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1984-06-27 第101回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十七日(水曜日)     午前十時十一分開議 出席委員   委員長代理理事 鹿野 道彦君    理事 久間 章生君 理事 浜野  剛君    理事 三塚  博君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 中村 正雄君       加藤 六月君    田中 直紀君       近岡理一郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    富塚 三夫君       西中  清君    森田 景一君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸大臣官房観         光部長     西村 英一君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省航空局長 山本  長君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  長瀬 要石君         労働省労働基準         局監督課長   野崎 和昭君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     太田 知行君         日本国有鉄道常         務理事     岩崎 雄一君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 六月二十六日  辞任       補欠選任   梅田  勝君   中川利三郎君 同日  辞任       補欠選任   中川利三郎君   梅田  勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  道路運送法等の一部を改正する法律案内閣提  出第六一号)  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  観光に関する件      ————◇—————
  2. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 これより会議を開きます。  福家委員長病気療養のため、当分の間、指名により私が委員長の職務を行います。  陸運、海運、航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正雄君。
  3. 中村正雄

    中村正雄委員 仁杉総裁にお尋ねいたしたいと思います。  私は、戦後四十年近い間、政治の場から国鉄を見てまいりました。また、国鉄を利用する国民税金を納める国民という立場からも国鉄を見てまいりましたし、また今の国鉄の前身でありまする鉄道省OBという立場からも国鉄を見てまいりました。そういう点から、再建の大役を担って就任された仁杉総裁に私はお尋ねいたしたい。  五十六年に経営計画の案が策定されて、今日まで努力を続けてまいられました。約三年たちました。その経過をいろいろの立場から私なりに検討し、分析してみましても、遺憾ながら所期の目的は達成されておらないと思います。特に、全体的に見れば、国鉄財務内容といいますか、赤字体制といいますか、だんだん膨れ上がっております。部分的には改革された面もあると思いますけれども、国民の目から見たならば、年々国鉄赤字はふえる一方である、再建されるとはどのような形でも見受けられません。また、利用者国民の目から見て、国鉄自体の姿がより以上に国民から好感を持って見られるような世論にも私はなっておらないと思います。そういうことから見て、今の国鉄機構、今の国鉄再建やり方、今の国鉄首脳部姿勢、このような状態でこれから再建に取り組んでいっても、再建というものは非常に困難だというよりも私は不可能ではないか、このような感じがするわけでございます。  例えば国鉄機構を見ましても、これは日本国有鉄道が発足いたしましてから何ら変わっておりません。縦割り制機構でございます。国鉄がこのような状態になり、再建の足を引っ張っておるのは国鉄のこの縦割り機構にあるのではないか、第一の障害を私はそこに見ておるわけでございます。極端に言えば、本社にありまする局ごと国鉄があると言っても過言ではない。北海道から九州まで、営業局営業局施設局施設局という国鉄がある。したがって、そこにはやはり地域ごとの情勢に応じた国鉄運営をし得る体制ができておらない。金をもうけるところと金を使うところが別々な責任者を置いてやっておるというような状態で、国鉄財務内容がよくなるとも思いませんし、また国鉄再建できるとも思えないと思います。  また、今までの再建やり方を見てまいりますと、例えば経営改善計画内容に従って合理化をおやりになってまいりました。しかし、合理化というものがどういう内容を持つものか、いろいろ議論もあると思いますけれども、少なくとも合理化目的企業効率を上げるということでなければならない、これはだれも異存はないと思います。ところが、今までおやりになりました国鉄合理化は、減量経営定員削減です。仕事を減らせば人が減るのは当たり前でございます。減量経営定員削減合理化として今日までおやりになりましたが、企業効率は全然上がっておりません。そして今になって余剰人員が二万人ある、二万五千人ある、これをどうするかという対策に追われておるという現状。  例えば、これが民間の企業であれば、仕事を減らす、人を減らすという場合は、減らした人をどう活用するか、仕事を減らした分で余った人をどこに持っていって、どう活用するかということを同時並行的にやるのが、本当の経営あり方だと私は思います。人を減らすことだけに専念し、仕事を減らすことだけに専念して、三十五万人体制を一年早くやった、こう言われておりますけれども、残った二万何千人という人が仕事もせずに遊んでおる。しかも、職場職場を見れば、足らない職場は残業をやる、休みの日も動員されて出てきて仕事をする。余っているところはそのまま遊んでおる。縦割り制の弊害がここにも大きく出ておるわけでございます。  また、国鉄首脳部姿勢、極端な言い方かもわかりませんけれども、私は今なお自分の保身と政府依存という体質が抜け切っておらないと思います。こういう体制でこのまま再建をやるといっても困難よりも不可能ではないか、こういうふうに私は私なりに考えておるわけでございます。  総裁は、少なくとも国鉄再建使命を負って就任されたと思います。総裁なりの決意と熱情を持って就任されたと思いますし、政府もそういう立場に立って任命したと思います。総裁就任されて半年の期間が経過いたしました。ずぶの素人が入ってきたのであれば、半年や一年で国鉄の複雑な機構がわかるとは思いませんけれども、何十年もの間、国鉄で生活された総裁でありますから、就任されてから半年あれば、国鉄内容は大体熟知されたと思います。したがって、再建使命を負っておる総裁国鉄再建障害はどこにあるかということも、私は大体認識されたと思います。こういう点が国鉄再建障害である、これを除去しなければいけない、こういう点を率直にお聞かせ願いたいと思います。これが第一のお尋ねでございます。
  4. 仁杉巖

    仁杉説明員 ただいま中村先生から、国鉄の持ついろいろな欠点についてるる御指摘がございました。私、実は就任前から、国鉄OBでございますから、いろいろな資料を求めまして、私なりに再建というものに興味というか関心を持っていたことも事実でございます。ただ、残念ながら細かいデータをなかなか入手することができませんので、実態に即した考え方はなかなかまとまらないということでございました。私、就任に当たりまして、よく国鉄実態を求めた上で再建というものをぜひ何とかしたいというような気持ちを持ちましてお引き受けしたということでございます。  今、御指摘がございましたように、国鉄再建の前途というものは非常に難しいというのが、半年たちました現時点におきます私の率直な感じでございます。その幾つかの障害がございますが、もちろん、組織の問題であるとか経営者意識の問題あるいは職員意識の問題というような問題はございますが、これは別におきまして、まず一体財務財政あるいは経営状況がどうなっているかということが一つ大きい問題でございまして、これにつきまして、実は就任以来事務当局にいろいろと作業を命じまして、最近ほぼまとまったようなデータ自分自身で得ることができましたので、それに基づきましていろいろと検討を加えているわけでございます。     〔鹿野委員長代理退席浜野委員長代理     着席〕  その第一番目の問題は、一体、今後経営組織をどうするとかということは別にいたしまして、全般的に国鉄を見ました場合に、やはり過去債務の問題、年金の問題あるいは要員の問題等々を考えますと、こういう状態のままで今の延長線上で経営を続けていくということになりますと、これは泥沼に入るようなことになるなということを非常に強く感じております。もちろん、これに対しまして、長期債務を棚上げするとか、年金に対して補助をしていただくとかいう問題は容易でないということはよくわかりますけれども、今までと同じように赤字を借金で埋めるというようなやり方をやっていったのではどうにもならないということをしみじみと感じておりまして、これに対してどういう対策をとるかということを私なりにいろいろ考えてはおりますけれども、これは先生もよく御承知のとおり、国鉄だけで解決できる問題でもございません。これらにつきましては、もちろん国鉄再建委員会が既に法律をもって設立され、そこのところでいろいろ御議論がありますので、私どもとしましても機会あるごとにいろいろ実情を申し上げておると同時に、運輸大臣初め運輸省当局にもいろいろとお話を申し上げておるというのが実態でございますが、とにかく第一の問題点としてはそういう問題が非常に難しいということでございます。  しかし、どういう方策をとられるにいたしましても、国民に御負担を願わざるを得ないというような状況にあると私は思っておりますが、こうした前提に立ちますと、まず国鉄があらゆる努力を振り絞って、これはまず経営に当たる我々が第一でございますが、そういうものがあらゆる努力を払う。今、先生からいろいろ御指摘がございましたが、縦割りの制度がまずいとか、あるいは合理化と言いながらただ人を減らすだけではないかというような御指摘もございました。また、余剰人員につきましても、御指摘のように二万五千というものが出てきたことに対しての対策が不十分ではないかというようないろいろな御指摘がございます。これらにつきましては、確かに御指摘を受けているように、もう少し前広に検討していくべきであったというふうには思っておりますけれども、それらをまずやらなければいけない。今後はこういうことのないように、また余剰人員については活用するというようなことを十分考えていかなければならないと考えております。  また、第一線に働く職員規律もかなりよくなったと認識しておりますけれども、しかしまだまだ、先生の御指摘のように、それでは国民のだれもが、ああなるほど、国鉄はよくやっているという格好でないという認識も私、持っておりますので、これらについてももちろん我々も努力をいたさなければいけませんし、また、一線の管理者職員等もいろいろと考え直してもらわなければならない点もあると思います。これらについては、これまた我々が率先努力を重ねていくというようなことをしなければならないと考えております。  私は、申し上げましたことを繰り返すようになりますが、やはり今の国鉄経営状況はちょっと救いがたいような状況にあるという認識並びにそれに対応する国鉄経営あるいは職場規律というものも決して十二分によくなっているということではない、これに対して全力を挙げて努力をしなければならないと考えている次第でございます。
  5. 中村正雄

    中村正雄委員 今、総裁の御答弁がありましたように、国鉄再建障害についてはそれぞれ専門的な立場からお考えだと思いますが、私は、確かに形式的に見ますると、財政面から見てまいりますると、長期債務をどうするか、年金負担をどうするか、いろいろあると思います。また、国鉄再建は当面何とか格好をつければいいというだけでなくして、やはり日本の国の国鉄輸送の体系をどうするか、そうしていかに発展させるかという十年、二十年後のことを考え再建でなければならないわけでございます。したがって、私は、やはり企業は人の問題でございますから、今までがこうであった、従来はこういうふうにやってきたというような既成観念にとらわれて再建に着手したのでは再建できない。現状をはっきりと認識して、白紙の立場で将来の国鉄をどうするかということで考えなければ、真の再建は私はできないと思います。  いろいろ検討してみましても、恐らく国鉄自身の手で今の債務を払い、そうして赤字を黒字にする、今後どのような経済の変化があるかもわかりませんけれども、これは想定できないと思います。当面の問題を解決するについても、国民負担を願わなければなりません。言いかえれば、端的に言えば税金で最終的には賄わなければならないと思います。そうなれば国民が、お互いの税金で何とか国鉄運営をやってもいいんだというような世論が起きてこなければ私は国鉄再建はできない。今の国鉄の姿を見て、国民が年間二兆円前後の赤字税金で埋めてやろうというような世論には、どのように欲目で見ても私はなっておらないと思います。そこに総裁以下全職員に発想の転換を私は求めなければならない、それが中心だと思います。三十数万の職員がすべて同じような認識と同じような行動をとる、言葉で言えば簡単ですが、それは不可能だと思いますが、少なくとも総裁を含めて国鉄管理者だけでも一丸となって、総裁がこう言ったら末端管理者まですぐ通ずるような管理者一体になる姿勢が先決ではないかと思う。私の見ておる目では、総裁考え方役員考え方現場局長考え方現場管理者考え方、全部一致いたしておるとは思いません。少なくとも総裁なり本社考え方末端にそのまま通っておるとは思えません。  したがって第一にやるべきことは、総裁中心にして管理者一体になる、この体制をとるということが国鉄再建前提ではないか。私は国鉄職員全体、欲目かもわかりませんが、優秀な人がそろっておると思います。その優秀な人たちの力を活用するということが私は再建の基盤だと思いますが、そのためには総裁中心にしてすべての役員、すべての管理者一丸になって国鉄の今の状態をはっきりと把握し、政府依存考え方を捨てる、言いかえれば親方日の丸の根性を捨てる、そうして再建に取り組まなければならないと思います。恐らく総裁も同意見だと思いますので、少なくとも第一着手として総裁中心にして管理者だけでも一丸になる。総裁が発言すればすぐ足を引っ張るような管理者や、あるいは本社が指令しても現場管理者はそっぽを向く、このような体制では私は国鉄再建はできない、勇気と英断をもってやはり指導力総裁に発揮願いたいということを一つは要望しておきたいと思います。  二番目の質問は、今総裁も言われましたように、国鉄再建するとすれば、恐らく今年度末二十二兆円、このままでいけば三十兆円近くなると思います。この長期債務、この中には赤字累積債務もあれば投資長期債務もあると思いますけれども、国鉄のいわゆる投資債務にいたしましても、今までの投資効果はほとんどゼロでございます。投資したものを廃棄処分にいたしておる状態でございますので、投資債務赤字債務も私は同じようなものだと思います。したがって、少なくともこの長期債務政府責任において処理しなくてはならない、国鉄ではどうにもできない問題でございます。年金分担金、これからの退職金負担等、いろいろそれは困難はありますけれども、根本はこの長期債務処理を早急に政府はやらなければ国鉄再建方策は立たないと思います。これについて運輸大臣所見を伺いたいと思います。
  6. 細田吉藏

    細田国務大臣 今、国有鉄道現状並びに改革方向について、るるお話がございましたが、私は、いろんな問題がございますけれども、やはり最大にして最も解決困難な問題は、国有鉄道長期累積債務をいかがいたすかということにあると考えております。この問題が解決しなければ、例えば臨調の言う分割民営化にいたしましても方途が立たない、かように思っておりますし、第一、国有鉄道職員の士気が上がらない。幾ら合理化をやっても利息の方が増大が大きいということでは、これは幾ら覚悟を新たにするとかなんとかいいましても、デスペレートな感じといいましょうか、そういう感じにとらわれざるを得ないと思うのでございます。したがって、今おっしゃっておりまするように、長期債務の問題の解決ということが難しいだけに最も先に考えていかなきゃならぬ、かように存じておりますので、その点は先生と同じ意見ではなかろうかと思っておるわけでございます。そして、この点についてはやはり何としても国が、そして国会が、国民が、これはどうしても納得する方法を見つけて解決していく以外にはない、かように存じておる次第でございます。
  7. 中村正雄

    中村正雄委員 今、運輸大臣の御答弁を聞いていますと、何とか解決しなくてはならないというだけでありまして、やはり少なくとも政府自体が率先してこの問題はこうするんだ、これが少なくとも財政面における国鉄再建のポイントだと思います。したがって、その方向を示さなければ国鉄自身再建計画が立たないと思います。これはやはり運輸大臣といいますか、内閣責任だと思います。したがって、この長期債務をどのように処理するかということが国鉄再建の、少なくとも当面の出発点だと思います。これはやはり早急に内閣としてこの債務処理の仕方、これを決定するということが再建出発点であるので、早急に一遍決めていただきたい、これは運輸大臣に要望いたしておきます。  総裁にお尋ねいたしたいと思いますが、今、監理委員会ができております。今、監理委員会法律に従って、そうして内閣答申するために国鉄再建方策をそれぞれ検討いたしておると思います。優秀な方々が寄っていろいろと検討されておりますので、新しい観点に立ち、あるいは民間的な立場に立って再建方策を決定されて答申されると思います。しかし、新しい観点に立っていろいろと検討はされますけれども、過分な言い分かもしれませんけれども、どこまでも素人さんがやっているわけでございます。総裁を初め国鉄役員たち国鉄の事情は知り尽くしているわけでございます。国鉄自身国鉄再建はどうすべきかということの案は当然持つべきだと思います。したがって、機構改革も含め、経営形態も含めて、日本鉄道輸送を確保し、将来に発展させ、働く職員の生活の安定ができるような国鉄企業再建というものはどういう形で、どういう内容でやるべきか、私は、国鉄責任者としては当然考えるべきであり、考え方も持たなければならないと思います。監理委員会答申待ちというような態度では余りひきょうだと私は思います。  したがって、監理委員会がどのような答申をお出しになるかわかりませんが、少なくとも国鉄自身として将来の国鉄再建はこういう方向で、こういうあり方再建するという自信のある国鉄再建策を樹立すべきだ。今までのような経営改善計画であるとか再建計画であるとかという部分的なものではなくして、国鉄全体として、このような方向再建すれば、将来日本鉄道輸送を担当する、発展性のある国鉄というものは再建できるという考え方を持つのは当然であるし、責務であると私は思うわけでございます。  そのときに、私は一言だけ総裁考えていただきたいと思いますのは、国鉄は長い間の歴史を持っております。国鉄の今働いております職員あるいはOBたちというのは国鉄というものに対する一つ愛着心といいますか、郷愁というようなものを持っております。言いかえれば、これは理論の段階ではなくして、国鉄自身はやはり一本の形で再建したいという理論を超越した感覚を持っております。したがって、責任体制の確立と企業的運営をやるという形で再建するとすれば、分割であるとか民営であるとか、いろいろな議論があると思います。私は分割民営という考え方についても賛意を表する面も相当ございます。しかし、分割民営といっても、国鉄を純粋の株式会社にするということは今までの経緯から恐らく不可能だと思います。何らかの特殊法人的なやはり民営形態になると思います。そうなれば、今の公社も特殊法人の名前だけの株式会社も五十歩百歩だと私は思います。  したがって、民営にしろという精神は、やはり利潤を考え、私鉄、民営並み企業運営をやれというのが民営ということの中心だと私は思います。分割しろということは、今のような北海道から九州まで膨大な地域、膨大な人員では目が届かない、しかし、責任体制を確立するために分割しるというのが分割の真意だと私は思います。したがって、分割民営精神を生かしながら、国鉄だけは形の上だけでも一本の国鉄で存在するという再建あり方は、知恵を絞ればできると私は思います。そういう面、これは私の要望でございますが、しかし、いずれにしても国鉄再建ということについては総裁として、国鉄首脳部として、監理委員会答申待ちというようなひきょうな、その場逃れ立場でなくして、みずからが自信を持って、これであれば国鉄再建できますという案を早急に策定して、これをやはり外部にも発表し、世論の反応も見、内部でも十分討議し、いわゆる職員団体でありまする組合とも十分相談して、私はそれなりの考え方を持つべきだと思いますが、これに対して総裁はどうお考えになっておるか、所見を伺いたいと思います。
  8. 仁杉巖

    仁杉説明員 今、中村先生から、新しい経営形態についていろいろ御示唆に富んだお話をちょうだいいたしました。  私も、いつも申しておりますが、最終的には監理委員会が来年の夏に総理に答申するという、これは法律上からもそうなっておりますが、それはそれといたしまして、その間におきまして、実務を預かる国鉄といたしまして、あるいは国鉄総裁といたしまして、それに対してただ監理委員会答申待ちというようなことが許されるとは私は思っておりません。先ほども申しましたように、私は就任以来いろいろと経営分析をしたり、いろいろ考えてみたりしているということも、実は、確かに民営分割というのには先生のおっしゃったようないろいろなメリットもあると思いますけれども、しかし、やはり国鉄が、百十年の歴史の中、恐らく八十年足らずだと思いますが全国一本で運営をしてきたという歴史的現実があるということも私はいつも考えております。そうした中に、先生から御指摘がありましたように、OBも現職も含めて、何とかこれが一本でいかないだろかというような意向が強く流れているということもよく承知しているわけでございます。そうしたことを前提に構え、しかも分割民営というもののメリットも生かすというような方法、こういうことができるということが私は一番いいかなと思っております。具体的にどうするこうするという問題は別にいたしまして、概念的には私も先生の今御指摘のことについてまことに賛成でございます。  ただ、先ほども申しましたように、繰り返して申しますが、いろいろ分割するとかなんとか言っても、先ほど先生から御指摘がありましたように、その前提として、なかなか超えにくい問題でございますが、やはり長期債務の問題であるとか、あるいは年金であるとか、あるいは要員の問題であるとか、地方交通線の問題であるとか、いろいろな問題がございます。これらをどういうふうに解決するかといういろんな前提条件を置きませんと、また新しい組織考えるといってもなかなか難しいわけでございますが、それらにつきましても、いろんなことにつきまして、やはり国鉄としてもある程度のことを国民の皆さんにも申し上げて御理解を得ると同時に、政府当局あるいは国会の皆様方にも申し上げまして、いろいろとお知恵も拝借しなければならぬ。また、労働組合の意見も十分酌み取るというようなことをして、その中から新しい方策を出していく。  で、先ほど申しました監理委員会との関係におきまして、そういった基本の骨組みを考えながら、その中でだんだんと、監理委員会もいろいろお考えになると思いますが、我々も、実務を担当する者として率直な御意見を申し上げる、また、運輸大臣初め運輸御当局にもそういう率直な意見を申し上げまして一緒に考えていただくということ、そして答申されたものにつきましては、それが実行可能なようにする。しかもそれは国鉄の役職員一同が、ある程度の不満はあるにしても、まあまあやっていけるというようなものにしていかなければならない。それにはやはり、監理委員会の最終責任であるにしても、実務者である我々として十二分に意見を申し上げていかなければならないというふうに考えております。  従来からも監理委員会に対しましても、非常に機会をつくっていただきましていろいろ申し上げておりますが、今後も、委員長さんからもいろいろ意見を聞かしてくれというようなお話もございますので、機会をとらえてそういう方向で参りたい、先生の御指摘のとおりのような方向で参りたいと思っておる次第でございます。
  9. 中村正雄

    中村正雄委員 重ねて総裁に確認のためにお尋ねするわけですが、確かに監理委員会国鉄再建についての答申を出すためにいろいろと御意見も聞いておると思いますし、また、進んで国鉄からも監理委員会に進言いたしておると思います。  しかし、私の申し上げておるのは、監理委員会答申が出て、それを内閣で取り上げて、それから再出発するのでは相当の時間がかかる。したがって、私は、監理委員会答申待ちというような無責任な、という言葉が当たるかどうかわかりませんが、国鉄を今担当いたしておりまする首脳部として、このような再建策であれば自信を持って国鉄再建できますという構想を持つべきだ。それをやはり外部に発表して世論にも訴え、皆の意見を聴取するという姿勢が必要じゃないか。そのためには、今おっしゃいましたような長期債務がどうなるか、いろいろ今後は内閣の問題、政府の問題ですから、これはわかりません。しかし、国鉄としては、長期債務はこうしてほしいのだ、年金負担分はこうしてほしいのだ、そうして要員はこれだけあれば国鉄の輸送は確保できるし、今後企業というものが発展できるのだという考え方があるわけでございます。できるかできないか、政府がやってくれるかやってくれないか、そういうことを考えておったのでは再建策はできないと私は思います。  したがって、あなたがあるいは国鉄自身責任を持てる再建策とは何であるかというものを、責任者のあなたたちがつくるべきだと私は考えるわけでございます。そのあなた方のつくった再建策をそのまま政府が入れ、世論が入れるかどうかわかりません。少なくともあなたの責任でございますから、やはり国鉄としては、監理委員会答申待ちでなくして、このような再建策であれば自信を持って我が国の鉄道輸送を確保し発展させる企業にできるという再建策答申が出るまでにつくるべきだと私は考えますが、総裁はどうお考えになりますか。
  10. 仁杉巖

    仁杉説明員 先ほど答弁で多少言葉が足りなかったかと思いますが、私はやはり、今先生の御指摘のように、どういう機会にどういうふうに発表するというようなことはなかなかデリケートな問題でございますが、もうあと一年しか残ってないわけでございますから、この段階ぐらいで国鉄として、先ほど私が申しましたような骨組みの中で、どうすべきかというようなことにつきまして、債務その他につきましてはもちろん前提条件を設けますが、そういう中で、やはり再建策をつくるということは絶対に必要だというふうに認識しております。
  11. 中村正雄

