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1984-04-25 第101回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十五日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 渡辺  朗君    理事 上草 義輝君 理事 國場 幸昌君    理事 高橋 辰夫君 理事 深谷 隆司君    理事 川崎 寛治君 理事 島田 琢郎君    理事 玉城 栄一君 理事 青山  丘君       大島 理森君    中川 昭一君       仲村 正治君    野中 広務君       町村 信孝君    村上 茂利君       村田敬次郎君    上原 康助君       奥野 一雄君    加藤 万吉君       有島 重武君    日笠 勝之君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      中西 一郎君  出席政府委員         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第二課長 藤川 鉄馬君         大蔵省銀行局銀         行課長     千野 忠男君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     小泉 惠二君         農林水産省農蚕         園芸局総務課長 近長 武治君         運輸大臣官房地         域計画課長   後出  豊君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 豊田  実君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ――――――――――――― 四月四日  北方領土返還促進に関する請願(高橋辰夫君紹  介)(第二一五六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  北方領土問題等解決促進に関する陳情書外三  件(第五七  号)  旧沖縄製糖株式会社小作人救済措置に関する  陳情書外二件  (第五八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺朗

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件につき調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 大臣は、沖縄開発庁長官就任早々、意欲的に沖縄を訪問されまして、沖縄問題に前向きの姿勢を持って、熱情を持って、今後の沖縄振興発展のためにというようなことで沖縄に御出向なされ、沖縄県民大臣に寄せられる期待はまことに大きいものがございます。  そこでお伺いいたしたいのでございますが、沖縄おかげをもちまして復帰後日覚ましい振興発展を来しておりますが、しかし何分二十七カ年のアメリカの統治におきましての立ちおくれ、これはいかんともすることはできずして、十カ年振興開発計画の期間も過ぎまして、沖縄県にありましては第二次振興計画が策定され、それを政府は今やっておるわけなんですが、今後における沖縄振興に対しての所見をひとつお伺いします。
  4. 中西一郎

    中西国務大臣 一月の中旬でございましたが、ちょうど予算編成期の前でございまして、沖縄を訪れることができました。復帰後十二年ということでございますが、沖縄県民方々は戦争では大変な苦難の道を歩まれた。また戦後の復興段階でも大変な御努力があったと思うのでございます。いずれにいたしましても、その活力といいますか、皆さん沖縄振興開発に取り組む姿勢に大変な感銘を受けました。政府も第二次沖縄振興開発計画を実行中でございますが、何といいましても生活あるいは産業基盤整備という点では問題がまだたくさん残っているというふうにも思われますし、雇用の問題とかあるいは水の問題、エネルギー問題等、多くの問題を抱えているということも十分理解ができました。  これからは第二次沖縄振興開発計画、五十九年が三年目でございますが、沖縄特性を生かす——このごろそれぞれ地域特性を生かすということが一つの合い言葉になっていますが、全国的にいろいろな動きがございます。その中でも、沖縄立地条件というようなことを考えますと、明らかにいろいろな意味での特性を生かすという道は見出せるのではないかというふうにも思われます。そんなことを考えながら、本土との格差の是正を図る、いろいろな基礎条件整備するということにつきまして、地元関係皆さん方も大変御熱心でございますし、沖縄開発庁の職員のみならず、特に県庁、地元の有力な方々、前向きに沖縄開発振興について取り組んでおられます。敬意を表するのですが、我々としてもできるだけの御協力をいたしたい、かように思っておるところでございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 よくわかりました。  今、大臣水資源開発について必要性をお述べになられたわけでありますが、御案内のとおり、沖縄人口百十七万のうち約九〇%が本島生活をなしております。ゆえに沖縄本島におきましても河川という河川はほとんど小さくて、水資源開発が一番重要でございますのは御案内のとおりであります。それに、水資源開発が従来とてもおくれておりまして、断水、渇水、時間給水とか、こういうような不自由を来しておりましたが、復帰以後、徐々にこれも政府開発庁おかげをもちまして水資源開発ダムの設備、かようなるものに対しての整備はなしておるといえども、しかしまだまだその水源開発に対しましてはほど遠いものがございます。よって、政府財政厳しい中におきましても、開発庁建設省の特段の御配慮によりまして五十九年度予算も、またそのダム予算に対しましては二、三年前からずっと予算がついてきておるということも重々知っておりますが、いろいろ地元における地主あるいは関係する市町村においての調整がうまくいかぬというような格好で行き詰まり、予算執行に対しましても、せっかくの貴重なる予算繰り越し繰り越し、こういうことで、まことに沖縄選出議員としても申しわけないと思うのです。  水資源開発の現在の状況に対してお伺いしたいわけなんでありますが、それは振興局長さんの方が一番詳しいはずですから、その件の現状をひとつお聞かせいただきたい。
  6. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 大変重要な御質問でございますが、便宜私ども沖縄水資源開発に関する考え方と、それから今御指摘がございましたダム等建設現状というように二つに分けてお答えを申し上げます。  第一に水資源開発は、沖縄振興開発計画におきましても最も重要な課題一つとして取り上げられておりますことは申すまでもございません。私どもも水不足の解消につきまして鋭意努力をしてまいったつもりでございます。沖縄本島における都市用水需要量は、復帰以来、人口の増加、生活水準向上等に伴いまして年々増加いたしております。昭和五十八年度の企業局の、これは県の企業局でございますが、水源ベースで申し上げますならば、日量平均約三十八万トン、こういうようになってございます。これに対しまして、都市用水供給量といたしましては、復帰以来建設を進めてまいりましたダムのうち既に完成いたしております福地ダム新川ダム安成ダム普久川ダムの四ダムによりまして、日量二十六万三千トンの安定供給が可能となっておりますが、なおかなりの水量が御指摘のように降雨等に左右されやすい河川表流水等に依存しているのが現状でございます。幸い、安波、普久川ダム完成というようなことに加えまして、昨年来降雨に恵まれまして、水需給関係は現在のところ小康状態を保っております。しかしながら、今後もさらに都市用水需要が増加していくものと予測されますので、私どもといたしましては不安定水源解消を図りつつ、これらの需要増に対応する必要がある、かように考えておる次第でございます。  それで、今後の需要増に対応する方途でございますが、これがために現在既に建設事業に着手いたしております辺野喜ダム羽地ダム漢那ダム比謝川総合開発事業、これは県企業局瑞慶山ダムの再開発でございますが、それに加えまして西系列水道水源開発施設整備事業、これらの事業促進を図りますとともに、地下水利用等、多角的な水資源開発利用を検討いたしまして、早期に水需給のバランスがとれるよう努力してまいりたいと思っております。  次に、御質問がございました現在の進捗状況でございますが、現在建設に着手しております辺野喜ダム羽地ダム漢那ダム、それに比謝川総合開発事業進捗状況を申し上げますと、辺野喜ダムにつきましては昭和六十一年度完成を目途にいたしまして、現在順調に工事が進捗いたしております。しかしながら、他のダムはただいまも御指摘がございましたように計画どおりには事業が進捗いたしませんで、羽地ダム漢那ダム等におきまして多額の繰り越しを余儀なくされております。現在、羽地ダム漢那ダムにつきましては沖縄総合事務局が、また比謝川総合開発事業につきましては沖縄県と総合事務局が共同というようなことで事業に当たっておりますが、これら総合事務局、県におきましては、地元関係市町村協力を得て、鋭意地元調整を進めているところでございます。  しかしながら、ただいまもお話がございましたとおり、ダム建設に当たりましては地元関係者理解協力が不可欠でありますが、この点につきまして、今申し上げましたダムでは関係者の多いこともございまして、地元との調整に多大の時間を要しておるというのが偽らざる現状でございます。  沖縄開発庁といたしましても、先ほど来申し上げましたように水資源開発についてはいろいろ努力をしてまいったわけでございますが、予算の確保を図るためには執行が順調でなければならないことは申すまでもございません。こういうことで、現在執行が滞っておりますことは甚だ遺憾でございまして、また昭和六十年度の概算要求を数カ月後に控えまして、実は私ども焦慮に駆られておるというのが偽らざるところでございます。  若干好転しつつあるかなというような兆候もございますので、今後とも関係省庁と連絡を密にしながら、また県、市町村を初めとする関係者理解協力を得まして、一日も早く羽地以下のダムに着工ができるよう最大限努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 建設省が所管する省でありますので、今のダム問題に対しましては事務所も設けられておるようなことで、今振興局長おっしゃったように、政府がせっかく沖縄重要性にかんがみてということで熱意を持ってこの問題に対しては取っ組んでおりながらも、聞くところによると、やはりダムを設置される所属する市町村におきましての協力的な面に欠けておって、これが随分長引いておるために思うように予算も消化することができない、こういうようなことでございますが、それに対しましての今の状況、これをもっと詳しく御説明していただけませんか。
  8. 志水茂明

    志水説明員 沖縄本島におきましては、先ほど振興局長の方からお話がありましたように種々の事業をやっておりますが、建設省所管事業といたしましては、直轄事業辺野喜ダム羽地ダム漢那ダム及び比謝川総合開発の四事業がございます。このうち辺野喜ダムにつきましては、本年度の後半からダム盛り立てを開始すべく、現在、ダム本体基礎掘削、それからつけかえ道路工事等を鋭意実施中でございます。それから羽地ダムにつきましては、昭和五十一年度に実施計画調査に着手いたしまして、ボーリングなどの現地調査実施いたしました。そして昭和五十六年度に建設事業に着手いたしたわけでございますが、南部地域への分水等に対します問題等から名護市等の地元関係者理解が得られなくて、現地立入調査ができなくなったわけでございます。しかしながら、沖縄県当局を初め関係者努力の結果、ことしの一月に至りましてようやく湛水線測量などの一部調査に再度着手できることになりまして、現在鋭意調査を進めているところでございます。漢那ダムそれから比謝川総合開発につきましては、現在、貯水池用地取得につきまして関係者協議中でございます。なお、漢那ダムにつきましては、地元理解協力を得まして一部工事用道路を施工中でございます。  このほか補助事業といたしまして、金城ダムそれから満名ダム二つ治水ダム事業実施中でございます。金城ダムは市道のつけかえなどの工事を今年度着手することにいたしておりまして、満名ダム実施計画調査実施中でございます。  特に羽地ダムにつきましては、先ほど来お話にありますとおり、地元名護市を初め、それから受益市の一つでございます南部地域とがやはり一体となって本事業重要性理解していただきまして、ダム建設促進協力をしていただくことが非常に重要である、こう考えております。  また、そのほかのダムにつきましても、関係者理解協力を得ましてダム建設促進できますように、建設省といたしましても沖縄開発庁等関係機関協議をしながら努力をしてまいりたい、このように考えております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 農林省にちょっとお伺いしたいんですが、羽地ダム建設するにおいて、ダムをつくるその地域住民というのは、水だけ供給して何もメリットがないじゃないかという空気が随分強いのは、沖縄のみならず、これは本土でもそういうことでよく聞いておりますが、羽地ダム建設するにおいて地元にもたらす、私は漏れ聞くところによりますと、羽地田んぼにおいてのかんがい用水構造改善事業に対して、大洪水のときに海に流れ捨てる水そのものをため池にして、貯水に対しての供給する水の利用というものの分量からしますと、七八%が地元に使用される水である、こういうことでありながらも、これは中南部に供給するんだからというような、ややもすれば素朴な地域住民のそれに対する反対があるということも聞いておりますが、この構造改善に対しての、今計画されておる羽地田んぼに対してのかんがい用水、今後これがもし実現できなかった場合にはどういうような影響を受けるか、それをちょっと農林省構造改善局小泉さんですか、課長さんか何か来ておられるはずですので、農林省からその点に対しまして……。
  10. 小泉惠二

