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1984-04-12 第101回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 近藤 元次君 理事 白川 勝彦君    理事 谷  洋一君 理事 東家 嘉幸君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 貝沼 次郎君 理事 神田  厚君       榎本 和平君    小坂徳三郎君       塩崎  潤君    松野 頼三君       河野  正君    城地 豊司君       近江巳記夫君    玉城 栄一君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁次長 小谷  久君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         防衛施設庁労務         部長      大内 雄二君  委員外出席者         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 松浦 道夫君         郵政省電波監理         局宇宙通信企画         課長      江川 晃正君         会計検査院事務         総局次長    佐藤 雅信君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)〕      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁について審査を行います。  まず、防衛庁長官から概要説明を求めます。栗原防衛庁長官
  3. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 昭和五十六年度における防衛庁関係歳出決算につきましてその概要を御説明いたします。  まず、(組織防衛本庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二兆一千二百五十四億二千二百万円余でありまして、これに政府職員昭和五十六年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額三百四十二億三千百万円余、高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額九百万円余、震災対策総合訓練調査のため、国土庁から移しかえを受けた額五百万円余、科学的財務管理調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額百二億三千七百万円余、前年度からの繰越額九十九億八千百万円余、退職者の増加に伴い、退職手当予算の不足を補うために必要な経費として予備費を使用した額二十二億三千八百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額四十五億八千五百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二兆一千七百七十五億四千二百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は二兆一千七百十七億三千六百万円余、翌年度へ繰り越した額は三十五億一千八百万円余でありまして、差し引き不用額は二十二億八千七百万円余であります。  昭和五十六年度予算の執行に当たっては、「防衛計画の大綱」に従って計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一、陸上自衛隊につきましては、七四式戦車六十両、七三式装甲車九両を取得し、新たに昭和五十七年度以降取得予定の七四式戦車七十二両、七三式装甲車九両の購入契約をいたしました。  また、航空機は、連絡偵察機二機、練習機二機、観測ヘリコプター十機、多用途ヘリコプター五機、輸送ヘリコプター一機、合わせて二十機を取得し、新たに昭和五十七年度取得予定連絡偵察機一機、観測ヘリコプター八機、多用途ヘリコプター五機、合わせて十四機の購入契約をいたしました。  二、海上自衛隊につきましては、昭和五十二年度計画護衛艦一隻、昭和五十二年度計画潜水艦一隻、昭和五十四年度計画中型掃海艇二隻、海洋観測艦一隻、昭和五十六年度計画調達に係る支援船一隻、合わせて六隻を取得し、新たに昭和五十七年度以降に竣工予定護衛艦三隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、潜水艦救難母艦一隻、支援船一隻、合わせて八隻の建造契約をいたしました。  また、航空機は、対潜哨戒機三機、救難飛行艇一機、計器飛行練習機二機、対潜ヘリコプター八機、救難ヘリコプター二機、合わせて十六機を取得し、新たに昭和五十七年度以降取得予定練習機一機、計器飛行練習機四機、対潜ヘリコプター六機、救難ヘリコプター一機、合わせて十二機の購入契約をいたしました。  三、航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機十機、支援戦闘機二機、輸送機一機、高等練習機十四機、初等練習機十一機、救難捜索機一機、救難ヘリコプター二機、合わせて四十一機を取得し、新たに昭和五十七年度以降取得予定支援戦闘機二機、輸送機二機、早期警戒機四機、高等練習機六機、救難捜索機一機、救難ヘリコプター二機、合わせて十七機の購入契約をいたしました。  昭和五十六年度防衛本庁職員定員は、自衛官二十七万百八十四人、自衛官以外の職員二万四千四十二人、計二十九万四千二百二十七人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員において百三人の減員となっております。  また、予備自衛官の員数は、前年度同数の四万一千六百人であります。  次に翌年度への繰越額三十五億一千八百万円余は、計画または設計に関する諸条件等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額二十二億八千七百万円余は、外国為替相場の変動があったこと等のため生じたものであります。  続いて、(組織防衛施設庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二千七百三十九億九千七百万円余でありまして、これに政府職員昭和五十六年四月以降の給与を改善するための予算補正追加額二億五百万円余、前年度からの繰越額三百三十億五千八百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額八億一千六百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ九億一千六百万円余、建設省所管建設本省へ十六億八千百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三千三十八億四千七百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は二千七百六十二億七千二百万円余、翌年度へ繰り越した額は二百五十九億一千五百万円余でありまして、差し引き不用額は十六億五千九百万円余であります。  支出済み歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍従業員労務管理離職者対策福祉対策等に要した経費百七十六億九千四百万円余、施設運営等関連諸費につきましては、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律等に基づき、自衛隊施設及び日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定に基づく提供施設維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借り上げ、施設整備各種の補償、障害及び騒音の防止措置飛行場周辺安全措置民生安定施設助成措置等に要した経費二千二百四十五億四千百万円余、提供施設移設整備費につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費百四十一億三千八百万円余等であります。  昭和五十六年度防衛施設庁職員定員は、三千四百八十六人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、九人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額二百五十九億一千五百万円余は、計画または設計に関する諸条件、用地の関係アメリカ合衆国軍隊等事情等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額十六億五千九百万円余は、事業計画変更等により提供施設等整備費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもって、昭和五十六年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なにとぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 横山利秋

  5. 佐藤雅信

    佐藤会計検査院説明員 昭和五十六年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明の聴取は終わりました。
  7. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  8. 井上一成

    井上(一)委員 私は、まず最初に、防衛庁に長年勤務をされて、佐官級、一佐以上で直接防衛庁正面装備等に取引のある企業に天下っていった人たち数字、どれほどの人が各年度ごとかかわりのある企業に天下っていったのか、ひとつできれば五十三年から五十七年の間まで総数お答えをいただきたいと思います。
  9. 上野隆史

    上野政府委員 お答え申し上げます。  退職自衛官民間会社への就職状況でございますが、今先生の御質問の中で天下りという言葉がございましたが、言葉にこだわるわけではございませんけれども、いわゆる悪い意味での天下りということではないというふうに私了解しております。  まず、登録会社と非登録会社と分けまして、五十二年度以降、各年度別に申し上げますと、五十三年度…(井上(一)委員トータルでいいです」と呼ぶ)トータルで五十三年度は、登録会社には六十四名、非登録会社に百六十二名でございます。一方、離職者総数は三百七十名でございます。五十四年度登録会社へは六十名、非登録会社へは百五十九名、離職者の数は三百五十名、それから五十五年度登録会社へ四十九名、非登録会社へ七十六名、離職者の数は百九十二名、五十六年度登録会社へは四十名、非登録会社へは六十七名、離職者の数は百八十八名、五十七年度登録会社へ六十名、非登録会社へ百七名、離職者の数は二百五十九名、いずれもこれは一佐以上でございます。
  10. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、これらの人たちがいわゆる正面装備にかかわる契約高上位二十社へ就職をしていらっしゃるわけです。その上位二十社に対しての動きは改めてまた資料を要求いたしますが、現在どれほどの人たち上位二十社に就職をなさっていらっしゃるのか。天下りという言葉が俗語的であるというなら、再就職をなさっていらっしゃるのか。いかがなんですか。
  11. 上野隆史

    上野政府委員 手元にあります資料は、五十七年度調達実施本部契約高上位二十社への就職状況資料がございますが、これはことしの一月一日現在でございます。  まず、上位二十社のうち順位一番から順に申し上げますと、順位一番三菱重工業…(井上(一)委員トータルでいい」と呼ぶ)上位二十社のトータルで申し上げますと、一佐以上百三十名でございます。
  12. 井上一成

    井上(一)委員 私は、さらにこの百三十人の人たちが天下っていった企業のそれぞれの受注高推移、経緯ですね、どのように受注高が移り変わっていったか、そういうことも事前に資料要求をお願いしたのですが、きょうまで手元に届かないわけであります。それで、委員長にお願いをしたいのですが、私は、決算的な立場に立って、自衛隊の現職を離れた方々が直接防衛庁契約を行う登録をしたとりわけ上位二十社に再就職をなさっていらっしゃる、そこに疑う余地のないきっちりとしたものをやはりはっきりしておかなければ、これは今やかましく言われている天下りの疑惑、いろいろな懸念、疑問がやはり想定をされてもやむを得ない、こういうことなので、このことについては資料をいただいた上で改めて私は質問をいたしたい、こういうふうに思います。  さらに、八四年リムパックについて私は尋ねていきたいと思います。  この問題については、前回の当委員会でも部分的には質問をいたし、一定のお答えをいただいておりますが、訓練内容等が具体的に今日もう決められたのかどうか、このことをまず聞いておきたいと思います。
  13. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたします。  先生案内のように、一昨日予算が通ったということで、実は昨日、海上幕僚長名米側の方に、84リムパック参加をいたしたいという正式な通知をしたところでございまして、訓練内容等についてはまだ調整が終わっておりません。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 八二年リムパックでは、訓練内容のときに、何というのですか、詳細発表の中に対地射撃訓練を明確になさってなかったわけなんです。前回質問では、恐らく八四年リムパックにおいては対地射撃訓練は含まれると想定をしているというお答えがあったように思うのですが、対地射撃訓練についてはどのように現時点でお考えでいらっしゃるのか、このことについて尋ねておきたいと思います。
  15. 西廣整輝

    西廣政府委員 ことし行いますリムパックにおきましても、各種射撃訓練、対海上、対空あるいは対地射撃訓練、さまざまな訓練が行われると思いますが、私どもといたしましては、これはあくまで、まだ調整が終わっておりませんので、希望ないし期待でありますけれども対地射撃訓練も各射撃訓練の一環として行いたいというふうに考えております。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 前回カホーラウェ島で対地射撃訓練を行い、その結果、大いなる島民からの反対運動、さらには、島に保存する考古学的な史跡、遺跡を含めて文化財に大きな被害を与えたということで、私は、これはやめるべきだ、そういういわゆる環境保全立場に立って、カホーラウェ島は対地射撃訓練候補地としてこれは外すべきだということを申し上げ、ことしのリムパックにおいては、カホーラウェ島はその対地射撃訓練対象から外すというお答えをいただいたわけでありますが、あえて再度ここで確認をしておきたいのは、予算が通って一両日、改めてカホーラウェ島に対する艦砲射撃訓練候補地としては絶対にしないということを確約をいただけるかどうか、このことをお答えいただきたいと思います。
  17. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生御指摘のとおり、82リムパックにおきましてカホーラウェ島で対地射撃訓練をやったわけでありますが、その際に、現地住民の中で史跡保存その他のことから、そこで撃たれては困るというような意向があるということを知りましたので、今回84リムパックにおきましては、カホーラウェ島を対地射撃訓練候補地としては予定しないということで検討を進めております。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 対象としないということで検討している。対象としないということは、カホーラウェ島のいわゆる島の持つ文化財あるいは環境保全したいという、そういう立場に立たれたということと、さらには、強い島民意思を尊重した、こういうふうに私は理解してよろしいでしょうか。
  19. 西廣整輝

    西廣政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 対地射撃訓練想定してことしのリムパック計画なさるわけでありますから、そうすると、やはりどこか候補地が必要になるわけであります。今その候補地を固定してこの島だと、そこには人が住む住まない、そのことは別にして、きょうの時点でどの島を対象にして対地射撃訓練を行おうとしているのか、このことについても聞いておきたい、こういうふうに思います。
  21. 西廣整輝

    西廣政府委員 私、十分調べたわけでございませんが、私どもの知っているところでは、ハワイ諸島にはカホーラウェ島以外には、対地射撃訓練場というものは適当なものがないというように理解しておりますので、今回のリムパックにおきましては、アメリカの西海岸の方へ参りますので、そちらの方に何かどこか適当な射撃場はないかということで検討いたしております。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 今のお答えによれば、ハワイ諸島はことしのリムパック84の対地射撃訓練対象にはしない、こういうふうに私は理解しますが、そういうことでよろしいでしょうか。
  23. 西廣整輝

    西廣政府委員 ハワイ諸島対地射撃訓練訓練地対象といたしておりません。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 ハワイ諸島対象にしない、これはわかりました。  今後対象になる島に対してあるいは対象になる地先に対して、いわゆるその対象になる島を対象にすることの了解はどこに求められるのでしょうか。
  25. 西廣整輝

    西廣政府委員 私ども対地射撃訓練をやる際、やはりいずれにいたしましても米側との訓練の中で行うわけでありますので、米軍を通じて折衝するということになろうかと思います。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 念を押すようですが、きょうの時点ではまだ米側と具体的な候補地了解あるいは話し合いは持たれているのでしょうか、いないのでしょうか。
  27. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどお答え申し上げたとおり、リムパックについて日本側としては参加をいたしたいということ、それから、予算で認められました一応兵力量というのがございますので、それをアメリカ側に提示をしたということで、これから84リムパックのこちら側がやりたい科目とかについては細部調整に入りたいというように考えております。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 最後に、リムパックについて、この対地射撃訓練のみについて私は聞いておきたいのですが、カホーラウェ島を今回対象から外したように、今後も環境保護保全という立場を重視していく、さらには住民意思を尊重していくということについての立場は、防衛庁としてはおとりになると思いますが、いかがでございますか。
  29. 西廣整輝

    西廣政府委員 カホーラウェ島について、先ほど申し上げたように、82リムパックに際しましてそういう事実を知ったわけでございますが、今後ともそういった点については十分現地住民方々等意向も尊重してまいりたいと考えております。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 今度は防衛庁長官に私は順次質問を申し上げたい。とりわけきょうは、今日の国際情勢外交面から見たその所信、所見、分析等については多くは外務省から再三聞いておりますので、ひとつ防衛庁長官には軍事面から今日の国際情勢をどう見ていくか、こういうことを伺っていきたいというふうに思います。  まず、一昨日米国務省の「ソ連軍事力」という報告書が出されたわけです。この報告書を読まれた御感想をひとつ長官からまず最初に聞いておきたい、こう思うのです。
  31. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私はまだこの報告書を実は読んでおりません。ただ、新聞等で紹介をされておりますので、それに基づいての私の感想を申し上げますと、アメリカ側ソ連に対して重大な、軍事的な意味でも関心を持っておる、アメリカとしてこういうことを発表するということは、アメリカ国防政策を推進する上に極めて重要なものとして出しているのではないか、そういう意味で我々もこれを参考として見ていかなければならぬ、こういうように考えております。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 新聞報道の中でも、アメリカ軍備増強がなぜ必要なのか、ソ連の脅威がどこまで伸びているのか、そういうことを強調している。さらには、西側諸国がそれにどう対応していかなければいけないか、そんなことが新聞報道の中では「ソ連軍事力」の米報告書意味するものを強く訴えているわけなんですね。軍事力増強必要性を理解さすためというか、その説得用報告書だというふうに私は受けとめるのですが、その点は長官どうですか。
  33. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 問題は、この報告書が客観的にどういうふうに評価されるかということに係るわけでございますが、これによって、アメリカとして客観的に見たソビエトの軍事力というものを、自国のみならず世界の各国によく知ってもらおうという意図ではないかと考えております。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、これは事務当局にでもちょっとお伺いをしておきますが、世界軍事費はいろいろな数字を挙げて報告をされているわけです。防衛庁世界軍事費を一体どれぐらいだと把握していらっしゃるのでしょうか。
  35. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げます。  これはいろいろな資料が実はあるわけでございますけれども、たとえば八二年の世界国防費支出ということについては、スウェーデンのSIPRIという研究機関がございまして、ここではおおむね七千ないし七千五百億ドルではないかというふうな数字がございます。それから、米国軍備管理軍縮局というのが政府機構の中にございますけれども、ここの「世界軍事支出武器移転」という報告書がございまして、これは年度が二年ばかり古い一九八〇年度数字が出ておりますが、そこでは、全世界国防費支出の総額としては六千五百六十七億ドル、インフレ等のいろいろな要素もございますけれども、七千億ドル程度が一九八二、三年の額ではないかというのが一般的な見方でございます。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 その世界軍事費のうちアメリカが占める数字アメリカ軍事費あるいはソ連軍事費はどれくらいだと把握されていますか。
  37. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げる際に、アメリカの方は、情報というか、議会に対して予算請求をし、それでデータがすべて出るわけでございまして、例えば八三年の会計年度であれば、実績としては決算ベースで合計して二千億ドル程度ということが出るわけでございます。  ところが、ソ連の方は、公表される予算国防費というものは、どの国もと研究機関もこれはトータル軍事費とは実は見ておりませんし、私どもトータル軍事費としては余りにも数が少な過ぎるということで、いろいろな研究ないし計算が行われておるわけでございますけれども、おおむねGNPの一三、四%あるいは一五%という数字もございますが、そういう抽象的な額しか実は出てこないわけでございまして、米国のようにはっきりとしたドルベース計算というのが出てこないわけでございます。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 今言うGNPに対する比率から割り出していってどれくらいになる、あるいはそれではソ連国家予算はどれくらいで軍事費はどれくらい、年々どのような推移をしているのか、そのことについては防衛庁はどんな把握をしているのですか。
  39. 古川清

    古川政府委員 先生案内のとおり、ソ連国防費は一九七〇年代から八〇年にかけましておおむね百七十億ルーブルという台でずっと推移をしておりまして、余り大きな増減は実は見られないわけでございます。それにつきまして、実勢がどのくらいかというのは実はいろいろなデータがあるわけでございますけれども、例えばイギリスのあるデータにおきましては、一九八一年ではルーブル計算にいたしまして八百四十億ないし九百二十億ルーブル程度というのもございますし、その点はいろいろばらつきがある。つまり実態としては非常に計算がしにくい。GNPのパーセンテージという形では出ておるのでございますが、ドル換算の場合で実質でどれだけになるかということは実は明確な数字がないわけでございます。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁は、常にソ連軍事力増強している、これは私が今防衛白書の何ページと言わなくたってそういうことは常々指摘しているのですよ、やはり推定等をしながら根拠があって指摘をしているわけです。わからぬのに、今の話だと横ばいだということであれば増強にならぬわけだ。今ルーブルで数字を言われましたから、ドルに換算してアメリカは約二千億ドル、ソ連はドルに換算をしたら大体どれくらいの数字防衛庁は把握しているのか、このことについてもう一度聞いておきましょう。
  41. 古川清

    古川政府委員 それでは、一応のドル換算をいたしましてお答え申し上げます。この百七十億ルーブルというのはおおむね二百三十億ドルというのが通常の換算ベースにおけるドル換算でございます。  それで、ソ連軍事支出トータルが幾らかということでございますけれども、私どもは恐らくこれが一番正確ではないかと思っておる数字が実はございます。それは米国から出ておる数字でございまして、一九八一年におきましてトータルとして二千六百七十億ドルという数字でございます。これはアメリカの統合参謀本部が出しておる数字でございますが、これが私どもは非常に参考になる一つの数字ではないかと把握しております。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 ここ数年ソ連軍事費の伸び率は防衛庁としてはどれくらいに把握していますか。
  43. 古川清

    古川政府委員 私どもとしましては、おおむね二%台の伸び率で大体推移しているものと判断をしております。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 今お答えの中でもはっきりしましたように、アメリカが二千億ドル、ソ連が二千六百億ドルで四千六百億ドル、いわゆる世界軍事費の大半が米ソ二国の軍事費ですね。半分以上を占めている。私はこれは異常な状態だと思うのですよ、この状態は。世界の平和に少しでも貢献していこうという我が国の外交指針等については私は外務省からその見解を聞いた。きょうは、こういう異常な状態とも言うべき軍事面におけるところの世界情勢を防衛庁長官はどう見られるのか。私は、これは軍拡という言葉を通り越して異常だと思うのですよ。理念の問題じゃなくて、具体的に実際こんなことでいいのだろうかという懸念を持たざるを得ない。だから、防衛庁が把握していらっしゃる数字をもとに、ひとつ防衛庁長官の御所見を承っておきたい、私はこう思うのです。
  45. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私は防衛庁長官という実動部隊の統轄者ということのほかに国務大臣でございます。そこら辺も踏まえて申し上げますと、確かに米ソを中心とする軍備というものは非常に大変なことだと思っております。こういう状態というのは本当に憂うべきことだ。その認識においては井上さんと全く同感でございます。ただ、現実的には米ソを中心とする東西二陣営に分かれておる。そしていろいろと軍縮交渉等をやっておりますけれども、それがなかなか実を結ばない。これは一体何か。戦争というのはよくない。そのために軍備にかけることは愚かなことだと承知しながら軍備がどんどん行われる。私はある意味ではこれは人間の業かなという気すらいたします。  私は、防衛庁長官になって、防衛庁長官というのはやはり大変人間として業の役割だなという感じが実はいたします。いたしますけれども、抑止理論じゃございませんが、おまえの方でこうするならばおまえの方をたたきつぶすぞ、それじゃ手を出さないというこの抑止理論というのは、ある意味ではそれが軍拡の方にもつながるし、ある意味においてはこれを生かせば軍縮の方にもつながるわけです。だから、それをどう軍縮の方につなげていくかというのが政治家としての大きな命題だと思います。そのために我が国も外交等を通じてそれなりの努力をしてきているところでございますが、現実の防衛庁長官という立場になりますと、現実はやはり現実として認めなければならぬ。理想としてどうするかあるいはほかの手段でどうするかということは別でございますけれども、防衛というものを預かる者としては現実を認めざるを得ない。  そうしますと、米ソの二大国を中心とする東西両陣営に分かれておる、世界の各地でいろいろと紛争が起きておる、そして、これはあるいは一方的かと思われるかもしれませんけれども、いわゆる極東の方に対しましていろいろ兵力が増強されておる、この事態を等閑にするわけにいかない。我が国の防衛は、我が国がみずから守っていく、その決意のもとに、憲法の範囲内において自衛力を整備していく、しかし、それと同時に、アメリカの力をかりて安保条約で我が国を守っていく、そういう構造になっているわけでございます。現在のところこういう仕組みが我が国にとってとるべき最適の手段ではないか、そういうように認識をしております。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官として前段非常に素直な御意見だと私も思います。一つの意見ですべてをまとめていくというのは、私は、それは民主主義ではない。長官のお考えがあり私の考えがあり、同時にそれは国家間も同じだと思うのです。アメリカの考えがありアメリカの対応がある、ソ連の考えがありソ連の対応がある。しかし、我が国は我が国の主権、主体性、そういうものを明確にしながら、どうすることが東西両陣営の緊張をより緩和させていくのか、世界の平和にどれだけ役立っていくのか、しかしそれは現実の中に立ってそれぞれ具体的に対応していかなければいけない。そして、常にそれは冷静な判断をするために、客観的な事実関係、真実を知らなければいけない。ただ、今度のこのアメリカの国務省のソ連に対する軍事報告書が、ただ単に、ソ連は怖い、いわゆる西側陣営の結束を意味し、あるいは軍事力増強の一つの説得材料にしてはいけない、本当にソ連は軍備拡大、ソ連はどういう状況であるのかという実情、実態というものも防衛庁なりに把握しなければいけない、僕はこう思うのです。  さらに、具体的に、五十八年八月防衛庁が出された「日本の防衛」、この十二ページの最初に、「ソ連は、第三世界諸国との間で、一九五四年以来、総額約八百億ドルにのぼる武器売却協定を締結している。」いわば、ソ連は第三世界に対して八百億ドルの武器を売っているのだ、いわば、けしからぬと。僕はけしからぬと思うのですね。そういうことが第三世界における紛争を鎮静化させたのかどうか、あるいはよりその紛争を混乱に持っていったのかどうか。  そこで、私がざっと拾い読みをしたところで、アメリカはどうなんだ、アメリカは第三世界に対してどれだけの武器を輸出しているのかということは書かれてないように思うのです。アメリカ数字はどこかに書いてあるのかどうか、あるいはアメリカは第三世界に対してどれぐらい武器を輸出しているのか、売却しているのか、防衛庁はどうその実態を把握しているか、聞いておきましょう。
  47. 古川清

    古川政府委員 アメリカもいろんな国に相互援助条約とかそういう条約的な根拠に基づきまして武器を支援しておることは私も承知しておりますけれども、突然のお尋ねでございまして、手元にきちんとした資料がございませんので、ちょっと御猶予をいただきたいと思います。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、世界の武器輸出というのですか、主力兵器を輸出しているシェア、アメリカはどれくらい、ソ連はどれくらい、とりわけ第三世界にはどれくらい、これは具体的に防衛庁はどんな数字で把握していますか。
  49. 古川清

    古川政府委員 その点についての資料も今ちょっと手元にございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、私が質問を終えるまでにひとつその資料手元に取り寄せていただいて、お答えをいただきたい。  あえて私の方から申し上げておきたいのは、アメリカソ連とが両国で七〇%ぐらいを超えるシェアを持っている。第三世界に対しては莫大な武器輸出をアメリカもしている。だから、そういう意味では、私がこの「日本の防衛」という本を読む範囲では、どうもソ連の指摘というのは数多くあります。しかし、アメリカについては、具体的な数字も含めて余りにも指摘がないし、その実態が明らかでない。むしろ、防衛庁アメリカの側を通してソ連の実態を承知している、さっきの報告でもわかるようにそういうことでもあるので、やはり客観的な立場に立って記述をされて、国民の判断を求めるべきである、私はこういうふうに思うのです。  それじゃ、資料が出るまで、お答えがあるまでこのことについては質問を留保します。  さらに、今も申し上げたように、私はソ連軍事費増強説明はあらゆる機会、あらゆるところで十分過ぎるぐらい聞いているわけです。特に、今私は第三世界についての具体的な数字を御質問いたしましたが、お答えは後ほどいただくとして、そのソ連の軍事勢力が世界客地に浸透すべきそういう努力が見られるということがこの「日本の防衛」いわゆる防衛白書に書かれているわけなんです。  まず、具体的にアジア地域に対する問題から私は聞いていきたい、こう思うのです。  先日参議院の予算委員会で、北朝鮮の軍事力増強についてお答えがあったわけです。一時中断をした、いろいろと問題があり、防衛庁長官は、防衛白書については今後は無用な誤解を生まないよう配慮するというお答えがあって、けりがついたわけなんですが、古川参事官、ここであなたがお答えになっている。朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮の軍事費を年間三十八億から四十七億ドルと推定している、こうお認めになったということを報道を通して知っている、書かれているわけなんです、まだ議事録は私は手元にありませんので、報道を通して。これは間違いないのでしょうか、推定という言葉は使われていますけれども
  51. 古川清

    古川政府委員 基本的には、北朝鮮の政府がきちんとした数字を発表してくださらないというところで、推定の作業にならざるを得ないわけでございますが、私どもはそのように推定をしております。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 私はここで聞いておきたいのは、この数字は、軍事研究所だとかいろいろ軍事評論家も含め軍事的な専門家を含めて、世界的に通用する数字なのかどうか、こういうふうに思うのですよ。私の承知している、あるいはまた報道でも、「ミリタリー・バランス」では十六億八千百万ドルと推定しているが、実は防衛庁はこうこうこうだ、こういうふうに書かれている。要は、ここで何を聞きたいかと言えば、世界的に通用する数字であろうかということを僕は聞きたいわけです。そして防衛庁は、いや、これは世界的に通用する数字だと自分たちは判断しているんだ、こういうふうに認識をされているのかどうか。いや、これは世界的には通用しにくいけれども、私たちは、日本の防衛庁はこう判断をしているのだ、どちらなんでしょうか。
  53. 古川清