    中村正雄委員 最後に、輿望を担って総裁就任された仁杉さんですから、やはりあなた自身が国鉄の最後の再建責任者だと思います。私は、知恵を絞り、衆知を集めて、勇気と英断を持って国鉄再建するように努力を願いたいということを要望して、質問を終わります。
  12. 浜野剛

    浜野委員長代理 午後零時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午前十時四十八分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  13. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。若林正俊君。
  14. 若林正俊

    ○若林委員 本日は、幅広い運輸行政について、地方の時代と言われる今日、地方の振興による国土の均衡ある発展を図るという視点から、運輸大臣を初め国鉄総裁当局のお考えをお伺いしたいと思います。     〔鹿野委員長代理退席、久間委員長代理着席〕  運輸・交通は、人の体に例えれば動脈に当たる重要な役割を果たしており、これが健全に機能して初めて、経済も社会も活力を維持できるものであります。その運輸・交通をめぐる諸情勢は、御承知のように大きく変化しており、このような変化に運輸行政が的確に対応できますように、運輸省はその行政組織を文字どおり抜本的に再編成し、再出発しようとしておられます。まことに時宜を得たる大英断であり、深く敬意を表しますとともに、多年にわたり運輸行政に深い経験と実績を持たれる細田運輸大臣のもとで、新しい組織がその力を十二分に発揮されることを大いに期待をいたしているものであります。  そこで、まず午前に引き続き、国鉄再建問題についてお伺いをいたしたいと思います。  国鉄は、昭和二十四年に公社として再発足して以来、我が国の経済の復興と社会の発展のために多大の貢献を果たしたのでございますけれども、昭和三十九年度に欠損を生じて以来、その経営は悪化の一途をたどり、関係者の努力にもかかわらず、五十九年度予算を見ますと、実質純損失が二兆三千四百六十七億円、実に一日当たり約六十四億円にもなる状態になっております。そして繰越欠損金が十二兆三千六百七十四億円、長期債務残高は二十二兆円を超える状況になっているのであります。  このようにまさに破産状態ともいうべき経営状況になりました原因には、国鉄労使の責めに帰すことのできないものもあるわけでございますが、いずれにしてもこの国鉄の膨大な赤字は、結局国民負担となるし、国鉄がその本来の機能を発揮できない状況に置かれているのであります。その結果、地方の経済、社会の発展にとっても大変なマイナスを及ぼしているのは御承知のとおりであります。  このような国鉄再建方策につきましては、現在日本国有鉄道再建監理委員会検討が進められているのでありますが、当然のことながら午前中も総裁から答弁がございましたけれども、国鉄当局は実務の責任者として、またみずからの問題としてこの問題に取り組んでおられるわけであります。  午前中、中村委員からも各事項にわたりまして、基本的な問題の御質問がございましたが、私からも再度経営形態の問題等再建方策の基本について、総裁のお考えを伺っておきたいと思うのでございます。  総裁は去る二十一日、日本記者クラブでの講演で、分割民営化も基本的には賛成などの見解を表明したと新聞紙上で伝えられております。大変な反響を呼び起こしているのでありますが、まず日本記者クラブにおきます総裁お話、その真意の点から明らかにしていただきたい、このようにお願い申し上げます。
  15. 仁杉巖

    仁杉説明員 今、先生御質問がございましたように、日本記者クラブにおきましての講演の中で、私が国鉄民営分割するということに賛成であるというような報道がなされたわけでございますが、実は私、少し表現がうまくなかったかと反省はいたしております。真意を申し上げますと、現在の国鉄のような膨大な機構の中で分割民営化という手法、これは一つ経営手法としてはメリットが確かにあるということを言ったつもりでございます。  しかし、私が申したことは、そういうことはあるにいたしましても、現在の国鉄にそれをすぐ持ってくるということ、これは非常に難しいのではないか。具体的に申し上げますと、午前中からも申し上げておりますが、長期過去債務二十二兆円というような問題を抱え、あるいは年金負担に年間一兆近い金が要るというようなこういう状況の中で、分割民営というようなことをするにしても、したものがうまく機能しないのではないかという心配があるということを申したわけでございまして、むしろ私としては、そういう問題を解決しないと、経営形態の方に立ち入ってみてもうまい案ができないのではないか。例えば四島を分割するというような話が方々でございますけれども、そういうものを現状で分析してみますと、北海道にいたしましても、四国にいたしましても、九州にしても、分割したものが民営としてなかなかうまく機能していかないのではないか。したがって、その前にいろいろ対策を講じなければいげないということを申したわけでございます。
  16. 若林正俊

    ○若林委員 経営形態の問題というのは、いわば国鉄の存廃にかかわるような基本的な問題である、こういうふうに受け取られているわけでございます。国鉄自身が、その置かれております立場、さらに期待されております役割をどのような形で果たし得るのか、このことは国鉄自体の問題として早急に再建方策を明らかにする必要があるわけでございますけれども、その場合におきましても、今総裁おっしゃられましたように、過去債務の問題でありますとかあるいは年金の問題、退職金の問題あるいは余剰職員の問題など、どのような形に持っていくにしろ、解決を要する問題があるわけであります。それらの前提となるべき事項につきまして、国鉄自身として実行可能な前提をはっきりさせた上で、この経営形態の問題につきまして国鉄内部一体となって考えを明らかにする、このようなことがただいま求められているのではないか、このように思うのでございます。  今さら申し上げるまでもないのでございますけれども、私、長野でございますが、信越本線や篠ノ井線の複線電化の問題でありますとか、また他の地域にもございますが、地方交通線の整理の問題、さらに各地において待望久しい整備新幹線の着工の問題など、地方の経済や社会生活に大変に深くかかわり合いのある事項がございまして、そのような意味で、この問題はただひとり国鉄の労使の人たちの問題だけではなくて、国民全体の問題でありますだけに、先般の報道は国民全体に大変に不安をもたらし、関係者はかたずをのんでその方向を見守っている状況でございます。  ただいま置かれております国鉄状況を最も熟知しているのは、多年にわたり国鉄経営管理に当たっております国鉄の関係者でございますし、また今後の国鉄の再生のために最も情熱を傾けてもらわなければならないのも国鉄マンでございます。そのような立場からしますと、午前中の議論にもございましたが、単に監理委員会の結論を待ってという受け身の姿勢ではなく、今まさに国鉄自身がその現状を明らかにし、そしてとるべき方策を明確にする、そこから議論がスタートし、国鉄あり方自身は国民全体の問題として広く検討さるべき課題であろうか、このように考えるのであります。  その意味で、来年の夏、八月ごろには監理委員会の結論が出るというふうに伝えられているのでありますけれども、総裁といたしましては国鉄内部の考え方をとりまとめ、早急に国鉄がまずはその考えを明らかにし、課題を提起して世論に問うべきだ、このように考えておるわけでございますけれども、その点について再度、総裁のお考えをお伺いしたいと思います。
  17. 仁杉巖

    仁杉説明員 私、着任以来国鉄実態というもの、これは経営内容はもちろんでございますが、それ以外の職場規律であるとかいろいろな問題の把握に努めておるわけでございますが、経営問題だけに限って申し上げますと、実は私が総裁就任前に予想していたと申しますか、思ったよりもどうも悪いということでございますし、それからこれはまだはっきり確信のある数字までいっておりませんが、将来の予測を大略いたしますと、どうも輸送量が伸びないというような問題点がある、そういうことが大体わかってきたというのが現状でございまして、こういうことを踏まえて国鉄あり方というものを国鉄自体考えるということは当然のことでございます。  先生も御指摘のように、最終的には国鉄再建監理委員会が総理大臣に対して答申をされるということがひとまずの方策であり、方策が出ればそれを受けてまた立法等の処置が講じられるということになると思いますが、その前に我々としての立場からいろいろなことを検討いたしまして、それに対する対応を考えるということは当然なさなければならないということでございます。今現在、先ほど申しましたように現状は大変深刻だなということがはっきりしてまいりまして、これに対して先ほど申しましたように過去債務年金余剰人員の問題というようないろいろな解決の難しい問題か出てまいっておりますが、これらについて今鋭意詰めておるところでございます。それぞれつかさ、つかさの常務理事中心にしていろいろな対策を研究させておりますけれども、それを取りまとめましてまた国鉄としての意思を決定すると申しますか、まとめていくということも私の責任であるというふうに考えまして、今鋭意その作業にいろいろな面から入ろうとしているところでございますが、先生指摘のとおり、単に監理委員会の結論を国鉄として待っているというような態勢ではならないというふうに思っております。  したがいまして、その取りまとめたものにつきましてどういうふうな表現をしていくか、発表していくかということもまたなかなか難しい問題でございますが、少なくとも監理委員会運輸省等に対しましてはその結果につきましていろいろとお話を申し上げ、またそれらの御指導も得ながら我々としてさらに積極的な御意見を申し上げるというようなことをして、我々の意図を反映してまいりたいというふうに努力をしてまいる所存でございます。
  18. 若林正俊

    ○若林委員 国鉄マンは、大変優秀な人たちが昔からこれを支えてきているわけでありまして、地域社会でも指導的な立場にある人が大変に多いわけでございます。OBを含めて国鉄マンであることに誇りを持って生きてきたという方々が大多数でございます。こういう人たちの気持ちからしますと、伝えられますような監理委員会検討方向ではなくて、何とか国鉄自身分割を避けて一体でいきたい、こういう心情であることは察するに余りあるわけでございます。その意味で、まず国鉄としてそのような、臨調あるいは監理委員会検討のされているような方向でないことで本当に可能かどうかということについてしっかりとした見通しを立てて、率直に問題を投げかける、そこのところがないと、情感において、心情において、国鉄マンとしての長い長い誇りの中ででき上がっております一つの気持ちというものがいつまでも、出てまいりますであろういろいろな意見に対して、感情的な反発を呼び起こすのじゃないか、こう思うのであります。  その意味では、冷静に現状を分析されまして、本当に国鉄マン自身が今の経営形態のままでいけるのかどうかということについて責任を持って世に問うというようなことがなければ前進していかない、それがスタートではないか、このように思いますので、早急に今の総裁のおっしゃられました点をお詰めいただいて、監理委員会あるいは運輸省当局だけではなくて、状況を見ながら広くその問題を投げかけていただきたい、このように強く要望をいたすところでございます。  そこで、運輸大臣に続けてお伺いしたいわけでございますが、運輸省国鉄の監督官庁であると同時に、我が国の運輸行政全体に対して責任を持っている立場にあるわけであります。その意味で、国の基幹的交通機関としての国鉄再建方策、特にこの経営形態については重大な行政責任を負っているわけであると思います。その意味で、このことについての運輸大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  19. 細田吉藏

    細田国務大臣 国有鉄道経営形態につきましては、御承知のように五十七年三月三十日に臨時行政調査会の答申が一応出ておるわけでございます。基本的にいわゆる分割民営化、説明すると長くなるわけですが、一応一口に言うと分割民営化という方向考えるという方向が出ておるわけでございまして、内閣としてはこの臨調の答申を尊重するという建前をとっておるわけでございますから、基本的な考え方としてはいわゆる分割民営化方法をどうするかというような問題は別としまして分割民営化という基本方向で進まざるを得ないし、進むことが妥当だと私も考えておるのでございます。  それで、先ほど総裁の話に関連をいたしておるわけでございますけれども、監理委員会というのは一体なぜできたんだろうかということを振り返ってみますと、元来からいえば政府にそれぞれの監督官庁があるわけでございます。ですからこういうものがなぜ特別にできたんであろうかということなんでございますが、これは私が申し上げるのは釈迦に説法だと思いますけれども、国有鉄道の問題が非常に難しくて、今の組織のままで解決することよりは内閣が一本になって、政府が一本になって解決しなければならない。そのためにできたのが監理委員会。したがってこれは総理府に置いてある。そして強力な権限が与えられておる。主たる国有鉄道の監督官庁である運輸省としては、ある意味では運輸省に力がないからこういうものができたという言い方にもならぬとも限らないような程度のものだと思っておるわけでございます。  しかしながら、監理委員会ができますと、それじゃこれが何でもかんでも知っておられるかというと、これは必ずしもそうじゃないので、私はそれを求めては無理なんだと思うのでございまして、監理委員会は、専門的な声や国民の声やいろいろなものを総合的に反映して、良識ある臨調の答申に沿う考え方をお出しになるという役割を持っておられる、こういうことだと思うのです。したがって、今国有鉄道総裁が言いましたように、総裁は、国有鉄道、これは自分のことでございますから、これについては十二分に実情も監理委員会に申し述べるし、また自分の方としてはこういうふうに考えることが妥当だというふうな考え方を十分述べられるということが至当だと思います。  私ども運輸省といたしましても、実は監督官庁でございますので、これについては意見を申し上げるつもりでおります。また、ある程度、部分的には今もう申し上げております。特に、昨年できました監理委員会の臨時措置法、日本国有鉄道経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法の中に、第二条に「国の施策」というのがありまして、初めの方は「事業に関する効率的な経営形態の確立及び当該経営形態の下における適正な運営の確保」と書いてありますが、第二項目に「国有鉄道長期の資金に係る債務の償還等」という、わざわざここに一つうたって監理委員会の任務が出ておるわけなのです。特に、正直申しまして、難しいのはこの「長期の資金に係る債務の償還」、これが実際一番難しい。そして運輸省だけではどうにもならない、政府全体挙げて考えなきゃならぬという問題でございます。  したがって、今私どもは、この点について運輸省としてはこう考える、政府にこうしてもらいたいのだ、国会にも場合によってはこういうふうにお願いしたいのだという案をこさえておるという段階でございまして、なるべく早い時期に結論を得たい。一つではないかもしれません。こういう方法とこういう方法とあるが、いずれの方法か、これによってもらいたいという案をつくりたい、こう思っております。監理委員会の方で別な案があるかもしれません。別な案が出れば、それらについてまたいろいろ御協議があるだろうと思いますが、我々としては少なくともそれを考えたいと思っております。  それから、分割民営化につきましても、国鉄国鉄なりの考え方がありますが、運輸省としても考え方がございます。私個人としても考え方をいろいろ持っております。そういう点、運輸省として、分割民営化についてもこういうふうにすることがいかがでしょうかと、これも単数でないかもしれません、複数になるかもしれませんが、考え方を固めまして、固めるというよりも考え方を出しまして、そして監理委員会の方に十分に申し上げる。そして監理委員会で総合的な御判断をいただく、こういう形にしていただく、こういうことでございます。
  20. 若林正俊

    ○若林委員 国鉄再建問題をめぐりましては、まだまだ論じなければならない問題が多々ございまして、その範囲も広く、深さも深いわけでございます。また、党内においても、国鉄基本問題調査会等、各種の検討の機会を持っておりますので、党としても、国鉄当局運輸省のお考えも伺いながら方向を出す段階になってきている、このように考えております。先ほど来の総裁、大臣のお話にありますように、早急にそれぞれの立場において再建方策を樹立するための前提となるべき事項を固め、あれができないからこちらの方が決まらないのだ、こちらの方が決まらないからその前提たるべき事項が定まらないのだといったようなことで漫然時を送ることがないように、その点、早急に明確にしていただきたい、このように御要望申し上げる次第であります。  国鉄再建問題と直接にかかわることではございませんが、一つだけ見解を伺っておきたいと思うことがございます。鉄道事業は御承知のように膨大な資本の投下を必要といたすわけでございますから、その運賃収入だけで経営を維持するということが、いろいろな環境変化の中で困難になってきております。そこで、それらの投資に伴って生ずる開発利益を関連事業分野でできるだけ吸収するというようなことを総合的に講ずることによって、初めて全体として鉄道事業が成り立っていく、ただいまのところこのような状況になってきているのではないだろうかと、こう思うわけであります。  しかし、このことは経営形態の問題とも関連するのかもしれませんけれども、国鉄の場合について言いますと、土地その他の資産を賃貸するなどごく限られた範囲内でしかその兼業部門を認められていないのであります。一方、国鉄の場合には、先ほど来問題として挙げられておりますけれども、自然退職者を上回るテンポでその合理化が進められておりまして、すでに職のない余剰労働力が二万五千を超えるような規模で生じてきているわけでありますし、今後国鉄当局努力目標といたしております民鉄並みの効率化を進める、こういうようなことになってまいりますと、さらにさらにこの余剰労働力が大きくなってくるのは避けられないと思うのであります。そこで、民鉄での経験をお持ちの総裁は、国鉄がこの関連事業の範囲を例えば不動産業等にまで拡大するといったような問題についてはどのようにお考えでありましょうか、その見解を伺っておきたいと思います。
  21. 仁杉巖

    仁杉説明員 若林先生指摘のように、鉄道業というものは、これは大中小いろいろ、民鉄の場合でもございますが、その場合でも、運賃の認可態勢というのは、鉄道業がそこそこいくかというような程度の運賃であるということは、経営的に申しましてそういうことの御認可をいただくというような建前でございます。でございますので、各私鉄ともにいろいろ活発に関連事業、不動産であるとか百貨店であるとかホテルであるとかということを非常に盛んにやりまして、その収益によっていろいろ会社の体質を強めていくというようなことをしているということは御承知のとおりでございます。  国鉄におきましては、昭和二十年代で大変国鉄の独占が強かったというようなときには、関連事業を活発にするということに対しまして国民的コンセンサスがなかなか得にくかったというような事情があったということはよく御承知のとおりでございまして、そういうこともございましていろいろな法律的な制限もまた設けられておるわけでございます。しかし、最近のような経営状態になってまいりますと、実は全く私鉄と同じような考え方で関連事業をもう少し活発にすべきであるということは我々も当然考えておるわけでございまして、最近も、余剰人員も出ているということでございますので、その方面、関連事業の方に人を回すとかあるいは組織を強化する、あるいは人を強化するというような方向をとって、将来は関連事業をさらに活発にしていきたいということで努力をしているわけでございます。  ただ、先ほども申しましたが、法律的に申しまして国鉄が直接行い得る事業というものは、国鉄法第三条によりまして運輸事業に附帯する事業というふうになっておりまして、その範囲は限定的な解釈がされております。また、国鉄法第六条によりまして投資事業ができることになっておりますが、これはだんだんとその範囲が拡大されるような方向にはございますが、私が私鉄におりましたときの経験から申しますと大変手足を縛られているということは事実でございます。これらにつきましては、運輸省にも監理委員会にも、今後こういう形では非常に困りますので、何とか緩和の方向をとっていただきたいということは申し上げておりますが、いろいろ今監理委員会でも国鉄経営あり方というものを基本的に検討されているという中で、ただこれだけを取り上げてどうするというわけにもなかなかまいらない事情もあるようでございます。しかし、我々といたしましては、今若林先生指摘のように、こういう関連事業をなるべく急速に伸ばして、それによる収益によって、何とか赤字の一部でもカバーするというような方向努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  22. 若林正俊

    ○若林委員 ぜひ、関連事業と申しますか、兼業部門と申しますか、何とか国鉄投資の開発利益が投資者の方にも相当部分還元されてくるようなこととセットで、ひとつ国鉄再建問題を考えていただきたい、このように要望申し上げるわけでございます。  運輸省鉄監局長、おいででございますが、国有鉄道という経営形態のもとで、法制上どこまで不動産業等関連事業部門が拡大できるのか、これを法制的に、あるいは社会、経済制度的に見て、それらに限界があるのかどうかといったような点について、現在の時点でおわかりの範囲で、簡単で結構でございますが、お聞かせいただきたいと思います。
  23. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄の関連事業を拡大し、あるいは国鉄の資産を活用しながら収入の増大を図るという意味で、最近これに力点を十分置いておるわけでございますが、ここに二点問題がある。一つは関連事業を現在の一定の枠の中で極力広げていくという問題と、先ほど総裁が申されておりましたその枠をもう少し広げて、自由に私鉄並みと申しますか、私鉄の経営と同じような形で関連事業を外に進出さしていきたい、こういう二つの話があると思います。  前段としましては、資産の活用なり収入の増加を図るという意味で、従来の関連事業の方に力を注ぐことについては、これは改善計画でもこの五カ年間で五千億の関連事業の収入を上げていこうということでございますので、これについての管理を強め、収入を上げていくことについては、我々としても問題のないといいますか、非常に支援をしておるところでございますが、関連事業の拡充につきましては、現在の出資制度と申しますのは、民間の資金を活用しながら民間の知識と経験を生かしてやっていこうということでございます。直接の事業に広げていくということにつきまして、従来から民間に対する影響だとか、あるいは確かに現在の経営形態ですと、税制だとか、あるいは資金の導入の方法が民間とも異なりますので、そのあたりがやはり一定の考え方に制限があるんではないかと我々も考えておりますが、しかし今申されましたように、開発利益あるいは人間の有効活用という面から、今後の経営形態等の問題もあわせて、我々としても国鉄の、具体的にどういうところに関連事業としてさらにやっていきたいのかというようなことの話を聞きながら、まだ現在においては検討をしておる段階でございます。
  24. 若林正俊

    ○若林委員 どうもありがとうございました。総裁、どうも御苦労さまでございます。結構でございます。  次に、全国総合開発計画と交通関係公共投資の関連について、まず国土庁からお伺いをしたいと思うのであります。  明治以来百年余、我が国の経済社会の発展は大変なものがありましたが、その結果として、東京、大阪など大都市への人口、産業の集中をもたらし、狭い国土の中において、地方の都市や農村との間に極端な不均衡を生じ、経済面のみならず社会、文化、ひいては国家の安全にも及ぶ深刻な問題を生ずることになっていることは御承知のとおりであります。したがいまして、このような明治以来の大きな流れを変えまして、人口や産業を地方に呼び戻し、それぞれの地方に定着するような条件を整えて、大都市と地方の人たちがともに豊かで住みよい、生きがいのある社会をつくって、国土の均衡ある発展を図る。このためには、各省庁の縦割り行政だけではどうも対応できないのではないかという考えのもとに国土庁が生まれたものと了解をいたしております。その国土庁も発足してことしで十年を迎えております。  国土庁は、五十二年に地方の時代にふさわしい定住構想を柱として、第三次の全国総合開発計画を定め、人と国土との安定したかかわり合いの実現を目指して、鉄道、道路、河川、土地改良等の社会資本の整備を推進してきていることは承知いたしております。その意図と努力は評価され、実績も積み重ねられてきているのでありますけれども、国の財政事情が悪化して、予算面でシーリングシステムと申しますか、画一的に抑制手法がとられるようになってから、どうも社会資本の整備が計画でわらっているように進んでいないのであります、このようなときにこそ、実は国土庁がその本来の機能を発揮してその役割を果たしてもらいたい、こう願っておりますのは私だけではないと思います。  このようなときに国土庁では、三全総を見直して第四次の全国総合開発計画の策定作業に入っていると聞いております。そこで、この三全総の柱といたしました地方定住構想の理念というものは四全総においても継承されるのかどうか、まずその点について考え方をお聞きしたいと思うのであります。
  25. 長瀬要石

    ○長瀬説明員 御説明申し上げます。  先生指摘がございましたように、昭和五十二年に三全総が策定されましてから既に六年半が経過いたしているわけでございますが、この間の動向を見ますと、定住意識が高まります中で大都市圏への人口集中が鎮静化をしてまいりまして、人口の地方定住が徐々に進んでいる、このような実情にあろうかと思います。国土庁といたしましては、昭和六十一年に四全総を策定するということを目途といたしまして目下作業に着手をしたところでございます。  四全総の策定に当たりましては、先生指摘の、地方への定住傾向というものを踏まえまして、基本的に定佳構想の理念を引き継ぐという考え方に立ち、大都市への集中の抑制、地方の振興を図るということを通じまして国土の均衡ある発展を目指してまいりたい。このような観点から四全総の作業を鋭意進めてまいりたいと考えております。
  26. 若林正俊

