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1984-03-29 第101回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十九日(木曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 横山 利秋君    理事 白川 勝彦君 理事 谷  洋一君    理事 東家 嘉幸君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 神田  厚君       榎本 和平君    小坂徳三郎君       塩崎  潤君    白浜 仁吉君       松野 頼三君    城地 豊司君       近江巳記夫君    玉城 栄一君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         会計検査院長  鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局次長    佐藤 雅信君         会計検査院事務         総局事務長官         房審議室審議官 小川 一哉君         会計検査院事務         総局事務長官         房総務課長   安部  彪君         会計検査院事務         総局事務長官         房人事課長   志田 和也君         会計検査院事務         総局事務長官         房会計課長   山本  正君         会計検査院事務         総局事務長官         房法規課長   中島 孝夫君         会計検査院事務         総局第一局長  西川 和行君         会計検査院事務         総局第二局審議         官       天野 基巳君         会計検査院事務         総局第三局長  秋本 勝彦君         会計検査院事務         総局第四局長  磯田  晋君         会計検査院事務         総局第五局長  中村  清君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、会計検査院所管について審査を行います。  まず、会計検査院長から概要説明を求めます。鎌田会計検査院長
  3. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 昭和五十六年度会計検査院主管一般会計歳入決算並び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その大要を説明申し上げます。  会計検査院柱管歳入につきましては、予算額一千八百五十八万余円に対しまして、収納済み歳入額は、二千三百四十八万余円であり、差し引き四百八十九万余円の増加となっております。  収納済み歳入額の主なものは、公務員宿舎貸付料等国有財産貸付収入二千七十八万余円であります。  次に、会計検査院所管歳出につきましては、当初予算額八十三億七千二百四十三万円に、補正予算額八千八百六十四万余円並びに前年度繰越額九千五百五十五万余円及び予備費九千五百八十七万余円を加えた予算現額八十六億五千二百五十一万余円に対しまして、支出済み歳出額は八十六億五千二百三十一万余円でありますので、その差額十九万余円を不用額といたしました。  支出済み歳出額のうち主なものは、人件費七十四億八千九百九十三万余円、検査旅費五億五千四百十二万余円、施設整備費二億六千七百十二万余円となっております。  以上、甚だ簡単でございますが、昭和五十六年度における会計検査院関係決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 横山利秋

  5. 西川和行

    西川会計検査院説明員 昭和五十六年度会計検査院決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 横山利秋

    横山委員長 これにて説明の聴取は終わりました。
  7. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入るのでありますが、本日の質疑は、理事会の申し合わせにより、委員長各党共通質疑を代表して行い、一たん委員会を散会した後、検査院当局委員各位との自由な意見交換を行うことになっております。委員各位の御参加をお願いいたします。  それでは、私から若干の質疑を行います。  まず、第一でございますが、歴年、決算に関する衆議院の議決には、「予算効率的執行不当事項根絶について、繰り返し政府注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実が上がっていない点がある云々」とあります。一般会計特別会計のほか政府関係機関等にもわたる膨大な会計でありますから、一〇〇%完璧ということは期しがたいと思われますが、これは、担当者資質の問題は別として、制度上に欠陥があるのか、あるいは会計検査院の側でまだ検討すべき問題があるのであろうか等について御意見を伺います。
  8. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 御指摘のとおり不当な事態が後を絶たないということは、まことに検査院といたしましても遺憾に存じております。  このように毎年度不当な事態が発生する原因として考えられますのは、一つには、各省庁あるいは補助金等交付を受けて事務事業を執行する関係者におきまして、必要な知識が不足していること、あるいは注意力が不足していること、その他公金が国民からの血税によるものであるという認識が不足しているということにあろうかと存ずる次第でございます。まして、今日のように国の財政事情が窮迫して、その財源が税金のみならず赤字公債に依存しているというときにありましては、殊さらに公金を経済的、効率的に使うという使命感を持つべきであると考えられますのに、その点が不足しているのではないかと考えられます。  そして、いま一つには、検査報告指摘趣旨が各省庁等において十分生かされていないことであります。  また、制度的な問題として考えますと、各省庁における審査指導監督管理等が有効に働いていないということや、内部監査体制が有効に機能していない面があるということが考えられます。監査機構が、あるところは有効に機能していない、不完全なところは全く機能していない、監査が行われていない、こういうことによるものと考えられます。  したがいまして、各省庁等におきましては、検査報告指摘契機に、あるいは各種事例を他山の石として、みずから制度面改善を図り、また、職員研修等充実するなどして、今後の予算執行において不適切な事態が招来しないよう工夫していただきたい、会計検査院としてはそういうふうに考える次第でございます。  反面、会計検査院といたしましても、検査報告指摘事項について当局改善策を見きわめることはもとよりでございますが、再発防止を図る意味から、検査対象機関経理担当職員に対する研修を定期的に本院で実施するほか、機会あるごとに本院職員を各省庁等で実施している研修会に講師として派遣して、検査報告指摘趣旨徹底化を図っているところでございます。
  9. 横山利秋

