運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-05-08 第101回国会 衆議院 環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月八日(火曜日)     午前十時三十三分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君    理事 畑 英次郎君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 中村  茂君    川事 春田 重昭君       榎本 和平君    林  義郎君       金子 みつ君    馬場  昇君       斉藤  節君    薮仲 義彦君       近藤  豊君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         議     員 馬場  昇君         議     員 中村  茂君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   中村正三郎君     田澤 吉郎君   山本 政弘君     馬場  昇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     山本 政弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  水俣病問題総合調査法案馬場昇君外二名提  出、衆法第一九号)  環境影響事前評価による開発事業規制に関す  る法律案岩垂寿喜男君外二名提出衆法第二  〇号)  湖沼水質保全特別措置法案内閣提出第四八号  )      ————◇—————
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  馬場昇君外二名提出水俣病問題総合調査法案岩垂寿喜男君外二名提出環境影響事前評価による開発事業規制に関する法律案及び内閣提出湖沼水質保全特別措置法案の三案を議題といたします。  提出番及び政府より順次趣旨の説明を聴取いたします。馬場昇君。     —————————————  水俣病問題総合調査法案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 馬場昇

    馬場議員 私は、提案者を代表いたしまして、水俣病問題総合調査法案につきまして、その提案理由及び主要な内容について御説明申し上げます。  水俣病は、世界最大水汚染公害であり、その被害は、原爆被害に匹敵する人類の経験した最も悲惨な被害であると言われています。  水俣病問題について、その広さ、深さを正しく総合的に把握し、その対策を樹立することは、被害者に対する救済対策の完全を期するだけでなく、人類の未来に対する今日の行政の責務であります。  今日までの水俣病問題に対する行政の対応は、不十分であったばかりでなく、不作為があったと言っても言い過ぎではないのであります。また、行政想像力の追いつかない事態があったため、有効な手を打つことができなかった点も多くあるのであります。  そのため、水俣病の事実判明後二十年以上を経過した今日において、言語に絶する水俣病医学的病像さえも今なお未解明であり、被害の全体像及びこれが及ぼした影響等について実態が明らかではありません。水俣病…題は、いまだ混迷の状態にあるのであります。  水俣病の前に水俣病はなかったのであり、水俣病の後に水俣病があってはならないのであります。  水俣病問題は、総合的な実態把握なしには完全な対策は樹立されません。水俣病問題解決の遅滞をなくし、不作為を解消し、住民の健康が守られ、環境改善され、豊かな社会生活が営まれるための完全な水俣病対策が樹立てきるための基礎となる総合調査を行うことがこの法律案提出する理由であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、この法律目的は、水俣病健康被害及び環境破壊等の医学的、生物学的調査はもちろんのことでありますが、さらに、水俣病が及ぼした社会学的、経済学的、政治学的、教育学的等の各分野への影響とその実態を総合的に調査を行い、その全体像を明らかにしようとするものであります。  第二に、調査目的を達成するために、政府総合調査計画を定めることとしていますが、水俣病問題は住民特に被害者の心に立った調査及び対策でなければなりませんので、総理大臣は、住民特に被害者代表を含む水俣病問題総合調査審議会意見を聞かなければならないこととし、住民意見が十分反映された総合調査計画としなければならないこととします。  