    ○若林委員 私もかつて国土庁の職員として、三全総で掲げております地方定住構想の推進に参画をしていたのでございますけれども、自然的にも社会的にも条件に恵まれないために、その経済社会の発展におくれをとって取り残されつつある地域につきまして、やはり当面の投資の効率が低くても、限られた財源の配分をそれら地域に厚くしていかなければ、国家全体の均衡ある発展、さらには国の百年の計を考えますに、将来にツケを残すことになっていく、このように思うのでございます。  これらおくれた地域の振興にとって大切なのは、北陸新幹線や関越自動車道のような高速幹線交通施設であり、またそれとのアクセスであります地域交通システムの整備であると思います。三全総の推進と四全総の策定に当たって、条件に恵まれない地域の交通体系の整備を特に優先してもらいたい、このように願っているのでありますが、国土庁のお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  27. 長瀬要石

    ○長瀬説明員 幹線交通サービスを全国土にわたって均衡化していくこと、これは先生指摘のような新全総あるいは三全総の長期的な目標でございました。その後の整備状況について見ますと、幹線交通体系の主軸が国土の中に形成されてきているということはあるわけでありますが、しかし地域相互間の連絡がまだ十分でないというところがあるわけでありますし、また高速道路等、高速交通へのアクセスが十分ではないところがあるというような実情にございまして、厳しい財政事情のもとではございますが、まだ整備の途上にあるというふうに認識をいたしております。  昨年取りまとめました三全総のフォローアップ報告におきましても、幹線交通体系の受益が及ばないなど、交通基盤の整備がおくれている地方圏につきましては、地域の特色を踏まえながらその推進を図る必要があるという指摘がなされているところでございまして、四全総の策定に当たりましても、このような高速幹線交通ネットワークのあり方につきまして、国土の均衡ある発展を図るための交通サービスの地域格差の是正でございますとか、あるいは全国的なネットワークの効率性の確保でございますとか、あるいは財政措置等の関係、こういった面から、関係省庁ともよく相談をして、十分検討してまいりたいと考えております。
  28. 若林正俊

    ○若林委員 今のような御答弁を伺って意を強うしておりますが、どうしても、全国的な政府計画となりますと、あれもこれもということで総花的になりがちであります。限られた厳しい財政事情のもとでの四全総策定でございますので、ぜひともめり張りをつけまして政策重点というもの、理念というものに即した政策重点を明らかにして、各省庁との間の調整に鋭意努力をいただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。  次に、北陸新幹線の建設の着工問題について伺いたいと思います。  ただいま国土庁への質問の中で述べましたように、整備新幹線は国土の均衡ある発展を図るというまさに国家百年の計を実現するためにも、着実にこれを進めなければならないわけであります。しかし、北陸新幹線について見ましても、昭和四十五年に制定された全国新幹線鉄道整備法に基づいて昭和四十七年には基本計画が決定され、翌四十八年には整備計画が定められる、そして国鉄、公団に建設の指示さえなされております。以来、既に十年を超える年月が過ぎておりますが、御承知のように、いまだに着工に至っておりません。その間、オイルショックに伴う総需要の抑制等のために着工が抑えられるということもあったわけでありますが、昭和五十三年には関係閣僚会議の了解のもとに具体的実施計画も定められ、以後、それに沿って環境影響評価も実施され、採算性についても検討が行われるとともに、財源問題についても、地元負担が導入できるように昭和五十六年六月には整備法の改正も行われているのであります。その後、十一月には、臨調第一次答申の趣旨も踏まえまして優先順位が定められ、北陸新幹線については着工準備を進めることとされまして、一昨年には駅・ルートの概要も公表されております。そして、その暮れには環境影響評価報告書案の公表もなされている。そんなことから、沿線各地で着工への期待は大きな高まりとなっているのでありますけれども、臨調第三次答申において、国鉄経営再建問題との絡みで整備新幹線計画は当面見合わせるということが定められております。  しかし、着工の前提となる財源問題について、自由民主党の政務調査会におきまして小委員会が設けられて、種々検討がなされております。その結果、昨年の十月には、北陸新幹線については長野、富山、金沢に着工準備作業所が設置されたところでございますけれども、どうもこれらの手順を踏みながら今日を迎えておりますけれども、なかなかもう一歩踏み込んでの着工に入れない状況であります。このルートに載っております地域住民、あるいは環境影響評価などでこのルートにかかわる関連の事業者など、かなりそのための影響も受けておりまして、これ以上着工をおくらせるということは関係者の政治や行政に対する不信を招きつつあるように思います。  そこで、来年三月には東北・上越新幹線の上野乗り入れ工事が完了をするわけでございますが、六十年度の予算編成に当たっては、本格的な建設費を計上して早急に着工をしていただきたい。そのことが今後の国土全体の均衡ある発展に資するということはもとよりでございますけれども、政治に対する、鉄道軌道行政に対します住民の信頼をここで回復をする機会でもある、このように考えるのでございますけれども、運輸大臣の北陸新幹線着工に向けてのお考え、決意のほどをお伺いしたいと思うのでございます。
  29. 細田吉藏

    細田国務大臣 既に御承知のように、整備五新幹線のうち特に北陸の新幹線と東北の盛岡−青森間だけは優先をして着工するということを政府として大体考えておるわけでございます。  予算は、御案内のように調査費が今年度は十三億六千万円、そして工事費として五十億の財政投融資がついておるわけでございます。しかし、これは昨年も同じように調査費が十億と工事費として五十億とついておりまして、ここ三年ばかり同じような格好でついてきておるわけでございますが、現実の問題としては着工のための事務所ができたということだけでございまして、現実に本格的な工事に着工しておらないままここ両三年を経過したというのが実情だと思います。  私は、この状態で続けてまいるということは適当でない、かように考えておりまして、昭和六十年度には是が非でも本格的な着工に入るということが必要ではないか。もし同じような状態を続けておるならば、これは国民を欺瞞するものじゃないかというふうに実は考えておるわけでございまして、昭和六十年度の概算要求からいよいよ予算編成が始まろうといたしておりますが、何らかの形でこれは実際上の着工に入ることを考えたい、かように存じておるのでございまして、最近、自由民主党の中でいろいろこの点について前向きの案が出されておることをよく承知いたしておりますが、私は、何らかの形で前進をさせたい、かように前々から願っておるところでございます。  そして、国有鉄道経営というものが先ほど来の問題になっておりまするように非常な苦境に立っておるわけでございますので、国有鉄道に悪い影響を及ぼさないということをぜひともこれは考えながらやってまいらなければならぬ。新幹線が開通することは、私は、国民生活と国の産業その他経済的な利益から見たら大変大きなものがあると考えておりまして、全般的に見ました国の中のいろいろな公共的なプロジェクトの中では相当な優位なといいましょうか、優先的なプライオリティーを持っておるもの、かように考えておりますので、せっかく、できるだけ多額の予算を六十年度にはつけるような最大の努力をいたしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  30. 若林正俊

    ○若林委員 大変力強いお言葉をいただきまして、心強い限りであります。党としましても、この新幹線建設につきます財源の問題として、新たに公共事業方式を導入する、あるいは地元負担を求めるといったようなことも検討いたしております。ぜひとも六十年度には力強く第一歩が踏み出されますようにお願い申し上げたいと思います。  次に、もう時間も少なくなってまいりました。ごく簡単にお答えいただきたいと思いますけれども、地方バス問題について自動車局長さんにお伺いしたいと思います。  御承知のように、乗り合いバスといいますか路線バスは、通勤、通学あるいは病院通いや買い物など、国民の日常生活に密着した公共交通機関として重要な役割を果たしております。特に自家用車を利用できない老人などの交通弱者については、なくてはならない足の一部のようなものでございます。しかし、過疎化やモータリゼーションの進展など、最近の都市内部の交通渋滞とも関連しまして、その輸送人員は大幅に減少をしてきております。それでも全交通機関の国内旅客輸送人員の一五%をなお占めているのでありますけれども、この乗り合いバス事業者の経営は悪化を続けておりまして、非常に厳しい経営を余儀なくされております。  例えば長野県の例をとりますと、乗り合いバス会社は民営で十二社と国鉄があるのでございますけれども、県民の足として懸命の努力をいたしておりますけれども、自家用自動車の保有率が大変高いとか過疎地域におきます人口の減少がなお著しいというようなこともございまして、その輸送人員は、四十五年度の一億六千万人から五十七年度では七千九百万人と半減をいたしております。その結果、乗り合いバス部門は全社が赤字経営に陥っておる、中には会社更生法の適用を受けているなど深刻な経営危機に直面している会社も出てまいっております。  全国の状況でも八割程度の事業者が赤字経営に苦しんでいるというふうに聞いているのでございますが、このような状況に対して、地方バス補助制度が設けられているのは私も承知いたしております。この補助制度が五十五年度から五カ年間とされておりますので、本年度でその期限が来るのであります。六十年度以降についてどのようにお考えになっておられますか。現状のバス経営を見てみますと、国の補助なくしてはバス路線の維持ができないといったような状況にあると考えているのでございますけれども、お考えをお伺いしておきたいと思います。
  31. 角田達郎

    ○角田政府委員 地方バスにつきましては、先生、今お話しのとおり、地域の住民にとりまして最後の公共交通機関でございます。そういうようなことで、私どもの自動車局の行政の中でも重要な課題として今まで取り組んできたところでございます。  この地方バスの補助金につきましては、御案内のように、昭和四十一年度以来逐年拡充強化してまいりまして、五十九年度は、非常に厳しい財政状況のもとでございましたが、前年度比一%増の九十七億四千七百万円を計上しておるところでございます。それで、現行の補助制度は、ただいまお話しございましたように、五十九年度までの五カ年間の計画となっておりますけれども、地方バス事業の重要性にかんがみまして、私どもは、第三種路線あるいは代替バスに対する補助、こういう問題も含めまして、昭和六十年度以降の地方バスの補助制度のあり方について関係者の意見を聞きながら前向きに検討を進めておるところでございます。
  32. 若林正俊

    ○若林委員 ぜひ継続していただきたいと思いますし、できるだけの拡充をお願いしたいわけでごございます。  これと関連いたしまして、一方で貸し切りバス事業については、地域の差はありますけれども、何とか収益を上げているようでございます。そこで、乗り合いバス事業者は貸し切りバス事業を兼営することによって、この部門の収益を加味して乗り合いバス事業の赤字を圧縮するように努めております。しかし、貸し切りバス事業の免許申請、増車認可申請は近年ふえてきておるというふうに聞いておるのでございますけれども、これらも放置いたしますと、過当競争によってやはり赤字部門になりかねないというような危険を感ずるのでございます。  そこで、運輸省としてこの貸し切りバスの免許、増車の認可の申請に対してどのように対処しておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  33. 角田達郎

    ○角田政府委員 貸し切りバスの新免あるいは増車等につきましては、それぞれの地域の実情を踏まえながら各陸運局で対処しておるところでございますが、最近の貸し切りバスにつきましてはかつてのような大幅な需要の増が見られなくなっております。したがいまして、新規の免許申請あるいは増車の申請につきましては、各陸運局においてそれぞれ地域の実情をよく勘案しながら、需給バランスを見て慎重に対処するよう指導しているところでございます。
  34. 若林正俊

    ○若林委員 一方で乗り合いバスに対して国の多額の助成を続けているということでもございます。その意味で、貨し切りバス事業の収益をもってこれを圧縮していくということも、国の財政自身から見ましても、運輸政策から見ましても非常に重要な問題であると思います。それぞれの制度の固有の問題がありますからなかなか困難であると思いますけれども、貸し切りバス事業の免許あるいは認可に当たりまして、できるだけ一体として、乗り合いバス事業の赤字を圧縮し、財政的にも、また事業経営あり方としても健全な経営ができるような配慮が行政指導の中で行われることを私は要望をさせていただきたいと思うのでございます。  時間もなくなってまいりました。あと二つほどお伺いしたいと思っておりますけれども、自動車に関連しまして自動車整備業についてでございます。  自動車整備業が置かれております厳しい状況についてはるる申し上げませんけれども、最近車両法の改正を契機に、ユーザー自身が直接車検を受けるという、いわゆるユーザー車検問題というのが起こっております。いろいろな問題を抱えておりまして、中にはかなり悪質なケースと見られるものもあり、このことは安全性の確保とか公害防止などの面から見ても放置できないというように考えるのでございます。  そこで、運輸省としてこのようなユーザー車検の実態をどのように把握され、ユーザー車検代行業とあわせてどのように対処していかれるか、簡単で結構でございますが、方針だけ伺っておきたいと思います。
  35. 角田達郎

    ○角田政府委員 第一のユーザー車検の問題でございますが、このユーザー車検の件数は、現在のところおおむね一カ月当たり全国で三千件前後で、横ばいで推移しております。これは継続検査の総件数に対して〇・二%前後ということでございます。このユーザー車検、これはユーザーが自分の車の保守管理について責任を持つという観点からユーザーが自分で車検を受ける、こういうことにつきましては基本的には正しい方向ではないかと思います。ただ、車検を受けさえすればよろしい、車検に受かりさえすればよろしいというようなことで、定期点検整備を怠って、やらないで車検を受けにくる、こういう状況が中に若干入っているように思います。したがいまして、私どもといたしましては、点検整備を確実に励行して受検するように陸運事務所の窓口で指導をしているところでございます。  それから第二点の、ユーザー車検代行業、車検の代行を業とする者がまた最近出てまいりまして、この実態でございますが、私どもの現在までの調査によりますと百の業者が上がってきております。ただ、このうち約半数はほとんど車検の代行をやってないとか、あるいはやっておっても一カ月五台ぐらいというようなことでございます。残りの五十の業者が私どものこれからよく指導しなければならない対象だと思っておりますけれども、そのユーザーの代行の件数は、ユーザー車検の三千件の約三〇%、月間にいたしまして全国で約九百件程度でございます。そういうような状況でございますが、いずれにしましてもユーザーにかわって車検を受けるという行為そのものを法的に規制するということはなかなか問題があるわけでございますが、点検整備を十分に行って、合法的な形で点検整備を行ってくるように私どもとしては指導を強化しておるわけでございまして、分解整備に当たるような部分について、認証工場の整備を受けないで持ってくるようなもの、これは道路運送車両法に違反するわけでございますので、そういうような案件につきましては、我が方としても厳しく指導していく、こういうことでございます。
  36. 若林正俊

    ○若林委員 どうもありがとうございました。  時間でございます。最後に一つだけ、観光について御質問させていただいて終わりたいと思います。  今回の機構改革で、観光行政を国際運輸・観光局として位置づけて、課の編成に当たっても、計画課を企画課に、整備課を振興課にするなど、積極的な、意欲的な取り組み姿勢を示しておられるのは、大変に喜ばしい限りであります。  そこで、私がお伺いしてお答えをいただきたいと思いましたのは、温泉観光地の活性化対策についてであります。御承知のように、温泉は、古くから我が国の国民生活と深く結びついて発展をしてきておりますし、温泉地、観光地はそれなりにその地域地域の特色を生かして定着しておりますけれども、最近大変に、需要の伸び悩みなど、また需要の変化などで、この地域の活性化と申しましょうか、今後のあり方についてそれぞれの地域が悩んでいるわけであります。この地域がどのように伸びていきますか、大変に地域経済にとっても、またその生活にとってもかかわり合いが深いわけでございます。  私の地元の長野県は、大変に温泉の多い地域でございます。それだけに、健全な意味で、これら旧来からの温泉観光地の活性化を図るという意味で、県単で、魅力ある温泉地づくり補助事業制度などを設けて取り組んでおり、それなりに効果を上げているように思います。温泉地の活性化等につきまして、国としてもこの地域の観光産業の振興という視点と、それから高齢化社会を迎えての国民保養地の拡充というような観点からももう少し積極的な取り組みをお願いできないものだろうかということを感じておりますので、一言最後にお願いを申し上げ、もし許されますればお考えをいただければありがたいと思います。
  37. 西村英一

    ○西村(英)政府委員 観光は、国民生活に活力と潤いをもたらすとともに、地域経済、地域振興に深くかかわっております。中でも温泉観光は、従来から国民の観光の中で大きなウエートを占めてきたわけでございます。しかしながら、最近におきまして、一部の温泉地が不振にあえいでいるのはまことに残念なことでございまして、このような温泉地の活性化のためには、温泉地の特性というものを生かしながら、国民の観光嗜好の変化、そういったものにマッチするように、関係の業界それから地域団体一体となりまして取り組んでいく必要があろうかと思います。最近、そういう動きが各地に見えますので、運輸省といたしましても、これからまた、七月一日から新しくなります組織の中でこれらを積極的に取り上げ、いろいろな形で支援してまいりたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
  38. 若林正俊

    ○若林委員 終わります。
  39. 久間章生

    ○久間委員長代理 辻第一君。
  40. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、タクシー労働者の労働条件の改善の問題について、殊に運賃改定に関してタクシー労働者の労働条件の改善の問題について尋ねたいと思います。与えられた時間が二十八分、短うございますので、できるだけ簡明にお答えをいただきたいということを最初に要望しておきます。  六月十五日に大阪の陸運局で、聴聞申請にかわる措置として事情聴取が行われ、そこで三十点の資料が提出をされ、奈良自動車交通労働組合の小林委員長や佐藤眞理弁護士から、一時間、一時間十分の意見陳述が行われた、このことについてはよく御存じだというふうに思います。     〔久間委員長代理退席、浜野委員長代理着席〕  さて、タクシー労働者の労働条件でありますが、一九八二年の賃金センサス、これの奈良県のところを見てまいりますと、タクシー労働者の年収は三百十二万八千百円であります。他産業の労働者、三百八十八万九千二百円であります。この差は年間七十六万一千百円、月に直しますと六万三千四百二十五円、このような差があるわけであります。労働時間で見てみますと、一般産業は月間百八十四時間であります。タクシー労働者は二百十一時間、こういうことであります。この数字を見てみるだけでも、非常に長時間の労働で、賃金が安いということであります。この、今私が申し上げました賃金センサスの数字、御認識いただいているのかどうか、いかがですか。
  41. 角田達郎

    ○角田政府委員 タクシーの運転者の賃金の問題でございますが、これは私ども奈良県という一つの県だけについて、どういう数字になっているかというのは詳細に承知しておりません。ただ、全国ベースで労働省の統計によりまして私どもが承知しておる数字は、五十七年度でございますが、全国のタクシー運転者が三百万四千円、それから全産業の男子の賃金が三百七十九万五千円ということで、いずれにいたしましても、全産業平均に比べて、まだまだタクシー運転者の賃金は低いということは承知しております。
  42. 辻第一

    ○辻(第)委員 全国でもそうでございますし、奈良県でも非常に賃金が低い、しかも長時間労働だ。先ほどの賃金センサスには二百十一時間というふうに載っているわけでありますが、奈良県の実態は、やはり二百六十時間から二百八十時間というのが実態だと私は言わざるを得ない状況であります。  ところで、私は五十五年三月六日の予算委員会第五分科会であるとか、あるいは五十六年五月十三日に決算委員会で、タクシー労働者の労働条件の問題について質問をいたしました。本当に、非常な劣悪な労働条件であります。また、道路運送法にも違反をするような問題がいっぱいありまして、私はこの問題について運輸省や労働省に尋ねて、労働条件の改善、また本当に安全な輸送、快適な乗客サービスができるような状況をつくれ、厳しく指導せよ、免許の取り消しも含めた指導をせよというようなことを要望してきたわけであります。     〔浜野委員長代理退席、鹿野委員長代理着席〕  時間がありませんのではしょりますけれども、当時の地崎運輸大臣であるとか、あるいは藤尾労働大臣からも、努力をいたしますという御答弁をいただきました。そして決算委員会での質問では、当時の自動車局の旅客課長の寺嶋さんから、「従来ともタクシー労働者の労働条件が改善されるようにということで事業者を指導してまいっておるところでございます。」、その前に「運賃の改定に際しましてはこという言葉が入っているわけでありますが、「今後も六大都市を初めとしましてタクシー運賃改定事案か控えておるわけでございますが、当省といたしましては、従来同様あるいは従来にも増してこの方向で事業者を指導していきたいというふうに考えております。」こういうふうな答弁をいただいているわけであります。  労働大臣にも運輸大臣にも、努力をいたしますという答弁をいただいたわけでありますが、それぞれ、それは労働省やあるいは運輸省、御努力をいただいたと思います。しかし、実際のところは、本質的に改善されたというところに至っていないというのが現状であります。もう私が質問をいたしましてからでも三年、四年たっているわけでありますが、現状は相変わらずと言っていい状態が続いているわけであります。  きょうは労働省の方、見えておるのですが、非常に劣悪な労働条件、例えば新二・九通達に違反している累進歩合制の問題であるとか、あるいは休日、有給休暇がないところがたくさんあるというような問題、あるいは割り増し賃金の問題、このような問題について奈良県の問題のある業者に対していろいろ勧告や指導をされてきたと思いますが、現在どのような状態になっているのか、本当に改善されたのか、そこのところを簡明にお答えをいただきたいと思います。     〔鹿野委員長代理退席浜野委員長代理着席〕
  43. 野崎和昭

    ○野崎説明員 先生指摘のように、タクシー関係につきましては労働条件にいろいろ問題が多うございますので、私どもも監督指導に当たりましては、重点として毎年監督指導に努めているわけでございます。年々少しずつ改善はされてきているというふうに考えておりますけれども、何分非常に中小零細企業が多いとか、労務管理が困難であるとかという事情もございまして十分な改善を見るには至ってないということでございます。今後ともさらに一層努力してまいりたいと思います。
  44. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうも簡明過ぎて私の質問に適切に答えていただいていないところがございますが、時間がないので次へ進みたいと思います。結論は十分に得られていないという側面があるということだと思います。  それで、今度は運賃改定に際してその査定原価といいましょうか、条件といいましょうか、労働条件の改善というのは非常に大きな太い柱になっておるというふうに私は思うのですね。ところが、運賃が改定をされて本当にそれが実施をされているのか、その条件が履行されているのかという点を見てまいりますと、履行されていないというのがたくさんあるというのが現実だと思うのですね。奈良県で前回は五十六年十月に運賃改定が行われたときに、いろいろの条件が出されているわけでありますが、その中にやはり労働条件の改善ということもうたわれているわけであります。その四という項目で「新二・九通達の実施に伴い従業員の労働時間、休憩及び賃金など、労働条件の改善に関係機関の指導を受け積極的に取りくむこと。」こういう項目もあるわけであります。  ところで、五十六年十月の改定の査定原価を全国的に見てみますと、私が五十六年に質問したときの寺嶋課長のなにでは、五十四年だったと思いますが平均七三・七%というようなことでございました。そして、ことし公表されているのを見てまいりますと大体七〇を超えているというのが東京都の特別区、武蔵野、三鷹市地区では査定は七八・三%適正利潤が一・四、こういうことでありますし、ほかにも大体そのような状況のところが多いですね。そういう状況の中で、五十六年十月の大阪陸運の奈良県の査定原価を推計をしてみますと、恐らく人件費は六五%、適正利潤は五%、これを下回らない、これを上回るものだと私どもは推計をしているわけであります。     〔浜野委員長代理退席、鹿野委員長代理着席〕  それと、現在の現実の人件費、あるいは逆に言えば適正利潤が本当にひどい状態のところが現在もあるわけであります。私どもの推計で申しますと、中川タクシーが人件費が五三・三八%、それから郡山交通というのは四八・六二%、こういうふうな推計ですね。それから適正利潤で言えば、前者は二六・〇四%、後者は三〇・七八%。本当に労働者の労働条件の改善がやられていない。おたくの方へ申請をされた、あるいはおたくが査定原価として認められたのとおよそ恐ろしいというほどの乖離があるわけであります。こういう状態を残念ながら現在まで放置されてきたというのが現実であります。いろいろ御指導されているのもわかりますけれども、実効がないという状態のままでそういうことになっております。  私は、今度は原価の公表をされたなど一定の前進はしておられるということも評価するわけでありますけれども、今度の運賃改定に際して前回の査定原価あるいはまたこの条件、こういうものを本当に履行させる、履行した上で今度の運賃改定をなさるべきであるというふうに考えるわけです。強く要望するわけでありますが、その点の御見解を承りたいと思います。
  45. 角田達郎

