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1984-04-19 第101回国会 衆議院 科学技術委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十九日(木曜日)     午後三時六分開議  出席委員    委員長 大野  潔君   理事 小宮山重四郎君 理事 笹山 登生君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 渡部 行雄君 理事 小川新一郎君    理事 吉田 之久君       伊東 正義君    岸田 文武君       保利 耕輔君    小澤 克介君       関  晴正君    松前  仰君       村山 喜一君    遠藤 和良君       小川  泰君    永末 英一君       工藤  晃君    辻  一彦君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      岩動 道行君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      大出 峻郎君         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君         運輸省船舶局長 神津 信男君  委員外出席者         水産庁漁政部長 大坪 敏男君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高沢 信行君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   福永  博君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事)     野澤 俊弥君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  藤波 恒雄君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     村山 喜一君     ————————————— 四月十七日  日本原子力研究所法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本原子力研究所法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 大野潔

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本原子力研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。岩動国務大臣。     —————————————  日本原子力研究所法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 岩動道行

    岩動国務大臣 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  我が国における原子力船研究開発につきましては、昭和三十八年、日本原子力船開発事業団を設立し、同事業団を中心に進めてまいりましたが、昭和五十五年の第九十三回国会において、それまでの我が国原子力船研究開発をめぐる諸情勢等を踏まえ、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案審議、議決され、それによって、日本原子力船開発事業団は、原子力船開発のために必要な研究を行う機能を付与され、日本原子力船研究開発事業団に改組されたところであります。その際同事業団については、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、昭和六十年三月三十一日までに、他の原子力関係機関統合するものとし、このために必要な措置を講ずるものとされたところであります。  この日本原子力船研究開発事業団統合につきましては、政府として慎重に検討を行ってまいりましたが、統合先としては、以下の理由により日本原子力研究所が適当であると判断いたしました。  すなわち、一つには、長期的な観点から我が国の将来を考えるとき、原子力船に関する技術を保有しておくことは重要であり、このため、今後段階的、着実に研究開発を進めることとし、この見地から、原子力分野において基礎から応用にわたる幅広い技術基盤を有する日本原子力研究所は、その総合的能力原子力船技術に対しても十分に活用し得ると考えられること。二つには、日本原子力研究所は、これまで日本原子力船研究開発事業団業務に協力してきた実績があり、今後の原子力船に関する研究開発についても、このような実績をもとに、円滑に遂行し得ると考えられること等であります。  なお、日本原子力船研究開発事業団開発を進めてまいりました原子力船むつ」の取り扱いにつきましては、各方面のお考えを踏まえつつ、検討を行うこととしておりますが、原子力船開発のために必要な研究は、「むつ」の取り扱いに関する検討結果のいかんにかかわらず、どのような方法にせよ進めていく必要があると考えており、いずれにいたしましても、日本原子力船研究開発事業団日本原子力研究所統合することが適当であると判断いたしております。  本法律案は、以上の判断に基づき日本原子力船研究開発事業団日本原子力研究所統合するものとし、このため同事業団を解散し、その権利義務の一切を日本原子力研究所に承継させるとともに、同研究所業務として、原子力船開発のために必要な研究を行うこと等を規定するなど、所要の規定の整備を行うものであります。  以上、本法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 大野潔

    大野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 大野潔

    大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本原子力船研究開発事業団理事長上啓次郎君、同専務理事福永博君、同理事野澤俊弥君及び日本原子力研究所理事長藤波恒雄君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大野潔

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 大野潔

    大野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  8. 松前仰

    松前委員 ただいま科学技術庁長官の方から原子力研究所法の一部を改正する法律案について趣旨の御説明がありましたが、この説明の中にありますように、日本原子力船研究開発事業団を解散するということで、その事業団に働く皆様方、大変残念な思いをされておるとは私思います。しかしながら、これまで事業団の多くの皆さんの御苦労はあったわけでございますけれども、この経過の中では、やはりこれを解散して将来に備えることがどうしても必要じゃないだろうか。そういうことは、私、科学技術をやってきた者として強く感じるわけでございます。原子力については私も素人でございますけれども技術をやってきた人間として、この関係について若干御質問さしていただきたいと思います。過去のことにつきましては、私は今ここでは余り触れるつもりはございません。これからがやはり非常に重要だと思いますので、その辺について御質問さしていただきたいと思います。  まず、この「むつ」が残るわけでございますが、これについて今後検討を続けて八月ごろまでにそのあり方を決定するというようなお話があるわけでございますが、その今後の方針について、どうするかではなくて、どう決めていくか、その手順ですね、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  9. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず手順を申し上げる前に、基本的に私どもは、原子力平和利用そして日本海運国家貿易国家という立場、さらに、資源のない、特にエネルギー資源としての石油がほとんど一〇〇%海外からの輸入に依存する、そういう状態の中では、何と申しましても、原子力船というものの将来を考えたときには、「むつ」による舶用炉研究開発は今後の舶用炉研究にとりましては極めて重要な柱である、こういう認識に立っておるわけでございます。  しかし、「むつ」のあり方については、各方面からいろいろな御議論の寄せられているところでございますので、今後私どもは、まず政府自民党としてそのあり方については、来年度の予算概算要求が八月末に行われますので、それまでに各方面の御議論を十分に踏まえつつ政府としての意思を決定をして、そして予算編成を終わり、そして国会にこれを提出して御審議をさらにいただく、こういう手順になろうかと思います。
  10. 松前仰

    松前委員 今、予算編成のためにこれから政府でもって検討されるということがあったわけでございますが、これについては私も本会議の方で言いましたように、その方針というものをまずしっかり決めて、その先でこの統合するための法案審議するのが一つの筋ではないだろうかと思うわけでありまして、まず方針がないままに今の統合法案ができて、それから先、方針を決めて、その方針がその統合に合わないという状況が出てきた場合には、これはまた違った形を考えていかなければならぬ。筋をやはりきちっと通して、科学的な政治という話をしましたけれども、そういう順番を追った形でやっていかないと、こういう重要な問題についてはなかなか国民の納得を得られないのじゃないだろうかと思うのですが、その辺についてちょっと御意見を伺いたい。
  11. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず、今回の統合法案は、既に本会議でもまた先ほど趣旨説明でも申し上げましたように、既存の法律で六十年の三月三十一日までに統合する、これは行政簡素化効率化、こういう趣旨からこのような統合法案になったわけでございます。  一方、「むつ」のあり方については、先ほども申し上げましたように、本年の八月を目指して今後のあり方を正式に政府としても決めてまいるわけでございますが、統合された後におきましても、原子力鉛むつ」を使っての舶用炉研究を進めるのかあるいはそうでない方法でやる、その場合には陸上で舶用炉研究開発を行うということでございますので、いずれにいたしましても、統合することは決して本来のあり方に矛盾するものではない、かように考えておるのでございまして、今後ともこのような観点から御理解をいただいて御審議をお願いしたいと思う次第であります。
  12. 松前仰

    松前委員 これから「むつ」のあり方検討ということは、今までのこの経緯から見ても、国民の声といいますか意見というものは非常に多いわけでございまして、そういう中で、予算化のためだけとは申しませんが、それを目的に政府自民党だけで検討をされていくということになると、これは多くの国民意見というのが反映されないように思うわけであります。だから、私が言いたいのは、その前段で、こういう国会審議の場で検討をして、その後こういう法案が出てくるというのが一番筋じゃなかったかと私は思っておるわけでございます。  その辺についてはまだ後で触れられたら触れたいと思いますけれども、そうしますと、今こういう法案が出てきたということになれば、その先に何かやはり「むつ」に対する案というものを頭の中にお持ちであろうと思うのです。なければ恐らくこういう法案というものは出てこないはずなんであります。ですから、その辺、「むつ」を一体これからどうしようとするかということについて、今考えておられる案というものを出していただきたいと思います。
  13. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣の方から御答弁がございましたように、原子力船むつ」につきましては各方面からのさまざまな御議論が寄せられていることにかんがみ、改めて検討いたしまして、来年度の予算編成までに結論を出し、来年度予算案の御審議を初めとして国会の御審議をいただくということになっておる段階でございまして、今、「むつ」の研究開発を継続するのか、あるいは継続するとしてどういう方法でやるのか、あるいは「むつ」の研究を中止するのか、まさにこの問題を検討しているところでございますので、そういう意味で、具体的に今「むつ」について私どもからこういうぐあいに取り扱うという計画をお示しすることができない状況にあります。しかしながら、先ほど大臣から御答弁がありましたように、「むつ」の取り扱いいかようになりましても、かなりな仕事が「むつ」についても残りますし、舶用炉研究開発は続けるということで、原子力研究所がその豊富な研究基盤を有するということから、原子力船研究開発事業団原子力研究所統合するということで進めさせていただいておりますので、よろしく御了解をいただきたいと思います。
  14. 松前仰

    松前委員 今、そういう案というものはお示しできないという話が出てきたわけですけれども、そうなりますと、これは隠されたままで八月だがその辺の時点まで進んでいくという格好になるわけでありまして、それであったら我々はつんぼ桟敷に置かれて、その時点でぽっと出てきて、ああこれは大変なことになった、こういう事態になってくる。それでは全く国民を欺くような形になるのだと思うのです。ですから私は、八月までの時点であっても、こういう国会の場でもって審議をして、国民の声を反映させて進んでいくことがどうしても必要じゃないだろうかと思うのですが、その辺はどうですか。
  15. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  実は五十九年度の予算の実行につきましては、「むつ」のあり方いかんにかかわらず必要となる、そういう経費しか組んでおりませんので、五十九年度中には、たとえ政府が「むつ」の取り扱いについて方針を決定したといたしましても、その方針に基づいて直ちに事が行われるということではございませんで、六十年度以降の予算をはっきりいただかない限り次の段階には進められないわけでございますので、今年度中に政府方針を決めて勝手にやっていく、こういうことではないということを御理解いただきたいと思います。
  16. 松前仰

    松前委員 いろいろお答えいただいているわけですが、どうもよくわからないのです。  要するに、これから先の「むつ」は廃船にするかそれとも残すか、その二つしかないのに間違いないのでありまして、残す場合に洋上実験ということも当然考えておられると思うのですけれども、それはどうですか。
  17. 井上啓次郎

    井上参考人 「むつ」の今後の取り扱いの中で一番大切なのは、これから出力上昇試験及び洋上試験というのが大きな役目になります。したがいまして、事業団といたしましてはその体制づくりに万全を期しておりまして、現在「むつ」は大湊港におきまして維持管理の万全を期しておるところでございます。
  18. 松前仰

    松前委員 今、原子力船研究開発事業団の方からお話があったわけですが、これは本当は政府の方から御答弁いただくので、事業団の方はそれに従ってやるわけですから、事業団がそういうぐあいにおっしゃったからといって、事業団がどうだこうだとたたくわけにはいかないわけでありますけれども、今のお話にもありますように洋上実験出力上昇試験ですか、そういうことがあるということを聞いたわけです。これについて、今そういう試験をやるだけの保証というものは完全にそろっておるでしょうか。
  19. 福永博

    福永参考人 事業団専務理事福永でございます。お答えさせていただきます。  先生御案内のように、本船「むつ」は四十九年九月に放射線漏れというトラブルがございました。しかしながら、その後この放射線漏れにつきましては慎重な原因究明解析等検討を重ねまして、五十五年から五十七年にかけまして佐世保改修工事をいたしました。と同時に、安全性につきましても全般にわたって見直しまして総点検し、必要なところは所要工事を行うということで対応いたしたわけでございます。その後も、ただいま理事長が申し上げましたように、大湊港に回航いたしまして入念な維持管理点検を続けておりますので、技術的には十分その健全性は保っているものと確信いたしている次第でございます。
  20. 松前仰

    松前委員 私はその辺でちょっと技術屋根性が出てくるのでありますけれども佐世保修理をやった中身は、これは「船舶」という雑誌に出ていたものですけれども、これをずっと見てみますと、その放射線漏れについての修理のほかに、安全性信頼性の点で不十分であったということでかなり改修をやっておられるということが出ておるわけです。事細かにここで一つ一つ議論しても、設計審査じゃありませんからそれはやりませんけれども、たくさんあるわけですね。ということになれば、それまでの設計自体安全性についてかなり疑問のある形で設計されてきた。今改修工事が終わって維持管理が行われているというのですけれども、その改修した後の安全性信頼性というものについては何らチェックがなされておらない。だから、船を動かさなければわからぬという状況になっておるようでございますけれども、船を動かすということが大変な問題であり、危険な問題もあるわけでございますから、その前にちゃんとしたチェックができなければいけないわけですね。その辺はどうなっているのですか。
  21. 福永博

    福永参考人 遮へい改修工事安全性点検、こういうものの一連計画を進めるに当たってどういうふうなチェックが行われてきたか、こういう御質問かと思いますが、改修工事を始めるにつきましては、先ほども私ちょっと触れましたように、まず放射線漏れ原因というものを技術的に究明しなければいけないわけでございます。そうして、その原因を究明いたしましたら、それに基づきまして、一体どういう状況放射線漏れが起こっておるかという解析をするわけでございます。そういう一連改修計画といったようなものを事業団は取りまとめまして、運輸省及び科学技術庁の合同で設置されておりました「むつ」総点検改修技術検討委員会というものがございますが、そこで御検討いただき、妥当性を判断していただいたわけでございます。その後さらに、事業団がまとめました計画に基づきまして、遮へいにつきましては実物大モックアップ試験ども原子力研究所あるいは運輸省船舶技術研究所等々の御協力もいただきまして実験いたしまして、成果を確認したわけでございます。  こういった一連検討を経まして基本設計を終わりまして、その後規制当局安全審査の申請をいたしまして、安全審査設計工事方法の認可というものをちょうだいいたしまして、先ほど申し上げましたように、五十五年の八月から本格的な工事に取りかかった、こういう経過を踏まえている次第でございます。
  22. 松前仰

