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1984-07-27 第101回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十七日(金曜日)     午前十時十一分開議 出席委員   委員長 渡辺  朗君    理事 上草 義輝君 理事 國場 幸昌君    理事 高橋 辰夫君 理事 川崎 寛治君    理事 玉城 栄一君 理事 青山  丘君       大島 理森君    鈴木 宗男君       中川 昭一君    仲村 正治君       野中 広務君    町村 信孝君       村上 茂利君    上原 康助君       新村 源雄君    日笠 勝之君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      中西 一郎君  出席政府委員         総務政務次官  堀内 光雄君         北方対策本部審         議官      本多 秀司君         沖縄開発政務次         官       大城 眞順君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁振興         局長      小林 悦夫君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部補償課長   小林 和夫君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  田中  滋君         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      小澤 健二君         防衛施設庁労務         部労務企画課長 吉岡 孝雄君         科学技術庁振興         局奨励課長   石田 惟久君         外務省北米局安         全保障課長   沼田 貞昭君         文部省高等教育         局技術教育課長 遠山 耕平君         農林水産大臣官         房地方課長   長   晃君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      武政 邦夫君         農林水産省農蚕         園芸局畑作振興         課長      吉田 茂政君         水産庁振興部沿         岸課長     窪田  武君         水産庁海洋漁業         部国際課長   草野 英治君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     黒田 直樹君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       永井 隆男君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       小山 昌夫君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      姫野  浩君         郵政省放送行政         局技術課長   大井田 清君         労働大臣官房参         事官      竹村  毅君         建設大臣官房技         術調査室長   岩井 國臣君         建設省住宅局建         築指導課長   立石  眞君         特別委員会第一         調査室長    内野 林郎君     ――――――――――――― 七月三日  名護市許田大石福原機関銃による被弾事件に  関する陳情書(第  四〇四号)  那覇市の軍用地早期返還に関する陳情書  (第四〇五号)  沖縄県中頭郡読谷村への米特殊部隊等の配備反  対に関する陳情書  (第四〇六号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺朗

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  この際、後藤田総務庁長官及び堀内総務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤田総務庁長官
  3. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 一言あいさつを申し上げたいと思います。  このたび、総務庁発足に伴って総務庁長官を拝命いたしました後藤田正晴でございます。  北方領土問題をめぐる国際情勢は依然として厳しいものがございますが、私は、日本国民の多年の念願であります歯舞、色丹、国後及び択捉、北方四島の一括返還を実現し、隣国ソ連との間に真の友好関係を確立するという政府基本方針に基づきまして、今後より一層国論の結集と国民皆様と一体となった粘り強い北方領土返還運動の展開を図るとともに、北方領土居住者方々に対する援護措置等についても十分配意をしてまいりたいと考えております。  この問題は、国の主権にかかわる重要な問題であります。微力ではございますが、北方対策本部長として誠心誠意職務の遂行に当たり、その解決の促進に努力をしてまいる決意でございます。  委員長を初め委員各位の格別の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手
  4. 渡辺朗

    渡辺委員長 総務庁長官、御用事もおありでしょうから、御退席になって結構でございます。  次に、堀内総務政務次官お願いをいたします。
  5. 堀内光雄

    堀内(光)政府委員 このたびの総務庁発足に伴いまして総務政務次官を拝命いたしました堀内光雄でございます。  北方問題の重要なることを痛感いたしまして、引き続き後藤田長官のもとで誠心誠意努力してまいる所存でございます。  何とぞ委員長を初め委員の諸先生方の御指導、御鞭撻お願い申し上げまして、ごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 渡辺朗

    渡辺委員長 次に、沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  7. 國場幸昌

    國場委員 長官、御苦労さんでございます。長官は、御就任以来今日まで意欲的に、沖縄の振興問題に対しまして、職務柄とはいえども熱情込めたところの特別なる努力をされ、そして沖縄県民のために活動されておるということを、沖縄県民はひとしくそれを高く評価し、感謝申し上げておる次第でございます。  そこで私は、この政府財政厳しいときにおきましての沖縄開発庁設置にいたしましても、復帰以来大いなる努力をされてその実績は高く評価するといえども、御案内のとおり、まだまだ経済基盤にいたしましても、あるいは第一次振興開発計画そのものは七〇%しか達成してないという現実。そこで、この財政厳しい中におきまして、御案内のとおり政府といたしましては、財政の立て直しという主眼におきましての臨調の答申に従いまして、経常費は一〇%削る、五%の事業費は削るというようなことがたびたび報道されておりますが、しかし私は、沖縄現実を踏まえて考えました場合に、本委員会にいたしましても、沖縄特殊事情に派生するところの問題解決のための北方領土と相まっての委員会であります関係においてのその趣旨そのものの目的を果たすためにおいては、全国的な振興予算と同じ右へ倣えというわけにはいかないということは、これは常識だと思うわけでございます。  よって、御案内のとおり、西銘県政は第二次振計を策定いたしまして、国家責任において振興計画を達成させる、こういうことで、閣議におきましてもそれを決定いたしまして、第二次振計を迎えておるわけであります。その趣旨を踏まえまして、担当大臣といたしまして長官は、六十年度予算におきましてはどのような姿勢をもって政府責任を果たさんとするものであるか、その所見を賜りたいのであります。
  8. 中西一郎

    中西国務大臣 今國場先生お話しのとおりに、私も沖縄特殊事情についてはもう十分理解しておるつもりでございます。たびたび訪問もさせていただきまして、一層その感を深くしておるところでございます。  なお、お話しのように財政事情は大変厳しい、言うまでもないことでございますが、といって未解決の問題がたくさんありますし、第一次振計も達成率は十分でない、そういうようなことを踏まえますと、四十七都道府県の中でも特別の配慮を必要とするということについては今までどおりであり、特に財政事情がきついからといって、他府県並み措置をそのまま、はい、そうですがと言っていただくわけにはまいらない、かように考えております。  そういったような意味で、今までもいろいろと御協力いただきまして努力をしてまいりましたが、これからもそういった基本的な原則といいますか、立場を踏まえながら努力をしてまいりたい、かように思っております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 沖縄経済を支えておるのは、公共事業に対する毎年の割り当て予算そのもの沖縄県民生活を支えておるということもよく言われております。失業対策にいたしましても、やはりそのウエートはまことに大なるものがございます。しかしながら、沖縄には目ぼしいような経済基盤一つもございません。そこで、ひたすらに沖縄経済を支えておるのは、毎年毎年の国家からの沖縄振興に対する予算、第二には観光収入、第三には、よしあしは別といたしまして基地収入、その三本柱で沖縄経済は成り立っております。  そこで、私は強くお願いしたいのは、沖縄の産物においての基幹産業というのはサトウキビでありますが、残念ながら十年たって今日、基盤整備がうまくいかないゆえかどうか知りませんが、機械化合理化はまだ至っておりません。そこで、何を申しましても四百年余にわたるサトウキビに対しての基盤整備国家は、国際的に見て四倍というような価格にしてでも、あえて沖縄のためにはというようなことでサトウキビの買い上げもなされておるということは感謝いたしております。  しかし、背に腹はかえられません。よって、基盤整備をするに際して、機械化合理化もできるというようなことは言うまでもございません。殊に土地基盤整備に対しましてひとつお力添えをいただきたいということを希望し、そしてまた、その他にもたくさんありますが、時間が限られておりますので、私はいずれ時間を見まして——十カ年経過をいたしまして第二次の振計がスタートしている今日、総括の時期に来ておるわけでありますから、とりあえず、時間の都合がございますので、農業基盤整備の問題に対しまして御所見を賜りたいのであります。大臣じゃないと思います。担当局長でもいいです。
  10. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますとおり、沖縄におきましては、生産性を高めるために、また亜熱帯農業を育成するためにも、生産基盤整備が極めて必要なことだと考えております。明年度沖縄県における重点項目にも農業基盤整備がまず第一に挙げられておりまして、我々といたしましても、明年度予算に向けて最大の努力を傾ける所存でございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 それから、放棄請求権に対しての漁業補償問題に対しては、おかげをもちましてその分に対してはもう既に解決したわけでありますが、陸上における補償に対しましては、問題解決の主体とすべき金額あるいは支払い方法の問題は解決しておるといえども、政府財政都合これありで、百二十億と頭金を決定いたしまして、七カ年の分割払い、こういうようなことに決められておるということは御案内のとおりであります。  そこで、政府緊縮財政でありましょうが、沖縄は問題にならないだけの、自己財政というのに対しましては緊縮であります。そういう財政の中で、約束の三年目ですか四年目ですかにおいては、十七億五千万が五十九年度予算は十五億しか組んでおりません。十七億五千万に対して十五億しかやってないわけでありますから、沖縄県の予算は二億五千万欠陥を来しております。でありますので、知事もその点に対しましては、政治的にも、開発庁の御理解の上に立って大蔵省にひとつ強く要請いたし、昨年の二億五千万の約束節減分を、六十年度予算におきまして今度の分にぜひ加えていただきますようにと、そうしますと二十億になるわけであります。  昨年が、十七億五千万に対して十五億しかもらっておりません。その面に対しましての見通し。それから、長官におきまして、あるいは担当局長であろうが次官であろうが、指揮したところの概算要求に対して勘案されておるであろうかどうか。もしそれが、大蔵省のいわゆる指示に従って、昨年度の分の積み増しというものに対して、あるいはことしのものに対してもまた査定ということになったら、沖縄県の財政は大きく狂いが来ますので、その点に対しましての見通し、それから現状においての大蔵省との折衝はどうなっておりますか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生質問の対米請求権関係につきましては、御指摘のように七年間で百二十億の特別支出金を支出するということにいたしておりまして、五十六年度から五十九年度に計上いたしました予算まで含めて、四年間で五十二億五千万円を既に計上しているわけでございます。したがいまして、六十年度以降、残り三年間で六十七億五千万円を計上しなければならないわけでございますが、御指摘のように、今年度計上いたしました十五億で来年度以降いたしますと、この目標が達せられないわけでございます。  したがいまして、開発庁といたしましても、六十年度予算におきましては、十五億にさらに上積みいたしました予算を計上いたしたいというぐあいに念願いたしているわけでございますが、御案内のように概算要求基準がございます。私ども、三十一日に政府基準が閣議決定されるというぐあいに承知いたしておりますので、この基準が決まりましたら、その基準の枠内でできるだけの予算計上をいたしたいというぐあいに考えている次第でございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 もっと詰めたいわけではございますが、時間の都合がありますので、次に沖縄電力についてお尋ねいたします。  御案内のとおり、沖縄電力というのは、かつてアメリカ統治の時代において、ガリオア資金でこの資本金は構成されております。ガリオア資金というのは、統治権においての統治義務として、アメリカからの無償提供による民生安定のためのいわゆる無償援助だと我々は解しておったのであります。ところが、復帰のときの記録を見ましたら大いに参考になると思いますが、あの当時の外務大臣愛知揆一先生、その次は福田先生、当時の総理府総務長官山中貞則先生でございました。  そこで、このガリオア資金というのは、言うまでもなく無償提供であるのだということで、沖縄電力公社開発金融公庫、それから沖縄琉球銀行の株の五一%、琉米文化会館、それから県庁舎水道公社、これに対しまして三億二百万ドルという、いわゆるアメリカ沖縄返還に際して、我が国としましてはアメリカに代償をしたわけであります。  以上申し上げました項目によるガリオア資金無償沖縄に贈呈するということは、沖縄県庁にかつて銅板で張りつけてあったものに、琉球住民にこれを贈呈するということをぴしゃっと書いておったのです。  ところが、我が国もこれだけの繁栄をしたし、また、かつてアメリカは、我が国敗戦国といえども、二十八億ドルと記憶しますが、我が国の戦後の荒廃を立て直すために、アメリカの心としましてガリオア・エロア資金を二十八億ドル、我が国の戦時中におけるあらゆる戦争に対する兵器工場、そういうものと、あるいはまた我が国は狭隘なる土地を有しておるし、我が国を復興させるためにはやはり輸出重工業輸出産業をということで、アメリカは二十八億ドルを我が国にも援助したわけであります。そのうち四億八千万ドルは、我が国おかげでこれだけ発展しましたということで、謝礼として返したということを私は記憶しております。  ところが、沖縄は戦後における講和条約条件に従いまして信託統治——戦前委任統治というものがありましたが、信託統治というものの定義は私は話す必要もありませんからやりませんが、そこで、アメリカ統治者としての責任からして、統治してない本土においてでも二十八億ドルやったのです。それで日本繁栄基盤を築いたのです。それで、これだけ繁栄したので、四億八千万ドルは謝礼として、アメリカは苦しいからということでお返ししたということも記憶しております。しかし、沖縄県民に、統治権者としての責任からしてこのガリオア資金は寄贈したわけで、無償提供したわけであります。  ところが、これだけ発展した我が国において、血をもって戦争をもって沖縄アメリカ統治になったのを、それをただで返すということであるから、それに換質して、ガリオア資金は国が払うのだから沖縄県民には一銭も負担はさせない、こういうことで、それは三億二百万ドルのうちの一端として払ったわけなんですよ。三億二百万ドルは安保条約に従ういろいろな設備の買い取りであったのですから、国の提供ということですから、その一端として沖縄ガリオア資金までも全部有償として返してしまったのですね。だから、これは沖縄県民には負担はさせないよ、沖縄にある設備だから買い取りするということに対しては異議はあるかしらないが、まあ沖縄県民に対しては負担させないということであれば、このようなことで、それを沖縄県民に納得せしめるというようなことで外務大臣は強く発言されておる記憶が残っております。これは記録がたくさんありますから。  そこで、沖縄電力の移管について、今資本金百四十七億円でありますが、これはガリオア資金が一〇〇%であります。そこで、我が国国会においてそれだけ問題にしてやったにもかかわらず、これを国有財産として登録して、今そのツケが沖縄に回ってきておるわけなんです。沖縄は御承知のとおり三十三の離島、有人島を持っております。そこに、沖縄県民ひとしく平等という線からしまして、沖縄にはアメリカ統治落とし子がまだ二つあります。石油プール制電力プール制、かようなることに対して、電力のごときは、離島におけるところの年間の赤字が普通は二十八億ですが、今でも依然として二十億、これは油が五ドル安くなったからなんであって、しかし沖縄電気料金というのは、私は資料も持っておりますが、白熱電灯に対してはアメリカ駐留軍都合これありということで、立法院でも随分問題になりましたが、本土よりも安くはあっても高くはない。ところが、動力に対するものは本土とかけ離れた高さを持っておるわけなんです。  でありますので、ガリオア資金においての資本金を、国会での答弁の約束のとおり減資するかあるいはまた沖縄県に無償譲渡するか、そういうことであれば、今いろいろ高い——私は手前のことを言ってまことに恐縮なんですが、一家庭について十万円出るのですね。大体平均して三万円から二万五千円ぐらい出ておるはずなんです。本土から出向された方々も、沖縄電力料金が高いねという声をよく聞くのです。  そういうことでありますので、この百四十七億という資本金をひとつ何とか国有財産から外して、それで今の赤字——この前聞きましたら、五十億か六十億くらい黒字になっておりますというのは、油が五ドル安くなったからそれに対する安値であって、電力料金そのものは依然としてあの油の高いときのままで、一昨年ですか、一年に二回も電力料金を上げたのです。  それにもう一つ皆様方に御理解いただいて参考にしていただきたいと思うことは、沖縄復帰前においての油の契約は、四ドル五十セントか五ドルの価格のときに十カ年でした。それが復帰と同時に、全部パアになったのです。でありますから、アメリカさんは統治をする上においてでも、沖縄の民生に対してはそれくらい配慮をされた、電力というものに対してはよく気を配っておったのです。ところが、復帰後においてはほおかぶりで、その問題には全然触れない。  だから、一方的に離島苦にあえぐ沖縄所得も七〇%しかない、こういう事情も差別なく、本土よりも少しは高いのだが、高くはないのだと言うが、私に理論的に言わせると、本土の七〇%の所得生活の水準であれば、電灯料金も七〇%であれば日常生活においての平等ということになる。しかし、持ち越し負債、あるいはまた政府資本金の百四十七億を帳消しにして民間に開放すれば、株も民間株が集まるはずですが、今のとおりでは、幾ら臨調の厳しい達しであろうとも、政府の考え方であろうとも、皆さん、この株を買う人はおりませんよ。それで、ことしはちょっと黒字になるのじゃないかと言うのですが、これは電力会社全部なんです。それは石油の値下がりによってであって、正常ではないのです。  でありますから、長官民営移管するについては条件整備をしなければならぬ。だから、民営移行するにしても、電力というものは、御案内のとおり事業、工業を起こそうがどうしようが、今後においても沖縄の一番重要なる基本になるわけでありますので、その点を大蔵省とも強く折衝して、我々もまた政治的にも動きますが、沖縄電力民営移行をされるような条件づくりのために努力していただきたい、これをよろしくお願いします。どうぞその決意のほどを。
  14. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄電力通産省の所管でございますが、沖縄経済県民生活基盤としても大変重要なものでございますので、開発庁も重大な関心を持っているわけでございます。復帰後、先生案内のように、沖縄電力設備近代化新設等につきましては、沖縄開発庁沖縄公庫から低利の長期資金総額一千億の資金の貸し付けを行いまして、現在も貸付残高八百億近い資金提供いたす等によりまして電力安定供給に努めてまいってきたわけでございます。  御質問沖縄電力資本金の問題につきましては、現在議論されておりますのは、沖縄電力民営移行の問題と重大にかかわっているかと存じます。先生も御案内のように、沖縄電力は他の一般電力事業者の協力のもとに早期民営移行するということを五十六年に政府で閣議決定しているわけでございます。その後、資源エネルギー庁長官諮問機関でございます沖縄電気事業協議会が其体的な民営移行方針検討されまして、その中間報告として、独立の民営方式沖縄電力だけを独立して民営会社にするという方式と、それから、本土の九電力のいずれかに合併するという合併方式のいわゆる両論併記中間報告を出されまして、結論を出すにはさらに幅広い検討が必要であるという報告を出しておられます。通産省では、この検討結果を踏まえて、民営移行ができるように引き続き具体的な方式検討いたしておりまして、また沖縄県に対しましても、地元としての意向をまとめるよう働きかけていると承知いたしております。これを受けまして、県では、県知事の諮問機関でございます沖縄電気エネルギー対策協議会におきまして、今年度中に地元意向をまとめるという方針で、今鋭意協議を進めておられるというぐあいに承知しております。  先生指摘のように、沖縄電力は五十七年度末で総額百五十億の累積赤字を計上いたしておりましたが、五十八年度は石油価格あるいは為替レート等の好転によりまして約六十億の黒字計上をいたしております。収支の状況がやや従来と変わってまいりまして、そういう新しい状況を踏まえまして、今鋭意地元で今後の方策を検討しておられますので、私どもその結果を待ちたいというぐあいに考えている次第でございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 六十億、私はそれをよく知っております。ところが、これは何も県児負担なくして利益を上、げたわけでもない。また、その一番大きな要因をなすものは、石油が五ドル安くなった、それによってのなにであって、依然として電気料金というのは、沖縄経済から見た場合には、負担過重なんですよ。だから、これも今円が下がってきますと、円がドルに対して一円下がると一カ月五百億ドルといったですか、我が国は国際収支においてそれだけ支出を多とする、余計に払わなければいけない、こういうことを言っております。だから、これは今一時の現象によって起きた問題であるが、基本的にこの電力会社民営移行するについて安定した経営をしていくためには、そういうようなネックの問題を解決しなかったら、これはとても民間で株を買い上げる人もおらないのです。  そこで、ガリオア資金においてしたものだから、沖縄県民無償贈呈したものが、復帰を実現させるために、また我が国繁栄のために、謝礼金として、沖縄の犠牲によってなされたということでは、これは沖縄県民としてはおさまるものではないのです。でありますから、御案内のとおり、二十七カ年間ひたすらに、復帰後においての安保条約、あるいはまたドルの一ドルは血の一滴と言われる外貨の獲得の場として、沖縄県一県で我が国のドル獲得の第二位か三位の地位を示して、我が国の今日の経済基盤をつくり上げることに貢献したのです。  だから、そういうような国家貢献度あるいは沖縄の二十七カ年の苦労に対して報いるというような気持ちでひとつその問題に対しては、今六十億が出たからといって、六十億の裏には沖縄県民負担という苦しみがあるということ、不自然であるということをよく御理解いただきまして、山中先生もこのガリオア資金に対しては、アメリカの下院におきましての国防委員会におきましても、沖縄県昂に無償で与えられたものであって、このガリオア資金のもたらすところの権益は沖縄県民のものである、これはアメリカの財産とはかけ離れておりますということを、はっきり証言しておりますよね、レアード国務長官もはっきりそれを証言しておるのです。だから、そうにもかかわらず、我が国繁栄アメリカおかげであるからといって、それに謝礼するから、沖縄が犠牲になって金を払うから、君たちのものはおれの財産だ、これは通用しません。その点をよくひとつ御理解いただきまして、もっともっといろいろと話したいこともあるのですが、時間がございませんので、次にバス問題に移っていきたいと思います。  沖縄のバスというのは、鉄軌道のない沖縄においては唯一の交通機関でありまして、戦前においては、これもまた国の責任においてということを言いたいのは、沖縄に県鉄はあったのですが、戦争のために全部崩壊したのです。それを何ら国は補償しておりません。だから、そういうことからしましても、御承知のとおり、バス会社は木島の十三社を五社にようやくまとめてきております。ところが、やはりこの方々生活はしなければいけないので、バス企業にかじりついて、役員と言わず、そこの従業員、社員と言わず、現状に至ってどうにも成り立たないものですから、きのう、おとといも四十八時間ストをやったそうです。また三十一日もやるそうです。  そうすると、鉄軌道のないような沖縄においてこんなにストを打たれたんでは県民生活はとんでもない混乱を起こすというような現状において、もう一つ参考までに、よく御承知でしょうが、国鉄は年間において約二兆円の赤字を抱えておるのです。いずれにしましても、国鉄は独立採算制だということかもしれませんが、国鉄を再興するにはどんなにしてでも今までの十六兆の持ち越し負債国家責任においてなさなければいけないはずなんです。そうしますと、年間におけるところの国鉄の赤字が約二兆円であったら、沖縄は一%の人口ですから、二百億を交通機関に援助しても、機会均等、国民の平等、憲法に従うところの趣旨から申しますと、その義務があると思うのです。  でありますから、その点をよく御理解いただきまして、バスに対しての——西銘県知事は去る六月二十五日に仲立ちして、公益事業であるからこんなに混乱させてはいけないということで、県民の要望に従って仲立ちしまして、過当競争においての採算ベースが合わないで、累積赤字が莫大になってきておるというバス企業は、合理化せんとするにしてもにっちもさっちもいかない状況になっているのですよ。  と申しますのは、沖縄においては、私も企業の端くれですからよくわかるのですが、我が国の普通常識としましては、株式会社というのは、自分の持ち株をいざ会社が破産したら放棄したらそれでいいのです。役員であろうとも責任ありません。合資会社とか合名会社ありますよ。ところが、沖縄ではそういうことにはなっていないのです。連帯責任ということで、たとえ会社がつぶれようがどうしようが、自分の持ち財産あるいは自分の一生を縛られてしまうような連帯保証というのが沖縄にはあるのですよ。だからバス会社は、あの人たちは戦後今日までバス事業をして、また従業員もしかりで、そこで生活を営んできておるのです。  たとえ赤字といえども、月給は何とかして債務を重ねてやってきておるといえども、これが統合するにしましても、私がお願いしたいのは、整備をして受け入れ態勢をつくってやらなければできないのです。できないというのは、今さっきも申し上げましたとおり、役員はそこをやめたら直ちに生活ができないのです。従業員はやめるにしても、統合整理ということになると首切りがきますから退職資金もない、後の仕事は、沖縄は今でも失業は本土の二倍半ですから、行くところもない。こういうような状況において、ただこれは企業だからと。  しかし、企業にしても、公益事業を許認可するにおいては、これは琉球政府がやったことなんだからと言うかもしれませんが、復帰前からあるのですから。ところが、我々はそれを勘案して、琉球政府復帰前において許認可したものについては、これ我が日本政府の許認可したものとみなすというみなし規定がありますよ。こっちが立法したのですから、よくわかるわけです。でありますから、あれは国が許認可をしたものとみなす。それに対して、私は運輸省の係員ともよく話しておるのですが、今の法律にはなじまないということを彼らは言うのです。  しかし私は、行政官としては行政執行としての政府かもしれないが、立法の提案権というのはありますよ。皆さん提案権があるのですよ。提案権があるのであれば、今の法制度の中になじまなければ、立法の必要があれば、特別な特例をもって立法する。政令でおさまることならばそれでやっていく。これでひとつ何とか工夫しまして、あれが合併してでもスムーズにいくようなことで御配慮していただきたい。これを強く要望するわけです。これは、運輸省にしましても開発庁にしましても、私の今言うような質問に対しましての答弁は、なかなか難しい、今の法制度にはなじまないというのだから。  沖縄には鉄軌道もないというのも、我が国の現状から見ました場合に、沖縄県民には何とかやってやらなければいけないじゃないかということでひとつあらゆる英知を出していただいて、何とか殻を突き破って救っていただきたい、これをお願いするわけでありますが、それに対する所見長官と今手を挙げております運輸省の方のお二方の、これで沖縄がやっていけるという期待と希望の持てる答弁をひとつよろしくお願いいたします。
  16. 永井隆男

