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1984-04-25 第101回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十五日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 近藤 元次君 理事 谷  洋一君    理事 東家 嘉幸君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 神田  厚君       榎本 和平君    小坂徳三郎君       桜井  新君    塩崎  潤君       城地 豊司君    近江巳記夫君       玉城 栄一君    中川利三郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      後藤田正晴君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         行政管理庁長官         官房総務審議官 古橋源六郎君         行政管理庁長官         官房会計課長  前山  勇君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         行政管理庁行政         監査局長    竹村  晟君         経済企画政務次         官       山崎武三郎君         経済企画庁長官         官房長     窪田  弘君         経済企画庁長官         官房会計課長  遠山 仁人君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         運輸大臣官房会         計課長     宮本 春樹君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         外務大臣官房外         務参事官    木幡 昭七君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         大蔵省関税局輸         入課長     川上 壽一君         厚生省年金局資         金課長     熊代 昭彦君         通商産業省貿易         局輸出課長   土居 征夫君         運輸大臣官房人         事課長     早川  章君         労働省労働基準         局労災管理課長 新村浩一郎君         建設省都市局部         市高速道路公団         監理官     城  宏明君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         建設省住宅局住         団監理官    平戸  孝君         建設省住宅居住         宅・都市整備公         団監理官    河津 四郎君         自治大臣官房情         報監理官    後藤  功君         会計検査院事務         総局第一課長  西川 和行君         会計検査院事務         総局第四課長  磯田  晋君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  本田勇一郎君         日本国有鉄道運         転局列車課長  石井 康祐君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      池田  本君         参  考  人         (石油公団総裁和田 敏信君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁経済企画庁)〕      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管行政管理庁及び経済企画庁について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として石油公団総裁和田敏信君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 横山利秋

    横山委員長 それでは、順次概要説明を求めます。  まず、行政管理庁長官から概要説明を求めます。後藤田行政管理庁長官
  5. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 昭和五十六年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は二百七億二千二百七十五万円余でございまして、支出済み歳出額は二百四億五千九百四十八万円余、不用額は二億六千三百二十七万円余であります。  支出済み歳出額内訳は、人件費が八十億三百六十一万円余、事務費等が二十七億七千二百四十四万円余、統計調査事務地方公共団体委託費が九十六億八千三百四十二万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、退職手当を要することが少なかったためでございます。  以上をもちまして、行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  6. 横山利秋

  7. 西川和行

    西川会計検査院説明員 昭和五十六年度行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 横山利秋

  9. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十六年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  経済企画庁歳出予算現額は九十六億五百二十二万円余でありまして、支出済み歳出額は八十七億一千十一万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、八億九千五百十一万円余の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  歳出予算現額につきましては、当初予算額が百十七億三千二百三十万円余でありましたが、関係各省所管へ移しかえた額十九億九千五百十七万円と予算補正修正減少額一億三千六百九十八万円余を差し引き、関係各省所管から移しかえられた額五百六万円余を加えまして九十六億五百二十二万円余が歳出予算現額となっております。  支出済み歳出額の主な内訳は、経済企画庁一般経費七十四億八千五百五十万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億二千二百九十六万円余、経済研究所経費六億九千六百七十五万円余等であります。  次に、不用額は八億九千五百十一万円余でありまして、その主なものは、国民生活安定対策等経済政策推進費でありますが、これは対象となる特別対策を要することが少なかったこと等によるものであります。  以上、昭和五十六年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  10. 横山利秋

  11. 西川和行

    西川会計検査院説明員 昭和五十六年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  12. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 私は、初めに石油公団お尋ねをしたいと思います。  少なくとも五十七年の三月末現在で公団が、いわゆる探鉱投融資総額ですね、どれほどの金額を探鉱融資に投入をしたのか、さらには石油開発事業における債務保証額、この総額幾らにぼるのか、最初に聞いておきたいと思います。
  15. 和田敏信

    和田参考人 投融資額に関しましては、五十七、年末というお尋ねでございましたが、手元にありますのは五十八年末でございます。九千百五十億程度でございます。  それから、保証の残に関しましては、年度がばらばらで恐縮でございますが、五十七年度末で三千八百二十七億となっております。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、石油附発公団に対する五十一年度決算検査報告の中でも指摘があるわけでありますが、いわばこれらの資金投下に対するいわゆる不成功、実質的には損失額はどれほどになっているのか。さらには、それは何カ所の整理が合計されたものなのか、まだ整理のされてない残余のプロジェクトは何カ所あるのか。
  17. 和田敏信

    和田参考人 五十八年度末におきまして不成功プロジェクト八百八十四億となっております。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 それは不成功、いわゆる失敗をしたプロジェクト総額ですか。
  19. 和田敏信

    和田参考人 さようでございます。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 プロジェクト件数では幾らでしょうか。
  21. 和田敏信

    和田参考人 プロジェクト件数といたしましては二十二件でございます。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 現在までに石油公団がかかわってきたプロジェクト件数はどれほどの数なんですか。
  23. 和田敏信

    和田参考人 債務保証の分も含めまして八十件でございます。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 八十件のうち二十二件のプロジェクトが合計八百八十四億円、いわば実効の伴わない損失額探鉱開発については一定のリスクは背負わされるわけでありますけれども、この整理をされた二十二件以外にまだ現在整理を進めているプロジェクトはいかほどあるのでしょうか。
  25. 和田敏信

    和田参考人 現在探鉱中のものは三十六件でございまして、この三十六件の中身に関しましては、非常に明るいものあるいは相当程度将来の苦難が予想されるもの等いろいろございますが、まだその判断を下すには至ってないものが三十六件でございます。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 今のお答えでもおわかりのように、八十件近いプロジェクトの中で二十二件は既に損失額として計上される、さらに三十六件については、有望なプロジェクトもあるが、まだ最終的にはわからない。八十件の中でトータルで五十八件、いわば七割近い危険性がこれで証明されるわけです。いわば試掘成功率というのは、公団が投融資したプロジェクトについては三〇%ぐらいにしかすぎないことが今明らかになったわけです。  続いて、私はこの石油公団が関与していくプロジェクト、とりわけ何回か指摘をしてきましたカナダドーム石油に対する資金供与の点についてさらに質問を続けたい。  御承知のように、この問題については、昨年の行革特別委員会で私は鋭く指摘をしたわけであります。当時、公団もさらには通産大臣大蔵大臣も、今のこの投資に対しては見通しが甘かった。さらには、今後はいわゆる整理会社として北極石油は存続はするが、前途、先行きは非常に不安定である。むしろ企業の形態スリムにして、何とかドーム石油再建を待ちたい、こういうお答えがあったわけでありますが、公団総裁として、今ロドーム石油に対する資金供与について率直な御感想、御意見をまず最初に聞いておきたい。
  27. 和田敏信

    和田参考人 ドームプロジェクトに関しましては、出発時点で、当時としてはできる限りの技術評価経済評価を実施いたしまして、最善を尽くしたわけでございます。しかし、御承知のように現状は満足すべき状態でないことは事実であり、まことに残念に思うものでございます。しかしながら、ドーム社側ボーフォート海における探鉱を現在も継続いたしておりますし、ドーム社再建計画合意もできつつございます。また、カナダ政府ドーム社支援を明らかにしておりまして、私自身カナダの担当の閣僚から、カナダ政府ドーム支援に関しては万般の努力をするというお言葉を得ております。  このような事態でございますので、本件プロジェクトの前進を今後とも慎重に見守ってまいりたいと思っておるのでございます。ただ、御指摘のように、当初の計画に沿った生産開始が困難であることは現在においては明らかでございますし、北極石油、この日本側会社につきましては、四億ドルを既に貸し出したわけでございますので、この四億ドル債権の効率的な管理ということで、先般もお答え申し上げましたように、非常にスリムな形で今後やっていきたい。そのため、通産省の指導を得まして、既に人員その他の大幅な減少を行ってきたのでございます。今後につきましては、ドーム社経営の立ち直り、今後の探鉱成果探鉱というのはエクスプロレーションでございますが、探鉱成果、油の値段の推移等あらゆる角度から見まして、今後の一層の追加投資というようなことは、大丈夫だという確信が得られるまでは厳に慎みたいと思っております。  それから、本件は御承知のように、カナダ政府としても非常に熱心にこれを支援しておりますし、我々としても、また私自身、ことしの一月新たにドーム社会長としてマクドナルド会長が来られましたので、我が方は既に四億ドル融資済みでございますが、八五年及び八六年につきましても、探鉱実施方につきましては、これを日本側とも十分相談をして行うよう強く要請をいたしました。先方もまた、口頭ではございますが、八五、八六両年度におきましては、ドームボーフォート海における探鉱を実施していくということを確約したのでございます。事情がこのような事庸でございますので、当初計画に相当おくれを見ておりますので、我が方の北極石油は極力これをスリムにいたしますとともに、またカナダ側に対しては、我が方が四億ドル融資をした経緯にもかんがみまして、今後その探鉱を効率的に行うよう引き続き誠炎かつ粘り強い折衝を重ねてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 この資金融資については、当初通常石油開発ビジネス契約方式であるファームアウト方式、それが途中で資金供与方式に変わったわけですね。これはいわば売り手市場で、むしろ片務的な契約であり新しい形態である。こういう鉱区に対しては何の権利権益も持たない、こんな資金供与での契約が本当に国益日の丸石油を確保するための一つの方法なのか、手段なのか、非常に安易ではないか。国内におけるいわゆる行政改革さらには財政改革。いろいろな意味で国民に対する辛抱、我慢を片側では押しつけていく。片側で、国外でこういう余りにもでたらめ過ぎる契約が何の日本国益につながっていくのか。  私の意見は別にして、検査院にまず冒頭骨お聞きをしたいと思うのです。こういう資金供与方式での契約というものは、検査院としてはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。この融資形態についての御所見をお伺いをいたしたい、こういうふうに思います。
  29. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 御承知のように、石油探鉱開発に当たって、石油鉱区を保有する外国の政府あるいは法人との間にいろいろな形態契約がございますが、今、先生がおっしゃった、いわゆる融資買油方式という方式は、全体的な傾向から見まして、余り数の多くない形態に属するものだというふうに考えております。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 今の検査院お答えは正しい認識だ。非常にソフトな発言ですが、厳しく表現をすれば、端的に表現をすれば、数少ない云々と言われましたけれども、異例だ、異例方式だ、僕はこういう受けとめ方をするのです。検査院の御所見、その私の受けとめ方、こういう形態は数少ない、本当に異例だ、そういう認識に相通しますね。
  31. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 私もこの難しい探鉱開発の問題、すべてつまびらかにしているわけでございませんので、数字から見て余り多くないということを申し上げて、お許しを得たいと思います。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、私は総裁に――何か先ほど、片側ではスリムになりたいんだ、なるんだと言いながら、相手方の八五年、八六年探鉱実施方見通しを、言葉では確約しているんだとか非常に見通しの甘い――ここだけの答弁では僕は済まされぬと思うのですよ。  私が手にしている共同通信の報道によれば、ドーム石油は今までも債務繰り延べしているわけなんですよ。さらに、「一九八二年以来債務借り換え交渉をしていた同社経営危機打開へ突破口を開くものとみられている。」そういう締めくくりでありますけれども、「主要債権グループのうち二グループとの間で、同社債務五十九億九千万カナダドルの一部返済繰り延べ合意に達した、」これは十七日ですね。いわば債権繰り延べ。そういうことで経営状況通常でない、こういう判断を僕はしているのです。  公団ドーム石油経営状況についてどういうふうに認識をしてらっしゃるのか。六十四年あるいは六十五年に立ち直って、四億カナダドル、七百七十億円ですよ、その金が約束どおりに六十五年、六十六年に何らかの形で我が国に還元される、こういう見通しを持っているんですか。経営状況をどういうふうに把握しておるのですか。
  33. 和田敏信

    和田参考人 ドーム社がファイナンシャルな面におきまして非常に望ましくない状態にあることは御指摘のとおりでございます。  ドーム社の最新のリスケジュール等に関しましては、御承知かとも思いますが、五十八年十二月一日に彼らは再建計画債権者に提示をしております。これはシティーバンク・シンジケート、それからカナダ四大銀行等大口債権者でございますが、それの元本返済繰り延べにつきまして四月中旬大筋合意、これによって次のステップとして再建計画の他の項目に着手することにより、我々としてはドーム再建が軌道に乗るものと期待しております。  現状においてどうかという御質問でございますが、これは非常に苦しい状態にあることは疑いを入れません。かつ、我が方の原契約でございますと、ちょっと手元に資料がございませんが、計画が万事スムーズにいった場合には、昭和六十四年ころから油を受け取るという契約だったと記憶しておりますが、その時点が大幅におくれるであろうということは考えております。  そのような状態ではございますが、我々としてはぜひとも、先生指摘のような四億ドルというような大金を融資したのでございますので、八五、八六年におきましても、油は元来あるところでございますので、それの効率的な掘削、生産、出荷というようなことで、何としてでも我々の融資がむだなものにならないようにするために全力を注ぎたいというふうに考えておるのでございます。     〔委員長退席新村(勝)委員長代理着席
  34. 井上一成

    井上(一)委員 むだにならないように全力を注ぎたいと言うが、気持ちだけとかそういう突っ張りだけで事は処理できるものではないので、やはり冷静に客観的に情勢判断しながらどう対応していくかということが私は大事だと思う。あなたが大幅におくれるというのは、それは大幅というのは、十年も大幅なら二十年も大幅だ。ひょっとしたら三十年待ってももらえないかもわからないですね。まあそれは後にしまして、経緯については私はここで詳しく申し上げる必要はないのです。だから、ドーム石油に対する資金供与がどういう雰囲気でどういう形態でやられたか。あるいは北極石油資本金四百八十六億八千二百万円、六〇%を石油公団出資をしている。あるいはこのドーム石油に対して四億カナダドル日本円にして約七百七十億円。ところが、これは三社契約になっておるわけなんですね。ドーム石油あるいはドームカナダ北極石油契約をしたのは五十六年二月。そしてドームカナダ、これは冬眠会社をずっと引き継いで、社名変更をしながらドームカナダが設立されたのが五十六年三月十九日。北極石油資金を供与するという契約をした契約時点と一カ月おくれでこのドームカナダ社名変更をしながら設立をされている。そして三社契約になっている。経緯については時間がありませんからここで申し上げませんが、前段でのドーム石油に対する一億七千五百万ドル、さらにはドームカナダに二億二千五百万ドル。もっとわかりやすく言えば、ドームカナダに対して金を供与するわけなんですけれども、ドーム石油を入れないことには、ドーム石油が過去に持っている鉱区をひっくるめて四億カナダドルを貸与したのだ、あなた方はそういうふうに弁解するわけです。僕の見通しとしては、この一億七千五百万カナダドルというものは、いわばつぶれたドーム石油のどうにもならぬ債権ドームカナダ肩がわりをしていく、そういう形の中で三社契約にして、四億カナダドル石油公団から出資をした日本窓口北極石油から融資を受ける。そして、その融資も十二分に権益権利を保護するというか、キープする、確保する、そんなことのできない数少ない異例融資形態でやってきた。これは非常にでたらめきわまりないと私は思うのです。  ここで、経緯等については若干省きますけれども、私は検査院にぜひお聞きをしておきたい。特に、このドーム石油に対する今回の融資について、私が今指摘したように、既に投資された――契約以前に試掘をされたり、あるいは鉱区としての権利権益を持っているドーム石油に対する融資一億七千五百万ドル。この融資については検査院はどういう御認識を持っていらっしゃるのか、まず検査院の方からお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  35. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 先生の御指摘をいただいてから私どもも可能な限り種々調査させていただきました。石油公団側から、この契約に至ったさまざまな事情経緯については説明をいろいろと伺いました。この点については石油公団側からお答えがあると思いますので私からあえて申しませんが、非常な難しい情勢の中に非常に苦労した契約をなさったように、所見でございますが、見受けました。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 検査院の方、何か非常に歯切れが悪いのですね。苦労なさったと言う。石油公団は何かやはり言いわけをしますよ。それを入れることにおいて後のドームカナダに対する二億二千五百万カナダドル融資が効果を出すんだとか、あるいはそのことがそこに一定の油の見通しが持てる鉱区だったんだとか、それは石油公団は何ぼでも理屈はづけられると思うのです。  私のお聞きしたいのは、このドーム石油に対する一億七千五百万ドルのこのような貸し付けは、難しいとかいろいろな理由があって、あなた方にはそれ相応な説明をしていると思いますよ。しかし、この融資について検査院として客観的な立場に立って一体どういうふうに受けとめていらっしゃるのか。普通であれば、融資内容が明らかにあり、支出明細がきっちりとし、そしてその問題についていついかなるときにでもきっちりとそういうものがどこにでも説明のつけ得る、そういうのが大体税金がむだに使われてないという、そういうことをあなた方が検査なさって報告をするわけですけれども、一億七千五百万ドルについて融資内容支出明細が確認できたのかどうか、そういう点についてはいかがなんですか。
  37. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 私ども、北極石油株式会社並びに石油公団からいろいろ説明を承りました。このドームプロジェクト契約仕組みといたしまして、一億七千五百万カナダドルにつきましては、使途の内訳まで北極石油側から明らかにできないという仕組みのように承知しております。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 そこが問題なんですね。ドーム石油、これは外風だから、カナダだから現地まで行かれるということは僕は不可能だと思うから、その日本窓口である北極石油を通してその検査をされる。その北極石油検査の中でも、今私が指摘をした融資内容支出明細が確認できない、はっきりと明らかにできない。  これはちょっと一般論としてお聞きします。使途確認ができない融資等については、これは通常は好ましくないと御指摘をなさっているわけなんですね、今までどの決算報告でも。これは一般論として、使途明細が明らかに確認できないというのは、そういう融資は好ましくない、こういうふうに私は思っているのですし、検査院もそういうふうに今まで御指摘をなさってきたのですが、これは一度、いかがなものでございましょうか、ちょっと確認をしておきたい。
  39. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 一般論、特に国内におきます公共契約の場におきましては、契約の実効を確保するという観点からいたしまして、できる限り融資側から使途の内訳まで明らかにできるような措置がついていることが望ましいことであると思います。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 私はもう確認をする必要もないくらいの質問をしたのです。なぜこんなことを質問しなければいけないかというと、やはりドーム石油にはね返ってくるわけなんです。ドーム石油では、今その仕組みとして支出明細が確認できなかった。  率直に言って、検査院は今の段階では非常にお答えしにくいと思いますが、この融資についてはやはり好ましくない、私自身は不当だと思うのです。後で後藤田長官に所見を聞きますけれども、私はこんなルーズな貸し方はけしからぬ、こんなことは許されぬと思っているのです。思っているのですけれども、検査院にきょうそういう決めつけのお答えをいただこうとも私は思っていませんし、まだ検査がそれだけ徹底でき得る状況ではないと私は承知しております。だから、お答えがしにくいかもわからぬけれども、この一億七千五百万カナダドルドーム石油に対する融資本来は四億カナダドルの三社契約ですから一億七千五百万ドルだけを区切るということはややこしいのですけれども、特にこの内容を私を含めて皆さんよくわかっているから、ドーム石油に対する一億七千五百万ドル融資検査院は好ましくないというふうに受けとめていらっしゃると私は思っています。だから、好ましくないということに対して、石油公団はいやそうじゃないんだという反論を数字をもって説明できるように今後してもらいたい。これは後で石油公団に申し上げるのですけれども、検査院としては好ましくないという受けとめ方をなさっていらっしゃるのじゃないですか、いかがですか。
  41. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 ちょっとくどいようですが、先ほども申し上げましたように、ぜひ石油公団総裁の御説明も聞いていただきたいと思います。  まず私の方から、のっけから結論のようになってまことに恐縮でございますが、先ほども一般論として申し上げましたように、可能な限り契約の実効を確保すべきであるという考え方に立って、使途確認ができない融資は好ましくないというふうに思われます。それだけ申し上げておきます。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 ドーム石油の一億七千五百万ドルは、今の仕組みの中で使途明細が確認でき得なかった、そういうことでございますね。
  43. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 先ほども申し上げましたように、一億七千五百万カナダドル融資の使途の内容につきましては、残念ながら私ども確認いたしておりません。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 公団総裁、あなた方はこの一億七千五百万ドルの使途を正確、明細に検査院説明ができる自信がありますか。
  45. 和田敏信

    和田参考人 日本の国内法ですべて律せられる地域ではなくて、事は日本と外国と両方にまたがった関係でございますので、国内法できっちり割り切った説明はなかなか困難でございますが、この一億七千五百万ドルに関しましては、アメリカ側におきましてもまた関心を持っておるところでございまして、アメリカの国会、SECにおきましても、カナダの国内法に基づきまして許可というか免許というかそういうものを受けております公認会計士の発出しました証票を添えて、一億七千五百万ドルがまさに一九八〇年に探鉱のためにドーム社によって使われたという確認はいたしておるのでございます。  御質問の範囲を超えるものでございますが、我々も、四億ドルの中でこの一億七千五百万ドルを超える他の部分に関しましては、さらにこれに加えましてバウチャーと申しますか証憑書類までの追及を行っておりますが、一億七千五百万ドルに関しましては、公認会計士の証明、米国のSECによるこれを認めるというこの二つの要素で、まさに一九八〇年においてこれをドーム社探鉱のために使ったものであろうということを認定をいたしたのでございます。さらにまた、その間におきましても、たしか一九八〇年におきましても七坑でございますか、新しくドーム社として探鉱を開始いたしておりますし、それより前の探鉱の継続分もございますので、これに見合う事業もやっておるという認識を持っておりますので、これらの事情を総合勘案いたしまして、一億七千五百万ドル探鉱のためにドーム社が使ったのではなかろうかというふうに推定をいたした次第でございます。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 私は、推定だとかあるいは今ドーム石油ドームカナダがどうこうしている、経営状況がよくないということも、それはさきにも聞きました。  問題は、その一億七千五百万カナダドル日本の金にしたらざっと三百五十億円ですよ。そんな金がどこへ使われたかわからぬというようなことで、石油公団としての責任はそんなことで済まされる問題じゃない。これは非常に甘い考え方、支出明細が確認されずに効果がはっきりしないような投融資というものは、だれが考えても、本当にばかげたこときわまりないむだ遣いだ、こういうふうに思っておるのです。  検査院に、私はもう一点聞いておきますが、二億二千五百万ドルについては日本窓口である北極石油においてのみ一定検査をなさったわけですね。
  47. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 まず、北極石油ドーム社側とが構成いたします委員会並びに資金、技術に関する小委員会というものがあるという説明北極石油から受けております。  本院は、東京にございます北極石油株式会社の本社におきまして、その委員会の資料を見せていただきまして、それに基づきまして検査をさせていただきました。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 公団総裁、今二億二千五百万ドルについては、いわゆる北極石油を含めた日本における委員会、そういうところで検査院資金使途についての検査をできた。一億七千五百万ドルについても、公団の責任においてやはりそれぐらいのことを明確にしていかなければいけないと私は思うのです。カナダの企業だからということでなく、一億七千五百万ドル資金使途を公団が積極的に明らかにしていく責任があると私は思うのですが、総裁として、一億七千五百万ドルについての資金使途、いわゆる支出明細を明確にするという約束ができますか。
  49. 和田敏信

