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1984-04-18 第101回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十八日(水曜日)     午前十時七分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 近藤 元次君 理事 白川 勝彦君    理事 東家 嘉幸君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 神田  厚君       榎本 和平君    小坂徳三郎君       桜井  新君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    河野  正君       城地 豊司君    玉城 栄一君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         建 設 大 臣 水野  清君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官)稻村佐近四郎君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理監    楢崎 泰昌君         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         国土庁官官房         審議官     安達 五郎君         国土庁土地局長 永田 良雄君         国土庁大都市圏         整備局長    杉岡  浩君         文部大臣官房会         計課長     國分 正明君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部施設調査官  平   晃君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 畑中 孝晴君         気象庁観測部地         震課長     山川 宜男君         気象庁観測部地         震予知情報課長 津村建四朗君         建設大臣官房技         術参事官    萩原  浩君         自治大臣官房地         域政策課長   鈴木 政徳君         消防庁予防救急         課長      小坂紀一郎君         会計検査院事務         総局第一課長  西川 和行君         会計検査院事務         総局第三課長  秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第五課長  中村  清君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         北海道東北開発         公庫総裁    新保 實生君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     渡辺 修自君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大城 金夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  向井  清君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度固有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管北海道開発庁国土庁)、北海  道東北開発公庫建設省所管住宅金融公庫〕      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁国土庁北海道東北開発公庫建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本道路公団理事渡辺修自君、大城金夫君、本州四国連絡橋公団理事向井清君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 横山利秋

    横山委員長 それでは、順次概要説明を求めます。  まず、稻村国務大臣から北海道開発庁及び国土庁について概要説明を求めます。稻村国務大臣
  5. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 昭和五十六年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費北海道開発計画費一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾漁港空港整備農業基盤整備等事業費であります。  これら開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計への移しかえ、または特別会計への繰り入れ措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については道、市町村などが実施に当たっているものであります。  昭和五十六年度の当初予算額は七千百四十六億七千二百九十八万円余でありましたが、これに予算補正追加額十四億三千二百三十五万円、予算補正修正減少額一億七千五百五十四万円、前年度繰越額七億九千七百三十七万円余、予備費使用額一億七千百七十万円余、予算移しかえ増加額三千二百七十五万円余を増減いたしますと、昭和五十六年度総額は七千百六十九億三千百六十二万円余であります。  この総額のうち、前述のとおり開発事業執行のため、関係各省所管への予算移しかえ減少額が二千九百四十九億二千九百二十六万円余ありまして、昭和五十六年度北海道開発庁歳出予算現額は四千二百二十億二亘二十五万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は四千二百十六億七千九百四十三万円余、翌年度繰越額二億九千六百六十四万円余でありまして、その差額二千六百二十八万円余は不用額であります。  次に、各省所管別移しかえ及び繰り入れ状況を申し上げますと、移しかえた額は、厚生省所管へ一億一千四百九十九万円余、農林水産省所管へ二千二百三億三千八百十九万円余、運輸省所管へ五億八千百五十一万円余、建設省所管へ七百三十八億九千四百五十五万円余、合計二千九百四十九億二千九百二十六万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管国有林野事業特別会計へ百二十七億三千百六十五万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ四百二十八億六千九百万円、運輸省所管空港整備特別会計へ百二億九千六百三十三万円余、建設省所管治水特別会計へ九百十億二千九百七十五万円余、建設省所管道路整備特別会計へ二千四十九億四千七百万円、合計三千六百十八億七千三百七十四万円であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費百八億一千百五十四万円余、北海道開発計画費一億一千七百二十五万円余、北海道開発事業指導監督費四億三千八百六十八万円余、北海道開発事業の各工事諸費四百八十三億一千七百十万円余、北海道特定開発事業推進調査費八千八百三十五万円余、科学技術振興調整費三千二百七十五万円余、であります。  以上、昭和五十六年度北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  国土庁昭和五十六年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十六年度の当初歳出予算額は二千三百八十八億五百十六万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額五億九千六百九十六万円、予算移しかえ増加額七百八十六万円、予算移しかえ減少額千百八十億二千二百八十七万円余、前年度繰越額八十一億八千百三十四万円余を増減いたしますと、昭和五十六年度歳出予算現額は千二百八十三億七千四百五十二万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額千二百四十一億二千二百六十六万円余、翌年度繰越額三十二億五千七百二十八万円余、不用額九億九千四百五十七万円余となっております。  次に、支出済み歳出額の主なものは、離島振興事業費四百十一億二千二百三十七万円余、水資源開発事業費二百六十三億二千二百五十七万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費百九十四億九千二百万円、国土庁百三十九億九千九百四十九万円余、国土調査費九十四億九千九百九十九万円余、国土総合開発事業調整費七十億五千二百七十万円余、小笠原諸島振興事業費二十五億五千百二十三万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十五億三千七百二十六万円余、振興山村開発総合特別事業費六億七千四百六十八万円余、離島振興特別事業費六億三千百十九万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越した主なものは、水資源開発事業費十八億三千八百十七万円余、離島振興事業費十三億八千七十三万円余等であります。  また、不用額の主なものは、土地利用規制等対策費補助金三億四千九百二十九万円余、防災集団移転促進事業費補助金二億六千二百四十七万円余等であります。  以上が昭和五十六年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 横山利秋

  7. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十六年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 横山利秋

  9. 西川和行

    西川会計検査院説明員 昭和五十六年度国土庁決算につきまして検査をいたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  10. 横山利秋

  11. 中村清

    中村会計検査院説明員 昭和五十六年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  12. 横山利秋

  13. 新保實生

    新保説明員 北海道東北開発公庫昭和五十六年度決算について、概要を御説明申し上げます。  当公庫昭和五十六年度事業計画は、当初、総額千六百億円の出融資うち貸付金千五百八十五億円、出資金十五億円)を予定しておりました。これに対し、実績は、貸付金千五百九十一億三千八百万円、出資金八億六千二百万円で、昭和五十六年度出融資合計は千六百億円となり、前年度実績に比較し、一一・四%の増加となりました。  これらの出融資原資といたしましては、政府出資金二十億円、政府借入金五百九十億円、債券発行による収入六百九億九千四百六十二万円余及び自己資金三百八十億五五三十七万円余、合計千六百億円をもってこれに充てました。  次に、昭和五十六年度収入支出状況を御説明いたしますと、収入済み額は、収入予算額五百九十六億九千四百六十五万円余に対し五百九十二億九千八百三十三万円余、支出済み額は、支出予算額五百九十六億八千六百十万円に対し五百九十億六千二百八十六万円余でありました。  また、昭和五十六年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等益金総額が七百八十七億六千六百四十一万円余、支払利息事務費等損金総額が、滞貨償却引当金繰り入れ前で七百四十三億七千六百四万円余となり、差額四十三億九千三十七万円余を、全額滞貨償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、昭和五十六年度末における資産負債状況を御説明いたしますと、主な資産は、貸付金八千二十六億八千五十一万円余、出資金八十一億五千五百万円、主な負債は、政府借入金三千三百七十四億六千九百六十三万円余、債券発行高四千五百六十一億千四百六十万円、滞貨償却引当金四十三億九千三十七万円余であります。また、政府出資金は二百四十六億円であります。  なお、昭和五十六年度末における貸付金のうち弁済期限を六カ月以上経過したものは、三十三億二千九十七万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・四%になっております。  以上、昭和五十六年度北海道東北開発公庫決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  14. 横山利秋

    横山委員長 次に、建設大臣から概要説明を求めます。水野建設大臣
  15. 水野清

    水野国務大臣 建設省所管昭和五十六年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済み歳入額は、一般会計二百七十四億八千万円余、道路整備特別会計二兆一千八百四十九億二千万円余、治水特別会計治水勘定九千三百二十八億八千七百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千六十七億二千三百万円余、都市開発資金融通特別会計四百六十七億五千万円余、大蔵省共管特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分二百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済み歳出額は、一般会計四兆四千八百三十四億七千三百万円余、道路整備特別会計二兆一千七百三十二億三千五百万円余、治水特別会計治水勘定九千二百四十五億一千九百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定一千九百四十億五千九百万円余、都市開発資金融通特別会計四百六十二億四千六百万円余、大蔵省共管特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分八十五億九千百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第五次治水事業五カ年計画最終年度として、河川ダム及び砂防の各事業実施いたしました。  このうち、河川事業では、直轄河川改修事業百二十五河川中小河川改修事業七百五十河川実施し、ダム事業では、直轄四十七ダム補助百十五ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百三十一カ所、補助三千八百十三カ所の工事実施いたしました。  以上により、五カ年計画における進捗率は、約一〇〇%となっております。  海岸事業では、第三次海岸事業五カ年計画初年度として、直轄十一海岸補助九百三十三カ所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、二千百五十六地区について補助事業実施いたしました。  次に、災害復旧事業につきましては、直轄では、五十五年災を完了し、五十六年災について復旧事業実施いたしました。  補助では、五十四年災を完了し、五十五年父及び五十六年災についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第八次道路整備五カ年計画の第四年度として、一般国道等改良及び舗装等実施いたしました。  このうち、改良においては二千九百十五キロメートル、舗装においては三千三百十キロメートルを完成させたほか、一般国道において、指定区間一万八千六百三十五キロメートルの維持修繕工事直轄実施いたしました。  有料道路事業関係では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸し一付けを行いました。  以上により、五カ年計画における進捗率は、約七五%となっております。次に、都市計画事業につきまして御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第三次都市公園等整備五カ年計画初年度として事業実施し、国営公園として九カ所、補助事業として都市公園二千七百七十七カ所の施設整備等実施し、五カ年計画における進捗率は、約一四%となっております。  下水道事業につきましては、第五次下水道整備五カ年計画初年度として事業実施し、管渠において一千八百十四キロメートル、終末処理場において百五十六万人分の施設を完成し、五カ年計画における進捗率は、約一六%となっております。  次に、住宅対策事業につきましては、第四期住宅建設五カ年計画初年度として、公営住宅四万九千三百八十戸、改良住宅四千六百四士三戸、住宅金融公庫及び住宅都市整備公団関係五十三万七千二百七戸のほか、農地所有者等賃貸住宅特定賃貸住宅等事業推進いたしました。  次に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百五十二カ所の工事実施し、このうち三百十一カ所を完成いたしました。  最後に、都市開発資金貸付事業につきましては、工場等移転跡地地区及び都市施設等用地三十九カ所の買い取りに対し資金貸し付けを行いました。  以上が、昭和五十六年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和五十六年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことはまことに遺憾であります。  指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  以上が、昭和五十六年度建設省所管決算概要並びに決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  16. 横山利秋

  17. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十六年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十九件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一五〇号から一六八号までの十九件は、補助事業実施及び経理が不当と認められるものでありまして、工事設計または工事費積算が適切でなかったり、工事施工設計と相違していたり、補助金を不正に受給したりしていたものなどであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、下水道終末処理場機械設備整備に関するものであります。  地方公共団体建設省補助を受けて建設し、昭和五十年度から五十四年度までの間に供用を開始しております六十カ所の流域下水道または公共下水道終末処理場のうち十四の終末処理場におきまして、汚水処理量計画を大幅に下回っているため主要機械設備の一部が稼動していなかったり、著しく低い稼動状況となっていたりしていて、国庫補助金投資効率の観点から適切でないと認められる事態が見受けられました。  したがいまして、十四の終末処理場につきまして管渠整備を促進するなどして事態早期解消を図ることはもとより、建設省において、終末処理場の機器の設計等につきまして、使用開始後当分の間の汚水処理量の少ない期間に対応できるような適切な指針を作成するなどして事業主体に示すとともに、的確な審査及び指導を行うよう求めたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、下水道工事におけるマンホール用型枠費積算に関するものであります。  地方公共団体では建設省補助を受けて下水道工事を多数実施しております。これら工事施工いたしましたマンホール用型枠費積算に当たりましては、建設省が定めました「下水道用設計標準歩掛り表-管路施設(開削)編、」によっておりますが、この歩掛り表には最も施工例が多い円形標準マンホール専用鋼製型枠を使用する場合の歩掛かりが定められていないため、施工実態に合わない合板円形型枠歩掛かり等を適用して著しく割高な積算となっておりました。  したがいまして、鋼製円形型枠を使用する場合の適切な歩掛かりを作成する要があると認められましたので当局の見解をただしましたところ、建設省では、実態に適合した歩掛かりを定めてその旨の通達を地方公共団体に発し、五十七年十一月以降積算する工事に適用するよう処置を講じたものであります。  以上が昭和五十六年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要であります。  次に、昭和五十六年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上をもって概要説明を終わります。
  18. 横山利秋

  19. 河野正三

    河野説明員 住宅金融公庫昭和五十六年度の業務の計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は、当初、住宅等資金貸し付け二兆九千九百二十九億九千百万円、関連公共施設等資金貸し付け八十億円、宅地造成等資金貸し付け二千四百七十八億一千三百万円、財移住宅資金貸し付け八百億円、合計三兆三千二百八十八億四百万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅等資金貸し付け二兆九千九百二十九億九千百万円、関連公共施設等資金貸し付け八十一億六千八百万円、宅地造成等資金貸し付け一千六百十四億六千七百万円、財移住宅資金貸し付け四十七億四千四百万円、倉計三兆一千六百七十三億七千万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金貸し付け二兆九千九百二十八億五千三百四十七万円、関連公共施設等資金貸し付け八十億四千二十万円、宅地造成等資金貸し付け一千六百十四億六千六百七十万円、財移住宅資金貸し付け四十七億三千八百六十万円、合計三兆一千六百七十億九千八百九十七万円となったのでございます。  資金貸付予定額は、当初、昭和五十六年度貸付契約に係る分一兆七千六百十八億六千六百万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆五千三百四十二億九千万円を合わせました計三兆二千九百六十一億五千六百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等によりまして、合計三兆二千六百十億三千五百十八万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金三兆二千四百五十六億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金四百五十億円、財移住宅債券発行による収入四百二十三億五千五百万円、宅地債券発行による収入二十億円を合わせた計三兆三千三百四十九億五千五百万円から借入金償還等七百三十九億一千九百八十一万円余を控除した額をもって、これに充てることといたしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸し付け二兆九千五百十三億九千七百五十四万円、関連公共施設等資金貸し付け八十三億四千五百四十三万円、宅地造成等資金貸し付け一千四百八十六億八千九十万円、財移住宅資金貸し付け五十五億八千八百十万円、合計三兆一千百四十億一千百九十七万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、五百三十七億二千六百三万円余、率にいたしまして、一・八%増となっております。  また、年度間に回収いたしました額は、六千六百九十四億六千六百八万円余でありまして、前年度に比べますと、六百七十二億九千百五十九万円余、率にいたしまして、一一・二%増となったのでございます。  この結果、年度末貸付残高は、十五兆六千八百十三億六千八百二十九万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、二兆四千四百六十億四千六百三万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十六年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、四十九億六千八十五万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、三十三億五千三百六万円余でございました。  次に、住宅融資保険業務につきましては、昭和五十六年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千六百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千三百四十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしましたものは、九百二十二億一千九百十万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済み額は、収入予算額一兆二百六十七億五千四百三十四万円余に対しまして、一兆五十四億一千八百九十万円余となりました。支出済み額は、支出予算額一兆一千五億五千七百八十二万円余に対しまして、一兆六百八億九千三十八万円余となり、収入より支出が五百五十四億七千百四十七万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益一兆一千七十三億二千九百五十四万円余、総損失一兆一千四百六十億九千五百八万円余となり、差し引き三百八十七億六千五百五十三万円余の損失金を生じましたが、これは住宅資金融通事業に係る損失金三百九十二億八千六百十六万円余、住宅融資保険特別勘定に係る利益金五億二千六十二万円余によるものであります。  なお、住宅資金融通事業に係る損失金は繰越損失金として整理することとし、住宅融資保険特別勘定の利益金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第三項の規定により同勘定の積立金として積み立てることといたしました。  以上をもちまして、昭和五十六年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。
  20. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明の聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  21. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城地豊司君。
  22. 城地豊司

    城地委員 我が国の住宅建設は、戦後、政府の住宅政策、地方自治体の住宅政策、各企業の持ち家政策、さらに多くの国民の要望、そういうものと相まって非常に高い水準を維持して改善がなされてまいりました。そして、それがさらに日本経済全体の発展に非常に大きく寄与してきたと思うのであります。この住宅建設状況につきましては、昭和四十七年に年間百八十五万六千戸がピークでありまして、その後百五十万戸に落ち、最近の状況では、伝えられるところでは百万から百十万戸程度というように聞いておりますが、この最近五年間の住宅建設の推移について建設省からお知らせをいただきたいと思います。
  23. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御説明がございましたように、新設の住宅着工戸数は戦後ほぼ一貫して増加をしておりました。昭和四十七年度には最高の百八十六万戸を記録したわけでございます。その後、四十八年秋の第一次石油危機を背景に、四十九年度には百二十六万戸と大幅な落ち込みを経験しております。しかし、その後経済の全般的な回復と住宅金融公庫融資の拡大等によりまして住宅建設も回復をいたしまして、五十一年度から五十四年度にかけましてはほぼ年間百五十万戸前後の水準で推移をしておるわけでございます。  先生から御質問のございました最近五年間の住宅建設着工戸数の推移でございますが、五十四年度まではほぼ百五十万戸程度で推移しておりましたけれども、五十五年度になりまして、第二次石油危機等を背景に、新設住宅着工戸数が落ち込みを見せました。百二十一万戸ということで、前年度に比べまして一八・三%の減になりました。また五十六年度は、さらに前年度に比べまして約六%の落ち込みを見せまして百十四万三千戸、五十七年度は若干回復いたしましたが百十五万七千戸ということで推移しております。五十八年度は、まだことしの二月までの分しか調査がとれておりませんが、前年同期比で二・六%の減、十一カ月分で百三万九千戸という状況でございます。
  24. 城地豊司

    城地委員 ここ数年来住宅建設戸数が減っていることは、我が国のいわゆる経済の落ち込み、そういうものに影響されるところも多いわけでありますけれども、それにしても、我が国の住宅需要、それから住宅全般を見てみましても、常時百五十万戸は無理であるにしても、もう少し高い水準になるべきではないかと考えておるわけでございますが、現状はどうも百十万戸前後に推移している。とすれば、これはどういうことが大きな原因であるのか、建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  住宅の着工戸数が減少しておりますのは、基本的には、住宅事情が改善を見まして、量的には住宅戸数について充足を見ているということがあろうかと思います。それからまた、住宅に関連いたしまして、世帯数の増加が若干減少してきたということ、あるいは人口移動が鎮静化してきたということ、もちろん最初に申し上げましたように、住宅のストック数が増加したということ、こういうことによろうかと思いますが、近年の住宅着工戸数の減少は、住宅の価格と国民の住宅取得能力との乖離にあるのではないかと考えております。
  26. 城地豊司

    城地委員 今言われましたいろいろな原因のほかに、建設省の所管ではないかもしれませんが、私としては、土地対策、土地の価格高騰は最近の傾向では一応横ばいになっている、落ちついていると土地価格の統計資料は示しておりますけれども、それにしても、土地の取得が非常に困難であるということが非常に大きな原因ではないかと思いますが、建設省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 御指摘のとおり、住宅の価格と住宅地価格につきましては、昭和五十四年から五十五年にかけまして相当の上外を見ております。その後、住宅価格につきましてはほぼ鎮静化しております。また、地価につきましても、次第に鎮静化の傾向を見せてはおりますが、いずれも五十四年当時の価格で推移してきておりますので、これと取得能力との乖離が原因となって住宅の着工がはかばかしくないという現状にあろうかと考えております。
  28. 城地豊司

    城地委員 この住宅の関係につきましては、何とかして住宅建設戸数がもっと増加をする、そのことが日本経済にも非常に大きなプラスになりますし、我々の生活向上の面でも非常に大きなプラスになる。しかも、先ほど言われましたように、量的にはある程度充足されたとは言いながら、質的な問題では日本の住宅はまだまだ不十分だと思うわけであります。それらの問題については今後とも建設省における住宅政策の充実ということに力を注いでほしいと思います。  しかも、我が国の住宅政策と住宅建設状況の推移の中で、先ほども御報告がありましたが、住宅金融公庫というものが果たした役割は非常に大きいと私は思うのであります。現に、先ほどの報告でもありますように、年間三兆円余の貸し付けをしている。私どもの周囲を見ましても、住宅金融公庫資金の融資を受けないで住宅を建てるという人はほとんどいないぐらい住宅金融公庫の恩恵を受けているわけでございます。  そういう意味で考えていきますと、ここにも住宅金融公庫年報というのがありまして、内容を拝見いたしましたが、日本の住宅政策の中で非常に大きなウエートを占め、また、政府の住宅政策の根幹として日本の国の住宅政策に非常にプラスに作用してきたし、その業績は高く評価されていいのではないかと思うのでありますけれども、それらの問題について、きょう建設大臣もお見えですから、住宅金融公庫が果たした役割は非常に大きいと私は思うのですが、大臣からお考えがあればお述べをいただきたいと思います。
  29. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 大臣の御答弁の前に、具体的な住宅金融公庫の役割について御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、住宅金融公庫によります低利しかも長期の住宅融資が、我が国の住宅政策の柱として持ち家住宅の建設の推進に非常に大きな役割を果たしてきたものと考えております。住宅金融公庫が創設をされまして以来、昭和五十八年度までの貸付契約の累計では八百四十二万戸に至っております。また、貸付資金につきましては約二十九兆円に上っておるわけでございまして、国民の居住水準の向上に果たしてきた役割は非常に大きいと考えております。  一戸当たりの平均床面積を五十七年度で見ましても、全国平均では二戸当たり九十三平米でございますが、住宅金融公庫貸し付けに係る住宅の平均は百六・三平米でございまして、その意味からも居住水準の向上に果たしてきた役割は大きいと考えておるわけでございます。  また、我が国の経済は内需を中心として運営を図ることが必要でございますが、住宅金融公庫の融資は民間住宅投資を支え、国民経済にも非常に大きな役割を果たしてきているものと考えております。
  30. 水野清

    水野国務大臣 ただいま住宅局長からお答え申し上げましたように、先ほど来城地委員の御指摘のとおり、住宅金融公庫の融資があるから、日本の今日の住宅建築の低迷にもかかわらず、なおかつ住宅金融公庫のために住宅を建てている人がほとんどであるということは現実でございます。ただいま申し上げましたように、創設以来八百万戸、約二十九兆円の貸し付けをしているという、この数字をもって私は十分説明できることであると思います。  また、五十九年度予算についても、こういうことを踏まえまして、住宅金融公庫の融資は、いろいろ財政的な制約はございましたけれども、個人住宅の建設については無抽選で貸し付けをできることにいたしましたし、さらに、貸付制度の改正であるとか、あるいは税制上、親子税制のようなものもつくりまして、住宅建設の促進に努力をしているつもりでございます。
  31. 城地豊司

    城地委員 そういう意味で住宅金融公庫の果たした役割は非常に大きい。また、これからもこの住宅金融公庫の果たしていく役割は大きい。しかも、住宅金融公庫の果たしている役割の一番大きな点は、何といいましても非常に低利である。利率が五・五%ということで非常に借りやすい。試みに試算しますと、五・五%と例えば八%とを比べて、率では二・五%しか違わないじゃないかといいましても、例えば十五年で返済する場合の月月の返済金なんかにいたしましても非常に大きく違うというのは、これは我々が勘で考えるのとは違って計算してみると非常にはっきり出てくる。そういう意味では、この低利融資というのは非常に大きな魅力だし、それが日本の、いわゆる行政の場の住宅政策として大きく作用してきたと思うのです。  ところが、最近、これはマスコミの報道なんですけれども、私は、この報道の内容そのものについておかしな内容であるとは思いません。ここに二つの新聞の内容があります。もちろん、住宅金融公庫は五・五%で貸し付けをする。そして、その金は財投から大体七・一%程度で借りる。そうしますと、住宅金融公庫そのものは、七・一%で借りて五・五%で貸すのですから、だれが考えたって赤字が出ることははっきりしている。当初からそういうことをもくろんでいわゆる資金的な操作をされてきたと思うのです。これは当たり前で、だれが総裁になろうと、だれが何をやろうと、その現実はひっくり返すわけにいかないわけであります。ところが、この新聞報道によりますと、「住宅公庫〝サラ金依存型〟に?」「損失処理にまた借金 緊急措置、いずれ破たん」、こういう見出しで記事が出されている。もう一つの新聞の報道は、「住宅公庫〝第二の国鉄〟の恐れ?!」「逆ザヤ融資の〝赤字〟千億 五十九年度国庫補給金の抑制響く」というように書かれています。  最初音いましたように、内容を読んでみますと、記事としてはかなり正確に伝えられておりますけれども、表面に出したこの見出しからいきますと、いかにも住宅公庫はサラ金依存型になっているとか、第二の国鉄のように、借金をしてその借金が払えないでまた借金が累積される、とうとう大変なことになるよという書き方でありますけれども、私は納得がいかないのであります。毎年毎年、例えば三兆円の金を、七%というのはちょっと考えにくいですから一〇%にしましたら、それは三千億円。それを五%で貸したら千五百億円である。千五百億円はいわゆる経営上の赤字が出るのはもともとはっきりしている。そういうことの累積でありますから、それを補てんしてやらなければならないことははっきりしているわけであって、私は、そういう意味では普通の企業とは違って住宅金融公庫は赤字が出ることは当たり前、またそれは最初から当然わかり切っている、そういう公庫ではないかというように考えているわけでございます。  そういう意味で、この新聞記事の見出し、さらには内容も十分読まれていると思いますが、これについて建設省並びに住宅金融公庫としてでも結構ですが、お考え方があればお聞かせをいただきたいと思います。
  32. 水野清

    水野国務大臣 私からお答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、二、三の新聞報道がそういう記事を書きましたが、これは先ほど来申し上げました、住宅金融公庫の戦後の日本の住宅建設にかかずらってきた仕組みあるいは意義というものを十分に御理解いただかないで、ただ利子補給の差損の額が年々たまっていくから、これはどうなんだと、こういうところからだけ導入された御批判の記事だと私は思って受けとめております。これはもう今、先生がすべておっしゃいましたそのとおりでございまして、利子補給が年々一・何%かずつあるわけでございまして、例えば、昭和五十六年度の繰り延べ額は六百六十一億、五十七年度五百十七億、五十八年度七百七十八億、五十九年度には千億を超えるだろうと予想しております。こういったものが本来なら、利子補給でございますから、その年度ごとに差損を、国の政策として住宅建設に必要な金でございますから、いただくのが当然なんでございますが、国の財政上の事情がありますので、これを勘案しまして、公庫事業もしかし同時にやっていかなければいかぬという住宅政策の両面から、これを繰り延べ金として私どもは昭和六十六年度まで五年間で一般会計から返済をしていただくというようなつもりでございます。それについては詳しく政府委員からまた申し上げます。
  33. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、住宅金融公庫によります低利融資は、貸付資金が、個人住宅に係る貸付資金五・五%と現行の財投資金七・一%の金利差、現行でいいますと一・六%でございますが、例えば昭和五十五年度貸し付けの場合には、当時財投資金の金利が八・五%でございまして、その分の金利差三%、その金利差を一般会計から補給することにより実施をしているわけでございますが、ただいま大臣から御説明ございましたように、現在の厳しい財政事情によりまして、これらを全額補給金を措置いたしませんで、五十六年度以降ある一定金額を繰り延べすることとしておるわけでございます。しかしながら、この練り延べに係ります補給金につきましては、昭和五十七年度住宅金融公庫法を改正いたしまして、所要の規定により六十年度より六十六年度にかけまして国は毎年度予算の定めるところにより交付金の交付を行うものとするということにいたしております。また、特別損失の繰り越しの方法に関しましても、具体的な措置を政省令で定めることとしておりまして、この分につきましては十分措置をすることとしておるわけでございます。また、公庫の補給金につきましては、段階金利制等の導入によりまして中長期的には安定するということが見込まれているものでございます。
  34. 城地豊司