    横山委員長 第二に、人員、機構物件費等を通じ、現在の検査体制整備状況は、検査目的の十分な達成に適応しておるかどうか伺いたいのであります。
  10. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 会計検査院といたしましては、検査機能充実強化を図るために、検査体制整備については常に最重点事項としてこれに対処してきたところでございます。  近年の状況について申し上げますと、検査業務に従事する職員の増強のため、調査官要員となる一般職員の増員を毎年実現してきております。また、本年会計検査情報システム開発運用のため、電子計算機を設置するとともに、五十九年度におきまして、その管理運営総括責任者として上席情報処理調査官の、これは課長級でございます、新設を行うこととしております。検査旅費につきましても、その増額を図っているところでございます。  私どもといたしましては、現下の厳しい財政事情の中で、歳出の節減に努めながら、なお今後とも検査体制整備につきまして十分配慮してまいる所存でございます。
  11. 横山利秋

    横山委員長 第三にい決算検査の結果を予算編成に十分反映せしめる改善策は何だろうか。国会決算審議促進することも重要な課題の一つであるとは思いますが、検査院ないし政府側で検討すべき点はありませんか。
  12. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 決算検査の結果を予算編成に十分反映させる最善かつ最高の改善策としては、先生のおっしゃるとおり国会決算審議促進にあろうかと思われるわけでございます。私ども検査院といたしましては、常々検査の結果が予算編成に反映されることを望んでおるわけでございます。このため、検査報告早期内閣送付ということに心がけております心  一方、検査の過程におきまして、予算編成当局大蔵省主計局及び理財局打ち合わせを行うことが非常に意義あるものと考え、昭和四十年以降、主計局との打ち合わせにつきましては毎年三月、八月の二回連絡会議を開催して相互に意見交換を行っており、特に八月は、本院がそれまでの検査結果から予算編成参考となるような事項を述べるのを主といたしております。また、理財局との打ち合わせにつきましては、毎年八月ごろに連絡会議を開催いたしまして、検査結果を見て、財政資金、国債、国有財産管理運用参考と思われる事項説明いたしております。  もとより、私ども検査結果についてこれをどのように予算編成に生かすか否かは予算編成当局の問題でありますが、私どものせっかくの努力の成果を生かされるように切望する次第でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員長 第四は、検査院は、情報収集職員教育研修等に欠くる点はないかという点であります。
  14. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 情報収集について申し上げます。  会計検査院といたしましては、検査に必要な情報収集重要性について十分認識し、収集体制整備にも意を用いているところでございます。  まず、検査上最も有用な手段といたしましては、計算証明規則の定めるところにより、検査対象機関から収入支出等に係る計算書及び証拠書類を徴しておりまして、その書面検査を実施するほか、検査上の必要に応じ関係機関から資料等報告を求めております。  このような制度上の情報収集のほか、会計検査に関する各種情報収集にも努めておりまして、国会における予算決算審議での有益な御意見はもとより、マスコミ関係情報収集及び各機関、民間から寄せられる情報、これは主として投書の形になりますか、そういったものにつきましても、検査上の有力な資料として利用させていただいているところであります。  今後は、各種情報をコンピューター管理して情報分析を進めるほか、検査各課共通資料を集括整理した資料センターを設けるなどすることを検討しておりまして、ますます情報活用化を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。  次に、職員研修について申し上げます。  検査院職員は、豊富な知識経験を持ってその任に当たることが要求されておりまして、このため、新規採用職員はもとより、相当経験を積んだ調査官に対しても、技術革新行財政活動、本院に対する社会の要請等の変化に対応するための絶えざる教育研修が必要でおることは言うまでもございません。  このような観点から、職員に対する研修を重視し、検査院内部で各階層ごと各種研修を実施するほか、外部の大学等教育機関などにも職員を派遣して委託研修を実施いたしております。また、研修業務を主管する者といたしまして研修官を置きまして、その指揮監督のもとに研修体制研修内容等整備及びその円滑な実施に努めているところでございます。
  15. 横山利秋

