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1984-07-11 第101回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十一日(水曜日)     午前十時九分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 近藤 元次君 理事 白川 勝彦君    理事 谷  洋一君 理事 東家 嘉幸君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 貝沼 次郎君 理事 神田  厚君       榎本 和平君    小坂徳三郎君       桜井  新君    塩崎  潤君       白浜 仁吉君    河野  正君       玉城 栄一君    塚本 三郎君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       波多 秀夫君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房会         計課長     近藤 憲輔君         運輸省運輸政策         局長      山本  長君         運輸省国際運輸         観光局長    仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省貨物流通         局長      栗林 貞一君         運輸省海上技術         安全局長    神津 信男君         運輸省港湾局長 小野寺駿一君         運輸省航空局長 西村 康雄君         海上保安庁次長 岡田 專治君         気象庁長官   末廣 重二君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    北村 圀夫君         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         課長      北村 俊男君         外務大臣官房外         務参事官    太田  博君         大蔵省主計局司         計課長     西沢  裕君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 吉川 共治君         会計検査院事務         総局第三局長  秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第五局長  中村  清君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       佐々木峻一君         参  考  人         (日本鉄道建設公         団総裁)    内田 隆滋君         参  考  人         (日本鉄道建設公         団理事)    鈴木  登君         参  考  人         (日本鉄道建設公         団理事)    萱場 英造君         参  考  人         (日本鉄道建設公         団理事)    吉村  恒君         参  考  人         (宇宙開発事業団         副理事長)   園山 重道君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ————————————— 委員の異動 六月二十六日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     梅田  勝君 同日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     中川利三郎君 七月五日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   津川 武一君     中川利三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団総裁内田隆滋君、理事鈴木登君、理事萱場英造君、理事吉村恒君、宇宙開発事業団理事長園山重道君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 横山利秋

    横山委員長 それでは、まず、運輸大臣から概要説明を求めます。細田運輸大臣
  5. 細田吉藏

    細田国務大臣 昭和五十六年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額二十一億一千五十一万円余に対し、収納済み歳入額は二十一億九千六百九十四万円余であり、差し引き八千六百四十二万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆四千七百三十八億一千二百九十五万円余に対し、支出済み歳出額は一兆四千四百八億五千三百九十九万円余でありまして、その差額三百二十九億五千八百九十六万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は二百五十九億五千七百五十六万円余であり、不用となりました額は七十億百三十九万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は一兆六千二百三十二億二千五百七万円余であり、支出済み歳出額は三千六百六十億五千五百九万円余でありまして、差し引き一兆二千五百七十一億六千九百九十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三千三百十七億七千四百十二万円余であり、支出済み歳出額は三千二百九十三億四千七百八十六万円余でありまして、差し引き二十四億二千六百二十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は三百四十四億八千四百五十八万円余であり、支出済み歳出額は二百六十五億三千百九十八万円余でありまして、差し引き七十九億五千二百六十万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は二千四百五十九億一千九百一万円余であり、支出済み歳出額は二千二百八十一億百十万円余でありまして、差し引き百七十八億一千七百九十万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和五十六年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策につきましては、お手元に配付いたしました昭和五十六年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  最後に、昭和五十六年度予算執行につきまして会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後、この種の事例発生未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和五十六年度日本国有鉄道決算大要を御説明申し上げます。  昭和五十六年度における日本国有鉄道運輸成績は前年度に比し、旅客収入は約七%の増加となりましたが、貨物収入は約六%の減少となりました。  決算内容勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は四兆五百億七千百十万円余、支出済み額は三兆九千九百十九億三千四百五十万円余となり、収入支出を上回ること五百八十一億三千六百五十九万円余となりました。これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では一兆八百五十八億九千百四万円余の純損失となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆二千九百七億五千九百十八万円余、支出済み額は二兆二千九百二十九億五千六百十六万円余であり、工事勘定におきましては、収入済み額は一兆一千三百七十四億八千六百五十六万円余、支出済み額は一兆二千八百四十六億六千三百四十四万円余となっております。  また、特定債務整理特別勘定におきましては、収入済み額は三千四百五十六億七千百九十九万円余、支出済み額は三千四百五十六億七千百九十九万円余となっております。  最後に、昭和五十六年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことはまことに遺憾に存じております。今後は、この種の事例発生未然に防止し、予算効率的運用を図るべく、より一層の努力をいたすよう指導監督してまいる所存であります。  なお、詳細につきましては、お手元に配付いたしました昭和五十六年度日本国有鉄道決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 横山利秋

  7. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十六年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一〇九号は、進入道路改良工事施行当たりコンクリートブロック練り積み擁壁工費等積算を誤ったため、契約額が割高になったものであります。  これは、東京航空局が施行した小木の城ARSR進入道路改良工事(第一期)に関するもので、このうちコンクリートブロック積み工費積算当たり、別途外部に委託して作成した設計書コンクリートブロック積み擁壁十メートル当たりのコンクリート及び裏込め材の所要量として切り土部四十七・八平方メートル分及び盛り土部十八・九平方メートル分の資材量計算表示されていたのを十平方メートル当たり資材量と誤認して一平方メートル当たり単価計算するなどしたため契約額が割高になっていたものであります。  また、検査報告番号一一〇号及び一一一号は補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。  検査報告番号一一〇号は、地方バス路線維持費補助事業において、老朽車両代替車両購入費の精算が適切でなかったため事業費が過大になっていたものであります。検査報告番号一一一号は、港湾環境整備事業における運動場の設置に当たり設計が適切でなかったため工事の目的を達していないものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  運輸省におきましては、航空保安施設等自家発電設備新設または更新する工事施行しておりますが、その据えつけ費につきましては据えつけ作業のうち約九割は、発動発電機等製作会社から派遣される派遣据えつけ工が行い、残りの約一割は現地雇用の一般据えつけ工が行うものとして直接労務費を算定し、これに派遣据えつけ工については、直接労務費の一七〇%相当額の据えつけ工間接費を加算するなどして積算いたしておりました。  しかし、この据えつけ作業は簡単な作業でありまして、一般据えつけ工が行うこととしても支障はないものと認められ、現に製作会社からは据えつけ工は全く派遣されておらず一般据えつけ工が行っている状況でありましたので、当局見解をただしましたところ、運輸省では、五十七年八月に据えつけ費は派遣据えつけ工にかえ一般据えつけ工で積算することに改め、同月以降の契約分から実施するよう処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  8. 横山利秋

  9. 中村清

    中村会計検査院説明員 昭和五十六年度日本国有鉄道決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項四件、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項六件及び特に掲記を要すると認めた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一七〇号は、旅客ホーム改築工事施行当たり設計が適切でなかったため、工事費が不経済になったものであります。  これは、岡山鉄道管理局伯備線倉敷−伯耆大山間の電化に伴い、九駅において既設旅客ホームかさ上げ工事施行したものでありますが、運行車両形状等に即した設計により施行すべきであったのに、その配慮を欠いたため、不経済になったものであります。  また、検査報告番号一七一号は、鋼高架橋新設工事施行当たりボルト孔リーマー加工費積算が適切でなかったため、契約額が割高になったものであります。  これは、東京第三工事局施行した東北新幹線大宮駅の鋼高架橋工事のうち、鉄骨鉄筋コンクリート基礎を築造する工事の一部でありまして、鋼管柱鉄骨地中梁とを連結するボルト孔の周囲を削り取り、ずれを調整するためのリーマー加工費積算当たり、誤って、ずれがほとんどないボルト孔リーマー加工対象孔数としたため、契約額が割高となったものであります。  また、検査報告番号一七二号及び一七三号の二件は、職員不正行為による損害を生じたものであります。  一七二号は、仙台鉄道管理局会津若松保線区の事務係員土地購入者から土地代金の一部百八十万円を納入するよう依頼されて便宜預かり、これを領得したものであります。一七三号は、東京西鉄道管理局飯田橋駅の営業係員乗車券発売機計数器を操作し、二百八十万円を領得したものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  その一は、軌道整備工事における脱線防止ガード撤去復旧工事費積算に関するものであります。  国鉄では、保守作業をする場合、脱線防止ガード支障となるので、これを作業前に一たん撤去し、作業終了後に復旧する工事を行っておりますが、この脱線防止ガード撤去復旧作業について調査しましたところ、この積算について作業実態に即していない点が認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、五十七年八月に新しい歩掛かりを定め、同月以降に契約する工事から適用するよう処置を講じたものであります。  その二は、トンネル工事における労務費積算に関するものであります。  国鉄では、線路増設等に伴いトンネル工事を多数施行しております。このトンネル工事費積算は、国鉄で定めた積算要領により労務費等を算定しておりますが、大阪工事局ほか大工事局等施行している二十五工事について調査しましたところ、トンネル内作業労務費については、トンネル外での一時間の休憩時間を賃金の対象としていたり、動力用圧縮空気を供給するコンプレッサー運転労務費については、近年コンプレッサー自動制御ができ、運転手は一方当たり一人で足りるのに一・五人としていたり、また、トンネル坑外ズリ置き場で、ズリ鋼車を横転させてズリを取りおろすときに使用している転倒機運転労務費については、別途積算しているズリ鋼車を牽引する機関車運転手または助手が兼務できるのに一人を余計に見込んでいたりしておりました。これらは、いずれ作業実態に適合しないと認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、五十七年八月及び九月に積算要領改定し、これを適用するよう処置を講じたものであります。  なお、このほかに、NATMにより施工するロックボルト等について経済的な施行を図る要があると認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、本院指摘の趣旨を織り込むように検討しているものがあります。  その三は、新幹線用トンネル巡回車仕様に関するものであります。  国鉄では、東北、上越両新幹線の開業に伴い、昭和五十四、五十五、五十六年度中に東北資材部ほか四カ所で、トンネル内を保守点検するため、国鉄本社仕様を定めた施設用及び電気用巡回車を百五十二両購入して現場部門に配備しております。  しかし、この巡回車の構造、機能運用等について調査しましたところ、施設用電気用保守点検機能を兼用した巡回車仕様が可能であるのに、施設及び電気の両部門において連絡調整をしなかったため、不経済になっていると認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、五十七年十月に兼用巡回車仕様を定め、山陽新幹線巡回車の更新に当たっては、新規に兼用巡回車を導入するよう処置を講じたものであります。  その四は、駅設備営業用クレーン等稼働及び収支に関するものであります。  国鉄では、荷主の利便を図るため、貨物駅に積みおろし用のクレーンを設置し、有償で貸し付けておりますが、近年、貨物輸送量が落ち込み、特に原木等クレーンを使用する大型貨物減少したり、簡便な荷役機械が普及してきたことから、クレーン稼働状況が極めて悪化し、その収支状況も五十基分について直接経費を賄い得ない状況であると認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、五十七年十一月末までに稼働状況の悪いクレーンについては休廃止とし、今後も使用するクレーンについては使用料金改定を行うなどの処置を講じたものであります。  その五は、業務委託駅の営業体制に関するものであります。  国鉄では、合理化施策の一環として、乗車人員の少ない小規模駅の業務を民間の業者委託しておりますが、委託に際して要員や勤務形態等に関する基準がなかったため、各局区々契約内容となっており、中には業務量に見合わない営業体制となっている駅が多数見受けられ、五百十八駅において不経済になっていると認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、基準を定めるとともに、各駅の営業体制について見直し計画を策定し、順次実施するよう処置を講じたものであります。  その六は、機関車運用表における燃料補給時期の指定等に関するものであります。  ディーゼル機関車等燃料補給等作業を請け負わせるに当たり燃料補給の時期の指定作業時刻の設定が燃料タンク容量燃料消費量実態等から見て適切でなかったため、作業が効率的に行われず、四十五機関区等において不経済になっていると認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、規程を改定するとともに、各鉄道管理局等においては、五十七年十一月のダイヤ改正以降燃料補給等作業を効率的に行わせるよう処置を講じたものであります。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  国鉄荷物は、毎年大幅に減少しており、五十六年度荷物営業成績は、収入三百十八億円に対し、原価は千七百三十七億円となっておりまして、差し引き損失は千四百十九億円に達し、これは、同年度在来線旅客部門全体の損失の一九%を占め、同部門経営圧迫要因となっております。  このような事態となっておりますのは、主として、 一 近年、宅配便業者小量物品輸送の分野に進出したため、国鉄競争力が相対的に低下し、荷物輸送量が大幅に減少したり、低廉な運賃になっている特別扱い小荷物輸送量の中に占める割合増加したりしたことなどから収入が逐年減少していること 二 原価のうちかなりの割合を占めるものが、駅で発生する職員人件費等経費で、国鉄では、駅に荷物業務を担当する職員等を多数配置しており、しかも、その勤務形態を一昼夜交代勤務にしているなどのため、荷物取扱量関係なく固定的に多額の経費を要していることなどによるものと認められます。  国鉄では、六十年度を目途に収入固有経費収支均衡を図るため経費削減収入確保のための諸施策を打ち出してはおりますが、経費削減の面では見直しが不十分なものが見受けられますし、また、収入確保の面では輸送サービス運賃料金面になお問題点があります。  したがいまして、国鉄が今後荷物営業を続けていくためには、発送荷物一定量以下の駅の集約等を行うとともに、主要駅相互間の輸送営業重点を指向するなどの措置を検討することが緊要であります。  しかして、国鉄は各種の困難な問題を抱えておりますが、抜本的な対策を講じないまま推移すると、荷物輸送は今後も低迷し、経営改善計画に定める目標が達成できないことになると認められます。  このような事態に対しまして本院といたしましては、国民の理解と協力を得ることにより荷物営業が進展することを期待し、特に掲記したものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  10. 横山利秋

  11. 仁杉巖

    仁杉説明員 昭和五十六年度日本国有鉄道決算につきまして、ただいま運輸大臣から予算区分に基づく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、経営成績概要を補足して御説明申し上げます。  日本国有鉄道経理につきましては、昭和五十一年度から一般勘定特定債務整理特別勘定の二つに区分して経理いたしております。  まず、一般勘定につきましては、営業収入は、旅客収入二兆四千三十四億六千三百十万円、貨物収入三千百十三億六千五百三十六万円、雑収入千百五十三億七千八百万円、助成金受け入れ三千四百二十八億九百六十四万円、合計三兆千七百三十億千六百十万円となっております。  なお、助成金は、工事費補助金地方交通線特別交付金地方バス路線運営費補助金大都市交通施設運営費補助金合理化促進特別交付金及び特別退職手当補給金であります。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入千六百十億二千百八十九万円、率にいたしまして七%の増加貨物収入百八十二億千三百十三万円、率にいたしまして六%の減少雑収入百二十八億四千五百八万円、率にいたしまして一三%の増加助成金受け入れ五百三十六億八千三百六十四万円、率にいたしまして一九%の増加合計二千九十二億三千七百四十八万円、率にいたしまして七%の増加となっております。  旅客収入増加は主として昭和五十六年四月及び七月に実施いたしました運賃改定によるものであります。また、助成金が前年度より増加しておりますが、これは主として工事費補助金地方交通線特別交付金及び特別退職手当補給金が増額されたことによるものであります。  輸送量につきましては、旅客輸送量千九百四十九億七千二百五十一万人キロ貨物輸送量三百三十九億五千六百二万トンキロと、それぞれ前年度に比べますと旅客は一%の減少貨物は一〇%の減少となりました。  営業経費は、極力合理化の推進並びに経費の節約に努めてまいりましたが、退職手当、共済組合交付金及び利子の増加等がありました結果、営業経費合計は四兆三千二百五十四億二千六百八十四万円と、前年度に比べまして九%の増加となりました。  営業経費の内訳は、人件費二兆七十一億七千三十八万円、動力費二千二百八十六億七千二十四万円、修繕費七千百九十六億千三百二十八万円、業務費三千百五十六億四千五百十二万円、租税及び公課三百二十五億六千八百七万円、営業費計三兆三千三十六億六千七百九万円、利子及び債務取扱諸費六千二十九億七千七百八十三万円、減価償却費三千五百八十八億五千二百三十二万円、固定資産除却費二百六十八億七千五百十万円、繰り延べ資産償却費三百三十億五千四百五十万円、資本経費計一兆二百十七億五千九百七十五万円、合計四兆三千二百五十四億二千六百八十四万円であります。  以上の結果、営業成績は、営業損失一兆千五百二十四億千七十四万円、営業外利益六百六十五億千九百六十九万円、純損失一兆八百五十八億九千百五万円となりました。  なお、昭和五十三年度から純損失について退職手当の異常支出相当額を特定退職手当損失、その他を一般純損失として整理いたしておりますが、これによれば、一般純損失八千二百二十億五千六百六十万円、特定退職手当損失二千六百三十八億三千四百四十五万円であります。このため、繰越欠損金は前年度から繰り越された欠損金一兆千七百八十八億千九百五十六万円と合わせて二兆二千六百四十七億千六十一万円となりました。  次に、設備投資の概要を御説明申し上げます。  昭和五十六年度は、保安・取替・公害投資、体質改善投資、輸送力増強投資並びに新幹線建設の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は一兆二千八百四十六億六千三百四十四万円となりました。  なお、昭和五十六年度の設備投資額の事項別内訳は、保安・取替・公害投資四千三百五十六億七千六百九十二万円、体質改善投資千六百八十七億三千四十三万円、輸送力増強投資二千四十七億千九百六十五万円、新幹線建設四千七百五十五億三千六百四十四万円、合計一兆二千八百四十六億六千三百四十四万円であります。  これらの設備資金等のために、新たに長期負債の増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金一兆三十六億円、鉄道債券発行額一兆八百六十三億七千二百四十万円、合計二兆八百九十九億七千二百四十万円であります。一方、長期負債の償還に伴う減少額は三千三百七十六億二千七十一万円でありまして、この結果、長期負債は、前年度に比べて一兆七千五百二十三億五千百六十九万円増加し、昭和五十六年度末において十兆八千二百九十三億七千三百十七万円となりました。  なお、工事費の一部補助として受け入れた特別施設整備費補助金三百二十七億七千二百二十八万円、防災事業費補助九十七億五千六万円、整備新幹線建設調査費補助金十八億五千八百八十七万円、磁気浮上方式鉄道技術開発費補助金五億五千九十八万円は、その他負債に計上いたしております。  次に、特別勘定につきまして御説明申し上げます。  昭和五十五年度末の特別勘定の長期負債残高は、特定長期借入金五兆五百九十九億二百万円、財政再建借入金二千六百二十二億四千七百万円、合計五兆三千二百二十一億四千九百万円でありますが、昭和五十六年度は借り入れ及び償還がありませんでしたので、同額が昭和五十六年度末長期負債残高になっております。  また、特定長期借入金に係る利子につきましては三千四百五十六億七千二百万円でありますが、この利子は同額の財政再建利子補給金の受け入れにより支出いたしております。  最後に、昭和五十六年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項四件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。
  12. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  13. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  14. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はまず最初に、効果ある行政をやっていきたい、行政改革、その一連の中曽根内閣の姿勢、どうもかけ声は大きいのだけれども中身の実態というのは非常に伴っていない。官僚の再就職というか、いわゆる天下りについて、私は非常な疑問と疑惑を持っているわけです。きょうは、海上保安庁から天下っていく、例えば造船会社、そしてその造船会社に海上保安庁が発注をしていく、いわば常識的に疑われるということのないように、私は厳しい対応をしていかなければいけない、こういうふうに思うわけです。  まず最初に、墨田川造船、運輸省、海上保安庁はこの墨田川造船に対して、過去にいわゆる発注をしたことがあるのか。そして墨田川造船には海上保安庁に勤務していた人が、俗に私たちが言う天下っているというか、そこに再就職をしていると私の調査では把握しているわけですけれども、実情はいかがなのか、まず最初に、それを聞いておきたいと思います。
  15. 岡田專治

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  墨田川造船に対する当庁のこれまでの発注状況でございますが、とりあえずのところ過去七年間について調べましたところ、トータルで十五隻でございます。
  16. 井上一成

    ○井上(一)委員 委員長、質問に対する答弁はきちんとさしてほしい。天下っているかどうかということも聞いているわけなんだから。
  17. 岡田專治

    岡田政府委員 失礼をいたしました。当庁の職員で、やめまして墨田川造船に就職しております者は、私どもの調べでは二名ございます。うち一名は四十四年に就職をしております。それからうち一名は四十六年にやめまして、そのときは墨田川造船ではございませんで、五十二年に墨田川造船に民間会社からまた移っている、こういうような状況でございます。
  18. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は天下っていく、再就職をしていく、そのことと海上保安庁とのかかわりというものにも問題があるわけですけれども、さらにきょうは指摘をしたいのは、この墨田川造船が日商岩井から発注で、インドの沿岸警備隊のいわゆる高速艇を建造したわけです。この高速艇を建造した仕様書等については海運局は十分承知をしていらっしゃるわけでしょうか。
  19. 神津信男

    ○神津政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の船は、長さが四十四メートル、総トン数が二百七十八トンという船でございます。私どもが船を建造いたします場合に行っております規制は、一つは我が国の国際海運の健全な発展を図る目的で、総トン数二千五百総トン以上または九十メートル以上の鋼船を建造する場合には臨時船舶建造調整法によります建造許可を行っておりますし、それから輸出船のうち長さ十五メートル未満で二十総トン未満の鋼船または木船あるいは五十メートル未満で五百総トン未満の強化プラスチック製船舶につきましては、輸出品の声価の維持及び向上を図ることを目的として輸出検査を行っております。このような規制を行っておりますが、ただいまのインド向けの船舶については、このいずれ対象にもなっておりませんので、私どもは内容を事前には把握しておりません。
  20. 井上一成

    ○井上(一)委員 内容をチェックする範疇に入ってないということですから、それはできなかった。そこがまた問題になるわけなんですね。そういう内容検査する、チェックする、そういうことをきちんとできる範疇に入れなかった。そこに疑惑が生まれてきたわけなんですね。  私から多くを申し上げませんけれども、例えばどういうことなのか、この輸出をした船にはストアスペースがつくられている。その使用目的が弾薬庫ではないだろうかという疑いも持たれる。あるいは通常、これくらいの船であれば船の隔壁を三つないし五つぐらいにするのを八つに隔壁を区切って、攻撃からの被害を最小限度に食いとめられる、あるいは砲座の着座が可能な甲板の広さだとか、甲板の建造についても非常に疑いを持たれるようなことになっている。そういうところにやはり気を配っていかなければいけないし、そういうところを十分チェックしていかなければいけないと思うのですが、この船について現在、現物確認ということにまで  もちろんあなた方の行政の範疇でないと思うのです。しかし関係官庁から現物の確認をしたとかというようなことは報告を受けているのでしょうか。
  21. 神津信男

    ○神津政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げました私どもの規制のほかに、実は船を輸出する場合には、通商産業省で輸出貿易管理令に基づきます輸出承認を行っておるわけでございまして、いろいろ問題があるときには、そちらの法律による規制が行われているという体制になっております。なお、輸出しました船の事後確認はいたしておりません。
  22. 井上一成

    ○井上(一)委員 通常、弾薬庫にも使用が可能であるというような建造になっているわけであります。では、具体的には通常これくらいの船では隔壁というのは常識的にどれくらいなんでしょうか。これは特別なんです。海上保安庁が発注する場合とか……。
  23. 神津信男

    ○神津政府委員 お答え申し上げます。  通常の船でございますと、このくらいの長さでございますと船首に一つと船尾に一つ、それからエンジンルームの前後にございますので、大体隔壁は四つが普通でございます。
  24. 井上一成

    ○井上(一)委員 常識的にはそうなんですよね。三つから五つの範囲ですね。  我々が国会の中で何回となく主張し、そして全会一致で武器輸出三原則というものの決議をし、取り決めがあるわけです。国是だと言われているわけです。私は、これはその疑いがあるのじゃないか、こういうふうに思っているのです。そういうとらえ方をしているのですよ。それは、そういう疑われるような建造であるということ、そういうところに問題がある。全く軍事用船に改造はできないということでなく、軍事用船に改造が可能である、そういう意味で、現物確認できませんから改造しているという断定はいたしておりません、可能性がある船である、こういう認識に立つのですが、いかがですか。
  25. 神津信男

    ○神津政府委員 ただいま先生御指摘の武器輸出三原則につきましては、政府は当然これを守っていくという立場でございますので、当時この輸出承認に当たりまして、そういう点を十分踏まえて輸出承認が出たものと私は考えております。
  26. 井上一成

    ○井上(一)委員 それは当然なんですよ。通産の輸出承認の段階でそういうことはちゃんと書式上はきっちりと確認をされている。それ以外に何か確認をとっているのでしょうか。私が聞きたいのはもう一つ、この船がそうだという断定は私もしませんけれども、一般論として、むしろこういう隔壁が八つもありスペースもあり、いろいろな意味から軍事用船に改造が可能である、僕はこの船はそういう可能性を持っている船だ、こういうふうに思うのです。
  27. 神津信男

    ○神津政府委員 まず、輸出貿易管理令に基づきます輸出承認がございましたが、それ以外のいろいろな資料は特にとっておりません。  それから、その後の改造の可能性といいますか、こういうものは船の場合にはいろいろの用途によりまして仕様も違ってまいりますので、直ちにこれが軍用に変わるという可能性を断定するというのは非常に難しいというふうに考えております。
  28. 井上一成

    ○井上(一)委員 では、軍事に使用しないという確認はとっていないのでしょう。
  29. 神津信男

    ○神津政府委員 おっしゃるとおり、軍事に使用するという確認もございませんし、使用しないという確認もございません。
  30. 井上一成

    ○井上(一)委員 そうなんですよ。使用しないという確認もないし、するという確認もない。当然、するという確認なんというようなことはしませんからね。この船は改造が可能である、これはいかがですか。
  31. 神津信男

    ○神津政府委員 今おっしゃいましたその軍事使用の改造というものがどういう使用をするための改造になるかという点が非常に難しい問題があると思いますけれども、ある目的に使うためにこの船を改造できるという可能性が全くないという断定もなかなかできないとも思います。
  32. 井上一成

    ○井上(一)委員 そうなんです。全く可能性がないという断定はできない。逆に言えば、それは可能性もある。しかし、改造するかしないかは相手国の問題でありますから、そして現在確認もしていないということでありますから、これは現物を確認して、どういうふうに使っているのか、疑惑がある以上、外交ルートの上に乗ってきっちりと整理された方がいい。軍事的には使用していないという、そしてまたそういうことをきっちりとなさることが大事だろう、こういうふうに私は思うのです。  さらに、墨田川造船は現在外国からの発注を受けて建造をしてますね。どこの国から発注を受けて、どれくらいの船を何隻建造しているか、運輸省は把握していますか。
  33. 神津信男

    ○神津政府委員 ただいま墨田川造船で建造中の船は実は網羅的に調査がまだ済んでおりませんが、とりあえず私どもが把握しておりますのは、イランの石油公団向けに十六メートルのタグボートを五隻、二十六メートルの補給船を一隻建造をしておるという事実を確認をしております。
  34. 井上一成

    ○井上(一)委員 イランは現在イラン・イラク紛争で、これは紛争の当事国なんです。中東における問題を抱えた地域です。そして六隻、それはさっきあなたが言われた現物を検査できる範疇に入っていますか。そこをうまく、範疇に入れないような仕様で建造しているのじゃありませんか。
  35. 神津信男

    ○神津政府委員 この六隻につきましては、先ほど申し上げました私どもの規制の対象にはなっておりません。
  36. 井上一成

    ○井上(一)委員 もう少し詳しく、では何メーターなんですか。小さい方ですか、大きい方ですか、どっちの方なんですか。
  37. 神津信男

    ○神津政府委員 タグボートにつきましては長さが十六メートル、補給船につきましては長さが二十六メートルでございまして、私どもの輸出検査は十五メートル未満の船を対象にしておりますので、両方とも規制の対象外でございます。
  38. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは一メーターのことで対象から外れたわけです。非常にうまい仕様になっているわけです。そこがまた疑問なんです。だから、そういう決まりを承知しながら、そういう検査を受けることによってトラブルが生ずる、そういうことであえて一メーターを長くした。タグボートだあるいは補給船だということにはなっていますけれども、これまた改造すればどのように使われるかということは疑いを持たれても仕方がないわけであります。むしろ紛争当事国でありますし、我が国としてはきっちりとした対応が今必要ではないだろうか。そういう受注を受けて建造させていくという商社にも責任があるかもわからないし、あるいは造船会社にもただつくったらいいんだ、建造すれば、仕事にありつけばいいんだ、そういうとらえ方でなく、やはり我が国の武器輸出三原則というものの趣旨を十分踏まえて仕事に対応してもらいたい。  大臣、今お聞きのように、一連の疑惑があるわけですね、疑おうとすれば。さらに今御答弁があったように、紛争国であるイランに対して六隻を——まあまあ一メートルですよ、その検査対象から外すのが。十五メートルだったら見られてしまう、検査を受ける、十六メートルにしようか、どうも私はさらに疑惑を生むような、こういうことになっているので、ここはすっきり、きっちりと事実関係を調査して誤解のないように対応すべきではないか、行政指導をすべきである、こういうふうに私は思うのです。大臣の見解を聞きたいと思います。
  39. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  御心配の御趣旨は非常によくわかります。武器輸出三原則を守る上において、いわゆる汎用品として輸出をするものが向こうに行って武器になるというその限界をどう考えていくかという、考え方によりますと大変難しい問題かと思うのでございます。しかしながら、難しいからといってこの問題を避けてはならない、かように思うのでございます。本質的には通産省の貿易管理令で検査をするわけでございますが、技術的な面で我が省も関係を持つ、持たないわけにはいかないという点もあろうかと思います。  どういうふうに今後考えていくかというような点につきましては、疑いが持たれないように通産の側と私どもの方とがよく相談をしてまいらなければならぬ、かように存じておる次第でございます。  御趣旨については十分よくわかります。
  40. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、通産がどうだとか運輸がどうだとかいうことよりも、これは政府が、日本の国会が武器輸出三原則ということはちゃんと決議をしているわけです。やはりそういう意味では、運輸省が通産にもちろん相談するわけでしょうけれども、通産とも相談しなければいけないでしょうけれども、運輸省としては、仕様書を見せてもらうとかあるいは現物、今建造中のものに対する改造の目的、軍事目的に改造することのないような仕様書である、設計である、さらにはそういうことはないように強い行政指導をすべきだ、僕は調査及びそういう行政指導をやっていくべきだと思う。
  41. 細田吉藏