    城地委員 本日、私に与えられた時間は一時間未満でありますから、この問題のほかにもたくさん質問事項がございますので、ゆっくりやっていられませんので、簡潔にこの問題に対する私の考え方を申し述べて御見解を伺いたいと思うのでございますが、私は財政には素人であります。財政には素人といいましても、経営に素人ということではありませんが、国の財政問題についてはいろいろ問題のあるところだと思います。  例えば五・五%で貸す、それが国の政策として決まっている。それを借りる金を七・一%で借りる。最初からそれがもう逆ざやになっているということははっきりわかっている。差損が出るということもはっきりわかっている。とすれば、もう最初から五・五で貸すのなら五・五以下の利子で借りるような方法がないのだろうか。そうしないで、とにかく五・五で貸すのに七・一で借りて、その補給金というのをもらう。また今度損失が出たら特別損失で何か落とす。二段も三段もやる必要はない。貸す金利でそのまま借りれば、素人考えですよ、これは非常に暴論かもしれませんが、とにかくそれで一番帳じりが合うのだ。しかも、住宅金融公庫状況、先ほどの御報告にもありましたが、現在あれだけの金が残っている、貸付残高が残っているのに、一年未満のいわゆる滞納、延滞があの程度、三十三億ですか、そんな低い金額であるということは、経営的には、貸し付けて回収未納というようなことがない、延滞も少ないということの証拠ではないかと思うのですね。でありますから、五・五%で貸すのであれば、最初から五・五%、もしくはその他雑費をあれして五・四%ぐらいで借りれば問題がない。そんな二重、三重にいろいろあれだこれだと言う必要はないのだ。国の政策として何兆円は五・五%で貸すんだと決めればいいのではないか、財政の問題を抜きにして素人としてそういうふうに考えるわけでございます。  そういう考え方がどうであるかについては、建設省の所管ではなくて恐らく大蔵省その他、日本の財政の問題ということで、この問題については別な機会に素人は素人なりにいろいろ問題を提起したいと思いますけれども、そういう考え方について、これは大臣でなくて結構ですが、建設省でお考えがあれば伺って、この問題にけりをつけていきたいと思います。
  35. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお話の件はまことにごもっともでございます。しかしながら、住宅金融公庫法によりまして、住宅金融公庫の借り入れます借入金は財投資金をもって充てることになっております。財投資金の金利が現在七・一%という金利になっておりますので、どうしてもこの五・五%の貸付金利との間の逆ざやが生まれてくるわけでございます。これにつきましては、やはり基本的には一般会計をもって、補給金をもって充てるということが原則であろうかと思いますが、厳しい国の財政事情の中でこういった状況になっているものでございます。これにつきましては、今後とも住宅金融政策について十分検討をしていきたいと考えております。
  36. 城地豊司

    城地委員 ただいまの問題は、今後の課題として私ももう少しいろいろ財政も十分勉強して、どこかに何か方法がないか、素人考えですが、一番わかりやすい方法が国民にもわかる。赤字が出た、その次にまた赤字が出た、補給した何したというようなことよりも、むしろもう少しわかりやすい制度にすることの方がいいと考えておりますので、これは別な機会に、譲りたいと思います。  次に、五十六年度決算の関係でございますが、先ほど建設省及び住宅金融公市についての検査概要について会計検査院から御報告がございました。そしてこの報告の中には、建設省関係とさらには住宅金融公庫の関係しかございませんけれども、この五十六年度決算検査報告によりますと、建設省の関係はそのほかにも道路公団、水資源開発公団等々の所管の公団があるわけでありまして、それらの決算検査状況について不当事項改善処置要求事項等の件数及び指摘事項についてお知らせをいただきたいと思います。
  37. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 昭和五十六年度決算につきまして会計検査院から先ほど御報告がございましたが、私ども建設省関係で御指摘をいただきましたのは、不当事項につきましては十九の事業でございます。それから処置の要求がありましたのは、下水道の終末処理場機械設備の関係につきまして一件ございました。また、処置済みの事項といたしましては、下水道工事におけるマンホール用の型枠費の積算につきまして、実態に適合するようにということで、これは処置をいたしましたが、一件ございます。  それからまた、水資源開発公団につきまして、ダムの取りつけ工事の施行につきましての擁壁の設計施工が適切でなかったという問題が一件ございます。  それから、処置要求事項といたしまして、住宅・都市整備公団で、民営賃貸用特定分譲住宅に関する業務運営について御指摘をいただきました。  それから、日本道路公団につきましては、潜函工事用コンプレッサー運転電気料の積算について、処置の要求事項として掲げられてございます。  以上でございます。
  38. 城地豊司

    城地委員 次に、五十六年度決算検査報告の中で、今もお答えがありましたが、特に下水道終末処理場の問題について、この報告書の百四十ページからかなりのページを割いて検査報告がなされております。  この検査報告を見ますと、報告にもありましたように、昭和五十年から昭和五十四年までの四年の間に稼働を始めた全国六十カ所の下水道終末処理場の関係について検査をした、そのうち十四カ所が、一般で言う不良といいますか、それぞれ個個の事情はありますけれども、国でこれだけ補助をしたのに、実際には設置をしたモーターが動いていないとか、設置をしたが、それの稼働は当初の十分の一以下であるとかというように、我々が考えられないような状況の報告が事細かになされているわけでございます。そうして、この報告書の内容でいきますと、十四の事例のうち、事例が1、2、3と事例3までこの報告になされておりまして、その他の事例につきましては、この点四十五ページのところに取手市、伊勢崎市云々ということで書かれているだけでございますが、実際に会計検査院として建設大臣あてにこの処置要求をしたわけでありますから、これらの内容についても細かくされたのじゃないかと思うのですが、会計検査院としてどうなんでしょう。
  39. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  五十六年度の会計検査によりまして、御指摘のとおり十四カ所の終末処理場で流入下水量が計画量を下回っているために、ポンプあるいは水処理機械等の設備の一部が非常に低い稼働率になっているという御指摘を受けたところでございます。  下水道はある程度長期的な展望に立ってその整備を進める必要がございまして、そのために、処理開始後の短期間においては施設の利用効率が低くなることもまたやむを得ないところではございます。しかしながら、御指摘を受けました処理場につきましては、管渠事業費予算的に伸び悩みまして、本来計画していたとおりの管渠整備ができなくなって、終末処理場への流入下水量が計画どおり増加しなかった、あるいは処理区域内に予定しておりました住宅建設がおくれまして、人口の定着がおくれ、終末処理場への流入下水量が計画どおり増加しなかったことなどが指摘を受けました原因となっておるわけでございます。  この御指摘を受けまして、この改善方につきまして私ども努力をしているところでございますが、この内容につきまして御報告申し上げますと、まず総括的な措置といたしまして、五十七年度及び五十八年度の全国下水道主管課長会議におきまして、今後かかる事態が起こらないように、一層効率的な事業の進め方を検討するように指示いたしました。また、この指示をより一層徹底させるために、私の方の下水道部長から各都道府県土本部長あてに、下水道事業の効率的執行についてという通達を出して指導いたしております。さらにこれを徹底するために、下水道施設設計指針にもこの趣旨を盛り込みまして、具体的な徹底を図っておるところでございます。  次に、特に御指摘を受けました十四処理場につきましては、事態の早期解決を図るために、私の方の公共下水道課長と関係県の下水道課長等を相成員といたしました下水道設備効率化検討委員会というものを昨年設置いたしまして、未稼働設備あるいは低稼働設備を早急に効率的に活用する方策を作成いたしまして、下水道設備の効率的利用に関するための当面の対策についてということで関係県に通達をいたしまして、終末処理場機械設備について、その効率的利用を図るように指導しているところでございます。
  40. 城地豊司

    城地委員 今、概括的な答弁がありましたが、本来であればこの十四の箇所を一つ一つやって、我々として考えて対策を立てなければならない問題を含んでいると思うのです。私自身も半分は技術屋で、生産の工場に働いておりましたから、いろいろな関係については理解できるつもりでありますけれども、この報告書に関する限り、何でこういうことが行われるのかということで非常に不思議でなりません。技術的に見ても、先ほどの説明のように、後からそこに住む住宅の建設がおくれたからどうであるとか、それからその他の理由を言われましたが、私はちょっと納得がしかねるわけであります。もちろん下水道事業そのものは、ただ単に単発的に完成したらそのままだあっと水が流れてくる、であるからこれでいいんだというものではないことは十分承知をしています。しかし、それにしても、計画を立てた場合には、少なくとも計画に近い形でいく、それから計画を変更する場合には、変更の手順を踏んでいかなければもったいないものになる。今やってしまわなければどこかに逃げられてしまうという問題なら別ですけれども、計画を立てたらその計画に従ってやる、計画を修正するときには修正するというような手続をとっていかなければならないのじゃないかと思うのです。  そういう意味で、さらに突っ込んでお伺いをいたしますが、国から補助をする場合の計画は、計画を出されたらどういう形でチェックをされるのかということが第一点でございます。それから、そういう国庫から補助をするというときの基準が何かあるのかないのか。第三番目は、工事の進捗状況の把握はどうするのか。金は国庫から補助をする、進捗状況は一切そちら任せであるという形でいいのかどうかというのが第三点であります。第四点は、完成したときの現地完成調査といいますか、国から相当な金を出しているのですから、完成するときに立ち会いをする。それは厳密な意味での立ち会いでないにしても、とにかくこれだけできました、実際量でこれだけの施設でございますということでの完成検査というか立入検査というようなものは行わないのか。さらに、第五番目としては、完成した後、稼働するわけでありますから、その稼働を例えば一年ごとにチェックをする。数が少なくてあれですが、例えば五百トンの量のものだとしても、初年度は百トンである、二年度は二百トン、そして五年後には五百トンになる。しかし、五百トンの設備をしておいた方が経費的にもいろいろな関係でいいということであれば、五百トンにしたっていいと思うのですね。一年目百トン、二年目二百トンという計画に基づいていけば、それはそれなりに投資の効率があるわけでありますから、それでいいと思うのでありますが、そういう意味で、その後のいわゆる指導、チェックというか、そういうものをなされているのかいないのか。ただ、国庫から補助した、そこでつくった。そのままにしておいて、そして、会計検査院が行って検査をした。そうしたら、この二台の機械のうち一台は全然動かないでとまっているということでの指摘がなされているわけです。  以上申し上げました五つの点について、余り時間がないのであれですが、簡潔に考え方をお答えをいただきたい。
  41. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  補助の手続でございますが、毎年概算要求時点におきまして、都道府県を通じまして関係市町村からの事業実施の要望を聞いてございます。それに基づきましてこれが必要ということを判定して補助金をつける、こういう基準でございます。  工事の進捗状況につきましてのチェックでございますが、これは先ほど申し上げました毎年の概算要求時におけるヒアリング、さらに十二月におけるヒアリングと幾つかの段階がございますが、その段階におきまして、その事業の必要性ということのチェックのために工事の進捗状況は当然そこで説明を受けているわけでございます。  完成検査につきましては、都道府県がいたしますが、私どもの方も竣工完了検査をいたしてございます。  稼働状況を一年ごとにチェックするという問題につきましては、下水道の普及状況というものを一年ごとに把握、調査いたしておりますので、そういう段階でチェックできるわけでございます。  こういうことをやっておりますが、このような御指摘を受ける事態が十四の処理場で発生いたしました基本的な原因は、実は私どもがかねてから考えていることでございますが、我が国の都市の場合に、下水道とか街路とか、そういう都市の基盤的な整備がなされないで、自然発生的な市街地が形成されている。その結果、都市環境の悪化を招いている。この立ちおくれを早く挽回しなければいかぬ。本来、市街地をつくる場合には、そういう基盤施設は先行的に整備すべきものであるという考え方が、私どもの基本にあるわけでございます。  特に、その中で下水道整備がおくれておりまして、また、四十五年以降の公審国会がございまして、環境問題に対する関心が非常に高まってまいりました。その結果、特に下水道がおくれているために、公共用水域の水質悪化あるいは生活環境の悪化、こういうことが指摘されまして、下水道事業費というものが年々飛躍的に増加してまいりました。私ども担当者が期待しているとおりに飛躍的な増加を見たわけでございます。ところが、そういうペースのもとに処理場も整備し、ある程度の先行投資はあっても、その中ですぐ環境整備が追いついてできるものと考えておりましたところ、その後の財政状況、経済状況の変動によりまして下水道事業費が伸びなくなりました。特に二年間というものは、前年度対比にいたしまして総事業費でダウンする、こういう事態もございまして、そういうところの見込み違いというものが私どもにもございましたし、この事業実施いたしました公共団体にもあったわけでございます。そういうことで、今後はひとつ段階的な整備ということも十分取り入れまして、効率的な執行に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  42. 城地豊司

    城地委員 ちょっと説明で余り納得できないのですが、要するに、下水道事業は必要な事業です。いわゆる民生安定の関係でいくと、下水道事業が今日本で一番おくれていると私は思います。そういう意味では、いかに財政が苦しくても、我我の民生の安定のためには下水道事業をもっと伸ばすべきだ、私はそう思っています。現に私の地元の市町村でも、今下水道事業を非常にやっています。私が住んでいる日立山は、もう下水道は完備して上に出ているのは一つもないというぐらいで、全国で模範的な下水道の売価した市であります。隣近所ではまだまだこれからというところもあります。そういう意味で、私は、下水道は完備すべきである、財政的に問題があっても、それは完備をするためにいろいろな努力を払っていくことがやはりいいことだというふうに十分承知をしているわけであります。ですから、そういう意味では、今言われた中で下水道が財政的なことで非常に落ち込んでいるということでありますけれども、落ち込ませないで、どんなに苦しくてもそういうことに力を注いでいくのが下水道事業の育成だし、それは多くの国民の生活のニーズにこたえる道だというふうに思いますから、そういうふうないわゆる引っ込み思案でなくて、前向きでやってほしいと考えているのです。  ただ、今度六十件を調査をした。十四件こんな状況のものが出ている。もう少しこれは言うなれば専門屋に分析してもらったら、もっともっといろいろな意見が出てくると思うのです。私たちが出ても、何だ、こういうことが行われるのか。それは先ほど五つの点を指摘申し上げましたが、例えば、私は、一つの例で毎年チェックをしろと言ったのですが、チェックをしていれば幾らでも発見できることであるわけですね。しかも、それは建設省のお仕事も大変でしょう。そういう下水道事業もたくさんある。しかし、そういうチェックはやれば簡単にできることであって、会計検査院から指摘をされたらば六十件のうち十四件も不良の箇所があったというのでは困るわけなんですね。そういう状況では困るわけです。下水道は必要なんだ。しかも、財政が苦しいけれどもやっていかなければならない事業だ。乏しくても国の金がこれだけ出ているわけでありますから、今度の処置要求だって三十八億か何かで非常に膨大な金額。ちょっと調べただけでもこれぐらいになるということだとすれば、下水道はどんどん前向きでやらせる。やらせるかわりにチェックもして、まじめにやっているところが損をしないように下水道事業はどんどん広げていくべきだ。そういう観点に立って建設省指導してもらわないと困るのです。悪いことがあるからもうやめだとか、それは奨励しないということでは困るので、そういう意味では、今度の五十六年度の会計検査院の指摘に基づいた関係についていろいろ御答弁もありました。私は答弁で十分納得はいたしませんけれども、そういう気持ちで前向きで取り組んでいけば、もっともっと国の金の有効な活用ができるんじゃないか。余り表面に出てこない華々しい問題でないにしても、地元の市町村なんかはみんな一生懸命この問題に取り組んでいるわけであります。そういう意味で、下水道事業との関連と国の政策という関連で、大臣の御答弁をお願いをしたいと思います。
  43. 水野清

    水野国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、下水道事業建設省の各種の五カ年計画の中で実は一番達成率が低いわけであります。言ってみると、国民全般から下水道の仕事を早くやってもらいたいと非常に強い要望があるにもかかわらず、こういうふうにせっかくつくったものの稼働率が悪いということは、私もまことにこれは残念なことだと思って、この会計検査院の指摘を読んだわけでございます。  その内容をいろいろ調べてみますと、この問題もそうでございますが、問題は、下水道というのは、先生はおわかりでございますから簡単に申し上げますが、終末処理場と管の部分とがございます。終末処理場を最初につくっておいて、全体の計画に見合う終末処理場をつくるわけでありますが、管の部分がおくれている、あるいはつくったのだが、その地域の入居者が予定より入らなかったとか、いろいろな問題があってバランスがとれなかったということのようであります。この辺のことをよく反省をいたしまして、今後均斉のとれた施設整備が行われるように地方公共団体指導してまいりたい。予算の査定その他につきましても、そういうことを考えてやっていきたい、かように思っております。
  44. 城地豊司

    城地委員 大臣から答弁をいただきましたが、ちょっと考えがずれているようで、私は査定を厳しくしろとは言っているわけじゃないのです。許可をしたら、許可をした側も責任を持って指導するということが必要なんじゃないか。そうでなければ、ただ許可はしたはした、それのチェックをしないで、後で見たら会計検査院から指摘されたというようなことでは困るのであって、許可をしたらしたなりに、そういう指導育成というようなこともやっていくべきじゃないかと思うのです。  今、大臣が言われましたように、例えばパイプがつながらない、つながる問題だって、それは技術的にやりようもあるし、それから、つくる方の側もいろいろ考えて将来の計画もやってやるという苦しみも私はわかっているつもりなんです。しかし、それにしても、こんなことが起こっていいのかということではやはり納得がいかないのですが、今後これらの問題について、今の大臣の御答弁では、下水道問題についても積極的にやられるということでありますから、そういう面でぜひとも力を注いでやっていただきたいし、そういうことについては、ある意味でチェック、指導ということも十分やっていただきたい。認可をするときには、私はできるだけ厳しくしない方がいいと思うのですね。厳しくすれば、うそを書いたり、事細かに過ぎて何が何だかわけがわからなくなる。これをやりますということであれば、計画で出しなさい、では計画どおりやっているかどうかはチェックすれば一番簡単だと思うのです、現に目に見えるものなんですから。この問題も時間があと幾らもありませんので、この辺で終わりにしたいと思いますが、そういうことでぜひとも力を注いでいただきたいということを要望申し上げます。  時間がありませんので、最後に、私の地元の問題の常磐自動車道の関係について一括して御答弁をいただきたいと思います。  常磐自動車道は大分進んでまいりました。そして、茨城における科学技術博の関係等も考えてみますと、それらの交通対策としても非常に重要な生附を占めているということでありますから、それらの常磐自動車道の現況並びに科学技術博に伴う常磐自動車道の交通処理対策。そしてもう一つは、ことしは非常に雪が多かったということで、私も地元に帰ると常磐自動車道の工事の現況を見に行きます。そういう意味で、雪害による工事の遅延ということもあるのじゃないかと思って心配をして眺めております。雪が降って全然作業のできない場所もあるし、雪が降ってもどんどん穴を掘っている場所もありますし、そういう意味で考えるのですが、それらによって工期が遅延をしないだろうかということで心配をしているわけでございます。特に日立南インターまでは六十年の二月までに完成するという計画だと聞き及んでおりますけれども、それらの可能性、そしてさらにその次の日立北インターの問題も含めて、総括的に道路公団の方から御説明をいただきたいと思います。
  45. 渡辺修自

    渡辺参考人 お答えいたします。  常磐自動車道の現況でございますが、埼玉県の三郷市から福島県のいわき市までの百七十六キロ、この間が私ども建設省から施行命令をいただいておる区間でございます。このうち約半分に当たります柏インターチェンジから那珂インターチェンジ間の八十三キロを既に供用いたしております。残り建設中が九十三キロということになるわけでございますが、三郷インターチェンジから柏インターチェンジの間の十一キロ、那珂インターチェンジから日立南インターチェンジ間の十二キロ、これが科学技術博覧会の関連でございますが、この二区間につきましては、既に舗装工事に着手をいたしておりまして、科学技術博までに十分間に合うように完成させる予定でございます。  それから、日立南インターチェンジから北インターチェンジ間十九キロにつきましてのお尋ねがございましたが、これは先生御案内のように、山岳地帯で大変難しい工事をやっておるわけでございます。つい先日二十六本のトンネルのうち最後に残っておりました助川トンネルが、上部の半分の断面でございますが、開通をいたしました。そういったことで全面展開中でございますが、私どもといたしましては、この科学技術博覧会が開催されております間、つまり夏ごろには何とか開通をさせたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、科学技術博覧会がいよい上開催されました場合の交通処理対策でございますが、閣議決定をされました中に、ただいま申し上げました新規区間の供用のほかに、三郷インターチェンジから千代田石岡インターチェンジ間五十五キロの六車線化というものも入っておるわけでございます。この六車線化につきましては、三郷インターチェンジから柏インターチェンジ間は当初から六車線で完成させます。それから、供用中の区間でございますが、谷田部インターチェンジから千代田石岡インターチェンジ間は昨年の十二月に六車線化を完了いたしました。残っておりますのが柏インターから谷田部インターチェンジ間でございますが、近々拡幅工事に着手をいたしまして、これも国際科学技術博覧会までに拡幅を完了させるという予定でございます。  なお、博覧会開催中の出口、最も最寄りの出口として谷田部インターチェンジがございますが、ここに恐らく交通が集中するであろうというふうに考えられますので、この田口で渋滞が生じては困るわけでございますので、谷田部インターチェンジを補完するという意味で、谷田部インターのやや土浦寄り約三キロでございますが、科学技術博覧会開催中に限り仮出口を設ける予定でございます。この工事も今年度に行う予定といたしております。  最後に、雪の問題のことでございますが、確かにことしは大変な雪でございまして相当影響がございましたが、日立南-日立北間でございますと、降雪日数が平年の十二日に比べまして今年度は三十三日ございました。しかしながら、いわゆる土工関係で雪による休みはわずか五日程度でございまして、その辺は、私どもも気象を克服しながら、いろいろ考慮しながら現地でやっておりまして、余り大きな影響はなかったということを申し上げる次第でございます。
  46. 城地豊司

    城地委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。質疑を通じて十分解明できなかった面もありますけれども、建設大臣ほか関係の皆さん方から前向きの御答弁もいただきましたし、要望も申し上げましたが、ぜひともそれらを踏まえて善処していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 横山利秋

    横山委員長 新村勝雄君。
  48. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最初に、会計検査院にお伺いをいたしますが、いわゆる不当事項あるいは意見を付した事項というものは、各省庁ごとに考えてみますと、ほぼ問題の多い省庁は決まっておるという傾向があるわけでありまして、特に建設省さんの場合には事業も多いし箇所数も多いということで、これはやむを得ないとは言えませんけれども、そういうところから不当事項が比較的多く出てくるのではないかと思いますが、検査院さんで検査をされる場合に、建設省の仕事、これは膨大なものでありますから全部やるわけにはいきませんけれども、どの程度に実際の検査をおやりになっているのか。それの抽出なりその他合理的な場所の選定をされると思いますけれども、その検査の方針をまずお伺いしたいと思います。
  49. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 検査の方針でございますけれども、これは毎年度重要項目といったようなものを選定いたしまして、どこからどこまで、隅から隅までというわけにいかないものですから、ある程度年次的に重要項目を絞りまして、テーマ別にまずそういう絞るということをいたします。それから、今度は検査箇所の方の問題でございますけれども、これも私ども非常に重要な箇所あるいはその他の箇所といったように分けておりまして、特に検査上重要な箇所につきましては、三年に一遍ぐらいはどうしても行きたいというような形になります。しかし、今度は、例えばさほど重要ではない箇所というようなことになりますと、やはり検査の浸透度はぐっと落ちてくる。それから、何といっても一番対象の多いものと申し上げますと、建設省の場合ですと、補助事業の対象となっている工事でございますけれども、例えば五十六年度検査対象の箇所となったものは十九万余カ所あるわけでございまして、それでこの中で施行できたもの、これが約一万三千五百カ所といったような形で、この辺のところになりますと七%程度しか拝見できないというのが実情でございます。
  50. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、建設省当局にお伺いしますけれども、建設省事業量も大変多いし、努力されておると思いますけれども、遺憾ながら毎年不当事項があるわけでございます。この不当事項の内容は、一つにはこれを設計し、施行する当局の側の責任があると思います。もう一つはこれを施工する業者の側の責任もあるのではないかと思いますけれども、それらの不当事項なり処置の要求をされた事項に対する責任のとり方ですね。当局側としてはどういう責任をとってもらうのか、あるいは業者にはどういう責任をとらせるのかということですけれども、この点をお伺いします。
  51. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまお話にありました不当事項についてでありますが、例えば、ただいま御審議いただいております昭和五十六年度決算に係ります会計検査の方で不当事項として指摘されたものを類型的に分けてみますと、一つには工事設計または工事費積算が適切でなかったもの、二つには工事施工設計と相違していたもの、三つ目には補助金などを不正に受給したもの等、こういうふうに分かれるかと思います。これらの性質によりまして、それぞれ、積算はこれを是正するものは是正させますし、また、施工が適切でないものにつきましては手直し工事を施行させるといったようなこと、あるいはまた補助金の不正な受給ということにつきましては、国庫補助金相当額を返還させる等々の措置を講じてまいっておりますが、お話がありましたように、その責任につきましては、今申し上げましたような、それぞれの態様に応じまして当然異なりますが、五十六年度決算に関しましては、関係の公共団体等につきまして減給、降任、戒告、訓戒、それからまた注意あるいは厳重注意、こういったもの合わせまして百二十三名の関係者につきまして処分を行っているところでございます。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
  52. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 一方、業者の責めに帰せられるべきものがあるわけですね。そういう場合に業者に対してはどういう責任をとらせますか。
  53. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御報告申し上げましたように、当該工事につきましては、当然手直し工事を施行させるということはございますが、またその後の措置といたしましては、工事が適切に行われなかったというようなことになりますれば、その後の指名等につきまして、これを排除する等の措置をとっておるところでございます。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そこで大臣に、今後こういうことを絶対に起こさないという断言はなかなか難しいと思いますけれども、極力こういう問題を起こさないための大臣としての御方針なり決意なりを伺いたい。
  55. 水野清

    水野国務大臣 会計検査院の御指摘を受けましたいろいろな事項がございます。その中で、補助金の不正受給などというのはけしからぬ話なのでありますが、予算要求が上がってきた際に、各町村その他からぜひこれをやってもらいたい、県あたりもそれに裏書きをしてやってまいりますが、十分な調査が必要だろうと思います。御承知のとおり、建設省は非常に多額の公共事業費を国民からお預かりしているわけでありますから、事業執行する前後の調査、判断がまず一番であろう、私はこう思うわけでございます。  先ほど来の下水道の問題にいたしましても、計画全体のつかみ方その他がよくわかっていなくて予算づけをして、後から稼働率が悪いというようなおしかりを受ける、御指摘を受けるというようなことになったわけでありますけれども、その調査その他が役所にだけ座っておったのではなかなか不十分であるというようなことも感じておったわけでございますが、今後とも各方面、いろいろな角度から、この問題につきましては反省をして、再度こういうことの起こらないように努力をしていきたい、建設省挙げてそういう態度で対処していきたい、かように思っている次第でございます。
  56. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、既に先ほど議論がありましたけれども、公共下水道あるいは流域下水道、この問題について幾つかお尋ねをしたいわけです。  特に流域下水道の問題についてですけれども、下水道の整備というのは近代都市を建設するためには不可欠の仕事でありますが、それを進めるに当たって、従来建設省におきましては、できる限り広域的な処理が有利である、特に河川に沿って都市がずっとつながっている場合には、できる限り流域下水道の方式で進めるという方針のようでございますが、この流域下水道の建設あるいは運営に当たって、ある程度日本では経験を得たわけでありますけれども、この経験に基づいて、あるいは理論的にもそうですけれども、流域下水道が経済性においても水の自然循環という面からしても必ずしもいいことばかりではない。この際、この問題についてはできる限り今までの経験を集約しながら反省をすべき時期に来ているのではないかという議論が一部に有力にございます。これは建設省さん、十分御承知と思います。そういう観点から二、三の点をお伺いしたいのです。  まず、一つは、流域下水道の経済性という観点でありますが、従来、建設省の見解では流域下水道の方が一般の公共下水道よりも若干経済性が高いということが言われておりますが、この経済性という点から見て、流域下水道と単独の公共下水道ではどう違うのかということを数字的に、そしてまたその数字の根拠について伺います。
  57. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  私どもが下水道計画を策定するよう指導する場合におきまして、それぞれの地域についてどういう下水道計画が最適かということを検討いたしまして、その地域ごとに流域下水道をどの地域でやるかあるいは単独の公共下水道をどういう都市でやるかということを決めるわけでございます。したがいまして、この流域下水道を行います場合には、各種の代替案を比較検討いたしまして、最も経済的だという結論を得たものを計画として採用しているわけでございます。  数字的に示せということでございますが、これはそれぞれの地域によりまして数字は異なってまいりまして、一概には申し上げられないわけでございますが、一般的に言いまして、広域の区域を統合して実施するわけでございまして、処理施設を集約化するというのが流域下水道の特色でございますが、単位水量当たりの建設費は低減し、あるいは建設後の人件費、運転経費等の維持管理費の節減を図ることができるものと考えております。  御質問の具体的な数字につきましては、一般的な数字というものは持ち合わせておりません。
  58. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 建設省は従来、できる限り流域下水道、広域的な処理をすべきだという指導をなさっておるわけですよ。ですから、これは当然そういう数字をお持ちでなければおかしいのですけれどもね。個々の具体的な例についてはみんな違うでしょう。江戸川左岸の場合もあるし、いろいろありますから、千葉県でも私の近所でも幾つもありますので、それは皆違うのでしょうけれども、平均値というものはあるでしょうし、それから最も効率のいいものと悪いものとの例もあると思いますので、全国の平均値はございませんか。
  59. 松原青美

