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1984-04-13 第101回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十三日(金曜日)     午前十時十五分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 近藤 元次君 理事 白川 勝彦君    理事 谷  洋一君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 神田  厚君       榎本 和平君    小坂徳三郎君       桜井  新君    塩崎  潤君       河野  正君    城地 豊司君       玉城 栄一君    中川利三郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         労 働 大 臣 坂本三十次君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    叶野 七郎君         労働大臣官房長 小粥 義朗君         労働大臣官房会         計課長     若林 之矩君         労働省労政局長 谷口 隆志君         学省労働基準         局長      望月 三郎君         労働省婦人少年         局長      赤松 良子君         労働省職業安定         局長      加藤  孝君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君         労働省職業訓練         局長      宮川 知雄君  委員外出席者         総理府人事局参         事官      中島 勝巳君         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 豊田  実君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       山崎宏一郎君         自治省財政局指         導課長     浅野大三郎君         会計検査院事務         総局第三課長  秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第四課長  磯田  晋君         参  考  人         (雇用促進事業         団副理事長)  岩崎 隆造君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (労働省所管)      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、労働省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として雇用促進事業団理事長岩崎隆造君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 横山利秋

    横山委員長 それでは、まず、労働大臣から概要説明を求めます。坂本労働大臣
  5. 坂本三十次

    坂本国務大臣 労働省所管昭和五十六年度決算についてその概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は、五千六億七千十一万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額五千三億七千三百七十二万円余、予備費使用額二億九千六百三十九万円余となっております。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額四千八百八十七億九千二百七十八万円余、不用額百十八億七千七百三十三万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金及び失業対策事業費等であります。  これらの経費は、雇用保険法に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち失業対策事業の主な実績は、事業主体数六百四十カ所、事業数二千六百六十五、失業者吸収人員一日平均六万八千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。  次に、特別会計決算について申し上げます。  まず、労働保険特別会計について申し上げます。  この会計は、労働保険特別会計法に基づいて昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。  初めに労災勘定について申し上げます。  歳入につきましては、歳入予算額一兆三千六百四十二億九千三百五十七万円余に対しまして、収納済み歳入額一兆三千三百二十六億八千七百四十三万円余でありまして、差し引き三百十六億六百十四万円余の城となっております。これは、徴収勘定からの受け入れ予定より少なかったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆三千六百五十四億五千六百六十五万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆三千六百四十二億九千三百五十七万円余、前年度繰越額十一億六千三百七万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額八千三百四十五億六千百四十六万円余、翌年度繰越額三億三千四百十四万円余、不用額五千三百五億六千百四万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げます。  保険給付支払い件数は五百四十六万四千件余、支払い金額は六千五十八億四千九百七十五万円余となっております。  なお、不用額の主なものは、支払い備金等に充てる経費であります。  次に、雇用勘定について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆六千七百八十二億五百五十一万円余に対しまして、収納済み歳入額一兆四千五百三十一億四千八百七十三万円余でありまして、差し引き二千二百五十億五千六百七十八万円余の城となっております。これは、失業給付金等不用額を生じたこと等により積立金からの受け入れを必要としなかったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆六千七百八十九億二千二百四十七万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆六千七百八十二億五百五十一万円余、前年度繰越額七億一千六百九十五万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一兆四千四百五十三億二千五百四十八万円余、翌年度繰越額一億二千万円、不用額二千三百三十四億七千六百九十九万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものは、雇用保険法に基づく失業給付に必要な経費及び雇用安定事業等事業に必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げます。  失業給付のうち、一般求職者給付及び日雇い労働求職者給付月平均受給者人員は、一般求職者給付七十五万一千人余、日雇い労働求職者給付十一万七千人余。  また、短期雇用特例求職者給付及び就職促進給付受給者数は、短期雇用特例求職者給付七十四万七千人余、就職促進給付五万一千人余でありまして、支給金額は、一般求職者給付九千百六十九億九千二百十六万円余、日雇い労働求職者給付三百三億五千百八十六万円余、短期雇用特例求職者給付一千五百十七億五千四百十八万円余、就職促進給付六十三億二千四百九十七万円余となっております。  また、雇用安定事業等事業に係る支出実績は、支出済み歳出額二千八百四十九億七千六百九万円余となっております。  なお、不用額の主なものは、失業給付金等であります。  次に、徴収勘定について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額二兆一千百九十六億四千五百二十九万円余に対しまして、収納済み歳入額二兆三百三十五億二千百二十万円余でありまして、差し引き八百六十一億二千四百八万円余の城となっております。これは、賃金上昇率予定より低かったこと等により、保険料収入予定を下回ったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも二兆一千百九十六億四千五百二十九万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額二兆三百九億三千九百三十七万円余、不用額八百八十七億五百九十二万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰り入れに必要な経費であります。  この事業実績概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数百八十九万六千余、労災保険適用労働者数三千二百七十五万人余、雇用保険適用事業場数百三十二万二千余、一般雇用保険適用労働者数二千五百五十九万人余、日雇い雇用保険適用労働者数十五万六千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、他勘定繰り入れに必要な経費であります。  最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計のうち、労働省所掌分炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額及び歳出予算額とも百九十二億七千四百六十九万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額百八十億二千七百六十三万円余、不用額十二億四千七百六万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものについて申し上げますと、炭鉱離職者緊急就労対策事業に必要な経費及び産炭地域開発就労事業に必要な経費であります。  これらの事業実績概要について申し上げます。  まず、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数四十二カ所、事業数百九十三、就労人員延べ六十万五千人余となっております。  次に、炭産地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十九カ所、事業数百八十四、就労人員延べ七十二万一千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。  以上が労働省所管に属する昭和五十六年度一般会計及び特別会計決算概要であります。  なお、昭和五十六年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。  これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。  以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  6. 横山利秋

  7. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十六年度労働省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項七件であります。  検査報告番号一四三号は、労働保険保険料徴収に当たり、徴収額過不足があったものであります。  労働保険労働者災害補償保険及び雇用保険を総称するものでありますが、この保険事業に加入している事業主保険料を申告納付するに当たりまして保険料算定の基礎となっている賃金総額が事実と相違しているなどにより、徴収額過不足があったものであります。  また、検査報告番号一四四号は、雇用保険失業給付金支給が適正でなかったものでありまして、失業給付金受給者が再就職しておりますのに、引き続き失業給付金のうちの基本手当等支給しており給付の適正を欠いていたものであります。  また、検査報告番号一四五号は、雇用保険中高年齢者雇用開発給付金支給が適正でなかったものであります。  この給付金雇用安定事業一環として、中高年齢者雇用機会の増大を図るため、一定の条件のもとに、中高年齢者を雇用した事業主に対して、その中高年齢者に支払った賃金の一部を助成するものでありますが、その支給要件を欠いておりましたのに給付金支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。  また、検査報告番号一四六号から一四九号までの四件は、職業訓練関係補助金の経理が適正でなかったものであります。  この補助金職業訓練法の規定に基づいて、都道府県知事が、中学校卒業者等職業に必要な技能を習得させるため職業訓練を実施した場合などに、その都道府県に対して訓練に要する費用の一部を補助するものでありますが、その事業費を過大に精算していたり、補助対象とは認められないものを事業費に含めていたりしていたものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明の聴取は終わりました。     —————————————
  9. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  10. 井上一成

    井上(一)委員 まず最初に、ことしの春闘が私鉄一鉄鋼、それぞれの大手が労使双方努力妥結を見た、そういう段階に入って、中小企業が残るわけでありますし、さらには、公企体の賃上げについて今後鋭意当局側労働者側が折衝を重ねていくわけでありますが、昨日もそれぞれの組織代表労働大臣早期解決を図るべく最大限努力をお願いされたことだと思います。私は、一日も早い当局側誠意ある回答を示すべきだと思うわけであります。労働大臣としての一定のめど、さらには、その上に立っていわゆる今春闘における労働大臣としての取り組み所見等をまず聞いておきたいと思います。
  11. 坂本三十次

    坂本国務大臣 御承知のとおり、春闘は、十一日、十二日と過ぎまして、きょうあたりで相当峠を越そうかというような情勢でございます。私、この春闘の様子を見ておりまして、労使が真剣に自主的にお話し合いをされて円満に妥結を見るような情勢でございます。今のところ、まことに労使関係は健在である。今後もひとつ、春闘につきまして、労使の自主的な交渉を重ねられて円満に妥結をせられるように、労使関係がしっかり確立をせられるようにという願いを私は持っておるわけでございます。
  12. 井上一成

    井上(一)委員 昨日、公企体代表の方が大臣当局早期回答提示を求められて、それに最大限努力をするというお答えが報道されているわけですが、このことは当然、労働側早期提示というのは、いわゆる当局がどう対応されるかは別として、労働者側の要求するここ一週間、あるいは遅くとも月末まで、月内、そういうことにあなたは最大限努力をなさるというお気持ちを持っていらっしゃるわけですね。
  13. 坂本三十次

    坂本国務大臣 きのう公共企業体労働組合の皆さんから、ひとつなるべく早期有額回答を出してくれ、そして軌道に乗せてもらいたいという熱心な陳情がありました。私といたしましても、誠意を持って最大限努力をするというお返事をいたしました。その線に沿って一生懸命やっていきたいと思っております。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 そのことは報道されているわけで、私の申し上げているのは、当局が少なくともここ一週間以内に提示をし、例年どおり取り組みからいけば、それを不満としての公労委の調停ということに入っていくわけでございますが、そのことがやはりすべて月内解決をしない限り、スムーズな労使双方の健全な対応というものは求められないという認識に私は立つわけでありまして、そういう意味で、大臣最大限努力というのは、いわゆる労働者側がお願いをしたその期日努力をする、こういうことでございますね。
  15. 坂本三十次

    坂本国務大臣 きのうの陳情の御趣旨は、やはりその期日が非常に大きなポイントになっておりまして、十三日から十七日までというお話もありましたし、十三日以降なるべく早くというようなお話もございましたが、私といたしましては、それらの御希望にこたえるようにできるだけ早く、これからいろいろ根回しもありますから、そのお気持ちをしっかり念頭に置いて、期日についての御要望念頭に置いて、できるだけの努力をしたい、こう申し上げたわけであります。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 さらに当たり前のことなんですけれども、人勧仲裁裁定を完全実施していくということは基本的な当然のことでありまして、これは変わりないわけでありますが、主管労働大臣として、人勧を尊重する、仲裁裁定を尊重していく、このことは終始貫かれる強い決意を持っていらっしゃいますね。
  17. 坂本三十次

    坂本国務大臣 これは、過日の政労会見におきましてもそういう御要望を受け、私どもも誠意を持って取り組むと御返事を申し上げているところでございます。労働大臣とすれば当然のことでありまするが、労働基本権制約の代償でもありまするし、それからまた、我が国の労使関係、これは諸外国に比べれば私はすぐれておると思っております。そういう労使関係を守りながら、これらのいろいろな制度趣旨を生かして円満に妥結できるように誠意を持って取り組むということには変わりはありません。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、ここで一点、労働省に特に聞いておきたいことがあるわけです。ということは、防衛庁が、有事の際に自衛隊の円滑な行動を確保するために、法制上の不備有無、あるいは不備であればどうするのかということについて、約五十の法律を挙げて関係省庁余に改正の有無について照会して解釈を求めている。現在までに約七割の回答が寄せられておると聞いておるわけです。労働省防衛庁から照会があったと思うわけですが、どのような法令の照会があり、どのような回答をされたのか、このことについて聞いておきたいと思います。
  19. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 お尋ねの件につきまして労働省としては全然承知をいたしておりません。したがいまして、防衛庁からの照会もございません。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁から労働省に対しては照会がないということでございますか。
  21. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 そうでございます。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 私は非常に懸念しているのは、有事ということになれば、やはり物資と同時に人員というものが必要になるということはだれもが気がつくわけでありまして、当然そこに問題が絞られてくるわけであります。現段階では十省庁余の中に労働省が入っていないということが明確になったわけですけれども、私は、いわゆるそのような立法化の傾向の中にあって、今後も労働省として毅然たる対応をとっていってほしい。戦前の徴用令のようなものがさらに今日復活の兆しを持ってくるということは非常に恐ろしいことでありますので、そのような防衛庁の意図されている、あるいは照会等が他省庁にあるわけでありますが、今申し上げたような私の理念を理解をいただいて、労働省も毅然として防衛庁対応してほしい。この点について労働大臣所見を聞いておきたいと思います。
  23. 坂本三十次

    坂本国務大臣 私といたしましては、そういう事態があるかないかわかりませんけれども、慎重に対応をいたします。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、次に、高齢化社会の中に入るわけでありますけれども、既に高齢化社会の中に入っているわけですけれども、シルバー人材センターについて私はここで少し聞いておきたいと思います。  御承知のように、高齢化社会に積極的に対応するための重要な施策一環として五十五年七月に発足をしたいわゆるシルバー人材センター、四年間を経過したわけでありますが、この間に全国的に、今日では二百十六団体ですか、約九万に近い人たちがそこに加入をされている。それぞれの地域で着実に活動を行っているという、このことは大変意義あることだと思っています。労働省は、これらの活動を助成するため、当面五年間の時限措置として補助金の交付を行ってきたわけであります。まだ発足をして日が浅いということもありまして、一団体組織人員が約四百五十人ぐらいの比較的小規模である。同時に、経済的にもまだ十分に自立できる段階ではないという、そういう組織が多いわけであります。冒頭に申し上げたように、高齢化社会の中でシルバー人材センター役割は私はますます重要になると思われるのであります。そこで、補助制度は当分の間は継続するとともに、補助対象の拡大を図るべきだと考えるわけであります。この点についての労働省のお考えを承っておきたい、このように思います。
  25. 守屋孝一

    守屋政府委員 今、先生のおっしゃるようなシルバー人材センター活動状況でございます。ただ、このシルバー人材センターに対する補助は、御承知のように、昭和五十五年度から開始いたしまして、その前、昭和五十四年にこれは閣議決定をもちまして、新設の補助金につきましては、五年を一応の終期として見直すということになっております。たまたま昭和六十年度がこの年に該当いたしますので、私ども、この閣議決定に従いまして今年度見直しを行うつもりでございますが、今の先生の御指摘点等を今後十分念頭に置き、参考にさせていただきながら、このシルバー育成発展についてどのように持っていくか、検討していきたいというふうに考えております。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 ややもすると、常識的に、見直すということは、切り捨てていこうというか、まあやめてしまおうということと、さらにはよい方向に持っていこうという二つの見方があるわけであります。私は、やはりシルバー人材センターが地道に果たしている役割というものは大いに評価しなければいけない。労働省も五年という暫定措置でありますけれども、いいことをやっているという、この労働省側対応も私は評価をしているわけなんです。だから、見直すということは、今私が指摘をしたような、少なくとも今まで労働省対応してきたそういう線上に私は位置づけて、そしてさらにいろいろと五年間の中に、後で指摘をしますが、そういう問題点についてもあわせて建設的ないわゆるよい方向活動育成するという方向見直していくのだ、こういうお考えであると私は今のお答えで理解するのですが、それでよろしいでしょうか。
  27. 坂本三十次

    坂本国務大臣 五十四年の閣議決定の文言を一般的に見ますれば、五年後には厳格に見直す、こう書いてあります。つまり、五年たって時代の要請が薄れてきたものは、どっちかというとなくしていこうという方向であります。しかし、私といたしましては、労働省の最重点施策は、高齢者対策、これは労働省だけじゃない、日本の行政政治全体がこれに対応しなければならぬ非常に大事な最重点施策なのですから、しかも、シルバー人材センターはなかなか評判もよろしいし、なかなか喜んでいただいてやっておりますから、そういう点を見ますれば、なくする方ではなしに育成をしていくという方向で私ども対処したい、こう思っております。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 大臣お答えで私は非常に意を強くしました。なくすなんというのはとんでもないことであって、まさに、今の社会における人口比の問題を的確にとらえていないし、シルバー人材センターの果たしてきた役割というものの正しい認識がなされていない、そういう意識の中では、なくしていこう——よく誤って、行革だとかいろいろ補助金整理だとかそういうようなときに、えてしてこういう本当に社会の中で非常に下積みというのでしょうか、幅広く老後自力で汗を流している、そういう人たちの姿が忘れられがちになるので、これは労働大臣、しっかりとあなたの今のお答え見直しの時点で反映をしてほしい、こう思うのです。  この問題も、それぞれの地方自治体の中から、いわゆる中高齢者の中から意欲的に自主的に盛り上がったものを国の政策の中に取り上げたわけですから、いわば国民の動きの中から国がせざるを得ないような状況になったのだから、これはやはり大いに続けてもらわなければいけない。問題点を一、二指摘をして、それに対する対応も聞いていきたい。もちろん、シルバー人材センター高齢者の雇用、いわゆる俗に言う雇用によらない就業でございますから、そういう新しいシステムを取り入れたわけでありますから、それだけに、法的には既存の法制度のかかわりもあり、実際の運営上は問題が非常に多いわけなんです。各地のシルバー人材センターからは、実は早急な法制化の要求があるわけであります。私は、労働省でもシルバー人材センター事業法、これは仮称でございますけれども、そういういわゆる法制化を早期に実現して、シルバー人材センターの運営活動がよりスムーズに行われるように実は努力をしていただきたい、こういうふうにも思うわけであります。  この法令の整備については毎回申し上げているわけなんですけれども、同時に、関係法令との関係で、労働関係法については基本的には適用されないと私は思っています。しかし、労働者災害補償保険法あるいは労働安全衛生法については、特別な適用として、私はぜひこの問題を考えていただきたい。  さらには、最低賃金法についても同様に考える必要があるのではないだろうか、こういうふうにも思っているわけです。税法関係についてもいろいろな配慮がそこになされるべきである。とりわけ仕事中における事故に対する公的な補償制度の整備は緊急な課題ではないだろうか、こういうことも考えるわけであります。  こういう一連の、シルバー人材センター活動していく中でいろいろな問題点を一つずつ、少しでもよりよい方向に持っていくために、労働省の一層の御努力を実はお願いをしたい、そういうふうに私は思っているわけなんです。この点についてのお考えを聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
  29. 守屋孝一

    守屋政府委員 まず、法制化の問題につきましては、今までも関係方面からいろいろの御提案がなされております。私もこれはよく承知をしております。それは、やはり何といいましても、このシルバー人材センター育成発展させていくための一方策としてその法制化問題もあるというふうに私考えておりますので、そういう観点からこういう問題も今後十分検討してまいりたいというように考えております。  さらに、労働保護法あるいは税制に関する配慮など、これはやはり何といいましても今後シルバー人材センターが発展する過程で十分検討すべき問題であるということは、先生指摘のとおりだと思います。ただ、先生も御承知のように、このシルバー人材センターは雇用関係を前提にしておりません。そういう意味では、労災のみならず安全衛生関係の法規あるいは最低賃金というような問題につきましても、直接その法律でもって云々ということは無理があるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、仮に直接法律の適用がないとしても、例えば安全衛生の面では、仕事をシルバー人材センターが受注するに当たりまして高齢者の体力、能力に見合ったようなものを受注するように指導しております。そういう意味では、高所作業であるとかプレス機械の操作であるとかこういった問題についてはできるだけ避けるように、また、最低賃金の面につきましても、必ずしも法律はそのまま適用はありませんが、その地域の最低賃金というものを念頭に置きまして、仕事の単価等につきましては、受注に当たって十分配慮するようにというような指導を加えながら現実に対応していっておるということでございます。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 まだまだ問題は指摘をしたいわけでありますけれども、いろんな問題点について今後格段の御努力を私はお願いをしておきたい、こういうように思います。  さらにここで、今非常に問題になっている福島交通の関係について、まず労働省サイドに聞いておきたいのですが、福島交通の退職金不払いについて、労働省として、行政指導も含めて今までどういうふうに対応されてきたのか、このことを最初に聞いておきましょう。
  31. 望月三郎