    細田国務大臣 もちろん政府としては一体でございますから、通産がどうとか運輸がどうとかということは、やや事務的なことを申し上げたわけでございまして、もうはっきり、武器に改造されるおそれがあるというようなものはつくらせてはいかぬ、受注してはいかぬということはおっしゃるとおりだということを前提にして、先ほどお答えしたようなことを申し上げたわけでござ、います。
  42. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは運輸大臣、念を押して恐縮ですが、前段での質問でも、そういう武器輸出の疑惑を持たれているということ、そして今現在建造中のものについてもそういう疑惑を持たれないように十分調査をして、そして行政指導をする、そのために通産と話し合いをする、こういうお答えだと理解してよろしいでしょうか。
  43. 細田吉藏

    細田国務大臣 その限界が一体どうなるかということは非常に問題があろうかと思いますが、御趣旨についてはもう結構でございます。
  44. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、次回の外務省所管の二十日の当委員会でその御報告をしていただくということで私はこの質問を終えますが、よろしゅうございますね。
  45. 神津信男

    ○神津政府委員 現在つくっている船につきまして一応調査をいたしまして、御報告いたします。
  46. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、この問題についてはイラン向けの六隻の仕様書、設計図面等を調査されるということですから、その報告を待って、また質疑をしたいと思います。  次に、私は大阪国際空港の問題についてお尋ねをしていきたいのであります。  運輸大臣、大阪高速鉄道が、いわゆるモノレールですね。空港から南茨木までの開通は何年度を当初予定されたのか、さらに現在はどういう状況であるのか、お答えをいただきたいと思います。
  47. 服部経治

    ○服部政府委員 お尋ねの大阪モノレールでございますが、これは二年前の昭和五十七年三月の末に軌道として特許したものでございまして、その後同年の秋、十月の半ばごろに、その全路線のうちの千里中央から阪急京都線の南茨木駅までの区間につきまして工事施行の認可をしたものでございます。  完成の予定でございますが、当初申請者が申しておりましたのは、全体の完成は昭和六十七年度というふうなことになっております。
  48. 井上一成

    ○井上(一)委員 当初は六十七年度じゃないのですけれども、全線開通が公共事業の抑制策でおくれて六十七年度になる。  大臣、関西新空港の開港予定時期をほぼ何年度に求めていらっしゃいますか。
  49. 細田吉藏

    細田国務大臣 関西新空港は昭和六十七年度を開港目標にいたしておる次第でございます。
  50. 井上一成

    ○井上(一)委員 大阪モノレールの空港乗り入れ六十七年度、関西新空港開港六十七年度、これは期せずして合ったわけです。別にそのことを問題にするわけではありませんが、私は大阪国際空港、現空港の存続問題についての運輸省の考えを聞きたいわけなんです。それは、今まで開港時に運輸省が責任を持ってこの問題に決着をつける——運輸省が責任を持ってなんと言ったって、どれだけの、何を責任を持ってどうするのか。  この大阪高速鉄道というのは、五十五年十二月十五日に設立されて、今言うように、五十七年三月二十九日に都市計画法の大阪府の答申があり、計画決定は五十七年五月十七日になされているわけです。軌道法で特許申請が五十六年三月二十六日にあって、特許取得が五十七年三月三十一日、空港から南茨木まで五十七年の段階で。だから現空港から南茨木までの鉄軌道というものは、五十七年三月三十一日にこれは公共事業としてやろうということがきっちりと認められていると僕は思うのです。当初は六十七年じゃなくもっと早く予定をしておったのが、さっき言ったようにおくれてきた。これはあなた方がよく、現空港についての存廃について質問をしたら、必ず関西新空港の開港時まで責任を持ちますとか、あるいはまた現空港の騒音公害対策、周辺整備等についても必ず、現に供用されているから、使っているからそれは必要なんだ、こういうお答えがあるわけです。そんな答えは何回となく聞いているのだから、きょうはそうじゃない、そういう角度で質問をし答弁を求めているんじゃない。この大阪高速鉄道モノレールと現空港との関連性はどのようにあなた方はお持ちなのか、これを聞きたい、こういうことです。
  51. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  この大阪モノレールの特許なり工事施行の認可の事実関係は先ほど申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、この大阪都市モノレールは大阪空港から千里ニュータウンを経由いたしまして阪急京都線南茨木駅に至ります、そういった申請路線の沿線全区域にわたる輸送需要に対応するものとしてその必要性を認めまして特許いたしたものでございまして、必ずしも大阪空港の存廃問題と直結するものとは考えておりません。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 では、この事業は航空騒音対策、公害対策との関連は、あるいは周辺整備は、現空港が供用されている以上必要であるという認識ではないわけですね。もちろんそうでしょう、念を押すようですけれども。
  53. 服部経治

    ○服部政府委員 そのとおりでございます。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 いわゆる大阪北部の交通緩和政策あるいは府民の利便ということなんですね。わかりますか、そういうお答えでしょう。そういうことですね。
  55. 服部経治

    ○服部政府委員 そのとおりでございます。現在あの周辺は縦にといいますか南北方面にはかなり路線が整備されておりますが、横につなぐ路線網がないということで……。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 局長に大変申しわけないんだけれども、これは空港を起点にしているわけで、そこが問題なんだ。第一段階の計画、モノレールは空港を起点にして南茨木まで。これは、南下しなければこの高速鉄道は決して投資効果を上げないわけなんですよ。今公共投資のゼロシーリングが問題になっておる折でもありますし、空港を起点にしているというこれは何を意味するのか。五十七年度から既に空港を起点にしてそういう交通を、それは将来にわたって現空港が存続され、かつそのための利用客の足の利便を考えての取り組みであると思われる節があるということです、ややこしい言い方をするけれども。五十七年に既に現空港は存続という線上に位置づけしてこのモノレールが取り組まれたんだ、こういうふうに私は思っているわけだ。運輸省は恐らくこういうことを言ったらまた、いやそうじゃありません、今存廃については関係自治体なり地域住民にアンケートを出して調査項目をつくってこうこうやっています、そんな答弁は要りませんよ。このモノレールの発想というか、起点を空港に置いたことと現空港の存廃の問題とのかかわりをはっきりしなさい、こういうことを私は言っているのです。
  57. 服部経治

    ○服部政府委員 私どもといたしましては、最前も申し上げましたとおり、本件の特許事案の処理と大阪空港の存廃問題は直結した問題とは考えておりませんけれども、なお一点申し上げますと、本件の申請人が持ってまいりました申請内容にございます輸送需要想定は大阪空港の存続を予測した数字ということになっておりますし、もう一点申し上げますと、この特許申請事案の処理に関連いたしまして、この大阪高速鉄道株式会社の主たる出資者でございます大阪府の方からは、大阪府としては今後とも国を初め関係機関とともども力を合わせて空港周辺対策等を進めてまいりたいのでよろしくというような、手続の促進方の陳情があったということは事実でございます。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 運輸大臣、今局長からお答えいただきました。大阪府はこのモノレールの申請時に一定の予測を立てて、私の調べでは大阪国際空港の旅客流動量というのは二万七千五十二人をはじいているわけです。これはやはり空港が存続するという数字でないとこれは出てこぬわけです。空港を廃止したらこれだけの人がどないして乗るのか、起点をどうしてあそこへ持ってきたのか。そういう意味では、今、存続という方向性を局長が言われました。大臣、私は、そのためのいわゆる補強材として住民の意見聴取、今回の自治体の意見聴取というように受け取っているのですよ。そういう受け取り方もありますよ。きっちりしなさい、早くしなさい、もっときっちりと——今初めて大阪府の意思が国会で言われたわけです。大臣、いかがですか。
  59. 細田吉藏

    細田国務大臣 モノレールが決まっておるから大阪国際空港、現空港が存続することになったんだということにはこれはなりません。なりませんけれども、モノレールの計画そのものの中には、存置するものとして数字がはじかれておるようでございます。しかし、これだからといって大阪国際空港が決まるということにはこれはなりませんので、大阪国際空港、現空港をどうするかという問題は、やはり今質問の中でおっしゃったような状況において決めなければならぬということなんでございます。  しかしながら、問題は、そういう状況もございまするし、そのほかもっといろいろな問題があるのでございます。関西の今の伊丹空港をどうするかということを早く決めないといろいろなところへいろいろな問題があるわけで、一モノレールの問題ではございません。いろいろな点で、早く決めなければ諸計画が立たないというようなことがあるわけなんでございます。そういった意味で、関係諸団体や現地の皆さんの御意向を聞こう。現地の皆さん方の中にはまだ、のいてくれと言っている方もいらっしゃる、やめてくれとおっしゃっている方もいらっしゃるわけでございます。ですから、そういう全体の中においてどう決めるかということなんでございまして、できるだけ早くこれは決めなければならない。御案内のように、新空港の建設が決定した時期から、完成までに決めるということになっておりますけれども、そんな六年も七年もほっておいて決めないというような考え方は毛頭持っておらない。私としては、なるべく早期に大阪現空港の存廃問題については国の方針を決定したい、こう思っております。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、そんないろいろな問題があるなら、その問題を言ってくださいよ。モノレールだけがあって——モノレールは大変な問題。モノレールが空港を起点にしたということは大変な問題。廃止の声もありますよ。当然なんですよ。航空審答申、関西新空港ができる前段では、これは廃港にする、廃止するという航空審答申が四十九年に出ているわけなんです。それが五十七年にモノレールの起点にしているわけなんです。だから私は、それが問題だ。モノレールがちっぽけな問題だと認識されておるなんというのは、僕はそれは大きな間違いだ、これ以上に大きな問題はない。だから、空港を起点にしているということは、既に五十五年ないし五十七年の段階で存続をした。じゃ、もしこれが廃港になるとしたら、この公共投資はどうなるのですか。建設省と運輸省と共管でやっているこのモノレール事業、大阪高速鉄道に対しての国の補助、公共投資は、投資効果が出るんですか。何を言っているんですか。大臣、もう一回答えてください。
  61. 細田吉藏

    細田国務大臣 私はモノレールがそんな小さい問題だと言っているわけではないので、モノレールだけで大阪国際空港の存廃が決まるのではない、こう申し上げておるのでございます。大阪国際空港が、早い話が、そういうことはなかなか難しい問題だと思いますが、もし空港でなくなったとして、あれだけの所がどう使われるかという問題が同時に解決されなければならぬ問題でございますから、その場合にはモノレールはどうなるかというふうな考え方でいいのではなかろうかと思っておるのでございますが、いずれにしても早く決めなければならぬ、こう思っております。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 モノレールは事業決定して既に事業が進んでいるのですよ、中間的に。何を言っているのですか、あなた。もし廃港にしたら、あそこをどう決めるのか。そんなことをこれから考えるのだったら、このモノレールの事業効果というのはどれだけあるのですか。運輸大臣、何を言っているのですか。では建設省のやっていることに水を差すような話になるじゃないですか。五十七年に、そこを起点にしてこのモノレール事業に対する取り組みをした、そのことでむしろ現空港は存続の線上に置かれたのではないか、こういう見方もありますと。何も存続だということをはっきり決めたとは言ってない。また決められる問題ではない。関西新空港をつくるときには現空港は廃港にするという線上であれば設置されているわけです。しかし、時代が変わってくるし、いろいろな問題が新しく生まれてくるから、そういう意味で、背景として、その補強策として関係自治体なり関係住民の意識調査をやってみたい、こういうことでないのかということなんです。
  63. 細田吉藏

    細田国務大臣 あなたのおっしゃっていることと私の言っていることとそう違っているというふうに思っておりません。ということは、ここで今大阪国際空港はもう存続に決まっておるということは申し上げかねるということを言っておるのでございまして、モノレールは何らかの形で残るだろうという前提でこれは組まれておることでございますし、これを大阪国際空港の存廃をどうするかということの判断の材料の一つには十分考えなければならぬ、これは当然のことでございます。それ以上のことを今ここで、これがあみから残すのだと言えとおっしゃいましてもそれはできない。今あなたが質問の中でおっしゃったとおりのことでございます。
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は残すのだと言えなんて言っていない。モノレール事業に着手したその時点から存続という線上に乗っているのじゃないかという見方もありますよ、そうじゃございませんか、こういうことなんですが。
  65. 細田吉藏

    細田国務大臣 それはもうおっしゃっているとおりでございまして、大阪国際空港を何とかして残せという声が非常に強いものがございますし、残るだろうと考えて、いろいろ仕事をなさっている方々もたくさんありますし、地方公共団体もそういう方向でございますから、そこまでのところはおっしゃるとおりだと心得ております。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 きょうはこの問題についてはこれ以上深く質問をしませんが、やはりそんなまやかしというか、ごまかしみたいなことをしていつまでもほっておいたらいかぬ。あなた方の腹の中はわかっているんだ。だから早くもっときっちりとして、それに対して反対の声、賛成の声、いろいろありますから、そういうものをきっちりと整理をして正しい対応をしなさい。きょうは、大阪府がその時点で存続という仮定の中で数字をはじき出してこれを申請してきた、こういうことが新しくわかったから、それはそれなりの意思表示だと思います。これはこれからの問題としていきたい。  もう一点、現在問題になっております公害等調整委員会で行われている大阪空港の調停事案について、私はあした調停の場が持たれるというふうに聞いておりますけれども、国の基本的な考え方、今ここで詳しい数字まで挙げよと言うわけではありませんが、ひとつ基本的な考え方を聞かしていただきたい、こう思います。
  67. 西村康雄

    ○西村政府委員 先生御承知のとおり、大阪空港に関します調停は、その調停申請内容のうち、騒音対策の充実強化と大阪空港の今後のあり方については既に調停が成立しております。  そこで、明日調停が行われる対象は慰謝料の問題でございます。運輸省といたしますと、関係住民との争いを早期に解決したいというのが基本的な気持ちでございます。特に調停の申請者が一万三千人余り、非常に多数ございますし、また住民のいる区域も非常に広いということでございますので、できるだけこの調停の場で合理的な解決を図れるように運輸省としても努力をしてまいりたいと考えております。
  68. 井上一成

    ○井上(一)委員 いや、さらにその調停の場で基本的な国の対応というか、どういう考え方で対応されるのか、そういうことを聞いているわけです。
  69. 西村康雄

    ○西村政府委員 さきに大阪の四次、五次訴訟につきまして既に和解を見ているわけでございますが、今回の調停事案の争いの原因は、この訴訟と同じような騒音を原因とする請求でございます。したがいまして、大阪四次、五次訴訟の和解のときに政府側がとりました基本的な考え、これに従って今回対処していくということが基本でございます。
  70. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは次に、私は交通事故の紛争解決等の問題について聞いておきたいと思うのです。  行政改革の中で、総理府の一部と行管庁が総務庁に統合されたわけです。財団法人交通事故紛争処理センター、この指導監督は総務庁が行うわけですわ。
  71. 波多秀夫

    ○波多政府委員 御指摘のとおり総務庁所管の公益法人でございます。
  72. 井上一成

    ○井上(一)委員 そのセンターの設立の意義、私はここに理事長加藤一郎さんの書かれたパンフを持っておるわけですが、「中立公正の立場を強化するため、日本弁護士連合会の協力を得て、交通事故紛争処理センターという財団法人へと発展し、被害者の公正な救済をはかるため、その活動を全国的に推進することになりました。」さらに「公正妥当な判断を加えて和解のあっせんを行う」あるいは「和解が困難な場合には、法律専門家による審査会に判断を求めることができ、その意見には保険会社が従うことになっていますので、保険がついている場合には迅速・確実に解決を得ることができるようになっています。」いわゆる加害者、被害者の双方に公正かつ迅速な紛争処理をやろう、こういう趣旨でございますね。
  73. 波多秀夫

    ○波多政府委員 そのとおりでございます。
  74. 井上一成

    ○井上(一)委員 すべての保険会社にこの趣旨を周知徹底をしていると総務庁はお考えでしょうか。そういう認識を持っていらっしゃるでしょうか。
  75. 波多秀夫

    ○波多政府委員 これまで、すべての保険会社におきましてその決定を尊重してまいっておる、かように考えております。
  76. 井上一成

    ○井上(一)委員 この処理の過程でいわゆるあっせん案が出される、そしてそのあっせん案に十分な納得ができない場合には、あっせん案がまとまらない場合には、次の段階には審査に移るわけですね。そして審査に移って、審査会の中で裁定が出るわけですね。その裁定に保険会社は従うという約定が入っていますね。そういう一つのプログラムになっているわけですね。いかがですか。
  77. 波多秀夫

    ○波多政府委員 審査会におきましては、三人以上の専門家によりまして公正な立場から審査が行われているわけでございます。そういったことで、結論につきましては当事者双方が納得できるような内容の裁定がなされておるということで、裁定につきましてこれまでいずれ保険会社もそれに従ってきたということでございまして、慣行上そのようになっておるわけでございます。
  78. 井上一成

    ○井上(一)委員 そうすると、損害保険会社がいわゆる加害者側になるわけですけれども、仮にそのあっせんが自己に不利な内容と判断して、その受け入れを拒否し、通常なら今言ったように審査会に入るべきところを拒絶して、いわゆる債務不存在確認というような新しい訴訟を提起してくる、こういうことが許されていいのかどうか。これは許されるべきでないと私は思うのですけれども、保険会社は自分に不都合なあっせん案が示された場合には全部拒否していく、そんなことになればいわゆるこのセンターの存在意義がなくなってくる、私はそういうふうに理解をするわけです。  私はここにあえて固有名詞を出して、加害者側たる損害保険会社東京海上が今言ったように債務不存在確認を提起してきた、いわゆるあっせん案受け入れを拒否した、このことは何を意味するのか。いわゆるセンターの設置の意義を無視すると同時に、私から言わせれば、被害者に対する誠意を示さずに、むしろ被害者の立場を踏みにじって、またセンターの設置の意義である迅速確実かつ公正な救済制度を阻害することになっている。いわばセンターの存在、存立の意義を否定することになっている。こんなことがあっていいものだろうかどうか。許されるべき問題ではない。東京海上という一流大手大損保会社が余りにも勝手気ままなことをしているという事例なんですよ。  前もって総務庁の担当の方には具体的事例を申し上げましたけれども、私はこの問題については、損保会社が大変けしからぬ。私は当事者間の問題としてのとらえ方じゃありません。私の申し上げたいのは、加藤先生なんかが一生懸命やってくれているこの交通事故紛争処理センターの設置の意義を十二分に理解していないという具体的な事例に対して、総務庁はどう考えているのか、どう対応するのか。さっきは徹底させていると言っている、しかし具体的に徹底していないじゃないか、こんなことが出てきているじゃないか、これに対して総務庁はどう受けとめ、どう判断をしているのか。
  79. 波多秀夫

    ○波多政府委員 先ほども申し上げましたが、これまで審査会の裁定につきましては尊重されておりまして、御指摘のような事例は全くなかったわけでございます。今回の具体的な東京海上の事案につきましては、私どもも、センターの設置の趣旨から考えましてまことに遺憾である、かように考えております。今後センターの設立の趣旨に沿いましてさらに有効かつ適正に機能いたしますよう、センターに対しまして十分指導をいたしますとともに、保険業界に対しましても強く協力を求めてまいりたい、かように考えております。
  80. 井上一成

    ○井上(一)委員 今までにこのようなケースはなかったわけですね。
  81. 波多秀夫

    ○波多政府委員 ないと聞いております。
  82. 井上一成

    ○井上(一)委員 初めてのケースであり、それが一番大手である東京海上だ、けしからぬ。遺憾でありますということだけじゃこの問題は処理できないわけです。今聞けば、処理センターに対して十分この問題の取り組みをきっちりするように指導したいと言っている。処理センターは一生懸命やってくれているのですよ。結果的にはだれが処理センターの設立の意義と意向を踏みにじっていると思いますか。処理センターがしっかりやっていないからこういうことになったのか、東京海上が強いものの力でめちゃくちゃなことを、今回初めて、かつてないそういう暴挙に出た、どっちのように考えていらっしゃいますか。
  83. 波多秀夫

    ○波多政府委員 今回の事案につきましては、東京海上火災保険がセンターの和解あっせんを一方的に拒否したものでございまして、まことにその点で遺憾に思っておるところでございます。
  84. 井上一成

    ○井上(一)委員 遺憾に思っています、東京海上が一方的に、けしからぬ、言葉は別として、けしからぬと私は思っているわけです。遺憾という、そんな言葉ではいかぬわけです。逆に言うと。それはけしからぬと、そういうふうに思いませんか。せっかく総務庁の指導監督の中で交通事故の紛争処理を迅速かつ公正に処理していこうという立場で設置をし、中立的かつ公正な先生方が参画をしていただいている審査会もあるのに、そこへもかけずに一方的に裁判の権利を主張してきた、これはまことにもってけしからぬと思うのです。私のこのけしからぬという意図と同じかどうか。遺憾ぐらいのなにでは私は承知できぬわけです。だから、東京海上に対してもっと強い行政指導をやらなければ、保険会社は大蔵の管轄だということだけでこれは済まされる問題じゃない。むしろ私は、このセンター設置の意義を理解していないというだけじゃなく、一つの大きな挑戦だと思いますよ。だから、あなた方がセンターの存在を必要としないのか必要とするのか。必要とするならば、それに挑戦をした東京海上に対してどれくらいの強い怒りを込めて行政指導しても行き過ぎではない、私はこういうふうに思うのです。いかがですか。
  85. 波多秀夫

    ○波多政府委員 御指摘のように、センター設立の趣旨を損なう今回の行為でございました。東京海上火災に対しまして今後厳重に抗議をいたしまして、再びかようなことのないよう十分指導してまいりたいと思います。
  86. 井上一成

    ○井上(一)委員 ただ保険会社だから大蔵だけの管轄で行政指導をしていたらいいと思うような認識は大きな間違いです。私は、今のお言葉でその対応を見守りたいと思います。厳重に抗議し、そしてこういうことを再び繰り返さないように行政指導をしてほしい。そのことは、せっかく設置をされたこの財団法人交通事故紛争処理センターの存在をより強く国民にアピールすることになると思うのです。日本弁護士会の御協力もいただいているわけなんですから、まさに弱い者を助けていくというか、弱い人の立場も十分理解した上で公正に判断していくということになるわけなんです。そうでしょう。だから、この設置の意義、そして今後さらにこの処理センターが機能を十分発揮できるようにあなた方は力を入れていかなければいかぬと私は思うのです。決意を聞きたい。  どうでもいいならこれはつぶしたらいい。私はつぶすことには反対ですよ。これの設置の意義はあると思うのです。それを踏みにじる東京海上がけしからぬと言っておる。だから、私と同じ考え方に立つのか、それとも、もうどうでもええわという考え方に立つのか。さっき強い抗議を含めての対応を示されたので、もう一度くどいようだけれども、全く私と同じ考え方に立って東京海上に対し、あるいは第二、第三の東京海上が、こういうケースが出てくる可能性もあるかもわからぬ、そういうことの防止策、さらには処理センターの存在の意義を高からしめるためにも強い対応策をひとつ示してほしい。いかがですか。もう一度、くどいようだけれども、御決意を承っておきたいと思います。
  87. 波多秀夫

    ○波多政府委員 紛争処理センターは、交通事故の迅速、適正、公正な処理を通じまして、被害者の救済ということに大変大きくこれまで寄与いたしてまいったわけでございます。私どもといたしましては、さらに処理センターが有効に機能するよう、これまで以上に指導を強め、努力してまいりたい、かように考えます。  東京海上に対しましても、先ほど申しましたように厳重に抗議をし、今後かかることのないようさらに指導を強めてまいりたいと思います。
  88. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、この問題についても次回委員会に私は御報告をいただきたいと思う。よろしゅうございますか。今後の取り組みあるいは東京海上に対する対応、そういうことも含めて次回決算委員会に、どういう指導をし、当事者がどういう対応をしてきたか、御報告をいただきたい、こういうふうに思うのです。よろしいでしょうか。
  89. 波多秀夫

    ○波多政府委員 後刻とりました措置につきまして、御報告をさせていただきます。
  90. 井上一成

    ○井上(一)委員 次に、私は国鉄関係について質問をしたいわけですが、余り時間がありませんので……。  国鉄といえばもう赤字の大御所、いろんな意味で暗い面が浮き彫りにされているわけです。少し私は明るいホットな国鉄の取り組みをここで提起をしたい、こういうふうに思うのです。先日禁煙促進グループが国鉄を訪ねて、列車にいわゆる禁煙車をもう少しふやそうじゃないか、乗客に対する一つの対応として報道されていました。私は非常に前向きな姿勢であるとは思うわけでありますし、まさに今民営化が論じられているやさきでありますから、暗い面ばかりだから、もう二十一世紀、情報と頭脳の時代だと言われているのだから、生き残るためにも、国鉄が新しい発想で新しいアイデアを導入して、利用者に対するサービスに力を入れていくべきではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  列車食堂というのがありますわ。おなかがすいたら、食堂車で食事をとる。これは当然なんです。駅のホームで弁当を買うあるいは車内で弁当を買う。まあ時にはアルコール類も販売されているわけです。そのことはそれなりに私はいいことだと思いますよ。それはそれで、何もその問題について議論はしません。一体、赤ちゃんに対して、おなかがすいたからお母さんがおっぱいを赤ちゃんに飲まそう、そんなときにお母さんがおっぱいを出して飲ます場所がないわけです。私は、食堂車の片隅と言えばお母さんに申しわけないけれども、おっぱいルームというか、食堂車がすいた時間でも、お金をかけずに今すぐにそういうことをお母さんにアナウンスしてサービスをしようということも、ひとつ新しい発想ではないだろうか。おっぱいルームが国鉄にはちゃんと配慮されているんだ、わざわざ部屋をつくって云々じゃなく、お母さん、お父さんが食事をしている食堂車の中で赤ちゃんもお母さんのおっぱいから母乳を、栄養を補給する。非常にほぼ笑ましい取り組みだと私は思うのです。そういうことについてどうお考えなのか、ひとつ聞いておきたいと思います。
  91. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  今先生御指摘ございましたように、新幹線の車内で授乳をしたいというお申し出が往々にしてございます。従来私どもで指導いたしてまいっておりましたのは、新幹線の中に大体二、三両に一両ぐらいの割合で予備室的な部屋が実はあるわけでございます。乗務員室にも使っておりますし、あるいは体の不自由な方々にお休みいただくような、若干ベッド的な要素も持ったような部屋も用意してあるわけでございまして、極力そういうところへ、車掌にお申し出をいただきまして御案内をしたらばどうか、またそれが一番よろしいんではないか、こんなふうに思っております。ただ、そういうことをお客様に必ずしも周知していないという面がございますので、今先生御指摘ございましたように、お客様にそういう御案内をいたしまして、むしろ積極的にそういう部屋を御利用いただいてお母様方に授乳をしていただくといったふうなサービスをこれから展開したい、こんなふうに思っております。  食堂車も検討の課題かと思うのでございますが、列車によりまして、時間によりまして相当込んでおりますものですから、かえって騒々しかったりいろいろございますので、むしろそういう予備室的な部屋をお使いいただいた方がいいと思っておりますので、そういう面で御案内を申し上げるような格好でこれからやってまいりたい、こんなふうに思っております。
  92. 井上一成

    ○井上(一)委員 それはそういうふうに個室にしてあげればなおいいと思いますね。ちょっと赤ちゃんを寝かせられるような場所もあればいいし、私は食堂車の一部でもと言ったんですけれども、改めて確認をしますが、三両に一つとか四両に一室、そういう形でお客さんに周知徹底をする方向、方針を取り入れる、そういうことで対応する、おっぱいルーム誕生、こういうことですね。
  93. 須田寛

    ○須田説明員 御指摘のような方向で指導して、また御案内申し上げてまいりたいと思います。
  94. 井上一成

    ○井上(一)委員 非常にいいことだから、一日も早くそういうことをやられた方がいいと思います。  それで、さらに私はぜひ注意をもう一つしておきたいことは、今からしレンコンによる食中毒が起こって、食中毒の怖さを改めて世に示したというのが今日の状況であります。そういうときに、いわゆる営業承認を受けている業者以外が車内販売等をしているということがあるわけなんです。そういう場合には、食中毒が起きた場合はどうなるのか。だれが責任を持つのか。こういうことを考えれば非常に暗い気持ちを持つわけなんです。食中毒防止あるいは営業承認を受けていない業者の販売等についての国鉄の対応はどうなのか、これも聞いておきたいと思います。
  95. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 車内販売につきましては、現在承認制度ということで限定した業者の中で行わせておるわけでございますが、先生御指摘のように承認を受けていない業者が乗ってくるということが間々あるようでございます。私どもの方でも、これは保健上、衛生上非常に問題がございますので、極力これを発見し、制止、退去させることにいたしておるわけでございますが、遺憾ながら五十八年度におきましても六十四件ほどそういう該当があったわけでございます。私どもといたしましても、これにつきましては極力排除する方向で今後とも努めてまいりたいと考えております。
  96. 井上一成