    和田参考人 契約成立後、一億七千五百万ドルとの差額でございますが、二億二千五百万ドルの使途に関しましては、これはちょっと手元にございませんが、サブコミティーと北極石油ドーム社との間に累次重ねまして一件一件チェックを行ってきたのでございます。  ところが、一億七千五百万ドルに関しましては、八〇年において彼らが実施した探鉱の費用といたしまして、その見返りとして、我が方が契約に入った時点におきまして既に彼らが発見しておりました油層に関しましての参加権を得る、こういう見返りの我が方の権益としてそれを払ったわけでございまして、その一億七千五百万ドルに関しましては、公認会計士等による証明書等は、我々としてもこれを入手いたしておりますが、それにさかのぼりまして、さらにそれの証拠書類等々に関しましては、一件一件これを今日の時点においてフォローしていくことは、率直に申しまして極めて困難ではなかろうかと思うのでございます。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 僕は、今度はここに公団総裁として責任がやはり起きてくると思うのです。一億七千五百万ドルがその支出明細を含めて明確にされないということ。僕は、やはり明確にして、それのよしあしの判断、適否の判断は別にしても、一億七千五百万ドル支出明細というものはきっちりとしていかなければいけない。そういうことができないということになれば、公団総裁としての責任をどうされるのだ。これは大変なことになりますよ、総裁。私は資金使途の適否までまだ言及をしないのです。適否にまで言及をしないのだけれども、一億七千五百万カナダドル、三百五十億円の大金を、ただ単に、以前の鉱区権利だというような格好でドーム石油に支払っている。そんな安易な契約なんというのはけしからぬし、また、そんなことで総裁、これはあなた、さっきできるだけ早く、大幅におくれるけれどもと、半分期待感を持って答えていらっしゃるわけなんですけれども、どうもつじつま合わせみたいな、ともあれここで答えておけばいいと一これはきょう一日で終わる問題じゃないのですから、ずっと続いていく問題ですから、私は、総裁、あなたに責任とってどうこうせいとか言うつもりは毛頭なかったのですけれども、やはり一億七千五百万ドルについての明細を明確にするということの約束がない限り、あなたの責任はどうなんだ、こういうことを言わざるを得ぬわけですよ。総裁、いかがですか。
  51. 和田敏信

    和田参考人 探鉱といいますか、石油権益の取得に関しましては、先ほども申し上げたところでございますが、事は外国と日本との関係でございまして、我が方の国内法そのままの適用というふうなきっちりしたことがなかなかまいりにくい問題がございます。殊にドームの件に関しましては、一九八〇年、八一年でございますから、エネルギー危機の最中でございまして、先方が言うならば一つのオファーとして一定の条件でこれを持ち出してきたのでございますから、我が方といたしましても、それを総合的に勘案いたしまして、それが我が国の国益につながるかどうかという観点で採択せざるを得ないのでございます。これは相手がカナダでございますが、その他の諸国に関してもそれぞれ同様でございます。  御指摘のように、一億七千五百万ドルというのは大金でございますので、我々といたしましても、その金額が、契約に言われるように、まさに一九八〇年の探鉱費としてドーム社がこれをそこに使ったかどうかということに関しては、当時としては最大限の努力をしてこれをフォローいたしたのでございます。既に一億七千五百万ドルの使途の明細に関しましては、鉱区、ウエルと申しますか、探鉱地域ごとの明細書は得ておるのでございます。ただ、その明細に関しまして、それに関してレーバーが幾らかかったかとか、あるいはそれに対する材料費がどうであるとか、必要な資機材がどうであるのかというのを、現在はチェックしております、現在は新しい金額に関しましては、すべてそれを証拠書類をもって、まさに使われたかということを二億二千五百万ドルに関しましてはチェックいたしておりますが、当初相手方のオファーが、一億七千五百万ドル日本側が出すごとによって、そうして既にカナダ側が発見しておる構造への参加を認める、あるいは我々はまさにそれを使ったのであって、カナダ側の公認会計士のあれも得ておる、アメリカのSECも通ったというような状態でございますると、我が国の法制とは別の国でございますので、当時としては、油を得ることが非常に緊急な課題でございますので、それをもって十分だと判断をいたした、こういう経緯でございます。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 二億二千五百万ドルのそのことについては、今チェックしているのだということ、それはさっきから聞いているわけで、私は、一億七千五百万ドルについての責任、これを明確にしてもらわなければ困る。  余り時間もないので、これは通産省に聞きますが、こんな、今の質疑の中でもはっきりしたように、前回の予算委員会でも若干触れたわけです、一問だけれども。そして、オプションの後の開発資金は出さないということも答弁はもらっています。公団総裁はなまちょろい答弁です。これはまた次の委員会でもやりますよ。徹底してこれはやりますが、今、二億二千五百万の問題は別にして、一億七千五百万ドル支出明細資金使途、これが明確にできないという場合には、通産省としてはどうするのか。どんな行政指導をあなた方はとろうとしているのか。大きな政治責任がそこにある、こういうふうに思うのです。通産省の見解を僕は聞いておきたいと思うのです。
  53. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先般、予算委員会で、先生から本件に関連した御質問がありました点について、大臣がお答え申し上げた点につきましては、ただいまの御議論でも出てまいりましたように、私どもといたしまして、早速、公団及び会社に対して伝達をいたしまして、その大臣の答弁の線に沿いまして、北極石油の大幅な縮小は実施中でございますし、開発資金の供与につきましては、そのときの大臣のお答えのとおり、ドーム社経営が完全に立ち直りまして、今後の探鉱成果、油の値段の推移等あらゆる角度から見て、プロジェクトの採算性に確信が得られる等の状況の変化がない限り、これを行わないよう指導していく方針を徹底さしていただいているところでございます。  それで、今先生指摘になられました一億七千五百万ドルの件でございますが、この点につきましては、先ほど来公団総裁が申し述べておりますように、こういう契約にならざるを得なかった当時のエネルギー情勢等も、本来まだ御説明すべき点があろうかと思いますけれども、その使途につきましては、公認会計士の証明とかアメリカのSECへの提出資料等により、一億七千五百万カナダドルドーム社において探鉱費として支出されたということまでは申し上げたわけでございますが、その先過去にさかのぼり、先生指摘のように、支出の明細を詳細に調べるということについては、種々制約頭肉もあろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、先生の御指摘ではございますけれども、いろいろ制約要因もございます。私どもとしては、会計検査院からのお話も踏まえまして、今後の探鉱融資の運営につきまして、十分この点を踏まえた指導をしてまいるということで考えてまいりたいと思っております。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 通産省も通り一遍なそんなことでの答弁ではこれはだめですよ。だめだけれども、きょうこれ以上あなたに言えといったって無理かもわからぬから、次は通産大臣に――やはり資金がどのように使われていって、どういうところにどれだけの金が手当てをされていくか、そしてそれがどういう効果を上げていくか、そういうことがやはり税金のむだ遣いでなく適正ないわゆる投資だ、私はこう思っているわけです。リスクはリスク、さっき八百八十四億ですか、これだけの失敗が二十二件であったんだ。むしろ僕は、そういうきっちりしたこと、八百八十四億云々ということよりも、でたらめな三百五十億円何に使われたかわからぬ、どこへどれだけの金が行ったかわからぬ、そんなことをアメリカの公認会計士が云々とか、SECでどうの。その会社がしっかりやっておるんならいいんですよ。つぶれかかっておるわけです。半分つぶれておるわけです。つぶしたら大きな国際問題になるから、つぶせないから往生しておるわけです、カナダ政府も。そんなことの見通しをきっちり持って、次の通産省所管のときに答えてください。  時間がありませんので……。後藤田長官、非常に待たせました。これから行政改革等の問題で、私は、今お聞きのように、本当は行管庁所管の質問というのは、むしろこういうことを聞いておいてもらって、やはり政府がもっとしっかりしてもらわないかぬ。これは名官房長官で鳴らされた長官ですから、私は後藤田長官に別にごますって物を言っているわけじゃないけれども、つまらぬところに、地方自治体のちっちゃなところにあるいは国民のちっちゃなところに、これをするな、補助金切れ、いやこうだというようなことを言わないで、わからぬようにして国民のわからぬところで百億も二百億もむだな金が使われているという事実、具体的な事実をやはり認識してもらって、これからしっかりと行政改革、真の国民にとっての行政改革をやってもらいたい。余りにも隠れた部分での、わからぬところでのむだ遣いに目を当てずに、それこそ弱い者いじめの、そういう苦しめるようなことは今後ひとつしないようにしてもらいたい。これはひとつ所感を聞きたいわけですけれども、お答えができれば結構ですし、お答えがしにくいとおっしゃるなら、どちらでも結構です。  統計事務、国がいろいろ統計調査をするわけなんです。これから三年間においてたしか二割程度の百十五の調査を廃止統合していこう、こういうふうに今お考えになっていらっしゃる。これは、それなりにまた当然廃止統合すべきだという部分もあるわけなんですが、自治体、市町村に国が要求する各種統計資料、それには項目が非常に煩雑になっておるわけなんです。この自治体の事務の簡素化、能率化、そういうものを図っていく上においても、今百十五を整理統合していこう、これはこれで結構だと思うのですけれども、そのことは別にして、統計というのは、全般的に国民生活上いわゆる国民の暮らしの中で必要不可欠な項目、それ以外はもう思い切って全部省いてもらったらどうだろう。統計の折にいろいろな項目で調査要項が出てくるわけなんですけれども、国民生活に必要不可欠なもの以外はこの際思い切ってやめてしまって、事務の簡素化に踏み切っていかれるのがよろしいのではないでしょうか、こういうふうに思うのです。この点についてぜひお答えをいただきたい。  さっきの点については、できれば所見を言いただければ非常にありがたい、こう思っております。
  55. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 最初の方の御質問は、行政改革は、申し上げるまでもなく、国民からちょうだいする税金の値打ちがあるように使うことのできる仕組み、仕事のやり方に変えるということでございますから、先ほど来の北極石油あるいはドーム社の問題については、外国との関係であるとか、もともと探鉱事業というのはいろいろなリスクを伴うとか、なかなか難しい面があるということは御理解願わなければなりませんけれども、やはり国民の税金という観点に立って、可能な限りの使途というものは明らかにする必要があるのではないか。私は素直な気持ちでやりとりを聞いておりまして、そう考えます。それから、統計の問題は、指定統計、承認統計、今五百幾つあると思いますが、物によっては資料を出させる民間側に大変過重負担をかけておる面があるわけでございます。そういうようなことも考えまして、行政改革の対象として、統計の整理あるいは統合あるいは合理化、こういう点には真剣に取り組んでいきたい、かように考えておるわけであります。  殊にまた、七月から総務庁が発足いたしまして、総理府と行管庁一緒になって新しく統計局が発足いたしますから、これを契機に、国民生活に必要とする面はもちろんのこと、国の行政を推進する上に絶対必要である最小限度の統計にしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 次に、今情報公開の問題が非常に大きく取り上げられておるのですけれども、この四月現在で、私の調査では十二の自治体が条例制定をして、地方自治に関する情報公開が推進されているわけなんです。国の行政機関が保有する情報の公開、この情報公開についての検討は、現在どの程度まで進んでいるのか、あるいはどの程度までお考えになっていらっしゃるのか、この点について聞いておきたいと思います。
  57. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 国の集めておるいろいろな資料、これはやはりできる限り公開すべきもの、一般論として私はそう考えております。そこで、行管庁としては現在、それぞれの専門家に集まっていただきまして、検討会といいますか、勉強会といいますか、それの取りまとめの作業に入っておるところでございます。もちろん、この情報公開と並んで、やはり公の機関が集める情報とプライバシーの問題があるものですから、プライバシーの方も有識者に集まっていただきまして、何といっても個人の権利として自分の情報は自分で管理するんだという要請があるものですから、そこらとのかみ合わせも考えなければならぬということで、両々相まって、行管庁としてのこれからの一つの仕事として、情報公開とプライバシーの問題、これの検討作業に入って、できるだけ早く結論を得たい、かように考えているわけでございます。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 確かに、情報公開について、重要な問題としてはプライバシーの問題があるわけです。個人データの保護ということについては、立法上の措置として法律で自治体を包括するような規定を置くのか、あるいはまた、それぞれの自治体が制定する条例がありますね、そういうものにゆだねていこうとしておるのか、これは検討課題だと思いますが、長官として、どちらがいいのか、どういうような方向に今後検討されていくのか。あるいは情報公開されていくと、事務処理体系の問題等もあって、国と自治体との間での書類の様式だとか規格、そういうものを統一化していくこともまた一つではないだろうか。そういうことがコンピューターの導入だとかあるいはOAの導入ということにもつながっていく、私はこういうふうに思うのですけれども、そういう点もあわせてひとつお聞きをしておきたいと思います。
  59. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 仰せのように、今地方団体で情報公開をやっているところがありますが、行管庁としては、仮に立法作業に入るということになれば、各自治体が現在持っておる条例等もよく検討をいたしまして、そしてその上で条例との関係をどう考えていくかという点も一つの検討課題であろう、かように考えております。御案内のように、やはり法律ができますと、法の先占ということもございますので、そこらはこれからの検討課題ということで御理解をしておいていただきたい、かように考えます。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 時間がありませんので、行管庁長官にはもう一問だけお聞きしたいと思ううのです。  今、天下り、言葉がいいか悪いかは別として、高級官僚が関連の関係団体に天下っていくわけなんですね。これはたしか閣議で、特殊法人間のたらい回し的異動は、真にやむを得ない場合にのみ限る、あるいはまた一回限りとする、こういうふうに決定されているのです。これが十分守られているかどうかというのは非常に疑問で、私が調べて承知している範囲では、二カ所以上をいわゆる渡り鳥という人、そういう天下り役人が百二十八人、三カ所以上は十人おる。  これは本当は、いわゆる政府高級役人がみずから範を示さない限り、自治体その他に偉そうなことは言えぬわけなんですね、退職金が高いとか、いやもっと給与水準を抑えよとか。行財政改革を真剣に進めるという意味で、固有名詞は挙げませんけれども、本当はそういう渡り鳥的なことは余りよろしくない。一回行けば退職金を一千万も二千万ももらっていく、三回にも四回にもなれば一億円以上の退職金が加算されていく、これはやはり慎むべきである。このことが今度は地方自治体の首長に波及しているのじゃないだろうか。いわゆる特別職の退職金についてもやはりこういうことが何らかの形で影響を及ぼしている。  特別職の退職金については、あらかじめ条例等で加算金を定めているわけなんです。しかし、退職をされたらその都度、その市長さんなり町長さんなり村長さんなり知事さんに加算金を前例あるいは類似団体の例を参考にして決めでいっている。これは相当長い間在任しているともう優に一億を超えてしまう、こういうのがあるわけなんです。国にも厳しく僕は言っているわけですから、地方自治体に対しても、厳しい行財政改革の先進的役割、それは地方にも当然必要であり、そういうことをやはり国が指導していかなければいけない。まだまだ地方財政の窮乏も続いていくだろう。そういう中で、特別職等の退職金については、一般職いわゆる普通の職員の例によるとの内容に改めて、むしろ条例で、一般職の例によるということをきっちりと決めていくべきではないだろうか、そういう指導助言を与えていくのがこの際必要になってきたのではないだろうか、こういうふうに私は思いますね。天下りの莫大な退職金、それが地方自治体の首長の特別加算金――時には、特別職が刑事事件を起こす、よくないことをする。ところが、有罪が確定したとかあるいは起訴されたとか、いろいろなケースがあります。そういう場合には退職金の一部を留保するとかあるいは支払いを行わないとか、やはりそういう一定の厳しい枠組みを、条例できっちりと規則として明記していくべきではないだろうか。  行管庁長官、政府が、国も地方自治体もそういうことでお互いに努力をしていこう、辛抱していこうというものをひとつ通していったらどうだろうか。そういう意味で、特別加算金の問題についての御所見を承っておきたい、こういうふうに思います。
  61. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まず最初の、特殊法人の問題ですが、これはもう古くて新しい問題で、政府としてもしばしば閣議決定等で、特殊法人の役員の半数はやはり内部あるいは民間から登用をする、そして公務員からのいわゆる天下りは自粛をさせる、同時に、いわゆる渡り鳥、これについても厳しく、転々とするようなことは認めないといったようなこと、あるいは年齢制限、こういうものもやりまして、今おっしゃった資料がそのとおりかどうか、私は手元に持っておりませんが、私が官房長官当時にこういう点についての詳細な資料をとりました。したがって、非上さんに、これは内閣官房の方でやっておりますから、御必要とあれば資料を届けさせるようにいたしたい。一般論としてはおっしゃるとおりで、これはよほど考えなければならない、こう考えております。  それから、地方団体の長に対するいわゆる特別退職金、これは自治権との関係がございまして、私から余り細かなことを申し上げるのはいかがかと思いますが、現状はやはり条例の中で、非常に長くお勤めになられたとかあるいは功績が特にあったとかという方々に対して、地方議会の議決の上で特別退職金を出すということになっておるわけでございますから、本当にその特別退職金というものが、当該地方の住民の目から見て、この人にそういったものを差し上げるのは当然ではないかといったような方であれば、あえて私はそれをいかぬということまでは言う必要はないのじゃないかな、こう思いますけれども、これがあたかも当然の既得権であるかのごとく特別報償金を――議会の議決でございますから、それについてとやかく言いませんけれども、やはり私は一般論としては好ましいものとは思わない。御提言の一般職と同じ扱いにしろというのも一つの御見識であろう、かように私は考えるわけでございます。(井上(一)委員「刑事事件、悪いことをしちゃったのは」と呼ぶ)これも一般論としては当然のことであろう、こう思います。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 経企庁長官、非常に待たせました。  地方自治を尊重していきたい、それは当然なんです。ところが、今度片っ方では、そういうことを言いながら国の方としては起債の制限をしていくとか、これはまたあるのですよ。でも、私の質問に対するお答えの趣旨については非常に当を得たお答えだったと私は思うのです。それだけ地方自治体の方も政治というものに目を開いていかなければいけない、こういうふうに思うのです。  それで、ひとつ経企庁長官に、今、地方自治体に起債制限で自治省あたりが一定の措置を講じるわけなんですね。給与条項を新たに盛り込んで、これから起債制限をしていこう。私は、これは憲法論議をして、あるいは団体自治の問題に対して、ここでこれはけしからぬとかどうだとかいう議論をするつもりはありません。むしろ、景気回復促進を図るために、公共投資を上期に七〇%以上の集中発注を決めていく、そういう中にあって、いわば最気回復の促進剤としての上期集中発注を決めながら、他方で起債制限を打ち出す、これはいわゆる地方自治体の一般単独事業に対して水を差すような政策ですね。これは何のための上期集中発注かということになるわけなんです。これは非常に矛盾していることではないだろうか。こういう点についてどういうふうに考えていらっしゃるのか。  さらには、七〇%以上の上期集中発注の問題について、景気の現状認識について各省庁間の意見に少し違いがあるのではないだろうか。とりわけ大蔵省と経済企画庁との判断が食い違っているのではないだろうか。この間の閣議決定で、文案には具体的な発注目標が盛り込まれずに、大蔵大臣の発言で補うという異例の措置をとったと報道されているわけです。景気の現状認識あるいは今後の景気対策について政府部内に相当の不一致がある、そういう証明がこのことによって裏づけされたのではないだろうか。大蔵省では、景気は上昇傾向にある、だから刺激政策は今特に必要ないのだ、そう慌てる必要はないのだ。経企庁は、まだまだ景気上昇傾向とは言い切れない、不透明な部分がある、そういう意味ではいま一歩てこ入れが必要だ、こういうようなお考えを持っていらっしゃるのではないだろうか。一方、自治省は、そういうことにとんちゃくなく、景気刺激に水を差す起債制限をやっていこう。省庁あって政府なし、こういうようなことではないだろうかと思うわけです。経企庁長官のお考えをひとつ聞かしていただきたい。  さらにもう一点、アメリカが公定歩合を八・五から〇・五%引き上げ、景気回復にそういう政策を持ってきた。ドル高を維持するとかあるいはインフレ抑制だとか、高金利政策は継続されておる。これは、片面ではそれに耐え切れないベンチャービジネスは倒産していくわけでありますけれども、それでは我が国の企業倒産はどうなんだろうかというと、これまた非常に高水準の倒産が続いている。こういう認識の中で、今後の景気対策をどうすべきであるのか、どういうふうに考えていらっしゃるのか。特に、私は、企業倒産を防止していく観点からも、あるいは景気の回復を安定した軌道に乗せていくという観点からも、公定歩合の引き下げを速やかに行うべきではないだろうか。公定歩合を引き下げて、それが直ちに円安に結びつくという懸念はもう少なくなったのではないだろうか、こういう認識にも立つわけなんですけれども、こういう点についてひとつ経企庁長官のお考えをまとめて聞かしていただきたい、こういうふうに思うのです。
  63. 河本敏夫

    河本国務大臣 我が国の景気は、第二次石油危機の悪い影響が数年続いておりましたが、ようやく昨今大勢としては景気回復の方向に向かっておる、このように判断をいたしております。ただ、その景気回復力は力がまだそう強くないということでばらつきが相当目立っております。地域によりましては、なお深刻な状態が続いておる地域もございます。それから、業種によってもやはりばらつきがございますし、さらにまた、今御指摘の倒産あるいは失業率、こういう面にもまだ悪い数字が出ておりますが、それは、大勢としては回復の方向にあるけれども、回復力そのものがまだそう強くない、ここに私は問題がある、このように思います。  そこで、これからの課題は、どうすればもう少し我が国の経済の力、回復力を強めることができるかということが当面の最大課題でございまして、先般公共事業の前倒しをいたしましたが、その前倒しの理由といたしまして、第一に、内需の回復のためにこの前倒しをやるのだ、それから第二には、地域によるばらつきをある程度調整するためにやるのだ、この二つの目標を掲げておりますが、そういう意味におきまして、政府部内に意見の食い違いはございません。いろいろ調整をいたしました結果、その二つの目標のためにこの前倒しをやるのだ、こういうことで意見統一をいたしまして、目下その具体的な作業に取り組んでおるところでございます。  それで、今これからの景気対策として金融政策をお述べになりましたが、我が国の物価が非常に安定をいたしまして、二%そこそこという水準でありますから、現在の金利水準は物価に比べますと相当高い、こういうことが言えようかと思います。強い景気対策が望まれる昨今におきまして、金利をもう少し下げるということは、物価水準からいいましても景気対策の上からいいましても大変望ましいわけでございますけれども、ただ、すべての条件がまだ整っていないというのが現状でなかろうか。特に一番問題にいたしておりますのは、円高がどうも定着してないのではないか。一カ月前よりは幾らか高くなっておりますけれども、果たしてこのまま定着するかどうか、もう少し見きわめる必要がある。  しかし、一方におきまして、今お述べになりましたように、アメリカの高金利とは余り関係なくなっているんじゃないか、こういう議論もございます。アメリカにもございますし、日本にもございます。しかし、政府といたしましては、やはりアメリカの高金利と日本の為替レートは関係がある、そういう判断をいたしておるものですから、もう少し様子を見ませんと、金融政策については決断しにくいというのが大蔵省や日本銀行の立場でなかろうか、このように判断をいたしております。  ただ、何分にも非常に大きな貿易の黒字が出そうな気配でもあります。それからまた、経常収支も当初政府の見込みよりも相当ふえる可能性があるんじゃないかという昨今の動きでございますから、やはりこれが引き金になりまして、世界的に保護貿易的傾向が出てまいりますと、これはもう世界全体に大変な迷惑をかけますし、日本にとりましても大変困るわけでございますから、そういう観点から、やはり何らかの対策が必要でなかろうかということがこれからの課題だと思います。
  64. 新村勝雄