    小泉説明員 羽地ダム関連事業といたしまして、私たちの方では国営のかんがい排水事業羽地大川地区という地区を考えております。この事業は、羽地ダムなどを水源にいたしまして、名護市の農地約千五百ヘクタールを対象としてかんがい施設などを整備する計画でございます。  それで昭和五十二年度から調査を開始いたしまして、さらに昭和五十六年度から全体実施設計というのに入っておりまして、現在鋭意それを進めておるところでございます。特に今年度、五十九年度におきましては、調査費、全体実施設計費三千万円を計上いたしまして、現在鋭意作業を進めておるところでございます。何とか今年度中にこの全体実施設計を取りまとめたい、取りまとめる予定にしておるわけでございます。  以上でございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 時間が三十分という割り当てでありますので、答弁はひとつ簡潔にお願いいたしたいと思います。  それで、ごく重要な目の前の問題ですので、農林省農蚕園芸局ですか、そこにちょっとパインの問題をお尋ねしたいんですが、御案内のとおり牛肉オレンジ解決したといえども、ガット提訴されたところの我が国残存規制農産物に対しての十三品目というのがございますね。その中にパインが入っておりまして、オレンジ牛肉というのは曲がりなりにも解決を見た、こういうことでありますが、この十三品目に対しましては、まだそれは事務的に折衝してというようなことであるが、御案内のとおり沖縄農産物基幹作物というのは砂糖、パインですね。これは沖縄の代名詞になっておるような格好ですが、その中のパインがどうなるかということで、このパインというものの耕作者は、例えばいわれのある人たちがやっておるわけなんです。  御案内のとおり、我が国沖縄軍用基地安保協定による役割を果たすべく、農耕地そのものが強制収用されて、好むと好まざるとにかかわらず当時銃剣を突きつけられて、それで農耕地を取り上げられたんです。その人たちが、アメリカ当時のときに八重山の方に強制移住させられて、それで生きるためにはということで、八重山山地開発をしまして細々と今パインをつくっておる。パインと言えば沖縄で、どこでもできるんじゃないんです。北部と、それから八重山のこの地域にだけしか、しかもそれが傾斜地で、酸性土壌であって、それはほかに転作することのできないような、生きるためにおいて、最小限の生活のための保障とすべきパインなんです。  私は国の与党を背負うところの自由民主党ですから、立場においても国策には協力しなければいかないという立場があります。だからそうすると、そのパイン耕作者方たちが土地を返せとやってきたときには困ることになるのです。でありますので、これは我が国だけのみならず、日米農産物協定におきましての重要なる沖縄パイン作の農家を、国家的においてでも守ってやらなければいかないのです。アメリカにしても基地の安定を期するのであれば、そういう面においても心を配らなければいかないと思うんです。でありますが、これが今、残存規制品目十三品目の中に入っておるということに対して、まだ決着がついておりません。でありますから、この問題に対して、総合農政の中でも強くこれを追及したんですが、目鼻がつかないというようなことで、これは事務的にやるからということは大臣初めおっしゃったんですが、どうなっておりますか。今月中に解決するとかという……。
  12. 近長武治

    近長説明員 パイナップルの缶詰につきましては、今先生指摘のとおり、沖縄におきましては大変重要な産業でございます。それで、残存輸入制限十三品目一つとして、昨年七月にアメリカからガット二十三条に基づく協議の申し入れがあったわけでございまして、それを受けまして七月と九月に二回にわたる日米協議をやりまして、その中におきましては、沖縄パイナップル産業重要性、それから現在抱えております厳しい需給事情など十分説明いたしまして、相手国理解を求めるよう最大限努力をこれまで傾けております。  現在、交渉が行われているわけでございますが、今回の交渉に当たりましても、一貫してこの強い姿勢で臨んできておるつもりでございます。特に沖縄におきますパイナップル産業重要性を念頭に置きながら、私たちといたしましては、自由化対象品目にならないような方向で努力していきたいというふうに考えておりますし、交渉当事者もそういう心づもりでやっているはずでございます。これからの沖縄の中のパイナップルのいろいろな課題がございますが、特に日米交渉に当たっても、今先生からもるるお話がございましたが、そういうような気持ちで私たちも対処しておりますし、現実に交渉に当たっている当事者も同じような気持ちでやっているはずでございますので、御了解いただきたいと思います。
  13. 國場幸昌

    國場委員 この問題は、沖縄パイン耕作者立場というのが今申し上げましたような立場にある人たちですので、これは単なる沖縄だけの問題じゃなくして、アメリカにおいても同じ立場があると思うのです。御承知のとおり、基地の中に沖縄があるのか、沖縄の中に基地があるのかというようなことまでも言われるこの基地重要性ということからしましても、この問題だけはほかの農産物との関連というごとでなくして、これは別格で扱って、この問題だけは自由化から外すというようなことに努力しなかったら、前にこの問題が提唱されたときに、外務省、アメリカ大使館、通産省、農林省はもちろん、開発庁協力しましてやったのですが、まだ解決してないということに対して随分不安を持っておりますので、この問題は十分にひとつ、その持つ重要性というものにかんがみて、責任を持って自由化品目にしないように、よろしくお願いします。  時間でありますので、以上で質問を終わります。
  14. 渡辺朗

  15. 上原康助

    上原委員 最初に長官お尋ねをしたいと思います。  せんだって、沖縄開発庁長官に御就任をなされて、沖縄及び北方問題に関する長官所信が述べられたわけです。きょうは沖縄問題に限ってお尋ねするのですが、既に御就任なされてから半年経過いたしておるかと思います。その間、いろいろ御多忙の中、現地にも行かれて沖縄実情等もごらんになり、また県当局関係者方々からも、いろいろ今後の沖縄施策について御要望なり御意見等をお聞きになったと思うのです。所信表明の中でもある程度述べられておるわけですが、ただ、総体的に見て着実な振興が進んでいると受けとめている、あるいはゼロシーリング時代に当たってではあるけれども沖縄については公共事業関係費を確保するために努力をした、それをてこに第二次振計並びに六十二年の国体を成功させるためにさらに努力をしていきたいという程度の所信しか明らかにしていないわけですが、長官として現在の沖縄をどう御認識なされ、どういう問題を特に重点的に解決をしていかれようとするのか、改めて御見解、所信を明らかにしていただきたいと思います。
  16. 中西一郎

    中西国務大臣 重点といいましてもたくさんあるわけでございますが、しかし、私が伺って感じたところを率直に申し上げますと、一次産業というものについても、これから技術革新時代に入ります。そういった意味で、国の施策というものと、沖縄県で、あの地域特性の上に立って農業なりあるいは水産なりを打ち立てていこうという県民自身姿勢、そういうものの絡み合いの中から、この道という道をお互い見出していく必要があるのじゃないかということが一般的な考え方としてまず前提になるというふうに思いますことが一つ。  さらに、各種の社会資本の充実、これがいろいろおくれておりまして、今もお話が出ていますが、いろいろな困難な面もございましょう。しかし、そこは全県的な立場で困難を克服しながら、地元協力も得ながら推進をしていっていただきたいものだ、かように思う次第でございます。特に公共事業の中でも水やあるいはエネルギーの問題、製造業では先般来セメント工場の話もございますし、また交通ではバスの問題もございます。地下ダムの問題もあれば、非常に多種多様な問題を抱えておられまして、そういった問題の中でも特に雇用問題がまた深刻であるということもよく理解できるところであります。そういったような各般にわたっての問題について、まず第二次振興開発計画を円滑に推進していくということが何よりも大切であろう、かように考えています。
  17. 上原康助

    上原委員 おっしゃっておられることはよく理解できる感がいたします。確かに第一次産業あるいは引き続いた社会資本整備問題は、二次振計を進行するに当たっても重要な課題であることは、私たちも共通の認識を持っております。復帰してもうそろそろ十三年目に入るわけですが、確かに社会資本整備といっても、ハードの面においてはかなり表面というか外面はよくなったことは、これはどなたも否定しないと思うのです。それは沖縄開発庁を初め関係者の御努力も多とするわけですが、しかしソフト面等々はまだまだやらなければいかない。離島問題などまだ本土との格差というか、戦後二十七年間アメリカ軍事占領支配下に置かれておった悲劇というかひずみ、犠牲というのはいまだに埋まらないという御認識だけは、大臣を初め関係者はぜひひとつお持ちになっていただきたい。  そこで、重要問題はどういうものがあるかというお尋ねをしたのは、いろいろありますが、私は今長官指摘の中で交通問題を一言言っていただいたから、やはりバス問題、交通問題も政府も無関心ではおられないのだなということでほっとしたのですが、きょうはバス問題を中心にお尋ねをさしていただきたいと思うのです。  ここ四、五年来、特に二、三年は、春闘のたびごとに労使間の対立というか、いろいろな問題が絡んで、結果的には県民の足に非常に不便、不利益を与えているという状況が続いているわけです。そこでまず、政府沖縄、特に本島における陸上交通についてどのような現状分析をしておられるのか、また公共交通機関の確保に向けてどういう施策をお考えになっておるのか、今本当に深刻化しつつある単なる労使次元ではこの問題は絶対に解決できないいろいろな問題が内在していることは、多く指摘するまでもないと思うのです。  これから具体的にお尋ねをしていきたいわけですが、まずそういった基本的な御認識として、どういうふうな解決策があると政府は見ておられるのか、ひとつ開発庁なり運輸省の方からお答えをいただきたいと思います。
  18. 後出豊

    後出説明員 沖縄県における交通の状況をどのように把握しているかということに関してでございますが、特に本島における交通状況について私ども認識を申し上げますと、まずは、これは沖縄に限らず全国に言えることでございますが、近時におけるマイカーの普及とそれに起因します路面交通の渋滞、さらにはそれによりますバスのような公共交通機関の機能の低下が大きな問題になっているということが最大の問題だろうと思います。したがいまして、今後そのような公共交通機関の維持をどのように図っていくかということが最も重要な課題だろうと思いますが、また半面、マイカーの伸展というものも、また国民がマイカーに対しましてその利便性とかあるいは随意性とか、その機能の優位性に国民の選択の結果がそういう結果であるということも、これも見逃ぜない事実でございます。したがいまして、交通問題をどのように解決していくかということにつきましては、国民各位、特に交通関係に従事する事業者あるいは地方公共団体、あるいは交通関係の国の機関あるいは利用者などが総意を集めて今後の解決課題を探っていくということが施策の基本だろうと思います。  その意味におきまして、私ども各県における公共交通機関の維持整備のあり方については、地方陸上交通審議会にお諮りいたしまして、逐次、地域の交通計画を策定しているところでございます。沖縄県の交通問題につきましても、まずはそのような手法を通じまして、長期的な見通しに立った公共交通機関の維持整備に関する計画というものを関係者の英知を集めまして樹立するということが施策の基本であろうと考えております。
  19. 上原康助

    上原委員 いささか精神論で抽象論的なことでちょっと、若干前進をしつつあるなとは思うのですが、余りにスローテンポですね。  これはぜひ開発庁も十分お聞きになっていただきたいのですが、要するに沖縄の交通機関のあり方というのは、まず鉄軌道がないわけでしょう。唯一の交通手段というのはバス企業ですね、大衆輸送機関というのは。それと、先ほども國場先生の御指摘にもありましたが、土地利用上の制約というのが非常にあるということです。これは何も沖縄に限ったことではないのですが、しかし沖縄は離島県であるということ、本土ならみんな陸続きですから、いろいろ隣接地域なり隣接自治体、県などとタイアップした交通形態というもの、あるいは都市計画を含めて交通網の整備というのができるが、沖縄はそうはいかない。地域交通機関としては沖縄独自で、独自県だということ、独立県だということですね。さらに、今言う土地利用制約があるということと、道路や都市地域における整備、都市の構造というものがマイカー主導型になっているということ。ですから、広い意味で言うと、振興開発計画なり沖縄振興沖縄開発という意味においては、地域全体として公共交通機関に配慮した都市構造の形成をどう図っていくかという視点が今日まで欠けておったということが、ますます交通渋滞なりバス問題を複雑にしている大きな背景であると私は思うのです。このことについて、ぜひ開発庁ではもう少し検討していただきたい。  これを具体的に挙げますが,そして今おっしゃったように、地方交通審議機関というのは確かにある。昨年もバス問題が大変深刻になりましたので、私は運輸省に対しても県知事にも開発庁にも、昨年の七月十五日付で申し入れをいたしました。この中で私はいろいろ、そう詳しく専門じゃありませんが、政府は一九八〇年より開始している地域における公共交通機関の維持整備に関する計画を策定をして、その地域の交通問題の解決を図らなければいかぬという方針を立てているわけですね。したがって、せっかくこれがあるのだから、沖縄ほどバス問題が深刻になっている地域はない、直ちにやれということをあのときも強く申し上げたのですが、今年の三月になってようやくそういう指示を出しているというスローモーのあり方なんですね。ですから、こういうことは、しばしば県なりあるいはバス企業が具体的に提案をすればどうこうということをおっしゃいますけれども政府自体でできる手だてがあるにもかかわらず今日までやっていないということについては、ぜひひとつ再考を促したいと思うのです。  それと、道路の整備量で見ましても、整備量では全国平均値を超えるものの、しかし道路の普及率で見ると、国道を除いてその普及率はいまだに非常に低いですね、これも開発庁御存じのとおり。人口千人当たり道路延長で沖縄が四・七一キロメーター、全国は九・四九キロメーターになっている。  さらに今、中部、那覇地域での都市問題がバス問題を非常に深刻にしているわけですが、那覇広域都市計画地域、いわゆる宜野湾市、西原町以南の十三市町村で構成するこの地域における都市計画道路の整備状況は極めて低いですよ。望ましい整備量の、計画済みで七割程度、改良済みでも二割程度だ、こういうふうにしかなっていないということ。それと、都市部の道路混雑度というのは、全国が三九%に対し沖縄は実に五〇%と、ひどい。  こういう背景があって、なかなかバスの運行スケジュールにしてもあるいは路線にしても、うまく回転をしないという実態があると思うのですね。だから私が冒頭お尋ねした、どういう御認識を持っておられるのかということは、少なくともそういう実情であるという程度ぐらいは十分御理解をいただいた上で沖縄の交通問題をどうしていくかという計画なり方針なりが出てこないと真剣味が足りない、そう言わざるを得ないのです。今指摘したことについて開発庁なり運輸省、どう思われるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 後出豊

