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1983-10-07 第100回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月七日(金曜日)    午前十時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第六号   昭和五十八年十月七日    午前十時開議  第一 日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  第二 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第三 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、国家公務員等任命に関する件  一、国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  鳩山威一郎君から海外旅行のため明八日から九日間の請暇申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村睦男

    議長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。      ─────・─────
  4. 木村睦男

    議長木村睦男君) この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、宇宙開発委員会委員大塚茂君を、  公正取引委員会委員宗像善俊君を、  公害健康被害補償不服審査会委員榊孝悌君、首尾木一君を、  日本銀行政策委員会委員武田誠三君を、  中央社会保険医療協議会委員高橋勝好君を、  運輸審議会委員国島文彦君、降矢敬雄君を、  日本放送協会経営委員会委員大見正俊君、竹田弘太郎君、槇哲夫君を、  日本電信電話公社経営委員会委員横田郁君、吉國一郎君を、  労働保険審査会委員北村孝生君を 任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  まず、宇宙開発委員会委員日本銀行政策委員会委員運輸審議会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  5. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。  次に、公正取引委員会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、これに同意することに決しました。  次に、公害健康被害補償不服審査会委員のうち榊孝悌君、中央社会保険医療協議会委員日本放送協会経営委員会委員のうち槇哲夫君、労働保険審査会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。  次に、公害健康被害補償不服審査会委員のうち首尾木一君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、これに同意することに決しました。  次に、日本放送協会経営委員会委員のうち大見正俊君、日本電信電話公社経営委員会委員のうち吉國一郎君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。  次に、日本放送協会経営委員会委員のうち竹田弘太郎君、日本電信電話公社経営委員会委員のうち横田郁君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  10. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。      ─────・─────
  11. 木村睦男

    議長木村睦男君) この際、日程に追加して、  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 木村睦男

    議長木村睦男君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま議題となりました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、臨時行政調査会行政改革に関する第三次答申趣旨にのっとり、高齢化社会の進展に対処するための公的年金制度再編統合一環として、国家公務員公共企業体職員との共済組合制度統合し、長期給付給付要件等一致を図るとともに、国鉄共済組合に係る年金の円滑な支払いを確保するための財政調整事業実施等措置を講ずることといたしております。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、国家公務員公共企業体職員との共済組合制度統合についてであります。  各公共企業体共済組合改正後の国家公務員等共済組合法規定により設けられる国家公務員等共済組合とするとともに、この法律施行後も引き続き公共企業体職員である者については、その者が各公共企業体共済組合組合員であった間、国家公務員等共済組合組合員であったものとみなし、国家公務員公共企業体職員長期給付給付要件等一致を図ることといたしております。  また、この法律施行の日前に公共企業体職員等共済組合法規定により年金を受ける権利を有していた者についても、改正後の国家公務員等共済組合法規定に準じて算定した額の年金を支給することとし、その額が従前年金額より少ないときは、従前年金額保障することといたしております。  第二に、国鉄共済組合に対する長期給付財政調整事業実施についてであります。  国家公務員等共済組合連合会及び公共企業体組合は、国鉄共済組合が行う長期給付事業に係る財政の現状にかんがみ、当分の間、長期給付に係る財政調整事業実施することといたしております。  なお、国家公務員等共済組合連合会に、学識経験者並び連合会及び各公共企業体組合を代表する者で構成する長期給付財政調整事業運営委員会を置くこととし、同委員会は、昭和六十年度以降における「財政調整五箇年計画」を定めるほか、財政調整事業に関する重要事項について審議することといたしております。  第三に、長期給付に要する費用に係る国または公共企業体負担につきましては、昭和六十年度以降、いわゆる事業主負担に相当する部分を除き、拠出負担給付負担変更することといたしております。  第四に、公共企業体職員で二十年以上勤続して退職した者に対する退職手当の三%の減額措置につきましては、これを廃止することといたしております。  以上のほか、国家公務員に係る定年制度実施に伴い、定年等による退職をした者に対する長期給付に係る特例措置を講ずることとする等の所要改正を行うことといたしております。  以上、本法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手
  14. 木村睦男

    議長木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。穐山篤君。    〔穐山篤登壇拍手
  15. 穐山篤

    穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を行うものであります。  近年、公的年金に対する国民の関心はますます高まっています。すなわち、公的年金制度間の格差是正年金権確立年金による生活の安定が強く要請されているところとなっております。公的年金制度はいまや国民生活に欠くことのできない重要な存在になっているのであります。  したがって、公的年金制度改革に当たりましては、社会的不公正の是正、すなわち富と所得の公平な再配分を通して国民生活の安定と景気の回復を同時に実現することを目指すものでなければならないと思うのであります。  しかるに、本法律案は、国家公務員共済組合制度公企体職員共済組合制度統合するとともに、国鉄共済組合に対する財政調整事業実施することを二本柱とするだけのきわめて拙速な法律案であります。わが国公的年金制度動向を展望する視点からのビジョンも手順も欠けた、全く不満足な内容のものとなっているのであります。  問題点の第一は、公的年金制度一元化意義改革への具体的構想が全く不明のまま本法律案提出されていることであります。  政府は、新行革大綱におきまして、「公的年金制度改革については、昭和五十八年度末までにその具体的内容手順等について成案を得るため、」「今後の検討を進めるものとする。」としておりますが、その五十八年度末はわずか六カ月後に迫っているのでありまして、この際、公的年金制度改革大前提となる一元化意義改革構想概要については、その方向性だけでも明示すべきであると思うのであります。現時点でそれさえもできないというのであれば、幾ら本法律案を「公的年金制度再編統合一環」と言ってみたところで、だれをも納得させることができないと思うのであります。国民合意の得られない年金制度改革では、八つの公的年金制度崩壊の糸口にこそなれ、真の年金制度改革になるはずがないのであります。総理の明確な答弁を求めるものであります。  第二は、わが国公的年金制度の大宗であります厚生年金保険制度改正との関係が全く不明であり、しかもそれとの整合性が何ら図られていないということであります。  国家公務員公企体共済組合制度統合することは、いわゆる官官格差是正となり、ひいては官民格差是正に通ずる第一歩であります。それだけに、本法律案提出に当たりましては、厚生年金保険制度との整合性を考慮しなければならないのは当然のことであります。にもかかわらず、本法律案では何の配慮もされていないのであります。新行革大綱では、挙げて昭和五十九年からの改正と逃げを打っているのであります。一方で年金担当大臣を置き、年金制度改革を進めると言っておきながら、他方でこのような態度に終始しているのでは、今後の年金制度改革の進め方に大いなる危惧と不安を感ぜざるを得ないのであります。  共済年金制度厚生年金保険制度との整合性厚生年金保険制度改革構想について、厚生大臣の御答弁を求めるものであります。  第三は、公的年金制度以外の各種年金制度あり方公的年金制度一元化関係がこれまで一度も明らかにされていないことであります。  言うまでもなく、恩給互助年金などは公的年金そのものではありません。しかしながら、公的年金に準じた機能役割りを果たしていることは疑いのないところでありまして、公的年金制度との均衡調和がとられていなければならないと思うのであります。  従来、共済年金改正につきましては、恩給法援護法改正に追随してきた事実は、根拠法が異なるにせよ両者の均衡調和を無視し得ないからなのであります。これらの点について総理並びに各関係大臣の御所見を伺いたいのであります。  第四は、三公社経営形態変更年金制度適用との関係であります。  わが日本社会党は、国鉄電電専売公社分割民営化政策には反対であります。が、仮に臨調答申趣旨に沿って民営化された場合現在の公的年金制度あり方から言えば、厚生年金保険制度を適用するのが本筋であります。民営化の後も各共済年金制度を適用するということは、立法政策として可能ではあるとの意見もありますが、それは全く異例の措置であり、現行公的年金制度の原則、基本を崩すものとして決して好ましいことではないのであります。  そこで、三公社の今後の経営形態変更の展望並びに今後の厚生年金保険制度適用者に対する企業年金あり方共済年金制度における企業年金部分区分必要性と今後の取り扱い方針について、総理並びに各関係大臣の御見解を伺いたいのであります。  第五は、財政調整事業実施についてであります。  私は、かつて一九六〇年代当初から、国鉄共済年金財政構造的要員事情から必ず近い将来圧迫化することを指摘し、その改革必要性を訴えてまいりました。しかるに、国の交通運輸政策の無策により、国鉄再建は再三失敗するとともに、国鉄共済年金は予想以上に早く成熟度は目下八九・七%というきわめて高い指数となり、財政状況もこれまた全く危機に陥ったのであります。  年金受給者は今後ますます増加し、各種公的年金制度成熟度を一層高めてまいりました。このような状況において、逼迫した年金制度を政済するために安易に財政調整に依存することは慎まなければなりません。国鉄共済財政悪化根本的原因にまずメスを入れ、国の責務共済組合責務を明確にさせることが必要であると思うのでありますが、いかがでしょうか。  今回の法律案に基づく財政調整事業試案によりますと、国家公務員電電及び専売の各共済組合に今後五年間で六百億円もの拠出金負担を求めると同時に、国鉄共済組合にも自助努力と称して同額の負担犠牲を求めるのみで、国の責任は完全に棚上げされているのであります。共済組合員にのみ過酷な負担犠牲を強いているのであります。そもそも自助努力の強要という観念は、元来社会保障政策になじまないものであります。この際、国鉄共済年金財政悪化に対する国の責任を明確にすべきだと思うのであります。  国鉄職員は、戦後三十八年間自助努力を要請され通しであり、昭和三十一年以降だけでも七回の引き上げ、費用負担は目下千分の百七十七となり、負担最高限度に達してるのではないでしょうか。  また、政府はしばしば追加費用、特定人件費問題は、国鉄管理委員会設置の機会にはそのあり方について明雄にしたいと述べておりながら、一向に態度が示されていないのは全く遺憾であります。これらにつき、運輸大臣考え方をお尋ねしたいのであります。  第六に、この際特に強調しなければならない点は、公企体職員仲裁裁定並びに公務員に対する人事院勧告は、政府の優柔不断によっていまだに実施されていません。ましてや、賃金が凍結抑制されるのみならず、今年度賃上げ予定分の三分の一に相当する千二百円、財政計算分も含めてその負担は約六割増となるわけであります。これらを強制的に拠出せよと言いましても、関係者は絶対に納得するものではありません。本法律案に先立って、仲裁裁定人事院勧告実施について政府が明確に態度を表明すべきものであると思います。総理の決断を伺いたいのであります。  第七に、公的年金制度一元化のもとにおける健康保険制度あり方であります。  医療費につきましては、すでに共済組合や一部健康保険制度間において財政調整事業が行われているわけでありますが、公的年金制度一元化された場合における健康保険制度あり方についての基本方針について、総理並びに厚生大臣にお尋ねをいたします。  また、税負担とあわせて社会保障費負担について、その負担率上限設定を必要とする時期が到来していると思うのであります。その水準内容などについて大蔵厚生大臣の御所見を伺いたいのであります。  憲法第二十五条は、社会保障向上、増進に対する国の責任を明示しております。したがって、公的年金制度改革方向は、一切の不公平是正を目指し、あわせて生活保障向上を目指すものでなげればならないと思うのであります。給付水準負担あり方、女性の年金権確保特例適用期間中における厚生年金事業などに係る国庫負担金繰り入れ特例措置の解消、年金行政組織一元化など、今後の年金制度改革の中で絶対に避けて通れない具体的な課題が山積しているのでありますが、これら年金制度改革公平性確保に対する総理及び関係大臣の御答弁を求めるものであります。  最後に、新行革大綱では、本年度末までに年金制度改革成案を得るとしている以上、その成案を得て共済年金制度統合問題に着手する方が拙速な本法律案によるよりもより合理的で、関係者合意を得られる改善を行うことができるものと確信するものであります。したがいまして、本法律案を撤回して、改めてこのような見地から改正を図るべきものであると思うのでありますが、総理の御見解を伺い、私の質問を終了いたします。  以上です。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 穐山議員の御質問にお答えいたします。  第一問は、公的年金制度改革大前提となる一元化意義及び改革構想概要について説明せよと、こういう点でございます。  公的年金制度は、現在三種八制度に分立しておりまして、このため制度間格差財政基盤不安定化など種々の問題が生じておる次第でございます。こうした問題を解決して、わが国社会高齢化のピークを迎える二十一世紀におきましても長期的に安定した制度確立するためには、制度一元化を展望した制度体系再編成を行うことが避けて通れない課題となってきておるわけでございます。政府といたしましては、本年五月に閣議決定されました行革大綱に基づき、昭和七十年を目途に制度一元化を完了するとの基本的方向に沿いまして、公的年金制度全般を見直す考え方でございます。  次に、恩給議員互助年金等につきましても、公的年金制度改革との均衡調和を図るべきではないかという御質問でございます。  恩給制度は、公的年金制度とは別個の体系のものでございますが、しかし、今後の公的年金制度改革とのバランスを考慮し、お示しのとおり均衡を十分考える必製があると思って、必要な検討を行いたいと思います。  三公社の今後の経常形態変更に関する御質問でございますが、政府といたしましては、臨調答申趣旨を最大限に尊重するとの基本方針に基づきまして、政府決定をもちまして各般の改革を推進しておるところでございます。  御指摘の三公社のうち国鉄につきましては、臨調第三次答申に沿って、五年以内に事業再建の全体油想を設定しその実現を図ることとしており、このため、すでに国鉄再建監理委員会を設置して、経営形態問題を含め全体的な再建対策について御審議を願い、職場規律確立等緊急対策の推進にも努めるなど、着実に本問題は軌道に乗っていると考えておる次第であります。  電電公社専売公社改革につきましても、同じく新行革大綱におきまして定められた方針に沿って鋭意調整を行い、所要法律案次期通常国会提出すべく準備しておる次第でございます。  次に、今後の厚生年金保険制度適用者に対する企業年金あり方について御質問がございました。  企業年金につきましては、公的年金を補足するものとしての役割りが大きく期待されておるところであります。今後大事なことは、やはり企業自主性を十分尊重しつつ、その健全な普及、育成に努めていくことであると考えて、そのように施策いたしたいと思います。  共済年金制度における企業年金部分区分必要性と今後の取り扱い方針についての御質問につきましては、これは公的年金の全体的見直しの過程におきまして十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。  さらに、仲裁裁定人勧等に関しましては、仲裁裁定につきましては国会に付議いたしまして、国会の御判断をまつべきものと考えております。  人勧につきましては、給与関係閣僚会議において、勧告制度尊重という基本的立場に立って、国政全般との関連において慎重に検討しておりますが、この取り扱い決定期につきましては、事柄の性質上、年末を控えておりまして、できるだけ早期に結論を得るように努力いたしたいと考えております。  公的年金制度一元化された場合の健康保険制度あり方についての基本方針を明らかにせよという御質問でございます。  今後における医療保険制度あり方につきましては、高齢化社会に向けて、中長期の観点に立って医療賀負担能力動向給付負担の両面における社会的公平の確保及び長期的安定性維持、これらの点に留意をいたしまして、その改革につき真剣に取り組む所存でおります。  年金制度改革公平性確保につきまして種々の御質問をいただきました。  年金制度改革に当たりましては、世代内、それから世代間の公平を確保することが何よりも重要であると思います。このため、給付水準負担あり方を初めとする具体的課題につきましては、年金制度改革を進めいく過程公平性確保安定性維持に配慮しつつ解決を図ってまいりたいと思います。  さらに、新行革大綱で本年度末までに年金制度改革成案を得るとしているが、共済年金制度統合に着手すべきではないかという御質問、また、本法案を撤回して改めて新しい見地から出直すべきではないかという御見解でございますが、今回の統合法案は、公的年金制度再編統合を進めるに当たっての第一歩と考えておりまして、今後さらに全体の公的年金一元化に向けて、各種年金制度改革を進めてまいりたいと思うところでございます。  残余の問題は関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  17. 竹下登