    松前委員 ちょっと外れたお答えだったように思いますけれども、これから船を動かす、そして原子炉を動かす、こういうことになれば、先ほど言いましたように、その改修の後の完全なチェックをしていかなければいけない。これは人工衛星を宇宙に飛ばすのと同じように、地上でもって全部試験をやって上へ上げないと、上ではもう何もできません。そういう状態と同じだと思うのです。これは非常に危険なものを海に押し出すわけでありますから、その前に完全なチェックができなければいけない。そうなると、今の改修後のこの状態というのが技術的に大丈夫だということは全く言い切れないと私は思うのです。しかも、それではどうするかということになれば、これは大変難しい問題が出てきてしまっております。  ですから、今時点でこれを動かすためのその前のテストというのがそう簡単にできるかどうか、その辺が非常な問題になってきている。その辺を一体どうしたらいいのかということについても十分検討して、それでまた、それを動かせるのかどうか、本当に洋上実験できるのかどうか、そういうところの徹底的な議論、ここの場じゃなくて専門家の間での議論ですけれども、そういうものを全部やって、それで総点検、これは総点検と書いてあるけれども、僕は総点検じゃないと思っているのです。それが済んで、絶対にこれで大丈夫だという状態に持っていく必要がある。これは非常に抜けています、この次に動かすというためには。  そういうことで、とにかく今現在こういう状態ですぐに動かすといったら、私は全く信用しない。まず放射線漏れが起こったということで改修した。改修したのはまあかなり部分的だと思います、詳しいところはよくわかりませんけれども。普通だったらばこれは全部の設計を見直します。大改修になりますよ。全部見直しますから、物すごいお金がかかるはずなんです。人工衛星はそうです。確かにそういう形をとっております。そういう全体の設計の見直しについても余りやっておられないような感じがする。そういうところで洋上実験を強行するという形になると、技術的に見て私は大変なことが起こると思います。  ですから、その辺は十分検討して、船が洋上試験ができるかどうかというところ、そこから始まって、できるよというのじゃなくて、まだ私はその前のできるかどうかという検討は非常に不足しているというぐあいに思いますので、そういう点も含めて八月までの検討の中に入れていかなければいかぬと私は思います。  話をちょっと変えますけれども原子力船必要性というものについて、何に使えるかということをちょっとお答えいただきたいと思います。
  23. 神津信男

    神津政府委員 お答え申し上げます。  資源の少ない我が国でかつ四面を海に囲まれております我が国にとりましては、海運造船業というのは非常に重要な産業でございまして、今後ともこの状態を続けていくためには、この分野で第一級の技術を常に保持をしていく必要があると考えております。海運界にとりましては、原子力船開発によりましてエネルギー源多様化を図ることができるわけでございまして、石油価格の動向に依存することなく安定的な発展が期待できますし、さらに将来、石油燃料が枯渇した場合には、原子力エネルギー船舶の有力なエネルギー源一つとなるわけでございまして、我が国海運の健全な発展のためには、ぜひ原子力船開発を行うことが必要でございます。また、既に欧米先進諸国ではサバンナ号であるとかオット・ハーン号等でいろいろの経験を持って原子力船実用化のための基礎技術を確立しておるわけでございますが、造船界といたしましても、これら欧米諸国との原子力船建造技術の格差を克服いたしましてその技術基盤を確立することによりまして、将来にわたって我が国造船業国際的競争力を維持していくことができるわけでございまして、この意味でもぜひ原子力船開発は必要であるというふうに考えております。  また、どういうものに使えるのかというお話がございましたが、原子力船実用化する場合には、高出力を要する船舶ほど石油燃料とする在来船より経済性がよくなるということ、また燃料を補給せずに長期運航が可能になるというような長所があるわけでございまして、砕氷船LNG船大型高速コンテナ船、超大型タンカー等原子力船実用化の場合に非常に有望であるというふうに考えております。
  24. 松前仰

    松前委員 そういうお話はもう前々からわかっておりますけれども、要するに砕氷船だとか特殊な船だとか、そんなようなことしか経済的に見て使い道がない。また、資源我が国は少ないというのはもう決まり文句で言われておりますけれども、そんなことはわかっているのですが、しかしながら、船に使う油ですね、これは世界の油全体の消費に比べたら物すごい少ないでしょう。そういうことから考えて、何で資源が少ないからということをうたい文句に。していかなければいかぬか、さっぱり私はわからない。しかも、これが経済的に見てさっきの特殊な船しか使えないということになれば、今すぐこれを一生懸命やるような必要性というのは全くないように思うのです。  だから、私が言いたいのは、もう一度基礎研究に戻って、やめると言うのじゃないです、原子力だから原子力船をやめなさいと言うのじゃないのです。基礎研究に戻って、本当に安全なものをきちっとつくる段階に戻らないと、これはそのまま続けたらまたまた大きな問題を起こしますから。これはもう私は確実に起こすと思いますよ。どれかということは言わないけれども、とにかく技術というのはどんなものでも、大丈夫だといったってどこかで問題が起こるのですから。そういう点を一生懸命アナリシスやっても、そのアナリシスやったところ以外のところがフェーリアを起こしているのが普通なんです。そういう点があるから、これは非常に危険な要素も含んでいるんだから慎重にやりなさい、だからこれはもう基礎研究に戻りなさいというのが私の主張でございます。その辺の御見解を伺いたい。
  25. 神津信男

    神津政府委員 原子力船実用化の見通してございますが、ただいま例示で申し上げましたのは、当面実用化をするとしたら、先ほど申し上げました船から実用化をしていくだろう。しかし、さらに長期的に見ますと、この原子力船実用化という問題につきましては、石油の価格と舶用炉プラントコストとの関係で決まってくるわけでございまして、現在のように石油資源が有限で、将来石油価格の上昇が見込まれるという状況の中では、舶用炉プラントコストの低減化に努めることによりまして、二十一世紀に入りますと、先ほど申し上げた以外の船舶でも相当原子力船実用化必要性が出てくるのではないかというふうに考えております。
  26. 中村守孝

    中村(守)政府委員 先生、今御指摘のように基礎研究に立ち返って研究をすべきであるというお話でございました。  このような御意見は、前回五十五年の法律改正のときにもいろいろ出まして、そういう意味で、五十五年の法律改正のときに、原子力船開発のために必要な研究、新たに原子力船開発事業団にそういう業務を付与したわけでございまして、その際「むつ」につきましては、従来「むつ」は実験終了後はいわゆる商業用なりほかの実用に使うというような計画もあったわけでございますが、これはもう実験船に限定して使うのだ、そういう一つの踏み切りをしたわけでございまして、「むつ」につきましては、先ほど先生から御指摘がありましたように、今直ちにいきなり炉に火をともすというようなことをすることを私どもも考えておりませんし、「むつ」による研究開発を継続するといたしました場合には、当然のことながら、合ふたもあけられない状態である「むつ」につきまして、地元の御了解を得て、まずできれば今の大湊で冷態停止の状態での各種の試験、さらには温度を高めました温態状態におきます各部の機器の操作、そういったものを入念にチェックしました上でいわゆる原子炉に火をともす、こういう段階を経てまいります。しかも、なおかつその原子炉に火をともした後の実験につきましても、出力をゼロ出力という状態から徐々に各部の点検をして、段階を追って進めていくということでございまして、まさに先生の御主張のような念入りな検討をした上で進めていくことになると考えておるわけでございます。  「むつ」は、今後の舶用炉研究開発の上で、陸上では得られない複雑な海上における諸事象に対して原子炉がどういうビヘービアをするか、そこら辺のことにつきましてのデータを取得するということでございまして、これにつきましても、実験船でございますから、念入りなデータの取得なりその事前の検討なり、そういうものがなされて行われるわけでございまして、それらのデータをもとに、また、陸上における諸所の研究と相まって将来のしっかりした舶用炉をつくっていこう、こういうことでございます。
  27. 松前仰

    松前委員 船でもってやるような話が命ずっと出ておりました。それより、それをやる前にやることがいっぱいあるのです。私いろんな資料をもらいましたけれども、これをざっと読んでみますと、その辺をやはりきちっと検討して、陸上で完全な形にして船に載せて、それから船の実験というのがあり得ると思うのです。そういう点で、非常に今の御説明は私は納得いきません。  これについてはまだ同僚議員が質問すると思いますので、私この辺で、地元の問題その他については非常に弱いものですから、かわりにほかの人にやらしてもらいたいと思います。これで終わります。
  28. 大野潔

    大野委員長 関晴正君。
  29. 関晴正

    ○関委員 私は、今度の法律改正に伴いまして、何が今我々にとって一番大事なことなんだろうかということを基本にしながらお尋ねをしてみたいと思うのであります。  原子力船計画というものは、我が国において既に昭和三十年にこの問題が出ておったわけであります。そうして、三十八年には具体的な事業として原子力船開発事業団が誕生じ、この事業団がきっとうまくやってくれるであろう、こういうことで事に臨んだのでありますが、現状は、まさに二十年たって全く何のことをしたのかわけのわからない結果に今ある、こう思います。何のためにこういう結果になったのかという一つの反省なしに次の道を踏み出すというわけにはいかないだろう、こう思います。私は、一番先に誤りがあった、理念において構想においてはそんなに間違ってもおらなかったと思うのですが、事業に着手した当初において一番の誤りがあった、こう思うのです。  それは何かというと、原研においても既に一つ研究原子炉なるものをつくっておりまして、JRR4なるものがある一つの線を出しておるわけです。その炉においてストリーミング現象というものが起きているわけです。その措置について、きちんとした対応をしないままに船に載せちゃって、そして同じ現象が太平洋上で惹起して、これは一体この道にかかわっておった人たちは何をしておったのだ。予告があり、そういう研究の成果物があって、ちっともそれを利用しようとしなかった。なぜそれができなかったのか。それが大きな間違いをつくる始まりであった。  あげくに、予算の執行にもあるわけだが、この船をつくるという場合の契約において一貫した契約というものがなされなかった。設計どおりにやると、やたらに高くつく。もっと安くなるだろうと思ったら、やたらに高くつく。そこで設計内容をがたんがたんとあなた方は下げたでしょう。必要な設計の変更を価格に合わせてしてしまって、何のための実験船であるのかという性格を失わせるようなことをしちゃったのですよ、あなた方は。それでいて、今さらこの問題については、今後のエネルギーの問題であるとかあるいは必要な開発であるとかなんとかと言っているけれども、知らないで信頼してきた国民こそいい面の皮だと言っていいと思う。そういうことを考えるときに、合すっかり体を洗って、そうして出直すことが大事じゃないだろうか。  私は、この際、岩動長官に申し上げたいし御意見を固さたいと思うのですが、あなたもやっとこの間なった長官ですよね。今、覚えたふりしていろいろ言っているけれども、そんなに覚えているわけでもない。私ども青森県から出ている政治家にとっては、この問題にかかわってきたのは昭和四十二年以来十六年なんです。私なんか、断食道場で寝ておったのを、寝てもおれなくなって飛び起きて、大変なことになるぞ、我が国の科学がどこまで行っておるかわからぬが、しかしこの問題はいいかげんに青森県を振り回すことになりはせぬか、こういうおそれが十分にあったものだから、検討検討を加えろ。しかし、そのとき政府は何と言いました。森山科学技術庁長官原子力の火を恐れる者は野獣の火を恐れるがごときものなりと言って、青森県民を罵倒したでしょう。罵倒する資格ありやと今昔いたいですよ。初めに誤りありきなんです。  そういうことを考えるときに、今また誤っちゃならないと思うのです。何のために今統合するのです。統合しなきゃならない必然性というのはどこなんです。言っているところの内容から見ますと、理由はここに書いていますよ、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、日本原子力船研究開発事業団日本原子力研究所統合するために必要な措置を講ずる云々。これによってどれだけのお金を生み出そうというのですか。これによってどれだけの予算の経済が期せられるというのですか。  まず大臣、ひとつこの問題に取っ組んで、私ども廃船を主張していますよ。また、自民党の中にも「原子力船を考える会」といって、中山太郎君を先頭に、廃船しかないと言っていますよ。長官だって、かつてこのメンバーの一人だったでしょう。ここにおられる諸君たちも、向かい合っている諸君たちはみんな「考える会」のメンバーですよ。「考える会」では何と言っているかというと、考えた結果、これは廃船にすべきだと、言っている。自民党科学技術都会でも、これは廃船にすべきだと方針を出している。方針が撤回されたとは、まだ発表されていませんよ。方針は生きています。そうして、この問題の取り扱いに困っちゃって打ち出したのが、ことしの八月末までに何とか一つの線を出すか、こういうのでしょう。  これほど情けない行政の責任者の現状というものはないと私は思うのです。そういう意味において、長官、ひとつこの問題をすっきりさせるために、私ならば、原子力船開発事業団というものはもう歴史的任務は終わった、新しい任務というものを考えなきゃならない。それがためには、この事業団の扱った船も一緒に解散しちゃって、廃船にしちゃって——舶用炉開発は続けることについて我々社会党といえども何も否定しませんよ、これに反対する何物もありませんよ。だが、余計な荷物をしょったまま原研の方においでになるということについては問題がある。  原研の側の職員の代表、所長さんが何と言っているか、わかりませんよ。国のやることだから、反対もできないでしょう。はいはいと聞かざるを得ないでしょう。心の中に何とあるか、聞きたいものだとも思っています。原研は原研としての使命があるし任務がある。その使命、任務というものを、これを合わせることによって阻害されることにならないだろうか。要らない荷物を受けることになることは明らかだと思う。そういうことから、私はいろいろなことをこれまで言ってきましたけれども、やはりここでもう一遍考え直す、そういう原点に立っていいんじゃないだろうか、こうも思いますので、ひとつその点について長官からまずお考えをいただければと思います。
  30. 岩動道行

