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1983-11-25 第100回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十五日(金曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十五日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     山本 富雄君      野田  哲君     本岡 昭次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 小野  明君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 堀江 正夫君                 山本 富雄君                 穐山  篤君                 本岡 昭次君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柄谷 道一君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  林  義郎君        運 輸 大 臣  長谷川 峻君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  谷川 和穗君    政府委員        防衛庁参事官   新井 弘一君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛庁装備局長  木下 博生君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁次長  小谷  久君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        防衛施設庁労務        部長       木梨 一雄君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵大臣官房審        議官       行天 豊雄君        大蔵省主計局次        長        兼内閣審議官   保田  博君        大蔵省理財局長  西垣  昭君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        外務省北米局審        議官       山下新太郎君        大蔵省主計局主        計官       田波 耕治君        日本国有鉄道共        済事務局長    岩崎 雄一君        日本電信電話公        社厚生局長    中原 道朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、片山甚市君及び本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として野田哲君及び矢田部理君が選任されました。     ─────────────
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 内藤功

    内藤功君 本法案趣旨説明によりますと、「この法律案は、臨時行政調査会行政改革に関する第三次答申趣旨にのっとり、高齢化社会の進展に対処するための公的年金制度再編統合一環」である、こういうのであります。昭和五十七年九月二十四日の閣議決定、「今後における行政改革具体化方策について」、これを見ますと、ここには「公的年金制度全体の再編統合の第一段階として」本法案提出する、こう書いてあります。  そこで、まず本法案がなぜ公的年金制度再編統合一環あるいは第一段階と言われるのか、昨日の御質問でもかなりこの点についての論戦はあったようですが、なおその深いところが私にはわからないんです。その具体的理由を、まず大蔵省にお伺いしたい。
  5. 保田博

    政府委員保田博君) 御質問冒頭委員指摘のとおり、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、公的年金制度の長期的安定を図るということが現在のわが国社会保障制度を運営していく、あるいは今後の制度考えていく上での最重要な課題であるということでございます。それに対応する基本的な方向というものは、現在八つに分立しております公的年金の諸制度につきまして、それらを通じまして給付負担の両面にわたって抜本的な見直しを行うと同時に、公的年金全体の再編統合を図るという方向制度全体の改革について計画的に検討したいという方針でおるわけでございます。  政府といたしましては、先生質問の中にございましたように、臨時行政調査会の第三次答申での御指摘もございますし、そういう方向で今後の大まかな改革検討スケジュールを決めさせていただいておるわけでございますが、まず九月に、この臨調の答申を受けまして、「今後における行政改革具体化方策について」という閣議決定を行いました。その中では、今後の公的年金制度改革担当大臣として年金担当大臣を指名するということと、それから第二に、当面、公的年金制度全体の再編統合の第一段階として、国家公務員共済組合公共企業体職員等共済組合長期給付制度統合に関する法律案を、当時の時点からいいますと次期通常国会提出するものとし、政府部内において所要の調整を進めるということを決めたわけでございます。これが今回御提案申し上げております共済統合法案というかっこうでお持ちをいたしたわけであります。  なお、これと並行いたしまして、厚生年金国民年金を中心とする公的年金制度の長期的安定を図るために、将来の一元化を展望しつつ、給付負担関係等制度全般あり方について見直しを行い、本年度末、五十八年度末までに改革具体的内容手順について成案を得るものとするという大まかな方向を決めたわけでございます。それをさらに本年五月二十四日に、多少の年次的なスケジュールのめどを入れまして閣議決定をいたしました。その方向年金制度全体の改革検討を進めておる、時間的にもその第一歩をなすものが今回御提案申し上げております統合法案というふうにわれわれは位置づけをさせていただいておる、こういうことでございます。
  6. 内藤功

    内藤功君 公的年金というのは、厚生年金国民年金ども含む広範囲なものである。その公的年金再編統合一環とかあるいは第一段階とか言う以上は、具体的に進めますと、たとえば保険料はどうするか、給付水準、それから支給開始年齢、あるいは家庭におられる婦人の年金、妻の年金をどうするか、あるいはスライド制、さらに国庫負担問題等々たくさんありますが、そういう具体的な問題についての基本的な構想というもの、これがやはりなければ、一環とか第一段階ということは言えないだろうと思うんです。  私の次に聞きたいのは、そのような意味での構想をどういうふうにお持ちなのか、これは大蔵省厚生省か、どちらになるかわかりませんが、お答えいただきたい。
  7. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) いま大蔵省が御答弁されましたように、五月の行革大綱におきまして公的年金制度全体の再編統合のおよその方向が決まっておるわけでございますが、具体的内容手順等につきましては五十八年度末までに成案を得るということになっております。その大まかな方向の第二段階といたしまして、厚生年金国民年金船員保険関係整理と申しますか、その改革を行うべく現在その改正案の立案を急いでおるところでございますけれども、この公的年金制度の全体の九割を占めますところの三制度改革案内容が固まりますれば、今後のおよその方向というものがさらに固まってくるという考えを持っております。そういうことで、その三制度改革案成案を得まして、それから先、五十八年度末までに策定いたします成案の中でさらに具体的な内容を詰めていくと、こういうことでございます。
  8. 内藤功

    内藤功君 昭和五十八年の三月二十九日に社会保障制度審議会答申を出しまして、それでこういうふうに述べているんですね。「これまで、国は、公的年金制度全般の将来展望を明らかにしていないにもかかわらず、今回の諮問公的年金制度再編統合の第一段階として位置づけていることは、甚だ理解に苦しむところである。」、こういうふうに大まかに言っておりますが、私も同様の感じを持つわけなんです。言われる改革案内容というものは、ここで恐らく示せるくらい固まってきているのじゃないかと私は思うんですけれども、さらに重ねて申し上げたいんですが、さっきのたとえば保険料給付水準支給開始年齢スライド制、こういう各種の問題について大まか柱はこうだというようなものはもうできているはずだと思うんですが、できておればお示しいただきたい。
  9. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 現在、検討を進めているさなかでございますけれども、いま先生のお述べになりました支給開始年齢の問題につきましては、これは避けて通れない課題であるというふうに認識をしておりますが、その際には高齢者雇用の動向などに十分配慮いたしながら対応していく必要があるというふうに考えております。本年七月の社会保険審議会意見書におきましては、現時点における引き上げは時期尚早であるとの意見もあることから引き続き検討を要するという意見を述べておるわけでございます。  給付水準につきましては、将来年金受給者保険料負担者とのバランスが崩れることのないように、また現役保険者に過重な負担を求めることがないように的確な見直しを行うべきであるというふうに考えております。現に支給されている年金水準については切り下げというようなことは考えていないということでございます。  スライド制につきましては、公的年金制度の基本的な根幹をなす問題でございます。目減りをしない、目減りをさせないための措置ということでございますから、これにつきましては今後とも堅持をしていく必要があるというふうに考えております。
  10. 内藤功

    内藤功君 まだ抽象的なんですね。私は、その程度のお答えでは公的年金制度の将来像、全体像が明らかになったとはとうてい言えない。それなのに、その第一段階であり、一環として出してくるということは、私はまず本法案について筋の通らないことである、本法案提出について納得のできない第一の理由でございます。  私は、この年金制度あり方については、公的年金再編統合の将来像を具体的にやはり明らかにして、そして関係者関係団体理解合意というものをあくまでも前提のもとに検討すべき問題だ。年金の権利というのは、日本国憲法では年金ということは書いてありませんけれども、「健康で文化的な最低限度生活」という中に私は織り込まれる問題だと思います。政府のまずやるべき課題だと思うからであります。  そこで、次に伺いますが、近く厚生省年金制度改革案というものを近い時期に発表して、これをさらに社会保険審議会諮問をするという予定がおありと思いますが、これは大体いつごろを目途におやりになるのか、この点を伺いたい。
  11. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 現在、その成案を得べく最大限の努力をしておるところでございます。成案を得次第、近く諮問をいたしたいということでございます。
  12. 内藤功

    内藤功君 近く成案を得次第発表するとおっしゃる改革案ですが、それはあくまでお伺いする立場で聞くんですが、これはいまこの委員会に出してある本法案と同じように、年金給付水準引き下げ切り下げを一切内容としないのか、それとも切り下げ内容とするそういうものになるのか、まずこの点、初歩的な質問ですが、お伺いしたい。
  13. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) まだ審議会諮問するに至っておりませんので、したがいまして、厚生省案というものはファイナルなものがまだできておらないということでございます。  しかしながら、考え方というものを申し述べますと、五十五年時点におきましても、三十年加入平均標準報酬の六八%にも達しておるわけであります。四十年加入者について見ますれば、現役の八三%という高率になっておるわけであります。さらに、妻の国民年金任意加入を加えますると、一一〇%になるということでございます。これでは受給者現役保険者との生活水準バランスを失するということになるわけであります。しかも、保険料負担は、このままの仕組みでまいりますと、現在の三倍を超えるという状態になるわけであります。これでは世代間の公平を欠く、負担者なり国民合意というものは得られないのではないかということでございます。  意見書では、この点につきまして現役の六〇%程度を将来とも維持していくのが適当であるということを述べております。このままいけば現役受給者との生活水準というものが逆転するということにもなりかねないわけでございますから、これを適正な水準に維持をしていこうということでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、これはあくまでも将来に向かっての話でございますので、現に年金を受給しておられる方々の水準を下げるものでは一切ないということでございます。
  14. 内藤功