    国務大臣竹下登君) お答えいたします。  まず、専売公社改革問題につきましては、五月二十四日に閣議決定を見ました新行革大綱に沿って引き続き鋭意努力しているところであります。これは総理からもお答えがありました。  そこで、専売公社改革については、わが国たばこ事業の健全な発展に資するため企業性の発揮が可能なものでなければならないと考えておりますが、同時に、葉たばこ耕作者たばこ小売人等の方々への影響にも十分配慮することが必要であります。臨調答申趣旨を踏まえながら、各方面の意見を配意しながら対処してまいりたい、このように考えております。  企業年金あり方でございますが、公的年金を補足するものとしての役割りが大きく期待されておるところであるという認識をいたしております。  共済年金制度における企業年金部分の問題でございますが、公務員等共済年金は、社会保障としての公的年金制度として機能をいたしますと同時に、職務の能率的な運営に資するものとなっておりまして、企業年金部分が含まれていると考えられておりますが、計数的に明確な区分を行う、これは非常にむずかしい問題であります。共済年金公的年金の一つであることからいたしまして、厚生年金国民年金船員保険において制度関係整理が行われる場合、その結果を踏まえまして、厚生年金等との整合性確保するという方向関係整理していく必要がございます。その際に、共済年金に含まれておると考えられます企業年金的部分取り扱いにつきましては、公務員制度等関係も踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。  次に、国鉄共済財政悪化原因責任の問題であります。  この問題は、今日の国鉄共済年金財政悪化、これは輸送構造変化によります職員数の減少、職員年齢構成のひずみによりますところの成熟度高度化など、国鉄特有原因があることも事実でありますが、より基本的には、やはり給付負担関係が長期的に安定したものとなっていなかったこと、また国鉄という一企業年金保険集団運営してまいりましたために、産業構造変化に適切に対応し得なかったこと、これが主たる原因であると考えられます。  この基本的問題につきましては、国鉄共済年金に限らず、わが国公的年金制度が抱えております問題でございますので、給付負担あり方、これを抜本的に見直すほか、制度全体の再編統合を図っていく必要があると考えておりまして、何よりも相互扶助の理念に基づく社会保険制度の中でまず解決すべきものである、このように考えております。  次が、仲裁、人勧との関係でございました。  仲裁裁定につきましては、本年度の仲裁は完全実施が予算上可能であると現状では断言できない、そこで国会に付議しておるわけでございますから、政府としては国会の御判断をまつべきであるという考え方であります。  次の人事院勧告につきましては、わが国財政事情は、公債の発行残高がすでに百兆円を超えているなど異例に厳しいものがあります。今後とも引き続き行財政改革を進めて、もって財政の対応力の回復を図ることが最も緊急かつ重要な政策課題と心得ております。  したがって、財政当局として申し上げますならば、人事院勧告制度の持つ重要性については十分認識しておるところではありますが、現下の財政事情を考慮いたしますならば、多額の財源を要する人事院勧告取り扱いについては厳しい姿勢で臨まざるを得ない、このように考えております。  いずれにいたしましても、本年度人事院勧告取り扱いにつきましては、現在給与関係閣僚会議において国政全般の立場から慎重に検討しているところであります。  次に、租税負担社会保障費負担の問題でございます。  臨調答申では、「今後、高齢化社会の進展等により、長期的には、租税負担社会保障負担とを合わせた全体としての国民負担率は、現状よりは上昇することとならざるを得ないが」、「現在のヨーロッパ諸国の水準」すなわち五〇%程度よりは「かなり低位にとどめることが必要である。」と、このように述べられておることは御承知のとおりであります。われわれといたしましても、答申趣旨を尊重して対処していきたいと基本的には考えております。  国民負担率のうち、租税負担率につきましては、これまでも委員会等でたびたびお尋ねもありますし、お答えもしたことでございますが、現実の政策目標として、あらかじめ固定的に設定することにつきましては、ことに現在のような流動的な情勢の中にあっては慎重を要する旨お答えを申し上げてきたところでございます。同じような視点から、これに社会保障負担を加えた国民負担率を考える場合においても、将来の社会保障制度についてどう考えていくべきかという問題が加わるわけでありまして、今後、中長期的な経済展望の中におけるそのあり方については、やはり慎重に検討してまいる必要がある、このように考えておるところでございます。  次に、本年度末までに年金制度改革成案を得ることという問題についての、本法案を撤回し改めて改正を図るべきではないかと。総理からお答えもございましたが、今回の統合法案各種公的年金制度が分立している中で、まず国と公企体共済組合制度統合して給付要件を合わせること、そして国鉄共済組合に対して財政調整を行うことを主たる目的としておりまして、公的年金制度再編統合を進めるに当たってのまさに第一歩と位置づけるべきであると考えております。全体の再編統合は一挙にできるものではございません。一歩一歩積み上げが必要であります。このことは、去る五月二十四日閣議決定をいたしました統合再編についてのおよその方向と段取りについての目安の中でも、改革第一歩としてこれが位置づけられておるところでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣林義郎君登壇拍手
  18. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 私に対する種々の御質問がございましたが、まず第一に、共済年金と厚生年金制度との整合性について考慮すべきではないか、また年金制度改革構想はどのようなものかというのが第一の御質問だと考えております。  この問題につきましては、高齢化社会の到来に備え、長期的に安定した年金制度確立を図るためには、将来の一元化を展望しつつ制度全般の見直しが必要だと考えておりますし、このため政府といたしましては、昨年九月及び本年五月の閣議決定に基づき、昭和五十九年から六十一年にかけて国民年金厚生年金等関係整理を図るとともに、これに沿って共済年金についても関係整理を図ることとしておりまして、これにより、両制度整合性を図っていく所存でございます。また、公的年金制度改革の将来構想につきましては、閣議決定に基づき、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるという基本方針のもとに、現在、鋭意検討中でございます。  次に、援護法との関係及び今後の厚生年金適用者に対する企業年金あり方について御質問がございましたが、これにつきましては総理から御答弁がございましたし、同じでございますから省略をさせていただきます。  第三番目に、公的年金制度一元化された場合における健康保険制度あり方についての基本方針を問うという御質問がございました。  今後における医療保険制度あり方につきましては、高齢化社会に向けて中長期の観点に立って、医療費負担能力動向給付負担の両面にわたる社会的公平に留意しつつ、その改革に真剣に取り組む所存でございます。今回の医療保険制度改革案は、このような考え方に立って、退職者医療制度の創設や被用者保険本人の給付割合の改定などを行うものでございまして、厚生省といたしましては最善と考える提案をしたものであり、今後各方面の御意見を十分に聞いて、国民の納得の得られるような成案を得ることといたしたいと考えております。  次に、給付水準負担あり方、女性の年金権確保厚生年金への国庫負担の特例の解消、年金行政組織一元化等の課題が山積しているが、これを踏まえた年金制度改革方針及び改革に際しての公平性確保について私の見解を問うという御質問がございました。  給付水準負担あり方、女性の年金権確保につきましては、公平性確保等の観点から、公的年金制度全体の見直しの中で的確に対処してまいりたいと考えております。  厚生年金の国庫負担の繰り入れの特例措置につきましては、特例適用期間後は本則に戻ることは国会の場で答弁してきたとおりでございます。  また、年金行政組織一元化につきましては、年金制度一元化を展望した制度全体の見直しを行っていく中での課題だというふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣長谷川峻君登壇拍手
  19. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 総理並びに関係閣僚から大体答弁がございましたが、私は国鉄関係する運輸大臣として、このたびの統合法案についてお答え申し上げます。  とにかく国鉄の従業員というのは組合が非常に小さい、そういうことからしますというと、先ほど質問者も言われたとおり、成熟度が非常に強いために、来年度あたりはパンクして共済の金が払えない。こんなことから、これを国家公務員、そういう方、公共企業体、これが一緒になって救済してやろうというところに今度の法案の大きな意味を持つのでありまして、ぜひこの点を御勘案いただいて、労働者の連帯ということからして御賛成願いたい。  そしてまた、将来経営形態が変わったならばどうなるかという話がありますが、仮に経営形態が変わっても、働く諸君が持っているところの権利というものをなくすようなことはいたしませんから、その辺を安心しながら御推進願いたい、こう思います。(拍手)    〔国務大臣桧垣徳太郎君登壇拍手
  20. 桧垣徳太郎

    国務大臣(桧垣徳太郎君) 穐山議員の御質問にお答えをいたします。  御質問は、電電公社改革の展望と年金あり方についてであったと承っております。  まず、電電公社改革につきましては、先ほど総理のお答えにもありましたように、新行革大綱の定めるところに従いまして、所要法律案次期通常国会提出すべく準備を進めることといたしております。そのため、政府・自由民主党行政改革推進本部常任幹事会において関係者の出席を求めつつ調整を進めるとの政府方針閣議決定されているところであります。  この常任幹事会が去る九月十三日に開催され、橋本自由民主党行財政調査会長から示された「日本電信電話公社改革について」の案を手がかりとして、今後、政府において法律案策定のための具体的作業を進めていくとの方針意見調整され、決定されたところであります。  郵政省といたしましては、この方針を受け、関係の向きと連絡調整を行いながら、新行革大綱において定められた方針に沿って法律案策定作業を進めてまいる所存であります。  また、電電公社経営形態が将来変更された場合の年金についてでありますが、今後、電電公社経営形態変更された場合であっても、公的年金全体の再編統合が完了するまでの間は、今回の法改正後の共済組合制度を適用していくことが現実的な処理であると考えております。臨調答申においても同様の考え方が明記されておるところでございます。  以上お答えをいたします。(拍手)     ─────────────
  21. 木村睦男