    ○望月政府委員 福島交通の退職金不払い事案につきましては、退職者等から所轄の監督署に対する相談等は自発的にはなかったわけでございますが、私どもとしては退職金の不支払いがあったということをキャッチした時点から動きまして、所轄の労働基準局並びに監督署から、前後七回にわたりまして経営者側の事情の聴取並びに早期支払いについて指導を強く行ったわけでございますが、本年四月三日に約半額が支払われたところでございます。私どもとしては、残額についても早期解決されるように強く指導している状況でございます。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 退職金だけでなく、福島交通関連企業についてはいろいろな問題点を抱えているわけでございますが、やはり賃金債権というのですか、そういうのには優先的に対応していかなければいけない。もし仮に政治献金が優先されて賃金債権が十分確保されていないとなれば、労働省としてはとんでもないことなんですね。もし仮にということを僕はあえてきょうこの場で言う。やはりそういう厳しい姿勢を行政指導の中で示していくべきだ。労働省所見を伺っておきましょう。
  33. 望月三郎

    ○望月政府委員 おっしゃることは当然でございまして、私どもとしては、退職金というのは退職した人の生活の支えになるということで非常に重要に思っておりますので、いろいろな理由があって払われぬわけでございますが、いろいろな理由を超えてまず第一に退職金が確保されるということが私どもにとっても最大の使命ではないかというように考えて、一生懸命やっております。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 訴えがなく、いわゆる申し立てがない段階ではあるが、関連の疑惑というのでしょうか、そういう中から労働省が何回かの行政指導に入られたということは、対応としては私は非常に了とするし、今も強い姿勢で今後対応すべきだということをお願いしました。労働基準法に部分的に違反をしているとか、あるいは労基法も含めて今後福島交通関連企業に対して、労働省として、そこに働く人たちの生活を守るという立場になり、あるいは労働の価値を尊重していくという立場に立って、労働大臣、きっちりとした対応労働省はとるべきだと私は思うのです。そういう御決意をひとつ大臣から聞かしていただきたい。
  35. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま局長から御答弁をいたしましたけれども、結構早い段階から関心を持っておるつもりでありまして、退職金の未払いなどというようなことは当然あってはならぬことであって、特に最近いろいろな問題が出ておりますが、退職金を一番先に払ってからの話でありまして、今の政府委員の答弁どおり今後も引き続き厳重に指導していきたいと思っております。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 今までの実情も承知をするためには、今までの状況も今後行政指導の中で点検をしていくということでございますね。今後ということは、今まではやらなかったけれども、ひょっとしたら労基法に違反しているような問題点が起こっていたかもわからぬ、そういうことも含めて強い姿勢でこれは対応したい、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  37. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生おっしゃるとおりに理解していただいて結構でございます。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、ここで会計検査院にお聞きをしたいと思うのです。今は労働債権について私は労働省質疑をいたしました。福島交通あるいは福島交通不動産、いろいろな関連グループがありますけれども、会計検査院指摘をしてきたことについて、大きな問題点としてどういうことが指摘をされてきたのか、あるいはそれ以後の対応についても含めて、大筋で結構でございますから、会計検査院所見をひとつここで聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  39. 磯田晋

    ○磯田会計検査院説明員 この問題につきましては、巷間伝えられるところによりますといろいろなことがあるようでございますが、かつて検査院が指摘した事項を中心にちょっと御紹介申し上げたいと思います。  昭和四十一年十二月二日付で、会計検査院法に基づきまして、国有林野の交換について改善意見を表示したケースがございます。内容をポイントだけ御紹介させていただきますと、私どもは、昭和四十一年中前橋、大阪両営林局における契約につきまして交換の実地検査をいたしました。その結果でございますが、まず第一に、   これらの交換契約をみると、本来国の必要とする受財産を取得するため渡財産と交換するものであるのに、相手方からの渡財産の払下申請に対し交換によることとしてその代替地の受財産を提示させている状況で、受財産のなかには相手方が交換契約直前に第三者から取得してこれを提供したものもあり、受財産についてみると、在来の国有林野のうちには林相改良を要する天然林が相当量あるのに、さらに林相改良を要する天然林を取得したり、林木の収穫量および林産物の価格からみて有利なすぎまたはひのきの造林に適する土地であるのに、収益性の低いあかまつが植栽されている幼令林で、しかもその除伐、下刈等の保育事業が十分でないものを取得したりしているものがあり、取得後についてみても、伐採跡地について新植更新を行なっていなかったり、幼令林について適切な保育  事業を行なっていなかったりする状況で、財産取得にあたって計画性が欠けていると認められるものが見受けられる。 もう一つのポイントといたしましては、   交換財産の評価にあたり、渡財産について、現状が山林であるため山林として評定しているが、現地の状況を十分は握し、相手方の使用目的を勘案すれば、宅地見込地または雑種地として評価するのが適当と認められるのにこれをしなかったり、近傍類似地の売買実例価格、精通者の鑑定評価格等の調査が十分でなかったりしたなどのため、土地価格の評定が適切を欠いていると認められるものが見受けられる。 ということで、前橋営林局のケースをもう少し具体的に申し上げますと、受け財産は新潟県岩船郡関川村に所在します。それから、渡し財産は栃木県那須郡那須町に所在いたします。このケースと、それからもう一つ大阪営林局管内のケースを指摘しております。この前者のケースが今御指摘のあった問題に係るケースだと思います。その他のいろいろ御指摘のある問題につきましては、必要に応じて鋭意各検査課で対応しているというのが現況でございます。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 今明らかにされたように、非常に不当な国有林の払い下げを受け、片側では労働債権を十分保障していかない、こういう驚くべき企業、このことについてはまた改めて私は質問をいたしますが、特に労働省に、先ほど指摘をした労働債権についての十分な確保のための行政指導、さらには、今お聞きのように、会計検査院指摘をしたそのことでもわかるように、何が飛び出すかわからない。飛び出してからでは——労働省行政指導の中で十分な把握をすべきであるということを私は強くお願いをしておきます。  次に、今非常に問題になっている単身赴任の問題について労働省の見解を少し聞いておきます。  このほど発表された労働省の「勤労者家庭の妻の意識に関するアンケート調査」です。これは五十九年三月、労働省の婦人少年局ですね。この調査によると、勤労者家庭の一六%が単身赴任の経験がある。このうち留守家庭で困ったことがあると答えた人は全体の九二%にも上っているわけです。さらに、その困った理由を複数回答で聞いたところ、経済的負担が五九%、子供のしつけあるいは勉強、進路等が三六%、夫の生活がわからず不安であるというのが二二%と、単身赴任が勤労者家庭の生活に深刻な影響を及ぼしているということがこの調査でわかるわけなんですね。  しかも、このような単身赴任は最近急激にふえる傾向があるわけであります。例えば、労務行政研究所が昭和五十七年の九月に二百七十八社を対象に調べたところでは、単身赴任がふえる傾向にあるという回答が全体の五四%を占めているわけです。また、ある産別組合の五十八年七月の調査でもほぼ同様の結果があらわれているわけです。組合の調査結果によると、このように単身赴任の割合は年齢が高くなるにつれて上昇しておる。特に高校生を抱える家庭では四人のうち三人までが別居生活を強いられる、こういう中高年にとって非常に厳しい現実を浮き彫りにしているというふうに私は思います。  単身赴任は転勤に伴って生じてきた問題であるわけでありますが、企業と転勤についてのルールがきちんとできているところは必ずしもそう多くはないと私は思うのです。私の承知する組合の調査によると、本人の同意が必要だとするところは四・二%、協議の上会社が決定あるいは事前に本人の意見を聞き会社が決定をする、これを加えても、本人の意向が多少とも参酌されるというのは半分くらいにしか達しない。勤労者の家庭生活に極めて深刻な犠牲を強いるばかりではなく、場合によっては家庭の崩壊につながっていく、あるいはそういう問題を引き起こしかねない。それほど転勤問題から起こる単身赴任というのは問題を非常に多くはらんでいる。とりわけ、十分なルールのない、そういう立場で働いている、あるいは転勤を命ぜられる、単身赴任をしなければいけない中高年層の、私は言葉は妥当ではないかもわかりませんけれども、泣き寝入りを防いでいこう、あるいはそういう人たちの問題を何とか解決していこう、そういう意味からも、労働省として何らかの保護措置を講ずる必要があるのではないだろうか、こういうふうに思うのです。  ただ、保護措置という、この保護という言葉になるとまた非常に過保護的な発想に受けとめられるわけですけれども、私は、そういうのは保護措置ではない。むしろ、そういう結果問題の起こらないように措置を講じていくための対応策ですね、そういうものが今必要ではないだろうか。大きい企業等では労働協約があって、本人の同意条項を盛り込むように指導するのも一つの解決策ではあるわけでありますが、中小零細企業の場合には労働組合のないケースも多いわけであります。労基法等の法令による保護措置を早急に検討すべき段階に来ていると私は思うわけであります。だから、どのような対応策がいいのか、これはこれからいろいろと検討していかなければいけないわけでありますし、そういう意味で、ひとつ単身赴任に対する問題を少なくするための労働省の何らかのお考えを、この際私は聞いておきたい。  十分なルールがあって、あるいは本人の同意があっても、例えば帰郷旅費というのですか、東京−大阪なら東京−大阪の帰郷旅費は半年に一回しか手当を支給しないとか、あるいはよくしても月に一回だ、そういうことではいわゆる家族の信頼関係あるいは家庭の幸せというものはそこには十分に成り立っていかぬわけでありますから、いろいろ問題があろうと私は思うのです。だから、これは総まとめで私なりの考え、調査に基づいた見解を申し上げましたけれども、ひとつ、労働省としても単身赴任に対する問題意識をどのようにとらえ、そしてそれに対してどういう対応策を考えていらっしゃるのか、ここで聞かしていただきたいと思います。
  41. 赤松良子

    ○赤松政府委員 単身赴任の問題につきましては、ただいま先生が御指摘のようないろいろな点があると私どもも考えております。これまで単身赴任問題につきましては余り多くの調査などがございませんで、実態の把握が幾分十分でないという点もございます。勤労者家庭の妻の意識に関するアンケート調査は最近したものでございますが、それ以外には勤労者動向調査などで数は把握いたしております。民間の企業でこれらの方たちに対してどのような援助措置がとられているかというようなことにつきましては、先ほど先生のお示しになりました調査はございますが、これは必ずしもそれほど多くの対象というわけにもまいりませんし、私どももう少しきちんとした把握をしておく必要があろうかと思っております。その把握にただいま鋭意努めているところでございまして、そういう援助措置がどのようにとられているかというような分析もいたしたい。基本的には労使の間でいろいろと話し合いがなされて適切な援助がなされるということが望ましいと思いますが、それにつきましては、実態等も把握した上で労働省といたしましても総合的に考えてまいりたいと考えております。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 局長、答弁としてはそんな答弁ではだめだよ。やはり少ない調査の対象でこういう数字が出ているのだから、もっともっと数字は、抱えている問題はより大きいと私は思うのです。  労働大臣、単身赴任については非常に問題がある、いろいろな社会問題を引き起こしているということについて、労働省が十分な行政指導を含めた中で保護措置を講じていく、そういう強い決意を持っていらっしゃるのかどうか、大臣から所見を聞いておきたいと思います。
  43. 坂本三十次

    坂本国務大臣 以前は単身赴任というのは余りなくて、転勤になると家族一緒に行ったような話をよく聞きますが、最近になると、さっき井上さんおっしゃったように、特に高校生など、これははっきり言うと受験ということですね。教育ということももちろんあるのでしょうが、受験が近づいてくれば奥さんはだんなのことより子供のことに非常に関心が強くなる、これが一番の原因だろうと言われております。そのほかに、親の面倒を見たいとか、自分に持ち家があるからというようなこともありますが、子供に対する、特に受験に対する心配というのが大きな原因ではなかろうか。しかし、日本の勤労者は非常にまじめでありまして、終身雇用制でもございますし、会社に対する忠誠心というのも外国から比べれば強い方だと思いますし、その辺のところの板挟みではなかろうかなという気持ちが私もいたしております。  しかし、そういう時代になってきたわけでありまするから、基本的には労使の間で工夫をなさるべきことではありまするが、単身赴任問題というのはだんだん社会的な問題としても取り上げられてくるような昨今でありますし、しかし、そうかといって、今政府委員が答弁しましたように、まだ本当の実態調査までしっかり踏み込んでおらないような状況であります。そういう調査も進めながら、何らかの対策は考えていかなければならない。もちろん行政指導なども必要ならばとるような方向で、労働省としても前向きに取り組んでいかなければならぬという気が私はいたしております。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 余り時間がないので、私はこの問題はこれで終えますが、少しの抽出した対象者の意見をまとめてもこういう状況なんです。教育の問題、教育改革云々ということを今中曽根総理が大きな目玉にしている。片側でこういうことをほっておいて、何の教育に気を配るあるいは配慮した行政が、こういうことになるのですよ。全部の実態がわからなくたって、個々の点をさわったらこの面が全部わかるというくらいの行政をやらなければだめだということなんです。私は、特に単身赴任の問題から引き起こる社会問題を解決していくために、局長の格段の努力をむしろお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  次に、男女雇用平等法について質問をいたしたいと思います。  男女雇用平等法の制定作業も、先ごろの婦人少年問題審議会の報告を受けていよいよ大詰めの段階を迎えている。しかし、この報告では、主要な事項について労使代表の対立が激しく、三論併記の形をとった。労働省としての法案の取りまとめ作業の動向が実は注目をされている、こういうことだと思うのです。一部の新聞では今月の中旬にも労働省の原案がまとまる見込みであるということが報道されているわけですが、どうなんでしょうか。
  45. 赤松良子

    ○赤松政府委員 四月の中旬と申しますと、もう既に中旬になっておりまして、私どもできるだけ早く法案作成をいたしたいと念願いたして日夜励んでいるわけでございます。中旬の声も聞きましたが、まだ調整に手間取っておりまして、法案の提出に至っておりません。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 めどはいつごろに持っていらっしゃるのですか。
  47. 赤松良子

    ○赤松政府委員 あと所要の手続といたしまして、審議会に法案要綱をお諮りするということがございます。それと並行いたしまして各省断衝いたしておりますわけで、法案の要綱を御諮問申し上げて、これが非常に速いスピードで答申をいただけるのであれば、今月あと半分骨ございますので、その間にできるだけいたしたいと思っておりますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、建議の中身が一本にまとまっておりませんので、そのように早く答申がいただけるかどうかにつきましては、まだ確信が持てない段階でございます。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 雇用面の男女平等は、ここで私が繰り返す必要はないと思うわけでありますが、基本的人権にかかわる問題であり、国際婦人の十年の最終年を来年に控えているわけですね。婦人差別撤廃条約を批准するためにも、やはり国内法の整備を急ぐ必要がある。経済的には我が国も既に先進国の仲間入りを果たしているわけでありますが、男女の役割分担意識がなお根強く残っていると言われるわけであります。そういう我が国で、男女の雇用面での平等を実質的に達成するために、関係法令の主要な事項を、経営者側委員の主張のごとく当分の間努力義務規定とするのではなく、強行規定とすべきであると私は思うわけでありますが、この点についてはどういうふうにとらえていらっしゃるでしょうか。
  49. 赤松良子

    ○赤松政府委員 審議会の長期にわたる御審議の間にも、先生の御指摘のような、努力義務では効果が上がらないのではないか、強行規定にするべきだ、あるいは罰則をつけて強行すべきであるという御意見が何度か労働側から主張されたのは事実でございます。これを審議会の場でいろいろと御討議をいただいたわけでございますが、これにつきましては一致した結論が得られず、公益の先生からは一部努力義務、一部強行規定、それから使用者側からはすべてにわたって努力義務、このような建議をちょうだいしたわけでございますので、私どもは、それまでの議論の過程をよく考えまして法案の作成をいたしたいというふうに思っております。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 この法案に対する経営者側の考えは、要するに、雇用における男女の平等をすぐに実効のあるものにしてもらっては困るということに尽きるように私には思われるわけなんですよ。しかし、今回の男女雇用平等法の具体的論議の発端というのは、昭和五十年六月の国連国際婦人年世界会議にまでさかのぼるものであると思うのです。五十四年の十二月には国連で婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を採択し、我が国でも五十五年の七月にはこれに署名するなど、十分過ぎる時間をかけているわけです。かつ、必要な手順を踏んで今日に至っている、こういうことでありまして、したがって、もしここで経営者側の意向のようにすぐには実効の上がらない法案をつくったとすれば、国際社会における我が国の信用の失墜を招くのではないか。そればかりではない。深刻化しつつある西側先進国との経済摩擦の問題にも実は悪影響を及ぼすおそれも十分に考えられるのではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  このような観点からも、労働省としては、世界に向かってというのはオーバーかもわかりませんけれども、堂々と胸を張れるような法案の整備に踏み切るべきだと私は思うわけです。いろいろな御意見があろう。しかし、この生まれ来った発端なり経緯なり、あるいは我が国の男女間の平等を十分に保障していくという取り組み、一切の男女間の今後の差別は禁止するのだ、それぐらいの強い決意の表明、こういうことを考えて、私は、労働省の法案整備の踏み切りを一日も早くなされるように強く要望、期待をするのですが、この点についてひとつお答えをいただいておきましょう。
  51. 坂本三十次

    坂本国務大臣 この間の建議はまとまっておるところも少しあるのです。だけれども、両論併記もあれば、極端なところは三論併記もある。しかし、これは過去六年間も審議会で勉強した結果がいまだに両論、三論というのが現実でございます。  その両論、三論が出る背景というものは、使用者側にとっては、今までは終身雇用、年功序列ということで、一遍採用したら一生訓練しながら社内で働いてもらうというような意気込みでやったものですから、当然男中心ではありますね。戦後のあの第二次産業で日本の高度成長がやってくるまでは特にそうです。最近は第三次産業が多くなって女が出てきた、様子が変わってきたというところがまた一つの進展の機運にもなろうかとは思っておりまするが、やはりこういう今までやったことのないことをやらなければいかぬということでちゅうちょがあるのだろうと思います。  片や婦人の側でも、欧米に見られるように機会を均等にしてくれという、それほどの積極的な機運は、まだそこまでは行っていないように思います。欧米のようにチャンスを一緒にしろ、そして、一緒に働いて一緒の能力があれば、均等な待遇、平等な待遇をしてくれというところまではまだ行ってない。それで、今までの保護はなるべくみんな残せというようなことでございますから、その両方から出てくる意見というものが両論、三論になったというふうに、これはなかなか難しいところがございます。  欧米に比べて日本の男女の関係の見方というものは、まだまだ欧米ほど男女平等というような、個人主義が男女平等まで——ドライと言えばドライ、しっかり確立したと言えば確立した、そこまで日本の社会的な歴史的な条件は、現実実情としてはまだ行ってないように思われます。それがやはりその両論、三論の原因ではなかろうかなと私は思っておりまするが、とにかく来年が批准年でございまして、あなたのおっしゃるようにいいものをつくりたいと思いますが、日本人は熱しやすく冷めやすいのでありまして、ことしやあやあ言っておって結論が出なくてスタートしなかったら、来年以降になったら消えてしまう可能性があるのです。ぱっと燃えてすっとなくなってしまう。私はそうなったら困ることだと思いますよ。ですから、やはりこの際はスタートをして、そして、後は徳川家康よろしく、重き荷物を持って歩むがごとくで、そう急がないで一歩一歩、スロー・アンド・バット・ステディで行った方がいい、その方向に正しく向かってしっかりしっかり歩んだ方が最後は成果を生むのではないかなというようないろいろな感じもいたしまして、とにかく二論、三論あっても、労働省として、やはりこれが将来の日本のあるべき姿だと思うようなところを、ひとつ何らかの責任のある案を出して御審議に供したい、こう思っております。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、この問題はしっかりやっていただきたい。私からもお願いをしておきます。  さらに、国際技能オリンピックについて少し尋ねておきます。  御承知のように、国際職業訓練競技大会が、昭和六十年、これは国際青年年でもあるわけですが、大阪で開催されることになったわけです。これは、参加国における職業訓練の振興、あるいは青年技能労働者の国際交流及び親善を目的として開催されるわけでありますから、今さら私から申し上げる必要はないわけでありますけれども、どうも今日までのこの大会参加国は西側諸国に限られていると言っても過言ではないと思うのです。  今回、日本で二度目の大会でありますけれども、私は、できれば、職業訓練の振興が今後ますます重要になると思われる開発途上国、さらには東側諸国も含めて、ぜひこういう機会に参加を呼びかけていこうではないか。青年技能労働者の国際交流及び友好親善の促進という目的、また、たまたま国際青年年にも当たる、こういうことを考えていくと、ぜひ関係機関を通じて、私が申し上げたように、開発途上国や東側諸国にも国際組織委員会への加入と、そして、できれば日本大会への参加を積極的に呼びかけてみてはどうだろうか、こう思うのですが、労働省の御見解を聞いておきたいと思います。
  53. 宮川知雄

