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1984-04-11 第101回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十一日(水曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 塩川正十郎君    理事 小渕 恵三君 理事 椎名 素夫君    理事 玉沢徳一郎君 理事 三原 朝雄君    理事 上田  哲君 理事 前川  旦君    理事 渡部 一郎君 理事 吉田 之久君       坂田 道太君    月原 茂皓君       丹羽 雄哉君    箕輪  登君       天野  等君    左近 正男君       関  晴正君    中川 嘉美君       橋本 文彦君    藤原哲太郎君       柴田 睦夫君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君  委員外出席者         安全保障特別委         員会調査室長  桂  俊夫君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任        補欠選任   山崎  拓君     月原 茂皓君 同月十一日  辞任        補欠選任   月原 茂皓君     山崎  拓君   東中 光雄君     柴田 睦夫君 同日  辞任        補欠選任   柴田 睦夫君     東中 光雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。栗原防衛庁長官
  3. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 昭和五十九年二月二十七日に起きました海上自衛隊の対潜飛行艇PS1の墜落事故について、事故後の対応等を御報告いたします。  まず、救難捜索状況でございますが、事故直後より海上自衛隊では関係方面の御協力も得て、搭乗員十二名の救難活動機体捜索全力を挙げてまいりました。その結果、遺憾ながら搭乗員全員が殉職したものと認めるのやむなきに至り、三月二十二日、岩国において殉職隊員葬送式を挙行いたしました。私は四月一日に岩国を訪れ、遺族方々をお見舞いいたし、関係方面の御協力に謝意を表明してまいりました。  一方、機体については、これまで松山沖現場付近の海底に散乱していたエンジン、胴体、主翼尾翼等相当部分を発見・揚収いたしております。  なお、現在も捜索作業を続行中でございます。  今回、一年足らずの間に引き続いてこのような大事故が発生したことにかんがみ、基地周辺住民方々の不安を除くことはもちろんでございますが、搭乗員自信を持って任務につけることが重要であると考え、徹底した調査実施飛行安全確認を命じたところでございます。  まず、事故原因究明につきましては、事故後直ちに航空事故調査委員会が、僚機搭乗員の証言や、これまで揚収された事故機の物件を中心に鋭意調査を進めてきております。今回の事故においては生存者がないこと、機体の破損が著しいこと等いろいろ困難な面はございますが、事故原因究明全力を尽くす所存でございます。  次に、飛行安全対策についてでございますが、海上自衛隊では、安全教育徹底を図るとともに、保有するPS1及び同型のUS1全機について、事故直後より飛行を停止して幅広い綿密な特令検査等実施いたしております。  今回の特令検査では、PS1及びUS1全機について、操縦系統作動状況動翼主翼の取りつけ部分主要電気系統等ふぐあいの有無を点検、確認したほか、各機ごとに過去の検査・修理の実施状況や発生したふぐあいに対する措置等について詳細に調査を行いました。これらの検査調査の結果、現有機について機材上、特段のふぐあいや問題がないことを確認いたしております。  現在は、さらに慎重を期するため、機体の一部の部品についての強度試験実施しており、また、今後、検査の総仕上げとして、水上における滑走試験及び試飛行など航空機を動かしての検査実施することによって、最終的に現有機飛行の安全を確認することとしております。  以上のように防衛庁といたしましては各般の安全対策のための措置を講じて、事故再発防止に努め、国民の皆様の自衛隊に対する信頼を確保するよう努力してまいる所存でございます。  右、報告を申し上げます。     —————————————
  4. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。月原茂皓君。
  5. 月原茂皓

    月原委員 私も、初めての質問なので、しかも防衛庁でいろいろ今まで勤務した経験から、この事故は大変重要な問題だと思いますので、質問させていただくことを非常にうれしく思うとともに、今までの成果、いろいろな調査というものを、私に答えるということではなくて、国民にわかるように答えるというつもりで答えていただきたい、このように思う次第でございます。  第一に、今までいろいろな委員会捜索状況等についてお話しされたことと思うのですが、その後の新しい状況というものがあれば御答弁願いたい、このように思う次第でございます。
  6. 西廣整輝

    西廣政府委員 捜索状況につきましてお話しします。  御案内のように、事故直後から艦艇、航空機あるいは隊員その他の関係機関の御協力も得まして、鋭意救難活動をした。その後、三週間ほどたちまして乗組員全員が死亡したと残念ながら認めざるを得ない状況になりまして、以後、遺体捜索あるいは機体捜索に切りかえまして、現在まで引き続いて捜索をしておるわけであります。  遭難事故発生当初は、海上に浮遊しておるものを回収するというところから始めまして、以後は主として海中の捜索、特に潜水員を潜水させて、遺体あるいは機体揚収するという作業を進めておったわけでありますが、この作業そのものは、非常に視界の悪いところでありまして、水深は五十ないし六十メートルでありますけれども視界五、六メートルということで大変難航いたしました。墜落現場と思われるあたりで比較的大きな機体等を大体捨い上げたという段階で、先週から、今度は底びき網によりまして捜索を続けておるところであります。  現在までのところ、十二名の乗組員のうち、十名の遺体揚収確認をしたということで、まだ二体については依然として行方がわからないという状況であります。  また、機体につきましては、現在まで相当部分、八割近くのものが揚収をされておるという状況であります。
  7. 月原茂皓

    月原委員 俗に、PS1の航空機事故は非常に多いのじゃないか、このように言われておるわけでございます。防衛庁の持っておられるほかのいろいろな機種と比較して、いろいろ原因が異なるにしても、非常に高いのじゃないかということに対してはどのように考えられておるのでしょうか。
  8. 西廣整輝

    西廣政府委員 御指摘のように、PS1の事故は、例えば戦闘機等に比べますと決して多いということは言えませんけれども、やはり大型機あるいは双発以上の飛行機と比べますとかなり事故率が高いということは、私は否定できない事実であろうと思います。  ただ、飛行艇は、御承知のように整備されたランウエーから離着陸するということでなくて、海上から離着水するという非常に過酷な条件の中で離発着する、あるいはオペレーションに際して荒海離着水するという特殊事情がありますので、そういった離着水というものに関連した事故がどうしても多発する傾向にあることは否めないと思います。そういうことで、他の対潜機等に比べると、確かに事故率そのものは高いというように私どもも考えております。
  9. 月原茂皓

    月原委員 それで、今長官から御説明がございましたが、この中で、基地周辺住民方々の不安を除くことはもちろん、搭乗員自信を持って任務につくために防衛庁としても徹底した調査をしておるということをおっしゃっております。  今回の措置に関して今までと異なって特に調査された点について御報告願うとともに、飛行再開、それから今までと同じような訓練状態に入るのはいつごろをめどにしておるのか、そういう腹づもり、そういうものを御説明願いたい、このように思います。
  10. 木下博生

    木下政府委員 提出させていただきました資料の中に具体的に書いてございますが、一応今回の事故状況にかんがみまして、長官の指示によりました徹底した調査を行ったわけでございます。  特令検査ということでやっておるわけでございますが、特令検査は、従来、その事故が発生いたしましたときに、事故の態様に応じて検査をやるわけでございまして、今回の事故の場合には、御承知のように天候も特に悪くなかった、それから通常の飛行中に発生したもので目撃者がいないというようなことで、事故原因が今のところまだわかっていないわけでございますが、機体に関連して起こった事故であるという可能性を全く排除できないということがございますので、そのような状況下において起こった事故に関連して必要な部分調査を行うということで、第一に操縦系統が全然おかしくなって墜落になったんじゃないかということもありますので、ほかの航空機につきまして操縦系統について徹底した調査を行いました。それから、一部の機体が外れて墜落したというようなことも考えられなくはないということもありまして、主要の結合金具部分につきまして、その疲労状況腐食状況を調べた。それから、電気系統に異常がなかったかということもありまして、そういうものを調べたということでございます。  いずれもこれはそれ以外の航空機について調べたものでございまして、それ自身が直接原因究明になるわけではございませんが、原因究明には役立つということもありますし、それからもし同じようなふぐあいがあったとして、同じような事故をまた将来起こしてはいけないというような見地から徹底した調査を行ったわけでございます。  そういう個別の調査は一応終了しておりますが、念には念を入れてということで、先ほど長官からの御説明にもありましたように、主要結合金具部分につきまして疲労検査を続行しておりまして、二十日ごろには一応完了する予定でございます。
  11. 西廣整輝

    西廣政府委員 後段の飛行再開についてお答えいたしますが、今装備局長から御答弁あったように、現在現有機を一つつぶしてといいますか、強度試験をやっておるということがございますので、その結果を見なくてはいけないという問題が一つございます。と同時に、現在全機について残されている検査としますと、地上における各種特令検査は終わりましたけれども、これから動かしてみなくてはいけない、いわゆる水上滑走、さらには試飛行という検査の手順が残っております。いずれにいたしましても、そういった機材検査を終わらせなければいけない。  一方、余り長く休んでおりますと、パイロット等技能はどんどん下がってまいりますので、これを余り間を置くということは、逆に言えば今度は人的な面で将来不安がより大きくなってくるという問題もありますので、私どもとしましては、先ほどの御説明のあった機体検査の方の状況等がわかり次第、順調にいけば四月末にも訓練再開にもっていきたいというように希望は持っております。
  12. 月原茂皓

    月原委員 訓練再開をして、今までと同じような実際の哨戒行動、そういうものに戻るのは、訓練再開からどのくらい期間を要するでしょう。
  13. 西廣整輝

    西廣政府委員 いずれにしましても、現在の状況を申し上げますと、現在PS1、US1の第一操縦士、この者につきましては、技量ができるだけ低下しないようにということで、P2Jに乗せて飛行感覚を失わせないようにというような応急の措置をとっております。他のパイロット等については、そういうことができませんので休ませておるわけでございますが、今申し上げた第一操縦士等中心にしてまず飛行再開訓練を始めて、その連中がどうやらもとの状況に戻るというのが大体六月ごろになるのではないかというように思っております。さらに、そういった中核になる者ができ上がってから、逐次それをPS1、US1の全パイロットに広げていくわけでありますが、全体として事故前ぐらいの状況まで達成をするといいますか技量が戻るというのは、US1については七月中に、PS1については八月ぐらいに、早期に訓練再開した場合に戻れるのではないかというように見積もっております。
  14. 月原茂皓

    月原委員 先ほど強度試験の話が出ましたが、強度試験はいつごろ終わらせる予定でありますか。
  15. 木下博生

    木下政府委員 強度試験につきましては、たまたまちょうど耐用命数が来て用途廃止にした航空機がございましたので、それを分解いたしまして、主要な金具部分について現在第三研究所の方で強度試験を行っておるわけでございますが、二十日ごろには一応終わるのではないかというふうに報告を受けております。
  16. 月原茂皓

    月原委員 私は昔、BOAC、英国の飛行機が富士山のところで落ちたとき、そのときの委員長であった守屋教授から、当特技術研究本部技術部長をし、その解決に当たられた方から言われたのですが、私がそういう乱気流なんかに壊れぬような飛行機ができぬのか、こうお尋ねしたら、そんな飛行機は飛びません、こういうふうに守屋博士が言われたことを覚えておるわけでございますが、地上でいろいろなテストをされておっても、空のいろいろな状況があると思います。これはなかなか推測がつかない問題です。  話はちょっと飛びますが、操縦するのが非常に難しい。いろいろな地上でのテストはやってみる、完璧だ、強度試験も大丈夫だった。そうした場合に、パイロット操縦というものが非常に困難なんだ。しかも、救難の方の航空機については、私が聞いておるところではまだ事故が起きていない。そうすると、こういう対潜哨戒のこの航空機事故が集中しておるということから考えると、操縦するところの困難性というか、防衛庁当局が考えられておる以上のいろいろな問題があるのではないか、もしそういうことがあるとするならば、操縦方法についても、「飛行の安全」という言葉の中に入っておるのかもわかりませんが、今すぐそこで決断——いろいろなテストをまだしておる最中ですから結論は出ないとは思いますが、そういう点についても検討するという姿勢でおるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  17. 西廣整輝