    議長木村睦男君) 中野鉄造君。    〔中野鉄造君登壇拍手
  22. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑を行うものでございます。  まず、総理にお尋ねいたします。  第一点は、年金制度改革について国民合意を求める方途についてであります。  わが国年金制度は、昭和三十六年の皆年金体制達成後、徐々に整備拡充されてきたのでありますが、高齢社会の進行とともに、受給者の増大や保険料負担増など年金制度への不安の声が強まっていることも事実であります。公的年金制度の長期的安定の確保は、民生安定のかぎであり、国民の老後生活に不安をもたらすことのないよう、その整備と運営を常に目指すべきであります。特に、その根底には国民の信頼と合意形成が不可欠であると思います。総理は、年金制度改革への国民合意を求める方途についてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねいたします。  第二点は、世代間の負担の公平と連帯についてであります。  現在のわが国年金財政の実態は、勤労世代拠出する保険料等に対する依存度が高く、今後、制度の成熟に伴い、後世代ほど勤労世代負担はふえ、このまま推移すると受給階層世代に比して勤労世代負担はさらに重くなり、不公平ではないかという指摘があります。勤労世代給付を受ける世代との制度に対する共通の理解と連帯の意識、すなわち世代間の負担調整をいかに円滑に進められるのか、総理の所信を伺います。  第三点は、公的年金制度統合一元化と本法律案との関連についてお尋ねいたします。  わが国公的年金制度の沿革を概観すれば、社会のときどきのニーズに応じ、他制度との整合性や関連に配慮することなく、おのおの別々に発展してきたのでありまして、長い歴史と伝統を持ち、それぞれ所管大臣が管理運営しているのであります。  このような各種公的年金制度政府昭和七十年を目途に一元化するため、本年度末までにその具体的内容手順について成果を得ることとしております。ただいま議題となっている本法案は、公的年金制度再編統合一環と位置づけておりますが、そうであるならば、まず政府が目指す公的年金制度一元化のための具体的方針を明らかにするとともに、同方針と今回の四共済年金統合法案がどのように関係づけられるかを明らかにすべきであります。  すなわち、一元化されたときの給付水準負担あり方などの全体像が明らかになっていなければ、再編統合への足がかりと言っても国民には何のことか納得しがたいのであります。統合一元化された場合の年金給付水準負担の限度を初めとして、制度の仕組みなど具体的内容についての御説明を承りたいのであります。  第四点は、三公社経営形態年金制度との関連についてであります。  申し上げるまでもなく臨調は、国鉄を初め電電専売の三公社経営形態について考え方を示しており、政府もこれを最大限に尊重することとしておりますが、三公社答申趣旨に沿い民営化された場合、現在のわが国年金体系から言えば、厚生年金保険制度を適用するのが筋であると思います。三公社経営形態が確定していない現在、なぜ年金のみの統合を急がれたのか。さらに、三公社経営形態変更されても共済年金制度を適用することの是非について総理見解を伺いたいのであります。  第五点は、国鉄共済組合への財政措置についてであります。  本法律案は、公共企業体職員年金給付要件等国家公務員一致させるとともに、国鉄共済組合に対する財政上の措置を図ることを主たる目的としておりますが、本法律案に対して社会保障制度審議会の答申は、「国鉄共済組合の危機的状況については、かなり以前から予測されていたところであり、本審議会もその解決策を講ずべきことを繰り返し指摘してきた。それにもかかわらず、今日まで国の責任にも触れた具体案が提示されていないことは遺憾であり、さらに国としての格段の配慮が望まれる。」こう述べて政府の怠慢と責任を追及しております。大蔵大臣及び運輸大臣は、国鉄共済年金財政悪化原因をどのように認識され、国として今日に至らしめた怠慢と責任についてはどのような見解を持っておられるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。  さらに、今回の財政調整事業は、昭和六十年四月から五カ年間の予定となっておりますが、この五カ年間の所要措置がとられたといたしましても、その後の処理は全く不明であり、いわばこの救済策を実施することによって国鉄共済組合は健全な体質に改善されるとの展望もなければ保証もないのであります。このような措置は場当たり的で真の解決にはならないと思うのでありますが、この点についてもあわせて大蔵大臣、運輸大臣の所信を伺っておきたいのであります。  次に、年金制度改革と既得権、期待権との関連についてであります。  本法律案によれば、電電及び専売公社職員は、財政調整事業の名のもとに国鉄共済組合救済のための負担が新たに加わるとともに、他方、給付面では国家公務員水準に引き下げられることになるのでありまして、いわば二重の負担を強いられ、期待権は著しく侵害されることになるのであります。  各種公的年金制度改革に当たっては、国民年金制度への信頼が何よりも重要であり、今後予想される広範な統合をも含めて、年金加入者の既得権、期待権についてどのように考えておられるのか、大蔵、郵政並びに厚生大臣見解を承りたいのであります。  最後に、年金制度一元化についてお尋ねいたします。  現在、わが国公的年金制度は八つの法律制度、六つの省庁に区分され、それぞれ個別に管理運営されておりますが、すでに臨調第三次の基本答申におきましても、年金行政の一元化が指摘され、政府行政改革大綱において記録の統一的管理、通算年金の支払い窓口の一本化等を決めております。今後年金制度統合一元化を推進していくには、現在分立している年金行政組織を速やかに一元化することこそ最重要であると思います。  わが党は、すでに六年前の昭和五十二年、「福祉社会トータルプラン」を発表し、その中で、いわゆる二階建て方式の国民基本年金構想を明示しております。この構想は、憲法に保障された健康にして文化的な最低限度の生活保障できる基本年金を根本として、二階部分については各制度ごとに自主的に組み立てるというものであります。総理は、年金統合についていかなるビジョンをお持ちであるのか、また、わが党のこの構想についてどのような御見解を持っておられるのか、以上お尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中野議員の御質問にお答えを申し上げます。  公的年金制度一元化において、今後の国民合意の形成をいかに努力するかという御質問でございます。  政府といたしましては、昨年九月及び本年五月の閣議決定に基づきまして、公的年金制度一元化を展望しつつ年金制度全般の見直しを行うという基本方針をつくりまして、鋭意その作業中でございます。  このような改革を推進していくに当たりましては、御指摘のように、国民全般の御理解と御納得を得ることがきわめて重要であると思います。このような認識に立ちまして、政府といたしましても国民の御理解を得るように今後格段の努力をいたすとともに、関係審議会に御議論を願うなど、種々努力してまいるつもりでございます。  次に、公的年金制度の安定を図るために、世代間の負担の公平をどのように配慮するかという御質問でございます。  本格的な高齢化社会の到来に対応いたしまして、安定した年金制度確立を図っていくためには、御指摘のように、世代内及び世代間の公平性確保することが非常に重要であると思います。このような見地から、現在、給付負担制度体系あり方制度全般にわたっていま検討しているところでございます。  これは私見でございますが、私は一般的な今後の政策論といたしまして、高齢化社会が参りまして人生八十年、こういうふうになってまいります動向を踏まえますと、やはり高齢者にも働く機会と時間をふやして、できるだけ負担を願うようなチャンスを継続する。そして若い世代だけにこの負担が集中しないような配慮をする。しかし高齢者も働くチャンスによって生きがいを感ずる、そういうような方向に政策として努力していくのが正しいのではないかと考えております。  次に、三公社経営形態が仮に民営になった場合に、この公的年金との関係はどうであるかという御質問でございます。  年金制度には歴史や沿革がありまして、いままでも年金制度の適用区分経営形態とは必ずしも一致しているものではないのであります。三公社経営形態変更後も公的年金制度全体の再編統合が完了するまでの間は、共済組合制度の継続が現実的であり、かつ妥当であると考えております。  国鉄共済年金財政悪化原因は何であるかという御質問でございますが、先ほどこの点につきましてはすでに大臣から答弁がありましたが、基本的には給付負担関係が長期的に安定したものとなっていないということ、それから国鉄という企業年金保険集団での運営産業構造変化に適切に対応し得なかったという点にあるのではないかと思います。  国鉄共済年金財政悪化を今日までなぜ放置していたかという御質問でございますが、国鉄共済組合単独の各種措置をいままで講じてまいりました。これと同時に、抜本的な対策についても各般の検討を進めてきたところでございます。これらの検討の結果を踏まえ、いよいよ国鉄年金制度のぎりぎりの段階に参りまして、後がないという状態まで来ているという、こういう情勢でもございまして、公的年金制度再編統合一環としてこの法律案を御提案申し上げた次第でございます。  国鉄共済への財政調整については、昭和六十四年までの試算は示されているが、六十五年以降はどうなるかという御質問でございますが、六十五年以降につきましては、去る五月二十四日の閣議決定におきまして、長期的に安定した制度確立を図るため、公的年金制度一元化を展望しつつ、制度全般の見直しを行うこととしておりますので、その見直しの過程で十分に検討していきたいと思っております。  最後に、一元化の全体像が不明確である、その将来構想を明確にすべきであるという御質問でございます。  この公的年金制度全体のあり方につきましては、昨年九月及び本年五月の閣議決定に基づき、公的年金制度一元化を展望しつつ、年金制度全般の見直しを行うという基本方針に沿って、現在鋭意検討中でございます。その際、公明党の年金改革構想、いわゆる基本年金制度トータルプランと名づけられておりましたが、これも十分参考にいたしたいと思っておるのでございます。  私の記憶によりますれば、今回国家公務員公共企業体統合法案をいまお願いしておるところでございますが、五十九年からたしか六十一年ごろにかけて、次の厚生年金国民年金船員保険等の統合課題になり、その後そのほかの共済年金、たとえば農林あるいは私学等の統合が出てまいりまして、そして七十年に全部の統合を完了する、こういう構想で進める予定であると記憶しております。  残余の答弁関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、法案提出に当たっての合意形成の問題でありますが、今回の法律案公的年金制度再編統合を進めていく上の第一歩であるという意味における関係者の方々の理解は得られたというふうに私は認識いたしております。  そもそも、これは共済年金制度基本問題研究会の意見に沿って策定したものでありまして、そうして昨年以来、懇談会を含めて十回以上国共審の方々には骨を折っていただきました。そして、とにもかくにも連帯の精神に基づいて答申をいただいたところでございますので、私どもは十分時間をかけて議論していただいた苦心の答申であるというふうに理解をさせていただいております。  それから、公的年金制度一元化構想の中で、考えようによれば国鉄共済の救済だけを目的としたものじゃないかと、こういう御意見もございました。  公的年金全体について給付負担の両側から見直して、制度再編統合が必要という前提の上に立って、まさに計画的に検討を進め、今回の統合法案はその第一歩一環であるという考え方でございますので、やはり公企体共済の給付要件等を国共済に合わせるという一つの目的と、そして国鉄共済に対する財政調整、この二つに目的があるというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、三公社経営形態を民営に移管した場合、総理からお答えがあったとおりでございまして、いろいろ解決すべき技術的問題もございます。しかし、現実的であるという意味におきましては、引き続き共済組合制度の適用を継続していくということではなかろうかというふうに考えております。  国鉄共済年金財政悪化原因総理からお答えがあったとおりでございます。確かに、一企業の保険集団で運営してきたということ、これが輸送構造変化による要員の縮小と、それに伴う急速な成熟化の進行に耐えていけなかったこと、これらは御説明を申し上げたとおりでございます。  そこで、その国鉄共済をなぜ今日まで放置してきたかという御議論でございます。  以前から保険料の引き上げをお願いしましたり、いろいろな対策を講じてきたところでございますが、やはり一企業保険集団であったため、抜本的改善にはつながらなかったということは事実であります。したがって、国鉄とされましても、五十三年に国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会、そして運輸省でも国鉄共済年金懇談会等、それぞれ抜本的な検討を続けられて、いま今日に至ったわけであります。  また、大蔵省としても、共済年金制度基本問題研究会、これで五十七年七月に意見書をいただいてまいりました。したがって、この意見書とか臨調答申とかを踏まえて、関係審議会の議を経てこの統合法案提出する段取りになったというふうに御理解を賜りたいと思っております。  それから、国鉄共済への財政調整について、昭和六十四年までの試算は示されておるが、六十五年以降はどうか、こういうお話であります。  一般的に財政再計算期間が五年ごととなっておりまして、これに伴って六十四年までを試算したものであります。そして現時点では、六十五年以降の見通しについて、これをきちっと立てることは困難でございますが、仮に現行の給付水準のままで国共済と公企体だけで財政調整を行うとすれば、かなりこれはむずかしいことだと考えております。したがいまして、六十五年以降については、この間五月二十四日の閣議決定におきまして、長期的に安定した制度確立を図るため、公的年金制度一元化を展望しながら制度全体の見直しを行う、このようにされておりますので、その見直しの過程で十分考えるべきであると考えております。  それから次は、既得権と期待権の問題についてのお尋ねがございました。  どんな制度でも、とりわけ過去の長い歴史を持っております年金制度につきましては、制度改正をする場合は、改正前と改正後で、程度の差はございましょうとも、線引きをいたしましたならば有利、不利の議論は必ず起こってくる、これはやむを得ないことでございます。  したがって、今回の改正法は、公的年金一元化一環として、給付水準の高い公企体共済年金公務員共済に合わせるものでございますので、公企体共済の期待権はその意味で抑えられることになることは御理解をいただきたいと思います。ただ、既得権については、既裁定者について現行年金瀬を保証することで措置を行ったというふうに考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣林義郎君登壇拍手
  25. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 中野議員の御質問のまず第一は、年金統合化と本法律案についての関係政府は本法案年金一元化第一歩と説明しておるが、国鉄共済の救済のための財政調整をねらったものではないか、また、具体的な給付負担あり方との関係を将来構想にわたって示せ、どうだと、こういうふうな御質問であったと思います。  政府といたしましては、公的年金制度全体の改革をやっていかなければならない。本年五月の閣議におきまして、昭和七十年を目途に公約年金制度全体の一元化を完了させるという基本方針を立てまして、先国会からこの共済統合法案をお願いしているところでございます。次期通常国会には厚生年金及び国民年金法の統合をお願いし、五十九年から六十一年にかけましていろいろな関係整理を図っていこう、こういうことで考えておるところであることをまず御答弁申し上げておきます。  現在御審議をお願いしている今回の統合法案は、国家公務員公共企業体職員との共済制度間にある相違点を解消するとともに、あわせて国鉄共済組合に対する財政調整を行おうとするものでありまして、年金制度改革一環でございますし、その基本方針に沿うものでありますので、年金問題担当大臣としましても、ぜひその成立をお願いしたいと考えております。  第二は、臨調では国鉄電電民営化が言われておるが、民営化するのであれば厚生年金の方に入るのが筋である、経営形態が変わっても共済にしておくのはどうだ、こういうふうな御質問でございます。  これにつきましては、総理及び大蔵大臣から御答弁がございましたので、同趣旨でございますので、省略をさせていただきます。  第三番目は、年金制度一元化を進めるに当たって、既得権や期待権を侵害することがあってはならないと考えるがどうか、こういうふうなお話でございます。  これにつきましても、大蔵大臣からも御答弁がありました。一般論として申し上げますならば、年金制度改革に当たりまして、既得権や期待権については配慮をしていかなければならないということでございます。特に、すでに年金を受給中の方々につきましては、改革により生活設計の急激な変更を強いるようなことはやっぱり避けなければならないという観点も検討課題ではないかというふうに考えているところでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣桧垣徳太郎君登壇拍手
  26. 桧垣徳太郎