    内藤功君 私は、いまの御答弁にもかかわらず、従前のいろんな厚生省のお出しになった資料や国会答弁を私なりに分析した結果の推定ですが、かなりの年金水準引き下げ内容とされるのではないかと判断しているんです。  そこでお伺いしたいんですが、この改革案厚生省の方で御用意になっている改革案というのは、国民全体を対象にしたいわゆる基礎年金制度というものをつくって、そこにこれまでの各種年金制度をこの基礎年金というものに統合していく、一元化していく、そしてその際に、これまでの国民年金というものはその基礎年金に横滑りをさせていくと、こういうような内容をお考えになっているのではないかと私は思うんです。この点、なるべく率直にお答え願いたいんですが、ここらあたりの問題をどういうふうにお考えになり、また御用意になっているか、率直にお答えいただければと思います。
  15. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先生いま冒頭給付水準引き下げと、こうおっしゃいましたけれども、これは引き下げということではなくて、現役保険者の同意が得られるように、国民的な合意が得られるように、そして現役保険者負担が過重にならないように、そういうような給付水準を設定するということでございますから、言うなれば適正水準適正負担ということでございます。私ども引き下げというような考え方には立っておらないのでございます。  それから、お尋ねの基礎年金でございますけれども、これは昨日も御答弁申し上げましたように、七月の社会保険審議会意見書におきましては、各制度に共通する給付を導入するという考え方のもとに全体として整合性のとれた制度とすべきであるという意見書をちょうだいしておりますので、私どもは今度の国民年金厚生年金船員保険、この三制度改正案をいま用意しているところでございますけれども、各制度に共通する基礎年金というものを導入するという考え方のもとに案をつくっているところでございます。
  16. 内藤功

    内藤功君 適正水準給付引き下げかという言葉の問題は、私はこれは無限の論争になると思いますからこれ以上やりませんが、私どもはあくまでこれは切り下げだというふうに思うんです。  そして、これも確認しておきたいんですが、そういう基礎年金というものを前提にして、厚生年金共済組合、これはその一部を報酬比例年金として基礎年金に上乗せをして給付をする、こういうことを骨格に考えておられる、私どもはこういうふうに判断をしておるんですが、この点はいかがですか。
  17. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 意見書に述べております考え方というのも、基礎的な年金の上に各制度独自の給付を上乗せするという考え方に立っての意見書であるというふうに私ども理解しておるわけでございますので、そういう方向に沿って成案を得るべく努力をしておるというところでございます。
  18. 内藤功

    内藤功君 給付水準の問題ですが、現在の国民年金は四十年拠出月額六万七千二百円、こういうふうに理解をしておりますが、数字がもし間違っていたら言っていただきたいんですが、これを基礎年金に横滑りさせるということによって、この月額を四十年拠出で六万七千二百円から月五万円ぐらいに引き下げる、具体的な話になりますが、そういう内容についてはいま厚生省のあなたの方のプランの中に盛り込まれておるということはないでしょうか。
  19. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 基礎年金をまだ五万円にするというところまで現時点においては申し上げることができないわけでございます。と申しますのは、まだその最終的な案に到達しておらないわけでございますので、これはいま先生お述べになりましたのは、「二十一世紀の年金考える」という有識者調査に添えました小冊子の末尾にあります参考案、これをお述べになったものと思います。私どもは、まだ最終案を得るに至っておらないということでございます。
  20. 内藤功

    内藤功君 はっきり御否定はなさらなかった。いま申し上げることができないと、こういう意味の御答弁というふうに私はいま受け取りました。  関連して、これも率直にお聞きしておきたいんですが、支給開始年齢の問題。  先ほどお話がありましたが、厚生年金に例をとって言いますと、男子六十歳、女の方が五十五歳、当分の間の経過措置はとられるにしても、これを六十五歳からにする、さっき雇用の実態に即してというお話がありましたが、さようなお考えと承ってよろしいかどうか。
  21. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 意見書を引用するということで御容赦をいただきたいと思いますけれども先ほども申し上げましたように、七月の意見書では支給開始年齢につきましては、現時点における引き上げは時期尚早であるとの意見もあるから、なお引き続き検討が必要であるということを述べておるわけでございますので、その趣旨を尊重いたしたいというふうに考えております。  なお、女子につきましては、「労働条件における男女差の解消などのすう勢を考慮し、所要経過措置にも配慮しながら見直すべきである。」という意見書でございます。女子につきましては、そのような方向に沿っての検討をしておるところでございます。
  22. 内藤功

    内藤功君 もう一つ、具体的な問題ですが、保険料の問題。  現在の厚生年金保険料率男子の場合賃金の千分の百六、こういうふうに理解をいたしますが、これを百二十五に引き上げる、改変する、こういう内容についてはいかがでございましょうか。一つ一つ伺っていきます。
  23. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 今後、高齢化が進展する中におきまして受給者がふえるわけでございます。さらに、加入期間受給期間もふえるというような状況のもとにおきましては、年金保険料引き上げざるを得ないということは避けられない事実でございます。その場合、保険料水準と申しますのは、給付水準あり方でありますとか、受給者と被保険者との比率などと密接に関連するものでございます。現役世代年金受給者とのバランスをいかに確保するか、将来の過重な保険料負担をいかに回避するかというような観点からこれを検討してまいりたいというふうに考えております。いま先生のお述べになりました数字は、私ども最終的な諮問案の中でこれはどのようになるかということについてはコメントを差し控えさしていただきたいと思います。
  24. 内藤功

    内藤功君 われわれが国民のいろんな皆さんとお会いしていますと、年金についての苦情、心配がとても多いんです。町に入って話しますと、年金の話がとても多いんですよ。ですから、年金の話というのは具体的に話をしないと、われわれ議員として説明できないんです。そこで、私は、いろいろ理念的なこともありますが、きのう来やられましたから、きわめて具体的な数字として、失礼にわたる部分があるかもしれないが、こうじゃないのかと端的に聞いているわけなんです。いまコメントできないとおっしゃるのか。
  25. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 厚生省案が固まり、関係審議会諮問いたしました以降におきましては、十分御説明を申し上げます。
  26. 内藤功

    内藤功君 私のいまの数字否定はなさらなかったということで、次のことを聞きます。  今度は国民年金ですけれども国民年金保険料は現在幾らでございますか。
  27. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 月額五千八百三十円でございます。
  28. 内藤功

    内藤功君 審議官並びに課長さんに申し上げたいんですが、私のよく知っている方が国民年金昭和四十二年から掛けているんですよ。それで、実に上がっているんですね、これが。公共料金値上げどころの騒ぎじゃないんだ。また、住民税よりもひどいですよ。  ちょっと申し上げますと、昭和四十二年に月額二百五十円だったんです。これは皆さん専門家だからよく知っているでしょう。四十五年になって三百円、四十六年四百五十円、四十七年五百五十円、四十八年九百円、五十年に千百円、後は毎年上がっているんです、五十年以降は。五十一年に千四百円、五十二年に二千二百円、五十三年に二千七百三十円、五十四年に三千三百円、五十五年に三千七百七十円、五十六年に四千五百円、五十七年に五千二百二十円、そして昭和五十八年に、いま政府委員のおっしゃった五千八百三十円になっている。これは月額ですからね。四十二年に二百五十円だったものが五十八年に五千八百三十円、非常に値上げの率、割合は大きいです。年額にすると、昭和四十二年は年額三千円だったのが、五十八年に六万九千九百六十円。それで、毎年いきなりはがきが来るわけでしょう。その人は怒っている、はがきが来ると。そうして上がったと。いつまでいくんだと。二十五年とか四十年とか掛けるうちに幾らになるのか。やめなきゃならない人も出てくる。しかし、やめるとこれは将来給付がもらえなくなる。しようがないから苦しくても掛けている。家計に及ぼす影響大きいですよ。人事院勧告は実施されないわ、いろんな、教育費は上がるわ、サラリーマンの人たち、奥さん、みんな困っていますよ。この苦情が一番多いですよ、国民年金の。国民の目がだんだん向いてきているんです、ここのところへ。  そういうことを背景に伺いたいんですが、いまの厚生省のあなた方の案では、月五千八百三十円というのを今度は八千円程度に上げる、これをお考えになっておるということはないですか。それとも、これもコメントできないですか。
  29. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) これは公的年金制度に共通する問題でございますけれども実質価値を維持するということが大きな特徴でございます。後世代がこれを負担して経済変動に対応するということでございます。これは後世代負担において行われるわけでございます。さらには国庫負担が加わるということでございます。そういうようなことから、あわせまして社会保険方式をとる限りにおきまして合理的な負担をお願いするということにいたしておるわけでございます。いま先生の述べました数字は、これはまだ最終案を得る段階でございませんので、それについて意見を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  30. 内藤功

    内藤功君 まだ非常にいっぱいあるんですけれども、いままで私が出したいろんな数字ですね、コメントはされないということで僕ははなはだこれは遺憾なんですけれども数字否定をされますか。否定も肯定もしないんですか。どうなんですか。
  31. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先ほども申し上げましたように、関係審議会に近く諮問をいたしました以降これを御説明申し上げたいと思います。
  32. 内藤功

