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1984-07-03 第101回国会 衆議院 科学技術委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 大野  潔君   理事 小宮山重四郎君 理事 笹山 登生君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 大原  亨君 理事 渡部 行雄君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       岸田 文武君    熊谷  弘君       小澤 克介君    関  晴正君       松前  仰君    村山 喜一君       遠藤 和良君    小川  泰君       工藤  晃君    辻  一彦君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君  委員外出席者         参  考  人         (青森県副知事山内 善郎君         参  考  人         (青森むつ市         長)      菊池 渙治君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 七月三日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     村山 喜一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子力開発利用とその安全確保に関する件  (原子力船むつ」問題)      ————◇—————
  2. 大野潔

    大野委員長 これより会議を開きます。  原子力開発利用とその安全確保に関する件、特に原子力船むつ」問題について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として青森県副知事山内善郎君及び青森むつ市長菊池渙治君に出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、原子力船むつ」問題について忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  議事の順序につきましては、まず参考人方々に各十五分程度御意見をお述べいただき、次いで委員からの質疑に対し御答弁をお願いしたいと存じます。  それでは、まず山内参考人にお願いいたします。
  3. 山内善郎

    山内参考人 ただいま御紹介をいただきました青森県副知事山内でございます。  原子力船むつ開発青森県とのかかわり合いについて申し上げさせていただき、あわせて県の考え方を述べさせていただきたいと思います。  原子力船むつ」と青森県とのかかわり合いは、昭和四十二年以来今日まで十七年という長い期間にわたっておりまして、昭和四十年代から五十年代にかけて本県内では、原子力船むつ」ほどマスコミに取り上げられた問題はほかにないのであります。原子力船むつ」に関する意見を申し述べるためには、どうしてもこれまでの経緯について触れなければなりませんので、御了解をお願い申し上げたいと思います。  原子力船むつ」と本県とのかかわり合いは、昭和四十二年八月三十一日にテレビ、ラシ才、新聞が、政府定係港建設横浜市と交渉してきたが、市当局が強く反対したため断念し、新しい候補地として青森むつ市の大湊に内定した旨の報道をしたことが始まりでございます。この報道のあった六日後の九月六日に、政府から当時の青森竹内知事に対し正式の協力要請がなされたのであります。  要請を受けてからの県内世論は、賛成、反対の声が渦巻いたのであります。このため知事は、学識経験者はもとより、県内のあらゆる階層の方々意見を聞き、むつ市とも協議を重ね、さらに最終的には県議会全員協議会を開催し、ようやく受諾の意見を取りまとめ、国に回答をいたしたのであります。建造が進められていた「むつ」は、四十五年七月大湊港に着岸いたしまして、四十七年九月には核燃料が装荷され、出力上昇試験を待つばかりとなったのでございます。  ここで、出力上昇試験の問題について触れさせていただきたいと思います。  科学技術庁及び事業団からは、昭和四十七年八月、定係港で二〇%までの出力上昇試験を行いたい旨の説明がございました。しかし、定係港の受け入れを検討いたしておりました四十二年十月の県の文書照会に対し、事業団理事長から、原子力船定係港停泊の場合原子炉は停止しております、停泊中に船内で必要とする動力は原子力ではなく、補助機関で供給しますと回答があり、県としてはこの線に沿って、県議会及び地元関係者説明をしてまいったのでございます。  また、事業団のこの計画に対し、陸奥湾漁民からは、岸壁での試験はもとより、養殖事業が軌道に乗り百億円産業に育ちつつある陸奥湾ホタテ漁業の実態から、湾内での試験了解が得られなかったのであります。  このようなことから事業団は、日本海洋上における試験計画提案したのでありますが、秋田県の八森町を初め日本海側の町村が反対を表明し、また秋田県議会試験中止を議決するに至ったため、政府原子力船関係閣僚懇談会を開催いたしまして、青森県民屋沖東方約八百メートルの場所で実施することを確認したのでございます。  しかし、この案も陸奥湾内漁業協同組合二十九組織のうち四組合から了解をとれなかったため、四十九年八月二十五日「むつ」は出港式を行ったものの、三百数十隻の漁船に分乗した湾内漁民物理的抵抗によって出航ができず、ようやく夜になって海が荒れ、漁船が引き揚げた間隙を縫って「むつ」は出航し、太平洋上予定地域で初臨界に達したのでありますが、四十九年九月一日、出力わずか約一・四%に上げた時点で放射線漏れが発見されたのであります。  いわゆる四者協定は、このような背景の中で結ばれたのであります。放射線漏れ事故の発生によりまして、「むつ母港反対むつ湾漁民決起大会が開催され、定係港早期移転と期日の明確化、また「むつ」の入港阻止出力上昇試験中止等が決議されるなど、県内は騒然となったのであります。このため、政府代表として当時の自民党総務会長鈴木善幸先生が来県されまして、その後十五日間青森市に滞在して地元関係者と精力的に折衝を重ね、最終的に政府、県、むつ市及び県漁連の四者間で「むつ」の定係港入港に関する協定書締結されたのであります。  協定骨子につきましては委員先生方は御承知のところではありますが、念のため申し上げますと、一、漂流している「むつ」は、大湊港に入港させるが、入港後六カ月以内には新しい定係港を決定し、入港後二年六カ月以内に今の定係港を撤去する。二、「むつ」は、新しい定係港に回航されるまでの間、原子炉は凍結した状態にしておく。三、むつ市内関連公共施設整備及び漁業振興対策を講ずるなどとなっておりまして、この協定によって、一カ月半も洋上で漂流を続けておりました「むつ」はようやく大湊港に入港したのでございます。  ところが、この四者協定はついに履行されることなく終わったのでございます。このため、二年六カ月のタイムリミットが迫りつつあるとき、科学技術事務次官が来県し、地元三者に四者協定不履行の陳謝がなされたのであります。放射線漏れを起こした「むつ」は佐世保港で修理を行うこととなり、このため熊谷科学技術庁長官昭和五十三年八月に来県し、地元三者に四者協定履行のおくれをわびるとともに、「むつ」の佐世保港への回航を報告し、昭和五十三年十月「むつ」は佐世保港に向けて大湊港を出港いたしました。県といたしましては、「むつ」の佐世保港への出港によりまして、「むつ開発青森県のかかわりはこれで終わったと思ったのであります。しかし、修理を終えた「むつ」は、佐世保港から回航する新定係港が決まらず、予定地すらなかったのであります。  このため昭和五十五年八月、当時の中川科学技術庁長官から、四者協定のあることは十分承知しているが、大湊港を再度母港とすることの可能性について検討願いたい旨の要請本県に対してなされたのであります。県といたしましては、この要請を受けて県内各界各層意見聴取を行ったのでありますが、過去の経緯から当然と申しましょうか、全く受け入れるような地元情勢になく、その旨中川長官回答いたしたのであります。しかしながら、中川長官はみずから数度にわたり現地を訪れ、誠意には誠意をもってこたえるとして漁業関係者と粘り強く話し合った結果、定係港外洋移転、「むつ」の大湊港仮停泊骨子とする提案地元三者の受け入れるところとなったのであります。  この提案地元が受け入れることとなったため、関係五者間において鋭意協議の結果、いわゆる五者協定締結されたのであります。この骨子につきましても委員先生方は御承知のとおりでありますが、一、大湊港における「むつ」の停泊仮泊であって、新定係港供用開始を待って回航させること。二、大湊港での、「むつ」の仮泊を担保するものとして、むつ関根浜地区新定係港を速やかに建設すること。三、大湊港における停泊中、「むつ」は原子炉を凍結させた状態とし、地元三者の同意のない限り、その状態の変更は行わないことなどであり、この協定に基づき、「むつ」は約四年ぶりに大湊港に入港いたしたのであります。  以上、長々と本県とのかかわり合いについて、あるいは地元から見た経緯を申し上げたわけでありますが、これは、以下申し上げます原子力船むつ開発に対する青森県の考え方と深いかかわり合いがあるからであります。  ここで、「むつ開発に対する県の考え方を二、三申し述べさせていただきたいと思います。  まず、大湊港再母港化についてであります。  大湊港の再母港化が何らの抵抗なくできるといたしますならば、これは万人の望むところであろうと思います。しかし、これまで申し述べたてんまつからすれば、それは全く不可能と言うよりほかないのであり、あえてそれが強行されることがあるとすれば、その結果関係住民に対し著しく政治不信をもたらすことは目に見えております。  特に、湾内漁民の立場に立ては、陸奥湾内の水産資源が近年とみに枯渇している中で、養殖の成功によりホタテ養殖が百億円産業に成長し、このために出稼ぎ者もようやく専業漁家として地元に定着し、暮らしも安定したところであり、加えて出力上昇試験の発表前に八戸漁港におけるメヌケが、自然水銀によるにもかかわらず、汚染されているとして東京築地市場への上場が停止される事件も重なるなど、風評による魚価低落が心配されることから、出力上昇試験はもとより、「むつ」の湾内航行、さらには再母港化反対する心情はよく理解できるのであります。  一月十七日の自民党におきます部会決定の後、陸奥湾漁業振興会役員会が、大湊母港化大湊港での廃船措置には絶対反対、国が五者協定を守らなければ「むつ」は陸奥湾から出ていってもらう方針を確認したことも、以上のような背景のもとに行われたのであります。また、大湊港の再母港化論が単に財政的な観点からのみの議論であるならば、「むつ」をめぐる過去の経緯地元情勢等理解がないものであり、まことに遺憾なことと申し上げざるを得ないのであります。  次に、五者協定についてであります。五者協定基礎理念は、あくまでも「むつ」の開発を推進するという確固としたものがあったのでありますが、四役裁定において、「むつ」による舶用炉研究のあり方について、自民党政調会の中に検討委員会を設け、政府意見を聞き、中止を含め検討することにしていることから、五者協定基礎理念が揺らいだ感は免れないのであります。  次に、地域振興対策との関係についてであります。前にも申し上げましたとおり、四十二年の大湊港の定係港決定に当たりましては、青森県側からの誘致によるものではなく、あくまでも横浜市から断られた政府の強い要請に基づくものであり、また定係港設置に当たっての地元へのこれといった見返りはなかったのであります。  四十九年に制定されました電源三法は、本県東通村に計画されております原子力発電の場合、一基で三十五億円の交付金東通村に交付されるとともに、周辺市町村にも同額交付されるのでありますが、原子力船の場合は対象にならないのであります。また、通常船舶に適用されております市町村税としての固定資産税対象にもなってございません。さらに、事業団職員も国からの出向職員がほとんどでございまして、地元雇用の点からも見るべきものがないのであります。  このような状態の中で、「むつ」は中央筋におきまして、地元多額地元対策費がばらまかれ、地元が「むつ」を宝船として利用しているようなことが言われております。しかし、原字力委員会原子力船懇談会報告書によれば、昭和三十八年度から昭和五十七年度決算までに「むつ開発に要した経費総額四百八十六億円のうち、青森県への地元対策費は十二億円と記されているのであります。  以上のとおり、例えば原子力発電の場合と比べましても、地元振興対策の点からも極めて不十分と言わざるを得ないと思うのでございます。  青森県といたしましては、原子力行政には、民生安定上支障がない限り国の施策に協力するという基本的な考え方に基づいて協力いたしてまいりました。本県の下北半島に計画されております東通村及び大間町の原子力発電に対しても同じでございます。もちろん、原子力船むつ」の場合は、昭和四十二年から一貫してその姿勢をとり、物心両面にわたって協力を続けてまいりました。  このような背景の中で、不幸にも五者協定が遵守されない結果が出るとすれば、県民政治及び国の原子力行政に対する不信感は抜きがたいものになると思わざるを得ないのであります。  以上、原子力船むつ」の開発本県かかわり合いにつきまして申し上げましたが、多少なりとも議員の先生方の御参考になれば幸いと存じます。  先ほどちょっと出力上昇試験の場合の数字を間違いましたので、訂正をさせていただきます。  青森県民屋沖約八百メートルと申し上げましたが、八百キロメートルの誤りでございますので、御訂正をお願いいたします。
  4. 大野潔

    大野委員長 ありがとうございます。  次に、菊池参考人にお願いをいたします。
  5. 菊池渙治

    菊池参考人 ただいま御紹介をいただきましたむつ市長菊池でございます。  ただいま山内知事からるる御説明がございましたとおりの経過事情にございます。二人で三十分というお話もございましたので、十時までの予定で、多少補足をする意味で申し上げたいと存じます。特に、五者協定が先ほど副知事説明のような経過をたどって締結をされたのでございますが、この五者協定締結に至ります経緯について、若干補足的に申し上げさせていただきたいと存じます。  この協定経過はこういうことでございますが、協定を結ぶ際に基本的に我々が考慮をし検討を加えた内容について申し上げますと、新定係港機能安全性に対する配慮の確認、それから漁業自然環境等への影響とその対策確認新定係港建設の全体計画事業費を含めてでございますが、これの確認関根浜漁民及び地域住民同意確認などで、これは、五者協定締結しますには見通し確認ということが一つの大きい条件にあったためでございます。  しかし、この検討結果につきまして、市と事業団科学技術庁と若干意見の相違がございまして、五者共同声明にもかかわらず、五者協定締結タイムリミットぎりぎりにずれ込んだという結果を生んだわけでございます。  立地調査結果では、技術的には可能であるというふうに事業団は言っておるわけでございますが、我々としては、原子力施設を設置する場合、単に工学的な面だけで検討をし判断することは妥当ではない。今後実測データ実験データを得て、原子力船定係港として安全で機能的な港湾建設を十分検討する必要がある。また、ドックの問題も定係港の中に入りますし、さらに重要なことは、遠隔錨地を安全に確保できる内容があるかというようなことがその中には含まれます。  さらに、新定係港建設に伴います漁業への影響あるいは自然環境への影響が明らかになっていないが、これに対する検討を十分し、そのための関連調査をする必要があり、その関連調査の結果を見て判断すべきである。  さらに、五十七年度の新定係港建設予算が当時三十八億円計上されておりましたけれども、新定係港建設の総事業費具体的事業計画が明示されていないばかりではなくて、今日言われていることと同様な財政的な問題は当時から心配をされ、いろいろ財政再建計画というようなものを国においてもおやりになっていた時期で、そういう大変な時期に必要な財源措置ができるかどうか。  それからさらに、漁業補償の交渉が開始されたばかりで、この補償が果たして円満に速やかにいくかどうかという問題。さらに用地取得についても、説明はしたけれども果たして十分に住民理解を得て乗っていけるかというようなことの検討をいたしたわけでございますし、またこのことの検討については関係団体ともしてきたわけでございます。  市としては、十分な建設見通し確認ということについては確信を持てないという状況にありましたけれども、五十七年八月三十一日の佐世保出港にどうしても必要な期限として、私たちは高度の政治的な判断を迫られて協定締結いたしたという経緯がございます。  そこで、それらのことを踏まえながら、協定作成に当たりましては、関根浜新定係港建設に当たっては地元関係住民の意向を十分尊重しながら進めることを明確にしてほしい。将来、関根浜新定係港に回航し諸試験を行うのであれば、大湊仮泊中に可能な範囲での機能試験を実施し、機器の機能確認しておくべきである。これは、大湊港についても関根浜についても私はともに行政区域内であるという責任がありますために、ただ大湊から関根へ出ればいいというわけにはまいりませんので、関根に参りましてからの試験、そういうものが十分に果たし得るためにはそれくらいのことは必要であろうということでございましたが、御承知のように削除されております。さらに、新定係港供用開始時期につきましては、十分な経費と必要な期間をかけて、原子力船定係港として安全で機能的な港湾建設すべきであるという観点から、無理な期限をつけるべきではないと主張をいたしまして、六十一年九月までにおおむね供用開始をするという覚書には署名をいたしませんでした。安全性確保環境の保全をさらに図ること、漁業振興対策住民対策に配慮すること、こういうものを要請をいたしまして、五者協定を結んで今日に至っているわけでございます。  それだけに、我々といたしましては、忍びがたきを忍びというよりも、十分見通し確認をしないままに五者協定締結したという責任を痛感いたしますとともに、締結に至る期間いろいろ検討いたしました難しい問題は、これから協定を守って新定係港建設し、そこで円満にかつ安全に試験が行われ、成果を得られるように期待もし、そのことについていろいろまた今後発言をしていかなければならない場面が多かろうというふうに考えております。  先ほど副知事も申し上げましたように、四者協定を結ばなければならなかったことも、事業団あるいは国に対する漁民不信感の蓄積が原因でございまして、さらに五者協定に厳しい条件がいろいろつきましたのもそのためでございます。私は前には、四者協定を守ることが原子力行政の根本に立ち返ることであるということを申してきた経緯がございますが、今日も、原子力行政を進める上には五者協定名実ともにきちんと守ることがまず第一の条件であろうと思います。そのためには、いろいろ困難な事情があろうと思いますけれども、当初からそのことは予想されたことであり、その上に立ってぜひ有終の美を飾るようにさせていただきたいと思いますし、我々もそのために努力を惜しまないつもりでございます。一十時ちょっと過ぎましたので、一応これで終わらせていただいて、御質問によってお答えを申し上げたいと思います。どうも失礼いたしました。
  6. 大野潔

    大野委員長 ありがとうございます。  以上で参考人意見聴取は終わりました。     —————————————
  7. 大野潔

    大野委員長 これより質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  本日は、時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山重四郎君。
  8. 小宮山重四郎

    小宮山委員 きょうは、山内知事さん、菊池むつ市長さん、大変御多忙のところ参考人として遠路はるばる御出席いただきましたことを心から感謝申し上げます。  先ほどの山内知事さんのお話のように、十七年の長きにわたり大変な問題点を抱えて現在に至っておる。かつ、菊池むつ市長さんからの話でも、耐えがたきを耐え忍ぶという、終戦の勅語まで出てくるような大変なことで、四者協定等々いろいろな問題がございました。私も当時から随分かかわり合いがございまして、出港のときの問題等々覚えておりますけれども、その間はとんと進展なくして現在に至っておるのが現状であろうと思います。  きょうは、両参考人は時間の都合がございまして、時間が限られておりますから、私の方も端的に御質問いたしますので、非常に短くお答えいただければありがたいと思っております。  まず第一に、「むつ」の廃船論というのが大変な論議を呼んでおります。特に今年の予算審議の最中に、「むつ廃船論自民党政調会科学技術部会の方で決めました。その後、政調の方で審議会ができております。まず、青森県副知事山内さんにお伺いしますけれども、「むつ廃船についてどうお考えであるか、それから菊池むつ市長さんはどのようなお考えであるか、両者からそれぞれ端的にお伺いいたしたいと思います。
  9. 山内善郎

    山内参考人 「むつ」の廃船に対する県の考え方でございますが、県は、何よりもまず申し上げたいことは、締結いたしました五者協定は完全に守っていただきたい。今までいろいろ申し上げましたように、「むつ」に対しては、政府要請を受けて、県といたしましても随分努力をしたつもりでございます。国の原子力平和利用、それから舶用炉開発ということに対して協力をしてまいったのでございますので、これが直ちに廃船ということになれば、県としても非常に残念なことと存じております。
  10. 菊池渙治