    後出説明員 沖縄の交通状況につきまして、特に路面交通の状況が極めて混雑している、特にマイカー主導の交通体系になっているということについては、先生指摘のとおりだろうと思います。したがいまして、効率的な公共交通機関を整備していくということは、今後の沖縄の交通体系を整備していく上で施策の根幹となるべきものと考えております。
  21. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 バス問題につきましてはただいま運輸省からお答えがあったとおりでございますが、那覇を中心とします南部地域の道路の混雑ということにつきましては、私どもも十分問題意識を持っておるつもりでございます。  確かに、都市部の改良がおくれておるという御指摘のとおりでございまして、私ども今、那覇市を起点としまして中部、北部を結ぶ沖縄自動車道の建設、それからまた那覇市内及び周辺におきますバイパスの建設、それからまた那覇市内におきます立体交差の促進、こういうことを心がけておるところでございますが、もう一つ那覇市内につきましては、御案内のとおり那覇市内の交通混雑緩和のための一つの手段といたしまして、那覇モノレール計画というものを進めておることは御案内のとおりでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 いつもの答えですね、またこれも。南伸道路ができたからといって、この那覇の交通渋滞がそんなに緩和すると思ったら、これはバス問題の解決にはつながりませんね。モノレールにしたって、きょうは深入りすることは控えますが、私が指摘したように、大体汀良から赤嶺まで、しり切れトンボになって、どこのターミナルとも連結しないモノレール構想があるかと言って、やいやい二、三年前から指摘をして、ようやく延長して三キロ、空港ターミナルまで連結しようというふうに方針変更してきているわけでしょう。それだって汀良まで持っていったってだめですよ。石嶺だってだめですよ、これは。将来はどうしても沖縄の都市構造を、本当に住民の生活環境整備を含めて交通問題を解決をするというなら、すぐはできないにしても、それは軌道の延長というものを考えなければいけませんよ。そういうこともぜひ頭に入れて、もちろんそれは賢明な皆さんですからお考えになっておられると思うのですが、そういう南伸道路ができる、モノレールができる、沿岸道路ができる、できれば幾らかは緩和するだろうが、今のバス問題の根本解決にはつながらないのです、藤仲さん。そこを今議論をしようとしている。  そこで運輸省、皆さんは、後で結論的にお聞かせいただきたいのですが、沖縄地方陸上交通審議会に諮問をしてあるのですが、例えば本土でも、このバス問題というのは今大変なのです。あちこち、この春闘でもバス争議が非常に起こって、しかも深刻化している。例えば、群馬県の場合も、いろいろバス問題が問題になって、東京陸運局でこの審議会に諮って、五十五年度になって計画を立てて、それを国の計画として位置づけて解決を見ているわけでしょう。解決を図るように、今そういう政策をちゃんと方向つけられているわけでしょう。私が指摘しているのは、そういうことを沖縄についても早うやれと言っているのですよ。群馬県も、バスが七社ぐらいあるのですが、欠損額の累計赤字が十五億五千万にも達したために、これはもうこのままほっておくわけにはいかないということで、鉄道、バス、それをどういうふうに連結していくか、公共交通サービスの維持という観点から補助金問題を含めて陸運局で方針を立てて、それを運輸省の交通対策として位置づけて解決を図るようにやっている。あるいは岩手においてもそういう方針が出ている。また四国の高知県においては、高知県の独自の方針も加えて、このバス問題の解決に積極的に県民規模で取り組んで、いい方向に行っているという事例があるわけですよ。そういうことができるのに、これを、鉄軌道もない、これだけ深刻化している沖縄の場合に、何回も問題提起をしてもやらないというところに、私は非常に疑問を持ち、不信を持ち、まだ沖縄をべつ視している姿勢政府のどこかにあるのじゃないか、こうさえ思わざるを得ないのですよ。こういう事例についてはどうなっているのか。群馬県の場合はどうだったのか、ここでひとつ説明してください。
  23. 後出豊

    後出説明員 全国で逐次、各県別に地域の交通計画をつくっているわけでございますが、手元に群馬県の交通計画を私きょう持参してまいりませんでしたが、記憶するところによれば、群馬県の地域交通計画におきましては、バスの競合問題ということについて今後どのように対策を講じていくかということが議論の中心となり、それの解決策について突っ込んだ議論が行われ、交通計画の中にその解決の方法、方向などについて触れられていたというふうに記憶しております。
  24. 上原康助

    上原委員 それはあなた、私この前に言ったでしょう、そういう事例があるということを。群馬県の場合は、公共交通機関の維持、整備に関する諸施策は運輸行政のみでは対応できるものでない、関係行政機関、地方公共団体が一丸となってやっている。だからそういう体制をつくれば、沖縄の場合だってそれは不可能じゃないですよ。しかし国は、そういうことが本土の都市ではなされているにもかかわらず、あれだけ深刻化している、しかもバスしか輸送機関はないという沖縄県のことに対して、余りにも運輸省や開発庁が不熱心だと言わざるを得ないのです。  大臣、これは政治の話ですよ。今そういう例はたくさんあるわけですよ。そういう面で、今までの議論をお聞きになっておわかりだと思うのですが、ここいらで、どういうふうな御感想なのか、あるいはやはりやりようはあるのだなというお考えなのか、大臣の見解を聞いておきましょう。
  25. 中西一郎

    中西国務大臣 お聞きした限りで私自身思うのですが、何といいますか、私自身も役人をやったことがございまして、余り大臣の言うことを聞かないで自分の仕事をやったと言うと語弊がございますが、この問題はこう解決したらいいなと思ったときには、それに向かってばく進をした経験がございます。やはり具体的な問題について取り組む直接の担当のところで真剣にやっていただきたいということが、まず第一であります。  その場合に、役所だけでなしにやはり関係者もそれに対して協力するという気持ちを持っていただきませんと、何といいますか、役所がこう言うのならそのときに少し予算でも持ってきてもらおうかというようなプラスアルファの御要望がついてくると、今度は役所の方でまたしり込みするというようなことにもなりかねない、それぞれが地域のためにということで結集をしていくことが何よりも必要ではないかというふうに思います。そのために必要なことは、開発庁として力いっぱいの御協力をいたします。
  26. 上原康助

    上原委員 関係者協力しないと言っているわけじゃないのですよ。しかし、問題点を十分浮き彫りにした上で計画なり方針というものは立てていかないといけないと考えますので、そういう立場で申し上げているわけです。何も物ねだりをしているわけじゃないのです、大臣。  しかし、同時に御認識いただかねばいかぬことは、今よく例として出されるように、その前にもう少し実態だけ申し上げておきたいのですが、例えば沖縄を観光立県にすると皆さん言っていますね。私たちもそれは賛成。二次振計なりいろいろな面で観光の重要性というものを強調するし、また県や関係者もその政策を持っておられて推進しているわけですが、しかし残念なことに観光客が見る沖縄の印象というのは、交通というのが一番印象が悪いのですよ。それはなぜかと言うと、一つは交通費の高いことにもあるのです。本土から沖縄までの航空運賃もどうも割高だという印象が強いのですね。県内での観光客の支出を見ますと、五十七年度ベースで交通費が二四・九%、約二五%ですね。最も高い。土産品は一九%、飲食費は一四%。食べるものや買うものは値切っても交通にしか充てられない。バス賃は高いですよ。しかも交通の現状というものは、さっきも申し上げましたように、交通渋滞、時間表や案内板の未整備、こういうものが観光客から指摘をされていることなんですね。ですから、そういう面でも、この交通問題は観光政策を推進するに当たっても見逃がせない一つの重要な改善をしていかなければいかない点になっているということ、これは外部の方々が見た沖縄の印象ですね。  それで、余り時間もありませんので次に進めますが、要するに今の問題を解決をしていくには、まず一つはバスの再編統合をやるということですね。これは公的一元化とか私的一元化とかいろいろありますが、公的一元化は何か独禁法に触れるとか触れぬとかいう議論もありますけれども、そんなへ理屈を言っておっては解決をしない。いずれにしても一元化をしなければいかないということは、これはもう何人も否定できない現状に至っている。これをどうするかということ。各社の競合路線というものが七割以上。これで運輸形態が成り立つはずがないのですよ、大臣。しかも交通渋滞。バスレーンや専用レーン、いろいろ改善してみたって、この車のふえ方なんというのは、何か群馬県が一番高くて、そこを中心にやったというのだが、沖縄の場合に人口例からいうと二番か三番目に来ているわけでしょう。しかも、さっき申し上げましたように五十七年度、群馬県は幾らでしたか、十五億五千万あったのでそういう計画を立てたというのだが、沖縄の場合ですと、琉球バスが何と二十六億六千八百万、沖縄バスが八千三百万、那覇交通が十七億七千万、東陽ハスが五千八百万も累積赤字があると言われている。締めて四十億くらいになるのですか、もっとなりますね、五十億近く。こういう状態が続いて、今回のこの春の賃上げをめぐってまた労使が大変に苦労をしておられる。しかも関係者協力ということもおっしゃいましたが、これはぜひ聞いていただきたいのですが、既に昭和五十一年度で銀バスは人員整理百五十人やってきているのですね。五十七年で希望者退職を募っている琉球バスが九十六人、約百人近く。昨年は十六人の乗務員を不補充、いわゆるやめたところは採用しない、定年の切り下げ、労働時間の延長、諸条件の切り下げ、賃金の凍結あるいは退職手当の凍結、こういうことをやってもなお経営の改善ができないで、今年に至っては春闘時において一四%の賃下げを逆提案をしている。ここまで深刻化しているのですよ。これをほっておいて沖縄開発沖縄の国体も何もあったものじゃないですよ、観光も。  だから私は、ここの段階に至りますと、国としてできるもの、県としてできるもの、労働組合としてできるもの、経営者としてできるものを類別をして、この際沖縄の公共交通をどうしていくかということで、政府である程度連絡会議ぐらい開発庁なり運輸省が中心になって持って、この問題の解決に着手をするという方策をとっていただきたい、とらねばいかない段階に来ていると思うのですよ。どうかこういうことについて、ひとつ開発庁、運輸省お答えをいただきたいと思います。
  27. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しのような関係者協議をしていく、そして解決の道を見出すということは大変重要なことだと思います。そういったような意味で、御承知だと思いますが、県にはバス問題対策協議会というのができておると聞いております。また沖縄総合開発事務局では関係の四者協議会というのを持っているということでございます。  いずれにいたしましても、運輸省の所管のことでございますが、開発庁としても住民生活、経済活動全般とかかわりのある重要な問題でございます。そういったことで重大な関心を持っておるところでございますが、関係の各省庁に働きかけてまいりたいと思っております。
  28. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  バス問題につきましては、各県とも非常に重要な問題としてとらえておりますが、沖縄県におきましても、申すまでもなく県民の重要な足だということで、私どもかねてからいろいろな面で努力を続けてきておるわけです。今お話がございましたように、関係者協議というものが進行をしておりますので、私どももその辺の議論を十分踏まえながら、開発庁とか県とかとも十分協力しまして今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  29. 上原康助

    上原委員 お答えありましたように、県は県、総合事務局総合事務局でやっていますが、それを受けた本庁での窓口的なものも、もちろんそれはそれぞれでしょうが、余り縦割でもこの種の問題はいかがかと思いますので、大臣のそのお気持ち、お考えありましたので、それをぜひ早急に確立をしていただいて、協議したってそれが解決につながらなければ意味がないわけですから、そういうことでひとつお願いをしたいと思います。  そこで、国庫助成のあり方の問題、私はかねがね指摘をしたことがあるのですが、沖縄には国鉄がないのですね。しかし、八三年度の国家財政の中で、国鉄に助成された予算というのは幾らくらいになっていますか。おわかりですか、運輸省。
  30. 後出豊

    後出説明員 五十九年度予算において国鉄に対する助成の金額といたしましては六千四百八十八億円、前年度比五百四十二億円の減ということでございます。
  31. 上原康助