    ○宮川政府委員 ただいまお話ございましたように、この技能オリンピックは、青年技能技術労働者の交流を通じまして、国際親善と参加各国における職業訓練の振興を図ることが目的でございます。そういう意味では、特に国際親善を図るという意味では、参加国は多ければ多いほどよろしいと思います。  そういうことで、労働省といたしましても、政府といたしましても、参加国がふえる方向でいろいろ考えておるわけでございますが、先生御存じのように、この国際組織委員会自体は、参加各国の民間団体の主催、加入でございます。我が国におきましては、中央職業能力開発協会が加盟しているところでございまして、政府として直接にこれをどうこうするということは形の上ではできないところでございます。しかしながら、国際親善の発展、国際国家日本ということでございますので、そこはぜひ考えなければいけないということで、先日の閣議でも政府挙げて協力しよう、そういう了解をいただいているところでございます。そういう趣旨からするならば、参加国が多ければ多いほどいいということで、国際組織委員会あるいは日本組織委員会とも労働省といたしましても十分前向きに相談を進めていきたい、かように考えております。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 さっき大臣が、要は歩きはじめなければいかぬ、こういうことを言っているわけなんです。あなたの答弁で、僕は前段非常にいいと思った。しかし、中ほどでこちょこちょとこれは民間云々、こういうような話、本当に積極的に多くの国に参加を呼びかけていこう、そういうことが歩き出さぬことにはこれは物にならぬわけでありますから、ひとつ大臣のさっきの答弁のように、ぜひ強力に推し進めていただきたい。  とりわけ、我が国と友好をより深めていき、ますます強いものにしていきたいと心から願う隣国中国との問題なんです。この間、中曽根総理も訪中をして、日中友好をより深めていこう、こういう約束をしているわけなんです。これは日本一国の総理が約束しているわけです。この機会に少なくとも、四つの近代化を国是としている中国に対して、ぜひ日本における大会へ参加を強く働きかけてみてはどうだろうか、こういうことを提案するわけなんです。今回は、政府の御努力なり関係機関の御努力によって私の地元である大阪で開催をする、こういうことなんですよ。私は、前段でさっき申し上げた開発途上国なり東側諸国というものには、時間的なあるいは手続論もあっていろいろ大変というか時間を要して、この六十年には、二十八回大会には間に合わないかもしれませんが、少なくとも中国に対してはアプローチをし、地元大阪府等々あるいは開催地の摂津市等々とも相談をしながら、特別参加の形で中国を招待してみてはどうか。そのことが日中友好の強いかけ橋になると私は思うわけです。それが中曽根総理が日中友好親善をより深め強めていこうという約束を少しでも果たすことになる、民間レベルを含めて、そういうのがやはり行政政治だと思うのだ。そういうことができないようでは、労働省の仕事というのは何も労働省の省内だけでやる問題でなく、これはまさに日中友好、さらに中国の特別参加、ぜひ実現を図ってほしい。大臣にこのことについては特に私はお考えを聞いておきたいと思うのです。いかがでございましょうか。
  55. 坂本三十次

    坂本国務大臣 井上さんのおっしゃることは、私も政治家でありますからまことに結構だと思いますよ。これは大分昔のことだけれども、我々は日中の国交回復をやろうとして一生懸命になったことがある。そのときにはピンポンで、まずスポーツから始まった、貿易もやった、そして最後に政治が後を追った、仕上がった。近ごろ中国と韓国との間でも何かスポーツ交流をやろうとしている。この技能オリンピックでも、これは技能スポーツ、オリンピックですから、そういう契機とすれば、私はまことに結構だと思います。しかし、局長が言うように、私どもが主人公というよりも後押しの方ですから、その分は心得なければなりませんけれども、あなたのおっしゃることは私は非常に賛成だと思います。そこはひとつ何らか実効の上がるようなことを考えまして、組織委員会が中心でございますから、その皆さんにも働きかけたりして、しかし、中国が来たいというような話はまだ聞いておらぬのですけれども、中国の御意思も確かめて、できるだけそういう方向に持っていければ非常に結構だと思います。賛成します。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 正式に組織委員会から特別参加で招待をすることがない限り、中国の意思はまだ私も確認はいたしておりませんが、こういう折に、ぜひ組織委員会のメンバーである関係団体とも相談をして、労働省としては全面的な協力をしてほしい。大臣お答えで、事務レベル、これは間違いないですね、大臣がそういうように僕に約束しているのだから。私の意、大臣お答え、これを十分理解して努力をするということをここで再確認のために約束してください。
  57. 宮川知雄

    ○宮川政府委員 日中友好ということは、私ども公務員としても絶えず念頭にあるものでございます。現に、話は少し違いますが、私どもの職業訓練大学校では積極的に中国の留学生を導入しているところでございます。おっしゃるとおり十分検討してまいります。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 検討じゃない、努力するということ、余計な前段の……
  59. 宮川知雄

    ○宮川政府委員 努力いたします。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 あなた方行政はどうも無難な答弁だと思っているようだが、やはりはっきりするものははっきりしたお答えをしてほしい。大臣がはっきりとあれだけのしっかりとしたお考えを述べていらっしゃるのだから、あなたが検討するで、どっちが大臣なんだ。努力すると大臣が言われているのだから……。  時間が来たので、最後に一問。きょう参考人で御出席をいただいて、雇用促進事業団の副理事長さんどうもありがとうございます。日ごろ雇用促進事業団の果たしている役割は私はそれなりに多とするわけであります。実は時代の変化というのでしょうか、世の中の生活のリズムあるいは世の中の出来事も含めて、いろいろそのときそのときに的確適正な対応をしていかなければいけないと思うわけであります。とりわけ、身体障害者の雇用促進についてどのように事業団が役割を果たしていこうとしているのか、あるいは今までも幾分なりとも果たしてこられた、しかしながら、そのことではまだまだ十分ではないし、むしろもっと先取りをした役割を明確にしながら今対応をなされるべきではないだろうか。ただ、身体障害者雇用の問題については、政府、外郭団体も含めて、まだ達成基準に到達してない外郭団体もあるわけなんです。きょうは時間がありませんからそんなことを指摘はしませんが、雇用促進事業団が身体障害者の雇用促進について今後どのように役割を果たしていこうとなさっていらっしゃるのか、そのことにおいて事業団の存在が問われてくると私は思っているわけです。そのことをお聞きして私の質問を終えたいと思います。
  61. 岩崎隆造

    岩崎参考人 私ども事業団といたしましては、雇用対策と表裏一体をなしましていろいろな施策をやっておるわけでございますが、その中で心身障害者の雇用対策は最重点の一つの柱として考えております。従来ともに職業安定行政と一体をなしまして私ども役割を果たさせていただいているわけでございますが、その中で特に心身障害者職業センター、これは心身障害者の就職適性を検定いたしまして、職業安定所とタイアップして就職促進を図っていくという仕事でございまして、現在全国四十七都道府県既に設置をいたしております。これによって雇用の促進は相当図られておると考えております。  それからさらに、心身障害者のための福祉施設といたしまして、一つには、心身障害者の住宅の建設の促進、あるいはまた、教養、文化、体育施設の設置というようなことで充実を図っていくということを考えておりますし、さらには、納付金制度を裏づけといたしまして、各種の事業主に対する身体障害者を雇う際の助成措置を行っております。さらに、身体障害者が就職をして実際に働くためのいろいろな補助器具、例えば自動車とかあるいは電動ミシンとかいうものについての補助業務というようなこともやっておりまして、今後ともにそういった心身障害者職業センターの充実、それから各種福祉施設等のさらに一層の充実というようなことを柱に、あくまでも雇用促進事業団の重要な施策の柱として促進をしてまいりたいと考えております。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 まだ私は予定をしている質問があったわけなんです。しかし、私に与えられた時間がもう来ました。せっかくお越しをいただいて一問で終えますが、次の機会にもまたいろいろと事業団の取り組みを聞かせていただきたい。きょうはどうもありがとうございました。  これで終わります。
  63. 横山利秋

    横山委員長 河野正君。
  64. 河野正

    ○河野(正)委員 今、単身赴任の問題について、いろいろ井上委員からも御質問があったところでございますが、きょうは私の本論ではないわけですけれども、そのやりとりを承っておりまして、実は非常に失望したわけです。というのは、この単身赴任の経験者というものは一六%の経験者がある。サラリーマンとしてはかなりの重い比重を持っておるわけですね。そういう意味では、社会問題としてもかなり重い比重を持っておる、こういうふうに申し上げても過言ではないと私は思うのです。  そこで、井上議員とのやりとりを伺っておりまして感じておりましたのは、一つは、まだ調査の範囲というものが非常に狭い。ですから、もっと調査を拡大して、こういう話がございました。それはそのとおりだと思います。ただ、私がここで指摘したいと思うのは、そういうふうに量をふやせばよろしいのかということですね。ところが、その量をふやせばということは、主として経済面だけが取り上げられておりますね。ですから、六割に経済的な悩みがある。それからアンケートがいろいろありますが、中には、夫がどういう生活をしているだろうかというような悩みがあることもそのとおりです。ですけれども、私は、留守家庭への重圧というものが非常に重いというのは、一つは経済問題があると思うんですね、二重生活ですから。それからまた、経済ではございませんけれども、さっき労働大臣からもお話がございましたが、子弟の教育とかそういうものがあると思うのです。しかし、そういう側面と、もう一つの側面を忘れてはならぬのは心理的な影響はどうか、これは全く片手落ちですね。私は、やはり経済的な負担、そういうのが家庭の大きな重圧になるということはそのとおりだと思うのです。それをもっともっと深く追及するというようなことについても私ども否定するものではございません。ですけれども、それと同時に並行して、心理的にはどういう影響を与えておるのか、単身で赴任した夫がどういう心理的な悩みを持っておるのか、この点の調査が行われていない。行われておるのならここでひとつ明らかにしてもらいたいと思いますけれどもね。これは調査としては非常に欠陥調査だと思うのです。この点を側面的にやらなければ、本当のいわゆる単身赴任の諸問題に対する、今後検討するという材料には、全然ならぬとは言わぬけれども、非常に片手落ちだ、こういうふうに指摘せざるを得ないと思うが、その点についてはいかがでしょうか。
  65. 赤松良子

    ○赤松政府委員 先生指摘の調査は、「勤労者家庭の妻の意識に関するアンケート調査」かと存じますが、この中で、「留守家庭において困ったことがある」というふうに九二%の経験者が答えているわけでございますが、御指摘のように「夫の生活が分からず、不安である」と答えた方が、その九二%を一〇〇といたしますと、さらに二五%、四分の一の方がそういうふうに答えているわけでございます。また「夫婦間がうまくゆかない」などというお答えも、少しではございますがあったわけでございます。「その他」は、心理的なとおっしゃった先生の御質問に該当、あるいはしないのかと思いますが、一応そのような答えが出ておりますので、さらにこれをブレークダウンをいたしまして、どのようなことが不安なのかというようなことにつきましては、さらに機会を得まして追跡をいたしたい、こういうふうに考えております。
  66. 河野正

    ○河野(正)委員 私の質問とちょっとそれているのですが、今、留守家庭に対する問題としては、夫がどうしているだろうかとかそういう不安があるというような数字が今示されたとおりですね。ただ、単身赴任をした夫側にどういう心理的な影響というものが出てきておるのかということについては、今お答えではないわけですよ。ところが、それをやらぬと、本当の意識調査にならぬと私は思うんですよ。とにかくいろいろ経済的負担を重圧に感じておるとか、あるいは夫の生活がどうだろうかという心配があるとか、それは留守家庭の問題でしょう。単身赴任をした御本人が、単身赴任によってどういう影響を受けておるのか。その辺が全く欠落しておるじゃないか、こういうふうに申し上げているのです。
  67. 赤松良子

    ○赤松政府委員 失礼いたしました。私どもの調査は、労働者家族の方からアプローチをいたしておりますので、単身赴任をされた夫の側の調査は、御指摘のように現在のところございません。
  68. 河野正

    ○河野(正)委員 それでは、せっかくいろいろ熱心に作業をされた実績が出ておるわけですから、私はその労は多とします。けれども、それだけでこの問題に対する具体的な対応ができるということには相ならぬ。それはやはり最近自殺白書なんか出ていますね。もう戦後最高の自殺者が出ている。それから、中高年以上になりますと、うつ病、心身症、いろいろな問題が出ていますね。極端に言うと、やはり外国へ行ったって我々ホームシックにかかるでしょう。それは一番極端な例ですけれどもね。そういうようないろいろな心理的影響というものが、単身赴任することによって出てくることはもう明らかですよ。やはりその辺をきちっと的確に把握をして、そうして一方では、留守家庭というものがどういう重圧を受けているのか、御本人は一体単身赴任によってどういう重圧を受けているのか、この二つを完全に掌握して、その掌握に立って具体的な対応をどう考えるか、こうならぬと、私は、率直に言ってこの問題の解決にならぬと思うのです。先ほど井上議員から質問が出まして、それを横で聞いておって、これはどうも納得いかぬなというふうに感じたわけです。大臣、いかがでしょうか。
  69. 坂本三十次

    坂本国務大臣 なるほど、河野さんのおっしゃるところがやはり欠落をしておったということは、今後考えていかなければならぬ大事なところだろうと思います。目に見えるような、例えば経済的な損得ということはそれはわかりますけれども、もっと深く掘り下げて、そして、現代の社会の中で勤労者が心理的にどう影響を受けておるかというようなことまでやはり考えるということは非常に大事なことだと思っておりまして、今局長が答弁いたしましたように、次のしかるべき調査のときなどは、あなたのそういう御忠告を入れて調査をしたら結構だろうと私は思っております。
  70. 河野正

    ○河野(正)委員 今大臣が、今後そういうことで作業を進めるということですから、それが出てきた暁にはやや完全に近い意識調査になると思うのです。そういうことでぜひひとつ早急にそういう作業を進めていただきたいと思います。  それからもう一つ、非常に不満でございましたのは、私は、各省はそれぞれそうだと思うわけでありますけれども、しかし、労働省は特に、労働者の権益を守って差し上げるという意味で、各省のどの機関よりも大きなウエートを持っていると思うのです。ところが、この単身赴任に基づいて家庭内の重圧がある、経済的にもそうだが子弟の教育等もある。そういうものが社会問題化して、予算委員会では総理ももっと前向きのお答えをしておられますね、具体的に検討させると。その具体的に検討するのは、やはり労働大臣が中心として検討なさるべきではないだろうかと思うのです。  ですから、今の資料の収集についてまだまだ欠陥があるということが一つ。  それから、わかったものについては具体的にどう対応するのか。総理も予算委員会で具体的に対応したいとおっしゃっているのですよ。ところが、具体的対応については余り明確に具体的にはおっしゃらなかったですね、何とかしなければならぬとはおっしゃったが。それは総理の答弁よりも少し下がっていますよ。ですから、最終的ないわゆる意識調査はでき上がっていないということではあるけれども、このことが非常に社会問題化していることは事実ですね。ですから、それに対して労働省としては具体的にどう対応すべきであるか、その辺がきょうの答弁では欠けておるのではないでしょうか。そういう際には具体的な対応をすぐ検討しますと言っておられるわけですから、もう労働省みずからも、そういった検討段階は過ぎて、そしてどういう対応をしようかということがそろそろ出てきておらなければならぬのじゃないか。これはどの程度まで御検討いただいておりますか。
  71. 赤松良子

    ○赤松政府委員 先ほどの調査をいたしましたのは昨年九月でございました。発表いたしましたのはつい最近のことでございます。この問題が社会問題化してきたことは認識しておりましたが、私どもの取り組みのスタートが遅いこともございまして、ただいま先生指摘のような点があろうかと存じます。予算委員会での御討議などをよく踏まえまして、今後どのようなことをしていけばよろしいかということについて具体的に取り組んでまいりたいと思います。
  72. 河野正

    ○河野(正)委員 実は、予算委員会では非常に話が進んでおりますね。これはもう予算委員会でお答えになっておるわけですから、決してはったりでおっしゃったわけではないだろうと思うのですね。しかし、きょう決算委員会でお答えになっておる回答は、予算委員会に比べると非常に見劣りしますね。  そこで、私は、これは本論ではないわけですから一言申し上げますが、予算委員会では大蔵大臣は何と言っておるか。竹下大蔵大臣は、大蔵省としても税金の問題について研究したいと言っているのですね。単身赴任の場合は六割の家庭が経済的重圧を受けるということならば、税制の問題について考えてやらなければいかぬだろう、こういう具体的な答弁が予算委員会でなされておるわけでしょう。ですから、一番大事な中心にならなきゃならない労働省が今から検討するということでは、ある意味においては一竹下大蔵大臣が、もう家庭が経済的な負担に耐えかねる、そういうことならば、税制面で考慮をしていささかでも経済的な面で役立つように配慮をしたい、こう言っておられる。そうしますと、今の労働省の答えでは、何か決算委員会はばかにされたような気持ちがしてならなかったのです、井上委員がいろいろ質疑応答されておるのをじっと聞いておって。私どもの期待は、労働者の権利、生活擁護ということについては、各省の中でも労働省が一番重いウエートを持って考えていただいておる、そうでなきゃならぬというふうに私どもも、これは労働基準法なりその他の関係から見てもそういう建前になっていますね。他の閣僚は予算委員会で、具体的に検討する、具体案というものをもう既に出しておられる。ところが、残念ながら労働省の方は、今から検討する、その答えでは、私どもは全く失望せざるを得ない、この点どうでしょうか。
  73. 坂本三十次

    坂本国務大臣 予算委員会は私も出ておりましたから、総理の答弁も聞きました。総理の答弁は、単身赴任問題が社会的に非常に関心を引いておる、大きな問題だ、反響が大きい、よく指摘していただいた、これは今後具体的に検討をいたさなければならぬ、こういう趣旨であります。今別に総理が具体的な案を持っておるというわけではないのであって、今がないからひとつ将来具体的な問題を検討しましょうという趣旨だったと思います。  大蔵大臣も、検討はしますと最後に申されましたね、交通費とか単身赴任手当とかいうことについてもっと税制面で配慮したらどうかという質問に対しまして。しかし、前提条件は大分長かったですよ。いろいろありました。雇用上の問題だとかいろいろございまして、まあ最後には、検討をしますとおっしゃいました。これも具体的な問題があって、そしてそれをやりますというところまではまだ——そのときおりまして、私の感じですよ。まあこれは、総理もああおっしゃったものだから検討はしたいという趣旨だろうと思っております。  一方、労働省の方は、これはこっちが担当でございますから、そう簡単に気軽に思いっきだけというわけにはいかぬものですから、やはりあなたのおっしゃるような調査もいろいろな面で進めて、やるときには私どもが責任者になるわけでございますから、しっかりした具体策をということになりますと、決して総理や大蔵大臣が軽々しくおっしゃったということを言うわけじゃありませんけれども、具体策をつくるということについてこっちの方がもっともっと責任があるわけですから、これからしっかりやらなければいかぬという趣旨でありまして、決してこの問題を労働省としてほかの各省よりは軽く見ておるというようなことはない、重く見ておるから具体策を今非常に一生懸命やらなきゃならぬ、こういう趣旨でございますから、どうぞ誤解のないように。
  74. 河野正