    菊池参考人 大変難しい問題だと存じます。ただ、私にとって非常に残念なことは、協定締結前にこの議論は十分される機会があったろうと思いますし、各方面にそういう議論があったことも私は十分承知しております。しかし、そういう中で多額の金をかけて新定係港が果たして可能なのかという議論もしたはずでございますが、私の議論が入れられないというか、その当時そういう議論が表に出てきておりませんでした中での話でございます。  これは大変残念なことでもございますが、今回の予算の場合にこういう議論が出たということは、私は原子力行政を進める上で非常にいいことであったろうと思います。と申しますのは、大山報告書でも言っておられますように、何か言うとあれは反対だというので退けてきたためにこういう放射線漏れというようなものが出てきた原因一つにもなっているというような御指摘がございます。私も何か言うために、もうあれは反対論だということでやられてきた経緯がございます。そういう点からいって、自民党先生方の中で「考える会」というものができていろいろな御議論をされるということは、まずそういう議論の出てくることはいいことだと存じます。ただ、廃船論が今の時期に出ることについて私が不満を持っていることは、経緯からいって当然だと思いますし、小宮山先生にも前にお目にかかった際に、一年遅かったと去年八月に申し上げたのは、そういうことを含めてでございます。現在の協定を結んだその後の経過からしますと、地元での話としては大変難しい話だと思います。ただ技術論としては、現状のままでの廃船ということは、一番簡単は簡単だというふうに思います。
  11. 小宮山重四郎

    小宮山委員 しょっぱなでございますので、そういうところからお聞きしなければいけません。五者協定を守れという副知事の線と、その五者協定前に十分議論すべきだ、現実においてはやはり五者協定を守っていただきたいという考え方。それでは、先ほど菊池市長さんもいろいろおっしゃっておりましたけれども、大湊から関根へ移った場合も、やはり同じような問題が出てくる可能性があるではないかというような話でございます。大湊母港化に対して、もう一度両者からお話をお聞きいたしたいと思います。
  12. 山内善郎

    山内参考人 当時の中川長官から、大湊母港化についての検討を頼むというお話がございました。県といたしましても、漁民の納得さえ得られれば長官の要請どおり進めたいと思いまして、関係方面にいろいろ話をかけたわけでありますが、陸奥湾漁民団体が直ちに集会を開きまして反対の意思を表明し、とでもこれが実現できる見通しがないということで長官に回答をいたしたわけであります。  関根浜に行っても同じ問題が起こるのではないかというお話でございましたが、ことしの正月、岩動長官が地元に参りまして、いろいろ地元との話し合いの中に、関根浜といたしましては、新しい定係港になるのであるから、そこで試験をやることについては当然であろうという受けとめ方でございます。
  13. 菊池渙治

    菊池参考人 大湊母港化についてどうか、これも議論し尽くした問題でもございますし、私は、大湊の再母港化は別の意味で不適当だ、こう存じます。と申しますのは、新定係港候補地の選定条件というものを日本原子力船研究開発事業団がつくっておりますが、これが昭和四十九年、五十年度合併の年報の中に示されております。その中の一つの大きい事項として、付近に大規模な培養殖事業を行っていないということが一つ条件になっております。そういう点から申しますと、陸奥湾の百億ホタテ産業と言われるような状況の中では、この条件からいっても無理であろうというふうに存じますし、経緯からいってもまたぶり返すということは困難であろうというふうに思います。
  14. 小宮山重四郎

    小宮山委員 開始当時、この出港式の当時は陸奥湾のホタテは三億産業でございますが、今百億に成長した。しかし、私大変心配しておりますのは、大湊から関根へ行ってまた同じような事件が起きる可能性がある、そのことはどうするのだというような問題がございます。原子力船懇談会は原子力委員会の中に設置されたものでございますけれども、それが昨年の秋報告書をまとめた中に、「むつ」については現在の大湊停泊期間中においてもできる限りの開発の成果を上げることが望ましいと述べておりますのは、この辺のところなんでございます。もう一度この辺についてちょっと両者からお伺いをしておきたいと思います。
  15. 山内善郎

    山内参考人 大湊港におけるある程度の試験をすべきではないかという懇談会の報告でございます。我々といたしましても、協定書の中に、原子炉は凍結の状態にしておくけれども、この状態地元三者の同意がなければこれを変えることができない、これは言いかえますと、三者の同意があればできるという意味にもとれるわけでございまして、その点につきましては、国の要請等がございますれば、県として地元の二者とも十分相談をしてまいりたいと存じております。
  16. 菊池渙治

    菊池参考人 原船懇の報告書には確かにそう出ておりますが、その後に二重投資を避けるという一項もあるわけでございます。現在、大湊港の原子力施設は全部解除されてございます。正確に言うと、監視設備と新燃料の貯蔵施設だけはそのまま残っておりますけれども。そういう意味からしますと、原子力施設の整わない今の状況の中で、やれる範囲というものは非常に限定されてくるだろうというふうに考えております。これは安全委員会等とのかかわりもあろうかと思いますけれども、その範囲ならば、私ならばやり得るだろうと思います。ただ、それが果たしてどれだけ今後のために有効になるかということにつきましては明らかに申し上げることができませんことを非常に残念に思います。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山委員 今大湊から、定係されて六十一年九月でございますか関根へ移るということになりますと、そこで、もし回航された後、「むつ」の活動というものがどの辺まで規制されるか、また自由な行動が可能なのかということについて、廃船は別としまして、もし定係された場合「むつ」の取り扱いについてはどうお考えになりますか、その点をお伺いします。
  18. 山内善郎

    山内参考人 新しい定係港に移った場合に、その試験のやり方については事業団の方から詳しく示されることと思うのでございますが、そういうことにつきましては、県といたしまして、地元関係者と相談をしながら、なるべくそういう方向で試験が円滑にできるように努力をいたしたいと存じております。
  19. 菊池渙治

    菊池参考人 この問題が後に残されております。これも原船懇の指摘のように、難しい問題を全部先送りしているという御指摘、全くそのとおりでございます。事業団がかつて関根浜漁業協同組合関係五部落にいろいろ説明をしたことがございます。その際一つの部落で、一体どういうふうに定係港を使うのかという質問をしておりますが、それに対して事業団は、低出力試験をやりたい、こう思ってはいるけれども、これからは皆さん方と相談の上で決めることだ、こういうことで終わっておりますので、先生今お話しのことはこれから相談をして決めるということで、どう決まるかということは、同時に、これからの事業団の対応によっては難しい場面も出てくるだろうと思いますし、そういうことのないように、いろいろ新定係港建設についても、事業団から言わせると文句を言っているような状況でございます。私は、新定係港としては可能なといいますか、できる条件のもとで、あそこで低出力試験を行うべきでありましょうし、かなりの修理等もしなければならぬでしょうし、最終的に運航を終わって廃船にする場合も、あそこでしなければならないのであろう、それが定係港であろうと思います。それだけに厳しいことを言わざるを得ないと思いますし、また今までも言ってきておりますし、これからも言わせていただきたい、こう思っております。
  20. 小宮山重四郎

    小宮山委員 御両者にお話をお聞きしまして、まだ関根の方の、もし定係された場合にはどうなるかということが十分話し合いができていないように思います。また、今菊池市長さんから、事業団の方が文句を言っているというような話でありますが、私はどういう文句を言われているのかちょっと想像がつきませんけれども、その辺、端的にお答えいただければありがたいと思いますし、副知事の方には、両者の、事業団とそういう話があるのかないのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  21. 菊池渙治

    菊池参考人 いや、私が文句を言っていると、こう言われている、相変わらずごたごた言っているというふうに言われているけれども、言わざるを得ないでしょうということでございます。どうも申しわけありませんでした。
  22. 山内善郎

    山内参考人 非常に大きな問題でございますから、地元ではそれぞれの部門からいろいろ意見が出ることは事実でございますが、最終的には県が中に入りましていろいろ、そう支障がなく進めておるつもりでございます。
  23. 小宮山重四郎

    小宮山委員 今は大湊から関根へ移った話でございます。  もし原子力船むつ」が廃船になったときに関根はどのような使い方をするかということも一つ考えておかなければいけない問題かと思います。その点について県と市はどのようにお考えですか、まずお聞きしておきたいと思います。
  24. 山内善郎

    山内参考人 県といたしましては、関根に移って出力上昇試験が終わり、いずれは廃船になるものと思っておりますので、そのときには県の計画といたしまして、下北開発計画といたしまして、将来は関根浜港を一般港湾として利用することも考えるということを計画に示してございます。
  25. 菊池渙治

    菊池参考人 私はまだ後のことまで考えておりません。大分まだスケジュールからいって時間がかかるでありましょうし、それを地元としてできるだけ迷惑のかからないように、問題の少ないようにやりたいというために、いかにすべきかということでいっぱいでございます。
  26. 小宮山重四郎

    小宮山委員 最近、新聞紙上で、ゆすりたかり諭というのがございまして、それをえさにして随分金を取っているやに報道された部分がございます。関根浜の新港の用地取得については国土法違反ではないかという声もございます。その辺についてまず副知事からお伺いしたいと思いますし、二番目は幽霊漁民がいたというようなこと、このようなことがあったのかどうか。それから、新港建設に必要な海上部の航路設定の件に伴う事業団関係漁協などで合意した漁業補償は高過ぎるのではないかという報道もございました。この点についてはいかがでございましょうか。副知事どうぞ。
  27. 山内善郎

    山内参考人 新聞紙上に、用地買収は国土利用計画法違反ではないかという記事がありました。県といたしましては、早速その点について調査をいたしたわけであります。土地代金プラス立木の補償、これは事業団から委託を受けました県の土地開発公社が正当に支払いしたものと確認いたしております。  なお、そのほかに生活環境整備資金といたしまして、地権者会に対しまして三千万、事業団が直接契約をいたしまして支払いをいたしております。この点につきましても県といたしまして調査をいたしましたが、これはやはり土地代金の上乗せでなく、土地を手放した地権者が新しい土地を、代替地を求める費用その他に使う費用でございまして、この生活環境整備資金を支払いする前に大半の地権者がもう契約を終わってございます。なお、その資金の一部は部落の共同の建物等を建てる費用にも使ってございますので、土地代金の上乗せではないという判断を県といたしましていたした次第でございます。  それから、航路の補償六千万、これにつきましても、県独自の「漁港港勢調査」ということで調査をいたしました資料と対比いたしまして検討いたしましたところ、おおむね妥当と認めた次第でございます。  幽霊漁民ということでございますが、これは漁協といたしまして、法令に基づいて毎年組合員の資格の審査をいたしまして、組合員に入れる者、あるいは組合員でなくする者というものを審査する組織になってございまして、毎年これを行っておるわけでございます。県といたしましても、今度の問題についてその手続が正当になされているかどうか十分検討調査をいたしました結果、決して幽霊漁民ではない。これは御承知のように漁業をやるためにも準備その他、それから将来この者が漁業をやる資格があるかという点まで調査をいたすものでございますので、その点につきましても県は十分調査をした結果、正当と認めた次第でございます。
  28. 小宮山重四郎

    小宮山委員 きょうは大勢の方々が質問いたします。この辺で話を終えますけれども、地元青森県、むつ市また皆様方が大変御苦労されていることを理解をいたしておりますし、また下北がこれから原発の大変大規模な基地になることも事実でございます。我々も誠心誠意これの解決について皆様方の大変貴重な御意見をもととして今後進みたいと思っております。きょうは大変ありがとうございました。
  29. 大野潔

    大野委員長 関晴正君。
  30. 関晴正

    ○関委員 山内菊池参考人さん、大変御苦労さまでした。  私は科学技術委員会にあって常に原子力船の「むつ」の問題を取り上げて、とうとう中川長官は今までなくなってしまうという残酷な結果を生むほどに悲しい事実を積み重ねている、こう見ているわけであります。私は、きょう本当は北村知事が参りましてお話をして、そして青森県がゆすりたかりの汚名を受けるのは真っ平御免だ、こう声高らかにここで言っていただきたかったと思うのでありますが、ヨーロッパの方に御視察されて本日お帰りだ、こう聞いております。ヨーロッパに出かけたのは、核燃料サイクル基地の予定地として青森県が求められているものですから、そのために調査においでになったと聞いております。これは下北、一青森県の問題だけじゃなくて、言うなれば日本の原子力行政の今最大の問題である、こう思っております。その問題と原子力船むつ」の定係港の問題が無関係であればいいんですけれども、実は極めて関係のある状態に今来ている、こう思っております。そこで、私の質問時間は五十分でありますが、幸いに同僚議員から時間が過ぎてもなお続けられる場合は自分の時間も差し上げる、こういう協力の申し出もありましたので、私は少しくじっくりとお尋ねをいたしたいと思うのであります。  なぜ、原子力船むつ」の行政が原子力船事業団の仕事でありながら、あなた方や青森県の知事さんに御苦労かけなければならないのか。これは県の行政では全くない。ありがた迷惑であるのが青森県の行政当局ではないか、私はこう思っているわけです。ところが不思議なことに、ことしの一月十七日に自民党の科学技術部会が原子力船むつ」の廃船論、そうして予定されているところの関根浜のこれまた建設断念論、見事な変身と申しましょうか政策転換と申しましょうか、方針を打ち出しました。私は長いこと科学技術委員会において、あの場所は適地じゃない、なぜならば活断層がすぐ目前にある。その活断層の調査も容易にできないままでは、これはもうむだ金になるからというようなこともあって、考えたんだろうと思うのです。  ところが、その方針を打ち出しましたら、青森県の知事は何事ぞと言って顔の色を変えてやってきた。ありがとうございますと言ってくれるのかと思ったら、とんでもないことだ。あれは青森県が望んで、そうして欲しくてたまらない代物なんでございましょうか。五者協定というものは、ありがたいものをちょうだいするための協定であったのでしょうか。協定というものは、そのことについての一つ条件としてやむを得ないものとして打ち出されたものだと思うのです。その条件が用がなくなったならば、これほどきれいさっぱりすることはないんじゃないだろうかと実は私は思うのですが、あの一月の十七日におっ取り刀で走ってきて、知事の辞職物だ、腹を切った方がよっぽどいいと思うのだけれども、腹も切れないでまた戻っていって、とにかくおどかしているような姿は、全くこっけいに見えてしょうがないのです。中央の識者たちは、青森県というのはあれは何だろう、要らないものを置いたと思ったら欲しいものを置いて金を取っておるのかとまで酷評している始末であります。あれは自民党の科学技術部会の崇高な一つの決断であったと私は思うのです。なかなかやれません。でも、事やむなしというところに至った決断、そしてその裏打ち根拠、私は相当に根拠のあることであったと思うのです。それを青森県の知事が何でそんなことはやめてくれと言わねばならないのかということの真意がわからないのであります。  この際、あのことについての真意をまずひとつ、ここで御披露できるならば聞かせていただきたいと思います。
  31. 山内善郎

    山内参考人 たびたび申し上げておりますように、県の態度といたしましては、民生安定上支障がなければ国の方針に協力するという態度で原子力船に対する国の要請に応じてまいったところでございます。  それで、五者協定というものは国、県、市、漁民団体、事業団と五者で正規に締結されたわけでございまして、やはり協定というものはそう軽々しく破棄できるものではないという態度でおるわけでございまして、締結された協定は当然守っていただきたいというのが県の正しい態度ではなかろうかと存ずる次第であります。
  32. 関晴正

    ○関委員 民生安定上支障がなければこれを受けてもよろしいというのが一つの方針。それは障害物なんだけれども民生安定上支障がなければという意味なんですね。ところが、その用を国の方で取ってあげているわけですよ、自民党の科学技術部会は。もうこれはえらい御迷惑をかけるけれどもやめよう、こう言っているんです。ならばよろしゅうございますと言ってよさそうなものなんですが、どうしてそれが踏み込めないんでしょう。もしそれでよろしゅうございますと言えば、補償金もみんなとられてしまうし、工事用費との関係で事業も来なくなるし、そういうことの御心配でもあってこれは引きとめなければならないと思ったんでございましょうか。協定というものにしがみついて、そして無味乾燥な協定になることを心配してそこへいったものでございましょうか。
  33. 山内善郎

    山内参考人 協定というものは、仮にこれが破棄されるとするならば、関係者の五者が全部これはやめようという合意に達したとき以外は破棄されるものではないと存じております。
  34. 関晴正

    ○関委員 いや、私は観念論で物を言うのじゃなくて、何が頭をかすめたろうかということなんです。五者協定が破れちゃうな、これは困るな、結んだことはうまくいかないな、困るな、その場合何が困るかということですね。入ってくる金が来なくなるんじゃないかな、約束した仕事がパアになるんじゃないかな、こういう心配があってのことではなかったのかなと私は思うのですが、それよりも何よりも、大事な原子力船定係港の事業がなくなる、定係港の事業がなくなるということは大変な損失なんだ、こうお思いになって、これは何といってもつかんでおかなければならないものなんだ、こう考えておったのでございましょうか、その点を伺っておきたいと思います。
  35. 山内善郎

    山内参考人 県が五者協定破棄ということを心配いたしましたのは、そういうことになればさなきだに県民政府に対する不信感が強まるであろう、これから何をやっても県民政府あるいは県を信用しない県民になるんではなかろうか、こういうことを心配をいたしまして、約束したものは守っていただきたいという態度を貫いたわけであります。
  36. 関晴正

    ○関委員 その場合、県に不信の声が来ることも来ますけれども、挙げて今日の自民党国政にその不信の目が向けられるわけなんです。そんなに県は心配しなくてもいいことだと私は思うわけです。  その次に、先ほど菊池市長さんが忍びがたきを忍んでこれを受け入れた。五十七年の八月三十一日、私にとってもこの日は生涯、私の人生において忘れられない日である、こういつも思っているのでございます。この五十七年の八月三十一日に原子力船佐世保を出てくる。佐世保には二十億の補償金を置いたまま船は出てくる。そうして一方、下北に船が入るときには二十億を積んでくるわけでもない。そうしてやってくる。その見通しいかんというときには、自治体の首長である菊池さんにとってはいろいろとこの問題についての討議があって、疑問があって、そうして意見もまたあっているわけなんです。本当にこの国のやり方というのは、特にあの当時の中川長官は、もうしゃにむにタイムリミットは八月三十一日、そうして九月一日には青森大湊入港届だ、この入港届も前もってきちんとやっているわけです。もうあなたのお話なんか聞こうとしない国の態度ですよ。でも市長としては、先ほどのお話を聞くと、忍びがたきを忍んでやらざるを得なかった、受けざるを得なかった、こうおっしゃっているわけですが、それだけに今の現実の姿というものに余計御批判の意をお持ちになるのは当然ではないだろうか、私はこう思います。  そういう意味において市長さん、先ほどのお話ではぜひ五者協定を守っていただきたい、こういうこと一点張りなんですが、仮に守られず、そして自民党の方針として打ち出したあの科学技術部会の方針はやはり間違いだと思っておられますか、それとも、それにはそれなりの理論があるんだと思っておられますか。そういう点で経過現状についての御感想なりお考えになっていることがあったら、ひとつお話しいただければと思います。
  37. 菊池渙治