    西廣政府委員 御指摘のように、このPS1あるいはUS1というのは、先ほど申したように陸上滑走路から離発着するものでないわけでありますから、当然のことながら波なりあるいはそういったものの影響を受けるということで、その点では確かに陸上に離発着する航空機に比べれば難しい面があろうと私は思います。それだけに、教育課程訓練課程におきましても、例えばPS1に進む者は、P2Jの課程を終わってさらにPS課程に入るというようなことで、それなりの教育の積み重ねをやっておるわけでありますが、いずれにいたしましても、今回の事故あるいは従来の事故等を勘案いたしまして、現実にいろいろの教育管理面あるいは教育計画訓練計画の面、もろもろにつきまして再検討をし、一部はもうすでに実施をしておるわけであります。  一部御紹介いたしますと、例えば訓練管理面では、要するに訓練計画等練度に応じて作成をしていくということでありまして、特に技能管理の強化ということで練度評価委員会制度というものを設けまして、そして搭乗員の資格について非常に厳正な審査をする、それに応じた訓練管理をやっていくというようなことを考えております。  また、教育訓練について言いますと、過去の事故等を見ますと、要はやはり基本を重視するということが大事でありまして、どうしてもなれによる事故というものが多いものですから、そういった一瞬の油断というか、ちょっとしたなれによるミスがこういう航空機の場合に大きな事故に結びつくということで、基本を重視する、その点についてさらに徹底を図るというようなことをやっております。  また、各種訓練実施基準というもの、いわゆる飛行準則なり実施基準を設けまして、先ほど申しました練度に応じた訓練計画といいますか、そういうものとマッチさせた教育訓練というものを実施すべく、現在それを適用中であります。
  18. 月原茂皓

    月原委員 PS1の機能ということは、そのでき上がった、PS1が製造された時期、それによってまた潜水艦の進歩とか、いろいろその時期その時期に適したものが出現するわけでございますが、今防衛庁が考えておる、現段階においてPS1の持っておる機能というものがほかの機能において代替できる、というよりはむしろほかの機能の方がすぐれてきておる、PS1に期待しなくても。しかし、PS1のこういうところは、最初考えていたよりも依然としてPS1に期待せぬといかぬ。しかし、こういう機能についてはむしろ最近はほかのこういうことによって、すぐれたことによって処理できるんだというようなPS1の位置づけということについて、防衛庁考え方説明していただきたい。
  19. 矢崎新二

    矢崎政府委員 このPS1という対潜哨戒飛行艇は、御承知のように昭和三十五年から四十四年にかけて開発されたものでございます。当時といたしましては、潜水艦探知方法といたしまして現在使われておりますソノブイに比べますと、ソーナーの方が一般に探知距離が長い、あるいは精度も高いといったような利点があったわけでございます。そこで、洋上に着水できますPS1からこのソーナーをつり下げて運用するということによって有効な対潜探知システムができるというふうに考えたわけでございまして、四十三年度から本格的な調達を開始をしたわけでございます。  このPS1は現在も対潜哨戒機として運用をされているわけでございますが、今申し上げましたソーナー主体に、それからソノブイを従としてやるという当初考えておりました対潜探知システムというものにつきましては、その後いろいろなソノブイに関する技術発達等を念頭に置きまして、昭和五十二年二月以来約四年間にわたりまして戦力評価作業を行ったわけでございます。その結果といたしまして、発達が極めて著しいソノブイの能力あるいはこれを利用する戦術というものに比べまして、ソーナー有効性というものが相対的には減少してきているということが明らかになってきたわけでございまして、そういう評価を踏まえまして、運用上はソーナーオペレーションの比重を減らしてきているということでございまして、したがって現在は、このPS1の運用といたしましては、ソノブイ中心運用にはなっているわけでございます。しかしながら、やはりこのソーナーそのもの有効性も決してないわけではございませんで、海域の特性といったようなこともございますし、着水をして調べるということの利点というものもないわけではございませんで、これは現在も有効な方法としてオペレーション上まだ捨てていない、こういう現況にあるわけでございます。  しかしながら、PS1がそういった戦力評価をされたという経緯もございますので、その後PS1については新規調達することは今はやめております。したがいまして、これは逐次減耗の時期に入ってくるわけでございまして、昭和六十四年ごろには全機が除籍されるという見込みになっております。そうなりますと、現在整備を続けております新しいP3Cに逐次代替がされていくというようなことになろうかと思います。
  20. 月原茂皓

    月原委員 そうすると、先ほどの質問とも関連するのですが、要するにソーナーオペレーションというものの必要性はあるけれども、その位置づけがずんずんソノブイの方に移っていっておるということでありますならば、ソーナーオペレーションをするがゆえに非常に過酷な飛行形態なり操縦士にそういう任務を課すということであるならば、大きな流れからいってそういう訓練というものは今までと少し変えていく。例えばそれは結論はまだすぐ出るわけじゃないと思いますが、そういうような考え方もあっていいんじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう。
  21. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま申し上げましたように、主体ソノブイ方式に逐次移してきておるという現状でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたようにPS1の新規調達そのものはもう停止をしておりまして、逐次新しいP3Cに代替をするという時代に入っているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、運用着水をいたしましてソーナーを使用するということの有効性はまだ認められているわけでございますので、その運用を全くやめてしまうということは現在まだ考えてはおりませんが、主体はP2Jと同様のソノブイによるオペレーションというものが中心として今後行われていくであろうということだと思います。
  22. 月原茂皓

    月原委員 と申しますのは、つい最近、雑誌に基づいて質問するというわけではありませんが、非常に防衛庁関係に詳しい評論家がある雑誌に発表しておるのを見れば、非常に過酷な、普通の飛行機よりむしろPS1を操縦するパイロット方々が非常に難しい、ちょっと気を抜いたらある段階においては危ないのだというようなところがあるということを書かれておりますので、私はその点に関連して質問しておるわけでございますが、その記述をお読みになったと思うのですが、どういう……。
  23. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど来申し上げておるように、飛行艇操縦なりが陸上機に比べてかなり難しい面があるということは、私は否定できない事実だと思いますが、それではPS1あるいはUS1が非常に危険な飛行機かどうかということになりますと、US1については一つも事故が起きていない。そうして、US1とPS1のオペレーションの仕方から比べてみますと、PS1につきましては、先ほど防衛局長からも話がありましたように、現在のオペレーションは主としてソノブイオペレーションに移っている。したがって、離着水のときだけ水の中に降りるということで、離発着というのは当然水上飛行場から行くわけですから、平水面から飛び出すことが比較的多いわけでして、そういう面では、PS1の方が荒海救難しなくちゃいけないUS1に比べますとより過酷な条件にあるとは言えないと思うわけです。したがって、より過酷な条件下で離着水しなければいけないUS1についてまだ一機も事故が起きてないということは、必ずしも飛行艇の運航なり操縦というものが非常に難しい、危険なものだということはないのだろうというように考えております。
  24. 月原茂皓

    月原委員 事故究明、それから将来のことについてお尋ねしたのですが、気がかりなのは、長官遺族の方を見舞われたというふうに今御報告されておるわけでございますが、遺族に対する補償、これがやはり一番大事なことではないか、このように思います。よく防衛庁事故によりますと訴訟を起こす。防衛庁、国家の補償に対して遺族は不満を感じている、訴訟を起こしたらもっと多くなる、このような状態では私は困ると思うわけでございます。そういう点で、今度の遺族補償について、他の類似のいろいろな職業と比較して十分にそれにこたえるだけの補償が出せる今体制にあるのかどうか、そのことと、今後どういう点について努力されていくのかということについてお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  25. 上野隆史

    上野政府委員 PS1の今回の事故によります死亡隊員に対します補償でございますが、これは先生御案内のとおり、防衛庁職員の公務上の災害に対する補償等につきましては、防衛庁職員給与法第二十七条一項の規定に基づきまして国家公務員災害補償法等の準用を行います。そして、一般職の国家公務員と同様の補償等を行っております。今回の事故につきましてもそういうことで行われることになるわけでございますが、なお、事故原因調査の結果、これら隊員に故意または重大な過失がないということが明らかになりますれば、賞じゅつ金というものが支払われることになります。  他の類似の事例との比較においてどうかという御質問は、恐らく地方公務員の場合の比較のことをおっしゃっておるのではないかと存じますが、地方公務員でありますところの警察官等につきましては、国から出ますもののほかに、地方公共団体がそれぞれの事態に応じて出すということがあるということは存じております。私どもといたしましては、類似の災害によって死亡あるいは障害を受けた隊員に対します補償というものにつきましては、今後とも十分な、御遺族にも満足していただけるような補償というものをやってまいるためのいろいろな努力、工夫というものをしてまいりたいと存じております。
  26. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 月原さんのごあいさつがございましたが、こちらの方もどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  それで、最後という御質問でございますから、私の方から考え方を総括して申し上げます。  遺族補償の問題については、同感でございます。私もこの点についてはどうなっているかといろいろ気を使っておりましたが、私の承知している限りにおいては、遺族方々もまあまあというような雰囲気でございます。この間私が参りまして遺族方々に申し上げたことは、私が皆さんの前でお悔やみを申し上げたからといって皆さんの心の痛みというものが消えるものとは思っていない、それは思っていないけれども、私としては、本当に有能な人材を失った、まことに残念だ、そういうことで一言お悔やみを言わざるを得ない、そういうお話をいたしました。今後遺族方々お困りのことがありましたら、できるだけのことはいたしますから、どうぞ申し出ていただきたいということを申したわけでございます。その後、いろいろ海幕長等から聞きますと、遺族方々も特に不平、不満があるというようではないようでございまして、遺族の皆さんの前でお約束したことは実行していきたいと考えております。  なお、このPS1の問題につきましては、まだ事故原因がわからないということでございます。そこで、特令検査ということでPS1、US1を徹底的に検査をしようということでやっているわけでございます。きょうお手元に資料を出しましたけれども、こういう資料はこういうときの資料としては詳細なようでございますが、これは、詳細を出せ、何で落ちたかわからないというときであるから、特令検査については防衛庁としてできるだけのことを出せということで、提出をさせていただいたわけでございます。  なお、パイロットの心理状態機材そのものには故障がないといってもパイロットが不安を覚えておる、どうも飛行するのに不安を覚えておる、そういう精神的な不安があってはいかぬので、これらについても、上の方から不安はないかというような、上から聞くという格好でなしに、むしろ本当に自分たちの考え方を述べられるような雰囲気でパイロットの心理状態というものを聞き出して、その上に立って飛行を開始するように、これは海幕長に命じておりますので、そういうことで今万般の準備をしておるということで御理解をいただきたいと思います。
  27. 月原茂皓

    月原委員 今の大臣の発言で安心いたしましたが、一層の努力をお願いいたします。  これで私の質問を終わります。
  28. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 上田哲君。
  29. 上田哲

    ○上田(哲)委員 PS1の事故と銃撃事件の調査でありますけれども、それに先立って一つお伺いしておきたいのですが、おとといの夜、宮古沖でキノコ雲が発生をした。これは発生地点から見ましても、その形状からいたしましても、非常に懸念を集めるところであります。外務省、見えているはずでありますから、これはどういうふうな情報を得ておられましょうか。
  30. 古川清

    ○古川政府委員 お答え申し上げます。  四月九日の夜、釜石市の東の方約四百キロの太平洋上で数機の飛行機が目撃をしたということでございますが、そういう報道があることは承知しておりまして、いろいろ調査をしておりますけれども、現時点におきましては、核爆発に由来する放射性のものであるという積極的な証拠というものは得ておらないわけでございます。仮にそういった核爆発があるといたしますと、当然いろいろな、例えば音であるとか光であるとか、あるいはEMP効果と申しまして、レーダーが見えなくなってしまうとか電子装置が破壊されて機能を喪失するというふうないろいろなことがあるわけでございまして、そういった情報も出ておりませんし、それから、あるいは米ソ両国の軍事演習というふうな特異な動きも実はございませんで、全体としますとやはり自然現象の可能性が非常に高いというふうに私どもは判断をいたしております。
  31. 上田哲