    ○河野(正)委員 誤解をしているんじゃなくて、私は事実を申し上げているのですよ。もちろん、それならどういう具体的な対応をするかという結論がすぐに出てくるというふうに私どもは理解をしてない。それはいろいろあるでしょう、各省との折衝もございますから。総理の答弁も、具体的な検討をすると言うけれども、具体的には何かと言ったら何もない。ですけれども、少なくとも大蔵大臣は、税制面その他において、これはできるかできないかわからぬけれども、具体的にそういうことを検討しようという意思であることは間違いない。ですから、今労働大臣がおっしゃるように、我々がやはり中心になってやるべきだ、そのとおりだと私は思う。そういう意味で、むしろこういう問題は労働省がイニシアチブを持って、主導権を持ってやってもらいたい。大蔵大臣がそう言うのならそれも解決の一つでしょうと。ですから、労働省としても、この単身赴任にまつわるいろいろな問題があるわけですから、その問題の解決の一助として、大蔵大臣のそういう意見については我々もひとつ検討しましょうとか、あるいはその他お考えになっておれば、それらについても検討しましょう、こういうような答えが出ておれば——ここで最終結論が出てくる、それを私どもは求めておるわけじゃない。それはなかなか難しいですよ、税制面でもまたすぐ簡単にいこうとは思いません。ですけれども、少なくとも労働大臣が内閣の中心になってやらなければならぬ問題でしょう。だから、もっと前向きな答えが出てくるべきではなかろうか。それは、総理の答弁あるいは大蔵大臣の答弁が軽々と申されたというふうに私どもは理解しておらない。やはり、ああそういう事実があるならば何とかしてお手伝いしなければならぬのじゃなかろうかという意味でそういう議論が出たと私は思うのです。ところが、その議論が実際に実現するかどうかについてはそう簡単に——実現するかどうかについてはまだまだ時間的な問題もあろうと思います。あるいは技術上の問題もあると思いますよ。ですけれども、労働大臣としてはあるいは婦人少年局長としては、こういう問題は重大な問題だから、さしあたりこういうことについてはひとつ検討したいと思うがということぐらいは、決算委員会でお聞かせいただいたらどうだろうかということで、あえて私は取り上げたわけです。ひとつこれについてこういうことをやってみたいという御見解があればもうそれでいいです。それができなければできないでいいわけですから、きょうは労働省関係の審議ですので、少なくとも、予算委員会が上がこの決算委員会が上がということは別として、やはり私どもは労働大臣から所管ですからもっと前向きなお答えが聞きたい、こういう意味であえて指摘をしておるわけです。その点についてひとつ。
  75. 赤松良子

    ○赤松政府委員 私どもも検討を始めたばかりで、なかなか適切なお答えがしにくいわけで恐縮でございますが、一つの方向といたしましては、例えば、企業におきまして単身赴任者に対していろいろな手当が出されているということを聞いております。例えば別居手当あるいは一時帰省のための交通費、その他設備のある施設へ入れるようにするというような、さまざまな援助措置が講ぜられているようでございますが、もう少し具体的などういうふうな性格のものであるとかというものは必ずしもよくわかっておりません。  そこで、例えば税制上の問題を考えるに当たりましても、それがどういう性格の手当であるか。例えば給与であれば給与としての税の対象になるでございましょうし、そうでなければまた違った制度が適用されるのかもしれません。あるいは、交通費は通勤手当と同じものなのか違うものなのかというようなことにつきましても検討が必要かと存じます。そのようなさまざまな、給与だとか援助措置だとかというものの分析はすぐにでもできるのではないかと思っております。
  76. 河野正

    ○河野(正)委員 例えば国鉄などは、金曜日に帰省する別ダイヤの列車を発車させる、こういう措置も行われているわけでしょう、要するに単身赴任者のために。そういうふうに社会問題化しておるものですから、さすがの国鉄と言ったら悪いですけれども、国鉄すらそういった配慮をしてもう既に実行しておるわけでしょう。帰省のために特別のダイヤを組む、そういう措置をやっているのですね。ですけれども、今局長お答えになりましたが、国鉄が帰省のための列車を臨時で出すというような問題もあるけれども、やはり先立つものは金ですよ。ですから、交通費というものが出るのか出ないのか。これは恐らく今までは出てないと思うのです。ですから、大体それを利用する人は主として高給のクラスの人ですね。大体金曜日、例えば東京に帰る臨時の列車を利用する人はもうかなり高給の地位にある人だと私は思うのです、私もその事例を幾つか知っておりますから。けれども、単身赴任の被害は高給の地位の人ばかりではないわけです。一般の庶民、一般のサラリーマンもやはり金曜日、週休二日でなければ土曜日ということになりましょうが、土曜日の午後には帰れる、そのためには財政的な措置をする、そういう指導がなされなければ、なかなか今の企業というものはそう——この春闘でわかるでしょう。春闘解決するために不眠不休でやっておるが、百円硬貨をあと一枚積み上げるか二枚積み上げるかというような形の春闘ですよ。ですから、現実にはなかなか厳しいと思いますよ。ですけれども、単身赴任は家庭も本人もそれぞれ重圧を受けておるわけですから、そのためにも、この際、大臣も陣頭に立ってこの問題の解決のために努力しよう、こういう決意だけはひとつここで明らかにしていただきたい、こういうように思います。
  77. 坂本三十次

    坂本国務大臣 おっしゃるとおり、いろいろ広範多岐にわたっておるようでございまして、ただいま局長からも答弁をいたしましたように、いろいろな関係の皆さんのお知恵を集めまして、そして前向きに検討していきたいと思っております。
  78. 河野正

    ○河野(正)委員 今から本論に入るわけですが、回り遣いたしましたので少し時間が窮屈になりましたけれども、後はよろしくお願いしたいと思います。  これはいろいろな問題と関連するわけですけれども、例えば、定年制の問題とかあるいは機構改革の問題とか、特に臨調の答申以来、行政機関の機構改革という問題が非常に厳しく言われておる中で、実は役人天国といいますか、いわゆる高級官僚だけがぬくぬくと天下り大事に応じておる、こういう状況があることはもう御承知のとおりです。ところが、臨調でもそういうふうに答申の中で示しておるわけですし、同時に閣議でもいろいろな取り決め等も行っておるようでございますけれども、依然として天下り人事というものが減らない。これは臨調の方針とも逆行する問題ではなかろうかと思うのです。  そういう意味で、高級官吏の天下りの問題に対して一体、労働省が直接の所管でない分もありますが、一般の労働者は、定年退職、そして第二の職場を見つけたにしても低賃金、そのために年金で生活しなければならぬ、こういう状況です。その中で、高級役人だけがぬくぬくと自分たちの権利だけを守っておる、いわゆる官僚機構の自己増殖というものが非常に露骨だ、こういうふうに言われておるわけです。この天下りについて大臣はどういうふうに御見解を持っていらっしゃるのか、まず大臣お答えをいただきたい。  そして、これは高級官僚が民間に移行する場合と、これは人事院関係ですね、それから今度、高級官吏が政府関係機関、特殊法人に天下っていく場合と、大体大別すると二つの流れがございます。ですから、一つは労働大臣に見解をお尋ねしたいし、もう一つは人事院の方にお尋ねしたい、こういうふうに思いますから、それぞれまずお答えをいただきたいと思います。
  79. 坂本三十次

    坂本国務大臣 民間へ下るときは人事院の方の関係でございますけれども、これは私の感じでありますが、労働省から民間に天下りと言われれば天下りですが、した者は去年は全部で四人でありまして、政府全体で二百六十七人のうちの四人なのでありまして、これはもう少し活用してもらいたいくらいの気持ちが私はしておる。まことに労働省は少な過ぎるくらいの気持ちもしておるわけでありますが、それは人事院の審査によってやられたことでございます。私の方はやはり関係の特殊法人へ天下りが過ぎるのではないかというお話でございましょう。政府全体といたしましても、天下りが過ぎるということは庶民感情から見て感心したことではないということで自粛をしなければいかぬという方向でございますが、私のところの労働省の役人が関係の特殊法人などに行っております例を見ますると、相当長い間の労働行政の経験を生かして、これならば立派に勤まるな、まだ該当の特殊法人の中にはそれに対抗できるほどの有能な人材が育ち切れないなという感じもいたすわけでございまして、余り天下りが過ぎるということは感心いたしませんけれども、非常に優秀な長年の経験を持ったような人が適当な機関にその知識を生かしていくということは、あってはならぬと決めつけるわけにもいかぬと私は思っております。ただ、やはりそういう特殊法人の中にはだんだん人材も育ってきておることでありますから、いつまでも全部上は天下りなんということになったのでは士気に影響いたしますし、小型の役所みたいになって、企図したところの民間的な活力を生かそうという趣旨が死んでしまいますから、それは感心しないと思います。しかし、ここしばらくの間くらいは、非常に有能な、なるほどこの人ならばと思うような人の特殊法人への就職というものは、ある程度は認めてもいいのではないかなという感じがいたしております。
  80. 叶野七郎

    叶野政府委員 五十八年中に行政二等職相当以上の退職者約三千百人の中で二百六十七名の方が人事院の承認を得て営利企業に就職いたしました件につきましては、既に国会に御報告申し上げたとおりでございます。こういうような事柄は、各省庁のそれぞれの事情もいろいろあろうと思いますけれども、一般的に申しまして、新陳代謝を図るために後進に道を譲るという、人事管理と申しましょうか、退職管理の一環として行われておると承知しております。そのような実情が反映してこのようなことになったのではなかろうか、かように推測申し上げておる次第でございます。  要は、各省庁の人事管理に関することでございますけれども、審査を担当いたしております人事院といたしましても、こういうような御批判なり御指摘がいろいろな方面からあることは存分に承知しております。そういう点を踏まえまして、今後とも厳正な審査をしてこのような批判に対処するつもりであります。
  81. 河野正

    ○河野(正)委員 今大臣と人事院からお答えがあったわけでありますが、その中にございますように、役人時代のいろいろな経験あるいは知識、学識というものが天下りの中で必要であるのかないのか、私は全面的に否定する必要はないと思いますけれども、ただ非常に多過ぎると思うのですね。そういうことを私どもは指摘しておるわけです。一つの国策を遂行するためには、有為な人材というものは活用されるなら活用した方がよろしい。ただ、白書を見てまいりましても多過ぎる。その批判を今人事院の方からもちょっとお答えをいただいたと思うのです。しかも、多過ぎるということで閣議決定があるわけですね。それは、要するに天下りの人員を減らしなさいという制限です。それから、長期にわたって天下るということではなくて、できるだけ早く後進に道を譲りなさいというような制限ですね。  ところが、一つは人事院から白書が出ました。もう一つは政労協、これは組合関係ですけれども、五カ年間続けて天下り白書というものを出している。これが一向減らぬのです。それなら一体閣議決定というものはどうなっているのか。要するに、労働大臣からお答えがあったように、非常に有能ななくてはならぬという人材を活用することについては私はやぶさかではないと思うのです。ところが、むやみやたらと天下りさせてはいけませんよということですね。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕 こういう言葉もあるのです。特に特殊法人というのは官僚の植民地だと言われているのですよ。労働省は特殊法人がありますので、民間への天下りは割合少ない。ですから、天下りは悪いということですから両方絡めて申し上げているわけですけれども、人員の問題、それからまた年月の問題といいますか期間の問題、そういった問題について制限を閣議で決定しながら、依然としてふえているということはどういうことでしょうか。それが世の中の批判を受けているというのは、要するに人事院がそのとき厳しくチェックしていくという以外に道はなかろうと思うのですけれども、非常に数が多いから厳正にチェックしますよというお答えをいただいているわけです。労働大臣は閣内の一人でございますから、やはり閣議決定というものは遵守してもらわなければいかぬのじゃないでしょうか。特に完全失業者もふえておりますし、また定年制もいろいろなところでできておりますし、第二の職場を見つけることは非常に困難ですから、そこでひとつ年金制度を何とかしようじゃないかという状況になっていると思うのです。ですから、どんどんふえていっておるこういう事実については、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  82. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 先生指摘のように、特殊法人の役員に対する天下りの問題につきましては、閣議の方針もございまして、総理府の方から、例えば役員の任期の問題、あるいは一割削減、二割削減といった数の問題もそれぞれ示されておりまして、その線に沿って労働省としても対応いたしております。  天下りの場合に、役員以外にいわゆる部長であるとか課長とかいった幹部職の問題もあろうかと存じます。その点につきましては、例えば役員を含めまして民間人の登用といったことも閣議の線で示されているわけでございまして、労働省としては、それぞれ関係労使団体から役員になっていただいたりもしておりますし、部課長の中にも労働組合出身の方も登用するといったこともやっております。  先ほど大臣お答えしましたように、なかなか役所からの天下りの数が減らないという点につきましては、そうした特殊法人のできた時期の早いところと遅いところでいろいろ差がございます。最近では、直接採用した職員の年数も高くなって、部課長の中でのそうした直接採用の職員の登用の割合もふえてはきておりますが、特殊法人ごとに見ますとまだばらつきがございますので、そうした点は、直接採用した職員の意気あるいは意欲が阻喪されることのないよう、私どもとしても十分配慮してまいりたいと思っております。
  83. 河野正

    ○河野(正)委員 特に特殊法人の場合は、臨調でも統廃合とか機構改革の問題が出ておるわけですから、当然そういうことも配慮すれば、この天下りというものが減少しなければならぬと思うのです。そういうことが原則だと私は思うのですよ。ところが、依然として減らないですね。それで、一般職員の方は、統廃合ということでどんどん、新しい人員は入れないとか、いろいろなことで整理をされておるということでしょう。だから、そういう矛盾があるわけですね。そういう矛盾というものについて私どもは非常に遺憾の意を表せざるを得ないわけです。  それから、公務員の場合の民間への天下り。この場合は財官界の密着、こういうことがいろいろ恐れられておる。時間がございませんから多くを申し上げませんが、薬品会社の産業スパイみたいな問題がございました。そういう例はたくさんあるわけですが、そういうふうな財界と官界が密着する、癒着していくという、これは財界も企業側も何かメリットがなければ天下りは許しません。メリットを考えて許していると私は思うのです。そこにやはり落とし穴があると私は思うのです。  それからもう一つは、特殊法人。こちらの方は統廃合の問題が今議論になっていますね。もう既にやったところもあるのですね。都市整備と住宅公団がやってみたり、そういう問題もあります。そういう状況の中で依然として天下りがふえていくというのはどうだろうか。ふえることによって、部内から抜てきしないでどんどん天下りが上に就職されてくるということによって、部内の意欲というものが喪失しないだろうかということと、これは乱そう言いたくないけれども、やはりそういうことが結果的には当事者能力を失って、そしてそれが労使紛争の種になるというようなケースもなきにしもあらず。そういうことで、これは閣議決定で、制限しなさい、そういうことはできるだけやめなさいと言っておるわけですから、その方針に従って、有為な人材を活用するということもあり得るとおっしゃっていることはわからぬわけじゃないけれども、しかし、少なくとも現状よりどんどんそれが減少して、そして営々として今日まで企業のために頑張ってきた、あるいは特殊法人の中で頑張ってきたそういう人の労が報いられるような人事というものが当然行われていかなければならぬというふうに私は思うのです。これらの点についていかがでしょうか。
  84. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 特に民間会社との関係につきましては、冒頭に大臣からお答えいたしましたように、労働省の場合、件数としても極めて少ないわけでございます。むしろ、御指摘の点は、特殊法人の方に問題が多いのかと存じます。それにつきましては、先ほどもお答えいたしましたように、先生が言われましたような、そういった特殊法人自体が直接採用している職員の今後の持っていき方、そうしたものも阻害しないようにということは、先ほど私もお答えしましたように十分配慮していかなければならないし、かつ、全体についての閣議決定趣旨というものはぜひ踏まえてこれからも対処していきたいと思っております。
  85. 河野正

    ○河野(正)委員 この閣議決定の方針が守られれば、減らなければならぬと私は思うのです。そういう状況に進展するでしょうか。
  86. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 個々の特殊法人ごとに見ました場合には、例えば、先ほど来申し上げておりますような、できてからの職員の採用、在籍年数といったような問題から、直ちに全部が一律にというわけにはなかなかまいらない点もあろうかと思いますが、方向としては、そういった閣議決定の線に沿って対処してまいりたいというように考えております。
  87. 河野正

    ○河野(正)委員 中曽根総理は、機構改革、行政改革、これを最近は教育、教育と言っていらっしゃるのですが、そういうような方針というものを強く強調されていることですが、この天下り人事というものがこういった行政機構の改革というものを阻害する原因になっているのじゃないかと私は思うのです。むしろ、天下りというものは受け入れ側がぜひお願いしたいというところもありましょう。ところが、いろいろ今までの経過からいわゆる天下りをさせたというケースも私はあると思うのです。そうしますと、そのためにこの機構の改革というものが阻害をされるということは、これは中曽根総理の方針にも反することですから、これは閣議決定の線に沿ってやったけれどもふえたんだとおっしゃるが、閣議決定は数も抑えなさいということでしょう。ですから、これは大臣がすべてをどうこうということじゃないわけですから、それはひとつ閣議の中で私が申し上げたような方向が今後実現されるように、これは世間でも非常に批判しているのですから、そういう意味で、大臣の決意といいますかへ御見解を承っておきたいと思います。
  88. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま政府委員が申しましたように、この天下りというものにつきましては、閣議の決定もございますので、やはり私どもも慎重に自粛をしてまいらなければならぬと思っております。
  89. 河野正

    ○河野(正)委員 ぜひお願いしたいと思うのです。国家公務員が民間に天下りをする。ところが、国の機関から民間に天下りをするという意味では、労働省はちょっと少ないのですね。大蔵、農水、通産、建設、運輸、これはビッグファイブと言うそうですが、このビッグファイブは依然として健在だ。一向改善されない。これは、それこそ必要があって、そういう人材を登用しないとその企業あるいは特殊法人というものがなかなかうまく回っていかないというような問題を私ども一〇〇%否定するものじゃないけれども、今申し上げましたように、多いところはいつまでたったって多い。それからもっと激しいのは、役員の中は天下りで全部占めているというところがあるのですね、特殊法人には。阪神高速、森林開発、国立競技場、学徒援護会、東京、横浜、大阪、神戸の埠頭公社、こういうところはもう天下りばかりで役員を占めてしまっている。そういう極端なところがある。これは中曽根総理が行政改革、行政改革とおっしゃっているわけですから、その一環としても、この天下りというものは何とかひとつ改善というのか、あるいはやめてもらうというのか、そういう努力をぜひやってもらいたいと思うし、人事院の方では、政府、国会に報告される前のチェックの段階で、そういうことも十分頭に入れてチェックするとおっしゃっているわけですが、それをさらに厳しく言っていただくということでひとつお願いしたい。そういう意味で、大臣と人事院の方から御見解を承りたい、こう思います。
  90. 坂本三十次

    坂本国務大臣 先ほどの基本姿勢は、慎重に閣議の線に従ってやるべきであると私今申し上げました。ただ、あなたのおっしゃるように、ビッグファイブとかいうところが確かにございましょう。それはあなたのおっしゃるように、官財の癒着になっては困るわけであります。私の気持ちとすれば、労働省みたいに、労働者のために一生懸命やってきて、労使関係に一生懸命に献身してきた人たちがもっとふえてもいいように思うのです、ほかの経済官庁と違って。そういうところはまことに少ないというようなところは、その裏を返せば癒着の可能性のあるところも大きいというようなことにもなるでしょう。全体を眺めまして、私も閣議の一員として確かにおっしゃるように慎重に厳正に今後見直しをしていかなければならぬ、こう思っております。
  91. 叶野七郎

    叶野政府委員 この制度の目的は、まさに先生おっしゃるとおりに、その職員が在職中に企業へのコネをつけまして職務の公正を乱すということのないようにするところに第一のポイントがございます。そういう意味で、我々といたしましても、今後とも、当該職員の在職中における職務、それから就職しようとする営利企業との関係を十二分に精査いたしまして、承認の適正を期するつもりでおります。
  92. 河野正

