○
仁杉説明員 昭和五十六
年度の
日本国有鉄道の
決算につきまして、ただいま
運輸大臣から
予算の
区分に基づく
収入支出決算状況の御
説明がございましたが、
日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、
経営成績の
概要を補足して御
説明申し上げます。
日本国有鉄道の
経理につきましては、
昭和五十一
年度から
一般勘定と
特定債務整理特別勘定の二つに
区分して
経理いたしております。
まず、
一般勘定につきましては、
営業収入は、
旅客収入二兆四千三十四億六千三百十万円、
貨物収入三千百十三億六千五百三十六万円、
雑収入千百五十三億七千八百万円、
助成金受け入れ三千四百二十八億九百六十四万円、
合計三兆千七百三十億千六百十万円となっております。
なお、
助成金は、
工事費補助金、
地方交通線特別交付金、
地方バス路線運営費補助金、
大都市交通施設運営費補助金、
合理化促進特別交付金及び
特別退職手当補給金であります。
この
営業収入を前
年度と比較いたしますと、
旅客収入千六百十億二千百八十九万円、率にいたしまして七%の
増加、
貨物収入百八十二億千三百十三万円、率にいたしまして六%の
減少、
雑収入百二十八億四千五百八万円、率にいたしまして一三%の
増加、
助成金受け入れ五百三十六億八千三百六十四万円、率にいたしまして一九%の
増加、
合計二千九十二億三千七百四十八万円、率にいたしまして七%の
増加となっております。
旅客収入の
増加は主として
昭和五十六年四月及び七月に実施いたしました
運賃改定によるものであります。また、
助成金が前
年度より
増加しておりますが、これは主として
工事費補助金、
地方交通線特別交付金及び
特別退職手当補給金が増額されたことによるものであります。
輸送量につきましては、
旅客輸送量千九百四十九億七千二百五十一万人
キロ、
貨物輸送量三百三十九億五千六百二万トン
キロと、それぞれ前
年度に比べますと
旅客は一%の
減少、
貨物は一〇%の
減少となりました。
営業経費は、極力
合理化の推進並びに
経費の節約に努めてまいりましたが、
退職手当、共済組合交付金及び利子の
増加等がありました結果、
営業経費の
合計は四兆三千二百五十四億二千六百八十四万円と、前
年度に比べまして九%の
増加となりました。
営業経費の内訳は、人件費二兆七十一億七千三十八万円、動力費二千二百八十六億七千二十四万円、修繕費七千百九十六億千三百二十八万円、
業務費三千百五十六億四千五百十二万円、租税及び公課三百二十五億六千八百七万円、
営業費計三兆三千三十六億六千七百九万円、利子及び債務取扱諸費六千二十九億七千七百八十三万円、減価償却費三千五百八十八億五千二百三十二万円、固定資産除却費二百六十八億七千五百十万円、繰り延べ資産償却費三百三十億五千四百五十万円、資本
経費計一兆二百十七億五千九百七十五万円、
合計四兆三千二百五十四億二千六百八十四万円であります。
以上の結果、
営業成績は、
営業損失一兆千五百二十四億千七十四万円、
営業外利益六百六十五億千九百六十九万円、純
損失一兆八百五十八億九千百五万円となりました。
なお、
昭和五十三
年度から純
損失について
退職手当の異常
支出相当額を特定
退職手当純
損失、その他を一般純
損失として整理いたしておりますが、これによれば、一般純
損失八千二百二十億五千六百六十万円、特定
退職手当純
損失二千六百三十八億三千四百四十五万円であります。このため、繰越欠損金は前
年度から繰り越された欠損金一兆千七百八十八億千九百五十六万円と合わせて二兆二千六百四十七億千六十一万円となりました。
次に、設備投資の
概要を御
説明申し上げます。
昭和五十六
年度は、保安・取替・公害投資、体質
改善投資、
輸送力増強投資並びに
新幹線建設の諸
工事を実施いたしました結果、設備投資額は一兆二千八百四十六億六千三百四十四万円となりました。
なお、
昭和五十六
年度の設備投資額の
事項別内訳は、保安・取替・公害投資四千三百五十六億七千六百九十二万円、体質
改善投資千六百八十七億三千四十三万円、
輸送力増強投資二千四十七億千九百六十五万円、
新幹線建設四千七百五十五億三千六百四十四万円、
合計一兆二千八百四十六億六千三百四十四万円であります。
これらの設備資金等のために、新たに長期負債の
増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金一兆三十六億円、鉄道債券発行額一兆八百六十三億七千二百四十万円、
合計二兆八百九十九億七千二百四十万円であります。一方、長期負債の償還に伴う
減少額は三千三百七十六億二千七十一万円でありまして、この結果、長期負債は、前
年度に比べて一兆七千五百二十三億五千百六十九万円
増加し、
昭和五十六
年度末において十兆八千二百九十三億七千三百十七万円となりました。
なお、
工事費の一部補助として受け入れた特別
施設整備費補助金三百二十七億七千二百二十八万円、防災
事業費補助九十七億五千六万円、整備
新幹線建設調査費補助金十八億五千八百八十七万円、磁気浮上方式鉄道技術開発費補助金五億五千九十八万円は、その他負債に計上いたしております。
次に、特別
勘定につきまして御
説明申し上げます。
昭和五十五
年度末の特別
勘定の長期負債残高は、特定長期借入金五兆五百九十九億二百万円、財政再建借入金二千六百二十二億四千七百万円、
合計五兆三千二百二十一億四千九百万円でありますが、
昭和五十六
年度は借り入れ及び償還がありませんでしたので、同額が
昭和五十六
年度末長期負債残高になっております。
また、特定長期借入金に係る利子につきましては三千四百五十六億七千二百万円でありますが、この利子は同額の財政再建利子補給金の受け入れにより
支出いたしております。
最後に、
昭和五十六
年度の
予算執行につきましては、
会計検査院から
不当事項四件の御
指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに
予算の
効率的運用に一段の努力をいたす
所存でございます。