百二十六億七千万円余でありましてこれを収入予算額四百四十一億二千万円余に比較いたしますと、十四億五千万円余の減少となりました。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入予定より少なかったためであります。  支出の部におきましては、支出予算現額四百五十二億五千万円余に対し支出済み額は四百三十九億八千万円余でありまして、差し引き十二億七千万円余の差額を生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。一また、昭和五十六年度損益計算につきましては、貸付金利息等の総利益は四百九十一億四千万円余、借入金利息業務委託費等の総損失は四百九十一億四千万円余となりました。この結果利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上で昭和五十六年度業務概況につきましての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ―――――――――――――    昭和五十六年度環境衛生金融公庫業務の    概況  一、環境衛生金融公庫昭和五十六年度概況につきまして御説明申し上げます。  昭和五十六年度貸付計画額は二千九百億円を予定いたしました。  その原資としては、資金運用部資金借入金二千八百七十五億円、貸付回収金等二十五億円、計二千九百億円を充てることといたしました。  これに対しまして、貸付実績は二千三百四十五億円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと七・六%の減となっております。  二、次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和五十五年度末における貸付残高は七千三百六十億七千万円余でありましたが、昭和五十六年度中に二千三百四十五億八千万円余の貸し付けを行い、一千九百六十五億四千万円余を回収いたしましたので、昭和五十六年度末においては七千七百三十九億。一千万円余となっております。  三、次に、貸付金延滞状況について御説明申し上げます。  昭和五十六年度末におきまして延滞後六カ月以上経過したものが百八十八億九千万円余でありまして、このうち一年以上のものは百四十四億二千万円余で総貸付金残高の一。九%となっております。  四、次に、昭和五十六年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和五十六年度における収入済み額は六百八十一億六千万円余・支出済み額は六百七十六億六千万円余となりました。  まず、収入の部におきましては、本年度収入済み額は六百八十一億六千万円余でありまして、これを収入予算額七百二十一億円余に比較いたしますと三十九億三千万円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額七百三十億四千万円余に対し支出済額は六百七十六億六千万円余でありまして、差し引き五十二億八千万円余の差額を生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。  五、最後に、昭和五十六年度における損益について申し述べますと、本年度貸付金利息収入等の総利益は七百六十八億一千万円余、借入金利息事務費業務委託費滞貨償却引当金繰り入れ等の総損失は七百六十八億一千万円余となりました。この結果利益金は生じなかったので、国庫納付はありませんでした。  以上が昭和五十六年度における環境衛生金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  10. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  12. 新村勝雄

    新村(勝)委員 最初に、ただいま報告がありましたように、厚生省に関する会計検査院検査の結果、補助金経理が不当であるというようなこと等の指摘があったわけでありますけれども、これは申し上げるまでもなく、貴重な税金を使うわけでありますから、いやしくもこういう不当あるいは不正が絶対にあってはならないわけでありますけれども、こういうことが起こった原因と、それから今後どういう体制あるいは心構えてこの再発を未然に防ぐという万全の執行をしていかれるのか、その決意について、また方針について、大臣からお伺いしたいと思います。
  13. 増岡博之

    増岡国務大臣 おっしゃるとおり、そのようなことはふだんから厳正に行われなければならない問題だと考えております。  具体的な対策につきましては、会計課長から説明させます。
  14. 黒木武弘

    黒木説明員 御説明いたします。  ただいま会計検査院から指摘を受けました指摘事項につきましては、いずれもそのとおりの事実関係でございますが、その原因につきましては複雑多岐にわたっておりまして、例えば市町村保育料徴収に当たりまして、所得の認定を誤ったために徴収金が不足をしたとか、あるいは社会保険事務所関係保険料徴収に不足を見た等々、いろいろな原因によって生じているわけでございますけれども、それぞれ徴収不足あるいは過大に給付したものについては、適切に返還その他の処置を講じております。指摘を受けました事項につきましては、指摘事項に沿いまして、今後二度とそのようなことがないよう、それぞれのセクションから市町村あるいは各事務所等に適切な指導の通知を発しているところでございます。
  15. 新村勝雄

    新村(勝)委員 大臣から、ひとつ今後のことについての決意を一言。
  16. 増岡博之

    増岡国務大臣 御承知のように厚生省の仕事も複雑多岐でございますだけに、余計私ども以下職員の諸君も、先生のおっしゃる御趣旨に沿って、厳正な態度で臨まなければならないというかたい決意を持って進んでまいりたいと思います。
  17. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に、防衛施設庁見えていますか。――住民の福祉に密接な関係のあることでありますけれども、防衛施設庁の仕事についてお伺いをいたしたいと思います。  一つは、神奈川県の池子弾薬庫跡に米軍の宿舎を建設をするという計画がございまして、これについて施設庁及び政府においてその方向で努力をされているわけでありますけれども、一方、住民の周にはこの問題について非常に大きな不安と、それからこれを中止をしてもらいたいという反対の動きがあったわけであります。そして、たまたま先般この問題に関して、この問題の住民投票ともいうべき市長選挙があったわけであります。そして、その選挙の結果、この建設に反対をする立場の市長が当選をしたということですね。ですから、それはこの問題を住民投票にかけたと同じような結果がそこにあらわれたわけでありまして、住民の意向が、これをつくってもらっては困る、ノーという結果が出たわけであります。この点に関して施設庁ではどう受けとめておられるのか、最初にお伺いをいたします。
  18. 鳥羽浜雄

    ○鳥羽説明員 お答えいたします。  我が国の安全と平和を維持する上で日米安全保障条約は不可欠なものであり、その根幹をなすものでございます。この安全保障条約を維持する上で我が国に駐留いたします米軍の駐留を円滑にさせることがぜひとも必要でございまして、これを確保することはまさに政府の責任であろうかと思います。  このような観点から、横須賀地区におきます極度に不足しておる米軍の住宅問題を解決する必要があるわけでございまして、住宅建設の場所といたしましては、いろいろ検討いたしましたけれども、池子弾薬庫地区以外にはないわけでございまして、環境保全、緑の確保、こういう点について最善の配意をいたしながらこの建設計画を進めたい、こう考えておる次第でございます。
  19. 新村勝雄

    新村(勝)委員 安保条約の可否について論じておるのではございません。住民の意向を踏まえ、住民の意向に基づいて、あるいは国民の総意に基づいて政治をするというのが民主主義でありますから、そういう意味からいって安保条約の可否ではなくて、仮に安保条約の方針に従って施策を進めるにしても、住民の意向を無視するということはできないと思うのですね、民主主義ですから。そういう意味で、住民の意思表示ともいうべき事態に対して、これを最大限に尊重するという気持ちがなければいけないと思うのですけれども、その点はどうですか。
  20. 鳥羽浜雄

    ○鳥羽説明員 過日行われました選挙の結果、過半数の方々が住宅建設に反対の意思表示をされたことにつきましては、私どもの計画の内容、施策について必ずしも十分御理解いただけなかった点があったのではなかろうかと遺憾に思っておる次第でございますが、池子弾薬庫地区、あそこに二百九十万平米ございますが、この中の約六分の五の地域につきましては、緑を確保する、自然保護に当たる、文化財を保護する、こういう観点で計画を進めたいと考えておる次第でございます。
  21. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ですから、住民の意思がはっきりと出ているわけですけれども、この意思を尊重するのかしないのかということです。その点についてです。
  22. 鳥羽浜雄

    ○鳥羽説明員 基地問題の処理に当たりましては、関係の住民の方々の御理解がぜひ必要であるというのは従来から私どものとってきた方針でございますが、先ほど申し上げましたように、一方、私どもは、国の安全と平和につながる米軍の駐留の維持、円滑な確保というものも他方に課せられた使命であろうかと思います。この辺の調和を求めながら努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  23. 新村勝雄

    新村(勝)委員 重ねて申し上げますけれども、安保条約とか国の安全について今議論しておるのではないのですよ。それを確保することは、これは別の問題でありまして、それとこの問題とを直ちに短絡して考えるということは、これはまさに短絡だと思うのです。ですから、少なくとも住民の意向は最大限に尊重するというお考えがあるかどうかですよ。それを伺いたい。
  24. 鳥羽浜雄

    ○鳥羽説明員 近く新しい市長さんが私どもの庁に来られるというお話でございますので、そのお話をよく伺ってまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  25. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に、やはりこれは周辺住民の福祉、平和な生活と関連があるわけでありますけれども、いわゆるNLPの基地の問題でございます。この問題について、防衛施設庁及び防衛庁では、その基地を三宅島に絞って進めるというふうな新聞報道がございますけれども、これは事実ですか。
  26. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 艦載機着陸訓練場の問題につきましては、関東地方及びその周辺地域において円滑に着陸訓練ができる施設を確保したいということで、既存の飛行場についても所要の訓練ができるかどうか、いろいろと調査検討しております。また、飛行場の新設についての適地の調査もいたしております。それから浮体飛行場の問題について資料の収集等を行っておるわけでございますが、今のところ具体的な解決の見通しを得ていないという状況であります。こういう状況から、一部新聞で報道されておるような三宅島に候補を絞ったというようなことではございません。  また一方、三宅島は厚木の飛行場から比較的に近くて、島嶼部のために比較的平たんなところに滑走路を建設することができます、それから旋回コースを海上に設定することもできますので、立地条件としては適しております。そこで、候補地の一つとして今後とも慎重に検討してまいりたい、かように思っておるのが実情でございます。
  27. 新村勝雄

    新村(勝)委員 防衛施設庁では、過去二年ですか、三年ですか、調査費を計上して、この問題の解決に努力をされておるということは承知をしておるわけであります。今のお話によりますと、三宅島は候補地の一つである、ただ候補地の一つであるけれども、そのうちでも有力だというような印象を受けたわけであります。一説によりますと、三宅島では晩に用地買収が進められているというようなことも言われておりますけれども、これは事実でしょうか。
  28. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 そのような事実は全くございません。
  29. 新村勝雄

    新村(勝)委員 また、住民対策もかなり進められているということも言われておりますが、それはどの程度に進められているのか。先般、これもやはり村長選挙がありましたけれども、村長選挙の前から防衛庁は三宅島の現地に入って、住民に説得工作を開始をしている、こういうことも伝えられておりますけれども、それはどの程度までおやりになったのですか。
  30. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 三宅島につきまして特段の工作を進めておるということはございません。
  31. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ここにこういう印刷物があるのです。東京防衛施設局ということで、艦載機着陸訓練場の説明と、それからこれができた場合には、それに伴って一般の島民の福祉に役立つような施設もつくります、あるいは産業に役立つ施設もつくりますというような説明をした文書が出ておるわけでありますけれども、これはどういう範囲にお配りになったのか、また、どういう目的でお配りになったか、これを伺いたいと思います。
  32. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 昨年四月に東京防衛施設局長が三宅島に参りました際に、住民の方々あるいは村当局等に説明をしたいと思いまして持ってまいりました資料がございますが、一部の方々に見せましたけれども、村当局あるいは住民の方々の方で説明は聞かないということでございますので、それ以来特段の説明等の工作は進めておりません。
  33. 新村勝雄

    新村(勝)委員 局長が島においでになったということであれば、突然おいでになったわけじゃないでしょうから、その前に島に対する連絡あるいは交渉、そういったものも当然あったでありましょうし、行かれたときの状況はどうであったのか、それをもう少し詳しく伺いたいわけです。  それからこういう文書が出回っておるわけですね。出回っておるというか配布をされておるわけでありますから、ある程度の折衝なり交渉の経過があったんだろうと思いますけれども、それをもう少し詳しく伺いたい。
  34. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 当時東京防衛施設局長は村長へのごあいさつも兼ねまして、この問題についての説明もいたしたいということで参ったわけでございますが、今申し上げたような事情で、それ以上特段のことはいたしておらないというのが実情であります。
  35. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、こういう文書、印刷物は施設庁の方で住民に配布をされたのですか。それともこれは別のルートから流布したということはないのでしょうね。
  36. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 先ほども申し上げましたように、昨年の四月に東京防衛施設局長が参りました際に一部の方々にお見せしたわけでありますが、それ以外に配布したりしたようなことはございません。
  37. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、島ではその後この飛行場設置については納得しがたいという空気が広がっておるというふうに聞いておりますが、そういう状況の中で村長選挙が先日あったわけです。この選挙の結果から見ても、村民の意向としては受け入れがたいという方向に進んでいると思うのですけれども、この選挙の結果をどうお考えですか。
  38. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 私どもが承知しておるところでは、今回の村長選挙にはこの訓練場問題の反対の立場の方々が立候補されて、そのうちの一人が当選されたというように聞いております。先ほども申し上げましたように、三宅島についてはNLPの代替訓練場の候補の一つとして考えておりますが、今のところ三宅恥に候補を絞り込んだということではございませんので、今回の村長選挙の結果につきまして、私どもから特段申し上げることはございません。
  39. 新村勝雄

    新村(勝)委員 申し上げることはないというお話ですけれども、この選挙の結果をやはり施設庁さんとしては何らかの意味で評価をして、それに基づいて今後進まなければいけないと思うのですが、そういう意味での選挙に対する見方といいますか、選挙をどう評価されるのかということなんですけれども、その点ひとつ。
  40. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 村長選挙におきまして反対派の方々が候補に立たれて、その中の一人が当選されたということにつきましては、私どもはそれなりの受けとめ方をいたしたいと思っております。
  41. 新村勝雄

    新村(勝)委員 NLPの基地については当局が努力をされておるようでありますけれども、周辺飛行場の所在地では、いずれもこれが決められては大変困るということで心配をしておるわけであります。防衛施設庁がお考えになっておる飛行場は複数、首都圏内に幾つかあるわけでありますけれども、その中でも特に都市化をしておる、周辺に多数の人たちが住んでおる基地については、どうしてもそこを選んでもらっては困るという広範な住民運動が広がっておるわけであります。例えば下総基地の周辺、これはその候補地のうちでも特に人口が多い飛行場でありますけれども、これらについても住民が絶対反対の立場で要請を続けておるわけであります。しかし、一方、米軍からは強い要請があるということで、新しい基地なりあるいは施設なりが仮に決まったにしても、暫定使用というものはあり得るのだというふうに伺っておりますけれども、これは下総基地等についての暫定使用があり得るのかどうか、それを伺いたいと思います。
  42. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 現在関東地方及びその周辺の既存の飛行場につきまして艦載機の着陸訓練ができるかどうかの調査検討をいたしておりますが、下総飛行場もその関東地方及びその周辺地区にあります飛行場の一つでございます。本件については解決の見通しがまだ立っておりませんが、新しい飛行場をつくるとした場合に、その飛行場ができ上がるには数年以上はかかりますので、その間やはり既存の飛行場についての調査検討、これは続けていかなければならないというように考えております。
  43. 新村勝雄

    新村(勝)委員 すでにこの問題が日程に上って、正式に調査を開始されたのは五十七年の終わりですか、ですから国費を使って調査を始めたのはもう五十八年、九年と二年にわたっているわけですね。二年閥にわたって国費を使って調査をされたわけでありますけれども、その間の調査の内容と、その二年間にわたる調査の経過と、それから中間約な状況把握はどういうことになっておりますか。
  44. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 艦載機着陸訓練場の問題につきましては、関東地方及びその周辺地域において円滑に着陸訓練が実施できる施設を確保すべく、一つは、既存の飛行場について所要の訓練ができるかどうかの調査、二つ目は、飛行場の新設について適地の調査、三つ目は、浮体飛行場について資料の収集を行ってきております。現時点では具体的な解決の見通しを得ておりませんが、しかしながら、今後とも引き続き所要の調査検討を進める必要がございますので、できるだけ早く本問題の解決を図るためにこれを進めてまいりたいというように考えております。  なお、個々の調査の具体的内容につきましては、事柄の性質上答弁を御容赦いただきたいと思います。
  45. 新村勝雄

    新村(勝)委員 二年間の調査の結果がまだ全く報告の段階ではないということのようですけれども、それではいつをめどにして結論を出すのか。場所の選定、最終的にどこを使用するのか、あるいは使用しないというような結論を、これは早晩出さざるを得ないと思うのですけれども、そのめどをいつにお考えになっているわけですか。
  46. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 本件は米側にとりましても、あるいは厚木飛行場周辺の住民の方々にとりましても、できるだけ早く解決を要する問題でございます。何分いろいろと難しい点がございますので、鋭意調査検討を進めておりますが、今のところいつまでという見通しは立っておりませんし、また、いつまでという期限を切って進めておるわけではございません。
  47. 新村勝雄

    新村(勝)委員 先ほどのお話で、仮に最終的に結論が出ても、そこを使うまでの間の暫定的な使用については、またそれと並行して考えなければいけないというお話だったと思いますけれども、そういうことでいいのですか。
  48. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 そのとおりでございます。
  49. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、暫定使用をしなければいけない。それは現在厚木でやっておりますけれども、厚木のほかにどこかに暫定使用の場所をその段階で探さなければいけない、こういうことですか。
  50. 近藤孝治

    近藤(孝)説明員 厚木飛行場のほかにも訓練ができる施設を見つけなければならないということでございます。
  51. 新村勝雄

    新村(勝)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、この問題はやはり先ほどの池子の住宅問題と同じで、我々安保問題を論議しているのではないのでありまして、その要請に基づいてやるにしても、安保条約とか国防の要請に基づいてやるにしても、住民の意思は最大限に尊重してもらいたい、これが民主主義だ、そういうことを申し上げておるわけであります。したがって、厚生大臣、所管ではないと思いますけれども、我々は安保条約云々ではないのですからね。少なくとも住民の明確に表明された意思については最大限に尊重をする、こういうことをひとつ政治の基本に置いていただきたい。池子の問題にしてもあるいはNLPの基地の問題にしても、これを原則にして、これを踏まえてやっていただきたいということを強く申し上げておるわけでありますから、その点をひとつ、あくまで民主主義の原則は貫いていただきたいということを強く要請を申し上げて、終わりたいと思います。
  52. 横山利秋

    横山委員長 井上一成君。
  53. 井上一成

    井上(一)委員 冒頭に私は外務省に確認をしておきたいと思うのですが、南アフリカのアパルトヘイト政策、この問題については我が国は国連非難決議を支持し、かつその対応を十分にとっていると思うのですが、念のために外務省にその姿勢をまず確認をしておきます。
  54. 久米邦貞

    ○久米説明員 政府といたしましては、従来より南アのアパルトヘイトに反対するという立場を貫いてきておりまして、これは国連総会におきましても、また二国間の関係におきましても大使館の設置を見合わせる等、あるいは経済面においても投資活動を制限する、あるいは四十九年以降は特に文化、スポーツ交流を制限するという方針をとっておりまして、この方針につきましては現在も変わりございません。
  55. 井上一成

    井上(一)委員 国会では、外務省は、いつもそういうふうに非常にシビアに国連決議を遵守し、かつ南アに対して適切な対応をしているということでありますけれども、国内においてもそれを徹底して、いわゆるアパルトヘイト政策に対する我が国の対応は正しくされているのかということを私はここで聞きたいわけです。  それで、先日、プロゴルファーの青木選手の問題もありましたけれども、きょうは、南アから血漿製剤が輸入されているという、このことは外務省は御承知なんでしょうか。
  56. 久米邦貞

    ○久米説明員 南アからの血漿製剤の輸入につきましては、南ア総領事館にも照会を出して我々としても調査をいたしてまいりましたけれども、南アの総領事館では、現在のところは輸入の事実をまだ確認しておりません。他方、国内では厚生省を通じまして調査を御依頼してございますので、そちらの方の結果につきましては、厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
  57. 井上一成

    井上(一)委員 大蔵の通関統計に既に三月から九月までに八百二十キログラム、これが南アから輸入されているわけなんですよ。総領事館に云々というような、出先に聞かなくたってちゃんと大蔵にデータが整備されているわけなんです。こういう事実に対して外務省は通産なりあるいは厚生省なりにどういう相談、あるいはどういう対応、どういう指示を含めて合議、相談をされたのか。あなたは、今聞いているのだと、数字は出ていますよ、数字を聞いているのです。通産には何らかの指示をしたのですか。厚生省に何らかの問い合わせを外務省はしたのですか。どうなんですか。
  58. 横山利秋

    横山委員長 久米君、答弁しますか。
  59. 久米邦貞

    ○久米説明員 ただいまおっしゃいました通関統計の数字については、我々としても承知しております。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 それに対してどうなさったのか。そういう通関統計を承知しているのだ、南アに対する政策は、いわゆる国連中心主義である我が国の外交指針の一つの大きな柱を遵守して、アパルトヘイト政策、南アの人種隔離政策に対してはやはり徹底して我が国の国連における行動、決議を守ってきているわけなんですよ。外向きに対してはいい格好しているけれども、国内に対してはそれが十分徹底されていない、私はそう受けとめざるを得ない。そのことについてどうなんですか。
  61. 久米邦貞

    ○久米説明員 この血液の輸入の問題は、我々としては一般貿易の問題として考えておりまして、従来制限してまいりました投資の範疇には入らないものでございますから、一般の貿易の問題として考えております。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 あなた、何を言っているのですか。南ア全体に対する我が国の対応をきっちりとすべきだということで、きっちりしてきているわけなんだ。これはいい、これは悪い、これは貿易の対象だ、これは制限の対象だと区別ができるのですか。本当にそういうことが南アのアパルトヘイト政策に対して我が国のとるべき対応なんですか。外務省はそうなんですか。それでは、どれとどれとがよくて、どれとどれとが悪いのだ。それが国連での非難決議の精神にのっとると理解をしているのか。
  63. 久米邦貞

    ○久米説明員 南アからの血液の輸入の問題でございますけれども、我々が総領事館を通じて調査いたしましたところでは、南アでは献血制度というのがございますけれども、売血の制度というのは禁止されておりまして、献血に基づいて集めた血液についても、これをその対価を支払って買血するということは禁止されておりまして、南アにつきましては、我々の調査した限りにおきましては、全く公共の福祉のために使われておる、買血の結果営利回内に集められたものではないというふうに承知しております。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 あなた、何を言っているのですか。今、南アフリカ政府のとっている黒人差別の姿勢は国連において非難されているのですよ。そういうところからも血を買わなければいけない、あるいはそういうところに対しての交流、貿易というものは戒めなければいけない、そういう姿勢こそアパルトヘイト政策に対する正しい対応だと私は思っているわけです。ところが、国内での南アに対する徹底した対応姿勢が明確でないから、今度のプロゴルファーの問題にしても起こるのだと私は思うのです。そういうことについては、通産、厚生、文部、あらゆる関係省庁に、南アのいわゆるアパルトヘイト政策に対する国連非難決議、この精神、この決議を遵守すべききっちりとした対応を外務省がとるべきである、私はそう思っているのです。
  65. 久米邦貞

    ○久米説明員 先ほど申し上げましたとおり、政府といたしましては南アのアパルトヘイト政策には断固反対するという立場をとっておりまして、その見地から南アとの外交関係をまだ設定しておりませんし、経済面につきましても投資活動を制限するという立場を従来からとってきております。ただし、貿易に関しましては貿易立国としての日本の立場からこれを特に制限しないというのが従来からの政府の立場でございまして、当面この従来の政策を変更する考え方はございません。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 貿易と人血――人血は臓器だ、それをただ商品という認識であなたは受けとめられるのですか。
  67. 久米邦貞

    ○久米説明員 この血液の問題も貿易の問題の一つとして考えております。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 私の聞いておるのは人血、いわゆる血は臓器だ、商品的な認識で、貿易ですから南アであろうがどこであろうがいいのですという認識、これは外務省というか政府がそういう見解をとっているのですか。外務省はそういう見解で政府に、いわゆる厚生省にそういう認識を伝えているのですか。
  69. 久米邦貞

    ○久米説明員 ただいま御指摘のあった南アから輸入しておりますのは血液成分剤でございまして、血液そのものではないというふうに我々も了解しております。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 私は、あなた自身が南アのアパルトヘイト政策に対するきっちりとした哲学を持っていらっしゃらないと思う。そして個々の南アからの血漿製剤の輸入に入る前に、今私は外務省が南アに対する対応姿勢が十分でない、不十分であるということを指摘して、それの自覚を促そうとしているわけだ。プロゴルファーの青木選手の問題もそうであるし、だから今言ったようにこういうことが、南アから血漿製剤を輸入し、あるいは貿易はその範疇に入ってないんだということが逆にアパルトヘイト政策をなし崩し的に少しずつでも認める結果になるのではないか、そのことがより大きな問題だと私は思っているのです。だから、後で血液血漿の問題については厚生省に聞くから、外務省は南アのアパルトヘイト政策に対しての正しい認識を表明してほしい。そして、それは各省庁に外務省の正しい認識を徹底していく。南アからの血漿輸入、人血輸入はどんな形であろうとも慎むべきだ、好ましくない。医療のいろいろな面から需要の増加は部分的に認めなければいけないということは私は理解しますよ。しかし、南アからの血漿製剤の輸入については、どうしても外務省はきっちりと厚生省と整理をして対応しなければ、いやこれは貿易だからそれでいいのですということが本当に外務省の統一した見解なのかどうか、あなたが答えられなければだれか答えられる人を出しなさい。それから厚生省に聞きます。
  71. 久米邦貞

    ○久米説明員 血漿製剤の輸入問題につきましては、先ほども申しましたとおり、まだ事実関係等についてもなお調査中の部分がございます。この調査結果が全部出そろった上で厚生省とも相談した上で最終的な考え方は出すつもりでございますけれども、今まで私が申し上げたことはとりあえずの考え方でございます。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 私の質問に対して答弁が調査中というのは、もう既に通関の統計も出ていることであり、それを認めていることでありますから、ここで私は持ち時間はそうないわけだから、きっちりとした見解をお示しいただきたい。そうでないと私の質問ができません。委員長の御指示をお願いしたいと思います。
  73. 横山利秋

    横山委員長 久米君にお伺いしますが、いろいろ何回も御答弁なさったのですが、外務省としてのこの問題についての基本的な考えを簡潔にもう一度言ってください。
  74. 久米邦貞

    ○久米説明員 繰り返しになりますけれども、アパルトヘイトの問題についての政府の考え方は、これに断固反対するという対応を貫くということでございます。それから、それを踏まえてのそれぞれの分野での方針は、先ほどから申し上げましたとおり、投資活動についてはこれを制限する、一般の貿易活動は日本の貿易立国としての立場から特にこれは制限をしない、外交関係については総領事館は置くけれども大使館は設置しない、文化、スポーツ交流についてはこれを制限するというのが従来からの方針でございます。
  75. 横山利秋

    横山委員長 先ほど調査後考える、とりあえずの答弁とするとおっしゃったことは、調査後というのはいつごろその結論がつくのですか。
  76. 久米邦貞

    ○久米説明員 先ほど申し上げましたとおり、確かに輸入の事実は通関統計に載っておることは承知しておりますけれども、南アでの制度、それについてとりあえずわかったことは、南アには売血制度はそもそもない、献血制度に基づいて主として白人の献血によって南アの法律に基づいてこの血漿剤が作製されているということのようでございまして、ここのところは今なお確認中でございます。
  77. 井上一成

    井上(一)委員 ようでございますとか、これは答弁になっておらぬわけです。白人の血でございます、あなたはわかっているのですか、確認をしたのですか。統計にも出ているそういう数字を私は申し上げた。それじゃ、血漿については外務省は一般貿易だという認識で受けとめているのか、そのことが前段のアパルトヘイト政策に対する基本的な姿勢と相矛盾しないか、あるいは国際的にそのことが大変な問題に発展しないか、そういうことについての外務省の見解、さらにもう一点、青木選手の南アでのトーナメント出場について外務省はどういう認識を持ってどういう指導をしたのか、どんな対応をしたのか、このことについても聞いておきたいと思います。
  78. 久米邦貞

    ○久米説明員 この血漿剤の輸入の問題については、我々としては一般貿易の範疇に入るものだと考えております。ただ、このアパルトヘイトとの関係につきましては、今申し上げましたとおり、現在判明したところでは、これは南アの献血制度に基づくものであって、日本の新聞に報道されているような黒人の貧困から来る売血をもとにしてそれを営利目的で血漿剤を製造して輸出しているということではないということが判明しております。  青木選手のゴルフ大会への参加につきましては、これは政府が四十九年以来とっておりますスポーツ、文化面での南アとの交流を制限するという方針に反するものでございまして、この点については四十九年この政策を導入いたしましたときに、外務省の文化事業部長からこの方針を文部省の体育局長及び各体育協会、それから日本プロゴルフ協会に対しても政府の方針を正式に書簡をもって通達しておりまして、その後こういう動きがある都度政府から関係団体に対して日本からの南アでのスポーツ大会への参加をディスガレージするようなアクションをとっておりまして、今回の青木選手のサンシティーでのゴルフ大会への参加につきましても、もう既に七月の段階で外務省の中近東アフリカ局アフリカ二課長より、青木選手のマネージャーに対して、従来の申し入れを繰り返して今回についても政府の考え方を説明するとともに、できるだけこれに沿った行動をするように要請をしております。さらに、十月十五日には中近東アフリカ局のアフリカ二課長から青木選手本人に対しても直接政府の立場を説明してございます。
  79. 井上一成

