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1984-03-27 第101回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十七日(火曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君    理事 畑 英次郎君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 中村  茂君    理事 春田 重昭君 理事 中井  洽君       榎本 和平君    金子原二郎君       林  義郎君    金子 みつ君       上坂  昇君    山本 政弘君       斉藤  節君    竹内 勝彦君       薮仲 義彦君    近藤  豊君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁長官官房         会計課長    廣重 博一君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁企画調整         局環境保健部長 長谷川慧重君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君         通商産業大臣官         房審議官    加藤 昭六君 委員外出席者         議     員 福島 譲二君         警察庁交通局交         通企画課長   広谷 干城君         環境庁長官官房         審議官     鈴木  健君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 玉木  武君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     楠本 欣史君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         農林水産大臣官         房公害環境保全         対策室長    吉池 昭夫君         農林水産省畜産         局流通飼料課長 阿部 敏明君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    咲山 忠男君         通商産業省基礎         産業局製鉄課長 鍵本  潔君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      高橋  璋君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         通商産業省機械         情報産業局電気         機器課長    広野 允士君         通商産業省生活         産業局紙業課長 榎元 宏明君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     向 準一郎君         運輸大臣官房環         境課長     平野 忠邦君         運輸省自動車局         整備部公害防止         課長      藤野 團治君         建設省計画局環         境管理官    緒方 啓二君         建設省河川局都         市河川課長   近藤  徹君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         自治大臣官房地         域政策課長   鈴木 政徳君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     竹内 勝彦君 同月十二日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     竹内 勝彦君 同月二十六日  辞任         補欠選任   藤田 スミ君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     藤田 スミ君     ――――――――――――― 三月五日  水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案福島譲二君外三名提出衆法第三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  湖沼水質改善対策の強化に関する陳情書(第一九三号)  湖沼法制定に関する陳情書(第一九四号)  湖沼法早期制定に関する陳情書(第一九五号)  公害健康被害者補償制度指定地域解除反対に関する陳情書(第一九六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案福島譲二君外三名提出衆法第三号)  環境保全基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  福島譲二君外三名提出水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。福島譲二君。     —————————————  水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 福島譲二

    福島議員 ただいま議題となりました水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  水俣病は、我が国において他に類例のないほど深刻な水質汚濁影響による疾病であり、水俣病にかかった者の迅速かつ公正確実な救済を図ることは、極めて重要な課題となっております。  このため、熊本県において検診・審査体制充実等措置が講じられてきたほか、昭和五十三年十月には水俣病認定に関する処分を行う機関の特例を臨時に設けることにより認定業務促進を図るため、本臨時措置法制定され、翌五十四年二月十四日から施行されております。  同法においては、旧公害に係る健康被害救済に関する特別措置法、いわゆる旧救済法により昭和四十九年八月三十一日までに認定申請をしていた者で認定に関する処分を受けていないものは、環境庁長官に対して認定申請することができるものとし、申請をすることができる期間は、旧救済法による認定申請の日に応じて、昭和五十四年二月十四日及び昭和五十四年十月一日からそれぞれ五年となっております。  同法施行後、すでに五年を経過しましたが、国あるいは熊本県等における認定業務促進努力にもかかわらず、いまだ認定に関する処分を受けていないものが相当数残っている現状にかんがみ、これら長期にわたる申請滞留者を速やかに解消し、もって水俣病認定業務を一層促進させるため、この法律案提出した次第であります。  この法律案は、旧救済法による申請者認定に関する処分を受けていないものが、環境庁長官に対して認定申請することができる期限を昭和六十二年九月三十日まで延長するものであります。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 竹内黎一

    竹内委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 竹内黎一

    竹内委員長 環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸塚進也君。
  6. 戸塚進也

    戸塚委員 私は、九年半参議院に在職させていただいたのですけれども環境委員会に御縁がなかったのです。そして、環境庁のお役所も余りくぐることがなかったものですから深く反省もしながら、また大臣初め関係皆さんに若干環境行政についてお尋ねいたしたいと思います。  まず、大臣も今回環境庁長官に新しく就任されたわけですが、役所にいらっしゃいまして環境庁存在価値というものをいろいろお感じになっておると思います。所信の中にも一部触れでございますが、どういう点に一番、環境庁にこういう存在価値があったんだ、あるんだというふうにお考えでございましょうか。
  7. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  私も環境庁に参りまして一番に感じましたことは、やはり公害ということが高度成長によって非常に大きくクローズアップされ、国民皆様方が非常にお困りになっておられた、その対策を、環境庁ができていろいろと議員皆様方のお知恵を拝借して、そして、それの克服に当たっていっておるわけでございます。大分そういう点において効果を上げさせていただいてきておりますが、さらにまた起こっております公害問題につきましては引き続きやらなくちゃいけない、そういう重要な仕事を担当しておると同時にまた、今までわからなかったといいますか、承知しなかったようないろいろな金属その他のものが使用されることによって、やはりそれが人体にも非常に影響があり、また公害を起こす可能性もあるというようなものも最近は出てきておるので、そういったものに対しての対策環境庁がまた引き受けて今やろうとしておる。これも非常に公害の予防といいますか、そういうことに対してやっておる役所であるということで、私は非常に意義を感じておるのでございます。  それともう一つあるのでございますが、それは今までは公害というものが発生をして、それに対してそれの克服ということに全力を挙げ、また将来そういうものが起こらないようにしていくということを考えてきたのでございますけれども、もう一つは、いろいろ開発が行われ、あるいはまた大きなプロジェクトが行われるというようなこと、あるいはまた町のそのもの都市計画といいますか、住みよいような環境をつくるというような場合におきまして、どういうふうにしたら環境がよくなるのだろうかというような、町全体あるいは国全体が非常に住みよい環境に持っていくのにはどうしたらいいのだろうかというような、先取りといいますか、これからますますこの日本を住みよいものに、町を住みよいものに変えていく、こういうふうなことも環境庁としてやらしていただけるということでございまして、やらなくちゃいけないということでございまして、これもまた非常に夢のあるものであるということで、私は環境庁というものは非常に重要なお仕事をやらしていただいておると感じておるものでございます。
  8. 戸塚進也

    戸塚委員 わかりました。時間が三十分しかないものですから、大臣、ひとつお答えをもうちょっと短くお願いします。  実は私も環境庁という役所を見まして、一般国民的に見たときには確かに大臣もおっしゃったようなメリット、それから正義の味方、非常に信頼感がある、そういうイメージもあると思います。しかし、例えば企業立場とかあるいはその他公害のことについての関係者立場の中の一部には非常に恐ろしい役所、うるさい役所あるいは自分の仕事をわざわざつくる役所というような感じが一部にないとは言えないと私思うのです。私が実際役所に入って見ていると、役所の方は皆さんみんないい方だ、実によく勉強もしているし、実際皆さんいい方だ、だけれども一部にそういうイメージがあるし、また私も若干遠くにいたときにはそんな感じを非常に持っていました。ですから、やはりこれからは環境庁というのが、一般国民にももちろん信頼を受けなければならない、しかし、いろいろな立場人たちに開かれた環境庁で、信頼される環境庁で——今度私の町に病院ができたのですが、この病院は市長が言うのに、病気にならなくても来たくなる病院を、こういうことを言っているんで、そんな気持ちで何でも気軽に相談もできる環境庁、こういうイメージづくりが必要じゃないか、こう思いますが、大臣いかがですか。
  9. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま戸塚先生お話のとおり、環境庁も愛される環境庁にならなければならないと考えております。これから大いにそういうふうに努めてまいらせていただきたいと思っております。
  10. 戸塚進也

    戸塚委員 そこで、今私は企業の話をいたしましたけれども、実は私は、企業は悪ではなくて企業は善であるというように思っている立場でございます。もちろん中にはよろしくない考え方の人もあるし、それからまたマナーを気をつけていただかなければならぬ人もあるし、法律を守っていない会社もあるから、そういうような企業は徹底的に処断されてもいい。けれども、何か全般的に企業をやる者は悪だというふうな、そんなイメージが若干あるのではないか。最近では議員というと、議員と聞いただけで悪だ、だから何かちょっとしたことがあるとすぐフォーカスだ、こういうようなことで、今や国会議員ほど身の置きどころのない、立場の弱い者はないのではないか、私はそう思うのですが、企業というようなものも、何かとかく悪だと決め込むような風潮があると思う。  大臣、これは私はそうあっちゃならない、企業必要性というものも大いに認識しなければならぬと思うが、いかがですか。
  11. 上田稔

    上田国務大臣 ただいまの先生お話企業の問題でございますが、企業の方でも以前はやはり御勉強をしていただけなかった面も相当あると私は思うのであります。それが高度成長になってそういう面が大きくクローズアップされてきて、公害という問題に広がっていったということもあると私は思うのであります。また、いろいろ省がやっておられるお仕事も、以前はこういったことはそんなに多くの影響はないだろうと思っておったことが大きな問題になったりすることも起こってまいりました。そういうことから、いろいろ行き違いといいますか、考え方が違っておったということがあるのでございますが、企業の方も悪かれと思ってやっておられることではないわけですが、そういう無知からくるんだと私は思うのでございます。そういう点を環境庁はひとつ大いにPRをいたしまして、よくわかってもらうようにいたしたいと考えております。
  12. 戸塚進也

    戸塚委員 私は企業というものは非常な努力を、自助努力をしていると思うのです。例えば油なんかでも、ピーク時から比べたら企業だけはもう二五%くらい節約して、そして生産の方はどんどん上げている。一番苦労したり一番改革をしているのは企業だ、このように私は思うし、公害問題等についても随分漸進的に努力をしている。私は今日環境庁政府がおとりになった施策は正しかった、そういうためにまた環境がよくなった、空気もよくなった、水もきれいになったと思うけれども企業も相当に自主的に努力をしていて今日に来ているということは、大臣もひとつお認めをいただきたい、私はそのように思うのでございます。  同時に私は、公害行政というものが、何か既往の法令というようなものもひとつ新しい時代に向けて見直していく、これは別にどの法令がどうだというのではありません。今まで一応ずっと過去の公害関係の歴史あるいはまた今日のこの状況、さらに二十一世紀への展望、こういうことを考えて、一度またひとつおさらい的に環境関係法令を見直してみる必要もあるのではないかと思いますが、大臣、一般的にはどうお考えになりますか。
  13. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境関係法律でございますが、これにつきましてもやはりわからなかったということもいろいろあったりいたしますので、そういう点につきましては委員会に御審議をいただいておるということでございまして、そういう点はひとつ勉強をさせていただきたいと思っております。また、新しいものに対してもひとつ取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  14. 戸塚進也

    戸塚委員 きのう中曽根総理が中国からお帰りになりましたが、今度の日中のことで一番私が魅力を感じたのは、二十一世紀委員会ということなんです。もうこれからの時代は二十一世紀を見た形でやらねばならない。公害行政も、当然今の問題も検討せねばならないし、過去にあったことでまずかったことも直さなければなりませんが、しかし私は、環境庁一つイメージアップの意味からいっても二十一世紀委員会といいますか、環境問題の二十一世紀委員会大臣諮問機関のようなものですね。  そうして、私は先ほど申し上げたように、どうも今まで環境庁というと怖い役所だとか取り締まる役所だとかというイメージばかりあったけれども、例えばこれからは本当に公害のない、美しい商店街なら商店街考えたら、道路はこういうふうな、形の少し曲がったような道路をつくった方が二十一世紀型なんですよとか、あるいは植林とか緑を町いっぱいにするにはこういう施策がいいんですよ、二十一紀にはこういう住環境やこういう工場の環境国民は暮らすんですよというような、夢とロマンを与えるような、そういう先取りをしていくということが環境庁のお役所仕事として大事じゃないか。そういういい仕事はそれぞれの省に皆与えているのかとられてしまったのか知りませんけれども、そうなっていて、ただおっかない環境庁というのじゃどうもちょっと寄りつきが悪くなる。  そういうふうに、国民から見たときに、なるほどすばらしい、夢がある、こういうような環境行政考えていただいたらどうかと思うが、大臣いかがですか、二十一世紀委員会
  15. 上田稔

    上田国務大臣 環境庁といたしましては、二十一世紀を目指して快適な環境づくりというものを今一生懸命にやっておるところでございます。アメニティータウンはその一例であり、また環境考えて、いろいろなプロジェクトをおやりになるときにはお考えをいただきたいということで、ガイドの予算もことしはとらせていただきました。  それからまた、国民にいろいろ親しんでもらわなければいけないというようなことから緑の国勢調査、いろいろ自然がある、その自然にひとつ親しんでもらいたいというようなことからそういったようなことも考え、二十一世紀に住みよい環境になってもらうようにひとつやっていかなければいけないということを考えております。
  16. 戸塚進也

    戸塚委員 大臣もそういう姿勢でやられることは結構なんですが、やはり長期的な展望というものを国民に与えるというためには、今度の教育臨調のような、臨時調査会のような形で環境問題等についてもアピールしていくというような必要があるのじゃないかなという気がしましたので、私は申し上げたのです。検討していただけますか。
  17. 正田泰央

    正田政府委員 基本的な構想については先生の御趣旨のとおりでございまして、近々中央公害対策審議会企画部会におきまして、二十一世紀を見通した環境行政長期的課題について取り組む、こういう目算でございます。
  18. 戸塚進也

    戸塚委員 先ほど大臣お話で、アメニティーというのは大変結構なんですけれども、私みたいに横文字の弱い者は、アメニティーじゃ何だかわからないんですね。ですから、日本人ですからアメニティー括弧日本語句とかどか、何か少しうまいやり方をしていただきたい、そのことを御要望申し上げておきます。  それからもう一点は、今度は環境庁というところは、治外法権のような人は私の管轄じゃないんです、法律を守ってまじめにやっている人はもっと規制しますというふうなイメージに何となくとれる。一つの例ですよ、これが悪いとかいいというのじゃありませんが、一つの例ですけれども、例えば私の地元の二輪車、ポンポンですね、私としてはあれは随分このごろ静かになっていると思うのです。ところが、あれがもっと静かでなければならない。私は何とかかんとかというのはわかりません。わかりませんが、ともかく今よりももっと静かでなければならないという御指導があったり、あるいは今後において規制があるんだ。それではカミナリ族のやっておるあの恐ろしい音はどうしたかと聞いたら、あれはどうも環境庁の所管ではない。私は、それはおかしいじゃないか、あんな大きなとてつもない音をしているものがまかり通っていて、そうして、それは環境庁仕事外だけれども、まじめにやっていて静かな音になったものはもっと静かにせい。もちろん静かにすることは大事だけれども、その前に、そういう恐ろしい音を立てて法外にやっている人たちにも環境庁も真剣に取り組んでいただくべきじゃないか。それはまたほかの役所のことであるということだけじゃ私はなかなか進まないんじゃないか。しかも、ましてや、そういうものをわざわざ取り外して専門につくっているメーカ一さんなんというのは問題だと私は思うのですね。  そういったようなことについては環境庁としてお考えいただくことはできませんか、どうですか。
  19. 林部弘

    林部政府委員 御指摘の点につきましてはごもっともだと思います。ただ、私どもの関連する領域の問題といたしましては、今お話に出ました二輪車そのもの構造に対して、単体にどのような規制を行うかという面からの規制のあり方もございますし、そういうようなものを具体的に道路交通の面から、無法な形で運転をしている場合にどう取り締まるかという規制もございますし、また御指摘のありました、その走っている二輪車マフラー等構造についてどうあるべきかというようなことにつきましては、確かに私どもは従来段階的に単体規制ということを中心にやってきているわけでございまして、道路交通法あるいは道路運送車両法に基づく規制というのは警察庁あるいは運輸省において検査、取り締まり等が行われているという実態でございます。  確かに、それぞれ行政縦割りということによる不備ということは御指摘のとおりだと思いますが、それぞれ関係するところがよく協議をいたしまして対処してまいる必要があるのではないかというように考えております。
  20. 戸塚進也

    戸塚委員 大臣、こういうことですから、ひとつぜひそういった面も考えてください。そういうものが野放しになっていて、まじめにやっている人がもっときゅうきゅうやられるんだというようなイメージにならないようにお願いしたいと思います。  そこでもう一点、きょう閣議湖沼法が通ったといいますか、国会にこれから出されるようでございます。長官の御所信にもございましたけれども、今国会に臨まれる湖沼法についての大臣の御決意を伺っておきたい。
  21. 上田稔

    上田国務大臣 本日、各省のいろいろ御了解をいただきまして、そして湖沼法閣議提出をさせていただきました。  全国の湖沼をずっと見てまいりますと、非常に湖沼水質が悪化してきておるのでございます。日本の人口がふえるとともに悪化してきておりますので、これに対して何か手を打たないと大変なことになってきております。特に、湖沼が飲み水の水源を分担をいたしておるものでございますから、その水質が悪くなってくると人体影響が起こってくるということでございますので、これに対して早く手を打ちたいということでございます。  それからまた、そのほかにも使っていただいておるわけでございますが、非常に悪くなって使用にたえなくなってきておるということですから、これも早く手を打たなくてはいけない、こういうことから湖沼法を出させていただきました。  前国会からこれも問題になっておったのでございますが、今度提出をさせていただきましたら、十分に御審議をいただきまして、その必要性を十分お認めをいただきまして、そして湖沼水質をよくしていただきますようにお願いをいたしたい。環境庁全力を挙げてやらしていただきたいと決意をいたしております。
  22. 戸塚進也

    戸塚委員 それでは最後に、きょうおいでいただいた農林省、通産省、運輸省建設省、そういったそれぞれのお役所から一言ずつひとつ御答弁いただきたい。  それは、要するに現行法令の中で、あるいは現行の行政水準の中で、環境関係のあると思われるそれぞれの役所の方が現在の状況の中で環境問題に取り組んでいるという場合に、何か支障があるかどうか、問題があるかどうか、課題があるかどうか、あるいは非常に順調にいっておるのかどうか、それをそれぞれの役所から、時間が十分しかありませんから一省一、二分ずつで御答弁いただきたい。
  23. 吉池昭夫

    ○吉池説明員 お答えをいたします。  ただいま先生の方から環境問題について何か問題があるか、こういう御質問でございますけれども、御案内のように、農林水産業は自然との調和のとれたそういうもとに生産活動をやっている、こういうことでございまして、実はこの環境は外部の影響を受けやすい性質を持っているわけでございます。そうした意味で、環境保全をするということは重要な問題だというふうに考えておりまして、私ども、関直の施策の充実を願っている、こういうわけでございます。  以上でございます。
  24. 平野忠邦

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  運輸省におきましては、従来から自動車の排気ガス、騒音、あるいは航空機によります騒音、あるいは新幹線鉄道に伴います騒音、振動等、いわゆる交通公害問題に対しまして、関係の法規等に基づき所要の措置をとってございます。これら環境保全施策につきましては、今後とも環境庁関係の省庁とも十分な連絡をとりまして推進を図ってまいりたいと考えております。
  25. 緒方啓二

    ○緒方説明員 御説明申し上げます。  建設省におきましては、従前より所管事業の円滑な執行という観点から、環境の保全あるいは環境対策、こういうものには十分の配慮を払ってまいっております。  御承知のとおり、昭和四十七年の閣議了解を受けまして、建設省としては五十三年に事務次官通達を発出し、あるいは五十七年に都市局長通達を発出するなど、あらゆる面から環境保全環境対策に留意してまいっておるところでございます。また、交通公害問題あるいは水質浄化の問題、それなりの事業に対応してまいってきておるというような状況でございます。  以上でございます。
  26. 向準一郎

    ○向説明員 発電所の立地に関します環境影響評価の実態について御説明申し上げます。  通産省といたしましては、発電所の立地に関する環境影響評価の充実を図るため、昭和五十二年七月に省議決定を行いますとともに、さらに五十四年六月に環境影響評価の実施のための審査指針、調査要綱、周知要綱を策定し、万全を期しているところでございます。五十二年七月の省議決定に基づきまして環境審査を実施いたしました発電所の数は、昭和五十二年度から現在までに、火力三十四地点、原子力十一地点、水力十四地点、地熱一地点、計六土地点というふうになっております。  このように発電所の立地にかかわる環境影響評価につきましては、昭和五十二年の省議決定以降多くの地点において実績があり、制度として定着化が図られてきておりますが、一方、環境保全に十分な措置を講ずるとともに、その地元の理解と協力を得つつ発電所の立地を進めていく上で実効ある制度である、このように考えております。
  27. 戸塚進也

    戸塚委員 大臣、大体各省お聞きのようなことであって、もちろん、環境庁さんと密接に連絡をとって、しかもまだ施策の前進を図りたい、こういったような前向きなお役所もあります。また、現在の体系で十分賄っておる、十分対応しておる、こういうお役所もあります。要するに、今ここで緊急にこうせねばこの役所仕事とかこういう問題がどうしても解決できぬということを言っている役所は、今私がお招きした役所の中ではないようであります。  でございますから、巷間言われておりますこの環境アセスメント法案等の取り扱い等についても、たまたま私は前のアメリカの環境庁長官日本に来られて御意見も承りましたけれども、その法律ができたときには思わなかったような大訴訟が起こって、今アメリカの中では非常な混乱が起こっておるということで、前の環境庁長官自身が述懐をしている、そういうようなことを日本でおっしゃっております。そんなこともございますので、私といたしましては、ぜひひとつ慎重に御検討をいただきたい、そのことを申し上げまして、大臣はお立場もございますから、きょう私は大臣からここで伺おうとは思いません。ただそのことを私として御要望して、質問を終わります。
  28. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、岩垂寿喜男君。
  29. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 お聞きにならなかった戸塚さんに対する御答弁もあわせて、環境影響評価法、つまり別名アセスメントについて質問をしてまいりたいと思います。  私は、環境庁長官所信表明を何回となく読ましていただきました。その中で、「第一に、環境影響評価法の制定等による環境汚染の未然防止の徹底であります。このことは、環境行政の根幹であり、環境影響評価法の早期制定は、現下の環境行政の最重要課題であります。このため、同法案を、各方面の御理解を得つつ、今国会に再提出し、早期に成立させていただけるよう全力を尽くす所存であります。」というふうになっておりますが、きょうは三月二十七日でございます。法案提出のいわば期限であるなどということは、私から申し上げなくてもおわかりをいただけると思いますが、この扱いはどうなっているのか、どうなさるおつもりか、あえてお伺いをしたいと思います。
  30. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  いわゆるアセスの法案でございますが、これにつきましては、前国会において実は残念ながら廃案になったのでございます。そういうことでございますけれども環境庁といたしましては、やはりこれは非常に重要な法案でございますし、重要な内容でございますし、これはどうしても成立をさせていただきたい、こういうことで、前国会に出しました法案と同じ内容で今お願いをいたしておるのでございます。関係省におきましても、前回の法案が提出されたときから現在までの御事情がいろいろ変わってきておりますので、そういうことを込めて今いろいろ御審議をいただいており、折衝をさせていただいておるところでございます。それで少し時間がかかっておるのでございますけれども、私ども環境庁としては、これはぜひとも出させていただきたいと鋭意進めておるところでございます。二十七日の本日までに話し合いがまだ十分につかなかったのは残念でございますけれども湖沼法お話をつけさせていただいた、御了解をいただいたわけでございますから、これからはアセスの方の御了解にひとつ全力を挙げてやらしていただきたいと念願をいたしております。
  31. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この法案は昭和五十六年の第九十四国会提出をされております。この際、各省庁ともサインをして、閣議決定をして提案をされている経過があるわけでございます。にもかかわらず、今日その再提出といつ方向に至らないという背景の中には、新しい障害が起こったというふうに私ども理解をしてよろしゅうございますか。
  32. 上田稔

    上田国務大臣 いろいろお考えがあろうかと思うのでございますが、各省におきまして、今お話しのとおり、五十六年に提出をさせていただきましてから現在までの間にいろいろ事情が変わってきておりますので、そういうことを考えて御審議をいただいておるところでございます。
  33. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 事情が変わったというなら、率直に言っていただけませんか、どこにネックがあるのか。
  34. 正田泰央

    正田政府委員 五十六年に提出いたしましてから三年たっておりますが、その間に、社会経済というような基本的な情勢の変化でありますとか、あるいは環境というものの基本的な変化でございますとか、そういう基本的なことについては私どもそれほど変わっているとは思っておりませんが、ややそういうものを取り巻く諸般の行政をめぐる諸情勢などについて、いろいろ情勢が変わっているのではないかというような認識をお持ちの官庁もございまするし、私どももそういうことについて議論を整理いたしておる次第でございます。
  35. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 事情が変わったというのなら、変わったという事情を言ってくださいよ。この前、法案を審議している昨年の国会で、財界、経済四団体などから言われて、そして預かりになって、そして審議が進まないという状況があったわけでしょう。それが一つの大きな要因と考えてよろしゅうございますか。
  36. 正田泰央

    正田政府委員 私ども、三国会における質疑、それから参考人の聴取、それから最後の廃案に至る過程において、先ほど申し上げました社会経済情勢以外の情勢が変化しているとは思っておりませんが、ただ、法案を取り巻く国会におかれましてのいろいろなお考え、そういったもののきちんとした認識は、私どもいただいておりません。したがいまして、基本的な形でいろいろな変化が起こっているというふうには思っておりません。
  37. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 予算委員会中曽根総理大臣も二月二十一日に公明党の先生の御質問に対して答えられていますが、「もちろん、提出する方向に向けて努力してみたいと思います。」というように、まるっきり何か総理大臣じゃない、他人事みたいな答弁をしております。  長官はこの問題で総理と御相談なさったことがありますか。
  38. 上田稔

    上田国務大臣 総理に対しましてはいろいろと事情を申し上げておりますが、十分に各省と連絡をとって検討を早く急げ、こういうお言葉をいただいております。
  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 総理自身が「とにかく党内の調整を急いでやりたいと思っております。」と言っているんです。だとすれば、あなたはそれを受けて、党内の調整に関連して総理としっかり話をして、どうするんだということをやはり総理に伺ってみなければいけないんじゃないでしょうか。同時に、そのことをあなた自身も催促をする立場になければいけないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  40. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私なりに政府・与党の動向などを拝見をしていますと、アセスメント法の提案というのは非常に難しいというふうに私なりに判断をいたします。長官も同じようにお考えですか。
  42. 上田稔