    ○松原政府委員 流域下水道と単独公共下水道でやった場合のそれぞれの流域下水道計画を採択する場合に比較はいたしますが、その平均値は計算いたしておりません。
  60. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 平均値はないと。そうしますと、流域下水道と公共下水道との経済性の比較はできないということですか。
  61. 松原青美

    ○松原政府委員 ある地域ごとに下水道計画を策定いたします場合に、それを流域下水道でやる場合、単独公共下水道でやる場合、あるいは流域下水道におきましてもいろいろな組み合わせがございます。処理区をどのように分けるか、処理場をどこに設置するかといういろいろな組み合わせがあるわけでございますが、そういうものの比較代替案を検討いたしまして、最も経済的で実現可能性のあるものに計画としてセットしているわけでございまして、もちろんそれぞれの個々のケースにつきましては経済性を比較しているわけでございます。
  62. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、一九八一年三月に建設省の升本都市局長さんが答弁をされておりますが、それによりますと、流域下水道は七十二万円・人、公共下水道は七十一万円・人、こういうような答弁でありますけれども、これはどういう根拠なんですか。
  63. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  流域下水道が一人当たり七十二万円、公共下水道が七十一万円という答弁をいたしてございます。この数字の計算となっておりますものは、当時の第四次五カ年計画の五十一年度から五十五年度までの五年間の実績見込みから平均値を計算したものでございます。それで、五年間でございますから、この事業費とそれから処理人口の増加と比較いたしまして単純に計算した参考までの数字でございまして、この中には、今後流域下水道ももちろんその部分が大きいわけでありますが、先行投資分も含みまして計算いたした参考までの数字でございまして、この数字が最終的な経済比較の数字というわけではございません。
  64. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、この数字については、建設省では現在は自信がないとおっしゃるわけですか。この数字について現在の御判断はいかがですか。
  65. 松原青美

    ○松原政府委員 現在の判断という御質問でございますが、現在、そのとき申し上げましたこの数字の趣旨も、単純にそういう計算をしてみた数字ということで申し上げたはずでございまして、この数字が自信があるとかないとかいう問題ではないのではないかと考えております。  ただ、私どもは、最終的なでき上がりの姿で見ますと、流域下水道は、建設費におきましても一人当たりコストがもっと下がるものと考えております。
  66. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 下がると考えていらっしゃると。ですから、その根拠ですね。その根拠をもう少し示していただきたい。
  67. 松原青美

    ○松原政府委員 ちょっと申しわけないのですが、根拠とおっしゃいますと、七十二万、七十一万の根拠でございましょうか。
  68. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それもですけれども、現在はこの数字よりもっと精密なものをお持ちなのかどうか。持っているとすればその根拠。計算の、その数字が出てきたその過程ですよね、それをお示しいただきたい。
  69. 松原青美

    ○松原政府委員 これは、精密とか精密でないとか、最終的な経済比較の数字というものではないわけでございまして、先ほど私ちょっと説明が足りなかったかもしれませんが、四次五計の五十一年度から五十五年度までの五カ年間の実績見込みから平均値を計算いたしただけの数字でございます。全国の流域下水道と単独公共下水道との費用比較でありまして、一応の参考数値程度なものだろうと考えているわけでございます。したがいまして、これを計算いたしましても、五カ年間で事業費の投資額と処理人口の増加とで計算いたしましても、これが経済性を最終的に示す数字ではございませんので、こういう計算はいたしておりませんということでございます。
  70. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 まあ十分理解できませんけれども、次の点を伺います。  下水道計画計画年次、これは当初は二十年ということで扱われていたと思うのですが、最近これが、予算の関係もあるでしょうけれども、いろいろなところで長期化をしておるわけですね。最初の計画どおりにやられておるところがほとんどない。どんどん長期化しているということでありますけれども、そうなりますと、計画年次の長期化に従って、経済性あるいは経済的合理性というものが低下をするのではないかということでありますが、この点についてはどうお考えですか。
  71. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘のように、全部完成するまでにおおむね二十年を目標にした計画が従来多かったわけでございます。このとおりできているかということにつきましては、御指摘のとおり、最近の財政事情の悪化によりまして、下水道予算が伸び悩んでおりますので、このとおりなかなか進んでいなというのが現状でございます。  それで、そのために段階的施行というものを考えまして、全部できなければ意味がないというものではございませんで、そのできた部分から供用を開始し、その施設下水道整備の効果を発揮するということで、現在、例えば流域下水道につきましては、二条管方式という、従来の大口径の幹線管渠を一本設置するという計画を、最終的には若干割高になろうかとは思いますが、二条管で二次的にやっていく、こういうことも含めまして段階的施行を図り効率的な投資を考えておるわけでございます。
  72. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に流域下水道と単独公共下水道の補助率が違いますね。この補助率の違いとその理由を伺います。
  73. 松原青美

    ○松原政府委員 流域下水道を公共下水道より補助率を高く設定いたしております理由でございますが、第一には、広域幹線施設であるためその効果が広域的に及ぶということが一点挙げられております。それから第二には、水質保全のために緊急に整備する必要がある、こういうことから補助率を上げている。さらに、根幹的施設でありまして先行して整備をする必要があることなどの理由によりまして、補助率を高く設定しているものでございます。
  74. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 流域下水道は必ずしも経済的にすぐれていない。建設省余り自信がおありにならないようですけれども、単独の公共下水道であっても、十分住民に対するサービス、経済性、そういったものについては流域下水道に劣らずその意義があるわけでありまして、この二つについて違う補助率で扱うということはいかがなものかと思うのですけれども、大臣はいかがですか。公共下水道と流域下水道補助率を差別するという根拠が非常に薄いと思うのです。
  75. 松原青美

    ○松原政府委員 先ほど申し上げましたように、流域下水道というものは広域的な根幹施設でございます。各種公共施設のいろいろな補助率が決められておりますが、広域的な根幹的なものにつきましては国の補助率は高く決められるのが通例でございます。昭和四十九年に下水道の現在の補助率を決めます場合にも、水質環境保全の重要性ということにかんがみまして、流域下水道につきましては高くし、その中でも、公共下水道も同様でございますが、処理施設につきましてはそれぞれ高い補助率を設定したわけでございまして、決して不合理なものではなくて非常に合理的なものと私ども考えております。  なお、経済性について自信がないということを再三おっしゃるわけでございますが、例えば、先ほどの七十二万、七十一万につきましては暫定的な一つの試算であるということを申し上げましたが、維持管理費について一つの例がございます。これは、比較的下水道整備が進みまして公共下水道と流域下水道とが両方存在している地域の大阪府におきまして、試算というか実態が出てございまして、この結果によりますと、処理水量の増加に伴いまして単位水量当たりの維持管理費は明らかに低減いたしております。具体的に数字で申し上げますと、日平均処理量が五万トン以下の処理場の処理単価は立米当たり五十円でございますが、約二十万トンの処理規模を持ちます処理場の処理単価は立米当たり二十五円という数字が実績として出てございます。私どもとしては決して流域下水道の経済性について疑いを持っているわけではございません。
  76. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 やはりその問題についても、総合的にどうであるかということをさらに検討する余地があるのではないかと思います。  次の点ですけれども、流域下水道における河川の水量に及ぼす影響、水質に、及ぼす影響、水質は改善されると思いますけれども、水量と水質のバランスということが言われておりますけれども、この点についてはどうですか。
  77. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  一般に下水道計画を策定する場合には、下水の放流先の状況等と計画の対象となる公共用水域の状況を総合的に勘案いたした上で、最適な下水道システムを決定しているところでございます。したがいまして、下水道が河川管理に支障を及ぼすことがないように、それぞれの計画におきまして河川管理者とも十分協議いたしまして対処をしているところであります。
  78. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次の問題に移りまして、東京湾横断道路についてですけれども、この問題は大変大きな事業であるし、十分な事前調査と万全の環境アセス等をしなければいけない問題だと思います。建設省の中間調査の結果によりますと、バラ色の理想というか願望が強く入っておりまして、客観的な科学的な調査が極めて不十分なような気がするわけであります。例えば、神奈川県の人口が千葉県に移ってくる。昭和六十五年には神奈川県で八十万の過剰人口が生ずるが、この道路の実現によって、木更津、千葉県側に二十万人の人口収容が可能になるということでありますけれども、これは道路でありますから、その人口は当然東京通勤人口になると思いますが、道路によって二十万の新しい――二十万人全部が通勤するわけじゃないでしょうけれども、相当多数の人たちが通勤をすることになる。道路によってこういう大量の通勤輸送ができるかどうかという疑問がありますね。それから、首都圏の再編を目指す、そうして多核都市の構造へ道路が寄与するのだということでありますけれども、道路だけではこういう首都圏の再編あるいは多核都市構造へと地域の構造を変えていくということは極めて難しいわけで、それに伴う何らかのほかの構想がなければならないと思うのですね。ですから、東京湾横断道路だけではなくて何かほかにそれに附帯する建設的な構想がおありであるのかどうか疑問なわけであります。  それから、南房総における定住圏というようなことも提起をされております。この道路によって千葉県の南部が恩恵を受けることは間違いございませんが、それは定住圏構想というものではなくて、千葉県の観光資源の開発あるいは観光資源の活用ということであればわかるのですけれども、南房総に定住圏をつくってそこに人口を集中をさせるということは必ずしも賢明な策ではないように思うのです。そういった点での疑問があるわけであります。それらのいわゆる地域の構造を変えるという構想、これはちょっと期待が大き過ぎはしないか。確かに、この道路によって千葉県、神奈川県が恩恵を受けることは予想されますけれども、余りに大きな夢をそこにつくり上げても、将来の完成後の夢が幻滅に終わってしまうということでは困るわけでありますから、もっと現実的な将来の分析をしないといけないと思いますけれども、その点はいかがですか。
  79. 水野清

    水野国務大臣 後ほど政府委員から詳しく御答弁申し上げますが、東京湾の横断道路につきまして、経済効果とかいろいろなことが言われております。建設省としては、現在約十年間にわたって長期的にこの調査をしている最中でございまして、ただ、第九次道路五カ年計画最終年度までには一応結論を出したい、そのための環境調査とか東京湾の中の船舶の航行に対する影響がどんなものになるであろうかといったこともあわせて考えたいという段階でございまして、現在調査中ということでございます。もちろんこれが逆にプラス面としては、横断道路ができれば千葉県の――先生も千葉県でいらっしゃいますが、私も千葉県でございますが、南房総の人口がどういう移動をするであろうかとか、そこにどういうものが将来生まれるであろうかとか、交通がどういうふうな流れになるであろうかとか、いろいろなことがこの調査の中に入っていることでございまして、今その調査の結果を見ながら、同時に、もし実施するとするならば、これは現在の第九次道路五カ年計画の中でやっていかなければならないというようなことで、並行して多角的に試行錯誤をやっているという段階でございます。
  80. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この事業は千葉県、神奈川県、特に千葉県の南の方にとっても大きな福音にはなると思います。ただ、余り過大な夢を描くだけではいけないのであって、できる限り実現可能な現実的な予想を立てていただかなければならないのではない一かと思うわけです。  そこで、これはまだ中間でしょうけれども、地域の構造あるいは人口、都市改造、首都圏の再編というような観点からの予想があるわけですが、そのほかに湾内の水質、潮流への影響、特に潮流の変化によって湾内の自浄作用がどうなるのか、あるいはまた湾内の動植物の生態にどういう影響を及ぼすのかということについてもありますけれども、まだ不十分なようです。それから、さらに、非常に大きな事業ですから、地震とか津波などの自然災害に対する体制はどうであるのか、こういったことについて地理的なあるいは物理的な調査を、できるだけ精密な調査をこれから進めていただきたいと思うわけです。  また、地元におきましてはいろいろな予想なり憶測が行われておりますので、時期と方法があろうと思いますけれども、地元に対する、これは行政当局だけではなくて住民もあわせて、調査の段階から十分に完全な納得が得られるような方法で説得なり説明をしていただいて、せっかく有意義な事業をなさるわけですから住民との摩擦、特に無用な摩擦を起こさないように、大臣もひとつ十分の御配慮をいただきたいと思うわけです。そういう点について、もう一回御答弁をいただきたい。
  81. 水野清

    水野国務大臣 バラ色の幻想を与えているという御指摘でございますが、私どもは決してそんなつもりではございません。ただ恐らく、これは非常に大きな事業でありますし、確かに東京湾周辺の総合的な開発の一つの大きな目玉になるといいますか大きな問題でございますから、マスコミとしてはそういう取り上げ方をなさる。そうすると、橋がかかると地価が上がるだろうとお思いになる方もあるでしょうし、交通が渋滞してかえって損をなさるとお思いになる方もあろう、そういうことでございまして、建設省としては、そんなバラ色の幻想をばらまいてということではなくて、今着実に、むしろ黙々と、約十年間でございますから、各種の専門家を集めまして非常に地道な調査を続けているというのが実情でございます。  もちろん、この実施に関しましては、千葉県だけで考えられることではないわけでございまして、むしろ神奈川県側の御意向が、今後例え実行することになりましても非常に大きなウエートを占めると私は思っておる次第でございます。
  82. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 せっかく大きな事業を構想されておるわけでありますから、万全の事前調査と各方面に対する了解なり説得を行われて、立派に仕事を進めていただくようにひとつお願いします。  次に、これは最近NHKで取り上げられた問題ですけれども、コンクリートクライシスということが言われております。コンクリート構造物というのは、一たびこれが崩れたり中の鉄筋が腐食して下に落ちてくるということがあった場合には、大変な被害を受ける危険があるものだと思います。  この番組によりますと、兵庫県内の新幹線でそういう事故が起こった、コンクリートのかなり大規模な落下があったということか言われておりますし、国鉄ではコンクリート構造物の補修について年間一億円程度の補修費を計上していると言われておりますが、また、アメリカのコネチカット州では、高速道路の一部が塩害のために中の鉄筋が腐食して落下して大惨事を引き起こしたと言われておるわけでありますけれども、日本におけるコンクリート構造物、特に高速道路、あるいはこれは鉄道も関係すると思いますが、道路の構造物の保守管理、災害防止についてはどういうふうに配慮されていらっしゃいますか。
  83. 萩原浩

    ○萩原説明員 先生御指摘のコンクリート、特に鉄筋コンクリートの鉄筋の腐食に基づくコンクリートの破損の問題でございますけれども、これにはいろいろな原因がございます。先般放映されましたテレビではどうもそこら辺が全部一緒になって放映されているようでございますが、あの中で言われておるのは、どうも塩害による影響というものを御指摘になっているようでございます。  この塩害によりますコンクリート構造物の破損の原因は、現在のところ大きく分けて二つ指摘されておりまして、一つには海砂の使用、それからもう一つは、特に北陸、東北、北海道の日本海側のような冬季に非常に波風の強いような地域においては、海の水がコンクリートの中にしみ込んで、それで鉄筋をさびさせる、どうもこの二つがあろうというふうに考えられております。  海砂の使用につきましては、五十二年あるいは五十三年に、建築あるいは土木おのおのの椎造物につきまして塩分の許容限度を設けております。現在のところその許容限度を守って築造されたものについては故障は起きてないというふうになっております。  一方、もう一方の原因でございます海水の浸透による被害につきましては、これはごく最近わかったことでございますので、その対応策を立てまして、それについて補修の方法あるいは今後こういうことが起こらないようにいろいろな対策をする。例えばかぶり厚さを大きくする、かたいコンクリートをつくる、あるいはコンクリートの表面を塗装する、このようないろいろな対策を講ずることによりましてこれが防げるものと考えておりまして、今後ともこの点について十分注意し、また維持管理についてもいろいろな対策を講じたい、このように考えておるところでございます。
  84. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 現在、川砂がほとんどもう底をついて海の砂を使っている場合が多いと言われておりますけれども、その実態はいかがですか。
  85. 萩原浩

    ○萩原説明員 これは通産省さんの方でいろいろ統計を出されております。それによりますと、海砂の使用は関西方面が非常に多うございます。一方、それ以外の地域におきましては山砂、陸砂を使っておられるようでございまして、全体といたしましては、海砂の量と山あるいは陸の砂の量というのが大体半々、どちらかといいますとちょっと山あるいは陸の方が多い、こういうような状況になっておるようでございます。
  86. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、海の砂も使われておるということですね。ですから、その場合に塩害を起こさないような予防措置というか、塩分を除くことが必要ではないかと思いますけれども、それは十分やっておられるわけですか。
  87. 萩原浩

    ○萩原説明員 ただいま申し上げましたように、塩害には大きく分けて二つのものが考えられております。そのうちの一つの、御指摘の海砂使用による塩害につきましては、建築構造物につきましては砂の塩分の含有量を〇・〇四%以下、それから土木構造物につきましては〇・一%以下というふうに規定をいたしております。土木構造物はかぶりが大きいことと、それからかたいコンクリートを一般に使います。そういう関係で塩による影響は割合少ないということで、〇・一%の許容限度を設けております。一方、生薬はかぶりが少ない、あるいはやわらかいコンクリートを使うということのために〇・〇四%というかなり厳しい規定をいたしております。それらを十分守っていただきますと、海砂による塩害は起こらないというふうに考えておりまして、今後ともその指導を図るつもりでおります。
  88. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 終わります。
  89. 横山利秋

    横山委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十二分間議
  90. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。井上一成君。
  91. 井上一成

    井上(一)委員 最初に、私は検査院にお尋ねをしておきたいと思います。  五十六年度建設省決算についての主管局長説明の中にも指摘がありましたように、例年のことでございますけれども、補助金を不正に受給したりしているものがまだ後を絶たないという状態であります。こういう不正受給をしている事例に対しては、どういうふうにその後の指導をしているのか、あるいはどういうような手だてを検査院はしていらっしゃるのか、この点を聞いておきたいと思います。
  92. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  毎年指摘事例が絶えないわけでございますけれども、指摘したものにつきましては、それが完全に是正されたことを確認できるしかるべき資料なり、あるいは手直しなどであれば手直し完了報信書なり写真なりといったような、確実に是正が図られたということがわかるものでまず確認しているわけでございます。  それから、そういった指摘のあったところについて、継続的にその後どういうふうにアフターケアをしていくかということかと存じますが、私どもの検査といたしましては、まんべんなく均等に毎年やっていくことが必要でございまして、特に悪いところにはその翌年必ず重ねてまた行くというような対応はしておりません。つまり、重要な箇所であれば、指摘があろうとなかろうと、その翌年も行ってしっかり検査をしてくるというような考え方でやらせていただいているわけでございます。
  93. 井上一成

    井上(一)委員 重要な箇所というのは、特に今検査院が検査対象にできるのは一けた台なんですね。そういう意味から、とりわけ不正受給あるいはその他指摘を受けたその後の経緯というのは、写真等あるいは当事者から事後の経過書類を申告さすという方法をとられていると思いますけれども、検査院が偏見の中でそういう事例を対象にして検査をするということは決してよろしくないですけれども、今後はやはり不正受給をするという事態があったという事実の上に立っての継続的な対応が必要ではないだろうか、私はこういうふうに思うのですが、人員的な問題があってなかなか大変だろうと思います。しかし、不正受給なりその他の不当事項をなくする一つの抑止力、軍備でよく言われる抑止力ですけれども、そういう意味でも襟を正す、それぞれの事業主体者がきっちりと取り組むように継続的な対応が必要になってくるのではないだろうか、私はこういうふうに思うのですけれども、このことについてもひとつ検査院の見解をここで聞いておきたい、こういうふうに思います。
  94. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  大変御示唆に富んだ御意見でございまして、私どもも検査計画を立てますときにそういうことも当然考えていく必要もあるわけでございます。過去におきましても、実は事後処置状況検査と申しますか、過去に指摘したところに伺って、その後の処置状況について確認をするあるいはその後の事業の遂行がどうなっているかというようなことについて確認するという特別な検査を企画したこともあるわけでございまして、今の先生の御意見なども十分参考にさせていただきまして、そういうことを検査の上に反映させてまいりたい、かように思っております。
  95. 井上一成

    井上(一)委員 さらにもう一点、これはこの報告にもありましたように、建設刊当局改善処置を講じた事項についても指摘があるわけです。これは具体的にはマンホール等の下水道工事における積算基礎の問題ですが、これは既に地方公共団体に対して五十七年十一月以降積算する工事に適用するよう処置は講じられたわけでありますけれども、私は、やはり当局が十分に工事等の積算基礎、積算の問題については事前に検討、指導をしていくべきではなかろうか、そういうことを思うのです。検査院から指摘があって、それからの対応では、やはり自治体もすべて十分な状況だと言い切れませんので、親切なというか、国と地方との関係を強めるためにも、事前にいろいろとその工事あるいは機械設備も含めてひとつ十分な行政指導をすることが、これまた検査院から見れば指摘事項が少しでも少なくなるのではないだろうか、そういうことが決算的に前向きな対応だと思うのです。建設辛の見解をここで聞いておきたいと思います。
  96. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありました下水道工事におきますマンホール用の型枠費の積算につきまして、施工実態に合っていないということで会計検査院から御指摘ありまして、五十七年十月には「下水道用設計標準歩掛り表」に歩掛かりを追加して、十一月以降の積算工事につきまして適用するように措置をいたしましたが、御指摘のように、従来、積算の基準を定めましても、その後の技術の進展等々によりまして実態に即応していないケースも出てきているわけでございますので、会計検査院の御指摘をまつまでもなく、私ども常に積算基準の点検を行いまして、早期に実情に沿うように訂正をしてまいりたい、努力をしていきたいと思っております。
  97. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、ここで建設省にお尋ねをしておきたいことがあるわけです。  ソ連の脅威、そういう中で、有事に備えてのいろいろな角度からの取り組みが今政府部内で検討をされている、こういうことが事実であるわけです。有事法制に関する防衛庁からの建設省に対する何らかの照会あるいは相談があったのかどうか、どういう点を防衛庁から建設省に申し入れがなされたのか、私はこの点について聞いておきたい、こう思います。
  98. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 有事の際の対応につきまして、防衛庁の方から事務的に幾つかの問題点につきまして御照会をいただいております。  その主なる項目は、一つは、土地の使用等につきまして、道路法、河川法等の許可、協議等の手続を電話連絡等により迅速化できないかという点でございます。二つ目には、法律上非常災害と規定しておりまして、その非常災害の場合の特別な措置の規定がある場合に、防衛出動命令が出されたようなときこれに当てはまるかどうか。それから三点目には、防衛出動時等におきまして仮設の構築物をつくる場合があるかと思いますが、そういう場合に建築基準法の適用がないというふうには解釈できないだろうか。そういったようなことでございました。  これに対しまして、私どももいろいろ事務的に検討いたしましたが、御指摘の法律につきましては、いずれも有事の際のことを想定して規定したわけではございませんので、現行法におきましてはいずれも対応できないということを事務的に御回答させていただいておるところでございます。
  99. 井上一成

    井上(一)委員 今の法律では有事の場合にそれは対応できない、こういう回答を防衛庁にした、こういうことですね。  それであれば、有事の際にこれらの法律が使用できるように、法の改正を含めて前向きに建設省は取り組もうとしているのか、とんでもない、こんな相談には全く乗れないんだ、こういうような感覚でいらっしゃるのか、この点はいかがなんですか。
  100. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいままでのところ、防衛庁から特にその後どういうふうにしてほしいという御相談もございませんので、私ども御照会のありました件についてのみお答えをいたしておりまして、今後の方針等につきましては特に定めておりません。政府全体としての方針が別途決められましたならばそういったものに従う、そういうような状況でございます。
  101. 井上一成

    井上(一)委員 ちょっとこれは大臣にも聞いておきたいと思うのですが、このことは今後非常に重要な問題になっていくと思うのですね。今までの照会に対するお答えは、私は、それは当たり前のことを答えられたと思っています。だけれども、例えば有事の際には防衛庁の要望、要求にこたえられるように、法体系を変えてでも協力をしていかなければいけない、今の官房長の答弁では内閣の統一した見解云々ということですね。僕は、所管の建設大臣として、さっきお尋ねをしたように、今の法律を改正してでもそういうことにこたえられるような対応を、建設省は省として相談があればそういうことを考えてもいいんだ、そういう姿勢なのか、あるいは、とんでもない、そんなことは毛頭考えるべきでもないし、そんな相談には今後も乗れっこないんだというお考えなのか。
  102. 水野清

    水野国務大臣 有事立法の問題というのは新聞紙上で伝えられておりますが、ただいま官房長が事務的にお答え申し上げましたように、内々のといいますか、一つの相談みたいな形で申し入れがございました。しかし、こんな段階で、建設省としては、防衛庁から単に話があったからそれじゃ建設省の法律体系を変えて有事立法にこたえようという必要もまだないのじゃないかというふうに私は思っております。また、将来内閣全体としてどうなるかということもこれからの問題であろうと思いますが、現在のところは、まだもう一つ手前のまあ聞きおくという感じで私は受けとめております。
  103. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、今の法体系の中では、仮に有事の際防衛庁が、例えば河川敷に弾薬なり草なり自動車なりあるいは資材なりを置いて資材置き場にそれを使用するとか、あるいは今河川敷でゴルフ場に使っているところを、強制的にそれを収用して、それを防衛庁が使用していく、そういうことは今の法体系ではありっこない、できないんだ、こういうことですね。できるのですか、できないのですか、今の法体系のもとで。私はこのこともこの折に聞いておきたい、こう思うのです。
  104. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほどお答え申し上げました防衛庁からの御照会は、例えば河川法等におきますところの土地の使用等についての許可あるいは協議等につきまして、有事の際の迅速化、簡略化といったようなことでの御照会でありまして、現行法上それは無理であるということをお答えしておりますが、例えば河川法で申しますと、河川区域等を使用しようといたします場合に、その主体が国であります場合、河川法の第九十五条によりまして河川管理者との協議が必要であります。したがいまして、その具体の行為の内容等によりまして、それが河川管理上支障がないということでありますならば、一般の方と同様の手続に従いまして、その内容に応じて協議に応じられるかあるいは応じられないかという御返事を差し上げるべきものであろうかと考えておりまして、特別な手続、特別な取り扱いをするということはできない、こういうふうに考えております。
  105. 井上一成