    ○角田政府委員 ただいま先生からタクシーの事業者二社の例のお話がございましたが、原価の中で人件費が五十数%であるとかあるいは四八%であるとか、こういうようなことは私どもは非常に遺憾な状態だと思っています。  先ほど労働省の方からもお話ございましたが、タクシー事業全体の人件費の上昇率というのは最近上がってきておりまして、そう著しい改善ではございませんが、全体として見れば徐々に労働条件はよくなってきているのではないかというふうに私ども考えておったわけでございますが、ただいまのような先生お話の二社の例というのは私どもとしても非常に遺憾な状態だ、これは個別に陸運局が具体的な指導をすべきだと思っておりますし、私どもの旅客課の方に先生からお話があった以降におきまして、大阪の陸運局の方にきつく指示をしたところでございます。  ただ、運賃改定の際にそういうような条件を履行してないものについては運賃の改定の認可を差し控えるというような点につきましては、これはいかがかなというふうに考えております。と申しますのは、賃金をよくするためには全体の収入を上げなければ賃金はよくならないわけでございますので、運賃改定の際にそういうような制約を設けるということは至当ではない。しかし、ただいまお話のあったような事業者に対しては適当な時期に立入検査をするなりいたしまして、道路運送法違反あるいは労働関係法違反があれば厳しく対処して指導していく、こういうことではなかろうかと思っております。
  46. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、私が申し上げた点については厳しく指導をする、厳正な指導をするというようなお話だったと思うのですが、言葉だけではなしに、これまで私どもが要望いたしますと、やりますというようなお話があるわけですが、もう三年たっても四年たっても実効がないという状況であります。今度はそういうことのないように、本当に適切な厳しい御指導、御処分を強く要望をしたいと思うのですね。認可をされて、これまでのところは結果はもうずっと業者のしたいほうだいというような状態で、劣悪な労働条件のままで放置をされてきたということであります。今申し上げた業者は特にひどいわけでありますが、ほかの業者の方も、恐らく五十六年の十月に大阪陸運局が査定された査定原価とは大分隔たりがあるというのが実際の状況だと私は思うのですね。そういう点も特に頭に入れて十分な御指導をしていただきたいということであります。  運賃改定のときの査定原価と乖離しているというこの問題もそうでありますが、先ほど申し上げましたように、いわゆる累進歩合制であるとか、あるいは年次有給休暇が全然ないところ、それから割り増し賃金が払われていないというような条件、こういう本当に労働基準法を無視した状況、しかも先ほど申しましたように、二百六十時間とか、多い人は三百時間、昔は四百時間働いた人があるというような状態だったんですね、こういうこと。それから直接道路運送法にかかわる問題で言えば、仮眠所がないとか、休憩所がないとか、ガレージがないとか、入浴設備がないとか、あるいは消毒をやらないとか、これまでも言ってきたことですけれども、そういう法を無視した状況で続けられてきているのですね。こういう点を十分勘案をされて、今度は十分な御処置をされたいということを重ねて要望をするわけであります。  次に、それはそうとして、今度これから運賃を改定されますね。このときは、これまでのお話もありましたように、労働条件を改善をする一つの大きなポイントになると思うのです。このときに私どもが要請をしたいのは、まず少なくとも三カ月以内に皆さん方がお示しになった労働条件の改善、それの条件をどのように実施をしたのかという報告書を必ず山さしていただくということですね。そして、その報告書が実際どうやられているのかということですね。その点検、それは立入検査を含めてぜひやっていただくということですね。そして、その立入検査ではっきりと実施していない、履行していないということがわかる段階、そういうことが依然として繰り返されているというような場合には、労働省、労働基準局ともきっちりとした連携の上に、きっぱりとした処分、免許の取り消しであるとかあるいは免許の停止、こういうような処分もされるべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、その点についてはどうですか。
  47. 角田達郎

    ○角田政府委員 従来も、運賃改定を認可した際には、各事業者団体を通じまして、事業者に労働条件の改善の計画書を提出させております。それで、改定後二正期間を経た段階で、ある局によっては三カ月あるいはある局によっては六カ月、そういうような期間を経た段階において報告書を提出させ、またその状況がどうなっているか職員が行って確認をする、こういうようなことをやってきておるわけでございますが、この奈良県についてそういうようなことが実際に行われたかどうか、私、今はっきりと承知をしてないわけでございますけれども、今先生のおっしゃいましたようなことにつきましては、これは私ども真剣に前向きで検討をさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、タクシーの運賃の認可の大きな柱はやはり労働条件の改善でございますので、その点は私ども十分にわきまえてこれからも対処をしてまいりたい、かように考えております。
  48. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、本当にタクシー労働者の労働条件を改善するということは、今の劣悪な条件、この状態から労働者の権利や生活を守ると同時に、そのことは安全な輸送や乗客サービスを本当に快適にする、またそのことが健全な経営を保障していく重大な問題だというふうに考えるわけであります。大阪の陸運が奈良県のタクシー業者に対しまして、最近いろいろと苦情が言われるわけですね。それは端的に言うならば、サービスが悪い、そういう問題もとらえて指導されているということもわかるわけであります。  しかし、ただ口で乗客サービスを十分にしなさいということを言われても、先ほど来私が申し上げましたような一カ月に三百時間も働いて、しかも高度の累進歩合で、休憩所もないし、仮眠所もないし、ガレージもないし、有給休暇もないんだ、そして一日休めばもうそれで一万円の皆勤手当の三分の一が飛び、二日休めば三分の二が飛び、三日休めば皆勤手当がもうなくなってしまうとか、非常に前近代的な労働条件の中で働いておられる方がたくさんおられるということですね。これではやはり営業収入を上げるためにスピードも上げなければいかぬし、追い越しもせなければいかぬし、言うなればそういうこともあるわけですね。安全な輸送が確保できる条件ではないと思いますね。それからやはりお客に対しても快適なサービスができる心理状態になれないというふうに思うのです。そういう点で、本当に労働条件を改善をしていただくということは極めて重要な要素であるというふうに考えるわけであります。  それから、先般の事情聴取の中で提言がされておるわけであります。私は本質的には、いわゆる料金改定を「認可するに際して陸運局が採るべき措置についての提言」というのが出されたと思うのですが、本来この程度のことはやられるべきだ、当然だと考えておるわけでありますが、先ほど来私が申し上げた程度のことをまずやっていただきたいということを再度お願いをしておくわけでございます。  運輸大臣、ちょっと最後にお尋ねをしたいと思うのです。  先ほど来、私がるる述べてきた中身は、運賃改定に際して査定原価というのがございましたですね、それに対して実態がものすごく乖離しているということがずっと続いてきたのです。具体的には奈良ははっきりそういう状態が続いてまいりました。私はそのことに対しまして、今度の運賃の改定の前に、その乖離のない、前回皆さん方が示された条件を履行せよということをまず第一にやっていただきたい、その上に運賃の改定をやっていただきたい、こういうことが一つです。  それから二番目には、これから運賃を改定される場合には三カ月以内に皆さん方が付された条件、それがどのように実施されたかという報告書を出さす、そしてその報告書を検討していただく、その報告書を検討された後で、立入検査を含めた指導をやっていたたく、本当に皆さん方が認められた、提示された条件が履行されているかどうか、はっきりとそこのところで確認をしていただくということだと思うのですね。そして、それでなおかつ履行しないというようなことがあれば、免許の停止であるとか取り消しであるとか、十分な措置をとっていただきたいということであります。もちろん、その点については労働基準監督署、労働省とも十分なそういう通報というのですか、連絡を含めて、そういうこともやっていただきたいということを強く要望したわけでありますが、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  49. 細田吉藏

    細田国務大臣 タクシー労働者の労働条件が、特に小さい企業、零細企業においては劣悪になりがちであることはおっしゃるとおりだと思っております。したがって、これらの点について今いろいろ御注意がありましたが、例えば数字的に何カ月でどうというようなことは別といたしまして、御趣旨のようなことについて実行するように、方法考えさしていただくとして、やらせたいと思います。何しろ相手方が非常に多いので、難しい行政だと思っております。しかし、非常に大切なことでございますから、十分気をつけてまいりたいと思っております。
  50. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、労働者の労働条件の改善について十分な対応をとっていただきたい、重ねて要望して質問を終わります。御苦労さまでした。
  51. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 富塚三夫君。
  52. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、国鉄総裁に対しまして、まず去る六月二十一日でしたか、日本記者クラブにおける講演の中で、国鉄経営分割民営を支持するという発言が大々的に実は取り上げられておりました。仁杉総裁は、高木総裁から引き継ぎまして、まさに国鉄再建のチャンピオンといいますか、仁杉総裁に期待をするという点で注目を浴びているわけでありますが、きょうは総裁の本音をぜひ聞かしていただきたいと思うのです。  やはり、国会での審議も当然本音を出し合って審議をしていくべきだろうというふうに私は思いますし、そういう点でぜひ総裁にまずお尋ねをいたしたいと思いますが、四月十七日の運輸委員会のときに、国鉄総裁は次のように私の質問について答弁されています。すなわち、再建計画を五十六年度から実施しているが、六十年度を目前に迎えてどうにもならない状況になってきた。中間報告を事務当局から聞きますと、輸送量の見通しが飛行機の整備とか高速道路の整備とか、あるいは車の増加というようなことによってうまく伸びそうもない。六十五年度には三十兆円を超える累積赤字ができることになる。したがって、今事務当局にこういうことを検討させているが、経営形態あり方の問題については慎重に対処をしたい。つまり、監理委員会運輸大臣にそれなりのデータまたは処理する機能を国鉄としては持っているので、参考資料などを出していくことにはしたいと思うが、基本的には慎重に対処したいという旨の発言をされている記録が実はあるわけです。  ところが、記者会見の中で分割民営も基本的に賛成であると実は二回申されているわけですね。どうも前に慎重に対処したいと言われておった総裁が、分割民営に基本的に賛成であると記者クラブで二回も答弁をされているということは、その後総裁としていろいろな問題を考えた際にそのような態度に変わったのかどうかということについてまずお尋ねをいたします。
  53. 仁杉巖

    仁杉説明員 富塚先生指摘のように、四月に国会で先生の御質問に対して今御指摘のようなお答えをしております。私は記者クラブにおきましても実は同じ趣旨のことを言ったつもりなんでございますが、少し言葉が足りなかったようでございます。  さらに付言して申し上げますと、私は民間にもおりまして、民間経営ということもある程度経験をいたしておりますが、そういう中で分割民営のよさというものは私は認めるということを言ったわけでございます。しかし、後に続けて申したのは、先ほど先生が私の答弁をお読みになりましたけれども、ほぼ同じことでございまして、その後もいろいろ検討を重ねてみてもやはり輸送力が伸びない、あるいはこのままでまいりますと累積債務が増してくるというようなこと、あるいは年金負担もだんだんとふえてくるというような実態考えますと、そう簡単に国鉄分割民営するというようなことはなかなか難しいのではないだろうか。ことに、今世上でときどき四島分割というような話を聞きますけれども、例えば四島分割した場合でも、今の体制のままで分割するというようなことにいたしますと、なかなか経営的にも難しいのではないかということを申したわけでございます。  私が申した主眼点がちょっと新聞と違うと思っておりますが、そういう経営形態論の前に一長期債務の問題であるとか年金の問題であるとかという国鉄経営上のいろいろ障害になる問題について議論を深めないと、うまくまいらないのではないかということを私は申したつもりでおるわけでございます。
  54. 富塚三夫

    ○富塚委員 ある新聞社の記者の質問に対して、総裁は明確にこのようなことを言われていると思うのです。うそと言われたのかどうかよくわかりませんけれども、分割民営も基本的には賛成ですが、そうしても個々の経営体が赤字では仕方がない、どうしたらよいかは現在模索しているが、ここでは申し上げることはできません、民営分割についてはどうも監理委員会以外ではタブーになっている嫌いがありますが、私どもも実務家としてこういう案を持っていきたいということを詰めているさなかです、こういうふうに言われておるわけですね。     〔鹿野委員長代理退席、久間委員長代理着席〕 これは、まさに新聞が誤解で書いたということではないと私は思いますね。だから、そこらあたりのことを、その後組合に会われても、そんなことは言っていないという趣旨のことを御答弁になっているとか言われるのですが、もっと本音を出して、総裁がそうお考えになっているなら、お考えになっているようなことについてはっきりさせた方がいいと私は思うのです。そういうふうにお答えになったことは事実でしょう。いかがですか。
  55. 仁杉巖

    仁杉説明員 今、先生お読みになったと思いますが、どこの記者にどういうふうに答えたか、私も今記憶を十分持っておりませんけれども、私が終始申しておりますのは、分割民営ということが経営理念としていい方法であるから、それをそのまま国鉄に今持ってきて、それでいいものであるというふうには考えていないということを言っているわけでございます。しかし、現在は、国鉄の中におきましても、外からも、監理委員会経営形態については決めるのだから、国鉄は黙ってそれに従えばいいじゃないかという議論に対しては非常に御批判があって、やはり国鉄自体も、そういうものに対してどうしたらいいかということを考えるべきであるというお話はございます。そういう中で、もちろん私どもといたしましても、実務者としてどういうふうにしたらいいかということを考えるべきであると思っております。  現状を申し上げますと、私どもは、これは非常に大変だな、尋常一様の方法ではなかなか再建は難しいなというところまではきっちり来ておりますが、それから先どうするかということについて、これからいろいろと案を考え、それを運輸省なり監理委員会なりにも申し上げていきたいと考えておるということでございます。
  56. 富塚三夫

    ○富塚委員 同時に、質疑のやりとりの中で、総裁は民間私鉄の大手にも勤めておられたことがあることを引き合いに出して、国鉄も現在はもういわゆるコントロールの限界を超えている、私はそう思う、結局コントロールの可能な規模にしなければならない、私はそう思うと発言されているように聞きました。そうすると、当然私は、総裁分割しかないというふうにお考えになっていると受けとめるわけですけれども、そういうことも申されておる。その点についてはいかがですか。
  57. 仁杉巖

    仁杉説明員 国鉄企業が非常に大きい、現在でも三十五万人近い人がいるという問題、あるいはその人たちが全国に散らばっているというような問題を考えますと、私が、私というより総裁という立場であらゆる指揮をするのには非常に大き過ぎるということは考えている、しかし、それだからといって、分割しなければできないかどうかという点については、私は必ずしも分割しなければならないということでもないのではないかということも考えております、ということも考えておりますというふうに申し上げておきますが、決して分割がたった一つ方法であるとは考えていないということでございます。
  58. 富塚三夫

    ○富塚委員 総裁として、いわゆるコントロールの限界は超えている、コントロールの可能な規模にしなければならない、その方法はどういうものであろうか、私はよく知りませんけれども、そういうふうにお考えになっていることは事実ですね。
  59. 仁杉巖

    仁杉説明員 何らかの対策考えなければならないと考えておるというふうに御理解願いたいと思うのです。
  60. 富塚三夫

    ○富塚委員 実務家として詰めの段階に入っておるということを言われているのですが、その表現からすると、総裁事務当局に具体的に指示をして、詰めの段階に入っているというふうな表現の中では、当然分割民営前提とした詰めに入っているのではないかと思うのですが、その点、詰めに入っているということはどういうことを意味するのでしょうか。
  61. 仁杉巖

    仁杉説明員 先ほど先生に御答弁いたしましたように、国鉄現状を、近い将来といいますか、六十五年ぐらいまでを見た場合にかなり、かなりではない、企業としてちょっとこのままではいけないという見通しに立ったということ、先ほど申しましたように、そこまでは大体きっちりわかってきたということでございます。それを前提に、それから先、そういう状態の中で何をするかということを今詰めているというふうに御理解を願いたいと思います。
  62. 富塚三夫

    ○富塚委員 そうすると、そういうことは記者クラブでは言っていない、分割民営論は私は支持していないということを明確に確認していいですか。
  63. 仁杉巖

    仁杉説明員 私は、経営理念として、大きい企業体をある程度分割する、実際に分割するか、分割的手法を用いるか、民営にするか、民営化するか、そういうことについてはメリットは認めるということをさっきから繰り返して申しているわけでございます。しかし、午前中の答弁で私が申しましたように、国鉄というのは、百十年ぐらいの歴史の中で、鉄道省であるか日本国有鉄道であるか別といたしまして、七十年余り一本の企業として経営してきたという実態があることも事実でございます。これを例えば簡単に分割すると言っても、OBにしてもあるいは現職にしても、心の中にある種の抵抗を感ずるという事態も、私自身はよく承知をいたしております。そういうことを考えながらいろいろな方策考えなければいけない。一番右の案としては現状のままでいくという案もございましょう。一番左でいけば株式会社に全く民営分割していくという案もございましょう。その間にはいろいろなものが考えられると私は思っております。そういう中からどういうふうにしていくかということをこれから詰めていかなければいけないと思っているわけでございます。
  64. 富塚三夫

    ○富塚委員 分割民営を基本的に支持すると二回発言されていることは、どういう意味なんでしょうか。同時に、今総裁が申されたように、やりとりの中をずっと読ませていただきますと、現状経営形態のままでいく、あるいはこちらには分割民営ということも考えなければならない、しかし、コントロールの限界は超えている。それはどう見たって総裁分割民営を支持するという立場を言っていることは間違いないんであって、私は一社の新聞社だけ取り上げたならそれはあるいは誤解をしたのかもしらぬと思いますけれども、すべての新聞社とテレビ社が一斉にあなたの発言を整理をして取り上げていることが、国会ではそういうことを言っていないというのはどうしても納得できないんです。だから、本当に本心を聞かしていただきたいと私は思うのです。分割民営が基本的に賛成なら賛成だというあなたの考え方をぜひ聞かしていただきたいと思います。
  65. 仁杉巖

    仁杉説明員 さっきから繰り返して御答弁しているとおりでございますが、私は経営手法として分割とか民営というメリットは認めます。しかし、先ほども申しましたように、長期債務をこれだけ抱え、あるいは今まで歴史的な因縁の中で長い間一本として経営してきたという実態、そういうものを考えあわせながらメリットを生かすような方法がないかなということは考えております。ということで、決して私が国鉄分割民営にすべきであると言ったわけではないということを御理解願いたいと思うわけでございます。
  66. 富塚三夫

    ○富塚委員 国鉄総裁としては経営形態の変更の問題は現状としては全く白紙であるというふうに確認していいんですわ。
  67. 仁杉巖

    仁杉説明員 私は国鉄総裁という立場にございますから、その間でいろいろデータを見、考え、そういうことはもちろんございます。私の頭の中にはいろいろなことが去来しておりますが、またそれを役員会等でオーソライズしたということではございません。そういう意味では白紙であると御理解願ってもいいと思いますが、私の頭の中にはもちろん実務者としては考え方があるということでございます。
  68. 富塚三夫

    ○富塚委員 じゃ、総裁としては白紙の立場であるということでいいんですね。
  69. 仁杉巖

    仁杉説明員 私は白紙というか何というか、国鉄総裁というより国鉄としてまだ統一意思をまとめているということではないというふうに御理解願いたいと思います。
  70. 富塚三夫

    ○富塚委員 総裁が各労働組合に四つの条件をかって示したと言われているのですが、その一つは、徹底した極限までの合理化を推進しなければならないのは、分割民営をさせないために企業として努力をしなければならない、組合が協力してくれ、これが第一。第二は職員の雇用を守ることであり、第三は職員の賃金を守ることであり、第四は退職金年金を確保することにあるというふうに言われてきた。そういうことも事実ですね。
  71. 太田知行

    ○太田説明員 労と使の間で明確な形で四条件、四原則という取り決めをしたとか約束をしたという経緯は、私、今の仕事につきましてかれこれ三年になるのでございますが、そういうことはございません。ただ、私の就任以前において改定前の、当初の経営改善計画が作成された経緯がありまして、その間に労使の間の話し合いでいろいろなことが出たかとは存じますが、その辺をつまびらかにはしておりません。ただ、私、就任しましてもちろんいろいろな場面で労使の話し合いをしているわけでございますが、合理化とか職場規律とか、当面する問題をとにもかくにも頑張って国民の信頼を得ようではないか、そのことが自分たちの幸せにつながるんだという意味のことは再三再回繰り返しているところでございます。
  72. 富塚三夫

    ○富塚委員 五月八日でしたか、経営改善計画を策定をして、運輸委員会でも質疑のやりとりがあったことを記憶しますが、六十年度には三十二万人体制をとっていかなければならない、再建基盤の確立ということを、ここによりどころを求めなければならないと実は力説をされました。そして、同時に経営形態の変更は慎重に対処するという問題について言われたわけですけれども、実際は今言われているように総裁の頭の中では次の段階のことをお考えになっているというふうに私は想像するんですが、受けとめるんですが、長期債務の棚上げについて、これは一体どういうふうにした方がいいと総裁はお考えですか。
  73. 仁杉巖

    仁杉説明員 先ほどちょっと触れましたが、先行きの輸送量が必ずしも明るい見通しにないという現状でまいりますと、粗っぽい試算で事務当局から受けますのでは、この前申し上げましたように六十五年では三十兆になるというようなことでございます。これは年二兆ずつふえていくとそういう結果になるのでございますが、そういう中でいろいろ債務の棚上げに関しましても、世上いろいろなお説がある。一つは過去の赤字を埋めた債務を棚上げすべきではないか、投資についてはやはりしょっていくべきではないかとか、いろいろな御意見がございます。これについてはまだ十分試算はいたしておりませんが、現在の私どもが見ているところでは、やはり大部分のものを棚上げしていただかないと経営基盤が確立てきないのではないかと今は考えております。ただ、それをどういうふうに棚上げするかというような問題は国鉄だけで決められる問題ではございませんので、これらについては運輸省政府あるいは監理委員会等にも御意見ございましょうし、何とか実現をしていただきたいというふうに私は考えておるわけでございます。
  74. 富塚三夫

    ○富塚委員 それから、分割民営化という問題で先ほどもちょっと質問をいたしましたけれども、総裁は私鉄のことをかなり頭の中に描いておられるように見受けるのですが、そういうふうに受け取っていいですか。
  75. 仁杉巖

    仁杉説明員 私は、やはりこういう自由競争の中で競争の原理というものは考えるべきことであると思いますし、また、私鉄もそれぞれいろいろな努力をされているということで、私鉄が、一つ考え方として参考になるというふうには考えている。しかし、私は西武におりましてよく知っておりますが、西武鉄道の規模というのは人員にして三千人余り、まあ三千五百人まではいないと思いますが、そのくらい、営業距離も百八十キロという程度でございまして、規模から申しますと、ちょうど国鉄の百分の一という程度でございます。ですから、これをそのまま下敷きにしてぱっと上げていいというふうには私は考えておりません。しかし、一つの参考資料にはなるというふうには思っております。
  76. 富塚三夫

    ○富塚委員 しつこいようですけれども、やはり総裁があのような発言をされたと報道されたことはかなり世の中を騒がしていること、センセーションを巻き起こしていることは事実ですよね。加えて、国鉄に働いておる労働者あるいは労働組合の側に立っても、分割民営をさせないために合理化を徹底的にやるから協力をしてくれ、こう言われて協力をしてきた。が、総裁はいつの間にか別のことを考えている。私は総裁立場の苦しいこともよくわかります。しかし、もっと本音を言うべきだし、同時に非常に軽率な発言であるというふうにあなた自身お認めになりませんか。
  77. 仁杉巖