    井上(一)委員 繰り返しますが、では青木選手については、その南アに対するトーナメント出場は認めないという外務省のお考えですね。
  80. 久米邦貞

    ○久米説明員 四十九年以来政府がとっておりますこの南アとのスポーツ、文化交流の制限の政策を確保します手段といたしましては、南アから日本へ選手その他の人物がやってまいります場合には、これはビザを発給しないということで法的な措置をとり得る状況にございますけれども、日本側から南アへ参る場合には、これを制限し得る法的な基礎というのはございませんけれども、今市し上げましたとおり、外務省から政府の方針を関係者に説明して、これに従ってやめていただきたいという要請をしております。
  81. 井上一成

    井上(一)委員 時間がありませんので、これは委員長に申し上げて恐縮ですが、答弁が非常に不明確な点がたくさんあった。今の青木選手の問題も、向こうからのスポーツ選手の入園についてはビザを出さない、しかし、こちらについてはただ外務省の意向を関係者に伝えるだけだ、もうはっきりと、外務省としてはアパルトヘイト政策の対応政策として文化交流、スポーツ交流は認めないという、そういう方向の中で青木選手の南アへのトーナメント参加は好ましくないんだ、申し入れをしたという答弁ですが、外務省のきっちりとした主体的な判断を私は一言聞きたかったわけです。だから、好ましくない、認めたくない、認めないんだと、法律的にどうのこうのということを聞いておるのじゃないのです。外務省の見解をひとつもう二度重ねて聞いておきます。  それから厚生大臣に、南アに対する政策、血漿の間脳ですが、私は貿易という中での取り組みというのは大変問題になると思う。きょうは前段で外務省の見解を聞いたわけですけれども、外務省の認識は非常に間違っているし、これはどこかの委員会で指摘をしますが、厚生大臣として、南アからのその血の輸入という、このことは厳に慎まなければ我が国は国際間で誤解を招く。いやその血が献血制度の中で云々だとか、そういうことでなく、南アと我が国との対応というものは毅然とした対応をとるべきである。特に血液血漿製剤の輸入については所管の大臣として厳しい行政指導がなされるべきであるし、そうあってほしいと僕は強く要望をしたいわけです。この点について最後に一言お答えをいただきたい。  その前に、外務省の青木選手に対する今の答弁では私としてはまだなかなか納得できないのだけれども、もう少しはっきりと、参加することを外務省としては認めたくないという考えと、結果はどうのこうのというのはこれからの問題ですから、本人の意思ということもあるでしょうから。しかし外務省としては認めたくないんだ。答弁を強制しませんよ。強制しないけれども、きちっとしておかないと、これは後にいろいろな問題が残りますよ。きょうだけの問題ではありません。私はもう時間が五分超過しているから、それはきっちりと答えなさいよ。私の考えをあなたに押しつけようとしないというのですよ。私は認めるべきでないと言っているのだ。外務省が主体的な答弁をしなさい。
  82. 久米邦貞

    ○久米説明員 外務省としては、スポーツ交流制限の政策に基づいて、日本人が南アのスポーツ大会に参加することを、好ましくないということでこれを認めない方針でございます。
  83. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいま御質疑の中で貿易について制限しないということでございましたけれども、ただ普通の物資と違いますので、血漿という特別な特性というものも考えなければならぬということであろうと思いますので、御趣旨を踏まえまして、外務省初め各省と鋭意協議をしてまいりたいと思います。
  84. 井上一成

    井上(一)委員 残余の質問は、私はきょうはもう時間がありませんからやめます。厚生大臣の今の、やはり普通の貿易ではないんだ、そういう認識に厚生省は立っているわけです。外務背は例ですか。これは続けてやりますから、南アの問題。南アに対するきっちりとした政策を外務省が徹底しなければ、日本は本当に世界から孤立しますよ。僕はあなたにこんなえらい失敬なことを言ったら悪いんだけれども、この問題は次の機会に譲ります。私は納得ができない。外務省の今の南アに対する血漿輸入に対する認識は大きな間違いである、そのことを警鐘を鳴らして私の質問を終えます。
  85. 横山利秋

    横山委員長 河野正君。
  86. 河野正

    ○河野(正)委員 この夏健康保険法が成立いたしまして、その際に非常にいろいろな問題があったのでございますが、一つは政管健保に対しましての組合健保、組合健保はもとよりずっと黒字指向であったわけですが、日雇いは別でございますけれども、五十五年まで赤字であった政管健保も五十六年以降は黒字に転換をする。健康保険の財政が実は上向いてきた。好転をしてきた。なるほど一方では、総医療費が年間一兆ぐらいふえていく。十四兆円であるとか十四兆八千億であるとか言われております。しかし、総医療費が年々歳々伸びてくるといたしましても、健康保険の財政というものが黒字指向になってきた、そういう中でなぜ一割負担を強いなければならぬのだろうかという一つの疑問があったわけであります。  そこで、それらを中心として、就任早々でございますけれども、厚生大臣にいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思います。  その一つは、今度の一割負担、将来は二割ということのようでございますが、そのことによって恐らく健康保険の財政というものはだんだんよくなっていくだろう、そういうような観測が当然出てくるわけです。そういう点を考えて、今度成立いたしました健康保険法の趣旨というものは果たして妥当であったろうかというようなことを考えるわけです。そういう意味で、政管健保の場合は五十七年まで厚生白書でも六百十一億の黒字である。組合の方は五十七年は出ておりませんが、五十八年は一体どういう状況であるのか。これは厚生白書でも明らかでございませんから、その数字をひとつお示しいただきたい、こう思います。
  87. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 五十八年度の政府管掌健康保険の財政状況を御説明申し上げます。  収入が三兆五千二百十二億円でございまして、一方、支出は三兆四千六百七億円でございます。したがいまして、五十八年度差し引き六百五億円の黒字という結果になっております。
  88. 河野正

    ○河野(正)委員 そこで、そういう状況を踏まえて、今度の健保法改正をなさった、こういうことが妥当であったかなかったかということは、そういう数字から見てまいりましても、私は残念ながら妥当ではなかったのではないかという結論を出さざるを得ないと思うのでございます。  そこで、時間もないことですから、十月から実施されまして、そして今診療報酬が支払基金でそれぞれ審査中でございますから、恐らく政府としても的確な数字というものは把握されておらぬと思います。ただ、山口、九州で約一万人の開業医がこれに対してそれぞれ実態を集計してその状況を明らかにいたしておるわけです。大体あの健保の審議の中では、一割負担でもそう受診率は落ちませんと言ったが、残念ながら、私どもの承知しておる統計によりますると、受診率が約一割落ち込んだ。これは一部負担が出てきたわけですから、大体常識的にも受診率が落ち込むだろうというようなことは容易に察知されるわけでございますが、政府は必ずしもそういうような答弁はなさらなかった。  それからもう一つは、医療の中でも検査ですね、こういうものは大体三割ぐらい落ち込んでおる。一万人のアンケートを見ますと、そういう状況が出てまいっておるわけです。そういうことを考えてまいりますと、医業に対して非常に大きな経営上の圧迫をすることは当然でございますが、同時に、やはりそれだけ受診率が落ちた、患者の受診の自由というものがそれだけ抑制をされたということになろうと思うのです。しかも、よくマスコミは検査づけとか薬づけとか言いますけれども、今の新しい医学の中では、やはりそういう方向なんですね。ところが、そういう方向であるのが現実の医学の実態であるけれども、そういう検査につきましては、今申し上げますように三割も落ち込んだ、そういう状況にあるわけです。大臣は今度新しく就任されたわけですから余り先入主はなかろうと思うのですが、今申し上げますような実情の中から、国民の健康を守っていく健康保険法というものが果たしてそれでよろしいのか、これは患者の場合あるいは医業経常の場合、そういう二つの問題があると思いますけれども、そういった問題を踏まえてどういう御見解をお持ちであるのか、これは御見解ですから、ひとつ大臣の方からお示しをいただきたい、こう思います。
  89. 増岡博之

    増岡国務大臣 まだ御指摘のように一割負担分の結果ははっきり出ていないのでございまして、それに基づいての発言ではございませんけれども、私は、医療を預かる現場の医療機関が健全経営でなければならぬということはかねがね考えておるところでありますし、また中医協におかれましても、診療報酬の合理化について従来からずっと御協議をいただいておるわけでございますので、この間の中医協の会合でもそのことをお願い申し上げてまいったのでございます。
  90. 河野正

    ○河野(正)委員 そこで、あるいはささいなことにわたるかもわかりませんが、財政上の問題もそうでございますけれども、例えば今度の健康保険法の改正の大きな特徴というものは、自己負担を導入した、こういうことです。そしてこの一部負担のいわゆる少額医療費、こういった問題がいろいろと議論になったところですが、一つは定額ですね、千五百円まで百円、二千五百円まで二百円、三千五百円までが三百円の定額、定率は御承知のように一割、こういう二つの選択の自由が与えられた。それで、これは大体やってみると収益的には関係が薄い。金の面では関係が薄い。しかし窓口は大変ですね、どっちを選ぶかという二つの方法があるわけですから。それから同じ医業経営者の中でも、例えば八百円の一割は八十円ですね。ところが今度の定額でありますと、百円でしょう。片一方の医療機関では八十円だけれども片一方の医療機関では百円、こういう矛盾が出ておるわけですね。ですから、これは患者さんの方にも混乱がある。これは医療の窓口でも混乱がある。こういうつまらぬことをやられた厚生省には、患者さんの場合にもあるいはまた医療機関の場合にも非情に迷惑をこうむっておる。今申し上げますように、これはわかりましょう。ですから、それぞれ各地域ごとに統一したところもありますよ。我々のグループはひとつ定額でいこうや、我々のグループはひとつ定率でいこうや、選択は自由ですから、それはありますけれども、今申し上げましたように、いろいろな矛盾というものが出てきておる。こういった点についてどういうふうにお考えになっておるのか。とにかく受診率が落ち込む、検査も落ち込む、そして窓口が混乱する、このようで果たして健康保険法の改正というものがよかったのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  91. 幸田正孝

    ○幸田説明員 先般の健康保険の改正につきまして、本人の自己負担分が、国会の御修正によりまして、政府原案の定率に加えまして、少額の場合の定額制が医療機関の選択によってできるというふうになりましたことは今御指摘のとおりでございますが、十月からこれが実施をされました結果を見ますと、少額三千五百円以下の三段階の定額制を申請をいたしましたのは、普通の病院、診療所合わせまして全体の一・四%でございます。したがいまして、残りの九八・六%近くの病院、診療所は全部定率を採用しているということでございまして、御指摘のとおり、実際の、医療の現場におきましては今のような問題がないわけではございませんけれども、大部分の病院、診療所では定率制ということの実情になっている、こういうことでございます。
  92. 河野正

    ○河野(正)委員 私が言っておるのは、そういう現状に対して御見解を伺っているのじゃないのですね。患者の場合も医療機関の場合も大変迷惑をこうむっておる現実というものを一体どういうふうにお考えになっておるのか、こういうお尋ねをしておるわけですから、そういう意味でお答えを願いたい。
  93. 幸田正孝

    ○幸田説明員 私どもといたしましては、今申し上げましたような現状でございますので、全体的にはやむを得ないのではないか。医療機関の事務という問題はございますけれども、全体的に定率の負担を導入されているということでございまして、私ども、改正の結果こういうことになっているのはやむを得ないものではないか、こういう認識でございます。
  94. 河野正

    ○河野(正)委員 やむを得ないということではなくて、御承知のように法律そのものは定率なんですよ。一割負担なんですよ。それが、どこでどういうふうになったかわからぬけれども、当時私ど社労でいろいろ審議に参加しましたが、いつの間にかそういうような一つの方法がとられるようになった、これが実情ですね。結果的には、今申し上げましたように、窓口で大変混乱が起こっている。これは私は別に開業医の味方をして言っているのじゃない。患者さんの方でも混乱しているわけですね。あそこへ行ったら一割ならば八百円の場合八十円、こちらへ行ったら定額でいけば百円取られる、そういう矛盾というものが出てきておるわけですから。その矛盾というものはあえて厚生省がつくっておるのですよ。法律は一割ですからね。これは原則ですよ、一割。そういう混乱の原因厚生省があえてつくっているわけですよ。それについてどうお考えになっているかということです。
  95. 幸田正孝

    ○幸田説明員 重ねての御質問でございますけれども、私ども、政府原案は定率の一割負担ということでお願いをいたしたわけでございますが、医療機関の事務の便宜というような面も御勘案の上で、特に少額のものにつきましては定額制をとる道も開くという修正になったわけでございまして、私どもとして、先生のおっしゃいますように、確かに、ある病院では百円だけれども、ある病院では八十円という問題が出てくる場面がないわけではないと思いますけれども、現状において私ども、この問題について特に国民の方から非常におかしいという御批判は少なくともいただいていない、私はこう考えている次第でございます。
  96. 河野正

    ○河野(正)委員 あなたがそういう御答弁をするなら、私どもも開き直りますよ。そういう現状があるから、その現状に対してどういう御見解を持っていらっしゃるかと言っている。国民の中から批判がないと言っても、私どものところへたくさん批判が来ておるわけですよ。私どもは、そういった国民の立場に立って徹底的に追及しますよ、大臣。そういう声があることは常識的にわかるでしょう。同じことをやって、一例ですけれども、片や八十円、片や今まで申し上げますように百円、こういうことが現実にあるわけでしょう。あるから、私はここで、そういう窓口が混乱することについてはいかがですか、こういう問い方をしておるわけです。それを、そういう批判はありません。あなた、そういう断定する権限がどこにありますか。それはけしからぬですよ、あなたは。修正しなさい。
  97. 幸田正孝

    ○幸田説明員 私の表現が的確でございませんで、おわびをいたしますが、私どもとしましては、こういった格好で健康保険法の実施に入っているわけでございまして、大部分の病院が定率、一部の病院が定額ということで、確かにおっしゃるような問題がないわけではございませんけれども、御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  98. 河野正

    ○河野(正)委員 いいことはいいこと、悪いことは悪いこと、それはやはり実際に実行してみなければわかりませんよね。実行した上で、こういう欠陥がある、窓口が混乱しているということがあるならば、それを厚生省としても十分調査をして、そしてそういう状況に対してどう対応するのか、これが政治じゃないでしょうか、大臣。今申し上げますように、こういう問題があるということを私はあえて指摘しているわけですよ。それをとにかく自分勝手に、独断的に独善的に、そういう声はありませんよ、こういう厚生省の姿勢については、これは問題がありますよ。政治はそういうものじゃないと思うのですね。もしそういう欠陥が一部でも出てきたならば、その欠陥に対してどう対応するのか、どう改善するのか、そういう検討をなさるのが厚生省の務めじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  99. 増岡博之

    増岡国務大臣 先生御指摘のとおり、一割負担が原則でございます。ただ便宜上定額ということもつけ加わったわけでありますから、私としては、やはり原則が守られるべきではないかというふうに思います。  なお、今後医療機関の方々の意見もお聞きいたしまして、判断をしてまいりたいと思います。
  100. 河野正

    ○河野(正)委員 私は、今の大臣のお答えが一番常識だと思うのですよ。私はそれが政治だと思うのです。行政だと思うのですよ。とにかく一部だからそういう意見は勝手ほうだい、こうおっしゃるけれども、原則的には一割なんですよ。定率なんですよ。だから、私はあえてこの問題をそういうふうに指摘をするわけですよ。その一割というのが法律で原則でなければいいけれども、それをゆがめたために窓口でそういう混乱が起こっているわけですから、それに対して当然厚生省として再検討の必要があるのではなかろうか、そういう意味でお尋ねしたわけですけれども、余り時間もございませんから、先に移ります。  そこで、この健保法の改正によって受診率が低下をする。それは医業経営についていろいろありますね。不祥事件がたくさん出て、いろいろあります。ですけれども、それは一握りの悪徳医師であって、大部分にしてみれば、やはりまじめに医業経営を営んでいらっしゃると思うのですよ。  そこで、民間信用調査機関におきましても、ことしは医業の倒産というものがかなりふえるだろう、これは私どもが言っているのじゃない、民間の信用調査機関がそういうデータを出しているわけですね。ですから、やはり前大臣、渡部大臣のときにも申し上げたわけですが、それは不正とかそういう問題に対して厳しくやらなければならぬことはそのとおりです。国民の税金でやるわけですから、国民の保険料でやるわけですから。ですから、まじめに経営をする、そういう方々に対しては健全経営ができるような手だてを大臣がなさる。信賞必罰という言葉がございますが、悪いものは悪いもの、いいものに対しては健全な医薬というものが営まれるような処置をなさることが大臣の任務ではなかろうか。健全な医業ができなければ医療の内容につきましても、いろいろ問題があると思う。健全経営の上に健全な医療というものが成り立つと私は思うのです。  そういう意味で渡部前厚生大臣からもそういう見解を承ってまいりましたが、そういった意味もあろうと思いますが、大臣はこの十九日、中医協におきまして所信の表明があったようでございます。その中身についていろいろ議論もあるようですが、十月二十五日に同じく中医協の総会で診療担当者側が、医療経営が非常に厳しくなった、そしてまたこの十月の改正以降、これは、さっき大臣からおっしゃったように、まだ的確な数字が出ておるわけじゃないわけですから、なかなか判断にはいろいろ微妙な点もあろうと思いますが、私どもの承知しておる範囲では、先ほど申し上げましたように、受診率の低下それから検査その他が非常に圧迫を受けているというような状況等もございます。  そして御承知のように、この中医協で議論されておる中身というものは医療体系の検討ですけれども、実際には物件費が年々歳々高騰いたしますね、そういうことでその分は当然中医協でも御検討の用意があるようでございますが、御承知のように五十三年二月に一一・六%の医療費引き上げがございました。それ以後何遍か改定はございましたけれども、実質的には薬価基準が下がって改定というのか医療費引き上げには相当しないという状況もあったわけです。そうしますと、実質的に診療報酬のアップということになりますれば五十三年来のことですね。でございますから、大臣も恐らく診療担当者側の御意見等も十分承った上でそういう所信の表明があったと思いますが、それらについて大臣からこの際、中医協の総会では所信表明があったわけですから、国会でもひとつ明らかにしていただきたい、こういうように思います。
  101. 増岡博之

    増岡国務大臣 過日、中医協の席上で医療機関の健全経営ということを行政当局としては考えておかなくちゃならない、なおかつ、従来から中医協で御審議いただいております診療報酬の合理化、技術料の重視ということについても引き続き御検討をお願いしたいということを申し上げたわけでございまして、これから先生も御指摘のような一割負担がどういうふうにはね返ってくるのかということも検討しなくてはならないと思いますので、私としては、お医者さんも合理化に一生懸命努力してやってくださっておるのだから、それで経営が破綻するようなことでは困るという気持ちは持っておりますけれども、それじゃ具体的にどうするのかということは、もう少し数字を見た上で判断をさしていただきたいというふうに思います。
  102. 河野正

    ○河野(正)委員 一つは、さっきも申し上げましたように、十月二十五日の診療担当者側の提案ですね、一〇%強上げるという提案。それからもう一つは、恐らく十月の健保改定後の状況というものが非常に厳しくなるだろう。それと、先ほどもちょっと申し上げましたように、日雇は別にいたしましても、長い間赤字だった政管健保がもう黒字に転換をされた、五十六年からですね。五十六年、七年、八年と黒字ですね。それから組合健保は、御承知のようにずっともう黒字指向でございますから、これは問題ない。  そうしますと、当然この診療報酬のアップというもの、今大臣がおっしゃったように、中医協では、大臣がおっしゃらぬでも、この問題は技術料の適正評価という形でずっと審議をしてきておるわけですね。そこにも、今度新しく就任された大臣が中医協においてそういう御発言をなさったわけですから、さらにそれが促進されるというふうに判断するのが常識ではなかろうか。今改めてこれは提案されたわけではないのですね。中医協ではもう既に体系づくりということで診療報酬の問題については検討しておるわけですから、そこにもう一つ大臣からそういう御発言があったわけですから、この問題が促進されるだろうという期待を持つのは当たり前だと思うのですね。ですから、十月の状況もこれ見てということでございます。それはもちろん十月の状況を見て、今の医療経営というものがもっと厳しくなったかどうかという問題もありましょうから、この診療報酬をアップする時期と幅の問題の二つがありますね。ですけれども、大臣もあらあら状況を把握して、そういう御発言をなさったのだろうと思うのです。ただ、ひとりよがりな御発言ではなかろうと思うのです。それで、若干そういう腹づもりがあるならば、この際お聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  103. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、いろいろな要素がございますので、先生の御指摘も含めて総合的な判断をさせていただきたいと思います。
  104. 河野正

    ○河野(正)委員 医療機関の不祥事件、こういうものが宇都宮病院を初めとして随分続出してまいりました。ですから、そういう問題については厳正に処断されることが望ましいと思います。ですけれども、民間の信用調査機関においても、今までは正直言って、医療機関がもうけの中からいろいろな事業に手を出したりなんかして、そういう問題で倒産したというようなケースがあることも承知いたしております。しかし、今からはむしろ医療経営というものが本当に厳しい状況になるのではなかろうか。ですから、この際、今大臣も前向きに御検討いただくと思いますけれども、正しい健全な医療機関については、やはりそのために国民に及ぼす影響は大きいわけですから、ぜひひとつそういう機関に対しては適正な診療報酬のアップをしてもらって、そして健全な医業経営の上に健全な医療というものを成り立たせる、そういう意味で御善処をぜひひとつお願いしたい、こう思っております。よろしゅうございますか。――そこで、時間がないものですから、あれやこれや飛んで恐縮でございますが、今度の健保法の改正に基づきまして、高度医療の患者負担が軽減される。これは中身についてはいろいろありますけれども、私どもも高度医療の患者の負担軽減ということですから、非常に望ましい。例えばがんの場合でも温熱療法であるとか人工膵臓の取りつけてあるとか、従来、先端医療だから保険の適用はまかりなりませんよと言っておったようなケースが、今度は基本的なもので、例えばそういう場合でも入院料だとか注射だとか、そういう問題はひとつ健康保険で面倒を見ようということですから、確かに先端医療の中で患者負担が軽減されることは非常に望ましいわけです。これは私は評価したいと思います。  そこで、もう時間がございませんから繰り返しになりますけれども、きのう私は丸山ワクチンを取り上げましていろいろ大臣の御見解を承ったわけでございますが、この丸山ワクチンは御承知のように薬が認可されておりませんので、健保が適用されません。ですから、かなり患者さんに対して負担を強いておるわけですね。ですから、高度医療の患者負担軽減のために政府が御努力をなさる点は私ども評価いたしますが、同時に、この丸山ワクチンは月に一方、年間二十万も治療を受けておるという状態ですね。  それで、きのうも私はるる申し上げたのですが、三年前と今日は、いわゆる治験例その他の状況というものはかなり変わっておる。もう時間がありませんから、具体的にここで重ねて申し上げようとは思いませんけれども、変わっておる。その意味は、薬事審議会では主としていわゆる延命効果が薄いとか、だから延命効果があるならもっと治験例をふやしなさい、そういうことが主であって、この丸山ワクチンにいろいろ副作用があるとかあるいは弊害があるとかという問題は余り議論されていない。治験例が少ない、だから効くならもっと治験例をふやしなさい、そういうことで三カ年間猶予されたと思うのですね。その三カ年間にかなり新しい治験例が出てきておる。でございますから、きのうも私は申し上げましたが、再現性が非常に高まった、延命効果が非常に高まった、そういう問題もございます。それから使用量の確定、そういう問題も新しく出てまいりました。それから、医事評論家の中では、とにかくいろいろ資料を発表しておるけれども、開業医ばかりで公的医療機関でやってない、こういう批判があったことも承知しております。ですけれども、最近は治験例というものが、島根の医科大学、大津の日赤病院、その他国立あるいは公立、そういう二十五カ所の施設でそういった資料が出てきておるという状況もございます。それから川崎医大のデータもきのう申し上げました。そういう事情もございます。ですから、この三カ年間にかなりいい資料が集まっても、悪い資料は集まっていないと思うのですね。あとは厚生大臣がどう評価されるか、それに一にかかっておると思うのですよ。そして、私が申し上げました、これは今認可を受けておりませんからかなり金がかかる。一月大体一万円ぐらいかかるのじゃないでしょうか。そういうふうに書いてあります。  でございますから、せっかく今度の健保法の改正によって先端医療に対しましても患者さんの負担というものを軽減してやろう、こういう温情ある措置をなさっておるわけですから、ひとつそういう、一々述べれば限りがありませんけれども、今丸山ワクチンが十二月二十日で期限切れになるというような差し迫った問題もありますから、そこで絞って申し上げるわけですが、そういった大臣の温情等もこの際十分検討の材料にしていただく。それから、先ほど申し上げましたように新しい再現性のデータあるいは使用量の確定等々たくさん新しいデータが出ておりますから、大臣が高度医療の患者負担を軽減してやろうという配慮もこれあり、それから今申し上げましたもろもろの資料もこれあり、そういった意味でぜひひとつこの丸山ワクチンに対しましては私どもの期待に、と言うよりも二十万の患者、それからこれからがんになる人もあるわけです。ですから、きのう社労委員会でも、身近にがんの人がおる国会議員が、一体丸山ワクチンはどうなんだということで、わざわざ御出席になって聞いておった。それからまた、国会議員の中でも丸山ワクチン議員懇談会というのができまして、これにたくさんの議員が参加していらっしゃいます。それぞれみんな、これだけの患者が利用しているのだから何とかならぬのかという熱望があり、きのうも社労委員会で、身近にがんの患者を持っていらっしゃる関係の議員の方がわざわざ傍聴にいらっしゃっている、そういう事情もございます。  そこで、時間がございませんから、ぜひひとつそういったもろもろの状況を踏まえてこの問題に対して大臣が判断を下され、結論を出されることを心から期待をいたします。きのうは途中で非常に立派な発言があったのです。私もそれを期待して、これでやめておこうと思ったのです。ところが、どういう状況になったのか、あるいは業務局長が圧力をかけたのか知りませんけれども、最後大臣の答弁がちょっと後退したのです。だから、やはり初心を貫徹してくださいよ。これをぜひ期待をして、最後にひとつお答えをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 増岡博之

    増岡国務大臣 昨日も先生から、ただいま御発言のことをもっと詳しくお話をいただいたわけでございます。ただ、医薬品の問題はあくまで科学的データに基づいて考えなければならぬというのが原則ではありますけれども、御指摘のように多数の患者が現在使用しておるという現状を踏まえまして、慎重な配慮のもとに適当な判断を下してまいりたいと思います。
  106. 横山利秋

    横山委員長 貝沼次郎君。
  107. 貝沼次郎

    貝沼委員 きょうは、国民に信頼の持てる医療行政制度に対して質問をしたいと考えております。  委員長にお願いいたしますが、今問題になっている世田谷区の電話局洞道火災事件について、厚生行政上問題があるようでございますので、ここで池田克也議員に関連質問をお許しいただきたいと思います。
  108. 横山利秋

    横山委員長 どうぞ。  池田克也君。
  109. 池田克也

    池田(克)委員 公明党の池田克也でございます。  今、貴重な時間をちょうだいをいたしまして貝沼議員から御紹介があったわけでございますが、去る十一月の十六日に発生いたしました世田谷電話局の洞道火災、これによって大規模な電話の不通事故が起きたわけでございます。  まず最初にお伺いしたいのですが、この地域に国立の病院が三つ、あるいは準国立とも言えるような自衛隊中央病院、あるいは関東中央病院、大学病院もございますが、大規模な医療機関があったわけでございまして、この電話回線の不通によって、地元住民あるいはかなり広範な診療を求める国民が甚大な被害をこうむったと報道もされておりますし、私どもも実感をしております。  そこで、最初に、この電話局の火災によりましてどのような混乱と申しましょうか、予期しなかった事態が発生したわけでありまして、その実情及び緊急対策についてお知らせをいただきたい。時期が時期でございますので、大変今後の問題もあるわけでありますが、当面掌握をされている限りについて御報告をいただきたいと思います。
  110. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 御指摘のございましたように、過日の火災事故によりまして電話回線が不通となりました病院が、国立病院の三つを含めまして世田谷保健所管内で七カ所、目黒保健所管内で一カ所と聞いております。  いずれにつきましても、優先的にケーブルの仮設を行う等の配慮が行われておりまして、国立病院につきましては、火災当日は確かに混乱がございましたけれども、十七日には、朝までに臨時の回線が設置をされまして、今日、業務の支障は来しておりません。また、そのほかの病院あるいは有床の診療所につきましても、現在までに電話が復旧されておると聞いておるところでございます。
  111. 池田克也