    古川政府委員 私どもの推定の結果でございまして、私どもはこれは正しい数字である、そういう考えを持っております。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 御承知のように、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国が決して国力が経済的に豊かであるということは、これは世界的には認められない。豊かであるということはだれも思わないわけですが、北朝鮮の軍事力増強していくということは、北朝鮮一国で増強できるわけがないわけなんですね、常識的に判断をして。だから、軍事力に関して、それはソ連、中国、どちらもやはり何らかの形で援助があるわけなんですね。私はそう思っておるし、これはもう常識なんだから。防衛庁もそういう認識に立っていらっしゃると思うのですけれども、北朝鮮に対しての軍事援助はソ連と中国とではどちらが多いと防衛庁は認識しているのか。あるいはもう一つ、ソ連は軍事的に北朝鮮とどう絡み合っていると認識をするのか。
  55. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げます。  私どもの判断におきましては、北朝鮮はかなり武器の自給能力を上げておる。確かに、戦車の種類であるとか、飛行機の種類であるとかいいますものは、これはソ連の形をしておる、見るからに、ソ連のミグのようなものあるいはソ連の下型の戦車のようなものが多いわけでございますけれども、私どもの分析では、かなりの高度の自給能力はある、自分でつくっておる。それほど多量の援助というものは、今ソ連あるいは中国からもらっていないのではなかろうか。それで、莫大な予算をそこに費やしておりますけれども、あのとおり閉ざされた国でございますので、真実はわからないわけでございますけれども、そのようないわば無理な政策というものをやれるお国柄ではなかろうか、そのように判断をしておるわけでございます。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 全くもって独自で自給するということは、これは額の問題は別として、防衛庁そんな判断はなさっていないと思うのです。ソ連、中国からの援助はどちらが多いのだろうか、どういうふうに認識をしておるか、ソ連は北朝鮮に軍事的にどう絡み合っているか、こういうことについて…。
  57. 古川清

    古川政府委員 その点は、ソ連も中国も北朝鮮とは非常に円滑な関係にいっておると私は思っておりまして、そういう判断を持っておりますけれどもソ連の北朝鮮に対する軍事的な絡みという御質問、これはかなりデリケートな点もございますので、ちょっと私の口からは答弁を遠慮させていただきたいと思います。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官はどうですか。その辺はどう御認識をなさっているのでしょうか。
  59. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これは、防衛論議をするときに、私はいつも頭に浮かぶのですけれども、体制の違いというのはなかなかかみ合わないのですね。御案内のとおり、自由主義の場合は、いろいろの言論、出版等がどんどん出ますね。ところが、共産主義といいますか全体主義といいますか、そういうところのものは、なかなか表面に出てこないのですね。ですから、体制の違う国々の議論はかみ合わない、それが現実だなと思っているのです。したがいまして、今御質問ございましたけれども、私がここで有権的にお答えをすることは差し控えさせていただきたい、こう思います。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、次に、今度はアフガンの問題についてちょっと聞いておきましょう。  ソ連はアフガンに軍事介入をしてきたわけです。現在までどれぐらいの兵力あるいは軍事費ソ連は使ってきたか、防衛庁はどう判断しますか。
  61. 古川清

    古川政府委員 七九年の十二月というふうに私覚えておりますけれどもソ連が介入をいたしましてからかなりの月日がたっておるわけでございますが、現在のソ連のアフガン駐在の兵隊の数というのは約十万八千程度ではないか、こういうふうに考えております。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 アフガンにおいていわゆる反政府、反ソ連勢力ですね、ゲリラ的な活動をやっているわけなんですけれども、それを完全にソ連は制圧できない、あるいはソ連が軍事介入したけれども、そのソ連兵ももう本当に嫌気が差しているのじゃないだろうか、私は、そういうことを一つの情報として聞くわけなんですね。今、日本の防衛庁は、アフガンの軍事情勢をどういうふうに把握しているのか。私はそういう状態だということをよく耳にするのだけれども、いやそうではないのだ、あるいはソ連は困っておるんや、もうどうしたらいいか難儀しているんだ、往生しているんだと、そういうふうに防衛庁は分析しているのか、あるいは、いやいやまだまだ安定した政情下にある、あるいは軍事面で、軍事情勢の中で全くソ連がその支配を続けられる状態であるのだというふうに、とまれ、防衛庁はどういうふうに認識をしていらっしゃるのか、このことについて聞いておきたいと思います。
  63. 古川清

    古川政府委員 私どもの判断といたしましては、アフガンに入ったのが七九年の十二月でございまして、先生御承知のとおり、七三年にダウド大統領が無血クーデターを起こしまして王制を倒した後、このアフガンというのは目まぐるしく政治情勢が変化をしたわけでございまして、七八年にはダウドさんがまた内部の権力闘争でやられて暗殺されてしまって、タラキというのが議長さんになる、ところが、今度は一年ちょっとたったときに、タラキ議長がやられて、アミンという人が首相になる、これが七九年の九月でございますけれども、その後七九年の十二月には、数カ月のうちにソ連が入ってまいりまして、アミン議長が殺害をされる、目まぐるしい動きを示したわけでございます。私の判断では、ソ連は恐らく極めて短期間のうちにアフガンというものを制圧できるであろうと思ったに相違ないと判断をするわけでございます。現在までも五年近くの月日がたっておるわけでございまして、恐らくこれはソ連にとっては、大変な誤算であったのじゃなかろうかと思っております。  現在の情勢につきましては、私ども、それほど完璧な情報というものは入っているわけではございませんけれども、ゲリラ活動が各地に頻発しておる。過去においてアフガンのカブールのソ連大使館さえ襲撃をしたことがあるわけでございまして、ソ連の支配というものは、恐らくカブールであるとかヘラートであるとか、大都市の点だけを確保しておる、あるいは点と線といいますか、交通路ぐらいだけは恐らく確保しているだろうけれども、あとはゲリラの海の中におるような状況ではなかろうか、大変に御苦労しておられるのじゃなかろうかというふうに、私どもは判断しておるわけでございます。  それで、「ソビエト・ミリタリー・パワー」にも載っておるのでございますけれどもソ連はこの四年間にやはりゲリラ掃討のために、いろいろな武器も実は開発しておりまして、例えばスホーイ25という、スピードは別に出ないけれども、地上のゲリラを空中から撃ちやすいような飛行機を開発して、ここに写真が載っておりますが、これはアフガンで撮った写真であるという注も入っている、そういうぐあいに実戦の経過によりまして、恐らくいろいろな武器も開発し、それなりの戦術も開発してなさっておるのだろうと思いますけれども、まあ五年もたってあの小さな国を制圧できない、これは六八年のチェコの事件のように数旧もたたずしておさまったということから考えますれば、ソ連としては大変苦労しておるというふうに私どもは判断をしております。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 アフガンへの軍事介入は、ソ連にとっては今では大変なお荷物になっておる。できれば撤兵でもしたいのだというふうに考えているかもわからぬ。しかし、何も得るところなくそんなことはできないであろうということでもあろうし、今、防衛庁は一定の認識を持って判断をなさっているわけなんです。  それで、防衛庁長官ソ連の体制が新体制に変わったわけなんですね。こんな折に、日本の防衛庁として、体制は変わったけれどもソ連のアフガンに対する対応というのは変わりっこないのだ、持続されるのだというふうに認識されるのか、いや、防衛庁としては外務省等との連携の中で、何らかのよい方向に変わるような認識を持っているのだと、いわゆる新体制に変わってもなお認識は変わるのか、変わらないのか、その点は防衛庁長官、どうでしょうか。
  65. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 御案内のとおり、アフガンの問題に限らずこういう問題は、有権的にいろいろやっているのは外務省でございます。私どもの方も、外務省の方の情報、もちろん一般的な新聞情報等ございますけれども外務省の方の情報といいますか、それを中心としていろいろ考えていく、これが基本的な考え方であります。  ちなみに、もう御存じでしょうけれども、防衛駐在官というのもございますけれども、この防衛駐在官から直接防衛庁が情報をとるということはやっておらぬわけです。この防衛駐在官は大公使の指揮を受ける、こういうことになっていますから、外務省を通じてということでございますし、また、今の場合、防衛庁としてこれに対してどう考える、ああ考えるということを言ってみましても、それが現実の国際外交の中で寄与するところはそれほど大きくない、こう考えていますので、この点で御理解を賜りたいと思います。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、次にベトナム問題。今度はアフガンに予想以上に難儀をしている、もう早期制圧ができるというのが五年もかかってしまった、そんなところから、ベトナムに対するソ連の軍事援助というものは思うようにでき得ない、こういう状況ではないだろうか。  防衛庁は、ベトナムに対してソ連はどのような軍事援助を行って、今現在どのような影響をベトナムに対してソ連は持っているのか、そういう認識、分析、このことも聞いておきたい、こう思います。
  67. 古川清

    古川政府委員 ソ連は、ベトナムに対しましては直接兵隊を出してということはやっておりませんで、軍事顧問団を出しております。さらには、武器その他の軍事援助を行い、かつ、経済的にも相当な援助をしておると私は判断をしておるわけでございまして、ベトナムはあのとおり七五年におさまってしまったわけでございます。現在の戦局というものは隣のカンボジアでございまして、そこに約二十個師団、約二十万人のベトナムの正規兵が入っておるというふうに私ども判断をしておりますが、ポル・ポト軍、ソン・サン派の軍隊、それからシアヌーク派、これはいずれもタイの国境沿いにゲリラ基地をしいておりまして、兵力もおのおの非常に少ない。ポル・ポト派でせいぜい四万人、ソン・サン派で一万人、シアヌーク派で約三千人というふうに私どもは判断をしておりますが、この少数の部隊がいわばヒット・エンド・ランということで、入って何らかの破壊をやってまた戻ってくる。当然ゲリラでございますから四つに組んだ戦はできないわけでございまして、この点も、言ってみればベトナム軍は大変苦労しておる。ということは、逆に言いますれば、それを支援しているソ連も大変に苦労しているということではなかろうかと思っております。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 ベトナムのカムラン湾にソ連が恒久的な軍港をつくったということが言われているわけなんです。それでは、このことについては防衛庁はどういう認識をしているのですか。
  69. 古川清

    古川政府委員 これは当然のことでございますけれども、軍事的に利用いたしましてベトナムに対する支援という点もございますけれども、本当のねらいは、あそこの周辺の海上に対し軍事プレゼンスというものを強調することによってそれなりの効果を上げるということをねらっておるものであろう。直接カンボジアの戦というものには関係がない、アジア全体に対するソ連の影響力というものを、カムラン湾を利用することによって、私どもは、大体常時二十隻以上の船及びバジャーその他の航空機があそこにおるというふうに判断をしておりますけれども、それが存在をするということがこれまた軍事的なプレゼンスということでございまして、陰に陽にアジア全体にそれなりの影響というものを与えずにおくまいというふうに判断をしております。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 今、防衛庁は、恒久的な軍港、いわゆるアジアにおける一つの軍事的な意識を高め存在を顕著に示しているんだ、そういうことだと思うのです。しかし、これは私が直接聞いたわけではないけれども、在京のソ連大使館筋では、そんな恒久的な軍港はカムラン湾にはつくってないんだということを言っているそうなんです。しかし今のお話で、防衛庁は、カムラン湾には一定の常時二十隻以上の軍艦が停泊している、そういう実情認識に立っているわけですね。
  71. 古川清

    古川政府委員 私が申し上げました趣旨は、そのカムラン湾及びダナンも入るわけでございますけれども、そこに二十隻が常時いるということではなくて、そこを根拠地にいたしまして、この周辺を遊よくしたりしていることによって軍事的なプレゼンスを強調する。それから、先ほどちょっとメンションするのを忘れておったのでございますが、当然のことながら、この補給基地としての役割というのは大変大きい。すなわち、ソ連としましては極東にウラジオストクがあるだけでございますから、もちろん潜水艦としては別途はかの港もございますが、それからずっと回っていきますと、あの辺にあるダナンとかカムラン湾の補給基地としての役割は大変大きいというふうに判断をしております。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 むしろベトナムよりもカンボジア問題にも今防衛庁は触れられたので、ここでも私はカンボジア問題に少し触れておきたい。  これは、最近ベトナムのグエン・コ・タク外相がインドネシア、オーストラリアを訪問して、その後タイのシチ外相がキャンベラを訪問した。間接的ですけれども、カンボジア問題の当事国というのでしょうか、キャンベラで会談した。まあホーク首相の外交努力だという見方もありますけれども…。また一方、インドネシアのモフタル外相がモスクワを訪問してグロムイコ外相と会談する、そしてソ連の基本的な姿勢を確認している、そういう報道がなされているわけです。しかしながら、これは報道では、和平機運がカンボジアにというような見出しがありましたけれども、一方では、今御指摘があったように、中越国境、タイ・カンボジア国境で攻撃が続けられている、ヒット・エンド・ランという言葉を使われておりましたけれども、このまま悪化していくのではないかというような節もあるわけなんですね。私は、今ヒット・エンド・ランだというそういう認識に中越国境の紛争をとらえていらっしゃる、こういうことで一定の認識はわかるわけですけれども、カンボジア問題を防衛庁として今後の見通しも含めてどういう見通しを持っているんだろうか、現況の認識と同時に見通しとしてどうお持ちなのか、このことについても聞いておきたいと思います。
  73. 古川清

    古川政府委員 ちょっと訂正といいますか、申し上げさしていただきたい。中越ではございませんで、タイとの国境から三派が入ってくるということでございますけれども、カンボジア問題の将来といいますのは、やはりベトナム人とカンボジア人は違うわけでございまして、やはりカンボジアがベトナムによっていわば事実上征服されるというふうなことが、恐らくこういったゲリラの反発を招き、またヘン・サムリン政府というものがきちんとそこに定着をしないというところに私は問題があるんだろうと思います。  それで、最近のベトナム外務大臣の各国歴訪であるとか、いろいろ平和への動きというふうなことが言われておりますけれども、私は、まだまだいろいろな要素というものを十分勘案してじっくりと腰を据えて見なければいけないだろう、恐らく短期的な解決というものはまだ難しいんじゃないかというふうな感じをしております。少なくともやはりインドシナ半島のラオス、カンボジア、ベトナムというものが、現在どうもベトナムの勢力によって全部支配されるような機運にあるわけでございまして、三つの民族がそれぞれ自分の政府をつくり、きちんとした自主独立の線を歩むということにならなければ、ASEANの政治家たちも恐らく賛同いたしませんでしょうし、恐らくその辺に一番の決め手があるのではなかろうか。やはりベトナムの軍隊が二十個師団もよその国、カンボジアで戦をしておるというところに一番の問題があるのではなかろうかというふうに判断をしております。
  74. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、次は、中国との関係における軍事面での情勢認識を聞いておきたいと思うのですが、総理が過日中国を訪問されて、日中友好にさらに役立っていきたいという約束をなさっていらっしゃるわけです。とりわけ、中国の四つの近代化に協力をしていく、このことは私も評価するわけであります。ただし、軍事援助はしないということが含まれているわけですけれども、私は、中国の近代化に協力する中において、一体防衛庁の役割というものは何なのか、そこをひとつ伺っておきたい、こういうふうに思うのですが。
  75. 古川清

    古川政府委員 中国に対する協力というのは、もちろん外務省の仕事であろうと思うのでございますけれども、これは当然のことながら、ねらいは中国の国民の生活をよくするというところに当然のねらいがあるわけでございまして、軍事的な意味合いというのは私は全く両方とも考えていない、それがまた正しいことだろうと思っています。  それから、中越の紛争につきましては、これは私ども軍事的な面からしか見ておりませんけれども、お互いに片方を征服するなどということは考えておらない、またそういう気持ちもないのだろうと思っておりまして、最近国境沿いに砲撃があっていろいろ報道されましたけれども、昨年も同じような時期にあったわけで、それ以上のわらいというものは恐らくないのではなかろうか。あるいは今、乾季攻勢がカンボジアの方で行われておるわけでございますが、それに対する援護の意味を含めてあるいは中国がやったのかもしれない。しかし、それらについては確固たる証拠というものは私ども持っておりません。  ついでに、先ほど宿題になっておりました点、ちょっと資料がそろいましたので、ついでにお答えをいたしておきますが、第三国向けの武器輸出総額、これは七三年から八二年の約十年間をとってみますると、私どもが把握しておるところではソ連が二百七十億ドル、米国が二百八十七億ドル、かなりおのおの近い数字でございます。この程度ではないかというふうに考えております。(井上(一)委員「総額は」と呼ぶ)総額がちょっと出ないのでございますので、その点…
  76. 井上一成

    井上(一)委員 武器輸出については後で聞きます。  私は、中国との問題で、制服組の交流というのが今までに若干あったわけなんですよ。今日もその制服組の交流がどういうふうになっているのか、今後どうしていこうとしているのか、そういうことを私は長官から聞かしていただきましょう。  それで、今後、近代技術戦争といってはおかしいのですけれども、近代戦力というのですか、近代戦というのでしょうか、随時軍事技術というものも進んでいるわけなんです。そういうことの技術交流というか、知識交流をやろうとなさっていらっしゃるのか、あるいは、いや全く制服組の交流は、今までは何人かの交流があったけれどもこうこうだ、そういう点も含めて、中国との防衛庁の果たす役割、外務省だけなんだという、そんなことなら、外務省の問題は外務省へ聞きますから、防衛庁としての近代化に役立つ一つの役割というのは何なんでしょうか、どういうことなんでしょうか、こういうことを伺いたいと思います。
  77. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今までの経過をここで政府委員から答弁をさせまして、その上で私の考え方を申し述べます。
  78. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 若干事実関係を御説明を申し上げたいと思います。  中国と防衛庁とのかかわりと申しますと、北京に防衛駐在官が駐在をいたしております。もちろん外務省の指揮下に入っておるわけでございますが、そういった防衛駐在官との事務連絡、あるいは部隊等の視察ということで、幕僚監部の幹部自衛官が中国に行っているということがございまして、その際に、情報交換は適宜そこでやっておるのが現状でございます。したがって、今後もそういう形での訪問はあり得るわけでございますし、あるいはまた、中国からの視察等がありましたならば、その折に情報交換ということはあると思います。しかし、今後ともこういったようなことはやっていきたいというふうに考えております。
  79. 古川清

    古川政府委員 私が今お答え申し上げました数字は、実は第三世界向けでございまして、第三国向けではないので、その点を訂正させていただきます。  それから、七三年から八二年の数字は、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、より細かく七八年から八二年の五年間の…(井上(一)委員「後で聞くよ」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  80. 井上一成

    井上(一)委員 中国の問題について長官
  81. 西廣整輝

    西廣政府委員 中国解放軍との交流についてつけ加えてお答え申し上げますが、現在、実はかねてから外務省を通じまして、日中間の友好促進ということで、中国側から交流の申し入れがございまして、最近になって中国大使館を通じまして、教育関係、軍学校とか教育部門について相互に訪問しないか、視察をしないかという申し入れが参っておりますので、私どもとしては、他の友好諸国とのやり方と同様な考え方で対処していきたいということで検討いたしております。
  82. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今までの経過はただいま申し上げたとおりでございます。軍事的な協力というのは、これはアメリカとだけでございますので、今の延長線上として対処していきたい、こう考えております。
  83. 井上一成

    井上(一)委員 余り時間がないので…。私の質問、そういう制服組の交流を深めていくのかどうか。駐在員云々ということは聞いておらぬ。今、西廣参事官が言われたように、中国側からそういう交流の申し入れがあるので、このことについてはこたえていきたい、こういうことなんですね。そうなんですね。これは今後深めていくという対応をする、こういうことなんでしょうか、長官
  84. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 この友好関係は深めていきたい、こう考えております。
  85. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官に、我が国のシーレーン防衛ですね、シーレーンに対してASEAN諸国はいろいろな見方を持っていらっしゃるわけなんです。私はそのことは今問いません。中国は我が国のシーレーンに対して一体どういう認識を持っていると防衛庁は認識をしているのですか。我が国のシーレーン防衛に対して中国がどんな認識をしているんだ、こういうような認識をしているんだということについて、長官はどう思っているのですか。私はわかりませんということならそれを答えてください。こういうことは長官から答えてください。
  86. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私は、中国側に対して、日本の考えているシーレーン防衛、これを説明したことも当然ございませんし、また、中国側から我々の方に、日本のシーレーンについてというようなことでお話を承っておりません。
  87. 井上一成

    井上(一)委員 事務レベルでは…。
  88. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 私どもが承知している限りでは、中国としても日本が自衛のため必要最小限度の防衛力を持つということについては理解を示しているというふうに承知をいたしておりますが、具体的な問題についてまで特にコメントしているかどうかについては承知いたしておりません。
  89. 井上一成

    井上(一)委員 中国との間で、この問題ということではなく、いろいろな情報交換の中で、シーレーンについては話し合いを持たれた、それは北京であるか東京であるかは別として、そういうことはおありなんでしょうね。
  90. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 私ども自衛官が訪中した折の意見交換の内容でございますが、そういう場合に我が国の具体的な防衛政策といったようなことを議論をしているということはございませんで、国際情勢等についての意見交換が中心になっております。
  91. 井上一成

    井上(一)委員 国際的な意見交換という中にシーレーンは当然入っているというのが常識じゃないですか。シーレーン防衛について意見交換を日本の立場として話をしている、この問題を一つのテーマにして取り上げること――シーレーン防衛については中国側に日本の見解を全く示していないとかいうことはないのでしょう。正直に言った方がいい。どうなんですか。
  92. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 この点はただいま申し上げたとおりでございまして、我が国の防衛政策について中国側と議論の対象にすることを目的として訪中をしているわけではございませんので、その時点時点におきます国際情勢等についての一般的な意見の交換が主たる内容になっております。
  93. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ聞きますが、中国には原潜が所有されていると防衛庁は判断していると思うのですが、これはそういう御判断に立っているのでしょう。
  94. 古川清

    古川政府委員 一隻持っていると承知しております、原子力の潜水艦は。
  95. 井上一成

    井上(一)委員 一隻持っていると承知しているというのは、これは訪中したジェーン年鑑の編集長が中国にもミサイル原潜があるのだということを、僕も報道によって知っているわけですけれども、ここではまださらに六隻の建造計画がされている、計七隻になるというふうにあるわけなんです。防衛庁はどういう認識を持っているのですか。どういう情報を得ているのですか。
  96. 古川清

    古川政府委員 私どもは、弾道ミサイルを打ち出すSSBNというカテゴリーの潜水艦は既に一隻就航しておりまして、現在一隻を建造中であるというふうに把握をしております。さらに、弾道ミサイルの潜水艦ではなくて原子力推進の攻撃型潜水艦、SSNと我々承知しておりますが、これについては、推定として六隻というのも承知をしております。
  97. 井上一成

    井上(一)委員 余り時間がないので…。先ほど第三世界への武器輸出、主力兵器の輸出がアメリカで二百七十億ドル、ソ連で二百八十七億ドル、これはもう莫大な金額なんです。そして私の調査では、米ソ両国で世界の武器輸出のシェアの七割以上を占めて、さらに第三世界に六〇%以上を米ソ-フランスも若干ありますけれども、これは比べものにならない低い額です。私は第三世界では、今、戦うことよりも食っていくこと、いわゆるアフリカにおいてもそうですし、あらゆる意味で食うこと、食って生活をしていく、飢えにあえいでいる人たちの中で、これだけ両国が武器を売りつけて、そのことによっていわば自国の経済力をつけている、私から言えば、よく使われるまさに死の商人的対応で、世界を平和化あるいは世界に役立つ強大な国になるんだ、これは全くもって間違ったやり方だと思っているのです。特に、私は、日米友好の中でアメリカに対しても、こういうことは慎んでほしい。それこそ世界軍事費が一分間に四億円も五億円も使われていく、片側で三十人も四十人もの子供がアフリカの食糧危機の中で命をなくしていくという現状をとらえたら、私は、ソ連増強アメリカの軍事増強も含めて、これは阻止すべきであるし、そういう対応を日本はやっていかなければならないと思うのです。  中米における今の紛争、これだって、アメリカがやっていることはアフガンにソ連が軍事介入をしたことと同じようなことを中南米においてやっておるわけなんです。私の友人であるアメリカの国会議員も、これは阻止しなければいけない――私は過日大統領選の予備選に行ったのですよ。モンデールさんも含めて、レーガンは二五%の軍拡をやった、私はこれを五%に抑えたいのだと私に言っているわけなんです。日本でもそういうことに対して協力をしてほしい。中米で行われているアメリカの――これは報道だけですけれども、ワシントン・ポストにも載っているように、中米のベトナム化が懸念されて、アメリカがニカラグアに工作をしていく、そういう、これは全くもって小国の主権侵害にもつながるようなことをアメリカもやっておる。  一方、アフリカについても、今申し上げたように、いろいろな意味ソ連があるいはアメリカが、そういう主力兵器を輸出し死の商人化しつつある。一体どんなメリットがあるのだろう。ことしの一月十九日の国連食糧農業機関の発表によれば、二十四カ国で一億五千万人が飢餓状態にあると言われておるわけです。それこそ、先月の十六日でしたか、南アフリカとモザンビークの不可侵条約。武器ではない、食糧だ、薬だ、それこそ生きるために今必要なのは何なのかということで、むしろアメリカなり日本の、自由主義国の先進国の大国の-これはもう経済的に疲れ切っているわけです。もう軍備なんというところまでいかないのですよ。国家の立て直しを目指してアフリカ諸国の大半は、援助を心から求めている。そのことを防衛庁も基本に置かなければいけないのではないだろうか。余りにもソ連の脅威論を振りまいて軍備増強に走る今の世界の傾向、とりわけアメリカソ連の二大国に対する警鐘を我が国が、日本の防衛庁が鳴らすべきである、こういうふうに私は思うのです。  そういう点について、ひとつ防衛庁長官から締めくくりの御答弁をいただきたいわけです。  さらにもう一点、時間がありませんのでこれは事務当局で結構です。技術的な面も含めて、いわゆるアメリカとの十分な情報交換等もなさっていらっしゃいますし、アメリカ海軍省の兵器部が作成した「航空機取り扱い書リスト」、ネーバル・エアロノーティックス・パブリケーションズ・インデックスというのがあるわけですが、この資料防衛庁は持っていらっしゃると思うのです。私は外務省からは、外務省が承知している資料のタイトル及びその日付等についてはお答えをいただいております。防衛庁防衛庁の承知しているリストを私に教えていただきたい、こういうふうに思います。  まず事務当局から、きょうはこのことは聞かせていただくだけにします。そして、先ほどるる申し上げましたが、防衛庁長官、私の意を理解していただいて、同じ政治に志す国会議員であり、国務大臣であり、日本の国の安全を同じように守っていきたいという方法がどうあるべきかということであって、日本の安全を守る、日本の平和を守っていくということには変わりはないわけでありますから、今のようなことでは、こんな方法ではいけないということで指摘をしたわけです。締めくくりには防衛庁長官からお答えをいただいて、私の質問を終えます。
  98. 古川清