    上原委員 八三年度はたしか七千三十億円ですね。五十九年度が六千四百八十八億円。これは仮に国民一億としても、一人当たり七千三十円か六千四百八十八円、頭割りで助成措置を受けている、実際問題として。しかも沖縄はまるきりないわけです。そういう理論は通用しないと思うかもしれませんけれども、しかし一般の庶民感覚はそうですよ。何で我々は国鉄もない、これだけバスであっぷあっぷしているのに——これはもちろん頭割りでこういうふうに画一化することは私は余り好きじゃありませんけれども、しかし、この論理だって十分成り立つわけですよ。これは国鉄全体です。  もう一つは、たしか赤字ローカル線にも、五十七年度でしたか、三千億円助成措置がなされていますね。今、赤字ローカル線問題は大変廃止問題で地域住民のいろいろな受けとめ方がありますが、そういう面でやっていることは間違いなんです。だから、もし七千億とすれば、沖縄にこういった国の助成措置があれば、百万県民としても七十億円は国の投資があっていいわけなんですよ。直接バス企業にやらないでも、交通網の整備とか今言った道路、そういういろいろな問題で十分に計算は合うのです。したがって、どうしてもっとそういうものを、そういう観点というかそういう角度から、そういうアングルから沖縄の交通問題に焦点を当てて解決しようとしていただけないのか、これが我々沖縄県民の受ける国に対しての素朴な感情なんですよ。私は、これは決して何も無理を言っているわけでもないし、そう筋の通らぬ話でもないと思うのですね。またそういうことを国民の皆さんに言ってみたって、沖縄の実情については御理解いただけると私は思う。仮に開発庁なり運輸省が本当にイニシアチブをとってこの問題の解決に当たろうというお気持ちがあって、多くの方々の御理解を得ようという努力をすれば、何で沖縄を特別扱いにするかということは私は出てこないと思うのですよ。こういう実態だということをぜひ御理解いただきたい。  そこで、さっき長官お話の中にありましたが、私が言わんとすることとはちょっと異なったお答えのような感じが私はしたわけです。私は、最も恵まれない地域に対する助成措置というものをこういった公共交通機関の解決に当たってはやるべきだと思うのですよ。バスしか公共交通のない地域の人々は、今鉄道運賃の二倍から三倍の高いバス賃を払っているのですよ。だから、さっきのような観光客にしても、外部から見て沖縄の交通費が高いということは非常に深刻に受けとめている。  私は、内閣委員会かどこかで申し上げたことがあるのですが、公務員が出張する場合に、ほかの地域なら大体二千円前後、多くて三千円で一日の交通費はとまると言うのですよ、電車に乗ってもタクシーにちょっと乗っても。しかし、沖縄の場合は計算できぬと言う。下手をすると、バス賃とかタクシー代で五、六千円から一万円吹っ飛んでしまうと、本土から行っておられる公務員の方々に飛行機の中で聞いたことがある。それは大臣、電車がない、地下鉄がないからですよ。そういうことなのだから、これは地方交付税か何かで特別の交付をさせるような努力をあなた方もっとすべきだということを、私は何回か庶民の立場で聞いた。  だから、今そういう問題も私たちは私たちなりに勉強はしていますけれども、この具体例を出されたときにおいては、政府はそれなりに沖縄の交通政策の抜本改善に当たっては意を尽くすべきだと私は思うのです。この点どなたかお答えしてください。
  32. 後出豊

    後出説明員 運輸省といたしましては、地域の交通問題の解決ということは最重要施策一つと考えておりまして、厳しい財源の中におきまして最優先に振り向けて施策を展開しているところでございます。  その場合に、各地域の実情あるいは各交通機関の置かれている状況など十分配慮して施策を展開しているところでございまして、今後そのあるべき交通体系というものをまず十分施策を打ち立てまして、それに必要な対策というものはどういうものがあるかということを総合的に検討する。そしてその助成が必要ということでありますれば、そのためにどのような財源措置を講じていくかというようなことで、施策をその中心に向けて展開していきたい。沖縄県の交通対策についても、今後そのような地域交通政策の一環として最も重要な地域であろうという認識を持っております。
  33. 上原康助

    上原委員 ようやく認識はしてきた。これから何をやっていただくか。  そこで、五十七年度、五十八年度、沖縄県に国の地方、ハス補助金は幾ら出ておるのですか。
  34. 豊田実

    ○豊田説明員 この地方バス補助金の仕組みとしましては、県が補助し、その県の補助の二分の一以内を国が県に対して補助するという制度になっておりますが、国が補助した金額としましては、五十七年度六百二十五万九千円、五十八年度八百五十九万八千円となっております。
  35. 上原康助

    上原委員 おっしゃるように、五十七年度が約六百二十六万、五十八年度八百六十万、わずかにそれだけです。もちろんこれはいろいろ基準はありますね。どういう場合に助成をするという県の姿勢もいかがかと私は思います。だから県もこの問題についてはもっとやっていただかなければいかぬと思いますが、大臣、こういう実態なんですよ。  僕は、去年からこのバス問題に執念を燃やしている。こんなもの、年がら年じゅう渋滞し、いらいらさせられて、経済活動の面においても県民生活の面においても大変な損失ですよ。学校の生徒さんたちも大変ですよ、新学期にストを打たれたりして。この連休だってどうなるかわからぬ。しかし、ここいらはストを打っても解決しないという認識を労使は持っていらっしゃるから、何とか前向きにやろうということで、我々もこういうことを一生懸命努力をしているのですよ。こういう実態。  しかし、ちなみに他県の地方バス補助金、五十八年度実績で宮崎県はたしか七千二百万円ですね。福岡県が一千六百万円。これは県と二分の一云々と言われると、またこの議論はかみ合いませんが、これだけ深刻化しているのに、国の出しているお金といったら全くスズメの涙ほどでもない。なぜこうなるのか。ここに一つ現制度でも解決できる問題があるにもかかわらず、やらない。どちらかの怠慢がある、こう言わざるを得ません。  そこで、今どういう助成措置があるか、これは全部当たっているかどうかわかりませんが、「地方交通関係の国の補助制度の概要」というものが私の手元にあるわけですが、国鉄地方交通線及び国鉄バスには非常に手厚い保護をしているのですよ。特別交付金、特別貸付金、国鉄バスについては、地方交通線、国鉄バス運営費等の一部について補助ないし無利子貸し付けをやっている。これは事実かどうか。そうなっているでしょう、そうなのかどうかを答えればいいよ。
  36. 後出豊

    後出説明員 大変恐縮ですが、国鉄バスに対する補助制度について手元に資料を持ち合わせてございませんので、控えさせていただきたいと存じます。
  37. 上原康助

    上原委員 後で調べて聞かせてください。何か首を振っている人もいるが、そういうのが実際あるのです。いろいろ調べてみた。「人口稀薄地方部の公共用交通」というものにちゃんと出ている。それから、鉄建公団は、地方開発線、地方幹線については建設費等について定額を補助する。地方鉄道(民鉄)は、整備費補助、近代化設備整備費補助、踏切保安設備補助となっている。これも経常欠損額を国が二分の一、自治体が二分の一、施設費の一〇%から二〇%を国と自治体がそれぞれ補助している。踏切保安設備補助については国が二分の一、自治体が三分の一。こういうふうに鉄建公団や民鉄に対してまでやっている。地方バスは、生活路線維持費補助(乗車密度五人〜十五人)、さっき基準があると私が言ったのはこれなんだ。経常損失の二分の一を国、二分の一を県が補助。集約状況によって補助条件が異なる。それから、これも車両購入費補助がありますね。乗車密度五人未満の路線に対する補助。廃止路線代替バスに関する補助。だから、これは統廃合の場合に廃止するとかなんとかやれば、こういうものをもっと綿密にあなた方運輸省、開発庁が県やバス関係者とも協議をし合ってやれば、今の段階でも何らかの手は打てるのだよと私は思っている。僕は行政をやったことがないからわかりませんけれども、そういうものをもっと活用して、なお足りなければ特別に計らうとか、いろいろやるという手だてがあると思うのです。  今私が言ったことは大筋当たっていると私は思うのだが、どうなのか、運輸省からまずお答えをいただいて、開発庁はこれについてはどういうふうにお考えなのか、あわせてお聞かぜいただきたいと思います。
  38. 後出豊

    後出説明員 先生指摘の個別の補助制度については、詳細は手元に資料がございませんのでつまびらかにしませんが、大筋におきまして、私ども運輸省といたしましては、地域交通の整備につきまして、鉄道、バスなどの助成ということに対して運輸省の厳しい予算枠の中で最重点項目として種々の観点から施策を講じているということは先生指摘のとおりでございます。
  39. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 補助制度に関しますことは御案内のとおり運輸省の所掌ではございますが、先ほど大臣からお話がございましたとおり、現在地元二つ協議会におきまして集約のメリットあるいはデメリットについて議論をし、集約是か非かというような形で問題を煮詰めるという一つの動きがございます。私どもといたしましては、そういう動きを見守りながら関係省庁と連絡を密にして対処してまいりたい、かように考えております。
  40. 上原康助

    上原委員 少なくともこういうものがあるということははっきりしたわけなんです。これは額がどうであるとかいうのは、若干それは雑誌ですから筆者が違っているかもしらぬし、私が読み間違ったわけじゃないんだが、しかしそういう実態であるということは間違いない。国鉄バスについては手厚くやっている。国鉄バスにできるなら国鉄のない沖縄のバスにできぬはずはないんじゃないか、理論としては。それなら、もういっそのこと一元化して国鉄バスにしなさいよ。そういう発想も変えて、本当に沖縄を愛し沖縄をよくしていきたいというなら、まずこの交通問題から解決していただきたい。二十一世紀を展望する沖縄というなら交通ですよ、空も海も。きょうは離島航路の問題まで触れられませんでしたが、離島航路だって大変ですよ。その面だって、本土圏内で行われている補助よりは沖縄の方ははるかに悪い。これも調べているが、いずれ次の機会に、もう時間がありませんから。ですから、こういう実情であるということはひとつ国務大臣というお立場で御理解いただいて、閣議なり、運輸大臣等いろいろな関係方々と御相談をいただいて、相当お力のある大臣だと聞いているわけだからその点は期待していますよ。  そこで結びとして、今いろいろ協議会があるということでしたが、この交通問題を解決をしていくにも、やはり沖縄の今の都市構造のあり方というものを変えていかなければいかぬですよ大臣、二次振計の中で。中南部に密集して、そこがネックになっている。しかも中南部は約三七%は軍用地ですよね。まあ南部は別として、那覇から石川以南、具志川までのいわゆる心臓部というのは。  そこで、この交通問題の将来展望とも関連をして、せんだって策定をされた沖縄県北部モデル定住圏計画というもの、これは時間もありませんのでそう深くは触れられませんが、三全総の定住構想の具体的展開として全国モデル定住圏計画が策定されて、沖縄においては昨年十二月、沖縄県北部モデル定住圏計画が策定されたことは御案内のとおり。そこで、まずこの計画の概要と、第二次沖縄振興開発とこの北部定住圏構想というものはどう関連づけているのか。そういう中期から長期の構想の中に沖縄の交通網の整備というもの、都市の分散、道路の整備拡大を図らぬと解決しませんよ、それは。そういう意味で私はお聞きしたいわけですが、もちろんこれも主体は県です。沖縄県であることは言うまでもございませんが、しかし国としての三全総あるいは二次振計との関連づけというものもやっていただかないといかない問題で、この件についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 関通彰

    ○関(通)政府委員 お答えいたします。  北部定住圏構想は、先生指摘のとおり、三全総の具体的な展開といたしまして全国各県に大体一カ所こういうモデル定住圏計画が策定されたわけでございます。ほかの県の場合、大体昭和五十五年から五十七年に策定されておりますが、沖縄県は御存じのように第二次振興開発計画を策定中の時期でございましたため、第二次振興開発計画との整合性をとりながらこの定住圏構想が策定をされております。  具体的には、昭和五十五年に沖縄県知事が北部の十二市町村をモデル定住圏地域として選定いたしております。この地域が選定されましたのは、北部地域が、現状でございますと人口が停滞いたしておりますが、自然景観にすぐれ、また、かつ都市、農漁村地域が一体的になっている地域である。したがって、ここに自然との調和のとれた生活圏をぜひ形成したいという構想に従いまして北部を指定したわけでございます。その後、関係市町村等で計画の策定が進められまして、昨年の十二月、この計画が決定されております。  計画の中身は、整備計画の構想と、それから具体的な整備計画。この整備計画の中では、当面重点的に実施すべき事業等も列記いたしております。それからさらに土地利用構想、それから目標年次におきます整備水準等を示しているものでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 これは単なる構想として終わらさないで、都市の再編あるいは過密過疎の同時並行解決というか改善というか、そういうこととの関連で出ているわけですから、これはぜひ物にしていただきたい。  今、基本構想の中では四つの定住圏憲章みたいなのが打ち出されていますね。さっき大臣が最初におっしゃった「地域特性を生かした農林水産業振興関連産業の育成に努め、活力ある圏域をつくる。」二点目に「優れた自然と伝統文化をいかした観光レクリエーション地域を形成し、憩いとふれあいの空間を有する圏域をつくる。」三点目「自然と調和のとれた集落美を備えたまちづくりを行い、住民が安心して健康な生活を営むことのできる圏域をつくる。」四点目「「やんばる文化」の継承と創造、教育環境の充実を図り、若者が定着てきる魅力ある圏域をつくる。」まさにここには夢とロマンがありますよ。「やんばる文化」なんて、いいじゃないですか、大臣。こういうことは単なる文章化だけに終わらさず、本当に沖縄の今の過密都市あるいは交通渋滞を解決していくには、こういうこととも関連つけた都市づくり、町づくり、道路づくりというものをやらなければいかぬということ、そのことをぜひ二次振計の中で生かしていただきたい。私たちも一生懸命努力したいと思うのです。  あと四分ぐらいありますから、これはあわせてお答えをいただきたいわけですが、バス問題の解決について、こういった都市構想、北部定住圏構想とも関連つけたものとして、関係者はこういうことを言っているわけです。運輸省もよくお聞きになっていただきたいと思うのです。  県及び国、総合事務局は、バス企業の集約に関する基本的方向性というものを早急に策定してもらいたい。それを労使双方に提示をしていただきたい。  二点目に、そのことを前提として、県及び国は、各バス企業が抱えている累積赤字等に対し、その措置をどの程度援助し、緩和していけるのか、これもぜひ考えていただきたい。まず一つには、そのやり方として、応分の補助ということを行うことができるのか、さっき言った無利子で長期融資ということが可能なのか、三点目として最悪の場合であっても低利で長期融資ということが統廃合の前提としてでき得るのかどうかということ。  大きい三として、なお企業集約に伴い定員削減等が予想される、しかし、それも覚悟の上で今度は統廃合に踏み切ろう、労使双方ともそういう腹づもりになりつつあるのですよ。定員削減等が予想されるので、県及び国は、これらバス労働者の雇用の転換を図るため、次の措置を講ずることができ得るのかどうか。運転技術を生かした新たな雇用の場を確保すること、例えば関連企業に対して、法人タクシーとかあるいはその他の個人タクシー、そういうものの優先的取り扱いという方策が出てくるのかどうか。  こういう具体的な問題を、国及び県がバス企業労使に具体的に提示をしていただいて、同じテーブルで解決策を図ろうという段階まで今この問題は議論されつつあるのです、長官。ですから、その都市構想の再編の問題との兼ね合い、これはすぐにはできない問題、将来展望ですが、二次振計のこの期間でぜひそういう方向に持っていかなければいかぬと思うのですが、当面のこのバス問題の解決というものは、今少なくとも私が提示したようなことを着実に一つ一つ詰めていけば解決できない問題ではないと思うのです。この件について改めて大臣の御所見と運輸省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  43. 中西一郎