    ○永井説明員 沖縄県におきます県民の足を守るためには、御指摘のようにバス事業の健全化を確保する必要があると思われます。このため、バス会社の合併等により経営の効率化、合理化等を積極的に促進することが肝要であることは、ただいまの御指摘のあったとおりでございます。  運輸省といたしましても、直接の当事者であるバス事業者あるいは従業員の方々が最大限の努力を払われることを前提に、県なりあるいは沖縄開発庁関係機関とも密接な連携を保ちつつ、合併等から派生します諸問題の解決につきまして可能な限りの支援、御協力をしていきたいというふうに考えております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 やはりこれだけ混乱しておりますので、業者の責任ある社長さんにもお会いしましたのですが、条件がそろえばあえて合併に反対でもない、私は進んでお願いしますということであるが、もう自分の力ではどうにもできないというような格好になっておるのですよね。だからその点に対しましては、今さっきも申し上げましたとおり、何らかの方法でひとつ救っていただきたい。  私も戦後におきます事業者の端くれですから、私のやった実績をお話ししますと、合併するにしても、債務債権をそのままにして、役員とか従業員に対しては退職資金も保証して、沖縄電力、あれは沖縄配電と言いましたが、砂糖会社あるいは映画会社とか吸収合併しまして、電力会社のときはこっちが八五%の給付をしまして、民間に全部ばらまいてやったのです。  そうすると、今の乗車率から見ますと、何か二六%ぐらいしかないというのに空車を走らせてやっておるのですから、むだですよ。それにしても、乗車賃からしましても、その数字から見ますと、沖縄はえらい安いのですね。三カ年も据え置きになっている、それは合併が条件だということで。  あの右側、左側通行のときにも、私は政務次官でしたから、合併を条件にして国は大きな援助をやったのですが、今までの私の説のように内容がとても複雑であり、それがどうにもできないという状況財政の中ではどうにもできないというようなことで、とうとう今まで、合併も合理化も、はい私どももそれを希望しておりますとは言いながらも、できないのです。実質的にはもうどうにもできないのです、あのバス会社というのは。  それはどないしても力をかして、合併するならばこれこれに対しては長期低利融資を交付するとか、それから役員に対しての退職資金とかまた働く組合員に対しての退職資金とか、そういうものも長期低利資金で貸し付けをしてやるとか、そういうようなことを何か考えてやらなければこれはできないと思うのです。だからその点を御配慮いただきまして、向こうは、合併するにしましてもこういうものが先立ちます、その先立つ条件を整えていただければ我々は喜んで合併いたします、こういうことを言っておりますから、その点はひとつよく御参考にされまして、よき結果をもたらすようなお力添えをしていただきたいということを希望いたします。よろしくお願いします。  まだたくさんあるのですが、時間が五十分とかで、もう何分残っているか。——あと七分、これじゃとてもとても。  それから、フリーゾーンの問題ですが、このフリーゾーンの問題は、御案内のとおりアメリカ統治のときからあったのです。それから、復帰してもそのまま継続するというような法律は施行しておるけれども、それを延長するときにも私は強く言ったのです。単純延長ではだめです。復帰して十年になって今日何ら生きていない。そこには税制面においてでもあるいは融資面においてでも、フリーゾーンとして活動のできるような特段の条件整備、これが第一の条件なんです。  このフリーゾーンに対して単純延長で、これも延長されております。ところが単純延長では、十カ年たって何にもやっていない、活動もしなかったものをそのまま延ばせといっても、また十カ年延ばしたからといって、それが絶対生きるものじゃない。そこにはフリーゾーンとしての沖縄の立ちおくれ、格差是正と沖縄経済振興のためであれば、そのために沖縄開発庁が設置されて、専門的にミニ政府として沖縄には特段にということの沖縄開発庁の設置の趣旨、目的からしましても、これは当然政府責任においてやっていただきたい、これを希望するわけでありますが、通産省あるいはまた開発庁、何かそれに対する考え方、所見を賜りたいのであります。
  18. 関通彰

    ○関(通)政府委員 フリーゾーンにつきましては、先生指摘のとおり、復帰に際しまして沖縄の企業の立地を促進するというねらいから、関税法上の保税制度と、それからさらに税制上の各種の優遇措置を上乗せいたしまして制度化されたわけでございますが、現在まで地域の指定が行われていないのは御指摘のとおりでございます。  なぜ復帰後十二年たってフリーゾーンが指定できないかということは、一つには、復帰前にございましたようないわゆる加工輸出型のフリーゾーンでございますと、韓国、台湾、フィリピン等のフリーゾーンと比較いたしまして、労働コスト面での競争力等に非常に問題があるというような問題が本質的に一つあったと言えると思います。  しかし、せっかく制度化されているものでございますので、沖縄の振興のために何とかこれを活用したいということで、県におきましても、五十六年に新たな見地から自由貿易地域の計画を策定いたしております。また開発庁におきましても、関係省庁との連絡会議を設置する等いたしまして新たな見地からのフリーゾーン地域の活用を図っているわけでございますが、最大の問題は、具体的にどういう企業が進出してどういう事業を行うことができるかという点でございます。そのサイドから推進いたしますために、県では地元の商工会議所等各種の経済団体と協議いたしまして、沖縄県フリーゾーン推進協議会というのを五十七年に新たに設置いたしております。現在、これらの経済団体を通じまして、具体的に進出企業の詰め、可能性等の議論を行っているわけでございます。私ども、せっかくの制度でございますので、できるだけ活用されますよう開発庁としても最大の努力を続けてまいりたいと思っております。
  19. 國場幸昌

    國場委員 質疑応答でいろいろと意見も言いたいわけですが、時間がございませんので、とりあえず一分間ぐらいで答弁をよろしくお願いしたいのですが、離島空港の整備に対しましての伊平屋、伊是名、これは十年前から物すごい熱意を持っての要請なんですが、いまだに実現することができません。それは、伊江島に軍飛行場がありまして、射的場がありまして、旋回圏がどうだこうだと言って左右したところの今までの証言によってやったのですが、今の地点はそこを外れているようです。これをぜひ第五次空港整備の中に入れていただきたいということが一つの要望です。  それから、多良間空港に対しましても、何か発着はようやくできるといえども、もっと拡大整備をしていただきたい、こういうことでございますので、六十年度予算にはこの問題がどう反映されておるか、その点もお聞かせください。
  20. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 ただいま伊平屋、伊是名の空港の新設、また多良間の拡張のお話があったわけでございますが、沖縄開発庁といたしましてはもちろん、離島に対する航空交通への依存度が非常に高い、また離島の振興のために必要不可欠なものである、こういう前提から従来十一の離島空港を設置しておるところでございます。現在、第四次空港整備計画が五十六年から六十年度まであるわけでございますが、新たに第五次空港整備計画が六十一年から六十五年度まで制定されることになっておるわけでございまして、これらの整備につきまして、今後地元また沖縄県の動向を踏まえながら運輸省とよく調整をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  21. 國場幸昌

    國場委員 五次の見通しは。
  22. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいます伊平屋、伊是名の新設、それから多良間の拡張、さらに久米島、また南大東といろいろございまして、それらを地元、県と調整しながらやっていきたいと考えております。
  23. 國場幸昌

    國場委員 わかりました。  最後に、中西長官が記者会見、亜熱帯農業の奨励、振興策に対しての提言、これはとても参考になる提言をされておりますが、このバイオマスランドという舌をかみ切るような、私にはとても言いにくい言葉なんですが、その点に対しての構想、とても期待しておりますので、ひとつ意見を聞かせてください。
  24. 中西一郎

    中西国務大臣 全くハイテクノロジーの時代に入りまして、他方ではエレクトロニクスということが言われています。エレクトロニクス関係というのは、大変明るい展望を持ってそれぞれベンチャービジネスなどが動いていますが、言ってみれば、情報ということを含めて物的には最終製品ではないと私は思うのです。ところが、一次産業の方は、バイオテクノロジーあるいはバイオマスということを通じていきますと、物的に生産力を高めることになっていく。そういう意味で、これはハイテクの中でも特殊な地位を占めておる分野ではないか。  そこで、先生御承知のように、立地的に考えまして、気候条件その他考えると、沖縄がその点では最適地ではないか。熱帯林の荒廃、砂漠化、焼き畑ということで熱帯植物が、種子が随分失われつつある、そんな時期でございますので、アメリカもやっています、ドイツもやっています、イギリスもやっていますが、種子保存ということも大切でございますし、そういう意味で、バイオマスランドということで沖縄に、県民こぞっての未来を開くための大きな夢でもありますが、しかしこれは現実に実現し得る夢ではないかというふうにも考えますので、いろいろ広範な角度から、先生方の御協力もいただきながら進めてまいりたい。当面この秋に、できれば学者の方何人かに集まってもらって、バイオマスのパネルディスカッションのようなことを、一つのイベントとして沖縄でやってもらったらどうかなということを、今事務的にも検討してもらっておるところでございます。
  25. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  26. 渡辺朗

    渡辺委員長 仲村正治君。
  27. 仲村正治

    ○仲村委員 時間が限られておりますので、直ちに質問に入らせていただきます。  ことしで第三年次に入った二次振計は、今のような予算の伸び率、また事業推進のテンポで果たして目標達成が可能かという点についてお尋ねをしたいのであります。  二次振計は、復帰十年の実績と成果を総括、点検して策定されたものであり、その意義と課題は、第一次に引き続き本土との格差是正と経済の自立的発展の基礎条件整備でありますが、第一次十カ年計画では目標達成が大きく狂い、大幅なやり残し、積み残しがあったので、二次振計ではこれらを取捨選択して実効性の高い計画にして、目標年度の昭和六十六年までにはすべての分野で国民的標準の確保を図ることを至上の命題とし、しかもそれは政府責任においてなされなければならないというのが振計の意義であり、目的であり、課題であります。  私は、二次振計の目標達成のためには各年度の事業費の確保が緊要かつ不可欠であると考えますが、冒頭に申し上げましたように、今までの三年間の予算の伸び率、また事業の進捗のテンポからいたしまして、その目標達成が懸念されるところであります。したがいまして、昭和六十年度の国庫支出金は少なくとも現年度分より数%の上積みを図るべきだと思うが、中西大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
  28. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しのように第二次振計に寄せる沖縄県民方々の御期待が大変大きいことも、よく理解いたします。また、私どもといたしましても、緊縮財政のもとではありますけれども、たくさんの問題を抱えておりますし、そういった意味で力を抜くわけにはまいらない。四十六都道府県、他の地域についてのことは別といたしましても、沖縄については格別の配慮をどうしてもやらなければならない、かように考えております。  そういった意味で、事務当局を督励いたしまして、ちょうど概算要求の時期にも当たりますし、十二月までにはまた先生方と一緒になりまして最大限の努力を払ってまいりたい、かように思っております。
  29. 仲村正治

    ○仲村委員 伝え聞くところによりますと、沖縄関係であろうと聖域はないというようなことを聞かされて、非常に心配をいたしているわけでございますが、政府財政事情が厳しく、また緊縮財政下にあることは百も承知をいたしております。また、今日まで政府沖縄県に対して特別な配慮を払ってきたことも感謝いたしております。しかし、二十七年間の米国支配の政治的、行政的空白の埋め合わせ、いわゆる本土との格差の是正は、我が国の戦後処理的な見地から最優先されなければならない、こういうふうに思うのであります。もし財政事情を理由に計画に見合う予算の確保ができなければ、二次振計はその策定の意義を失い、根底から崩壊し、政府責任が問われると思うからであります。  先週から今週にかけて、道路、港湾、漁港、空港の整備土地区画整理事業、農業基盤整備事業費等々の増額要請をそれぞれの関係団体から受けております。これらは現年度よりどうしても上積みをしてほしいということでございます。  今ごろ、政府財政が厳しいときにこんなむちゃなと言うかもしれませんが、沖縄復帰した四十七年には、政府の道路整備計画は既に第六次の後半で、沖縄の場合、実際には第七次からしか組み込まれておりません。     〔委員長退席、國場委員長代理着席〕 空港は第二次から、そしてまた漁港は第五次からスタートするということで、例えば十キロマラソンを走るのに、本土が五キロも走ったところで沖縄がスタートを切ったというようなものであると思います。したがって、既に五キロも走った本土に追いつくためには、昭和六十年度以降も国庫支出金は、あるいはまた各年度の予算配分については特別な配慮を払うことが当然だと思うのであります。  大臣も二回にわたり現地の御視察をなされ、じかに県民の声をお聞きになられたと思います。決してむちゃでも甘えでもありません。県民が国民的標準を確保するための基礎条件整備のためのまじめな叫びであると私は考えております。いま一度、大臣の第二次振計達成に対する御決意、また昭和六十年度予算確保に対する御所見を承りたいと思います。
  30. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しのとおり、先生も大変御熱意を持って沖縄第二次振計の遂行に取り組んでいらっしゃいます。私どもも劣らない気持ちでこれからも対処してまいる所存でございます。財政事情はいろいろ言われておりますが、しかし、他の府県に比べて考えますと、やはりこれは特別の措置がどうしても必要だという信念のもとに仕事をしてまいりたい、かように思います。
  31. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひひとつよろしくお願いいたします。  次に、二次振計との関連で農漁業基盤整備についてお尋ねをしたいと思います。  沖縄県の農業は、我が国唯一の亜熱帯圏農業としての特異性があって、国民の食糧生産上、極めて重要な役割と可能性を持っています。しかし、現状は必ずしも条件整備がなされているとは考えられません。台風常襲地帯であり、農耕地の約半分は酸性土壌で地方が弱い、さらに保水力が低く干ばつに弱い土質である、おまけに本土の消費地との距離がある等々不利性の多い面を抱えているのであります。  まず、真っ先にやらなければならないことは圃場整備であります。二次振計でまとめた要整備面積は四万四千ヘクタールだが、しかし、全国が五十七年度で要整備面積五百四十一万ヘクタールに対し百七十七万ヘクタールの三三%を達成しているのに対して、沖縄県は四万四千ヘクタールに対し七千二百四十三ヘクタールでわずかに一六・五%、本土の五〇%で、その格差は著しいものがあります。何としても土地改良事業費の総枠を拡大しなければ、この格差の是正はできません。また、農業の生産体制を強化することもできません。そういう意味で、私は特に昭和六十年度の予算に向けての予算獲得に対する大臣の御所見を承りたいと思います。
  32. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 お答えいたします。  ただいま仲村先生おっしゃいますように、農業基盤は極めて重要なことでございまして、復帰以来、採択基準であるとかまた補助率、こういうものに優遇措置を講じまして、その拡大を図ってきたところでございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、本土に比べればまだ立ちおくれているのも事実でございます。  若干具体的な数字で申し上げますと、五十九年度の予算におきましては、全国の農業基盤整備、これの対前年比が九九・一%、こういう厳しい状況の中で、沖縄の場合には総額二百二十八億円余と、対前年比一〇二・七%、こういう予算の確保を図ったところでございまして、六十年度予算についても最大限の努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  33. 仲村正治

    ○仲村委員 五十八年度予算で農業振興費が二百二十二億円に対して五十九年度は二百二十八億円、財政の厳しい中でいろいろと配慮をしていただいたこともよくわかるのでありますけれども、私は今申し上げましたように、圃場整備率が本土の約半分というような状況の中では、もう少し上乗せをしていかないと、その格差はますます広がるばかりじゃないかという心配をいたしまして、そのことを私は特に申し上げているわけでございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思っております。  農業基盤整備の中でも、かんがい排水施設整備は大幅におくれております。これは土地改良の面整備と並行して進めるべきであります。年間二千ミリ以上の降雨がありながら、島の土質、形状からさっと海に流れてしまい、毎年夏は干ばつとの闘いを繰り返しているのが沖縄の現状であります。特に宮古、南北大東島等離島地域の保水力の弱いところのかんがい施設整備を早急に実施しなければならない、こういうふうに思うのであります。  宮古の地下ダム開発のための全体実施設計費として本年度七千万円計上していただいたわけであります。これは引き続き本格的な地下ダム開発事業を六十年度以降も継続し、早急に宮古全体の畑地かんがいの実現を図るべきであると思います。宮古の耕地の要整備面積は一万一千八十ヘクタールで、県全体の二四・四%で、その比重は実に大きいものがあります。また、農業熱心な青年がこれほど多いところはほかに例のないほどであります。私は、これら新しい時代の農業を目指して張り切っている青年たちの夢を実現するために、政府の思い切った施策の展開が必要だと思うのであります。そのために石垣市の宮良川国営土地改良事業同様の事業を着手すべきだと考えるが、どうでしょうか。そして、その中に地下ダム利用のかんがい事業を並行して進めるべきだと考えるのであります。  次に、南北大東島のかんがい対策についてでありますが、先週私は南大東島に行ってきたところであります。干ばつでサトウキビは枯死寸前でございました。それでも、池の水を利用して点滴かんがいをしている場所は何とかキビが生き生きとしている状態でございましたが、その他の水は、くみ過ぎると海水が入るとか入らないとかで、進んでこれを利用しようとしないのであります。くみ過ぎても海水が入るのかどうか、その調査をして、やはり池のかんがい池としての利用を考えるべきじゃないかと思うのでありますが、その調査をするお考えはないかどうか。  さらにまた、先般、島尻地域振興開発推進協議会からも同趣旨の要請があったと思いますけれども、この地域のかんがい対策についてどのようなお考えを持っておられるのか、お答えをいただきたいのであります。
  34. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 まず、宮古のかんがい施設の整備の問題でございますが、御承知のように宮古は非常に水が少ないということでございまして、地下ダムに頼る以外なかなか方法がない、こういうことでございまして、五十九年度から全体の実施設計を開始いたしておりまして、この計画は全体で八千二百四十ヘクタール、非常に規模の大きいものでございますけれども、早期事業着手に移すべく、現在作業を進めておるところでございます。  それから、南北大東についてでございますけれども、先生も御承知のように、南北大東は池やドリーネ、こういうものの水を利用いたしましてごく一部でかんがいを行っておる、こういう状況でございますが、非常に水の確保が困難なところでございます。現在、開発庁といたしましては、南大東島におきまして、五十八年度より全島を対象といたしまして畑地かんがいのための調査を行っておるところでございます。  それから、本島南部についてでございますけれども、糸満市と具志頭村の一部をかんがいの対象といたしまして、地下ダムを水源といたします国営かんがい排水事業沖縄本島南部地区調査、こういうものを昭和五十七年から実施をいたしておるところでございます。また、その他の地域につきましても、河川開発調査、こういうもので水源開発のための調査を実施しておりまして、技術的、経済的な事業実施の可能性が得られれば実施に移してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  35. 仲村正治

    ○仲村委員 次に、土壌改良事業についてであります。  沖縄本島石川以北の国頭地域の土質は、出三・四以下の酸性土壌が多いのであります。これは南部のクチャを十アール当たり三十トン混入することによって、半永久的に出七の中性土壌にすることができると言われております。まず農業は土づくりからと言っておりますが、全県的に土地改良事業と同時にクチャ客土事業を実施し、農業生産向上対策を図るべきだと思うが、これについてのお考えをお聞きいたしたいと思います。
  36. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 沖縄県におきましては、いわゆる国頭マージ、また島尻マージ、ジャーガルといろいろあるわけでございまして、国頭マージというのが一番酸性が強い、こういうことでクチャ等の使用をどう考えるか、こういうことでございます。  先生指摘のクチャの投入によります土壌改良というものは、現在御指摘のように島尻地区や宮古地区等一部の地域の島尻マージ地帯で行っておるわけでございますが、客土材として使用されておるわけでございます。ただ、酸性土壌の改良資材といたしましては、現在主として肥料取締法に登録され、また品質も保証されている炭酸カルシウム、こういうものが使用されておるわけでございます。クチャの土壌改良資材としての有効性、また安定性及び経済性、こういうものについて有意性が認められますならば、関係機関と十分連絡をとりまして対処してまいりたいと考えております。
  37. 仲村正治

    ○仲村委員 次に、漁業振興についてお尋ねしたいと思います。  確かに、現年度の漁港関係予算の配分比率は非常に高いわけであります。全般的に漁港整備は順調に進んでおりますが、六十年度に向けてもぜひ必要な予算の確保を図っていただきたいと思うのでございます。  ただ、沖縄の漁業の現状は、その生産実績はなかなか上がらず、大衆魚の大半を県外から入れている状態で、県内需要にこたえ切れない状態でございます。それで、漁港整備はともかく、漁村の環境整備、後継者育成、漁船、漁具装備とあわせて漁場づくり、稚魚の種苗栽培等々の総合的な対策を立てなければ、漁業の振興は図れないと思うのであります。特に遠洋漁業の生産低下が著しいのでございます。それは魚価あるいは市場の流通にも問題があると思うのでありますが、漁業のこのような状態を打解し、今後どのように漁業の振興を図っていくおつもりであるのか。これは本当に全国的な立場からも言えるかと思いますけれども、その漁業の現状についてどのように考えておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  38. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 沖縄の漁港整備状況でございますけれども、先生から先ほど御指摘がありましたように、復帰以来ということで第五次、第六次及び現在の第七次の漁港整備長期計画に基づきまして、その生産基盤である漁港施設の整備を積極的に進めておるところでございます。  現在の状況を申し上げますと、第五次が四十八年から五十一年度まで、また第六次が五十二年から五十六年度まででございますけれども、これの事業達成率、また現行の第七次計画は五十七年度から六十二年度まででございますけれども、これの事業の進捗率のいずれにおきましても全国平均を上回っている状況でございます。しかしながら、沖縄における水産業の重要性にかんがみまして、今後とも漁港の整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  39. 仲村正治

