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1984-03-27 第101回国会 衆議院 科学技術委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十七日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 大野  潔君   理事 小宮山重四郎君 理事 笹山 登生君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 大原  亨君 理事 渡部 行雄君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       伊東 正義君    岸田 文武君       熊谷  弘君    櫻内 義雄君       保利 耕輔君    保岡 興治君       小澤 克介君    松前  仰君       村山 喜一君    遠藤 和良君       小川  泰君    永末 英一君       工藤  晃君    辻  一彦君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岩動 道行君         (科学技術庁長         官)  出席政府委員         科学技術政務次         官       岡部 三郎君         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁計画         局長      赤羽 信久君         科学技術庁研究         調整局長    福島 公夫君         科学技術庁振興         局長      村野啓一郎君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君         外務政務次官  北川 石松君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      英  正道君         外務大臣官房審         議官      遠藤 哲也君         文部省学術国際         局学術課長   重藤 学二君         厚生省医務局総         務課長     古川貞二郎君         農林水産省農林         水産技術会議事         務局首席研究管         理官      西尾 敏彦君         通商産業省機械         情報産業局情報         処理振興課長  柴崎 徹也君         郵政省電気通信         政策局データ通         信課長     内海 善雄君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 大野潔

    大野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  3. 松前仰

    松前委員 先般、大臣所信表明があったわけでございますが、それに関しまして、私も予算委員会分科会の方でいろいろと御質問をしたわけであります。きょうは、いろいろとダブる点もあるかとは思いますが、これは私の科学技術に対する政治の取り組み方というものに対する熱意というぐあいにお考えいただいて、以下質疑をお願いいたしたいと思う次第でございます。  まず最初に私は、現在の我が国科学技術、これは一体どういうところに一番問題があるだろうか。政策のいろいろな面で取り組みがおくれるといいますか、問題も起こってくるというような状況がたくさんあちらこちらで見受けられる。創造的な技術開発というものが我が国では大変育っていかないのではないだろうか。そういう点について、我が国科学技術体制そのものについてどういう感じをお持ちか、お聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  4. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず、松前委員に、我が国科学技術について極めて深い御造詣のもとにいろいろな問題点を御指摘をいただき、また極めて貴重な御指示を先般の予算委員会においてもちょうだいいたしまして、心から感謝を申し上げたいと思います。  まず、日本は何と申しましても資源のない国、そして人間、頭脳が最も貴重な資源であることを考えますと、科学技術振興は極めて重要でございます。また、国際的にも日本の果たす平和的な役割として重要な分野であることは申すまでもないところでございます。そういう中におきまして、ただいま御指摘のありましたように、日本科学技術は戦後どちらかといえば導入重点が置かれてまいりましたが、やはり創造的な科学技術というものを育てていかなければならないし、それによって初めて日本が国際的な役割も果たしていける、こういう考え方を持っているところでございます。  したがいまして、私どもは、この科学技術振興科学技術会議という総合的なそして基本的な方向づけをする会議中心といたしまして、これに基づいて関係の省庁がそれぞれの分野科学技術振興を図っていく、こういう方向でまず基本的に進めてまいりたいと考えているところでございます。  基本的な考え方をまず申し上げておきます。
  5. 松前仰

    松前委員 基本的なお考えということでお伺いしたのでありますが、この間の所信表明を私は聞いておりまして、新人でございますから初めて聞いたわけでございますけれども、大変すばらしい中身であるというぐあいに思っておったのであります。しかしながら、これが前回のやはり関係大臣所信表明をちょっと調べてみましたら、ほとんど同じといいますか、ストーリーが同じであった、内容は多少違っております。ということは、大臣の自分の創造性というのが少し欠如しておるのじゃないだろうかという気もしたのでありますけれども、その点については、大臣新人でございますから同じ立場であろうと思いますが、これからしっかりやっていただくということになるかと思います。  創造的技術日本は一体どういうところでないかということを証明するかといいますと、技術輸入超過ということが言われておりますね。日本が一番ひどい。これは一九七八年のデータですけれども、輸出が五百七十七億円で、輸入が二千六百十二億円。アメリカなどは逆に輸出が一兆二千三百五十八億円で、輸入が千二百八十四億円。こういうところから見ても、日本の創造的な技術というものが非常に不足をしている、輸入をしなければいかぬという状態にあるだろうと思うのであります。  そこで私は、こういうような技術をどうしたら育てていくことができるかという点についていろいろ御質問したいと思いますけれども、まず、基礎技術不足とこう簡単に言いますが、私はその基礎技術が生まれてきていないのじゃないと思うのです。日本でもかなりの基礎技術が出てきていると思うけれども、その育成が非常に不足であったと考えるわけなんですが、その点についてどなたか御答弁をお願いしたいと思います。
  6. 岩動道行

    岩動国務大臣 先ほど私の所信表明を評価していただいたのでございますが、さらに前大臣のをごらんになって余り変わりないということでごさいましたが、これは政府・与党といたしましては、一貫性を持って積み重ねていくと、革命的なことはなかなかそう財政上の理由からもできないわけでございます。  ただ、私は意気込みを示したと思っておりますのは、例えば創造的な科学技術推進という中で、特に科学技術庁で重要な予算費目としては科学技術振興調整費というのがございます。これが非常に大きな役割を果たしているわけでございますが、これにつきましては、厳しいマイナス予算の中でプラスとして前年よりふやした、ここに意気込みをひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。
  7. 松前仰

    松前委員 今大臣意気込みというものを示していただいているということをお聞きしまして、これについては非常に評価するところでありますが、まださらにもっとそういう点についてもこれから光やっていただかなければならぬと私思うわけであります。それだけということでは、ただお金をつけるというだけの話なんで、本当は日本科学技術の中の体制というものが非常に重要であろうと思うわけでありまして、それについては以下ずっと議論をさせていただきたいと思います。  創造性技術というものでちょっと私例を申し上げますが、日本創造性技術育成がいかに大変なことになっているかということは、御存じのように、農林水産省関係だと思いますが、ハイブリッド米というのが日本に上陸しようとしている。これはNHK出版協会の単行本で「謎のコメが日本を狙う」というのがありまして、その中にあったわけでありますが、これは日本の琉球大学の新城教授というのが恐らく開発したものだろうと言われている。それが日本で育たなかった。それが中国へ行って、中国ハイブリッド米をつくる技術人海戦術でできた。それがアメリカに買い付けられて、アメリカでかなり自動的というかそういう格好生産されるようになった。それが我が国に逆に今度は戻ってくる。  そのハイブリッド米というのは、単位面積当たり従来の二倍の米がとれるというものでありまして、それが来ただけならば、その種を日本でまいたらまた次に生えてきてハイブリッド米ができるじゃないか、こういう感じがするけれども、しかし実は種は日本ではとれない、アメリカでつくらなければとれないという代物なんです。ですから、常に種を買い付けなければいかぬ。そうすると、アメリカはそれによって非常に利益を得るという格好になります。中国だとかアジアすべてがそういうハイブリッド米でカバーされてしまったら、我が国は米の輸出というものができなくなってくる。今の日本の米の生産というものがどんどん縮小せざるを得ないというような感じになってくる。そういう非常に厳しい事態が訪れておるわけでございます。  これも、一つ農林水産関係科学技術についての取り組みが少なかったからではないだろうか、こういうように思うわけであります。この辺について、農林水産省科学技術に対する取り組みというものについてお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  8. 西尾敏彦

    西尾説明員 お答えをいたします。  農林水産省におけるハイブリッドライス育成につきましては、昭和四十年代ごろから農林水産省試験研究機関研究者の間では行われていた事実がございます。しかしながら、当時の農林水産行政におきましては、水稲の食味というものを大変重視しておりました。それからもう一つ我が国の米は日本稲と申しましてジャポニカと申す米でございまして、先ほどお話がありましたインディカの米に比べまして変異が大変に少のうございます。そういうことで、変異が小さくハイブリッドビガー、雑種強勢効果というものが出にくいという事情もございまして、その研究を余り積んでいなかったのは事実であります。しかしながら、最近のハイブリッドライス必要性、特に多収作物育成ということが大変重視されているという事態に備えまして、昭和五十七年以降超多収作物開発栽培技術の確立に関する研究というものを進めているところでございます。
  9. 松前仰

    松前委員 私が言いたいのは、これからこういう問題についても、農林水産というような感じ分野での仕事というだけでは済まされない時代になってきている。こういう点についても、やはり科学技術という立場でもってとらえていかなければならないだろう。科学技術庁がやりなさいということにはならぬかもしれないけれども、少なくとも科学技術全体を把握する中において、そういう農林水産面科学技術についてもいつも目を配っていただいて、そして我が国行政にこの科学技術を応用できるような形にしていってほしいと私は願っておるわけであります。  それでもう一つお伺いしますが、今オレンジと牛肉の問題が盛んにやられております。オレンジなんかも、私などは静岡出身なものですから、大変厳しい状況を知っておるわけでありまして、大体なっているのをとるとそれだけでお金がかかるものですから、とらないでほっておく、ほっておくと次の年だめになるからとらざるを得ない、こんなような状況で、大変厳しい状況にきているわけです。  そこで、向こうからオレンジ輸入自由化せいと言ってきているわけですけれども、自由化という問題はいいかもしれませんが、それに対する対策として輸入制限という格好でいつまでもやるということは、なかなか長いこと続かない。それにはどうしたらいいか。日本ミカン加工技術だとか、冷凍しても味が落ちないような技術だとか、そういうものに目をつけて科学技術で解決していくというようなことも今考えていかなければならぬのじゃないだろうかと私は思うわけです。  そういうことを考えますと、一体どこにそういうのをお願いしたらいいだろうかなと私いつも思うのですが、農林水産省にお願いしても適当な研究所があるかどうか。柑橘試験場なんかあるでしょうけれども、そういうところで本当にやってもらえるかどうか、非常に心配になっておるわけであります。そういうことで、そういう問題が起こる前に、まあ起こってからでも仕方がないですけれども、前にそういう対処を農林水産省でもやってもらえないだろうか。そういう点は、科学技術全体の行政を見通した中でそういう指導がなされないとなかなかできないかもしれないけれども、今やそういう新しい方向に向けての科学技術が必要であろう。その辺について、ちょっと農林水産省にお伺いしたいのです。
  10. 西尾敏彦

    西尾説明員 お答えをいたします。  先生の御指摘のように、最近の農林水産業をめぐります情勢の中では、将来にわたって食糧の安定的な供給でありますとか農林水産業の健全な発展を図るというために、各般の行政施策を行っておりますけれども、特に農林水産技術開発とその普及推進ということが極めて重要であるということはお話しのとおりでございます。  そこで、農林水産省における試験研究機関でございますけれども、農林水産技術会議におきまして基本計画を立案し、そしてその総合調整のもとに、農林水産省農業関係の二十の研究機関と、それから林野庁に属しております林業試験場、さらに水産庁に属しております九つの水産研究所、合計三十の研究機関が相互に協力いたしまして試験研究を実施しているところでございます。また、このほかに都道府県の試験研究機関、それから大学の農業関係研究機関、それから民間の研究機関などにおきましても、国と連携を保ちながら試験研究を進めているところであります。  そこで、農業行政への対応ということでございますけれども、昨年の十二月には農林水産省研究機関を再編いたしまして、近年進展の著しいバイオテクノロジーなどの革新技術導入というものを目指した農業技術開発のために、農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所という二つの研究機関を筑波に新設いたしました。また同じ昨年の十二月には、二十一世紀に向けた長期的かつ総合的な観点から試験研究推進するという目的のために「農林水産研究基本目標」というものを定めました。  この農林水産研究基本目標の中では、先ほどお話がありましたようなバイオテクノロジー利用するような品種の改良などによりまして生物の遺伝資源遺伝能力というものを向上する、そして生産力を増強するための技術開発でありますとか、先ほどミカンお話がございましたけれども、食品や農産物の流通加工技術を改善いたしまして、多様化し高度化している消費者ニーズにこたえるというような技術開発でありますとか、さらにまた、自然の生態系を解明いたしましてそういうものを合理的に利用する技術を確立することによりまして、森林などの緑資源でありますとか環境の保全でありますとかということをする技術開発目標にして研究を進めているところでありまして、今後とも総合的、組織的な研究推進してまいりたいというふうに考えております。
  11. 松前仰

    松前委員 今農林水産に関するたくさんの研究お話がありまして、非常に積極的に進められておるということで期待はしておりますが、これが行政にすぐきちっと反映できるような形、またミカン農家利益が得られるような格好に、そういうつながりというものをきちっとつけて進んでいただきたいと思うわけであります。  質問が大分時間を食いましたので、総花的になってしまうと思いますが、次に、宇宙開発についてちょっとお伺いいたしたいと思います。  宇宙開発について、宇宙開発政策大綱というのが今度出たわけですが、私から見ますと、私もそういう関係をやってきたものですから長いことわかっているわけですけれども、最近になって、どうも創造性に欠けるといいますか、新しい利用目的というものが余り出てきてないように思うわけです。ハード開発ということに非常に重点が置かれて、二トンロケットなどの計画が出てきておるわけでありますが、華々しいところはやるけれども、その後の利用という面についてはなかなか考えが及んでおらぬ。私が思いますに、これはやはり利用検討が先に立って、その目的に向かって宇宙開発ハードウエア開発というものが行われなければいかぬだろう。ハードが先に立ってきたものですから、CS2の自衛隊利用なんというものは科学技術庁の方では余りタッチしないような発言も前にあったやに聞いております。最近はそれはそうでないという話ですけれども、そんなような例もあったわけであります。そういうことで、私は宇宙開発における利用開拓の姿勢というものが非常に重要であろうと思います。その辺について、どなたかお答えをいただきたい。
  12. 福島公夫

    福島政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のことでございますけれども、宇宙開発政策大綱につきましては、実はいろいろとユーザーを含めまして、特に産業界人たちも含めまして長期ビジョンというのを一年にわたってつくってまいりました。その段階でどういうニーズがあるかということを向こう約十五年間にわたって調べ上げまして、そこで出てきた結論を踏まえまして我が国宇宙開発目標ということで、つい最近政策大綱を改定したわけでございます。  そのときに、もちろんユーザー考え方というのは非常に大事でございます。そういうことで、ユーザーニーズに合うような形のものを進めていくということでございますけれども、進め方につきましては、日本の場合はアメリカあたりと違いまして、おのずから資金あるいは技術人的資源も含めていろいろ制約がございます。そういうことで、日本に最も合った、ある意味では自画自賛でございますけれどもかなり独創的な、アメリカのようにお金を使わなくても国際レベルに達せられる開発の方法はないかということを考えてまいりまして、最低必要な二トン級の静止衛星、それからそれを打ち上げる大型ロケットというものを最大の目標として自主技術開発していこう。またもう一方の方は、国際協力というものを利用して、例えばスペースシャトルを使った材料実験あるいは今回レーガン大統領の方から御提案いただきました宇宙基地というようなもので、有人宇宙活動というものについてはそういう国際協力の場をかりてやっていこうということで進めてまいるわけでございます。  さらに、利用先考えなければいけない、これはもう当然のことでございまして、例えば今開発中の海洋観測衛星のような場合でも、日本独自のいろいろなセンサー類開発などを先にやっておりまして、利用者が新しい分野で新しい知見を得られるような形で、これはアメリカでもやっていないようなセンサーの方の開発もやっております。そういう意味では、我々としてはできる限りユーザー利用という立場考え開発を進めていると思っております。
  13. 松前仰