    ○上田(哲)委員 いろいろ調査をしたというお話でありますが、どういう調査をされたのか。
  32. 古川清

    ○古川政府委員 しかるべく情報を収集をいたしましたということでございます。
  33. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それではよくわからないので、しかるべくというところを聞きたいのでありまして、米ソ両国に照会をしたのでありますか。
  34. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 一部の報道に、防衛庁が集じん飛行をしておるという報道がなされておりますが、これは、放射能対策本部という政府に設けられました放射能調査の機関がございますが、そこの申し合わせによりまして各省庁それぞれ対応をとる、防衛庁といたしましてはその考えられる周辺において集じん飛行を行って異状の有無を確認するということで、昨日夜飛行を行いました。しかし、まだその結果につきましては、本日の午後遅くにならないと判明しない状況でございます。
  35. 上田哲

    ○上田(哲)委員 東経百四十九度四十九分、北緯四十度五十六分八秒あたりというところは確認されておりますか。
  36. 古川清

    ○古川政府委員 これは、飛行機からパイロット方々が実際に見たという大体の地点がそうだということのようでございますけれども、具体的にその地点であるかどうかという点については、正確には確認をいたしておりません。
  37. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今後確認し得ることですか。
  38. 古川清

    ○古川政府委員 これは自然現象であれば、恐らく雲ということになるのだろうと思います。これはつかみどころのない話でございますので、これは非常に難しい。仮に、ほかのそういった核爆発というようなものがあったとすれば、それは当然把握できる話でございますけれども、今のところその地点について確認をいたしておらないということは、先ほど申し上げましたとおり、そういった恐れられたような事態に付随するほかの音であるとか、光であるとか、そういった点、飛行機のみならず船もそういったものを見た、光を感じた、音を感じたということはない。そういうことから判断しまして、その地点の確認というのは非常に難しい、そういうことでございます。
  39. 上田哲

    ○上田(哲)委員 自然現象であれば雲をつかむという事柄に入るのですが、問題は、そうでなくて核実験等々が行われた場合ということになれば、これは確定しなければならない、また、できることだと思うんですね。その努力がなければならぬ、そういうことですね。したがって、このような後段の推定に立つならば、防衛庁の集じん調査等々によっても、また他の方法によっても、確定し得る方法もきわめなければならない。  そこで、質問を一つ繰り返すのですが、米ソ両国等にも照会をしましたか、あるいはまた、しますか。
  40. 古川清

    ○古川政府委員 それは今のところ、考えておりません。
  41. 上田哲

    ○上田(哲)委員 照会はしないということですか。
  42. 古川清

    ○古川政府委員 すなわち、そういった恐れられるような事態があるとすれば、それはほかの現象から当然把握できるわけでございまして、そういうのが今までのところございませんので、米ソに照会するような必要はないと私どもは考えております。
  43. 上田哲

    ○上田(哲)委員 アンカレジ空港等々で被曝検査等をした、その結果はシロであったというようなことなど、今日考えられている日本国側あるいは軍事機関外の調査によって、核実験等々のことが行われたかどうかの有無を測定、確定することができるというふうに考えているわけですね。そうですね。
  44. 古川清

    ○古川政府委員 それは、全くこれも報道でございまして、アンカレジに着陸した飛行機が放射能の検査を受けたということは報道で承知をしておりますし、それからまた、その結果がどうもシロであった、放射能は検出されなかったということも、報道で私ども承知をいたしております。
  45. 上田哲

    ○上田(哲)委員 質問を絞りますが、目下のところ、核実験等々が行われたというふうには考えていないということですか。
  46. 古川清

    ○古川政府委員 さようでございます。
  47. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今後の調査の方向としては、先ほど来の御答弁、集じん調査等々以上にはしない、米ソ等々には調査、照合をしないということになりますか。
  48. 古川清

    ○古川政府委員 それを必要とするような事態は、今のところ把握されていないということでございます。
  49. 上田哲

    ○上田(哲)委員 わかりました。私は、やはり当時の四機のパイロットの証言等々を見ると、もう少しく範囲を広げて調査をされることが必要であろう。気象奇現象というふうに見ることは可能性が非常に少ないというふうに懸念されておりますから、そういう面での御努力をひとつ求めておきたいと思います。いかがですか。
  50. 古川清

    ○古川政府委員 御発言の趣旨は十分心にとめておきたいと思っております。
  51. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今後調査をしていただくということで、その結果によっては、集じん調査等々の結果を含めて御報告をいただくことをお約束をしていただきたいと思います。
  52. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 集じん調査の結果は、さしあたりは放射能対策本部に報告をするということで、放射能対策本部の方から一般に公表がされるものだと承知しております。
  53. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで、きょうの問題に戻りますけれども、いろいろ紙はいただいたのだけれども、これを読むと、何もわかってないということしか書いてないですな。これは今までの例に比しては大変異例なデータを出したのだ、こうおっしゃるので、私は、昔から栗原長官のハト派の体質や誠実な人柄は大変信頼をしている一人なんですが、しかし、どうも書いてあることは、「鋭意調査を進めてきております。今回の事故においては生存者がないこと、機体の破損が著しいこと等いろいろ困難な面はございますが、」「調査の結果、現有機について機材上、特段のふぐあいや問題がないことを確認いたしております。」こう書いてあるので、結局、何が何だかわからぬとしかわからぬのであります。これでは調査のしようもないのだけれども、しかし、そういう立場で二、三点だけ伺っておきたいと思います。  先ほど来亡くなった方への補償の問題がありましたけれども、それを含めてか、それとは別にか、乱射事件の方は別にして、今回のPS事故についての損害額といいましょうか、これはどういう額になるのですか。
  54. 木下博生

    木下政府委員 今回喪失しました機体は三号機でございますので、調達が大分古うございますので、その調達のときの価格がその後国有財産法上の価格としてどういうふうになっているか、今ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんが、五十年ごろに調達しましたものは、五十億円程度の機体機材だったと思います。したがって、金額的にはそのころに調達しました航空機の額という意味ではその程度のものでございますが、それ以外に人命の損害があるわけでございます。
  55. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これはけしからぬ。とにかく防衛という言葉があれば全部聖域で、これは具体的に言うなれば国有財産の棄損でしょう。補償の問題はひとつしっかりやってもらいたいというのは私どもも異論はないのですが、機材についてはこのそろばんが全然はじけない、こんなばかなことはありますか。こういうところに、この事故原因の問題はともかく、全然問題がずれているところがあるのです。私はちゃんとこの質問項目も出してある。この点一体、損害額が幾らかということも全部目の子で何の議論もしないで済んでしまっているというところに、国民の目の届かないという防衛政策上の基本的な欠落がありませんか。損害額が幾らになるかなんということは、国有財産の事故調査の当然の項目じゃありませんか。そうでしょう、大臣。それが幾らかということがやってないということはけしからぬ。そして、その補てんはどうするのか。この調査のためには、まだ飛べる飛行機を一機つぶしているでしょう。それも当然その中に入るでしょう。入りませんか。それも含めて幾らになるのか。それはどういう手続によって、どういう法規によって行うのか。これをしっかりしてください。
  56. 木下博生

    木下政府委員 購入しました三号機でございますが、これは当時の購入価格は十六億七千二百万円でございます。それで、国有財産台帳上の価格が今幾らになっておりますかという点は、ちょっと手元に資料がございませんが、これから耐用命数等を引いた値段で一応価格上は上がってくるものでございます。  それから、一四号機につきましては、耐用命数がちょうど参りまして用途廃止をしたものでございますから、用途廃止をしましたものにつきましては、従来適宜スクラップ処分をしていたわけでございますが、たまたまその用途廃止をしました機材がまだ岩国基地にございましたので、その機材を分解いたしまして、その機材の中の一部の金具を強度検査に使っておるということでございます。
  57. 上田哲

    ○上田(哲)委員 親方日の丸というのはこういうことを言うのですよ。これは税金ですよ。防衛という名前があれば何をやってもよろしいという、聖域じゃありませんよ。だから、亡くなった方についての補償はちゃんとやっていただくというのは、これは別問題だが、もうすぐ耐用年数が切れるからといったところで勝手に処理していいものじゃないのだし、スクラップじゃないのだし——もうそのことはいい。そのことはいいが、こういう損害額の計上というものはなしなんてばかなことは、どこにだってないでしょう。そういう問題と、それからどういう法規に基づいてどういうふうにこれを補てんするのかということぐらいは国会に対して説明ができないなんて、ばかなことがありますか。これが国民自衛隊にはならないという大事な一つの問題でもありますよ。  このことにくぎを一本刺して、私は防衛庁長官に倫理上の問題として一つ伺っておきたいのです。こういう国有財産が棄損された場合の指導者としての、政府としての倫理感というのは一体どこに置くのか。これは隊員訓練も含めてですが、昔はこれは陛下のものなんだ。小銃一本にも菊の御紋章があって、陛下に対して申しわけないなんということが、全部価値観の統一をされていたのです。今はまさかそんなことはないでしょう。そんなことはない。防衛庁長官、今は何に対して国有財産を棄損したという倫理観を持つのですか。
  58. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 それは、大変申しわけないという気持ちは、国民に対してでございます。
  59. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ここに主権在民、国民主権ということがあるということであるならば、防衛庁長官、今この程度の損害額云々、その概要をつかんでもいない、補てんの方途もしっかりしていないというような態度は、国民に対して大変失礼であるということになりますか。
  60. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 御指摘のような点につきまして、配慮すべきものと思います。
  61. 上田哲

    ○上田(哲)委員 細かい点を一々言ってもしようがないので、きょうはひとつそういう面から問題追及の視点が誤っておる。機能がどうした、金属の疲労度がどうしたなんということを幾らやったって、そんなこと自体は、枝葉末節とは言いませんけれども技術論なのであって、基本的にもし自衛隊というのが国民の安全を守るのであるというのであるならば、これは国会に対しての視点が違っておると思う。これはちょっと帳簿を見なければわかりませんみたいなことでは、基本的にやはりあり方が狂っているということを強く指摘して、事故問題に対する姿勢の転換をしっかり求めておきたい。  もう一つだけ。乱射事件で、乱射事件の演習で使った弾薬数はどれだけですか。
  62. 上野隆史

    上野政府委員 御質問の趣旨は、当時兼信二士が……(上田(哲)委員「当日、その演習」と呼ぶ)当日、兼信元二士が撃ちました弾丸は十四発でございますが……
  63. 上田哲

    ○上田(哲)委員 だめだこれは。もういいよ。個人じゃない。  時間が非常に狭められた質問だから、そんなことで立ち往生されたらおしまいになってしまうのです。予算委員会ならもうちょっとやり方があるけれども、ここはそういうことができないんだから、その質問を一々追及してもしようがないのです。わかってないのです。間違って向こうを撃つものをこっちを撃った人間が何発撃ったかみたいなことは、これはいろいろ調査もすぐできるだろうし、そこに問題の視点も集められているけれども、その日どういう演習が行われたかということは、これは軍事諜報上の問題は別にしても、国民のあるいは国会の、本日皆さんに向かって、皆さんから伺わなければならない資料の範囲でしょう。私が聞きたいことは、もうあと時間がないからこれ一問にしておきます。これは防衛庁長官に承ればいいことで、各論は後でひとつ報告をしてください。  私が心配することは、実弾の演習というのは旧軍隊の中でもめったにあったことではないのです。いいですか。自衛隊の実弾演習というのは一体どういう位置づけにあるのかということを私は聞いておきたいのであります。まさに、演習とは言いながら、これは実戦そのものと変わらないのではないか。今日の陸上自衛隊の曹士が実弾をどんどん撃つなんという事態というのは、そうめったに想像されるものではないのです、これは。そういうものが行われるのが訓練の仕上げの段階なのか初めの段階なのかということも含めて、一体自衛隊の今日の実戦演習というのがどういう位置づけになっているのか、弾薬の保有量が大体三日とかあるいは二週間とかそういう次元で議論されている中で、一体こういうふうな実弾演習というのはどういうふうに行われているのか、これは後ほど数字をもらえばいいから、今ない数字を一生懸命足し算したって意味がないから聞かないけれども、これは長官、まとめて伺っておきたいのですが、自衛隊の軍事演習の実態というのが、実弾というものを、実弾演習というものをどういう感覚で日常性の中で行っているのか。当たり前のこととして行っているということは、少し私は行き過ぎだろうと思う。昔の軍隊では、少なくとも今回のような演習というのは実弾を装てんする必要はない、実弾を装てんしなければならないような演習だと思っていない。自衛隊の実態というのが、いかにも戦争歓迎ムードみたいなものがどこかにあるような雰囲気の中で、より多く演習を実戦に近づけようとし過ぎる傾向があるのではないか。その中から、隊員訓練とは跛行的にこういう事故が起きてくるという問題があるのではないかという点を私は非常に心配をするのであります。  各論について、数字の問題等については後に出してもらえば結構だけれども防衛庁長官、それをひとつ厳しく理解をしていただき、今後の視点として御調査もいただき、また御報告をいただきたいと思うので、まとめて一言伺っておきたいと思います。
  64. 西廣整輝