    古川政府委員 御質問の「航空機取り扱い書」につきましては外務省お答えしたと思いますけれども、そのときに外務省も私どもと協議をいたしまして一緒のお答えを差し上げたはずでございます。私も先生にお話し申し上げたことがあるかと思いますけれども、内部でも調査をいたしましたし、在日米軍の方にも照会をいたしましたけれども、お尋ねの資料は存在してないということでございますので、それで御了解いただきたいと思います。
  99. 井上一成

    井上(一)委員 私は外務省委員会では質問しておりませんよ。きょう初めて防衛庁に、これは防衛庁マターの問題であるし、防衛庁は海軍の武器使用取り扱い書についてあなた方の持っているリストをどういうリストと承知しているのか、このことを聞いているんです。だから、私は今具体的に一冊言ったのだけれども、あなた方はこれとこれとは承知している、あるいは私の言ったことだけしか承知してないとか、これは後に続くから、この問題はきょうで終えるのじゃないんだから、委員会ではっきりとお答えをいただきたいと思うのですよ。
  100. 古川清

    古川政府委員 私がお答え申し上げましたのは、「11N」というものについての取り扱い書については、今申し上げましたとおり、私どもの内部でも持っておりませんし、照会をいたしました米軍の方にも存在をしてないという御返事をいただいたということでございます。それ以外の取り扱い書については私ども全く承知しておりません。
  101. 井上一成

    井上(一)委員 海軍省の兵器部が作成した「航空機取り扱い書リスト」あるいは「11N」にかかわる資料、いわゆる取り扱い。私が今言ったネーバル・エアロノーティックス・パブリケーションズ・インデックス、これのパート1しかあなた方は持ってないということでしょう。パート1だけじゃないのです。パート1というのはこれは一九六一年九月。だから、これははっきり防衛庁から言ってほしいのだ、防衛庁はこれしかないのだとか、これしか承知してない、これはいずれ事実がはっきりするのだから。外務省から私が文書でいただいたのは、当方で知り得た限りの資料のタイトル及びその日付は次のとおりでありますということで、今私が読み上げたネーバル・エアロノーティックス・パブリケーションズ・インデックスというパート1、日付が一九六一年九月のものだ、こういうことだけしか私は資料ではもらってない。外務省と一緒に報告しましたと言うが、あなたの方から私は何も報告をもらっておりませんよ。
  102. 古川清

    古川政府委員 実を申し上げますと、その今先生お尋ねのネーバル・エアロノーティックス・パブリケーションズ・インデックス、これとして内部も当たったわけでありますけれども、それは一切私ども持っていなかったということでございます。
  103. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、「11N」にかかわる問題、これはきょうはもう深く追いませんが、「11N」にかかわる兵器取り扱い書リストはほかにお持ちなんですか。
  104. 古川清

    古川政府委員 あのときは徹底的に実は内部を関連の資料もあるかどうかを洗ったわけでございますが、見当たらなかったということでございます。
  105. 井上一成

    井上(一)委員 あのときはということですから、今後これは十分当たっていただいて、私の指摘していることは十分理解をされているから。では、次の機会にこのことについては譲ります。  最後に、先ほど申し上げましたように、防衛庁長官から。ソ連アメリカもけしからぬと私は思っているわけだ。貧しい国にたくさんの主力兵器を売って紛争を続けさして、そしてたくさんの人が命を捨てていく、そんなことで世界の平和あるいは世界に日本が役立つなんというようなことを考えたらいけませんよということなんです。もっと日本のすべきこと、あるいはアメリカに堂々と、私たちは、日米は飢えに苦しむそういう人たちに大いなる協力を、援助を今していくべきであり、兵器を売るべきでない、弾を売るべきでない、紛争に加速させてはいけない、そういうことを防衛庁はやはり言わなければ、ソ連が脅威だとか――アメリカのことは一行もここに書いてないじゃないですか。アメリカのことを書いてありますか。そのことだってお答えができない。さっき私は聞いたでしょう。まだその答えも返ってこないのですよ。時間がないから僕はやめますけれども、あなた方は質問に対してまともに答えていない。アメリカがそれだけの軍備拡大をしていっているということは、この「日本の防衛」のどこに書かれているのですか。ソ連の脅威と言う。私は、ソ連もけしからぬ、アメリカもけしからぬ、そのことを日本はどうして堂々と言えないのだ。我が国の主権というのは、我が国の自主的な外交あるいは自主的な防衛というのはそこにあると思うのです。いたずらに客観的な冷静な判断を狂わしては、まさにそれは国の方針を誤る、そのことを強く訴えて私の質問を終わりますから、ひとつ、防衛庁長官の所見を、これはもう政治家として私は大いに期待をしていますから、防衛庁長官によろしくお答えをいただきたいと思います。
  106. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、米ソ二大国を中心として軍備が大変進んでおる、これは私どもも非常に憂うべきことだと考えております。  しかし、現実に防衛庁長官、実動部隊の統括者としての防衛庁長官といたしましては、現実に日米安保条約のもとで、いろいろとやっていかなければならぬ、そういう観点もございますし、万が一の場合にどう対処するか、そういう観点から、憲法の許す範囲内において自衛力の整備を図っていく、これはもう基本的にそういうことでいかなければならぬと思います。  ただ、問題は、国務大臣として、世界の軍備に対する流れを黙っておっていいのかどうか、この点につきましては、私もそれは黙っておっちゃいかぬなあという感じがいたします。そのうち日米防衛首脳で語るときがあると思いますが、そういう場合には、防衛に関する私の政治哲学と言うと少しおこがましゅうございますが、私の考え方というものは開陳をしてみたい、こう考えております。
  107. 井上一成

    井上(一)委員 終わります。
  108. 横山利秋

    横山委員長 新村勝雄君。
  109. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最初に、大臣に御質問をいたしますが、八二年十二月アメリカの上院で、日本に対する防衛能力増強の決議をしておるわけですね。この問題は、日米の将来の親善という意味からいっても、協力という意味からいっても、大変重要な問題を含んでおると思うのです。それからまた、日本の防衛政策にも大きな関係があるわけでありますけれども、これについて、まず大臣の御所感をお伺いしたい。
  110. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 アメリカ側から日本の防衛につきましていろいろとコメントがある、しかも、それは場合によると少しきつ過ぎるじゃないかというような御批判も委員会で出ております。私は、アメリカ人というものの特質というのは、又トレードにいろいろ物を言う、そういう特質が一つあるのじゃないかと思うのです。問題は、一つ一つのそういうコメントなり声明なり報告なりを我々としてもろに受けとめるということはいかがなものか。強い希望、そういうものとしては日米安保というものがございますからこれは当然でございますが、我が国の防衛は我が国が自主的に判断をする、そういう観点から、私は、我が国の防衛につきましては私並びに総理大臣が責任を持って対処していく、こういう考え方だろうと考えております。
  111. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣のそういうお考えからすると、このアメリカ上院の決議というのは大変心外なことじゃないかと思うわけですよ。というのは、総理の言葉をかりて言えば、いかに同盟国と言いながら、これはアメリカの国権の最高機関でしょう、ここにおいて、日本の防衛政策についてかなり具体的に指摘をする、あるいはこうすべきだと訓示的な言葉もあるわけです。こういうことは主権の問題とも絡んで大変重要ではないかと思うわけであります。こういう事態について政府は何らかの対応をなさったのか、それとも全く関係しないということで見過ごしておられるのか、そこらの点はいかがですか。
  112. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 政府としてコメントするということになりますと、これは外務省が所管ではないかと思います。  私は、先ほどもちょっと申しましたが、アメリカ人の気質というものは、日本人の気質と違う、非常に単刀直入で、日本人の方からすると少し言い過ぎではないかと思われるようなことも言う、それはアメリカ人の気質じゃないかと思う。その気質について、こちらの方がそれをわきまえた上で、それはあなた方の熱い思いであるとか強い希望であるということはわかるけれども、我が国は我が国としてやるんだ、こういうことでいけば、それはそれでいいんじゃないか、また事実、今までのいろいろの問題についてそういうことで対処してきておる、こういうように理解をしております。
  113. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ところが、この事態は何といっても異例だと思うのですよ。アメリカの国会が具体的に日本の防衛政策についていわば訓示的な言葉を使って決議をするということは、これはかなり異例ではないかと思います。しかも、その後における日米関係、あるいは中曽根総理の発言、あるいはアメリカのワインバーガー長官の国防報告、これらを見ますと、この上院の決議の線に沿って事態が進んでおる、こう言わざるを得ないわけです。こういう点で極めて重大だと思うわけでありますが、長官は、アメリカ人は非常に率直な物の言い方をする、大したことじゃないんだというふうにおっしゃいますけれども、そうはいかないと思いますね、これは。こういう問題について閣議等で取り上げられて論議をされたことがあるのかどうか、あるいはまた、日本政府としてこの問題についての検討がどう行われたのかということを伺います。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
  114. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私はまだ閣議でそういう問題を論議されたことを聞いておりません。それから、総理も予算委員会の最中に、同様の趣旨の御質問に対して、アメリカが何と言おうとも我が国は我が国の自主的判断でいくのだということを再三言われておりますので、それで十分ではないかと思います。
  115. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 アメリカが何と言おうとも日本は関係しないということでは済まされないと思いますよ。これはその後この上院の決議の線に沿って事態が進んでおるということは、長官もお認めにならざるを得ないと思います。そうしてさらに、今回、二月ですか発表されたアメリカの国防報告、国防長官による報告でありますけれども、これの基調というのは、やはり上院の決議の線に沿ってなされていると言わざるを得ないわけですね。しかも、この国防報告には、さらに具体的に日本の防衛政策について触れているわけです。それでは、長官は、八五年度のワインバーガー長官報告についてどういうお考えを持っておられますか。
  116. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ですから、先ほど来申し上げているとおり、アメリカの方でいろいろと御発言されるということについて、これは日本に対する強い希望といいますか期待といいますか、そういうものと認識をしておるわけでございます。
  117. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それでは、アメリカは何と言おうと自由だということですか。それでは済まないと思いますね。アメリカは、そういう願望なりあるいはアメリカの日本に対する政策を公式に述べているわけでありますから、これに対する日本としての対応がやはりなければならないし、対応がなければ、これはアメリカが、日本がそれを全面的に承認したということを当然考えるわけでありますから、将来の日米関係にとっても、日本の政策にとっても、これは大変困った事態になるのではないかと思います。  そして、この国防報告の中で、中曽根総理は日本の領土、領海、領空及び千海里のシーレーンを守るための国家意思を再確認した、国家意思ですよ、再確認したというふうに彼は言っているわけですよ。そういたしますと、この国家意思とは何であるのか。国家意思というのは、単に総理がコメントしたということだけでは国家意思にはならないと思うのですね。これについては、日本の国家意思として国際的にこれを通用させるためには、総理のコメントだけではいけないと思うのですね。これは当然、国会もあるし、そのほかの機構もあるわけですから、手続なり何なりをしなければ国家意思にはならないわけでありますけれども、中曽根総理は国家意思としてこういうことを表明した、こうアメリカは言っておるわけですよ。その辺のお考えはいかがでしょうか。
  118. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 我が国の防衛政策に関しますアメリカ側の理解の問題でございますので、事実関係を若干御説明したいと思います。  これは、昭和五十六年の五月八日に鈴木総理大臣とレーガン大統領との会談がございまして、その共同声明が発せられたことは御承知のとおりだと思います。その中で、総理大臣はこういうふうに述べているわけです。「総理大臣は、日本は、自主的にかつその憲法及び基本的な防衛政策に従って、日本の領域及び周辺海・空域における防衛力を改善し、並びに在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、なお一層の努力を行うよう努める旨述べた。」ということでありまして、それに引き続きましてこう書いてございます。「大統領は、総理大臣の発言に理解を示した。」こういうことでございまして、これが現在の日米関係の一つの基調になっておるものと私どもは理解をしておるわけでございます。  したがいまして、ただいま御指摘のシーレーン防衛につきましても、我が国の政策、つまり周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね一千海里程度の海域で、海上交通の安全を確保し得ることを目標に海上防衛力整備を自主的に行っていくということにつきまして、米側も十分理解をした上で、ともかく一層の努力をしてもらいたいというふうな、一般的な期待を常に繰り返し申し述べていると私どもは理解しておるわけでございます。  なお、ただいま、国防報告の中でナショナルポリシーという言葉が使われていることは私どもも承知はいたしております。これがどういう意味で用いられているかは、アメリカ側の解釈に帰するところだと思いますけれども、いずれにしても、今まで私どもが申し上げましたように、我が国の政策としてのシーレーン防衛の考え方については、アメリカ側は十分理解をした上で、こういった期待の表明をしているというふうに理解をしている次第でございます。
  119. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 一つのことが政策として、これはシーレーン防衛というのは、仮にこれは確定されれば、重要な国策というか防衛政策になると思いますね。そうでしょう。ですから、そういう政策を決定する場合には、これは単なる総理の発言だけでいいのかどうか。これは閣議決定あるいは国防会議における決定、あるいは国会に報告をする、国会の承認を得るというようなことが必要ではないかと思いますが、その点ではいかがでしょうか。
  120. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 毎々御説明申し上げておりますように、シーレーン防衛につきましては、これは海上交通の安全を確保することを基本的な目的にしておるということでございまして、そのための手段としては、各種の作戦の累積効果によって確保していくのだということでございます。そういった考え方は、昭和五十一年に定めました「防衛計画の大綱」の中で海上自衛隊の体制というところがございまして、その中に、各種のそういった海上自衛隊の活動について、どういった部隊を整備していくかということを詳しく書いておるわけでございまして、そのことがただいま申し上げました海上交通安全確保のための累積効果を確保するための手段になるということが明らかにされているわけでございます。  ところで、御指摘のように、千海里というような数字は書いてないではないかという問題でございますが、確かに大綱の中に、数百海里でございますとか、一千海里というふうな数字自体は記述がございません。しかしながら、「防衛計画の大綱」を決定する際に、国防会議で累次御審議をいただいたわけでございますが、その審議の際に、ただいま私どもが申し上げておりますように、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において、海上交通の安全を確保するということを前提といたしまして、海上防衛力整備をやっていきたいという考え方を御説明申し上げ、了承をいただいておる、こういう経緯があるわけでございまして、そういった「防衛計画の大綱」自体がそういう考え方を踏まえて御決定をいただいているというふうに、私どもは理解をしておるところでございます。
  121. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 鈴木総理は、八一年五月に、日本の領土、領空千マイルのシーレーン防衛は合憲であり、国策である、こう発言をされておるわけですけれども、合憲云々は別としても、国策であるというからには、やはりそれは国策として千マイル防衛、千海里シーレーン防衛ということを特に取り上げて言明されているわけでありますから、これを中心とする防衛政策については、確立された国策として、内外に通用する手続なり、あるいは明確な政策としての確認なり、宣言なり、こういうことは要らないのですか。これをやはり国会等においてあるいは閣議等においてやる必要があるのじゃないのですか。どうなんですか。
  122. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 海上防衛の作戦を実施していく場合の地理的範囲ということで、この防衛力整備に当たりまして、前提を置いて従来からやってきておるわけでございますが、これは大綱以前の三次防、四次防の時代、それから「防衛計画の大綱」になったときも、これは一貫しまして、先ほど申し上げましたように、周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね一千海里程度の海域において、海上交通の安全を確保するということを目標としてやっていこうということで、政府部内の調整もいたしたわけでございますし、特に大綱については国防会議でも御説明をし、了承を得ている、こういうことでございます。さらには、そのことは国会の御審議の際に、従来からも繰り返し御答弁を申し上げ、その説明を申し上げているところでございまして、これは、政府の考え方といたしまして十分に御理解をいただけるように、我々としてもこれまで努力を払ってきたというふうに考えているわけでございます。
  123. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 質問をされ、追及をされて、そこで答弁をするということではなくて、やはり積極的に総理の施政方針の中で、あるいはもっと明確な形もあると思いますけれども、そういう形でやはり国会に報告をし、国会の承認を得るということが当然求められるべき問題だと思いますけれども、その点については、ひとつ大臣におかれても、こういう重要国策についての国家意思を決めていくという手続が必要だと思いますので、御検討いただきたいと思います。  それからまた、国防報告は、中曽根総理はさらに率直にということを言っていますね。さらに率直に米国との国家的分担のもとにおける日本の責任のあるべき姿を表明した。この国家的分担というのは海域を守ることについての国家的な分担だと思いますけれども、この国家的な分担という意味はどういうことなんでしょうか、大臣にお伺いします。
  124. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 我が国の防衛につきまして、いろいろと米側との間で日米の共同防衛ということがあることは御承知のとおりだと思います。  その場合の考え方といたしまして、シーレーン防衛に関連をいたしまして海域分担をするのではないかというふうな御議論が従来からもあったわけでございますが、その都度申し上げておりますことは、私どもは海域分担ということを考えているわけではないということでございます。これは、日本の有事におきましてシーレーン防衛をやっていく場合におきましては、必要に応じて日米の共同作戦ということをやるわけでございますが、その際には、日本は主として守勢的な面を受け持ちますが、アメリカには攻勢的な役割を期待をするという考え方で、一種の機能分担、そういうふうな考え方でやっていこうということになっておるわけでございます。この点は、昭和五十三年に日米間で合意をいたしておりますがイドラインの中でもそういう考え方を明記をして、これも公表をしておりますし、必要に応じてその都度御説明を申し上げているところでございます。
  125. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ところが、国防報告の文脈からすると、これは今おっしゃったようなそういう意味の分担ではなくて、海域分担というふうに、明らかにそうしか読めないのです。そういう書き方をしているわけですよ。こういう点についてどう考えるのか。  それからまた、こういう上院の決議にしても国防報告にしても、日本の防衛政策についてかなり具体的な言及をしているということは、これは、アメリカが一方的にそういうことを発言しているのか、そうではなくて、やはり事務レベルあるいはトップレベル、両方でしょうけれども日米の間に当然そういう合意なり事前の話し合いがあったとしか考えられないわけですね。そうではなくてアメリカだけが勝手にこういうことを書くということはないわけですけれども、そういう点はどうなんでしょうか。トップレベルあるいは事務レベルのこういう面についての具体的な打ち合わせがどの程度までやられているのか。
  126. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 アメリカの国防報告は、アメリカの国防総省の責任において発行されているものでございまして、私どもが事前にその内容について御相談を受けているということは全くございません。  それから、私どもが先ほど来繰り返し申し上げておりますような考え方で防衛力整備を行っているということは、従来からアメリカ側にも十分説明をしておりますし、彼らもそれはよく理解を示しているところでございまして、日米間にそういった基本的な考え方について相違があるものとは私どもは理解をいたしていないわけでございます。国防報告等におきまして、いろいろな表現で日本に対する期待を表明されているのは事実でございますが、それはやはり、アメリカ日米安全保障条約に基づきまして、日本の有事においては日本を守る義務を持っているという特殊な関係にある国でございますから、そういった意味で、日本自身の防衛努力についての期待を持つということは自然ではないかと思います。そういった期待がいろいろな表現で出てきているというふうに私どもは考えております。  しかしながら、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、あくまでも日本の防衛政策は日本が自主的に判断をして決めていくということには変わりがございませんので、その辺は御理解を賜りたいと思います。
  127. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 日米安保条約の存在は、これは事実としてあるわけですね。これについての議論はしませんけれども、少なくとも、国民の知らないところで、合意についても何についても同じでありますけれども、国民の目から隠された部分での日米間の話し合いなりあるいは約束なりということがあるとすれば、これは極めて重大な問題であります。  ですから、防衛の問題についてもやはりこれはあくまで国民の前に、秘密事項はあるでしょうけれども、基本的な防衛政策については国会で明らかにしていかなければいけないと思います。そういう点で、もう一回大臣にお伺いしたいと思います。
  128. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 防衛問題は非常に重要でございまして、アメリカとの間に国民に隠してこっそり約束をする、そういうようなことは絶対にやってはならぬ、こう思います。
  129. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、今、五六中業の期間中だと思いますけれども、五九中業がことし、五十九年には検討、策定をされると思いますが、この検討はいつからどういう基本的な考えのもとに行うのですか。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これも今まで各委員会で申し上げてきたわけでございますが、今、五六中業をいつ出すと、その日程を確定するところまで来ておりません。ただ、この前の五六中業のときには四月の末に出したというふうに承知をしておりますので、まあ今までの中業の長官指示とそんなに大きく狂うということはないと思いますが、いずれにいたしましても、指示は出しますが、まだいつという日時は決まっておりません。
  131. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、これは五十六年の決算とも直接関係があるわけですが、先ほど申し上げたシーレーン防衛との関連でお伺いするのですけれども、今、防衛庁は、硫黄島の整備をかなり精力的におやりになっているのですね。これについては、五十五年に十三億、五十六年に二十六億余りの経費をかけて整備をされておるわけですが、この問題については、五十六年、八一年当時、当時の長官から、長官の方針として、千海里防衛の防空能力の整備を図る一環として、硫黄島を前進基地として活用する方針だというようなことが言われていると思いますが、硫黄島整備の構想を伺いたいと思います。
  132. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 現在進めております硫黄島の整備は、訓練基地としてのものでございます。海上自衛隊及び航空自衛隊航空機の移動訓練基地として活用をしたいということでございまして、それ以上のことは考えておらないわけでありますし、今そういった計画はございません。  ただ、事実の問題として言えば、硫黄島というのが有事におけるシーレーン防衛にとって重要な地理的位置にあるという認識は持っておるということでございまして、そのことを従来も何回か御質問に応じて御説明をした経緯はございます。そのことではないかと思います。
  133. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは、シーレーン防衛を日本が真剣に考えるとすれば、いや応なしに硫黄島がその中核になるんじゃないですか。ですから、それはシーレーン防衛という概念を離れて硫黄島の整備をするということは、まず常識的にも考えられないわけですね。ですから、それはシーレーン防衛の中における役割ということは、ぜひ明確にしていただきたいと思うのです。
  134. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 硫黄島の地理的位置がどうであるかということでございますと、確かにそういう重要な地理的位置にあるということは事実だろうと思います。しかしながら、私どもが今硫黄島で基地を整備いたしておりますのは、あくまでも海上自衛隊及び航空自衛隊航空機の移動訓練基地ということで整備をしているものでございまして、一般的な作戦用の基地としての整備をする計画は今持っておりません。
  135. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、現在考えておる整備内容はどういうことですか。
  136. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 これは本土におきます飛行訓練環境に制約がありますことから、先ほど申し上げましたような移動訓練基地として使いたいということでございます。五十五年度から現在自衛隊の使用しております用地内に関連施設等の整備を行っているわけでございます。これまでにやってきましたのは、それに必要な管理施設、飛行場施設、補給施設整備を行っております。  五十九年度におきましては、引き続いて誘導路とか揚油施設、油を揚げるということですが、揚油施設等の関連施設整備を行う計画でございます。これによりまして、硫黄島におきます訓練環境等の整備はおおむね整うのではないかというふうに考えております。五十五年度から五十九年度までの施設整備費の経費は、契約ベースで約九十八億円となっております。
  137. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 伝えられるところによりますと、対潜哨戒基地になる、これが主要な目的だというふうに伝えられておりますけれども、その点はいかがですか。
  138. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 先ほども申し上げましたように、そういった対潜航空機を配備する作戦用の基地ということで整備をしているものではございませんで、移動訓練用の施設ということで最小限の整備を行っているものでございます。
  139. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、シーレーン防衛というのがとにかく重要な防衛政策の一環であることは既にお認めになっておるわけでありますから、シーレーン防衛を実際に進める場合に、そのアウトラインをまず伺いたいわけです。
  140. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 シーレーン防衛と申しますのは、我が国が有事の場合に、国民の生存を維持しあるいは継戦能力を確保するということのために、海上交通の安全を確保するということを目的とするものでございます。そのためにはいろいろな作戦を実施するわけでございまして、海峡の防備、港湾の防備、あるいは哨戒、あるいは護衛等というような活動をやるわけでございまして、こういった諸作戦の累積効果ということによって海上交通の安全確保をしていこうということを考えておるわけでございます。その場合に、必要に応じて航路帯を設けてやっていくということもあり得る、そういうふうに御理解をいただければよろしいかと思います。
  141. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、そのときどきに応じて航路帯は変わる、そのときの状況によって一定の地帯を決めてそこを守る、こういうことですか。
  142. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航路帯を設ける場合と申しますのは、海上交通を確保するために、場合によっては、船舶が比較的安全に航行できるというような航路帯を設けた方がいい場合があるだろう、こういう考え方を持っております。  実際問題として、具体的に申し上げますと、一応念頭にありますのは南西航路帯、もう一つは南東航路帯というような方角を考えておりますが、これはそのときどきの様相によりまして、実際にどういうふうに航路帯を設けるかというのは千差万別であろうかと思います。やはりそのときどきの状況を見ながら、必要があれば設けていこうということでございます。
  143. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 アメリカの表現をかりれば、この千海里防衛というのは、本土から外側に向かって千海里、こういうことを言っていますね。それはそういう漠然としたものですか。それで、そのときそのときによって必要に応じて一定の重点的な海域を決めようということですか。
  144. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航路帯を設けるということは、これはある一定の目的のために、ある一定の期間、一定の海域における比較的安全な状態をそこにつくっていくというような作戦でございまして、それはそのときどきに応じて、どういう場所にどういうふうにやっていくかが決められていくことになろうかと思います。  私どもが航路帯を設ける場合は、おおむね一千海里程度の海域というふうに申し上げておりますのは、ただいま先生、本土からというふうにおっしゃいましたが、大体そういうことでございますが、もう少しはっきり申し上げますと、従来から御説明していますように、南東航路帯で考えておりますのは、東京湾を基点として約千海里程度のところかな、それから南西航路帯という場合には、大阪湾を基点といたしまして一千海里程度というふうなことを御説明をしておるわけでございます。
  145. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 アメリカの表現ばかりかりてはまずいのでしょうけれども、外側に向かって千海里ということを言っていますから、日本海も入るし、四海峡も入る、南方も入る、千海里という概念は、そういう広い考え方であるのか、南方の油を運ぶ航路帯であるのか、そこらはどうなんですか。
  146. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 この千海里と申します場合には、私どもコンパスで千海里ぐるっと回して、その中を全部常に守るというふうな意味で申し上げているわけではございませんで、やはり今の海上交通の安全を確保するための諸作戦の一つとして、もし有効な場合には航路帯を設定をするという作戦を選ぶ場合があるということでございますから、そういうケースとして通常考えられるのは、自然に船舶の航行が収れんしてくる南西方向と南東方向、こういう二つの大体の方角というものがあり得る、こういうふうに認識をしておるわけでございます。実際に、そういう方角において具体的にどの場所にどういうふうにやるかというのは、それはまさにそのときの事態に応じて千差万別であろうと思いますので、一概にどこというふうに固定的に決められるものではないだろうというふうに考えております。
  147. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 はっきりわかりませんけれども、この問題についてはアメリカが盛んに繰り返し発言をしておりますけれども、このシーレーン防衛という概念というか、作戦ですね、これは日本の発想なんですか、それともアメリカから提起されたものなんですか。
  148. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 シーレーン防衛という言葉で使われるようになったのは最近のこと、数年間くらいに特に多く使われるようになった言葉ではございますが、その実態は、先ほど申し上げましたように、あくまでも海上交通の安全を確保するということでございます。そういう意味で申し上げますれば、これは私ども三次防、四次防の時代から防衛力整備の基本的な考え方としてとってきた考え方でございまして、これは最近になって急に出てきた、アメリカから言われて出てきたということではございませんで、我が国の防衛力整備の基本的な考え方として、三次防、四次防時代からずっと引き続きこういった防衛力整備をやってきているというふうに御理解を賜りたいと思います。
  149. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、有事法制について伺いたいわけですが、長官は最近、有事法制の促進を指示をされたというようなことが報道されております。そしてまた、防衛庁は前からこの問題については研究をしておるということは知っておりますが、今、この進行状況というか、検討の状況はどういうことになっておりますか。
  150. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  有事法制の研究は、御承知のように五十二年から始まっておりまして、五十六年四月二十二日に第一回の中間報告をいたしました。その内容は御承知と存じますが、三つの分類に分けて勉強しております。第一分類は防衛庁所管に係る法令、第二分類は他省庁の所管に係る自衛隊が行動する際に必要な関係諸法令、あるいは第三分類といたしましては、どの省庁にも属さざる問題点、例えば人道に関する国際条約の国内法制化であるとか、有事に際しての国民の避難、誘導の問題であるとか、こういう三つの分類に分けて研究をしておるということを御報告を申し上げ、その際に、第一分類、防衛庁所管に係る法令に関しては、一応問題点の洗い出しが終わって十一項目ほどお示しをしたわけでございます。自来、第二分類すなわち他省庁に係る法令の研究、問題点の調査に入りまして、約三年を経ようとしておるところでございますが、五十七年から各省庁に対しまして、関係法令で約五十、案件でもって約七十件、省庁といたしましては約十省庁に及びますが、これに対しましてそれぞれの所管の法令についての有権解釈、関連条文の有権解釈、あるいは除外規定、例外規定の有無等の調査を依頼をいたしまして、現時点におきましておおむね七、八割程度の返事が返ってきておるということでございます。第三分類はまだ未着手ということでございます。  問題点は必ずしも全部解決したわけではございませんで、一応回答が来たという意味で、まだ回答の来ておらないものもございますので、各省庁に対しましては御協力をお願いをして、この有事法制につきましては、御承知のように、ある程度まとまったところで国会に御報告をするということでやっておりますので、まとまり次第国会にも御報告をさせていただきたいと考えております。
  151. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 国会への報告というのは、それは法案として出すのじゃなくて、その前の調査内容について報告するということですか。
  152. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  これもたびたび御答弁申し上げておりますので、御承知と存じますけれども、この有事法制の研究は、立法を前提とせず、現行の法規で大体できる体制にはなっておりますが、なお不備な点はないかどうかの調査研究でございます。したがいまして、立法をするということではございませんで、立法をするかどうかは国会の御審議あるいは国民の世論の動向等を踏まえまして、慎重に政治判断をしていただくべき問題でございます。私ども行政レベルでやっておりますことは、問題点の研究、したがいまして、また中間報告をさせていただくといたしますれば、こういう問題点があるということがわかりましたという御報告になろうかと存じます。
  153. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは、前にこの問題が起こったのは、第一線の自衛隊の指揮官なり自衛官が万一の場合の対処に困る、こういうことから始まったのではないかと思いますけれども防衛庁としては統一見解を発表しておりますね。「特に緊急の必要がある場合には、内閣総理大臣が事前に国会の承認を受けないでも防衛出動を命令することができることとされており、しかも、この命令は武力攻撃が現に発生した事態に限らず、武力攻撃のおそれのある場合にも許されるので、いわゆる奇襲攻撃に対しても基本的に対応できる仕組みとなっており、」これが防衛庁の統一見解だと思います。そうしますと、少なくとも第一線についてはこういう解釈で万一の場合も対応できる、その他の問題についても現行法制で十分対処ができるというふうに考えられるわけですけれども、現行法令でどうも不十分だという点があるのかどうか、この点はどうですか。
  154. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  有事法制の研究は、憲法の範囲内で現行の法令を逐条的に勉強してみようということでございまして、第一分類の中間報告をいたしました五十六年の四月の段階において、防衛庁所管の法令については十一項目ほど問題点があるという御報告をいたしました。  例えば、予備自衛官の招集、これは自衛隊法第七十条というのがございますが、これによると、第七十六条防衛出動下今後でなければ予備自衛官が招集できないようになっておりますが、七十七条でも招集できるようにした方がいいのではないかという問題点。あるいは、九十五条の武器防護という規定がございますけれども、二十九年にできた法律でございますので、レーダー施設とか通信施設というようなものが防護対象に入っておらない、その後の情勢の変化によって、こういうものを入れるべきではないかということ。あるいは、第百三条というのがございます。有事に際して、これは第一次的には都道府県知事の権限でございますけれども、必要な土地、建物を使用したり物資を収用する、こういう権限が百二条で与えられておりますが、その具体的な内容については政令でこれを定めるとなっております。しかし、まだ政令ができておらない。こういうような問願点等十一項目をお示しをした。これが第一次の中間報告内容でございます。
  155. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、現在の法制でも第一線の部隊に不安はない、こう言っていいわけですか。
  156. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘したような問題点は、なぜ問題点となったかと申しますと、例えば七十条の例を挙げますと、今四万三千余りの予備自衛官がおりますが、この招集は法令上は十日間以内に参集せよということになっております。しかし現実には、部隊編成をしたり、これに対する装備品を支給したり、編成をしたり訓練をしたりということになると、一カ月くらいかかるのではないだろうか。そういうことですと、七十六条の防衛出動下今後では間に合わないのではないだろうか、七十七条の待機命令の段階で招集、七十七条でもできるようにしていただいた方がなおベターである、こういう意味では、現行の法制について問題点があり、若干不備な点があるのではないか、こういう報告内容となっております。
  157. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 今、第一線における状況ですけれども、例えばスクランブルは年間にどのくらいございますか。
  158. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航空自衛隊の緊急発進の実施状況でございますが、五十八年度の一年間の総件数は六百七十五件でございます。
  159. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 スクランブルに飛び立つ場合には、実戦に即応する態勢でやるわけですか。
  160. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 スクランブルに飛び立つ航空機には、ミサイル等を搭載して飛び立っております。
  161. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その対処の方法ですけれども、国籍不明の飛行機が接近してきた場合にはその対応はどうするのか。一定の境界を越えた場合には警告を発する、あるいは警告を発しても聞かない場合にはミサイルを発射するということになるのか、その対応の順序はどういうことですか。
  162. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 スクランブルに飛び立つ場合というのは、領空侵犯をできるだけ避けさせることが基本でございますし、領空侵犯に立ち至った場合にはそれを速やかに退去させることが基本でございます。飛び立っていきましてその領空侵犯機を捕捉した場合には、状況の確認をいたします。それから、必要に応じて行動の監視をするということが一つございます。次に、その領空侵犯機を確認した場合には、領空侵犯機に対しまして領域外への退去あるいは最寄りの飛行場への着陸等を警告するという仕組みになっておるわけでございますが、基本的にはやはり退去を警告していくということではないかと思っております。
  163. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、退去を命ずるわけですね。あるいは強制着陸を命ずる。それでも聞かない場合にはミサイル発射ということになりますか。
  164. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 領域外への退去の警告とかあるいは誘導しようというようなことをした場合に、領侵機がこれに従わない、発砲するなどの実力をもって抵抗してくるような場合、そういった場合には、要撃機が対領侵措置実施のための任務遂行の一環として、正当防衛または緊急避難の要件に該当する場合に限って武器を使用し得るという仕組みにはなっております。しかしながら、実際にこういった武器を使用したという事例はございません。
  165. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その場合には、正当防衛なり緊急避難という解釈ですね。防衛力の発動ではないのですか、防衛力の発動ということですか。
  166. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 この対領空侵犯措置と申しますのは、あくまでもいわゆる警察的な活動でございまして、我が国が武力攻撃を受けた場合に自衛権の行使として行われる実力の行使とは全く別の分野のものでございます。
  167. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それから、内地の各部隊は日常、戦闘の配備、戦闘の準備はしていないと思いますけれども、実弾を配備されているとかそういったことはあるのですか、ないのですか。
  168. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 陸上自衛隊の場合で申し上げますと、各駐屯地に必要に応じて弾庫がございまして、必要な弾薬類はそこに保管するということが基本になっておると思います。
  169. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、例えば防衛庁の前に歩哨が立っていますね。あの歩哨さんは実弾を持っておりますか。
  170. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 これは、現在はそういった弾薬を持たせて歩哨に立つということはございません。社会情勢その他から考えましてそういった必要性がございませんので、そういった措置はとっておりません。
  171. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、別のことをお伺いしたいのです。  それは、今までもしばしばお伺いしておりますけれどもアメリカがいわゆるNLP、ナイト・ランディング・プラクティスをさらに充実したいということで、その訓練基地の提供を強く要請しておることはかねてから聞いておりますけれども、この問題についてのその後の経過を伺いたいと思います。
  172. 塩田章

