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1984-05-15 第101回国会 衆議院 環境委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十五日(火曜日)     午前十時二十二分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君    理事 畑 英次郎君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 中村  茂君    理事 春田 重昭君 理事 中井  洽君       榎本 和平君    金子原二郎君       金子 みつ君    上坂  昇君       山本 政弘君    斉藤  節君       竹内 勝彦君    薮仲 義彦君       近藤  豊君    瀬崎 博義君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         議     員 岩垂寿喜男君         国土庁水資源局         水資源計画課長 山住 有巧君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 立石  眞君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 玉木  武君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      管原 敏夫君         林野庁業務部業         務課長     小澤 普照君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    咲山 忠男君         建設省計画局環         境管理官    緒方 啓二君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     辻  栄一君         建設省河川局河         川計画課長   陣内 孝雄君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    大嶋  孝君         参  考  人         (水資源開発公          団理事)   川本 正知君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   藤田 スミ君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     藤田 スミ君     ――――――――――――― 五月十四日  湖沼環境保全特別措置法案岩垂寿喜男君外二名提出衆法第二七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  湖沼法制定に関する陳情書(第二九八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  湖沼環境保全特別措置法案岩垂寿喜男君外二名提出衆法第二七号)  湖沼水質保全特別措置法案内閣提出第四八号)      ――――◇―――――
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  岩垂寿喜男君外二名提出湖沼環境保全特別措置法案議題といたします。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。岩垂寿喜男君。     ―――――――――――――  湖沼環境保全特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂議員 私は、提案者を代表いたしまして、湖沼環境保全特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  湖沼は、水資源として飲料水や農業、工業、発電用水を供給し、水産、交通、観光などの場として、多角的に利用されています。また、湖沼は、内陸水域として水域生態系を支えるとともに、陸や空中から流入する汚濁物の浄化、気候の微調整など多様で重要な機能を果たしている貴重な環境です。  しかし、この内陸閉鎖性水域である湖沼は、汚濁物質が蓄積しやすく、現在、その過半数が環境基準すら達成していないというまことに憂うるべき状況にあります。さらに、琵琶湖など我が国の代表的な湖を含め、百四十を超える湖沼富栄養化問題を抱え、水産被害飲料水の異臭味、自然景観破壊などに見舞われており、既存の対策にゆだねて放置すれば近い将来「死の湖」と化すことは火を見るよりも明らかです。  本法案は、このような国民の貴重な資産である湖沼に対して、特別な措置を講ずることによって、湖沼及びその周辺環境破壊の進行を食いとめ、湖沼環境保全を図ろうとするものであります。  次に、この法案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、この法律の目的は、湖沼特定施設及び指定施設の設置の規制富栄養化による被害発生防止並びに湖沼周辺環境地区指定などの特別の措置を講ずることにより、多様な機能を営む重要な水域である湖沼環境保全を図ろうとするものであります。  第二に、湖沼環境保全上有効な施策を実施するために、政府は、湖沼環境保全に関する基本構想指定湖沼及び指定地域指定に関する基本的事項湖沼環境保全のため講ずべき施策に関する基本的事項等内容とする湖沼環境保全基本方針を定めることとします。  第三に、内閣総理大臣は、都道府県知事申し出に基づき、水質環境基準が確保されていないか、または、確保されないこととなるおそれが著しい湖沼で、特に湖沼環境保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるものを指定湖沼として、指定湖沼環境保全関係があると認められる地域指定地域として指定するものとします。  第四に、都道府県知事は、湖沼環境保全基本方針に基づいて、指定地域において指定湖沼環境保全に関して実施すべき施策について定めることとします。  第五に、指定地域において湖沼特定施設を設置しようとするときは、都道府県知事許可を受けることとします。  第六に、指定地域においては、湖沼環境にとって生活環境に係る被害を生ずるおそれがある汚水または廃液を排水する施設について、水質汚濁防止法特定施設とみなし、同法の規定を適用します。  第七に、指定地域において、排水基準による規制によりがたいものとして定められる指定施設及びそれに準ずるものを設置しようとする者は、その旨を都道府県知事に届け出ることとし、都道府県知事は、その者が指定施設の構造及び使用方法に関する基準を遵守していないと認めるときは、改善勧告、さらには命令をすることができるものとします。  第八に、人口及び産業の集中などによって、排水規制等によっては水質環境基準の確保が困難であると認められる指定湖沼については、汚濁負荷量の総量を削減するための措置を講ずることとします。  第九に、都道府県知事は、指定湖沼富栄養化による被害を防止するために、環境庁長官指示により、燐その他の指定物質削減指導方針を定め、必要な指導助言及び勧告をするものとします。  第十に、都道府県は、条例によって、指定湖沼周辺湖沼周辺環境保全地区として指定し、同地区内における工作物の新築、土地形質変更等の行為について、知事許可制度を設けることができることとします。また、湖面の埋め立て等の承認に当たっては、湖沼環境保全について十分配慮することとしています。  これらの措置のほかに、湖沼環境保全のために必要な勧告助言、財政上の援助、調査研究及び技術開発推進等について所要の規定を設けております。  以上が、本案の提案理由及び概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 竹内黎一

    竹内委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 竹内黎一

    竹内委員長 内閣提出湖沼水質保全特別措置法案及び岩垂寿喜男君外二名提出湖沼環境保全特別措置法案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
  6. 金子みつ

    金子(み)委員 私は、本日の質問では、まず初めに、林野庁関係の問題について林野庁に少し確認させてほしいことがありますので、質問したいと思います。林野庁、お見えになっている……。  この問題は、ここ一両日新聞、テレビなどでクローズアップされておりますので、大方の方が御存じのことだと思いますけれども、2・4・5T系除草剤、これは御承知だと思いますが、催奇形性あるいは発がん性が裏づけられている猛毒ダイオキシンが含まれていると言われている薬剤でありますが、これが昭和四十六年使用中止になりましてから、その残留しております薬品を山林に埋めて処理したはずのものでございます。完全に処理されていると当局はお考えになったのだと思うのですけれども、それが流出をして、そして地下に浸透し、沢や川に流れ、海にも流れていくというような事態が起こったのではないかという問題がここに広げられたわけであります。  具体的な事例といたしましては、林野庁愛媛宇和島の津島町の山林で埋め方が大変にずさんであった、そのために薬剤の原液がすっかり流れてしまったということが愛媛大学調査で発見されたという問題でございます。  これは既に御承知のことだと思うのですけれども、今から十三年前、昭和四十六年の問題ではございますが、その昭和四十六年のときに農林省から通達が出されて、そして、どのようにして埋めるかという問題について細かい具体的な通達も出ているわけです。例えば、四十六年十一月には「2・4・5T系除草剤および有機塩素系殺虫剤等廃棄処分について」という林野庁長官通達が出ております。この通達指示どおり処分されていたのであるならば、こういうことはなかったのではないかと予想されるわけでありますが、そのことは調査をされた愛媛大学教授たちもおっしゃっていらっしゃるわけであります。それをそのとおりにしていなかったのではないか、その結果、こういうことになったのではないかというのでございます。  この処分方法なんですけれども、大変に細かく処理がされるように、処理方法についてまでも指示がなされております。例えば、一カ所に埋め込む量を一定の量にするとか、十倍量程度土壌とよく混和した上、コンクリートの塊としてビニールを敷き、その上に埋め込む、また、処理個所は、飲料水の水源とか民家などから離れた峰の方に近く、あるいは粘土質場所を選ぶとか、地下水のわき出るところや風水害で崩壊するおそれのある場所は避けるというふうに、大変細かく指示がされている内容でございましたのが、発見されましたときには、今回発見されました事実は、愛媛大学脇本助教授らが発見されたのでありますが、この場合は、これを見ますと、「当時、缶を四、五本ずつ一緒に包んだというビニールはもれた薬剤で変質したのか、破れ、露出した三本の缶はいずれも腐食して穴があいていた。缶は薬剤名が印刷された段ボールに包まれ、薬剤のにおいがプーンと鼻をつく状態」になっていた、こういうようなことが発見されたわけでございます。漏れた薬剤は既に何年か前までに流出してしまったというふうに考えられますけれども、もう十三年も前のことだから心配はないじゃないかというふうに言われる方もあるかもしれません。しかし問題は、御承知のように、このダイオキシン猛毒性というものは大変に強くて、ベトナム戦争のときにアメリカが使いました枯れ葉剤影響が今日まで出てきているということ、十年も十五年も、あるいは長いものでは二十年も先にその結果が影響としてあらわれてくるものだということは既に御承知だと思うのです。ですから、そのことを考えますと、私どもは、それは昔のことだからというふうに捨ておくわけにはいかないと思うのです。  それで、今回たまたまこれが発見されましてこういうことがわかったわけでございますけれども、この問題について、実は、事実かどうか調べてみたいと当局はおっしゃっているようなんでございますが、最近の報道けさ新聞などを見ますと、そのことについて全国的な調査をすることを指示しておられるようであります。ということは、そういうことが事実であることを確認したためにそういう全国調査をしようというふうに考えられたのではないかと思うわけでありまして、この問題について責任当局である林野庁のお考えを聞かせていただきたいし、今回の全国調査をやろうという計画をなさったその背景には何があったのかということを聞かせていただきたいと思います。
  7. 小澤普照

    小澤説明員 お答えいたします。  今先生から、宇和島営林署管内におきます2・4・5T系除草剤処分につきまして、報道関係等、御指摘がございました。  私どもといたしましては、当時、昭和四十六年になるわけでございますけれども全国営林局に対しまして2・4・5T系除草剤処分につきましては適切に実施するように指導いたしまして、その後十数年の時間が経過しておるわけでございますから、当時の状況等につきましては現在明確でない点も実はございます。今回、そういう過去の処置仕方等が問題になりましたものでございますので、私どもといたしましては当時の処理状況につきまして、これは当時の関係者等事情聴取というようなことも必要でございますけれども、そのようなことも含めまして、まず当時の処理状況を把握する必要があるというように考えまして、現在、鋭意調査を進めているところでございます。
  8. 金子みつ

    金子(み)委員 実は私がもう一つ伺いたいと思っておりますことは、今になって発見されたからといって慌てて調査をするという姿勢について問題があると思うのです。こういう重大な猛毒薬剤処理するということを指示したんだったならば、その指示した後、安全点検をしていなかったのじゃないか、それが問題じゃないかと思うのです。直接林野庁がするのでないとしても、営林当局に対して、やはり指導管理上の責任としてそこまできちっとやるべきではなかったのか。それをやらなかったことが大変にまずかった、無責任ではないかというふうにまず私は思うわけなんですが、それはなさったのですか、なさらなかったのですか。
  9. 小澤普照

    小澤説明員 当時処置したときにその辺の確認をしたかどうかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、当時林野庁から各営林局に対しまして適切に処置するように指示をいたしておりますので、そのときには、各現地実施機関から営林局に対しましては、その処理状況につきましての報告は徴したというふうに承知しているわけでございますけれども、現在その辺の資料というものが、報告資料等が必ずしも残っていないケースもございます。そんなことでございますので、時間が経過したということでございますけれども、現在改めて再度、どういう処理をしたかということを鋭意調査しているわけでございます。
  10. 金子みつ

    金子(み)委員 くどいようですけれども報告を受けたと聞いておりますと――もちろん何年も前のことですから、あなた御自身の問題ではないというふうに考えてもいいでしょうけれども、しかし、組織の問題で役所の問題ですから、あなたは、私は知りませんとは言えないと思うのですね。  それで、そのときにどういう報告のさせ方をなさったのか。指示は具体的に出たわけですから、報告も具体的にもらうようになさらなかったら意味ないじゃないですか。処理しましたという報告だけもらっても、それで確認できるでしょうか。処理した人に具体的にどのようにして処理したかということをきちっと聞いていなかったのでしょうかね。
  11. 小澤普照

    小澤説明員 報告の仕方がどのようであったかということの御質問でございますけれども、その辺の各営林局報告の仕方というものが――報告をするように指示をし、また報告をとったということは当時の関係者のお話からも事実であるというように思っておりますけれども、その子細な内容について私ども現在詳細に把握しているわけじゃございませんので、その辺も含めまして調査をいたしております。
  12. 金子みつ

    金子(み)委員 それじゃ、今回の調査でその具体的な事実もつかむことができる、こういう意味に今受け取りました。それをしっかり調べていただくことと、同時に、今回の調査では、どれくらいの量が処理されたのかという問題、このことも調べられるんだろうと思いますが、その点はおわかりになっていらっしゃるのでしょうか。埋めた量はわかっていらっしゃるんでしょうね。
  13. 小澤普照

    小澤説明員 埋めた量ということでございますけれども、その辺につきまして現在調査中でございます。
  14. 金子みつ

    金子(み)委員 でも、それはおかしいんじゃないでしょうか。どこの営林署のどういう――私、よくわかりませんけれども、例えば、これは愛媛県の宇和島ですから、四国管内というのがありますね。四国管内営林署が幾つあるか、二十くらいあるのかもしれません。その営林署管内でそれぞれやったはずですね。そうすれば、それぞれの営林署管内にどれだけの量があるということは既にわかっているはずでしょう。私、手元にいただいた資料は、これは四国だけなんですけれども、四十六年四月のこの除草剤計画の数量と残量の数字が出ているんですけれども、この残量というのを埋めたわけじゃないんですか。今まで使ってきたんだけれども中止になったからやめた、残った量を在庫してあったんでしょうね、これを埋めるということにしたんだと思うのですが、この量がお手元にわかっていないというのはどういうことでしょうか。これは危険な話ですね。
  15. 小澤普照

    小澤説明員 先生おっしゃいますように、確かに残量を埋めたということでございますけれども、この残量と申しますのは1私どもの方の実際に使用していた期間ということになりますと、全国非常に数が多いわけでございまして、それぞれ当時におきまして、その使用中止指示を出しました昭和四十六年四月でございますけれども、そのときに一斉に使用中止いたしまして、そのときに所持していたものをまず保管をいたしまして、その後、処置したということでございますから、当時におきましてそれぞれの量が当然把握されていたというように考えておりますけれども、現時点におきまして、その量がそれぞれ各地において幾らであったかということにつきましては、現在、その資料は私ども手元にございません。それで、その当時の状況につきまして正確を期すために現在再調査をいたしていくということなのでございます。
  16. 金子みつ

    金子(み)委員 私、どうしてもわからないのですけれども、四十六年四月に一斉中止になって、そして埋没するようにという指示が出たわけですよね。その時点で各営林署単位の所持しているこの除草剤の量を林野庁で把握していなかったということですか。今はわからないとおっしゃいましたよ。今の時点でわからないというのは、資料が残っていない、さかのぼって倉庫からでも引っ張り出してくればわかる、こういうことですか。それとも、その時点林野庁自体は量がわかっていなかったということなんでしょうか。
  17. 小澤普照

    小澤説明員 当時はそういう量を把握したものというように私、考えておりますけれども、現在、当時の資料が残っていないということでございます。
  18. 金子みつ

    金子(み)委員 そんなことってあるんでしょうか。役所資料というのは、今はなくても――まだ十何年前の話ですね。焼けたわけでもないでしょうし、消えちゃったわけでもないでしょう。当時はあったと思うけれども、今は残っていないという御答弁では納得できないですね。お捜しいただけませんか、今でなくて結構ですから。私はあるはずだと思います。役所としてはそんなずさんな仕事をしているわけないと思うのですけれどもね。もし、それが事実だとすれば、大変な問題だと思います。ですから、それはきちっと見つけ出して、その量がどれだけあったかということをわからせていただきたいのですが、委員長、よろしゅうございますか。資料をお願いしていいですか。
  19. 竹内黎一

    竹内委員長 ただいまの件は、理事会で相談をしておきます。
  20. 金子みつ

    金子(み)委員 では、次の質問です。  今の問題は、在庫品はすべて処理したかどうかということが今度のそちらからの御報告でわかると思いますから、その時点でまた改めて続けさせていただきまして、この問題は今一応おいておきます。  この事件は十三年前の事件ではございますけれども、先ほど申しましたように、これが土壌の中に入り込んでいって分解して、そして地下水に入ったり川の水に入ったりということだったと思いますから、その当時その川の水を飲料水に使っていた人たちだってあると思うのですね。そういう人たちがあっただろうと思いますから、そうだと想定しますと、何か影響があったのじゃないかということで、疫学調査をする必要があるなと思っておりましたら、けさ新聞に全住民に近く健康診断を行うというふうに書いてあるわけです。これは新聞報道でございますので、どの程度健康診断をするようにしようとしていらっしゃるのかわかりたいことが一つでございます。  それから、今の御答弁では、いつ、どこで、どれくらい、どんなふうに廃棄処分したかを追跡調査するというのですから、これは先ほどの質問とつながってきますけれども疫学調査の方の問題でどんな内容調査をするように指示をなさったのでしょうか、おわかりでしたら教えてください。これは私もけさわかったことです。私はやるべきだと思って要請しようと思っていましたら、もうやるということを決めたということですから、それでは、どんな内容健康診断をなさるおつもりなのか、聞かせていただきたい。
  21. 小澤普照

    小澤説明員 お答えします。  私どもの方といたしましては、営林局に対しましてはまず処置状況につきまして調査、把握するようにという指示をいたしております。そのほか、周辺地域等に対して不安な状況等を生じさせてはならないと思いますけれども、そのようなことにつきましては私どもの方だけでなかなか対応できない問題もございますので、関係機関なり地域町村等とよく連絡をとるように現地営林局に対して指示をしているわけでございまして、個々具体的にどのような措置が、今先生のおっしゃいましたようなことがされたかどうかということにつきましてはまだ確認はしておりません。
  22. 金子みつ

    金子(み)委員 そうすると、この健康診断を実施する件については、林野庁の方からは直接の指示はなさらない、営林署が独自にやる、やりなさいという指示だけは出す、だけれども、どういうふうにやりなさいとは言わない、そういうことですか。
  23. 小澤普照

    小澤説明員 現在、個々にどのようなことをどうせよという指示はしてございません。それぞれ現地におきまして適切な対応をとるようにというように。連絡してございます。
  24. 金子みつ

    金子(み)委員 林野庁やり方というのはそういうやり方なのかもしれませんね。各営林署に、それぞれ現地で適当なやり方をというのはいかにもなまぬるい指示の仕方ですよ。そうじゃなくて、こんな大事件ですから、こういうのは林野庁厚生省なりあるいはその他関係省庁と協議をして、総合的な調査をやらなければだめなんですよ。単独の調査をやっても結果としては決していい結果は出てこない。これは非常に入り組んでおりますから、林野庁だけでできないものももちろんあると思います。建設省関係もあるかもしれません。いろいろなところの関係があるかもしれませんから、関係省庁との話し合いをして、そして総合的な疫学調査を、あるいは疫学調査だけでなく、もっと幅広く総合的な調査をやるということにしないと本当のことはつかめないんじゃないでしょうか。そういう計画といいますか、政策というものを立ててこの問題を解決しようというふうにはお考えにならないのでしょうか。
  25. 小澤普照

    小澤説明員 確かに先生の御指摘、よく私どもも理解できるわけでございます。ただ、現地におきましてはいろいろ状況もそれぞれ異なるかと思いますので、もちろん私ども独自で事を進めるわけではございませんで、それぞれの関係機関もございますから、よく御相談しながらやるということでございますし、また私ども自体におきましても、いろいろ関係のところとは御連絡もとりまして対応してまいりたい、このように思っております。
  26. 金子みつ

    金子(み)委員 この問題で余り時間をとれませんが、もう一つ関連でお尋ねしたいのです。  今まで質問してまいりましたのは2・4・5T系除草剤の問題でございますが、これと一緒に、これ以外の有機塩素系の殺虫剤もございます。BHCとかDDTとかその他。これの処理はどうしたんですか。これもそのとき、一緒でなくて少し後になりますね、中止するように指示が出ています。そして、そのものについてはどういう処分をなすったんですか。
  27. 小澤普照