    新村(勝)委員長代理 次は、城地豊司君。
  65. 城地豊司

    城地委員 私は、先ほど報告のありました昭和五十六年度の会計決算の関係については、経済企画庁については問題なしということでございました。問題のないことは非常にいいことだと思いますが、私はそうでなくて、経済企画庁の所管であります海外経済協力基金の問題、特にこの昭和五十六年度の業務報告書をもとにして、海外経済協力基金問題全般、さらには個々の問題について御質問をしたいと思います。  この五十六年度の業務報告書を見ますと、五十六年度はこれこれしかじかのものをやった、結果はこうであった、それはどこの国に多くてどうだったというようなことでの報告がなされておりまして、一番我々が知りたい、例えば五十六年度の非常に大きな問題は何であったかという指摘がないんじゃないかと思うのです。  といいますのは、結果の報告はなされています。しかし、この一年間この海外経済協力基金、例えばの問題ですが、非常に借り入れの申し込みがある特定の国から殺到した、しかしそれをいろいろな形で抑えてきたが、そういうところが問題だったとか、それから海外経済協力基金の性格から、ことしの場合には、特にこういう国、こういう地域を中心にして努力をしようとしたが、結果はこうであったとかというような、言うなれば生きた業務報告というか、生きた報告がなされないで、結果の数字的な羅列じゃないか。そういう意味では、この一年間、この五十六年度は五十六年の四月一日から五十七年の三月三十一日までの一年間でございますが、そういうような問題点がなかったのかどうかという点で非常に疑問を持つわけでございます。もちろん、この業務報告を提示する側では、問題があるというやつを、殊さらにこれが問題だあれが問題だということで提起しないのが慣例であろうとは思いますけれども、そういう意味で、この一年間の業務報告概要と、さらに、ありましたらそういう問題点、特に担当で考えておりましての問題点を含めて、業務報告概要を簡単に説明をいただきたいと思います。
  66. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 最初に、五十六年度の経済協力基金の業務の概要について要点を御説明させていただきたいと思います。  五十六年度の基金の投融資実行額でございますが、直接借款が三千百四十四億円、一般案件が二百六十四億円でございまして、三千四百八億円の投融資実行額になっております。  特徴といたしましては、日本の経済協力はやはりアジア地域が中心でございまして、基金も地域別の配分を見ますと、アジア地域が八二・四%と相当部分を占めておる、こういう状況でございまして、アフリカ地域が八・七%、中南米地域が六・六%という状況でございます。  また、基金がやっております業種別に眺めますと、電力部門が非常に多いわけでございまして、全体の二〇・七%、その次に運輸部門が一五。八%、鉱工業部門が一五・六%ということでございます。そのほか商品借款が二四・三%という状況になっているわけでございます。  以上が基金の業務の概要でございますが、問題点という御指摘がございましたが、五十六年度は、今私が申し上げましたように、基金といたしましては、投融資実行額が前年度比一五%増ということでございまして、非常に活発に基金が活動した年でございます。  中身につきましても、今申し上げたようなアジアを中心といたしまして実行いたしておりまして、五十六年度特有の問題という意味では特にございませんが、基金といたしましては、やはり今後の問題として、現段階での問題として考えますと、基金の収支の問題、さらには経済協力をより効果的に実施いたしますための効果の評価の問題等、さらには、援助が相手国側によく役立つように個々の部門についてよく見ますと同時に、対象となる分野につきましてもさらに検討する必要がある、かように考えているわけでございます。
  67. 城地豊司

    城地委員 ただいま概括的な御説明がございましたが、特にこの業務報告全体を通じてみますと、言われましたように、アジア地域を中心にしてやられている。アジア地域が全体として八四・一%ということで、アジアを中心にしていろいろな直接借款や一般案件が行われているわけでございます。しかも、この直接借款問題、さらには一般案件を見まして特に感じますことは、単年度だけで、五十六年度だけで見ますと、直接借款はそうでもないのですけれども、前年度を見たり、さらには昭和四十一年度から五十六年度までのこの十五年間の累積の結果が出ておりますが、これを見ますと、アジア地域の関係は、直接借款で八三・六%、他の中近東、アフリカ、中南米その他の地域から見て圧倒的に多いわけでありますが、そのアジア地域の中でも、特にインドネシアは全体の二六・八%、この十五年間での直接借款は八千四百九十二億二千百万円ということでございます。  そういうような傾向になってきているわけでありますが、概括的には理解ができるのですが、このインドネシアにこれだけ重点的に直接借款やそういうものを、要するに日本の経済援助を行ってきたその原因、背景、そしてその基本になる考え方について概括的に御説明をいただきたいと思います。そして、今年度、一般案件につきましては特にインドネシアが非常に多いわけであります。アジア地域百七十八億円、そのうちの百五十七億円ということでありますが、その一般案件の中で特に大きなものがありましたら、どういうものが非常に多いのかということについても含めて、御説明をいただきたいと思います。
  68. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今、先生指摘のとおり、アジア地域の中でもインドネシアに対します基金の貸し付けが、円借款、一般承諾案件含めまして非常に多いわけでございますが、御承知のように、インドネシアは、日本の貿易の相手国としてもまた石油の輸入国といたしましても、またアジアの一員におきますウエートからいたしましても、日本といたしましては、インドネシアに対する経済協力に相当のウエートを掲げてやっておるというのが基本的な日本政府のポジションであろうかと思いますが、五十六年度につきまして一般案件で特に多かったものにつきまして御紹介いたしますと、御承知の北スマトラにおきますアサハン・アルミニウム事業がございまして、それに対します出資、それからスブル地区の森林開発合弁事業、これは東カリマンタン地域で森林の伐採を行いまして、一部日本に輸出する事業でございます。そのほか、ジャカルタの東急ホテルの建設、運営というような点が大きな一般案件の項目でございます。その中でも、特にアサハン・アルミニウは、御承知のような非常に大規模な事業でございまして、この段階でほぼ電力部門が基本的に完成をし、製造部門が操業開始というような状況に現在なりつつございます。
  69. 城地豊司

    城地委員 そういうような非常に大きな金額を経済協力しているということでございますが、今もお答えにありましたように、インドネシアと日本の関係で、特に東南アジア地域ではそういう意味では一番貿易取引が大きい国であります。しかも、日本の国がインドネシアから輸入しているのが非常に大きい、輸出よりも輸入の方が上回っているという国であるわけですが、そういう点で、油やLNGなんかに至っては、日本経済にとって大変大きな寄与をしていただいているのがインドネシアではないかというふうに思います。それと同時に、日本からのインドネシアに対する輸出というようなものも相当多い。そういう意味で考えますと、これだけの経済協力を十五年間にしている、そして非常に大きな貿易の取引国であるということで、そういうインドネシアと日本との貿易関係全般について、細かい項目別でなくて結構ですから、大ざっぱに御説明をいただきたいというふうに思います。
  70. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今御指摘のとおりでございますが、インドネシア側から日本を眺めてみますと、インドネシアの中で日本は最大の貿易相手国でございまして、概略申し上げますと、八二年におきましてはインドネシアの全輸出の五割が日本に輸出されておりまして、また同輸入の約三割というようなことでございます。と同時に、日本はインドネシアから石油を主として購入いたしておるわけでございますが、日本とインドネシアの主要貿易品目は、日本からは一般機械、輸送機械、これは自動車等でございますが、鉄鋼、電気機械等を輸出いたしておりまして、インドネシアからは今まで申し上げましたような石油が一番大きいわけでございますが、そのほか液化天然ガス、木材、エビ、ニッケル鉱というものをインドネシアから輸入しておりまして、重要な資源供給国になっておる、こういうことでございます。
  71. 城地豊司

    城地委員 特にインドネシアとの関係で見ますと、一九八二年、昭和五十七年六月、ASEANの第十五回の外相会議で、インドネシアは輸入の見返りに一次産品を売りつける、いわゆるカウンターパーチェス制度を実施する、交換買い付け条件のついた輸入契約ということですが、そのカウンターパーチェス制度を実施して、何とか輸入、輸出というものの拡大を図ろうということで、そういう制度を実施したわけでありますが、現状までまだ二年足らずでありますから、軽々に論ずるわけにいかないと思うのですが、一部報道の伝えるところによると、このカウンターパーチェス制度が余り成功していないのじゃないかという言い方をされているのですが、それらについて、本来であれば向こうのインドネシア政府に聞かなければならないかもしれませんが、経済企画庁として把握されておられる実情がありましたら、概略で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  72. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今、御指摘のような制度がございまして、これは相手国政府が実施しております基本的な政策でございますので、日本政府がこれについてこういう公式の場でいろいろ申し上げることは極めて適切でないと思っておりますが、私どもといたしますれば、それが余りに厳格に運用されることによりまして、いろいろトラブルが生ずることになりましても、インドネシアと日本の非常に大きな貿易の発展の見地から問題がございますので、その辺の運用につきましては、適切な対応をしていただくことを希望しておる、こういう状況にございます。
  73. 城地豊司

    城地委員 インドネシア経済は、日本のこういう直接借款その他の条件、そういうことによる援助というようなこともあって、数年前までは年率七%ないし一〇%程度の成長を続けてきた。非常に喜ばしい傾向であったわけでありますけれども、この数年来、第二次オイルショックの影響もあって、経済の伸びが非常に鈍化をしてきているという状況が報道されているわけでございます。そういう意味では、我々としてその問題をどういうふうに見詰めたらいいのか、またどういうような認識をすべきなのか、それらについて経済企画庁としてどのように把握をしておられるか、伺いたいと思います。
  74. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 インドネシアの実質経済成長率でございますが、今御指摘のとおりでございますが、数字をちょっと申し上げさせていただきますと、七八年が六・九%、七九年が五・三%、八〇年が九・六、八一年が七・六というようなことでございまして、順調に成長を続けてきておったわけでございますが、八二年になりまして、これはまだ世銀の推定でございますが、二・二五%程度になってまいりまして、御指摘のようなやや停滞という状況でございますが、最近、世界経済全体が回復傾向にございますので、インドネシアの経済も今後回復の方向に向かうと期待をしているわけでございます。ただ、インドネシア自体となりますと、一人当たりGNPは、七八年では三百六十ドルでございましたが、八二年は推定でございますが、五百八十ドルということでございまして、国民生活が顕著に改善しつつある、こういう状況でございます。
  75. 城地豊司

    城地委員 経済企画庁長官が十二時までで、その後の日程があるということでありますので、企画庁長官に特に考え方について伺いたいということと、前段、海外経済協力基金問題、さらにその中で、特にインドネシア問題について私はお伺いいたしましたが、後段は、世界全体の累積債務の問題、そして日本もその影響を非常に大きく受けているわけでありますし、その累積債務、海外経済協力といったものとの総合的な関連でのお考え方を伺いたいと思うわけであります。  今、インドネシア経済との関係だけで二、三の御質問を申し上げ御答弁いただきましたが、そういうような経済協力をしている発展途上国に対して、我々としては、そういう援助をしていく当然義務があるということが国の方針でございます。そして、当面五カ年計画で海外援助を二倍にするというような公約もしておりますし、それらの関係で海外経済協力はもっと積極的になされるべきではないか。仮に現在の日本の国の経済状態等から見て、非常に内部は苦しい、そういうふうに政府はおっしゃっているわけでありますが、苦しくても開発途上国への経済援助はもっと積極的に行うべきだというふうに私は考えております。それらについては、経済企画庁長官、どのように考えられるかという点が一つでございます。  もう一つの点は、債務が累積をされる、そしてリスケジュール、債務繰り延べというものがこのごろ非常に多くなってきている。世界全体の累積債務も六千億ドルを超えていると報道されている。それらの問題を解決するために、日本はどういう役割を果たしていくべきなのかという大きな視点で、本当は債務累積の問題についてもう少し細かく、その原因、さらに個々の対策等々を通じて、最後に企画庁長官に伺いたいと思っていたのですが、時間の関係がありますので、今言いました大どころについて、経済企画庁長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  76. 河本敏夫

    河本国務大臣 我が国は、今世界で第二の経済力を持つようになりましたので、国際社会に積極的に貢献をするという国の目標を掲げまして、御案内のように、昭和五十六年を初年度とする海外協力の新しい五カ年計画をつくりまして、直前の五年の二倍に持っていこうということを世界に公約をいたしました。昭和五十六年はその初年度でありまして、今その初年度の問題についての御議論が続いておるわけでございますが、当面は新五カ年計画で、世界に公約をいたしましたものをどう実現するかということだと思うのです。  過去三、四年間、あらゆる機会に総理大臣以下政府の代表が国際社会でもう何十回となくこれを公言し約束をしてまいりましたが、まだ相当残っておりまして、これを完成するためには来年度二〇%ぐらいふやさなければならぬ、こういう問題もございまして、これが当面最大の課題だと思います。国際社会での約束をどう果たすか。ただ、二〇%というと大変な金額のように見えますけれども、絶対額から見ますとそんなに大きな金額でもございませんので、やはり国際社会における約束をまず果たすという観点に立って判断をする必要があろう、このように考えております。  第二の、債務累積の問題でございますが、今御指摘になりました巨額の債務累積、それにOPEC諸国の債務を加えますと八千億ドルということを国連が発表しておりますが、いずれにしても大変大きな数字でございます。これが現在世界経済の足を引っ張っておる最大の背景でなかろうか、このように思います。  そこで、国際機関等におきましても、この問題にどう対処するか。それが思わざる方向にいきますと、世界経済の大混乱にもつながりますが、これは我が国だけで解決できない問題でございます。先進諸国並びに国際機関がこの問題にどう対応するか。発展途上国ではこれを自力で解決する力が現在のところございませんから、世界的な課題としてどう取り組むのか、その中において日本の果たすべき役割は何ぞや、こういう観点から私はこの問題に対処していかなければならぬ、このように判断をしております。
  77. 城地豊司

    城地委員 長官の退席の時間が迫っておりますが、もう一問だけ長官にお伺いしたいと思うのです。  債務累積の問題にはいろいろ原因があると思います。これは長官が退席後いろいろ伺いたいと思いますけれども、しかし、それらの中に、アメリカの高金利というものが非常に大きな原因ではないかということも指摘をされているわけでございます。原因として、ある学者は五本の柱があるとか、ある学者は四本であるとか、いろいろ主要な原因がありますが、アメリカの高金利が債務累積に非常に大きな影響を与えていることも事実でございます。そういう意味では、アメリカの高金利是正ということに向かって声を大にして言えるのは、日本が一番適当な国なんではないか。ただ、アメリカと日本の貿易収支の問題その他で、何だというようなことがあるかもしれませんけれども、そういうことはそういうこととして、高金利が世界全体にそういう影響を与えているということだとすれば、そういう主張をやはり日本が堂々としていく必要があるのじゃないかと思うのですが、それについての長官の御見解を伺って、どうぞ退席されて結構でありますから、お願いします。
  78. 河本敏夫

    河本国務大臣 発展途上国が大変困難になりましたきっかけの一つは、今御指摘の点だと思いますが、もう一つは、やはり数年前の第二次石油危機によりまして世界全体が大変な不況になりました。そのために発展途上国の輸出が非常に減りまして、それが非常に大きなきっかけであったと思います。そこへ昭和五十四年の秋からアメリカの金融政策が変わりまして、そして高金利時代になりました。何しろ巨額の債務でございますから、大半は長期の借り入れで金利も比較的安いのですけれども、しかし、半分近くは短期の借り入れで、高金利の影響を直接受けるということは、非常に困った状態になった第二の大きな原因であると私は思います。したがいまして、アメリカの高金利は日本の為替にも大きな影響を及ぼしておりますが、同時に発展途上国の累積債務にも非常に大きな影響がありまして、世界経済全体の回復という観点から考えますと、アメリカに対しまして、高金利問題を国内問題と考えないで、世界的な問題であるという観点に立ちまして、もう少し工夫をしてもらえないものだろうか、こういうことを痛感をいたしておる次第でございます。
  79. 城地豊司

    城地委員 どうもありがとうございました。  続いて、累積債務の問題について伺いたいと存じます。  ここに経済企画庁が委託をした「債務累積下の発展途上国経済運営とわが国経済協力に関する緊急調査」というので、アジア経済研究所に委託をした昭和五十九年三月の調査報告書がございますが、この経済企画庁が委託をして緊急調査をされた内容の要旨、問題点について、要点を挙げて御説明いただきたいと思います。
  80. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 先生が今御指摘いただきました緊急調査の要点でございますが、これは私から申し上げるまでもなく、この発展途上国の債務累積問題が極めて世界経済全体の上で大きな問題になっておりますので、現状、問題点、今後の展望を提示することを目的として調査をいたしたものでございます。  要点は三点ございまして、第一点は、発展途上国の債務問題の特徴は、いわゆる中所得国の民間銀行借り入れによる債務の急増、その結果としての利子支払いの負担の増大、これは今高金利の点も御指摘ございましたが、そういうことが一つの大きな特徴でございます。  第二点は、こういう問題の解決のために債務返済能力を強化する必要があるわけでございますが、やはり長期的に考えますと、こういう低開発国の生産、産業のあり方を変換していく必要があるだろう。いわゆる「市場指向型・輸出指向型経済構造」という言葉をこの調査報告書は出しておりますが、そういうものへの転換をすることが必要であるという点が第二点でございます。  第三点といたしまして、日本の方向といたしまして二つ指摘しておりまして、一つは、この世界銀行の構造調整融資支援していく必要があるという点と、やはりこういう国々の生産効率向上のためのいろいろな組織とか制度面の整備等に対する協力を推進することが必要であるという指摘をいたしておる点。  以上がこの骨子でございます。
  81. 城地豊司

    城地委員 調査をして今三つの点で分析がされておりますが、しからば、これらの調査をもとにしてどういうような方向でこれらの解決に努力していかれるおつもりなのか、経済企画庁としてのお考え方があればお知らせをいただきたいと思います。
  82. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 債務累積の解決の方法はなかなか難しい問題でございますが、企画庁としてのこれに対する基本的な考え方といたしましては、先ほど調査報告でも指摘がございましたように、債務国の返済負担額と外貨稼得額との不均衡を是正するという産業構造の変換のためのいろいろの協力を長期的には進めていくということが一番必要であろうと思います。  二番目には、当面の対策といたしましては、やはりこの債務繰り延べというような点がございます。それと同時に、先ほど御指摘のこの世界的な高金利の問題に対応するいろいろの施策ということも一つ重要な問題であろうかと思うわけでございます。  そのほか、経済協力をいたします際にも、いろいろ向こう側の実情に沿った形で、特に向こう側の投資のやり方でございますとか、あるいは補助金、価格政策のあり方等を含めました全体的な産業構造、経済構造の変換をうまく助ける方向で我々としても助言をしていく、こういうことが必要でないか、かように考えておるところでございます。
  83. 城地豊司

    城地委員 実際に、この累積債務の問題は、世界的な規模で大変大きな問題でありますから、日本だけで解決するということは難しいと思います。しかし、やはり日本がそういう意味で積極的な考え方に立っていかなければ、特にこの累積債務の問題では、東南アジア等々の国は非常に累積債務が多いわけであります。我々も世界全体を見詰めていく場合に、日本の置かれている立場からしても、そういう意味では東南アジアに積極的な経済協力の手を差し伸べなければならないという使命があるのは、先ほど長官の答弁のあったとおりでございますし、また我が国の方針であるわけです。  そういう点で考えますと、今の答弁で伺いますと、まあそうですかと伺いたいところなんですが、もう一歩突っ込んで、やはり我々日本の立場として何をどうやっていくか、積極的にこの問題はこう推進していくということがなければ、ただ単に、全体的な景気が持ち直せば何とか解決されるとかいうようなことだけではいかないわけであって、そういう意味で積極的な役割を果たすという方途については、経済企画庁として何かこのこととこのことをやりたいということがあれば示していただきたいと思うのです。
  84. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 一御指摘の点でございますが、やはり当面の対策としましては、国際的な繰り延べの措置について日本も協力をしていくということでございますが、それだけでは問題の解決になりませんので、先ほど来御指摘のございますように、日本としては、これらの諸国の中長期的な発展を促すような経済協力を推進していくということが、やはり基本的に重要であろうと思うわけでございます。したがって、東南アジアを中心といたします国々に対しましては、先ほど私が申し上げましたとおり、重点的に経済協力を実施いたしておるわけでございますが、その経済協力の結果がこれらの諸国の発展に大きく寄与するような形で、特にプロジェクト等につきましても十分な配慮をしていく必要があるのではないか、かように考えておりますと同時に、やはり低開発国自身としても、その制度、構造に関します産業政策なり経済政策につきまして積極的な方途を講じていただく必要があろうと思っております。そういう意味で、我々としてもいろいろな意味での経済協力、特に技術協力等を通じまして御協力を申し上げていくことが重要でないか、かように考えているところでございます。
  85. 城地豊司

    城地委員 今、答弁をいただきました。それでもまだ半分ぐらいしか理解ができないのですが、先ほど前段で海外経済協力基金のところでお伺いをしました、例えば日本とインドネシアとの関係ですね。十五年間に約八千九百億ものそういう意味での経済援助をした、そして現在、先ほどの御答弁にもありましたように、GNPが七八年と八二年を比べても三百六十ドルから五百八十ドルまで上がった、そういう実績があるわけでありますが、それならば、例えばインドネシア経済全体に日本のいわゆる経済協力というようなものがどういう影響を与えているか。具体的に言いますと、そのGNPの伸びに対して、もちろんインドネシアの国自身の努力があります。国自身がいろいろな政策を立案して、努力もありますけれども、日本がそれに対して援助をしてやったために、例えばGNPが全体的に二%なら二%上がるような作用をなしたと思うとか、いわゆる経済全体のマクロで見て、じゃ、インドネシアヘの経済協力についてはどういうように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  86. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 インドネシアに対します日本の経済協力の中心は、経済発展の基盤となります、例えば電力でございますとかかんがいでございますとか、そういう中長期的な発展の基盤となる分野に重点を置いて政府援助をしておるわけでございます。  先ほど申し上げましたアサハンの電力もその一つの典型でございますが、いずれにいたしましても、これらの基盤の整備というのが一つと、もう一つの重点は、これは日本にとっても非常にプラスになる面でございますが、基金を通じましてインドネシアの石油開発あるいはLNGの開発というものにつきまして相当の経済協力をいたしております。インドネシアの経済自体をごらんいただきましてもおわかりいただけますように、こういう資源の輸出によってインドネシアの経済の発展が来されておるわけでございまして、その意味では、日本の経済協力がその二つの側面を通じてインドネシア経済の発展に大きく寄与したと我々は思っておるわけでございます。ただし、それがどの程度の具体的な数字としてGNPの中にはね返っておるかという点につきましては、十分な調査がございませんことは恐縮でございますが、ただ、今後我々といたしましては、そういう援助効果につきまして、個々のプロジェクト成果のみならず相手国経済全体にどういう好影響を与え得たか、今御質問のありましたように、具体的な側面につきまして手法を確立いたしまして、援助効果の測定という見地で一層努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  87. 城地豊司