    ○塩田政府委員 この点もしばしばお答えしておりますけれども、五十八年度で約九百万円の予算をいただきまして三つの調査項目について調査を開始したわけでありますが、第一番目には、関東及びその周辺地区で既存の飛行場を使えないか、第二番目には、同じ地区で新設飛行場の適地はないか、第三番目としましては、何らかの海上浮体構造物というものが考えられないかということで、調査を五十八年度からやっておりますが、現状は特段の具体的な進展を見ておると申し上げられる段階ではございませんので、五十九年度も引き続き調査を続けてまいりたいと考えております。
  173. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣にこの問題に対する御認識を伺いたいわけですけれども、この問題は既にもう前々長官のときから表面化をしまして、かつて十年も失敗しておるわけですが、長官のこの問題に対するお考えはいかがですか。
  174. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私もいろいろと事情を聞いております。いわゆる騒音という問題が中心でございまして、住民方々の御理解をなかなか得られない。騒音とか不安ですが、そういうものがあって非常に御理解を得にくいということを承知しておりますが、同時に、私ども我が国の防衛というものを考えてみた場合に、最小必要限度の防衛力整備しなければならぬ。その一環といたしまして、大変難しい状況ではございますが、何とか御理解をいただいて処置をいたしたい、こういう気持ちで、今防衛施設庁に鋭意努力を求めているところでございます。
  175. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この問題の必要性については、米側から要請があって、それを日本政府はうのみにしているということだと思いますが、何をするにも理想的な状況ではできないわけですし、いろいろ社会的な情勢なり日本の事情なりに制約をされるわけです。実戦だって、これはいろいろな状況に制約されますから、まして平時の訓練がほかの要因に制約をされるということはやむを得ないと思うのです。そこで、こういう問題については、確かに安保条約もあるし、米側の努力は多とする、そういう面はあると思います。しかし、アメリカが要請しているようなそういう条件訓練場はいまのところとてもできないでしょう。安保条約に基づいて防衛協力をするということについても、これはすぐ否定はできないかと思いますけれども、そういう極めて無理な要求については、こっちの事情を説明して了解してもらう、現状そのままを続けることができなければ、ちょっとは遠くてもそこへ行ってもらうということを、そういう立場からの、丸のみ、うのみにするのじゃなくて、そういう日本の事情を説明して了解してもらうという立場からの対米交渉はおやりになったことがありますか。
  176. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは決してアメリカの要望があって、それをうのみにしているということではなくて、もともと三沢なり岩国でやっておりましたものを、五十七年の二月から厚木でやるようになった。それで、厚木の周辺の住民から騒音問題が発生しまして、一つにはこれは地元側の強い要請であるわけであります。それをまた我々が米側に話をしまして、米側もその事情は了承しまして、それでは代替地はないか、こういうことになったわけでございます。また、現に三沢にしましても厚木にしましてもそうですけれども米側の要望どおりの形で現在でも行われておるわけではございませんで、時間の制限でありますとか、高度の制限でありますとか、飛び方の制限でありますとか、そういうようなことはすべて我が方の要望を入れてやっておるわけでございまして、決して米側の要望をすべてうのみにしておるという性質のものではございません。  ただ、一方、いずれにしましても、安保条約に基づいて米軍が駐留をし、また駐留している以上は訓練が必要であるということも、これはまた当然でございまして、そういう意味で、米側の代替地を欲しいという要望もこれは理解のできるところでございまして、この問題については、我々としましては、米側の言い分を一方的にうのみということではございませんけれども、ぜひ問題の解決のために努力をしていくべきであるというふうに我々自身も思っておるわけであります。
  177. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 米側の要求も理解できる、これは安保条約が現にあり、防衛活動も現に否定するわけにはいかぬということだと思いますから、それはそれで理解できるにしても、現にこれをどうするかということになると、アメリカの要求は理解できる、これは総論みたいなものですよね。だけれども、じゃあどうすればいいのか、どこへこれを決めるのだということになると、これは極めて難しい、不可能に近い問題だと思います。  そこで、五十八年度は九百万の調査費を使われたわけでありますが、この調査はどういう内容であるのか、伺いたいと思います。
  178. 塩田章

    ○塩田政府委員 調査の掲げました項目は、先ほど申し上げたような項目でございますが、約九百万円ばかりの予算をいただきましてこの一年間実施いたしましたが、執行額は約八百四十万円でございます。  内容的に申し上げますと、これは調査費といいましても事務費でございまして、旅費と庁費でございます。旅費としまして約二百五十万、庁費としまして約六百万弱使用いたしまして、約六十万円ばかり経費節約という面も含めました残額になっております。使いました内容は、まさに旅費は旅費でございますけれども、それ以外のものとしましては、例えば、航空写真あるいは地図その他の図書類の購入でありますとか、あるいは騒音コンターの作成でありますとか、その他の資料作成等に使用したものでございます。
  179. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その調査の中からどういう方向なり何らかの方針が出ておりますか。
  180. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほども申し上げましたわけですが、第一項目の関東周辺の既存の飛行場でどこか使えるところはないかということにつきましても、それから、同じ関東周辺で新設飛行場の適地はないかということにつきましても、この飛行場でいこうというようなあるいはこの場所でいこうというような具体的なところまでまだつかまえておりません。また、第三の海上浮体構造物ではどうかという点につきましては、これはもともと、今の段階、我々の段階は、調査といいますよりももうちょっと前の段階で、資料収集等をやってみたい、いろいろ勉強してみたいという段階でございまして、これも具体的な調査に入るというところまではまだ至っておりません。
  181. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは前にも伺ったのですが、既設飛行場が使えないかどうか、あるいは新設はできないかどうか、浮体構造物ではどうかという三つのジャンルがあるということは伺ったのですけれども調査の結果、既設飛行場についてはどうなんですか、使えそうなところがあるのかどうか、まず既設飛行場についての検討についてはいかがでしょう。
  182. 塩田章

    ○塩田政府委員 いろいろな飛行場につきまして調査をしておるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この飛行場でお願いしたいというようなことが申し入れできるというような段階の飛行場はまだございません。
  183. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 候補に上った飛行場はどことどこでしょう。
  184. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは米側の要請が関東及びその周辺地区ということで、距離的にいいますと、厚木から大体百ノーチカルマイル、キロで百八十キロ前後のところにある飛行場というようなことでございますので、西の方からいいますと、浜松でありますとかあるいは静浜、あるいは入間、百里、下総、木更津といったようなところが、その地区に該当する既存の飛行場でございます。
  185. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 米側の要求というか条件ですけれども、厚木から百六十キロ以内のところ、こういう条件がついたというふうに伝えられておりますけれども、これは百六十キロ、こういう数字条件として示されておるわけですか。
  186. 塩田章

    ○塩田政府委員 厳密な条件ではないと思うのですけれども、おおむね百ノーチカルマイルということでございますから、百八十キロ前後という意味に我々は受けとめております。
  187. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 三つのうちの第二番目の新設ということについては、調査の結果まだめどは全く立っていませんか。
  188. 塩田章

    ○塩田政府委員 この点も、新設飛行場となりますと、それだけの面積も要りますし、気象条件とかいろいろな問題がありますし、あるいはその地区の付近の人口の稠密状況とか、そういったようないろいろな点がございまして、現在までのところ、ここが適地であるということでそこに具体的に調査に入ろうといったような適地をまだ求めるに至っておりません。
  189. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 五十九年度もやはり調査費がついていると思いますけれども、五十八年度調査は、今お伺いしたところによってもほとんど成果を上げていない。五十九年度は、今度はどういうことをお調べになるわけですか。
  190. 塩田章

    ○塩田政府委員 現在のところ、五十九年度も金額的には約一千万円弱の予算をいただいたわけでございますが、また、調査のやり方なり項目なりというのも大体継続して行うということになろうかと思いますが、その中では、第一の既存の飛行場という点につきましては資料等はもう十分あるわけでございますから、そういう意味では、予算の執行に当たりまして、第一の項目の既存の飛行場についての五十八年度に使ったよりはウエートは変わった形になろうかと思いますが、いずれにしても、基本的には五十八年度調査を継続していくということでございます。
  191. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この問題はいつまでに結論を出すということですか。
  192. 塩田章

    ○塩田政府委員 これは、厚木の現状から見まして、実は非常に急いでおる問題ではございますし、アメリカ側も非常に強く要望してきておりますけれども、今のような状況でございまして、具体的にいつまでというふうに米側も期限を切って要望してきておるわけではございませんし、我々としましても、なるべく早くという気持ちは持っておりますけれども、いつまでにという日にちを具体的に決めておるわけではございません。
  193. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この候補地と目されておる飛行場の周辺、例えば下総基地の周辺からはたくさんの、何万、十万を超えると思いますけれども、反対というか、考え直してもらいたいという請願が出ておりますけれども、これについてまず大臣のお考えを伺います。
  194. 塩田章

    ○塩田政府委員 私、先ほど幾つか具体の飛行場名を挙げて、そういった飛行場が区域の中にあるというふうに申し上げましたが、いずれも、今先生が御指摘のように、地元からはいろいろな形での反対の陳情を受けておる状況でございます。
  195. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣、いかがですか、その問題について。
  196. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 住民の反対陳情につきましては、頭の中に十分置いております。
  197. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この問題は、先ほども申し上げたように、関東周辺百八十キロ以内に訓練場を求めるということは至難のわざですね。不可能に近いと思いますよ。  そこで、こういう全く至難というか、全く不可能だということで、この考え方にかわる方法を早く日米で相談をするか、あるいはアメリカに考えてもらうかして、この問題にはもうそろそろけりをつける時期ではないかと思いますが、五十九年度予算九百万使ってみても、これはとても解決のつく問題ではないと思いますし、何年間調査をしても新しいいい方法ができるとは思われないのですけれども、いかがでしょうか。
  198. 塩田章

    ○塩田政府委員 大変難しい問題であることは、そのとおりでございますけれども、さりとて、今のこの日米安保体制の中で、この問題を我々としましてギブアップしましたというわけにはまいらないわけでございまして、何としても努力をしたいということでございます。今御指摘のように、これをあきらめるとか、別の手段を考えるとかいうようなことは、現時点では考えておりません。
  199. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最後に伺いますが、この候補地の周辺住民からは、あのような強い反対の意思が表明されているわけですけれども、この反対の住民意思を無視をして強行はできないと思いますが、いかなる場合にも住民意向を無視はしないということをおっしゃれますか。
  200. 塩田章

    ○塩田政府委員 この点は、新村委員の御質問にもかってお答えしたことがございますけれども、それははっきり私どもはそのように心得ております。
  201. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣にも確認したいのですけれども、この問題について住民意思を無視をすることは絶対にしないというふうにお約束ができますか。
  202. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 住民意思を無視したような格好でできるわけはないと考えております。
  203. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最後に、お願いですけれども、この問題については、既に十万を超える署名、私は下総基地の近所ですからよく知っておりますけれども、反対の意思表示があるわけでありまして、ぜひこの住民意思を尊重するということだけは貫いていただきたいと思います。  以上、お願いして終わります。
  204. 横山利秋

    横山委員長 玉城栄一君。
  205. 玉城栄一

    ○玉城委員 五十六年度決算でございますので、国民の大変貴重な税金がどのように有効かつ適切に使用されたかという立場から、お伺いをしたいわけでありますが、時間的な制約もございまして、当面非常に関心のある問題についてお伺いをさしていただきたいと思います。昼食時間、多少ずれますけれども、ひとつ御容赦のほどを、五十分程度で終わりますので、よろしくお願いを申し上げます。  第一点につきましては、これは国会でも問題になっておりますが、昨日も私、外務委員会でこの問題を取り上げたわけでありますけれども、例の米陸軍特殊作戦部隊の我が国への配備の問題についてであります。きのうも外務委員会ではいろいろ質疑を交わしていただきましたが、軍事の専門家でいらっしゃる防衛庁御当局の、この特殊作戦部隊、いわゆるグリーンベレーについて、この特殊部隊が我が国に配備をされるわけでありますから、この部隊についてどういう御認識を持っていらっしゃるかということについて、まず第一点伺いたいわけでありますが、そこで、この部隊の組織であるとか、任務であるとか、機能であるとか、あるいは過去どういう国々に派遣をされ、どういうことをし、また現在どういう国々に派遣をされ、どういう任務を遂行しているか、その特殊作戦部隊の実態について、まず最初にお伺いをいたします。
  206. 古川清

    古川政府委員 お答え申し上げます。  第二次大戦の間に、少数精鋭のいわば007的な部隊、非常に少数の者が大変大きな働きをいろいろいたしたわけでございまして、特にイギリスのコマンド部隊というのは有名でございますが、第二次大戦後は各国とも、こういった少数精鋭の部隊にいろいろな作戦任務を与えるということを認識をいたしてまいりました。その一環としてアメリカも、一九五二年だったと思いますけれども、この特殊部隊というのを創設をいたしまして、一たんベトナム戦争の後に少し人数が減ったという時期がございますが、レーガン政権になりましてから、ハイエストプライオリティーということを国防報告にも書いてございますけれども、最高度の重要性を与えておりまして、配備を強めてその内容を強化しておるということがございます。  それで、実はグリーンベレーということをよく聞くわけでございますけれども、グリーンベレーは実は陸軍の特殊部隊でございまして、アメリカでは陸海空三軍ともにこの特殊部隊を持っておるわけでございます。  それで、外国に派遣された部隊はあるかないかというお尋ねでございますけれども、例えば西独に一個大隊、あるいはパナマに一個大隊、いずれも陸軍の特殊部隊でございますけれども、これが派遣をされております。  その任務でございますけれども、これは例えば空挺、つまりパラシュートで敵陣の中にこっそりとおりていく、それから偵察、そこでおりた後に情勢を探りまして何らかの方法で、無線ないしはその他の方法を使って本隊に連絡をする、あるいは必要によりまして、撤退作戦の後なりに残された人たちと急速連絡をする、そういった任務を持っておるものでございまして、繰り返しますけれども、現在のレーガン政権というものは非常な重要性をこの部隊に与えておるということでございます。
  207. 玉城栄一

    ○玉城委員 昨日外務委員会では、外務省当局は、現在この特殊部隊は西ドイツ、パナマ、そして日本に配備されているというお答えがあったわけでありますが、防衛庁もそのように認識をしていらっしゃるわけですか。
  208. 古川清

    古川政府委員 そのとおりに認識をいたしております。
  209. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、防衛庁のお考えを伺いたいのですが、なぜ今回我が国に、そして沖縄にこの特殊部隊が配備をされたのか、そして、トリイ通信施設ですね、その基地に配備をされるということですが、なぜそこに配備をされるのか、軍事の専門家でいらっしゃいますのでお伺いいたします。
  210. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 前段の点についてお答え申し上げますが、米国によります沖縄への特殊部隊の配備は、極東地域においての抑止力を万全なものにするという観点から行われたものと承知いたしております。私どもも、我が国及び極東の平和と安全に資するものであるというふうに理解をいたしております。
  211. 玉城栄一

    ○玉城委員 なぜ沖縄のトリイに――外務省の答えはきのう聞いていますから、防衛庁の認識を伺いたい、こういうことです。
  212. 横山利秋

    横山委員長 防衛庁の認識を伺いたいと言っていますが…。
  213. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 現在の沖縄にあります米軍施設というものの有効利用というようなことを総合判断をして、場所の選定はされたのではないかというふうに理解をしております。
  214. 玉城栄一

    ○玉城委員 このトリイ通信施設というのは、沖縄の米軍基地の中でも非常に警戒が厳重ですね。昨年もMPの発砲事件があったわけでありますが、それほど警戒厳重で、特殊な機能を持った基地ですね。そこにこの特殊部隊が配備されるということについて、なぜそこに配備されるのかということをお伺いしているわけです。――外務省は、きのうあなた方の考え方は聞いていますから、防衛庁の考えを伺っているのです。あなたならいいです、防衛庁の答えを伺いたいのです。
  215. 塩田章

    ○塩田政府委員 具体的にトリイ通信施設をどうして選んだのかということでございますけれども、これは私どもアメリカから直接聞いているわけではございませんが、トリイ通信施設の今おります部隊は、これから次第に撤去されるという計画があるように聞いております。これに伴いまして、その施設を今回の特殊部隊の駐留には活用できるということが考えられるということではなかろうかと思われます。また、必要な訓練施設というのも沖縄にございます。あるいはまた、沖縄には現在米陸軍部隊も御存じのように駐留しておりまして、そういった部隊からの行政面、後方支援面での支援も得られるというようなことを総合的に判断をしてトリイが選ばれたのではなかろうかと思います。
  216. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、勝手にいろいろと想像して答えていらっしゃるわけですけれども、先ほど、極東の平和と安全、その抑止力云々ということを盛んにおっしゃっているわけですが、それとの結びつきがはっきりしないわけですね。  加藤さんが盛んに手を挙げていらっしゃるから、では、パナマにこの特殊部隊が配備されているその目的、西ドイツに配備されているその目的をおっしゃってください。
  217. 加藤良三

    加藤(良)説明員 パナマ及び西ドイツに配置されている目的ということも、基本的には、今般沖縄に配置されることとなったその目的と異なるものではない、すなわち、米軍として少数精鋭の部隊を活用することによって、抑止力というものをできるだけ穴のないものにして維持する、こういう考えに出ずるものではないかと考えております。
  218. 玉城栄一