    小澤説明員 私、今手元に正確な資料等持っておらないのでございますけれども、確かに当時2・4・5T系以外の薬剤につきましても使用をやめるというような事態があったというふうに聞いておりますし、それから、そのように私どもの方の通達指示をしております。ただ、2・4・5T系というのは林業関係が特に使用しておったということですが、ほかの薬剤につきましても使用者として使用中止し、あるいはまたその処置をするように私ども指示もいたしまして、適切に当時対応したものというように考えております。
  28. 金子みつ

    金子(み)委員 2・4・5T系除草剤のほかに、今申し上げたそれ以外の有機塩素系の殺虫剤ですけれども、これも2・4・5T系に比べれば毒性は少ないと言われているわけですけれども処理方法を誤ると大変に健康上危険があるということもありますから、お話の中の、今の御答弁ではよくわからないのですけれども、この分についても必ず処理され、処分したはずですから、そのことがわかるように、先ほどお願いした調査の分とあわせてわからせていただいたその上で、改めてまたその結果でこの問題は継続していきたいと思っていますので、きょうはその程度にとどめておこうかと思っております。  林野庁関係質問はこれで終わらせることにいたしますので、御苦労さまでございました。ただ、非常にはっきりしていないのですね、すべてにわたって。幾らそれが十年も前の問題であるとは言いながらも、これは一つの行政のあり方でありますから、もっとはっきりきちっとけじめをつけた処分処理をしておいていただきたい。これは大変にずさんな、薬剤処分もずさんでしたけれども、それに対する御当局処置も余りきちっとしていないと思います。ですから、そういう問題はこれからもっときちっとやっていただきたいと思いますので、一言要求しておきたいと思います。  続きまして、厚生省来ていらっしゃるでしょうか。今の問題と関連あるんじゃないかと私はふっと考えるのですけれども、御存じでしょうか。高知県の衛生研究所が、たまたま自分のところの職員の男女に対して、別の一つの目的を持って採血をして血液検査をやったのですね。そうしましたところが、その血液の中から猛毒物質のダイオキシンを微量ながら含むとされる有毒物質PCP、ペンタクロロフェノールというのですか、これを検出したというのです。健康な人の血液の沖からこれを検出したというので研究所でびっくりしてしまったのですね。どうしてこんなものが健康な人の血液から出てきたんだろうということで、さらに追跡調査をすると研究所は言っております。  これはひょっとしたら今の愛媛宇和島だけでなく四国、県内全部に営林署があるわけだから、その営林署がどんな処理をしたのかがわからない、その処理やり方によっては第二の宇和島、第三の宇和島があちこちにあるんじゃないだろうか。たまたまそれが発見されなくてわからないだけのことであって、あるのかもしれない。あるいは高知県の営林署でもそういうことがあっているのかもしれない。そのことが影響して、たまたま高知県に住んでいた衛生研究所の職員が、あるいは住んでいた地域でそういうことが起こって、この人たちの血液の中に入ってきたのかもしれないというふうな感じがいたしますね。  とにかく、血液の中にこういうものが検出されたということは、どういうふうな経路で体内に入るかということを考えると、食物か水しか考えられないと言うのです、私がこの研究所の先生に電話で聞いてみましたら、そうおっしゃっていました。だから、食物か水だということになりますと、それはひょっとしたら今の分が関連していないのかなというふうな危惧を持ちますが、厚生省ではこのことを御存じでしたでしょうか。そして、この件についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか、聞かせてください。
  29. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  ただいまの御指摘の点につきましては、先日の新聞報道によって承知したわけでございますが、現在のところ汚染経路は明らかではございませんが、この問題は今御指摘ございましたような農薬使用等によります環境汚染にも関連する問題でありますので、関係省庁とも連絡をとりつつ必要な情報収集に努めてまいりたい、このように現在考えております。
  30. 金子みつ

    金子(み)委員 私も、この問題はまだそれ以上詳しいことはわかっておりませんので、厚生省に注意を促して、じっと目をつけながら、調査も今おっしゃったように続けていただきたいということを要望しておきます。  それから、厚生省に続けてもう一つですが、これはまた水道の水の問題なんです。水道の水が有機塩素によって逆に汚染されているという問題でございます。この問題は実は御承知でしょうし、既におわかりになっていらっしゃるはずだと思いますが、WHOが今までは急性毒性のある細菌やあるいは砒素や水銀などの無機物を中心にして水道の水の規範に対する基準あるいはガイドライン、そういうものを出してきていたということは事実なんですが、今回は大変に水道の水が、国際的な工業化の進展で発がん性のおそれのある有機塩素系の化合物による汚染がひどくなってきたということがわかってきたので、WHOとしては新たに有機物基準を設けることになったというわけですね。そういうものを設けて、そして関係各国に通達をするということを進めようとしているということがことしの一月ごろ報道されておりました。この問題は、もともと水道の水を殺菌する目的で塩素殺菌手法というのが使われているわけですね。ところが、それが逆に飲料水の安全を脅かし始めたという大変に難しい問題が起こってきたと思うのです。  それで、トリハロメタンの飲料水汚染の問題です。これは日本ではもう既に千葉県銚子、それから東京都の小笠原、新潟県の佐渡、沖縄県などで一部問題になって、厚生省では既に一つの基準をつくって、そして、それを守らせるようにしてこられたということなんですけれども厚生省にWHOからのガイドラインが到達したのかどうかということを伺いたいのが一つと、この記事によりますと、WHOのガイドラインに沿った指導基準をさらにつくって、飲料用の地下水だけでなく、各水道事業体でも基準を守るよう通達する予定だというふうになっているのですけれども、そのことは既に行われたのでしょうかどうでしょうか、聞かせてください。
  31. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明申し上げます。  WHOでは安全な飲料水確保のための国連水道と衛生の十カ年、一九八一年から一九九〇年までの十カ年でございますけれども、この事業の一環ということで飲料水の水質ガイドラインの設定の作業を行っておるところでございます。その水質ガイドラインの最終の案が一九八二年、つまり五十七年につくられておりまして、これは送付を受けております。簡単なガリ版といいましょうか謄写版で印刷したものでございますけれども、これを受けとっておりますのでただいま勉強しておりますが、これが正式なものとなったという連絡は受けておりません。現物は「案」がついておりますけれども、恐らくそのまま正式なものになると思っております。これを結局WHOではちゃんとした印刷物として出版するという予定だそうでございまして、それができるのを待っておりますが、もちろんドラフトはございますから勉強はしておるわけでございます。  そこで、このガイドラインでございますけれども、WHOの飲料水の水質ガイドラインは、各国が飲料水基準を設定いたします場合に、ベースになります情報を提供するというのが主たる目的でございまして、これをそのまま基準そのものにするとか強制力を持ったものにするとかということではございませんで、このガイドラインにも、その冒頭のところで「各国が水質基準を設定するに当たっては、それぞれの国の環境、社会、経済、文化的諸条件を考慮して決めなければならない。」ということになっております。私どももそういう考えでこれから水質基準を定め、あるいはもう既に定めたものもございますけれども、我が国の物質の使用状況、もうつくってないような物質もWHOのガイドラインにはありますから、そういうものは必要ないのでございますけれども、どんなふうに使われておるか、どんなふうな処分がされておるか、全国的に見て水質汚染の状況が、特に水道の水質についてどのようになっておるかというふうなことを見ながら、このガイドラインを参考にしながら今後必要なものについては基準をつくっていきたい。  これに関連あります物質といたしまして、お尋ねの有機塩素系化合物でございますけれども、去る二月でございますが、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、それから1・1・1トリクロロエタン、この三つの物質について暫定水質基準を定めました。これは昨年環境庁が御発表になりました地下水の水質検査の結果を参考にいたしまして定めたわけでございますが、このうち最初のトリクロロエチレン、テトラクロロニチレンはWHOのガイドラインにございます。1・1・1トリクロロエタンについてはガイドラインにございませんが、我が国ではさっき申しました二つの物質がこっちの方にだんだん移っていくということなものですから先取り的に規制をいたしたわけでございまして、WHOのガイドラインにないものでも我が国で独自に規制が必要なものについては今後とも水質基準を定める、このように考えております。
  32. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました、こういう問題はこれからも起こる問題かと思いますので、そういう点は注意しながら、今おっしゃったようにWHOのガイドラインが唯一ではもちろんありません。一つの参考ですよね。ですから、その国、その国の問題があると思いますので、その点を先取りしながら、ガイドラインが来たからやるのじゃなくて、先取りしながらやっていただくようにお願いしたいと思います。  今の問題に関連して、環境庁も地下水の検査をしていらっしゃいますね、追跡調査というのを。かなり続けてやっていらっしゃるようでありますけれども、その追跡調査の状態はどんなふうな状況なのか知らせていただきたいと思いますことと、追跡調査というのは未来永劫に続けるものだとは思いませんが、どういうふうに計画性を持ってやっておられるのか、その辺も教えていただきたい。
  33. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 環境庁といたしましては、五十七年度に全国の大都市圏を中心に十五都市において地下水の汚染実態調査をいたしたわけでございまして、この調査の結果、トリクロロエチレン等の化学物質による地下水のかなり広範な汚染が認められたところでございます。現在引き続き各都道府県において追跡調査がなされているわけでございます。五十九年度以降でございますが、三カ年計画地下水の汚染機構を汚染原因との関係である程度パターン化しまして、その汚染メカニズム等の調査を実施いたしたいと考えております。要すれば、必要な対策も検討していきたい。  なお、別途この地下水汚染調査に際しましては、特定の汚染源が確定できる場所も多うございますので、そういうものについては暫定的に必要な行政指導等による地下水への汚染防止対策についてもできるだけ早い機会に結論を得るべく目下関係省庁と協議中でございます。
  34. 金子みつ

    金子(み)委員 それはどうぞお続けになって、六十一年に一応結果が出ますね。その結果を拝見した上でまたと思いますので、お続けになってください。  それで、話は環境庁の問題に移します。長官、今までこういう話をお聞きになっていらして、どれもこれも環境庁の仕事につながるなとお考えだと思うのです。まことにそのとおりなんで、私はつくづく環境庁の仕事は大変だなと思います。同時に、国民の健康を考えました場合、大変に重要な意義を持っていると考えますので、そういうところを心して進めていただきたいと思うわけでございます。  そこで、お尋ねがございます。実は、私は環境委員会、今回初めて参加させていただきましたので、今までのいきさつ、いろいろ伺ったり自分で知るように努力したりもいたしましたけれども、すとんと落ちないものが一つあるわけですね。それについてわからせていただきたいのですが、それは今のお話をお聞きくだすっていてもわかりますように、非常に多角的に多方面にわたって関連があって、環境問題として集約されるような感じがいたします。そこで環境問題は中心になっていかなければならないんじゃないかと考えられるわけでありますが、今回の湖沼法の問題なんかを考えてみても、これは湖沼法そのものももちろん必要だし、結構だと思いますけれども湖沼法にしてもその前にできた水質汚濁防止法ですかにしても、考えてみればこれは環境アセスメント制度の枝葉の問題だと思うのですね。やはり幹は環境アセスメント法ではないかと考えられると思うのです。ここがもとで、それとの関連において湖沼法もあり、水質汚濁防止法もあるんだというふうに私は考えるわけです、間違っていたら御指摘くだすって結構なんですけれども。  そこで、この環境アセスメント制度の問題なんですが、これが五十四年四月に中央公害対策審議会でアセスメント制度のあり方について、できるだけ速やかに法制化をするべきであるという答申が出ておりますね。それから、政府の行っていらっしゃるモニター調査を見ましても、九三%の人がその必要性を意見として述べております。その九三%の中の七四%が法制化するべきだということも言っているというふうに、非常に多くの国民がそのことを要望している。それを受けて環境庁が五十六年四月にこのアセスメント法、環境影響評価法、その法案を九十四国会にお出しになった。その九十四回にお出しになったのが廃案になった、そこまではわかってきたんですが、それなら、その後なぜこれを続けてお出しにならないのか。今度湖沼法をお出しになりましたが、先ほど申し上げたように、湖沼法は、私の考えとすれば環境影響評価法があった上での湖沼法であり、あった上でのという言い方はおかしいかもしれませんけれども、それが中心になって、そして、その周りを取り巻く衛星のように湖沼法もあり、水質汚濁防止法もあるのだと考えますので、これが先に来るべきではないか、これがまず中核であると思いますので、何か逆に動いているような気がするのですけれども、私の考えが間違いでしょうか。これがそうならなかった理由がぜひわかりたい。  環境白書をこの間お出しになったようでございますね。十一日に閣議決定されて、環境白書というものが示された。その環境白書の中にこういうふうに書いてあるのですね。よりよい環境を次の世代に伝えるための健全な環境利用ルールを確立することが二十一世紀に向けた環境行政の責務であると非常に強調している。その基礎となる環境破壊を未然に防ぐ環境影響評価、環境アセスメント制度の確立と身近な緑の保全、創造が急務だというふうに白書でもきちっと強調しておられるわけですね。それだったならば、それがどうして今度出てこなかったかということについて私はわからないわけなんです。いろいろ伺っても、わからない。その審議をまず先になさっていただけなかった理由をぜひわからせていただきたい。長官、お願いします。
  35. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境庁といたしましては、アセスメントの法律並びに湖沼法の制定というのは環境行政にとっても非常に重要な課題であると考えております。まずアセスメントがあって、そうして、それの枝葉に湖沼法があるのではないかと先生考えをいただいておるようでございますが、湖沼法というのは、湖沼そのものが現在汚濁が基準以下のいいものになかなかなってこないということ、特に水質の問題がその点においてなかなが解消できないということでございますので、そういう点をまず、これは飲み水にも使われておりますし、そして農業用水に、あるいはまたその他の用水に使われておりますので、これは早く基準に合ったいい水質にしなくてはいけない、こういうことで私どもは実は湖沼法の方を出させていただいたのでございます。  湖沼法の一番肝心なところは、湖沼全体にわたりまして、そして、こういうものはこういうふうに計画をしてやっていく。例えて申しますと、手賀沼なら手賀沼を一つとりまして御説明を申し上げますと、手賀沼は、今の汚濁の進行状況で行きますと、下水道を今進めていってそれによってよくしていくという、下水道は一番肝心でございますけれども、それをやっていくということはとても間に合わないといいますか、長時間がかかる。そうしますと、利根川の水を導流して、薄めてと申しますか、まずそれを入れてきれいにしていく、それからまた、非常に汚泥がたまっておりますので、そういうものを除く、こういう計画を、五カ年間の計画になっておりますけれども、立てる。それと同時に、下水道の方もどういう順序で五年の間に進めていくかということを考える。それから、下水道がちょっとできないような部分、つまり人口が、家が集中しておらないような地域に対しては、どういうようなことをこの湖沼に対して今やっていくか、そういうような計画を立てまして、そして水質浄化というものを図っていく。その計画は、関係閣僚会議にもちろんかけまして、各関係の大臣にそれを承知していただく、ということは、結局各省の計画にそれを合わしていただく、こういうような考え方で湖沼法を出させていただくということで現在提出をさせていただいておるものでございます。  それから、アセスの方でございますが、これがなぜ提出されないんだ、今こういう御質問でございますが、アセスにつきましても私どもは、これはもう前回においてああいう解散というようなことから廃案になってしまったのでございますが、これはやはりすぐに出さなければいけないということで手続をさせていただいてきたのでございます。継続ですとそのまま国会の方でまた御審議をいただくということに相なるのでございますけれども、廃案になりますともう一回初めからやり直す、というとなんでございますけれども、法制局の方にも、また各省においてももう一回検討を初めからし直していただくということになるわけでございます。そのときにそれでは何を検討するんだ、前は承知しておるのにという御質問が出ると思うのですが、そのときには、前に立案をいたしましたときから現在までの間におきましていろいろと事情が変わってきております。そういったようなことを踏まえていろいろ検討がされるわけでございます。また、これは政府提案でございますので、与党の方にもお諮りをするということになるわけでございますが、そこにおきましても同じような検討がされるということに相なるわけでございます。  そこで、今各省におきましてもいろいろ御意見が出ておりますけれども、その御意見を、最終的にこうだということについてはまだお出しをいただいておらない、それから与党の方においてもいろいろ御意見がありますので、これを集約していただかなければいけないというのが今の状況でございます。したがいまして、そういう集約をすることについて今与党の方の政調にお願いをしまして、集約をしていただいておる、作業をやっていただいておるというところでございます。  以上でございます。
  36. 金子みつ

    金子(み)委員 大変に御苦労だと思いますけれども、大変に時間がかかりますね。その間にどんどんと環境は悪くなるのじゃないかという心配はございますね。ですから、私は今伺いましたから一応そういうことかいなと思いますけれども、少なくとも一緒に出てよかったのじゃないでしょうか。私はそれぐらいの御努力はぜひやっていただきたかったと思います。今回は出てこなかったんだから、言ってもしょうがないと言われればそれまでですけれども、ぜひそれをやっていただきませんと、早い機会に出していただかないと、環境問題はますます悪くなる、環境庁としてはお困りになるばかりだと思いますので、ぜひそれを進めていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  それから次に、長官大変に御熱心に湖沼法をお出しになっていらっしゃいますので、湖沼法の問題を一つ取り上げますが、湖沼の水質を汚染する最大の原因の一つ、今長官御自分でもおっしゃいましたが、下水道ができてないという問題の家庭雑排水の処理問題、これが全く未熟であると言っていいと思うわけです。下水道の整備の悪さ、これはひどいですね。この間の委員会建設省答弁しておられましたのを伺っておりましたら、三一%しかできてないんですね。これは経済大国日本だとか文化国日本だとか言っていて、大変に恥ずかしい話だと思うのです。これは金がかかることもよくわかりますけれども、経済大国日本だったらそこにお金を注いで、国民の健康を守ることぐらい考えたらいいのじゃないかと素人考えとしては考えます。私どもの立場では考えます。スウェーデンなんか、御承知のように九二%できておりますね。そのうちの七四%は終末処理までやっているというのですから全然話にならない。私は、なぜ日本はこんなに下水道の処理について遅いのかという問題は、ただ単にお金がかかるということだけでは済まされないと思うのです。環境庁としてはこの問題については一〇〇%にしたいときっと思っていらっしゃると思うのです。だけれども、それがなかなかできないということは関係各省庁とのかかわり合いということが多分にあるからじゃないかというふうに思います。  時間も迫ってまいりましたので、その問題を詰めて申し上げますけれども、先ほどもお話ししましたし、きょうの質問の初めの項にも出てまいりましたように、非常に関連の深い各省庁との兼ね合いがありますから、それの兼ね合いの問題を環境庁がどのようにさばいていかれる、さばくという言い方はおかしいですけれども、協調して環境庁が考える方向へ持っていくことができないものだろうかということなのです。今までもきっと何遍もしていらしたでしょうね。関係省庁との話し合いをやっていなかったわけじゃないと思うのです。やってこられたのだろうと思います。私は善意に解釈して、やってきたのだけれどもできなかったのかなというふうに思うわけです。そうでなくて、悪く解釈すれば、やろうともしないでひとりよがりを言っているのかな、こういうふうにも思わざるを得ないというような点もあるわけなのですけれども、その辺なのです。どうしてできなかったのかという問題が、いろいろな事情があって一言では御答弁なさりにくいかもしれませんが、私は長官、御答弁いただきます前に、こういうことも影響しているということを私なりに気がつきました。  それは環境行政が最近非常に後退してきているのじゃないかという感じがするのです。結果の問題かもしれません。例えば、これは白書に載っているのですけれども、地方自治体の公害専門部課がまた減ったのです。これは五十年には二百七十四の市町村にあったのが年々少なくなって今は百七十九市町村だ、百減ったのですね。そうすると、環境問題を中心課題として取り扱う部局がどんどん減らされていくということは、結果的には環境行政が弱くなるということになるのじゃないですか。だから、それで環境行政が後退してしまう、こんなふうになってくるのじゃないかと思うのです。これがいわゆる行革の流れの中に巻き込まれてこういうことになるのかもしれないと思いますけれども、とにかく中央地方を通じて環境問題を重要な課題として取り組む体制が崩れつつあるという大変に恐ろしい不安な感じがいたします。こんなことになると、国民としては大変不安ですね。だから、これを何としてでも挽回していただきたいと思うのです。そういうことがもとにあるから、各省庁と話し合いをなさっても環境庁の意見がなかなか通らないという結果になるのじゃないでしょうか。ここら辺をぜひ踏ん張っていただきたい。環境庁長官だけに申し上げても無理かもしれないと思いますけれども、総理にでも申し上げてもっと総合的にやってほしいというふうに言わなければいけない問題かもしれないと思いますが、きょうは環境庁長官に申し上げる時間でありますから、ぜひ頑張っていただいて、後退しないように、ほかの省庁ときちっとできるようにやっていただきたい、努めていただきたいと思いますので、そのことについて一言御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  37. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境行政につきましていろいろと御支援をちょうだいをいたしまして本当にありがたい次第だと存ずるのでございます。環境行政は先生のお話しのとおり非常に重要な問題でございますので、各地方庁におきましても大いに力を入れていただくということで私ども今大いに力を入れておるところでございますが、厚生関係と一緒になるというようなことをおやりになるところも出てまいりまして大変に心配をいたしておるのでございます。なお、これからも私ども力を入れて、環境行政には絶対におくれないように、そして先取りをして進んでいくようにいたす覚悟でございます。  次に、下水道が非常におくれておるじゃないかというお話、そのとおりでございます。ただ、これは日本人の考え方でございますけれども、水は三尺流れれば清しというような考え方が日本人の頭の中に相当あるわけでございまして、欧州の方の川と比べまして流速が速うございますので、こういうような点が下水道のおくれにつながってきたのじゃなかろうかと思うのでございます。下水道の予算は実はここ十年ぐらいで非常に大きく伸ばしてもらっておるのでございます。今国の財政の問題でちょっとストップというか、余り伸びがございませんけれども、これは必ず伸ばしてもらいまして進展を図っていきたいと考えております。現在は河川と同じぐらいの予算、それ以上の予算になりつつあるわけでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。
  38. 金子みつ