    城地委員 今お答えがありましたけれども、経済援助をする、そしてその前提になるのは、やはり現状認識じゃないかと思うのですね。現状がこうである、こういう方策をとってこうすればこうなるということの道筋を立てていかなければならないと思うのです。  最後に言われました、そういう経済援助が大きく寄与しているとか多大の貢献をしたとかいうことは、これは日本語でありますから、そのこと自身を否定はいたしませんけれども、そういうことではなくて、具体的な金額なのですから、例えば一千億円投下をしたらおおむねこのくらいにはなるでしょうとか、おおむねこういうような施策が相まっていけば全体的にこれくらいの上昇には当たると思う、日本経済なんかを見てもいわゆる経済の連関表とかいろいろな資料ができています。そういう意味では、現状認識をするためには、これから投下するためには、そのおおむねの結果がどう出るということまで把握するようなことにしなければ、ただ向こうから言われたから、そうか、わかりました、では百億円援助します、わかりました、援助することはいいことだから援助しましょうということだけでもいかないと思うのです。もちろん内政干渉はまずいわけであって、それは当然、例えばインドネシアの問題であれば向こうの国の主権の問題でありますけれども、援助する側としては、そういう確固としたもの、ある程度のものを持っていかなければ、幾らつぎ込んでも何たかつき込んだ成果が出ない、いや出た、出ないということだけではいかないのであって、ぜひともそういう点では十分な研究をしていただきたいと思うわけであります。  そういう意味で、関連して伺いますが、ついせんだっての報道で、フィリピンに対して五百五十五億ですか援助をするということが新聞にありました。フィリピンの場合には、特に債務繰り延べの問題で今いろいろと問題になっている点があるわけであるし、フィリピン自身もそういう意味では経済的に非常に悩んでいる、今非常に大変な状態になっているということだと思います。それらの問題はどういう考え方のもとに援助というか、しかも七割は商品供与か何かというようなことでもありましたが、このフィリピン問題についてどのように把握をしておられるか、お伺いしたいと思います。
  88. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 フィリピンの経済は極めて困難な状況に現在陥っておるわけでございます。例えば、現地の日本法人が原材料を購入しようと思ってもそれが輸入できないというようなこともございましたり、これは日本から見た問題でございますが、いずれにいたしましても、フィリピン経済全体として非常に困難な状況にあることは間違いないと思っておるわけでございます。  ASEAN地域、この五カ国につきましては、冒頭来申し上げておりますように、日本の近隣のアジア諸国でございますので、日本としては経済協力を積極的に進めていかなければならないと考えておりまして、フィリピンにつきましても、今御指摘のような方法で、現在フィリピン政府と話し合いを進めておりまして、まだ正式に決定をしておるという状況にはございません。  なお、フィリピンに対します基金の残高で申しますと、元利合計で現在千八百九十五億円を貸し付けておる、こういう状況でございます。
  89. 城地豊司

    城地委員 フィリピン問題はわかりました。  債務繰り延べの問題について、特に先ほど概括的なことを大臣から御答弁いただいたのですが、ついせんだって今国会で輸出保険法の審議が行われました。そして新たに債務繰り延べの関係で、そういう輸出保険という関係で見ても、今年度は二千数百億というふうな支出が予想されるということでございます。この債務繰り延べが、先ほどの質問にありましたように、相手国、債務を持っている国にとって非常に大きな援助になるということももちろんでございますけれども、その債務繰り延べ現状については、経済企画庁としてはどのように把握をしておられるのか、伺いたいと思います。
  90. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 債務累積の全体的な状況をちょっと御報告さしていただきたいと思います。  現在、債務累積の増大によりまして返済困難になっております途上国の債務繰り延べ件数でございますが、七〇年から七八年の累計で二十二件でございましたものが、最近、パリ・クラブ、民間銀行による多国間債務再交渉件数がふえてまいりまして、八一年には十一件、八二年には十二件というようなことでございまして、最近特にふえつつある現状にございます。これらの債務救済要請に対しましては、アメリカを初めといたします先進諸国、あるいは民間銀行、IMF、世銀というような国際金融機関を通じまして、つなぎ融資あるいは債務繰り延べなどの救済措置を講じておるわけでございますが、経済協力基金に関します債務救済の現状は、五十八年度におきまして五カ国ございまして、トルコ、ザンビア、マダガスカル、リベリア、ペルー、この五カ国につきまして、経済協力基金による債務弁済の措置をとっておるところでございます。
  91. 城地豊司

    城地委員 先ほども御答弁いただきましたが、結局、日本の行っている海外経済協力、そういうものがいわゆる発展途上国の経済の発展に非常に大きく力を注いできたということは事実でありますし、私も先ほど質問の過程で申し上げましたように、日本の国が現状財政的にいろいろ問題があるといいましても、先ほどの経済企画庁長官の御答弁ではありませんが、来年度二〇%程度増加をする。しかも、二〇%というと非常に大きい金額のようだが、絶対額としてそれくらいのことはできるという意味のお考え方も示されました。私はそのとおりだと思うのです。  そういう意味で、この経済援助の問題を考えていきましても、日本の国の今の政府仕組みの中では、通商産業行政としては通産省がある。経済企画庁はいろんな調査を行って、そういう経済政策に対する提言、そしてそれらの実行を推進する役割を持っておる。そしてまた、一方では、大蔵省という金を管理するお役所がありまして、金の面ではなかなか渋いことを言う。外務省は、外交問題等を考えればやはり積極的にそのことを援助すべきだと言う。こういうふうなことで、この海外経済協力というような問題とか、さらには累積債務の問題とかいうようなことを考えていきますと、どうも全体の、各省庁間のいろんな施策、考え方にずれがあるような気がしてならないのであります。  そういう意味で、先ほど企画庁長官がおられたときにお願いをすればよかったと思うのですが、それらを一元化して、海外経済協力のあり方をもう一遍見直す。しかも、これだけ債務が累積をされてきている。まごまごすると世界経済全体がとんでもないことになる。それはもちろん日本経済が大変なことになることも意味するわけでありますが、そういう点から考えていきますと、この海外経済援助の問題、累積債務の増大の問題、それらを一貫して考えて、それで全部包括して考えての新しい政策が確立をするということが、日本の国の現在の政府にその責任があると私は思うわけでございます。そういう意味で新たに、このごろ新聞等の報道を見ますと、累積債務の問題は累積債務の問題でぱっと新聞記事になる、経済協力の問題はそれでなるというようなことで、何か一貫性がないわけであって、そういう点では、全体を包んだ形での政策というか、そういうものの樹立が必要だと思うのですが、そういう考え方に対して、経済企画庁としてはどのようにお考えになるか、これは局長でも次官でも結構ですが、御答弁をいただきたいと思います。
  92. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 今の御質問の点は、基本的なお考えの趣旨、経済協力あるいはこの債務累増の問題に対処して、総合的に一貫した方針のもとに推進していくべきであるという点については、全く我々としてもそういう方向で努力しなければならないと思っておるわけでございます。ただ、その具体的な機構等の問題につきまして、私がこの場で申し上げるのは適切ではないと思いますが、方向として、御指摘になった点は、我々として大いに今後努力していかなければならぬ点だと思っております。  ただし、現状におきましては、先ほど御指摘のございました外務、通産、大蔵、経企、この四省庁におきまして、経済協力の推進につきましては、常に会合を持ちまして意見調整を図りながら、統一的なあるいは総合的な方策が推進できるように努めておるつもりでございますが、不十分な点も多々あろうかと思いますが、今後ますます我々としては努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  93. 城地豊司

    城地委員 今お答えいただきましたが、具体的に言いますと、今度六月にサミットがあります。サミットにこれらの非常に大きな問題をひっ提げて、例えば、先ほど具体的に指摘いたしましたが、アメリカの高金利問題も一つの原因であるし、その他景気回復の問題も、景気が回復すればある程度累積債務の問題も解消をされるということもございますし、いろいろな物の考え方があるのですが、サミットに臨むに当たって、これらの問題について、政府としてまとめて、海外経済協力と累積債務の問題について考え方を提起をするという、そういうお考えがあるかどうか。これは次官に伺った方がいいでしょうか。――では局長からでも結構です。    〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 現在サミットに向けまして、このサミットの運用をどういうふうにするかという点について、主要メンバーの国の代表が集まりまして、いろいろ議論をしていただいておる状況でございます。  しかしながら、まだ現段階におきましては、サミットにつきまして具体的にこういう議題でこういう点をというところまで至っておるわけではございませんで、今後我々としても、サミットに対処するための諸準備を進めていかなければならない、こう考えておりますが、その中での一つの大きな問題として、経済協力の問題があることは御指摘のとおりだと思います。ただし、まだ現状では具体的にこういうことでというようなところまで至っているわけではございません。
  95. 城地豊司

    城地委員 若干時間がありますが、これで終わりにしたいと思います。  先ほどから、海外経済協力基金の問題や累積債務の問題、特に経済企画庁の所管する問題、日本の経済政策ということについてお伺いもし、要望もいたしましたし、それからの点について今後の経済運営に十分積極的に生かしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
  96. 横山利秋

    横山委員長 新村勝雄君。
  97. 新村勝雄

    新村(勝)委員 行政管理は広く国政の各般にわたるわけでありますが、それに関連をして、常磐線の輸送力の強化、そして乗客の安全輸送、こういう問題についてお伺いをいたしたいと思います。  常磐線の輸送力については、かねてから当局にその増強、改善を要求をし、また、現在の状況ではいつ事故が発生をするかもわからない、こういうことから、輸送力の増強と同時に、安全輸送についても万全の措置をとってもらいたいということは要請をいたしておったわけでありますけれども、今月の十九日の朝のラッシュのときに、女子高校生がこの混雑にもまれて負傷し、入院をするという事態が発生をしたわけであります。そして、軽傷については、軽い打撲とか擦過傷とか、こういうことについてはほとんど毎日のように発生していると言われておるわけであります。  柏駅は、乗降客の数に比べて規模が非常に小さいわけであります。これは柏駅について申し上げますけれども、これは柏駅だけではありませんけれども、そのうちの常磐線のラッシュの最も象徴的な事態である同駅について申し上げるわけであります。また、今回事故がそこで起こったから、それに関連をして申し上げるわけでありますけれども、柏駅は雨のラッシュのとき、七時二十分から八時二十分、この一時間で三万八千人の乗客があるわけであります。これは乗るだけですね。東武からの乗りかえが二万一千、柏駅から乗る人たちが一万七千、合計三万八千人の乗客があるわけであります。一日の乗降客は二十三万を超えておると言われておりますが、この乗降客に対する駅舎あるいは階段、ホームとも、この乗降客をさばくには全くスペースが不足をしておるということであります。そして、現在のこの雑踏に対して、朝のラッシュ時にはときどき改札口を閉めて人の流れをそこでとめておる。そうでないと、どんどん改札口を通しますと、その先でどんな事態になるかわからないということで、改札どめをときどきやっておる、こういう事態であります。  こういう事態の中で、たまたま女子高生が負傷するという事故が起こったわけです。こういう状況の中で、何らかの事故等で電車が仮に二十分とまったとしますと、この小さい駅舎の内外に一万数千人がたちまち滞留してしまう、こういう状況でございます。  そこで、具体的な点について幾つかお伺いをしたいわけでありますが、スムーズにとまではいかないにしても、まず何とか目的地、これは九五%が東京でありますけれども、この東京に輸送することが必要であります。駅舎の改善、あるいはホームの拡幅をするあるいは延長をするというようなことが必要でありますけれども、これはすぐにはできないわけでありますから、すぐできるということの一つとしてダイヤの改正ということがあるわけであります。私どもはダイヤについてはまだまだ改正し数をふやす余地があるというふうに見ておるわけでありますが、この問題についてまず当局にお伺いをいたしたいと思います。
  98. 石井康祐

    ○石井説明員 お答えいたします。  今の先生からのダイヤの上で常磐線増発の余力があるかどうかという御質問ですが、現在朝のラッシュ時の列車間隔は三分三十秒の間隔で運転しておりまして、現在の設備の状況あるいは停車時分等からいろいろ検討いたしますと、これがほぼ限度の状態でございます。今後この輸送量をどういうふうにカバーしていくかということでございますが、中距離型の電車の十五両化等がこれからの一つの対策ではなかろうかというふうに現在考えております。
  99. 新村勝雄

    新村(勝)委員 常磐線と似たような状況にある中央線、地下鉄丸ノ内線、京王線、総武線の快速、これらと比較いたしてみますと、常磐快速線が一番少ないわけです。中央線快速は、平日のラッシュ時には常磐線の約四割増の運転本数があるわけです。常磐線も工夫することによってまだ相当に本数がふえるのではないかというふうに思います。一つは快速の本数をふやすこと。それから緩行線の本数をふやすことができるのではないか。さらに、緩行線は都内に入ってからは無理だというふうに言われておりますが、快速についてはまだ増結の余地もあるのではないか。これらについてはいかがですか。
  100. 石井康祐

    ○石井説明員 線路の容量につきましては、線区の線形ですとかホームの広い狭いといういろいろな条件が関係いたします。中央線等そのほかいろいろ本数の多い箇所もございますが、残念ながら常磐線は現在のところ線形的にそれだけ入る余地がないということで、先ほど申し上げましたような三分三十秒が今の設備ではもう限度というような状態になっております。  それから、増結等の余地は、先ほどお答えいたしましたけれども、中距離型電車で車両を増備すれば輸送力は上げられるということになろうかと思います。
  101. 新村勝雄

    新村(勝)委員 ほかの条件で他の線とは比較にならないということであります。そうしますと、常磐線の運転数をこれ以上ふやすことはできない、その主要な障害はどういうことですか。
  102. 石井康祐

    ○石井説明員 主な障害になる設備関係でございますが、一つは上野の線路設備が関係いたしております。常磐線の快速線は主に高架ホームの十一番、十二番ホームを使っておりますが、ここで相互に列車が入れかわるというようなこととか、あるいは一部地平に、主に十八番線を使っておりますけれども、ここへ入る列車とほかの列車との競合の関係、こういった設備関係が一つの条件になっております。  それから、もう一つは、日暮里におきまして非常にホームが狭隘でございまして、お客さんが一気におりるということで、この停車時分が同じ列車を詰める上での一つの制約条件になっております。
  103. 新村勝雄

    新村(勝)委員 常磐線は先般多額の投資をしていただいて線が四本になったわけですが、今のように上野の線路の設備、それから日暮里のホームが狭い、そういう点があるようでありますけれども、これらのことが解決されれば、複々線の機能がフルに発揮できて相当運転本数をふやすことができるということだと思います。そうしますと、上野の設備あるいは日暮里の拡張、これはせっかく線増をしていただいたわけでありますから、それをフルに使えるような設備の増強改善は至急にお願いできないものでしょうか。
  104. 池田本

    ○池田説明員 ただいま御質問の常磐線全体としての輸送容量の増加という問題の中で、上野駅の設備あるいは日暮里駅の設備について障害があるということでございますが、複々線の線増ができましたのが四十六年の四月でございます。それ以来それぞれの線の増発ということでいろいろやってきておるわけでございますが、快速線は今三分三十秒というのが限度でございます。これをさらに例えば三分三十秒を三分二十秒にするとかあるいは三分十秒にするとか三分にするとか、この辺はもちろん上野駅、日暮里駅の設備が非常に大きな障害でございますが、それらを直すというのはかなり相当な問題でございますので、私どもとしては、今のところは現在の線路を使っての輸送につきましては増結ということで対処することかなというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、かなり大変な工事をやらなければならないということで、そのほかのことも考えながらやっていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  105. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうすると、上野と日暮里の設備増強、これについてはその見通しはいかがですか。
  106. 池田本

    ○池田説明員 ただいまお話の上野、日暮里についての見通しというお話でございますが、今すぐにこれをどうこうするという段階までまだ至っておりませんので、やはり常磐線全体の中であくまで検討しておるといいますか、それも含めて検討しておるというような段階でございます。     〔委員長退席井上(一)委員長代理着席
  107. 新村勝雄

    新村(勝)委員 含めて検討ということは、いつごろできるとかできないとか、そういう展望は全くない、これはおかしいと思うのです。線増ということであれば、これは多額の投資を要するからすぐできないということもありましょうけれども、駅の整備あるいは日暮里駅の拡張ということは、線増に比べたら何分の一、何十分の一の投資でできるはずですね。これを全く展望がないということはちょっと理解できないわけですけれども、そこらはいかがでしょう。
  108. 池田本

    ○池田説明員 常磐線の輸送改善につきまして、先ほども申し上げたかと思いますが、当面、中距離電車、水戸の方から参りますいわゆる中電と称しておりますが、この電車を十二両編成を十五両編成にするという工事を今いたしておりまして、今年度末のダイヤ改正にはその形になろうかと思います。その次のステップといたしまして、おっしゃいますように、列車の増発といいますか、例えば上野、日暮里、実際はこれだけではないと思いますけれども、それ以外のものも含めまして、運転間隔を詰めるということも輸送力増強の大きな手だてではございますが、やはりその前に、快速電車は現在十両で走っておりますので、これを長くすることによる輸送力増強が先かということで、この点の勉強を今いたしておるところでございます。したがいまして、当面は、あくまで増結ということで、列車の編成を長くするということによりまして輸送力を増強するということで進めておりますので、先ほどのお答えで、さらに運転間隔を詰めるということにつきましては、その後の問題として検討しておるとお答えしたわけでございます。現在は、そういうことで、当面増結をするということで、これにもしかるべき工事費がかなり必要でございますので、それを先にやるということで勉強をいたしております。
  109. 新村勝雄

    新村(勝)委員 上野、日暮里の増強をぜひ早くお願いをしたいと思います。先ほど申し上げたように、常磐線各駅、特に柏駅におきましては、いつどういう惨事が起こるかわからないという実態があるわけです。ですから、ひとつそれを踏まえて真剣に御検討をいただきたいわけであります。  そこで、柏駅の問題に戻りますけれども、現在の状況では、駅のスペースからして全く人をさばき切れないという状況であります。そこで、緊急的な施策として、乗客の誘導あるいは人の流れの整理等が絶対に必要なわけです、それでも時々改札とめをしなければならないということですから。これについての当面の措置をどうされますか。
  110. 本田勇一郎

    ○本田説明員 お答えします。  十九日に起こりました女子高校生の事故に対しては、私どもは大変申しわけなく思っております。これに対しまして、目下、次のような安全対策を講じております。  一つは、駅誘導員の増強ということでございまして、この時点でも誘導員が二十三名おりましたが、さらに職員九名を増派遣いたしまして、現在、三十二名の体制で誘導に当たっております。それから二つ目に、乗降客の分離誘導体制の見直しということでございまして、東武の改札口付近から国鉄改札口付近までロープを張りまして、旅客がお通りいただく進路の幅を狭めまして、同時におりていただくスピードを緩めて、ぶつかり合いを極力避けるようにしておるということでございます。三番目に、改札の規制を、ホームあるいは改札口付近の混雑状況に応じて、さらにきめ細かく臨機応変の改札規制を行ってまいるということで、当面こういうことで万全の対策をとってまいりたいというふうに考えております。
  111. 新村勝雄

    新村(勝)委員 駅の設備の増強、これは必要でありますけれども、今すぐはできないわけですね。ですから、東武から国鉄への乗りかえの工夫、今もそれに触れておられたようでありますが、それと新しい跨線橋を至急につくって、東武から国鉄への乗りかえをスムーズにするということ、これが絶対の条件だと思います。現在はこれが人の流れに逆らうような方向で国鉄の改札口に向かう、こういうことになっておるわけでありますけれども、それらについても十分工夫をしていただかなければならないと思います。この乗客の誘導、人の流れの整理、これについては、ぜひ万全の措置をとっていただきたいと思います。今までも二十三名の整理員がいたんですね。いたにもかかわらず負傷者が出たということでありますから、それを三十二名に増強するということでありますけれども、この三十二名体制で万全の備えができるかどうか、これも私は大変疑問だと思うのです。ですから、三十二名体制でやってみて、いささかでも不安がある場合には、さらに人員をふやしていただくということによって、絶対にこの間のような事故を繰り返さない、また不測の事故を絶対に阻止をする、こういうことでひとつぜひ御努力を願いたいわけであります。この問題について、さらにもう一回念を押しておきます。
  112. 本田勇一郎

    ○本田説明員 現在、国鉄では、五十九年の十二月に当面間に合いますように、コンコースの拡大、ホーム、階段を、現在それぞれ二カ所ございますのを三カ所にいたしますというようなことで、広げる工事をいたしております。目下、人海戦術で万全を期してまいりますが、お客様が踊り場といいますかホームにおりられるそのコンコースを拡大することが、かなり今後の混雑の整理に役立つものと思われまして、できるだけこの工事等も早くするように私どもは努力してまいりたい。こういう現在の人による体制、それからこういった設備の体制、そういう二段構えで考えてまいりたいと思っております。
  113. 新村勝雄

    新村(勝)委員 コンコース、階段、これは必要でありますけれども、そこを拡張しますと、そこが円滑に流れていくということになると、その先はホームであります。ホームが拡張されないで途中だけが流れがよくなるということになると、今度はホームに危険が移動することになりますから、このホームの拡幅、延長、これがどうしても必要です。  そこで、あそこには東武線の乗り入れの線路があります。東武と話し合いがつけば、現在の八メートルという非常に狭いホームがありますが、これは快速がとまるホームが八メートルしかないということで、非常に危険なわけでありますけれども、この八メートルのホームを拡幅をする、幅を広げることは可能なわけであります。東武との話し合いがつけば可能である、それらについても検討しておられるかどうか。
  114. 池田本

    ○池田説明員 御質問の柏駅のホームの関係でございますが、当面、コンコースの拡幅をすることによりまして、現在柏駅で最大の問題となっておりますコンコースから階段をおりる箇所の混雑も、階段の数もふえますので緩和されるのではないかというふうに思います。ただ、お客様は階段からホームヘおりられて、ホームの中を歩いて所定の位置へ行かれるということで、ホームの幅が狭いのも事実でございます。今御質問にございましたホームの拡幅につきましては、全部線路に狭まれている地域でございますので、これを広げるとすれば、おっしゃるとおり東武鉄道側へ広げる必要があろうかと思います。東武鉄道としてもホームが二本、線路はたしか六本あったと思いますが、これらを大改良しないと国鉄としてのホームの拡幅ということはできないわけでございますが、この辺につきましては、現在、安全対策優先ということもございますし、また、今後もお客様がふえるということもあろうかと思いますので、現在検討をさしていただいておるところでございます。
  115. 新村勝雄

    新村(勝)委員 東武線の線が一本今使っていない線が一番端にあるのです。ですから、そこを一本分だけ国鉄に譲ってもらえれば拡張ができる、こういうことですから、それらの点については十分御検討をし、また交渉等もしていただきたいと思います。  それから、混雑に関連をして、最近快速線あるいは緩行線の車の色がまちまちになっていますね。混合しています。そのために乗客が、これは緩行線か快速か見誤って、そこで混乱が起こるということも若干あるようであります。この色、いわゆる混色を統一することができないのかどうか。
  116. 石井康祐