    菊池参考人 関先生の御質問にお答えをするわけでございますが、忍びがたきを忍んでということは、時期がまだ熟していないということで、この先大変だということが一つございますし、私が先ほども申しましたように、あの時点で本当に政府事業団誠意を持って四者協定の履行に努力をするべきものを、それを国会の答弁その他を聞きましても、ただ図上選定だけはしたけれども、地元との交渉はしないままに、新定係港建設の適地がないことにして再び青森県へ持ってきた、そういうことに対する不信感の除去を私はあの当時第一に考えるべきであったと思っております。しかし、それがなされないで五者協定になったわけでございますが、この五者協定もいろいろ問題はあるにしろ、協定を結んでしまった以上、この協定をいかにして実施していくかということについて私にも責任があるわけでございます。  今、廃船論についての御質問でございますが、関先生はまあ気楽だろうと思いますけれども、私は、もしそうなればその後始末も考えなければならない一人なわけです。それじゃ、果たしてその後始末に対して私に確信があるかというと、確信はございません。やはり信頼関係を崩さないようにしてうまくやれる後始末の知恵が私にはないということが一つございます。  それから、理論としてどうかということでございますが、理論としては私は一つの大きい理論であろうと思います。ただ、継続も理論でございましょうし、その政策決定は、原子力委員会設置法によりますと、原子力委員会が政策決定をするということになっているわけですが、しかし団法によりますと、原研あるいは動燃は原子力委員会の議決を経てでなければできませんけれども、事業団の方は科学技術庁長官の決定でできるようになっております。その辺の関係も多少ありますけれども、いろいろ議論はあっていいと思いますし、今まで議論をするとしかられておりましたことが、議論ができるという事実が出てきたことは大きな意味があるだろうと思っております。ですから、その議論をどうのこうのと言う前に、やはり大いに議論をどこでもだれでもできるようにしなければならないだろうと思いますし、その契機をつくったという意味で非常にいいお話であろうと思います。
  38. 関晴正

    ○関委員 せっかく自民党の科学技術都会が打ち出したものを、とにかく何が何でも五者協定を守ってもらわなきゃならない、こう言って今、青森県の知事が方針を出しているわけなんです。  一歩譲りまして、それならば事業団が打ち出した今日の定係港建設の方向、これがことしの予算においては定係港という名を取っちゃったんですね。そうして新港というものにした。この新港について性格はどうかというと、定かではない。そうして、とにかく港づくりの格好だけはします、こういって八月末までの自民党検討委員会検討を待つという姿になっているわけです。これ自体も、言うなれば科学技術庁の行政の主体性が全く損なわれていると私は思っております。自民党が何と言おうとかんと言おうと決められた方針を執行する、これは執行の立場はそうあるべきものなんです。だけれども、今ここにブレーキがかかってきているわけです。その港づくりのことについて、先ほどの知事さんのお話を聞きますと、ぜひつくってくれ、つくった後はここを一般港にして使わせてくれ。これは一種の港ただ取り論と申しましょうか、国費でつくってもらって、でき上がった後はただでいただきます、こういう思想だと思うんですが、ここに港をいただいても、この港の利用価値というものがありましょうか。あそこには大畑港もあるし大湊港もあるし、それを超えるような立派な港をあそこにつくっても、もてあましちゃうんじゃないでしょうか。出すものもないし、もらうものもない。  しかし、今言われているものは、あなたの意思を超えて、日本の廃棄物の再処理を受けた後、フランスが再処理してよこすか、そのままの形で戻してよこすか、それを積んだ船がこの新港に入るのじゃないかと予想されているわけです。似ても似つかないものがここにやってくる。そのくらいのことは県としても考えているのじゃないだろうかと思うのです。  それとあわせて、あなたの方の物資も出したり、いただいたりする。韓国の米でも入れようかなと思っているかどうかは別として、港というのは物を出したり入れたりするところですから、出さねばならない、受けなければならないという物があればこそ港というものは建てられるべきものなのです。あなたは一般港として使いたいなんて言っているけれども、一般港に使わせるなどというほど甘いものではないのだということも認識の中には置いて考えてもらわないといけないのじゃないだろうか、私はこう思うのですが、この新港についてそんなに期待しておられるのかどうか、この際伺っておきたいと思います。
  39. 山内善郎

    山内参考人 先ほど申し上げましたのは、下北の開発計画の中に、将来は一般港として利用することについて検討するということがございます。今先生おっしゃったように、現在のところ、一般港としての使い道はそう大きなものはないと私も存じております。  ただ、核燃料サイクル絡みの利用という話もあるというお話でございますが、県といたしましては、そういう話は全然聞いておりませんし、そういうことも考えてはいない次第でございます。
  40. 関晴正

    ○関委員 考えていないことばかりどんどん打ち出しているのが今の政治の現実だと私は思います。大丈夫だろうというものが大変なことになる、来ないだろうというものが来る、そうして来てほしいというものは待っても一向来ない。やるせないものが実は至るところに現出していると思います。  そこで、さらに聞きたいのですが、ずっと問題を絞ってまいりまして、今一生懸命港づくりのために力をいたそうとして事業団はやっておるが、事業団は手を上げてしまった、そうして主なる仕事を全部青森県にお願いするということになっているわけです。もう青森県の方が事業団よりも一つ上になってしまっている。そうして、そのよい例が漁業補償の問題。漁業補償は十八億円になる。大した金額です。初めは六億だった。それが九億になった、十二億になった、十五億になった、そして十八億、振興資金の五億を足すと二十三億ですね。  そこで、この十八億という金について、私どもは事業団の方に、この補償の算定の基礎を出しなさい、こう言うたら、あなたの方の許可がなければ出せない、こう言うのですよね。青森県の知事の許可がなければ出せない。県費じゃない、国費ですよ。その国費の使い道について伺ったら、あなたの方の許可がなければ出せない、こう言っているのです。とうとう金は分けてしまいましたよね。現段階においてはもうお話ししてもいいのじゃないだろうか、こう思うのですが、この十八億円の補償金の算定の基礎はどういうふうであったのか、お話しできたらいただきたいと思います。
  41. 山内善郎

    山内参考人 当初の六億二千万が最終十八億になった、そのとおりであります。漁業振興資金の五億は当初の六億二千万には含まれていないのでございますが、六億二千万が十八億になったことは事実でございます。これはしかし、十八億円は何ら基礎なしに出したわけじゃありません。事業団予算等も十分打ち合わせをしながら、県が仲介の労をとって決められた額でございまして、何倍にもなったと申しますが、まずどこの漁業補償を見ましても当初の額と最終の額は大体そのようなもので、初めから目いっぱい提示することはないわけであります。  算定の基礎でございますが、県の許可が要る、これは私は聞いておりません。ただ、漁協の意見といたしまして、配分がはっきりするまでは公表してくれるなという漁協の意見があるということは聞いておりまして、そういうことで今までまだ公表されないのではないかと思います。ただいまのお話のように、配分は大体最終に近づいておりますが、まだ一部確定してないところがございますので、これがはっきりして手続が全部完了すれば、算定の基礎等は発表しても差し支えないのではないか、かように考えております。
  42. 関晴正

    ○関委員 それでは、大体九割五分方、配分は終わっておると思います。あの配分の状態漁業補償の算定の根拠とほとんど似ていますが、そのくらいは言えるでしょう。どうです。
  43. 山内善郎

    山内参考人 この算定の基礎につきましては、県が主体になったものでございません。あくまでも事業団が公表するというものでございますので、私、県といたしましてこの席でお話しすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  44. 関晴正

    ○関委員 県は事業団から聞きなさい、こういうお話のようでありますから結構であります。事業団の方から聞きたいと思います。  ただしかし、頭割り七割ですよね。十八億のうちの七割は、正組合員、準組合員、にせ組合員、幽霊組合員、みんな合わせて頭割り七割、残りの金を漁獲割り、こういうことで分けたようであります。私は、漁業補償というものは、漁業によって生活をする者が漁業によって生活ができなくなった場合、余儀なくされた場合に払うのが補償だ、こう思っております。それが、何の漁業も営まない者に多くの分け方をされる、そういうやり方を国がしたということになると、やり方として適当であったかどうか大きく批判しなければならないものがある、こう思っております。でも、国もあなたの方に責任をかけておられるようで、きょうはかみ合いませんので、この点についてはその程度にしておきます。  その次に、そういう補償金の問題が出ましたときに、あの地域を定係港として適当であるかどうかを調査させるかさせないか、こういう論議になった場合に、あの関根浜の漁協の皆さん方は多数をもってこのことは認めた。多数をもって認めましたけれども、三分の二以上の多数にはなりませんでした。三分の二以上の多数になっていただきたかったと考えたかもしれませんが、とてもとても三分の二の多数にはならなかったし、そういう状態じゃなかった。ところが、漁業権を放棄するということになると、三分の二の多数がなければなりません。そういう意味において、あの漁協の意思というものは、やがて共同漁業権を処分する段になると手放すことが難しくなるのではないだろうか、こう思えば、もう少し賛成が得られれば踏み込むべきであり、三分の二の多数が得られなければこれは無理すべきではない、こう考えるのが至当ではなかったかと思うのですが、その辺はやがてなし崩しに三分の二をとろう、こう思って指導したのでございましょうか。その点についてのお考えをいただきたいと思います。
  45. 山内善郎

    山内参考人 調査同意も、これはなるべく多ければそれにこしたことはない、おっしゃるとおりでございます。しかしながら、漁業権の消滅補償が仮に三分の二に達しなければこの仕事はできないわけでございますから、そういう漁業権の消滅ということは、定係港をつくることに賛成して漁業権を消滅するということであります。やはりそのときの組合の意思決定によるべきものであろう。決して、当初とれなかったけれども、県がなし崩しに崩していったという事実はございません。
  46. 関晴正

    ○関委員 今の問題について菊池市長さんにも、三分の二の多数を得られないのに、あの程度の多数で事に踏み切ることについては何の抵抗もあるいはお考えもなかったものかどうか、御心配等がなかったものかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  47. 菊池渙治

    菊池参考人 心配がなかったかということですが、心配はございました。調査だけでもこの程度なら、漁業権消滅補償の交渉はなかなか大変だろうというふうに思いまして、それだけに事業団その他にしっかりしてもらわなければ困るということは申し上げた経緯がございます。
  48. 関晴正

    ○関委員 言うなれば、多数でもって事を運び、そうしてとにかく調査だけはさせることにした。  さて、いよいよ受け入れるかどうか、三分の二の多数で初めて事をなし得る漁業権の放棄の問題、これは昨年の八月七日の総会でありました。この八月七日の総会では、形の上では三分の二を二、三名超したということになっているようであります。大体、土地改良事業にしても、法律的には三分の二とあれば、まあ三分の二を一人でも超えればできるんだということになりましょうが、おおむね行政の側に立つ人というのは、単に三分の二ぎりぎりじゃいけませんよ、せめて九割ぐらいは超えるように署名でも何でも見せてくださいというのが、一般的に行われていることであると思うのです。ところが、ここの場合には三分の二すれすれであったものですから、非常に問題があったと私は思います。  そこで、今ここで議決無効の訴訟が起こっておりますね。この議決無効の訴訟というものは、三十九名の諸君が、何の漁業もしていないのに、定款による九十日以上なんてもってのほか、三日も昆布とりに出かけたかどうかも怪しげなる諸君、そして他の職に悠々としてついて専業はそちらにある諸君、これらの諸君が三十九名のほとんどを占めて昨年の四月に資格を与えられた、この資格を与えられた三十九名の諸君が賛成権を行使して三分の二の多数になった。そこで、この三十九名の諸君たちは資格がないんだ、資格がないのにもかかわらずそういう投票をして事を決めたことは適当ではない、よってこの議決は無効である、こういう異議の申し立てがあなたの方に出されました。その異議の申し立てについて、あなたの方は三十九名お一人お一人をお調べになった上で、いやそんなことはない、いずれも正組合員と認定することが至当なりということで御判断をされて、この異議の申し立てを却下されたのでございましょうか。それとも、何のお調べもしないで玄関払いで、漁協側の申し立てを是として、異議なし、こういうことで異議の申し立てを片づけたんでございましょうか。この経緯を聞きたいと思います。
  49. 山内善郎

    山内参考人 県といたしまして、三十九名全部個々に当たったのではございません。当たりませんでした。ただ、県としては、先ほど申し上げましたように、毎年開かれております組合員の資格認定の組合の組織の議事録あるいは総会の議事録を正当と認めて、組合の判断は妥当であるという判断を下した次第でございます。
  50. 関晴正

    ○関委員 お聞きのとおりであります。  少なくとも水協法あるいはまた行政、これに不服の者がある場合には、不服の意を申し立てた場合に、その申し立てた方々に忠実に行政は対処しなければならないだろう、こう思うのです。三十九名資格がないと言っているのなら、三十九名をお調べになるのが当然じゃないでしょうか。そのお一人お一人を調べないで、何を根拠としてこれを却下されたんでございますか。
  51. 山内善郎

    山内参考人 これがそういう資格のない者であれば、総会等において当然そういうことに対して異議が出るはずであります。しかし、その議事録を精査いたしましてもそういう事実はございませんし、県といたしましては、当然組合の議事は正しいものであろうと考えた次第であります。
  52. 関晴正

    ○関委員 全く行政機能の執行において誤っていると私は思うのです。今の論からいけば、多数のなせることすべてこれ善なり、正なりですよ。しかし、多数のなせるものに横暴があり、違法があり、不法があればこそ、いろいろと問題が起こっているわけです。ですから、今あなた方は三十九名の方々を、これは漁協も多数で認定したんですよ、多数で。しかし、何の点もとってない、船も持っていない、網も持っていない、水揚げもない、漁業所得もない、そういう者が正組合員にされて、それはいけないじゃありませんかと言われたら、多数がそんな横暴なことをしているならば、それをチェックしてあげるのが県の行政の監督機関たるものの仕事ではないでしょうか。これからでも遅くないと思いますよ。三十九名のお一人お一人の実態調査をした上でお答えをするのが適当ではないだろうか、こう思いますが、今あなたの方の手を離れて、この異議の申し立てが、行政不服審査法に基づいての申し立てが水産庁の方に出されている。水産庁はあなたの方に、五月十五日までにこれについての弁明書を出せと言われました。あなたの方は出しておりません。もうお出しになったのかどうか知りませんが、状況はどうです。お出しになったんでございましょうか。そうしてその際の態度は、今度はちゃんと一人一人調べた上で書類をお出しになったんでございましょうか。あるいはこれから出す場合には、そう考えておられるのでしょうか。この点を伺っておきたいと思います。
  53. 山内善郎

    山内参考人 五月十五日の期限までには出しておりませんし、現在もまだ出しておりません。これは四月の人事異動で、それを担当しておった職員が大幅にかわったことでおくれておりますので、国に対して公文書で、いましばらく猶予いただきたいという旨を文書で差し上げてございます。  その組合員三十九名の問題は、先ほども先生お話ございましたように、ただいま裁判にかかっておりますので、その裁判の結果によって対処をいたしたいと考えております。
  54. 関晴正

    ○関委員 裁判は裁判だと思いますが、あなたの方で水産庁の方から出してくれというものを五月十五日までには出せなくて今延びておるんだが、そうすると、国の方において出してくれという弁明書、これについてはこれから裁判が終わるまで出さない予定なんでしょうか。それとも、お考えはそうあるだろうが調べるものは調べて出すものは出すんだ、こういうことで、これからでもお調べになって、一人一人当たるんだという御方針になっておるのでしょうか。この点明確にお聞きしたいと思うのです。
  55. 山内善郎

    山内参考人 国に対する文書は、裁判にかかわらず当然回答しなければいかぬと思います。その調査の方法その他については、国とよく相談をしながら、その指導を得てやり方を決定してまいりたいと考えております。
  56. 関晴正

    ○関委員 自分のやっていることが間違っていると思ったら、自分でこれは直せばいいと思うのですよ。三十九名の組合員の資格が、これはない者じゃないかといって異議の申し立てがなされて、あなたの方では、あるんだといってやっちゃった。ある根拠は何かと聞けば、総会の多数の議決だ。これじゃどこへ出したって納得しませんよね。多数で事がなせるのであれば、もう自民党もっともっとわがままなしとがされますよ。でも、社会党という野党第一党が頑張ってチェックしておればこそ、健康保険法案も思うようにいかないで今あるわけなんです。同じように、多数で通ったからいいというものじゃないんですよね。ですからあなた方の方は、一人一人のその漁民組合員にした根拠というものを調べて持っていなければならない。持ちもしないで、ただ一方的に訴えられている者の主張だけ受けて処理するということは、行政の監督機関の長たる者のあり方において大きく抵触しているんじゃないだろうか、秋はこう思います。  幸いそこに水産部の部長も見えているようですから、よく部長にも聞いて、聞くところによると一人一人の調査というものは漁業協同組合の方で行って、それをあなたの方にもう出したと言う。私はそれを、出したというものについてお見せできないかと言って担当官に聞きましたら、残念ながらお見せするわけにいかない、こう言っているのです。ですから、じゃ、あなたの方でごらんになったとすれば、それらから上がってきた資料に基づけば、みんな何日以上の仕事をしているようになっておられますか。また、漁獲高もそれ相当にとっているように記録されていますか。私に見せると言っても見せないわけですから、あなた方は漁協から上がってきたものをごらんになっているでしょうから、ごらんになってどうでした。見たならば、見た点で御報告をいただければと思うのです。
  57. 山内善郎

    山内参考人 漁協で調査をしているということは私聞いておりますが、私自身は、その結果について漁協から報告が来ているかどうか、それもまだわかりませんので、現在のところ、まだ見ておりません。
  58. 関晴正

    ○関委員 部長が来ていますから、部長にも聞いてみておいてください。  次に、さらに質問を続けていきたいと思うのですが、そうしますと、この問題について水産庁の方は、あなた方の方に今、一人一人調べて出せと依頼をする、こういうこともないんですか。
  59. 山内善郎

    山内参考人 水産庁の方から特にそういう具体的な、一人一人調べて出せという話はないそうでございます。
  60. 関晴正

    ○関委員 それじゃ、書類の提出がおくれているのは、何が理由でおくれているんですか。
  61. 山内善郎

    山内参考人 先ほど申し上げましたように、今までその事務を担当しておりました職員が四月の人事異動でかわりましたので、事務の引き継ぎを受けて新しい職員がそれをやっておりますから、事務的におくれているわけでございまして、これに対しては、国に対して文書をもってその理由を記載をし、御了承願っているところでございます。
  62. 関晴正

    ○関委員 これについてまだまだお話を聞きたいんですが、時間もなくなってまいりましたから、次に移らせていただきます。  あそこにおる漁民たちは、とにかく三分の一以上の漁民たちは、実際に組合員のうち漁業をやっているのは三分の一程度なんだ、これらの諸君は必死になって抵抗していますよね。何とかかんとか言っても、とにかく協力はできないと言ってきた。そこで、いよいよ港をつくるといってあなた方が事を進めたいとしても、この港には陸上に附帯施設がなければなりません。この陸上の附帯施設を買収しなければならない。ところが、一〇〇%買収することができればいいんですけれども、現在、この土地の買収は六割か七割程度だと聞いています。そこで、この買収の見込みですね、この後も大丈夫買収可能なり、こういうふうに見られますか。その見通しについて。
  63. 山内善郎