    井上(一)委員 それでは次に、私は、大阪モノレール、このことについて少し建設省のお考えを聞いておきたい、こういうふうに思うのです。  これは御承知のように、大阪高速鉄道株式会社ですか、現在は第一期工事区間のうち、千里中央-万博公園間が建設中であるわけです。それは財政難から工事が大幅におくれている、こういうふうに私は承知しているわけです。そもそもこの大阪モノレールは、大阪府下の都市間、特に北部と南部を結ぶ重要な交通機関であり、その必要性からも建設の早期完成が強く望まれていたわけであります。  そういう観点に立って、建設工事の進捗状況について建設省はどのような把握をしているのか。いわゆる当初計画によると、第一期工事は五十九年度末に一部開業し、また、万博公園から南茨木までは六十年度末に、いわゆる第一期工事の区間の全線が六十二年度末、それぞれ完成することになっていた、こういうことなんですが、現時点で建設省はどういう進捗状況だと御認識をなさっていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
  106. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の大阪モノレールは、御承知のとおり、五十七年度から本格的に工事に着手をいたしてございまして、現在、万博公園と千里中央駅間に主力を置いて建設を進めているわけでございます。  五十八年度末までのインフラ部分、これが私の方の補助対象事業になるわけでございますが、インフラ部分の実施額が約四十四億円、進捗率は約九・三%でございます。五十九年度の当初予算ベースで申しますと、五十九年度末では一五・四%の進捗の見込みになるわけでございます。  御指摘のように、事業は大都市、特に大阪におきます環状交通の整備という重要なものでございまして、事業が急がれており、かねてから大阪府から強い促進要望があるわけでございますが、なかなか要望にこたえ切れないという実情でございます。  先生からの御指摘のように、現在のところ、千里中央-万博公園の三・二キロの区間は六十二年度中に、それから万博公園から南茨木の区間は六十四年度中に、それから千里中央から大阪空港までは六十七年度中にという今の見込みでございます。これにもこたえるべく、今後努力を続けてまいりたいと思っております。
  107. 井上一成

    井上(一)委員 今お答えがありましたけれども、確かに非常に大幅におくれているわけなんですね。この建設工事が大幅におくれている理由は一体何によると認識なさっていらっしゃるのか。これは念のために私の方からちょっと申し上げておきたいのですが、ことしの三月十九日の大阪府議会の土木常任委員会で大阪府が明らかにしたところによると、モノレール事業費は、国の公共事業の関連予算抑制のあおりでおくれたのだ、いわば国の公共事業関連予算の抑制がこの事業をおくらせている、こういうふうに府は認識をしている、あるいはそういうことが事実のように私は聞いているわけなんです。それは事実なのかどうか、あるいはそういうことが大きな理由なのかどうか、この点についてはいかがなんでしょうか。
  108. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘の、最近の私どもの方の公共事業費が伸びないということも、御指摘のとおり一つの大きな理由でございます。  もう一つの理由は、私どもがこの事業補助対象事業として取り上げましたのは昭和五十五年度でございます。木工事が始まりましたのは五十七年度からでございまして、その間にいろいろな手続があったわけでございますが、その手続のおくれも一つの原因になっていようかと思っております。
  109. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、やはりこのモノレールの必要性、これは私から多くを語る必要はないと思うのですけれども、それじゃ、おくれを含めて、今後の見通しとしてどういうふうに認識をし、あるいはどういうふうに事業促進に向けて国としては対応をなさっていかれるのか、その点をひとつ聞いておきたいと思います。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  110. 松原青美

    ○松原政府委員 この大阪モノレールの計画につきましては、私どもは、大都市地域におきまして、特に放射線状の交通網は整備が進んでおりますが、必要な環状線の交通体系というものの整備がおくれてございます。この整備効果ということは、そういうことから放射方向の鉄道路線の負荷の軽減を図ることができる、それから都心通過の交通を排除できる、さらに短絡できる。こういうことによる都心の混雑緩和、あるいは大阪市周辺地域の交通が、特に不便な地域でございますが、その不便地域の解消、さらには一点集中型であります大阪都市圏の都市改造の是正、こういう多角的な効果を持つ重要な事業だと認識しておるわけでございます。そういう認識のもとに、この事業費も要望にこたえまして逐次増加して毎年ふやしてまいったわけでございますが、まだまだ十分に対応し切れないということが現状でございます。今後大阪府とも十分相談をいたしまして、この整備促進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  111. 井上一成

    井上(一)委員 先ほども申し上げましたように、大阪の南と北、いわゆる南北交通を確保する上で大阪モノレールの果たしていく役割というものは今後非常に大きいものがある。そういう意味では、一日も早く計画路線が全面開業することが望ましい、こういうふうに思っているわけなんです。  さらに、私は、現在着工している工事区間、この工事区間における投資効率、投資効果というものは非常に期待が少ないのではないだろうか。さらに、今どきよく言われる民間活力の導入なりあるいは公共事業に対する将来にわたっての投資効果の問題を考えていくと、やはりこれはもっと現実的に沿って、いわゆる南茨木からの、今のところ計画は北部だけのごく限られた地点から地点なんですが、さらに南進をし、大阪北部から大阪中部、さらには南部、どういう交通体系を南北に結んでいくということが非常に必要ではないだろうか。そのことをやはり並行して考えていかない限り、この工事の本当の投資効果というものは、採算性も含めて上がってこない。こんなことで、今の状況でいいのだろうか、こういうふうに思うわけです。とりわけ、今後南北交通については、現状よりも道路網の交通渋滞等も含めると大変悪化していくおそれがあるので、そういう意味で、南伸についても含めて建設省はどのように考えていらっしゃるのか、私はこういうふうに思うわけです。これはひとつ参考程度に――公共事業全体の投資というものは、前倒しをして、そして上半期における促進方の公共事業実態に持っていき、補正を組んで、さらにはその公共事業費の追加をし、そして翌年度また同じことを繰り返していく、こういうことのパターンが多いので、必要かつ早急に事業推進していかなければいけない部門については、財投資金も含めてもっと積極的に効果の上がる行政指導をしていくべきではないだろうか。いわばこれは公共事業に準ずる工事でもありますし、私としては、今のような状況では、本当に国としての適切な親切な行政指導にはならないと思うのです。今後、南伸を含めてどのように国が、府なりあるいは大阪高速鉄道に対しての指導というのでしょうか、協力をしていこうと考えていらっしゃるのか、このことについて聞いておきたいと思います。
  112. 松原青美

    ○松原政府委員 この大阪モノレール計画は、昭和四十九年度から大阪府が調査をいたしたわけでございます。大阪府が調査いたしましたのは、大阪空港から東大阪の間約二十七キロについて調査を行ったわけでございます。現在行っております大阪空港から南淡木の間は、その第一期区間として事業を始めたわけでございます。当面は第一期区間の早期完成に努力してまいりたいと存じておりますが、茨木から南への延伸につきましては、これはいずれ必要になる路線であろうと私ども理解いたしてございます。ただ、大阪の外環状線の旅客線化という構想もあるようでございますから、これとの調整を図る必要があろうかとは思っておりますが、今の工事区間になっております南茨木からさらに南伸しまして、淀川を越え京阪電鉄線のあたりまではいずれにしても必要になるものと考えております。いずれ大阪府から要望があれば十分検討してまいる所存でございます。
  113. 井上一成

    井上(一)委員 今お答えがありまして、私も、すべて一遍に物事が解決できるというようなそんな考え方はむしろ乱暴な意見だと思うし、そこには慎重さというか計画性も裏づけが十分とれません。でも、南淡木から淀川を越えて京阪電鉄までの乗り入れというのですか、そこまでの接続というのはやはり一番必要である。私の持っている資料では、この区間が一番利用客が多い数字が出ているわけ。これは大阪府も承知しているはずです。むしろ、今の工事着工区間なんというものは、先ほどから言うように非常に投資効率が悪い。やはりそれをカバーしていく意味でも、南伸というものは一日も早く計画決定を打ち、事業決定に持ち込んでいくべきだ。そういうことを国がやはり府に、あるいはこれは第三セクター方式の民間-関西電力、私鉄、大阪府を含めてやっている事業でありますが、もっときっちりと指導していかなければいけない。そういうことをやらない限り、民間の活力を大いに活用していきたいんだという政府の関西新空港における取り組みとこれとは全く整合性がないわけ。こんなことではだめだ。こんなことを建設省やっとったらいかぬでさっきの、建設省が言われた、いわゆる当初国庫補助を予定していた約百七十億ですか、それに対しての半分にも満たない補助の現状では、そういうことも事業の進捗に非常に弊害があった。しかし、この折に、さらに南伸をさし、かつ大阪モノレールが有効な役割を果たせるように、これはひとつ建設省から大いに、あるいは関係民間組織に、大阪高速鉄道に国の意見というか国の考えとしてやはり強力な指導が必要ではないだろうか、そのことにおいて、国の負担のできる、国の協力援助のできる、いわゆる予算の枠内における事業補助推進していく、こういうことをきっちりと理解をし、お互いが協力のできるようにひとつ取り計らっていくべきではないだろうか、こういうふうに思うのです。局長、念を押すような質問になって恐縮でございますが、ひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  114. 松原青美

    ○松原政府委員 この大阪モノレール計画につきましては、当初から私ども非常に大きな関心を持っておりました。四十九年度から大阪府が調査を始めました際にも、私どもの方から調査のお手伝いをいたしたわけでございます。その調査結果を踏まえまして、第一期区間ということで、現在の免許を受けた区間の工事を行っておりますが、この計画の全体の早期完成ということが大阪の都市構造に与える影響から考えましても重要でございますので、今後とも、大阪府とも十分連絡をとってまいりたいと思っております。
  115. 井上一成

    井上(一)委員 それから、私は、建設省と運輸省が一つの協定を結ばれた、いわゆる連続立体交差化事業における鉄道側における費用負担、この点について聞いておきたい、こういうふうに思うのです。  結論からいえば、過去の鉄道が田園地帯を走っていたという状況から、その田園地帯が都市化の波に乗ってどんどんと市街化されていく、そういう中における連続立体化の問題が生まれてくるわけなんですが、四十四年の九月一日に運輸省との締結があるいわゆる都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定ですね。既設の鉄道施設改善する、いわゆる高架化する、そのための費用負担は、地方公共団体の負担割合が非常に高い。地方鉄道側は七%だけであり、これは念のために申し上げておきますが、国鉄は一〇%ですね。ここにも国鉄と地方鉄道との差があるわけなんです。今、鉄道施設を高架、立体交差化していく、そのことのメリットは一体どちら側に多くメリットを持っているのか。もちろん、地方自治体側にもそれなりのメリットがある、こういうふうに私は思います。しかし、むしろ鉄道側に多くのメリットがあるのではないだろうか。念のために、鉄道の改良増強費ですね、輸送力の増強を踏まえた中で複々線化する、そういうものはすべて鉄道側の負担となっているわけなんです。そういうことから考えて、この協定、少し検討を加える時期に来ているのではないだろうか。もう十五年も前の協定でありますけれども、もう少し、立体交差化が早期に実現できるようにやはり一定の負担割合を検討し直して、あるいはそのことにおいての交通安全対策なり都市の新しい形態を整備さしていく必要があるのではないだろうか、こういうふうにも思うのですが、建設省の見解を聞いておきたいと思います。
  116. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘の連続立体化に関する協定、昭和四十四年に締結されまして十五年近くたったわけでございます。この協定、もう先生十分御理解のとおりでございますが、鉄道側につきましては鉄道の改良とか線増に要する費用等その受益相当額を負担する、残りは都市計画の側で負担する、こういう協定になっているわけでございます。  最初御指摘になりましたように、最近の市街化の進展によりまして、鉄道線路によりまして市街地が分断されている、駅裏と駅の表口との発展の差、あるいは鉄道によって分断されることによります交通混雑、そういうことを改善しまして、都市の整備を飛躍的に進めようという趣旨から、都市計画事業としてこれを進めてきたわけでございます。  御指摘の、そろそろ見直す時期ではないかという御指摘につきまして、十五年たちまして、この間十五年の歴史を振り返ってまいりますと、従前は個々に、ケースごとに負担の協議をいたしておりまして、この協議がなかなか難航いたしますものですから事業の着手が非常におくれていた、こういう状況にありましたのが、一応のこの負担の原則を決めまして、協議が円滑にいくようになり事業が円滑に進むようになったという効果があるわけでございます。私ども、その後の状況に照らして、この負担割合が適正かどうかということにつきましては、絶えず内々の調査はいたしてございますが、まだ現在のところ、これを直ちに変えるべきではないかという提案をするまでのデータが得られていないわけでございます。たしかこれは協定当時に行われておりました、かなりの箇所で行われておりましたが、工事事業の実例を調査いたしまして、それを平均的に捨象したものでこの負担割合を決めたものというふうに聞いておりますが、この手続を変えますには、この負担割合を変えますには、やはり相当のデータが必要であろうと思っておりますし、先方の鉄道側の納得も得られなければやはり工事の阻害になりますものですから、さらに今後詰めてまいりたいと思っております。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 井上一成

    井上(一)委員 次に、私は、身体障害者に対するいわゆる道路整備計画等における配慮について聞いておきたい。  これは日本の道を考える会が発行している「身障ドライバーが見た日本の道路」、そういう中に、具体的に身障ドライバーの平均一月に走る距離数は八百三十六キロで、一般の健常者の五西九十四キロよりも二百四十二キロも多く走っている、こういう数字が出ているわけです。身障者を特別視していくということはよろしくない、その身障者の持つハンディをいかようにして支援することが大事であるかということを十分理解し、それを現実的につくり出していかなければいけない、身障者がみずからの移動の自由を守れるような道路をつくってほしいというようなことも書かれているわけなんです。いろいろとその中で、特別視ではなくハンディに支援をしてほしいと身障者がみずから訴えていらっしゃるわけです。具体的には何項目がありますけれども、例えば、専用トイレよりも汎用トイレを、サービスエリアなどで身障者専用トイレはおかしい、その区別は差別のような気がする、とりたてて区別するのではなく妊婦や子供連れでも楽に使える広さにしてほしい、いわゆるわざわざ差別に近い区別ではなく、いろいろな意味で支援をする理解度が身障者から訴えられているわけなんです。これは、きょうは警察の方は僕は出席要求をいたしておりませんけれども、例えばドライバーの講習会等でも、ハンディに理解を深めて協力するようなそういう講習会、もちろん事故防止と一緒にそういうこともひとつ講習会等で教育をしていくべきではないか、保護といってもいたずらに特別視をするのであってはいけない、こういうふうにこの「身障者と道路を考える」というこのパンフに書かれているわけなんです。  私は、既にこういうことについては当局は御承知だろうと思うし、さらに、第九次道路整備五カ年計画というものがつくられてあるわけなんです。こういう五カ年計画の中にこれらの問題を取り入れられているのかどうか、取り入れようとしていらっしゃるのかどうか、あるいはこういう訴え、提言に対して何らかの施策を講じられたのかどうか、そういうことについてひとつ聞いておきたい、こういうふうに思うのです。
  118. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 身障者の社会参加の機会は今後ますます増大していくと考えられますが、建設省では、身障者や高齢者など身体的に弱い立場にある人々が安心して利用できる道のあり方を求めまして、昨年、身障運転者や高齢運転者、学識経験者から成る道しるべ懇談会を開催し、今後の道路行政のあり方について提言していただいているところであります。私も何回か参加させていただいております。  この懇談会では、「やすらぎと思いやりのある道づくり」をテーマに総合的な視野から活発に意見交換をしていただいたところ、みんなに使いやすい道がつまりは弱い人たちにも使いやすい道であるという基本的な理念のもとに、安心して通れる道、快適に通れる道、使いやすい道、マナーのある道、憩いのある道という五つの目標が提言され、さらに、具体的には歩行者、自転車、自動車の分離、広い歩道の整備、自転車置き場の整備、わかりやすい道路標識の整備、ガードレール、歩道等の構造の改善などの施策が掲げられております。  建設省といたしましても、これらの提言を踏まえまして、関係省庁と十分協議し、総合的な視野に立って、身障者が安心して利用できる道づくりを今後とも推進していきたいと考えております。第九次道路整備五カ年計画におきましても、歩道づくりあるいは道路標識の整備などを最重点施策として実施さしていただいておるところであります。
  119. 井上一成

    井上(一)委員 大臣はいらっしゃらないのかな。――局長、一生懸命勉強されて読まれたわけだけれども、それはそれなりに。しかし、そんな答弁では僕の真意がまだわかっていないのではないだろうか。時間がないから余り多くを申し上げませんけれども、例えば、今後道路を建設していくについても、地方道も含めて、あるいは歩道というのは必ず車いすが通れる歩道幅にしていくのだとか、あるいはトンネルの中の避難通路は身障者が使えるように工夫がなされているのだろうか。そんなことを言葉だとか文章で、二〇〇一年にシルバー道路だとかハッピー道路だとか、高齢者も安全に利用できる道路を整備したいのだとか、今読まれたそんなことでは情がない、情が。そんなことは本当に机の上で、学校の中でのテストで答えるようなものであって、私の言っているのはそうではない。これからの、いわゆる二十一世紀へ向けての道路計画なんというものは、身障者が地方へ行っても、身障者のドライバーが車いすを積んでいた。それでもその車いすが仮に砂利道――全部一〇〇%の舗装が望ましいけれども、車いすの通行が可能な幅の歩道は必ず整備させていくのだ、義務づけていくのだ、それが第九次道路整備五カ年計画の中に入っているのですとか、入れるのですとか、そんな答弁をしなければ話にならぬよ。時間がないから私は多くを言わないけれども、大臣ちょっと席を外されておったけれども、それは本当は事務レベルでそういうことを考えてほしいと私は思う。どうなんですか。そういうことでないと、本当の道路行政というものは私はできないと思います。
  120. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 先生のおっしゃられるように、身体障害者、高齢者はこれからますます社会参加をするわけでございますし、そういう方々の基本的なものは交通でございますので、この人たちが安心して、かつ円滑な交通を確保できるようにすることが、道路行政にとって最も重要な課題の一つであるというふうに考えております。  そこで、昨年、身体障害者あるいは高齢者、それから学識経験者等から成る道しるべ懇談会を道路局長の私的懇談会として作成し、この方々からいろいろな意見を承ったわけでございますし、こういう方々も道路行政に直接参加できることを大変喜んでおられましたし、また、そういう方々の意見を具体的に取り入れた施策を現在実施しておるわけでございまして、そういう成果もまたこういう方々に見ていただきながら、今後の道路行政を進めていきたいというふうに考えております。
  121. 井上一成

    井上(一)委員 あなたの答弁ではだめなんだ。大臣、僕はさっきあなたがちょっと席を外された折に、身障者の声というか訴えというか、それがここに何点か指摘をされて、「身障者と道路を考える」というパンフに書かれているわけであります。これは建設省が後援をしているし、NHK文化センター、日本身障運転者協会が主催されたそういうシンポジウムがあったわけですね。その中で具体的に、専用トイレを汎用トイレにしてほしいとか、あるいはドライバー講習会については、身障者のドライバーに対する協力のあり方、そういうことを講習会で十分理解を求めてほしいとか、今言ったように、トンネルの避難通路に工夫――日本坂トンネルのあの惨事で、身障ドライバーが避難できるようなそういう施策を講じてほしい。あるいは砂利道であったとしても、まあ砂利道をなくしてほしいのだけれども、少なくとも地方道路へ行って車いすで通れる整備された歩道、そういうものを二十一世紀に向けて道路整備計画の中に取り入れていくべきだと私は思う。抽象論でなく、こういう具体的なことを僕は申し上げているんですよ。そういう具体的な声を一つでもいいから吸い上げていって、そういうことを実現していくということが政治だと思うのです。私はどうも大変申しわけないかもわからぬけれども、さっきの局長の答弁ではびんと私の胸を打つものがない。だから、ひとつ大臣からお考えを聞かせていただいて、ぜひこういうものを取り入れて、こういう声をひとつ道路行政に生かしてほしい、こういうことなんです。
  122. 水野清

    水野国務大臣 身体障害者に対する行政というのが、確かに過去に不公平であったということを私自身も感じております。これが大きな転換期になったのは、先生も御承知のとおり、昭和五十七年の国際障害者年以来、内閣に推進本部を置いたり、それから、そういうお話をしていいかどうかわかりませんが、参議院に八代英太先生が出てこられて、参議院なんかの建物自身を改造せざるを得なくなってきた。私はその辺が一つの大きな転換点になってきたと思います。確かに、建設省でも横断歩道に対して段差をなくするとか、あるいは押しボタン式の信号を別につけるとか、いろいろやっておりますが、私はまだまだ総合的にはやるべきことがたくさんあるではないかというふうに思っております。  そもそも、音から官庁とか大きな役所なんかは出入りに非常に階段が多いわけでありまして、階段の高いところへ上がっていく方が役所の人は偉いと思われるか何か知りませんが、我々の衆議院なんかも非常に階段が多い。それが何か一つ権威づけられておったのが私たちの過ごしてきた過去の社会であった思いますが、そういうことであってはよくないと私も痛感をいたしております。建設行政の中で何と何ができるかということは、ここで私が今お答えできないことでございますが、障害者年が去ったからもうやらぬでもいいということでもないのでありまして、ひとつ総合的に何ができるかということを一遍拾い出して洗い直しをして、建設行政もそういうものにもっと忠実といいますか積極的でありたい、かように思っております。
  123. 井上一成

    井上(一)委員 私はもう時間がありませんので、それではこの問題は二十五日の行管を対象にした委員会で改めて取り上げて質問をします。だから、予告をしておきますから、それまでにどうぞ建設省の具体的な取り組みをよくお考えいただいて、その折に端的に手短にお答えをいただきたい。資料もお持ちだと思いますから、そういうふうに私から……。  それでは、きょうはこれ以上申し上げません。最後に一点だけ。  過日の報道で、建設省がいわゆる高速道路網を使った通信施設ですね、新しい情報システムのあり方について本格的な検討を行う、そのためのシンクタンクというのですか、道路新産業開発機構をことし六月に設立するということが報道されているわけです。何を研究し、また将来具体的にどのような情報システムをつくろうとしているのか。またその運営の仕方をどうしていかれるのか。関係機関との調整はどの程度進んでいるのか。これは郵政省、運輸省、国鉄、道路公団、電電公社その他いろいろありますね。そういうところとの調整はどのくらい進んでいるのか、このことを最後にお尋ねして、私の質問を終えたい、こういうように思います。
  124. 水野清

    水野国務大臣 高速道路を多目的に使おうという発想でございますが、これは実は先生も御承知のとおり、今電電公社が新しく株式会社として再発足をする法律が国会に提案されて御審議をいただいております。その中で、御承知のとおり電電公社がもし株式会社になりますと、これは株式会社でございますから、独禁法上からも、数年を経ると同量の通信事業を扱う会社をつくらなければいけない。もしつくれなければ、また場合によっては妙な形の分割のようなことが考えられるということでございます。  たまたま私が建設大臣になりましてから、そういう発想で高速道路というものを見直してみたらどうだろうかということを事務当局と相談をしてみました。たまたま建設省の道路局の中でもそういう発想を持って勉強しておったわけでございますが、それならばひとついろんな有識者の方々においでをいただいて御教授をいただこうじゃないかということで、私の私的な諮問機関としてロードスペース懇談会というものを設定したわけでございます。その後だんだんと、電電公社の法案が国会に提出されましたし、世間がこういう問題に対して非常に注目をなさるようになってまいりました。ところが、建設省自身は今まで電話事業というようなもの、あるいは一般的な通信事業、あるいはINS通信とか、そういったものについては全くの素人でございます。むしろこれから機構をつくって、ただ勉強していくと言ったら正確なお答えだろうと思います。  ただ、建設省がこれからやります範囲はどこまでやるのか。建設省が――道路公団がそれに当たるわけでございますが、道路公団が電話事業をやれるはずがないわけでございますし、そこまでやってうまくいくということも考えられないことだと私は思っております。その範囲で、まだまだ勉強を始めようかというところでございますので、適当な時期にまとまれば、また諸先生方の御批判もいただきたい、かように思っている次第でございます。
  125. 横山利秋

    横山委員長 貝沼次郎君。
  126. 貝沼次郎

    貝沼委員 五十六年度決算につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  今までの建設省所管の会計検査院からの指摘事項、こういうものをずっと五年ばかりさかのぼって見てまいりますと、ほとんどが補助金に関係するものでございます。この補助金の内容はいろいろございますけれども、この補助金指摘事項がなくならない限り、あるいは少なくならない限り、建設行政というものは大変問題がある、こう私は思うわけです。  そこで、例えば昭和五十三年度では住宅建設事業費関係で六事業、金額にして二億一千四百三十八万円余、五十四年度になりますと、同じ事業費で七事業、一億九千百五十五万円余、五十五年度都市計画事業費、七事業費でございますが、一億一千百五十九万円余、五十六年度住宅建設事業費、六事業費で二億五百二十四万円余、五十七年度も見てみますと、五事業費で、これもやはり住宅建設でありますが、六千四百七万円余、全部合計いたしますと、たった五年間で、三十一事業費、総計七億八千六百八十四万円余、大体八十五万ぐらいまでになりますが、こういうふうに補助金の問題が非常に多いわけでございます。したがいまして、この補助金行政というのは大変問題がある。あるいはうんと勘ぐれば、この補助金行政につけ込んでいろいろなことが行われているのではないかとすら勘ぐりたくなってまいります。いわば悪の温床にもなりかねない、こういうような感じがいたします。このことにつきまして建設大臣はどのようにお考えでしょうか。
  127. 水野清

    水野国務大臣 地方公共団体が施行しております国庫補助事業というものは、その適正な執行を図るためにかねてから努力をしているところでございます。  なお、工事設計とか工事費積算が適切でなかったもの、工事施工設計と相違していたものなど、国庫補助金を不正に受給していたものにつきましては、こういうことがないようにやっていきたいと思っております。  補助事業が悪の巣筋だと大変おしかりを受けましたが、今各種の補助事業というものは、必要があってそれぞれ各地方自治体を御援助申し上げている。ただ、その中に幾つかのずさんな問題があってこういうことが発生した。建設省としては、多額の公共事業費を国民からお預かりをしているわけでございますから、今後とも厳重に注意をして、執行に誤りのないようにやっていきたい、私はかように思っております。
  128. 貝沼次郎

    貝沼委員 すべてが悪の巣窟と言っているわけではありませんが、そういう面がうかがえるということであります。  そこで、この会計検査をやっております検査院の方はこれについて何か御意見がございますか。
  129. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  私ども、補助金指摘が毎年度なくならないあるいは減らないというようなことについては、甚だ遺憾であるというふうに考えております。何分にも数も多いことでございますので、なかなか手の回りかねるところもあるいは指導上もあるのかともと思いますけれども、ともかく、何よりも地方公共団体補助事業実施される方々が、国民の血税に財源をいただいているのだという認識をより以上に持っていただいて、そして、持っている能力を最大限に発揮いたしまして、適正な事業執行ができるように、また、建設省におかれましては、従来から御指導をいただいているところではございますけれども、なお一層の御指導を期待しているところでございます。
  130. 貝沼次郎

    貝沼委員 総論はそれくらいにいたしまして、今後はこういう不名誉な指摘をされないように、ぜひひとつ御努力願いたいと思います。  例えば、宅地難時代に、宅地造成にかかわることが会計検査院の方から指摘されております用地方自治体が区画整理事業で造成した宅地、例えば東京、神奈川など二十四都道府県が四十八年から五十四年まで行った百六十二カ所の区画整理事業で誕生した土地で計千八十八億円が補助されておる、これは面積にして五千四百十八ヘクタール。この宅地が造成されたわけでありますが、しかし、そのうちの約三〇%、千六百六十二ヘクタール、これは後楽園球場の四百九十倍くらいの土地だと計算をした人がありますが、そのくらいの土地が未利用状態になっておる。中には十年間も放置されているという事実が指摘されておるわけでございますが、この点について簡単に検査院の方から説明願いたいと思います。
  131. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  これは、国が補助をいたしました土地区画整理事業の施行に伴いまして整備された宅地の利用の現状について、特に掲記を必要とする事項として検査報告に掲記したものでございます。  簡単に概要を申し上げますと、建設省で、土地区画整理事業実施するところの地方公共団体、土地区画整理組合などに対しまして、事業に要する費用の一部に充てるため道路整備特別会計から補助をしておるところでございますが、北海道ほか二十三都府県が実施いたしましたこれらの事業のうち、四十八年度以降五十四年度までの間に事業が完了いたし、または、事業が完了するには至っていないけれども道路建設工事等の工事がすべて完了しておりました百六十三事業につきまして、事業の施行に伴いまして整備された宅地の利用状況を調査したわけでございます。  その結果、五十八年三月末現在で、農耕地となっておりましたり、あるいは空き地となっていたりして未利用宅地となっているものが相当見受けられたわけでございます。とりわけ、未利用宅地が宅地面積の二分の一を超えているものが岩手県ほか十五府県内の三十六事業に見受けられたわけでございます。これらにつきましては、工事完了後三年から物によっては十年を経過しているものがあるわけでございますが、年月の経過によって、未利用宅地の減少傾向と申しますか、宋利用宅地が利用されていく傾向が余りはっきり見られない状況にあります。それから、未利用宅地の土地所有者の意向調査というものもやったわけでございますが、営農意思が強いものあるいは宅地をほかに譲渡する意思がないといったようなものが大部分を占めている状況でございます。  これにつきましては、建設省におかれまして、土地区画整理事業の目的は、土地の区画形質の変更及び公共施設の新設または変更の完了によって達成されたとしているものの、宅地利用の促進方策の通達を発する、そういう方策を講じていらっしゃいますが、今までるる申し上げましたような現況、一方におきまして、今日一般の宅地需給が逼迫している状況、こういうことにかんがみまして、事業施行後の宅地の利用についてはなお種々な方策によりまして一層の促進が図られることが望ましい、こういう指摘をしているわけでございます。
  132. 貝沼次郎