    金子(み)委員 しっかり頑張ってください。これで質問終わります。ありがとうございました。
  39. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、山本政弘君。
  40. 山本政弘

    ○山本(政)委員 長官にちょっとお伺いをしたいのですけれども、この法案を見て僕、びっくりしたのです。名は体をあらわすというのかもわかりません。というのは、環境庁の関係するような法案をちょっと見てみましたら、公害対策基本法、自然環境保全法、水質汚濁防止法、瀬戸内海環境保全特別措置法、これ全部環境庁長官という言葉が入っているのです。下水道法は、所管は建設省だと僕は思うのだけれども、これにすらちゃんと環境庁長官という名前が入っているのです。ところが、この湖沼法に環境庁という言葉が一つも入ってないのです。強いて求めたら、附則にある。あるいは、もう一つ文章の奥を考えれば公害対策会議の言葉がある。名は体をあらわすという意味があるかもわかりませんけれども、僕はこれが湖沼法の中身の実体じゃないだろうかと思うのです。こんなばかなことはないだろうと思うのです。環境庁の所管でお出しになったほかの法律は全部長官もしくは環境庁のという言葉が入っているのだけれども、少なくともこの湖沼法の中にはその言葉が入ってないのはどういうことなのか、湖沼法の実体をあらわしているのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか、その辺お考えを、大変皮肉になるかもわかりませんけれども
  41. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  実は、この湖沼法は環境庁が所管をいたしますので、環境庁長官ということが余り出ておりませんが、環境庁長官がすべてをやらしていただくのでございます。ただ、これは内閣総理大臣がむしろおやりをいただくという、環境庁が所管をやらしていただく、こういう考え方で大きく考えております。
  42. 山本政弘

    ○山本(政)委員 今のお答えは後からかかわりがありますから、大変重要なんです。それじゃ、自然環境保全法は環境庁所管じゃありませんか、そして、この所管の中には長官という言葉が入っているのだけれども
  43. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおり、環境庁の所管でございます。  なお、一言申し添えますが、自然関係、特に国立公園の関係等は、実は環境庁ができます相当前、戦前からの法体系でございますので、その辺のつくり方が若干違っておるという点は御理解いただきたいと思いますが、法律所管は、現在、昭和四十六年以降は環境庁所管でございます。
  44. 山本政弘

    ○山本(政)委員 では、瀬戸内法はどうなんですか。
  45. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 同じく、現在環境庁所管でございます。
  46. 山本政弘

    ○山本(政)委員 瀬戸内法も瀬戸内海の環境、水質を保全すること、湖沼法についても湖沼の水質を保全する。片一方には環境庁長官という名前が出ている、片一方には名前が出ていない。僕が言いたいことは、名は実体をあらわすのじゃないかということを言っているわけですよ。
  47. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 若干法律の内容面で重点の置き方の差異がございまして、この湖沼法におきましては、規制と同時に、下水道を初めとする各種公共事業を規制とあわせて計画的に、総合的に実施することに非常な意味を持たせているわけでございます。一方、瀬戸内法でも確かに同じような性格はあるわけでございますが、瀬戸内法では当時汚濁の原因のほとんどが臨海工業地帯よりの汚水による汚濁、そのウエートが非常に高かった、したがって規制が中心に仕組まれているわけでございます。この湖沼法におきましては、申し上げましたように、規制と事業を総合的、計画的に実施するための手続を仕組みまして、ということになりますと、各省に対する関係では総理府の長としての内閣総理大臣を位置づけることが非常に手続的にもスムーズにいくというような観点もあって、内閣総理大臣が前面に出てきているということではないかというふうに私どもは理解しているわけでございます。
  48. 山本政弘

    ○山本(政)委員 では、本論に入ります。  前回の局長の御答弁の中に、この法案指定湖沼となると考えられる湖沼というのはということで、たしか岩垂議員質問されたと思います。そのときにお答えになったのが、琵琶湖、霞ヶ浦、諏訪湖、宍道湖、中海、それから印旛沼、手賀沼、児島湖、相模湖、釜房ダム、そして、あと十カ所ぐらいをまた指定するつもりだというお話があったと思うのです。間違っていたら指摘してください。  そこで、この答弁なさった五つの湖沼の集水域で、例えば滋賀県とか茨城県とか、こういう各県が公害防止条例等によってどの程度の上乗せの規制をやっているのでしょうか、お聞かせいただけたらありがたいと思います。
  49. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 現在、湖沼につきましてはCODによって規制が行われているわけでございます。御指摘のとおり上乗せがなされております。  上乗せにつきましては二点ございまして、一つは、排水量のすそ切り。国の定めました一律基準では五十トン以上の排水を行う工場、事業場に対して規制がかけられておりますが、これに対する指定、もう少し低いものまで含めて規制がかけられているという実態がございます。  それから、もう一つは、規制値でございまして、国の一律基準では平均値で一二〇ppmを超えてはならないことになっているわけでございますが、これについて上乗せがなされております。  具体的に申し上げますと、まず琵琶湖について申し上げますと、その排水量のすそ切りは三十トン、三十トン以上のものについて規制がかけられている。それから、霞ケ浦では五十トン、諏訪湖では二十トン、印旛沼では三十トン、手賀沼では三十トンということになっております。  それから、次に規制値の方でございますが、これは既設と、規制をかけられる際、既に存在していた工場、事業場と、それから新しく設けられる工場、事業場では若干数値に差がございまして、まず琵琶湖の場合で申し上げますと、これは業種によって違いがございますが、平均規制値が二〇ppmから三〇ppm、霞ケ浦でございますと一五ppmから二〇ppm、諏訪湖でございますと一〇ppmから一二〇ppmということでございます。印旛、手賀につきましては、その規制値の上乗せはございません。  それから、新設につきましては、琵琶湖の場合には既設と同じく平均値で二〇から三〇ppm、霞ヶ浦については一〇から一五ppm、諏訪湖は一〇から六〇ppmということでございます。  いずれも全国一律基準よりはかなり厳しい数値になっているわけでございまして、一般的な傾向といたしましては既設のものより新設に厳しい、こういう傾向があるわけでございます。
  50. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そこで、環境基準をクリアしているところはありますか。
  51. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 湖沼につきましてはCODで環境基準値が定められておるわけでございますから、ただいま設例で挙げましたような湖沼については、甚だ遺憾ながらいずれも環境基準を大幅に上回っておる現状でございまして、クリアしているものはございません。
  52. 山本政弘

    ○山本(政)委員 相模湖もそうですね。
  53. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 相模湖につきましては、これは河川当てはめでございまして、湖沼としてではございませんで、BODにつきましては環境基準が二ppmで、それに対して一・九ppmということで、BODに限って見れば辛うじてクリアしておるわけでございます。しかし、同湖沼におきましてもアオコの発生等、CODの値がかなり高くなっておりまして、CODを適用した場合にはその環境基準をクリアできるかどうか、若干懸念されるところでございます。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕
  54. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ということになると、つまり水質汚濁防止法では既に湖沼は救えなくなってきている、あるいは救えなかった、こう言っていいわけですね。僕は、そういうことを考えれば、これは行政の怠慢と言ってもいいと思うのです。おっしゃるように、地方が上乗せ基準をやってきている、要するに排水基準を定めてその浄化を図ってきたけれども、それでも汚濁はとどまらなかった、だから湖沼法を今度はつくるんだと言えばそれまでなんですけれども、そういう現状に対して環境庁は一体どういうふうに御認識なさっているのですか。どなたかの発言がありましたけれども、白書にもやはり書いてありますね。湖沼というのは要するに非常に低位な水準にある、こう言っているわけですね。そういう点、どういうふうにお考えになっていますか。
  55. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 まことに遺憾ながら、御指摘のとおり、全国の主要な湖沼について環境基準がクリアできていないという状況にございまして、そのできていない原因の一つには、汚濁の原因としては、産業系の排水と並んで生活系の汚水のウエートがかなり高いわけでございまして、その中で特に窒素、燐というものが湖内で内部生産を行って、外部からの流入を規制しても湖自身で水質を汚濁させる物質を生成するというような状況があるわけでございます。  このような現状にかんがみまして、私どもとしてはまずこの湖沼法を御提案申し上げまして、その水質保全計画の中で規制と並んで事業を位置づけまして、国と地方公共団体、それも環境庁がイニシアチブと申しますか、リードいたしまして、各省に御協力をお願いいたしまして、建設省それから農林水産省、場合によっては通産省の御協力もいただきまして、各種施設の整備による生活系汚水対策を進める、これが一点でございます。それから、産業系の汚濁につきましては、新増設施設については従来の濃度規制に加えて負荷量、トータル一日当たりの汚濁流入量の規制を行います。それと同時に、水質汚濁防止法に基づきまして窒素、燐についても規制を行う、こういう三本の対策を用意いたしまして現在の状態を打開してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  56. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長の御答弁なのだけれども、私はわからないのですね。例えば滋賀県、茨城県、こういうところでCODについてそれぞれの公害防止条例による大幅な上乗せ規制をやっていますね。この数字は国の規制に比べてみたら大変厳しいと僕は思うのですよ。例えばCODにしてみても、これは茨城県の公害防止条例によりますと、霞ヶ浦は日間平均が新設のもので一〇、既設のものが二〇、そういうふうに非常に厳しくなっているわけですけれども、そして窒素や燐についても滋賀県あるいは茨城県は富栄養化防止条例を設定して排出規制をやっていますね。だから、この法案による規制によって一体どれだけの効果が期待できるのか、そういう意味で私は非常に疑問に思っているわけです。と申しますのは、滋賀県とか茨城県、その他の県においてもそうでしょう、多少厳しい、多少緩やかであるということはあるにしても、湖沼法で規制しようとしているものはすべてやっているわけです。今のあなた方がお出しになろうとしているこの法律以上の厳しさでやっているにもかかわらず、依然として実態は改まっていないということになったら、一体水質というものが保全できるのだろうか、きれいになっていくのだろうか。しかも、窒素、燐についてもやっていきたい、こういうお話がありましたけれども、五十八年の一月、中公審に諮問いたしまして、いつ答申が出るのですか。こういうものが出ていないにもかかわらず、そういうことをやりたいという意思は僕は認めますけれども、まだ答申も出ていないというようなことで、あなた方がおっしゃるような浄化というものを我々は果たして期待していいのだろうか。そうすると、私はそういう意味では非常に期待できにくいという感じがするのですが、そういう点はどうなのでしょう。
  57. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かに先生のおっしゃられますように、非常に難しい仕事であることは間違いございません。例えば霞ヶ浦にとってみましても、五十六年度の数値でございますが、環境基準三ppmに対して水質の現状は九・八ppm、諏訪湖は同じく三ppmに対して五・九ppm、琵琶湖は北湖で一ppmに対して二・六ppm、南湖で一ppmに対して四・二ppm、いずれも環境基準の二倍ないし三倍の値に現状はなっているわけでございます。  そこで、この事態をどういうふうに打開するかということでございますが、まず規制の面でございますけれども、琵琶湖、霞ヶ浦について申し上げますと、特に比較的実施の時期が早かった琵琶湖につきましては、横ばいから若干改善の兆しが見えてきたという報告を受けているわけでございます。霞ヶ浦につきましても、まだ二ないし三年でございますけれども、少なくともこれ以上の汚濁の進行は完全にとまった、こういうふうな報告を受けているわけでございます。  これに加えまして、若干細かい技術的な点でございますけれども、これも従来それぞれの県でやっていたことであると言えばそのとおりでございますが、畜舎あるいは養魚場に対する規制措置というものも一応今回の湖沼法で用意したわけでございます。それからまた、水濁法では適用にならない小規模なし尿浄化槽あるいは病院というような施設に対しての規制も一応できるように措置したということがございます。さらに、それに加えて今回の法律で運用上私どもが一番期待しておりますのは、要は琵琶湖についても霞ヶ浦につきましても諏訪湖、印旛、手賀にいたしましても、生活系汚濁対策をどうやって進めるか、こういうことでございまして、これについては各種公共事業等をできるだけ重点的にそこに集中していくという対策が必要になってくるわけでございまして、先ほど内閣総理大臣は出てくるけれども環境庁長官が出てこなかったじゃないかという御指摘を受けたわけでございますが、実はこれは県知事に水質保全計画を樹立させまして、県内各部で十分相談して一応案を決める。もちろん市町村長の御意見も聞く。それを中央段階に上げてまいりまして、先ほど御指摘のように公害対策会議の議を経るわけでございますが、経るに際しましては環境庁から各公共事業所管官庁に御協議を申し上げるわけでございます。各省それぞれ予算配分については一定のルールなり何なりあるわけでございますが、その中で重点的な湖沼については特に御配慮いただく、そのことを前提にして県の立てました計画に対して同意をするわけでございまして、このような措置を講ずることによって、従来県だけでやっておりました時期に比べれば、いわば各省の事業予算を湖沼の水質浄化という目的のために計画的、総合的に使っていくことができるようになるのではないか。もちろん、今まででもそういう機能はないわけではなかったわけでございますが、縦割り行政の弊がなかったとは言えないわけでございまして、そういうことを改めまして、こういう非常に財政の厳しい時期でございますので大きなことはなかなか望み得ないのですが、既存の予算をできるだけうまく活用してそういう仕組みをつくっていくというところに、私ども、この法案をお認めいただきました場合にはその運用の重点を置いていきたい、その点につきましては、先般のこの御審議の際にも各省からお答えいただきましたように、各省も協力する旨の御発言をいただいているわけでございますので、大変難しい問題ではございますけれども、そのようなことによって改善を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 山本政弘

    ○山本(政)委員 この法律が行おうとしている湖沼の特定事業場にかかわる排出水の規制基準、これはどういうふうになっていますか。  お断りしておきます。僕の質問は一分以内ぐらいでやっているつもりですけれども局長は五分ぐらいかかっているから短く……。
  59. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 これは省令で私ども基準をつくることになるわけでございますが、一日当たり何トン排水するか、その排水量の多いものほど厳しくなるような、そういう規制基準を決めたいというふうに考えております。
  60. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまり、汚濁負荷量というのがありますね、これを一体どういうふうに出していくのかということを聞きたいのです。
  61. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 これは濃度掛ける数量ということになるわけでございまして、当該特定施設からどれだけの濃さの水が一日何トン出るかということでその一日当たりの総量を把握する、こういう仕組みをとっておるわけでございます。
  62. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、水質汚濁防止法の濃度規制と違っている点は、要するに今お話があったように、汚濁負荷量による量の規制によるということですね。そうすると、これは事業所によって異なってきますね。それが一つ。  それから、もう一つは、水質汚濁防止法による規制に比べて一体どれくらい強化になるのだろうか。つまり、私の言いたいことは、水質汚濁法による防止というものがある、それに比べて一体どれくらい規制が強まるのだろうか、この辺いかがでしょう。
  63. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 当然のことながら各工場、事業所が出します排水量によって規制値に違いが出てくるわけでございます。  それから、第二点のどれだけの差が出てくるかということでございますが、濃度規制でございますと、いかに量が多くなりましても、瞬間瞬間の濃度さえ規制値を満たしておれば問題にならないわけでございまして、したがって、一日当たりトータル量としては、薄いものがかなり大量に蓄積されると汚濁はふえるわけでございます。そういうことは防止できる、こういうことでございます。
  64. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、こういうふうに理解していいですか。汚濁負荷量というのは、おっしゃるように、排水濃度と排水量というものによって出てくるという、わけですね。つまり、汚濁負荷量イコール排水濃度に排水量というものを掛けていけば出てくるわけですね。そうすると、排水量の規制というものが出てきますね。これはどうなるのですか。排水量の指数といいますか、この辺は一体どの程度になさるおつもりなのでしょうか。
  65. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 各工場、事業所ごとに、業種によってもそれからまたそれぞれの工場、事業所によっても装置が違いますので、量が違ってまいるわけでございますが、これは届け出の際に一日何トン排水するということを届け出させるわけでございまして、その数値を基準にいたしましてチェックする。それから、では実際にそれを逆用した場合どうなるかということでございますが、これは例えばその操業度等を見ておりまして、生産量が非常にふえている、操業を活発にやっているというようなときにはその届け出た数値を上回るおそれが出てまいりますので、立入検査等によってチェックする、あるいは報告聴取義務をかけることによってチェックする、こういうふうな仕組みで運用してまいることを考えております。
  66. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、この法律によれば新設のものだけですが、既設のものはどうなんですか。
  67. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 一次的には既設のものについては従来の水濁法による濃度規制で対応する、こういうことでございます。
  68. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、新増設のものだけを規制することによって浄化が期待できるというふうにお考えになっているのですか。
  69. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 一次的にそのような措置をとりまして、不十分である場合には、この湖沼法におきましても総量規制の適用ができるような仕組みになっておりまして、その規定の発動を図ることを考えたいと思っております。
  70. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は冒頭に申し上げたように、何年たってもきれいになっていないじゃないか、しかもお答えのように、相模湖ですら、BODについて辛うじて達成はしているけれども、そのほかにアオコが発生をしたとかなんとかということがあって、ますます汚濁というものは深まっていくということになれば、新設だけではなくて既設のものに対してもやはり今から規制をすべきだ、私はこう思うのです。そうでないと、すっぽり底が抜けているのじゃないかという感じがするのです。状況を見てから、そして総量を規制いたしますということでは、これは事態としては遅過ぎるのじゃないかということなんです。だから、冒頭に私はそういう質問を申し上げたのですけれども、一体あなたのおっしゃるようなことでできますか。
  71. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 お言葉を返すようではございますけれども、産業系の汚濁負荷というのは、既に御説明いたしましたように、全体の中で五割以下でもある。そうしますと、生活系の汚濁負荷対策をこれに合わせることによって新増設の規制だけでも改善が図れるのではないか、もちろん数カ年以内に環境基準を達成できるというようなことを申し上げるつもりは毛頭ございませんけれども、そのように考えているわけでございまして、最初からすべての施設に総量規制をかける必要は必ずしもないのではないか、かように考え、判断しているわけでございます。
  72. 山本政弘