    内藤功君 農林漁業とか商工業とか、それからお医者さん、弁護士、自家営業の人はみんな国民年金に強制加入させられておるわけですね。そのほか任意加入をしておる。私が話を聞いて非常に不満の多いのはやっぱり商工業者の人ですよね、こういう人、それからその人たちの家族の人、この国保の強制加入者。こういうふうに一方的に上げられてきたら大変だ、負担が大きいと。公的年金に共通するかどうか、そういう理屈はそういう人にはわからないですね。掛けるのをやめたいけれども、やめれば取れなくなるので無理して掛ける。この負担が年々やはり増大しているんです。こういうものにやっぱりきちんと国民が安心して保険料を払い、将来はもらえるというものにしていくような考え方をもっと考えるのが私は公的年金制度で先決じゃないかと思っているんですよ。  あなたが、先ほどから公的年金の全体の再編統合具体的内容というものをいろいろ理由をつけて明らかにされない。それは役所のたてまえもあるでしょう。あるけれども、しかしこういうものだということを国会の場でやっぱり明らかにすべきだと私は思うんですね、できるだけ具体的に。数字が出されたら、委員のいま示された数字に近いものだぐらいはなぜ言えないのかと私は思うんですよ。私の言葉で言えば、給付水準切り下げ支給開始年齢引き上げ保険料というものをさらに増大する、国民年金五千八百三十円を八千円にする、こんなことまで考えているものだから、やっぱりこの時期に発表できないのだろうなと私は思っているんです。そういうふうに思うんです。これはやっぱり明らかにすべきだと、私はこのことを申し上げておきたい。  いま御提出になっております本法案というものは、そのような国民負担、犠牲というものをもっと大きくする公的年金再編統合のその第一歩だ、第一段階だから私たちはこれは反対だということを申し上げておるのでございます。特に、年金制度の一元化の名のもとに、高齢化社会へ向けて給付内容切り下げ保険料の徴収を強め、年金財政に対する国の負担を減らし、あるいはできるだけふやさないというための私は過酷な内容の案をいま厚生省政府が準備をしておる、こういうふうに思うのであります。ですから、私はいまやられているような年金制度再編統合案というものについてはこれは強く反対をするということをここで申し上げておきたいと思うんです。  それじゃ、年金制度をどうするかという問題は、私はやはり日本の憲法の立場に立ってやるべきだと思うんです。そこで、大臣おいででございますから、大きな観点から御所見を伺いたいと思うのであります。  私たちは、まず憲法の生存権保障の趣旨に立って、それから憲法には十三条というのがあって、生命、自由追求の権利は最大限に国政の上で尊重されなければならない、こういう理念の上に立っている。そして、国民だれでもが一定の年齢が来たら、そこに年金があまねく差別なく受け取れる、それから家庭におる婦人たち年金の権利を得ることができる、こういうことを基本にして年金制度というものを考えていく。専門家からいえば素人ぽいかもしれませんが、私はそこが基本だ、ここを外れちゃいかぬ。そういう意味で、私たちは最低保障年金というのを設けるべきだと思うんです。つまり、すべての国民が現在六十歳に達すれば、いまの相場で言えば毎月五万円、夫婦で十万円の年金を受けられるようにする、そういう制度をつくっていく。そして、従来の厚生年金国民年金の一定部分は拠出に見合って最低保障年金とあわせて給付をする。それで、最低保障年金の財源というのは、国庫の負担、各年金制度からの拠出金をそうたくさんふやさなくても、若干ふやす。  そして、もう一つは、大臣にもう一遍御再考、御検討願いたいのは、ヨーロッパの各国並みにやはりこの負担部分は労働者を三、企業七、これを目標にする。一遍にやるとなるとできませんとかなんとか言うんですが、これは一遍にできなければ年次計画をつくって、その方向に持っていくように年次計画で努力をして改めていく。それから、その場合も、企業といっても大企業と中小企業は違いますから、大企業、巨大企業、中堅企業、中小企業違いますから、中小企業についてはその負担が過度にならないような調整をその間でやはりしていく。具体的な数字は、私たちはこれを発表する予定でおりますけれども、この基本的な構想、これを私たちは持っているわけです。  大臣は、先日の参議院本会議で、わが党の近藤議員の質問に対しましてきわめて簡単に、わが国は従来の経過にかんがみて労働者と企業は折半であるということのみをお答えになりましたけれども、ヨーロッパの実情、それからそれを一遍にやるのじゃなくて、年次計画をもってこれを達成していく努力、そういう努力というのはやっぱり私はぜひ大臣にお考えをいただかなければならぬ、かように思っているんですが、大蔵大臣というのは、金がない、財源がないと言うだけじゃこれは頼もしい大臣じゃないのであって、どういう方向にこれをやっていくかということがなきゃならぬと私は思うんです。この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  33. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 事務的な問題もございますので、ちょっと先に答えさしていただきますと、公的年金制度改革に対する御意見というのは各方面からいろいろ寄せられております。御意 見、御提言が過去にも幾つもあるわけでございます。基礎的な部分を全額税負担で賄うべしというような御意見もあるわけでございますけれども、その場合には巨額な新税の創設を伴うとか新たな増税を必要とするというようなこともございますし、現行制度からの移行も非常にむずかしい。社会保険方式というものがなれ親しんで今日まで来ておるわけでございますから、そういう税方式に切りかえるということの困難さというものが非常にあるわけでございます。  そういうことが一つと、それからもう一つは、先生が労使の負担割合についてお述べになりましたけれども、やはり公的年金制度というのは国民的な合意が必要である。労使間につきましても、その負担割合につきましては十分な合意が成り立たなければ、公的年金制度が信頼の上に立って長い間これを維持していくことは困難であるというふうに思うわけでございます。そういう意味から、いろいろな御意見はあるわけでございますけれども、私どもは社会保険方式によるものが最も妥当である、それからさらには労使は折半でこれを負担するというのがこれからもいいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  34. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いまのお答えにもあっておりましたが、あまねくいろいろな御提言はちょうだいをしております。私はいま年金担当大臣というわけじゃございませんが、政府あるいは厚生省当局に対していろいろな角度からいろいろな御提言はちょうだいしております。したがって、内藤委員の御提言、これも私どもは参考に供さしていただくべき御提言であるというふうに思っております。  ただ、問題が幾らか具体的な問題をお出しになりましたが、いわゆるヨーロッパを例にお引きになりまして七対三、こういう問題をお出しになりましたが、これは私はこういういわゆるヨーロッパ方式というようなものが結果として全体の生活、経済、産業の活性化も含めよかったかどうかということに対する疑問もまた提起しなきゃならぬじゃないかというふうに思っております。したがって、今日まで国民あるいは関係者の相対的理解の中に定着したフィフティー・フィフティーというものが現実的であるというふうにこの点は考えております。  それから、いま御提言にありましたいわゆる最低年金というお言葉でございましたが、いわゆる基礎年金部分等々は、言葉の使い方は別といたしまして、概念的にはそう違った方向でわれわれが検討しておるとは思いません。したがいまして、いずれにしても、税負担という問題についてもかつていろいろな議論がございました。要するに、新たなる目的税を設けて、福祉税という言葉あるいは年金税という言葉も使われたことがございますが、それも一つの提言として承ったことがございますけれども、やはり今後の日本の社会構造ももとよりでございますが、定着してきたいわゆる社会保険という考え方の中に年金制度というものは定着して生かすべきものであるという基本的な考え方は今後も維持し続けていかなければならぬというふうに考えております。
  35. 内藤功

    内藤功君 いまのヨーロッパの例なども私は出しましたが、これ以外に財源の解決の方法は私はなかろうと思うんですね。一つの提言として大臣が参考にされるというお話がありましたので、十分なひとつ御検討をお願いして、次の質問に入りたいと思います。  それは国鉄共済の財政問題についてであります。  大蔵省は、国鉄共済が危機に至った原因につきまして保険料給付がアンバランスだったということを言っております。平たく言えば給付が高いからだという点を強く主張していることになると思うんですね。保険数理からいえば、保険料給付のアンバランスということ自体はこれは一般的なことであります。しかし、国鉄共済に見られる独自の理由や特徴には全く触れておられないように私は思うのであります。  昭和五十五年の五月に、国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会、いわゆる船後先生委員長になっておる船後委員会というのが報告書を出しましたが、この報告書の中では、国鉄共済がいわゆる成熟化、財政が非常に困難になってきた原因について幾つかの原因を挙げておるわけです。その一つが、戦中戦後を通じて国鉄は戦時輸送力の増強、復員者、外地引揚者の吸収など国策上の要請から大量の職員採用を続けた結果、当時の若年層に過大な職員層を抱えることになった。これらの職員層を抱えることになって、それらの人がいま退職時期を迎えている。これは国鉄の労使に責めを負わすことのできない原因です。この責任はやっぱり戦争を起こしたことに原因があるわけです。強いて言えば、戦争のやはりこれは犠牲であります。  もう一つは、非常に抽象的な表現ですが、「職員数の増減は、産業構造の変化、提供するサービスに対するニーズの変化、同種サービス提供産業の有無などの外的要因により規定される面が大きく、各年金制度運営主体の財政努力を超える問題といえる。」ということを挙げておりますね。  この指摘について、国鉄の方はいろいろお話を聞きましたが、大蔵省保田さんの方はこれはそのとおりだとお認めになるわけですか。
  36. 保田博

    政府委員保田博君) 国鉄共済組合の財政悪化の要因といたしましては、先生先ほど指摘されましたように、長い目で見まして負担に対してアンバランス給付が高いということはかねがね申しておりますが、と同時に、もう一つの要因として申し上げておりますのは、国鉄のといいますか、現在の公企体の共済組合というのは、一つの企業の年金保険集団で運営をしてきたということのために、産業構造が変化する、職員と卒業生との間がアンバランスに頭でっかちになっていったということにあるということは、かねがね私も御指摘を申し上げておるわけでございます。  今回御提案申し上げております統合法案では、したがいまして、第一の給付負担のアンバランスという点につきましては、国家公務員共済組合に比べて高い公企体の共済組合、当然国鉄も入るわけですけれども、これにつきましては国家公務員並みに引き下げていただく、調整させていただくというのが対策の一つでございます。  と同時に、その対策の第二といたしまして、一つの企業に基礎を置く保険というのはやはり安定性を欠くわけでございますから、保険集団のすそ野を広げて、それによりまして、そのときどきの社会情勢、経済情勢に応じまして、企業の消長はあろうかと思いますけれども、保険集団のすそ野を広げることによって社会保険の原理、社会連帯の方向に従って助け合っていただきたい、これが社会連帯のまさに理念に沿った解決の基本的な方向であろうかということでございます。
  37. 内藤功