    上田国務大臣 その点はちょっと意見が違うわけでございます。この問題につきましては、先生今御指摘のとおり、三年前にこの法案を提出させていただいた。それから三年たっておるのでございますが、その間におきまして、それはなるほどいろいろ事情は変わってきておりますけれども、私自身としては、そう大きな変化がないのではなかろうかと思っております。ただ、むしろ、アセスということについて、国民皆様方は、大きなプロジェクトをやる場合にはこれはぜひともやってもらわなくちゃいけないという考え方がだんだん定着をしてきて、もうそれをやらなかったらできないという状態に今なっておると思うのであります。したがいまして、各省でおやりをいただいておりますいろいろなお仕事は、みんなやはりアセスをおやりになっていただいておる。また、府県においても大きな市においても、おやりになることは全部おやりになっていただいておる。そのやり方が違う、手続が違うという点で非常にお困りになっておるので、その手続を一つにさしてもらうというところにこの法案の要旨があるわけでございまして、これに対してよく御理解をいただければそんなに反対はないのではなかろうか、私はそういうふうに確信をいたしておりますので、この法案は出させていただけるというふうに考えておるところでございます。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いただけると思っているのですけれども、出す時期によっては、果たしてこれが成立できるのかできないのか、そんなこともありますね、国会の会期というのもありますから。だから、成立を期するならば、大体いつごろまでに出したい、そういう決着をつけたいという心づもりは恐らくお持ちだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 上田稔

    上田国務大臣 二十七日には間に合いませんでしたが、二十七日というこの期限は、国会で大体予算が三月三十一日前後に決定をされるということを前提にして今決めておりますので、それが幾分おくれておりますから、それだけの余裕は私はまだあるというふうに確信をいたしております。
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 予算がおくれた部分だけ余裕があるということですか。そうすると、四月の初めまでには決着をつけるということで私ども信じてよろしゅうございますね。
  46. 上田稔

    上田国務大臣 四月の何日になりますか、その日を目標に私どもは決着をつけたい、こういうふうに考えております。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官の本委員会における所信表明を私さっき読みました。また同時に、いろいろな機会に長官自身が、このことについて提案だけでなしに成立を目指すというお言葉を述べておられます。御自身のお言葉の重さ、責任の重さ、そんなことを踏まえた上で環境庁長官としての政治生命をかけて、四月の、先ほどおっしゃったように予算のおくれの部分ということなら、四月のごく上旬に出しますというふうに断言できますか。
  48. 上田稔

    上田国務大臣 現在そういう決意でやらしていただいております。環境庁としてはこれは最重点の法案でございます。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 決意ばかりしていてもなかなか前に進まぬということもございますから、環境庁としての最重要の課題だと認識されておられるならば、これがなければほかもないよというふうに私は受けとめます。そのつもりでひとつ私どもの気持ちを御理解をいただきたい。湖沼その他の問題もありますけれども、第一の課題なんですから、その点をそのように受けとってよろしゅうございますか。
  50. 上田稔

    上田国務大臣 そういうふうに私ども考えております。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。せっかくの御努力を期待をしたいと思います。  続いて、各種の有害物質に関連をいたしまして、長官がやはりお述べになっているお言葉がございまして、「生産活動や消費生活の過程で使用され、廃棄される各種の有害化学物質については、地下水汚染の問題を初めとして環境汚染のおそれが指摘されていることにかんがみ、国民生活の安心と安全の一層の確保のため、これによる汚染を未然に防止していくよう万全を期す所存であります。」このように言っておられます。  最初に、実はカネミ油症裁判で示された国の責任について、環境庁長官はあるいは直接の責任はないのかもしれませんけれども、政治家としてどのようにお受けとめになっていらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  52. 上田稔

    上田国務大臣 カネミの問題につきましては、これは厚生省が、厚生大臣が主体になって今おやりをいただいておるところでございまして、私どもの方はちょっとこれには余りタッチはさせていただいておらないのでございます。しかしながら、カネミにつきまして、これはPCBの問題でございますが、第一審が今終わったというところでございまして、どうも私どもの方で今その問題についてお話をするのはちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 高等裁判所の判決でございますので、一審ではございませんからどうぞひとつお間違えのないように。同時に、その程度の認識では実は大変心もとないのです、正直なところ。  それで、実はこの問題、後ほど中村委員からも質問をいただくことになると思うのですけれども、上告の期限というのは三十日ですね。この問題に対する御答弁をいただける厚生省おられますか。
  54. 竹内黎一

    竹内委員長 見えていませんね。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、ちょっと申し上げておいたんだけれども、いませんね。それでは後ほど答弁を保留をしておきたいと思いますが、国としてどうなさるのかということについて御答弁なさる人がいないわけですね。——わかりました。  それでは通産省に聞きますけれども、PCBが使用禁止になり、同時に回収されているという状態があるわけですが、どこにどんな形で保管されているかということのデータをお示しいただきたいと思うのです。原液だけでなしにカーボン紙やらいろいろな種類があると思うのです。
  56. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 熱媒体用に使いましたPCB、この廃PCBにつきましては、鐘淵化学工業株式会社高砂工業所及び三菱モンサント化成四日市工場にそれぞれ回収されております。両社合わせまして約五千九百トンというふうに心得ております。
  57. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それから、まだカーボンやら関連の品物があるでしょう。
  58. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 それぞれの担当からお答えいたします。
  59. 広野允士

    ○広野説明員 電器用のPCBにつきましては、PCB使用電気機器の使用、保管の管理指導と申しますかにつきましては、各通産局を通じて指導監督をやっているところであります。それで、五十八年三月末現在、電力用のPCB使用電気機器を使用または保管している事業所は全国で十三万八子事業所がございまして、そのうちコンデンサーにつきましては、現在使用中のものが二十九万七千台で、保管中のものが三万九千台、トランスにつきましては、使用中のものが三万五千八百台、保管中のものが二千五百台になっております。  以上でございます。
  60. 榎元宏明

    ○榎元説明員 PCB入りのノーカーボン紙の保管状況でございますが、需要者などにおいて保管されておりましたものは合計で約三千五百トンございました。そのうちいわゆるPCB入りのノーカーボン紙のメーカーが保管しておりましたものが千八百トンほどございますが、これにつきましては廃棄物処理法の規定に基づきまして焼却処理をいたしております。したがいまして、残り、現在は約千七百トンほどのものがございまして、これを保管しておりますものはいわゆる大手のノー力ーボン紙のユーザーでございます私ども国の行政機関であるとかあるいは地方公共団体であるとか、それから銀行その他の民間でございます。
  61. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今御答弁いただいたのですが、原液といわず、トランスに関するものなど含め、特にカーボンなどは率直に言って役所の倉庫の中に積み込まれているというのが実態なんですよ。そのままなんです。  実は御存じのように、第六十八国会の本会議で、これは四十七年ですからもう十二年もたっておりますけれども、PCB問題に対する特別の決議がございます。これは私から言うまでもないと思うのですけれども、「使用ずみのPCB及びPCB使用製品は、関係者の責任において極力回収するよう指導するとともに、すでに発生している汚染事態に対し、適切な対策を講ずるよう指導すること。」「回収されたPCBの処理については、二次公害の防止に十分留意するとともに、専焼炉等の研究、開発、設置に努めること。」ということになっておりますが、率直に言って、これらの決議というものが十二年たった今日でもそのままになっているというのが正直なところじゃないかと思うのです。一方でカネミ油症事件などの問題にかかわる死者百二十六名というような不幸な事態が起こっている。こういう問題について環境庁は何かかかわりをお持ちになっていらっしゃいますか。
  62. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  PCB、特に原液につきましては現行廃掃法上、産業廃棄物でございます。産業廃棄物につきましては廃掃法上、事業者がみずから処理をしなければならないこととなっております。したがいまして、この点につきましては通産省においてもつとに指導されておるところでございます。しかしながら、私どもとしてもただいまのお読み上げいただいた御決議もあり、それから環境庁といたしましては広く環境の保全一般について権限と責任が与えられておるわけでございますので、この原液の処理につきまして関係各省、特に通産省、それから洋上焼却を現在まで考えておりました関係で水産庁等、お集まりいただきまして、その処理方法について種々検討を続けてまいりましたし、また今後も可及的速やかにその処理がされるように関係の省庁とお話し合いをするように努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  63. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私もこの話をいろいろ調べてみる過程で、PCB一つとってみても役所ごとに処理がまちまちになっている。責任の所在というものも縦割りで、正直なところどこが最終的な責任を持って国会の決議を生かしていくのかということについて言えば、あれから十二年たっているのに極めてずさんな対応しかなし得ていないというふうなことを考えたときに、僕は廃棄物処理の縦割りのあり方というものを基本的に見直していかないと、これからもっと新しい物質の汚染その他含めて深刻な事態になると思いますけれども、この点どうですか。
  64. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 廃棄物の処理につきましては、環境庁は現行法律制度上は最終処分構造基準及び維持管理基準について設定の権限を厚生省と分け持ちまして、第一次的には厚生省がその処理責任を負っておられるわけでございます。厚生省におかれましても最近の社会経済情勢の変化等を考慮して、昨年、たしか十一月末でございますか、生活環境審議会よりの今後の廃棄物の処理についての答申というものを受け入れられて、それを具体化すべく鋭意検討中と伺っておりまして、そのような検討の過程で御指摘のような事態に対応できるような方向が出てまいると思いますし、私どももその過程で私どもに与えられた権限に従って厚生省とよく御相談をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃこれは長官に伺いますけれども、今私、カネミ油症の高裁判決のことを申し上げました。つとに指摘されておりますように、食品公害のことは国は全く関係がないということで対応してきたのだけれども、高裁判決を認めるか認めないかはいざ知らず、起こっている現実というのは、例えば救済制度というようなものをつくることや、あるいは食品衛生法の改正をするとか、あるいはもっと基本的に食品の安全基本法というようなものを国の段階で考えるべき時期が来ているというように考えますけれども長官、こういう事態をお考えになってどのように思われますか。
  66. 上田稔

    上田国務大臣 PCBにつきましては、実はこれはなかなかよく安定をした薬品でございまして、これを消滅させるということ、無害にするということは非常に難しいものでございます。したがいまして、煮ても焼いてもなかなか消滅しないのでございます。しかし、うんと高熱で焼きましたら無害になっていくということになるのですが、そういうことをやらなくちゃいけませんので、しかも先生が御指摘をいただいたように通産の方では今大きな量を保管というか、させて、そして、それを管理をしていただいておる。問題になるのは、ノーカーボン紙に入っているやつを知らずに。お使いになられて、そして、それが一般廃棄物……(岩垂委員「それを聞いてるのじゃない、違うことを聞いているのだ」と呼ぶ)そういうことでございますので、食品衛生の方の問題を今先生が御指摘になられたのでございますが、これは農林省の方と、あるいはまた通産省の方と、両方にまたがっているものですからよく御相談をさせていただいて、なかなか難しゅうございますが、一緒に何か規制考えていき、早く確固たる規制をやっていけるようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  67. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間がないですから、質問したことに答えてくださいよ。私の言ったのは、こういう事件を振り返ってみて、食品公害に対する基本法だとか救済制度だとか、あるいは食品衛生法の改正であるとかそういうことも考えていかないと、先ほど私が読み上げたように、環境庁長官が朗々と読み上げた「国民生活の安心と安全の一層の確保」にはならぬのです。この点について環境庁長官は、調整機関なのですから、それだけの権限を持って物が言えるのですから、どうお考えになっているのかと聞いたので、そのことについて答えてください。煮ても焼いても食えない話なんかしなくても、そんなことはわかっているのです。
  68. 上田稔

    上田国務大臣 先生の御質問を私はちょっと勘違いをしておりまして、大変失礼をいたしました。  食品関係の問題でございますが、これは厚生省と農林省と関係があるわけでございますけれども関係省庁が一通集まりまして、いろいろ御相談をさせていただきたい、検討をさせていただきたいと考えております。
  69. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。  けさほど水銀問題の環境庁の発表が新聞に出ておりましたけれども、それはそれとして、業界などの意見も聞いてみますと、国内の流通電池の水銀総量というのは五十八トンぐらい。そのうち業界が自主回収をするボタン型電池というのは十三・二トンで、水銀総量全体の四分の一にすぎない。しかも、これは毎年毎年一〇%ぐらい製造が伸びていく。厚生省や環境庁のお骨折りの業界での自主回収ということも一つの方法だけれども、それは四分の一。しかどうにもなっていないというふうに思うのです。だから、問題が残っておるととらえるわけでございますが、けさの発表は大気ですね。土壌や水質というような問題はどうなっているのか。  それから、清掃工場、そこで働いている人々や工場の周辺、つまり局地汚染みたいなものは本当に心配がないのかどうか。その点は、環境庁の発表によると「国民の健康上、懸念される状態ではない」と、言葉を慎重に使っておられますけれども、本当に大丈夫なのでしょうか。
  70. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ただいま先生の御質問で、土壌あるいは水についてはどうか、かようなことでございますので、お答え申し上げます。  土壌に吸着された水銀も最終的には水に出てくるわけでございますから、水でモニターすることが一番的確な方法だというふうに私ども理解しておるわけでございます。水銀につきましては、総水銀、それから特に問題になりましたアルキル水銀、この両者について環境基準を定めまして、継続的に定点によってその測定値を観測しているわけでございますが、環境基準を上回るような水銀の値は全く検出されておりませんものでございますから、大気同様、水についても、現在の段階ではその問題はない、現在の段階では問題ないというふうに判断しております。
  71. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 現在の段階ではということにアクセントをおつけになった意味を私理解したいと思うのです。ただ、今私が言ったように、自主回収でも四分の一というような形ですから、そのままどんどん続けていきますと、この状態はもっと深刻な事態になるというふうに申し上げなければならぬのですが、現在の段階ではというふうに申された。これはいたずらに不安を強調することによっていろいろな心配を起こしてはいけませんからそれ以上言いませんけれども、正直なところ、もうちょっと深刻な事態が局地的には起こっている。きょうはそれを申し上げませんけれども、それらのことを含めてぜひ十分な監視の体制を強めていただきたい、このことをお願いをしたいと思うのです。  続いて、例のトリクロロエチレンだとかテトラクロロエチレンとか、舌をかむような名前なんですけれども、暫定基準というものを通達を出されました。しかし、飲み水ですから、人の身体に直接関係がある問題なんですから、影響が非常に大きいし、深刻だというふうに思うのです。  実は私の選挙区の川崎でも、これは質問をとりに来られた方にもちょっと申し上げたのですが、五十七年の調査で、市内九十五カ所のうち六カ所の井戸で基準値を超える汚染があったということが明らかになった。うちの二カ所は水道局が上水道水源として使用してきた。しかし、取水を中止した。それから、五十八年に二十三カ所全部の水深と上水道から規制三物質が検出をされたというふうになっています。一概に断定することはできないかもしれませんが、五十六年の水道局の調査で、中野島という二十三カ所全部が汚染されているという地域の機械器具製造業、塗装業、クリーニング店の二十三事業所のうち、トリクロロエチレンなど有機塩素系溶剤を使っているのは四事業所、うちクリーニング店が三店ということがわかっています。これが汚染の原因というふうにとらえることは軽率でしょうか。
  72. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先生指摘のございましたトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、いずれも今御指摘のような金属機械工業あるいはメッキ業、それからドライクリーニング業で利用されているわけでございまして、私どもも汚染のメカニズムをきちっとまだ把握をしているわけではございませんけれども、一応先生の御指摘になられたような疑いが出ることは当然であろうかというふうに考えております。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 因果関係の解明というものを急ぐべきだと思うのです。そして、大体そういうことだろうというふうに大方の知見が理解をし合えるところまで来ているとすれば、このままその使用というものを継続さしていくということはいかがなものかというふうに私は思いますが、それらの規制を含めて御検討いただくことをお約束できますか。
  74. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 この点につきましては、私ども、通商産業省等ともいろいろ相談しているところでございますが、これらの金属の溶剤、洗浄剤、それからクリーニングに用いられる化学物質につきましては、非常に燃焼性が低い、安定している。したがって、私どもこのような化学物質を今後評価していく場合には、その物質の有用性ということも一つの考慮に置かなければいけないわけでございまして、代替品の効用、それから価格、そういうもの、これは通産省とも御相談なんでございますけれども、一律に使用禁止というような措置をとるのはいかがであろうかというふうに考えておるわけでございます。  それでは、先生からただいま最後に御指摘もございましたように、規制考えるかということでございますが、まことに遺憾ながら、現在各業種別に使用量の実態すらつかまれていない段階でございまして、まして個々の非常に零細な企業でございますので、その利用の実態、それから除害設備をつけられる可能性というようなことも考えなければならないわけでございまして、私どもこのまま放置されていいというふうには決して思っているわけではございません、何らかの措置が必要であるということは先生の御指摘のとおりでございますが、今しばらくの時間をおかしいただきたい、かように考えているわけでございます。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 暫定基準をWHOの基準で示されました。しかし、それは水道法の基準ではございません。その意味では、水道法に定めるところの基準物質とでも言うのですか、言葉は正確ではございませんが、そういうものに当てはめてやはりきちんと、暫定基準じゃなしに日本の条件のもとで、環境庁はそれだけの知見があるわけですから、示すという用意があるかどうか。  それからもう一つは、有用性も考えなければならぬとおっしゃるけれども、これはどんどん使って、どんどんふえているのですよ。拡散しているのですよ。皆さん御存知でしょう。そういう状態のもとで、地方自治体の上水道の水源がなくなってしまったらどうするのですか、これ。そっちの方が問題じゃないんですか。しかも、健康を損ねるという事態が起こっておるじゃないですか。それは有用性ということはそれぞれの企業の利益との関係があるでしょう。中小零細企業だということもわかりますよ。だからといって、それをいつまでもほっておいていいという議論にはならぬと思うのです。その二点についてお答えいただきたいと思うのです。
  76. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 前者の問題は、水道の水質基準の問題でございますので、厚生省からお答えいただきたいと思います。  後者の問題については、お言葉を返すわけではございませんが、例えば危険性、非常に発火しやすいとか爆発しやすいというような溶剤その他にはそういう問題もございますので、そういうことも一つの要素として考えたいというわけでございまして、決して野放しにどんどんそういうものを使うことを認めるという趣旨で申し上げたわけではございません。その点は御理解いただきたいと思います。
  77. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  暫定の意味でございますが、今回厚生省の方で暫定基準として定めましたトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1・1・1トリクロロエタンでございますが、前二者につきましては、これは発がん性につきましてWHOの方でもまだ疑わしい。御承知のとおり、発がん性を確認いたしますには、二種類の動物でアウト、それから二段階の投与でアウト、こういう場合でございますが、今のところ一種類の動物でアウトということでございますので、発がん性は疑わしいという程度でございますけれども、厚生省といたしましては、前向きと申しましょうか、これをWHOも暫定ということでございますが、五十七年からの独自の調査に基づきまして、発がん性が疑わしいというものの、発がん性があると同様の厳しい基準を定めて通知したわけでございます。  それから、1・1・1トリクロロエタンにつきましては、発がん性の疑いは今のところ知見としてはございませんけれども、異臭味の問題等がございますから、これもやがてトリクロロエチレン等がこちらに代替していく、かわっていくというおそれがあるものですから、これも規制したということでございまして、今後ともなお知見の集積に努めまして、必要に応じまして基準の見直し等もいたしたいと考えております。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 川崎市民だけでなしに、恐らく日本じゅうの水道の水を飲んでいる人たちがそれなりの心配をしているわけです。だから、環境庁が先手を打って、関係省庁とも連絡をとって通達を出したことは知っておりますけれども、あれだけでは私ちょっと不安心な面があるというふうに思いますので、ぜひ取り組みを強化していただきたいことをお願いをいたします。  関連して、これはきょうはやりませんが、ダイオキシンなどもこれからかなり深刻な問題だというふうに思います、清掃工場などを含めて。これらについても対策を講じていくという方針は確立しているのですね。
  79. 上田稔

    上田国務大臣 先生指摘の、こういう今まで気がつかなかった問題、こういう問題につきまして環境庁は力を入れてやらしていただき、そして各省に対しまして御連絡をいたしつつ、対策を立てさせていただきたい、こういうふうに今進めております。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間の関係がございますから、きょう閣議で了解をいただいたという湖沼水質保全特別措置法に関連をして伺います。  環境庁、NやPについて私は十年近く前から環境基準あるいは排出基準のことを水濁法の中で位置づけていくということについていろいろ御意見を申し上げてきたことがあるんですが、中公審に御諮問いただいた意味は、これは全国一律というかナショナルミニマムとして一つの基準をつくりたい、水濁法体系の中に入れていきたいというふうにお考えになってお進めになっていらっしゃると理解してよろしゅうございますか。そして、その作業がどの辺まで来ているかということを伺いたいと思います。
  81. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、窒素及び燐について水濁法の体系で必要な規制を行っていきたい、かように考えて、現在手続を進めている段階でございます。  昨年一月、中公審に諮問して専門部会で鋭意検討いたしまして、その検討の過程の一つの作業といたしまして、それぞれこれの関係の業界を持っておられる省庁において、その基準値を遵守させることが可能であるかどうか、除害施設を設置することが経済的、技術的に可能であるかどうかというようなことを現在詰めている段階でございまして、私どもとしては、可及的速やかにその規制を実行に移し、湖沼水質保全法を成立させていただきましたならば、両者相まって湖沼水質保全に対して努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私がなぜこんなことを言うかといいますと、所信表明の中で、「湖沼水質保全特別措置法案を今国会へ再提出することといたしておりますが、これと並行して富栄養化防止対策として、湖沼の窒素及び燐に係る排水基準の設定を急ぐなど、総合的な」、こうなっています。主体的には、本来特別措置法というのが富栄養化対策なんでしょう、皆さん考えたのは。私はやはり水濁法でナショナルミニマムを決めた上で、その上に極端な閉鎖性水域あるいは湖沼に対する手だてというものを、事によったら上乗せを含めて決めていくというやり方の方が理想的だと思うのですが、そうなっていない。  そこで、ちょっと伺うわけですけれども、その点についてどんなお考えを持っていらっしゃるか。
  83. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 本日閣議決定していただきましたいわゆる湖沼法でございますが、先生指摘のように、水濁法による一般的な規制を前提にして、その上乗せとして、水濁法では規制のできない施設等について負荷量規制を行うような構成をとっているわけでございます。そのような意味で言えば、確かに時間的な前後関係から言えば、水濁法による窒素、燐の規制等が先行するのが望ましいという考え方もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、若干の時間的な前後関係はあるにしても、水濁法による窒素、燐の規制及び湖沼法による総合的な対策、これが両々相まって湖沼水質保全について所期の成果を上げられるようにしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 湖沼で食い逃げしないということを約束いただいたんだろうと思いますから、できるだけ早くその努力をお願いしたいものだと思います。  率直に言って、今度の湖沼法案というのは、法案審議の過程で申し上げますけれども環境庁が最初に考えていた例えば土地利用規制が全部なくなってしまった、奉るいは特定施設の許可制が届け出みたいな形になってしまった、あるいは対策に要する財政上の措置というものが現実問題としてない、財政的な裏づけがないということ、あるいは緊急な問題だと思われる洗剤などの対策としては余り役に立たないのじゃないか。けちをつけるようで悪いのですが、けちじゃないのです。環境庁が最初に取り組んでいたときと比べればはるかに後退をしている。これらについてどうお考えですか。
  85. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 御指摘のように、湖沼周辺の土地利用についての対策のあり方、それからまた新増設する水濁法の特定施設について届け出制をとっているという点でいろいろ議論があることは私どももよく承知しているわけでございます。  例えば土地利用について言えば、既に自然公園法それから都市計画法あるいは森林法、農地法、各種の土地利用規制制度があるわけでございまして、これらの運用のよろしきを得れば一応その目的は達成できるのではないか。現に中公審の答申でも、既存の諸制度の活用をまず考えるべきであって、それが足りない場合には新しい制度の創設も検討してみるべきである、こういうふうにうたわれておるわけでございまして、そのような意味で、私どもとしては中公審答申にも反しているわけではないというふうに考えているわけでございます。  また、許可制の問題について言えば、先生御案内のように、湖沼周辺の企業は大体中小企業が多いわけでございまして、瀬戸内法では許可制をとっておりますけれども企業規模等を考えればこのような法制をとることもまたやむを得ないのではないか、かように考えているわけでございます。  さらに、財政的なものについて言えば、湖沼水質については、国及び地方公共団体一緒になってともに努力をしていくべきであるというのが今回の法律の基本的な思想としてあるわけでございますが、もちろん環境庁は直接補助金は持っておりませんけれども、下水道整備事業、し尿処理施設の整備事業等につきましては、あらかじめ湖沼水質保全計画の中で五年間ぐらいの事業量を定めまして、それについて内閣総理大臣が同意する、同意する際には関係各省も含めた実質的な閣僚会議で決めるということでございまして、各省の予算が優先的にそこについてまいるようになっているわけでございまして、その点もひとつ評価していただきたい、かように考えているわけでございます。
  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あちこちぶつかって削られた部分について、その削られた発言の代弁をすることはないのです。環境庁が自信を持ってこの法案を出すとすれば、やはりその点を含めて、不十分だ、しかし努力したけれどもここまでだったということなら、それはそれとして私どもも理解をすることができないわけではないが、今みたいなことを言ったのでは、これはとてもじゃないけれども、初心はどこに行ってしまったかとあえて言わざるを得ないので、それは注文だけつけておきたいと思うのです。  私は、所信表明の順序に従ってやりますが、公害健康被害補償法のことを尋ねておきたいと思うのです。  ここに東京都議会の議長からの意見書がございます。これは都議会だけではございません、関係の自治体から出ているものですが、長いから単純に言います。  第一種地域指定の要件として、硫黄酸化物だけでなく窒素酸化物及び浮遊粒子状物質を加えること、二として、未指定の世田谷、中野、杉並、練馬区の四区を速やかに地域指定すること等々、つまり緩和をするという時期ではない、指定地域の解除というのは時期尚早だ、特に窒素酸化物や浮遊粒子状物質を要件の中に具体化されたいというふうなことが出ています。  これは地方自治体の一致している要求に対して、今度の議論の過程では誠意を持ってこたえる態勢があるかどうか、長官お答えをいただきたいと思うのです。
  87. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま先生指摘公害健康被害補償法の第一種地域の問題でございますが、これにつきましてはいろいろと議論がございますが、私どもといたしましては、その根本的な問題につきまして不明な点がありますので、昨年の十一月に中公審に諮問をさせていただいておるのでございます。中公審の中に専門部会をつくっていただきまして、この審議を今進めていただいておるのでございますが、諮問事項が公害健康被害補償制度の運用の基本にかかわる重要事項でございますので、中公審の方でひとつ十分に御審議を尽くしていただいて、そしてお願いを申し上げたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは念のために、この補償法というのは、昭和四十八年四月五日の中公審答申に示された「本制度の対象とする被害の発生が原因者の汚染原因物質の排出による環境汚染によるものであり、本来的にはその原因者と被害者との間の損害賠償として処理されるものにつき制度的解決を図ろうとするものである以上、本制度は基本的には民事責任をふまえた損害賠償保障制度として構成すべきである」、こういう立場、つまり、この制度というのは被害者の権利を制度的に保障したものだというふうに受けとめていますが、今度の議論というものもそのことをもちろん前提にしているというふうに考えてよろしゅうございますか、言うまでもないことですけれども
  89. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  現在の公健法は、ただいま先生からお話ございましたような制度の本質、趣旨には全く変更はございません。ただ、制度発足時点からただいままでの十年間にわたります経過の期間におきまして、大気汚染の態様の変化が非常に変わってきておるということを踏まえまして、現在の時点におきます大気汚染と健康被害との関係の評価ということについてもう一度中公審で御審議していただき、それに基づきまして制度の趣旨に変更なく、この制度の適正な運用を図ってまいりたいという考え方で現在進めているところでございます。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 損害賠償制度という形で考えるならば、加害者と被害者つまり被害者の代表も中公審の中に入れなかったらそれはおかしいのですよ。被害者、患者と言って悪ければ、専門家もいるわけです。そういう人たちも中公審のメンバーの中に入れて議論をするということでなければ、この制度の基本的な枠組みというものが法律的に保障されないと私は思うのです。けれども、この間いろいろな人々から例えば公聴会を関係地域で開いてくれとか、各界から提起された意見を審議に反映させてほしいとか、あるいは議事録を作成して資料とともに公表することとかというふうなことが言われていますが、それはこたえられますか、中公審は。皆さん方の立場でそのことをお願いする立場はちっともおかしくないと私は思う。
  91. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございましたような趣旨の意見表明というのを私ども承っておるわけでございますけれども、中公審あるいは環境保健部会の委員につきましては、それぞれ患者さんの診療をやっていらっしゃる先生、あるいはそういう大気汚染につきまして従来から研究をやっていらっしゃる委員の方々等がお入りになりましてこのメンバーをつくっているところでございまして、そういう面はある程度患者さんの実態を十分知りながら審議が進められるというぐあいに私ども思っているところでございます。  なお、患者さんの御意見あるいはそれ以外のいろいろな方々の御意見につきましては、私どもの方でまとめまして部会の方に御報告申し上げ、部会の御理解を得たいというぐあいに思っているわけでございますが、先般も患者さんからの直接の声を部会の方でお聞きする機会を設けるなどいたしまして、今後とも各般のいろいろな御意見は部会の方にお伝え申し上げたいというふうに思っているところでございます。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間が来てしまいましたから、患者の立場あるいはその主張を十分に反映できるような運営を今後とも御配慮いただきたい、このことを申し上げておきたいと思うのです。  最後に、これは建設省おられますか。実は今から十年以上前なのですけれども、私が多摩川の支流である野川という川の状態を調べてみたところが、上流の方が汚れてて下流の方がきれいなのですよ。どういうわけだと聞いたら、自然浄化力が結局下流の方の水をきれいにしているということで、私は実は、昭和五十年ですから今から九年前ですか、昔は公環特と言ったのですが、委員会でお願いしまして、そういう自然浄化力を使った水質汚濁を改善する手だてを孝えるべきではないかという提案をいたしまして、建設省が是政橋の付近で東京都の下水道最終処理場の水を利用してテストプラントを八年ほど繰り返してまいりました。その結果、BODなどで八〇%以上除去率があるということで、野川の末端にそれをつけていただきました。その成果と、それからもう時間がございませんからまとめて聞きますが、多摩川は、東京ばかりきれいにしたって川はきれいになりませんので、川崎の方もやってもらわなければ困るので、平瀬川などについての要求を私どもお願いしておりますが、それについての御答弁をお願いしたいと思うのです。
  93. 近藤徹