第三に、調査実施関係県が行うことにしていますが、関係県知事は、国の総合調査計画に基づき、実施計画策定することにしています。実施計画を定めるに当たっては、国が調査計画策定に当たって行った精神で行うことは当然ですが、住民の意向を反映させるために、特に調査に当たっては関係住民説明し、理解を得るようにしています。  第四に、調査のため、工場事業場等に立入検査ができるようにしています。  第五に、総理大臣は、毎年、知事報告に基づく実施状況を国会に報告し、国民理解を求めるとともに批判を受けなければならないこととします。  第六に、調査に要する経費は、全額国負担としています。  第七に、水俣病問題総合調査審議会委員は、被害者を中心とする住民代表関係自治体代表及び学識経験者の三者構成関係行政機関の職員を加えて構成することにしています。委員選任は民主的に行うことは当然であります。  第八に、この法律は五年間の時限立法でありますが、十分な調査が終わらない場合は、法改正で延長が議論されるのは当然であります。  以上が、本案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 竹内黎一

  5. 中村茂

    中村(茂)議員 ただいま議題となりました環境影響事前評価による開発事業規制に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容概要を御説明申し上げます。  我々人間は、自然の生態系の一部であり、自然環境との調和なくして生存できないのであります。この厳然たる自然の法則に逆らい、目先の繁栄と便利さを追うならば、いずれは手痛い報復を受けること必定であります。  ところが、我が国におきましては、人間生存自然環境との調和を忘れて、自然の浄化能力を無視した高度経済成長政策の遂行を急いだため、不可避的な自然の破壊汚染が進行し、日本は世界に類を見ない「公害実験国」と言われているのであります。今日の公害環境破壊をこのまま放置し、これまでのように無分別な開発行為実施されるならば、我が国のような狭隘な国土という環境上の制約のもとでは、人間生存基盤が危機にさらされ、現在及び将来の国民がこの国土に生き残ることすら困難な事態に立ち至るのは、時間の問題と言えるのであります。胎児性水俣病の例は、まさに厳しい警告と言えるのであります。一たび進行し始めた環境破壊は、とどまることなく進行し、一たび失われた自然や健康は、今日の人間の英知をもってしても、回復することが極めて困難であることは事実が証明しているのであります。  かくて、限られた国土の中で、後代の国民生存をもかけ、開発事業規制していくためには、どうしても開発事業実施前に、自然的、社会的諸条件の分析や、事業実施過程における環境への影響予測事業完成後の施設の操業や交通事情の変化、人口の移動など、将来における環境への影響予測などを、計画段階で多角的、科学的に判断し、環境への悪影響が生ずるおそれがないもののみを許すという方途を講ずることが必要になるのであります。  他方、開発行政は、本来、国民住民利益のためになされるべきものであり、その大方合意なくして行われることは許すべからざるものであります。しかるに、従来の開発行政は、行政庁が勝手に判断したものを「公共性」の名のもとに無理やり国民住民に押しつけるというやり口がまかり通り、開発こそは善であり、これに逆らうことは悪であると強弁してきたのでありますが、その実は、国民住民利益など眼中になく、時には人の生命、健康すら犠牲にして、終局的には開発利益を受ける企業の立場のみを代弁してきたというのが行政庁開発行政実態に対する評価であります。また、たまたま、環境アセスメントを行ったとしましても、国民住民の目の届かないところで形ばかりの調査を行い、おざなりの評価をしたため、実施後、日ならずして大きな環境汚染発生し、農漁民生活住民の健康を脅かしておりますし、時には、いわゆる沼津・三島コンビナートの例にも見られますように、政府の権威ある科学者を動員して行われた調査結果が、高等学校の一教師による地道な調査でひっくり返ったという実績もありまして、国民行政不信は抜きがたいものとなっているのが実情であります。  これに加えまして、水俣病の例に見られましたように、企業有機水銀中毒発生実験で知りながら、これを長期にわたって放置しただけでなく、実験結果をも秘密にして自己の責任を否定し続け、ついに大量の生命を失わしめ、今日なお被害発生が引き続き、広範囲にわたる関係住民生活と健康を不安に陥れているというようなことから、国民企業に対する不信感もまた根強いものがあるのであります。  