    内藤功君 いまの国鉄の方の給付国家公務員などより高いという点をやはり強調しておられるわけですね。いつ聞いてもそういう御答弁です。  そこで、給付が高いという点について先ほどの船後報告書でも述べておるんですね。この第三項のところであります。成熟性の原因の(iii)のところで、「国鉄の職務内容が、現業労務を主体として、深夜・屋外勤務が多い」「職務に熟練性を要求される分野が広く、長期勤続者の割合が高い」、要旨こういうことを述べております。特に、ここでは国鉄の職務内容が運転とか保安とか電気とか、こういう本当に油と汗にまみれた現業が主体になっているというところを非常に強調していると思うんです。  ところで、本法案の審議を通じて私が感じますことは、こういう国鉄の特殊な職場の実態から設けられている、たとえば危険職種に対する加算措置、こういうものがすべて切り捨てられている。こういうふうに職務の特殊な内容を切り払って、そして画一的に金額的な面での給付要件の一致というものを図ろうとしている。私は、これは一言で評すると非常に機械的、画一的な給付切り下げである、こういうふうに私は思うわけなんであります。  私は、やはりこういう職場の実情を考慮した、特殊性を考慮した、やはり整合性というものを言う場合には、統一というものを言う場合でも、こういう特別な事情というのは十分に考慮していかなければ、他の同僚委員も言いましたが、やはり生身の労働者、働く人に対する年金の問題ですから、そこに一つの温情というものがあっていいという同僚委員質問は、私は気持ちとしてはそのとおりだと思うのであります。  もちろん私は、こう言いましても、それだからといって、国家公務員人事院勧告も二年続いて完全実施されないでおる、こういう状況にある国家公務員の方に国鉄のことについてさらに負担を負わすということについて、国家公務員サイドのお気持ちもこれもよくわかります。しかし、現場の国鉄のそういう特殊性というものについてのやはり一つの温情というもの、人間的な気持ちというものがここに含まれていないということは非常に遺憾なことだということを申し上げておきたいです。  この点について、国鉄、大蔵省、それぞれからひとつお話を伺いたいです。
  38. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) ただいま先生からお話がありましたのは、国鉄の現場の職員の職務の実態に基づきます年金上の特例といいますか、たとえば重労務職の支給開始年齢の特例、あるいは不健康業務加算、あるいは船員の期間換算等の特例、このようなことかというように存じますが、これらにつきまして今回の改正法案では廃止をすることになっております。  国鉄といたしましては、現在の年金財政の状況にかんがみまして、これはやむを得ないというふうに考えているわけでありますが、それは第一に、法案の目的が、先ほど大蔵省からもお話しになっておりますように、公企体の年金水準国家公務員共済のそれに合わせる、またそれを前提にして国鉄救済が行われる、こういうことになっておるわけでございまして、特例についてもやはり同様に考えざるを得ない。  それから第二には、何らかのこれに配慮をいたしますればそれだけ給付費がふえる、その分財政を悪化させることになるわけであります。国鉄について申し上げますと、その分つまり他共済の財調拠出額を増加させる結果になる。特に、公務員共済との関係でいえば、何らかの措置を講じますと、公務員より給付がよいことによる増加費用の負担を公務員共済にお願いをする、こういうような結果になるわけでございまして、国鉄共済としてはお助けをいただく立場としてとてもそれを主張し、お願いすることはできない、またお願いする立場にない、こういうように考えておるわけでございます。ただ、既裁定の年金者については、御承知のように激変緩和という意味において従前額保障の措置が講ぜられておりますので、その限りにおいては経過措置が講ぜられておる、このように考えております。
  39. 保田博

    政府委員保田博君) 岡鉄当局から御説明をしたとおりでございまして、大蔵省から特につけ加えるものはございません。
  40. 内藤功

    内藤功君 私は、いままでの質疑を通して、先ほど国民年金の具体的な例を申し述べましたけれども公的年金制度再編統合というものについて、やはりいまの政府の進めておる内容先ほどの御答弁でも、私がいろんな資料から推測してこういう内容じゃないかという指摘内容について御否定なさらなかった、コメントができない、これは非常に私は遺憾なことだと思うんです。これはまた別の機会にぜひこれを明らかにしていきたい。国民の目の前に明らかにできないものだから、私はそういうような再編統合案というものの第一段階で出てきておるこの法案についてのいろんな答弁がもう一つそこのところで明確なものを欠いているのだというふうに感じるわけであります。私は、しばしば申し上げましたように、この法案については年金制度の根本にさかのぼって詳細なやはり質疑を行い、この委員会でも時間をかけて討議すべき問題がある、こういうふうに思っております。  私の質問は、まだ予定しておる中の五分の一ぐらいしかしておりません。これはいずれ次の機会を得まして質疑を続けたいということを申し上げて、一応終わります。
  41. 柄谷道一

    柄谷道一君 今回の国家公務員と国鉄、電電、専売三公社の共済年金統合法案は、六十年度以降年金支払いができなくなる国鉄共済を救済することがまず第一の目的であり、第二に、すでに提出済みの地方公務員共済統合法案とあわせまして将来の年金一元化への第一段階にしようという趣旨であると受けとめております。しかし、国家公務員共済組合審議会では、労働者側委員の審議拒否、答申でも経過を略記しただけで結論が書けないという異常な混乱が起こりました。私は、このような混乱は、今回の統合が将来に向けて年金一元化の第一段階と位置づけながら、政府にどのような手順で、具体的にどのような形で一元化するかという具体的青写真、いわゆる海図を欠きながら出発しようという姿勢に最大の原因がある、こう考えるものでございます。  時間をやり繰りして御出席いただきました厚生大臣に、まず質問を集中して前半いたしたいと思います。  政府は、昨年九月に閣議決定をいたしました行革大綱の中で、将来の一元化を展望しつつ五十八年度末に成案を得ると、こう決定をされております。ところが、具体的な動きは、二月上旬から総理府審議室で関係各省庁の年金担当者会議の検討が始まったばかりでございまして、厚生省検討中の厚生年金国民年金を中心とした一元化法案との関連をこれから調整し、整合性のある構想をまとめなければならぬという作業が残されております。すでに残されました期日はわずかであり、かつ、その間、解散総選挙も行われるわけでございます。年金一元化の具体的プログラムと構想を、来年四月に閣議決定どおり明らかにできるという確信を厚生大臣はお持ちかどうか、お伺いいたします。
  42. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) 柄谷先生指摘のとおり、公的年金制度の一元化につきましては、昨年九月及び本年五月の閣議決定において示された方針に沿って計画的に対策を進めていかなければならない。また、そういうふうな形でやっておるところでございます。  いままでに、本年五月、地方公務員等共済組合の財政単位の一元化を図る法律を通していただきました。また、現在、公共企業体職員等共済組合国家公務員共済組合との統合法案の御審議を願っているところでございまして、さらに五十九年から六十一年にかけて講じる措置一環として、制度の大宗を占める厚生年金国民年金につきまして次期通常国会に改正法案提出すべく、現在鋭意検討中でございます。すでに社会保険審議会厚生年金部会におきましていろんな御議論をいただいておるところでございまして、できるだけ早い機会にさらに突っ込んだ御議論をいただこうと、こういうことにいたしております。  共済年金につきましても、その趣旨に沿いまして、六十七年までに厚生年金国民年金との関係整理を図ってまいりたいと思っておるところでございます。  さらに、全体を見渡すところの給付負担との両面にわたる公的年金制度全体の一元化につきましては、昭和七十年にこれを完了することを目途に改革を進めるという基本方針のもとに、今後さらに検討を続けてまいるということでございます。  何と申しましても、制度の一元化の具体的内容につきましては、公的年金制度の九割を占めるのがいまありますところの厚生年金国民年金でございますので、この改正が私は非常に大きなものになるだろうと思いますし、次期制度改正の内容が固まり、これに沿った共済年金との関係整理あり方方向づけられれば大筋の方向は大体これで定まってくるのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  43. 柄谷道一

