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1984-07-24 第101回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十四日(火曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 福家 俊一君    理事 鹿野 道彦君 理事 浜野  剛君    理事 三塚  博君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 中村 正雄君       加藤 六月君    小山 長規君       佐藤 文生君    田中 直紀君       近岡理一郎君    中馬 弘毅君       中山 正暉君    二階 俊博君       林  大幹君    増岡 博之君       箕輪  登君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    田並 胤明君       富塚 三夫君    西中  清君       森田 景一君    河村  勝君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸省地域交通 服部 経治君         局長         運輸省地域交通         局陸上技術安全 丹羽 一夫君         部長         運輸省貨物流通 栗林 貞一君         局長  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部経         済法令調査官  鈴木 恭蔵君         警察庁交通局交         通指導課長   山崎  毅君         自治省財政局公         営企業第一課長 紀内 隆宏君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員異動 七月二十日  辞任        補欠選任   河村  勝君    塚本 三郎君 同日  辞任        補欠選任   塚本 三郎君    河村  勝君 同月二十四日  辞任        補欠選任   久間 章生君    二階 俊博君 同日  辞任        補欠選任   二階 俊博君    久間 章生君     ————————————— 七月二十日  志布志湾の埋め立て反対に関する請願上西和  郎君紹介)(第八四〇七号) 同月二十四日  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (春田重昭紹介)(第八七三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路運送法等の一部を改正する法律案内閣提  出第六一号)      ————◇—————
  2. 福家俊一

    福家委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  定員に達しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左近正男君。
  3. 左近正男

    左近委員 この地方事務官問題については、三十数年来の経過がございます。確かにこれは奇妙な存在であり、変則的な形である。このことは、今次の臨調答申をまつまでもなく、今までに地方制度調査会あるいは昭和三十九年の臨時行政調査会あるいは昭和四十一年の行政監理委員会などでも検討されておりまして、過去に一定答申が出ておるわけであります。これらの答申について、それでは地方事務官についてどのようにせよという答申をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  4. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  まず地方制度調査会でございますが、これは昭和三十八年の十二月に第九次の調査会答申を行いまして以来、数回にわたりまして答申意見具申提出を行っておるところでございますが、その内容は、例えば昭和五十六年七月の意見では、厚生省労働省地方事務官を含めまして地方事務官制度を廃止すること、地方公共団体が処理することを基本として国、地方を通ずる行政事務の再配分を行うことなどであると承知しております。  それから次に、第一次臨時行政調査会でございますが、これは昭和三十九年九月に行った答申の中で、地方事務官人事権が今なお本省に属していることは、地方自治法の規定の趣旨に反し、機関委任事務の遂行上異例に属するので、地方事務官は速やかに廃止すべきであるという旨を指摘しております。  それから次に、行政監理委員会でございますが、これは昭和四十一年の七月に行いました「地方事務官制度改革に関する意見」という中で、陸運事務所地方事務官制度に触れまして、まず陸運局陸運事務所で所掌している事務については可能な限り知事機関委任し、この事務に必要な限度において地方事務官地方公務員とする。次に、陸運事務所車検登録事務については、極力民間業者の活用を図ることを指摘しております。
  5. 左近正男

    左近委員 今のお話からすると、過去のおのおのの調査会あるいは行政監理委員会等との答申では、今回の出された法案とかなり質が違うと思うのです。やはり地方地方事務官職務を移管せよという方向答申がされておる。今回の政府法案は、それとは全く逆な形で出されておる、私はこのように思います。  そこで、昭和四十九年五月の十七日に開催の地方行政委員会で、地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が出ているわけですが、この中で「地方自治法附則第八条の職員については、昨年十月、行管運輸厚生・労働・自治の五大臣間において合意に達した「速やかに結着をつける」との内容に基づき、昭和五十一年三月三十一日を目途として地方公務員とするよう努めること。」、こういう附帯決議がされております。また五十二年の十二月の二十三日の閣議あるいは五十四年十二月二十八日の閣議で、地方事務官問題について運輸省にかかわる問題で一定方向が出されているわけですが、これらの内容について大臣は御存じですか。
  6. 細田吉藏

    細田国務大臣 よく承知いたしております。
  7. 左近正男

    左近委員 大臣がよく承知をしておられるのであれば、今回はそのような承知をした内容に基づいた法律提案だと考えますか。
  8. 細田吉藏

    細田国務大臣 地方事務官制問題というのは、随分長い問題でございまして、実は私は昭和四十三年に自治省の政務次官もいたしておりました。その直後は地方行政委員会の自民党の理事もいたしておったこともございますので、この経緯については十分存じておるつもりでございます。  今、地域交通局長からお答えしましたとおり、第一次の臨時行政調査会あるいは行政監理委員会あるいは地方制度調査会あるいは地方行政委員会における附帯決議、いずれも地方事務官名実とも地方事務官とせよ、一口に言えば、そういう方向が強かったと思います。中には多少あいまいなものもそういった資料の中にはございますけれども、大体の方向はそういう方向だったというふうに承知しております。  長い間、中央地方との間で関係するところは三省でございます。もう御案内のとおり、労働省厚生省運輸省三省でございますが、それぞれ地方との関係をどうするかということについて調整を図ったという事実もございます。しかしながら、どうしても話がつかないということで、当分の間というのが非常な長期にわたって、御案内のように不自然な形のものになっておったということでございまして、今回の第二臨時行政調査会でも、この問題はぜひとも片づけたい、どうしても決着をつけたい、こういった御意向があったようでございまして、第二臨調の中でも非常な激しい議論が闘わされたということを私ども承っております。その結果、第二臨調答申が出ましたが、これまでの方向と確かに違うと思います。違う方向のものが第二臨調答申によって出ましたので、中曽根内閣としましては臨調答申の線に沿ってこの問題についての決着をつける、こういうことにいたしたというふうに理解をいたしております。
  9. 左近正男

    左近委員 それでは、臨調答申とは何ぞやということになるわけですが、できるだけ国の行政を身軽にしていく、地方でできるものは地方でやってもらうというのが臨調基本的な原点ではないかと思うのです。それが、このたび、地方で今日までやってきたことを全部国の方へ集中的に統括をしていく、これは臨調基本的な考え方と異なるのではないか。  例えば、運輸省がこの七月一日に戦後初めてというぐらい大きな機構改革をされました。運輸省昭和二十四年にできて以来、一番大きな機構改革ではないか、このように言われております。その機構改革基本は何か。今まで運輸行政縦割り行政であった、それを横割り行政にしていく、これが今回の機構改革の大きな柱ではなかったか、私はこのように思うわけです。  特に運輸行政というのは地域性の強い行政でございます。したがって、私どもは今回地方事務官、大変あやふやな形で今日まで戦後三十数年間来だというのは異常な事態だと思いますが、すっきりするのであれば、地方権限をもっと分権すべきだ、私はこういうことを考えておりますが、その辺の基本的な考え方について大臣としてどう思われるのでしょうか。
  10. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま申し上げましたように、第一次臨時行政調査会考え方あるいは行政監理委員会考え方あるいは地方制度調査会考え方というのは、ただいまあなたの御主張になっておる立場でございます。今度の臨時行政調査会の中でもそういう立場が非常に強調されたということを私は承っております。ですから、これは一つ考え方であることにはもう間違いがないわけでございます。  しかし、これをどうするかということが簡単に片づく問題ならばとっくに片づいておるはずなんでありますが、非常に困難である。国の事務地方事務とをどういうふうに配分するかという問題にかかわっておりまして、三省関係について非常に難しいということから、第二臨時行政調査会の中でそれに対して御意見がいろいろ闘わされて、その結果答申が出たということなんでございまして、あえて先生考え方に私がここで、いやそれは間違いですというようなことを申し上げるあれはございません。そういう意見も筋の通った一つの御意見でございますから、それに対して反対の御意見も出ました結果、臨調答申というものが出たということでございまするので、これ以上のことを政府として、どちらが正しかったとかなんとか言うことはいかがかと思うのでございまして、臨調答申最大限度に尊重するという建前を中曽根内閣はとっておる、こういうことなんでございます。
  11. 左近正男

    左近委員 ともかく政府の上に臨調があるというように思えてならないのですが、これはそうではないでしょう。どうですか、大臣
  12. 細田吉藏

    細田国務大臣 臨時行政調査会は、法律によりまして、国会の御承認で、国権の最高機関である国会の意思として決定したものでございます。ですから書いてあるとおりなんでございまして、政府の上にあるものではございません。しかし、意見を尊重するということは非常に強く国会でも論議されたところでございます。したがって、これを尊重する。しかし、絶対にそうしなければならないというようなものではない。そういう意味で、政府の上にあるものだというふうには考えておりません。
  13. 左近正男

    左近委員 地方事務官職務を国が統括することによって、国の許認可権限がさらに強化されるのではないかということが非常に心配をされておるわけです。そこで、今運輸省としてはどれぐらいの許認可事項を持っておるか、お伺いをします。
  14. 永光洋一

    永光政府委員 許認可と申しましてもいろいろ範囲がございますが、厳密な許認可以外のいわゆる行政行為といいますか承認とか報告とか、国民といろいろな関係のある一般的な範囲で申しますと、現在二千二百件ほど運輸省関係では許認可事項などがございます。
  15. 左近正男

    左近委員 この運輸省許認可事項が非常に多いのではないか。今も御答弁がありましたように二千二百件、全省庁の許認可の件数を見てみますと一万四十五件だと言われております。一万四十五件中、運輸省にかかわる事項が二千二百件もある。これは、運輸省は何か縄張りというか権限を集中して行使をしておるというか持っておる、ここに私は非常に大きな問題があるのじゃないか。行政改革の柱は行政を簡素化させていくということがどうしても必要でありまして、運輸省として今日二千二百件持っておる許認可事項について、もっと地方に、例えば知事なり市町村長なりそういうものに分散をさせていく、運輸省が一々くちばしを入れなくてもいいのではないかという事項も私はたくさんあるのではないかと思うのです。私は、この際、運輸省許認可事項見直しをやってもらいたい、このことを強く思っておりますが、大臣、いかがですか。
  16. 細田吉藏

    細田国務大臣 私が申し上げるまでもございませんが、第二臨時行政調査会はこの問題の取り扱いに非常に苦心をされた跡が答申の中に見えるわけでございまして、今おっしゃいましたような点については、いわゆる地方事務官をやめて陸運事務所職員国家公務員とするということにする反面に、「地方公共団体意向を反映させる仕組みを制度的に拡充強化する。」ということを一つ。それから、「許認可権限地方公共団体への委譲を含め、当該行政に関する機能分担の在り方について検討する。」、こういう言うならば二つの条件みたいなものを答申の中につけておるのでございます。  私どもは、先ほど御質問の中にもございましたように、許認可官庁から政策官庁への脱皮ということをスローガンにしてこの七月一日に中央地方を通ずる機構改正をやったわけでございますから、この答申の一方だけを尊重して他方は尊重しないというような考えは毛頭ございません。特に、私は、できるだけここに書いてあるようなことをどうしたらできるか、許認可の移譲を含めまして、あるいは許認可の廃止というようなものも含めましてどうするかということについては新しい機構のもとでできるだけのことはさせたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 左近正男

    左近委員 私は、社会的に問題になりました鉛詰め試作車の問題、これらも、それはメーカーは確かに悪いわけですが、運輸省の複雑などういうか許認可の基準というものが災いをしている点も多々あったんじゃないか、このように思うわけです。したがって、今大臣のお答えのように、これから精力的に許認可事項についての見直し運輸省としてするというふうに理解をしてよろしいですか。
  18. 細田吉藏

    細田国務大臣 型式の問題については意見がございますが、この問題はともかくとしまして、方向としてはもうそういう方向で強力にやってまいりたい、かように存じております。
  19. 左近正男

    左近委員 それでは、私少し二、三の具体的な問題について、許認可事項にかかわる問題で見解をお聞きをしたいのですが、私も最近まで市の公営交通に働いておりましたので、いつも疑問に思うなという点を二、三御質問をしたいと思います。  バス停留所位置変更について、この権限はどこにあるのですか。
  20. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  バス停留所にかかわる事務というのは現在二つに分かれておりまして、一つ運賃区界にかかわる停留所移設とか、あるいは他のバス事業者路線共通にする場合の停留所移設、そういったものにつきましては、地方運輸局長認可に係らしめております。それから、それ以外の軽微な事案につきましては、すべて現在の陸運事務所への届け出ということになっております。
  21. 左近正男

    左近委員 このバス停留所位置変更ぐらいは、やはり地域市町村長なりあるいは知事なりが一番よくその地域事情を知っておるわけですから、こういうものについてはすべてこれは届け出でいいんじゃないか、これについて認可権を行使することについて私は行き過ぎだと思うのですが、この点どうですか。
  22. 服部経治

    服部政府委員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたとおり、現在地方運輸局長認可に係らしめているケースと申しますのは、停留所運賃界停留所になっている場合と、それから他のバス事業者路線共通にする場合ということでございまして、前者のケースにつきましては、運賃区界になっている停留所でございますのでこれの移し方のいかんによりましては、バス運賃そのもの異動を生ずるということになることの結果、全体の運賃の物の考え方というものとの整合性を図る意味で現在では地方運輸局長認可事項としております。  それから、バス路線を他のバス路線共通している、一緒に走っているというようなケースにつきましての停留所移設につきましては、その関係、他の事業者との調整その他かなり複雑な調整を要する場合もございますので、これも現在の段階では地方運輸局長権限ということにいたしております。
  23. 左近正男

    左近委員 それでは、どれくらいの割合になるのですかね。届け出で済ますエリアというか、それと、どうしても認可が必要なその割合はどれぐらいなんですか。
  24. 服部経治

    服部政府委員 ただいま手元に数字を持っておりませんので、後ほど調べまして御報告に上がりたいと思います。     〔委員長退席浜野委員長代理着席
  25. 左近正男

    左近委員 ひとつ、各自治体なりバス経営者が何か不便に感じないようにこれからやっていただきたいと思います。  そこで、私はこの地方自治体交通料金問題について少し基本的な考え方をお聞きをいたします。  このバス運賃地下鉄料金の問題もそうですが、水道料金、これらは法的には地方公営企業法という法律に基づいて経営がやられておるわけですが、交通料金については、当該自治体議会議決をした後、運輸大臣認可を得なければならない。同じように水道料金については、当該自治体議決をした後、厚生大臣に対して届け出だけでいい。私は交通水道市民生活にとっては大変重要な問題だと思います。私は、ある面では水の問題は、これは一日たりとも欠かせない料金問題だと思うのです。水については当該自治体議決で、あと届け出でいい、交通については当該自治体議決をしても、あと大臣認可がなければならない、これはかなり大きな違いが出ておるわけですが、この点について私はかねてから疑問に思っておったんです。やはり各自治体市民から選ばれた議会というものがあるわけですから、そういうコントロール機関がきっちりしているような料金問題について取り扱いが違うということについては私はおかしいと思いますが、この点はどうですか。
  26. 服部経治

    服部政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の水道料金パスあるいは鉄道等料金の扱いの差についてでございますが、これはこういう事情によるものだというふうに私は理解しております。  まず水道事業と申しますのは、もう先生とっくに御承知のとおり、地方公共団体がその事業経営するのが常態になっております。一方、パス事業にしろ鉄道事業にしろ、こういう運輸交通事業というのは水道事業とは異なりまして、基本的には一般の不特定多数の民間企業がこれを経営するというのがむしろ常態でありまして、そういう中にありまして一部必要な箇所につきましては地方自治体公営交通企業という格好で、こういったバスなり地下鉄なりの事業を運営しているということがあるわけでございまして、そういう違いが根底にあるんだというふうに理解するわけでございます。
  27. 左近正男