    貝沼委員 以上の指摘のとおりでございますが、これに対しまして、建設大臣は、こういう状況が起こるというのは原因はどこにあるとお考えなのか、そして、今後こういう問題が起こった場合に、責任の所在はどこにあるのか、これを尋ねておきたいと思います。
  133. 松原青美

    ○松原政府委員 まず、土地区画整理事業につきまして御理解を得たいわけでありますが、御承知のように、我が国の都市はスプロールが進みまして、市街地の整備が非常におくれております。現在DID地区が全国で百万ヘクタールと言われておりますが、そのうち計画開発されました土地は三〇%程度にすぎません。そういう意味から、日本の都市は、先に基盤整備がなされないで市街化が進むということで、後追いの非常に不効率な投資を招いておりますし、都市環境の悪化を招いておるわけでございます。そういう意味から申しますと、土地区画整理事業といいますのは、その土地の地権者が開発に必要な費用を公平に分担し、また、その開発に伴う利益も公平にそれぞれ享受する非常にいい仕組みでございまして、以前から区画整理事業は都市計画の母と言われておるわけでございます。  私どもの方はそういう観点から、区画整理事業推進するために道路特別会計の方から道路整備費の補助を出してございます。これは都市計画決定されました道路の整備に係る費用を補助しているわけでございます。その結果から見ますと、それぞれの区画整理事業はその補助目的は達成されまして、その幹線街路は整備されているわけでございます。整備された幹線街路はそれなりの効果は果たしているわけでございますが、今回会計検査院から宅地化の状況がおくれているではないかという御意見につきましては、せっかく整備された宅地、特に住宅の建設が停滞しており、その一つの原因は宅地供給がおくれている、こういう現在の情勢にかんがみまして、この利用促進を図ることはこれまた当然なことでございまして、私どもは従来からそれをいろいろな形で進めてまいっております。例えば、区画整理されました土地を新しく家を建てる人に早く売った場合に減税の措置をとるとか、区画整理事業を行った側にとりましても早く都市化の熟成を図るためのいろいろな施設整備するとか、そういうことをやってございますが、今回の御意見を踏まえまして、さらにそれを進めるよう措置いたしておるところでございます。  くれぐれも御理解いただきたいのは、そういう土地の権利者の協力を得まして区画整理事業が成り立つわけでございまして、事業執行が可能になるわけでございます。土地の所有者にそれを無理やりに吐き出させるということは、区画整理事業推進を一方では困難にする大きな要素になるわけでございます。しかしながら、市街化区域内農地の宅地に転ずるものがたしか年平均三%程度でございますが、区画整理が行われました地域につきましては、年平均六%程度の宅地化率、上物が建って宅地化する、そういう実績がございまして、それなりの整備効果は上がってございますし、何よりも都市の基盤整備を先行的に行うという重要な事業でございまして、地権者がこの事業に十分協力していただけるような、かつ宅地化を促進する方策に今後とも努めてまいりたいと思っております。
  134. 貝沼次郎

    貝沼委員 あなたのお答えは答えになっていない。私の聞いたことと全然違うことを言っている。そういういいかげんなことは時間がむだですからやめていただきたい。  それで、今言ったように、私は何も地権者の意見を無視しているとかそんなことを言っていませんよ。こういう事件が起こって指摘されておるのは、原因はどこにあるのか、またどうするのかということを聞いているわけですよ。あなたは一生懸命、区画整理事業は重大な大事な問題でございます、都市計画の母でございます、そんなことはわかっていますよ。私も建設委員会におったのです。そんなことは今くどくど説明を受けようとは思っておりません。時間がむだですからいいかげんにしてもらいたい。  そこで、今あなたの答弁から例えるように、地権者の意見を大事にすると言いますけれども、大事にしていないからこういう問題が起こっているわけでしょう。例えば宅地にしても売れていないわけでしょう。あるいは先ほど検査院の報告があったように、地主が手放したくないという意見があるのでしょう。その点はどうなんですか。
  135. 松原青美

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  地主が手放したくないという意見も大きな理由の一つでございます。それは自分が土地をそのまま資産としてしばらく保有したい、こういう意識に基づくものでございまして、売って売れない、売っても買う人がいないということとはまた別の問題でございます。
  136. 貝沼次郎

    貝沼委員 どっちにしても、せっかく金を入れてこの区画整理事業をやって、そして三〇%も土地があいておるということは、効率がいいとは考えられません。その辺の初めの見通しの問題なんです。基礎調査の問題なんです。その辺が私は甘いのではないかと思う。その辺がきちっとしておるならもっともっとこのパーセントが少ないはずだ。ゼロとは言いませんよ、いろいろな事情があるのですから。その辺を私はもう少し反省していただかないと困るということであります。  それから、地元の人あるいはそれをやった当事者がどうのこうのという責任問題ばかりいきますけれども、しかしそうではなしに、やはりこれを助成した建設省にも責任があると思いますよ。この点はいかがですか、大臣。
  137. 水野清

    水野国務大臣 ただいま御指摘がありましたように、区画整理事業、各地で完成しましたが、部分的に売れ残りがあるという問題でございます。御指摘のとおりでありますが、今局長が申し上げましたように、一つは、その昔農業をやっておったその地域の人たちが、区画整理なら税金がかからない、面積が減るけれども土地の価格が上がる、だから参加した。当面は自分は売る気がない、できれば資産として保有したい。しかし、こういう人たちを除外すれば大体区画整理はできないわけでありますから、私はある程度やむを得ないことだと思います。  もう一つ、私どもが見ておりますのは、保留地がなかなか処分できない。保留地というのは、それを売って区画整理事業で赤字が出たらそこへ補てんするということが一つの目的でそういうものが出てきたわけでございますが、なかなかできない。確かにこれはむだでもあろうと思いますが、しかし、こういう区画整理事業というのは少し早目に手をつけておきませんと、いよいよもうどうしようもなくなった旧市街地の中の区画整理事業というのはもっとたくさんのお金がかかる。非常にいろいろな面から見ると、会計検査院からむだだという御指摘は得ましたけれども、建設省都市局で今やっております区画整理事業というものは全くけしからぬ、ずさんであるということも言えない。先生御指摘のように、もちろん若干その事業事業に対する補助をする際の目きき、判定、それにややずさんな点もあったから御指摘を受けているわけでございますが、そういう面は今後十分注意をしてやるようにいたしますけれども、また同時に、ある程度の売れ残り、家が建たないような区画整理事業の土地があるということについても御認識をいただければありがたいと思っております。
  138. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、私は先ほどゼロになるとは思っていない、けれどももっと少ないはずである。けれども、今の大臣の答弁を聞いておりますと、会計検査院は建設行政を余りよく知らないで金ばかり眺めているからそういう気楽なことをおっしゃるけれども、実はそうじゃないのだ。反省の色は余りありませんな。この点は私はっきり言っておきますよ。しかし、それをやっておったら会計検査院は意味がないのです。もっときちっと受けとめるものは受けとめていただきたい、こう思いますよ。  それから、これは補助金だけじゃないのです。住宅金融公庫だってそうでしょう。例えば、住宅金融公庫の融資金がスナックや簡易ホテル、オフィス建設などに無断転用されていたということが指摘されているわけですよ。全国三百四件の融資例のうち五十四件、金額にして二十億六千万円が、住宅建設に限るという目的に違反しておるわけですね。これは指摘されておるでしょう。これだって同じようなことなんです。前もってきちっと調査をする、そうしてでき上がった後、建設確認をする、完了検査をする、こういうことがきちっと行われておれば、こういうことはもっと少ないはずですね。ところがこれが行われておる。これはどういう原因によるものですか、またこれに対してどう対処されますか。
  139. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたような件が住宅金融公庫の融資についてございましたことは、大変に遺憾に存じております。一般的に見ますと、当初の融資に係ります建築の計画につきましては、住宅の建設というような計画で融資の申請が出されまして、以後建設につきましての調査の時点でもそういうような形で行われておりますが、建築が完了した後に用途を変更してそういった住宅以外の用途に係るものに転用されるという例が見られるようでございます。これにつきましては、そういったことのないように十分に住宅金融公庫指導しているところでありますが、今後ともそういうことのないように厳重に指導してまいりたいと考えております。
  140. 貝沼次郎

    貝沼委員 これは指導だけじゃだめですよ。今まで指導していなかったのかというと、そうじゃないでしょう。今までだってちゃんと指導しておる。けれども、現実にこれだけの問題が起こっておる。それをまた指導するだけじゃだめですよ。別の方法は何かとらなかったのですか。先般法改正もやったでしょう。あの法改正はこれに何らかの影響を与えますか。
  141. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 建築基準法あるいは建築士法の改正を行いまして、十分に建築士の活用を図りながら、例えば住宅金融公庫の融資に係る住宅につきましても、それが的確な住宅金融公庫の融資に係ります建設基準に適合しているように事業執行するように指導しておりますし、御指摘のような法改正における建築士の活用等も十分に考えながら、今後ともそういうことのないように指導してまいりたいと考えております。
  142. 貝沼次郎

    貝沼委員 あなたの答弁を聞いていると、わかっているのかわかっていないのか私は疑問ですね。要するに、公庫から融資をしてでき上がったものが、融資をするとき受けたものと違うものができておるということなんですよ。ですから、これはできた後確認すれば、検査をすればはっきりわかることでしょう。それがわからないから指摘されているわけでしょう。指摘されて初めてわかったのでしょう。ということは、完了検査とか建築確認がおろそかになっているということじゃありませんか。違うのですか。ところが、人数が少ないというのでしょう。それで法改正をやったのでしょう。例えば、政令で定めるものとか都道府県でやっておるものについては一々検査しないとかいうようなことを、人数の関係から手直しをやったのでしょう。けれども、それじゃまだ多いのでしょう、相手が。あなたは指導する指導すると言うけれども、なかなかその指導だけではいかない面があるのじゃないですか。あなた方の方から出しておる書類によると、この建築確認及び検査の合理化については引き続き検討するということになっておりますが、これは何を検討されるのですか。
  143. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 冒頭申し上げましたように、住宅金融公庫の融資に係ります住宅の建設につきまして、その住宅が建築基準法の規定に適合しているか、また住宅金融公庫の建設基準に適合しているかということにつきましては、建築の確認申請の時点から建築が完了するに至るまで、昨年の建築基準法の改正あるいは建築士法の改正によりまして、建築士の活用を図りながら十分に実施していきたい。また、それにつきまして十分特定行政庁等を指導しておるところでございます。  ただ、問題は、住宅金融公庫の融資に係る住宅につきまして、住宅の建築が完了されました後にその用途が転用される、住宅として完了したにもかかわらず、その後その住宅の一部を改装してその他の用途に転用するというものがございます。これは、現在の特定行政庁の執行等から見れば、それを抑えることは大変難しゅうございます。しかしながら、これにつきましても、定期報告でありますとかあるいは定期的な監察、検査を行いながら、そういうことがないように、十分これの指導に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  144. 貝沼次郎

    貝沼委員 会計検査院の指摘がどうも建設省には余りこたえてないように私は思いますね。これはやはりもうちょっと徹底的にある時期において建設省関係はやらぬといけませんね。ちょっと私は不満ですね。今後こういうことが起こったときはまた取り上げさせてもらいますから。  大臣、それでは最後に、この経理問題につきまして、今の議論を通してどういうふうにお感じですか。
  145. 水野清

    水野国務大臣 会計検査院からの御指摘指摘ということの一つは意義でございますが、先ほどの例えば区画整理の補助の問題などは、確かに売れ残っている、この売れ残っているということは補助金の効率が上がっておらぬのじゃないか、建設省の行政として考え直すべきじゃないか、そういう意味の御指摘だと私は思います。先ほどのいわゆる補助金の不正詐取というような問題と質はちょっと違っているのではないか。しかし、確かに御指摘は御指摘でございますから、今後それでは売り惜しみをしている地主さんたちにいかに積極的に土地を売らせるかという、今度は別の問題として私ども検討していきたい。  それから、住宅金融公庫の問題については、私はお話を聞いておりまして、これはちょっと語が違う、住宅金融公庫貸し付けのときの書類の審査であるとか、あるいはでき上がってから何年かすると、いつの間にか住宅であるはずのものが店舗に変わっておる、こういうふうな問題があろうかと思いまして、後者の住宅金融公庫の融資の問題については、もう少し厳重にこれに対処すべきじゃないかと今思っている次第でございます。
  146. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。  それは、先般来大変問題になっておりますコンクリートのクライシスの問題でございます。先般、NHKの報道でもこのコンクリートクライシスの問題は大きく報道されました。いろいろな面で今重大問題となっております。私は今くどくど申し上げる時間はありませんが、例えば、私もあの報道を見まして、大体山陽方面あるいは東京におるときは東京のいろいろな建築物を見ました。そうすると、報道されたように、確かにマークやらいろいろなものがついております。例えば、米国のホテルのダンスパーティーの天井が落ちてきてそうして大変な事故が起こったとか、あるいはインドの七階のビルで百二十人死亡したとか、それから、報道では山形県の温海の国道七号線のことも出ておりましたし、ニューヨークのハイウエーが夜中にすとんとおっこちて大変な事故が起こったということも出ておりましたし、あるいはニューヨークの町一つが五十年前につくったにもかかわらず今廃墟になっている、これもコンクリートですね。  それからさらに、こういうような問題につきまして、例えば国鉄関係では新幹線の工事がいろんなコンクリートの割れを起こしておる。そして、今一年間に一億円かけて一生懸命補修しているそうですけれども、補修しても後から後から出てくるというような、大変我々にとってはショッキングな恐ろしい問題があるわけでございます。  それからさらに、沖縄の問題につきましても、例えば、ちょうど海洋博の後コンクリート化した家屋が多いわけでありますが、耐用年数が五十年から荷年と言われたものが、十年もたたない現在もうぼろぼろになって、寝ておると天井がすとんとおっこちてきたり、いろんな恐ろしいことが起こって、今沖縄では重大な問題になっておりますね。  これを一つ一つ挙げていくと切りがありませんので、幾つかにわたって私はお尋ねをしたいと思うのでありますが、とにかくこういうコンクリート割れ、コンクリートクライシスと言われておりますが、こういう問題が起こっておる原因といいますか、こういうものについて建設省としてはどういうふうにとらえておりますか。
  147. 萩原浩

    ○萩原説明員 先生御指摘のコンクリートの破損の原因につきましては、いろいろなものがございます。  先ほどのNHKの報道でございますけれども、あの中にもいろいろなものが入っております。例えば橋がおっこったものがございますが、あれは実はコンクリートではないのであります。あれは鉄の橋がおっこちまして、その上に乗っかっているコンクリートのスラブが一緒におっこったというものでございますし、あるいは御指摘の温海海岸の原因と、もう一つ海の砂による原因、そこら辺がいろいろ組み合わさって報道されておるようでございます。  先生いろいろ御指摘になられました事例の中で大体共通いたしますものが、塩によりますコンクリートの問題というように拝聴いたしますので、それについて申し上げますと、コンクリートが塩によって破損を受けるというものは、現在のところ、大きく分けまして二つの原因が考えられます。  一つは、海の砂を使っておるのではないかということと、もう一つは、今先生の御指摘の温海海岸のように、冬季に非常に波浪が強くて波しぶきが直接当たるような場合に、コンクリートの表面から海の水がしみ込みまして、それが鉄筋をさびさせる。この二つが、大きく分けると、現在のところ大きな原因ではないかというふうに考えられております。  それで、前半の海砂の問題でございますが、これは海砂の中に含まれます塩分の濃度を限定をいたしまして、建築工事では〇・〇四%、一般の土木構造物では、特殊なものについては〇・〇三%と規定しているものもございますが、一般的には〇・一%、こういう限度を守っておれば、海砂による影響というものはまずないということが言われております。  また、一方の温海のような海の水がしみ込むものにつきましては、この現象は近年わかったものでございまして、これにつきましては、鉄筋のかぶり厚を厚くするとか、あるいはかたいコンクリートにするとか、あるいは非常に厳しいところではコンクリートの上を塗装するというような対策を講ずれば、こういう破損は防げるという結論になりまして、現在、これから後築造するものについてはそのような対策を講ずるようにいたしております。
  148. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、あなたもうほとんど解決したような今の答弁ですけれども。いや、あの橋が落ちたのは鉄の橋が落ちたのであってコンクリートじゃありません。それは私はコンクリートがやられるんだと言っているのじゃないんです。コンクリートが塩や何かでやられるわけじゃないでしょう。コンクリートの中の鉄筋がやられるのでしょう。鉄筋がやられるから鉄の橋も落ちるわけでしょう。そんなへんてこりんな答弁をしてはだめですよ。ですから、あなたが今海砂としぶきだというけれども、根本は塩による鉄の腐食でしょう、二つに分けてはみたけれども。塩やしぶきによってコンクリートが腐食するということはないわけでしょう。どうなんですか。そうなんでしょう。ですから、確かに塩分によるものなんですね。今、私は、鉄筋コンクリートだからコンクリートクライシスと言っています、壊れるのはコンクリートの方ですから。だけれども、根本は何かというと塩と鉄との関係なんですね。そうして、潮によって浸された鉄が二・五倍とか、腐食すると大きくなりますね。その力によっていろいろな破壊が起こるわけでしょう。私はよくは知りませんけれども、どうもそうらしい。そういうようなことを考えたら、やはりあなたがおっしゃったように、いや海砂の濃度は〇・〇四とか〇・一%で決められておることで間違いないのだ、これさえ守っておれば心配ないとか、あるいはさらに、かたいコンクリートやあるいはいろいろな塗料を塗ったりすればまあまあ心配ない、こう言っておりますけれども、それは本当ですか。私はもう一回伺っておきたいと思います。
  149. 萩原浩

    ○萩原説明員 最初に申し上げましたのは、コンクリートあるいは構造物の破壊というものが非常にいろいろな形態があるということで申し上げたわけでございます。そして、その中で近年問題になっております、あの報道でも問題になっておりますのが、塩と鉄の化合によりますさびによってコンクリートが破壊に導かれる、こういうものがどうもかなり放送の主題になっているようでございますので、その原因について大きく分けて二つということを申し上げたわけでございます。  そして、第一の海砂の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたような許容限界で抑えることができれば、これは構造物を破壊に導くような反応は起こらないということが実績として、研究結果として残っております。ただ、問題は、その濃度に本当に抑えられているかどうかということが一番の問題でございますけれども、私どもの経験では、大体〇・一%以下という濃度は割合簡単にクリアできるだろう。しかし、〇・〇四%という濃度になりますと、これはかなり完全に水抜きをやりませんと確保できないというのが大体の目安でございます。  それからもう一つ、しぶきによりますものでございますが、これは、先ほど申し上げましたような対策を講ずることによって、今後ああいうような事態はないだろう。それから、現に破損を起こしましたものについては、それの補修を行いまして寿命の確保を図りたいということで、今一生懸命補修をしておるところでございます。  以上でございます。
  150. 貝沼次郎

    貝沼委員 それじゃ、海砂を使い始めたのはいつからですか。
  151. 萩原浩

    ○萩原説明員 これは通産省さんの統計でございますけれども、海砂が大体使われ始めましたのが昭和四十年代の初めでございます。しかし、それがずっと横ばいをいたしておりまして、大体五十年代に入りましてからかなりふえているというのが実態でございます。また、一方、海砂といいますのは、地域的にかなり差がございまして、主に関西方面で使われております。東の方は陸砂あるいは山砂が使われておる、こういう状況が通産省の統計で見られます。
  152. 貝沼次郎

    貝沼委員 四十年ごろからやっているんでしょう。ところが、その前から本当は使っているんですよ。建設省が知らないだけのことなんです。建設省が知らないぐらいだから、これは除塩はされておらぬのです。そうでしょう。除塩したという証拠はありますか。知らないのだから、ないんでしょう。答えてください。
  153. 萩原浩

    ○萩原説明員 土木学会のコンクリート標準仕様書によりますと、これは五十二年に改定を実はされております。そのときに初めて海砂を使ったときの塩の濃度というものが規定されておりまして、これが先ほど申し上げた〇・一%という数字でございます。その以前は、海砂を使う場合には責任技術者が適当に判断をして使えという仕様書になっております。したがいまして、重要な鉄筋コンクリート構造物には通常海のものは使わない。例えば余り大きな強度のかからないようなものについては使っておる。こんなことではないかと私は想像いたしております。
  154. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうことで、建設省はこれには関心を持ってこなかった。確かにそれがいろいろな問題を引き起こしておると私は思います。  そこで、五十二年度からこういうふうに濃度を決めたと言いますけれども、この決めたときは実は大変だった。建材業者が、水が高くて洗うのに大変なんです。ですから、これを余りにも強要するということは、今不況で仕事がないところへ持ってきて、建材業者がさらにさらに何か設備をしなければならないとなると、ほとんどつぶれますね。したがって、これをただ強化するというだけではだめなんです。もっともっと資材がなくなる、高騰する。したがって、今公共事業が進むものも進まなくなるというような観点がありますので、この海砂の問題については別の観点、例えば塩分が少々あってもコンクリートができる技術開発、あるいは、今沖縄の方で研究しておりますように、例えばこのコンクリートの中に入れる鉄筋にもエポキシ樹脂塗装鉄筋とかいろいろやっていますね。こういう対策、これは沖縄の方がむしろよく進んでいるでしょう。私が調べたところでは、通産省も建設省もどうも余り研究していないようです。しているのかもしれませんけれども、余り聞きませんね。そういうようなことを研究して、少々塩分があってももう実際に大丈夫であるという方法を開発しないと、私は今後大変な問題になると思うのでありますが、この点はいかがですか。
  155. 萩原浩

    ○萩原説明員 先生御指摘のように、コンクリートの中に防銹材、さびを防ぐ材料を入れたり、あるいは鉄筋に塗装あるいは被膜をかぶせるということは、さびを防ぐ意味で非常に有効であろうと存じます。現在、実はいろいろな技術開発を行っておりまして、特に塗装鉄筋につきましては、先生今御指摘のエポキシ樹脂を塗るというようなものも出ておりますが、これは正直申し上げまして、現在では鉄筋が非常に高価になります。そうした場合に、砂を洗うのとどちらがよいかという経済問題もございますので、そこら辺は、もう少し安くといいますか、簡単にできるような塗装鉄筋はないものかどうかということを、土木研究所その他におきまして今鋭意研究しているところでございます。できるだけ早くこの研究開発をまとめたいというふうに考えております。
  156. 貝沼次郎

    貝沼委員 これは建設省だけでなく、あらゆる省にまたがる重大な問題ですね、今コンクリートでなければ建物ができないぐらいなんですから。したがって、その結果がまとまり次第、私は当委員会にひとつレクチャーを願いたいと思います。  それから、国鉄当局にお尋ねいたしますが、先ほど申し上げましたように、山陽新幹線が十何年前につくられましたが、これが海砂を使ったために大変傷んでおる。特に加古川と相生の間あたりが大変らしいんですね。そういう実情はどうなっておりますか。
  157. 村上温

    ○村上説明員 お答えいたします。  山陽新幹線の工事で海砂を使ったということは事実だというふうに考えております。それから、一方で、山陽新幹線がなり長い延長がございますが、コンクリート等に若干の破損があることも事実でございますが、海砂の使用が直接そのまま破損に影響したかどうかは、現在調査をしているところでございますが、それほど直接的な因果関係はないのではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、先ほど先生御指摘のように、破損は見つけ次第直しておりますので、当面の連行には差し支えないとは考えでございます。
  158. 貝沼次郎

    貝沼委員 当面の運行に差し支えないといったって、十年前海砂を使ったんでしょう。先ほどの答弁だと五十二年からこの濃度が決まっているんですよ。ということは除塩していないのですね。国鉄だけが除塩していない砂でもって大丈夫という話はないんじゃありませんか。それともそれはどこか海の塩の物すごく薄いところでとれた海砂なんですか。そんなことないでしょう。大体瀬戸内でとれているんでしょう。私は海砂をとっている人はたくさん知っているのです。私も現場へ行って見ているのです。だけれども、それは水をぶっかけて塩分を下げるということは大変なことなんですよ。これは国土庁長官よくわかると思うんだ。ですから、安易にただ濃度を下げればいいんだというようなことでは行政は進みません。こういう観点から、今後旧鉄はどういうふうにされるのか、ただ補修するといったって、今までつくったのは順次壊れていくわけですから、当分の間大丈夫といったってその先はわかりませんよ。どうなんですか。
  159. 村上温

    ○村上説明員 今のお話で、五十二年から学会ではルールができたので、新幹線をつくったときに十分な規制がなされてないのではないかという御指摘でございますが、十分ではないかもわかりませんが、私どもが山陽新幹線をつくりましたときには、最寄りの広島及び下関工事局では、コンクリートの示方の中に特に海砂を使った場合には試験をしなさいというルールを入れまして、濃度の規定も一応してチェックをしてございます。その結果が本当に万全であったかどうかということは今となっては確信は持てませんが、一応施工のときにはそれなりの注意はして施工したつもりでございます。
  160. 貝沼次郎

    貝沼委員 それは山門家がやっていることですから一応やったと思いますが、こういう問題が出てきたときは、やはりもう一度考え直す必要があると私は思います。それを指摘しておきたいと思います。  それから、次は、道路の関係でやはりコンクリートを相当使っておりますね。しかもこの道路には、例えば中国縦貫道なんかの場合は冬は大変温度が下がります。その関係で、凍結防止剤を多量にまいておる。真っ白くなるくらいまいておりますね。これが塩ですね。はっきり言って塩分ですね。ところが、この塩分によるコンクリートに対する影響、これはどう考えるのかということが二点でございます。  それから、もう一点は、この縦貫逆の側溝を通って流れる雨水であるとかいろんな道路上の水、排水が一応集められておりますが、その先が小さな川に流されたり、場所によっては田畑に入っておるところがあります、実際私行って見てきましたから。そういうところは今度は稲作に対する影響の問題があると思います。私どもの岡山県では干拓事業がたくさんございますけれども、干拓をした場合、塩抜きをするために七年とか十年とかかけて塩分を抜いて、そしてやっておるわけですね。ところが、今最も川上を通っておるこの縦貫道で多量の塩がまかれておるということは、作物に対する影響が私心配だと思います。そこで、こういう問題について影響はないのかどうか、もし影響が具体的にあらわれてきてしまったら、そこから先八年とか十年はまずだめになるわけですから、具体的なものが見える前に、こういう影響はあり得るあり得ないという判断をしておかなければならぬと思うわけでありますが、建設省と農林省からお答え願いたいと思います。
  161. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 高速道路上の路面排水の終末処理につきましては、地元関係者等と十分連絡協議をとりながら処理いたしておりまして、こういう処置によりまして、田畑に入るとかあるいは井戸水に入るとかいうようなことはないというふうに考えております。  それから、凍結防止剤は、岡山地方ではそれほど寒冷地ではございませんので食塩を用いております。この食塩が道路を構成するコンクリートにどういう影響を及ぼすかということでございますが、今申し上げましたように、路面排水が行われて、適正な終末処理がとられておれば、短時間食塩がコンクリート上を通過するというようなことによってコンクリートの性質が損失に導かれるようなことはないというふうに考えております。
  162. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 今の御指摘でございますが、私現場を見ておりませんが、建設省の方からお答えをいただいておりますように、流末処理がきちっと行われておれば、水田に入ったり畑に入ったりということはないということなんだろうと存じます。  それから、私どもの方も、先生さっきいろいろ指摘しておられましたけれども、干拓地で大分長いこと研究をしておりまして、大体水稲のどういう時期であればどの程度の濃度のものでというようなこともわかってきておりますので、普通、そういう雪の凍結防止などをやった後、相当期間がたってから田植え等が行われるということを考えますと、被害が出るおそれはまずないのではないかというふうに思っております。余り中国筋でそういう経験がありませんので、今後、県などとも連絡をとって、ことしの稲作についても見てみたいと思います。
  163. 貝沼次郎