    ○井上(一)委員 しっかりとこの問題については取り組まないと大変なことになりますよという警鐘を鳴らしておきましょう。  さらに、国鉄が今駅前で自転車置き場というのですか駐輪場に対して関係自治体とよく協力をしてそういう利便に取り組んでいる、このことは私は一定の評価をしたいと思います。そこで、大阪駅の実情は一体どうなのか。無断駐輪というのですか、例えば無断で東口のガードのところに並べておるとか空地に無断でとめてある。そのことは逆に町の交通安全に時には支障を来す、そんなことを考えると、さらにそれを整理していかなければいけない警察官の苦労、そういうことを考えると、国鉄が自動車置き場いわゆる駐車場だけに目を当てているのではないだろうか。大阪駅にもむしろ駐輪場を設置して、大阪駅から乗降する人たちの利便に供していくということはいい発想ではないだろうか、いいことではないだろうか、僕はこう思うわけです。  本来は大阪市なら大阪市からの要望あるいは大阪府の要望ということになるのでしょうけれども、むしろ大阪駅については国鉄がそういうことを主体的に、駅前に駐輪場を、国鉄の土地があるわけでありますから、そういうところを皆さんに活用してもらう。そのことがすべて町に潤いを、すがすがしさをもたらす。国鉄さん、なかなかいきな計らいでやってくれるな、そうだ、やはり国鉄に応援して国鉄と一緒に私たちは取り組もう。そういう国民へのアピールもちょっとしたことで、お金が要るわけじゃない、むしろ有料ですればお金が入ってくるわけです。駐輪場の設置ということについて思い切って決断をすべき時期ではないだろうか、このことも提起をしたいわけなんです。御堂筋を自転車でさわやかに走っている、渋滞している自動車に乗っていくよりもむしろさわやかな大阪の町を自転車でサラリーマンが大阪駅に、あるいは大阪駅から他の町へ、私は非常に駐輪場設置の意義は効果あるものだと思うのですが、当局はいかがお考えでしょうか。この点についても大いなる御英断を私は希望するわけであります。
  97. 岡田宏

    岡田説明員 お答え申し上げます。  公共自転車駐車場の設置につきましては、自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律によりまして、地方公共団体、道路管理者が設置をし、鉄道事業者は用地の提供等これに積極的に協力をするということで位置づけられております。国鉄におきましても、大都市近郊の通勤駅等におきましては、そういった駐輪場を設置することが当局営業施策の積極的な展開にも結びつくということで積極的に取り組んできているところでございまして、現在までに全国におきまして約千五百件の自転車駐輪場が設けられている状況でございます。  お話のございました大阪駅についてでございますけれども、大阪駅周辺の道路交通の現状ということから考えまして、今日まで設置がされていなかったわけでございます。また、大阪市からそういったお申し出もなかった状況でございましたので、設置をいたしていなかったわけでございますけれども、早速いろいろ調査をいたしますと、若干の放棄自転車と申しますか、そういったものもあるようでございますので、それらの整理ということで大阪市ともいろいろお話を申し上げて、実情調査の上積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  98. 井上一成

    ○井上(一)委員 大阪市と相談の上で積極的に取り組むということですが、設置をする方向で取り組まれるということですね。
  99. 岡田宏

    岡田説明員 そのとおりでございます。
  100. 井上一成

    ○井上(一)委員 非常によいことですからね。一日も早くそういうことが実現できるように努力をいただきたい、こういうふうに思います。  これは余談になるかもわかりませんけれども、国鉄が温泉の風景でお客さんにアピールすることも一つの方法だけれども、そうじゃなくもっと身近な、毎日の暮らしの中で国民といかに結びつけていくか、こういうことが大事なわけでありますから、そういう意味で運輸大臣、私の今の二つの提案、おっぱいルームはやりますということなんですね。それから大都市近郊の駅前では協力をしてきていらっしゃるわけで非常にいいことだったわけですが、今お聞きのように大阪駅でも駐輪場の設置を前向きにやろうということで大阪市と話し合いをする、主体的に国鉄の土地を有効利用していこう、その中に駐輪場をつくっていこう、大臣、私のこの見解にお考えがあれば一言聞かしていただきたい、こう思います。
  101. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変結構な御提案をいただいたと思って感謝いたしております。今御質問の中にもございましたが、国民の皆さんに身近な国有鉄道にしていくことをいろいろな角度からもっともっと考えていかなければならないと考えております。
  102. 井上一成

    ○井上(一)委員 せっかく総裁が御出席ですから、いろいろな面で大いにあなたに期待している国民も多数いらっしゃるので、私の今の質疑を通して総裁の御意見、お感じになったことをここで、今後の取り組みもありますから聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  103. 仁杉巖

    仁杉説明員 ただいま先生からいろいろ温かい励ましと、それからまた国民と国鉄を結びつけるというような意味における御提案をいただきまして、大変ありがたく思っております。これらの問題につきましては、今御指摘がありましたような点につきまして前向きに取り組みますとともに、それ以外の問題でもお気づきの点等御指摘がございましたら、国民の国鉄というような意味におきましてまた積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともによろしく御指導をお願いいたす次第でございます。
  104. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は国鉄の抱えている問題をいろいろ指摘をしたいわけでありますけれども、きょうは明るい面での前向きな取り組みだけに終始したい。暗い面もたくさんありますからね。これは逐一ここで申し上げませんけれども、心して、いわゆるプロフェッショナルというのか、本当にどう国民に愛される国鉄になれるか、内部の綱紀も含めて頑張ってほしい。民営化なんというような声が出ぬように、国鉄が、よし、やる、自力で国鉄は変わるんやというくらいの、何でも民営化したらええ、人にゆだねていったらええんだというそんな甘っちょろい考え方ではあきませんよ。だからもっと民営ではできぬよさを、金を使わぬでも頭を使うたらできるのですから、そういうことでもっと多くの国民に愛されるように十分取り組みに留意をしていただきたいし、頑張ってほしい。きょうはそういうことにして私の質問を締めくくっておきたい。国鉄に言いたいことはもっとたくさんある。あるけれども、明るい取り組みを提起し、それにこたえていただいたということで今後の対応を待ちたい、こう思います。  以上で私の質問を終わります。
  105. 横山利秋

    横山委員長 この際、午後零時四十五分まで休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後零時四十六分開議
  106. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  107. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 運輸政策の中における鉄道の重要性というのは、これはますます高まっておるわけであります。特に今大都市圏内の輸送、特に通勤通学の輸送をどうするかという問題が、これは喫緊の問題になっておるわけであります。そこで、政府におかれては運輸政策審議会にその構想を諮問しておるということでありまして、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備については、運輸政策審議会の東京圏都市交通部会で現在検討中と言われておるわけでありまして、その部会の中にある小委員会が主としてこの問題の検討をされておるわけでありますが、それの中間報告が去る六月二十二日に出されておりますが、これに関連をして、まずこの審議状況等についてお伺いをいたしたいわけであります。  審議が済んでいないからまだ内容は言えないということではなくて、この委員会の事務局を担当しているのが運輸省でありますし、運輸省御自身としても現在検討されておるようなことについては、当然かねてから研究をなさっておるはずでありますので、そういう観点から、まだ審議会の答申は出ておりませんけれども、進行中でありますけれども、その中間報告に関連をして、基本的な点の幾つかをお伺いをしたいと思うわけであります。  東京圏は、大都市圏内の交通問題が最も集中的に象徴的に今示されておるわけでありまして、運政審の中で検討されておりますが、まずそこで、鉄道路線の整備を進めるに当たっては基本的にどういう考え方でこれを進めるのかということをまず大臣からお伺いをしたいと思います。
  108. 細田吉藏

    細田国務大臣 鉄道の使命というものがモータリゼーションや航空機時代の到来で非常に変わってまいりましたことはもう申し上げるまでもございません。その中において大都市の通勤交通を中心にしました輸送については、地下鉄も含めまして鉄道の占める役割というものはほかのものではかえがたい極めて重要なものである、かように存じております。  そこで、今御質問の中にもございましたが、五十七年九月に東京圏の鉄道網についてはどういうふうに整備したらよろしいかという諮問をいたしておるところでございまして、今盛んにいろいろな角度からの調査を進めていただいておりますし、また関係の企業体の計画等についても調査を進めておられるところでございます。私どもとしましては、この結論をなるべく早く出していただくと同時に、問題は、厳しい財政のもとにございますので、いろいろ工夫を凝らしていかないといけないと思っております。いずれにいたしましても、地下鉄を含めて鉄道の整備ということにつきましては、今後とも特段の重点を置いて考えていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  109. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この審議状況中間報告の中に、審議の基本的な方針として東京圏内の各地方公共団体の長期計画及び鉄道整備の要望、それから各鉄道事業者輸送力増強計画等について説明を受け、それらの長期計画に基づいて進めるのだというような意味のことがありますけれども、鉄道整備についての基本的な条件といいますか、計画を立案するに当たっての基本的なものは何ですか。まず、その基本的なものをお伺いしたいと思います。
  110. 服部経治

    ○服部政府委員 鉄道網を整備することの重要性につきましては、最前大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、東京圏におきます人口の増加状況、特に外延化の状況を踏まえまして地域の実情に合った、地域社会の人たちのニーズに即応した鉄道網を整備することが私たちに課せられている責務だと考えておりまして、運政審におきまして現在進んでおります、あるいは今後進められてまいります作業の過程におきましても一番中心になるのは将来の需要予測だ、このように考えております。
  111. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ここにも各地方公共団体からの長期計画あるいは開発計画、これらを踏まえて進めるということを言っております。それはもちろん必要でありますが、それと同時に都道府県の立場を超えた広域的な、将来の東京圏であれば東京を中心とする一都三県ですか一都五県になりますか、その広域的な調和のとれた発展ということをより基礎にしなければいけないのではないかと思うのです。公共団体の長期計画あるいは開発計画ということになりますと、これはそれぞれ都なり県なりを中心とする、都なり県なりの立場からする開発計画ということになりまして、いわゆる都県の割拠性がそこへ出てくる、これは当然だと思います。東京都は東京都の立場からやりますし——東京都はこの場合は中心ですから開発計画に直接は関係ないと思いますけれども、千葉県は千葉県なりに千葉県の立場から千葉県の開発計画をつくる、埼玉は埼玉ということでありますから、当然一都三県なら三県の割拠主義がそこに出てきて全体の調和が損なわれるということがあるわけでありまして、それだけを単に足して計画をつくったのでは立派な計画はできないと思うのです。そこで、各都県の割拠性をさらに超えた国の立場からの調整ということが当然必要なわけですけれども、そういう観点がここには薄いというしかないのですよ。これではちょっと疑問に思うわけですけれども、そういう観点からの配慮はなされているかどうか。
  112. 服部経治

    ○服部政府委員 先生のただいまの御指摘はまことにごもっともでございます。私どももそういう観点から、この運輸政策審議会の都市交通部会には国土庁にもその委員として御参画を願っているところでありまして一そういった府県独自の立場からする開発計画というものを踏まえながらもその相互間の調整、全体の調和ということにつきましてもこの運輸政策審議会の場で十分議論していただくことになると考えております。
  113. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ついでにお伺いしておきたいのですが、そういう意味で運政審の部会における審議というのは、将来の鉄道網を策定をする基礎になると思うわけです。それを決める委員の顔ぶれでありますけれども、これはいずれも立派な先生方で不適任という方は一人もおりませんけれども、そういう全体の調和をとるということになれば委員の選出についてもそういう配慮が必要ではないかと思うわけです。  委員の皆さん方の顔ぶれを出身分野別に見ると、報道機関が六人、学者先生が四人、金融関係が二人、労働関係が二人、交通の研究関係が二人、あとその他、これは公営企業金融公庫総裁という方ですからどっちに入りますか、これは金融に入りますか、ということなんですね。そうしますと、総合的な策定をするにはちょっと偏っているのではないか。こういう先生方はいずれも立派な先生方ですけれども、さらにそこへ地域の代表を加えるべきではないか。地域の代表といいますと、特別委員の中には政令市の市長とか知事さんが入っておりますが、そのほかに第一線の地方自治体の首長あるいは一般市民代表、通勤者の代表、学生の代表というのは無理かもしれませんけれども、できればそういう利用者の代表、そういう人たちもこの中へ入れるべきではないかと思うわけですけれども、その点はいかがでしょう。
  114. 服部経治

    ○服部政府委員 こういった委員会のメンバー構成につきましては、もとよりいろいろな御意見があるところだとは存じますが、私どもといたしましては、現在のこのメンバーが公正にこういった都市交通問題を審議していただくのに最もふさわしいメンバーということで考えたわけでございます。先生が今特に具体的に御指摘になりましたもっと第一線の地域の代表とか利用者代表という方々を直接これに加えることは私どもとしては避けまして、そういう立場の人にかわって意見を述べる立場にある人たちということで一都四県二政令都市の首長も入れておりますし、報道関係者の方々にも御参画を願っている、さらには労働組合関係者の方々にも御参画を願っている、こういうことでございます。
  115. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 現在の首都圏内の交通状態は全く極限に近いわけであります。特にそういう地域があるわけでありますから、毎日こういう殺人的な電車で通勤をし通学をしているという立場の人が入ってないということはちょっと理解ができないわけで、そういう日夜苦しんでいる人たちの代表あるいはそういう人たちの声を反映させるという御配慮がないのかどうか、それをもう一回。
  116. 服部経治

    ○服部政府委員 先ほども御答弁したとおりでございますけれども、こういう事柄につきましては、これしかない、もう別の答えはないんだというような物の考え方をとることは非常に難しいというふうに思っておりまして、私どもとしましてはそういう大勢の利用者を含めてのさまざまな声を公正に反映し得る、そういう審議会の場にするという目的、意図のもとにこういうメンバーを選定したということでございます。
  117. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、審議の基礎的な条件あるいは基礎的な各地域の状況、これを第一に考慮するということは当然でありますけれども、同時にまたそうなりますと、現状追認といいますか、事実が先に出てその事実を後から追認していくという形の交通政策に既にならざるを得ないということでありますが、そういうこともやむを得ないし、事実が進んだ場合に、それを放置するわけにはいきませんけれども、同時にまた交通政策によって首都圏内の人口配置あるいは地域開発を誘導するという見地が非常に弱い、あるいはほとんどないというわけなんですけれども、そういう点の御配慮があるのかないのか、それを伺いたいと思います。
  118. 服部経治

    ○服部政府委員 基礎的な交通施設の整備、とりわけ鉄道の整備といったような事柄につきましては、本当に最も望ましいあるべき姿というのは、まさに先生御指摘のように誘導型の方向でこれを考えるというのが本当だと思いますが、現実は遺憾ながら交通施設の整備というのは現実のニーズを後追いする格好で整備をすることが多うございます。これは諸般の事情があるわけでございまして、現状ではやむを得ないところかとは思っておりますが、私どもとしてはそういう点の反省にも立ちまして、こういった将来の二十一世紀を展望した首都圏のあるべき交通網の姿ということを求めて、こういう運政審への諮問等のことを考えたわけでございまして、仮に現実の姿が、もう一点別の言い方をいたしますと仮に現実の鉄道施設の整備ということが後追いの格好で行われる場合におきましても、それはそれなりにさらに需要をそういう方向に誘導するという効果もあわせ持っておるということも申し添えさせていただきたいと思います。
  119. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そういう御配慮もあるということでありますけれども、やはり交通政策を進める場合には、建設省なりそういう方面の所管省との密接な連携あるいは共同作業が必要だと思いますが、そういう点でぜひ自治体の拡張主義に左右される鉄道網の配置ではなくて国の立場からする、できれば将来のあるべき姿を誘導する立場からの交通網の整備ということも十分配慮をいただきたいと思うわけであります。そういう点で、大臣はどうお考えでしょうか。
  120. 細田吉藏

    細田国務大臣 御趣旨は、本当にごもっともなことでございまして、交通の使命というのは、交通の輸送需要があるからその後を追っかけて交通網を整備するというものと、そうでなくて、むしろ開拓的というか開発的といいましょうか、交通網をまず整備することによってその影響がいろんな面にあらわれてくるという面と二つのものがあることはもう御承知のとおりでございます。  今回のこの首都圏について御計画をいただくというのは、この二つの点をあわせ考えて全体的な立場から見てどうするか。現状を無視するわけにもいきません。といって将来の国土計画的といいましょうか、首都圏計画といったようなものを無視するわけにいかない。この間の調和をどうとっていくかということによって御決定をいただくというので、かなり実際問題としては具体的には難しい問題が出てくる可能性がある。しかも限られた費用の中でやろうということになるとかなり難しい問題があろうかと思いますが、基本の考え方としてはおっしゃるとおりだと思っております。
  121. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そこで、中間報告の三ですが、「小委員会は、東京圏の鉄道網整備計画を策定するための基礎資料として、将来人口フレーム等に基づき、現状の鉄道網を前提とした昭和七十五年の通勤・通学のための鉄道利用者のブロック間流動を推計した。」こういうことになっておりますね。そうしますと、この場合の推計というのは、全く現在の条件のもとにおける推計だ、こういうことになるわけですか。
  122. 服部経治

    ○服部政府委員 まず需要想定を行うその一番大事な前提といたしましては、将来の私どもが展望しようとしております昭和七十五年時点におきます地域開発の状況等を踏まえまして、人口がどういうふうに張りつくかというようなことを考えることがまず第一でありまして、そういう意味で先ほどもちょっと触れましたけれども、各自治体の現在持っておられます地域開発、地域整備の長期計画というものを詳細に説明を聞いておるわけでございます。そういうことを一方で踏まえまして、さらに一方では現存する鉄道施設の現状及び将来の拡充整備の計画等も踏まえまして、今後いろいろとさらに詳細な検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  123. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 もう一つ、資料3の図2というのがあります。これを見ますと、七十五年までの予測を出しておるわけですが、この予測を一都三県について見ますと、この推移を見る限り、東京を中心にして鉄道網が一応充足されておる。充足というか、一応鉄道網が発達をしておるという地帯と、輸送力が非常に不十分である。輸送力を超えて急激に増加をする地帯、それから交通手段がなくてふえるにもふえられない、当然これは政策的にそこへ幹線の鉄道を一本入れるべきであるという地帯とにこの図を見る限りでは分かれると思うのですね。東京の西側は一応鉄道網が整備されておる、これは歴史的な条件がありますから当然そうなるわけです。東側については、鉄道網が非常に疎である、しかもそれを乗り越えて人口がどんどんふえつつある地帯と、首都圏、東京都に近いいい条件にあるけれども鉄道がないために人口がふえるにもふえられない、ぜひ一本新しい幹線鉄道を入れなければいけないという地帯とがあると思うのです。将来の計画を立案する場合にそういう状況をどう見られるのか。これを見た場合には、将来の人口分布を誘導する見地からの施策がぜひ必要だとこの図面は示しているようなものです。その点について、これは極めて大ざっぱな見地でありますけれども、お伺いしたいと思います。
  124. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生がお示しになりました図2でございますが、まことに先生お説のとおりでございます。この地図を見るとよくわかるわけでございますが、首都圏の鉄道網は西側に極めて密でありまして、それから北にだんだん行くに従いまして疎になりまして、さらに東北方面で最も疎であるという状況がこれから読み取れるわけでございます。  私どもといたしましては、鉄道網が疎である地域に最近特に人口集中が進んでいるという実態も十分把握いたしておりますので、今後の運輸政策審議会の審議の場におきましても、そういう実情を踏まえた議論が進められていくことになると考えております。
  125. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これをごらんになってもわかるように、東京の東側は鉄道網の不備を乗り越えてふえておるという面と、それからふえるにもふえられないという面がある、鉄道がなければもうどうにもしようがないわけですから。開発の適地であって、鉄道があれば人口が急増して、しかも全体の調和の上からいっても望ましいという方向、これはこの図で言えば東北方向です。東北方向は鉄道があれば人口も十分吸収できる、しかも調和ある発展のためにも望ましいということでありますけれども、それがおくれている。具体的に言えば、常磐線と東北線の間には何もない。こういうことを鉄道網の整備に当たってぜひ配慮を願いたいと思うのですけれども、大臣、原則的にはそれでよろしいですか、そういう方向で努力していただけますか。
  126. 服部経治

    ○服部政府委員 繰り返して申し上げるようでございますが、ただいま先生御指摘のとおりだと思っております。
  127. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣のお考えを……。
  128. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま御質問の中でおっしゃっているとおりだと思います。これまでのいろいろな沿革的な事情から、東京都の東部に向かっての鉄道網が非常に粗くなっております。ただ、千葉県といいましても、総武線方面についてはかなりいろいろな手が今打たれましたし、また打ちつつございます。問題はそれよりもやや西側の常磐線沿いのところが非常に大きな穴みたいになっておるということはもうお説のとおりだと思っております。
  129. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 千葉県と茨城県の西部は、将来の開発の可能性が非常に高い、東京まで四十キロくらいですから鉄道さえあれば十分過密地帯の人口を収容できる広大な地帯であります。その地域に対する配慮をぜひお願いしたいと思うわけです。  それともう一つ、そういうことを部会としてみずからお示しになっておるわけですが、この「表2 方面別流入交通量」を見てもその結論が明らかに出てくる、こういう表でありまして、ほかの方面は、東京に入る流入交通量ですから、東京都の区部の境における各方面からの流入量の趨勢を示しておるわけですけれども、それによりますと千葉、茨城方面は、五十五年と七十五年との比較において、七十五年になっても横ばいということでありますが、他の方面は全部混雑率が減になっておるのです。ところが千葉、茨城方面は横ばい、減らない。それがさらに十四区の境で見ると、他の方面は全部減でありますが、千葉、茨城方面はかえって増になる、混雑の度合いが増加する。こういう結果がここに出ておるわけであります。  ですから、いかに千葉、茨城方面の施策が緊急を要するかということはこれによっても一目瞭然でありまして、このままにしておきますと鉄道そのものがパンクするし、また地域としてはこれから十分に人口を収容できる、開発できるところが眠っていて開発できないことになるわけでありまして、こういう点からも捨てておけない事態だと思います。まだ結論は出ておりませんけれども、部会みずからそういう調査をなさっておるわけでありまして、こういう点を運輸省あるいは国鉄当局はぜひ直視していただきたいわけでありますが、国鉄総裁としてはどういうお考えですか。
  130. 仁杉巖

    仁杉説明員 運政審の報告書も拝見しておりますが、国鉄自体といたしましても、現在、東の方面の輸送力増に対する対応が必ずしも十分でないと考えております。房総方面に関しましては、湾岸線を旅客にするという方策がとられております。常磐線につきましては、非常に混雑しているということでございますので、今、中電の十五両化を進めておりますが、近郊電車も十五両化をするような方向で検討を進めております。さらに将来につきましては、先生御指摘のように新しい線をどういう形かでつくる必要があるのではないかと考えて、事務当局には検討を指示してございます。
  131. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 常磐線初め具体的な線についてはまだ後でお伺いしたいと思います。今は鉄道網を整備する基本的な方針についてお伺いしたかったわけです。大体わかりましたから、次に進みます。  次の資料4でございますが、「整備方策に関する検討課題」ということで幾つかの課題が提示されております。  そこで、鉄道の建設には莫大な投資を必要とすることは当然でありますが、しかし、現在の日本の経済力は、低成長とはいいながら毎年三%から四%の成長がある。ことしは恐らく三百兆を超える国民総生産ということでありますから、そういう経済の条件の中で鉄道の一本や二本は、やる気になればできないはずはないんですね。そういうことで、まずこの資料4で多くの課題が提示をされておりますけれども、これらの問題を、現在の東京圏の交通の状態がどうであるかというこの実態を十分認識された上で、これは必ずやらなければならない至上命令だ、こういうことでひとつ対処をしていただきたいわけであります。  その中で幾つかの課題がありますが、この「採算性に関する問題」、その中で「建設費の低減化方策」「事業主体のあり方」あるいは「公的助成のあり方」そして特に一番最後の「外部経済効果の内部化のための方策」というようなことがありますけれども、これらについてお伺いをいたしたいわけでありますが、まず一番下の「外部経済効果の内部化のための方策」、これは非常に示唆に富んだ課題であると思います。  これについては、これはこういうことだと思いますが、誤解があったら訂正を願いたいのですけれども、鉄道を敷設することによってその地域に外部的に大変な経済的な効果を及ぼすわけですけれども、その経済的な効果が鉄道には全く還元されない。鉄道は重荷を負うだけであって、経済的な効果が外部にだけ拡散している。拡散と言うとおかしいのですけれども、外部に集積をして拡散される。こういう事態をどうするかということでありますけれども、これはこれからの鉄道建設では最大の課題だと思うのですね。この着想はもっともっと早く、鉄道が斜陽化する前からこの着想をすればよかった。そうすれば国鉄が現在こんなに困らなくても済むはずだったんですね。ところが着想がおくれたのか、あるいは考えていてもやらなかったのかもしれませんけれども、ぜひこの観点に立ってこれからは鉄道を建設してもらわないと議論倒れになるということだろうと思いますけれども、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  132. 服部経治

    ○服部政府委員 先生ただいま御指摘になりました鉄道敷設と申しますか鉄道の整備に伴います外部経済の内部化の問題でございますが、この問題は本当に大事な問題だというふうに私ども認識しております。実はこの問題が議論され始めましたのは、私の記憶では昭和四十年代の初めのころであったかと思いますけれども、それからもう既に二十年近くがたっておるわけでございますが、考え方は、皆総論的には御賛同、御賛成いただけるわけでございますが、さてそれをどうやって現実の場において具体化していくかという問題になりますと、正直申しましてなかなかいい知恵がございません。そういうことで二十年近くをいたずらに過ごしてきたという御非難も甘んじて受けなければならない状況にあるわけでございますが、私ども、今回の運政審の場で改めてこの問題を取り上げていただいて御議論を願っておるということでございます。  なお、補足して申し上げますと、現実の行政の場と申しますか、鉄道整備を進めていく場面におきまして、この外部経済効果の内部化の問題のごく一部だと思いますけれども、実は私どもニュータウン鉄道の整備ということをやっておりますが、そういう場合には、開発者であるデベロッパーの立場にある方々に応分の御負担をお願いするということで、既に幾つかのそういった例を持っております。今後もこういう運政審の場でこの問題を御議論していただく一方で、現実の行政の場におきましても地道な努力をもってそういうことの実現に努めてまいりたい、かように考えております。
  133. 細田吉藏

    細田国務大臣 私から追加してお答えをしたいと思います。  御案内のように、私鉄は今おっしゃった外部経済効果を遺憾なく吸収するという仕事をやっておるわけでございます。国有鉄道についてはこれが非常におくれた。しかしながら、国有鉄道法も何回か改正をして、多少でも国有鉄道がこういうものができるようにということでやっておるのでございますが、何しろこれまでおくれましたことは、国有鉄道というものの性格から見まして、余り線路周辺のいろいろな仕事に手を出すということは逆にいろいろ問題があるんじゃないかという考え方が一方にございましたので、なかなかこれが思うようにいっていない。したがって、国有鉄道はどうも鉄道オンリー、あとはほんのつけたりのちょっとずつこれに関連する仕事をやる、こういう姿になって今日の状態になったと思うのでございます。  これから当面問題になっておるものをつくろうという際には、今日の財政状態、それからまた鉄道自体の経営の状態から考えて、この外部経済効果を吸収するという方法を講じなければ実際は線路ができない。またつくった場合に、こういうことを考えれば、より早くより経済的にできるということになる。したがって、これからやるものについては、どうしてもこれは全面的、積極的に考えていかなければならない、こういう問題であろうと思うのでございます。今日までおくれましたのは、国有鉄道が怠慢というわけでも必ずしもございません。これは国会でもしばしば運輸委員会等で論議があって、だんだん国有鉄道法の改正をして、できる仕事の範囲の拡張という形でやってきたのですけれども、とてもとてもそんなことでは間に合わなかった。そして、それが今日の国有鉄道の状態を来した、こういうことだと存じておる次第でございます。
  134. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 鉄道を敷設しますと、これは鉄道の沿線には富が集積するわけですね。それで、鉄道幹線を敷設するということは、富の配分というか、富の存在する場所を変える作用を持っていますね。そういうことで、外部経済については今お話があった範囲をさらに拡大してもいいんじゃないかという感じもするわけですよ。鉄道の周辺に集積する富、その富の中から鉄道建設あるいは鉄道の赤字を補てんするという、そこまでいってもいいんじゃないかと思うわけですね。また、そういうことでないと新線の建設がなかなかできない。そういうことを念頭に置いて鉄道の長期建設債を発行するとかなんとかということができるわけですから、とにかく鉄道は打ち出の小づちじゃありませんけれども、鉄道を敷けば必ずそこに富が集中しできますから、その富のある程度の部分を建設費に回す。これはいろいろ技術的な問題はあるわけでしょうけれども、それをやはりぜひお考えをいただきたい。そうでないと、鉄道に恵まれた地方は大変な富が集中する。そうでないところは、東京の三十キロ圏、四十キロ圏であっても地価は依然として五、六万しかしないんですよ、我々のところは。そういうことで、鉄道というものは富の偏在を来すというマイナスの効果があるんですよ。そういう地域的なアンバランスをなくすためには、過疎地というか今の未開発のところにも鉄道を敷いて、そのかわり開発利益についてはある程度もらいますよということでも、これはやむを得ないと思うのです。そういう発想をひとつ大胆に打ち出していただいて、ここにもこういう課題がありますので、この課題をさらに大きく発展させ、あるいは展開をしていただきたいということをお願いをしたいと思います。  それから、それとも関連するわけですけれども、「公的助成のあり方」あるいは「事業主体のあり方」等についても、今までは国鉄さんがやっておった。しかも旧態依然たる独立採算、しかもこれは狭い意味での、極めて狭い世界に押し込まれた中での独立採算ですから、今の国鉄が黒字になるはずはないのですけれども、そういうことではなくて、やはり国鉄においても国鉄経済をもっと拡大していく、国鉄経済を外部経済の中へ伸ばしていくということですかね、こういうこともひとつやっていただきたいわけです。  それから、事業主体等についても、これは必ずしも国あるいは国鉄だけが負担をしなくてもいいわけです。三十兆円のGNPがあるわけですから、この三十兆円のGNPの中から鉄道建設費をいろいろな方法で工面していくという自由な発想が必要だと思うのですね。そういう自由な発想は、やはり公的助成とか事業主体のあり方、こういったところから展開されてくるのじゃないかと思うのです。そういう面で、ひとつもう一回、自由な発想をこれからやっていただきたいという点からお願いしたいと思います。
  135. 細田吉藏