    中西国務大臣 簡単に言うと、地域開発であり、第二次振興計画の完遂ということになると思うのです。北部の問題も含めまして、また交通は大変重要であるということもお話しのとおり。しかし、これを具体的に解決していこうということになると、たくさんの柱があるだろうと実は思います。お話も出ました。そういったような問題をひっくるめて考えますと、その一つ一つ、一部分について努力するということだけでは解決しない、全体についての真剣な取り組みが必要だろうと思います。  そういう意味で、せっかく協議会もあることです。その協議会で、責任を転嫁するという姿勢でなしに、皆が同じ責任を背負うんだという気持ちになって取り組んでもらうということからまず出直す、そして真剣に取り組むということが何より大切だと思います。そういった方向で努力をいたしたいと思います。
  44. 豊田実

    ○豊田説明員 お答えいたします。  今バス問題をめぐりましていろいろ御提言がありましたのですが、私ども関係者の御意見をよく聞きながら、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  45. 上原康助

    上原委員 これで終えますが、真剣に取り組むということは結果として真剣であったということが出るように、ひとつ開発庁も運輸省も特に要望を申し上げて、きょうは時間もありませんので、ひとまず終えたいと思います。  さらに、農林省に来ていただきましたのでパイン問題もお尋ねする予定でしたが、先ほど國場先生も聞いておられたので、特に自由化に当たっては沖縄パイン産業というものに配慮をして、自由化を阻止していただきたい。枠の拡大をさせないように特段の御努力開発庁もあわせてやっていただきたいことを要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  46. 渡辺朗

    渡辺委員長 玉城栄一君。
  47. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄県が本土復帰いたしましてちょうど十年間は、各面における沖縄格差是正、いわゆる本土並みに引き上げる、そしてまた自立経済の基盤を確立しようという二つの大きな柱で第一次沖縄振興開発計画が策定され、それが施行されてきたわけであります。確かにその目標を達成した面もありますけれども、はるかにまた目標を達成しない面も多々あるということで、さらに第二次沖縄振興開発計画が現在も執行されているわけであります。  私、この議論のときに何回も申し上げた点は、やはり沖縄の場合、何といっても土地政策を抜きにしては、第二次沖縄振興開発計画もまた第一次振計と同じような結果になりかねない。したがって、第二次振計を成功させる大きな要素の一つとして、この土地政策をきちっとしなくてはならないということを何回も指摘をしてまいったわけであります。それで、きょうはその土地問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、これは関総務局長さんの方にお伺いしたいわけでありますが、沖縄の場合、御存じのとおり土地が非常に狭いということで、あれだけまた大きな基地も抱えているというようなことから、ますます土地の利用できる面積が少ないということは各面においてはっきり言えるわけであります。したがいまして、沖縄県で振興開発計画を進める上で、県民が本当に利用できる可能な面積、それを他県と比べて、例えば一人当たりどういうふうになっているというようなことを、産業面はもちろん農地も含めて、あるいは住宅用地など、ひとつそれを概略御説明いただいて、もう一つくっつけて、やはり沖縄は土地価格が非常に上昇していると思うのですね、宅地にしましてもあるいは工業用地にしましても。その点はどういうことになっているのか、一応御説明いただきたいと思います。
  48. 関通彰

    ○関(通)政府委員 土地利用の現況でございますが、沖縄県全体の面積は二千二百五十平方キロでございます。そのうち、農用地が四百九十平方キロメートル、森林が千百平方キロメートル、宅地が百十平方キロメートル、原野その他が約五百五十平方キロメートルでございます。さらに米軍施設、区域が約二百五十平方キロメートルでございます。こういう構成でございますが、大変概略申し上げまして、ほかの地域に比べますと、山地が少なく森林の割合が低い、そのかわり全体的に、割合で申しまして農用地、宅地等の割合が、全体の構成比としてはやや高くなっております。  ただ、先生も御指摘になりました、例えば一人当たりの面積で見てどうかという点でございますが、一人当たりの面積を外の地域、三大都市圏以外の地方圏の平均と比較しますと、相対的に沖縄県は半分ぐらいの数値になっております。  二、三具体的に申し上げますと、例えば農用地でございますと、人口一人当たりの面積が沖縄は四百四十四平方メートルでございます。地方圏全体の平均が七百七十一平方メートルでございますので、ほかの地方圏に比べまして沖縄の場合は五七・六%、半分よりちょっと大きいということでございます。  それから宅地は、沖縄県が一人当たり九十五平方メートル、他の地方圏の場合は百五十一平方メートルでございますので、沖縄県は地方圏の六三%に当たると思います。  それから工業用地は、沖縄県が一人当たり七平方メートル、他の地方圏が十六平方メートルでございますので、これは四六%、半分よりやや低い、こういう状況でございます。  それから地価の上昇の状況でございますが、五十九年の地価公示の数字で見ますと、沖縄の全用途の平均上昇率は五・二%でございます。全国の三・〇%に比べまして上昇率が高くなっております。ただ、沖縄県も五十八年には八・三%でございましたので、沖縄県だけ見ますと五十九年の方が低くはなっておりますが、全国平均に比べますとかなり高くなっております。  また畑地で見ますと、沖縄県は五十八年の上昇率が八・八%でございます。全国の上昇率が三・四%でございますので、全国に比べてかなり上回っております。ただ、これも沖縄県の五十七年が一七・一%でございましたので、五十八年は八・八と少し下がってはいるのでございますが、今申しましたように、全国平均をかなり上回っている、こういう状況でございます。
  49. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の御報告にもありましたとおり、したがって最初申し上げました土地政策が非常に重要であるという点はそういうところからも言えると思うのですね。最初に御報告のありました三大都市圏を除く地方圏に比べて県民一人当たり沖縄の場合農用地が五七・六%という御報告がありましたし、あるいは宅地にしましても地方圏の平均に比べて沖縄の場合は六三%という状況ですし、あるいは工業用地にしましても四六・二%。農用地、それから森林とか原野だとか道路とか宅地とかその他ずっとトータルしまして、これも地方圏の平均に比べて沖縄の場合は三八・六%というふうに、県民の利用できる面積が非常に小さいということははっきりしているわけですね。しかも、その次の御報告にもありましたとおり、価格上昇も非常に高いということをぜひ長官、御認識をいただきたいと思います。  それで次は大蔵省に伺いたいのですが、沖縄県所在の国有財産、その中の旧軍財産ですね。旧軍財産というのは、第二次大戦のときにやたらと旧日本軍が膨大な飛行場を取得したわけですが、それが今もって国有財産扱いになっておるわけですね。この議論はもうきょうは時間がありませんのでできませんが、その旧軍財産がその管理態様別に現在どういうふうになっているのか、それを御報告いだだきたいと思います。
  50. 藤川鉄馬

    ○藤川説明員 お答え申し上げます。  沖縄県所在の旧軍財産の管理態様別現況でありますが、米軍提供のものは六件ございます。また使用承認のものは十三件、貸付中のものが八百八十二件、契約未済のものが四十八件、準公共用のものが二十七件、利用困難等のものが十三件、未利用のもの十四件、合計いたしますと千三件になります。数量で申し上げますと千八十二万七千九百六平米であり、台帳価格を申し上げますと百六十九億八千四百二万六千円であります。
  51. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの大蔵省の報告によりますと、沖縄県所在国有地の中の旧軍財産、件数にして千三件ですね。そして面積それから価格もただいまおっしゃったわけでありますが、その中に、おたくがおっしゃった未利用地という、いわゆる利用されてないというのが十四件とおっしゃいましたでしょう。私、これはこの前からちょっと伺って意外といいますか、いわゆる旧軍財産、当時の取得の経緯について県民には当時から非常に不信感が根強くあるのですね。したがって、沖縄復帰してもう十二年、来月で満十二年になりますが、いわゆる利用できないそういうものが存在しているということはちょっと理解できないのです。理解できるように御説明いただきたいと思います。
  52. 藤川鉄馬

    ○藤川説明員 いわゆる未利用地というものの分類の中には、これは現在利用されていない財産でありますが、現在のままあるいは周囲の状況から見てなかなか利用しにくい、あるいは利用しがたいというものも含んでおります。  また、他方におきまして、利用できる財産につきましては、これは国有財産の現在の一般的な管理、処分の方針として行っているものでありますが、公用、公共の用に充てる。そして公用、公共の用に当面充てないものにつきましては、国の財政状況からいたしまして、処分収入を上げるために積極的にそれを民間に処分をする。  さような意味におきましては、この未利用の土地のうち利用可能なものにつきましては沖縄の公共団体に買い受け勧奨をしておるところであり、一部御返事をいただいているところであります。
  53. 玉城栄一

    ○玉城委員 その利用できないところについては今公共団体に買うように勧めている、国の財政事情等もこれあって、それは昨年からやっているという御説明を承っているわけですね。私が申し上げているのは、なぜ復帰しまして十何年になる今日、そういうふうなこの土地の取得の特殊な経緯にかんがみて、そういう状態で置いてあったのかということを申し上げているわけです。その十四件というのは、今おっしゃいましたが、例えばことし五十九年あるいは六十年にそういうふうに処分できる状態にあるわけですか。——私、三十分しかありませんので、これは長官の方にお伺いしたいのですよ。この議論をしますと、ちょっと時間がかかりますが、ずっとこの四、五年大蔵省と、開発庁も含めて、旧軍財産の扱いについては議論してきました。したがって、今お聞きになられたとおり、十四件といっても、これは相当の数です。いわゆる利用できないまま放置されているというお話なんですね。  そこで長官の御所見を伺いたいのは、こういう当時の国の取得の経緯についての不信感が今根強いということからしまして、やはり早目にこういう土地については国としては処分した方がいいと私は思いますし、それを強く勧めます。これが一つ。  したがって、その処分する場合の利用形態、どのように土地を利用するかということについてはあくまでも地元の意見を尊重すべきであるということ、これが一つ。  そうしてその場合の払い下げの値段についてはやはりこの経緯からしまして非常に安い価格あるいは名目的でもいいと私は思います。そういうふうな配慮を当然すべきであるということ、これが一つ。  したがって、そうすることによってこういう特殊な土地を抱えている政府立場というものは身軽になる、このように思いますが、長官の御所見をお伺いいたします。
  54. 中西一郎

    中西国務大臣 これは一般論としまして未利用の土地を政府沖縄のみならずいろいろな地域で抱えておること自身も大きな問題になっておることでございます。  そういったようなことを考えますと、やはりその土地をどういうふうに利用し活用するのかという柱が立たなければならないのではないか、その柱が立てば、これは通常の場合ですとその目的に従って国有財産の場合には政府として考慮の上協力できるケースが多いのではないかと思います。  ただ、従来の経緯をよく知りませんが、所有権についての紛争が残っているというようなことだとなかなか面倒なことになってしまう。そういう場合にどうしたらいいのかということを、信託に出すのかどうか別として、何かみんなで知恵を出しませんと解決しないおそれもある一あれやこれや今お話がございましたが、未利用のままでほうっておくということもこれは許されないことだと思いますので、関係の役所とよく相談をしてまいりたいと思います。
  55. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど私冒頭に申し上げましたように、沖縄の場合、土地政策というのは非常に大事ですよ。ですから、こういう特殊な土地についてもこういう未利用の状態のままあるということは問題だ。他県に比べて小さいし、また上昇率も高いということで、どうですか大蔵省、私さっき申し上げましたね、値段はそうすべきじゃないか、あるいは早く片づけるべきじゃないか、利用形態について地元の意見をよく尊重すべきじゃないか、一般論として。それをわかりやすく明瞭に答えてください。
  56. 藤川鉄馬