このような行政不信企業不信のもとでは、国民住民大方合意をとりつけつつ、本当の「公共性」を持った開発事業のみを進めていくことが必要なのであります。そして、このためには、開発事業事前評価に当たりまして、できる限り、国民住民が参加できる方途を開き、これによって国民住民大方合意と、真の「公共性」の実現とを期さなければならないのであります。  本法案は、以上のような観点に立ちまして、開発事業実施に先立って、これに伴う環境汚染破壊を未然に防止するため、国民住民をできる限り参加させつつ、また、公開の場で論議をさせつつ、多角的、科学的に環境に対する影響評価する手続整備し、その結果に基づいて開発事業実施規制し、現在及び将来の国民生存と快適な生活確保しようとするものであります。  以下、本法案概要につきまして、御説明申し上げます。  まず第一に、この法律案におきまして行おうとする「環境影響事前評価」とは、開発事業実施前における関係地域の自然的、社会的諸条件調査、その開発事業実施によって生ずる環境に対する影響予測、その開発事業実施によって完成した施設若しくは土地及びその土地に設けられると予定されている施設利用等によって将来生ずる環境に対する影響予測、その環境に対する悪影響防止策の効果についての予測等に基づいて、開発事業実施前に、その開発事業事業計画及びその代替案を多角的に検討して、評価することをいうものといたしておりまして、これを経て、開発事業実施認可、不認可が決定されるわけであります。  第二に、この法律案におきまして、適用対象とされる「開発事業」とは、工業用地造成土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業市街地開発事業、新都市基盤整備事業住宅街整備事業流通業務団地造成事業公有水面の埋め立てまたは干拓、飛行場設置またはその施設変更、鉄道、軌道または索道の建設またはこれらの施設変更、道路または自動車道新設または改築、林道の開設または改良廃棄物処理施設設置またはその施設変更下水道設置または改築電気工作物設置または変更ガス工作物設置または変更原子炉施設設置または変更熱供給施設設置または変更石油精製設備新設増設または改造、石油パイプライン設置または変更ゴルフコース等建設河川工事港湾工事海岸保全施設新設または改良、鉱物の試掘または採掘(これには、附属する選鉱または製錬を含みます。)、岩石の採取のほか、環境悪影響を及ぼすおそれのある事業中央環境保全委員会規則(以下では、中央委員会規則と略称いたします。)で定めるものをいうものといたしておりまして、これらの実施について環境影響事前評価を行うのであります。  第三に、本法案に基づく規制実施機構でありますが、まず、国には、別に法律で定めるところにより、内閣総理大臣の所轄のもとに両議院同意を得て任命される委員七人から成る中央環境保全委員会(これは以下では、中央委員会と略称いたします。)を設置し、さらにその機関として、科学者等学識経験者の中から両議院同意を得て任命される五十人の審査員から成る中央環境影響審査会(以下では、中央審査会と略称いたします。)を設置することといたしております。  また、都道府県には、国と同様に、それぞれ議会の同意を得て、委員五人から成る地方環境保全委員会(これは以下では、地方委員会と略称いたします。)と審査員三十人から成る地方環境影響審査会(以下では、地方審査会と略称いたします。)とを設置することといたしております。  この中央委員会または地方委員会が、中央審査会または地方審査会による環境影響事前評価の結果に基づく意見を踏まえて、開発事業実施認可、不認可を決定するわけであります。  なお、中央地方事務分担は、環境に対する影響が二都道府県以上にまたがる場合や、飛行場原子炉設置変更等や、五十ヘクタール以上の工業用地造成のほか、環境に著しい影響があるとして中央委員会規則指定した開発事業については中央が所管し、その他の開発事業については地方が所管することといたしておりますが、地方はみずから所管する事案を中央に移送する方途も講じております。  第四に、開発事業実施しようとする事業者は、その事業計画またはその代替案について中央委員会または地方委員会(以下、委員会と略称いたします。)の認可を受けなければならないものといたしております。  第五に、委員会によって認可または不認可処分がなされるまでの手続概要を述べますと、手続は、大きく分けまして、環境影響事前評価のための調査計画承認手続と、その調査計画に基づいて事業者が行った調査結果による環境影響事前評価と、開発事業実施についての認可のための手続という三つの段階に分かれます。  