    横山委員長 第五は、長野箕輪町における不当事件に顧み、検査体制等について改善すべき点はないかという点であります。
  16. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 長野県上伊那郡箕輪町における不当な事態の特徴は、関係する省庁が多く広範囲に及んでいる、これがまず第一点であります。  それから、第二点といたしまして、その方法が、入札書契約書支払い伝票等関係書類を作為して架空事業費を計上するなど、極めて巧妙な方法によっていること、こういうことでございまして、このような事態に対する検査体制として今後のあり方を次のように考えております。  まず、第一点は、広範囲にわたる不正が行われていると判断される場合には、今回の箕輪町に対する検査のように、関係する検査課による合同の検査チームを編成して機動的な検査を実施する体制をとるのが適切であり、第二点といたしましは、特定の所管につき関係書類等を作為して巧妙な経理操作をしているようなケースに遭遇いたしました場合は、関連する他の所管についても同じようなことが行われている可能性を考えまして検査を進めるよう、検査院内部連絡を図るという体制整備を一層図る必要があると考えられます。第三点といたしまして、不正の方法が巧妙な場合には、これを限られた検査期間中に発見し解明するのはなかなか困難な面がございますが、厳正な検査を遂行するために、職員に対する研修等により検査能力維持向上を引き続き図っていくこと、それから、できるだけ情報収集を行い、不当な事態の端緒の発見に努めることなどが必要であると考えている次第でございます。
  17. 横山利秋

    横山委員長 第六は、各省庁等における内部監査が厳正かつ徹底して行われることが、不当事項等根絶につながる一番の近道であります。また、会計検査院検査の避けがたい限界を補うものであると思われるが、検査院の見解はいかがでありますか。
  18. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 不当事項等根絶を図る方策といたしましては、おっしゃいますように、その一つとして、それぞれの機関において執行活動を客観的に評定するなどの管理機能を果たす内部監査が、整備された体制をもって厳正に行われることが会計経理適正化を図る上で欠くことのできないものであると考えるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、各機関における現在の内部監査組織及び監査内容の実情を見る限りにおきましては、必ずしも十分とは言いがたいという認識を持っております。  会計検査院は、かねてより国の機関等における内部監査の役割の重要性に着目し、その機能充実強化に強い関心を寄せております。また、私ども実地検査施行率が八・五%程度という現状におきましては、内部監査によって残りの部分が自主的に補完され、あるいは会計検査において指摘した事項の効果的な波及や再発防止が図られることを期待するものであります。  しかし、問題は、監査に携わるポストに有能な人材を配置し、これらの職員が厳正な監査を自在に行えるような職場環境を整えることが大事と思われます。  私どもといたしましては、その一助として、内部監査職員のレベルアップと、内部監査充実強化に寄与するため、会計検査内部監査とにおいて共通性を有すると思われる検査技法を中心とした講習会を昨年度から政府出資法人等内部監査業務職員対象として実施いたしておりますが、今後ともその範囲、内容について一層の充実に努力していきたい、かように考えております。
  19. 横山利秋