    ○仲村委員 次に、都市計画事業、特に土地区画整理事業の推進についてお尋ねをしたいと思います。  御承知のとおり、現在沖縄で実施している土地区画整理事業の大半が、返還軍用地の跡地利用対策事業であります。軍用地は、返還されてから事業着手まで早くて五年、長いのは十年近くも放置された後に事業着手というのが普通であります。これは防衛施設庁の返還のあり方にも問題があると思います。右から左、米軍が要らなくなれば、土地の賃貸あっせんみたいに要らないから返すという式では、余りにも無責任だと思います。関係市町村や地主との事前の調整をきちっとやれば、返還後長期間放置されるということはないと考えております。そして、区画整理事業着手後も、予算が細切れ配分のため計画期間内での完了ができなくて、軍用地返還後地主に完全に返ってくるまでには十四、五年もかかるというような始末であります。これでは戦後一方的に米軍に土地を取り上げられた人たちは余りにも気の毒だと思います。したがいまして、これらの返還軍用地の跡地利用を円滑に進める上からも土地区画整理事業費の増額を図るべきだと思うのでありますが、これに対する開発庁の御見解をお尋ねしたいと思います。
  40. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄県の最近の調査によりますと、昭和三十六年からことしの三月までに返還されました九千七百六十四ヘクタールのうち、森林等々として利用されているものも含めまして、約八一%が何らかの形で利用されております。残りのうち約六%は現在公共事業計画がございまして計画が進められているところでございますが、二二%は現在も遊休地になっているというのが現状でございます。  沖縄開発庁におきましては、これまで返還跡地の利用促進のため、特に返還跡地につきましては土地区画整理事業等を積極的に導入いたしてきたところでございますけれども、今後とも地元の利用計画が固められましたものにつきましては、これらの事業を積極的に導入してまいりたいというぐあいに考えております。
  41. 仲村正治

    ○仲村委員 道路交通網の整備についてお尋ねをしたいと思います。  復帰後、国、県道、市町村道の整備は急速に進んできております。それぞれ舗装率、改良率はほぼ全国水準に達しております。しかし、面積比率、人口比率、車両台数比率での普及率は、まだ全国の水準の半分であります。陸上交通のすべてを自動車に依存している関係で、那覇市を中心とした都市周辺の交通渋滞は、産業振興に大きなブレーキとなっているのであります。したがって、これからも道路の拡幅改良と、あわせて新規の開発を図っていかなければならないと考えるのであります。  先般、那覇市の交通渋滞の被害をもろに受けている南部地域市町村が、もう我慢ならぬということで、地域ぐるみで立ち上がり、那覇市と南都市町村を結ぶ各道路網の整備促進を中西大臣関係省庁に訴えたところだと考えております。大臣はこれに対してどのように取り組んでいかれるおつもりか、御所見を承りたいと思います。
  42. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 私も最近まで那覇に住んでおりまして、南部地域の交通渋滞はよく承知しております。また、最近南都市町村で開発推進協議会を設けまして、これの積極的な推進を図るよういろいろ要望を受けていることも事実でございます。  若干具体的に申し上げますと、まず第一に、ことしの三月に国道三百三十一号、三百三十二号の山下垣花立体交差が完成いたしまして、これに引き続きまして国道五十八号明治橋の拡幅工事を現在実施中でございます。さらに、国道三百二十九号の漫湖バイパス、それから国道三百三十一号の小禄バイパス、これらの主要事業についても促進を図っているところでございます。さらに、それだけではだめでございまして、これらのプロジェクトに引き続きまして、大規模バイパスであります国道三百二十九号の那覇東バイパスについても、早期事業化を図ることで現在準備を進めておるところでございます。こういうことを積極的に進めまして、今後南部の交通渋滞を解消していきたいと考えております。
  43. 仲村正治

    ○仲村委員 那覇空港の問題についてお尋ねをしたいのでありますが、那覇空港は三全総並びに振計でも我が国の南の玄関口として、さらに国際交流の拠点空港としての位置づけがなされ、将来の航空機利用の需要度の増大を予測して海上展開構想が打ち出されているのでございます。これは昭和七十年代に向けて今から準備に着手すべきだと思うが、政府の御見解を伺いたい。  同時に、六十二年国体に向けて、当面の対応としてターミナルの整備が必要であります。現在のターミナルは、海洋博のときに暫定ターミナルとしてつくられた。やはり本格ターミナルを滑走路中央地区に建設すべきだと私はたびたび主張してきたのでありますが、空港特会が厳しく、予算の確保が困難だということでございます。私が考えまするに、那覇空港は年間少なくとも五、六十億の黒字を出しているんじゃないかと思うのであります。したがいまして、空港特会の厳しいことは理由にならぬと私は思っております。やはり国内線、国際線、県内線ターミナルの一元化を早急に図るべきだと思うのであります。この点についてどのようにお考えを持っておられるのか。  また、先ほどもお話がありましたが、各離島の空港拡張、新設の要請が頻繁に出ております。特に南大東の場合には、現空港の拡張に当たって非常に問題がある、何としても場所を変えなければならない、こういうふうな意見が出ているようでございますが、それについてどのように取り組んでいかれるのか。  また、空港整備と関連して、宮古では農漁業畜産物の輸送や旅客の増加に対応すべく、本土直行便の実現を訴え続けております。これは同地域の振興発展のためにぜひとも実現をしていかなければならない問題だと思いますが、開発庁、これに対してどのように取り組んでおられるのか、お答えを承りたいと思います。
  44. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 まず、那覇空港の整備拡充の問題でございますけれども、現在、御承知のように滑走路を二千七百から三千に延長する、こういうことと同時に、昭和六十二年度の国体に向けましてターミナル地域の整備を行う、こういうことでターミナルを整備中でございます。  それから次に、南大東空港でございますけれども、現在八百メートルの滑走路を有しているわけでございまして、小型機が就航しておるわけでございます。これをYS11、こういうものに整備してほしいという要望があることは承知いたしております。新しい空港をつくるかどうか、こういうことにつきましては、現在の南大東の利用客の状況、また気象状況というものについて検討を要すべき問題もありますので、昭和五十九年度に行っております沖縄県の調査結果、また沖縄県の意向を踏まえまして、南大東空港の整備について今後なお検討してまいりたいと考えております。  それから、宮古空港につきましても、宮古島の方々から本土に直行便を出してほしい、こういう強い要望があることも承知いたしております。これにはなかなか難しい問題がいろいろあるようでございますけれども、運輸省と今後よく調整をしてまいりたいと考えております。
  45. 仲村正治

    ○仲村委員 最後に、現在沖縄県において県立芸術大学設置が計画されて、六十一年開学に向けて諸準備が進められております。これはどうしても急ピッチで条件整備を進めていかなければ、六十一年四月開校は困難でございます。しかし、建設予定地の首里城跡の琉球大学跡地の国有地譲渡の問題が、国との間にいまだに解決されておりません。建設予定地は、四万五千三百二十四平米のうち県有地が一万九千五百九十一平米で、残り二万五千七百三十三平米は国有地となっているのであります。これを無償で譲渡してほしいということでございます。     〔國場委員長代理退席、委員長着席〕  そもそもその土地が国有地となった経緯は、復帰前の琉球政府時代に琉大用地として県民の税金で取得された土地復帰の際縦割りで各省庁に帰属したような土地で、もとはといえば県民の税金で買ったようなものである。このいきさつからいたしましても、何としてもこれは無償で譲渡を図っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  沖縄県が復帰前、本土から切り離されて、変則的ではあったにせよ独立国家としての形態で国家組織機構をつくることを余儀なくされ、司法、立法、行政はもちろん、本来国の行政であるべき郵政業務、電電公社、各地方郵便局、税務署、裁判所、登記所、大学等々を県民の税金で営々と築き上げたわけだが、これらの土地、建物は、沖縄復帰に伴う特別措置に関する法律の第三十一条によって、国家の組織に帰属するものはそつくり国に承継されたのであります。承継された土地が三百十九万六千百五十一平米、建物が二十万八千九百四十六平米であります。結局、この琉大跡地の土地もそのような性格の土地でございますので、そのいきさつもごしんしゃくいただき、早急に無償譲渡ができるようにしていただきたいと思うのでありますが、これについての御見解を承りたいと思います。
  46. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 お答えいたします。  琉球大学移転統合に伴う跡地につきましては、地元沖縄県から、先生指摘の県立芸術大学設置のために跡地をもらいたいということと、首里城正殿等戦災文化財の復元と史跡の保存整備を行いたいということ、それから歴史的総合公園の整備のための用地を取得したいという希望を有しているというふうに聞いておりますし、さらに、跡地を中心に首里城公園基本計画を作成したということも聞いております。これらのことも十分踏まえまして、地元とこれから協議を進めてまいりたいというふうに考えております。  ただ、先生指摘の県立芸術大学用地に係る国有地について無償で譲渡していただきたいという点でございますが、この点につきましては、先生がただいま御指摘事情は私どもも十分承知しているところでございますが、ただ一般的に申し上げますと、国立大学所管の国有地の処分というのは、特別会計制度の建前上一自己財源、収入確保に努めるという観点から、現在時価売買というものを原則としてやってきております。  琉球大学の移転統合につきましては、先生も御承知かと思いますが、建物だけで大体五百億程度の多額の経費を特別会計からも注いでおりますし、それから上原地区の用地につきましては、現在県から借り上げておるものでございます。いずれこれは県から買い上げなければいけないというふうに私ども思っておりまして、これにも相当な経費が必要になるだろうと思っております。この辺のことも県にも十分御理解をいただきながら、さらに先生指摘のようなそういう経緯をも踏まえながら、地元協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 仲村正治

    ○仲村委員 終わります。
  48. 渡辺朗

    渡辺委員長 上原康助君。
  49. 上原康助

    ○上原委員 まず最初に、二次振計と六十年度予算案の関係についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。  きょうは、この百一国会での本委員会においての沖縄問題については、あるいは最後になるかもしれないと思いますので、これまで本委員会、内閣委員会あるいは予算委員会等で私が取り上げてまいりましたこと等について、開発庁初め各関係省庁に改めて御見解をただしておきたいと思います。  中西長官初め開発庁の皆さんが二次振計の推進、予算確保の面で関係省庁を含めて非常に御努力をいただいておることにまず敬意を表し、多岐にわたりますので、私もできるだけ簡潔にお尋ねいたしますが、御答弁も正確かつまた意のあるところをお願いしたいと思います。  先ほど来議論があったわけですが、先日、七月六日、藤仲さんが振興局長から次官に御就任なされて沖縄へ行かれたわけですが、その中で、国の厳しい財政事情のもとで高い補助率をカットし、事業量を拡大しようという動きがあると発言をなさったようであります。また、我々もそのような動きがあることを理解しております。さらに、新聞等で伝えられているところによりますと、行革特例法の延長あるいは補助金の一律一割カットということもいろいろ伝えられております。  そこで、この問題と関連をして、現年度、昭和五十九年度予算における沖縄の補助率のかさ上げ額は一体どのくらいになっているのか、この点をまず明らかにしていただきたいと思います。もう一点は、仮に補助率の一割カットが断行された場合、一説には二割カットという面もございますが、地元負担増額はどのくらいになるのか、こういう面から明らかにしていただきたいと思います。
  50. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生質問の五十九年度沖縄開発庁予算におきますかさ上げ額でございますが、私ども試算いたしますと、約五百七十億と算出いたしております。  それから、補助率の一律カットとの話でございますが、現在六十年度予算政府概算要求で、私どもはほぼ前年度並みの基準予算編成を行う方針であるというぐあいに承知いたしておりまして、諸般の準備をいたしておるわけでございます。その前年度並みということになりますと、補助金の一律一割削減が前年度概算要求で行われておりますので、そのままだといたしますと、六十年度も補助率の一割カットであろうかと存じます。ただ、現時点では補助率のカットの話は私ども検討の中に含めていないわけでございます。  したがいまして、どういう影響になるかということのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、御参考までに開発庁の経常予算総額の中で補助金がどのくらいかということを申し上げますと、予算総額約二千億のうち約千四百億でございまして、五百億強が直轄事業費でございます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 補助金の一割カットあるいは補助率の問題についてはまだ明らかにされていないということですが、いずれにしましてもかさ上げ額で五十九年度で五百七十億、あるいは五百七十三億という計算もございますけれども、それだけ今の振興開発特別措置法の中で特別に措置されている実態が明らかにできると思うのです。  そこで、長官にお尋ねするわけですが、今の一例を見ましても、この二次振計の推進といわゆる特例措置が、いかに沖縄の戦後処理あるいは産業振興、離島を含めて各般に大きな好影響をもたらしているかということは申し上げるまでもないと思うのです。だが、確かにいろいろな関係省庁の御努力で社会資本の整備も相当進展してまいりましたし、生活環境、産業基盤の面でも見るべき面があることは私たちも評価し、否定するものではありませんけれども、産業振興問題では雇用問題などは前進したとはなかなか言えないと思うのです。恒常的というか万年、失業率が非常に高いという問題等々を考えました場合に、例えば沖縄財政力指数を見ましても非常に低い、また産業基盤そのものも脆弱であるということからしますと、確かに今の行革絡みの中で、緊迫財政の中でいろいろ問題があることはわかりますけれども、仮に補助率がカットされて地元負担が増加するとなれば、これまでの継続事業の遂行さえも不可能になる面が出てくると思うのです。その点は県当局も各市町村あるいは農業団体を含めて心配しておると私は思うのです。  ですからその意味では、いろいろな困難な状況があることはわかるけれども、沖縄が置かれている今日の状況、戦後長きにわたってアメリカの軍事占領支配にあったというようなことからしますと、現下の国の財政状況が非常に厳しい、行財政改革をやらなければいけないということでこれを画一的に見ていくということには、私はどうしても納得しがたいわけです。その点は長官初め関係省庁を含めて御理解はいただいていると思うのですが、ややもするとそういう視点というものがだんだん薄れつつあるのじゃなかろうか、こういう懸念を私たちは持たざるを得ない。持っているわけですが、このことに対して担当大臣として、二次振計の遂行ということと、六十年度以降も継続して財政投資に依存しなければいけないという沖縄のこの環境をどう克服していかれようとするのか、改めて決意をお伺いしておきたいと思うのです。
  52. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しのとおり、沖縄県の財政力指数については大変低位にあるということもそのとおりでございます。第二次振計について、国自身、財政力が大変苦境にあるということでもって対処することになるのでしょうけれども、といって四十六都道府県並みであっては、これはもう絶対にならないと私も考えております。そういった意味で大変苦労は多いと思いまするけれども、事務当局、我々、また諸先生方一体になって、今までやってきたことより以上の成果を六十年度に当たりましても確保いたしたい、かように考えておるところでございます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 そこで、財政力指数、現段階でどのくらいになっているか、おわかりでしたらまず明らかにしておいてください。
  54. 関通彰

    ○関(通)政府委員 まず、県の財政力指数でございますが、五十七年が沖縄県〇・二四二でございます。全国の都道府県平均が〇・四七九でございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 今お述べになったように、必ずしもこれですべてを判断というか、評価する基準にはあるいはならないかもしれませんが、しかし、いかに低いかということはわかるわけですね。〇・二四二、全国が〇・四七九、約半分しかないわけですね。しかも財政投資、そういったものに依存しているのは七九・二、約八割ですね。これだけの数値からしましても、沖縄の県内の財政力の問題、あるいは国にしても地方公共団体にしましても、予算ということが県経済に波及していく土台だと思いますから、そのことを開発庁はよく御理解いただいていると思うのですが、六十年度予算の確保に当たってもこのことなどを、武器というと変な言い方ですが、やはり予算を確保していく場合に沖縄の実態ということを理解してもらうためには、私は一つの方途になると思うのですね。また国民の側から見ても、財政力指数がそれだけ低い、しかも県民所得にしてもまだまだ格差がある、そのことを明らかにしていくことによって、沖縄に対しては補助率が高いとか、予算、公共投資、公共事業の面でも幾分全国平均より上回るといっても、そのことは理解してくださると私は思うのですね。その面もあわせて要望しておきたいと思います。  そこで次に、もう一つ大事なことは、二次振計の前段は、よしあしは別として、六十二年の国体がございます。いままた南伸道路問題も、山内地域の土地購入というか、地主の方々との折衝が開発庁初め県や関係者の御努力でようやく解決の方向にいっているようですが、そういう面からしますと南伸道路がある。一方において石川火力の建設がある。これは二次振計の前段の戦略プロジェクト、大型プロジェクトとして位置づけられて、その間はある一定の予算確保のめどというか、継続事業としての県経済を支えていく一つの目安にはなると思うのですが、それ以後はどうするかということですね。二次振計後期の戦略プロジェクトは一体どうするのか、そろそろ考えておかなければいかぬと私は思うのです。  これは県当局がまず立案をして、国に要請をするというのが順序かもしれませんが、反面、振興開発計画を推進をしていく担当省庁は何といっても沖縄開発庁で、開発庁と県との調整なり、あるいは開発庁の方がリードしなければいけない問題もあると思うので、このことについてはどのようにお考えか、どういうことを考えておられるのか。ちょっと前後しますが、六十年度予算を確保していくにはどういうものを中心に、目玉にしてやっていかれようとするのか。この二点もぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
  56. 関通彰

    ○関(通)政府委員 六十年度の概算要求の重点という第一点の御質問でございますが、御案内のように、今月末に政府も要求の基準が決まるわけでございます。現時点では鋭意県当局と協議しながら事務的な検討を重ねているところでございますが、当然、全体の第二次振興開発計画の推進という見地からいたしまして、沖縄経済振興を支えております農業の振興、このための土地基盤整備、かんがい事業等の推進が一つの大きな柱になるわけでございます。それからもう一つは、やはり水資源、空港、道路、港湾といいました産業、生活基盤整備、さらには県民生活基盤でございます上下水道、あるいは教育、医療施設等の整備も引き続き推進いたしたい。それから、先生指摘の国体の施設の整備がピークに入るわけでございます。六十年度の概算要求の大きな柱の一つとして推進いたすつもりでございます。  それから第二点の、第二次振計後半の中心になるプロジェクト、何を考えているかということでございますが、これは沖縄経済の進展を見ながら、私どもも慎重に後半の戦略を考えていかなければならないというぐあいに存じておるわけでございますが、ただ、当然考えられますことは、沖縄経済の自立のために、引き続き基幹事業でございます基盤整備、かんがい事業等は推進していかなければならないと存じますし、また、大規模な港湾事業、それからダム建設等は年月のかかる事業でございまして、現在の計画から申しましても、後半にも引き続き大きな事業が続くわけでございます。これらの事業を推進していくこと等々を柱に、基本的には二次振計期間中に沖縄経済力を高めまして、経済が自立への道を歩める基盤をつくっていかなければならない、現時点ではかように考えている次第でございます。
  57. 上原康助

    ○上原委員 なぜこのことを今の段階で強調しておくかといいますと、開発庁の方も、復帰時代から沖縄現地におられた方、本庁におられた方、各省庁の沖縄担当の役人の方々、相当世代交代もあるわけですよね、大臣大臣だって二、三年も続けるわけじゃない。一年前後というようなことになりますと、だんだん沖縄ということをいつまでも特定化するのはどうかという見方、それは私も客観的に考えてないわけではありませんけれども、しかし、沖縄は全国の一県だ、いつまで沖縄沖縄と言うかということが、新陳交代、年代交代の中で出てくる可能性があるわけですね、大臣。したがって、沖縄問題を継続してやってこられた人々がいる間に、二次振計期間中は、補助率の問題にしても別表で定められているものを維持していくという強い姿勢と沖縄の自立経済ということを、あれだけ戦後二十数年間異民族支配下にあったという政治的、道義的責任というものを行政の場なり政治の場で忘れられた場合に、私は大変問題があると思うのです。だから、その意味で、今からそのことを十分方向づけていただきたいということを申し上げているわけです。  例えば、言われているものによりますと、首里城公園化構想を具体化していくとか、あるいは那覇市の久茂地一帯の市街化、再開発を進めていくとか、薬草園の設置とか、さっきもありましたけれども、那覇空港、那覇港と南部、北部等を結ぶ自動車道、交通網の整備とか、相当中長期にわたる新たなプロジェクトを設定をして、二次振計後段のプロジェクトとして、県とも調整をした上で、そういう目標を持ちながら予算の継続確保ということもやらないと、非常に厳しいと私は思うのです。  そういう面で、この点についてはひとつ中西長官の、少なくとも二次振計継続中の補助率のかさ上げ枠は守るという姿勢と、後半のプロジェクトについても、開発庁としても十分構想して県と調整していくという作業に着手していただきたい。このことは政治の問題でもありますので、長官の御見解を聞いておきたいと思います。
  58. 中西一郎

    中西国務大臣 お話の中にもございましたが、首里城の問題、あるいは国立公園を広大な規模でつくりたい、あるいは那覇空港を国際空港として新しくやる、いろいろなお話が先生からも出ました。そういったことも一つの大きな課題になると思います。それで、さらにどうするんだということになりますと、私はまだ結論を得ていません。また十分相談もいたしておりませんけれども、あの地理的条件、気象条件、そういったことを踏まえて、ある時期申し上げたことがございますが、アジアの中での大きな役割を果たすというような目標、あるいは太平洋圏といった観点からの位置づけ、そういったことについて大勢の方々の知見なりあるいは将来の構想といったようなものを組み立てていただく新しい何か審議会のようなものでございましょうか、そういうものがあってしかるべきじゃないかというふうに、個人的な見解でございますが、思っておるわけでございます。  そういったようなことの一環として、先ほども國場先生の御質問で出ておりましたが、バイオテクノロジーとかバイオマスランドとかいう話も出ております。これは県民的な規模はもちろんでございますが、政府全体あるいは学識経験者、こぞって取り組むべき問題になっていくのではなかろうかというような見解を実は持っています。私の任期中にそれの用意が全部できるというふうにも思いませんが、しかし、その第一歩は踏み出してみたいものだな、かように考えているところでございますので、上原先生はもちろんでございますが、委員各位の御示唆や御協力をいただければ幸いである、かように思っております。
  59. 上原康助