    仁杉説明員 今御指摘のように、いろいろと議論を巻き起こしているという事実はございます。私はあのときに、先ほどからるる御説明いたしておりますように、そういう国鉄分割民営することが賛成であるという表現をしたのではございませんけれども、そういうふうに新聞に取り上げられたような言葉運びをしたということについては反省をいたしております。
  78. 富塚三夫

    ○富塚委員 次に、国鉄の要員規模といわゆる過剰人員の問題について質問をしますが、昭和五十九年度の予算定員は三十四万五千人と受けとめているのですが、それでいいですか。
  79. 太田知行

    ○太田説明員 そのとおりでございます。
  80. 富塚三夫

    ○富塚委員 実人員は三十三万七千人であり、来年度の退職予定数は二万人ないし二万二千人と見込んでいることも事実ですね。
  81. 太田知行

    ○太田説明員 そのとおりでございます。
  82. 富塚三夫

    ○富塚委員 三十三万七千人から、既に予算定員を割っているのですけれども、特退の予定数二万ないし二万二千を見込むということになると、いわゆる過剰人員と言われて新聞紙上などに発表されている二万四千五百人というのはどういう計算から出てきているのですか。無理やりに仕事から外してそういう数字をつくっているのですか。数字がちょっと合わないのですが、どういうことですか。
  83. 太田知行

    ○太田説明員 もう一つそのほかに、現実に仕事運営する上において必要な配置人員数というものがございまして、これが三十三万七千人の現在人員と二万四千五百のちょうど差に当たります三十一万二千五百でございましょうが、三十一万強の人員に相なるわけでございまして、逆に申し上げれば現在国鉄の業務を運営するのに必要な人員断は二十一万強であって現在人員三十三万七千との差一万四千五百名が余剰であるというふうに申し上げてよろしいかと存じます。
  84. 富塚三夫

    ○富塚委員 では、来年度予算人員が三十二万人ということのかかわり合いは一体どうなるのですか。  それから、今太田説明員が言われた中で、無理やりに仕事を与えないでいわゆる過剰人員という数字をつくり出しているようにとられる。しかも、来年度の特退予定者が想定されている。実際は三千人、五千人ぐらいの人だけしか過剰人員と言われる人はいないということになるなら、仕事の問題の面で十分考えることができるのではないかと常識的に思うのですが、二万四千五百人という数字を無理やりにつくっているように思いますが、予算定員と現在人員、そして来年見込む予算定員あるいは具体的な実員の関係を見ると、どうもちぐはぐな関係になっているように私は思います。問題の出向とかレイオフとか退職勧奨とか、この要員問題の中でいわゆる過剰人員の具体的な整理をする措置を考えているなどと言われているのですが、一体本当に二万四千五百人をそういうふうい考えてやろうとしておられるのですか。これは総裁にお尋ねいたします。    〔久間委員長代理退席、浜野委員長代理着席〕
  85. 仁杉巖

    仁杉説明員 国鉄といたしましては、今やはり兼務の効率化ということを進めなければならないしいうことで、今年度もいろいろ業務の見直しということをいたすわけでございます。そういう中でいろいろ数字のやりとりと申しますか、それがございますが、その数字につきましては太田常務から説明させます。
  86. 太田知行

    ○大田説明員 数字の点でございますが、少し詳しく御説明申し上げさせていただきたいと思います。今まで労と使の間でこの雇用の問題あるいは職員数の問題、いろんな場面で論議もし、また説明もしてまいりました。しかしながら、大体二つの側面から申し上げてまいりまして、一つ先生御承知のような予算定員という面と、もう一つは現在員、実員という面でございまして、実はそのほかに実際に業務を遂行するのに必要な要員数というのは、これは本社、本部では論議の俎上に上らないで、現実には要員運用の権限、責務を持っておりますところの地方機関マターになっていたわけでございますが、六月四日でございますが、もろもろの問題について労使のトップで忌憚のない、腹蔵のない意見交換をしようという申し入れがございまして、国鉄労働組合のトップと当局側の総裁以下私どもが意見交換をいたしました際に、要員問題についていろいろな見方、数字があり得るけれども、この際明確にしてもらいたいといったっての要望がございました。それももっともであると私どもも思考いたしましたので、初めて本社、本部の労使の関係において三つの数字を説明したわけでございます。  すなわち、一つは予算定員、それから一つは現在の実員、それかももう一つは、今申しました仕事を遂行するのに必要な所要定員と申し上げましょうか、実効定員と申し上げてもいいと思いますが、そういう数字と、三つで御説明したわけでございまして、あわせて申し上げれば、予算定員はいわば予算を作成する上での雇用の限度数を決める数字でございます。実員はそのとおりでございますが、それから業務遂行上の所要人員というのは当局が決して勝手に決めたものではなくて、途中経時において御説明はしておりませんから、やや唐突な感じはあったかもしれないと存じますが、業務を担当している相互の専門家同士の間では、まさにそれこそが年度年度の合理化交渉を積み上げてきた一つの結末として理解されている数字でございます。団体交渉の妥結の結果としてその数字は生まれてきたものでございます。  以上であります。
  87. 富塚三夫

    ○富塚委員 非常に予算定員というものを軽視しているのではないかという点と、日鉄法の関係なんかが明年度以降大変問題になりはしないか、一つはそういうふうに私は思います。現実に三十四万五千の予算定員である。実人員は三十三万七千いる。実際はこんなに要らないんだ、そして二万四千五百人の過剰人員がいるんだ、だから出向とか一時帰休とか退職勧奨をしたいんだみたいなことでは、一体要員行政というのはめちゃくちゃなんじゃないか、私はそう思いますね。いわば予算定員も一定の基準があって大蔵省も政府も査定しているんだ、私はそういうふうに思いますね。そういう点からいうと、まさに言われているような出向とか勧奨とかということはやらないで済むと思うのですが、その点は改めて今考えてないということでいいですね。
  88. 太田知行

    ○太田説明員 前段の方でございますが、予算定員軽視というのは決してそういうことじゃございませんで、これはいわば抱え得る、雇用し得る人員の上限を給与総額で算定するための積算基礎人員という予算上の表現でございますが、過去においてはいろいろな歴史的経緯がございまして、実人員が予算定員ぎりぎりのところまでいったこともございましたし、それからまた年度内通じてみますと、ほんのある時期には瞬間風速的に予算定員の枠を現在人員がオーバーしたというようなこともございましたが、これは瞬間風速でございまして、年度トータルでは枠の中におさまるわけでございます。上限と実際の人員という関係でごらんいただきたいと思います。これは接近したり離れたりと、その状況によっていろいろでございます。なぜならば、特退人員はさっきもお話が出ておりますが、これは結果として把握される数字でございまして、なるほど私ども五十九年度は二万ないし二万二千と想定しているのでございますが、これは年度末に至って果たしてどうなるか、そう大きな狂いはないと存じますが、多少の差は出てくる。それはやはり予算人員と実人員の差として出てくるのはやむを得ないというふうに申し上げておきたいと思いまして、いわば実人員が予算定員の内側にあるということはそういう意味では安全サイドだと申し上げたいと思います。  後段の方、私の聞き間違いでありましたらお許しいただきたいと思いますが、余剰人員合理化の関係でございますけれども、別の角度からこういうふうに申し上げてもよろしいかと存じますが、従来は毎年毎年合理化をいたしました。いろいろな項目について団体交渉を積み重ねてまとまる。合理化された合理化数と実はやめていく人員との間に、今と逆の状況がございまして、例えば合理化人員が一万だとやめていく人が二万というふうに、やめていく人員の方が多うございました。ちょうど国鉄人員構成の異常なピーク時に差しかかっておりましたものですから、したがって合理化をやりながらも若干の新規採用をする余地があったのでございます。ちょうどその関係が逆転してまいりまして、どんどん特退人員が減ってくる傾向にございます、対象人員が減ってまいりますので。その間、一方合理化合理化で進める必要がありますので、その関連から余剰人員が出てくるというふうに申し上げたいと思いますが、もう少し具体的に数字を申し上げますと、五十八年度におきましては四万三千五百人合理化を実施いたしました。特送人員が二万二千でございますので、その差二万一千五百が余剰とならざるを得ない。持ち越しが三千ぐらいございますから二万四千五百、アバウト二万五千と申し上げている次第でございます。
  89. 富塚三夫

    ○富塚委員 小林議員が後でまた質問されますから簡単にしますけれども、太田常務は将来仕事量からして何万人にするということなんですか。二十八万人にしたいと考えているんですか。
  90. 太田知行

    ○太田説明員 将来どう持っていくか、我々もいろいろ頭を悩まし、検討も重ねているところでございますが、将来をどの辺で区切るかというのが一つございますけれども、要員規模が先行するわけでございませんで、御承知のように、まずもって国鉄仕事の仕方、業務量あるいは輸送量と申し上げてもいいし、あるいは国鉄の分野と申し上げてもいいのですが、要するに国鉄仕事はこれだけというのが決まりまして、その業務量を国民から批判されて恥ずかしくない、それを私鉄並みと申し上げておるわけでございますが、効率でもって維持し、推進するために必要な人員はどうだということで我々は要員規模を推定する仕組みでございます。現在国鉄全体におきまして、まさにその将来のあり方をどうするか、鋭意検討しておるところでございますので、要員規模について本日ただいま明確な見通しを持っているわけではございません。
  91. 富塚三夫

    ○富塚委員 業務量がなければ、もう際限なく削減をしていくという考え方ですか。
  92. 太田知行

    ○大田説明員 業務量とそれを遂行、運営せんがための要員のバランスあるいは相関関係はまさに今申し上げたとおりでございますので、業務量がどんどん衰退していくという事態があれば、まことに残念であり、好ましからざる事態でございますが、配置要員はそれに比例して衰退せざるを得ないというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  93. 富塚三夫

    ○富塚委員 次に、国鉄再建のためには極限までの合理化考えなければならない、これは、経営者としてはそういうことを考えるのは当然だと思いますけれども、しかしその合理化による余剰人員は、必ずしも今明確な答弁になっていませんが、これは後に譲ることにいたしまして、弾力的に運用しなさい、それは労働協約もへったくれもないのだ、徹底して弾力的に運用せいと地方局に指示している、そして過員の運用などは団体交渉事項ではなくて話し合いでいいのだ、地方の労使は調印などしなくていいと太田常務は指示しているのですか、お尋ねします。
  94. 太田知行

    ○大田説明員 余剰人員問題についていろいろな問題がただいま労使の間で議題になり、検討あるいは協議事項になっているのでございますけれども、組合側から、当局側で協約を無視している、協約に違反しているという指摘は受けていないのでございまして、ただいま先生冒頭におっしゃった点は大変残念なことでございますので、ぜひ誤解を解いていただきたいと存ずるのでございます。労働条件は大変多彩でございますけれども、例えば所定労働時間は何時間とかあるいは給与の定めはこうだ、これはまさに基本的な労働条件でございます。余剰人員について格別の所定労働時間の制度だとかあるいは特別に割り減をした給与制度を適用しているものではございません。これはほんの一例でございますが、労と使の間に締結された協約、協定は、今大変苦しい状況にありますけれども、厳守をしている次第でございます。  ただ、御質問の趣旨を伺っておりますと、おっしゃっている意味は、余剰人員の活用について、私どもは団体交渉すべき部分と当局責任において措置、実施すべき部分とを分けて運用しているのでございますが、組合側の主張には、我々が当局責任において措置すべきだとしている分野についても、それは団体交渉事項であるという指摘があることは事実でございまして、その点については労使の意見の対立があるのでございます。これは対立てありまして、協約、協定の違反、無視とは性質が異なるものと申し上げたいと存ずる次第でございます。
  95. 富塚三夫

    ○富塚委員 昭和二十四年四月、いわゆる定員法のときに総裁達第百九十四号を出しています。これは、「現場従事員を一時他の職の職務に従事せしめることのできることについて次のように定める」「現場従事員について、その長または所属長は業務運営上必要と認める場合には、所属従業員をして、その職制及び服務規程にかかわらず、一時他の職の職務に従事せしめることができる。この場合においては、その職務の職の直接指揮者の指揮に従うものとする。」。これは、どうもよりどころが、昭和十九年七月、戦前です、達五百六十五号、国家総動員法のときです、「鉄道部内従事員ニ付職制及服務規程ノ定アル箇所ニ於テ業務上必要アルトキハ其ノ長ハ部下職員ニ対シ其ノ職名ニ拘ラズ一時他ノ職名ノ職務ヲ行フコトヲ命ズルコトヲ得但シ特ニ採用資格定アル職ニ付テハ当該職ノ資格ヲ有スル者ニ非ザレバ之ヲ命ズルコトヲ得ズ。」、こういうふうに国家総動員法のときの戦前の達、この達百九十四号を適用してやれと今地方に指示しているように見受けられます。  お尋ねします。この達というのは、労働基準法八十九条に定めた就業規則の中に含まれるのですか。総裁達として、これはあくまでも総裁の業務命令として出されているんですか。その点、お尋ねします。
  96. 太田知行

    ○大田説明員 最後の、就業規則に入るかという点につきましては、広義の意味で就業規則に入ると考えております。
  97. 富塚三夫

    ○富塚委員 それは間違いだと思いますから、改めて論争いたします。労働省当該基準監督局長に聞きました。就業規則ではない、あくまでもこれは総裁の業務命令である。その点は明らかに食い違っていますから、その点について問題点を明らかにしておきます。労働省がそういう見解を示しています。  次に、この就業規則と労働協約、これはどちらが優先をするというふうにお考えですか。
  98. 太田知行

    ○大田説明員 それはもう、協約と就業規則ないしは労働契約との上位関係いかんということでございますけれども、御承知のとおりでございまして、労働協約が定められて、それを下回る部分については労働契約に従う、こういうことでございまして、上位、優位という関係よりは、私どもは、これは私見でございますけれども、労働協約の修正機能というような関係においてとらえるのがより実務的ではないかというふうに考える次第でございます。
  99. 富塚三夫

    ○富塚委員 公労法八条で団体交渉事項が規定されています。また、労働組合法第十四条以下、明記されています。この団体交渉事項で労働協約として成立しているものは何よりも優先をするということは、まず明らかなんです。これは労働省の見解でもあるんです。そして団体交渉事項で成立していないものは、当然相手側から申し入れがあるときには協約を結ばなければならない。この考え方は、これはまさに労働三法、とりわけ組合法、基準法の中で明記されていることは事実なんです。これは昭和二十四年だ、委員長。昭和二十四年の達を持ち出して、総括として就業規則の枠に入っている——入ってないんです、達なんです、あくまでも。それでもって、これは管理運営の事項だから云々というやり方は、私は余りにも——今、民営分割論が議論されようとしているこの国鉄で、一体何をあなたたちはお考えになっているのか。これは明らかに経営者側は頭の転換をしてもらわなければならない、私はそういうふうに思います。  そういう点で、今具体的に、雇用の安定に関する協定、あるいは近代化、機械化、合理化等に伴う事前協議に関する協定、配置転換に関する協定、現存します。これを守る意思はあるんですか、ないんですか。
  100. 太田知行

    ○太田説明員 直接は雇用安定協約、配転協定の問題でございますが、前段において百九十四号のお話がございまして、先生の御見解は承らしていただきましたが、二十四年、新しい憲法の体制のもとで、新しい労組法の体制のもとで改めて当時の労働省と私どもの先輩か協議をしまして、これを就業規則の一環であるという認定を受けて今日に至っているのでございまして、これは狭義の意味での、就業規則であるといって条文、協定、体裁を定めた就業規則でないことは確かでございますが、先ほど申し上げましたように、そういう意味で国鉄の場合には関連する法規、令達、分野が大変広いから、それを狭義の就業規則にまとめるのでは大変だということで、広義の就業規則という概念をお認めいただいて今日に至ったものでございまして、私どもは百九十四は、そういう意味での就業規則の一環であるというふうに考え、今日まで運用している次第でございます。  それからお尋ねの雇用安定協約並びに配転協定につきましては、六月五日に各労働組合に対しまして「余剰人員対策について」と題します文書をもって、私どもの当面の考え方をお知らせをし、意見を求めたのでございますが、その文書の中にこういうふうに書いている次第でございます。  これらの制度、というのは、退職制度ですとか休職その他、これから提案しようとする三制度でございますが、「この制度の早急な整備及び有効な活用が図られることを前提とし、当面においては、」各労働組合と結んでいる雇用の安定等に関する協約は存続していきたいと考えているということで考え方を明らかにしている次第でございます。
  101. 富塚三夫

    ○富塚委員 こじつけなんですよね。太田さんが職員局長になってから遠を持ち出しているんだよな。今まではそんなこと、昭和二十四年の達なんか持ち出していなかった。私も私なりの経験がありますから、労働省の見解をきちっと聞きました。達は達で、総裁の業務命令としてのものであり、就業規則は就業規則だ。団体交渉事項で協約が成立したものはすべて優先をするのだ。協約があるものは優先するという、まして合理化をどんどん促進しなければならない、組合に協力を求めなければならないと言うなら、なぜそういう気持ちになってやれないのかということについて私は率直に疑問を持つし、なぜ労使間の交渉がもたもたして対立ばかりして、協力関係になっていかないのか。  総裁にお尋ねしますが、私はやはりこの問題をけじめをつけていかなければならぬと思うんです。地方でも、現実に私が聞きました地方では、それぞれの労働協約もたくさん持っています。しかし、交渉はしても、話し合いだ。印鑑を押さない。そして運用をしているわけです。そんなことが許されていいか、私はそう思います。ということになりますと、労働省なりの見解を明確に聞いた上で、この問題を速やかに判断をして善処するということについて、総裁考え方を聞いておきたいと思います。総裁にお尋ねします。
  102. 仁杉巖

    仁杉説明員 今いろいろ先生、御指摘ございましたが、非常に専門的な問題になりますので、太田常務から一応お答えいたしまして、必要の部分、私の見解が必要な場合にはいたすことにいたしたいと思います。
  103. 太田知行

    ○太田説明員 協約を遵守するというのは、労使の間のいわばイロハのイ、基本でございまして、これは私ももちろんのこと、組合側も生命線として遵守をしているつもりでございます。  冒頭にも申し上げましたが、余剰人員問題という、これは国鉄百十年の歴史の中で、大変異例、前例のない苦しい状態でございますから、今まで大して問題でなかったことも改めて見直すという事態は生じておりますけれども、原理原則には変わりございませんで、協定は遵守しているということをあえて申し上げたいと思います。ただ、百九十四と協定とは全然成立する分野が、あるいは当てはまる、妥当すると申し上げていいですが、分野が違いまして、協約を守って運用する部分で要員の運用、操配という分野はおのずと違うわけでございまして、百九十四を運用しているからそこの部分が協約違反ということではございません。労使の間に意見の対立はございます。百九十四は団交事項ではないかという主張があることは確かでございますが、これは対立ということでございます。  それから、労使が対立ばかりしているというのも、事実の認識において大変残念でございまして、例えば、もう半年ぐらいになりますけれども、五九・二のダイヤ改正、これなんか、もう大変な内容、量、質ともに膨大な合理化事案でございましたけれども、各組合、大変熱心に論議を重ねてまいりまして、当初においては対立点、隔たりが非常に大きくて、これは大変だなと実は率直に考えたのでございますが、一年歳月をかけて妥結に至った。これなんか、まさに画期的な、歴史を飾る労使の協力のあかしたというふうに我々は考えている次第でございます。労使でございますから、対立点もございます。一方では協力しながら、ある面では対立を繰り返す。しかし、論議を重ねることによって対立を狭め、妥結点をふやすように努力をしてまいりましたし、これからも努力をしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  104. 富塚三夫

    ○富塚委員 時間がありませんから、簡単に答えていただきたいと思いますが、全然違うのですよ。達と就業規則と労働協約というのは違うのですよ、太田さん。そこをはっきりしてもらわないと困るのです。あくまでも団体交渉の対象事項で労働協約が成立しているものは何よりもそれが優先をすることは明白なんです。だから、労働省ないしは第三者機関もありますから、一致できないときには問題点を整理して、その結論に従うということを確認していいですね。それだけ、イエスかノーかたけ言ってください。
  105. 太田知行

    ○太田説明員 どうも、簡単にというお話ですが、事実の認識先生とちょっと違いますので、一問一答式にイエス、ノーというお答えにはなじまぬと思います。協約を遵守するのは当然でございます。協約が成立して、それを下回るといいますか、それに抵触する部分の就業規則は修正するのもまた当然でございます。例えば賃金規程なんか、そういう意味ではしょっちゅう変えているわけでございます。それから、労使に対立があって、それを第三者機関にあっせんないし調停あるいは仲裁を求めるということで紛争の解決を求めるか否かは、これはまた労使の間にそのルールがございますので、それぞれの判断で、そういうことも今までございましたが、本件については、私どもは労使の間で十分に論議し得るというふうに考えている次第でございます。
  106. 富塚三夫

    ○富塚委員 達百九十四号というのは昭和二十四年ですよね。太田さんは鉄道に入ってないよ、僕は入ってたけれども。そのときにできたやつなんたよ。その後、労働組合法もでき、公共企業体等労働関係法もでき、そして労働三法と言われる基準法や調整法もでき、それで、時代が変わってきている一つの流れが現実にあるわけでしょう、問題は。それがなぜ二十四年の達に固執してやらなければならぬのか、そんなことが近代的な経営者に許される問題ではない。所管の労働省の基準局長が明確に言っているものを、考えが違うとあなたはそう言っているのだけれども、ここで論争をしでもしょうがない。その問題は改めて第三者機関なら第三者機関でどうするか明らかにいたしますけれども、こんな恥ずかしい国鉄経営者というのは、私は本当に残念でならないと思います。  時間がありませんから、最後に総裁運輸大臣にお尋ねします。  組合も人減らし合理化に協力をする立場をずっととってきた。しかし、なかなか思うようにいかない、累積赤字もどんどん募るだかりだ、業務量もふえない、一体どうしていくのか、深刻な問題に実はなっているわけであります。民間会社ならもうとっくに破産宣言になる。それは、同時に経営者責任をとらなければならないというのは、私は筋道の問題であろうと思うのですね。今、国鉄問題が監理委員会にかけられている。累積赤字処理の問題もあるでしょう。あるいは諸外国に見られるような助成の問題についての対比の問題もあるでしょう。あるいは公共負担や国庫負担の問題、関連事業の問題、さまざまあると思います。しかし、これは監理委員会が現実にやっている。総裁も、先ほどは記者クラブの講演の問題について、総裁としては白紙であることを言われました。労働組合には、分割民営をさせないために合理化を進めるんだから協力をしてくれ、また社会的には、国鉄再建という大義名分を使って、過疎地のローカル線を廃止しなければならぬ、あるいは無人駅なり格差別運賃、弱者や地域住民に大きな影響を与えてきていることは事実なんです。国会の答弁も、私は、もっと誠意ある答弁をしてもらいたいというふうに思うのです。  しかし、国鉄の首脳陣は、しゃあしゃあとして我々には責任がないかのような態度で、今過員問題処理の達と労働協約の問題一つをめぐっても、私は、そんな態度には問題があると思うのです。やっぱり国鉄首脳陣は責任を明確にしていくということについて、総裁運輸大臣にお尋ねしたいと思いますが、同時に、時間がありませんから運輸委員長に申し上げますが、次回は監理委員長をぜひ呼んでいただいて、本格的な監理委員会意見を聞いた論争をすべきだと思うのです。参議院の運輸委員会は毎回出席されておってなぜ衆議院の運輸委員会に出ていただけないのか、これは委員長に、ぜひひとつ理事の皆さんにも再考をお願いをいたしたいと思いますが、私は、そういう立場に立って、国鉄総裁あるいは運輸大臣一体その経営者としての責任問題をどうお考えになるのか、これについて運輸大臣の所感も後で聞きたいと思います。総裁運輸大臣、いかがですか。
  107. 仁杉巖