    ○山本(政)委員 生活系というお話がありましたけれども建設省の方、お見えになっていますか。――僕はちょっと驚いたのですが、資料をいただいたのですが、いただいた資料が間違っているような感じがするのです。これは環境庁がつくった「主要湖沼流域の下水道普及状況」、琵琶湖については普及率八%、流域人口が多少違っていますが、これは一年後のことですからいいのですが、諏訪湖なんです。建設省からいただいた流域人口は八十一万六千人、五十七年の達成率が四五%になっているのです。これは五十七年度末なんですが、環境庁の資料は五十八年三月になっておって、諏訪湖は流域人口が十七万、八十一万じゃありませんよ、達成率が三二%になっている。  僕が言いたいことは、もし、この資料が事実だとすれば、下水道なんというものの普及率は諏訪湖に関して言うならば非常に悪くなっていますね。これはどっちが本当なのか。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つ、建設省の方に申し上げたいのは、きのういただいたのとけさいただいたのとまた数字が違うんだな。そういうずさんなことは困るのですよ。環境庁の方の資料が正しいのか建設省の方が正しいのか。なんだったらこれ差し上げますけれども。  諏訪湖に限りますけれども、下水道の普及率は大幅に悪くなっているのですね。諏訪湖は五十七年に四五%だったのが五十八年には三二%の普及率に下がっているわけです。ということになると、話はもとに戻るようになりますけれども、どうでしょうか、既設のものを規制するぐらいのことを今のうちからやらなければ大変なことになるのじゃありませんか。
  73. 辻栄一

    ○辻説明員 お答えします。  昨日御提出申し上げたのとけさのと資料が違うようでございますが、慌てて書きまして非常に申しわけございません。流域内人口につきましては、昨日お出ししましたのをけさお渡ししましたのに間違えて書いておるようでございまして、私どものデータでは諏訪湖の流域内人口は十六万二千ということでございます。それから、普及率のとり方でございますけれども、私ども諏訪湖流域として上流になりますけれども、白樺湖も含めておりまして、この処理人口の中に若干観光人口をカウントしているようでございまして、定住人口につきましてのデータはちょっと今整理が間に合わなかったということもございますので、後でまた環境庁さんの方と調整をしてみたいというふうに思います。
  74. 山本政弘

    ○山本(政)委員 まあミスだということをお認めになればしょうがないのですが、中公審の答申で、湖沼特定施設の設置について、瀬戸内法ですな、これに準ずる手続が必要であるということが出ておりますね。これは瀬戸内法の第五条一項の許可制と第六条の許可基準を定めること、また許可に当たってのアセスメントの実施、これは第五条の三項だと思いますが、及び一定の範囲における住民の参加が必要である、こういう規定を盛り込むべきだとしているのです。  環境庁は当初許可制を導入することにしておったはずでありますが、なぜ届け出にしたのだろうか。先般局長は、これが最高の法案であるとおっしゃったのですが、これも環境庁の資料であります。自然環境保全法、原生自然環境保全地域については環境庁長官許可制になっております。自然環境保全地域については、これも環境庁長官許可制になっている。特別地域ですね、これは。自然環境の特質に即し、特に保全を図るということで許可制になっておる。普通地区においては、保全地域のうち特別地区以外としているのですから、重要度から言えばこれは第二次的なものになるだろうと思いますが、これは届け出制になっている。自然公園法についてもしかり。先ほど問題にありましたけれども、森林法も許可制であります。私は森林法についてダイオキシンのことを質問しようと思いましたけれども、そのために林野庁にも聞きました。ついでに森林法の許可制について届け出制というものとどう違うかということも聞きました。なぜ許可制にしたのか。重要度が高いか低いかについて問題があるから許可制にしたのでありますという御返事でありました。都市計画法についても許可制、都市緑地保全法についても許可制、そして建設省の方にもせんだってお伺いしたけれども、河川についても、第三節「河川の使用及び河川に関する規制」については二十三条以下二十九条までたしかあったと思いますけれども、これも許可制であります。  つまり、一般の社会的通念からすれば届け出制よりも許可制というのが重要と認められるべきだと思うのだけれども、なぜ中公審に対して、許可制だと言うのを届け出制にしたのか。しかも、これをもってして許可制と同じようにカバーができるんだと言うのだったら、なぜ届け出制になって、許可制にしなかったのか。局長は、届け出制というものは関連法案によって全部カバーできるんだから許可制と同じだと言うのだったら、許可制にしていいはずなんだ、僕に言わせれば、理屈の上からは。なぜそれが届け出制になったんでしょうか。
  75. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かに中公審答申では、特定施設の設置等の許可について、先生今読み上げられたとおりの答申をいただいております。したがって、私どもその御答申を受けて政府部内で種々検討したわけでございますが、確かに制度論といたしましては、これは水濁法に対する特別法でございまして、一般法が届け出、特別法は許可という構成も考えられないことはないわけでございますが、実態的な面を見ますと、瀬戸内法につきましては、これを施行しました四十七年当時のCODの汚濁負荷割合が八割であった。それに対して現在、例をとりまして琵琶湖について申し上げますと、三四%、霞ヶ浦では七%、諏訪湖は四九%、こういうように汚濁負荷の割合が瀬戸内海沿岸とは著しく異なっていた。言うまでもなく、瀬戸内海の場合には臨海工業地帯のウエートが大きいわけでございます。それからまた、個々の業種をとってみますと、一工場当たりのCODの排出量をとってみますと、瀬戸内海の場合は平均的に見まして一日百六十五キログラム、それに対して琵琶湖が二十二キログラム、霞ヶ浦が八・五キログラム、諏訪湖は十二・五キログラム、百七十湖沼平均でも十一キログラム、つまり十分の一程度の汚濁の負荷量である、こういう実態面からいたしまして湖沼の場合にはあえて許可制をとることはないんではないかという議論で私ども政府部内のコンセンサスが得られたわけでございます。  この点につきましては、確かに中公審答申とは異なっているわけでございまして、この法律の仕組みにつきましても中公審で御説明いたしまして、この点については御了解をいただいた、かようなことでございます。
  76. 山本政弘

    ○山本(政)委員 時間があれば私は通産省の方にも建設省の方にもお伺いをしながら、そして環境庁にも再度質問したいと思いましたが、これにいきさつを書いているのですよ。なぜ許可制が届け出制にならざるを得なかったのかということは、各省間の利害関係が存在していたという事実がここにあるのです。一つの資料だけではありません、私が拝見をした中には二つの資料があるんです。違った資料です。何だったら読んでみてもいいのですよ。通産省の主張する、要するに中小企業の考え方からいって社会通念がどうであるとかこうであるとかということも書いてあるし、建設省についても書いているわけです。しかし、今それを私は問いませんが、法の考え方としては許可制というのは、この湖沼法の問題について言えば、工場であろうと事業場であろうと、工事の着手前に制限をするという考え方が本質的な考え方であるべきではありませんか。私は、許可制の考え方の本質はそこにあると思うのです。すべて物事をやるその前に、着手をする前に制限をするというのが許可制の考え方の本質じゃありませんか。届け出制というのはそうじゃないでしょう。仕事を始める、つまり事業場で言うならば操業を始めた後の規制になってくるわけなんですよ、そうでしょう。それも届け出てから六十日以内に改善なら改善をするとか勧告をするとかいうことがあるわけです。要するに、法律の考え方によって本質的にそれだけの大きな違いがあるんじゃありませんか。私はそれを言いたいわけなんです。湖沼法というのは、これからずっと人間が生活をする上に欠くべからざるものであるし、そして、さっきのお話であるならば、年々それが汚濁をされて、要するに改善をする見込みというのは非常に難しいんだ。そして、今また、大変難しいけれどもと新増設の問題についてあなたはお答えになったけれども、ともあれ新増設でやってみたい、こうおっしゃっている。問題はそこにあると僕は思うのです。だから、届け出制と許可制というのは本質的に違う、そういう考え方があるんです。そのことに対してあなた方はどうお考えになっているのだろうか。しかも、問題のいかんによっては、いや、これは総理大臣が管轄をするんだから。事ほどさように重要な問題であるというのだったら、なぜ許可制にしないのです。冒頭に私が、環境庁長官の名が一言も入ってないということを聞いたことは、そのことなんですよ。いや、私よりか総理大臣がおやりになることが重要である。それだけ重要であったらば――許可制と届け出制というものは法の本質の中に考え方の違いがあるでしょう。そうじゃありませんか。要するに、法律の基本にある本質的な考え方が届け出制と許可制に出ているということなんですよ。どうなんです、その点。
  77. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほどから局長が御説明を申し上げたのでございますが、湖沼におきましては、水質の悪化の一番大きな原因が生活雑排水にあるということでございまして、したがいまして生産系の方につきましてはその次になってくるということになっております。瀬戸内の場合におきましては、一番大きいものが、生産性工場から出されるそういう排水が一番汚濁の根源になっておる、こういうことでございます。そうしてまた、瀬戸内の場合には大工場が設備されておるということでございます。湖沼の場合には、これは幸いにしてか大きな工場じゃなくて中小関係の工場が立地してこられる、こういうことでございます。  したがいまして、大工場に対して、大きなものをつくられてこれはもうということになりますので、これはやはり許可制にしていかなければいけないのではなかろうか。しかし、湖沼の場合は中小企業が立地されるわけでございますので、届け出制でもいけるんではないか、こういう考え方で出ておりまして、ひとつこの点も御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  78. 山本政弘

    ○山本(政)委員 仮に、瀬戸内が千平方キロあるといたしましょう。これは仮定の問題ですよ。そこに百の工場をつくる。霞ヶ浦は百平方キロです、そこに十の中小企業ができる。至極簡略化してですよ。そうしたら実態は変わらない。私は中小企業を保護育成しなければならぬということについては否定しませんよ。しかし、湖沼の水質を保全するということについては、あなたのおっしゃることはそれは違うのですよ。少なくとも理屈の上では違うはずなんです。そういうお答えではないはずなんです。  しかし、もう一つ考えなければならぬことは、瀬戸内法と比較しますと、この湖沼法というのは、水質保全特別措置法と同じように特別措置法として位置づけているのですよ。瀬戸内には、埋め立て、干拓についての規制がありますね。湖沼法に、埋め立て、干拓についての規制条項というのはありますか。そして、おっしゃるように、事態が大変になってくるようだったら総量規制をやるのだと言うけれども、総量規制がとられていないじゃありませんか。そしてこれに、都道府県知事に対する環境庁長官勧告権とか助言がありますか。私が言っているのはそのことなんですよ。長官という言葉は一つも入っていないじゃありませんか。環境庁という言葉も一つも入っていないじゃないかという、そこなんです。主管官庁、監督官庁である環境庁の勧告権は一体いずこにあるのか、助言がどこにあるのか、私はそれをただしたい。瀬戸内法と比べてはるかに異なるものがここにあるじゃありませんか。しかも、局長の言葉を援用するわけじゃありませんけれども、いまだ依然として改善をしていない、なかなか難しいということをおっしゃっている。  そうしたら、この湖沼法は現在の湖沼の実態をどういうふうに考えているのか、あるいはまた、環境庁はどういうふうにお考えになっているのか、私はあなた方の考え方が本当に理解できないのですよ。そして、岩垂委員質問に対して、この法案が最善のものだと言って、水質局長は御答弁をなすった。僕に言わしたら、そういう意味ではこれは最善のものじゃないんだ。そのことについてどうでしょうか。あなた方、反省はありませんか。
  79. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かに御指摘のとおり、水濁法は一般法でございまして、瀬戸内法も湖沼法も特別法ではございます。ただ、先ほど申し上げましたように、私どもは実態面を検討いたしましてこのような結論を出したわけでございます。例えば埋め立てについて申し上げますと、四十七年当時、瀬戸内海では物すごい勢いで埋め立てが進んでいたという実態があるわけでございます。湖沼につきましては、幸いほとんどそのような実態にないというところから、公有水面埋立法でも、環境保全に配慮すべきであるという承認の要件になっておりますので、そのように考えているわけでございます。非常に難しい問題ではございますが、私どもは、湖沼の水質浄化の一番ポイントは、いかにして各省にばらばらに措置された予算を集中的に湖沼浄化のために使っていくか、ここが、先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども湖沼の場合にはやはり一番ポイントではないか、かように考えているわけでございます。もちろん、規制がいいかげんでいいというわけではございませんけれども、そのような点を御理解いただきたいと思います。
  80. 山本政弘

    ○山本(政)委員 通産の方に出席を願っておるようですけれども、大変申しわけないのですが、時間がありませんので、御勘弁願いたいと思います。申しわけありません。  この湖沼法で、五年ごとに定める湖沼水質保全計画はということがありますね。お伺いしたいのは、一号にある「湖沼の水質の保全に関する方針」で、この計画というものは一体どういうふうに策定をされるのだろうか。それをまずお伺いしたいわけです。  それから、今のCODに関する環境基準及びその達成時期はどうなっているのか。琵琶湖とか霞ヶ浦とか十の湖沼がありますね。この達成時期はどうなっているかということなんです。
  81. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 それでは、達成状況について御説明いたします。  琵琶湖について申し上げますと、五十七年度の水質でございますが、北湖については一ppmに対して二・六ppm、南湖については一ppmに対して三・九ppm。霞ケ浦については三ppmに対して一一ppm。諏訪湖については三ppmに対して八・三ppm。宍道湖については三ppmに対して六・〇ppm。中海については三ppmに対して五・六ppm。以下、印旛は三に対して一五、手賀は五に対して二五、児島湖は五に対して九・八、釜房ダムは一に対して二・七。かような状況になっているわけでございます。
  82. 山本政弘

    ○山本(政)委員 要するに、達成されてないわけでしょう。  そこで、環境基準及びその達成時期がどういうふうになっているかといえば、これは恐らくお手元資料があるだろうと思いますが、琵琶湖の南は四十七年四月六日、五年を超える可及的速やかということで考えられていると思います。北については四十七年四月六日、直ちにと、こうなっている。霞ケ浦については四十七年十一月六日、五年を超える可及的速やか。手賀沼もそうでありまして、四十五年九月一日。印旛沼も五年以内で可及的速やか。諏訪湖は四十六年五月二十五日、五年を超える可及的速やか。児島湖は四十六年五月二十五日、五年を超える可及的速やか。宍道湖は四十八年六月二十九日、五年以内で可及的速やか。中海は四十七年十月三十一日、五年以内で可及的速やか。釜房ダムは四十七年四月二十八日、直ちにと、こうなっているんだが、この達成ができていないということなんです。僕に言わせたらしかく困難であるということなんです。そういう中で、今言ったように、既設のものも含めてというようなことを言うのは、問題点が出ているのだろうと私は思いますが、保全計画にある水質保全に関する方針に環境基準の達成時期は明示されるのですか。その点を聞きたいのです。これが一つ。  それから、今度の場合、五年ごとにとなっているのですが、五年ごとに何回繰り返すつもりなのか。それは難しいと思いますよ。しかし、五年だって二十回繰り返したら百年たつわけですから、一体いつまでにこういうものについて一応のめどを達成していかれるのかというお考えだけは聞かしてほしいと思うのです。そうでなければこの法案意味がないのです。
  83. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 御指摘の点は今後各湖沼ごとに水質保全計画を策定する際の一番問題点でございまして、私どもとしては今後の人口の伸び、それから工業生産の伸び、こういうものから、一体それぞれの湖沼の汚濁負荷が将来どうなっていくか、それに対して、一方規制措置によってそれをどのくらいカットできるか。それからまた、生活系汚濁負荷に対して、これは例えば下水道をやるのに現在一人当たり百万円かかっているわけでございますが、それから考えますと、予算の伸びを見れば大体どのくらいやれるかわかるわけでございまして、そのようなことを検討いたしまして将来の目標値を決めていきたい。そうなりますと、当然のことながら一つ一つ詰めてみないとはっきり申し上げられませんけれども、私ども現在、恐らく先生の御議論になられた湖沼についていえば、五年以内に達成するというのはほとんど難しいだろうというふうには判断を立てるわけでございまして、いつまでにというのは、一つ一つ詰めた上である程度のおおよその時期をお示しするようなことにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  84. 山本政弘

    ○山本(政)委員 時間がないからあれですが、僕は、要するに先ほど申し上げたように、長官の勧告権も助言もできない、そういう文言すらここにうたわれていないということに大変疑問を感じるのですが、もしという言葉を使いましょう、もしこの法案で期待できるものがあるとするならば、僕は都道府県知事が策定をする湖沼水質保全計画だと思うのですよ。これしかないのですよ、ここで救いがあるとするならば。しかし、これだって内容いかんによってはもう絵にかいたもちになる。そういうおそれがあるだろうと僕は思うのですね。だから、長官が御答弁なさったように、この水質保全計画については内閣総理大臣が同意するというようなことで、内閣総理大臣責任をおっかぶせたというんではありませんよ、それほど重要だというんであるならば、そして内閣総理大臣が主宰をする関係各省の大臣の公害対策会議の議を経なきゃならぬというんだったら、私はそこに大きな意味があるだろうと思うのだが、そういうことについて、これは建設省の方もお見えになっておるし、通産省の方もお見えになっていますね、これはきちんと御協力を願えますか。この二省の方、何か決意のほど、お考えを聞かしてください。ちゃんと予算についてこれだけのことをやるのだ。あなた方は許可制から届け出制にやったわけだから、建設も通産もそれだけの責任をお持ちにならなきゃならぬわけだ。お答えください。
  85. 咲山忠男

    ○咲山説明員 通産省といたしましても湖沼の汚濁の防止は非常に重要かつ緊急な課題というふうに心得ておりますので、環境庁とも御相談の上、ぜひ適切に対処してまいりたいと思います。
  86. 緒方啓二

    ○緒方説明員 建設省の方針について御説明申し上げます。  建設省といたしましては、従前より河川、湖沼の水質の浄化につきましては非常に重要かつ緊急な課題だということで取り組んでまいっております。したがいまして、私ども建設省所管事業にかかわる行政の手法をいろいろ駆使いたしまして地方公共団体の定めます湖沼水質保全計画、これなんかに十分協力してやってまいりたい、このように考えております。
  87. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そういうことですから、自信を持ってやってくださいよ。僕が非常に不満なのは、要するに各種審議会で、ほとんどの審議会というのは、政府はその審議会の答申というのを拳拳服膺しているのですが、公害の問題についてだけは間々答申が守られておらぬというか、ゆがめられておるというか、そういうことに対して僕は大変心外なんです。そういう意味では長官、ぜひ自信を持って頑張ってください。そうしなきゃ困るのは流域の住民であるということです。お願いいたします。
  88. 竹内黎一

    竹内委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  89. 竹内黎一

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  90. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 湖沼法の質問に入る前に、きょう午前中も話題になっておりましたダイオキシンの問題に関して若干質問をしておきます。  まず、端的にお答えください。そして、午前中の答弁とダブって答弁する必要はございませんから、それ以上のことに関して、ぜひ御答弁いただきたい。  まず、この除草剤、いわゆるダイオキシン、これを廃棄するに当たって条件がございましたね。その条件を簡単に言っていただいて、この条件をつくった人と条件を実行しなければならなかった人、それからちゃんと実行したのかどうか、現実はどうなのか、それを端的にお答えください。
  91. 小澤普照

    小澤説明員 2・4・5T系除草剤処置指示を私どもいたしたわけでございますけれども、だれがつくったかということ――私どもの立場は、いわゆる国有林野事業の実行ということでお答えさせていただきますが、今回の指示通達につきましては、林野庁長官営林局長に指示しておりますので、それの通達林野庁長官が作成したということになるわけでございます。ただし、この通達には、「今回、標記薬剤の廃棄についての処分方法厚生省関係機関と打合せのうえ下記のとおり定めたので、危被害の防止に十分留意のうえ慎重に実施されたい。」このように書いてございます。その処置につきましては、林野庁といたしまして、現地営林局並びに営林署において処置をいたした、このようになろうかと考えております。
  92. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その具体的な通達をちゃんと実行しましたか。
  93. 小澤普照