    西廣政府委員 訓練演習のやり方でありますので、私の方からまずお答えさせていただきますが、演習の中で実弾射撃をさせるというようなことはまずない、ほとんどないというふうにお考えいただいた方がいいと思います。それは射場の問題、安全性の問題等がありまして、射撃は射撃訓練という形で実弾射撃をさせるということでありまして、今回の事故が起きました状況にあります訓練も、個人の小銃射撃技術の検定試験に際してたまたま実弾射撃をやらせたということでありまして、今回の場合はならし射撃、それから伏せ撃ちとか、各姿勢それぞれの弾薬の発射数がございまして、一人当たり二十五発撃たせるというような訓練計画になっておったと承知いたしております。
  65. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 いわゆる射撃訓練場で実弾を使用するという話であったわけでございますが、一般的な実弾を使用しての訓練というのは、これは極めて限られた特別の目的でやられるものと承知をしております。  御指摘の点は、自衛隊の管理運営、特に国有財産ということから考えて、十分に配慮して、納得のいくような処置をとれ、こういう意味だろうと思いますので、その点は拳々服膺して対処してまいりたい、こう考えております。
  66. 木下博生

    木下政府委員 先ほど御質問がありました数字はわかりました。二億三千二百万円……(上田(哲)委員「後でいいです、時間がないんだよ」と呼ぶ)
  67. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 前川旦君。
  68. 前川旦

    ○前川委員 私は、最初に長官にお願いしておきますが、その前に、亡くなられた方に対する哀悼の言葉を、社会党として心から申し上げたいと思います。人を大切にするという立場から申し上げたいと思います。  同時に、遺族の方に対する補償をきちっとやってもらいたいということも要望しておきます。  もう一つ、ハードな面だけではなくて、ソフトな面で、例えばの例ですけれども、後の家族の就職とか生活問題とか、そういう面にまで立ち入っての適切な措置をまず一つお伺いしておきます。いかがでしょうか。
  69. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 社会党として哀悼の意を表していただきまして、ありがとうございます。  遺族補償、それから今後の家族の就職等いろいろございます。そういった点につきましては、私も防衛庁として万全を期さなければならぬと考えて努力をいたしますが、同時に、現地の海上自衛隊の諸君もそのつもりで御協力申し上げるということになっておりますので、この点につきましては御信頼いただいていいんじゃないか、こう考えております。
  70. 前川旦

    ○前川委員 時間が極めて短いものですから簡潔にお答え願いたいと思いますが、まず、事故当時の状況ですが、高度は一体どれくらいだったのか、スピードは一体どれくらいであったのか。目撃者が、こんな真っ昼間でいないというのも不思議な話なんですが、これは一体どういうことなのか。それから、これは五百メートルと新聞に出ておりましたが、仮にこの飛行艇が五百メートルで失速した場合に、正常な巡航スピードだったというふうに新聞で読んでおりますけれども、回復するのにどれくらいの高度が必要なのか、この飛行艇の性能として。それをまとめて御回答いただきたいと思います。  もう一つ、ついでにパイロットの熟練度も含めてお答えいただきたいと思います。
  71. 西廣整輝

    西廣政府委員 あくまでこれは推定になりますけれども、高度千五百フィート、速力約百七十ノットで飛行しておったというように推定しております。  なお、パイロット練度は、機長であります当時の道永三佐、後に昇任しておりますが、道永三佐が六千四百七十四時間の飛行経験を持っておるということ、それから副操縦士の月田一尉が二千六百二十九時間の飛行経験を持っておりまして、いずれもパイロットといたしまして、PS1のパイロットといたしましてはベテランの部類に入るというように考えております。  なお、事故機事故当時の目撃者でございますが、いろいろ警察の方も通じまして当たってもらったわけでありますが、信頼の持てる目撃者というものはあらわれなかったというのが現状であります。
  72. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 後段の御質問につきましてお答えいたします。  仮に五百メートルの高度で失速状態を起こすというのはどういうことが考えられるかということでございましたが、これは大変難しい御質問でございまして、一般的にはそういうことは起こりにくいといいますか、我々もなぜ落ちたのかというのは、非常に関係者一同考えあぐねておるところでございますが、あえて申し上げますと、飛行姿勢が急に変わる、突風等の影響によりまして飛行姿勢が変わって、そのために推力が得られずに落ちるということは、仮定の問題としてはあり得るかとも思います。また、エンジンが不調のためにとまって落ちるということも失速を起こすわけでございますが、この飛行艇の場合には四発のエンジン、四基ありますが、仮にそのうちの二つがとまっても失速になるということはないという設計になっておりまして、失速という現象は、技術的に言いまして大変考えにくいことでございます。
  73. 前川旦

    ○前川委員 だれが考えても不思議な事故ですね。  そこで、これは何の訓練に飛び立っていったのですか。きのう出た中央公論の記事では、射爆撃の訓練に出ていた。そうなると、爆撃用の実弾を積んでおったのかどうか。あるいは、その引き揚げられた機体の破片の中に、機内での事故による爆発等の痕跡があったのかどうか。もう一つ、エンジンは四つとも正常に動いている状態であったのかどうか。その辺、まとめて聞きたいと思います。いかがでしょうか。
  74. 西廣整輝

    西廣政府委員 当日の訓練は、対潜射爆撃訓練のために出ておったものでありまして、積んでおったのはいずれも模擬弾でございますので、炸薬等は入っておりませんし、発射薬等につきましても非常に安定性の高いものでありますから、それが爆発するというようなことは、まず考えられないものであります。  なお、事故調査についてはまだ現在進捗中で、必ずしも確定したことを申し上げられませんが、今まで揚収されたもので、いわゆる焦げておるといいますか、焼け焦げたような形のものはございませんので、機内爆発があったというようには考えにくいというように考えております。
  75. 前川旦

    ○前川委員 エンジンはどうですか。
  76. 木下博生

    木下政府委員 エンジンにつきましても、現在事故調査委員会調査中でございますが、ばらばらになっておりますので、その全体を見ませんとよく結論は出ないと思います。
  77. 前川旦

    ○前川委員 そうすると、エンジンがとまっていたとかそういうことはまだわからない、正常に動いていたということもまだ結論が出ないということですか。
  78. 西廣整輝

    西廣政府委員 あくまで途中段階のことで、確定的には申し上げられませんが、エンジンはどうも作動しておったのではないかというように考えられております。
  79. 前川旦

    ○前川委員 ますます不思議な、考えられない事件です。飛行機として一番基本的な、飛んでいてすとんと落ちるなんて、飛行機として値打ちありませんね。  それから、新聞にちょっと出ましたが、フライトデータレコーダーが回収された。しかし、事故原因解明の手がかりになるようなデータが記録されてなかった。とまっていた。何かテープがねじれていて、動いてなかった。新聞に出ておりましたが、事実こういうことなのか。であれば、飛び立つ前の点検に不備があったのか、この点は。もっとも民間機じゃありませんから、こういうフライトレコーダーを装備する義務はありませんね。それから、この載せておったレコーダーは二百フィートなり七十メートルぐらい以下でなければ作動しないということもわかっておりますが、それにしても何らかの記録があれば何らか手がかりがっかめたかもわからない。なぜこういうことになったのでしょうか。余りにも偶然が重なり過ぎているように思いますけれども、いかがですか。
  80. 西廣整輝

    西廣政府委員 私どももこのフライトレコーダー、FDRの発見に全力を挙げておったわけでありますが、先生の御指摘のように、回収して開いてみた結果、録音されていなかったというのは事実であります。  なお、このフライトレコーダーの取り扱いでありますけれども、これは飛行前の点検でまず点検する、しかもチェックリストの中に載っておりまして、点検をいたしております。それは何をするかといいますと、まずそのフライトレコーダーのスイッチをオンにするということでありますね。それから二番目には、そのデータレコーダーのモードスイッチをオートマチックに切りかえるという操作、最後にそのデータレコーダーのテープの量の残量を見るわけでありますが、それが適正かどうか、三分の一以上あるということがデータの場合の基準になっておりますが、その三つを飛行前点検でチェックをすることになっております。現実にこのチェックは塔乗して殉職をした機上整備員と列線整備員、これは地上の整備員でありまして、現在生存しておるわけですが、その二人の間でチェックしたという事実を確認をいたしております。     〔委員長退席、小渕(恵)委員長代理着席〕  したがいまして、飛行前点検においてそのフライトレコーダーを作動状況にした、いわゆるスイッチオンにし、テープの量等も確認したというところまでは確認されておりますが、次の段階は、今度は機上の整備員が電源を入れた段階でそのテープレコーダーが回ったのか回らないかということを確認をするように、やはりチェックリストに載っております。その結果につきましては、塔乗員が全員死亡しておりますので、確認のしようがないという状況であります。
  81. 前川旦

    ○前川委員 交信から墜落まで二分弱、その間に全く何の連絡もないということも、これまた不思議で仕方がない事件ですね。皆さんは、今残っている飛行艇をいろいろ調査をして安全点検されていますね。これは全部リストが載りました。しかし、今ある飛行艇を幾ら調べても、落ちた飛行艇原因究明には、これはちょっと届きませんね。どういう方向からこの原因追求にこれからアプローチされるのか、この墜落事故に。どういうことを考えていらっしゃるのか。およそ考えられない事故でありますから、どういうふうにこれからアプローチしていくのか、それをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  82. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 先ほど来御説明いたしました特令検査というのも、これも場合によりますと事故解明の手がかりになり得るかという予想もございましてやっておりましたけれども、現在までのところではまだその端緒をつかんでおりません。  それから、先ほど来御説明いたしましたように、それでは予想される原因といいますか状況といいますか、あるいは突然空中分解が起こったか、あるいはそういう異常現象、操縦系統の突然動かなくなったというようなことでもあるのかというようなことから、そういう物理的なふぐあいというものを考えられる限りにおきましてチェックいたしまして、現在も続行中でございますけれども、そのほか、関係者にはとにかく常識的には考えられないようなことであっても考えられるだけのことをひとつ想定してみろというふうにやって、原因追求に鋭意努力しているところでございます。
  83. 前川旦

    ○前川委員 何かもどかしいような答弁ですけれども、時間がないものですから、それじゃこれはやはりきのう出ました中央公論の中の記事ですけれども、どこまで信頼できるかわかりませんが、ここに載っております今までの事故例のほかに、七七年八月三十日の午後十一時四十五分、PS1の五八一六号機、これが着水のときに大破するという事故を起こしているけれども事故の記録に入れていない。これは機体が失われていなくて、修理して使っているから入れていないというふうに出ていますが、これはこのとおり事実なんでしょうか。
  84. 西廣整輝

    西廣政府委員 事故統計の十万時間当たり何件という場合は大事故を対象にしておりますので、本件は中事故というところに分類されておりますので、私どもの方の中事故の数の中には入れております。
  85. 前川旦

    ○前川委員 負傷者が出ているのですから、これはやっぱり事故事故として、中事故であっても負傷者が出ている事故、人身事故ですから、これはきちっと統計に入れるべきであると思いますね。しかし、事実はあるということを認められましたから、それはそれとして、先ほどの月原さんへの答弁の中に、PS1とUS1と、US1の方が過酷な使い方をしながら事故はゼロ、PS1だけが集中する。これは十万時間当たりの事故率四・九はまた上がったんですか。この事故を除外してこれまでの四・九ですね。その理由は何ですか。先ほど事実だけを認められましたけれどもPS1に事故は集中して、US1に事故はない、ゼロだというこの理由はどういうふうに判断しておられますか。US1の方が過酷に使われているとさつき答えられましたね。
  86. 西廣整輝

    西廣政府委員 なぜUS1が事故がゼロであってPS1について多いかという全体についての状況を、私どももはかりかねておるわけでございますが、PS1については今までの事故が比較的離着水時に多いものですから、そういう点で生存者もあったというようなことなどで、個々の原因は他の航空機事故に比べるとわかっておりますけれどもPS1とUS1と比較してなぜ少ないかという点については、私どももわからないわけであります。
  87. 前川旦