    貝沼委員 今の話は全部流末処理がうまくいっておればというのが前提なんです。ところが、それがうまくいっていない。縦貫道をつくるときに大変抵抗のあったところはうまくいっておる。非常に賛成をして、とんとん拍子で進んだところは割とうまくいってない、こういう事情です。  それから、小さな川に大体入っております。その川をもとにして集まった川が、今度はいろいろな田んぼとか用水に使われておるわけでありまして、直接入る場合と間接に入る場合とあるのです。  これは塩の話ですけれども、塩以外に、今いろいろなものが走っておるわけですね、タンクローリーでああいうものが一たん事故を起こした場合は、恐らく山のてっぺんを走っておるわけですから、何か災害が起こった場合は、そこから下は恐らく道路公団が全部補償しなければならないようになっておるのですね。したがって、私は、流末処理というものは、何かあった場合にそこでとめられる、そういうような一つの方策を考える必要があるのではないか、こういうふうに言っておるわけでありますが、この点はいかがですか。
  164. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 タンクローリー等が高速道路上で転覆してその油が路側を流れて終末処理場等を通っていった場合、甚大な被害が出るので、その終末処理場から流れないようにするとか、あるいは側溝でそういうものを食いとめるような構造にできないかということでございますが、高速道路全線においてどこで何が起こるかわからないということでございまして、そういうもの全般に対してどこででもすぐ食いとめられるというような対策をすることは大変難しいと思います。何といっても、そういう危険車がそこで事故を起こさないような対策を講ずること、そして高速道路を利用している方々に二次災害が及ばないようにすることが、まず早急にやらなければならないことであり、続いて、今申しましたようなそういう流出物等による被害に対する的確な措置を講じていく、例えば油が流れた場合には、それを中和するようなものを直ちに散布して中和を図って害をなくするようにというような、そういう機動的、弾力的な方法、措置を講じていくことが必要ではなかろうかというふうに思います。
  165. 貝沼次郎

    貝沼委員 実験室ならそういうことはできるのです。どうして山のてっぺんまで走っていくのですか。高速道路というのは私が言うまでもなくどこからも上がれるわけじゃないのですよ。そうでしょう。何か起こった場合どこから上がるのですか。そんな実験室のようなことを言ってはいけません。  それから、今のあなたの答弁からわかることは、対策はないということです。これははっきりしておきましょう。全般にわたってそんなことできないということは、ないということです。したがって、あった場合は管理者である道路公団がちゃんと責任を持ってもらわないといかぬということですよ。これははっきりしておきましょう。
  166. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 転覆した場合に、その被害が全部道路公団に及ぶというようなお話でございますが、それはそれなりの原因者の責任等いろいろ法律上もあるわけでございますから、そういうものが究明されて行われるべきもので、道路公団の道路の設置、管理に瑕疵がなければ、道路公団としては直接的な責任を負うものではないというふうに考えております。
  167. 水野清

    水野国務大臣 先ほどの先生の塩害の話について、私もちょっと感じておりますことを申し上げたいと思います。  私もたまたまあの映像を見ておりました。御承知のとおり建設公債やなんかを発行して、今、国の公共財産として、社会資本の充実というような言葉のもとで、我々は営々と国土の建設をやっているわけであります。その中で使われている砂の半分が海砂であって、もし塩分によってああいうふうに、いろいろな過去につくった公共物が何年かたつともろくも崩れていくんだということになるならば、これは大変重要な、重大な問題であると思って、私もテレビを見ておりました。  実は、私も役所に行きまして、この問題について、今までの過去の経過にとらわれずに、少し考え直してみる必要があるんじゃないか。先ほど先生の御指摘のように、もっと海砂の塩分を減らすのがいいのか、あるいは鉄筋を腐らないようにすればそれでいいわけでありますから、どっちの方向へ向けたら、工事費を余計に食わないで社会資本の充実ができて、しかも、将来塩分によって自然崩壊していくというようなことではえらいことでありますから、そういうことについては、建設省についてでございますが、ひとつ役所全体が謙虚に御提案を受け入れて勉強していきたい、私はこういうように思っております。
  168. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣から今大変前向きの答弁をいただきまして、私も感激しておるわけでありますが、ぜひともひとつ進めていただきたい。特に、先ほど何回も言いましたけれども、業者に金のかかるようなことを強いるのは大変難しいことでありますから、これは極力避けて、そうして少々塩分があってもできる方法、それは、例えば今言う鉄筋の塗料の問題か、あるいはそこにプラスチックみたいなものをやるのか、鉄以外のものを使うのか、いろいろあると思いますが、その辺を御検討願いたいと思います。  それから、もう一つは、これに関係いたしまして、先ほども申し上げましたが、沖縄の住宅の問題ですね。十二月四日の琉球新報によりましても、これが大変なことになっておると報道されております。そうして、沖縄の場合は、本土と違いまして亜熱帯でありますので、温度の関係、二十度以上になると相当腐食が進むという事実もあるようであります。それから、島でありますからしぶきもかなりあるというようなところから、被害は年間一千億円以上、こういう試算が載っているわけですね。これは沖縄の方々がつくった研究会でいろいろやっているわけです。しかも、これが海洋博以後急テンポで鉄筋コンクリートの家屋ができたために、随分崩壊が激しい。しかも、ここは川砂が使えませんので、ほとんど全部海砂でやっているそうでありますね。つくったときは、耐用年数は大体五十年から百年といったことだそうでありますが、今は十年ぐらいでもうぼろぼろになっておる。こういうような実情を見た場合、私は、今までの沖縄の歴史的な経過を考えましても、やはり特段の配慮をする必要があるのではないか。したがいまして、建設大臣にぜひともお願いしたいと思いますが、沖縄開発庁長官等と連携をとりながら、建造物の、例えば耐用年数の短縮の問題、あるいは減価償却の問題、あるいは税制措置、あるいは財政的助成とか金融措置、こういうものをもう少し詰めて一つの対策を講じるという、一つの研究会といいますか、そういう御相談をされたらいかがか、ぜひしていただきたいという希望でありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  169. 水野清

    水野国務大臣 御指摘の点はなるべく勉強させていただきたいと思いますが、償却の問題というのは、最終的にはなかなか大変難しい問題でございます。それと、私もあの海洋博の前後から何遍か行きましたが、私は、沖縄の住宅については別の考え方を持っておりまして、何で鉄筋コンクリートの家をつくらなければいかぬのか、むしろ昔のような、沖縄の方は昔風の住宅をおつくりになった方がいいのにと思って拝見をしておりました。それは別の問題でございますが、ただいまの御指摘もひとつ検討はさせてみたいと思っております。
  170. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、ついででありますので、瀬戸大橋の関係につきまして一、二点伺っておきたいと思います。きょうは向井参考人にもお忙しいところを御出席をいただいておるわけでありますので、端的にお尋ねしたいと思います。  それは、岡山県は今、中四国の中心になるのではないかというようなところから、この本四条橘の時代を迎えて、例えば交通体系の整備であるとか、あるいは空港とか、物流機能の充実とか、観光ネットワークとか、いろいろ考えておるわけでございますが、その中でいろいろ考えているうちに、果たしてこの事業は私ども地元に対してはメリットがあるのだろうか、我々のための、例えば地元の経済にはどれほどのメリットがあるのだろうかというような疑問が出てまいります。  そこで、本四連絡橋公団といたしましてはいろいろな仕事の発注をやっておると思いますが、地元の意見としては、なるべく地元にたくさんさせていただきたい、技術的な問題でできない部分は当然あるわけですけれども、なるべくひとつお願いをしたい、そういう要望が大変強いわけでございます。したがいまして、現在まで大体どれくらいの比率で行われておるか。それから今後、例えば海峡部分を除いても、陸上部分でもどれだけの部分が地元に発注されるという考えがあるのか、この辺のところを数字を挙げてお答え願いたい。
  171. 向井清

    向井参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、当公団が実施いたしております本四架橋、瀬戸大橋を含むわけでございますが、これの事業というのは、やはり地元の熱烈な御要望に沿って事業を行うとともに、地元の方の御協力というものが非常に必要でございますので、公団事業の円滑な実施という面からいたしましても、今先生御指摘ございました地元受注の問題というのを、公団としても十分配慮して事業を進めておるわけでございます。  工事の性格上いろいろございまして、極めて高度の技術を要する大規模工事、あるいは特別のいろいろな理由によりまして一般の業者の方にはなかなか施工が難しいというようなものもございます。そういうものをのけまして、地元建設業者の受注機会というものについて十分配慮してやってきているわけでございまして、工事の難易度、工事の規模、それに対応いたしますところの建設業者の施工能力というものももちろん勘案いたしまして、今先生のおっしゃったような趣旨に沿いまして進めており、これからもそういうことにつきましては同様の方針で対処してまいりたいと思っております。  それで、現在までの状況とこれからの展望でございますが、現在までのところは、これは御承知と思いますけれども、当公団の事業の主体をなしますのは世界的な長大橘を含みます極めて大規模な海橋工事でございます。これにつきましては、先ほど触れましたような高度の施工能力の問題というのがございますので、必ずしも地元の方の受注機会というものに結びつかないという面がございました。ただ、最近になりまして陸上工事が徐徐に拡大してまいりまして、これからいよいよ本格化するという段階に来ておりまして、そういう段階を踏まえますと、今後、先ほど申したように、先生御指摘の御趣旨に沿っての地元業者の活用ということが図られていくのではないかと我々としては考えております。  数字上の問題でございますが、先生にも先般御説明申し上げたかと思いますけれども、この地元業者の受注割合と申しますか、どのくらいの額あるいは件数が受注されておるかというのは、いろいろとり方がございましてなかなか難しい問題でございます。一応の試算としまして今いろいろ議論しております数字を申し上げますと、約三〇%あるいは三十数%ではなかろうかということもございますが、これはもう少し今申しましたような事情を精査してみないとはっきり申し上げられません。  それから、今後の問題としましては、今申しましたように陸上部に大いに事業を展開していくということもございますし、それから、陸上部の工事につきましても、いわゆる本体工事と申しますか比較的大規模な工事から、さらに中小規模の土木工事とか建築工事とか、そういう面にどんどん入ってまいりますので、そういう状況を踏まえますと、次の段階では地元業者の活用ということについても配慮があり得るということを考えておる次第でございます。
  172. 貝沼次郎

    貝沼委員 数字を求めたわけでありますが、数字はなかなか出てまいりません。  そこで、私が取材したところの数字を確認したいと思います。五十三年度から五十九年二月までの数字で、工事量が四千九十九億円、そのうち地元発注が三百十二億円、その率八%、これは海橋都。それから、陸上部については、七百六十五億円、地元発注二百七十億円、三五%程度。この数字は間違いありませんか。
  173. 向井清

    向井参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から申し出がありました数字が先ほど私がちょっと触れましたこととほぼ一致するかと思うのでございますが、ごく試算的にはじいてみるとそういう数字が出てきておるという段階であると御理解願いたいわけでございます。
  174. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、もう一点確認しておきますが、企業に発注した場合、その企業が地元の業者とJVを組んで、施工能力の高い業者と低い業者を組み合わせるとか、そういうようなことをしていけば地元は大分ふえると思うのでありますが、こういう要望は大手業者にはしておるわけですか。
  175. 向井清

    向井参考人 お答えいたします。  JV結成の際になるべく地元業者を加えていくということにつきましては、業者指名の段階から公団としては十分配慮いたしておりまして、結果的にも大規模な工事の中にも全国的な大業者と組みまして地元業者の方が入れられる場合にはなるべく入れるということを実施いたしております。
  176. 貝沼次郎

    貝沼委員 ぜひひとつ考慮していただきたいと思います。  それから、いよいよパイロットロープ、初めのロープ一本通して、それからずっと引っ張って工事をやるのだそうですが、このパイロットロープが通るときに、いろいろな条件がそろわないとできませんね。ところが、広島県因島の場合は、当時いろいろな問題がありまして、パイロットロープが通るために随分ともめました。これさえ通ればもう橋はかかったと一緒なんですね。その体験を踏まえて、どうですか、今回のこの瀬戸大橋についてはそういうようないざこざは起きないという確信はございますか。
  177. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 昭和五十五年から五十六年にかけまして、先生今御指摘のように、因島大橋にパイロットワイヤーを渡す際に地元海運組合等で反対行動が行われました。その反対の原因は大きく分けて二つありまして、一つは、橋がかかりますと、そこで営業しております旅客船が廃止しなければならないとか規模を縮小しなければならないというような問題が起こってまいりまして、これにどう対応していくのかという問題。それからもう一つは、航行安全上の問題でした。特にレーダーの偽像の発生に対する対策が強く要望されたところでございました。  この第一点につきましては、昭和五十六年十一月から施行されました本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法によって、事業者に対する転業助成とか離職者対策等所要の措置が因島等では講ぜられたわけでございますし、今度の瀬戸大橋の場合についても同様な措置が講ぜられるわけでございます。  また、航行安全問題につきましても、現地に設けられております航行安全対策地方協議会等により関係者間で協議の上、橋梁構造上の対策、航行援助施設の設置等必要な措置を講ずることによって因島においてはこの問題の解決が図られたわけでございますが、今度の瀬戸大橋の場合におきましても、旅客船事業者及び従業者に対する具体的な問題については、各ルートごとに設けられております現地連絡協議会において関係者間で連絡協議を行っているところでございますし、航行安全問題についても、今申しましたような航行安全対策地方協議会で十分検討されておるところでございます。したがって、瀬戸大橋については工事計画どおり執行されていくものと考えております。
  178. 貝沼次郎

    貝沼委員 心配はない、こう言い切るわけですね。――もうそこから先はいいです。問題が起こればまたやりますから。今ここで聞いておったって同じことを繰り返すだけですから。  それから、この瀬戸大橋に関係して、瀬戸大橋を渡ってくる自動車、それから関西から来る、それから西の方から来る、そうして岡山は自動車でいっぱいになるわけです。ところが、肝心かなめの国道二号線が全然動かない。笠岡市を通るときたかが一キロちょっとのところを一時間もかかる、こういうような状況なんですね。この国道二号線のバイパス、それからその解消のために玉島地域において、倉敷と玉島の間の霞橋の上の方にいま橋の建設を計画いたしておりますが、これの完成はいつごろになるか、バイパスはどういうふうになっておるか、これについて簡単にお答え願いたい。
  179. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初の玉島バイパスの完成時期でございますが、玉島バイパスは、六十年度または六十一年度には完成し、供用できる見込みでございます。笠岡バイパスにつきましては、現在計画しておるわけでございまして、路線の比較検討、環境影響等に関する調査を実施しております。今後さらに調査の進捗を図って、笠岡バイパスの路線計画を早期に固めていきたいと考えております。
  180. 貝沼次郎

    貝沼委員 路線計画を早期に完成したいというのは、例えばルートの決定を見て都市計画決定とかいろいろあるわけでありますが、大体六十年度ごろには決まりますか。
  181. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 現在幾つかの路線を想定してその路線の比較検討を行っておるわけでございまして、その比較検討が行われた上でさらに実測線調査を行うことになります。その後、計画承認等の所要手続等がありますので、もう少し時間がかかると考えております。
  182. 貝沼次郎

    貝沼委員 その点はわかりました。  それから、先ほどのコンクリートの問題と絡んで、実は消防庁との関係で、例えば消防庁はいろいろな建物に対して防火のための「適」マークというのをやっておりますね。ところが、「適」マークがついておるから大丈夫かと思うと、そういうコンクリートその他の問題で余り安全ではないというようなことで、これは建設省と消防庁と連携をとりながらその安全性を図るということになっておりますね。ところが、安全なのか安全でないのかということは私どもが入っていく場合にはわかりません。この辺はどういうふうに対処されるのかということが一点。例えば、消防庁の「適」マークだって実際できておるもののたしか三一%くらいしかついておりませんし、作業はなかなか進んでいないわけであります。そういうものとこういうコンクリートの問題、こういうものをあわせ、しかも、東京都で鉄筋のコンクリート、学校とかそういうものを調べた結果、例えば十勝沖地震、こういうものに耐えられるものはどれぐらいあるか、こう見たら、約四分の一が耐震性を備えていないというような結果も出ておる。これは海砂を使っていないところですね。東京というのは大体使っておりません。ただ、西の方になりますとそういう面も多いわけでありますから、大変心配なんです。その辺の対策はあるか、これが一点でございます。この点について簡単に答弁願いたい。
  183. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 「適」マークにつきましては五十六年度から始まったわけでございますけれども、防火安全上主要な幾つかの要素がございますけれども、その中で特に人命安全に直結すると考えられる二十四項目を判定項目にしているわけでございます。しかしながら、「適」マークが普及いたしまして住民にとって安全の目安ということになっておりますので、判定項目としては二十四項目でございますけれども、「適」マークの交付に当たりましては、二十四項目以外の防火安全上必要な項目、特に今先生御指摘になりましたような建築防災上の項目について建築行政庁とよく連絡をとりながら「適」マークを交付する。特に建築行政庁が防災安全上問題があるということで指導しているものについては「適」マークの交付を見合わせるようにということで、今「適」マークの推進を図っているわけでございます。  そこで、御指摘のような問題が具体的にその建築物にあった場合に、建築行政庁として建築防災上問題があって「適」マークの交付を見合わせるべきだという御意見をちょうだいした場合には、消防機関としてもそれを受けて十分配慮するということにしておりますし、今後ともその方向で指導してまいりたいと考えております。
  184. 貝沼次郎

    貝沼委員 建設省の方はどういうふうにされますか。
  185. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま消防庁から答弁がございましたように、消防庁が実施しております「適」マークにつきましては、建築構造上の問題につきましてはその判定につきまして建築部局の意見を聞くということになっております。したがいまして、建築部局といたしましては、建築防災上問題がある、また構造上問題があると判断されます建築物につきましては、消防部局に対し「適」マークの交付を見合わせるように意見を述べることになっております。したがいまして、今後とも建築部局と消防部局が密接に連絡をとりまして、「適」マークの交付につきまして適切な運用が行われるように指導してまいりたいと考えております。
  186. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がなくなってまいりましたので、国土庁長官に最後にお尋ねをしたいと思います。  四月一日に地価公示による一月一日現在のものを発表になりました。地価は去年に比べて全国平均三%値上がり、こういうことでございます。この原因がどこにあるのかということを答えてください。
  187. 永田良雄

    ○永田政府委員 五十九年度の地価公示で、対前年上昇率は、御指摘のとおり一二%でございました。昭和五十五年に一〇%というかなり高い上昇率を示しまして、それから毎年上昇率が鈍化しておるわけでございます。  この原因としては、国土庁としては、一つは、人口の増加が鈍化している、それから移動人口、大都市へ入ってくる人口も非常に少なくなっております。入ってくるのと出ていくのと大体とんとんという状況でございます。それから、世帯数の増加率も非常に少なくなっておりますので、そういった面から土地の需要が全般的に鈍化してきたのだ、かように考えております。もう一つは、経済の動向でございますが、安定成長になりましてひところみたいな高度成長はありませんので、そういったことも影響しておるのではなかろうか。さらに言わせていただきますならば、国土法の適切な運用もあずかって力があったのではないかというふうにも考えております。  以上のとおりでございます。
  188. 貝沼次郎

    貝沼委員 大変結構な答弁ですね。ところが、既に皆さん御存じでしょうけれども、品川駅のそばの国鉄の用地、随分いい値段で売れましたね。随分といい値段で売れた。これだけ土地が鎮静しておるときに、これだけが物すごい値段で売れました。そうして、国鉄であるとか国であるとか公団であるとか、こういうところが率先してこういう土地の値上げを奨励するようなことが起こるということは、我々としては非常に不思議なことです。ちょっとおかしいですね。長官、どのようにお考えですか。最後にそれを伺って終わりたいと思います。
  189. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 まさしく御指摘のとおりだと思います。そういう意味で、恐らく国鉄の方でもあんなに高く買ってもらえるとは思っていなかっただろうし、そういう空気であったと私は思います。しかしながら、ああいう高値で入札がされたいうことは、その周辺ばかりじゃなく、大きく輪を描いて土地対策上大変大きな弊害になっている、こういうように私は思っております。  ただ、問題は、国土利用法、これは役所、特に政府関係に対しては除外してございまして、その盲点をつかれたというふうな感じが私はするわけであります。今後は各役所に対しても、このようなことはあってはなりませんぞ、せっかく国土庁として、土地を預かっている省として、全力を挙げて時間をかけて土地の安定というか価格の安定、大体それが毎年毎年上昇の率も全く計画的というか適正になされておるわけでありますから、今後は各省庁にそういったことのないようにひとつ協力をしてもらいたいということを呼びかけてまいりたい、こういうように思っています。
  190. 貝沼次郎

    貝沼委員 以上で終わります。
  191. 横山利秋

    横山委員長 神田厚君。
  192. 神田厚

    ○神田委員 五十六年度決算に関しまして、建設省国土庁に御質問を申し上げます。  まず最初に、国土庁の方に御質問を申し上げますが、昨年十月大きな被害を受けました三宅鳥の火山噴火の問題につきまして、その後の復興問題を中心といたしまして御質問を申し上げます。  大きな被害を受けてから約半年を経過しているわけでありますが、その間におきましてこの被害の全体的な概況というのはどういうことになっておりますか。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  193. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 三宅島噴火によります被害の状況でございますが、御承知のように、溶岩の流出によりまして、島の最大の集落でございました阿古部落を中心に、家屋の全壊三百四十戸、橘災世帯五百十七世帯というような大きな被害を生じたわけでございます。そのほかの被害といたしましては、水道、電気、電話等のいわゆるライフラインが非常に大きな損失を受けましたし、道路につきましては、島内を一周いたします都道の二百十二号線が二カ所にわたりまして溶岩のために交通不能になりました。また空港も、わずかの期間ではございましたが閉鎖されたわけでございます。  現在の復興状況でございますが、現在、応急坂設住宅の建設、これは三百四十戸を建てたわけでございますが、これは終わりまして、被災者は全員入居いたしております。また道路につきましても、現在、一周道路は全部交通不能は解除されておりますし、空港はしばらくして開通をいたしました。  ライフライン関係の施設につきましても、溶岩等のために滅失したところを除きまして全面的に復旧をいたしております。  また、そのほかの措置といたしましては、激甚災害の指定、これはいわゆる局激でございますが、現在全部の項目を適用をいたしております。我々といたしましては、今からいよいよ本格的な復興の段階を迎えているというように認識をいたしております。
  194. 神田厚

    ○神田委員 そういう状況の中で、被災世帯の方から特に注文なり、あるいは復興についての要請というのはどういうふうな形で来ておりますか。
  195. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 現在最大の問題は、埋没いたしました阿古地区の再建でございます。この点につきましては、東京都の三宅村が事業主体になりまして、国土庁が主管いたしております防災集団移転促進事業実施することになりまして、去る三月五日にその事業計画を承認したところでございます。  また、三宅島の今後の長期にわたります振興対策につきましては、現在の東京都の離島振興計画では対応できなくなった、事情の変更があったというような認識を持っておりまして、東京都と十分緊密な連携をとりながらこの振興計画を見直しまして、安全で住みよい三宅島の振興というものを積極的に進めていかなければならないと考えておる次第でございます。
  196. 神田厚

    ○神田委員 集団移転の問題でありますが、この新しい地域に関しましての買収等の見通しはどういうふうになっておりますか。
  197. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 今、買収はほとんど終わりまして、九割程度が完了いたしております。
  198. 神田厚

    ○神田委員 それから、阿古地区の溶岩で埋まった土地などの買い上げ問題が出ているはずでありますが、これはどういうふうになっておりますか。
  199. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 この防災集団移転促進事業の中には「跡地の買い上げ」という項目がございまして、跡地買い上げも行うということで計画をしてございます。
  200. 神田厚

    ○神田委員 価格の問題その他でいろいろまだ折り合いがついてないという話も聞いておりますし、なかなかスムーズに進行してないというような状況であるようでありますが、特に大きな被害を受けて大変困っている島民の被災民の皆さんの立場に立ちまして、ひとつ行政を進めていただくようにお願いをしたいと思うのでありますが、長官、いかがでありますか。
  201. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘のとおりであります。もう最大限と申しますか、ほとんど復旧事業というものは、集団にいたしましても計画どおりに進むようになっておりますし、今御指摘の跡地問題その他もう完璧な体制で復興すべくなされております。もちろん、細かいことはいろいろやりますから、これは当然東京都と連絡をとりながら対策を進めてまいりたい、こういうように思っております。
  202. 神田厚

    ○神田委員 ところで、噴火をいたしました雄山の観測体制というのは現在はどういうふうになっておりますか。
  203. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいまの御質問に御説明申し上げます。  気象庁では三宅島測候所と雄山の中間のところにA観測点という観測点を持っておりまして、観測を続けてまいったわけでございまして、噴火の前四、五十分ごろには異常を確認しまして、町役場当局あるいは防災機関等に御連絡申し上げたわけでございますけれども、その後、噴火後にも、島の南側の方にももう一点観測点を設けまして、引き続き観測を続けている状況でございます。
  204. 神田厚

    ○神田委員 その後、観測の状況で特異な点がありますか、どうでしょうか。
  205. 山川宜男

    ○山川説明員 御説明申し上げます。  噴火後次第に鎮静化に向かっておりまして、現在全く異常があらわれていない状況でございます。
  206. 神田厚

    ○神田委員 防衛施設庁来ておりますか。――三宅島の復興に関連しまして、ミッドウェーの艦載機の夜間離発着訓練基地問題というのがありまして、この問題についてはいろいろと議論が続いているわけでありますが、この経緯につきましてちょっと御説明いただきたいと思います。
  207. 平晃

    ○平説明員 艦載機の着陸訓練場問題、これは現在ミッドウェーが入港するたびに厚木飛行場において行われておるわけでございますけれども、御存じのとおり、厚木飛行場周辺は大変人口棚密地帯でございます。したがいまして、この厚木飛行場周辺の騒音問題を解決し、周辺の騒音緩和を図らなければならないという要請が一つございます。また、一方、米軍の方も、厚木では十分に訓練ができないいろいろな規制がございます。それで、新たに関東地区あるいはその周辺に訓練ができる施設を提供してもらいたいという要請がございまして、関東周辺の既存の飛行場に分散して訓練ができないかという調査検討、それから関東地区及びその周辺に提供できるような、新設できるような適地がないかというような調査、また海上浮体滑走路についての資料の収集というような、いろいろな観点からの解決策を私どもは今まで検討してまいっておる次第でございます。現段階ではいまだその見通しを得ていないという状況でございます。
  208. 神田厚

    ○神田委員 この問題につきましては、昨年十二月二十一日の三宅島の村議会で三宅島空港のジェット化推進を求める議員提案の意見書を賛成多数で採択をしたことに関連しまして、火山爆発によりまして甚大な被害を受けた三宅島の復興計画の一つとして、空港のジェット化と同時に、官民共用という表現におきまして米空母ミッドウェー艦載機の夜間離発着訓練を受け入れたいというような意向が当初村議会から出された。その後、村民の反対運動がありまして、議会もこれを撤回して、そしてまたそういう陳情も行われるということで非常に揺れておりますが、防衛施設庁といたしましては、三宅島のこの問題についてはどういうふうな考え方を持っておられますか。
  209. 平晃