    ○玉城委員 きのうから盛んに抑止力、抑止力と、何とかの一つ覚えと言いますけれども、だから、その特殊部隊というものの抑止力、西ドイツの特殊部隊は何に対する抑止力なんですか、パナマの特殊部隊が配備されているのは何に対する抑止力なんですか、それをきちっとわかるように説明をしていただきたいのですね。
  219. 加藤良三

    加藤(良)説明員 国会での御論議の過程で答弁申し上げてまいりましたとおり、この特殊部隊というのは、種々の技術的な分野、空挺、偵察、通信、それから兵器の取り扱いということで、高度の訓練を受けた人たちから成る少数精鋭の部隊で、紛争のいろいろな段階において機動的に活用され得る部隊である。そういうところに着目して、米側として、西ドイツ、パナマ、そして今般沖縄にも一個大隊を配備したということであろうと承知いたしております。
  220. 玉城栄一

    ○玉城委員 きのうから同じことを繰り返すようなことで、とにかく加藤さんも含めてよくわかっていらっしゃらない。  これは時間がございませんので、みんな昼食抜きでやっていますので、もういらいらしできますから、防衛庁に伺いたいわけであります。  きょう初めて私は伺いたいのですが、やはりこのアメリカのグリーンベレーと自衛隊と共同訓練をしたい、積極的というように新聞には書いてあったわけでありますが、いずれにしても、訓練をしたいという意志は持っていらっしゃるわけですね。
  221. 西廣整輝

    西廣政府委員 この部隊との訓練につきましては、いろいろなところでお答え申し上げておりますけれども、まだ私どもとして、配備が始まったばかりなものですから、具体的な計画があるとか検討しているとかいうことではございませんが、可能性ということでお答え申し上げたいと思いますけれども、御案内のように、この特殊部隊は、一般にはゲリラといいますかそういったようなゲリラ作戦とか、そういうローレベルの戦闘において非常に有効であるということと同時に、正規軍同士の大規模な戦闘においても非常に役に立つ部隊だというように私どもは理解をいたしております。  ところで、我が方の立場から申し上げますと、陸上自衛隊は、我が国土を守るための正規軍との戦闘のための数々の訓練をしておるわけでありますが、その一環として、日米の日本防衛のための共同訓練というものをやっておるわけです。したがいまして、そういった正規戦闘の中で、このような特殊部隊が活躍する場面がある訓練というものが行われたとすれば、その際には、この部隊と陸上自衛隊との共同訓練が行われる場合もあろうということを申し上げておるわけであります。  具体的に申し上げますと、恐らくこの種部隊は、そういう正規軍同士の戦闘におきましては、敵陣に潜入をして偵察をするとか、あるいは敵陣の背後に回って兵たんを破壊するとか、そういったような任務につくのではないかと私どもは考えておりますが、そのような場面を含んだ共同訓練、現在年に数回陸上自衛隊と米陸軍とが共同訓練をいたしておりますけれども、そういったものがあれば、共同訓練をすることもあろうかというふうに存じておるわけであります。
  222. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、共同訓練をする場合の形態といいますか、形ですね、これは特殊な任務を持った部隊ですから、我が自衛隊にこれに相応するそういう特殊な部隊があるのですか。全くというわけじゃないでしょうけれども陸上自衛隊の中に似たようなそういう特殊な部隊はあるのですか。
  223. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 先ほど来御説明がありましたように、いわゆるグリーンベレーという部隊は、非常に特殊な訓練を受けた人たちの集団の部隊でございまして、詳細については私どもも詳しくは承知していませんので、厳密な比較は難しいかと思いますが、私ども自衛隊としては、こういったような独立した部隊というものは持っておりません。
  224. 玉城栄一

    ○玉城委員 私たちも全く素人でありますから、しかし常識的に見まして、そういう特殊な部隊と自衛隊と共同訓練する場合、やはり何らかの共通性を持った部隊でないと、一般の部隊とはできないわけでしょう。ですから、それと共同訓練する場合には、じゃあ新たにそういう何らかの相応するような形の部隊編成をするのですか。いかがですか。でないと、これは考えられないと思いますけれどもね。
  225. 西廣整輝

    西廣政府委員 検討しておるわけではございませんので、正確に申し上げられないかもしれませんが、例えば、我が方の部隊にそういう特別な独立した部隊はございませんけれども、通常の師団なり、あるいは師団の普通科部隊なり、あるいは空挺団等にレンジャーの資格を持った者が相当含まれておるわけであります。そういったものが当然のことながら敵陣に潜入して偵察を行うとか、あるいは背後に着陸をしてそういう兵たんを攻撃をするとか、そういった場面は当然考えられるわけでありまして、その都度そういった編成が行われる、任務に応じた部隊が編成されるということになろうかと思います。
  226. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、今のお答えからこのように理解してよろしいわけですか。訓練のたびに訓練内容によってそれに相応する部隊をその都度編成して一緒に訓練をする、こういう理解でよろしいわけですね。
  227. 西廣整輝

    西廣政府委員 部隊を編成すると言うと若干語弊があるかもしれませんが、例えば、現に持っておる偵察隊の一部にそういう任務を命ずるというような場合が当然出てくるというように考えております。
  228. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは訓練内容、いろいろ特殊ですから、よく言われておりますけれどもアメリカのグリーンベレーというのは、対ゲリラ作戦であるとかテロリスト作戦であるとか言われておりますが、そういうことも考えられますか。
  229. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどもお答え申し上げたように、我が自衛隊は国土防衛を主体にしておりますので、他国に行ってゲリラをやるとかテロ作戦をやるということは考えられませんので、その種作戦で米側と共同訓練をやる必要もないし、そういうことはないというふうに私ども考えております。したがいまして、あくまで、先ほど申したように、正規軍同士の戦闘における活用といった場面で出てくることがあれば、場合によっては共同訓練も行われるのではないかというように考えております。
  230. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、先ほどおっしゃいました敵陣の背後に落下傘か何かでおりていく、あるいは偵察をするとか、そういうことになるわけですね。ゲリラ作戦とかテロ作戦とかあるいは要人の誘拐であるとか、このアメリカの特殊部隊についてはいろいろ言われていますね。おのずと訓練には限界があるということになるわけですか。
  231. 西廣整輝

    西廣政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  232. 玉城栄一

    ○玉城委員 この特殊作戦部隊、今回我が国に配備されるということですが、これは外務省でしょうか。これは長期配備ですか、短期配備ですか。いかがですか。
  233. 加藤良三

    加藤(良)説明員 具体的な駐留期限といったようなものは、特に付されていないというふうに承知いたしています。
  234. 玉城栄一

    ○玉城委員 ということは、長期ということもそれは含まれるわけですね、当然。
  235. 加藤良三

    加藤(良)説明員 長期ということがどれぐらいの期限を示すものかわかりませんけれども、トリイ通信施設に配置されておるということになっていると思います。
  236. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、短期でもはっきりわからないというから、長期も当然含まれますから、防衛庁の方ですが、これはこれからも何回もそういう共同訓練は行われるということは考えられますね、この部隊が駐留している限りいろいろな形でですね。  そこで伺いたいのは、さっきのお答えの中に、その都度訓練内容によって相応した編成をしてやるというようなことのようでありますが、これは沖縄に配備されていますから、沖縄で共同訓練をするという場合には、沖縄の陸自から選抜してやるということになりますか。それともこちらから行って共同訓練をやるということになりますか。それとも向こうさんが、いわゆる本土ですが、来てやるということになるのですか、その訓練の場所、そこからお答えいただきます。
  237. 西廣整輝

    西廣政府委員 日米の共同訓練の場所は、その都度協議して決めていくわけでございますが、先生案内のように、沖縄では自衛隊は現在のところ、いわゆる演習といいますか訓練はやらないということにしております。そういった演習場等もございませんので、陸上自衛隊がその種演習をやるということは、現在のところないと考えております。  いずれにいたしましても、私ども考えておりますのは、この種特殊部隊が出てくるような場面が果たしてたびたびあるかなという気はいたしますけれども、全くないとは言い切れないという可能性の問題を申し上げているだけでありまして、今後日米の共同訓練というものがどこかの地域で行われた場合に、その種の部隊が出る場面を想定した訓練が行われれば、そこに特殊部隊が出てきてやるということになるのではないかと考えております。
  238. 玉城栄一

    ○玉城委員 今のお話の中に、沖縄においては日米合同で共同訓練を、これは陸自になりますが、やっていないということをおっしゃったわけですね。特殊部隊ですから、これは自衛隊、皆さん方もやる場合も出てくるだろうということからしますと、今後は考えられる。そういうことは全く沖縄では考えられない。どのように理解しておればいいのですか。
  239. 西廣整輝

    西廣政府委員 余り検討しておりませんので、詰められますと十分なお答えができないかもしれませんが、私が申し上げているのは、今陸上自衛隊と米陸軍との間で行われておる共同訓練というものは、年に数回指揮所演習、指揮所訓練と実動訓練をやっているわけですが、そういったものが演習場等もない沖縄で行われることはまずないのじゃなかろうかなというふうに考えておるのが一つであります。  もう一点、例えばレンジャー部隊みたいな、レンジャー部隊という部隊があるわけではございませんが、そういう特技を持った人間、個人に近いわけでありますが、そういった者が相互にお互いの技量を見学に行くとかあるいは比べるというようなことが全くないというふうには私ども考えておりませんが、現在そのような計画を持っておるわけではありません。
  240. 玉城栄一

    ○玉城委員 何か今の後半の部分ははっきりしないのですが、そういう特技を持ったいわゆるレンジャーの自衛隊さんがお互いに行くということも考えられる。何かその辺もう少しはっきりわかるように説明してください。
  241. 西廣整輝

    西廣政府委員 例を挙げて申し上げますと、かつてグリーンベレーの部隊が沖縄にいたことがありますが、その中のごく小人数の者が例えば北海道へ来て、沖縄では雪は降りませんので、積雪地訓練といいますかスキー訓練をやりたいということで、我が方のそういう偵察隊のあるいはスキーに堪能な部隊の者と小規模の訓練をやるというような例がございましたので、その種のものが別途あるかもしれないということを申し上げたわけでございます。
  242. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間も何でございますが、大変懸念しているのは、まさか防衛庁が、憲法改正し自衛隊法を改正して、海外に派兵するということに備えてこういう特殊部隊とのいわゆるゲリラ対策だとかいろいろなそういうことをやる、まさかそれに備えてということはないと思いますが、はっきりしておいてください。
  243. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私ども訓練、これは共同訓練も含めましてすべて日本防衛のための訓練、その中でやっていくということでございまして、先生御指摘のようなことは全く考えておりませんし、今後ともそういうことは全くないというふうに断言できると思います。
  244. 玉城栄一

    ○玉城委員 その共同訓練アメリカのグリーンベレーとやるということは、海外ではなくて国内対策であるということですね。
  245. 西廣整輝

    西廣政府委員 日本防衛のための訓練であるということでございます。
  246. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、訓練内容、これは細かく聞いてもおっしゃらないでしょうけれども、敵の背後におりていってやるとか、この部隊というのはゲリラとかそういうのが主目的であるというふうに私たちは聞いているわけですが、そういうことが国内であるいは今おっしゃるように敵の後ろの方におりていくというようなことが考えられるのかどうか。どうなんでしょうか。
  247. 西廣整輝

    西廣政府委員 陸上自衛隊が戦うのは国土防衛で、国土で戦うわけでございますから、陸上自衛隊が戦う際には必ず相手方は日本国土に上陸をしておるというように私どもは通常考えておるわけです。そうしますと、敵陣の強行偵察をやるとか、当然橋頭堡などもできておるでしょうから、あるいは兵たんの補給部隊等も揚がっておるでしょうから、そういった方を攻撃するとかいったことに使われるのではないかというように考えておるわけです。  なお、この特殊部隊の任務、先ほどから御説明がありましたけれどもアメリカの軍事態勢報告等を見ましても、先生の御指摘のそういったゲリラとかテロとかいったものに使うと同時に、もっと大規模な正規軍同士の戦闘において情報を提供するとか特殊な攻撃に参加するとか、そういった任務をあわせ持っているというように私どもは理解をいたしておるわけでございます。
  248. 玉城栄一

    ○玉城委員 簡単に言いますと、共同訓練を皆さん方もやりたいということは、こちら側がいろいろ教えてもらいたい、そういう意味ですね。
  249. 西廣整輝

    西廣政府委員 大変申しわけないのですが、実は私ども、特にやりたいということを積極的に申し上げているわけじゃなくて、やる場合があるだろうかという、可能性の問題としてやることもあり得べしということを申し上げているだけであります。
  250. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の問題で、いつごろからなさるのですか。
  251. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど申したように、現在具体的な計画があるわけではありませんし、検討しているわけでもありません。したがいまして、ことしも恐らく米陸軍と陸上自衛隊との共同訓練がございますけれども、その中でもそういったものが出てくる場面があるかないかということもわかりませんので、まだ、いつ行われるかということについてはお答えできる状況にございません。
  252. 玉城栄一

    ○玉城委員 外務省説明では先ほどのお話と大分違いまして、一昨日の外務省の御説明では、あらゆる段階にこの部隊を投入できる、もちろん正規軍等いろいろありますが、小規模であろうが大規模であろうが、あらゆる段階に使えるというような説明もあるわけです。ですから、あなたは都合のいい部分だけをおっしゃっているかもしれませんけれども、それでは、外務省の方が見えていますのでこの件でちょっと伺いますが、加藤さん、いわゆる日米安保条約第六条に言う事前協議、三つありますね、御専門ですから。その戦闘作戦行動、これも事前協議の対象になりますね。その戦闘作戦行動とは一体どういうものであるかということについて、たしか四十七年に政府の統一見解がありますね。これをちょっと説明してください。
  253. 加藤良三

    加藤(良)説明員 玉城先生御指摘のとおり、安保条約第六条の実施に関する交換公文で事前協議の対象とされているものに、「合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」という三つがございます。  その直接戦闘作戦行動のための基地の使用というのは、日本から発進される戦闘作戦行動、すなわち直接戦闘を目的とした作戦行動を言うわけでございますけれども、その基地として米軍施設区域を使用することを言うというのが私どもの見解でございます。
  254. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、その統一見解はそれだけじゃないでしょう。ほかにもあるでしょう。直接戦闘作戦行動とばと、それについての政府の統一見解というのがもっとあるはずですよ。
  255. 加藤良三

    加藤(良)説明員 若干敷衍して申し上げさせていただきますと、戦闘作戦行動の基地としての使用の典型的な例というものはございます。例えば、戦闘任務を与えられた航空部隊とか空挺部隊、上陸作戦部隊等の発進基地として施設区域が使用される場合、それが典型的なものに当たるだろうということを述べております。
  256. 玉城栄一

    ○玉城委員 おっしゃるところの直接戦闘作戦行動という、その戦闘とはどういうことなんです。それをちょっと説明していただきたいと思います。
  257. 加藤良三

    加藤(良)説明員 これは私、網羅的に申し上げることはできないのでございますけれども、戦闘作戦行動とは、直接戦闘を目的とした作戦行動であるということになると思います。
  258. 玉城栄一

    ○玉城委員 そんな答弁ないでしょう。
  259. 加藤良三

    加藤(良)説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、今玉城先生が御指摘になられた点につきましては従来から政府の答弁があるわけでございます。ですから、戦闘作戦行動のための基地の使用として幾つか典型的な例を挙げることはできるわけでございまして、それを申し上げれば、例えば、戦闘任務を与えられたそういう航空部隊とか空挺部隊、それから上陸作戦部隊がいわば日本の施設区域を発進基地として使う、こういうことが直接戦闘作戦行動の範疇に入るものだと思います。
  260. 玉城栄一

    ○玉城委員 例えば、アメリカのその特殊作戦部隊ですね、我が国から第三国のゲリラ制圧といいますか鎮圧といいますか、あるいはテロリストへの作戦といいますか、そのために出ていく場合は事前協議の対象になると思いますが、いかがですか。
  261. 加藤良三

    加藤(良)説明員 戦闘作戦行動が、日本国内の施設区域を基地として発進されているということ、これが要件なのでございます。日本国施設区域を起点としてそこから発進されている直接戦闘作戦行動への参加ということで判断されるわけでございます。
  262. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、私が伺っているのは、第三国のゲリラ制圧とかテロリスト制圧のためにグリーンベレーが出ていく場合はどうなりますか、はっきり答えていただかぬと、二時から本会議が始まりますので。
  263. 加藤良三

    加藤(良)説明員 この種の御論議について、私ども甚だ恐縮ですが、従来から申し上げておりますのは、一つ一つの仮定のケースを想定して、それについて御答弁をすることはなかなかできないということでございます。いずれにいたしましても、いろいろな行動については、個々の行動の任務、それから態様、この具体的内容を考慮して判断するというほかはないと思っております。
  264. 玉城栄一

    ○玉城委員 そんなことないでしょう、加藤さん。これは事前協議の対象になるかならないかの話を伺っているわけですよ、架空でも何でもないでしょう。グリーンベレーが我が国から出ていく場合に、第三国のゲリラ制圧とかいろいろなことのために出ていった場合に、これは事前協議の対象になるでしょう。ならないという意味ですか、それともわからないということですか、どっちなんですか。
  265. 加藤良三

    加藤(良)説明員 繰り返しになってまことに恐縮に存ずる次第でございますけれども、グリーンベレーが日本の施設区域を発進するときの具体的な個々の態様によってそこは判断されるべき問題である、今一概に仮定のケースを一般的に想定して、それに対してお答えをすることはできないということでございます。
  266. 玉城栄一

    ○玉城委員 仮定でも何でもない。それじゃ、もう一つ例を挙げましょう。例えば――例えばと言う以外にないのですが、沖縄に配備されているグリーンベレーがフィリピンに、何らかのデモとかゲリラとか、そういうことによって米国人が危険にさらされた、それを救出のためにグリーンベレーが行く場合どうなりますか。
  267. 加藤良三

    加藤(良)説明員 直接戦闘作戦行動への参加であるかどうかという点、今、先生が具体的な例をお挙げになったわけでございますけれども、これは日本の施設区域を発進して出ていくときに既にその時点で決められていることになります。ですから、今一般的、抽象的にケースを想定して、そのことに基づいて私が議論を展開することはちょっと適当でないと思いますので、具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  268. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは非常に大事な問題なんです。事前協議の対象にグリーンベレーが出動する場合になるかならないか、極めて具体的でだれが聞いてもわかりやすい話でしょう。それが今答えられないというのはどういう意味ですか。――ちょっと待ってください、あなたいいかげんなことを言ってはいかぬのです、こっちは真剣に聞いていますから。今、私が申し上げたことがわからないのですか、あなたは、安保課長が。とんでもないですよ。もう一回言いましょうか、何回でも言いますが、極めでわかりやすいケースでしょう。なぜそれがわからないのですか、あなたは。  それじゃ、事前協議の対象になるかならないか、それをはっきり言ってください。
  269. 横山利秋

    横山委員長 加藤君にお伺いをいたしますが、あなたは質問者の趣旨はよくわかっておるけれども、自分としては重要だから答弁ができない、こういう意味ですか。そうではないのですか。
  270. 加藤良三

    加藤(良)説明員 お答え申し上げます。  私は、グリーンベレーが日本の施設区域から発進していくことが事前協議の対象になるかどうかという御質問であれば、それには直接お答えすることが残念ながらできない、グリーンベレーが日本の施設区域をいかなる態様で使用して出ていくかという個々の具体的なケースに当たってその点は判断されることになるということを申し上げているわけでございます。
  271. 玉城栄一

    ○玉城委員 だから、はっきりしているでしょう。今沖縄に配備されるグリーンベレーは沖縄のトリイ通信施設ですね、これもはっきりしていますね。さっき申し上げました、例えばフィリピンで、そういう場合に米国人を救出のためにトリイ通信基地-飛行場は嘉手納飛行場とかいろいろあるでしょうけれども、これは何でわからないのですか、出ていくことははっきりしているのでしょう。
  272. 横山利秋

    横山委員長 明確に答弁できますか。
  273. 加藤良三

    加藤(良)説明員 先生が先ほど例に引かれました救出作戦ということでございます。救出作戦というようなことがそのまま直接戦闘作戦行動への参加に当たるかどうかということは、それ自体をもってしてはなかなか判断が困難であるという事情にあることは御了解いただきたいと思います。ただ、その救出作戦というものがいわゆる直接戦闘作戦行動、直接戦闘行動そのものへの参加ではないというふうに観念される状態であるとすれば、それは事前協議の対象にはなりません。
  274. 玉城栄一

    ○玉城委員 加藤さん、今変なごまかしがある。事前協議の対象になるかならないかということは、グリーンベレーが第三国――ではどういうことをするか、これははっきり見きわめなければいかぬというわけでしょう。そういうことですか。まだ大事な聞きたいことがあるのですが…。
  275. 加藤良三

    加藤(良)説明員 グリーンベレーが救出作戦の目的で日本の施設区域を使用して発進していく、そのことが事前協議の対象となる施設区域の使用に当たるかということであれば、そのことだけをもってしては私どもとしてはちょっと判断ができない。先生が御指摘になられた救出という行動が直接戦闘行動というものとは観念されないという実態があるのであれば、そのための我が国の施設区域の使用というものは事前協議の対象にはならないわけでございます。その辺は、そのときそのときのグリーンベレーなり他の部隊についても同様でございますけれども、ミッションを帯びて施設区域から発進するわけでございますが、その個々の事案に即して判断される、それ以外にはないということだと思います。
  276. 玉城栄一

    ○玉城委員 簡単に言いますと、このグリーンベレーが我が国から出ていくということは事前協議の対象にならないということを今おっしゃいましたね。大体、何のために行くかというのは現地に行ってみないとわからないでしょう。あなたは一緒についていって、例えば第三国でこのグリーンベレーがどういうことをするか見きわめないことにはこれはどうしようもないわけですからね。そのために私は具体的な例を引いたわけですから。そういう場合でも、事前協議の対象にならないというのであれば、このグリーンベレーは我が国を自由に出たり入ったりできるということでしょう、そういうことじゃないんですか。
  277. 横山利秋

    横山委員長 委員長が問題を整理いたします。  質問者は、沖縄に配置される特殊部隊が特殊任務を受けて我が国から他国へ出動する場合は事前協議の対象になるかならないかという質問であります。そして、例として救生活動、ゲリラ活動あるいは破壊活動、いろいろ多様性があると思います。その多様性の一片をとらえてはいけません。したがって、救生活動等が事前協議の対象にはならない、ほかの場合には事前協議の対象になることがあり得る、そうであるならばそのように答えてください。
  278. 加藤良三

    加藤(良)説明員 私がお答え申し上げております趣旨は、戦闘作戦行動への直接の参加としての我が国の施設区域の使用という実態があるのであれば、これは事前協議の対象であって、米国は我が国に事前協議をしてくる、それが条約上の義務でございます。  他方、今委員長及び玉城先生からの御発言、御指摘にございますようなケースについてでございますけれども、一概に、例えば救出であるあるいはその他の活動であるという特定の活動を想定して、そのためのグリーンベレーの日本施設区域の使用が事前協議の対象になるかどうかということは、一般的な形でお答えすることはできない、そのときの任務、態様を個々のケースに即して判断されることになる、これを私は一貫して申し上げてきているわけでございます。
  279. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、今あなたのおっしゃることは、このグリーンベレーについては歯どめが全くない、自由に出入りができる、実態的には、実際には。だってそうでしょう。これは隠密的に作戦行動をやるわけでしょう。だから、事前協議の対象といって、向こうだってこれはそんなふうに言ってこないでしょうし、あなた方はあなた方でよくわからぬわけだから、まさか現地に行って一緒にそのグリーンベレーと回るわけにもいかないし、だから実際はもうこのグリーンベレーというのは自由だということになるわけですね。
  280. 加藤良三

    加藤(良)説明員 私申し上げましたことは、グリーンベレーであれ何であれ、日本の施設区域を直接戦闘作戦行動に発進するために使うということになりますと、これは事前協議をするというのが米国の条約上の義務である。その場合、米国から日本側にそういう事前協議がなされる、それに応じて日本は国益を踏まえて諾否を決するということになるわけでございます。  あと一般論として、グリーンベレーのそのときどきの活動がどういうものであるかということは、個々の任務、態様に照らして判断されるほかはないと申し上げているわけでございます。
  281. 玉城栄一

    ○玉城委員 また本会議が終わってからさせていただきます。ありがとうございました。
  282. 横山利秋

    横山委員長 この際、午後三時まで休憩いたします。     午後一時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時十分開議
  283. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。
  284. 玉城栄一

    ○玉城委員 午前中に引き続きまして、さらにお伺いをさせていただきますが、この防衛庁決算を見ますと、不用額にしましても繰り越しにしましても相当あるわけですわ。そういうことで、こういう財政の極めて厳しい折、いろいろ資料もいただきましたけれども、本日は時間的な制約もございますので、その中で非常に超突出と申しますか、例の思いやり予算についてでありますが、いわゆる日本側負担の予算額の推移資料をいただきまして、五十三年度から五十九年度予算、ずっと毎年の額を見ますと、五十二年度約六十一億に対して、新しい年度が約六百九十二億、当時の十一・二倍というふうに、マイナスシーリングと言われている中で、こういう予算だけは極めて超突出しているわけであります。ちなみに申し上げますと、五十四年が五十三年より四・五倍、さらに五十五年は六倍、それから五十六年が七倍、五十七年が八・三倍、五十八年が九・八倍、そして五十九年が十一・二倍、このようにふえているわけであります。しかも、こういう我が国予算でつくりました諸施設資料もいただきましたけれども、最近は極めて密度の濃い軍事施設まで我が国予算でつくって提供しているというようなことで、このままいきますと、これは本当にどの辺までいくのか、ちょっと心配どころか、その点につきまして、今後この思いやり予算というものはどういうふうに進展していくのか。そしてまた、このつくっております中の、密度の濃い軍事施設と申し上げましたけれども、シェルターであるとか飛行機の掩体であるとか、その辺についてよく理解できないわけでありますが、御説明をいただきたいと思います。
  285. 塩田章