    ○河野(正)委員 数が多い、一向に減らないということと、天下った官僚が、民間においても特殊法人においてもそうですが、非常に高い処遇を受けておる、これが問題になっておるところです。特に政府関係機関なんかは給与が非常に高い。今民間では一般のサラリーマンというものは再就職がなかなか困難。今のところは現役時代よりもいい処遇で再就職するということは不可能ですね。そして、そういう事情もありますから、ここでやはり年金制度の大幅改革をやらなければいかぬということで年金法の改正が今度の国会でも提案をされるわけでありますが、天下りの皆さん方は高給を取って優雅な生活をする、そういう状況にあるわけです。ですから、時間がございませんから子細にやれませんが、給与の抑制策というものは政府でも当然やらなければならぬということで御決定いただいておるけれども、依然として今日の給与が、公団の総裁、理事長で大体百五十万、それから副総裁、副理事長で九十四万、理事で七十九万です。一般のサラリーマンというものは第二の職場を見つけることは困難、見つけても非常に低賃金で就職しなければならぬ、こういう実情にあるにもかかわらず、高級官僚だけが天下って、しかも優雅を満喫する、こういうことが許されていいのかどうか。一般のサラリーマンというものはもう第二の人生ですから低賃金に甘んじておるわけですけれども、高級官僚だけが高給を取って、しかも、政府でも抑制策をとりなさい、こういうふうに今いろいろ決議をされておるわけですけれども、残念ながら依然としてこういうような高給になっておる。これらの点についてはどうですか。
  93. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 労働省に限らず、関係各省の特殊法人を通じまして、そうした役員の報酬については予算査定上いろいろと格付ないしは統一的な査定方針があるように承知をいたしております。その線に沿って私どもも毎年の予算要求等しているところでございます。  今御指摘のように、民間に比べて高級官僚だけが高い天下り先の報酬ではないかという点につきましては、特殊法人の役員の報酬の決め方というのは、同種の活動をする民間の企業の役員の報酬等を参考にしながら格付を決めていくというふうにも承知をいたしておりますけれども、そうしたようなことで各省庁のものを含めて統一的に査定がなされているものというふうに承知をいたしております。
  94. 河野正

    ○河野(正)委員 これはやはり世間で高給だ、高過ぎるということで、抑制しなさい、こういう閣議での決定があるわけでしょう。それでもこれでよろしいのか。  それからもう一つは、退職金が非常に高いのですね。天下る前に退職金をもらっておいで、天下ってまた退職金、そしてその退職金が大体平均して千二百万、こう言われておりますね。一期四年勤めて、最高クラスで大体千八百万。政府が抑制策をとりながらこういうことでは、これがやはり一般世論の意見だと思うのですね。  それから、実は渡り鳥役人というのがおりまして、Aという特殊法人から今度はBという特殊法人に任期が来たら回るのです。そうすると、Aの役員を退任するとき退職金をもらってBの役員に渡りますね、そうするとまたそこでもらうのですよ。ですから、ある人が私に、もう退職金もらうのが気の毒だと言っているのですね、もらっている方が。渡り鳥役人はそれぞれから退職金をもらっているのですよ。そして、その平均というものは先ほど申し上げましたように大体千二百万。  それからもう一つは、この特殊法人の中でポストをかわるごとに退職金をもらっているのです。理事をやめますね、退職金をもらうでしょう。今度は監事になるのですよ。ポストがかわるわけです。そうすると、同じ役員でも違いますからね。ですから、今度は監事をやめるときに退職金をもらうのですよ。その人がもう退職金をもらうのは本当に申しわけないと言っているのです。これは政労協の天下り白書に書いております。ポストを渡りしてそれぞれ退職金をもらう、それから今度は特殊法人を渡り鳥してまた退職金をもらう、こういうことが許されるでしょうか。これは直接労働省が手をつけることではないと思うけれども、閣議でこういうものは提起をして、閣議でも賃金の抑制をやろうじゃないかという話し合いになっているわけですから、もう少し強調していただいて、世間で労働者がこれだけ苦しんでいるのに、天下りだけが優雅な生活をするようなことがあってはならぬというような、話し合いの主導権を大臣がとっていただくというぐらいの措置が当然行われてよろしいのじゃないだろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  95. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 今幾つかの点御指摘になりました中で、同じ特殊法人の中で異動した場合に退職金がその都度支給されるという点は、少なくとも労働省関係の特殊法人においてはございません。  今先生指摘になりましたような点、いろいろ全体を含めまして、閣議決定の中で、先ほどお答えしましたような、例えば年数の制限であるとかといったようなことは各省共通の問題でもございますので、総理府の方で統一的な方針を立てて対処をするようにいたしておりますので、そうした線に私ども外れないようにやってまいりたいというふうに考えております。
  96. 河野正

    ○河野(正)委員 先ほどちょっと私はお断りしましたけれども、これは労働大臣の直接の所管ではないわけですから、本来ならば内閣に来てもらってということがよかったのだろうと思います。しかし、今のような全くでたらめなことが行われているわけですから、それは今の労働者の状況を見てみても、やはり労働大臣というものはそれはおかしいというぐらいのことはひとつぜひ発言をし、閣議を引っ張っていただきたい、こういうふうに思います。  それから、いろいろなことが考えられ、いろいろな悪知恵が働かされまして、そして、特殊法人の中での役員の天下りの比重、占拠率というものが実際には六五・六%ですね。ところが、政府の国会答弁では五五・三%、食い違っているわけです。これはなぜかというと、本当にこれは悪質だと言わざるを得ぬですが、一遍民間に天下って、そして五年間いたしましたら今度は特殊法人の役員になればこれは天下りでない、こういう見解で実は今の占拠率が違っているわけですね。私どもは、民間に行ってまた特殊法人に来てもこれは天下りだ、こういうふうに理解している。そういうようにできるだけ天下りが少ないという回答をしようというようなことで今のような国会答弁が行われているようでございますが、こういう悪質なやり方は言語道断だと思うのです。こういういろいろな細かい点があるわけです。ですから、労働大臣も初めてお聞きになったろうと思いますから、今の見解を十分お含みいただいて、今後何かの節にはぜひその見解を活用していただきたい。そして、世間から天下りに対していろいろ批判があるわけですが、その批判に対して国民が納得するような行政が行われるように、ぜひひとつ最大の配慮をいただきたい、こういうふうに思います。  もう時間がございませんので、そういうことを申し上げて、大臣の見解を伺って締めくくりたいと思います。
  97. 坂本三十次

    坂本国務大臣 労働省にはそういう民間へ便宜行っておってまた特殊法人に来るような者はないようでございますが、一般論として、あなたのおっしゃるようなことの中には、まことに私も初めて聞いた、一般の人々のことを思えばそれはおかしいじゃないかとおっしゃる気持もはよくわかります。閣議の方針を踏まえて私もひとつ対処してまいります。
  98. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 次に、貝昭次郎君。
  99. 貝沼次郎

    貝沼委員 昭和五十六年度労働省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。  そこで、先ほど労働大臣決算説明要旨というお話を伺いましたが、この中に、「会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。」こういうお言葉がございました。そこで、私、今まで何年間かにわたりまして労働省会計検査院から指摘された問題、これは一体どういう問題なのかということを見てみますと、幾つかの問題がございますけれども、例えば労働保険保険料過不足の問題とか、今回五十六年度でもございますが、とにかく毎年毎年同じようなことはかり指摘されておるわけでございます。その項目に至っては全く同じだと言っても過言ではないくらいでございます。こういう点は、先ほどの大臣のお言葉から、「今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。」と書いてありますが、本当にこれは来年から指摘されないようなことができるのでしょうか。
  100. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 毎年の決算につきまして検査院の方から幾つかの事項についての指摘をいただいていること、まことに遺憾でございまして、その中で毎年繰り返し繰り返し指摘をされている事項というのは、今御指摘ありました中でいわゆる労働保険料の徴収に関する問題がございます。この点につきましては、かねてからそうした指摘対応しまして、不当な事案の処理がないように努力をいたしておりますけれども、率直なところを申し上げまして、労働保険の適用事業所数が二百十六万で、極めて多数の事業所数に及んでおります。言いわけめいた話になりますが、それに対して、一方で担当職員数が全体の定員削減の中でなかなか思うように配置できないといった面もあって、いろいろな形での指摘をいただいているわけでございますが、少なくとも、大臣お答えしましたように、こうした御指摘をいただいてそれに対応しての努力は私どもいたしております。  例えば五十七年に、それ以前の保険料徴収につきましていわゆる徴収不足あるいは過大の徴収があったという指摘がございましたので、いわゆる労働保険料の算定基礎調査、これを従来に増して件数もふやして努力をいたしました。その結果は、昨年の検査院の実地検査結果でもなお不当な事案が幾つか指摘を受けたわけでございますが、数においてそれまでに比べるとふえ方が鈍ったといいますか、そういう面の改善がある面では認められたのではないかということで、一〇〇%というところまでいくとなかなか難しい問題ございますけれども、できる限りこうした指摘事項の改善に私どもとしても努力してまいりたい、こういうつもりでいるわけでございます。
  101. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、今まで努力したことはわかります。さらに「鋭意改善に努め、」とありますが、何かなさるのでしょうか。
  102. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 労働保険料の徴収に関して申し上げますと、基本的にはこれは申告納付制をとっておりますから、納付する側の企業においてこの制度の仕組みなりを十分正しく理解いただいて納めていただくということで、そうした不当事案の解消が図られるわけでございますが、その個々の企業にすべからく完全な理解を求めるといってもなかなか難しい面がございますが、先ほど申し上げました労働保険料の算定基礎調査、これを励行していくことは従来からも効果を上げているということは先ほどもお答えいたしましたけれども、同じようにこれをさらに力を入れていきたいというのが第一点でございます。  それから、第二点としましては、企業に正しい理解をしていただくという意味での啓蒙啓発、これが第二に重要ではないかと存じております。その点につきましては、従来からも全保険適用事業所に対して各種のパンフレットを送付したりしてやっているわけでございますけれども、必ずしも個々の企業の目に触れないままに捨て去られているものもあるいはあろうかと思いますので、そうしたものはむしろ、毎年度、労働保険料の納入の仕組みとしては年度初めに年度更新の手続を一斉にとります。そうした場を活用して、労働保険料の手続について正しい理解を企業にしていただくための啓蒙啓発活動、これに力を入れていきたいということを考えております。  それ以外に、各出先機関に対しまして、そうした保険料徴収についての適正な業務の遂行が行われますような通達等は、ことしも特に具体的な点を指摘して、各出先機関にも指示をいたしたところでございます。そうしたことを通じまして、ぜひこうした不当事項が解消される方向に向けて努力していきたいと思っているところでございます。
  103. 貝沼次郎

    貝沼委員 例えば、ある事業主保険料を納めておらない、そしてその事業で保険に該当する事故が起こった。ところが、掛け金が掛かっておりませんので問題になるわけでありますが、こういうときは、たしか二年ぐらいさかのぼって掛け金をしてやれば、あるいはそれ以内の事業であればそれ以内の掛け金で処理するというようなことを聞きましたが、こういうことは実際行われておるわけですか。
  104. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 労働保険に労災保険と雇用保険と両方ございますけれども、いずれも事前に完全に適用事業所を把握して適用していることが本来なら望ましいわけでございますが、たまたま把握されていない未適用事業所においてそうした保険事故が出た場合に、そこが保険料を納めていないから、それじゃ該当の労働者は一切保険給付は受けられないということでは、労働者にしわ寄せが行くということになりますので、取り扱いといたしましては、今先生もおっしゃいましたように、二年間さかのぼって企業からもちゃんと保険料を納めてもらう形で適用をするように、同時に、該当労働者に対しては保険給付をするということにいたしております。
  105. 貝沼次郎

    貝沼委員 その辺は、私その運用は結構だと思うのですけれども、それならば、ほうっておいて何かあったら二年間さかのぼって掛ければよろしい、こういう安易な考え方も出てきますので、この辺の歯どめはございますか。
  106. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 御指摘のような懸念は、実はそういう仕組みをとったときからもあったわけでございまして、それに対する歯どめといたしましては、単に二年間の保険料だけの納付ということではなくて、追徴金を取るとか費用弁償させるといったようなことはそれなりにやっているわけでございます。
  107. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、こういう点からその仕組みについてもう少し工夫をする部分があるのじゃないかというふうに私は考えますので、今申し上げたわけでございます。それらが行われない限り、恐らくこれは毎年指摘されるだろう、こう思うわけですね。  それからもう一点は、身体障害者雇用促進協会の委託費の問題で指摘を受けておると思いますが、これはどういう内容のものであるか、会計検査院の方からひとつ御説明を願いたいと思います。
  108. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 御説明いたします。  労働省では、中央身体障害者職業訓練校、それから身体障害者職業指導センター、この運営を身体障害者雇用促進協会に委託しております。そして、必要な人件費、これは職員給与であるとかあるいは職員の退職手当積立金であるとかなどを委託費として交付しておりますが、その精算が適切でなかったため、六百三十万円ほどが過大に支払われていたというケースでございます。  すなわち、訓練校及びセンターにおきましては、五十七年度までの職員退職手当積立金の積み立て状況について調査いたしましたところ、退職手当積立金に充てるものとして交付を受けた額を全額積み立てておりましたが、その中には所定の積立額を超えた分や、あるいは雇用促進事業団からの出向職員で、規程上退職手当を支給しないことになっている職員の分が含まれていた、かような案件でございます。
  109. 貝沼次郎

    貝沼委員 こういう経理上の間違いは、私は非常に不思議だと思うんですね。ベテランの経理担当者がおりながらこういう間違いをするということは、これは極めて初歩的な間違いなんですね。したがいまして、これは一体どこに原因があるのか。この原因をはっきりしないことには、この穴はふさがりません。そこで、当局としてはこれはどこに原因があったと考えておられるか、答弁を願いたいと思います。
  110. 若林之矩

    ○若林政府委員 この退職手当の積立金関係につきましては、ただいまお話がございましたように、産業医学振興財団におきましては、退職手当積み立ての対象外である臨時職員、嘱託職員を対象として積み立てたということでございます。  身体障害者雇用促進協会につきましては、事業団出向職員について積み立てたものでございまして、これはこの退職金の積み立てについての私どもの理解不足ということに尽きるのでございまして、まことに遺憾に存じている次第でございます。
  111. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういう話なんですね。本当に見苦しい話なんです。ところが、同じようなことが産業医科大学ですか、こちらの方においても行われているようでありますが、検査院の方からその実情を説明していただきたいと思います。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 産業医学助成費補助金の経理が不当というふうに指摘したものでございますが、事案の概要でございますが、財団法人産業医学振興財団が国庫補助金の交付を受けまして、学校法人の産業医科大学に対しまして大学及び大学病院の運営に要する経費の一部を補助しているものでございますが、補助対象とは認められない経費補助対象事業費に含めておりましたために、国庫補助金にいたしまして二千二万円が不当と認められるケースでございます。  これは、五十四年度から五十七年度までの職員退職手当積立金について見てみますと、大学の職員退職手当支給規程によりまして、退職手当を支給しないこととなっておりますことから、当然積み立てる必要がないもの、補助対象とならない嘱託職員延べ三十五名、それから臨時職員延べ二百九名、それに係りますところの職員退職手当積立金二千百二十四万円、国庫補助金の相当額にいたしまして先ほど申し上げました二千二万円をその積立金繰り入れまして、事業費を精算していた。つまり、対象外のものを事業費として精算をしていたというケースでございます。
  113. 貝沼次郎

    貝沼委員 先ほどの協会の方は、これは協会退職手当規程違反でございます。それから今回のは、ただいま説明をいただいたものは、大学の職員退職手当支給規程違反でございます。これは両方ともはっきりした違反なんですね。こういうことが労働省の管轄下において、一カ所だけでなくほかのところでも同じような間違いが行われたということは、これはやはり労働省の指導の責任があるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  114. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  115. 貝沼次郎

    貝沼委員 事実は認めましたが、その責任のとり方はどのように考えておりますか。
  116. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 違反して交付したものについては直ちに返還措置を講じさせたところでございますが、こうした事態が出ました理由として、担当職員のこうした規程の処理に対する理解の不足と同時に、労働省サイドの指導の不徹底といいますか、足りない点もあったかと思います。そうした点については、今後二度とこうしたことのないように徹底を期してまいりたいというように考えております。
  117. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、この二つの場合に、大変奇妙なことがございます。それは退職手当積立金の率でございますけれども、協会の方は、職員俸給年額の千分の三十、それから大学の方は職員俸給年額の千分の八十、こういうふうに随分と違います。これは何か根拠がございますか。
  118. 若林之矩

    ○若林政府委員 職員が退職いたします際に支給いたします退職金は、一時的かつ多額の資金を必要といたしますので、身体障害者雇用促進協会等の労働省関係団体につきましては、毎年職員俸給の千分の三十を職員退職手当積立金として積み立てておりまして、これが一般でございます。  ところが、産業医科大学につきましては、医師とか看護婦等の在職期間実績を見てみますと、比較的短期でございます。例えば産業医科大学の医師の在職を見ますと、五十八年度までにつきまして見ますと、各年度平均九%くらいの離職をしておりまして、離職者の八六%に当たる者は勤続三年以内で離職をしております。これはお医者様の特殊性だと存じますが、そういった関係がございまして、ただいま申し上げましたような積み立てでまいりますと、どうしても積み立て不足がかさむということでございまして、産業医科大学につきましては千分の八十を積み立てている、こういうことでございます。
  119. 貝沼次郎

    貝沼委員 この千分の三十と千分の八十につきましては、私も当局に問い合わせしたのです。なかなか答えが出てこなかった。ようやく今出てきた。大変苦しいところがあるのだろうと私は思うのです。  そこで、千分の八十というのはほかにあるのですか。どうなんですか、ほかのところで。
  120. 若林之矩

    ○若林政府委員 ただいま申し上げましたように、私ども、医療職員の特殊性というものを考慮いたしまして千分の八十というもので定めてございますけれども、他の例につきましては十分承知をいたしておりませんので、その点につきましては、私ども関係省庁にも聞きました上で改めて御説明に上がらせていただきたいと存じます。御了承いただきたいと思います。
  121. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、どうしてもこれは不自然だと思います。千分の三十のところだっていろいろなところがございます。ただ短期間というだけの理由ではないと思います。何らかのいきさつがあって千分の八十というのが決まったのか、三十と八十は似ておるから間違ったのか私はよく知りませんが、とにかく後日ひとつまた説明をしていただきたいと思います。ただ、問題があるということだけ指摘をしておきたいと思います。  それから、今回の会計検査院指摘以外にも、実は協会の場合、再出向分についてもこういう問題があるわけでございます。会計検査院の方はこれを指摘されなかったのは、何か意味があって指摘されなかったのでしょうか。
  122. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  再出向の分につきまして、国会でもいろいろ御質問がございまして、本来退職金を支払うべきではないのに通算して払っているというような御指摘を受けまして、当局におきましてこれらの問題についてはいろいろ関係するところも多いので検討をなさっている最中に、今回の私どもの指摘の事態が生じたわけでございまして、その際、今先生おっしゃいました再出向者の分につきましても、私どもといたしましては指摘はいたしましたが、その問題の処理を待つまで一応検査報告の中からは数字としては外しました。ただ、処理といたしましては、やはり同様に返還すべき措置を講じていただいている、そういうことでございます。
  123. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまの分でございますが、労働省から再出向職員分というのは、私のところにあるデータによりますと、大体職業訓練運営費、これが五十三年から五十七年まで、延べ十四名ですね。それから指導センター運営費、これが五十二年から五十七年までが十二名分ですね。それから協会運営費、五十二年から五十七年まで、延べにして五十八と、こういうふうになるわけでございます。それで、たしか五十九年三月二十六日付で返還するように会計検査院の方には回答したということでありますが、これはもう既に日が過ぎておりますが、このとおりになっておりますか。当局、どうですか。
  124. 若林之矩

    ○若林政府委員 ただいま御指摘の出向職員の退職手当積立金の積み立てにつきまして、私ども返還命令を交付いたしまして返還を命じたところでございます。
  125. 貝沼次郎