    細田国務大臣 これからの鉄道は、そういうことでないともうできない、極端なことを言えばそういうふうにまで思っております。一番いい例が東北、上越の新幹線でございまして、これを敷くために国有鉄道は大変な赤字をしょうことになるわけでございますが、沿線の利益、国民の利益、経済的な利益、そういうものは莫大なものがある。これが国有鉄道には還元されていないというところからもはっきりしておるわけでございます。また、話が違いますけれども、今回関西国際空港を株式会社にいたしておるのでございますが、これは民間活力を大いに利用しよう、附帯事業もやろうということで、今おっしゃったような考え方に近い考え方で特に株式会社にしたわけでございます。  今後の鉄道を敷くにつきましては、そういった点を総合的に考えて、とにかく早くつくるのにはどうしたらいいのかということで、やっていかなければならない、かように考えておりまして、あらゆる面で知恵を出さなくちゃいかぬというふうに思っておる次第でございます。
  136. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ぜひそういう発想でやっていただきたいと思います。そうでないと、今鉄道がなくて、あるいは鉄道が本当にパンク寸前で困っている地帯の住民は浮かばれないというわけでありますから、そういう点でぜひひとつお願いをしたいと思います。  次には、具体的な点ですが、先ほど総裁は先回りして御答弁なさいましたけれども、実は常磐線の問題があるわけなんです。東京の東側が鉄道に恵まれない地域であることは、今までもしばしば至るところで指摘をされているわけなんですね。早急な対策が要望されておるということです。そして、この整備計画の中にも常磐線の対策が入ると思います。この勧告で第二常磐線が出てくると思います。それを受けておやりになるのでしょうけれども、それを待たずに、やはりこの問題については真剣に考えていただかなければならないわけなんですね。この常磐線の混雑については、これは他の線いずれも混雑しております、西側についてももちろん混雑をしておりまして、西側がいいということでは決してございませんけれども、常磐線方面が特に飛び抜けて混雑の度合いが高い、あるいは将来の見通し等についても大変困難だということは事実が証明をいたしておりますので、常磐線についてはぜひ特段の御配慮をいただきたいと思います。  千葉県の混雑緩和基礎調査の推計によりますと、昭和六十五年に常磐線の混雑率は、松戸−金町間が二七九%、綾瀬−北千住間では三〇三%ということでございます。これは朝のラッシュ時の平均です。そうなりますと、ピーク時の最高は三〇〇をはるかに超えるということになるわけで、これは現在のままでということですから、三〇〇を超えたらもうそんなに乗れないはずです。乗れないところではなくて、そういう状況を放置しておればけが人が至るところに出るということですから、そういう事態にはならない。もう乗れないですから、ならないと思いますけれども、そういう事態になる、こういう推計です。しかも、軽傷ではございましたけれども、先般柏駅で女子高校生がけがをしたということもあります。こういうことで、沿線がらは強い対策の要望が出ております。  先ほど総裁がおっしゃったように、とりあえず中電の十五両化ということでありますけれども、中電の十五両化だけではどうにもならないわけですよ。やらないよりはいいですけれども、中電の十五両化ではほとんど解決にはならない。快速の十五両化ということもおっしゃっておりますけれども、これはいつのことかわからないということですが、まずやれることからやらなければならないわけです。第二常磐線といっても大変な時間がかかるわけですから、やれるところからやるとすればどういうことかということなんですけれども、先ほど総裁がおっしゃったように、中電の十五両化ということしか現在は決まっていないわけですね。その次の快速の十五両化あるいは緩行線のラッシュ時における増発、これはどうでしょうか。
  137. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  先ほど総裁がお答え申し上げましたように、とりあえず中電の十五両化を来年の春までに実現するわけでございますが、同時に市電の増結用に使っております車両をロングシートにいたしまして、現在クロスシートでございますので非常に収容力が少ないものを広げるということもあわせてやることにいたしております。  その後、今先生から御指摘ございましたが、快速をどうするかという問題がございまして、当然十五両化が出てまいると思います。これは技術的にはもちろん可能なんでございますが、幾つか難点がございますのは、ホームの延伸をしなければいけない。南千住と三河島と天王台、三駅でございますが、この中で特に都心の駅の工事が非常に難しいことと、工費が高いという問題がございます。それから、増結をいたしますので当然車両基地が必要なのでございますが、電気方式の関係で快速電車は取手以遠に参るわけにまいりませんので、取手から手前に車両基地を考えなければいけない、こういったようなことがございますので、今いろいろ検討いたしております。ただし、これにつきましては相当緊急の問題だと考えておりますので、いろいろそういった難題はございますけれども、なるべく早急に何らかの手を打つべく検討したいということで、目下鋭意勉強中でございます。ただ、現時点で何年からというところまでは、まだちょっと煮詰めていないというのが現状でございます。
  138. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ぜひ、快速の十五両化を。  それから、緩行線と快速の回数の増加、これは技術的にはどうなんですか、技術的にはまだ余裕があると聞いておりますが。
  139. 須田寛

    ○須田説明員 緩行線につきましては、ラッシュのピークの時間帯に、あとわずかではございますが、増発余力がまだございます。ただし、本件につきましては営団地下鉄との乗り入れをいたしておりますので、今営団側といろいろ協議をいたしておるところでございますが、車両増備を前提にいたしますならば可能だというふうなことでございますので、これはでき得れば来年の春のダイヤ改正におきまして実現するべく、今営団側と協議中でございます。ただし、これにつきましてもせいぜい一往復程度でございまして、それ以上の増発は、営団側の線路容量あるいは当方の線路容量の事情もございますのでかなり困難だというふうに聞いておりますが、とりあえずそのようなことで今協議をいたしておるところでございます。まだ決定には至っておりませんが、目下協議中でございます。
  140. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしましと、緩行線の来春からの増発は協議中である。これは実現を目指して協議中でしょうから、実現をすると期待してよろしいでしょうか。
  141. 須田寛

    ○須田説明員 実現を目指して協議をしたいと思っておりまして、かなり確度は高いと考えております。
  142. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ぜひ実現をお願いしたいと思います。  次に、これは将来の計画になりますが、第二常磐線。これは何回ここでお願いしたかわかりませんけれども、第二常磐線については、もうあらゆる観点から至上命令であるというふうに考えるわけです。  そこで、部会の中に小委員会、小委員会の中にさらにルートワーキンググループというものをつくって検討されておるということを聞いておりますが、その作業はどの程度進んでおるのか。それからまた、ルートについては、茨城県からも千葉県からもその案が示されております。茨城県の案は、都心から筑波学園都市、水戸というふうにしてもらいたい、千葉県は、我孫子、松戸を経過した線にしてもらいたいというような希望が出ておるようでありますが、これらについてはどういうふうに調整をされますか。
  143. 服部経治

    ○服部政府委員 路線網策定ワーキンググループは、先生が先ほどからいろいろと御質問なさっておられます中間報告が出されました六月二十二日に新しく設置されることが決まったワーキンググループでございまして、まさにこれから具体的な作業の段階に入ることになっております。  それから、もう一点でございますが、先生ただいま御指摘のように、第二常磐線につきましては、運政審の方でヒアリングをいたしました際に、東京都、千葉県、茨城県、埼玉県の一都三県からそれぞれ第二常磐線の必要性について御主張があり、その際における主要な希望経過地というものについても意見の表明があったわけでございまして、その四つの線の間には、これを地図に落として見ますと、多少のそごはございます。したがいまして、今この段階で、第二常磐線の扱いがどうなるかということを前もってこうなりそうだというふうに申し上げることは非常にはばかるわけでございますけれども、今後の運政審の議論、作業の過程で、地域の実情あるいは具体的な輸送需要の想定といったことの絡みで、恐らく非常に公正な扱いがなされるものだというふうに私どもは期待いたしております。
  144. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 今、どういうルートになるだろうということは、おっしゃることはできないと思います。ただ、今の各方面から——各方面といいますか、両県から希望のルートが出ておりますが、このルートは必ずしも一致をしない。お互いに県の立場がありますから、違ったルートを示しておるわけであります。これは運政審の中でルートを決められると思いますけれども、大臣としてはどういう御見解ですか。
  145. 細田吉藏

    細田国務大臣 これこそ今度のいろいろ答申をいただく最大の問題の一つじゃなかろうかと思っておるのでございまして、いろいろな角度から御判断を願わなければなりませんので、あらかじめ大臣の考え方云々ということは遠慮をさせていただきたいと思っております。いろいろな角度から考えて、ただいま局長の申しましたように、公正、妥当なルートが決まることを期待いたしておる次第でございます。
  146. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 総裁にお伺いしますけれども、総裁は最近記者会見で、第二常磐線については意欲を持って取り組む、大変頼もしい誓言をなさっておるわけでありますが、総裁といえどもこの審議会の答申を待つということだと思います。それとは別に、第二常磐線の必要性、これは万人の認めるところでありますし、総裁が一番痛感されておることだと思いますので、総裁の立場から、第二常磐線に対する意欲のほどをひとつお伺いしたいと思うのです。
  147. 仁杉巖

    仁杉説明員 実際、常磐線の現状を運行しております立場から申しますと、先日も私現地を見ましたけれども、柏、松戸等は非常に混雑をいたしております。この辺の沿線の人口増加の傾向を見ておりますと、中電の十五両化で一時やりますが、続いて快速の十五両化というようなこと、先ほど須田常務がお答えいたしましたように、そういう方向は検討中でございます。しかし、どうも常磐線としては輸送力が不足するのではないかというふうに考えますし、先ほど大臣からもお話がございましたように、新しい線をつくるとなると、相当資金的なあるいは経営的な検討も必要であるということ、また建設に入りましても相当の時間がかかるというようなことを考えておりますので、私は先ほどもちょっと触れましたが、運輸省の運政審の答申の結果を待つということはもちろんでございますが、それもそう遠くないときに出るということでございますので、一体第二常磐線というのはどういうふうにした方がいいのか、国鉄がやるといたしましたらどっちがいいのだろうかということについては検討してみる必要があるということで、事務当局にいろいろ指示はしてございます。  ただ、最終的には運政審の結果が出た中でいろいろ考えるということでございますが、その場合に、果たして国鉄がやるのか、ほかの事業体がやるのかということにつきましてもまだ決まらないわけでございますが、現在常磐線の輸送を担当する国鉄といたしましては、それなりの勉強をしておく必要があるというわけで、努力をしているところでございます。
  148. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 審議会の答申待ちということでありますけれども、ぜひひとつ真剣に御検討をいただきたいと思います。  それとの関連がありますけれども、先ほどから皆さん方お認めのとおり、東京の東側、特に東京を中心とする東北方面に放射線がないということが首都圏整備の大きな盲点だと思うのですね。そこで第二常磐線がどこを通るかということとの関連がありますけれども、同時に、常磐線と東北線との間の鉄道のブランクな状態、この間にどうしても一本、東京に直通をする鉄道が欲しいというのがその地域の住民の昔からの強い要望なわけです。この中にもありますが、地下鉄八号線豊洲−亀有、そうしてこれを野田方面へと、こういう構想があるわけなんですけれども、この線の、鉄道網という観点からの合理性、それから実現の可能性、こういったことについてはどうお考えですか。
  149. 服部経治

    ○服部政府委員 営団八号線は、現在計画路線といたしましては亀有までつながることになっておりまして、その先をどうするかという問題でございますが、この八号線の野田方面への延伸につきまして関連の地域から非常に要望が強うございます。私ども、いろいろな方にお目にかかりますたびにそのことを要望され続けておるわけでございますが、そういう意味で、この問題につきましても今から予見を持って申し上げることははばかりますけれども、運政審の場で必ず議論の対象になってくるというふうに期待しています。
  150. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、この線は鉄道網の整備という観点からしても必要だ、したがって可能性もあるということですか。そういう点でこの実現についても御検討を、お力添えをいただきたいわけです。  それから、極めて高度の都市化をしておる地帯に対する鉄道の建設ということで、既に決定はしておるわけですけれども、総武線方向の輸送力の強化のために国鉄の京葉線、そして都営の地下鉄新宿線、この二つが決まっておりまして、既に一部は着工しておるわけですね。国鉄京葉線の今後の見通しあるいは完成の時期、それから都営地下鉄新宿線の延長の時期、これらについてはどういうことになっていますか。
  151. 岡田宏

    岡田説明員 国鉄京葉線の問題についてお答えを申し上げます。  国鉄京葉線につきましては、先生も御承知のとおり、当初貨物専用鉄道ということで計画をいたしたわけでございますけれども、沿線地域が、従来の工業立地型から住宅立地型あるいは公園等の施設ということに土地利用の形態が変わってまいりましたので、これに旅客運転をするということで現在鋭意工事を進めておりまして、都心部を含めまして京葉線に旅客運転をして都心乗り入れを実現する時期といたしましては六十二年度ということを目途にいたしております。
  152. 服部経治

    ○服部政府委員 都営十号線は、あと総武線の本八幡までの間数キロを残すような状況になってきておりますが、現在都において鋭意工事を継続中でございまして、完成の時日は、私正確には今数字を記憶いたしておりませんけれども、恐らく両三年のうちに本八幡まで開通するというふうに考えております。
  153. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 両三年というのは三年以内ということですか。
  154. 服部経治

    ○服部政府委員 正確には申し上げかねますけれども、おおむね三年程度というふうに言って大して誤りでないと思います。
  155. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、千葉県のことばかり申し上げて恐縮なんですが、千葉県の北部ニュータウンの建設がかなり進んでおるわけですけれども、最近のテレビ等によると、このニュータウンの中に完成をした建物にかなり空室があるというようなことが報道されております。これは申し上げるまでもなく、ニュータウン鉄道、北総開発の二期工事と住宅・都市整備公団の鉄道、この二つが未完成でございまして、その中間だけ、北初富から小室までの間だけが現在開通をしておるということで、北初富から乗りかえて松戸までは新京成で行かれますけれども、回り道になるし、乗りかえがあるということで非常に不便になっております。  そこで、この北総開発の二期工事、それから住宅・都市整備公団の残りの工事、これが早く完成しないとニュータウンをつくっても入る人がない、こういう状況になるわけですが、この二つの線はどういうことになっておりますか。
  156. 服部経治

    ○服部政府委員 千葉ニュータウンと都心とを結びます鉄道の整備の状況につきましては、ただいま先生御指摘のとおりの事実関係に相なっております。  まず、住宅・都市整備公団が今後建設し、運営することになるというふうに考えられております千葉ニュータウン中央から松虫の方への延伸につきましては、今後千葉ニュータウンの熟成の状況を踏まえながら検討していくことになるというふうに考えております。それから、北総鉄道の二期工事でございますが、これは間もなく着工の運びになることになっております。  ただここで問題は、ただいま先生は、せっかく千葉ニュータウンの計画を進めても都心と結ぶ鉄道の整備がなければ絵にかいたもちだというような趣旨のことをおっしゃったかと思いますけれども、確かにその意味はございますが、一方逆に、こういう鉄道を今先行的に整備いたしておるわけでございますが、千葉ニュータウンの熟成がおくれておりますために北総鉄道の第一期工事の部分、それから住都公団の鉄道はいずれ経営的に大変な苦境に立っておるということもございまして、こういった先行投資的に行われる鉄道整備の持つ問題性の一面をここに見るような思いがいたしております。
  157. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 住宅団地の造成と鉄道との関係は、これはどっちを先にするかということは非常に難しいと思います。どっちを先にしても、一定の時期投下資本が遊休するという事態は避けられないと思いますから、非常に難しいのですけれども、どちらかというと、交通手段を確保しないと住民は住めないわけですから、そこらの点で交通手段にウエートを置きながら、いかにして資本が遊休しないようにするかということです。これは非常に難しい問題ですけれども、今後の課題として御検討いただきたいと思います。  次に、別の問題に入ります。  最近総務庁が深夜輸送力の確保についてということで運輸省に勧告したというふうに聞いております。深夜輸送力というのは、これまた新しく住宅団地が開発をされたところの住民が持つ特有の悩みでありまして、バスはどうしても終車が早い、タクシーはなかなかない、あったにしても高いということで、いろいろ問題があるわけです。それらの問題について総務庁が勧告をされた概要について、まずお伺いをしたいと思います。
  158. 北村圀夫

    北村(圀)説明員 お答えします。  御承知のように、近年都市におきましては人口の増加、市街地の外延的な拡大あるいは活動時間の延長などに伴いまして、地域的あるいは時間帯によりまして輸送需要に見合ったバス、タクシーの輸送力が確保されていないところが見られます。また、バス、タクシー事業に対します規制につきましても、このような都市構造や輸送需要の変化に対応して必ずしも有効に機能していない面がございます。したがいまして、この監察はこれらの背景事情を踏まえまして、都市におけるバス、タクシー事業の運営実態と事業規制について調査したものでございます。その結果をもとにいたしまして、「利用者サービスの確保」「タクシー事業規制の見直し」及び「許認可等事務手続の簡素合理化」の三項目につきまして運輸省に勧告しております。  また、勧告内容の主なものを挙げますと、まず「利用者サービスの確保」の面では、大都市近郊の鉄道駅と大規模団地との間のバス終発時刻の延長または乗り合いタクシーの導入の問題、深夜時間帯における地元タクシーの駅構内乗り入れ開放の問題など、要するに深夜の足を確保することであります。それから小型タクシーの導入促進、小型タクシーの乗り場の設置など利用者の利便増進のための対策を推進することであります。さらにバス路線競合区間におきます共通乗車券制度の導入あるいはバス停の整備など各種のサービス改善対策を推進することであります。  また、「タクシー事業規制の見直し」では、経済活動の広域化に対応した広域的な事業区域を設定することであります。個人タクシーの免許区域の拡大、そしてタクシーの冬期割り増し運賃見直しなどの改善を図るように求めております。  以上でございます。
  159. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ただいまのような勧告が行われたということでありますが、実態はといいますと、かねてから乗り合いタクシーあるいは深夜バスが運行されているわけでありますが、これが実態に合わないという点があるわけです。例えば千葉県北部、人口約百六、七十万あるところですけれども、そこで乗り合いタクシーは一カ所、一路線ということです。これではとても住民の要望には沿えないわけです。乗り合いタクシーについても全国で五十九系統、五十九本ということでは全く焼け石に水といいますか実態に合わないわけですね。この乗り合いタクシーをもっと普及させるということについてはいろいろほかに影響するところはあるのでしょうが、住民のニーズにこたえるにはどうすればいいかという点についての当局の御検討をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  160. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生からも御指摘があり、さきには行政監察局からも御指摘をいただいておる点でございまして、私ども、今後とも私どもの出先機関あるいは関係の業界を督励いたしまして実態の把握に努めまして、需要の実態を踏まえながら善処してまいりたいと考えております。
  161. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 実態については総務庁がお調べになったとおり、あるいはそれ以上だと思うのです。ですから、実態はそのとおりだし、ニーズが十分あるということなんですけれども、それに対応する皆さん方としてどういう問題点があるのか、どういう対応の仕方があるのかということをもう少し具体的にお願いします。
  162. 服部経治

    ○服部政府委員 最近におきます大都市の人口の外延化といいますか、大都市の周辺部に大規模な団地等が整備されまして通勤距離が長くなるとともに、一方で、大都市生活がそういうものだということなんでございましょうけれども、どうしても通常の時間帯よりも遅くまでそういった公共輸送を必要とするような輸送実態が生じてきておりますことは、私どもも十分承知いたしておりまして、それへの適切な対応を図らなければならぬということでありますが、基本的には路線バスの運行時間の延長ということを第一義にいたしまして、それでも対応できない場合には深夜バスの運行を考え、さらにそれでも対応できないときには乗り合いタクシーの導入を図るという方向で、実態を踏まえながら今後とも前向きに対処してまいりたいと考えております。
  163. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 バスについて終車を延ばすということについては、採算性の問題あるいは労働問題等いろいろな問題があるでしょうね。特に採算性の問題があると思うのです。ですから、そこらの点を行政の立場から解決しないと、ただやれと言ってもなかなかできないのじゃないか。それから、乗り合いタクシーについては一番小回りがきくし弾力性もあっていいのでしょうけれども、それをもう少しふやすことについてはどういう問題点があるのか。乗り合いタクシーをふやせばこの問題の解決には一番都合がいいし、手っ取り早いと思いますけれども、その点はどうでしょう。
  164. 服部経治

    ○服部政府委員 乗り合いタクシーと申しますのは、一般のタクシー事業は一種の貸し切り事業として免許されているわけでございますが、それに対しまして、事業者ごとに見ますと、自分の持っている車のうちの一部につきまして車を特定して乗り合いの許可をとりまして、一定の特殊な時間帯に一定の場所に張りつける、こういう作業といいますか管理をすることが必要になる性質のものでございます。現実の問題といたしましては、あそこでお客が夜遅くたまっているようだからということで、直ちに機動的にそれに対応するような体制はなかなか組みにくいと聞いておりますが、せっかくいろいろと実情を調査いたしまして、その実態を踏まえまして、必要な場所にはそういう乗り合いタクシーが導入されるような方向で今後とも考えてまいりたいと思っております。
  165. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、そういう需要のあるところ、必要のあるところについては検討していくと理解していいですか。その点、もう少しはっきり……。
  166. 服部経治

    ○服部政府委員 そのとおりに考えております。
  167. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それからもう一つですが、それと関連がありますけれども、深夜における駅構内の地元タクシーへの開放、これは私鉄の場合には系列会社しか構内には入れない、こういうことになっておりますが、それを一定の時間あるいは一定の条件のもとに一般の車もそこへ入ることができるようにしろということなんですが、これは住民の要求なんですけれども、これについても御検討をいただきたい。  それからさらに、個人タクシーは今かなり厳しい条件があるようですね。その条件の緩和あるいは資格要件の整備ということも必要だと思いますけれども、その点いかがでしょう。
  168. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま二点の御指摘があったように思いますが、まず最初の駅構内への入構タクシーの制限の問題でございますが、この点につきましては、個々の駅の状況によりまして駅前スペースの制約等の事情からやむを得ない場合もあろうかとは思いますが、そういう事情も勘案しながら今後利用者の利便が一層確保されますように前向きに対応を考えてまいりたいと思っております。  それから個人タクシーの資格要件の件でございますが、この点につきましても過去いろいろな経緯があった問題でございますが、今後とも実情を踏まえて、行管庁の御指摘も踏まえながら検討を続けてまいりたいと考えております。
  169. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 終わります。
  170. 横山利秋

    横山委員長 玉城栄一君。
  171. 玉城栄一

    ○玉城委員 気象庁長官も来ておられますね。気象庁の方にお伺いしたいのですが、気象衛星ひまわり一号、これは昭和五十二年の七月に打ち上げられた。それから、同じくひまわり二号が五十六年の八月に打ち上げられて気象観測に大きな貢献をしてきたわけです。ところが、去年の十一月にこのひまわり二号が故障を起こして急速またことしの一月に前のひまわり一号に切りかえた。ところが、これも故障してことしの六月の末ですか七月に、またひまわり二号に切りかえた。ところがひまわり二号というのは機能が半減している、低下しているわけですね。本来であれば通常は二十四時間に八回撮影できるというのですが、このひまわり二号はその八回ができなくて四回、六時間に一回しか撮影できない。風速も合わせると本来十四回観測ができるわけですけれども、そのような説明も伺っているわけです。そういうひまわり二号の観測機能の低下が気象業務にどういう影響を与えているのか、それについてどういう対策を気象庁としてとっておられるのか、もう既に国民生活にもいろいろな場面で影響を与えているわけですから、そこのところを概略御説明をいただきたいと思います。
  172. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  GMSひまわり一号、二号の現在までの運用はまさに先生御指摘のとおりでございます。六月三十日以来ひまわり一号にかわって再びひまわり二号による六時間ごとの観測を維持すべく現在努めておりまして、幸いなことにこれは一日四回の画像は完全に取得されております。ただ、衛星正常時の観測に比べて観測回数が少なくなりましたので、洋上での台風、大雨の監視等をきめ細かく行う上で予報業務への影響は避けられないと思います。しかし沿岸、内陸部につきましては、気象レーダーアメダスその他極軌道衛星等各種気象データを総合的に活用いたしまして、防災上必要となります気象情報については皆様の御期待に沿うべく最大限の努力をするつもりでございます。
  173. 玉城栄一

    ○玉城委員 これからするつもりは結構なことなのですが、科技庁の方で結構ですけれども、我々素人がわかるようにこの衛星のどの部分が故障してこういう状況になったのか、簡単にちょっと説明をいただきたいのです。
  174. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  ひまわり二号に起こりましたふぐあいにつきましては、先生御高承のとおり、ひまわりの中には三万八千キロメートルの静止軌道からちょうど地球を眺めるように可視赤外放射計という、くるくる回転しながら北極から南極の方にミラーがずっと下がっていく、それを繰り返して一日八回撮る、こういう機能で撮影いたしておるわけでございますが、その衛星につきまして、走査鏡、VISSRと呼んでおりますが、そのミラーが北極から南極の方に撮っていきまして戻る、リトレースと申しておりますが、その戻るときにひっかかりが生じるというふぐあいでございます。これにつきまして現在宇宙開発委員会におきまして、このふぐあい発生以来このふぐあい対策、原因究明等を行う第四部会という部会がございますが、そこでひまわり二号に生じました可視赤外放射計、VISSR、これのふぐあいの原因究明の調査を行ってずっと審議を続けてまいったわけでございますが、去る四月にこの報告を取りまとめた次第でございます。  この報告によりまして、ふぐあいの中心となりますのは、先ほど申し上げました可視赤外放射計、VISSR、これの走査鏡の位置検出用のランプの光量が低下しておる、それからこの走査鏡の位置検出器が放射線によりまして感度が低下しておる、このことが主な原因となって発生したものと結論されております。このために本年八月打ち上げを予定いたしております静止気象衛星二号、GMS3と申しておりますが、これにつきましては、二号の原因、結果を踏まえまして走査鏡の位置検出用のランプの改良、それから走査鏡の駆動部分、ドライブするところがありますが、この部分が放射線から耐えられるように防護対策を講じる。それから、走査鏡が先ほど申し上げましたGMS二号で一時停止するという現象がございますが、この三号においても仮に一時停止した場合でも地上からの指令で走査を継続させるという新たなる機構を付加した、こうした対策を講じまして、今後三号の打ち上げに備えることといたしておる次第でございます。
  175. 玉城栄一

    ○玉城委員 その前にちょっと、このひまわり一号、今の二号、八月に打ち上げる三号、そのそれぞれに要した経費、どれくらいの額なのか御説明いただきたい。そのときに例の衛星の部分の額も一緒にお願いします。
  176. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  GMS一号、ひまわり一号でございますが、これに要しました総費用は三百十二億円でございます。それから気象衛星二号でございますが、これは総費用で三百七十五億円でございます。これは総打ち上げ経費を含んでございます。  衛星につきましては、ひまわり一号で、衛星部分だけで約百六億円でございます。二号は後ほど回答させていただきます。三号につきましては、数字を持ち合わせておりませんので、後ほど御説明申し上げます。
  177. 園山重道