    松前委員 ユーザー立場考えて、ユーザー立場考えてと、非常にいい言葉でございますが、実態はユーザーが持ってきたものだけを予算を配分するというような感じではないか。私もそういうところの現場を見たことがございますけれども、そういう格好で進められている。まあ科学技術庁当事者能力というものが多少疑われる点もなきにしもあらずだ。全然ないとは言いませんけれども、そういうことで、日本の国策といいますか、今本当に何をやるべきかというところときちっとタイアップして、それで宇宙開発計画をつくっていくことが必要だろうということでございます。かなりいい方向でやっておられるとは思いますが、ますますこれから努力をしていただきたい。  それからセンサーの話ですが、私はこれは非常に重要なものであると思います。これからの資源開発にしても海洋開発にしても、センサーというものの精度が非常に重要であるわけであります。これは新聞にも出ておりましたが、この開発一つによって人工衛星が本当に成功するかどうか、そのミッションが成功するかどうかということがかかっておりますので、ぜひともセンサーについてはこれからも強力な研究体制をしいていただきたいと思っております。宇宙開発については、あとお答えは結構でございます。  次に、エネルギー開発についてちょっとお伺いいたしますが、科学技術庁では原子力が非常に優先されてきております。原子力そのもののよしあしという点については私はここで議論しないつもりですが、ほかのエネルギーについては科学技術庁では余り扱っておられない。ほかの通産省のようなところで扱っておられるということでございます。私は、エネルギー問題というのはやはり統一して考えていかなきゃならぬ、一ところでもって頭脳を絞って全体のエネルギーというものについて考えてやっていかなければならぬと思うわけですが、科学技術庁ではそういう考え方はお持ちではないでしょうか。
  14. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 御指摘のように、科学技術庁で直接開発しておりますのは原子力中心でございまして、そのほか波のエネルギー、風力のエネルギー等も一部行っております。  御指摘のように通産省が主になっているということでございますが、いわゆる自然エネルギー利用は、基礎研究から総合的な新しい開発というよりは、在来技術をいかに適用して濃度の薄い自然エネルギーを取り出すかという点に重点がございます。したがって、設計とか材料とかいうものの研究が主でございまして、その点では在来技術に根差した開発を得意といたします通産省が行うあるいは通産省研究機関が手がけるということが適当ではないか、そういう形が自然に反映した分担になっているようにも思われるわけでございます。一方、原子力につきましては、基礎から総合的にやらなければいけない大型プロジェクトでございますので、これは当初から科学技術庁がやってきた、そういう分担関係があってもよろしいんじゃないかと思います。  しかしながら、御指摘のように政府が統一してエネルギー開発に当たらなければならないということでございまして、科学技術会議が答申いたしまして総理大臣エネルギー研究開発基本計画というのを総合的に決めることになっておりまして、ここでむだを省き、目的に合った開発計画を各省に持っていくという形をとって整合をとっておる次第でございます。
  15. 松前仰

    松前委員 エネルギー開発研究会議ですか、そういうところでやっているからいいんだ、こういう話でございますけれども、そういうところでの議論というのは本当に専門家が入ったきちっとした議論になっているかどうか、私は非常に疑問に思うわけでございまして、エネルギー問題というのは、やはり専門家を含めて本当に専門的に、この技術は将来のエネルギーとして活用できるかどうかという点も評価をし、技術的な検討をしながら、そこで計画をつくって行政に反映していくということが必要だろうと思うわけでありまして、そういうところでやっているからそれでいいんだということでは絶対いけないと私は思う。エネルギー問題というのは将来非常に重要な問題でございますから、原子力だけに頼るという時代は恐らく長いことはないと思います。最近においては、もう自然環境を変えるということ自身に大きな問題がある。これは科学技術の問題以外のところでそういう問題が出てきている。そういう環境の中でいかにエネルギーを確保していくかということを真剣に考えなければいかぬ。  基礎研究分野が少ないから通産省、こうおっしゃいましたが、これは科学技術庁でやっていると思いますが、海水を生物の力をかりて光合成で分解して水素にして燃やせばまた水になる、こういうクリーンエネルギーというのは非常に将来として有望なものであって、研究が今進められておる。始まったところですね。こういうことについても十分把握して取り組んでいただかなければいかぬだろうと思うのですが、光合成水素発生のそういうものについては、御存じですか。
  16. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 お尋ねの光合成でございますが、これは言うまでもなく太陽の光エネルギーを電気エネルギーまたは化学のエネルギーにかえます植物の機能でございます。そういったことで、もとが太陽の光エネルギーでございますから、非常に無尽蔵でございます。それから、これは植物が天然界で行っておるわけでございますから、非常にクリーンなものでございます。したがいまして、これから得られますエネルギーというのは非常に独特のものでございまして、各国とも早くからこの光合成によりますエネルギー開発というのを着目してまいったわけでございますが、我が国では実は理化学研究所、理研が非常に早い段階からこれに注目しておりまして、昭和五十四年からかなり大きなプロジェクトチームをつくりまして研究の実施をいたしております。非常に有力な主任研究員を中心にいたしまして、約三十名ぐらいのチームでやっておるわけでございます。かなりの成果を上げておりまして、例えば水を分解するときのたんぱく質を発見いたしましたり、あるいは水素を大量に発生させる光合成細菌というようなものを発見する、こういったことでかなりの成果を上げておるわけでございます。  そういったことで、これを大いに推進してまいるわけでございますが、特に最近は国際的な研究をしようということで、実は五十四年から理研が中心になりまして、日米のエネルギー研究開発協力協定に基づきますテーマにしてございまして、今まで数十名の研究員の派遣なりあるいは招聘ということで共同研究いたしております。さらに昨年から、いわゆるサミット諸国におきますサミットプログラムの中で十八のプロジェクトを今スタートしておりますけれども、そのうちの一つにこの光合成によるエネルギー開発を加えてございまして、これは実は日本がリーダーになって各国の協力を得て進めよう、こういうことでございます。  以上のように、国内の研究体制それから国際的な研究体制を通じまして、この研究を大いに推進してまいりたいというのが我々の考え方でございます。
  17. 松前仰

    松前委員 理化学研究所でやっているのは私もよく知っております。そのほかでも、これについては民間、大学等でもやっておりますので、そういう点についても一緒になって協力して、こういう問題についての研究を進めでいっていただきたい。アメリカではいろいろな大学でやっておられるようですが、一番成功しているようなところはフロリダのマイアミ大学ですか、あすこはかなり藻を使ってやっておりますね。そういう研究が非常に進められておる。これは世界の科学者が将来のエネルギーということで一堂に会してやることが重要だろうと思いますので、そういうことについてどんどん進めていただきたいと思うわけでございます。  エネルギー関係について、今までいろいろなハードウェアやらシステムがつくられてきた。波のエネルギーとか温度差とか、いろいろ出てきたわけでありますけれども、それをいざ応用するということになって、これを日本行政に反映させるということになると、その場その場でもってそういうものをつくっていくということは、非常にむだといいますか思いつきという感じになる。  例えば、我が国エネルギー利用地図というようなものをつくってみたらどうだろうか。こういうのは、私は科学技術庁の仕事だろうと思う。どこの地域では、どの海では、こういうものでこれだけ発電できる、そこは非常にそういう環境にすぐれているというようなことをずうっと日本じゅう洗い出して、クリーンエネルギーその他原子力以外のエネルギー原子力もあるかもしれませんけれども、そういうものを含めてどれだけのエネルギーの要素があるか、それが経済的にどうだというところも全部調べ上げて、エネルギー地図みたいなものをつくるということも必要じゃないかと思いますが、その辺はやはり政策との関連、科学技術計画との関連という意味科学技術庁が頭になって頭脳を発揮するべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  18. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 自然エネルギーは使い方が非常に難しいわけでございまして、その賦存状況をよく調べるということが基本であることは御指摘のとおりだと思います。  私どもの方に、資源調査所と申します資源関係の総合調査を専門といたします研究機関がございます。さらに、諮問機関としまして資源調査会というのがございまして、まさにこの問題についても取り組むべき使命があるわけでございますが、既にバイオマスあるいは海洋エネルギー、こういうものの概括的な賦存量の調査に着手しているところでございます。さらに、御指摘のように自然エネルギー全般に広げていく努力をしてまいりたいと存じております。
  19. 松前仰

    松前委員 今のお話通産省でいらっしゃいますね。――失礼しました。科学技術庁のところで資源調査会というのがあるということをお聞きしたわけでございますが、こういうものとか、それから先ほど農林関係農林水産技術会議とか、いろんなそういう会議があちらこちらにあるわけですが、そういうものすべてについてやはり科学技術庁として科学という立場から掌握をして、掌握というのは、そこに圧力をかけるとか権力を持つとかそういう意味じゃなくて、そこでやっている内容はすべて知って、それを行政に科学の見地からどういうふうに反映していくかという示唆を与えるということを科学技術庁はやっていかなければいかぬだろうと思います。この点については後でまた触れます。  次に、また総花的ですが、海洋開発関係のところで、具体的な例で私が要望したいことがあるのですが、「しんかい二〇〇〇」というのが開発されて、これでいろいろ海底の状況を探っておるわけですが、私など静岡なものですから、東海大地震のことが非常に気になるのでありまして、東海大地震が起こるとか起こらぬとか盛んに議論になっておりまして、学界の中でもめておる。いろんな説がある。説なんですね。プレート説だとか海底の流動といいますか何かそんな説だとか、そういう説でもって地震が起こるとか起こらぬとか言っておる。プレート説で、エネルギーがたまっているだろうからもうすぐ地震が起こるというようなことで地震対策が図られてきておるわけですが、地震予知もそれによっていろいろと装置がつけられたり何かしているけれども、本当にそれが地震が起こるのかどうかということについてきわめないと、今の予想で東海大地震起こるよ、こういうような話が出たものだから、静岡の私の住んでいる清水なんというのは、人口がどんどん減っていっちゃったですね。経済も不況になってきちゃった。みんな嫌だから逃げていっちゃうのですよ。  こういうようなことが起こるので、やはりしっかりとした原因をつかむような努力をやっていかなければならぬ。それには私は「しんかい二〇〇〇」じゃ無理だと思う。「しんかい六〇〇〇」という計画があるように聞いておりますので期待をしておるのですけれども、こういうものを使って地震原因とかそういうものを調べていくプロジェクトをやっていってほしいと思うわけであります。そういう市民に大きな恐怖感を与えるものについては、徹底的に科学技術でもってやっていくことが必要であろうと私は思うのですが、その辺についてちょっとお伺いしたい。
  20. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。  まあ外科のお医者さんが、やはりレントゲンで見るよりはお腹を切って自分の目で患部を見た方が非常にはっきりするというようなことをよく言われておりますけれども、確かにソーナーを使ったりあるいはテレビを使ったりして調べるよりも、実際に研究者が潜って自分の目で見るということは非常に効果があると我々は考えております。そういう意味で、「しんかい二〇〇〇」をつくった段階では、これは深海に潜る一つ技術というかシステム開発をやろうということで進めてきたわけでございますが、これが駿河湾にも潜っておるわけでございますけれども、非常に期待以上の効果を上げております。そういうことで、実は「しんかい六〇〇〇」につきましても、これは地震のためだけでなく、いわゆる熱水鉱床とかマンガンノジュールとか、そういう海底資源の問題も含めまして六千メートル級の調査船を欲しいということで考えておりましたが、幸いに五十九年度予算では、そういうより深い、六千メートルという名前ではございませんけれども、六千メートル級を考慮しました高深度の調査船のシステム研究に入らしていただくという予算要求をしているところでございます。  ただ、地震につきましては、ただ潜って地震の巣と思われるところを目で見ただけで果たしていいかどうかということになりますと、やはり従来どおりのいわゆる地震観測あるいは地殻変動観測、地磁気観測というような観測もあわせて行っていく必要があるのじゃなかろうかと考えております。ただ先生指摘のように、「しんかい六〇〇〇」というものを一日も早くつくって、実際に潜って見るということが大事であろうというように考えております。
  21. 松前仰

    松前委員 「しんかい六〇〇〇」の目的がほかにたくさんあることは十分承知でありますが、地震関係についても、学界でこうやって議論して一つ考え方が世の中に発表されて、それで東海大地震という格好で非常に恐怖感に陥れるということになっておりますので、本当に起こるかどうかという点について、本当のことはわからぬかもしれないけれども、少しでもそれに近づく努力としてこの「しんかい六〇〇〇」の活用というものがあると思うのですね。そういう意味で、地震という目的についてもプロジェクトなりに、大がかりになるかもしれぬけれども積極的に取り組んでいっていただきたいという要望でございます。  次に、今までいろいろこういう必要な研究というものの大ざっぱな、全体ではありませんでごく一部くらいしかやっておりませんけれども、全体に日本科学技術研究予算とかそういうものを見てまいりますと、むだと必要なものとの判断というものをはっきりさせるところが余りなくて、むだな研究というものが大分あるのじゃないだろうかと思うわけであります。研究というか予算の使い方のバランスも十分考慮していかなければならぬ。  一つの例でありますが、これは全部見なければ何とも言えないけれども、一つの大きな例は原子力船「むつ」の問題ですね。これは当初百数十億で全部が済むという形でありましたけれども、それが今現在六百億ですか、あと一千億くらいかかるのじゃないだろうかという感じもするのですが、そんなような形に発展をしてきてしまっている。しかも、これをさらに進めようという格好になれば、どこまでお金が必要になってくるだろうか。私は、こういうものはあるところでもってきちっと評価して、やめるならやめる、進むなら進むといいますか、今現在ではやめるよりほかはないと思うのですけれども、こういうところにお金が非常に使われておるということがほかの研究の芽を摘んでおると断言してもいいと思うのです。それからもう一つは、工業技術院の仁尾町で行われた太陽光の集光の発電ですね。あれについても、これは完全にむだ遣いとは言い切れない点もあるけれども、これから先あれをさらに大きくして進めるということになれば、すぐにやろうということになれば、これはむだ遣いにつながるだろうと私は思うわけであります。  そういう点で、ある時点での評価というものをきちっとやって、余りお金がかかり過ぎてどうしようもないような事態が予測されたら、その前に評価をしっかりやって、そこで判断をつけるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  22. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 原子力船「むつ」についての御指摘がございましたが、研究開発計画が大分おくれ、今日までまだ所期の成果が上げられないということを甚だ遺憾に思っているところでございます。  原子力船「むつ」につきましては、海上の動揺あるいは衝撃といったようなことについての実証的なデータを初めといたしまして、貴重なデータを提供するものでございまして、今後の舶用炉の開発を進める上で重要な役割を担った実験船であるということで、これまで舶用炉の研究開発の重要な柱としてその開発を進めてまいってきたものでございます。  途中段階での研究の評価についての御指摘がございましたが、この「むつ」につきましても、四十九年に放射線漏れが起こりました際に、今後の「むつ」の研究開発計画をどうすべきかということで、政府に「むつ」放射線漏れ問題調査委員会、東京工業大学の名誉教授をされておられました大山先生を座長にいたします、いわゆる大山委員会と世に言われているものでございますが、ここで多角的な見地から原子力船の研究開発について総合的な評価が行われたわけでございまして、この際に、研究開発体制とかそれまでの「むつ」の研究開発の進め方について、いろいろ御批判といいますか御提言もいただきました。そして「むつ」の今後の進め方について、ここまでの「むつ」そのものについて今後研究開発を継続することが適当であるということで、そのときにも今後どうすべきかということを御議論いただいて、開発の継続ということが結論として出されたわけでございます。その後もいろいろ御提言に沿いまして改修工事等も急いでまいったわけでございますが、地元問題その他のこともございまして計画が非常におくれてしまってきたわけでございます。この間、原子力委員会におきましても専門家の方々にお集まりいただき、途中段階での見直しもしてまいったわけでございます。  ただ今日、「むつ」による舶用炉の研究開発のあり方につきましては、各方面からさまざまな御議論が寄せられていることにかんがみまして、本年八月をめどにいたしまして政府・自民党におきましてその取り扱いを検討するということにいたしております。私どもといたしましては、さらに各方面の御意見等も承りつつこの検討に対処してまいりたい、そういうぐあいに考えておる次第でございます。
  23. 岩動道行