    ○前川委員 わからないと言われますけれども、これは大事なことですから、やはり本気でその辺を究明していかなければいけないんじゃないかと思います。  それから、US1の方は水陸両用ですね。脚がありますから、陸上飛行場から出て陸上飛行場へ帰りますね。それも一つの大きな事故率の低い原因であろうと思います。  いずれにしましても、もう一つ聞いておきたいのは、PS1の使い方ですけれども、当初のように海の上へ転々と六十回ごとですか、着水しては探索するというやり方よりか、P2J的なソノブイを使うやり方が今メーンになっているはずなんですが、事実そのとおりなんでしょうか。
  88. 矢崎新二

    矢崎政府委員 先ほども説明したとおりでございまして、御指摘のように、PS1は当初はソーナーオペレーション主体に考えて開発をされた経緯がございます。しかしながら、その後いろいろなソノブイ技術発達というような変化を踏まえまして戦力評価をいたしました結果、そこの点はPS1の機能といたしましてソノブイの方に主体を移して運用をしていこうということに変わってきておりまして、現在はそういった形での運用をしていることは事実でございます。
  89. 前川旦

    ○前川委員 先ほどの答弁を聞きますと、八月ごろにはまた飛行艇として従来どおりの運用をするという答弁がありましたね。これは長官、乗員とその家族にとってみたら、また乗せられるんかという飛行艇に対する不信感というのは、私は鼻の先にどうしてもあると思いますよ。これは大変危ないことを、しかも原因がはっきりわからない、完全に解明されて改善策がなされた結果であればともかくとして、前の四国の山へ激突したやつも、これは原因はわかってないと書いてありますね。原因がわからないままに、今ある飛行機をちょっと点検して、大丈夫だろうからと言ってまた乗せるというやり方、これは私は、乗員にとってもたまらないし、また同じ事故が起こったときにどうするのだろうかという気がいたしますが、どうでしょうか、長官。  私は、こんな危ない、事故率の高いような飛行はやめるべきだと思うのです。そうしないと安心できませんね。また事故が起こる可能性があるんじゃないかと我々はここで指摘しておきますよね。危ないじゃないかと指摘しておきながら、なおかつ、いや点検した結果大丈夫なんだからと言ってまた同じように運用さす、そしてまた事故が起きたときにどんな責任がとれますか。長官、どうでしょうか。私は、これはまた同じように使うんだという考え方は改めるべきだと思いますが、いかがでしょうかね。
  90. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれどもパイロットの心理的な問題、これは非常に重要である、もちろんパイロットだけじゃなくてその家族は。パイロットの場合は、家族のことも考えてのあれでしょう。だから、そういう心理的な不安がないようによく意思を確かめて、しかるべき方法で、上からどうだというのじゃなしに、ずっと心理状態といいますか気持ちを聞いて、その上で飛行を開始をしなさい、こういうふうに言っておるわけです。  それでもう一つは、お言葉でございますが、今度の特令検査、今までのやつがどうこうというわけじゃございませんが、私は相当徹底をしてやっていただいていると思います。  実は私も現地を見まして、墜落機の揚収したものを見ましたよ。そうしますと、本当にどうしてこんなになったかというくらい非常にこっぱみじん、というのはあれですけれども、ばらばらになっていますよ。これは私の素人考えで見ると、ある時点にある高度からばんと墜落したんじゃないか、そのために非常に壊れがひどいんじゃないかというようなことを私なりに考えて、帰ってきましてから防衛庁のそれぞれの諸君に、私はこういう考え方だ。みんな、今までは考えられないと言うんですね。今までは考えられないようなことが起きた。だから一つには、事故というものには人間ではどうしても解明できないような事故もあるのかな、こういうのが私の一つのあれです。  例えば大韓航空の問題なんかについても、何が原因であったかわからないといって、今いろいろやっているでしょう。それでICAO等でやっているやつがどうのこうのとございますけれども、とにかくどうも私の感じからすると、どうにもわからないことというのはあるのかなという感じがございますけれども、しかし、それじゃそのままでいいかというと、そうはいかない。だからどうにもならないというように思うけれども、何かあったんじゃないか、そういう意味合いで——ああ時間があるからね。そういうことで、よく検討するように言っておりますので……。
  91. 前川旦

    ○前川委員 私の敬愛する防衛庁長官に一言申し上げておきたいと思いますけれども防衛庁長官みずからがわけのわからない事故があるのじゃないかなんて言われたら、現場で事故解明をしようとしている者の意欲を喪失する場合がありますから、私は、今の御答弁はちょっといただけませんね。いずれの機会かに訂正をしていただきたいと思います。  時間がありませんから、最後に一つ申し上げますが、何回も先ほどの御答弁に出ましたが、海幕が七七年から八〇年三月まで戦力評価作業を行って、その結果として、対潜作戦は日進月歩だ、ソノブイがもう発達している、したがって、ソーナーオペレーションでVDSというのですか、可変深度ソーナーを使って着水してのこういうやり方も、特に利点はないんだというふうな結論を出されているようなんです。であれば、そういう運用の仕方はやめてしまった方が私はいいと思う。あとまだ五年使うというのは、とても危険だと思う。  ただ、私、それをやめてしまえと主張するのになぜやめられないかというと、そのことでやめてしまったら穴があくわけでしょう。それをカバーするだけのP2Jが足りなくて、穴があくからやめられないということなんでしょう。それならそれでまだ考えようがあるじゃありませんか。例えば水上からの離発着を一切やめて、US1と同じように水陸両用にして陸上から全部運用するようにすれば、事故率はうんと下がるんじゃないですか。その辺のことも真剣に考える必要があるのじゃないでしょうか。運用の仕方としていかがですか。依然として離着水の、飛行艇としてのやり方けを続られるのか。  それは先ほどの上田委員質問と関連するんですけれども、かつての軍隊は人間の命よりか物を大切にしましたね。私は、これからは逆でなければいけないと思いますよ。あるんだからしまいまで、五千四百時間の耐用時間が尽きるまで使ってしまわなければいかぬのだという発想法は、人命の方を大切にする、そのためには物をなくしてもやむを得ないんだ、その発想法に変えて、転換しなければいけないのじゃないかと私は思います。まだ耐用時間が残っているからしまいまで使わなければいかぬのだ、こういう古い発想法が残っていて飛行艇をさらに飛行艇として運用されるのであって、そしてさらに犠牲者が出るということになったら、これは大変な責任問題になると思いますが、そんな発想ばいかがですか。  私は、もしどうしてもこの飛行艇を残さないと穴があくというのであれば、陸上機として、US1でやっているんですから、変えるぐらいのことは技術的にできるじゃないか。重量もUS1とPS1と変わらないんですから。そう思いますが、いかがでしょうか。
  92. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、非常に事故原因がわからない、そういう不可思議な事故じゃないか、こういうことでございまして、この事故についての究明をあきらめているというわけじゃございません。この点だけは御理解いただきたいと思います。  それからもう一つは、事故原因がわからぬ限りにおいては飛行再開すべきでない、そういう御議論もわかりますけれども、今私どもが申し上げましたとおり、それぞれ同種類のPS1とかUS1について、そういうものを調べることによって事故原因もある程度わかるのじゃないかということでやったわけです。それから、揚収したものの中で事故原因はどこまでもやっていくということでございまして、その間、それがはっきりしない限りは、もう事故が起きてもその事故原因究明できない、そうだったらば今ある飛行機訓練の用に供さないということも、これはやはりある意味では、せっかくの国の貴重な財産でございます、人命はもとより大切でございまするけれども、人事を尽くしてその上で飛行再開するということもまたやむを得ないのじゃないか、そう考えております。
  93. 前川旦

    ○前川委員 時間が来ましたからこれで終わりますが、せっかくUS1という実例があるのでありますから、US1の実例を見ながら、そのような運用の仕方もあるのではないかということを提案をいたしまして、検討してもらいたいということをお願いしまして、終わります。
  94. 小渕恵三

    ○小渕(恵)委員長代理 橋本文彦君。
  95. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 公明党を代表しまして、亡くなられたパイロット、また遺族に対しまして、心より冥福を祈りたいと思います。  私、四月二日に厚木基地に行ってまいりました。そこにたまたまUS1がございまして、この飛行機のことにつきましていろいろお聞きしました。海難救助機として非常に過酷な飛行に耐えておる、幸い事故はないという話になりまして、それに比べて今回のPS1は非常に事故率が高い、自衛隊の中でも事故の多い飛行機である、こういう声がありました。  その中で、特にこのPS1につきましては、十万時間当たり四・九件という非常な高さでございます。こういう高さの事故があるわけですけれども、先ほどの御答弁を聞いておりますと、いわゆる海上の離発着なんだ、波の上なんだ、したがってその危険率は高いという御答弁なのです。そうしまして、しかもUS1はもっと過酷な飛行に耐えておる、しかも事故はない、その辺の差異から、長官の方では、心理的な面があるのではないかというふうになってきておりますけれども、このPS1のいわゆる操縦特性といたしまして、従来の飛行機とは違った操縦だ、違った方向であるんだということを聞いておりますが、事実でしょうか。
  96. 西廣整輝

    西廣政府委員 私、専門でございませんので詳しく申し上げられない点もありますが、基本的に違います点は、先ほど来申し上げているように水上着水するということで、非常にスピードを落としておりなくちゃいけないという点に一番の特性があろうかと思います。他の航空機に比べて離着陸時のスピードがはるかに小さいということでございます。
  97. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 つまり、左に曲がるときには左の方にレバーを回すとかいうのが大抵の飛行機操縦法だと思うのですけれども、このPS1につきましては逆方向に回すというような特性があると聞いておるのですが、事実かどうか。
  98. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 ただいまのは操縦のやり方の御質問かと思いますが、私どもはそのようには承知しておりません。  ただ、おっしゃる意味は、あるいは左に傾く特性があるといいましょうか、いろいろ雑誌等にもそういうことが書かれておりますが、それは、非常に低速になりましたときに若干左に傾く、左に曲がるといいますか、そういう特性がある。これは開発の当初からわかっておりまして、それに対する措置といいますか、そういう状態を起こさないような構造にするとか、あるいは自動的に姿勢を戻すような装置をつけるというようなことで、相当程度その癖を軽減しておるということは申し上げられますが、操縦桿の動かし方につきましてさっきおっしゃったようなことは、私ども承知しておりません。
  99. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 他の飛行機に比べて操縦上特性がある、癖があるということは、間違いないですね。  この点についてはUS1も同じでしょうか。
  100. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 全く同様でございます。
  101. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 現在までに二十三機つくられておりまして、そのうち六機が、死亡事故等も含めまして破損しております。二十三機中六機という非常な高率でございます。  で、五十一年の段階から今回まで随分ありますけれども、これだけ六機の事故がありましてその原因がまだわからないというのは、どういうことなのでしょうか。これを見ましても、五十三年の十三名の死亡事故に関しては原因不明、こうなっております。そして昨年、五十八年の事故がありました。これも操縦上の過誤じゃないかという推定をしておりますけれども、これはいかがでしょうか。
  102. 西廣整輝

    西廣政府委員 今回の事故を除きまして、過去の事故につきましては、任務に出かける途中に四国の山中に激突をしたもの一機を除きましては、事故解明は十分できたというように考えております。
  103. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 この事故原因として、浮流物との衝突とかあるいは操縦上の過誤によって山へ激突したとか、こういうようなことなのですけれども、その事故究明によって、やはりこの飛行機には欠陥があるのだという点まではいきませんでしょうか。
  104. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 事故原因につきましては、それぞれ判明しましたものにつきましては対策を講じております。先ほど、浮流物にフロートがぶつかって、そのフロートがとれて横転して沈没したということでございますが、そのためにフロートの強さを強くする、それによって多少そういう浮流物等に当たりましても損傷を受けないようにする、これはもちろん程度はございますけれども、とり得る技術的な対策というものはその時点でとってございまして、全機に適用しております。  そういったふうな、とり得る処置をとってきつつありますので、現時点におきまして、そういう物理的にといいますか、技術的に欠陥を残したまま運用しておるということはないと承知をしております。
  105. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 昨年の四月にも十一名死亡、三名が重傷という事故がありまして、一年たたないうちに今回の事故があったわけですけれども、なぜ昨年の段階で今回行ったような特令検査を行わなかったのか、その点、いかがでしょうか。
  106. 木下博生