    岩動国務大臣 貴重な御意見、ありがとうございます。先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもは、何と申しましても原子力平和利用、これは資源のない国としてはどうしても進めていかなければならない重要な分野と心得ております。そういう中において原子力船研究開発は、これまた先ほど来申しますように日本の地政学的な立場、そして海運国家である、貿易立国によって初めて同氏の繁栄と平和が確保できる、こういう観点から、私ども原子力船研究開発は必要であるということで「むつ」による研究開発を進めてきたところでございます。  しかしながら、過去のいろいろなことを反省し、また今後「むつ」による舶用炉研究をどうするかにつきましては、各方面から貴重ないろいろな御意見が寄せられております。したがいまして、そのような御意見、そして当然閉会におけるいろいろな御審議、御意見を十分に拝聴して、この夏までに政府としてどのように対応するかを決定いたしたい、かように考えておるところでございます。  また一方、法案の方では事業団統合ということをお願いをいたしておりますが、この法案は、六十年の三月三十一日までに対処せよ、こういう法律の規定がございますので、政府といたしましては、この法律によって誠実に対応しなければならないということで統合法案を提案いたしておるわけでございますので、どうか御審議を賜りたいと思うのでございます。
  31. 関晴正

    ○関委員 余り理念演説をしてもいけませんから、具体的にお尋ねをいたします。  この船を成功させて、うまくいったとすれば、我が国はこれを商業船にどのくらい実行に移そう、どういう船を何隻原子力商船として持っていこう、こういう計画がどの程度ございますか。
  32. 神津信男

    神津政府委員 お答え申し上げます。  先ほど松前先生に御説明を申し上げましたように、この原子力船実用化の問題につきましては、いろいろの環境条件もございまして、今直ちにとかいうことではございません。二十一世紀になりますと実用化が進むであろうという状況でございますので、現在のところ、具体的に何隻こういう船が必要になる、あるいは整備することになっておるというような計画はございません。
  33. 関晴正

    ○関委員 だから私は先ほど申し上げたのです。この問題が発生したときには華々しい我が国の列島改造論、そして我が国はどこまで工業が伸びていくか、まさに未来輝かしいものがあったわけです。石油は安く買えた。至るところの世界の隅々から原料、燃料を集めて、そうして工業化して売るならば我が国はどこまで伸びていくか、はかり知れないほどの一つの経済情勢があったと思う。  だがしかし、今は情勢がずっと変わりました。アメリカのサバンナ号にしてもあるいはドイツのオット・ハーン号にしても、一つの成果を得て、そうして第二商船、第三商船というふうにやっていますか、やっていませんか、知らせてください。
  34. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  サバンナ号につきましては、実験航海を終わりました後、燃料を抜きまして現在博物館として利用されておるようでございますが、その後、その経験も生かしまして舶用炉設計研究等は行われたと承知しておりますし、オット・ハーンにつきましても、炉の燃料棒その他放射性廃棄物を取り除きましてから貨物船に変更して運航しておる。そのオット・ハーンの実験結果等は、またその次の舶用炉設計研究等へ反映した。そういうことで、アメリカも西ドイツも相当め技術的な基盤というものは確立しておるわけでございまして、今のところ、原子力船が直ちに経済性を満たし得ないということから、第二船というような実船ができておりませんけれども、将来そういう環境条件が整ってまいりますればそれに対応して原子力船開発する基盤の技術を確立している、そういうぐあいに理解いたしております。
  35. 関晴正

    ○関委員 その理解じゃ弱過ぎますよ。あなた。サバンナ号にしろオットハーン号にしろ、研究しそうして航海し、その任務を終えているわけです。そのさなかに、それぞれ第二船、第三船、いずれの国にも計画がありましたよ。我が国だって、第一船をつくらないうちに計画だけはあったでしょう、二船も三船も。また造船界の諸君たちにしてみると、原子力船にしなければならないということで計画がありましたよ。  今ここで数字を述べてもいいのですが、これは一九七二年の資料ですよ、これを見ましても、我が国での原子力船の建造予想隻数というものがある。これによると、一九八〇年にはコンテナ船の原子力船二隻、それから一九八五年には同じくコンテナ船六隻、九〇年には十隻、そして九〇年においてはタンカーその他で二隻、それから一九九五年においてはコンテナ船十五隻、タンカー六隻、二〇〇〇年においてはコンテナ船二十隻、タンカー十隻、合わせると五十主催十八だからとにかく七十一隻、このくらい計画としてあるわけですよ。ところが、今この姿はどこにもないですよ。ドイツにもアメリカにも計画があったけれども、もうこれはどこにもない。八隻つくるとかあるいは五隻つくるとかというそれぞれの岡の計画はみんなとまっちゃっていますよ。なぜとまったかということです。なぜやめたかということです。二十一世紀を目指してやるためですか。どうなんです、これ、お答えください。
  36. 神津信男

    神津政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと私、ただいまの隻数にりきましては定かにしておりませんが、七二年当時、世界的に非常に高度成長が続いておりまして、燃料価格も安かったために、海運界におきましても非常に高速化、大型化が進んでいた時代でございまして、当時の高度成長を前提に相当早期に原子力船実用化するという見通しがあったのは事実でございますが、その後一九七三年のオイルショック以降、世界的に一つは経済が安定成長に入ったということ、それから石油価格が非常に高騰したというようなことから、現在高速化。大型化の実現が非常におくれておりますといいますか、当初の見込みどおり実施されていないという状況から、海運界からの要請といいますか需要が大幅に減り込んだために、その計画が実現をしていないわけでございます。
  37. 関晴正

    ○関委員 アメリカとドイツの話をしてください。アメリカがまたドイツが、それぞれ原子力商船をつくって、運航して、その結果として計画にあったところの次の建造計画というものも全部とまっているでしょう、中止されたでしょう。変更されているでしょう。それはどこに理由があってのことかということを聞いているわけです。知らないなら知らない、知っているなら知っていることを教えてください。
  38. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先ほどサバンナ、オット・ハーンの御説明のときに申したつもりだったのですが、経済性の見通しが今すぐには立たないということが、新しく研究が第二船、第三船というようなものに進んでいかない大きな理由であろうかと思っております。
  39. 関晴正

    ○関委員 冗談じゃないよ。研究が進まないからじゃないですよ、あなた。研究をした結果、実際に実験もした結果、立てた計画というものを執行できなくしているわけです。それは明らかにこれをやっても経済ベースに合わないんだ、そう言っているわけですよ、もし知らないというなら、ひとつこの際アメリカにも行って、ドイツにも行ってこれを調査してきたらいかがですか。どうです。
  40. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先ほどお答えしましたときに、私、経済性の見込みが今はすぐ立たないから、それで西ドイツもアメリカも第二船、第三船というぐあいには進めておりませんと、こうお答え申したつもりでございますので、先生の御主張と変わらないと思いますが。
  41. 関晴正

    ○関委員 そのくらいわかっていたら、何でこれやるのです。何でやらねばならない理由がありますか。先進国に学ぶことが必要でしょう。そうして、先進国において既にこれは経済的にペイしないものなり、そういう研究成果物が出たとするならば、その研究成果物をいただいて、把握して対処したらいいでしょう。それ、資料がありますか。
  42. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  確かに当面原子力船についての経済性というものはなかなか見込みが立たないわけでございますが、長期的な観点に立ちましたときには、この原子力船必要性が出てくるということについて各界の御認識もあるわけでございますし、そういう将来に向かって原子力開発というものは非常に長い時間がかかるわけでございますので、その技術的な基盤というものはやはり確立しておく必要があるだろう。特にアメリカ、西ドイツ、フランス等は既にもう実船での経験を積みまして、新しい舶用炉設計も終わっておるという程度の、技術的には日本よりもかなり先へ進んでおるわけでございますので、日本としてはまずその技術的基盤を確立しておいて、将来原子力船の需要が出てきたときには、そういった国々と並んで対応できるようなところまで上げておく必要があるじゃないか。特に原子力船開発事業団を設立しました当初におきましても、国会での附帯決議でも国産の技術によってこういうものは進めるべきだということで、私ども我が国技術陣を活用しまして進めてきたことでございますし、特に安全性の問題の点からいいましても、よそからの技術の導入だけではなかなか解決し得ない、あるいは急には役に立たないということもございますししっかりした技術的な基盤を我が国の中に蓄えておく必要がある、そういうぐあいに理解しておりますので、その面で原子力船舶用炉研究開発というものは進めていかなければならないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  43. 関晴正

    ○関委員 私は、我が国が実験する、研究する、それを否定しません。ゆっくりやっていいと思う。ゆっくりやっていいと思うけれども、合せっかくその任務を負うてきたところの事業団が、何の任務も果たすことなく原研に吸収合併みたいなもので行くわけですよ。何のかんばせあって行けるんだろうかということを私は考えているわけですよ。要らぬお荷物を持っていくことについて、何のかんばせあってここに行くのだろうか。大きな旗を立てて、成果を上げて、そうして帰っていくというならばわかりますよ。尾羽打ち枯らして、見る影もない姿で吸収される。  そのことについてもっとまともに考えるならば、サバンナ号に学びオット・ハーン号に学ぶ、そういう態度が我が国研究において必要なことじゃないのか。何も旧式の、今に合わないような状態の「むつ」に頼って生み出さなければならない研究成果物ではないだろう。外国でもつと先に進んだものが発表されているわけですから、その研究の中に入っていったらどうです。そうして、早く知りたいものがあるならば知ればいいでしょう。しかし、それはやはり秘密でございますから教えるわけにいきませんというならば、それはそれでいい。何が一番の問題かということなんです。そうして、二十一世紀において道が開けるであろうとか、その需要が出てくるだろうという漠然としたことで事を進めるということは、これはむだ遣いのもとをつくるだけなんです。ですから、その岡に研究成果物を研究するために人を遣わした方がよほど安上がりですようらやましがってはかりいないで、行くようにしたらどうです。  長官、どうです。まず長官にお答えいただきます。
  44. 岩動道行

    岩動国務大臣 先ほど来いろいろな御意見を伺いましたが、まず原子力船が一時期においては定量的に必要ではないか、こういう時代があったことは確かだと思います。そういう線に沿ってアメリカもドイツも研究開発を進めたと思いまするし、また日本の場合においても、そのような世界情勢、エネルギー情勢等を踏まえてある程度定量的な原子力船というものを想定したことがあったとは思います。しかしながら、その定盤性が今日はっきり申し上げられないような段階になったわけでございます。それは、変化がございました。したがいまして、私どもは、定性的には必要であるという日本原子力平和利用の立場から、今後ともこういう大事な舶用炉基礎的な研究開発を「むつ」によってやっていこう。しかしながら、それについてはいろいろな御意見もありますので、反省しながら改めてこの夏までに政府としても対応を講じましょう、こういうことになっておるわけでございます。  何と申しましても、定量的にいろいろなことが考えられた当時というのは、石油価格がどんどん上がってまいりました。そして、バレル当たり三十四ドルまで上がった。さらにこれが四十ドルになりあるいは首ドルになるというふうな予想すら出てきておったわけでございます。したがいまして、そのような高い油を使って日本が貿易立国することは大変困難であるという事態も予想されたわけであります。  一方、中東の情勢というものは非常に流動的でございます。その点は今日でもそうであります。イラン・イラクの戦争、そしてペルシャ湾の封鎖の問題、ホルムズ海峡の問題、あるいはここ二、三日のリビアのあのような騒動、こういうことを考えた場合には、中東というものは私どもは絶えず安心して見ていられない、そういう中で我々はやはり油を相当買っていかなければならない、こういう情勢でございますので、将来を展望したときには、私どもは、依然としてこのような原子力船というものを念頭に置いてその基礎的な研究開発、実験は行っておくことが日本の将来のために大事であるという認識で、今後とも各方面の御意見を伺いつつ対応してまいりたいと考えているところでございます。
  45. 関晴正

    ○関委員 大臣、聞いていることに答えてくださいよ。今のお話についてはまだ私にも論があるけれども、そんな論をする時間がないのです。  そこで、アメリカとドイツに貴重な資料ができ上がってあるわけですから、ただ何トンの船で、何ぼの速力で、どこそこの港に回って、そして終わりましたという、そんな話じゃなくて、どこに大きなポイントがあって経済上これがペイしないのか、そういうことの研究を向こうへ行って勉強するようにおやりになったらどうですかと私は聞いているのです。それはむだ遣いでしょうか。よほど有効なことじゃないでしょうか。これは岩動長官、あなたのところでせめてそのくらいはやったらどうです。
  46. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず外国のノーハウ、実験のデータ等を買ってやったら安くつくじゃないか、こういう御意見もございますと同時に、私どもは海外でのそのような成果については十分に勉強する必要があると思います。これは私どもも近い機会にそのような勉強する機会を持ちたいと思っております。
  47. 関晴正