    岩動国務大臣 一つの例として「むつ」をお挙げになったわけでございますが、その経過等については担当局長から今御答弁申し上げたとおりでございます。  「むつ」につきましては、過去の経過は非常に厳しいものがありますし、また、私どももこれに対しては深い反省を持っております。そういう中において、ただいま松前委員から御指摘のあったいわゆる研究に対する評価の問題、これは大変大事でございます。  そういうような意味において、原子力船「むつ」も、予算編成の段階におきましていろいろな御意見をちょうだいをいたし、自民党の中に検討委員会をつくるということでございます。そして、本年の八月末、つまり来年の六十年度の予算にどう対応するかということでございますので、これは一つ研究に対する評価をみずから行っていく、政府・与党の責任においてまずやる、その過程においてはもちろん専門家の御意見も十分に拝聴してやっていく、こういうことでございますので、むしろ先生の御趣旨にも沿った対応をこれからやってまいる、その結論によって私どもは原子力船「むつ」をどう進めていくかということの結論を出していきたい、こう考えているわけでございます。(「自民党に任せっきりか」と呼ぶ者あり)
  24. 松前仰

    松前委員 今それを申し上げようと思ったのですが、自民党でもって八月までに結論を出すというようなことをおっしゃいましたけれども、これは科学技術の問題ですから、科学技術を自民党だけに任すというわけにはいかぬと思うのです。科学技術というのはやはり超党派でやるべき問題でありますから、これは多くの人の、専門家もいらっしゃるし、それに造詣深い方もいらっしゃるし、それに興味を持っていらっしゃる方もたくさん議員の中にもいらっしゃる、そういう方々の意見を十分反映できるようにしてもらいたいと思うわけであります。自民党だけとなりますと非常に偏った意見になると私は思うのでありまして、その辺は自民党だけという格好じゃなくて、我々もその検討に参加させてもらいたい、そういう要望をいたします。  時間がもうありませんので、ちょっと先へ進ませてもらいます。  テクノロジーアセスメントの問題、先ほどの技術評価でございますけれども、これが非常に重要であるということは、先ほど科学技術庁長官お答えいただいたのでありますけれども、さっきの「むつ」の問題、これについて例をとれば、これはもう開発するその前においてテクノロジーアセスメントをやるべきであったと思うのであります。開発が非常に先行されて、それをやらなければ外国におくれをとるとかいうことでもってどんどん開発が進められたために、今のような状況になってしまった。その時点でもって技術の評価それから環境に対する評価というものをきちっとやっておけば、その後問題が出ずに済んだのじゃないだろうか、そういう感じを私は持っておるわけであります。  アメリカあたりはOTA局というのが制度化されておりますが、百二十人ぐらいの非常に有能な専門家集団がおって、ゼネラリストというのがおって、作業部隊がおって、いろいろな技術を非常に専門的に把握して、それをいかに行政に反映するかということをきちっとやっておるわけであります。アメリカでさえといいますか、ああいう国でも最初にそういうアセスメントは必要だということをちゃんと認識しているのですが、我が国においては、そういう認識があったにしても局をつくるとかそういうところまで進まない。これは恐らく、行政の中でそういうものをつくっちゃうとなかなかもうかる仕事ができなくなるというようなこともある、それによって圧力が加わって、こんなようなものまだまだつくらぬ方がいいやというようなことになっているのじゃないだろうか。私は前のことをよく知らないから勝手なことを申し上げるのでありますけれども、そういうことで、このテクノロジーアセスメントというものについて科学技術庁として制度化するようなお考えはありませんでしょうか。
  25. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 研究開発を行いますにつきましては、小さいものは小さいなりに、大型のものは大型のものなりに、それから段階が変わっていくときは特に大事な節目で、そこできちんとした評価をしなければいけない、全く御指摘のとおりだと思います。  ただ、アメリカでOTAがあります。これは議会の機関として、多分議会が予算を御審査になる等のときのチェック機能を果たしているのではないかと思われます。我が国では、どちらかというと実施機関ないしはそれに関係している機関が評価を行うという形が多うございます。ただし、それでなれ合いになってはいけないということで、それから視野を広く持たなければいけないということで、その機関に第三者を入れて評価を行う。ただいま御答弁申し上げました原子力関係の場合でもそういうケースがありますし、そのほかの大型のプロジェクトにつきましても評価制度はそれぞれ確立しておるわけでございますけれども、これが横断的に統一的に見るという形になっていないという点の御指摘かと思われます。それぞれ一長一短ございますけれども、我が国が実施部門だけでやるという欠点があってもなりませんので、科学技術会議でも現在評価のあり方というものを検討する小委員会を設けてやっておるところでございます。  実際には、研究調整費の評価を現実のテーマを対象にして行っておりまして、この経験を重ねることによって一般的な考え方をまとめていけないか。それから我が国の各段階での、特に国立研究機関等を対象にしました研究評価の実態を委託費を中心にして調査をしておりまして、こういう実態をさらに解析しました結果、第三者の意見をどういうふうに反映させるか深めていきたいという作業の途上にあるわけでございます。
  26. 松前仰

    松前委員 今の御答弁は、その方向で進むとこういうテクノロジーアセスメントの制度化なんというところには全然進まないわけであります。何かもう実行していかなければいけないですよ。そういうものを一生懸命調査して何が得られますか。今までのテクノロジーアセスメント、いろいろなところでやっておるものが、各企業でやっておるとかそういうものでしたらなれ合いになるということがあって、委員をちょっと入れるとかいっても、委員というのはどうせ専門的にそこに来る人じゃない、どっかからちょこっと来て発言して帰っていくような人でしょう。そういう形では本当のテクノロジーアセスメントなんかできやしないです。やはり専門家がたくさん、技術に造詣のある人間がたくさんいて、それが専門的にデータを解析して、それを評価する人がこちらにいてというような形で、そういう部署を専任でやってもらうという格好にしていかなければいけないと思うのであります。  ですから、今のような調査をしているというようなことでは私はまるきりこれはだめだと思います。どうかこれについては、前向きにこういうものをつくってやるんだ、やるにはどういう組織にしていくかという検討の方に進めていかなければならぬだろう。そういうときにはどういう人を集めるか。どういう人というのは個人名じゃなくて、そういう質の人ですね。そういうこともやっていかなければいかぬ。とにかく前向きな姿勢が今は全然感じられないのを私は大変残念に思いました。その辺のことについて、どうか科学技術庁は積極的に進めていただきたいと思うわけであります。  時間があと五分くらいしかないので、文部省の方にちょっとお伺いいたしたいのですが、基礎研究というものについては大体文部省の分担であるというぐあいに聞いておりますが、特に大学というところで、研究所もそうですが、やられた仕事というものが今まで行政の方にどういう形で反映されていったか、具体例でいいですから、簡単にお答えいただきたいと思います。
  27. 重藤学二

    ○重藤説明員 科学技術振興にとりまして、特に研究者の自由な発想ということを基本にして研究を進めてまいります大学を中心とする基礎研究というのが、特に創造科学技術を生み出し育てる上では極めて重要であるという認識から、文部省といたしましては、その線に沿った施策をかねて講じてきておるところでございます。  お尋ねの、大学の基礎研究がどのように実際の科学技術あるいは実用として結びついているかということの例でございますが、これは余り詳細なことは私存じておりませんけれども、宇宙開発あるいは医薬、農学、いろんな面で大学の研究あるいは試験研究機関との共同研究それから民間との共同研究、この大学の芽を企業その他に移しまして、そこで共同であるいはある場合には大学の研究の指導で、それが製品化される、実用技術にされるという例は、以前は日本におきましては、先ほども議論がありましたように、欧米の大学における基礎研究の芽を我が国導入いたしまして、そこで応用実用化を図ったということがかなり多かったわけでございますが、最近では大学の研究の芽ができるだけ早い時期に応用実用になるように、そういう方向で、近年文部省としても施策を講じてきておるところでございます。
  28. 松前仰

    松前委員 文部省側からはそういうようなお答えになると思うのでありますけれども、基礎研究行政の面に反映していくということになりますと、大学、文部省、科学技術庁、それからその先の、関係省庁になりますか、実用化というところの省庁ですね、そういうところの連携というものが必要であろうと思うのです。連携プレーというものがとられなければいけない。今現在では各省庁が、文部省、科学技術庁通産省ということで、それぞれその間の連携プレーなしに、まるで予算の分捕り合戦という格好でもってやっているだけにすぎない。これではもう日本科学技術は絶対、基礎から実用のところまで持っていけない。絶対とは言いませんけれども、いくチャンスが非常に少なくなる。そういうことで、科学技術に関してはとにかく連携を密にとって、その間の情報というものについても各省庁にきちっと渡っていくようなシステムを、体制をつくっていただきたいと思うわけであります。  アメリカあたりは、とにかく日本の先端技術の情報を今どんどん集めております。それを自分のところのデータに全部インプットして、それで向こうの科学技術基礎研究分野にどんどん出していくということが今やられておりますので、我が国においても、そういうことをアメリカにされては大変ですから、とにかく科学技術基礎から開発までの体制について、しっかりと連携をとってもらえる形にしてもらいたい。その辺について、科学技術庁長官の御意見をお伺いします。
  29. 岩動道行

    岩動国務大臣 大変貴重な御意見を承りました。  日本科学技術につきましては、やはり総合的にこれを集約して、また効率的に進めていかなければならないと思っておりますが、まず第一に私どもは、科学技術会議というものを十分に活用して、そこで総合的に日本科学技術をどういう方向でどういう分野重点を置いてやっていくかという基本的な政策をつくってもらいまして、それに従って関係の省庁がそれぞれの分担役割を果たしていただく。関係省庁あるいは大学等は極めて優秀な人材と経験を持っておりますので、基本的な方向科学技術会議でつくっていただいて、それを関係省庁が進めてまいる。また科学技術庁といたしましても、そのような基本的な科学技術会議の方針を承りまして、そして関係行政機関の科学技術に関する事務を総合調整をすることになっております。そして関係の省庁にその線に従ってやってもらうということで総合的な体制はできていると思っております。しかし、まだそれで十分だという段階にはなっていないかもしれませんが、なお努力をしてまいらなければならないと思っております。一また、国と大学とだけでなくて、やはり民間の研究能力を十分に活用していかなければならない。そういう意味におきまして、産学官の体制をさらに強力に進めていかなければならない、かように考えているのでございます。  また、このような基礎的な科学技術研究に対しましては、税制上も特別に優遇措置を講じているわけでございまして、日本が国際的な平和的な役割を果たしてまいるためには、何と申しましても科学技術の大きな進展を図っていかなければならない。こういう意味におきまして、さらに総合的な観点からの科学技術推進、そしてまた基礎的な分野、さらにまた各省庁の枠を越えた、例えば原子力でありますとかその他共通の基盤的な研究につきましては、科学技術庁中心となってこれを進めてまいる。  こういうことで、ただいま松前委員の御意見は私どももこれから推進をしてまいる御意見として、貴重な御意見を承った次第でございます。十分にその線で進めてまいる所存でございますので、よろしく御理解と御協力をお願いしたい次第でございます。
  30. 松前仰

    松前委員 終わります。
  31. 大野潔

    大野委員長 小澤克介君。
  32. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 長官は、せんだっての所信表明におきまして、原子力安全規制行政の充実を図る、こういうふうにおっしゃっていますが、所信表明におきますこのくだりは、前後の関係からいたしまして原子力発電を念頭に置いての御所信のようにお見受けしますが、それ以外の、医療用、産業用あるいは研究用の放射性同位元素等につきましても同様に安全規制行政の充実を図る、こういうお考えございますでしょうか。
  33. 岩動道行