    近藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御説明ありましたように、下水道の整備がまだ完了してない河川等でも、河川の自浄作用を特に強く打ち出すというような対策をとることによって、かなりの河川の浄化効果を期待できるというところから、昭和五十年度から実験を重ねてまいりました。その成果の上に立ちまして、下水道整備の完了してない間の暫定措置としまして、広大な河川の敷地とその礫を使いまして接触沈殿、微生物による酸化等によりまして、河川の流水を自浄作用により浄化を図るということで、礫間接触酸化法によりまして昭和五十六年度から野川の合流点においてこの施設を設置してまいりまして昨年完成を見ました。その後の状況を見ますと、当初の計画どおり、流量によっていろいろの差はございますが、当初の目標のBODで七五%、SSで八五%の除去の計画はほぼ全うしているというふうに考えております。  なお、今後その対岸におきます平瀬川の流域におきましても昭和五十九年度からこれと同じような措置によりまして浄化対策に取り組みたいと考えております。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。  大臣、あなたの部下、こういう立派なこともやっているんだ。下水道にべらぼうな予算をかけるだけじゃなしに、こういう簡易なものを、しかも石ころ変えればそれでまた水がきれいになるわけですから、それらのことを含めて、この間新聞見たら印旛沼とか手賀沼とか、そんなところでも地方自治体が取り組むと言っています。環境庁、そういうような問題を含めて、アメニティーなんて言っていることも大事かもしらぬけれども、そういう町づくりとか手だてを進めていくことを私は要望します。  もう時間がありませんから、予鈴が鳴る前に一言だけお願いございますが、自然保護局長、流れ弾で申しわけありませんけれども、石垣の国際空港の問題が深刻な問題になっていることは御存じのとおりです。私は「日本の自然環境」という環境庁の本を見ました。そうしたら、沖縄のサンゴ礁の中で、日本じゅうのサンゴ礁の中で、とりわけ石垣島のサンゴ礁が非常に貴重な位置を占めている、そして非常にきれいなものだと思うのです。白保のサンゴ礁が埋め立てでもって破壊されるという危機にさらされています。このサンゴ礁の保存、同時に、あの辺の環境保全の問題について環境庁として慎重の上にも慎重な配慮をお願いしたい。とりわけサンゴ礁を守っていっていただきたいと思うので、学術調査などお願いができれば要望しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 竹内黎一

    竹内委員長 山崎局長、時間が迫っております。簡潔に答弁お願いします。
  96. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 白保地区のサンゴ礁はいろいろ承知しておるわけであります。別途、沖縄全体の中で国立公園の所在、西表を中心にした、あるいは石西礁湖を中心にしたサンゴ礁を守る手だてもやっておりますし、崎山を中心にした海中公園、これも自然環境保全地区として指定したところであります。全般的なそういうものの中で、サンゴ礁のいろいろな計画、空港計画があるようでありますが、慎重に考えてまいりたいと思います。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもありがとうございました。
  98. 竹内黎一

    竹内委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩     午後一時三十分開議
  99. 竹内黎一

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  100. 中村茂

    ○中村(茂)委員 まず長官に、所信表明の中から若干の質問をいたしたいと思います。  この所信表明の中に、このような一節がございます。「環境は、人間にとって、必要な資源を供給するなど活動の基盤であるとともに、その過程で生ずる汚濁物を浄化し、また、生活に安らぎや潤いをもたらすなど、さまざまな恵みを与えてくれます。」非常にいいことを言っています。「環境は、いわば生態系の微妙なバランスの上に成り立つ有限な資産であります。このバランスを保持しつつ、賢明、適切に利用し、その恵みを享受していくことは、私たちのみならず子孫にとって、物心両面にわたる安定した生活を確保するために必要不可欠であるという共通の認識が高まりつつあります。」理想ですから、理想は高く掲げることは非常に結構だというふうに私は思います。  先ほど質問の中で、二十一世紀に向かって環境行政というものが出ておりましたが、長官もこの表明の中で四カ所ほど二十一世紀ということを言っております。まず一番先に出てくるのは、「さらに、二十一世紀までを見通しますとこというふうに、見通しの中で二十一世紀が出てくるわけであります。二番目には、「さらに、二十一世紀初頭には現在の二倍を超えると予測されております。」三番目には、「二十一世紀に向けての我が国の長期的な環境政策のあり方を考える上にも」、四番目には、「二十一世紀に向けて環境の保全と創造のための新たな指針となるべき環境保全長期構想の策定を推進するとともにこというふうに、前書きの中で二十一世紀が四カ所も出てくるわけですから、大変な構想で環境行政をやろうとしている決意はうかがわれます。ですから、長官のこの決意が、夢がまた夢にならないように私は希望するわけであります。  そういう意味で、ここでまた改めて長官環境行政に対する決意をお聞きいたしたいと思います。
  101. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  環境問題というのは、先生指摘のとおり非常に重要な問題であると私は認識をいたしております。ところが、日本が戦後非常に疲弊をいたしておったのでございますが、この疲弊を取り返すために、発展を図るために国民皆さんが非常な御努力をされまして、我が経済が非常に高度成長をしてきたのでございます。その高度成長をしてまいりますと、そのときに戦前では思いもかけなかったような事態が生じて、環境というものを非常に侵してきたのでございます。したがいまして、そういう環境を守るために公害防止ということを重点に置いてやらなくちゃいけないという事態が生じました。  これに対して、環境庁というものができ上がりまして、そして、その公害に対する対策を立ててきたのでございます。また、国民皆さんの御努力とあわせて、公害がある程度落ちついてまいりつつあるのでございますが、その公害ということに対してはこれからも環境庁はやらなくちゃなりませんが、さらに、新しくまだわからない面、最近は技術が非常に発展をしてまいりまして、いろんな新しいものが使われるようになってまいりました。そういうことからまた公害を起こしてはならないということで、そういう公害防止にまた非常に力を入れなくちゃいけない事態になってまいっております。これはもう未然に防止するということを考えて、環境庁としてはさらに進まなくちゃいけないということでございますし、それと同時に、環境庁といたしましては自然公園法などを持っておりますが、日本の国土全体の環境というもの、これをお守りをしていかなければなりません。非常に日本環境のいい国でございますから、そのいい環境というものを保持していかなければならない。これも環境庁の任務でございますが、それとともにまた人口がふえ、産業が、あるいは経済が伸びていったその過程において非常に暮らしにくくなっておる。例えば大都市の周辺であるとか、その他の人口がふえてきておる地域、あるいはそのほかの理由によって悪くなっておるところ、こういうところにまた環境を取り戻していくというような考え方でやっていく。これに重点を置かなくちゃいけない。  これからの環境庁仕事というのは、公害の未然防止ということ。もちろん今まで公害を起こしてまいりました、その公害の被害を受けられた方々の救済はもちろんでございますけれども、そういうことも込めて公害に対処し、そして新しく環境というものを創造して、今までのよかった環境をさらにまた伸ばしていって住みよい日本、二十一世紀に向けての環境庁のこれからの目標として、そういうものを目指して進んでいこうというのが環境庁考え方でございます。私もそれに沿って、ひとつ大いに頑張らせていただこうと念願をいたしております。
  102. 中村茂

    ○中村(茂)委員 所信決意、結構でございます。ただ私は、環境行政というのは国民の側に立ってやっていただきたいというふうに思うのです。そして、それを実現していくには今の環境庁は、縦割り行政の中でさまざまなところに環境公害問題が起きているわけでありますから、もっと行政的に力をつけなければ、なかなか縦割り行政の中で問題を解決していくことが難しくなってくるのではないか。そういう意味で、長官のこれからのますますの活躍を期待申し上げたいというふうに思うわけであります。  もう一度繰り返します。国民の側に立ってやってもらいたいということ。それから、公害はそれぞれ縦割り行政の中で幅広い行政の中にありますから、行政一つ長官としてもっと力をつけて、それがまとめられていくような行政指導をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。これは希望です。  そこで、環境影響評価法に、先ほども質問ありましたけれども、ちょっと触れておきたいというふうに思います。  これは私が申し上げるまでもありません。一たん国会に出て、昨年の暮れ、国会が解散になったときに廃案になった法案であります。そして、長官所信表明の中にも具体的な課題の中の第一番として、これはこの国会に再提出いたしますよ、こういうふうに明らかにしているわけであります。そして、法案の取り扱いは三月の二十七日、本日、出しなさいよ、そうでなければ会期からしてなかなか審議が難しくなっていくし、通すことが日時的に難しくなってくる、したがって、きょうがめどになっているわけであります。  ところが、前回のものをそのまま出しますよ、そして、きょうがめどだというのに、いまだにそれこそ出すめどが立たない。何でだろう。私は不思議でたまりません。しかも、私ども社会党の場合には、このアセスメント法はまだ不十分だということを何回か言ってきているわけであります。それから、前回環境庁として法案を策定するまでの経過にも私どもは非常に多くの疑問点を持ってきたわけであります。そういう法案であります。また法案が出れば私どもの意見も申し上げたいと思いますが、所信表明の中で長官がいかに立派なことをいろいろ言っても、前回出していたものをまた出せなくなるということは、もう環境行政どこにあるかというふうに私は言いたくなるわけであります。いつごろまとめようとしているのか、その決意について明らかにしていただきたいと思います。
  103. 上田稔

    上田国務大臣 アセス法案についてでございますが、先生指摘のとおり、前国会において解散とともに廃案になってしまったものでございます。したがいまして、再提出をいたしますときにはやはり新しい法案としていろいろな手続をとらなければならないのでございます。その際に、前と同じだから意見はないのではないかということでございますが、実は前に御提出をいたしましたときは五十六年でございますが、それから今までの間におきましていろいろ経済事情が変わっておりますし、また各地方においてアセスを条例または要綱によって扱っていただいております。あるいは各省におきましてアセスのやり方をお決めになったりしておりますので、やり方が変わったりしておる。そういったようなことを踏まえて、各省ともにいろいろ御検討いただいておるところでございます。  環境庁としては、手続がいろいろになっておるということはもうどうしても国において統一をしなければいけないというふうに考えまして、これは提出するべく考えております。提出時期につきましては二十七日でございますが、予算がおくれております関係もありまして、そのおくれを考えてもうちょっと日にちをいただく、こういうことで今折衝を進めておるところでございます。
  104. 中村茂

    ○中村(茂)委員 長官、そういうことを言うともう少し詰めなくちゃならぬと思うのですよ。予算がおくれていて、だから少しぐらいおくれてもという言い方ですね。しかも、日にちがたっている。その間にさまざまなものが出てきている。これは私も承知しています。しかし、この法案ができるときにこういう問題があったのです。東京都政において、条例で環境アセスを制定しよう、こういう話が出て、そのときの原案というのは美濃部知事のときなんです。私どもの目から見れば厳正なものだ。それで今度鈴木知事になって、それをもう少し緩和しようという動きが出てきた。前任者がそれだけのものを持って、後の人がそれを緩和するということは政治的にはなかなか難しいのです。そこで、環境庁の方へ働きかけて合うものをということで、私どもの目から見れば、さきに出されたのは相当私ども考えよりも緩和され、しかも臨時事業などについては抜けている、公共事業などについては一部分だけ適用するようにする、こういうことで、ある意味では骨抜きのものになっているというふうに私どもは理解したわけなんです。それだけのものをつくっておいて、環境の変化があったからといって、また中を削るとかどうとかなんということは受け入れる余地がないのですよ。  ですから、私は冒頭言いましたように、もっと強い意思で環境行政をやってもらわなければ、そういう事業体を抱えているそれぞれの省庁からいろんなことが出てくるのですよ、そんなもの。それだから、私は長官を激励しているのですよ。それを口先だけでごまかそうとされたって困るのだ。ですから、強い意思でやってください、これは要求しておきます。
  105. 上田稔

    上田国務大臣 いろいろと御支援をいただきまして、ありがとうございます。私どももその決意で懸命にやっておるところでございます。
  106. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これはこの程度にして、次はカネミ油症事件についてお伺いいたしたいと思います。  カネミ油症控訴審の判決が三月十六日に出ました。そして、上告するかしないかという期限は三十日ですから、二週間ということで、迫っております。私は、この判決を見て次の四つのことを指摘しておきたいと思うのです。  まずその一つは、国の法的責任が認められたという点。二つ目には、この判決の中で指摘しているわけですけれども、ダーク油事件、この事件において国、いわゆる農水省の担当官には公務員として当然なすべき注意義務を怠ったという過失があった。国は油症被害拡大を阻止できたはずだ、こういうふうに指摘している点。三番目には、和解勧告を国が拒否した、その態度。それから四番目には、十六年にわたって苦しんできた被害者の立場を、被害者の立場に立ってこの際考えてみるべきではないか、したがって、国は上告を断念すべきではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  そこで、厚生省にお伺いいたしますが、三十日に期限が来ておりますけれども、これは上告するという意思があるのかないのか、その点どういうふうに今検討されているか、お伺いいたしたいと思います。
  107. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  今回の判決では、先生が御指摘ございましたように、ダーク油事件における対応を理由に国の責任が問われておりまして、現在この点を中心に法務省、厚生省、農水省の三省で慎重にその対応を検討しているところでございます。
  108. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に、農水省にお伺いいたします。  特に農水省の場合には、ダーク油事件という皆さんのところの職員、公務員としての責任と義務の問題が指摘されておりますから、その点をどういうふうに考えるのか、上告するのかしないのかを含めてお願いいたしたいと思います。
  109. 阿部敏明

    ○阿部説明員 ただいまの点につきましては、過去二度の判決におきまして今回の判決とは異なる判断が示されているということもございますので、これらの事情を含めまして、現在関係省庁とも慎重に検討しているところでございます。
  110. 中村茂

    ○中村(茂)委員 今言ったように、この判決の中で指摘しておりますダーク油事件というのは、農林省の担当官が、いわゆる国家公務員として当然ダーク油事件について注意義務を怠っていた、そのときにもっと真剣に考えて、PCBといういわゆる汚染源というものを厳格に認めて、行政指導を徹底的にやっていけば、こういう油症被害拡大というものを阻止することができたのだ、こういうふうに判決の中では言っているわけであります。ですから、その点、今私がどういうふうに考えているかと言うのに対して、ただ検討しているということだけなんです。だから、もう少し検討内容を明らかにしていただきたいと思います。
  111. 阿部敏明

    ○阿部説明員 今回の裁判は、民間企業の製造した食品に起因する事故につきまして国の賠償責任をめぐる法律上難しいものでございます。特に今回の判決は、先ほども申しましたように、過去二度の判決で否定されている国の賠償責任を認めているということもございまして、私ども、この油症事件につきましては、本件のほか幾つかの訴訟も係属中であるということ等から、現在関係省庁において慎重に検討しているということを申し上げられるだけでございます。
  112. 中村茂

    ○中村(茂)委員 慎重に検討、慎重に検討と言うけれども、今まで過去二回それぞれ違う事件でも国の責任は問われていないで、今度初めて国の責任が問われたのだからという言い方で慎重検討ということになれば、上告の方向で検討しているというふうに私の耳には聞こえてくるわけです。しかし、この際、私これからまだPCBの問題について——先ほど同僚の岩垂委員からも質問しておりましたけれども、そういう公害事件のもとになっている病源というものを行政としていろいろやっているわけでありますから、やはり裁判の中でこれだけの指摘が出てくれば、前がどうだから、今度初めてだからという——私どもは、裁判所で今回初めて国の責任というものがこういうふうに明確になってきた、それをやはり重点的に考えていきたいと思うわけであります。ですから、何でも次また上告してしまえばいいわという気持ちではなしに、判決が出された意味というものをもっと深く理解し、検討していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  再度申し上げておきますけれども、先ほど申し上げましたように、十六年間にわたって被害者の皆さんは非常に苦しんできているわけです。ですから、その立場というものを十分理解して、上告は断念すべきだ、これが私の主張であるということを強く申し上げておきたいと思います。  厚生省にお伺いいたしますが、このカネミ油症事件のもとになっているPCBのいわゆる食品公害、この事件ができてから、法制化されたし、基準もできたし、公害防止策について相当進んできているわけでありますけれども、今どういう方向でこの公害防止策を進めているのか、お伺いいたしたいと思います。
  113. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  この油症事件発生後の昭和四十七年に食品衛生法の改正をいたしまして、厚生大臣は、有毒有害物質が食品に混入することを防止するための措置に関し必要な基準を定めることができる旨の規定を設け、昭和四十九年にはこの規定に基づきまして熱媒体の混入防止の措置基準を定め、同種の事故の再発の防止を図ってきております。このように、既に法令上の措置は講じられているわけでありますが、今後ともこの種の問題を含め、食品の監視、指導の徹底等を図ることによりまして食品事故の未然防止に努めてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  114. 中村茂

    ○中村(茂)委員 通産省に、特にノーカーボン紙問題に絞って少しお伺いしておきたいと思います。  今お話ありましたように、この事件ができて、特にPCBが含まれているというノーカーボン紙、これは製造も禁止されているし、いわゆる処理方法などもいろいろされている。  今ノーカーボン紙はどのくらい保管されているのか、それから、この保管されているものをこれからどう処理されようとしているのか、その点についてお聞きいたします。
  115. 榎元宏明

    ○榎元説明員 お答え申し上げます。  現在、いわゆるPCB入りのノーカーボン紙は、各省庁、地方公共団体、銀行その他の民間事業所におきまして約千七百トンのものが保管されているわけでございます。  これの処理についてでございますが、現在、産業廃棄物処理法の規制下にございます。したがいまして、それぞれの事業者と申しますか事業所の方々が、その処理について一義的には判断すべき問題ではございますけれども、このPCBというのは、先生御案内のように、非常に処理の難しいものでございますので、製紙メーカーの方でPCBの性質であるとかノーカーボン紙の性質であるとか処理の方法、そういったものに精通しております方々が集まりまして旧ノーカーボン紙協会というものを設立しておりまして、そちらの方でこのPCBの旧ノーカーボン紙の処理につきましてこれまでいろいろお手伝いしてきた経緯がございます。そういう観点から、今後につきましても、できるだけ安全でできるだけ効率的な処理の方法を調査研究していくことにつきましてお手伝いをしていきたいと考えております。私どももできるだけ早く安全に処理ができることを望んでいる次第でございます。
  116. 中村茂

    ○中村(茂)委員 長官、ここが問題なんですよ。今保管されていて、旧ノーカーボン紙協会というものを民間でつくらせて、それをどういうふうに処理するかということを今研究させているというわけですね。ところが、焼いてもなにしてもどうにもならない品物で、言えばもうコンクリートの中へでも入れてどこかの地下のところへでも持っていって永久に埋めておくか、それとも太平洋の真ん中へでも持っていってそれこそ埋めておくか、いわゆる原子力の中から出てくる廃棄物と同じ性格を持っているわけですね。ところが、それが含まれているノーカーボン紙は依然として保管されているということで、ばらばらに全国に千七百トンも放置してある。ですから、全く放置してあるという言葉が私は正しいと思う。しかも、それをどういうふうに処理するかというのは研究中だ、研究中だ、こうなっているわけでしょう。ですから、この判決を機に、判決そのものを受けて、国が責任を問われて、それを上告するかしないかというような問題、事件そのもの、それから裁判そのものの問題はありますけれども、このもとになったPCBの扱いというもの、これは環境行政の中で真剣に考えて、一日も早く処理できる体制をつくっていただきたいというふうに思うのです。  環境庁から、カネミ事件、それから今申し上げました処理の問題を含めてお聞きいたしたいというふうに思います。
  117. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 PCB問題、特にその廃PCB、原液でございますが、廃PCBそのものは現在約七千トンあるわけでございますが、これは先生御案内のように、廃棄物処理法上明らかな産業廃棄物でございます。先ほど通産省からお答えのあったように、産業廃棄物は事業者がみずから処理しなければならない、かようなことになっておりまして、通産省もそのような見地からその事業者の処理を促進するためのさまざまな行政指導を講じられているところだというふうに承知しております。  したがいまして、第一次的には通産省にお任せしているわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、環境庁環境の保全一般について長官に責任と権限が与えられているわけでございまして、かような見地から、私どもはその処理を促進するために、先ほど先生指摘ございましたように、洋上で焼却するのが一つの方法でございまして、その洋上焼却を進めるべく、ここ数年来、通産省、それから水産庁にお集まりいただきまして種々協議を進めてきたわけでございますけれども、遺憾ながら大変毒性の高い物質であり、かつ処理が困難であるというようなところから、関係者の御理解が得られないで現在まで来ているわけでございます。しかしながら、一刻も早くこれを処理しなければならないことにつきましてはまことに御指摘のとおりでございますので、さらに関係省庁とも精力的に協議を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  118. 中村茂

    ○中村(茂)委員 関係省庁に積極的な努力をひとつお願いしておきたいというふうに思います。  次に、道路粉じん公害について申し上げたいと思いますが、写真を三部持ってきましたからごらんください。その写真は国道十八号線の長野県上田市新田交差点というところですけれども、たまたま私の事務所がそこにございまして、私の事務所の前になるのですけれども、一応写真に撮っておきました。  長野県は一口に言って大陸的な気候というふうに言われておりまして、温度は冬季になると非常に下がる、したがって路面が凍結する。空気が非常に乾燥いたしまして、粉じんで出たものをそれこそ風じんとして巻き上げる、こういう気象条件の土地であります。ですから、冬季になりますとスパイクタイヤを四輪ほとんどの人がはく。私自身も選挙区を歩く場合に、日陰のところが多いわけでありますし、峠も多いわけでありますから、大体十一月の半ばから四月半ばまでスパイクタイヤで走るわけです。  そういう関係があって、この期間空気が非常に乾燥する、そういう中でこの粉じんが健康へ悪影響を与える。私の事務所なども朝どんなにきれいにぞうきんをかけても、夕方になれば上は真っ白になってしまって、手でやってもすっと集まるくらいです。その写真にもありますように、ことしは雪が多かったために道路の粉じんが全部道路わきのところに押し寄せられて、もう十センチぐらいたまっているのです。道路を清掃する、そういうものを掃くのはちょうど掃除機みたいなもので吸い上げるのですから、ことしのように湿ってしまうとそれを吸い上げるわけにいかないのです。ですから、ことしの冬になって私の前のところを一回も掃いたことを見たことはありません。そして、そういうふうに全部道路がなってくる。一口で言えば、自分が加害者であり自分が被害者、こういう難しい問題のわけです。  そこで、それぞれ関係のところにお聞きしたいと思います。まず建設省道路行政の面からこれをどういうふうにとらえているか、お聞きいたします。
  119. 和田惇