    ○石井説明員 先生の御質問は、いわゆる千代田線と快速線との差ではなくて、同じ快速線内にときどきほかの色の車両が入るという御質問かと思いますが、これは過渡的な状況でございまして、いろいろ車両が古くなりますと取りかえをいたします。そのときにいろんな地区の軍を、部内的には転配属と申しまして、あちらこちら動き回ります。その閥工場に入りますときに、その色を統一するということで、色が若干違う点は、そういう過渡現象かというふうに思っております。
  117. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そうしますと、これは過渡的なもので、しばらくすればもとに戻る、こういうことですか。なるべく早く色についても統一していただいて、乗客が迷わないようにお願いをしたいわけであります。  最後に、長官にお願いいたしますが、長官のお立場、やはり国政全般の管理ということで、国鉄の安全輸送という点についても責任がおありだと思います。お聞きのように、先般常磐線で駅の雑踏のために女子高校生が負傷、入院するという事態があったわけでありまして、現在の状況については、先般も国鉄総裁が現地を視察をされて驚いたそうでありますけれども、全くどうにもならない状態であります。既存の設備だけでは通勤輸送の乗客を全くさばくことができないということでありまして、こういう部面については、行革の時代ではありますけれども、行革については反対するものではございませんし、むだな費用は節約をしていくべきであります。これはごもっともでありますけれども、こういう必要な部面については、やはり人命に関することですから、安全輸送という点についてはひとつ長官からも指導をいただいて、できるだけ緊急の措置をとっていただいて、こういう事態を繰り返すことのないように御指導をいただきたいと思いますが、一言だけ御答弁を願います。
  118. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御承知のように、何よりも大切なことは安全輸送の確保、こういうことであろうと思います。臨調の答申なり今できておる監理委員会の御提言にも、また政府の閣議決定の中にも、投資の抑制は緊急対策の中に入っておりますけれども、安全対策上の投資の抑制は別であるということをはっきりうたっておるわけでございます。私が一番心配するのは、やや言葉は適当でないかもしれませんが、一つの職場というのは、できるだけ早く青空の見えるような職場にしないとなかなか職場の士気が上がらない。したがって、そういうことを政府としては一番頭の中に置きつつ、同時にまた、施設の面でも安全対策上の必要な施設はゆるがせにはできない。こういったことは運輸省もあるいは国鉄御当局も十分お考えをいただいておると思いますけれども、先般の柏駅における事故のような例もございますから、これらを教訓としながら、対策上に遺憾のないような指導はいたしたい、かように考えるわけでございます。
  119. 新村勝雄

    新村(勝)委員 長官、それから運輸省当局、国鉄当局に、乗客の安全輸送についてはぜひ万全を期していただきたいということをお願いいたします。  終わります。
  120. 井上一成

    井上(一)委員長代理 近江巳記夫君。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 経企庁長官にお伺いしたいと思っております。  まず初めに、対外経済対策の問題でございます。日米貿易収支、八三年度百八十二億ドル日本の出超ということになっておりまして、また対EC、これの貿易収支につきましては百四億ドル日本の出超という仁とが出ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、日本側の大幅な黒字となっておるわけでございます。先進諸国におきましても種々こういう非難の声が上がっておるわけでございます。我が国といたしまして、昭和五十六年の十二月から四回にわたりまして対外経済対策というものを実施してこられておるわけでございますが、こうした対策を実施されて、海外の評価というものにつきましてどういうように受けとめていらっしゃいますか、まずお伺いしたいと思います。
  122. 河本敏夫

    河本国務大臣 対外経済摩擦の個別案件、二、三の項目は既に解決をいたしましたが、あと数項目残っておりますので、この月末までに大部分の問題を見通しをつけたいということで、今最後の努力をいたしておるところでございます。ただ、個別案件はある程度目鼻がつくと願いますけれども、しかし、これによってそれじゃどの程度貿易の黒字が減るのかと言われますと、さしあたっては微々たるものである、このように思います。貿易黒字、経常収支の黒字、当初考えておりましたよりも若干大幅になるのではないか、こういう感じもいたしますので、個々の案件が解決いたしました後は、日本としてのマクロ政策を一体どうするのだ、もう既にECからもこういう申し出がございますし、アメリカの方からもそういう申し出をする気配もありますので、個別案件は解決したからといって対外経済摩擦は残るであろう、このように考えております。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 マクロ対策については、後ほどまたお伺いしたいと思います。  きょうの新聞等を見ましても、二十七日の閣僚会議で対外経済対策を決定する、こういう中で、二十四日までに固まった対外経済対策の骨子というものは、ここに出ておるわけでございますが、まず、今日までに大体固まりましたその骨子につきまして、御説明いただきたいと思います。
  124. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 現在、政府部内で鋭意検討をいたしておりまして、まだ最終的な結論に至っているわけではございませんで、新聞で、ある意味では推測記事も交えまして掲げてございます。したがって、今明日、最終的な段階でまだ調整をしなければならない問題も多数残っておりますが、現在個別問題として掲げられておりますのは、アメリカとの関係で申し上げれば、先般牛肉等の問題で解決いたしました農産物の問題、関税引き下げの問題、通信衛星の問題、VAN、ソフトウエア保護の問題、金融・資本市場の問題等がございます。他方、ECからも、製品輸入の拡大あるいは関税の引き下げ、金融・資本市場開放の要請がございますほか、さらに、低開発国等からも関税引き下げ等についての要望が出されておるわけでございまして、これらの個別問題を踏まえまして、既に解決いたしました農産物の問題、あるいはVANに関します電気通信事業法案等もございますが、それらを一括いたしましてパッケージとして取りまとめて、対外経済対策として決定すべく、現在鋭意努力をしておる最中でございます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 新聞に出ております骨子は、大体今お聞きしたものが出ておると思うわけでございますが、その中で何点か聞いていきたいと思います。  基準・認証制度の改善につきまして、昨年の通常国会で五省十七本の法律が改正されておるわけですね。この内外事業者の取り扱いの平等等を法制度的に確保するというのは、諸外国からある程度の評価を受けたということを聞いておるわけですが、今回もこのように基準・認証制度の改善を図るようでございますけれども、さきの法改正と今回の制度改善との関係、また特徴、これをお伺いしたいと思うのですけれども、今回のは法改正の必要はあるかないか。  なお、通産省では、国際電気機器適合証明委員会、これは略称CBと言っておりますけれども、我が国も加盟するように申請しておるということを聞いておるわけでございますが、この加盟承認の見通しというのは、できるのかどうか、ひとつこの基準・認証制度ということにつきましてお伺いしたいと思います。
  126. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 基準・認証制度につきましては、昨年国会で法律を御審議いただきまして、法制度的には整備が終わっておりまして、今回私どもが検討いたしております基準・認証制度は、法律改正を考えておるわけではございませんで、その法律改正に基づきました運用上につきまして、諸外国からの要請の中で我々が改善した方がいいと思われる点につきまして、個別具体的に現在検討いたしておりますが、例えば例示を申し上げれば、外国での検査機関を活用する方策等につきましても、細かい詰めを現在いたしておる段階でございます。  今、先生の御指摘のございましたCBの問題でございますが、これは御指摘のとおり申請をいたしておりまして、これの見通しにつきましては、まだ定かではございませんが、私どもとしては、当然加盟が認められるもの、かように考えておるところでございます。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、関税の引き下げの問題でございますが、これは、東京ラウンドの合意に基づきまして、我が国としては前倒しをするという方針で進んでおられるわけでございますけれども、八五年度分はこの四月中にやる、また八六年、八七年度分につきましては、八五年中に前倒しをして引き下げる、そういう方針でいかれるかどうか。この関税の引き下げというのは、諸外国に比べますとかなり進んでおるように私は思うわけでございますが、諸外国はどういう状況なのかということをお伺いしたいのが一点です。それから、これだけ我が国としては進めておるわけでございますが、常に関税、関税ということで引き下げを迫られておるという理由。この二点につきましてお伺いしたいと思います。
  128. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 関税の問題につきましては、昨年暮れの総合経済対策におきまして、先進諸外国の動向を見た上で、鉱工業製品につきましての関税の前倒しを決定いたしたわけでございます。しかしながら、諸外国はまだ最終的に実行段階に入っておりませんために、今国会では、御承知のように、鉱工業製品につきまして一年前倒しということを法案として御審議いただいて実行に入っておるわけでございますが、最近、先進工業国の間で、農産物を含めて東京ラウンドの関税の繰り上げ実施を先進諸国こぞってやったらどうかという話がございまして、この問題につきましては、その対応について現在検討をいたしておりまして、今回の決定されるべき対策の中に織り込むべく、現在鋭意努力をしておるという状況でございます。  それから、関税引き下げにつきましては、現在日本の関税率は先進工業国に比べましても最も低い関税率の水準にございまして、関税率それ自体で先進工業国に見劣りしている点は全くないと我々は思っておるわけでございます。しかしながら、冒頭御指摘にございましたように、日本の貿易収支、経常収支が大幅な黒字でございますし、そういうことを背景にいたしまして、日本の市場開放を一層促進する上から、日本の関税につきましては一層の引き下げ努力をしてほしい、こういう要請がございまして、我々日本政府としては、世界の自由貿易を守っていくという見地から、現在これについての検討をしておる、こういう状況にございます。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 今度は製品輸入の促進、これが骨子で固まっておるようでございますけれども、この製品輸入の問題を見てみますと、我が国としては、この輸入額もその率も非常に低いわけですね。八一年度で、日本が二四・三%、ECが四二・六%、米国が五六・九%。我が国はどうしても加工貿易国ということでございますし、そういう背景はあるわけでございますけれども、こういう黒字の状況から見ますと、製品輸入の拡大ということは骨子で出しておられるわけでございますが、今後どういうようになさっていかれるわけですか、この点についてお伺いします。
  130. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 御指摘のように、製品輸入の比率は現在諸外国に比べて低いわけでございますが、ただ、これは我々としては、御承知のように日本石油等の原材料を諸外国に依存せざるを得ない国柄でございますので、単純に諸外国と比較するだけでは問題だと思っております。しかしながら、依然としてこの製品輸入の拡大について我々として努力していかなければならぬことは間違いない。ただ、最近は、やや製品輸入比率が拡大しつつある傾向も去年の秋以降見えつつございまして、従来のいろいろな施策がやや実りつつあるかな、こう思っておる段階でございますが、今回の対策として考えております点は、やはり諸外国の政府、民間と日本政府、民間が協力して、日本の市場に製品が輸入促進されるような調査ですとか、いろいろな普及宣伝とかいう事業をやっていってみたらどうであろうかという案がございまして、現在これも総合経済対策の中で検討をいたしておる点でございます。そのほか、いろいろな意味の博覧会、展示会という点についてもいろいろ助成をしていくことも有効ではなかろうか、こういう点を含めて現在検討をいたしておるところでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、投資問題でございますけれども、特に米国等によく進出しているわけでございます。しかし、アメリカにおきましては、州によりまして合算課税をやっておるわけでございますけれども、これが非常に投資の大きな支障になっているわけでございます。この問題についてはいろいろとお話をされておると思いますけれども、これは今後の見通しは今どういうようになっているのですか。
  132. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 ユニタリータックスの問題につきましては、日本政府としては、これが既にアメリカに進出いたしております日本の企業にとって重大な打撃を与えることでもございますので、今般の一連の日米の各種の協議の場を通じまして、アメリカ政府にその是正方をお願いしております。また、アメリカ政府のサイドにおきましても、その検討について現在作業を進めていただいておると聞いておりますが、まだ的確な見通しが立っておる状況ではございません。我々としてはこの問題は強くアメリカ側に今後求めていきたいと考えておるところでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、通信衛星ですね、これも今回骨子に入れるということでございます。しかし、これは非常に難航しそうな状況でございますけれども、その理由ですね。それから、何といいましても、日米の技術格差ということが非常に問題になるのじゃないかと思いますが、日本の技術というのはどういう評価がなされておるかということ。それからまた、最近伊藤忠商事とアメリカのヒューズ社、それから住友商事とコムサット社、これもアメリカですが、こういう業務提携の話が出ておるということもちらっと聞いておるわけでございますが、この購入問題どこれは関連があるわけですか。以上の二点についてお伺いします。
  134. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 通信衛星の問題につきましては、まだ最終的な結論を得ておりません。ただ、私どもといたしましては、科学技術庁が中心になって進められております日本の通信衛星に関します開発の基本的な方針が既に日本側としては決まっておるわけでございますので、その基本的な方針を堅持しながら、アメリカ側の要請にどういうふうに対応したらいいかという点を現在政府部内で検討中でございます。  今御指摘の、ヒューズ、伊藤忠の話でございますが、これは日本政府は全く関知をいたしてございませんで、これは風間側の動きというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは河本長官にもう一度同じ問題をお聞きしたいと思うのですが、この通信衛星の問題につきまして、二十七日に閣議決定をされるようでございますけれども、これは大臣として入れられるのかどうか、また、日本の技術ということについてどのようにお考えであるか、大臣からお伺いしたいと思います。
  136. 河本敏夫

    河本国務大臣 今、経過は局長から答弁したとおりでございますが、月末の対策に入れたいということで、今調整中でございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 我が国の自主技術の開発という大きな問題が絡んでくるわけでございますし、ひとつ十分論議をした上でやっていただきたい、このように思います。  それから、今度は政府の経済見通しについてお伺いしたいと思うのですけれども、経企庁さんとしては一生懸命やっていただいておるわけでございますが、余り的中していないのじゃないかという声がよく出るわけでございます。ちなみに過去を見てみますと、実績と見通しの差について見てまいりますると、五十五年度が〇・三、五十二年度、五十六年度、五十七年度はいずれも二%程度、こうした乖離の原因はどういうところから出てきているのですか。それは予測というのは一〇〇%そんなに当たるわけはないのですけれども、過去のこれを見てみますと、やはりそれだけの乖離があるわけですね。そういう点についてはどういうようにお考えでございますか。
  138. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 経済見通しにつきましては、経済見通しの性格論というのが一つ基本的にあろうかと私は思っております。それは経済見通しというのは単なる見通しでなくて、やはり政策的ないろいろの配慮を踏まえた上での見通し、望ましい経済の姿ということがございまして、言いわけをさせていただきますならば、単純な見通しというものとはやや異質なものではなかろうか、基本的にそういうことがございます。御指摘のように、確かに当たらなかった年もございますが、しかし当たった年もございまして、必ずしも常に当たらないというわけでもございませんので、我々としては、もちろんこれはそのときの情勢を的確に把握して的確な経済見通しを立てるように総力を挙げて努力をしたい、こう考えておるところでございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 この予測というのは非常に難しいわけでございますけれども、一つは、やはり整合性のとれたものであるということですね。次に大事なことは、国内における経済構造等の変化を反映したものである、さらには対外要因の変化を加えていくこと、こういうことが非常に必要じゃないかと思うのです。こういうところが本当に十分織り込み済みであるかどうかということですね。ただそういう簡単な言葉ではちょっとまずいと思うのですね。やはりこれは国民の大きな指針になるわけでございますし、できるだけの正確度ということが要求されるわけですから、この点については局長と大臣からお伺いしたいと思います。
  140. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十年代に入りまして、政府は中期見通し並びに中期展望を三回つくっております。第一回は、昭和五十一年の三木内閣の後半につくった昭和五十年代前期の五カ年計画でございますが、この五カ年計画は、五カ年間平均六・三%成長を目標にいたしました。五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と、六%には達しませんでしたが、五%台で推移をいたしまして、ほぼ目標に近づいておったと思うのです。特に、五十四年は非常な勢いになりまして、むしろ六%を大きく突破する、こういう勢いになりまして過熱状態になりましたので、公共事業などは翌年度に繰り越す、こういうこともいたしました。そうして、一年を残しまして、五十四年に五十年代後半の七カ年計画を策定いたしました。これは、御案内のように、最終的には五・三%成長を目標にするということをいたしましたが、たまたまその七カ年計画を作成いたしました直後にイラン・イラク戦争が始まりまして、第二次石油危機が起こりまして、世界経済が大混乱に陥った。そうして、ようやく本年になりましてから、その大混乱がおさまって経済が方向転換をして上向きになってきた、こういう経過がございます。そういうことで、七カ年計画は五・三%成長でございましたが、大体ほぼ三%強の成長が続きまして、目標とは相当乖離をしたわけでございますが、その背景は、今申し上げましたようなことであったと思います。  昨年の夏、御案内の「展望と指針」をつくりまして、この「展望と指針」では、昭和六十五年までの八年間を四%成長ということを目標にいたしておりますが、その初年度が昨年でございました。五十八年度でございましたが、五十八年度は、まだ第二次石油危機の余波が残っておったものですから、三%台の成長でございましたけれども、第二年度であることしは四%強の成長が十分できる、このように思います。  先ほど局長が答弁いたしました民間の見通しというものは、政策意図を加えないで作成するものですから、政府見通しと違っております。しかし、政府見通しは、若干の政策意図を期待をいたしまして作成をいたしますので、往々にして見通しの数字はスタートから民間の見通しと違う場合がございます。ただ、いろいろな関係で思うように政策意図が加わらない、こういう結果、意図した数字には達しない、こういう場合もございますけれども、それらにつきましては、原因と結果がよく判明をしておりますので、今後はできるだけそういうことがないように配慮しなければいかぬ、こう思っておりますが、御指摘のように、違う場合も相当ございまして、そういう点は十分反省をしていかなければならぬ、このように考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に難しい問題でございますけれども、そのようにあらゆる要素を織り込んで正確なものに近づけていただきたい、このように思います。  それから、今後の経済運営についての基本的な考えでございますけれども、それをお聞きしたいと思っておりますが、公共事業一つとってみますと、明確に前倒し七〇%ですか、これは正式な閣議決定ではない、補足的なことで竹下大蔵大臣がおっしゃったということを聞いておるわけでございますが、実際今の景気の動向を見ますと、全体としては上昇しつつある。しかし、中小企業の倒産なんかは、三月を見ますと戦後最悪ですね。五十八年度も戦後最悪でございました。これは中小企業特有の体質、基盤の脆弱さ、いろんなことがございまして、そういう倒産も出てきておると思うのでございますけれども、全体としては上向きつつあるといいましても、地域的なばらつきもございますし、そういう点で非常に不安な材料がたくさんあるわけでございます。  今日の情勢から考えまして、今後の経済運営というものについて、公共事業を初めといたしまして、公定歩合の引き下げ、いろいろなことがあろうかと思いますが、長官としては、どういうように認識され、どういう方向へ持っていきたいと考えていらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  142. 河本敏夫

    河本国務大臣 対策を立てる前に、現在の経済情勢を正確に認識する必要があると思いますが、その一つは、先ほども申し上げましたように、大勢としては、ようやく数年ぶりに景気回復の方向に向かった、こういうことが言えると思うのです。しかし、今御指摘もございましたが、その力がまだ強くない、そういうことのためにばらつきが非常に大きいということであります。地域によるばらつき、これは相当厳しいものがまだ残っておりますし、業種によるばらつきも大変厳しいものがまだ残っております。  それから、なお倒産などは戦後最悪の状態である。それから、失業率などを見ましても、統計を政府がとり出しましてからやはり最悪の状態になっておるということでございまして、要するに、大勢はいい方向に方向転換したけれども、その力がまだ弱い。そこで、いろいろな問題が解決できないということでございますから、この力をもう少し強くしなければならぬ。アメリカ経済などを見ますと、非常に力強いものがございますが、日本も何とかもう少し力強い経済に持っていくことが必要だ、こう思っております。  それから、第二の点は、世界経済がやはりことしになりましてから相当よくなっておりますし、特にアメリカの経済が大変な勢いでございますので、輸出が予想以上に伸びつつございます。ことしの一月につくりました政府の貿易の収支あるいは経常収支等の数字は、あるいは若干上方に修正しなければならぬのじゃないか、こういう感じも最近はいたしております。まだ新年度スタートしたばかりですから、確たることはわかりませんが、大勢としてはどうもそういう方向に行くのではないか、こういう判断もございまして、そうなりますと、先ほど御指摘がございました幾つかの個別案件は、今鋭意調整をして努力をしておりますけれども、やはり日本が巨額の黒字を計上いたしますと、世界全体に保護貿易的な傾向を誘発するという引き金にもなりかねません。  そこで、一体この問題に対してどう対処するのか。保護貿易的傾向が出ますと、世界全体の経済に大変大きな迷惑をかけますし、日本自体も大変やりにくくなる、こういう大きな課題がございますので、第二の課題にどう対処するかということがこれからの大きな問題点でなかろうか。  以上、二つの問題をいろいろ考えていくということが、これからの当面の経済問題でありますが、同時に政治問題である、このように判断をいたしております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、長官としては、今後引っ張っていく力を出していかなければならない。そうしますと、そこには当然対策ということが出てくるわけですね。この公共事業は前倒し七〇%ということは、ほぼ政府としては合意されておるわけですか、これが一つです。  それから、公共事業分野におきます民間活力の導入活用の問題でございますが、建設省、国土庁におきましては、公共事業分野に対する民間活力導入策というのをまとめておるわけですね。そういう点、経企庁としてどういう固めをなさっておるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  144. 河本敏夫

    河本国務大臣 先般、五十九年度の公共事業の前倒しを決定いたしましたが、その前倒しをいたします理由といたしまして、内需の回復を積極的に考えていくということが第一点、第二点は、地域によるばらつき対策、この二つを考えまして前倒しを決めたわけでございますが、七〇%あるいは七〇%以上という数字は、正式に閣議決定したわけではございませんが、大蔵大臣が、これらの対策をやれば七〇%を超えるものと判断をする、こういう発言がございまして、私どもも七〇%を若干超えるのではないか、このように考えております。  後段の、民間の活力導入という問題につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  145. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 ただいまお尋ねの公共的事業分野への民間活力導入の方策という件でございますが、昨年の五月に日本プロジェクト産業協議会、通称JAPICと申しておりますが、そこに企画庁から委託調査をいたしまして、新しい民間活力の導入方策についての御提言をいただいたわけでございます。  その内容でございますが、従来のやり方と発想を異にするというような点を織り込みながら、かなり広範にわたりまして御提言をいただいております。こうした御提言をいただいて、企画庁としてどうするか、あるいは政府全体としてどうするかという問題でございますけれども、いずれにしても、かなり事柄は広範多岐にわたっておるということがございます。それから、かなり制度の変更を必要とするというような御提言もございます。したがいまして、すべてにわたりまして直ちに実行可能ということはなかなか難しい面がございます。しかしながら、一面、もう既にある程度似たような事業が行われておるというようなものも入っております。したがいまして、私どもといたしましては、こうした提言の趣旨を酌んで、各省庁の関係される部局におかれて十分に御検討いただきまして、これを一つのスタート台といたしまして、できるだけ多くのものが実施できるように関係省庁とともに推進をしてまいりたい、そのように思っているわけでございます。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 公定歩合の引き下げあるいは投資減税の促進ですね。この公定歩合の引き下げ等につきましては、円の問題もございますし、非常に難しい問題があろうかと思いますが、そうした特に中小企業等を中心とした投資減税の一層の促進等を図ることが非常に大事だと私は思うのです。こういう点につきまして、状況判断といいますか、それにつきまして大臣からお伺いしたいと思います。
  147. 河本敏夫