    国務大臣(桧垣徳太郎君) 中野議員の御質問のうち、私に関する部分についてお答えをいたします。  まず、現在、公社経営形態がまだはっきりしていない段階で、なぜ年金統合だけ急いで行うのかという御質疑でございますが、わが国公的年金制度は、高齢化社会の到来と年金制度の成熟化に伴う年金給付の増大、各制度間における給付内容等の相違からくる制度間格差問題、給付水準の見直しなど、公的年金制度全体の再編成が要請されているところでございますし、また、国鉄共済年金における財政危機は一刻の猶予も許されない状況にあると承知をいたしております。このような状況下にありまして、政府としては、公的年金制度が将来にわたって健全かつ安定的に推移し得るよう、いまから改革を進める必要があるとの見地に立って、その再編統合を図っていくこととしたものでございます。  また、電電公社経営形態が将来変更された場合の年金について御質問がございましたが、この点については総理大蔵大臣からの御答弁にございましたように、今後電電公社経営形態変更された場合であっても、公的年金全体の再編統合が完了するまでの間は、今回の法改正後の共済組合制度を適用していくことが現実的な処理であると私も考えております。臨調答申においても同様の考え方が明記されているところであります。  次に、制度改革に当たり、電電公社共済年金の既得権、期待権についての御質問についてでありますが、既得権につきましては極力その確保に努めるべきものであると私も思っておりますが、今回提出されました法案につきましても、既得権の侵害とならないよう十分配慮されているものと考えております。また、今後受給権の発生するものの取り扱いにつきましては、公的年金制度再編統合の目的とするところに沿う観点から言いまして、国家公務員共済年金と同一の取り扱いとなることはやむを得ない措置であると考えております。  以上お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣長谷川峻君登壇拍手
  27. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えします。  国鉄共済年金財政悪化原因等々については、総理大臣あるいは大蔵大臣等からお話がありましたので省きます。  問題は、国鉄共済年金財政悪化が以前からわかっていて、いまから先はどうなるか、こういうお話でありますが、国鉄共済年金財政悪化は、何といっても、他の年金を上回る財源率の引き上げとか追加費用の繰り入れなどの変更措置を講じてまいりましたけれども、年金財政の収支均衡に努めてきたものの、しかしながら、一企業によるところの共済制度単独での対応には限界がありまして、さらに根本的な対策として、政府部内で共済制度全体との関連から検討を重ねた結果、この問題を社会保険制度における仕組みの中で解決を図っていくために、長期的には段階的に公的年金制度再編統合を図っていくこととして、その一環として、まず当面、類似の共済制度であるところの国家公務員公共企業体職員の共済制度統合を図ることにしたものであります。  政府としては、この国鉄共済制度の安定についてできる限りの努力を続けてきたことでありまして、その点は御理解いただきたいと思います。  私の立場といたしますというと、財政内容のいいところの郵政省所管の組合、私の方は限度に来て調整をお願いし援助をお願いしなければならぬところの国鉄共済、そういう立場からしますというと、これはぜひともひとつ、いままでも組合なりあるいは経営者の方々にお願いして、ようやくここに法案提出されて御審議いただいていることでございますから、ぜひひとつ、いまのような国鉄が大変むずかしいときにあるときに、働く諸君に元気をつける、本当にまじめに働く諸君に元気をつける、こういう意味でも共済が存続されるように、国会の皆さん方に格段の御理解をお願い申し上げたい、こういうことです。(拍手)     ─────────────
  28. 木村睦男