    貝沼委員 返還したということですか、よく聞こえなかったのですが。
  126. 若林之矩

    ○若林政府委員 返還命令を出したわけでございますので、まだ返還のお金は入っておりません。命令を出したということでございます。
  127. 貝沼次郎

    貝沼委員 返還命令を出したけれども、まだ返ってないということだそうでありますが、これはいつ返りますか。
  128. 若林之矩

    ○若林政府委員 二十日以内に返還がなされるということでございます。
  129. 貝沼次郎

    貝沼委員 これは明らかに退職手当法施行令九条の二に違反をしておるわけですね。そうして、恐らくこの施行令の解釈が難しいということで今まで時間がかかったのじゃないかと私は思います。ところが、五十八年十二月二十三日の総理府人事局長からの各省の官房長あての通達によって、大体、国家公務員等の公庫公団からの再出向についてという通達で解釈が定着したのじゃないか、そこでにわかにこの動きが出てきたのではないかと思うのです。そういうようなことから、はっきりとこれは法律違反の事項であるということがわかったわけでありますから、今後はこういうことがないようにひとつ気をつけていただきたい。  ただし、この十二月二十二日、同時に国家公務員等退職手当法施行令の一部を改正する政令というのもまた出ておりまして、そして「第九条の二に次の十六号を加える。」と言って身体障害者雇用促進協会が入っておりますので、今後これでどういう扱いになりますか。
  130. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 先生今御指摘の取り扱いが昨年十二月に明確にされたわけでございます。実は、そこに至るまでいろいろ紆余曲折ございまして、昨年の三月に参議院の予算委員会でこの問題が取り上げられまして、私どもとしては、直ちにその新しい再出向という問題はストップをいたしまして、それを減らすということで対処してまいったわけでありますが、同時に、明確な国家公務員退職手当法の解釈あるいは取り扱い、これは各省庁共通の問題でもございますので、その辺を総理府の方にもただしながら対処を考えてまいったわけでございまして、その結果、昨年の十二月にお話しのような取り扱いを明確にされたわけでございます。  したがいまして、そうなりますと、その政令による団体の追加が労働省関係では三つございます。身障協会のほかに中央職業能力開発協会、さらに中央労働災害防止協会、それにつきましては一応退職金の通算ができるということになりますので、その点はいいわけでございますが、それ以外の団体に再出向している問題についてはできるだけ速やかに解消しなければいけない。それ以前から解消に努めてまいったわけでございますが、全部一挙にというわけにはいかないやむを得ない事情もございまして、残っている者が数名ございますが、できるだけ早い機会にこれを解消するということで対処してまいりたいと思っております。
  131. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、総理府人事局の方にお尋ねをいたしますが、今のようなケースは各省にまたがって相当あると思います。であればこそこういう通達が出たと思いますが、これについて公表されますか。
  132. 中島勝巳

    ○中島説明員 総理府といたしましては、昨年の三月十日の参議院の予算委員会でございましたが、そういう御指摘もございまして、関係省庁とも検討したところでございます。その結果、御指摘のような再出向につきましては退職手当法の立法趣旨を踏まえまして、さらに人事運用上の観点からも慎しむべき事柄であると考えまして、各省庁あてにもこのような通達を出したところでございます。再出向の例がある省庁におきましては、できる限り速やかになくす方向努力していると聞いております。  なお、人事異動に際しましては、出向者の受け入れポストあるいは出向先の用務の都合等いろいろな事情を考慮しなければいけませんので、例えば、それぞれの省庁の人事異動の時期に合わせて行うというふうに聞いております。  ちなみに、労働省以外の省庁では現在十名の者が再出向しているというふうに聞いております。
  133. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは、各省庁にわたる分について後日資料をいただきたいと思います。  それから、これは雇用促進協会の方でございますが、できてから今七年もたっておるわけです。七年もたっておるのに、なおかつ二十七名もの出向職員がおるわけでございます。これは全体の四五・八%になるわけで、半分近くが出向の人でございます。こういう点を考えてみますと、何年たっても出向の職員が多いということは、人の養成という観点から見た場合問題があるのではないか、こういうふうに考えますが、どのような御見解ですか。
  134. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 特殊法人あるいは認可法人が新しく発足した場合に、業務に習熟するまでそうした出向をやるのが通例でございますが、労働省関係の他の例えば雇用促進事業団あるいは労働福祉事業団の場合、二十数年あるいは三十年近い実績があるわけでございますが、身体障害者雇用促進協会の場合は七年と今先生おっしゃいましたが、比較的新しい方の団体でございますので、しかもそれが、労働省の雇用対策の重要な柱である身体障害者の雇用対策と言うなら裏腹の関係で展開されるという面がありまして、従来そういうような多い数の出向者がいたわけでございますが、御指摘のように、身体障害者雇用促進協会自身としても直接職員を採用いたすようになっておりますので、できるだけそうした職員の養成にこれからも心がけていきたいというふうに考えております。
  135. 貝沼次郎

    貝沼委員 ぜひひとつそういうふうにお願いします。  それから、もう一つの問題は、行革絡みの問題でございます。昭和五十四年十二月十八日の閣議了解事項の中で、「省庁、ことに主管法人の常勤役員総数の少なくとも一割を縮減する。」ということがございます。  そこで、特殊法人につきましては、この場合協会は直接入っておらないわけでありますが、先ほど申し上げましたように、今回政令で協会が加えられたり、あるいはさらに、例えば特殊法人という意味を、法律で決められておるように行政管理庁の審査対象となる法人という狭義の意味でなしに、特別の法律に基づいて限定数設けられる法人、こういうふうに考えますと、直接法にかからないまでも、私はやはり行革絡みで役員の縮減というものは考えていくのが当然ではないかという気がいたしますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  136. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 臨調答申におきまして、特殊法人についてはいろいろな改革を要する問題点指摘をされております。それと並んで認可法人の中にも準ずるものがあるのではないかということで、同じような問題もあろうかと思っております。実は、その認可法人関係、いわゆる身体障害者雇用促進協会もそうでございますけれども、労働省関係には幾つかの認可法人がございますが、それぞれにそうした認可法人の今後の持っていき方について臨調答申ではいろいろな指摘をいただいております。例えば、今の身体障害者雇用促進協会につきましては、その業務の効率化ということで、実は、雇用促進事業団が行っております身体障害者の雇用納付金関係業務をむしろ身体障害者雇用促進協会に一元的に処理をさせるべきであるというような答申での指摘もいただいておりますので、今それに対応するための法案をつくりまして国会にも提出をいたしております。その場合、雇用促進協会としてみれば従来以上に業務がふえるわけでございますけれども、そうした面について、だから役員をふやすというようなことは考えませんで、従来のままで対処していきたいというふうに考えております。
  137. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、雇用促進事業団の建設した福祉施設において問題があるというふうに検査院の方では指摘をいたしております。要するに余り効率よく使われておらないということでございます。これは今後尾を引く問題になってまいりますので、この点について概略を会計検査院の方から説明していただきたいと思います。
  138. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 概略御説明申し上げます。  この指摘いたしました福祉施設と申しますのは、雇用保険事業主負担いたしました労働保険料を原資といたしまして、雇用保険の被保険者の福祉の増進を図るため、労働省におかれまして設置市町村を決定いたしました。これに基づきまして雇用促進事業団の方がこれの建設を行います。そして、その管理運営は都道府県などに委託をして行わせているものでございます。  私どもの検査の結果におきまして、設置市町村あるいは施設内容などの決定におきまして、必ずしも調査が十分ではない、また、そういったものの基準もはっきりしない点がある。それから、設置後の管理運営に当たりましても、必ずしも利用促進を図るために適切な手が打たれていない面があるということがございまして、その結果か、つまり利用が低調でございました。したがいまして、このような福祉施設の設置がこれからも引き続きたくさん行われることにかんがみまして、この事業の意義を十分生かすように適切な措置をする必要があるという意見を申し述べたわけでございます。  以上でございます。
  139. 貝沼次郎

    貝沼委員 こういうふうにせっかくつくった施設が効率が悪いということなんですね。それで、計画の基本方針そのものも一つ問題がある。これは一回検討していただかないといけません。この点についてどうかという点が一点。  それから、もう一つは、計画する場合に、地元で勤労者が使いにくいものができておるから利用率が悪い。したがって、地元の意見、殊に勤労者、若い青年の声というものをレイアウトの段階で何ぼか吸収してあげる。あるいは、今できたものが利用率が悪ければ、どういうことが要求なのか、そういう勤労者の意見を聞いて、ある意味においては改良することも必要ではないかと考えますが、一この点はいかがですか。
  140. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 御指摘のような、勤労者の体育施設であるとか農村教養文化体育施設であるとか共同福祉施設であるとか、こういったものにつきまして検査院の方から御指摘をいただいたわけでございます。  これにつきましては、私ども、こういう施設の設置目的それぞれに照らしまして、こういう施設について御指摘のような設置基準の見直しを図りまして、被保険者の優先利用というような面での管理運営の適正化を図る、あるいはまた、地域での被保険者の数とか今後の利用見通しといったものを、設置基準の面でもう少し明確にしていくというような点についての検討を今進めておるところでございます。  また、施設の内容につきましても、御指摘のように、地元の勤労者のニーズが反映されるようなやり方をしなければならぬ。率直に申しまして、今度の施設の場合、例えばその設置の場所が一般の利用者には非常に遠い位置にあるというようなことであるとか、非常に利用しにくいところにつくったというような問題もあるわけでございます。こういった点については、実際に設置の誘致をいたします地元市町村というようなところと事前に十分調整をいたしまして、御指摘のような、本当に今後地元の勤労者に進んで利用していただけるような、こういう面からの対応もはっきり図っていかなければならぬということで、私どもも、その点については今後十分運営を改めていきたい、こう考えておるところでございます。
  141. 貝沼次郎

    貝沼委員 くどいようですけれども、そのために、被保険者の青年層の代表などをレイアウトの段階で加えるとか、改良の設計の段階で話を聞くとか、そういう具体的なことはされる態度ですか。
  142. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 本施設の一般的なつくる手順といたしまして、地元市町村が、こういうような施設をつくってもらえないかというような形で、一応概略的な考え方を持ってこられるわけでございます。私ども、そういう計画の中に地元のそういう勤労者の皆さん方の意見というものがよく反映されておるかどうか、そういった点についてもよく配慮をして、今後、設置については検討していきたいと思っております。
  143. 貝沼次郎

    貝沼委員 次に、地方財政再建促進特別措置法関係でお尋ねをしたいと思います。  二十四条の二項でございます。これは「地方公共団体は、当分の間、国又は日本専売公社、」あとずっと並んでおりますが、公社等「に対し、寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。ただし、地方公共団体がその施設を国又は公社等に移管しようとする場合その他やむを得ないと認められる政令で定める場合における国又は公社等と当該地方公共団体との協議に基いて支出する寄附金等で、あらかじめ自治大臣の承認を得たものについては、この限りでない。」こういう条文でございまして、地方自治体から寄附金等を受けてはならないというはっきりした条項でございます。ところが、現実は、雇用促進事業団関係あるいは労働福祉事業関係におきまして、無料でいろいろな施設の場所を提供されておるところがたくさんあるわけでございます。  そこで、例えば雇用促進事業団関係は、勤労者体育施設とか農村教養文化体育施設とかいろいろございますが、これらは自治省の承認を得ておるのかどうか。さらに、労働福祉事業団は労災病院関係で各所にございますが、これは自治省の承認を得ておるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  144. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 勤労者体育施設五百五十六カ所、それから、農村教養文化体育施設百三十二カ所については、地方公共団体から敷地を無料で今借りておるわけでございます。それにつきましては、雇用促進事業団の施設一般については有償でお借りしておるわけですが、今申し上げましたこの二つの施設につきましては、これが、一つには、地方公共団体に運営の委託をしておるという要件、それから二つ目に、その地方公共団体がその責任において利用料金を定めあるいはこれを無料にしておるものを除くということで、昭和四十八年に自治省と労働省の間で了解事項としておるわけでございまして、こういう二つの要件を満たしておる場合には地方財政再建促進特別措置法の二十四条二項の規定に抵触しない、こういうことで自治省とも相談の上やっておるわけでございます。
  145. 貝沼次郎

    貝沼委員 労働福祉事業団の方はどうなっておりますか。
  146. 望月三郎

    ○望月政府委員 労働福祉事業関係の施設でございますが、労災病院が主になってございますが、この施設につきましては、地域における医療機関の設置状況等も勘案して、現実には地方公共団体と十分相談をしながら設置をしておるわけでございまして、地域医療にも相当な貢献をしておるわけでございます。そういった従来の地方でのメリットという点もございまして、無料という形で現在設置しておるのが何件かあるわけでございますが、先生おっしゃるように法律上の問題もございますので、今後できるだけこれを改善していくということで努力してまいりたいと思っております。
  147. 貝沼次郎

    貝沼委員 これからということは、結局は承認を得ていないということです。これは明らかに地方財政再建法二十四条二項に違反するわけです。そうでなければ有償でやらなければならないわけですね。今までそれがなされていない。こういうぐあいに、私、今労働省関係会計関係をずっと見てみまして、法律ではっきり決められておることが守られていない。こういうことは大変遺憾なことである。今後、こういうだれが見ても法律の面からはっきりわかるような問題については、間違いのないようにしていただかないと困る。特に地方財政再建促進特別措置法の関係におきましては、先ほど来申し上げましたように政令も何回も出ておるわけでありますから、そういうのははっきりと対処していただきたいと思うわけでございます。  それから、これは労働省に限らずほかの省もあると思いますが、自治省はその点は調査しておりますか。
  148. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 各省庁等で地方団体から無償で土地を借り上げているというようなケース、それから公社公団等が借りているというケース、一応二つに分けまして、各省庁が無償借り上げ等をしているケースにつきましては、実は、昭和五十三年でございますが、衆議院の地方行政委員会において御調査されました。私ども、その御調査の結果もいただきながら、内容の不適切なものについては是正していただくようにお願いをしてきておるところでございます。  それから、公社、公団の関係につきましては、全般的にそういう形で調査したものはないと承知いたしております。
  149. 貝沼次郎

    貝沼委員 自治省に私申し上げたいと思うのですけれども、地方自治体の財政が大変だからこういう法律ができておるわけでしょう。取れるものはもらいなさいということでしょう。それが、調査もできていない、どこにあるのかわからない、そんないいかげんなことではいかぬと私は思いますよ。一回調べて資料をいただきたいと思います。
  150. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 公社公団等の関係につきましては、そういうことで今統一した調査をしたものは持っておりませんが、何しろ対象が非常に多うございますので、関係省庁の御協力をいただきながら実態把握に努めまして、その状況によりまして適正な措置をとるように、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  151. 貝沼次郎

    貝沼委員 相当の金額になると思いますから、ひとつよろしくお願いします。  それから、労災の適用基準の問題でありますが、先般心の病も労災適用の範囲に加わったようでございます。ところが、心の病というのはどうやってこれを見分けるのか非常に疑問があります。そこで、この心の病を労災に適用する基準というものがその後できたのかできていないのか、どんなものがあるのかということをひとつお答え願いたいと思います。  それから、もう一点は、じん肺の問題でありますけれども、じん肺が最近減っているかと思ったら、やはりふえておるわけです。ことに地下道での道路工事等が影響しておるようでありますが、このじん肺で最後に雇用したところの事業主が大変苦労しておるようでございます。そんなところから、じん肺患者は人の胸を借りて就職するということまでも起こっておるようでありますので、この二つの点にどういうふうに取り組まれておるか、お答え願いたいと思います。
  152. 望月三郎

    ○望月政府委員 最初の問題でございますが、労災保険による保険給付の請求のあった傷病等につきましては、業務起因性があるという場合であれば保険給付対象にするということで、御承知のとおりでございますが、反応性うつ病のような精神障害についてもこの考え方は同じでございまして、今後ともこの考え方によって判断していきたい、こう思っておるわけでございます。  ところで、反応性うつ病のような心因性精神障害につきましては、その原因となる精神的負担に係る事実関係の把握が非常に困難であるという要素がございます。それから、このような精神的負担を的確に評価する基準も、医学上は現在まだ確立された段階に至っておりません。そういうことで、先生おっしゃるように、何か認定基準でもできれば、私どもこういったたぐいのものについて非常に迅速に処理ができるわけですが、医学上まだそこまで評価する基準が確立していないということでございます。そういうことでございますので、当面は、個々の請求事案を本省に上げてもらって、専門医等の協力を得まして、個々のケースについて慎重な判断をして適正な給付をするという形で慎重に扱っていきたい、こう思っております。  それから、第二の問題の、じん肺患者が地下工事等により増加する傾向にあるというのは、御指摘のとおりでございまして、私ども、じん肺の所見を有する者につきましては、事業所の中で配置転換等をして軽易な業務につかせるということを第一義的に指導しておるわけでございますが、それが困難だというようなケースについては、離職の問題になって再就職ということになるわけでございますので、職業安定機関との密接な連絡をとりながら適職の紹介が行われるように努めてきたところでございまして、今後とも一層そういった線で努力をしていきたい、こう思っております。
  153. 貝沼次郎

    貝沼委員 じん肺の問題は、きょうは時間がありませんので詳しくできませんから、後日またやらせていただきたいと思います。  雇用の問題で何点かお尋ねしたいのであります。  一点は、先日大臣お答えになっておりましたが、精神薄弱者の雇用の問題です。今まで身体障害者の雇用につきましては雇用率というものが大体定められておりますが、精薄者につきまして前向きで検討をいたしたいという答弁があったと思います。これはその後具体的に何か作業は進んでおりますか。
  154. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 精神薄弱者の雇用問題につきましては、一般の身体障害者と異なりました幾つかの問題があるわけでございます。  一つには、こういう方々に適する職業の開発がまだ身体障害者の方々のように進んでいない、あるいはまた、通勤や職場での集団活動、こういう面で、社会生活などの指導の面で特別な配慮を必要とするというような、一般の身体障害者と異なった問題、事情があるわけでございます。したがいまして、当面はこういった問題の解決を図っていくというようなことを主眼といたしまして、現在、民間企業が地方公共団体の出資を受けて設立をいたしますいわゆる第三セクター方式というものによります能力開発センター、こういうものを設置を進めるということで、神奈川県と長崎県におきまして今そういう計画を二年がかりで進めておるわけでございます。こういうようなことを通じての条件整備をひとつ具体的にいろいろトライしていってみよう、こういうことで、今始めておるわけでございます。  また、雇用率の適用問題につきましては、この雇用率適用制度の前提となります今申し上げましたいろんな条件、方法論について、何とか来月にでも検討委員会を設けまして、そういう具体的な検討に着手していきたいということで今準備を進めておる、こういう段階でございます。
  155. 貝沼次郎

    貝沼委員 単発で大変恐縮でございますが、先ほど来話題になっておりました単身赴任の問題でございます。私、わきで議論を聞いておりまして、大体もう言われたことはわかりましたが、ただ一点だけ、確認といいますか、ちょっと念を押しておきたいと思います。  事の重大性やその他はもう議論がありましたので、私はくどくど申しませんが、ただ、この問題解決のために当局としては、例えば経営者あるいはそこで働く労組の方々とか、あるいは実際に単身赴任をなさっておられる経験のある代表の方とか、こういうような方々と、直接、場を持って懇談をして意見を聴取するというような具体的な行動はされないかどうか。私はぜひしていただきたいと思うわけでありますが、この点だけ伺っておきたいと思います。
  156. 赤松良子