    山内参考人 用地の買収の進捗状況は、お話しのとおり現在七割程度でございます。残っている土地が相当ございますが、用地買収、しかも土地収用のきかない用地の買収なんというものは、私も経験がいろいろございますが、なかなかそう短時間に簡単にはまいらないのが実情でございます。しかし、県の土地開発公社が事業団の委託を受けて実務を実施しておりますが、何とかして地権者の残った方々の御了解を得て用地買収を完了したいと考えております。最近やや、今まで停滞ぎみなのが動きつつある状況も見えてきておりますので、最終的には私は可能だと考えております。
  64. 関晴正

    ○関委員 あなたは最終的に可能だ、こうおっしゃっているのですが、一番この問題で抵抗しているのは松橋一家ですよね。海の方は多数決で負けたから仕方がない、しかし陸の方は自分の意思で決めることだからだれにも拘束されなくていい、父祖伝来のこの土地は死んでも放さない、こう言っています。その点について、あなた方が折衝すれば放すことになるであろう、こう見通しを立てられておるのですが、お会いしたことがありますか。あなたは土地開発公社の理事長でもありますよね、副知事であるばかりじゃなくて。そうして、この土地購入問題の交渉に当たって県から依頼されておる最高責任者、その最高責任者が、どうしてもだめだと言っている松橋一家にお日にかかってお話しされたことがございますか。
  65. 山内善郎

    山内参考人 松橋幸蔵さんだけにはお会いしたことがございます。その他の御兄弟の方、これはもう漁業補償関連では数回お日にかかったことございますが、土地買収についてはまだお目にかかったことございません。
  66. 関晴正

    ○関委員 私は、幾ら会っても今の状態でとにかくオーケーが得られない、そうして共有地の土地の取得が容易じゃない、そういうときにこの問題を進めることはなおさら難しいものがある、こう思います。  そこで、土地を売らないということの問題、訴訟になっている問題、これらはまた後で論ずることにして、土地を買収するときに、先ほど小宮山君にもお答えになっておったのですが、国土利用計画法に抵触するような土地の買収、売買行為があったのではないか。これについては、事業団は届け出ているときに一平米六百六十円として届け出ているから、まあ六百六十円は高いなと思ったけれども県もこれを認めて、そうしてこの価格を最高の価格として了承された。ところが、あなた方がこの同じ土地に理屈をつけて、そうして一平米プラス六百四十円。一つは税金分というので三〇%見ていますね。一平米六百六十円の三〇%、百九十八円を税金分として算定をして計算しておる。そうして残りの四百四十二円の算定の基礎は、まあ大体一平米千三百円というのが至当だろうから、その千三百円から六百六十円と百九十八円を引いた残り四百四十二円、それらを加えて一平米千三百円、こういうことで土地の売買ということが行われたわけであります。  しかも防風林の補償料は、立ち木として一本一木の計算がなされて計算されて、立木処分料は処分科、土地は土地の広さでそれぞれ計算して六百六十円、その上に今のような防風林の補償というものが、土地の一平米を基準に支払われているわけですよね。木の数で払っていればなるほどと思うのだが、立木の数で払わないのです。土地の広さで防風林補償金というものを計算しておる。そうして片一方、税金分というものを三〇%見て百九十八円を算定して、トータルにおいて一平米千三百円なりでこの売買は行われた。もちろん北海道の泊原発の状態に比べると金額もずっと低い。余り政治家が絡まっていないから安くいったんだろうとも見られるけれども、その点については別としても、法律の番人であるところの出先の県、特に国土利用計画法というものを守り監督をする県が、逆に一緒に組んでこの仕事に関与しておるということは大変な間違いではないだろうか、行き過ぎではないだろうか、この疑問が非常に強いわけです。  それで、こういうようなことは知らないで県はだまされた方なのか、逆に県と国が法律を無視してこれを平気でやることにしたものなのか。先ほどあなたは胸を張って、土地代金は一平米六百六十円、あとのものは別であります、こう言っておりますが、税務署の方の調べでは、全部昨年の十二月の暮れに一平米千三百円なりと計算して税金を出すようにしておりますよ。ただし、あなたの方で悪巧みをしたと言えばなんですが、悪巧みだと私は思うのですよ。その金の方は三月と五月に分かれて入っている。でも税金の方だけは、三月十五日の確定申告にちゃんと税務署の方では、やがて一平米に千三百円の金が来るのだから税金はこれで請求いたします、よろしゅうございます、こうなって行われているわけです。ですから、明らかに国土利用計画法に違反することを、届け出る者も届け出られる者も監督する者も、ぐるになってやってきたんじゃないだろうか、こう思うのです。こうなりますと、行政官としてのその仕事のやり方について、批判だけじゃない、責任が伴うと思います。北村知事責任というものはまことに重大です。あなたは副知事だから帰って報告すればある程度免れるかもしれませんが、青森知事責任は私は免れるものではない、こう思うのです。この点についてどうお考えになっておられるのか、お聞かせいただければと思います。
  67. 山内善郎

    山内参考人 土地、平米当たり六百六十円、それにプラス防風林、これは国で定めております補償基準に基づいて、調査の結果、正当に支払われたものと思っております。ただそのほかに、先ほども申し上げましたが、生活環境整備資金として地権者会に対し三千万、これは土地開発公社でなく、事業団が直接契約をいたしまして支払いをいたしております。これは土地代金の上積みではないかという意見もございましたが、県としていろいろ調査をいたしまして、現に地権者会に入っていない方々に対しては、同じ条件の人でもその金は行っていないわけであります。地権者会といたしましては、会として会員の代替地その他環境整備の資金に使うからということで、事業団と話し合いの結果これが決定したわけでありまして、そのうちの一都は部落の共有の建物の建設にも使われておる、こういう状態でございますから、県の判断といたしましては、土地代金の上積みではない。これは北海道なんかの例と違いまして、決してこそこそやったわけでありません。税務署にもいろいろ連絡をとりながらこの措置をやったわけでありまして、県といたしましては、主務官庁である国土庁ともこの問題についてはいろいろ打ち合わせいたしておりまして、県の態度といたしましては、土地代金の上積みでなく正当なものだと判断をしておるわけであります。
  68. 関晴正

    ○関委員 一平米を基準にして金を出しているのですよ。団体に金を出して、団体が金を使っているというならば、これは別ですよ。全部一人当たりそれぞれにまず三〇%、これは言うなれば税金分の金ですよ。ですから、六百六十円に対しての三〇%の百九十八円で計算して国庫に金が行っているのです。そうして残りは防風林補償と言うけれども、一平米当たり四百四十二円と計算して行っているのです。ですから、土地の価格は千三百円なりなのです。これは国土利用計画法をごまかしてと言えば言葉が悪いけれども、くぐり抜けてやったことですよ。  しかもこの六百六十円を決めるときに、まず千三百円ありきだったでしょう、あなた。それにすぐ県も関与して、特にあなたのところではそれに関与しておやりになったでしょう。ただごとじゃないのです。しかも立木補償というのは、同じ共有地の中でも一本一本計算して、それはそれで払っているのですよ。二重払いもいいところです。私は、防風林補償だから、それぞれの防風林の木の数によって、太さによって、年数によってそれぞれ出したのかと思ったら、それは立木補償というものだ、なるほどね。では、防風林補償というのは何だ。防風林じゃなくて防風地補償かと私は言うのだ。林に払っているのじゃない、地に払っているのですものね。不思議でならない。これほどのごまかしはないと思う。  税務署はさすがにきちんとしておって、これはやはり土地代であります、一平米千三百円として計算しますから税金はさようにしてください、こう言って、皆さん協議の上で、わかりましたと言って払った。ところが、六百四十円の金が昨年のうちに来ないものだから、税金だけは二倍払った、こう言って不平を言っておったのですが、残金が三月に入り、そしてさらに防風林補償金四百四十二円が五月の連休の明けに入っているわけです。五月雨戦術というか、ごまかし戦術というか、これは法を守らなければならない行政機関である青森県の重大な陰謀といいましょうか、関与といいましょうか、私は許されないことだと思う。  この点については、国土庁の担当者も参りまして、いろいろなお話をしておったようですが、よく事情がわからないで、悪く言えばおたくさんにだまされて了解をされておったようでありますので、これは十一日の建設の常任委員会でまたきちんとやりますけれども、少なくとも監督機関である県が、法律においてはまことに不注意であった、忠実ではなかった、こう私は指摘できると思うのですが、なおその点については誤りなしと、こう言い張りますか。
  69. 山内善郎

    山内参考人 防風林を面積割で払った、土地の面積で払ったといいますが、共有地でございますので、その土地の権利を持っている者が当然防風林の補償を配分するわけでありますから、均等になるわけであります。防風林という効用がありますので、防風効果を考慮して普通の立木より高く支払ったことは事実だそうでございます。それですから、土地代金六百六十円に立木をプラスしたのを土地開発公社で地権者にお払いをした。  それから三千万円の件は、地権者会に対して事業団が生活環境整備資金として三千万お払いをした。この金は決して税金相当額ではない、事業団に聞きましたところそう答えておりますし、地権者に対しても、県として現地へ行って照会した結果、そういうことではないという回答を得ております。
  70. 関晴正

    ○関委員 ここは参考人としてですから、私も余りめちゃくちゃに申し上げるのも控えなければならぬから静かに言っているのですが、三千万円とおっしゃいますけれども、その地権者会で取って、どうされたかというのです。それぞれ一人一人に、あなたのところの土地の広さはこれだけでございますから、その分として一平米百九十八円の計算で差し上げます、これは税金分の対策だと思って取ってください、こういって文書もちゃんと出ているのですよ、書き物が代表から。きょうは持ってきていますよ、見せてもいいんだけれども。  それから、もう一つの方の防風林の計算も、それぞれ一人一人のところに四百四十二円を計算して、これも面積でやっているわけですよ。ですから、防風林補償じゃなくて防風地補償かと、こう言って笑っているのですけれども、防風林なら木の数でしょう。ところが、その防風林の一本一本はちゃんと立木補償として払っているのです。そのほかにこの金を広さによって上げているのです。これはあなたが責任者でしょう。責任者が知らないことないでしょう。知らないでそういうことをしたというならば、それは誤りを直せばいい。だから、あなた方は陰謀を強行した。ひどいことです。そういうことがあればこそ、住民方々もますます反対なんです。この問題についてまた尋ねてもなんでしょうから、あとこれ以上申し上げませんが、不法な行為だと思います。  もう一つ、不法な行為を聞きたいと思うのです。あの共有地に道路をつくるといいまして、今道路工事を始めていますね。土地所有者の土地を買ってそこを道路にするというなら、これはまだわかるが、その先の共有地です、あれは。共有地を道路に変更するということになると、共有地権者方の同意がなければならないでしょう。共有地というものは地権者の同意を得て形を変えることもあれば、使用権、所有権を変えることもできる。共有権者の同意を得ておやりになっておりますか、得なくともやれると思っておられますか。この点を伺っておきます。
  71. 山内善郎

    山内参考人 私の共有地につきましては、従来とも自分の隣にあります私有地の、個人有地のその先は、持ち分として慣行として使われてきたわけです。事業団といたしましては、その持ち分を含めてその人から買っておりますので、共有地であるけれども、やはり持ち分の決まった共有地であるという判断で買収したわけでございますが、しかし、この問題は現在法的な手段をとられてございます。それにつきましては、事業団といたしましてもこれに対抗した手続をとった上で仕事を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  72. 関晴正

    ○関委員 どうして、こういう問題のあるところだけに、きちんと法に基づいて事をやろうとしないのです。それぞれの諸君の持ち分が登記されて、登記されたものが所有されて、所有されたものが何の抵抗もなく、何の文句もなく自由に行使できるということで道路にしましたというならば、これは別ですよ。何の登記も行われていないでしょう。持ち分によっての登記もなされていないでしょう。堂々と道路にしていますね。  八日、九日、科学技術委員会の諸君たちが調査に出かけますから、行ったら、あの海につながっているところの道路をごらんになった場合に、ここまでは個人のもの、ここからは共有地を道路にいたしましたという説明ぐらいはして、行った方々に誤りのない判断ができるようにさせてやってください。私が案内役を務めてもいいのだけれども、私はちょっとそこまで日程があってできませんから、私がいないからといっておろそかに案内しないで、よく案内して、そうして見せてやってください。  そこで、さっきのことなんですが、共有地を道路に変更するという場合に、共有地権者の同意を得てやらなければならないのですが、同意は得ているのですか、得ていないのですか。得ようと努めたのですか、努めないのですか。そんなことはどうでも、やっちゃえとおやりになったのですか。そこだけお答えください。
  73. 山内善郎

    山内参考人 共有地の地権者全員の承諾はとっていないことは事実でございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、慣行上、個人有地の地先を持ち分として今まで使っておるわけでございますから、それによって事実上の共有地の持ち分であろうという判断から、支障がないと思って実施をしたわけでございます。
  74. 関晴正

    ○関委員 これはあなた方、悪事ですよ。持ち分はわかりますけれども、それぞれの持ち分の区分をちゃんとして登記完了であれば私は何の文句もない。登記完了しておらないならば、共有地は共有地。共有地に変更を加える場合は同意を得てでなければやれない。それを、だれも見ていないからいいだろう、ここまでわざわざ見に来るやつもいないだろう、こういってやるあなた方のこの不誠実。青森県からは社会党の代議士で関晴正というのが出て十分監督していると思ったが、にもかかわらず平気でおやりになる。ひどいですよ。これもまた今訴訟になったでしょう、とうとう。どうです、訴訟になったのじゃありませんか。お答えください。
  75. 山内善郎

    山内参考人 地元関係者の共有地でございますから、だれも見に来ないだろうからいい、こういうことは私は考えられないだろうと思います。それは、関先生は見に来ないかもしれませんけれども。ただ、やはり慣行上、先ほど申し上げたように事実上持ち分みたいにして使っておるわけでありますから、これは異議がないものと判断してやったわけでありますが、今法的な措置をとられましたので、事業団としてもそれに対応して判断をすることと思う次第でございます。
  76. 関晴正

    ○関委員 とにかく漁業補償については秘密、そうして今度は、共有地についてはやってもいいだろうという勝手な判断。行政機関が法に基づいて行政行為をしなかったら、もうめちゃくちゃですよ。法によって縛られているからこそ、行政機関というものはいろいろと苦労もあるし、また考えもなきゃならない。そういう点について、私はあの地域においてはいろんなことがあると思っています。不法地帯だ、こうも言いたいくらいです。  その一つの例に、原子力船母港をつくるときに、あの地域には、下北半島の沖合に活断層が走っている、南北百キロにわたって活断層が走っている、この活断層が動いた場合にはマグニチュード八・一一、こういう権威ある学者の計算方法も受けてお話をした。そのときに東京、東北両電力会社は、その後調べた結果、あれには活断層はないと発表された。じゃ、ないというならばその生データを出しなさいと言ったら、それはお見せするわけにはいかないと言って断った。県当局は東北電力のまた株主でもあります。ぜひそういうような資料があるならば、とって当然見せてもらうべきだと思うし、また見るべきだと思うのですが、それについてはもう賜にごらんになって大丈夫だと、こうなっているのでございましょうか。その一点だけ伺っておきたいと思います。
  77. 山内善郎

    山内参考人 調査の結果は県として見ておりません。しかし、両電力が調査をした結果は報告を受けてございます。
  78. 関晴正

    ○関委員 今にせものが横行している時代ですよ。今日、まがいものの多い社会ですよね。我々科学技術委員会においても、生データを出しなさいと求めても出さない。報告だけは立派な報告をしていますよ、学者の意見を付して。その学者がことし雪の下敷きになって死んでしまいましたよ。悪いことをすればとんでもないことになるものだなという感に私は打たれました。今度は御用学者が亡くなったからどうなるんだろうかと思っていますけれども、少なくとも科学には政党性の問題がないのです。白いものは白いし、黒いものは黒いんだ。自民党が見れば黒くて、社会党が見れば白いなんというものではない。白いものは白いし、黒いものは黒い。科学というものはそういうものだと思うのです。ですから、そういう危険な活断層が走っているのですよと言われたら、生データを、社会党の関には見せなかったそうだが県には見せてください。もうこの問題だけでも三年たっていますよ。私はもう見ておるのだろうと思ったのだが、見ておらぬようですから、ぜひ見せてもらって、誤りのないように当たっていただきたい、こう思います。  最後に廃船問題について。そうしてここで港づくりもみんなやめたとなれば、青森県は核燃料サイクル基地にも協力しない、こう言い張っておると聞くのですけれども、それとこれと取引するお考えでございましょうか、伺っておきます。
  79. 山内善郎

    山内参考人 「むつ」問題と核燃料サイクルの問題を関連して進める考えはございません。
  80. 関晴正

    ○関委員 とにかく青森県の下北半島が、原子力船の「むつ」だけでも昭和四十二年から今日まで十七年間、行政はもみにもまれ、揺れに揺れてきたと思います。そうして今度出てくるものは何かというと、核燃料サイクル基地の問題。大変な問題です。  岩動長官は、サイクル問題を片づけてもらうためにも五者協定を守らなければならない、こう言っておられるようです。幸いに、今それとこれとは別問題だとおっしゃったようですから、どうか廃船になって、そうして事が進められるようになったならば、それはそれなりのことということで見ていただきたい。そうしてまた、核燃料基地の問題については、何も国の権力にくっついて、あるいは電力会社の家来になり下がって、あるいはむつ小川原の現況に憂いをともにして事を進めるなどということのないようにして、無知と善意が悪用されて、いつの間にかとんでもないところに置かれたなどという悔いを千載に残すようなことだけはしてもらいたくない、私はこう思っております。  幸いにして、きょう副知事さん、市長さんを賢明な我が科学技術委員会委員長がお招きして、こういう質問の場をつくってもらったことは本当にありがたいことだ、こう思います。この企画に感謝を表明して、私の質問を終わりたい、こう思います。ありがとうございました。
  81. 大野潔

    大野委員長 小澤克介君。
  82. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 残り時間わずかでございますので、二、三点だけお尋ねいたします。  その前に、参考人におかれましては、お忙しい中を大変御苦労さまでございます。  山内参考人にお尋ねいたしますが、先ほど出ました。地の買収価格の点でございますが、まず防風林は土地の定着物でありまして、土地所有権そのものに包含されるということになると思いますし、それから防風林としての機能は、まさに土地の機能そのものだと思います。したがいまして、土地の代金には、この防風林としての価値あるいは防風林そのものも含めて当然設定してあるのではないか、そう考えますが、その点いかがでしょうか。
  83. 山内善郎

    山内参考人 お話のとおりと思います。
  84. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、土地の値段そのもののほかにさらに防風林を補償したというのは、根拠がなくなるのではないかと思いますが……。
  85. 山内善郎

    山内参考人 私ちょっと勘違いをいたしたと思います。土地代金は土地代金として支払い、その上にある防風林は防風林の補償として支払ったわけでございます。
  86. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 最初にお尋ねしたときは、防風林というのは土地の定着物として土地所有権そのものに包含されるし、その機能も土地の機能そのものではないかとお尋ねしたら、そのとおりであるとおっしゃったのですから、矛盾すると思うのですが、時間がありませんので。  もう一点お尋ねしたいのですが、地権者会にお金を支払ったとおっしゃいましたが、この地権者会なるものは法人格があるのでしょうか。
  87. 山内善郎

