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1984-05-08 第101回国会 衆議院 環境委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和五十九年五月八日(火曜日) 午前十時三十三分
開議
出席委員
委員長
竹内
黎一君
理事
國場
幸昌
君
理事
戸塚 進也君
理事
畑 英次郎君
理事
福島 譲二君
理事
岩垂寿喜男
君
理事
中村
茂君
川事
春田 重昭君 榎本 和平君 林 義郎君 金子 みつ君
馬場
昇君 斉藤 節君
薮仲
義彦君 近藤 豊君 藤田 スミ君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
環境庁長官
)
上田
稔君
出席政府委員
環境庁長官官房
長 加藤
陸美
君
環境庁長官官房
審議官
大塩 敏樹君
環境庁水質保全
局長 佐竹 五六君
委員外
の
出席者
議 員
馬場
昇君 議 員
中村
茂君
環境委員会調査
室長 綿貫 敏行君
—————————————
委員
の異動 五月八日
辞任
補欠選任
中村正三郎
君 田澤 吉郎君
山本
政弘
君
馬場
昇君 同日
辞任
補欠選任
馬場
昇君
山本
政弘
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
水俣病問題総合調査法案
(
馬場昇
君外二名提 出、
衆法
第一九号)
環境影響事前評価
による
開発事業
の
規制
に関す る
法律案
(
岩垂寿喜男
君外二名
提出
、
衆法
第二 〇号)
湖沼水質保全特別措置法案
(
内閣提出
第四八号 ) ————◇—————
竹内黎一
1
○
竹内委員長
これより
会議
を開きます。
馬場昇
君外二名
提出
の
水俣病問題総合調査法案
、
岩垂寿喜男
君外二名
提出
の
環境影響事前評価
による
開発事業
の
規制
に関する
法律案
及び
内閣提出
の
湖沼水質保全特別措置法案
の三案を
議題
といたします。
提出番
及び
政府
より順次趣旨の
説明
を聴取いたします。
馬場昇
君。
—————————————
水俣病問題総合調査法案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
馬場昇
2
○
馬場
議員
私は、
提案者
を代表いたしまして、
水俣病問題総合調査法案
につきまして、その
提案理由
及び主要な
内容
について御
説明
申し上げます。
水俣病
は、
世界最大
の
水汚染公害
であり、その
被害
は、
原爆被害
に匹敵する
人類
の経験した最も悲惨な
被害
であると言われています。
水俣病
問題について、その広さ、深さを正しく総合的に把握し、その
対策
を樹立することは、
被害者
に対する
救済対策
の完全を期するだけでなく、
人類
の未来に対する今日の
行政
の責務であります。 今日までの
水俣病
問題に対する
行政
の対応は、不十分であったばかりでなく、不
作為
があったと言っても言い過ぎではないのであります。また、
行政
の
想像力
の追いつかない
事態
があったため、有効な手を打つことができなかった点も多くあるのであります。 そのため、
水俣病
の事実判明後二十年以上を経過した今日において、言語に絶する
水俣病
の
医学的病像
さえも今なお未解明であり、
被害
の全体像及びこれが及ぼした
影響等
について
実態
が明らかではありません。
水俣病
…題は、いまだ混迷の状態にあるのであります。
水俣病
の前に
水俣病
はなかったのであり、
水俣病
の後に
水俣病
があってはならないのであります。
水俣病
問題は、総合的な
実態把握
なしには完全な
対策
は樹立されません。
水俣病問題解決
の遅滞をなくし、不
作為
を解消し、
住民
の健康が守られ、
環境
が
改善
され、豊かな
社会生活
が営まれるための完全な
水俣病対策
が樹立てきるための
基礎
となる
総合調査
を行うことがこの
法律案
を
提出
する
理由
であります。 次に、この
法律案
の主要な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一に、この
法律
の
目的
は、
水俣病
の
健康被害
及び
環境破壊等
の医学的、
生物学的調査
はもちろんのことでありますが、さらに、
水俣病
が及ぼした社会学的、経済学的、政治学的、
教育学的等
の各分野への
影響
とその
実態
を総合的に
調査
を行い、その全体像を明らかにしようとするものであります。 第二に、
調査
の
目的
を達成するために、
政府
は
総合調査計画
を定めることとしていますが、