    小澤説明員 これらの措置につきましては、通達によりまして適正に実施されたものと考えてはいるわけでございますけれども、なおその実態につきまして、現在、鋭意調査を進めているところでございます。
  94. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 事実、具体的に実行していればこんなことにならぬのじゃないですか。あなたの考え方……。
  95. 小澤普照

    小澤説明員 確かに先生おっしゃいますように、私どもといたしましては、先ほどの指示いたしました通達につきましても、十分検討の上、通達をつくりまして、また、それによりまして指示もいたしておりますので、それについて適切に実行されたというように考えてはおったわけでございますけれども、現実には、問題点も提起されていることも事実でございます。その点につきまして、年数が経過している点もございまして、私どもといたしましてはそれを即明確にすることはできない点もございますので、とにかく現地におろしまして再度その実施上の確認を現在行っているところでございます。
  96. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 具体的に実行されればこんなふうにはならぬでしょう。あなたの見解、あなたは今どう思っているのか。
  97. 小澤普照

    小澤説明員 このようにというのは愛媛県の宇和島措置の件ということかと思われますけれども、この問題につきましては、現在、現地実施機関に対しましてもどのような措置をとったのかということもあわせて調査しておるところでございます。
  98. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうじゃない。調査をせいということを言っているのじゃなくて、あなたの見解を聞いているんだ。なぜ調査しているのか。そう思ったから調査しているのでしょう。それを聞いている。
  99. 小澤普照

    小澤説明員 見解と申しますか、処理方法につきましては確かに私ども指示いたしたものとは異なっておろうかというように考えております。
  100. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 環境庁にちょっとお伺いしておきますが、環境庁としては四十六年に廃棄処分するということはいつ知りましたか。
  101. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 当時正式な協議があったという記録は残っておりません。したがいまして、今回の事件におきまして初めてそのような処理がなされたということを承知した次第でございます。
  102. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 厚生省はこの問題をいつ知りましたか。
  103. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  今回の件につきましては新聞報道で拝見をし、四十六年当時の事情につきましては現在調べておるところでございます。
  104. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これは問題があるということで使用禁止になって、そして廃棄処分したわけですから、当然厚生省はこれに対しての見解があるのじゃないですか。これはよくないということで使用禁止にしたというそのところの状況説明してください。
  105. 小林康彦

    ○小林説明員 使用禁止につきましては私どものところではございませんが、当時、廃棄物として処理をするのについて御相談を受け、見解を示しておるかと思います。当時どのような検討をし、厚生省としての意見を申し上げたか、当時の書類等を現在調べておるところでございます。
  106. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 では厚生省、当時の模様を調べ次第、私に資料報告してください。
  107. 小林康彦

    ○小林説明員 状況が判明次第、御報告に上がります。
  108. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 林野庁にお伺いしますが、厚生省との詰めは当時どうなっていましたか。
  109. 小澤普照

    小澤説明員 現在のところ、その詳細については、明確に私、把握してございません。
  110. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 では、同じく林野庁にもそれを要望しておきます。当時の状況を判明次第、私にその資料提出してください。これは答えなくていいです。――それ、いいですね。ちょっとうなずいてください。いいですね。  それから、このダイオキシンに関して、いつ、どこへ、何カ所ぐらい捨てたか、廃棄処分したか、説明してください。
  111. 小澤普照

    小澤説明員 ただいまの御質問につきましては、私どもの方は、全国各地に実施機関が散在しているということもございまして、いつ、どの程度、どこへというようなことにつきまして、現在調査をいたしているところでございます。
  112. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ここで通達まで出しているのですから、全国がなり多いと思いますが、二、三カ所じゃない、あるいは数十カ所、ちょっとわかりませんが、その程度はどういうふうになっていますか。
  113. 小澤普照

    小澤説明員 二、三カ所か数十カ所かということになりますと、その多い方の部類に入ると考えております。
  114. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、ほとんど各県が関連してくるやにうかがえますが、例えば関西あるいは四国あるいは中部、北海道等の方面に分けて、今申し上げたところにはほとんど入っておると自覚してよろしいでしょうか。
  115. 小澤普照

    小澤説明員 この2・4・5T系除草剤は、その使用範囲は、いわゆる広葉樹のような灌木類でございますとかつる草類に非常に有効であると当時されておりましたために、使用の範囲が、どちらかといいますと南の方に多かったのではないかと考えておりますけれども、いずれにいたしましても全体的な使用状況等につきまして現在調査をいたしているわけでございます。
  116. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、南の方、私ちょっと聞いたところによると中部の方、例えば長野県など入っていませんか。
  117. 小澤普照

    小澤説明員 入っているかと考えております。
  118. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、今入っているかという言い方ですが、要するに廃棄処分をしたために入っている、こういうことですね。もう一度確認しておきます。
  119. 小澤普照

    小澤説明員 使用した実績があると考えておりますので、したがいまして廃棄処分も行われていると考えているのでございます。
  120. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひこれは、私この後湖沼法の問題も質問をいたしますが、こんなのが湖沼や河川へ流入してきたら、もう湖沼法も何もあったものではない。どうしようもありません。現在調査中と言うが、いつまでにこの調査を、いつ、どこへ、どれくらいの量を捨てたかが明確になるか、御答弁ください。
  121. 小澤普照

    小澤説明員 現在、鋭意調査を進めているところでございまして、私どもといたしましては、この問題は非常に重要でございますので、極力早く調査をいたしまして、対応をまた考えてまいりたいというふうに思っております。それで、今現在におきましていつまでと言うことはちょっと難しいわけでございますけれども、とにかくでき得る限り急ぎましてまとめたい、このように考えておるわけでございます。
  122. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 できるだけとかそういう答弁では国会ではあかんのだよ。例えば一週間以内とかあるいは一カ月以内とか二、三カ月とか、もうちょっと具体的に。
  123. 小澤普照

    小澤説明員 もちろん一カ月、二、三カ月というようなことを考えておりませんで、とりあえず処置をした場所でございますとか数量的な問題でございますとか、そういうものにつきましては近近のうちに明らかにしたいというように考えておるわけでございます。
  124. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひお願いします。  それから、厚生省にもう一点お伺いしておきますが、このダイオキシンにかわるといったらちょっと語弊がありますが、現在いわゆる除草剤が使われておりますね。厚生省としてはまず除草剤に関して、どういう形態のものならば大丈夫だと確認しておるのか。
  125. 管原敏夫

    ○管原説明員 農薬の登録については私どもやっておるわけでございますが、現在使われている農薬につきましては農薬検査所で厳正な検査をやっておりますので、農林水産大臣の登録のある除草剤であれば安全だというふうに考えております。
  126. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 副産物としてダイオキシンが出てくるわけですが、この2・4・5Tの除草剤ダイオキシンというものが出てきて、猛毒である、こういうものでございますから、そういう形態以外のもの、どういうものが、ただ農林省としてよいというものじゃなくて、厚生省としてこういう形態のものならば除草剤として適しておるんだということを説明してください。
  127. 竹内黎一

    竹内委員長 厚生省にお尋ねですか。――厚生省答弁ありますか。
  128. 小林康彦

    ○小林説明員 私、環境整備課長でございますが、業務局で扱っておりますので、ちょっと私、お答えできる立場にございませんので……。
  129. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それじゃ、厚生省としての見解を後で資料にして私に提出してください。  そこで、林野庁にお伺いしますが、現在は除草剤の形態はどういうものが使われておりますか。
  130. 管原敏夫

    ○管原説明員 現在でも、いわゆる塩素系の除草剤も使われております。しかしながら、ただいま問題になっておりますダイオキシン、私どもその中で最も危険なものは2・3・7・8のTCDDだというふうに承知しておりますが、そういうものが入っている農薬は現在登録しておりません。現在登録している農薬については、すべてこの2・3・7・8TCDDが入っていないという確認をしているものでございますので、そういう面から私、先ほど申し上げましたように、現在の農薬は安全である。したがいまして、今ここで個々の銘柄を申し上げる資料を持っておりませんけれども、そういう意味で全般的にお答えしているわけでございますが、登録のある農薬は安全だというふうに確認してございます。
  131. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 農林省、もう一度だけお伺いしておきます。なぜ安全だと確認できたのか、そのプロセス。こういうようにして調査した結果安全なんだと現在使っておりますね。これはまた後になって実は今使っておるのも問題でしたなんてことになると、これまた大問題だと思うのです。したがって、どういうことで安全性が確認できたのか、もうちょっとわかりやすく説明してください。
  132. 管原敏夫

    ○管原説明員 私ども、現在農薬登録するに際しましては、動物実験、それから化学分析等、毒性、それから物理化学性についてそれぞれ検査をしているわけでございます。特に毒性につきましては、農薬に使います原体をトータルといたしまして二年間の長期慢毒試験をやるというようなことにしておりまして、その動物試験の結果安全であるということを確認したものを登録するわけでございます。したがいまして、そういう安全性の評価は専門家がやっているわけでございますので、そういう面から安全だというふうに申し上げているわけでございます。  また、ダイオキシンにつきましても、先ほど申し上げましたダイオキシン全体としましては、七十五種類あるというふうに言われているわけでございますけれども、その中の2・3・7・8TCDDをダイオキシンというふうに略称で呼んでいるわけでございます。したがいまして、非常に危険だと言われる2・3・7・8TCDDにつきましては検査の過程で含まれていないということを実際に確認しているわけでございまして、そういう面から安全だというふうに申し上げている次第でございます。
  133. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 環境庁に要望しておきます。この問題は、この後湖沼法案に関して私、質問を行いますが、非常に大事な問題でございます。近くに飲料水の水源、民家などがないように、そういう離れた峰筋近く、こういうような表現でございます。詳しくはわかりませんが、そういうところに捨てなければならぬという通達が出ているようにも伺っております。今林野庁からお伺いいたしますと、二、三カ所なんてものじゃない、数十カ所、それ以上になるのかよくわかりませんが、何しろ数多いところへの廃棄があることが今確認されました。そうなってきますと、日本は至るところで河川も湖沼飲料水源にしていますね。これは大変なことでございます。ぜひ、その場所に関しては、それから実態に関しては環境庁としても早急に調査をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。
  134. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、この除草剤の廃棄に関しましては非常に影響が大きい、重大な問題であると私ども考えております。したがいまして、この点につきまして林野庁の方、また厚生省の方とも、また関係の省ともよく打ち合わせをいたしまして、そして、その実態を把握するとともに、被害の起こらないように処置をしていきたいと私ども決意をいたしております。
  135. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、湖沼の問題に関してお伺いいたしますが、まず湖沼水質保全計画に関してお伺いいたします。  湖沼の汚濁の原因は多様でございます。湖沼の水質保全対策を、現行の水質汚濁防止法規制している特定の工場、事業場など比較的大きな発生源からの規制措置のみに頼ることは限界がございます。これはもう御承知のとおりでございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕そこで、今回のこの特別措置法における湖沼水質保全計画の策定及びその達成の推進のための各種施策の実施、これが最大のポイントではないか、こう思います。  まず、この湖沼水質保全計画において定めるべき内容はどのような見地から考えておりますか、お答えください。
  136. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 法律によりますと、第四条に湖沼水質保全計画について規定がございまして、湖沼水質保全計画において定めるべき事項といたしましては、湖沼の水質の保全に関する方針、それから下水道等施設の整備事業に関する事項、それから水質保全のための規制その他の措置に関する事項、それから、その他必要な措置、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、まず湖沼の水質の保全に関する方針でございますけれども、これは計画の目標、それから計画の期間、それから治水、利水、水産等、公益的機能との調整、こういうことを記述することになるわけでございます。  さらに、施設の整備に関する事項でございますが、下水道等については、処理人口あるいは処理場の整備等、それから、し尿処理施設等の整備についても大体同様でございます。さらに、必要があれば、高度処理導入の方針等についても規定することを考えておるわけでございます。  それから、規制その他の措置でございますが、これにつきましては、汚濁負荷量規制の基本的な考え方、それから測定監視のやり方、それから湖沼法に基づく規制措置のとれる以外の家庭排水対策あるいは畜産排水対策、養殖漁場対策、こういうものがうたわれることになるわけでございます。  いずれにいたしましても、湖沼水質保全計画都道府県知事さんがお立てになるわけでございますが、国の定めます基本方針に基づいて定めることになります。基本方針では、これは二条の三項にございますが、私ども湖沼の特性と汚濁原因に応じた均衡ある水質保全対策を適切に講ずることを基本理念として定めることになっておりまして、そのような思想は、規制施設の整備、これは両方バランスをとって進められる、かようなことが水質保全計画の中でも十分配慮されることになる、かように考えておるわけでございます。
  137. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まず、指定湖沼の水質保全をするための規制基準を定めなければならない、こうしたのはどういう見地からか。  それから、湖沼特定事業場につきましては、新増設のみに対象を絞りましたね。それはなぜですか。
  138. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 現在、湖沼周辺特定施設につきましては、濃度規制が行われておるわけでございますけれども、それのみでは湖沼の水質保全あるいは改良のためにどうも十分でないという見地から、新増設施設に限りまして、一日当たり何キログラムまで汚濁物質を排出できるかという負荷量規制措置を講じたわけでございます。  さらに、何ゆえ新増設施設に限ってそのような措置をとったのだ、こういう御質問でございますが、この点につきましては御案内のように、現在、湖沼の汚濁原因のうちには産業系の工場、事業所からの汚濁物質の排出もさることながら、生活系の汚濁のウエートが大きいわけでございまして、さしあたって新増設施設について負荷量規制すれば、その他の措置とあわせれば一応目的が達せられるんではないか。もし、それのみで不十分であるという場合には、既存施設も含めて総量規制を実施できる手続については、湖沼法自身においてその手続を簡素化しておりますので、かかる規制だけでは不十分な場合には、既存施設も含めて総量規制を実施できるように仕組んだわけでございます。
  139. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 だから、既存の特定施設についても行政指導規制基準に合致させるべきだ、こう解釈していいでしょうか。
  140. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 既存の施設につきましては、一応水濁法の濃度規制でいくということになっているわけでございます。そして、特に新増設施設に限って負荷量規制をかける、こういうふうに法律で仕組みました関係上、既往の施設にまで行政指導でそれをするということは私どもとしては考えておらないわけでございまして、その必要があればやはり法律に基づいて総量規制をかける、こういう考え方で対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  141. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 「みなし特定施設」とございますが、これはどういうものが対象か。排水量で言うと具体的にはどういうものでしょうか。
  142. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 特定施設のうちには、水濁法の特定施設は目排水量が一定規模以上のものに限定されておりますので、それに達しない施設でも湖沼周辺汚濁物質の排出量が非常に大きいものがございます。具体的に申し上げますと、これは病院の入浴施設あるいは厨房施設等でございまして、これについて三百床未満のものは水濁法の適用の対象になっておりませんので、これを適用対象にするということを考えております。それからまた、し尿浄化槽で五百人未満槽、これも水濁法の特定施設になっておりませんので、これらも同じくみなし特定施設として湖沼法の対象にすることを検討しておるわけでございます。
  143. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、みなし特定施設を設置する工場や事業場であっても、日平均排水量が五十立方メートル以上のものについては、その新増設に際しては結局どうなるのですか。
  144. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 負荷量規制がかかるわけでございます。
  145. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それから、指定地域において指定施設の届け出とあるが、その対象は、どういうものを政令で対象としておるのか、その対象の中に鶏舎は入りますか。
  146. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 みなし特定施設の問題はございますけれども、基本的には水濁法による特定施設、これは政令で業種名が全部掲げてございますが、これを湖沼法の湖沼特定施設にすることを考えておるわけでございます。  それから、鶏舎につきましては、負荷量が非常に小さい、畜舎、豚舎につきましては湖沼の水質に対する影響は非常に大きいわけでございますけれども、鶏舎については豚舎、牛舎とは違う、かような点もございますので、今のところ考えてはおらないわけでございます。
  147. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、この法案が実施されてたった場合、私は今関西におりますので、例えば琵琶湖に対してどういう状況になってくるのか、そういう意味でまずお伺いしておきたいのですが、最近の琵琶湖の中で淡水赤潮の状況はどうなっていますか、これをまず御説明ください。
  148. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖の淡水赤潮でございますが、昭和五十二年から毎年五月から六月にかけて北湖、南湖において発生しているわけでございます。年度別に見ますと、五十二年には、発生日数は累積で五日間、九水域でございます。五十三年以降はそれぞれ五十三年が十六日間、二十一水域、五十四年が十七日間、二十水域、それから以下ずっと毎年挙げでございますが、ごく最近の状況だけ申し上げますと、五十七年が七日間、八水域、五十八年が四日間、八水域、かような状況で推移しております。
  149. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで私、これをちょっと皆さんに見てもらって、後で長官のところに持っていきますから。――これが長官、この赤潮の原因です。何しろ私ども毎日飲んでいる水ですからよく見ておいていただきたいのですが、これが、もともとは大正から出ているものですが、五十年ぐらいから、一番最初に出だしたのがウログレナ、これが何しろ大変な発生で、そして、ああいう赤潮の原因になり、これは生臭いにおいなんだ。それから、これが五十二、三年ごろから出だしたアナベナ、今出ています。これがカビ臭い方なんです。毎日飲んでいるからわかると思いますが、今はちょっとよくわからぬけれども、これからまたわかってきます。私も毎日飲んでいるからよくわかるのですよ。こんなものがうようよしているのを近畿一千五百万の人たちはみんな飲んでいるのだから、ぜひ長官、これをちゃんと解消するための湖沼法であるということをよく知った上で、ちょっとそちらへ……。  そこで、お伺いします。まず、滋賀県の富栄養化防止条例によって琵琶湖の水質はどのように変わりましたか。
  150. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 滋賀県は、他の都府県あるいは国に先駆けまして、五十四年から富栄養化防止条例を施行されました。その結果、まず第一に、汚濁のこれ以上の進行は完全にとまった、特に南湖等におきましては燐の濃度等が薄まってきている、そういうふうに承知しております。それからまた、赤潮の発生状況につきましても、これも富栄養化防止条例の効果と見るべきか、あるいは天候の影響と見るべきか、いろいろ議論があるところでございますが、赤潮の発生回数もここ二カ年ばかり比較的減少しているわけでございまして、少なくとも汚濁のこれ以上の進行は完全にとめられ、若干ずつ改善の兆しが見え始めてきている、かように私ども県から聞き、判断している次第でございます。
  151. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この矢橋沖のいわゆる人工島をつくって下水道の整備を行いましたね。これの進捗状況はどんなようになっていますか。
  152. 辻栄一