    ○上原委員 長官のお見立て、ある程度わかりましたが、私は、従来の単なるプロジェクトの延長とか戦後処理というだけではなくして、二次振計後半には何か新たな発想を、今おっしゃったようなバイオマスの問題とかバイオテクノロジーの問題とか、注入していく必要があると思うのです。それにもう少し沖縄のロマンと夢を持たせる。基地の重圧感だけではなくて、それを脱却していく展望というものを二次振計後半にはやっていただきたい。今、審議会設置もおっしゃいましたけれども、それは単なる構想ではなくて、ぜひ具体化していただきたい。そうでないと、この二次振計期間中の予算の確保もだんだんしりすぼみになりますから、そのことを強く御要望申し上げておきたいし、私たちもまたいろいろ提言もしたいし、沖縄の本当に平和で豊かな県づくりのために一緒に努力をしていきたいと思います。  次に、バス問題ですが、これも二次振計と密接不可分の関係があるわけです。私は、このことにつきましては、四月十二日内閣委員会、さらに四月二十五日の本委員会、六月二十九日も本委員会でいろいろ取り上げてまいりましたが、ようやく一定の方向に向かって動きつつあります。しかし、残念ながら、組合側の今次春闘要求に対しては全くゼロ回答ですね。あるいは臨時給、いわゆるボーナスをどうするかということも全くない、また公的一元化問題についてははっきりした回答はない、こういうことで、とうとう五、六日、四十八時間のストを、我慢ならない、あるいは問題を前進させるという立場で決行されたようです。しかし、六月二十六日に例の知事提言が明らかにされて、七月二十四日に琉球バスと那覇交通、いわゆる銀バスが、知事提言を受けて基本的に両社合併に合意することを決めたという報告を知事にやったようです。  問題は、その知事提言の中でも言っておりますように、これをどう具体化していくかということだと思うのです。したがって、今後のバスの健全化を図るために条件整備をやるとすれば、どういうことをやっていかなければいけないのか。私は、まず労使間の問題が一つあると思うのです。そしてまた、それを労使で県に提言をして、県がまた国に問題を持ちかける、こういう手順が一応なされるとは思うのですが、何といっても運輸行政の最終責任者は運輸省であり、開発庁なんです。これは国なんですね。そういう面で、知事提言についてどう思っておられるのか、同時にまた、その後、きのう段階まで、合併に合意をしたという動きもあって相当変化が出てきているのですが、これは開発庁や運輸省はどう評価をし、それに対してどう対応していかれようとするのか、まずこの基本的な面からお聞かせをいただきたいと思います。
  60. 永井隆男

    ○永井説明員 六月二十六日に沖縄県知事によります琉球バス及び那覇交通の合併を期待する旨の御提言がありまして、それを受けまして、七月二十四日に両社が合併につき基本的な合意に至ったということで、沖縄におきますバスの統合問題は前に向かって動き始めたというふうに理解をいたしております。  今後の問題でございますが、合併の具体的方法等につきましては、今後、両バス事業者の間で鋭意協議が進められていくものと思われますので、私ども運輸省としましては、その進展を見守りながら、県あるいは沖縄開発庁とも密接な連携を図りながら、両社の合併を機に経営の効率化、合理化等が促進されまして、沖縄におきますバス事業の健全経営が確保されるように、可能な限りの支援、協力をいたしたいというふうに考えております。
  61. 上原康助

    ○上原委員 可能な限りの協力、支援というのは、これまで繰り返し皆さんが御答弁してこられたことで、それもわからないわけではありませんが、知事提言の中身というのは、合併提案は、国、県、関係金融機関は必要な協力を行うと具体的に述べているわけですね。私は、ここらに会社が踏み切った一つの動機というか、姿勢というものが具体的に出ていると思うのですね。ですから、そういうことも国、県あわせてやっていただかないと、例えば確かに賃金問題とかボーナス問題、あるいは合理化をどうするかというのは労使次元の問題でしょう、それは常識的には。だが、それを解決していくには、多くを申し上げるまでもなく、相当多額の累積赤字を抱えてにつちもさっちもいかないから、今日の深刻な事態を招いているわけでしょう。これを解決していくには一応組合側も我慢をするところまで我慢をし、これからも健全経営に向けて協力をします。生首だけ切らないという前提で物事をできるだけ処理していこうという姿勢を持ちながらも、賃上げの問題とか、お盆前になってもこれまでの臨給も払わない状態の中で、我慢しなさい、健全経営になるまで協力しなさいと言われても、そうはいかないのです。皆さんだってそうでしょう、賃金が凍結されたらおもしろくないわけでしょう。それ以上に深刻なのですよ。  そこで、この知事提言にある国、県、関係金融機関は必要な協力を行うというのは、一体具体的にどういうことなのか、これをまず国の立場で明らかにできるものはもう少し誠意ある御答弁をいただきたいということ。  もう一つは、小林振興局長、総合事務局長時代も大変御努力をいただき、私も何回かお訪ねをしていろいろお願いもし、また提案もしてきたわけですが、幸い今度振興局長になって来られたわけです。あなた、これは大きなあれがありますよ。運輸省と連携をとってぜひ解決をしていただきたいわけです。  それで、そのときに、時宜を得た適切な提言であるとおっしゃっているわけですね。国としてもそのために必要な協力を惜しまない、これもある意味では非常に重きをなす見解だと私は思って評価しているわけです。したがって、一応会社側は、知事提言を受けて二社はまず当面合併しよう、それをステップにさらに次の段階、沖縄バスとか東陽バスはどうしていくか考えようということだと思うのです。また、皆さんがつくった四者協議会、あるいは県のバス対策協議会、これも今月いっぱいないしは八月中旬ごろまでには一定の見解をまとめるという段階にまで来ている。そういうことになると、やはりそれを受けて国の方針というものをこの際明らかにしていかなければいかぬのです、運輸省も開発庁も。そこは問題解決がすぐはならないにしても、進みぐあいの目安になる、評価の基準になると私は思う。このことについてどのようにお考えなのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  62. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますように、当時私は立会人の一人でございますので、私から答弁をさせていただきたいと思います。  六月二十六日に先生御承知のような提言を行いまして、まず会社の健全化への努力を最大限払うこと、こういうことを前提といたしまして、国、県、金融機関、これが必要な協力を行う、こういう提言をなされたことはそのとおりでございます。  そこで、先生もおっしゃいますように、労使間で健全化の計画をまず真剣につくっていただく必要があろうと存じます。そういう中で、また県に対する要望、国に対する要望、また金融機関に対する要望というものが出てくると思うわけでございますが、そういう中で会社側が具体的にいろいろの計画をつくられ、それについて具体的なみずからの健全化計画、またそれだけではできないいろいろの要望、そういうものを詰めていただきまして、それにつきまして県、国、金融機関、それぞれが一体何をなすべきか、またそれをどう分担すべきか、こういうことについて検討するのが手順であろうと私は存ずるわけでございまして、提言の中にございますように、そういう協力については積極的に行いたいと思っているわけでございます。
  63. 上原康助

    ○上原委員 私も順序としては、先ほどもちょっと触れましたが、そうなると思うのです。そうしますと、問題を整理するまでもないと思うのですが、シナリオづくりというのはやはり経営側なりあるいは組合側なりがまずやって、そのシナリオに基づいて県に提言するものを受けて、国としてはこの知事提言にあるような金融機関の措置を含めて、やる御意思はあるということですね。  この点については中西長官沖縄のバス問題というのは単に労使次元の問題だけではない、二次振計の問題と県観光の問題、全体的にこれは影響しているわけですね。今熱がある間にこの問題を方向づけて、本当に健全化していく土台をつくらないと、国体も成功しませんよ。二次振計の進行を幾ら言ったって、私はこれは不可能だと思うのです。組合側も経営側も県当局も県民も、結局損をするのは県民なのだから、この時期を逃がしてはバス問題解決はあり得ないと私は思うのです。我々もそれだけに真剣なのです。だから、でき得ることがあれば、どこがどうのと言わずに、全英知を絞って沖縄の陸上交通公共機関というものの方向性を見出すということに最大の努力を今払うべきなんです、開発庁も運輸省も。  このことについて今振興局長から、当時の立会人という立場での御発言がありましたが、これはやはり長官の方から、もう少し県に対しても、企業経営側に対しても、希望の持てるような方向づけを、国としても受けて立つ用意があるということぐらいは、いま一歩踏み込んだ御見解が必要だと思うのです。改めて大臣の見解を求めておきたいと思います。
  64. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しのとおり、バス問題は、今合併しようとしておる二社でございますか、比較的大手のようでございますが、それの労使関係だけの問題であるというふうにも考えられますが、しかし、お話しのように国体を控えてというようなこと、あるいは先ほど来私は申し上げましたが、沖縄県全体をもっと広い見地からどうしていくのだというときにも、当然関係が出てくる問題でございます。  そういったようなことで考えますと、これは余計な話かもしれませんが、西ドイツにはかねて労使関係で共同決定法という法律がございます。日本にはそれはないのですけれども、しかし、労使の話し合いと地域全体の開発なり将来の設計というようなことも含めて、大きな次元で対処していく、そういう時期に来ておると思います。  それにしましても、ともかくやるべきことはやっていただかなければ前へ進まないわけでございますから、労使間で、あるいは両社間でいろいろ相談していただくということを前提にして、その上に金融機関なりあるいは県なりあるいは国なりが、何をすればいいかということを場を広げて議論をする、そして解決していくという方向をとりたいものだ、かように思います。
  65. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつこの機会に、問題の御認識はそう食い違いはないと私は思いますので、御理解いただいて解決策を早目に見出していただきたいと思います。私たちも、労使だけでなくして、県当局に対してもシナリオづくりを早めて国に要望すべきことは要望をするように督促をしていきたい。運輸省もぜひその受け入れ態勢をとっていただきたい。ただ、一方では次年度、過疎バスヘの補助打ち切り問題もあるわけですね。それを沖縄にも一緒くたにしてもらっては困るのです。今大臣おっしゃるように、沖縄は特別扱いではなくしてそうしなければいけない特殊な事情があるわけですよ。離島県であるということ等そこいらの問題認識をやっていただいて、このバス問題はこの機を逃がしては解決策はないと思いますので、改めて要望しておきたいと思います。  次に移ります。  これも五月十日の内閣委員会で取り上げて、七月五日に奥田郵政大臣にも直接お目にかかっていろいろ解決策を要望してまいりましたが、北部地域のラジオの電波障害問題相当誠意を持って御努力をいただいていることはわかりますが、その後国際的措置は一体どうなっているのか。例えば障害電波の発信国の特定はできたのかどうか、あるいはまたそれができたとすると、中波国際会議の場における周波数の変更などの調整は可能なのかどうか、そういう問題をぜひ聞かしていただきたいし、また現段階における解決に向けてどう取り組んでおられるか。  それから、国際的措置で不可能という場合、国内的措置をとる、中継局設置等の解決策があるということをこのごろまでおっしゃっておったわけです。私はその後も直接北部へ行ったり、あるいは関係者からいろいろ連絡を受けているわけですが、現在でもなかなか深刻です。そういう面で、この種のこともやはりやりかけたらしり切れトンボにさせずに、我々が取り上げた問題については解決できる問題は、時間がかかることはある程度わかります。しかし、政府は誠意を持って解決してもらわなければいけないのです、検討します、やりますと言った以上は。郵政省の見解を改めて聞いておきたいと思います。
  66. 大井田清

    ○大井田説明員 ただいま先生指摘沖縄の北部におけるラジオの混信の問題についてでございますが、私ども、北部におきまして夜間ラジオが外国の放送局によって混信を受けているということは十分承知いたしております。  現在、混信を与えている外国の放送局の位置、規模等を確認するために鋭意調査をやっているところでございます。今後、調査の結果を踏まえまして、外国主管庁との調整、混信軽減のための必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  67. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、まだ特定していないということですか。
  68. 大井田清

    ○大井田説明員 まだ十分調査が進んでおりませんので、特定できておりません。できるだけ早く特定いたしまして、もしそれが外国の放送局で協定に決められております出力を超えているというようなことでありますと、その主管庁に対して混信排除の措置をとるように要請してまいりたいというふうに考えております。
  69. 上原康助

    ○上原委員 相手のあることですからある程度時間がかかることはわかりますが、もう少しスピードを上げてやっていただきたいと思います。  同時に、これは念を押すまでもないのですが、そういった外的要因でない、周波数も決められた協定どおりやっているというようなことになると、国内的措置しかないわけですよ。そのときは国内的措置をやりますね。
  70. 大井田清

    ○大井田説明員 外国の放送局に対しまして排除の措置をとるわけでございますが、その場合なお解決しないということが判明いたしますれば、私ども、NHKと相談しながら中継局の設置等の検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  71. 上原康助

    ○上原委員 この問題も相当長年地域住民の文化、娯楽で生活に支障を来しているわけで、ぜひひとつそういう方向でよろしく解決方を要望しておきたいと思います。  次に進みます。労働省来ておりますね。  雇用問題ですが、きょうはもう時間がありませんのでたくさんは触れられませんが、この問題も振興開発特別措置法その他と関連をさせて随分取り上げてはきたわけですが、どうも最近は慢性化しているということと、失業率が高い割にはさほど深刻さはないというようなことかもしれませんが、なかなか大変なんで、以前、労働者の職業の安定のための計画の見直しをなさると言ったのですね。これは谷口さんが所管局長をしておられたころ、一度つくったことがあるのです。そしてそのころ、二次振計の考え方に沿って現在見直し中であるという御答弁をしておられるわけですが、その後、雇用の基本計画というか、雇用安定のための政府としてのこういった対策なり計画というものは一体どうなっているのか、きょう明らかにしていただきたいと思いますし、雇用問題についても、開発庁も労働省ももう少し積極的な対応をやってもらわなければ困ると思うのですね。御見解を聞いておきたいと思います。
  72. 竹村毅

    ○竹村説明員 沖縄県の雇用失業情勢、先ほど先生から御指摘がありましたように、依然として非常に厳しい。例えば求職倍率を見ましても、全国の倍以上という数字が出ております。そこで、私ども労働省といたしましては、沖縄振興開発特別措置法第三十八条に基づきまして、沖縄県の労働者の職業の安定のための計画というものを昭和五十一年五月に作成しておるところでございます。  ところが最近では、先ほど申し述べましたような依然として厳しい雇用失業情勢にあるわけですけんども、駐留軍離職者とか沖縄復帰に伴う失業、こういうものが大幅に減少している面がございます。一方、雇用機会の絶対的な不足ということから、特に最近では若年層を中心にした失業者が滞留しているということ等、今計画を持っております。その策定時と比較して、雇用失業情勢がかなり変化してきておるという問題点が一つございます。そして第二には、五十七年八月に第二次沖縄振興開発計画が策定されるとか、そういう中で沖縄振興のための新たな方向が示されたという情勢にございます。  そこで、先ほどの計画でございますけれども、谷口局長が現行計画の見直しをするということを申し述べておりますけれども、現在この見直しの事業を行っておりまして、私の方といたしましては三つの点に重点を置いて計画を策定するということにしております。第一は、産業振興等の施策との連携のもとに、まず県内の雇用機会の増大を図る。第二番目は、新規学卒者の関係でございますけれども、非常に進路決定の時期が遅いとか、全般的に他県に比べて職業意識というものが低い。もう少しそういうものを向上させる。これは父兄、生徒本人を含めましてでございますが、そういうことを図る必要があるのじゃないか。第三番目には、いろいろ地域の特性というものが県内にもございますので、そういう地域の多様な二ズというものに対応した職業能力の向上、開発を推進する。以上三点を重点に、現在、沖縄県における雇用の安定のための施策を推進するということで見直しを行っております。  なお、この労働省の改正案につきまして沖縄県知事から、特に公共職業訓練の充実強化というものをその計画の中で措置する必要があるという意見が出されておりますので、新たな計画を策定し、それを実施する際には、こういう知事の意見も十分しんしゃくしながら進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  73. 上原康助

    ○上原委員 それはいつごろまでに完成しますか。
  74. 竹村毅

    ○竹村説明員 現在、知事に案を示しまして、知事からも先ほど申し上げましたような意見書が提出されておりますので、できるだけ近々に正式に確定いたしたいというふうに思っております。
  75. 上原康助

    ○上原委員 五十一年となりますと、相当年数が経過していますね。しかし、いろいろ注文してきたことが、長い期間かかっておっても、そこまで御検討なさっておられるようですから、早目に進めて、現時点における雇用拡大あるいは失業対策をどうしていくかということを、ひとつ指針を出していただいて、それに基づいて地元も我々も努力をしていく、またその案が出ましたら私たちもいろいろ提言をしてまいりたいと思います。ぜひひとつ早目に明らかにしていただきたいと思います。  次に、農業問題でちょっとお尋ねします。  これも時間がありませんから簡単に触れておきますが、私は、二次振計の場合も、その産業振興というのはいろいろ多角的、多様的視点、考えというものは導入しなければいけないと思いますが、全体的に見ましては、やはり離島県であるということとああいう亜熱帯地域であるという面を考えますと、第一次産業、水産業を含めての農水産業の振興というものは欠かせないと思うのですね。そういう意味でぜひ重要視をしていただきたい。  もちろん、そうしていただいているわけですが、例えば農家世帯一人当たりの可処分所得を見ましても、五十七年度べースで全国平均が百二十一万円であるのに対して、沖縄はわずかに八十七万円ですね。そういうようなことを考えますと、米価がようやく徹夜で決まったようですが、次はやはり沖縄にとっては一番大事なサトウキビ価格がどうなっていくのか、また北海道に協力してもらいたいわけですが、てん菜とサトウキビ、そういうことに対して政府としてどういう対処をしていかれようとするのか。それと、パイン問題もある程度一段落はしたようですが、輸入自由化の拡大問題があるわけですね。こういうことに対しては、栽培面積の拡大という振興を含めて、農業というものは二次振計なり沖縄の産業の中で非常に大事なんだということで、キビ価格の問題とかパイン自由化の問題その他の振興策を、それぞれ農林水産省にしても開発庁にしてもやっていただかないと困ると思うのですね。こういうことについてどういうお考えなのか。  いま一つは干ばつ対策ですよ。これは小林局長よくおわかりの、昨年でしたか、宮古も八重山も干ばつぎみで、緊急措置として皆福ダムの地下水を利用いたしましたよね。八重山は、あれは宮良川でしたか、ダムの放水をした。いろいろダムをつくるのもいいのですが、つくったものを、現にある水をどう利用するかももう少し考えなければいかぬ。そういう意味で、南大東を含めて、そろそろ干ばつの被害が出つつあるということになりますと、緊急措置として、皆福ダムの利用とか名蔵川の利用とかダムの利用とか、そういうことをやらなければいかぬと思うのですが、こういうことに対しての緊急措置というか、対策についてのお考えを聞いておきたいと思います。
  76. 長晃

    ○長説明員 サトウキビなどの個々の問題につきましては担当課長から御説明を申し上げますが、初めに沖縄農業の振興についての基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。  先生既に御承知のとおりでございますが、沖縄県は、我が国でただ一つ、亜熱帯性気候地帯に位置している地域でございまして、当然この地域特性を生かした農業の発展が期待されているところでございます。農林水産省といたしましても、こういった方向に沿って、また第二次沖縄振興開発計画に基づきまして諸般の政策を推進しているところでございます。  その際の重点事項でございますが、四つございます。第一は、農用地及び農業用水の確保、あるいは土地基盤の一層の整備に努めるということで農業構造の改善を図ること。第二は、今お話がございましたとおり、基幹作物でございますサトウキビあるいはパインなどの生産性の向上を図ること。第三は、豊かな太陽エネルギーを有効に利用した野菜、花卉等の生産の拡大と本土への輸送の合理化を図ること。第四に、肉用牛などの供給基地の形成による畜産の振興を図ること。このような点に配慮しながら生産性の高い亜熱帯農業の確立を図ることを沖縄農業の振興の基本的な考え方としております。  初めに基本的な考え方だけを申し上げておきます。
  77. 武政邦夫

    ○武政説明員 お答えいたします。  先生先ほど御質問の中にありましたパインの自由化の問題でございます。  今次交渉におきましては、パインの重要性から、十三品目の枠拡大の中では現況水準にとどめたということでございます。御存じのように我が国のパインは、品質面でも価格面でも、対外的にはまだ競争力が十分ではないと考えております。こういう事態の中で自由化をするということはまだまだ好ましくない。我が農水省としてもぜひそれを守っていきたいと考えておりますし、今後も最大限の努力をしてまいりたい、こう考えております。
  78. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますように、ことしも去年に引き続きましてまた干ばつの傾向が出始めたことは、非常に憂慮いたしておるわけでございます。そこで地元におきましては、県の農水部、また地元でも協議会等がつくられまして、いろいろの対策がとられておるようでございます。そういう中で、サトウキビの剥葉の中止であるとか、それから敷き草等を敷くとか、こういうこともとられておるようでありますけれども、先生おっしゃいますように、かんがい用水の活用ということも重要でございます。昨年も真栄里ダム、皆福ダム等の活用を図ったわけでございまして、それぞれ総合事務局、県でそういう必要な措置はとられるものと考えておるところでございます。
  79. 上原康助

    ○上原委員 ですから、そこで必要があれば真栄里ダムあるいは皆福ダムを使って干ばつ対策をやりますね、キビその他の面で昨年やったような方法で。
  80. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 昨年と同様の措置をとりたいと考えております。
  81. 上原康助

    ○上原委員 もう時間が来ましたので、あと一つぐらい。  外務省とか防衛施設庁、来ていただいたのですが、お尋ねできなかった点、お許しいただきたいと思うのです。余り取り上げても見解の相違なんて片づけられては困る、きょうは見解の一致するものを先にしてあるので。  あと空港、空域問題ですが、これもいろいろありますので簡単にお答えいただきたいのです。簡単にといっても中身はわかっていただきたいと思いますよ。  四月十二日の内閣委員会で細田運輸大臣は、私が嘉手納のRAPCON問題あるいはACMI問題を取り上げたときに、特に私は伊江島の訓練空域の返還及び削減の交渉をやるべきだという提案をして、やりますと言ったのですよね、検討しますと。これはなぜかというと、伊平屋、伊是名の空港整備ができなくなっている。そのときに山本航空局長は、米軍が訓練空域を使っていない場合民間機が使用できるような調整もしてみたいということでした。この問題その後空域全般について米側と話すということでもあったのですが、このことはどうなっているのか。また、特に伊平屋、伊是名の空港立地の問題と、私は伊江島の訓練空域の全面返還を求めるのですが、そこまでいかないのであるならば、その設置ができるような空域の削減なり時間調整というものは、早急にその程度のことはやってもらわなければいかぬと思うのですが、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  82. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  空域の返還についてでございますが、私どもも実務者レベルで数回にわたり米軍とは話し合いをいたしましたが、まだ178、それから178Aという空域は米側が使用しているので、これについては返還は難しいというような回答を得ております。しかしながら、米側がこれを使用してないときには民間航空のためにこれを使うというようなことで米側は同意いたしております。そして、現在その一部につきましては既に使用している場合もございます。そして、そのほかにさらにこれらの空域を利用できる場合に有効に使うというようなことで、方式の設定等も現在検討して、米側とまた折衝する所存でございます。  そのほか、先生おっしゃいました伊江島、それから伊平屋、これらの空港の建設につきましても、あるときに県の方からそのような、将来のことであるが打診をしてほしいというような要望が過去にございまして、私どもこれを米側と、本当にまた実務者レベルでございますが、折衝いたしました。そのときに、そういう場合には米側としてもこれらの運航が可能なように十分協力をするというような回答を得ております。
  83. 上原康助