    ○和田説明員 お答えを申し上げたいと思います。  スパイクタイヤが御指摘のように普及してまいりまして、道路の舗装の摩耗が大変著しい問題が出てまいりまして、道路管理上大変大きな問題になっております。また、それに伴いまして、粉じんの環境に及ぼす影響も都市部を中心にいたしまして大きな問題になっているわけでございます。  建設省といたしましては幾つかの対策考えなければならぬということで検討いたしておりますが、一つは、摩耗に強い舗装をつくり出すということでございます。これにつきましてはスパイクタイヤが普及する以前からタイヤチェーンがございますが、それに対する強い舗装といったような研究もいたしておりまして、舗装の技術指針等に組み入れてまいってきたところでございます。  それから、二つ目でございますけれども、粉じんの飛散防止を図るために現在その効果があると考えられておりますのは、春先の雪解け時期の清掃でございまして、この実施につきましては十分留意しているところでございます。今後とも効果的な清掃につきまして調査研究を進めてまいりたい、かように考えております。  それから、もう一点でございますけれども、御存じのように、我が国は雪国でございまして、山岳地帯、丘陵地があるわけでございまして、また降雪、降水量もかなり多いというふうな問題もございまして、かなり厳しい条件下にあるわけでございます。そういった中でスパイクタイヤ等の防滑装置を必要としないような路面状況をつくるということ、これは地先道路まで広めてまいりますということはなかなか面倒な状況にあるわけでございます。しかし、水盤上においてはその特性を発揮する、こう言われておりますスパイクタイヤでございまして、そういったような特徴とか弊害などを啓蒙いたしましてスパイクタイヤの装着が適正となるように考えていきたい、こう思っております。今後とも調査検討を詰めてまいりまして、関係各省とも十分連絡をとりまして、道路の維持管理それから交通の安全確保といったような面からこの問題に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  120. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次、通産省、スパイクタイヤを含めて技術面からの結果をひとつお願いいたします。
  121. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 従来から通産省は業界を指導いたしまして、まずスパイクによる道路損耗ができるだけ少ないようなスパイクタイヤを普及させようということで、去年の五月から第一次基準と称するものを実施させております。これではスパイクの打ち込み本数を減らす、あるいはスパイクの突き出しミリ数を減らす、こういったふうな手を打っております。それからさらに、損傷を少なくするためにこういったピンに対しての改良を一層加えるということで、ことしの五月から第二次基準を実施させるべく業界にも調査研究をさせておるというような状況でございます。  それからもう一つ、根本的な対策といたしましてスパイクのないタイヤ、こういったものが必要かと思いますが、現在のところ、ことしの冬からスパイクレスタイヤあるいはスタッドレスタイヤというふうな呼び方をされていますが、こういったものが試験的に市場に出てまいりまして、ただ、これは現在のスパイクタイヤに比べて制動あるいは駆動という面について三割くらい性能が落ちるという面がございますので、こういったスパイクレスタイヤそのものですべてが乗り切れるかどうか、これは現段階ではそのあたりはかなりまだ検討を要するであろう、こんなふうな状況にございます。
  122. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に警察庁交通安全の面からひとつお願いします。
  123. 広谷干城

    ○広谷説明員 スパイクタイヤにつきましては、凍結路面等における制動性能あるいは操作性等におきましてすぐれておりまして、凍結時の交通事故の防止の面では相当効果があるものでございます。一方、今お話がございましたように、スパイクタイヤの利用の拡大に伴いまして、粉じんあるいは路面の損傷等の問題が生じておることも事実でございまして、スパイクタイヤの対策につきましては交通安全の確保と環境の保全という面をどういうふうに整合させていくかが基本的な問題であろうというふうに考えております。  したがいまして、警察におきましては現に生じております粉じん等の障害に対します当面の対策といたしまして、スパイクタイヤが不必要な期間においてその使用がされることがないように使用の自粛の呼びかけをきめ細かく行うなど必要な措置を講じてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  124. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に運輸省に、車両の構造関係を含めてどの程度研究されているか。
  125. 藤野團治

    ○藤野説明員 お答えいたします。  運輸省におきましては、以前からタイヤメーカーに対しまして低公害スパイクタイヤ及びスパイクレスタイヤの開発を指導あるいは督励しておりますけれども、これとともに昭和五十八年度からスパイクタイヤ等につきまして、公害の防止と安全確保の観点から自動車の構造装置の面での対策を検討するため、スパイクタイヤ等対策技術調査を実施しているところでございます。昭和五十八年度におきましてはスパイクタイヤの構造と舗装摩耗との関係、騒音との関係、走行性能との関係等を調査しております。また、昭和五十九年度はスパイクタイヤ等につきまして氷上実路上における走行性能等の各種の調査を行う予定でございます。また、運輸省交通安全公害研究所におきましては、スパイクタイヤ等の性能評価方法について検討することにしております。一方、運送事業者等の自動車使用者に対しましては、機会あるごとに陸運局等を通じましてスパイクタイヤの使用の自粛及び不要期における普通タイヤへの早期のはきかえ等を指導しております。  なお、スパイクタイヤ粉じん問題は、その対策は多岐にわたりますことから、中央及び地方での各種の協議会等における対策の検討に参画するとともに、関係省庁とも密接な連絡をとりつつ対策を進めているところでございます。
  126. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に自治省として、地方自治体がこれに対してどのように取り組んでいるか。
  127. 鈴木政徳

    鈴木(政)説明員 スパイクタイヤの問題は、地方公共団体が地域の環境等を保全する、そういうことから重要な課題であるということで真剣な取り組みを行っているところでございます。御承知のとおり、関係都道府県におきまして関係機関による連絡協議会をつくったりあるいは指導要綱等をつくりまして現在指導努力しているところでございます。
  128. 中村茂

    ○中村(茂)委員 今五つの省庁からそれぞれの取り組み、対応の状況について御報告していただいたわけでありますが、まだそれぞれ対応を研究している段階で、こうやればいいという決め手に至っていない。そこで建設省、自治省、金は少しかかるかもしらぬけれども、清掃の車で根気よく回ってもらうということが当面の問題としては私は非常に重要な施策になると思うわけです。ですから、その点についてもう一度建設省と自治省から、いわゆる粉じんを早くなくす清掃、その面についてお聞きしておきたいと思います。
  129. 和田惇

    ○和田説明員 お答え申し上げたいと思います。  道路の清掃でございますが、道路の保全という観点から常に留意をしてやってきたつもりでございますけれども、先ほど写真がありましたように、路側の堆積した雪の状況とか路面の雪の状況とかございまして、清掃がなかなか困難である状況もございます。また、散水清掃もございますけれども、また路面が凍結するという心配もあるわけでございます。それから、清掃によります粉じんの低減効果といったものの中でも、小さい粒子がなかなかとりづらいというような問題もございます。そういった検討を今やっておるところでございます。先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、また効果的な清掃の手法につきまして調査研究を進めてまいりたい、かように考えております。
  130. 鈴木政徳

    鈴木(政)説明員 道路の清掃の問題につきましては、ただいま建設省からお話のございましたような方向で地方公共団体も努力しておるところでございます。自治省といたしまして直接清掃はやるわけではございませんけれども、自治省といたしましてはあるいは財源の問題ということがあろうかと思います。地方公共団体、現在いろいろ努力はしておりますけれども、その中心は無雪期におきますスパイクタイヤの使用の自粛の呼びかけが中心になっておりまして、対策といたしましては、先ほどお話のございましたように、各省庁で現在いろいろ調査研究を続けているところでございます。より効果的なスパイクタイヤ対策を実施するためには、私どもといたしましてはこうした調査検討を踏まえまして国レベルにおきまして具体の施策というものが検討される必要があろうかと思っております。自治省といたしましては、国の施策の検討とあわせまして財源問題につきましてもその段階で検討する考えでございます。
  131. 中村茂

    ○中村(茂)委員 一つの問題を取り上げてみても五つの省庁にまたがっている。公害問題、環境問題、これは環境庁が中心になって対応していただかなければどうにもならぬ。恐らくこういう関係機関、協議会みたいなものをつくって対応を進めていると思いますけれども、この問題についての環境庁の対応と姿勢についてお伺いいたします。
  132. 林部弘

    林部政府委員 お答えいたします。  関係する省庁それぞれの立場での対応策については、今お答えがあったとおりでございます。  この問題が国会で問題になりまして、五十七年七月に私ども対策についての調査検討会を発足させまして、五十七年と五十八年に札幌市と仙台市におきまして環境影響の実態調査を行ったわけでございます。その結果では、当然のことながら著しく粉じんの増大している状況があったわけでございます。  昨年の九月に、そのような状況を踏まえましてスパイクタイヤにつきましての使用の自粛ということを中心にいたしまして、この問題は当然個々のドライバーあるいは運送業界等の協力要請を含むものでございますが、そのようなことでできるだけ関係のある自治体においての使用自粛の指導が少しでも促進されるようにということで当面の対策として要請をしているところでございます。  それから、各省庁間の連絡という意味におきましては、五十八年三月にスパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議が設置をされているわけでございまして、各省庁で行っておりますもろもろの調査研究、また今後の計画等につきまして情報交換を行いますとともに、施策の推進のためにいろいろとすり合わせをしているところでございます。ちなみに、昨年度の連絡会議の開催状況でございますが、五十八年三月、七月、十月の三回開催いたしておりまして、近く四月の上旬にまた開会する予定でございます。  その間私ども、担当者に外国の取り組み状況についても調査をさせたところでございますが、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ等におきますこの問題は、全地域にわたりまして期間を定め、道路の種類につきましても、かなり広範な道路において二足の期間に使用の規制をいたしておりますが、その規制理由としては、おおむねと申しますか、ほとんどの国が道路の損傷を理由といたしておりますし、また、そのほかに道路の損傷に伴う交通安全上の問題を取り上げておりまして、損傷以外の環境問題として理由を挙げているのは、私ども調査いたしました限りではユーゴスラビアにおいて騒音の低減ということを挙げているのが一カ所ございました。我が国では健康に対する影響の問題が非常に重要視されておりますけれども、諸外国の例では健康の問題ということで取り組んだという例はまだないようでございます。さはさりながら、私どもといたしましては、現在五十九年度の予算を御審議いただいているところでございますが、五十九年の予算が成立をいたしましたら、動物実験を中心といたしました生体影響についても念のために行ってみたいと考えておるところでございます。
  133. 中村茂

    ○中村(茂)委員 ですから、私も環境行政のあり方について冒頭申し上げましたように、国民の側に立ってやってもらいたい、健康という立場に立ってやってもらいたい、こういうことを主張しておきましたけれども、この問題についてもやはり健康に対する悪影響という面からとらえて環境庁でも積極的に努力していただきたいと思います。  次に、長野県の小諸市に小諸市山麓クリーンセンター設置の問題が起きているわけでありますが、この設置について私のところに四通の設置反対の陳情書が来ております。三通は三つの部落から来ている。一つは観光旅館いわゆる国民宿舎、この家から来ている。こういう小諸市山麓クリーンセンター。どうして設置に反対しているかということについて、この陳情書の中身はこういうふうに指摘しております。  まず一つとして、建設予定地、ここのところは小諸市の飲用水の水源になっている地帯だ、こんな水源地帯になぜつくるのか。二つには、住宅地があるわけですけれども、その三百メートル近くのところにあって大気汚染が非常に心配だ。三点目には、そこに運び込むための道路、これは地形上ちょうど峠の三角形のところの頂点に当たるので収集車が集まってその付近は交通公害になるおそれが非常に強い。四番目には、建設予定地は高原野菜の栽培地の中心になっているので野菜に対しての公害。これは実は長野県で前に問題になったことがありまして、他のところですけれども、そのところにごみの焼却場をつくったところ、その地帯の野菜が市場でたたかれまして他のところよりも値が相当落ちてしまうということで、高原野菜がそこでつくれなくなったという経験がございました。そういうものを受けて、高原野菜の産地として非常に心配している。五番目には、この予定地は国立公園内である、自然破壊はしてもらいたくない。六番目には、この地帯は標高千八十メートルの寒冷高原地帯だ、なぜこんな遠くまでごみを運ばなければいけないのか、運搬費も相当かかるのではないか。七番目には、昨年の十月二十日に市議会のクリーンセンター対策委員会、ここでどこにつくるかということを審議しているさなかに、市長とその部落の一部の人でここに建てようということを調印した、したがって自分たちの意思を無視して市当局が別の行動をしたということでクリーンセンター対策委員会が解散になってしまった、こういういきさつでなぜここに建てる必要があるのか。そのほかいろいろ言っておりますけれども、重立ったものはこういうことでやっているわけであります。  私は、やはりつくることは必要だと思う。しかし、行政というのはつくる内容、住民の皆さんとよく話をして了解を得、いろいろあるけれども、こういう補償もしてやる、近代的な設備なので公害についてはそう心配はない、こういうふうにそれぞれ話し合いの中から設置がまとまって建てていくというやり方でなければならないのではないか。三つの部落が反対し、これだけ多くの反対意見があるにもかかわらず、それを強行するというようなことになれば大変な事態が起きますし、行政としてはあるべき姿ではない、こういうふうに思うわけであります。  こういう設置の問題が厚生省に上がっていると思いますけれども、厚生省はこのクリーンセンターの建設について今どのように考えているか、お聞きしておきたいと思います。
  134. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  ごみ焼却施設につきましては、ただいまお話のございましたような環境問題を生じないよう、その構造の基準あるいは処理の基準を定めておるところでございます。しかし、ごみ処理施設の建設につきましては種々問題もございますので、事業の円滑な遂行を図りますために関係住民の意見を徴しつつ事業を実施することが必要というふうに考えております。このため、廃棄物処理施設の国庫補助に当たりましても、関係者との意見調整の状況に関しまして都道府県から報告を求めているところでございます。  御指摘の施設につきましても、地元におきまして事業主体と関係住民が十分話し合うことが重要であるというふうに考えておりまして、現在その状況につきまして長野県より報告を求めつつあるという状況でございます。
  135. 中村茂

    ○中村(茂)委員 時間が参りましたけれども、特に国立公園の中だということですから、環境庁からも、国立公園、自然環境を守るという立場で御答弁をお願いいたしたいと思います。
  136. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 御指摘のクリーンセンターは上信越高原国立公園の中にありますが、ただ、普通地域の中にある、こういうふうに伺っております。  従来から、先生も御案内のように、こういう工作物の新築につきましては、普通地域におきましては、御承知のとおりあらかじめ都道府県知事に届け出をする、こういうシステムになっておりまして、都道府県知事がこれを受理するかどうかということになるわけでございます。そういうことで、届け出のある段階におきまして、この件の場合、長野県知事さんが慎重に判断いたしまして適切に対処することが期待されている、こういうことだと思います。  この種の扱いの処理につきましては、私ども従来から一般的な指導を都道府県に対して行っておりますが、本件につきましても、先生の御指摘もありましたところでもありますので、慎重に対処するよう県とも連絡をとってみたい、こういうふうに思っております。
  137. 中村茂

    ○中村(茂)委員 厚生省、こういう反対も多い、こういうところは、県を通じ、話し合って、その状況を見てということですけれども、その反対がこれだけ起きている、まだ市当局と話がつかない、こういう状況の中では皆さんのところの作業は進めないというふうに理解していいですか。
  138. 小林康彦

    ○小林説明員 お話しのような御指摘がございましたことも含めまして、私ども慎重に検討さしていただきたいと思っております。
  139. 中村茂

    ○中村(茂)委員 終わります。
  140. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、春田重昭君。
  141. 春田重昭

    ○春田委員 最初に、大臣にお伺いしたいと思います。  最近社会的な大きな問題となっております水銀入りの乾電池、この問題でございますが、この水銀入り乾電池は、環境衛生といいますか、環境保全上大きな問題となっております。そこで、この細かい問題に入る前に、環境庁として、また大臣としてこの水銀入りの乾電池の及ぼすであろう環境汚染問題についてどういう御認識をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
  142. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境庁といたしまして、この乾電池問題、特に水銀乾電池とそれからアルカリ電池、こういう問題につきまして、その処理について今私どももいろいろと検討をしておるところでございますが、まず通産省の方におかれましても業界に指導をしていただきまして、水銀が一番多く含まれております水銀乾電池につきましてはこれを販売のときに取りかえるというような方法をとって回収をしていきたい、こういうお考えをとっていただいております。また、地方庁におきましてもおのおの、一般ごみを処理するときにどうも水銀が出てくるんじゃないかということから、この乾電池を別に処理をしていただいておるというようなことも今やっていただいておるところでございます。  そういうことにおきまして大気中の水銀を測定いたしますと、今のところは健康上は全然問題がないという状態でございます。しかしながら、乾電池の使用というものが最近どんどんふえてきておりますので、これをもし放置しておきましていつの間にか水銀が多くなってくるというようなことになって人体に及ぼすというようなことがまたぞろ起こっては大変だということで、今その検討をしておるところでございます。
  143. 春田重昭

    ○春田委員 この水銀乾電池の直接の窓口は厚生省でございます。厚生省につきましては、この乾電池にいかなる対応をなさっておりますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  144. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  現時点では、ごみの中に乾電池を入れましてごみとして処理をすることに私ども特段支障があるというふうには考えておりません。現在、廃棄物の最終処分場につきましては、それから出ます排出水につきまして水質汚濁防止法と同様の基準をつくりまして規制をしております。その規制につきましては十分パスする状況でございます。それから、大気関係につきましても、現在直ちに規制に入るべきレベルではないというふうに承知をしております。  ただ、乾電池の使用量が年々ふえておりますので、このままの状態でいきますと将来廃棄物処理では対応できなくなるというおそれが十分ございますし、それから乾電池のために廃棄物の処理の円滑な実施が難しくなっているという状況がございますので、通産省とともに、業界に対しまして業界としての対策強化を強く要請してきたところでございます。この一月、関係業界から、業界によりますボタン型の乾電池の自主的な回収の強化及び筒型のアルカリ電池につきましても水銀含有量の大幅な削減という方向が示されまして、当面の対策といたしましては、これらが着実に実施をされれば、廃棄物に伴う水銀の環境への排出量は大幅に削減ができるという期待がございますので、この活動に大きな期待を寄せておるところでございます。  将来の問題といたしまして、現在の市町村の処理の体系だけではなかなか処理が難しいという事態が予測されますので、昭和五十九年度から将来の広域的な回収、処理のあり方につきまして調査検討に着手をしたいというふうに考えております。
  145. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、大臣からもまた課長からもお答えがありましたように、現在この水銀入りの乾電池につきましては、いわゆる業界の回収、自治体による分別収集、これが挙げられておるわけでございますけれども、この業界回収の問題、企業回収の問題について、まず細部にわたって御質問していきたいと思いますが、乾電池の生産量、また国内で流通されている量、これをまず挙げていただきたい。とともに、そのうち水銀を使用している乾電池がどれくらい生産されて、国内で流通販売されているか、これもあわせて御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  146. 広野允士

    ○広野説明員 お答えいたします。  まず、乾電池の生産量でございますけれども、五十七年のデータで恐縮でございますが、二十六億個生産されております。そのうち、輸出等を差し引きまして国内流通量でございますが、十四億八千万個流通をしております。  また、そのうち水銀等の含有量の多いボタン電池でございますけれども、これにつきましては、国内流通量が一億二千万個ということでございます。  また、乾電池に使用されております水銀量でございますけれども、国内流通におきます水銀使用量は全体で五十五トンでございます。水銀電池にかかわります量は、そのうち四四%の二十四トン弱でございます。
  147. 春田重昭

    ○春田委員 説明があったように、非常に水銀の含有量が多い水銀乾電池の量が相当ふえていっております。特にアルカリ乾電池は四十八年当時より約十倍以上になっております。このように水銀入りの乾電池の驚異的な利用拡大を物語っているのではないかと思っているわけでございます。したがって、この消費拡大とともに、将来、環境汚染もそれとあわせて広がっていく懸念が警鐘されておるわけでございます。したがって、国としてもその対応策を十分また万全を期すべきだろう、こういうことでこれからお伺いしていくわけでございます。  まず、厚生省にお伺いいたしますけれども、廃棄物の処理法第三条第一項には、産業廃棄物は、排出業者の自己処理責任があるとうたわれております。この水銀乾電池については、業界の回収義務があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  148. 小林康彦

    ○小林説明員 お話しの廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第三条二項は、産業廃棄物の事業者責任とともに、一般廃棄物に関しましても、事業者は、その事業活動に伴って生ずる製品等が廃棄物となった場合において、市町村の清掃事業が処理困難な事態に至らないようにしなければならないと、事業者の責務を定めたものでございます。  乾電池につきましては、現行のごみ処理体系で、現在のところ処理が困難と言える状況とは考えられませんので、直ちにこの三条二項の事業者に対する規定を適用して具体的措置を求めることは困難というふうに考えておりますが、この法律の精神に沿いまして、業界に対しまして協力及び努力を求めたところでございます。
  149. 春田重昭

    ○春田委員 この第三条第一項、第二項におきましては、別に強制力はないけれども、業界の自主回収をお願いをした、こういうことでございますが、特に京都のある先生におきましては、水銀の乾電池につきましては、分別収集また混合収集にしても、地方自治体が大変な迷惑をこうむっている、全部一般の市民の税金でそれを処理している、こういった面でいわゆる適正処理困難物に指定して業界が責任を負うべきである、こういう主張もなさっておるわけでございますが、この点、もう一回あわせて御答弁いただきたいと思います。
  150. 小林康彦

    ○小林説明員 地方公共団体の間に先生お話しのような御意見が強くあることは、私どもも承知をしております。ただ、現在の廃棄物処理の体系、一応一般廃棄物につきましては市町村の責務という形で整理をしております。ただ、その整理が今後とも適切かどうかという点には、これからの問題ということで大きな課題を抱えているというふうに認識しております。この点につきましては、厚生大臣諮問機関でございます生活環境審議会でも指摘がございまして、現在その中に適正処理専門委員会を設置をいたしまして、適正処理の尺度の設定、あるいは困難性の評価、あるいは関係者の役割分担等も議論をし、十分関係者の間でこれからの方向を詰めていこうということで検討に着手しておるところでございます。
  151. 春田重昭

    ○春田委員 通産省にお伺いしますけれども、この業界の自主回収はいかなる方法をとっているのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  152. 広野允士

    ○広野説明員 お答えいたします。  ことしの初めに厚生省とともに業界に対しまして、最近ふえております乾電池の問題につきまして、将来の環境汚染を未然に防止するという観点から対応策を業界に要請したわけでございます。これに対しまして業界から、三年を目途にいたしまして水銀使用量を大幅に削減をするための研究を行い、また水銀の減量化が困難と思われます水銀電池等のボタン電池につきましては自主回収を強化するという回答を得ております。また、特に回収に当たりましては、電機店あるいは補聴器取扱店、カメラ店等の協力を得まして、全国で十一万店の販売店等がございますが、そこに回収箱を設けまして、そこへ消費者の皆様方に持ってきていただいて、流通経路を逆にたどるような形で回収を行うという方式をとっております。この回収を効果的にあらしめるために趣意書、ポスター等を業界では作成をいたしますし、自治体、マスコミ等にも協力をお願いをするということでございます。私どもも、効果あらしめるために各方面に協力方、要請したいと思っております。
  153. 春田重昭

    ○春田委員 ボタン型乾電池は回収するということでございますが、筒型乾電池の回収は今回されないわけでございます。せっかくボタン型電池を回収する方法等いろいろ工夫をされて、十一万個ですか、回収箱をいろいろな販売店に置いて回収されるわけでございますから、やり方によっては、私は筒型乾電池もできないことはないと思うのです。むしろ筒型乾電池の方が水銀の量が多いわけです。そういった面で、私はボタン型電池だけではなくして、あわせていわゆる筒型乾電池も業界に、また企業に回収をさせる努力をするべきじゃないか、こう私は思っておりますけれども、通産省はどうお考えになっておりますか。
  154. 広野允士

    ○広野説明員 通産省としましては、現在、全体としまして水銀電池等ボタン電池の水銀使用量というのが多いわけでございますので、まずそれを回収いたしまして、それの成果を見ながら考えたいと思っております。現在のものによっても十分削減が期待できるのではないかというふうに考えております。
  155. 春田重昭

    ○春田委員 モニター制をとりまして、三カ月後に大体ボタン型乾電池の回収率の状況がわかるということでございますから、それらも踏まえながら、この筒型乾電池の回収もさらに努力すべきであると私は主張しておきたいと思います。  そこで、乾電池に使用される水銀の量は、先ほど、全体で国内で大体五十五トンという説明がございました。そのうちボタン型乾電池につきましては、いわゆる水銀の電池が二十四トンということですね。したがって、ボタン型乾電池が一〇〇%回収されて二十四トン。ボタン型乾電池は水銀電池とともにアルカリ電池もありますから、合わせれば二十五トンということですかね。二十五トンが回収されるということになると思いますが、それでいいのですか。
  156. 広野允士

    ○広野説明員 おっしゃいましたとおり、五十五トン流通量のうち二十五トンの水銀につきまして回収措置を講ずるということでございますので、その回収効果が一〇〇%いけるように、できるだけ努力をしてまいりたいと思っております。そのためには消費者の皆様また販売店の協力、自治体、マスコミ等の協力を得なければならないわけでございまして、関係方面に幅広く協力方をお願いしようかと思っております。
  157. 春田重昭

    ○春田委員 この方法によりまして業界は何%回収できると主張なさっているのか、また通産省としては何%くらい大体回収できると推定されているのか、両方ちょっとお答えいただきたいと思います。
  158. 広野允士

    ○広野説明員 今ここで何%回収できるかということを明確に申し上げることはできないわけでございますが、業界といたしましても、三カ月ごとにと申しますか、モニターといいますか監視をいたしまして、どういう効果が上がっているかということを調べながら進むということでございますので、私どももその成果を見ながら、回収効果が上がるようにやってまいりたいと思っております。
  159. 春田重昭

    ○春田委員 業界側としてはいわゆる水銀の乾電池の約半分を回収すると言っておりますから、ボタン型乾電池を一〇〇%回収するということじゃないかと思うのですね。しかし、専門家の先生に言わせれば、大体この種の回収というのはよくいって六〇%じゃないか、こういう見方もあるわけです。したがって、乾電池の水銀の量が全体で五十五トンある、そのうちボタン型乾電池が二十五トンであるということでありますけれども、これが一〇〇%回収された段階で二十五トンが回収できるわけですね。  ところが、先ほどおっしゃったように、販売ルートが非常に複雑であります。また、ボタン型乾電池の利用というのは、例えばテープレコーダーとかヘッドホンというのはヤングの方が使っているわけですね。ヤングの方たちは、わざわざ消費されて完全になくなってから新たに電池を買うのではなくして、常に予備電池を買っているわけですよ。そういう面からも、わざわざ販売店に持っていくかどうかということも疑問であります。したがって、一〇〇%回収は非常に至難のわざ、仮に私が言ったように六〇%回収できたとしても、二十五トンのうちで言えば十五トンですね。よくいって八〇%いっても二十トンしか回収できない、こうなるわけでございます。  私は、鳴り物入りで水銀入りの乾電池は業界で回収するんだとPRそのものは非常に大きいわけでございますけれども、実際中身をよく検討してみれば、そういった半分以下である、よくいって五十五トンのうちの二十トンくらいじゃないか、こういう見方をしているわけでございます。となれば、全体の約三分の一強、こうなるわけですね。この点、通産省としてはどう思いますか。
  160. 広野允士

    ○広野説明員 ここで明確に何%ということを申し上げられないのは非常に残念でございますけれども、できるだけ効果が上がるように、通産省としましても業界を指導してまいりたいと思いますし、関係方面に協力方をお願いしたいと思っております。
  161. 春田重昭

    ○春田委員 業界が一生懸命おやりになっているのを頭からだめだ、少ないということはちょっと言えない面もありますけれども、しかし、まあ常識的に判断して大体そんなものじゃないかと思うのですね。そういう点で、当然これは市民の、消費者の協力がなかったらできないことでございますから、私は限界があろう、こう思っておるわけでございます。  さらに、この水銀入りの乾電池につきましては、空き缶と同じようにデポジット方式を考えたらどうかという先生もおられますけれども、これはどうお考えになっていますか。
  162. 広野允士