水俣病
問題は
住民
特に
被害者
の心に立った
調査
及び
対策
でなければなりませんので、
総理大臣
は、
住民
特に
被害者代表
を含む
水俣病問題総合調査審議会
の
意見
を聞かなければならないこととし、
住民
の
意見
が十分反映された
総合調査計画
としなければならないこととします。 第三に、
調査実施
は
関係県
が行うことにしていますが、
関係県知事
は、国の
総合調査計画
に基づき、
実施計画
を
策定
することにしています。
実施計画
を定めるに当たっては、国が
調査計画策定
に当たって行った精神で行うことは当然ですが、
住民
の意向を反映させるために、特に
調査
に当たっては
関係住民
に
説明
し、
理解
を得るようにしています。 第四に、
調査
のため、
工場
、
事業場等
に立入検査ができるようにしています。 第五に、
総理大臣
は、毎年、
知事
の
報告
に基づく
実施状況
を国会に
報告
し、
国民
の
理解
を求めるとともに批判を受けなければならないこととします。 第六に、
調査
に要する経費は、
全額国
の
負担
としています。 第七に、
水俣病問題総合調査審議会委員
は、
被害者
を中心とする
住民代表
、
関係自治体代表
及び
学識経験者
の三
者構成
に
関係行政機関
の職員を加えて構成することにしています。
委員
の
選任
は民主的に行うことは当然であります。 第八に、この
法律
は五年間の
時限立法
でありますが、十分な
調査
が終わらない場合は、
法改正
で延長が議論されるのは当然であります。 以上が、本案の
提案理由
及び主要な
内容
であります。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
竹内黎一
3
○
竹内委員長
次に、
中村茂
君。
—————————————
環境影響事前評価
による
開発事業
の
規制
に関する
法律案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
中村茂
4
○
中村
(茂)
議員
ただいま
議題
となりました
環境影響事前評価
による
開発事業
の
規制
に関する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
及びその
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 我々
人間
は、自然の
生態系
の一部であり、
自然環境
との
調和
なくして
生存
できないのであります。この厳然たる自然の法則に逆らい、目先の繁栄と便利さを追うならば、いずれは手痛い報復を受けること必定であります。 ところが、
我が国
におきましては、
人間
の
生存
と
自然環境
との
調和
を忘れて、自然の
浄化能力
を無視した
高度経済成長政策
の遂行を急いだため、不可避的な自然の
破壊
と
汚染
が進行し、日本は
世界
に類を見ない「
公害実験国
」と言われているのであります。今日の
公害
、
環境破壊
をこのまま放置し、これまでのように無分別な
開発行為
が
実施
されるならば、
我が国
のような狭隘な
国土
という
環境
上の
制約
のもとでは、
人間
の
生存
の
基盤
が危機にさらされ、現在及び将来の
国民
がこの
国土
に生き残ることすら困難な
事態
に立ち至るのは、時間の問題と言えるのであります。
胎児性水俣病
の例は、まさに厳しい警告と言えるのであります。一たび進行し始めた
環境破壊
は、とどまることなく進行し、一たび失われた自然や健康は、今日の
人間
の英知をもってしても、回復することが極めて困難であることは事実が証明しているのであります。 かくて、限られた
国土
の中で、後代の
国民
の
生存
をもかけ、
開発事業
を
規制
していくためには、どうしても
開発事業
の
実施
前に、自然的、社会的諸
条件
の分析や、
事業実施過程
における
環境
への
影響予測
、
事業完成
後の
施設
の操業や
交通事情
の変化、
人口
の移動など、将来における
環境
への
影響予測
などを、
計画段階
で多角的、科学的に判断し、
環境
への
悪影響
が生ずるおそれがないもののみを許すという
方途
を講ずることが必要になるのであります。 他方、
開発行政
は、本来、
国民
や
住民
の
利益
のためになされるべきものであり、その
大方
の
合意
なくして行われることは許すべからざるものであります。しかるに、従来の
開発行政
は、
行政庁
が勝手に判断したものを「
公共性
」の名のもとに無理やり
国民
や
住民
に押しつけるというやり口がまかり通り、
開発