    池田(克)委員 今お話がありましたように、かなりスピーディーに電話回線が引かれたわけでありますが、これは回線数からいってかなり足りなかったわけでありまして、いろんな状況から見て、今後の課題としてこういう事態を予想した医療の体制は必要であろうと判断をするわけでございます。  一例を御紹介するわけでありますが、世田谷の太子堂に住んでおられます高橋ふささんという六十八歳のひとり暮らしの老人がおられます。電話がこういうところにかなり配置されておりまして、区の行政の方もひとり暮らしの老人の安否について、毎日ではございませんけれども、問いたたせるようなシステムになっております。たまたま今回のような電話回線の不通がございまして、区の方で民生委員の方に巡回を強化していただきました。そういう最中に、甲状腺の異常で前から体の調子が悪かった方でありますが、巡回中にちょうど、吐血したまま一日半ほど放置されておりまして脱水状態で救急車に収容された。もう少しおくれておりましたら手おくれになったのじゃないか。非常に冷やっとするような事態が現実にあったわけであります。  これは一つの例でございますが、私は、今回の事件を見まして、医療機関におけるこうした電話の処置、重ねてお伺いしたいわけでありますが、新しい臨時回線が緊急に引かれまして十七日には回復したと言われておりますが、事件が発生したのは十六日の正午ちょっと過ぎでございまして、かれこれ半日近く通じない、あるいは通じにくい、こういう状態が続いていたわけでございます。命の問題は一刻を争うということございますので、今後の問題につきまして、厚生行政を所管される大臣としてどのような御意見をお持ちか、また今後どのような対策について公社等と協議をすべきか、ぜひともその辺について御見解を承りたいと思うわけであります。
  112. 増岡博之

    増岡国務大臣 今回のような事故は恐らくだれも予測していなかったことだと思いますけれども、予測してないようなことが起きるのがこの世の中の常でございますが、またニューメディア時代とも言われておる時期でございますので、あらゆる面でそういうことに対処できるような体制をこれからしっかり研究をしてまいりたいというふうに思います。
  113. 池田克也

    池田(克)委員 今のところ各病院には緊急に対応するような無線設備あるいは無線を応用した電話、最近は自動車電話等もかなり発達をしております。私も厚生問題は詳しくはございませんけれども、最近は心電図等もそうした回線等を使って、あるいは無線等で伝送して診療に充てる、こういうことも次第にその方向に向かっているように聞いております。今大臣から今後の問題として考えると仰せでございますけれども、今具体的に、例えば全国にわたっておるさまざまな災害、きのうも外国ではございましたけれども大きな石油関係の事故がございました。こういう問題がいつ起きるとも限りませんので、現在病院関係の施設が持っているそうした無線施設というのはどの程度に整備されているのか、満足すべきものなのか、これは今回突発的で改めてこれから対策を協議するのか、その辺についてお知らせいただきたいと思います。
  114. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 お尋ねの件につきましてただいまお答えできるデータを持っておりませんけれども、お話にもございましたように、大きな災害等の場合に備えましては、災害対策を政府としても取り組んでおるところでございますが、病院に関しましては確かに人命と深い関係がございますので、例えば停電の場合でございますと南家発幅、これは大きなところはほとんど持っておりますが、今回のような場合につきましては、特段の備えがなかったというのが実情であろうかと存じます。幸い御協力をいただきまして翌日には仮設がされまして大きな問題がなくて済んだわけでありますが、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、これからもいろいろなことが起こり得るかと存じますので、せっかく研究をさせていただきたいと存じます。
  115. 池田克也

    池田(克)委員 最後になりますけれども、今回の事態を重く見て、関係各官庁あるいは民間、大学病院等もございます、あるいは歯科の診療所等は電話で予約を受けて、それによって患者の便を図りながら診療している、こういう実態もあるわけでございまして、歯科診療所等におきましては、大変困った、よほど緊急な人は訪れたけれども、計画的に治療しているところについては大変難しい事態を感じている、こういう率直な住民の所もあるわけでございまして、ぜひとも今度の事態を一つの教訓として緊急事態について改めて対策を練り直す、こういうような御意向がないか。私はそういう必要があるのではないか、こう考えておりますので、最後に一言だけ大臣のこの問題についての御見解を承って終わりたいと思いまます。
  116. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、電話回線のみならず万般にわたって万遺漏のないようにするためにはどのような施設、体制を整えればいいかということを今後研究してまいりたいと思います。
  117. 池田克也

    池田(克)委員 ありがとうございました。
  118. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、医療制度に対する国民の信頼が損なわれないように、どう確かなものにしていくかという点で一、二点取り上げて質問したいと思います畑  厚生省は十一月十日、保険医療機関などに対する五十八年度の指導・監査結果をまとめて発表したようでありますが、それによりますと、架空、水増しなど悪質な不正請求で保険医療機関の指定取り消し処分を受けたのは五十一機関、これは史上最悪の状況になっておる。四十三人の保険医が登録取り消しになっておる。返還された不正額は二十五億四百九十万円。それから五十六年、今五十六年度決算をやっておるわけでありますが、このときは十一億六千四百万円であったわけですから、このときよりもはるかに上回っておる、こういう状況であったようであります。これはゆゆしき問題であります。これからまただんだん金額的にはふえていく、あるいは内容は大変巧妙になってきておるように思われますので、私は、国民の立場からそういうことは今後あってはならないという観点に立ちまして、大臣に、今後どのようなお考えでこれに当たっていかれるのか、御意見を伺っておきたいと思います。
  119. 増岡博之

    増岡国務大臣 決められたことに反して不当な行為がなされるということはまことに遺憾なことでございます。したがいまして、そのような事案につきましては、厳正な態度をもって臨んでまいりたいと思います。
  120. 貝沼次郎

    貝沼委員 厳正な態度という言葉でありますが、具体的にどうするかという話はございませんが、今これから議論するのは実はその内容じゃありませんで別の方面でありますから、それはまた別の機会にお話をさせていただきたいと思います。いずれにしても、厳正という言葉の中には種々のことが入っておるわけでありますから、国民の期待に沿うような対策をひとつ講じていただきたい、こう思います。  それからもう一点、これも不信を買っておる問題でありますが、保険診療の医療費が国保連合会などの審査で減額査定されても患者の個人負担金の差額が返されていないという問題でございます。  つまり、例えば今までの健康保険制度でありますと、国民健康保険の本人、家族、それから被用者健保の、今度は本人も入りますが家族、それが病院あるいは診療所で請求どおり窓口でお金を払うわけですね。ところが、その後、医療機関は、俗に言うレセプトでありますが、診療報酬請求明細書、これを例えば国保連、支払基金に提出をするわけですね。そうすると、ここで審査を行いまして、そうしてこれはやり過ぎですよとかあるいはいろいろな審査をして減額されるべきものは減額査定というものが行われまして、常識を超える診療内容、医療機関の計算ミスとかそういうものについて、もらい過ぎであるということを教えるわけですね。ところが医療機関はこれを知っても、知った段階で請求があれば返さなければならないということにはなっておりますが、請求をする患者そのものが、自分の払った金が多かったのか少なかったのか、知ることができません。知らされておりません。  そういうようなところから、今までこの金が随分とたまってまいりまして、報道によりますと、もっと多いのでしょうけれども、三十五年に福岡県から、こういうお金については返還をすべきでしょうか、どうでしょうかという問い合わせを厚生省にしたときに、それは返還すべきものですという通達が出ておりますね。それ以来二十三年たっておるわけでありますが、この間だけ、その前も本当はあるのですけれども、この間だけ計算をしても、報道機関では、一千億円を超えるであろう、こういうふうに言われておるわけでございます。  このことは有名な話でありまして、先般来国会で随分と議論がございまして、そうして何がはっきりしたかといいますと、今整理しておるわけでありますが、患者には返還請求権が存在する、こういうことですね。医療機関はこれに応ずる義務があるということがはっきりしております。また、この返還されない差額分については、医療機関の中に残っていることは不当利得に当たるという国会答弁もございました。これは民法七百三条に照らして示されたものでございます。しかし、厚生省保険局長から、差額分が少額の場合、返還は事実上困難であろうというようなところから、差額が大きい場合のみ保険者から患者に通知するようにしていきたいとのお話がございました。これは間違いございませんか。
  121. 幸田正孝

    ○幸田説明員 先生御指摘のとおりでございます。
  122. 貝沼次郎

    貝沼委員 今、私が確認をしたのは、請求権、また支払い義務、それからもう一つ、厚生省はある一定のところで線を引く、この三つを確認したわけですから。  そこで、民法七百三条により、不当利得に基づいて返還請求権が発生する、こういうことでありますが、請求権行使の前提になるものは知るということであります。これが知れる状況に置かれていなかったのは、これは制度上の不備ではなかったのかと思います。つまりこういう制度ができた時点で、査定が行われるということは、たとえその差がゼロであっても差はあったはずであります。考えられることであります。したがいまして、その差が発生した場合にどうなるかという手当てを制度上つくっていなかったことが決算上の問題になるのではないかと私は思いますが、この点はいかがですか。
  123. 幸田正孝

    ○幸田説明員 お話のとおりでございまして、患者が支払いましたものを医療期間側は不当利得ということになるわけでございますから、私どもとしましては、それをできる限り患者の方に通知をするということを考えるべきものと思います。
  124. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、これは不当利得だと言って済ましておれない部分もあるのですね。例えば、あるお医者さんが患者に対してこれはこういう注射をした方がいい、こういう検査をした方がいいと自分の知識をもって判断をして、そうして注射を打った。事実は打った。ところが、審査されたときに、これはここまで必要はなかったという判断をされた場合に、実際金はかけてあるのだけれども、しかしこれは常識的に外れておるという判断をされた場合に、そういうふうに減額査定されたのだからお金は計算上あなたの医療機関にあるはずですよ、なければいけませんよということにはなりますけれども、本当はそれは使ってしまってないわけですね。したがって、この辺のところが、私は何も医療機関だけを責めておるわけじゃありませんで、やはりそういうところも考えながら手は打たなければならないことがあるだろうと思うのですね。そこで、厚生省は、そういうことが起こることは初めからわかっておるのに、なぜそういう制度上のいわゆる知れる体制というものをつくってこなかったのか、あるいは今までそれは知り得たのか、その辺のところをはっきりしていただきたいと思います。
  125. 幸田正孝

    ○幸田説明員 今お話のございましたように、昭和三十五年に照会がございまして、それに対して当然不当利得であり返すべきである、こういう通知は出しているのでございますが、具体的にどういう方法で通知をするかというようなことについては指導をしてなかったというのが実情でございます。
  126. 貝沼次郎

    貝沼委員 だから、実情はそうだから、それについて厚生省はそれでよかったと考えておるのですか、それとも手落ちだったと考えておるのですか、それをはっきりしてください。
  127. 幸田正孝

    ○幸田説明員 そういうことでございますので、私どもとしましては、できる限り早い機会に何らかの基準をつくりまして通知をするような指導をしたいということで、現在検討しているところでございます。従来の取り扱い、私ども適正ではなかったわけでございまして、何らかの方法をやりたいということで、関係団体とも現在詰めを行っている最中でございます。
  128. 貝沼次郎

    貝沼委員 従来のやり方は適切でなかった、こういうことですね。そういうことは、ただ言ったら済むのでしょうかね。その責任というものは存在しないのでしょうか、どうなんでしょうか。
  129. 幸田正孝

    ○幸田説明員 行政的な面で非常に怠慢である、こういうおしかりは私ども受けざるを得ない、こう考えるわけでございますが、ただ、実情を御説明させていただきますと、現在、支払基金なり国保連合会で審査をいたしておりますレセプトの枚数が年間八億枚以上に上るわけでございまして、それにつきまして支払基金、国保連合会で審査をし、査定をいたすわけでございますが、そういった査定をいたしました結果、患者本人に返還をしなければならない額が極めて少額の場合がかなり多いということもございまして、現在まで放置をしていたというのが実情でございまして、私ども、できる限り早くこれを是正いたしたい、こうせっかく努力をいたしておる最中でございます。
  130. 貝沼次郎

    貝沼委員 それは日本の人口は多いのですから、医者にかかる人間が多いから大変だなんて、そんな答弁は答弁にならぬのです、初めからわかっていることですから。ですから、そういうもう起こってしまったことは仕方がないからこれから一生懸命考えるんだという、そこは考えなければいけませんよ。考えなければいけませんが、しかし保険制度ができてから一体何年になるのですか、何十年になるのですか。しかも、三十五年に指摘されて以来、そういうふうに返還すべきだと言ったというけれども、それ以来国立病院その他においては無視されてきたいきさつすらある。しかもこれは、それでも三十五年から一生懸命手を尽くしてやったかというとやってこなかった。そうして国会で問題になって初めて、それでは千円以上くらいの線を引いてその人たちに連絡しようかと目下考えておるところでございますということは、怠慢も怠慢も甚だしいんじゃありませんか。大臣、いかがですか。
  131. 増岡博之

    増岡国務大臣 仰せのとおり、請求分は本来保険者がそのことを被保険者に通知すべき問題だと思います。その指導を厚生省が十分でなかったということは責任を感じなきゃならぬと思いますし、できるだけ早く解決しなければならぬ問題だと思いますけれども、各保険者におかれましても相当な被保険者を抱えておられることでありますので、できるだけ早く早くということは言いましても、その方の対応の能力の問題もあろうかと思います。しかし、論理的にはおっしゃるとおりでございます。できるだけ早く解決をしてまいりたいと思います。
  132. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、できるだけ早くという言葉が出ておりますからその時期の問題と、一定の線を引くというこの限度の問題でお尋ねいたします。  国会の答弁では、例えばということがついておったにしても千円という額が出ております。この千円という一つの目安、これについてはどういう根拠があるのか。  それから例えば千円というふうに線を引いたといたしましても、これは一件ごとの金額でありますから、一人の人間が何回も医者に行く場合は千円以下であればそれは全部返還されないということになる。一人の人が一件だけのことで千円を超えた場合は通知されるということになるわけですね。したがって、一人の人間が支払った医療費から考えるならば、一件に千円を超えた場合にこれは知らされる、だから請求できる、こういうことになるのですけれども、それ以下の額で何回も何回も件数のある人は全く知らされないということになるわけですね。この辺のところは詰めて線を引くことを考えておるのかどうかということです。  それからもう一点は、例えば千円なら千円というものを一応聞いてみますと、それ以下で千円を超えないような件数のものが全体のどれくらいの比率であるのかと私、伺ってみたところ、それ以下のものが大体九割ぐらいで、それ以上は一割ぐらいではないかという考え方もまたあったようでありますので、そういたしますと、一割だけの人に知らせることがあるのであって、九割の人には知らされないという結果になりますので、手を打ったと言っても、結局、一割の人に手を打ったにすぎないということになります。そうすると、線を引いた以下の人とそれ以上の人では行政的サービスにおいてへんぱが出てまいります。不公平になります。そういう不公平は許されるのかどうか、この点についてお答え願いたい。
  133. 幸田正孝

    ○幸田説明員 返還をいたしますものを千円というふうに考えておりますのは、返還をいたしますためのレセプトの抽出でございますとかあるいは配列でございますとかあるいは御本人に対しまして通知をするという費用を私どもいろいろ計算をいたしましたところ、その費用と便益と申しますか、それとの関係からいたしまして、とりあえず千円ということからスタートをさせたいということでございます。もちろんこれは、先生御指摘のとおり、レセプトでございますので、一人当たり、こういうことでございまして、同じ人が何回にもわたって医療機関に受診をした場合あるいは一世帯で何人かが受診をした場合というケースについては、それ以下であれば合算をいたしまして千円を超えましても対象にならないという問題は御指摘のとおりでございます。  私どももちろんこれで、この問題の本質からいいまして問題が解決するわけではございませんので、千円以下のものについてどうするか引き続き検討を続けまして、できるだけ早い機会に、千円以下のものにつきましても通知できるような体制に持っていきたい、かように考えておりますが、何分にも先ほど申し上げましたような非常に膨大な事務量でございますので、その事務量との兼ね合いをせっかく検討している、こういう状況でございます。
  134. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういう、金がかかるとかかからないとかいうことを言うから厚生行政は算術になるわけです。ところが、医術は算術でないということはあれだけ言われておるわけですから、要するに金のかかることで、我々が請求できる額は小さいから、それはもうほっておくんかい、私どものことなんか余り考えてくれないのか、こういう感情が出てまいります。またそういうようにやがてやるというふうな考えであるならば、これはいつになるのかわからない。とにかく今手をつけたのが、もう三十年もたっておるわけです。制度ができて三十年もたってようやく考え出しておるわけですから、そうしてこれから千円以上のものに対して通知をすることを考えれば、またこれは何年かかかるでしょうし、それからその後、今度は千円以下のものについて手を打つときになると、我々生きているときにあるかないかわからないですね。そういうことでは誠意が感ぜられません。しかも、通知をしなければならないということはないわけでありますので、この通知をするという発想が正しいのかあるいは尋ねさせるとかあるいはプライバシー等を考えて、ある程度本人が見に行けばわかるとかいうような方法だって考えられないことはありません。もっとやはり研究をして、そうしてあらゆる人たちが請求権を行使することができるという体制を確立していただきたいと思います。  そこで、その時期の問題でありますけれども、確認いたします。線を引いて、そうしてそれ以上のものについて通知をするという制度をいつごろから発足させたいと考えておるか、これが一点。その線を引くのは、この前は例えば千円程度と言っておりましたが、千円と考えてよろしいかどうか、これが二点目。三点目、千円以下の人たちに対していつごろをめどにしてその対策を確立するか。この三点について答えていただきたい。
  135. 幸田正孝

    ○幸田説明員 千円以上のものにつきましては、年内に通知を出しまして来年から実施をする体制をとりたいと考えております。  金額につきましては、御指摘のとおり現在のところ千円ということで考えております。  それから千円以下のものにつきましては、先ほど申し上げましたように事務量の問題がございますので、すべてのものにということは非常に問題がございますけれども、保険者によりましては事路体制の非常に整っている保険者もございますし、事務体制がややおくれているという保険者もございますので、その辺のことを考えながらやっていきたい。それからまた、私どもレセプトのコンピューター化ということを片方で進めておりますので、そのレセプトのコンピューター化の状況もにらみ合わせながら考えていきたい、かように考えておるわけでございます。  何年までにということを今申し上げるところまでまだ来ておりませんが、できる限り早い機会に、この通知を出しましたのが三十五年で、二十数年というようなそんな悠長なことではなしに、数年というような感じで考えていきたいと思っております。
  136. 貝沼次郎

    貝沼委員 数年というのは十年にならないわけですね。ひとつ検討して、その都度お尋ねすることにいたします。  そこで、その数年間なら数年間、不当利得をしたお金が医療機関に理論上あることになりますが、これは不当利得とわかっておるものをそのままほっておいて法律上よろしいものかどうか、これが一点。  第二点、その期間に医療機関が倒産した場合、そのお金は一体どうなるのか。だれが一体責任を持って管理しておるのか、そういうお金の管理の問題についてどのようにお考えですか。
  137. 幸田正孝

    ○幸田説明員 非常に事務的なお答えになりますけれども、不当利得につきましては、御本人からの、この場合には患者さんの方からの請求がありまして初めて医療機関側が支払う、こういうことになっているわけでございます。もちろん、その間に倒産をいたしますとかそういうことになりますと、この不当利得の問題は結局請求先を失う、こういうことになるわけでございます。
  138. 貝沼次郎

    貝沼委員 そんないいかげんなことを言ってはいけませんよ。だって知らされてないのだから請求できないじゃありませんか。請求権が発生するのは知らされてから発生する。そうでしょう。それで不当利得であるということは審査したときにはわかっているわけですよ。だから、本人に知らしていないから請求できないのですよ。その間に病院がなくなってしまった、それでようやく知らされた、あなたの言う数年間かかって検討した結果知らされた。ところが、請求するところがありませんという場合は、これはどこへ請求するのです。もう病院がないから知りませんということになるのですか。そんなずさんなものですか。  さらに、例えば福岡県ですか、地方自治体で国保の高額医療費貸付制度というのをつくったのですね。三割負担ですから自治体が三割分を貸してあげた。そして減額査定がその後来たのです。ところが、初め請求された分の三割は払っておるわけですから、減額された分の三割が返ってきてもこれは足りないわけですね。そこで、その差額を医療機関に返せ、こう言ったのですけれども、なかなかその辺が難しいらしい。こういうふうに、せっかく地方自治体が高額医療費だから市民が大変だろうというのでつくった善意の制度も、そういうところがはっきりしないとこれが動かなくなるのです。したがって、ただ、なくなったらしょうがないじゃありませんかと言うならどうしようもないことですから、こういうような地方自治体が考えておる制度に対しては、何らかの対策をお持ちですか。
  139. 幸田正孝

    ○幸田説明員 高額療養費制度につきましては、その都度保険者の方から連絡をする、こういう仕組みにいたしております。現在この金額は、低所得者の場合に三万円、それ以外の場合には五万一千円でございます。したがいまして、そういった非常に金額の多い高額療養費制度に乗るようなものにつきましては、現行でこれはすべて通知が行く、こういうシステムになっているわけでございまして、問題は、三万円以下あるいは五万一千円以下のものが放置をされてきた、それを千円以上のものについて実施をいたしたい、こういうことに相なるわけでございます。  そこで、倒産をいたした場合にどうするかというお尋ねでございますけれども、これは非常に紋切り型のお答えになりますが、やはり請求先がなくなるわけでございますので、私どもとしては、それ以上の支払い義務を求めるのはなかなか実際上困難ではないか、こうお答えせざるを得ないのでございます。
  140. 貝沼次郎

    貝沼委員 ということは、つぶれないような医者へ行きなさいということですね。そういうことでしょう。つぶれそうな医者には行ってはいけませんということになると思うのです。  いずれにいたしましても、この問題は単にどれだけのお金が戻る戻らないということではなく、国民が、本当に公正な行政のもとに私たちは医療を受けておるのだという判断をするような、そういう政府の対応が非常に大事ではないか、こう考えておるわけでございますので、ひとつ早急に満足するような体制を整えていただきたい。  先ほどの答弁の中で、請求がないのだからというようなことがちょっとありましたけれども、もし請求がないならば支払い義務は発生しないということを紋切り的に言っておりますと、これは支払いの請求運動が盛り上がってまいります。そうなってまいりますと、いよいよ厚生省は後手に回るわけでありますから、こういう問題はもっと早くそれに対応すべきだと考えるわけでありますが、いかがですか。
  141. 幸田正孝

    ○幸田説明員 私ども事務能力の全力を挙げまして、一日も早く対応ができるように保険者への指導も徹底をいたさせますし、私どもも対策を立ててまいりたいと思っております。
  142. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、時間がもうあとちょっとしかありませんので、一言だけ父子家庭の問題についてお尋ねしておきたいと思います。  父子家庭、父と子です。母子家庭、母子世帯の問題はいろいろと手が打たれております。しかし十分ではありませんで大変不十分ですけれども、まあまあ打たれておる。しかしそれに比べて父と子の父子世帯の問題は非常に深刻でございます。特に、父親の職業が非常にかわっております。子供を育てていく上において、父親は出張の多い職業やあるいは家に帰らないことの多いようなものにはつくことができなくなってまいります。  政府の「全国母子世帯等調査結果の概要」五十八年八月一日現在のものでございますが、これの結果を見ましても、例えば父子家庭の場合に、子どもについての悩みの多いものは「教育・進学」「食事・栄養」、それから困っていることの中身としては「家事について」というのが圧倒的に多いわ付でございます。これを満足しようとすれば、現在政府が立てておる父子世帯の施策というものは大変お粗末なもの。と私は見ました。  そこで、例えば父子家庭介護人派遣事業等の問題も、これは母子家庭と違って男世帯のところに女性が行くとかということはいろいろな面で問題が出てまいります。それから収入は割と母子家庭に比べて高いというふうになっておりますが、これは収入のある人の調査であって、父子家庭になったために収入が減って非常に困っている人も実はたくさんおるわけであります。その辺のところを勘案して、ひとつ父子家庭の対策をさらに強化していただきたい。このことをひとつ最後の質問にいたしまして、終わりたいと思います。答弁を求めます。
  143. 小島弘仲

    ○小島説明員 先生御指摘のように、父子家庭については母子家庭と別の悩みを持っております。一番の悩みは、やはり子供のしつけとか日常生活で十分に世話ができないということでございますので、従前から、これらにつきましては保育所で優先的にお世話するというようなことをいたしておりまして、ちなみに、平均的に就学前の子供たちが保育所に入っておる数は二割程度でございますが、父子家庭の子供の状況を見ますと、六三%弱が保育所に入っておるというような状況になっております。  なお、こういうことで十分だとは必ずしも思っておりませんで、家事の状況を見ましても、お父さんみずからがやっていらっしゃる方が三割ないし四割、子供さんが手伝ったりやったりしておるというのが一割から二割、それからその他のおばあさんとか同居の親族の方のお世話になっておるのが、お父さんの状況と同じように三割ないし四割という状況でございます。したがって、こういう核家族的な父子家庭が特に困っておるという問題もありますので、先生御指摘のような介護人の派遣事業というようなことをやっておりますが、これは、現在のところまだお父様が病気のときだけという限定的なものでございますので、子供さんの病気のときお父さんにかわって看護できる体制をぜひとりたい、これはできるだけ早く、来年度からでも実施したいという形でこの辺に重点を置きながら、あるいは地区のボランティア活動の組織化というようなことも含めましてこういう対策を進めてまいりたいと考えております。
  144. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  145. 横山利秋

    横山委員長 神田原潜。
  146. 神田厚

    ○神田委員 厚生省関係につきまして御質問を申し上げます。  まず最初に、医療の問題でありますが、厚生省の将来の医師需給に関する検討委員会は、今月二日に「昭和七十年を目途に医師の新規参入を最小限一〇%程度削減すべき」として、一つに、入学定員を減らす、二つに、入学はさせるが卒業者を絞る、三つに、医師国家試験の合格者を減らす、この三万法を挙げておりますが、厚生省としてはどのような方法が妥当だというふうに考えているのか、また今後どのような具体策を考えているのか、明らかにされたいと思います。
  147. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘のありました三つの方法の中では、やはり入学者を減らしていくということがそのほかの方法に対して社会的な影響が少ないであろうというように考えております。
  148. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、今後どういう形で具体的にこの入学者を減らすという問題についてお考えになっておりますか。
  149. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 医師の新規参入につきましていろいろな考え方があるわけでございますけれども、厚生省の考え方はただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、医学関係者を初め大学当局あるいは大学を所管する省庁等とよく相談をいたしまして、この中間意見をお送りをして広く検討すべき課題だと思っております。またその結果につきましては、さきに昭和四十五年に定員増につきまして厚生省から文部省にお願いをしておりますが、今回もそのような方法をとることになろうと考えております。
  150. 神田厚

    ○神田委員 医師及び歯科医師の過剰時代に適切に対応すべきことは我が党も早くから指摘をしてきたところであります。この見地から医師過剰対策に早急に取り組むべきであると思っておりますが、一つ問題は、医師の偏在という問題があるわけでありまして、人口十万人当たりの医師数は最高の徳島県が二百人、最低の埼玉県は八十一人、極端なアンバランスがあるわけであります。無医地区が現在なお千七百五土地区もあるわけでありまして、加えて救急医療や休日医療の整備も遅々として進んでいない状況であります。国民皆保険体制のもとでこのような医療機関の利用機会の不均衡、これは早急に是正に努めなければならないと考えるわけでありますが、厚生省はこれらの問題の解決にどのように取り組むのか、その方針を具体的にお聞きをしたいと思うのであります。
  151. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘のとおり、全体としては過剰でありますけれども偏在をしておるということが大きな問題だと思います。したがいまして、厚生省といたしましてはその地域、地域に必要な医療供給体制といいますか、そういうものを考えてみたい。これももちろん厚生省だけの独断ではなくて、地域の方々、医療機関の方々と相談しながらやらなければならぬと思います。そういう意味で医療法の改正をお願い申し上げておるところでございまして、御趣旨はごもっともだと存じております。
  152. 神田厚