    ○広野説明員 お答えいたします。  デポジットシステムにつきましては、通産省としましては小売店への影響、あるいは流通機構が非常に複雑でございますので、そういう流通機構全体に対してどういう影響を及ぼすのかという点、あるいはそういうデポジット方式を導入しました場合のコストの問題、また、それをだれが分担をするのかというような問題等が多々ございますので、その点について十分に検討をしてまいりたいと思っております。まずは、今回とりました措置が十分に効果が上がりますように指導をしてまいりたいと思っております。
  163. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、この業界、企業による回収というものは、私は従来から考えたら一歩前進の評価をいたしますけれども、限界があろう、こういうことを主張していきたいと思います。  さらに、業界回収とともに、市民の協力のもとで現在実施がされております地方自治体の分別収集がございます。この水銀入り乾電池がいかなる方法で分別収集によって回収されているのか、その実態についてさらにお伺いしていきたいと思いますが、まず、この分別収集で水銀入り乾電池を収集している地方自治体が全国でどれくらいあるのか、これを御説明いただきたいと思うのです。
  164. 小林康彦

    ○小林説明員 乾電池のみ分別をして収集している自治体が幾つかあるということは報告も参っておりますが、全国にその数が幾つかということはまだ把握しておりません。
  165. 春田重昭

    ○春田委員 正確な数はなくとも、多いか少ないか、その辺の見通しはどうですか。
  166. 小林康彦

    ○小林説明員 昨年の秋までは十ないし二十の間でございましたが、最近、この半年の間に相当の数がふえているという状況でございます。
  167. 春田重昭

    ○春田委員 大都市での分別収集状況はどうですか。何か聞くところによると、大都市では分別収集は非常に難しい、混合収集をほとんどやっているという話を聞いておりますが、どうでしょうか。
  168. 小林康彦

    ○小林説明員 いわゆる大都市の中では広島市が早くから乾電池の分別収集を行っております。それから最近、横浜市が乾電池の分別収集に着手をしております。そのほかにつきましてはいずれも検討中、まだ意思決定はされていないというふうに現在承知をしております。
  169. 春田重昭

    ○春田委員 ごみの収集につきましてはいわゆる燃えるごみと燃えないごみ、燃えないごみの中に乾電池を捨てるやり方と、また有害ごみを完全に除去して乾電池のみを収集している方法と、いろいろ乾電池の収集についてはあろうかと私は思うわけでございますが、新聞の記事等をいろいろ見れば、大体乾電池のみを分別収集している、また燃えないごみの中に入れている、そういう完全に一般ごみと分けている地方自治体が半分ぐらいあるんじゃなかろうかということで記事も出ておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、全国的にまだまだ分別収集は徹底はされていない、こういう状況ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで今、課長の方からそうした自治体の中で非常に先進的ないわゆる分別収集をやっている地域は広島がある、こういうお話でございますけれども、広島ではどんな回収をやっているのか、もうちょっと具体的にお話をいただきたいと思うのです。
  170. 小林康彦

    ○小林説明員 広島市では、乾電池を初め水銀を含みますものを有害ごみというように指定をいたしまして、有害ごみだけ分別をして収集をしております。収集をしましたものにつきましては、水銀につきましては水銀回収工場に回して水銀を回収をするという形で適切な処理を行い、その他のものについては、一部他の金属の回収という方に回しておる実情でございます。
  171. 春田重昭

    ○春田委員 広島でそういうやり方をやっているわけでございますけれども、広島であえて有害ごみとして乾電池を収集してやっているわけですね。これで、市民の協力で何%ぐらいが実際回収されているのか。具体的な数字は出ないと思いますけれども、アバウト的にどれくらい回収されるのか、通産省としては把握なさっておりますか。
  172. 小林康彦

    ○小林説明員 回収している乾電池の重量につきましては市として把握していると聞いておりますが、全体量の把握が困難ということがございまして、全体の中で回収率がどのくらいというのは、なかなか推計が困難だという報告を受けております。
  173. 春田重昭

    ○春田委員 ここに一つの資料があるわけでございます。月刊「廃棄物」という雑誌がございますが、その一月号に京都の高月先生の報告書があるわけでございます。その高月報告書によりますと、五十七年度の乾電池の生産量が二十六億三千万個、国内の消費量が十四億七千万個ある。乾電池一個当たりの平均重量が大体四十一・七グラムとなっているのですね。したがって、全国一人当たりの消費量は、十四億七千万個を一億一千八百万で割ったら、おじいちゃんから赤ちゃんまで含めて大体十三個ぐらい消費しているのじゃないか、こういう平均値が出ているわけです。  で、広島市の乾電池の回収量というのは、厚生省から出た資料によると八十二トンになっておりますが、この高月先生の報告では八十八トンになっております。広島市の人口が九十二万人です。したがって、広島市の消費個数は、九十二万に十三個を掛けたら、大体一千百九十六万個が消費されたのじゃないかという数になっているわけですね。したがって、回収個数は、四十一・七グラムで大体八十八トンですから、これを計算してみますと約二百十一万個が回収された、こういう数です。したがって、回収率は、二百十一万個を一千百九十六万個で割ったならば、一七・六%という数字が出てきているわけでございまして、これは乾電池の一個当たりの重量等の計算の仕方によってかなり違うと思いますけれども、大体一つの目安になるのではなかろうかと私は思っておるわけですね。  そういった面で、広島の名前を出すのは非常に申しわけないわけでございますけれども、高月先生からいったら、一生懸命やっておる、市民にも袋等を上げて、乾電池の回収はやりますよと、そこまで徹底されていながら、非常に率は悪いという結果になっているのです。この辺のところ、課長はどういう御判断をなさいますか。
  174. 小林康彦

    ○小林説明員 乾電池の中には器具に入れられたまま捨てられるものもございますし、従来ボタン型についてさほど注意が喚起されていなかったという点もございまして、ボタン型まではなかなか市民の分別収集の中に出てこなかったというような事情もございまして、乾電池だけ収集しておりますところでも回収率を上げるにはかなり苦労しているというのが実情と思っております。
  175. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、この一七・六%は、正確な数字じゃなくとも一つの目安になるのではなかろうか。こういう点で、分別収集をしても、やはり市民の協力がなかったらできないということで、いわゆる分別収集による使用済み乾電池の収集というものがかなり難しいことを示しているのではなかろうかと私は思っているわけでございます。  ところで、厚生省としては、分別収集で、今広島そのほかもやっておりますけれども、トータル的にどれぐらいが収集されているかということはわからないのですね。
  176. 小林康彦

    ○小林説明員 現在正確な数字は把握しておりません。
  177. 春田重昭

    ○春田委員 話はちょっと飛びますけれども、厚生省としては自治体の分別収集に対しまして助成制度等はあるのですか。
  178. 小林康彦

    ○小林説明員 厚生省で補助をしておりますのは施設の整備につきましてございまして、機械的に分別をいたしますものについては補助の対象にしておりますが、市民が分別をし、それを車両で収集をするという部分につきましては補助の制度はございません。
  179. 春田重昭

    ○春田委員 ここにも分別収集の困難性があると私は思うのですね。例えば分別収集と混合収集のコストを比較した場合、分別収集した場合は収集車の配車や収集回数、袋、人件費、また処理先での処理費用、こういうことを考えた場合、混合収集と比べて非常に割高になる。これも「暮しの手帖」という本に載っておるわけでございますが、分別収集でいけば混合収集の大体二、三割アップするだろう。さらに、処理先での費用というのがトン当たり大体五万円ないし六万円かかる、こういうことで、分別収集もいいわけでございますが、非常に割高になっていくという点も地方自治体が踏み切れない一つ理由になっているんじゃなかろうかと思いますし、特に大都市周辺におきましてはそういう市民の協力等も非常に得がたいという点で、混合収集して焼却炉で一挙に処理しているという例が多いわけでございます。  したがって、こうして考えてみた場合、乾電池の回収というのは、まず業界によってボタン型の電池が自主回収されている。さらに、筒型につきましては地方自治体で若干分別収集がされておりますけれども、これも非常に少ない。とともに、これは市民の協力、消費者の協力がなかったらできないわけですね。そういう点で、業界の回収、地方自治体による分別収集によってどれぐらいの水銀の乾電池が回収されているか。これを私の独断と偏見で計算した場合、先ほどおっしゃったように、全体量が五十五トンある。そのうちの大体十五トンないし二十トンが業界の回収によってできる。そしてさらに分別収集によって、広島市がこれだけ言っても一七・六%しかいってないという点から考えた場合、せいぜいいって五十五トンのうちの二十トンないし二十五トンぐらいしかいかないのじゃないか。したがって、残りの三十トンはすべて焼却炉の中に一般ごみとともに投入されまして、そして大きな公害問題となってきているというのが実態ではなかろうかと思うのですね。  そういう点で、業界回収はさらにさらに努力し、この回収をどんどんしてもらわなければなりませんけれども、また地方自治体が本当にそうした分別収集ができるような国の助成制度も考えてもらわなきゃなりませんけれども、いずれにいたしましても、現実的な対応としてはいわゆる焼却炉による処理といいますか対応といいますか、これ以外、現在の水銀の乾電池の対策はないということでございます。この点について環境庁と厚生省に意見を聞きたいと思いますが、そういう私の結論に対しまして、まず厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
  180. 小林康彦

    ○小林説明員 乾電池の入りました一般のごみを焼却することによりまして出てまいりますガスの中に水銀があるという測定値は幾つかございます。ただ、その測定値はWHOの大気の一般環境基準に比べましても環境上問題となるレベルではまだないというふうに考えておりまして、全国一律に焼却工場で対処すべきレベルにはまだ達していないというふうに考えております。
  181. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 事業者による回収あるいは市町村による住民の協力による分別収集、こういうシステムでは限界があって、相当部分は焼却場の焼却炉の中で焼却されざるを得ないであろうという先生の御指摘につきましては、私どももそのような実態にあるかというふうに判断いたします。  蛇足ではございますけれども、私ども言わしていただければ、ただいま厚生省から御答弁もございましたように、大気あるいは水質には現在のところ環境基準を上回るような値が出ていないというところが私どもの救いになっているわけでございますけれども、今後さらに乾電池の消費量が増加してきた場合にはどうかということは、冒頭に大臣からお答えしたとおりでございます。
  182. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、一般ごみの焼却場での水銀対策に入る前に、環境庁にお伺いしたいと思います。  大気汚染防止法や水質汚濁防止法では、有害ガスや有害物質について規制をなさっています。その基準を簡単に御説明をいただきたいと思うのです。
  183. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 まず、水について申し上げますと、ごみの焼却場は一般廃棄物の焼却場として水質汚濁防止法上の特定施設に指定されているわけでございまして、これにつきましてはカドミ、水銀等有害物質九物質について排水規制を行っておるところでございます。
  184. 林部弘

    林部政府委員 大気汚染防止法につきましては、火格子面積が二平米以上、または焼却能力が二百キログラム・パー・アワー以上の廃棄物の焼却炉がはい煙発生施設ということで政令で指定されているわけでございまして、そのような施設に対しましては硫黄酸化物、ばいじん、塩化水素及び窒素酸化物について規制を受けることになっておりますが、水銀については現在のところ規制はございません。
  185. 春田重昭

    ○春田委員 今局長がおっしゃったように、大気汚染防止法では、ばいじんと硫黄酸化物SOx、それから窒素酸化物NO、と塩化水素の四種類の有害ガスについて規制されております。  ところで、一般ごみの焼却炉から出てまいります有害物質、有害重金属等はどんなものが出てくるのか、ちょっと御説明いただきたいのです。
  186. 林部弘

    林部政府委員 もう今まで都市ごみについていろいろ御議論のあったとおりでございまして、これは一般市民がいろいろなものを出してまいります。したがいまして、ごみの中には初めからいろいろなものが含まれているわけでございまして、それを焼却いたしますと、当然のことながら、排ガスあるいは粉じん、ばいじん等の中にいろいろな金属が含まれてくる可能性があるわけでございます。一般的には、測定をした事例はそう多くないのでございますけれども、都市ごみの焼却炉のいわゆるばいじん対策として電気集じん機とかマルチサイクロンといった集じん装置が設置されておりますので、空気中に飛び出るものにつきましては、そういったところのフライアッシュあるいは焼却後の残灰等についていろいろな試験が行われておりますが、そういうものの分解試験、分析あるいは溶出試験等の実態を見ましても確かにいろいろなものが出ているということでございます。
  187. 春田重昭

    ○春田委員 それらの有害の重金属については現在規制はされていないわけでございますけれども規制されていないということは人体影響がないということでそういうふうになさっているのだと思いますが、排出量はどれくらいかつかんでおられますか。
  188. 林部弘

    林部政府委員 私どもが廃棄物の焼却炉について特別に調べたものは余り種類は多くございませんが、ちなみに水銀以外のものについて申しますと、五十七年度に十カ所の府県市の廃棄物焼却炉において五十四施設ほどを調べたことがございます。そのときの測定の事例では、カドミウムと鉛の二つを特に調べておるわけでございます。  カドミウムについて申しますと、最大値が〇・三六ミリグラム・パー・ノルマル立米、最小値が〇・〇〇〇二ミリグラム・パー・ノルマル立米ということでございまして、平均いたしますと〇・〇五六ミリグラム・パー・ノルマル立米ということで、カドミウムについての規制値、この規制の対象になっている施設がございますが、それが一ミリグラム・パー・ノルマル立米ですから、非常に低い値ということが言えると思います。  それから、鉛につきましても同時にこの五十四施設についてはかっておりますが、最大値四・三、最小値〇・〇〇八ということで、いずれも単位はミリグラム・パー・ノルマル立米でございまして、平均値が〇・七五でございます。鉛につきましても特殊な施設につきましては規制の対象になっておりまして、その場合の基準値の十ミリグラム・パー・ノルマル立米に比べましても、私どもが五十七年に調べたところではけたが幾つか違うくらいのレベルであったという状況でございます。
  189. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、水銀の問題でございますが、焼却施設の煙突から排ガスとともに大気へ放出される水銀の量は大体どれくらいなのか、WHOの基準に照らしてみてどんなものなのか。さらに昨年十一月、東京都公害研の調査によりますと、ごみ焼却炉の煙突の煙道の排ガス一立方メートル中に一ないし五ミリグラムの高濃度の水銀が短時間に数十回排出されたと報告されておりますけれども、この辺について御見解を伺いたいと思います。
  190. 林部弘

    林部政府委員 今、先生が御指摘になりました発表は、昨年秋に大気汚染学会が三重県四日市でございましたが、そのときに東京都公害研究所の方の共同研究ということで「ごみ焼却炉からの水銀の連続測定結果について」という報告がございました。焼却場におきます水銀の連続測定は、方法論的にもまだいろいろな問題があるというふうにも伺っておりますが、いずれにいたしましても連続測定はなかなか簡単にいかないということで、過去においても連続測定の例はそう多くはないようでございます。その意味では、連続測定によるというものがある程度可能であったことを今回報告するものであるというふうに御報告なさっているわけでございます。  そういうようなことで東京都の公害研究所の研究者たちが連続測定を行ったところ、通常ベースでは〇・〇五から〇・一五ミリグラム・パー・ノルマル立米程度のものであった、時々鋭いピークが出ることがある、特にピーク値について把握がなかなか難しかったので、確認する意味で実際に空き缶のようなものの中に電池をかなりまとめて入れるとピーク値が確認できる、一個ではよくわからなかったけれども十個ぐらい同時に投入したら非常に瞬間的にピーク値が記録できた、こういうことでございます。  先生もうよく御承知のように、都市の廃棄物の焼却炉は歴史的な経緯がございまして、近代化したものからいろいろなものがございますから、すべてについてこういうことが当てはまるかどうかということは言えないわけでございますし、それから廃棄物処理施設の排煙処理がどういうプロセスになっているかということにつきましても、いろいろなレベルの差が出てくることがございます。たまたま東京都が調べられましたこの焼却炉は、ストーカ方式で百五十トン・パー・デー、塩化水素対策としてはCaOH2の三十キログラム・パー・アワー噴霧方式、電気集じん機までの冷却方式は水噴射、こういうようなところでございます。したがいまして、こういう構造であれば、かなりのものをまとめて焼けば、そっくりそのまま空気中に出ていくということもあると思います。そういう状態が連続してどんどん出るということになれば、周りのところがかなり汚染されるということになりますが、当該焼却炉の連続測定の結果そのものは、かなり大量に投入したときにピークが出てくるというふうに受けとめております。  こういう例について私どもどう考えるかということでございますが、全国的に総点検的な形で水銀の一般環境調査を私ども行いまして、最近そのことについて発表をさせていただいたわけでございますが、その報告書の中では全国で百九十何地点ぐらいだったかと思いますが、そのうち六百メートルから四キロぐらいの間にこういう都市の廃棄物処理施設があるような地点がございまして、そういうところのデータなども、そのことが目的ではかったものではございませんけれども、そういうものを調べますと、一般環境とそう大きな違いがなかったというようなこともございますので、確かにピーク的にまとまって水銀電池が投入されればピークレベルは記録されるであろう。しかしながら、今の時点であれば、そのことによって著しい汚染が短期間に進むということは恐らくない。しかしながら、やはり少しでも投入される水銀を減らすという意味では、かってプラスチックの分別回収ということについて、自治体の清掃事業は非常に苦労しながらも分別回収をやってきたというような歴史もございますから、そういう意味ではそういう努力も続け、また排煙の処理等についても十分意を用いればそれほど急速に環境汚染が広がるということにはならないのではないか。しかしながら、そういう点について特に配慮すべきである、そういうことに注意を喚起したという点では、私はこの研究というものは評価すべきであるというふうに思っております。
  191. 春田重昭

    ○春田委員 御存じのように、水銀というのは空気一立方メートル中数ミリグラムの濃度で人間の中枢神経を侵すということで非常に猛毒と言われているわけですね。だから、煙突から出た排出水銀が上空で拡散されて薄まりますから現在は心配ないと言っても、全国で約二千カ所ぐらいの焼却施設があるわけです。これからどれくらいの水銀が出てくるかということでございますが、恐らく環境庁にしても厚生省もはかってないと思うのですけれども、これも私の独断と偏見で計算すれば、先ほど言ったように、乾電池だけですが、五十五トンであって二十五トンぐらいが回収されて三十トンが焼却炉に入っていく。先ほど言ったように、電気集じん機や洗煙装置がありますけれども、洗煙装置がもし乾式の場合は、専門家の先生に聞けば、水銀の八〇%から九〇%は下におりないで全部煙となって大気へ放出される。となれば、八〇%を掛ければ大体二十四トン、九〇%を掛ければ二十七トンが年間、全国でばらまかれている。これに加えて螢光灯や体温計が一緒に焼却炉に入っていけばもう大変な量なんですね。そういった面で、今は問題ないけれども、この水銀問題をこのまま放置していけば、数ミリグラムで人間の中枢神経を侵すこの猛毒性の水銀が、やがて人間や動物や自然界に影響して、例えばそれが土壌にしみ込む、河川に流れ込む、極端なことで言えば、それがメチル水銀となって水俣病みたいな形に五年、十年後、将来にはなってくるおそれもあるわけです。  私は、そういう面でも水銀対策は決しておろそかにしてはならないと思う。こういうことで、この水銀対策、今は全部排水で規制しておりますけれども、大気においても規制すべきである。現に東京はこういういろいろな実験をやりまして五十九年からこの有害物質の規制の中に水銀も入れようという決定をしていると聞いているわけでございます。そういった面で、私は、国としても、今まではガスだけだったのだけれども、やはり水銀だけじゃなくしてその他有害な重金属物質等につきましても規制の対象に入れるべきじゃないか、また検討すべきじゃないかということを主張するわけでございますが、どうでしょうか。
  192. 林部弘

    林部政府委員 おっしゃるようなこと、ごもっともだと思います。ただ、今まで排出規制をやる場合には、もう御存じかと思いますが、前提として想定環境濃度と申しましょうか、そういうような保持しなければならないある地域での環境の濃度というものが想定をされて、実際に排気される物質が煙突なら煙突から出て空中に拡散をしていく、そういうようなモデルによってそれぞれの排出口での規制値が定められてきているという経緯がございます。その意味では、WHOの環境保健クライテリアの中にガイドラインが示されておるのは今のところ水銀しかないわけでございますが、WHOのクライテリアのガイドラインの値というのは、もう先生もごらんのように、かなり高い数字でございますから、あれをベースにして排出値を決めるということには、率直に申し上げまして、私ども大気保全局としては非常に抵抗があるということも一つございます。  それから、それだけに今急いで規制ということを言うよりも、これは水処理の問題もあるし、いわゆる集じん装置なり、いろいろな除害設備あるいは装置というものとあわせて考えなければいかぬ、それから分別回収のような問題もあるというようなことでございますから、私ども、今の考えとしては、一応今まで考えていたように一般環境の中でのレベルがどういうふうに推移をしているかという、測定監視と申しますか、このごろはモニタリングということを申しますが、それをきちんとやる必要があるのではないか。今回発表いたしましたのも一般環境においてのそういうモニタリングの問題ということで初めての試みとして行った結果を発表いたしました。従来、国設の測定局ではいろいろな物質についてずっとはかっておりますが、そういうものを総合して考えますと、そうは言っても廃棄物処理施設のようなところで局地的な汚染が特に高まっておらぬかというような問題は残るわけでございますから、そういう点につきましては、局地的な汚染が問題になるということであれば、当然そのモニタリングのあり方についても若干配慮が加えられる必要があるし、それが具体的な対策として受けとめなければならぬということになれば、廃棄物の処理にかかわるいろいろ総合的な面から判断をした対策を進める、こういうことになっていくのじゃないか。  ですから、現在の段階は、私ども考え方を率直に申し上げますと、今急いで環境基準を決め、排出基準を決めるというよりは、現行の処理体系の中で最も有効な手だてを地域地域の実情を考えながらやっていくということが、やはり自治体の清掃事業にもそれぞれ歴史がございますから、今はそれが一番いいのではないか。いろいろな御注文もございますし、御意見もございますから、そういうことも踏まえて、我々も内々にはいろいろな検討もいたしておりますが、そういう意味ではできるだけ環境汚染が進まないように努力してまいりたいと考えております。
  193. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、今局長がおっしゃったように、地方自治体では有害ガスにつきまして、特に塩化水素は、当然はいじんやSOxに関係がありますから、現在、国の基準は四三〇ppmでございますが、大都市の大阪市なんかは、例えば鶴見区の場合は九二ppm、これは条例でつくっております。そのほか福岡は三〇ppm、東京の杉並は二五ppm、神戸市では三〇ppmということで、条例ではないけれども、住民協定の中で条例と同じような性格でつくっておるわけですね。これは昨年の秋にも私は質問いたしましたけれども、国の基準は非常に甘いのではないかという指摘をしておるわけです。この塩化水素を下げることによってはいじんやSOxだって下がっていくわけでございますから、こうした地方自治体のかなり厳しい二けた台の塩化水素、HCIの規制を十分参考にしながら、国も見直す必要があるのではないか。アメリカなんかでは、特にこうした公害基準につきましては、合衆国じゃなくて州、州、ローカルを重んじて規制をしておるという話も聞いておりますし、さらにアメリカでは焼却場からの排気が環境汚染の大きな元凶である、こういう報告もされておるわけでございますから、私は、この塩化水素四三〇ppmにつきましても、昨年質問いたしましたけれども、もっと国でも厳しく規制してまた見直す、そうした検討もすべきじゃないか、こう思いますけれども、時間がございませんから簡単にひとつ答えてください。
  194. 林部弘

    林部政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘のように、昨年既に一度お答えしているわけでございます。先ほど長いお答えになってしまいましたが、その中でも申し上げましたけれども、塩化水素問題、これもやはりそれぞれの自治体の清掃事業の中でのプラスチックの混入率と無縁でない問題がございます。こちらの方もやはり分別収集等によって混入率を下げるという努力が地域住民の御協力によって何とか維持されているという向きもございますし、処理のあり方についてもどういう処理が適切であるかというようなこともございます。基本的にはやはりそれぞれの地域の自然条件とか、気象条件も含めてでございますが、社会的な条件とかいろいろございますから、私どもの基本的な考え方としては、専門家にお集まりをいただいて相当時間をかけて御議論をいただいた、ああいうレポートに基づく基準でもございますので、それぞれの地域地域の実情に応じて上乗せ規制をするというのが一般的な姿としては一番運用の円滑を期するという意味ではいいのではないか。ただ、その場合に、やはり人口の密集しているような地域においてはできるだけ効率のいい処理のプロセスというものを採用することによってやはりレベルを下げることができるのならば、そういうことでできるだけ下げるという方を先行させたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  195. 春田重昭

    ○春田委員 この論議はちょっと時間がございませんから、次の機会にまた譲ります。  そこで、最後になりますけれども、いずれにいたしましても業界の回収、自治体の分別回収に期待するけれども、現実的な対応はやはり焼却場において水銀の乾電池は対応する以外にないわけです。  そこで、市町村のごみ焼却施設には、焼却方式として乾式の洗煙方式といわゆる湿式の洗煙方式がございます。それぞれ一長一短があるわけでございますけれども、乾式と湿式のプラス面とマイナス面を簡単に厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
  196. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  塩化水素の除去率について言いますと、石灰を使います乾式で除去率が七五から八五%、アンモニアガスを使いますもので六〇から七〇%、湿式の場合は五〇から九八%という状況でございます。一般的に湿式の方が除去率がよいわけでございますが、コストが高いこと、維持管理が複雑なことという状況がございます。
  197. 春田重昭

    ○春田委員 水銀についてはどうですか。
  198. 小林康彦

    ○小林説明員 重金属については排ガスの規制が行われていないということもございまして、厚生省といたしまして両方式の比較あるいは評価というのは行っておりません。
  199. 春田重昭

    ○春田委員 乾式と湿式があるわけでございますけれども、それぞれ一長一短があるわけです。ところが、乾式の場合、現在四三〇ppmの塩化水素の基準がありますけれども、これだったら何とかクリアできますけれども、例えば神戸や福岡や東京の杉並みたいな二五ないし三〇ppmの塩化水素の基準だったら乾式でクリアできますか。
  200. 小林康彦

    ○小林説明員 現在の技術では困難だと思います。
  201. 春田重昭

    ○春田委員 乾式では困難なんですね。それから、重金属につきましては現在排ガスの規制がないものですから野放しになっているから、今乾式でもいいわけでございますけれども、先ほど私が言ったように、いわゆる乾式だったら水銀の場合は大体八〇から九〇ぐらい大気に逃げる。ところが、湿式の場合は八〇から九〇、逆に廃液になって排水の方で回収できるわけですね。そういった面で、確かに湿式の面においては非常にランニングコストが高い面があるかもしれないけれども、事環境基準、環境衛生保全上からいったら、乾式と湿式を比べた場合は当然湿式の方がいいわけです。したがって、非常に水銀電池が多くなってきている、また現在の生活様式が非常に変わってきている、また社会構造も変わってきている、多様化されたいろいろな一般の有害物質がどんどん市町村のいわゆるごみ焼却室に行っているわけです。  そういう面から考えてきた場合、やはり環境を守るという点からいったならば、そんなランニングコストが高いとか安いとかいう問題よりも、その湿式のいわゆる洗浄方式、洗煙方式、排水方式を使って環境浄化をしなくてはいけないのじゃないかという考え方を持っているわけでございますけれども、どうですか。
  202. 小林康彦