    横山委員長 第七は、指摘事項についての事後調査は、検査結果の実効性確保にとって最も重要なことであると思われるが、これについてどのような方途を講じていますか。
  20. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 会計検査院といたしましては、検査報告に掲記した指摘事項につきまして、極力、関係省庁等における事後処理状況をフォローしてきております。  すなわち、不当事項につきましては、関係省庁等における是正処理状況、例えば補助金の場合の国庫への返還状況、工事の場合の手直し状況などの処置について逐一報告を求めております。また、指摘に対し当局再発防止のためにとった処置、それから関係者に対する懲戒または行政上の処分状況について、毎年定期的に調査いたしまして、その事後処理状況を監視しているところでございます。  会計検査院法第三十四条または第三十六条による意見表示または処置要求事項については、翌年度以降の検査報告に各省庁がとった是正改善内容を毎年掲記することといたしておりますことは御承知のとおりと存じます。  また、特記事項、特に掲記を必要とする事項でございます特記事項についても、検査報告に掲記以後相当年度が経過したところで見直しを行い、事態が進展していないものについては、再度検査報告にこれを掲記するということによりまして、問題解決促進を期しているのであります。  以上のような方法によりまして、検査報告実効性確保は図られているのではないかと考える次第でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員長 第八です。特殊法人認可法人等会計監査について、何か意見はありませんか。
  22. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 特殊法人等会計につきましては、昭和五十七年七月に第二次臨調によりまして行政改革に関する第三次答申が出されており、この答申によりますと、特殊法人会計処理について、一般企業会計の諸原則から見て不十分な点があることから、法人事業性格に応じた会計処理基準標準化を図るなどの提言がなされているところでありまして、会計検査院として、この提言を踏まえまして、五十八年から特殊法人のうち常時検査対象としております国が資本金の全額または二分の一以上出資している法人などの出資法人会計処理について、その実態の分析と横断的な比較検討を行うための調査を行っている状況でございます。  かつて特殊法人における族費等架空経理という不正事件が発生し、その原因一つ特殊法人等における監査体制問題点があると考えられましたことから、検査院におきましては、昭和五十四年十二月、内閣官房に対しまして、監事監査を初めとする監査体制充実強化を図って会計経理の適正を確保するように意見の申し入れを行ったことがございます。これに対し、内閣官房では直ちに各省庁事務次官あてに「特殊法人等監事監査徹底について」と題する通知を発しまして、特殊法人等業務執行会計経理の適正を確保することといたしております。私どもといたしましては、今後とも、特殊法人等において一層監査機能が強化され、有効な監査が行われるようになることを期待しておる次第でございます。
  23. 横山利秋

    横山委員長 第九、検査結果により法改正行政上の改善措置が必要であると判断した場合は、どのような措置をとっていますか。
  24. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 検査の結果、法令、制度または行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、会計検査院法第三十六条の規定により、主務官庁その他の責任者意見を表示しまたは改善処置を要求することにいたしております。  ちなみに、法改正措置が必要であるとして院法第三十六条の規定を発動した事例としては、二つの例がございます。  一つは、昭和二十年代後半の検査報告にはおびただしい数の補助金に関する不当経理指摘がございましたが、これを背景に、二十八年七月関係大臣、これは複数でございます、に対しまして、「補助行政における支出負担行為等に関する改善意見」を表示いたしました。これを契機に、三十年において補助金等適正化法が新たに制定されるところとなったのであります。  もう一つは、昭和三十七年六月農林大臣に対しまして、「土地改良事業によって造成した埋立地等を転用する場合における造成費の回収に関する改善意見」、これを表示いたしましたところ、三十九年六月土地改良法の一部改正が行われております。  また、制度または行政に関し、改善を要する事項は、毎年、意見表示または処置要求を行っているところでありまして、五十七年度決算検査報告におきましても、農林水産省水田利用再編対策事業を初め十四件が掲記されております。
  25. 横山利秋