    園山参考人 かかりました経費につきまして私から若干北村課長のお答えを補足させていただきます。  GMS一号につきましては、ただいま北村課長お答えいたしましたように、約百億円ということでございました。GMS二号につきましては、約百十億円、これは衛星部分でございます。それからGMS三号、今度打ち上げますもの、これは約百四十億円でございます。ただこれはいずれも予備機が入っておりますので、例えばGMS一号で申しますと、先ほどの約百億円、正確に申しますと百六億円ですが、これで実際に打ち上げます六機と万一失敗しましたときの予備機を合わせて百億円でございます。GMS二号につきまして約百十億円と申しましたのは、これも六機と予備機と合わせております。このGMS二号の予備機をその後改造いたしまして、今回のGMS3にするわけでございます。GMS3の経費百四十億円と申し上げましたのは、これを改造いたしまして六機にいたします経費と、それからさらにその予備機、これの部分的な製作をいたします経費を含めて約百四十億円ということでございます。
  178. 玉城栄一

    ○玉城委員 三百億とか三百七十億、相当の莫大な経費になることは間違いないわけですね。  科技庁の方にお伺いしたいのです。  この衛星、メーカーはどこのメーカーなんですか。確かに国産の部分と外国産の部分があると思うのですが、本体の中で構成比率というのですか、国産の方はどれくらい、外国産の方はどれぐらいの比率か。そして今の故障を起こしている部分は国産の方に入っているのか外国産に方に入っているのか、そこらをあわせて御説明いただきたいのです。
  179. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  気象衛星ひまわりにつきましては、日本では日本電気宇宙開発事業団に対する全体計画の契約者となっております。それから、これの実体の製作につきましては、米国のヒューズ社でございます。それから、先ほど御質問賜りました国産化率につきましては、約三〇%でございます。それから、今のふぐあいを生じました部分につきましてはヒューズ社製で、アメリカ製でございます。
  180. 玉城栄一

    ○玉城委員 故障を起こしている部分というのはヒューズ社の製作した部分の中に入っている。この間ちょっと御説明を伺った部分では、衛星の中の心臓部に属する、いわゆるミラーというのですか、そういうところだと伺っているわけですわ。それで、今度一号の場合も、故障したのはやはり同じくそこの部分である。これは長い間使ってきてはいるわけですけれども、いずれにしても機能がおかしくなったのはその部分。二号についてもやはり同じくその心臓部のミラーの部分であるということは大体そのとおりですか。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  181. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  ふぐあいを生じておりますのは、先生御指摘のとおり同じ放射計、VISSRと呼んでいるところでございます。ただ、一号につきましては、先生御高承のとおり打ち上げましたのは五十二年の七月でございます。現在ひっかかりして動きがつかなくなったということで約七年目ぐらいに達しておるわけでございます。これはむしろ作動し過ぎたと言われるくらいの寿命を全うしておるわけでございます。それから、GMS二号につきましては五十六年八月に打ち上げまして、五十八年の十一月に第一回のふぐあいが発生ということで、これは設計寿命が三年ということになっておりました。したがいまして、二年数カ月作動した段階で現在のような、手動式でございますが、一日四回ぐらいの機能に下がっているという状況でございます。  それから、ふぐあいの起こり方についてでございますが、ひまわり一号につきましては、寿命が七年以上かかっておるわけでございますが、最終的には北極からずっと南極の方に一ラインずつ追いかけていくところがひっかかるというふぐあいでございます。二号につきましては、そちらの方は問題がないわけでございますが、もとに戻るときにひっかかる、リトレースのときにひっかかりが生じるという点で、同じ機械ではございますが、発生の態様は異なっておるというのが実態でございます。
  182. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは機械ですから全く同じようにと——ただそういう部分であることは間違いないわけですね。ただ、ヒューズ社の製作した衛星、六個打ち上げたうち二個が同じ部分の故障だ。しかも、そのうちの一つはひまわり一号を打ち上げた五十二年七月の二年前の五十年の十月に打ち上げたものがやはり同じような事故だというふうに説明を伺っているわけですよ。そうしますと、故障の部分が大体その心臓部のいわゆるミラーの部分ということが言えるわけですね。これは素人考えですよ。しかも、今回また三号を来月打ち上げるということですから、同じく同じ部分の故障の可能性もあると思うのですが、それについては改良した、いろいろ三点ぐらい改善してそして来月打ち上げるのだと言うのですが、これとてもやはり過去のデータからしますとその同じような部分が故障する可能性が十分あるというふうに受け取られてもやむを得ないと思うのですね。ですから、なぜ、二号を打ち上げるときにそういう部分の改善を科技庁にしてもいわゆる関係の方々がしなかったのかという点はいかがでしょうか。
  183. 園山重道

    園山参考人 私からお答えさせていただきたいと思います。  先生御指摘のように、アメリカのヒューズ社がアメリカの気象衛星も製作しておりまして、これはGOESという名前で呼ばれておりますけれども、現在までに六個、現在六号が運用中でございます。この一号から三号までにつきましては、三号が打ち上げられましたのは七八年の六月でございますけれども、御指摘のようにただいま北村課長が御説明しましたVISSR、走査鏡の動きの部分にやはり故障を生じております。  当然先生御指摘のように、それでは二号のときにそういう改良をなぜしなかったかという御指摘がございますけれども、これにつきましては、私どもはアメリカの中でもこの辺について改良の計画というものがあることは承知いたしておりましたけれども、当時またそれがアメリカの中でも完全にテストを終え、完全に確認されて打ち上げられて使われているものではないということが一つございます。  一方、先ほど北村課長が御説明いたしましたように、GMS一号、これの方は当時非常に順調に働いておりまして、したがいまして、私どもといたしましてはいわゆる宇宙実績ということを考えますと、このGMS一号と同じような構造でつくってまいりましたものが当然所要の寿命三年あるいは機械部分について五年というものを満足するだろうという判断のもとに同じような衛星を上げたということでございます。
  184. 玉城栄一

    ○玉城委員 科技庁の方に伺いたいのですが、二号の故障、寿命三年とか五年とかありますが、いずれにしても二年と五カ月でこういう故障が起こったわけですね。当然損害額が出ていると思うのですが、どれくらいの損害額なのですか。
  185. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答えが非常に困難なわけでございますが、ひまわり一号について見ますと、これは七年以上サービスしたわけでございまして……(玉城委員「二号」と呼ぶ)二号につきましては、現在もまだ四回の撮影を続行いたしておりまして、これの損害の算定というのはまだ非常に困難でございまして、正確にはお答えいたしかねるという状況でございます。
  186. 玉城栄一

    ○玉城委員 故障を起こしますね。こういう場合メーカーとの契約が、当然その損害補償といいますか、そういう契約があると思うのですが、どういう契約になっているのですか。科技庁の方からお願いします。
  187. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  メーカーと宇宙開発事業団との契約関係でございますが、これは引き渡しより九十日ないしロケットが点火される時点までということがメーカーからの事業団との責任の引き渡し条件になっております。その後は、軌道に上がった場合に故意または重大な過失がない限りメーカーには責任がないということになっております。
  188. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、今回のひまわり二号の故障の場合は、今の契約の内容のどの部分に該当してくるのですか。後半の部分ですね。
  189. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  後者の方の故意または重大な過失、その部分に該当する問題でございます。
  190. 玉城栄一

    ○玉城委員 宇宙開発事業団の方に伺いたいのですが、そういうことで今契約内容は、契約相手方の故意または重大な過失による場合は打ち上げた後でも向こうさんが賠償するというような内容になっているようですが、二号についての交渉は今やっていらっしゃるわけですか。
  191. 園山重道

    園山参考人 この契約関係につきましては、先ほど北村課長が御説明いたしましたように、引き渡しまたは打ち上げまでは一般の瑕疵担保責任があるということでございます。ただ、故意または重大な過失がある場合には、これを発見したときから一年責任があるということを申しておるわけでございます。  で、私どもは、この故意または重大な過失が現在あったとは思っておりません。ただ、原因を究明いたしまして、その後のいろいろな状況を調査いたしておるわけでございますので、その過程におきまして、もし故意または重大な過失というものが発見されますならばこれに対する措置をとらなければいけないと思っておりますが、現在のところ、そういった故意または重大な過失が製造者側にあったという感触は持っておりません。
  192. 玉城栄一

    ○玉城委員 まあ結論的に申し上げますと、今回のひまわり二号の故障についてメーカー側とのこういう故障についての損害補償というものは実際はできない、故意または過失はないという判断なんですから結局できないということになりますね、前半の部分では打ち上げまであるいは一年以内と、こういうことですから。あるいはまた、故意または過失というものの証明のしようがないわけですね、衛星そのものはもう宇宙に回っているわけですから、これは確認のしようもない。今の契約の内容からしますと、ひまわり二号についてメーカー側に損害賠償を要求するということは実際無理だというように受け取っていいわけですか。
  193. 園山重道

    園山参考人 確かにおっしゃいますように、実際に打ち上げまして宇宙空間にあるわけでございますので、これに故意または重大な過失があったということを立証するということは非常に困難であると思います。また、これを製造いたしまして打ち上げるまでにいろいろな節目におきまして非常に慎重な検査を行っているわけでございますので、その過程におきまして故意または重大な過失というものがあれば発見されるべきものでございます。そういう意味で、現在上がりましたGMS2に対しまして故意または重大な過失があったということは考えられませんし、またこれを立証するというようなことは一般的に非常に困難なことだと思っております。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 玉城栄一

    ○玉城委員 次の来月打ち上げるひまわり三号については気象庁も六〇%出資するわけですね、従来のひまわり一号、二号と違いまして。そのひまわり三号についても今のようなメーカーとの契約の内容、全く同じなんですか。これは気象庁の方。
  195. 末廣重二

    ○末廣政府委員 八月一日に打ち上げを予定しておりますひまわり三号につきましては、御指摘のとおり、私どもで六〇%の経費を負担して上げるわけでございます。ただ、細かい契約内容につきましては宇宙開発事業団の方が主契約者でいらっしゃいますので、そちらの方からお聞き取りいただきたいと思います。
  196. 玉城栄一

    ○玉城委員 気象庁、六〇%という莫大な国費を出すわけでしょう。その契約内容を知らないというのはおかしいですよ。一号、二号ならいざ知らず、三号についてはあなた方がその契約の実態について知らないということはおかしいですよ。まあよろしいです。契約の内容は同じ内容ですね。うなずいていらっしゃいますから……。  そうしますと、そういうことを願っているわけじゃありませんよ、この三号の成功することを願っていることを前提にして申し上げます。もし仮にひまわり二号のような故障が起きた場合、今のような契約内容からしますとメーカー側からは何のいわゆる損害の補償というものは得られないということは言えますね、気象庁の方。
  197. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  重大な瑕疵があったかどうかということの問題の処理につきましては先ほど園山理事長がお答え申し上げたとおりでございまして、現在試験をし、来月初め打ち上げるまでの過程においてあらゆる手を尽くして打ち上げるということに相なると思っております。したがいまして、こういうことがあっては困りますが、十分な手は打ったものを今度は上げるわけでございますからそういうことはないと思いますが、万一の場合にはやはり契約条項に従わざるを得ないと思います。
  198. 玉城栄一

    ○玉城委員 今度は保険ですが、一号、二号、そして三号、保険はどうなっていますか。概略で簡単に、ぴしぴしとおっしゃっていただきたいのですが。
  199. 園山重道

    園山参考人 GMSの一号、二号につきましては打ち上げ保険を掛けでございます。現在三号につきましては保険を掛ける予定はございません。
  200. 玉城栄一

    ○玉城委員 御説明、事前に伺った段階では一号については打ち上げ保険を掛け、二号についても同じく打ち上げ保険を掛け、運行しているときの保険は掛けていない。ところが三号については打ち上げも、それから運行も保険を掛けていない。私たちその説明を伺ってちょっと疑問に思いますのは、打ち上げの段階についてはメーカー側とのそういう契約内容がある。これは二重になりますね。ところがひまわり二号のように肝心の運行しているとき故障を起こした場合に保険も掛かってなければ、メーカーからの損害に対する補償も実質的にはとれないような契約の状況になっている。ところが今度三号については全く両方とも掛かつてない。何か保険の掛け方に統一性がない、そういう感じがするのですが、気象庁の方はいかがなんですか、三号について掛けないということは。
  201. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  一号、二号につきましては全面的に宇宙開発事業団の方で実験衛星として処理なさいましたので、私どもはユーザーとしてこれを使わせていただいたわけでございます。三号につきましては、御指摘のとおり国の一般会計から相当な経費支出してこの打ち上げ、運用を行うわけでございますけれども、相当部分が国の予算であるということから、また利用者が気象庁という国家の機関であるということから、自家保険の考え方を適用いたしまして、国の大きな予算の中で危険負担をするということで保険を掛けないのでございます。
  202. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、国のやるものについては税金で払えば済むことだからという考え方も私はちょっと納得できないのですが、それはそういうことであればなにですが、そこで、この三号については、先ほどちょっと申し上げましたメーカーとの契約の内容についてやはり考える必要があるのじゃないですか。実際にひまわり二号の故障については、あの契約の内容の後半部分からしますと、これは無理がある。したがって、三号につきましてはその辺が何とかカバーできるような契約の内容にする必要があると思いますよ、もちろん保険も掛からないわけですから。でないと、もし万一不幸にしてこれだけの莫大な経費をかけて故障を起こした場合に何らそれに対する手当てができない状況というのはちょっとまずいのじゃないですか。ですから、その契約の内容について気象庁としては、運輸省としては検討するということは当然必要だと僕は思うのです。
  203. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  大変多額の国家のお金を使うわけでございますから、私どもといたしましても科技庁及び宇宙開発事業団といろいろ御相談を申し上げて、こちらの使用者としての御要望等は十分にお伝えした上で科技庁、宇宙開発事業団が契約なさったものと理解しておりますので、私どもの多額の経費を使った大変貴重なものであるという認識は十分にお伝えしてあると思います。
  204. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはよくわかるわけですよ。だから、その契約の内容については三号から考える必要があるのじゃないですかということを申し上げているのです。これは宇宙開発事業団というよりも、気象庁六〇%も出資してやるわけでしょう。もしひまわり二号のように故障したらどうするのですか。あるいはもし打ち上げの時点で、そういうことは書いにくいことですけれども、万一の場合を考えた場合に、契約の内容について検討する必要があるのじゃないかということを申し上げているのですよ。
  205. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  これはやはり宇宙開発事業団あるいは監督官庁である科学技術庁の方でお答えすべき内容かとは存じますけれども、私どもといたしましては、あらゆる衛星というものが現在の最先端の技術を使った科学製品であり、また一たん打ち上げてから後は我々の手の届かない宇宙空間に行ってしまうということ等から考えまして、ある程度のリスクは潜在するものであるということはやはり仮定しなければならないと思います。機械の内容がそういった性質を帯びているものでございますから、したがって、これを実際に製作してもらう人を見つけ、かつ製作してもらうためには、先ほどから科技庁あるいは宇宙開発事業団の方から御説明申し上げておりますような契約条項にならざるを得ないのではないかと私どもは思っている次第でございます。
  206. 玉城栄一

    ○玉城委員 では最後に、この問題は大臣にお伺いしておきたいのですが、今回のひまわり二号の故障によって、今まで中国とか韓国とかオーストラリアに貴重なデータも提供しているわけですね。ところがこういう故障になれば、当然これまでせっかく我が国が築いてきた技術立国としての信頼度にも影響してくるわけですね。何だって日本はそんな状況でということに当然なってきますね。これからも台風シーズンも控えまして気象データの非常に大事な——けさの報道にもありますけれども、いろいろな民間サイドでも今回の事故による影響が出てきているわけですから、しかも今もお聞きになって御存じのとおり、もし万一の場合にすら何らこの三号については、契約の内容をきちっと考えれば当然入ってくるべきものが、今のような状況内容であったらそれが入ってこない、こういう状況でいいのかということを私は申し上げているわけです。大臣の御所見をお伺いいたします。
  207. 細田吉藏

    細田国務大臣 御心配は非常にごもっともだと思います。  私ども素人考えでは、何らかの保険措置を講ずるということがいいのじゃないかというふうに思うわけでございますが、この種の衛星の打ち上げについては、実は諸外国どこもそのようなことはいたしていないということでございまして、日本の場合はこれまで成績が非常に優秀な方だと言われて、世界的には認められておる方だそうでございまして、技術力に期待をするという程度に今のところとどまらざるを得ないというのが実情のようでございます。しかしながら、せっかくの御提案でございますので、私もさらに検討させていただきたいと存じます。
  208. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、これはぜひ検討していただきたいわけですよ。  私、二、三日このお話を関係の方々から伺っていますと、三号についてはいろいろ改善するとしても、なぜ二号のときにはそういうことをやらなかったのか、その保険の掛け方にしても一貫性がないといいますか、統一性がないといいますか、しかもメーカーとの契約の内容、故障を起こしたひまわり二号についてはどうなのかとなると、これすらも宇宙に上がっているものですから、いわゆる故意または重大な過失ということの証明のしようもないわけでしょう、こういうことでいいのか。気象データというものは、これからますます大事であるだけに、もっと真剣な取り組みを私は強く要望したいために、ずっと申し上げているわけです。三号の成功を願うのは当然ですから、契約の内容について、四号もありますね、四号も同じような契約にするのか、それだけ一言お答え願いたいと思います。
  209. 園山重道

    園山参考人 契約のやり方につきましては、先ほど大臣を初めおっしゃったように、現状におきましては、諸外国におきましても日本と大体同じ契約の方式でございます。  ただ、これがだんだん実用段階に入ってまいりまして、いわゆる開発段階から実用段階に入ったときの契約方法はいかにあるべきかということにつきましては、先生初め各方面からの御指摘もございますので、現在私どもの事業団の中にも委員会をつくりまして、今後の契約方式はいかにあるべきかということの検討を始めております。これは科技庁でも委員会をつくって御検討のようでございますので、そういった場におきまして今後の特に実用時代に入った場合の人工衛星あるいはこれの打ち上げの契約というものはどうあるべきかということを諸外国の例なども見ながら、検討させていただきたいと思っております。
  210. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはぜひ御検討いただきたいわけです。これは決算委員会ですから、これだけの莫大な国費を投じて、特にひまわり三号につきましては保険も何も掛からぬわけですから、それがもし万一の場合何らの補てんもできないという状況は非常にまずいわけです。ですから、契約の内容をある程度変えることによって損害をカバーできるという状況にぜひ検討していただきたいと思います。  以上でひまわりの件を終わりますので、どうもありがとうございました。  次に、もう一つ質問を申し上げますが、航空局の方にお伺いしたいのは、これは一般論で結構ですが、空港の中において事故が起きた場合、その事故というのは空港の持ついろいろな要因だとか、あるいは管制上のミスなどによって空港内でそういうような事故が不幸にして起きた場合、その事故に対していわゆる空港管理者として当然責任があると思うのですが、いかがですか。
  211. 西村康雄

    ○西村政府委員 一般的に、空港の敷地内あるいは空港の上空で航空機が事故を起こしたということにつきましての飛行場の設置管理者の責任というのはどういうものかと申しますと、航空機の事故そのものは、多くの場合、これは極めて多くの場合ですが、操縦者の直接のミスあるいはこれを援助するいろいろなシステムのミス、こういうことが単独にあるいは競合して起きるということになるわけですが、空港管理者の設置管理上の瑕疵ということになりますと、それは具体的に滑走路その他の物的な施設、あるいは空港管理者が設ける航空保安施設、そういうものの機能の瑕疵というものが航空機の事故の原因となったということ、あるいは空港での地上でのサービスの与え方、例えばエプロン等で十分なエリアがないというのにエプロンの指定をしたというようなことになりますと、あるいはエプロン内での交通の不整理というようなことが、相互の交通関係者だけでない、明らかに場所の原因だということであれば、事故に対して空港管理者が責任を負うということになろうかと思います。
  212. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろ御説明がありましたけれども、そういう意味のことを私は簡単に申し上げたわけです。  それで大臣にお伺いしたいのですが、実は先月二十一日に沖縄の那覇の空港で自衛隊機が離陸に失敗して消波ブロックに激突して炎上してパイロット死傷という大変な事故が起きたわけです。さらに、四月十九日、また同じ那覇空港に台北発アジア航空DC8に百三十名だったと思いますが、乗客を乗せて那覇空港に着陸する寸前に、左の第二エンジンで着陸表示灯というのですか、それへひっかけてあと数十センチで大惨事になるという、これは不幸にして幸いといいますか、着陸して事なきを得たわけですが、そういう事故が起きたわけです。  大臣も御存じのとおり、私はこの後半の件につきましては、決算委員会でもこの間あの空港の持つ危険性ということを強く指摘いたしました。したがって、先月二十一日の自衛隊機の炎上事故に伴って、現地では非常に大変だ、今に大惨事が起こるのじゃないかという不安が湧き上がっていまして、この空港を何とかしなければならぬという要望が大臣のところにも来ていると思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  213. 細田吉藏

    細田国務大臣 沖縄の空港につきましては、率直に申しましてかなり酷使をしておるといいましょうか、日本のこちら側の空港と違いまして軍民両方の利用によって非常な混雑をしておる、間違いが起こりやすいということでございまして、沖縄についてはさらに一段のいろいろな意味における整備がとられると同時に、運用についても十分な配慮をなされなければならぬ、私はかように考えております。
  214. 玉城栄一

    ○玉城委員 整備も運用の配慮も大変結構なことで当然やらなくてはいかぬわけですが、実は先月二十一日に起きた自衛隊機事故のときには、この自衛隊機が離陸するときに、次の石垣行きの南西航空が九十九名乗せて誘導路に待機しているわけです。しかも、その次には日航が那覇−東京間百九十二名だったかを乗せて待機しているわけです。さらに島内用に久米島行きのYSだとか宮古島行きのYSがそれぞれ乗客を乗せて待機している。約四百名近い民間乗客が乗って待機しているところに、この自衛隊機が離陸に失敗して炎上しているわけです。ですから、もう少しこれがなにすると大変な惨事になるという状況が一つあったわけです。  もう一つあったのは、ちょうど自衛隊機が訓練を終えてこの那覇空港に着陸しようとして、十機ぐらい待機して着陸態勢に入っているわけです。しかも、これは燃料がぎりぎりですね。その事故によって四十五分間空港が閉鎖されておりますから、おりようにもおりられないわけです。ところが、そのままほっておきますと墜落しますから、したがって那覇空港事務所としては滑走路に着陸だけは認めるということでこれも事なきを得た、これが実態なんです。  ですから、運用とかいろいろな整備ということは当然なんですが、そういう軍民共用というあり方について、今後もいわゆる取り返しのつかない事故が起こる可能性が非常に強いわけです。ですから、私が申し上げているのは、今どうのこうのということじゃなくて、こういう空港のあり方について、いろいろ背景がありますが、当然、運輸大臣とされて防衛庁長官とか外務大臣とかと機会を見て話し合う必要があるのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  215. 西村康雄

    ○西村政府委員 自衛隊との飛行場の共用問題というのは……(玉城委員「時間がないから短くしてください」と呼ぶ)基本的には運輸省としても自衛隊との共同使用によって生ずる問題、特に安全問題について十分な配慮をしてほしいということを、かねがね自衛隊にも申しているところでございますが、今回の事故につきましては、地元の南西航空混成団に安全対策の強化ということを申し入れ、また向こうからも、今後飛行の安全について十分努力する、そしてまた事故調査を速やかに行って原因の究明に当たると言っておりますが、我々も今後は自衛隊との共用飛行場についてはこういう問題を発生しないように、全般として安全対策を強化していくように防衛庁とよく連絡していきます。
  216. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、そういう答弁は何回も聞いております。そういう通り一遍の答えだけではだめですよということを私大臣に申し上げているわけです。先ほど私、冒頭にこの問題で申し上げましたのは、こういうことで空港の持ついろいろな要因だとか管制時のミスによってもし空港内で事故が起きた場合、当然運輸省の責任ですよ、それは航空法上そうなっていますね。ですから、事故が起きたときには運輸省の役人のどなたか責任をとらなくちゃいかぬわけです。そういう問題があるわけです。だがあの状態では、運輸省だけではどうにもならない部分があります。ですから、運輸行政の最高責任者として、そういう問題空港であるということを踏まえて、一回機会を見て視察してごらんになったらいかがでしょうか。
  217. 細田吉藏

    細田国務大臣 御指摘のように大変危ない状態が現に起こったという事態でございますから、これを一つのきっかけにいたしまして、私は先ほど申し上げたとおりなんでございますが十分話し合いをして、よほど気をつけないとまた二度、三度そういうことが起こらないと保証しがたい、そういう点でこの事故を契機にいたしまして、民間と自衛隊の飛行機の使用方その他について話し合いをいたしたい、かように思います。
  218. 玉城栄一

    ○玉城委員 一回御視察いかがでしょうか、機会を見つけて。
  219. 細田吉藏

    細田国務大臣 適当な時期に視察をさせていただきたいと思っておりますが、私は防衛庁長官もいたしておりましたので、那覇の状態についてはかなりよく承知をしておるつもりでございます。おっしゃるように非常な混雑をいたしておる、よほど特別な配慮をいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  220. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですからさっきも申し上げましたように、きょう、あすどうのこうのということでもないことはよくわかります。しかし、この問題を何とか抜本的にしなくてはいけないということだけは申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。
  221. 横山利秋

    横山委員長 貝沼次郎君。
  222. 貝沼次郎

    貝沼委員 初めに、大臣に一言お尋ねをしたいと思います。それは運輸省関係の監査あるいは経理問題、これがちょっと力を入れなくてはならないのではないか、もっとはっきりすべきところははっきりしなくてはならないのではないか、こういう気がするからでございます。  例えば五十八年の十一月に、当時行管庁の行政監察局から指摘されております事項を見ましても、監査のための「監事の補助体制の整備」というのがございまして、「専任の監事の事務補助組織を置いていない特殊法人のうち職員数五百名以上の特殊法人は次の十五特殊法人である。」こういうふうに出ておりまして、運輸省関係のところに日本鉄道建設公団、こういうのがございます。これは私ども決算委員会としては大変ショッキングな指摘でございます。  さらにもう一つは、例えば「監事監査結果の主務大臣への報告」というところがありまして、報告するようになっておるわけでありますが、これがされていない。つくってはいるがされていないというところがあるわけでございます。「監査結果報告書の主務大臣への不提出特殊法人」というのがありまして、運輸省関係では日本鉄道建設公団それから船舶整備公団、新東京国際空港公団、帝都高速度交通営団、日本航空株式会社、日本自動車ターミナル株式会社、国際観光振興会、こういうのが実態なんです。これは私が調べたわけではなく、当時の行管庁がちゃんと調べたわけでありますから、うそはないと思います。したがって、決算委員会で決算の目で眺めた場合、これはゆゆしき問題であると思いますし、五十八年十一月に既に指摘されておることでありますから、当局である運輸省としては既に指導なり対策を講じておられると思いますので、その点についてお伺いしたいと思います。
  223. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御指摘のように鉄道建設公団につきまして、行政管理庁から、まず第一点といたしまして運輸大臣に対し監事の監査報告書が提出されていないという指摘がございました。これにつきましては、御指摘のとおりでございましたので、早速改善方を鉄道建設公団に指示をいたしまして、直ちにそれに従いまして監査報告書が本年六月運輸大臣に提出をされたところでございます。  また、最初に御指摘のございました監事を補佐する機能につきましては、確かに鉄道建設公団では監事を専任に補佐をする職員というものはございませんが、内部監査を行います監査室の職員がこれを兼務して補佐をするということになっておりまして、その職員は現在七名の職員でその体制をとらせておりまして、そういう意味では監査機能を補佐する機能は十分になっておるというふうに考えております。
  224. 貝沼次郎

    貝沼委員 これは指摘されてやっとそれをやったというだけのことですね。だから、指摘されてやらないよりはもちろんいいわけですけれども、やってこなかったことが実は問題なのであります。それから先ほど私は大臣にというふうにお尋ねをしましたが、監事の任命権者、これは恐らく大臣になっておると思いますので、そこで大臣にと言ったわけでございます。  それで、今鉄建公団の話ばかり出ましたので、例えば運輸省関係では国鉄の用地を無断で売却したという記事も最近出ておりました。こういう国鉄の土地が、元係長ですね、こういう人が簡単に売却できるような仕組みになっておるのかどうか。それだったら国有財産というのはいつなくなるか、どうなるのかさっぱりわからない。その辺の監督あるいは管理というのは一体どういうふうになっているのか、この点お答え願いたいと思います。
  225. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 国鉄の持っております資産の処分その他につきましては、日本国有鉄道法の規定によりまして一定の面積以上の重要なものにつきましては運輸大臣の認可が要りますが、その他のものについては国鉄において処理をする、こういう形になっております。
  226. 貝沼次郎

    貝沼委員 いや、私はそんなことを聞いているのじゃない。事実これが無断で売却されておったわけでしょう。大分鉄道管理局の元係長が国鉄宿舎跡地を許可なく売却、そして土地代金を着服していたという事実はあったのじゃありませんか、そういうことはできたのじゃありませんか、どうなのでしょう。
  227. 仁杉巖