    ○平説明員 ただいまお話しのとおり、昨年の十二月二十日に官民共用の飛行場の誘致がございました。官の中には、私どもが現在検討の対象としております艦載機の着陸訓練場が含まれるという御説明も受けております。  ただ、その後一月ほどたちまして、一転して反対の決議に変わった。これは一つには、島の村民の方々に御説明が十分ないままに議会で議決されたという事情もあるようでございます。私どもとしては、誘致の決議をいただいた段階から現地に参りまして、どういう訓練場を建設するのか、あるいはその訓練場において訓練する態様はどのようなものか、それによって生ずる障害はどういうものがあるか、しかしそれはどのようにして防止するか、もろもろの周辺対策をどのように実施するか、いろいろ御説明する機会を得たいと思っておったわけでございますけれども、村がいろいろ紛糾しているという事情を踏まえまして差し控えていたわけでございます。そのように説明する暇もないままに一転して反対決議という形になったわけでございますけれども、反対の過程におきましては、私どもが考えている実情とはかけ離れたような理解をされている向きもあるやに伺っておりますので、実際の姿、実際の状態について説明させていただく機会をぜひ得たい、このように考えているわけでございます。
  210. 神田厚

    ○神田委員 一部報道によりますと、既に防衛施設庁の東京支局でありますかの責任者が三宅島に赴いていろいろと調査してきたということもあるようでありますが、その辺の事実関係はどういうふうになっておりますか。
  211. 平晃

    ○平説明員 東京防衛施設局が三宅島を所管している担当局でございますけれども、担当者が現地の視察等へ行った事実はございます。  また、昨日東京防衛施設局長が現地に参りまして、本日の朝でございますけれども、村長を表敬訪問しているという事実もございます。
  212. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、施設庁といたしましては、この問題について積極的に取り組むということでございますか。島に行っております局長は、この問題について具体的な話し合いを村当局と始めるという意向をお持ちでありますか。
  213. 平晃

    ○平説明員 けさ、東京防衛施設局長が村長にお会いしましたのは、昨年末の誘致決議からまたことし一月の反対決議と村に大変御迷惑をおかけしている、かねてごあいさつを申し上げたいという考えでおりましたが、村長が御病気でしばらく公務を離れておられた、最近復職されまして、また三月の村の定例議会も終わった、この機会に一度ごあいさつ申し上げたいということで、表敬ということで参っております。具体的な訓練場問題についての申し入れとかいう性格ではございません。
  214. 神田厚

    ○神田委員 この問題は、地元の村民の大部分が反対に回っているという経緯もありまして、慎重に取り組んでいかなければならない問題だと考えております。そういう意味におきまして、防衛施設庁の慎重な対応を望んでおきたいと思います。
  215. 平晃

    ○平説明員 今後、村当局とも十分お話し合いをしながら、慎重に対処してまいりたいと思います。
  216. 神田厚

    ○神田委員 続いて、防災都市の関係に移ります。  震災などの大規模災害に強い都市、いわゆる防災型都市の建設、改造につきまして、建設省はどういうような基本的な認識をお持ちになっておりますか。
  217. 水野清

    水野国務大臣 大規模災害に強い都市の建設について、建設省としては、都市防災対策上緊急に対処すべき課題は、まず大規模な地震災害から都市住民の生命、財産の安全を確保することにあると考えております。このため、基本的には市街地の空き地確保と建築物の不燃化を促進すること、それから避難地、それから避難地へ行く途中の避難路等、都市防災施設計画整備によりまして、都市の防災性の向上を図ることが必要であると考えております。具体的には、街路、公園等都市施設整備による公共オープンスペースの確保、市街地再開発事業等による市街地の改造、防火地域の指定拡大等による市街地の不燃化の促進、都市防災不燃化促進事業などによる避難地、避難路周辺における建築物の不燃化の促進を積極的に推し進めている際でございます。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕
  218. 神田厚

    ○神田委員 防災型都市の建設、改造には、都市の再開発、これが不可欠でありますが、都市の再開発はこれまでどういうような実績を上げてきましたか。
  219. 松原青美

    ○松原政府委員 市街地再開発事業は都市再開発法が制定されました昭和四十四年度から実施されておりまして、現在までに全国で完成したもの百七地区事業中のもの百六十一地区でございます。なお、この都市再開発法の前身と言えます昭和三十六年に制定されました市街地改造法に基づきます市街地改造事業が全国で十五地区行われております。
  220. 神田厚

    ○神田委員 この都市開発の問題ですが、駅前再開発以外に余り進んでないのが現状でありますが、これが進まない理由は一体どういうところなのか、また、再開発を促進するために今後どういうような施策を講ずる方針か、お聞かせをいただきたいと思います。
  221. 松原青美

    ○松原政府委員 現在のところ駅前で行われておりますものは全体として五二%、過半数でございます。したがいまして、駅前以外でも相当行われていると思っておりますが、御指摘のように、駅前の方が多いという現状でございます。駅前はなぜ多いかと申しますと、鉄道、道路の交通の結接点である駅前広場、道路等の公共施設整備が緊急の都市計画上の課題となっている都市が多くて、かつ、その駅付近と申しますのは、商業業務の中心地域として土地の高度利用が要請されている地区でございまして、そういうことから、駅前ないし駅周辺で市街地再開発事業が盛んに行われているわけでございます。今後、駅前に限らず市街地再開発事業の促進を図っていく必要がありますことは御指摘のとおりでございますが、そのために、都市再開発に関するマスタープランの策定を進めまして、計画的な再開発の誘導あるいは駅前地区以外での再開発を行いました場合の床処分の多面的な対応等の検討を進めておりまして、必要な事業費の確保も努めてまいりたいと思っております。
  222. 神田厚

    ○神田委員 都市再開発を促進するためには、やはり現在余り進んでいない状況の中で、民間資金、民間活力、これを活用すべきだというふうに考えておりますが、その積極的な活用のためにどういう対策を講ずべきだというふうにお考えになりますか。
  223. 松原青美

    ○松原政府委員 都市の町開発を行いました場合に、再開発ビルのほとんどが民間によって利用されるものでございますから、御指摘のように、民間活力を活用する、民間のノーハウを積極的に採用しまして、そういうノーハウを生かした再開発ビルの計画の立案とか再開発ビルの建設資金の調達など、民間の活力を今後とも用いていくことが必要であり、再開発を進めるために極めて有効であると考えておるわけでございます。  このために、都市再開発に関するマスタープランの策定による計回的な再開発の誘導、土地の高度利用を促進すべき地域について、地域地区の指定の見直し、特定街区制度あるいは市街地住宅総合設計制度等の積極的な活用を図ってまいりたい。さらに、民間再開発に関連する、その再開発を促進する効果のある道路整備を機動的に推進してまいりたいと考えておりまして、これらの施策を総合的に講ずることによりまして、民間活力を活用した都市の再開発を今後一層広くかつ強力に推進してまいりたいと考えておるわけでございます。特に昭和五十九年度からは、民間によります任意の優良な再開発事業に対しまして補助金の交付あるいは税制上の特例等を行う制度を創設いたしましたもので、既存の制度の活用とあわせまして、今後都市の再開発を推進してまいりたいと考えております。
  224. 神田厚

    ○神田委員 都市再開発を重点的に進めるとしておりますところの住宅・都市整備公団、これはこれまでどのような実績を上げてきたのか、また、今後どのような事業を行っていく方針であるか。
  225. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘住宅・都市整備公団は、四十八年度以降市街地再開発事業を手がけております。その実績は、現在までに完了をしたところで三区、現在施行中あるいは準備中のところが十二地区ございます。  今後の班業実施につきましては、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに、立地条件の良好な市街地住宅の供給を進めるという観点から、その促進について公用を指導してまいりたいと存じております。
  226. 神田厚

    ○神田委員 住宅・工業地帯混在地区、これは大規模災害に際しまして大きな被害を出す危険がある地区でありますが、この解消についてはどういう対策を講じ、どのような実績を上げてきたのか、また、今後これをどういうふうに進めるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  227. 松原青美

    ○松原政府委員 都市計画におきましては、住宅地あるいは工業地等の適正な土地利用を図るために用途地域を定めることといたしてございますが、地区によりましては地場産業などの保護育成を図る必要がある場合もあることから、必要に応じて準工業地域というものを指定いたしまして、住宅と工場の混在を一定の許容範囲で認めているところでございます。このような地区の中に住工の混在に起因するトラブルが生じていることも御指摘のとおりであります。このような地区につきまして直ちに住工混在の解消を図ることはなかなか困難でございますし、即効性のある手段はないわけでございますが、市街地再開発事業、あるいは住宅地区政・民事業、住環境整備モデル事葉とか、特定住宅市街地総合整備促進事業等の各種の事業実施によりまして整備を図っているところでございます。さらに、地区計画制度という昭和五十五年にできました新しい制度でございますが、地区計画の活用によりまして都市計画の適切な管理が行われるように今後指導してまいりたいと存じております。
  228. 神田厚

    ○神田委員 いわゆる、ミニ開発、これの実態は現在どういうふうになっているのか。さらに、ミニ開発は都市環境を悪化させて災害時の脆弱性を増加させる。ミニ開発の抑制についてどういう施策を進めていくのか。いわゆる地区計画制度はミニ開発防止についてどういうような効果を上げているのか。この三点をお聞かせ願いたいと思います。
  229. 台健

    ○台政府委員 ミニ開発の状況につきましての詳細な統計資料はないわけでございますけれども、例えば、一戸建ての新規着工住宅のうちで敷地面積が百平方メートル未満のものの割合について見ますと、建設省の調査によりますと、全国平均では昭和五十一年の一六・二%をピークにいたしまして、五十七年が八・六%へと半減しておりますけれども、例えば、東京都区部におきましては、五十二年の六一・八%をピークにいたしまして、五十七年の四七・二%へと漸減の傾向にはありますが、大都市では依然として高い割合を示しております。  ミニ開発につきましては、直接これを抑制する方策といたしまして、従来から都市計画法によります開発許可の対象面積の引き下げ、それから狭小宅地に住宅を建設する場合の住宅金融公庫融資の制限、それから今御指摘のありました地区計画制度の活用等を図ってきたところでございますが、地区計画制度の効用につきましては都市局長からお願いしたいと思います。
  230. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘地区計画制度につきましては、民間の建築活動を適切に規制し誘導することによりまして、地区の特性に応じたきめ細かな町づくりを行うことを目的としまして、先ほど申し上げましたように昭和五十五年に創設された制度でございます。制度発足後間もないにもかかわらず、既に全国で四十三の地区においてこれが決定されております。  この制度におきましては、敷地面積の最低規模を定めることが可能でございまして、既に決定されております四十三地区のうち三十八地区におきまして、敷地面積の最低規模を定めている実績がございます。そういうことから、ミニ開発の防止にも大きな成果を上げるものと期待をいたしておりまして、今後もこの地区計画制度を積極的に活用してまいるよう市町村を指導してまいる所存でございます。
  231. 神田厚

    ○神田委員 災害時におきますところの避難場や避難路の指定が行われておりますが、必ずしも的確といえないようなものがある、こういうふうに考えております。この適否について一度これをもう一回総点検をすべきではないかという指摘がありますが、この点についてはどう考えますか。
  232. 松原青美

    ○松原政府委員 地震等の大規模な災害の際に必要とされる避難地、避難路につきまして、災害対策基本法に基づいて作成されます地域防災計画で各地方公共団体が指定しているわけでございますが、現状では避難距離が非常に長くて遠距離避難を強いられる地区とか、避難地の面積が不足している箇所などがありまして、大震火災に対しまして、必ずしも避難者の生命、身体の安全を確保できる計画とは言いがたい状況であることは御指摘のとおりでございます。このため建整備といたしましても、安全な避難地、避難路の整備計画的かつ効果的に進めることが必要でございまして、関係各地方公共団体に対しまして、避難地、避難路等の都市防災施設整備計画であります防災対策緊急事業計画を策定して、これを地域防災計画に位置づけるとともに、この計画に基づいて街路事業公園事業等の推進に努めるよう指導しているところでございます。
  233. 神田厚

    ○神田委員 都市公園や道路沿いの緑地帯、これが災害時においても大きな役割を果たすことは自明の理でありますが、これらの整備は例えば五年前と比べてどの程度進んでいるのか。今後またこれらの整備を進めるには相当な用地を確保しなければならないと思うが、これについてはどういうような方法をとろうとしているのか。
  234. 松原青美

    ○松原政府委員 都市公園整備状況でございますが、五十八年三月末で約四万七千ヘクタール整備されておりまして、五年前の昭和五十三年三月末の整備量が約三万六千ヘクタールでございますので、五年間で一万一千ヘクタールの増加になっているわけでございます。道路沿いの緑地帯の問題につきましては、昭和五十七年三月末の数字でございますが、緑化延長が約一万七千六百キロございます。これを五年前の昭和五十二年三月末の緑化延長と比較いたしますと、五十二年三月末の延長が約一万一千八百キロでございましたので、五千八寸キロノートルの増加となってございます。この整備のためには、御指摘のように用地の確保が重要でございますが、この用地の確保につきましては、それぞれの年度予算によりますほか、国公有地の積極的な利用、国庫債務負担行為、あるいは都市開発資金による土地の先行取得等の活用によりまして、今後とも積極的にその確保を図ってまいりたいと存じております。
  235. 神田厚

    ○神田委員 震災被害が大変心配をされるわけでございますが、例えば、東京都などは人口集中をして、関東大震災クラスの地震が起こった場合には、想像もできないような被害があるだろうと言われております。  そこで、一部でいわゆる遷都問題についての研究、検討がなされているわけでありますが、現在どのような段階になっているのか、また、今後どいう形でこれを進めていくのか、国土庁からお聞かせいただきたいと思います。
  236. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えいたします。  現在、国土庁におきましては、二十一世紀を展望いたしました首都改造計画を検討しておるわけでございますが、その調査検討の一環としてこの遷都問題について検討をいたしておる次第でございます。  この問題につきまして今まで検討あるいは調査をした事項でございますが、今まで遷都等についていろいろな提言がなされております。これを整理する、あるいは諸外国におきまして具体的に遷都の例がございますが、これを整理する等々の問題、あるいは遷都をする場合にどのくらいの人数が遷都をするか、あるいは遷都をする場合の所要の面積はどのくらいか、あるいは遷都等についての費用はどのくらいかかるかといったような問題について、基礎的な勉強をいたしておるわけでございます。  遷都問題につきましては、今後いろいろな段階で国民的な規模での議論がなされる、こう思っておりますが、今後、我々といたしましては、さらにこの問題につきましてなお具体的にあるいは定量的な勉強をいたしまして、そういった国民的な議論の素材として用意してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  237. 神田厚

    ○神田委員 遷都問題について研究を進めているということでありますが、大体そういうことで一応の提言をまとめたり成果が発表できるというのは、どのくらいの期間を見ておりますか。
  238. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 先ほど私が申しました、例えば遷都の人数はどのくらいか、あるいは遷都する場合の費用あるいはその面積等がどのくらいかといったような具体的な調査につきましては、その調査をまとめた段階において首都改造計画の一理として調査結果を発表いたしておるところでございます。ただ、具体的に遷都の問題につきましては、まだ国民的な議論、これは社会的あるいは経済的にその影響が非常に大きいわけでございます。したがいまして、短時間にこういう結論だということではなくて、やはり検討する場合の一つの素材ということで、そのときそのときの研究の成果を発表してまいるというような格好に考えております。
  239. 神田厚

    ○神田委員 国土庁長官は、この遷都問題をどういうふうにお考えになりますか。
  240. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 やはり国土庁としては、均衡ある国土、そういう意味から、できるならば――それは難しいことですけれども、できるならば、やはりこの地区には何が適するのか、この地区には何が適するのか、こういうような形でそういった調査は進めますけれども、これはなかなか社会的な要素は十分ありますから難しいことだと思いますけれども、しかし、将来に備えてやはりそれはいろいろ研究をしておく必要はあるというので、研究はいたしておるというのが実態であります。
  241. 神田厚

    ○神田委員 次に、地震対策でありますが、大規模地震対策特別措置法の強化地域に東京都は加わっていないのですね。これはどうして加わらないのか、また、今後強化地域に指定をしていくような考えがあるかどうか、国土庁並びに気象庁の方から答弁をいただきたいと思います。
  242. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 大規模地震対策特別措置法でございますが、この法律は、発生が切迫しております地震につきまして、それもその直前予知が可能であるということを前提に制定されたものでございます。したがいまして、現在東海地震を対象として運営されているということでございます。  御指摘のように、現在この強化地域には東京、南関東は入っていないわけでございますが、この理由は、現在の科学技術の水準で直前予知が可能な地震というのは海洋型のマグニチュード八程度の大規模な地震である、そしてその到来が切迫性がある、こういうことになってまいりますと、その地震は現在のところ東海地震のみであるということでございます。これを頭に置いて強化地域の指定が行われたわけでございますが、このときは専門の先生方を中央防災会議の専門委員会というものに結集していただきまして十分御意見をいただいたわけでございますが、東海地震が起こりました場合に著しい地震災害が生ずるおそれがある地域といいますのは、具体的には震度六以上の地震動を受ける地域である、この地域を強化地域として指定すべきであるという御意見でございまして、これに従いまして静岡県等六県の百七十市町村について指定を行ったわけでございます。東京都につきましては、東海地震が発生いたしました場合には震度六には至らない、震度五程度である。したがいまして、被害の程度もさほど著しいものにはならないというように予想されましたので、強化地域の指定から除外されたわけでございます。この考え方は現在も変わっておりません。
  243. 津村建四朗

    ○津村説明員 ただいま国土庁の方から御説明がありましたとおりでございますが、学問的に申しまして、大規模地震が発生する可能性が高いと見られておりますのは現在東海地域でございます。南関東地域につきましては、一九二三年、いわゆる関東地震によって一応大規模地震の発生の可能性は低まっている、一応発生は既に過ぎているという見解でございまして、東海地域だけが現在のところ対象になっているわけでございます。
  244. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  245. 横山利秋

  246. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私、国立大阪外国語大学の用地取得問題でお伺いいたします。  国立大阪外国語大学は、昭和五十四年大阪府箕面市粟生間谷へ移転、新築されたものでございます。この用地総面積十三万九千平方メートル、四万二千坪でありますが、そのうちその主体となったのは十一万二千百五十平方メートルでありまして、この分は昭和五十年三月八日、箕面市土地開発公社を通じまして、当時の土地所有者であった阪急電鉄から買い入れ、残余の土地二万六千八百七十六平方メートルについては、同じく三月八日付で同公社が民間の個人地主から別途契約に基づいて購入したものでございます。  私がお聞きしたいのは、同大学用地として阪急と公社間で直接契約した今申し上げました十一万二千百五十平方メートル、三万四千坪分の価格十八億六千五百八十七万円の中に、不思議なことにこの契約とは全く関係のない一個人地主のための土地改良費として一億四千万円余がもぐり込まされていたことが昨年十二月の箕面市議会で明らかにされ、これに絡む疑惑が大きく問題になっています。  そこで、文部省にお聞きするのでありますが、そうした事実を知って興ったのか、それとも全く知らなかったのか、どちらなのか、一言でお答えいただきたいと思います。
  247. 國分正明

    ○國分政府委員 お答え申し上げます。  購入当時、そのような事情につきましては、大阪外因諸大学及び文部省においては全く承知しておりませんでした。最近におきまして、ただいま御指摘のように市議会においてこの問題が取り上げられ、新聞で報道されるということになりまして、承知した次第でございます。
  248. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 その当時は知らなかった、最近わかったということでございますね。  そこでお聞きするのでありますが、昭和五十年六月七日付で阪急電鉄株式会社代表取締役森薫から箕面市土地開発公社理事長小瀬戸広幸殿あての文書がございます。この中には、今証明するように「昭和五十年三月八日付、貴公社と当社との間の土地売買契約の売買価棚十八億六千五百八十七万五千円中に末記」、ここに個人の名前が出てきますが、仮に「A氏の所有地に対し当社がなすべき土地改良等に係る費用として一億四千二百九十五万円が含まれていることを承知していることを念のため申し添えます。」云々ということがありますから、これは証明されたと思います。また、今お答えにもあったとおりでありますが、全く当初は知らなかったということですね。これは甚だ奇怪なことでございますが、それならもう一つついでにお聞きします。  この国立大阪外国語大学用地は、この契約の三年四カ月前に当たりますところの昭和四十六年十一月十九日、阪急電鉄が箕面市粟生財産区から買い入れたものでありまして、その買い入れた面積は約百四十八万平方メートル、坪当たり四千七百円で買い入れたわけでありますが、価額は二十億七千万円で買ったものでございます。ところが、昭和五十年三月八日に外国語大学建設用地として売り主の阪急電鉄はそのうちの一部、ほんのわずかの七・六%分にしかすぎませんが、十一万二千百四十九平方メートルを十八億六千五百八十七万円、坪当たり五万四千九百三円で箕面市土地開発公社を通して外国語大学に売り渡したものであります。つまり、阪急電鉄はわずか三年四カ月の間に、自分で買い入れたときの約十二倍、正確に計算いたしますと十一・九倍という途方もないでたらめな値段を国にふっかけ、おまけに他人の所有地の造成費までおっかぶせていたことになるのであります。  あわせて文部省にお聞きいたします。この用地買収に当たりまして、そういう事情を知っておったのか、それともそれも全く知らないで、とにかくだんな芸で買ったのか、この辺のいきさつはどうでしょう。
  249. 國分正明

    ○國分政府委員 お答え申し上げます。  大阪外国訳大学の移転整備用地の購入に際しましては、土地面積等の規模が大きいところから、箕面市の土地開発公社に先行取得の依頼をしたわけでございまして、外国語大学といたしましては、同公社が用地の取得に要した費用で購入したわけでございます。  なお、あわせまして、同大学におきまして、不動産鑑定の資格を持っております、また地元箕面市とは直接関係のない第三者機関としての不動産鑑定業者の中から、国において複数の者を選定いたしまして、その鑑定を依頼したわけでございますが、同公社から購入いたしました価額は、その鑑定の範囲内で購入したものでございます。
  250. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私が聞いたのは、そういうでたらめな、三年四カ月の中で十二倍も高くされるような土地について、全く調査もしないで、とにかくその事実を知っておったか知らないか、このことをお聞きしたのでありますから、もう一回答弁してください。
  251. 國分正明

    ○國分政府委員 その間の事情は必ずしもつまびらかにいたしておりませんが、当時、いわゆるオイルショック等によって狂乱物価ということで、不動産等が大幅に高騰したというような事情が背景にあろうかと思います。私どもといたしましては、複数の不動産鑑定業者にお願いした評価の範囲内で購入したということでございます。
  252. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、これも知らなかったということですね。不動産鑑定士の鑑定評価の範囲内だから構わなかったということだから、このことについてはつまびらかにしなかった。つまり、前段申し上げましたように、この契約そのものの中に、何ら関係のない第三者、他人の土地改良費までその土地価額の中に含まれておった、それも知らなかったし、今言ったように、買った土地もわずかの間に何倍というように上がった、そういう値段をつかまされておったのも知らなかった、そういうことですね。まあ考えてもごらんください。国立大学の授業料を値上げするというので、今みんな困っておる。あるいはわずかなことでも竹さん困っていらっしゃる。まして行革だと言っているときに、そういうでたらめな買い物がやられたとしたならば、これは大変なことだと私は思うのです。しかし、今あなたがおっしゃった不動産鑑定士、云々という話がございましたから、では、不動産鑑定士にいつ鑑定させたのですか。
  253. 國分正明

    ○國分政府委員 お答え申し上げます。  大阪外国語大学で不動産鑑定士に依頼いたしましたが、購入が五十年三月でございますが、評川はその前年の四十九年十一月一日現在で評価していただいております。
  254. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それはどうもおかしいじゃないですか。鑑定評価をやったという今あなたがおっしゃった四十九年の十一月一日というのは、外国語大学の用地をどこにすればいいか、ほとんど予定地として目標にしておった用地というのは、この粟生間谷という地域ではなくて、箕面市大字小野原二十の七ですよ。つまり別のところですね。売買契約書を私ここに持っていますが、これは四十九年三月二日に売買契約神を交わしておるのですが、つまりこの時点は、四十九年十一月一日の皆さんが鑑定評価したというその時は、この小野原地区における用地取得を断念する前のことなんですよ、事実経過から追いますと。そうでなければ、この売買契約、小野原地区というところとしておって、片方は片方でやって、両またかけてやっておった、そういう関係になるね。大体鑑定評価というのは、その対象の物件なりその所在、こういうものが明らかにされて初めて鑑定評価を行うものでありまして、それが道理であるわけでありますが、そうなっておらぬじゃないですか。この評価そのものがおかしいんじゃないですか。
  255. 國分正明

    ○國分政府委員 若干事情をお答え申し上げますと、先生ただいま御指摘のように、当初、同じ箕面市内でございますが、小野原地区の用地を大学の移転用地として購入すべく市の開発公社等に依頼したわけでございますが、一部地主との価格交渉が難航するに至りまして、四十七年の八月には、とても無理であるということで断念いたしまして、当時種々検討をいたしまして、幾つかの候補地区があったようでございますが、最終的に四十九年八月に粟生間谷地区が適地であるというふうに大学が判断いたしました。契約といたしましては、御指摘のように、小野原地区用地の購入ということでございましたが、四十九年十月三十日、既契約につきまして物件の変更の申し入れをいたしました。そして新しき候補地の粟生間谷地区の鑑定を行った、こういう経緯でございます。
  256. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 手元にその変更契約、私みんな持っています。いずれにいたしましても、複数の鑑定士に鑑定させたから、その範囲内だから何も問題ないんだというようなことを言ったら、例えば、鑑定士とおたくとなれ合っておったらどんなことでもできるということになりますよ。いいですか。同時に、この鑑定がおかしいということの証拠に、適正な鑑定であった、こうおっしゃるけれども、あの公社と阪急との間の十八億何がしの中に一億四千万円もの他人の、全く関係ない第三者の土地改良費まで潜り込まされている。それでもなお間に合うような鑑定というのは一体どういうことですか。こんなことはでたらめそのもの。この鑑定自体がいいかげんそのものじゃないですか。何でも鑑定士が鑑定したと言えばそれで通ると思ったら大間違いですよ。  同時に、私が申し上げたいのは、この用地取得に当たっては、まさに白昼の何というか、奇々怪々というか、そういう事実がたくさんあるということですよ。まず、その発端を申し上げますと、今ほど私が述べましたように、この外語大用地の買収に当たって阪急電鉄から公社が買い入れた十一万二千百五十平方メートル、これではまだ用地として不足なんだ、どうしても十四万平方メートルは欲しい、そういうことで開発公社は、その不足分の用地二万六千八百七十六ヘクタールを個人地主であるAさんから四億四千七百十五万円で割愛させて、用地合計としてほぼ十四万平米に見合う十三万九千平方メートルとして外大に売ったものなんですね。ところが、たまたまその際、個人地主であるAさんから代替地を要求されまして、そのため箕面市の土地開発公社では、この大阪外語大用地の北西側に隣接する同じく阪急電鉄所有の土地約二万七千平方メートルを買収いたしまして、どちらも算定価格四億四千七百万円で等価交換したものでございます。しかし、その際、個人地主であるAさんから、その代替地に対する土地改良、そういうものの条件が出されまして、そのために関係した公社、箕面市長、阪急、こういう連中がよからぬ計画をたくらんだことは明らかであります。その一つが、市民に隠されて、まさに密約ですね。八年間も市民に隠していた。その中の一つとして、土地造成費一億四千万円分を外語大の用地買収価格の中に潜り込ませていた。これは一体どういうことですか。しかも、その造成費としての一億四千余万円は阪急が懐にしたまま八年間用地を造成した形跡が全くないのですよ。私は、こういうことは知らないで済まされないと思うのですよ。この点について、きょう幸いなことに建設大臣もいらっしゃいますし、国土庁長官もいらっしゃるわけでありますから、当然のことながら御答弁、御所見をお伺いしたいと思います。
  257. 台健