    木下政府委員 昨年の事故が起こりましたときも、同じようにその事故の態様に応じまして必要な特令検査実施したわけでございます。今回も同様でございます。  ただ、今回は、昨年の原因としては一応操縦上の過誤ではないかという結果になっておりますけれども、そういう事故が起こりまして一年以内にまた起こった事故でありますし、先ほど御説明申し上げましたように、事故原因が今のところ全くわからない、そういうようなこともありまして、特に念入りに個機ごと調査をしておるということでございます。
  107. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 単純計算いたしまして、失われた機体が六機ございますが、一機約五十億円としますと三百億円の損失、こうなります。それから、亡くなられたパイロットあるいはその遺族に対する補償等々を考えますと、相当膨大な金額となると思うんです。先ほど長官も、誠心誠意できる限りの補償をしておくという発言だったんですけれども、青天井じゃないわけですね。おのずから限界がありますけれども、本件の事故で亡くなったパイロットに対して、どの程度の人命の補償として金額を出す用意があるのか、まずそれをお伺いします。
  108. 上野隆史

    上野政府委員 今回の事故パイロットに対します補償といたしましては、遺族補償年金、葬祭補償遺族特別支給金、遺族特別援護金、遺族特別給付金、退職手当、以上が国からの給付でございますが、共済組合からの遺族年金、弔慰金等々加えまして、年金におきましては五百二十四万五千六百八十円、それから一時金が二千百六十四万一千八百九十一円となっております。
  109. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 そうすると、一人二千五百万台ということですね。
  110. 上野隆史

    上野政府委員 今申し上げましたのは機長、パイロット、二佐でございまして、この方の年金、一時金は一番多うございます。  なお、年金は、御承知のとおり、これは御遺族の方がその受給の資格を有する限り、何年でも支給されるという性格のものでございます。
  111. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 ところで、今回の事故原因が何であるかがまた問題ですけれども、このPS1に関しまして、事故があって人が死んだ。これに対する補償はどういう形で全部終わっておりますか。過去のデータです。
  112. 上野隆史

    上野政府委員 御質問の趣旨が、過去全部のPS1の事故ということでございますと、ちょっと手元にございませんが、前回の場合、五十八年四月二十六日のPS1の墜落事故におきます補償の資料は手元にございます。  機長の例について申し上げますと、機長は一等海尉でございまして、この方の年金が二百八十万三千円、それから一時金が一千万二千七百三十五円でございます。以上が国から出るものでございまして、そのほかに共済組合の年金が九十四万八千百二十円、一時金が、これは共済組合あるいは弘済会の共助部、隊友会等ございますが、百九十一万六千二百円でございます。  以上でございます。
  113. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 この前回のデータは、操縦上の過誤があるということで、いわゆるその過失を認定しているために金額的には低いわけですか。
  114. 上野隆史

    上野政府委員 前回の事故は、過失を認定したということではございません。これはそういうことではございませんで、通常の公務災害補償、その満額が出ております。  なお、前回の事故につきましては、操縦者のパイロットのミスのみというふうには理解していないわけでございます。
  115. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 通常の死亡事故に比べると極めて低額だというのが実態ということは、よくわかりました。  それと関連しまして、失われた飛行士を何千時間という形で飛ばして育成するわけですけれども、そういう長時間養成したパイロットも亡くなる。この養成時間を金額に直しますと、どの程度の国家的な損害なのか、これは概算で結構です。一人のパイロットを養成するまでにこれぐらいかかるんだ、それが一瞬のうちに消えてしまう、これを概算で結構ですからお答え願います。
  116. 西廣整輝

    西廣政府委員 ちょっと手元にPS1の一人当たり経費を持っておりませんが、いずれにいたしましても、億に近い数字であろうというふうに考えております。
  117. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 億に近いというだけの回答では、余りにも大ざっぱなんですけれども、億を超えているのか超えていないのか、私はもっと超えると思うんです。億というような数字じゃなくて、もっと何十億とゆうような数字だと思うんですけれども……。
  118. 西廣整輝

    西廣政府委員 ちょっと手元に資料はありませんので、ジェットパイロットの資料を申し上げますと、F4Jのパイロット、この養成には約三億九千万をかけております。
  119. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 このジェットパイロットPS1のいわゆる海上離発着、どちらが技術的には困難なんですか。
  120. 西廣整輝

    西廣政府委員 ちょっと私もパイロットでございませんし、このジェットパイロットPS飛行艇パイロット両方やった人というのはおりませんので、どちらが難しいかというのを比べるのはなかなか難しいと思いますが、それぞれ特性があるということで、片方は非常に高速で着陸をするというところに難しさがあり、一方は、飛行機は低速になればなるほど失速のおそれがあるわけですが、非常に低速で着水をするというところに逆の難しさがあるというもので、難しさの意味が全く違うのではないかというように私は考えております。
  121. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 一つの死亡事故が発生した場合に、機体の額、そういうものは計算できます。また、失われた人命に対してもある程度の計算ができます。しかし、目に見えないこういう養成に要した費用というもの、これも莫大でございます。そういうわけで、一つの事故が起きた場合に、どの程度の国家的な損失が起こったのか、これをその都度明確にしておいていただきたいと今後ともお願いいたします。どの程度の損害なのか。  それから、US1が五十九年度の予算で一機発注されております。今回のPS1の事故前から予算はできておると思いますので、その点から、今回のPS1の事故を踏まえて、このPS1の全く同じ母体がUS1でございますので、そういう事故の危険性がない、今までUS1については幸い事故がなかったから今回もないであろうというような安易な考えではなくて、どうしてもUS1が必要だというような論拠をお示し願いたいと思います。
  122. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま御指摘US1でございますが、これは御承知のように、厚木と岩国に常時二機ずつ配備をしておりまして、同時に二地点での洋上救難が可能な態勢を維持しておるというのが現状でございますが、こういった二機ずつの二カ所での待機をする態勢というものを維持するためには、七機のUS1というものを保有をしているということがどうしても必要でございます。五十九年度予算に計上いたしました一機というのは、現在持っております七機の中で、六十一年度に命数が来まして減耗を予定されているのが一機ございますので、この七機の救難態勢を維持していくというためには、どうしてもこの一機を調達をしなければならないということで計画をしているものでございまして、これは予定どおりぜひ調達をいたしたい、こう考えているものでございます。
  123. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 今の答弁は、あくまでも救難活動のために必要な飛行機なんだ、こういうことでございますね。  このUS1にかわるいわゆる海難救助の飛行艇はないのでしょうか。
  124. 矢崎新二

    矢崎政府委員 我が国は、現在洋上における救難態勢の構想としまして、遠くはるかの洋上に進出をいたしまして、そこで洋上に着水をいたしまして、傷病者の救助も含めました救難活動を展開したいということを基本に考えておるわけでございまして、そういう意味で、着水をできる飛行艇というものが不可欠な運用構想をとっておるわけでございます。現在海上自衛隊が持っております航空機の中にこれに代替すべきものというものはないわけでございまして、やはりこのUS1の七機態勢をぜひ維持をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  125. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 そうすると、US1は海難救助という形でどうしても必要である。そうなりますと、今回の特令検査を通じて、US1、PS1のいわゆる操縦系統等々一切同じだということである、そういう機材の点検等からして、PS1とUS1、どこかに違いがないのか、どうして事故の発生率が違うのか、これをどのように究明するのか。また、そのUS1とPS1の事故ゼロあるいは四・九という数字に対しまして、どこに差異があるのか。そういう方針は現在お持ちですか。
  126. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど来申しましたように、確かに実績としてはUS1が事故率ゼロである、PS1はかなり高い事故率を上げておるということは御指摘のとおりでありまして、しかも機体としてはほとんど違うところがない。ただ違うのは、離発着について陸上を使うか水上を使うかという点だけであります。しかしながら、それではPS1が離着水回数が多くて、US1が少ないかと申しますと、実を申しますと、それぞれの飛行時間当たりの離着水回数というものの率はほとんど同じでございます、US1とPS1につきましては。     〔小渕(恵)委員長代理退席、委員長着席〕 ということになりますと、US1は陸から離発着して水におりる機会が少ないから事故が少ないということも成り立たないわけでございまして、ということになると、やはり機材が同じ、運用の仕方といいますか、離着水の回数もそう変わらないのに、なぜPS1が多いかということになると、先ほど私、わからないと申しましたが、これは一般的に申しますと機材原因ではなくて、従来のPS1の事故というものは人為的といいますか、人にかかわる事故主体であったと考えざるを得ないのではないかというように考えております。
  127. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 そういたしますと、あくまでも操縦する人間の問題であるということに帰着してくるわけですけれども、そうしますと、ますますこれを運用するパイロットにしてみれば、PS1は事故が多い飛行機だ、しかもその事故原因も解明されないまますぐまた訓練に入っていく、となれば、まさに先ほど長官がおっしゃっているように、心理的な面でますます事故に対する不安を覚えるんじゃないかと懸念いたします。  そういう、人にかかわる問題なんだという答弁がある以上、速やかにこの飛行機訓練はもうやめる、原因が不明ならばますますやめるという方向で行くべきじゃないかと思います。また、そうでなければ隊員の士気も上がらぬじゃないかと思います。いつ事故に遭うんじゃないか、そういう不安では到底防衛訓練はできないと思いますが、いかがでしょうか。
  128. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 先ほども申し上げましたけれどもパイロットの方の心理的なものについては十分に配慮をしてということを言っておりますので、その結果が出てくると思います。  それから、先ほどのお話のとおり、事故原因がわからないから、事故原因がわからなければ永久にこれは飛行をすべきでない、こういうことになりますと、これはまた別の面からいかがなものかということも出てくるわけでございます。やはり自衛隊というのは訓練をしなければならぬ、また、貴重な国有財産というものもあるわけでございまして、そこら辺につきましては、人事を尽くして、これから飛ぶのは安全である、人間が考えて、もうこれは安全である、そういう認識に立って飛行再開するということもやむを得ないんじゃないかと思います。
  129. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 時間が参りましたので、人事を尽くしてこのPS1に事故がないように心より祈って、質問を終わります。
  130. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 吉田之久君。
  131. 吉田之久

    ○吉田委員 まず初めに、長官に申し上げますが、この二月二十七日に山口県で陸上自衛隊の射撃訓練中の許しがたい事故、それから相次いで松山沖PS1の今もって原因不明の死亡事故、この二つの事故国民は聞きまして、非常に憂慮にたえないものを感じたと思うのです。当然この委員会におきましても、一刻も早くその事故原因究明するためにいろいろ調査報告を聞こうということになっておりました。ところが、今調査中であるからもう少し日時を与えてほしいという防衛庁のお話だというふうに委員長からも承りました。きょうようやく委員会を開いていろいろと説明をしたいということでありましたから、私どもはかなり、事PS1につきましてその調査報告がまとまり、原因の核心に迫るものが確認されたのではないかと思って参加したわけでございますけれども、先ほど来聞きますと、要するに現時点においては原因不明という一語に尽きると思うのですね。調査を鋭意なさっておることは認めます。しかし、今日なおもってそういう状態結論しか得られないということは、非常に私たちも残念に思っております。  同時に、防衛庁の方では、今度は特に特令検査等を今指示し、またやらしたんだ、めったに出さない資料ではあるけれどもと言って膨大な資料をお出しになっておられますけれども、大変えぐって解釈いたしますと、起きたPS1の事故についてはどうもわからない。あるいは、今後とも調査をするけれども、ついに最終的に原因は不明であるかもしれない。残っておるこのPS1をいろいろすべて総点検したけれども何ら異常はない、だからこれから訓練は続けるんだ、こういうことを説明するためにこの資料を出されたのではないか、そのようにさえ考えたくなる感じが私どもはいたすわけでございます。  私どもがそう考えることについて、長官は御理解なさいますか。
  132. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私は、何か一つのことを前提にして早く飛行再開したい、そのためにこうするというようなことは、今回持っちゃいけないということですな。事故調査徹底的にやる、特令検査もやる、そして特にパイロットの心理状態も確かめた上で飛行再開しなければならぬということを言っているわけです。ですから、ただいま御指摘のような、そういう考え方は毛頭ございません。先ほどもちょっと私、申し上げましたが、こういう事故がどうにもわからぬというようなことがあるのかなというぐらいの感覚なんですから、決して意図的に何かしようということじゃございません。この点は、私並びに防衛庁を御信頼いただきたいと思います。
  133. 吉田之久