    仁杉説明員 そういう事実はございました。それでそのいきさつを調べてみますと、今手元に資料を持っておりませんが、係長が独断で売ってしまっておったようでございます。  それで問題になりますのは、施設部長あるいは担当の課長がそれをきっちり掌握できなかったということが一つ問題でございますのと、もう一つの問題点としましては、管理局長の公印の管理が非常に悪くて偽造された書類に公印が押されたという二つの問題点がございまして、この二つの点につきまして今厳重に注意をし処分をしたという状況でございます。
  228. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうふうに、事実は売ることができるわけです。悪いことだけれども、そういうすきがあるわけです。これでは財産を管理したことになっていない、私はこういう点を指摘したいわけでございます。  そこで、今度は羽田空港の国有地使用料の問題でお尋ねをいたします。  会計検査院が先般指摘をいたしましたが、羽田空港の国有地の使用料の算定の仕方が間違っておるということです。時間がありませんから簡単に申し上げますが、そのために五十六年から五十八年の三年間で、運輸省のやった平均価格方式、これによりますと使用料総額は七十一億二千二百六十二万余円となります。ところが、会計検査院の個別価格でこれを計算いたしますと八十三億八千四百三十二万余円になりまして、十二億六千万円程度の差が出ておるわけです。一体どうしてこんなことが起こるのか、私はずっといろいろ調べてみまして、検査院はこれを指摘しただけでございますけれども、本当は不当事項ではなかったのかと思うわけでございます。そこで、会計検査院の方にお尋ねをいたしますが、なぜこれは不当事項とならなかったのか、その理由を教えていただきたいと思います。
  229. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  なぜ不当事項にならなかったのかという御指摘でございますが、私ども算術平均によって路線価から相続税課税標準額を求めて一定率を掛けて土地使用料を出すというやり方につきまして疑問を持ちました。例えば整備地区とターミナル地区で路線価が相当差がございますので、しからば一体これを土地の区画性状に基づきまして路線価別に計算したらどうなるであろうかということを算定いたしました結果、今先生がお話しになりましたように、三カ年分でございますけれども約十二億円というような多額の開差額が生ずることに相なりました。  それで、しからば今までの算術平均によるところの土地使用料の決定はどういう考え方でおやりになっていたのかということを検査の時点で当局のお話もいろいろ聞いたわけでございます。なかなか古い経緯もあるようでございますけれども、考え方としては、飛行場は航空施設というものを一体と考えまして統一の価格でやるのがよろしいのではないかということで長年やってこられた、土地使用者も大勢おることでございますし、なかなか一挙にさかのぼってこれを直せということも相手のいることでもあり非常に困難ではないかと考えまして、私どもとしてはともかく前向きに今後土地使用者とも十分話し合った上で、最も原則に戻った形での土地使用料を取るようにしてはどうかということで不当事項とはしないで措置要求事項として一応建議していったわけでございまして、その結果私どもの考え方を子としていただきまして、次の改定時からは新しい正規のと申しますか、通常の方式によってお取りいただくということで、私どもとしては不当事項とはしなかったわけでございます。
  230. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がありませんので、答弁は簡単にお願いいたします。  ただいまお話がありましたように、整備地区はほとんど七万円なんですね、パー平米で七万円。それからターミナル地区の方は十六万円とか十二万四千円とかいろいろとございますね。そういう関係でこれを一律のものでやられると差が出てくるのは当然なんです。  そこで、長年やってきた方法によったということでありますが、長年やってきたそういう計算の物差しというのはどこかで示されてあったのでしょうか。大蔵省からはこの計算の仕方について既に三十三年、三十九年通達が出ておりますね。ところが、長年のやり方で運輸省計算をした結果は今指摘されておるわけでありますが、今のようなやり方でよろしい、そういう物差しになる証拠はどこにあったのでしょう。
  231. 西村康雄

    ○西村政府委員 従来の土地使用料の算定と申しますのは、一般的に申し上げますと、大蔵省の三十二年の通達に従いまして算定基準が定められておりますが、これによって算定することになっております。この大蔵省の基準でございますと、これは使用の実態から見まして個別の形でやるということになっておりますが、空港全体が一つの土地ということでもございますし、画一的な利用ということを考えまして、全体を一つとするような特例を大蔵省に相談をいたしました。大蔵省の通達にもそういうやり方を認めている場合もありますので、大蔵省とお話をした上で会計検査院からお話がありましたような従来のやり方で計算をしてまいってきているわけでございます。
  232. 貝沼次郎

    貝沼委員 大蔵省の解釈によるということでありますが、大蔵省はこの三十九年の通達の「一区画の宅地」こういう文言の解釈は今運輸省の仰せになったとおりですか。
  233. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答え申し上げます。  ただいまの点でございますが、大蔵省の解釈といたしましては「相続税財産評価に関する基本通達」というものでございまして、それによりますと今おっしゃったような御解釈には必ずしもならないかと思っております。
  234. 貝沼次郎

    貝沼委員 両方の省がここで違うのですけれども。そうすると、大蔵省の通達というのは一体どれだけの力があるのか、またそういうものが出ておっても運輸省はそれに従わずに勝手にやっていいのか、その辺はどうなるのでしょう。
  235. 西村康雄

    ○西村政府委員 国有財産の管理運用につきましては、基本的に大蔵省が責任を持っているところでございます。そういう立場から、大蔵省が一般的な土地の使用収益を許可する場合の取り扱いの基準について使用料の算定基準をお決めになる、こういうことで、運輸省もこれに従ってやってきているわけでございます。先ほど私の方で申し上げたのは、その基準の中で、この基準によることが著しく不適当または困難と認められるような特別の事情があるとき、これは大蔵省の理財局長と協議して別の定めをできるということに基づきまして、大蔵省と御協議の上これを画一的な土地の使用法という形で全体の土地使用料の計算をしてきた。それで先ほどお話がありましたように全体の路線価というものを算術平均してやった、この平均の仕方の妥当性が著しくないという、具体的な適用の仕方に問題があったということで、現実に個別の土地の使用料を算定して合算したより全体の収益が先ほど申されたようにやや低く出るような結果になってしまった。全体を一本として算術平均するより個別の区画の土地ごとに計算をするという方がより妥当な数字になるだろうということで、運輸省も今後はそういうやり方で処理していく。件数も非常に多うございますが、個別の事情に即して一つ一つの土地の価格を計算していくということをしようということにしたわけでございます。
  236. 貝沼次郎

    貝沼委員 結局今後の方向としては個別にやるということに決まったわけですね。それは私は結構だと思うのです。今までは今までで、これからの分は決まりました。そうなってきますと、対象になるものは、これは私が一々申し上げるまでもなく、羽田空港始まって以来、この区画におられるのは、例えば会社で見ましても、日本空港ビルデング株式会社とか日本航空株式会社、全日本空輸株式会社、東亜国内航空株式会社、東京モノレール株式会社、その他二十五あるわけですね。なお、団体としてはたくさんございますね。東京消防庁とか警視庁とか郵政局とかいろいろありますけれども、これらのものについて今まで運輸省のやり方でやってきますと随分と得したことになるわけですね、使用料が少なかったのですから。その分はそれで終わりでしょうか。それともさかのぼって検討しなければならないものでしょうか。これは検査院の方、どういうふうにお考えですか。
  237. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 先生御指摘のような極めて不合理、不適切な状況になっておりましたので、ともかくこれを至急是正してほしいという方向で私どもこの問題を処理したわけでございます。  しからば、これを徴収できなかった分と考えて、さかのぼって回収すべきであるかどうであるかという点につきましては、なるほど手落ち、手抜かりといったものは感ぜられますけれども、それを徴収不足としてさかのぼって回収することは極めて困難であると私どもは考えたわけでございます。
  238. 貝沼次郎

    貝沼委員 ではこの点につきましてどういう方針で臨もうとお考えになっておられるかという点につきまして、大臣の所見を伺いたいと思います。
  239. 細田吉藏

    細田国務大臣 これまでやってまいりましたやり方が、いろいろな経緯があってこういうふうになったものと思うのでございますが、ただ、初めから横着を決め込んでこうしたというふうにも私は考えておりません。いろいろ相談をした結果なったことで、結果的には国にそれだけ長い間にわたって損害を与えたことになるわけでございます。であればこそ新しく取り方を変えていこうということでございますが、過去にさかのぼってこれを徴収するという方法は、法律的にも実際問題としてはないのではないか。まだ、過去、始まって以来の責任をどうするかということについては、残念ながら責任をとらせる方法がないのではなかろうか、かように存じておりますので、まことに遺憾でございますし、おっしゃることは私どもよくわかるのでございますが、やむを得ないのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  240. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がありませんので、次は鉄建公団の問題でお尋ねをいたします。  これは、鉄建公団が上越新幹線をつくりまして、その工事のときに買収した土地でございます。私が申し上げるまでもなく、これが俗に言う併設道路用地と言われるところでございます。新幹線の本線用地がありまして、そのわきにこの工事用道路用地、これが四メーターございますが、四メーターでは将来道路として使い道が少ないので、併設に二メーターから四メーターぐらい買収してもらって、そして併設道路用地としてあるわけであります。この四メータープラス併設道路で大体山陽新幹線のような場合は道路になっておるわけでありますが、これが道路になったときに、この併設道路用地はその地元の市町村にまた買い戻していただくというような仕組みになっておるようでございますが、今まで国鉄がやってきたところについては大変順調にいっておるわけでございますけれども、しかし鉄建公団がやった上越新幹線の場合は大変にごたごたしておるようでございます。  そこで、私はこの点についてお尋ねをするわけでありますが、まず、こういうような土地の買収のときに、そのでき上がった後の土地をさらに買い戻していただくための契約、まあ覚書を使ったんだそうですけれども、そういうものが本当に完璧に行われておったのかどうか、国鉄のやっておられることとどう違っておったのか、この辺のところを簡単に御説明願いたいと思います。
  241. 内田隆滋

    内田参考人 契約が不備ではなかったかという御指摘でございますが、この工事は大体四十六年ごろから着工いたしました。先生も御承知のように、山陽新幹線あるいは東海道新幹線におきまして側道の問題は大変もめてまいりました。したがいまして、着工のときに側道を六メーターつくれ、しかもそれは無償であるという主張が市町村で随分ございました。それで、私の方といたしましては、四メーターは工事用道路として必要であるけれども、それ以上のものは必要はないので、もしその市町村が必要と思うならばせひ有償で買っていただきたいということで交渉を始めたわけです。しかし、なかなか協議が進まない。したがいまして、工事を進めるためにはどうしても、仮に有償を前提として将来詳細な協議を取り結ぶということで、各市町村と仮の覚書みたいなものあるいは協定というようなものをつくりまして工事に入ったというようないきさつがございます。その後、逐次本協定を結んでまいりましたけれども、御指摘のように、そういう事情の中で若干不備のものもございました。しかし、今後精力的にこれらの問題につきまして詰めてまいりたいというように考えております。
  242. 貝沼次郎

    貝沼委員 精力的に詰めてもらわなければいけませんが、やはり私は契約、覚書の内容が大変不備であったのではないかと思います。なぜここだけがそうなるのか。  それで、例えば市町村の負担、有償というふうに覚書で、協定書で決めておる部分もあるし、あるいは別途協議というのもありますね。それから支払い期間についても別途協議がほとんどですね。それから譲渡価格の算定につきましても別途協議ですね。これじゃ、初めから何もやっていないのと余り変わらないですね。恐らくこういうことで進むはずはないと私は思うのです。そうして、実際にかかっておるのは取得費用等、これが五十五億三千六百万円、それから利息、管理費等、これが十八億八千八百万円、合計七十四億二千四百万円、こういうことになっておりまして、そして今までどれだけのところが回収できたかということについては余りないわけですね。  例えば東北新幹線などはきちっと、資金の回収状況というのはその時点でわかるようになっておる。現在七六・二%までいっておるそうですね。それなのに、この鉄建公団の場合は、大体金額が決まっていないわけですから、回収状況というものはパーセントも出てこない、こういうような状況になっておる。これで将来本当にやっていけるのかどうか、私はこの鉄建公団のやり方について大変心配をするわけでございます。鉄建公団の場合はこれだけでなく、例えば青函トンネルなんかの場合も、これは恐らく大変なお荷物になるだろうと思いますわ。六月二十七日の運輸委員会でも、大臣から、採算には到底合わないだろう、問題があるという発言もあったり、特別な運営方法を考えたいというような御発言もあったようでありますから、今後はっきりすべきところをはっきりしていかないと、鉄建公団の場合は大変問題が多い。  そこで、鉄建公団のこのことにつきまして最後にお尋ねをしておきたいと思いますが、今後の話し合いで各市町村に圧力をかけるようなことでもいけませんし、かといって手をこまねいておるようなわけにもいきませんので、その辺を公平に、そしてきちっと話し合いができる方法を模索していただきたい。これについてどうお考えなのかということ。  それから、大臣に対しましては、こういうことについてどう指導されていかれますか。そして、青函トンネルの問題では特別な運営方法を考えるというような御発言があったようでありますが、その方法については、その後御検討されておりましたら教えていただきたい。  この二点をお尋ねしておきたいと思います。
  243. 内田隆滋

    内田参考人 まず最初に、会計検査から御指摘があったときには確かに数量がはっきりしていないというようなこともございまして、大変大きな金額になっておりますけれども、ただいま精査いたしますと、大体三十八億ということでございます。これはつけかえ道路等がございまして、併設道路は三十八億、利子が十一億ということ、大体そのぐらいになってございます。  それで、現状は六市町村、約二五%がもう協定を結びました。そして、あと二つの市が近々協定が結ばれるであろう。そういたしますと、約四〇%が大体解決を見るという見通してございます。  今後の見通してございます。これは相手さんがございますのでなかなか難しいと思いますが、当公団といたしましては、あくまでもお話し合いにょりましてこの問題を精力的に解決していく、ただし市町村の財政等もございますので、それらの点につきましてはいろいろと減額措置その他を考えねばいけないと思いますけれども、何とかしてできるだけ早くこの問題を有償ということで解決をしてまいりたいと考えております。
  244. 細田吉藏

    細田国務大臣 今鉄建公団の総裁がお答えしました問題は国鉄についてもあるわけでございます。私どもここで申しわけをするわけではありませんけれども、東北新幹線にしましても上越新幹線にしましても、とにかく一日も早く開通しろということのために、無理をさせていると言うのは当たりませんが、地方の協力を得なければいかぬという、ある意味では非常に弱い立場があると思います。そういう点はどうしてもそういう立場になりますので、それだけにまたお約束事はあらかじめちゃんとしておかなければならぬ、ここの間のところ実際の運用が難しい問題でございますが、だからといってルーズに流れては困るということだと思います。国有鉄道の方と建設公団の方は違っておるということだけからも、やり方によってはもっと何とかなったのじゃないかという点がございますので、その点は公団総裁初め後始末を十分きちっとなるべく早くやってもらうように、今答弁があったようにお願いしたいと思っております。  それから青函トンネルの問題でございますが、運輸大臣の私的諮問機関の青函トンネル問題懇談会から答申をいただきまして、鉄道として利用する、特にカートレーンを大いに活用したらどうかということが言われております。経営形態につきまして一体どうするかということでございますが、少なくとも年間約八百億の借り賃が要る、これを国有鉄道がそのまましょい込んで運営をするということはいたさせることはできないということなんでございます。したがって、この八百億をどこかから捻出できるならばあるいは国有鉄道がやるということも考えられる、しかしこれを別な経営形態あるいは第三セクターというようなものでやるかどうかということもあわせて考えるということで、私どもの方も鋭意やっておりますが、国鉄監理委員会でも長期債務の問題や経営形態の問題等あわせてこの問題について御検討をいただいておるということでございます。
  245. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に、一問だけお願いいたします。  今いよいよ概算要求の時期になってまいりまして、岡山県でも水島港、宇野港の早期完成ということで毎年陳情しておるわけでございます。今回の予算のシーリング等いろいろ見ておりまして、大変心配しておるわけでありますけれども、運輸省としてはこの概算要求の中に従来かそれ以上の御決意をもって予算の要求をなされていただいておるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  246. 小野寺駿一

    ○小野寺政府委員 宇野港の整備につきましては、船型の大型化や地場産業の育成を図ることを目的といたしまして、五十八年度から宇野港の田井地区におきまして、水深十二メートル岸壁、十メートル岸壁及び五・五メートル岸壁を整備いたしておるわけでございます。六十年度予算案につきましては、今ヒアリングをしておる最中でございまして、また、シーリングのことがございますが、今後継続してこの整備を図るべく努力してまいりたいと考えております。
  247. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、今の港湾の問題はぜひともお願いしたいと思います。特に、港湾の考え方につきまして最近新しい見方で進むべきであるという意見も多いわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  なお、きょうは国鉄関係の質問も通告してございましたけれども、時間の関係でできません。先般山陽新幹線のことで、雪が降ってもとまらないようにということで大臣に質問いたしましたら、大臣はもうとまらないようにするという答弁があり、具体的に手を打っていただいたようでございますので、本日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  248. 横山利秋

    横山委員長 神田厚君。
  249. 神田厚

    ○神田委員 運輸省並びに国鉄決算につきまして御質問申し上げます。  まず最初に、国鉄は十日に減量具体策というものを提案いたしまして、関連企業への出向問題を含めて大変大胆な帰休制度やその他の問題を打ち出したようでございますが、この点につきまして、こういう考え方に立った背景について御説明いただきたいと思うのであります。
  250. 仁杉巖

    仁杉説明員 既に新聞紙上等で御存じかと思いますが、現在国鉄は大体三十三万八千人前後在籍しておりますけれども、そのうちいろいろな効率化を進めました結果、特にことしの二月に貨物の画期的な輸送変革をいたしたことによりましてヤード等から余る人員が出てまいりまして、大体二万四千五百ぐらいの人が余剰人員となっているということでございます。これらにつきましては、教育、増収あるいは外注をとめまして作業をする、直接保守作業をするというような策、それに用地の総点検をする、波動要員に使うというようなことで一応要員センターのようなものを各所に置きまして活用方を図っております。  しかし、今後の効率化ということを考えてまいりますと、どうもこの余剰員が、来年の退職者が二万人余りと今思っておりますが、そういう人が出ましてもなおかつ解消しないというかなり恒久的な状況になりそうであるということでございますので、いろいろ検討いたしました結果、今先生がお話しになりましたような、民間で取り入れておりますような各種の方法を取り入れることを考え、昨日、組合に提示したということでございます。
  251. 神田厚

    ○神田委員 このような提案に対しまして、国鉄各組合はそのやり方に対しての批判を一斉に展開をしているわけでありますが、どういう経過を経てこれを実行する、この経過等についてはどういうふうにお考えになりますか。
  252. 仁杉巖

    仁杉説明員 昨日提案いたしました内容につきましては大体五十九年の十月十日に実施をしたいという提案をいたしておるわけでございます。しかし、これからいろいろ各組合との話し合いが、団交が始まりますので、その結果どういうふうになっていくのかというのはちょっとまだはっきりいたしませんが、私ども当局側といたしましてはことしの十月十日実施に移したいというふうな提案をしているわけでございます。
  253. 神田厚

    ○神田委員 各組合におきましても、真剣ないわゆる事前の労使協議を進めるべきである、つまり、労使協議を最大に活用しながらこの計画が無理のないような形で進めるべきだという主張を展開をしておりますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  254. 仁杉巖

    仁杉説明員 私ども急にこの提案を昨日したということではございませんので、今ちょっと資料がございませんが、先ほど申しましたように、過剰員の数を公表いたしますと同時に、大体こういう方向で処理をしたいというようなことは各組合にお話をいたしまして、それから準備期間と申しますか、約一カ月足らずでございますが、準備期間を置きまして今度正式に提案をしたという形で処理をしているわけでございます。
  255. 神田厚

    ○神田委員 その内容が一時帰休あるいは出向、場合によりますれば首切りにつながるような形にも発展をしかねないということで非常にそのことにおいて心配をする向きがあるわけでありますが、組合側の考え方につきましても十分これを尊重をしていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがでありますか。
  256. 仁杉巖

    仁杉説明員 現在のところ私どもの前提条件として組合との間にあります雇用安定協定というものを基本にいたしております。しかし、いろいろな問題で団交の中でいろいろ御意見も出ると思いますが、そういう点につきましても十分意見を聞き対応してまいりたいというふうに考えております。
  257. 神田厚

    ○神田委員 さて、この問題もやはり一つの赤字脱却のための方策だったわけでありますが、もう一つの地方交通線の点につきまして二、三お伺いをしたいと思うのであります。  この地方交通線の問題につきましては、現在どういうふうな時点までこれが来ているのでありましょうか。
  258. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御承知のように、国鉄再建法におきまして地方交通線対策が定められたわけでございますけれども、その規定によりますと、乗車密度が四千人未満の路線、大体地方交通線は国鉄の路線の中の約半分でございますが、このうちで四千人未満というものについて、それはバスとか他の交通機関に転換する方が経済的に見て、また輸送体系から見てその方が適しているという路線について転換を行う。ただ、一気にそれらの転換が行えませんので、閣議了解におきまして昭和六十年度までにそのうち二千人未満のものをとりあえず転換する。それを第一次、第二次というふうに分けまして、第一次線というのは主として短い線とか盲腸線のようなものでございますが、それを他より先んじて行うということでございまして、この第一次線につきましては既に国鉄から承認申請が出、運輸大臣審査をした上承認をいたしまして、各線区ごとに地元の公共団体との間で対策協議会というものがすべて開かれておりまして、一応法律の規定では二年間かけて解決のめどがつかない場合には国鉄が廃止の申請をするという形になっておりますが、幸いにいたしましてこれらの線区につきましては、既に十数線区につきまして二年間の時期が到来する以前にバスに転換するとか第三セクターによって経営を行うというようなことで、ほとんどすべての路線が協議が調っておる次第でございます。残る線区につきましては協議会を続行しておるという状況でございます。  それから、そういう第一次線に続きまして第二次線につきまして、一昨年の十一月、国有鉄道から運輸大臣に対して廃止の承認申請が出たわけでございますけれども、運輸大臣はこれに関しまして法律の規定による都道府県知事の御意見をいただきたいということで、その御意見が出るのを待っておったわけでございますが、大変おくれたわけでございますが、本年の四月にすべて都道府県知事からの御意見をいただきまして、その意見に基づいて、知事の御意見に基づく現地のヒアリング、現地調査というものを行いまして、それらの線のうち道路の事情その他で若干処分を保留いたしました六線を除きまして二十七線についてさきに承認を行った、こういうところでございます。
  259. 神田厚

    ○神田委員 道府県知事の意見書の問題でありますが、これは単に意見書がそろったからいわゆる協議に入るという手続の問題だけではなくて、意見書の内容の問題について、やはりそのことをきちんと尊重してもらわなければいけない。そういう意味から言いますれば、この道府県知事の意見書の内容はどのようなものでありましたか。
  260. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 法律の規定に基づきますと、国鉄から廃止申請が出ました場合、国鉄がそれを道県知事に通知をいたしまして、それに基づいて道県知事から意見書の提出がある、こういう手続になっております。今回の第二次線に関しましては道県知事からそれぞれ御意見をいただいておりますが、かなり大部のものでございますので、要点と申しますか、どういうような趣旨のものが多かったかということをかいつまんで申し上げたいと思います。  意見書の中身といたしましては、このような地方交通線についてのいわゆる一般論と申しますか、そういうものについての御意見と、個別論、それぞれの線についての特殊事情というような御意見と、二つに分かれると思います。  一般論といたしましては、地方交通線というようなものにのみ焦点を当てずに、もっと赤字が他にも出ているではないか、例えて言えば幹線とか貨物というようなところでも出ておるので、そういうものをまず処理をすべきであるというようなもの、さらには、地域振興その他の観点から鉄道は必要であるので、そういう問題についての配慮が必要であるというような一般的な御意見というものが各知事からはかなり多かったというように考えております。  それから、個別論といたしましては、代替のバスを運行すべき沿線道路の整備状況の未整備というような点、冬季における代替バスの運行が必ずしも可能ではないというような御意見、さらには国鉄の現在の地方交通線の接続、ダイヤの運行回数、そういうようなものを具体的に挙げられまして、それが大変不便であるので利用者が少ないので、そういうような点を改善すればもっと利用率が上がるのではないかというような点が主たる御意見だったというふうに思っております。
  261. 神田厚

    ○神田委員 大臣にお伺いいたしますが、この意見書に述べられている内容、これは運輸省としては最大限に当然尊重すべきだというように思いますが、その点はいかがでありますか。
  262. 細田吉藏

    細田国務大臣 意見書は出てまいりましたが、一応とにかく鉄道の線路撤去ということには反対だというのが結論でございます。撤去してよろしいという意見書は一件も出ておりません。しかし、その理由とかこれにかわる方法とか、先ほど私どもの方の政府委員からお答えしましたが、いろいろな形のものが出ております。  そこで、私どもとしましては、この意見書の中で今回第二次指定当たりましては、聞くべきところがあり、法律、政令の解釈上これはもうしばらく保留しなければいかぬじゃないかというようなものは若干保留をいたしました。たしか六線あったかと思いますが、保留をいたしました。これは非常に長距離のものとか、あるいはバスに転換するにしても道路が著しく悪くて早急に改良の見込みがないというようなもの、そういう点、知事からの特に強い意見がございます、そういうものについては意見を尊重したわけでございます。しかし全般のものの意見をそのまま尊重すれば一つもなくなってしまうわけですから、それはそういう法律の建前ではないのでございまして、知事からの意見書を伺いまして、そういう意見をさらに審議会を開いて審議会の場で十分御討議をいただくという趣旨に法律がなっておるわけでございますので、これから審議会を開いて審議会の場で反対意見をいろいろ述べていただく、かようなことになろうかと思っております。
  263. 神田厚

    ○神田委員 意見書を出せばもう廃線の方向で事が進むということで、私どもも地域に真岡線という路線を持っておりまして、さらに足尾線という路線もありまして、地元は非常に真剣に長い時間かけて論議をしてきたのです。そういう中で、国鉄のいわゆる地方線の問題を単に運輸省国鉄だけの問題として処理をしているというところに問題がある。通学というようなことを考えますればやはりこれは文部省の関係にもなるわけでありまして、さらには通勤ということを考えますれば当然にして労働省の方の問題にもなる、あるいは病院に通っているというような人のことを考えますれば厚生省も当然問題になってくる。さらに広域行政という観点からすれば自治省も当然問題になってくる。多くの省庁がやはり国鉄の一つの地方路線に関与してくるわけであります。運輸省国鉄は、これらの関係省庁に対しましてその路線を守るためにどういうふうに関与してくるのかということについて具体的な施策を持ち込んで相談をするなり要請をするなり申請をするなりすべきでありまして、ただ単に国鉄が赤字だからということで路線を廃止しあるいはバスに転換をする、こういうふうなことにすること自体に非常に問題がある、こういうように私は思っております。運輸大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  264. 細田吉藏

    細田国務大臣 実はそのような議論がもちろんあったわけでございまして、そういう議論を踏まえまして五十五年に再建措置法ができたわけでございます。そしてこのやり方が法律で決められ、それの政令が決まったわけでございます。地方の審議会におきましては、県が出ておりますので、いろいろな見地からの発言をいたしますし、またいろいろな関係者、利用者の代表等も出ております。そういう審議会の場でいろいろ議論をしていただく、こういうことでございます。また中央省庁につきましても、場所によりましては他の省庁から意見が出てくる場合があると考えております。例えば産業との関係等については出てくると思います。また、そういう点については十分考えなければいかぬということだと思います。しかし、一般論としては、今のお話のようなことでございますと、これは法律制定の際に御議論が十分あった上で、いろいろ御議論の結果、大変難しい仕事だけれども国有鉄道再建のためにはやらなければならぬのだということでこの法律が通ったことである、かように考えておる次第でございます。
  265. 神田厚

    ○神田委員 赤字であるから路線を廃線にするということでありますね。そうであるならば、私どもは長年にわたりましてこの存続運動を続けておる中で、国鉄に対しまして具体的に、例えばダイヤの改正をしてほしい、もう少し便利な運行状況をつくってほしいというようなことも何回か言ってきたのであります。ところが一向にそういう問題の改善がなされない。しかも意図的に乗りづらくし、意図的に利用しづらいような状況をつくり出していわゆる廃線に持ち込もうというような傾向すらあった。そういう意味で国鉄当局が本当に沿線の利用者に親切にその運行なりあるいはいろいろな運営をしたかというと、私は非常に疑問だと思っております。  そういう意味におきまして、こういう赤字路線に対します要望に対しまして具体的にどういう改善運行というものがなされたのか、例えば国鉄真岡線に対しましてどういうふうな改善がなされてきたのか、この辺のところについてちょっと具体的に説明をしていただきたいと思います。
  266. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 各線区におきましてこういうふうな形で列車があってほしいとかあるいはこういうふうな形での接続がほしいというふうな形での御利用の皆様からのお話はたくさん伺うわけでございます。そういうふうな中におきまして、ローカル線はそれぞれお客様の数にも限度がございます。そういうふうな中から一番効率的な形での列車の体系がどうなのかというふうな形から一つの列車が生まれてきておるわけでございます。  そういうふうな中で、今先生御指摘のように、いろいろな面から意地悪なことをしているんではないかというふうなお話でございますが、一本の列車につきまして朝二分置き、三分置きに列車が参りますような場合にはそれぞれの方の御要望もできるわけでございますけれども、一時間に一本ないしは二本というふうな列車になってまいりますと、それぞれいろいろな方の御要望があります、そういうふうな中から最大公約数としてつくってまいりましたのが現在のような列車でございます。ただ、今の列車の形がいいということではございませんで、現にそういうふうな中からこういうふうな形でやってほしい、こういうふうな形でやってほしいという御要望の点につきましては極力それをお伺いをいたしまして、接続の改善等につきましては意を用いてまいっておる次第でございます。  そういうふうな中で真岡線につきましても、列車の本数の増加という点につきましてはここ数年全然至っておりませんけれども、接続の改善等につきましては、ほんの少しではございますけれども、それぞれ御要望を伺いながら手を打っておるというのが実情でございます。そういうふうな中で少ない列車本数の中でそれぞれの御要望を伺いながら最大限の接続改善、そういうふうな形はやっておるわけでございまして、これからもなお御要望を承りながらそれには取り組んでまいりたいと考えております。
  267. 神田厚