    左近委員 どうも、私はそれだけではちょっと理論的にも理解できませんがね。これは民間企業もやっておるから、そうだという……。
  28. 服部経治

    服部政府委員 こういった多くの市民日常生活に深いかかわり合いを持つ公共サービスの価格というものにつきましては、何らかの形で公の機関がその運賃水準の設定に介入いたしまして、公正なサービス提供の対価、言いかえれば運賃なり料金なりというものが設定されるように、これは利用者の保護を図る見地から必要になってくると考えるわけでございまして、そこまでは御理解いただけると思うわけでございます。特に運輸交通事業の場合にありましては、利用する者というものが全くの一般の個々の市民でございまして、そういう一般特定多数の利用者立場を保護する観点から十分に運賃料金に関して規制をしていかなければならない、こういう考え方の一環として公営交通企業も扱っているわけでございますが、その基本は、やはり今申しましたように公営交通企業がそういうものを経営するのが常態ではなくて、一般民間事業者がこれを経営するのが常態になっていることにあるんだと思います。一方、繰り返しますけれども水道事業の場合には議会議決というものを背後に控えました地方公共団体それ自身が経営するのが常態であるところに基本的な差があるというふうに認識いたしております。
  29. 左近正男

    左近委員 私、承服しがたいですが、時間もあれですから、引き続いてまたいつかの機会にやらせていただきたいと思います。  そこで、私は、ついでにこの地方公共団体経営する交通事業の問題の会計制度について、この際見解をお聞きしておきたいと思います。  確かに地方公営企業法の第十七条では特別会計の設置が義務づけられておりますし、バスについては道路運送法地下鉄については軌道法のところもあれば地方鉄道法規制を受けておる事業団体もございます。今日、地方公共団体経営する交通事業については、例えば地下鉄バスとを経営している場合、地下鉄を幹というかそういう交通機関に位置づけをしまして、バス事業を面的な交通事業料金についてもできるだけ乗り継ぎ料金制度共通運賃制度、こういうものを積極的に取り入れる努力をしておると思うのです。そこで、各自治体ではできるだけこのバス地下鉄を一体的に運営していくことが経営効率を上げる手だてになる、こういうことで私は努力をしておると思うのですが、今日この会計制度が先ほど申しました法的な関係で機械的に分離をされておる。確かに補助金の出どころも違いますので、なかなかこの分離は難しいかもわかりませんが、今日の都市交通、大都市の交通状況を考えますと、一体的な会計運営方式を、法は法としてありながらもっと大胆に行政指導していただけないか、このように私は思っておりますが、その点いかがでしょうか。
  30. 紀内隆宏

    紀内説明員 交通事業を初めといたしまして地方公営企業の場合、究極の目的が住民福祉の増進にあるということは御承知のとおりでございます。そのためには経済性の追求ということがポイントになります。と申しますのは、良質のサービスを提供する上で、できるだけ能率的な経営を行ったいわば適正な料金のもとにこれを供給することが必要であろうかと思います。経済性を追求する上では、それぞれ違った事業ごと経営成績なり財政状況なりを明らかにする必要があると考えます。各公営企業それぞれに事業中身も違いますし、利用者の層もそれぞれ異なっております。したがって、原則といたしましては、各事業ごと特別会計を設けてこれを経営することが適当である。  しかしながら、これは政令の方にゆだねてございまして、特別の事業についてはこれをまとめて一つ特別会計を設けることもできる。具体的に申しますと、軌道事業自動車運送事業それから地方鉄道事業、この三つのうちから二つ以上をあわせて行う場合、それから水道事業簡易水道事業、これは全面的に法が適用されるものに限りますけれども、これをあわせて行う場合、これは設置する公共団体条例でこれをあわせて特別会計を置くという旨を規定すればできるわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたようにそれぞれ利用者が異なり得る、それぞれの原価もまた異なるということでございますので、二つ以上の事業をあわせて一つ特別会計を置く場合におきましても、それぞれの経営成績が明らかになるように、いわばその中身を区分して扱うということが適当であろうか、このように考えております。したがって、御質問にありましたうち、言うなれば例示されました地下鉄バスというふうなものは条例をもってすれば特別会計一つにすることはできるけれども、その中身はそれぞれ明らかにしておく必要がある、こういうことになろうかと思います。
  31. 左近正男

    左近委員 私、大阪出身でございますし、大阪交通におったんですが、大阪市の交通事業は同じエリアを地下鉄バス経営しているわけです。できるだけ一体的な運営が可能なように料金の割引制度等についてもやられているわけです。そういう場合、条例では会計の一本化はできるのですか。
  32. 紀内隆宏

    紀内説明員 条例上は、条例を設ければ特別会計を一本にすることは可能でございます。  それからまた、お話にございました一体的な運用、例えば乗り継ぎ運賃その他、それはそれぞれ適当なことだとは思いますけれども、あくまでもそれはそれぞれの利用者が異なっているのが常態でございましょうから、それぞれに原価を明らかにした上でそのような手法をおとりになるということが必要ではなかろうかと思います。
  33. 左近正男

    左近委員 この地方公営企業法では、二以上の事業体については今条例でそういうことができるやに伺いますが、今私が質問した内容でも、できるわけですか。
  34. 紀内隆宏

    紀内説明員 先ほど御質問でお示しになりました、事業ごと特別会計を設けてこれを行えという旨は、法律の十七条にございます。そのただし書きには、この「事業を二以上経営する地方公共団体においては、政令で定めるところにより条例で二以上の事業を通じて一の特別会計を設けることができる。」ということになっております。  具体的にそれを受けまして政令では、軌道事業自動車運送事業及び地方鉄道事業のうち二以上の事業をあわせて経営する場合には、これらをあわせて一つ特別会計を設けることができる。その場合は、条例で設けるということになります。というのは、法定の事業それぞれに特別会計を設ける場合にはあえて条例の必要がないわけでございます。これを政令によってあわせて一つ特別会計を設けるとした場合には条例が必要である、こういうことになっております。
  35. 左近正男

    左近委員 いろいろな事業があるわけです。特別会計もたくさん、大阪の場合も十七、八あるわけです。だけれども、私は今交通問題だけについてやっているわけですが、バス地下鉄、これは一本でいけるわけですね。
  36. 紀内隆宏

    紀内説明員 お話のケースの場合には、条例によって可能でございます。
  37. 左近正男

    左近委員 わかりました。  タクシー料金の問題についてちょっとお伺いいたしますが、運輸省はこのタクシー料金についてどのような対処の仕方をされているのですか。
  38. 服部経治

    服部政府委員 タクシー料金につきましても、基本的には経営基盤の強化を図り、良質なサービスの継続的な提供ということを確保するために、必要な限度におきまして適宜に適切な運賃改定を行って適正な水準を保つことが必要というふうに考えております。  また、先生御指摘の趣旨がそうではなくて、同一地域同一運賃に関するお尋ねであるといたしますと、私どもは原則的に、基本的に、タクシー運賃は同一地域において同一の運賃水準を保つことが必要であるというふうに考えております。
  39. 左近正男

    左近委員 今、運輸省見解は、これは行政指導ですか。何かほかに特別な権限を持ってできる——同一地域同一運賃の原則というのは行政指導の範囲ですか。
  40. 服部経治

    服部政府委員 それは私ども運賃制度に関する基本的な考え方でございまして、そういう考え方に基づきまして運賃の問題に対処、対応しているということでございます。
  41. 左近正男

    左近委員 運輸省の方では、今答弁がございましたように、タクシー料金の改定に当たっては同一地域同一運賃、こういうものを原則にして行政指導をされておる。したがって、各タクシー業者から運賃値上げの申請があれば、全部出そろうまで審査をしない、こういうことが過去から今日までずっとやられておる実態だと私は思います。  そこで、この同一地域同一運賃の原則をぎっしり守れば、公取との関係が必ずこの料金の値上げのときには出てくるわけでございます。きょうは公正取引委員会から来ていただいておりますが、公正取引委員会としてはこのタクシー料金問題についてどのような考え方をお持ちですか。
  42. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  タクシー運賃につきましては、道路運送法八条に基づきます認可運賃でございますから、これにつきましては先ほど運輸省さんの方から御答弁ございましたとおり、行政方針として同一地域同一運賃を原則として運用していると聞いております。ただ、タクシー運賃認可をどのような形でどのような方針で行うかということにつきましては、この道路運送法を所管されていらっしゃいます運輸省さんが第一義的に考えられる問題ではないか、かように考えている次第でございます。
  43. 左近正男

    左近委員 公取としては全く干渉しないということでよろしいか。
  44. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 認可に当たっては、やはり第一義的には所管されている運輸省が考えられる問題ではないか、かように考えております。
  45. 左近正男

    左近委員 だから、運輸省認可をしたこと、いろいろなことについて、同一地域同一運賃の原則、こういうものについても全く公取としては関知しないということでよろしいですね。
  46. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 認可である以上は、やはりまず第一義的にはそれを所管されているところがいろいろな方針で考えられる問題である、かように考えております。
  47. 左近正男

    左近委員 第二義的にはどういうことですか。
  48. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 ですから、現在、同一地域同一運賃で運用されていらっしゃいますので、これにつきまして、先ほどから申し上げているとおり、やはり運輸省さんの御方針であるというふうに理解しております。
  49. 左近正男

    左近委員 公取の見解、私なりの理解では、運輸省は同一地域同一運賃、この原則で行政指導をされておる、このことについては公取としてはとやかく言うべきことではございません、そういう形で料金認可をしていることについても適正だという判断をされている、こういう理解でよろしいですか。
  50. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 先ほどから繰り返して申し上げているとおりでございますが、運賃認可につきまして、認可をどのような形でどのような方針で行うかということにつきましては、やはりまず所管されている運輸省がいろいろな方針に基づきまして考えられる問題であるというふうに考えております。
  51. 左近正男

    左近委員 僕は頭が悪いからどうもあなたの答弁が理解できぬ。私にわかるように答弁してや。あなたは大学出て偉い人や、わしは大学も出てないしわからへんのや。もっと易しゅうやってくれや。
  52. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 先ほどから申し上げているとおり、認可についての方針につきましては、まず第一義的に運輸省の問題ではないかと考えております。ただ、私ども公正取引委員会が競争政策を促進する立場からは、やはり可能な限り事業者の創意工夫を発揮していただくようにすることが望ましいのではないかと考えております。(左近委員「業者の何」と呼ぶ)事業者の創意工夫が発揮できるような形でお願いしたいということを考えております。
  53. 左近正男

    左近委員 業者の創意工夫を発揮した形が望ましいという立場で、過去に公取としては何らかの見解を発表されたことがございますか。
  54. 鈴木恭蔵

    ○鈴木説明員 私ども昭和五十七年の八月に、政府規制の緩和及び独占禁止法適用除外に関する問題につきまして公表させていただきました。これにつきましては、現在日本のいろいろな分野でいろいろな形の規制が行われているわけでございます。これらはいずれも相応の理由がありまして行われているわけでございますが、中には規制が導入されてから長い年月がたっているものもございます。したがいまして、導入された当初と現在とでは経済の実態が変化してきているのが実情ではないかと思います。といたしますと、現時点における必要な政府規制はどうあるべきかという立場からいろいろ見直しをする必要があるのではないかという趣旨で、一昨年提言させていただいた次第でございます。  この中身につきまして、先生御指摘のとおり、タクシー業界につきましても一、二触れさせていただいております。この中ではタクシーにつきましては、「消費者保護の観点から規制が必要であるとしても、規制の方法としては」「伸縮性のある料金制度に改めることを検討する必要がある。」のではないかというふうに提言させていただきました。
  55. 左近正男

    左近委員 時間がありませんが、タクシーの業界というのは俗に中小零細企業だと私は思うのです。十台か二十台で経営しておるところ、また五、六百台持っておるところもございますが、押しなべて中小零細企業だと思います。こういうところの料金の改定については、その会社その会社の経営実態もあるでしょうけれども市民的な立場というか、お客さんの立場を考えれば一多様なタクシー会社があるわけであります。大阪だけでもタクシー協会に加盟している会社だけでも百六十社あるわけです。したがって、そういうところがまちまちの運賃で走るということは、実際問題、できない。だから、私は、運輸省が指導されておる同一地域同一運賃という方針についてはやむを得ない一つの手だてではないか、このように思っております。  そこで、京都のMKタクシーというのがあるわけですが、これについて運輸省としてはどのような理解をしておられるのか、どういう状況になっておるのか、お聞きをしたいと思います。
  56. 服部経治

    服部政府委員 タクシー運賃につきましては、先生も御承知のとおり、大体二年に一回というようなローテーションに従いましてこれまで改定を進めてきておるところでございまして、京都地区につきましては、旅客の需要の低迷等の状況を背景にいたしまして、各企業の経営内容がかなり苦しい逼迫した状況になっているという状況でございまして、そういう状況を背景にして大方の事業者運賃改定をしてもらいたいというような考え方を強く持ってきている状況にございますが、そういう中にございましてMK一社は、あるいは運賃の値下げ申請をするとかあるいは全体の運賃値上げの動向に同調しないというような格好で今日まで推移してきております。
  57. 左近正男

    左近委員 少しMKの問題をやろうと思っておったのですが、時間がありませんので、それはまたいつかの時点でひとつやらせていただきたい。  もうあと一点だけ質問します。  新聞で大きく出ました整備業者を通じて車検代を上乗せをして、ユーザーから車検業務への協力費ということで、かなりのお金が徴収されておるわけですが、運輸省としてはこの問題についてその後どういうような指導をされ、全国的な状況についてはどうなっておるのか、お聞きをします。
  58. 服部経治

    服部政府委員 まことに遺憾なことでございましたが、その後、私ども全国的に調査を進めておるところでございまして、現在まで判明しているところでは、陸運事務所関係で十件、それから軽自動車協会関係で三十四件、そういった愛知の自動車会議所に似た会費の徴収形態をとっているという事実が判明いたしております。なお、その徴収の名目でありますとか、会費の使途でありますとか、そういうことにつきまして、現在なお詳細な調査を続けておるという状況ではございますけれども、問題の本質は、そういった調査を進めるまでもなく、こういう形で、窓口で車検等の機会をとらえまして個々にその都度、会費を徴収するというやり方が利用者への直接の転嫁を生む可能性が非常に強いということに問題の本質があるというふうに認識いたしておりますので、先般、七月九日付をもちまして各陸運局に対しまして、こういった徴収方法の廃止方を関係の業界に強く指導するよう通達をしたところでございます。なお、愛知の会議所につきましては、既に七月一日からこの徴収方法を取りやめております。
  59. 左近正男