    ○藤川説明員 国有地の中の未利用の土地につきましては、現在十四件ございますが、その中におきましても、公共団体から利用要望のあるもの、あるいは公共団体に買い受け勧奨をいたしまして利用要望が出されているもの、県あるいは市への処分を予定しているもの等々がございます。またそれ以外のものにつきましては、個別の事情につきましては必ずしも手元に資料がありませんのでわかりませんが、離島にあるとかあるいはがけ地の状態にあるとか等々のものが含まれております。  それから、一般的な旧軍関係の国有地の問題でございますけれども、これは先ほど来、先生からお話のありましたとおり、沖縄におきます今後の振興開発にとって貴重なものと考えられますので、沖縄開発庁を初め、関係省庁協議しながら、また地元の意向も十分尊重して、沖縄振興開発に役立つように処理してまいりたいと考えております。
  57. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、これまでも何回も大蔵省とはそういう話を進めてきましたけれども、そういう抽象的な話で一向に進まぬものですから、さらにきょうも質問をさせていただいているわけです。  そこで、未利用ですから利用されていないのですね。ですから未利用になるわけでしょう。しかし実際は、農耕地として利用されているケースはありますか、ないのですか。  さらに、その農耕地として利用されているある種の権利が、あるいは取引の対象になっているというケースもあるのですか、ないのですか。
  58. 藤川鉄馬

    ○藤川説明員 私どもの管理の区分といたしまして未利用という状態にありますので、これは貸し付けなどの契約というようなことはいたしておりません。
  59. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうふうな答弁、何か本当にあれですね、まあまあそういうふうにうまく答弁しましたけれども。  そこで長官、大蔵省も聞いておいてください。さっき、この土地の取得の経緯に県民の間に大きな根強い不信感があると申し上げているのはそこなんです。そういうことがありながら、復帰して十二年もほったらかしておく。そして、さっき言ったように未利用については慌てて国の財政の都合があって去年あたりからセールスを始めた。そんなことだから、今申し上げたような実感も生ずるべくして生じた、私はこういう指摘をしておきたいですね。ですから早くこの問題は、大蔵省本当に真剣になって、今年じゅうあたりで解決しないと、私は、きょうは時間が限られておりますので、この問題は改めて決算委員会で取り上げたいと思いますが、やっていただかないとますます負担が重くなりますよということだけは指摘しておきます。  そこで、大蔵省からいただきました資料の上位百件がありますね。その中のナンバー一、ナンバー四、ナンバー十一の三カ所は面積の数字が実態と違いますね。いや、そういうふうに関係地主が申し出てきているわけです。そこで、あなた方のあの面積を出した数字はどういう考え方で出して、どういう作業に基づいて出したのか、それを伺いたいわけです。  その前に開発庁に確認しておきましょう。沖縄の地籍確定作業については、どういう方式で地籍を確定していらっしゃるんですか、皆さん方は。
  60. 関通彰

    ○関(通)政府委員 開発庁実施しております地籍の明確化は、県全体で言いますと非常に特別な地域だけにつきまして明確化を実施しているものでございます。  具体的には、本島の二十五平方キロ、特に地籍簿などが戦争のために全くございませんで現地の境界等が確認できないという非常に特殊な地域だけを開発庁が担当して明確化をしているものでございます。
  61. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、私が伺っているのは、地籍明確化法という法律があるでしょう。その法律の地籍を明確化する方式はどういう方式でやっているかということを聞いているんですよ。——時間がないですからね。
  62. 関通彰

    ○関(通)政府委員 地籍明確化の特別措置法に基づいて明確化を実施しております対象地域は二十五平方キロでございますが、その具体的な手順は、その地域を字ごとに、さらに宇の中を二、三十筆ぐらいのブロックに分けて作業を進めてまいります。各字ごとに、あらかじめ若干物証が残っている場合がございますので、そういうものを頼りに地図をつくりまして、これをその地主の代表に交付いたします。その地図をもとにいたしまして地主の全員の方々と御一緒に各筆の位置、境界を確認いたします。そこで一応図面を編さんいたします……
  63. 玉城栄一

    ○玉城委員 済みません、答弁の途中で。よく私はわかるのです、おたくのおっしゃらんとすることは。そこで、時間がないことを気にして、まだ聞きたいことがちょっと残っているものですから、結構です。簡単に言えば集団和解方式ですよね。いわゆる関係地主が集まって、こっちからこっちはどうのこうのという作業があるわけでしょう。集団和解方式ですね。関係地主が参加していますね。
  64. 関通彰

    ○関(通)政府委員 そうでございます。集団和解方式でございます。
  65. 玉城栄一

    ○玉城委員 それをおっしゃっていただければいいんです。  それで大蔵省の方、さっきの何で数字に狂いが出てきたかということ、この点についてきょう私どうのこうの言いません、次の機会に。ですから、そういう方式でしょう。そうじゃないですか。違うんですか、どうですか。
  66. 藤川鉄馬

    ○藤川説明員 先ほどお話し申し上げました数字といいますのは、国有財産台帳に掲げているものをお示ししたものでございます。国有財産台帳は、私どもが国有財産の管理処分をする上での基本的な台帳でありますが、時におきまして面積など若干違う場合があります。この国有財産台帳は、先ほども申し上げましたように私どもの基本的な台帳でありますので、なるべくその実態に近づけたものにするよう努力を行っております。また実際に処分するときにおきましては、面積の案測をしているところであります。
  67. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、ですから私が大蔵省の方にも申し上げているのは、皆さん方がここらは国有地ですよというふうにちゃんと数字を出してきますね。それをそういうふうに算定するというか決める場合は、沖縄の場合はいろんな面で地籍が不明確であったために、そういう法律があって、いわゆる米軍基地外については開発庁がやり、基地内については防衛施設庁がやっているわけでしょう。ですから、そういう方式に基づいてあなた方も当然その数字というものを出してきているわけでしょう。それを根拠にしているわけでしょう。勝手に、こっちからこっちは国有財産ですとか、そんなことはできないわけでしょう。いかがですか。
  68. 藤川鉄馬

    ○藤川説明員 個別の土地につきまして、この件はどういうぐあいにして定め云々というのは、私、現在手元に資料がありませんのでわかりません。しかし想像できることは、先ほど総務局長からお話のありましたような一般的な土地の区画整理の方法に従って行っているものと考えることができるかと存じます。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、当然関係地主も協議に参加した上で、そういう地籍というものは明確化され、ちゃんと面積が出てきているということは、もう当然のことですね。しかし、きょうはもう時間ありませんので質問を変えます。これはまた次の委員会、決算委員会あたりで時間の余裕のあるときに詳しくさせていただきたいと思います。  それで、これも大蔵省にお伺いしたいわけでありますが、第一勧銀沖縄進出について、たしか二十七日といいますからあさってですか、その業務を開始するということを伺っているわけであります。この第一勧銀が沖縄に進出する、もう復帰して十二年になろうとするわけですから、大蔵省が認可されたわけですから、その経緯、そのことが沖縄の既存金融業界に与える影響、なぜ今の時点で大蔵省がそれを認可したのか、それがどういう影響を与えるのか。それと、今後そういう類似の金融機関が沖縄に進出してくる可能性もあるのかないのか、その辺も含めて御説明いただきたいのですが。
  70. 千野忠男

    ○千野説明員 お答えいたします。  このお話は、かねて前々から何度も第一勧銀側からは大蔵省にその希望の申し出があったようでございますが、最近では五十七、八年ごろでございますが、本土復帰後十年も経たということで全国都道府県に店舗を持つ第一勧銀としては、沖縄県にだけはございませんのですが、ネット網を完成するという気持ちもありまして希望の申し出がございました。そこで、五十八年の六月に店舗の内示をいたしまして、内認可をいたしましたのは昨年の八月三十一日でございます。大蔵大臣の本認可というのが本年の二月十六日でございまして、ただいまお話のございましたように明後日、二十七日に開店の予定でございます。  この第一勧銀は、御承知のように、戦前に支店を那覇に持っておりました。大正十一年から店を持っておりまして、戦後も本土復帰と同時に、四十七年五月十五日事務所を開設いたしまして、宝くじの販売とか電電債の元利償還事務を行ってきたということで、地元とは縁の深い銀行でございます。  私どもこの認可に当たりましては、一つ本土との経済交流の活発化によりまして、地元の企業や住民から本土銀行の進出を望む声が高まってきていること。それから、多数の本土の企業が沖縄県に進出しておりますけれども、これらの企業からも全国ネットを有する都銀の出店の希望が強いということ。それから、沖縄県に来県をいたします多数の観光客もございます。二百万を超えるという観光客も、これはオンラインによる現金払い出しができることは便利だという希望がございました。それからまた、全体的に沖縄経済も拡大傾向にございまして、地元の金融機関の実力も備わってきているといった諸点を総合的に判断をしてこの認可を決めた、以上でございます。
  71. 玉城栄一

    ○玉城委員 この辺で沖縄県の銀行も大丈夫だ、入れても大丈夫だという判断で認可したということですね。そうしますと、例えば今度は第一勧銀に類する銀行が入っていく可能性というのはどうなんでしょうか。
  72. 千野忠男

    ○千野説明員 まず一般的に一言、二言言わせていただきますと、私どもの店舗行政の基本的な考え方というものは、一つは金融機関の側の効率化、一つ地元利用者の利便、それからもう一つは過当競争の排除、この辺が基本の哲学になっております。これに基づく詳細な通達がございます。私ども、もし仮に今後ほかの銀行が出てくるという場合は、そういう観点からやはり沖縄総合事務局初め地元の声をまず尊重しながら検討していきたい、もしそういう考えが出てくれば地元の声を尊重して検討をしたい、かように考えております。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が来ましたので、終わります。
  74. 渡辺朗

    渡辺委員長 青山丘君。
  75. 青山丘

    ○青山委員 中西長官のさきの所信表明に対する質疑を若干行いたいと思います。  中西長官所信表明において、沖縄の経済社会は総体として着実な発展を遂げてきた、しかしなお生活の面、産業基盤の面では整備を要するものが多く見られ、産業振興の問題を初めとして雇用問題、水・エネルギー問題等まだ解決を要する多くの課題を抱えており、重要な時期である、とりわけ来年度は二次振計を軌道に乗せる上でも、また昭和六十二年の国体開催準備を進める上でも重要な時期であることなどを踏まえて、昭和五十九年度予算においては、マイナスシーリングという厳しい環境にもかかわらず公共事業関係費について一千八百二十億五千四百万円を計上するなど特段の配慮をしている、こういうように述べておられたのであります。  しかし、昭和五十九年度予算を見ますと、沖縄開発庁予算額は二千百六十三億七千四百万円とほぼ前年並みでありまして、その中心となってまいります沖縄振興開発事業費は一千九百七十一億五千二百万円と前年比〇・九%減、公共事業関係費は前年比〇・二%減で、初めて対前年比がマイナスとなっているのであります。全体的には、国の厳しい財政事情のもとにおいて予算獲得に相当の努力をされたことは評価をされます。しかし、現在沖縄の経済社会が自立的発展に向けて進展していこう、こういう重要な段階にあって、振興開発事業費、公共事業関係費が初めて対前年比マイナスということになったことは、二次振計を推進していく上において相当厳しいものがあると私は思います。その意味で、沖縄開発庁長官の決意をまず伺いたいと思います。  また、沖縄の県経済が大きく財政需要に依存している現状で、経済が景気回復に向かって足踏み状態を続けている情勢を考えますと、前途は相当厳しいものがあると思います。さらに加えて、県民総生産の最近の経済成長率が、昭和五十六年度実質成長率四・六%、五十七年度四・一%、五十八年度見込みが三・九%、五十九年度県の見通しでは四・三%という数字から見てまいりますと、二次振計において目標としてきました経済成長率年平均実質五・八尾を達成していこうとすることは相当難しいものがあると言わざるを得ないのです。沖縄開発庁はどのように考えておられるのか、伺っておきたいのです。
  76. 中西一郎

    中西国務大臣 今五・八尾の話も出まして、これは我々としては努力目標ということで、今これを改定すべきでない、むしろそれを目標にして努力すべきだというふうに考えます。なお、初めの御質問につきましては公立学校関係予算がおおむね終了する段階といいますか、その分が減額になっておりまして、ほかの公共事業関係では、余り大きく胸張って威張れるとは思いませんが、大蔵当局も大変協力してくれました。そんなことで、これは振興局長から答弁させますが、全国ベースでいくと全体の公共事業費は減っておるのですけれども、その減り方が少ないといいますか、公共事業全体の中での沖縄の分のシェアが全国平均よりは多いという努力の跡はあるというふうに考えておるわけでございますが、これからも一層の努力をしてまいりたいと思います。
  77. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 大臣から御指示がございましたので、予算の数字について若干御説明申し上げます。  沖縄振興開発事業費がマイナスになりました要因は大臣から御説明があったとおりでございまして、公立文教施設の整備というものは非常に進んでございます。先生方も沖縄にいらっしゃいました場合、学校が非常に立派なことをよくお見かけなさるのではないかと思います。そういうことで概算要求の段階から減だという要因がございます。  それから、公共事業関係費につきましては今大臣からお話があったとおりでございますが、全国が対前年〇・九%の減でございますが、沖縄の場合は〇・二%の減、こういうことにとどまっております。のみならず、沖縄の場合は御案内のとおり経済が非常に公共事業依存型でございますので、一般会計、特別会計だけではなくて、財政投融資も含めました公共投資の総額の確保ということを私ども非常に懸念したわけでございますが、この点でも日本道路公団によります沖縄自動車道建設事業におきまして対前年約百億円という大きな予算の増額がございました。またそれに加えて、これも財投事業でございますが、電源開発株式会社による石川火力発電所の建設も緒にりこうといたしておりますので、公共投資の総量といたしましては前年度を上回ることはまず確実であろう、私かように考えてございます。  以上、補足させていただきました。
  78. 青山丘