まず、開発事業実施しようとする事業者は、その環境影響事前評価を行うのに必要な資料収集のための調査計画について、委員会承認を受けなければなりません。  事業者は、調査事項調査方法調査期間等について計画を作成し、委員会承認申請をし、委員会はこれを審査会送付します。この送付を受けた審査会は、これを公告し、公衆縦覧に供した上、説明会を開催します。この説明会事業者事業計画調査計画説明を行います。その説明を聞いた上で、関係住民環境保全目的とする団体など、開発事業実施等に関し、環境保全上の意見を有する者(これらを「関係住民等」と略称いたします。)は、審査会意見書提出することができます。  審査会は、これらを踏まえて、公聴会を開き、関係住民等意見を聞かなければなりません。この公聴会は、意見を述べようとする関係住民等には必ず意見陳述の機会を与えるとともに、陳述時間等について不当な制約をしてはならないことといたしております。公聴会がすべて終わった段階で、審査会調査計画の可否について意見を決定し、これに基づいて委員会承認をすることになります。  次に、事業者は、この承認を受けた調査計画に基づいて調査実施し、その結果に基づいて環境影響事前評価を行い、これを環境影響事前評価報告書に作成することになります。これで、初めて、開発事業実施について認可申請ができることになります。なお、この事業者の行う調査には、関係住民等の立ち合いも認められております。  認可申請を受けた委員会はこれを審査会送付し、審査会は、これを公告し、公衆縦覧に供した上、審査手続を開始することになります。審査手続は、期日に、公開して行われ、関係住民等代表者もこれに出席して、意見陳述、質問、物件提出をすることができることになっております。また、審査会は、この審査手続中途公聴会を開き、関係住民等意見を聞かなければならないことになっております。この場合においても、関係住民等意見陳述権は保護されることになっております。  以上の手続を経た上で、審査会は、審査手続を終了し、事業者事業計画またはその代替案について、環境影響事前評価報告書の記載、みずから行った調査の結果、審査手続中に明らかになった事実と意見及び公聴会における意見基礎として、みずから環境影響事前評価を行い、認可すべきかどうかの意見を決定し、これを委員会に文書で送付することになります。なお、事業者は、審査手続中途で、事業計画変更を申し出ることも認められております。  審査会意見書送付を受けた委員会は、その意見に基づいて、認可、不認可処分をすることになりますが、良好な環境確保支障が生ずるおそれがあると判断したときは、認可をすることはできないことになっております。  委員会は、認可処分をするときは、条件を付することができることになっておりますが、この条件につきましては、関係市町村住民は希望する条件案住民投票に付することができることになっており、委員会は、この住民投票の結果を配慮して条件を付するわけであります。  なお、ここに述べました調査計画承認手続及び認可のための手続に要する費用は、すべて事業者負担とし、その細目は、別に法律で定めることといたしております。  第六に、以上のような手続を経て、認可を受けた後、実施段階事業者事業計画変更しようとする場合には、第五で述べましたのと同じ手続を経て、事業計画変更についての認可を受けなければならないことといたしております。  第七に、第五及び第六で述べました手続は、いわゆる適正手続、デュー・プロセス・オブ・ロウの要請にこたえるためには必要不可欠のものでありまして、本来は、法律に詳細な規定を設けなくとも、そのように実行されなければならないのでありますが、我が国におきましては、行政企業も、法律で書かない限りは、できるだけ面倒なことを避けようとする風潮が顕著でありまして、この弊害を除去するためには、やむを得ないことと判断したわけであります。したがいまして、このような手続手続違背がありました場合には、それを理由として、すべての手続が無効となるように不服申し立て及び訴訟の制度整備することといたし、関係住民等にも訴えの提起を認めることといたしております。  第八に、偽りその他不正な手段によって認可を受けたり、条件違反のあった場合に認可取り消しがなされることはもちろんのこと、無認可開発事業条件違反開発事業については、委員会は、停止命令原状回復命令等命令をすることができることとしております。また、たとえ、認可を受けたといたしましても、その後、開発事業実施によって良好な環境確保支障が生じたり、生ずるおそれがあると認めるときは、委員会は、審査会意見に基づいて、認可取り消しをしたり、停止命令原状回復命令等命令をすることができることといたしております。なお、関係住民等委員会に対して、このような処分をするよう申し立てることができることといたしております。  第九に、委員会及び審査会は、関係行政機関の長や地方公共団体の長に対して、資料提供等協力を要請できることといたしております。また、国は、この環境影響事前評価制度の充実のため、試験研究体制整備、手法の開発専門技術者養成等措置を議しなければならないことといたしております。  以上が、本法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 竹内黎一