    左近委員 どうも、時間が来ましたので終わります。
  60. 浜野剛

    浜野委員長代理 田並胤明君
  61. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、同僚の左近議員の後を受けて、引き続いて道路運送法の一部改正の中の、特に地方事務官の廃止の問題と、さらに今まで自治体に移譲されておりました運輸行政の一部事務を今度は国が一元的に行うという問題について質問を申し上げたいと思います。  第一点としては、今申し上げた今度の法改正そのものが、地方事務官の廃止、国家公務員化、それと今日まで運輸行政を一部、地方に移譲しておった、この仕事を今度は一元的に国が行うという問題について、これまでこの制度が発足をして以来、数次にわたりまして、地方制度調査会あるいは全国の知事会、そして各都道府県議会意見等々が実は出されて、この制度はぜひとも自治体に移譲すべきであるし、さらに地方事務官の制度は廃止をして地方公務員にすべきである、これがそれぞれの地方の今日までの一貫をした意見であったことは、先ほどの運輸大臣の答弁のとおり、御案内のとおりだと思うのです。地方公務員にしてほしい、さらに今日までやってきたこの運輸行政の一部と、さらにもっと幅を広げて権限地方に移してくれというその中身は何を意味しているのかといいますと、別に地方自治体権限が欲しいわけじゃないのですね。要するに、地方自治体がやった方がより住民のサービスに合致をすることになる、あるいは住民のためになる、サービスがさらに行き届くという観点で、自治体自治体でもって真剣に考えて今日まで主張をしておったと思うのです。  ところが、今回の道路運送法の改正案によりますと、今の左近議員の質問にもありましたが、このような地方意見、要望等々は無視をして、つまり住民の利益ということを優先をさせずに、運輸行政中央が一手に握っていく、権限を拡大をしていくという、こういう方向にどうしてもとれてしまうわけですよ。  したがって、これまでの地方制度調査会答申なり全国知事会の要望なりあるいは各都道府県の決議、意見書、こういうものがかなり運輸省に対しても何回も何回も来ていると思うのです。こういうものに対して臨時行政調査会がこういう答申を出したからというその答申を出す中に、運輸省としてはどういう意見臨時行政調査会に対して主張しておったのか、こういう地方の考えを一切無視をして何が何でも臨時行政調査会にお任せという立場でやってきたのかどうか、こういう地方の要望について今日まで運輸省としてはどういう対応をしてきたのか、これをまず第一点、お聞かせを願いたいと思うのです。
  62. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生も御指摘のとおり、この地方事務官制度問題をめぐりましては過去幾たびかいろいろな調査会なり委員会なりといったところからさまざまの御意見が出されてきた経緯は、私どもとしても十分承知いたしておるところでございます。  私どもといたしましては、そういったことがある都度、そういうものも踏まえまして政府部内で地方事務官制の解消に伴います国と地方との間の事務配分の問題を中心に調整を図ってきたところではございますけれども、不幸にして明快な解決を見るまでには至らなかった、そういう事態を繰り返してきたというのが過去の経緯であるというふうに承知しているところでございます。
  63. 田並胤明

    ○田並委員 そうすると、今の国と地方事務配分、省内では積極的に政府に対してやってきた、しかしながらそれがついに実らずに今回の臨調最終答申になってしまったという話なんですが、この臨調最終答申というのは、前にも言ったのですが、そんなにも金科玉条として政府はやっていかなければいけないものなんですかね。本当に国民のための行政改革をするという考え方と、さらに中央政府の仕事を身軽にして、地方でできるものは地方に任していくという考え方臨調ならずとも運輸省自体で持てば、こういう答申が出る前に、もっと積極的に臨調に対して物を申すべきだったのではないか。まして、今局長が言われたように、今日まで何回も何回も政府部内でも検討したし、運輸省の内部でもそういう方向でやろうということで検討したけれども、ついに不幸にして結論が出ずにこういう状態になってしまったというふうに言うのでしたら、もうちょっと努力があってしかるべきだったのじゃないか、今からでも遅くないのじゃないか、こういう気がするのですが。
  64. 服部経治

    服部政府委員 最前の私の答弁がかなり舌足らずであったかと思いますが、そういう調整の中で、私ども運輸省といたしましては、そういった各方面の御意見を踏まえながらも私どもとしての考え方も主張してまいったという事実はございます。
  65. 田並胤明

    ○田並委員 実は五十三年一月二十日の全国知事会、この中でもかなり強い要望が出ているのですね。これは「運輸省の陸運関係地方事務官制度の廃止に伴う輸送行政事務の再配分に関する要望」ということで、全国知事会でも、全国的レベルの実施が必要な事務はこれは当然国が行うべきである、ただしかし、地域住民に密接な関係のある事務、例えば同一県内のバス路線の新設とか変更とか、あるいはタクシー、ハイヤー事業等に関して同一都道府県内で行うものについては、その認可を含めた権限というものを地方に移譲してもいいんじゃないか、こういう要望を実は出しているわけであります。  さらに翻って、それよりずっと以前に「陸運行政等に関する知事会等の意見」ということで既に出ている内容が、例えば、自動車運送事業の免許については一つの府県内にとどまる自動車運送事業の場合には知事にその権限を移譲してほしい、ただ運賃を決めるときには消費者の関係が出てくるから中央政府に事前に協議をして決めるようにしたらどうか、あるいは事業計画の変更についてはもう知事に任せていいじゃないか等々の意見を全国知事会としてもかなり前から運輸省に要望しているわけです。したがって、こういう全国知事会の要望というのは、先ほども言ったように単に権限が欲しいとかいうのじゃなくて、地域交通政策という観点から見ても都道府県の方に事務があった方が地域交通政策を推進する上で非常に効率的に行える、地域交通政策を進める上であるものに限っては運輸省許認可権限に属してしまう、あるいは本当にささいなものは都道府県が実施できるというような形で、余り権限があちらこちらに分散をしておると一元的な地域交通政策というものができない、したがってこれらの権限はぜひ地方に任せていいものではないかという観点での五十三年一月二十日の全国知事会の要望なり今申し上げたそれをさらに具体化した知事会の要望事項になっておるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  そうしますと、そういうものを十二分に承知しておりながら結果的に臨調答申ということでこのように運輸省が法改正をするというふうになったことについても、私どもとしては本当に国民のために考えてくれているのだろうか、あるいは地方の住民のことを考えてこういう法改正を出してきたのだろうか、なぜ今この自動車行政の一元化をあえてしなければいけないのだろうかという疑問に実はぶつかりますので、その辺のことについて一つお答えを願いたいと思います。
  66. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  臨調の今回の最終答申は、地方事務官制度という極めて変則的な不安定な行政の仕組みに関しましてこれを廃止するという一つの仕切りをしたわけでございます。その仕切りに伴いまして、これまでの地方事務官はすべて運輸事務官なりあるいは沖縄の場合には総理府事務官にするとかあるいは陸運事務所運輸省の出先機関とするというようなことを仕切ったわけでございますが、最前左近先生の御質問大臣から御答弁申し上げましたとおり、臨調答申は単にそのことを提言するだけにとどまらず、国と地方との機能の分担につきましては今後さらに検討すべきことということもあわせて提言しておられるわけでございまして、私どもといたしましては、今後の陸運行政の遂行に当たりまして地方自治体との意思の疎通が十分図られるような方向でいろいろと考えてまいりたいし、またそういった国と地方の機能の分担のあり方につきましても、今後許認可事務の合理化整理の問題の一環としましてこれにも取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。しかし、現時点で私ども運輸省としてこういった陸運行政に関します管理行政事務のあり方についてどう思っているかということでありますれば、私どもとしてそれなりにまた一つ考え方を持っているわけでございます。
  67. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、局長にそこまで今御答弁願ったので、次の質問に移させてもらいます。  臨調の最終答申内容に関連をして、今後の運輸行政のあり方について二、三質問をしたいと思うのです。  その一つは、きょうの日経に「運輸規制を抜本見直し」「年内に許認可総点検」、こういう記事が出ておりました。しかも「「運賃」の地方委譲も促進」、こういう記事が出ておったのですが、これは先ほどの左近議員の質問にもありましたように、運輸業の許認可事務というのが今二千二百件ある。一万件に対して二千ですから、政府全体の許認可事務から見ると二割以上の許認可権限運輸省自体が持っている。相当強い権限を実は持っているわけです。これに対して、業界だとかあるいは臨調答申でもこの規制の緩和というものを強く指摘をしているという関係から、年内には検討委員会をつくってこの許認可の全面的な見直しとさらに規制の緩和について一定の結論を出したい、それを出すときには業界の意見も聞いてということになっているのですが、これらは業界の考えを聞くと同時に、自治体に非常に大きな関係のある運輸行政でありますから、当然自治体にもそれ相当の意見を聞くという配慮をすべきだというふうに思います。  さらに、この中では「抜本見直し」というふうには書いてあるのですが、記事の内容をずっと見てみると、臨調答申が示しているような規制緩和というところまで踏み込んでいないのじゃないだろうか、あるいは許認可権限地方移譲について
  68. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生御指摘の日経新聞の記事そのものにつきましては、まだ私読んでおりませんし、今のお話からうかがい知りました内容につきましても、どういう根拠で日経新聞にそういう記事が出たかということもつまびらかにはしないわけでございますが、ありていのことを申しまして、実は私ども地域交通局におきましては組織改正後直ちにこういった許認可事務の整理合理化の問題に取り組むことにいたしまして、既にプロジェクトチームを発足させております。恐らくただいまの日経の記事というのはそういった省内各局にある動き、官房ないしは運輸政策局あたりでそういうものを統合する形の委員会を設定するということをお考えになっている、そのことに関連する記事ではないかなというふうに思ったわけでございますが、今申しましたとおり、あるいは最前から申し上げておりますとおり、こういった許認可事務の整理合理化につきましては、今後私ども新組織の最も大事な課題としまして精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  69. 田並胤明

    ○田並委員 そこにあるようですからぜひ読んでもらいたいのですけれども、「運輸省は細かすぎるとして批判の強い陸、海、空の運輸事業者に対する事業規制を抜本的に見直していく方針を決めた。」というので、二千二百件もある中で例えばバス停を簡単に動かしたり、バス事業所の事務所を移動したりするのに一々地方運輸局に認可の申請をしなければならないというようなややこしいことはもうやめて、もっともっと簡素化をしようというようなこともずっと書いてあるわけです。  私が言いたいのは、先ほど大臣が言ったように、今度の法改正で地方事務官を廃止するということと、地方に一部移譲しておった運輸行政を国が一元的にするという答申の一部だけを先食いして、答申が本来求めている規制の緩和であるとかあるいは許認可の簡素化であるとかこういうものを後送りにして、やれるものから先にやっていくというやり方を運輸省が今度やっているのじゃないか。やるのだったら、きょうのこの日経新聞に出ておるような運輸業の規制の抜本見直しをまずする、そういう中で、地方事務官の問題をどうするか、あるいは一部地方に移譲しておった運輸行政を国が一元的にする、その一環として、長期的な計画なり展望を持った上での一環としてこれが位置づけられるということでないと、これは本当は本末転倒じゃないか、こういう気がするわけです。ですから、この検討委員会ができたならできたで、どんどん進めていってもらって、検討委員会でやっていく過程で今回の法改正のような問題が出てきて、その一環としてこれをやるのだというのだったら、私たちは大いに賛成だということを言いたいわけであります。
  70. 服部経治

    服部政府委員 田並先生御指摘のようなお考え方も十分あると思います。ただ、私どもといたしましては、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますとおり、臨調答申を最大限に尊重するという立場から、今回の臨調の最終答申の仕切った線に従いまして、今回の改正案を取りまとめたということでございまして、ひとつ、その辺の事情につきましては、御理解を賜りたいと思います。
  71. 田並胤明

    ○田並委員 どうも、聞きようによりますと、開き直られたような感じがするのです。  しからば、臨調最終答申中身について、私は、関西国際空港のときにも言いましたが、関西国際新空港の法律案は、私が言ったのは、空港問題については臨調答申の中に全然書かれていないじゃないか、それを何だか知らないけれども臨調臨調ということで、関西国際空港の問題が法律案として出されて、あたかも臨調答申に基づいてこの法律ができたような話をされましたけれども臨調の目的というのは、先ほども左近議員が言いましたように、国民のための行政改革、これはお役所のための行政改革であるはずがないので、当然国民のための行政改革であるべきだし、しかも、現在、肥大化をした中央政府権限だとかあるいは行政の仕組みをなるべく整理統合して、簡素化できるものは簡素化をして、地方権限を移譲する、そのことが地方の住民のためになる、国民のためになるという判断の場合には、それを大胆にするというのが臨調の設置された目的だし、それが答申の大宗をなしているのじゃないかと私は思うのです。もちろん、臨調そのものについてはいろいろな疑義がありますから、私たちは全国的に賛成するものじゃありませんが、流れとしてはそうだと私は思うのですよ。ということになると、今回のこの運輸行政道路運送法改正にかかわる臨調答申というのは、その流れに逆行するような気がしてならないのです。     〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕  先ほども、全国知事会の要望で申し上げましたように、同一道府県内のバス路線事業認可であるとかあるいはタクシーの許認可であるとか、こういうものについては、地域交通政策の一環としてもぜひ地方に移譲してほしい、地方でできるものは地方に任じてほしいというのが従来からの地方からの要望であったわけですし、そのことがまた、国民のため、地方の住民のためになるのだという判断で全国知事会もやってきたのですから、それにもかかわらず、しかも行革五人委員会というのがかつてありまして、財界のお偉方が五人で行革五人委員会というものをつくって、具体的に、国の行政改革というのはどうやったらいいかという検討をしたその中でも、この地方事務官問題は、国家公務員にするのじゃなくて、やはり地方公務員にするべきである、こういう方向を打ち出しておったにもかかわらず、それが最終段階でひっくり返って、地方事務官国家公務員にするのだという最終答申になったという、まことに奇々怪々な審議の経過というのがあったのじゃないかという気が私はしてならないのです。  したがって、逆に、従来不十分にしか地方に移譲しておらなかったこの運輸行政を、地方に任せられるものはもっと大胆に地方に任していくという基本姿勢を、これからでも遅くないですから、運輸省としては、ぜひひとつ早急にやってほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  72. 服部経治

    服部政府委員 先生のおっしゃっておいでになる意味は、私どもとしてよくわかるつもりでございますが、繰り返して同じことを申し上げるようで恐縮ではございますけれども、私どもは、臨調の今回の最終答申が、地方事務官制度を廃止するという三十年来の懸案にピリオドを打つような一つの大きな仕切りを提言された、その仕切りに伴いまして、陸運事務所運輸省の出先機関とする、陸運関係地方事務官運輸事務官なり総理府事務官に身分をかえる、あるいはそれに伴って現在、陸運事務所で処理している検査登録事務及び輸送行政管理事務は、運輸省でこれを処理することとするというその仕切りに従いまして、今回の改正案を取りまとめたということでございまして、しかし一方におきまして、その同じ臨調答申が提言されております地方自治体との意思の疎通を従来より以上に十分図るような仕組み、制度を研究するということとか許認可事務の整理合理化を図る、ないしはその一環として、国と地方との間の事務配分の問題についても、改めて検討するというような趣旨は十分理解しておるところでございまして、今後そういう方向で十分検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 田並胤明

    ○田並委員 局長の話で大体、理解はつくのですが、何回も言うようで申しわけないのですが、今度の地方事務官の廃止の問題、それから運輸行政の一部地方に移譲しておったものを国が一元的にするというものだけを今回、提案しているわけですよ。検討事項は後回しにしてしまっているわけですね。例えば臨調答申の中で規制の緩和であるとか、あるいは許認可権限をもう少し見直したらどうだ、全体を見直した上でという臨調答申が出ているわけですよ。ですから、それはいつやるのですかと、我々としては、いつごろそれを期待したらいいのですかと、その見直しをしたものが国民のためになるような運輸行政になる方向に確立をするためには、運輸省としては逆にどういうふうにお考えなんですかということを聞きたいということなんです。
  74. 細田吉藏