    ○関委員 大臣、いいお答えをしてくれました。そうでなければならないと思うのですよ。  サバンナ号にしてもオット・ハーン号にしても、もう既に十年以上も前のことですよ。そういうことについて科学技術庁がどれだけ資料を持っているのだろうかと聞くと、資料を持っていない。そうして我が国開発だけに没頭しておけばいいように頑張っておるわけなんですが、これじゃ弱いですよ。ですから、学ぶべきものは学ぶ。そうして向こうはなぜ計画をやめたか、ペイしないからだ。なぜペイしないか、それは分析すると、安くつくようで実は高くつくということなんですよ。  今長官は、油がなくなるからこっちの方に頼った方がいいだろうなんて言っているけれども、計算すれば油よりも先にウランがなくなるのですよ。油の方はまだ百年はあります。ウランの方は、あと三十年どうだろうかと言われていますよ。これは権威あるところの資料を見ればわかる。どこそこ見なさいというところまで私が言わなくたって、ここで言っているのですから本当の話なんだ。  それであなたは、中東の油がなくなれば困るからなんて言う。中東の油がなくなって困るということになったら、困るのは油だけじゃない、あらゆる部面において困ることが起こる。それが原子力船だけのうのうと走れるなんという、そんなおめでたい話じゃないのです。それから、今あなたは油が百ドルにもつくようなことになりやせぬかと言っているのですが、そういうようなことにもなるかと思ったけれども、今一バレル当たりは下がってきたでしょう。どんどん下がっているじゃありませんか。ですから、必ずしも油はどんどん上がるという情勢でもない。これはガソリンを買うときに、ガソリンの値段が下がっていることでだれでも知っていることですよ。そういうことを見ますときに、この我が国原子力船の「むつ」にとらわれて、そうしてなおここに青森県の関根浜に千億もかけて港づくりをするなんということは、これはどう見たって無理じゃないかと私は言っているわけです。  中山太郎さんなんかは立派な意見まで言っていますよ。今度参考人に中山太郎さんにも出てもらって、学ぶ必要があると私は思う。また、中山さんばかりじゃない。こうした問題について、我々素人が書いたものを読んだだけで論じたって、これも始まらないから、我が国のこの道におけるベテランである服部学先生にも、ぜひこの委員会参考人として呼んで意見を聞く。何も我が党の推薦する人ばかりじゃない。自民党にしても、各党においてこの際、この法案にかんがみて、あるべき道を探る意味においても、権威ある人を呼んですべきじゃないだろうか。  そういう意味においては、今申し上げた服部学先生、それから私どもの青森県のむつ市の市長、現地において一番悩んでおる。何をだれに訴えたらいいかということで毎日ノイローゼになると市長は言っていますよ。(「やめたらいい」と呼ぶ者あり)これはまた公選されて堂々と上がっている人ですから、そう簡単に自民党の言うことを聞いてやめるなんというものじゃない。与謝野君の言うことを聞いてやめるほど、菊池渙治さんは安い男でもないから。それにまた青森県の知事、まあ何と言ったらいいか、要らないものを撤去すると言ったら喜んでくれればよさそうなのに、それをやめにするならおれ、知事が腹を切らなければだめだなんて言って、何事ぞと思われるような現象が起きているわけですよ。本当に恥ずかしくて人の前に出られないようなものです。私は知事を呼べなんて言いませんよ、恥ずかしくてこんなの。だけれどもむつの市長、それから服部学先生、これはやはりこの委員会にもお呼びして、考えているところ、思っているところ重言ってもらうように、これはひとつ委員長理事会に諮って参考人として呼ぶようにお願いしたいと思うので、ちょっとお答えいただきたいと思うのです。
  48. 大野潔

    大野委員長 ただいまの関君の御提案に対しましては、理事会で協議させていただきます。
  49. 関晴正

    ○関委員 それじゃ、私の方から次にもう少し聞きたいと思うのであります。  二月に新港なるものに、言うなれば工事をした格好だけをつくろうというので二千立米の石を捨てましたね。石を捨てた後、石がちゃんと据わっているだろうか。工事というものは継続しておけばそれぞれ期待もできるのだが、二月に石を二千立米まいて、六十万立米の予定の石のうちのわずかに三分の一%と言っていいでしょう。この後、石のまき方は、これからおやりになるのですか、おやりにならないのですか。まいた石はちゃんと据わっていますか、どうです。ごらんになってきましたか。お聞きいたします。
  50. 福永博

    福永参考人 先生お話しのように、去る二月二十二日に第一回の着工をいたしました。その際、約二千百立米のマウンドになる捨て石を実施したわけでございます。その捨て石がちゃんと計画どおりに据わっているかどうか、こういう御質問でございますが、この三月二十一日に第二港湾建設局の方で完成検査をやっております。それによりまして所定の検査をやりましたところ、所要の出来高に仕上がっておる。それから潜水士を入れて調べてみたところ、特に散乱といったものはない、こういうふうな報告を聞いております。
  51. 関晴正

    ○関委員 その検査の後に相当なあらしがあって、心配している向きもあるわけです。そこで、捨て石をとにかくまいた、この後、捨て石の計画というのはどうなっているのですか。
  52. 福永博

    福永参考人 私がただいま申し上げました完成検査の後にあらしがあって石が散らばったのではないか、こういう御指摘でございます。  私どもが投入いたしました石は、やや細かい話になりますが、目方にいたしまして一個五十キロから二百キロぐらいのものでございます。他方、私どもが着工いたしましたすぐ隣接したところに、先生御案内と思いますが、海草団地というものがございます。その海草団地では、石の目方は私どもが実施しました石よりも一回りも二回りも小さい石でつくられているわけでございまして、そこの海草団地でも格別そのあらしによって石が流れたとかあるいは移動したとかいうような話は聞いておりません。そこいらは第二港湾建設局の技術陣でございますから十分勘案してやっていることと確信しているわけでございます。  それから、今後どういうふうにするのかという御質問でございます。私ども、今申し上げました二千百立米の捨て石をいたしまして、いよいよ本格的に、あの地区も気象、海象状況等よくなってまいりますので、工事を開始すべく今準備を進めているところでございます。
  53. 関晴正

    ○関委員 その準備を聞いているわけですよ。いつ着工するのですか。建設の仕事にいつからかかるのですか。
  54. 福永博

    福永参考人 準備を今鋭意進めておりまして、何日ということをこの場で申し上げる段階に至っておりませんが、遠からぬ段階でいたしたいと思っております。
  55. 関晴正

    ○関委員 どこまで建設する計画ですか。
  56. 福永博

    福永参考人 当面の仕事といたしましては、先生御案内と思いますが、あの関根浜に沖出し方式で港をつくる大きな構想でございます。将来原子力船むつ」を接岸される埠頭をつくるわけでございますが、その埠頭の東側の護岸工事を中心に進めてまいりたいと考えております。
  57. 関晴正

    ○関委員 そのつくった新港は何をするのですか。仮にでき上がったと仮定しますよ。でき上がった新港は何するのです。
  58. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  関根浜の港につきましては、現在大湊に仮停泊している「むつ」を回航いたしまして、そこに停泊させるということでございまして、それ以降の「むつ」の取り扱いをどうするかということにつきましては、今政府としても検討している段階でございます。その検討結果によりまして、関根浜港において「むつ」の今後の計山に沿った線で港を利用する、こういう形になろうかと思います。
  59. 関晴正

    ○関委員 あなた方のとおり行ったとして、原子力船の「むつ」をそこにつないで、何に使うのです。
  60. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  「むつ」につきましては、この「むつ」による舶用炉研究開発を継続するという方向でいろいろ検討した結果、そういうことになれば、そういうことのための各種の実験等をやることになりますし、もうそういう実験をやらないで廃船したらどうかという結論になればそこで廃船をする、こういうことも考えられようかと思います。
  61. 関晴正

    ○関委員 今局長は、廃船ということになればそこで廃船をする、そうでなければずっとやる、こういうことなんだが、この船がずっとやるということになれば、これはどういう使い道をするのですか、ずっとやるというのはいつまでずっとやるのです。
  62. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  具体的な、まさに実験の、今後「むつ」の研究開発をどう進めるかということを今検討中でございますので、最終的に、こういうことをやる、いつまで使うのだ、こういうことを申し上げることはできませんが、定性的に申しまして「むつ」につきましては、当然のことながら、またいわゆる官庁検査中でございますから、その冷態停止の状態での検査、温態停止の状態での検査、さらには出力試験をゼロ出力から徐々に上げていく出力試験をやり、そういったことからある程度の出力試験の上昇まで行きました段階では洋上での試験もやって、それから、本来「むつ」が研究開発を進めてきたという我々の従来の考え方に立ては、そこで海上におきますいろいろな、三次元の振動とか風波に対する原子炉のビヘービアについていろいろなデータをとり、その結果を将来の舶用炉に反映させるということで、そのデータを取得する実験航海をする、こういうことでございます。
  63. 関晴正

    ○関委員 これは、ある程度の成果を見た上であそこで廃船するということになっているのじゃないですか。どうです。
  64. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  「むつ」の関根浜の港での使い方につきましては、本年一月の初めに大臣に現地に行っていただきまして、現地の方と御懇談したわけでございますが、その際に、まさに、出力試験を行ない実験航海をして、その後廃船まで行う、こういうぐあいなことについて基本的な御了解をいただいたというふうに我々は理解いたしております。
  65. 関晴正

    ○関委員 そこで、一千億もかけて港をつくって、そして廃船にする、その後の利用はどうなるのか、こうなりますと定かではないわけですよね。第二船をつくるのかあるいは第三船をつくるのか、あるいはその母港というものをどう活用しようとしておるのか、その計画は全くないのでしょう。
  66. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  まず、先生今おっしゃいました一千億という数字につきましては、事業団等でいろいろな計画が従来ございましたので、それの一つの試算でございまして、私どもが一千億のお金を使ってこれからやろうということではございません。ただ、「むつ」の実験が終わった後、第二船をどうするのかということにつきましては、先生御指摘のように、私ども今第二船以降の具体的な案等は一切持ち合わせておりません。
  67. 関晴正

    ○関委員 一千億といえば六百億より多いから勘定を間違っているんじゃないかと言っているのかもしれませんが、何かと勘定を間違ってはかり昭和三十年からきたでしょう。また勘定を間違っているのは間違いないですよ。そうして、海上部において三w四十億、陸上部において二百六十億、合わせて六百億というのが今の勘定でしょう。わかっていますよ。だけれども、陸上部の取得においては全く先が見えないのですよ、どのくらいになるか。また海上部で仕事をするとあなた方言いますけれども、今度大畑の漁協、石持の漁協、この両漁協の了解を得られなければあなた方仕事できないでしょう。これに幾ら迷惑料をまたこれから払うつもりでいますか。
  68. 福永博

    福永参考人 これから海上からの作業をするについては、私ども、先生御指摘のように、大畑の漁港を作業基地として考えて作業船を運航することを考えておるわけでございます。その作業船が通航しますについては、大畑から始まりまして関根がありまして、そのまた東の方にはいわゆる東通四漁協、こういったところが関係するわけでございます。大きく言いますと大漁協でございましょうか。その方々とはかねて御相談を申し上げておりまして、基本的には私どもの事業に協力していただくというような意向をちょうだいしているところでございます。  それで、今後はどういうふうな段取りで、例えば大別の作業船がかなりの数通るというようなことが想定されるわけでございますから、そういうことについてどういう経路でなるべく漁業の方に迷惑がかからないようにするか、あるいはさらに、安全はもちろんのことでございますが、安全確保についてはどうしたらお互いに安心できるかといったような詰めをやっているところでございます。
  69. 関晴正

    ○関委員 お答えにならないじゃありませんか。迷惑料を幾ら払うつもりでいるか、どのくらいの請求があってどう対処しているかということを聞いているのです。何もありませんか。
  70. 福永博

    福永参考人 迷惑料を幾ら払うかという御質問でございます。  今私が申し上げたようなことで工事を進めますと、場合によってはある程度の航路を設定するとかそういうようなことがございますので、それに伴って漁業の制限を受けるというようなことが生じてくると思います。あるいはそういうことがなるべく少ないようにしますけれども、あろうかということは想定できるわけでございます。そういう際は、それは御迷惑をおかけした分については十分納得がいただけるような線でお話し合いをする、こういうことでございます。
  71. 関晴正

    ○関委員 十八億の補償を払って万事解決したと思っておったのにもかかわらず、また補償めいた迷惑料、補償と言えば格好悪いから今度は迷惑料、こう言って折衝の状態にあるわけですよ。迷惑料一銭も払わないうちはあそこは通させませんよと両漁協が言っているんです。言っているんだけれども、この問題の二千立米の石だけを敷くのには、迷惑料にかかわらず何とかここをやってくれ、北村知事のメンツもあることだし、埋め立ての免許の期限も迫るものだから、「前門の虎、後門の狼」どうにもこうにもならぬから助けてくれと言ってやったわけだ。今度、捨て石をするといったって、これはちゃんとお話をした上でなければ認めませんよ、こう言っている。また金がかかるわけですよ。このことについてはさきの安田前長官のときに私、申し上げました。そうしたら、安田前長官がびっくり仰天、また払わなければならないことが起きるのか、こう言ったですよ。  そこで、この間の続きですよ。事業団理事長は、関根の諸君に十八億払った、十八億払ったけれども、この払った内訳、算定の基礎は幾ら聞いても答えない。私、現地に行ってきました。現地は今血肉を分けた間柄の関係者も大変ないさかいです。骨肉相はむ姿です。いつ血の雨が降るかわからないような状態ですよ。何の漁業権も持たない者を無理やりに正規の組合員にして漁業権を持たせ、一年に三日か四日しか昆布とりに行かない者まで定款九十日に違反して正規の組合員にして、そうして三分の二の多数を無理やりにとったことにして事を進めてきているものですから、これらの諸君たちは七割の頭割りだから三百万円以上入ってくるというので喜んでいる。十八億のうちの七割を頭割り、魚をとっている諸君については三割。それをどう分けるのかということでけんかです。算定の基礎というものを明らかにしてあげないと血の雨が降るような現状です。  青森県の北村知事がこれは発表しないでくれと言うので、あなたは知事の家来になって発表しようとしないんだけれども、どっちが正しいかを判断していい時期じゃないですか。殺りくの状態を起こしてから発表するのですか。そういうような険悪な状態にあるというときに、この十八億の算定の基礎はこうでございます、こう言ってあげなければ、行政の責任者として重大な責任をかぶることになりますよ。理事長、これでもその根拠を言わないつもりですか。言ってくださいよ。
  72. 井上啓次郎