    岩動国務大臣 基本的には私どもは、原子力の平和利用そして安全性を最大の前提として進めるということで所信表明では申し上げたわけでございますが、さらに私どもは、放射線につきましてもその安全性は十分に確保していかなければならない。その安全性がなければ、やはり医療用、薬品等にもこれが活用できない、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございまして、当然放射線に関する安全性も確保していかなければならない。そういう意味で放射線障害防止法というものもつくっているわけでございまするし、関係の省庁においてもそれぞれ、例えば厚生省においては薬事法あるいは医療法等でもその点については十分に配慮をしているところでございます。
  34. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そこで、今社団法人日本アイソトープ協会というところが、岩手県盛岡市郊外の滝沢村というところにおきまして、ラジオメディカルセンター、略称RMCというのですが、こういう計画を持っておりまして、地域の住民等がこれに不安を抱いていろいろ問題になっているということがございます。この日本アイソトープ協会というのは科学技術庁の所管というふうに聞いておりますので、以下この点について若干お尋ねをしたいと思うわけです。  まず、この社団法人日本アイソトープ協会というのは、どういう性格の団体なんでしょうか。また、主な会員はどういったところがあるのか、あるいは科技庁との関係ですけれども、例えば補助金等を支出していたことがあるのか、お答え願いたいと思います。
  35. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  日本アイソトープ協会でございますが、この事業内容は、アイソトープに関します調査研究、それからアイソトープの輸入、配分、輸送に関する事項、それからアイソトープを使いました放射線照射に関する事項、それからアイソトープを利用した後、廃棄物が出てまいもわけでございますが、そのアイソトープの廃棄に関する事項、その他ラジオアイソトープに関します資料の収集、図書の発行、講習会の実施、こういうようなことをいたしております。  会員数は現在六千八百五十名程度でございまして、このアイソトープを使う関係者の方々が、企業等も含めて会員となっておるわけでございます。現在、アイソトープ協会には科学技術庁から恒常的に補助金等を出しているということはございません。
  36. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今の点ですが、過去においては補助金を出していた時期があるかと思います。これは後の問いと一緒にお答えください。  それで、この協会は社団法人ということですから、民法上の公益法人ということになるわけでしょうか。
  37. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 社団法人でございまして、科学技術庁が認可しております公益法人でございます。  それから補助金の件でございますが、補助金そのものじゃございませんが、委託費という形態のものでございまして、平和利用委託費といたしまして昭和五十四年から五十六年、三年にわたりましてラジオアイソトープの飛散率に関する研究という項目で研究委託を行ったことがございます。
  38. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 どのくらいの補助金を出していたか、これも次の問いと一緒にお答え願いたいと思います。  この協会のパンフレットによりますと、アイソトープの供給、これはラジオアイソトープの省略でしょうから、以下略してRIと申し上げますが、RIの供給を事業内容としている、そしてRIの我が国唯一の販売機関である、こういうふうに書かれておりますが、このとおりでしょうか。
  39. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  日本アイソトープ協会がアイソトープを販売することにつきまして、特にこれを独占的にこの協会にのみやらせているということではございません。事実上、輸入業務その他の関係から、それから後の廃棄物の処理等の関係から、ほとんどのものがこのアイソトープ協会を通じて販売されているという実態はございますが、ここを独占体としてどうこうするというようなことはございません。  それから先ほどの補助金の額でございますが、ちょっと手元に過去の資料がございませんので正確には今述べられませんが、大体年間一千万円以下の金額であったと承知しております。
  40. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 続きまして、同じく協会のパンフレットによりますと、RIの廃棄物集荷、貯蔵業務の許可を受けている我が国唯一の機関、こういうことも記載されておりますが、これも事実でしょうか。
  41. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 ラジオアイソトープの廃棄に関します事業者といたしましては、現在放射線障害防止法により指定されておりますのは、このアイソトープ協会とそれから日本原子力研究所がございます。
  42. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 民法上の公益法人がアイソトープの事実上の独占的な供給を行っている、また集荷も行っているということはやや奇異な感じがいたしますので、もう少し細かくお尋ねしたいと思うのですけれども、このRIの販売実績、医療用、産業用、研究用それぞれにつきまして、量、核種それから金額について教えていただきたい。
  43. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えをいたします。  日本アイソトープ協会が供給しておりますアイソトープは、その用途によりまして医療用、研究用及び工業用に大別できるわけでございますが、この供給についての実績を五十七年度における数字で申し上げますと、医療用では金額にして三百五十六億円、研究用が二十一億円、工業用が十九億円でございます。  五十七年度における核種別の供給量と申しますと、いろいろ多うございますので、主なものを拾って御説明させていただきますと、医療用ではテクネチウム99という核種が供給量で四千百三十一キュリー、キセノン133が五百三十一キュリー、ガリウム67が二百五十三キュリー、それから研究用で主なものはクリプトン85が四百八十七キュリー、トリチウムが三百二十二キュリー、炭素14が十四キュリー、それから工業用ではコバルト60がございまして二百八十八万八千五百三十キュリー、それからイリジウム192が一万四千二百八十八キュリー、クリプトン85が三十九キュリーでございます。
  44. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 続きまして、集荷及び貯蔵の実績についてはいかがでしょうか。これも医療用、工業用、研究用に分けて、量それから核種についてお願いいたします。また、これについては金額というわけにはいきませんでしょうから、取扱手数料の額はどの程度になっていますでしょうか。
  45. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  これも五十七年度の数字で申し上げたいと思いますが、容積二百リッターの容器に換算して申し上げますと、医療機関から三千五百一本、それから研究機関と民間企業、これはちょっと判別しかねますので、などから合わせまして四千二百七十五本、合計で七千七百七十六本という数字になっております。これに伴う手数料収入につきましては、部門別というのはちょっと資料がございませんので全体で申し上げますと、五十七年度実績で七億八千六百万円という数字になっております。
  46. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そこで次に、問題となっております滝沢RMC、ここで予定されている事業内容はどのようなものでしょうか。
  47. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  ラジオメディカルセンター計画は、アイソトープ協会が推進しているわけでございますが、これは、最近におきまして非常に医療用にアイソトープが利用されておりまして、各種の検査を初めといたしまして非常に有効な方法ということで使われておるわけでございます。これは医学の研究用あるいは実際の治療用等も含めまして使っておるわけでございますが、このため非常にアイソトープの利用量がふえております。その結果として、当然のことながら廃棄されるアイソトープの量もふえてまいったわけでございますが、この廃棄物を円滑に処理できないということになりますと、医学の進歩あるいは実際の医療上非常に問題になってまいりますので、この廃棄物を集中処理するということで、現在までRIの廃棄物の集荷をほとんど一手に引き受けているアイソトープ協会がこの問題を解決するためにいろいろ計画をしたわけでございまして、RIの廃棄物を処理する施設、これを新しく立地を求めて建設しなければいけない。  それと同時に、この廃棄物処理施設だけでなくて、そこに例えば放射線医学に従事する人の研修施設を設けるとかあるいは放射線医薬品の製造研究施設を設けるとか、そういうことにすれば、全体として放射線、アイソトープを利用しました医学、医療といった面の発展にも寄与するのではないか。こういうことで計画をし、地元の御同意を得て滝沢村にその準備を進めておる、こういうぐあいに承知いたしております。
  48. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今のお話の中で、まずRIの廃棄施設に関してさらにお尋ねしますが、聞くところによりますと、RIの廃棄物を焼却処分をする、こういうふうに聞いております。この対象物はどういうものでしょうか。とりわけ医療用RIに限るのでしょうか。また核種としてはどのようなものがあるのか。さらに、この計画では、ここで処分する取扱量はどの程度のものになるのか。全国の医療機関等から出るRI廃棄物のうちのパーセンテージでどの程度をここで処分する予定なのか、いかがでしょう。
  49. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  このラジオメディカルセンターに持ち込まれますアイソトープの廃棄物は、医療用に使われたアイソトープということで計画されておりまして、主なものは、先ほど申し上げましたが、ガリウム67とテクネチウム99といったものでございまして、核種の数にいたしますと十九であるというふうに承知しております。  それからこの施設においてどういう処理をするのかということでございますが、一つは焼却処理をするということと、もう一つはこれを圧縮減容処理をするという二つの方法が予定されていると聞いております。  それから処理能力につきましては、二百リッタードラム缶の換算で年間約四千本を処理できるようにしたいという計画を持っているということでございます。ちなみに、昭和五十七年度の全国での医療用の廃棄物の量は、二百リッターのドラム缶に換算しまして三千五百本ということになっております。
  50. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 今医療用についての処分として計画されている、こういうお答えでしたが、将来とも医療用に限定されるのかどうか、これは地域の住民が大変不安を持っておりますので、これについて明確にお答え願いたい。  それからもう一つ、医療用という場合には、例えばがんの治療など放射線照射治療におけるコバルト60等も概念としては入ると思いますけれども、本件ではこれは含めないものか。  それからさらに、核種十九種とおっしゃいましたが、これはやはり地域の住民が大変不安を持っておりますので、長くなるかもしれませんが、十九種一つ一つ名前を挙げていただきたい。とりわけ炭素14、それから水素3、三重水素ですか、これは入らないのか、以上について明確にしていただきたい。
  51. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  ラジオメディカルセンターの事業につきまして、どういう仕事をするかということにつきましては、当然地元の方々と協議をしておるわけでございまして、滝沢村当局と同意を得ておりますものは十九核種の医療用RI廃棄物の処理、こういうぐあいに理解しておりますので、今後ともそのような同意は十分に尊重するようアイソトープ協会とも指導してまいりたいと思っております。  核種でございますが、順次読み上げますと、燐の32でございます。これは半減期が十四日。それからクロム51、これは半減期が二十八日でございます。それからコバルトにつきましては、コバルト60はこの中に入っておりませんで、コバルト57が半減期二百七十一日。それからコバルト58、半減期七十一日でございます。それから鉄59、これは半減期四十五日。それからガリウム677で半減期が七十八時間。それからセレン75、これが半減期が百十九日でございます。それからクリプトン81、半減期は十三秒でございます。ストロンチウム85、これは半減期が六十五日。テクネチウム99、半減期六時間。インジウム111でございますが、半減期が三日でございます。それから沃素123、半減期が十三時間。それから沃素125、半減期六十日。沃素131、半減期八日。それからキセノン133、半減期五日。水銀197、半減期六十四日。水銀230、半減期四十七日。それから金198、半減期三日。タリウム201、半減期七十三時間。以上の十九核種でございまして、いずれも半減期の短いものばかりでございます。  それから先ほど御指摘の炭素等は、今申し上げましたようにここには入っておりません。
  52. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 まだ続けますか。それとも――ちょっとここで切りがいいですから、後にしましょう。
  53. 大野潔

    大野委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時二分開議
  54. 大野潔

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小澤克介君。
  55. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 それでは、午前中に続いてお尋ねいたします。  午前中は、問題となっております滝沢RMCの予定されている事業内容についてまで伺ったと思いますが、ここでこの施設が運転されるようになった段階で、排気あるいは排水あるいは焼却して残ったあるいは容積を減縮した固形物、これについてはどう処理されることになるんでしょうか。
  56. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたしますが、医療用のRIの廃棄物の処理につきましては、現在医療法の施行規則で処理をする、こういうふうな取り扱いが定められているわけでございます。  今先生の御指摘のような固形状の物につきましては、私どもとしては、まずその前にちょっと申し上げますが、処理につきましては、気体状または液状の物については、医療機関の排気設備または排水設備により一定の濃度に希釈して処理する、それから固体状の物につきましては、医療機関の保管設備つまり廃棄施設でございますが、これでもって保管をするか、または厚生大臣が指定した廃棄業者にその廃棄を委託する、つまり、保管設備、廃棄施設で保管されるかあるいは厚生大臣が指定した廃棄業者にその廃棄を委託するか、こういうふうな形になろうかと思うわけでございます。
  57. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 ちょっと質問を取り違えられたと思うのですが、この滝沢RMC施設に限定しての話です。ここを運転開始したときに、排気、排水それから残存固形物はどういう扱いになるか、こういうことをお尋ねしたのです。
  58. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたしますが、御指摘の物につきましては、そこの施設で貯蔵をいたしますか原研に最終的な処理を委託するというふうになろうかと思うわけでございます。
  59. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、必ずしもここが、滝沢RMC、予定されておりますこれが最終処分ではないということもあり得るわけですか。
  60. 古川貞二郎

    ○古川説明員 法律上はそういうふうなことになるわけでございます。
  61. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、法律とは違った扱いもあり得るということですか。
  62. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたしますが、実際問題としては、この滝沢村の方で処理されるというふうなことになろうかと思っているわけでございます。
  63. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、要するに排気についてはそのまま空中に、環境中に排出する。排水についても環境中に排水する。固形物についてはこの滝沢RMC施設内で保管する、こういうことになるわけですね。
  64. 古川貞二郎

    ○古川説明員 仮定の話ではございますけれども、そのようになろうかと思うわけでございます。
  65. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 ついでに、この滝沢RMCはどの程度の予算規模なのか、わかりますでしょうか。施設についてです。
  66. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 全体の規模と申しますか、RMCということで廃棄物処理以外のものも含めた全体の数字については、ちょっと承知しておりません。
  67. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、廃棄物処分だけでも結構です。
  68. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 廃棄物処理施設の関連でございますれば、約三十億円程度というぐあいに聞いております。
  69. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そこで、先ほどお尋ねしました排気、排水あるいは保管する固形物、ここから放射性物質が環境中に漏れ出るという可能性については検討されましたでしょうか。
  70. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  このセンターにおきます具体的な設計とかそういったものがなされているわけではございませんで、概念的な段階でございますので、個々の施設についてそういうことをしてはおりませんし、また科学技術庁としてそれを審査するという立場にもございませんので、いたしておりません。
  71. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 きょうは厚生省の方にも来ていただいているのですが、厚生省の方はこの辺検討されましたでしょうか。
  72. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  具体的な申請とかその他があっているわけではございませんので、全く検討いたしておりません。
  73. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、現時点では地域の住民の不安を解消するような材料というのは、科技庁あるいは厚生省、いずれにしても行政庁側は持っておられない、こういうことになりますか。
  74. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  アイソトープの廃棄物の処理につきましては、日本原子力研究所でこれまで行ってもございますし、保管につきましてはアイソトープ協会自身、ほかにも数カ所の保管所を持っておりまして、そこでも保管いたしておりますので、実績的に十分安全なものであるということは御説明できることでございますし、またアイソトープ自身が、午前中に申し上げましたように非常に半減期の短いものでございまして、その危険の度合いというのは極めて低いものでございます。そういった点で、実績等の点から御説明は十分できることであろうかと存じます。
  75. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、半減期が非常に短いもの、先ほど示していただいた十九種ですか、一番長いもので二百七十一日とたしかお聞きしましたか、この程度であることから考えて、安全性には問題がなかろう、こういうふうに判断しておられるとお聞きしていいでしょうか。
  76. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 お答えいたします。  当然でございますが、この施設の規制につきましては、厚生省の方の薬事法等の法律によりまして厳重に規制、監督されるわけでございまして、国の厳しい安全規制のもとで行われることでもございますので、その点からも十分安全なものができるというぐあいに思っております。
  77. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そこで、素朴な疑問なんですけれども、これは現地の方も皆さんそういう疑問を持っておられるのですが、半減期が非常に短いものを扱うのであるから非常に安全である、例えば原子力発電所あたりからの廃棄物等に比べると取るに足らないというような御説明がアイソトープ協会の方から、説明といいますかパンフレット等で宣伝がされているようなんですが、そうだとすると、なぜこれをこの岩手県の滝沢村という岩手出ろくの一寒村に持ってこなければならないのか、また、なぜそこで集中的に処理しなければならないのか。こういう集中的に処理する施設をつくる必要性、これはどうしても地元の方に理解できないし、私にもできないわけなんですが、その点についていかがお考えでしょう。
  78. 中村守孝

    ○中村(守)政府委員 ラジオアイソトープの処理場というものが、特定の滝沢村以外のどこにもそのような適地がないというわけではないと存じます。当然のことながら、安全上のいろいろな対策も講じて設置するわけでございまして、周辺の環境に適合した施設をするということで対応できる点はいろいろ多々あろうかと思いますが、基本的には、このアイソトープの集荷事業を行っておりますのが、午前中にも申し上げましたように実質的にアイソトープ協会だけでございます。ここが分散をしましてそういう処理場を設けるということは効率的ではないわけでございまして、全国のかなりな部分をそう大きな面積でなくて集中処理できるわけでございますので、当面は一カ所で処理をしたいということであちらこちら適地を探しておりまして、滝沢村の方からもたまたまそういうことで誘致のお話もございましたし、そういう点がいろいろかみ合わさりまして現在のところに用地が決まったという次第でございます。
  79. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 適地については必ずしもここだけではないというのはわかりましたが、じゃ、なぜ集中処理をするのか、ここがわからないのですね。  これは後でお尋ねするつもりだったのですが、法制上も医療法施行規則三十条の十四で、各医療機関等で病院、診療所の管理者がみずから廃棄することが原則になっておりまして、そして十四の二で、前条の規定にかかわらずこれを業者に委託することができるというふうになっているわけです、それほど半減期が短くて問題のないものであれば、それぞれの病院、診療所で管理し廃棄すれば足りる。それをなぜこんなところに全部持ってくるんだ、しかも全国の五十七年度実績の全部を持ってきても足りるほどのキャパシティーのあるものをつくる、その理由というのが、地域の皆さんにもわからないし、私にもわからないのです。これは何か理由があるのでしょうか。
  80. 古川貞二郎