    細田国務大臣 本問題の経緯、それから今おっしゃっております点については、私、十分理解をいたしておるつもりでございます。  先ほども申し上げましたが、七月一日の機構改正をやって、許認可官庁から政策官庁に移行したい、こういう大きな看板をかけているわけです。それがふたをあけてみたら、ちびちびとしたものがちょっちょっとそうなったというようなことでは、これはそんなかけ声はかけるわけにいきませんよ。ですから、いつまでにどうということは、私は日を切ってどうこうはありませんけれども、できるだけ早く、この看板をかけたのだから、そしてそれに伴って機構改正をしたのだから、地方までやったわけでございますね、ですから、これをやってもらわなければ困る、こういうふうに、大臣としてはさように考えておる次第でございます。
  75. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、次に移させてもらいます。  先ほど左近議員の質問に対して、道路運送法に基づく許認可事務というのが現在、二千二百件あるという回答があったわけです。それで、例えば自治体なんかの場合には、許認可行政をする場合に、一定許認可の基準日数というのを決めるのですね。これは国の仕事ですから、非常に難しいと思うのですが、バス停を一つ変更するのに幾日かかるかわからない、あるいは事業所の事務所を移動するのに幾日かかるかわからない、あるいはタクシーの事業の免許を取るのに申請して幾日かかるかわからない。国の許認可事務には、許認可がおりるまでの一定の目安とする基準日数というのが残念ながらないんですね。ところが、今、都道府県にしても市町村にしても、住民から出された許認可の問題については、おおむねこの辺を目安にしておりますという基準日数というのを設けて、住民の方々にサービスをしているわけですよ。ところが、国の、特に運輸行政なんかを見ると、別に政令でそういうのが出ているのかどうかわかりませんが、比較的許認可の日数が長い。  もちろん、他の業者との競合の問題もあるでしょうし、あるいは社会的、経済的に見ても、なかなか幾日、幾日というふうに言えないような根拠があるのかもしれませんが、少なくもこの許認可申請をした側にしてみますと、おおむねどのくらいでもって許可が出るのだろう、認可がおりるのだろうというのが期待としてあるわけですから、ぜひ早急に、運輸行政一つとしての許認可事務を、申請を受けた場合には基準日数というものを設けるような、こういうことをひとつ検討してみたらどうか、それも一つサービスだと思いますので、これをひとつ検討してほしい。その考え方を聞きたいと思うのです。
  76. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘は、まことにごもっともでございます。私どもも、現在所掌しております具体的な事案の処理に思いのほか手間暇がかかって、日数がかかっている実態につきましては、大いに反省しなければいかぬというふうに考えておるところでございます。  ところで、具体的に基準日数を設定してはどうかという御提示であったわけでございますが、実は私どもも、この事案の処理についての基準日数というものを基本的に持っております。現在の状況でございますけれども、これは事務次官通達によりまして、申請から許認可までにかかる日数というものにつきまして、事案の種類に応じまして一応の目安というものを内規的に定めておりまして、これを受けまして各陸運局におきましても、基準日数的なものを内規として持っておりまして、できるだけその基準日数以内に事案の処理を図るという方向努力をしているところでございますが、冒頭申し上げましたとおり、かなりのウエートの件数がこの基準日数をオーバーして処理されているという実態があることにつきましては、私ども、大変遺憾に思っております。
  77. 田並胤明

    ○田並委員 わかりました。事務次官通達で内規的に定めているということなんですが、自治体の場合はそれを利用者に公表しているのですよ。おおむねこのくらいですよというのは公表しているのです。ですから、内規として役所だけが持っているのじゃなくて、当然利用される方、申請をされる方にわかるように、こういうものが一応内規としてあります——もちろん内規だから外へ出さないのだと言えばそれまでなんですが、少なくも中だけの問題ではなくて、おおむねこの辺で一定の目安をつけてますよということは、地方自治体と同じように公表すべきものではないかと思うのです。
  78. 服部経治

    服部政府委員 公表するというところまで行けば非常に立派だというふうに思っておりますが、現在の状況では、もう少し事務処理の遂行体制というものを再点検いたしませんと、そこまでの思い切りはできないというのが実情でございますし、また、申し上げますと、内規として持っているということでも、これは一つの大きな自律作用でございますので、それなりの意味はあるというふうに思っているところでございます。
  79. 田並胤明

    ○田並委員 これは要望になりますが、早く検討して、やはり内規にとどめずに、利用者がなるほどとわかるような公表をして、本当のサービス運輸省としてもやってほしい、このことを要望として申し上げておきたいと思います。  次に、今度の法改正に当たって、今後の定員というのはどういうふうになるのだろうかということについてちょっとお聞きをしたいと思うのです。というのは、陸運事務所職員数が、昭和五十八年度末定員で、全体で二千九百七十五人、所長・次長が六十七人、輸送行政関係要員が二百八十二人、検査登録関係要員が二千六百二十六人、これがそのまま国家公務員になるわけですね。  今度の臨調答申の中でも、例えば車検登録関係事務については、民間車検の拡充によって事務及び要員の合理化を積極的に推進をしなさい、こういうふうにあるわけですよ。そうしますと、当然民間活力の導入というのがこの臨調答申の大骨としてあるわけですから、これらを積極的に推進することによって、逆にこの陸運事務所職員数、定員というのが変化が出てくるんじゃないか。  これは、もちろん、輸送監理関係事務についても同じではないか。輸送監理関係事務については、地方公共団体意向を十分反映をさせて制度的に拡充強化をしなさいというふうに臨調の最終答申は述べているわけでありますが、これらから考えてみても、何か将来的には、もう一回この輸送監理関係事務地方に移譲されて、国家公務員になった地方事務官が再びまた地方公務員として配置がえをされるようなこの定員の配置というものがあるのではないか、こんな気がするのですね、この臨調最終答申をよく読んでみると。  したがって、第一点としては、車検登録関係事務は、民間車検工場をどんどん拡充をしなさいというようなことを指摘をしておるわけでありますから、この辺の車検登録関係事務の定員というのが今後どういう推移をたどっていくのか、あるいは輸送監理関係事務地方への移譲等に基づくこれまた定員関係がどういうふうに推移をしていくのか、これらを、もし検討しているとすれば中身を教えていただきたいと思います。
  80. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点目の問題でございますが、自動車台数の急激な増加に伴いまして、いわゆる車検事務というものも当然増大してくるわけでございます。こういう事態に対応して、当然、業務量増に伴う定員の増加という要請が基本的にあるわけでございますが、私どもといたしましては、検査コースの自動化を図るなどのことによりまして、極力車検関係要員の抑制に努めてきておりまして、また一方では、そういった増大する車検業務に対応するために、御指摘の指定整備制度の拡充ということによって対応してきている今日でございます。  数字で申し上げますけれども、車検関係要員、事務はここ数年の間ほぼ横ばいで推移いたしておりまして、現在、五十九年度の定員が千五十五名でございます。五年前の五十五年が千四十七名というような状況であるわけでございます。  そういうことでございますが、しかし一方では、指定整備工場の指導監督の強化でありますとか、窓口サービス、ユーザーに対する相談業務の充実だとか、検査業務にかかわる地域行政サービスの向上の要請に対応する必要があるとかいうことで、なお、そういう方面に積極的に対応していくために必要な要員増につきましては、私ども、それなりに今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。  それから二点目のお尋ねでございますが、その点につきましては、私どもは、今回の臨調答申の仕切りというのは、地方事務官制の廃止という形で長年の懸案に終止符を打ったということでございまして、その問題自体はもうこれでけりがついた、ないしは今回の法改正によってけりがつく問題というふうに基本的に認識いたしております。それで、そのこととはまた別に、最前来お答え申し上げておりますように、国と地方との間における機能分担のあり方について、今後積極的に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  81. 田並胤明

    ○田並委員 わかりました。  それと、今の定員に関連をして、人口急増の府県の場合、私は埼玉ですが、埼玉なんかの場合はここ何年かの間に、陸運事務所、いわゆる車検場、これが自動車の増加に伴いまして二カ所ほどふえたわけであります。支所が二つできたわけですね。それと同じように、全国的に見ますと、かなり車両台数の増加の著しい県について今後とも拡大をしていく、増設をしていく考え方があるのかないのか、その辺をひとつあわせてお聞かせください。
  82. 丹羽一夫

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、埼玉県は本場が大宮にございまして、熊谷と所沢に支所を設けるというようなことをやっております。また、東京は、足立、多摩、練馬というような支所を持っております。それから、地方の急増都市といいますと、例えば九州の場合ですと、福岡に本場の車検場がございまして、南の方には久留米、北には北九州にございますが、一部筑豊地区に新しい支所を設けるというようなことで、地域行政サービスには努めてまいりたい。  その一番頭が痛いのは、人口急増地域でなくて相当遠隔な地域に対して、いわゆる過疎地の問題をどうするかということは今後とも相当検討を要すると思います。例えば、最近まだつくりましたばかりですが、所沢の場合は、現在のコース数では地域の検査需要に十分対応できないということで、場合によっては、敷地は十分ございますので増コースというようなことも今後考えていかなければならぬというようなことで、地域によっては現有設備の増強をしていかなければならぬ問題。それから、地域サービスとして一つの固まりを持った支所というのも、一方で地方の需要なり要望が強いところについては、国家公務員であろうと地方公務員であろうと、全体の規模を野放図に伸ばすとか、それから例えば年間に最近は車が九十万台か百万台ふえてまいります。しかしながら、それに合わせて即定員増、要員増というようなわけにもまいりませんので、先ほど局長から申し上げましたように、要員の合理化、業務の合理化を図りつつ、なおかつ必要な地域に必要な設備なり要員の確保には今後とも努力していきたいというふうに考えております。
  83. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、時間が来ましたので最後の質問になりますが、免許を与えた業者というのが今ハイヤー、タクシー、バス、トラック、路線だとかその他を入れて九万一千二百十事業所あるのだそうです、五十七年度末現在で。要するに自動車関係の運送業を営む事業所数が九万一千二百十事業所。道路運送法の百二十六条によりますと、これらの事業所に対して、報告、検査及び調査という規定があるのですが、五十八年度でこの法百二十六条に基づく報告を求めたり検査をしたり調査をしたりした事業所というのが何件なのか。特にこの法律の中には、特に必要と認めるときはというふうに規定をされておるのですが、この特に必要と認めるというのはどういうことなのかということですね。  というのは、九万一千二百十事業所あって、免許を与えましたけれども、その後の適正指導というのが、あるいは利用者の方からいろいろな苦情が来たり何かあったとしても、その九万一千二百十事業所に対しての適正な行政指導というのが運輸省一元化で果たしてできるのだろうかどうだろうか。こういうものこそ地方に移譲して、適切な免許後の指導というものを委任してみたらどうかというような国と地方の役割分担というのだって一つあるのじゃないかという観点での質問ですので、ひっくるめてひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  84. 服部経治

    服部政府委員 全国九万余に及びます自動車関係事業所に対しましてどの程度の密度、頻度でもって監査を実施しているかという数字につきましては、申しわけございませんが、ただいま手元に数字を持っておりませんので、後刻御報告を申し上げさせていただくことといたしまして、私どもといたしましては、現有の予算及び人員の許容する範囲内で精力的にそういった必要な事業監査を実施いたしまして事業運営の適正化が図られますように努力いたしておるところでございます。
  85. 田並胤明

    ○田並委員 質問を終わります。
  86. 福家俊一

    福家委員長 西中君。
  87. 西中清

    ○西中委員 道路運送法等の一部を改正する法律案について若干質問をいたします。  この改正に当たりまして大臣から理由の説明をちょうだいいたしました。先ほどからいろいろと同僚議員からも議論がございましたけれども、今回の改正、この理由の中でわからぬこともないのですけれども、一体どういう効果があるのか、何のねらいがあるのかということについて、大臣から再度お伺いをしておきたいと思います。     〔委員長退席浜野委員長代理着席
  88. 細田吉藏

    細田国務大臣 地方事務官制問題というのは随分長い間の懸案なんでございます。この制度ができたことそのものが地方権限を移譲するという考え方から発足した。ところが、すっきりした形で地方公共団体職員にし切れなかった、したがって、暫定的に国家公務員の形で残った。非常に異例なことでございまして、これは当分の間ということでだんだんに話を進めていって地方名実ともに移すという前提でこの制度が始まったということなんでございます。しかし、これについては解決したものもあるわけです。解決しないで残ったのが、御案内のように、労働省厚生省とそれから運輸省、こういうことなんでございます。いずれにしても、このままの形では非常に異例であるだけでなくすっきりしないし、また現に地方事務官で、我々の場合ですと陸運事務所職員として当たっておる人たちもこれは割り切れない、こういうことがございまして、この問題自体を解決しなければならない、いずれかに解決しなければならぬということが、今度いろいろな意見がありましたけれども臨時行政調査会が踏み切って国家公務員にするということにした一番大きな理由だろうと思うのです。  それで、どちらが理論的に見て効果があるのか、行政としてはどちらであるべきかという議論になりますと、私の見解は、これはかなり両方とも言い分は——私は自治省にもいたものですから、地方制度調査会あたりの言い分もよく承知しておりますが、これはやはりあるのでございます。国は国の方の側として言い分があるし、地方地方としての言い分がある、そういう問題でございます。国の言い分については、行政の一貫性を保つとかいろいろなことを言っておるわけなんでございます。これはお題目はあるわけでございますけれども、私は率直に言いまして、そういう中途半端な状態をとにかく解消するということでいずれかに決着しなければならぬからこれは決着した、しかし、さっき申し上げたように条件はあるぞ、地方との関係地方から今までいろいろな議論が出ているのはもっともな点が多いのだから、地方公共団体意向がどう反映させられるか、その仕組みを考えろ、こういうことを一つ言っておりますし、また許認可権限地方公共団体への移譲を含めて当該行政に関する機能分担のあり方について検討する。役所は検討すると言うとやらないことになるといって、よく冷やかされるわけですけれども、これはそうなってはいけないと思うのでございます。この問題は長年の経緯があるだけに、特に地方行政委員会やそれから地方制度調査会の中で随分と、つまり地方に移すことの利点が強調されておりますから、こういう点について、やはり実態としてこれはこの法律の通過に引き続いて強力にやっていかなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  89. 西中清

    ○西中委員 臨調答申に従って今回の改正ということで、今も地方事務官の身分、こういう点が一つの大きな問題として挙げられたわけでありますけれども、本来臨調基本的な目的といいますか、ねらいというものは、小さな政府と言いませんけれども効率的な政府、少なくともそういうものを目指していかなければならない。そのためには時代にそぐわない許認可等につきまして整理をする、そして効率のいい運営をやっていくということがやはり基本的になければならぬと思うのです。  したがいまして、そういった面でこの改正をして果たしてそれが目的を達するのかどうなのか。従来、先ほども大臣からお話がありましたけれども、各種の答申、第一次の臨時行政調査会答申は、明確に地方公務員とすること、こういうねらいを出しておりますし、その後の各種の答申、こういったものもその方を志向いたしておるわけでありますし、また四十九年の衆議院の地方行政委員会におきましては、やはりこれも地方公務員とするように、こういうような決議をいたしておるわけですね。ですから、全体の流れとしてはそういう方向に向かっておるのに、なぜ今これが逆転をして国家公務員にしておるのか、地方に移譲をしないのかという点については、やはり何となく私たちとしては筋がもう一つはっきりしない、こういう感じがいたします。  特に厚生、労働、運輸三省のこの三つが残っておったわけでありますけれども、ほかの省庁は全部整理ができた。それができなかったという、しかもそれが三十年も放置をされておったということは、極めて私は政府の怠慢ということを考えざるを得ないし、同時に、臨調からこういう答申が出てから、じゃ、そこへ乗っかるという安易とまで言いませんけれども、もっと渡りに船だというような感じがしないわけでもない。ほかに重要な許認可をそのまま先送りをしておるということは、極めて私は残念だと思っておるのです。こういう点についてどういうふうにお考えか、御答弁をいただきたいと思います。
  90. 服部経治