    柄谷道一君 今回の四共済統合について、審議過程で問題になりましたのはいわゆる官官格差の問題でございます。私は、それを考えますと、将来の年金統合のためには今度は官民格差の解消という問題は避けて通れない課題になると、こう思います。厚生省は、去る五月二日、二十一世紀の年金に関する有識者調査結果を発表されておりますが、回答者の約七割が年金の一元化を支持いたしますとともに、その第一の理由として制度間の格差解消のためを挙げておるわけでございます。  私は、明年四月、厚生省から発表されますその大綱の中に、国民が強く意識している格差解消の青写真が示されなければ年金統合化の方針を具備したものとは言えないと思うわけでございます。厚生大臣のお考え、いかがでございますか。
  44. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) 御指摘の問題は、共済年金国民年金厚生年金との間の問題のバランスをとれ、こういうお話だと思いますが、五十九年に予定されておりますところの国民年金厚生年金改革内容整合性のとれた改革でなければおかしな話でありますし、そのバランスをとった形で行うということが政府の方針でもございますし、これからの過程におきまして御指摘のような制度的差異についても当然検討を加えていかなければならない問題だと、こういうふうに考えております。
  45. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、官民格差の問題は単に給付水準だけの問題ではない多くの前提的な条件が介在していると思うわけでございます。  追って、大蔵省関係は集中して質問することとして、厚生大臣にお伺いしたいのは、支給開始年齢の問題でございます。共済年金支給開始年齢は、五十四年の改正によりまして六十歳に引き上げられております。形の上では厚生年金と同じでございますけれども、現在はいわゆる経過期間でございまして、六十歳支給が全面化するのは七十五年からでございます。それまでの間に、仮に厚生省厚生年金支給開始年齢雇用保障年齢との関係を無視してこれとは無関係に引き上げるという措置をとるようなことがあれば、再び両保険間の均衡が崩れて一元化に逆行する結果になることは避けられません。厚生大臣は、そのようなお考えはよもやお持ちではないでしょうね。
  46. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) 御指摘お話は、共済支給開始年齢が六十歳になるのは昭和七十五年、こういうふうなことで、その前に厚生年金引き上げることを予定していないか、こういうふうなお話だと思いますが、私は考えますのに、わが国社会が諸外国に例のないような大変な速いスピードで高齢化社会に移行していくということが予測されておりますし、支給開始年齢の問題というのは、将来問題としては私は避けて通ることのできない一つの問題であると考えております。しかし、現在におきましては、いま先生お話にもありましたように、若い人の定年の動向、すなわち一般の方々の定年の動向などに着目しますと、支給開始年齢引き上げは時期尚早であるとの意見もあることから、この問題につきましては、高齢者雇用環境の動向などや他の年金制度支給開始年齢などを総合的にやはり考えて取り組んでいかなければならない問題であろうと、こういうふうに考えているところでございます。
  47. 柄谷道一

    柄谷道一君 政府は一元化の方向閣議決定されているわけですから、それまでの間に一元化と逆行するような基礎的要件の一つを取ることは、これは雇用保障問題との関連はいままで多くの論議が交わされておりましたけれども、さらに加えて年金一元化という視点からもあわせ考えなければならない問題であるということを指摘いたしておきたいと思います。  次に、五十七年度の年金積立金でございますが、厚生年金三十六兆三千億円、国民年金二兆九千億円、合計三十九兆二千億円でございますが、五十八年にはこれが四十三兆六千億円に達すると、こう予測されるわけでございます。しかし、高齢化社会の急速な到来に伴いまして、厚生年金は、条件によって異なりますけれども、収支残が負となる年度、いわゆるふえていかない、マイナスになるという負となる年度は早ければ六十六年、遅くても七十五年、そして積立金が完全になくなって賦課方式に移行しなければならない年度は早くて七十三年、遅くて八十三年と試算されるわけでございます。それだけに私は、積立金の有利運用というものがきわめて重要な課題として国民の注目をいま浴びております。  私は、現在の積立金の管理運用につきましては、第一に、積立金が全額資金運用部に預託されまして、その預託利子は七・三%であり、国債、事業債、貸付信託その他の金利と比較してきわめて低いこと。第二に、資金運用に関する審議会は大蔵大臣のもとに置かれまして学識経験者だけが委員となっておりますために、社会保険事業の運営責任を持ちます厚生大臣に運営上の自主性がない。また、保険料拠出者である労使の意見が反映されない。第三に、共済組合の場合は現在五十六年度末で十四兆二千億円の積立金を持っておりますが、原則としてこれは自主運用であり、実態は約三割を資金運用部に預託し、残りは自主運用をいたしております。したがって、自主運用部分は実態として有価証券や信託などに運用されておりまして、その利子運用は有利な形になっております。このような三つの問題点が現在の制度には内在していると思うのでございます。  そこで、私は本会議でも質問いたしましたが、厚生大臣は、老齢化社会を前にして年金財政の再建をやみくもに租税や社会保険料負担引き上げで解決しようとしても国民は納得しまい、給付面の不合理、不効率や制度間の格差是正とあわせて、年金の場合、収入、支出の中間に巨大な積立金が介在し、負担給付の両面で国民に痛みを求める前にそれを緩和する手段として積立金の有利運用をまず取り上げなければならない、こう述べておられます。厚生大臣の政治感覚は私は的確であると評価するのでございます。しかし、この問題は、過去、昭和十七年の労働者年金保険の創設時、昭和二十六生の資金運用部資金法の制定時、昭和三十四年の国民年金法の制定時、いずれも大蔵、厚生両省間で激しい応酬が行われた結果、現在のような形になっていることを考えますと、これは問題の解決は容易ではないと、こう思わざるを得ません。そこで、この際、改めて厚生大臣の決意をお伺いいたしたい。
  48. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) たびたび申し上げておりますように、来年度制度改正をいたしまして給付水準の適正化を図る一方で、やはり従来と同様に保険料負担増をお願いせざるを得ないということになるのだろうと思うのです。将来にわたりまして、いま柄谷さんからお話のございましたような大体状況になってきていることも事実でありますし、私はあの年金積立金の運用の問題というのは大変重要な問題である。特に、保険料を上げていくというような形になれば、当然それを考えていかなければ私はならない問題だと思っておるところでございます。これはいまお話がございましたように、大蔵省当局とも事務方ではずいぶんいろいろと議論はしてもらっておりますが、私はこの制度改正の中で基本的には考えていかなければならない問題だと思うのです。  若干、私の個人的な見解になるかもしれませんが、私が申し上げておきたいのは、年金というものはいわゆる一般の貯金とは違うわけであります。年金というのは、金を毎年毎年積んで、積んだから返してくれなどということはできない、二十年、三十年先になったらこの年金というもので支払いをしてくれるということですから。出す方からいたしますと、私は信託財産だろうと思うのです。信託の概念が適用される話ではないだろうか。そうすると、私はそれをやはりどういうふうな形で運営をしていくかということは、やはりその金を預かっている方としては当然、若干強制的な形になりますけれども、預けた方の立場に立った物の考え方をしていかなければならないのではないかと思うのです。  英米法でプルーデント・アンド・エキスパート・プラクティスというのがあるのです。そういったようなことも私は参考にしながら考えていかなきゃならぬ。プルーデント・アンド・エキスパート・プラクティスというのは、要するに預かった金ですから慎重に配慮していかなくちゃならない。慎重な確実な配慮でしょう。それからもう一つは、やっぱり運用ですから、それはエキスパートとして当然に期待されるところのりっぱな運用である、有利運用、こういうふうな話になってくるのじゃないか。  私はそう考えているのですが、そういった考え方を具体的にどういうふうな形でやっていくかということにつきましては、やっぱり少しいろんな議論がその中にあるわけでありますから、その辺は少し詰めてもらったらどうだろうかと思っています。もちろん、これはまだ私の個人的な見解でございまして、私はいろんな角度から御議論を賜らなければならないと思いますが、せっかく先生お話でもございますし、先生は長年この方についてはお詳しい方でございますから、あえて私の個人的な見解ということでお話を申し上げ、先生の御批判、御指摘も賜れれば大変ありがたい、こう思っておるところでございます。
  49. 柄谷道一