    ○神田委員 これらの考え方は大臣の御答弁で方針はわかるわけでありますが、具体的にもう少し、医療の利用機会の不均衡というような問題について、あるいは無医村地区の解消という問題について、厚生省の具体的な方策をお聞きをしたいと思うのであります。
  153. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 僻地医療対策と救急医療対策、これがお話の趣旨の中で最も重要なことであると私どももそう考えております。  僻地医療対策につきましては、今日第五次の対策を講じておりますが、この方法といたしましては、やはり有効的確な施策を講じて誘導をすることであると考えております。そこで、僻地中核病院を整備いたしまして、そこから医師、歯科医師を派遣をする、巡回診療を行う、その他の方策を講じておりますけれども、来年度は新たにいろいろな調査をいたしまして、交通事情その他も変わっておりますので、さらに有効適切な誘導策を講ずるために六十一年度からは第六次の僻地医療対策を実施をいたしたいと考えております。  また、救急医療対策につきましては、これまた医療の原点でございまして、現在計画的に初期医療、二次医療、三次医療、それから情報センターの整備を進めておりますが、さらにその充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  154. 神田厚

    ○神田委員 入学定員を抑えて医師の養成数を抑えるというような方針が一つ出される、一方ではいまだなお無医村地区というような状態が残っている、こういうアンバランスな医療制度では国民の納得するところとはならないわけであります。そういう医師の全体的な数を抑えていくという方策をとりますならば、同時にこれ以上医療の機会に恵まれない地域がもっとふえるというような状況になってしまっては非常に問題でありますから、この辺のところをどういうふうに厚生省として考えていくのか、その問題についてもう少し明らかな方針を出してもらわなければ、医師の数は減るし無医村地区はふえていくという非常に悪い状態になっていってしまうのではないかということを心配するわけであります。その辺はどうでありますか。
  155. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 お話はまことにごもっともだと私どもも考えております。医師の数がふえますとやはり相対的に辺地の医師の数もふえますけれども、しかし、これをそのまま放置しておいたのでは十分なる辺地の医療、救急医療等はできないと考えております。  そこで、先ほども申し上げましたが僻地医療対策、救急医療対策、それぞれ計画的に実施しておるところでございますけれども、大臣からもお答え申し上げましたが、いろいろな医療に対する需要は地域ごとに相違しておりますので、地域の実情に合った地域医療計画というものを策定をいたしまして、着実にこの事態の改善を図ってより一層よいものにしていこう、こういう計画でおるわけでございます。現在国会にそのための法的根拠を与える医療法の一部改正案を御提出しておるところでございますけれども、一刻も早く御審議を賜り、可決成立させていただきたいと念じておるものでございます。
  156. 神田厚

    ○神田委員 次に、国家試験問題について数点御質問をいたします。  医師は六十年より秋試験を廃止をして一回に改め、歯科の場合も六十一年から同様にするというふうに聞いておりますが、事実でありますか。
  157. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 医師につきましては、御指摘のとおり六十年から年一回に改めることといたしております。また、歯科医師につきましても、お話にございましたように、昭和六十一年から年一回に改めるように現在検討を行っておるところでございます。
  158. 神田厚

    ○神田委員 この年一回に改めるということの最大の根拠は何でありますか。
  159. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 最大の根拠は、よい医師をつくるための国家試験を行おう、こういうことなのでございます。  そこで、いろいろな方々の意見を伺ってまいったわけでありますけれども、具体的には、よい問題を作成するために十分の時間をかけて研究しよう、それからよい問題、プール制生言いまして過去の問題からも適切に出題できるようにしよう、それから出題基準を先般改正いたしましたが、出題基準を適切なものにしよう、こういうことでございます。
  160. 神田厚

    ○神田委員 特に歯科医師の問題でありますが、歯科医師の試験も一本化をされるということでありますけれども、現在歯科医師の数の問題はどういうふうにお考えになっておりますか。
  161. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 数の問題につきましては、歯科医師につきましても医師と同じような課題がございます。先ほど来お話にもございますように、国民にひとしくよい医療を提供いたしますために、今日過剰であるとは考えておりませんけれども、このまま推移いたしますと、将来は確かに過剰になる。そこで、医師と同じように歯科医師につきましても、将来の歯科医師数に関する検討委員会を設置いたしまして、御熱心な御討議をいただいておるところでございます。  医師につきましては、既に中間的な御意見をいただきましたが、歯科医師につきましても、来月中には中間的な御意見がいただけるものと期待しておるところでございます。
  162. 神田厚

    ○神田委員 次に、医師国家試験浪人者がいるわけでありますが、三千人ぐらいいると言われております医師国家試験浪人の者を老人保健法などに盛られておりますところの地域保健事業等に何らかの形で参加させてはどうかというような意見もありますけれども、この点についてはどういうふうに考えておりますか。
  163. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 改めて申し上げるまでもございませんけれども、医師の国家試験は資格試験でございまして、今日の通常の医学教育を修得しておれば合格できる性格のものであると考えております。ですけれども、御指摘にもございましたが、何回受験いたしても合格できない方々がおられます。これは病弱であるとかいろいろな事情がございまして、人の健康を預かる医療や保健事業にはなじみにくい方々も含まれておるのではなかろうかと想像されるのでございます。そこで、お話にもございました医師以外の特別な職種、これをつくることは患者の立場から、あるいは御本人の気持ちから考えてもいかがなものであろうかと思っております。  なお、今日、医学士は衛生検査技師には直ちになれます。それから臨床検査技師の受験資格がございまして、これには一部受験科目の免除が行われておるところでございます。
  164. 神田厚

    ○神田委員 もう一点、合格後の医師の研修、試験あるいは免許の更新等々によりまして後々まで勉強するようにならなければ、ただ単に国家試験を通ってしまったというだけでは本当の試験の目的は達せられないということで、国家試験合格後の研修について何らかの機関を設けるなりして検討すべきだという意見もあるわけでありますが、その辺についてはどういうお考えでありますか。
  165. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 医学は日進月歩でございますし、また医業は人の健康を預かる重要な専門職種でございます。お話の生涯にわたって研修を積む必要がある、御指摘のとおりだと考えております。そういう職業人でございますから、みずから研さんを積んでいただかなければなりませんけれども、厚生省といたしましても卒後の臨床教育の充実、それから地域医療研修センターの整備を進めておりますが、そこで随時研修していただく、そういう基盤整備も行っておるところでございます。また、医師会もこの点に着目をされまして、医師の生涯教育に真剣に取り組んでおられると聞いておるところでありますが、まことに適切なることであろうと思います。私どもといたしましても、医師の卒後の教育、生涯教育につきまして、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。
  166. 神田厚

    ○神田委員 過疎地の問題があるわけでありますが、医療の過疎地対策等も含めまして、卒業後は二、三年過疎地に勤務をしたり、あるいは住民のために寄与する医学教育あるいは国家試験制度等々が望ましいという意見がありまして、試験を受けて合格した後少しそういう方向で勤務をさせたらどうだというような意見がありますが、厚生省はどういうふうに考えますか。
  167. 吉崎正義

    ○吉崎説明員 地域医療に挺身するよい医師をつくるべきである、まことにそのとおりであろうと存じます。自治医科大学などもそういう目的でつくられておりますし、また一県一医大も実現をいたしまして地域医療も充実が図られてきておるところでございますが、さてそこで国家試験を終わってからそういうところに勤務を義務づけるということでございますと、これはなかなか難しい問題があろうかと思います。先ほどもお話がありましたが、過疎地域、辺地の医療につきましては、各般の施策を講じまして、よい医療を過疎地に提供する必要があると考えておるのでございます。お話のありましたお心はよく理解できますけれども、直ちに義務づけるということにはいろいろな問題があろうかと存じます。
  168. 神田厚

    ○神田委員 次に、厚生省予算関係につきまして、これも各党からあるいは出ているかと思うのでありますが、補助金の一割カット等の問題につきまして御質問を申し上げます。  補助金の一割カットにつきましては、地方団体がこれに強く反対しているわけでありますが、これらに対する考え方はどういうふうになっておりますか。
  169. 増岡博之

    増岡国務大臣 行革審の御意見のもとに閣議決定を行いまして、その結果のことでございますけれども、地方自治体からそういう声が上がっておることも承知しておりますけれども、一応私どもがやります福祉の問題につきましては、こういう場合には財政的な裏づけをする義務があるように思いますので、関係者とよく話し合いをいたしまして御理解をいただきたいと思っております。
  170. 神田厚

    ○神田委員 地方自治体の反対理由で一番強いのはどういうことでしょうか。
  171. 長門保明

    ○長門説明員 お答え申し上げます。  地方六団体の方から出ております反対意見といたしましては、国と地方の間の機能分担のあり方を見直すことなく国庫補助の負担率を引き下げることは反対であるという点が一点でございます。  それからもう一つは、国庫補助金等の整理合理化に当たっては、地方公共団体の自主性にゆだねるべき補助金を廃止、縮減し、地方の一般財源化すべきである、こういう意見だと承知しております。
  172. 神田厚

    ○神田委員 地方負担の増加については、どういう手当てをするお考えでありますか。
  173. 長門保明

    ○長門説明員 国庫補助補助率を減少することによりまして地方の財源負担の問題が出てまいりますが、これにつきましては、地方財政計画の中で総体的に検討すべきであるということが行革審の意見書に出ておりますので、その線に沿って検討されるものと了解いたしております。
  174. 神田厚

    ○神田委員 地方六団体や自治省が提案しております代替案について厚生省はどういうふうに考えておりますか。
  175. 長門保明

    ○長門説明員 地方団体から出ております。その代替案と申しますのは、私ども正式に承りましたのは、昨日自治省の方からちょうだいいたしたわけでございますので、まだちょうだいしたばかりでございますので、その内容についてはこれから検討いたしまして、その対応を考えたいと存じております。
  176. 神田厚

    ○神田委員 特に厚生省関係補助金は、やはり福祉等を中心として非常に特殊な意味も持っておるわけでありますから、それを一律一割カットするという形でそのしわ寄せが強くなることについて私ども非常に心配をしております。どうぞひとつそういう意味では今後自治省あるいは地方六団体等の意見をよく聞いていただきまして対応していただきたい、このように思いますが、最後にお答えをいただきたいと思います。
  177. 増岡博之

    増岡国務大臣 このような措置の結果、福祉が後退することは許されないと思いますので、御意見のとおり地方六団体等とよくよく協議をしてまいりたいと思います。
  178. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  179. 横山利秋

    横山委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時八分休憩      ――――◇―――――     午後二時三分開議
  180. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  歳入歳出の実況に関する件について調査に入ります。  去る五月十八日の当委員会において、各省各庁等所属建築物の磁気料金問題について政府に対し要望を行ったのでありますが、この際、政府から改善結果についての報告を求めます。藤波内閣官房長官
  181. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 電気需給契約改善等につきましては、五月十八日の衆議院決算委員会における決算委員長指摘及び要請を踏まえ、六月十四日の事務次官等会議において各省庁に対し調査検討方をお願いしたところでありますが、各省庁における調査検討を終え、その結果を大蔵省において取りまとめ、去る十一月二日、同委民会に提出いたしたところでございます。  具体的に指摘のありました官署につきましては、各省庁におきまして最大需要電力の実績をもとに契約電力の変更を行うとか、コンデンサーの新設によって力率改善を行うなど、それぞれ適切に措置することとしております。  調査対象以外の官署につきましても調査対象機関に準じ、改善措置を要するものにつきましては、その措置内容を昭和五十九年度末までに所属の上位機関の長に報告させる等の処理を行うこととして、指摘について徹底を図るよう努めているところでございます。  今後とも、各省庁において今回の指摘と同じ不経済を生じないよう、不断の注意を払うよう努めてまいる所存でございます。
  182. 横山利秋

    横山委員長 次に、会計内部監査制度の充実強化について、私から申し上げます。  国の予算執行の適正性を確保する手段の一つとして、会計内部監査体制の整備確立が望まれるのでありますが、各省庁における監査体制について見ると、その実情は一部の省庁を除いて必ずしも満足すべき状況になっていないと思われます。  本委員会が調査室をして行わせた各種調査において、内部監査体制に関する諸問題点が見出されたので、以下にその所見を述べ、内部監査体制の充実強化について、政府にその改善方を促すものであります。  第一点は、内部監査が執行活動から独立した立場でその機能を果たすために、会計監査組織を会計経理執行組織から分離することについて検討すべきであります。  すなわち、各省庁における現在の会計監査組織の実情について見ると、例えば本省等中央機関であっても、それぞれ相違が見られます。そこで問題は、組織令において会計監査の専担組織として監査課を設けている場合は別として、会計課、経理課等の会計経理執行組織の中に会計監査担当の機関を設けている場合にあっては、監査人としての客観的立場で強力な監査業務を進めがたい面があり、また、執行部門からの独立性が必ずしも確保されないという面があります。  その意味で、このような場合は、行政改革との関連も考慮しつつ、会計監査を専門に所掌する部門を設け、厳正中立の立場から責任ある監査業務執行でき得るような体制づくりについて創意工夫するべきであります。  第二点は、内部監査の独立性を確保するため、会計監査組織の長の地位向上を図ることについて検討すべきであります。  すなわち、前述したような会計監査の専担組織としての監査課の場合を除き、その多くは会計監査の責任者としての立場が明確ではありません。したがって、このような場合であっても適材適所の人事配置を行うことにより、ポストに応ずる評価を行い、地位向上に努めるべきであります。  第三点は、会計監査の要員の充実を図ることについて検討すべきであります。  すなわち、監査に従事する者は、各分野について評価分析のできる技能を有する専門家で、かつ監査人として人格、識見を有する人材を充てることこそが望ましく、その意味で専担者の量質を充実させるべきと考えられるからであります。  もとより、専担要員の充実については、昨今の国の財政事情はそのための増員が容易に認められる状況にはありませんが、当面の措置として、中核となる監査専担の要員を必ず確保するほかは、要員不足の部分を経理執行部門の職員をして的確な監査を行わせるなどの現実的運用を行うべきであります。  第四点は、監査活動の結果を取りまとめた監査報告書を作成していない省庁においては、その作成を行うよう義務づけることについて検討すべきであります。  すなわち、監査組織の長が一定期間の活動の結果について、これを記録した監査報告書の形で残すことによって、内部監査の結果が明確にされ、また、その結果をフォローすることができると考えられるからであります。  第五点は、前記述の監査報告書を有効に機能させるため、監査報告書を大臣または上級機関の長に提出することについて検討すべきであります。  そして監査結果の内容については、その重要性の程度に応じ、重要事項については大臣報告し、その他の事項については、会計監査組織が所属している上級機関である経理局長、官房長等に報告するよう、それぞれの省庁において判断すべきであります。  第六点は、内部監査を進展させその結果を行政に反映させるため、実地監査の施行率を向上することについて検討すべきであります。  特に現状においては、監査の対象が専ら附属機関、出先機関等に偏っていて、本省に対する監査はほとんど実施されていない省庁が多いようであるので、本省等に対する監査を積極的に推進する必要があり、均衡のとれた監査体制及び執行が必要であると考えられます。  第七点、以上申し述べた諸点は、いずれも現行制度を前提とし、その体系を余り崩さない範囲内で可能と思われる改善策を指摘したものでありますが、将来の検討課題として、例えば内部監査の実施状況及びその結果を会計検査院検査の際に報告させるなど、内部監査と検査院の検査とが互いに独立性を保ちつつも協力補完し合って行政の改善向上を図るという体制づくりを考えるべきではないかと思われます。  以上であります。  以上につきまして、藤波官房長官の御意見を伺います。
  183. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 各省庁の会計内部監査につきましては、従来も鋭意努力をしてきておるところでございます。一方で行政機構の簡素化ということに十分配意をしてまいらなければなりませんが、事柄の重要性にかんがみまして、ただいまの委員長の御発言の御趣旨をよく外しまして、今後さらに努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。      ――――◇―――――
  184. 横山利秋

    横山委員長 昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長内村良英君、農林中央金庫専務理事赤羽昭二君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  186. 横山利秋

    横山委員長 それではまず、農林水産大臣から概要説明を求めます。佐藤農林水産大臣
  187. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 昭和五十六年度の農林水産省の決算につきまして、大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入につきましては、収納済み歳入額は二千二百三十八億九千八十九万円余でありまして、その主なものは日本中央競馬会法に基づく納付金であります。  次に、一般会計歳出につきましては、支出済み歳出額は三兆八千七十四億八千五百六十七万円余でありまして、この経費の主なものは、地域の実態に即した構造政策の推進と農業生産体制の再編成といたしまして七千三百十四億三千八百二十八万円余、需要の動向に応じた農薬生産の振興といたしまして一千六百三十八億六千へ百八十九万円余、農業生産力向上のための農業生産基盤の整備といたしまして九千百六十四億七百九十九万円余、住みよい農山漁村の建設と農業者の福祉の向上といたしまして一千百九十七億九千五百二十万円余、農産物の価格安定と農業所得の確保といたしまして七千六百六十一億七千四百十九万円余、流通加工の合理化、消費者対策の充実と農水産物の消費拡大といたしまして四百十四億九千七百十九万円余、農業技術の開発と普及といたしまして七百六十九億六百六十三万円余、農林漁業金融の拡充といたしまして一千百十七億二千百六十九万円余、農薬団体の整備といたしまして三百四十三億八千四百十四万円余、森林・林業施策の充実といたしまして三千六百十四億四千五百十三万円余、水産業の振興といたしまして二千八百九億五千二百四十万円余、省エネルギー・省資源、石油代替エネルギーの開発の推進といたしまして二億七百六十九万円余、輸入農林水産物の安定的確保と国際協力の推進といたしまして十八億七千三百九十四万円余、その他災害対策等の重要施策といたしまして四千三十四億二千百二十五万円余の諸施策の実施に支出したものであります。  続いて、各特別会計につきまして申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済み歳入額は、食糧管理特別会計勘定合計において九兆二千六十五億九千二百二十四万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において五千九百八十八億三千五百三十万円余、農業共済再保険特別会計勘定合計において一千六百八十七億九千七十六万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計勘定合計、森林保険特別会計、自作農創設特別措置特別会計及び特定土地改良工事特別会計の総合計において二千三百九十億四千四十六万円余であります。  次に、歳出につきましては、支出済み歳出額は、食糧管理特別会計勘定合計において九兆二千二十四億七千九百六十六万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において六千四十三億五千四百三十八万円余、農業共済再保険特別会計勘定合計において一千五百十三億四千二百五十五万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計勘定合計、森林保険特別会計、自作農創設特別措置特別会計及び特定土地改良工事特別会計の総合計において一千八百七十八億一千百六十六万円余であります。  これらの事業概要につきましては、お手元にお配りいたしました昭和五十六年度農林水産省決算概要説明によって御承知を願いたいと存じます。  これらの事業執行に当たりましては、いやしくも不当な支出や非難されるべきことのないよう、常に経理等の適正な運用について鋭意努力をしてまいりましたが、昭和五十六年度決算検査報告におきまして不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後とも指導監督を一層徹底いたしまして、事業実施の適正化に努める所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  188. 横山利秋

    横山委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。磯田第四局長
  189. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 昭和五十六年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件及び特に掲記を要すると認めた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号七一号は、頭首工工事の施行に当たり、仮設足場費の積算を誤ったため、契約額が割高になったものであります。  これは東北農政局で白川農業水利事業の一環として施行した長瀞頭首工工事の工事費の積算に関するもので、仮設足場費の算定に当たり、足場材料は所要数量の三分の一を現場に搬入し、これを工事の進捗に応じて繰り返し三回利用することとして積算することになっておりますのに、全所要数量を現場に搬入することとして積算したなどにより仮設足場費を過大に計算したため、契約額が割高になったものであります。  また、検査報告番号七二号から八五号までの十四件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、工事の施工が設計と相違していたり、補助の目的を達していなかったりなどしていたものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  その一は、輸入麦の売り渡しに関するものであります。  食糧庁では、輸入麦を製粉業者等に袋諦めでなく、ばらの荷姿で売り渡す場合には値引きを行っており、昭和五十六年度の値引き額は三十七億六千三百万円に上っております。  この値引き措置は三十四年度から実施しているものでありまして、当時は港頭におけるばら受け施設が不足しており、輸入麦の八〇%は港頭で袋詰めにして取り扱わざるを得なかったため、多額の取扱経費を要する状況でありました。このため、食糧庁ではばらのまま売り渡しが行われるようになれば、輸入港における袋詰めなどの政府経費が節減されることに着目して、その一部を売り渡し予定価格から差し引き、それによって買い受け者側のばら受け施設が整備されるよう誘導することとしたものであります。  しかし、この措置はばら受け施設が未整備の段階における物流の合理化を図るための誘導策でありまして、今日のようにばら受け施設が整備された状況においては、もはやばら受け施設の整備を目的としたこの値引き措置を継続して実施する意義は失われていると認められましたので、食糧管理特別会計の財政負担の軽減という観点からも早急にこの値引き措置を取りやめるよう求めたものであります。  その二は、沿岸漁業構造改善事業等の実施に関するものであります。  市町村、漁業協同組合等が水産庁の補助を受けて実施している沿岸漁業構造改善事業、水産物流通対策事業等により設置した漁船用補給施設、製氷冷蔵施設、水産物荷さばき施設、処理加工施設、倉庫、卸売場建物、蓄養殖施設等の利用状況や管理運営状況等その事業効果について調査しましたところ、施設設置後二年から八年を経過しているのに、事業計画に対する利用実績がいずれも三〇%以下と低い利用率となっているなど、事業効果の発現がなく、補助の目的を達していないと認められるものが多数見受けられ、中には、施設が設置後全く使用されていなかったり、目的外に使用されていたり、無断で貸し付けられていたりしているなど著しく適切を欠いているものがありました。  このような事態が生じた原因について見ますと、事業計画に問題があるわけでありまして、漁獲量、加工技術、立地条件、加工製品の販路、需給動向等についての事前の調査検討が十分でないまま事業を実施していることによると認められました。  したがいまして、指摘した不適切な事態については、早急に効率的な利用促進陸図らせることはもとより、今後のこれらの事業実施に当たっては、事業主体に対する指導を強化し、適切な事業計画を提出させるようにするとともに、事業実施後の施設の運営状況報告を励行させ、それに対する審査、現地確認を都道府県に行わせるとともに、水産庁においても補助目的の達成が困難と認められるものについては、補助金返還を含む厳格な措置を講ずるなど、国庫補助金の効率的な使用が図られるような体制を整備するよう求めたものであります。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  これは団体営草地開発整備事業によって開発した草地に関するものであります。  農林水産静、畜産物の生産基盤を整備するため、地域の実態に即した比較的小規模な草地の開発整備を行う地方公共団体、農業協同組合等の団体に国庫補助金を交付して草地開発整備事業を実施させてきております。  この団体営草地開発整備事業によって開発した草地の一部について、その利用状況を調査しましたところ、開発された草地が利用されず荒廃していたり、目的外に使用されたりしていて事業効果の発現が十分でないと認められるものが相当数見受けられました。  このような事態は、直接には畜産経営をめぐる情勢が変化したことなどのため、営農意欲が減退し、経営の継続が困難となったことによると認められますが、その背景には我が国の畜産経営は規模が零細で飼料の海外依存度が高いため、国際的要因による影響を面接受けやすい脆弱な経営体質であること、畜産物の需要の伸びが鈍化していることに加え、海外から取引の自由化を強く望まれていることなどの社会経済事情があると考えられます。  このように本事業によって開発された草地が、直接的要因あるいは社会的要因により所期の効果を発現していないという事実を厳しく受けとめ、今後の事業運営簿に関し問題を提起したものであります。  なお、以上のほか、昭和五十五年度決算検査報告に掲記しましたように、自然休養村整備事業等、飼料用小麦の売り渡し予定価格の積算及び林道事業の実施の各件について、それぞれ処置を要求しましたが、これらに対する農林水産省の処置状況についても掲記いたしました。  以上が昭和五十六年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要であります。  次に、昭和五十六年度農林漁業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上をもって概要説明を終わります。
  190. 横山利秋

    横山委員長 次に、農林漁業金融公庫当局資金計画業務計画等についての説明を求めるのでありますが、便宜これを省略し、本日の委員会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――    昭和五十六年度農林漁業金融公庫業務概況  昭和五十六年度における農林漁業金融公庫業務概況について御説明申し上げます。  国においては、需要の動向に即応した農林水産物の安定的供給体制の整備と農林水産業の健全な発展を図っていくため、長期的視点に立って総合的な施策が展開されました。  こうした国の施策に即応して、当公庫は、業務運営に当たりまして、関係機関との密接な連携のもとに農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件の改善を含め融資の円滑化に配慮してまいりました。  昭和五十六年度における貸付託両について申し上げますと、貸付計画額は七千九百七十億円を予定いたしました。  これに対する貸付決定額は六千百三十六億四千九百九十七万円余となり、前年度実績と比較して四百六十六億二千二百四十七万円の減少となりました。  この貸付決定額を農業・林業・水産業に大別して申し上げますと、一、農業部門田千三百九十八億八千七百八十八万円余、二、林業部門七百二十五億四千七百三十三万円余、三、水産業部門九百十三億四千八百十一万円余、四、その他部門九十八億六千六百六十四万円となりまして、農業部門が全体の七一・七%を占めております。  次に、昭和五十六年度の貸付資金の交付額は六千四百十三億七千五百三十九万円余となりまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金五千六百二十億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金からの借入金二百七十億円、並びに貸付回収金等五百二十三億七千五百三十九万円余をもって充当いたしました。  この結果、昭和五十六年度末における貸付金残高は四兆二千六百十四億七千四十万円余となりまして、前年度末残高に比べて三千八百三億八千四百九十四万円余、九・八%の増加となりました。  貸付金延滞状況につきましては、昭和五十六年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は百四十二億七百九十二万円余となりまして、このうち一年以上延滞のものは百二十二億二千五百七十八万円余となっております。  次に、昭和五十六年度における収入支出決算の状況についで御説明申し上げますと、収入済み額は、収入予算額二千八百三十一億四千六百三十五万円余に対し二千八百四十六億八千百三十八万円余となりました。また支出済み額は、支出予算額三千九十九億九千二十四万円余に対し三千四十九億七千三百七十五万円余となり、支出に対し収入が二百二億九千二百三十七万円余の不足となりました。  最後に、昭和五十六年度における当公庫の損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は三千七百七十七億六千九百八十八万円余、借入金利息等の総損失は三千八百三十七億八千百六十四万円余となり、差し引き六十億千百七十五万円余の損失金を生じましたが、この損失金は繰越損失金として整理することといたしました。  以上が昭和五十六年度における農林漁業金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――
  192. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  193. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  194. 元信堯

    元信委員 去る十月三十日の当委員会におきまして建設省に質問をしたことについて、そこのところで十分答弁ができなかったこと、あるいは明白に誤りであったことがあるようでありますので、この際、御訂正を願いたいと思います。
  195. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 お答え申し上げます。  前回の委員会におきまして淡水生物研究所が発行しております機関誌「淡水生物」が国立国会図書館に寄贈されているか否かということにつきまして御質問をいただいたわけでございます。一建設省といたしましては、淡水生物研究所の報告によりまして国会図書館へ寄贈しているとのことでございましたので、前回はそのようにお答えいたしましたが、このたび国会図書館に確認いたしましたところ、御指摘のとおり収蔵されておりませんでした。御訂正申し上げます。  次に、研究所の事業収益の推移について御質問をいただいたわけでございます。  この点につきましては、研究所から毎年報告されてくる収支決算書によりますと、五十四年度を除き、前回の委員会で先生の御指摘いただきましたとおり、五十三年度百五十九万円、五十五年度一千二百万円、五十六年度三千五百万円、五十七年度一千二百万円、五十八年度二千五百万円の剰余金があると思われますが、五十四年度につきましてはマイナスの七百万円であると思われます。  以上でございます。
  196. 元信堯

    元信委員 御訂正のあったところはひとまず了解をいたしまして、なお当研究所については常例検査をなさるということでございますから、その結果を見て、改めて御質問したいと思います。  どうもありがとうございました。
  197. 横山利秋