    服部政府委員 先生のただいまの御指摘の趣旨は、よく理解できるのでございますけれども、最前来田並先生の御質問にもお答えしてまいりましたとおり、私どもといたしましては、今回の臨調の最終答申を踏まえまして今回の改正案を取りまとめて提出いたしたというようなことでございまして、その臨調答申内容と申しますのは、ただいま先生からも詳しくお話がございました三十年来の懸案でございます陸運行政をめぐる、陸運行政にかかわる地方事務官制度という変則的な不安定な制度に終止符を打つという一つの大きな仕切りをされたわけでございまして、その趣旨を政府として受けとめて今回の改正案を考え出した、考えたということでございます。  なお、臨調の最終答申の中では、地方事務官制の廃止という仕切りをするに当たりまして、陸運事務所というのは今後は国の出先機関とする。そこで、従来自動車関係の陸運行政事務に携わってきていた職員は、すべて運輸事務官なり総理府事務官にする、あるいは陸運事務所でこれまで行われてきたそういった事務については運輸省が処理するというような仕切りになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、さらにそのほかにも臨調答申に盛られている事項が幾つかございますので、例えば今後の陸運行政地方自治体意向を十分反映し得るような仕組み、制度を考えるとか、あるいは許認可事務の大幅な整理合理化を図るとか、あるいはその一環として改めて国と地方との間における機能のあり方について検討するといったような宿題も同時にいただいているという認識を持っておりまして、今後そういう認識のもとに大いに精力的に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  91. 西中清

    ○西中委員 地方事務官の皆さん方のお立場に立ては、確かにこれは宙ぶらりんといいますか、何かはっきりしない身分でございますから、それはそれで処理をするということは、私は意味があると思うのですね。しかし、全体の流れ、行政調査会答申であるとか地方制度調査会意見であるとか議会の意思も、地方公務員にするということについて大体足並みがそろったような方向で今日まできておるわけですね。これが臨時行政調査会の決定といいますか、意見がこういう形になったから、それに従って今度の法案を改正するんだというのはわかりますけれども臨調のこの答申答申として、運輸省自身がなぜ地方公務員にしなかったのか、これはどういう理由によるのか、もう一度伺っておきたいと思います。
  92. 服部経治

    服部政府委員 その点につきまして、私ども考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  まず、現在陸運事務所が所掌しております事務のうちの検査登録事務について申し上げてみたいと思いますが、自動車の登録というのは、先生も御承知のとおり、所有権の公証行為でございまして、例えば不動産登記でありますとか航空機の登録でありますとか、そういった事務と同様に、国の事務として処理することが最も適当な事務だというふうに考えます。  それから検査でございますが、検査の水準を全国均一のレベルに維持することがぜひとも必要だというふうに考えておりますが、そのためには自動車の検査基準、検査技術及び検査のための施設のレベルにつきましても、これを全国的に均一の水準にするなど、全国を統一的に処理する必要があるというふうに考えておるものでございます。  さらに申し上げますと、そういった検査登録事務につきましては、現在では中央で管理しておりますコンピューターによりまして、オンライン・リアルタイム方式という格好で即時一括処理が図られておりまして、極めて効率的な処理が行われているという実態もございますし、また、検査登録事務は、全国を包括しましてすべて特別会計によって運営処理されているというような事情がございまして、そういった点から考え合わせましても、これを国の事務として処理することが最も効率的ではないかというふうに考えるわけでございます。  それから続きまして、そういった保安行政事務と並行して陸運事務所で現在処理しております自動車、陸運に関します監理行政事務について申し上げてみたいと思いますが、最前来先生が御指摘なさっておられますとおり、これまで陸運事務所で処理してまいりましたこういった行政事務というのは、言うまでもなく地域住民の日常生活に極めて密接なかかわり合いを持つ地域性の強い業務であるという認識は私どもも持っております。しかしながら、他面におきまして、御承知のとおり自動車活動の広域化というものが進んでおります。そして旅客及び貨物の両輸送分野における自動車輸送のウエートは今日飛躍的に増大をしてまいっておりまして、自動車輸送業務と申しますか、そういった自動車活動が我が国の国民経済、社会活動の重要な基盤としての地歩を占めるに至っておるというふうに考えるわけでございますが、そうした自動車輸送活動を対象とする自動車輸送行政につきましても、従来以上に総合性のある交通政策の観点からのアプローチがより強く要請されてきている状況にある。言いかえますと、そういった業務の地域性を踏まえながらも、その上でかつ総合性と広域性の観点を踏まえた運輸交通行政の実現が社会的に強く求められているという認識を持っているところでございます。そういった意味におきましても、自動車輸送関係の監理行政事務というのは、これまで運輸省地方運輸局そして陸運事務所といった縦の系統で各レベルを通じて一貫的に一体的に処理されてきているわけでありますが、それを今後も維持いたしまして、こういった事務は国において処理することが適当であるというふうに考えているところでございます。  さらに付言して申し上げますと、こういった輸送行政事務というものを国で処理することの意味合いというのは、例えば、先ほど来申しました車検登録事務といったような保安行政との一体性を確保し得るゆえんでありますし、また将来さらに進展の度を強めると考えられます自動車の広域的な活動への対応という意味からも意味のあることでございます。さらには、そういった輸送行政事務の末端における合理的な振り分けとか分割というものが実際的に申しましてかなり困難性を伴う、ないしは陸運事務所が所掌しております輸送関係事務を取り出して、あるいはそれをさらに細分してその一部を取り出して、地方自治体に移譲するという形をとりますときは、どうしても行政の二重性を生ずると申しますか、行政窓口の二元化を招来するわけでありまして、そういったデメリットも考えられるというようなことも種々考え合わせますと、現段階では少なくとも私どもは、こういった事務は国において処理することがより妥当であるというような基本的な考え方、認識を持っておるところでございます。
  93. 西中清

    ○西中委員 いろいろな面からご説明をいただきましたけれども、そうすると、今まで知事がいろいろこれについて監督してこられたわけですね。不都合はございましたですか。
  94. 服部経治

    服部政府委員 これは先生も御承知のとおりでございますが、陸運事務所は、現在では運輸省の出先機関ということではなくて、条例で府県に置かれる機関ということになっておりますし、その身分は地方事務官ということで、業務運営に当たっては知事の指揮監督を受けるという立場に位置づけられてはおるわけでございますが、その実態は、ありようを申しますと、かつての陸運局長、今は地方運輸局長の統括のもとに本省、地方運輸局、陸運事務所といったような縦の系列で業務を一体的に処理してきているという実態がございまして、既に陸運事務所の実態ないしは陸運事務所で行われている業務の実態というのは、国の出先機関としての実態を完全に持っているという状態がございます。
  95. 西中清

    ○西中委員 実態的にそうだとおっしゃれば、それまでなんです。しかし、先ほどの御説明の中で、例えば検査登録等の保安であるとか、レベルの均一化であるとか、効率的な運営であるとか、いろいろな御説明があったわけでありますが、今運輸行政で一番問題なのはむしろ地方的な、地域的な特性をどうするかということであって、全国一定のとらえ方によって、今いろいろな格差ができており、そして国鉄にしても航空にしてもまた道路にいたしましても、いろいろな面で問題が派生しておる、むしろ時代的に言っても私は逆行しておるのではないかという認識を持っておるのです。  同時に、こういう今御説明いただいた大事な要素というものを考えた場合には、昭和二十五年当時に地方事務官でありました社会福祉事務所、それから警察、消防、教職員等につきましても、運輸行政に劣らず大事な要素はいっぱい含まれていたと思うのです。だけれども、これを地方に移譲して何か重大な欠陥があったという認識があるのでしょうかどうでしょうか、伺っておきたいと思います。
  96. 服部経治

    服部政府委員 最前のお答えの繰り返し、重複になろうかとは思いますが、例えば検査登録事務地方に移譲した場合には、現在のような中央で管理する、コンピューターで統一的に即時一括的な処理を図っているという体制の維持も今後どうなるかという問題もございますし、あるいは現在全国を包括いたしまして車検特会の中でこういった車検登録事務の経費面の処理をいたしておるわけでございますが、その制度の維持はできなくなるわけでございます。そうなりますと、そういった車検登録事務料金につきまして各府県によってまちまちなレベルのものが設定される可能性も出てくるということもございます。  あるいは輸送行政事務について申し上げますと、私どもとしては、先ほどの繰り返してはございますけれども地域的な実態を把握し、地域社会のニーズにこたえて輸送行政の円滑な運営を図るということが基本的に重大なことは認識いたしておりますけれども、さらにそういった地域性を踏まえた上で、その上でもっと必要なことがある、それは運輸交通行政の中における総合性なり広域性なりの観点を今後輸送行政の中に強く反映させていくことではないかと考えておりますので、現段階では私どもはそういうふうに考えておるということを申し上げざるを得ないわけでございます。
  97. 西中清

    ○西中委員 もう一つ納得しがたい面がございますが、これにとどめておきます。  ただ、実態的に今まで運輸省それから地方運輸局、事務所というように流れがあってその指揮監督のもとで実態が行われておる、これはよくわかるのですが、今地域交通という面からいきますと、地方の実態というものを踏まえての政策というものがますます重要でございます。ですから、これは地方公共団体との連携をできる限り密にしていただかなければならぬと思うのです。そういう点で、本当は地方に移譲していただいた方がいいと思っておるのですが、少なくとも協力関係なり連携なりというものを今まで以上に制度化し、また強化する必要があるわけで、その点ではまた複雑になるんじゃないかという心配も一方では出てくる、この辺のところをどういうふうに今後運営をしていかれるか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  98. 服部経治

    服部政府委員 地方事務官制の廃止は廃止といたしまして、臨調の最終答申も指摘しておられますように、今後の陸運行政自治体意向意見というものを色濃く反映していくということの必要性は私どもも十分承知しているところでございまして、その具体策につきましては今後まだこれから検討していく問題ではございますけれども、私ども当面考えておりますことをちょっと申し上げてみますと、まず一つには、現在各地方運輸局ごとに地方交通議会というものが設置されておるわけでございますが、この地方交通議会のもとに府県単位ごとに部会というものを現在逐次設けてきておるわけでございますが、これを全国あまねく設けることにいたしまして、その都道府県部会の長には原則として御了承が得られる限りにおいて都道府県知事になっていただく。さらにその部会の中には、市町村長さんといったような方々とかあるいは国の関係行政機関の長とか学識経験者といったような方を加えまして、そういう構成によりまして今後地域社会のニーズをできるだけくみ上げ、把握していくというような仕組みの活用を図ってまいりたいというふうに考えております。  それからいま一つといたしましては、今回の私ども機構改革に伴いまして、地方運輸局の中に企画部というものをつくりまして、その部の中にそういった地方自治体との意思疎通を図る仕事を担当する一つの課を設けまして、そういう仕事に当たらせたいというふうにも考えておるところでございます。
  99. 西中清

    ○西中委員 できる限り地方自治体意見というものをよくくみ上げていただいて、これからこの問題に十分取り組みをしていただきたいと思います。  そこで、今回の改正と直接関係があるわけではないのですが、車検問題について伺っておきたいと思います。五十七年の九十六回国会で道路運送車両法、この改正が行われました。そして車検期間の延長が行われたわけでありますけれども、同時に過料を盛り込んだ内容となったわけでございます。第二臨調答申だとか運輸技術審の答申にはない過料制度というものが盛り込まれてまいったわけでありますけれども、我が党としてはいまだに極めて遺憾な処置であったと考えておるわけでございます。  そこで、過料条項は、ユーザーが定期点検を怠ったり点検整備記録簿をきちんとしていないことが陸運事務所の街頭検査でわかると、陸運局長が定期点検をするよう指示し、ユーザーがその指示を半月以内に行わないときに十万円以下の過料を課す、こういうふうになっておったと思うのですが、間違いございませんか。
  100. 服部経治

    服部政府委員 そのとおりでございます。
  101. 西中清

    ○西中委員 これは昨年七月に施行されたわけでありますけれども陸運事務所の街頭検査はどのようにして行われてまいったのでありますか。実施の期間、時期、どれくらいの動員をしてやったのか、実施箇所、わかればお伺いをしておきたいと思います。
  102. 服部経治

    服部政府委員 昨五十八年度の実績で申し上げますが、街頭検査の実施回数は七百二十二回でございます。それから陸運事務所の出動人員は三千九十人でございます。それから検査車両数は六万九千三百九両でございます。そのうち整備不良と認められた車両は、その二三%に当たります一万五千九百五十二両でございました。また、こういった街頭検査の折に把握いたしました定期点検整備の実施率は、これは各運輸局でばらつきはございますけれども、大体平均的に申し上げまして五〇%ないし六〇%というような感じの数字になっております。
  103. 西中清

    ○西中委員 過料を適用された車両は何両になっておりますか。
  104. 服部経治

    服部政府委員 先般の法律改正に際しましての附帯決議等の経緯もございまして、私ども点検指示は当分の間これを行わないこととしておりますので、したがいまして過料というような問題は一件も生じておりません。
  105. 西中清

    ○西中委員 ただいま「当分の間」とおっしゃいましたけれども、将来はやられるのですか。
  106. 服部経治

    服部政府委員 しばらくはやらないというふうに申し上げられる程度に、当分の間だというふううに思っております。
  107. 西中清

    ○西中委員 まあ、いいでしょう。結局、これはかなり無理な条項だったと言えるかと思うのです。私は意味のないものだというふうに考えておりますけれども、こういう法案提出したのは、運輸省としても余りいいものではなかったというような御反省があってもいいんじゃないかというふうに考えております。同時に、内閣法制局としても過料は報告義務違反に対する秩序罰であり、仮に点検を実施していないという報告があった場合、報告自体はあったことになるので罰則の対象にはならないと、まさしくもう奇妙なものと言わなければならぬと私は思います。したがって、過料条項が適用される対象車両はあり得ないと考えていいんじゃないかと思いますし、将来もないんじゃないかと思います。  なぜ私がこの問題を取り上げていくかといいますと、この車検制度の改革という問題、これは当初臨調答申、五十六年七月の第一次答申でありますけれども、ユーザーの負担軽減ということと、ユーザーの点検整備に対する責任と自主性を高めることが目的であったはずだと私は思っておるのです。  したがいまして、今この審議をいたしておる道路運送法の改正案、これも臨調答申地方事務官制度を廃止する、こういうことは当然あったと思うのです。ただ、私は臨調答申の中に、やはりもう一つは「当該行政は、地域性の強い性格を併せ持っていることにかんがみ、地方公共団体意向を反映させる仕組みを制度的に拡充強化する。」「許認可権限地方公共団体への委譲を含めこというように指摘をしているわけで、先ほど来の議論でございますが、こういう点からいきますと、何か臨調答申の部分的に都合のいいところはすぐ採用するというような印象を私は持たざるを得ない。それならそれで、先ほど来申しております車検制度だって、このときにきちっとしたものを出して、こういう中途半端な、そして実行できないような法律を出してくる、しかもそれが臨調答申ともいささか外れておるというような形のものが出てくる、こういう一貫しない姿勢というものは、やはり今後きちっと改めてもらわなければならないし、やはり臨調答申をある程度尊重するというなら尊重するで、それぞれそのときそのとき都合のいいところだけやるということではいかぬと私は思うのです。こういう点について、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  108. 細田吉藏