    ○辻説明員 お答えします。  琵琶湖流域下水道の御質問の湖南中部処理区でございますが、昭和五十六年度より処理開始をいたしておりまして、現在、大津市ほか二市三町において供用開始をしております。それで、琵琶湖につきましては、先ほどお話のございました富栄養化条例もございまして、窒素、燐も規制をするということになりましたので、この処理場におきましては窒素、燐の除去、いわゆる高度処理も実施いたしております。
  153. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この前も本委員会におきまして私、長官にお伺いしておきましたが、世界湖沼環境会議がこの八月、滋賀県その他の主催によりまして琵琶湖において行われますね。そこで、長官は当然御出席なさる、このようにお伺いしました。その際、私は要望としても申し上げておきましたが、本環境委員会の代表も参加して、大いに湖沼環境、水質保全の問題への取り組みの枠を広げ、我が国の環境行政に役立てるべきだと思いますが、長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  154. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  御出席いただけるということでございましたら、これは滋賀県の方が主催いたしておりますので、連絡をいたしまして、御出席いただけるようにしたいと思いますが、私は大歓迎でございます。
  155. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、例えば湖沼水質保全計画を策定するに当たって、琵琶湖において琵琶湖総合開発十カ年計画が決まっております。その中で自然環境あるいは水質保全対策により下水道、し尿処理、畜産、農業その他の排水対策など各種事業が決まっておりますね。これと今回の保全計画との整合性ですね。今回の湖沼法の湖沼水質保全計画を策定するに当たってはもちろん滋賀県なら滋賀県の知事計画等が入ってくるわけでございますけれども、その整合性というのはどういうふうになるのでしょうか。
  156. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖総合開発計画には、下水道、し尿処理施設の整備等、湖沼法に規定いたしております水質保全に資する事業が既に盛り込まれております。そこで、滋賀県が水質保全計画を策定し、それを内閣総理大臣が同意するに当たりましても、私ども、琵琶湖総合開発計画策定の経緯を十分尊重いたしまして、湖沼水質保全計画を策定するに当たりましても両者の整合性について十分配慮いたします。手続的には、公害対策会議の議を経まして滋賀県知事が策定いたしました水質保全計画に同意する際に、関係省庁とも十分に相談してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  157. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、琵琶湖だけの問題ではないとしましても、都道府県がこの保全計画をつくるのに、建設省の下水道計画、五カ年計画等ございますね。既に進んでいるところにおいて湖沼保全の立場から下水道整備というものを考えたときに、例えば建設省の五カ年計画では不十分であるとした場合、この保全計画意味がなくなる、こう考えますが、環境庁と建設省、見解を答弁してください。
  158. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 湖沼の水質保全のために、生活系汚濁排水対策としてはやはり下水道の整備が基本でございます。建設省からお答えもあるかと思いますが、第五次下水道整備五カ年計画におきましても、湖沼等の閉鎖性水域の水質保全のための下水道投資が重点項目に挙げられているわけでございまして、そのような下水道行政上の趣旨はこの水質保全計画策定、さらに、それに通ずる湖沼対策に十分反映されてくるものというふうに期待しているわけでございます。
  159. 辻栄一

    ○辻説明員 ただいまも環境庁の方から御説明がございましたように、建設省といたしましても、第五次五カ年計画におきましても、既に湖沼等については非常に重要であるということで、下水道整備の重点にいたして整備をしているところでございまして、この法律によりまして指定湖沼指定されました場合には、五カ年計画との調整を図りながらでございますけれども、この湖沼水質保全計画の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  160. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖、霞ヶ浦あるいは諏訪湖等で特定事業場に当たるもの、五十トン・パー・デー以上のものが幾つあるのか、それぞれの湖沼に出る排水の汚濁負荷量はどれくらいになるのか、そして、それはそれぞれ湖沼全体の何%になるのか、これをお答えください。
  161. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖、霞ヶ浦、諏訪湖についてお答えいたします。  琵琶湖について申し上げますと、特定事業所の数が二千五十八、そのうち排水量五十トン以上の事業所の数が四百七で二〇%でございます。CODの負荷量でこれを申し上げますと、琵琶湖全体に一日当たり排出される産業系特定事業所からのCODの負荷量が五千六百五十七キログラムでございまして、そのうち四千八百八十三、約八六%が五十トン以上の規模のもので占められる。以下同じように申し上げますと、霞ヶ浦では特定事業所数が千三百三、うち五十トン以上が百六十四、負荷量で申し上げますと、九割が五十トン以上の負荷量で占められているわけでございます。諏訪湖について同じように申し上げますと、事業所数が千三十九、うち五十トン以上が百五十六でございまして、CODの負荷量で申し上げますと、約七割が五十トン以上の特定事業所の負荷量によって占められている、かようなことになっているわけでございます。
  162. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖で事業場数で二〇%、負荷量でいくと八六%ですね。あと霞ヶ浦にしても、事業場でいくと一三%、負荷量では九割ですね。それから諏訪湖で、事業場で一五%、負荷量で約七割。負荷量で見た場合、最高でも九割でしょう。こういうことになりますと、この規制基準でカバーできない面、残りは規制しないことになるわけですね。これによって湖沼の水質をますますおかしくしてしまっては意味がございません。この点を湖沼水質保全という立場からどう考えていますか。
  163. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 御指摘のような問題がございますので、法律上も二十四条において、そのような規制対象にならない工場、事業所等で排水汚濁負荷を与えるものについては、都道府県知事指導を行うことができるようになっているわけでございます。施設使用のマニュアルというふうなものをつくったり、あるいは個々の行政指導措置を講ずる、こういうようなことを講じて、規制措置の対象にはなりませんけれども遺憾のないように都道府県知事措置するよう環境庁としても指導してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  164. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 五十トン以上の対象を三十トン以上に改めるという考えはございませんか。
  165. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 水濁法の場合には、例えば規制対象を引き下げるという措置が十分可能でございまして、必要があればそのような措置都道府県知事の判断で行うことになるわけでございますが、この湖沼法の負荷量規制は、五十トン以上の規模については政令で決めることになるわけでございまして、湖沼ごとにきめ細かくやるというのはなかなか難しいと思いますが、全国的に見て必要があれば、その政令を改正すればそれを切り下げることは法律上可能ではございます。当面は五十トン以上で対応してまいりたい、かように考えております。
  166. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖や霞ヶ浦等の湖沼において、今回の湖沼法と、水質汚濁防止法に基づいた窒素、燐の排水基準の設定がセットされている、こう言われておりますが、どうでしょうか。
  167. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 現在は茨城県あるいは滋賀県が独自条例で窒素、燐の排水規制をやっているわけでございますが、環境庁といたしましてもただいま窒素、燐の排水規制について中央公害対策審議会に諮問している段階でございまして、その答申が得られました暁には、水濁法に基づいて全国的にも湖沼に対する窒素、燐の規制を行うことを考えております。その場合には、滋賀県あるいは茨城県の条例に基づきます措置は、水濁法による全国規制に対する上乗せ措置、かようなことに位置づけられることになるわけでございます。
  168. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その際、この富栄養化防止については琵琶湖及び霞ヶ浦において各県独自の富栄養化防止条例で窒素、燐を規制しておりますね。湖沼法ができることによってこの条例にどのような影響が出ますか。
  169. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 湖沼法でも窒素、燐の規制は法律上もちろんできるようになっておりますけれども、当面は窒素、燐の規制は広く水濁法によって湖沼一般に対してかけることを考えております。したがいまして、直接的に規制対象という意味では湖沼法に関係ございませんけれども、窒素、燐の規制湖沼富栄養化対策として重要な意味を持つことはもちろんでございます。その趣旨湖沼水質保全計画の中に当然書き込まれてくることになろうかと思うわけでございます。
  170. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 局長、ちょっとここで整理してお答え願いたいのですが、この湖沼法ができたら、例えば今琵琶湖と霞ヶ浦は富栄養化防止条例、県独自で行ってますね。例えば琵琶湖で結構でございますが、琵琶湖に対して今までは富栄養化防止条例そのほかでいろいろ規制なり努力していますよ。そういうものよりこういった面が向上されますよ、これとこういう面が向上されますよという概略で結構でございますが、もうちょっと具体的に、湖沼法が成立すればこういう面がよくなって水質はこういうようによくなっていくのだということを説明してください。
  171. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖につきましては、富栄養化防止条例によりまして目標を決めて、その目標達成のために必要な対策として規制あるいは措置等が挙げられているわけでございますが、今回湖沼法に基づきまして条例でやっております各種対策の内容の主要な部分は水質保全計画に織り込まれることになります。織り込まれることになりますと、今度はそれでどこまで具体的に書くか、いろいろ技術的に問題ございますけれども、例えば下水道整備で必要な措置処理人口をどのくらいまでにするとか、あるいは下水道以外にし尿処理施設処理する人口をどこまで引き上げるとか、そういうある程度具体的な目標が示されるわけでございますが、それについて知事さんが目標との見合いでこれだけやる必要があるということを御計画になられた場合に、それは国に上がってまいりまして環境庁を通じて各省に協議をするわけでございます。そうしますと、いわばそれが予算の国の施策の裏打ちのある計画になるわけでございまして、そのような面で特に湖沼対策としては生活系汚水対策が必要であり、そのためには下水道、し尿処理施設あるいは農水省の農村集落排水施設整備事業、こういういろいろな事業が必要なわけでございますけれども、そういうものに国のいわばオーソライズが与えられるわけでございまして、そのような意味で予算の裏打ちのある計画になる、そういうメリットがあるのではないか、かように考えるわけでございます。
  172. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 水質汚濁防止法規制する窒素、燐、この規制は、例えば琵琶湖の場合、琵琶湖の富栄養化防止条例による窒素、燐の規制に上乗せになるのですか、その辺を……。
  173. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 条例の方が内容的に見ましてかなり厳しい規制を課しておられるわけでございまして、内容的に申し上げますと、国の一般基準の上乗せとして富栄養化条例の規制が行われる、かような関係になろうかと思います。さらに、それで不十分な場合には、将来の問題といたしましては、窒素、燐につきましても単なる濃度規制ではなくて負荷量規制湖沼法によってやる道も残されている、かような関係になるわけでございます。
  174. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 生活雑排水対策、これが一番大事でございますが、各県が保全計画を策定する際に重点施策として置くと思いますが、これまで環境庁としてこの生活雑排水問題に具体的にどのように取り組んできたのか、その成果はどうなっているか、説明してください。
  175. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 生活雑排水問題が、まさに一番各種行政の谷間になっておるわけでございます。したがいまして、各都道府県あるいは市町村が独自に現在いろいろ対策を講じられているわけでございますが、環境庁としましては、まず生活雑排水の処理に当たってどういうふうに処理したらいいのか、その技術的基準をつくることにここ三年ばかり時間をかけてまいりまして、五十八年度で終わり、間もなくそれをまとめるわけでございまして、そのような技術マニュアルと申しますかに基づいて市町村、都道府県等が対策を講じていただくことを期待しているわけでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕  さらに、今後の問題といたしましては、建設省も小規模下水道の計画指針をつくっておられますし、厚生省において生活雑排水のみを対象とする施設の整備事業を五十九年度から予算措置されました。農林水産省は農村集落排水施設整備事業をかねてからやっておられまして、各省それぞれやっておられるわけでございます。それらが地域の水質改善のために整合的に進められる必要があるわけでございまして、今後は私どもがそういうものをどういうふうに組み合わせてやれば一番うまくいくのか、そういう計画技術と申しますか、そういうものを開発するために五十九年度から予算措置を講じまして進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  176. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この前の本委員会におきましても環境庁としての考え方を明らかにした指定湖沼、一応十の指定考えられると報道にもございました。この十の湖沼考えた根拠は何ですか。
  177. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 指定湖沼指定要件でございますが、法律の三条に基づきまして、現在の環境基準が「現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい湖沼であって、当該湖沼の水の利用状況、水質の汚濁の推移等からみて特に水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるもの」、これが法律上の要件でございます。したがいまして、湖沼環境基準の達成率は甚だ低いわけでございますが、その中でも水の利用状況、つまり、その水が非常に多数の方々の水道の飲料水源になっているかどうか、あるいは汚濁の程度がひどいかどうか、環境基準の二倍、三倍、四倍になっているかどうかということを考えあわせまして、おおむね現在十程度湖沼についてさしあたって指定することを検討しているわけでございます。
  178. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これは非公式にでも地元の方からの要望があったものも加味されているのですか。
  179. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 当然湖沼対策の中心になってやっていただきますのは県、知事さんでございますので、法律の手続上も知事申し出が要件になっているわけでございますので、その事前手続といたしましては私どもも県等とよく接触いたしまして県の意見も聞きながらこれを進めているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、事情もございますので、県の御要望になるものを全部指定するということには必ずしもまいらない、公共事業等の集中投資をやっていく関係上、ある程度限定されてくるのはやむを得ないことかと考えておりますが、県の意向は十分参酌してまいりたいと思います。
  180. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 県と接触なさっておる、いわゆる非公式にでも。今後正式に出てきますね。要望したいと出ておるものは幾つぐらいつかんでおられますか。
  181. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 少なくとも十湖沼につきましてはいずれも県からの御要望はあるわけでございまして、その他にさらに十程度のものについては県からの御希望もあるように私どもは判断しておるわけでございます。
  182. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、指定湖沼に関してはとりあえず今は十を考えていますが、今後二十なり三十なり、どれぐらいになるかわかりませんが、そういうふえる可能性も含んでおる、ふえるとすればどのぐらいまで考えておるのか、それを御説明ください。
  183. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 指定湖沼指定して一番意味がございますのは、水質保全計画をつくりまして、そこにいわば各省の公共事業を集中的に投資していくことにあるわけでございます。したがいまして、余り数をふやしますと、現在各省の持っておられる公共事業予算の中で、これは各省それぞれの行政目的を持っておられるわけでございますから、湖沼対策はもちろん協力はいただけると思いますけれども、例えば建設省の下水道であれば市街化区域の整備一般も大切なわけでございまして、それとのバランスがあるわけでございます。余りこれがふえますと、結局ばらまきになってしまうおそれもあるわけでございます。したがいまして、当面十湖沼でございますが、将来十ないし二十とふやしていくのかという点につきましては、一つには、窒素、燐についての規制措置を講じたその成果が湖沼の水質状況に今後どう反映するか、それからもう一つは、国の公共事業予算が今後どのように伸びていくのか、その辺の兼ね合いを見て決めていきたいというふうに考えておるわけでございますが、私どもとしては、余り数がふえますと、きめ細かい対策がなかなかとりにくい面もございますので、当面十ないし二十程度のものについてやっていきたい、かように考えております。
  184. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間でございますので、あわせて答弁してください。  まず、湖辺の自然環境の保護について、これは第二十五条にございますけれども、精神的なものに終わってはなりません。したがいまして、具体的にどう前進させるのか、これは建設省もお答えください。  そして、湖沼水質保全計画に定められた各種事業の円滑な実施を図る上において重要なのは財政的な措置でございます。国の補助率の引き上げ、起債枠の拡大等財政特例措置や、あるいは家庭雑排水の処理に対する補助制度、あるいはそういう指定湖沼にかかわる下水道の国庫補助を一般のものよりもアップさせる、こういうような考え方はないのか あわせて環境庁と建設省にお答えいただくのと同時に、最後に長官、湖沼法の論議を現在行っておるわけでございますが、今ダイオキシンの話もある中で、この湖沼法成立への決意、見解を最後に長官の方から御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
  185. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 湖辺の自然環境保護でございますが、これはただいま先生から御意見がございましたように、大変重要なことでございまして、中公審の答申もいただいているところでございます。ただ、湖辺と湖沼を一体的に環境保全していくという必要性はもちろんそのとおりなんでございますが、その手段といたしまして、新しい制度をつくることではなくて、一応現在ある各種の制度を使ってやっていってみたい、かように考えておるわけでございまして、具体的には水質保全計画の中にもその趣旨は書き込まれますし、私どもから法律をそれぞれ所管している各省へ、建設省それから農水省、厚生省等に対して、今後それらの法律の運用に当たっては、特に湖沼周辺での運用に当たっては湖沼の水質の保全のために万全の配慮をしていただきたい、これは先生の御指摘になった法律の二十五条もあるわけでございますから、そのような要請をやってまいりたいと思うわけでございます。  それから、財政措置につきましては、これは新しい補助制度あるいはかさ上げを行うということは、かような時期でございまして大変難しいわけでございまして、私どもとしては、従来からある各省の事業をうまく有機的に組み合わせてやってまいりたい、かように考えているわけでございますので、ひとつその点は御了承をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  186. 辻栄一

    ○辻説明員 建設省湖沼周辺の対策でございますけれども、私は担当でございませんが、湖沼の水質保全という観点から、そういう立場で配慮してまいりたいというふうに聞いております。  それから、下水道の湖沼周辺の補助率の引き上げでございますけれども、これは先生も御承知のようだ、全国の下水道の整備状況が五十七年度末で人口普及率でまだ三二%にしか達していないという非常に低い状況でございまして、厳しい財政状況のもとで、当面は、補助率を引き上げるというよりも、限られた予算で事業量の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  187. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  湖沼の水というものは非常に利用をされておりまして、この利用水の水質の悪化ということが今非常に憂えられておるのでございます。したがいまして、この法律を制定をしていただきましてこの水質の悪化をとめるとともに、水濁法を使わしていただきまして富栄養化をも防ぎ、そして水質の万全を期していきたいというふうに考えております。  また、周辺環境につきましては、現在あります環境に関する諸法令、これをまた十分に活用をいたしまして、そして、その保全に当たっていきたいと決意をいたしております。
  188. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。     ―――――――――――――
  189. 竹内黎一

    竹内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の両案について、本日、参考人として水資源開発公団理事大嶋孝君及び同公団理事川本正知君の出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 竹内黎一

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  191. 竹内黎一

    竹内委員長 関連質疑申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
  192. 瀬崎博義

    瀬崎委員 湖沼水質保全法案について質問をいたします。  そもそもこの湖沼法案は水質保全を目的としているわけでありますが、直接法案にかかわる質問に入る前に、その水質保全とは全く逆の、大変遺憾な事態が起こっております。緊急の問題であるので、その点を先に質問したいと思います。  愛媛県北宇和郡の国有林で猛毒ダイオキシンを含んだブラシキラー乳剤、2・4・5T除草剤と言われるものが土中に流出して問題になっているわけですね。そもそもこのブラシキラー乳剤が農薬登録され、つまり使用開始されたのは昭和三十九年、ところが劇物指定を受けたのが約七年おくれて昭和四十六年三月ですね。それもベトナム侵略戦争でアメリカが殺人兵器としてこういう化学兵器を使った。国会で大いに論議になった。ここからこういう措置になっていった。そうしますと、昭和三十九年から昭和四十六年までの間、政府は、このブラシキラー乳剤を劇物としての使用上の注意であるとかあるいはその取扱方法、例えば使い残りがあった場合の処分、本来なら無毒化して処分しなければならないけれども、そういうことはやっていなかったと見られるのじゃないか。これはこういう劇物の危険を野放しにしておった、その間実に七年間、こういうことを意味するのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  193. 管原敏夫

    ○管原説明員 毒劇法の指定につきましては私どもの所管ではございませんけれども、農薬という観点から2・4・5Tの除草剤先生ただいま御指摘がありましたように三十九年から登録をしているわけでございますけれども、その間に廃棄するというようなことは私ども予想はしていなかったわけでございまして、三十九年から四十六年の間、廃棄されたというようなことはない……(瀬崎委員「いや、劇物扱いをしていなかったんじゃないかということ」と呼ぶ)その点、私どもの所管ではございませんので、その間の事情につきましてはつまびらかではございません。
  194. 瀬崎博義

    瀬崎委員 劇物指定されたのが四十六年の三月でしょう。それ以前、これは主として農水省、林野庁が使っていた農薬なんでしょう。あるいは使わしていた農薬なんでしょう。農薬登録はされているわけですね。そのときに劇物の取り扱いをしていたのですか、していなかったのですかということを聞いているわけですよ、六年間、約七年間ですね。
  195. 管原敏夫

    ○管原説明員 御指摘のように、毒劇の指定はございませんので、法的にそのような取り扱いはいたしておりません。ただ、農薬でございますので、一般的な農薬の取り扱いといたしまして、農薬になるべく接触しないようにというような注意事項は守ってきて使用していたわけでございます。
  196. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、とにかく四十六年までの六年間は一般的農薬の扱いしかしていなかったわけですよ。当時、すべて使い切っておったのか、使っておっても使用上の注意が劇物扱いになっていないから危険ですね。もちろん使い切れなかった分は残っているかもわからない。そんなものは今から確認しょうがないわけですよ、当時は一般農薬の扱いをやっているのだから。捨てているかもわからない。そういう危険が実は六年間、既に前にあったわけですよ。  そこへ持ってきて、今回、愛媛県で発見された処分の事例について見ると、四十六年十一月に出された林野庁長官名による処分方法通達はもちろんのこと、本来毒劇法によって守らなければならない処分規制さえ守られていない。ずさんな処分をしている。劇物指定を受けてもなお、また使用中止に踏み切った農薬を処分する際であっても法律や通達による方法によっていない。  まず当事者、林野庁あるいは農水省としては、なぜそういうことになったのか、その原因究明とともにその責任を明確にする必要があると思うのです。どうですか。
  197. 小澤普照