    ○上原委員 少し、一歩進んだような感じもしますが、ぜひひとつ伊平屋、伊是名の空港立地とそれから伊江島の訓練空域返還、削減を実現するように特段の御努力お願いしたいと思う。  もう時間ですからやめますが、あと、軍用地転用の問題、それから読谷のパラシュート降下訓練の移設問題、名護における米軍機関銃銃弾のダンプカー直撃事件等々については、これまでも説明も受けましたし、また議論もしてまいりました。聞きたかったのですが、本会議都合もあるし、余り超過するわけにもまいりませんからきょうは保留いたしますが、来ていただいた外務省、防衛施設庁、その点御理解をいただいて、これで質問を終わりたいと思います。
  84. 渡辺朗

    渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  85. 渡辺朗

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村源雄君。
  86. 新村源雄

    ○新村(源)委員 北方領土がソ連の占拠によりまして、やがて四十年を迎えようとしておるわけでございます。しかし、領土復帰日本の主権にかかわる問題は、依然としてそのめどが立ってない。むしろ年々その壁が厚くなってくる、こういう感じがしておるわけですが、こういう我々の感じ方について、外務省はどういう考え方でとらえておられるか。
  87. 西山健彦

    ○西山政府委員 まさしく先生指摘のとおり、北方領土の問題に関しましては、我が国はこれまでもその返還を求めまして、ソ連側と粘り強く交渉を行ってきた次第でございますけれども、ソ連側が依然として、領土問題は存在せず、そういうかたくなな姿勢を崩していないわけでございまして、これを私どもは極めて遺憾なことであると考えております。領土問題というのは、国際政治の過去の歴史に照らしましても非常に難しい問題でございまして、粘り強い努力を必要とすることでございます。  そこで、政府といたしましては、この問題解決のために今後とも息長くソ連側との対話を重ねていくことが重要であると考えておりまして、ソ連側に対してあらゆる機会に、この問題の解決こそが日ソ関係を真の相互理解の上に発展させるために不可欠であるという認識を伝え、北方領土問題を解決して平和条約を締結するよう引き続き呼びかけていく所存でございます。その一歩は、やはり何と申しましてもグロムイコ外務大臣の訪日を求め続けていくということであろうと存じます。
  88. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この北方領土返還の一連の行動の中では、日本の国内におきましては、北海道あるいは政府を中心とする返還運動というのは年々高まっておりますし、さらにまた世論の支持率も高まってきておる、こういうように考えるわけです。しかし、私どもの目に映るのは、こういう壁を厚くしていくということは、むしろ日本側のそういう姿勢が壁を厚くしていくという原因をつくっているように思えてならないわけです。そういう点についてはどうなんですか。
  89. 西山健彦

    ○西山政府委員 私どもは、日本側の方から日ソ関係を悪くするようなことを行ったことはないという考えに立っております。日ソ関係それ自体は、これはもう北方領土問題が依然未解決であるということに加えて、特に北方領土にソ連が軍備の強化を続けてきたというようなことが非常に厳しいものにしているわけでございますけれども、さらに日ソ関係を取り巻く国際環境、東西関係というものが、アフガン情勢を初めといたしまして昨年の韓国機の撃墜事件等に至るまで、主としてソ通例の行動によって厳しいものにされてきた、そういうことでございまして、日本側の何らかの行動が壁を厚くしたというふうには私どもは見ていないわけでございます。
  90. 新村源雄

    ○新村(源)委員 私は昭和五十五年当時、北方海域で友人の息子さんが拿捕された、こういうことで善処方を要望されたことがあるのです。私は、たまたまソビエトを旅行したときに知った通信社の特派員がおりまして、この者に連絡をしまして、ちょうど大使は不在でございましたが、一等書記官が会ってくれました。そのとき第一番に彼の口から出たのは、日本はなぜモスクワ・オリンピックに参加してくれないのだ、こういうことであったわけです。もちろん、これはソ連のアフガニスタンに対する侵攻、そういう制裁措置も含めて、いわゆる西側の行動としてそういうことを日本もとったということは理解できる。しかし、日本はソビエトとの間に領土問題というどうしても解決をしていかなければならない極めて重大な問題が横たわっているわけですね。そういうときに、西側のそういう行動であるからといってすんなりそういう方向に乗っていくということが、そういう両国間の課題を抱えている日本として、私は果たして正しい姿勢であるかどうかということに非常に大きな疑問を持ったわけです。何も関係のない国であればそれはいいでしょう。しかし、どうしても解決しなければならないという問題を持っておりながら、北海道という北方領土の近くに住んでいる者として、その行動には私は非常に大きな疑問を持ったわけですが、こういう点についてはどうですか。
  91. 西山健彦

    ○西山政府委員 私どもも、ただいま先生が御指摘になりました点につきましては、常にそれを念頭に置きましてソ連との関係は考えているわけでございます。しかしながら、先ほどもちょっと触れましたように、日ソ関係というものを全体の東西の関係から切り離して、それだけが別個に動き得るということは、第二次世界大戦後の国際情勢をずっと通して見てまいりますと、なかなかというよりも極めて難しいことではないか。日ソ間の懸案が解決されるためには、東西関係という大きな全体の枠組みが改善されることが必要なのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そのためには、アフガン事件というようなことはその東西関係全体の雰囲気を大変に悪くしたことでございまして、こういうものに対しましては、やはり国際的な秩序を保つために西側としてはどうしても一つの行動を示さなければならない、そういうことであったと思います。したがいまして、そういう東西という大きな国際環境全体の中に常にその日ソ関係というものを照らしておきまして、その両者の間によきバランスが保たれるように我々としては努力をいたしているつもりでございます。
  92. 新村源雄

    ○新村(源)委員 北方領土を返還してもらうということのためには、やはりそういう懸案の解決ということが日本の外交の中にきちっと位置づけをされていなければ、今の西側の関係日本が全くストレートに追随をしていくということであれば、今の東西関係から見て北方領土の返還というような時期は到来しない。ここに新たな日本の外交の枠組みというのが必要でないか、こういうように考えているのですが、どうですか。
  93. 西山健彦

    ○西山政府委員 したがいまして、東西の枠組みそれ自体の改善に努力いたしますとともに、私どもといたしましては、何も西側がとります行動に無条件に常にこれに応じてやっているということではございませんで、我が国独自の観点から十分にそれを評価し、研究した上で一定の行動をとってきた次第でございます。したがいまして、それとあわせて、先生もつとに御承知のとおり、我々としては、非常に厳しい状況下にございますけれども、日ソ間の対話というものをあらゆる機会に積み重ねていく、そういう努力は従来もやってまいりましたし、今後も一層続けていきたいというふうに考えている次第でございます。
  94. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この問題につきましては、長い間の懸案でございますが、従来とってきたそういう外交路線の中では新たな発展を望むことは非常に困難だ、こういうことで、実際に領土返還というものを目指した外交の枠組みというものを速やかに検討してもらいたいということを強く要請しまして、次の問題に移っていきたいと思います。  この北方領土に隣接をしております主として北海道の根室地域でございますが、これは北海道開発以来北方領土、いわゆる千島列島と経済的に非常に深いかかわりを持ってその地域の経済というのは仕組まれてきておるわけです。戦後ああいう形になりまして多くの島民が帰ってくる。と同時に、この北方領土に隣接する地域の皆さんは、いっか返ってくるんだということで希望を持ちながら、しかしそれだけ、今までの経済の枠組みから見れば多くのものが失われた中で、今日非常に厳しい状況に立たされておるわけです。  そういうことで、この地域に対するいろいろ補完的な施策として、これは昭和五十七年の法律でございますが、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律という法律が制定をされて、この法律は五カ年間に百億円の基金を積んで、そしてこの果実でもってその地域のいわゆる社会資本の充実等を図っていこうということです。  この百億円というのは、聞くところによると、大蔵省の強い反対で百億円という数字は入っていないそうですが、しかし確認しておるのは百億円ということで、国が八〇%、道が二〇%ということでございますが、第二年目を迎えたことしで二十億円より達成されていない。これは目標の五〇%であるわけですね。ですから、先ほど申し上げましたように、そういう大きなものが失われている地域の社会経済を補完するという意味で設定されたこの基金の達成の見通しについてお伺いをいたします。
  95. 本多秀司

    ○本多政府委員 先生指摘のとおり、北方特別措置法の立案の過程におきまして、当初、法文上基金の総額を百億円と明記すべきであるという議論もあったと承知いたしております。しかし、結局適当でないという御判断のもとに見送られまして、努力目標といいますか、公約というようなことに相なったというふうに理解いたしているところでございます。政府といたしましても、当時あるいはその後におきまして財政状況が大変厳しくなっておりまして、基金の全体規模につきましては特段お約束をできるような状況にはなかったということで、その基金の総額については申し上げていないところでございます。  もちろん、隣接地域等初め地元におきまして、基金に対する大変強い期待といいますか、御希望を持っておられるということは十分承知いたしているところでございますので、総務庁といたしましても、今後従来同様できる限りの努力を払っていきたい、かように考えている次第でございます。
  96. 新村源雄

    ○新村(源)委員 百億円は積んでいきたい、しかし今の財政事情の中で非常に困難なものがある、こういう御答弁であったと思うわけですが、しかし、この百億円というのは、国と道と北方関係者等によって合意された額であるわけですね。したがって、百億円は確認できるけれども、この達成については多少年次が伸びるというようなことですか。
  97. 本多秀司

    ○本多政府委員 特別措置法の附則におきまして、五年度内を目途に基金を達成するというふうに規定されております。現時点におきましては、ごれが延びるかあるいは延びないか、財政状況の進展を見ながら判断させていただきたい、かように考えております。
  98. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、百億円は基金として積んでいく、しかし財政事情等によって多少年限が延びる場合もあり得る、こういうような意味にとれたわけですが、そういうことで次に進んでまいります。  北方領土あるいは沖縄、小笠原諸島が占領された当時、旧漁業権の問題が強い要求として出されてきたわけです。しかし、GHQとの関係があり、旧漁業権というものが存在しないというような法律、根拠等があって、それで北方領土関係については、北対協を通じて昭和三十六年当時十億円の基金を積んで、そして旧漁業権にかわるもの、こういうような形で運用されてきたやに聞いておるのですが、この点についてちょっと確認をいたします。
  99. 窪田武

    ○窪田説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昭和三十六年に北方協会に対しまして十億円を交付しまして、これを基金として、北方地域旧漁業権者等の事業及び生活に必要な資金の低利融資措置をとることによりまして、実質的に救済措置を講じたところでございます。  この措置につきましては、沖縄及び小笠原諸島の復帰の際に対してとられた措置、これも昭和四十七年に沖縄に対しまして約十一億五千万円、小笠原諸島の場合には約二億八千万円の特別資金の貸付事業をやっております。これに対しまして、旧漁業権の補償という観点から見ますと、おおむねバランスがとれたものと考えておるところでございます。
  100. 新村源雄

    ○新村(源)委員 旧漁業権にかわるいわゆる漁民等の救済措置として、こういう基金をそれぞれ北方沖縄、小笠原というように措置をされたわけですが、沖縄、小笠原は返還された。しかし、依然として残っているのは北方領土関係ですね。ですから、これはこういう基金という形で一方は解決をされた、一方は依然として今までのとおりそういう問題が残っておるということであれば、現地の要求としては枠の拡大をしてもらいたい、こういう要望が強いわけですが、これについてどうですか。
  101. 本多秀司

    ○本多政府委員 北方地域旧漁業権者等特別措置法に基づきまして北方領土問題対策協会が行っております融資事業につきましては、地元関係者の御要請等を受けまして融資枠の拡大に努めてまいったところでございます。例えば昭和四十七年度におきましては、前年度である四十六年度の融資枠一億七千万円を四億円に拡大いたしました。またその後、昭和五十一年度には六億円、昭和五十五年度には八億円、そして最近昭和五十六年度には十億円というふうに枠の増大を図ってきております。今後とも資金需要あるいは財政事情等を勘案いたしまして引き続き検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  102. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、この点につきましては経済情勢等を勘案されて、適正な枠の設定に引き続いて努力をしていただきたい。  次に、これに対する融資資格者の対象でございますが、これはもう四十年もたっているわけですから、約三分の二近くが二世といいますか、後継者が経営の実態を握っている、こういうことでございますが、この事業の性格からいって新しい後継者には融資の資格がない、こういうことで現地では取り組みに非常に困っておるわけです。父親の借りたものを払っていくだけで、経営が非常に困難なときに例えば新たな資金の融資を受けたいとしても、融資の資格がない、こういうことで非常に狭まってきている。したがって、融資資格の認定を、そういうようにいわゆる二世、三世といいますか、北方領土関係が依然としてこういう状態があるので、このことは当然そういう措置をとっていくべきだ、こういう声でございますが、これについての見解はどうですか。
  103. 本多秀司

    ○本多政府委員 先ほどの北方地域旧漁業権者等の特別措置法におきまして、融資の対象者の範囲は、単に世帯主だけではなくて、六カ月以上の居住条件を満たす限りにおきまして、配偶者であるとか子供を含む世帯員全体を対象としておるわけでございます。  また、同法の立法趣旨から見まして、北方地域に生活の本拠を有していた人々、その人たちの生活の安定を図ることがこの特別措置法の目的であるということから考えてみまして、融資対象者の範囲を生活の本拠を有していなかった人にまで広げるかあるいは広げないかということにつきましては、慎重に検討をする必要があるのではないかと考えております。  もちろん、元居住者方々から融資対象者の継承につきまして強い要望があるということも承知しておりますので、こういう問題を含めまして今後十分慎重に検討していきたい、かように考えます。
  104. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、これは現地の非常に強い要望がございますので、これらの実態を十分把握しながら、旧北方地域に生活の根拠を持っておられたこういう方々に対して適切な配慮をとっていただくことをお願いします。  次に、北方領土関係に対する安全操業の問題でございますが、領土返還の現況につきましては、先ほど申し上げましたようにほとんど展望が開けない、いつになったら返ってくるか、その糸口すらもっかめない、こういう状況の中にあるわけです。殊にこういう問題の影響を一番身近に受けている者は、その海域で操業している漁民が生活なりあるいは生計のための漁業を営むことにおいて直接大きな被害を受けているということでございます。  御案内のように、我が国北方領土、いわゆるソ連の占拠している北方領土の間では、納沙布と貝殻島では三・七キロ、野付半島から国後まで十六キロ、羅臼と国後が二十七キロ、こういう非常に狭い海峡がこの海域で漁業を行っている方々の主な漁場であるわけです。したがって、この中間線がいわゆる領海線ということになりますが、領海線は中間でございますから、島が出たり入ったりしていると領海線は必ずしも直線でないわけですね。出たり入ったりしている。あるいは霧が発生をするあるいは潮のかげんがある、こういうことで知らず知らずのうちに向こうに入って拿捕される、こういう危険に常にさらされておるわけです。北方領土が返還されない限り、この地域で漁業を営んでいる方々にとって宿命的な、これがこれからも永遠に続いていくわけでございます。  これは主として現地の漁民の声でございますが、私は十勝で農業をやっております。特に酪農をやって牛を約百頭くらい飼っています。時にはこの百頭の牛の集団が、何かの関係で大挙して私の放牧地から離れてほかのところに入っていく。しかも草地にでも入っていったならまだいいのですが、付近はいろいろ耕種、いわゆるバレイショ畑あり小麦畑あり、いろいろなものがあるわけですね。そんなところに大集団で入ったときというのは大変なことなんです。しかし、それでも隣人として長い間の歴史の中で常にお互いに信頼が築き上げられておったら、かなり大被害を与えても、お互いにそんなに問題にならぬわけですね。ところが、これも農村にある例ですが、ある牛が一頭そこに入ってそこの作物を痛めたということでも、大変なけんかになることがあるわけです。北方関係に生業を立てておられる方々は、まさにそういう関係に置かれていると私は思うのです。ですから、日本がソビエトと友好が深まっているかどうかということが、直ちに彼らの日常の操業に厳しく影響をしてくるわけです。  そこで現地の声として、総務長官中西大臣行かれたかどうかわかりませんが、今までの歴代の総務長官なりあるいは外務大臣なり、さらには総理も北方領土視察ということで行かれたわけですね。現地ではこの前後が物すごく厳しくなるというのです。こういう視察をされるということは、向こう側から見れば最前線視察ということになりますね。こういう視察をされるときに、外務省はソビエトに対して何らかの措置をとっているのかどうか、これはどうなっていますか。
  105. 西山健彦

    ○西山政府委員 国会におきまして北方領土問題の解決促進に関する一連の決議がございますし、また各地方議会におきましても同様の決議がございます。こういうことからも明らかなとおり、北方領土の返還ということは日本国民の悲願でございまして、また総意でもあります。この返還を求める国民の声は、先ほど先生御自身御指摘のとおりますます高まりを見せている、そういう状況でございます。したがいまして、総理、外務大臣あるいは他の国務大臣方々北方領土の視察を行われるということは、まさしくこのような国民の声を背景にして、その問題のいわば原点ともいうべき根室の地を訪れて、北方領土を目の当たりにごらんになって、旧島民の方々あるいは現地で返還運動に携わっておられる方々等から直接御意見を拝聴し、また現地の実情を直接視察されて認識を深めていただくということであろうと思います。したがいまして、北方領土の返還を求める国民の総意のもとで、我が国の首脳ないし閣僚の方々が、すなわち国政の責任者が現地を視察されることは当然のことでありまして、かつ極めて必要なことであると考えております。  したがいまして、そういうことを我が国の領土内で行うのはまことに当たり前のことでございますので、そのことにつきまして一々ソ連側の承認なり認識なりを求めるということは、外務省としてはいたしておりません。
  106. 新村源雄

    ○新村(源)委員 領土返還のそういう実態というものを把握される上において、私は、国内において関係大臣が視察されるということについては、これは当然のことであろうと思うのです。ところが、そのことによってその前後非常に厳しくなってくる。殊にさっき言ったような至近の距離でございますから、日本で映ったテレビが即向こうへ行って映っているわけですね。ラジオもそのとおりなんですよ。それは報道関係等のいろいろな関係もあると思いますけれども、そのことによって非常に厳しくなってくるということが現実ですね。  そうすれば、先ほど私が申し上げましたように、新たな外交の枠組みなり、そういうものをつくって、ソ連とのいわゆる友好というものを新たな角度でつくり上げていかなければならぬのじゃないかと言っているのは、こういうことをも含めているわけですよ。こういうことについて何かお考えがありませんか。ただ、国内でやることだから相手はどう考えようともいいんだ、そして、そのことによって沿岸に漁業を営んでいる方々は本当にぴりぴりぴりぴりと響いてくるような危機感を持っている。そういうことについて何の配慮もできないですか。
  107. 西山健彦

    ○西山政府委員 現地で現実に漁業に従事をされておられる方々の御懸念は、私どもも痛いほどわかっているつもりでございます。しかしながら、長期的に漁業の分野における日ソ間の協力関係を見てみますと、実は漁業の問題は比較的に互恵的かつ協力的に今日まで進めてこられておりまして、比較的にいわば実務的に処理されてきたという感じを持っております。したがいまして今後とも、御指摘のような問題があるのでございますけれども、そういう基礎の上に立ちまして、安定した協力関係をソ連との間で確立していきたいという努力を続けてまいりたい。漁業の分野は漁業の分野としてそういう努力を続けていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。  なお、北方四島周辺水域で拿捕事件が起こるというようなことは、我々の立場からいたしまして極めて遺憾なことでございますので、その都度、これはソ連政府に厳重に抗議いたしまして我が方の立場を明確にいたしますとともに、その拿捕漁船及び乗組員の即時釈放ということを申し入れております。  ちなみに、友好関係と拿捕との関係でございますけれども、私どもの感じといたしましては、必ずしも両国間の関係とこの拿捕の関係との間には並行的な関係があるのではないのではないかというような感じを持っております。と申しますのは、日ソ関係が非常によくなりました七〇年代初めの前段階でございますが、例えば昭和四十九年、五十年、五十一年というあたり、年間二十四隻あるいは三十二隻、三十隻というふうな船が拿捕されているわけでございますけれども、むしろ近年、昭和五十七年については十二隻、五十八年には七隻、五十九年には二隻というふうに、的に見ますとむしろ減っているわけでございます。そういうわけでございますので、必ずしも友好関係ということとこの問題とはじかには結びつかないことではなかろうかというふうな感じを持っております。
  108. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間の関係で次に進みますが、かつて、これは民間外交というような形で、貝殻島で一定の期間を区切って日本の漁船が昆布の採取をする、こういうことができておるわけです。先般もこの北方漁場の関係方々にお会いをして、いろいろ意見を聞いてまいりました。やはりソビエトは、御案内のように戦後千島列島を領有するということから、世界の三大漁場であるというところが、かつては日本の漁場だった、しかし今日はソビエトの漁場になっている。このことによってソビエトの漁業区域というのは非常に大きく広がっているわけですね。それで現地の漁民の皆さんの声は、だれがやったかわかりませんけれども、大体向こうの領海内で二時間ぐらい操業すると、こっちの領海で一日やった以上に魚がとれるというんですよ。これはいろいろ資源保護の関係や、あるいはそれだけ日本の漁民は過密の中で漁業を行っているということにもなると思うのですが、そういうことがあるので漁場をもう少し広げるような、そういう外交ルートというものはつくれないかこういう端的な要望があるわけですが、この点について見解を伺いたいと思います。
  109. 西山健彦

    ○西山政府委員 私どももそういう要望の声があることは承知いたしております。しかしながら、我が国の漁船によりますソ遠水域内の操業条件は、これはソ連漁船による我が国の水域内の操業条件の問題と密接に関連いたしているわけでございます。そこで、ソ連とソ連水域内の問題について交渉いたします際には、今度は逆に、我が方の沿岸漁民の方々の利害ということも考慮する必要があるわけでございます。そういうわけで、この問題は非常に難しいわけでございますけれども、ともかく今後とも我が方の漁民の方々の最大の利益にかないますように、私どもとしては努力を続けていきたいと存じております。
  110. 新村源雄

    ○新村(源)委員 これは非常に難しい問題であると思います。しかし、漁場を狭められた漁民はやはり死活の問題で、ぜひそういうような方向を考え出してもらえぬか、こういうことでございますから、引き続いて御検討いただいて、実現ができるように要請をいたしておきます。  次に、これも現地の漁民の声です。端的に申し上げますと、ソビエトの監視船は領海すれすれのところを走っているというんですね。ところが、日本の巡視艇は領海線から一マイルぐらい内側を走っているというのです。非常に心細いというんですね。これは何か日本で、摩擦を起こすとかなんとかというためにそういう指導方針でもとっておられるのですか、どうなんですか。
  111. 姫野浩