    山内参考人 法人格でございません。
  88. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今の点はそのくらいにいたしまして、引き続いて山内参考人にお尋ねいたします。  五者協定の本質は、「むつ」の大湊への仮停泊を認める、それを認めるに当たっていろいろな条件を付した、こういうふうに理解できるのではないかと思いますが、そのような理解で間違いないでしょうか。
  89. 山内善郎

    山内参考人 おっしゃるとおり、大湊港に仮泊を認めます、しかしそれを担保する条件として、外洋に定係港をつくるとかそういう約束がなされたものと思っております。
  90. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、「むつ」が廃船ということになりますと、いわばやむを得ず仮停泊を認めたという五者協定の本質からすれば、仮に五者協定が変更されることになっても、とりたてて県には不利益はないのではないか、いわばやむを得ず受け入れたのが今後受け入れないで済むことになるだけではないか、こういうふうに思うのです。先ほどから、協定協定だから守ってほしいとおっしゃるのですが、具体的にどういう不利益をこうむることになるのか、教えてください。
  91. 山内善郎

    山内参考人 不利益ということは具体的には考えられませんけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、国、県、地元の市、漁業団体、原船事業団が正式に協定を取り結んだものが破棄されるということになりますと、県といたしまして今後県行政を進める上からいたしましても、県民に県、政府への不信感というものが残りまして非常にやりにくくなる、そういうことが生じてまいると存じております。
  92. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そのように伺います。すなわち、具体的な不利益ということではない、いわば政治的な不信感が心配であるというように伺っておきます。  もう時間がほとんどございませんので、これは山内参考人、次いで菊池参考人の両者にお尋ねしたいのですが、仮に「むつ」を出力上昇試験をしないまま、若干はやっていますけれども、すなわち原子炉がほとんどきれいなままで廃船をするという方針になりました場合に、大湊でそういう作業をするということになりますと、いろいろ支障がございますでしょうか。特に先ほど副知事さんは、大湊の再母港化は絶対に認められない、こうおっしゃいましたが、出力上昇試験をしないまま、しかも廃船のみであったらいかがでしょうか。
  93. 山内善郎

    山内参考人 先ほどもお答えしましたが、五者協定締結する場合の県の態度といたしましては、原子力平和利用舶用炉開発協力をするということで進めてまいりましたので、何もやらないで廃船ということになれば、県としては非常に残念だと思っております。  それから、大湊港でやれるのかというお話でありますが、これはできないと思います。廃船を直ちにあそこでやるということになれば、陸奥湾漁民は、いや私のところではやってはいけない、よそでやってください、こういうことで、「むつ」にどこかへ出ていってくれという結果を生ずることになると思います。
  94. 菊池渙治

    菊池参考人 前提条件山内知事と私との意見がちょっと違いますので、申し上げます。  五者協定仮泊が前提ではございません。関根浜新定係港をつくって、そこで所期の目的に沿った事業を行う、その間長崎へ置くわけにいかないから大湊港へ仮泊を認めてほしい、それが四者協定を守る口実の最大の理由でございました。正式には守らないけれども、やや守ったという理由がそこでつけられたと思います。そういうことからしますと、新定係港をつくらないことになって、新定係港でいろいろのことをやらないということになりますと、大湊港の仮泊の前提条件が崩れるというふうに私は理解をいたしております。この点、多少山内知事の認識と相違がございます。  では大湊でできるかということでございますが、正確に言ったら、廃船の問題は、過去において我々地元をひっくるめた五者で話し合いはいたしておりません。これは当時、国の至上政策である原子力船はどうしてもやらなければならないという前提が一つございました。しかし、大湊港でということになりますと、経過から踏んで極めて困難であろうと思いますし、また先ほどもちょっと申し上げましたように、原子力施設としての機能を失ってきておりますので、その法律上の問題があろうかと思います。それから、経過における社会的な大きい問題があろうかと考えております。
  95. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 時間が経過いたしましたので、最後に菊池参考人に一点だけお尋ねして、質問を終わりたいと思います。  先ほどの菊地参考人の最初のお話の中で、五者協定に関しては、時間に迫られて、いろいろな点で詰めを欠いたままやむを得ず調印をしたというふうにおっしゃいました。現在どういう点について問題点あり、特に新港に関してどういったところにいろいろ問題があるかということについて、お考えを教えていただきたいと思います。  それからもう一つは、その際に忍びがたきを忍んで調印をしたのであるということですが、何ゆえに忍びがたきを忍ばざるを得なかったのか、いかなる状況、いかなる圧力があったのか。  それからもう一つ廃船も含めて冷静な議論をする状況でなかった、そういうことを言っても何か言えばあいつは廃船論者だということでいろいろ攻撃を受けた、自由な議論ができなかったのが最近に至って議論ができるようになって大変喜ばしい、こういうお話がありましたが、もしそれが事実であれば、まさか大政翼賛会の世の中でもないのに議論ができなかったというのは大変なことだろうと思いますので、どういう状況があったのか、その辺をつまびらかにしていただきたいと思います。
  96. 菊池渙治

    菊池参考人 先ほど関先生お話しのように、活断層をひっくるめたいろんなデータの問題で未解決の点がございます。活断層につきましては、活断層研究会が「日本の活断層」というもので指摘いたしております。それに対して事業団はそうじゃないということを言っておるわけですが、御承知のように活断層研究会は、海上保安部か地理調査所か何かでエアガンの測定によって判定したものだ、こう言われております。その反面、事業団の方はスパーカーだと思いますが、四カ所ぐらい二キロないし四キロぐらいの間隔でやっている。「日本の活断層」で活断層らしいということを否定するには余りにも簡単な否定の仕方ではないか、もし否定をするならば、スパーカーで五百メートルないし一キロメートルくらいのメッシュをもって調査をし、さらに数カ所のボーリングをして、ないという結論を出すべきではないかという提言を行っております。さらに気象の調査あるいは反射波の問題、いろんな問題をひっくるめまして、あそこのデータについても多少我々は意見も持っておりますし、疑問も持っております。さらに、一般的にあそこは非常に難しい海域である、こうも言われております。  そういうことからいって、今後のこの建設については我々もかなり真剣に取り組んでいかなければならないであろうと思いますし、事業団あるいは科学技術庁、さらには大蔵当局にも真剣に考えてやっていただかなければならないだろうと思います。財政状況がどうだからということで、今必要な予算が削られるようなことが出てくることを最も心配をしているところでございます。  それから、忍びがたきを忍んでということについてでございますが、私はやはり先ほども申し上げましたように四者協定を守るということ、あの時点での原子力行政を進める上で信頼関係を損なってはならない、信頼関係の維持、回復、増進が最も中心であろうと思いました。それで、できればあそこの問題を完全に当初の四者協定締結時代のことでやってほしい。しかし、せっぱ詰まってどうにもならなくなったあの事態において、私が拒否権を発動することは簡単でございますけれども、一層原子力行政の混乱がくるだろう、そのことを一つ考えまして、事後のものは事後のものとして解決をし得ないものでもないだろうし、これは大変難しいことであろうと思います。特に我々みたいに非力な者にとっては大変な事態でございますし、その当時よりもまた財政状況に対する厳しい御批判もありますし、いろんな御意見が出てきておりますから、困難さは増してきているだろうというふうに思います。
  97. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 議論できる状況でなかった、十分何か議論ができなかったという点。
  98. 菊池渙治

    菊池参考人 どうも申しわけありませんでした。  これは大山報告書でも指摘されておりまして、何か言うとあれは反対だからということでやってきたのがああいう放射線漏れを起こした原因だ、こう言われておりますし、私もそのために、かつて浪人中に事業団の中で原子力船をバックにして写真を撮ることさえも拒否されたわけです、あなたは反対派だからと。しかし、その後多少物が言えるようになりましたのは、中川長官に、あなたは反対派じゃない、慎重派だと言われてから多少大っぴらに物が言えるようになったわけでございます。はっきり申し上げますとそういう経過です。  それで廃船の問題についても、私は廃船にすべきかどうかということまで詰めるわけにいきませんけれども、そういう議論もあるじゃないか、だんだんそういう方向がむしろ強くなるような感じがするが、そうなったときのことも考えるべきだし、今もう一度そういうことも考えていいのではないかということは申し上げた経緯がございます。
  99. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 どうもありがとうございました。
  100. 大野潔

    大野委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  101. 大野潔

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  102. 小川新一郎

    小川(新)委員 今、日本の科学技術、原子力問題において世論が全く分かれておる中で、「むつ」問題は大きな政治問題化しておることは御案内のとおりであります。そういう時節柄、八月三十日という原子力船むつ」の存廃にかかわる大切な時期に、本委員会委員長は特別な御配慮をいただき、遠く青森県の副知事並びにむつ市長さんを本委員会にお招きをいただき、我々委員の忌憚のない意見を、また質問をこの場においてお与えくださいました委員長にまず御礼を申し上げるとともに、遠いところをお運びをいただきました両先生には大変御苦労さまでございます。逐次、時間がございませんが、簡単に質問させていただきます。ダブるところもございますが、どうかひとつ党の立場を御理解いただきまして、御答弁をお願いしたいと思います。  先ほど御論議を聞いておりまして、政治の板挟みの中で非常な苦悩をなされている姿を拝見いたしました。これは人間として、また政治家として、所属政党、イデオロギー、思想、信条、そういうものの中で物事を判断するということの厳しくもまた苦しい立場をお互いの中で開陳をすることは、一つは国のためであり、国民のためである。さらに二十一世紀を目指す日本の科学技術の進展のために、私たちの次代を担う子供や孫のたかの発展に、この原子力船の「むつ」の存在が後世の歴史の中でどのように着荷たちに評価されるか、そういう大切な問題を踏まえた議論の中で、私は軽々にその信念を曲げるわけにはいかないという担当者のお互いの苦衷をお察しいたしながら質問するものでございます。  私ども公明党は、さきに原子力船むつ」に対して、党独自の視察団を送りました。その節、青森県並びにむつ市の市長さんには大変御配慮をいただき、御便宜を賜りましたことを、この席をおかりいたしまして御礼を申し上げる次第でございます。また、これからも委員会で議員派遣が行われるわけでございます。  それほど大きな関心を持つ問題でございますが、これが自民党の科学技術部会、そして「考える会」、これは他党のことでございますから、我々野党はとやかく言う筋合いのものではございませんが、政府自民党という言葉を本委員会で岩動科学技術庁長官はその政治の信条の中でも述べられているとおり、私どもはこれは非常に大きな関心を持っておるわけでございます。  この「原子力船考える会」、自民党の科学技術部会のとった態度、姿勢、これはどのように御評価なさっているのか。こういうことは皆様方のお考えの中に意を得たものなのか、または大変迷惑なことなのか。また将来こういう問題が蒸し返されることについては、いたずらに現地の混乱を巻き起こすだけなのか。しかし、国家大計の前に、過ちを過ちとして認め、国民のため、さらに二十一世紀を目指す立場に立って大転換をしなければならないのか、この辺のところは非常に大きな問題でございますので、両先生にまずお尋ねしたいと思います。
  103. 山内善郎

    山内参考人 自民党の科学技術部会の発言、決定につきましては、県といたしましては、先ほど菊池市長からもお話がございましたが、ああいう意見が出るとすれば、これは昭和四十九年の放射線漏れを起こしたとき、または長崎から青森県に回航される前にこの論議がなされるべきであろう。現在、今に至って、五者協定締結された後にああいう決定が実行されるとするならば、非常な混乱を起こすものと考えております。
  104. 菊池渙治

    菊池参考人 小川先生には、この前大変御苦労さまでございました。その際にいろいろ失礼を申し上げて、申しわけございません。この機会におわびをさせていただきます。  ただいま、自民党の「原子力船考える会」あるいは科学技術都会の決定についてどのように評価をされているかということでございますが、今副知事からお話がございましたが、私もやはり時期としてひとつ考えていただきたかったという率直な考えを持っております。  それは五十五年の五月、科学技術委員会参考人としてお招きをいただいて意見を述べる機会があったわけでございますが、その際にも、本質的なお話をするべき時期ではないかということを申し上げております。さらに、五十六年の「原子力工業」においても、私はこういう事態を収拾するために関係方々が率直な意見を出し合って、将来間違いのない方向を見出して着実に事を処すべきだということを申し上げ、また書いたことがございますが、あの機会はやはりそういう一つの機会であったろうと存じます。  その際、どこからも余り表面立った動きがなく、陰でのいろいろなお話は実はありましたし、承ってもおります。しかし、それはそれとして、やはり原子力関係は私はもう少しオープンに、率直な意見の話し合いをすることが、両極に分かれているという先ほどのお話がございましたけれども、これを埋めていく大きな力になっていくだろうと思います。大山報告書の指摘にまつばかりではなく、何か言うと反対と、私はこのことについては身をもって四十二年以来経験いたしておりますので、そういう点から申しますと、時期は我々地元にとっては余り芳しくない時期であったと思いますけれども、自民党先生方の御意見が堂々と出てこられたことに対しては敬意も表しますし、またこの機会にああいう議論がどんどん出る土壌が原子力業界に出てくることを心から望んでおります。
  105. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは私の老婆心ながら考えるのでございますが、我々野党の科学技術部会の発言というよりも、政府の直属の政党の科学技術部会の決定権というものは、我々のはかり知れないほど自民党の中に重きがあり、またその意思決定が大きな世論を生み出すことも事実でございます。こういう問題が出る背景に、御苦労をおかけしておりますむつ市長または青森県当局に再三の御相談があって、こういう問題を発表するぞ、こういう考え方に対する議論に対してあなた方は大丈夫か、こういう民主主義的な話し合いの場というものが最前線で活躍なされる執行当局者の耳に届いておれば、こういう混乱が起きないし、何となく胸につかえたような御答弁をせずに済むのではないかと、私は私なりに老婆心ながら考えている一人であります。そういう点で、私はそういうお話がなかったものと思っておりますが、いずれにいたしましても、この問題については重大な決定をしなければならぬところに参りました。  そこで、私は一つずつお尋ねしますが、現在の「むつ」の廃船ということは、これに携わった人間も廃人でございます。これは、当時原船事業団の案内で「むつ」の船長また従業員の方々、当事者の方々に会ったら、廃船はおれたちの廃人につながるのだ、少なくとも廃船という言葉は使っていただきたくないということを涙ながらに訴えられた。これは一つの人間の心情だと私は思うのです。「むつ」とともに生き「むつ」とともに死ぬという決意で今日まで勤められてきた方々にとって、廃船ということは廃人につながるのだという論理もまた成り立っているということを考えつつ、私は、この「むつ」の安全というものは一体今大丈夫なのかということを質問したわけであります。  「むつ」の遮へい、改修、安全性総点検及び補修工事はすでに終わっているということであります。これらは一体完全なものと見るのかどうか、現在の「むつ」の安全性についてはどのように考えられていらっしゃるのか、これが一つであります。原船事業団は、「むつ」は安全であり、きょうでもあしたでも、いつでも出動できる態勢にあると言っております。この問題について、どちらの先生でも結構でございます。御答弁をお願いしたいと思います。
  106. 山内善郎

    山内参考人 県といたしましても、原子力関係につきましては、何といたしましても安全性確認することが最大の問題だと思っておりまして、原船「むつ」につきましても、修理後安全なのかどうかということを国に対してお伺いをいたしたわけでございますが、科技庁のお答えといたしましては、十分慎重に安全性の審査をしたので大丈夫であるというお答えを得ておりますので、そう考えておる次第でございます。
  107. 小川新一郎

    小川(新)委員 しかし、この問題については、菊池市長さんは、機能試験はいつ行ってもよいのではないかという御理解あるお答えを聞いておりますけれども、北村青森知事さんは十二月一日、「むつ」の機能試験漁業団体の反対があれば難しいとの見解を示しております。これはどうなのでしょうか。
  108. 山内善郎

    山内参考人 機能試験等につきまして、事業団の方から要請があれば地元三者でいろいろ相談をいたしたいと思っておりますが、私は、関根浜の工事が具体的に進められる前に漁業団体に話をかけても、なかなかこれは面倒だろうと考えておるわけでございます。関根浜に本当に新しい定係港をつくって、いずれはここからいなくなるのだという考え漁民が持たなければ、機能試験といえども賛成を得ることは面倒だと思います。
  109. 小川新一郎

    小川(新)委員 この説得は為政者の責任であると私は思いますけれども、これは、きょうは当局の御答弁を得られませんので、原子力安全の立場から、また原子力推進の立場から、科学技術庁原子力の両局長にお尋ねするのが筋でございますけれども、きょうは両先生にお尋ねすることでございますので、それはできないといたしましても、私は、例えば「むつ」の安全性に疑念がある場合には、同じ条件下で関根浜ができたとしても、これは同じような心配が出てくるのではないのでしょうか。
  110. 山内善郎

    山内参考人 関根浜で実験をした際に昭和四十九年のようなトラブルが起きたとすれば、これは地元としても大変な問題になると思います。そういうことになりますと、あの船をどうするかというふうな問題は、国としても考えていただかなければいかぬと存じております。
  111. 小川新一郎

    小川(新)委員 市長さんのお答えもお願いします。
  112. 菊池渙治

    菊池参考人 私は、安全の問題についてまだ確信を持っておりません。これからの問題だというふうに理解をいたしております。原船懇の御指摘にもございますように、いろいろトラブルはあるだろうと思いますし、また、ふぐあいという言葉が使われている場合もございますが、そういう問題はいろいろあろうかと思います。しかし、やはり原船懇も言っておりますように、そういうものに具体的にどう対応するか、対応できるようなものに定係港及び附帯陸上施設をするのかどうかということにかかってくるだろうというふうに思います。  それから、私は、陸奥湾で起きるならばまた関根でも起きるということはそのとおりだと思いますが、同時に、陸奥湾で起きなくても関根で起こる場合はあり得るだろうと思います。と申しますのは、時期がかなり、数年経過するわけですから、その間の安全確保として、今の大湊港の機能の範囲でできるものだけでもやっておいた方が、また関根の当事者でもあります私にとっては必要なことではないかということを申し上げた経緯がございます。
  113. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、一体どういうときになったら安全が確認できるかという問題でございますね。今のお話を承っておりますと、政府の言っていること、五者協定の実施についての疑念のもとで「むつ」の安全を論じているように私には思えてならない。  その一つが今申し上げましたように、関根新港におけるすべての施設や附帯工事や港としての機能ができ上がらないうちは絶対実験させない、安全じゃないんだ、この論理は私は違うと思うのです。鉛そのものの安全性というものは、これは船の実体の問題でございまして、それと政治問題とを絡めた、約束問題を遂行しないうちの安全はおれは確認できないんだという発想の考えは、これは「むつ」にとってまことに不幸だと思うのでございますが、これも一概に私どものような部外者が、先生方のように現地で死ぬような思いの苦しみをなさっていらっしゃる方々の前で言う言葉ではないかもしれませんけれども、私はあえて言うならば、日本の原子力の科学技術、最先端科学技術が日進月歩に進んでいる今日、十六年間も二十年間も放置して、その間に進んだすべての技術等を投入して修繕、補修、点検、遮へいその他のことをやっている「むつ」がいまだに安全性が保証できないなどということは、これは国の原子力安全に対する技術の問題が世界の各国にどのように映るかという問題にさえなってくるわけです。それともう一つ関根新港の政治絡みの約束問題を取りつけるという問題を絡めては、私は議論がちょっとかみ合わないのではないかと思うのでございますが、端的で結構でございます、いかがでございましょうか。
  114. 菊池渙治