    ○青山委員 今説明がありましたが、それと五・八%の目標、これはあくまで目標だとおっしゃるかもしれませんが、十年間これを実現させていかないと二次振計の成果なるものが難しくなってくる。学校が整備されてくることはとってもいいことで、私はそれなりの評価をするものですけれども、やはり独自の産業が発展していく、そういう基盤を沖縄でつくっていかないといけない。そうしないと、沖縄の経済そのものが発展していかない。そう考えてくると、今のままでさて五・八%の見通しはどうか、こういうことですよね。その見通しについていま少しお聞きをしたいと思います。  さてその見通し、なかなか難しいけれども、幾らか明るい見通しを持っておられるのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  79. 関通彰

    ○関(通)政府委員 第二次振興開発計画では、先生指摘のとおり今後十年間の実質成長率五・八%を見込んでおります。これは過去の実績と比べますと、復帰いたしましてから最初の十年間の実質の成長率が実績で六・一%でございまして、その間全国の経済成長率が実質で四・二%でございますので、大体最初の十年では全国平均を二・〇上回ってきたということでございます。ただ、経済が全体的に安定成長基調に入っておりますので、第二次振興開発計画ではそれよりやや低い五・八%という目標を立てたわけでございます。  しかし、第二次振興計画を立てましてから、先ほど先生具体的な数字でお示しになりましたように経済後退期に入っておりまして停滞を続けていたわけでございまして、過去の一、二年は景気の後退期でございましたので十年間の平均に比べますとやや低い時期であったというぐあいに考えております。沖縄の経済は昨年一年間経済指標も停滞いたしておりましたが、昨年の暮れごろからはっきり回復基調に入っておりまして、ことしの初めから諸指標も上向きになってきております。私ども今後の沖縄の経済振興は基調といたしましては、復帰後これまで十年間、集中的に基盤整備に投資が行われてきておりまして、今後もその整備が進められるわけでございますが、復帰後の十年間とは違いまして、これまで進められました基盤整備を生かしまして、さらに沖縄特性に合った産業振興を図るということによりまして、これまで以上の経済の伸展を期待したいわけでございます。現に農業等が非常に順調に発展いたしておりますが、これも過去の十年間の基盤整備の成果があらわれてきていると思っております。  今年度の経済見通しをことしの二月に県が発表いたしておりますが、名目で七・四%、実質で四・三%の成長を見込んでおります。中を見ますと、資本形成等はやや低目に抑えておりますが、一次産業、三次産業等にはかなり高い伸びを期待いたしておりまして、これらの各分野の経済の発展によりまして目標に近づけていきたいというぐあいに考えている次第でございます。
  80. 青山丘

    ○青山委員 二次振計におきまして、十年後の経済社会のフレームにおいては県内純生産は産業振興によって昭和六十六年度にはおおむね二兆四千億円に達することを見込んでいるわけです。そこで、産業別構成においても第二次産業のウエートが上昇することを私は基本的に期待をしております。一次振計と二次振計、その辺で若干修正があるかもしれませんが、基本的には第二次産業のウエートが高くなっていかなければいけない。そして産業振興の推進方針において、沖縄経済の自立的発展の基盤を形成していくに当たっては、既存の工業を育成することを初めとして新規工業の開発導入を図っていく、そのためには工業団地及び工業用水道などのいわゆる産業基盤整備を進めることによって企業立地条件の改善を図っていかなければいけない、また既存企業の団地化を図っていかなければいけない、企業の生産力の拡大を図っていくんだ、そういうこととともに新規企業の立地を促進していくということをうたって、新規工業の開発と導入を推進することとしているのです。しかし、今までにも労働集約型工業の立地であるとか新規工業の誘致などは進めてきたわけです。にもかかわらず、製造業、加工業の誘致がなかなか成果が上がらなかったと言われているんです。  沖縄県の経済自立化の柱の一つとして期待をされている製造業振興について、糸満工業団地の造成が進められております。中城湾港開発計画において臨海工業団地が進められておる。そういうことによって工場用地の整備が進んでいるのでありますが、問題は、既存の企業が移転をし再配置がうまくいくのかどうか。新規企業の導入誘致が活発な動きを見せていないことが実は心配されているんです。  そこで、沖縄県糸満市も条例などによって工場立地の優遇措置を講じているようでありますが、さて政府として企業の立地促進、既存企業の移転、再配置あるいは新規企業の導入等々の立地促進に対してどう対処していかれるのか御答弁いただきたい。
  81. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄の第二次産業振興についてでございますが、第一次振興開発計画ではフレームの中で第二次産業の割合を一八%から三〇%まで引き上げるという計画をいたしております。復帰いたしました昭和四十七年がまだ高度成長期の最後でございまして、やはり想定にはコンビナートの誘致というようなものも想定しての計画でございました。しかし、経済の変動を考慮いたしまして、第二次振興開発計画では第二次産業の割合は二二%から二四%に若干比率を高めるという想定にいたしまして、一次、二次、三次の均衡ある産業の発展を想定しておるわけでございます。何分企業の誘致、地元開発庁といたしましてもこれまでにも力を尽くしてきたつもりではございますが、現在の経済情勢でなかなか本土からの新しい企業の立地ということが現実に難しい情勢でございます。しかしながら、やはり第二次産業振興地元の雇用の場の確保、それから地元の経済の発展ということから不可欠でございまして、私どもは地場産業との提携を図りながら、地元企業の新しい産業の発展を期待しながらこれからの二次産業の発展を図っていきたいと考えておるわけでございます。  具体的にどういう助成策があるかということでございますが、復帰に際しまして制定されました沖縄振興開発特別措置法では、工業開発地区の制度を取り込んでおりまして、この指定地域の中では税制の特別措置その他の優遇措置が盛り込まれているわけでございます。国といたしましては、特別措置法に盛られております諸制度を十分生かしながら、地場産業振興を図っていきたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  82. 青山丘

    ○青山委員 今、答弁では、税制措置等を考えていきたいと言っていただきましたね。  糸満新漁港後背地の開発については、第四区域の中小企業団地の埋立工事がこの六月に完了する予定だと聞いております。これによって水産食品加工団地、中小企業団地、住宅団地等が造成をされるが、水産食品加工団地には現在まで県のすり身工場、削りぶし工場及びちくわ工場が立地しているだけで、企業の立地はなかなか進展しておらないというのが実情だと聞いています。また、本土企業の誘致も県が打診しているけれども同団地への進出に難色を示していて難しいものがあるということだそうでございます。糸満新漁港及び後背地の工業団地の開発は、沖縄県の水産業発展の先導的役割を担う水産基地をつくっていく、また水産物流通加工の拠点漁港となっていくでしょう。また、産業振興と雇用の拡大を図るためのプロジェクトとして大きく期待されているものです。しかし、このように水産加工団地への企業の再配置、誘致が鈍いようですと、中小企業団地への立地も心配されるのです。中小企業団地への企業の立地予定というのはどうなっていくのか。  予定では随分お尋ねするつもりでしたが、最後に、今後の企業誘致についてどのように推進していかれるのか、もう一度その方針を示していただきたいと思います。
  83. 関通彰

    ○関(通)政府委員 糸満の工業団地の問題につきましてお答えします前に、先ほど申しました税制の問題は現在あります沖縄振興開発特別措置法の中に既にそういう制度が盛り込まれておりまして、それを十分に活用してまいりたいという趣旨でございます。  御質問でございました糸満工業団地につきましては、水産食品加工団地は五十七年の十月に造成が終わっておりまして現在分譲中でございます。また中小企業団地につきましては、ことしの六月に造成を終わりまして引き続き分譲に入る予定でございます。水産食品加工団地につきましては、現在までに既に先生指摘の水産食品加工業者が立地して操業中でございますが、最近さらに水産関連の二社が進出を既に決定いたしておりまして、今地元と手続中でございます。そのほかにも地元も誘致に努力をいたしておりまして、現在既にその他の水産加工業者数社とも協議を続けているところでございます。それから御指摘の中小企業団地につきましては、ことしの六月に造成が終わるわけでございますが、地元の中小企業者の組合、百名を超す組合員の組合でございますが、この組合を中心に県内企業の立地を具体的に検討中でございます。今後県及び糸満市が一体となりまして、誘致活動を展開しようとしているところでございます。  一方糸満市は、先生先ほどお触れになりましたように、実は市の条例で特別措置をいたすことといたしております。ごく最近でございますが、去る四月二日に団地内に立地しました企業に対しましては固定資産税の減免等を内容といたしました新しい誘致条例を制定いたしているところでございます。いずれにいたしましても、糸満工業団地における企業立地につきましては、県及び糸満市の積極的な誘致など地元協力が不可欠でございますが、国といたしましても地元協力いたしましてさらに推進に努めてまいりたい、かように感じているところでございます。
  84. 青山丘

    ○青山委員 もう時間がありませんから、最後に一言だけ聞いておきたい。  工業再配置の跡地の利用について、また改めての機会にお尋ねしていきたいが、糸満市が進めているこの優遇措置、企業誘致条例とか特別工業地区建築条例、これらを進めておられるわけですが、これらに対する所見を最後に少し述べていただきたいと思います。
  85. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄復帰に際しまして、産業振興、企業の誘致につきましては振興開発特別措置法で諸般の優遇措置を講じて進めてまいったわけでございますが、なかなか経済情勢が厳しゅうございまして成果が上がらないような状況だったわけでございます。地元ともいろいろ協議いたしまして、その後県におきましても工業開発地区につきましては県の条例を制定していただきまして、さらに優遇措置をとっていただいたところでございますが、さらに市においてかような条例を制定して企業誘致に積極的に取り組まれていて、国、県、市が一体となって企業誘致を進めていく大変強力な手段になろうかというぐあいに私どもは考えている次第でございます。
  86. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  87. 渡辺朗

  88. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に長官に総論的なことからお聞きいたしますが、長官所信表明には全然基地問題に触れていませんね。ところで、第二次振計では、産業振興及び都市整備に大きな影響を与えている米軍の施設、区域を早期に、縮小することを基本目標の一つにしている。これは説明するまでもなく長官御承知だと思います。ところが、今沖縄現状は、あの例のACMI、これが四千平方キロの空域を新たに設定するということをもうほとんど強引に運輸省は決めている。さらに特殊部隊、殺し屋部隊と言われている、これがまた六月にはやってくる。こうなりますと、この振計に言う施設、区域の縮小ではなくて、むしろ拡大強化というのが現実である。これについてどうお考えになるのか、一言御答弁をお願いしたいのですが、具体的にはACMI、危険なんですよ。しかも四千平方キロメーターの空域を新しくやろうという、日米合同委員会にかけようとしておるところなんです。これを特に沖縄担当長官として、こういった空域の拡大強化は許さぬ、特殊部隊はまかりならぬといったぐらいの意見を進言していいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  89. 中西一郎

    中西国務大臣 予算委員会でも問題になったことでもございますが、空域の問題については私直接所管しておりません。いろいろな話が出たのを聞いておりますと、大きな障害はないという関係省庁からの回答があったように記憶をいたしております。また、特殊部隊云々の話も予算委員会で話が出まして、そのことについても別段日本政府としては変わった対応は必要はないというふうなやりとりがあったように記憶いたします。我々としては、経済の振興産業の発展ということを主たる任務としておるわけでございますから、そういった観点から必要があれば他省庁とも連絡はとらなければならないと思うのですが、現段階ではその必要があるとは思っておりません。
  90. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうなりますと、担当の長官でしょう、第二次振計にこうやってはっきり書かれているわけです。産業振興及び都市整備に大きな影響を与えている米軍の施設、区域を早期に縮小するということは、基本目標に書かれておるわけなんです。ところが、それを仕方がないだろうということになりますと、振計は一歩も進まない。まさにここにあるんですよ。所管じゃないからとかということは言えませんよ。空域が新しく四千平方キロメーター、これは大変なことなんです。まだこれは合同委員会にかかって決定されておりませんが、特殊部隊も、あれは普通の部隊とは違うのですよ。そういった面で、担当長官であるから、もっと真剣にこの点を考えてほしいし、やはり意見を県民の立場に立って——振興開発計画に書かれているわけなんだから、支障を来すと。そして整理縮小じゃなしに拡大強化なんですよ。これを私言っておるんですよ。どうなんでしょうか。
  91. 中西一郎