  198. 新村勝雄

    新村(勝)委員 農政がいろいろ重要な問題を抱えているときに新任された新大臣にその御活躍を期待するわけでございます。  まず初めに、今検査院の方から報告がございましたが、農林省の執行された事業の中で不当事項十五、そして処置を要求した事項二件、特に掲記を要するものが一件というふうに残念ながら不当な使用と認められるものがあるわけであります。特に農林省の場合には、補助金の数も額も非常に多いということの中で一〇〇%完全を期することは難しいことではありましょうけれども、しかし、これは国民の貴重な税金を使用するわけですから、今後ぜひこういうことのないようにお願いしたいわけでありますが、新しい大臣でありますから、まずこれは新大臣に、この点について大臣の責任をどうこうということではございませんけれども、こういう事態にかんがみて、これからどういうふうに補助金の誤りのない適正な執行をしていかれるのか、どっちかというと将来の決意について伺いたいと思います。
  199. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 新村先生にお答えいたします。  今御指摘のとおりでございまして、補助事業等の適正な執行については当省としても種々配慮しているところでございますが、五十六年度決算に当たっては、会計検査院から不当事項として十五件御指摘を受け、まことに遺憾だと思っております。  指摘された事項等につきましては、国の直轄事業に係るものとか補助事業に係るものとかございますが、これは補助金の退避とか工事の手直し等を行わせました。  今後、今新村先生の御指摘の再発防止のために実は関係部局、都道府県に対し改めて通達を出し、国、県はもとより、市町村、農協等の事業実施主体を含めて補助事業の適正な執行のための体制の整備につき徹底を図ったところでございます。
  200. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に、新大臣は新任に当たって農政に対する抱負を語っておられるわけであります。これを大きく分けると三つの点があると思うのですが、三点にわたって構想を述べておられるわけですね。  一つは、規模拡大を図って生産性を高め、足腰の強い農業を育てる。生産力の飛躍的な発展を属指してバイオテクノロジーなど先端技術の開発に力を入れる。三として、都市と農山漁村との交流を深め、活気ある豊かな町づくりを進める、こうおっしゃっておるわけでありますけれども、まずこの第一の規模拡大ということについてどうお考えであるのか、具体的にどういう施策を展開されるのか。申し上げるまでもなく、日本農業の最大の問題点であり最大のアキレス腱は、生産性が低いということに尽きるわけでありますから、これをどういう形で今後高めていかれるのか、まず、これをお伺いしたいと思います。
  201. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 お答えいたします。  最初私申し上げましたのは、先生御存じのとおりで、農林水産業というのは内外ともに厳しい状況を迎えておるというようなことで、より新しい展望を開きたい。そのためには農林水産業関係者ばかりではなくて、実は国民の皆さんの御理解を得たいというようなことで三つの点を申し上げたということでございます。  第一番の生産性の高い、足腰の強い農業の実現ということで、一番問題は、先生おっしゃるような経営規模の拡大、これをどうするかという問題でございますが、これにつきましては農地の流動化を進める。実際なかなか農地の流動化は難しいので、土地の貸し借りとか、そんなことを含めて最大限の努力をしてみたい、こんなように考えておるわけでございます。
  202. 新村勝雄

    新村(勝)委員 農地の流動化、これはやはり規模の拡大には非常に欠くことのできない施策だと思いますけれども、それに関連して、農地法がございますよね。農地法を中心とする農地関係諸法がございますけれども、これの制約があるわけですね。こういう点についてはどうお考えですか。農地法あるいは農地法関連の法制を根本的に見直すというところまで踏み込まれるお考えですか。
  203. 田中宏尚

    ○田中説明員 農地の流動化につきましては過去いろいろ農地法上の問題があったわけでございますけれども、そういう農地法上の問題につきましては、ここ数年間でいろいろな法制の手当てを行ってきたわけでございます。特に先ほど大臣から答弁ありましたように、所有権移転で規模拡大というのは、こういう高地価の中なりあるいは土地の所有者が土地にへばりついているという中でなかなか難しゅうございますので、できるだけその利用権を集積するという形での規模拡大ということが必要になってまいりまして、そういう面で法制上問題がありましたために、農用地利用増進法でございますとか、こういう新しい法的整備をせっかくしたばかりでございますので、こういう新しい法制度に基づく現実的な規模拡大というものについて農林水産省としては当面全力を挙げたいというふうに考えておるわけでございます。
  204. 新村勝雄

    新村(勝)委員 流動化あるいは経営規模の拡大についての一定の手を打たれたということは承知をいたしておるわけでございますけれども、その後の実績はどうであるのか、それからそれをおやりになったその経験からして、今後さらにどういう点を改善をすべきであるかというような点について伺いたいと思います。
  205. 田中宏尚

    ○田中説明員 正確な数字を持ってきておりませんけれども、たしか利用増進等で利用権が集積された面積の累積が十万近くになってきていると思います。ただ、これは非常に現場でそれぞれ話し合いを進めながら貸し手、借り手の縁結びというものをやっていく必要がございますので、去年来も農業集団組織というようなものをいろいろつくっているわけでございますけれども、来年度予算要求におきましても、そういう地域での活動とそれから流動化、特に賃貸を進めるために、従来からございました自作農特別会計というものにでき得れば手当てをいたしまして、新しく賃貸についての小作料について前払い一括の助成というようなものに取り組みたいということで、来年度の概算要求でそういう要求を現在出しているところでございます。
  206. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に、生産力の飛躍的な発展を目指してバイオテクノロジーなど先端技術の開発に力を入れる、こういうことをおっしゃっておりますが、この具体的な内容はどういうことですか。
  207. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 二番目につきましては、実はバイオテクノロジー等を使いまして遺伝資源の開発とかあるいはCATV、有線テレビを使っての農村対策とかあるいは例えば衛星を使っての資源開発、こんなことにひとつ当たってみたいと思います。  またINS、高度情報化社会ですが、INSを使いまして、例えば気象INSというのがございます。そんなことで、一定の気象条件ができると実は害虫が発生する。そうすると、ある一定の気象条件が整った時点でそれがわかるわけで、その害虫の発生を防ぐことができる、こんなことを含めてひとつ先端技術を大いにフルに活用してみたい、こんなように考えております。
  208. 新村勝雄

    新村(勝)委員 その先端技術の適用の対象ですね、どういう方面にどういう形でやるのかということですね。
  209. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 これは全く広範囲でございまして、実は農業というのは、非常に天候に左右されますことは御存じのとおりでございます。例えばことしも三十年来の天候がよかったので大変豊作になった。このことは七月の時点ではだれもわからなかったわけです。そんなことを含めて、いろんな分野にこの先端技術を活用したい。そうして、より新しい農政の展望を開きたい。二十一世紀の農政の基礎づくりをやりたい、こんなことを考えております。
  210. 新村勝雄

    新村(勝)委員 あらゆる方面ということで、大変広くてちょっとつかみにくいわけですけれど……。  次に、農山漁村と都市との交流、そして活気ある豊かな農村ということでありますが、その内容はどういうことでしょうか。
  211. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 実は大変今農村と都市との距離が開いております。私見ておりますと、現在都市におる人のほとんどは農村の出身というようなことでございまして、この距離をどうして縮めるかというようなことで、例えば都市と農村の姉妹関係を結ぶとかあるいは例えば学童なども都市の方が農村にひとつ児童留学のようなものをやるとか、そういう形の中に都市と農村との交流を図りながら、そういう形の中にひとつ活性化を図りたい、こんなことで実は申し上げたわけでございます。
  212. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そういう構想については六十年度予算予算化をしておやりになるわけですか。
  213. 田中宏尚

    ○田中説明員 来年度予算で村づくり推進事業という形で、それぞれ地域の実情に即しまして村の問題点なりあるいは一村一品運動なりあるいは都市住民との交流なり、そういうものを幅広いメニューで推進する事業というものを大きく要求しておりまして、今年度もいろんな事業で十五億ほどそういう金がありましたけれども、来年度は五十五億円ということで大きくくくりまして、新規の重点施策として概算要求で出しているところでございます。
  214. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に、米の生産計画でございますが、米についてはかなり厳しい生産調整を従来やってまいったわけですけれども、過去数年の不作によって、ことしの端境期はかなり米が窮屈になった。外米を緊急に入れなければならないという事態になったわけでありますが、こういう今までの経験と、ことしのこういう緊急事態にかんがみて、これからどういう需給計画をおつくりになるのかということを伺いたいわけですが、まず、それをお伺いします。
  215. 石川弘

    ○石川説明員 お尋ねの米需給でございますが、五十九米穀年度につきましては、御指摘がございましたように、供給量につきまして不足が連続いたしておりましたものですから寸当初の見通しよりも約二十万トンぐらい供給量が減っておりまして、それに対しまして需要量は、こういう需給状況を反映しまして、政府管理の中でも約二十万トン程度当初の計画を上回る供給量でございました。したがいまして、需給で三十万トンのギャップがあったわけでございますが、これにつきましては御承知のように、当初からそういうことを想定いたしました早食いをいたしたわけでございますが、幸いに本年産米が大変豊作でございましたし、非常に早く出荷がされましたので、特別の混乱はなくて何とか端境期を過ごしたわけでございます。  そういうことで前年廃水は全部使い切っておりますので、今度六十米穀年度の需給を見通します場合に、私ども当初、三期計画をもとにしました全体計画では前年産米を十万トン、それから五十九年産米を千九十万トン、合わせまして約一千百万トンの供給を予定いたしたわけでございますが、幸いなことに豊作によりまして、前年雄米の持ち越しはゼロでございますが、現在の一〇八という作況を前提といたしますと、五十九年産の米が全体で千百八十四万トンございます。ただ、この中の二十万トンは加工原料用といたしまして他用途に使うものですから、主食用とすれば丸めて申しますと大体千百六十五万トン、当初の千九十万トンよりもかなり大きな供給予定がございます。ただ、年度で考えます場合に、前年度にかなり早食いを進めておりますので、早食いをもとに戻しますために約五十万トン必要かと思いますので、この千百六十五万トンから五十万トンを差し引きました千百十五万トンが供給の計画になろうかと思います。  需要につきましては、当初は千四十五万トン程度を想定いたしておりましたけれども、五十九米穀年度におきまして政府が管理をしております米の大きさが当初計画を若干上回ったということもございますので、現在私どもが考えておりますのは、需要総量を千四十五万トンないし千五十五万トンと十万トンぐらい幅をつけまして想定をいたします。これで差し引きをいたしますと、六十米穀年度の終わり、六十年の十月末の在庫は六十万トンないし七十万トン、これは当初計画をいたしておりました五十五万トンを上回る数量になろうかと思います。  こういうぐあいに現在のところ、六十米穀年度の需給計画上は所要の需給を満たしてなお相当量の、必要量といいますか在庫を持って年度を越えられるという見通しでございます。
  216. 新村勝雄

    新村(勝)委員 六十年の十月に六十万ないし七十万ということでありますけれども、これは六十年の作況がどうなるかも全くわかりませんし、五十九年の作況というのは異常な豊作であったとも考えられるわけですね。そういった場合にこの程度でいいのかどうかという疑問が一つある。それから生産調整というものをこの際根本的に見直すべきではないかという意見があるわけですね。そういったことを考えた場合に、六十年十月六十万という数字に安心をしておられるのかどうかということがあるわけですけれども、この点について大臣はどうお考えですか。
  217. 石川弘

    ○石川説明員 三期計画で手直しをいたしました際に、基本的には四十五万トン程度の年間積み増しを予定いたしております。したがいまして、来年の作況を一〇〇といたしますと、その上にそのまま四十五万トン程度が乗るわけでございまして、作況を一〇〇で考えますと六十一米穀年度末には百万トンないし百十万トン台の在庫になるわけでございますが、御指摘のように不作の場合、そういうことも頭に置くということでございまして、例えば作況が一ポイント下がりますと大体十万トン下がるわけでございまして、五ポイント下がれば五十万トン。ここ三年来継続しました九六というような作況もございますので、例えば九五というようなことになりますと、結局積み増し分がそのまま積めるという姿にはなれないわけでございます。  したがいまして、御承知のように、今回さらに若干の奥行きを持たせるということもございまして、二万六千ヘクタールの転作の減、限度数量で申しますと約十万トンがさらに積み期せる計画をしておるわけでございます。ただ低い方だけを考えておりますと、逆に高い方になりますと五ポイント上がれば五十万トン増ということになります。過去における過剰米の発生という事態もございましたので、今回はそういう意味で需給についてゆとりを持たせるということ、三たびの過剰が起こらないようにという両面を配慮しまして、転作面積あるいは限度数量について所要の調整を行っているところでございます。
  218. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、六十年度に対する生産調整の緩和があるわけですね。その緩和はどのくらい緩和されるのですか。それからその緩和というのは、将来にわたる生産調整の見直しという考え方からの調整の緩和であるのかどうかですね、その点をお伺いします。
  219. 関谷俊作

    ○関谷説明員 水田利用再編対策の問題でございますが、ただいま食糧庁長官からお答え申し上げましたように、全体として六十年度については若干の調整を加えるという考え方でございますが、基本としましては水田利用再編対策、本年から三年間実施をしてまいりますが、その枠組みとしまして、現在の需給関係のもとで毎年平均四十五万トンの在庫積み増しを行うということも含めましたこの枠組みにつきましては、私どもとしまして、現在の状況のもとでこれは続ける必要がある、こういう考え方に立っております。それはやはり現在の米の生産力から見ますと、需給関係から申しますと、水田利用再編対策ということでいわゆる生産調整を実施しなければならない、こういう考え方に立っておるわけでございます。  ただ今回は、本年産米の作柄を見、また今食糧庁長官からお答えしましたような需給の見通し、さらに、さきの国会でございました米の需給安定に関する決議、またあるいは関係各方面からいろいろ、ゆとりのある米管理の確保、こういう御要請もございましたので、こういう、いわばゆとりある米管理、それから一方、過去にございましたような過剰を三たび繰り返さない、こういう両面に配慮をしながら、水田利用再編対策の来年度の推進について、どういうふうな観点から調整をする必要があるかということをきめ細かく検討いたしました結果、二万六千ヘクタールを調整いたしまして、六十万ヘクタールから二万六千ヘクタールを引きました五十七万四千ヘクタールということで、これを来年度の転作等目標面積として第三期対策の枠組みの中で実施をしていく、こういう考え方で決定をいたしたような次第でございます。
  220. 新村勝雄

    新村(勝)委員 これはすべての点で生産力の向上、拡充ということが必要なんですけれども、農業に関する限り、特に米に関する限りは、せっかくの生産力を抑制しなければいけないという大変矛盾した状況下にあるわけです。これは特殊な事情でやむを得ないと思いますけれども、生産調整ということを、ある程度はやむを得ないとしても、これは後でお伺いしますけれども、途上国に対する救援米、途上国に対する輸出ということで、そういう面でのそれなりの貢献もしておるわけですね。  それから、一つ考えられないかどうかということは、米の備蓄という問題なんですけれども、あらゆる事態に対処していくためには、米にしてもあるいはほかの資源にしても備蓄ということは欠かせないことなんですけれども、特に食糧の備蓄ということは、一定の量を確保することは非常に重要な問題だと思うのですが、米の備蓄ということについてのお考え、これをまずお伺いします。
  221. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 お答えします。  先生御存じのことでございますが、米というのは国民の主食であり基幹的作物でございまして、ある程度の水準の在庫は、これはもう絶対必要だと思っております。  在庫水準につきましては、私は三つ基準があると思います。その一つは不作時への対応、それからもう一つは、消費者の新米志向に対する古米の充当可能量、三番目には財政負担の問題等、こういう問題を特に注意して配慮する必要がある、こう思っています。この点、今の水田利用再編対策の第三期対策において、こうした考え方を基本にいたしまして計画的な在庫積み増しを図ることとしてございます。幸い、本年は実は豊作に恵まれ、六十年十月末には五十九年産米が当初の予定数量から万トンくらいふえるというようなことで持ち越されるということでございます。
  222. 新村勝雄

    新村(勝)委員 確かに古米の処理ということは問題があるし、ローテーションをするにしても、古いものを新米が出回ってから食べるということは非常に難しい面はあろうと思いますけれども、それはそれこそ最新先端技術の駆使によって品質を下げずに相当期間備蓄するということについてもだんだん可能になってくるのではないか。  こういう中で、六十年六十万トンと言わずに、その数倍の量の備蓄を常に持っている、こういうことが広い意味での安全保障からいっても必要ではないか、また国民に不安を抱かせないということからいっても必要ではないかと思うのですけれども、そういう米の備蓄の技術的な点、構想等について伺いたいと思います。
  223. 石川弘

    ○石川説明員 米につきましては、御承知のように梅雨を越しますと大変劣化をしてきまして、その点小麦とは大変違うわけでございます。過去におきましても劣化防止のためのいろいろな研究をいたしておりまして、現在私どもが得ておりますいろいろな研究の結果で申し上げますと、やはり低温で備蓄をしておくことが一番劣化防止に役立つということでございます。したがいまして、現在は、梅雨越し、特に二夏を越して使うというような場合では、やはり低温貯蔵で備蓄をする必要があろうということで、既に国内におきましても相当の規模の低温倉庫を持っております。  したがいまして、今後の備蓄を積み増すプロセスでは、さっきの三期計画で申しますと、現在四十五万トンずつ積み増しをいたしてまいりますと、積み増しの規模としまして百四十数万トン、まあ百五十万トン近い備蓄をする計画になっておりますので、そういう時点に達しますときには、もう当然のことといたしましてそういう米につきましては低温備蓄をする、しかも主食の中に適切に入れていく。そういたしませんと結果的には積み上げになってしまいまして、いわば結果的な過剰処理ということになりますものですから、そういう点につきまして、食管法で定めております基本計画等の中で、その積み上げの仕方なりあるいはそれをどのように保管し、どのように使っていくかということを明らかにしまして、今御指摘のように、備蓄しましたものが有効に使われるように、そういう考え方でやるつもりでございます。
  224. 新村勝雄

    新村(勝)委員 農水省さんは先般のように、余剰米の処理に困ると余剰米ばかりを心配されているようでありますけれども、もっと米の生産ということを総合的に考えて、あるいは国際的な問題として考える側面があるのではないかと思うのですね。  それで、先般の余剰米を途上国に輸出をして大変そういう国から感謝をされたというようなこともあるわけですけれども、過去数年閥にわたって途上国に米を輸出をしたということについて、この事実を農水省さんはどういうふうに評価というか、お考えになっておりますか。
  225. 石川弘

    ○石川説明員 御指摘のように、第一次過剰、第二次過剰の二回の時期におきまして、この過剰米の処理ということの中に、国内の加工原料の利用のほかに、対外的な輸出、さらにはえさに加工するというようなことをやったわけでございますが、価格面で申しますと、輸出と申しますのは大体国際価格で出すわけでございますので、国内における加工原料よりは安く、しかしえさにするよりは高いという水準でございますが、何しろ国内の米の価格が大変高うございますので、相当大規模な財政負担を伴うわけでございます。  そういう金目のことよりも何よりも一番問題になりましたのは、お米につきましては、例えばタイであるとかアメリカというような、お米を通常輸出している国がございまして、そういう輸出をいたしております国からしますと、そういう国のいわば輸出先に入ってくるということから、非常に大きな財政負担をした品物がそういう通常輸出の市場を侵すということに対しまして、これは大変強い反発がございます。この前の場合は、これは過剰米の処理という結果的に起こったことだからということで、いわば了解を得ながら徐々にやったわけでございますが、現時点で申し上げますと、そういう大きな財政負担をして、いわば補助金つき輸出と目されるようなものにつきましては、大変大きな貿易障害であるという反発があるわけでございます。他面、やはり非常にお困りの国からは、援助として貴重なものとして受け取られたという事実もございます。  こういうものにつきましては、現在におきましても、例えば外務省の援助予算等を使いましたいわば無償援助とかそういうものはございますけれども、やはりある程度大きな規模のものにつきまして、大きな財政負担を伴いながらやりますことについては、国際貿易の観点から大変問題があるということ、それからそれと同様に、大変大きな財政負担を伴うものであるという意味では、なかなか事柄としては慎重に運ぶべき事柄ではなかろうかと思っております。
  226. 新村勝雄

    新村(勝)委員 外務省にお伺いします。  先般の米の途上国に対する輸出ですね。輸出といいましても、これは普通の貿易のレベルではなくて長期の延べ払いだと思いますけれども、ですから、その利息等を考えてみれば援助の色彩が濃いと思うのですが、この途上国に対する過剰米の輸出ということについて、外務省はどういうお考えですか。
  227. 木幡昭七

    ○木幡説明員 外務省といたしましては、やはり相手国がどういう需要を持っているか、どういう要請をしているかということをまずよく考えなければいけないわけでございまして、相手国が本当に需要があってかっこの援助を喜んでくれる場合には、私ども、それに対応するという形でやっているわけでございます。したがいまして、この余剰米の延べ払いにつきましても、よく相手国と話をしまして、本当に必要なところ、恵んでくれるところに今までやってまいりまして、それは過去において相手方も大変恵んでくれている、こういうふうに思います。
  228. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと外務省としては、あのやったことについては成果があったという評価のようですけれども、今後においてもやはりこういうことができればやりたいということですか。
  229. 木幡昭七

    ○木幡説明員 余剰米につきましては延べ払いということで、言うなれば有利な条件で売却をしたという形のものと、ただで差し上げる、いわゆる援助として差し上げたのと二つあるわけでございます。農林省の方から先ほど御答弁のあったとおりでございます。  そこで、先に延べ払いをしたところからも、我が方として余剰米の延べ払いは難しくなりましたという説明をしたときに、援助、ただでもらえるようなことは可能なんですかというような話が一、二あったことはございます。しかしながら、これはいろいろ先ほど農林省の方からお話ございましたように、相手国、援助をする相手国の問題のほかに、さらに伝統的な輸出国との関係、タイとかアメリカというお話がございましたが、そういう国との関係も考え、いろいろ配慮すべきことがございます。さらにまた、価格の問題も先ほどの御指摘のとおりあるわけでございまして、いろいろ難しい問題がございますので、私どもは容易じゃないという意識も持っております。要は相手国との関係、総合的に判断してやっていかなければならない、こんなふうに考えている次第でございます。
  230. 新村勝雄

    新村(勝)委員 これは世界第二の経済大国ということ、そしてまた、我が国は軍備を持たない、最小限の軍備しか持たないということでありますから、やはり経済的に世界的なグローバルな観点から貢献をしていかなければいけないという責任もあると思うのですね。そういった意味からいって、やはりいろいろの問題点はあるにしても、世界が今大変な飢餓状態にあるという状況の中で、せっかくの生産力を抑制する、こういうことで非常に矛盾した事態にあるわけですけれども、そういう中で日本の食糧の生産力を世界的に貢献できる方途はないのかということを我々は考えるわけですよ。人間社会の進歩というのは生産力の進歩が基礎になるわけですよね。その中で、特に食糧生産というのがすべての生産の基礎になるわけなんですけれども、せっかくの日本の生産力を殺しているという事態に非常に矛盾を感じるわけですけれども、そういった点は、大臣どうお考えですか。
  231. 石川弘

    ○石川説明員 御指摘のように、水田の生産力をフル活用して、生産ができるような条件をつくりたいと私ども思っておりますけれども、例えば価格水準の面で申しますと、今年初めて実行し、生産者の方々にもようやく受け入れていただきました加工原料用米の水準がトンで申しますと十九万円程度の水準でございます。これにつきましても、なかなか容易に御理解をいただけなかったわけでございますが、これを輸出の価格、いわば国際価格水準にいたしますと、これは非常に変動が大きいわけでございますが、トンで申しますと、七万とか、高くて十万という水準でございまして、その国際価格との差額というものをすべて財政で持つということになりますと、これは結果的に初めから過剰米処理をやるというくらいの大きな財政負担を伴うわけでございます。  私ども、そういう面で、例えば多収穫品種だとか、ごく省力的な栽培をやることによって米の生産コスト自身を下げていく努力は今後も続けるわけでございますが、どうもそういう大きな財政負担なしには農民になかなか受け入れていただけない。またその大きな財政負担をしたものを表へ出しますと、先ほど申しましたように、補助金につき輸出であるという批判を受けるという非常に苦しい立場にございまして、したがいまして、例えば他用途の世界その他の世界でも言っておりますように、国内におきましても超多収穫品種なりあるいは非常に省力化した栽培方法が定着しできますと、このギャップは小さくなるわけでございますけれども、それにはなお相当の努力なりあるいは研究が必要かと思っております。
  232. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうすると、大臣がさっき言われたように、三つの目標のうちで生産性を高めるところに落ちつくという面もあるわけですね。ひとつ大臣におかれては、日本の米が、あるいは日本の食糧生産力が世界に貢献するためにはやはりその前に越えなければならないハードルがあるということですから、生産性を高めるという政策をひとつ強力に推進をされますようにお願いをいたしまして、次の問題に入りたいと思います。  これは厚生省の所管、農水省さんも関係ございますけれども、所管は厚生省さんかもしれませんけれども、厚生省さんいらっしゃっていますね。――今医療制度の中で医療食というものがございますね。これは医療制度の中の一つの制度だと思いますが、特定の指定を受けた食品を病院給食に使えば、そこに一定の点数の加算をする、こういう制度ですね。医療食協会で指定した食品を使えば百二十点あるいは四十一点、十四点と、それぞれの条件に応じて加算をされる、そういうことなわけですけれども、この制度には多くの問題があるのではないかというように考えるわけです。  これは食品でありますから、例えば肉あるいは魚介類あるいはそれらを使った加工品、いろいろありますけれども、どれにしても化学的に合成をする薬剤とは違って、自然の状態、自然の動植物なわけです。ですから、それの特定なものを指定をして、そこに加算をするということ自体がどうも納得がいかないわけなんです。しかもそういうことによって、今少しでも総医療費を抑制をしなければいけないという時代に、何ゆえにわざわざ支出の増加になるこういう制度が出てきたのかということを非常に疑問に思うわけなんですけれども、まず、この制度のねらい、それからこの制度の考え方について伺いたいと思います。
  233. 寺松尚

    寺松説明員 今先生から御質問がございました医療食につきましての趣旨でございますけれども、何にいたしましても、病気にかかっております患者にとりましては栄養の問題、治療を含めまして、これは大事なことでございます。したがいまして、その給食につきましてはいろいろと私ども万全を期してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、その中で医療食と申しますのは、御承知のように、厚生大臣が指定いたしました検査機関におきまして調理、加工後の栄養成分が分析されておりまして、かつ当該栄養成分分析値が一定に保たれておる、こういうふうな食品を言っておるわけでございます。  これも、先生御承知のように、調理を行いました後いろいろと栄養分等が変化をいたすわけでございますが、それが調理後のデータとして把握されておるというようなものでございます。この加算制度ということにつきましては、これは先生御承知でございますが、基準給食をやっておりますところに、その基準給食をやりますときにこの医療食を用いますと十四点の加算制度、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、そういうことを評価いたしまして医療食の加算を認めておる、こういうわけでございます。
  234. 新村勝雄

    新村(勝)委員 これは、医療食であっても市販の一般の食品であっても含む成分は変わりないわけですよ。特に医療食に指定をしておる肉あるいは魚に栄養価を注入するというようなことはないわけですからね。これは全く同じなわけなんです。ですから、一般の市販の材料を調理しても医療食を調理しても、その含まれておるカロリー、熱量等については全く変わりはない。それをなぜそういう制度をつくって点数の加算をしなければいけないのかということですね。
  235. 寺松尚

    寺松説明員 先生の先ほどの御質問にお答えいたしましたとおり、いろいろと調理を行いますと、それに伴いまして中に入っております栄養成分がいろいろ変わってくる、これはもうおわかりのことと存じます。  そこで、この医療食の場合には、先ほど何度もくどいように申し上げておりますが、厚生大臣が指定しております検査機関によりまして検査をやりまして、成分が安定をしておる、したがって、どのくらい入っておるかということがわかるということでございまして、調理後の数字がわかるというようなことでその点を評価して加算制度を認めておる、こういうわけでございます。
  236. 新村勝雄

    新村(勝)委員 調理後の成分については、これは栄養士が市販のものを集めてきて調理をしても全く同じですよ。これは計算すればすぐわかるわけですよ。ですから、医療食ならばわかる、一般の材料、市販の材料ではわからないということは全くないですよ、全く同じですよ。そこらはどうなんでしょうか。
  237. 寺松尚

    寺松説明員 先生おっしゃっておりますように、もちろん栄養士、調理師等の検査によりましてわかるわけでございますが、今おっしゃっておりますのは、調理をする前の成分等をいろいろはかっておるわけでございますし、今の医療食の場合には調理後どうなるかということでそれをしてございます。したがいまして、どうも冷凍食品等のようなものがあるというわけでございまして、その医療食の加算制度を認めます前に、いわゆる治療食といたしまして基準給食というものをやった場合にとれる、こういうふうなことになっておるわけでございます。いろいろお考えもあるかと存じますが、その辺の問題点、私どもこの医療食の問題点がないというわけではございませんので、いろいろ御指摘のことも含めまして私ども中を検討して、制度を改めるべきところがあれば改めてまいりたいと思っております。
  238. 新村勝雄