    井上参考人 ただいまの関先生の御指摘は私もよくわかるところでございますが、西口組合長と事業団理事長である私が漁業補償についての協定書を結んでおります。それによりますと、漁業補償金の配分は組合の中につくられた配分委員会で、三十八人と承っておりますが、公正かつ円満にこれをとり行うという約束になっております。したがいまして、当事者としての私は、西口組合長がこの協定書に基づいて円満に、しかも今先生が御指摘のようなことがないように配分をしていただくことを期待しておるわけでございまして、その点につきましては、数字は現在のところ御勘弁願いたいと思うわけでございます。
  73. 関晴正

    ○関委員 あなたは結んだ協定に責任を感じているかもしれぬけれども、現状の実態ということをもっと深刻に考えたらどうです。誠実に事に当たるのが井上理事長のいいところでしょう。向こうの契約にも誠実でなければなりません。だが、今の現状を私に言われて、あなたこれで何度言われました。私は現地にきのうもおとといも行ってきたのですよ。泣いている。こんなやり方ってひどい。しかも裁判が起きているでしょう、議決無効の裁判。これについては水産庁もまたきちんと答えてもらわなければならない。また、あなた方の方は、佐世保に二十億の特別基金の金を出してきて、船は出ていく金は置くなんというばかなことはないから、船と一緒に金も持ってきたらいいだろうというのに、このことについても黙っている。  このことについて、私は水産庁の方の責任者にも聞きたいのだけれども、こういう不法な議決という問題について、不服審査法に基づいての申請もまた出されているわけです。これをどう取り扱っていくかということが一つ。  また、二十億の金のことについては、水産庁にも責任があるということで、原子力局長はこの間地元とも水産庁とも相談の上で当たると言っているのだが、相談の上でどう当たっています。早く二十億を引き揚げて対処するのが筋じゃないだろうか。何もかにも能力のないような原子力船事業団だというならば、余計にこの際解散してしまった方がいい、こうもまた私は思うわけですので、そのことについてのお答えをいただきたいと思います。
  74. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいま二点につきましてのお尋ねがあったわけでございますが、まず第一点の、行政不服審査法に基づきます審査請求についてでございますが、これにつきましては、昨年の十一月十五日付をもちまして関根浜漁協の組合員から農林水産大臣あてに提出されているところでございます。  そこで私どもといたしましては、行政不服審査法の定めます手続に従いまして、処分庁でございます青森県知事から審査請求に対する弁明書の提出を求めますとともに、さらに青森県知事から出ました弁明書に対します反論書を審査請求人に対しまして提出を求めておるという状況でございまして、こういった手続の進展を待ちましてさらに審査を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。  次の第二点の、長崎県に対しまして交付いたしました魚価安定特別基金造成に係ります二十億円の補助金の返還問題についてでございますが、これにつきましては、先生御案内のように、この補助金の交付着体、佐世保港におきます原子力船むつ」の修理の実施に伴いまして、「むつ」の所管庁でございます科学技術庁が長崎県当局等とも話し合いを進めた結果、交付をするという方針が決定されたものでございます。  この補助金の予算化につきましては科学技術庁で行われまして、その過程におきまして、一定の場合には国は長崎県からこの補助金の返還を求めるという方針も決定されたと承知しているわけでございます。この補助金は五十三年度の補正予算の編成に当たりまして科学技術庁が要求したわけでございますが、魚価安定基金の性格等にかんがみまして、予算成立後に私ども農林水産省、水産庁に移しかえを受けたという経緯があるわけでございます。  私どもといたしましては、移しかえ後、補助金交付要綱等の作成、さらには補助金の交付等の実務を進めてまいったわけでございまして、その際に実施要綱上、一定の場合における補助金の返還の規定を設けたわけでございます。この規定を設けました趣旨につきましては、あくまでもこの補助金の予算化の過程で決定されました方針に従って行ったというものでございます。  したがいまして、この補助金の返還問題につきましては、この補助金の交付の趣旨なり予算化の経緯等を考えれば、まず科学技術庁において長崎県当局等と十分御相談された上で判断が行われ、私どもといたしましてはこの判断を尊重して対処したい、かように考えておる次第でございます。
  75. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  佐世保への魚価安定基金の件につきましては、これは基本的に返還すべきお金であるということで私どもも対応いたしておりまして、現在長崎県の方と御相談をしておるところでございます。
  76. 関晴正

    ○関委員 時間であります。終わります。
  77. 大野潔

    大野委員長 遠藤和良君。
  78. 遠藤和良

    ○遠藤委員 きょうは法案審議でございますので、若干法律論争をさせていただきたいと思います。  最初に、内閣法制局にお伺いをいたしますが、「むつ」を廃船にする場合、新しい日本原子力研究所法案ではどの条項によってできますか。
  79. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  今回の改正法案に基づきまして改正された後の法律のどういう条項によって廃船が可能か、こういう御趣旨の質問であったかと思いますが、これにつきましては今回の改正法案の中に、旧事業団法で建造されましたところの原子力船につきまして、その原子力船に関する業務を行うこと、こういうふうに書いておるわけであります。この規定が直ちに原子力船廃船ということをその内容として含むことを予定して書かれたということではございませんけれども、広く「原子力船に関する業務を行うこと。」こういうような規定ぶりからいたしまして、原子力船の処置等につきましては、広くその規定によって読むことは可能ではないかというふうに考えております。
  80. 遠藤和良

    ○遠藤委員 いわゆる新法の二十二条の四号ということですね。
  81. 大出峻郎

    ○大出政府委員 御指摘のとおりでございます。
  82. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それでは旧というか現日本原子力船研究開発事業団法におきましてはいかがでございましょうか。
  83. 大出峻郎

    ○大出政府委員 現行の事業団法の規定においてどういうふうに読まれるかということにつきましての御質問でございますけれども、仮に廃船方針が決定されたといたしましても、現実にその作業が始まるのは早くても昭和六十年度以後というような時間的な問題があると聞いておるわけであります。  そういう意味合いにおきまして、今回の法案の審査の過程におきまして現行の事業団法でその辺のところをどういうふうに読むのであるかということにつきましては、必ずしも検討を行ったわけではございませんけれども、現行の事業団法ができ上がりましたところの経緯等にかんがみますと、その立法趣旨として、現行の事業団法が原子力船を現在のような状況のままに廃船をするということを想定していたとは考えにくいのではないかというふうに思われるわけであります。  ただ、全く仮定の話ということで申し上げますと、先ほども申し上げましたように、これは現行法のもとにおいてそのような形での問題が起こり得るのかどうかということにつきましては、私ども必ずしも承知をいたしておりませんので、法案の作成過程におきましては、その辺の検討を必ずしも詰めてはいないということでございます。
  84. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ということは、現行法におきましては、「むつ」を廃船する場合それに当てはまる条項がない、したがって新たな立法措置が必要とお考えになりますか。
  85. 大出峻郎

    ○大出政府委員 先ほども申し上げましたように、今回提出を申し上げておりますところの研究所法の改正法案でございますが、これにつきましては、広く「原子力船に関する業務を行うこと。」というような趣旨業務の範囲の規定ぶりになっておるわけであります。これに対しまして、現行の事業団法でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、立法当初から見まして、そのような形のものは特に念頭に置かれていなかったのではなかろうかというふうに考えるわけであります。  ただいまの御質問でございますけれども、現行の事業団法というものを改正しなければいけないのではないか、こういう御趣旨の御質問であったかと思いますが、これにつきましては、現在原子力研究所法の一部を改正する法律案という形で、業務の範囲につきましては先ほど申し上げましたような趣旨の条文を設けておるということでございます。
  86. 遠藤和良

    ○遠藤委員 改正するというのではなくて、私は、「むつ」を廃船する場合、現行の事業団法では読めるのか読めないのか、読めないのであれば、廃船する場合は新たな立法措置が必要ではなかろうか、この点をお伺いしているわけでございます。
  87. 大出峻郎

    ○大出政府委員 先ほど申し上げましたように、現行事業団法は、その制定のときにおきまして、そのようなことを念頭に置いて条文が作成されていたというふうには考えにくいと思われるわけであります。ただ、現行の事業団法をしからばどういうふうに理解をするのかということでございますが、これにつきましては、具体的なケースに基づいて、どのような趣旨でどのような条件で、あるいはどのような対応でそういう問題が起こり得るのか、それをベースにして個別具体的にどうも検討せざるを得ないのではないかというふうに思うわけであります。したがいまして、今一般的、抽象的に現行法で読めるのか読めないのかということにつきましては、私といたしましても、一般的、抽象的な形での御返事をなかなか申し上げにくいというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
  88. 遠藤和良

    ○遠藤委員 大変読みづらいという印象ではないかと思うわけでございます、読めたとしても。それでよろしいですね。  それで、もう一点お伺いいたしますけれども、今度は原子炉を廃炉にする場合でございますが、現行の日本原子力研究所法ではどこで読めますか。
  89. 大出峻郎

    ○大出政府委員 現行の日本原子力研究所法に関連してのお尋ねであったと思いますが、ただいまお話しの原子炉の廃止というようなことが具体的にどのような形のものであるかということにつきましては、私ども、どうも専門的な問題でございますのでよく承知はいたしておりませんが、一応科学技術庁の方々に伺いますと、それは研究開発というものにつながった形のものであるという御趣旨のようであります。もしそういうことでありますれば、原子力研究所法の二十二条「業務の範囲」の規定がございますが、これの第一項の第二号「原子力に関する応用の研究を行うこと。」あるいは三号「原子炉設計、建設及び操作を行うこと。」という規定がございますので、その廃止ということが研究開発につながるものであるという御趣旨のものであるといたしますれば、これらの規定であるいは可能ではないかというふうに考えます。しかし、具体的なケースというものを私よく承知をいたしておりませんので、どうもはっきりとその点は申し上げかねる次第であります。
  90. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ただいまの条文を読み上げますと、二号は「原子力に関する応用の研究を行うこと。」、三号は「原子炉設計、建設及び操作を行うこと。」でございますね。これで読むというのは、余りにもこれは読みづらいんじゃないでしょうか。とても読めないと思います。私は、もし読むとするならば、八の「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行うこと。」、こちらで読めば少しは読めるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  91. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  二十二条の一項の二号あるいは三号に関連をさせては読みにくいのではなかろうか、こういう御指摘があったわけであります。私ども先ほども申し上げましたように、その廃止ということの実態、内容というものを、どうも専門的な問題でございますので、具体的によく承知をいたしておらないわけでありますが、科学技術庁の方々から伺ったことによりますと、そのような廃止というものも研究開発につながる類のものであるというような考え方がとり得る、こういう話も承っておるわけでございます。もし仮にそうだとすれば二号、三号ということでいけるのではないかというふうにも理解をいたすわけであります。  ただいま先生御指摘ございました第二十二条の一項の八号のいわゆる目的達成業務というようなところで読めるのではないか、こういう御趣旨もございましたが、これは、ここにございますように「前各号に掲げるもののほか、」ということで、条文といたしましては、八号の前に、一号から六号までなり、そういうところでできるだけやはり読んでいくというのが法の考え方であろうかと思います。  そういう意味合いにおきまして、二号、三号であるいは可能ではないだろうかというふうに申し上げたわけでありますが、八号は「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務」、こういうふうなことでございますので、第一条の目的規定との関連において理解をされるべきであるというふうに思うわけであります。
  92. 遠藤和良

    ○遠藤委員 これは内閣法制局の正式な見解と受けとめてよろしいんですか。これは大変読みづらいと思いますよ。「原子力に関する応用の研究を行うこと。」「原子炉設計、建設及び操作を行うこと。」、これが廃炉の準拠できる条文である、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  93. 大出峻郎

    ○大出政府委員 先ほどたびたび申し上げた次第でございますけれども原子炉の廃止という具体的な事態がどのような形のものであるかということを私どもよく承知をいたしておりませんので、すべての原子炉の廃止というものが二号、三号によって読めることになりますというふうにはなかなか申し上げにくいと思います。  ただ、私どもが承りましたようなケース、例えばその廃止という過程におけるところのものが研究開発というものにつながるものである、そういう過程のものであるということであれば二号、三号で読むことも可能ではないかというふうに申し上げた次第でございます。
  94. 遠藤和良

    ○遠藤委員 法律の解釈としてどこまでも敷衍するというか拡大するというのは私はいかがなものかと思うわけでございます。そういう読み方ができるということであれば、例えばほかの法律でそういう例はありますか。あったら教えてください。
  95. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答え申し上げます。  第二十二条でございますが、この第一項二号あるいは三号でございますが、この中には廃止ということは直接に文言上は出ていないことは全く御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたような意味で、廃止ということが研究開発につながったその一環としてのものであるというようなことでございますれば、これは具体的なケースを具体的に検討してみなければ何とも申し上げられないわけでありますけれども、あるいは二号、三号で読むことも可能なのではなかろうかというふうに理解をいたすわけであります。
  96. 遠藤和良

    ○遠藤委員 すれ違いに終わっているようでございますけれども、旧法でそこの二、三で読むということであれば、新法も二、三で読むことになりますね、当然のことですが。  なぜこういう問題を取り上げましたかといいますと、「むつ」を廃船いたしますときに、先ほどもお答えいただきましたが、旧法、日本原子力船研究開発事業団法では準拠できる法律がない。新法になりますと、二十二条の四号におきまして準拠できる法律があるということでございまして、これは意地悪な見方をすれば、新法は廃船のための受け皿をつくっている法案である、こういうふうにも理解をできるわけですが、いかがでございますか。
  97. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えを申し上げます。  今回の改正法案の中に、新特殊法人の業務の範囲の問題といたしまして、旧事業団法の規定によって建造をされました「原子力船に関する業務を行うこと。」こういうような業務の範囲の規定を設けておるわけであります。これは広く「原子力船に関する業務」ということで、そこはかなり広い範囲で業務の範囲として読めるようにするという趣旨で書かれたものでございます。現行の事業団法と比較をいたしますと、現行の事業団法におきましては、「原子力船開発のために必要な研究及び調査を行うこと。」とか、あるいは原子力船の運航あるいは建造というような書き方がされておるわけであります。この円といいますか現在の事業団法との対比におきましても、「原子力船に関する業務を行うこと。」というのはやや広い概念を包摂するものとして書かれたというふうに理解をいたしておるわけであります。  こういうふうに書いたことが廃船を念頭に置いて書いたという趣旨ではないというふうに法案作成当局の科学技術庁の方からも承っておりますが、ただ逆に、廃船も読めるかと言われますと、「関する業務を行うこと。」というふうな広い書き方をしているという意味では、現在の事業団法よりも業務の範囲を広くとらえておるという意味合いにおきまして、そのような読み方も許されないわけではないのではないかと理解をいたしておるわけであります。
  98. 遠藤和良