こそは善であり、これに逆らうことは悪であると強弁してきたのでありますが、その実は、
国民
や
住民
の
利益
など眼中になく、時には人の
生命
、健康すら犠牲にして、終局的には
開発利益
を受ける
企業
の立場のみを代弁してきたというのが
行政庁
の
開発行政
の
実態
に対する
評価
であります。また、たまたま、
環境アセスメント
を行ったとしましても、
国民
や
住民
の目の届かないところで形ばかりの
調査
を行い、お
ざなりの評価
をしたため、
実施
後、日ならずして大きな
環境汚染
が
発生
し、
農漁民
の
生活
や
住民
の健康を脅かしておりますし、時には、いわゆる沼津・
三島コンビナート
の例にも見られますように、
政府
の権威ある
科学者
を動員して行われた
調査
結果が、
高等学校
の一教師による地道な
調査
でひっくり返ったという実績もありまして、
国民
の
行政不信
は抜きがたいものとなっているのが実情であります。 これに加えまして、
水俣病
の例に見られましたように、
企業
は
有機水銀中毒
の
発生
を
実験
で知りながら、これを長期にわたって放置しただけでなく、
実験
結果をも秘密にして自己の責任を否定し続け、ついに大量の
生命
を失わしめ、今日なお
被害
の
発生
が引き続き、広範囲にわたる
関係住民
の
生活
と健康を不安に陥れているというようなことから、
国民
の
企業
に対する
不信感
もまた根強いものがあるのであります。 このような
行政不信
、
企業不信
のもとでは、
国民
、
住民
の
大方
の
合意
をとりつけつつ、本当の「
公共性
」を持った
開発事業
のみを進めていくことが必要なのであります。そして、このためには、
開発事業
の
事前評価
に当たりまして、できる限り、
国民
、
住民
が参加できる
方途
を開き、これによって
国民
、
住民
の
大方
の
合意
と、真の「
公共性
」の実現とを期さなければならないのであります。 本
法案
は、以上のような観点に立ちまして、
開発事業
の
実施
に先立って、これに伴う
環境
の
汚染
と
破壊
を未然に防止するため、
国民
、
住民
をできる限り参加させつつ、また、公開の場で論議をさせつつ、多角的、科学的に
環境
に対する
影響
を
評価
する
手続
を
整備
し、その結果に基づいて
開発事業
の
実施
を
規制
し、現在及び将来の
国民
の
生存
と快適な
生活
を
確保
しようとするものであります。 以下、本
法案
の
概要
につきまして、御
説明
申し上げます。 まず第一に、この
法律案
におきまして行おうとする「
環境影響事前評価
」とは、
開発事業
の
実施
前における
関係地域
の自然的、社会的諸
条件
の
調査
、その
開発事業
の
実施
によって生ずる
環境
に対する
影響
の
予測
、その
開発事業
の
実施
によって完成した
施設
若しくは
土地
及びその
土地
に設けられると予定されている
施設
の
利用等
によって将来生ずる
環境
に対する
影響
の
予測
、その
環境
に対する
悪影響
の
防止策
の効果についての
予測等
に基づいて、
開発事業
の
実施
前に、その
開発事業
の
事業計画
及びその
代替案
を多角的に検討して、
評価
することをいうものといたしておりまして、これを経て、
開発事業
の
実施
の
認可
、不
認可
が決定されるわけであります。 第二に、この
法律案
におきまして、
適用対象
とされる「
開発事業
」とは、
工業用地
の
造成
、
土地区画整理事業
、新
住宅市街地開発事業
、
市街地
再
開発事業
、新
都市基盤整備事業
、
住宅街
区
整備事業
、
流通業務団地造成事業
、
公有水面
の埋め立てまたは干拓、
飛行場
の
設置
またはその
施設
の
変更
、鉄道、軌道または索道の
建設
またはこれらの
施設
の
変更
、道路または
自動車道
の
新設
または
改築
、林道の開設または
改良
、
廃棄物処理施設
の
設置
またはその
施設
の
変更
、
下水道
の
設置
または
改築
、
電気工作物
の
設置
または
変更
、
ガス工作物
の
設置
または
変更
、
原子炉施設
の
設置
または
変更
、
熱供給施設
の
設置
または
変更
、
石油精製設備
の
新設
、
増設
または改造、
石油パイプライン
の
設置
または
変更
、
ゴルフコース等
の
建設
、
河川工事
、
港湾工事
、
海岸保全施設
の
新設
または
改良
、鉱物の試掘または採掘(これには、附属する選鉱または製錬を含みます。)、岩石の採取のほか、
環境
に
悪影響
を及ぼすおそれのある
事業
で
中央環境保全委員会規則
(以下では、
中央委員会規則