    ○吉田委員 今長官のお気持ちは確かに承りました。したがって、私は長官に申し上げておきますが、どんなに時日がかかろうとも、この問題の究明のためには徹底的に全力を尽くしていただきたい。必ず原因を突きとめていただきたい。そういうこともできないようであるならば、今日科学技術が高度に発展した我が国において、しかもこういう最新鋭の兵器を訓練して国を守るということ、その根底自身が国民には大変疑われ始めると思うわけでございまして、そういう点で事は極めて重要だと思います。  それから、先ほど来各委員がいろいろと御質問になりました点でもありますけれども、要するに、こういう事故が頻発するということは、機種がどのように優秀であれ、あるいは操縦員の訓練が今日までどれほど行き届いているとはいえ、しょせんこのPS1というものは一種の欠陥機なのではないかと言わざるを得ないと私は思うのです。これは、ともかくPS1が契約されて取得されてから、今日まで延べ二十三機が配属されたわけですね。ところが、そのうちの六機が大事故を起こしているわけなんです。ほかにも中事故もあるように先ほど聞きました。二十三分の六というのは四分の一以上ですね。四機に一つが事故を起こして、大破して、そして人が死んでいく、これはもうまさに問題だと思うんですね。  それでも、残っている飛行機は大丈夫です、よしんば大丈夫であっても、これはやはり使えない飛行機になりつつあるのではないか。今すぐやめろとは言いません。しかしながら、その辺の重大な認識をなさりませんと、あるものだから、国家財産だから、そして国防は大事だから訓練は一日もゆるがせにできないのだという考え方の延長線上だけで今後進んでいかれるのは、いかがなものかと思わざるを得ないわけなんです。  特に今までの事故は、例えば浮流物と衝突したとか、あるいは操縦上のミスであったとか、特に去年起こりました事故ども、我々は随分いろいろ意見を申し上げました。要するに、まだこういう事故が頻発しておる状況なんだからへ余り低空で旋回したり、やや無理と思われるような訓練はなるべく慎重にやるようにしたらどうかと言ってきたやさきでありますが、ともかく今までの原因は、ほとんどが操縦ミスと思われる。よく原因はわからないけれども、山にぶつかったということも、それはそれが一つの物理的な現象としてわかっているわけなんですね。  今度は、物にぶつかったわけでもなし、しかも操縦ミスとも言えるのか、言えないのか。この種の問題をこのまま残して前に進むということは、先ほどもお話がありましたけれども、大変士気を阻喪させることになりかねない。国民自衛隊、特に海上自衛隊航空機出動に対して大変に心配の念を深くするのではないか、むしろその方の問題が非常に大きいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  134. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私も、後に残っておりまする海上自衛隊隊員の士気の問題については、非常に重大な関心がございます。またそのために、先ほど来申し上げているとおり、心理状態についてはよくその周辺から聞くような格好でやりなさいということを言っているわけです。今まで私ども承知している限りでは、後に残っておる隊員諸君は極めて士気旺盛である、こういうふうに聞いております。決して無理をして何とかというふうには思っておりません。ただ、心理状態というのは非常に重要ですから、一応後に残っている者がしっかりやろうという気分があるにしても、その上にもまた念には念を入れなければいかぬということでやっているわけでございまして、その点については十分に配慮していきたい、こう考えております。
  135. 吉田之久

    ○吉田委員 私どもも昔、もっと初歩的な飛行機でありますけれども、乗った経験があるわけなんです。やはり事故が起こった後の同僚の動揺というものは覆うべくもないと思うのですね。同時に、指導者、教官たちが、それを克服するためにいろいろ指導、御苦労なさいますことはよくわかります。  ただ、やはり理屈ではなしに、飛行機でも自動車でも一緒でありますけれども、非常に乗りやすい飛行機とどうも乗りにくい飛行機と、乗るのは人間でございますから、これは機械じゃないのですから、そういうものがあると思うのです。何かこの辺の一連の事故の多発を見ますと、その辺も考えなければならないのではないか。いかに優秀な機種であったって、それになじまない何かがあるのではないか、こういうことも思うわけなんです。特にその点では、US1は同じような飛行機だと思いますけれども、その方にたまたま事故が少なくて、こちらの方になぜ事故が多いのか。それは完全に同一の機種なのか、操縦システムというものが完全に一緒なのか、その辺、両方の操縦士に、もうベテランぞろいでありますから、よく聞きただして、そして虚心坦懐に、どうもこの辺かなじまないとか、何かそういうものがありとするならば、そういうことをこそやはり親切に聞きただしてやるのが一つの対策だと私は思うのですよ。そういう御努力をなさるお気持ちはありますか。
  136. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ですから、先ほど来申し上げているとおり、パイロットの心理状態、そういうものを十分に配慮して、飛行ができるということになったら再開をすべきだ、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  137. 吉田之久

    ○吉田委員 私はもっと率直に、本当にそのパイロットたち、彼ら自身にも考えさせて、なぜこういうことになるのだろう、そういえばこういう点が何か気になるとか、やはりその辺にも原因はあると思うのです。  それから、飛行艇というのは何せげた履きなんですから、普通の飛行機に比べて随分重いですよ。動作が鈍いのですよ。そういう点では、同じ航空機の中でも、飛行艇というのは特殊な機種だと思うのですよ。そういうことを十分配慮して対応し、訓練し、その訓練練度をどのようにスローに上げていくかというようなことをなさらないと、やはり事故というものはあるいは不幸にしてまた起こるかもしれない。もう一度起こるようなことであるならば、もう終わりであります。しかも、ほとんど一年置きに起こっている。途中でちょっとなかったと思ったら、また続いておるということでございますから、長官としてもその点はもう本当に深刻にお考えいただきたいと思うわけでございます。  それから、特に陸上自衛隊で発生いたしました射撃訓練中の許しがたい事件ですね。今本人は精神鑑定中とかいろいろ承っておりますけれども、それは別として、やはり人間でございますから、ある日突然どのようなアブノーマルな状態にならないとも限らない。そういうことを十分考慮に入れて、武装集団である自衛隊が、日常行動において、とりわけ訓練中においてそういうイレギュラーなことが起こったときにはどう対応するかということは、絶えず考えられていなければならないと思うのです。  今度のあの事件を見ますと、要するに、周章ろうばいなすことを知らずという一語に尽きるのではないか。そんなとんでもないのが人を撃って逃げ出したわけでありますから、それをただじっと——後をどのように追ったのか、追わなかったのか。そこに上官のジープが置いてあった。鍵がついておったのでしょうね。そのまま乗って出た。危険性をはらむ射撃訓練中にそのゲートの門が閉ざされていなかったということ、私はそれでいいのだろうかと思います。あるいは、もしもそういうことで逃亡していくとすれば、それが一般社会に出たときにどんな危険なことを誘発するかもしれないわけですね。だとするならば、その人を殺せとは言いませんけれども、足元をねらうなり、そのジープを撃って動かないようにするなり、何らかの対応ができたと思うのです。そういうことはなさらなかったのですか。なし得なかったのでしょうか。
  138. 上野隆史

    上野政府委員 お答え申し上げます。  当時発砲があった射場ドーム内には、射場指揮官以下二十八名おりまして、そのうち小銃を持っておりました者は、当該兼信元二士を除いて四名でございます。逃走経路周辺には警戒員とか操縦手等九名ばかりおったわけでございますが、先生からも今お話ありましたとおり、何分にも予想もしない事件が起こったということでございますが、当時の状況を考えてみますと、小銃を構えて走り、あるいは車両で逃走を図る兼信二士を制止するということは、極めて困難な状況であったと思っております。ただ、今から考えてみますと、今先生御指摘ありましたように、もっとしっかり配慮しておくべきであったということはいろいろございます。  ただ、当時の現場におきます最高責任者でありました中隊長は、兼信元二士を制止すべく説得に努めたということもございます。また、射場外に出た同人を、これはジープで逃走を図っておったわけでございますが、そばにありましたトラックに乗りまして追跡をしたというような、当時の状況としては最善の努力をしたのではなかろうかという感じはいたしますが、結果として同人の逃走を阻止できなかったということは、まことに残念なことだと考えております。  今後こういう事件の再発防止のために、いろいろ検討を加えまして、その検討結果に基づきまして再発防止のための対策、諸措置を現在鋭意とっておるという状況でございます。
  139. 吉田之久

    ○吉田委員 いろいろ指揮官、隊長が説得に努められたのであろう、そうでも言わなければ、これはさまになりません。しかし、君、けしからぬと言ったぐらいのことでないかと思うのですよ。そんな説得に応ずる相手じゃないですよ、人を殺しているのですから。  だとするならば、そういうときに自衛隊は結局何もなし得ないのか。今度の事件の大小は別として、国民に与えたショックは大きいのですよ。要するに、自衛隊は一朝有事の際は敵と戦う組織なんでしょう。味方の中でとんでもない、そういう気のふれたような人が出てきて仲間を殺したときに、みんな何をするんだと言いながら何もできなかったというのでは、国を守れるのだろうか、それは心配する方が当然だろうと思いますね。  一説によりますと、それは撃たれた人間しか撃ち返せないんだ、正当防衛としてそれは認められる、しかし、隊長や隊員の仲間たちが彼を攻撃することはできないんだ、そんな法的根拠はないんだ、こういう説も聞くわけなんです。あるいはそうかもしれません。それならば、我々国民から見て、自衛隊とは何ぞや。それは鉄砲を持っているお役人にすぎないですね。あるいはライフル愛好者の集団にすぎないですね。何もできないんじゃないですか。この辺を長官はどうお考えでございますか。
  140. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私も事件を聞いたときにこう言うたんですよ。どうして逃がしてしまったんだ、どうして撃てないんだ、どうして門を閉めておかなかったんだ、私も、そういう素朴なといいますか、自然な疑問を呈したわけです。ところが、弾を込めておったというのは限られた者だ、ほかの者は弾を込めていなかった。いま一つは、警務隊というのがございますね。警務隊がおる場合には取り押さえられる、あるいは撃てる。そうでない場合はその権限がない。それじゃ、もし弾を持っていたとするならば、それに対して撃ったらいいじゃないか。撃った場合に正当防衛ということもありますけれども、それは本人がやられるというときでないとやれないわけですね。指揮官が命令して撃てというわけにはいかないようですよ、今のあれでは。それでは、そういうことを予想して絶えず弾を持たしておくということになりますと、これまた、持たした結果、果たしてどうなるかということも考えなければなりませんから、法的にどうこうという問題になりますと、なかなかこれは慎重にならざるを得ないということもあるわけです。  そういうことで、今回の場合には、皆さん方から見てもどうしてこんなことだったというような点もございますが、今人事教育局長から話を申し上げたとおり、その場の状況としては、甚だ残念であるけれども仕方がなかったかなということでございます。しかし、今後こういうことのないようにするのにはどうしたらいいか、それについては厳正な対応を考えなければならぬということで、今やっておるわけでございます。
  141. 吉田之久

    ○吉田委員 時間が参りましたので仕方がありませんけれども長官、仕方がなかったのじゃないかなでは、国民承知しませんよ。めったに起こらないことだと思うけれども、しかし、絶対起こらないとは言い切れないのですね。それに対してもなおかつどう対応するかという法的な基準や対応ができてないと、これは自衛隊とは言えません。だから、その辺に対して今検討中というだけではなしに、きちんとした長官ないしは政府の考え方を即刻、後日我々にお示しいただきたいと思いますが、いかがですか。
  142. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 私の言うやむを得なかったかなというのは、いわゆるその場の処理としては、今吉田さんおっしゃったとおりですが、ばんばんとやるような、そういうことはできない状況だったんです。ですから、その場の状況としてはやむを得なかったのかな、しかし、だからこのことが許されていいかというと許されないということで、一連の処罰を厳正にしたわけでございます。この点は御了解いただきたい。やむを得なかったなというのは、それだけしかとれなかったのか、それにしてももっとほかの手がなかったのかという意味で処罰をした、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  143. 吉田之久