    ○古川説明員 先生御承知のように、現在固体状の診療用のRI廃棄物につきましては、厚生大臣が指定をいたしました日本アイソトープ協会が各医療機関より一括して集荷して、日本原子力研究所で処理が行われている、こういう状況でございます。  しかしながら、御案内のように原子力研究所の処理施設につきましては元来がその研究所から発生した廃棄物を処理するものであり、その余力の範囲内でアイソトープ協会が集荷したアイソトープ廃棄物の処理を行っているというのが現状でございます。近年こういった廃棄物の増加ということが出てまいりまして、これに対応していく上では、やはりそういったものの専用の処理施設を設けるということが非常に重要であり、事柄の性格からいたしましてそういったものは全国的にもそうたくさんの量というわけではございませんので、それを一カ所に集中した処理施設をつくるということで対応することが最もいいのではないか、こういうふうなことで滝沢村に建設が計画されているというふうに理解しているわけでございます。
  81. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 依然としてわからないのですが、集中処理することに何かメリットがあるのですか。効率の問題ですか。
  82. 古川貞二郎

    ○古川説明員 効率の問題もあろうかと思うのでございますけれども、こういったものを集中的に処理をしていくということによって、環境上の問題あるいはその施設の安全性の問題その他について非常に高度の対応ができるというメリットがあろうか、こういうふうに思うわけでございます。
  83. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、研究用及び工業用のRIについては現在どうなっているのでしょうか。
  84. 辻栄一

    ○辻政府委員 一般用のRIにつきましては、放射線障害防止法によって行われているわけでございますが、現在、廃棄物処理施設といたしましては、先ほど申し上げましたような原子力研究所の廃棄物処理施設に集められておるというのが基本的な現状でございます。
  85. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、研究用及び工業用については全量原研の方で処分している、こういうことになるわけですか。
  86. 辻栄一

    ○辻政府委員 大方のものは原子力研究所でございますが、一部のものについては施設に保管、廃棄をしているというものもございます。
  87. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、ますますわからなくなるのですがね。  先ほど御説明がありましたように、医療用のRIというのは半減期の非常に短いものばかりである。しかも医療用の中でも、コバルト60のようなものは本件施設では扱わない。そういう、いわば比較的放射能の害の少ないものばかりを集めてここで処分をする施設を三十億もかけてつくる。なぜそうなのか。地域の皆さんは、まずこういうものをやるということで、こういうものだけを処理するのだということでつくっておいて、そしてできてしまえばいろいろ工業用や研究用も持ってくるのではないか、こういう疑問がぬぐえないわけなんです。いかがですか。
  88. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたしますが、診療用のRIの廃棄物処理対策につきましては、厚生省の医務局長の私的懇談会でございます医療機関RI問題検討会でいろいろと論議をされているわけでございまして、その報告書の要旨を申し上げたいと思うのでございますが、「医療用RI廃棄物処理の対応策」といたしまして、この検討委員会におきましては、次のような理由から「医療用RI廃棄物を集中処理する施設を早急に整備する必要があると考える。」こういうふうな趣旨の報告をしているわけでございます。  それはどういう理由かと申し上げますと、まず一つは「医療用RI廃棄物の特性」ということでございますが、医療用RI廃棄物につきましては、核種が限定されているということ、それから先ほど来御議論がございますように、半減期の短い核種が多いということ、それから三番目は焼却可能なものが多いことなどから、「比較的処理作業が容易であり、また、感染源が混在している危険性もあるので、医療用RI廃棄物は他のRI廃棄物とは別途処理する方策をとるべきである。」それで、その「処理方法の基本的な考え方」といたしましては、「医療用RI廃棄物の大部分は一定の期間保管すれば自然放射能レベル以下になる。自然放射能レベル以下である廃棄物について、一般の廃棄物として処理することは原理的には差しつかえないが、その実施にはなお検討を要する問題があるので、時期尚早である。」自然放射能レベル以下である廃棄物につきましては、一般の廃棄物として処理することは原理的にも差し支えない。しかし、そういうふうにすることについてはなお実施に検討を要する問題があるので時期尚早である。したがって「固体状のRI廃棄物は、一括して集中処理するのが適当であり、この場合最も適切な方法は焼却して残渣を保管することである。」というようなことで、このRIの廃棄物処理の対策に関する検討会、これは専門家から成るものでございますが、その報告はそういうふうな報告になっているわけでございます。
  89. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、ますます説得性が欠けるわけですよ。つまり、一定期間放置すれば、普通に言われているのは半減期の十倍程度というふうに常識的には言われているようですが、それだけかければ放射能というのは普通はネグリジブルになる。それをわざわざ全国から集めて、三十億もかけた施設で廃棄処分をする。なぜこんな必要があるのか。ごく素朴な疑問として、各医療施設で処分できないから、処分すれば危険があるから集めるのではないか。だとすれば、地域の住民にとっては非常に困る、こういうふうに考えますし、それからもし本当はそんなことをする必要がないのならば、集中して処分する必要がないのならば、むだではないか。  先ほどお答えにありましたこの検討委員会というのは、社団法人日本アイソトープ協会もオブザーバーとして入っているようですけれども、そこでこういう結論が出されたということは、むだなことをやるのであれば、やや勘ぐれば、この公益法人であるアイソトープ協会の手数料稼ぎ、簡単に処分できるものをもったいをつけで集めて、難しい顔をして処分して手数料を稼ぐのじゃないかというふうにも思えますし、逆にそうでないとすれば、危険だからこそ集めるのではないかという地域の皆さんの心配が現実性を帯びますし、どっちにしても納得できないものなんですよ。何でこんなことをするのでしょうか。
  90. 古川貞二郎

    ○古川説明員 医療用のRIにつきましては、治療上病気を治すとかそういったことについて非常に大きな役割を果たしている、しかも今後ますます重要な役割を果たしていくというようなことで、各医療機関で処理されるものの量につきましても今後相当ふえてくるというようなことからいきまして、そういったちゃんとした処理施設をつくって一括して集中的に処理をするということが最もいいのではないか、こういうふうなことで考えられたわけでございます。
  91. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 ますますふえるということにも実は問題があるのですが、それは後に指摘するとしまして、ますますふえるのを全部集められるということになれば、まずもって地域の方からすればより不安が生ずるということを指摘しておきたいと思います。  時間がございませんので、あとこのRIについての法規制について細かく伺うつもりだったのですが、こちらで申し上げますので、間違っている点があれば指摘し、かつ補足するものがあれば補足していただきたいと思います。  まず、RI一般については放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、これによって販売、使用、廃棄が規制をされている。ただし、医薬品については先ほど言いました放射線障害防止に関する法律の適用を外されて、薬事法で製造、販売が規制されている。とりわけ放射性医薬品製造規則、これによって規制されている。また、医薬品であるRIにつきましては、その販売以後の使用については医療法あるいは同法施行規則等で規制をされている、こういうふうに理解して間違いないでしょうか。
  92. 辻栄一

    ○辻政府委員 お話しのとおりでございます。
  93. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そこで、一点だけちょっと疑問がありますので、これは教えていただきたいのですが、先ほども指摘しました医療法施行規則の三十条の十四、これによりますと、「診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物の廃棄」については廃棄施設において廃棄処分するようにということが規定をされていて、これは病院または診療所の管理者はそうすべきであるということが規定されている。そして、三十条の十四の二においては、前条の規定にかかわらず、厚生大臣の指定をするもの、これは廃棄業者ですけれども、これに委託することができる、こういう制度になっておりまして、この委託する場合の委託を受ける業者につきましては、いろいろ細かく届け出事項などが法定されている。さらに技術上の基準を満たさなければならないということで、技術上の基準についても厚生大臣の告示というようなものが定められている。  そうしますと、大原則である各病院または診療所の管理者が行う場合についてはほとんど何も定めがなくて、ただ廃棄施設でやりなさいということが書いてあるだけで、例外である業者が委託を受ける場合については事細かく決まっている、これはどうしてなのでしょうか。
  94. 古川貞二郎

    ○古川説明員 医療機関の中で行われている処理につきましては、放射線障害防止法の規制の内容に準じて適正に指導しているという状況でございます。
  95. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 それは、法律上はそう決まってはいないけれども事実上行政指導をしている、こういうことになるわけでしょうか。
  96. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  医療法の施行規則では、三十条の九というところで貯蔵施設というのがございまして、そこにおきまして、この貯蔵の具体的な構造設備の基準を事細かに規制をしまして、これを遵守するようにということを強く指導しているわけでございます。
  97. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 これは違いますでしょう。三十条の九は、使用済みのものについては関係ないのじゃないでしょうか。というのは、三十条の十一以降が廃棄施設について決まっているわけですから。
  98. 古川貞二郎

    ○古川説明員 失礼いたしました。言葉が足りなかったのでございますが、三十条の九以降、貯蔵施設が三十条の九でございます。それから、廃棄施設につきましては三十条の十一というところで、この構造設備の基準を事細かに、それから貯蔵施設あるいは廃棄施設につきまして事細かな規制を行っているということでございます。
  99. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 その点はわかりました。  それで、時間がございませんので、私、実は先週この地域に行ってまいりまして、地域の方からいろいろ話を伺ったわけです。皆さん大変心配しているわけです。例えば、昭和五十三年に日本アイソトープ会議報告集の中で、「RI廃棄物の処理体制」という題で日本アイソトープ協会常務理事の町田さんという方が論文を書いておられて、そこで、この「計画は、当初は医療用RIのみを扱うが、やがては研究用RI、さらには原子炉規制法の改正を待って原子炉廃棄物をも扱うようにしたい」ということが書いてある、そういう指摘もありました。また地域の皆さんは、この施設を誘致した滝沢村はともかくとして、本件施設のすぐそばにある他の村、この方々の意見が全く聞かれていない。玉山村というのがすぐ近隣なのですけれども、そこで、そういうことから皆さん大変心配をしているわけなんです。そしてまた、説明がないということについて非常に不満と不安を持っておられる。そういう状況がわかりました。  それでいろいろ聞いてみましたら、過去において参議院議員の目黒今朝次郎先生のところで、「RI協会として、今まで地域住民に対する説明が十分でなかったので、今後地権者のみならず、近隣住民一玉山村、北上川流域市町村一の理解を得るための努力をする。」それから「RMCに関係する厚生省、科技庁、RI協会、県当局、村当局、議会、現地住民を一堂に会して、さらに問題点を整理するための場を設定する。」こういう約束が、一九八二年十二月十七日になされているのですが、これについても一向に約束が守られていない、そういう実情があったわけです。  そこで大臣に伺いたいのですが、本件計画につきまして、この協会に対して、まず地域の住民とよく話し合うように、そして了解と同意を得て工事を進めるように、それがなされるまでは少なくとも工事を中止するように、そういうふうに指導していただきたいと強く希望するわけでございますが、大臣いかがでしょうか。
  100. 岩動道行

    岩動国務大臣 今お話しのラジオメディカルセンターの計画は、日本アイソトープ協会が岩手県の滝沢村の誘致を受けて、その実現のために努力をしている。このラジオメディカルセンターの安全性につきましては、先ほど来政府の答弁にありましたように、放射線障害防止法あるいは医療法などで国の厳格な規制をもとにして行われてまいりますので、私どもは十分にその安全性は確保できるというふうに考えております。  ところで、今お話しの地元の関係でございますが、実は私も、その滝沢村を私の選挙区に持っておりまして、十分にこれらの問題は話を聞いているところでございます。そこで、地域住民の中にはこの安全性についていろいろ不安を感じている方がいるということも事実でございまして、私も承知をいたしております。また、協会を初め村当局あるいは県もこのような計画に対してはいろいろと専門的な話も聞いており、またいろいろなところを視察をする等入念な対応をして、その安全性についての一つの確信を持って計画に取りかかっている、こういうふうに伺っております。  ただ、社会党の国会の先生方が現地に視察においでになって、昨日は私のところにも陳情、要望においでになりました。そして地元の方のお話も伺いました。特に、隣の村の玉山村についての話が少なかったということも伺いました。しかし一方、玉山村に対しましても、協会では十分な説明はしている、こういう話もございます。しかし、まだまだ十分に地域の関係の方が納得してないという面もあるようでございますので、今後ともアイソトープ協会あるいはまた関係の市町村、あるいはまた県等にも、十分に理解を求める努力をするようなことを指導してまいりたいと考えております。
  101. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、一つこれは委員会あるいは委員長にお願いしておきたいのですが、日本アイソトープ協会を参考人として当委員会で呼んでいただきたい。  と申しますのは、先ほどから指摘しましたように、全国から集めて処分するような施設をつくらなければならないという必要性と、それから全く安全であって取るに足らない程度の放射能にすぎないという、この二つがどうしても両立しない、説得的に両立しない面がございます。それについてやはりどうしても聞きたいということと、それからいま一つは、これは全く別の視点でございますが、この協会はRIの普及に努める、知識の普及に努めるというような性格のものだったわけでございますが、現在ではもう知識は既に普及いたしまして、むしろ乱用が心配になっている。必要もないのに、俗に乱診乱用といいますか検査づけといいますか、何でも検査をする。人によっては、今の医療用RIの使用量の三分の一程度で本当は済むんだというようなことを言っている方もおります。そうしますと、このような集中的な施設ができればますます歯どめがなくなってどんどん乱用される。ところが、協会は乱用されればされるほどもうかる、こういうことになりますので、その辺についても公益法人という性格からしまして非常に疑問がある。そういったことを含めまして、ぜひ一度直接伺いたいと思いますので、この点よろしくお願い申し上げます。
  102. 大野潔

    大野委員長 ただいま小澤克介君が要求されました参考人出席の件につきましては、理事会において協議することといたしたいと存じます。  小川新一郎君。
  103. 小川新一郎

    小川(新)委員 最初に私は、きょうはわざわざお忙しい中をおいでいただきましたが、外務委員会の立場から聞きたいのですが、外務政務次官にひとつお願いしたいと思います。  簡単にお聞きしますが、本委員会は、科学技術すべてが平和に利用されなければいけない、戦争に使ってはいけない、こういう前提に立っての私たちの一貫した信念を持った委員会でございます。  そこで、過日イラン・イラク戦争においてイラク側が使用したと伝えられる毒ガス兵器によって負傷をしたイランの兵士が二名、ないしそれ以上おりますかどうかは知りませんが、私の知るところでは二名、我が国の医療の最新技術を使って治療したい、また世界にこのことを知らせたい。これはジュネーブ協定でも御案内のとおり、先にこれを使用してはならない。当時大正三年、第一次世界大戦にドイツ軍が使用したマスタードガス並びにイペリットとかホスゲンとか、びらん姓とか呼吸疾患性のガスとか、こういった問題が非常な大きな政治問題化して、第一次軍縮会議において大きなテーマになったことはもう御案内のとおりでございます。  そこで、この病状について、いかなる原因によってこうなったのか、この問題についてお尋ねしたいと思います。
  104. 北川石松