    ○遠藤委員 そういう意図があったかなかったか、それはわからないわけでございますけれども、結果的にいえば、旧法では読めない、新法では読めるということは、そういうふうな結論といいますか論拠を与えているわけでございますね。  それで、大臣にお伺いしたいわけでございますが、新法になりますと、「むつ」を廃船する場合に、当然読めるわけでございますから、新たな立法措置は全く必要なくなるわけです。ということは、国会の場で法案審議として「むつ」の廃船を論議するということはないわけでございます。これは立法府の軽視につながらないか、この辺に対する御所感をお伺いしたいと思います。
  99. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず、基本的に私どもは、「むつ」による舶用炉研究開発が重要な柱であるということは、繰り返し申し上げてきたところでございます。  しかしながら、たびたび申し上げておることでございますが、各方面から「むつ」に関してはいろいろな御意見が出てまいりました。したがいまして、今国会においてもたびたびこの問題が取り上げられ、御審議をいただいているところでございます。そういう中において、私どもは、政府としての「むつ」のあり方については、来年度の予算編成の時期には一つの方向を打ち出そうということにいたしているわけでございます。当然それまでに国会のいろいろな御意見、御審議はちょうだいをいたすことになるわけでございます。そういうものを踏まえて、八月には方向を政府として打ち出していきたい。それがさらに来年度の六十年度の予算編成にも反映してくるわけでございます。したがいまして、さらに六十年度の予算の御審議等を通じて国会での慎重な御審議をちょうだいする、こういうことでございますので、私どもは最高の国会の御審議というものを十分に尊重する立場をとっていると考えておるわけでございます。
  100. 遠藤和良

    ○遠藤委員 常々長官は、政府自民党のみではなくて、各党の意見また各界の意見、こういうものを慎重に聞きながら対処をしていく、こういう御決意を述べておりますので、長官を信頼を申し上げますので、ひとつ「むつ」に廃船に伴うような事態が来ましたら、オープンな論議をこの国会の場でも堂々と展開できるようにぜひともお取り計らいをいただきたいと思うわけでございます。  ちょっと逐条的に確認をさせていただきますけれども、第一条でございますね、「あわせて原子力船開発のために必要な研究を行い、」云々の後でございますが、これは当然「原子力基本法に基づき、」という言葉がかかるわけですね。これを確認をしたいと思います。
  101. 中村守孝

    中村(守)政府委員 第一条中、「原子力船開発のために」というのを「あわせて」という形で後の方に書いてあるから、「原子力基本法に基づき、」というものはこれにかかるのかどうか不明であるという御質問かと思いますが、お答えは、簡単に申しますればかかるということでございまして、原子力基本法に基づいて日本原子力研究所というものは一切の研究を行うわけでございます。
  102. 遠藤和良

    ○遠藤委員 第十条でございますが、「研究所に、役員として、理事長一人、副理事長二人、理事八人以内及び監事二人以内を置く。」これによりまして二法人からの役員はどの程度簡素化されますか。
  103. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  現在の日本原子力船研究開発事業団は役員が六人以内となっております。それから日本原子力研究所につきましては十一人以内ということになっておりますので、両法人合わせますと十七人以内ということになっております。統合後は十三人以内ということになりますので、全体として四人の縮減が図られるということでございます。
  104. 遠藤和良

    ○遠藤委員 では、第十六条でございますが、ただし書きですね、「ただし、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」この条文を付加したねらいは何ですか。
  105. 中村守孝

    中村(守)政府委員 役員の兼職禁止にかかわるところでございますが、本来、役員は他の業務に煩わされることなく研究所の職務に専念をし得る、さらには、役員が営利目的の業務に従事するということでございますと、職務試行の公平さを疑わしめるというようなこともあるということで、禁止ということが考えられるわけでございますが、元来、特殊法人の役員にはできるだけ広く有用な人材を登用するということが必要なわけでございます。先ほど申しました原則的な考え方というものはあるわけでございますが、しかしながら、営利の業務に従事していたからといって、その当該法人とのかかわり方と余り関係なく一律にすべてを禁止してしまうということではいかがか。実際には営利業務に従事していても当該法人との関係においては特段の関係がないという方もおられるわけでございまして、広く人材を集めるという意味では、一律に禁止するというのはそういう役員の適切な登用を妨げることになるのではないか、こういう考え方もあるわけでございます。  本法案におきましては、最近の類似の法人の例に倣いまして、このような観点を踏まえて、役員を兼職する場合には内閣総理大臣が承認をした場合は営利企業にいる人でも例外的に役員になれるというぐあいにケース・バイ・ケースで判断をするということにいたしたわけでございまして、これは臨時行政調査会の答申の趣旨でございます特殊法人の経営活性化のための役員の活用という点につきましての提言とも一致するわけでございます。
  106. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それは民間活力の導入という意味と、それから天下りといいますか、それへの道をつくるという両面に使われるおそれがあると私は思うのでございますけれども、その点の心配はないんですか。
  107. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  内閣総理大臣の承認という歯どめがございまして、その点はきちっと確保されるというぐあいに考えております。  なお、ちなみに、科学技術庁関係の法人がそのほか幾つもございますが、皆、内閣総理大臣の承認という例外規定を設けておる次第でございます。
  108. 遠藤和良

    ○遠藤委員 じゃ、二十二条に参ります。  ここで、舶用炉研究開発は二十二条のどの項目によってできますか。
  109. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答え申し上げます。  舶用炉ということになりますと、その研究開発の目的がはっきりしておるわけでございまして、これは二十二条の一項の二号、いわゆる原子力の応用という規定の中で読まれるわけでございますし、さらに具体的に、例えば舶用炉の実験炉というようなものを陸上に建設するというような場合におきましては、舶用炉設計、建造または運転を行うというところで同項の三号の規定が適用される、こういうことに考えております。
  110. 遠藤和良

    ○遠藤委員 今ある原研のJRR4、これは三号の規定によっているわけですね。
  111. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  JRR4に関します業務と申しますと、直接的にそのJRR4を過去において設計し建設したという点はもちろんその三号でございますし、その運転そのものも三号でございますが、そこで行われている研究自体は非常に幅広いものがございまして、例えばJRR4でラジオアイソトープの生産を行ったり、あるいは技術者の原子炉に関する教育訓練にJRR4を使うというようなこともしてございますので、それぞれの利用目的に応じまして、そのやっている業務自身はそれぞれの該当事項が適用されるというぐあいに理解いたしております。
  112. 遠藤和良

    ○遠藤委員 時間がありませんのでどんどん進みます。二十四条に参ります。  これは大変煩雑化しておりまして、旧の事業団法を何か機械的に挿入している感じを受けるわけでございます。これは行政簡素化という形でいえば法律簡素化しなくてはならないのじゃないか、こういうように私は思うわけでございますが、法律はかえって大変に煩雑化しておる印象を受けます。特に二の二号ですね、「舶用原子炉に係るものに限る。」この項目について「内閣総理大臣及び運輸大臣原子力委員会の決定を尊重して定める原子力船開発のために必要な研究に関する基本計画に基づいて行われなければならない。」こういうことでございまして、運輸大臣が監督するという形になるわけでございますが、この舶用炉というのは一体どういうものでございますか。お聞きしましたところ、舶用炉には四つの段階がありまして、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉、こういうふうにあると伺っておりますけれども、現在の「むつ」の炉はこのいずれに当たりますか。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕
  113. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  今先生おっしゃいました実験炉、原型炉、実証炉、実用炉という炉の区分でございますが、これは陸上の動力炉のいろいろ基本的な設計が全く新しいものにつきまして、将来の実用炉をイメージしまして、それに向かって具体的に段階的に研究開発を進めていくときの炉の段階一つの呼び名でございます。それで、必ずしもこの段階をすべて経るというわけではございませんで、例えば動力炉・核燃料開発事業団で建設をいたしております新型転換炉につきましては、既に軽水炉のいろいろな知見が援用される、あるいはそのほか国際的な重水炉の知見が援用されるということから、実験炉は省略いたしましていきなり原型炉という段階から着手をしているということもあるわけでございます。  このような炉の開発過程を今「むつ」に直接当てはめるということは若干問題がございまして、現在の「むつ」の炉はあくまでもいわば実験の用に供するということで、将来今の「むつ」の炉と基本的設計が全く同じようなものをそのままエンラージする、あるいは部分的に改造して経済性を確保するというようなイメージのもとに開発を進めている途中段階の炉であるということではございませんで、今は「むつ」のあの炉を使いまして海上における炉の基礎的なビヘービアについてのデータを取得する炉であるということで、ただいま我々は理解いたしております。そういう意味からいいますと、実際にこの炉は規模も大きく、実際の実用船を動かすだけの機能を備えておるわけでございますから、ただそれだけのことからいえば、陸上炉の開発炉と比較いたしますと実証炉と言えないわけでもないわけでございますが、先ほど申しましたような「むつ」の性格から申しますと、むしろ実験炉という理解をした方がよろしいのではないかと思っているわけでございます。
  114. 遠藤和良

    ○遠藤委員 「むつ」の漂流の原因は、根本的には陸上の基礎研究が全くなしにいきなり船へ載せた、こういうところにあるわけでございまして、今の「むつ」の炉というのは実証炉の意味合いが強いと私は思うのです。それを実験炉である、こういうふうに言っているわけでございますが、やはりそう言わなくては困る事情があるのじゃないかと推察いたします。  特に、これは私は何で取り上げたかといいますと、実験炉、原型炉の段階というのはあくまでも基礎的な研究ということでございまして、これはおおむね科学技術庁長官が所管する業務の中に入るのではないかと思うわけでございます。したがいまして、舶用炉全部にわたって初歩の実験炉の段階から全部運輸大臣が主管するという論拠が余りはっきりせぬわけでございまして、この点については具体的にどういうふうにお考えなんでしょうか。これでよろしいのですか。
  115. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  舶用炉研究開発につきましては、いわば原子炉に関する知見とともに船舶に関する知見というものが非常に密接な関係を持っておりまして、それが相互に相まって研究開発が進むということでございます。しかも従来、日本原子力研究所は、みずから舶用炉開発というよりは原子力船開発事業団に協力して必要な範囲での研究をしてきたというような実態もございますし、原子力船開発事業団については運輸省と協力して従来監督をしてまいったという経緯もございますし、これらの点から、今後ともこの舶用炉研究開発を円滑に推進していくということで、両省庁が監督し共管をするという形にいたしたものでございます。
  116. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ちょっと原研の理事長さんにお伺いしたいのですけれども、この新法によりまして、いわゆる頭が二つできたような印象を受けるわけですね。いわゆる旧の原子力研究所の方については科学技術庁長官、それから船の部分の研究並びに舶用炉研究については運輸大臣に一々お伺いしなくてはいけない。こういうことになりますと、これは行政簡素化というよりも、大変に指示命令系統が複雑化しておりましてやりにくいんじゃないかという印象を受けるわけでございます。  もう一つ、労働組合の方々が皆さんこの統合について反対をされておりまして、きょうもたくさんお見えのようでございますけれども、現場の方方がこういう問題について大変に反対されるという感情がありますと、仕事が今後とも大変やりづらいことにならないか、こういうふうに思うわけでございますが、その辺の率直なお気持ちをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  117. 藤波恒雄

    藤波参考人 原子力研究所藤波でございます。  お尋ねの二点でございますが、まず最初の共管問題でございます。実は、私ども研究所といたしましては、二省庁からの共管問題というのは今度が初めての経験になるわけでございます。ただ、今度共管となる予定の部分は、原研としては新たに追加される原子力船開発に関する分野だけに限られておるわけでありまして、その範囲におきましては、現在の原子力船事業団が受けておる共管の関係と同様になるのではないかと考えております。原研に移った場合のその分野に対する指揮監督というものも、現在の事業団に対すると同様に、両省庁が十分に調整がとれた形で行われるように期待しておるわけでございまして、できるだけ煩雑にならないように運用していただくというように期待をしておるところでございます。  それから、原子力船関係のその分野業務につきましては、内閣総理大臣と運輸大臣によって定められる業務運営の基準というものに従って実施するということになるわけでありまして、これに必要な認可、承認等の手続が両省庁にわたるということになるわけでございますが、これは当然やむを得ないということになろうかと思いますが、事務処理の運用につきましては、我々、当局側ともできるだけ御相談をいたしまして、円滑に業務が遂行できるようにして努力いたしていきますれば、十分対処できる問題ではないかと実は考えておる次第でございます。  それから、第二点の原研の職員の協力問題でございますが、統合後の業務を円滑に遂行するに当たりましては、原研の職員全体の理解、協力が重要である、それなくしてはやっていけないということは当然であると考えておりまして、そのような理解を得られる努力をいたしたいと思っておりますし、またその協力、理解は十分得られるものと思っております。
  118. 遠藤和良