    菊池参考人 この安全の問題については、四十九年に放射線漏れが起きました際に、内田秀雄、当時安全審査会の会長であったと思いますが、「むつ」の安全審査の委員でもございましたが、今その安全を確認する行動をしているのであって、これが無事終了して初めて安全が確認されるのだという国会答弁を、私この耳で聞いております。やはりこれが真実であろうと思います。ただむやみに安全ではないと私は思ってもおりませんが、それにしても、やはりやるについてはトラブルもあるだろうしいろいろあるだろう、それに対応するだけの十分なことがあってやるべきだと思いますが、過去の経緯からいうと、事業団にはその熱意と方法が欠けていたのではないか。それが放射線漏れを起こした原因でもあろうかと思います。そのことをこれから十分に事業団科学技術庁に我々は言いながら、そういうことのないようにして安全の確認をすることだろうと考えております。
  115. 小川新一郎

    小川(新)委員 お話を承っておりまして、まことにそのとおりだと思います。これには抜き差しならない両者の不信感、人間としての不信感が前提に立ったところに、いろいろな問題が重なり合って「むつ」の今日の悲劇があると思います。  そこで私は、政府がもし仮に、この五者が集まってあらゆる角度から検討し、今後の青森県、むつ市の問題、漁業補償の問題、地元住民環境アセスメントの問題、すべての問題を踏まえた五者協定を守らなかった場合には、政治の動向の流れとしてそういうときが来た場合は、協定の当事者である青森県及びむつ市はどのような対応をする考えなのか。また政府が五者協定を守れば、今後とも青森県及びむつ市は「むつ」の実験に最大限の協力をしていく考えなのか。政府が五者協定を守らない場合の政治不信の大きさは一体どれほどと考えているのかということは、ただいま私の質問の中での御答弁でかいま見る思いでございますが、その辺のところ、政府科学技術庁、原船事業団には協力をしないという前提に立って物を判断するのかどうか、この二点、両先生にお願いします。
  116. 山内善郎

    山内参考人 五者協定が破棄されたといたしますと、まず県内漁民からは直ちに原船「むつ」は大湊から出ていっていただきたいという要望が出ると思います。そうなりますと、「むつ」は再び洋上に漂流する船となると思います。  また、五者協定を完全に履行するということで進めてくださるのであれば、県といたしましては、今まで同様、政府事業団に全面的な協力をしてまいりたいと存じております。
  117. 菊池渙治

    菊池参考人 そういうふうにならないために、御協力を今までもしておりますし、これからもしていくつもりでございます。
  118. 小川新一郎

    小川(新)委員 大変これは不幸な大問題になる仮定の質問でございまして、時間がありませんのでこれ以上のことは詰められませんが、私も事の重大性を認識した上で質問しているつもりでございます。  漁業補償の問題については、先ほどもお話ございましたように、いろいろと問題があるようでございます。私は地元の人間でございませんから、軽々に物を言える調査もありませんが、地元青森県及びむつ市に対して、「むつ」を人質にとって漁業補償費、漁業振興費、地元対策費等の国費をたかっているという、いわゆるたかり論について、この際反論があるならば反論をしていただき、正論があるならばそれをお述べになっていただきたい。  また、地元対策費等の内容はどのようになっているのか。  三点目には、「むつ」の大湊港の入港に伴う魚価安定基金については、原子力船むつ」が凍結状態にある現在、基金は必要ないとの意見がございますが、これについてはどのような御見解を持っていらっしゃいますか。これは青森県当局の方がよろしいと思いますが、いかがでございましょう。
  119. 山内善郎

    山内参考人 漁業補償、先ほども申し上げましたが、当初提示六億二千万から最終的には十八億になった、三倍近い最終妥結である、これは漁民のいわゆるゆすり、たかりの根性ではないかということが新聞紙上等に言われておりますが、先ほども申し上げましたとおり、県といたしましても、この十八億の補償額は決して基礎のないものではございません。先ほど関先生にもお答え申し上げましたが、配分その他、完全に終わりましたときには、算定根拠についても公表する考えでございます。  また、大湊港に停泊するに際しまして、陸奥湾漁民に風評による魚価の低落に備えるための基金をつくることを陸奥湾漁民は要望したわけでございます。これは私といたしますと、長崎で二十億出しておったわけでございますから、船が入るときにその二十億を積んでくるのが当然だと考えたわけであります。しかしながら、それは履行されないで新たな基金、これは長崎と違って現金で受け取っておるものではございません。十七億という金をお借りして、利子補給を事業団にしていただいているという経過でございます。  先ほど当初の陳述の中にも申し上げましたが、過去において八戸港で天然水銀によるにもかかわらず汚染されているといううわさが立ちまして東京の築地市場に水揚げをされなかったという苦い経験もございまして、漁民といたしましては、今問題になっておる原子力船、過去に放射線ではございましたがそういうトラブルがあった原船「むつ」でございますので、風評によりましてホタテその他の魚価の低落等が起こった場合には、その基金を使わしていただくということで、基金を今用意したわけであります。
  120. 小川新一郎

    小川(新)委員 今「むつ」は凍結状態でございますからそういう被害がないわけでございますが、それでも必要なのかということでございます。この御答弁は結構でございますが、そういうことでございます。  関根浜新港の基礎となる捨て石、消波ブロック、資材を選ぶ作業船が関根浜漁協などの大漁業団体の持つ海面を通過するときに、漁船の航行や操業に及ぼす毎年の実損補償額、これは一体どうなっているのかということでございますが、昭和五十八年度分一千万円、昭和五十九年度分六千万円、合意なさっております。これも私どもにはよく理解できないのでございますが、あの広い海面で一体これだけの補償を必要とするのかどうかということでございます。
  121. 山内善郎

    山内参考人 船が作業のために通ります場合には、そこに張ってあります網等も除去しなければいかぬというような事態も出てまいります。そういうことを実際に調査した上で、事業団と大漁協とは補償締結をいたしたわけでありますが、県といたしましても、県独自の「漁港港勢調査」という資料がございまして、その資料に基づいていろいろチェックいたしましたが、事業団が約束いたしました金額と大差がないということで、おおむね妥当と認めた次第でございます。
  122. 小川新一郎

    小川(新)委員 市長さんにお尋ねいたしますが、漁業振興費五億円はむつ市を通じて実施されることになっておりますが、この使い方、むつ市にどのように関連があるのでございましょうか。
  123. 菊池渙治

    菊池参考人 漁業振興費五億円、これは関根浜漁協の漁業振興事業に使うということでございます。それで、一部設計その他に入っているものもございますし、これは普通漁業振興対策と言っておりますが、民生安定も若干使えるというふうになってございます。
  124. 小川新一郎

    小川(新)委員 関根浜漁協の年間水揚げはどれくらいあるのですか。
  125. 山内善郎

    山内参考人 現在、年間約七億と聞いております。
  126. 小川新一郎

    小川(新)委員 昭和五十六年度が二億八千万円で、現在が七億になったのでございますか。二年間でそんなにはね上がるのですか。
  127. 山内善郎

    山内参考人 県といたしましては、新たに底建て鋼その他に漁業権を与えておりまして、新しい漁獲がふえてまいりましたので、それだけふえたものと思います。
  128. 小川新一郎

    小川(新)委員 私どもが視察に行ったときにはそのようなお答えがなかったのでございますが、私の耳の聞き違いでございますでしょうかどうか。また改めて調査いたしますが、きょうは議論はいたしませんが、二億八千万と私認識いたしておりましたもので、ちょっとお尋ねしました。  また、関根浜新港の建設によって漁業権が消滅するのは、関根浜漁協の漁業権施設区域全体のうちどれぐらいでございましょうか。
  129. 山内善郎

    山内参考人 申しわけございません。ちょっと資料が……。
  130. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がございませんから、先の質問をしたいと思います。  それでは、そちらで調べている間に、青森県議会及びむつ市議会、この両議会において、原子力船むつ」の漁業補償問題、関根浜新港、関根浜附帯陸上施設の用地買収土地代金などについては、どのような御意見が出ているのでございましょうか。  先ほど私は関先生の質問のやりとりを聞いておりまして、国会でこれほど一地方公共団体の自治問題に関する、憲法九十何条でしたか、地方自治の本旨に従ったいろいろな問題点を国政の場においてきめ細かく議論をする。当然この両議会においても、地方自治の本旨に従ったところの意見もしくは質疑等が出ておるはずでございます。これについて御所見をお願いいたします。
  131. 山内善郎

    山内参考人 県議会におきましても、この問題は常に大きく取り上げられておりまして、支払われた漁業補償の額は正当であるか、そういう問題は常に論議になってございます。  また、土地の買収の問題につきましては、今の進捗率はどの程度であるかという質問が先議会でたしか出たと思いますが、先ほど関先生がいろいろ質問されました具体的な話は、県議会では現在のところ出ておりません。
  132. 菊池渙治

    菊池参考人 漁業補償につきましては、市の議会では是非の議論は出ておりません。決定と経過の報告をして、直接市行政と関係ございませんから、両方が合意ならいいだろうという程度でございます。  土地についても、高い安いというような話は出ておりません。早く買うような方法を講ずべきではないかという議論は出ております。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 先ほどの質問の御答弁、できましたでしょうか。
  134. 山内善郎

    山内参考人 関根浜漁協の持っております共同漁業権の海域の面積の約四・三%に当たります。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま私、大事な御答弁をいただいたわけでございますが、国会において社会党の先生がこれほど真剣に、きめ細かく、地方自治体の一番必要な財政の問題、補償の問題、国との絡みの問題、憲法との兼ね合いの問題、法律と条例の関連性の中において議論すべき重大な問題点について、青森県議会も、むつ市議会においても、そのようなきめ細かい議論がないということは、私は残念に思う一人でございますが、また物を変えて見れば、これが一体どのように地元では消化されているのかということで、遠く離れた中央の我々がこのような関心を持つということも不自然ではないと思う一人であります。そして、国の運営の誤りが、決断の遅さがいろいろな問題点を醸し出したことも事実であります。  そこで私は、国への要望と、また、原子力政策の最高機関である原子力委員会の中に設置された原子力船懇談会が昨年十一月二十九日、「むつ」の活用論と新母港建設推進を打ち出した報告書について公表されております。こういった問題について両先生はどのように評価され、この新母港建設推進を打ち出した報告書に対してどのように御理解を持っているのか、反論があるのか。私どもは地元の当局の考えを非常に注目しておりますので、会議録にとどめおき、さらに検討の資料としておきたい、このような気持ちを持って御質問しておるわけでございます。限られた時間でございますので、まずこの一点、お願いいたします。
  136. 山内善郎

    山内参考人 原子力船懇談会の報告書にいろいろ記載がございますが、その線に沿って地元関係者と今後いろいろ相談をして進めてまいりたいと存じております。
  137. 菊池渙治

    菊池参考人 大体、従来議論されてきたことが網羅されているというふうに考えておりますが、賛成の部分も反対の部分もございます。  私が一番気にかかりますのは、陸上試験が金と、技術的に面倒だからやらないということでございます。船舶機関規則で、一般の船でも陸上試験、さらに海上試験をやっている船に積むということが規定をされておりますが、原子力船に限ってそういう手続を踏んでやっていないというところに一つ大きい問題があるように考えております。  それから同時に、その他指摘されました問題を先送りしないで着実に解決しながら進むべきだというような議論は、これは我々も前々から指摘している議論でございますし、具体的にも傾聴すべきものは多々あろうかというふうに考えております。
  138. 小川新一郎

    小川(新)委員 骨子を申し上げれば、原子力船実用化時代は明確ではないが、原子力船開発は必要だ、「むつ」を活用すべきである、関根浜母港建設はやむを得ない、大湊停泊中の「むつ」検査等については協議するというのが、この報告書骨子でございます。これをお認めになっているわけでございます。この政治的判断は、いずれにしても大変な問題でございます。  そこで、原子力船むつ」について政府の対応がまだはっきりしておりませんが、政府に対する要望事項があれば、率直にこの席でお述べをいただきたい。  また、「むつ」の今後の正式な実験計画は知らされているのかどうか、この二点についてお尋ねするとともに、時間でございますから最後の結びといたしまして、青森知事の「原子力船むつ」と青森」というこの小冊子には、「以上、原子力船むつ開発経緯地元関係者としての県の考えについてお話ししてきたわけでありますがことあって、そして最後に、「青森県においては、東通村において東北・東京両電力が原子力発電建設のための漁業補償交渉を進めており、大間町において電源開発株式会社が新型転換炉(ATR)建設のための諸調査を進める等多くの原子力開発プロジェクトが存在しております。更には、青森県においては、三沢基地を中心とした防衛上の諸問題も抱えているのであります。従いまして、私は国策に対する地域住民理解協力確保し、広まりつつある政治不信を払拭するために、政府自民党においては、今後とも五者協定を順守されるよう切にお願いしたいのであります。」というのが青森知事の「結び」であります。  これは、本来この席に岩動科学技術庁長官、事業団の総裁、こういう方々がおる中で、もっと大きく言えば中曽根総理も出席をして、皆様方の角を聞いていただきたい場面の展開でありますけれども、それがない今日、会議録におとどめをいただきながら、私は次の機会を、高邁なる委員長の判断によってこれからもこういうチャンスを求めることを期待しながら私の質問を終わらせていただきますので、簡単に御答弁をお願いいたします。
  139. 山内善郎

    山内参考人 県といたしましては、先ほどからたびたび申し上げておりますとおり、政府に対しましても、ぜひ五者協定の線に沿ってこれを着実に実行していただきたいとお願い申し上げたいと思います。先ほどお読みになりました最終の「結び」、知事の発言のとおりでございます。
  140. 菊池渙治

    菊池参考人 要望があるならば言えということでございますが、今までの経過を見ますと、今までの経過を踏んでいくのであればなかなか難しいであろうというふうに考えております。  そこで、大山報告書にも言っておりますように、まず事業団に当事者能力を十分につけていただきたいと思います。今も恐らく地元と交渉に当たっておりますのは理事、所長でありますけれども、ほとんど権限もお持ちにならないで交渉に当たっているという状況でございます。本部でも恐らくないだろう。事業主体は事業団であるにかかわらず、事実上は科学技術庁であり、そして科学技術庁は大蔵省の現在の財政状況をにらみながら、ああでもないこうでもないということから時期もおくれ、事態もおくれているという状況を招いていると私は考えております。そこで、大山報告書でも言うとおりに、本当にこれをまじめにやろうとするならば、まず事業団に当事者能力をつけて、職務の権限と責任を明らかにするようなリーダーシップを持ったものをつけてやらしていただきたい、こう思います。もしこれが実現しなければ、またいろいろな問題が出てくる可能性が多いだろう、このことを心配しておりますので、そのことを先生方にお願いいたしたいと思います。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に大変貴重なる御意見を聞いて、私たちも真剣の上にも真剣の二字をつけながら、政府関係当局に野党の立場で我々の考え方を示しつつ、皆様方の今当面している苦しみを取り除く努力をさせていただくことを披瀝して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  142. 大野潔

    大野委員長 吉田之久君。
  143. 吉田之久

    ○吉田委員 山内菊池参考人におかれましては、遠いところわざわざ本委員会まで御臨席をいただきまして、深く敬意を表します。また、先ほど来、長時間にわたりましていろいろと御答弁をいただきまして、大変感謝いたしております。  両参考人の御意見もいろいろ承りましたし、また北村知事の「原子力船むつ」と青森」というこの冊子も目を通させていただいておりますが、皆さん方にとりまして何よりも迷惑なのは、政府の朝令暮改であると思うのです。政治の最も好ましくない姿を露出いたしておりますのが今度のこの「むつ」問題だと思います。そういう点では、十七年間にわたりまして、本当に心身をすり減らす思いで御苦労に耐えてきていただきました責任者のお二人に対しまして、改めてねぎらいを申し上げたいと思うものでございます。  ただ、先ほど来お二人の御意見を聞いておりまして、基本的には断固五者協定を守れと強く御主張なさっております点は、私どもよく確認できるわけでございます。しかし、副知事さんと、むつの市長さんとの御意見の中に、微妙な食い違いがあるようにとれる節々があるわけでございます。  知事並びに副知事さんの基本的な考え方としては、ここまでやってきたのであるから、また政府事業団もその安全性を自信を持って主張しておるのであるから、「むつ」の将来の安全性については信ぜざるを得ない、こういうふうに副知事はおっしゃっていると思うのです。したがって、最近自民党内におきましてもいろいろと議論が続出しているやに思いますけれども、ここに来て、そういう「むつ」の廃船そのものを根本的に検討しようと言い出すようなことは甚だ迷惑であるというふうにお考えだろうと思うのです。  ところが、菊池市長さんの場合には、安全性についてはまだ信じられない節々が残るとおっしゃっているように聞こえます。したがって、ここに来ていろいろと、早急にもう「むつ」を廃船すべきだなどという議論も出ておるけれども、それは論議されること自身好ましいことだと思うというふうに受けていらっしゃると思うのです。  だといたしますと、五者協定に参加されている有力な二つの立場を代表されるお二人が、そういうことで「むつ」の存続そのものについて微妙な食い違いをお持ちであるとするならば、いろいろとまた私どもも考え方を一層検討しなければならないというふうな気がするわけなんですが、私のそういう認識でよろしいでしょうか。お一人ずつお答えをいただきたいと思います。
  144. 山内善郎

    山内参考人 県といたしましては、大湊に「むつ」が回航する前に、県独自で専門家に委嘱いたしまして、安全性の報告をいただいております。そういうことで、県といたしましては、安全性については問題はないという判断のもとに進めておるわけでございます。
  145. 菊池渙治

    菊池参考人 副知事と私と微妙な違いがあるということでございますが、これは考えようによっては当然だろうと思います。県は今まで仲介者という立場できておりますし、私は現地を預かる当事者としての立場を貫いてきておりますから、その違いは当然出てくるだろうと思います。  それで、安全の問題についてということは、我々にはデータは示されませんし、私は炉内を点検をして初めて安全の問題が解決つくだろうというふうに考えております。炉内の点検が終わっていない段階で全体の問題が終わったとすることには問題があるだろうと思います。これは原船懇でもそれらしいことに触れていると思いますし、それから、これからいろいろな問題があるだろうし、今の内田原子力安全委員ですか、これでこれを最終的にやることによって安全を確認するんだという立場からいうと、やはりいろいろなことがあるだろう。その場合、どういうことをどうするべきかということを配慮しながらやっていくことが当然であろうというふうに考えております。もう何もかにも全部いいんだということだと、起こさなくてもいい前のような事故を起こすだろうというふうに思います。放射線漏れの場合も、私はウェスチングハウスの設計チェックをもう一度やる前に見直したらどうだというのを何度も言っております。文書でも出しておりますが、それが無視されて放射線漏れが起きた。そうしたら、やはり設計チェックの中に指摘があったというふうになるわけです。やはり我々気がついたことをいろいろ率直に言い合いながら進めていくことが安全のために必要であり、そのことが安全確保だというふうに私は考えております。
  146. 吉田之久