    ○小林説明員 施設整備の水準につきましては、国の規制をクリアするのは当然といたしまして、あと、その地域地域の実情に合った適切な施設整備を行うべきというふうに考えております。
  203. 春田重昭

    ○春田委員 おたくの課長ではそこまでしか答弁できないと思いますので、さらにこの問題につきましては別の段階でやりたいと思います。  いずれにいたしましても、この水銀の乾電池の問題につきましては、先ほどから言っておるように、現在は業界による自主回収、そして地方自治体の分別回収によって若干回収されるわけでございますが、半分以上がそういう焼却場へ持ってこられる。さて、焼却場へ持ってこられても、いわゆる乾式の洗煙方式でいけばほとんどが大気に放出されて、そして、かえって大気汚染の原因となっている。こういうことを考えた場合、焼却炉の選定方法も十分考えていかなくてはいけない、こう主張する次第でございます。  大臣、水銀の乾電池につきましていろいろ質問を展開しているわけでございますけれども、こういった面で、この問題は現時点ではそう問題ない、きょうの質問に合わせたみたいに、環境庁は大気中の水銀は問題ございませんなんて発表しているけれども、これは五年、十年、数十年後にはそれだけばらまかれた水銀というものが土壌を汚染し、河川を汚染して大変な問題になってくるのですよ。これを守っていくのは環境庁でしょう。地方自治体に任せるとか業界に任せるとかそんなことでなくして、環境庁がそうした大きな歯どめをして、そして環境庁があればこそ日本環境行政は進んでいくんだ、いったんだ、こういうことで、この水銀の乾電池の問題につきましては、まず環境庁がそうしたガイドラインをきちっとつくって各省に徹底をしていただきたい、対応していただきたい、こう主張するわけでございます。  最後に、大臣の御決意を聞いて終わりたいと思います。
  204. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま先生からるる水銀の問題について御意見の御発表があり、また答弁もさせていただいたところでございます。環境庁といたしましても、水銀に対しましては懲り懲りいたしておりますので、この問題につきましてはこれから後も引き続き検討を加え、問題の起こらないように処置をさせていただきたいと考えております。
  205. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  206. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、竹内勝彦君。
  207. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 湖沼法のことに関して若干質問をさせていただきます。  大臣の一番お得意の、特に意欲を持っておられる湖沼法、本日閣議で何か了承されたやに伺っておりますし、ちょっとその状況と国会への提出をどうするのか、具体的にまず説明してください。
  208. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  いわゆる湖沼法につきましては、今朝閣議決定をされたところでございますが、本日中に国会提出を行うべく手続を進めておるところでございます。よろしくお願いを申し上げます。
  209. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 何日になりますか、国会への提出は。
  210. 上田稔

    上田国務大臣 本日中に国会提出を行うべく手続が進められておるところでございます。
  211. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 本日中に提出する、こういうことですか。
  212. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 まだ確定ではございませんけれども、今のところ本日五時ごろ提出するという見込みで手続を進めておりますので、多分そのようになると考えております。
  213. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで大臣、この法案に関しては今までの経緯がございまして、何回か出すと言っていて出さなかったり、それから昨年におきましては通常国会の後半、五月でしたね、もう通常国会も終わりというような時点で出てきたわけですよ。そんな関係で継続になりました。それから、臨時国会でいよいよ成立かという形でございましたが、その後解散、こんな形で制定ができなかった。したがって、長官として、この湖沼法制定への意欲をひとつ御披露ください。
  214. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま竹内先生からお話がございましたとおり、この湖沼法につきましては環境庁、非常に力を入れておりまして、湖沼水質汚濁が大変にひどくなっておりますので、赤潮が発生をしたりアオコが発生をしたり、そして、それがまた飲料水の水源に使われておる、こういう状況もこれあり、早くこの対策を立てなくてはいけないということから、湖沼法の成立を一日も早くお願い申し上げて万全を期したいと念願をいたしておるところでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  215. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 公明党もこの前、湖沼水質環境保全法、環境まで含めて法案を提出いたしました。公明党の案から比較しますと非常に後退したものでございます。しかし、一歩前進という立場からぜひ応援していきたいという考えを持っております。  そこで長官、一日も早くと言うのですが、今国会はどうなのですか。今国会でどうするのか、その点をお願いします。
  216. 上田稔

    上田国務大臣 本国会で成立をさせていただきたく、お願いを申し上げます。
  217. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この法案の中身と名称を教えてください。簡単でいいです。
  218. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 名称は湖沼水質保全特別措置法でございます。  内容につきましては、まず国が湖沼水質保全基本方針を定めます。それに従いまして、緊急に湖沼に対する対策を総合的に実施すべき湖沼を都道府県知事の申し出に基づきまして内閣総理大臣が指定いたします。当該湖沼につきまして都道府県知事が湖沼水質保全計画を策定いたしまして、これにつきまして内閣総理大臣が同意をいたします。同意をいたす際には、関係閣僚会議に相当します公害会議の議を経ることとなっております。この水質保全基本計画に基づきまして下水道の整備、し尿処理場の整備等を行うとともに、さらに、現在水濁法では行えません施設に対する規制等をきめ細かく実施するということを内容としておるわけでございます。そのほか、湖沼周辺の自然環境の保護にも国、都道府県知事は努めなければならない旨の規定が設けられているところでございます。
  219. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 昨年の通常国会提出したものと何か変わった点がございますか。
  220. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ごく一部、附則の部分に技術的な相違点はございますが、それ以外は実質的内容は全く変わっておりません。
  221. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ごく一部というのは何ですか、簡単にちょっと言ってください。
  222. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 附則の各省設置法に関係する部分でございまして、各省設置法について従来は法律をもって所掌事務が定められておりましたものが政令以下にゆだねられまして、それに伴う技術的な修正が加えられたということでございます。
  223. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 聞くところによりますと、この法案提出に当たって通産省その他かなりまた慎重論が出ていたやに伺っておりますが、どんな点でございましたか。
  224. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 いわゆる湖沼法案につきましては、昨年五月提出した法案も含めまして政府部内において提案まで種々議論があったことは御承知のとおりでございます。今回につきましても政府部内で若干議論はございましたけれども、最終的には今回国会提出しようとする法案として成案を得たものでございますので、これに至る過程における議論の詳細については差し控えさせていただきたいと思います。ただ、関係各省におきましても、湖沼水質の保全を図るという目的に関しましては認識は一致しておるわけでございまして、その具体的な方法につきまして、湖沼法に何を期待するか、あるいは水質汚濁防止法に何を期待するかという点で若干議論があったということでございますので、ひとつその程度で御了承をいただきたいと思います。
  225. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その点はもう今までずっと論議があったわけでございまして、それがクリアできたから昨年出た、こういうことなのです、そういうことでまたがたがたするということは環境庁の主体性を問われますので、ぜひひとつしっかりと今後の制定に向かってお願いしたい。  そこで、大臣にお伺いしておきますが、窒素、燐の環境基準が設定されて、湖沼の類型指定において大臣の指定とされておりますね。たとえば霞ケ浦あるいは琵琶湖といったものでございますが、この類型指定がいまだなされておりません。どういうわけか、そしてまた今後どのような類型指定に持っていくのか、この琵琶湖と霞ケ浦に関して御答弁ください。
  226. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  琵琶湖及び霞ケ浦の窒素及び燐の環境基準の当てはめ方につきましては、ただいま各関係府県と調整作業を鋭意行っているところでございます。この両湖沼ともに上水道の水源になっておるものでございますから、そういう点を考えて類型指定をやらせていただきたいと思うのでございます。  その時期につきましては、ことしの夏ごろまでに決めていきたい、こういうふうに考えております。
  227. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、琵琶湖と霞ケ浦の類型はどういうふうに考えていますか。
  228. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 御案内のように、環境基準につきましては利用目的からその類型を決めるということになっておりまして、湖沼につきましては、水道を利用目的とするものとしては第一類型ないしは第二類型が基本になっているわけでございます。ただ、特殊な湖沼につきましては特殊な浄水処理、いわゆる活性炭を利用した浄水処理を行うことを前提にいたしまして、一応第三類型も設けられているところでございます。  琵琶湖、霞ケ浦につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、上水道の水源として利用されております関係上、第一類型から第三類型、できるだけ第三類型は避けたいということは考えておりますけれども、現実問題といたしまして水質の現状からいたしますと無理な面もあろうかと思います。いずれにいたしましても、この一類型から三類型の間までで定められることになるわけでございます。
  229. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私、京都に住んでおる関係上、どうしても琵琶湖に興味を持っておるわけでございますが、大臣もやはり京都におりますので、ちょっとお伺いしておきます。  琵琶湖は近畿一千五百万の人が飲んでいる水がめですね。これを一類から三類の間でなんて言っていたのでは、やはり毎日飲んでいる水でございますから、これに持っていきたいという大臣のお考えを言ってください。
  230. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖につきましては、水質の現況がそれほど悪化しているわけではございませんものですから、ただいま滋賀県等と相談をしているところでございますけれども、北湖、南湖、違いはございますが、一類型ないしは二類型、かようなことになろうかと考えるわけでございまして、三類型になるということは考えておるわけではございません。
  231. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 大臣、それでいいのですね。
  232. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま答弁をいたしたとおりでございます。
  233. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 滋賀県あるいは他の府県、こういったところでの要望は北湖、南湖に分けてどうなっていますか。
  234. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先生も御案内のとおり、滋賀県は富栄養化条例に基づきまして、つとに、五十四年度に北湖、南湖について六十年を目標とした窒素、燐の水質基準を示しているわけでございまして、これとの整合性が図れるような基準を決められることを希望しているというふうに推察しております。
  235. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひ一類ないし二類、北湖の方はこの湖沼法あるいは今後の水質保全行政、そういったものによって今のいい面をぜひ守っていただきたいし、同時に、南湖は相当汚れてきていますね。これは大臣も御承知のとおりでございますが、しかし、ここのところ滋賀県等の、また地域周辺住民の協力により、今汚れが若干とまっている、横ばいといった感じでございます。したがって、この面においてはぜひこの一類、二類の中でひとつ持っていっていただきたいし、滋賀県の方の要望に関しましてもぜひ聞き入れられるような体制でお願いしたい点を改めて要望しておきます。  そこで、排出基準に関してお伺いしておきます。  同僚議員からも若干質問があったわけでございますが、五十六年一月に中央公害対策審議会からこの湖沼法制定の答申を受けた。それから湖沼法を検討して、環境庁として国会提出を三度断念、昨年通常国会になってやっと提出になったわけですね。ところが、その後の解散等の関連もございまして廃案になった。そのなかなか出せない法案の代替措置として、これの次善の策として、窒素と燐の排出基準、そしてまた環境基準といったものの設定をしていかなければならない、こういうことから環境基準の設定は、五十七年四月十六日に中央公害対策審議会へ諮問して、五十七年秋にこの窒素と燐の環境基準の答申を受けて、五十七年十二月に環境基準を設定した、こういった経緯がございます。  そこで、この排出の基準に関しては答申がまだ出ないのですか、これはなぜですか。それから、環境庁としてこの排出基準というものをいつ設定するのか。できるだけ早くなんという答えじゃだめです。いつやるのか。これは大事な問題です。もう時間がないのです、どんどん汚れているわけですから。その意味でひとつお答えください。
  236. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 御指摘いただきましたように、現在の湖沼法は、水濁法の規制を前提にいたしまして、その上乗せとしてきめ細かい規制を行うことを予定しております。したがいまして、私どもは、富栄養化対策としては、今御指摘の窒素、燐の水濁法による排水規制、この湖沼法による対策、これが車の両輪というふうに主要な湖沼については考えているわけでございます。  この窒素、燐の排水規制については、五十八年一月十七日に中公審に諮問したわけでございますが、現在若干時間がかかっております理由は、窒素、燐の排水基準の設定に当たりましては、現在の規制対象になっている業種が五百九十業種ございまして、この五百九十業種について、それぞれ処理技術として私どもの示します。その数値が達成可能であるかどうかということを、技術的あるいはコストの面から詰めているわけでございまして、その作業の一環として、これら業種をそれぞれ所管されている省庁とも御相談申し上げているわけでございます。  先生ただいま、可及的速やかというようなことでは困るという御指摘でございました。私どもも、湖沼法の前提としてこの水濁法による窒素、燐の規制考えておりますので、一日も早くやりたいと思っているわけでございますが、とにかく湖沼法の施行とあわせて、車の両輪として機能するようにいたしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  237. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、この湖沼法の問題は、先ほど大臣からもそのとおりでございますということで御答弁いただきました。今国会ということで、それをめどに頑張っていただかなければならないわけですが、では、同じように今国会中、いわゆる夏ぐらいまで、こういうことになるのでしょうか。
  238. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 率直に申し上げまして細かい事務的な詰めがございますので、この夏ごろまでに中公審の答申をいただきまして、直ちに政令の制定の手続に入りたい、かように考えているわけでございます。
  239. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、時間がございませんので、あと若干お伺いしておきたいのは、まず、ことしの夏、八月二十七日から五日間、滋賀県で84世界湖沼環境会議が開かれるのは御承知のとおりでございますが、これに対しては、どういう人たちが出席して、どういう取り組みをするのか、そしてまた、大臣はどうするのか、御答弁ください。
  240. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 若干事務的な面だけまず私から御答弁を申し上げます。  今回の世界湖沼会議は滋賀県で自主的に企画されたものでございまして、世界のいわゆる陸水学あるいは湖沼学の権威初め政府関係者等、多数の方々がお集まりになるというふうに聞いております。私どもは、環境庁といたしましても、その趣旨はまことに結構なことでございますので、これを後援いたしますことはもちろん、情報提供その他実質的な面でさまざまな御協力を申し上げておりますし、また今後も続けていく所存でございます。  これに対する取り組み、評価その他につきましては、大臣からお答えいたします。
  241. 上田稔

    上田国務大臣 私も出席させていただきたいと考えております。
  242. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 出席するようになっているのじゃないですか、局長
  243. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 そういうことを予定しております。
  244. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 あと、関係府県の知事だとか市長、こういった人たちはどんなふうになっていますか。
  245. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 我が国の大きな湖沼を持っている、湖沼問題に関心の深い都道府県から当然これに参加されるようになろうと思いますし、私どもからも、積極的に参加するようにお勧めいたしたいというふうに考えております。
  246. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 当然、滋賀県の知事、それから京都府の府知事、京都の市長、大阪の府知事、そのほか兵庫県関係、そういう人たちは出ますか。
  247. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ただいま事実関係を詳細には承知しておりませんけれども、当然それらの方々は御参加になられると思いますし、また私どもからも、必要であれば御参加のお口添えもやりたいというふうに考えております。
  248. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひこれを機会にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そこで、今まで琵琶湖などには、私の知っている限りでも六年間大変な赤潮が続いて出ました。そういうものから、環境庁として淡水赤潮調査費といったものを過去におきまして予算に組んでおりました。そのほか、琵琶湖の窒素、燐、こういったものの総量規制調査費がつき、浄化へ向けて取り組んできました。一応の調査は終わった、こうしていますが、この赤潮発生の問題はまだ解決しておりません。  この赤潮発生のメカニズムをどうとらえましたか。もう時間がないので簡単でいいですが、これを述べてください。
  249. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 一言で申し上げまして、従来は窒素、燐が多くなれば赤潮等が発生するというような単純な認識でございましたけれども、最近は、赤潮の発生の原因になっているプランクトンごとに発生のメカニズムが異なっております。特にまた、物理的な条件、化学的な条件、生物学的な条件、気象的な条件、そういうものが一致いたしましてまさに赤潮が発生する、その中で、窒素、燐の濃度というのは必要条件であるけれども十分条件ではない、かようなことが大体現在のところの知見ではっかめておるわけでございます。
  250. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この淡水赤潮調査費あるいはまた総量規制のための調査費、こういった形で湖沼浄化のために取り組んできないわゆる湖沼対策費が今まで行われてきたわけでございますけれども、五十九年度のこの湖沼対策費としては幾ら予算を計上しておりますか。それの名前と金額を述べてください。
  251. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 まず、この湖沼法水質保全計画の策定に当たるわけでございますが、モデル湖沼水質保全計画策定調査費約千四百万、もう一つは、この湖沼法に基づきまして畜舎、養魚場等の負荷削減対策を講じていかなければならないわけでございますが、このための経費として湖沼水質改善対策検討調査費八百万、両方で二千二百万ということでございます。それ以外に、窒素、燐の環境基準の設定のために必要な湖沼富栄養化環境基準設定調査費補助として千三百万というものが予定されているわけでございます。
  252. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、時間でございますので、最後に、この湖沼法の問題、排出基準の設定の問題あるいは類型の指定の問題等重要な問題、そしてまた人間の命にかかわる問題、人類また生物、生命のあるものすべて、この水というものは本当に重要なものでございます。今こそ、この日本のかけがえのない大事な水というものを守っていくための御決意大臣に述べていただいて、終わりたいと思います。
  253. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま湖沼法に関連して、水の問題についての重要性を先生からお話をいただきました。私も、水というものは我が国における非常に豊富な資源であるというふうに考えまして、その水の利用を十分に考えていく、特に人間の生命に影響のある飲料水に関するものでございますので、これに力を入れてやらしていただきたいと存じます。  なお、先生から琵琶湖の赤潮のことについてお話がございましたが、私ども公害研究所というのがございますが、そこにおきまして琵琶湖の赤潮のプランクトンをとらまえまして、それがまたほかのものと作用いたしましてカビ臭を出すというメカニズムも一応解明をいたしております。ただ、それを防止する方法をこれから研究をさせたい、こういうふうに考えております。よろしくお願いいたします。(竹内(勝)委員「琵琶湖の調査を含めて、ちょっと決意を」と呼ぶ)琵琶湖の調査につきまして、私ども環境に関する面につきましては十分にやらしていただきたいと思っております。(竹内(勝)委員大臣自身が調査に行くかどうか」と呼ぶ)私も湖沼会議にはもちろん出させていただきますとともに、琵琶湖の赤潮に対する問題あるいはまた下水道の問題、環境に関する問題につきまして、私も実地に行かしていただきたいと念願をいたしております、参る予定でございます。
  254. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  255. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  256. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、まず初めに、アセスメントについて一言お聞きをしたいと思います。  アセスメント法案は、もちろん昨年の総選挙で廃案となったまま、現時点では国会提出もされておりません。しかし、共産党は、この法案については環境の汚染、破壊を未然に防止するというような内容のものではなしに、まさに大事な大骨も小骨も抜かれてしまった開発促進法だ生言いたくなるような変質したものだというふうに評価をしているわけです。したがって、その考えは今も変わっておりませんので、このままのアセスメント法案が早くこの国会提出されるようにというようなことで主張する立場ではございませんけれども、この法案の提出をめぐる経緯というのですか、そういう事態については大きな関心を持たざるを得ないわけです。  といいますのは、最近、産業界、財界と言っていいのでしょうか、それがこのアセスメント法案と公害健康被害補償制度の改悪を取引しようとしている節がある、これは新聞報道でもそういうふうに指摘をされております。  少なくとも与党の了解を得て、そうして一度は閣議で決定され、しかも主務官庁である環境庁が早期提出というお立場にありながら、今日なお国会提出されないのはなぜなのか、ここのところをまず長官にお伺いをしたいわけです。
  257. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境影響評価法でございますが、これは前国会におきまして成立をお願いをいたしておったのでございますけれども、解散というような事態に相なりまして廃案になったのでございます。廃案になりますと、次に提出いたしますときにおきましては、内容が同じであってもやはり新しい法案と回しように手続を進めていくのでございます。したがいまして、関係各省と連絡をとりまして同意を得て手続を進めていくというものでございます。関係各省、私ども関係各省になるときもございますが、その際におきましては、前にこの法案を提出したときから今度提出するまでの間のいろいろな変化というものを考えて、そして、それがどういうふうに影響するかということを審議をして意見を一致させて法案として進めていくということでございまして、それに時間を要しておるのでございます。私どもといたしましてはこの環境アセスメント法はぜひとも提出をさせていただきたい、今現在鋭意手続を進めておるところでございます。
  258. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 前回提出したときから情勢の変化もあるので政府部内で改めて調整をする必要がある、そういうことであったと思うのですが、一体五十六年に提出してからことしまで政府としてアセスメント法案の内容を再検討するような情勢の変化があったのでしょうか。
  259. 正田泰央

    正田政府委員 前回からただいままで社会経済上の基本的な条件とかあるいは環境に関します基本的な状況とか、そういった点においてはまことに変わったものはございません。若干変わったと言えば、その間に地方公共団体におきます行政上のアセスメント制度についての制度化が進んでいるとか、アセスメントに関しますプロジェクトについてのアセスメントが累積してきたというようなところだろうと私は思っております。
  260. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでしたら、むしろ条件としては前進をした、出されているアセスメント法を本当に国民が期待をしていたような内容のものに改めてそして出していく条件が前進をしていると言いはできないか、こういうふうに私は思うわけです。今日まで情勢の変化があったとすれば、それはむしろ産業界の意向、財界の意向が強く働いているというふうに私は思わざるを得ないわけです。しかしながら、アセスメント法案については財界も含めて一度は決着を見ているわけなのです。今さら財界がそのことについて云々かんぬん横車を押してくる、そういう理由は全くないと思うわけですが、お伺いしたいわけです。  政府として今回このアセスメント法案の再提出を検討するに当たって財界、産業界とはどういうふうな接触をしておられるのか、あるいは接触をしておられないのか。しているとすれば、どういうお立場で接触をしておられるのか、お伺いしたいわけです。
  261. 正田泰央

    正田政府委員 この法案につきましては、前回提出以前、提出後、また審議未了後におきまして、詳しい経緯については藤田先生細かく御案内と私ども承っておりますが、基本的に言えば、産業界にとってこの法案に対して疑義が提起されていたわけでございます。また、国会提案中についてもそういう点がございました。すべて法案の成立をお願いする立場から見ますると、関係者の理解を得て法案を提出し、また国会において成立をお願いするのは当然でございまして、私どもそういうことを今やっているわけでございます。  それから、後段でお尋ねの件でございますが、この法案と関係のある事業者団体等について接触をし、理解を深めるように説明し、少しでもこの法案提出に理解を高めていただくということで行っていることは事実でございます。
  262. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 環境庁として再提出への理解、協力を財界に要請していく、そのことは私は全部否定するわけじゃないのです。しかし、現実には理解も協力もなかなか得られない、したがって政府部内での意思統一もはかばかしく進まない、再提出も行われていないということになるのじゃないでしょうか。  きょうは通産、建設両省をお願いしておりますが、通産省、建設省はこの法案の再提出に対してどのようなお立場をとっておられるのか、お伺いしたいわけです。
  263. 加藤昭六

    加藤(昭)政府委員 お答え申し上げます。  同法案の取り扱いにつきましては、現在環境庁と事務的に折衝を行っているところでございます。先国会で廃案となりました環境影響評価法案は五十四年の中公審の答申に基づき取りまとめられたものでございます。当省といたしましては、それから五年を経過しているわけでございますが、現時点におきまして五十四年当時の答申の状況と基本的に差異があるかどうか等を検討しておるところでございます。
  264. 緒方啓二

    ○緒方説明員 建設省考え方について御説明申し上げます。  ただいま環境影響評価法案につきまして環境庁より協議が参っておるところでございますが、私どもといたしましては、事業の執行に際しまして環境影響評価を行うことは非常に重要なことだというような認識に立ってございまして、このような観点から鋭憲法案についての検討を進めている状況でございます。
  265. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 どうも中身に説得力がないし、大変抽象的なんです。通産の方にお伺いするのはきょうはこれにとどめておきますので、またの機会がありますから、お忙しかったらどうぞお引き取りください。  建設省の方ですが、このアセスメント法案の再提出について改めて関係業界に意見を求めていると思うのですが、そういう事実があるかどうか、あるとすればどういう立場で働きかけをしておられるのか、お伺いをしたいわけです。
  266. 緒方啓二

    ○緒方説明員 建設事業にかかわります建設業者の立場というのを若干御説明申し上げたいと思うのですが、事業者と違いまして、要するに受注者としての立場に立たされておるわけでございます。そういう意味で、建設業者の立場から見ますと、環境問題はむしろ発注者側において調整していただきたい、このような立場にいらっしゃるかと思います。そういうわけでございまして、私どもは工事施工に当たりまして環境上の配慮は十分やるように指導はいたしますが、環境影響評価そのものにつきましては若干第三者的な立場にいらっしゃる、このようなことで、いろいろお話し合いなど持つ機会はないわけではございませんが、若干距離を置かしていただいておる、そのようなことでございます。
  267. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 若干距離を置いているから関係業界に改めて意見を求めているということはないと否定をされるわけですか。
  268. 緒方啓二

    ○緒方説明員 否定をしておるわけではございませんが、環境影響評価につきましてはそのような第三者的な立場にいらっしゃるということをちょっと申し上げたいわけでございます。あの環境影響評価につきましては事業者が第一義的に対応すべき事案ではないか、このように申し上げているわけでございます。
  269. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、ここに日本土木工業協会の編集した「建設業界」という本を持っております。御存じでしょう、こんな雑誌が出ておるのを。この三月号の中に、ことしの一月二十六日に環境委員会環境アセスメント専門部会、これは日本土木工業協会と日本電力建設業協会の委員会ですね、ここが会議を開いているわけです。その議題は、「環境影響評価法案」再提出に当たって——建設省境管理官等による業界意見の聴取について、こういうふうに書かれているわけです。これは環境庁の言う理解を求める、あるいは理解を高めていただくというような性質のものではなしに、建設省境管理官等による業界意見の聴取ですから、文字どおり建設省が業界にお伺いを立てているという性格のものではないでしょうか。それに対して業界が対応を練ったということでこの議事日程がここに載せられていると理解をするわけです。  一度決着をしたものについて改めて業界に意見を求める、こういうふうな形で意見を求めていくというのは一体どういうつもりなのか。この点については私は環境庁の御意見もお伺いしたいわけです。どうぞ建設省の方から。
  270. 緒方啓二

    ○緒方説明員 誤解に至らないようにちょっと釈明させていただきたいのでございます。  日建連、土工協さんの環境委員会の専門部会であったかと記憶いたしておりますが、アセスの重要性を認識していただくというような意味では環境問題について時に触れ情報交換、意見交換を行うというようなことはいたしてございます。ただアセス法案につきまして意見を求めるというような形でそのような会合を持ったということではございませんので、そのあたりは十分御理解いただきたいと存じます。私ども、冒頭申し上げましたように、環境影響評価は非常に重要なものだという認識に立ちまして、そのような意見交換の場を持ったということであったかと記憶いたしております。
  271. 正田泰央