と略称いたします。)で定めるものをいうものといたしておりまして、これらの
実施
について
環境影響事前評価
を行うのであります。 第三に、本
法案
に基づく
規制
の
実施機構
でありますが、まず、国には、別に
法律
で定めるところにより、
内閣総理大臣
の所轄のもとに両
議院
の
同意
を得て任命される
委員
七人から成る
中央環境保全委員会
(これは以下では、
中央委員会
と略称いたします。)を
設置
し、さらにその
機関
として、
科学者等
の
学識経験者
の中から両
議院
の
同意
を得て任命される五十人の
審査員
から成る
中央環境影響審査会
(以下では、
中央審査会
と略称いたします。)を
設置
することといたしております。 また、
都道府県
には、国と同様に、それぞれ議会の
同意
を得て、
委員
五人から成る
地方環境保全委員会
(これは以下では、
地方委員会
と略称いたします。)と
審査員
三十人から成る
地方環境影響審査会
(以下では、
地方審査会
と略称いたします。)とを
設置
することといたしております。 この
中央委員会
または
地方委員会
が、
中央審査会
または
地方審査会
による
環境影響事前評価
の結果に基づく
意見
を踏まえて、
開発事業
の
実施
の
認可
、不
認可
を決定するわけであります。 なお、
中央
と
地方
の
事務分担
は、
環境
に対する
影響
が二
都道府県
以上にまたがる場合や、
飛行場
、
原子炉
の
設置
、
変更等
や、五十ヘクタール以上の
工業用地
の
造成
のほか、
環境
に著しい
影響
があるとして
中央委員会規則
で
指定
した
開発事業
については
中央
が所管し、その他の
開発事業
については
地方
が所管することといたしておりますが、
地方
はみずから所管する事案を
中央
に移送する
方途
も講じております。 第四に、
開発事業
を
実施
しようとする
事業者
は、その
事業計画
またはその
代替案
について
中央委員会
または
地方委員会
(以下、
委員会
と略称いたします。)の
認可
を受けなければならないものといたしております。 第五に、
委員会
によって
認可
または不
認可
の
処分
がなされるまでの
手続
の
概要
を述べますと、
手続
は、大きく分けまして、
環境影響事前評価
のための
調査計画
の
承認
の
手続
と、その
調査計画
に基づいて
事業者
が行った
調査
結果による
環境影響事前評価
と、
開発事業
の
実施
についての
認可
のための
手続
という三つの
段階
に分かれます。 まず、
開発事業
を
実施
しようとする
事業者
は、その
環境影響事前評価
を行うのに必要な
資料収集
のための
調査計画
について、
委員会
の
承認
を受けなければなりません。
事業者
は、
調査事項
、
調査方法
、
調査期間等
について
計画
を作成し、
委員会
に
承認
の
申請
をし、
委員会
はこれを
審査会
に
送付
します。この
送付
を受けた
審査会
は、これを公告し、
公衆
の
縦覧
に供した上、
説明会
を開催します。この
説明会
で
事業者
が
事業計画
や
調査計画
の
説明
を行います。その
説明
を聞いた上で、
関係住民
や
環境保全
を
目的
とする
団体
など、
開発事業
の
実施等
に関し、
環境保全
上の
意見
を有する者(これらを「
関係住民等
」と略称いたします。)は、
審査会
に
意見書
を
提出
することができます。
審査会
は、これらを踏まえて、
公聴会
を開き、
関係住民等
の
意見
を聞かなければなりません。この
公聴会
は、
意見
を述べようとする
関係住民等
には必ず
意見陳述
の機会を与えるとともに、
陳述
時間等について不当な
制約
をしてはならないことといたしております。
公聴会
がすべて終わった
段階
で、
審査会
は
調査計画
の可否について
意見
を決定し、これに基づいて
委員会
が
承認
をすることになります。 次に、
事業者
は、この
承認
を受けた
調査計画
に基づいて
調査
を
実施
し、その結果に基づいて
環境影響事前評価
を行い、これを
環境影響事前評価報告書
に作成することになります。これで、初めて、
開発事業
の
実施
について
認可
の
申請
ができることになります。なお、この
事業者
の行う
調査
には、
関係住民等
の立ち合いも認められております。
認可
の
申請
を受けた
委員会
はこれを
審査会
に
送付
し、
審査会
は、これを公告し、
公衆
の
縦覧
に供した上、
審査
の
手続
を開始することになります。
審査
の
手続
は、期日に、公開して行われ、
関係住民等
の
代表者
もこれに出席して、
意見陳述
、質問、
物件提出