    ○神田委員 この路線廃止問題が出ましたのは昭和三十数年からだと思うのでありますが、私どもは約二十年以上この問題について要望し続けてきておるわけであります。そして、とにかく廃線をされては困るというので、地域におきましては大変熱心な運動が展開されている。私は国鉄からパスを貸与されておりますけれども、定期券を買ってその運動に協力をするという形でやっているわけであります。しかしながら、そういうことの運動をしても、利用できないようなダイヤがそのまま放置されているというような状況ではどうにもならない。そういうことで、その沿線の市町村から具体的にこういうふうに改善をしてくれというのが出ているわけです。そういうものに一向に耳をかさないで、ただ廃線をさせようという姿勢は、非常に問題があると私は思っております。そういう意味におきまして、この問題につきましては沿線からの要望に国鉄は最大限こたえてもらわなければいけない、私はこういうふうに思っておりますが、いかがでありますか。
  268. 仁杉巖

    仁杉説明員 真岡線につきましては、今先生の御指摘のようないろいろな御要望を私もよく聞いております。国鉄の立場から申しますと、なかなか乗客がふえないのではないかというような考え方がございますが、いずれにいたしましても、今後実際に協議会が始まりました中で、これは知事さん等もお入りになり、沿線の市町村の方もお入りになりますが、そういう中でこういうことをやってみたらどうかという御提案があると思います。そういう場合に真剣に討議をなされまして、それでは試みにそういうことをやってみようかということになれば、対応してまいりたいと現在は考えているところでございます。いろいろな問題点をぜひ協議会の中で御議論を願いたい、御要望も願いたい、また私どももそれを正面から受けとめて対応してまいりたいと考えております。
  269. 神田厚

    ○神田委員 これは真岡線だけに限らず足尾線、さらには全国の赤字路線全部について言えることでありますから、ひとつそういうことで対応していただきたいと思います。  同時に、現在二千人という基準がありますが、この基準を超えるような状況になった場合にはどういうふうになりますか。
  270. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御指摘のように、この線の廃止承認は、法律の規定によって基準期間ということで五十二年から五十四年をとってそれによって承認を決めることになっておりますので、承認そのものはその期間の平均乗車密度で二千人未満、こういうことでやっておるわけでございますが、その後、利用客がふえまして二千人を超えるというような事態になった線が現にございます。それらの線につきましては、その線区の協議会におきましてそのような事実の確認を行いまして、一時協議会を停止をいたしまして、その期間は二年間の期間には算入しない、こういう形で協議会の停止を行っておるところであります。
  271. 神田厚

    ○神田委員 大臣に御答弁いただきますが、そういう形で基準を超えました場合にはそういうような形になりますか。
  272. 細田吉藏

    細田国務大臣 そのような扱いにいたしておりまして、例が三線ばかり今ございます。
  273. 神田厚

    ○神田委員 これは非常に大事な問題だと私は思っているのです。先ほど言いましたように、国鉄だけの問題ではないという、また国鉄だけの責任でもないというような面もあるわけでありますから、そういうことで関係市町村の中でのいろんな今後の要望について、精力的にこれをお取り上げをいただきたいということを強く要望しておきます。  次に、旅客自動車の運送事業に関する問題につきまして、御質問を申し上げます。  運輸省は、行管庁が出しましたこの改善勧告を当然にして真剣に受けとめていただけるわけであると思うのでありますが、まずその前に、行管庁は、どういう背景を理由として、あるいは現状を理由としてこの改善勧告を出したのでありますか。
  274. 北村圀夫

    北村(圀)説明員 お答えいたします。  御承知のように、バス、タクシーは住民の身近な移動手段といたしまして地域旅客交通に大きな役割を果たしておりますが、近年、都市におきましては、人口の増加、市街地の外延的拡大あるいは活動時間の延長などに伴いまして、地域あるいは時間によりまして輸送需要に見合いましたバス、タクシー輸送力が不足しておるところが見られます。特に、大都市近郊の深夜時間帯にありましては、輸送力の不足が常態化しているところも見られるところであります。また、バス、タクシー事業に対します規制につきましては、このような都市構造あるいは輸送構造の変化に対応いたしまして、事業の効率化や、より良質な輸送サービスの確保を図る上におきまして、必ずしも有効に機能していない面がございます。  したがいまして、この監察では、このような事情を踏まえまして、利用者サービスの確保、事業活動の効率化の観点から、都市におきますバス、タクシー事業を中心とした事業運営の実態と、これら事業に関します規制につきまして調査したものでございます。監察の結果に基づきまして、「利用者サービスの確保」「タクシー事業規制の見直し」及び「許認可等事務手続の簡素合理化」の三項目につきまして運輸省に勧告したものであります。  具体的内容につきましては、まず、「利用者サービスの確保」の面では、大都市近郊団地バス路線の終発時刻の延長、乗り合いタクシーの導入、深夜時間帯におきます地元タクシーの駅構内乗り入れ開放など、深夜輸送力を確保することであります。また、小型タクシーの導入の促進によります自動車利便の増進を図ることであります。  そして「タクシー事業規制の見直し」の面では、広域的なタクシー事業区域の設定、個人タクシー免許地域の拡大などの改善を図るよう求めております。
  275. 神田厚

    ○神田委員 そういう背景でこの改善勧告が出たわけでありますが、運輸省はこの勧告をどういうふうに受けとめておりますか。
  276. 服部経治

    ○服部政府委員 行政監察局のこのたびの御指摘は、大まかに言いまして六点ほどにわたるわけでありますが、そのうち例えば深夜の輸送力の確保の問題といい、小型タクシーの導入の問題といい、あるいはタクシーの事業区域の拡大の問題といい、その多くの事柄につきましては、私どももう既に早い時期からそういう問題意識を持っておったものでございまして、これまでもそういった方向で事態改善を図るべく努力を重ねてまいったものが多いわけでございますが、ただ遺憾ながら、諸般の事情によりましてそういった方向での事態改善なり施策の推進なりが意のごとくにならなかった、そういう結果といたしまして、不十分な状態にある点をこのたび御指摘、勧告をいただいたわけでございまして、その意味におきまして、今回のような勧告を受けるに至りました事態は、私どもとしてまことに遺憾、かつ不面目な次第というふうに思っているところでございます。  しかし、私どもといたしましては、これまでの努力の足らなかったところを反省することはもとよりでございますけれども、先ほども申しましたように、幸い指摘の方向というのは私どもも目指しておる方向と同質でございますので、今後これを契機といたしましてさらに前向きの努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  277. 神田厚

    ○神田委員 いろいろな点が指摘をされておりますね。バスの問題では、「バス終発後の時間帯における鉄道駅の降車人員数、乗合タクシー輸送人員数等からみて、バス又は乗合タクシーの利用需要が十分見込まれるにもかかわらず、バス終発時刻の延長等が行われていない団地路線がみられる。」これは「大都市近郊の鉄道駅と大規模団地などとの間の深夜輸送について、バス終発後の時間帯における潜在的なバス又は乗合タクシー利用者数を的確に把握し、輸送効率等を十分勘案した上で、バス終発時刻の延長あるいは乗合タクシーの導入を推進すること。」こういうふうに指摘をされております。さらに、「鉄道駅においては、鉄道事業者の駅構内営業承認制度によりタクシーの入構車両数の規制が行われているが、タクシー需要が増大するバス終発後から終電時までの時間帯においては、駅入構車両数が不足しがちとなり、利用者のタクシー待ちが常態化している駅がみられる。」これは「深夜時間帯においては、原則として駅構内を当該地域内のタクシー事業者及び車両に開放する方向で、駅構内タクシー営業承認制度の運用の見直しを行うこと。」こういうような具体的な指摘がありますが、この点につきまして具体的にお答えをいただけますか。
  278. 服部経治

    ○服部政府委員 大都市近郊の鉄道駅におきます深夜のそれから先の端末の輸送力不足の点でございますが、この点につきましては、第一義的には路線バスの営業時間の延長ということを考えたいと思います。それで対応できないケースにつきましては、十一時以降について深夜バスといったような特殊なバスの運行もさらに考えてまいりたいと思っておりますし、そういったバスで対応できないケースにつきましては、輸送需要の実態をさらに十分把握いたしまして、必要な場合には乗り合いタクシー制度というものの導入を積極的に進めてまいりたいというふうに基本的には考えております。  それから駅構内へのタクシーの入構制限の問題でございますが、これは、鉄道事業者側におきまして駅広場の管理上の必要から、構内営業規則等の運用で現在そういう形になっているところも見受けられておりますけれども、この点につきましても、さらに鉄道利用客の利便の増進を図る意味から弾力的な運用を図り、利用者の利便の向上を確保してまいりたいと思っております。  それからタクシーの事業区域の拡大の問題でございますが、これにつきましても従来とも私ども、各地域についてそういう方向で改善を重ねてきておるところでございますけれども、確かにまだまだ不十分な点というのは御指摘のとおりございますので、今後さらに十分勉強してまいりたい、かように考えております。
  279. 神田厚

    ○神田委員 運輸大臣にお伺いします。  都市近郊の深夜の交通利便の問題が非常に大きな問題になってきているのですね。それで、行管庁の指摘をまつまでもなく、運輸省の方におきましてもそういう実態をよく御認識をいただきまして、大臣の方から精力的に、前向きにこの問題についてお取り組みをいただきたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  280. 細田吉藏

    細田国務大臣 行管の御指摘になっている点は、最近国民の皆さん方が非常に要望しておられる点ばかりだと思っております。そういう意味で、この一つ一つにつきまして真剣に取り組んでまいらせるつもりでございます。
  281. 神田厚

    ○神田委員 これは時期的なこともあるわけでありますが、運輸省としては勧告に沿った措置ができるのは大体いつごろというふうにお考えでありますか。
  282. 服部経治

    ○服部政府委員 事柄に応じまして対応の時間はそれぞれに異なってくると思いますが、例えば一つの具体例を申しますと、この行管庁の御指摘の中にございました個人タクシーを認めることとする事業区域の拡大という問題につきましては、既に先月の末に改善をいたしております。東京地区で申しますと北多摩地区、神奈川県につきましては県央、東部の区域につきまして新しく個人タクシーを認めることとしたというようなことでございまして、事柄に応じましてしっかり勉強して改善措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  283. 神田厚

    ○神田委員 やろうと思えばそんなに時間をかけなくてもできるはずでありますから、そういうことで運輸省の前向きな取り組みをお願いしたいというふうに思っております。  さて、タクシー問題で二、三御質問申し上げます。  小型タクシーは要望がたくさんあるわけでありますが、全国のタクシー車両数に対しての小型の普及率の推移あるいは現状はどういうふうになっておりますか。
  284. 服部経治

    ○服部政府委員 六大都市の数字で申し上げてみたいと思いますが、小型タクシー車両数は昭和五十六年九月に一万二百三十二台でございました。それがほぼ三年後の五十九年四月の時点では一万三千三百八十六台になっておりまして、全タクシー車両数に占める割合も一一%から一四・四%へというふうに増大をしてきております。
  285. 神田厚

    ○神田委員 この小型タクシーの導入につきましては、一部の地域について、事業者団体がサービス改善計画の一環として設定した小型タクシー導入目標を下回っている、こういうようなこともありまして、ふえているとはいいながらまだ不十分であるというふうに判断をしております。そこで、小型タクシーの導入促進あるいは乗り場の増設対策などについては、どういうふうな考え方を持っておりますか。
  286. 服部経治

    ○服部政府委員 先生御指摘のような実態がなお見られますので、私ども、この問題につきましては今後一層前向きに取り組むことといたしておりまして、関係者を督励してまいりたいというふうに考えます。
  287. 神田厚

    ○神田委員 次に、航空問題につきまして御質問を申し上げます。  航空政策がいろいろと話題になってきておりますが、一部の新聞では運輸政策局を中心に今までの航空政策を見直す方向で検討作業を開始するというふうな報道もありましたが、そういうふうな考え方は具体的にお持ちでありますか。
  288. 西村康雄

    ○西村政府委員 先般の全日空のハワイ・チャーター便を認めましたことを契機に、また航空の運営体制についていろいろと御議論いただいているわけですが、先般の新聞では、将来の展望を求めて航空事業の運営体制について一つの新聞なりの姿を書いてくださったわけです。私ども現実には、現在航空事業の問題というのは各社それぞれいろいろな立場でいろいろなことを希望しておられます。ただ、どういうものが重要かということになりますと、航空事業がいろいろな制約の中で最大のサービスをしていく体制を維持していくということが必要なわけで、そういう点から今の体制というのは、航空需要の増大ということも、かつての四十五年、四十七年という時点からは確かに違ってきておりますし、また、多くの制約、東京、大阪の制約ということもまた厳しくあるわけでございます。そういう中でどういう運営体制が最善のものかということを私どもは常に探求していく必要があります。そういう意味で、また皆さんのいろいろな関心をバックにしまして、どういうものがいいかということを私ども部内では真剣に検討していこうというふうに考えております。
  289. 神田厚

    ○神田委員 航空政策、全日空の近距離国際線、チャーター便として使われておりますが、こういうものについてはもう少しこれを発展させて不定期便にしていってみたらどうかというような意見等も出ておりますが、その辺のところはどういうふうにお考えでありますか。
  290. 西村康雄

    ○西村政府委員 国際航空のあり方につきましては、既に貨物航空につきましては、完全な形ではない部分もありますが、ともかく二社体制というものを発足させました。これは御承知のように、貨物という分野の持つ性格から、極めて競争的な行き方というのが一つ考えられるわけでございます。ただ、旅客の問題につきますと、やはり各国の権益というものをバックにしまして、実際にどういう形が国益を実現するかということで慎重な判断が要るわけでございます。そういうことで、今回全日空のハワイ・チャーター便というのを実際に利用者の立場と事業の運営のあり方というのをバランスをとりながら考えてきたわけですが、今後の問題につきまして考えますと、これは全体のこれから先の問題になりますと国際航空路線のあり方の基本的な問題に入ってくるということでございますので、将来の姿としてはいろいろなことが考えられます。今お話しのようなことも一つの将来の形かと思いますが、しかしこれは根本的に全体としての体制の検討の中で考えていくべき問題だと思っております。
  291. 神田厚

    ○神田委員 今までのように路線配分だけをしているということでは、航空業界の健全な発展あるいは国際競争力の確保というのは非常に難しいというふうに考えております。そういう意味で、健全な発展と国際競争にたえるような体質づくりをしていかなければならないわけでありますが、こういうことについてはどのような具体的な施策をお持ちでありますか。
  292. 西村康雄

    ○西村政府委員 確かに航空企業はどうあるべきかという点につきましては、ただ路線の割り当てというような次元だけではなくて、航空企業の体質そのものの改善ということが極めて根幹的なことでございます。また、国際競争力を強めるということも航空企業の経営体質そのものの問題でございます。そういう点では、ただ事業の運営体制をどうするかということだけが航空政策の根本ではなくて、むしろ経営体質そのもの、経営をどう改善していくかということが国民の利益につながることでございますので、その点についての行政指導を十分強めていきたいと考えております。
  293. 神田厚

    ○神田委員 そういう意味で現在航空憲法あるいは行政指導あるいは航空法、こういうものによりまして、路線、運賃など経営上の問題に至るまであらゆる規制が行われているわけでありますが、これに対しまして、業界に対して自由競争の原理を導入していったらどうだというふうな意見も非常に強くあるわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  294. 西村康雄

    ○西村政府委員 いろいろな企業経営上の制約というものがない場合に自由競争体制を根幹として考えていくということは、理想型として十分考えられることでございますし、また、競争の中でこそいろいろな意味での改善があるということも、そのとおりだと思います。ただ、御承知のように、航空の経営を現在自由にできるかということになりますと、まず物理的な、大阪空港あるいは羽田の空港の制約とゆうものがございます。だれでもが自由に入れるというわけにまいりません。また、空港だけでない、日本の空の過密状態ということもやはり全般的な非常に重要な制約要因でございます。そういった物理的な制約だけではなくて、現在既に航空需要というのは、現在の航空の利用客の中で航空の維持発展を図っていくという体制をとってきているわけですが、この利用客の負担の問題も、また実際に現状からさらにどれだけ負担が増せるかという問題もございます。そういった全体の枠組みという中で航空事業の経営がどのように可能なのか、そういうことを十分に考えた上で全体の競争の枠組みというものを考え、あるいは現状のような航空企業のある程度の企業規制というのが必要なのかということを考えていく必要があるかと思います。
  295. 神田厚

    ○神田委員 最後に、大臣にお尋ねします。  航空局長からかなり前向きな答弁もあったのでありますが、今やはり航空政策はちょうど見直しの段階に来ておる。関西の新空港の問題あるいは羽田空港の拡張等の問題を含めまして、この時点におきまして航空政策を見直して、より健全な、さらには利用客にとりまして利用しやすいような、また便利な環境づくりをしていかなければならない、こういうふうに思っておりますが、大臣のこの航空政策等についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
  296. 細田吉藏

    細田国務大臣 航空につきましては、御承知のように四十五年の閣議決定、四十七年の通達、いわゆる航空憲法というもので律せられておるわけでございます。十年以上時がたっておるわけでございまして、この点はもう再検討する時期が来ておる、私はかように思っております。ただ、再検討するにいたしましても、これは各会社が希望しているからそれを持ち寄ってどうするということではなくて、やはり一つのイデーといいましょうか、あるべき姿はどこに持っていくんだ、こういう基本的な理念がやはり先に立ちませんと、これは収拾がつかなくなるのではなかろうか、やろうと思っても結局振り出しに返るというようなことになるのじゃなかろうかと私は思うのでございます。  そういった新しい時代にふさわしい、大きく言えば二十一世紀ですが、そこまでいかなくても、新しい時代にふさわしい日本の航空はどうあるべきかという理念を我々は追求していく必要は今もう既に参っておる、こう思っております。実際にやろうということになりますと、今航空局長からお答えいたしましたが、成田新東京国際空港の二期工事だとか、羽田沖展開だとか、今回始めることになりました関西新空港といったもの、そういったものがある程度格好がつきませんと、せっかくいろいろな新しい方針を打ち立てましても実効が上がらないということになりますので、これらの問題はそういうハードの面とも並行して考えていかなければならない、かように思っております。
  297. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  298. 横山利秋

  299. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、気象衛星「ひまわり」についてお伺いします。  天気予報と言えばまず「ひまわり」の画像を連想するほど国民生活に浸透した衛星業務でありますけれども、御承知のように、本年早々この二号の故障によりまして打ち上げ後七年も経過した一号が再び観測する、そういう事態になったわけでありますね。しかし、老朽化したこの一号は故障が頻発いたしまして、六月の末にはまたもや二号による一日四回観測を実施するという事態になっているわけであります。近代的な気象業務の代名詞的存在であった静止気象衛星でありますけれども、今回の故障を通じまして幾つかの問題点が改めて浮き彫りにされていると思います。  その第一に、衛星の開発運用上の問題として、このGMS2の故障に際し寿命を大幅に経過した一号で肩がわりするしかなかったそのことが証明していますように、現在使われているこの衛星の故障に即座に対応できる予備機がないということですね。本年八月に打ち上げを予定されていますGMS3にもしも同じような事故、故障が起きたとしますれば、静止衛星による観測の空白が生ずるおそれが当然あると思いますが、まず第一点にこのことからお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
  300. 園山重道

    園山参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、まさにこの気象衛星実用時代ということでございますので、私どもは、今度の八月一日に打ち上げますGMS三号につきましてできる限りの万全の対策をいたしまして、十分自信を持って打ち上げるものでございますけれども、御指摘のようにこういった人工衛星というものでございますので、客観的な、確率的な評価ということで一〇〇%大丈夫でございますと言うことはかえって間違いかと思っております。  したがいまして、万一の場合に備えましての軌道上の予備機というのが存在いたしますことは非常に望ましい状態であると思っております。しかしながら、御承知のように、軌道上に予備機を持つというためには、そのための衛星並びにロケット初め打ち上げ手段というのを同時に用意しておかなければなりません。そういった意味で非常に経費がかかることは御高承のとおりでございまして、そういった点で、現在の厳しい財政事情の中で予備機を用意して両方打ち上げるということがなかなか許されない事情にあることも確かでございます。したがいまして、私どもといたしましては、できる限り予備機の必要がないように、現在のGMSひまわり三号につきましてできる限りの万全の対策をいたしまして打ち上げたいと考えておるところでございます。
  301. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 できる限り万全の措置をしたい、万々そういうことがないように期待しているということでありますが、私がお聞きしたことは、万一にも故障が起こらないことを保証することができないわけでありますから、そうなった場合に一定の期間観測空白、そういう事態に追い込まれる可能性があるということは一面言えていることだと私は思うのです。  この点が一つと、同時に、今予備機がない。あるにこしたことはないというけれども、私、せんだってレクチャーで当局にお伺いしたところによりますと、いや予備機があるんだというような言い方もあったのですね。どういうふうにあるかというと、つまり二号をつくるときは二号と同じものをつくっておく、三号をつくるときは三号と同じものをつくっておく。しかし、同時に打ち上げるのじゃなしに、それはアメリカのヒューズ社に保管しているんだということでありますね。ですから、二号のそういう予備機みたいなものが三号になるんですね。三号というものは、二号機に何ほかの改修、修理、再生なりリハビリを加えたものが三号になるだけの話だね。そうすると、今二号が故障しているが、三号は新しいものじゃなくて、二号の故障を引き継いだものが三号として上げられるということになるわけですね。四号は三号のもう一つの地上に置いてあるものを手直しして、三号の欠陥を明らかにした部分を直して、これが四号でございますよ、そういう順送りみたいな、先送りみたいな、一種のからくりみたいなやり方をしているのが実態だと思うのです。予算関係もあるわけでありますが、今通信衛星の「さくら」にしろあるいは放送衛星の「ゆり」にしろ、二号同時に上げているのですよ。片方で故障が起きればすぐ片方が作動するという格好になっているのですね。  なぜ気象衛星だけがそうなっているのかという問題が私、非常に腑に落ちないわけでありまして、多分皆さんもそれについては納得できないということで、これは気象庁から「今後の気象業務の展望(試案)」というのが五十八年二月に出されておりますが、やはりその趣旨のことを、二つなければならないけれども残念だということを言っているわけでありますね。こういう点についてはいかがでありましょうか。
  302. 末廣重二

    ○末廣政府委員 御答弁申し上げます。  ただいま事業団の園山理事長からお答えのありましたとおり、真に理想的な姿ということを考えますと、軌道上に予備機があることが望ましいことはおっしゃるとおりでございます。ただ、衛星の打ち上げあるいはそれを軌道上に保有することには極めて多額の経費を要しますので、近年の厳しい財政状況のもとで均衡のとれた気象業務の発展を図るためには、当面軌道上予備衛星は困難であると申し上げざるを得ません。  ちなみに気象衛星を上げている国はアメリカ、西欧連合、インド等がございますが、軌道上予備衛星を置いているところはまだございません。
  303. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしても、前段申し上げましたような三号が万全だ、なるべくそれに期待すると言うことはできても、本当にそれが保証されるあれがないということだと思うのですけれども、今回二号にあのような故障が起こったわけでありまして、その報告書が五十九年四月、ことしの四月に宇宙開発委員会第四部会が出されているわけであります。それを見ますと、「静止気象衛星二号(GMS−2)の可視赤外走査放射計(VISSR)に生じた不具合の原因究明及び今後の対策について」こういう格好になっていますが、あれは立派な故障だと思うのです。失敗だと私は思うのです。それをふぐあいというのは一体どういうことなのか。ふぐあいという言葉は我々は使わないはずなんです。ふぐあいというのは我々、日常使いますか。ふぐあいになった原因究明及び今後の対策、これはなぜ故障とはっきり言えないかということです。何かメンツにとらわれているような感じもしますので、この点簡単に御説明いただきたいと思います。
  304. 北村俊男

    北村(俊)説明員 お答え申し上げます。  宇宙開発委員会といたしましては、故障というものにつきましては抜本的な機能が損なわれた場合、その判定された時点を故障と申しております。現在、GMSはふぐあいを生じてはおりますが、稼働いたしておるところでございます。宇宙開発委員会の検討の中にいろいろな用語がございますが、宇宙開発委員会といたしましては、開設以来こうした中間段階にあるものにつきましてふぐあいという用語を使うことにいたしておるところでございます。
  305. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた方、アメリカのヒューズ社なりそこにこれを英訳して送る場合どう言いますか。フェーリアでしょう。アメリカではこれは故障、そういう場合に使っておるのじゃないですか。私、字引を調べましたらフェーリアというのは失敗、破産、落第、こうなっています。だから、揚げ足をとるようで悪いけれども、そういう点を率直にしなければならない。  今の質問は後々のあれにも関連するので申し上げたわけでありますけれども、今回この報告書についても、エンコーダーの部分についての故障の原因解明をずっと書いていらっしゃるわけですね。それによりますと、消去法によって最後の原因はこれだということを絞り込んで犯人を三つか四つ割り出しているわけです。そこで、それだけで問題が解決して、そこを直せば、そこの対症療法をやれば今度打ち上げる三号は二号よりすばらしくいいのか、そういう確証があるのかということです。この点はどうなんですか。
  306. 園山重道

    園山参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、宇宙開発委員会での御検討の結果につきましては、故障の原因、特にミラーの位置の検出を誤る要因ということで四つ挙げておられます。「エンコーダランプの経年劣化による光量低下」「放射線による検出器の感度低下」「検出器の出力処理回路のスレッショルド電圧の変動」「エンコーダ部電子回路に対する電波干渉」、さらにこの四つの原因のうち衛星が持っておりますメインの、主系とリダンダント、冗長系という言葉を使いますが、いわゆる予備系でございますが、これについては若干状況が違うので、主系についてはこの四つの要因が考えられる。それから冗長系については、一番目の「エンコーダーランプの経年劣化」ということがどうも考えられないので、他の三つの要因ではないかという御指摘でございます。  御指摘のように、これがどれか一つであるかあるいは全部が影響しておるかということにつきましては、残念ながら軌道上にございますので、それを現物について確認することができません。したがいまして、この御報告の趣旨は、危ないところというものをえぐり出してこれに対する対策をせよということでございます。私どもも、今申し上げましたように、このうちのどれが一番確かな原因であるかということを確認する手段がないわけでございますので、したがいまして、主系、冗長系と二つ違うということもございますが、この挙げられました四つの要因につきまして万全の対策をとるということで三号の打ち上げに臨んでおるところでございます。
  307. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 どれが原因だかはっきりしない、こういうことで、とりあえずは今のエンコーダーのランプが劣化した、それにどうするとかこうするとか、ばんそうこう、こう薬を張る、いわばこういう格好になっているのですね。  先ほど冗長系の話がありましたが、二号の冗長系、いわば予備ですね、これはランプについて言えば全然劣化もしないし光量も低下しないにもかかわらず全く動かなかったですね。これなど説明できないわけだな。そういう点で考えてみた場合、明らかにその部分だけ直したから今度はすばらしくいくんだ、こういうことにはつながらないということは、今の御答弁の中であなたもお認めになっていらっしゃると私は思うのです。そういう点で、単体としてあれだこれだ、そこを直せばいい、ここを直せばいいということよりも、問題は気象衛星「ひまわり」の全体のシステムとしての改良なり新しい開発がなされていない限り、必ずああいう故障が再発する、そういうことは否定できないと思いますけれども、この点を私はもう一回お伺いしたいと思います。簡単で結構です。
  308. 園山重道

    園山参考人 先ほど申し上げましたように、私どもとしては現在やるべき、できる最大の努力というのは、考えられ得る限りの要因に対して対策をすることであると思っております。したがいまして、今度のGMS3に対しまして同じような、先ほどおしかりがありましたが、ふぐあいを生ずることはないのではないかと私どもは思っておるところでございます。  先生から、全体のシステムがおかしいのではないか、これについて改めるべきではないかという御指摘でございますけれども、これは先ほど先生もお話ございましたように、ひまわり一号とほぼ同じシステムでございまして、ひまわり一号につきましては前例のないほどの七年という寿命を持ったわけでございます。そういう意味では、システム全体がおかしいということではなくて、やはり製造過程におけるいろいろなミスあるいはテストの不十分というようなところがあったのではないかということで、これらの点について十分な試験を行い、考えられる対策を行って三号を打ち上げたいということを考えておるところでございまして、システム全体に何か基本的に設計上の間違い等があるんじゃないかということではないと思っておるところでございます。
  309. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた方の報告書を読みましても、「それぞれ影響は同じでないにしても、これら要因のいずれか、またはいくつかが重なり合うことによってスレッショルドマージンが低下し、」云々、こういうふうに書いてあって、しかも「今後より長期間の試験を行っていく必要がある」と言っていますよね。これは皆さんの報告書にある言葉ですよ。  私の言いたいのは、できる限り努力する、万全の措置をとりたい、しかし問題は、エンコーダーだけでなくて、御承知のように、例えば一号で言えば国産化率がたったの一〇%だったですね。二号で言えば国産化率三〇%ですね。三号も二号と同じですからやはり三〇%ですね。つまり、残りの七〇%というのはちゃんとアメリカの企業秘密といいますか、ブラックボックスといいますか、そういうことでこちらは手をつけられないわけです。問題はそこにあることであって、あなた方が幾ら対策だとか今後の方向だとかいろいろなものを書いてやっても、結局こういう状況の中では単にヒューズ社の説明を聞くだけではないのかということですね。結局そうならざるを得ないというところに今の問題があるんじゃないだろうかと思うのですが、いかがですか。
  310. 園山重道