    ○塩田政府委員 五十三年度から始まりましたいわゆる思いやりと言われる予算につきまして、今数字を挙げてお話がございましたが、数字はそのとおりでございますが、五十三年度は労務費関係だけでございまして、したがいまして、五十四年度から現在の施設を含めた今のやり方になっているということでございます。  それにしましても、御指摘のように、ここ近年かなり伸びてきておることは事実でございますが、その中で非常に密度の濃い軍事施設までやっているではないか、その辺の歯どめについてどう考えるかということでございますが、実際問題ずっと過去の経過を見まして、また現在でも米側ともいろいろ交渉をしておりますけれども、確かにシェルターも五十六年度、五十七年度、十二基ございましたけれども、やはり主体は家族住宅とか隊舎とかそういうものの要望が非常に強うございまして、そういうものが主体であることは一般的には申されるかと思います。ただ、それにしましても、じゃあその境目といいますか、歯どめといいますか、そういうものはどうなっているかということでございますけれども、これは施設区域整備提供に当たりまして、政府としまして、安保条約の目的達成といったような関係を考慮しまして、緊要度ということをやはり考えなければなりませんし、そういう緊要度を中心に考えまして、総合的に勘案の上、個々に判断をしていくということでございますが、これは何も米側の要請ということだけではなしに、我が方から見ましても、各基地ごとにいろいろな問題がございますから、この基地にはこういうものが必要ではないかというようなことも当然あるわけでございます。そういうことを、一方ではもちろん米軍の要望も聞きますけれども、我が方で総合的に判断をして、そしてまた、当然我が方の財政事情もございますから、そういうこともにらんで個々に決めていくというやり方をとっております。この考え方で今後ともやってまいりたいというふうに考えております。つまり、我が方の自主的な判断で、総合的な判断でこれに対処していくという考え方であります。
  286. 玉城栄一

    ○玉城委員 私としては異論がございますけれども、またこれは次の機会にさしていただくといたしまして、このいわゆる思いやり予算でつくられたものの中に、例えば三沢飛行場の場合、運動施設、ソフトボール場、あるいは横田でソフトボール場、キャンプ座間でゴルフ場、岩国でソフトボール場、こういうレクリエーション的な運動場等につきましてもこの思いやり予算でつくっていらっしゃるわけであります。  そこで、これもまた沖縄の問題になりますが、例の沖縄の読谷村の楚辺の方に米軍、陸軍の方が保養施設を今計画をし、現地でトラブルも出ておるわけでありますが、これは施設庁になるのでしょう、この施設計画概要、それから、この建設予算は我が国予算なのか。今申し上げましたように、私あえて密度の濃いと申しますか、そういう施設を思いやり予算でつくっておきながら、同時にまた、さっき申し上げましたようにゴルフ場だとか運動場とかをつくっておきながら、この保養施設につきまして、聞くところによりますとこれは米軍予算でやっているんだという話でありますが、その辺のつじつまがよく合わないということで理解しにくいわけでありますので、その点も含めて御説明いただきたいと思います。
  287. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のトリイ通信施設におきます在沖米陸軍の整備しようとしております海浜保養施設でございますが、ことしの二月八日に在沖米陸軍司令部から地元の関係者及び我が防衛施設庁の那覇局が次のような説明を受けております。  計画地区としましては、トリイ通信施設の西側地区のフェンスの外の海浜地区を含む地区である。規模としましては、土地約十七万平米、この十七万平米の中にはいわゆる黙認耕作地が九万平米含まれております。それと当該海浜地区の前面の保安水域。それから施設整備計画でございますけれども、いわゆる海浜の保養施設でございますから、子供の遊び場でありますとか更衣所でありますとか、そういったようなものがその内容になろうかと思います。  なお、この計画地区に今九万平米の黙認耕作地があると申し上げましたが、関係の耕作者は九名おるそうでございます。  それから、この場合は米側経費を持つ。ほかにレクリエーション施設日本側がいわゆる思いやり予算でやっているのがあるではないかということでございますが、御指摘のように、この場合は米側が持つということになっております。これは三条の規定に基づきますところの米側の権限としまして、米側自体もこういうものを、こういうレクリエーション施設に限りませんけれども、いろいろつくる権限も持っています。  では、それが我が方のつくるのとどういうような関係があるのかということでございますが、米側が発議しましたものは米側経費を持ちますけれども、我が方が発議をしましたものは日本側が持つということで、言うなれば、日本側の負担とアメリカ側の負担とのいわゆるオーバーラップした部分でございまして、それはその都度個々のケースによって判断をしておりまして、その判断といいますか振り分けにおきましては、この場合は米側が持つということでやっております。その絶対的な基準というのがあるわけではございませんで、その都度の判断でやっております。
  288. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、決して我が国の財政がそういう余裕のある段階でないわけですから、アメリカさんがこういう保養施設について自分の予算でやるというのですから、今後はやはりこういう施設につきましてアメリカ独自でやってもらう、別に思いやり予算をそこまで広げる必要はない、ましてをや、さっき申し上げましたような軍事的な施設にまで手を伸ばす必要はないと私は思います。そのように理解して次に進みます。  お伺いいたしますが、自衛隊米軍と共同訓練を大体年に何回ぐらいやっているのか。五十八年で結構です。
  289. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたします。  五十八年度日米共同訓練の実績でございますが、陸上自衛隊から申し上げますと、陸上自衛隊は米陸軍との間に共同訓練を三回実施をいたしております。そのうち二回は指揮所訓練で、一回は実動訓練ということで、日米間の調整要領等の訓練をしておるわけであります。  海上自衛隊は、五十八年度におきましては、対潜訓練を二回、それから、小規模訓練と申しましてそれを一回、さらに、海上自衛隊演習というのがございますが、その海上自衛隊演習の一部に米海軍が参加をしたという意味で共同訓練になっておるわけでございますが、それを行っている。そのほか掃海訓練を一回実施をいたしております。  次に、航空自衛隊でございますが、航空自衛隊はいわゆる戦闘機戦闘訓練、戦闘機同士の訓練でございますが、これを十回行っております。そのほか、救難訓練を一回、指揮所訓練を一回やっておる。さらにつけ加えますと、沖縄におきましては、先ほどの戦闘機戦闘訓練、これは他の地域ではまとまった数でかなり大規模な戦闘機戦闘訓練をやるのですが、沖縄の場合は同じ地域に日米両方の部隊がありますので、そういったまとまった形でやらずに、両者の都合のいいときに週一回程度小規模の戦闘機戦闘訓練をやっているということでございます。
  290. 玉城栄一

    ○玉城委員 米軍は独自で演習を何回やっていますか。これは外務省になりますか。
  291. 加藤良三

    加藤(良)説明員 大変恐縮でございますが、米軍のみで行った演習については、実は外務省といたしましても基本的にその全貌を把握しているわけではございません。ただ、例えば昨年行われたものの中で割合規模の大きな両用訓練を含んだものとしては、バリアントブリッツといったようなものがあると承知いたしております。
  292. 玉城栄一

    ○玉城委員 米軍と第三国との共同訓練というのは、国内で何回やっていますか。
  293. 加藤良三

    加藤(良)説明員 実は、私が御質問の趣旨を必ずしも的確に把握し得たかどうか定かでございませんけれども、第三国人が、その第三国人の訓練を目的として我が国内にある施設区域を使用するということは、安保条約関連取り決め上想定されない、許されないところでございます。
  294. 玉城栄一

    ○玉城委員 許されないわけでありますので、これは外務委員会でも昨年取り上げた問題ですが、いわゆるセイバースピリットⅡという、競技という名目で韓国軍が参加をして、例えば戦闘機にミサイルを装置するとかあるいは爆弾を積載するとか、これは明らかに訓練だと思うのですね。ですから、そういうことを嘉手納飛行場で昨年やった、これは実質は訓練だ、このように指摘をしたわけでありますが、いかがでしょうか。
  295. 加藤良三

    加藤(良)説明員 先生が御指摘になられました訓練、セイバースピリットⅡと申しますものは、これは結論を申し上げますと、親善を目的として米軍が実施した競技の行事に第三国人が参加したということであると承知いたしております。
  296. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、沖縄県が本土復帰いたしまして十年余になりますが、この嘉手納飛行場に相当数の外国人が出入しておりますね。米国人を除いて第三国、韓国、フィリピン、英国、タイ、台湾、オーストラリアその他合わせて二千六百八十九名ですね。その中には当然軍人も含まれているわけです。  嘉手納飛行場で第三国の軍人さんがどういうことをやっているのか、これはいかがですか。これもやはり外務省になると思いますね。
  297. 加藤良三

    加藤(良)説明員 突然の御質問でございますが、嘉手納飛行場に第三国人が今御指摘になられましたように来ていたというのは、これはリエゾンとオリエンテーションというものを目的としたものであると承知しております。
  298. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、今度は防衛庁の方に伺いたいのですが、そういう先ほど申し上げましたセイバースピリットⅡにしましてもそうですが、自衛隊の方がこういうものを見学しているのかどうか。いかがですか。
  299. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど御質問のありましたセイバースピリットでございますが、この親善競技会が嘉手納で行われた、その際に、これは予定では三日間であったそうでございますが、実質的には雨が降って二日間あったそうですけれども、そのうちの一日に自衛隊の数人の者が見学に行っております。
  300. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは、見学していないということを防衛庁は国会で答弁していますけれども、見学していたのですか。どちらが正しいのですか。
  301. 西廣整輝

    西廣政府委員 外務委員会に私どもの方のたしか訓練担当の課長が出席して、彼が承知しておらなくて、見学していなかったという間違った御答弁を申し上げたと思いますが、その後私どもの方で聞いたところでは、装備関係の人間が見学をいたしておるということを調べておりますので、見学いたしております。
  302. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、間違った答弁をしていて、その後、事実はそうではなかったということで、それでいいのかどうかですね。それはいかがですか。
  303. 西廣整輝

    西廣政府委員 たしかその後外務委員会理事会の方で、間違った答弁をしている旨申し上げておりますが、その後外務委員会に私どもの出席のチャンスがありませんので、お断り申す機会がなかったわけですが、当時の答弁は確かに間違っておりまして、見学をいたしておることは確かでございます。
  304. 玉城栄一

    ○玉城委員 なぜ私はこのことを今さら問題にするかといいますと、それは、国会においての皆さん方の答弁が正確でなくてはならないのは当然です。そこで間違った答弁をしたということ、私はその内容が、実は本当に防衛庁というのは皆さんのシビリアンコントロールが効いているのかどうか、そこをあのときに非常に不安になったから、あえて今このことを申し上げているわけでありますが、長官防衛庁というのはやはり実動部隊を持っていらっしゃるわけですから、その部隊の移動とか動きについて内局の方できちっと把握されていないからそういう認識、誤った答弁をするという、ここに私は非常に危険なものがあるような感じがするわけですね。ですから、あえて私はこのことを問題にするのは、また最近よく自衛隊さんの事故がありますね、大きな事故が。そういうものも含めて、いわゆる防衛庁自体の組織というものが一体どうなっているのか、本当に正確にきちっと把握されているのかどうか、その辺が私は極めて不安でありますがゆえに、あえてこれを問題にしたわけでありますが、ひとつ長官、内部の体制について、今あの問題をどうのこうの言っているのじゃないのですよ、一つの例として言ったのですが、長官の御所見を伺っておきたいと思います。
  305. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 俗にいうシビリアンコントロールというのは、要するに、最終的には国会であるということになっておりますが、私は、防衛庁長官そのものがシビリアンコントロールの実際的な責任者でなくてはならぬと思っているのです。実動部隊に対しましてもシビリアンコントロールいたしまするが、そのためには、内局が長官の意を体して、絶えず実動部隊と連絡をとっておるということが必要でございます。そういう意味合いからいたしますと、御指摘のとおり、教育、訓練、人事等につきましては格段の鞭撻をしなきゃならぬ、そういうふうに認識をしております。
  306. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは私が今さら申し上げるまでもなく、歴史が証明するところでありまして、また事故が出てきているということから見まして、私は、相当の表に出ない問題を抱えている、そう見るのが常識だと思うのです。ですから、長官、ぜひこれは特段の意を注いでいただいて、きちっとしていただかないと不安でたまらないということであります。  そこで、これもまた外務省にすぐ返りますけれども加藤さん、実はきのうも皆さん方局長さんに申し上げたわけでありますが、例の特殊作戦部隊に関係しまして、皆さん方は、いろいろサービスという意味であったかもしれませんが、配備先の沖縄県に対してそのことを伝えた。しかし、ある期間まではそれを伏せておいてくれということで、受けた方はそのとおりであったかどうかも、その辺のいきさつは私もよくつまびらかではありませんが、問題は、私、今後いろいろな問題が、特に安保条約に基づいて約半数の基地を抱えておる沖縄県と外務省との関係は、やはりいろいろと当然出てくる問題だと思うのです。  それで、お伺いしておきたいのは、過去において、外務省さんが沖縄県とそういう基地の問題について、あるいはアメリカ側から通報してきた問題について、どういうルートを通してやってきたのか、その点からお伺いをいたします。
  307. 加藤良三

    加藤(良)説明員 外務省から沖縄県の方へ御連絡を申し上げるルートは、一般的には、例えば県の方へ直接接触さしていただくこともございましょうし、また、東京事務所を通じて御連絡をさせていただくということもあろうと思います。どういうルートをどのように使うかということは、案件の内容でございますとか、そのときどきの状況ということによって定められることになると思いますけれども、私どもといたしましては、沖縄県との連絡、意思疎通というものが円滑に行われるよう今後とも努力してまいりたいと思っております。
  308. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、先ほどの質問の中には、過去においてどういうケースがあったか、それをお伺いしておきます。
  309. 加藤良三

    加藤(良)説明員 私だだいますべてのケースを記憶しているわけではございません、恐縮でございますが。私が記憶しているところでは、例えばB52が台風避難のために嘉手納飛行場へ参ります場合とか、それから米国の原潜がホワイトビーチに寄港するというような場合には、沖縄県の方に連絡をとらせていただいておると承知しております。
  310. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、沖縄県に連絡するのは、問題はどういうルートで、例えば、先ほどおっしゃいましたように、東京事務所を通すルートもあれば、あるいは那覇の県の方を通すルートもあれば、あるいは県の上層幹部に直接通すルートもある。一般的にいろいろなルートがあると思うのですが、それをもう少し御説明いただきたいのです。
  311. 加藤良三

    加藤(良)説明員 例えば、先ほど私が申し上げましたB52の台風避難のための嘉手納への立ち寄りあるいは原潜のホワイトビーチへの寄港、こういう案件につきましては、第一義的には沖縄県の東京事務所を通じて連絡をさせていただいておるわけでございます。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕 ただ、先生、一般的に沖縄県にどのようなルートを通じて御連絡を申し上げるかということになりますと、それはその案件の内容でございますとか、そのときの状況ということによって区々になるのではないかというふうに思います。  ただ、いずれにいたしましても、私どもとしては、そのときの適切と判断されるような態様によって沖縄県の皆様の方に連絡を行い、意思疎通が円滑に図られるという状態を確保するよう、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  312. 玉城栄一

    ○玉城委員 この件につきましては、昨日もいろいろ申し上げましたので、一方は言ったと言うし、一方は聞いていないと言うし、これは大きな政治問題に発展して、双方言い分もあるでしょうけれども、大変に傷がつくというようなことで、大変お粗末と言えばお粗末ですけれども、その辺はやはりきちっとやっていただきたいと思います。  また質問を変えまして、先月の末に沖縄県のホワイトビーチの方に、海洋環境測定所というような防衛庁施設が完成しておるわけでありますが、この施設の目的だとか機能だとか、あるいはいつごろからこれが運営されていくのか、どういう位置づけで我々は理解していいのか、御説明いただきたいわけであります。
  313. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の施設は、沖縄におきます海洋環境の観測を行う施設でございまして、各種の海洋環境データを収集するということを目的といたしております。これは例えば水温とか潮流とか水中雑音などの海中におきます音の伝搬状況に影響を与えるような海洋環境を把握しておくための施設でございます。こういったようなデータを収集し、蓄積をしてまいりますと、これは将来において、そこの海洋環境の特性というものが順次把握がしやすくなるというようなことになるわけでございまして、そういう意味で、将来におきます潜水艦が発生します音をとらえるというためにもこういったデータが結果的に役に立っていく、こういうようなことが一つのねらいになっておるわけでございます。  そういたしまして、この施設は五十七年度から整備に着手をしていたわけでございますけれども、建設工事が本年三月に完了をいたしましたので、五十九年度の第二・四半期を目途にいたしまして部隊を新編をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  314. 玉城栄一

    ○玉城委員 こういう施設に類する施設というのは、我が国には何カ所くらいあるのですか、陸上の場合です。
  315. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 こういう海洋観測を専門にやります施設といたしましては、下北に同様の施設がございます。そのほかにも各地に警備所というのがございまして、そういうところでもあわせてこういうことをやっておるところもございますけれども、その具体的な場所につきましては、申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  316. 玉城栄一

    ○玉城委員 潜水艦から発する音をいろいろとらえるというのでしょうか、ということになりますと、これは午前中もいろいろ御議論がございましたとおり、シーレーン防衛、特に南西航路帯の防衛、この施設ができたのが沖縄でありますから。ということからしますと、その南西航路帯、いわゆるシーレーン防衛とこの施設関係がないとは言えないと私思うのですが、いかがでしょうか。
  317. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 ただいまお話の中に、これによって、この海洋環境測定の施設潜水艦の音をとらえるのではないかというふうなお話があったかと思いますが、この施設そのものは直接その潜水艦の音をとらえることを目的とするものではございませんで、先ほど申し上げましたように水温、潮流、水中雑音等の海洋環境の把握が目的でございます。そういうものの集まったデータが長年蓄積され、分析されていくことになりますと、これが将来の対潜水艦作戦にとって結果的に寄与してくるという面があることは事実でございまして、そういう意味で、我が国の海上交通の安全確保にとりまして無関係であるというわけではないと思います。
  318. 玉城栄一

    ○玉城委員 関係があるということのようですが、シーレーン防衛については国会でもいろいろな議論がされている最中でございますが、実質的にはどんどん皆さん方の方は推し進めているということになるわけですね。これが一つの証明だと思うのですが、私は非常に問題だと思います。  次にお伺いをいたしますのは、那覇の飛行場は自衛隊さんも共用していらっしゃるわけでありますが、この南西混成団というのがさらに改編、組織変えされるというような話も伺っておるのですが、それはどういうことでしょうか、御説明いただきたいと思います。
  319. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航空自衛隊の南西航空混成団でございますが、那覇に司令部がございますけれども、五十九年度に部隊の一部改編を考えております。  その内容は、この南西航空混成団の中に第八十三航空隊というのがございまして、そこに整備群というのが一つございます。それから那覇基地隊というものがございます。これをそれぞれ廃止をしまして、それにかわりまして第八十三航空隊の中に整備補給群というのと基地業務群というものを新編するということでございますから、那覇基地隊の機能が第八十二航空隊の中に吸収されて改編されていくということになろうかと思います。  この目的とするところは、組織の合理化あるいは戦闘機部隊の運用に適合した基地業務体制をつくっていきたいという、業務改善の意図といったことが目的でございます。こういった整備補給群と基地業務群という体制にするのは、本土におきます北部、中部、西部の各航空方面隊においては既にそういう形になってきておりまして、それに倣って改編をしていくという考え方でございます。
  320. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の問題も、着々と強化をされている、特にシーレーン防衛との関係は決して無縁なものではないと私は思うわけでありますが、さらに那覇の飛行場に専用弾薬庫を設置するということですが、これもどういうことなんでしょうか、非常に出入りの多い空港にまたこういう新しい弾薬庫をつくるなんということは。御説明いただきたいのですが。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  321. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航空自衛隊におきましては、かねてから即応体制の向上を図りたいということで、各航空基地におきまして完成弾庫の整備を進めてきておるわけでございます。五十六年度に開始をして毎年やってきたわけでございますが、那覇の基地にこういう弾庫をつくりたいというのも、その即応体制向上のための施設整備の一環でございます。
  322. 玉城栄一

    ○玉城委員 さらに、那覇の飛行場で、これまでも議論になっていると思いますが、落下傘の降下訓練を近接訓練場でやるというのですが、これはやはりそういうふうにやるのですか。
  323. 西廣整輝

    西廣政府委員 那覇基地には航空自衛隊の那覇救難隊という部隊がございまして、ヘリコプターとか捜索機を運用していろいろな救難活動に従事していることは御承知のとおりでございます。この救難隊は、ヘリコプターが例えば着地できないような場合に、落下傘で降下をして救難活動をするという場合があるわけでございますが、そういったときのために救難隊の隊員には一定の訓練の基準がございます。例えば、救難隊員ですと年間二十四回落下傘の降下訓練をしなければいけないとかいった訓練基準がございます。現在までのところ、那覇救難隊の隊員はその種訓練は本土まで行ってやっておるわけでございます。ただ、救難隊でございますので、本土に行って訓練をやるということになると、当然のことながら訓練効率が大変悪いということのほかに、救難のための待機を常時やっておるわけですが、その待機の態勢をとるのが非常にむずかしくなるというようなことから、現地部隊では自分の最寄りのところでそういった訓練をぜひやりたいという希望を持っていることは、私どもも十分承知しておりまして、そういう適地があれば、できれば近間でやりたいということは考えております。
  324. 玉城栄一

    ○玉城委員 考えておりますと簡単におっしゃいますけれども、これは運輸省の方いらっしゃっていればお答えいただきたいのです。  現在、那覇空港の一日当たりの飛行機の離発着回数と、人が一日にあの空港にどのくらい出入りしているのか、お答えをいただきたいのです。
  325. 松浦道夫

    ○松浦説明員 御説明いたします。  離発着回数でございますが、昭和五十八年で年間で七万三百二十九回でございます。それから、空港を利用した旅客でございますが、五十八年で五百二十八万一千五百七十八人でございます。
  326. 玉城栄一

    ○玉城委員 一日当たりどれくらい。
  327. 松浦道夫

    ○松浦説明員 今のを単純に一日平均に直しますと、離発着回数で百九十三回でございます。旅客数で平均一万四千四百七十人でございます。
  328. 玉城栄一

    ○玉城委員 お聞きのとおり、これは長官も御存じのとおり、あの空港は過密といえば過密、相当の人が出入りしているわけですね。そのすぐ隣接したところで落下傘の降下訓練をやりたいというお話なんですけれども、これはそういうことで大変なことを計画していらっしゃるということで、運輸省の向こうの空港の責任者にお会いして、実際問題としてこんなことが可能なのかどうかということをお伺いしましたら、とてもじゃない、そんなこと無理ですよ、こういうところで落下傘の降下訓練なんかできるわけないじゃないかということをおっしゃっておられた。ところが自衛隊さんは、さっきのお話のようにそこで訓練をしたいということなんです。長官、お考えはいかがですか。
  329. 西廣整輝

    西廣政府委員 私が先ほどお答えしたのは、そういう希望が現地にあることも承知しておるし、現地の考え方に十分同情していると申したわけでございます。そういうことで、那覇空港の近くでできればそれにこしたことはないということで、現地で空港の方の管理をされておる運輸省の方と協議をされていることは十分承知しております。  なお、仮にこの訓練をする場合においても、当然のことですが、民航のそういう航空機の運航に支障がないように早朝にやるとかいろいろな手だては講じなければならぬわけでありまして、民間航空の運航に支障を来すというようなことであってはならないわけでありますので、そういうことがないような方法でできるかどうかという点について現地で相談をされておるのだろうと考えております。
  330. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはとんでもないことで、そんなことは早朝がどうのこうのと言って落下傘訓練をそんなところでできるわけがないです、常識的に言いましても。  そこで、時間が参りましたので、最後に長官に伺いたいのですが、長官御自身沖縄にも行きたいというお話が国会でもあったようでございます。きょう私午前に引き続きまして質問させていただいておりますが、外務省外務省で、さっきの特殊部隊ではありませんけれども米軍はどんどん基地を強化しておりますし、自衛隊さんは自衛隊さんで、今いろいろ一連のことを申し上げましたとおり、これは縮小ではなくてむしろ強化の方向ですね。ですから、きのうも私申し上げたのですけれども、例えばさっきのグリーンベレーなんですが、沖縄を一つの拠点にしまして第三国にどんどん自由に行く、そういう我々沖縄の県民としては思いもよらぬことがどんどんまさに展開してきているわけです。御存じのとおり、沖縄は本土復帰しまして、平和憲法のもとで平和の島として再生したいというのが悲願でありまた誓いでもあったわけですね、過去の第二次大戦のときの悲劇も含めて。ところが、今復帰後十年を経過して、むしろ逆にどんどん強化の方向になって、反平和的な非常に危惧するような状況がどんどん進んでいるわけですね。ですから、これは先ほど申し上げました特殊部隊の問題にしましても、また、今いろいろ申し上げております自衛隊関係の基地の強化の問題にしましても、沖縄にとっては非常に大変なことである、容認し得ないということであります。長官の御所見をお伺いいたします。
  331. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 地域の方々がいろいろと御迷惑をされておる、また不安を持たれておる、そういうお話を承っております。地域の方々にできるだけそういうことの御迷惑を少なくするという努力、これは当然私どもとしてやらねばならぬことでございます。それと同時に、やはり私ども立場からいたしますと、我が国の防衛をどうするか、それに対してできるだけ御協力いただきたい、この点の御理解もぜひいただきたい、そこら辺をどこでバランスをとるかというのが現実の政治といたしまして非常に難しいところでございます。  いずれにいたしましても、住民方々のできるだけ御迷惑にならぬように、しかも我々の防衛力整備ができるような、その限界をぎりぎりどこにするかということについて、いろいろと御協力を願ったり、我々の方もさらに努力をしなければならぬわけでございますが、一遍沖縄へ参りまして、私自体も、全部というわけにはいかぬでしょうけれども、その一端でも、私のこの体でこの目で実感としてとらえてきたいと考えております。
  332. 玉城栄一

    ○玉城委員 国の防衛ということを私は理解しないわけではありません。しかし、さっきから申し上げておりますように、余りにも過重負担であるということはこれはお認めになると思います。それは行かれたときにそのことをよく感じていただいて、負担の公平ということ、余りにも過重負担であるということだけは最後にあえて申し上げまして、質問を終わります。
  333. 横山利秋

    横山委員長 神田厚君。
  334. 神田厚

    ○神田委員 防衛庁決算につきまして御質問を申し上げます。  まず最初に、PS1の問題について御質問を申し上げますが、今月発売された中央公論にもPS1の問題が取り上げられておりまして、非常に事故率が高いということが問題視されております。  そこで、PS1が調達を開始されてから現在までどういうような事故があったのか、このことについて御報告をいただきます。
  335. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答え申し上げます。  現在までいわゆる大事故について申し上げますが、五件ございまして、そのうちの二件は離着水に伴う事故でございます。それから一件は、移動中と申しますか、任務につくために夜間航行している際に山に衝突をしたという事故でございます。さらに一件は、これも離着水と非常に関係があるわけですが、離着水訓練のために低高度でローパスをやっておった際に、速度が下がり過ぎて旋回中に失速、墜落をしたという事故であります。それから最後に、今回の事故でありますが、これは訓練に向かう途中に海上で旋回中に墜落したものでありまして、これにつきましては原因等も十分まだ究明いたしておりません。
  336. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、この事故によりまして殉職者及び負傷者はどういうふうになっておりますか。
  337. 西廣整輝

    西廣政府委員 先般二月に落ちました最後の事故を含めまして、死亡者が三十七名になっております。なお、負傷者は申し上げた五件の事故に関連して十三名でございます。
  338. 神田厚