    小澤説明員 2・4・5Tの除草剤につきましては、林野庁といたしまして今回特に宇和島でのお話は、私ども国有林の事業実行上使用してきたものでございまして、この除草剤につきましては四十六年の四月に使用中止をいたしまして、その後十一月に処置方法指示もいたしたわけでございますけれども宇和島の問題につきましてはこれとは別の処理がなされておりますが、当時、関係機関とも相談の上、土の中に埋没処理していたということはございます。
  198. 瀬崎博義

    瀬崎委員 みずから起こった原因とか責任について極めてあいまいな答弁だと思うのですが、要は、この処分通達を出されて十二年以上もたってから、しかも、これは労働組合の独自調査から判明してきているわけでしょう。当然、土の中に埋めれば容器が破損して乳剤が土中に流出する危険のあることはわかり切っているわけですね。まず、処分当事者である林野庁あるいはその上の農水省の責任は免れないと思うけれども、同時に、こういういろいろないきさつがあって劇物指定を受けているのですから、環境のチェック面からもこういうことが起こらないような一種の、言うならばダブルチェック、これも必要なはずなんです。まさにそういうことをやるのが環境庁の仕事、これをやらなかったら環境庁の存在意義はないと私は思うのです。  そういう意味では、今日までこういう形で、つまり労働組合が愛媛大学の専門的な応援を得て発見した、こういうことは極めて遺憾な事態であって、少なくともこういう点は環境庁が追跡していなければいかぬ問題、そういう点について長官がどう考えているかということと、しかし現在発見されたというものの、まだ類似のケースが幾つかあるかもわからない。これは十分つかめないのでしょう。これはやはり環境庁としても独自のチェックに入るべきだ、こう思うのですが、いかがでしょう。
  199. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  こういうような事態が発生いたしましたのは、大変に遺憾なことであると思うのでございます。環境庁の方も、こういう点につきまして以前から連絡があって知らなかったのかどうかということにつきまして、今いろいろ調査をしておるのでございますけれども、これは責任逃れのためではありませんが、そういう書類があるのかないのか、そういったようなことも調べておかないとその中に何が書いてあるのかもわかりませんので、それを今調べておるのでございますけれども、残念ながらそういう連絡がございません。そして、通達の中にも環境庁という名前が出てきておらないのでございます。私ども、そういう点においては大変に、うかつであると思うのでございますが、また、その当時非常に疎んぜられたといったらいけませんが、余り知らせていただけなかったということでございます。しかし、そういっても、今こういう事態が発生いたしておりますので、早速事務当局に、林野庁あるいはまた厚生省の方と御連絡をいたしまして、今先生御指摘のように、宇和島だけではなかったらまた大変でございますし、そういった点も込めまして今そういう調査を命じておるところでございます。これが判明いたしましたら、それに基づいていろいろと調査をしていかなければならないと考えております。  さしあたっては、宇和島の方の、今愛媛県の知事がすぐに手を打っておりますので、その打っておる手をよく検討いたしまして対策を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  200. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、ブラシキラー乳剤関係質問はこれで終わりますので、関係の方帰っていただいて結構です。  湖沼法なんですが、中公審の答申は、湖沼保全の基本的見地及び湖沼法制定の目的を、湖沼の水質とその周辺の自然的環境を一体のものとして保全する必要があると明記していたのに対して、今回の政府案というのは、まず第一に、湖沼の水質とその周辺の自然環境を切り離している。それから第二に、法案の名称も当初の湖沼環境保全法案から、湖沼水質保全法案に後退している。第三番目に、法の目的をそもそも水質保全に限定してしまっている。第四に、講ずべき措置、当然のことながら非常に範囲の狭いものに変えられてきている。例えば、特定施設許可制にせよと答申は言っていたのを届け出制にしているとか、あるいは湖辺の地区指定制度を単なる保全努力義務規定にしてしまったとか、あるいは国の財政援助義務はゼロにしてしまったとか、こういう明確な中公審答申と政府案の違いがあるわけですね。  そこで聞きたいのは、これは長官になると思いますが、政府は、この中公審の答申、つまり中公審の到達点、これは行き過ぎだ、したがって、政府としてはそれを後退させて出した、そういう戸となのか、それとも、本来あるべき姿は中公審の答申の段階だ、いろいろな事情があったから政府案は後退せざるを得なかったのだ、どちらですか。
  201. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  中公審の御答申は、これはごもっともの内容でございます。しかしながら、いろいろ現在の状態と申しますか、それを考慮いたしまして、そうして、この法律案をつくらせていただいたものでございます。  その内容で今何を考慮したかということでございますが、これは非常にたくさんありますので、申し上げておりますと時間をとりますので、これは当局の方からひとつ説明をさせたいと考えて貼ります。
  202. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いや、大臣のそういう認識を聞いておけば結構です。  そこで、私は特に滋賀県の選出ですから琵琶湖と非常に深いかかわり合いを持っておりますので、具体的に伺っていきたいと思うのです。  琵琶湖の水質は、県のデータで見ますと、皆さんも御承知のように、例えば透明度は、南湖では昭和五十三年一・七メートルであったものが、五十七年には一・八メートル、それから北湖では五十三年四・二メートルであったものが、五十七年五メートル、やや改善ですね。CODは、南湖で五十三年三・四ミリグラム・パー・リットルが、五十七年で三ミリグラム・パー・リットル、北湖で五十三年二・四ミリグラム・パー・リットルが、五十七年二・一ミリグラム・パー・リットル、以後、もう単位の数字は落としますが、それから窒素について見ますと、北湖では五十三年〇・二八が、五十八年〇・二四に、南湖では〇・四六が〇・三二に、それから燐の方は、北湖で五十三年〇・〇〇九が、五十八年〇・〇一、それから南湖で〇・〇三五が〇・〇二二に、それから淡水赤潮発生状況の方で見ますと、五十三年は十六日間、二十一水域に発生した、五十六年は九日、十五水域に発生した、それから五十八年は四日間、八水域ということになっております。見かけ上は減っているわけですね。ですから、私は、決してこれを改善、回復したと手放しで喜べる状態ではないと思うのです。通俗的に言えば、小康状態を保っている、こう言うのが正しいと思うのです。  そこで、これまで悪化の一途をたどってきた琵琶湖の水質が、とにもかくにも小康状態と言えるような状態に現在なっている。この事実と、それから昭和五十五年に滋賀県が制定した琵琶湖富栄養化防止条例並びにこの条例実施のためにいろいろと県民が努力をした、その関係環境庁はどう見ているのか、お答えをいただきたいと思います。
  203. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  琵琶湖の水質が、今とりあえず小康状態にあるということでございますが、これもその原因をもう少し詳細に調べないとわかりませんが、やはり一つは、滋賀県がおつくりになったそういう条例によって小康が保たれておるのであると私は思うのであります。それでは、悪くなるような要素がさらにあったのかということでございますが、やはり滋賀県の人口は増加の一途をたどっておりますし、そうしてまた、琵琶湖というのは生活雑排水による水質悪化という影響が大きゅうございますので、本当は人口がふえるとともに悪くなっていくのが当然だと思うのでございますが、それが小康状態にあるということは、やはり条例も一役を買っておると見て私はいいと思うのであります。
  204. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで、やはり具体的に政府が出している湖沼水質保全法案の評価をしていくためには、この琵琶湖富栄養化防止条例、さらには水質汚濁防止法、そうして、この湖沼法案、やはりどうしてもこの三つの関連と比較をしてみなければならないと思うのです。琵琶湖の水質に関するデータは、例えばCODをとってみても、小康状態とは言うけれども環境基準、つまり一ミリグラム・パー・リットルとはまた大きくかけ離れているわけですね。それから窒素、燐についても、南湖においては、その琵琶湖富栄養化防止条例自体が六十年を目標にしている水質には及んでいないわけなんですね。ところが、琵琶湖がやかましく言われるのは、何といってもこれが近畿千三百万住民のまさに命の水かめ、飲料水源になっている、ここにあるわけなのです。だとすると、この琵琶湖富栄養化防止条例が目標としている窒素、燐の数字が達成されたとしてもなお不十分なんじゃないかと我々は思っているのですが、環境庁側の認識はいかがでしょうか。
  205. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 滋賀県の目標値でございますが、北湖についてトータル燐で〇・〇一ppm、南湖について〇・〇一五ppm、それからトータル窒素で〇・二五ppm、南湖について〇・三ppmでございまして、いずれも国の定めました環境基準に比べても必ずしも高い目標とは言えないわけでございまして、これは具体的にとり得る施策とのバランスから現実的な道を選ばれたのだというふうに私ども考えているわけでございます。
  206. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いみじくも今言われたように、とり得る現実的な施策を選んだ、これが琵琶湖富栄養化防止条例の目標なんですよ。  そこで、上田長官は京都新聞のインタビューに応じていらっしゃいますね。その中で「びわ湖の場合、水道水として利用されているのだから、」N、Pの環境基準で「類型は少なくともⅠかⅡに当てはめることになる。この基準値を五カ年計画で達成させたい。」こうおっしゃっているわけなんですよ。類型Ⅱにしようということになりますと、現在のこの琵琶湖富栄養化防止条例でもなし得ない高い目標を、しかも五年以内でやらなければいかぬということになるでしょう。もっともっと琵琶湖条例だって高い目標を目指したかったのだけれども、いわゆる現実的な施策ということになると、現在の目標が精いっぱいで、それさえ南湖についてはまだ危ない状況でしょう。  さて、こういうときに、気安く新聞のインタビューに応じておっしゃったのじゃないと思いますが、少なくとも五年でⅡ類型にしようという限りは、何か決め手をお考えになっているからおっしゃったのだと思うです。ですから、どういう手段を念頭に置いてこういう御発言をされたのか、大臣に伺いたいのです。
  207. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  この類型Ⅱというものを、これはまだ決まっておりませんのではっきりは言えませんが、私自身の考え方だけで今ちょっと申し上げたいと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  類型Ⅱという考え方でやはり持っていかなければいけないのじゃなかろうかと私は思うのでございますが、そこで、利水のいろいろな目標が今琵琶湖にはございますので、それに合うようにしていかなければいけない。それに対して琵琶湖の汚濁をしております、あるいは富栄養化を起こしておりますやはり一番の原因といいますか、それは生活雑排水であると思うのでございます。生活雑排水の対策をやはり進めないといけませんので、その対策を進めるためには、これは下水道を大いに進めていただかなければならないと思うのでございます。しかしながら、その下水道については、やはり非常にお金がかかりますので、そう急に目標のものにまで持っていくということはやはり至難のことでございます。したがいまして、下水道をやる区域というものは限定されてくる。例えば、大津あたりであるとかあるいは彦根の周辺であるとか、そのほかの都市の周辺であるとかというようなところに限られてくるわけでございます。そのほかのところは一体どうなのか。滋賀県は人口がだんだんふえてきておりますし、そういう下水道がまだ計画ができないような地域も相当ある。そういうところに対して、それでは生活雑排水の中で何が一番原因かといいますと、これはし尿の問題でございます。したがって、そういう地域に対しましては、し尿処理考え計画していただかなくちゃいけない、こういうことで、そういう計画をしていただきたいと考えております。  それからまた、御家庭でお使いになりますいわゆる家庭用水、これに対しても、すぐに計画を立ててやらなければいかぬ。そのほかにまだ畜産関係とかあるいはまた魚のえさといいますか、そういうものが腐敗をするというようなこと、そういったようなことに対しての配慮をして計画を立てていただく、こういうようなことを総合して立てていって、そうして目標をⅡ類型に置いて進めていただく、こういうことを考えております。
  208. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは局長に伺いますけれども、今大臣がいろいろ言われましたが、じゃ、そういうことに対して、政府提案している湖沼水質保全法案は有効な手段を提供してくれるのですか。少なくとも五年以内に、琵琶湖条例では達成できないⅡ類型達成に決定的な意義を持ちますか。
  209. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 私どもは、そういうことをきちんとした計画の形で、物量的な裏づけと予算的な裏づけを持った整合的な計画という形でそれをまとめ上げる、そういうことができるかどうか、それを現実的な条件とのバランスで見ていく、こういうようなことになろうかと思います。
  210. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ですから、こうすればいいということはわかっておってもそれができないところが問題なんですね。そのできないところを新たに出してくる法案で解決できなければ、これは値打ちがないわけなんです。そこを大臣としてよく考えてひとつ行動も願いたいじ、発言も願いたいのです。我々だって五年以内にⅡ類型に持っていきたいですよ。だが、それをやるだけのお金もなければ手段も与えられていないわけですね。しかも、これから申し上げますが、湖沼法がこれに対しては極めて不十分だ。  湖沼法の特徴の一つは、特定施設を新増設する事業場に対して汚濁負荷量規制を行うことですね。水質汚濁防止法の濃度規制に加えて今回負荷量規制をすることとした理由は、一言で言えば何ですか。
  211. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 まず、これ以上悪化を進行させないことが大切である、かような観点から、新増設施設に限って濃度規制以上に負荷量規制を課することにしたわけでございます。
  212. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まさにこれ以上悪化させないためですからね。言うように、現状よりよくならないわけですよ、この一項目とってみても。本当に水質回復までいこうと思えば、当然のことながらいわゆる既設の事業場からの排水についても網はかぶってしかるべきだと思うのですよ。  湖沼法で言う汚濁負荷量規制なんですが、これはいろいろな似たような言葉があるので、ややこしいのではっきりさせておきたいのです。この湖沼法で言う汚濁負荷量規制は、水質汚濁防止法で総量規制の場合に適用される汚濁負荷量規制と同様と理解していいですか。
  213. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 具体的な規制やり方では若干考え方が違う点もあろうかと思いますが、基本的には同じであるというふうに御理解いただいて結構でございます。
  214. 瀬崎博義

    瀬崎委員 若干の違いというのはどういうところですか。
  215. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 排水量が大きくなりますと当然のことながら排出する汚濁負荷量はふえるような関係にあるわけでございますが、湖沼法におきましては、それを単純に比例させない、むしろできるだけ排水量の大きい特定事業場に対しては規制を厳しくするような規制内容を検討しておりますので、その点が若干水濁法の総量規制と違ってくることになろうかと思います。
  216. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、琵琶湖富栄養化防止条例では、これはN、Pについてではありますけれども、排水量のランクによって異なる濃度規制を適用する排水基準を設けているわけですね。つまり、量が多くなれば厳しい濃度基準が適用されるようになっている。これとは大変よく似ているわけですか。
  217. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖富栄養化防止条例の考え方というのは、いわば国の濃度規制考え方と負荷量規制の中間をとられたようなことになろうかと思います。具体的数字は、ちょっと詰めておりませんので的確なお答えはできませんが、考え方としてはそのようなことではないかと思います。
  218. 瀬崎博義

    瀬崎委員 だとすれば、先ほど言われた湖沼法の負荷量規制も、大体今の説明でいけば似たようなことになるんじゃないですか。
  219. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 若干、大きくなるに従って規制の仕方をどの程度厳しくしていくかということについてはもう少し技術的な詰めが要りますので、全く富栄養化防止条例と同じような結果になるということはちょっとここでは申し上げられません。
  220. 瀬崎博義

    瀬崎委員 同時に、今の話でいくと、結果的には、湖沼法案の場合ですと、濃度と排水量と両方で規制することになりますね。
  221. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 規制はあくまで負荷量でございますが、それを算定するのには、濃度掛ける数量ということでございます。
  222. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、そのうち実際に測定してチェックするのは、つまり濃度と掛け合わせる量と二つ要素がありますね、その二つとも測定してチェックするのですか。
  223. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 総量規制の場合と異なりまして、今回の湖沼法では、負荷量についての測定義務は、特に対象特定事業場が中小企業が多いというようなこともございまして、測定義務は課しておらないということでございます。
  224. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ということは、結局、守れるか守れぬかは全く企業側の自主的な態度いかん、こういうことになるわけですか。
  225. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 したがいまして、私どもとしては、計画時に濃度と排水量の計画数値が出てまいるわけでございます。その前提になる操業の状況というのもあるわけでございます。それが私ども都道府県知事が操業状況を見ておりまして、非常に操業が活発であるということであれば排水量も当然多くなることが予想されます、また濃度も濃くなることが予想されますので、それは立入検査なりあるいは報告聴取を求めるということでチェックしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  226. 瀬崎博義

    瀬崎委員 報告聴取のときには、つまり企業側には濃度と排水量と両方をきちっと測定させたものを報告させるのですか。
  227. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 少なくとも報告聴取命令をかけた場合には、企業としては測定の義務が出ることになるわけでございます。
  228. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、その義務の発生する前、いわゆる任意の報告聴取の段階はどうなんですか。
  229. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほど一般的には測定義務を課してないと申し上げたのはそのような意味でございます。
  230. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この点でも琵琶湖富栄養化防止条例よりは後退しているのですね。琵琶湖富栄養化防止条例の方は、濃度と排出量と両方について測定義務を課して報告をさせておるわけでしょう。  それから、湖沼法案には総量規制、第二十三条というのがあるわけなんですが、これはどういう場合に発動されるのですか。
  231. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 現在考えております、まず負荷量規制でございます。負荷量規制は、新増設工場だけに課せられる。総量規制をかけますと、やはり既存の工場、事業場に対しても負荷量規制がかかることになるわけでございます。その点が一番大きな違いになるわけでございます。したがって、そのような必要性があるかどうかということの判断の問題になるわけでございます。
  232. 瀬崎博義

    瀬崎委員 当面、必要性が起こるとすれば、どういう湖沼が。また、現実そういう必要性は近く来ると思っているのか、それとも余り来ないだろうと考えているのか、どちらですか。
  233. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 今後の水質保全計画策定に際しての一つの検討事項でございまして、目標をどの辺に置くか、それから将来の人口の伸び、事業活動の伸びをどの程度見込むか、それに対して規制がどのくらいきくか、下水道の整備等がどのくらい進むか、そういうことのバランスで総量規制の必要があるかどうかということを判断していくことになるわけでございます。
  234. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その総量規制の対象は何ですか。
  235. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 現在のところ、湖沼法ではCODを指標にして使ってまいりますので、現在のところではCODということになります。
  236. 瀬崎博義

    瀬崎委員 N、Pの環境基準の設定に対応して、水質汚濁防止法でも夏ごろには燐、窒素の排水基準を設けることになっていますね。それであるのに、湖沼法の汚濁負荷量規制の中に燐、窒素を入れないのは一体なぜか。
  237. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先般来御説明いたしておりますように、この湖沼法の一つの大きな利点は、水質保全計画に基づきまして各種公共事業の整備を進めていくことになるわけでございます。そうしますと、建設省、農水省等いずれも御協力いただくわけでございますが、例えば下水道を例にとれば、湖水の環境保全ももちろん大事でございますが、同様に市街化区域の整備も必要になるわけでございまして、そのようなことから、各省の所管いたします公共事業のうち湖水対策として割き得る限界があるわけでございます。そのために、おのずからこの湖沼指定は数字が限定されてくるわけでございます。一方、さらにこの湖沼法では、水濁法の規制を前提にしてその上乗せとして規制をやるという仕組みをとられているわけでございまして、かようなことから窒素、燐の規制は一般水濁法で富栄養化しやすい湖沼を広く取り上げたい、かように考えているわけでございます。
  238. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、言わんとするところは、水濁法で濃度規制をやって、それぞれ個別の湖沼に条例等があればそれが上乗せ規制をやってくれるんだ、そういうことなんですね。そうなりますと、琵琶湖富栄養化防止条例の場合は、既存の特定施設ももちろん規制の対象にしているわけです。しかも、先ほど言ったように、量規制的な排水規制を適用しているわけですね。かなり負荷量規制的な性格を持たせている。ところが、仮に湖沼法案にN、Pが将来取り入れられたとしても、湖沼法案の場合はまず新増設の事業場にしかこれは適用されてこない。それから、下水道処理施設は対象外になっている。かつ、先ほど言われたように、測定は義務化するものではない。したがって、N、Pについての排水規制湖沼法に取り込んだとしても、排水基準値が琵琶湖富栄養化防止条例と実質余り違わないものだとするならば、既に条例を持っている滋賀県などとしては事実上効果はない。つまり、湖沼法に取り込んだとしてもそういうことが言えるのです。こういうことについてのそちらのお考えが一つ。  しかし、それでもなお湖沼法に取り込んだ場合のメリットはあるのです。というのは、現在対象は中小企業が多いと先ほどおっしゃいましたね。滋賀県の場合はまさに条例によって七十三ですかの中小企業が特別にN、P除去施設を設置しなければならない。そのために減価償却費であるとかあるいは維持管理費などの負担が当然商品の原価にかかってくるわけですね。これはやはり滋賀県外の企業との競争上大変な負担になるわけです。願わくは同じレベルであってほしいわけですね。湖沼法に取り込まれるということは即全国ですべて実施されるということではないけれども、いわゆる琵琶湖条例型の規制全国に拡散していく一つの可能性を大きくすることは事実なんですね。また、そうなってくると、全国的だということになるならば政府は知らぬ顔をしているわけにいかない。やはりそういう環境を守るため、水質を守るための特別の中小企業の負担に対しては国が援助しなければならないという条件整備にもなってくるわけですね。そういう意味では湖沼法に早くN、Pを取り入れるべきだ、私はこう思うのですが、どうですか。
  239. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 もちろん関係企業に対する除害施設の設置等につきましては公害防止事業団あるいは中小企業関係の各種融資政策、こういうものを通産省の御協力もいただきながら集中的に整備することにしていきたいと思います。このことは特に湖沼法でN、Pが取り上げられると否とにかかわらずやっていく必要があるんではないか、かように判断しているわけでございます。
  240. 瀬崎博義