をすることができることになっております。また、
審査会
は、この
審査手続
の
中途
で
公聴会
を開き、
関係住民等
の
意見
を聞かなければならないことになっております。この場合においても、
関係住民等
の
意見陳述権
は保護されることになっております。 以上の
手続
を経た上で、
審査会
は、
審査
の
手続
を終了し、
事業者
の
事業計画
またはその
代替案
について、
環境影響事前評価報告書
の記載、みずから行った
調査
の結果、
審査手続
中に明らかになった事実と
意見
及び
公聴会
における
意見
を
基礎
として、みずから
環境影響事前評価
を行い、
認可
すべきかどうかの
意見
を決定し、これを
委員会
に文書で
送付
することになります。なお、
事業者
は、
審査
の
手続
の
中途
で、
事業計画
の
変更
を申し出ることも認められております。
審査会
の
意見書
の
送付
を受けた
委員会
は、その
意見
に基づいて、
認可
、不
認可
の
処分
をすることになりますが、良好な
環境
の
確保
上
支障
が生ずるおそれがあると判断したときは、
認可
をすることはできないことになっております。
委員会
は、
認可
の
処分
をするときは、
条件
を付することができることになっておりますが、この
条件
につきましては、
関係市町村
の
住民
は希望する
条件案
を
住民投票
に付することができることになっており、
委員会
は、この
住民投票
の結果を配慮して
条件
を付するわけであります。 なお、ここに述べました
調査計画承認
の
手続
及び
認可
のための
手続
に要する費用は、すべて
事業者
の
負担
とし、その細目は、別に
法律
で定めることといたしております。 第六に、以上のような
手続
を経て、
認可
を受けた後、
実施
の
段階
で
事業者
が
事業計画
を
変更
しようとする場合には、第五で述べましたのと同じ
手続
を経て、
事業計画
の
変更
についての
認可
を受けなければならないことといたしております。 第七に、第五及び第六で述べました
手続
は、いわゆる
適正手続
、デュー・プロセス・オブ・ロウの要請にこたえるためには必要不可欠のものでありまして、本来は、
法律
に詳細な
規定
を設けなくとも、そのように実行されなければならないのでありますが、
我が国
におきましては、
行政
も
企業
も、
法律
で書かない限りは、できるだけ面倒なことを避けようとする風潮が顕著でありまして、この弊害を除去するためには、やむを得ないことと判断したわけであります。したがいまして、このような
手続
に
手続違背
がありました場合には、それを
理由
として、すべての
手続
が無効となるように
不服申し立て
及び訴訟の
制度
を
整備
することといたし、
関係住民等
にも訴えの提起を認めることといたしております。 第八に、偽りその他不正な手段によって
認可
を受けたり、
条件違反
のあった場合に
認可
の
取り消し
がなされることはもちろんのこと、無
認可
の
開発事業
や
条件違反
の
開発事業
については、
委員会
は、
停止命令
、
原状回復命令等
の
命令
をすることができることとしております。また、たとえ、
認可
を受けたといたしましても、その後、
開発事業
の
実施
によって良好な
環境
の
確保
に
支障
が生じたり、生ずるおそれがあると認めるときは、
委員会
は、
審査会
の
意見
に基づいて、
認可
の
取り消し
をしたり、
停止命令
や
原状回復命令等
の
命令
をすることができることといたしております。なお、
関係住民等
も
委員会
に対して、このような
処分
をするよう申し立てることができることといたしております。 第九に、
委員会
及び
審査会
は、
関係行政機関
の長や
地方公共団体
の長に対して、
資料
の
提供等
の
協力
を要請できることといたしております。また、国は、この
環境影響事前評価
の
制度
の充実のため、
試験研究体制
の
整備
、手法の
開発
、
専門技術者
の
養成等
の
措置
を議しなければならないことといたしております。 以上が、本
法律案
の
提案
の
理由
及びその
概要
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
竹内黎一
5
○
竹内委員長
次に、
上田環境庁長官
。
—————————————
湖沼水質保全特別措置法案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
上田稔
6
○
上田
国務大臣
湖沼水質保全特別措置法案
につきまして、その
提案理由
及び主要な
内容
を御