    ○赤松政府委員 労働省といたしましては、従来から経営者の方あるいは労働組合の方々といろいろな機会にお話をする場がございます。今後もそのようなことは続けていくことになろうかと思いますが、そのような機会に、先生今御指摘になったようなことを中に含めるということは十分考えられると存じます。
  157. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がだんだんなくなってきましたので、もう一点、これは人材派遣業の問題でございます。  人材派遣業は、今国会に法律が出るのではないかと随分うわさされておったわけでありますが、まだ出ておらないようでございます。ところが、実際、私もいろいろ見ておりますけれども、大変問題が多いわけですね。何かあった場合にはどうしようもないというようなこと、そういう法律違反のままでごたごた言うよりは、きちっとこれを法制化して認知する方がやはり正しいのではないか、私はこういう感じがいたしますので、この点をどのように考えておるか、法制化はされるのかされないのか、この点をお尋ねいたします。
  158. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 御指摘のように、何らかの労働者保護の観点あるいは雇用の安定の面からの必要な規制措置、保護措置等を加えながら、やはりルール化を図るということが必要だ、こういう基本的な考え方のもとに、今、職安審議会で小委員会を設けて検討を続けていただいておるわけでございまして、この小委員会での考え方がまとまりますれば、できれば今国会にも提出をしたい、こういうスタンスで検討を進めていただいておるところでございます。
  159. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に、雇用促進住宅の問題で二、三地元の意見を私は申し上げたいと思います。  雇用促進住宅の古いものですね、これがもう非常に狭い。最近は家具も大きくなりましてなかなか入らない。家移りをするときも家具を持って上がること自体がもう大変だ、そして入らない。入るところは小さくて、わきに流しがありまして、人が横になって入らないと入れないようなのが多いわけです。こういうようなところから二戸一を進めていただきたいという声が多いわけであります。ただ、この場合に、今一世帯で二戸借りている人もおるわけですけれども、共益金は二戸分払っておるわけであります。したがって、当局としては、例えば十戸まとまらないと工事をやらないとか、いろいろなことがあるようですけれども、そういうことではいつまでたっても進みませんので、とりあえず二戸一を進めていただく。その前提としては、工事ができなくても共益金は一戸分にする、こういうふうにしていただくことが大事だと思うのですね。それから、十戸そろわなくても改造できるところは改造していただく、こういう希望がございます。この点についてどうかという点と、それからもう一点は、集会所というのがございます。百五十世帯ぐらいありますが、集会所は、そこに生活をしておられる方々が使用するたびに一時間三百円ぐらいの使用料がかかるわけでございます。電気料とかそういうものなんだそうですが、使用料が取られる。ところが、そこで生活する人が、たかが三百円の使用料を取らなくてもそれは一つの経営の中で無料にしていただくように、こういう要望が非常に強いわけでありますけれども、これについて御答弁を願いたいと思います。
  160. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 二戸一につきましては、今後とも積極的に進めていきたい、古いものについてそういうことで対応していきたいと考えておるわけであります。この場合の共益費用につきましては、二戸分を使うという関係で、ほかに転嫁、みんなで分け合うということになりますと、どうしても現行の二戸分の共益費という関係についてはなかなかほかの代案もないあれでございまして、検討さしていただきますが、他に知恵がないと難しいのではないか。  それから、十戸分というお話でございますが、これについては、やはり改造いたしますと相当大きな音も四六時中するわけでございます。そういう意味で、隣には人が住んでいる、隣ではとんかちやっているというわけにはなかなかいきませんので、やはりある程度まとまらないと難しい、こういう問題がある点は御理解をいただきたいと思います。  集会所の使用問題につきましては、何か他に適当な方法がないか、検討させていただきます。
  161. 貝沼次郎

    貝沼委員 以上で終わります。
  162. 横山利秋

    横山委員長 神田厚君。
  163. 神田厚

    ○神田委員 労働省関係について御質問を申し上げます。  最初に、単身赴任の問題でありますが、午前中の質疑、またただいまの質疑におきましても触れられているようでありますけれども、今月九日に労働省は、勤労者家族の妻の意識に関するアンケート調査結果、これを発表いたしました。  その中で単身赴任に関する項目があるわけでありまして、ここにいろいろと、妻の側から見た単身赴任についての問題点指摘をされているようであります。それを見ますと、夫の単身赴任と留守家族の問題という形でまとめられておりますけれども、その中で問題になっておりますのは、夫の転勤等によりましてどういうことに困っているかという問題については、一番目には「経済的負担が多くなる」、これが六四%、二番目に「子供のしつけ、勉強、進路など」、三番目に「夫の生活が分からず不安」、こういうふうになっております。  現在、単身赴任というのは非常に社会的な問題にもなっているわけでありますが、これにつきましてどんなふうにお考えになっておりますか。
  164. 赤松良子

    ○赤松政府委員 先生の御指摘の調査は、私どもが、単身赴任という問題が新たな社会問題になってきたということに着目をいたしまして、昨年の九月に調査をしたものでございます。その中でただいま御指摘のような点が浮かび上がってまいったわけでございますが、この問題は何分にもいろいろな角度からの調査、分析というものがまだ必ずしも十分でございませんので、先ほど来申し上げでおりますように、今後もう少しいろいろな角度から実態を把握する必要があろうかと存じております。そして、そのようなことを進める一方、問題の本質につきましてよく考え、検討をいたしたい、このように考えております。
  165. 神田厚

    ○神田委員 この中で一番問題になっておりますのは、単身赴任、つまり二重生活によりまして、経済的な負担が大変多くなる、こういうことでございますね。そういう中で、労務行政研究所等の調査結果も出ておりますけれども、別居手当やいろいろなものが出されているようでありますが、例えば交通費などについても、出しているところと出してないところがあるわけであります。出しているところでも、月一回の交通費しか出してない、こういう状況だということでありますが、こういう点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  166. 赤松良子

    ○赤松政府委員 一時帰省の交通費については、三割が支給しているというような答えでございますが、先生指摘のように、回数は確かにまちまちでございまして、離れている方が月一回しか帰らないことを前提にした交通費の支給しかなされていないという点につきましては、御指摘のとおりだと思います。
  167. 神田厚

    ○神田委員 したがいまして、そういう現状についてどういうふうにお考えでありますか。
  168. 赤松良子

    ○赤松政府委員 家族と別れて一人で暮らすということにつきましては、精神的あるいは物質的な問題がいろいろとあろうかと存じますので、家族のもとへ帰られる、あるいは家族の方が単身赴任をしておられる勤労者のところへおいでになる、そのようなことは回数がある程度ある方がよろしいのではないかと思います。
  169. 神田厚

    ○神田委員 そういう考え方に立ちますれば、今後こういう問題についてどう指導をなさるおつもりでありますか。
  170. 赤松良子

    ○赤松政府委員 具体的には、まだ今後の問題として残されている課題だと存じます。
  171. 神田厚

    ○神田委員 大臣にお伺いいたします。  労働大臣は、この単身赴任の問題について、ただいまの議論を踏まえましてどういうふうに考えるのか。また、例えば月一回程度の交通費しか出されていないというような現状についてどういうふうにお考えでありますか。
  172. 坂本三十次

    坂本国務大臣 単身赴任の問題については、今局長お答えいたしましたように、相当大きな社会問題になってきておりますので、労働省としても、これから実態を究明しながらいろいろ具体的な対策を考えていかなければならぬ、こう思っております。  しかし、何さま労使間で工夫を凝らして、日本の企業は年功序列、終身雇用ぐらいのところもございますから、社員の皆さんが帰郷旅費なんというものについてもっともっとお話し合いをされれば、まだまだ労使間で話し合いを進めていかれる可能性もあるのではないかな、私はそう思っておりまして、労働省としてもそういう意向を関係企業にお伝えするということも一つだろう、こう思っております。
  173. 神田厚

    ○神田委員 労使間での話し合いということでありますが、この問題については人事権の問題がありましてなかなか進まないというのが現状だ、こういうふうな指摘もされておりますね。したがいまして、まず第一に、労働省の実態調査が不十分である。まだ手をつけられたばかりでありますから、この実態面での調査をきちんとしていただかなければならないのではないか。具体的に単身赴任の大規模な調査をおやりになるお考えがあるかどうか。いかがでありますか。
  174. 赤松良子

    ○赤松政府委員 企業が単身赴任者に対してどのような援助の制度をとっているかというようなことにつきましては、現在把握をしようとしているところでございます。また、単身赴任者がどのような年齢層に多い、あるいはどの程度いるかというようなことにつきましては、雇用動向調査もございますので、これは五十七年の把握しかございませんので歴年どのように変化しているかということはまだ出ておりませんが、そのような調査もございます。
  175. 神田厚

    ○神田委員 社会問題化して、いろいろ問題が起こってから対策をするということではなくて、少なくともこれだけ問題が大きくなって、しかも問題の所在というものはわかってきているわけでありますから、私は、労働省が積極的にこの問題について具体的な調査をすることを要求したいと思いますが、いかがでありますか。
  176. 赤松良子

    ○赤松政府委員 このような御指摘がきょうも何人かの先生方からございましたわけで、そのような御指摘を踏まえまして、調査につきましても具体的に計画をしてみたいと思います。
  177. 神田厚

    ○神田委員 大臣の方から御答弁いただけますか。
  178. 坂本三十次

    坂本国務大臣 今政府委員が申し上げましたように、調査を進めていきたいと思います。
  179. 神田厚

    ○神田委員 十日の参議院予算委員会で大蔵大臣は、単身赴任者の税制措置について検討するという旨の答弁をしておりますが、労働省といたしましては、単身赴任者の税制措置について、大蔵省がこういうふうを言い方をしておりますが、どういうふうにお考えになっておりますか。先ほどの労働省の調査の中でも、とにかく経済的負担が一番大変なんだということが切実に訴えられております。そういう中で、単身赴任者の課税の軽減措置をぜひとも実現してほしいという運動が広がっているわけでありますが、これらの問題につきまして労働省といたしましてはどういうふうに考えていますか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  180. 赤松良子

    ○赤松政府委員 先生指摘のように、今週の火曜日でございましたか、予算委員会で議論が行われたわけでございまして、その場合、大蔵大臣も検討という言葉でおっしゃったと思いますが、私どもといたしましても、今既に行われている手当の制度がどのようなやり方で支給をされているかというようなことをよく検討をいたしたいということにつきまして先ほどもお答えをしたわけでございますが、ただ、具体的には税制調査会が中期答申の中で、これは五十八年十一月でございますのでまだそれほど日がたっておるわけではございませんが、「今後の税制のあり方について」という答申をされておりますが、その中で、新規の控除については、別の項目でございますが、一般論として触れたところもございまして、「そもそも様々な国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しん酌するにはおのずから限界があること、また、そのような特定の条件や特定の家計支出に着目して税制上しん酌する場合の客観的基準を見出すことは困難であること」というような御指摘がなされているわけでございます。  そこで、現在問題になっております単身赴任、別居手当がこの中でどういうふうに理解すればよろしいのか、あるいは交通費が何に当たるのかというようなことにつきまして、さらに具体的に検討をする必要があろうかと思いますので、先ほども申し上げましたように、このようなことについては調査を待たずにでも分析が可能なのではないかというふうに考え、検討を開始いたしたいと思っております。
  181. 神田厚

    ○神田委員 ちょっと答弁わからなかったのですが、税制調査会がどういう答申をしようと、現実に労働者がこういう形で大変困っているということに対しまして、労働省は、労働者、勤労者の立場に立って、こういう切実な要望に対して誠実にこたえていくという姿勢をやはり持たなければならぬと思うのですね。大蔵省の方が、そうであっても税制面での考慮をしましょうと言っているのに、労働省の方が、税制調査会がこう言っているからなかなか障害が多いというような答弁では、非常にまずいと思いますが、大臣、いかがでありますか。
  182. 坂本三十次

    坂本国務大臣 参議院の予算委員会で大蔵大臣は、確かに最後に、とにかく検討しましょうと言ったことは事実です。しかし、大分前置きがたくさんありました。それは、そういう答申などを含めていろいろ考えておられたことだろうと思います。しかし、政治は生き物でありますから、パートが多くなればパート減税だということも出てくる。しかしパートの方だけということではなしに、税制上客観的、普遍的な理由づけもして、多少なりともこの前の減税が行われたということであります。単身赴任も社会問題になってきておりますから、そういう世論が大きくなれば、これは何らかの検討をしなければならぬという趣旨で、大蔵大臣が、やるかやらぬか含めてという趣旨だろうと思いますが、しかし、私どもとしては単身赴任者の立場も考えて、特に私どもの一番大事な関心事でもありますので、大蔵大臣がそうおっしゃればまことに結構ですから、これからも大蔵省と協議を進めるということは適当だろうと私は思っております。
  183. 神田厚

    ○神田委員 ぜひともそういうことで強力にお進めいただきたいと思います。  続きまして、この単身赴任は、単にこういう経済的な問題だけではなくて、非常に多くの問題に影響を与えております。特に学校教育等との関係もそうでありますし、そういうことからいいますれば、これはただ単に労働省だけでやるというわけにいきませんから、この単身赴任等の問題あるいはこれに関係するいろいろな問題におきまして、対策を早く進めるように、各省庁と連携をしていく姿勢をとらなければいけないと思っておりますが、その辺についてはどういうふうにお考えになりますか。
  184. 赤松良子

    ○赤松政府委員 少なくとも、今までの御議論の中でも、大蔵省とは御協議する必要がございましょうし、また、教育問題であれば文部省、あるいはその他いろいろと関連をする省庁がこの問題の重要性にかんがみてたくさんあろうかと思います。必要なことにつきまして御協議を進めたいと存じます。
  185. 神田厚

    ○神田委員 そして、先ほど述べました「勤労者家庭の妻の意識に関するアンケート調査」の結果によりますれば、平日における夫の在宅時間が非常に短い、三時間以下だ、こういうふうな答えをした主婦が三割もある。その七割は、その時間の短さというのは残業にあるということを言っております。それから、父と子の話し合いは母と子の話し合いの半分しか行われてない、こういうふうな指摘もあります。  そこで、こういう現状は一体どういうことなんだろうかということでありまして、私どもは、ここのところの問題は、労働時間が長いということ、それからもちろん残業の問題も関連するわけでありますが、そういうことから労働時間の問題を少し取り上げてみたいと思っております。  ところで、欧米諸国と比較して、日本の法定労働時間、実労働時間はどういうふうになっておりますか。
  186. 望月三郎

    ○望月政府委員 法定労働時間につきましては、欧米諸国では、週四十時間労働制の国もアメリカ、フランス、カナダというように多いわけでございますが、我が国と同様週四十八時間労働制の国も西ドイツ、イタリア等がございます。  労働時間を諸外国と比較することは、統計調査の方法、定義等が国により異なっておりますので、困難な面があるわけでございますが、できる限りデータの基準をそろえまして、一九八二年時点の年間の総実労働時間について、製造業の生産労働者を対象に推計試算して比較いたしますと、我が国は二千百三十六時間、それからイギリスが千八百八十八時間、アメリカが千八百五十一時間、フランスが千七百七時間、西ドイツが千六百八十二時間でございます。
  187. 神田厚

    ○神田委員 いずれにいたしましても、日本の週四十八時間の労基法の労働時間というのは非常に長いと私は考えております。したがいまして、このままこの規定を続けていくというふうに考えておられるのか、あるいは、各国の例から見ても四十時間程度に下げるべきではないかというような意見も出てきておりまして、これらの労働時間の問題について具体的な短縮の検討に入っている機関もあるわけであります。そういうことで、この問題について労働大臣、どんなふうにお考えでありますか。
  188. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生のおっしゃる御趣旨は、恐らく労働基準法を改正して週四十時間制を実施することはできないか、こういう御意見かと思いますが、労働基準法が罰則による強制をもって使用者の守るべき最低の労働条件というものを定めておるわけでございますので、労働時間の現状が、現在、産業や企業規模によって大きな差異がまだございまして、特に中小零細企業に対して重大な影響を及ぼすおそれがあるわけでございますので、まだまだ問題が非常に多いというように考えておりまして、直ちにそのような法改正ができるというところに至っておりません。しかしながら、おっしゃるような労働時間問題は非常に重要でございますので、労働省では、この問題を含めまして、労働基準法施行上の諸問題につきまして、現在学識経験者からなる労働基準法研究会というものをつくっておりまして、そこで専門的立場からの調査研究をお願いしておるところでございます。この調査研究につきましては、一応昭和六十年を目途に結論を取りまとめるということになっておりますので、私どもとしては、研究会の検討結果やあるいは各界からの要望、意見等踏まえまして、法改正の要否を含め所要の施策を検討していきたいというように考えておる次第でございます。
  189. 神田厚

    ○神田委員 後ほど雇用対策基本計画等との関係でいろいろ御質問申し上げますが、六十年度をめどとしてそういうことをやっていくといいましても、果たしてそれで出されたものにすぐ対応できるような態勢になるのかどうか、これは非常に疑問であります。したがいまして、やはり今から、短縮の方向というものを明確にとりつつあるのだから、それに付随したいろいろな面での環境整備をやっていくべきだというふうな考え方を私は持っております。  ところで、我が国の総労働時間は諸外国より長いわけでありますが、その要因というのは、所定労働時間が長いというのに加えまして、残業などの所定外労働時間が長いことだというふうに言われておりますが、この辺の実態はどういうふうになっていますか。
  190. 望月三郎

    ○望月政府委員 先ほども申し上げましたように、労働時間を諸外国と比較することは、統計調査の方法、定義等が異なるものでございますので、非常に困難な面もございますが、まあ年間総実労働時間について欧米先進国と比較した場合に、我が国がやや長目になっているという理由をいろいろ整理してみますと、一つは、週休二日制の普及状況の違いや、欧米先進国のように夏にまとめてバカンスというような格好で長期の年次有給休暇をとる慣習がないということから、所定労働時間が長いのに加えまして、第二としては、終身雇用慣行から、生産調整を雇用よりは所定外労働で行う傾向があるために、所定外労働時間が多少長くなるという点、それから三番目は、我が国の場合は欠勤がほとんどないということが、諸外国と比べて労働時間に差が出てくる主な理由ではなかろうかと思っておるわけでございます。  なお、所定外労働時間については、統計調査の方法等が異なりますが、各国の公表数値で一九八二年における過当なり時間で見ますと、我が国の三・六時間に対しまして、アメリカは二・三時間、西ドイツは一・五時間というような数字になっております。
  191. 神田厚

    ○神田委員 そういう実態から、全体の労働時間の短縮に向けてさらに進めなければならないと私は思っております。  第四次雇用対策基本計画、これは五十四年度から六十年度にかわりまして、今回第五次計画が五十八年度からスタートしているわけでありますが、労働時間に関して第四次計画の達成状況はどういうふうになっておりますか。
  192. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生おっしゃるように、現在、計画に基づいて私ども、週休二日制の推進とか、恒常的な労働時間の短縮、あるいは年次有給休暇の取得というような点を柱にいたしまして時間短縮を進めてきたわけでございますが、景気の停滞、あるいは最近は景気の回復も見られますが、またそれらの点について若干所定外労働時間が増加しているというような事情もございまして、昭和五十八年の年間の総実労働時間は二千九十八時間ということになっております。
  193. 神田厚

    ○神田委員 答弁のように、「所定外労働時間の削減、年次有給休暇の完全消化の促進」「遅くとも昭和六十年度には週休二日制を含め企業の労働時間の水準が欧米先進国並みの水準に近づくよう努める。」こういうふうに明記されて努力目標があったにもかかわらず、目標から比べますと極めて残念ながら不十分な実現状況である。答弁の中でその原因についていろいろ言われたわけでありますが、こういうことは自然にそのままにしておいたのではどうにもならないわけでありますから、私は、こういう一つの目標をつくった段階の中で、労働省がそういう状況を把握をして、この目標がきちんと実現できるように、少なくともいろいろな経済状況の中で目標値に近づけるような努力をもうちょっとすべきではなかったかと考えておりますが、その点はいかがでありますか。
  194. 望月三郎

    ○望月政府委員 私どもは、計画をつくってそれに向けて努力をしたつもりでございますが、先ほど来申し上げておりますように、厳しい経済環境のもとで、週休二日制の普及などで所定外労働時間短縮が鈍化したということ、あるいは景気の回復に伴いまして、景気の調整ということで、新しい労働力を雇う前に若干残業が延びるというのが、過去の例からいっても同じような経緯をたどっておりますので、若干時間が延びているというような問題もございますし、年休の取得が、これは非常に遺憾なことでございますが、まだ六〇%の消化しかできていないというようなことでございまして、これらの点を私ども反省しましてさらに努力を重ねていきたいと思いますが、労働省としては、そのような事態でございますので、労働時間対策の進め方について、現在、公労使三者の代表で構成されます中央労働基準審議会の労働時間部会に今問題を投げかけてこれを検討をしていただいているという状況でございます。
  195. 神田厚