    河本国務大臣 アメリカの景気回復の過程を見ますと、大減税をして、そして一方で物価がおさまってきた、それが消費景気を引き起こしまして、そして在庫投資になり、さらに設備投資になる、こういう経過をたどっておりますが、特に最近の設備投資の動きを見ますと、前年に比べて非常に大きく拡大をしております。その背景は、景気がよくなったということもありますけれども、やはりアメリカのやっておる大規模な投資減税、これが設備の大規模な投資につながっておる、私はこのように思うのでございます。  今、新しい技術が次から次へ開発されておりますし、それから日本の産業の設備全体が古くなっております。大半が更新時期に来ておる、こういうときでございます。したがいまして、このときにうかうかしておりますと、大規模な新しい設備投資をしておる国に日本は追い抜かれる、国際競争力を失ってしまうということも数年後には考えておかなければなりません。そこで、日本でもう少し設備投資を盛んにするのには一体どうしたらいいかということが、貿易立国としての日本の非常に大きな課題になると考えております。その一つは、先ほど申し上げました経済の力をもう少し拡大するということが一つと、それから、現在投資減税は少しやっておりますけれども、これはもう本当に小規模なものでございまして、とてもアメリカとはけたが違っておる、とういうことでもございますので、この点を今後どうすればよろしいかということが一つの大きな課題でなかろうか、こう思っております。
  148. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはまた非常に大きな課題であると同時に、長官としては、積極策を推進されていく立場として、これは今後大いにやっていきたいと考えていらっしゃるわけですか。
  149. 河本敏夫

    河本国務大臣 経済企画庁といたしましては、ごく限られた一部の中小企業に対する投資減税だけではなく、先ほど申し上げましたような設備の更新期にも来ておりますし、大規模な新しい技術の更新も必要でございますので、それを促進するために大規模な設備投資ができるだけ早く実施されることが望ましい、このように判断をいたしております。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 近江巳記夫

    ○近江委員 公共事業等前倒しということになってきますと、今、全般として景気は上昇機運にあるわけでございますが、予算もこのように通ったわけでございまして、この秋には補正予算といいますか、そういうことについては大臣としてはどのようにお考えでございますか。
  151. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはこれからの半年、秋までの景気の動向を見ませんと、今の段階では何とも言えないと思うのです。幸いにいたしまして、経済の勢いが予想以上に盛んになるということも考えられますので、そういうことになりますと、補正予算は必要ない、このように思います。それから、やはり力が大変弱い、国際的にもトラブルが大きくなったということになりますと、これは当然補正予算が必要になると思いますが、やはりもう少し、半年ばかりの経済の動向を見ませんと、今のところは何とも言えない、こういうことだと思います。
  152. 近江巳記夫

    ○近江委員 個人消費の問題でございますけれども、ずっとデータを見てみますと、今年一月の家計費調査を見てみますと、勤労者世帯の実質消費、これが前年同期比二・二%城となっておりますね。五十六年二月以来ほぼ三年ぶりの大幅な落ち込みとなっておるわけです。全世帯の実質消費も一月は三%減、このようになっております。また、日銀券の発行高も昨年以降三%台、非常に低い伸び率を示しておるわけでございます。こういう点から見ますと、楽観はできないと私は思うのですね。  そうしますと、政府が今国会提出いたしました五十九年度の経済見通しにおきます最終消費支出、これは五十八年度実績見込みが三・二%増となっているわけですけれども、これにつきましては見直す必要があるんじゃないかと思うのですけれども、その点が一点です。  それから、先ほどアメリカの政策をお述べになったわけでございますが、大幅減税また投資減税をやっておるわけですね。これが結果として非常にアメリカのそうした景気回復に大きな力となっておるわけです。今年度は減税をやりましたけれども、それを上回る増税が行われておった。これでは帳消しじゃないかと政府は非常に強い批判を浴びておるわけでございます。こういう現状から考えまして、来年度は今年度を上回る大幅な減税をする必要があるんじゃないか、このように思うわけでございます。昭和四十九年のときには、たしか一兆八千億ぐらいですか、減税をやりました。今の貨幣価値、いろいろな伸び率からいきますと約四兆円、河本さんもよくおっしゃっておるわけですが、そういう点からいきますと、今年度の減税というのは知れているわけですね。そうしますと、来年度も少なくとも大幅な減税が必要じゃないか、このように思うわけです。この二点につきましてお伺いしたいと思います。
  153. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十八年度政府の経済見通しの中で非常に大きく狂いました項目は、やはり国民所得の伸びが低かったということだと思います。特に、雇用者所得の増加は政府見通しを非常に大幅に下回ってしまいました。そのことが先ほど御指摘のようなごく最近までの消費動向につながっておるんだ、このように考えております。五十九年度はどうかといいますと、一人当たりの雇用者所得は四・七%プラス、全体としての雇用者所得の伸びは六・八%プラス、このように考えておりますが、ただいままでのところは時間外労働等も相当ふえておりますし、ベースアップも去年よりは若干高目である、こういうこと等もございまして、ほぼ政府見通しどおりになるのではないか、このように判断をいたしております。したがいまして、消費の背景としては去年よりは強含みでおろう、こういう判断でございます。  それから、第二点の増税問題でございますが、昨年の九月の国会の劈頭、与党と野党との間で合意ができまして、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をする、こういうことの合意ができましたけれども、残念ながら五十八年もそういうことは実行されませんでした。五十九年度の減税も一兆余りの減税をいたしましたけれども、一方で増税がございますので、経済に及ぼす影響は、ゼロとは言いませんけれども、非常に小さいものになってしまった。とても昨年の九月の景気浮揚ができる規模の減税ということにはなっておりません。  そこで、私といたしましては、この減税問題を経済政策の観点からもう一回考え直す必要があるのではないか、特にアメリカの例などを見ますと、もう少し大規模なことをやる必要があるのではないかということで、今、大蔵大臣や自由民主党の政策責任者に対しまして、この減税問題をもう一回大規模に考え直してもらう、再検討してもらう、こういうことを提案をいたしまして、今、研究をしていただいておるのが現状でございます。
  154. 近江巳記夫

    ○近江委員 減税問題、非常に大きな問題でございますし、十分その点は検討していただきたい、このように思います。  春闘の問題でございますが、昭和四十年代の春闘相場というものは、有効求人倍率に掛ける十プラス四という算式で答えがイコールで出ておったように私は思うのですけれども、最近は、御承知のように、財政再建理由に公務員の賃金抑制等を政府が主導的にやってこられたわけでございます。今日の個人消費のそうした動向からかんがみましても、こういう相場でいいかという問題があるわけですが、率直な長官の御感想をお伺いしたいと思います。
  155. 河本敏夫

    河本国務大臣 ベースアップの問題につきましては、政府は労使双方の交渉、判断で結論を出していただくという態度で終始一貫をいたしております。それはそれといたしまして、別の角度から、先ほど申し上げました雇用者所得の伸びを一応計算しておりますが、これは面接春闘とは関係がございません。
  156. 近江巳記夫

    ○近江委員 やはり国民所得の増加ということが非常に大事でございますし、大きな要素でございます。そういう点で、公務員等の賃金抑制ということについては、政府としても今後十分考えていただきたい、このように思います。  我が国の経常収支の現状について、また今後の見通しについてお伺いしたいと思います。  五十八年度の実績でございますが、たしか四月二十日に月例報告されておると思うのでございますけれども、五十九年一月、二十八億七千万ドル、二月が十九億五千万ドル、これまでの経緯から見ますと一-三月期においては六十五億ドルから七十億ドルになるのじゃないか。そうなってきますと、政府の五十八年度実績見込みは二百三十億ドルを上回ることになろうかと思うのでございますけれども、これについてはどういう見解をお持ちでございますか。
  157. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 五十八年度政府の経済見通しにおいて、経常収支は二百三十億ドルという見通しを立てておるわけでございます。確かに、今御指摘のように、五十八年度二百三十億ドル政府見通しをやや上回る実績になる可能性が現段階では非常に高いことは否定できないと思っております。ただし、五十八年度に関します限りは、二百三十億ドルを上回りましても、それほど大幅な上回り方にはならないのではないかと考えております。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 五十九年度の経堂収支の見通しでありますけれども、この二月の輸入が、これは国内のそういう生産活動を反映しておると思うのでございますが、前年同月比一二・五%と非常に大幅な増加となっておるわけです。また輸出も増加傾向を続けておるわけでございまして、一八・五%増加しておるわけです。そうしますと、貿易収支は三十一億ドルの黒字。五十八年二月は二十二億ドルの黒字となっておるわけです。さらに五十八年四-六月期の五十七億ドルの基調というものが、五十九年四-六月期には六十五億ドルから七十億ドルと一段と上方修正されるのではないか、こういう見方もあるわけでございますが、この五十九年度見通しはどのようになるか。これは見高ししなくてもいいのですか。
  159. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 五十九年度の貿易収支につきましては、対前年度比増減率で輸出が五・四%程度、輸入が七・四%程度の伸びと見込んでおるわけでございますが、御指摘のように、この数字につきましては、先ほど大臣もお話しございましたように、我々考えておりますものよりやや上回る可能性があることは否定できないと思います。ただし、現状におきましては、まだ年度が始まった当初でございますので、的確に見通しを立ててという状況にはまだないと思っております。しかしながら、いずれにいたしましても、輸出も輸入も我々が考えていましたよりも伸び率が高くなる方向にあるという状況は間違いないと思っております。
  160. 近江巳記夫

    ○近江委員 五十九年度もスタートしたばかりでございますから、いずれにいたしましても注意深く見守っていきたいと思っております。  それから、地域経済の問題でございますが、マクロ的には我が国としてはこうなっている、先ほど長官からもお話がございましたが、地域におきまして非常にばらつきがあるわけですね。業種間あるいは規模、地域別、そういう跛行性が見られるわけでございますが、地域格差のそうした問題であります。  四月二十日の経済企画庁の調査局の地域動向を見ますと、各地域の景況というものは、北海道では停滞が続いておる、中国、四国ではやや明るさが見られておる、東海、近畿、九州では明るさが続き、関東、北陸、東北では明るさが増している、こういうようになっているのですね。しかしまた、各県別の動向を見ますと、同じ地域であっても県によってかなりのばらつきがあるわけです、あるいはまた格差が非常に出てきております。この三月二十七日、日経の地方景気の動向調査でも、全国の上位の上昇基調にある県の場合でも同様になっているのですね。こうしたことを見ますと、これまでの景気回復の過程、そういう今までのパターンを見てみますと、大都市圏の景気回復に半年ないし一年程度おくれて地方圏の回復が一律に始まっておる、こういうようになっておったのが崩れてきておるわけですね。そこで、その原因は何かということなんです。この原因についてはどのようにお考えですか。
  161. 廣江運弘

    廣江政府委員 日本の国の景気全体は、先生が御指摘になりましたとおり、緩やかではありますが、着実に回復していると思いますが、今回の景気回復が主として特に輸出に主導されたという点を考えますと、輸出の影響というのが出ておると思います。そういう意味で、輸出産業が多く存在をしているかどうかというようなことが地域の景気動向を左右していると思いますし、また、それと裏腹になりますけれども、公共事業への依存度の多寡というのも大きな問題かと思います。それからもう一つは、一次産業でありますが、農業とか漁業といったような一次産業、それに関連いたします消費の状況といったようなものを考えまして、以上三つばかりの要素から、先ほど御指摘になりましたような地域景気動向における跛行性というのがあらわれておると思います。  今回の景気回復は、従来の景気回復と比べまして、そうした今挙げました三つ、特に前の二つ、輸出の動向、それから公共事業依存度への動向といったものが強いものでございますから、御指摘のような若干のおくれといったようなものが出ているのではないか、あるいはそういう差というものがはっきり出るんじゃないか、こういうふうに考えます。
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、ばらつきのあるそういう落ち込んだところに対しては、当然公共事業ということがあるわけでございますけれども、どういう対策をお考えになっておるのですか。
  163. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 先般、公共事業につきましての上半期の執行につきまして政府としての基本方針を決めたわけでございますが、その中での一つの大きな柱といたしまして、地域の状況に配慮して公共事業を執行するという方針がございまして、現在、政府部内におきまして、その具体的な地域の状況を把握いたしまして、地域別にあるいは都道府県別に具体的な公共事業の執行につきまして、県、地方公共団体等と十分相談をしながら、具体的な公共事業の執行の方策を検討いたしておりまして、近くその方針を決定させていただきたいと思っておるわけでございます。当面の地域に対します対策といたしましては、今私が申し上げたものが一番大きな点であろうかと思うわけでございます。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう本会議が始まりますので、一応これで終わります。
  165. 横山利秋

    横山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後四時五十八分開議
  166. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 本会議前に引き続きまして、質問を続行させていただきます。  世界経済の中でも、何といいましてもアメリカ経済の動向は非常に注目されるところでございます。そこで、まず、米国経済の見通しについてお伺いしたいと思います。  米国経済は、五十七年の十二月から回復に転じまして、五十八年度を見てまいりますと、消費、住宅、設備投資を中心に実質三・三%成長を達成しておるわけであります。四半期別の成長率、年率換算でいきますと、五十八年第一・四半期の二・六%以降、九・七、七・六、五%ということでございまして、本年三月二十日に公表されました五十九年一-三月期の成長率は七・二%という非常に高い成長率を持っておるわけでございますが、そういう要因の一つに設備投資の伸びが挙げられると思うのでございます。我が国のエコノミストの多くの方々の話を聞いておりますと、財政赤字が拡大する局面において実質金利の上昇が起こってくる、その結果民間投資が抑制されることになるはずである。しかし、現在で見る限りにおいては、逆に、例を見ないような非常に高い伸び率を示しておると思うのです。今年の見通しについても、実質一〇%を超えるのじゃないかという予想がされておると思うのでございますが、一時鈍化が懸念されておりました住宅建設も、一、二月の着工戸数は、年率二百万戸台を推移するんじゃないか、非常に明るい見通しに満ちておるように思うわけです。  しかし、非常に問題点も多いと思うのですが、その第一は、貿易及び経常収支の動向の問題でございます。貿易収支につきましては、非常に赤字というものが拡大しておるわけでございますが、この八四年度におきましても、結局一千億ドル程度になるんじゃないか、こういう観測が行われておるわけでございますけれども、経常収支も八百億ドル前後の赤字が予想されるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、牽引力としてのアメリカ経済の動向というのは、我が国にも極めて影響するわけでございますので、私が申し上げましたそうした点につきまして、どういう見通しをしておられるか、お伺いしたいと思います。
  168. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカの経済は、昨年いっぱいの動きは今先生指摘のようなところでございまして、本年に入りましてからも非常に強い調子で伸びております。この一-三月期の実質GNPは、在庫投資、それから個人消費、それに設備投資というようなものを主因にいたしまして、年率前期比八・三%という調子になっております。もっとも三月に入りまして若干住宅、消費等にスローダウンの気配が見えておりますし、また、三月の生産が一、二月の生産より少しペースを落としているということも事実でございますが、三月の成長は非常に強かったということでございます。これを受けて金利が上昇いたしまして、御承知のように四月の九日からFRBは公定歩合を〇・五%引き上げて予防的措置をとっておるわけでございます。ただ、本日入りましたデータによりますと、この三月のCPI、消費者物価の上昇率は、前月比〇・二%、前年同月比四・七%と、レベルは昨年度よりは若干上がっておりますが、なお落ちついた状況にございます。こういう状況を受けまして、アメリカの政府は、四月の初めに本年度の経済見通し年初五・三%と言っておりましたものを五・九%に上方に修正をいたしております。  そこで、問題点はと言われますと、先ほど先生も御指摘になりましたような、双子の赤字といいますか、二つの赤字と言われているものでございまして、基本的には財政の大きい赤字、それとの関連で経常収支の大きな赤字が続いておるということ、それを受けて、先ほどもちょっと言及いたしました高金利というようなものが問題点であることは事実ではございますが、現在のアメリカの経済成長の強さというものは、先ほど御指摘にもなりましたように、設備投資というものが非常に腰のしっかりした設備投資が行われておりますし、物価も先ほど申し上げましたような状況でございますので、いろいろ問題はございますけれども、ほぼアメリカの政府が見ておりますような成長を遂げるのではないか。もっとも第一・四半期のようなペースで進むとは思いませんし、今後スローダウンしていくことは事実だと思いますが、かなり強い成長を遂げるのではないか、五%台の成長を遂げるのではないかというふうな見方が大多数でございますし、そのように見ていいのではないかと思います。そういう状況にあろうかと思いますが、ひとつやはり注意事項としますと、今後の物価というものがどういうふうになっていくかというものが注意事項かと思います。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 この資金需要の動向の問題でございますけれども、個人貯蓄というものは非常に低下してきておる。しかし、そこにまた連邦政府の財政赤字、これは非常に拡大傾向にある。外国からも資本流入等があるわけでございますが、民間企業のそういう資金調達というものは非常に窮屈になってきておるんじゃないかという意見も出ておるわけでございます。その辺のことについて政府としてはどのようにごらんになっていますか。
  170. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカの場合は、先ほど二つの問題点の中の一つに財政の大きな赤字ということを申し上げましたが、財政の赤字がありましても、貯蓄率が高ければ、それでカバーできるわけですが、実際、御指摘にもありましたように、貯蓄率が通常五%程度で推移しておりまして、三月の指標は若干上がっておりまして六・七ということを私どもは聞いておりますが、いずれにいたしましても、貯蓄率が低くて財政が大赤字だということで、いわゆるクラウドアウトが心配されるわけでございますけれども、アメリカの場合は収益がよくなってまいりました。それに先生も御指摘になりました企業減税というものが重なりまして、割に企業の内部留保といいますか、キャッシュフローというのがかなり豊かになってきておるということで、クラウドアウトの大がかりなものがここでチェックをされているという状況にあろうと思いますが、何分の資金不足は、アメリカの経済に対する信認というようなところ、あるいは高金利というようなものも影響いたしまして、海外からの資金流入ということにも助けられておりますし、もう一つは、先ほど言いました企業の内部留保ということで、ここへきまして三月ごろの資金需要というのはかなり強く出ておりますけれども、まだ物価は先ほど申し上げましたような段階にとどまっておるというのが現状だと思います。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 物価はそういう点で現状ではおさまっておるわけでございますけれども、やはりインフレのそういう心配がないかということなんです。失業率が非常に高いわけでございますけれども、操業率が一定限度を超えると非常にボトルネックが生ずるというのは常識の問題でございますけれども、失業率の推移を見ますと、八三年第一・四半期の一〇二一%から、ことし三月には自然失業率と言われております七%台、かなり急ピッチで低下してきておるわけですね。むしろ現在は熟練労働者というものが払底しているんじゃないかとも言われてきておるわけでございます。設備稼働率は八三年第一・四半期の七〇・七%から今年二月には八一%台と非常に上昇してきておるわけです。この危険操業率と言われている八一%を超えてきておるというような状況から、一部におきましては過熱状態に近いんじゃないかという見方もあるわけでございますが、政府としてはどういうように考えておられるか、インフレの再燃の心配等はないのかどうか、その点どのようにごらんになっておるかお聞きしたいと思います。
  172. 廣江運弘

    廣江政府委員 アメリカの稼働率が全産業で八〇・九ということでございますから、例えば紙パといったような業種によりましては、かなりフル稼働に近いようなものも出てきておることは事実でございます。そういう状況並びに資金需要等から見まして、四月の初めにFRBは公定歩合を引き上げたのだろうと私どもはそんたくをいたしておるわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたが、三月の消費者物価の上がり幅は、食料が値下がりをしたということを割り引いてもかなり落ちついたものであったというようなことで、CEAのフェルドスタイン委員長は、過熱ということはないんだ、こういうふうなコメントをつけ加えておるというふうに私どもは聞いております。しかし、基本的には、先ほど言いました二つの赤字という大きな問題を抱えているということは、先生の御指摘になりましたようなことを含めての問題点があるということを否定はできないわけでございます。それに、本年はかなり大多数の賃金改定、三年に一度の賃金改定がこの夏場あたりに集中しでまいりますし、こうした全般的な物価の動向等とも絡み合わせて、やはり物価の状況ということについては十分に注視していかないといけないと思いますが、先ほど私が、アメリカ政府は経済見通しを上方に修正したと申し上げましたが、同時に、アメリカ政府はそのとき本年の消費者物価の上昇率を四・四%と言っておりましたものを若干下げて出したということも一つの参考にはなろうかと思います。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましても、こうした世界経済の動向ということは、我が国としまして十分キャッチしつつ経済運営というものをやはり慎重に考えていく必要があろうかと思います。  それから、長期経済計画の策定の問題でございますが、経企庁設置法の第三条によりますと、その任務の一つとして「長期経済計画の策定及び推進」という項目があるわけでございます。昨年の八月に閣議決定されました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、それの特性につきましては幾つかの問題点が指摘されておるわけでございますが、その一つは、九十八国会におきます中曽根総理の答弁だと私は思うのです。五十八年三月八日の予算委員会での発言を見ますと、日本のような国にはいわゆる計画性というものはなじまない要素が強いとか、日本のように貿易に依存する国家の場合には計画性というものが立ちにくいなどの理由によって、弾力的、機動的ないわばガイドライン的なそういう性格を持ったものに変えていく、こういうような趣旨の答弁があるわけでございます。そして、今までの経過を見てまいりますと、昭和三十一年一月に閣議決定されました第一回の経済自立五カ年計画以降、十回に及ぶいわゆる経済計画策定の歴史があるわけでございます。しかし、考えてみますと、これは非常に設置法を無視しておるようなことを言っておるわけですね。これはひとつ、この経済企画庁の最高長官として河本長官は、こういう総理の発言をどのように受けとめていらっしゃるのか、これをお聞きしたいと思います。
  174. 河本敏夫

    河本国務大臣 いろいろな考え方があると思うのですが、昨年の八月の「展望と指針」は比較的抽象的な表現が多くなっておりまして、具体的な数字は比較的少ないということでございますが、そのかわり毎年見直していく、こういうことになっておりますから、それはそれなりに私はいいと思っております。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはそれなりにいいという答弁があったわけですけれども、いろいろ聞こえてくる声は、経企庁のそういう職員の皆さんも非常にがっかりしておるような空気があるようでございます。やはりこういう長期経済計画というものは、そういうガイドラインではなくて、我が国が将来に達成すべき姿であるそういう道程というものをきちっと示していかなければいかぬと思うのです。そういう点で、何といいますか非常にガイドライン的な性格でございますし、今後もこういう形で続けていかれるのかどうか、今後こういうように変えていきたいと思っていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  176. 河本敏夫

    河本国務大臣 「展望と指針」を参考にいたしまして毎年見直していく、こういうことでございますので、ただいまのところこれを変えることは考えておりません。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 私どもといたしましては非常に抽象的な感じがいたします。これは、今後一工夫をしていただきたいと思いますし研究をしていただきたい、このことを提言しておきたいと思います。研究していただけますか。
  178. 河本敏夫