    ○遠藤委員 理事長の御心中をお察しいたしまして、質問はこの程度にとどめますが、大変に御苦労があると思います。大変なことだと思いますが、円満にいきますように御努力をお願いしたいと思うのです。  それから科学技術庁長官にお伺いいたしますが、「むつ」の問題でございます。「むつ」の問題につきましても、先ほどるる質疑がございました。「むつ」症候群とか、あるいはちまたでは「むつ」宝船論あるいは金子力船というのでしょうか、面子力船とか政治力船とかいろいろ言われておりまして、本来の科学技術行政とは関係のないところで「むつ」がいろいろと漂流をしてきた経過があるわけでございますが、こういった問題について長官の率直な御所見はいかがでございますか。
  119. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず私、原点に立ち返ってお答えをいたしたいと思いますが、たびたび申しておりますように、原子力船むつ」による舶用炉研究開発、そしてその実験を完了する、そしてその知見を蓄えておくということは、日本原子力平和利用分野としては極めて重要なものである、こういうことで今日まで「むつ」の研究開発を進めてくれということでございました。ところが、ただいまいろいろお話がありましたように、いろんなあだ名をいただきました。そのことは、すなわち過去における私どもが反省しなければならない点でもあろうかと思います。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕  そもそも昭和四十九年に、わずかではございますが放射線漏れが起こりました。これは大変遺憾なことでございました。ただ、その放射線漏れも、我々が普通病院に行ってレントゲン写真を一枚撮る、それの何分の一かというごく微量のものでございました。しかしながら、そのようなことがあってはもちろんならないわけでございますので、私どもはこれに対しては厳しく対応しなければならないということで、佐世保に回航して修理を打ったわけでございます。その佐世保に回航して修理を行うこと自体も、どこの港で修理を行うか、引き受けてくれる港がなかなか見つからなかった。ようやく佐世保が地元として御理解を賜り、御協力のもとに遮へい工事が行われ、そしてまた総合的な安全点検も行われたわけでございます。しかしながら、佐世保自体は修理だけのためでございまして、あとはどこかよそに行ってほしい、こういうことでありました。  したがって、遮へい工事修理が完了した時点でどこに「むつ」を持っていくか。大湊に戻していただければ一番よかったわけでございますが、なかなかこれがそのようにはいかなかった。全国おおむね六十くらいの港に当たってみましたけれども、それが思うようにいかなかった、地元の御理解と御協力はいただけなかった。こういうことで、とりあえず大湊に仮の停泊をさせてもらって、そのときの青森県の地元の御了解は、新しく港をつくることによって「むつ」はそこに移してほしい、それまでは大湊で休んでもらってもよろしい、こういうことでいわゆる五者協定ができ上がったわけでございます。すべて地元の御理解と御了解がなければできなかった大変難しいケースであったわけでございます。このようにして開発のスケジュールが大幅におくれたことは、まことに国民に対しても申しわけないと私どもも思っております。  しかしながら、今日では「むつ」は遮へい工事修理も全部完成をいたしましたし、また安全の総点検も完了いたしております。今、さらにその管理のために、最善を尽くしているわけでございます。そして研究開発、実験がそのような徐々の段階において実行ができる段階に入っているわけでございますが、何としても港ができなければならない。そこで地元とのお約束によって関根浜に港をつくる、こういうことになっているのが現状でございまして、御案内のとおりでございます。  このような経過を経まして、五十九年度の予算編成になりましたときに、各方面から大変貴重な御意見をちょうだいいたしました。また、会計検査院からも御指摘をちょうだいいたしました。そこで政府といたしましては、このような貴重な御意見を踏まえて、本年の八月末には政府としての最終の方針を決定をいたして「むつ」に対する処置を講じてまいる、こういうことに相なっているのが現状でございます。その結果、六十年度の予算編成にそれが反映して国会の御審議をちょうだいする、こういう進め方になるわけでございまして、この辺を十分に御理解をちょうだいをいたしまして法案の御審議をお願いしたいと思うのでございます。
  120. 遠藤和良

    ○遠藤委員 「むつ」は確かに漂流してまいりましたけれども、今「むつ」はとまっているのですね。静止しております。我が国原子力行政の方が漂流しておる。したがって、その影響で「むつ」が漂流してきたんだ。人間で言えば影が動いているわけですけれども、影が動くのではなくて、人間が動いているから影がついてくるのですね。こういうことでございまして、体が曲がるから影が斜めに映るわけです。したがって、「むつ」が漂流したというのは「むつ」を漂流させたものがあるのです。それは何か。それは我が園の原子力行政だと私は思います。基本的に着実な実験をして明確な展望を持ってやっていくという一貫性がなかった。場当たり的でその場しのぎでやってきた。ここに「むつ」の漂流の起こった根本的原因があると思います。  そこで、この漂流を食いとめるにはどうすればいいのか。廃船してしまえば一番明確です。これ以上漂流しないでしょう。しかし、せっかくつくった船を一回の実験もせずにスクラップにするというのは余りにもむだです。また、「むつ」に命があるならば、やはりこの世で使命を果たしたいでしょう。そういう意味で、「むつ」に本来の使命が達成できるような有効な方策というものをじっくり考えていただきたい、真剣に考えていただきたい、これを切に要望するものでございます。  ちょっとお伺いしますが、現在大湊に泊まっております「むつ」、これは絶対に大丈夫なのでしょうか。また、ただいま火を入れて運転を始めても絶対に安全と言い切れるものでございましょうか。科学技術庁並びに事業団関係者にお伺いしたいと思います。
  121. 岩動道行

    岩動国務大臣 今「むつ」が健全であるかどうかという御質問ですが、その前にお答えをしたいと思います。  日本原子力政策がふらふらしておったので「むつ」もふらふらしたのではないか、こういったような御趣旨のお言葉があったと思いますが、私どもは、原子力平和利用については極めて慎重であり、また長期的な視点から政策を決定してまいってきております。したがって、日本原子力発電というものは、この長期的な展望と計画のもとに着々とその安全性を確保しながら、今や定着をしたと申しても差し支えない段階に入っていると思います。日本原子力発電はおおむね二〇%を占めるに至っておりますし、またその稼働率も七〇%を超えるという大変安定した安全性のもとでその働きを続けてきているのが現状でございます。そのように、私ども原子力委員会の基本的な長期的な計画のもとに着々と着実にその政策の実現を見ている、このことは御理解をいただきたいと思います。  また、原子力船むつ」に関しましては、原子力委員会は、「むつ」による舶用炉研究開発は続けてやるべきだ、こういう意思決定をしておるわけでございます。政府としてはこれを尊重するということであるわけでございます。したがって、予算編成段階におきましても、この原子力委員会の継続すべしという決定は覆されていないのであります。存続しているわけであります。そのような中において、各方面からの御意見もありますので、私どもは、原子力委員会の決定の重さというものを十分に踏まえ、かつまた、ただいまの大変貴重な御意見等も踏まえて政府としての最終決定をさしていただきたい、かように考えているところでございます。
  122. 福永博

    福永参考人 原子力船事業団専務理事福永でございます。  先生の御質問は、現在の「むつ」は一言で申しますと本当に健全か、試験しても大丈夫か、こういう御質問かと了解いたしますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども放射線漏れというトラブルの後は遮へい改修もいたしましたし、それから原子炉系全般にわたりまして安全性の総点検もいたしまして、現在大湊に係留しておりまして、十分に入念な維持管理をいたしております。それで、今後出力上昇試験をいたしますにつきましても、先ほど原子力局長から御答弁がありましたように、順序を踏んでステップ・バイ・ステップで、それは今後研究を進めるわけでございますから、トラブルが絶対ないということは私も言い切れません。しかしながら、そういうトラブルが起こっても十分対応できるように、慎重な計画で進めたいと考えておるわけでございます。
  123. 遠藤和良

    ○遠藤委員 絶対に大丈夫だというのであれば、すぐ出して試験すればいいわけですよ。ところが、それをやると危ない、絶対大丈夫だと言えないわけですね、今の船も。こういうことになりますね。絶対大丈夫で危なくありませんというんだったら、出してしまえばいいんですよ。出した後、試験をして廃船するなり何にするなり結構なんですが、やはり絶対大丈夫だと言い切れないのでしょう。
  124. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ただいま原子力船事業団答弁につきましては、今までの「むつ」の実態を御説明申し上げたわけでございますが、現実問題として今すぐ「むつ」の原子炉に火を入れろということにつきましては、地元大湊へ今入港しておるわけでございますが、地元との協定によりまして、大湊にいる間はいわゆる凍結状態に置いておくということが要件でございますので、今すぐ直ちに入れられない。  それから確認事項につきましては、先ほどからの御議論の中にもございますが、実際に原子炉に火をともす前に、やはり各部の機能が十分に動くかどうかということを含めまして入念な点検が必要なわけでございまして、これにつきましては、現在地元との話し合いで関根浜の港の工事がある程度進んでまいりますと、大湊でそういう冷態停止の状態あるいは温態停止の状態での中の点検等もすることが、これは御相談でございますが、できるようになると思いますので、もし研究開発を継続するというように我々として方針を決め、関根浜の港の工事もある程度進捗した段階では、そういうことをした上で十分安全性というものは確認し、地元の御了解を得た上で実験に着手したい、こういう段取りになっておるわけでございます。
  125. 遠藤和良

    ○遠藤委員 時間がありませんので、残念ですがあと二問だけにさしていただきます。  政府並びに自民党としては八月末までに「むつ」について結論を出すと言っていらっしゃるわけでございますが、私は、密室の論議というのは御免こうむりたい、こう思うわけです。それで、「むつ」の廃船をめぐる論議を国民の前にオープンにしていただきたいと思うわけです。「むつ」を継続するなら、その実験計画並びに実証船を経て実用船に至るまでの全工程と要する費用の総額、あるいは廃船するなら廃船する計画とそれに要する費用の総額、あるいは廃船する場合のメリットとデメリット、こういった判断材料を国民の前に明らかにして論議を尽くすべきである、これを長官に要望するわけでございますが、こういった判断材料を国民の前に明らかにするおつもりはありますか。
  126. 中村守孝

    中村(守)政府委員 政府として「むつ」の取り扱いについて現在検討を進めておる段階でございまして、各方面からの御意見を承りながら進めておるわけでございますし、国会の御議論はもちろんのことでございます。こうした考えをいろいろお聞きしまして、我々として、政府として方針を決定した段階におきまして、具体的に先生おっしゃいましたようなことで、その政府方針を決めたところのいろいろな考え方等あるいはその考え方を説明するのに必要な資料、そういったものにつきましては、国会の御審議の場はもとより国民の方にも周知をして、次の、来年度の予算案審議その他の段階におきましていろいろ御理解を得るよう努めてまいる、そういうぐあいに考えておる次第でございます。
  127. 遠藤和良

    ○遠藤委員 結論を出す前に公表するのですか。結論を出した後出しても余り意味がないと思うのですね。  これは長官、どうですか。出す前に、同会の場でも結構です、国民の前に公表すべきである。これは断言できますか。
  128. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず今回会での御審議、御意見は十分に拝聴し、それを踏まえて政府として最終決定を夏までに出すわけでございます。その出す段階でまたいろいろ、閉会中なのかどうなのかわかりませんけれども委員会等の御審議があれば、その機会にまたお話ができる内容が出てくるかもしれません。いずれにいたしましても、結論としては、八月末に概算要求をしなければなりません。そのときには、どちらの結論が出るにいたしましても、その経過というものは明らかにしなければならない、かように考えておるところでございます。
  129. 遠藤和良

    ○遠藤委員 最後に一つだけ。  通産省、来てますか。「地下原発秘リスト」というのが新聞に出ました。私のふるさとの徳島県も四カ所候補地に挙がっておりまして、特に一番最初に建設すべきだとしているのが徳島県海南町、こういうことになっておりまして、大変に地元の皆さんはショックを受けておるわけでございます。こうした不用意な発表につきまして、通産省としては、これは甚だ迷惑なのか、あるいはありがたいのか、こういうことはないと思いますけれども、まあどうでもいいのか無関心なのか、この辺の受けとめ方あるいはこの研究そのものに対する公正な評価というものはどうなのか。日本の将来を考えた場合に、研究に値するテーマがあると思っていられるのか。あるいは世界に例があるのか、地下でやるメリットは何だ、あるいは日本で行うメリットはあるのか、あるいは通産省としては考えてみたか、今後どんな手順を経て研究を進め、あるいは時期を見て公表するというような計画はあるのかどうか、その辺をまとめてお伺いをしたいと思います。
  130. 高沢信行

    ○高沢説明員 お答えを申し上げます。  今回新聞で報道されました地下原子力発電所に関しまして、調査研究を実施いたしました電力中央研究所から私どもが事情を聴取いたしましたところ、次のような事情でございます。  今回新聞で報道されましたレポートの原本は、電力中央研究所が二十一世紀を目指しました長期のエネルギー、電力需給の展望取りまとめに当たりまして、その作業の一環として、学術的な観点から研究員が地下原子力発電所の可能性についての資料を取りまとめ、それが内部的検討段階で外部に漏れたものということでございます。もとより、本調査は電力中央研究所の独自の研究でございまして、通産省それから電力業界は一切関与しておりません。  それから、このレポートにおけるいわゆる三十八地点でございますけれども、これは研究員が机上で地形図それから地質図をもとに、地質、地盤等の自然条件、それから人口密度等の社会条件等から機械的にふるいにかけまして残った地点でございまして、これらの地点が将来の候補地を意味するものではございません。  なお、その地下原子力発電所の研究につきましては、我が国の長期的それから安定的なエネルギー供給のために私どもも関心を有しているわけでございまして、研究は重要と考えております。ただいまだ基礎研究段階でございまして、今後技術的な諸課題それから経済的課題等についての実証的な研究が必要でございまして、個別地点の検討を云々する段階ではないと考えているわけでございます、通産省固体、五十二年度から五十五年度までに地下原子力発電所の研究をやったことがございます。これもあくまでも机上でのフィージビリティースタディーの段階でございまして、その段階で、一応机上で考える限りフイージブルであるという結論が得られておりますけれども先ほど申し上げましたとおり、地下空洞あるいは地盤等につきましての耐震性等につきまして、さらに突っ込んだ実証的な研究が必要でございまして、個別地点の問題は将来の問題でございます。  それから海外でございますけれども、商業発電炉で動いておりますのがフランスに一基、三十万キロワットの発電所が動いております。あと北欧一で一基、実験炉が動いていると承知しております。  以上でございます。
  131. 遠藤和良