    ○神田委員 第五次計画では、「労働時間の短縮」という言葉にかわって「労働時間の改善」というふうに表現も変わっているようでありまして、その取り組みというものがどうも少し後退をしている。表現も具体的なものよりより抽象的な表現に変わってきているということで、多少心配をしているのでありますが、経済環境も好転の兆しがありますし、こういう中で、今後の第五次の改善計画の中でどういうふうにこの点を取り組むつもりであるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  196. 望月三郎

    ○望月政府委員 第五次の基本計画の中で確かに若干表現が変わっておりますが、これは内容が変わったわけでは全くございませんで、私どもの決意としては、時間短縮というのは従来にも増してやっていかなければならぬというように感じておりますし、また、そういう意気込みで基準審議会にも今ボールを投げて検討していただいておるということでございますので、そこのところはひとつ、変わっていないということで御理解をお願いしたいと思います。
  197. 神田厚

    ○神田委員 そういう答弁でありますが、「短縮」と「改善」というのは、日本語で言えばこれは非常に違うわけでありますね。違うわけでありますが、質的改善が最終的に行われるということでありますれば、それはそれで結構だと思います。  ところで、大臣に、第五次計画での基本計画の推進についてひとつ決意を伺いたいと思います。
  198. 坂本三十次

    坂本国務大臣 第四次雇用計画のスケジュールに沿ってやっていくということは、私どもの当然の務めであります。今も委員お話にありましたように、今までは随分、日本人の勤勉の哲学とでも申しましょうか、それが非常に高度成長も支えてきておりました。しかし、最近のこういう安定成長時期に入りまして、今の春闘でもごらんのように非常に円満な労使関係でやっておりまするけれども、その伸び幅というものはまだまだ小そうございます。しかし、これから世界経済が堅調に向かえば、やはり賃金の上昇ということも相当考えられますが、その際には、賃金だけのアップじゃなしに、やはり人間らしい休暇をとるという面におきましても、労使双方でよく話し合いをして生産性の向上の範囲内ならば、賃金を上げるのも休暇をとるのも、これはやはり両々相図って適当にやっていただくように私どもも期待をいたしておるところでございます。
  199. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  200. 横山利秋

    横山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時二十三分休憩      ————◇—————     午後三時四十一分開議
  201. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川利三郎君。
  202. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 福島交通の退職金問題についてお聞きいたします。  福島交通は、昨年八月以降の退職者六十一人の退職金総額四億六千万について、今月三日やっとその二分の一に当たる二億三千五百万円を支払ったということです。しかし、残りについてはまだ支払いのめどが立っていません。福島交通は、御存じのように、福交不動産を初め関連会社に巨額のトンネル融資を行い、福交不動産一社で五十億円とも百億円とも言われる使途不明金を出し、そのあげくに資金繰りができないなどとして退職金の支払いを拒否している会社でございます。  これは労働行政上ゆるがせにできない問題ですが、このような状況の中で、先月末現地の労働基準監督署が福島交通に対し事情聴取をされたと聞いておりますが、会社側は退職金の残り分についていつ支払うと言っているのか、簡単に説明していただきたいと思います。
  203. 望月三郎

    ○望月政府委員 おっしゃるように、福島交通におきましては、資金繰りが苦しいとの理由で、本年三月末日現在で昨年八月以降の退職者六十三人に係る退職金約四億六千四百万円が未払いとなっていたところでありますが、(中川(利)委員「いつ払うか、それだけで結構ですから」と呼ぶ)四月三日に払った残りの部分につきましては、今支払い計画を求めておるところでございます。
  204. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今支払い計画を求めているとおっしゃったわけでありますが、それでは、労働省にもう一回お聞きするわけですが、福島交通の就業規則の中で退職金の支払い規定はどのように規定されておりますか。
  205. 望月三郎

    ○望月政府委員 退職金規程によりますと、請求のあったときから原則として十日以内に通貨をもって支払うというように規定されております。
  206. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 原則として十日以内に支払う、福島交通の退職金規程はそうなっているということですね。  ところで、労働基準法第二十三条及び第二十四条を拝見いたしますと、二十三条では、「七日以内に賃金を支払い、」二十四条でも一正の規定がございまして、「その全額を支払わなければならない。」こういうようになっていますね。まして、労働基準法第百十九条の二あるいは百二十条では、これをやらないと罰則規定がございます。これは労働基準法から見ましてもあるいは会社の就業規則から見ましても明らかに違反、こう考えるわけでありますが、これについての御見解はいかがですか。
  207. 望月三郎

    ○望月政府委員 労働基準法二十三条違反であるかどうかという点でございますが、二十三条では、請求があったら七日以内に支払え、こういう規定になっておりまして、この請求があったらというのをさらにブレークダウンいたしますと、請求権が発生したときから請求が行われるわけですので、そういう意味で、七日以内というのは、退職の日から七日以内という意味ではなくて、請求権が発生してそれを行使した日から七日以内ということでございます。  ところで、会社の退職金規程が原則として十日以内、こう書いてございますので、その原則としてというのは、退職金規程としては手抜かっていると申しますか、やや不分明な書き方でございます。  そこで、違反がもう成立しているのではないかということかと思いますが、その辺を今つぶさに検討しておりまして、いずれにせよ残りの分が払われることが私どもにとっては最大の関心事でございますので、そういう意味で、どういう形で残りを払うのかという点について計画を出せということで、今厳しく迫っているところでございます。
  208. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 労働基準法では、請求があったときから七日以内、たしかそうですね。会社の方は原則として十日以内、こういうことになっておるわけであります。去年の八月ですか、もう既に従業員の皆さん方は請求しているのです。会社がその後何だかんだやっておりまして今日になったわけであります。  そういうことで、私ちょっとお聞きしたいことは、一定のタイムリミットというか、支払い計画をいつまでに出せとか、あなたの方でそういう歯どめをはっきりかけていますか。この点どうですか。
  209. 望月三郎

    ○望月政府委員 私どもの方は、今、福島交通自体が、この問題だけでなくて、全体として非常に社会的に問題になっているということでございますので、少なくとも勤労者の退職金が不払いの状態が長く続くというのは非常に適当ではないわけでございますので、その点も考慮に入れて、会社に対して支払い計画を出すようにということで強くやっておるわけでございます。私どもの方としては、できるだけ早くということでございまして、特にいつまでにという、まだそこまで詰めた話はしておりませんが、ともかく払うというなら大体どういうことで払うんだということを今追及しているという段階でございます。
  210. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 早く出しなさいと言っても、今こういう社会的にも政治的にも大変問題になっているわけですから、まして、会社自体が札つきと言っては失礼ですが、そういう状況でありまして、あなた方は行政指導していると言っていますけれども、支払いのめどについて何も会社側は明らかにしておらないのですね。そういうことではこの問題はずるずる先に延ばされるだけだと思うのですが、その点でタイムリミットというものを当然考えて、そしてそれが過ぎたならば、それでもなお出さないならば労働基準法違反を適用するのだ、こういうはっきりした態度を打ち出すべきだと思いますが、大臣から明確な所見をいただきたいと思います。
  211. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま政府委員から申し上げておりますように、労働省としては、出先の監督機関を督励して会社に強く退職金の支払いを指導しておるわけでありまして、まず、支払い計画などを提出しろ、こういうことで指導をいたしております。しかし、これに対する会社側の態度もやがてわかることであろうと思いますので、またそういう時点になりましたら、法の命ずるところを勘案いたしまして適当な措置をやりたい。とにかく退職金なしで労働者が生活に困るということは放置しがたい重大な問題であるということでありまして、厳しく指導をしていきたい、こう思っております。
  212. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ただ出しなさいということだけでなしに、一定のめどをつけてやるようにしていただければいいと思います。  同時に、私がお伺いしたいのは、運輸省に対してですが、福島交通に対する運輸省の補助金がありますね。いわゆる過疎バス対策補助金というものがありますが、五十八年度福島交通に対して路線維持費補助が三億五千九百万行ってますね。それから車両購入費補助五千七百万円、合計四億一千六百万円の過疎バス対策補助金が交付されておるわけでありますが、この補助金いつ交付されましたか。
  213. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  地方バスの補助金は、国が直接事業者に交付するものでなく、県がバス事業者に交付する補助金の二分の一以内の額を国から県に対して補助するという仕組みになっております。  福島交通株式会社に対する五十八年度の補助金については、本年三月三十日に国から福島県に交付しておりまして、県からは翌日同社に対して交付したという報告を受けております。
  214. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、三月三十日に福島交通に係る福島県に対する地方バス補助金国庫分の国庫補助が出たわけでありますね。次の日その会社へ入った。これを見ますと、あの半分の退職金今月三日に出ているわけです。何かつながりがうさん臭いような感じもするわけでありますが、それはさておき、この過疎バス対策補助金趣旨は、路線バスの維持に必要な補てん、つまり路線バスの経常経費の赤字分に対する補助であって、また車両購入に必要な補助であると考えておりますが、補助金趣旨はそれと違いますか。
  215. 豊田実

    ○豊田説明員 この補助金は地方の生活路線の維持のための補助金でありまして、今お話しのように、知事が指定した一定の生活路線の欠損に対する補助それから車両の購入費の補助ということになっております。
  216. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、そのような趣旨で出されたものだということですね。  ところで、福島交通労働組合と経営側の三回目の団体交渉が先月二十八日午後四時に行われまして、その交渉の席上会社側の阿部幸雄勤労部長は、退職金の未払い問題について労働組合側に三点にわたって提示を行っております。その中で阿部勤労部長は、退職金の一部支払いの財源について、今月末つまり三月の末までに県から支払われる過疎バス対策補助金を充てる、こう説明しています。つまりこれは国の補助ですね。それを財源に充てるということを明確にいたしております。確かに、その後県から交付された補助金で今言ったように四月三日退職金の一部が対象者に払われているわけですが、会社側のこの行為は、過疎バス対策補助金趣旨からもそれておって、補助金の目的外使用だと私は考えるわけであります。運輸省は当然調査すべきだと思いますが、いかがですか。
  217. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  補助金につきましては、先ほどお話し申しましたように、バスの経営に伴う過去の欠損の補助ということでございまして、補助金の交付もそういう趣旨で、私どもとしてはバス事業部門の資金繰りの一環として使われるべきであると考えております。
  218. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この補助金の中身の項目は、生活路線維持費補助が三億五千九百万円です。車両購入費補助五千七百万円、合わせて四億一千六百万円ですね。目的にちゃんと書いてあるじゃありませんか。それが退職金に回ったり何か、そういうことは本来の趣旨としてかなっているものだ、こうおっしゃるのですか。運輸省はこの点について実態を調査することが当然だと思いますけれども、そういう必要はないとおっしゃるのですか。
  219. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  私どもの補助金は、先ほど申しましたように、過去の欠損に対する補助と、車両購入費は車両の購入に対する補助でございますので、あくまで過去の欠損に対する補助ということでございます。
  220. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうですか。わかりました。私の聞き違いでした。  そうすると、ますます問題になってくるということだと思いますが、そういうことになりますと、補助金は単年度単年度なわけですが、退職金にもしも流用したとなりますと、これは全く趣旨から違うだけでなくて、退職金というずっと過去の勤務までさかのぼった分に対するそういうものに国が補助するということになりましょうし、大変なことだと私は思いますので、きょう会計検査院が参っておるようでありますが、会計検査院はこういう問題について当然調べるべきだと思う。どのような方針で対処されるかということをお聞きしたいわけであります。  なぜかというと、この会社は、先ほど言いましたように、バス事業、鉄道事業、不動産事業、いろいろな事業をやっていますが、事業ごとの会計区分がほかの企業に比べて非常に鮮明になっておらないのが一つの特徴なんです。私が調べた範囲内では、退職引当金も使途不明金等々に流用されたのではないかと思われる節々の問題がございます。また、過疎バス対策の補助金が目的外に使用されている疑い、今言ったとおりであります。一連の疑惑を見れば、当然この補助金についてもしかるべき対処をしなければならないと思いますが、会計検査院の御意見をお伺いしたいと思います。
  221. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  先生今御指摘補助金についてでございますけれども、この補助金の目的は、過疎地の住民に対しましてバスの足を確保しようという目的のものでございまして、その目的は一応達していると私は思料はしております。しかしながら、今回の事態につきましては私どもといたしましても大変大きな関心を持っておりまして、この問題については十分注意を払っていかなければならない、かように考えております。
  222. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 もう一回念のために言いますけれども、新聞でさえもはっきり、四月七日の福島民友にも「この財源は先月末に国、県から交付された生活路線バス補助金が充てられた。」その前には会社のてんまつもありますけれども、私が言ったのは新聞からとっているものではありませんので、重ねてはっきりした措置をとっていただきたい。今、会計検査院の話によりますと、調査しておたくなりに措置をするということですか、対処方はどうなんですか、もう一回。
  223. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  運輸省といたしましても、本件の補助事業につきましては、今もお答えございましたように非常に関心をお持ちになっておりまして、これは御承知のように間接補助事業でございまして、県を通じましてまた県からこの補助金が最終的に交付されておるわけでございまして、先ほど来私聞いておりますところによりますと、運輸省におかれましても、既に福島県の方からこの補助事業の実施状況あるいは補助金の経理について御調査なさった結果を聞いておるということでございますので、私どもといたしましては、まず運輸当局の方から、どういう御説明を聴取なさったのか、その辺のところを十分聞かせていただきまして、それによって判断をする、かように考えております。
  224. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 わかりました。  次に、自治省にお伺いしたいと思います。  私どもの調査によりますと、この福島交通は、昭和五十一年から五十七年度にかけまして、自民党の政治資金団体である財団法人国民政治協会、ここに各年度、額は小さいわけですが二十四万円ずつ献金、寄附しているのでありますが、これは間違いありませんか。
  225. 山崎宏一郎

    ○山崎説明員 自治大臣に提出されました国民政治協会からの収支報告についてでございますが、五十一年から五十四年分については官報により、五十五年から五十七年分につきましては収支報告書により調べましたところでは、福島交通株式会社からの寄附として毎年二十四万円ずつ計上されております。
  226. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 二十四万円ずつ、額は小さいのでありますが、今言ったような格好で政治献金が、寄附がなされている。これはこの自治省の報告書にも書いてあります。  そこで、私お聞きしたいことは、政治資金規正法の第二十二条の三、二十二条の四、これらにはどう書いてあるかというと、あなたに読んでいただいても時間がかかりますので、私が主要なところだけ言いますと、例えば「地方公共団体から補助金負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人」、つまり福島交通の場合は国からの補助金、直接行っている補助金もありますね。福島県を通過していく補助金もありますが、そういう補助金が入っているわけでありますが、これはおかしいわけですね。また、二十二条の四には、「三事業年度以上にわたり継続して政令で定める欠損を生じている会社は、当該欠損がうめられるまでの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」私の調査によりますと、福島交通の各年度における欠損金、有価証券報告書よりの抜粋でありますが、五十三年九月期、五十四年九月期の全部のあれを見ましても、五十三年以来ほとんど欠損金を計上しているわけです。ですから、政治資金規正法からいってもこれは明らかに違反だ。しかも、この問題についても罰則があるわけであります。つまり、罰則と申しますのは、二十六条の二で「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」ということになっております。福島交通は国からもそういう補助金を間接的に福島県を通じて今言いましたようにやったほかに、例えば地方鉄道整備費補助、踏切保守設備整備補助、これが直接福島交通に国から行っているわけでありますから、このどっちから見ましても政治資金規正法違反だ、こう思いますが、どうでございましょうか。
  227. 山崎宏一郎

    ○山崎説明員 政治資金規正法第二十二条の三第一項は、国からの補助金等の支出を受けている会社その他の法人が地方選挙に係ります公職の候補者またはその後援会以外の者に対しまして政治活動に関する寄附を行うことを禁止した規定でございます。交付される補助金等のうち試験研究、調査または災害復旧に係りますもの、その他性質上利益を伴わないものについては適用が除外されております。  お尋ねの補助金については、その内容について十分承知しておりませんので、規正法二十二条の三に該当する補助金か否かについては、関係省庁から十分説明を受けた上で検討、判断いたしたいと思っております。  それから、赤字会社の寄附の禁止を定めた規定、二十二条の四の関係でございますけれども、これにつきましては、三事業年度以上にわたりまして継続して欠損を生じている会社、いわゆる赤字会社でございますが、赤字会社として政治活動に関する寄附が禁止されております。福島交通におきまして仮にこの項で定めます欠損が生じておるといたしますと、政治資金規正法第二十二条の四のいわゆる赤字会社に該当する可能性がございますが、政治資金規正法によります自治省に与えられております権限はいわゆる形式審査権でございまして、具体の事実に立ち入った事項についての判断は差し控えさせていただきたいと思います。
  228. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 確かに内容的には政治資金規正法違反だということを証言なさっているわけでありますが、ただ、自治省の権限から申しますとそこまでの権限は与えられておらない、こういうことであります。  法務省来ていただいておりますが、法務省、今各省の担当の方々が御答弁なさいましたように、金高が大きい小さいは別にいたしましても、どういう状況から見ましてもこれは明らかに違反になると思っておるわけであります。つまり、福島交通というのはそういう点では麻痺している、こういうことの一つのあらわれだと思います。当然、法務省としてはきちんと調査すべきだと思いますが、その用意があるのかどうかお聞きします。
  229. 北島敬介

    ○北島説明員 お尋ねの点につきましては、ただいま政治資金規正法違反ではないかということでございますが、そういう犯罪の成否ということになりますと、その具体的な事実関係がなお必ずしも明らかでないというふうに考えますので、それに対して違反が成立するしないというお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思っております。  ただ、一般論として申しますれば、検察当局は必要と認めるときはみずから犯罪を捜査することができるということになっておるわけでありまして、また、検察当局といたしましても、御指摘政治資金規正法の問題をも含めましてこの福島交通に関していろいろな報道がなされておることは承知しておるわけでありますので、事態の推移に応じまして適宜適切に対処するものというふうに思っております。
  230. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 例えば今の法務省の見解、事実上どういうことなんですか。はっきり具体の事実、それから犯罪の云々という言葉がありましたが、刑事犯罪になるのか民事になるかわかりませんけれども、そういう事実関係が確認され、内容的な日取りだとか金額が本当であるかどうかも証明されたわけでありますが、こういう状況の中で法務省は当然その言葉の意味が何を指すのか調査するんだ、こういうことですか。
  231. 北島敬介

    ○北島説明員 犯罪捜査というものの性質上、特定の個人とか会社につきまして捜査をするとかしないとか、あるいはその前提になる犯罪があるのかないのかということを、こういう段階で申し上げることはちょっといたしかねますということでございます。
  232. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 わかりました。  最後に、労働大臣にお聞きしますが、福島交通及び同グループが多額の使途不明金を出し、また、不動産の売買をめぐっても疑惑が取りざたされ社会問題になっているということは前段申し上げたわけでありますが、今の論議でも明らかなように、政治資金規正法の違反行為も加わっておるわけであります。したがって、退職金の未払いについてもいつ支払われるのかそのめどがつかない、退職金自体もそういう状態でありまして、会社側は退職金の規定を、あの新聞報道に見られますように、勤続三十年のバス運転手が定年退職した場合、現行では一千二百七十万円から、五百五十五万円に改悪する、そういう内容も提示していいるわけですね。また、退職金の分割払いはどうだ、こういう問題も出しているわけですね。そういうところから見まして、今ほど労働行政の強力な指導が求められているときはないと思うのですが、改めて労働大臣にひとつ決意をお聞きして、私の質問を終わらせてもらいます。
  233. 坂本三十次

    坂本国務大臣 先ほども申し上げたとおりでありまして、未払いの退職金がある場合におきましては、これは所轄の監督署を通じまして厳正に指導して、一日も早く退職金が支払われるように強力に進めていきたい、こう思っております。
  234. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  235. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 次回は、来る十八日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会