    ○神田委員 ほかの飛行機に比較をしますとかなり事故率が高いわけでありますが、その理由をどういうふうにお考えでありますか。
  339. 西廣整輝

    西廣政府委員 御指摘のように、このPSIは、戦闘機等に比べまして特に高いということではございませんけれども、大型機としては事故率が高いと私も考えておりますが、主たる理由は、御案内のように、飛行艇でございますので水上から離着水するということで、整備されたランウエーの上から離発着する航空機と違って、離着水に非常に過酷な条件の中でやらなければならないということがございます。したがいまして、それに関連した事故が非常に高いということがまず言えると思います。
  340. 神田厚

    ○神田委員 航空自衛隊の教育体系等々と比べて、海上自衛隊の航空教育体系がどういうふうになっているのか、この辺のところに一つ問題があるのかどうか、この辺はいかがでございますか。
  341. 西廣整輝

    西廣政府委員 教育体系について申し上げますと、航空自衛隊の場合はジェット機が中心でございますし、海上自衛隊の場合は大型のプロペラ機ということで、そういう意味では教育体系そのものもかなり違っておりますけれども、比較してみますと、それぞれが、航空自衛隊の場合も海上自衛隊の場合も、まず飛行訓練をやる前に地上訓練をやる点においては全く同一でございまして、その後それぞれが初級の飛行訓練をやる。これは単発のプロペラ機でございますが、これについても海空ほぼ同じ時間、若干海の方が多い程度の初級の固定翼機の訓練をやります。引き続いて、中級といいますか次の過程に移るわけでございますが、そこから海空が少し違ってまいりまして、空の場合はT33というジェット機の初級の練習機に移るということでございますが、それに対しまして、海上自衛隊の場合は双発のプロペラ機に移るということで、そこで計器飛行その他の中級の訓練を受けるということで、態様は違いますが、同じような形で中級の過程に移るということになります。さらに、上級課程に移りますと、航空自衛隊の場合は、戦闘機操縦課程ということでT2を現在使っておりますが、そこで戦闘機の戦闘操縦訓練に入るわけでございますが、それに対しまして海上自衛隊の場合は、実用機P2Jを使った訓練、教育を受けるわけでございます。さらに引き続きまして、航空自衛隊の場合ですと、その課程を出た者が一線の部隊に配属をされて、それぞれのF15なりF4なりの戦闘機部隊に配属されてその転換教育を受けることになりますが、海上自衛隊の場合にはその転換教育、例えばPS1ですと、PS1の部隊に配属をされて、そこでそのための転換教育といいますか飛行訓練を受ける。その結果、その課程が終わったところで初めて副操縦士として海の場合は配属をされるということでございますので、全体を見て、海、空、課程の違いはございますが、ほぼ同じような段階を踏んでおるということ。それから航空自衛隊の場合は、大部分の場合、操縦士としては一人が操縦することになりますので、単身で操縦することになりますが、海上自衛隊の場合は、課程を終えた後、なおこれは大型機でございますので、副操縦士につけられる、それから数年、三年くらいたって初めて第一操縦士になるということでございますので、海上自衛隊の飛行教育体系というものが航空自衛隊に比べて非常に簡素化されているとか、簡略化されているとかということはないように私どもは考えております。
  342. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、このPS1が非常に事故率が高い。しかもそれは、答弁によりますれば海水着水だからやむを得ないのだというような考え方であるようでありますが、それにいたしましても、大変多くの殉職者を出して、さらに、貴重な機体を失っているような状況でありますから、私は、やはり原因の究明をきちんとして、こういう形の事故を再発をさせない努力をもう少しきちんとやらなければいけないと思っているわけでありますが、今度のこの二月の事故等の問題についても、どういうふうな原因の究明がされていて、いつごろその結果が公表されるのか、その辺はいかがですか。
  343. 西廣整輝

    西廣政府委員 御指摘のように、このたび一年足らずの間に引き続いてPS1の大事故を起こしまして、まことに申しわけないと考えているわけでありますが、現在、長官の特別の命令を受けまして、徹底的な原因の究明並びに安全確保のための検査といいますかを進めておるところであります。  ところで、その事故原因の調査でございますけれども、事故調査委員会というものを設けまして、期限的には、通常、事故後四カ月以内に長官に事故原因の調査結果を報告するということになっております。ただ、従来PS1の事故というものが、飛行艇の特性だと思いますが、離着水に伴う事故が多うございましたので、どちらかといいますと、目撃者なりあるいは生存者がいる、あるいはまた機材の破損の程度が比較的軽くて済んだということで、割合早目に事故原因の調査ができたわけでございますが、今回の場合は、通常の移動中、かなりの高度で移動中の海上における事故ということで、目撃者が一人もおりませんし、生存者も一人もなかったということ、さらに、現在、機体の揚収等をほぼ終わりかかっておりますが、機体の破損の程度が非常に激しいということで、そういったことでこの事故原因の究明にはかなりの時間を要するのではないかというように考えております。いずれにいたしましても、鋭意事故原因の究明をしたいというように考えております。  なお、この事故原因の調査と並行いたしまして、先ほど申しました飛行安全のための各種の検査といいますか、これを実施しておるわけでありますが、初めに申しましたように、こういった大事故が続いたこともありますので、地元の基地周辺の住民の方の不安を取り除くということはもちろんでありますけれども、あわせて、乗組員、搭乗員が安心をしてというか、十分な自信を持って任務につけ得るようにさせたいということで、従来と異なりまして、非常に幅広いというよりも、我々として考え得るすべての安全確認のための検査をやるということで、現在あらゆる角度から徹底的な検査を進めておるわけでございます。  この検査の内容につきましては後ほど担当の局長から御説明があろうかと思いますけれども、そういった検査、一部を除きましては今ほぼ終わりかかっておりますが、今後はさらに実際の飛行機を動かして、例えば水上滑走をさせるとかフライトテストをするとかというような検査をこれからやらなくちゃいけないというように考えております。
  344. 神田厚

    ○神田委員 せっかく開発したのでありますが、P3Cなどと比べまして、今回調達中止というような状況になったわけでありますが、その背景には陸上対潜哨戒機の発達に対する考え方の見通しがちょっと甘かったのではないかというような指摘もありますが、その辺はどういうふうにお考えでありますか。
  345. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 このPS1を開発いたしまして調達をいたしていました時期においては、ソーナーオペレーションというものの有効性が広く認められていたわけでございまして、当時はまだソノブイの技術がそれほど発達していなかった、こういう背景があったわけでございます。しかしながら、その後ソノブイの技術が急速に発展をしてきたわけでございまして、そういう状況を踏まえまして、海上自衛隊におきましては、昭和五十二年二月から約四年間にわたってこのPS1の対潜探知の有効性等に関します戦力評価作業を実施したわけでございます。その結果、このPS1はソーナー、ソノブイ、この両方で対潜探知をするというシステムで設計をされているわけでございますが、このPS1のソーナーの戦術の有効性というものは、ただいま申し上げましたソノブイの技術の著しい発達ということから、これに比べまして有効性が相対的に減少してきているという判断を得るに至ったわけでございまして、そういうような判断を踏まえまして、PS1についてはその後の新規の調達はやめるということにいたしまして、現在調達を始めておりますP3C、この新機種というものに逐次転換をしていく、こういう方向をとるに至ったわけでございます。この開発当時の状況ではこれの有効性はやはり認められていたけれども、その後の技術の著しい進歩発達というものを踏まえてこういった判断を変えるに至ったという事情があるわけでございます。
  346. 神田厚

    ○神田委員 PS1が技術的に大変すぐれた飛行艇という形でつくられたわけでありますが、このPS1で確立した飛行艇技術というのは、今後はどういうふうにこれを保存、発展をさせる考え方なのか、こういうふうなものについてはこれは今後とも我が国としては持たないという考え方になるのかどうか、この辺はいかがでありますか。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  347. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 お答えいたします。  PS1は、昭和三十五年から四十四年度にかけまして開発した御承知のとおりの、相当な荒波の中でも終着水ができるという大変ユニークな飛行艇でございまして、一部の航空評論によりますと、世界的にも相当な高水準のものであるというふうに言われております。このPS1の製造は、ただいまの防衛局長説明にもありましたように、調達を中止しておりますけれども、これと全く同じ機体のUS1という救難飛行艇は逐次調達をさせていただいておるわけでございまして、その技術は、その限りにおいては維持、育成されつつあると我々は判断しております。しかしながら、防衛庁といたしましては、今のところ、新たにまた次の飛行艇を開発するというような考えは持っておりません。
  348. 神田厚

    ○神田委員 US一の話が出ましたが、このUS1は軍用機ですか。つまり、武器に当たるというふうにお考えになっておりますか、いかがですか。
  349. 木下博生

    ○木下政府委員 US1は、PS1の機体を母体にいたしまして、それを改造して救難飛行艇にしたものでございまして、防衛庁で現在調達しております。  この救難飛行艇が武器輸出三原則で言う武器に当たるかどうかというのは、通産省の方で検討され、判断されるべきものだと思っておりますが、過去におきまして、通産省としては、武器を積める構造になっていないということもあって、救難飛行艇であるUS1は武器ではないというような答弁を国会でされている経緯がございます。  それからまた、自衛隊法上武器であるかどうかという点につきましても、武器を積める構造になっておりませんので、自衛隊法上の武器には該当しないと我々は考えております。
  350. 神田厚

    ○神田委員 自衛隊は、今後、US1以外に飛行艇を使う予定、これは先ほどの答弁では、ないというふうなことでありましたが、それはそれでよろしゅうございますか。
  351. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 海上自衛隊といたしましては、このUS1は、現在海上救難用に七機の体制で維持をしておるわけでございますが、それ以外に別に飛行艇を整備をしようという計画は持っておりません。
  352. 神田厚

    ○神田委員 次に、GNPの一%の問題につきまして御質問を申し上げます。  四月十日の参議院予算委員会で、我が党の伊藤郁男議員の質問に対し、GNP一%枠は、当初予算ベース、補正後のベースともそれぞれこれを守り、決算ベースでもこれを尊重すると答弁しておりますが、これに間違いはありませんか、防衛庁長官
  353. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 御質問の際に、当初予算については三木内閣の防衛費に関する閣議決定の方針を守っていく、これは当然でございます、それから、補正の場合でございますが、補正の場合にも、その趣旨というものを考えなければならぬ、決算の場合も、それはそういう趣旨を生かしていくということでございますということを答弁したわけでございます。
  354. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、その場合、分母に当たるGNPは、それぞれどうなるのですか。当初予算についてはどれをGNPの分母としてとるのか、あるいは補正についてはどうかという問題についてはどうなりますか。
  355. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 企画庁の方でお答えするのが本当はよろしいのかもしれませんが、GNPの企画庁の公表値というのは、そのときそのときの見込み及び確定額で何通りがある年度数字というのが出てくるわけでございます。通常でございますと、ある年度の開始前に当初の経済見通しがございまして、その経済見通しの中にその年度GNPの見込みが出てまいります。年度を経過いたしますと、時によりまして、そういうことがあるときもないときもあるのでございますけれども、改定見通しというのを年度途中で出すことがあるわけでございます。  それで、いずれにいたしましても、何らか補正予算を計上するというようなことになりますと、通常の場合は、その時点で当初の経済見通しに手を加えまして、実績見込みという数字が出てまいります。ですから、補正予算のときに基準になりますのは、その実績見込みという数字が、その時点では一番新しいわけでございますので、基準になるかと思います。  その後でございますが、さらにその実績見込みがだんだん確定してくるわけでございますが、年を越えましてから翌年に国民所得統計の速報値というのが出てまいりまして、速報の確定値というのが出てまいります。翌年の夏ごろかと思いますが、その辺が出てまいります。大体、決算は七月三十一日に主計簿が締め切られまして、政府の方の手続は終わりますが、その後、検査院の御審査等もありますので、秋ごろに確定してくると思いますが、その秋ごろの数字と申しますのは、先ほど申し上げました速報値の場合が多いわけでございますが、しかし、またその速報値がその後、その次の年度の経済見通しのときには確定値として出てまいりますし、また、さらにその後になりまして、GNPそのものの数字が変わってくることがあるわけでございます。  でございますから、例えば昭和五十六年の場合、ただいまの決算、御審議をいただいておりますが、このときの数字をもって考えてみますと、五十六年の当初予算のときは、予算が二兆四千億でございまして、このときの経済見通しのGNPというのは二百六十四兆八千億でございました。これが五十五年の十二月でございます。その後、五十六年度予算につきましては、補正予算がございまして追加されました関係上、補正後予算の数値が二兆四千二百九十一億になっておりますが、このとき五十六年の十二月になってでございますが、五十六年の実績見込みのGNPの数値というのは、二百五十五兆八千億という形で出ております。  でございますから、補正時点でございますと、分母、分子、そういう数字でいきますと〇・九五というような数字になっておりますが、その後、今度決算になりますと、決算が今御審議いただいておりますように二兆四千四百九億でございます。それで、五十七年の八月になりまして、GNPの速報値が出ておりまして、二百五十一兆五千億というのが出ております。これで計算しますと、〇・九七という数字になりますが、さらに、その後五十七年の十二月になりまして、五十六年度の実績数値が出てまいっておりますが、これが二百五十三兆八千億でございますから、そうなりますと、決算数字と分母、分子合わせてみますと、〇・九六というような数字に若干ずつ変わっておるわけでございます。  でございますから、先日も私、御答弁申し上げたわけでございますが、当初予算の場合、それから補正予算の場合には、これは意図的なものとしてGNPに対する数字というのは出てまいるわけでございますけれども決算の場合におきましては、決算は終わってしまいまして、分子の方は動かないけれども、分母だけは変わることがあり得るという意味で、これは事後的と申しますか、ある程度結果的な要素が非常に強いという面がございますので、その辺のところは、GNPに対する防衛関係費の比率と三つあるわけでございますけれども、三つが三つながら全く同じ性格のものではない。若干ニュアンスがそれぞれ違うということになるかと思います。
  356. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、GNPの一%枠問題というのは、当初予算ベース、補正後のベース、決算ベースでも尊重することでありますから、この三段階のどこかで一段階でもGNP一%を突破すれば、GNP一%枠は破られた、こういうようなことになるのでありますか。
  357. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 今申し上げましたように、当初予算のときに一%より多ければまさに閣議決定と違ったことになると思いますし、補正予算のときも同様かと思いますが、決算ベースでもまた同様だと思います。ただ、同様だと申しましても、先ほどの例で申し上げましたように、決算が終わった時点におきますGNPの数値が、その後確定数値と違ってまいる可能性があります。先ほどの例はそのとおりでございますが、決算ベースでの最終的な数字は、確定数値を分母にしたGNPに対する比率、それが一%を超えれば、これは閣議決定の趣旨と違うことになる、こういうことになろうかと思います。
  358. 神田厚

    ○神田委員 いずれの段階におきましても、その三通りある中で一つでも突破されれば、GNP一%枠は突破だという判断ですね。
  359. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 そういうことかと思います。
  360. 神田厚

    ○神田委員 大変難しい問題にもなるわけでありますが、そうしますと、五十九年度について言いますれば、人勧あるいは給与改定によりまして防衛費が増加をしましても、その分母となるGNPは経済見通しベースであるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  361. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 経済見通しベースの一番新しいものを使うということ以外方法はなかろうかと思います。
  362. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、仮に五十九年度におきますところの補正予算で、人勧それからつまり給与の改定等で防衛費が増加をした場合には、必然的に一%枠が突破されるというふうに考えて、見通しとしてどういうふうにお持ちでありますか。
  363. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 五十九年度についてでございますが、まだつい先日予算を上げていただいたばかりでございまして、これから執行に入るという段階でございます。今後のことにつきましては、人事院勧告につきましては、夏以降でございませんと動向定かに私どもとしてはわかりかねるわけでございまして、今先生おっしゃるようなことについて確たる見込みを申し上げる段階になかろうかと存じます。
  364. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、仮に補正予算の段階で、補正予算のベースで一%を突破すれば、これはGNP一%は突破された、こういうふうに判断してよろしゅうございますね。
  365. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 私どもといたしましては、今国会におきまして総理から何回か御答弁ありましたように、五十一年の閣議決定の方針につきましてはこれを守ってまいるということを基本にいたしまして、今後一生懸命努力していく、こういうことでございます。
  366. 神田厚

    ○神田委員 そういうふうな考え方に立ちますれば、人勧の抑制というような考え方に立つようなことになって、いわゆる自衛隊職員の待遇問題につきましても非常に大きい問題になってくるのじゃないですか。  防衛庁長官に答弁を求めますが、防衛費のGNP一%の問題について、長官は既に、そういう努力をする、決算でもその趣旨が生かされるようにやっていく、こういうふうに言っておりますが、同時に、補正予算の編成に当たりまして、仮にこういうような形で一%枠が破られたということになるような事態について、そういうことについて考えることはありませんか。
  367. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 五十九年度の補正がどういうふうになるかまだわからぬわけでございます。それは、御指摘のとおり人事院勧告等の問題があるからでございます。人事院勧告がどのように出て、それを政府がどのような形で処理するか、このことにつきましては、私は担当大臣ではございませんので、確たることは言えないわけでございますが、政府全体としても今の段階でどうするということが決まっていない、そういう状況下でございますので、五十九年度予算は一体どうなるだろうか、それがGNPの一%を超えるだろうか超えないだろうかということを今の段階で申し上げられる筋合いのものではないと思います。ただ、今政府委員からも答弁いたしましたとおり、中曽根内閣総理大臣は、この国会で一貫して、五十一年度の三木内閣における防衛費の閣議決定の方針は守っていきます、こういうことでございますので、私どももその線で最大の努力をする、こういうお答えをする以外にないわけでございます。
  368. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、ただいま政府委員の方から答弁もあったのでございますが、当初予算ベース、補正ベース、決算ベース、このどの時点でもGNP一%が突破された場合には、GNP一%が突破された、こういうふうにお考えになりますか、いかがでありますか。
  369. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ですから、そういう断定を今からするわけにはまいらないということでございます。
  370. 神田厚

    ○神田委員 政府委員は、このどの時点におきましても、仮に一%、当初予算におきましても、補正予算におきましても、決算ベースにおきましても、突破されたならば、これは一%が突破された、そういう判断に立つ、こういうふうに言ったわけであります。長官、その辺はどうですか。
  371. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 私は五十九年度のことについて申し上げたつもりではございませんでした。もしもそのようにお受け取りでございましたら、恐縮でございますが、そこは訂正させていただきたいと存じます。一般論の話として、あの閣議決定そのものがどういうふうに読むのか、こういう読み方の問題として申し上げたつもりでございます。
  372. 神田厚

    ○神田委員 ですから、長官にお尋ねしているのは、一般論として、ただいま政府委員が答弁したように、当初でも補正でも決算でも、そのどこかで一%が突破された場合には、防衛費のGNP一%枠の突破だ、こういうふうに判断するのかどうか、こういうことです。
  373. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ただいま政府委員がお話ししたことは、いわゆる一般論としての論議で、補正のときにどうだ、決算のときにどうだ、そういう一般論的な理論でございます。私の場合は、現実に五十九年度のやつをどうするかという当面の責任者でございますので、この問題につきましては、先ほど申しましたとおり、三木内閣の防衛に関する閣議決定の方針を守ってまいります、努力をいたします、こう言う以外にはないわけでございます。
  374. 神田厚

    ○神田委員 ですから、一般論で認めておって、五十九年度においてこれを認めない、特別に考えるということは、一体どういうことなんですか。既に三木内閣が決めた閣議決定の中におきましてそういう精神がある。その精神は、当初予算であれ補正であれ決算であれGNPの一%を守るという方針だ、こういうことでありますね。それで、そのどこかで一つでもそれが突破されれば、これは一%の突破というふうに考える、判断する、こういうことであるわけでありますから、五十九年度だけなぜそのことについて――五十九年度の当初予算あるいは補正予算そして決算ベース、それぞれにおいて、一%が突破された場合にはこれは一%の突破だということをお認めになる、一般論から敷衍していけば当然にしてそういうことになると思うのですが、長官、いかがですか。
  375. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私の方は、一%の閣議決定の方針を守っていく、その守っていくという方にアクセントがございますので、今の場合に、その場合は一%を超えるだろうというようなことについてはお答えできない、こういうことでございます。
  376. 神田厚

    ○神田委員 守っていくということの方針は、それはもう非常に結構だと思うのです。ただ、客観的に、これは数字ですから、そういう中で、例えば五十九年度で結構であります、補正なら補正で一%の枠を超えた場合には、GNPの一%の枠が突破されたというふうに判断をするのかどうかという考え方を聞いているわけであります。
  377. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ですから、そういう判断を今は示されないということでございます。
  378. 神田厚

    ○神田委員 これからの問題でありますから…。ただしかし、判断を示されないという答弁は、非常にこれは説得力がありませんね。その時点で突破をしたらば突破をしたということなのかどうかということでありますから、それで、一般論からいえば、一つでも突破をすれば突破をしたということで認めているわけでありますから、五十九年度に限って、それが例えば補正で突破した場合にはGNP一%の突破だというふうに言えないということは、答弁に非常に矛盾がありますね。
  379. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これは私、現実に防衛庁長官、国務大臣という立場で御答弁をさせていただいているわけでございます。御意見については十分にわかるわけでございますが、今の段階におきましては、総理大臣の申し上げてきましたこと以上のことは御遠慮させていただきたい、そういうことでお許しを賜りたいと思います。
  380. 神田厚

    ○神田委員 総理大臣も、自分の内閣のあるうちには、一%の問題についてはこれを守っていくということを言っておりますね。ですから、守るというのは大方針であるわけでそれはいいのでありますが、しかし、現実にこの秋にはその状況がわかるわけでありますから、そういう問題について、そのどこかで一つ突破すればやはり突破なんだというふうな、三木内閣の閣議決定から敷衍をした状況からいえばそういうことになるわけなんで、それはきちんとした数字の実態についての論理的なはっきりした問題でありますから、それは答弁がなかなかできないという事情もよくわかりますけれども長官の答弁は非常に矛盾が多く、国民を納得させるには至らない答弁だというふうに思います。
  381. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 先ほども申し上げましたように、その今後の状況はわからないわけであります。分子の方の様子もわからなければ、また同時に分母の方の様子もわからないわけであります。でございますから、今、先のことが正確にはわからない。しかし、先ほども大臣からもお話がございましたように、私ども立場といたしましては、GNP一%という閣議決定の方針を守っていくということを基本にして全力を挙げて努力していこうというのが今の立場でございますから、分母も分子もどういう変化になるかわからない時点におきまして、今、数カ月先か十数カ月先になるか、どのくらい先になるかでございますが、先の話につきましてここで御議論を申し上げ、そして五十九年度の問題につきまして、超える、超えないということを申し上げられる立場でない、こういうことでございます。
  382. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので終わりますけれども、その超える、超えないを言えないということの質問もしましたが、それと同時に、一つでも出た場合には、そういうふうにそれが超えたという判断をするのかどうかということを聞いているわけでありますから、非常に答弁は不満でありますが、長官、答弁がありましたら、聞いて終わりたいと思います。
  383. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今の政府委員の答弁は私の答弁みたいなものでございますが、政府委員質疑応答の中で、理論上の問題としていろいろ答弁されているわけです。私は、それはそのとおりだと思うのです。  ただ、私の立場からいたしますと、先ほど来申し上げているとおり、現在におきましては、三木内閣の防衛費に対する閣議決定の方針を守ってまいる、そういうことで御理解を賜りたいということでございます。
  384. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  385. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 次に、中川利三郎君。
  386. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 航空救難隊の問題と人工衛星の軍事利用の問題についてお伺いするのでありますが、前段、航空救難隊についてお聞きいたします。  おたくの資料によりますと、航空救難隊は全国で九つある。ところが、新潟を除きますと、ほとんど戦闘機と一緒になっていらっしゃるのですね。併設といいますかね。例えば、千歳救難隊はF4ファントム、松島はF104、百里はF4、新潟はないわけですが、浜松はF104ですね。小松はF4、芦屋、これはすぐ近くの築城にF4、新田原はF15と14がありますね。那覇はF104ですね。  こういう一連の流れを見ますと、結局、戦闘機部隊、それに準ずる部隊の一部として救難隊が置かれているということがはっきりするわけでありますが、これは、航空救難隊の固有の任務と言われております自衛隊機、特に航空自衛隊機の救難、捜索に、やはりそういう戦闘機部隊なんかが近くにあった方が何かと都合がいい、非常に便利だ、そういう立場からこういう配備になっていると思うのですけれども、その点いかがですか。
  387. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航空自衛隊の航空救難部隊といたしましては、航空救難団というのがございまして、その下に九個救難隊、それから救難の教育隊というものがございます。この中で四つの救難隊と救難教育隊というものは、教育部隊等の所在する基地でございますとかあるいは民間の飛行場に配備をされておるわけでございます。したがって、新潟以外はすべて戦闘機部隊のあるところに配備されているというわけではないわけでございます。  この航空救難部隊の配備の考え方でございますが、これは我が国のどの地域で救難が発生した場合におきましても有効に対処できるというようなことを考えまして、全国に分散した配備を進めているということでございます。こういったような分散配備の態勢を防衛庁がとっておきますことは、災害派遣等を実施する上でも有効なことであるというふうに考えておるわけでございます。
  388. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしても、現在の実態から見ますと、そういう戦闘機部隊と併設または連接しておる、こういう事実があるわけですから、そのために救難隊をそこに配備したわけではないと思うのですけれども、いずれそういう事実があるということだけ確認させていただきたいと思うのです。  それで、今度全国十番目に設置を予定しておりますところの私のところの秋田空港ですね、民間空港としてつい最近開港したばかりで、町民が挙げてお祝いした。そこへ救難隊が来るという方針が出たようであります。秋田空港は直接には戦闘機が配備されてはいませんけれども、配備されていようがいまいが、航空救難の立場からいって、日本海、秋田、青森沖、そういったところは、先ほど御答弁ありましたように、現在あるちょうど九つの教育隊を除いた救難隊のエアポケットに当たる。そういう点で、やはりあそこに救難隊を設けようじゃないか。あそこに戦闘機は配備されなくても、これから日本海、青森沖というのは非常に重要な位置づけがあると思うので、それだけに事故もふえるだろうあるいはいろいろ捜索活動も出るだろう、そういうことだと思うのですけれども、この点はいかがですか。
  389. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 航空自衛隊等が訓練を行う場合の空域があるわけでございますが、それは日本海側にもかなり広い空域があるわけでございます。そういったことを念頭に置きました、先ほど申し上げました救難態勢ということから考えますと、現在は若干不備があることは事実でございまして、それを是正するために、秋田に航空救難隊が配備できれば従来の問題がそこで改善ができる、こういう考え方に立っていることは事実でございます。
  390. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今お認めいただきましたけれども、ですから、そういう立場から言えばあそこはエアポケットだ、それを充足するためだ。でなければ、私は、戦闘機部隊が実際配備されていない秋田になぜ救難隊を持ってくるのか説明がつかないような感じもするわけでありますが、いずれ五六中業、防衛庁のこれによりますと、これまでの航空救難団を廃止しまして、救難・支援航空隊ですか、仮称となっていますが、そういう格好になることになっていますね。つまり、それぞれ実戦部隊である、今度は指揮命令は各方面隊司令部ですね。つまり、昔の師団に直結する計画になっておるようでありますが、そうすれば、航空自衛隊が秋田空港に今予定をしておる救難隊も、当然仮称救難・支援航空隊として常時北部方面隊の直轄するその指揮下に入るものだと私は思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  391. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 五六中業の中で若干部隊編成の合理化をしたいということを考えておるわけでございますが、その中に、航空救難団それから航空方面隊司令部にある支援飛行隊等を廃止しまして、航空方面隊それから南西航空混成団の下に、今お話のありました仮称救難・支援航空隊、これを新編をしたいというふうに考えておりますが、これは目的とするところは、航空救難に係ります指揮系統の合理化を図るとともに、端末空輸態勢を確立しよう、こういう趣旨でございます。  そういったことになりますと、まだ具体的な検討まで行っていないわけでございますが、新編された後において仮に秋田救難隊が設置されることになりますれば、その地理的な位置からいって、北部航空方面隊の下に置かれるということは、恐らくその可能性が高いというふうに私どもは見ておるわけでございます。ただ、しかし、秋田に配備しようと考えておりますのは救難業務を行う部隊を考えているわけでございまして、そのほかのことは特に考えているわけではございません。
  392. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今のお答えでは、指揮系統の合理化のためにそういうふうにするのだ。つまり、五六中業の「中期業務見積り 整備方針」というところでありますが、今回の救難隊の支援隊と合併することも、「大綱に定める「防衛の構想」に従いその「防衛の態勢」及び「陸上、海上及び航空自衛隊の体制」を量的にも質的にも備えた防衛力を、」云々ということを書いてあり、その中で二番目に、「主要整備内容」の(ウ)の項に救難隊が今のように位置づけられておりますね。それで、今のお話でわかりましたが、そうなりますと、結局、実戦部隊である北部方面航空隊の指揮命令下に入る、こういうことだと思うのです。  そこで、私お伺いするわけでありますが、「航空救難に関する訓令」というものがございます。昭和三十五年十二月二十四日防衛庁訓令第五十六号ですが、「航空救難に関する訓令」の第二条というところでありますが、ちょっと読み上げさせていただきます。「(航空救難業務の範囲)」として「この訓令において航空救難とは、緊急状態にある自衛隊航空機の乗員の救難に係る次の各号に掲げる業務をいう。(1)行方不明となった航空機の乗員の捜索(2)航空機の乗員の救助(3)航空機の誘導護送(4)情報の収集、評価及び伝達」、こうなっておりますが、これは間違いありませんね。ちょっと確認しておきます。
  393. 西廣整輝