    ○吉田委員 市長さんが直接の当事者として、大変安全性の問題について慎重の上にも慎重を期されようとするお立場はよくわかります。ただ、炉内の点検を行う、それは今の段階においてどういう手順で、どの場所でやっていけばいいとお考えになるんでしょうか。
  147. 菊池渙治

    菊池参考人 私は、原船懇の言うとおり、新定係港ができたらそこでやってみる以外に今はないだろうというふうに考えております。これは協定上、炉のふたをとらない、炉を凍結ということになっておりますが、その場合、何かが出てきたらちょっと困るとは思いますし、何もないだろうと願っていることでございますけれども。
  148. 吉田之久

    ○吉田委員 そうすると、市長さんのお考えでは、関根浜新定係港をつくる、そしてそのつくる方針のもとにいろいろとこれから港をつくっていく、それまでは大湊にある「むつ」はそのままじっと凍結状態に置くしかないわけですね。そして何年か後に関根浜へ持っていってそこでまず炉の点検を始める、そういう内部のチェックをなすべきだ、こういうお考えでございますか。
  149. 菊池渙治

    菊池参考人 今の大湊の附帯陣上施設の中では、そういうことまで恐らくできないだろうというふうに考えております。それで、もし大湊でやるとすると二重経費という問題にまたぶつかってくるんではなかろうかというふうに思います。
  150. 吉田之久

    ○吉田委員 次に、市長さんは先ほど小川委員の質問に対しまして、特に事業団の当事者能力そのものについて大変心もとないものをお感じになっているということを聞きまして、そのことはこの委員会でもかねて論議に上っているところではございますけれども、具体的にどういう点で明らかに当事者能力に欠けると断定せざるを得ないと指摘されるのか。  それから、ここに来て事業団というものはいろいろその能力の充実のために日々努力をなさっていると思いますけれども、急に画期的に全く変身するというようなことは、我々の常識においてはなかなか困難なことだと思うのでございますが、それと、差し迫って「むつ」の定係港をつくる、「むつ」の出力試験を行っていく、こういうものとのかみ合い方でございますね、ちょっと御指摘いただきたいと思うのですが。
  151. 菊池渙治

    菊池参考人 四十九年以来の問題ですから、この間に本当はそういうことをきちんと先生方にもしておいていただきたかったわけです。しかし、それがなくて旧態依然たる状況にあることを我々は非常に残念に思っております。しかし、これは科学技術庁だけ責めるわけにもいかない点があるのではないかと私は思います。これは今の予算制度なり予算の執行制度なりにも関係してきているのではなかろうか。科学技術はそういうことを別にして考えるとか、いろいろな問題をその中には含んでいるように思われます。ですから、かなり難しい問題であろうと思います。現地でもう少し責任を持っていろいろな問題を交渉できるものになると進みもいいでしょうし、また進み方もスマートにいって、きょうごたごた言われるようなこともなくて済んだのではないかというふうに私は受け取っております。
  152. 吉田之久

    ○吉田委員 過去の経過を見て、事業団に対して愚痴の一つも二つも言いたいお父持ち、万々私どもも理解できるわけでございますが、しかし事業団もさらに鋭意努力しているはずでございまして、ここから先それぞれ関係者が力を合わせていくしかないと思うのでございまして、その辺は私どもも委員としてなお厳しく鞭撻、督励していく気持ちでいっぱいでございますが、よろしく御理解をいただきたいと思います。  そこで、原船の将来についてでありますけれども、再び定係港をつくって試運転、出力試験を開始していく、その時点で再び放射線漏れはあってはならないと思うのですが、しかし、これは神ならぬ身としてお互いだれも一〇〇%断言はできないと思うのです。しかし、もしもさらにもう一度同じような放射線漏れが生じたとするならば、これはもはや何をか言わんや、もうだれが弁護しようと「むつ」そのものは直ちに廃船の運命しかないと思うのです。そういうことであるとするならば、再び放射線が漏れるならば大湊であっても関根浜であっても同じように漏れるはずですし、漏れないとするならばどちらでも漏れないはずでございます。にもかかわらず、大湊はもう直ちに出ていってもらいたいと言われるその県民感情、これはかなり過去のいろいろな苦々しい経験に根差したものだと思いますけれども、それはまあ一つのそういう経験からきた感情論が主力になっておるのか、あるいはメリット、デメリット、むしろデメリットの方でございますけれども、陸奥湾の中で起こる不安がこれからの新港に対して精神的に非常に経済面であらぬ損害を与える、そういう経済論で主として大湊から出ていってくれという論議がやはり底流として強く強くあるのか、その辺のところをちょっと副知事さんから御説明いただきたいと思うのです。
  153. 山内善郎

    山内参考人 陸奥湾漁民といたしましては、前に締結されました四者協定、六カ月以内に新定係港候補地を決めて、二年六カ月たったら大湊からその新しい定係港に持っていくんだという協定が結ばれたにかかわらず、ついにこれは履行されなかったわけであります。それで、そのときに中川長官から再母港化について検討要請があったわけでありますが、これに対してはもちろん反発をしてお断りをいたしたわけであります。ただ、中川長官の再三の説得によりまして、今外洋に新定係港をつくるために大湊港に一時停泊するということであれば、時期は延びておるが、時期の点を除いては前の四者協定は守られた、そういうことで了承をしたわけでございます。そういう経緯もございますし、したがって、大湊港で原子炉を動かすということは到底漁民の入れるところではない、こういうふうに考えております。
  154. 吉田之久

    ○吉田委員 副知事さんにお伺いいたしますけれども、ちょっと最初の質問に戻りますが、副知事さんの立場からして、この段階で自民党の科学技術部会が廃船論を主張されたり、あるいは「原子力船考える会」が大湊の再母港化論を打ち出されたりしていること、それは全体としてせっかく五者協定を断固守ってほしいという立場にいらっしゃる知事、副知事さんの立場から見れば大変迷惑なことだ、ディスターフされるばかりではないかとお考えになっていると思うのですけれども、その辺いかがですか。
  155. 山内善郎

    山内参考人 先ほどから申し上げておりますように、大湊出力上昇試験が仮にできるとすれば、我々もこれはやりたいわけであります。しかしながら、当時漁民その他の関係団体の説得に全力を尽くしましたが、到底不可能だという結論に達して、外洋ならばいいという結論が出たわけでございます。科学技術部会の決定につきましては、自民党の部会ではございますが、県民は、国はどうしてこう考えが変わるのであろうかという非常な驚きの念に駆られておりますので、こういうことが仮に実施に移されたとすれば、これからいろいろ県政その他をやっていく上において大きな支障になるものと考えております。
  156. 吉田之久

    ○吉田委員 権威ある五者が世論の注視の中で決められた協定でありまして、私はやはり不動の重みを持っておらなければならないと思います。その五者の意見を聞くこともなしに、もとより五者の合意もなしに、ここで政府を支えておられる自民党の内部から異論が続出するということは一体何たることであるか。行政の任に当たっていらっしゃる県の立場から申しまして大変御迷惑だろうと思うのですけれども、そのことはしばらく自民党あるいは政府の推移、八月末の決定を眺めるしかないと思うのでございますが、御迷惑だろうとは思います。  さて、出力上昇試験を終えないと法的には正式に船として認められない「むつ」、したがって、それは通常船舶に適用されている市町村税としての固定資産税対象にならないという点で非常に悩んでおられることを先ほど承りましたけれども、この税の対象となった場合には、その財源というのはかなり見込めるものでありますか。これは市長さんの方でありますか。
  157. 菊池渙治

    菊池参考人 評価がどこでどうなるかわかりませんので、財源としては幾らになるかわかりません。ただ、先生御承知のように交付税が七五%減りますから、二五%ということで幾らでもないと思います。ただ我々としては、補助エンジンで何航海もしているわけです、当初は特殊貨物船、今はもう特殊貨物船でもなくなって実験船ですから、炉の部分を実験する分として補助エンジンで航海している、それ自体を船として認めたらどうかということを申し上げているわけですが、科学技術庁はなかなかオーケーしない。自治省はそれでいいじゃないかというお話のようでございますが、今年度もまだ決着がついていないというところでございます。
  158. 吉田之久

    ○吉田委員 お気持ちとしてよく理解できますし、私どももそういう点でいろいろと解釈の仕方など検討しなければならないと思うのですが、要するに基本的に原子力行政協力する、その大義名分のもとにいろいろ御協力いただいておりますが、とは申せ、県にしても市にしてもやはりまずは地元に対してどれだけのメリットがあるのか、それは最終的には金額的なものではかられるしか方法はないと思うのです。  たまたまこの知事さんのパンフレットを読んでみましても、発電用施設周辺地域整備法等のいわゆる電源三法の適用によって東通村等についてはかくかくの交付金が交付されることになる、しかしこの原子力船むつ」については全くそういう制度、格別の手当ての方法はないとお述べになっているわけなんですけれども、私どもはこういう点で、営業用としての電力と、言うならば研究課題としての原子力船とかなり性格が違いますけれども、受ける地元の気持ちからすれば、この辺のところも考慮しなければならないと思います。その点で、これからもいろいろ考えてまいります。  しかし別な問題ではありますけれども、新港で出力上昇試験や実験航海を経て最終的にはいつか廃船になると思うのですが、廃船に至るまでの基本的な内容がはっきりしていないと我々も思うわけなんです。この点につきまして、いろいろと地元を代表されるお二人からの希望条件とか、あるいはせめてこれとこれとは今の段階で明確にされなければならないというような点がおありだろうと思いますので、お述べをいただければありがたいと思います。
  159. 山内善郎

    山内参考人 新定係港に回航されて後、岸壁でどの程度の出力上昇試験をやるのか、あるいはその後具体的にどういう方法で実験をし、最終的な実験はどういうことをやって、どのくらいの年月を経てそれが終わりになるのかということにつきまして、事業団、科技庁からはっきり承って地元としてもこれに対応していかなければならない、かように考えております。
  160. 菊池渙治

    菊池参考人 それをやるには、やはり附帯陸上施設と港湾をきちんとやることであろうと思います。先生御承知のように、燃料交換のためには一度の傾斜以内で交換をするというふうに安全審査上言われております。船が一度の傾斜を超えない。それで、先生御承知のように全日本海組合が、五十四年だと思いましたけれども、全国の主要港湾の総点検をされまして、まあまあ合格だというのが三〇%だという評価をされております。一般港湾でもそういう状況でございます。一度の傾斜でも燃料交換が不可能だという定係港でございますから、我々は、かなり神経質に港湾建設をしてもらわなけりゃならないだろうというふうに思っております。  これとまた関係してドックの問題もあろうかと思いますけれども、これらの問題についても、やるかやらぬか決まらない。原船懇でも、つくらないならかわりの方法をはっきりしておけと言うけれども、そういうものも何ら自民党先生方の「考える会」でも科学技術部会でも示されなかった。示されないことがまたああいう結果を生むことにもなったのではないかというふうに私は考えております。
  161. 吉田之久

    ○吉田委員 おっしゃるとおり、その辺がまことに行き当たりばったりと申しますか、一時しのぎ的な方策でここに来ておりますこと、この辺は現地の皆さん方にも大変不安や不満を与えていると思うわけでございます。将来、関根浜新定係港原子力船むつ」を収容する港として機能するわけですけれども、しかし、いわゆる船の母港とすべきなのかどうなのか、この辺も大変あいまいだと思うのです。  大湊母港にすることについては、これは御両者反対の御意向のように承っておりますが、だとするならば、新定係港関根浜を一定期間やはり母港として位置づけるのかどうか。あるいはその新定係港を完全につくり上げるに要する総額でございますね、一説には六百億円とも言われておりますけれども、今年度の予算で組まれました「四十五億円、第一次内示の調整費十億円から「むつ」の維持費等四億円を差し引いた約六億円の、計約五十一億円となっており、当初要求額約百億円の半分」だと知事もおっしゃっているわけですが、当面はそれでいいとしても、そこから先の計画ですね。地元の側としてはどのような構想をお持ちでございますか。
  162. 山内善郎

    山内参考人 地元県といたしましては、もちろん関根浜新港でなく、はっきりした新定係港として建設をしていただきたいと思います。ただ港さえつくればいいと地元考えているんだというようなことも流れておりますが、これは決してそういうことでなしに、午前中の関先生の御意見にもありましたけれども、今あそこを一般港としてつくってみても、さしあたってはなかなか一般港としての役目を果たすことは考えられないわけでありまして、やはり県といたしましては、原船「むつ」の新定係港として完全につくっていただきたい、かように考えております。
  163. 菊池渙治

    菊池参考人 我々は、今でも新定係港だと思っております。それが新港となって、むしろ大変迷惑に思っておりますし、地元にとってはこれが障害になりかねないというふうに考えております。
  164. 吉田之久

    ○吉田委員 いろいろありがとうございました。終わります。
  165. 大野潔

    大野委員長 工藤晃君。
  166. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 お二人の参考人の方には、遠路はるばる大変御苦労さまでした。また、五月に日本共産党の調査団が青森県に参りましたときに、むつ市並びに青森県からいろいろ御協力いただいたことに、まず感謝の言葉を述べたいと思います。  さて、今までいろいろ御意見を伺いましたし、委員の方からもいろいろ質問が出されましたので、なるべくダブらないようにするつもりではありますが、しかし、私としてもぜひ確かめておきたいということもありますので、その点に限って伺いたいと思います。  今までの経過も伺っておりまして私自身痛感することは、政府原子力船開発の政策、計画の当初からの誤りが長く尾を引いて、それが青森県民の皆さんや、むつ市の皆さんに大変大きな御迷惑をかけてきたということを改めて感じるわけであります。そこから自治体としてのいろいろな御苦労があるというふうにも受け取っております。原子力船実用化の時代が今すぐ来るかのような幻を描いて、そして事業団をつくって、お金をちょっと出せばすぐに実用化できる原子力船ができるかのようなそういう態勢で出発し、舶用炉に関する地道な研究やあるいは陸上での試験などを全然省略するような形で進んできて、そして大山委員会の報告も指摘したように、これは事業団だけでなしに、全体としての原子力の安全審査の体制というのが極めて不十分であって、あのときは遮へい設計の専門家と見られる人さえいない、それで審査されてしまった。そしてまた、詳細設計はメーカー任せであった。事業団は技術の能力があるのかと疑われるような状態であり、無責任体制であった等々指摘されたわけであります。  先ほどから菊池参考人が大山報告を何度も言われましたが、そこで菊池参考人に伺いたいのは、大山委員会で指摘されたような欠陥といいますか問題点というのがその後十分改善されたと思っておられるかどうか、まずこの一点を伺いたいと思います。
  167. 菊池渙治

    菊池参考人 大山委員会で具体的な指摘は放射線漏れの遮へいだけだったと思います。遮へいは、その後一応修理が行われたというふうには思いますが、結果については判断いたしかねると見ております。
  168. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今私が伺いましたのは、大山委員会の中では遮へいの問題点と同時に、事業団の仕事のやり方とか設計のときの問題とがあったので伺ったわけでありますが、続いて先ほどのお話とも関連しまして、また菊池参考人が「原子力工業」の中で、佐世保での改修総点検の最大の欠陥は核封印方式にある、その点については先ほどもお述べになったと思います。そういうことですから、先ほどのお話で大体私も確認できたのですが、今の「むつ」は原子炉の安全という点ではまだ確認されたとはとても思えないということと承っていいでしょうか。
  169. 菊池渙治

    菊池参考人 先ほども申し上げましたように、大山報告書の全般的な体制の立て直しなどというものは不十分だと思っております。依然としてやはり短期間の出航が重ねられているわけでございますし、そういう意味では、必ずしも報告書のとおりにはいってないというふうに思います。  炉内の点検をしないということは、やはり大きな欠点を一つ持っているだろうというふうに考えております。
  170. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 山内参考人にこの問題に関連して伺いますが、実際に普通の原子炉の場合でも、それこそ炉をあけて核燃料の点検をしたりしないで安全審査ができるということはとても考えられないわけなので、今そういう段階であり、それで予定では、関根港では岸壁につけたまま冷態とか温態とか出力上昇の試験というのを重ねていく。その前に炉をあけて点検とかいろいろやらなければならないし、そこでいろいろな問題にぶつかるだろうと思うわけでありますが、先ほどのお話で、県としてはもうこの炉の、原子力船の安全問題というのは十分保証されたと考えているというときに二つのお答えがありまして、科学技術庁の方からそういうふうに強く言われているというお答えと、もう一つは県独自としてのいろいろ検査の結果そうだというふうに言われた。どっちを主としてそうお考えになっているか、これはひとつ大事な点なので、お答え願いたいと思います。
  171. 山内善郎

    山内参考人 政府としての安全性確認、それと並行してと申しますか、専門家に依頼をいたしまして、県独自の安全性考え方、報告をとったわけでございます。そういう両方の安全性確認ということに基づきまして、県としては大丈夫であろうというふうに判断した次第であります。
  172. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それでは、次に菊池参考人に伺いたいと思いますけれども、これは五十七年四月、むつ市の「原子力船むつ」の新定係港立地調査報告に関する検討結果について(中間報告)」というのがありますし、また六月四日の「原子力船むつ」問題に関するむつ市議会全員協議会市長報告要旨」という文書もいただいておりまして、そこで事業団立地調査結果、これは五十七年三月だと思いますが、それに対して幾つか疑念をあらわされて、問題を指摘されていると思います。  例えば、「関根浜地区への港湾建設は技術的に可能であるとしているが、その根拠となる一連の資料には問題が多く、特に、波浪の推算価が現地の実態とかけ離れていること、データ処理に誤りがあること、」等々が判明された。特に気象条件などについても大変厳しいところであるという問題を指摘されました。主としてこういう問題点を指摘されたことに対して、その後、事業団としてそれにこたえるような調査を行ったり、あるいは市への回答をされたのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  173. 菊池渙治

    菊池参考人 問題提起は十項目、疑問点十一項目だったと思いますが、提起をいたしました。明らかに間違った方程式を使ったり、距離の測定を間違ってやるようなデータでは困るということで、そういう間違いについては間違いだということで回答いただいておりますが、全面的に向こうの回答を承認しがたい、今後議論を進めようということになっております。まだその後、議論はいたしておりません。
  174. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 特に中間報告の中で指摘されております「原子力船むつ定係港という特殊性が考慮されていない。」という意味は、先ほどもお話がありましたように、船がいわゆる一度を超える傾斜で燃料の交換ができなくなるということだとか、あるいはいろいろ附帯施設があるし、燃料の交換だけでなしに、場合によれば事故が起きたときに修理しなければいけないとか等々いろいろ考えられますが、そういうことを含めて言われたと思うのですが、その点どうでしょうか。
  175. 菊池渙治