    議長木村睦男君) 近藤忠孝君。    〔近藤忠孝君登壇拍手
  29. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本改正案に対し、総理並びに関係大臣質問いたします。  第一に、本改正案もその一環とされている政府臨調行革が、国民の福祉と生活にどうかかわるかという問題であります。  臨調最終答申は、「活力ある福祉社会は、自立・自助を原則とする国民の活力と創意を基礎にしてこそ存立し得るものである」として、行政の役割りは最小限のものとすべきだと提言しております。その具体化が、すでに実施されている老人医療の有料化や、人勧凍結に関連させての年金スライド実施見送り、シーリング方式による福祉予算などの徹底削減にほかなりません。この臨調行革のもとで、福祉はいまや冬の時代に追い込まれたのであります。  福祉行政の重要性について、生存権を規定した憲法二十五条は、その第二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と国の責任を明記し、その努力を義務づけております。総理は、生存権について、またそれに関する国の責務についてどう認識しているのでありますか。さらに、臨調行革による福祉施策の縮小、後退を憲法との関係でどう位置づけているのでありますか、お答えいただきたい。  目前に迫る高齢化社会を云々せずとも、生活保護世帯、ひとり暮らし老人、寝たきり老人、さらには有病者の増大、そして保育所不足、医療、保健行政の立ちおくれなどは目に余るものがあります。国民の命と暮らしにかかわるこの分野こそ、行政が重点的に心配りをすべきところであります。指摘しておきたいのは、国民生活と健康に対する不安がきわめて高いということであります。  たとえば、一昨日発表されました日銀の貯蓄に関する世論調査でも、最も重点を置いている貯蓄目的の第一位は、病気や不時の災害への備え三六・一%。第二位は、老後の生活のための一五・三%であります。また、毎月行われている時事世論調査によっても、暮らし向きは昨年に比べ苦しくなったという人が四割から五割もおります。このことは、国が国の責任社会保障制度の整備充実を進めることを求めるものでこそあれ、後退を是認するものでは決してありません。総理は、将来に向けて福祉政策の力点をどこに置いて進めるのか、明らかにされたいのであります。  さらに、さきの衆議院行革特別委員会で、租税と社会保障国民負担率を四〇ないし四五%の水準に引き上げるとの臨調での論議が明らかにされております。これが実行されると、国民一人当たり、お年寄りから赤ん坊までのすべてに十万円から二十万円もの負担増が押しつけられるという驚くべきものになるのであります。総理は、この考え方にどのような所見をお持ちか、福祉政策との関係を含めて答弁願います。また、負担増を考える場合、税負担社会保障負担のどちらに重点を置くのか、あわせてお答え願います。  第二に、本法案そのものの持つ問題について質問します。  まず、本法案の最大のねらいの一つは、破綻寸前になっている国鉄共済年金財政の救済を、国家公務員と二つの公社職員の掛金引き上げ、国鉄労使の負担増で当面糊塗しようというものであります。  今日、国鉄共済年金財政を他の共済に先駆けて急速に悪化させてきた根本原因は何か。戦前から戦中にかけて国鉄は、応召、外地派遣の補充と戦時輸送力の増強のために大量の新規採用を行い、戦後も復員者、外地引揚者の大量吸収をしてきました。これらすべて当時の国策遂行の目的に従ってきた世代職員が今日大量に退職期を迎えているのに対し、この人たちを財政上支える現役職員は、政府のモータリゼーション政策と合理化計画で急激に削減され、このことによる職員構成上の大きなゆがみが今日露呈している、これが根本原因なのであります。このことが歴代自民党政府責任があるとは考えませんか。しかるに本法案には、本来責任をとるべき国の援助が一片も見られず、国鉄労使とOB、さらには何の関係のない他の共済職員にもっぱらその負担を転嫁しよとしており、絶対に容認できないのであります。総理答弁を求めます。  次に、組合員に対する過大な負担給付切り下げの問題であります。  組合員の掛金は、大蔵省の試算によっても、来年十月からその上げ幅は財政調整による分や修正率引き上げによる分に国鉄救済分も加えて、国公済と電電で三・三五%、専売で三・九%。一方、国鉄はことし十月の分も入れて二・八%になっており、全く過去に例のない大幅引き上げであります。他方、給付については、水準の低い側に合わせる低位平準化方式を基本的にとっており、たとえば、公企体の職場の特殊性から設けられている危険職種に対する加算措置の廃止などはその典型的なものであり、職場の実態を全く無視したものであります。  しかも重大なことは、この切り下げ措置は第一段階のものであり、六十一年度までには他の制度との関係で大幅な保険料の引き上げ、給付の切り下げなど一層全面的な改悪を企図していますが、組合員犠牲を強いるのではなく、使用者負担割合をふやすなど、抜本的に負担割合を改める考えはありませんか。  一方、この犠牲を強いられる官公労働者は、昨年の人勧凍結に続き、ことしもいまだ人勧、仲裁が実施されておりません。速やかに完全実施すべきであります。官房長官、給与関係閣僚会議の座長として、けさの関係閣僚会議内容の報告とともに、今国会中に給与法案提出する意思があるかどうか、明快な答弁を求めます。  最後に、今後の公的年金制度全般について質問いたします。  政府は、本年四月、関係閣僚懇談会で、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を図る方針を決定しましたが、いま国民の中に、本当に老後の生活保障し得る年金制度確立されるのだろうかという不安が巻き起こっております。いま政府検討しているのは、保険料は二倍にするが、年金給付水準は直近の労働者の平均標準報酬月額の六割程度に抑えようというものであります。厚生省が行った年金に関する有識者調査でも、六割以上の水準が必要だと答えた人は八七・九%を占めています。  そこで、総理に伺いますが、給付水準は老後の安定のためにせめて七割程度にし、財源も国民負担を増加させるのではなく、利益を上げている大会社などにも社会構成員の有力な一員として特別の負担、社会的寄与を求めることは道理もあり、当然必要なことだと考えますが、検討の用意がありますか。  また、国民が非常に危惧を感じている点は、年金制度一元化の美名に隠れて、国庫負担削減の意図が明確になってきていることであります。財政危機の口実のもとに国の責任を放棄し、国庫負担を乱暴に削減して、戦後営々として築いてきた社会福祉と社会保障を一挙に突き崩すことは絶対に許せません。厚生大臣年金制度改革に当たっても、国庫負担の見直しは安易にやらないと約束できますか。  年金制度改革に求められる原則は、第一に生活できる年金であること、第二に長期的に安定した制度であることであります。政府がその実現に努力することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 近藤議員にお答えを申し上げます。  まず、憲法に規定されている生存権との関係において社会福祉制度をどう見るかという点でございます。  憲法第二十五条の趣旨を具体化するために、国民が生涯のどの段階においても不安を持たずに生活できるよう社会保障制度を整備することが国の使命であると心得ております。社会保障制度がその役割りを果たすためには、時代の要請を踏まえつつ、長期的に安定し、有効に機能していくことが重要でありまして、このために高齢化社会の進展等の情勢を踏まえ、施策の効率化、重点化を図ることにより社会保障制度を堅持していく、これが憲法の精神に沿うゆえんであると考えております。  次に、世論調査等から見まして、今後の福祉政策の重点をどこに置くかという御質問でございます。  人口の高齢化、経済の低成長等の情勢下において、国民が不安を抱かずに生活できるように長期的に安定した社会保障制度を推進することが重要であると考えております。特に、この際に負担公平性、それから給付負担との間の合理的な関係をつくり上げるということ、これらが今後の施策の重要なポイントであると考えております。  次に、国民負担の問題でございますが、臨調答申は、「今後、高齢化社会の進展等により、長期的には、租税負担社会保障負担とを合わせた全体としての国民負担率は、現状よりは上昇することとならざるを得ない」、大体現状が三五%程度でございます、という認識に立っております。そして、国民負担率が無制限に上昇することは適当でないという点から、先進諸国の例にもかんがみまして、国民負担率を現在のヨーロッパ諸国の水準約五〇%前後よりはかなり低い、低位にとどめることが必要であると指摘しておるのであります。したがって、そのために徹底した制度改革を含む行財政改革の推進が必要であると指摘しておるのであります。  臨調における論議としていろいろ論議があったことは承知しておりますが、私としてはこの答申趣旨を尊重して対応してまいるつもりであります。  国民負担率の具体的数値をあらかじめ固定的に設定することは、現在の流動的な情勢下においては慎重を要することであります。しかし、臨調答申におきましても、税負担はできるだけ安定性を持たせる、そして社会保障負担というものは受益と負担との関係を見て弾力性を持たせる、こういう臨調考え方があると思っております。これらのことは今後参考になると思っておるのであります。  国鉄共済年金の赤字の問題は、すでにいろいろ御答弁申し上げ、また、関係大臣から御答弁申し上げる予定でございます。  年金制度全体のあり方の中で、給付水準を七割程度にしたらどうかという御質問でございますが、将来の年金給付水準につきましては、世代間のバランスに配慮しつつ、関係審議会等の意見を参考として検討してまいります。  年金制度の国庫負担につきましては、将来、全体系再編成を検討する中で対処してまいりたいと考えております。  残余の御質問関係大臣から御答弁いたします。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私に対するお尋ねは、いわゆる負担割合の問題でございます。  公的年金給付に要する費用を労使折半で負担するということは、わが国の社会保険全般を通ずる原則でございます。したがって、厚生年金についても同様となっておりまして、国鉄共済年金についてのみ特別な扱いをするということは、これは適当ではなかろうと、このように考えます。(拍手)    〔国務大臣林義郎君登壇拍手
  32. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 近藤議員からの御質問の中で、世論調査などで将来に不安を感じている人が多い、こういうふうなお話で、同意するかという御質問がございました。これは総理から御答弁ございましたので、同じでございますから、省略をさせていただきます。  年金制度あり方として、将来の年金給付水準を七割程度とすべきではないか、こういうお話がございましたが、給付負担のバランスというものをどうとっていくかということで総理から御答弁があったとおりでございますが、私の方といたしましては、現在社会保険審議厚生年金保険部会の意見書に示されておりますところの、現役被保険者の平均標準報酬の六〇%を基準とする考え方を参考にしてまいりたい、こういうふうに思っております。  次に、将来の年金財源対策として、大企業から特別の応分の負担を求めることを検討すべきではないかという御質問がございましたが、わが国年金制度は相互扶助と社会連帯の精神に基づくところの世代間の助け合いの仕組みとして成っておりまして、その保険料は加入者数に応じまして徴収するという方式を長い間とってきたところでございます。御指摘のように、このような形でこの基本的仕組みを変更し、単なる財源調達という観点から特別な負担を一部の人に与えるということは、私は非常に困難なことではないかと考えておるところでございます。  年金制度一元化の中で国庫負担が縮減されるのではないかという危惧を国民が抱いているので、年金財政の国庫負担の見直しを安易にやらないということをはっきり言えと、こういうふうなお話でございましたが、公的年金制度における国庫負担を具体的にどうするかということは、制度全般の体系をどう再編成していくかにかかっている問題でございまして、その検討の中で考えてまいる所存でございます。(拍手)    〔国務大臣後藤田正晴君登壇拍手
  33. 後藤田正晴