    西廣政府委員 今先生の読み上げられたとおりであります。
  394. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ですから、当然、この目的からいたしますと、航空機の誘導護送なんていえば、日本海沖、秋田沖で戦闘機が故障したりなんかした場合は、そういうものの護送も考えられる任務の中に入っているということだと思います。つまり、この中の航空機というものは戦闘機その他も含まれるというのは当然なわけでありますね。  そこで、私お聞きしていただきたいことは、秋田の人方はこの救難隊についてどういう理解をしているかというと、とにかく秋田県民の大方の皆さん方は、どういうわけか知りませんが、救難隊というものは、一に山火事、二に県民の人命救助、三、四がなくて、五に、たまには自衛隊の本務の救難もやることがありますよ、全く県民のための県民救助のために来る部隊のような、そういうふうなお考えを持っているのですね。ですから、これは全く逆立ちしているような感じなわけでありますけれども、そこで、私お聞きしたいと思うのは、救難隊のこうした演習訓練というものはこれからやられると思うのですよ。もちろん救難が固有の任務だということは私十分わかっていますがね。航空自衛隊の救難隊の訓練というものは航空自衛隊の任務の一環として行われるものだというのは、まさに赤子に物をしゃべるようなもので、当たり前の話だと思いますが、それは違いますか、ちょっとお知らせください。
  395. 西廣整輝

    西廣政府委員 ただいまの御質問お答えする前に、秋田県民の方が、自衛隊の方はつけ足しで民生協力の方が主体だというふうに言われているというお話ですが、現在の救難隊の実際の活動状況から申し上げますと、過去五年くらい見ましても、大体災害派遣等に出動した回数が一〇〇にしますと、自衛隊関係のための救難というのが三、四回、五回以下ぐらいということでございますので、秋田県民の方の受け取り方は、ほぼ実態を正しく受けとめておるのではないかというふうに思うわけであります。  なお、この救難部隊の訓練自衛隊訓練であるかどうかという御質問でありますけれども、当然のことながら、この救難部隊は自衛隊の部隊でございますし、かつ、救難部隊の活動の対象というものは、自衛隊航空機の救難あるいは災害派遣による一般の災害に対する救難活動ということで、いずれも自衛隊の任務のための活動でございますので、当然この部隊が行う教育訓練自衛隊訓練ということになります。
  396. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 確かに、自衛隊法八十三条ですかね、災害派遣ということがあるのは私わかっていますよ。ですけれども、それは余りにもひどいのですね。全く県民の間とは、特にどういうふうにひどいのかひとつ実例を挙げたいと思うのです、理解が不十分かということを。  あなたは正当に県民が受け取っているという言い方をしておりますが、今あなたは、救難隊の演習訓練自衛隊の任務の一つとしてやられているのは当然だとおっしゃっていましたけれども、ここに秋田県知事佐々木喜久治様あてに秋田県雄和町町長工藤清一郎があてた昭和五十七年十一月二十九日の「航空自衛隊秋田救難隊設置に対する協力依頼について(回答)」という公文書があるのですよ。つまり、これまで雄和町では、絶対に町を挙げて、これは秋田空港の地元ですね、全く議会の議決でも誘致に反対しておったのだ。しかし、県が協力依頼をしてきたから、回答なんですね。なぜ賛成したか、なぜ態度を一変させて協力することにしたか、その経緯をずっと書いてありまして、その中でこういう文言があるわけでありますが、それはそういうことまでいずれも慎重に検討した結果、自分たちが反対意見書を取り下げて今度は賛成するんだ。そのときの条件がついておる。「総括事項(7)」という条件、この中にこういうことを言っておるのですよ。「「自衛隊の演習訓練には絶対使用させない。ただし救難隊の演習訓練はこの限りでない」に改めることについては、恣意的に拡大解釈することの絶対ないことを条件としてこれを了承する。」と言っておるのですよ。つまり、明らかに県民はこれは自衛隊じゃないと思っているのですよ。全く県民を救うために来た部隊であって、だから、雄和町の町長が公文書で、救難隊の演習訓練はいいけれども自衛隊の演習訓練には絶対使わしてくれるな、これを恣意的に拡大したりするならば、もうとんでもないことだということを条件につけているということですね。このことはいかに県民が、だれかの指示か知りませんが、ごまかされているとは言わないけれども、こういうことは今の答弁からすると、こういう条件そのものが全くナンセンスだということになると思いますが、時間の関係もありますので、私は次の衛星の利用の問題に移らせていただきたいと思います。  そこで、今年度予算で宇宙開発事業団の打ち上げた通信衛星さくら二号を自衛隊が使用するために、硫黄島にそれらの装備を設置する予算が組まれていますね。私は、これはわが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議における、平和利用に限る、軍事利用はできないというあの国会決議に明確に反しているものだと思っていますが、防衛庁長官は、これは軍事利用でない、こう言うのですか。
  397. 木下博生

    ○木下政府委員 今年度予算で御承認いただきました中に、防衛庁として、硫黄島に置かれる予定であります電電公社の衛星地上局を通じての通信予算を二億一千八百万円といただいたわけでございますけれども、これにつきましては、昨年来郵政省、科学技術庁と御相談いたしまして、ただいま委員から御指摘のありました国会決議あるいは宇宙開発事業団法の目的の中に書いてあります「平和の目的に限り、」という文言との関係につきまして十分相談しました上、それらに関して問題ないという結論を得ました上で予算要求をさせていただき、今回御承認をいただいたわけでございます。  国会決議につきましては、ただいま委員は、平和の目的に限り、軍事利用には使わないというようなことをおっしゃいましたが、国会決議の中では「平和の目的に限り、」ということしかったわれておりません。
  398. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 確かに、衆議院本会議の一九六九年五月の決議あるいはその六月の参議院の事業団法に対する附帯決議、そこでは「平和の目的に限り、」とうたわれていることは事実ですね。軍事利用云々と書いてないですね。それはそのとおりですよ。しかし、その後何回も政府は、例えば一九六九年五月八日の衆議院科技特で木内科学技術庁長官は、「いまの非軍事という御解釈、大体私はそのとおりだと思っております。」と言明しているのですね。また、八三年四月二十七日の衆議院外務委員会などでも安田科学技術庁長官は、従来の「国会論議のとおりでございます。」と述べているわけですね。  この従来の「国会論議のとおり」というのはどういうことかといいますと、つまり、そのときの六九年五月八日の科学技術庁の木内前科学技術庁長官の答弁が出たその質問はどういう質問がというと、こういう質問なんですね。「それから平和利用――平和という文字は、世界的には「非侵略」という使い方が一つある。それから「非軍事」という考え方もあるわけです。しかし、日本の場合には、憲法といったてまえもあって、この平和という文字はあくまでも「非軍事」というようなものに理解されるのが常識になっておるわけです。したがって、この決議がもし上程をされるとすれば、そういう意味の非軍事であるというようなことが前提として確認をされなければならぬ、こう思っておる」わけだがどうかという質問に対して、「いまの非軍事という御解釈、大体私はそのとおりだと思っております。」  それから、例えば我が党の野間委員が八三年四月二十七日に衆議院外務委員会質問したあれも、「平和の目的に限るというのは、これは国会論議の中でもありますけれども、あくまで非軍事的と、こういう意味ですね。これは非侵略、つまり侵略に利用させないというような狭いものではなくて、軍事に利用することを禁止する。これは国会論議でも明らかですけれども、この事実の確認です。」こういう質問に対して、安田国務大臣は、「国会論議のとおりでございます。そのように理解しておるわけであります。」こう言っているのですね。つまり軍事利用はさせないということが本会議の決議の本当の精神なんですね。平和に限りということはそういうことだと思いますが、そういうことについてあなたは、軍事利用ではないということは国会決議にないからそれは構わないんだ、こういうことになるのかどうか、もう一回答弁していただきたい。
  399. 木下博生

    ○木下政府委員 昭和四十四年に国会決議がなされましたときに、国会決議の文言の中には、先ほど申し上げましたように「平和の目的に限り、」ということが入っております。それにつきまして小宮山議員が提案趣旨説明をされましたときにも、「日本国憲法のもとにおいて平和の目的に限り、」というような趣旨説明をされているわけでございます。今、委員が過去の国会における論議の中で、平和の目的に限り、非軍事ということについての議論がなされた件につきましていろいろ御指摘ございましたが、確かにそのような御議論が過去にあったことは承知しております。  まず、硫黄島の問題につきまして申し上げますと、私どもは、電電公社が公衆電気通信役務を提供する需要者の一人でございまして、現在までも全国各地でその役務を利用させていただいておるわけでございますが、そういうものの一環として、今回衛星が打ち上げられまして、離島においてもその衛星を利用した公衆電気通信役務の提供ができることになりましたので、これは電電公社にお願いしまして地上局を硫黄島に置かせていただくというようなことになったわけでございます。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、同じような利用の方法は小笠原についてもございまして、小笠原では、従来電電公社が短波回線を利用して電話のサービスをやっておったわけでございますが、今回は衛星を使ってサービスをするということになったために、小笠原の父島におります部隊は必然的に衛星を通じた電話の利用をすることになってきたわけでございます。  それから、国際的な通話におきましても、インテルサットを使って電信電話事業が行われておりますが、国際電話をかけますと当然その衛星を通じて行われるというようなことになるわけでございまして、そのような通信技術の発達に伴って衛星を間接的に利用するような形になった、そういうものまで「平和の目的に限り、」ということで利用できないというようなことになれば、科学技術の発達に伴って自衛隊は通信手段を奪われることになるわけでございまして、当然これは条理にも反することでもあるということで、国会決議等の関係については当然問題がなかろうというような結論が出て、硫黄島に今回地上局を置いてもらう予算をお願いしたわけでございます。
  400. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、今おっしゃっていることは、自衛隊そのものが中継局といいますかそれを持つわけでないから、一般の加入者と同じようにそれだから軍事利用ではないんだということだと思うのですね。  それはそれとして、私がお聞きしたいのは、先ほどの論議とも絡みまして、きょう木下防衛庁装備局長来ていると思いますが、昨年十月十一日の衆議院内閣委員会で木下さんは、我が党の三浦久さんの質問に対しまして、「政府の過去における答弁でいろいろと御答弁があったかと思いますが、軍事利用に使わせないというような形での御答弁があったとは必ずしも私どもは理解しておりません。」非常に重要な発言をしているのですね。政府の国会決議その他いろいろなやりとり、これはずっと何年来続いておったのですが、それを押しなべて彼は、彼というか木下さんは、「政府の過去における答弁でいろいろと御答弁があったかと思いますが、軍事利用に使わせないというような形での御答弁があったとは必ずしも私どもは理解しておりません。」私は、これは一種の居直り的な感じがするわけですけれども、先ほど野間議員の質問を紹介しましたように、平和目的に限りというのは、侵略、非侵略に利用させない、そんな狭いところからだけではなしに、軍事に利用することを禁止するということが国会決議の趣旨ですねという質問なんですね。それに対して、そのように理解していると当時の安田科学技術庁長官が答弁しているわけですから、防衛庁立場はこういう立場と違うということになるのですか。国会決議を乗り越えて勝手な解釈、これは撤回してくださいということを申し上げたいのです。
  401. 木下博生

    ○木下政府委員 昨年の衆議院の内閣委員会において御質問がありました際に、自衛隊のその仕事は軍事か非軍事かということについて一般論として聞きたいというような御質問がございまして、もちろんこれは衛星の利用との関連で出てきた議論ではございますが、その関係で御説明いたしましたときに、軍事か非軍事かということについてはその定義の問題があるので、例えば、自衛隊が軍隊であるかどうかということがその定義の問題として過去において国会で議論になったと同じように定義の問題であるので、一概にただ軍事かどうかというような御質問に対しては軍事であるかどうかは言えないというような御答弁を申し上げたときに、今のような御返事を申し上げたわけでございます。  過去の国会議論におきまして、衛星の平和目的に限りというようなことにつきましては、委員御指摘のようにたびたび論議がなされておりますが、非軍事であるかというような御質問に対して、そのように考えておりますというような御答弁は確かにございましたけれども、非軍事利用というものの中身については、先ほど私が申し上げましたように、軍事がどのような意味にとらえていいかどうかというようなことと同じように、はっきりしないまま今日まで至っているわけでございます。
  402. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしても、あなたは、政府の過去における答弁でいろいろと答弁があったと思うけれども、軍事利用に使わせないというような形の答弁があったというのは、自分はそう理解しておらないというのは答弁として不穏当だと思うのです。これはいろいろな経緯があったとあなたは注釈しておりますけれども、その経緯をずっとながめましても、この答弁の限りでは、これはやはり撤回していただかなければ、あるいは訂正していただかなければ、国会決議を乗り越える勝手な解釈、こういうふうに理解されると思いますので、この点についてそういう御意思がありますか。
  403. 木下博生

    ○木下政府委員 昨年の内閣委員会のときに、私が確かに今おっしゃったような御答弁を申し上げましたが、御答弁を申し上げました趣旨は、平和目的に限りというのが非軍事だというような議論があったことについて、非軍事であるからイコール自衛隊の衛星に係る利用はすべて認められないというような直接的な議論がなされたというふうには考えてないというところを、十分そのような御説明をしないで申し上げた点でございまして、その点、もし十分な御説明でなかったとすれば、ここでそのように訂正させていただきます。
  404. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。これは後々大変な問題になろうかと思いますので、防衛庁のために御忠告申し上げる次第でございます。  そこで、郵政省にお聞きするわけですが、防衛庁は今は一般加入者だと言いますけれども、何とか衛星の軍事利用に道を開こうとして必死になっていると僕は思うのです。今回の硫黄島での利用は電電公社の回線を使うから問題ない、こう言っていますけれども、郵政省の平野電波監理局長は、昭和五十四年六月五日の参議院の逓信委員会でこう言っているのです。国会決議からして防衛庁がユーザーにはなれない、こう答弁しているわけであります。つまり、ユーザーすなわち衛星自体に中継器を持って衛星通信を行う免許を取得できない、こういう意味なわけでありますが、この立場は現在も変わりないですね。
  405. 江川晃正

    ○江川説明員 五十四年六月五日の参議院逓信委員会における沓脱先生の御質問に対する時の電波監理局長お答えの部分かと思います。  調べましたが、ちょっと正確な議事録の言葉を再現させていただきまして御説明いたしますが、電波監理局長は、今御質問に当たる部分につきましては、このようにお答えしているかと思います。  一つは、「現在までのところ、防衛庁からユーザーになりたいというお申し出はございません。」ということが一点です。  もう一つは、宇宙開発利用につきましては国会決議とか宇宙条約とかということがあるという前置きをいたしまして、「したがいまして、」と言って、その後こういうふうに申し上げております。「郵政省といたしましては、この決議と宇宙条約の理念に従いまして御提案申し上げております本法律を」、これは通信・放送衛星機構法のことでございますが、「運用してまいりたいと考えておるわけでございますので、防衛庁が、たとえば軍事目的のために六機構の衛星を使用いたすことはないものというふうに考えておるわけでございます。」これが正確な再現ではないかと思います。ただいまの、防衛庁は自営ユーザーになれないと答弁しているがという御質問に対しましては、以上の言葉で御説明させていただきまして、なおそのときいたしました電波監理局長の、私が読み上げました意味での答弁、これは現在もその趣旨において変わっているものではありません。
  406. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 平野さんの、電波監理局長の答弁の中で、これは会議録ですが、その中にこういう文言があるのです。「平和的利用という点を私ども非常に念頭に置いておるわけでございますので、そういう先生のおっしゃるようなことにはならないのではないかというふうに存じております。」つまり、自衛隊防衛庁の衛星利用について、これも答弁ですね。今、何か非常に際どいような際どくないようなお話がありましたけれども防衛庁はこれは確認できますね。
  407. 木下博生

    ○木下政府委員 私が先ほど御答弁申し上げたことと同じラインだと私は思っているわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたのは、過去において、平和目的に限りということが非軍事であるかという議論がなされて、それに肯定的な議論がなされたことは承知しておりますが、非軍事であることイコール自衛隊の利用ということまでつながっては言われておらないということを申し上げたわけでございます。現在、郵政省の方から御答弁のありましたところは、「防衛庁が、たとえば軍事目的のために六機構の衛星を使用いたすことはないものというふうに考えておるわけでございます。」ということでございまして、軍事目的のためにという意味をどういうふうにとるかということになってこようかと考えておるわけでございます。
  408. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 硫黄島という島には、自衛隊アメリカのロランCがありますから、アメリカもたまには来るでしょう。あとは民間人一人もいないところで、精強なる装備を持った部隊が、戦闘部隊ですが、いるわけでありますね。そこで平和利用があり得るなんということは考える方が常識的でないと私は思いますが、そんなことを言っても時間がありませんから…。  郵政省にもう一回聞くのですが、今回の硫黄島の設置では、電電公社の一加入者として防衛庁が利用するもので、電電公社の固定局を通して自衛隊が利用することになっているわけですね。だから、国会決議上からいってもユーザーになれないということは、防衛庁自衛隊がみずから固定局を持つこともできないのだ、こういうふうに私は思いますけれども、同じようなことだと思いますが、もう一回確認する意味でもはっきりお聞きしたいと思うのですよ。
  409. 江川晃正

    ○江川説明員 御質問意味がよく聞き取れないところがありましたが、防衛庁が硫黄島で電電公社のサービスを受けるに当たって自営の宇宙通信のアンテナ、地球局を持つことはできないということを先生はおっしゃったわけでございますか。(中川(利)委員「固定局、地球局」と呼ぶ)地球局ですね。その辺は、公衆電気通信サービスの提供におけるいわば端末機器にこれは当たるか当たらないかわかりませんが、一部分を自営、つまり利用者ですが、利用者が持つことができるかできないかという通信制度上の議論として処理されるべきものと考えております。これにつきましては、公衆電気通信サービスの一環として特に禁止しているものではございませんので、持ち得るものとして考えられるのではないかと思っているところです。
  410. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私も今のあなたの答弁がよくわからないのですが、今回硫黄島へ電電公社が人工衛星の局を持つ、つまりそこに自衛隊もいますから、単なる電話に我々が加入するのと同じような加入者としての――今回やるんだから入るんだから、それは平和利用だ、軍事利用にならないのじゃないかということが今回予算をとって政府が検討した結果だと思うのですね。私が聞いているのは、地球局、つまり防衛庁そのものが、自衛隊そのものが固定局を持って、あなた方の言う地球局を持って、あるいは車載局、これも電電公社用語で言えば地球局だそうでありますけれども、こういうものを持つということは国会決議上できないだろう、このことを聞いているのですよ。
  411. 江川晃正

    ○江川説明員 自衛隊が持つ持たないということについて我々議論したわけではありませんが、電気通信サービスを受けるに当たって、その端末機器に当たる部分を自営でできるかできないかということについては、電気通信制度上の議論として、制度があるわけです。その制度によりますと、この地球局を持つことの是非は、まだ電気通信制度の中で最終的な結論を得ているわけではございませんが、今、我々は一般的に、地球局を電気通信サービスを受けるユーザーが持つことの是非について検討しているところであります。ただ、その検討の方向としては、先ほども申し上げましたが、ほかの端末機器についての自営が許されている中では、これも認められる方向でいくのではないかと考えるということを申し上げたわけでございます。
  412. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 どうもよくわからないね。つまり、自衛隊の硫黄島での衛星利用が国会決議の平和目的に反しないとしてしまったというか、科学技術庁の口頭説明というメモがあるのです。これを見ても、防衛庁が一般のものと同様の地位において自営の利用による公衆電気通信役務の提供を受けようというのであれば、これは別異に扱ういわれはない、つまり我々と同じ、電話加入者と同じような状態にあればいいけれども、横並びの、例えば消防庁とか警察庁とかああいうものは特別に地球局を持っていますね。そういうことができないということははっきりしているのじゃありませんか。このことはひとつ確認していただきたいと思うのです。
  413. 江川晃正

    ○江川説明員 検討いたしました答えは、公衆電気通信サービスを受けることについての是非ということで、三省庁集まって議論した結果だったわけです。電電公社の公衆電気通信サービス、それを受ける者が公衆電気通信サービスを提供する枠組みの中で受ける限りにおいては、防衛庁といえども別異に扱ういわれはないというふうにこの結論を得たわけでございます。  そこで、その中でさらに地球局を持つとか持たないとかというのは、さらに公衆電気通信サービスを受ける上での一つの技術論になってまいります。その辺はここのペーパーでは特に議論したわけではありませんが、考えてみれば電気通信制度全体の中で考えられるべきだということで申し上げておるわけです。  先生、もしかして、私僭越なことを申し上げるようで恐縮でございますが、地球局を持つということが即衛星を持つということと同じだとお考えで御質問なさっているのか、だとすれば、その辺は、もし私の言葉が誤りだったら訂正いたしますが、そうお考えだとすれば、そこら辺は若干異なっております用地球局を持つということと衛星自身を自分のものとして制御するということとは別の話というふうに考えております。
  414. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間もあれですから、もうそろそろあれですけれども、まあ今の問題について防衛庁はどう考えていますか。やはり国会決議というものがあるわけですからね。せめて一般加入者並みの、今回のものはともかくとして、そういう問題についてはやはり国会決議を乗り越えてあなた方がどうするということになりますと、これは大変なことだと思うのですけれども防衛庁の見解をちょっと確認しておきます。
  415. 木下博生

    ○木下政府委員 過去におきまして、「平和の目的に限り、」ということを非軍事利用ではないかというようなことで御議論があったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、非軍事ということの意味がはっきりしないままそういう御議論がなされてきたわけでございまして、昨年内閣委員会での御質問も軍事か非軍事かということで御質問があったわけでございますが、自衛隊法や防衛庁設置法では、自衛隊及び防衛庁の目的は平和を守るためということがはっきり明記されておるというようなこともありますし、その点は必ずしも従来明確にされてなかったわけでございます。ただ、私どもとしては、したがって「平和の目的に限り、」という言葉に立ち戻って国会決議等については考えていくのがしかるべきかというふうに考えておりまして、先日参議院の予算委員会で御質問がありましたときにも、総理の方から、その自衛隊における宇宙の一般的な利用の問題については研究課題であるというような答弁もなされておりますので、今後検討を続けていきたいと考えております。
  416. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしても非常にあいまいだ。私は、非核三原則だとかあるいは武器輸出何とかというのがありますけれども、全体あの流れの中でみんななし崩しにやられていく中でこの問題も出てきておると思っているわけでありますが、最後に、時間が参りましたので、長官に一つお伺いしますが、長官は四月四日の参議院予算委員会で、我が国の専守防衛の立場から、衛星はいろいろ情報が取れるので重大な関心を持っている、こういう新聞記事がございますね。だから、どういう重大関心を持っているのか。つまり、何というか、だから私は、将来軍事衛星を持つ、そういう可能性を示唆したものだというような感じも一つはするわけでありますが、同時に、長官は、軍事偵察衛星の保有についても、現在のところ衛星に対する具体的な構想もないし、保有する考えもない、こう言っていますけれども、国会決議上防衛庁自衛隊が軍事衛星を持つことができるという見解なのかどうか。同時に、やはりこれはできないということをはっきり断言すべきだ、こう思いますが、この点、最後の質問としてお聞きさせていただきます。
  417. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私が偵察衛星について重大な関心を持つというのは、これはやはり我が国が専守防衛である。専守防衛ということはやはり必要最小限の自衛力を整備する。必要最小限の自衛力を整備するためには、情報が一番よく取れる、そういう手段が必要だと考えておるわけです。そうすると、偵察衛星、これはもういろいろの情報が得られるんじゃないか、そういうような意味合いで、この偵察衛星について私が関心を持つ、これは当然だろうと思うのです。そして、各国の利用の動向、そういったものも我々としては注意深く見守っていかなければならない、こう考えております。  ただ、先ほども質問がございましたが、今の段階でこの偵察衛星を保有する、そういうような構想は持っていない、素直に現在の私の考え方を率直に述べた、こういうように御理解いただきたいと思います。
  418. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  419. 横山利秋

    横山委員長 次回は、明十三日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会