    横山委員長 第十は、今もお話がございましたが、補助金関係の不正、不当事項が毎年後を絶たず、また件数においても一番多いが、行政上の問題点はありませんか。
  26. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 今の御質問でございますが、基本的には、最初に申し上げましたように、関係者注意力不足、認識不足あるいは体制の不備ということにあろうかと存じますが、補助金に関しまして、過去の指摘事例から見まして、直接補助事業の場合と間接補助事業の場合との二つに分けて申し上げてみようかと思います。  まず、直接補助事業につきましては、都道府県市町村等が国から直接補助金交付を受けて事業を実施するものでありますが、建設省所管補助事業に見られるように、事業量の増大に対応する職員の、また、厚生省所管事業に見られるように、福祉施設への被措置者数の膨大さに対応する職員質量不足という点がございます。すなわち、経験豊富で実務に精通した職員が多いとは言えないという事業主体内部の問題であります。しかし、要員確保という問題は、現状財政事情から解消するということは難しい。現有職員資質向上こそが急務と考えられる。また、関係当局における効果的な指導が一層期待されるところであります。  次に、間接補助事業につきまして申し上げますと、個人や小規模の組合等国庫補助金を原資の一部とする都道府県市町村補助金交付を受けて事業を実施するものでありますが、例えば、農林水産省所管補助事業の場合のように、事業の種類や内容広範多岐にわたっている上に、事業主体の数も極めて多いために、事業主体において補助事業趣旨内容等についての周知徹底を欠くような事態が生じがちでございます。そういうこともありますし、また、複数段階を経ていく、そういうことに起因いたしまして、責任の所在があいまいとなり、各段階でのチェックが安易になるといった問題もあろうかと思われます。したがいまして、市町村都道府県、国といった各段階における事業計画等調査検討審査に遺漏なきを期するとともに、事業主体に対する指導監督を十分に行う必要があると考えられます。  なお、いわゆる補助金不正受給については、これはモラルの問題でございまして、事業を執行する側の認識を改める以外に方途はないものと考えます。
  27. 横山利秋

    横山委員長 第十一は、決算及び検査制度国際比較でございますが、ポイントだけひとつ説明をしてください。
  28. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 まず、決算制度について申し上げますと、西欧先進諸国に、おきましては、いずれも会計年度終了後、収入支出の実績を取りまとめ、これを議会に提出いたしており、この点は我が国の場合と同じでございます。しかし、決算性格及び議会での取り扱いは国によって相違いたしております。  例えば、決算議会報告するだけのもので議会における審議議決対象としていないアメリカ制度、それから、決算政府責任解除のために議会提出することにしている西ドイツの制度決算決算法案として議会に提出することにしているフランス制度、こういうふうになっております。  次に、検査制度について申し上げますと、国家財政については会計検査院検査することはいずれの国においても共通しておりますが、検査院地位、権限、組織等は国によって異なっております。  例えば、アメリカでは、議会に属し、国の事業有効性検査重点を置いており、西独では、立法府司法府、行政府から独立した地位を有し、国の財政活動の全般にわたりその当否の検査を行っており、フランスでは、立法府司法府、行政府から独立した地位を有し、財政監督を行うとともに出納官責任判決を行っているというようになっております。  なお、近年、諸外国の検査院においても、本院と同様、合規性経済性観点からばかりではなく、さらに効率性有効性観点からの検査をも行うのが一般的な傾向となっております。
  29. 横山利秋

    横山委員長 第十二は、国会決算審議について、何か希望、注文などがあれば、この機会に伺っておきます。
  30. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 既に御指摘ありましたように、決算検査の結果を予算編成に反映せしめる最も有効な手だては、国会における決算審議にあろうかと考えられます。したがいまして、ここで検査院の希望を述べろということでございます。お許しを得て申し上げますと、本院の検査活動の成果が予算編成に反映され、行財政の効率的執行に一層有効に活用されるように決算審議促進方をお願いする、こういう次第でございます。
  31. 横山利秋

    横山委員長 第十三、我が国の現下の財政状況等にかんがみ、検査院においては五十六年度会計検査基本問題懇話会を発足させ、検査の基本的なあり方や長期展望に立った検査の未来像等を検討しておられるようでありますが、最近までの主な討議内容問題点について紹介をしていただきましょう。
  32. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 会計検査基本問題懇話会は、現在のような逼迫した財政事情のもとにおいて、より有効かつ適切な会計検査を推進するために、外部の学識経験者の意見を求めることを目的として開催されたものでございます。これは五十六年四月から昨年の五十八年一月までの間に十三回開催され、会計検査の基本的な諸問題についての意見交換が行われたものでございます。  開催期間に行われた意見を要約いたしますと、次のようなものとなっております。すなわち、会計検査院は、検査要員充実を図るなど強力な検査体制整備に努めること。二番目に、検査対象の実情に合うよう検査活動の範囲を検討するなど拡大、多様化する検査対象への適切な対応が要請されること。三つ目に、検査実効性確保するために、検査結果の周知の徹底内部監査との連携などの諸点について検討すべきこと。そういったことでございます。  なお、これらのほかに、各検査分野におけるこれからの検査の方向についての意見交換も行われた次第でございます。
  33. 横山利秋