    国務大臣(後藤田正晴君) 人事院勧告取り扱いでございますが、けさ第四回目の給与関係の閣僚会議を開催いたしました。ただ、けさの会合ではまだ結論を得るに至っておりません。  この問題については、従来の会合では労使関係の安定あるいは国家公務員の士気の問題、さらには今日の厳しい財政状況、あるいはまた第二臨調への対応のしぶり、さらにはまた諸外国も今日いろいろな形で給与改定をやっておりますが、その給与改定の実施の姿、それと、各国それぞれあり方は違っておりますけれども、やはりある程度の公務員の労働基本権、これの制約がございます。それらとの関連、こういうような点について国政全般との関連で幅広い検討を真剣に論議を重ねておるわけでございます。  けさの会議では、この問題の緊急性といいますか、余りじんぜん日をむなしくするわけにいかぬ問題である、したがって早急に結論を出すべし、こういうことがけさのおおよその意見でございましたので、政府といたしましては、自由民主党との調整をも図りながら、今後の最終の結論、そしてまた、その結論に従っての手続の詰め、こういう点について一層の努力を推進していきたい、かように考えておるわけでございます。(拍手
  34. 木村睦男

    議長木村睦男君) 答弁の補足があります。中曽根内閣総理大臣。    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄共済の財政危機に際して、今日までなぜ解決策を講じなかったかという筋の御質問でございます。  国鉄共済の問題につきましては、このような事態になりました背景には、ただいま御説明申し上げましたように負担給付関係のアンバランスの問題とか、あるいは一つの企業集団の中における社会構造の変化に対応する諸般の問題等々、さまざまな問題がございまして今日の事態に至りましたことははなはだ遺憾でございます。  この間におきましても運輸省や大蔵省もいろいろな検討も重ねまして、いろいろな給付の問題やら負担の問題やらにつきましてもいろいろ提議も申し上げたりしてきたわけでございますが、しかし、次第次第に経営上の問題が大きな負担になってまいりまして、今日に至ったわけでございます。  そこで、今回はもはやぎりぎりの段階までまいりまして、関係公企体等の御理解もいただくようにいたしまして今回の法案提出になった次第でございまして、御協力と御理解をいただきたいと思う次第でございます。(拍手)     ─────────────
  36. 木村睦男

    議長木村睦男君) 柄谷道一君。    〔柄谷道一君登壇拍手
  37. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま趣旨説明のありました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣質問を行うものであります。  不透明な時代と言われる現在ですが、わが国が世界に例を見ない高齢化社会に突入することは確実な展望であります。すでに六十五歳以上の人口が総人口に占める割合は九・八%に達しており、今後、三十七年後の二〇二〇年には、それが二一・八%に達することが明らかであります。急速かつ深刻な高齢化社会わが国の経済、社会に及ぼす広範な影響ははかり知れないものがあり、この変化の本質を見きわめて、今後とも活力を維持しつつ福祉社会をいかにして建設するかということは、今日の最重要な政治課題と言うべきでありましょう。  活力ある福祉社会の建設は、臨時行政調査会答申基本理念であり、それはまた国民の強い要求でもあります。私は、早くからその重要性を認識し、再三、年金、雇用、医療、地域福祉、生きがい保障を含めた総合的、体系的高齢者福祉計画の策定と、これに対する国民合意の形成を急ぐべきであると提言し続けてまいりましたが、政府は縦割り行政の弊害を改革し得ず、政策相互間の整合性確保した総合的な政策体系を何ら提示することもなく今日に至りました。これは政府高齢化対策の基本的欠陥と指摘するほかはありません。  長期にわたり安定した国民年金体制を、他の政策とも関連づけながらどのようなプログラムで確立するのかという公的年金制度全般の将来展望を明らかにしないまま、今回の法案公的年金制度再編統合の第一段階として位置づけていることは、はなはだ理解に苦しむところであります。政府は、総合的高齢化社会政策をいつどのような手順で樹立するのか、公的年金制度の将来のあり方とその改革の具体策について基本的にどのように考えているのか、総理の明快な答弁をまず求めるものであります。  第二にただしたいことは、租税負担社会保障負担とを合わせた全体としての国民負担率について、総理はどのように考えているのかという点であります。  一般に、高齢化社会の進展等によって国民負担率は上昇を余儀なくされるであろうと言われておりますが、過重な国民負担は活力のない社会を生むことは明らかであり、国民は将来どの程度の負担増になるのかという問題について大きな不安を抱いております。臨時行政調査会は、徹底的な行財政改革の推進を行い、現在のヨーロッパ諸国の水準よりかなり低位にとどめるよう提言しているが、総理は具体的にどの程度まで負担率国民に求めようとしているのか、この際明らかにしていただきたい。  第三に伺いたいことは、かなり以前から予測されていた国鉄共済制度の危機的状況について、その解決策を講ずることなく今日に至った国の責任についてであります。  わが国公的年金制度が三種、八つに分立し、その間に給付及び負担の不公平がある現実のもとで、分立する制度統合することが必要不可欠であると私も思うものであります。今回提出されたいわゆる共済統合法案はその一環であると政府は説明していますが、しかし、実態的には国鉄共済救済法案という側面が強いことは否定することができますまい。また、社会保障制度審議会も繰り返しその解決策を早急に講ずべきことを指摘してきたことは御承知のことと思うのであります。国鉄共済への早期対応を怠ってきた政府及び国鉄当局の責任は重大であると考えるものでありますが、国としての責任についてどう考えているのか、また、社会保障制度審議会がこの点を深く遺憾とし、国としての格段の配慮を求める答申をしていることについて、総理及び大蔵大臣から納得のいく説明をしていただきたい。  第四は、財政調整事業の円滑な実施に関してであります。  共済組合は、本来その構成員による相互扶助の理念に基づいているものであり、国鉄以外の共済組合員は内心不満を抱きつつも国鉄に援助の手を差し伸べようとしておりますが、その際重要なことは、関係者の理解と合意が前提となるべきであります。とりわけ政府公企体職員等に給付水準の低下や保険料の引き上げを求める場合、そのことは特に配慮すべきであります。その点万全を欠いたことはきわめて残念でありますが、今後再びかかる事態を招かないよう十分対処するという大蔵大臣の確約をこの際求めます。  また、本法施行後設けられる財政調整事業運営委員会改正後の国家公務員等共済組合審議会の構成と運営について、社会保障制度審議会は「広く組合員の意向が反映されるよう留意すべきである」と答申しているが、私は、その意のあるところをくみ、従来構成員となっていなかったナショナルセンターの一つである同盟代表の委員を加えることが至当であり、それが財政調整事業や将来の年金統合を円滑に進める基盤になると信ずるものでありますが、そのような方針を持っているのかどうか、大蔵大臣の答弁を求めます。  第五に、保険料率引き上げの経過措置についてただします。  今後の財政調整の具体策は財政調整事業運営委員会で決められることになっていますが、この場合、大幅な拠出増にならないようにという主張が関係者の声であり、制度審の答申にも、「制度改正要綱に基づく試算によれば、次の財政再計算期に保険料率を一挙に大幅に引き上げることになつているが、これについては段階的に引き上げるような経過措置を設けるべきである。」と特に指摘しております。大蔵大臣は、これらを受けて具体的にどのような経過措置を設ける方針か、明らかにしていただきたい。  また、これに関連して、本法案が成立すれば、明年十月から国鉄に対する拠出分を含め保険料率が相当引き上げられることになるが、御案内のように、われわれの強い要求にもかかわらず、五十七年度人事院勧告は凍結され、五十八年度取り扱いも本日の閣議においてすら決定されないまま推移いたしております。賃金は上がらず、その上に年金保険料が引き上げられるに至っては、二重の負担が強いられることになります。官公労働者の中には、法を遵守し、国民の負託にこたえてまじめに働き、行政の効率化についても常に建設的提言と行動を伴っている全官公労働者がいることに深く思いをいたし、政府は速やかに人事院勧告及び仲裁裁定の完全実施を行うべきであると考えますが、総理と総務長官の責任ある答弁を求めるものであります。  最後に、厚生年金及び国民年金積立金の有利運用について厚生大臣に伺いたい。  年金積立額は、五十八年度末の見込みで厚生年金四十一兆円、国民年金三兆円に達しますが、共済組合取り扱いと異なり、そのすべてが財政投融資の原資となり、その金利は七・三%となっております。これを積立金の一定率でも自主運用すれば、現在以上に利子収入が増大し、年金財政の長期安定に資すことは明らかであります。社会保険審議会は、これまで再三にわたり積立金の自主有利運用を提言していますが、私も賛成の立場に立ち、その早期実現を図るべきだと考えます。厚生大臣は、高齢化社会の到来を展望し、積立金の有利運用のために努力を重ねていると信じますが、今後の取り組み方について大臣の決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  38. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 柄谷議員の御質問にお答えをいたします。  まず、高齢化社会に対応する総合的政策体系をどういう手順確立するかという御質問でございます。  今後、わが国は、諸外国に例を見ない速さで急速に高齢化する見込みでございまして、政策相互間の整合性を図りつつ、総合的に対応する必要性があることは御指摘のとおりでございます。これらへの対応はきわめて幅広い政策分野にわたるべきものでありまして、特に社会保障、雇用の分野等におきましても、すでにその対応を開始しているところでございます。いずれにせよ、高齢化のピークを迎える三十年ないし四十年後における社会経済情勢に対応できるよう、高齢化の程度が現在の西欧諸国の水準に比べてまだ低い今後の十数年間を貴重な期間として、福祉、雇用あるいは生涯教育等の各般の施策を着実に実施してまいりたいと考えております。  また、公的年金制度の将来のあり方とその統合のスケジュールいかんという御質問でございます。  政府といたしましては、昨年九月及び本年五月の閣議決定に基づきまして、年金担当大臣を設け、公的年金制度一元化を展望しつつ年金制度全般の見直しを行うという基本方針のもとに、目下鋭意検討中でございます。  先ほど私の記憶を申し上げましたが、今回国家公務員及び公共企業体統合法案をお願いをいたし、五十九年から六十一年にかけて厚生年金国民年金船員保険統合、それ以降他の共済年金等の統合を行いまして、七十年ですべての統合を完了する、こういう考え方に立ちまして作業を進めておるところでございます。  次に、租税負担社会保障負担を合わせた国民負担率について御質問でございます。  今回の「展望と指針」、いわゆる「経済社会の展望と指針」におきましては、国民負担率について、「将来の租税負担社会保障負担とを合せた全体としての国民負担率は、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめることが望ましい。」として、その方向を示されておるわけです。国民負担率につきましては、これまでいろいろ議論がございましたが、現実の政策目標としてあらかじめ固定的に設定することについては、現在のような流動的情勢のもとにおいてはきわめて慎重を要するところがあると思います。このような視点から、今後の中長期的な経済展望の中におけるそのあり方について幅広くかつ慎重に検討してまいりたいと思っております。  ただ、臨調答申が指摘しておりますように、租税部分というものはできるだけ安定的にして、そして社会保障部分負担というものは、その受益とそれから負担との関係のバランスを考えつつ流動性を持たせるという方向がやはり必要ではないかと考えております。  次に、国鉄財政危機に伴う年金問題の御質問でございますが、この点につきましては、国鉄における年金負担給付のバランスの問題、あるいは国鉄という企業集団の経営問題等々から今日のような事態になり、その間におきましても、運輸省や大蔵省においてもこの改革案について何度か検討を重ね、また提案もしてきたところでございます。しかし、この段階に至りまして、ぎりぎりの段階になりましたので、今回このような統合法案をも取りまとめたということも御理解していただきたいと思うところでございます。  人勧の問題につきましては、給与関係閣僚会議において、制度尊重という基本的立場に立って国政全般との関連において慎重に検討しておりますが、年末も迫りまして、できるだけ早く決めさせていただくようにしたいと思っております。  今回の法改正によって保険料率が相当上げられることになるので、仲裁裁定の完全実施を行えという御質問でございますが、この点につきましても、国会に付議した状態でございまして、政府としては国会の御判断をまつべきものと考えておる次第でございます。  残余の答弁関係大臣から答弁させていただきます。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  39. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、国鉄共済の財政危機に対する今日までの国の責任等々であります。  国鉄共済年金財政悪化に対しましては、国鉄共済としても以前から保険料率の引き上げ等種々の対策を講じてきたところでございますが、何度か申し上げましたが、何分にも一企業の保険集団であったために、年金財政の抜本的改善にこれがつながることができなかったということは、これは事実であります。そこで、国鉄としても昭和五十三年に国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会、これを設けられ、運輸省も国鉄共済年金懇談会、これを設けられ、それぞれで抜本的な検討を続けて今日こられた。  大蔵省としても、国鉄共済年金財政悪化を背景にして共済年金全体の見直しの検討作業に取り組んで、さらに昭和五十五年に共済年金制度基本問題研究会を設けて、五十七年の七月に意見書をちょうだいした。それをもとに大蔵省としては、また臨調答申を踏まえて、そしてこの審議会の議を経て今回の統合法案提出したと、こういう経過でございますので、その経過について御理解をいただくことによって、努力した結果であるとお考えいただきたいと思います。  次の問題は、今回の法改正の理解とこれからの問題でございますが、公的年金制度再編統合を進めていく上での第一歩である、こういう意味においては関係者の御理解は得られたのではないかと、このように考えております。したがって、昨年の七月十四日提出いただきました共済年金制度基本問題研究会の意見に沿いまして策定したものがこの法律であって、そして原案の作成に当たっては、昨年末以来の懇談会、たびたびいただきました審議会の意見、これらの答申をちょうだいした上でつくったわけでございます。  国鉄共済年金対策につきましても、五十三年以来、共済年金制度懇談会、年金基本問題研究会で十分な時間をかけて議論をしていただいて検討を進めてまいりました。今後においても、制度改正組合員の利益に重大な影響を及ぼす事柄につきましては、関係者に十分な御議論を願い、そして理解をいただいた上でこれに対処するという姿勢をもって臨むべきであるというふうに考えております。  次に、委員会審議会の委員の構成問題でお尋ねがございました。  財政調整事業運営委員会は、学識経験者の方二名、連合会及び公企体共済を代表する方各一名で構成することになっておりまして、いわゆる組合員を代表する者を委員とするという特段の措置は講じてございません。国家公務員等共済組合審議会は、学識経験者、関係行政機関及び組合員を代表する者各五人で構成する、こういうことにしておるわけであります。したがって、法律上は特定の団体の代表者を委員に任命するということにはなっていないわけでありますが、しかしながら、財政調整事業運営委員会国家公務員等共済組合審議会の運営については、幅広く組合員の意向が反映されるように今後とも一層努力をしていかなければならぬというふうに考えておるところでございます。  保険料率の引き上げの問題でございますが、これについて大幅な拠出増にならないようにという関係者の声も確かに御指摘のとおりございます。これを段階的に行う等の経過措置をとるべきではないか、このような意見でございますが、五十九年十月の再計算等によって決定しますので、今後のこれは問題である。そして、世代負担公平性の観点からは、必要な保険料を全額負担してもらうのが一応原則であるということ。しかしながら、国鉄共済への拠出金を含めますと全体の保険料率が大幅に上がると予想されますので、これに対しては適切な対応をしていかなければならないと私どもも考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣丹羽兵助君登壇拍手
  40. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) 私に対する御質問に対してお答え申し上げます。  お尋ねの本年度人事院勧告取り扱いについては、総理も申されておりまするように、勧告を尊重するという基本姿勢に立って、現在給与関係閣僚会議で、ただいまも官房長官が言われましたように、国政全般との関連において慎重に検討しておるのであります。私といたしましては、昨年の経緯、良好な労使関係維持等に配慮し、勧告の実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいる所存であります。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣林義郎君登壇拍手
  41. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 柄谷議員からの私に対する御質問は、共済は一部自主運用を認めているのに対し、厚生年金国民年金については全額財投に回され、七・三%の利率である。年金制度の今後の長期安定を図るためには自主運用がきわめて重要な課題であるが、どうかというお話だったと思います。  現在、先ほど来申し上げておりますように、厚生年金保険及び国民年金につきましては、年金制度の長期的安定を図るために次期通常国会改正法案提出すべく現在鋭意検討中でございますが、来年の制度改正におきましては、給付水準の適正化を図る一方で、従来と同様に保険料の負担増をお願いせざるを得ないことになるのではないかと考えておるところでございます。この場合に、年金財政に資するために年金積立金の有利運用その他所要の方策によって負担増を緩和するということは、そういった努力を重ねるということは、国民の納得を得る上で重要なことだと考えておりますので、制度改正の中で十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。(拍手
  42. 木村睦男