    新村(勝)委員 問題点があるんじゃなくて、医療食という制度をつくること自体に何ら合理性がないと思うのですよ。それからこれをつくったことによる利益というものもほとんど考えられない。早く言えば、この医療食によって支出をされる加算分だけまさに医療費のむだ遣いではないかと思うわけです。今厚生省さんは総医療費の抑制に非常な努力をされておるわけですよ。真っ先にここからお始めになるべきじゃないかと思うのです。  それで、この制度は五十三年一月から実施されておるようでありますけれども、まず第一に国立病院でほとんどこれを適用してないということ。国立病院では一〇〇%とは言わないが、一つか二つ例があるかどうかわかりませんけれども、国公立病院ではほとんどと言っていいぐらい医療食を使ってないんですよ。医療食を使っているのはごく一部の精神病院であるとか民間のごく一部だ。国がみずから制度をつくりながら国の機関が全然使ってないということはどういうことかということです。そこらをひとつ御説明いただきたい。
  239. 寺松尚

    寺松説明員 今先生御指摘いただきました国公立病院等におきます医療食の普及状況でございますが、一般的に申し上げまして、今先生御指摘のように五十三年から制度が始まったわけでございますが、そのときに医療用食品として導入いたしましたのは九百五十九病院でございました。現在一番新しい数字で、五十八年の数字でございますが、二千三百十八病院になっております。御承知のように、病院全体は九千五百くらいあるわけでございます。したがいまして、大体二五%くらいの病院が使っておる、こういうわけでございます。国公立の病院につきましては、全体が三百五十七ございますが、そのうち大体二〇%ぐらいのものが使っておる、こういうわけでございます。  先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、一応基準給食をとらないとこの加算制度がとれないわけでございますので、病院としてもなかなかとりにくい場合もございます。しかしながら加算制度を活用しないで医療食を使っております病院もございます。したがいまして、販売量と実際の医療費の方へ請求してまいります場合との差はあるわけでございます。私ども、先生から御指摘いただいております医療費の適正化と申しますか、その問題については一番関心がございまして、何も医療食だけではございませんで、できるだけむだを省いて、必要なところには重点的に配分していくという考え方はもちろんございますので、そのような考え方で今後も進めていくつもりでございます。
  240. 新村勝雄

    新村(勝)委員 今の数字ですけれども、国公立病院二〇%というのは間違いないですか。私の調査では、国公立病院、特に国立病院及び国立大学の医学部附属病院、そういうところでは例外的に一カ所か二カ所しか使っていないというふうに私は調査をしてございます。ですから、今の二割というのは本当ですか。もう一回確かめます。
  241. 寺松尚

    寺松説明員 私が申し上げました国と申しますのは、厚生省、文部省、労働福祉事業団、三公社等がございますが、一九・〇%でございまして、ほぼ二〇%ということでございます。それから公的医療機関、これは都道府県でございますとか市町村、日赤、済生会、こういうふうなものがございますが、それの導入率は二〇%ということでございますので、両方でほぼ二〇%と私は申し上げたわけでございます。
  242. 新村勝雄

    新村(勝)委員 要するに、これは薬剤と違って食料なんですね。私はつくっている工場を見たことがございますけれども、一般の市販の加工食品と全く同じですよ。同じ機械を使って、同じ工程でつくるわけです。ただ、それは医療食協会の検査を受けて合格をするという条件にはなっていると思いますけれども、一般の食品と全く同じ物と言っていいのです。内容、成分には変わりはないと言っていいわけですね。それをこういう制度をつくってそのルートに乗せたものだけに加算をすることに非常に大きな疑問を持っているわけです。  それから医療食協会、これは医療食の制度を支えておる元締めだと思いますけれども、このトップの方は厚生省からおいでになっている方ですね。それから医療食協会の配下にある医療食を扱う会社、その下にさらに下請があるわけですけれども、その中間の会社というのは大体がペーパーカンパニーですね。ペーパーだけでもって机の上でその品物を処理するだけ、あと実際に医療食をつくる工場というのは、一般の市販の食品を加工する会社が片手間にやっているというところが多いのです。  これを見ても、医療食とは言いながら単に医療食という指定を受けているだけであって、実際にはその成分にしてもその食品の質にしても全く変わりない、むしろある程度市販のものよりは高い、こういう事実があるわけです。そうしますと、病院では、点数の加算があるからその方が若干有利だから医療食を使おうということであって、この医療食のために患者が利益を受ける、患者が治療上のいい影響を受けるということはほとんど関係ないと思うのです。その辺はどうなんですか。
  243. 寺松尚

    寺松説明員 先生の御質問に何度がもうお答えしておるのでございますけれども、検査機関自身が厚生大臣が指定しております信用のおける検査機関、こういうことで、その検査データが調理以前ではなく調理、加工後の栄養成分をきちっと押さえておるということで、実際問題としまして患者に治療の一環として行います給食にとってはそれが明示されていることが非常にメリットがあるのではないかと思います。そういう検査を経ておることも含めまして、先生おっしゃいましたように、一般の食事につきましてはそんなに違うわけではございませんから、これは食べ物でございますのでそうでございますが、そういうふうに必要なカロリーでありますとか栄養素の成分がきちっと測定されておる、しかも専門的な機関でやられておるということを私ども評価いたしまして、この加算制度を認めておる、こういうわけでございます。
  244. 新村勝雄

    新村(勝)委員 繰り返し御答弁をいただいたのですけれども、全く同じことで納得ができないわけなんです。この制度ができた当時、医療食が今回加算されたことに対し医療費改正の七不思議の一つというふうに新聞等でも批判を受けているわけなんです。  それで繰り返しますけれども、医療費抑制に今厚生省が非常に努力をされているそういう時期に、こういうどう考えてもむだと思われるような制度について、制度そのものを廃止することを含めて検討されるお考えがあるかどうか、伺います。
  245. 横山利秋

    横山委員長 寺松君、何回もお出になるのですけれども、質問者に対して説得力がないのです。委員長が聞いておりましても、あなたの言うようなことならなぜもっと普及していないんだろうということをみんなが考えますよ。そこのところを十分説明してください。
  246. 寺松尚

    寺松説明員 それでは、まず委員長の御質問にお答えいたしますが、五十三年から五十八年、導入の病院につきましては大体六倍に伸びてございます。それなりに進んでおると存じます。  それから、今度先生の方の御質問でございますけれども、私ども先ほどから申し上げて、くどいようでございますが、そういう点に着目をいたしまして評価をいたして、そこの加算制度をつくったわけでございますが、今おっしゃっておりますように、医療費の中に占めます医療食の加算の金額と申しますか、それは全体の医療費の、特に医科でございますけれども、〇・〇二ぐらいのパーセントのレベルでございます。しかしながら、今先生御指摘のように、医療費の抑制と申しますか適正な水準にとどめるという問題は、私ども厚生省の大きな課題でございます。したがいまして、そういう観点から見直すということは、私どもも特に診療報酬の合理化という問題につきまして中医協で現在議論を進めていただいているものでございますから、その辺も含めまして考えてまいりたいと思います。
  247. 新村勝雄

    新村(勝)委員 今までの経過等も厳しく調査されて、検討をお願いしたいと思います。  次の問題でございますが、日本中央競馬会の運営について、これは大臣も御関係がありますので、お聞きをいただきたいのです。  中央競馬会は、馬産奨励あるいは馬の質の向上そして国民の健全な娯楽ということに資するという点では了解できるわけです。さらにまた、財政的にも五十八年度国庫納付金が千四百四十億、第二国庫納付金が三百億、合計しますと千七百四十億ほど国家財政に寄与されておるわけでございまして、この点については大変結構だと思います。  しかし、今中央地方の官公庁で厳しく行政改革が進められております。こういう点からいたしまして、競馬会の運営についても改善すべき点が多々あるように我々は見るわけです。競馬会の運営といいましても大変広範でありますが、時間がありませんので、そのうちの一つの点についてお伺いをするわけですけれども、トレーニングセンターがございますね。これは競馬会さんでは、前には馬場の近所に馬房をつくって、そこへ馬主の馬を競走の前に一定の期間は置いて、ドーピングの関係があるのでしょうか、競走前には義務入厩が必要だということでやっておったようでありますが、この競馬場付近の馬房を全部取り払って、そのかわり東西に二カ所のトレーニングセンターをつくったということです。  ところがこのトレーニングセンターなるものが大変金がかかる。赤字を出しているわけです。競馬会さんの資料によりますと、一カ所のトレーニングセンターで年間約七十億ぐらいの赤字を出しているわけです。その赤字の原因あるいはトレーニングセンターの運営の仕方、これに実は問題があるのではないかと思うわけです。入厩ということ自体が問題なわけですけれども、競馬会さんの方では、義務入厩は新馬については三十日、経験馬については十日義務入厩をすればいいんだという規定があるそうですね。ところが、実際にはトレーニングセンターにもう一年じゅう収容している。そして中には一年たってもほとんど走らない馬が相当収容されておるということですね。これは五十八年度の美浦のトレーニングセンターの例なんですけれども、一年たっても一回も走らない馬が八十頭、一回しか走らない鳩が三十九頭いるということなんです。  そうしますと、全く走らない馬を収容しておいて、収容すればそれだけ経費がかかるわけですから、そういう運営は大変疑問だと思うのです。トレーニングセンターそのものが実は我々からすれば、これはなくてもいいはずなんですね。もとはこういうものがなくて、競馬場の付近に馬房を設置しておいて、馬主はそこへ競馬の前に馬を連れてきて、検査もするのでしょうか、一定の期間入れて、出走させる、こういうことになっておったわけです。それが大変な金をかけて、トレーニングセンター、どれぐらいかかったかわかりませんけれども、現在の金にすると一千億以上かかっているでしょう。それだけの金をかけて、しかも経常費が毎年七十億、八十億かかる。これは大変なむだ遣いなわけですよ、これがなければそれだけ国庫納付金がふえるわけですから。  そういうことで、トレーニングセンターというものは行革の真っ先の対象になるのではないかと思うわけですけれども、まずそれについてお伺いします。  徐々に、次々に聞いてまいりますので……。
  248. 野明宏至

    ○野明説明員 お答えいたします。  中央競馬会のトレーニングセンターにつきましては、これはただいま先生のお話がございましたように、トレーニングセンターが設置される前におきましても、府中とか中山とか各競馬場におきまして、競馬場の調教、管理というようなことで、競馬実施のための全体事業の一つとして競馬会の責任でやってまいったわけでございます。ところが競馬場周辺の都市化が進む、したがいまして馬を集団的に保養することに対しましては周辺住民からも環境衛生上の問題が提起される、また、競走馬にとりましても良好な環境が失われてきているというふうなことで、関東、関西に各一カ所のトレーニングセンターが設置されたわけでございます。美浦につきましては五十三年に建設をされたわけでございます。トレーニングセンターにおきましては、入厩馬の調教とか管理を通じまして馬の能力を見ながら常に入れかえを行っておるわけでございまして、三歳馬のように出走までに比較的期間を要するものもございますが、全体として極力施設の有効利用を図るようにやっておるわけでございます。  こういうようなことで運営しておるわけでございますが、いわばトレーニングセンターというのは、こういった都市化の進展というふうな中で競馬場とは別の場所に設置されておるわけでございますけれども、やはり公正な競馬、あるいはファンに喜んでもらえる競馬をやるというために必要な投資ということになっておるわけでございまして、競馬の開催経費として支出いたしまして、そういうふうなことで馬の調教、管理をきちっとやる、公正な競馬を提供するということによって競馬全体の収入の増加につながってまいっておるという性質のものであろうというふうに考えておるわけでございます。
  249. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、トレーニングセンターの建設費と運営費とはどういう関係にございますか。
  250. 野明宏至

    ○野明説明員 当時の額でございますが、美浦の場合には、建設費が約五百十五億かかっております。そのほかに土地の購入費が約二十億でございます。合わせまして五百三十六億ということになっておるわけでございますが、これはいわば競馬会の一つの資産という形になっておるわけでございます。  それから運営費でございますが、これは美浦について五十八年度の例で申し上げますと、全体として支出が五十八億ということになっておるわけでございます。これはこういったトレーニングセンターの管理に要する経費でございまして、先ほど申し上げましたように競馬開催に必要な経費、こういったものを通じて競馬全体の安定的な発展につながるように、そういった関係になっておるわけでございます。
  251. 新村勝雄

    新村(勝)委員 競馬会さんは大変お金持ちですから、それはこの程度のことは軽くできるんだと思いますけれども、競馬は、性格は国営競馬と同じですね。ですから、競馬の売り上げあるいは運営の金は公金に準ずる、準公金と考えていいわけですね。ですから、それは金があるから使ってもいいということじゃなくて、できる限り収益を上げて国庫に納付していただくことが望ましいわけであります。  ところがトレセンがあるためにその運営費が非常にかかる、こういうことなんですけれども、それに関連をして、競馬に出走するためにはその前に義務入厩の期間があるそうですね。それから任意入厩の期間があるという。義務入厩の期間だけ入厩していれば出走はできるはずなんですね。ところがそうじゃなくて、義務入厩以外の任意入厩の馬が大部分であって、義務入厩は全体の一割か二割しか、計算をしてみますとないわけです。そういうふうに過剰サービスといいますか、必要のないサービスを競馬会さんはしていらっしゃるんじゃないかと思うわけです、そのために余計な赤字がふえるわけですから。それはどうなんでしょうか。
  252. 内村良英

    ○内村参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点でございますが、畜産局長から御説明申し上げましたように、トレーニングセンターができる前は競馬馬は競馬場の附属厩舎に保養されていたわけでございます。それが都市化その他の原因によって外へ出ざるを得ないということでトレーニングセンターに移ったことは、ただいま畜産局長が御説明申し上げたとおりでございますが、あの場合に、もう競馬場にはいられない、仮にトレーニングセンターはつくらぬということにいたしますと、馬主さんたちはどこに馬を置いていいかわからなくなってしまうわけでございます。そこで美浦と粟東にトレーニングセンターをつくりまして、そこで馬を保養し、かつトレーニングを行ってきているわけでございます。  そこで十日、三十日の問題でございますが、初めて入る馬は検疫その他の関係から三十日前に入ってくれ、一遍トレーニングセンターに入りまして競馬に出走した馬は、次に出走する日の十日前に入ればいい、こういうことになっております。したがいまして、いわゆる外厩と出しますか、トレーニングセンター以外の厩舎がたくさんあるということであればそういうことができるかと思いますけれども、美浦あるいは栗東を見ましても若干の外厩があるだけでございまして、トレーニングセンターがなければ競馬の運営が全くできないというような状況になっておるわけでございます。  そこで、馬主さん方はトレーニングセンターに馬をかなり長い閥つないでおられる方もございますが、そこでトレーニングをしたりいろいろなことをいたしまして、競馬の施行に支障ないようにしているわけでございまして、今日仮にトレーニングセンターをやめるというようなことになりますと、実際上もう競馬の運営はほとんどできない、こういうことになるのが現状でございます。
  253. 新村勝雄

    新村(勝)委員 それは我々の調査とはかなり食い違うお話なんですけれども、仮にそうだとしても、トレーニングセンターの馬房に入っているわけですけれども、そこに調教師さんというものが介在しておりますよね。調教師さんに馬を預けてトレセンに入厩させなければ出走できないというシステムになっているわけでしょう。そうしますと、競馬会さんはこれだけの施設をつくって、しかも馬房の使用料は一頭につき月額二千五百円とただみたいなものですね。それで、そういうことを言っていいか悪いかわかりませんけれども、一方調教師さんは馬主から受ける月の預託料が一頭について四十万ないし五十万あると言われています。それで調教師さんというのはみんな高額所得者ですね。大変な所得を得ておられる。そういう方々に五百億もかけた施設の使用料が一頭わずか月二千五百円ということを考えても、ここらにはやはり問題があると思うのですよ。それで馬の一頭の預託料は四十万ないし五十万。もちろんその中には経費があるでしょう。こういうところに、やはり競馬会さんは経営を余りお考えにならない。お金があるから軽易に考えておられるんだと思いますけれども、そこの点はどうなんでしょう。
  254. 内村良英

    ○内村参考人 ただいま御説明申し上げましたように、競馬に出走する馬はトレセンに入厩することを義務づけているわけでございます。したがいまして、義務づけている関係から、調教師もトレセンに馬を置かなければ出走できないということになっておりますので、貸付料は非常に安くなっております。固定資産税と火災保険料程度でございますので二千五百円、ただいま御指摘のあったような数字になるわけでございます。  一方調教師は、そのように安く借りていて預託料を四十万円も取っているじゃないかという御指摘でございますが、預託料はほとんど経費でございます。厩務員も置かなければなりませんし調教助手も置かなければなりませんし、それから馬の飼料その他もございますのでほとんど経費でございまして、調教師の収入というのは大体競馬の進上金で占められているわけでございます。進上金と申しますのは賞金の中から一割調教師に参るものでございますから、その進上金が大体二千万ぐらいになる。もちろん調教料を一頭につきまして三千円取っているわけでございますが、これはほとんどさしたる収入になりませんので、進上金で生活をしているというのが調教師の現状でございます。  それから一般庶民の感覚からいうと二千万円は高過ぎるじゃないか、何でそんなに調教師に収入を上げさせているのかという御意見が当然出てくるかと思いますけれども、競馬の場合には、ある程度関係者がきちっとした生活をすると言うとおかしゅうございますけれども、余裕のある生活をして変なことが起こらぬというような現実もございますので、私どもといたしましては、今の調教師の収入、これは平均でございますから、余り勝てない馬を持っている調教師は二千万円ほどの収入を上げているわけじゃございませんし、やむを得ないのではないかというふうに考えております。
  255. 新村勝雄

    新村(勝)委員 我々の調査とかなり食い違いがありますけれども、仮にそれが正しいとしてもなぜその入厩を義務づけているのか、あるいはまた入厩を義務づけることによってそこに調教師という特権階級、特権階級と言うとおかしいのですけれども、馬主に対して生殺与奪の権と言ってもいいくらいの絶対の権力を持っているわけですよ。そういう特権階級と言うとおかしいのですけれども、特権をそこに許しておる、そういう運営について我々は非常な疑問を持つわけですよ。  それと同時に、トレーニングセンターの収支を見ても、多額の投資をしながらそれが経営という観点からほとんど考えられていないということです。経営という観点が全くないわけです。ですから、これだけの施設に対して一局房戸に二千五百円、それから調教師の収入が五十万といっても経費だと言いますけれども、経費も相当あろうと思いますが、四、五十万の預託料をもらっておる、そういう方々に対してほとんどただに等しい貸付料しか取らない。これはどう考えても経営の観念がないからですよ。ここらが非常に疑問だと思うのです。  それから調教師、そう調教師さんのことを悪口を言ってはまずいのですけれども、調教師さんに絶対の権限を与えているという競馬会の運営の仕方、これもやはりまずいと思うのです。そこらの点どうなんですか。
  256. 内村良英

    ○内村参考人 トレーニングセンターというのは、競馬のために馬のトレーニングをすることが主たる目的でございまして、トレーニングセンターで立派に調教の済んだ馬が競馬に出て競馬場で収益を上げるというような機関でございますので、トレーニングセンターから大きな収益を上げるということはそもそもトレーニングセンターの性格からいってできないわけでございます。  収支を見ましても、収入となりますものは土地、建物の貸付料あるいは競馬馬の治療費等でございまして、その他の支出の方の経費は職員の経費を初め、競馬の運営に関する経費がほとんどでございますので、トレーニングセンターの性格上ここで収益を上げるということは、まず不可能なわけでございます。  私どもといたしましても、一番先に先生から御指摘がございましたように、中央競馬会は特殊法人でございますし、現在の財政事情で経費の節減には努めなければならないのは当然でございますから、一生懸命経費の節減に努めておるわけでございますが、トレーニングセンターは、そのセンターの性格からいきまして収入を上げるということは非常に難しいと申しますか、もうそういうことは初めから考えられないような機関になっているわけでございます。  次に、トレーニングセンターの中の馬房を調教師に貸している、その結果、馬主さんの入れてくれという要求が非常に強くて、何か調教師が大きな力を持っているというようなお話だったのかと思いますけれども、確かにそういうような現実の面はあるわけでございます。と申しますのは、馬房に比べまして馬主さんの数がやや多くて、なるべく早くその馬房に入れてくれとかいろんな要求があるわけでございます。そういった意味の需給関係から調教師さんの方がやや力があると申しますか決定権を握っていると申しますか、そういう面があるのは事実でございますけれども、私どもはそういう点につきましても十分に指導はしているつもりでございます。
  257. 新村勝雄

    新村(勝)委員 納得できない点が多々あるわけですね。競馬というのは入厩の義務なんというのはどっちでもいいのです。競走の前にドーピング検査その他の不正をチェックするということは必要だと思うのです。それ以外に入厩の義務を付するなんということはおかしいのです。外国にはそういうことはないそうですね。  時間が参りましたから、簡単にしますけれども、トレーニングセンターについては経営というかそういう考え方はないということですが、それはおかしいのです。仮に皆さん方のおっしゃることをそのまま受け入れるにしても、支出はできるだけ少ない方がいいのです。そうすればそれだけ国庫が恩恵を受けるわけです。ですから、そういうおっしゃり方じゃなくて、トレーニングセンターについても、それから競馬会全般についてできる限り合理化をしていきます、行革をしますというふうにおっしゃっていただきたいのです。  大臣にお願いしますけれども、競馬会さんはお金を持っていますから、どうしても金を安易に使う傾向がありますよ、これを見てもそうです。だから、今行革の世の中ですから、場合によっては人員整理まで結果的にはされるというような時代ですから、競馬会さんもできる限り同じような気持ちになって行革に協力してもらう、行革といいますか余計な費用を極力節減する気持ちを持ってもらいたいと思うのですけれども、大臣にひとつそういう方向で御指導願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  258. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  競馬というのは二つの顔を持っておりまして、一つは国民大衆に健全な娯楽を与えるということ、それからもう一つは毎年多額の納付金を国庫に納めるというような顔を持っているわけでございますが、実は私は、先ほどの畜産局長理事長と先生の議論を聞きまして、必要経費かどうかということのような感じがいたすわけでございます。局長理事長の言っていることでございますが、競馬が収入を上げるというためには公正な競走が必要、そのためには馬のトレーニングも必要、また調教、管理、そういう方にやった方がより確保できる、こんなことでひとつお話ししたと思うのでございますが、先生のおっしゃるとおり、また内村理事長も言いましたように、これから厳しく合理化に取り組ませたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  259. 新村勝雄

    新村(勝)委員 終わります。
  260. 横山利秋

    横山委員長 貝沼次郎君。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  261. 貝沼次郎

    貝沼委員 国民の食生活の安全性を確保させるために、またきょうこれから話題にいたします問題を解決しておかなければ、これから養殖業者がむしろ成り立たなくなるのではないかというような心配がありますので、その二つの観点から若干の問題を提起し、答弁をいただきたいと思います。  まず初めに、既に報道されておりますように、九月七日でありますが、実にショッキングな記事が出ておりました。これは「抗生物質飼育で耐性菌」という見出してございます。米国で抗生物質を与えて発育をよくする飼育方法が広く普及しているけれども、その牛の肉から人に感染し、抗生物質の全く効かない恐ろしい耐性菌が発見されていたという事実であります。これはその牛の肉でつくったハンバーガーを食べて発病し、そして患者から食中毒の病原菌であるサルモネラ菌が発見されたわけでございます。十七人が発病いたしまして一人が死亡というのが米疫病予防センター、いわゆるCDCによる発表でございます。なお、注目すべき点は、このうち十二人は発病前に自分でも抗生物質を服用していた、そのためふだん体内に生息している有害でない菌まで殺してしまって、それが一層耐性菌をはびこらせるという結果になってしまったということであります。しかもこれは獣医師の管理のもとに行われるのが米国の体制であり、その上で、なおかつこういう事件が起こったということは、我々にとっては非常に恐ろしい問題でございます。  そこで、これと同じようなことが我が国で起こっては断じていけません。しかし、そう考えてみても、果たしてこれが起こらないという体制が整っておるのかどうかと考えたときに、必ずしも起こらないとは断言できないという体制にあると思います。むしろ起こらないのが不思議ではないかと思える節があるわけでございます。それは例えば牛とか馬とか豚とかそういうところはまだいいわけでありますが、いわゆる養殖魚についての問題が制度上あるいは法制上まだ不備な点があるのではないか、こういうふうに思われてなりません。そこで本日は、その不備があるとすればその点をふさぐことが我々の食生活の安全性を高めるために大変重要なことではないかという観点から質問をするわけでございます。  今、養殖漁業をやっておられる方々は魚に対しましていろいろな薬剤を投与しておると聞いておるわけでありますが、この薬剤の投与の状況、あるいは検査の結果その魚から検出された残留物は、例えばどういうものが検出されておるのか、危険なのか危険でないのか、こういうような調査を既に厚生省では食品衛生の方でやっておられるのか。あるいは海そのものを囲っておくというわけにいきませんので、養殖のところでいろいろな薬物を投与するということは、やがて海全体にそれが広がっていくわけでありますので、海の環境保全の立場から環境庁はそういったことについて調査をしておられるのかどうか。そうしてそれに対してはどう考えるべきかという点について、両方の省から答弁をいただきたいと思います。
  262. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  先生御指摘の養殖魚介類を初めといたしましてその他畜水産食品につきましては、食品衛生法に基づきまして抗生物質及び合成抗菌剤の含有を禁止しております。厚生省におきましてこれらの検査法を定めてございまして、それに基づきまして各都道府県それから保健所設置市におきまして必要に応じ監視、検査を実施する体制がとられております。  なお、これらの検査結果で抗菌性物質が残留する等違反が発見されたような場合につきましては、当該品につきまして直ちに流通市場から排除するというような処置がとられているところでございます。
  263. 小林康彦

    小林(康)説明員 お答えいたします。  水産用医薬品によります海の公共用水域の汚染の問題については、現在のところ私ども承知しておりませんで、環境庁としてこれにつきます調査というのも今まで行っておりません。
  264. 貝沼次郎

    貝沼委員 厚生省は、検査しているから大丈夫だと言っているわけですね、今の答弁では。そうして何かあった場合は流通市場から排除しておるから心配ありませんと。これは後で問題にいたします。あなた方はそういうことを言うけれども、実際はできないということを後で申し上げます。  それからもう一点。環境庁は、こういうことは聞いたことがないような今の答弁でありますけれども、今まで聞いたことがないということはないですよ。今まで聞いたことのない話ではないのです。だけれども、何にもやってこなかった、それだけのことなんです。ですから、聞いてはおりましたが何にもやってまいりませんでしたと答弁すればいいのです。そんないいかげんな答弁は今後慎んでください。  では環境庁、そう言いましたからちょっと申し上げます。例えば人体をむしばむ猛毒性のあるTBTO、トリブチルティンオキサイド、いわゆる有機すずです。無機すずよりも相当毒性が高いですね。これは今まで国会で問題になっていますよ。政府の公式答弁もしております。我が党からこれについての質問状も出しております。環境庁が知らないということはないのです。これは例えば漁網の防汚剤なんですが、漁網にいろいろなものがくっつかないためのものです 海の除草剤と言われるものです。全国の養殖網の九〇%以上はどうもこれを使っておるらしいですね。また一説では、年間三百トン、金額にして三百億円と言われておりますけれども、これが海にばらまかれておる。こういう毒性の高いものが養殖業によって海にばらまかれておるのです。環境庁はさっきは関係ないみたいな話でしたけれども、環境庁に関係ない話ではないのです。  それからメーカーの説明によりますと、例えばTBT〇二五%入りは人間でも死ぬ、七%入りは金魚鉢に二、三滴たらたらと垂らしますと二、三分で金魚は死んでしまう、こういうものだそうです。さらに、漁網を浸すわけですけれども、この溶剤が顔にぱっとつきますとやけどをする、衣服につけばぼろぼろになる、目に入れば失明のおそれがある、特異体質の人がさわれば顔がはれ上がったり口もきけなくなる場合がある、そして神経がやられる、手足の神経麻痺が起こる。麻痺とかかぶれとかいうことでこれが事件になっておるのが三百件以上はあるらしい。あるいは北海道では昨年これによって死亡したと言われる人がおる。さらに岡山県あたりでは、神経麻痺等で六人もの訴訟問題が起こっておるというような事実があると聞いておるわけですが、こういったことは環境庁なり厚生省は全然聞いたことはありませんか。
  265. 小林康彦