    細田国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、臨調答申のうち都合のいいものだけやってあとの都合のちょっと悪いものや難しいものは後回しにするということは、これは許せないことだと思っております。どうも政府の役人がよくやる手でございまして、これはよろしくないことだ、かように思っておる次第でございます。(笑声)
  109. 西中清

    ○西中委員 極めて明快でございます。  そこで、車検に関連いたしまして、去る六月に明らかになりました中部運輸局の外郭団体、社団法人愛知県自動車会議所が車検代金に上乗せして協力費というものを取っておった、結果的に言うとどこまでどうなのかよくわかりませんけれども、ユーザーから予期せざるお金が徴収されておった、こういう極めて不愉快、不明朗な事件が報道されました。これが昭和三十年以来続けられておったということでございますけれども、この事件の今日までの御調査の経過を御説明いただきたいと思います。
  110. 丹羽一夫

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  愛知県の自動車会議所が、戦後間もない時期といいますかいわゆるモータリゼーションが十分浸透していない時代に、昭和三十年四月から五十九年の六月までの間、いわゆる協力費という名目で自動車一台当たり百円から二百円という範囲で協力費を徴収していたということがございます。  このような事態に似たようなものが全国にあるかということを精査しておりますが、先ほど局長からも少し触れさせていただきましたが、会費の中には性格が能率会費であったり賛助会費であったり、台数割り会費とかいろいろな形での会費の徴収の仕方がございます。しかしながら、車検場の窓口またその検査の手続の流れの中でそういうことを行っているというのが陸運事務所関係で十カ所、それから軽の検査の流れの中に入っているのがおおむね三十カ所程度ということになっておりまして、そういうものにつきましては、本当は会費であったとしても協力費というような名目で検査の都度その使途が明確でないままに徴収されるということは、即ユーザーに不明朗な形で直接的に転嫁されたりまた不明朗な形でその都度会費を納入してその領収証がどうなったかということで、詳細は精査していかなければならぬと思います。  何はともあれ、そういう形でのいわゆる会費の徴収形態は決して望ましいことではございませんし、好ましくないということで、これについては廃止していくという方向で、今度は運輸局長でございますが、地方運輸局長を通じて、いろいろな形があると思いますがそういう関係団体を十分指導してそういうものを廃止し、適正化、明朗化を図っていくということで、現在、今月になってから七月九日に通達したところでございます。
  111. 西中清

    ○西中委員 自動車で検査の流れの中で十カ所、軽の方で三十カ所、計四十カ所ということでございますが、これらは賛助会費なり協力費なりいろいろな形の名目になっていると思うのですが、今までユーザーの支払った金額は総額幾らになりますか。
  112. 丹羽一夫

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  個々の事業者団体につきましては十分な調査は行き届いておりませんが、例えば愛知県の自動車会議所、これは象徴的に長期間やっておりますので、そういうところについて従来その徴収された総額は約三十一億というふうに報告を受けております。
  113. 西中清

    ○西中委員 全国これだけの箇所でやっておって、一カ所で三十一億ということになると、これは大変な金額になると思うのですよ。これは極めてゆゆしき問題だと私は思うのです。ユーザーの方は別に意識があって払ったのかどうかという点になると、大体みんな意識なしで、ともかく検査の中で取られるのだから知らぬ間に取られたというのが普通だろうと思うのです。これは法的には一体根拠があってやっておるのかどうなのか。逆な言い方をすると、何の根拠もないお金を勝手に取られたということになれば、これは返済の義務まであるのじゃないだろうかと私は思うのですけれども、その点の見解はいかがでございますか。
  114. 服部経治

    服部政府委員 非常に問題のある、問題の多い会費の徴収方法でございまして、ただいま先生の御指摘のような問題も当然生じてこようかと思っておるところでございますが、今ちょっと先生申されました例えばそういった金を返還してはどうかということでございますが、これにつきましてはちょっと考えてみましても方法等が非常に難しゅうございますので、返還ということはひとつ御容赦いただくことにいたしまして、私どもといたしましてはそういった会費徴収額のうち、現在までそういった組織の中に積み立てられてきているお金の今後の活用、ユーザーサイドに還元する形での活用ということを考え、かつ指導してまいりたいというふうに基本的に思っております。
  115. 西中清

    ○西中委員 私は本当を言うと警察庁に一遍意見を聞いてみようと思ったのですけれども、きょうお呼びするのを失念いたしたわけであります。大変な金額でございますから、少なくとも運輸省としては今後これは廃止していただかなければならぬし、同時に、今局長の申されましたようにゃはりユーザーに還元するということが基本的な姿勢でなければならぬと私は思います。そのことを強く要望いたしておきまして私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  116. 浜野剛

    浜野委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時十八分休憩     ————————————— 2     午後一時三十五分開議
  117. 鹿野道彦

    ○鹿野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。梅田勝君。
  118. 梅田勝

    ○梅田委員 道路運送法等の一部を改正する法律案につきまして、質問を申し上げます。  御承知のように、本改正案は懸案の地方事務官の身分移管の問題でございますが、もともとは戦後民主化が進む中におきまして、地方自治ということが重視されるようになりまして、そういうことで従来府県行政を担当しておりました国の官吏が地方事務官とされたところが問題の原点でございます。  そこで、私ども共産党といたしましては従来から四つの原則、一つ目は現地性、二つ目は民主性、三つ目は自主性、四つ目には総合性、そういう観点で、その民主的再編成の必要性を主張して音だところでございます。確かに提案にもございますように、仕事の性質によりましては国が一元的に管理する方が効率的だというものもございますが、臨調答申のようにすべて国に戻してしまう、知事権限をなくすということは問題があるのではないかというように考えております。  そこでお伺いしたいことは、道路運送法の改正部分につきまして、従来知事に委任されておりました自動車運送事業について、事業計画の変更の認可事業用自動車の貸し渡し及び事業の休止の許可等の事務などは極めて地域住民にとりましては密接なものだと思うわけであります。例えばバス路線の休止の問題でありますとか、あるいは増減車計画あるいは停留所の変更などは、その地域に住んでおります住民にとりましてはかかわり合いが非常に大きいわけでございます。ですから、地方自治の尊重という立場から見まして、知事権限委任をしております現状で何ら不都合はないのではないか。私は、陸運の自動車の登録とか車検とかそういうものではなくて、こういう性質のものは変更する必要はないのではないかと思うわけでございますが、その点はいかがですか。
  119. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  例えばバス路線の休廃止の問題等、これは現状を変更しなくても不都合はないのではないかという御指摘でございますが、二点にわたって御説明申し上げたいと思います。  まず第一点目でございますけれども、今回の改正案は、現在の陸運事務所の行っている業務と申しますか、陸運事務所のあり方を踏まえまして改正を行おうとするものでございまして、先生も御承知のように、現在陸運事務所運輸省それから地方運輸局、陸運事務所といった縦の系統の中で、それぞれの各レベルにおきます事務が、相互に非常に緊密な一体性と一貫性を持って処理されてきているという状態でございます。その状態を今回の改正で変更するものではございませんので、その点が一つのお答えになろうかと思います。  それから二つ目の御説明は、そういったバス路線の休廃止問題は、例えば地方に任せてもいいのではないかという意味の御質問ととりましてお答えを申し上げますと、なるほど、そういうような意味合いも完全に否定し去ることはもちろんできないわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういったバス路線の休廃止問題ということ一つを取り上げてみましても、それは当該バス企業の経営全般の問題の中で正しく位置づけして、問題を把握することが必要であるというふうに考えるわけでございます。
  120. 梅田勝

    ○梅田委員 大体、民主主義というものはかなりの時間と、そして金も要るものでございます。何でも合理化して中央に集中するというのは、よい場合もありますし、悪い場合も非常に多いわけです。ですから、ローカル交通のネットワークなんかを考慮していきます場合には、できるだけ国の統制といったものは排除する、そして地方自治体権限を強化していくということが必要じゃないかと思うわけでございます。  臨調答申におきまして、この地方事務官を廃止した後におきまして「国及び地方公共団体を通ずる関連行政の総合性・整合性を確保するため、必要に応じて、両者間の連携・協力が確保される仕組みを導入する。」ということが述べられておりますけれども、先ほどの質問の中にもブロックごとの、従来あります地方陸上交通議会、その都道府県部会というものの充実を考えておられるようでありますが、これは現在どの程度開かれているのか。これを今後、地域意向を取り入れるということで強化されるのだったら、どの程度開かれるのか、お答えをいただきたいと思います。
  121. 服部経治

    服部政府委員 現在、地方交通議会のもとに府県単位の部会を設けております例は二十九に及んでおるわけでございますが、今後これにつきまして、すべての都道府県にこういった府県単位の部会が設置されますような方向で、私どもその拡充を図ってまいりたいと思っております。  それから、審議の頻度ということでございますが、現在必ずしもつまびらかにはいたしておりませんけれども、今後は定常的にそういった会議が開かれるような方向で、予算的にも裏づけの措置をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  122. 梅田勝

    ○梅田委員 現状は年に数件をやっているにすぎないわけでしょう。だから、経常的にやるというのは、一年に最低一回は必ず都道府県で開くということですか。
  123. 服部経治

    服部政府委員 そういう方向努力してまいりたいと思っております。
  124. 梅田勝

    ○梅田委員 それでは次に、道路運送法の改正でございますから、関連をいたしまして同法の第二十条、運輸協定の問題につきまして若干お伺いをいたしたいと思います。  これはいわゆる競合区間と言われる部分につきまして運輸協定を結んで、大臣認可を受けるということになっておりますが、例えば地方公共団体の運行するバス路線、それと民営のバス路線、これが同じ道路あるいは施設を共通して使っておる、あるいは連絡があるというような場合に協定が結ばれるわけでありますが、この相互乗り入れの場合のダイヤの調整でありますとか乗り入れ台数の調整というものにつきましては、乗客の利便を考慮して、相互の輸送機関が話し合って調整をする、協定を結ぶというのは合理性がある、当然だということで私どもも納得するわけでございますが、しかし、この中に運賃協定があるのですね。一方が運賃を上げましたら、認可申請をしていなくても、他方の会社は自動的に運賃が上がるという仕組みですね。これはどう考えても納得がいかないわけであります。道路運送法二十条第二項に定めます「運輸大臣は、当該契約又は協定が公衆の利便を増進するものであるときは、前項の認可をしなければならない。」とされておりますが、運賃値上げを申請してないのに、片一方が上げたら自動的に上がるというのは、乗客にとっては高くなるわけですから、これはどう考えても「公衆の利便を増進するもの」とは考えられない。これは運輸大臣認可事項でございますから、大臣のお考えを承りたいと思います。
  125. 服部経治

    服部政府委員 やや事務的な問題にわたりますので、恐縮でございますが、私からお答え申し上げさせていただきます。(梅田委員事務じゃない」と呼ぶ)では、行政でございます。済みません。  道路運送法第二十条の規定の問題につきましては、先生冒頭に御指摘のとおりでございまして、私どもそういうふうなものとして考え、運用を行っておるところでございます。  ところで、ただいま先生は、運輸協定の中で運賃協定を行っておる、そういうことの結果、競合路線において一方の会社の運賃が上がれば自動的に他の会社の運賃も上がるというような御理解のもとに御質問なされたようでございますけれども、私どもといたしましては、従来運輸協定という格好でこういった運賃協定をするというような事例はないというふうに考えておるところでございまして、運賃はあくまで道路運送法第八条に基づきまして認可を行っているところでございます。運輸協定の中で運賃協定というものが仮にあるといたしましても、それは運輸大臣認可に係る事項というふうに理解するわけでございます。  なお、同一路線に二以上の会社が競合して路線を持っております場合には、主たる事業者運賃に合わせるという格好でほかの会社にも同額の運賃認可することといたしておりますが、これは先ほど左近先生の御質問の中にもございましたけれども、私ども、同一地域同一運賃考え方をこの場面でも堅持しているということの結果でございます。
  126. 梅田勝

    ○梅田委員 京都市におきましては東山を越えますと山科というところに来るのです、私の住んでおるところでございますが。これは同じ京都市内でございますが、民営のバスが主として走っておりますので、市バスが相互乗り入れをするわけですけれども、市バスは非常に本数が少ないわけでございます。昭和三十九年四月二十日に運輸協定を結んでおりますが、「一の路線における市の運賃は、会社の運賃によるものとする。」という協定があるのですね。あなたはないと言うけれども、そんなことはないですよ。そういうように協定を結んでおるから、昨年十月、京阪バスが値上げをいたしましたら市バスは値上げをするのですよ。それからことし四月、今度は京都市バスが値上げをいたしますと、京阪バスは、京都市内に乗り入れてきている分、これは本来百四十円という認可運賃があるわけですから、市バスが百五十円にしても百四十円でいかなければならぬのが、均一区間内に入った途端に百五十円になった。だから京都市内の均一区間部分につきましては自動的に値上げになっているのですよ。これは私は非常に不合理だと思うのですね。だから、少なくとも次の運賃改定まで待たせるとか、合理的な方法で指導改善をすべきじゃないかと思うのでありますが、これは政治的な問題でありますから、大臣に御答弁いただきたいと思います。
  127. 細田吉藏

    細田国務大臣 政治的な問題とは別段思っておりませんけれども、広い意味ではさようなことであろうかと思いますが、同一地域の同一区間については同一運賃を採用するというのが基本的な方針であり、そのことが結果的には旅客、公衆のためになる、こう考えているわけなんです。しかし、それがそうならないんだ、安ければ、安い方のものを使えばそれだけ旅客公衆にとっていいじゃないかという考え方をとるとするとおかしくなるわけなんですが、私どもは、それはそうじゃないので、むしろ同一の場所を同じように走るものは同じ運賃の方が、長い目で見ると、大きい目で見ると、結局旅客公衆のためになるのだ、こういう建前をとっているわけなんです。ですから、その建前がおかしいという議論は、議論としてはあり得るかもしれませんけれども、私どもの方針は一貫してそれをとっていない、こういうことなんです。  なぜそういうことを言うかといいますと、いろいろ差別があります場合には、そこにいろいろな摩擦やら矛盾が起こってまいりまして、いろいろ混乱を生ずる恐れがむしろある、そういうことは運輸としてはむしろ避けるべきではないか、こういう考え方なんでございます。一貫してそういう方針を大体とっております。そういうことでございます。
  128. 梅田勝