    議長木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  43. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第一 日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長大木正吾君。     —————————————    〔大水正吾君登壇拍手
  44. 大木正吾

    ○大木正吾君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会の昭和五十五年度決算に係るものでありまして、放送法の定めるところにより、会計検査院の検査を経て内閣から提出されたものであります。  その概要を申し上げますと、同協会の五十五年度末における財産状況は、資産総額二千百二十四億二千百万円、負債総額八百七十一億四千五百万円、資本総額千二百五十二億七千六百万円となっております。  また、当年度中の損益は、経常事業収入二千七百十四億三千百万円に対し、経常事業支出二千五百九億百万円であり、差し引き経常事業収支差金は二百五億三千万円となっており、これに固定資産売却損益等の特別収支を含めた事業収支差金は二百六億九千九百万円となっております。  このうち債務償還等に充てた資本支出充当額は百三十二億百万円であり、この結果、事業収支剰余金は七十四億九千八百万円となっております。  なお、この専業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものといたしております。  本件には、会計検査院の「記述すべき意見はない」旨の検査結果が付されております。  委員会におきましては、収支予算等が適切かつ効率的に執行されたかどうかを初め、経営公開施策の強化、衛星放送、文字多重放送などニューメディア対策、国際放送の拡充、オリンピック放送権料、NHKの公正中立の維持等の諸問題について政府、会計検査院並びに協会当局に質疑を行い、慎重審議の結果、本件は全会一致をもってこれを是認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  45. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本件は委員長報告のとおり是認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  46. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。      ─────・─────
  47. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第二 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長伊江朝雄君。    〔伊江朝雄君登壇拍手
  48. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、国際通貨基金に対する出資の額が増額されることとなるのに伴い、その出資の額の増額に応ずるための所要措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、開発途上国の累積債務問題と国際金融機関の対応、円高基調定着の見通しと施策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より、本法律案に反対する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  49. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  50. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      ─────・─────
  51. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第三 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長矢原秀男君。    〔矢原秀男君登壇拍手
  52. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ただいま議題となりました全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、衆議院提出に係るものでありまして、その内容は、既設または工事中の新幹線鉄道における停車場の新設に関し、当分の間、地方公共団体が日本国有鉄道または日本鉄道建設公団にその必要な資金について補助金等の交付その他財政上の措置等を講ずることができることとするものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党瀬谷理事、日本共産党小笠原委員よりそれぞれ反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  53. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  54. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会