    柄谷道一君 私見を述べられましても、これは固まらないと何とも論評ができないわけでございますが、新聞の報ずるところによりますと、厚生省は、全額自主運用といっても、これは財投資金になっておるわけでございますから、これはできまい、そこで国債を主体とした公社債市場での運用を原則として株式への投資は考えない、資金の性格を当分取り崩さない長期安定資金とする、資金の運用幅は約三兆円前後にするという青写真づくりを進めている、こう新聞に報道されているわけでございますが、その真偽はいかがでございますか。
  50. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) 一部の新聞にそういったことが報道されたということは、一つの憶測にすぎないと私は御理解いただいていいと思うのでありまして、年金積立金というものはあくまでも安全かつできるだけ有利に運用するというのは先ほど来申し上げているところの基本的な考え方だと思うのでありまして、この辺は財政当局、大蔵大臣がおられますので、この辺とも十分に御相談して成案を得なければならないものだろうと考えておりまして、いまのお話にありましたような、何ぼにするなどというような話までいける話でもないし、またそんな話ではないというふうに御理解いただいていいと思います。
  51. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、また違った新聞には、両省間の権限分配をめぐる対立の中で、大蔵省側にも、預託金利について現状のままでよいとは考えておらないので、検討対象の一つであるという意向がある、厚生省側にも役所同士の権限争いではなくて、要は巨額の積立金をいかに効率的に回すかであるという意見があって、最終的には大蔵省による統合運用の中でその形は大きく変えないで有利な運用を考える、すなわち預託金利を引き上げることによって決着するのではないか、こういう説が述べられておりますが、これもまだ憶測の段階ですか。
  52. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) 結論から申し上げますと、そういったような物の考え方もあるのかもしれませんが、そういったことでやっているということではないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、年金積立金は安全かつできるだけ有利に運用されるということが、私が先ほど個人的な見解で申し上げました中でも、私はそういったことを原則として考えておるわけでありますから、そういったものの中で一体どういうふうな形でやったらいいか、私はこれは厚生省とか大蔵省とかという役所の権限をどちらにするというような話ではないと思うのです。やっぱり政府が預かっておる、厚生大臣が預かっておるわけですから、これをいかに有利に運用するか、うまいこと国民の信頼にこたえるような形に持っていくかということは等しく考えていかなければならない、大蔵省も一緒になって考えてもらわなければならない問題だ、私はこう思っておるところであります。
  53. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵大臣に御質問いたしますが、大蔵省は国の制度と信用を通じて集められた資金は統合して一元的に管理運営するのがたてまえである、財政金融政策の整合性をとりながら重要性に応じた資金配分を一元的に行うべきである、こういう従来のたてまえを現在崩しておるとは思えないわけでございます。  そこで、大蔵大臣、私はあくまでもたてまえで貫けるものかどうか。これは今後の急速な老齢化社会の到来、そして保険者、被保険者負担をいかに軽減していくかという老齢化社会への重要な対応策の一つであることにかんがみまして、ここで明確なお答えをいただくことはむずかしいと思いますけれども、ひとつ厚生大臣と虚心坦懐に話し合って老齢化社会に対応する新しい道に挑戦する、そのお気持ちだけはここでお約束いただきたい、こう思うんですが、いかがでございますか。
  54. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いま柄谷委員もおっしゃいましたように、国のいわゆる制度、信用を通じて集めたものを一元的運用を行うというのが確かにたてまえでございます。それがゆえにこそ今日それらの原資が、あるいは産業、経済活性化のために、あるいはまた福祉施策等のためにも、国の財政金融全体の方向整合性を持ちながら運用されてきたというふうに思っております。  一方、もとより、これは有利であると同時に確実なものでなければならぬ。その調和というものが、それぞれの年金制度というものが誕生いたしました際、言ってみれば話し合い等に応じましてそれぞれとられておるところであります。だから、有利、確実な運用をしなきゃならぬ、この基本方針というものはなかんずく年金財政からして当然考えなければならないことでありますが、それはいわゆる年金資金のみを対象としての議論の中でお互い検討を重ねるべきものなのか、あるいはやっぱりそのように国の制度、信用を背景にして集めた全体の原資のあり方として議論すべきものなのかというところに一つの問題点が私はあると思っております。  したがって、その年金会計だけの問題として、国の制度、信用を通じて集まったものに対して別途の形の運用ということはいわゆる二元化ということにもなりかねないので、やはり慎重に対応しなければならぬ課題である。基本的にはこの一元的運用、これは大蔵大臣が運用するというような意味で申し上げておるわけではございません。政府全体の責任の中で一元的運用がなされることが最も妥当ではなかろうかというふうに考えております。
  55. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵大臣、きわめて慎重な言葉遣いをされておるわけでございますけれども、いまくしくも厚生大臣は信託財産と、こう言われたわけでございますけれども、これは法によって定められた保険料でございますから、それを納めておる保険者、被保険の立場からすれば、やがて積立金が負となり底をつくという現状を考えれば、少しでも有利運用によって被保険者負担というものを軽減してもらいたい、こういう考えになることはこれは当然だと思うんです。要は、そのような趣旨も踏まえながら、総合的に両省が検討し、整合性のある、しかも国民がやむを得ない、わかったという考えを打ち出していかないと、いつまでも従来の原則、たてまえに固執するということでは、これは今後保険者、被保険者のとうてい同意を得るところではないと、こう思うわけでございます。  私が、いまああする、こうするということを大蔵大臣に聞いても御無理でしょう。しかし、この問題については両省間で、解散総選挙後、竹下さんと厚生大臣お二人が再び大臣でおるのかどうか私もわかりませんけれども、少なくとも両省大臣の間で虚心坦懐、真剣な討磯が行われるべきであり、大蔵省もまたその点については弾力性を持って臨むべきである、こう思うんです。両大臣、虚心坦懐にお話し合いを願えますねということをお伺いしているわけですから、話もしないということではないでしょう。
  56. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 年々この問題は、言ってみれば従来必ずと言っていいごとく予算編成の際に一つの問題提起なさるのは郵政省が従来多くございました。その中でも、信託的性格を持ってておるいわゆる個人年金等々の問題もございました。 したがって、その際、私もどのように解決すべきかということで、その都度両大臣が話し合いをいたしまして解決を見たこともあります。したがって、すべて聞く耳持たないという気持ちは全くございませんが、要は、国の制度、信用をたてまえとして集めたものは、いわゆる両大臣間の話し合いとかいう問題以上に、政府全体の問題として一元的運用の中にもどのような形で有利に安全に運用されるかということは話し合っていかなきゃならぬ問題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  57. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ老齢化社会と年金財政、従来のたてまえとしてとってきた一元化運用、この間に整合性のある、国民理解できる結論が見出されるように、これは両大臣に強く要望いたしておきたいと思います。  次に、年金の課税問題についてでございますが、林厚生大臣も、社会保険審議会が従来から年金は非課税とすべしと一貫して答申してきたことについてはよく御承知のところであろうと思います。ところが、税調の中間報告では年金課税強化の方向を示唆されております。私はもちろん課税には反対する立場をとるものでございますが、これと深いかかわり合いを持っておる給付水準について厚生大臣にお伺いしたいんですが、この給付水準については勤労者の可処分所得を対象として考えているのか、それとも名目所得を対象として考えているのか。いわゆる所得の何割ということを、厳密に言えば可処分所得の何割、名目所得の何割、これによって税制をどうするかということとはきわめて深いかかわりを持ってきますので、いまの検討の現状をお知らせいただきたい。
  58. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 従来、給付水準と申しますのは平均標準報酬に対する比率でございます。
  59. 柄谷道一

    柄谷道一君 年金計算の基礎を私聞いているのじゃないんですね。年金計算の基礎がそうなっていることはわかるんですが、今後年金一元化の中でどの程度年金水準というものが妥当かという検討にこれから入らなきゃならないわけですね。そのときには、当然可処分所得を基本にするのか、名目所得を基本にするのか、この点を割り切っていかないと水準検討ができないと思うんです。そのことを聞いているわけです。
  60. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先生指摘のように、可処分所得を基準にするという考え方もございますけれども、私どもはこれからも平均標準報酬に対する比率ということで年金水準考えてまいりたい、年金給付水準考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、共済についても今後そのような方法を導入しようというお考えと解していいですか。
  62. 保田博

    政府委員保田博君) 五十九年から六十一年にかけまして厚生年金国民年金関係整理が行われるわけでございますが、その様子を見ながら共済年金の第二段階改革についてはバランスをとりながら考えたい、こういうことでございます。
  63. 柄谷道一

    柄谷道一君 これ以上言っても答弁ができないようですから、私指摘しておきますけれども年金統合という問題について給付水準考える場合に、これから統合していくわけですから、やはり現在の厚生年金方式と共済年金方式というものの中でどこを基準にその共通性を求めていくか、その問題と年金の課税問題というのは切り離せない問題なんですね。そこらの問題について税調がどこまでの検討をされているのか私はわかりませんけれども、これはもち屋はもち屋なんですよ。単に税制上だけの考えでこの問題の論議を進めるというよりも、むしろ年金問題の給付水準との関連というものも配慮に入れつつその結論を出していかないと、私は問題が矛盾するということだけはここで指摘いたしておきたいと思います。
  64. 林義郎

    ○国務大臣(林義郎君) 若干、事務当局からの御答弁先生の御質問にぴたり合っていなかったことも私聞いておりましてわかりますが、標準報酬月額と申しますのは、毎月のもらう給料といろんな諸手当でやっているわけでありまして、先生御承知のとおりボーナス等は入っていない、こういうことです。ですから、ノミナルな所得と可処分所得と比較しますと、ボーナス分だけ除きまして、大体そこがちょっと違ってくるわけです。厳密に可処分所得か名目所得か、こういうやっとそこがちょっと食い違いがありますから、役所の方はそこを避けて御答弁をしたのだと、こう思います。恐らく実質的な所得ということでいろんなことを考えていかなければならないのだろうと私は思います。  そういうことになってくると、やはりこの年金につきましてどういったような課税体系をとっていったらいいかというのは、確かに先生の御指摘のようにいろんな問題が私はあると思いますから、そういった点を十分この年金改革の中におきましても考えていかなければならない。また、税の問題におきましても、大蔵省の方にお願いいたしまして、いろんな点を総合的にやはり考えていくということは私は当然必要なことである、こう思っておるところでございます。
  65. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、質問時間も限定されておりますので、この問題については問題の指摘にとどめておきたいと思います。厚生大臣、どうも都合をつけていただきまして、ありがとうございました。  そこで次に、法案内容について若干お伺いいたしたいと思います。  国鉄共済が財政的に破綻いたしました最大の要因は、戦中戦後に大量採用した職員が退職期に入りまして、年金受給者が毎年増加している一方で、現役職員は合理化によって減少し、受給者現役の比率を示す成熟度が五十七年三月時点で八一・二%に達したということが最大の要因であろうと思うのでございます。私は、こうした状況は早くから予測されていたわけでございますが、土壇場まで現状で推移したということについては、本会議でも指摘いたしましたが、政府に対して厳しく反省を求めるものでございます。しかし、高齢化社会の到来を考える場合に、国鉄共済の窮状は遅かれ早かれ四共済のすべての共済年金の将来の姿でございます。将来の年金危機に対しては統合以外に解決策がないこともまた明らかであろうと、こう思います。しかし、現実には統合の結果、他の共済保険料負担の増加と給付水準のダウンという不利益が生ずるという現実もまたこれを直視しなければなりません。とすれば、もちろんこの四共済が互いに理解し合うことが前提ではございますけれども、それにしても保険料の急激な負担増を避けるということは審議会も述べておるところであり、必要な措置ではないかと、こう思うのでございます。  そこで、端的にお伺いいたしますが、修正率は〇・八にとどめるべきであると私は思うのでございますが、大蔵大臣、確認をいただきたい。
  66. 保田博