    仁杉説明員 もちろん、今富塚先生の御指摘のとおり、こういう状態というのは、民間で言えば破産宣言をするような事態であるということは私もよく認識しております。私は、現状において責任をとるという問題は、いかに国民のために国鉄が機能を発揮するような方向を探し得るか、また職員の生活を安定する方策を探し得るかということが私のやるべき仕事であるし、それが私の責任のとり方であるというふうに考えております。そういった意味で、今後も一生懸命でがんばってまいりますので、よろしく御指導を願いたいと思う次第でございます。
  108. 細田吉藏

    細田国務大臣 国有鉄道現状に対する責任は痛烈に感じております。私はこういうことを言っておるのです。国鉄で事故が起こった、運輸大臣国鉄総裁を呼んでしかる、しかることはいいでしょう。と同時に、運輸大臣責任をとらなくちゃいけない、運輸大臣責任感じなくちゃいかぬということを言っておるのです。それぐらい感じております。  今、一番あなたのいろいろ御心配になっているということもよくわかります。私、よくわかりますが、一番問題は、一応監理委員会に預けた。そして我々も今勉強しております。長期債務の問題、再建の問題、いろいろな問題について勉強しておりまして、さっきも申し上げたかと思いますけれども、監理委員会に言いますが、問題は、難しい問題だから時間的にかかると言っておるのですが、私の個人的な感じを率直に申しますと、ちょっと遅いのですね。その間、いろいろな問題が、どんな結論が出るかによって違ってくるというようなことがある。ところが、今聞いているところでも、監理委員会は、大体来年の夏ごろに出す、こう言うので、その間一体どうするのだということで、私は、国鉄の諸君が、総裁初め職員の諸君も非常に苦慮しておると思うのですよ。どのようにしていいのかということですね。ですから、私は、その先のことをどうするかという基本的な問題と、当面どうするということについて、はっきりしたものを国有鉄道の諸君に指示したいというふうに考えております。  責任は十分痛感しております。
  109. 富塚三夫

    ○富塚委員 終わりますが、ある運輸大臣経験者の自民党の大物の先生が言っていました。国民を納得させるには、やはり経営陣が総退陣するぐらいな気持ちになってやらなければ、恐らく再建問題に国民が協力をすることはないだろうと言っていた言葉が極めて印象的であることだけ申し添えて終わります。
  110. 浜野剛

    浜野委員長代理 小林恒人君。
  111. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 けさほど来、同僚議員の質問は国鉄問題に集中をいたしているわけですが、とにかく当面、この巨大産業国鉄がどういう形になっていくんだろうか、これは国民注視するところでございまして、私どもも院内の議論を通じて、五十五年の再建法以来、経営改善計画策定をめぐっても多くの議論を続けてまいりましたし、また、監理委員会設置法を議論する際にも、今大臣をいみじくも国鉄問題については監理委員会にその課題を預けている段階である、こう表現をされていることにも象徴されるように、そういった体制でよいのかどうなのかということも含めて、随分多くの議論を続けてまいりました。  かつて国鉄経営問題が議論されてから以降、再三再四にわたって国鉄経営あり方、こういった問題については、再建計画が何回か策定をされて全部途中で失敗をする、こういう経験をしてきているだけに、国民の目は極めて厳しいし、再建法ができ上がっても監理委員会法ができ上がっても、果たして国鉄再建できるんだろうか、こういった不信感が一つと、また一方では、公共企業日本国有鉄道という名称に象徴されるように、地域の極めて重要な足としての役割を果たしてきていることもまた否定のできない事実なわけでありますから、特定地方交通線の第一次、第二次の取り扱いをめぐっても、ひとり関係自治体の課題ではなしに、多くの国民の皆さん方からたくさんの御意見が出てきたことは、もう周知の事実なわけであります。  こういう重要な時期を迎えて、私は、過般、五月の九日に改めて経営改善計画を変更しなければならなかったその主たる理由は何であったのか、まず冒頭、国鉄総裁にお尋ねをしておきたいと思います。
  112. 仁杉巖

    仁杉説明員 御承知のとおり、再建計画は五十六年の五月にでき上がったものでございますが、その後やはり、当時想定したよりも輸送数量が下がってきたというような実態もございますし、また、その後労使の話し合いも進んで、ある程度要員のというか、事業の効率化ということも進んできたという実態の変化が一つあったという問題点一つございます。もう一つは、やはり国鉄再建監理委員会というものができて、緊急提言が行われたということもありまして、それにいろいろ盛られていることで既に再建計画の中で盛り込んであるものもいろいろございますが、さらに深度化するとか、あるいは新たに加えるというようなものもあるということでございまして、一応六十年までの計画でございますが、五十八年度までの実績で変更すべき点が出てきたということでございますので、再建計画につきまして変更を申請をするというような段取りにして、申請をし、御認可をいただいたということでございます。
  113. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そういう考え方のもとに変更された経営改善計画は、五月の十七日に運輸大臣がこれを承認をする、こういう形になっているわけですけれども、さて、経営改善計画の変更をお認めになった運輸大臣として、当面、監理委員会方向を出すまでの間、国鉄経営体制というのは三たび経営改善計画を変更しなくてもよろしいしいう御認識運輸大臣はなされますか。
  114. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ほどの富塚委員の御質問にもお答えしたのですが、国有鉄道に対する基本的な問題をできるだけ早く実は出していただきたい、こう思っております。今のところ、私どもが漏れ承っておるところでは、来年の夏ごろ、早ければ春ごろ、とにかく何らかの形で一応の案を出したいというようなふうに承っておりますので、さらに経営改善計画をああいった形式でもう一遍修正する必要はないのではなかろうか、そういうことでなく、やはり抜本的な問題に次の段階としては飛び込んでいくという形になるのではなかろうか、その方がいいのではなかろうかというふうに私は考えております。
  115. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国鉄総裁並びに運輸大臣の見解はそれなりに、それぞれの所管する責任者としての御見解については理解をいたしましたけれども、さて、大臣もお認めにとっている当面する国鉄施策の大綱について検討するのは監理委員会、この監理委員会が、五月十八日、新聞各社が報道するところによると、亀井委員長談話を出して、変更したけれども極めて内容は不十分だという指摘をしているわけですね。具体的に何が不十分だという御指摘をされたのか、本来ならば亀井委員長の御出席を求めるべく私どもも理事会の中でも議論してきた経過がございますけれども、きょうは私事務局次長が御出席でございますから、委員長の談話にかかわって具体的に監理委員会としてお考えになっておられる不十分さというものについて、具体的な見解を示していただきたいと思います。
  116. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答えを申し上げます。  五月十七日に、運輸大臣から付議を受けました経営改善計画についての変更案につきまして監理委員会としての意見を申し上げたところでございますが、監理委員会意見といたしましては、今回の計画変更、これは、内容につきましては、ますます悪化します環境の中で、国鉄としても相当の努力を払おうというふうにされているということは十分認められる、ただしかし、その具体的内容につきましては、進捗のおくれとかあるいは具体性に乏しい点があるとかいうふうなことで、昨年の八月に監理委員会の方でお出ししましたいわゆる緊急提言というものの内容の推進と申しますか、具体化と申しますか、そういう点についではさらに今後格段の努力が必要ではなかろうか、こういう御指摘を申し上げたわけであります。  それでは、具体的にどういう点がどうかということについては、これは監理委員会としましてももう少しきっちり詰めて、いわゆる第二次提言というものを出したいということで、これは意見書の中にもその点は書き込みまして、時期についてはまだはっきり決めておりませんが、いずれ近いうちに第二次緊急提言という形で具体的な御指摘を申し上げたい、このように考えておるわけでございます。
  117. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 先ほど総裁答弁の中では、経営改善計画を改めなくてはいけなかった理由の一つに、第一次の監理委員会側からの緊急提言があった。せっかく経営改善計画を改めました、しかし七月には第二次緊急提言をまた監理委員会は行おうとしている。また変えなければいけないのではないですか。変えないで、当面監理委員会が具体的な方策を示すまでこの経営改善計画の変更でもってやっていかれるのですか。
  118. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 経営改善計画の変更を行いました理由につきましては、先ほど総裁が申しましたが、その中で一番最初に申し上げました輸送量の減少に伴って事業規模あるいは経営規模をどうしても縮小しなければならないというところが一番の基本になっておるわけでございます。もちろん、その中に提言の内容を盛り込むということではありますけれども、これはあくまでも、経営改善計画そのものが昭和六十年度という一つの区切りを持って策定いたしておりますので、六十年度という時点をとらえて、私どもはそれまでにこうしたいということを申し上げ、変更をお願いしたということでございます。  したがいまして、第二次提言というのはどういう内容のものになるのか、私どもまだ十分予側はできませんけれども、私どもとしては、六十年度というのはもう間近でございまして、もう既に来年度、六十年度の概算要求も目前に迫っておるような時期になってきている。そういたしますと、実際にはその中でどういうことをやっていくか、これは経営改善計画の今回の変更を盛り込んだものになっていくと思いますけれども、第二次提言がどういうものになるかということは、私どもとしても予測もできませんし、またそれを必ずしも経営改善計画の変更というものと結びつける必要があるのかどうかという点につきましても、今のところは私どもとしてはつかみかねるというような状況になっております。
  119. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そんは無責任な話はないでしょう。いいですか。監理委員会は不十分だと言っているのですよ、経営改善計画は。不十分だ。したがって、そのことをも含めて第二次緊急提言をしなくてはいけない。もっとはっきり言ったらいいんじゃないですか。六十年度まで何とかしてやっていかなければいけないのだから、今どき監理委員会から再三再四にわたって緊急提言をされることは、国鉄としては迷惑だ、そんなものは要らない、こういうことを言われていると同じですよ。あなたは言葉巧みに、大変きれいに表現されますけれども、実際は私だってそう思う。そんなに長い年月の時間があるわけではない。そういう中で、それぞれのセクションでもって精いっぱいの努力をしなくてはいけない。だとすると、精いっぱい英知を凝らしてつくってみた経営改善計画なんでしょう。  私、個人的に言いますと、この経営改善計画にはいろいろと意見はありますけれども、問題は、国民の目から見て、一体どこへ向かって走っているのだろうか、国鉄はどうなるのだろうかということが全く見えない。多分そうなっていくだろうことを、監理委員会設置法の議論の中では私どもは精いっぱい議論をしたのです。しかし、結果として法律はでき上がって監理委員会が設置とされたわけですから、そのものをとやかく言ってみても、法のもとにでき上がっているものですからしょうがないでしょう。そういうことを十分勘案して推し進めるのが監理委員会の側としての良識ではないのかな、このように考えるのですけれども、監理委員会、もう一度、七月に予定をされる第二次緊急提言、この焦点となるものを含めて御説明願えますか。
  120. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 第二次提言につきましては、これはまだ監理委員会としてもこれから検討をする段階でございまして、まだ具体的にどういう事項をどういうふうに指摘するかということについては、現段階ではまだ決まっていないわけでございます。  それから、先ほどの御質問に関連いたしますが、第二次提言は主として六十二年度、要するに法律によりますと、六十二年の七月までに国鉄事業の健全経営の基盤確立のための体制を整備する、こうなっておるわけでございまして、したがって、そういう新しい効率的な経営形態等を踏まえた形で六十二年までにどういう措置をやっていかなければいけないかということが中心になると思います。経営改善計画は、六十年度、もうすぐ、あと一年後の六十年度を目指した当面の国鉄としての努力目標ということでございまして、私ども監理委員会もその経営改善計画内容そのものについて、これは間違っているとか、これはおかしいということを言っているわけではございませんで、進捗のおくれとか、あるいは具体性が乏しいというふうな点があるので、我々の昨年の緊急提言に沿ったいわゆる緊急措置というものを進めるためには格段の努力をしてくださいしいう努力をお願いしておるわけであります。中身が間違っているというふうに申し上げておるわけではないわけであります。そういうことでございますのでその点をひとつ御了承願いたいと思います。
  121. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 内容が間違っているわけではないけれども、不十分だと指摘をしたことは間違いのない事実ですね。そうですね。そしてまた、第一次提言の際に手厳しく監理委員会から指摘があったから経営改善計画を練り直さなくてはいけないとして、国鉄の側では緊急に経営改善計画の練り直しをやったことも事実、そうですね。事実だけを私は言っているのです。こういうことでは、国民の目から見ればやがて国鉄はどうなっていくのかということは全く見えない。当面の国鉄の監督官庁の責任者としての運輸大臣の見解を、ここで求めておきたいと思います。
  122. 細田吉藏

    細田国務大臣 監理委員会が今年七月にどういう提言をなさるかというのは、私の想像の限りではございません。今、林次長からの御説明がありましたが、経営改善計画そのものを否定するというような形のものであろうとは私は想像いたしておりません。その中でもっと深度化しろ、あるいはもっと努力をする必要があるんじゃないか、あるいはたまたま六十年度予算編成の時期になりますから、これは想像ですよ、想像ですが、国鉄の例えば工事経費についてはこういうふうに考えるべきではないかとかいったような、経営改善計画の大枠の中におけるやはりいろいろな監理委員会としての御意見が出てくるのではなかろうかというふうに思うのでございまして、お出しになるというのを我々でとやかく言うあれはございませんので、出た上で見なければいかぬ。ただ、経営改善計画、これはけしからぬからもうだめだ、こんなものはつくり変えろというようなものをお出しになる余地は恐らくないのではなかろうか、かように私としては考えております。
  123. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そんなに多くの時間がない中で、運輸省国鉄も、そして監理委員会も、そればかりではなしに、国会としても十分国鉄のあるべき姿というのは見詰めていかなければならないし、議論をしていかなくてはいけない、こういった分野では私は一致をすると思う。したがって、今大臣が表明をされているように、不十分だ、こういう指摘はあっただろう。それがどうなるのか、内容は定かではないけれどもという言葉に示されるように、今後の取り扱いというのは、緊急提言の第二次が出たからまた経営改善計画を練り直さなくてはいけない、こういうことになっていくのだとすれば、結果として、先ほど議論されているように、現行の国鉄の総体要員、昭和五十九年度は三十四万五千人体制です。さらに五十九年度中に要員減計画というものが具体的に示されて、二万五千人程度の減員を行いたい、こういった計画もあるわけです。それぞれ系統別に示されている。そういったものが今後労使の団体交渉の中で詰められていくことになるのだと思いますけれども、例えば先ほど議論をされている余剰人員二万四千五百名の取り扱いをめぐっても、これはある日突如として、新年度を迎えて要員を試算をしてみたら二万四千五百人の余剰人員がおったというものではないわけですね。第一次の経営改善計画をそのまま真っ当に進めていけば、年度首には二万八千人ぐらいの余剰人員が出るということは明らかだったんです。ただ具体的に二万八千もの人々の対策を講ずることができなかったわけでしょう。私はそう思うのですよ。     〔浜野委員長代理退席、久間委員長代理着席〕  そこでお伺いしたいと思うのですが、なるほど年間を通ずると、年度末の特退時期に相当数の退職者が見込まれるでしょう。これも要員を試算する際には重要な数字だと思います、根拠としては。それと合わせて年度当初に二万四千五百人の余剰人員が出たのだとすれば、一年間遊ばせておくという考え方を持っているとは私は思わないのです。だとすれば、従来から進めてきた配置転換という問題も当然管理局ごとに行っていくことになるだろう。一体、二万四千五百人の職能別、職種別の過欠状況というのは明らかに把握されているのですか。
  124. 太田知行

    ○大田説明員 それぞれの地方機関においてそれぞれ業務を遂行するのに所要とする要員を把握しておりますので、数字は把握しておるわけでございますが、本日は持ち合わせておりませんし、また系統別の掌握というのは本省としてはやっておりませんが、傾向的には申し上げ得ることでございますので申し上げたいと存じます。  施設系統、電気系統におきましては、余剰人員はただいま暫定グループという形で外注を予定している部分を先送りいたしまして充当しておりますので、形の上でといいますか、顕在化した形では余剰人員は出ておりません。で、五十八年度の合理化の主たる分野は貨物でございまして、その中でも、なかんずく構内作業の分野でございますので、余剰人員の発生している系統は貨物系統に多いというふうに申し上げられるかと存します。
  125. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 本日、過失状況を持ち合わせておらないというのは、私の方でもあえて要求しておらなかったことですからやむを得ないと思いますけれども、後ほどで結構ですから、その数字についてはお示しをいただけますね。
  126. 太田知行

    ○大田説明員 先生先ほど指摘ございましたように、二万四千五百人の現時点においての余剰人員、そして年度末、本年度末においてはさらに三千ないし五千名上積みされるであろうという想定のもとに、したがいまして、三万大規模の余剰人員を念頭に置きながらその対策を講じつつあるところでございまして、なかんずく、その制度的な面で勧奨退職の制度の見直し、依願休職制度の拡大、そして派遣制度の拡大という形で考え方を示し、七月上旬には具体的に制度の内容を固めまして、案として組合に提示し、団体交渉に入りたいと当方としては希望しているわけでございます。事は本社、本部で当分の間推進することに相なろうかと存じます。その枠組みが決まりますと、実施段階ということに相なりまして、地方機関でそれぞれ具体的に問題を展開するわけでございます。  私は、この地区別、系統別の具体的な問題につきましては、その時点ではもちろん問題になるのでございますが、現時点、本社、本部で団体交渉をまさにこれから進めようという時点での数字の提示はぜひともお許しをいただきたいというふうにお願いする次第でございます。
  127. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 お許しをいただきたいという理由がちょっとわからぬのですがね。おまえたちはそこまで心配する必要はないぞ、こういう意味ですか。
  128. 太田知行

    ○太田説明員 ただいま地方機関におきましては、この制度の提供はもちろんできないわけでございますが、当面発生してまいりました余剰人員につきまして、それぞれ地区別の実情を勘案しながら創意工夫を凝らして活用を考えているところでございまして、私どもは、もちろんその活用だけではこれは決して十分とは言えない状況を勘案いたしまして制度の創設を提案しているところでございますので、なるべく早い機会にそれを固め、実施に移りたいというふうに希望しているわけでございます。その時点で問題を具体的に現実的に展開いたしたいということでございますので、トータルの数字は今申し上げましたように、これはもうはっきりしているわけでございますが、細部の数字は明らかにすることをお許しいただきたいというふうに申し上げている次第でございます。
  129. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 別に数字が出たからこうこうと言うつもりはありませんよ。しかし、既に累積債務二十兆円を超えた国鉄に二万四千五百人を超える余剰人員が出るというのは、社会問題になっているのです。いいですか。どういうところでそんなにも余剰人員が出ているのか、こういう疑問を持つのは、国鉄に関心を持つ者なら当たり前じゃないですか。わけても私は国鉄の出身ですから、そういう意味では、例えば二十年も三十年も電気の職場で働いてきた者が営業に行って仕事ができるわけでもありませんし、貨物ヤードで働いてきた人たちが逆に技術屋としての第一歩を五十を過ぎてからやっていくことが大変なことだということは、私自身だって今までそういう仕事をやってきたわけですから、よく知っているのです。また、広域配転問題というのは、一時期随分大きな課題になった時期もあるわけですから、局別にどれぐらいの余剰人員を持っているのかということについて関心を持たざるを得ないし、そういったものを明らかにして、国民の合意を得ながら、余剰人員というものについての一定の結末を見出していく、こんなことが大事なことなのじゃないですか。国会という場に明示をすることはできない、国会議員に示すことはできない理由がどこにあるのですか。
  130. 太田知行

    ○大田説明員 金剰人員対策は、ただいま大別しますと二つでございまして、一つは現在の組織、業務を現状形態の中において活用を図るという面。そして余剰人員の規模が非常に膨大であるということにかんがみて、到底それでは活用し切れない面がございますので、いわば調整策としての制度の創設を考えておるということでございまして、この制度の方も本人の希望が柱になりますので、一体どのくらいの対象適用人員に相なるかはなかなか把握しにくいのでございますが、やはり不満も心配も一方ではあることも事実でございます。なるべく早くこの制度を創設して、この対象適用を明らかにしてまいりたい。その時期でバトンが地方の地区別の現実問題に移るわけでございますので、それまで数字を明らかにするここをお許し願いたいというふうに申し上げておる次第でございます。
  131. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 先ほど来の同僚議員の質問の中でも、いわゆる労使の間での団体交渉が必ずしもスムーズにいっていない、こういった議論がなされておりました。それぞれ通達問題をめぐって論争があったり、国鉄当局としては規程、規利等をめぐっての見解を示してみたり、いろいろあるのでしょう。  しかし、例えば今年の六月十四日の段階でもう既に高砂工場については研修業務を中止する、鷹取工場に四百名を超える要員を配置転換しなくてはいけない。このことをめぐって、本社、本部間の団体交渉の中では、第一にこの高砂工場の技術、技能を鷹取工場において一体となって十分生かしていくことが必要だ、そのことを主軸として円滑な職員の配置転換を行うための議論がなされてきた。しかし、一方で現場の段階ではどんな議論がなされているかというと、そんなことは管理運営事項だ。団体交渉がなかなか進展をしない。七月二日から鷹取工場の研修開始に向けて要員に辞令を出さなくてはいけない。こういう状況があるにもかかわらず、団体交渉がまとまり、四百五名の職員各位に内命を行ったのは結果的に昨日ですね、ぎりぎりいっぱいになってから。こういったことが現実にあるのです。もう高砂工場に入場してくる列車ダイヤはない。七月二日からは鷹取工場で実施をするわけだから、鷹取へのルートに全部ダイヤが変わっている。そういった状況でも要員配置そのもので大変な苦悩をしているという実態一体何ですか。こういうことが現実にあるのです。工場間異動でさえもこういう問題があるのですよ。  太田さん、あなたは、十分な議論を詰めるために、また慎重に対応していくために軽々に数字を外部に指し示すことについてはお許しをいただきたい、こうおっしゃるけれども、私はある意味では国鉄の内部を知っている者の一人として、こういった一つの現象、これは取り上げれば枚挙にいとまのないほど数多くあるのですが、そういったものは、まず最初に労使問で解消していかなければならない最大の課題なのではないですか。そこが解消されないから、あえて数字を示せと要求しているのですよ。私はあえて数字を出していただかなくてもいい、こういう問題は再び起こらないという約束をしてくれますか。
  132. 太田知行