    ○台政府委員 公布地の拡大の推進に関する法律によりますと、主務大臣は建設大臣と自治大臣になっておりますので、その立場からお答えいたします。  御指摘の件につきましては、詳しい内容を承知しておりませんので、至急状況の把握に努めたいと思います。  なお、御指摘の土地開発公社の業務の運営につきましては、まず、設立団体の長である箕面市長が監督することとされておりますので、その対応を待ち、必要があれば、認可権者である大阪府知事、それから共同の主務大臣であります自治省とも協議の上善処いたしたいと思います。
  258. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 建設大臣の御見解をいただきたい。
  259. 水野清

    水野国務大臣 ただいま箕面市の土地開発公社のお話がございましたが、今局長が申し上げましたとおり、市の土地開発公社でございまして、その監督業務は市長がやることになっております。そして、さらに土地開発公社の認可をだれがしたかというのは大阪府知事でございまして、建設省としては直接タッチをしておりません。  そこで、ただいまいろいろお話がございましたが、内容については全く現在のところ承知をしておりませんので、状況把握に努めたい、かように思っております。
  260. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 会計法の第二十九条の中には、価格及びその他の条件が国にとって最も有利なものをもって申し込みした者を契約の相手方とすることができる、こうあります。つまり、会計法からいいましても、また公共保証基準というものがございますが、等価交換が終わったものについて、しかもわざわざ一億四千万円を他人に付加してやる、こういうことは世間の常識では認められないことですね。事実が判明した以上、今御答弁では調査すると言いましたが、即刻これは返還させるべきものであると私は考えるわけでありますが、お答えいただきたいと思います。
  261. 國分正明

    ○國分政府委員 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げましたように、私どもといたしまして適正な価額で購入する、そのためにしかるべき不動産鑑定の専門家に評価をお願いいたしまして、その範囲内において購入するということでやっているわけでございます。また、本件につきましては、土地開発公社が現に用地の取得に要した費用で購入したわけでございますので、本件購入価格は適正なものと考えておりますが、現に、御指摘がございましたように、市議会等で指摘されておるようでございます。私どももそういうことは承知しておりますが、具体的な事実関係を明確にまだ現時点で把握しておりませんので、事実関係につきましては十分調査いたし、必要があれば関係方面と御相談したいと思っております。
  262. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 文部省、これは今初めてわかったのじゃないのです。去年の十二月の箕面市の市議会の中で大きな問題になって、新聞なんかが一斉にこれを書き立てたのです。そのことでこれから調査するようなことはどうも私は理解できない。同時に、あなた方が出した価額の範囲内だ、だから何でもすべて適正だなんということはとんでもない話だということは、この事実一つ見ても明らかだと思うのです。  さらに奇怪なことがまだまだたくさんあるということです。その一部をちょっと申し上げますと、例えば、開発公社と国立大阪外国語大学の用地をめぐって、阪急との間のこの契約以外の第三の契約である、その不足分を出させた民間人の方と市長さんととんでもない確約書だとか覚書、いろいろなものを交わしているんですね。  例えば、今私手元に持っておるのは、昭和五十年三月八日、箕面市長中井武兵衛、箕面市助役小瀬戸広幸、箕面市助役吉田治、土地所有者Aさんの名前が出ています。上記立会人という二人の名前があります。この確約書の中で、「昭和五十年三月七日午前九時三十分からA宅において箕面市長中井武兵衛とAは、「大阪外国語大学移転統合用地」の関連事項として、万が一初期の目的が達成出来なかったときは、損失補償金として金壱億円也を補償することについて協議成立した。」と言っている。これは公文書です。その写しです。これはとんでもない話ですね。しかも、この印鑑を見ますと、市長の私印を押している。助役もみんな私印になっていますね。  こういうことで、つまり不足分の用地を民間から買い上げるときに土地改良をしてやるということを約束したわけですね。それを約束どおりの時期にやることができないときは一億円市が払うということが書いてある。こういうことはあっていいことでしょうか。これは建設省と、市町村の問題としてこんなことがあっていいのかということで自治省からお伺いします。
  263. 台健

    ○台政府委員 市長さんの行為でございまして、土地開発公社の責任者の行為ではないと理解しておりますので、答弁を差し控えさせていただきます。
  264. 鈴木政徳

    ○鈴木説明員 ただいまの御指摘の件につきましては、都道府県を通じて状況の把握に努めることにしておりまして、建設省とも協議しつつ対応していきたいと考えております。現在のところ詳細はつかんでおりません。
  265. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 なおかつこの件について、例えば阪急と箕面市の土地開発公社の中でも覚書が交わされております。五十年三月八日付、あるいは五十八年四月八日、これはごく最近の覚書ですが、この五十年三月八日の阪急、公社間の覚書によりますと、この第三条「万一、本覚書締結後五年経過した時点で法令等の規制により本物件の土地改良の見通しが立たない時には、阪急は土地改良をしないことの引き換えに損失補償金として、金一億円也を公社の請求により、補償するものとする。」とある。しかも前段の、これもすべて市民にこの八年間公開されていなくて、いわば密約ですね。こういうことも考えるならば、この問題の経過は全く臭いということだね。臭いどころか、国が税金を大損したことになるだけでなくて、もうそういう大資本には弱くて、相手が阪急なんという場合はもうめためたになって、そうして今の自民党政治の反映と言うと失礼な言い方でありますが、結局この中で明らかになったことは、阪急電鉄だけが土地の値上がり益でぼろもうけして、しかも、造成もしないのに一億四千万円余の上乗せ分まで懐にしているということであります。事態が明白である以上、当然国はこれを返還させるべきだ。  この点については先ほどの御答弁で了解いたしますが、私が聞きたいのは、この過程で公社のあり方、これは建設省に主にこれでいいのかということをお聞きしたいのでありますけれども、問題の一つは、この公社は阪急及びA氏からの土地買収に当たりまして土地鑑定をやっていたのかどうか、土地鑑定を指導する建設省からお聞きしたいと思います。
  266. 台健

    ○台政府委員 公社がどのような方法で買収いたしましたかにつきましては、詳細を承知しておりません。
  267. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 これはあの当時問題になった、当然国はこれをつかんでいなければならないはずですよ。しかし、あなた方は全く承知しておらないとおっしゃる。  そこで、私が申し上げたいのは、公有地の拡大の推進に関する法律、いわば土地開発公社の先行取得に関する法律でありますが、ここの第七条「土地の買取価格」によりますと、「地方公共団体等は、届出等に係る土地を買い取る場合には、地価公示法第六条の規定による公示価格を規準として算定した価格をもってその価格としなければならない。」私の調査では何もやっていないのですよ。それでそういうことをやっているわけでありますが、こういうことを放任した場合、地方自治といいますか、自治体財政を含めまして全くおかしいだけでなくて、こういう国の方針にも反したことになると思いますが、いかがでございましょうか。
  268. 台健

    ○台政府委員 御指摘の公有地の拡大の推進に関する法律第七条で「届出等に係る土地」と申しておりますのは、都市計画区域内の一定の要件に、該当する土地について売買しようとするときに届け出る場合と買い取りの申し出をする場合の二つがございまして、それを「届出等に係る土地」と言っているわけでございます。したがいまして、今回の土地がこの「届出等に係る土地」に該当する場合におきましては、第七条の規定が適用されまして、「公示価格を規準として算定した価格をもってその価格」とするということになっておりますので、仮に「届出等に係る土地」に該当し、かつ「公示価格を規準として算定した価格」によらない価格であったとすれば、七条に違反することになるわけでございます。
  269. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今申し上げただけで非常に意を尽くせませんでしたが、いろいろ問題が所在していることがはっきりしたと思うのです。  しかも、今問題なのは、このAさんの代替地、これは防災上、環境上の必要がありまして開発が今規制されてできないのですよ、恐らくその開発の網にひっかかってしまって。つまり市街化調整区域なんですね。ところが、それにもかかわらず市長は、あるいは公社、阪急を含めまして、その代替地の土地改良実施の期限を昭和六十年の末にする、三月二十一日にするという一札も入れてあるのですね。そうして、そのときにやれなければ一億円をAさんに対して補償しますよ、こういうでたらめなことが、密約がまかり通っているわけであります。  そこで、一体その場合市長個人が払うものか、もし市役所が払うとするならば市民に大迷惑をかけることになりますね。これも一つ問題でありますけれども、私が言いたいのは、昭和六十年末つまり来年の末に市側は補償金を一億円このAさんに払うのか、それとも強引に開発規制を取り除いて宅地造成するのか、そのぎりぎりの選択に今立たされているということですね。これはもう重大なことだと思うのです。自分方のよからぬ計画で、たくらみで、何も関係ない国にまでそういう金を潜り込ませてみたり、いろいろな関係で覚書を交わしてやったり、今その履行をこのAさんから公社も市長も迫られて往生しているところなんですね。でなければ告発すると言っているのですよ。そこで、これがどうなるかということは大阪の方々全部注目しているわけでありますけれども……(井上(一)委員「私も大阪だ」と呼ぶ)そうですか、井上先生の選挙区だそうですが、阪急からこの一億四千万円を直ちに返還させると同時に、この問題を解決するために、建設省、文部省あるいは国土庁、鑑定士の関係もありますから、実態をさらに調査の上強力な指導をすべきだと思いますが、きょうの主管の大臣である建設大臣国土庁長官から、以上の質問の経過に対してひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  270. 水野清

    水野国務大臣 いろいろお話がございまして興味深く拝聴しておったのでございますが、先ほども申し上げましたように、市の土地開発公社の監督指導はすべてそこの市長にあるわけでございます。そして、その土地開発公社の認可権というのは県知事が持っておられまして、これは地方自治の立場から申し上げますと、余り私どもが直接指図をするということはできないわけでございます。ただ、大変おもしろいお話でございますので、資料の収集とかといったことに相努めてみたい、かように思っております。
  271. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 所管の省ではございませんので、お答えするというわけにはまいりません。
  272. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 自治省、お答えいただきたいと思います。
  273. 鈴木政徳

    ○鈴木説明員 建設大臣からお話もございましたように、市町村が設立した土地開発公社につきましては、一時的にまず設立地方公共団体の長に監督権があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、認可庁でございます大阪府知事と連絡をとりながら、その調査結果を踏まえて対応策を検討していきたいと存じます。
  274. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では、終わります。
  275. 横山利秋

    横山委員長 阿部昭吾君。
  276. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 一番最後でありますから、簡単に御質問申し上げます。  我が国の入札制度というのがいろいろ議論になっております。しかし、実際は、現場の段階では具体的に変わったか、今までの入札制度を再検討して合理的な新しいやり方が始まったのかというと、実際はこの数年来、現在の入札制度に対していろいろな議論は起こりましたが、ほとんど変わっていない。これは何も建設省だけの問題ではなくて、各方面にみんな関係のある問題なんでありますが、その中でも建設省という役所は、国土の建設なりいろいろな問題を所管されておりますから、この入札という問題は大変深いかかわり合いを持っておられる。そういう面で、この数年来議論になっております入札制度の改善、これは一体どのようになっておるのか、あるいはこれから先どのようになさろうとされているのか、概要をお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
  277. 台健

    ○台政府委員 昭和五十六年九月のいわゆる静岡事件を契機といたしまして公共工事の入札をめぐるさまざまな問題が提起されたわけでございますが、このことにかんがみまして、建設省といたしましては、中央建設業審議会に建設工事の入札制度の合理化対策等についての調査、審議をお願いしたところでございます。それを受けまして、同審議会から一昨年の三月に公共工事に係る入札結果等の公表に関する第一次建議、また昨年の三月には、「建設工事の入札制度の合理化対策等について」という第二次の建議が関係各庁あてに行われたところでございます。建設省といたしましては、この二つの建議を受けまして、積算基準と入札結果等の公表、それから指名業者数の適正化、指名審査の厳正化等の所要の改善措置を講じますとともに、各発注機関に対しまして建議の趣旨の周知徹底を図るようにお願いしてきたところでございます。また、昨年六月十五日に、公共工事の主要な発注機関であります中央の九省庁十五公社公団等から成ります中央公共工事契約制度運用連絡協議会を設けられまして、地方にもこれに準じまして地方支分部局、都道府県等から成る同趣旨の協議会が地方ブロックごとに設立されておりますので、今後はこれらの機関を通じまして入札制度の合理化をさらに推進してまいりたいと考えております。  二度にわたります建議を受けました各項目に関します各発注機関の対応の状況概要につきまして御報告いたしますと、まず、入札結果等の公表につきましては、主要な公共工事の発注機関であります中央省庁、公団、都道府県におきましては、現在までにすべて指名業者名、入札経緯、入札結果の公表を実施いたしておりますし、市町村におきましてもその過半において同様の措置をとっております。  それから、積算基準の公表につきましては、中央省庁におきましてはおおむね積算基準の公表措置をとられましたが、公団、地方公共団体におきましては現在準備中、検討中でございます。  それから、指名業者数の見直しにつきましては、中央省庁、公団等のうち増加措置を講じた機関におきましては、いずれも適切な数となるように見直しを実施しておりまして、都道府県におきましても見直しが進められております。  それから、随意契約の活用、指名停止基準の合理化等につきましては、ことしの三月二十三日に、先ほど申し上げました中央公共工事契約制度運用連絡協議会におきまして、随意契約のガイドラインと指名停止基準のモデルが作成されたところであります。  その他、最低制限価格制度の活用あるいは指名審査の厳正化、入札辞退者に対する不利益な取り扱いの排除等につきましても、各発注機関におきまして建議の趣旨に沿った改善措置が積極的に講じられておりますし、なお一層その徹底を図ってまいりたいと考えております。
  278. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今局長の答弁されましたのは、そのとおりだと思うのであります。ただ、問題は、入札というものが現場でどのように行われておるかということであります。本当の意味の指名競争入札という格好になっておるかどうかということが現場では問題なんであります。指名されますね、そうすると実際は必ず談合をやるわけですよ。談合が絶対にないと言えるでしょうか。現場の仕組みは談合をやらなければならぬようになっている。それじゃ、談合なしで本当の意味の競争入札が行われると一体どういうことになるのかというと、それもまた弊害があるのだということを言うのです。実際はほとんど談合で決まっておる、これが現場の状況だと皆さんおっしゃるのですね。このことに対しては、今度の第一次の建議も第二次の建議も実際上は何の関係もないのですよ、入札制度を変えようというこの建議は。この点について建設省はどういう認識を持っておられるのか。それからもう一つ、中央建設業審議会の構成はどういうふうになっていますか。
  279. 台健

    ○台政府委員 いわゆる談合問題につきましては、私たちは、広く一般的に入札制度全般の改善を行うことによりまして解決ができるということで、今広く入札制度全般についての改正を進めておるところを御説明申し上げたわけでございます。  なお、直接的に談合問題に絡むものといたしまして、このたび公正取引委員会が建設業に係りますがイドラインを作成したわけでございますが、このガイドラインが、建設業におきます事業者団体の活動につきまして現行の独占禁止法の枠内で適法と認められる範囲を示し、公共工事に係ります建設業の特殊性を勘案したガイドラインでございますので、公正取引委員会が従来から行っております事前相談制度と相まちまして、事業者団体の適正な活動に資するものと考えております。  それから、中建審の構成でございますが、学識経験者、発注者、受注者の三者構成になっておりまして、発注者と受注者は同数と法律で決められております。
  280. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、今談合と言いましたが、現場では談合と言わずに調整と言っておるそうです。調整といい何であれ、結果は全部談合なんですね。ですから、実際は事前にどの業者がこの仕事をやるかということが全部、調整か談合か知らぬが決まるのですよ。決まると、その方の入札する金額、それを基準にしてその人のところに必ず落札するような話がちゃんとついておって入札が行われるというのがほとんど全部だと言うのです。そのルール、その約束事を破る者は実際はプライベートには大変な制裁を受ける、これが業界の実態だと言われておるのです。それじゃ、そのことを全部否定できるのだろうかというと、否定すると否定したでまたいろいろな難しい問題が起こるのだそうですよ、制度の運用としては。したがって、今局長のおっしゃったこのあれは私よくわかるのですよ、表の議論としては。しかし、今の三者構成でやっておる建議といえども、この一番の、長い間続いてまいりました調整だか談合だかというものをよけて通っておる状態の中からは、入札制度の根本というのは改まらない。それじゃ改めるにはどうするかということは、まだどこもがなるほどと思うような核心に触れた議論というのはしておらぬだろうと思うのです。したがって、建設省は、私はきょうあすすぐ答えが出せる問題だとは思いませんよ。一回、二回の建議をやって、そこで今度は公取がいろいろ動いて何かの格好が、ガイドラインか何か出てくるのですということでは、実際はらちは明いてこないと思う。そういう意味で、私は、少なくとも同会に対して、公共工事その他発注者としては一番多くの仕事を持っておられる建設省なんかが中心になって、実際は談合、別の言葉では調整と言われておる今のこの姿をどうやって改革をするのかという大方針は、今の一次、二次の建議の中身からは出てきておらないと思います。このあたり、きょう直ちにとは言わぬけれども、もっと明快なものを出す努力、そこは実はみんな見ておるんですよ、見ておるけれども余りやかましい議論は最近まだされておらぬと思うのです。これが一つ。  それから、第二の問題は、特に建設業の場合に元請というものがあります。それから下請があり、あるいはもっと下の請負がありますね。何重もの重層的な請負になっております。その場合に、この第一次の元請になるような業者は発注者との間に厳しい契約を行うわけです。そして、その元請と次の段階の請負もまた相当契約らしいきちっとした契約をやるんですよ。それから三次、四次ぐらいのずっと重層の下っ端の方の請負になりますと、契約なんというのはまるでないんですよ。ほとんどない。仕事を適当にやらせておいて、後で注文書と称するものでくくり上げをする、こういう状況が実際ですね。したがって、私は、今我が国の業界の中にある何重もの重脳請負という形態を、一遍でなくせと言ったってなくならぬだろうと思うんですよ。なくしたらまたいろいろ直ちに大変な弊害が起こるだろうと思うのです。したがって、この何重もの重層的な請負の形態のときに、やはり契約の基準というものをもっと明確にしておかないと、元請というのは下請に対して、本当に昔の軍隊の機構と同じように、自分より下の請負に。対してはまるで生殺与奪の権を持つんですよ。実際は虫けらと同じですよ、何段階か下の請負になりますと。その間には大変いろいろな問題が現場では起こっておる。したがって、私は、今直ちに何重もの元請、下請、孫請といったような請負形態をなくさなければいかぬなどというむちゃは言いません。言いませんが、元請から下請、孫請という何段階かの請負の段階のときに、やはり契約の基準というものは、私は、少なくとも明確に基本というものを制度的につくっておく必要がある、こう思いますが、大臣、その点はいかがですか。
  281. 台健

    ○台政府委員 先に私からお答えいたします。  第一番目の建設業におきますところの市場競争のあり方と独禁法のかかわり合いの問題でございますが、これは実は第二次建議におきまして、「建設業における市場競争の在り方と独禁法との関わり合いについての立法政策を含めた幅広い検討が、極めて重要であると認められる。したがって、この課題に関しては、十分な検討を行う場を設ける等積極的な取組みが必要である。」というふうに言われておるところでございます。これを受けまして私たちでは、学識経験者による研究会をつくりまして今研究を始めているところでございます。  それから、第二点の、下請、元請関係でございますが、建設業の実態は御指摘のとおりでございます。ただ、建設工事は各種の工事の組み合わせにより総合的に施工されるものでございますので、工事の内容、規模等によりましては、私たちも下請による施工は不可避であるというふうに考えておるわけでございます。  問題は、御指摘のように、下請、元請関係の契約関係が非常に前近代的である点でございまして、これにつきましては、私たちが五十三年に元請、下請関係合理化指導要綱というものをつくりまして、よい下請を選んで、しかも契約関係を明確にして下請に仕事をさせるようにということを骨子にいたしました指導を行っておりまして、徐徐に浸透しておりまして、契約内容につきましても、大規模な工事につきましては標準契約約款に基づく契約が徐々に浸透しつつあると考えておりますが、末端の第二次、第三次の下請等につきましても合理的な契約関係が結べるように、なお一層強力に指導したいと考えております。
  282. 水野清

    水野国務大臣 建設業界の元論、下請、さらにその下の孫請、またその下というようなことについて御指摘がございました。御指摘のとおりでございます。建設省としてはこれまでも、ただいま局長が申し上げましたように、いろいろな点で対処をしてまいりましたけれども、なお一層その点は強めていきたい。特に地方の中小企業、零細企業に対するいろいろな問題がございましたら、労働省の労働基準監督関係の人たちとも連絡をとりまして指導していきたい、かように思っております。
  283. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 特に建設省が、これは県段階、地方段階まで相当徹底したようで、これは大変いいことをやっておるなと思っておるのは、ランクづけということをやっておる。したがって、でかい業省が地方に来て、前は地方の小さな工事まで全部入札に参加するようにした時代があった。相当無理をやった時代がありました。今は何かランクづけとかいって、でかいものは小さい工事の受注には余り参加をしないように区切っておる。これは大変いい制度をやっておるなと思います。しかし、問題は、地方段階で相当大きい工事になりますと、元請である大手は、重機、機材その他要員はほとんど、監督はわずかだけ、あとは全部地方の業者を下請に使う。その下にまた孫請を使う。その下にまた四段階目に請負があるということになりますと、大手と次の請負は大体しっかりした契約をやっておるんですよ。しかし、その下請から孫請段階になると、契約なんという契約らしいものはほとんどない。いわんや四段階目の請負なんかになったら、全然真っ当な相手などしておりませんね。したがって、かねての業法改正、私の記憶では十二、三年前ではなかったかと思いますけれども、あの際に、元請の責任というものを相当はっきりさせようということを、いろいろな分野で私は業法改正にかかわったという思いがあります。それが現場段階では実際はどうかということになると、必ずしもまだそう徹底してはおらないという意味で、ぜひひとつ制度的に、単なる指導といったような領域を超えた厳しい何かがもう一つなければいけないのじゃないかというのが、私がきょうこの問題を提起しておる気持ちであります。  時間がありませんので、次は、住宅金融公庫の問題、これは先ほどもお尋ねがございました。この住宅金融公庫住宅融資政策というものが、我が国の住宅建設というものを非常にいろいろな意味でいい状況をつくったと言っていいと思うのであります。戦前などは、こんなような住宅建設に対して長期低利の融資の制度なんというものはまるっきりなかった。その意味では、住宅金融公庫を中心とする住宅資金政策というのは、やはり今日の我が国の住宅状況をがらっと大きく転換させた原動力になっただろうと思うのであります。  ただ、問題は、きょうこれはぜひお願いをしておきたいのでありますが、全国の地域によって若干の傾斜があるのでありますが、甲地区、乙地区、丙地区といろいろ割っておるわけでありますが、一番多いのは丙と呼ばれる地域であります。この地域になりますと、住宅を一戸建てようとする人に、融資限度枠は四百八十万であります。四百八十万では今日家などは全然建ちませんね。そこで、最近、それに加えて一般民間のローンをあわせてやっていくとか、ところがローンをあわせてやっていこうという場合に、住宅公庫は、わずか四百八十万の融資だけれども、土地建物、一番担保を必ずとらなければいけない。一番担保をとられた後に民間の金融機関のローンを設定しようといっても、そうは簡単にいかない。したがって、最近非常に一般的に現場で有効であるのは、厚生年金なり国民年金なりあるいは共済年金なりの住宅還元融資というものと住宅公庫をあわせて借りて、そして住宅を建てるというのが非常に一般的に広がっているのであります。  その中で、建設省でぜひ頑張って厚生省なりその他の方面と話をつけていただきたいと思いますのは、私が承知しておるのでは、住宅金融公庫で融資の対象にして一年間に百戸家をつくるということになりますと、年金からの住宅還元融資とあわせ借りをして家をつくっておるというのが四十戸、大体四〇%なんであります。公庫で家を建てる場合ですよ。ところが、私が現場段階ずっと調べてみると、地域的にばらつきがあるのかどうかわかりませんけれども、国民年金の住宅還元融資を受けたい、あるいは厚生年金で住宅還元融資を受けて住宅公庫融資とあわせ借りで家を建てたいという希望があっても、年金からの還元融資はくじ引きになっちゃう。したがって、公庫は借りて、これは私の地域では四百八十万ですから、本当はもう六百万くらいの厚年なり国年なりの還元融資があるという前提でかかったところ、そっちの方は抽せんでだめになりました、それでなかなかうまくいかぬという例が非常に多い。したがって、私は、この年金からの住宅還元融資は、少なくとも住宅公庫で融資を受けることになった人は希望するならば一〇〇%受けられるように手だてをすべきじゃないか。希望者はですよ。これは最後にいって抽せんということになるものですから、大変弱っている例が多い。私は、今日この住宅建設が我が国の景気全般に及ぼす影響というのはまことに大きい、単なる建築に関係する人たちだけの景気の問題じゃなくて、相当広い分野に、地域経済に住宅建設というのは大きい影響をもたらす。そういう意味では、住宅公庫の融資を受ける人が希望するならば、年金の還元の住宅資金のあわせ借りは、抽せんではなくて必ずできるというような状況にするのに、そんなに私は――国年で言えば、さっき聞いてみると希望者の七〇%を融資対象にしておる。厚年の場合は三割くらいでずっと少ないけれども、それは何も公庫を通じて厚生年金の融資を受ける人ばかりじゃなくて、事業所の窓口で借りる人もいる、あるいは年金の福祉協会か何かの窓口で借りる人もいるのでパーセントはもっと高いだろう、こういう話であります。そこまでパーセントが高いのならば、私は、住宅公庫の融資を受けて家を建てようという人が希望するならば、住宅還元融資は抽せんでなくて全部が借りることができるように道を開くべきだと思うのであります。ぜひ御努力を願いたい、御尽力を願いたいと思うところでありますが、御見解を承りたい。
  284. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、住宅金融公庫の融資によりまして、持ち家住宅の建設が大幅に推進をされております。個人の持ち家住宅建設の五割を超える部分が住宅金融公庫の融資によって建設されているのが今日の実情でございます。その住宅金融公庫の融資による住宅建設者の資金の構成を見てみますと、手持ち資金が全体の大体三〇%、それから公庫借入金が全体の四〇%を若干超える程度、それで公庫以外からの借入金は全体の三〇%弱となっております。このうち御指摘のように年金関係の資金が相当部分を占めておるわけでございます。そういう意味で、これからの持ち家住宅建設促進のために、住宅金融公庫の融資と年金融資のあわせ貸しをできるだけ推進をしていきたい。  ところが、御指摘のように、現在、年金融資につきましては、その貸付枠が限られておるために抽せん制となっております。厚生年金の方が大体三〇%程度、それから国民年金の方が七〇%程度という抽せん率でございます。これにつきましては、やはり今後できるだけ持ち家住宅の建設をスムーズに促進するために、この年金融資と公庫融資のあわせ貸しを希望する者についてでき得る限り対応していく必要があるということで、その融資枠の拡大につきまして従来から関係省に強くそのお願いをしておるところでございますが、いろいろ御事情もございまして、現在のところは、厚生年金が全体の年金融資枠の一五%、したがいまして抽せん率も三〇%程度になっているというのが現状でございます。
  285. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 終わりますが、大臣、これはぜひ厚生大臣なり各方面と強力に折衝していただいて、今の年金還元融資が希望者全体に抽せんなしで渡るような、そういう御尽力をぜひお願いをしたい。
  286. 水野清

    水野国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げましたように、年金融資はどうもまだ希望者全員に渡るだけの資金量がないのが実情でございます。住宅金融公庫の方は現在無抽せんでありますから、資格さえしっかりしていればお貸しできる。できれば両方そろえてやれば国民の福祉にとって大変ありがたいことである。私も同感でございます。大蔵大臣、厚生大臣にも御連絡申し上げて、三省間でひとつ検討を進めていきたい、かように思っております。
  287. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 終わります。
  288. 井上一成

    井上(一)委員長代理 次回は、明十九日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会するごととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会