    政府委員保田博君) 先生質問前提は、恐らくわれわれが粗い試算と申し上げておるものであろうと思います。あの試算は、この法案を作成いたします際に、関係者の御検討の素材として、あるいはまた国会で御審議をいただく際の御参考の材料としてつくりましたものでございまして、大蔵省当局の確たる方針を決めたものでは実はございません。ただ、われわれの希望としますと、年金財政の将来にわたる健全性を確保したい、あわせて後世代との間の年金保険料負担の公平化を図りたいということから、できるならば修正率は高い方がいい。現在は前回の財政再計算におきまして決められた〇・八を使っておるわけでございますが、できれば〇・九にこれを引き上げていただけることが望ましいというふうに実は考えてはおるわけでございます。  しかしながら、各方面からこの保険料引き上げにつきましては御意見がございます。われわれとしては、この次の財政再計算の際に考えられております保険料引き上げは、今回の国鉄の救済のためだけではございませんで、先ほど申し上げましたような、それぞれの共済組合の財政を健全に保つという見地から必要なものだと基本的には考えておりますけれども、片一方で上がり方が激 し過ぎるではないかというお声もございますので、その点につきましては、次期の財政再計算期あるいは財政調整のための委員会の御検討が始まるまでの間に検討をさしていただきたい、こういうふうに基本的に考えております。
  67. 柄谷道一

    柄谷道一君 局長、修正率の問題は、私ここで議論をすれば、現在の厚生年金の修正率がどうなっているのか、それと共済との修正率のかかわりはどうなのか、いろいろ問題があるんですよ。これは将来の年金一元化の中で全年金を包括して国民負担増というものを急速にふやさないというたてまえからその修正率をどういうふうにして扱っていくか、これは年金統合問題を審議する重要な課題の一つです。それあって初めて年金財政の健全化ということに向かうんでしょう。しかし、いま共済の修正率が現行でも高いということは事実ですね。私は、抜本的にこれから検討するに当たって、いま〇・八にしましょうということを約束できないという立場はわかりますよ。しかし、当分、現行の修正率のままスタートをする、そして今後の年金統合化とにらみ合わせながらそのあるべき修正率を考えていくという方法をとらなければ、これは審議会答申意見が全く入れられないという結果になってしまうと思うんですね。そこらがお約束できなければ、私のいま言った意見も十分に尊重して今後財政調整委員会等で検討しますと、それぐらいのことはお答えいただきたいと思います。
  68. 保田博

    政府委員保田博君) 修正率に限定してのお話、御指摘、御要望でございます。この点につきましては、先生の御要望のとおり前向きに検討させていただきたいと思います。
  69. 柄谷道一

    柄谷道一君 あわせまして国鉄共済部分、いわゆる千分の十二、これにつきましても、その必要な財源額及び調達方法は財政調整委員会検討結果にゆだねられる、こう理解してよろしゅうございますか。
  70. 保田博

    政府委員保田博君) 統合法案法案を文字どおり読むならば、おっしゃるとおりでございます。
  71. 柄谷道一

    柄谷道一君 文字どおりに読まない読み方があるんですか。
  72. 保田博

    政府委員保田博君) そういう読み方はございませんが、われわれとしての希望は、財政調整委員会でつくられる国鉄共済組合に対します財政援助の方策が、連合会その他の三つの公企体共済組合の財政健全化といいますか、健全な状態をできるだけ長く保持できるような方策とのかみ合わせにおきまして、その点を非常に重視した上でやっていただきたい、こういうことでございます。
  73. 柄谷道一

    柄谷道一君 余り回りくどい答弁されるとわからなくなってしまうんですよ。それは大蔵省がどういう願望を持つかは自由です。しかし、法律の中にその検討、決定にゆだねると書いているんですから、いろんな意見が出るでしょう、これから調整委員会の中で。その決定というものにゆだねる、これだけはどうして言えないんですか。
  74. 保田博

    政府委員保田博君) 文字どおりそのように理解いたしておりますが、われわれにも多少の意見があるということを申し上げておるだけでございます。
  75. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、審議会委員会等の構成についてお伺いしたいと思いますが、私が十月七日の本会議で質問いたしましたのに答えて、そのときの答弁は、「財政調整事業運営委員会は、」「組合員を代表する者を委員とするという特段の措置は講じてございません。国家公務員共済組合審議会は、」「法律上は特定の団体の代表者を委員に任命するということにはなっていない」。これは法のたてまえですね。しかし、両者の運営については幅広く組合員の意向が反映されるように努力しなければならない。これが大蔵大臣の御答弁でございました。  たてまえは法律に書かれておりますが、幅広く組合員の意向が反映されるということになりますならば、たとえば財政調整委員には、労働組合の推薦する者——組合から出すという意味じゃございませんよ。労働組合が推薦した学識経験者を委員にするということも広く組合員の意見を反映する道でございますし、また国共審の構成員数をふやして、広く組合員の意見反映が可能となる委員構成にするということもその具体的方法であろうと思うのでございます。大臣の述べられました、きわめて方向を示唆したにとどまっておる答弁について、具体的にはどういう形で組合員の意向を反映しようとお考えになっているわけですか。
  76. 保田博

    政府委員保田博君) 共済組合制度が自主的、民主的に運営されるべきであるという御指摘は全くそのとおりでございまして、われわれとしてもかねがねその方向努力をしてまいりましたし、今後ともその努力を続けるつもりでございます。  国共審でございますけれども、組合員を代表するものということで、現在九人のうち三人の方々はそういう方に御参加をいただいておるわけでございますが、その選任に当たりましては、その組合員が現業、非現業等、多種の職種にわたっているということも考えまして、あらゆる業種の組合員の意見も聞きながらその選任に努めておるわけでございます。国共済審議会委員の数について先生御言及になりましたが、現在は九人でございます。今回の統合法案がおかげをもちまして成立いたしますればこれが十五人になりまして、その際には組合を代表する方につきましても五人に増員をさせていただくということを考えております。  それから、長期給付財政調整事業運営委員会につきましては、現在六人が法案の予定になっておりまして、そのうちの四人は連合会並びに三公企体共済組合の代表者ということになっておるわけでございます。残るのは二人でございまして、これは中立委員ということで、学識経験の非常に豊かで、公正な立場から運営委員会の運営につきまして御意見をいただき、場合によりましては、いろいろ微妙な利害が対立することも予想される委員会の運営につきまして御調整役ということも考えなければならないだろうと思いますし、またそのうちの一人の方には委員長という職責も担っていただかなければならない。そういう意味で、われわれといたしましては、経験豊富な非常に中立的な立場で物の言える方を選ばせていただきたい。各方面からの御要望がもちろんあろうと思いますけれども、そういう御要望も聞きながら、先ほど申し上げましたような要件を満たす方を選任させていただきたい、こういうふうに考えております。
  77. 柄谷道一

    柄谷道一君 法のたてまえを聞いているのじゃないんですよ。法のたてまえは、本会議で大蔵大臣答えられたわけですね。たてまえはたてまえである。しかしながら、広く組合員の意向が反映されるように努力をしなければならぬと、こう言われたんですから、そのしからばとはどういうことをお考えなのかということを聞いているんです。
  78. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) これは確かに私からお答えするのが適当かと思います。この問題につきまして各方面の意見がいろいろ私の耳にも直接間接入っておりますので、私なりに、いま保田次長から申し上げましたような原則を踏まえて、それをどのような調和を図っていくかということについていま少し勉強さしていただきたい。私は、柄谷さんの御指摘というものが私なりに理解のできる点もございますので、いま少し勉強をさしていただきたいと思っております。
  79. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひその点は、私が本会議で述べました趣旨を十分配慮されまして、御検討願いたいと存じます。  そこで次に、電電の経営形態につきましては、臨調答申で分割民営化という方向が打ち出されており、与党の中ではいま特殊会社化という議論も進められているようでございます。しかし、まだ法案が現実に提出されていないわけでございますから、私はその経営形態がどうなるのかということを前提に置いての議論は本日の段階では避けたいと、こう思います。昨日、太田委員の方からも質問がございましたが、具体的に質問は避けますけれども、仮に経営形態を変更するということになりますと、これは原則論だけでは処置できない 多くの問題が出てくるわけですね。たとえば厚生年金に強制移行させるという場合は、これは強制脱退を強いられるわけですから、従来の借入金をどう処理していくかという問題も出てくるし、共済組合員の身分の保証にもかかわってくる多くの問題があるわけです。  そこで、私は経営形態変更の具体的提案が政府から行われた場合、これらの問題についても私の考えを十分述べてまいりたいと、こう思っております。したがって、きょうは、単に原則論だけでこの問題を処理するのではなくて、今後の経営形態がどうなるかという問題、さらには共済制度、組合員の利害、こういうものを調和させて、その結論に基づき弾力的な運用を行うというお約束だけをいただいておきたいと、こう思います。
  80. 保田博