    小林(康)説明員 先生お話しのトリブチルすずオキサイドに関しましては、お話しのとおり国会でも御指摘をいただいておるところでございます。これにつきましては環境保健部におきまして、化学物質環境安全性総点検調査の一環といたしましてその海域におきます実態につきまして調査を実施し、結果を取りまとめておる段階でございます。
  266. 貝沼次郎

    貝沼委員 厚生省ではどういうふうに受けとめておりますか。
  267. 難波江

    ○難波説明員 TBTOにつきましては、国会で御指摘を受けていることは先生おっしゃるとおりでございます。その後、水産庁が行いました漁網防汚剤の影響調査報告によりまして、非常に微量ではございますけれども、養殖魚介類にトリブチルすずオキサイドが残留するということがわかってまいりましたので、厚生省といたしましては、東京大学の和田教授を座長といたします安全性評価検討委員会を開催いたしまして、養殖魚介類の摂取量とかあるいは濃度、その他TBTOの毒性等から見ての影響につきまして安全性の点での御検討を今お願いしているところでございます。
  268. 貝沼次郎

    貝沼委員 これはTBTOの話ですけれども、実は大阪市の環境保健局の調査結果の報告などによりますと、養殖魚と天然魚のすずの残留をはかったデータがあるのですが、大体養殖魚の方が天然魚の三倍あるというデータが出ていますね。あるいはPCBを見ても、天然と養殖魚を見ると、養殖魚は大体二倍残留している、こういう数字が出ておるわけでございます。  それから水産庁編の「急病診断指針」では、TBTOは疫学的に疑わしい、こう指摘されて、昭和四十七年に自粛通達が出ておるわけですね。しかしながら、法的にどうしておるかということはまだよく見えません。  それからハマチなどいろいろと売られたりしておりますけれども、実際に養殖漁業をやっておられる方々の話などでは、自分たちのつくったハマチは食べないそうですね、あんなものは食べられるか。非常に薬づけになっておる。それで人間の背中が商がるのとよく似ているのだそうですけれども、背中が曲がったりする、そういうものは切り身にして出せばわからないというようなこともあるようでございます。したがって、私ども食品の安全性確保のためには、ただ単に魚を分析しているだけではいけないのであって、やはり魚が育ってくる過程においてそういうものが混入しない、そういう手だてを必要とするわけでございます。ところがこれから問題にいたしますが、そこのところが今抜けておるのではないかと私は思うわけでございます。  そこで、魚に対して、養殖漁業に使っておるいわゆる要指示薬、指示をしながら使うというものでありますが、この残留問題について既に研究した方がおりまして、例えば昭和五十六年十二月の「高速液体クロマトグラフィーによる養殖魚市のニトロフラン誘導体の定量」という論文がございます。これはどこでやっておるかといいますと、千葉県の衛生研究所でございますが、これによりますと、ウナギの九検体中から大検体、フラゾリドンが〇・〇七から〇・二ppmの範囲で検出されたという報告が出ております。  それからさらに、五十七年に「高速液体クロマトグラフィーによる魚肉牛オキソリン酸、ナリジクス酸及びピロミド酸の同時定量」という論文が出ております。これは岐阜県衛生研究所でありますけれども、これによりますと、市販の、要するに売られておる魚、アユ一検体より〇・〇三マイクログラム・パー・グラムのオキソリン酸が検出されたという報仰が出ております。こういったことは当局は承知しておりますか。
  269. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  フラン系の残留の点につきましては、私どもも本年六月一日付で、フラゾリドン、ジフラゾン等の使用を禁止することにいたしております。  それからオキソリン酸につきましては、岐阜での分析の結果に基づきまして休薬期間の延長の措置をとったところでございます。
  270. 貝沼次郎

    貝沼委員 その前にお尋ねいたします。  それでは養殖漁業で使用される要指示薬、こういうものは、特にこれは使っていいとか、これは使ってはいけませんというものは決められておりますか。
  271. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  水産用の医薬品につきましては、薬事法に基づく要指示薬の制度は、現在のところ適用いたしておりません。
  272. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう一回はっきり言ってください。よくわからない。
  273. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 要指示薬として指定をしてあるものはございません。
  274. 貝沼次郎

    貝沼委員 今のは大臣はよく御存じの話ですけれども、これは有名な話ですから。要指示薬としては指定していない、こういうことです。  指定していないということは、逆に言うならば、資格を持たない人がそれを投与してよろしい、こういうことになるわけでございますが、これはそのとおりでよろしいですね。
  275. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  使用者の資格については、特に制限はございません。
  276. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、例えば牛とか馬とか豚とかそういう動物に対しては、これは獣医師の指示を受けて厳重な管理のもとに使用しなさいということですね。ところが魚介類についてはそれがない。したがって、魚介類以外の動物に使われておるいわゆる要指示薬というものが、実際は水産用というレッテルが張られて、そして自由に買うことができる、そしてそれに対して何らためらいもなく、薬学的知識の乏しい人がどんどんこれを利用することができる、ここに実は問題があるわけでございます。この点については、大臣、どのように歯どめをされますか。
  277. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  現在水産用の医薬品につきまして要指示薬の指定をいたしておりませんのは、水産用の医薬品が対象といたします水産用の養殖魚の場合には、例えば先ほど先生御指摘の耐性菌の問題につきましても、魚の病原菌の場合には、人や家畜の病原菌とは異なるため人への影響はない、そういうことから水産用の医薬品については要指示薬といたしておらないわけでございますが、先生御指摘のように、どんどん使ってもいいということではないわけでございまして、五十四年の薬事法改正によりまして五十六年の四月から使用規制が実施されておりまして、その使用規制は、残留等の問題が起こらないように使用規制を定め、この使用規制の遵守の徹底を図るためには私どもも周到な指導を行っているつもりでございます。
  278. 貝沼次郎

    貝沼委員 結局、しなければならない。しなければならないけれども、だれがそれを監督するのですか。だれがやるのですか。例えばそのことによって、その魚を食べて、そうして事故が起こったという場合に、責任はどこにあるのですか。
  279. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  使用規制の遵守につきましては、急病指導者による養殖業者に対する巡回指導でございますとか養殖業者に対する説明会、あるいは出荷前の養殖魚の医薬品の残留検査に対して国が助成するとかそういう措置を講じているところでございます。
  280. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうのではだめなんです。そういう話はもう農林水産委員会でさんざんやっているんですよ。今ごろそんなものを蒸し返したってだめ。いいですか。指導する、指導すると言ったって、知識のない者に指導して何が守られるのですか。普通は、世界では獣医師とかあるいは医師とかというふうにちゃんと資格があるのです。そうでしょう。ところが今のあなたの話だと、指導さえしておけば、あと守らぬ方が悪いんだと。資格のない者にそんなこと言ったって、守られるはずがありません。また魚は物を言いませんから、きょう薬剤を投与して、そうしてあした一匹か二匹か病気なのが出た。そうすると、一匹だけつかまえてきてやるというわけにはいきませんから、やはりどんとやるわけです。  これは集団でやるのが養殖の特徴ですから、ほかの動物と違って一匹、一匹つかまえてくるわけにいかぬのです。そうして必要以上に薬剤は使われておるわけです。しかも、その薬剤がどれだけの恐ろしいものであるかを知らない人がむしろ使っておる場合がある。県が監督するとかあるいは監督員がどうとかこうとか言うけれども、それが毎日行って見ているわけではありません。きのう入れて、きょう入れたのか、証拠は何もないわけですから、事実上は監督はされていないのです。であればこそ国会で問題になって、そうして附帯決議であるとかあるいは大臣の答弁であるとか、もうずっとこれが続けて出ておるわけですよ。ですから、今あなたの答弁で、間違いないのだと言うならば、当時の大臣やあるいは農林水産委員会というのは何を議論したのかということになって、あなたはそれを打ち消したことになるのです、私は、そういう国会軽視の発言はしてもらいたくありません。もっと責任ある答弁をしてください。
  281. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 お答えいたします。  現在魚病対策指導に従事しております人間の数が、県庁の水産試験場の職員が二百七十三名、それから普及員その他の職員が百四十一名、そのほか市町村、漁港職員等が当たっておりますが、私どもといたしましては、この水産技術者の急病の予防、診断、治療に関する技術水準の向上を図るために急病研修のコースを実施いたしておりまして、現在既に二百名程度の受講者が出ております。  それで現在、先ほど申し上げました県関係の職員のうち百六十名は急病研修コースの受講者でございまして、私どもとしては引き続き急病の指導に当たる技術者の技術水準の向上のためには引き続き努力をしていきたいと思っております。
  282. 貝沼次郎

    貝沼委員 だから、さっきから言っているように、あなたの言っているのは講習をやっているから大丈夫だと言うけれども、そんな講習なんかの範囲のものではないのだ。これは医者とか獣医師とかの指導のもとに馬とか豚とか、こういうものにやるときには使用しなさい、それのないものは絶対売らないというものですよ。それがただ指導しているから大丈夫だと言ったって、そんなものはだれだって信用できませんよ。ちゃんとそれだけの資格を持った人がそれを管理しているというなら、それは認めましょう。その資格はどこにある、何という資格ですか。そしてそれは例えばどういう摘発権を持ちますか。この人が違反を摘発した場合は、それはどういうふうにしてその人たちを訴えることができますか。決められただけであって、その人にはそれだけの権限はないでしょう。どうですか。
  283. 佐野宏哉

    ○佐野説明員 私どもとしては、もちろん獣医師に急病の指導に当たっていただくことを排除するつもりは全くございませんので、既に若干ではございますが、開業獣医師で急病の指導に当たっておられる方もいらっしゃいますし、それから製薬会社などで顧客のために急病指導に当たっておる獣医師も現にいらっしゃるわけであります。  それからさらに、大学の獣医学科での教育課程の中でも急病のための教育のコースが始められておりまして、私どもとしても、そういうことにはもちろん期待をしたいというふうに思っておるわけでありまして、私どもが獣医師の急病対策への参加に対して否定的な態度をとっているというふうに御判断なさっておられるとすれば、その点は釈明をさせていただきたいと存じます。  それから先ほど申し上げました薬事法に定められております使用規制につきましては、その使用規制を遵守しない場合には罰則の適用があるということになっております。
  284. 貝沼次郎

    貝沼委員 その適用があるのは私知っているのです。農林水産委員会だって知らずにそんなことを議論したのじゃない。今あなたは、大学の課程で急病の科目もちゃんとできたと言いますけれども、これは農林水産委員会でつけるように附帯決議をやってやったのじゃありませんか。そのもとはと言えばこの獣医師法十七条の問題なのです。ですから、十七条に基づいてとにかくここまでやってきたという話ならわかるのですよ。それで、いずれにいたしましても、農林水産省令の第四十二号で例えばブリだとかマダイとかコイとかウナギ、ニジマス、こういったものという話もある。けれども、その後動物用医薬品等取締規則、これを見るとこれは結局できないようになっているのですよ。だから、この辺はやはり法制上の不備なのです。この十七条に急病というものを入れれば、これは諸外国並みに急病についても獣医師の管理のもとにちゃんと間違いなく要指示薬も使われるわけです。ところが、どういうわけかそれをやらないで頑張っておるところに実は問題がある。  それじゃ、私は逆に聞きたい。  獣医師法十七条に前々から国会の附帯決議その他で約束されておるように大臣はこれを実行する気があるかないかということです、はっきり言って。例えば五十九年四月六日の大蔵委員会では「急病対策に当たる専門家といたしましては、魚類の専門家である水産技術者であって、急病とか薬理について習熟した人あるいは獣医、これは薬とか病気の専門家でございますが、こういう獣医師の中で魚類の生理生態について習熟した人が適当であろうかというふうに考えております。」と言っているのです。水産の畑ばかりではなくて、これは獣医師も含めて考えなければいけないという答弁です。さらに、農水省畜産局衛生課長さんの答弁もあります。それから今まだ十分ではないので学校教育で急病学教育といったものを開始するということで、それは今やっているわけですよ。だから着々と進んではきておるのだけれども、肝心かなめの十七条のところに行っていない。  しかも、この問題は新しい問題ではないわけですね。昭和五十二年、第八十回国会で衆参両院の農林水産委員会が附帯決議としてこの方向を定め、そしてそのために獣医学系の大学の無病研究体制を整備するように政府に要望した。これがやっと今できた。さらに、今度は獣医師法第十七条改正に関する農林水産大臣の国会答弁というのがありまして、九十一回国会参議院予算委員会で、これは五十五年三月でありますが、公明党渡部通子議員の質問に答えて武藤嘉文農水大臣は、魚介類を獣医師の診療対象動物として明確に規定するため、獣医師法第十七条の改正を検討すると約束しておるのです。さらに、九十四回国会参議院予算委員会、五十六年三月でありますけれども、このとき再度質問したことに対して亀岡高夫農水大臣も、趣旨に沿う方向で獣医師法を整備しなければならない、こういうふうに再確認がされておるわけでございます。国会答弁で大臣がこれだけはっきりと言ってきたにもかかわらず、なぜこれが実現されないのか。それほど国会の議論は軽視されておるのか、それともこれはどうしても改正してはならない理由でもあるのか、もしあるとするならばそれは何なのか。この点を私は明確にここで聞きたいと思います。
  285. 野明宏至

    ○野明説明員 お答えいたします。  急病を獣医師の診療対象に加えるという問題についてでございますが、これにつきましては、一つは教育の問題ということがございまして、急病に関する教育につきましては、これまで水産学部においてもその充実が図られてきておるわけでございますが、同時に獣医学教育におきましても、先生お話しございましたように、六年制への移行に伴いまして急病学がその一分野に加えられております。それから、獣医師の国家試験におきましても、六年制へ移行いたしました学生が卒業するようになりました五十八年度から急病学を必須科目として試験科目に加えておるわけでございます。こういったような獣医学教育における急病教育の進展に伴いまして、急病の分野におきます獣医師の役割というのもだんだんと大きくなってまいっておるということでございます。  ただ、何分にも急病についての獣医学教育というのは始められたばかりでございます。なお、人数といたしましてもまだそれほどのところにいっていない。それから獣医師法十七条の問題でございますが、そういった教育の進展に合わせまして、獣医師自体も急病の診療というのは一部やっておるわけでございますが、十七条は、ここで獣医師の診療対象に魚を加えるということになりますと、獣医師でなければ診療業務等ができない、してはならないということになるわけでございます。これは先生御案内のとおりだろうと思います。したがいまして、現段階、これからまだ獣医師についても、実際の養殖の現場についても勉強を重ねていかなくてはいかぬというふうなことでございますので、急病の診療を獣医師だけが担うかどうかという問題もありますので、そういった点も含めて検討させていただいておる、そういった状況でございます。
  286. 貝沼次郎

    貝沼委員 その答弁なんか、もう何年も前から出ているのです。そんなことは何年も前から国会では答弁されているのです。何年たってもそれこそ同じことを言っていたのではしようがないと私は思う。  そこで、獣医師でなければできなくなるから問題があると言いますけれども、現実に魚を食べておる人はいるわけでしょう。とりあえずできる者からやらしていくのが当たり前じゃありませんか。あした私たちが食べて病気になったら、だれが責任持つのですか。そんな悠長なことを考えておってもらっては困ります。まず、できる人がおるのですから。何も獣医師だけじゃありませんよ。それは水産庁の方でも二百名ばかり一生懸命訓練してきた人もおるわけだから、場合によっては話し合いでその辺の話がつくと私一は思うのです。国民生活を守る上においてですから縄張りなんか捨てて、そうしてとにかく我々が安心して食べられる魚を確保するために、まずこの十七条を、文言はどうするかは別として、その趣旨に従って改正する気はあるかないか、そうして改正すると約束してきておるわけですから、これはいつまでにそれをやるのか、大臣から明確に答弁を聞きたいと思います。
  287. 野明宏至

    ○野明説明員 獣医師法十七条の問題につきましては、獣医師の教育なり何なりを現在鋭意進めておるわけでございますが、他方、水産関係者につきましても、養殖現場も含めて急病についてそういったことを担うことのできる方も非常に多くなってまいっておるわけでございます。したがいまして、そういった獣医師の分野における教育の進展、それから同時に獣医さんについても、養殖漁業といった現場について十分勉強を重ねてやっていかなくてはいかぬ、そういう意味で両々相まって、どういうふうな形で急病問題を責任ある形で担っていくかということについて検討いたしておるわけでございます。  獣医師法十七条それ自体は、何と申しますか、獣医師でなければ、こういうふうな形に勢いなってまいります。そういった体系上の問題もございますので、いつまでということは、現段階ではまだ申し上げる段階にはなっていないわけでございますが、引き続き検討を進めていきたいと思っております。
  288. 貝沼次郎

    貝沼委員 結局、何年も前から国会で議論してきたことは生きていないわけでしょう。そんなにくだらないものですか、国会の議論は。みんなが自分たちの生活が大変だから一生懸命ただしておるのです。今魚病を治せる人がいないなら別ですよ。おるわけですよ。なぜとりあえずその人をそこにつけないのですか。薬物の管理がきちっとなされておるならば別ですよ。なされていないで、牛とか馬とか、こういう家畜等に使ういわゆる要指示薬、こういう危ない薬については、牛とか馬とかについては獣医師の指示をちゃんと受けてやるにもかかわらず、魚については全くそれだけの知識のない、病気に対する知識もなければ薬剤に対する知識もない、ただ講習を受けた程度の者がどんどんそれを使っていく。売る方も、水産用と書けば幾らでもそれを手放しで売ることができる、そういう体制がまともだと考えておるのですか。もしそれがまともだと考えておるのならばよっぽどおかしいですよ。大臣、その辺、まともと考えておるかどうか。それから今できる範囲において即座にそこに手を打つ考えがあるかないか。そしてどういう手を打とうとするか。この三点について、大臣、責任ある答弁を求めます。
  289. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 お答えいたします。  実は私は先ほどから議論を聞きまして、大変先生の御努力に敬意を表しているわけです。例えば私の先輩の武藤嘉文大臣、それから亀岡高夫先生、そういう努力を重ねた結果が、実はこういう五十三年に、獣医学教育においても六年制への移行の中に急病が入っておる、そういうことになっていると思う。それからまた、獣医師の国家試験の中に五十八年から急病学が入りました。これはこの努力の結果だ、国会決議のおかげだ、このように私は今理解しているわけです。  そんなことで、実は今聞いておりまして、やはり基本的に獣医師の教育をどうするかという問題、そうしなくては全部に対応できないという問題等もあるかと思います。そんなことで畜産局長水産庁長官からいろいろお答えしたわけですが、私はこの問題はとりあえず目先の対策、長期の対策、両方あるのじゃないかと思います。そんなことでひとつ先生の議論を踏まえまして前向きに検討したい、こう思っております。よろしくお願いします。
  290. 貝沼次郎

    貝沼委員 前向きという答弁は前の国会でも出ておりますので、私前向きの内容をもうちょっと詳しく聞いておきたいと思います。前向きというのは、十七条を変える意思でやるのかどうか、その点を聞いておきます。
  291. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 今私が前向きと申しましたのは、恐らく武藤嘉文元農林大臣とかあるいは亀岡高夫先生が申し上げたのはやはりその方向で、ただ機が熟すのを待つ。すなわち全部を公平にやろうとすると、かなり獣医師に教育しなければいけません。それからもう一つは、これは先生御存じのことでございますが、獣医師というのは、ほとんど山の方におりまして、海岸にはおりません。それを含めてどうするかという問題もございます。また人間の生命に関する問題でございますから大変慎重を要する、こんなこともあるわけですが、今先生がおっしゃった、水産庁に二百名もおるというようなこともございまして、そういうものも踏まえまして、一遍よく検討してみたい、こういうことでございます。
  292. 貝沼次郎

    貝沼委員 終わります。
  293. 新村勝雄

    新村(勝)委員長代理 次に、神田厚君。
  294. 神田厚

    ○神田委員 農林省関係につきまして御質問を申し上げます。  新大臣には大変農政の厳しい中での御就任、まことに御苦労さまでございます。ひとつ日本の農政を政治の中枢に持ってくるように御努力をお願いいたしたいと思うのでありますが、就任に当たりましての御抱負をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  295. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 お答えします。  私は、就任に当たりまして、農林水産業は内外ともに厳しいということは先生の御高承のとおりだと思います。そんなことで新たな農林水産業の展望を開きたい、こんなことをもちまして現在農林水産業者、関係業者と国民にお願いしておるのは三つの点でございます。  その一つは、生産性が高く足腰の強い農業の実現、すなわち農業をやる方が本当に安心して、喜んでやれる農業の環境づくりをしたいということでございます。  第二番目には、二十一世紀に向けての先端技術の開発ということでございまして、バイオテクノロジーを含めて高度情報化社会に備えましてフルにひとつそういうものを使いまして、二十一世紀の農政の新しい展望を開きたいということでございます。  第三番目には、活気のある豊かな村づくりということでございまして、基本的にいけば現在都市と農村というのは非常に距離が開いております。そして私の理解するところでは、私も田舎でございますが、現在都市の方はほとんどが農村の出身。そんなことでございまして、一緒になってひとつ農村を考えよう、そういうことで都市と農村の交流を図りながら、大人も子供も図りながら、そういう形の中で本当の活気ある村づくりをしたい、こんなことで新しい農政を進めたい、こう考えております。
  296. 神田厚

    ○神田委員 それでは食糧備蓄制度の問題でちょっと御質問を申し上げます。  ことしは歴史的な豊作になったわけでありますが、幸いにいたしまして春から夏にかけまして問題がありました米の需給逼迫の事態を乗り切ることができたわけでありますけれども、今後とも豊作になったり凶作になったりする関係で需給の不安定な状況が起こり得るわけであります。米を初めとする主要な食糧の備蓄制度の確立がぜひとも必要であるというように考えますが、この点についての御認識はいかがでありますか。
  297. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 お答えいたします。  現下の日本にとりまして食糧の安定供給とそれから安全保障を確保することは国政の基本だ、こう考えております。そんなことで三つの問題点があるかと思います。  一つは国内生産力の整備を図る。先ほど先生がおっしゃいましたけれども、ことしの豊作というのは三十年来のいい天気であったというようなこと、したがって農業の生産技術が気象の変動に大変影響される、気象に変動されないような農業生産の技術を確立したい、これが第一点でございます。  その次に、国民の主食であるお米につきましては食糧管理制度による管理を行っておりますが、いわゆる豊凶による需給変動への対応についても所定の在庫を保有し需給の安定を図ること、これが第二番目でございます。  第三番目には、輸入に依存せざるを得ないものにつきましては、安定的な輸入をどうして図るか、そのために輸入障害の発生など短期的な事態に備えて備蓄を行う必要がある、こういうような観点で、やはり国民に対する食糧の安定供給の確保は農政の重要な責務であるということで、今後とも食糧管理制度のもとで適正な備蓄、在庫水準の確保に努めてまいる所存でございます。
  298. 神田厚

    ○神田委員 過日、我が党では農林水産大臣に食糧等の備蓄法及び同特別会計法の制定を提唱いたしまして、その検討を求めているところでありますが、検討状況及び大臣の考え方はどうでありますか。
  299. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 お答えいたします。  先ほどから言うように、米が国民の主食であるので、その安定供給を図っていくためにはある一定の水準の在庫を保有していくことは絶対必要でございます。ただ、米の在庫保有については、さきの食管法改正によりまして毎年策定することになっております「米穀の管理に関する基本計画」の中でその基本的考え方が明らかにされております。したがって、私は、改めて法定する必要性はないものと考えております。  なお、その次は、食管会計とは別に備蓄特別会計を設けることについては、米の在庫管理は一定の在庫水準を確保しつつ古米を主食用に売却し、新米を在庫に回すいわゆる回転方式による主食用の需給操作と一体となって運営していく必要がありますので、問題があると考えております。
  300. 神田厚

    ○神田委員 この問題は時間をかけまして、私どもは、できましたら各党との間の折衝の中で備蓄法案は提案をしていきたいというふうに考えております。大臣の方の現時点におきますところのお考え方とは多少違ってくるわけでありますが、このことにつきましてはまた機会を設けまして、少し詳しくいろいろと議論を詰めていきたい、このように思っております。  さて、中長期的な観点から世界の食糧需給の遍追が予想されるわけでありますが、あるいはまた食糧戦略の発動によりまして食糧輸入の途絶等の事態も考えられるわけであります。食糧の安定供給体制確立のための必要性は非常に大きいわけでありますが、これらに対する、いわゆる世界の食糧需給に対する大臣の状況認識、これは一体どういうふうになっているのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。また、我々は食糧備蓄の法制化を一つの危機管理の観点からもとらえているわけでありますが、これらについて大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  301. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 先ほどから申しておりますけれども、食糧の安定供給と安全保障を確保することは国政の基本で最も大切な問題だと思っております。そのために国土を有効利用し生産性を高める、そして国内で生産可能なものは極力国内生産で賄う、そしてそういう形の中で農地の確保、整備等によって総合的な食糧需給の維持強化を図ることが大切であると考えております。また、輸入に依存せざるを得ないものにつきましては、安定的輸入の確保と、先ほどちょっと言いましたけれども、輸入障害の発生など短期的な不測の事態に備えて備蓄を行っているところでございます。  食糧備蓄の法制化につきましては、御存じのように米、麦については食糧管理法に基づき国が在庫を保有しております。またその他の主要穀物等については一定の方式による備蓄を行っておりますので、あえて法制化する必要はないものと私は考えております。
  302. 神田厚

    ○神田委員 法制化の問題は、先ほど申し上げましたようにこれから議論を詰めていくということになりますが、いずれにいたしましても、この備蓄問題というのは政府も方針を出している問題でもありますし、特に今回は非常に大豊作でありまして、ことしは何とか乗り切れるような状況でありますが、従来の政府の方針、方法でやっていきますと、政府自身が定めております備蓄の数量までそれを積み上げることはなかなか難しいのではないかという考え方に立つわけでありまして、これらの食糧備蓄問題については、私は、法制化をして、しかも特別会計によってこれを切り離して推進をすべきだという考え方を持っております。この点についてはまだ後々も論議を詰めていきたい、こういうふうに思っております。  ところで、減反緩和の問題が発表されたわけでありますが、我々もう少し減反緩和をしてもいいのではないかという立場に立っておりましたが、非常に小幅な形に終わりました。そこで、それらの問題と多少関係をするのでありますが、今世界は非常に飢餓で苦しんでいる。この飢餓の状況はさらに二十一世紀のずっと遠くまでそういう状況が続くだろうというふうに言われているわけであります。現実に新聞等では、アフリカを中心とした世界の飢餓の状況が刻々と報道されているわけでありますが、こういう中で食糧援助の問題が出てきておりまして、日本といたしましても世界第二位の経済大国として、そして世界経済に対する貢献の意味からも、あるいは世界に対する我が国の役割の立場からも飢餓に苦しむ国家に対する食糧援助をしていくべきではないかという議論もあります。そういう中で援助米構想というのが、これも新聞等で報道されましたが、そういう構想について農林省としてはどういうふうに考えていくのか。こういう援助米構想と言われるようなものについて検討をし、そしてそれの実現に向かって何らかの対策を講じようとしているのかどうか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  303. 田中宏尚

    ○田中説明員 ただいま御指摘ありました援助米につきましては、こういう生産調整の中で援助米をつくるということ自体は、高い生産力を持っています水出のうそ野を広げるという点でも国内的には非常に意識のある話でございます。  しかし、一力、いろいろと問題が実はあるわけでございます 一つは価格面で、国内の価格ですと大体一トン当たり三十万円、これが輸出ということになりますと、国際価格で出すとすれば六万とか七万になりますし、それから無償援助となりますと、三十万円の差額というものをどこかで持たざるを得ないというような価格関係での問題点なり財政上の苦しさということがございますし、それに加えまして、タイでございますとか、こういう伝統的ないわゆる輸出国にとりましては、日本から米がまた外国に出ていくということはある意味では自分のお得意さんが食われるということになりまして、先般までやっておりました過剰米の処理の延べ払い輸出等につきましても、いろんなクレームなり問題というのが過去にあったわけでございます。  したがいまして、現段階ではそういう非常に難しい問題がいろいろあるわけでございますけれども、国内的には有意義な点というものがございますので、長期的な問題として引き続き検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  304. 神田厚