    ○大田説明員 高砂工場を廃止して、その機能を鷹取工場に移管せしめるという計画につきましては、もう大分前から具体化しておりまして、受け入れのために鷹取工場の側でかなりの設備投資も現に進捗中でございます。そういう計画を受けまして、現地の労使間におきまして、まさに労働条件に関する事項につきましては団体交渉が相当長期間にわたって進展をしているところでございます。  それで、計画の中身と実員の異動の問題、これはもちろん密接に関連いたしますけれども、同時並行というわけにはまいりませんので、ある時期までは事柄の方が先行して論議せられ、ある時期以後実員の取り扱いが進行するというのは、宿命的な関係でございます。正確に何月何日どここで申し上げるほど私も知識は持っておりませんので、多少一般論に相なりますけれども、高砂工場もそういう段取りを経まして、これはまさに配置転換でございますので、実員についての協議を進めていたと聞いております。いろいろ関連する事項が多くて難航はしておったと聞いておりますが、実質妥結をしたと聞いて喜んでいる次第でございます。長年働いていた工場が変わるわけでございますから、大変であろうことは心配しておりましたけれども、労使で詰めてくれたことについて、私は大変高い評価をしたいとしている次第でございます。
  133. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 この問題は一断片でありますから、このことばかりを議論するわけにはまいりませんけれども、将来にわたって、将来といっても決して遠い将来ではなくて、近い段階でもっと多くの問題が発生をしていくことになるだろう。現行で二万四千五百の余剰人員、加えて今年度中にもまた二万六千二百名ですかの要員合理化を行いたいという計画なんですから、そういう意味では膨大な数字をどのように取り扱うのか。それぞれ人格を持った人々の配置転換をしていかなくてはいけない、あるいは将来的に国鉄当局の側ではまた別なことも考えているようでありまするけれども、取り扱い方だけは慎重を期していく必要があると思いますので、これはまた後日に議論を移したいと思っております。  次の問題に移りますけれども、特定地方交通線の第二次選定分として三十三線区、国鉄の側から申請のあった部分に対し、それぞれ五十七年の十一月以降、知事の意見書を承るという問題が滞ってまいりました。今年の五月段階でそれぞれ集約をして、六月二十二日に運輸大臣名をもって承認行為が行われたわけでありますけれども、特に北海道で四線区、天北、名寄、池北、標津等については長大線、百キロを超えるといった理由やら、あるいは積雪寒冷ということなどをも考慮をして保留措置がとられました。加えて、代替バスの運行が極めて困難だという理由をもって岩泉線やあるいは名松線などについて取り扱いが留保されているわけであります。  一次の取り扱いから見ますると、今回はある意味で、この事柄だけを見ても慎重な取り扱いをされたのかなという気がしないではありませんけれども、そのほかに例えば長大線、百四十一キロを超える羽幌線の取り扱い、あるいは百キロを超えるという線区があったり、あるいは積雪地で、現実には調査の中では示されなかったけれども、ヒアリングの中ではそれぞれの自治体から現状について示された線区があったやに伺っております。特に北海道の広尾線、湧網線、羽幌線、胆振線、こういった多雪地帯の取り扱いや、あるいは基準値を超えていると伝えられております松前線の取り扱い方、こういったものなどトータルにして二次線の今後の手続、手順について御明示を賜りたいと思うのであります。
  134. 永光洋一

    ○永光政府委員 今先生お話しになりましたように、六月二十二日に二十七線につきまして承認を行いました。  まず承認をいたしました二十七線につきましては、当然再建法に基づきますところの手続きに従いまして協議会を開催し、地元と陸運局なり国鉄と代替バスあるいは第三セクター等の方途を一応二年間の期間の中で議論をする、あるいはお話し合いをするということになろうかと思います。したがいまして、その二十七線につきまして今後協議会をいつごろから始めたいかというような段取りにつきましては、国鉄でいろいろ現在検討中であると思いますので、近々に協議会の開催等の日取り、今後の手順につきまして申請があると思いますので、それに基づきまして法に従うところの手続で処理をいたしたい、かように考えております。
  135. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 一次線の取り扱いもまた相当線区で残っているわけです。それからこれは一次線を取り扱う際に、私どもの方から個々に申し上げておいた部分で、例えば見切り発車をするなとか、あるいは廃止を前提とするなどか、協議会そのものについては民主、公開にせよとか、さらに協議会は現地で公開をせよ、こういったもろもろの要求を随分出しました。結果として、運輸省が原案をつくったとおり会議規則が明示をされて、そのとおり進められてきているわけです。  しかし、一次線の場合でも、例えば会議規則に附則をつくるとかあるいはあの中には示されていなかった分野で部会を設置をする、あるいは専門委員会を設置をする、部会、専門委員会等の規則もつくる、こういったことが行われている地域もあるわけですね。そういう意味では、全国的に見ますると第一次線の取り扱い方というのは極めてアンバランスがあるのではないだろうかという気がいたします。それだけに自治体の要求も大変大きなものがあることについては、運輸省の側でも国鉄の側でも十分御承知おきだと思いますけれども、こういう経験を体して、第二次線の取り扱い方についてはさらに全国統一をした整合性のある協議会体制といったものを推し進めていくという考え方はございますか。
  136. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 今、一次線のお話も出ましためで現在の模様を申し上げますが、御承知のように全体で四十線ございまして既に転換をいたしましたものが八線でございます。それから転換の方向が決まっておるものが十二線、ほぼ決定しておるものが一線ございます。それから現実に輸送量が二千人を超えていることによって協議が中断しているというのが三線ございまして、今までの申し上げましたものを合計しますと二十五線ということで、あと十五線について現在協議を続けております。  先生おっしゃるように、あくまでも協議会の主体性にお任せしておる話でございまして、協議会の中では必ずしも廃止前提にかかわる問題だけではなく、いろいろな問題が出ております。存廃にかかわることですから、例えば最後に列車を増発して実験をしてみたいとか、そういうお話を含めて出て、そういうものに対応しておるということでありまして、一定の基準を設けておるというよりも、専らその協議会の主体性にお任せをして、転換輸送をどう確保するかということを中心に幅の広い協議をしていただいておるというような実情でございますので、二次線につきましても同じような趣旨で協議をしていただきたい、このように考えております。
  137. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 岩崎常務、最後のくだりでちょっと付言をされておりましたね。ローカル線の取り扱い方については地域の要望を十分に受けとめて作業を詰めているというお話がありました。具体的な例を示したのは、例えば大畑線のようなところがありますね。それぞれ関係組合や自治体が挙げて、運転方式を含めて改革をしてみてはどうかという具体的な例が示されている。今後二次線の場合はとりわけ長大線が多くなっていくといったことも含めて勘案するとすれば、ここは大切にして本当の意味での地域の整合性ある交通網の維持・整備といったものを公共企業体である日本国有鉄道がしっかり担っていかなくてはいけないだろう、こういう気がしますけれども、ここは従来にも増してしっかりと地域の要望を聞いていただけますね。
  138. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 地域の要望といいますのは協議会の中におりる沿線市町村長の御発言の形で出てまいると思うのですが、そういうものを軸にいたしまして、現実に今までの協議でもいろんなお話が出ているわけでありまして、協議会の本来の使命である転換後の代替輸送を確保するという筋道から大きく外れない範囲において出てくるお話にはよく耳を傾けて十分に協議を尽くしていただきたい、これは今までやっておることでもありますし、今後もそのような態度で取り組んでまいりたい、このように考えております。
  139. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 最後に一つ。過般、青函トンネルに対する青函トンネル問題懇談会の答申が出されました。私もこれを一読させていただきましたけれども、いよいよトンネル本体が完成に近づきつつあるという状況の中で、トンネルの利用をどのように推し進めていくか、いわゆるトンネルの利用方針を示してほしいという要望を、何回か当委員会でも私自身申し上げたことがあるのでありますが、具体的には検討中ということで留保されてまいりました。ただ、この懇談会の報告がなされた段階で運輸省としてはさらに詰めて、トンネルの利用法等についてどのような検討が進められてきたのか、中間的な御報告で結構でございますので、お知らせをいただきたいと思います。
  140. 永光洋一

    ○永光政府委員 青函トンネルの有効活用方途につきまして内部でいろいろ議論いたし、かつ御案内のように斎藤さんを座長にいたしますこの懇談会の報告が出まして、その選択の中で、いわば一つの方途としては、鉄道で利用するということを基盤に、カートレインということを一つの柱に御提言がありました。その後、我々としましては、カートレインの運営主体とか、あるいは既存のいわゆるフェリー会社等に与える影響だとか、輸送需要等をもう少し詰めるという必要がございますので、これらを我々なり鉄建公団と現在いろいろ詰めておりますが、さらにこの懇談会のレポート等を北海道開発庁あるいは国土庁等にも御説明いたしまして、北海道開発庁等、関係省庁も非常に関心を示されまして、内部でこれに対応するいろんな研究をされておるというふうに聞いておりますので、我々ももう少し公団等と今申しました運営主体なりあるいは需要などを的確に把握した暁には、さらに具体的に関係省庁とも相談をしてこの利用方法について詰めていきたい、こういうように考えております。
  141. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 終わります。ありがとうございました。
  142. 久間章生

    ○久間委員長代理 近江巳記夫君。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、主といたしまして国鉄問題、また関西新空港を中心といたしました空港問題等についてお伺いしたいと思っております。  まず初めに、国鉄問題についてお伺いしたいと思っておりますが、今日国鉄が抱える問題というものは余りにも大きな問題が山積しておるわけでございます。新総裁もその中、あえて重責を担われた、こういうことで非常に御苦労のほどを察するわけでございますが、国民国民の足としての国鉄立場ということは非常に深く理解もしておると思います。そういうことで、何とかよみがえってもらいたいというのが偽らざる心境ではないかと思うわけです。  この国鉄改善計画というものがまた今回変更を余儀なくされたということでございますが、この主たる理由につきましてお伺いをしたいと思います。
  144. 仁杉巖

    仁杉説明員 先生御承知のごとく、国鉄再建計画は昭和五十六年五月に策定されたものでございます。そのときから五十八年までの経過を見ておりますと、その当時想定した輸送量が必ずしも期待したような数字になっていないということが一つございます。もう一つ、いろいろな事情がございましたが、労使の関係も改善の兆しを見せまして、いろいろ職場の効率化というようなことも進んでまいりまして、当初予定した人員よりも効率化を進めることができそうであるという見通しに立ったというような問題点が数の問題としてございます。  一方、昨年の夏に御承知のごとく国鉄再建監理委員会というものができまして、八月に緊急提言がなされておるわけでございますが、この中でたくさん我々が今までやりましたこともございますが、新たにつけ加えられたこともございますし、さらに今までやってきたものをもっと深度化しろというような御指示もございます。それらを踏まえまして実は昨年来いろいろと検討を進めてまいったわけでございますが、やはりこれは一つの目標であるということで、数字その他も変わる、内容も変わるというような面もございますので、これを改定するという決断をいたしまして運輸大臣に申請し、御認可をいただいたというようなことでございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 今、監理委員会が設置されまして、根本的な問題について討議をされているわけでございますが、やはり何といいましても主体者は国鉄であり、また監督官庁の運輸省である、このように思うわけですが、そういう中で非常に大きな問題は累積債務の問題でございますね。あるいはまた、要員の問題、年金問題、いろいろあろうかと思うわけですが、二十二兆円と言われるこれだけの膨大な累積債務、これを実際どう今後持っていくのかということは一番大きな問題じゃないかと私は思うのです。それにつきましては監理委員会に対してもいろいろと進言されていると思うのですけれども、総裁の率直なお考えをひとつお伺いしたいと思うわけです。
  146. 仁杉巖

    仁杉説明員 私、就任以来、国鉄経営実態がどういうふうになっているかということで事務当局の説明も聞きましたし、また、不足の部分につきましては私から指示いたしまして、実は最近大体の傾向をつかんだというふうに御理解願っていいと思うのでございますが、それを見ておりますと、実は累積債務の問題と国鉄年金負担の問題、この二つの問題があります限り、どうも企業体としての経理がうまくまいらない、こういうふうに考えておるわけでございます。  ちょっと角度を変えて申し上げますと、例えば私鉄の経営というもの、これは大私鉄、中私鉄、小私鉄とあるわけでございますが、それらの経営状態を見ておりますと、国鉄との運賃格差があるという問題が一つございますが、それを別にいたしましても、支出の面を見ましても、今国鉄が抱えているような非常に膨大な累積債務を抱えるとか、あるいは年金負担を持っていくということでは経営が成り立たないというふうに理解をするわけでございまして、これらにつきましては、もちろんその前提として国鉄自体が十分な革新と申しますか、みずからの努力を重ねるということが前提になるわけでございますが、それにしても、累積債務あるいは年金の問題というようなものにつきまして国等から御配慮をいただきませんとどうも経営がうまく回っていかないというのが現在における私の率直なる考えでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 総裁も率直に、特にこの二つの問題についてはもう国鉄当局としてはどうしようもないというような趣旨じゃないかと思いますが、これは政府全体が真剣に取り組まなきゃならない問題でございます。  直轄の運輸大臣としては、今総裁のそうしたお話もございまして、特に国鉄出身の大臣とされまして、これだけの大きな重荷があるわけでございます、どのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  148. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ほども申し上げましたが、国有鉄道長期累積債務をどうするかということは国鉄にとって最大の問題であることはもう間違いがないと思います。一体なぜこれだけの累積債務がたまったかということについて、実は細かく検討をいたしております。ただ、過半数といいましょうか、累積債務の相当大きな部分が施設の投資によってたまっておるということは、これはもう間違いがない事実でございます。これは、新幹線もさようでございますし、それから貨物の設備投資なんかについても相当な金をかけておるが、結局有効に働かなかったというようなものもございます。  こういう格好になっておりまして、特に、いわゆるインフラストラクチャーの部分に対する国鉄投資というものに対する考え方を転換をしていただかなければ解決の方法がないんじゃなかろうかというふうに考えております。実際上の経営の損失というものはともかくとして、そういう投資に対するものについては何らかの方法で肩がわりをしなきゃならぬ、していただかなければ解決の道がない、かようにふっておりまして、実は、昭和五十五年だったかと思いますが、五兆円の棚上げというものをやったことがございます。  その後、だんだんまた膨れてまいっておるわけでございますが、今、何といいましても一般会計が御案内のように非常に窮屈な状況でございますので、単純に国がこれを肩がわりするということができることかできないことかを考えますと、なかなかそこに困難な問題がある。昭和五十五年当時やれたようなことが一体やれるのかどうかということを考えてみますと、まず常識的には、国の財政再建考えておる立場からいうと非常な困難がある、抵抗があるということは間違いがないと思うのでございます。  そこで、何らかの知恵を出してこれを解決する方法考え出さなければならない。いろんな方法考えられると思いますが、何らかの形でこれを解決をする道を見出したい、このように実は考えておる次第でございます。したがって、今年度末二十二兆円のうち、どの程度のものをどういうふうに考えるか、一般会計が直ちにこれを負担するということはなかなか困難なことでございましょうから、これをどういうふうにするというようなこと、これを今私どもの方のプロジェクトチームをつくっていろいろ考えさせておるところでございます。そのうちに成案得たい。  しかし、いずれにしても、非常に困難なことであることには間違いがないと思っております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 プロジェクトチームでいろいろと検討されている。それはもう当然のことだと思いますが、その知恵といいましても、そう奇想天外なものは、こうした厳しい財政状況のもとですし、ないと思うのですね。そうすると、やはり長年携わってこられた大臣としては、国の財政をにらみながらもこれをしていかなければ、国鉄としては立ち上がることは無理だと私は思うのですね。  で、大臣がお考えになっていらっしゃる何かいい知恵、できるできないは別として、こういうことを私は考えておるんだというようなことをちょっとひとつ披露してもらいたいと思うのです。
  150. 細田吉藏

    細田国務大臣 考えがないわけではございません。おおむね三つぐらいの考え方を持っておりますがその内容につきましてはいましばらく御勘弁いただきたいのでございます。今せっかく私どもの津島政務次官を中心にいろいろ練っておるところでございまするので、私がここで私見を申し上げることは御勘弁をお願いしたいと思います。  しかし、御質問にもございましたように、そうたくさんいい方法があるというふうには私は考えておりません。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 今大臣がおっしゃって、一瞬仁杉総裁、にこっとなさって、そういういい案を大臣はお持ちなのかなというので国鉄幹部諸君の目が一瞬輝いたように私は思うのですが、大臣は、この場では少し待ってくれということですからあえて踏み込みませんけれども、その辺の考え方監理委員会の方々にも十分お伝えになっていらっしゃるわけですか、どうですか。
  152. 細田吉藏

    細田国務大臣 プロジェクトチームで今やっておりますし、私の考え方も入れまして監理委員会委員長初め皆様方には御進言を申し上げるつもりでおります。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 監理委員会からもきょうは来ていらっしゃるわけでございますが、当然これは一番大きな問題だと思うのですね。監理委員会としては全般の問題を計画をなさっているわけでございますけれども、この問題は一番大きい問題だと私は思うのですね。これは監理委員会としても最大の問題として今検討されておると思うのです。なかなかお話しになりにくい点もあろうかと思いますが、考えの一端をひとつお伺いしたいと思います。
  154. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  長期債務等の問題につきましては、いわゆる鉄道事業の健全経営を確保していくという観点から見ますと、やはりこれは何らかの形で処理をしなければならない非常に重要な課題であるというふうに監理委員会としても認識をいたしております。これを全部しょったのではとても健全経営は行えないということはもう自明のことでありまして、何らかの措置が必要であるということでございます。  したがって、私どもとしましては、法律上の任務といたしましても、効率的な経営形態の確立、それからもう一つ長期債務等の処理、この二つをパッケージとしまして何らかの解決策というものを見出さなければならぬという立場にあるわけでございまして、そういうことで、昨年の秋以降かなり実態分析その地やってきておるわけでございます。ただ、やはり非常に膨大な額でございますので、簡単に結論を出せるようなものではないということで、まだ若干時間がございますので、これから十分委員の間で審議をいたしまして実効性のある結論を出したいというふうに考えておるわけでございます。  現段階では、具体的にどうするかというところまではまだ煮詰まっている段階ではございませんので、ちょっとここで申し上げることができないわけでございますけれども、これからその問題については鋭意具体的な検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 監理委員会さんとしても相当真剣にこの問題については取り組んでいらっしゃる。特に細田大臣は非常に、秘中の恥といいますかそういう腹案をお持ちのようにお伺いしたわけでございますが、ぜひこの問題はきちっとしてあげなければ国鉄としては飛び立つことはできないと私は思いますし、そういった点、ひとつ英知を結集していい案を出していただきたい。総裁もその中でいろいろと大臣と協議なさっていると思いますが、国民もその点は非常に期待しているわけでございますので、頑張っていただきたいと思います。  それから、要員の問題でございますが、このままでいきますと相当な余剰人員が出てくるということでございますね。考えてみますと、かつての炭鉱閉鎖、いろいろございました。こういうときには通産省が全力を挙げて、政府挙げて取り組んでいるわけですね。こういういろいろな問題について、当然これは監理委員会をつくられて、政府の取り組み姿勢ということはわかるわけでございますが、特に担当の運輸省として、かつて通産省が炭鉱の問題について総力を挙げたごとく、これは目前に来ている問題でございますので、どういう対策をお持ちなのか、初めに仁杉総裁からお伺いして、大臣からお伺いしたいと思います。
  156. 仁杉巖

    仁杉説明員 国鉄の諸問題の中で過去債務の問題は今先生の御指摘のとおりでございますが、それ以外にも年金の問題、もう一つ大きな問題がやはり要員の問題ということでございます。これらにつきましては、まだ運輸省あるいは監理委員会等とも最終的にどういうふうな方針でいくかということにつきまして私ども意見も申し上げてございませんし、また運輸省あるいは監理委員会からも御指示は得ておりません。しかし、今の状態のままで推移するわけにはいかないわけでございまして、やはり余剰員対策というものを深度化していくということはどうしても必要であるというふうに私は今考えております。これらにつきましては、今先生から御指摘のあったような問題点も当然考えなければいけないかなと思っておりますが、やはり立法その他の問題もございますので、運輸省あるいは監理委員会等とよく御相談をしながらまいりたいと思っておる次第でございます。
  157. 細田吉藏

    細田国務大臣 実は過員の問題は、二万四千という膨大な数字とは私どもは予想してなかったわけでございます。それ以上の大きな数字が出たのでございまして、今総裁からもお話がありましたが、国有鉄道としてどういうふうにするかということについていろいろ検討もし、それから実行もいたしておるし思うのでございます。私どもの方でももちろんこれを受けていろいろ検討をいたしております。  これは雇用の問題、また労働関係のある問題でございますから、しかく簡単な問題じゃないわけでございまして、どのような方法をとるか。とりあえず私から国鉄総裁にお願いいたしましたのは、増収という部面にとにかくもっと活用を、少なくともとりあえず活用できないかどうか、してもらいたいということ、それから国鉄の周辺に関係団体がたくさんあるわけでございますが、こういうところでもっと積極的に人を採用してもらうという形をできるだけとってもらいたいということをとりあえずお願いいたしております。今、炭鉱離職者のお話がございましたが、ちょっと性格が違うものではございますけれども、全体としてはもっと計画的にどういうふうにやるかということを考えていかなければならぬと思います。その上で、いろいろ立法措置等も場合によっては必要かもしれません。そういう点についてはこれからの問題として今考えておる最中であるというふうに御理解をいただきたい、かように思います。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 国鉄職員三十数万、今後退職していかれる方、不補充というようなこともおっしゃっておりましたけれども、それにいたしましても、家族を含めますと百万以上になりますね。やはりそういうことを考えてまいりますと、こうした余剰人員の問題を初めといたしまして、これは本当に真剣に政府を挙げて国鉄中心考えていただかないと、安易な気持ちで取り組んでいただくということは非常にまずいと思います。そういうことはないと思いますけれども全力を挙げてこれは力を入れていただきたいと思うわけです。  それからまた、年金問題につきましては、国鉄の場合は一対一で支えるという考えられないようなことで、ほかは平均で大体十人に四人ぐらいですね、OBは。そういう点からいきますと、先般の統合法案によりまして一息ついていると思うわけですが、すぐにまたやってるわけですね。六十五年まででしたかね。これは非常に大きな問題であると私は思いますし、この年金問題についてはどのようにお考えであるのか、総裁、大臣からお伺いしたいと思います。
  159. 仁杉巖

    仁杉説明員 実は、年金問題も将来の国鉄経営を見ますと非常に大変な問題でございますが、昨年年金の統合法案をいろいろ御審議の上成立させていただいたといういきさつがございまして、御承知のとおり六十四年まではほっと一息ということでございますが、それ以降の問題も決して小さい問題でないということは先生の御指摘どおりでございます。これらにつきましても今担当の常務がいろいろと考えておりますが、現在は、昨年成立いたしました法にのっとりましての財政調整委員会が行われているというような段階でございますので、今すぐ何かをするというふうには考えておりませんが、財政調整委員会等の審議過程等も一応踏まえ、また、それの結果等も見ましていろいろとお願いをしなければならぬかと思うわけでございますが、これもなかなか大きい問題で、ほかの年金との問題等もございまして簡単ではないと思いますが、これらにつきましても、運輸省あるいは監理委員会等にも十分実態を申し上げまして御指導願うようにお願いをしたいと思っているわけでございます。
  160. 永光洋一

    ○永光政府委員 年金の問題は二つあると思います。  一つは、先生も御承知と思いますが、要するに共済組合の方の年金の危機的な問題でございまして、これは今お話しのように、六十四年まではどうやら一息、一応めどが立った形になっておりますが、その後は確かに不透明なものになっております。しかし、今お話がありましたように、当面は他の公社、国家公務員との調整事業によってこの五カ年間はとにかくやりくりをしていく、その間他の共済あるいは公的年金の一元化という政府としての方針のもとに、何とか六十五年以降の展望も見つけたいということで今後努力したいと思いますが、当面、少なくとも六十四年までの調整事業で各公社あるいは国家公務員からのような形で助成を仰ごうかということの方が現在のところは関心があるわけでございますが、今後、当然六十五年以降のことも我々は考えながらやっていかなければならぬと思っております。  さらに、今度は逆に、共済組合の方はとりあえずということでございますが、それに対する国鉄経営からの共済組合への支出という項目につきましては、従来と同様、もしくはそれよりもさらに賦課されるような形になっておりまして、長期債務の問題と国鉄経営に及ぼす年金負担という問題が大きな構造的な問題になっている。監理委員会においては、この構造的な問題について経営形態とあわせて御審議になるごとにその役割がなっておりますが、我々としましても、この年金国鉄負担という大きな問題につきましてもいろいろ議論いたしておりまして、監理委員会ともいろいろ御協議の上、適切な措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 年金予算も三千二百八十八億ですね、今データを見ますと。やはり非常に大きなものになっておるわけですね。退職金負担も二千九百十八億、膨大なものになっておるわけでございます。これは大臣、国鉄も非常に頭を痛めておられる問題でございますけれども、これについてどのように対策考えていらっしゃいますか。
  162. 細田吉藏