    河本国務大臣 御提言は参考にさせていただきます。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、我が国といたしましてシンクタンクをつくったわけでございます。御承知のように総合研究開発機構でございまして、これは私もその法案の成立のときには立ち会った一人でございます。このNIRAの問題でございますけれども、聞いてみますと、民間出資額がまだ五十六億円払い込み残があるということでございます。こういう問題を今後どうするかということですね。そうしますと、出資が得られない場合、資金規模を見直すことになるのか、それはどういうようになさるかということです。  この法律あるいは施行規則等見てまいりますと、「増資の認可の申請」といいますか、それは出ておるわけですけれども、こういう払い込みができない場合についての規定はないわけですが、これは今後どう処理されるのですか。今後の複雑な国際社会の中にありまして、こういうシンクタンクの果たすべき役割は非常に大きいと思うのです。今後の改革というものはどういうようになさっていかれるのですか。
  180. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 ただいまお話しのように、民間の出資予定額が必ずしも十分なスピードで集まっていないことはそのとおりでございまして、その点につきましては、私ども監督する立場といたしまして、事あるごとにNIRAの方には申し入れをし、NIRAもそれなりの努力を続けておるわけでございます。ただ、現在のところ、資金規模全体といたしますとかなりの規模にはなっております。したがいまして、法律が予定しております「総合的な研究」という事業そのものは、おおむね所期の目的に沿って行われていると思うわけでございます。あと残りまだかなりの領民間からの予定があるわけでございますので、その募金につきましては、幸い景気も好転をしておるわけでございますし、またNIRAの方でも、この募金のあり方については一工夫も二工夫もすることといたしまして、さらに全力を傾けまして早急に民間の出資を完了するように努力をし、私どももその努力をさせるように努めてまいりたいと思っております。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはやはり当初計画なさったことでございますし、今までもそうですけれども、今後こういうシンクタンクというのは一層必要性が高まってくると私は思います。それを充実する意味におきまして、今御答弁があったように、努力を一層続けていただきたい、このように思います。  それから、次に、経済協力のあり方の問題でございますけれども、こういう現状を見てまいりますと、日本の開発援助はGNP比の〇・二九%、OECD加盟国十七カ国中十三位です。そういう点からいきますと、経済大国としまして非常にお粗末である、このように思うのです。財政の厳しいときでもございますし、いろいろな背景があることはわかっておりますけれども、国際社会の中で今日これだけ経済大国として成長しているわけですから、果たすべきことは果たさなければいかぬ、このように思うのです。その直接の責任者である大臣にひとつ御見解を賜りたいと思います。
  182. 河本敏夫

    河本国務大臣 経済協力につきましては、昭和五十六年から行財政改革を進めまして大変厳しい予算編成にはなっておりますが、一応防衛、エネルギー、科学技術、この三項目と並んで経済協力はシーリングを設けない、必要なものは計上する、こういう趣旨で、御案内のように五カ年間で二倍にする、こういう方針でやってきております。我が国の国際社会における立場等考えますと、これはどうしても実現しなければならぬ、私はこのように考えておるところでございます。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 いつも予算委員会等でも御答弁はそういう前向きな答弁です。しかし、実績というものを見てみますと、遅々としているのですね。ですから、これは長官がおっしゃいましたように、ひとつ力を入れてしっかりと我が国の果たすべきそうした役割というものにつきまして一層努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、長官も御承知のように、食糧危機のアフリカ、いろんなマスコミ等でもこれは報道されておるわけでございますけれども、内容をいろいろ勉強していけば勉強していくほど非常に気の毒な状況でございます。食糧危機のアフリカ、飢えた大陸ということでございまして、アフリカ大陸の人口の大体三人に一人が飢えておる、こういう現状ですね。これはいろいろ関係する省庁もあるわけでございますが、この援助についてどういう措置をされてこられたか、まず経過についてお伺いしたいと思います。
  184. 木幡昭七

    ○木幡説明員 お答え申し上げます。  アフリカの食糧危機の問題でございますが、現在私どもはこの問題について何とかできるだけの援助をしたいということで一生懸命やっているところでございます。  ちなみに、五十八年度におきましては、食糧援助については約九十二億円の供与を行っているところでございます。そのほかにも、干ばつで大変だということで、約五億円の緊急援助を実施したところでございます。これは二国間の関係でやっているわけでございますが、そのほかにも、国連の食糧農業機構、いわゆるFAOであるとか、あるいは世界食糧計画等々の国際機関をも通じて応分の協力をするという努力もいたしております。  また、五十九年度におきましても、できるだけ早目に食糧援助をしてあげるということで、目下鋭意研究をしているところでございます。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 目下いろいろ準備されているわけでございますが、昭和五十九年度につきましてはどの程度のことを考えていらっしゃいますか。
  186. 木幡昭七

    ○木幡説明員 五十九年度につきましては、少なくとも前年度、五十八年度のレベルを上回る援助をしたいということで目下検討しているところでございます。大変申しわけないのですが、金額とか数量的な数字は、まだ五十九年度について申し上げられるような段階でございませんが、五十八年度につきまして若干区分けして申し上げますと、食糧援助につきましては、金額といたしまして約九十二億円、それから食糧増産関係の援助として五十億円強をやっております。少なくともそれを上回ることでやりたいということで検討しているところでございます。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは余り時間がありませんものですから、これ以上詳しくはできないわけでございますけれども、経企庁長官、今外務省からもそういうようなお話があったのでございますけれども、これは人道的な立場におきましても特段の力を注ぐべきであると私は思います。今後政府でいろいろとまた積み上げをされていくことと思いますけれども、ひとつ長官の決意をお伺いしたいと思います。
  188. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題には私も非常に関心を持っておりまして、国連の調査なんかによりますと、世界の総人口の約一割が飢餓の状態にある、しかもそのうち約五千万の人が餓死しておる、こういう報告を国連は二回にわたって発表いたしております。  そこで、今外務省からも日本の援助について御答弁がございましたが、国際機関全体では約一千万トンの援助があるようであります。しかし、この飢餓人口を救うためにはもう七千万トン必要である、そうしてその資金は約百六十億ドルが必要である、このように言われております。したがいまして、この問題は日本だけではどうにもなりません。世界的な問題といたしまして、先進国等がもっと真剣にこの問題に積極的に取り組んでいく、こういう必要があろうと思います。同時に、我が国といたしましては、世界の経済力の一割以上を占めておる国といたしまして、さらに現在以上の大きな役割を果たす必要がある、私はこのように痛感いたしております。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、その件につきましては、長官も決意を述べていただいたわけでございますので、ひとつ一層努力をしていただきたいと思います。  いよいよ時間が迫ってまいりましたので、あと一点だけお聞きしておきたいと思います。  それは金融の自由化についての問題でございます。例えば金利の自由化の問題でございますが、この点については長官としてどのようにお考えかということです。受け身に徹して外圧を切り抜けることに意味があると思われておるのか、それとも、我が国の金融界として自発的に金利の自由化の方向に進むべき時期であると考えて積極的に進めるべきであると思われるのかどうか。どういうように長官としてはお考えになっていらっしゃるか。これが一つです。  それから、あと、金融自由化のメリットといえばどういうことが挙げられるか、デメリットとしては何が挙げられるか、国民生活の中にどういう変貌が起こると思われるか、この点をお聞きしたいと思います。  以上、二点、時間がありませんので、簡潔にお願いいたします。
  190. 河本敏夫

    河本国務大臣 これまでの経過は御承知と思いますが、昨年の秋、竹下・リーガン声明がございまして、その線に沿って、ことしから三回、円・ドル委員会が開かれております。そして来月中には、大蔵大臣と財務長官に報償するためのレポートがまとまる、このような作業を今進めておるわけでございます。私は、資本と金融の自由化、これはもう日本としては避けて通れない過程である、このように理解をしておりますが、これだけ急激な国際化をいたしますと、やはり相当な摩擦も起こると思います。しかし、何回も申し上げますように、世界経済の中で非情に大きな役割を果たしております日本といたしましては、この分野だけは自由化は嫌だ、そういうことは言えないという経過であろうと思います。よって生ずる幾つかの摩擦もあろうと思いますが、これはやはり工夫して克服しなければならぬ、このように私は考えております。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  192. 横山利秋

    横山委員長 神田厚君。
  193. 神田厚

    ○神田委員 五十六年度決算行政管理庁に対しまして質問をいたします。  最初は、特殊法人の活性化の問題であります。  これは昭和五十九年度でありますが、特殊法人に対しまして国は、補助金二兆三百六億円、出資金五千億円、財政投融資十七兆一千六百八十一億円等の資金を投入しており、特殊法人の行う事業の効率化は予算の効率化を図る上で緊要の課題であります。しかし、現実には特殊法人の事業内容には多くのむだがあり、行政管理庁が行った特殊法人の契約事務に関する調査によれば、一番目に、国と比べ随意契約の割合が極めて高い、二番目に、入札参加の業者の選定に偏りがある、三番目に、予定価格を決めていない事例が少なくないなどの実態が明らかにされております。  そこで、まず、大蔵省にお伺いをいたしますが、このような特殊法人の事業内容は予算のむだ遣いに直結すると思うわけでありますが、五十九年度予算案の策定に当たりまして、政府はどのような改善措置を講じているのか、お答えをいただきたいと思います。
  194. 加藤剛一

    ○加藤説明員 特殊法人が実施しております契約事務の実態につきましては、行政管理庁が昨年の九月に、「特殊法人における契約事務の公正確保に関する調査結果報告書」、これによってその実績を明らかにしまして、関係省庁に通知をしておる、これは承知しております。  同報告によりますと、随意契約の適用につきましては、具体性を有した適切な基準の設定、また、見積もり合わせに関する規定の整備等が非常に不適正である、あるいは予定価格の決定、機密保持等に関する規定の整備などにつきまして、主務省庁において所管の特殊法人に対して指導が必要である、こういった御指摘でございました。  特殊法人の処理につきましては、予算査定上どう反映しているか、これは一義的には予算の執行に関する問題でございまして、監督をします主務省庁におきまして対応する問題でございます。それからまた、予算の査定というのは、一つの目ないしは一つのグループで予算を計上いたしまして、その間に執行をいたす、こういうことでございまして、なかなか契約の結果、これがむだである、そのために幾らか減額できる、これは非常に難しゅうございます。しかし、こういったことを勘案しまして、財政事情も非常に厳しいわけでございますから、特殊法人等の関係の予算の査定につきましては厳正に対応しておる、このような事情でございます。
  195. 神田厚

    ○神田委員 五十六年度の物品調達契約を見ますと、随意契約は、国の五一%に対し、特殊法人は八六%に達しております。一般に随意契約は、運用によっては業者が偏ったり経済性に問題が生じるため、必要最小限度にとどめるべきだと考えますが、今後どのような改善措置を講ずる方針か、お聞かせをいただきたいと思います。
  196. 加藤剛一

    ○加藤説明員 御指摘の随意契約でございますけれども、手続が非情に簡単でございます。そしてまた、経費の負担も少額で足りる、また相手方が特定のために、信用とか資力の調査、これも非常に容易である、こんな長所を有します。しかし、一面、運用を誤りますと、相手が固定してしまう、惰性に流れる、こういった短所を有しておるわけでございます。それで、国の契約におきましては、従来から合理的、経済的な運用を確保する契約手続の厳正な執行について指導をしております。  特殊法人等の物品の調達の手続でございますけれども、各種特殊法人の特性、事業内容に応じまして、何が適当であるか、また会計手続上どうしたら一番効率的か、これにつきましては、先ほど申しましたように、これは主務大臣が当面の監督官庁でございますけれども、財政当局としましても、関与すべきないしは非常に考慮すべき、また大いに注意深く見守るべきことでございますので、各種の会議等を通じましていろいろ検討しているところでございます。
  197. 神田厚

    ○神田委員 長官にお尋ねいたしますが、行政管理庁は昨年九月に特殊法人の契約事務の適正化に関する改善の通知を全特殊法人、各省庁に出していると聞いておりますが、政府は、各特殊法人の具体的改善状況を早急に取りまとめ、この問題についての改善方針を明示すべきであると考えておりますが、その対処方針はいかがでありますか。
  198. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御案内のように、この特殊法人の私の方の調査というのは、直接的には、当該監督官庁といいますか、その行政機関の業務の運営が適切であるかどうかという、それとの関連において特殊法人の業務を調査をするということでございますから、昨年の調査の結果をそれぞれの行政機関に御連絡、通知を申し上げて、何せ契約事務、これは公正をどうしたって担保しなければなりませんから、その中には今御指摘のように随意契約なんかが非常に多い、いろいろな点を指摘をして是正方をお願いをしております。その結果は、これは公表をいたしておりますから、私どもとしては、それぞれの行政官庁が適切な指導監督をしていただいておるもの、かように考えておるわけでございます。
  199. 神田厚

    ○神田委員 行政管理庁として取りまとめて国会なりに報告をするという形がとれればそれは一番いいわけでありますが、そういう形にはなかなかまだ進みませんか。
  200. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは一般の監察も同じでございますけれども、一般に公表するという手段で御批判にさらさせる、こういうやり方をやっておりますので、御了承願いたいと思います。
  201. 神田厚

    ○神田委員 続いて長官にお尋ねいたしますが、臨調の最終答申は、特殊法人の経営の活性化を図るための方策を共通的、制度的なものとして確立するよう求めており、政府はことし一月の閣議決定で特殊法人の活性化方策を打ち出しております。  この中で、随意契約のあり方、予定価格の設定、入札のあり方など、特殊法人の会計処理については、昭和六十年度をめどに検討することになっておりますが、行革を内政の最優先課題に掲げております中曽根内閣におきまして、速やかにこの具体的な方針を確立するように期待をしたいのでありますが、この辺はいかがでありますか。     〔委員長退席新村(勝)委員長代理着席
  202. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今御質問のように、特殊法人、これは大変性格が違っておるのがございまして、行政事務の肩がわりをしているといったようなものもございますし、同時にまた、企業性を最大限に発揮していただかなければならぬといったような特殊法人もあって、一律にはなかなか言いにくい面があるわけでございますが、これはもともと発足の趣旨が国のいいところと会社のいいところをとってつくったわけですけれども、遺憾ながらどうも両方の悪いところをとっておるではないかという一般の御批判がありますから、何といっても肝心なことは、今日の特殊法人というものはもう少し活性化をする必要があるということであろうと私は思います。これには、大事なりあるいは仕事のやり方なりあるいは会計事務の処理の仕方なり、いろいろあると思いますから、そういう点をそれぞれに御留意を願ってやっていただく、こういうことでございます。  ただ、私どもの方で専門家にお調べをいただいたのですけれども、例えば会計準則、こういうものすら必ずしも十分でないというようなところもございまして、今そういう点について我が方としても十分検討して、それぞれの特殊法人に是正をしていただく。自分のところの財産がどれだけあるのかもわからない。それじゃ、昨年の経営がどうであって、ことしの経営がどうなっておるかということすらわかりにくいというようなところもございますから、そういうような点も踏まえまして、やはり特殊法人というのはまだたしか九十九あるわけでございますから、これらについては行政改革の大きな課題として取り組んでいきたい、かように考えております。
  203. 神田厚

    ○神田委員 具体的な方針を早く確立するようにというようなことを重ねて要望しておきたいと思います。  次に、予定価格の問題でありますが、契約を経済的に公正に実施するには予定価格の設定が不可欠であります。  行管庁の調査によりますと、調査対象百九十機関のうち三十機関は予定価格を設定せず、業者の見積もり価格を値引きして契約額を決めております。また、予定価格の機密保持に関する明文規定があるのは三十九法人と、予定価格書が職員の机やロッカーに保管されているなど、機密保持がずさんなものが十二機関もあります。この際、行管庁も勧告するように、予定価格の設定、機密保持に関する規定を整備すべきであると思いますが、どのようにお考えでありますか。
  204. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは私の方の調査の結果そういうことになっておるわけでございますので、それぞれの監督官庁で是正を図っていただいておるもの、私はかように考えるわけでございます。  やはり予定価格の決め方なりそれの機密の保持といったようなものは、役所であれば予決令などの中にきちんとしておるわけですけれども、特殊法人の中にはどうも今御指摘のような点がございます。しかし、今日はそれぞれの監督官庁で是正をせられておるのではないか、私はかように考えております。
  205. 神田厚

    ○神田委員 それでは、具体的な所管特殊法人を持っておりますところの建設及び運輸両省におきましては、具体的な改善状況があるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  206. 宮本春樹

    ○宮本(春)政府委員 お答えいたします。  運輸省関係の対象特殊法人は九法人あるわけでございますが、当該特殊法人の入札における予定価格の機密保持につきまして行政管理庁で御調査をいただいたわけでございます。そのとき御調査になった主要点は、先生お話しのとおり、規定の整備と具体的に予定価格が設定された場合の当該価格の機密を保持するための保管の方法の二点について御調査をいただいたわけです。  その当時指摘されましたのは、規定の整備につきましては、運輸省関係については全法人について問題はなかった。作成されました予定価格の保管の問題につきましては、一法人におきましてロッカーに保管されているというような実態がありまして、残りは金庫に保管されているということで問題はなかったという実態でございました。その後、従来から規定のあるものにつきましては、その励行を十分に行わせるとともに、保管について、ロッカーに保管されたものにつきましては、金庫に保管させるというような是正措置を講じさせまして、万全を期しております。今後ともそのような措置を講じていきたい、そのように考えております。
  207. 河津四郎

    ○河津説明員 お答えいたします。  公団におきます予定価格の設定あるいは機密保持の問題につきましては、かねがねから厳正に処理してまいったところでございますけれども、最近におきましては、さらにその徹底を図るというために内規を整備させましていろいろ措置を講じているわけでございます。こういう件につきましては、建設省におきましても、今後ともその事務の処理の適正化につきまして公団を指導してまいりたいと考えております。  それから、予定価格書の保管の問題でありますけれども、これにつきましては、従来金庫、ロッカー等に施錠して厳重に保管するということでやってきたわけでございますけれども、最近におきましては、さらにこれを厳正にやるということで、すべて金庫に保管するというような形でやらせていただいております。
  208. 神田厚

    ○神田委員 特殊法人の契約の問題につきましては、これまでも贈収賄事件等が何度か摘発されておりまして、不正を生む不透明な体質がなきにしもあらずだ、こういう指摘をされております。このような不正事案の再発を防止するために、同一職長期在職の是正、契約事務担当職員の兼職禁止等を行管庁は指摘をしております。  特に、同一職長期在職については、昭和五十四年官庁綱紀の粛正についての官房長会議申し合わせや、昭和四十四年の閣議報告において、三年以上の同一職在職を禁じているにもかかわらず、昨年の調査では四百三人の長期在職者がおります。  ところで、この問題につきまして、建設、運輸両省にお伺いをいたしますが、所管の特殊法人についてどのような改善措置を講じたか、報告を求めたいと思います。
  209. 早川章

    ○早川説明員 運輸省についてお答え申し上げます。  運輸省におきましては、今お話のございました昭和四十四年の総務長官の御通知によりまして、関係の特殊法人に対しまして、次官名をもちまして綱紀の粛正、その際に長期在任のないようにというような指導をいたしております。ただし、その際、これは総務長官の方からの御指示もそうでございましたが、合理的な人事配置の確立ということでございまして、これの解釈といいますか、それの実行につきまして、運輸省は、部内につきましては三年ということで改めて次官名をもって一つの目安をつくったものでございます。  特殊法人につきましては、それぞれ種々の事情があるかと思います。例えば規模が小さいとかいうことで適切な人材が得がたい等々の理由もあるということでございますので、非常に一般的に、運輸省がやることに準じてしかるべく取り計らうことを依頼いたしまして、それに対しましてさらに追っかけてその実施状況というものをとったわけでございます。その際の各特殊法人からの報告によりますと、特殊法人によりましては、五年程度で考えていきたいというような申し出のあるものもございました。原則として三年で回す、こういうことで改善状況の報告を受けたところでございます。  その後、折に触れて、いわばこういう形の不正事案の防止についてはたびたび通達等を発しているところでございますけれども、このたびの行政管理庁の御調査によりまして、なお幾つかの特殊法人については必ずしもローテーションが適切に行われてないものもある、我が方の所管の法人についても一、二散見されるところでございますので、御通知を受けました後、我々の方は所管の部局にその内容を渡しまして、これについて各特殊法人と十分検討をいたすようにという形で、現在検討を進めていただいているところでございます。
  210. 城宏明

    ○城説明員 建設省でございますが、長期在職者の解消につきましては、折に触れまして、公団公庫等を指導をいたしておるところでございますけれども、昨年九月の行政管理庁報告書によりますと、例えば私どもが担当いたしております首都高速道路公団におきましては七人、それから阪神高速道路公団におきましては十四人というふうな長期在職があったわけでございます。しかし、その後改善を図りまして、本年の四月現在におきましては、それぞれ一人、それから他の公団公庫等におきましても、おおむね解消いたしておるところでございます。なお、この一人ずつと申しますのは、一人は役員でございまして、もう一人は工事検査を担当しておる極めて専門性の高い業務に従事しておる職員、こういう実態になっておるわけでございます。  今後とも、契約担当の事務職員の長期在職者につきましては、特別の理由がない限り、二年あるいは三年程度を目途といたしました人事のローテーションを確立する等によりまして、長期在職者の解消に努めるよう指導監督を強化してまいりたい、このように考えております。
  211. 神田厚

    ○神田委員 行政管理庁といたしましては、この問題について明確な方針を定めて、同一職長期在職の是正を徹底すべきである、こういうふうに考えておりますが、いかがでありますか。
  212. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 やはりこういった仕事に従事している人は、一つは相互牽制の仕組みを考えるのが適当だ。同時にまた、余り長期のものは好ましくない、私はこう思いますけれども、何せ特殊な知識を要するといったような面もございますから、そこらは兼ね合いを考えていただいて、とかくの問題が起きないように、それぞれの特殊法人にまずやってもらう、それには監督官庁がしっかり指導をしていただく、こういうことであろう、かように考えております。
  213. 神田厚

    ○神田委員 それでは、次に、通商関連の許認可問題につきまして御質問を申し上げます。  国際取引に関する許認可の整理につきましては、昨年五月の基準・認証法改正が成立をし、十六本の関係法の一括改正が実現をいたしましたが、産業界の間には、改善されたのはまだごく一部にすぎず、経団連は積み残された改善要求項目として二百八十項目を指摘していると聞いております。  そこで、通商関連の許認可、検査の改革は、通商摩擦の改善のみならず、国民負担の軽減、行政事務の簡素合理化、民間活力の発揮を図る上で緊要の議題と考えますが、この問題に取り組む政府の基本姿勢について、まず質問をしたいと思います。
  214. 土居征夫

    ○土居説明員 御指摘のありました国際取引に関する許認可手続等につきましては、昭和五十五年に外為法改正によりまして、大幅な手続の簡素化を図ったのを初めといたしまして、最近では、今御質問がありましたように、基準・認証制度の法改正を含めた改善を図るなど、従来からできる限りの簡素化、合理化に努めてきたところでございます。  通産省といたしましては、一層の簡素化を求めております経団連等の要望の趣旨を踏まえまして、かつ許認可等の規制は、それぞれの法目的達成のために真に必要なものに限定することを基本といたしまして、今後とも許認可手続等の改善にさらに努めてまいりたいと考えております。
  215. 神田厚

    ○神田委員 具体的に指摘をされている問題。事項につきまして、二点ほどお伺いをいたしますが、一つは、関税の後納制の併設についてであります。  関税の納付に手間暇がかかり、貨物の引き取りがおくれるという事態を避けるため、関税の納付は通関後でもよいとする後納制を新設してはどうかという問題が指摘をされております。物品税等は商品の販売後に納税する体系になっておりますが、関税は輸入時点で徴税されるため、税目上のアンバランスをもたらして、輸入に対する一種の圧力になっております。後納制の新設に踏み切ってはどうかと思いますが、大蔵省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  216. 川上壽一