説明
申し上げます。
湖沼
は、
古来人々
の
生活
と
生産活動
を支えてきたかけがえのない
国民的資産
であり、現在及び将来の
国民
がその恵沢を享受することができるようにこれを
保全
していくことが必要であります。 しかしながら、
湖沼
の
水質
の現状を見れば、
閉鎖性水域
という
自然的条件
に加え、
湖沼周辺
で営まれている
生活
及び
生産活動
に起因する
汚濁
が近年特に著しく、その
水質
の
改善
を図るためには、
水質汚濁防止法
による
排水規制等
の従来の
制度
では不十分な
状況
にあります。 この
法律案
は、こうした
状況
にかんがみ、
湖沼
の
水質
の
保全
を図るため、
湖沼水質保全基本方針
を定めるとともに、
水質
の
汚濁
に係る
環境基準
の
確保
が緊要な
湖沼
について
水質
の
保全
に関する
計画
の
策定
及び
汚水
その他の
水質
の
汚濁
の原因となる物を
排出
する
施設
に係る必要な
規制
を行う等の特別の
措置
を講じようとするものであります。 次に、この
法律案
の主要な
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、
湖沼水質保全基本方針
の
策定
であります。国は、
湖沼
の
水質
の
保全
に関する
基本構想等
を
内容
とする
湖沼水質保全基本方針
を定めることといたしております。 第二は、
指定湖沼等
の
指定
であります。
内閣総理大臣
は、
水質
の
保全
に関する施策を総合的に講ずる必要がある
湖沼
を
指定湖沼
として、
指定湖沼
の
水質
の
汚濁
に
関係
のある
地域
を
指定地域
として定めることといたしております。 第三は、
湖沼水質保全計画
の
策定
であります。
都道府県知事
は、
湖沼水質保全基本方針
に基づき、
指定湖沼ごと
に、
湖沼
の
水質
の
保全
に関する
方針
、
下水道
の
整備
その他の
湖沼
の
水質
の
保全
に資する
事業
に関すること等を
内容
とする
湖沼水質保全計画
を定めることといたしております。 第四は、
指定湖沼
の
水質
の
保全
に関する特別の
措置
であります。 その一は、
指定地域
内の
工場
または
事業場
に係る
排出水
の
排出
の
規制
であります。従来の
濃度規制
のほか、
都道府県知事
は、
指定地域
内の
工場
または
事業場
について、
排出水
に関する
汚濁負荷量
の
規制基準
を定め、
水質汚濁防止法
の
特定施設等
の新
増設
に係る
排出水
がこの
規制基準
に適合しないと認めるときは、
改善
その他必要な
措置
をとるべきことを命ずることができることといたしております。 その二は、みなし
特定施設
に係る
排出水
の
排出
の
規制
であります。
一定規模
以下の
浄化槽等
、
湖沼
の
水質
にとって
生活環境
に係る
被害
を生ずるおそれのある
汚水等
を
排出
する
施設
として
政令
で定める
施設
を
水質汚濁防止法
の
特定施設
とみなし、同法の
規定
を適用することといたしております。 その三は、
指定施設
の
設置
の
届け出等
であります。
一定規模
以下の
畜舎等
、
排水基準
による
規制
によりがたいものとして
政令
で定める
指定施設
を
設置
しようとしている
者等
について、
届け出
の
制度
を設けるとともに、
都道府県知事
は、その者が
構造等
の
基準
を遵守していないと認めるときは、
改善
の勧告、さらには、
命令
をすることができることといたしております。 その四は、
汚濁負荷量
の
総量
の削減であります。
人口
及び産業の
集中等
のため、
排水規制等
によっては
水質環境基準
の
確保
が困難な
指定湖沼
については、
汚濁負荷量
の
総量
を削減するための
措置
を講ずることといたしております。 その五は、
指定湖沼
の
水質
の
保全
に資するよう、緑地の
保全
その他湖辺の
自然環境
の保護に努めなければならないとしていることであります。 以上のほか、
湖沼
の
水質
の
保全
を図るために必要な指導、援助、
関係行政機関
の
協力等
について所要の
規定
を設けております。 以上が、この
法律案
の
提案理由
及び
内容
の
概要
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
竹内黎一
7
○
竹内委員長
これにて趣旨の
説明
は終わりました。 次回は、来る十一日金曜日午前九時五十分
理事
会、十時より
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時七分散会 ————◇—————