    ○神田委員 この援助米の問題については外務省の関係者あるいは農林水産省の関係者から話を聞いたこともあるわけでありますが、結局第三国の米を日本が買って相手国に贈るという形になりますと、もらった方はその袋に例えばタイならタイというような判こが押してあるというようなことで、政府関係者はもちろん知っているわけですけれども、一般の人は日本からもらったという感じになかなかならない。そういうことからしますと、一般の相手国の国民というのは日本が援助してくれたんだという感覚になかなかならないということを言っているんですね。そういうことも含めまして、私はなるべく、もちろん価格の問題があるのはわかっておりますけれども、そういう面についての話し合いはこれからいろいろ国内的にもある程度できるわけでありますから、日本の国の米を相手国に贈れるような努力をすべきだ、こういうふうに思っておりますが、その点はいかがでありますか。
  305. 田中宏尚

    ○田中説明員 日本の米を贈るということが、実は第三国である発展途上関を中心にします米を生産している側から見ますと自分で本来輸出したい市場というものが日本に食われるということで、輸入国、相手方にとりましては日本から直接来たということで日本の援助効果というものが出ることはもちろんでございますけれども、逆に伝統的輸出国から見ますと日本の商品が自分たちを食っていくという形になりまして、その両方の問題点の中で我々も政策の選択上悩んでいるというところでございます。
  306. 神田厚

    ○神田委員 援助が効果的にその目的を発揮しなければいけないわけでありますから、そういう意味ではやり方はいろいろあると思うのですね。だから、やり方を工夫していただいて、もうちょっと本当に援助の実効が上がるように努力をしていただきたい、こう思っております。  それから、あと二、三点、時間もありませんが、当面する問題についてちょっと御質問をしておきます。  まず一つは、発展途上国といいますかASEANを中心といたしまして市場開放の要求があるというふうに聞いております。この市場開放について現在どういうふうな検討がなされているのか、それから今後どういうふうにこれに対応するのか、この点につきましてひとつお答えをいただきたいと思います。
  307. 後藤康夫

    ○後藤説明員 これまでの累次の市場開放対策におきましても、農林水産業をめぐります状況は非常に厳しい中で私どもできる限りの努力をしてまいったつもりでございますが、ことしの夏以来、タイを初めといたしますASEAN諸国から農林水産物等の関税引き下げなど市場開放に対する要求が強く出されております。一般論として申しますれば、開発途上国に対しましては先進国、特に大幅な貿易黒字を持つ先進国として、でき得ることであればそれなりの配慮をいろいろしてしくということでございますけれども、これらの要請が現在出ております品目は、国内農業の実情等からいたしますと、いずれも対応が難しい品目でございます。  また、対外経済対策につきましては、四月に開発途上国の関心物資も含みまして取りまとめたばかりでございます。軽々に、またエンドレスと申しますか、常時こういった市場開放対策というものを繰り返し積み重ねていくというようなことになりますと、農業者の不安あるいはまた農政に対する信頼を損なうというようなことにもなりかねないわけでございまして、私ども農林水産省といたしましては、我が国の農業、農業者が犠牲にならないように現在慎重にこれにつきまして検討を重ねているという段階でございます。
  308. 神田厚

    ○神田委員 この問題についての結論はいつごろ出されもおつもりでありますか。
  309. 後藤康夫

    ○後藤説明員 関税問題につきましては、毎年十二月の中旬に翌年度に実施されます関税率の改定を審議いたします関税率審議会が開かれまして、そこで翌年度の関税改正が決まるということに相なっております。ことしも恐らく十二月の中旬にこれが開かれるということになろうと思いますので、さしあたりのこのタイムリミットという点で申しますと、この十二月の中旬の関税率審議会に向けて今慎重な検討を重ねている、こういう状況でございます。
  310. 神田厚

    ○神田委員 最後に、農業者年金の問題をお伺いいたします。  農業者年金の改革問題が出てきているわけでありますが、第一点はこの農業者年金の改革がなぜ必要なのか、農林水産省としてはどういう考え方に立っているのか、そしてさらに加入資格等の問題だけでなく、水準の引き下げ等の問題についても検討の中に入れているのか。この三点をひとつまとめてお答えいただきたいと思います。
  311. 井上一成

    井上説明員 お答えいたします。  農業者年金制度は、先生御案内のとおり、経営移譲を促進いたしまして農業経営者の若返りを進めますとともに、農業経営の細分化防止でありますとか経常の規模拡大を図ることでございますし、またあわせまして農業者の老後保障にも資する、こういう制度でございます。  現在国民体金等の公的年金制度につきましては、本格的な高齢化社会の到来に備えまして給付と負担の適正化を図るなど、制度全般の見直しが行われまして、その改正法案が現在国会で継続審議をされております。  農業者年金制度におきましても、国民年金等の公的年金制度の改正案を踏まえまして、この年金制度がその使命をよりよく達成できますように、給付と負担の適正化を図るなど制度の安定を確保するとともに、あわせまして農業構造政策の効果を高めるための措置を論ずる必要がある、このように考えております。そういうことで、その具体的内容につきましては、農業荷年金制度研究会を設ける等、関係者の意見を聞きながら今後検討してまいる考えでございます。
  312. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  313. 新村勝雄

    新村(勝)委員長代理 次に、中川利三郎君。
  314. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、農林中央金庫の経営姿勢についてお伺いいたします。  御承知のとおり、農林中金は農林中央金庫法という法律に基づいて設立されている金融機関で、信濃連、つまり全国信用農業協同組合連合会を初め信漁連、森林組合連合会などの農林漁業団体を構成因休として、協同組合金融において全国的な資金の相互融通を図る組織としてつくられているものでございます。したがって、設立当初は政府の出資比率も高く、半官半民的な性格を強く持っている金融機関としての特殊法人でもございます。  農林中金の資料によりますと、五十三年三月末現在の法人出資者数、これは農協及びその連合会で五千二法人、漁協及びその連合会で二千二百二十七法人、森林組合及びその連合会で千七百六十九法人、土地改良区及びその連合会で千百八法人、その他五百二十五法人、合計一万六百三十一法人に達し、その出資の口数は四億五千万口、出資金は四百五十億円にもなっています。また、今日の食性制度のもとでは、米、麦代金の支払い事務農林漁業金融公庫資金の受託貸付業務の代行など、政府の農業政策を遂行する上で重要な役割を負っております。農民から系統組織を通して資金を吸収し、昭和五十八年三月現在で預金残高は十三兆五千八百十三億円になっております。また、資本金は四百三十億円で、先ごろの「日本金融通信」によりますと、世界の銀行としても、五百大銀行の中の十七番目に位置している、そういう金融機関でございまして、農林漁葉者にとって重要な役割を負っておる農林中金は、その組織基盤である農林漁業の経営危機、一方では金融界をめぐる情勢として金融の自由化機械化、そういうものの進展の厳しい環境の中に一たされていると思うのです。したがって、今までと違いまして農林中金を取り巻くこのような環境の中で、農林中金として農林漁業の発展に資するためにどのような施策をお考えになっていらっしゃるか、まずこの点から簡潔にお答えいただきたいと思います。
  315. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えいたします。  接近の情勢等につきましては、今先生御指摘のとおりでございます。近年、農林漁業を取り巻く環境は大変厳しく、農林漁家の経営は依然として苦しい状況が続いております。また、今後本格化する金融自由化、機械化の進展は、系統信用事業にも厳しい対応を迫るというふうな状況でございます。系統金融は、金融を通じて農林漁業の発展と組合員の経済的、社会的地位の向上を図ることを基本的な使命としているわけでございまして、これまでも組合員の必要とする資金に対する円滑な金融を行い、また財産運用の面からも相談活動を通じて期待にこたえる一方、農山漁村の生活環境整備にも積極的な役割を果たしてきているわけでございますが、今後も農林漁業の専門的金融機関として、また地域に密着した協同組合金融機関として、農林漁業政策金融とも協力しつつ十分な努力を払っていくというのが協同組合金融機関の使命でございます。その一翼を担う農林中金としても、こういう形で大いに努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。  それから金融自由化が進展する中で、銀行等との厳しい競争が一層激しくなるというふうに思うわけでございますが、組合金融としてのこのような使命を果たすための特性を生かすということ、あるいは単協、信連、金庫が一体となって経営基盤の確立や機械化等による業務機能の一層の整備を進めていきたいというふうに思っているわけでございます。また、他の金融機関に伍していくために必要な金融機能の整備拡充にも十分努力してまいりたいというふうに思っている次第でございます。  以上でございます。
  316. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今の御答弁によりますと、組合員の経済的な、資金的なそういうものに役立てたい。私の手元には、昭和五十七年度あるいは五十八年度-六十年度を展望した「組合金融推進方策の概要」、「昭和五十九年度組合金融推進方策の概要」これは中金の発表したものですね、こういうおたくからのものをもらっておりますけれども、これを拝見いたしますと、何といっても「融資基盤の確立」ということはどの年度にも言っているわけでありますね。例えば「融資方針を明確化し、」「農協経営面における貸出の役割を見直して、農協独自の融資基盤の確立をめざす恒常活動を展開する。」とかあるいは「組合員等の借入ニーズに即応した農業資金・生活資金の貸出に積極的に取組み、」こういうものを毎年の基本方針にしていらっしゃるわけであります。  そういう点を踏まえながら私はお聞きしたいのでありますが、農業の今の経営危機、あなたのお話もございましたけれども、米価を初め畜産物価格などの実質的な据え置きだとかあるいは生産抑制、減反、野菜や果実価格の低迷だとか、一方では農業生産資材の高騰、冷害や風水害のもとで農業経営の維持が極めて困難で、専業農家を中心に農家の負債は急速にふえておる。おたくの、農林水産省の「農家経済調査」によりましても、二月当たりの年間農業所得は、五十年度の比較で当時百十九万六千円でございましたが、五十七年度に至っては九十五万一千円に落ち込んでいますね。そういう点で、農家の農業収入が百万円以下に下がったと言いながら、一方の負債は、あなた方の統計を見ましても、五十年度の八十四万八千円に対しまして五十七年度には百八十七万七千円にふえているわけであります。しかしそれは、政府の統計でありますが、実際の農民の個々の、私農村の出身でありますからわかっているのですが、負債額はそんなものじゃないのですね。もう二千万、三千万というのはざらにいるということですね。  このような農業経営危機の中で、御多分に漏れず、農村部においても生活資金あるいは農業設備投資の資金をサラ金から借りるケースも年々ふえております。私の方の秋田県におきましても、サラ金会社の進出ぶりは農村部においては大変なものがございまして、その結果、サラ金被害にあえぎ、一家離散や首つり自殺もふえているわけでありまして、こういう問題で新聞に出ない日がないんですね。特に私の事務所なんかはせんだってもございましたけれども、秋田県の能代というところの農村でありましたが、そこのお父さんがもう首つり寸前じゃなく首をつったんですよ。危機一髪に家族が発見いたしまして、とりあえず中川事務所に相談に行こうということで、そのお父ちゃんを連れて家族の皆さんが御一緒に来ましたけれども、そういう状況なんですね。ごく最近の新聞を見ますと、一般の方でも例えば自分の腎臓を売って、腎臓を売った金でサラ金に払わなければいかぬ、運転資金を捻出しなければならないということでありますが、特に農村は全般的にそういう危機が深まっている、こういうことだと思うんです。  そこでもう一回農林中金にお聞きするのでありますが、ことしの一月、農林中金のおたくの調査部が全国五百二十八の農協を対象にいたしまして、農村部におけるサラ金の進出状況、こういうことについてアンケート調査をしたようでありますけれども、その動機は一体何であったのか、このことをお聞かせいただきたいと思います。調査に乗り出した動機だけで結構です。
  317. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  おっしゃるように、近年サラ金関係に伴う悲喜劇等が大変起きているわけでございます。農村につきましては、私ども系統金融が大いに一元的にその役割を担って、相談にあずかってきておるわけでございますが、一体このサラ金が農村にどういう格好で進出しているであろうか、そういう実態を承知すべく、私どもの方の調査部でああいう調査をしたわけでございます。そしてその結果、しかるべき対策を打とう、こういうことでございます。
  318. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 その調査結果はおたくの報告が出ているわけでありますね。それによりますと、これは農林中金、農林省からもらったおたくの報告ですが、その調査結果、「(1)農村部にも拡がるサラ金被害」という項目を見ますと、「今回の調査によれば、「ここ一年ほどの間にサラ金とのトラブルについて組合員から相談」が、「まったくなかった」農協は一九・九%に過ぎず、残り約八割の農協は、なんらかの形で相談をもちかけられている。なかでも注目されるのは、「ひんぱんにあった」、「ときどきあった」の割合をみると、農村部の方がむしろ多いことである。例えばこれら二つの合計割合は、東北(六四・二%)、山陰(六二・五%)、北陸(五九・〇%)などの農村部が、南関東(四五・七%)、近畿(三七・九%)などの都市部を大きく上回っている。」こう書いてありますが、間違いありませんね。
  319. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 はい、私どもの調査ではそのようになっております。
  320. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは、さらにお聞きしますが、この調査結果を踏まえまして、おたくではどういう対策、どういう施策を講じようとしているのかということですね。そうした分析はした、例えばおたくの分析によりますと、いろいろ今のような分析はしたわけでありますね。実際、個々の農協でいろいろなことをやっているわけでありますが、とりわけそういう結果を踏まえて、あなた方の方ではどういうことを考えていらっしゃいますか。
  321. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  今先生御指摘のような状況が判明したわけでございます。そもそも農協は個人金融を基本として、組合員の農家や地区の住民等に対し、堅実な農業経営に必要な資金あるいは合理的な生活設計というものに必要な資金を全面的に対応するというのが基本でございます。また、そういう活動を行っているわけでございます。上記融資活動を円滑に行いますように、金庫としましては、かねてから信連等と御相談申し上げ、基本的には全国の統一的な商品として住宅あるいは教育あるいはその他使途自由なローン等各種のローンを開発し、なるべく簡便な方法により組合員が借りやすいような方法を工夫して対応を図ってきている、また各県それぞれ地区の特性を生かした実情に応じた対応を図っている、こういうふうな対応をしてまいっておるわけでございます。  なお、特に個人の生活費につきましては、合理的な生活設計のための教育指導とあわせて借入方法あるいは担保、保証等についてさらに簡易な方法等により融資を行うような小口融資等を開発し、それの普及を行っているというふうな状況でございます。  それから、サラ金の関係につきましては、サラ金の実態というふうなものをより組合員に周知徹底し、啓蒙を行い、さらに相談活動等をより充実してまいり、こういうものの弊害を防ぎたいというふうに思っております。  こういうあれを踏まえて、さらにまた先生先ほど御指摘の推進方策というふうなものを、こういうふうな実態を踏まえながら、より現実的なものにして進めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  322. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 確かに、個々の農協では、中金の分析にもありますとおり、対策の具体例としては、組合員の家族に対する貸出条件を緩和する、部落座談会等の折にサラ金の実態を具体例を挙げて説明する、チラシを配布して被害に遭わないように呼びかける、こういうことが個々の農協の対応として私の調査したところによりますと六四・四%あるのですね。  ところが、そういう状況でありますが、今の御答弁では相談活動をサラ金については充実するとか実態がどうだとかというお話がありましたが、個々の農協はそういうふうに取り組んでいらっしゃるわけでありますね。そのほか農協ローンのいろいろな住宅だとかあるいは農協クローバーローンだとかいろいろな格好のものがあることは私は知っているわけですが、いずれ、やはりこういう状況の中ではおのずから農協自体の力では限界があると思うのです。農林中金の融資のあり方が一般金融機関と何ら変わらずもうけ主義になっているとか、あるいは困っている人の立場に立っての融資ではなくて、農林中金の経営的な立場からの融資にとどまっているなど、そういう声も和しばしば聞くわけでありますが、当然このサラ金対策については単位農協任せではなくて、単なる集約したり分析するだけでなくて、農林中金としての具体的な側面から援助を考えるべきではないかと思うのですが、そうした具体的な手だてというのは何かありますか。
  323. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  今先生のお話にありましたように、まず組合員の必要資金あるいは生活設計あるいは営農設計等につきましては、何といいましても組合、農協が第一義的に対応すべきものであるというふうに思うわけでございます。そこで足らざるところを県信連段階でカバーし、さらに足らざるところを私ども農林中金が大いにこれに対応していくという協同組合系統組織の一つの仕組みがございます。  したがいまして、私どもとしては、さはさりながら農協がそういう体制が十分であろうか、そういう目的に十分こたえているであろうかということは常に反省して、組織の内部の問題として問題を提起しているわけでございます。そういう意味におきまして、信連等とも十分相談し、また私どもの職員等が出先及び本店等から出かけていって、大いにそういうことについて御相談あるいは指導というのは大変言い方がちょっとあれでございますが、そういう格好でのいろいろの活動をやっている次第でございます。
  324. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、あなたの御答弁はいろいろな系統の流れに沿って、第一義的には末端の農協、足らないところはその県段階の信連などがそういう段階に従ってやるのが建前だ、しかし場合によれば自分の方の職員も出かけていって、農民がサラ金被害に直接さらされないような格好の指導はしているのだというお話でございました。よくわかりました。  それでは、私は具体的にお聞かせいただきたいのでありますが、農林中金が出資している会社が、私の資料によれば、農林省からいただいたものでありますが、十七ございます。その十七の会社の中の一つに、協同リースという本社が東京都千代田区平河町にある会社があるわけでありますが、この会社の役職員の数は、取締役会長以下監査役を含めて十七人おります。農林中金や全農、全共連、全中など農業団体の前歴者及び現職者の方が十七人の中に十三人おるわけであります、ホクレン青果を含めまして。これに間違いありませんね。
  325. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 おっしゃるとおりでございます。
  326. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 十七人のうち十三人です。圧倒的大部分ですね。役職にしてそういうことでありますが、この役職の十三人の内訳を見ますならば、今全農の方が五人いらっしゃいます。現職二人、前職三人ですね。中金が二人います。現職一人、前職一人です。共済農業は三人おりまして、現職二人、前職一人です。中央会二人・現職一人、前職一人です。ホクレンが前職一人です。この中には非常勤の取締役も含まれているわけでありますが、そういう顔ぶれを見ますならば、例えば取締役会長をやっている菊池弘さん、前の農林中央金庫の理事です。取締役社長正木さん、前の全国農業協同組合中央会常務理事です。あるいはこれは非常勤取締役でありますが、取締役では山口巌さんなんと言えば現職の全国農業協同組合中央会の専務理事ですね。こういう格好で、現職の農林中金の常務理事だとか、前歴が全中の常務理事だとか全農の庶務理事、全共連の専務理事だとか、そういう我が国の農業系統を代表するそうそうたるメンバーがこの協同リースという会社の役職に名を連ねております。  また、この協同リースの資本金を見ますと、ここに商業登記簿を持っておりますが、五億円でございます。それで農林中金はこの会社に対して、昭和四十九年十月二十一日二億二千万円の出資を行い、その出資率は四四%、全農の出資額は一億八千万円で出資率は三六%、全共連の出資額は一億円、出資率は二〇%、合わせて一〇〇%ですね。いわば系統団体の同族会社でございますが、役員の大半また資金的にも農林中金や全国農業団体の関係者で占められている協同リースという会社は一体どんな仕事をしているのか、お答えいただきたいのであります。これは農林省でもどっちでもいいですよ。
  327. 後藤康夫

    ○後藤説明員 農林中央金庫が外部出資をいたします場合、事前に私どもの方に届け出をしていただいておりますが、協同リースの事業内容は、私ども承知いたしておりますところは、生産、輸送あるいは店舗用の機器なり設備、不動産の賃貸及び売買を行う株式会社であるというふうに承知をいたしております。
  328. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 確かに「目的」の一のところには今あなたの言ったことを書いておりますね。「二金銭の貸付」、「三前各号に付帯関連する一切の事業」、そこのところは故意ではないと思いますが、あなたは今出さなかったわけであります。「金銭の貸付」、これは会社の業務内容になっているわけでありますね。そういうことの不思議さがございましたので、私この商業登記簿をとったわけでございます。農林中金、特に農水省は十分に資料をとっておるということをおっしゃっているわけでありますから、それならば農林省は当然おわかりだと思うのですが、この会社はどこの会社に金銭の貸し付けを行っているのか、はっきりしていただきたい。農林省にお答えいただきたいのですよ。
  329. 後藤康夫

    ○後藤説明員 農林中央金庫は系統金融機関の中央機関でございますし、同時に信用事業に関する全国連的な性格も持っておるというようなことで、出資をいたします場合につきましては、その出資をいたします際に事前にどういう目的、性格の会社が、それが中金の業務の適正な展開に寄与するか等々の見地から適当なものかどうかということをあらかじめ承知をいたしたいということで私ども届け出をしていただいております。設立以来かなり年数もたっておりますので、現在どういう融資をいたしておるかにつきましては、中金の方からお答えいただきたいと思います。
  330. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  手元にちょっと資料がございませんので、どうこうという具体的なあれはございませんが、協同会社でございますので、系統団体等に対する貸し付けが主なあれでございます。しかし、一部法で許される範囲内でやや系統外の貸し付けもあり得る、そういう状況になってございます。
  331. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 前段農林省のお答えございましたけれども、ここに昭和四十八年十月一日農林中央金庫理事長片柳真吉氏あてに大蔵省銀行局長、農林省農林経済局長の書面があります、「外部出資の届出について」。あなたは支出する前に云々ということを言っていますが、これを見ますと、そのことも書いてありますが、「毎年度出資先法人の決算期又は事業年度終了後、可及的すみやかに当該法人の財務諸表を届け出られたい。」こうなっていますよ。後の方の農林中金ですが、系統団体に貸しているけれども、よく資料がない、場合によればその他にも貸してある、こういうようなお答えでありますが、それでは農林中金は協同リースに対して五十六年度、五十七年度、五十八年度の各年度、それぞれ幾ら貸し出しを行ったかということについても資料がないわけでありますね。ありますか。
  332. 後藤康夫

    ○後藤説明員 突然のお尋ねでございまして……。財務諸表などは提出をいたしていただいておりますが、この会社が貸付先別にどういう融資をしているかというところまでは私ども報告を受けておりません。
  333. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは私の方から明らかにさしていただきます。  協同リースがどんな会社に貸し付けを行っているか。協同リースは武富士、レイク、アコムなどのサラ金会社に融資をしております。ここに有価証券届出書、膨大なものでございますが、各期のを私、持ってまいりました。  武富士にはこの三年間だけでも十億円の融資、レイクには二十億円の融資、アコムには六十五億円の融資、このサラ金三社だけで合計延べ九十五億円もの融資を行っています。このことは農林省、おわかりですか。
  334. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 お答えします。  先生御指摘の件は、サラ金の問題が大変社会的な問題になりましたときに新聞等で武富士等々の有価証券報告書からそういう数字が出ておりまして、その中に協同リースが含まれておることは事実でございます。     〔新村(勝)委員長代理退席、白川委員長     代理着席〕
  335. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 事実だということをお認めになりましたね。  先ほど来あなたは、農林中金がそういう重大な使命を持って農民がサラ金の被害に遭わないようにいろいろな対応を考えている、そういう系統の本来の使命を果たすということをおっしゃっていながら、片方ではこれらのサラ金会社に融資していらっしゃる。  そこで、特に私は聞きたいわけでありますが、例えばアコムだけの関係一つを見ましても、第四期五億貸したものが第五期にはもう三十倍貸してみたり、何かだんだん癒着がひどくなっているのが数字上出ておるわけでありますね。そこで、先ほども申し上げましたとおり協同リースの資本金はわずか五億円でありますが、個々の農家の預金は御承知のとおり信農連、信用協同協局組合連合会を通じて農林中金に吸収されていますね。農林中金は協同リースに貸し出しを行っていますね。協同リースは農林中金から借りたお金をサラ金会社に融資しておるわけですね。まさに協同リースというのは農林中金のトンネル会社的存在だと言っても差し交えないのじゃないかと私は思うのでありますが、おたくの「業務のご報告」、昭和五十八年度のパンフレットによりますと預金が総額十三兆五千八百十三億円、その内訳を見ますと十一兆四千九百三十六億円が農業団体の預金なんですね。  そういう点から見ますと、さきに指摘いたしましたように、農村部におけるサラ金会社の進出ぶりに多くの単位農協ではサラ金被害の自衛策を講じていながら、一方では協同リースがサラ金会社に融資をしておる、これでは農林中金や協同リースが農村部におけるサラ金会社の進出を手助けしているようなものですね。マッチポンプという言葉がありますが、これはマッチポンプは当てはまらない、ポンプマッチかな。とにかく道理に合わないことをおたくは農民の名、農協の名でこういうものをやっているということについて、私は監督官庁の農林省からはっきりしたお答えをいただきたいと思うのですね。大臣、どうかな。
  336. 赤羽昭二

    ○赤羽参考人 今の御指摘の件はまず確かにそういうことで問題になりました。それで、私どももちろん協同リースの決算等については十分その報告を求めチェックしているわけでございますが、途中の過程については会社の良識ある判断にまっているわけでございます。ところがそういう事実が判明しましたので、とんでもない、サラ金に融資するのは妥当でないということで回収を求めたわけでございます。  それから、その前に私どもの金がサラ金の方に回ったというふうな御指摘があったわけでございますが、これはそういうことというふうに私どもは考えておりません。といいますのは、私どもの方で融資をする場合に、その資金使途は専ら系統等の電算機を入れたりあるいはその他機器等を入れる、そういう所要資金に充てるために貸しているわけでございます。ところが協同リース自体は、単に私どもの資金を使っておるだけじゃございませんで、都銀等から金を借りておるわけでございます。そういうものをもとにしてサラ金融資をやった、こういう事実が判明したわけでございますので、その点の是正を求めてきたわけでございます。会社からの報告によりますと、ほとんどここのところ残高はゼロに近いというふうな状況でございまして、年度内には完全に回収、こういう状況でございます。  お答えといたします。
  337. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた、妙なことをおっしゃる。金は協同リースに貸したが、その金は必ずしも中金の金だとは限らないんだ、ほかの方からも金が来ているはずだという話ですが、金に印はついておらない。そういう根本的な反省を欠いて、だからおれの方の責任はないんだというようなことは、これはあなた、とんでもないことですよ。だから、こういうことが起こるんだよ。また、そういう事実が判明したから金を引き揚げるところだ。先ほど私はおたくの方に問い合わせしました。率直に認めましたよ、申しわけありませんでしたと言って。何ですか、あなた。そういうことで確かにこの五十九年度はまだ、有価証券の決算発表になるのは十一月、十二月ですから、そういう状況はあるわけでありますが、今までの経過を見るならば、ちゃんと一たん返済期日には返させておる。そうすると、次の日というかその日に貸しておるのですよ。その繰り返しで、しかもその額が大きくなってきておるのが今のおたくのやり方ですよ。その点私は厳重にあなたに懸念を――そういう誤解をするなと言うけれども、ゴカイするどころかジッカイもしなければならないと思っておるのですよ。  同時に、時間が参りましたから最後大臣にお聞きするのでありますが、何と考えても農林中金のこういう姿勢、これは農協金融の趣旨からも逸脱しておるものだと私は思うのですね。サラ金に対する融資、マッチポンプのようなやり方は即刻やめさせるべきだと思うのですね。最後にこの点について大臣から明快なお答えをいただきたいと思います。大臣。――では、後で大臣答弁してください。
  338. 後藤康夫

    ○後藤説明員 農林中央金庫は系統信用事業のトップに位置をします非常に重要な機関でございます。この農林中央金庫が社会的な信頼を失うようなことがあっては大変遺憾なことでございますし、また、今先生の御質問の中に出ておりましたことでございますが、サラ金業者のいわゆる社会的な批判を受けるような営業というようなものを系統金融が助長するようなことはあってはならぬことだと思いますので、突然のお尋ねでございましたけれども、事実関係は私どももまた調べまして、遺憾のないように努力をしてまいりたいと思います。
  339. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私が大臣にお聞きしたことは、いずれにしてもやめさせるべきだ、このことについて大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  340. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 先ほど先生と農林中金の方あるいは経済局長とのやりとりを聞いておりまして、まことに遺憾なことだと存じております。私は、農協系統金融というのは、農業者の自主的組織である農協が、その構成員である農家へ資金を融通し、さらに、その資金の運用によって利益を上げる、それを農業生産等に回す、これが趣旨だと思います。そんなことをもちまして、先ほど話が出たように、農林中金も十分反省しておる、そして全力を挙げて早く回収したいと頑張っておるということでございますので、よろしくお願いいたします。
  341. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では、終わります。
  342. 白川勝彦

    ○白川委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十分散会