    ○遠藤委員 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。
  132. 大野潔

  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、日本原子力研究所労働組合第四十五回臨時大会、衆議院科学技術委員会委員長大野潔殿あての要請書を手元に持っておりますけれども、この問題について我が党及び各党の委員に要請がございます。民主主義のルールに従って、陳情、請願、国民の要求を国会が取り上げる、本委員会にこの問題をいろいろと審議をしてくれという希望に対してまことに当然と思いますので、二、三この問題について関係局長及び長官にお尋ねするものでございます。  委員長大野潔殿は我が党の所属でございますので、そういう立場に立ってもこの委員長あてに来ました問題について、私は私なりに御質問させていただくものでございます。  その文章の中に、政府自民党が本年八月まで  「むつ」の決定というものを見送っておるというこれに関連して、我が国における船舶原子炉研究開発方針が明らかになっていないんではないかという疑問が労働組合から出されております。この点についてはどうお考えでございますか。
  134. 中村守孝

    中村(守)政府委員 「むつ」の、今後の原子力船開発につきましては、先ほど長官から御答弁ございましたように、原子力委員会の長期計画というものに基づいてこれも進めておるわけでございまして、現在政府検討中ではございますが、原子力委員会としての決定は一応この一月にもなされておりまして、何らその方針を取りやめるとかいうような決定を政府としてしたわけではございません。  それから、この統合につきましては、五十五年の立法のときに、舶用炉研究開発はむしろ永続的になされるべきであり、時限的な形でするのはいかがかという問題もあり、かつ行政簡素化ということもありまして、この統合を定める法律に定められた期限までに統合をしようとしているわけでございますし、しかも今後の舶用炉研究開発につきましては、特に改良型舶用炉研究につきましては、原子力委員会の長期計画におきましても、当面概念設計までをして、それの評価を踏まえてその先へ進もう、こういう形になっております。その後の進め方等につきましては、むしろ今度原研に統合いたしますれば原子力研究所の幅広い研究者の能力が活用されて、そこから先の研究計画というものにはそういう原研の研究者の実践も反映した形で計画もつくられていく、こういうことになろうかと思っておりまして、原子力船事業団原子力研究所統合するということは、決してやみくもに急いでいるということではございません。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 原子力研究所、原研と原船団の統合が結論的に先行しているということは、「原子力研究の重要な一翼を荷っていると自負している原研に無用な混乱をもたらすばかりか、行政簡素化と言う観点からしても、好ましいことではない」と労働組合では考えているというわけでございます。今お話があったような問題点が真に理解されるための政府の努力、またこのような原研と原船団の統合という問題が日本原子力研究所労働組合のすべての問題ではないとしても、これはある感情とかそういった問題に歯車が合わなくなってしまうのではないかという危惧ではないかと思うのでございますが、この点についてはいかがですか。
  136. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力船むつ」の取り扱いが現在政府検討中ではっきりしないじゃないかということが一つの問題点かと思いますが、その点につきましては、先ほど来お答えいたしておりますように、本年八月までに政府方針も固め来年度予算に反映するという方針をとっているわけでございまして、原子力研究所統合するまでにはそういった方針も明確になると考えておりますし、原子力船開発事業団原子力研究所統合するにつきましては、その業務並びにその組織等については両者混然一体となってやれるように我々としては運営指導をしてまいりたい、そう考えておる次第でございます。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 さらに、一番根本的でありますところの原子力基本法に基づき原子力開発を行うとしておる原研設立の目的の一部を今回のこの法改正は踏みにじり「原子力船に関しては、原子力基本法の精神から除外しようとしている」のではないかと言っているわけでございます。しかもそれは、平和の目的に限り、民主、業主、公開の原則を定めた原子力基本法に基づかなければならないという精神から本法改正案は逸脱しているのではないか、こういう危惧の念が上がっていることも事実であります。この点について明快なる御説明をお願いする次第でございます。
  138. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  御疑念の点は今回の法律の一条の目的にあろうかと思いますが、この目的につきましては、先ほどの御質問にお答えいたしましたように、原子力基本法に基づき原子力研究所は運営されるわけでございまして、原子力船研究といえどもこの原子力基本法に基づいて行う、そういう意味におきまして当然基本法の原則でございます平和の目的に限り、民主、自主、公開の原則のもとで行われる、そういう性格のものであるということでございまして、御疑念の点は何か誤解があるのではないか、そう考えております。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 この誤解というものは、これはやはり素朴な国民の誤解でございますならば誤解を解かなければならない、また過ちであればこれは直してもらわなければならない。民主主義でございますから、こういう問題はただ単に誤解と育って済まされる問題ではありません。そうさせたという責任も為政者側また我々国会議員、当該委員会、こういう問題を本気になって、真剣になって解明をしていくところに民主、自主、公開という原則のもとで行われているという信念が生まれてくると私は思うものでございます。  そこで、現行法では国務大臣国会議員、地方議会議員、地方公共団体の長、政党の役員は原研の役員となることを禁じておりますが、改正案ではこれを撤廃しており、このような今申し述べた方々が政治的介入のもとで原研の役員となるおそれがあるのではないか。これはまことに重要な問題であると私は思っております。私も国会議員の一人としてこれは軽々に見過ごすわけにはまいりませんので、この点についての御説明をお願いいたします。
  140. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  特殊法人の役員については、広く人材を活用してその事業効果を高からしめるという意味から、幅広く人材登用を図っていくことが必要であろうかと思います。ただ、営利の企業に従事しているためにその法人と特別な関係になるというようなことはもちろん避けなければなりませんし、あるいは政府や地方公共団体の職員のようにそもそも職務専念義務を有する者が原研の役員となるということでは職務専念ができないというようなこと等ございますから、そうした方々については一定の枠内にはめざるを得ない、しかしながら国会及び地方議会の議員とか政党の役員についてまで一律に排除をするということはいかがなものであろうかということでございまして、近時の立法例ではすべて国会及び地方議会の議員、政党の役員についてまで役員になることを禁止しておりません。今回の改正は、私どもとして特別な意図を持ってやったわけではございませんで、改正の機会にこういうことは新しい立法例に倣って改正するということがございますので、まさに最近の立法例に倣って改正案を提出している、こういうことでございますので御理解いただきたいと思います。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 お話を聞いておりますと、まことにそのような考え方が我々にもわかるわけでございますけれども、まだまだ現場におる人たち、また一般国民においては、こういった問題が幅広く深くさらに理解という問題にはほど遠いという点を御考察の上で、長官、どんなものでしょうか、こういった問題についての労働組合やその他の諸団体の中には、理解度にまだまだ到達し得ない。またこちらの責任もございます。また誤解もあるでしょう。いろいろな面においての対話、そして深い理解を求めるための努力、こういった問題についての大臣の御決意なり御所見なりを承りたいと思います。
  142. 岩動道行

    岩動国務大臣 まことにごもっともな御指摘でございます。私どもは、この同会の御審議、御論議を通じて十分に国民に広く、そしてまた関係の職員の皆様方にも御理解をいただいていくことが至当であろうと思います。なおまた、当面は日本原子力研究所自体の問題でもございまするので、統合される「むつ」の事業団とあわせまして、それぞれの最高責任者が全力を尽くして理解を求めていく必要があろうかと思っております。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、私は科学技術、運輸両省にお尋ねしたいのですが、二十一世紀に入るころには本当に原子力船というものは実用化するのかどうか、単なる希望的観測なのかどうか、実用化するという根拠をまず示していただきたいのであります。これは安全性の面と経済性の面と二つございます。アメリカがサバンナ号、西ドイツがオット・ハーン号と、それぞれ原子力船第一船を建造、運航後、第二船に手をつけないのは、原子力船実用化に悲観的になったためではないかという意見さえ出ております。この点についてお願いをいたします。
  144. 神津信男

    神津政府委員 お答え申し上げます。  原子力船実用化の見通しにつきましては、二十一世紀には実用化段階に入るのではないかということにつきましては、海運、造船、原子力関係のそれぞれの学識経験者を含みました原子力委員会原子力船懇談会でそういう結論をいただいておりまして、私どももその御判断を尊重しておるわけでございます。  それからもう一点の、オット・ハーン、サバンナのその後の第二船の計画がないということにつきましては、一つは、先ほどから御説明しておりますように経済的な問題があるわけでございまして、この経済性が解決されないとなかなか実用化船は出てこないのではないかと思っております。  それから安全性の問題につきましては、船舶の航行の安全を確保しております海上における人命安全条約で原子力船の安全基準が決まっておりまして、この基準によりまして原子力船の入港を求めようとします相手国に安全説明書を事前に提出をいたしまして、その国の合意があれば入港できるという体制は既にできております。
  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 現在「むつ」に積んでおります原子炉の炉型は既に旧式な炉型であり、老朽化していると言われておりますが、本当に役に立つんですか。
  146. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  確かに「むつ」の炉はその設計が長いことかかっておりますので、設計自身は今からすれば古いという点がございますけれども、船の炉としてはいわば加圧水型の炉ということで、これは世界でもいずれも採用しておるものでございます。今回この「むつ」の実験によって得ようとしておるデータと申しますのは、型の古さとかそういうこと等に余りとらわれないと言うと語弊があろうかと思いますが、かなり基盤的な研究の必要なデータを取得しようとするものでございます。すなわち、海上での使用環境あるいは使用条件でございます振動、動揺、負荷の急変といったものに対しまして炉の各都における諸現象、設計データ等の比較においていろいろ調べまして、設計思想とどのように変わっていたかあるいは予見しなかったようなことが出てくるというようなことも含めまして、いわば実際の経験を積むということでございますので、そういう意味での役には十分に立ち得るわけでございます。  しかも、その技術水準につきましては、放射線漏れ直後に政府につくられました大山先生を座長にする調査委員会におきましても、「むつ」は技術的にはかなりな水準に達したものという評価も得ておりますし、その後最新の技術によりまして原子炉部分について安全性の総点検を行いました。その総点検の結果必要な部分につきましては補修工事を、改善を行っておりますし、その後もメンテナンスはしっかりやっておりますので、老朽という点につきましては御心配はないという状況にございます。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、改良舶用炉研究に入ろうとしておることは、既に「むつ」の存在価値はなくなったという説さえございますけれども、改良舶用炉研究という段階に入って「むつ」の存在価値というものはあるんですか。
  148. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  改良舶用炉研究に入っていろいろ概念設計を今進めておるわけでございますが、今後ともこの研究につきましては、当然陸上におけるいろいろなシミュレーター等とかあるいは部分部分の開発につきましては陸上における小型の振動台等でデータをとるというようなことは可能でございますし、そういう意味での研究開発は行われるわけでございます。しかしながら、海上における特有のデータにつきましては実船によってある程度の経験を積みませんと得がたいという点からいたしますと、今後陸上での実験結果だけでの研究を進めていくということになりますと、場合によっては安全裕度を大きくとり過ぎているようなところも出てまいりますし、また陸上の各エレメント、エレメントで考えているところでは気がつかない、全体のシステムとして組み上げたときに、しかもそれを運転してみたときに初めて気がつくような問題点というようなものが手抜かりな状態のままで研究が進められるという可能性もあるわけでございます。  そういう意味で、この「むつ」は一つのシステムとしてつくり上げられたものでございまして、しかもそれを海上で実際に運転してみるという経験が得られるということで今後の研究の上に大いに役立つんじゃないか、そういうことで改良舶用炉研究とこの「むつ」との関係は、いわば車の両輪というような形で理解してよろしいのではないか、そう考えておる次第でございます。
  149. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、この法案によりますと、今後原子力研究所研究開発が行われることになる改良舶用炉などの原子炉は、原子力発電用の原子炉の四つの段階に当てはめますとどのような原子炉研究開発に当たるのか。実験炉、原型炉、実証炉、実用炉と手順を尽くして研究すべきであると私は思っておりますが、この研究開発のどの段階に当たるのですか。
  150. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  今後、改良舶用炉研究につきましては、現在原子力委員会の長期計画では、一応まだ概念設計まで済ませて、それの評価を踏まえてその先を進めるということでございますが、その先の、実際に陸上に炉をつくってやっていこうという形になりますと、そういう概念設計に基づいて、今、原子力委員会の決定もございませんし、具体的に申し上げるのはいかがかと思うわけでございますが、原型炉的なものを一つの最終的な目標にして研究開発が進められていくのではないか、そういうぐあいに考えております。これも統合後の法人の研究者を初め関係方面といろいろ相談をしながらそういう計画を立てていきたい、こう考えておる次第でございます。
  151. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたので、これで終わらしていただきますけれども昭和五十八年三月の原子力船開発に関する科学技術庁の資料によりますと、「「むつ」の開発、改良舶用炉研究開発の進展等を踏まえて原子力第二船等の開発に進まねばならないと考えている」とありますけれども、この考え方は現段階においては非常に大きな問題になってまいりました。  そこで、これは長官にお尋ねしたいのでございますが、今でもこの考え方に変わりはないのでしょうか。
  152. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力第二船の扱いでございますが、これはまさに「むつ」の取り扱いをどうするかということが今検討の課題でございますので、その先につきまして今私どもとして明確なものを持っておるわけではございません。しかも、今回原子力委員会でこの法案審議段階におきましても二十二条の四号の規定のようにいたしましたのも、いわば第二船以降の問題をペンディングにしているということでございまして、今後先行き原子力船の需要の動向、研究開発の進展等をにらみ合わせて将来考えていくべき問題であろうかと思っております。
  153. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたので、終了させていただきます。
  154. 大野潔

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会      ————◇—————