    正田政府委員 この法案につきましては審議未了後の再提案ということでございますので、いわゆる仕切り直してございますので、各省におかれて御検討いただいておるわけでございますが、法律趣旨、それから改めてきちんとした解釈、さらに法律効果、そういったことについて各省と詰めを行っております。事務的な詰めも済んだところもございます。ただいまお尋ねの建設省のことにつきましては、私ども考えております、あるいは実行してまいりましたいろいろな理解を深める行動とはちょっと違いますが、内容については私ども存じておりません。
  272. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 意見の交換と言われますが、一度はきちんと決着したものを、何というのですか、御意見をくださいということで業界と接触していく、そういう中でまさに今日アセスメント法案がこういう状態になってしまっているわけなのです。もともとこういう形の中でどんどん大骨、小骨も抜かれてしまったのですが、今日なおこういうような状態の中で、政府は、今の態度は大変問題だと私は思います。同時に、産業界の圧力にももちろん大きな問題があります。そして、今日この法案がまだ提出されないというのも財界の待ったの声がかかっているのだと考えざるを得ないわけです。しかも、それが公健法、公害健康被害補償制度の改悪と取引する材料にされていこうとしているとマスコミも指摘しているし、そういうふうな指摘があっても仕方のないことだと思うわけです。  長官、発電所までがその対象から除外されたような法案で、それでもこれを何とか出したいということで逆に補償法改悪の取引に使われて、そして財界に何か新たな借りをつくるというような形になってしまっているこのアセス法、こんなアセス法の提出にきゅうきゅうとしているぐらいだったら、環境行政を本当に後退させない、日本環境を守っていくというお立場にある役所として、ここは一番こういうアセス法の提出にきゅうきゅうとするのをやめて、公害健康被害補償制度に対しては財界の不当な横車は絶対に認めぬというお立場できっぱりと環境行政を前向きに進めるというふうな態度をとられる方が環境庁としては賢明じゃなかろうかと思うわけですが、いかがでしょうか。
  273. 上田稔

    上田国務大臣 先生、ただいまの御意見は大分偏見といいますか、邪推が入っておると私は思うのであります。公健法とアセスと何の関係もございませんので、私どもの方に対してアセスを通してやるから公健法をもっと何か考えろ、そんな話は今ここで初めてお聞きするのでありまして、そんな話を私のところにしてこられた方はございません。したがいまして、そういうことはございません。  それから、アセスにつきましては、先生言われるように、前法案におきましてはいろいろ内容が変わっているじゃないかということを言われるのでございますが、その点は私も存じませんけれども、現在におきまして経済界から私の方にこの法案を出すなというお声を聞いたことはこれまたございません。ただ、よく理解してもらいたいということで御説明をしておる、それはございます。お会いしたときには、アセスをひとつお願いします。あれはアセスの手続の方が主体になっております法案でございますから、大きなプロジェクトをやる場合また工事をやる場合にはアセスは全部おやりいただいておりますけれども、今のようにそのやり方、手続が府県によって全部異なっておるということでは非常に困る、これを国の方で一つにしていかなければ障害になるのじゃないか、だから、これは一つにしてもらいたい、こういう説明をいたしてはおりますが、そういう公健法との取引をというような話は、私どもは全然存じません。
  274. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私の偏見だと言われましたので、私だけの意見じゃないということをはっきりさせておくために、五十九年三月十四日の読売新聞が載せております「公平さ配慮ぜひ 真価問われる環境行政 公害補償、公聴会討議を」と見出しをつけた新聞の最後の部分だけ読み上げておきます。「真偽のほどはともかく、公害健康被害補償制度の見直しは、産業界の反対などでアセスメント法案の成立に苦慮している環境庁が、同法案への産業界の協力と引き換えにした「取引」といううわさが流れている。」これは新聞の記事であります。私が勝手にここで独善と偏見で申し上げているのではないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。  それから、そういうことがあろうかと思いましたから、先ほど事実をこの雑誌でもって指摘をして、実際にはそういうふうな話し合いがあったということを事実として指摘をしたわけであります。  続いて、時間がありませんので、その公害健康被害補償制度の問題に入っていきたいと思いますが、第二臨調が、この問題については、多くの国民公害被害者の反対があったにもかかわらず、昨年の三月、最終答申で、公害健康被害補償協会の交付金の整理統合化、すなわち指定地域の解除を提案をしました。これを受けて環境庁は、昨年の十一月に中公審に諮問をしたわけです。この諮問についても、公害被害者はもちろん、これも朝日新聞の社説ですが「許されぬ公害被害救済の後退」、そういうふうに批判をしております。  それからもう一つは、日本弁護士連合会、ここが、第一種地域の解除を論ずるのは時期尚早だということで、こういう意見書を出して、これは多分環境庁の方にも提出されております。こうした批判に対して環境庁はどのように考えておられるのか、お伺いをしたいわけです。
  275. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  公害健康被害補償法につきましては、かねて国会等におきましてもいろいろな御意見がございまして、従来環境庁といたしましては、この大気の汚染の態様の変化を踏まえて科学的に検討する必要があるという判断のもとで、いろいろな知見、研究、調査を集めている段階でございます、それを集めた時点におきまして中公審におきましての御審議をお願いしたいというようなことで、かねて国会にも御答弁をいたしておるわけでございますので、そういう過程を踏みまして環境庁といたしましては、従前から資料の集積に努めてまいりまして、その資料が一応まとまったということで、昨年十一月に中公審に諮問をいたしまして、現在御審議をいただいているところでございます。  その過程におきましてはいろいろな分野から、ただいま先生からお話がございましたような分野の先生方あるいは御意見等もいろいろあるわけでございますが、その意見を踏まえながら、私ども、中公審におきまして、現在の大気汚染と健康被害との影響といいますか関係につきまして慎重に御審議していただきたいというぐあいに思っておるところでございます。
  276. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 今回の諮問はということで、「今後における……対象地域のあり方について」というふうに、新たに設置された専門委員会の名称を見ますと、「大気汚染と健康被害との関係の評価等に関する専門委員会」、これもまた大変抽象的なんですね。具体的にもう少しどういうふうな中身について中公審に説明をしておられるのか、この辺もう少し明らかにしていただきたいと思います。
  277. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答えを申し上げます。  まず、我が国の大気汚染の状況でございますが、硫黄酸化物によります汚染が著しく改善される一方におきまして、窒素酸化物及び浮遊粒子状物質による汚染はほぼ横ばいに推移するというような、大気の汚染の態様に大きな変化が見られておるところでございます。  このような大気汚染の態様の変化を踏まえまして、第一種地域のあり方につきましての御審議をいただくわけでございますが、その内容といたしましては、ただいま先生からお話がございましたように、指定地域の指定の要件あるいは解除の要件について明確に御意見を賜りたいということでお願いしておるわけでございます。その過程におきましては、まず現在の我が国の大気中に存します汚染物質と健康被害との関係の評価というのが第一段階において御検討していただくことであるわけでございまして、その二番目といたしまして、この評価を踏まえた第一種地域の指定及び解除の要件のあり方ということになろうかと思います。先ほど先生からお話がございましたような専門委員会は、そのようなことで、第一点にございます、現在の我が国の大気中に存します汚染物質と健康被害との関係の評価につきまして、専門的立場からの御意見を賜りたいということでお願いいたしているところでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  278. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 この諮問には、いろいろ科学的な立場で、汚染物質と健康とのかかわりを科学的に深めていくということ、それ自身は決して否定していることではないんですがね。しかし、解除を論ずるというような、それがまず第一に重要な問題であって、解除というのは今論ずるべき時期ではないというふうに考えます。そのことは、さっき私が読み上げましたように朝日新聞の記事でも指摘をされているわけですね。百歩譲って諮問をする、こういうことなら、中公審は少なくとも科学的な公正な立場で進めていかなければ、審議を行わなければならないわけです。また、そうしなければならないと中公審自身も、少なくともそのことは言っておられるわけですね。そういう立場から見ると、この環境保健部会それから専門委員会の構成には非常に大きな問題があるというふうに言わざるを得ないわけです。  この専門委員会なのですが、この専門委員会のメンバーを見たときに、まず最初に、被害者である患者の皆さんが非常に厳しい批判をされました。これで本当に公正な審議ができるのか。本来、公正であるべき専門委員会のメンバーの中に、各地の公害裁判で公害企業側の証人として疫学を否定して証言を堂々とやっている人が含まれている。それは、例えば東大の医学部教授である前田和甫氏がその例だと言って、被害者のあの患者団体の皆さんは、この専門委員会のメンバーに非常に厳しい批判をしているわけです。この補償制度というのは、もともと疫学的な因果関係を基礎にしてつくられた制度ですから、そういうふうな発言をしておられる方というのは、私も大変疑問に感ずるわけですが、こういう批判はどう受けられますか。専門委員会の問題です。
  279. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 専門委員会委員先生方の中には部会の先生方もおられますし、この専門委員会をつくるに当たりまして、我が国におきます専門の学者の方もお加えいただきまして専門委員会をつくられているわけでございますが、いずれも疫学なりあるいは臨床医学等の各専門分野におきましてそれぞれ立派な研究活動を行っていらっしゃる方々でございまして、大気汚染と健康被害との関係の評価等につきましては、それぞれの研究実績をお持ちの方々ばかりでございますので、それぞれの専門的立場から十分御審議いただけるものというぐあいに考えているところでございます。
  280. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 専門委員会の専門委員の問題については、また改めて問題にしていきたいと思うのですが、それだけの御答弁で納得したわけではありません。  もっと問題なのは、この環境保健部会の構成の問題なのです。この点では、先ほど一部読みましたが、その読売新聞も「公平さ配慮ぜひ」と主張している中で、環境庁の言い分は説得力に欠けるということもあわせて述べておられます。部会のメンバーは二十四名おられるんですね。その二十四名の部会委員の中で、経団連の環境安全委員会委員長である岩村英郎氏初め、私、ずっと見てみたら、およそ三分の一に近い方が財界の関係者である。一方で、この制度の当事者である被害者、公害患者の代表は一名もおられない。これでは公正な答申は期待できないというふうに考えるわけです。この点一環境庁の御見解をもう一度お伺いしたいわけです。
  281. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 環境保健部会の委員先生方は、先生からお話がございましたように、二十四名で成り立っているわけでございますが、この委員の方々は、大気汚染によります健康被害につきましていろいろ調査研究を行ってこられた研究者や、実際に患者の認定や診療に従事していらっしゃるお医者さん、あるいは事業者の実態に詳しい方々など、本部会の審議に必要な各分野におきます学識経験者でもって構成されているところでございます。  本部会の委員構成につきましては、制度発足当初からこうした考え方に基づきまして構成されているものでございまして、これを変える必要は特にないものどいうぐあいに考えているところでございます。
  282. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 学識経験者としての委員というふうにおっしゃいますけれども、それは法律でそういうふうに書いておりますからね、学識経験者の中からという表現を使っておりますからそういうふうにおっしゃるのであって、問題なのは、そうした委員が財界の代表としてではなく、本当に学識経験者としてその委員の役割を果たすことができるかどうかということが問題なんですが、岩村氏など財界出身の委員が、そういうお立場ではなく、本当に公正に学識経験者としての委員の任務を果たせると思っていらっしゃるわけですか。
  283. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいまも申し上げましたとおり、本部会の委員は、各分野の学識経験者ということで委員をお願いしているものでございますので、その意味で、それぞれの委員の方々は学識経験者の立場においていろいろ審議に加わっていただき、今後の公健法の適正な運用のための指針をいろいろ御審議いただいているところでございます。
  284. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 かつて自動車の五十一年排ガス規制が問題になったとき、自動車工業会出身の委員が、国民には全く非公開とされていた中公審の審議内容をメモして、そして業界だとか各自動車メーカーに配付をし、対策を練っていたということが大変問題になりました。これは議事録でも残っておりますが、そういう極めて鮮明な形で問題になったことがございます。現在そういうことは絶対にない、これらの委員はそうした立場を離れて学識経験者としての委員の任務を果たしていくと自信を持って言うことができますか。忘れられましたか、大事な話を。五十一年の排ガス規制のときです。
  285. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますが、私どもといたしましては、この部会の先生方はそれぞれ各分野におきます学識経験者ということでお願いをいたしているわけでございますので、それぞれの方々の学識経験を生かした審議が行われるというぐあいに確信を持って考えているところでございます。
  286. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ちょっと聞いてほしいわけです。  私がここに持っておりますのは、環境保健部会の委員である岩村さんの書かれた文章です。これは経団連月報のことしの三月号で、廃棄物問題について述べられているわけです。お立場は、経団連の環境安全委員会委員長ということで書かれております。厚生省の所管の審議会ですが、先ほどの乾電池のような問題ですね、こういうものについて、生活環境審議会の答申にいろいろ不満を述べられているわけですが、その中でこういうふうに言っておられるのです。「産業界を代表する委員は十九名の委員のうち、わずか一名にすぎない。」これは私の言葉じゃありませんよ、岩村さんの善言葉なんです。「産業界を代表する委員は十九名の委員のうち、わずか一名にすぎない。」これが問題だということを言っておられるわけです。この審議会の委員も、もちろん法律上は学識経験者ということで任命されている委員でありますから、そういう各界の代表ということで集めているわけじゃないのですが、学識経験者ということになっていても、財界の方はさらさらそうした考えはないわけです。そうした考えはなくて、そして自分のところの代表なんだ、こういうふうに考えているわけなんです。しかも、この考えを述べておられるのが、ほかでもない、環境部会の委員である岩村氏であるわけですね。御自身がこういうふうに言っておられるわけです。これでも環境庁は、財界の代表ではなしに学識経験者だから問題はない、意見は偏らないというふうに自信を持って言われますか。
  287. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  公害対策審議会と申しますのは、これは三十九年だったと思いますが、内閣総理大臣から任命をしていただきまして、学識経験者の中から選んでいただいて、そうして、こういう公害対策審議していただいてきたのでございます。  先生指摘の、五十一年の何かお話がございましたが、そういったようなことは私もまだ不敏にして聞いておりませんが、今までそういうことはなかった、問題がなかったというふうにお聞きをし、そうして、そのことのために今現在の中公審のメンバーが決まって、各部会にそれをまた割り振っておやりをいただいておる。労働界の代表の方ももちろんお入りになっていただいておりますし、いろいろな方がお入りになっていただいております。
  288. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、この中公審の委員の中には労働代表の方も入っていらっしゃるわけでございますが、保健部会の二十四人の委員の中には、そういう方も入っていらっしゃいません。御指摘のように、いわゆる出身といたしましては財界の出身の方もいらっしゃいますし、あるいは大学の教授等の方もいろいろいらっしゃるわけでございますが、その方々につきましては、いずれも、先生お話の中にございましたように、法律によって学識経験者ということで総理大臣が指名することになっているわけでございますから、そういう面で、その部会の場におきましては、学識経験者ということで御発言がありまして審議が進められているというぐあいに考えております。
  289. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大臣の御発言をお伺いして、私は環境庁長官として本当に大変なお役目だと思うのですが、国民の期待にこたえた長官というお立場に立つなら、そういう問題にもう少し神経質になっていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  しつこいようですが、岩村氏の文章を私、もう一度、少し丁寧に読み直ししたいと思います。この審議会、つまり生活環境審議会、厚生省所管です。環境庁環境保健部会と同じように、学識経験者を入れたこの審議会の部会です。「同審議会の廃棄物処理部会は学者、地方自治体関係者関係労組、マスコミ関係者を中心に構成され、産業界を代表する委員は十九名のうち、わずか一名にすぎない。適切な廃棄物対策を推進する上から、関連する産業界も参加した場で、科学的・合理的な議論を尽すことが、今後、強く望まれる。」こういうふうに言っているわけです。まさに、岩村さん御自身は学識経験者ということではなしに産業界の代表だというお立場で物を言っておられるわけです。そういう点から、環境保健部会にも、岩村さん御自身が学識経験者というお立場ではなしに産業界の代表として参加をしているということは余りにもはっきりしていることじゃないでしょうか。だから、被害者の公害団体の皆さんは、何で自分たちの代表を入れないんだ、どうしてもっと私たちの声を本当に伝えてくれる代表が入っていないんだということをしばしば要求をしているわけなんです。しかも、あの二酸化窒素の環境基準が緩和されたときに、当時の橋本道夫大気保全局長は、これを審議した中公審の大気部会に、全国公害患者会連絡会が推薦する科学者、専門家を加えるように努力するということを約束されております。これは文書で約束されているわけです。これは、そのときも環境庁御自身が委員構成に問題があるということを認めていたということではなかったでしょうか。  今私が言ったように、学識経験者であるかどうかなどというような問題じゃないのです。実質的にその委員がどういう立場委員の任務を果たすかということが問題なのであって、だから私は岩村氏の文章を引いて、この人は御自身で産業界の代表だと言っておられるんだということを例として出したわけです。環境庁は、学識経験者などというような形式論を振り回すことをやめて、今各方面から指摘されておるように、環境被害者の代表を加えるということで、この委員の構成を即刻改めていく、これがいろいろと疑問を持たれている問題に対して、そうじゃないということの環境庁としての態度表明にもつながるんじゃないでしょうか。最後に、長官にもお願いしたいと思います。
  290. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  環境部会の委員の構成の問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの分野におきます学識経験者によって構成されておりますし、先生お話の中にございました患者の実態ということにつきましては、日常患者の診療をやっていらっしゃる先生方あるいはそれぞれの指定地域におきまして認定審査会の委員をやっていらっしゃる先生方も入っておられるわけでございますので、患者の実態なり患者の実情については十分よく知っていらっしゃる先生がこのメンバーの中に入っておられるということで、そういう面についても欠けるところはないものというぐあいに考えておるところでございます。  また、あわせまして、患者さんの御意見あるいはそれ以外の御意見につきましては、私どもの方でいろいろお話を承りまして部会の方に正確にお伝えいたしたい。先般は環境保健部会におきまして大気の認定患者さんの声を直接聞くというような機会を設けたところでもございますし、今後とも患者さんの考え、意見につきましては私どもの方で部会にお話し申し上げて、その意見を十分踏まえながら今後の審議を進めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  291. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま部長からいろいろと患者さんのお考えなんかについての取り入れ方について説明を申し上げましたが、また、そういう患者さんを診ておられるお医者さんの専門家がお入りにもなっておられますので、そういう点はひとつよく御理解をいただきたいと思うのでございます。  また、この部会は、先ほど三十九年と言いましたが、それは間違いで四十九年でございまして訂正をさせていただきますが、任命をいただきましてから、その中でいろいろ部会もメンバーを分けてやらしていただいておるのでございまして、岩村さんが財界代表だ、こう言われるのでございますが、たまたまそういうお仕事をおやりになっておられたのでございまして、お書きになったものがどういうものであるか私も存じませんが、そういう点で、専門家であるということはまた事実でございまして、おやりをいただいておるわけでございまして、今のところそんなお話も別に出ておりませんし、私ども審議を進めていくということでやらしていただきたいと考えております。
  292. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 長官は京都の御出身ですね。だから、ぜんそくで苦しむ患者の様子などというのはなかなか見ていただける機会がないと思いますが、長官、ひとつ公害患者の皆さんにぜひ会っていただきたい。きょうの私の言葉足らずを、そういう面で直接声を聞いていただいたら多分わかっていただけるのじゃなかろうかと思いますので、この点はひとつお願いをしたいと思います。患者の会の皆さんに会っていただくということ、よろしゅうございますでしょうか。これで終わります。
  293. 上田稔

    上田国務大臣 私も京都でございますが、京都にもやはりぜんそくの患者の方はたくさんおいでになられまして、私の身内の者にもぜんそくをやっておる者はございます。それで、その患者の代表の方というのが、まあいろいろおいでになられるわけでございますので、お話をお聞きをすることについてはやぶさかではございませんが……(藤田(ス)委員「それで結構です」と呼ぶ)今いろいろと国会の方でやっておりますので、そういう点も考慮をさせていただきます。
  294. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。
  295. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中井洽君。
  296. 中井洽

    ○中井委員 大臣に、過般聞かせていただきました所信表明に沿って幾つかのお尋ねを申し上げます。  ここ数年、毎年かわられます大臣所信表明を聞かせていただきますと、かつてのような華々しいというか派手な公害論争、公害問題、こういったものがございませんから、よく似た形での所信の表明がございます。それだけに逆にいえば、落ちついて環境行政にお取り組みをいただいておるか、こんなことも考えるわけであります。しかしながら、各大臣、必ず所信表明の中で私どもがおやっと思うような新しい言葉あるいは発想を打ち出されるわけでございまして、今回も見させていただいておりますと、環境保全型社会の形成を基本理念として掲げる、こういうことをお述べになっているわけであります。  この環境保全型社会の形成というのは、もう少しかみ砕いて、あるいはまたどういう形で、どういう手段、どういう順番でこういうものを目指されていこうとするのか、御説明をいただきたいと思います。
  297. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境保全型社会ということでございますが、今までのいろいろな都市計画にいたしましても地裁計画にいたしましても、これはその都市計画あるいは地域計画というものが産業界の発展、経済の発展、人口の集中、そういったようなことに対しまして、それを何とか解消していくというか、それをこなしていこうという発想から出て計画が立てられて、そういう社会をつくろうとする。そのときに、もちろん環境の問題もあわせ考えながらやっていただいてきたということでございますが、この環境保全型社会というのは、むしろ環境の面から見て、こういう都市は、こういう地域は、こういう状態で成っていかなければいけないという、主体を環境に持っていっていろいろ社会を見ていく、つまり発想が逆になってきておる——逆といったらいけませんが、一致するところは同じでございましょうけれども、主体の考え方がちょっと反対というか、見方が反対というか、そういう考え方であります。ガラスを向こうから見たのとこっちから見たのとということになるかもしれませんが、見方がそういう見方で、そういう社会をつくっていこう。また今までは、ある都市がある、そうすると、その都市はその都市の環境をどういうふうにしていこうかというような考え方は余りなかったわけであります。それを今度は、その都市あるいは地域というものを快適な環境に変えていくというようなことも含んでおるのでございます。
  298. 中井洽

    ○中井委員 どうもちょっとわからないのでありますが、この委員会では、今、変えていこうとされたとかガラスの向こうから見ようとしたというようなことばかりずっと議論をしておりまして、長官の御出身が逆の方からやっておられたお立場であって、大変失礼なことでありますが、環境庁へ来られてから急に言われたのかなという理解ぐらいしか実はできないわけでございまして、例えばその前のページに、「交通体系、産業構造、エネルギー、廃棄物などを環境面から横断的にとらえ、環境への負荷に予見的に対応するとともに、」云々と大変立派なことが書かれているわけであります。今御答弁をいただきました環境保全型社会の形成、これもこれで立派なことであろうかと思います。環境庁がここ数年本当にやろうとされていることは、私は、政策実行の官庁として、この縦割り行政の中で何とか環境面だけでも横で調整をとりながらよりよい環境を守る、あるいはつくり出していく、こういうことで苦労されてきたと思うのです。  例えば、そういう中で各省庁の抵抗に遭ってできなかった法案とか、あるいはまた、いまだに日の目を見ない法案というのがたくさんあるわけでございます。地盤沈下防止法なんというのもその一つでございます。これなんかは、ほかの省庁でも反対があったのでしょうけれども長官のかつて所属された、出身の省でありますところも縄張り意識が強くて反対になって、いまだにできないわけでございます。環境庁がいろいろと新しい、あるいは一歩踏み込んだ施策をやろうと思えば、必ず政府・与党内で、あるいは省庁間でのトラブルの方が多いんだ、ここに環境行政の非常に難しいところがあると思うのです。これらのことを長官がどのように御認識をされておるのか承りたいし、また本当に、今までのお立場と違って、おっしゃるような環境保全型社会の形成、こういうことに向かった立場での調整に全力を挙げられる御決意がおありなのかどうか、その点もあわせお伺いをしたいと思います。
  299. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほど私の説明がちょっと悪くてなかなかおわかりにくかったと思うのですが、環境ということを考えた社会をつくる、環境という面から見た社会をつくっていこうということでございます。例えば今まである都市、余り実例を挙げるとまたそこでちょっと弊害がありますから言えませんが、住みよい環境をその町につくり出していこう、何か特色のあう環境を持った都市に仕上げていこう、地域に仕上げていこう、こういう考え方を持った施策一つ入れていきたいということでございます。  それにつきまして、今先生から御指摘の、例えば地盤沈下のお話が出ました。この地盤沈下につきましては各省ともにいろいろ苦労をしておられるのでございます。実は私も大阪の地盤沈下で随分悩まされました。一番最初は、大阪の地盤沈下は地殻変動であるというようなお話から始まったのでございます。戦前でございます。そうして、その地盤沈下は地下水のくみ上げであるということに戦後なりまして、私ども提唱をいたしまして、そうして通産の方、また、そのほかの方々と御一緒になりまして工業用水の代替の水源を見つけ、そして、それを配水をするようにし、そしてまた今度はビル雑用水といいますか、ビル用水というものの代替も考えて給水をする、こういうことから地盤沈下がなくなるという状態になっていったわけでございます。  したがいまして、そういったような対策をもあわせ考えながら地盤沈下の対策考えていかなければいけない、用水の供給を考えながら地盤沈下を考えていかなくてはいけない、こういうことで、私ども建設省にいるときは皆さん一緒になってやりましょうということでやっておったのですが、議員になりましてどうもその辺がまだ十分に、現役の方あるいはまた各省の方々とのお話し合いになかなか一緒にやらせてもらえないものですからできなかったのですが、環境庁に入りまして今度は責任者としてまたお話を進めさせていただきたい、そして、よき環境のもとに生活をしていただけるように進めていきたいというふうに考えております。
  300. 中井洽

    ○中井委員 お述べになっているように、まず第一に、環境影響評価法の制定に頑張るのだ、こういう強い意思が所信表明の中で述べられているわけでありますが、各党それぞれ御質問がありましたように、アセスメント法案についてはみんなが大変苦労をしてきているわけであります。私どもも、三年前に御提出をいただきながら、究極、委員会でほとんど審議ができずに廃案になった、大変複雑な思いがあるわけであります。提出に大変苦労をされておる。過去、提出するまでには大変な紆余曲折があった。提出されてから国会で三年間継続のまま置いておかれた。廃案になって、今回また環境庁自体が強い意思のもとに提出努力されているけれども、同じ時期に廃案になった湖沼法だけが、本日ですか、御提出の御予定、アセスメント法については皆目わからない、こういう状況にあるわけであります。  これらの原因がどういうところにあると大臣自体は御理解をなさっておりますか、あるいは御判断をなさっておられますか。
  301. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  湖沼法の方は、皆様方、また各省の方々の御理解をいただきまして提出の運びになりまして、本日提出をさせていただきます。これは非常にありがたいのでございますが、それに続きまして、今アセスの方に全力を挙げて提出をお願いしておるところでございます。  このアセスについて、それではどういう点が問題なんだということでございますが、私は、このアセスの内容説明の不十分といったようなことも大きな原因ではなかろうかと思うのであります。アセスということが行われて非常に手間がかかったりするのではなかろうか、そういうものをやらなくてもいいんじゃないかというようなお考えの方もあるようでございますので、こういう点を十分に説明をさせていただいて納得をいただいていきたいと思っております。また、各省の方々の方には、今までのこの前に提出をいたしましてから、法案になりましたのは五十六年でございましたか、その前に既に中公審の答申を得ておるわけでございますので、そのときの時代から変わっておる点において、いろいろ私どもそんなに変わっていませんということで説明を申し上げておるわけでございますが、これはどうだ、これはどうだといろいろ御意見が出るところ、それを今詰めておるところでございますので、私どもは絶対にこの法案はひとつ提出をさせていただきたいと念願をいたして今やっております。
  302. 中井洽