    中西国務大臣 現段階で振興計画あるいは産業開発に特段の支障があるとは思っておりません。そういったようなことで、必要がある場合には関係省庁と相談をしてまいりたいと思います。
  92. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 空域であれ陸であれ海であれ、アメリカに新しく施設をやるというACMIの話だが、これは現段階で支障を来すのですよ。どんなに危険であるか、私質問しましたが、このACMIの問題は、あれはもう空中で戦闘するんですよ。マッハ二で飛ぶと十五秒間に九キロ行くんだから、これが空中でやるんだ、これはもう危険きわまりない。まさに沖縄県民にとってはゆゆしい問題である。だから私は、きょう時間がありませんのでこの点はそれ以上追及しませんが、この点は特段に配慮をお願いしたいと思います。いかがですか。
  93. 中西一郎

    中西国務大臣 先ほど来御答弁申し上げましたが、現段階では特段の配意をする必要はないと思っておりますが、必要があるとなれば関係各省庁と相談をいたしたいと思います。
  94. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、沖縄の経済振興の問題ですが、沖縄経済の問題はもちろんいろいろ要因がありますね。労働者の賃金が上がるか下がるかでも問題がある。それから農民のサトウキビの問題、それに花卉園芸あるいは水産業の問題、さらに地場産業を含む環境事業の問題、さらに基地使用のための土地代の問題、いろいろ要因があります。そこでも公共投資という問題は動脈的な役割を果たすわけなんですよ。そういった意味でお聞きしますが、今回の所信表明でも、マイナスシーリングになっても特段の配慮をした、特段の配慮をされたというのは具体的にどういうことなんでしょうか。
  95. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答え申し上げます。  大臣がそうおっしゃいました趣旨は、一つ公共事業について例を申し上げますならば、量的には全国が〇・九%対前年減になっていますが、沖縄の場合は〇・二%減にとどまっておる。その内容につきましては、今沖縄におきまして最も緊要な課題でございます国民体育大会開催準備のための経費、それから農林水産業振興、こういう重点とした事項につきましてはほぼ満額の予算を獲得したということでございます。  それから、先ほど青山委員に対して申し上げましたように、公共投資の総額という面では財政投融資事業を合わせますと前年を上回る事業量が確保できたということでございます。
  96. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 特段の配慮というのはアメリカに対する配慮と沖縄県属に対する配慮と違っているんですよ。これは数字をもって示せばよくわかるんですよ。思いやり予算がありますね。アメリカに思いやり予算をやる。この思いやり予算の問題でありますが、五十九年度の、全体じゃなしに沖縄関係だけの思いやり予算の伸び率は、五十三年度に比較して実に十四・九倍になっているんですよ。ところが沖縄開発庁予算、五十三年度と比べてわずかに一・二六倍にしかすぎないんですよ。私はこの点、アメリカに顔を向けるのではなく県民に顔を向けて初めて本当の振興開発計画もできる。その点を、なぜアメリカには思いやり予算をどんどんふやして聖域だと言うのか。特に沖縄では基地が多いものだから思いやり予算というのは相当大きいんですよ。今倍率で申し上げましたが、その点一体どうお考えなのか。今行政改革と言いますが、行政改革の一番眼目は浪費を削ることなんです。軍事費こそ一番の浪費なんですよ。これは見解の相違だというふうなことは言えません。思いやり予算が始まってから現在までの話をやるのは時間がありませんからやりませんが、今言ったようなこういった倍率からいって、私は、そういう思いやり予算を削って沖縄県民公共事業に回すというのが当然のことだと思うのですが、この点は大臣いかがですか。これは局長ではなしに大臣が答えてください。
  97. 中西一郎

    中西国務大臣 いつのころからか思いやり予算という、いわば俗語があるわけでございますが、防衛関係、これは日米安全保障という立場から、最小限度の措置は国として当然とらなければならない、その一環として基地対策というものもあるということで対処する必要があるわけでございます。  防衛をおろそかにしないということについては、私の見解は、間違っておるかもしれませんが日本共産党さんも、たしか中立自衛というようなことをおっしゃっておるというふうに記憶をいたしております。やはり国は守らなければならないということでございますし、そのことと沖縄振興開発ということとは、何といいいますか次元が違うわけでございます。したがって、その次元の違うものを伸び率で比較して、振興開発計画の方がなおざりになっておるというふうに議論を展開されましても、私どもとしては、そうですがと申し上げるわけにはまいらないわけでございます。
  98. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 たまたま中立自衛などといったようなとんでもないことを言っておりますが、共産党の今言っていることは、ほかの党は言っておりませんよ。膨大な軍事費を削って国民の暮らしと福祉、教育に回せ、これは共産党だけが言っています。凍結は言っておりません。その件なんですよ。中立自衛は関係ない。これと沖縄の経済と関係ないとは絶対言わさぬですよ。国民の血税が全部国防に行くんですよ。あなた、嘉手納基地を見ればわかるように、どんどん強化されていく。それで、そこには思いやりまでやる。私の言っているのは、そういった思いやりをアメリカにやる金があるわけなんだから、その金は沖縄県民に回すということが当然のことではないだろうか。  だから、真の行政改革は、むだを省いて必要なものに回すことだということが当然言えるわけなのです。ですから、その意味では、これほどの倍率になっているわけで、ひど過ぎますよ。五十九年度予算、思いやり、これは沖縄だけですよ。二回言いますが、率は五十三年に比較して十四・九倍、今あなた方のこれはわずかに一・二六倍にしかすぎない。これはだれが見てもひど過ぎるんですよ。長官にも少しは良心があるわけですから、その率を狭くするぐらいの意見は持ってこられてもよい。次元は違わぬですよ。次元は同じなんです。血税は同じところから出るのだから、次元はちっとも違わぬ。防衛か産業開発か。産業開発には金が要る。金はどこから持ってくるか。次元は同じ、国民から出ている。だからそういう意味で、よほど考えて特段の配慮というものをそこに集中してやるべきだという意見を私は持っておるのですが、長官いかがですか。
  99. 中西一郎

    中西国務大臣 振興局長もるる説明いたしましたが、振興開発計画について全国的な視野で見ますと、他の地域公共事業にとられた措置よりも沖縄について重点を置いた。先ほど申し上げましたが、大きく胸を張って十分な予算をとったとまでは言えませんけれども、しかし、ほかの地域公共事業費の伸びよりは沖縄については若干の配慮ができたということについては、これは申し上げても間違いではない、かように思います。  先ほど来のお話でございますから、るるは申し上げませんけれども、日米安保条約にいたしましても、防衛という観点からいたしましても、国を守るということがございませんと、産業振興開発あるいは福祉、いろいろな目標がございましょう、しかし、そういったこと自身の基礎、根底が崩れてしまうわけですから、やはり基礎工事というものとその上に打ち立てる諸政策というものについては次元が違うと申し上げても間違いではない、私はかように思います。
  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これ以上、この問題については討論しませんが、要するに今のような長官考え方では、第二次振計をやろうが第三次振計をやろうが目的は達しない、これははっきりしていますよ。金の出どころは同じだが、出し方が違うわけだから。  それで、もう一度具体的に申し上げますが、やはり地元業者、これにおりる率を高くしていくということが県内、県民の懐が本当に豊かになるということの問題について申し上げたいと思います。今県内業者と県外の業者に落ちる金高は幾らぐらいなのか、これは政府委員でいいですよ。
  101. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 沖縄総合事務局開発建設部がやっております直轄事業について申し上げますが、そのうち最も代表的な業種でございます一般土木工事、これはいわゆるゼネコンでございますが、この土木工事の発注状況を申し上げますと、五十七年度でございますが、単体企業、これはJVでないということでございますが、この発注割合は、県外が一八・六%、県内が八一・四%。次に共同企業体でございますが、県外が五九・七%、県内が四〇・三%。合計いたしまして、県外四〇・八%、県内五九・二%。大体県外四、県内六、こういうような状況でございます。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今言われた表を私も持っています。これは一般土木工事だけなんですよ。私の聞いているのはそれじゃないのです。総合事務局関係の団体の公共事業関係を五十四年から五十七年分について試算したところ、五八・七%が県外に発注されているのですよ。これは建設業協会の調査ではっきり全部あらわれているのですよ。ですから、県内には逆だ。県外に五八・七ですから、県内には四〇%ぐらいしか落ちていないというこの事実です。今言われたのは一般土木関係の話ですよ。私の聞いているのは、そうでないのです。そういうことを構造的に変えて県内の業者に発注することを大きくしない限り、沖縄の県民所得は相変わらず七〇%とかいうふうなものにしかすぎない、ここにくるのですね。  それで、時間がありませんので省きますが、一例ですが、那覇市の問題です。五十九年度発注の那覇港湾埠頭工事の問題でありますが、いわゆる直轄事業が入り込んでいっているんだな。これは那覇市なら那覇市だけにさせるならば、それだけ直接業者に落ちていくんです。これは那覇市の話なんです、港湾関係。  この問題は、地元業者に発注すれば、地元業者が非常に潤いを受けます。そして活気が出ます。私、那覇市だけの港湾関係のものを言いましたが、これは全県的な風潮であるので、調査して県内の業者に発注できるような方法を検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  103. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私どもは、総合事務局が施行いたします直轄事業につきましては、ゼネコンの例を挙げて申し上げたのは御指摘のとおりでございますが、従来から県内企業の受注の確保を図るという点からいろいろ考えておるつもりでございます。もちろん例えば高度の機械、技術力、そういうものが要るというようなケースではそうまいらぬ場合もございますけれども、私どもとしましては、例えば分割発注あるいは共同請負、そういうことを通じて県内企業の受注機会の拡大というものを、関係省庁協力も得てやってまいりたい、かように考えています。  それからもう一つ付言いたしますと、やはり県内企業の技術力の向上というようなことも一つ大事な点であろうと思いますので、こういう面では、今の共同請負、共同企業体というようなものも技術力向上のためには私どもは役立つものではないか、かように思っておりますが、なおその点、十分検討さしていただきます。
  104. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、最後に申し上げますが、県内、県外業者との関係で、この問題を沖縄では、沖縄経済が発展しないのは一言で言えば県外の大企業の食い荒らしだ、基地と食い荒らし、これをなくしない限りだめだということ、これはもうはっきりいろんな統計で出ているんですよ、観光事業の施設にしても何にしても。これは触れません。  ただ、最後に質問しますが、ランクづけがありますね。Aランク、Bランク、ありますね。Cランクまであるんですか。Aランクは何十徳、Bランクは幾ら、決まっているんでしょう。その業者別名簿を出せますか。
  105. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 たしか一昨年でございましたか、本委員会先生から御要求があったときにも申し上げたわけでございますが、ランク別の業者名簿を出すということは差し控えさせていただく、こういうことにいたしております。  その理由というようなものでございますが、ランクづけに関しましては、企業の資本金であるとか従業員数であるとか、その他いろいろの経営状況というものをしんしゃくいたしまして決定するわけでございますが、このランクづけというものは当該業者の方だけに通知をいたしまして、これは一般に公開すべきものではない。そういうことから、選定要領という取扱要領があるのでございますが、こういうものにおきましても、それに携わる職員がこれを外へ漏らしてはならない、こういう定めにもなっておりまして、これを公開したことはないというぐあいに聞いております。
  106. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 仕方がありませんので、それじゃ、一言でいいから県外でAランク、Bランク、何件あるか。それと県内、名前はいいですよ。県内はAランク、Bランク。Cランクあれば幾らか。県外と県内別々に件数だけ言ってください。わかるでしょう。
  107. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 ただいま申し上げました企業名を発表するわけにはまいらぬということと関連いたしまして、ランク別に企業数というものを出しますと、容易にそれを推測され得る、そういう可能性もあるわけでございます。そういうことで、私どもはそういう発表を従来からいたしておらない、こういうことでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  108. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私はこれは御了承はいただけないんです。これを指名入札みたいな形をとると、公正じゃないんですよ。追及されるといろいろ不正が出る根拠がそこにある。なぜそういつも公表できぬのか。  これは少なくとも沖縄でAランク幾らぐらいある、何件ある。さらに県外には何件あるぐらいまで発表して、公正に、これは公共事業の問題なんだから、国の、国民の血税がどういうふうに使われているかという問題で、指名入札じゃないんですよ。  そういった意味で、私、時間がないので、委員長にお願いしますが、これはぜひ委員会に、今申し上げました会社名か、もしできなければ、県内幾ら、県外幾ら、この資料を提出してほしいということを委員長に申し上げたいんですが、いかがですか。
  109. 渡辺朗

    渡辺委員長 いかがですか、その問題については。
  110. 中西一郎

    中西国務大臣 これは当局としては、振興局長お答えしたとおりの所見でございます。委員会として御相談をいただければ幸いだと思います。
  111. 渡辺朗

    渡辺委員長 委員長の方から申し上げます。  ただいまの瀬長君の資料要求につきましては、理事会で協議したいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 了承いたしません。  長官、これがわからないと、公正な事業をやっているとは県民は考えぬ。疑惑がだんだん深まってくる。明らかになれば、ははあそうだったのか、じゃうまいぐあいにやっているのだな、ということにならない限り活力出ませんよ。そういった意味で私、要求しておりますから、これは御了承ください。  委員長の件は了解いたしました。  終わります。
  113. 渡辺朗

    渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十八分散会