    ○川上説明員 お答えいたします。  貨物の引き取りに時間がかかっておるのではないかという御指摘でございますが、通関の簡易迅速化につきましては、我々税関当局といたしましては、昭和五十七年四月一日から事後審査制の導入とか包括審査制の新設等の五つの項目につきまして改善措置を講じております。実施後二年を経過しておりまして、税関業務にも定着しておるわけでございます。  最近の数字で申し上げますと、税関に輸入申告されましてから審査が終了するまでの平均所要日数は、実施前の〇・六日から現在では〇・三日、これは時間にいたしますと約二時間程度でございます。〇・六日から〇・三日に半減するなど、かなり大きな効果を上げておるのではないかと我々は考えております。また、これらの措置につきまして、国内関連業者それから欧米諸国も高く評価しておりまして、特にアメリカは、税関手続についてはほとんどすべての問題が解決された旨述べております。我々税関当局といたしましては、通関手続につきましては、今後とも適正な通関を確保しつつ、簡素合理化に努力してまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、関税の後納制でございますが、関税に後納制を導入すべきだという意見がございますこと、我々は十分承知しておるところでございます。現在、現行の関税法では、貨物を担保にいたしまして関税債権を確保するという考え方に立ちまして、関税法の第七十二条におきまして、関税を納付すべき貨物につきましては、関税納付後でなければ輸入許可がなされないことになっております。例外的に関税法の第七十三条に基づきまして、緊急に引き取りを認めざるを得ない場合に限りまして、担保の提供を条件に許可前引き取りが認められておるところでございます。一定期間分をまとめまして関税を納付する制度、すなわち後納制でございますが、後納制を導入することにつきましては、申し上げましたような従来からの関税法の考え方を改めることにもなりますし、担保の提供に係ります中小輸入業者それから通関業者等へのしわ寄せの懸念等、業界に対しても負担になる、また担保の管理という点で税関に対しても負担が生ずるおそれがあるというようなことでございます。したがいまして、後納制の導入につきましては、中長期的な課題として検討してまいりたい、かように考えております。
  217. 神田厚

    ○神田委員 もう一点は、重量、数量の問題でありますが、現在、部品の輸入申告に当たりましては、重量の申告まで行うことになっておりますが、課税目的であれば金額の記載で足り、統計目的であれば数量の記載で足りるわけであります。国際的な取引単位とはなっていない総重量まで申告させる必要はないのではないか、こういう観点から、部品の輸入申告に当たっては、重量の申告を不用とし、数量と金額の記載にとどめるべきではないかと考えますが、御見解をお聞きします。
  218. 川上壽一

    ○川上説明員 お答えいたします。  輸入申告に当たりまして、品名、数量、価格等の記載を必要としておりますのは、課税目的及び統計目的双方のためにこういうふうにしておるわけでございます。  我が国では関税法の第百二条に基づきまして、輸出入申告書等を原資料にいたしまして外国貿易統計を作成いたしまして、貿易交渉等の行政目的に使用するとともに、広く内外の企業、学界等の利用に供しておるところでございます。  貿易統計は各国間の比較の必要性から、経済統計に関する国際条約というのがございます。そういう条約等によりまして、国際的なルールに従いまして作成しておるものでございます。貿易統計作成に当たりまして、金額と数量の両面から把握して分析することが必要であるというふうに我々考えておるわけでございまして、この場合の数量の把握単位といたしまして、貨物の性状に応じまして、個数が適当なものもあろうかと思いますが、重量、面積、容積等が適当なものもあるわけでございます。したがいまして、重量を抜きにして一律に個数のみの記載としてしまうのはいかがなものであろうかというふうに我々考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、数量単位につきましては、国際的に共通な尺度として何が適当であるかという観点を踏まえつつ、何年各界の意見をお伺いしながら見直しをしておるところでございます。今後ともそういう方向で適切に処理してまいりたい、かように考えております。
  219. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので終わりますが、労働省と自治省関係でちょっと通告をしておきましたが、時間の関係で次回に譲らしていただきます。大変関係者の方に御迷惑をかけました。
  220. 新村勝雄

    新村(勝)委員長代理 中川利三郎君。
  221. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 厚生省が監督し所管しておりますところの公益法人の一つ日本分栄協会という法人についてお聞きいたします。  日本分栄協会の業務内容というものを持ってまいりましたが、この冒頭、これは昭和五十七年一月三十日、財団法人日本分栄協会理事長佐藤義信の名前で、最初のところにあいさつがついておるのですが、こう書いてあります。「財団法人日本分栄協会は、「良質で廉価」な住宅を勤労者に供給することを目的として、昭和四十二年一月厚生大臣の認可により発足いたしました。」と書いてあって、さらに、「年金福祉事業団還元融資事業の厚生年金被保険者を対象とした住宅建設を手がけて今日に至っております。」こういう書き出しがあるわけでありますが、その中で、先ほど申し上げました年金福祉事業団還元融資でできたサンライフ南行徳、あるいはサンライフ仙台、サンライフ南蒲田、サンライフ本厚木、サンライフ根岸、いろんなところの写真というか姿図ですね、こういうものをうたいとげておるわけでありますね。  そこで、私お伺いするのでありますが、この労労協会に対しまして昭和五十一年以降融資額がどのぐらいあるのか、厚生省にまずお聞きしたいと思います。
  222. 熊代昭彦

    熊代説明員 お答えいたします。  昭和五十一年以降、年金福祉事業団の日本分栄協会に対します融資でございますが、五十一年に……(中川(利)委員総額で」と呼ぶ)総額でよろしゅうございますか。約七十六億円でございます。
  223. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の計算によれば七十八億三百八十万円でございますが、これは皆さんからもらった資料ですから間違いありませんね、こっちの方が。  ところで、この協会の役員でございますが、常勤役員は何人おりますか。
  224. 熊代昭彦

    熊代説明員 常勤の役員は二名だけでございます。
  225. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり理事長と専務理事、これが常勤だということですね。――わかりました。  ところで、先ほどの労労協会の理事長のごあいさつの中に、「私たちは財団法人という公益的立場に立って、今後も勤労者の皆様にご満足いただける住宅供給を目ざして、日夜努力を重ねる所存ております。」こう書いてありますが、大体この趣旨どおり運営されているのですね。どうですか。
  226. 熊代昭彦

    熊代説明員 当財団の目的は、厚生年金の普及啓蒙ということにあわせまして、主たる事業といたしましては、低廉な住宅の供給ということでございまして、そのためにその目的に沿って努力いたしておる、かように理解いたしております。
  227. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大体目的どおり、そのために日夜努力を重ねておる、こういうような御返事でありますが、それではお聞きいたしますが、私もこれまで長年生きてまいりましていろいろなことを見聞きしてまいりましたが、しかし、この労労協会の二人の役員、理事長と専務理事、このお二人の行状を見るならば、乱脈といいますか、放蕩三昧といいますか、一口に申し上げますならば、体の限り命の限り遊びまくった、こういう形跡があるわけでございます。私のところに若干の資料がございますが、まさに命の限り遊びまくった資料が全部そろっておりまして、一々挙げれば大変煩雑なものでありますから、委員長お許しをいただきまして、委員長と行管庁長官にお見せいただきたいと思うのです。私どもここに、短期間でありますが、約半年間の昭和五十七年十二月から五十八年六月、約半年間の資料、どこにどういうふうに遊んだかというものがあるわけですね。まさに大変だといいますか、ここにまた、クラブの領収書その他たくさんありまして、それを整理したものが今お渡ししたものでありますけれども、一口に申しますと、この半年間、つまり私たちが裏づけをとった分だけてありますが、新宿あるいは銀座のクラブを中心に一晩に四十万使うなんということを、多い月は一カ月に二十五回も行っていらっしゃるわけですね。二十五回そういうクラブに遊ぶということになりますと、日曜、祭日を除いて全部行っておるということですね。また、一晩に同じ店に同じ日付で二枚の出金伝票を出させておったり、あるいは、行けば必ずその後三店から四店ずっとはしごをかけておる。こういう状態で、この資料ごらんになっていただければ十分おわかりだと思います。そして、この六カ月間、総合計からいたしますと百十三件、八百五十二万円ですね。これが、日夜努力を重ねておると先ほど理事長あいさつがありましたが、努力を重ねておるのは、飲む方、遊ぶ方に努力を重ねて命の限りやっておるのじゃないかと思うのです。こういう状態を厚生省は恐らく把握していると思いますが、どのように承知しておるか、お聞きしたいと思います。
  228. 熊代昭彦

    熊代説明員 厚生省といたしましては、昨年の十月に監査をいたしまして、法人の経理内容等を指摘いたしたわけでございますが、一つには、職員が五人で常勤の理事二名ということでございますので、非常に少人数で、いろいろな宅地の造成であるとか住宅の分譲が主力でございますが、それを手がけておりまして、公益法人でございますので低廉な価格で供給するわけでございますが、何分仕事の性質上いろいろ交際費が必要であるということはわかる。総事業費は五十七年度で見ますとおよそ十億円程度でございますが、それとの比率で見ますとそれほどの比率ということでもないのではないかとは思いますが、しかし、公益法人としてのおよその節度というものはあるべきであるということでございまして、公益法人の節度ということから考えると交際費が多いのではないかというようなことで、その点を十分節度に従って行動するようにという指示をいたしたところでございます。
  229. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 仕事の性質上いろいろおつき合いしなければならない。これは発注側なんですよ。業者、いろいろな関係者、一つのマンションをつくるのですから、発注側が毎日毎日お客さんを接待しなければならないというのはあり得ないことですね。しかも、仕事の性質上――例えば私は地権者を全部調査しました、いろいろなやったところの。どの地権者も一人としてごちそうになったという人はいないのですよ。本人に私の方から直接聞かせました。どう言っているのかというと、新沼という専務理事ですが、遊興の事実は認めましたよ。そして、背の仲間と一杯やろうということでやったんだ、こういうことですよね。しかも、あなたのおっしゃっている比率の範囲内ならば十億円の中で交際費の比率は大したことないんだ、こういうことを言っておりますが、いやしくも、働く大方、労働者に低廉な住宅を供給するなんということ、そのために日夜努力するようなことをうたい文句にしている団体が、こういう見るも聞くも初めてのようなでたらめ三昧ということは、これは大変なことだと思うのですね。  同時に、私は直接あなたの方にお伺いしたいのは、この労労協会というのは、年金福祉事業団の還元融資をどんどんやっているのです、その転貸し貸し付けですか、それを受けている団体です。ところが、貸付先の、先ほど行管庁長官の言った九十九団体の一つ、年金福祉事業団の幹部職員が一緒になって遊んでいるのですよ。この事実をあなたはわかっていますか。
  230. 熊代昭彦

    熊代説明員 承知いたしております。
  231. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の調査によれば、労労協会お歳暮送り免状なんというものもありますが、これは後にしますけれども、まずここに、年金福祉事業団の幹部職員との遊興実態、五十七年十二月から五十八年七月までの、私の調査した裏づけのあるものがございます。五十七年十二月十八日ホテルニューオータニ内バー「パルコ」で飲食、十二序二十一日料亭「松島」等で飲食。との幹部は当時の融資第二課長ですよ。五十八年一月二十一日藤ヶ谷カントリークラブでゴルフ、八三年一月料理屋「原」で飲食、八三年二月三日料亭「松島」等で飲食、ずっと書いてありますね。  つまり私が聞きたいことは、おたくの直接に監督権限を持っているこの年金福祉事業団は、それほどごちそうしなければ融資を受けられないものかということですよ。この点どうですか。
  232. 熊代昭彦

    熊代説明員 先ほど承知していると申し上げましたのは、年金福祉事業団の元職員でございます。  年金福祉事業団の融資仕組みは、御承知のとおり、貸付対象ごとに基準面積、基準単価等厳格に定めておりまして、自由裁量の余地は全くないと言っていい貸し付けでございます。ですから、逆に申しますと、そういうことで職務上の権限に影響を及ぼすということはまるでないということでございます。  それから、現在の御質問のあれは全く退職後の話であるというふうに承知いたしております。
  233. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 去年の六月までこの方は年金福祉事業団第二課長ですよ。八三年六月八日、ここにも本人のあれが出ているのですよ、先ほど読まなかったのですが。八三年六月、つまり退職した後も、千山閣で飲食、こういうものも出ておるわけですね。  そのほかに、私はここにお歳暮送り先控えという労栄協会のを持ってまいりましたが、これを見ますと、例えばおたくの現職の部長、課長、係長、課員、全部名前が書いてあります。住所も書いてあります。これはデパートのお歳暮の送り状です。これは現職でしょう、この氏名のあるのはどうですか。しかも、これはもう慢性的になっているんじゃないですか。
  234. 熊代昭彦

    熊代説明員 先生指摘のものにつきましては、現在把握をいたしておりませんが、調査いたしたいと思います。
  235. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まあ、ひどいということはそれだけではありませんよ。この協会理事長の佐藤義信氏と新沼専務理事は、昨年四月二十七日から五月二日の期間、全国住宅生活協同組合連合会の東部ブロックに参加しておりますが、これは木更津で行われたものですね。四月二十七日はその木更津の会議へ出て、その足で次の日は、全国住宅生活協同組合連合会の鹿児島の住宅生協との交流会名目で、二人合わせまして三十四万四千六百十円の出張経費を支出させておるわけでありますね。ところが、私の調べによりますと、これは労労協会の旅費補助伝票でありますけれども、確かに四月二十七日には木更津のその会議に出ている。二十八、二十九、三十、五月一日二一日は鹿児島の住宅生協の会議に出たことになっておりますが、お聞きいたしますと、そこへ出た形跡はありません。しかも、そういう会議自体あったということもありません。つまりこれは空出張なんです。そうしてどこへ行ったかというと、私は口にするのも恥ずかしいわけでありますが、台湾のいかがわしいツアーに行っております。  厚生省は、十分調べて、調査した結果この事業団は所期の目的に沿って活動しているとおっしゃったが、こういうことをしていることについてどう思いますか。
  236. 熊代昭彦

    熊代説明員 ただいまの御質問に面接お答えする前に、年金福祉事業団元職員は五十七年三月三十一日に退職でございますので、その点は訂正させていただきたいと思います。  それから、御指摘の件でございますが、具体的には私の方では把握いたしておりません。
  237. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 行管庁長官にちょっとお聞きしますが、まず年金福祉事業団は、先ほどお話ありましたように、おたくもそういう先ほどの質問にもありましたようにいろいろ監察する立場でありますが、先ほどのような状況について、御所見だけでも結構ですから一言お話しいただければありがたいと思います。
  238. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 年金福祉事業団は特殊法人でございますから、先ほどお答えいたしましたように、行管庁としては調査をして、それぞれの所管の行政官庁に監査機能の強化推進、これをぜひやってもらいたいということをお願いしておるわけでございます。これは今後とも私は推進をいたしたい、かように考えておりますが、御質問の点は、これは所感と言われましても、率直に一口で言えばこれは要するに問題にならない。事実であればと言うと、中川さんお調べの上だからおしかりを受けるかもしらぬが、まあ事実でしょう。そうなれば、その前提に立てばこれはやはり問題にならない。ただいまちょうだいをした資料を私ちょっと見まして、一月のうちに二十五日飲み歩きは不可能ですよ。私は、そんなことあり得ない。しかも、行く先が非常にダブっております。ここらも私は非常に疑問に感じております。いずれにいたしましても、やはり年金福祉事業団からの融資先でございますから、これはそれなりのきちっとした調査を厚生省はおやりになっていらっしゃるのではなかろうか、もしやっていなければこれはやらなければならない、かように考えます。
  239. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今行管庁長官の御所見も伺いましたが、今この財団法人分栄協会が造成しておりますところの、造成できて分譲しているマンションが、千葉市小中台というところに稲毛マンションというものがございます。このA地区分として五十九年二月二十八日でき上がったのですが、これは十一階建て二百八十五戸で、その全体図が、A地区だけじゃないですが、予定がここにすばらしい色刷りの写真で出ているわけであります。  そこで、この用地の所有者が今ほど申し上げております日本分栄協会なんですね。その用地の宅地造成をしたのが熊谷組なんですよ。造成竣工後この用地を日本新都市開発株式会社へ移転しておるわけです。建物は清水建設が建てたものですね。そういう状況でこれが建てられているわけですよ。いわばそれぞれの業者がそれぞれの専門の役割を分担して、改めてこのほかの業者が介入する余地がない、そういう状態だと専門家のお話にも皆そうなっているわけでありますが、奇怪なことに、そこへ日本分栄協会というのが、国際企画株式会社それから東企興産というこの二つの会社に業務委託をやっているのですね。ここに業務委託書というものがあります、国際企画株式会社、東企興産株式会社。ここにいろいろ業務委託した、一、二、三、四、五と何々の業務を委託すると、どっちも同じようなことがいっぱい書いてありますけれども、それぞれの任務分担をそれぞれの名のある専門的な企業はちゃんとやっているのに、これが介入してきて何だかんだやっているわけであります。ここに、委託書にいろいろ書いてあるけれども、どっちも同じようなことを書いてあるわけですが、本当に具体的に一体何をやったのかということを、これは厚生省が調査していると思いますが、お話しいただきたいと思います。
  240. 熊代昭彦

    熊代説明員 財団法人日本分栄協会は、先ほど申し上げましたように非常に小規模の法人でございますので、千葉市稲毛小中台開発事業を行うに当たりまして、その事業を円滑に行うために専門的な民間業者二社に業務委託したということでございます。その一つである国際企画開発株式会社につきましては、開発許可の取得、それから文化財の発掘調査等の調査業務を委託した。また、他の一つである東企興産株式会社には、開発エリアの設定検討、地権者の用地買収及び交換場所の検討並びに近隣対策に必要な情報収集等を主なものとして委託した、かように聞いております。
  241. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 例えば東企興産株式会社、これは、登記簿謄本を持っていますが、百万円の会社ですね。業務委託した会社であります。これは、今は千葉県市川市福栄一丁目にございますが、その前は、昭和五十八年六月三十日までは東京都港区虎ノ門五丁目三番地十三号より本店移店ということになっています。その本店に私行ってきたのですよ。ところが、もとの住所へ行ったら、管理人は東企興産という名前を知らないのですよ、去年移転したのに。ただ、そこには岡田さんという女性がおりました。今はどうか、先ほど言った千葉県の云々というのは。この会社の取締役に名を連ねている市川治さんという人がおりますが、治さんの表札と東企興産の表札が自宅で一緒に並んでいるのですね。しかも、これは目的を見ますと、理容材料の販売だ。つまり床屋の材料販売。不動産売買の仲介斡旋業、ビル管理業、設備設計業、証券取引業ときた。まずできるわけはないでしょう。しかも、不動産の売買だから免許持っているかと思って調べてみましたら、何もありません。まさにインチキですね。そうして、ここの会社の役員は岡田清文さん、先ほど言った市川治さん、岡田さんという人の息子さん、奥さん、大体こういう構成ですから、わかるのです。どこにその能力があるかということですね。  私が調査したところによりますと、東企興産がここでやったことは何かというと、委託内容は形跡だけで事実上の仕事は何もないということですよ。小中台の事業に関連した時期に会社がつくられているということ、それから岡田さん、市川さんの二人は国際企画の役員をダブっているのですよ。国際企画をいろいろ調査してみましたら、委託内容の開発許可・今あなたが言ったようなA地区は熊谷組が宅地造成を行っているのですよ。その土地を日本新都市開発会社へ移転しているのですよ。したがって、この件については国際企画は何も仕事しておらないということですね。まして、宅建業者の資格は持っておらないので手数料として金銭授受はできないわけでありますね。ですから、この二社のやったことは、企画料と称するもの、これは工事原価に算入されて、購入者はその分高い住宅を買わされることになると思うのですね。  そこで、お聞きしたいことは、一体この両社に対して何ぼの委託料を払われていたか、委託契約に基づく委託料を払われていたか、このことをお聞きいたしたいと思うのです。わからなければわからないでいいよ。
  242. 熊代昭彦

    熊代説明員 手元にある契約書の写しにあるとおりに支払われたとすれば、国際企画開発に対しましては、昭和五十八年三月末日に三千万円、それから五十九年三月末日に三千万円、それから、東企興産につきましては、五十八年三月末までに三千万円、五十九年三月末日までに二千八百万円支払われたのではないかと思います。
  243. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私が調査し自分でつかんだ分だけでも二億七千六百万円払われているのですよ。これは非常に重大な問題だと私は思うのですけれども、同時に、私、国際企画という会社についてもちょっと触れなきゃなりませんが、その代表取締役は、先ほど言った岡田さんという人でありますけれども、同時にもう一人、前の代表取締役に片貝光次という人がいるのですね。これは前の岸元総理の秘書です。現在埼玉県の県会議員でございますが、今は片貝さんやめておりますけれども、いずれにいたしましても、文化財云々だとかなんとか言いましたが、先ほど言ったような格好でほとんど仕事をしておらないわけでありまして、そこへ二億七千万が払われている。二億七千万円ですよ。  そこで、私はお聞きしたいことは、今言った三千万とかなんとかとあなたおっしゃいましたけれども、その東企興産という会社だけに支払われた、つまり奥さんとだんなさんと何かわかりませんが、そこら辺の委託料三千万円ですね、これはその後の五十九年三月三十日、つまりごく最近でありますね、三菱銀行四谷支店に個人口座を持っているつまりこの労労協会の理事長の佐藤義信さんの口座に振り込まれました。一たんそこの東企興産に払い込まれた金が、その日に、その日といいますか、今言った日に、三菱銀行四谷支店に個人口座を持っていらっしゃるここの理事長の佐藤義信さんに払われているのですよ。この事実は、まさに協会の公金として扱われた委託料、これを懐に入れた、横領ですね、そういうものに当たるのじゃないかと私は思いますけれども、きょう警察庁も来ておるようでありますから、今のような経過を含め御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。
  244. 上野浩靖

    ○上野説明員 お答えをいたします。  お尋ねの件につきましては、私ども把握していなかったことでございますので、今ここで申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、事実開係及び関係当局の今後の対応を見きわめながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  245. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いやしくもこの公益法人は、勤労者を対象に良質安価なそういう住宅を提供するということで、しかも年金福祉事業団の還元融資を受けてやってきておるわけでありますが、内容がこういうことで、しかも、厚生大臣が直接これを規則によって所管し監督するということがはっきり明記されている、そういう団体でありまして、それがこういう実態だということですね。これは、この実態を知った勤労者から見ますならば、まさに涙のこぼれるような残念なことだと思うのですね。  そういう点で、先ほど行管庁長官からもそれに対する御所見がありまして、私は非常に心強いものを感じたわけでありますけれども、きょうのところは、その辺で、この実態と今後の改善について、最後に、直接行管庁長官の所管ではないということは十分私承知しておるわけでありますが、一応、まずきょうは行管庁の関係でありますし、また全然関係ないといっても、先ほどと同じようなことになるかと思いますが、一言あなたから御所見を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  246. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、お聞きすれば、やはりこれは政府としては放置するわけにはいかぬ。それぞれの権限を持った行政官庁が適切な処理をしていただくべき事案である、かように考えます。
  247. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  248. 新村勝雄

    新村(勝)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十五分散会