    細田国務大臣 年金の問題は、私の個人的な見解でございますけれども、金額は累積長期債務よりも小さいのですが、解決の方法はより難しい問題だと実は思っております。ということは、年金は他の団体にもたくさんございますから、国有鉄道だけが負担が大きいからといって特別な扱いをするというわけにはなかなかまいりかねるというところに非常に難しい問題があると思っております。  したがって、これについては名案なしと言うと大変よろしくないわけでございますが、どういう形で、これを全体の赤字に対する補助のような形でやっていく以外にはやはりどうも方法がないんじゃないか。ただ年金だけとしての処置をするとなると、他へ波及してまいりますので、やはり全体の赤字の中での処理ということにする以外にはないんじゃなかろうかなと、実は私見としてはさように思っておりますが、いろいろ考えておるところでございます。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 この一つ一つの問題を取り上げてまいりますと、本当に質問しておる方も国鉄の重みといいますか、ずしりとくるわけでございます。本当に責任者の皆さんも大変だと思いますけれども、しかし、これから逃げるわけにいかぬわけですから、やはり責任者として一層勇気を奮い起こして、英知を結集して対処をしていただきたい、このように要望いたします。  それから、監理委員会でいろいろ検討なさっていると思いますが、先ほども同僚委員の方から青函トンネルの問題もちょっと出ておったわけでございますが、また本四架橋の問題も続いてあるわけですね。これもお聞きしますと、大変な金が今後年間通じて要るわけですね。これもまだまだ結論は出ておらないと思いますが、基本的にどのようにお考えか、総裁と大臣からお伺いしたいと思います。
  164. 仁杉巖

    仁杉説明員 青函トンネルも本四架橋もなかなか解決の難しい問題でございます。青函トンネルについて言えば、当初の想定輸送の、現状は十分の一くらいということでございまして、また四国についても、私定かにまだ数をつかんでおりませんが、やはり収入で借金を払うということは非常に難しいと思います。これら二つにつきましても、これももう一つ難しい問題でございますが、政府の方からぜひお助けを願わないと、我々の方が国鉄の側としてお引き受けしても、ただ赤字を増すだけというような結果になりますので、善処をお願いしたいと思って、いろいろ運輸省にもお願いをしている段階でございます。まことに他力本願的な言い方で申しわけないと思いますが、我々ではちょっと手のつけようがないというのが現状であることを御理解願いたいと思うわけでございます。
  165. 細田吉藏

    細田国務大臣 青函トンネルにつきましては、鉄道として利用するということはこの間の懇談会の答申でいただいております。これは、それ以外の方法はないんじゃなかろうか、かように私ども存じております。  ただ、ただいまのゲージで線路を引くという考え方と、それから第三軌条を引いて、トンネルの中だけは新幹線並みのレールを引いて大きい車を通したらどうか、これは、カートレーンを、大きい自動車を乗っけるためにはそうすべきだということで、そういう複数の考え方が出ておりまして、いずれとも決定いたしておりません。  ただ、問題は、そこまではよろしいのですが、今総裁が申しましたように、使用料が八百億円もかかるということなんでございまして、到底これは採算に合うものでないことだけは明瞭なんでございます。これを国有鉄道運営させていいかどうかということになりますと、私は非常に問題があると思っております。少なくとも青函トンネルにつきましては、特別な運営方式を考える、実際上の運行をするものは、これは国有鉄道がやるしかしょうがないと思うのですが、計算の上からいきますると、これは何らかの工夫を凝らしたものにいたさないと、国有鉄道としてはさらにまた赤字を増大するということになろうかと思っておるのでございます。  四国については、まだ実は開通がそこまでいっておりませんので、具体的な検討を加えておりませんが、これまた建設費から見て相当な使用料になることは必至ではなかろうか、かように思うわけでございまして、これについても、やはり青函と似たような考え方を何らかの形で加える必要があるのではなかろうか、かように思っております。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 基本的な考えは大体わかりました。ひとつ、その点もよく検討していただきまして、これだけ技術の粋を結集して、世界に誇るこれだけのものをつくられたわけですから、宝の持ちぐされにならないように、大きく還元できるようにやっていただきたい、このように思います。  監理委員会の林さんも、これは大きな課題としてお聞きになっていらっしゃると思いますが、今どういうように検討しておられますか。差し支えない限り、お伺いしたいと思います。
  167. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど来、長期債務の問題あるいは年金に関する国鉄経営上の負担の問題、引き続きまして、ただいま大規模プロジェクトに関する問題ということで御指摘があったわけでございますが、いずれも財政に関する問題でございます。長期債務のときに申し上げましたように、現在の国鉄あるいは新しい効率的な経営形態になった場合の鉄道事業というものにおきましても、こういう負担というものを全部しょって健全に経営していくということは非常に難しいわけでございますので、これらの財政上の問題というのは、今後の鉄道の健全な経営という見地からは抜本的な対策を講ずる、抜本的な処理をするということがどうしても必要だろうと思います。そういう認識を持ちまして、今後、具体的な解決策というものを監理委員会としても一生懸命勉強して何らかの方策を確立してまいりたい、このように考えております。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 国民の財産として、単に国鉄だけではなく、国全体として考えてもらいたいと存じます。仁杉さんもおっしゃったわけでございますし、私もその方向がいいと思いますし、十分ひとつ検討していただきたい、このように思います。  それから国鉄経営という点におきまして、従来国鉄法の中におきましても、手足を縛っているという点が非常に多いわけですね。これは民業との競合という点も非常にあろうかと思いますし、難しい点もあろうかと思いますが、大筋として今後国鉄のそうした自由に活動の幅を広げてやっていく中で、また経営の改善にプラスする、こういう方向ということは十分お考えになっているんじゃないかと思うわけでございます。  この点につきましては、国鉄法の改正を初めとしまして、関連して鉄道施設法ですか、もございます。そうした法改正等をやっていかれるというお考えに立っていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
  169. 永光洋一

    ○永光政府委員 先生御案内のように、現在は国鉄の関連事業、いわゆる出資で主としてやっておりますが、これはやはり民間の資金を活用しまして、そして民間の知識なり経験をこれに加えるということは効果的だということから、昭和四十年代から始めまして、五十二年には特に法律を改正し、その後の政令等でだんだんその範囲を拡大しながら関連事業の拡充に努めてきましたし、特に国鉄の収入が非常に上がらないという面、何とか関連事業で若干でも補っていこうということで、増収の努力をやっておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、さらにそういう枠をもう少し広げて関連事業を拡大したらどうか、こういう議論が近来あるわけでございます。  我々としても、国鉄と、国鉄の方もそういう要望がありますので、それを具体的にどういう内容なのかという点等をいろいろ議論をいたしておるわけでございますが、やはり現在公社制度でございますので、資金のメカニズムなり、あるいは税制あるいは他の私的経営に及ぼす影響等もございまして、いろいろ問題もあるわけでございますが、国鉄あり方も関連いたしますし、関連事業の拡大による収入ということももちろん考えられないわけではありませんし、したがって、監理委員会等とも御相談しながら、その方向につきましていろいろ議論をしてみたいと思いますが、やはり一つの制約はあるということを踏まえながら、いろいろ議論をいたしておるわけでございます。
  170. 細田吉藏

    細田国務大臣 ちょっと私から補足してお答えしておきたいと思います。  国有鉄道にもっと自由に仕事をいろいろやらせるという問題については、前々から、今永光局長申し上げたとおり、いろいろ議論があるわけです。特に今非常に問題になっておりますのは、国有鉄道の持っておる土地を一体どういうふうにしたらいいか。この間品川の裏を売って、大変新聞で、高く売れて問題になったりいろいろしたこと、御承知のとおりでございますが、膨大な実は貨物なりヤードの跡地を持っておるわけでございます。空間利用も考えれば、国有鉄道、大変な財産を持っておる。これを一体どういうふうに活用するかということと関連して、おっしゃるようなことを何ができるかを、何をやらせるかを考えるということだと思います。ほかのこともいろいろございますけれども、当面する一番大きな問題は、持っておる土地をどう利用するか、どうするかということと関連しておると思います。そういう面から研究をしていかがなければいかぬ。  一方で民営化の問題が進んでおるものでございますから、民営化ということは、自由にいろいろなことがやれるということが一つの大きなメリットであるということになっておりますのでそれらを絡めて、一体国有鉄道が何をやることができるようにすべきかということを十分検討をしていく必要がある、こういうことだと思っております。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 最近の光ファイバーあるいはINS、VAN、あるいは今大臣おっしゃった大規模な用地開発、いろいろなテーマがあろうかと思うんです。こういう点については、国鉄当局としてはどういうようなお考えに立っていらっしゃいますか。
  172. 仁杉巖

    仁杉説明員 国鉄が通信事業、コモンキャリア、VANあるいはCATVというようなものがございますが、これにつきまして非常に有利な条件があるということでございまして、光ファイバー等を引く用地を持っているということ、しかも全国的に展開としているということが一つございます。もう一つは、これも貴重な財産でございますが、日本では今電電を除きますと、非常に大変な電話網並びに信号装置等いわゆる弱電に関する技術者を抱えておる。事実既にVAN等に絡みますDACSあるいはMARSというようなシステムを開発しているということがございます。  そういうことを踏まえますと、今度電電公社が株式会社になるというようなことで、第一電電、第三電電というようなことが言われておりますが、そういうときにやはり国鉄として持っている能力を十分発揮するような方向をとるということは、国鉄財政にとりましても、あるいは余剰人員問題に科しましても非常に有効であるというような面もございまして、今実はこの通信システムにつきましては一生懸命で勉強をしているところでございます。  国鉄の中では、実は昨年以来いろいろと検討を進めておりますが、やはりどうも中の者の意見だけでは、企業化するというような問題について必ずしも適切でないというので、部外の方、これは大学の先生あるいは経団連、あるいは電電のOB、あるいは国鉄OBの中で非常にそういうことに技能を持っているというような人たちに集まっていただきまして、懇談会を設けておりまして、昨日第一回をいたしたのでございますが、やはりその席におきましても、国鉄は他のグループに比較して非常にいいメリットを持っている、したがって、ぜひやるべきでもるという力強い御進言もございましたし、具体的にもいろいろ御示唆がございました。これらを踏まえまして、なおこれの展開につきまして努力を重ねてまいりたいと思っております。  ただ、これは電電も株式会社になるというような時代でございますので、国鉄がどういう形になるかは別といたしまして、直営でやっていくという形については必ずしも望ましくないというような意見もかなり強くあるようでございますので、この辺につきましても、国鉄の出資というようなことを主体に考えた方がいいかなというようなことでございますが、これもまた結論を得ているわけではございません。  そのほか、不動産等につきましては、御承知かと思いますが、今の中で直営ということは非常に難しいということで、山手開発というような形で国鉄並びに民間の方々に御参加を願いまして、分譲住宅をつくるというような方向でいろいろやっておりますが、これらの方向もさらに進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 ざっと大きな問題点についてお伺いしたわけでございますが、いよいよ監理委員会もあと一年ほどで答申ということになるわけでございまして、今が正念場だと思いますし、余りにも課題が大きいからひとつ国におんぶにだっこ、そこに逃避すればまた知恵も出ないわけですから、あくまでも主体者としての責任に立たれて、この一年が正念場である、こういう決意で本当に国民の負託にこたえられるようにそうした案をしっかりとひとつ立てていただきたいと強く要望いたしておきます。  それから、きょうは航空局の皆さんも来ていただいておりますし、次に空港問題をお聞きしたいと思います。  まず、かねて懸案の関西新空港法案、昨日参議院の委員会を通過しまして、きょう午前中、本会議を通過したという報告を聞いておりますが、いよいよこれで実施の段階に入ってくるわけでございます。  そこで第一段階は、設立委員をしっかりとつくり、そして今後の作業というものを進めなければならないわけでございますが、この設立委員の人選というものにつきましてはどういうふうになっておりますか。
  174. 山本長

    ○山本(長)政府委員 会社の設立行為を行っていただくわけでございますので、これは急がなければならない仕事でございます。先生御存じのように、この会社の株主構成というのが、国と地方公共団体、それから民間、こういうことになっております。したがいまして、この設立委員の構成につきましても、国、これは特殊法人をつくります場合に関係の深い省から出ていただいておりますが、従来は事務次官というのが通例でございます。関係の深い省庁の事務次官、それから関係の深い地方公共団体の代表者、それから経済界の代表者、それに加えまして学識経験者というものを加えた四者の構成でもって設立委員を構成してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 どの辺から人選をするかという基本的なお考えはわかったわけですが、これは新聞紙上には名前がばっちり出ておるのですね。これは決定しているのですか。具体的にひとつお聞きしたいのです
  176. 山本長

    ○山本(長)政府委員 急がなければならない仕事でございますので、なっていただきたいと私たちが考えております方々に今御承諾を願うという作業を行っておりまして、ほとんどの方につきましては御承諾を願ったというふうな段階でございます。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 新聞にもこれは出ているわけですから、正式に国会の委員会としてお伺いしますが、そうしたらこっちからボールを投げて受けたと言われる人についてひとつ発表していただきたいと思います。
  178. 山本長

    ○山本(長)政府委員 設立委員の候補者といたしましてお願いをいたしております方々は、関係行政機関といたしまして法制局次長、国土庁、大蔵省、建設省、自治省の事務次官、それに運輸省の事務次官を加えた関係の行政機関。  それから地方公共団体といたしましては、大阪府の知事、兵庫県の知事、和歌山県の知事。  それから学識経験者といたしましては、航空審議会の土光委員長、それから航空審議会の元委員としての秋山委員、稲葉委員、芦原委員、それから国土審議会の近畿圏整備特別委員長の西山委員。  それから民間の代表といたしましては、経団連の会長、日本商工会議所の会頭、全日本航空事業連合会の会長、関西経済連合会の会長、大阪商工会議所の会頭、全国銀行協会連合会の会長、日本開発銀行の総裁という方々にお願いをしておるところでございます。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、こちらから打診をしてほぼ承諾というお話が今あったわけですから、ほぼこれで決まりと見ていいわけですね。いかがですか。
  180. 細田吉藏

    細田国務大臣 もう大体決定と見ていただいて結構だと存じます。まだ私のところへは全員の御承諾ということはございませんが、大体御承諾いただけるものと信じております。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 空港会社の社長に竹内さんという人が新聞にも出ておるのですが、その会社の設立委員というのはイコール会社の役員じゃないわけでしょう。だから、その社長を初め会社関係の大事についてはどうなっているのですか。
  182. 細田吉藏

    細田国務大臣 会社の役員の大事につきましては、もうこれは申し上げるまでもありませんけれども、正式には総会、そして役員会ということになることは言うまでもないところでございます。要するに、その候補者はやはり政府で選定をいたさなければならないと考えております。もちろん、関係の地方の地方公共団体あるいは民間の皆さん方の御意見も徴しながら重役、役員候補者というか役員予定者を選考いたしたい、かように考えておる次第でございます。まだ決まっておりません。ただ、社長の候補としては竹内良夫君を一応内定をいたしておる次第でございます。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、今後の手続でございますが、これは設立委員がほぼこれで決まる、それからあと定款づくり、組織づくり、株式募集、十月一日から会社としては発足する、こういう経過をたどろうかと思うわけでございますが、このスケジュールは大体こういうスケジュールですか。
  184. 山本長

    ○山本(長)政府委員 時期的な目途としては、先生御質問のとおり十月一日というものを目途にして進めたいと考えております。  そのための準備行為といたしましては、先生おっしゃいましたような定款の作成がございますし、それから株式の募集ということもございます。そのほかもろもろの、事務所をどこにするかといった庶務的ないろいろな仕事がございますけれども、そういった準備を整えまして十月一日目途で進めたいというふうに考えております。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 五十九年度予算は百九十億つけているわけですね。これは十月一日発足ということになれば、会社の借り上げであるとか、あるいは設計、調査、いろいろなことで費やされると思うのですが、問題は、来年度から着工ということになってきますと、漁業補償の問題もございますし、当然運輸省としては、この夏に概算要求ということでもう既に作業に着手しておられると思いますが、六十七年開港ということになると、来年の、いわゆる初年度というものは極めて重要な年になる、このように私は思います。今、公共事業全体が緊縮予算という形の中で、このように法案も成立しておるわけでごございますし、六十七年ゴールを目指して走るということになると、来年は非常に大事な年である。そういう点で、漁業補償等も解決しなければならぬ問題ですから、実行予算として、運輸省としては少なくとも来年度予算にきちっとした予算額を計上しなければいけない、このように思います。それについても、第一段階の作業として、この夏の概算要求には思い切った予算をつける必要があると思うのですが、どういう考えでいらっしゃるか、局長、そして大臣からお伺いしたいと思います。
  186. 山本長

    ○山本(長)政府委員 御質問、おっしゃるとおりだと思います。現在、来年度の予算要求の編成作業を進めつつある段階でございます。今この段階で、どういう項目について、どういう事業費について何億円と言える段階ではございませんけれども、会社設立後の実質的な初年度でございます。そういった意味におきまして、先生がおっしゃる漁業補償の問題を解決しなければならぬ、あるいは土取りの場所を決め、かつそれについての準備をしなければならない、諸般の設計について詳細な準備に入らなければならない、いろいろ仕事がございます。六十年度の後半には実質的な意味において着手したい、こういう目途でございますので、それに必要な予算を確保するということで要求の作業を進めたいというふうに考えております。
  187. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま額は幾らということは申す段階でございませんが、必要なものはぜひとも予算に計上をいたさなければならぬと考えて、せっかく努力をいたしたいと思っておりますので、御後援をお願いいたします。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 微力でありますが、大いにお手伝いいたしますが、何といいましても主体者である運輸省さんが力を入れていただかないと、やはり全体に縮小という形の中でございますから、初年度でスタートがおくれるということになってきますと、後々非常に大きな影響になってくるわけでございますから、特にこの作業につきましては全力を挙げていただきたいということでございます。  時間がありませんから、あと一点だけお伺いしますが、我々附帯決議等にもこれはうたったわけでございますが、この運営協議会をつくっていろいろと地元の声も入れるという問題、あるいは監視体制をつくってアセスメント等につきましても十分心配のないようにしていくとか、そういうような問題を出したわけでございます。この二つについて、どういうように今後なさっていくか、まずそれをお聞きしたい。  それからあと一点は、案外に民間の出資意欲等が強いわけですが、しかし、私は、今後の問題として、民間の出資が強いから甘えようという気持ちは政府としては出さないでもらいたい。本来は、第一種空港というものはあくまでも国がやるわけですね。ですから、国としてその姿勢はうんとひとつ力を入れて、国があくまでも主体者である、この気持ちだけはしっかりと持っていただいて、今後の予算編成にも取り組んでいただきたいということでございます。  したがいまして、今私が出した運営協議会の設置、監視体制そして最後は政府の取り組み姿勢、これをお伺いして、私の質問を終わります。
  189. 山本長

    ○山本(長)政府委員 御質問のとおり、本委員会におきまして法律案に対する附帯決議がございました。附帯決議につきましては御要望に沿って全力を挙げてまいるというのが基本的な考え方でございますが、その中の特に二つの項目、運営協議会というものにつきましては、地方公共団体等地域の意向を会社の運営に反映させるというのが目的でございます。これにつきましては、具体的方法といたしまして、定款ではっきり書くというふうな方法がございます。そういった方向について現在検討しておるところでございます。また、それのどういう方に入っていただくかというふうなことについての具体の問題は、地方公共団体とも十分相談をして決めてまいりたいというふうに考えております。  それから、環境監視の体制でございますけれども、これにつきましては、環境監視というのはいろいろな項目についてございます。先生御存じのとおりに、例えば大阪空港におきましては十カ所の騒音の監視の施設があり、排気については二カ所置いておるというふうに、具体的な問題として解決していく必要がございます。また、その環境監視の仕事は、金のかかる仕事であり、長期にわたってやっていかなければならぬ仕事でございます。しかし、そういった意味におきましてこの主体が環境監視の仕事やらなければならないと思いますが、同時に、その仕事がやはり公平であり適正であるということが必要でございます。そういった意味において、環境監視のための組織づくり、体制づくりというものを環境監視を必要とする事項ごとにつくると同時に、この事業が適正かつ第三者から見て疑義のないという形にしなければならぬということで、その方策については今後検討するというふうにお約束いたしておるところでございます。具体の問題はいましばらく検討さしていただきたいと思い止すが、そういった考え方で対処してまいりたいしいうふうに考えておる次第でございます、  それから、この会社の運営に対する国の責任といいますか、国の姿勢のお尋ねでございますが、この点につきましては、第一種空港として位置づけたということにおいては明らかでございますように、資本構成というものは御存じの構成になっておりますし、また、おわかりのように、その中でも政府が非常に大きな役割を果たしているということでも明らかなように、この会社の運営の円滑性と公共性の確保という観点からは、国が主体的な立場でこの会社を指導すると同時に、支援をするという必要があると考えております。そういう考え方で対処してまいりたいと思います。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは自動車局長あるいは自治省さん、いろいろとそのほか空域の問題等で質問したいと思っておりましたが、しかしきょうは時間がありませんから、来ていただきながら質問できなかったので、おわびしておきたいと思います。また次の機会にみっちりとひとつくりたいと思いますかり、よく準備をしておいていただきたいと思います。  以上で終わります。      ————◇—————
  191. 久間章生

    ○久間委員長代理 次に、内閣提出、道路運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。運輸大臣細田吉藏君。     ————————————— 道路運送法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  192. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま議題となりました道路運送法守等の一部を改正する法律案の提案理由につきましてご説明申し上げます。  近年我が国の自動車の保有台数は著しく増加し、また、輸送活動に占める自動車の役割は、非常に重要なものとなっております。自動車の活動範囲の広域化や各種交通機関の整備に伴い、自動車行政においても、広域的観点や総合交通政策の観点からの対応が求められており、これに即した自動車行政の事務処理体制の整備が必要となっております。  現在、地方における自動量行政事務の処理体制といたしましては、ブロック単位の陸運局のほか、都道府県単位の機関として陸運事務所が設けられておりますが、その職員は昭和二十四年の設立当初より、国家公務員でありながら都道府県知事の指揮監督を受ける地方事務官という特殊な身分とされ、予算、業務運営の面におきましても国の地方行政協関としての実態を備えていながら都道府県の機関であるという変則的はものとなっております。  このため、昭和五十八年三月の臨時行政調査会の最終答申においては、陸運事務所を運輸省の地方支分部局とし、陸運事務所の地方事務官をすべて運輸事務官とすることとされており、これを受けて政府は、同年五月の「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について」の閣議決定及び本年一月の「行政改革に関する当面の実施方針について」の閣議決定において、地方事務官制度を廃止するための所要の法律案を今国会に提出する旨の方針を決定したところであります。本法律案は、この方針にのっとり提出するものであります。  本法律案におきましては、陸運関係事務に係る運輸大臣等の権限を都道府県知事に委任する制度を廃止し、これらの権限については、運輸省の地方支分部局の長に委任することができることとするとともに、陸運事務所を運輸省の地方支分部局とすること及びこれに伴い従来の陸運事務所の職員を運輸事務官、沖縄県については総理府事務官とすることといたしております。このため、道路運送法、道路運送車両法、運輸省設置法等の関係法律につきまして所要の改正を行うものであります。なお、この法律案は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  193. 久間章生

    ○久間委員長代理 これにて、趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  194. 久間章生

    ○久間委員長代理 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま社会労働委員会において審査中の健康保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 久間章生

    ○久間委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時等は、委員長間で協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会      ————◇—————