    ○梅田委員 いや、大臣、指導によりましては統一運賃にできるのですよ。片方が上げましても、共通路線については低い方に統一すればいいのですよ。京阪バスは三条京阪前に乗り入れていますね。このバス路線と同じように並行して走っている京都市バス路線があります。だから、その部分につきましては、同じ値段でいけばいいのです。そのように指導すればいいのだ。あなたは、同一区間を走る運賃は同一の方がよろしい、広い、長い目で見れば、公共の利便の増進に役立つとおっしゃるのだったら、国鉄、私鉄はどうですか。これは鉄道ですよ。道路じゃないけれども、同一施設を使うものじゃないけれども大阪駅だったら、梅田の阪急は一緒じゃないですか。同じところから出ていって京都へ行くわけだ。これはもうごっつい運賃が違うのだ。だから、同じ道路を走るバスと鉄道とは同じようには論ぜられぬけれども、確かにあなたが言われるように、鉄道の場合だって、国鉄と民鉄は、私鉄は一緒の運賃の方が国鉄はお客をとられぬでいいだろうと私も思うのですが、鉄道の方にはそれがないのだ。ある程度調整はしているけれども、倍ほどの値段を払ってだれが国鉄に乗りますか。あなたの理屈もある程度わかりますが、パスは一緒のところを走っているのだから、それは低い方に統一すべきだと思うのです。いかがですか。
  129. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答えいたします。  鉄道も、発着地点が同じで、途中の条件がほとんど似ているようなものについては同じ運賃が本当は理想なんです。現に昔はそうしておったのです。それができなくなったのは、国鉄の財政事情からできなくなったものですから、今差別がついておるわけです。そのために無用に——無用にと言うと失礼ですけれども、国鉄の方がすいて、私鉄の方が安いから込む、これはいいことじゃないのです。ですから、そういう方針は、できることならば、同じところを走るものは同じ運賃というのがいいので、それはそういうことなんです。国鉄の運賃はけしからぬじゃないかとおっしゃれば、全くそのとおりだと思います。理想は同じ方がよろしい。昔は現にそうしておったのです。
  130. 服部経治

    服部政府委員 一点補足させていただきます。  ただいま先生調整するにしても高い方にではなく安い方に調整すればいいではないかというお話がございましたが、私どもは、主たる事業者運賃水準調整するわけでございまして、主たる事業者運賃水準が高い場合には高くなりますが、安い場合には、調整運賃は安い水準になりますので、念のためにちょっと申し添えさせていただきます。
  131. 梅田勝

    ○梅田委員 実際は京阪バスももうけておるが、もうけておる方に統一されたらたまらぬということを申し上げたわけです。これは将来におきましてもっと合理的な方法が考えられればひとつ考えていただきたいというように要望しておきます。  次に、たびたび本委員会で問題にしてきた大分県のトキハタクシーの許認可問題につきまして質問をしたいと思うのであります。  大分県の陸運事務所認可いたしました大分トキハタクシーの増車問題というのは、ここでも問題にいたしましたように、一億一千万円の利権取引の疑惑絡みでありまして、公正、民主の同和行政を推進する上におきましても極めて遺憾な出来事でございます。運輸大臣も、ここでの答弁で、疑惑を持たれないように取り扱うことが必要であるとお約束をしていただきましたが、その後どのように指導されたかをお伺いしたいわけであります。  私が最近聞き取りましたところによりますと、七月十四日、同和タクシー企業組合は、六月十五日に別に設立された大分トキハタクシー株式会社並びに別府トキハタクシー株式会社の両社に営業権を譲渡する旨の申請書が陸運局に提出されているというように聞くわけでございます。あれだけ問題を起こしたところがこのように別会社に営業権を譲渡するということは全く不可解な出来事であろうと思うわけでございます。もともと大分県同和タクシー企業組合が設立されました際にどういう資金でもってつくったのかということでありますが、通産省の管理しております中小企業高度化資金の融資を受けておりまして、同和の関係の場合におきましては無利子であります。二年据え置いて、後十年均等返済、もう極めて有利な条件で三億三千万円借りております。しかし、ことしの三月九日、大分県の県議会でこれが問題になりまして公になった事実がございますが、それによりますと、現在元金は二億八千九百六十五万八千円残っておる。返済が滞っておりますので、延滞利息が四千八百四十九万二千円ありまして、これを加えますと三億三千八百万円が残っておる。最初に借り入れた元金よりもふえている、こういう状態でございます。  その後いろいろ事実関係をつかんでおられると思いますけれども、どのような指導をなさっているのか、一番最近の事情につきましてお伺いを申し上げます。
  132. 服部経治

    服部政府委員 トキハタクシーが、関係者の努力にもかかわらず、依然として困難な経営状況下にあることはまことに残念なことだと思っております。  最近の経緯でございますけれども、三月十九日に至りまして、前回先生から御指摘のありましたトキハタクシーからの三十二両の減車申請は取り下げられておりまして、その後、今月の十四日になりまして、ただいま先生御指摘の譲渡譲受の認可申請書がトキハタクシーの方から提出されているというのが最近の事実関係でございます。
  133. 梅田勝

    ○梅田委員 増車いたしました三十二台ございますが、これはどうなっていますか。我々が調べたところによりますと、半分しか動いていない、十六台しか稼働していない。それから車検切れの十二台というのがありまして、これは六月四日に、一時限定減車ということで走らせてないのですね。だから、そもそも三十二台増車という申請自体が極めていいかげんなものであった。それから、県から、これは同和だからやってくれという文書をもらったら、陸運はへなへなとなって、それを丸のみにしている。実際はこれは、さきに述べましたように利権の取引材料としてやられておったということで、陸運が最初にやりました認可の審査は極めてあいまいな、いいかげんなものだと言われても仕方がないじゃないですか。どうですか。
  134. 服部経治

    服部政府委員 トキハタクシーにつきまして、三十二両の増車の申請を認可したことにつきましては、当時の福岡陸運局あるいは大分県陸運事務所の方でこれを処理したわけでございますが、この認可に当たりまして陸運事務所は、同和関係の企業組合の再建を図るという目的、かつはその件につきまして県当局の方からも協力要請があったということ、そういった状況を踏まえ、かつ地域における輸送状況というものを総合的に勘案いたしまして認可したものでありまして、特に不当なものであったというふうには考えておりません。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 梅田勝

    ○梅田委員 それでは、何にも反省してないということじゃないですか。増車申請をして稼ぐというのが方針でしょう。それによって企業再建をやろうというのが方針でしょう。実際は、増車申請をしたものは動かしていない。それどころか現にあったものまで減らすというか減車させている。その後、名目は復活させたそうですけれども、動いていないということでしょう。その上、借金が払えないというんで別会社をつくって分割しよる。こんなんで、果たして最初の増車の申請を認可したことは正しかったと言えますか。  もう一つ伺いしたいことは、談合してあれしたと言われております他の十九社が同じ三十二台の増車申請をしておりますが、これは一応保留になっています、検討中になっていますね。その後、二つの会社がまた六台を申請して、現在二十一社、三十八台の申請が出ておりますが、これは一体どうするつもりですか。これを却下してこそ疑惑が完全に消えていくわけですから、これをそのままにしてほうっておけばいつまでたっても疑惑は残りますよ。  あなた方のつくりました処理基準がありますね。それによりますと、「適正を欠く者に対しては増車申請の却下又は増車数の削減等の措置を講ずるものとする。」というふうに明記されております。これほど明快なことはないのですから、すぱっと切ったらどうですか。却下しなさいよ。
  136. 服部経治

    服部政府委員 ただいま御指摘の二十一社から出てまいっております計三十八両の増車申請の案件につきましては、現在慎重に検討中でありますが、先生御指摘のように却下ということも含めて検討しているところでございます。
  137. 梅田勝

    ○梅田委員 前の自動車局長がここの答弁におきまして、同和企業組合の位置づけ、県からの要請、要望を踏まえてやったということを言うたのですよ。こういう考え方が同和行政をゆがめていると言うのです。公正、民主の同和行政を推進するためには厳正にやらなければいかぬ。これをもしいいかげんにやっておったら、一億一千万の取引が行われるんだから、大変なことになるのですよ。  これは再発防止という意味におきまして、午前中にも道路運送法第六条に基づく免許基準の公表の問題がありましたけれども、東京あたりは、資金計画、保険の加入状況、賃金、労働条件あるいは事業者の能力といったものを具体的に処理基準で公示している。ところが九州運輸局の場合は、適正規模及び車庫基準の二つしか公表してないわけです。それぞれ地方によって事情も違うでしょうけれども、具体的にやらなければならぬ問題もあるでしょうけれども、大方の基準を明示して、これに外れるものは認可しないぞということをはっきりさせるべきじゃないかということで、全国的に扱いの統一が必要だと私は思うのであります。これは大臣、御答弁いただきたいのでありますが、そういう方向をひとつ検討していただきたい。  いま一つは、今地域交通局長の御答弁にございましたように、却下を含めての検討ということでありますが、疑惑を解消するためには却下以外にないと思うのであります。大臣の明快な御答弁をお願い申し上げます。
  138. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変特異な事案でございまして、私は前回も当委員会で申し上げたと思うのですが、これははっきりさせなければいかぬ。同和対策についても今お話がございましたが、ゆがんだものを同和なるがゆえにどうこうというようなことをやったのではいけない、かように思っております。  したがって、新しく出ておるものにつきましては、これは頭からいかぬとかいうようなことを言うことも問題がございます。したがって、免許の基準に従って審査をして、却下すべきものは却下すべきだというふうに存じておるのでございます。それ以上、ここで権限が——大臣権限を下へ譲っているわけでございます。そして実際にいろいろ調べておるわけですから、必要性のないものなら、基準に合わないものなら免許してはいけないことは当たり前のことでございまして、これはそういう意味で、そういうことも含めて検討しておる、かように先ほど地域交通局長がお答えをしたということでございます。
  139. 梅田勝

    ○梅田委員 今また新たな事態、七月十四日に別会社に営業権を移譲するという申請が出てきておるわけです。これは本当に疑惑に包まれた、黒い霧ですね。しかも役員名簿を見たら、大分と別府の役員構成は一緒です。ちっとも効率的に運営するような内容じゃないですよ。  これは何を考えておるかわからぬですが、そんな疑惑に包まれたものを長く放置すべきじゃない。この問題が起こってから半年近くになりますよ。いつまでやるのですか、期限をはっきりと定めてください。
  140. 服部経治

    服部政府委員 できるだけ早く処理をいたしたいというふうに思っております。
  141. 福家俊一

    福家委員長 時間ですが、まだやりますか。あなたの質問は三遍目だから、大体いけるのじゃないかな。——特に許します。
  142. 梅田勝

    ○梅田委員 特にお許しをいただいて申し上げますが、できるだけ早くというのはもう三遍も聞いた。きょうで四遍も聞いているのです。だから委員長からもちょっと注意してください、できるだけとはいつまでだと。
  143. 服部経治

    服部政府委員 ただいま私どもが持っております事案というのは、七月十四日に出てまいりました譲渡譲受の認可申請の事案でございまして、(梅田委員「それ以外の二十一社の」と呼ぶ)その案件も含めましてできるだけ早急に処理いたしたいというふうに考えております。
  144. 梅田勝

    ○梅田委員 非常に納得しがたい答弁でありますが、できるだけ早くというのは我々の常識では二、三日ということですよ。それが半年近くにもなっているんだから、しびれを切らしますよ。これは長ければ長いほど疑惑を持たれるわけですから、その点、最後にもう一度大臣の明快な御答弁をいただいて、私の質問を終わらしていただきます。
  145. 細田吉藏

    細田国務大臣 疑惑が持たれないように、早期の処分をすべきものだと考えております。
  146. 梅田勝

    ○梅田委員 終わります。
  147. 福家俊一

    福家委員長 兒玉末男君。
  148. 兒玉末男

    ○兒玉委員 同僚議員からそれぞれの立場から質問を展開されましたので、できるだけ重複を避けたいと存じます。  まず、運輸大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、今回の道路運送法の改正について、昭和二十五年に制定された法律に基づいた陸運事務所、陸運局、なかんずく陸運事務所の場合は地方自治体との関係において非常に密接不離な関係で陸運行政が行われてまいったわけでございます。今回、臨調路線による行政改革で、三十五年にわたる陸運事務所における身分の移管あるいは県知事への委任事項、こういうもろもろの問題がその態様を一変するわけでございますが、法律公布までの間における過渡的な問題、あるいは今までの長年にわたる陸運事務所地方自治体、この関連において、今回の法律改正に伴うところのいわゆる運送業務全体にわたる運営がスムーズにできるのかどうか。それから、国家公務員でありながら地方事務官という特殊な形態に置かれておったわけでございますが、まあ提案説明はわからぬでもないわけでございますが、特に地方自治体における陸運行政というものは非常に複雑多岐であります。そういう点等から、今回の法律改正に伴ってスムーズな移管といいますか運営が果たして可能なのかどうかという点について、まず基本的な点での大臣の御見解を承りたい。
  149. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  非常に長期にわたって地方事務官制による陸運事務所という制度が行われてきたわけでございます。それを今回は臨調答申を受けて、この法律案によって国家公務員にしようということなのでございます。したがって、今までとは違った形にするわけでございますから、いろいろな心配が全然ないとは言えないと私は思います。その点を御指摘だろうと思うのでございますが、今まで陸運事務所の実際の運用といたしましては、県知事によって多少違うと思いますけれども、大部分の県におきましては、陸運事務所というのは場所も知事さんのいるところとも離れている場合がほとんどでございまして、実際上は知事さんが命令をなさったりいろいろ指揮をなさったりするということよりは、現在の地方運輸局、これまでの陸運局が陸運事務所にいろいろ命令をしたり指導したりしておる。国家公務員であるのと同じような、そして大事などにつきましてもさようでございますけれども、そういう運用を実はしておった。そこに非常に不自然な格好があるわけでございます。県によりましては、県知事が特に陸運事務所の仕事を一々、皆持ってこい、やはり自分が皆見るとおっしゃったような県も私も若干承知もしております。  そこで、問題は、私が今言わんとしておりますことは、これまでの実情が、国家公務員でこれからやろうとしておる場合と実際の運用はそうは大きく変わらない。ただしかし、だからといってこれが当たり前のことであり、当然のことであり、何ら変化がないかというふうな点を考えてみますと、これはよほど注意しないといかぬ。つまり、県、地方公共団体との関係については、こういう変更が行われるに当たっては特別な配慮をしなくちゃいかぬ。これは長年地方事務官として陸運事務所を運営してきたわけですが、地方事務官というものを外すわけでございますから、それだけに、地方との関係というものはもちろんないわけじゃないわけですから、もうむしろ非常に密接な関係があるわけでございますから、こういう点を運用に当たって気をつけていけば実際上の支障は起こらないものと、かように考えておる次第でございます。  少しくどくなりましたけれども、言っておる趣旨はおわかりいただけるかと思うのでございます。
  150. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回、身分が地方事務官から国家公務員になるわけでございますが、現在までのいろいろな行政との絡み合いから、陸運事務所に勤務している——今度地方局となりますが、いろいろな行政上の関係で特に地域交通政策にも非常に熟知している職員が多いわけでございますが、今後例えば地方事務官、いわゆる県庁職員運輸省の直轄の職員との交流といいますか、あるいは現在勤務する陸運事務所等の職員が県庁の方に身分移管ということ等のいわゆる交流というのは非常に大事なことでございますが、どういうふうな取り扱いをされるようにしているのか、その点お伺いしたいと存じます。
  151. 服部経治

    服部政府委員 地方自治体と私ども運輸省の間における人事交流の件でございますが、本省レベルにおいては、これは件数は少のうございますけれども、逐次実施してまいっておるところでございます。しかし、陸運事務所レベルにおきます人事交流というのは、少なくともこれまでの段階では例がほとんどなかったように承知しております。  なお、今後必要に応じまして、必要な事態が出てまいりましたならば、そういう方向で検討させていただきたいというふうに考えております。
  152. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは前の道路監理事務所という時代に、私も国鉄の出身でございまして、いわゆる監理事務所と国鉄の間にかなり大幅な交流があったという経験がありますので、そのことをお伺いしたわけであります。  それから、局長にお伺いしたいのでございますが、今回の改正をする論議の過程において、いわゆる支局の分担する行為についてあるいは陸運局の行政範囲について、自営車の関係あるいは自家用車等のいわゆる運送業務に関する所管事項についてかなり意見の対立等があったと聞いておりますが、その辺の関連についてはどのように法案作成の過程で処理をされたのか、その辺の見解を明らかにしていただきたいと存じます。
  153. 服部経治