    ○姫野説明員 お答えいたします。  根室周辺海域の巡視船の哨戒につきましては、この海域における漁船の出漁状況、拿捕の発生状況等を勘案しまして、ソ連主張領海線付近まで巡視船艇を配備して実施いたしております。特に根室海峡におきましては、常時巡視船艇二隻を配備しまして、拿捕防止指導に重点を置いて哨戒を行っているところでございます。これからもソ連警備艇の動きにも十分留意しながら、日本漁船の安全操業を確保するために、また地元の漁民の方々の期待にこたえるよう、きめの細かい哨戒を続けてまいる所存でございます。
  112. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間が参りましたので、最後に、中西国務大臣いらっしゃいますから、率直な漁民の声をお伝えしたいと思います。  日本の外交はアメリカ一辺倒だ、ソ連とももう少し友好を深めて、そして我々がいつ果てるともわからないそういう北方領土の問題だけでは、返ってくるかもしれないあるいは返ってこないかもしれない、そういう状況の中で大変なんで、ソビエトともっともっと友好を深めて、そして我々の安全操業を期すると同時に、領土の返還というものに新しい基軸をつくってもらいたい、こういう声でございました。これは沿岸漁民の声ばかりではなくて、北海道民あるいは日本の主権を守るという国家的な重要課題でありますから、この点について中西大臣から所信をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 西山健彦

    ○西山政府委員 本件は外交問題でございますので、潜越でございますが、私がかわってお答え申し上げたいと存じます。  日本外交は米国一辺倒であるという御所見でございますが、政府といたしましては、日米安保体制を基盤といたしますところの日米友好協力関係、これこそ我が国の外交の基軸であるというふうに考えております。この関係が良好に保たれて発展していくということは、これはひとり我が国の安全と繁栄の確保に役立つのみならず、アジア、ひいては世界の平和と安定にとって極めて重要な要素であるというふうに考えておりまして、今後とも両国関係をさらに発展させていくことが我が国の国益に合致することであるというふうに基本的に考えている次第でございます。もちろん、何でもかんでも、だからといってアメリカの言ってくることを受け入れていくということではございません。そこは我が国独自の、国益の立場から独自の判断をしていくわけでございますけれども、基本的な枠組みとしてはそういうことであるというふうに考えております。  他方、ソ連につきましては、まさしく先生も御指摘のとおり、これは極めて重要な隣国でございます。冒頭にも申し上げましたとおり、東西関係全体の状況がどうしても日ソ関係の上にも反映してまいりますし、それから北方領土問題それ自体が両国間の大きな障害として立ちはだかっているわけでございますので、局面は厳しい状況で、非常に残念なことでございますけれども、続いていくことにまたなるのではないかというふうに考えられます。しかしながら、政府といたしましては、そのような中にありましても通すべき筋はきっちりと通しながら毅然とした姿勢を示しながらも、他方においてあらゆる機会にあらゆるチャネルで話し合いの機会、対話を続けて意思疎通を図ることによって、真の相互理解に基づく安定的な日ソ関係を構築していくために努力を続けていきたいと考えておる次第でございます。
  114. 新村源雄

    ○新村(源)委員 終わります。
  115. 渡辺朗

    渡辺委員長 玉城栄一君。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初に、大城政務次官に一点お伺いしておきたいと思います。  沖縄の観光振興策についてですが、私からくどくど申し上げるよりは、政務次官御自身が地元の御出身でありますから。沖縄の観光産業というのは、沖縄基幹産業の大きな一つの柱になっております。恵まれた自然、青い海、青い空、独特の文化、人情、そういうことでさらに沖縄の観光というものは発展させなくてはならないと思うわけでございます。確かに、これまで行政の側から直接あるいは間接、いろいろな手当てがされてきたことも、沖縄の観光振興を大きく伸ばしてきた一つの要因であったと思うわけであります。その一つに例の観光戻し税、これが六十二年に切れるはずであります。これは県全体の非常に大きな問題であります。特に政務次官は地元でもありますし、大変な御努力をしていらっしゃる最中であるとは思いますが、その問題も含めて、沖縄の観光振興策について政務次官からお答えいただきたいと思います。
  117. 大城眞順

    ○大城政府委員 御質問いただきまして大変ありがとうございます。  先生指摘のとおり、沖縄県は、自然環境や伝統文化などの大変魅力ある観光資源が、全島にまたがって豊富でございます。これまで、そういった観点からいたしまして観光客の数も年々増加いたしまして、昭和五十四年以降を数字でとりますと、百八十万から百九十万、場合によっては二百万になんなんとした年もございました。またこれに伴いまして、もちろん観光収入も増加いたしまして、沖縄経済に大きな比重を持つようになっておることは御案内のとおりでございます。ことしに入ってからも観光客は順調に増加いたしておりまして、上半期の累計は九十六万七千人と相なっております。前年度同期に比べまして九・七%という増加をいたしておるところでございます。  このようにいろいろと観光産業が伸びてまいりましたけれども、これは最近における景気の回復基調はもちろんのことでございますけれども、御指摘のとおり地元における観光客の受け入れの態勢、その整備強化、各種のイベントの実施によります観光客の誘致宣伝の強化を図ったこと、さらにはまた、本島北部や宮古、八重山、全島にかけて民間における大型リゾートホテルが昨年の夏以来相次いで完成されておりまして、官民一体となったこのような積極的な観光客誘致策等の効果があらわれたものだ、このように評価をいたしております。今後とも受け入れ態勢の整備を図るとともに、民間及び地方公共団体が主導的役割を果たすことを大きく期待しながら、所要の誘導、そしてまた助成を図っていきたい、このように考えておるところでございます。  当面の目標として、今観光客の数も二百万を突破しようということで頑張っておる最中でございまして、いろいろと観光というものは、聞く、感ずる、触れるというものがファクターでございますので、そういったものに対しての大きな関心を寄せるようなこれからの施策をもって進むならば、決してハワイに負けないようなすばらしい、日本国としても亜熱帯を利用した大きな観光ゾーンができるのではないかと期待されているところでございます。  こういった観光産業に付随いたしまして、御指摘の観光戻し税の制度の問題でございますけれども、この制度が観光振興の大きな役割を果たしておるということは御指摘のとおりでございまして、ただこの制度は昭和五十七年度に適用期限を五カ年間再延長したばかりでございまして、その後の取り扱いをこの時点で云々するということは時期尚早ではないか、このように考えられるところでございます。もちろん、時期が来ましたならば大蔵省ともいろいろ話し合って問題が処理されていくのではないか、このように考えておるところでございます。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 政務次官、そういう発展させた様相を一つ一つ積み上げていくことが大事でありますので、今申し上げました観光戻し税につきましても、確かに時期は早いわけですけれども、ぜひこれが継続して沖縄の観光振興がさらに発展するように、どうか政務次官、先頭になって頑張っていただきたいと御要望申し上げます。  次に、中西長官にお伺いしたいわけですが、中西長官沖縄開発庁長官を従来どおりなされるとともに、今回新たに中曽根内閣の特命事項を担当される国務大臣として大変重要な任務を担っていらっしゃるわけでありますが、その一つに危機管理という問題も担当されるというふうに伺っているわけであります。  そのことでちょっと長官にお伺いしておきたいことは、沖縄の問題に関連してでありますが、長官御自身沖縄の実情はよく御存じのとおりでありますが、今もちょっと申し上げましたとおり、本土から遠く海を隔てて離れている、島である、決して大きくはない。そういうところに在日米軍基地の五三%という巨大な基地が集中的に存在している。したがいまして、沖縄の中に基地があるというのではなくて、基地の中に沖縄があるのだということがよく言われるわけでありますが、それほどそういう基地というものが存在をして日常的に住民に対する不安あるいは迷惑をかけていることも事実であるわけですね。  これは大臣のお立場からしますと確かに非常に重要なポイントである、当然そういう御認識もあろうかと思いますが、今回危機管理という問題を担当される国務大臣というお立場から考えますときに、沖縄の今後の治安とかそういう問題等も含めて何かお考えがあるのかどうか、その点をちょっとお伺いしておきたいわけです。
  119. 中西一郎

    中西国務大臣 お話の出てくる背景なりお話の意味については、それなりに理解はできるのですが、私自身に与えられておる危機管理という問題とは、少し場面が違うというふうに思います。したがって、御不満かもわかりませんが、先生の今の御質問にストレートにお答えすることは非常に困難であるわけでございます。さらにいろいろ御質問があればお答えしてもいいのですけれども、御質問にかかわる限りでは、私、お答えできる立場にはない、かように考えます。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう危機管理ということの中身が一部新聞で報道されておりましたけれども、よくわかりません。それで、今後沖縄について、そういう特殊な状況にあるということから、国務大臣という立場から何か特別に考えを持っているということではないというふうに理解しておいてよろしいわけでしょうか。
  121. 中西一郎

    中西国務大臣 今の御質問にお答えするわけですが、要するに、危機管理担当大臣という立場よりも、むしろ沖縄開発庁長官として、かねて申し上げていますが、いろんな背景を踏まえて、その上で沖縄県の振興発展、あるいは沖縄県民の将来に対する夢をいかにして実現するかというような角度で努力する、そのことが沖縄県民の大勢の方々にとって幸せをもたらすのではないか、かように考えます。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官がおっしゃられた後半の部分が非常に大事だと思いますので、ぜひそういう立場で御尽力をいただきたいと思います。  そこでもう一つ、今度の特命事項担当ということの中に、国公有地の有効利用の推進というお立場もあるというふうに伺っているわけです。この問題、時宜を得た非常に結構なことだと思います。大臣の就任後のごあいさつの中に、そういう国有地の有効利用を推進するということは第三セクター方式によって、あるいは民間活力の導入等も図る必要があるのではないかというようなお話もあったわけでありますが、その点についても私、大変結構なことだと思うのですが、その第三セクター方式による民間活力の導入ということについて、もう少しお考えを御説明いただければと思います。
  123. 中西一郎

    中西国務大臣 第三セクターの問題ですが、これは各地方自治体その他でいろいろ実例もあるわけでございまして、自治体と民間会社がそれぞれ出資するというようなケースもございますし、国有地等全体の有効活用という観点からいいますと、第三セクターだけでなくてもいい。売り払いの場合もありましょうし、貸し付けの場合もございましょうし、また最近やかましくなっていますが、信託制度を利用するということもございましょう。いずれにいたしましても、民間にある資金を活用できないかということが一つ。さらに、その場合に何も国が税金で取り上げなくても、民間が主体になった受け皿があればそれなりに民間活力の導入の目的が達成できる。その場合に、各所にございますが、第三セクターというようなものも有用な働きをするのではないか、こういう趣旨でございます。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 大変結構な考え方ではないかと思います。  そこで、沖縄にも相当国有地があるわけですね。この際、沖縄の振興開発、長官の御構想のバイオマスランド構想等の活用の意味からも、沖縄の国有地につきましても、今長官おっしゃいましたような第三セクター方式というものを何とか導入して——それはいろいろなケースがあると思います、国有地の中でも未利用の状態のものがありますから。そういう考え方を持たれて、これは急に今どうのこうのという問題ではありませんが、今後ぜひ検討していただく必要があるのではないか。そうすることによって沖縄経済の活性化等にも大きく寄与してくるというふうに考えるのですが、長官、いかがでしょう。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
  125. 中西一郎

    中西国務大臣 現に今この時間、並行いたしまして総理官邸で国有地等有効活用推進本部のアドバイザリー・グループの会合が行れております。そこで議論しておられますことは、とりあえず人口十万以上の都市で相当広い地域の国有地なり公有地なりをどうするかということがメーンテーマになっています。いずれにいたしましても、その範囲を超えて時期として明確に申し上げかねるのですけれども、国有地についてもあるいは公有地につきましても適地があれば、たとえその地域が面積が狭くても、あるいは十万の人口がない地域にいたしましても実行するということは、その地域にとって大変いいことだと思います。  ただ、中央政府といたしましては目配りがなかなかできないというようなことで、今すぐどうというわけにいきませんが、この問題は、沖縄開発について審議会もございますことですし、地元でもまた一般的な風潮を受けて大きなガイドラインがいずれ示される。といいます意味は、西戸山でどうだとか梅田南でどうだとか、いろいろなモデルケースが出てくるだろうと思うのです。そういうものを御検討いただいて、この地域でこういうことができるではないかということがございましたならば、私、本部長代行でございますが、本部長代行が乗り出さなくても、自治体べースであるいは県のお知恵で実行はできるのじゃないかと思います。そういった面で考えますと、沖縄県の市街地等にもしそういった適地があれば大いに活用していただければありがたい、かように思います。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 次の質問に移りますが、これも同じく長官の御構想のいわゆるバイオマスランド構想ということです。これは午前中の質疑の中でも長官はお考えを述べておられたわけですが、長官のごあいさつを新聞で伺がった範囲ですけれども、沖縄の地政学的な位置を重要視されて、東南アジアだとか長期的には環太平洋諸地域とのかかわりという意味で沖縄の位置づけをもっと重要視して活用すべきではないか、具体的にはバイオマスランドということも沖縄において展開してみる必要があるのではないか、そういう考えのように我々承っているわけです。  そこで、午前中長官もおっしゃっておられましたが、ことしの秋あたりにそういう、審議会みたいなあるいはパネルディスカッションで専門家、学者の方々からいろいろな御意見、知恵、アイデアを承ろうというお考えではないかというように考えるわけですが、長官御自身、バイオマスランド構想ということをおっしゃっておられるわけですから、最終的にどういうふうな青写真を描いていらっしゃるのか、御説明をいただきたいと思うのです。
  127. 中西一郎

    中西国務大臣 せっかくのお尋ねなんですけれども、最終的な青写真というのは、学識経験者といいますか、また地元方々、大勢の方々にかかわっていただいて、そして世界じゅうの知識をまず土台にして、県民なり県当局なり開発庁なり、さらにきょう大分各省もお見えになっていますが、各省庁がこれでいこうじゃないかという合意が何よりも大事だ、私はそう思います。それにいたしましても、出発点がないといけません。そういう意味で、自分の十分でない知識をもとにしながらも、しかし筑波大学の先生とか琉球大学の先生、ニューヨーク市立大学の先生方のお話を聞きますと、どうやらこれで道が開けるのではないかという判断をいたしておるわけでございまして、そういった意味で新聞発表、というよりは自分の意見を申し述べたのが新聞に書かれたということでございます。  なお、先ほど御答弁申し上げましたが、この秋にさらにそれの、碁で言うともう既に琉球大学などで一石、二石おろしておられます。そこで、第三石目か第五石目かは別といたしまして、沖縄開発庁としても何かイベントのようなことを考えて、県当局なり農民の方々なり学者の方々なり現地の方々がまた次の手を考えていただけるよすがにいたしたいということで、今申し上げたイベントといいますか、パネルディスカッションのような試みもあっていいのではないか、かようなことでございます。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官は午前中も、先端技術は一つのブームですし、二十一世紀を目指して夢も希望も託しながら第一歩は何とか踏み出したい、レールも敷いておきたいとおっしゃっておられました。第二次振計の後半といういろいろなお話の中身として、長官御自身があえてその話をしておられましたから、これは大賛成でぜひ何とかやっていただきたい。ただ、先端技術は産、官、学の官の方が相当おくれているという感じがするのです。  そこで、長官御自身がビジョンを出しておられますので、私はこれから長官の構想の裏づけみたいなことをお話しさせていただきたいわけです。  その一つに、例の琉球大学の森田教授の沖縄北部の屋我地島にバイオマスランドの一つの中核施設を設置して、南方糸の植物資源の研究センター、いわゆるバイオマスランド研究施設をつくったらどうかという提案、長官御自身もお聞き及びかと思いますが、御所見はいかがですか。
  129. 中西一郎

    中西国務大臣 実は、私自身も森田教授のお考えから大きな示唆を受けた者の一人でございます。そういう意味で、屋我地島のお話については伺っております。ただ、諸外国の例を余り詳しくは知りませんけれども、幾つかの国では種子の収集という点では格段に進んでいる、日本の方は随分おくれているということもございます。そういうことを考えますと、一つの島だけでいいのか、あるいはもっとあっていいのではないかという気もいたします。台風のきつい地域でもございますし、そういう意味では一つで済む話なのか、あるいは複数考えるのか、いずれにしてもそう広大な地域での話ではございませんから、そういうことも含めて専門家の人に考えていただければ幸いであると考えております。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 それじゃ、長官の役所であります沖縄開発庁に伺いたいのですが、これまで沖縄でバイオテクノロジー、バイオマスあるいはバイオインダストリーといいますか、バイオ関係についての調査とか研究、あるいは既に実用化、企業化されているものがございましたら、概要を御報告いだだきたい。
  131. 関通彰

    ○関(通)政府委員 開発庁が関与いたしました調査といたしましては、昭和五十六年度から五十八年度までの三年度にわたりまして、熱帯、亜熱帯の未利用資源の多目的高度利用システムに関する研究を、開発庁並びに関連の機関で共同で研究いたしております。そのほか、沖縄で実施されました主な研究といたしましては、バイオテクノロジー先端技術を応用した沖縄農業の高度化に関する研究、あるいは琉大、県農試等で実施いたしましたサトウキビの総合利用システムの開発、県農試で実施いたしました水生植物の総合利用システムの開発等々の総合調査研究がございます。また、琉大、県農試等でもバイオマスに関する基礎的な研究、例えばマングローブの遺伝子と生理に関する研究が琉大で行われておりますし、県農試では無菌苗の大量増殖の研究等々が行われております。また、既に実用化された研究といたしまして、私ども知り得た範囲でリストアップいたしましたものが十数件ございますが、一例で申し上げますと、琉大で研究されました稲の多収量品種の育成、いわゆるF1でございますが、この研究だとか、あるいは民間団体で研究いたしましたランの細胞培養による栽培等、比較的新しい技術を用いました研究が既に幾つか実用化されておる段階でございます。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのほかにもいろいろ、私も資料をちょっといただきましたのですが、時間の関係もあります。  その中で、今お話のありました中で、これは長官のお話の中でちょっと出ておりましたけれども、これは農林省の方ですね。琉球大学の新城教授がおっしゃった超多収穫米、いわゆるハイブリッドライスの研究、非常に画期的だと言われているわけですが、農林省の方、いらっしゃっていますか。——来てない。じゃ、関さん、おたく、この新城教授の超多収穫米の研究概要並びにその評価を——農林省呼んだのに来ていないね。だれかやってよ。さっきの長官のバイオマスランドの裏づけを、少しでも芽を出しているものを並べ立てようということですからね。(関(通)政府委員「科学技術庁が来ています」と呼ぶ)じゃ、科学技術庁でも結構です。とにかく立派なものだという評価をしてもらいたい。
  133. 石田惟久

    ○石田説明員 今先生お話しのものは、私どもの管轄外でございます。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 じゃ、いいです。これは大変画期的な研究ですね。——長官かおやりになられますか。それでは長官、お立ちになりますので、ついでに、そのことについて文部省に口ききをされましたというお話も伺っておりますので、その問題も含めて。後で裏づけは、文部省の方来ていると思いますのでお尋ねいたしますので……。
  135. 中西一郎

    中西国務大臣 実はF1の話、私自身前から関心を持っておったのです。ことしの一月、就任早々でございますが、新城さんに大臣室に来ていただきました。一人ではもったいないし、数人の専門家にも同席してもらって、それでそのときにもお話を伺いましたが、新城先生がかねて大変御努力なさって、記憶違いだと失礼なんですけれども、六十か七十、原種をお持ちで、F1の開発も相当数しておられる。そのうち幾つかが中国へ渡った。中国からアメリカへ渡った。週刊雑誌にも出ましたが、アメリカから日本でそれを使わないかというようなことが農林省に打診された経過もあるようであります。しかし、農林省としては今すぐどうだというわけにはいかない。食味の問題もあるし、生産調整しておるという経過もあるというようなことだったようであります。その後、私はこの問題について新城さんの話をまた聞いたのですが、これは言ってみれば日本の国益ということを超えまして、これからの人口問題なんかを考えますと、世界の食糧事情全般にかかわりのある大変大きなプロジェクトになっていくのではないかというふうに考えまして、森文部大臣に実はお願いをいたしました。私のつもりは、六十年度予算から何がしか新城先生のお仕事について配慮をしていただければ幸いだというような気持ちで申し上げたのですが、これは文部省の方からお答えがあった方がいいのですが、森文部大臣は五十九年度の中で若干のやりくりをしてくださったように伺っております。  長くなって恐縮なんですけれども、そういった実験をやっておると、野鼠ですか、ネズミですか、それから鳥なども飛んでくる。それの防壁といいますか、金網が要るとか、いろいろなことで御苦心があって、研究者でございますが、研究時間よりもそういった意味での労働時間の方が多いというようなことも言っておられました。そういうようなことも森文部大臣に申し上げまして、若干の改善がことし見られたのではないかというふうに私は理解をいたしておりまして、素早く対応していただいたことについて文部省当局に心から感謝をいたしておるのが現状でございます。  F1全体の問題については、これは大変技術的な問題になりますので、詳しく申し上げる能力もございません。しかし、先ほど申し上げましたように、大変有意義な仕事である。しかも二回とれますから、試験の効率もいいということもございます。また、米のF1だけではなしに、ほかの食糧あるいは植生、植物全体についてもいろいろなことが考えられるだろうと思いますので、そういった意味でバイオについてのハイテクということに大いに関心を持っていくことは、これは大変大切なことだ。きょう幸い各委員先生方からこの話が次々と出てくるということにつきましても大変ありがたい話でございまして、先生方のお知恵をかりながらこれからも進めてまいりたい、かように思います。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣は食糧庁におられたということも伺っておりまして、本当にそういう意味で、沖縄のバイオマスランド構想というものはただの思いつきではないと私たちは理解しておるわけであります。  それで、今長官お話しになりました文部省の裏づけだけでも、概要だけでも簡単に説明してください。
  137. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  初めに、ちょっと仕組みも簡単に申し上げたいと思うのですが、国立大学の教官の研究に要する経費につきましては、基本的にはその教官当たり積算校費というものがございます。これは教官が研究をするに際して要する経費を見ているわけでございまして、これが一番基本的なものでございまして、教授ですと、一人年間大体二百万円ぐらいあるわけでございます。この経費を毎年措置しているわけでございます。そのほか、研究遂行上ぜひ必要だという大型の設備だとかあるいは建物等につきましては、大学内で十分検討いただいて、大学から予算要求をしていただいて、それに対して文部省の方で予算をつけていく、こんな仕組みになっているわけでございます。  先ほど中西大臣の方からお話がございましたように、琉球大学の農学部の新城先生の稲の研究に関しましても、五十九年度分にガラス室を有する実験田というようなことで要求がなされまして、実際にはガラス室有底水田というものを六百九十四平米、それから網室の有底水田というものを七百二十八平米、合計で千四百二十二平米、これだけ一応措置したわけでございます。  また、そのほか個人的にと申しますか、先生個人の方で申請をすれば、科学研究費補助金というものがございますが、これについては昭和五十一年度に新城先生に交付されている、こんな状況にございます。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうことで、今の科学技術研究助成費等につきましても、今後やはり申請があればぜひ文部省としても御配慮をいただきたいと要望を申し上げておきます。  もう一つ、これもバイオテクノロジーに関係してくると思うのですが、農林省に果樹花き優良種苗供給センターという構想があるように伺っておりますが、これも簡単に概略御説明いただきたいと思います。
  139. 長晃