  7. 上田稔

    上田国務大臣 湖沼水質保全特別措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  湖沼は、古来人々生活生産活動を支えてきたかけがえのない国民的資産であり、現在及び将来の国民がその恵沢を享受することができるようにこれを保全していくことが必要であります。  しかしながら、湖沼水質の現状を見れば、閉鎖性水域という自然的条件に加え、湖沼周辺で営まれている生活及び生産活動に起因する汚濁が近年特に著しく、その水質改善を図るためには、水質汚濁防止法による排水規制等の従来の制度では不十分な状況にあります。  この法律案は、こうした状況にかんがみ、湖沼水質保全を図るため、湖沼水質保全基本方針を定めるとともに、水質汚濁に係る環境基準確保が緊要な湖沼について水質保全に関する計画策定及び汚水その他の水質汚濁の原因となる物を排出する施設に係る必要な規制を行う等の特別の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、湖沼水質保全基本方針策定であります。国は、湖沼水質保全に関する基本構想等内容とする湖沼水質保全基本方針を定めることといたしております。  第二は、指定湖沼等指定であります。内閣総理大臣は、水質保全に関する施策を総合的に講ずる必要がある湖沼指定湖沼として、指定湖沼水質汚濁関係のある地域指定地域として定めることといたしております。  第三は、湖沼水質保全計画策定であります。都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、指定湖沼ごとに、湖沼水質保全に関する方針下水道整備その他の湖沼水質保全に資する事業に関すること等を内容とする湖沼水質保全計画を定めることといたしております。  第四は、指定湖沼水質保全に関する特別の措置であります。  その一は、指定地域内の工場または事業場に係る排出水排出規制であります。従来の濃度規制のほか、都道府県知事は、指定地域内の工場または事業場について、排出水に関する汚濁負荷量規制基準を定め、水質汚濁防止法特定施設等の新増設に係る排出水がこの規制基準に適合しないと認めるときは、改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができることといたしております。  その二は、みなし特定施設に係る排出水排出規制であります。一定規模以下の浄化槽等湖沼水質にとって生活環境に係る被害を生ずるおそれのある汚水等排出する施設として政令で定める施設水質汚濁防止法特定施設とみなし、同法の規定を適用することといたしております。  その三は、指定施設設置届け出等であります。一定規模以下の畜舎等排水基準による規制によりがたいものとして政令で定める指定施設設置しようとしている者等について、届け出制度を設けるとともに、都道府県知事は、その者が構造等基準を遵守していないと認めるときは、改善の勧告、さらには、命令をすることができることといたしております。  その四は、汚濁負荷量総量の削減であります。人口及び産業の集中等のため、排水規制等によっては水質環境基準確保が困難な指定湖沼については、汚濁負荷量総量を削減するための措置を講ずることといたしております。  その五は、指定湖沼水質保全に資するよう、緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならないとしていることであります。  以上のほか、湖沼水質保全を図るために必要な指導、援助、関係行政機関協力等について所要の規定を設けております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  8. 竹内黎一

    竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十一日金曜日午前九時五十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時七分散会      ————◇—————