    服部政府委員 今回の改正案の提出は、先ほど来御答弁申し上げておりますように、今回行われました臨調の最終答申の趣旨を踏まえて行われたものでございまして、その臨調答申の中では地方事務官制度の廃止という一つの大きな仕切りを行いまして、その仕切りに伴いまして、陸運事務所は今後は国の出先機関とする、あるいはそこに勤務する職員運輸事務官なり総理府事務官とする、そこで行われていた業務は今後は運輸省において処理するという仕切りがなされたわけでございますが、私ども関係方面とそうした臨調答申を踏まえて、今回の改正案を取りまとめます間におきまして、関係方面との調整に当たりましてはそういう臨調答申の枠の中で議論をしてまいった、その枠の中でお互いの意見をぶっつけ合ってまいった、こういう経緯でございます。     〔委員長退席浜野委員長代理着席
  154. 兒玉末男

    ○兒玉委員 臨調答申ということがにしきの御旗のように言われておるわけでございますが、地方における運輸行政というのは大変多岐にわたっておるわけであり、またその地域における陸運行政の要望というものは千差万別であって、地方事務官の身分を国家公務員に移管したからすべてがオールマイティーだということにはならないと思うのであります。先ほど来触れておりますが、バス停留所の問題、あるいは貸し切りバスの運用の問題、また複数県にわたるいわゆるバス運行等についても、それぞれの地域住民のニーズにこたえるあるいはまた運行する会社のそれぞれの特殊事情ということ等からなかなか問題が複雑多岐でございまして、単に地方事務官の身分が国家公務員に移管されるということで万事足れりというふうには理解できないわけでございますが、その辺の観点から局長としてはどのような理解をされておられますか、お伺いしたいと思います。
  155. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、これをもって足れりというようなことは決して考えておりません。同じ臨調の最終答申の中にも、先ほど来繰り返しておりますけれども地方自治体意向を今後陸運行政の上に十分に反映をするような仕組み、制度というものを勉強しろというような項目もございますし、また許認可事務の整理合理化を進める、そしてそれと並行いたしまして、地方への権限移譲を含めて国と地方との間の機能のあり方についても勉強しなさいというような御指摘もいただいておりますので、私どもはそれを深く受けとめまして、今後それへの対応を精力的に図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  156. 兒玉末男

    ○兒玉委員 局長に再度お伺いしますが、そういうふうに三十五年間にわたる制度の大きな変革でございまして、身分転換後、これから地方自治体との関係においていろいろなトラブルが起きる可能性が皆無とは言えないと思うわけであります。とするならば、地方自治体との関係において、いわゆる運送業務に対して今後どういうような指導理念で臨んでいかれようとするのか、お伺いしたいと存じます。
  157. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生の御指摘の点に関しましては、私ども現在考えておりますのは、地方運輸局長の諮問機関として設置されております地方交通議会というのがございますが、その地方交通議会のもとに各府県単位に部会というものを設置いたしまして、その部会の長には原則として御了承がいただける範囲内で県知事さんになっていただく、そしてさらにそのメンバーの中には関係の市町村の長の方も入っていただくというようなことで、今後の陸運行政の遂行に当たりましては、地域の実情の把握、地域のニーズのくみ上げということに遺憾なきが期せられますように十分努めてまいりたいというふうに考えております。
  158. 兒玉末男

    ○児玉委員 運輸調査室の資料にも書いてございますけれども、問題点の処理をスムーズにするためにいろいろ意見の交換なり、あるいは問題点等の処理についての具体的な意見の交換の機関をつくるということが書いてございますが、どういう問題点を設定して自治体意見を聞こうとしているのか、そのあり方についてあるいは内容については具体的にどういうことを局長として考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  159. 服部経治

    服部政府委員 バス、タクシー行政を中心といたしますいわゆる陸運関係行政につきましては、申し上げるまでもなく、地域の実情を把握する、地域社会の真のニーズを十分把握するということがあって初めて可能になってくるものでございますので、先ほど来の繰り返しにはなりますけれども、今後府県単位の部会というものを十分活用いたしまして、そういった地域のニーズのくみ上げに十分努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  160. 兒玉末男

    ○兒玉委員 部会を設定するということは、わかりやすく言えば協議会的な内容になるのかどうか。それから、その際運輸省側の押しつけじゃなくて、地方自治体側の要望が十分反映される部会でないと、官僚的な押しつけでは運営はなかなかうまくいかない。また、災害時の物資輸送なりあるいは救助要員の輸送なり、または危険地域におけるところのいろいろな救援物資の輸送など、地方における自治体行政面とそれから運輸行政面との絡み合いということは非常に大事でございますので、その辺の部会の運用というものは、自治体側の意見が十分尊重されるような体制ということが極めて大事ではなかろうかと存じますが、これに対する局長見解を再度承りたいと存じます。
  161. 服部経治

    服部政府委員 まさにただいま先生の御指摘のとおりのことを私どもも考えておるところでございまして、地域のニーズの把握、地方公共団体意向の把握ということを目的として、そういう部会などの設置、運用を考えておるところでございますので、先生が最前来繰り返し御指摘されておりますようなことにつきまして今後本当に遺憾なきを期していきたいというふうに心から考えております。
  162. 兒玉末男

    ○兒玉委員 局長の御答弁は非常に結構でございますが、問題は、これが実行の段階においてどうしても意見の食い違いというものがあるわけですが、その辺の調整についてはやはり自治体側の協力というものがなければ十分な運営はできない。そういう点から地方自治体側の意見を十分に尊重する、こういうような方向で部会の設置については十分な配慮を要望したいと私は思いますが、いかがでございますか。
  163. 服部経治

    服部政府委員 まことにおっしゃるとおりでございます。私ども、その辺を含みまして十分な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  164. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、多少これに関連してお伺いしたいと思います。  現在、タクシー業界からも要望が出ておるわけでございますけれども、自家用車を持っている所有者が飲酒の場合は運行できない。それで代行者というか、自分の車を持って帰ってくれる、東京都内、中でもいわゆる中心より外れた地域においてかなりこのような代行者の制度があって、一般的にやみ行為と言われているようでございますが、それに対する掌握をどうされているのか。  また、きょうは警察庁の方も御出席のようでございますが、取り締まり当局としてはそういうタクシーに対する類似行為的な行動等は厳に慎しむべきだ。  また先般テレビのニュースでもありましたが、タクシー会社はこれに対抗するために、そのような自家用車を牽引して自宅まで運んでいく、そういう会社をつくってこのようなやみ行為的な代行者制度に対応したいということがテレビで出ておりましたが、こういうような対応措置について交通局長と警察庁の方はどういうように情勢を把握されているのか、同時にその対応についてお伺いしたいと思います。
  165. 服部経治

    服部政府委員 ただいままで私どもが把握いたしておりますいわゆる運転代行会の実態でございますが、全国で約九百業者ございます。その持っております車が約四千両弱、その運転代行会に所属いたしております運転者数が七千名余というような実態であると承知しております。  こういった運転代行というのは、本当に近年の都市活動から派生してきたものだと思いますけれども、確かにそういう市民のニーズというものがあることは否定できませんし、適正な格好で行われる運転代行については問題がないわけでございますが、間々こういった運転代行会の行為が本来の運転代行の範囲を逸脱することもございまして、そういった場合にはたちまちタクシー行為の類似行為になってしまうわけでございまして、私どもは従来とも警察御当局との間で十分な連携をとりながらこれの取り締まり、抑制に当たってきておるところであります。なお、先生もおっしゃっておられましたけれども、抑えつけるだけがいいわけではございませんので、タクシー事業者の方も、そういったニーズが現にあるわけでございますから、そういうニーズを踏まえまして、みずからもそういった運転代行の業務にも取り組むような指導も強めてまいっておるところでございます。  なお、最後に申されました車を牽引してというやり方につきましては、初めてのことでございますので道路運送法上の取り扱いにつきまして今後検討してみたいと考えております。
  166. 山崎毅

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  いわゆる運転代行業の営業でありますが、その行為をめぐりまして道路運送法の四条ないしは百一条違反など、いわゆる白タク行為でありますれば検挙をするということで取り締まりをいたしております。ちなみに、五十八年一月以降五十九年五月末までには全国で道路運送法違反で十三件検挙いたしておるところでございます。  また、最後に言われましたレッカー車使用の問題でありますが、御案内のようにレッカー車を使用する牽引は道路交通法の五十九条一項に規定されておりまして、故障あるいはガソリン切れなどその自動車を牽引することがやむを得ない場合に例外的に認められておるところでございます。したがって、運転代行としていわゆる現在レッカー車で運営されているような形で車を引いていくというのは、この「やむを得ない場合」に当たるかどうか疑問があるところでございます。     〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
  167. 兒玉末男

    ○兒玉委員 法律改正の過渡期の大きな問題でございますので、今後の運用については十分な配慮を希望したいと存じます。  最後に、これに関連する問題でございますが、先般私たちは全国の私鉄バスのいわゆる過疎バス状況等の調査を行ったわけでございます。全国約百五十数社がこの過疎バスの運用については大変な苦境に立っておりまして、六十年度以降補助対応がなくなるということを聞いておるわけでございますが、地域における生活路線としての立場からも、この制度の検討並びに継続は地域住民、特に交通弱者にとっては不可欠の足でありまして、ただ法的に問題処理を、あるいは一企業としての問題でなくて、日本の各過疎地における住民の交通の足を守っていくという立場からもこれは軽々に廃止すべき問題ではない、こういう点から、関係企業なり地域住民の要望には十分こたえるだけの措置をとることが極めて大事な問題ではないかと私は考えているわけであります。もちろん、財政問題も含めて大変な問題ではございますが、事、過疎バス交通については、これは一般行政と違いまして大事な問題でございますので、これの対応については最高責任者である大臣の御所見を承りたいと存じます。
  168. 細田吉藏

    細田国務大臣 過疎地におけるバスの問題は非常に大きな問題でございます。私ども運輸政策の中で、地味なように見えて実は国民のシビルミニマムを守るために非常に重視しなければならぬ問題だと思っております。法律的に期限が来るということなのでございますが、我々としては何としてもこの制度は続けていくような方向で考えてもらわなければならぬ、このように考えておりまして、私ども全力を挙げたいと思っておる次第でございます。
  169. 兒玉末男

    ○兒玉委員 担当の局長見解も最後に承りたいと存じます。
  170. 服部経治

    服部政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、過疎地域におきますバス運行の確保を図ることは私どもが当面している最大の問題の一つだと考えておるところでございまして、たまたま過疎バス運行補助につきましては五十九年度で期限切れということに相なってはおりますけれども、私ども、若干の制度の手直しは余儀なくされるとは思いますけれども、この制度の継続さらには充実ということを目標にいたしまして、今後精力的に頑張ってこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  171. 兒玉末男

    ○兒玉委員 局長の発言、大変ありがとうございました。過疎地域における全住民、また我が社会党は法案要綱を準備しながら、自民党を含め各党との連携をとりながら、この存続が実現できるように全力を挙げて頑張りますので、局長運輸大臣、ともに自信を持って頑張っていただくよう、強く要望申し上げて、終わります。
  172. 福家俊一

    福家委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  173. 福家俊一

    福家委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。近岡理一郎君。
  174. 近岡理一郎

    ○近岡委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、本案に賛成討論を行うものであります。  御承知のとおり、近年我が国の自動車の保有台数は著しく増加し、自動車の活動範囲の広域化や各種交通機関の整備に伴い、自動車の検査登録や運送事業の監督につき、広域的観点からの規制監督や総合交通政策の観点からする他の交通機関との調整などの必要性がますます高まっております。  このような状況に対応するため、臨時行政調査会答申等を踏まえ、陸運関係地方事務官制度を廃止する等、自動車行政事務処理体制の整備を図ろうとする本法律案は極めて時宜に適した妥当なものと、まず賛意を表するものであります。  現在、地方における自動車行政事務の処理を行っている陸運事務所地方事務官は、都道府県知事機関委任されている国の事務に従事する職員であるため、予算権及び人事権は国にありながら、指揮監督権は都道府県知事が持つという極めて変則的な戦後占領下における特殊な制度でありますので、臨時行政調査会の最終答申に基づきこれを廃止し、従来の陸運事務所運輸省地方支分部局とし、これに従事する地方事務官運輸事務官にすることとしたことは、行政の簡素化の要請にこたえるのみでなく、地方陸運行政の総合化及び効率化を図るための措置として、まことに適切妥当なものとこれまた賛意を表する次第であります。  最後に、臨時行政調査会答申も指摘しているように、地方事務官制度廃止後の国及び地方公共団体を通ずる関連行政の総合性、整合性を確保するための国と地方公共団体の間の連携協力が確保され、地域交通がより一層拡充強化されることを強く要望いたしまして、賛成の討論を終わります。
  175. 福家俊一

    福家委員長 辻第一君。
  176. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、道路運送法等の一部を改正する法律案反対の討論を行います。  本案の主な内容は、第一に自動車の検査、登録関係事務機関委任の廃止、地方事務官国家公務員化、第二に輸送監理関係事務機関委任の廃止、地方事務官国家公務員化、第三にこれらに伴う関係法律の規定の整理の三点であります。  まず第一点の道路運送車両法等に関する改正部分についてであります。  言うまでもなく、自動車の検査事務は、自動車の安全、保安に係る事務であり、国の責任において全国的、統一的に処理すべきものであります。また、登録事務は所有権を証するための実務であり、コンピューターにより全国一本化され効率的に運用され、検査事務と密接に関連している点から国の事務とすることがふさわしいものであり、この部分の改正点には賛成であります。  次に第二点の、住民サービス関係の深い輸送監理事務に関する改正部分であります。  我が党は、これまで、機関委任事務の原則廃止と行政事務の民主的再配分を強く要求し、再配分の方向として、一、現地性、二、民主性、三、自主性、四、総合性の四原則を打ち出し、これに基づき地方事務を、地方自治体の固有事務、国と地方が共同して行う事務機関委任事務として残る若干の事務に整理再編するとともに、交通運輸行政事務についても、自治体を中心とした民主的な地域総合交通行政を確立するよう主張してきました。ところが、政府案は、こうした方向に逆行して、知事機関委任している権限さえも国に吸い上げるなど、自治権拡充とサービス向上という民主的見地を欠いているのであります。我が党の政策的見地と相入れない本改正部分には反対であります。  以上述べたとおり、法案全体に対しては、運輸地方事務官の圧倒的部分が従事している検査、登録関係事務機関委任制廃止部分については賛成でありますが、輸送監理関係事務機関委任制廃止部分が我が党のこれまでの政策的見地と全く相入れないものとなっているため、反対するものであります。  最後に、国民の生命と暮らしを守るために大きな役割を果たしている自動車交通行政をより一層改善するため、その体制を一層強化し、十分な要員を確保するよう強く要請して、日本共産党・革新共同を代表しての反対討論を終わります。
  177. 福家俊一

    福家委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  178. 福家俊一

    福家委員長 これより採決に入ります。  内閣提出道路運送法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  179. 福家俊一

    福家委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣細田吉藏君。
  180. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま道路運送法等の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  政府といたしましては、本委員会における御審議の趣旨を十分に尊重し、陸運関係事務の円滑な処理に万全を期する所存であります。ありがとうございました。(拍手)
  181. 福家俊一

    福家委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 福家俊一

    福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  183. 福家俊一

    福家委員長 次回は、明二十五日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十六分散会