    ○北川政府委員 小川委員の御質問に対してお答え申し上げます。  ただいま御質問のイランの傷病者に対しましては、医師の所見は、患者の症状及び経過に対する医学的診断結果によりまして、これは患者から検出されましたところの化膿菌は普通の化膿菌であって、やけどとかあるいは熱性液体もしくは毒ガスによるものか、いずれの可能性もあるという判断をしておる次第でございます。
  105. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは非常にあいまいな所見だと私は思うのですね。少なくとも、ただの単なるやけど、火傷程度で戦争当事国が第三国に、しかも平和憲法を持っている日本に治療をゆだねるということは、後方野戦病院の連続性を私たちは想起せざるを得ない。こんなばかげた話は許されるわけはない。  なぜこういう問題が出たかといえば、人道的に許されない毒ガス使用という面に限ってのみ許されることであって、ベトナム戦争の場合においてもこういった問題は出なかったのでありますから、私たちは、戦争当事国がこういった問題でどんどん負傷者を送り込んできて、それを治してまた戦闘に参加させるということは、その相手国に対する外交的問題また戦争に一方的に加担する当事者としての連帯の責任を問われざるを得ない。しかも国連では、きょうの発表によりますと、まだ日本の国のほかにもこういった患者を委託して治療させたということを言われておりまして、それぞれの国々の医師団から、その病状については毒ガスを使用したことは明確であることを安保理事会に提言すると言っているわけですね。日本だけそういうことをあいまいもこにしておいて、一体これはいいんでしょうか。この問題について私は、何らかの圧力が加わって、こういうことでイラク側に刺激を与えてはならない、そういう配慮があってこういう二者択一のようなおかしな判断が出た。これでは全く、医療という人間の生命を扱う、これからライフサイエンスの問題を我々議論するこの委員会としては納得できません。ほかの委員会ならいざ知らず、これは科学的に解明する委員会でございますので、どうぞ科学的に明快に御説明をいただきたいと思います。
  106. 北川石松

    ○北川政府委員 ただいま小川委員の御指摘のとおりでありまして、政府といたしましては、決して政治的に配慮してただいま御答弁申し上げたような次第ではございません。化学兵器を、イペリットを初めとするいろいろのガス兵器を使うことは、ただいま御指摘のとおりジュネーブの軍縮会議におきましても指摘されておりますし、決して世界人類の中に毒ガスというものを使う、化学兵器を使うことは許されない問題でございます。  なお、ただいま御指摘の、他国の検出程度とかあるいはこれは化学兵器を使用されたのではないかという強いての御指摘がございますので、詳しいことは政府委員に答弁さそうと思います。
  107. 遠藤哲也

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、実は東京時間でけさでございますけれども、国連の事務総長が毒ガス使用の有無を調査しますため送りました専門家チームの報告書が出たわけでございます。  それで、その中身でございますけれども、結論部分だけ申し上げますと、今回の調査の結果、空中投下爆弾の形態による化学兵器がイランの地域内で使われた。それから使用された化学剤は、さっき先生指摘のようなマスタードガス及び多分神経剤でございますが、二種類であった。それからなお、量とか地域だと思いますけれども、どの程度の範囲について使用されたかにつきましては、この調査団ははっきり確定することはできなかった、こういうふうな調査結果が出ております。
  108. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、政務次官、これは我々として、我が国としてはどういうふうに決断を出したらいいのですか。
  109. 北川石松

    ○北川政府委員 我が国といたしましては、調査団が四カ国から編成されまして調査をした結果は国連に二十六日出されておりますし、この問題についてはなお詳細に検討もいたさなければならないと考えております。ただ我が国といたしましては、化学兵器が使用されることは御指摘のとおりもう絶対に許されないという立場は堅持していきたい、こう思っております。
  110. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が聞きたいのは、国連に報告をしなければならぬ責任があると思いますから、安保理事会にこの問題を提訴するときに、日本の医学界では解明ができなかったとか、ほかの国ができているのにこちらでは、先ほど御説明があったような化学兵器が使われた可能性もあるし、ないかもしれない、こんなあいまいな答弁では許されないのではないかということを私は指摘しているのです。
  111. 英正道

    ○英説明員 国連の報告書の中で、ほかの国で診断を受けた結果というものが扱われているかどうかまだ存じませんけれども、日本における治療は、東京にございますイランの大使館と東京女子医大の病院の医師との間で話し合って行われたものであって、その診察の結果を、昨日と思いますけれども医師団から発表した。それに関しまして政府から何らかの圧力をかけるとか、イラク、特定の名前を挙げるのは差し支えますけれども、特定の国の配慮から差し控えてほしいとか、そういうようなことは一切ございません。これは全く当該の医師団の診断結果を科学的に発表したものである、こういうふうに了解しております。
  112. 小川新一郎

    小川(新)委員 今後も戦争当事国の負傷者を日本は受け入れて治療するのですか。
  113. 英正道

    ○英説明員 この問題は非常に難しいわけでございますけれども、こういうような傷病兵をそれぞれの国に駐在するイランの大使館が病院との話し合いで治療するということはほかの国でも行われておりまして、それを禁止しなければいけないことはないというふうに了解しております。
  114. 小川新一郎

    小川(新)委員 逆にイラクから要請があったときも治療するのですね。そういう特定の名前を使っちゃまずければしませんが……。
  115. 英正道

    ○英説明員 これは、いかなる国を問わず同じような態度で臨むべきだと存じます。
  116. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、我々は戦争に一方的に加担をするというような非難を受けるおそれも出てくる。それが第一線に復帰する、戦力になる、こういうことは、後方野戦病院の任務を果たすことになっちゃいますね。民間人じゃないのですから、また鉄砲をとって戦う人ですから。どうなんですか。これは私どもは戦争に介入していると解釈されても仕方がないのじゃないですか、平和憲法下において。
  117. 英正道

    ○英説明員 戦時に関する国際法の規定から、今回のような形で診療が行われることを禁止しなければいけないということはないわけでございます。したがって、日本と同様の診断、治療がほかの国でも行われているわけでございます。ただ、先生指摘のように、二つの争っている国に、日本は両国とも友好国でございますし、そういう外交的な配慮をしなければいけないということ、それからもちろん戦争の激化につながるようなことを避けなければいけないことは当然でございますけれども、法律的に今回のようなことをしてはいかぬということはないわけでございます。
  118. 小川新一郎

    小川(新)委員 政務次官、これは大事な問題なんですね。今度はイラク側から日本に対してこういう問題で、今二名だからいいけれども、これは大量に何百名、何千名来ないとも言えない。日本の医療技術を信頼してどんどんそういうことになれば大変なことになるわけですから。これは政治的に見てあなたの御見解を承りたいと思うのです。
  119. 北川石松

    ○北川政府委員 ただいま非常に熱意を持って御指摘のとおりであると思います。我が国といたしましては、一九二五年のジュネーブの議定書を強くわきまえると同時に、イラン、イラクに対しても、平和的に解決する、停戦をするような希望を要望しなければいかぬ、こう思っておりますし、化学兵器が使われることは人道的に見ましても許されないことであるのは御指摘のとおりであり、政府としては、戦争だけじゃなしに、病気ででも自本に頼ってこられた者は受けなければならないだろう。ただし、国連を通じてすべてはやっていく必要があると思っておりますし、そういういろいろな問題を慎重によく検討いたしまして、世界各国から指摘を受けないような処置をとるべきである、こう思っております。  以上であります。
  120. 小川新一郎

    小川(新)委員 わかりました。もっと聞きたいのですが、時間の関係で御配慮いただきたいということですので、どうぞお帰りになってください。  大臣にお尋ねいたしますが、お人柄もまた識見も非常に立派な岩動長官のもとで我々審議することについては、私個人としては非常に喜んでおります。ただ一つ、私の頭にかつんときたことがありますので、表現の問題ですけれども、御参考のためにひとつ改めていただくようにお願いしたいと思います。  我が国の科学行政が新しい段階に入って、岩動科学技術庁長官所信表明の中で原子力問題とかいろいろな問題で所信を述べていらっしゃいます。このいただいた第百一回国会のあなたの所信表明の中で、五ページの原子力船の研究開発問題についてのところでございますが、ずっとありまして、「原子力船「むつ」のあり方につきましては、今後政府自民党内において検討を行うこととしております。」これはまことに私は理解に苦しむのです。しかも、この印刷は「政府自民党」、ポツも何にもない。こういう政府自民党などという党ができたのかどうか。大臣の場合は行政府の長であって、一々政党の意見というものを聞くことは自由でございます。そうであるならば、社会党もまた共産党も民社党も私どもの公明党もまた新自由クラブも、また多くの国民も平和的団体も、すべての意見を聞いて検討を行うと表現するのが公平な科学技術の最高責任者としての大臣の識見であると思うのに、今後政府自民党内において検討を加えることとしておりますと、この重大な「むつ」問題をげたを預けてしまう。  しかも、御意見を聞いておりますと、科学技術庁としては「むつ」の実験を進めていきたい。ところが自民党の科学技術部会においては、今の財政上このような実験の姿勢、あり方、金の使い方、人材の配置、こういう問題が果たして今の時代に合っているのかどうか再検討したい、場合によっては「むつ」の実験もやめたい。こういう中で関根浜に新しい港をつくり、片方では多額のお金をつぎ込んできた原子力船の存続ということについては、あなた方自体が我々に対しても進めてもらいたい意向を持っているのに、このように「今後政府自民党内において検討を行うこととしております。」ので私は知りません、こういう表現はまことに私は、尊敬する大臣としても表現としてはまずいんじゃないかと思う。  それと、これは本当は政府・自民党ですね。議事録の方には「政府・自民党」とあって、これには「政府自民党」、黙って勝手に直してしまう。これは委員長が許可したのかどうか。これは委員長の問題にも関係してくる問題です。私は、自分の政党の委員長ですから言いたくないけれども、こういう問題まで絡めた中で、大臣所信表明のわずかな一句ではあっても、この重大な問題をこうして勝手にやられたのじゃ困ってしまう。私たちは、これは何とか表現を変えてもらいたいと思っているくらいでございますが、御所見を承りたい。これは大臣の言っていることなんだから、大臣に答えてもらうよりしょうがない。
  121. 安田佳三

    ○安田政府委員 政策的な点につきましては大臣から御答弁があると思いますが、ただいま先生が御指摘になりました点につきましては、これは全く事務的に校正漏れをいたしまして、先生のおっしゃるとおり「政府・自民党」という格好になるべきところでございます。所信表明の段階におきましては、大臣は、政府、自民党と区切って申されたので、議事録にはそのように掲載されたと存じますが、そのような経過をたどったわけでございますので、御容赦いただきたいと存じます。
  122. 岩動道行

    岩動国務大臣 表現の点については、今官房長から御答弁申し上げたとおりでございます。  若干補足をして申し上げないと先生の御指摘のように誤解が出るかと思いますが、私どもは、この原子力船「むつ」につきましては、予算編成の段階において各方面からいろいろな議論が寄せられている、また自民党の中においても議論が出ている、そういうことで、政府・与党という立場でまずこの問題を検討する。しかし、もちろんこれは国会の審議を拒否するものでもございませんし、国会でのいろいろな御議論を十分に踏まえながらやっていく、この基本は十分に心得ているつもりでございますので、他の政党と申しまするかあるいは国会の審議ということも通しまして、原子力船「むつ」の今後のあり方については検討してまいる、こういう趣旨を十分に御理解をいただきたいと思うのでございます。
  123. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大臣、あなたの主体性の問題になるのですよ。何でも、これは政府ポツ――ポツが入ったとしても、自民党が反対したら何にもならないということになってしまいますよ、この文章でいったら。大臣はどうなんですか、これは、自民党はどうあっても……。  それともう一つ、あなたの立場は、本来だったら自民党籍を離脱して公正な立場に立って大臣として指揮をとり、またその持たれている識見そしてお力を、日本の新しい二十一世紀を目指しての科学技術の長官としての責任を果たさなきゃならぬお役目があると私は理解しているわけでございますので、ここは何らか訂正していただかないと、審議をする我々が真剣になって審議をするわけにまいらなくなるんじゃないかという気持ちさえわいてくるわけでございます。いかがでございましょう。
  124. 岩動道行

    岩動国務大臣 予算編成の段階においていろいろな議論が出たのでございますが、これは若干解説をしないといけないかと思います。  私どもは、科学技術庁といたしましては原子力船「むつ」による舶用炉の研究開発、実験を完了させたい、こういうことで従来長年の時日をかけてやってまいりました。しかし一方において、このような巨大なプロジェクトに対する研究評価をどうするのかというような御意見もございました。また、先ほど御指摘のように自民党の中においてもいろいろな議論が出てまいりました。そこで私どもは、原子力船「むつ」による舶用炉の研究開発を進めるのか、いずれにしましても舶用炉の研究開発は必要である、このことは従来の方針を変えていないわけでございます。一方、原子力委員会というもので、原子力船「むつ」による研究開発は継続すべきである、こういう意思決定もございます。  このようなことを踏まえて、予算編成の段階でいろいろな議論が出たわけでございますが、私の立場においては、原子力委員会の決定とじみも十分に重く考えてもらわなければいけないということを申し上げました。その結果、自民党の中において検討委員会を設けて、そして広く各方面の意見を聞き、あるいは専門家の御意見を聞いて、そして検討する、こういうことになりましたので、私どもは、そのようなことを踏まえて幅広くいろいろな検討を続けてまいる、したがいまして国会の審議におきましても十分に各党の御意見も伺っていく、こういう基本的な姿勢を持っておりますので、その簡単な表現でいろいろな誤解を招くことについては、私どもは考えていないところでございまして、どうか十分に御検討をいただきたいということをこの機会にお願いを申し上げたいと思います。
  125. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいまの発言、私納得できませんので、ここのところ、これだけじゃないのでございますので、重大な――これは今後委員会が続いていくわけでございますから、委員長から何らかの御配慮をしていただかないと審議を続けていくわけにまいりませんので、お願いします。
  126. 大野潔

    大野委員長 理事会で……。(「取り消したらいいよ、ちゃんと」と呼び、その他発言する者あり)
  127. 小川新一郎

    小川(新)委員 なぜ私この問題を重く見ておるかと申しますと、大臣、これは結局こういう文章になっておりまして、委員会には私ども公明党ばかりではございません。自民党の先生方も社会党の先生方も、また共産党の先生も民社党の先生もいらっしゃいます。また、この問題については賛成、反対もいろいろございますでしょう。国会は国民を代表して出てきておることであり、十八常任委員会の中では科学技術常任委員会は厳然として委員会としての位置と立場と信頼性のもとで審議をする場を与えられておりますので、私ども審議をする側にとって、こういうただ「政府自民党」だけ、これじゃまことに何かつんぼ桟敷に置かれているような、それは確かに補足していただきましたけれども、これは文章になっておりますから、この点御訂正いただけるならいただける、ちょっと変えていただくなら変えていただく、何らかの御配慮をしていただきたい、こういうことでございます。
  128. 岩動道行

    岩動国務大臣 お言葉でございますが、私どもは、このような基本的な考え方で国会での御審議をいただくということで申し上げておりますので、十分にあらゆる角度からの御審議をちょうだいをいたしたい。その御審議を通して謙虚に反省をしながら問題の解決を図ってまいりたい、かように考えておりますので、どうか縦横に自由な御審議をいただきたい、このことをお願いしたいと思います。
  129. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、扱いについては委員長に御一任いたします。
  130. 大野潔

    大野委員長 後日、理事会で協議させていただきたいと思います。
  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 何か委員長の声が小さいのでよくわからないのですが、もう一回ひとつでかい声でやっていただきたいと思います。
  132. 大野潔