    横山委員長 第十四、また、検査院は大蔵省との連絡会も定例的に開いて相互に意見の交換をしているようでありますが、参考になる問題があれば、この際紹介をしていただきます。
  34. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 先ほど申し上げましたように、大蔵省との連絡会は、主計局とは毎年三月及び八月、理財局とは八月ごろ行っております。  毎年三月に行われる主計局との連絡会では、予算編成の方針等を伺いまして、検査計画に反映させるほか、前年に本院が指摘した事項予算編成上どのように考慮され、またどのように改善処置がとられたものかについて説明を求めております。また、八月の連絡会におきましては、それまでの、つまり七月ぐらいまで検査をやっておりますが、その私ども検査の過程での本院が発見した問題点につきまして、主計官に対して本院の検査担当課長から所見を披瀝し、予算編成参考となるような事項についての説明を主としております。また、理財局との連絡会においては、検査の結果から見た財投資金、国債、国有財産管理運用参考となると思われる事項説明いたしまして、当局意見を聴取し、その後の検査に資することを目的としているわけでございます。  昨年八月の連絡会において取り上げましたテーマのうちには、五十七年度検査報告に掲記いたしましたように、農林水産省の水田利用再編事業の実施及び効果に関するもの、あるいは日本電信電話公社の電報事業の運営に関するもの、そういった問題につきまして五十九年度予算編成に有益な資料となり得たというような当局の御説明を受けております。
  35. 横山利秋

    横山委員長 最後に、行管との連絡情報交換等はどのようにしていますか。また、検査院と行管との関係はどうあるべきであると考えていますか。
  36. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 会計検査院行政管理庁との相違につきましては、御承知のとおり、両者のそれぞれ置かれた位置、検査と監察の目的、方法というものが違っております。  すなわち、まず存立の基盤、職責について申し上げますと、検査院は国の収入支出決算等を検査する機関として、憲法上にその根拠を持ち、内閣から独立した外部監査を行う機関であるということでありますのに対しまして、行政管理庁は、行政の効率的な運営を図るため、総理府の外局として内閣の統轄のもとに行政機関の業務全般の実施状況対象とし、内部監査を行う機関であります。  次に、検査院検査と行管の監察との相違でありますが、会計検査院は、常時悉皆的に会計経理検査するという立場から、会計経理の正確性、合規性から出発いたしまして、さらに効率性有効性にまで及ぼす検査を行うと同時に、重点事項としたテーマについての検査を実施しているわけでございます。しかも、事実を計数的に突き詰めていかなければならない。そしてその上で問題点を取り上げていくというのが検査院の基本的な姿勢でございます。  一方、行政管理庁の監察は、仄聞するところによりますと、毎年、年度計画あるいは四半期計画を立ててテーマを定めて、そのテーマを指向して管下の支局等を動員いたしまして監察を実施し、あるいは時期に応じた臨機応変な監察を行う、こういうふうに承っております。  両者の間には、このように目的、立場、方法上の相違点があるために、両者の間で連携または調整するということは困難な面があるのであります。  しかしながら、会計経理適正化行政執行の効率化を図るという点では共通する面もございますので、検査報告は必ず行政管理庁の方にお渡しするとともに、行政管理庁からも随時監察結果の報告をいただきまして、情報の交換は行っております。また、行管の監察が先行いたしまして私どもの非常に参考になると考えられますときは、検査の時期を手控えましてこの結果を待つ、こういうような姿勢をとっているところでございます。
  37. 横山利秋

    横山委員長 以上で質疑は終わります。  次回は、来る四月四日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十時四十三分散会