    園山参考人 アメリカの技術に頼っているという第一の御指摘であろうかと思いますけれども、これにつきましては、残念ながら現在アメリカの技術と日本の技術はこういう分野におきまして非常な隔たりがございます。こういう形のいわゆる又ピン衛星でスピンスキャンを使いまして雲の写真を撮るというシステムにつきましては、アメリカは、一九六六年でございますから今から十八年前、GMS一号の上がる十年以上前に既に最初の衛星を上げましてのテストを行っております。しかもこれは非常にいい性能を出しておりまして、高度な技術であるということは確かでございます。したがいまして、当時GMS一号あるいは二号、三号を計画いたします段階で実用という部分を考えました場合には、気象業務に実用するということを考えました場合の十分な信頼性ということを期待いたしますためにはどうしてもこのアメリカの技術を使うのが最もいいという判断に立ったわけでございます。  ただいまブラックボックスという御指摘がございました。中身が全くわからない、それからその取り扱いというのも向こうの人間がやるというのがいわゆるブラックボックスであると理解しておりますけれども、今回のGMS二号の問題に関しましては、必要なところの回路図その他、あるいはテスト等を完全に私どもも行える状態にあるわけでございまして、いわゆるブラックボックスというものではないと思っております。しかし、これは単にアメリカ企業だけではございませんが、企業がこういう特にハイテクノロジーの製品をつくります場合に、その詳細な製造ノーハウ、製造図面その他につきましては出さないのが通例でございまして、私どももそこまでの詳細なものを把握しているわけではございません。  そういう意味で、こういった気象衛星につきましてもみずからの開発によりまして完全に自分で掌握できる衛星が早くできることが望ましいわけでございまして、これに対しまして、私どももユーザーである気象庁さんとも御相談しながらいろいろ研究を進めようとしておるところでございますが、現状におきましては、アメリカの技術でつくられたこのGMSシリーズというものよりもはるかに信頼性が高く、かつ同等の性能あるいは同等以上の性能というものを短期間につくり上げて実用するということは、残念ながら今の段階ではできないことかと思っておるところでございます。
  311. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大変この衛星は高度の技術で立派なものだ、信頼に足ると言いながら現実には次から次と故障を起こしていますね。しかも故障の部分はほとんど同じだということですね。こういうことになりますと、その高度性への信頼が今、その部分かどうかは別として疑わしいわけであります。つまり、あなたは、ブラックボックスじゃない、相当な部分わかるんだと言うが、これは余りそこだけ故障になるから余り隠し通しておれないというだけの話であって、全体として言えば、例えば鏡がありますね、あの鏡だってやはり企業秘密の中に入ると思いますね。どんな場合でも曇らないとか、ふく必要がないとかいうのは、そんなものをわからせたらアメリカはもうけることができないですよ。すぐ日本人は物まねしますからね。そういう全体として七割のブラックボックス、こちらで手の触れられない部分がある。こういう中での「ひまわり」だということは、従属性といいますか、日本の主体性そのものが大変な税金をかけながらそういうおかしな結果になる、そういう可能性を絶えず持つものだ、こういうふうに考えるわけであります。  そこでお伺いしたいのでありますが、この報告書は四月二十七日に決定されたものだと私伺っているのです。対策その他をどうするかということを決めたもの。ところが、その対策によるいろいろな手直しをして日本へ引き渡されたのがいつかということを調べてみたら五月の中旬なんですよ。大体、こういうものは精密に直すためには相当の時間がかかるはずなんですよ。私がお伺いしたところによれば、一年もかかるということを言う方もおりますけれども、半月足らずの間にぱんと日本に入ってきているのですね。梱包もあるし街づくりもあるし輸送関係もある、あるいは日本へ物を持ってくるわけだから手続の関係がございますね。そうすると、中身は正味一週間かそこらしかないのに入ってくること自体、まさにアメリカから見ますならば、日本はいいようにやられている、頭をなでられている、単に格好づくり、追認だけではないのか、私は現状から見てどうしてもそう疑わざるを得ないと思うのですが、この点、どういうことですか。
  312. 園山重道

    園山参考人 先生御指摘のとおり、宇宙開発委員会におかれまして第四部会というところでこの件につきましての御審議が行われまして、その報告書が最終的に出されましたのは四月二十七日でございます。それから、御指摘のように、五月中旬にはこの三号が日本に送られてきておるということも事実でございます。  ただ、私どもはこのGMS二号のトラブルが生じました昨年の末以来早速活動を開始いたしまして、私どもなりにこの原因の究明、これにいかなる対策をとるべきかということを鋭意検討してきたわけでございまして、宇宙開発委員会におかれまして第四部会を設置されておりまして、ここでの御審議が三月に始まっておりますけれども、私どもは私どもなりの検討の結果、私どもが考えます原因、それからこれに対していかなる対策をすべきかということにつきまして、この第四部会に対しまして私どもも説明委員としてこれに参加いたしておりますので、御意見を申し上げまして、逐次第四部会の先生方の御指導を得ながら、どうしていくべきかということを進めてきたわけでございます。  したがいまして、最終報告書が出ましたのは四月末でございますけれども、それまでの間に必要な対策、特に長くかかるもの等につきましては、この第四部会の先生方にも申し上げまして、早く準備を始めておるところでございます。したがいまして、最終的に第四部会で御報告をまとめられまして、これに従って最終的なチェックその他というのは現地において行いましたけれども、これを先ほど申し上げましたような五月半ばに日本に持ってくるということに特段の支障があったわけではございません。
  313. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういう言い方も、特に決定が四月二十七日ですから、そういう面で前々からやっておったなんていうことは私も確かにあると思いますけれども、やはり何か腑に落ちないものがあるわけであります。  特にひまわり二号を打ち上げたのは昭和五十六年の八月ですね。ところが、アメリカのあの例のGOES五号、これはその三カ月前に打ち上げられています。つまり昭和五十六年の五月ですね。ところが、三カ月前に打ち上げたアメリカの方はあのエンコーダーランプに可変電圧を使っているのですね。それより後に打ち上げた同じアメリカのヒューズ社製の日本の「ひまわり」が改良前の古い型、そういうものを買わされたという格好になりますね。これは時間的にも十分間に合うはずなんですよ、アメリカはそれより先に可変電圧のものを上げているのですから。だから、自動車の例じゃありませんが、アメリカさんというのは日本から車が輸出されるときには排ガス基準がどうだこうだなんていうことを大変厳しく規制しますけれども、自分の方は、中古と言っては悪いけれども、今までの全然改良されないものを日本に押しつけてくる、こういう格好になっているわけでありまして、そういうことは私は非常に妙なといいますか、残念な感じもするわけであります。  結局、技術的にも財政的にも、なぜ日本がそれだけ背伸びをしなければならないのか、なぜ実際の力もなくてつま先立たねばならないのか、そういうことの要因を考えた場合に、これは外務省にお伺いしたいのでありますけれども、昭和四十七年の九月一日に田中・ニクソン会談、ハワイ会談というものが行われましたね。この中では皆さん御承知のとおり、例のロッキード問題の話し合いもそこでされたのじゃないかという疑いもかかっておりましたように、主要な話題はほとんど貿易摩擦解消、つまりドル減らしの問題であったわけでありますが、気象衛星を使うこともわざわざ一項設けて、協力研究の合意みたいなものをやっているわけであります。したがって、今日のこの「ひまわり」のルーツの根源というのは、私はそこにあるような感じがいたしますので、この点については外務省から一言お答えいただきたいと思います。
  314. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  昭和四十七年九月一日の共同発表の第十一項に、ただいま先生御指摘の気象衛星に関する項目がございまして、十一項を短いので読ませていただきますと、「総理大臣と大統領は、静止衛星等の応用衛星打上げという日本の目標を含めた宇宙探査の分野における協力について討議した。大統領は、地球大気開発計画の一環として日本が気象衛星の打上げに積極的関心を持ち、同衛星打上げの研究を進めていることを歓迎した。」というところでございます。(中川(利)委員「簡単でいいですよ」と呼ぶ)このときの会談は、ただいま先生御指摘のように、日米間の貿易収支の問題、貿易摩擦の問題も取り上げられましたけれども、それと同時に、日米間の協力をもう少し幅広いものにしようという観点から、文化とか教育、環境等についても協力すべき旨がうたわれておりまして、この気象衛星の話も、そういうより幅広い協力を進めるべきだという共通の認識の一環としてうたわれたものだというふうに理解しております。
  315. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれ、このときは貿易摩擦、ドル減らしが主要な全体の流れでありまして、確かに宇宙気象衛星についての協力や研究云々に合意して、あるいは歓迎したということが書いてありますが、日本とアメリカとの力関係、先ほど御答弁にありましたとおりですよ。全く技術的にもこちらが及ばない状況の中で、これは当然そういう形にそういうものを押しつけられて、まあ押しつけられるという言葉は悪いわけでありますが、そういう状況になっていかざるを得ないという側面が私は必ずこの中にあると思うのでありますが、結局、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるというようなことではなくて、やはり国民の税金でありますから、私は、せっかく買ってもブラックボックスには何だかんだ言いますけれども、手を触れさせないんですよ。あるいは、事故があっても責任は持たない、おまけに中古みたいなものを押しつけてくる、こういうことでは困ると思うんですね。  ですから、この際、あれは実用衛星だ、実用なんだ、こういうことを言わないで、もう一回実験衛星の原点に戻して、しかも日本は人も予算もかけてきちっとやり直すべき時期に来ているのではないか、第一点にこう思うのですが、このことについては気象庁の「測候時報」五十巻四号、ここにもはっきりそのような意味のことを書いているわけでありますが、いずれ、そうであるか、または少なくても気象衛星打ち上げや運用については細々とした——細田さんは名前が細田で細々としておりますけれども、そういう気象庁のわずかばかりの予算の中から、あそこの一般会計からくみ出して、本来の気象庁業務を阻害する、こういうようなことではいけませんよ。気象の業務そのものが本来的に国際的な協力義務、つまりWMOに関連するものだと思うわけでありまして、そういう点では、全くこの分野は別枠で科学技術庁の全面的なバックアップ、そういうもので改めてやるのが筋だと私は考えるのですけれども、この点は大臣にお伺いしますが、いかがお考えですか。
  316. 細田吉藏

    細田国務大臣 ごもっともな御意見だと思います。ただ非常に大きな問題でございますので、私ども、検討させていただきたいと思います。
  317. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 気象庁にしても、細々しいことは時間がないからやめますけれども、やはりわずかばかりの一般会計で、気象庁というのは総計四百八十七億円しかないんですよ。そのうち人件費と衛星に関連する費用を除けば、わずか百四十三億、この程度でやっているわけですからね。やはりこれはかわいそうだいうか、いろいろな面で阻害し、抑制され、規制される部分が本来業務の中に出てくるのは当然だと思うんですね。そういう意味で言えば、今の気象衛星「ひまわり」は、気象庁はその本家本元でございますけれども、果たしてそれが気象庁の気象業務全体に役に立っているのかどうかということですね。  私、そのことで非常に疑問に思うのでございますが、ここに静止気象衛星利用局設置場所一覧表というものがございます。これで見ますと、気象官署、つまり気象庁のかかわる官署ですね、測候所あるいは気象台ですが、あの静止衛星「ひまわり」を受像できる、そういう局は、全国でたくさんあるそういう気象台や測候所の中でも、たった九つしかこれを利用できないという状況になっているんですね。しかも、そのため、私は秋田一区の選出でございますが、秋田には気象台がございますけれども、一体どうしてこの「ひまわり」の画像からいろいろ勉強しているかといいますと、NHKに映ったものをビデオで撮って、それでいろいろ分析したり解明したりしているということです。これは全く逆じゃありませんか。気象庁の気象台から行った情報がNHKに行くとかいうならまだわかりますけれども、反対に、NHKに映ったものを素早くビデオに撮って、それでやらなければならないというのが今日の状況なわけでありまして、こういうことでいいだろうかということを私は、再度大臣にお聞きしたいと思うんですね。
  318. 末廣重二

    ○末廣政府委員 技術的なことでございますので、私から答えさせていただきます。  御指摘のとおり、衛星からじかに画像を取得できる官署の数は現在九カ所でございますが、我々としましては、さらにこの箇所をふやすことを検討いたしております。  また、例えば例にお挙げになりました秋田の気象台で、直接衛星からの情報はとれないじゃないかというお尋ねでございますが、これは東京にございます気象庁において、極めて鮮明な衛星画像を受画いたしまして、それに基づく予報の指示報、あるいは雲がどういうふうになっているかという雲の解析図、それからどこに雲があって、どこに雲がないか、また温度の分布はどうなっているか等の極めて詳細な情報を作成いたしましてファックスで放送すると同時に、また例えば秋田気象台には有線回線で直送しております。したがいまして、衛星から直接受画できる官署の数は、現在まだ限られておりますが、そうでない官署も最新の衛星に基づく情報を得ているということを御理解いただきたいと思います。
  319. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしても、本家本元みたいな気象庁が、全国数ある気象台あるいは測候所の中でたった九つの気象台、測候所しかそれを受像できないというのが現実の姿で、NHKの画像からそれをビデオで映し撮っているということも事実なんですね。こういうことは、やはり今回のかんのいろいろ御説明がありましたけれども、逆立ちしているような感じを率直に私は国民の一人として思うのでありますが、それもこれも、考えてみますと、この気象庁のわずかばかりの予算に対して、そこからひねり出させる、こういうやり方の無理がそういう格好にきておるというような感じも私はしないではないわけであります。  同時に、こういうことは海洋気象船の、長崎海洋気象台所属の長風丸、そのほかにもあるわけでありますが、こういう船は、今全く耐用年数が過ぎようとしているわけですね。そうして、しかも近代的な観測業務をやらなければならないわけでありますが、中が非常に狭かったり、あるいは仕事がしにくかったり、まさに老朽化そのものでありまして、ちょっと荒天になりますとすぐ逃げなければならない。あるいはタコ部屋同然であるとさえ言われているのであります。それから、観測室や設備が貧弱で行動範囲も非常に狭い。ここに私写真を持ってきているわけでありますが、もう観測室に機器が並び切れない。洗面場所が甲板のそばにあって荒天時には顔も洗えない。厨房が狭過ぎて荒天時には必ず握り飯を食わせるというわけです。狭い階段で高度な技術で上りおりしなければならないという状態です。寝室と食堂が一体化して大変非衛生的だ。そういう格好で何回となくその更新の問題を予算要求してきたわけでありますけれども、実際は今のような状況ですね。そういうものがかぶさっているためになかなかそれができない。最近皆さん方が帆走型の七百トンでリース方式で検討中だとかいうような返事をしたようでありますけれども、やはりリースなどということではなくて、単胴型の千トン以上の大型船の建造をぜひ実現してくれ、これが要求であります。  そこで、私どのくらいするものかと思ってちょっと聞いてみたわけでありますが、二十四億円あれば立派なものができるというわけです。その程度のことは、やはり東シナ海を一円に覆う調査観測をするわけでありまして、きょう災害特別委員会では、異常気象の問題で特に海洋の問題がどれだけ重大な影響を与えるかということの参考人のお話もございましたが、そういう点から見ても、おかしなやり方をするのではなしに、予算上のいろいろな問題もあると思いますが、先ほど申し上げたような、ないところにまたいろいろなものがかぶさっていくやり方でなくて、せめてそのメンツをはっきりさせるためにも二十四億円のお金は出してやるべきだ、こう思うのでありますけれども、この点大臣から御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  320. 細田吉藏

    細田国務大臣 長風丸のことにつきましては、どうも寡聞にして私もあなたからの質問があるということで初めてレクチャーを受けたようなわけでありまして、相当老朽船で、おっしゃるようにいろいろな点で非常な不便、不自由をいたしておる、機能が十分果たせていないということでございますので、何とか苦しい予算の中でも考えてもらわなければならない、かように思っておりますので、頑張ってみたいと思っております。
  321. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  322. 北村俊男

    北村(俊)説明員 先ほど玉城先生の質問に対しまして、私は、事業団への引き渡しにつきましては、九十日という期間のことを申し上げた次第でございますが、園山理事長が御説明申し上げましたことが正解でございまして、この引き渡しの期間は一年間というものが正確でございますので、御訂正方お願い申し上げます。慎んでおわび申し上げます。
  323. 井上一成

    ○井上(一)委員長代理 阿部昭吾君。
  324. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、最後の質問者でありますから、ごく簡潔にお尋ねをしたいと存じます。  運輸大臣、七月一日から運輸省の機構改革が行われました。今、運輸・交通というものを考えますと、そのあり方で経済も、社会もあるいは文化というか全般にわたって根本的に左右される、このぐらい運輸・交通というものが現代社会において果たしておる役割というのは大変に重大だと思うのであります。そういう中で私思うに、道路、鉄道、航空あるいは海運、このうち道路を除く三つは全部運輸大臣が責任を持っていらっしゃると思います。道路だけは、自動車その他の方は運輸大臣が責任を持っておられるけれども、道路をどうするかというものは主として建設省やその他が深くかかわっておる、こういう状況にあると思うのであります。そういう中で、今度のこの運輸省の機構改革というのが運輸・交通政策全般にわたってどういうことをやっていくことになるのかということが一つであります。  それから、例えば新幹線が通る、ところがその新幹線と並行して高速道路が通る、運輸大臣の中国地方などは、高速道路は中国地方のちょうど真ん中あたりを通っておる。東北新幹線あるいは高速道はほとんど全部重なり合って通っておるわけです。そのあたりの、高速道路も通り、新幹線も通る地域などというものは、あの地域全般を一遍で全部吸い込むぐらいの影響力を持っておりますね。観光にしても、産業にしても、経済にしても全部新幹線と道路が重なり合って通った地域というのは、ぐんぐん引っ張っていく、吸い込んでいくぐらいのエネルギーを持っております。ところが、そういう意味で私は、重なり合わして通さなければならぬようないろいろな歴史的なあるいは現状段階での状況もあることもそのとおりだと思うのであります。しかし、そういうところから置き残された地域というのは大変なんですね。そうすると、今度のこの機構改革に伴って、運輸大臣は、運輸・交通政策全般にわたって従来よりももっともっと大きな役割を担うようになられたのではないかと思うのであります。  したがって、運輸・交通というものが経済や社会、世の中全体を左右するくらいの決定的な影響を持つという現代において、私の認識からいえば新幹線と高速道はある意味で言えば、重なり合わして通すのではなくて別々に通すとか、あるいはそういう意味での高速交通のネットワークの中に組み込み得ない地域には航空の関係とか、また違った観点でバランスをちゃんと考えるとか、そういうところに次の政策展開のポイントを持っていただかなければならぬのではないかと思うわけでありますが、細田大臣におかれて、今度機構改革もやられたということも含めて、お考えをお伺いしておきたいと思うのであります。
  325. 細田吉藏

    細田国務大臣 私が申し上げるまでもございませんが、日本の交通行政は明治の工部省から始まりまして、陸は鉄道院から鉄道省、そして空は当時はほとんどございませんが、海と空は逓信省、こういうことでそれぞれの交通機関別の部局で担当して、それぞれ伸ばしてまいった。道路については先ほどの御発言がございましたが、道路の上を通る自動車というものについては、これは陸上の交通機関として扱っておるというわけでございまして、言うならば縦割りというのは、日本の明治の行政が始まってからずっと縦割りでやってきたわけでございます。しかしながら、いろいろな点で縦割りでは矛盾があり、総合性がないということで、私ども役所におります際に官房企画課というようなものが初めてできて、そこで総合企画というものをやろうというようなことから始まったわけでございますが、ごく最近までは、この機構改正までは官房に政策担当審議官を置きまして、そこで海陸空にまたがる総合的な政策を見ていこう、こういうことにしておりましたけれども、これはいわば妥協的にそういうものができておったと思うのでございます。  それで、今回の機構改正によりまして、これをむしろ縦割りをやめまして、運輸政策局という局をつくって運輸行政の全般にわたる政策の樹立に当たる、こういうことにいたしたのでございます。そして国際関係は国際関係で、これは海空にわたって国際運輸・観光局、そして日本国内は地域交通局、こういう形にいたしまして、一遍今までの考え方を御破算にして全体を見直していこう、こういう形にいたしたわけでございまして、私は今例を挙げておっしゃいました新幹線あるいは高速道路、いろんな日本の交通の海陸空を合わせた総合的な姿、これが国土の均衡ある発展のためにというような点から見てもどうあるべきかということを今度の機構は非常に扱いやすくなってまいった、かように思っているのでございます。  例えばいろいろ政策を実行していきます場合の免許その他の問題とかあるいは運賃の問題とか、そういう問題についても横並びでこれを比較検討し、調整をしていくことができるようになった、こういう点で非常に大きな意義を持っておると思っております。ただ、しかしながら今までみんな育ってきた環境が環境でございますから、機構を変えたらすぐ次の日から直ちに非常に大きく立派になっていくかどうかということは、必ずしもそう簡単なことではございませんで、むしろこれから新しい機構をつくって、そしてその命をむしろみんなの力で入れていかなくちゃいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  326. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 強力な運輸・交通の手段を持っておるところは今大変強いのであります。そういうものに恵まれておらぬ地域というのは非常な弱い立場、いろんな意味で次の運輸・交通全般の政策展開の場合に、一般論的に言えば、やはり需要、採算、いろんな問題があると思うのです。それから同時に、弱者と強者という関係に地域状況を、新幹線なり高速道などは全く分けてしまう。このぐらい大きな意味を持っておるという意味で、総合的な、今大臣言われた均衡ある国土の発展、こういう意味での政策展開にぜひ努力をしてもらいたいという希望を申し上げておきたいと存じます。  それから次は、時間の関係で二つぐらい申し上げて終わりにしたいのでありますが、国鉄が今重要な一つの転換の時期にある。世間一般や最近のマスコミなりそういうものは、国鉄がぐうたらでだらしがないから今日だめになった。こういう風潮があるというかつくられてきたというか、確かに国鉄自体が必ずしも今のままでいいとは思いません。大いに根本的な点で改革をしなければならぬことは当然ですけれども、しかし、基本的に突き詰めてみると、道路が整備されてよくなっただけ国鉄はだめになっていくんですね。これはやはり時代の流れだろうと思うのであります。  したがって、それならばメガロポリスと呼ばれるような地域における私鉄は大変大きな利益を上げて順調に発展をしておる。国鉄とは段違いなんです。それは一体どこが違うのであるかということで一歩突っ込んでみると、私鉄の方は輸送という業務以外のもうかることは何でもやれるようになっておるのです。スーパーもやり、デパートもやり、あるいはホテルもやり、団地開発もやり、レジャーランドもやり、墓場づくりもやりと、私鉄の中に経済的には全部くくり上げてくることができるようなことをみずからの手で全部できる。国鉄の場合さようなことをやったら、全国ネットワークでありますから、それぞれの地域で大変な大問題を起こすだろうと思うのであります。だから国鉄はもうかることに余り手を出してはいかぬ。地域の中小企業なり地域経済と競合するようなことはやってはいかぬというので、手足を厳重に縛り上げてきたと思うのです。これから私鉄並みにどうぞもうかることをおやりなさいと言ったら、これは大変なことが起こるんだろうと思うのです。  しかし最近は、古い客車や貨車を払い下げしたとか、入札で売ったのか何で売ったのか知らぬけれども、なかなか味なことを国鉄もやる、こういうことが言われておるのであります。しかし将来は、国鉄も私鉄並みとはいかぬのかどうか知らぬけれども、だんだん従来の手足を縛ってきたやり方を相当程度、存分にいろんなことをおやりなさいという方向に変わっていくのであろうかという気も実はするわけであります。五十六年の決算なとを見ると、国鉄が最も厳しい困難な時期の、そして将来どうするかということを苦しみながら模索しつつある時代の決算であります。今の段階で国鉄は、私鉄並みとはいかぬでも、いろんなことをやってもよろしいというぐあいに転換しようとなさっておるのか。展開するとすればどのあたりまでが限度なのか、お聞きをしたいと思うのであります。
  327. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御質問にございましたように、国鉄は国有鉄道法の規定によりましてその事業の範囲というのが限定されておるわけでございます。その理由としても、先生御質問の中で御指摘になりましたように、やはり国鉄というのは国でございますから、おのずからその行える業務というものには一定の限度があるということで、鉄道に直接かかわりのあるものということに制限をされておったわけでございます。  ただ、御承知のように国鉄経営が大変悪化をいたしまして、その関係国鉄の持っております資産の有効な活用、その他関連の事業のすそ野を広げて少しでも増収を図るべきではないかという御意見も他方ございまして、過去におきまして、法律の改正、それに伴います政令の改正等を行いまして、従来はごく限られた範囲にしか投資ができなかったというものを投資を行えるということで、関連事業という形でそれらの事業の行える範囲を拡大してきたわけでございます。  そのような事業につきましては、今のような国鉄状況から見て極力それらを充実して、そして収益を上げるべきであるということは、国鉄再建監理委員会等からも御指摘があるところでございまして、現在その線に沿って資産の有効活用を中心といたしましてできる限り国鉄の収益が広がるように関連事業のすそ野は広げていきたいということでやっておるわけでございますが、国鉄が直接それらの事業に直営として行うということには、先生御指摘のように、今のような公社という形であった場合にはおのずから限界があるというふうに考えております。
  328. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 この問題もいろいろな角度から問うてみる意味を持っている課題ではないかと私は思います。国鉄が、従来のように手足を縛ってやっていけというのであれば、やはり道路並みに軌道は財政が責任を持つとか、割り切らなければ成り立たぬものだろうと思うのですね。したがって、輸送業務以外の利益を上げることのできるような分野はどのあたりまで国鉄は展開していっていいのかどうかということは、きれいごとじゃなしに相当掘り下げてみる必要がある課題ではないかと思います。  それから今度は、運輸大臣、私鉄の問題であります。私鉄も、首都圏なり近畿圏なり、大都会の私鉄は大変いいのであります。ところが、地方、ローカルの私鉄というのはみんな本当にどうにもならぬ段階に突き当たっておるところが非常に多いわけであります。  そこで、国及び地方団体は、私の記憶ではもう十年以上たつと思っておりますけれども、地方の赤字バス会社その他に対して一定の政策的なサポートをやってきたわけであります。この政策の将来展望はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいのであります。
  329. 服部経治

    ○服部政府委員 ローカルの鉄道輸送を担当しておりますいわゆる中小私鉄の経営実態は、ただいま阿部先生の御指摘のとおりでございまして、私ども、そういったローカルの中小私鉄の先行きにつきまして大いに頭を痛め続けてきておるわけでございます。  数字でちょっと申し上げますと、例えば大都市のいわゆる大手私鉄と呼ばれておりますものは、輸送需要が非常に鈍化いたしました昭和五十年度以降におきましても、年々一%弱の輸送需要の伸びを見ております。これに対しまして、本当のローカルの私鉄というのは、会社によってもちろん数字はまちまちでございますが、押しなべて申しまして、年率三%ないし四%というような勢いで輸送量が減退してまいっております。これは輸送事業にとりましては本当に生き死にをかけたような深刻な問題でございます。ただ、その中でも、兼業部門によりましてその鉄道部門の赤字をカバーしておるというところはまだ救いがございます。しかし、赤字会社の約半分ぐらいのものは、兼業部門を含めましても赤字というような極めて深刻な事態に追い込まれております。  そういう状況の中でどうやってこういったローカルの公共輸送手段、輸送機能というものを維持していくかというのは大変難しい問題でございまして、私どもこれまで、欠損補助でございますとか近代化補助でございますとかあるいは踏切整備補助といったような名目のもとに毎年十数億程度の補助金を交付しておりまして、これは原則的に地方公共団体と折半でございますから、額としては、十数億と申せば三十億近くの額になるわけでございますが、そういう形で、やめるにやめられない。経営は大変苦しいけれども、地域の実情その他から、どうしても存続維持を余儀なくされている鉄道につきまして、その維持を図ってきておるということでございますが、事の性質上、当面ほかに名案もあるわけではございませんので、こういった助成の充実ということで先行きとも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  330. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、今のような課題、これが運輸・交通という今の時代においては大変重要な——昔のように、鎖国時代の、しかも藩ごとに立てこもって割拠しておるような時代ならば、運輸も交通も余り意味を持たなかったと思うのであります。今はもう本当に運輸・交通のあり方一つでその地域のあり方も社会のあり方も経済のあり方も全部一遍で変わる、こういう意味での運輸・交通の政策というのは大変重要な意味を持っておるという意味で、今幾つかのことを申し上げましたけれども、きょうこの時間だけで問題を私なりに納得いくほど詰めるわけにはまいりませんけれども、運輸大臣におかれて、さらに一層御尽力を願いたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。
  331. 井上一成

    ○井上(一)委員長代理 次回は、来る二十日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会