    大野委員長 後日、理事会で十分検討させていただきます。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、委員長に御一任したので、皆様の御意見が十分反映でき得るよう御配慮方をお願いしたいと思います。  基礎科学技術振興について、科学技術会議六号答申では、研究費についで、対国民所得比、GNP比当面一・五%、長期的には三%の目標達成を図ってきたところであるとあります。これは国防予算とは全く正反対で、何としても科学技術費のGNP対比三%達成という目標はいつできるのか、これをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  134. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 御指摘のように、第六号答申におきまして、国民所得比でございますが、当面一・五%、長期的には三・〇%を目指すべきであるということがございまして、これの実績について見ますと、順次着実に増加してまいりまして、昭和五十七年度におきまして二・七八%となった次第でございます。  この増加の要因を見ますと、政府予算からの支出は財政事情もございまして伸びがやや鈍いのでございますが、民間の方の負担が急速にふえてまいりました。これは、各企業が研究開発に熱心であるということとともに、研究開発に熱心な技術集約的な産業のウエートが高まっている、両方のことから言えるのではないかと思われます。  その傾向をただ引き伸ばしてみますと間もなく三%に達するような勢いもございますけれども、企業の負担としましてもかなりなところに達しておるところもございますし、それからここのところ国民所得の伸びもある率が予想されるということで、そのまま伸ばせば二、三年ということになるかもしれませんが、三%になるにはもう少しかかるのではないか、しかしそう遠くなく三%は実現でき得るのではないかと期待しておるところでございます。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 昭和五十七年度で二・七八%ですね。五十八年度は何%になるのかの御説明がない。昭和五十九年度は何%になる見込みなのか、それも出てない。  我が国研究費の内容を見ますと、民間の負担が今御説明があったように非常にたくさんを占めておりますが、政府研究費の負担割合は先進欧米諸国に比べて極めて低いのが実例であります。アメリカ四六・七%、イギリス四八、西ドイツ四三、フランス五七、これは国防研究費を除いてみても三〇、三一、四〇、四六・四という割合になっております。我が国ではそれが五十七年で二三・六%、五十八年度は何%になるのか。しかも昭和六十年、万博が行われる年に、これが一体三%に達するのかしないのか。この辺の問題は私どもとしても非常に興味を持っているところでございます。防衛庁の予算がGNP対比一%を超すとか起さないとかの議論とは全く正反対に、平和に、最新の科学技術研究費を少なくとも三%の大台に乗せるためには我々は逆の努力をしなければならぬ。これが昭和六十年の万博を契機としてできるのかできないのか、一言で結構でございます。
  136. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 政府負担割合を上昇させようという御見解に対しまして、まさに我々もそれに努めでおるわけでございますけれども、政府全体の財政困難の折なかなか急速にはまいらない。ただ、外国で負担が高いと申しましても、例えば宇宙等大型のプロジェクトに投資している。これが悪いとは申しませんけれども、今後、私ども主張しております基礎研究への指向を国ベースで重点を置いていくということになりますと、お金の使い方の効率化という面から考えまして、必ずしも欧米並みの比率がなくてもある程度やっていけるのではないか。そういう方面の努力も加えて、しかし政府の支出もできるだけふやすような努力をしてまいりたいと思います。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 国立研究機関における研究員当積算庁費で、いわゆる人当研究費は基礎研究を進める上で重要でございますが、昭和五十七年度は実験系Iが百四十四万、実験系Ⅱが百二十六万、非実験系は九十一万に据え置かれております。これが昭和五十八年度は一体幾らになったのか。マイナスシーリングで減額一〇%の節約ということで、ただいま申し上げました五十七年度の人当研究費は減っておりますが、こういうような実態でアメリカやヨーロッパにおける科学技術の水準に追いついたなどと言うことは非常におこがましいのではないか。これは科学技術と経済の会議が発表しました訪米ミッションの報告書の内容によりますと、一口で言えば、米国の技術水準と日本のそれとが同列あるいは追い越したかというととんでもない間違いである、特に基礎研究では格段の差がある、こういう指摘さえ行われておりますが、ただいま申し上げました私の質問の内容とこの報告書の内容について、政府はどのような乖離を見ているのか、そしてどのようにこれを受けとめていらっしゃるのか、これをひとつお伺いいたします。
  138. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。  国立研究機関におきますいわゆる人当研究費でございますが、先生の御指摘のとおりでありまして、私ども非常に残念に思っております。これは五十六年度までは非常に順調に諸物価の値上がりと大体並行してふえてきたということでございますが、五十六年度以降非常に財政が逼迫してまいりまして、そのために据え置きになっております。しかも、先生指摘のように、節約がかかっておるために実質的には減っております。しかし、我々としてはこれは食いとめねばならぬということで、実は五十九年度だけはマイナスシーリングという中でも五十八年度と全く同じ額で要求をさせてもらっております。我々としてもこれで満足しているわけではございませんので、今後とも頑張っていきたいと考えております。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはひとついかがでしょうか、大臣でなくてもどちらからでも結構ですが、今後の見通しを官房長あたり……。
  140. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 日米の基礎研究の比較、これは私ども現在科学技術会議で第十一号と称します長期的な展望の作業をやっておるところでございます。ここでも基礎研究の層の厚さについて日本はまだ非常におくれているということがいろいろな専門家から強く指摘されておるところでございます。これをどう強化していくかということにつきましては、人材の養成、基礎研究にふさわしい制度の確立、それから研究費、総合的にやっていかなければならない。そういう作業を現在まとめつつある段階でございまして、まだ結論を申し上げる段階ではございませんけれども、財政面から見ますと、厳しい財政のもとで今までの、例えば導入のための研究があったとしますとそれを基礎研究の方へじわじわ回していく、人材、金ともに回していく、そういう努力もあわせて行うような総合的な方策を出せればと科学技術会議としては考えておるわけでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、お聞きのとおりでございますので、ひとつ御配慮の方をよろしくお願いしたいのです。その答弁はこの答弁と一緒にしていただきたいと思います。  電電公社の改革に合わせての新しい通信政策の枠組みを定める電気通信事業法、この法案がいよいよ大詰めの段階に来たわけでございます。VANの問題について、全国的規模による大型VAN、付加価値通信網サービス事業をどのような形で開放するのかという興味が我々にございます。一つは、許可制か届け出制か、完全自由化か、次に外資、他の先進国におけるところの外資の参入に当たっては、一定の条件を設定するのか、また完全自由で外国資本を受け入れられるのかどうかということです。  この二つの問題を通産、郵政あわせてお尋ねするとともに、科学技術庁長官として、ただいま私の質問とあわせて二点についてお答えをいただきたいと思います。時間が限られておりますので、非常に重要な問題を紋切り型にお尋ねいたしましたことはお許しをいただくとしまして、明快な御答弁を期待いたしております。
  142. 内海善雄

    ○内海説明員 今回の電気通信事業法案におきましては、電信電話を含むあらゆる通信サービスの全分野において、競争原理を導入して民間企業が通信事業を行っていけるようにしようということを考えております。  その中で、第二種電気通信事業、その一形態でありますVANについても、内外を問わず自由な事業参入ということを第一の原則に考えております。しかしながら、御指摘がございました不特定多数のものにサービスを行います全国的、基幹的なネットワークであります特別第二種電気通信事業というものにつきましては、これは今後の社会経済活動がこのサービスに依存してしまうことになる、その果たす役割が非常に重要であると考えております。  そういう場合に一番考えなければならないことは、最終のユーザーである個人だとか企業が重要な秘密をこの事業者に託して通信を行うということでございまして、こういうことを考えるならば、最終ユーザー利益を十分に確保し、そしてサービスの健全な発展を図っていくことが重要であると考えております。そういう意味で、その安全性、信頼性の確保だとか利用の公平の確保だとか、そういう措置がとられなければ、そもそもサービスの健全な発展ということもあり得ないと考えているわけでございます。  その結果、先生指摘の特別第二種というものにつきましては、一応許可制を考えておりますけれども、これはあくまでも安全性、信頼性を確保するという側面に沿っての許可制でございまして、そういうものを備えておればだれでもが自由に参入できて企業活動が行える、そういう制度を考えているところでございます。  次に、外資規制の問題でございますが、この特別第二種というものは、今申し上げましたようにその経済的、社会的影響度というのが非常に重要でございますので、また電気通信というのはそもそも政治、経済、社会、文化等国民生活のあらゆる分野における重要な情報手段として国の中枢神経的な機能を有しておりますので、そういうものに対して、外国支配によりまして我が国の独立性だとか自主性が損なわれるということになってきますと、これも大変なことでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、外国企業の参入について我が国として主体的な判断の余地が残せるような一定の枠を設けることが必要であると考えているところでございます。
  143. 柴崎徹也

    ○柴崎説明員 通産省の情報処理振興課長でございます。  通産省立場でございますけれども、この分野では、やはり民間事業者の創意と活力を最大限に生かす、それによりましてコンピューターの利用をますます広く高度化していく、こういうことが基本的に必要でございます。そのためには、いわゆる通信回線を借りて行いますVANなどの情報処理サービスにつきましては規制なく自由に行える、こういう基盤を整備すべきである、このように考えております。したがいまして、その規模の大小を問わずそれは自由なサービスを行える、こういう体制にすべきであろう。  それから、秘密とかあるいは安全性、信頼性の問題でございますが、これに関しましては、現在も情報処理サービス企業は自由に行っているわけでございますけれども、まさに企業信用の問題でございまして、これが守れない企業は経営を続けていけないわけでございます。そういったことで、特にこの点から規制をするということではなくて、そのようなことにつきましては、もっと広いプライバシーの保護とかあるいは全体的な安全保障の問題、そういうもっと広い観点に立って検討すべき事柄ではないか、このように思っています。  それから、外国の資本の問題でございますけれども、この点につきましても、現在もうすでに開放経済体制下にある、こういった観点から判断をしていくべきではないか、このように考えております。
  144. 安田佳三

    ○安田政府委員 いわゆる付加価値通信網事業等の電気通信事業に対する規制を内容といたします電気通信事業法案につきましては、ただいま御説明がありましたように、政府部内あるいは自民党内におきましてもいろいろと現在調整中ということでございますので、当庁といたしましては、科学技術振興にとって有益なものとしてまとまることを希望しているところでございますけれども、具体的な意見につきましては、大変恐縮でございますが申し上げることを御勘弁いただきたいと存じます。
  145. 岩動道行

    岩動国務大臣 VANの自由化につきましては、今私どもの官房長からお答えしたとおりでございます。いずれにいたしましても、科学技術の進歩とそして振興ということを念頭に置いて、最善の結論が出るように努力をしてまいりたいと考えております。  また、先ほど研究費の問題で、特に政府研究費がどうであるかということで大変有益な御指摘をいただいたわけでございますが、私どもも、何としてもGNPに占める割合あるいはGNIに占める割合をさらに大きくしていきたいということにつきましては、先生と全く同じ考えでございます。マイナス予算を組まなければいけないという非常に厳しい中におきましても、何とか科学技術予算については、マイナスでなくて若干でもプラスになっている、こういう点の努力をひとつぜひ御評価をいただきたいと思います。科学技術庁予算、五十九年度のただいま御審議をいただいております予算におきましても、四千億円をようやく超える、四千億台に乗る、こういうところになって、マイナスでないという点もぜひ御理解をいただきたいと思います。なお一層努力をしてまいりたいと思います。
  146. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいまの質問は、我々聞いている側からとりますと、通産省ではこれを自由化にする、郵政省では許可制にして枠をはめる。外資の問題もそうでございます。こういうふうにまだ中曽根内閣の閣僚間――六千万台のテレホン、六千万台にあると言われるカラーテレビ、有線回線すべての線を使って民間にするか国営にするかという重大な問題も踏まえた中で、今この大きな新情報化社会のシステムの中で政治の持つ責任というものが非常に大きなときに、郵政省と通産省が全く相反する答弁をしている。これじゃどうやって国民は信頼するのか。しかもその中間に立つ科学技術庁の責任者は、これに対して、まだ調停中だ。我々は、一体科技庁がイニシアチブをとれるのかどうか、これはまことに不満足な委員会の答弁として、本来だったらこれはもう聞きおくわけにいかないのでございますが、どうなんでございましょうかね、大臣。  しかも、聞くところによると、うわさが出ております。うわさですからお気にしないでいただきたい。私どもも同じ立場に立っているのですが、あなた残念だ、科学技術庁というものは三流の省庁だ。何をやったって、全部通産とか郵政とがそれぞれの立場の縦割り行政における省庁が責任をとっていく。我々は全くつんぼ桟敷のまたその蚊帳の外に、ボールの飛び交うのを眺めながらここで審議をしている。空審議のようなことをやっていたんでは、全く私どもは頭にくるわけでございます。これは何も長官を責めているのではない。同じ委員会にいる立場における我々も同僚の中に入って同じ肩身の狭い思いをしている。おまえ、どこの委員会に所属しているんだ、科学技術か、ふんというような顔をしている。こんなことは全く許せないわけでございまして、こういうような委員会の答弁のやりとりが行われておってはならないわけでございます。  しかも委員長は、その間我々の気持ちを酌んでくださって、非常に高度な勉強会を催してくださっております。一流の学者を呼んで、我々の頭をいかにして科学的にするか。こういう中で我々はこういう問題をやっているにもかかわらず、こういう重大な質問をすれば全くちんぷんかんぷん、とんちんかん、右と左相分かれた答弁が返ってくる。しかも、その間においてはまだ調停もつかない。一体全体、国会が始まって何日になるのか。私は、本当に笑い話じゃ済まされない問題として今質問しているわけでございます。  大臣、御見解をお願いいたしまして、時間が参りましたので遠藤君にバトンタッチをします。残念ではございますがこれで終わりますから、私が納得するような答弁をひとつお願いします。
  147. 岩動道行

    岩動国務大臣 科学技術庁に対する激励のお言葉をまことにありがたく伺いました。私どもは、科学技術研究中心として日本の将来のためにお役に立つ行政を展開しておるわけでございますが、ただいまのVANの問題は、これは通信事業としての問題の分野でただいま検討がされている。こういう意味におきまして、その所管庁としての郵政省、そしてまたこれに関連する通産省がお互いに話し合いをして、そして何が最も日本の国益に合致する結論であるかということを真剣に検討している。それだけに時間がかかっている。私も国務大臣としては、速やかに妥当な結論が出るように努力をしてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしく御理解をいただきたいと思います。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  149. 大野潔

  150. 遠藤和良

    遠藤委員 時間がございませんので、テンポの速い答弁をひとつよろしくお願い申し上げます。  まず、アメリカ宇宙基地計画に対しまして、日本の参加の問題についてお聞きしたいと思います。政府科学技術庁も積極的に参加するということを表明されておりますけれども、この理由、いかがでございますか。
  151. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。  宇宙基地計画につきましては、先生御存じのように、有人宇宙活動につきましては、まだ現段階におきましては日本だけでは残念ながらできません。ということで、これは国際協力のもとでやっていきたい。幸いにしてアメリカの方からこういう宇宙基地計画が出ました。御存じのように、これに参加することによって、宇宙における多くの知見が得られると同時に、特に産業界なんかにおきましても、地上ではつくり得ない新しい合金とか新薬とか、そういうものをつくっていく可能性を非常に多く秘めておりまして、その波及効果たるや想像を絶するものがあるというふうに我々期待しておりまして、そういう意味で、できればこれに参画したいと考えておるわけでございます。
  152. 遠藤和良