    ○吉田委員 対応策はお考えになりませんか。
  144. 上野隆史

    上野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま長官からもお話ありましたように、現行法規でもって具体的にこういう事件について実力を持って対処する、発砲するとかそういうような手段でやるということについては、いろいろ問題があるところでございます。  そこで、こういう事件の再発防止のためには、大もと、根っこから考えなければならないのではないかということを考えまして、まず、自衛官の採用に当たりましてどうするか。例えば志願票の記載事項の調査を強化するとか、あるいは隊員募集に当たりましての今までのやり方、考え方を改めてやるとか、それから採用試験の見直しをするといったようなことでもって、いわば問題を起こさないよい隊員をまず入れることであろう。これが入り口の話でございます。  次に、入った後、今度はやはり人間でございますから、環境になじまないでいろいろな悩みも出てくるでありましょう。今回の事例もそういうようなことが出ておりました。そこで、入りました者に対します服務指導等を適切にやろうではないかということで、身上把握の徹底を図る、またカウンセリングの充実を図るといったようなことをやろうではないかということを考えております。  それから、具体的な教育訓練につきましても、武器弾薬の管理は現在でも確実にやっておりますけれども、なお一層徹底を図ろう。また、射場管理につきましても、射撃訓練の際の勤務組織とか配置とか役割等に関しますこういうものについて、規範類は整備されておりますけれども、具体的な射場の勤務員、これについては適切な選定を図ってまいりたい。具体的に申しますと、ベテランを配置するといったようなことをできるだけ考えていきたいといったようなことを現在考え、そしてできるだけ早く成案を得たものから実行していこうということで考えておる次第でございます。
  145. 吉田之久

    ○吉田委員 またの機会に譲るとしまして、質問を終わります。
  146. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 柴田睦夫君。
  147. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 最初に、今回のPS1の墜落事故の問題ですが、これは射爆撃訓練のために日向灘に向けて飛行中の事故ということでありますが、どこの海域で訓練を行うことであったか、それから射爆訓練、これは先ほど対潜射爆訓練だとおっしゃいましたが、どのような中身の訓練であるか、このことについてどういうことをやる予定であったか、このことをお伺いしたいと思います。
  148. 西廣整輝

    西廣政府委員 本事故を起こしましたPS1は、四国沖と申しますか、日向灘沖と申しますか、いわゆるL海域で対潜ロケット及び対潜爆弾の訓練弾による射爆撃訓練を行う予定だったわけであります。
  149. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その対潜爆弾の投下訓練ということになるわけですけれども、これは何発落とすか、こういう点ですが、その中身、どういうふうに、一つの目標に向かってそれに集中して落とすのか、幾つも目標があって続いて落としていくのか、こういう問題です。
  150. 西廣整輝

    西廣政府委員 事故機は、訓練用のロケット弾六発と訓練用の対潜爆弾四発を搭載いたしておりました。したがいまして、ある目標に対して六発を撃つ、それから対潜爆弾の方は、一個ずつ落とす場合もありますし、二個落とす場合もございます。
  151. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この前の内閣委員会防衛庁の方は、今回の事故操縦上の事故運用上のあるいは訓練管理上の問題、機材上の問題、三つの考え方がある、そして今回の場合は、訓練に向かう途中ということで、飛行そのものは非常に難しくない状況、極めて普通の状態で起きた事故でありますので、これから原因調査しなければいけませんがということで、そういう答弁をされております。  今日、この事故原因調査中だということで、現在も調査中だということでありますが、今日の段階においてもこの有力な原因として機材上の問題、これは十分に考えられておられるわけですか。
  152. 木下博生

    木下政府委員 事故原因調査は、究極的には落ちました飛行機を全部回収して、その上で調査をするということ以外に究明できないかと思います。  ただ、今回の事故は、今おっしゃいましたように、通常の飛行状態で、まあ旋回中ではございましたが、落ちたということでございますので、機材上の原因もあり得るということで、もし同じような原因があった場合に、またほかの航空機に同じような事故を起こしてはいけないということも含めまして、先ほどから御説明しましたような厳密な個機ごと調査実施したわけでございます。
  153. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 五三中業では、PS1についての整備内容というところに、評価作業の結果を見て期間内の整備方針を決定、こうしておりまして、存続するかどうかの評価作業を行うことを明らかにしているわけですが、この評価作業はどういう結果になっておりますか。
  154. 矢崎新二

    矢崎政府委員 ただいま御指摘戦力評価作業でございますが、これは当初PS1を取得をいたしました当時は、ソーナーの方が一般に性能がよろしいということで、ソーナーオペレーション中心運用していくということを考えまして、そのために洋上で着水可能のPS1というものが整備を進められてきたわけでございます。しかしながら、その後いわゆるソノブイの性能向上が非常に進んでくるというような状況が出てきたわけでございます。したがいまして、そういった状況を踏まえまして、今後のPS1の取り扱いをどう考えるかということの判断に資するために、ただいま御指摘戦力評価作業実施したわけでございます。  その結果、発達の著しいソノブイの能力、戦術に比べますと、ソーナー有効性は相対的には減少してきているということが判明をしてきたわけでございます。したがいまして、運用上もソーナーオペレーションの比重を減らして、ソノブイ中心運用に移行していくという方向に移っていったわけでございます。それと同時に、PS1の調達につきましても、五十二年度の契約が一機、これが最後でございまして、五十三年度以降の契約はしないで、二十三機の調達で終了したという状況になっておるわけでございます。
  155. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 評価作業が戦力の評価ということですけれども、これはPS1がたびたび事故を起こしてきた、そしてその事故報告によりましても、原因不明というのもあるわけでありまして、そういう点でこの機材上の問題この評価というものも当然加えられるべきではないかというように思いますけれども、そういうものは問題ないという前提でこの評価作業は進められているわけでしょうか。
  156. 矢崎新二

    矢崎政府委員 五十二年二月以降実施されました戦力評価作業といいますのは、オペレーショナルな観点に立って、これが一体いかなる意味があるかということを比較をした作業でございます。
  157. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういう戦力評価だけではなくて、やはり繰り返し事故が起きるこういうPS1のようなものについては、絶えず機材上の問題はないか、安全であるかという面は検討されなければならないというように考えております。  それから、五六中業においてもPS1は一個飛行隊、要するに六機を残すことになっております。防衛庁は先ほども六十四年まで使うと言っておられますが、今回の事故調査の結果、機材上の原因がはっきりするということになれば、五六中業を見直して、もう危険であるから除籍するということもあるのかどうか、端的にお伺いしたいと思います。
  158. 木下博生

    木下政府委員 五十二年の評価作業のときにはもちろん運用上の面から検討を行ったわけでございますが、この過去の事故例をごらんいただいてもわかりますように、事故原因が一応推定されるものもたくさんあるわけでございます。今回の結果はまだわかっていないわけでございまして、鋭意事故原因調査はやるわけでございますけれども、今回のように全くどういう状況で起こったかわからないというような事故原因はなかったわけでございます。そういうようなこともございますし、それから今回の事故に関連しましてやりました調査でも、機材上の問題があるんじゃないかという点につきましては、相当厳しい調査をやった結果、今までのところ、個々の残っておる機体については何ら問題が起こっていないというようなことでございますので、直ちに今ここで機材上の問題があるから将来の運用をやめていくというようなことは考えていないわけでございます。
  159. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 要するに、操縦上の過誤ということにしてしまえば、機材上の問題、管理上の問題がみんな責任がなくなってしまうということになってしまいます。そして今私は、機材上の問題がはっきりすればなくすことがあり得るのかという質問なんですけれども、対潜水艦作戦の上から現在のところまだ除籍できないというような考え方が先行したのでは、これは非常にここでみんなが問題にしていることにこたえることにならないというふうに思うわけです。そういう点について、長官からちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
  160. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 今装備局長からお話しいたしましたとおり、事故原因は今のところわからない。その段階でどう対応するかというと、残ったPS1、それからUS1、それについて徹底的に検査をする、これは当然だと思うのですね。その結果はただいま御報告したとおり特別なことはない、こういうことでございます。
  161. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、自衛官発砲事件の問題ですけれども、この発砲事件によって自衛官の採用の仕方、そこには今までずさんなものがある、その実態の一端が明らかになったというように考えております。今度防衛庁の対策では、採用の面では再入隊者を確認するためコンピューターの利用などいろいろ言われておりますが、再入隊だけではなくて、隊員募集のあり方自体にも、やはりいろいろ言われておりますが、大きな問題があると思うわけです。  特に隊員募集では、今日でもやはり、言葉は悪いですけれども、いわば客引きまがいの募集が行われております。これは過日の内閣委員会でも問題になりましたが、上野駅での隊員募集の写真を撮って、そこからトラブルが起きたという事例もあるわけです。こういう採用、募集のやり方というのは、やはり客引き、パチンコ屋に行ってパチンコしている青年に呼びかけてこれを勧誘する、そして説得する、こういうやり方というのはやめなくなくちゃならないと思うのです。地方連絡部に対して隊員募集のノルマを課して自衛隊増強に力を尽くすということではなくて、採用、募集に当たって、要するに社会から非難されるような客引きまがいの行為はやめるように指示すべきであると思うのです。そういう点につきまして、隊員募集について根本的に対策を考え、改めなければならないと思いますけれども長官の御意見を最後にお伺いしたいと思います。
  162. 上野隆史

    上野政府委員 今回の事件にかんがみまして、自衛官の募集業務につきまして考えております対策を申し上げます。  まず、志願票の記載事項、これの調査を強化したいということ、それから募集目標、これの正しい認識、かつその弾力的な運用を図ってまいりたいということであります。また、採用試験の見直しを図ってまいりたいというようなことを考えております。  やや詳しく申し上げますと、志願票の記載事項の調査の強化につきましては、これはやはり志願者との信頼関係にまたざるを得ないという側面もありますけれども、志願者の自衛隊歴の有無、これを電算機の活用によって確認するとともに、また、地方連絡部におきます調査能力を強化するための方策について検討したいと考えております。  募集目標につきましては、部の部内、部外にわたりまして、言葉は悪いのでありますけれども、ノルマというふうにこれは誤解をされている節もございますので、募集目標の弾力的な運用等を通じましてこのような誤解の解消に努めていく必要があると考えております。また、地方連絡部におきます募集努力、これは特に二士の男子に重点を置くことといたしまして、また、これは従来から比較的応募倍率の高い各種の募集、例えば防衛大学校でございますとかあるいは一般大学卒業生を対象といたします幹部候補生等につきましては、募集の種目に応じまして期待目標、この期待目標と申しますのは、たくさん応募してくれればその中からいい人がたくさん採用できるだろう、そういう考え方から応募者の数をたくさん集めたい、こういうことを期待目標という言葉で言っておりますけれども、こういうようなものにつきましては、もう既に応募者が多いものにつきましては段階的に廃止をいたしまして、そして地方連絡部の余力をもって、募集につきまして今一番苦しいと申しますか、注力をしなければならない二士の男子の方に注力をしてまいりたいということでございます。  また、採用試験の見直しにつきましては、特に二士の男子の採用試験につきまして試験の種目、これは筆記試験、口述試験、身体検査、適性検査とございますが、これ及び試験内容の見直しを行いますとともに、採否の決定に当たりましては、口述試験とか適性検査とかそれから作文、この作文と申しますのは、それを書かせますとその人の生い立ち、性格がよくわかると言われておりますがそういったもの、こういうようなものを今後重視してまいりたいと考えておるところであります。  また、先生御指摘がございました、いわゆる市街地広報と私どもは言っておりますけれども、街頭におきます募集広報でございますが、これにつきましては、やはりいろいろ問題を起こさないように配慮しながら続けてまいりたいと考えております。と申しますのは、やはり大都市におきましてはいわゆる自衛隊員の適齢対象者の数が多いということもございますし、また学校等の協力が得られにくいということもございます。やはり若い人の多く集まるところ、そこを重点にしましていわゆる市街地広報というものにつきまして、やり方につきましては批判を受けるようなことのないよう十分留意しつつ、これもやはり今後も続けていかなければならないかと存じております。
  163. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、また後で別の機会にいたしたいと思います。
  164. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時散会