    菊池参考人 これは安全審査上も、台風その他の自然条件による緊急避難もございますし、事故による緊急避難もございますし、そういう点から言うと、先ほど吉田先生のときにも申し上げましたように、乗る側から見ますとかなり立派な港湾だと思っても、合格点のもらえないような港湾が全国にあるという御指摘を全日本海組合からされていることでもございますし、十分なことをしなければならないんじゃないか。今回の報告書は多分うねりの問題が余り考慮されていなかったようにも記憶しておりますし、それから反射波なども不十分じゃないか。それから波高の平均値をとっていますけれども、これは最高値を問題にすべきではないかというようなことも申し上げておるわけです。これらのことは、実際港湾建設に際してのこれからの議論になるだろうと思いますし、二港建の方では、実際につくりながらそういうものに対応していくというお話もございます。ただ、その場合は、やはり最終的には予算の問題が絡んでくるということは港湾建設当局も認めて、心配をしている部面がございます。
  176. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そうすると、中間報告の中で「今回示された調査結果だけで、関根浜地区原子力船むつ」の新定係港施設の建設を可能とする判断は、妥当性のないものであると言わざるを得ない。」という判断は、今のところ、今の調査ぐらいでは大体同じだということになるでしょうか。
  177. 菊池渙治

    菊池参考人 二港建が、やりながら実情を見て手直しをしていく、それが一番最良の策だろうというお話がございますから、我々としてはそれが一番いいだろう、やはりそれ以外にしょうがないだろう、それができたときにいろいろ判断しながら物を考えていこうというふうに、二港建の局長にも、予算獲得については科学技術庁に任せないでみずからひとつ獲得してやってほしいという要望をつけ加えでございます。
  178. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それでは、今と同じ問題ですが山内参考人、やはり大変厳しい条件のもとで、しかも原子力船新定係港という特別な仕事をやらなければいけない港をつくるに当たって、困難な条件があって、その点で事業団むつ市との間で判断あるいは見方の食い違いがある。その点、県としてはどういうふうに対処されてこられましたか。
  179. 山内善郎

    山内参考人 当時、事業団調査報告書に対して、むつの市長からいろいろな意見が出たわけであります。その節は、県といたしましても中に入りまして、事業団からもいろいろ報告書をとり、ある一部については菊池市長の御了解を得たところであります。ただ、今市長からお答え申し上げましたように、先送りにして、建設をしながらその状態を見て完全なものにしていこう、こういうことで市長も了解されたことでありますので、県としても、仕事をやる二港建ともよく相談しながら誤りのないように進めてまいりたいと存じております。
  180. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 その問題、そのように伺いました。  これは私の一つ考えでございますが、港をつくるに限らず発電所をつくる場合でもそうですけれども、いわゆる開発主体がいろいろ調査をして、もう安全だ安全だということを地元にのませようという姿勢が多いわけですが、実際、開発主体の側からいえば、これは必ず開発するものだということが先行していて、それに調査を合わせるといいますかそういうことになりがちなので、やはり本当は地元の意向が反映されるような別の調査機関とか体制があって、そういう開発主体の側の調査だけが進むようなことのないようにすることが望ましいと思いますが、こういう点は当然国の責任となってまいります。そういう点で、これは安全の問題に限らず、漁業の被害の問題とか環境の被害の問題、いろいろありまして少し広い問題になりますけれども、そういう新たな事業をやるときのいろいろな環境への影響や何かに対して、これが住民にしわ寄せにならないようにするために、特に国に対してどういう要望があるか、その点二人の参考人から伺いたいと思います。
  181. 山内善郎

    山内参考人 おっしゃるとおりでございまして、仕事をやる側だけの意見に基づいて事を進めることは、これはいろんな問題が生ずると存じております。県といたしましても、この点につきましては国に対して強くそういうことをお願い申し上げますと同時に、ある程度第三者のチェックをした上で、相手が原子力でございますから進めてまいりたいと存じております。
  182. 菊池渙治

    菊池参考人 当面は、二港建の設計、施工に十分に対応できるだけの予算措置をしてほしい、こう考えております。
  183. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そこで次の問題ですが、これも先ほどお二人の参考人からの御意見にありましたので、もう少しはっきり伺っておきたいと思います。  私も五月、現地に行きましたところが、事業団の方は、関根浜住民の方、地元の方は、あそこに新定係港ができてそして岸壁に係留されたままいろいろの試験をやっていく、いろいろな試験というのは二〇%の出力上昇試験も含んでやっていくということで、もう既に了解している、言ってみればオーケーを与えているということでした。ところが一方では、私が関根浜漁協の方に会いますと、そういう話はあったけれども、そんな了解を与えたとか与えないとか、それ以前の問題だということをはっきりと言われまして、私は、ここらあたり事業団がもう勝手にそういう一方的な理解をして仕事を始めていくとすると、またかつて起きたようなことを繰り返さないとは限らないと非常に心配するし、こういう、私たちが外から入って簡単にちょっとお会いして聞くだけでもすぐに矛盾を感じるようなことは、その場にいていろいろ交渉を進めている当事者がそういう認識だとすると、これは大変な問題だと思って帰ってきたんですが、その点についてもぜひ二人の参考人から御意見を伺いたいと思います。
  184. 山内善郎

    山内参考人 具体的に組合員会員にそういうことを諮ってはっきり決めたということはないと思います。ただ、新定係港ができ上がれば出力上昇試験をそこで完全にできるようにお願いすることになりますよという事業団の話に対して、組合理事者側は、それは新定係港であるから覚悟していますよという返事をしたことは、私もそばにおりましたので承知をいたしております。  しかし、今後これを具体的に進めるためには、先ほどもお答え申し上げましたように、試験のやり方、その方法、期間、そのことについて事業団からはっきりした計画を聞いた上で、地元関係者説明をさせ、それで了解を求める措置をとらなければいかぬと存じております。
  185. 菊池渙治

    菊池参考人 この問題につきましては、先ほどどなたかの先生に申し上げましたとおり、五カ所でいろいろ説明会を開いた際に、一カ所で、新定係港で何をどうするのかという質問がございまして、その質問に対して、二〇%ぐらいという、数字はあいまいだったと思いますが、とにかく低出力試験をやりたいとは思っているけれども、今後地元と相談をしてやることだ、こういう答えをいたしておりますから、これは今後の問題であろうと思いまして、説明をして了解を得たということではないだろうというふうに思います。
  186. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そうすると今のお話で言うと、山内参考人からも全員に諮ったことではないということがありましたし、菊池参考人のお答えの中でも、一カ所でそういう質問が出てそういう説明があったけれども、これは今後地元と相談してやっていくことだということですから、そうしたら、私が事業団から伺った、もうすべて了解しているというのはどうも怪しくなってきたというふうに受けとめます。  さて、もう一つの問題で、土地取得をめぐりまして今までいろいろ質問も出されましたので、私はこの問題は繰り返さないつもりでありますが、しかし、これは国の予算の使い方の問題でありますから、私はやはりこれを大事な問題の一つだというふうには考えております。  これは県議会で取り上げられたことの一つでありますが、早くからあそこが「むつ」の新定係港になるというので、県外からいろいろ業者が入ってきて、土地をかなり買い占めたり転がしたりして、相当高値になっているということが県議会でも取り上げられたということを伺っておりますけれども、どうなんでしょうか。もし非常に高値になっているものに対しては、そこを避けて買収を進めるとかそういうことが具体的にやられようとしているのでしょうか。その点だけに関しまして山内参考人から伺いたいと思います。
  187. 山内善郎

    山内参考人 おっしゃるとおり県外の業者でございますが、土地をある程度買い占めた事実がございます。それに対しましてはいろいろ交渉を進めているわけでありますが、我々が提示している価格よりも大分高く買ったという経緯もありますので、道路等については多少迂回してもそこを避ける。しかし、どうしても陸上附帯施設等の場所にある問題につきましては、これから今提示した価格を上げるわけにまいりませんので、代替地等で話し合いがつかないかということでいろいろ今鋭意進めているところでございます。
  188. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 では、これが最後の私の質問になりますが、いわゆる五者協定をめぐりまして、お二人ともこれをどうしても守っていかなければならないと繰り返し強調されて、その立場とお気持ちもよくわかります。ただ、五者協定を結ぶに当たりまして、菊池参考人の方からも、大変苦労されたというより、それこそ今起きているような「むつ」をどうするか、国の原子力船の政策をどうするのかという根本問題が論議されないで新定係港という方向に持っていく、そういうことはやはり順番が違ったのではないか。これは私も同感でありまして、もっと早くからこの根本問題を我々も取り上げ、また政府にも取り上げさせて、そしてそういうことをそれこそオープンに論議し尽くした上で五者協定へいくということでなければならなかった、その点はそのように考えるわけです。  ただ、先ほど菊池参考人から言われました中で一つ大事だと思いましたのは、やはり五者協定の前提として、原子力船懇談会が提起しているような本格的な洋上試験を含めて関根浜新定係港にしていくということが前提になって、したがって、そうであるからこそ大湊港は仮にここで停泊するのだということになったということでありますが、もし八月、自民党そして政府の新たな決定が、例えばもう直ちに廃船するとかということになると、新定係港でなしに、それはいわば廃船港みたいな、嫌な言葉ですけれどもしょうがないから使わざるを得ないのですが、そういうものになっていく。そうすると、そもそもの五者協定の前提も崩れていくということを私考えるわけなんですが、そういうとき、菊池市長としてはそれなら仮停泊もさせないというお立場なのか、それとも、そういう方向について何を政府に対して要求されるか、これは二人の参考人に伺いたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  189. 山内善郎

    山内参考人 やはり五者協定の根本理念は、原子力船開発を進めていくというところにあると思います。これは廃船にするための五者協定ではないと私どもは信じております。したがいまして、我々といたしましては国に対して、あくまでも五者協定に基づく新定係港建設をいたしまして、そこで予定どおり原子力船出力上昇試験その他を完全にやった上で、最後には廃船というところへ持っていっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  それから一つ、先ほど小澤先生の御質問に対して、私ちょっと前後違ったようなお答えを申し上げましたので、ここで訂正をさせていただきますが、小澤先生の、大湊港に仮泊をする条件として新定係港をつくることにしたのかという御質問に対して、紛らわしい答弁をいたしました。あくまでも新定係港を外洋に、関根浜につくるということを前提に、その間大湊港に仮泊をする、こういうことでございますので、御了解をいただきたいと思います。
  190. 菊池渙治

    菊池参考人 関根浜新定係港の問題が出ましたときに地元が一番先に考えましたことは、本気でやるのだろうかということと、廃船のためにやるんじゃないかという話が出たのはこれは事実でございます。それで、廃船のためだけなら、とてもこういう我々の生活の場である漁業権を消滅して港湾をつくらせるわけにいかないという話も出ました。西口組合長も強くそのことは申し上げたはずでございます。これは漁業権の消滅が高いか安いかということにも関係するわけでございますが、先ほど副知事から漁業権の面積が四・数%しかないんだ、こういうお話がございました。関根浜漁業権の場所は、狭い場所であることは狭いのですが、その中でも一番漁場としていい場所がこの新定係港建設するという場所でございます。これは、この場所に定置網が五カ統も六カ統も集中して、これ以外のところに、あとの大きいところに二カ統が三カ統しかないということをお話し申し上げるとわかるだろうと思いますが、昆布もウニも、五十六年に終了しました大規模増養殖事業の場所も、堤防の一番先がひっかかるというような場所でございます。それだけに、関根浜漁協としてはこれだけ貴重な場所を提供するには、単に廃船のためのということであるならば、これはとてもできない。本当に日本の将来の原子力船行政なり海運国日本、造船国日本に力になるというならやむを得ないというのが、消滅された漁民方々の気持ちでございます。この気持ちは十分にお考えいただかなければならないだろうというふうに考えております。
  191. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 どうもありがとうございました。
  192. 大野潔

    大野委員長 辻一彦君。
  193. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私、四十九年の九月、当時現地を訪れたこともありますし、その後一、二回行ったことがあるのですが、両参考人が現地におきまして、県当局また市当局として非常な御苦労をされていることに心から敬意を表したいと思います。  既に多くの委員から質疑が行われまして、ほとんど論議を尽くしたわけですが、大まかに一つだけまず最初に伺いたいのです。それは、原子力船むつ」は今存廃の岐路にあるというか、この夏までに一定の結論がいずれにしても出るという大変大事な時期に来ております。県当局も市長さんにしても、「むつ」とともに歩んでこられたような非常な苦労をされたわけでありますが、そういう体験を踏まえて、日本の原子力船開発のために今どうしなければならぬかということを、大局から一つだけそれぞれお伺いいたしたいと思います。
  194. 山内善郎

    山内参考人 やはり国から原子力船開発のために県に要請がなされて、我々はそのとおりいくと信じて、今までいろいろ地元関係者と相談しながら進めてきた経緯もございますので、予定どおり原子力船むつ」の開発は強力に進めていただきたい、かように考えております。
  195. 菊池渙治

    菊池参考人 私は協定の当事者として、やるべきだという立場をとっておりますので、そのようにお答えするより仕方がないと思います。
  196. 辻一彦

    ○辻(一)委員 まあそれぞれの苦労から、かなり違った意味のお答えであります。  そこで、むつ市長さんにまず一つお伺いしたいのであります。「むつ」は四十二年からの長い歴史がありますし、参考人もまた現職の市長として、また在野として、また現職として、「むつ」の歴史と一緒に長い時間を過ごされてきたと思うのですが、当初大湊の定係母港化には反対であったというように思いますが、それが今は、関根新港はやむなしという形で受け入れられるという点についての心境といいますかあるいは考え方といいますか、そういうものの変化なり進み方といいますか、今日に来た状況、それにつきましてひとつお伺いをいたしたいと思うのであります。
  197. 菊池渙治

    菊池参考人 大湊母港、四十二年、あの当時も私は反対だとは言ってないわけです。ただ、いろいろと問題を提起したり質問したりしたことに答えられないから、賛成ですと言う機会もなかったし、またはっきり反対だと言う機会もないままに、当時県会議員でございましたけれども、定係港が決まってしまったということでございます。  今、行政の担当者として関根をどう思うかということですが、先ほど来申し上げておりますように、いろいろ面倒な難しい条件を持った場所であるということでございます。ただ、新定係港の選定の条件からいうと、条件にぴったり合った場所ではないだろうというふうに考えておりますが、しかし私の就任する前に、五者共同声明においてそのための努力をするということになっております。行政の立場として、できるだけその範囲で努力をしてきたつもりでございます。ですから、今はただ円満にと申しますか、定係港として十分に活用できるような港湾をつくり、陸上附帯施設をつくり、そして「むつ」の従来の方針どおりどうすればいけるのかということに心配をしているというか、苦労しているというところでございます。
  198. 辻一彦

    ○辻(一)委員 むつ市という行政区からいえば、大湊港と関根新港は、湾内と太平洋岸の相違はありますが、行政区としては一つですから、そうすれば前の経験を踏まえて、前車の轍を踏まないようにするということが大変大事だと思うのですが、それについて、長い歴史を踏まえ、経験を踏まえて、しかも同じ行政区の責任者として、前車の轍を踏まえないためにはどうしなくてはならないというふうにお考えですか。
  199. 菊池渙治

    菊池参考人 なかなか経験を生かしてやれないで困っているところでございます。同じ方向で、また同じように進んでいるような気がしてなりません。いろいろ申し上げても、なかなか私の言うことなんというものは受け入れられにくいことが多いようでございますので、その辺が一番苦労と言えば苦労を重ねざるを得ないところであろうというふうに思っております。
  200. 辻一彦

    ○辻(一)委員 副知事さん、山内参考人にお伺いしますが、今の二点の問題について、県当局としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  201. 山内善郎

    山内参考人 今、菊池市長から、前の経験を生かしていろいろ意見を言っているが、そのとおりいかないで困っておるという御発言がございました。しかしながら、これは菊池市長もおっしゃっておりますように、何としても進めていかなければいけない事業でございますので、具体的には市長と事業団意見がなかなか合わない場合もございますが、その都度、県としては仲介の労と申しましょうか、中に入りまして問題を解決していきたいと考えております。  もう一点は何でございましたか。
  202. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一点は、前車の轍を踏まないためにどうするか。
  203. 山内善郎

    山内参考人 これは国といたしましても、ああいうことが二度と起これば非常に不幸な事態を招くことは当然であるという認識を持っておられると思います。したがいまして、新定係港に移って実験開始までには十分安全性その他を審査の上、ああいうトラブルを起こさないように十分ひとつチェックをしていただきたい。県としてもまた、できる限り県独自のそういうチェックも考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  204. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の時間は非常に短いので意を尽くし得ないのでありますが、地元市とそれから県当局のいろいろな立場、考え方の相違もかなり開きがあるように感じますので、これをひとつ埋めるような努力をぜひともお互いにしていただきたいと思うのです。  そこで、ちょっと関連があるので伺いたいのですが、原子力船にしましてもあるいは日本の原子力発電所にしましても、私はかねがね、きせる開発論と、こう言っておるのです。きせるには、がん首と胴体と吸い口がありますが、真ん中だけがどんどん太っていって、がん首のいわゆる原料である濃縮ウラン、それから吸い口に当たります再処理廃棄物の処理という、この二つが非常にネックになっている。これを考えないと、これをほかの国に依存しているだけでは、本当の意味の原子力の行政また開発の自主性がないという感じがしますが、そういう点で、ここまで原子力開発が進んだ以上は、よしあしは別として、どこかでこの問題を我が国は自分の力で解決しないことにはこれから進んでいかないんじゃないかと思います。  そこで、四月以来、下北半島でウラン濃縮また再処理、廃棄物処理等々の施設が論議をされておりますが、きょうの朝刊も、総合エネルギー調査会の原子力部会の一定の方向を出しております。これらを受け入れるということはなかなか勇気のある考えであると私は思いますが、大体、青森県当局はこの下北半島でこれらの構想を受け入れられるようなお考えであるのかどうか、ちょっとお伺いしたいのです。
  205. 山内善郎

    山内参考人 御説のように、四月二十日に電事連から、下北半島太平洋側に核燃料サイクルの施設を立地したいから協力をしてくれという要請がございました。県といたしましては、電事連の方からまだはっきりした地点は明示されてございません。近いうちに、そう遠くないうちにこの地点も明示されて要請がまた来ると存じております。  県の態度といたしましては、県初め県民は、そういう核燃料サイクルについての本当の知識がないわけでございまして、この安全性については重大な関心を持ってこれを確認しながら、慎重に対処してまいりたいと存じております。そういうこともございまして、知事がフランス、オランダ、西ドイツに参りまして、実際に現地で実物を担当部長ともども勉強して、きょう帰ってくることになっております。  今後につきましても、原子力船の場合と同様、県独自で専門家に検討を依頼いたしまして、その報告によっていろいろ考え方も進めてまいりたいと存じております。原船以上に論議を呼ぶ問題だと存じておりますので、地元の村はもちろん、県内各界各層意見聴取し、最終的には県選出国会議員の先生方県議会意見を聞きながら最終の判断をしてまいりたい、かように考えております。
  206. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうはそれについての明確なお考えを聞くことは無理であろうと思いますが、別の機会に、この委員会核燃料サイクルの問題についての現地の声も聞かせていただく機会をぜひまた与えていただきたい、このように思っております。  終わります。
  207. 大野潔

    大野委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、本日長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次回は、来る五日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十八分散会