    遠藤委員 私もレーガン大統領の一般教書を読んでみました。なかなかに格調の高いものでございまして、人類の夢を実現する、そういう夢のプランでございますが、そこで一つお尋ねをしたいと思います。  日本宇宙開発、御存じのように、これは宇宙開発事業団法第一条並びに国会決議で平和の目的に限るということをうたっておるわけでございますが、この問題につきまして、科学技術庁では、来日するNASAのベッグズ長官に、この計画を平和目的以外に使う計画がないということを突っ込んで聞いておきたいというふうに言っておりました。先般来日されましたが、突っ込んでお聞きになりましたか。どうですか。
  153. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、この問題が、我が国宇宙基地計画に参加できるかできないかというところでは一番大事な問題というふうに我々は理解しております。したがいまして、ベッグズ長官御一行が来られましたときに、この問題について相当突っ込んで御質問しました。  私ども得た結論では、この計画は完全な民生用のプロジェクトである、したがいまして、アメリカが八十億ドル使ってやるこの計画については、完全に民生用であるということと、それからアメリカ側が考えておりますのは、八十億ドルでもってアメリカとして基地をつくっていく、そこにヨーロッパあるいは日本側としてはそれぞれの技術を用いて、例えばジャパンモジュールというような形のものをつくって付加されるという形で参加することを期待しているということでございまして、恐らく先生御心配なされておったのは、アメリカの新聞あたりで、この宇宙基地技術は将来国防省にも使われるかもしれないということについての御懸念と思います。我々も全く同じことを考えましたが、将来この技術が国防省の方に移る可能性があるかということに対しましては、アメリカにおいてはアメリカの国内法によりまして、税金を使って開発したものは何にでも使わなくちゃならないということがある、しかしながら、これを将来もし国防省に移す場合には、ドイツの技術あるいは日本技術として付加された分野を除いた形で、アメリカ技術だけで開発したものをそちらへ移すということが非常に明快にわかってまいりました。その辺を十分詰めたつもりでございます。
  154. 遠藤和良

    遠藤委員 岩動長官、ただいまの答弁は間違いありませんか。直接お会いになったのですね。いかがですか。
  155. 岩動道行

    岩動国務大臣 局長が答弁申し上げたとおりでございます。
  156. 遠藤和良

    遠藤委員 日本の新聞の報道によりましても、この会見の内容の報道を読んでおりますと、ベッグズ長官は、当面は考えていないとしながらも、将来の軍事とのかかわり合いについてはその可能性を否定しなかった、こういうふうに書いてございました。また、これは事実でございますけれども、アメリカのワインバーガー国防長官が、空軍や海軍にNASAとの連絡将校を任命させまして、将来軍事利用もできるよう予備設計に注文をつける方針である、こういうふうなことが伝えられておりますが、この点確認されましたか。
  157. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。その件については確認しておりません。
  158. 遠藤和良

    遠藤委員 ぜひ確認をしていただきたい問題であると思います。長官いかがですか。
  159. 岩動道行

    岩動国務大臣 十分にアメリカと連絡をとりたいと思います。
  160. 遠藤和良

    遠藤委員 昨年の八月でございますけれども、イギリスの科学誌「ネーチャー」がこういう指摘をしております。この宇宙基地というのは二つございまして、極軌道を飛ぶ無人の補助基地があるわけでございますね。これを、アメリカの国防総省の司令部あるいは作戦センターとしてのほか、貯蔵施設や軍事衛星放出の基地として使用する可能性がある、こういうふうに指摘をしておりますが、この点についての確認はいかがでございますか。
  161. 福島公夫

    福島政府委員 私どもも「ネーチャー」の記事を読みまして、この点についてアメリカ側とも話はいたしました。しかし、現在ある計画によりますと、これはたまたまケープケネディ打ち上げ基地が北緯二十八・五度ということでございまして、そこから打ち上げる宇宙基地につきましては、最も経済的にペイロードを打ち上げるという形で垂直に上げる、ということはそのまま真東に打ち上げることになりますが、したがいましてこの宇宙基地の軌道というのは、北緯二十八・五度から南緯二十八・五度の間を回る基地ということになります。これは、経済性を最も考えた場合にはそういう形になるわけでございます。したがいまして、これは軍事的に言いますと、地球の表面をカバーする率が非常に低いために、余り軍事的には興味のないもの、余りというよりほとんど興味がないというふうな説明をしておりました。  ただ、先生指摘のように、いわゆるフリーフライヤーという形のものだと思いますが、これが将来幾つか回る可能性はある、その中の一つにもしかすれば極軌道的なものも考えられるかもしれないという話は確かにあるけれども、現時点においては、この第一期の宇宙基地計画に対して国防省の方から正式なアプローチも全くないという話をしておりました。しかし、その点につきましてはアメリカ国内の問題になりますので、フリーフライヤーが将来使われるか使われないかということは、なかなかアメリカ側と折衝しても、使ってはいけないよということは日本側から言えない立場にあると思います。  しかし、いずれにせよ、宇宙開発事業団法一条及び国会決議に関係しました日本技術というものがそういうところの技術に使われることは、ある意味では防がなければならぬという意味で担保を考えたところが、先ほど申し上げましたような日本モジュールといいますか、一つの実験モジュールを使って、そこだけに日本技術を集中して参加するという形にすれば担保できるのではないかというふうに考えたわけでございます。
  162. 遠藤和良

    遠藤委員 もう一つお聞きしますけれども、この宇宙基地計画と対になっておると言われております宇宙迎撃兵器システム、BMDと言われておりますけれども、この研究開発費が八五年の来会計年度の防衛予算案に計上されております。このことを考え合わせまして、今回の宇宙基地計画の背後に宇宙での対ソ軍事戦略を強化する思惑がある、こういうふうに報道している新聞もあるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
  163. 福島公夫

    福島政府委員 新聞等でそういうことを書かれたのは読んだことがございますけれども、この点につきまして今回のベッグズ長官一行は、全くそういう話はないというふうに話しておりました。
  164. 遠藤和良

    遠藤委員 今、少し具体的な話を出しましてお聞きしたわけでございますが、アメリカもこの宇宙基地は平和利用というふうに言っておるわけでございますが、この平和利用というアメリカの言葉が、果たして我が国の言う平和利用と全く同じ意味内容を持つものかどうか、これを確認しておかないと大変なことになるのではないかと思うわけでございます。これは将来にわたって大変不安になる問題ではないかと思いますので、この辺の確認をぜひしていただきたいと思うわけでございます。  それからまた、こういった不安を解消するためにも、平和の目的に限るあるいは軍事利用を許さないといった我が国の厳しい姿勢を明示いたしまして、もう一歩さらに突っ込んだ議論をしておく必要があるように思いますけれども、長官、この点はいかがでございますか。
  165. 岩動道行

    岩動国務大臣 先般ベッグズ長官が来日した際に会談を重ねましたが、私どもはあくまでも宇宙についても平和利用、平和ということを目的としたものに限るということを強く表明をいたしておきました。この点については、ベッグズ長官も十分に理解をして帰ったものと思います。  今後具体的にどのような部分でどのような協力ができるのか、これは政府部内においても関係の省庁と十分に打ち合わせをしていかなければなりませんが、具体的な先方の計画とそして日本が参加する分野との話し合いの中においても、十分にそのような平和利用という理念が貫かれるように努力をしてまいりたいと考えております。
  166. 遠藤和良

    遠藤委員 これは確認でございますけれども、参加をいたすことを決定しました後の問題でございますが、当事者の米国とはもちろんでございますが、今参加が予定されておりますカナダ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリアでございますか、この国々との間で我が国の主張を盛り込んだ、平和利用、平和目的に限るということを明示した交換公文を取り交わしておく必要があると思いますが、当然そういうことをされるおつもりでございますか。
  167. 福島公夫

    福島政府委員 国によりまして、先ほど先生おっしゃいましたように平和というものに対する解釈が違います。ということで、日本考え方とヨーロッパの考え方、必ずしも一緒ではございません。ただし、ヨーロッパの宇宙連合、ESAというところは、この中には中立国も含まれております。したがいまして、そういうところの考え方は我々とかなり似ているのではないかという感じはいたしますが、それだからといって、このことに関していわゆる交換公文を交換するというようなことは現在は考えておりません。  と申しますのは、それぞれの技術を持ち寄ってというか、ある部分についてつくって、それをそこへ付加するというような形での参加が考えられておるということでございます。平和に対しての交換公文じゃなくて、アメリカ側と契約することになりますれば、これは外交ルートを通じてやることになりますので、その際は当然日本側の主張をその中に盛り込むということは考えております。
  168. 遠藤和良

    遠藤委員 交換公文の中に平和に限るという文言を明示されますか、もう一度。
  169. 福島公夫

    福島政府委員 仮定の問題ではございますけれども、日本がつくって参加した部分については、そういうことを明記するということでございます。
  170. 遠藤和良

    遠藤委員 それでは、この宇宙基地全体の中で日本の占めている部分については確かに平和の目的に限るけれども、宇宙基地全体は軍事に使われる可能性をはらんでいる、それはいたし方のないことだ、こういうふうに理解されるわけですか。
  171. 福島公夫

    福島政府委員 その辺は、ベッグズ長官が来られたときに、少なくとも日本のモジュールをくっつける宇宙基地については完全に民生用であるということを確認しております。先ほど御説明したような理由によりまして、レーガン大統領も民生用ということをはっきりうたっているということと、もう一つは、この基地自体が極軌道ではないために軍用には非常に価値がないものだということで、この日本モジュールをつけるものについては民生用というふうに理解しております。
  172. 遠藤和良

    遠藤委員 その辺がかなりこちら側の希望的観測、一方的なひとり相撲という感じがするわけでございます。確かに将来にわたって平和目的に限るということがどこまで保障されるか、こういう問題が非常に重大になってくるのではないかと思いますが、時間がございませんので、ちょっと先に進みます。  さて、これは費用の問題でございますけれども、長官にお伺いします。大体、日本が参加することになると二千億円から三千億円の費用分担が要求されているわけでございますね。今、日本宇宙開発予算は五十九年度で調べますと九百五十億円でございますから、大体三年分の予算。それで、長官はこの予算は別枠でと、こういうことを言っておりますけれども、別枠、可能ですか。
  173. 岩動道行

    岩動国務大臣 まず、参加するかしないかを政府としては決めなければなりません。したがって、その参加の姿がそれではどうなるのかということになってまいります。そうして経費はどうなのかということになってくるわけでございますが、まだ政府部内において参加するという正式の意思決定もしているわけではございません。ただ、その方向に向かって検討するということでございます。また、財政当局との話もまだいたしておりません。それは、まだ具体的にどういう部分にどうなるかということの検討が進んでおりませんので、その点についてもまだ政府部内では意思決定ができておりません。しかし、アメリカの方からの期待は、先ほど申されたような数字が伝えられておるわけでございますが、この経費も直ちに来年度から莫大な経費が要るということではないようでございまして、かなりの年月がかかっていくということでございます。  一方、現在の宇宙開発に関する経費はいっぱいいっぱいで、ぎりぎりのところでやっているわけでございます。したがって、参加をするということになった場合には、その経費は何年かにわたって負担をしなければなりませんが、これはできればやはり別枠でやっていくことが日本の従来の宇宙開発計画を支障なく進める上においても大事な点ではないだろうか、私はこのように考えているところでございます。
  174. 遠藤和良

    遠藤委員 これは別枠じゃないと到底できないと思うのですね、だれが考えても。大体二千億から三千億というと、科学万博の費用ぐらいになりますね。それがたとえ別枠になっても、その分を科学技術庁にやはり予算をやっているんだからということで、ほかの科学技術関連予算に対して圧迫がかかるのではないか、私はこの点を心配するわけでございますが、他の科学技術関連予算を圧迫しない、別枠で推進すると、長官、これ断言できますか。
  175. 岩動道行

    岩動国務大臣 そのように努力してまいりたいと思っております。
  176. 遠藤和良

    遠藤委員 時間がございませんので、最後にちょっと観点を変えまして、海洋開発についてお伺いします。  青森県の沖合で熱水鉱床らしきものが発見されたというニュースを聞きました。その後の確認状況はいかがでございましょうか。
  177. 福島公夫

    福島政府委員 お答えいたします。  たまたま、先生御存じと思いますが、昨年の五月の秋田沖で発生しました日本海中部地震に関しまして、私どもの方で九月にその海域に、いわゆる曳航式深海底探査システムというのがございますが、これでテレビカメラをつけまして写したところが、何か黄色い斑点が多数観測された、多少突出していたということで写真を撮りましたら、これはもしかしたら熱水鉱床ではなかろうかということがあったものですから、アメリカの熱水鉱床の権威者と言われます商務省の海洋大気局におりますマラホフ博士にこの写真を見せましたところ、この斑点は熱水噴出現象に伴う物質である可能性が極めて高い、こういう返事をいただきました。したがいまして、私どもとしましては、海洋科学技術センターでやってもらうわけでございますが、この物質が本当にそうであるかどうかということをできるだけ早く調査してみたい、もう一度調査を行ってみたいと今考えております。
  178. 遠藤和良

    遠藤委員 熱水鉱床は、二百海里以内の海底資源でございますので、国際条約の制約なしに、いわゆる純国産資源として開発が可能である、こういうふうに伺っておりますが、総合的な調査を含む今後の取り組みを強く要望したいと思います。  最後にちょっと大臣にお伺いしたいのでございますが、この間、東京と箱根で世界賢人会議が行われました。これは。内容からいいましてライフサイエンスの問題ですから、当然科学技術庁主催でやるべきだと私は思っておりましたが、外務省主催でございましたね。大臣は出席されたのですか。この辺のいきさつを教えてください。
  179. 岩動道行

    岩動国務大臣 生命科学と人間というテーマで先般会議が持たれましたが、これは昨年のサミットで中曽根総理が提案をして、それを受けて開催されたものでございます。しかし、まだライフサイエンスと人間という分野はいろいろ未知な分野がありますし、あるいはまたそれぞれの国々によって、宗教から倫理観から、いろいろ価値観が異なっております。したがって、こういうことを政府が主催をしてやることは果たして適当であろうかどうだろうかというようなこともいろいろ検討されまして、そして日本におきましては、まず政府がやるよりは何か別の機関でやった方がよくないかということで、国際交流基金が主催をしてやることがよくないか、つまりそこがホストになってやるのが最も妥当ではないか、こういうことで、外務省の主催でもございませんし、また私どもの主催でもございません。自由に一流の学者に議論してもらう、こういうことでございました。したがいまして、箱根の会議におきましても私は出席をいたしませんでした。そして、私どものその方の担当の者がオブザーバーで出て議論を伺った、こういうことになっておるわけでございます。
  180. 遠藤和良

    遠藤委員 科学技術庁科学技術を主管する大臣といたしまして、私は、もっと自信をお持ちになって、どんどんこういう国際会議の場にもお出になるし、また国内の内政についてもぐんぐんと引っ張っていっていただきたいということを要望したいわけでございます。先ほどの所信表明のこととも関連するわけでございますが、大臣は自民党の大臣でございませんし、日本国の大臣でございますから、そういう深い見識でひとつお仕事をしていただきたい、私どもも全力で応援をさせていただきたい、このことを最後にお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  181. 大野潔

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十五分散会