    瀬崎委員 融資は滋賀県の場合はほとんど無利子でやっておるわけでしょう。利子をつける場合でも二%ですよ。これは県の負担が大変なんです。それでも、利子負担はなくたってやはり減価償却の負担はかかってきます、維持管理の負担はかかってきますよ。だから、それだけではだめだということを言っているわけなんです。  時間がどんどんたちますので次に進みますが、そういう点で、事実上N、Pに関する限りはこの琵琶湖富栄養化防止条例が現在やはり最高レベルのものであって、今の湖沼法にN、Pが入ったところで、まあ結局同レベルかそれ以下のもの、こういうことをはっきり認識しておいてほしいわけです。  じゃ、そういう琵琶湖富栄養化防止条例実施のためにどれだけ滋賀県が苦労しているか。まず、県の財政負担です。これは昭和五十五年に実施されて五十九年度まで、予算ベースでありますが、富栄養化防止条例実施に係る経費、項目としては、条例施行に伴う啓発費、粉石けんに係る使用啓発費、し尿処理に係る窒素、燐除去施設の維持管理費、これは市町村がやるものですが、維持管理費は県が補助金を出しています、それから雑排水の処理対策、硬水地域の軟水化対策、農業集落排水対策、工場指導、貸付金、これは一般会計から滋賀県は出しています、それから農業排水対策、畜産環境保全対策、これが条例実施に係る経費です。五十五年度十九億六千万、五十六年度十九億六千万、五十七年度二十六億四千万、五十八年度二十四億五千万、五十九年度二十九億四千万、こういうペースになるのですよ。これを足しますと約百二十億ほどになっています。  このうち幾ら政府は補助していますか。
  241. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ただいま数字は持ち合わせておりませんけれども、この中には政府補助の対象になる施設、事業もございますが、反面補助の対象にならないものもかなりあることも事実でございます。まことに申しわけございませんが、現在数字を持ち合わせておりません。
  242. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、大体こういう富栄養化防止条例に倣って湖沼法をつくっているようなものなんですから、その審議をやるときに、重要な財政問題について、滋賀県が負担している財政のどれだけを国が援助しているか、調べておかなければいかぬ。今言った項目の中で国の補助がつくのは農業集落排水対策、農業排水対策、それから畜産環境保全対策だけなんです。これに約三分の一つくわけです。全トータルで見れば国の補助はこの一割にも満たないのですよ。まさに県独自の負担でやっている。こういう現状です。県民の方は、やはり粉石けんに切りかえていろいろ苦労しているわけでしょう。今は県の負担だけ申し上げたのですが、このほかに市町村も条例実施で、し尿処理施設のN、P除去施設の改良をしなければいかぬようになった。その総事業費が六十六億八千四百万です。これはそのうち国庫補助が十六億二千万ついていますが、差し引いたって五十億は市町村負担です。だから、気安く条例実施と言うけれども、これをやっていく上での財政負担や県民の努力は大変なものなんですよ。これは大臣よくよく認識していただきたいのです。  同じく京都新聞の先ほどのインタビューの最後のところで、上田長官はこう答えていらっしゃいますね。財政の問題について、「財政援助の問題については、要望いただいたのが遅く、」とんでもないですよ。私どもは随分前からこれを言っていますよ。「しかも国の財政はひっ迫しており、大変難しい状態にあることを理解してほしい。」これは無責任だ。だから、まず、現在滋賀県が負っている大きな財政負担そのものを大臣は御認識なさっているかどうか、御認識なさっているとすれば、今は間に合わなかったかもしらぬが、近い機会に、湖沼法を出す限りは国の財政援助義務を入れる、この努力は執念を燃やしてやってもらう必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  243. 上田稔

    ○上田国務大臣 先生のお言葉を返すようでございますけれども、今最後に言われました滋賀県からの申し出が遅くというのは湖沼会議の話、問題でございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。一般の今の公共事業についてそういうことを申したのではございません。  今まで琵琶湖の周辺の、例えば一番問題になります下水道にいたしましても、二〇%かそこそこのものしかまだでき上がっておりませんので、これを急がなければならぬということはよく認識をいたしております。しかし、今まで下水道というのは国の方でも、水が三尺流れれば清水になるというような考え方も日本人にあったものでございますから、そういうことから予算総額が非常に低うございます。今それを大いにふやすべく建設省の方でも頑張っていただいておりますけれども、何分列車で言いますと鈍行で走っておるようなものでございまして、これを特急にかえなくちゃいけないということでございますが、なかなかすぐには特急にいけないということで、今急行を目して頑張るというところでございます。懸命に頑張ります。
  244. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ここで五年以内に琵琶湖をⅡ類型にと言いながら、片っ方で鈍行論では話が一致せぬと思うのです。  次に、琵琶湖総合開発特別措置法と湖沼法の関係なんですが、既に琵琶湖については琵琶湖総合開発特別措置法に基づく総合開発事業が発足しているわけです。政府は一貫して、この事業については利水、治水事業とともに保全事業も入っているのだ、これは国土庁や建設省が言ってきたわけです。五十六年五月に私が質問主意書を出したのですが、これに対する政府答弁でもこう言っています。「琵琶湖総合開発計画は、琵琶湖の同然環境保全と汚濁した水質の回復を図りつつ、その水資源の利用と関係住民の福祉とをあわせ増進するため策定されるものでありこと明記しているわけです。  このように琵琶湖総合開発計画で琵琶湖の水質や環境が完全に守られるものであるならば、そもそも湖沼法は要らなかったはずだと私は思うのです。逆に、琵琶湖に湖沼法が必要だというならば、琵琶湖総合開発特別措置法が琵琶湖の水質環境保全の上では必ずしも万全ではないことを裏書きしたものだと言わざるを得ぬと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  245. 立石眞

    ○立石説明員 琵琶湖総合開発計画は、先生御指摘のとおりに、琵琶湖の自然環境保全と水質の回復を図ることをその主な目的の一つとしていもわけでございます。御承知のとおりに、五十七年八月に計画を改定したわけでございますが、そのうちにおきまして、下水道及びし尿処理における高度処理の導入を行うこと、あるいはまた畜産環境整備施設等水質関連の四事業を追加すること等を行いまして水質の保全、回復対策を強化するという改正を行っているわけでございます。このようなことで水質保全を進めておるわけでございますので、これによりましてもかなりの程度、水質の保全あるいは汚濁した水質の回復が図られるものと考えているわけでございます。(瀬崎委員「それじゃ湖沼法は要らぬのか、要らぬということになりそうやないか」と呼ぶ)湖沼法の問題につきましては、私の方から特に申し上げるわけにいかないと思っております。
  246. 上田稔

    ○上田国務大臣 先生の見方は両方から見た考え方で御理解をいただきたいと思うのですが、琵琶湖総合開発計画というのは琵琶湖の総合開発ということを考えての計画でございます。この湖沼法におきます琵琶湖の水質あるいは富栄養化の防止といったようなことは、環境の面から見てどういうことをしたらいいかということでございまして、水がきれいになるということにおいては一致するわけでございますけれども、その途中におきましては、何といいますか、少しずれておると言った方がいいかもしれませんが、そういう点がございます。特に総合開発でいきますと、水質そのものだけを取り上げて、それを水質の面から見てこういうことを何年に、こういうことを何年にというようなことはなくて、総合開発全体から見てこれは何年、これは何年というふうにお考えになっている。したがいまして、水質の面においてはないようなものもたくさんあるということでございます。
  247. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ずれがあるということをおっしゃった。それから、総合開発の方にないようなものが水質保全計画の方に出てくるだろうとおっしゃった。当然そうでなきゃうそなんです、既に琵琶湖総合開発計画は先発している、法律によって決まっているのだから。したがって、これからつくられる保全計画はすべて開発計画を損なわない、そちらをいじくらなくてよいということになるなら、率直に言ってこんなものをつくる意味がないわけです。  そこで、具体的に聞くのですが、もう時間がないので私の方から一方的に申し上げますが、琵琶湖が指定湖沼になって水質保全計画が策定されるようになった場合、まず琵琶総計画に基づく大幅におくれている下水道計画は変わるのか変わらぬのか。これのおくれの原因は、一つは、国の予算とも関係して下水道予算全体が縮小されていること、それから、市町村財政の悪化からせっかく流域下水道をどんどんやってしまっても公共下水道がなかなか進まないこと、もう一つは、数字を挙げれば非常にはっきりするのですが、滋賀県の下水道料金がべらぼうに高いこと。東京近辺なんかと比べますと三倍から四倍なんです。だから、住民がもう拒否反応を起こしているわけです。こういうことが問題なんです。ですから、当然この湖沼法ができたらこれは見直して、流域下水道の規模縮小とか、それにかわって農村下水道の思い切った拡大とか他の適切な下水道方式の導入あるいは補助率の引き上げ、補助対象範囲の拡大、こういうものを総合的にやらなければ総合開発計画でつくられている下水道はちっとも変わりません。そういうことがこの湖沼法に基づく保全計画に出てくるのかどうか。  それから、問題の湖岸堤、湖中堤がありますが、これは湖沼法ができたら変わるのか変わらぬのか。南湖瀬田側の大規模なしゅんせつを控えていますが、これは変わるのか変わらぬのか。浜大津港の整備が残っていますが、これは変わるのか変わらぬのか。大津なぎさ公園計画というのがあります。これは三十七ヘクタールの埋め立てを伴うのですが、湖沼法ができたら一体どうなるのか。  時間がないので、あとまだ問題があるので、一つ一つ答えていただきたいとは思いません。それで、こういう問題に対して当然影響を与えるような保全計画になるのかどうか、この点をお答えいただきたい。
  248. 上田稔

    ○上田国務大臣 滋賀県の琵琶湖に対する今の湖沼法の計画、これはまだ出てきておりませんのでそれについて申し上げることができませんけれども、今先生は下水の問題をお取り上げになりましたので、ちょっと申し上げたいと存じます。  下水道は、滋賀県でお立てになっている琵琶湖総合開発計画においては二十年間、今もう大分たちましたから十年間と、二十年間と目標に置いておりますが、そういうときに、ここまでやりますという区域全体を決めてそれに向かって進んでおるというのが下水の今の総合開発計画計画であると私は思うのでございます。こちらのものは五年間というものをまず目標に置いて、そうして琵琶湖全体の水質がよくなるために、下水道をこの程度にやり、し尿処理は、この地域のし尿処理を、これをやりましょう、これをやりましょうと急ぐものを決めて、そしてやっていく。それから、生活雑排水に対してはこういうふうな予算でひとつやっていきましょう、こういうふうにして決めていくものでございます。  それからもう一つ、先生が言われました下水道の使用料が高い、こういうお話でございますが、流域下水道、これは県がおやりになるものでございますので、その方は下水道の使用料に入ってこないのではないかと私は考えております。
  249. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、そういう認識不足を言ってもらったら困るので、一次処理、二次処理は全部住民負担、市町村負担にかかってくるんですよ。三次処理については県と市町村と住民の負担というふうに分かれてくるわけですね。そのぐらいはちょっと知っておいてくださいよ。  全体について、何か大臣の話も、結果的には琵琶湖のように開発計画が、あるいは開発事業が先発しているときに、今おっしゃった事業は全部開発事業の中に入っておるわけですよ。だから、今度は湖沼法ができて保全計画をつくるときに、新たな手段を講ずることによって促進されるとか、今言ったように、全体の琵琶湖総合開発計画の流域下水道が余りにも大き過ぎるから、これは縮小して、そして他の方法による小規模下水道でカバーするとか、こういうことになるならこれは意味がある。そうなるのかならないのか。いろいろな計画が、今一例を挙げたけれども、あるでしょう。こういうものに影響が及ぶのか及ばないのか、この一般論についてのみ、イエスかノーかで答えてくださいよ。局長、どうです。
  250. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 イエスかノーかというわけにもまいりませんが、私どもは、湖沼の水質保全の見地から滋賀県が計画を立てられてくることを期待しております。その立てられた計画につきましてこちらが同意を与えるに際しては、国土庁、建設省に協議をいたすわけでございますが、そこで調整が行われることになろう、かように考えているわけでございます。
  251. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その琵琶湖総合開発の中に大きなウエートを占めているのが補償事業なんですね。これも水質に関係があるのもあるのですけれども、時間がなくなっているので、それはちょっとまた次の機会において、これは公団または建設省に聞くことなんですが、三月二十三日の建設委員会の方で琵琶湖汽船やあるいは西武グループの近江鉄道関係会社に過大な補償が出ているということを指摘しましたね、三月二十三日の建設委員会です。そのときに、いわゆる京阪資本系列の琵琶湖汽船に対して、八隻の老朽船に、水位が下がったときに喫水の深い船は底がつかえて動かぬようになるからということで二十六億四千百六十六万円の補償を出していることがわかった。  このときに、この八隻の船はいつごろできた船だと聞いたら、おおむね昭和三十年代に進水した船が多いと大嶋理事が答えているんですよ。ところが、その後調べたら、二億五千万円を補償した日吉丸七十六トンは大正九年四月の進水、二億六千万円を補償した平安丸九十四トンは大正十五年の進水、二億七千万円を補償したいぶき丸は大正十五年の進水、いずれも私の生まれる前の船ですよ。そんなものに二億以上の金が出ている。また、確かに昭和三十年代進水の船はありますよ。一億三千万円を補償したきんし丸三十三トン、はしけみたいなものだな、それから一億五千万円を補償した金秋丸、それから二億二千万円を補償した勢多丸、二億三千万円を補償したみやこ丸、この四隻は確かに三十年代の船だけれども、全部木造船。  こういうことを全部伏せて、全体がいかにも新しい船だ、高く補償しなければいかぬように見せかける、これは不届き至極な答弁ですよ。この場で間違いだったということをはっきり訂正しておいてほしい。
  252. 大嶋孝

    ○大嶋参考人 先日は大まかなところで申し上げましたわけでございまして、一隻一隻について申し上げますと、今先生の御指摘のようなことであろうと思います。
  253. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで、こういう琵琶湖汽船に対する補償対象なんですが、これは現に運航中の船舶のうち、喫水深が一・二五メートル以上で、かつ浅水深域、浅いところの運航を主とするもの十八隻を対象に、喫水深を一メートルに改造することによって生ずる費用負担、これについて行う、こういうことでしたね。  この補償対象船の基準は喫水深一・二五メートル以上の船とした根拠は何ですか。
  254. 大嶋孝

    ○大嶋参考人 これは南湖の有効航路の水深が平均で約四・一メートルございます。それで、二メートル水位が低下いたしますと、四・一メートルから二メートル引きますと二・一メートル、そこで旅客船は大体水深の半分の喫水線を保つということになっておるのでございまして、そういたしますと大体一・〇五メートル、約一メートルということになるわけでございます。そこで、具体の船になりますと、当時ございました船が大体一・二五メートルが一番浅いということで、それ以上を対象にした、こういうことでございます。
  255. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いよいよ時間が来てしまっていますので、非常に残念なんです。それは先ほどの、保全計画がつくられたときに総合開発計画の方が変わるんだという問題の中にこれも入ってくるんですよ。というのは、下流の水需要の予測が全然狂っちゃっている。五十六年に私が国会で質問したときに、建設省は五十三年のデータを挙げて、五十三年時点では下流の水需要はうんと減っているけれども、またこれは六十五年だったかな、もとへ戻るんだという話をしておった。ところが、五十八年時点の下流の水需要を見た場合に、依然として減りっ放しなんです。ちっともふえていない。そうなってくると、そもそも水位を一・五メートルとか二メートルも下げて環境悪化を招きながら下流に水を送ることに意義があるのかどうかという問題も出てくる。こういうこともやはり湖沼法ができた機会に大きく見直さなければならない一つのポイントだということを強調しておきたい。  そうすると、公団や建設省にも聞いてほしいんだけれども、今早々とこの船に補償を出す必要があるのかどうか。もうちょっと様子を見てからでも遅くはなかったと言えるのではないか。現に水道事業の補償なんか全部ほったらかしでしょう。大企業の方は早々と大きな補償を出しちゃって、直接住民にかかわる水道事業の補償なんてみんな後に残しておるわけでしょう。これは全くけしからぬ。  そういうことを指摘しておいた上で、最後に、今の基準、つまり喫水深一・二五メートル以上の船を補償対象にするという根拠を挙げられた。そうだとすれば、大津市が消防艇「おおつ」を持っているのですよ。これは三十五・六三トンの船で、喫水深が一・四メートル。それから、滋賀県庁が「みずすまし」という水質観測船を持っているのですよ。これは衛生環境センターの所属です。これは三十四・七六トンで、喫水深一・九メートル。当然のことながら、こういう船も補償の対象になるはずだと思うが、どうか。一・二五メートルの船で底がつかえて走れぬということなら、当然のことながらこういう船も走れないはずです。まだしも琵琶湖汽船は航路とおりに動くけれども、消防艇とか水質観測船はどこへ行くかわからないわけですね。どうでしょう。
  256. 大嶋孝

    ○大嶋参考人 原則は御指摘のとおりだと思いますが、私、今それを実は初めて聞きましたので、よく調べてみます。
  257. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ調べてみて、私が言ったように喫水深が一・九メートルか一・四メートルであるならば、当然これは補償対象にしますね。それで終わります。
  258. 大嶋孝

    ○大嶋参考人 よく実情を調査いたします。また、今のが大津市の所有している船ということでございましたので、大津市とも……(瀬崎委員「滋賀県も」と呼ぶ)滋賀県とも話をしてみます。
  259. 瀬崎博義

    瀬崎委員 非常に不明確です。要は、もし調べた結果、消防艇、大津の「おおつ号」、この喫水深が言ったように一・四メートルだった、また「みずすまし」の方は喫水深が一・九メートルだった、こういうときには、喫水深一メートルの船につくりかえておかなかったら、あなた方の仮定からいくならば、危ないでしょう。危険でしょう。だから、そういう事実が確認できたら補償の対象にしますね。絶対ここですると答えると言っているのじゃないのですよ。まず事実を調べられて、調べた結果、私の言つたとおりであるならば、補償対象にしますね。はっきり答えてください。そうでないと終われないよ。
  260. 大嶋孝

    ○大嶋参考人 よく調べました上で十分検討してまいりたいと思います。
  261. 瀬崎博義

    瀬崎委員 終わります。
  262. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十分散会      ――――◇―――――