    ○長説明員 お答えをいたします。  まず、御説明の順序といたしまして、沖縄県における農業構造改善事業の実施状況から申し上げたいと思うのですが、本土復帰以来、農業振興の一環といたしまして、これまで沖縄一次構あるいは沖縄二次構ということで、農業構造改善事業を実施してまいったところでございますが、五十八年度からは新たに、沖縄農業の特性に配慮しながら、生産性の高い亜熱帯農業の確立と本土農業との格差是正に資するということで、地域農業の再編等を目的といたしまして、沖縄新農業構造改善緊急対策事業、いわゆる沖縄新農構でございますが、これを実施してまいっております。  この沖縄新農構のうち、幾つかタイプがございますが、広域型事業ということで、沖縄県では、今先生指摘の果樹花き種苗供給センターという構想を持っております。県といたしましては本年度の地区指定を要望しておられるわけでございます。  このセンターの構想でございますが、県側の説明によりますと、沖縄の気象条件に適した果樹花卉の優良種苗を導入あるいは開発をする、あわせてウィルスフリーといいますか、無病苗の計画的な供給体制を確立するということで、果樹花卉の生産振興を図ろうとするものということでございます。  このセンターにつきましては、農林水産省といたしましては、本年度の地区指定の方向でただいま検討をいたしておりますが、仮に本年度地区指定ということになりますれば、来年度、昭和六十年度からは管理棟、ハウス、展示圃などを一体的に整備をいたしまして、パイナップル、パパイヤ、マンゴーなどの果樹、あるいはラン、リアトリスなどの花卉を対象といたしまして、第一には優良種苗の育成、増殖及び栽培農家への供給、それから第二には栽培技術、経営技術の普及、第三には優良品種の展示などを行うことになります。これを沖縄における果樹花卉農業振興の総合的拠点とすることになろうかと思います。このセンターにつきましては、沖縄開発庁沖縄県ともさらに引き続き密接な連携をとりながら対応してまいりたいと考えております。
  140. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう一点、今度は科学技術庁の方に伺いたいのですが、水生植物ホテイアオイの総合利用について、ことしの四月に長官賞を授与していらっしゃいますね。その研究成果の概要について、また、長官賞を授与したそのいきさつを概略御報告いただきたいと思います。
  141. 石田惟久

    ○石田説明員 お答えいたします。  水路、池、沼に繁殖し、雑草として扱われております水生植物であるホテイアオイをバイオマス資源として総合的に利用するために、ホテイアオイの肥料化、堆肥化、それからホテイアオイのメタン発酵技術等に関する研究を精力的に進めた業績を評価いたしまして、本年四月、科学技術振興功績者として科学技術庁長官賞を贈っております。
  142. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間があればもっと突っ込んでお伺いしたい点もありますが、その前に、バイオマスランドというこの構想、いろいろ各省庁にまたがりますが、沖縄開発庁という役所の位置づけといいますか、長官もさっきおっしゃっておられたが、これは日本全体の問題である、一沖縄開発庁という役所の問題ではないかもしれません。しかし、長官のひざ元である役所でありますし、また、沖縄を中核にしてそれを展開したいという考え方からしますと——公共事業というのは大事です。午前中も補助率とかいろいろ質疑がありましたけれども、社会資本の充実のためにどんどんやっていただきたい。それを前提にしまして、新しい二十一世紀型の、二十一世紀に向けてのバイオの問題を開発庁も真剣に取り組んでいく。それが沖縄開発庁という役所が行革の対象にならないとか、あるいは大きな役所として各省庁から関係する職務を吸収しながらやっていくのではないかと思いますが、関心がおありかどうか、今度は役所の方にお伺いします。
  143. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄開発庁は、沖縄の振興開発全般につきまして計画を立案し、その推進を図るのを任務といたしております。御指摘のとおり、島産業振興のために重要な役割を果たす第一次産業部門の推進のために新しいバイオテクノロジーの沖縄におきます発展を図ることは、大変重要な問題だというぐあいに認識いたしております。特に復帰後今日まで十二年の沖縄経済振興の中で、近年、第一次産業のウエートが非常に高まっておりまして、また今後、二次振計を推進していく上でも沖縄の一次産業の役割はますます高まっていくだろうと感じているわけでございますが、農業の振興を図る上でも、やはり常に最新の技術を取り入れ、また新しい展開を図っていくことが第二次振興計画を発展させるかぎになるというぐあいに認識しております。  特に大臣の御指示、御指導もございまして、開発庁といたしましてもバイオ分野におきます諸施策の推進、これは各省はもとよりでございますが、研究機関あるいは地元の団体等々が密接な協力をして進めなければいけないわけでございますので、開発庁といたしましては、そういう調整役をやりながら推進を図っていきたいと考えているわけでございます。最近、大臣から、秋にそういう体制を推進させるための会議なりディスカッションの場をつくれという御指示もいただいておりますので、秋には早速そういう計画もつくりまして一層推進していきたい、かように考えておるわけでございます。
  144. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは従来、開発庁としても少しなじみが薄かったのではないかと思いますが、沖縄開発庁がむしろ各省庁をリードして、ぜひやっていただきたいと思います。  六十年度の予算、今いろいろやっている最中でしょう。この関係予算はどういう要求をしていらっしゃるのですか。
  145. 関通彰

    ○関(通)政府委員 六十年度の予算の中にこういう、新しい分野に対応しますためにどういう事業を盛り込むか、今内部で鋭意検討いたしておるところでございます。大臣からも御指示をちょうだいいたしておりまして、私どもとしては先ほど申しましたような見地から、各方面で進めておられますバイオの諸研究を一層推進するための総合的な調査、それからさらに、新しいバイオテクノロジーを使いました沖縄の資源を有効活用するための具体的な研究調査というようなものも取り上げて、来年度の予算に盛り込みたいというぐあいに今内部で検討している最中でございます。
  146. 玉城栄一

    ○玉城委員 大蔵省との折衝等で理解を求めるのに大変御苦労されると思いますけれども、これは長官御自身、食糧戦略といいますか、食糧というのは非常に大事だというお考えのもとに展開しようということでありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  そこで、これはバイオだけでなくて、沖縄の場合は、やはり沖縄に開発、導入できそうないわゆる工業的なテクノロジーといいますか、そういうものを含めて先端技術というものも沖縄に導入して、二次振計後あるいは二十一世紀に向けてぜひ開発庁に頭張っていただきたいと思います。  次に、今度は建設省に伺いたいのです。  国会でもマスコミでも取り上げられていますいわゆるコンクリートクライシス、コンクリートのひび割れ、これは今大きな社会問題になっているのです。これは建設省よく御存じのとおりだと思うのですが、鉄筋コンクリートの寿命というのは六十年とか五十年とか、あるいは半永久と言われてきたものが、二十年ぐらいになると大規模な補修をしなくてはならぬとか、ひどいものになると十年ぐらいでぼろぼろになるとか、そういう点も指摘されているわけですね。その原因について御説明いただきたいと思います。
  147. 岩井國臣

    ○岩井説明員 先生指摘のとおり、今いろいろコンクリート構造物の塩害が問題になっておりますが、コンクリート構造物におきます塩害と言われておるものには二つございまして、一つは海塩粒子の飛来によります塩害、それと海砂の使用に起因する塩害でございます。  建設省におきましては、昭和五十七年の二月から五十八年の一月にかけまして、全国の海岸付近に建設いたしましたコンクリート橋につきまして被害の実態調査を実施いたしました。その結果によりますと、比較的大きな被害を受けたものの大半は、北海道とか東北あるいは北陸のいわば日本海側の地域及び沖縄に集中しております。海砂の使用の多いと言われております西日本地域につきましては、沖縄を除きまして被害が少なかった、こういう結果になっております。  こういうことから判断いたしますと、この調査では、海岸付近における土木構造物の塩害の原因につきまして一応結論を出しておるわけでございますけれども、冬季間の季節風による強い潮風、あるいは波しぶきを受け、あるいは沖縄のように高温多湿の亜熱帯海洋性気候でかつ台風の常襲地帯である、そういうことによりまして海塩粒子が海から運ばれてまいりまして、それがコンクリートの表面から内部へ恒常的に供給される、そういうことによるというふうに結論されておるわけでございます。  なお、海砂を使用いたしましたコンクリートに関する実態調査につきましては、現在建設省の方で実施中でございます。
  148. 玉城栄一

    ○玉城委員 対策は。
  149. 岩井國臣

    ○岩井説明員 建設省におきましては、鉄筋コンクリートに用いる海砂につきまして、海砂中の塩分含有量の許容限度というものを定めております。すなわち、建築工事のコンクリートに用いる細骨材につきましては、昭和五十二年十月に建築指導課長通知によりまして、塩分許容限度を、これは細骨材の全体の乾燥重量に占める塩分の量ということでございますけれども、塩分許容限度というものを〇・〇四%に定めております。  また、土木工事に用いるコンクリートのうちプレストレスト・コンクリート部材に用いる細骨材につきましては、昭和五十三年五月の技術調査室長通知によりまして、塩分許容限度を〇・〇三%というふうに定めております。  なお、いわゆる生コン、レディーミックスト・コンクリートの塩分許容限度につきましては、昭和五十三年六月に通産省のJIS規格が定められまして、一般的な土木用の細骨材につきましては〇・一%、建築用細骨材につきましては〇・〇四%と規定されております。  建設省では、これらの基準に合ったものを使用するよう指導しておりまして、今後とも引き続きこれらの徹底を図っていきたいというふうに考えております。  なお先ほど申し上げました五十七年から五十八年にかけまして実施したコンクリート橋の塩害実態調査の結果、塩害の主たる原因は海塩粒子に起因するという結論が出ておりますので、そういう結論を踏まえまして、本年の二月に「道路橋塩害対策指針(案)」というものを作成いたしまして、これは都市局の街路課長と道路局の企画課長両名の通達という形でやっておりますが、を出しまして、それによって対策を講じております。塩害対策を必要とする地域というものを設定しながら、例えばコンクリートのかぶり厚を大きくするとか、あるいは事実なコンクリートを打つというふうな対策を講じておるところでございます。
  150. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは建設省も御存じだと思うのですが、沖縄で公営住宅が、入居後三年ぐらいで軒下がひび割れがばっと出て、ひどいところは、夜中寝ているときに、天井から三十センチぐらいのコンクリートがおっこってきた。これはけがでもしたら大変な問題ですね。それは一カ所だけではないのです。その原因については公社側も、これは鉄筋コンクリートの中に含まれている塩分の含有量が異常に高かったということはちゃんと認めているわけですね。ですから、これは先ほど指摘がありましたけれども、大なり小なり沖縄の場合そういう高温多湿というようなこともあって、そういう被害というものは私は高いと思うのです。いわゆる鉄筋の腐食について、沖縄の場合と本土はちょっと気象条件がいろいろ変わりますから、同じですか違いますか、どうなんですか。
  151. 岩井國臣

    ○岩井説明員 先ほど申しました五十七年から五十八年にかけまして実施いたしました塩害実態調査によりますと、本土では海岸線から大体二百メートルから三百メートルまでの範囲内に塩害が発生しておる。これに対しまして、沖縄ではそれらの範囲を超えまして内陸部まで塩害が発生しておる、こういうことでございます。沖縄県は、先生指摘のとおり、高温多湿ということでございます。亜熱帯性の気象条件ということでございますから、またさらに台風も非常にたびたびやってくるというふうなことで、いわば腐食環境が厳しい状況にあると言っていいのではないかというふうに考えております。
  152. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので、これは建設省に伺って、最後に長官でも結構ですし、小林さんでも結構ですが、腐食指数といたしまして、これも私たちはそういう専門家でありませんから全くわかりませんが、全国平均では一・八四、ところが、沖縄の那覇では三・八一、石垣では四。九四。那覇は全国平均の二倍であり、石垣は二・七倍である、そういう数字もあるのです。これはある学者の出してある数字です。そういうことに伴う損失額が、海外のそういう試算によりますと、GNPの二%ないし四・二%だというのですね。そういうことからしますと、これは昨年五十八年、GNPおおよそ二百七十八兆、そうしますと、五兆円ないし十一兆円ですか。それからすると、沖縄の場合さらにそれよりもひどい、もっと大きいというようなことからしますと、五百億ないし一千億というように出している学者もいるのですね。  ですから、振興開発ということで公共投資をどんどんされるのは非常に大事ですが、そういうことで年間この数字どおりだったら、これは大変な問題だと思うのです。これは建設大臣もこの前の決算委員会で、ぜひこれは検討しなくちゃならぬ、沖縄についてはそれだけひどいから厳しいということもおっしゃいましたが、特に沖縄についてはそういう腐食度が高い、したがって損失額も全体的に高くなってくるということからしますと、開発庁としてもこれは看過できないと思います。長官、いかがでしょうか。
  153. 中西一郎

    中西国務大臣 大変問題であるということはよく理解できますし、かねて心配をしております。そういったことを踏まえて、建設大臣ともよく相談をさせていただきたいと思います。とても放置できる問題ではないと思います。
  154. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 渡辺朗

    渡辺委員長 青山丘君。
  156. 青山丘

    ○青山委員 長官を初め皆さん、朝から大変お疲れだと思いますが、いましばらくひとつ。なおまた、朝からの質疑を聞いておりますと、私の質問の内容といささか重複をする点もあるかと思いますが、私の立場からあえてお尋ねをいたしたいと思いますので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。  昭和六十二年、沖縄国体がいよいよ開催をされる運びになりますが、三十六競技が沖縄市泡瀬の国体主会場を中心として展開をされます。三十四市町村の八十三会場で実施されるわけですが、ほとんど沖縄本島の北から南まで、石垣を含めて沖縄全体が国体色を強めていくときが来ます。この国体を通じて選手、役員で二万九千名の人が沖縄に来られることになります。特に選手、役員の輸送について、宿泊がどうしても那覇を中心として集中してまいりますので、バス輸送ということになるのでしょうけれども、そうなってまいりますと、道路事情によっては交通渋滞が起きるんではないか。競技の運営上支障があってはいけない。そうなってきますと、どうしても、一つは南伸道の開通をここできちっと見通しを立てることができるか、いま一つは国体関係施設に関する道路の整備を進めていくことができるかどうか、これが六十二年の国体を成功させることができるかどうかという重要な問題になってまいります。  先般、南伸道の建設については、沖縄市山内地区と宜野湾市我如古地区で、地域住民との話し合いがようやくついたということであります。しかし、地域の人たちとの話し合いが済んで、くい打ちをこれから進められるということですけれども、全体としては、さて南伸道の建設が国体開催までにきちっと整備し終えることができるかどうか、開発庁決意とその方針について、まず伺いたいと思います。
  157. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生がおっしゃいますように、昭和六十二年度の国体におきまして、南伸道の建設というものはぜひ必要な高速道路でございまして、道路公団の事業ではありますけれども、開発庁としても深い関心を持っておるところでございます。そこで、現在の進捗状況でございますが、用地買収は現在五二%という状況で、相当の進捗を示しておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、一部地域において折衝が難航した地域があるわけでございます。これらにつきましても、関係者の熱心な説得によりまして地元との折衝が相当に進捗されると聞いておるわけでございまして、ぜひ今後地元の説得を通じまして国体の開催までに間に合わせていただきたい、このように思っておるわけでございます。
  158. 青山丘

    ○青山委員 国体の開催までに間に合うと思っておられますか、どうですか。
  159. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 ぜひ間に合わせなければなりませんし、間に合うように私は道路公団とまたよく協議をいたしたいと存ずる次第でございます。
  160. 青山丘

    ○青山委員 南伸道の総事業費千三百三十億円、新聞報道によりますと、六十年以降に九百億円の投資をしなければならない。これはなかなか大変だと思うのです。よほどの決意で臨んでいただかないといけないと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  161. 中西一郎

    中西国務大臣 確かに大きな事業でございます。しかし、やるとなったらやれると思うのです。今ソウルのオリンピックの用意を韓国でやっておりますが、これも大変な勢いでやっております。今まで我々が聞いておる限りでは、我が国におきましてもオリンピックのときに大変な突貫工事をやりました。総力を挙げてやれば御期待に沿える、かように思います。また、そうしなければならないと思います。
  162. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつその決意で取り組んでいただきたいと思います。  次に、南伸道が那覇−石川間三十一・五キロメートル、発着地は那覇ということになっておりますけれども、実際は南風原町ですね。発着地が南風原町になってきた理由をひとつ聞かせていただきたい。  実は、沖縄というのは本土にとっては重要な観光地で、本土からたくさんの人たちが行くわけで、今、年間二百万人近いというふうに聞いております。二次振計でも観光の振興をうたっておりまして、「観光受入体制の整備」という項目では、空港、港湾、道路、これらの体系的な整備を進めていくと述べておられます。そして、二次振計の最終年には年間三百万人の観光客の受け入れ態勢を整えたい、こういうようでありますが、ことしも相当たくさんの人たちが沖縄に行くわけですけれども、本土の若い人たちは、那覇空港に着いたらすぐにビーチがあると思い込んでいるのですね。ところが、北部の方へ行くのには一時間以上二時間もかかって行かなければいけない。これで沖縄の観光開発が本当に進んでいくのか、こういう問題があります。  そこで私は、これは非常に重要なことですが、南伸道を那覇空港まで延ばすべきではないかと思います。那覇空港まで南伸道を延ばすことによって、沖縄本島の北部のリゾート地帯を中心としてリゾート観光全体、沖縄本島の観光地が相当な活力と刺激を受ける、こういうことで沖縄全体のグレードアップを図ることができると思うのです。私は南伸道を那覇空港に結びつけるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  163. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 まず第一の南伸道の発着地を南風原にした理由は何かということでございますが、沖縄自動車道、このいわゆる南伸道の計画につきましては、高速自動車国道法に基づきまして石川市から那覇市間に高速自動車国道を新設する、こういう方針で国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経まして、昭和五十三年十二月二十二日に予定路線が定められて、昭和五十四年三月二日に整備計画が決定をされております。  この決定に至るまでの自動車道の起終点及び計画ルートにつきましては、諸般の調査検討を行いました結果、現在の案を最適のものとして採択したと聞いておるわけでございますが、全般的なルートにつきましては、地域開発の動向であるとか事業の効果等を総合的に勘案いたしまして中南部地域を縦貫するルートを選定いたしまして、沿線各都市との接続につきましては、都市の外縁部にインターチェンジを設置いたしまして、これを都市の外郭環状道路、これはいわゆる一般道路でございますけれども、これにより交通の分散導入を図るという計画、こういう計画にしたということを聞いておるわけでございます。  そこで、第二の質問でございますけれども、空港まで南伸道を導入したらどうかということでございますが、その点につきましては、ただいまのようなことで、いわゆるインターチェンジと空港との間、また那覇市内につきましては一般道路で接続する、こういうことでございます。  それでは一般道路で十分であるかどうか、こういうことになるわけでございますけれども、この点につきましては、ちょっと具体的に申し上げさせていただきますと、この那覇のインターチェンジ、これは仮称でございますけれども、いわゆる県道の第二環状線に接続する、これは安謝から首里を通りまして国道三百二十九号線に接続する計画となっているわけでございまして、自動車道の交通は、この環状線を介して那覇市内各地への分散導入を図る、こういうことに考えておるわけでございます。  それから、空港との接続につきましては、既に完成しております山下垣花立体交差、これで随分交通の緩和が図られておるわけでございますが、これを通じまして国道五十八号線、それから県道の第二環状線を経まして那覇のインターチェンジに至る方法、またもう一つの方法といたしましては、国道三百三十号線というのがあるわけでございますが、これを西原バイパス、現在工事中でございますけれども、これとつなぎまして西原インターに至る方法、こういう方法等が考えられるわけでございまして、空港から自動車道に至る道路、またそのアクセス交通というものは何とか対応できるのではないか、このように考えておるところでございます。
  164. 青山丘

    ○青山委員 長官を初め皆さん方はよく御存じだと思いますけれども、那覇市内の交通渋滞というのが相当深刻なものだということはわかっていただいていると思います。今の南伸道が国道三百二十九号線に接続をする、こういうことですけれども、そうなってまいりますと、南風原地区の渋滞及び那覇市東部の交通渋滞というのがより深刻になってくる。南伸道をつくっていただくことによって、例えば浦添市以南の国道五十八号線は若干渋滞が解消されるかもしれない。しかし、南伸道が開通することによって那覇市東部の交通渋滞がより深刻なことになっていってしまっては、せっかくの南伸道の開通というのが価値が薄らいでいってしまうのではないか、こういうことで私は心配しておるのです。結局、南風原町にインターを開設するのなら、一つはこの交通渋滞を何とかしていくということが考えられなければいけない。  それから、御承知だと思いますけれども、沖縄南部の方の豊見城村、南風原町、与那原町、この一帯が交通渋滞が日常相当起きている。そのことによって、国道三百二十九号線、三百三十一号線、県道七号線、これらの幹線道路の交通を何とか緩和していく必要があると私は思います。それで、南部の交通渋滞解消に対して開発庁の御見解をひとつぜひ、これからどのように対処をしていかれるのか、聞かせていただきたいと思います。
  165. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 私も最近まで那覇に住んでおりまして、南部の交通渋滞は十分承知をいたしておるところでございます。  そこで、三百二十九号線を中心として与那原等に至る道路の混雑の緩和の方策でございますが、現在明治橋から那覇大橋の間を漫湖バイパス、こういうことで既に事業を実施中でございます。さらに那覇大橋から国場交差点まで、これまでは那覇東バイパスといたしまして現在事業に着手の準備をいたしておるところでございます。また、那覇から沖縄南部各地域における主要道路の交通の混雑の状況、これも考慮いたしまして、これらに対処するために、各年の道路事業予算についても本島南部各地域への幹線道路の整備を最重点項目一つに挙げて、その整備を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、本年三月に先ほど申し上げました山下垣花立体交差が完成いたしましたし、これに続きまして、国道五十八号線明治橋の拡幅工事、これを現在実施中でございます。さらに先ほど述べました漫湖、那覇東バイパス、さらに国道三百三十一号線の小禄バイパス、こういうものも事業の促進を図っているところでございまして、今後南部地域の交通の渋滞につきましては、できるだけそれを解消する努力をさせていただきたいと考えております。
  166. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ沖縄経済の発展のためにも、市民生活の福祉につながる交通渋滞を緩和する努力を、思い切って取り組んでいただきたいと思います。  中西長官が去る七月二日の——けさほどからの質疑と若干重なるかもしれませんが、ひとつ私の立場からも質問させてください。  七月二日の記者会見で、沖縄の振興開発に関して、沖縄の亜熱帯地域としての農業など第一次産業に着目をして、新しい技術を取り入れながらバイオマスランド構想の具体化を目指す考え方を明らかにされました。相当な反響を呼んでおります。  この際、長官沖縄におけるバイオマスランド構想について少しお尋ねをいたしますが、沖縄は亜熱帯地域に位置をして、有効な物質を含む生物資源が豊かなところだということでございますが、そういう意味で、これまでもバイオテクノロジー関係の研究がさまざまな分野で幅広く行われてきました。  バイオテクノロジー技術を展開する場としては極めて恵まれている。いよいよ沖縄の出番が来た、こういうように新聞でも報道されております。  バイオマスランド構想は農業に着目をされての展開でありますが、具体的にこれからどのように進めていかれるのか、明らかにしていただきたいと思います。また、その事業の中核的研究施設の設置等も考えておられるのかどうか、いかがでしょうか。
  167. 中西一郎