    ○中井委員 私が申し上げておりますのは、御熱意はもうよくわかっております、御努力いただいておることも承知をいたしておりますが、こういう法案がなかなか提出されにくい、そして、されても国会の中で審議がとまったままに置いておかれた、そういったところの根本的なことは、大臣のおっしゃったように、説明不足があったからということではないと思うのです。逆に、先ほどから申し上げているように、省庁間の調整、縦割り、横割りというふうな問題、あるいはまた、それこそ大臣のように環境庁へ来られてから保全型社会の形成というのが必要だとお思いになった、こう言われますけれども、またやめられたら思わぬ人が余計おるようでございまして、自民党内自体がまだまだアセスメント法をつくるというところまで行っていないというところに根本問題があると思うのですね。  それを大臣としてどういう形で説得をし、アセスメント法案あるいはその他もろもろの各省庁間の環境行政に関する調整をリードされていこうとなさるのか、そこのところをお聞きしたいわけであります。
  303. 上田稔

    上田国務大臣 実は、いろいろな事業をやります場合におきまして、現在では環境影響評価ということをやらなかったらそういう事業あるいはプロジェクトにかからせてもらえないのが今の実態でございます。私どももそういうことを十分私どもと言うとおかしいのですが、以前に開発をやっておりましたので、開発をやっておりますときにも、これを開発したらどうなるのだということについての説明を十分して、そして地元の方に納得をしていただいて初めて工事がスムーズにどんどんできる、あるいはプロジェクトができるというのが、これはここ五年ぐらい前からだんだんそうなってきまして、今ではもうそういうことをやらなければいけないようになってきておるのでございますが、その辺の移り変わりが十分におわかりになっておらない方もまだおられると思うのであります。それを理解してもらわないと、そんなに面倒くさいことはということになりますので、そこのところを、これはもう十分に必要なんだ、今やっているのですということを理解してもらわなければいけない、その上において手続の方法が各府県において、各大きな市において、あるいは省において違うものですから、大きなプロジェクトをやったときにはいろいろと手続についてまちまちになってくる。  だから、アセスをやらなくてはいけないということはこれはもう前提で認めていただいて、そうして、その手続がいろいろになっているから非常にやれない。この府県ではもうここは済んでしまったけれどもこっちはまだだめだ、そうして間があいてくるとそれはちょっとおかしいじゃないかというようなことも起こってまいったり、いろいろなそういうトラブルが起こってくるわけです。ですから、ひとつのやはり手続の方法を決めてもらってやっていくというようにする。だから、手続の問題でございますので、私どもはそういう。点を十分に理解をしていただいて、そして、この法案を提出させていただいて成立をお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。
  304. 中井洽

    ○中井委員 おわかりにはなっていらっしゃるとは思うのですが、大臣のお考えは私は違うと思うのです。事業をやられる方あるいは事業を担当される部署の方が、まだ環境的な手続、必要ではない、要らないのだと思っている人がいるのだという御認識の御答弁をいただいたわけでありますが、そうではないのです。みんなわかっておるわけです。環境は大事だ、あるいは環境アセスメント的な事前評価というものをやっていかなければならない、これはみんな認めているわけであります。しかし、それを統一基準で、環境庁の手によってつくられた法律のもとでやるということにみんなが激しく抵抗しているのではないでしょうか。環境を大事にしなければならないというのはみんなわかっている。国民だってみんな欲しているし、事業をやる人だって諸官庁だってみんなおわかりになっていらっしゃる。しかし、それを公然と、いわゆる住民の目の前で環境庁の手によってつくられた法律で統一的にやるということに対して非常に抵抗しておられる。私はそこに環境庁の難しさがあり、問題があると思うのです。  大臣お話ですと、まだその環境問題が十分理解されていない。それが必要ではないと思っている者もいるのだ、こういうことであります。それだったらもっとひどいものでありまして、私はもっと憂うべき事態だ、日本国民レベルからいって、私はそんな程度の低いところにあるのではない、こう思います。逆に、わかっておって、まだ環境庁がこういう形でやろうとしていることに対して大変問題が出されてくる、あるいは抵抗がある、そこに難しさがある。そのことを大臣は十分御認識をいただいておやりをいただいているのだろうか、あるいはおやりくださいよと申し上げているところです。どうですか。
  305. 上田稔

    上田国務大臣 ありがとうございます。そういう考え方、縄張り根性というと大変失礼でございますが、端的に言えばそういうことでございますが、各省もそういうことについては理論的にいろいろとお話をしておりますとわかってくるのでございます。したがって、先生の今の御忠告、私もひとつよく身に体して、ひとつその点はよく考えてやらせていただきたいと考えております。
  306. 中井洽

    ○中井委員 次に移ります。  今回の予算措置の中で環境庁がいろいろと新しくおやりになった施策等に予算がつけられているわけであります。その中の一環で、「小鳥がさえずる森」づくり運動というのがあるわけでございます。これをちょっと御説明をいただけますか。
  307. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 先生も御承知だと思いますが、昨年来政府、総理府が中心になりまして緑化推進ということで各省足並みをそろえて緑化の推進に当たってきている。その中で私どもが鳥獣保護行政とも関連いたしまして、森づくりの中で実のなる木を中心に小鳥がさえずる、そこに小鳥が舞う、こういうような森づくりが必要である、こういうような考え方で予算を計上したものでございまして、ただ、これは市町村が主体になってやっていただきたい、こういうような意味でございまして、その中身は、一つは、PR経費といいますか、啓蒙普及の経費でございます。他の一つは、実際につくる場合のノーハウといいますか、どういう点に留意してつくってもらいたい、こういうようなものをまとめるような仕事が事業費としてある。総額は極めて少ない八百万ちょっとだったと思います。  そのようなことでございます。
  308. 中井洽

    ○中井委員 これが僕はさっぱりわからないのです、「小鳥がさえずる森」づくり運動を環境庁がやる。こう理解していいですか。都会なら都会、地域なら地域で森をつくる運動だ、こういうことなのですか。そんなことよりも、今ある自然を保護する、あるいは残していくといったことが大事であって、「小鳥がさえずる森」というようなのは国の政策として大々的に書いてやるようなことでもなかろうと思うのですが、どうなのですか。
  309. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 前提を申し上げるのを失念いたしまして大変恐縮に存じておりますが、私ども、自然保護行政の根幹は、今先生指摘のように、自然の保全策にある、基本的にはそう思っております。したがいまして、私ども、自然公園法を中心に、その保護、保全というものが同時に緑化につながるという思想を持っております。  ただ、緑化ということには、今まで保全されている以上に新しい緑をつくろうという各省の考え方があるわけでございまして、緑化予算、例えば建設省なりあるいは農林水産省においていろいろ仕事をやっておるわけです。その中で私どもはたまたま鳥獣保護行政も持っておりますので、同じ森をつくる、あるいは緑をふやすというような中におきましては、そういう小鳥がさえずるようなあり方、これをひとつ考えてほしいという気持ちでございます。
  310. 中井洽

    ○中井委員 なるほど「小鳥がさえずる森」と言うと、だれも反対できないですし、趣旨は結構でございます。しかし実際は、環境庁が本当におやりになることは、現在あります線あるいは保全をしていかなければならない自然公園といったものを守ることであって、ムード的にちょこちょこっとどこか都会の近所に小さな公園をつくる、それのノーハウのために補助金を出すのは、私は環境行政じゃないと思うのです。  大臣、自然保護といいますか、環境庁が管理なさっておるところの自然公園あるいは国立公園の一カ所当たりの管理費というのは大体どのくらいになるか御存じでございますか。例えば、国立公園三十幾つお持ちでございます。その一カ所一カ所の一年間の環境庁の管理費というのは現実的に幾らくらいだと思いますか、ちょっとお答えください。教えずに。恥をかかせるつもりは何もないのです。間違えたって、僕も大して知らないのですから。——教えたらいかぬ、まあ別に構わぬけれども……。
  311. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 申しわけありませんけれどもお答えさせていただきます。  国立公園は現在二十七ございまして、国定公園が五十四ございます。そのほか県立公園も自然公園法の上にございまして、二百数十ございます。  数の上ではそういう状況になっておりますが、いわゆる管理費は、公園管理事務所というのが全国で十カ所ございまして、それの年間予算が、大体狭い意味の管理予算で二億七千万という状況でございます。
  312. 中井洽

    ○中井委員 狭い意味での管理費ということで、おっしゃることはよくわかりますが、大変広い公園を、一カ所で平均いたしますと、二千七百万か三千万くらいでしょう。そういう苦しい予算の中で必死で守っている、片方ではどんどん開発を許されておる。そういう中で、わずか八百万の予算で「小鳥がさえずる森」をつくろうなんてことを思われるよりも、もっともっと現在あるものの保護、あるいは国立公園などの環境を守るために予算をつけられる、あるいは環境庁が力を入れられる、これの方が本当の環境行政だと私は思うのです。大臣、いかがですか。
  313. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  国立公園、自然公園の一カ所当たりの予算を申してみよ、こういう御質問が先生からございまして、それにお答えしなければならなかったのでございますが、余りにも小さいものですから、ちょっとお答えしにくうございました。そういうふうな状態でございます。  実はこの「小鳥がさえずる森」づくりでございますけれども、これの考え方は、緑の国勢調査というのを私どもやらせていただいております。これも余りお金はかけておらないのですが、国民皆様方に自然に親しんでもらう、自然に実際に触れていただこうというのがねらいでございます。自然に親しんでもらうようになってまいりますと、環境を保全するという考え方もおのずから出てくるので、国民皆様方にそういう考え方を広げていこうということでございます。例えて大変失礼ですが、ハッチョウトンボなんといったって、へらへらと飛んでいるやつだと思うのですけれども、私自身も実はどんなトンボか余り見たことはない。説明を聞いて、十センチか八センチくらい、このくらいだというのです。そんな小さいのを見たかなと思うのですが、そういうことをちょっと頭に置いてやっていきますと、あっ、ここにこんなやつがおったなということで緑に親しんでいただく、自然に親しんでいただく、鳥だとか昆虫に親しんでいただく、こういうことに相なりますものですから、この「小鳥がさえずる森」づくりは、京都にも糺ノ森というのがございますけれども、ああいったところに巣箱がありまして、小鳥が飛んできていろいろと鳴き声を出してくれる。私のところなんか嵐山ですけれども、ウグイスが飛んできてホーホケキョと鳴いて、びっくりして、ああウグイスが飛んできたなということになるのですが、そういうものが近づいてくるような発想から出ておるもので、予算は余り使いませんけれども国民皆様方に夢を持っていただこう、こういうことでございます。
  314. 中井洽

    ○中井委員 次に進みます。  十二ページの方に、「生活雑排水対策、瀬戸内海等における水質総量規制、窒素酸化物対策を初め各種の公害対策を総合的に推進いたします。」こうお述べになっていらっしゃいます。生活雑排水対策というのは、大臣、根本的にどこに問題がおありになるか御承知でございましょうか。
  315. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  生活雑排水というのは、御婦人の方の方がよく御存じでございますけれども、御家庭からいろいろお使いになられました排水が出てまいるのでございます。その中に、お台所をおやりになりました切れ端であるとか油であるとかいろいろなものが入って排水に出てくるのでございます。その排水は燐だとか窒素だとかいろいろなものを含んでおりまして、またバクテリアも相当含んでおるわけでございます。しかも、長くそういう雑物を置いておくと余計にバクテリアが繁殖するということも起こりまして、水質を悪くしておるのでございます。それの対策を早く立てていかなければいけない。それには何が一番いいかというと、特効薬は建設省で下水道をおやりいただければ、それでも燐や窒素はなかなか除けませんけれども、そういうBODはそこで救われるということになるわけでございます。ところが、まだそういう下水道が及ばない、また金がかかるものですからできないというところに対しては生活雑排水対策ということを考えて、少しでも川の水質湖沼水質あるいは海の水質、閉鎖水域の水質が悪くならないように考えていかなくちゃいけない。生活雑排水が、例えば琵琶湖でもそうでございますけれども、五〇%以上影響しておる、手賀沼あたりに行きましても非常に大きな影響を与えておるということでございますので、これの対策を早くやらなくちゃいけない。こういうことからいろいろな対策考えておるのでございます。下水道ができるまでの間は、ため池をつくって一応そのため池にためて、そして浮かんできたもの、雑物だけを早く回収していくというようなことも考えなくちゃいけませんし、また御家庭において、賢明なるお美しい主婦の方にそういう対策をやってもらって取り除いていただこうというような対策も普及をさしていただかなくちゃいけない、こういうことを今考えておるところでございます。
  316. 中井洽

    ○中井委員 大体間違いはないんじゃないかとは思うのですが、生活雑排水というのは何も台所の問題だけじゃないという御認識を賜りたいということと、それから河川、湖沼あるいは閉鎖性水域、本当に環境庁あるいは地域の自治体等頑張っていただいて、工場に対する規制等はかなりやっていただいているのです。問題は、水をきれいにするない。そのためには、閉鎖性水域のときの法律にも書かれていますし、また湖沼法の中にも出てくると思うのですが、どうしても下水道なんですね。ですから、これを急いでもらうということは、水をきれいにすると同時に文化的な生活水準を上げることにもつながるわけであります。そういった意味で、環境庁長官としてだけじゃなしに、御出身の経歴も含めて下水道の推進ということに御努力をいただきたい、このことを強く御要望申し上げておきます。  もう一つ、十三ページに、これは大臣というより担当の方にお答えをいただきたいと思うのですが、中公審に対して諮問を行ったということが書かれております。現在、審議会における審議の途中であろうかとは思いますが、どの程度のところまで審議が行われておるのか、あるいは公健法の問題について大体いつぐらいに答申が行われる予定か、あるいはまた現実に地域の指定及び解除の要件の明確化という問題がはっきりと環境庁から諮問がなされているのか、そういったことを私はこの委員会に所属して以来常に要求をし、御説明をいただいてきた問題でありますので、格別にお答えを賜りたい、このように思います。
  317. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  公健法につきましては、昨年の十一月に大臣から諮問いたしまして、その中におきましては、正確な文章は覚えていないのでございますけれども、第一種地域のあり方に関しての御諮問でございます。事務局としての御説明の中におきましては、現在の大気汚染の態様の変化を踏まえて、大気汚染物質と健康被害との関係についての評価をお願いいたしたい、それは指定要件あるいは解除要件の明確化ということでございますということで御説明申し上げてございますので、ただいま先生からお話しございましたような点も含めまして御諮問申し上げているというぐあいに私どもも理解いたしているところでございます。  それから、いつまでというお尋ねでございますが、現在御審議いただいております事項につきましては、公健法の運営の基本にかかわる非常に重要な問題でございますし、また、いろいろ難しい問題も抱えていることでございますので、私ども審議会の方には十分御審議をしていただきたい、その中におきましてできるだけ速やかに御結論をおまとめいただきたいというぐあいにお願いをいたしているところでございまして、その審議の結論につきましてのめどといいますか、いつまでの期限ということについては特別お諮りいたしていないところでございます。
  318. 中井洽

    ○中井委員 次に、空き缶問題について簡単にお尋ねをいたします。  空き缶公害の問題については、各地方自治体、いろいろと御努力をいただいたり、あるいはボランティア活動等盛んになる中で回収運動が行われたりいたしているわけでありますが、昨今、この空き缶の捨てられる数は減ってきておるのか、あるいは現状維持しておるのか、そんなところのデータでもありましたら、御説明をいただきたいと思います。
  319. 鈴木健

    鈴木(健)説明員 お答え申し上げます。  環境庁では昭和五十五年度から四回にわたりまして、毎年八月から九月にかけまして、市区町村にお願いいたしまして空き缶の散乱状態等の実態調査を実施してきているわけでございます。ごく最近におきましては、昨年の八月から九月にかけまして、千八百九十一市町村を対象といたしまして調査したわけでございますが、この一年間の空き缶の散乱状況を見ますと、場所別に見ますと、散乱空き缶が少なくなったとする箇所が全体の三三・四%でございまして、一方、散乱空き缶が多くなったとする箇所が一二・二%という結果でございます。それから、市区町村別に見ますと、全般的な空き缶散乱状況を見ますと、散乱状況が改善されたとする市町村が全体の三四・四%、逆に全般的に散乱状況が悪化したとする市町村が六・九%という状況でございます。  今回の調査結果を見ますと、空き缶の投げ捨て防止のための普及啓発活動や散乱場所の清掃の強化、その他ごみ容器の増設とか住民運動の振興助成とか、そういったもろもろの対策の充実が図られたこともございまして、全般的に空き缶の散乱状況は徐々に改善されてきているのではないかというふうに考えておるわけでございます。  しかし、民有空き地とか海岸、湖岸道路などの一部の地域におきましてまだ問題が残されておりまして、また一日当たりの散乱個数も調べたわけでございますが、民有空き地とか海岸、湖岸などでは多いという結果が出ておりまして、各地域の実情に応じたいろいろの散乱防止対策を一層充実させていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  320. 中井洽

    ○中井委員 この空き缶問題については、散乱が著しく景観を汚染する、あるいは見苦しいということと同時に、幾ら集めて回収しても処理できない、こういう二つの問題があると思うのであります。  通産省にお尋ねをいたしますが、この空き缶といいますか、容器の製造というのは相変わらずどんどんふえているのかどうか、これが一つであります。  もう一つは、これだけ科学技術の進んだ世の中でありますから処理できる缶、紙の缶から完全に燃焼するビニール、何というかセルロイドによく似たような性質のものとか、いろいろとあると思うのです。そういうものに対して、今の缶から切りかえていくというような行政指導を現実におやりになっているのかどうか、こういうようなことで二点、お答えをいただきます。
  321. 咲山忠男

    ○咲山説明員 お答え申し上げます。  私ども通産省の所管の缶は、先生御承知のとおり、鉄の缶とアルミ缶というふうに二つございまして、詳しくはそれぞれの担当課からお答え申し上げることにさせていただきますが、まず総体的に、私どもは空き缶問題の解決は、先ほど来の御議論のように、単に美観のみならず省資源、省エネルギーという観点からも非常に重要というふうに考えておりますので、このため、現在十一省庁で構成する空カン問題連絡協議会というものがございますが、ここを通じまして積極的にこの問題に取り組む考えております。  個別の缶につきましてのお答えは、担当課の方からお答えいたします。
  322. 鍵本潔

    ○鍵本説明員 私の方で所管しておりますスチールの、鉄鋼製の容器に関係いたしましては、缶詰とか食料容器として使用されるわけでございますけれども、生産量は、景気の変動等にもよりまして上下するわけでございますけれども、数字といたしましては五十八年が七十二万トンでございます。ちなみに、五十七年は六十八万六千トン、五十六年は七十万二千トンとなってございます。  それから、スチール缶につきましては、御案内のように、スクラップとして回収いたしまして電気炉で再生利用されるというのが大きな流れでございまして、業界の調べでございますけれども、そういう缶の再生利用率は五十七年度で約四〇%程度ではないかと言われております。
  323. 高橋璋

    ○高橋説明員 アルミニウムの空き缶についてお答え申し上げます。  我が国はまだそれほどアルミニウム缶の普及率は高まっておりませんけれども、つい最近のデータによりますと、五十七年度で約四万三千トン、アルミ缶が出荷されております。二年前の五十五年度には約三万六千トンでございました。  なお、これらのアルミニウムの空き缶につきましては、回収されました後、裁断あるいはプレス処理されまして、しかる後、再生処理工場におきまして溶解することによりまして比較的容易に再資源化できるものでございまして、技術的に処理が困難なものではございません。このためクリーン・ジャパン・センターでありますとかオール・アルミニウム缶回収協会というようなところで、アルミ缶の散乱防止あるいは省エネ、省資源などの観点から回収につきまして啓蒙普及を進めておるところでございまして、地方自治体におきます分別収集等の効果と相まって年々アルミ缶の回収率も向上してきております。ちょっと実例を申しますと、アルミ缶の回収率は、五十二年には二〇%弱でございましたけれども、五十七年には倍の四〇%程度まで高まってきている状況でございます。
  324. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、アルミ缶、スチール缶二つとも、これは紙にかえるとか、地域地域で回収しなくても処理できるような容器にかえさせていく指導とか、そういった方向に導いていく行政的なサゼスチョンといったことは一切おやりになっていない、こういうことですか。それでいいですか。
  325. 鍵本潔

    ○鍵本説明員 スチール缶につきましては、空缶処理対策協会という、スチール缶をつくっておりますメーカーの団体が設立されておりまして、先ほど申し上げました電気炉に持っていくためのスクラップの回収ルートを強化していくということで再資源化の促進を図っております。  なお、御指摘の代替品への転換の指導につきましては、私どもは現在やっておりません。
  326. 中井洽

    ○中井委員 環境庁にお尋ねいたしますが、大体そういう方向で環境庁もよしとしてこの空き缶対策に臨んでおられるのですか。
  327. 鈴木健

    鈴木(健)説明員 お答え申し上げます。  飲料容器につきましては、ただいま通産省から説明がございましたスチール缶、アルミ缶のほかにプラスチック容器とかあるいは紙容器があるわけでございますが、こういった容器につきましては、内容物の性状とか安全性とか衛生面、輸送の利便、消費者のニーズとかいろいろの観点から決まるわけでございまして、環境面だけで論ずるわけにはいかないのじゃないかと考えられるわけでございますが、環境庁といたしましては、処理の容易な容器の開発などということにつきましてもいろいろ関係方面とも連携をとりながら今後考えていきたいと考えておるわけでございます。
  328. 中井洽

    ○中井委員 時間がございませんので、空き缶問題は基本的なことだけ聞かしていただいて、次に移らしていただきます。またこの次の委員会で御質問申し上げたいと思います。  最後に、午前中の社会党の議員の方の質問に、PCB問題の処理が出てまいりました。私も四年か五年前に実はこの問題を質問したことがございます。何かその当時と同じような状況だなという認識を持ちまして、急遽通産省の方にPCB問題を質問するからとお願いして来ていただきました。  通産省にお尋ねをいたしますが、四、五年前と、PCBの処理の問題は何ら変わらず、現状で凍結してある、このように考えていいわけですか。
  329. 咲山忠男

    ○咲山説明員 お答えいたします。  先生に御質問いただきましたのは五十二年のことだと存じますが、その後のPCB処理に関しましての活動状況につきまして申し上げさせていただきます。  当時既に、五十二年の十月でございますが、液状廃PCB洋上焼却処理調査研究委員会というものを設置いたしまして、これが、この名のごとく洋上焼却処理につきまして技術面での調査研究をしてきたわけでございまして、これが、一昨年、五十七年十一月に一応その研究成果がまとまりまして、報告書を出しております。これによりまして技術的にある程度私どもは洋上焼却に向けての技術面での大きな一歩をしるすことができたのではないかと考えております。相前後いたしまして、当時余りはっきりとしておりませんでした海洋汚染防止法、いわゆる洋上焼却処理に関連いたします法的関係もはっきりしてまいったというふうなことで、それに引き続きまして、昭和五十八年二月でございますが、PCB洋上焼却問題関係省庁連絡会議というものを関係省庁の間で持ちまして、そこで洋上焼却についていろいろ情報交換その他いたしました結果、これは実はPCBと申し上げましたその中の液状廃PCBについてでございますが、これの焼却の実現についてかなり希望が持てた時期がございまして、あとは技術的にはこれは相当いける、それから安全性その他につきましても特に問題なのは漁業関係者の方々とのお話し合いというか、あるいは御了解を得るということでございますが、この点に最後の望みが託されまして、ここでオーケーが出ればもう実現の運びになるというような時期に至ったわけでございますが、これがちょうど昨年初めからの状況でございました。ところが、残念ながら関係企業とそれから漁業関係者の方々とのお話し合いが、漁業補償問題、万々が一に事故が起こった場合にどうするという点にかなり絞られまして、その点につきまして今もまだお話し合いの成立のめどが立っていない、それがまだお話し合いが続いているという状況にございます。ただいま御説明申し上げましたのは、PCBのうち液状廃PCBの洋上焼却処理という点についてでございますが、今なおお聞き及びのような状態で、実現に向けて関係者の間で努力が続けられているというのが実情でございます。  それから、PCBには御案内のとおり電気PCBですとか、それからカーボン紙の代替物といいましょうか、ノーカーボン紙というのに使われている、大まかに分けまして三種類ございますけれども、その二つにつきましてもそれぞれの関係者の間で処理につきまして努力はなされているというのが実情でございます。
  330. 中井洽

    ○中井委員 たしかその当時、炉で燃やすものは産業公害防止事業協会がなんかに委託をしてあるとか、海上の問題はオランダから船を雇ってきてどうやらこうやら、大至急処理しますなんという話を聞かしていただいたことがございます。五年たってもまだ何も片づかないというのはどういうところにあるとお考えですか。
  331. 咲山忠男

    ○咲山説明員 お答えいたします。  先ほどの御説明にも申し上げましたが、技術的な問題点、それから安全性につきまして、技術面と申しますとなかなか一〇〇%、万が一にも、億が一にも大丈夫というわけにはまいらないという点はございますけれども、一般常識上こういうことだったら洋上焼却は可能であるというその技術面での見通しですとか、それから安全性につきましても関係者の間の御了解、特に漁業関係者の方々の御了解は得られたのではないかと考えておりますが、いわゆる漁業関係の補償問題、これが先ほど申し上げました万に一、万に一というよりはもっと可能性の少ない、そういう万に一これが起こったときにどうするかという点が非常に漁業関係者と焼却を実施しようと思う主体との間で開きがあって、ここを今詰めているところというふうに御理解いただきたいと思います。
  332. 中井洽

    ○中井委員 委員長、ちょっとお願いございまして、速記をおとめいただけませんでしょうか。
  333. 竹内黎一

    竹内委員長 ちょっと速記とめて。     〔速記中止〕
  334. 竹内黎一

    竹内委員長 速記を起こしてください。
  335. 中井洽

    ○中井委員 それでは、これで質問終わります。
  336. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会      ————◇—————