    中西国務大臣 このバイオマスランド構想という言葉自身、これは先ほど来から若干お話も出ておりますが、琉球大学の一部で既にそういった構想がございまして、それとまた別の流れでございますが、資源植物学といったような立場で日本は随分立ちおくれているということを指摘する学者もおります。そんなことをあわせ考えまして、先生お話しのように大変な適地でもあるということを考えますと、もう少し県全体あるいは政府全体で取り組んでいく価値があるのではないかというようなところからの私自身の発言でございます。  その上に、一月になりまして新城博士のF1の話も詳しく伺いました。またさらに、きょうはまだお話出ていませんが、例のサトウキビのバガスの利用などについてもいろいろな技術が開発されつつある。ホテイアオイについては既にお話が出ました。そのほかマカデミアナッツとかいろいろなことについて知恵者がたくさんおられる。そういうものを単発的な発想としてただ第三者的に見守っておるというだけではもったいない。そして沖縄自身が恵まれた地理的な条件にあるということとあわせまして、これはもっと大きく育てていくことができるのではないかということで、私自身が何も初めて申し上げることではないので、大勢の方々の知恵の上に立って申し上げたことでございます。  具体的にどう進めるかとなりますと、これは私個人の知恵ではなかなか及びません。そういった意味で、先ほど来委員の各位からお話がございましたが、それぞれのお立場から御指導や御協力をいただきたいということもございますし、琉球大学も非常に張り切っております。また筑波大学もやっている。各大学でやっております。そういう考えの成果を集中して、そしてより大きなものにしていくということを期待しておるのです。そういう意味で、具体的に来年はどうして、三年後はどうして、五年後はどうしてというふうなところまでは熟していないということを私としては御理解賜りたいと思います。  また、中核的な研究施設については、一月になって沖縄開発庁の諸君に私が話しまして、初めは一体何だろうかということから始まったのですが、さすがに優秀な人ばかりでございまして、だんだんと資料も集めてくれまして、そして六十年度にはこうしたいというようなことも考えてくれております。そういうようなことで、中核的な施設というものが具体的にどうなるかわかりませんが、幾つかあっていいのではないか、一つでなければならないということはない、あるいは一カ所に集まるのかもしれませんが、多種多様な目的を持ったものが集まっていいのではないかというふうにも考えます。  いずれにいたしましても、大勢の方々の有識者の知恵の集積を図らなければならない。また県の住民の方々、農民の方々の、それならやろうではないかという前向きの熱情といいますか、これも大切ではないか、かように考えておるところでございます。
  168. 青山丘

    ○青山委員 反応が非常にいいということは、それだけ時宜を得た長官の発言であったと私は思っております。将来は食糧危機が心配をされているときに、生物工学を通じて新しい技術を導入して農業生産の拡大を図っていく、これは非常に重要なことであり、しかも沖縄がその土地として適している。今大臣がいみじくもおっしゃった日本は世界的な規模で考えていくとおくれている分野もある。それは恐らく、大臣がおっしゃる意味は、遺伝子資源といいますか、種子資源を蓄えておくという点では日本は大分おくれているんだ、こういうことだろうと思うのです。そういう意味では、幅広い多くの皆さんたちから期待を寄せられて、沖縄の振興発展にこの構想が実を結んでくれば、非常に明るい日本全体の一つの希望につながってくる、こういうふうに私も思っております。  そこで、ちょっと言いかけられて消えたようなことかもしれませんが、例の開発庁が発表されました果樹花き種苗供給センターの設置構想が出されておりますが、これがバイオマスランド構想とのかかわりを持っているのかどうか、この供給センターの目的は何か、業務の内容について少し御説明をいただきたいと思います。
  169. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 それでは、まずこの果樹花き種苗供給センターの業務内容から説明をさせていただきます。  このセンターは、沖縄県の全域を対象といたしまして優良種苗の安定的供給を行う、こういうことを通じまして沖縄県の果樹花卉産業の発展に資そうとするものでございます。業務内容といたしましては、現在のところ優良種苗の育成、増殖及び供給でございまして、対象の品目といたしましては、果樹はパパイヤ、グアバ、レイシ、マンゴー、パイン等、また花卉についてはラン、菊、ユリ等でございます。それから第二番目に、品種モデルの展示ということを行いますとともに、三番目に栽培技術の指導、こういうことを中心として行うことを考えておるわけでございます。  これのバイオマスランド構想との関連でございますが、このような種苗の供給が、バイオテクノロジーを活用したウィルスフリー苗の増殖、またその供給等を行うということでございまして、将来同構想の具体的な展開を見るとするならば、これに寄与するものと考えられますし、また、考えようによりましては、そのためのワンステップであるとも考えられると存ずる次第でございます。
  170. 青山丘

    ○青山委員 若干農業に関係してお尋ねをいたしたいと思います。  沖縄の農業においては、農業労働力の老齢化が進んでおりまして、新しい農業技術の開発に対応して若い労働力の確保、それから農家経営の改善、近代化ということが迫られておりますが、振興局長さん、これに対する対応策、農業労働力の老齢化の傾向に対して、将来のすぐれた農業の担い手としての構想をひとつお示しいただきたいと思います。
  171. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますように、最近は相当労働力が老齢化しておる状況でございまして、これは全国的な現象でございますが、沖縄県におきましても最近非常に顕著になってきております。したがいまして、この老齢化に対処いたしまして、農業経営の合理化近代化、こういうものを図ることは非常に必要であろうと存じます。  そこで、そのための対策でございますけれども、いわゆる地域農業集団育成事業、要するに集団で農業を行う、さらに農用地の利用増進事業、遊んでいる農地と言っては悪いわけでありますが、いわゆる利用権を設定いたしまして集団で農業を育成する事業というものが従来から行われておりまして、こういうものを通じましていわゆる若手でやる中核農家というものを育成することが非常に重要ではないかと思うわけでございます。そのほか就農の青少年、こういう者に対する各種の研修を推進するとか、また若い人が新しい事業をやる場合に農業後継者育成資金というようなものの貸し付けを行う、こういうことによって近代化を図る必要があると存じます。最近沖縄におきましては、花卉等を通じまして若い人が非常に意欲を持って生産に従事しておる、こういう例もございまして、集団化等も通じましてこういう事業を育成していかなければならない、このように考えておるところでございます。
  172. 青山丘

    ○青山委員 沖縄では、農業労働力の老齢化と農業後継者の不足から大分離農される方も出ているというようなことを聞いて心配しておるのですが、今お話しのような施策をぜひ進めていただきたい。  そういうことで、一つ問題になるのは、最近沖縄でも兼業農家がふえてきておりまして、農地は資産的に保有されている、そうなってくると、これからの農業の一つの課題である経営規模の拡大であるとか生産性を向上するための努力、そういうものがなかなか進んでいかない、こういう状況も一面あると思うのです。いかがでしょうか。それで結局、土地資源をいかに有効に利用して活用していくか、それから今おっしゃったみたいな中核的農家をいかに育成していくのか、経営規模の拡大をどうして図っていくのか、その辺の見解をひとつ示していただきたいと思います。
  173. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 ただいま先年おっしゃいますように、今後農業の近代化を図るためには、農地の集団化、またはそれに伴います中核農家の育成が非常に重要なことだと存じます。沖縄は中核農家数は全国に比べて比較的多いようでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、遊んでいる農地というものは利用権を設定し、さらに集団化する、そういうことを通じまして今後沖縄の農業というものを経営規模の拡大を行い、また基盤整備等も行いまして、生産性の高い農地にしてゆくことが必要であろうと存じます。
  174. 青山丘

    ○青山委員 ちょっとかみ合っていませんが……。  農業基盤整備の現状を見てきますと、高度の技術を展開するための水資源の確保が重要になってまいりますが、沖縄ではこれがなかなか難しいようです。また、土地改良等の事業がなかなか進んでいかない。そういうことから、高度な園芸作物の栽培や集約的農業を展開するのにはまだまだ時間がかかるようですね。  問題は、一般農家と試験研究機関との連携をどのようにとっていくのか、技術開発された知識を一般農家の方へどのように普及させていくのか、こういう考え方をぜひ進めて、新しい技術革新の時代に対応する沖縄農業の組織づくり、こういうものが必要だと私は思います。そういう血尿で、一般農家と試験研究機関との連携をどういうふうに進めていくのか。また、開発された技術や知識を普及させていくための組織づくり、こういうものをぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  175. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 いわゆる試験研究機関で開発されました農業に関する新しい技術、こういうものを一般農家に普及することは非常に重要でございます。そのためには、やはり個々の小さな農家でそれを受けるのは非常に難しいわけでございまして、やはり先ほど申し上げました農業の集団化によってそれを受け入れる態勢をつくることはぜひ必要でございまして、トラクター等新しい技術また大きなものを使う場合にも当然そういう集団化が必要でございまして、そういう点、私も十分勉強しておりませんけれども、今後十分研究をさせて、そういう点を普及させていただきたいと考えるわけでございます。
  176. 青山丘

    ○青山委員 終わります。
  177. 渡辺朗

  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、きょう、平和と民生安定について質問申し上げます。  最初に、中西長官が危機管理関係大臣になられたときの発言でございますが、朝日では「将来は有事法制も」、それから毎日は「有事立法研究も 危機管理 中西特命相が示唆」、読売は「「有事法制」将来、研究も 中西国務相表明」というふうにあります。沖縄現地のタイムス、新報にも大体同じようなことがあります。私、これを見まして非常に衝撃を受けたのです。今でもそういったお考えがあるのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  179. 中西一郎

    中西国務大臣 実は、新聞記事については責任を持てないのですけれども、私自身が申し上げたことは、有事法制、特に第三分類について関心はある、しかし法律問題ですから私の立場ではできないということで、やるつもりはない、しかし関心はある、こういうようなことを言ったことがございまして、それが、何といいますか、有事法制に取り組むんだというようなことになりまして、またある時期になったら、それはやらないらしいというようなことになりまして、やや不鮮明な印象をお持ちになるのはごもっともだと思いますが、私としてはやるつもりはございません。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで六月二十三日、慰霊の日、あの口は三十二軍の司令官と長勇参謀長が白刃して、いわゆる組織的抵抗が終わった日が六月二十三日、私も毎年行っております。それで合掌しております。そのとき中西長官の代読があって、平和の誓いが行われた。沖縄戦は陸上で全国でただ一カ所しかない。だが、亡くなった人々は、三十二軍は北は北海道から全国にまたがっておるものだから、遺家族はほとんど各県から来ております。それでまた慰霊碑も、北海道の慰霊碑もあればね。ですから、私は沖縄戦の教訓は原点だと思うのですよ。  その意味で、少なくとも開発庁長官の口から有事法制、物騒なことを聞くようなことになって沖縄県民に衝激を与えておりますが、今の御答弁でわかりましたが、将来にわたってもこれはそういった有事立法じゃなしに、むしろ平和と民生の安定という方向、これこそ長官基本的姿勢でなければいかぬと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  181. 中西一郎

    中西国務大臣 午前中からずっとお答えしておることでもあるのですけれども、特に第二次振計もだんだん三年目、四年目、五年目と後半にかかります。そういったようなことも考えますと、沖縄県民の方にこれから新しい夢を描いていただく必要があるのではないか、その夢とは一体何だということになりますと、やはり何といっても第一次産業が基盤にございますし、漁業、農業、あるいはこれは林業とは言えないかもしれませんが、バガスの利用とかいろいろなことを考えますと、これははやり言葉で横文字、片仮名になるのですけれども、バイオテクノロジーとかあるいはバイオマスとかいう先端技術について、特に琉球大学も御熱心ですし、筑波大学でもやっておりますし、また各地域の大学もやっております。しかもそれを使い得る地域、どこだということになると、沖縄は最適地だと私は思っているのです。そういう意味で、新しい発想でこれからの沖縄の未来を開きたい、そして民生の安定も図りたいと考えておるところでございます。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今おっしゃった点も、やはり何といっても平和が前提ですね。平和がなければいかにそういった基盤整備をどうすると言ってみたところで、戦争になるとこれは大変なことです。だから、そういった平和の原点に立って、今おっしゃるように有事法制みたいなことを将来にわたって誤解されるようなことも言われぬようにぜひお願いしたいと思います。  それで、具体的に平和の問題に移りますが、今一フィート運動、フィルム関係、これを私、申し上げまして、委員長、これを長官に見てもらいたいと思いますが……。
  183. 渡辺朗

    渡辺委員長 渡してください。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 実は一フィート運動を提唱した人は、ひめゆり部隊の奇跡的に残った仲曽根改善さんで、元琉大教授なのです。ひめゆり部隊の前に鎮魂碑があります。   岩枕、固くもあらん   安らかに   眠れとぞ祈る   学びの友はこれは仲曽根改善さんが歌ったもので、鎮魂碑に鮮やかに彫り込まれております。これが一フィート運動の原点なのです。  それで、民間機関ではありますが、私、事務局に行って全部調査した結果を今お手元にお配りしたのですが、調査によりますと、第一次の分で十二本、これで百十七万二千円かかっております。これはこの前、長官も参議院の沖特委でごらんになったものなんです。次に第二次分として二十五本、これは八月中旬に入手予定になっていて、これの分は、大体一本十一万かかりますから、二百八十万五千六百円ないと手に入らない。合計三十七本で、約四百万円近くなるのです。今わかった分で大体千本から千五百本あって、この事務局に送られた目録が三百本。三百本といいますと、これを入手するためには三千三百万円以上になるわけなんですが、千本となると一億一千万円、民間の手ではもう限界が来ているのです。  沖縄に住んでも、普通、これはアメリカから贈ってきたのだろうと考えているのです。まさか金出して買ったんじゃないんじゃないかというふうな考え方だが、実は金を出してこれを購入している。しかも、一円カンパとか二円カンパとか十円カンパを集めてやっていますが、もう限度に来ているので、向こうの事務局の責任者あるいは会の代表にも会いましたが、今千から千五百本あるということは向こうの公立文書館、国立文書館あたりの調査でわかっておりますが、調査すればもっとわかるわけなんです。生々しいのが、三百本は目録もう既に来ておる。この問題、民間ではどうにもならぬところまで来ておるので、国の費用でこれを何とか実現して平和のために貢献いただきたいというのが一フィート運動に参加している人々及び県民の願いなんですが、私はすぐ国が費用分担するのだといったことは御答弁求めませんが、これは平和に対する貢献ということで前向きに検討して、ぜひ長官の御奮闘をお願いしたい、御意見を承りたいと思います。
  185. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄記録フィルムの一フィート運動につきましては、関係者の方々が大変御熱心にこの運動を進めておられることを開発庁としても承知いたしております。私ども承知しておりますのでは、この事務局の方々が直接米国の国立公文書館等と御連絡をとられまして、しかも民間の基金を募られてフィルム購入の運動を進めておられると承知いたしております。開発庁といたしましても、直接事務局の方々等からの御要請を受けたことはないわけでございますけれども、民間の運動として進められておりますので、やはり運動を推進されている方々の御意向も十分尊重しなければならないだろうと思っております。  御要請等がございましたら、開発庁としてはできるだけの御相談をしなければいけないかと思っておりますが、ただ先生も御存じのように、前にもUSCARの文書の収集の問題で開発庁検討いたしたことがございます。USCARの文書も米国の公文書館に保存されているものもございますが、私ども調べますと、相当専門的な知識、専門的な機関が対応した方がいいということで、USCARの文書につきましては国会図書館の方で御検討をいただくことにいたしております。したがいまして、開発庁がこういうことに対応できるのかどうか若干問題があろうと存じますが、御相談がございましたら、開発庁なりの立場で対応いたしたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は直接足を運んで事務局へ行ったのです。事務局へ行ってこの資料をもらってきた。それで、今言ったように民間の力ではぎりぎりいっぱいのところなのだ。値段が一本十一万円しますから、高過ぎるのですよ。この一フィート運動、これは正確には子どもたちにフィルムをとおして沖縄戦を伝える会、これが実名なのです。これが一フィート運動ということになっておりますが、この代表が今申し上げましたあの「岩枕……」とうたった仲曽根改善さんなのです。ですから、民間の力ではもうぎりぎりいっぱいのところなのですよ。もちろん正式に要請する、陳情すると言っておりました。そういった意味でも、政府が当たるのと民間のわずかの力で当たるのとでは非常に違います。  公文書関係、これは私、質問主意書でも出しましたが、国立図書館に主体があって政府は協力するのだといったような答弁があるのですが、それはそれとして後で質問しますが、少なくともこの平和への貢献という問題でもっと政府——あのひめゆり部隊の奇跡的に生き残った人であればこそ真剣なのですね。これはぜひ子供たちに伝えたい。そして、未来は平和で生きていけるようなことを伝えたい、この腹なのです。これは今の話では、この前も何か委員会で、そういった団体から要請があれば考えたいみたいなことを言っておりますが、ひとつこれは考えてください。必ず来ますよ、私はおととい行ったのだから。  それで、長官お願いしたいのは、特に今具体的に申し上げましたように、財政民間ではどうたもならぬところまで来ておることは事実なのですよ。これをぜひ長官としても、外務省との関係もありますが、国の力で、国の費用でせめて補助金を出すか何か、方法は幾らでもあると思いますが、この平和に対する貢献として国の力もかしてほしいというのが事務当局及び沖縄県民、平和を願う県民の願いなので、長官、その点でひとつ御努力お願いしたいと思いますが、いかがですか。
  187. 中西一郎

    中西国務大臣 御趣旨承りましたが、今すぐここでどうするということもちょっと申し上げかねる。経過等もお聞きしなければなりませんし、また、事務局がどういうことでどういうふうにおやりになってきたかというようなことも全く承知いたしておりません。ただ、平和を守る、そして平和を続けるということはいろいろな角度から実現していかなければならない。一つの道だけで平和が守れるものでもないというふうにも思います。しかし、平和が大切であるというのはおっしゃるとおりであります。この具体的な問題につきましては、沖縄開発庁がいいのかどうかという問題もございます。そういったようなことを含めて、よく事務当局に検討させたいと思います。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今初めて長官も見られるからおわかりにならぬと思いますが、これは実際私が調査した結果ですから、十分調査されて、開発庁長官担当長官になるかどうかも検討されなければいかぬと思いますが、いずれにしても沖縄県の問題なので、長官もぜひ本腰を入れて積極的に運動してもらうよう要請しまして、次に移ります。  次は民生安定の問題ですが、沖縄公共事業関係本土の企業及び沖縄県の企業に対する受発注がどういう比率になっているか。民間のいろいろな調査に基づくと、六割が本土の企業に流れている。沖縄の中小企業には四割しか行っていない。それがこの前の開発庁の発表ではっきり、大体六割は本土企業、四割が沖縄だ。この問題は、開発庁の資料が届いたので現地の新聞にも公表しましたが、新聞社では大々的に現地企業を優先すべきであるという社説まで書いてありましたが、いずれにしても、この問題を、ぜひ検討してほしいと思って幾つかの質問をします。  最初に、沖縄の県民所得、これは全国平均でどのくらいになっているかという問題です。それから失業率、企業倒産の現状、この問題。それから、沖縄に国から出す失業対策費、これは自治省の決算にあらわれております。それから、全世帯、勤労世帯と分けて沖縄県民の貯金が全国的に幾らくらいになっているか。それから負債が幾ら、これを発表していただきたいということを事務当局に連絡してあるので、発表してください。これは基礎指数ですから、開発庁はどういうふうな確認をされているか。さっき連絡してありますから、説明してください。
  189. 関通彰

    ○関(通)政府委員 最初に失業率でございますが、最近の数字で見ますと、五十九年五月の沖縄の失業率が五・四%でございます。同月の全国の失業率は二・七%でございます。  それから、中小企業の倒産件数でございますが、五十八年の年計で沖縄が二百七十二件でございます。  それから、一人当たり県民所得でございますが、これは五十六年の数字でございますけれども、沖縄は百二十三万六千円でございます。全国の平均が百七十三万二千円でございます。全国を一〇〇といたしますと、沖縄は七一・四でございます。  それから、貯蓄と負債でございますが、貯蓄額は、沖縄県の全世帯の平均が三百九万五千円でございます。勤労者世帯が二百三十五万四千円でございます。それに対応します全国の平均は、それぞれ七百二十六万三千円と六百十万八千円でございます。それから負債額でございますけれども、沖縄県の一世帯当たりの負債額、全世帯が二百二十三万一千円でございます。勤労者世帯が二百五十六万七千円。それに対応いたします全国平均は、それぞれ二百七万七千円と二百七万九千円でございます。  それから、もう一つ失業対策費でございますが、先ほど御連絡をいただいて、数字がちょっと確認できておりませんので、確認できましたものだけ御報告申し上げました。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 国から出す失業対策費ですよ。これが手元にないと言いますが、私から説明します。これは五十一年度の決算、自治省調べです。全九州を絞って言いますと、人口一人当たりの失業対策費は福岡が四千四百九十円、沖縄は五十円です。九州全体平均で千九百九十四円、沖縄はわずかに五十円です。これは自治省から出すいわゆる国としての失業対策費なんです。  私、なぜ当局からこの基礎数字を出してもらったかというと、もちろん今ソテツ地獄とは言いません。一応皆さんの努力もあっていろいろ生活は向上しているが、一次振計、二次振計、これもせめて他府県並みになろうというのが振計の——長官も今いろいろ話がありましたが、これを基礎にして考える場合に、公共事業沖縄県民優先で切りかえていかないと金が落ちない。逆流していく。これは日本銀行那覇支店を通じて全部わかっているのです。逆流していっているのです。この構造を変えないといけない。  時間が参りましたので、この点についてはこれ以上説明しませんが、一つ一つ取り上げても非常に重大な問題を含んでいるのですね。まだ、がんまでは至っていないわけで、やり方によっては治ります。今開発庁がおっしゃった基礎数字、これをどうしても変えて、せめて全国並みにやらなくちゃいかぬわけだから、長官、その面で特に公共事業問題で沖縄県民優先の方向に努力していきたい、こういった点をぜひ努力してもらいたいと思いますが、最後に長官のお話をお聞きしたいと思います。
  191. 中西一郎

    中西国務大臣 公共事業につきましては、第一次振計以来ずっと力を入れてまいりました。しかし、いずれにいたしましても、復帰してからまだ日なお浅いということもございますから、第二次振計の期間も通じまして、他府県並みということではいけない、他府県よりも十分に力を入れてまいるということで従来やってまいりましたし、これからもそういった方向で、今各種指標についての説明もありましたが、そういった点について配慮しながら力いっぱいの努力をしてまいりたい、かように思います。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  193. 渡辺朗

    渡辺委員長 次回は、来る八月二日木曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会