    政府委員保田博君) 御指摘の問題につきましては、具体的に名前を言いますと、電電公社当局からかねてより御相談を受けております。この件につきましては、われわれとしても問題の重要さをよく認識いたしておりまして、厚生省当局とも相談を始めておりまして、先生のおっしゃっておられるような方向で、原則に必ずしもとらわれないかっこうでしかるべき方策を考えたい、こういうふうに考えております。
  81. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、質問通告の中で、今後の官民格差の是正問題について、具体的に年金計算の基礎給与と年金額算定方式の両者の違い、給付体系の相違、重複給付の問題、退職要件の問題、さらには、さきに大蔵大臣にお伺いいたしました支給開始年齢の問題など、給付水準以外にこれから検討、メスを入れていかなければならない多くの課題が残されている。そのことに対して解決の方向を示していくということでないと、単にスケジュールだけを決めて統合統合と言ってみても車は前に進まない、そのことを指摘しておきたいと思います。  最後に御質問したいのは、私は共済年金の性格をこの際洗い直す必要が生じてくるのではないかと思うんです。五十年八月に今井一男さんが国共審に提出しましたいわゆる今井メモによりますと、共済組合の役割りを、第一は厚生年金の代行的役割り、第二は企業年金的役割り、第三は事業主の福利施設への代行的役割り、この三つが現行共済制度の性格である。そして、かつては、厚生年金創設前には、恩給制度及びそれに代行する共済年金の役割りは第二、第三に大きなウエートがかかってきたけれども、恩給制度共済年金統合されまして、さらに国民年金になったというとき以来、一、すなわち厚生年金の代行的役割りに基本が置かれるようになった。しかし、第二、第三の役割りが完全に消滅したわけではない。これが今井メモの、長い文章でございますが、要約するとそういう精神ですね。  そうしますと、依然として現在その境界線は明らかになっていないわけでございます。今後、年金統合ということを考えていくとすれば、この性格というものを洗い直し、どの部分を民間と統合するのか、どの部分を独自の制度として存続させるのか、国民合意を得つつ成案をつくり上げていくということでないと、私は一元化の糸口がなかなか発見しがたい、こういうことになると思うんですね。そういう視点での検討を大蔵大臣としては当然なされるべきであると思うが、これに対する見解をお伺いいたしまして、私の質問の残りましたものは、また次の機会に譲りたいと思います。
  82. 保田博

    政府委員保田博君) 現在の共済年金の性格につきましては、先生指摘のようにいろんな側面を持っております。言葉はともかくとしまして、一つは社会保障的な所得保障のための制度という側面、それからもう一つは公務を円滑公正に執行するための公務員制度ないしは公企体の職員制度としての側面とを持っておるわけでございます。  前者につきましては、今後わが国の公的年金制度全体を再編統合していく段階におきまして、厚生年金ないしは国民年金等との調整を図るのは当然でございます。  第二の側面につきましては、前者の作業を見ながら今後公務員制度ないしは公企体の諸制度というものをどうやっていくのか、そういう公務員制度そのもののあり方との関連をつけながら検討をしていくべき課題であろうと、こういうふうに考えております。
  83. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いま保田次長から答えましたが、確かに第一のいわゆる福祉施策あるいは社会保障という側面は、これは将来の統合一元化ということに当たってそれが基本的な一つの方向を確立しなきゃならぬ問題だと思います。  それで、いま御意見を交えての問題、なかんずくその別の側面とでも申しましょうか、これについては御意見を踏まえて、大体私は考え方がほとんど一致しておると思いますので、検討さしていただきたいというふうに考えます。
  84. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  85. 小野明

    ○小野明君 私は、この法案が持っております重要な課題につきまして指摘をいたしますとともに、この際、若干の問題につきましてそれぞれ確認をいたしたいと思います。  第一に、今回提出されました統合法案の直接のきっかけは、国鉄共済組合の異常に高い成熟度並びに共済組合財政の危機にあると思います。成熟度八九・六%、六十年末には積立金の取り崩し不能という状態はまことに残念であります。しかし、ここに至りました原因がそれぞれあるわけであります。国鉄本体の財政の赤字転落、これは昭和四十年度からであります。これをきっかけに国鉄共済組合の財政的重圧も始まってまいりました。政府は、この原因は輸送構造の変化に対し十分対応できなかったとして簡単に片づけておりまするが、責任回避もはなはだしいと思います。この原因は、戦前戦後五十年余を通じての構造的な要因ではないのか、運輸、大蔵両大臣に明確に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  86. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 国鉄の共済についての御心配、心から敬意を払います。  いま私たち、朝、手紙を見ますというと、毎日百枚、二百枚のはがきが来ます。参議院でかかっているこの年金法案を非常に期待している、これが通過すれば、いままで年金をもらっている諸君も安心するし、いまから職場を去らなきゃならぬ者も安心する、こういう話でありまして、一枚一枚胸が痛む思いで実は見ております。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕  そこで、おっしゃるように、日本の国鉄というものは、かつては非常に大量の職員がおりましたし、また何といっても物流の中心でございました。しかし、四十年以降五十年にかけて御承知のとおり大変なモータリゼーション、それからまた諸物価が高騰する、それに追っかけて給与を上げていく、そのアンバランスが大変に続いたことでして、これは施策が悪いと言われればそれっきりでございますが、非常に大きな社会的原因にお互いみんながついていけなかったということが大変な原因であると、こう感じております。  それにいたしましても、これを職員諸君が生活、将来の問題としてとらえておることでございますから、そこを皆さん方がお考えいただきながら、この際に国鉄の組合の諸君を救済といいますか、そういう意味で、この統合法案を御審議いただいているということは、運輸省としますと、私は心から労働組合諸君あるいは幹部諸君の連帯意識にようやくこれが安堵というか、愁眉を開くというところに非常に関心を持って見守って御審議をお願いしているわけでございます。
  87. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いま御指摘がございましたように、国鉄職員の年齢構成のゆがみの主たる原因は、戦中戦後に大量の職員を採用したことによるものでありまして、これらの方が昭和五十年代に入って退職期を迎えられた。私も言ってみればちょうどそれの該当の年齢に、小野委員もそうでございますが、当たりますので、感慨深いものがございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 したがって、そういうことが年金財政を急速に悪化さしたということは事実でございます。これは素直に認めるべきであると私は思います。  いま一つは、やはり基本的な原因としては給付負担との関係が長期的に安定したものとなっていなかったこと、そしてやはり一企業体をもって構成する職員による小単位の年金保険集団で運営してきたために産業構造の変化あるいは社会全体の変化とでも申しましょうか、それに適切に対応し得なかったということがあろうかと思います。この問題は基本的に、この国鉄共済に限らず、公的年金制度それぞれ抱えている問題ではございましょう。船員保険の問題でございますとか、あるいは国民年金にいたしましても、だんだん被用者の方へ入っていらっしゃいますし、そういうような問題を抜本的に見直すとともに、やはり公的年金制度全体の再編統合を図っていくということによって最終的には解決していかなきゃならぬ課題だというふうに思っております。  小野さんの指摘に対しては、私は何ら異議を挟む考えもございません。
  88. 小野明

    ○小野明君 次に、われわれは、昭和四十年代から国鉄の再建方途につきまして、また国鉄の共済組合の改善につきましても毎国会指摘をしてまいったところでございます。その責任をどう感じておられるのか、今回の統合法案の準備に当たりましてその責任をどのように果たしてこようとされたのか、努力の結果を、これまた運輸、大蔵両大臣に明らかにしていただきたいのであります。
  89. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 責任ということになりますと、先ほど竹下大蔵大臣が責任の問題について言いましたように、まさにお互いが大きな見通しについてそのままついていけなかったという責任は重大でございます。国会においても、国鉄再建問題はここ十年間御審議いただきました。そして、ときには運賃の値上げをいたしました。運賃値上げが決まったころにはその運賃に工事費に回らないでベースアップの方に回ってしまうというふうなことの繰り返しなどが、ときには再建の事業をおくらした原因であるということも私は率直に認めます。  きのう高木総裁が辞意を漏らしましたが、私は七年八カ月いる国鉄総裁として、ようやく年金法案だけが緒についたというところにいささか満足を感じながら去っていきますけれども、ぜひこの問題については一段と御努力を願いたいという話でありました。  一人一人の責任を言うことも大事でございますが、この流れをいかにこの法案によって変えていくかというところに私は重点を置いております。いわんや、今日、国鉄が一日に五十四億円の赤字を出す、これは国家として大変なことだというので再建委員会がつくられて、いろんな手当てをとり、きょうの午後もまたそういう会合なども開くわけでして、挙げてそこに集中していることではございますので、そのときに、まず働く諸君の老後の問題、当然ある権利、これを生かしてみんなでやろうと、そのためにはほかの組合も千二百円でもよけい出していこうじゃないかというこの気持ちが私は国鉄再建に非常に役に立つのじゃなかろうか。所管大臣としますというと、こういう問題に関係して御声援くださる議員はもちろんのこと、各閣僚あるいは役所の諸君に私の方は最敬礼して実は敬意を払い、成立をお願いしておる、こういうかっこうでございますので、どうぞひとつ、この気持ちをおくみ取りくださいまして、いまから先、共済を受ける方、またそれを助けるために特に自分の給与をよけい提供する方々、大変な時代であって、それが片づいて初めてその次の再建法案の具体的なものに入っていけるというふうに私は期待しているものであります。
  90. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 長谷川運輸大臣のお答えでもって私は尽きると思っております。財政当局としても今日までいろいろなことをしてまいりましたが、総合いたしまして、いま長谷川大臣のお答えに尽きるというふうに私も感じております。
  91. 小野明

    ○小野明君 次に、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  この統合法案の作成が非常に難航いたしましたのは、まず国鉄並びに国の具体的な責任を明らかにせよという強い主張に対する政府の態度、第二には安易に統合しようとしている政府の態度に抵抗があったからではないのか。したがいまして、統合を行うのは相当の無理や犠牲が伴うものだけに、国鉄以外の各共済組合意見を最大限に取り入れる態度が必要ではないのか。今回、どのようにそういった点について配慮をし、さらに今後どのように対処をされていくのか、伺いたいと思います。
  92. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) この法律は、国家公務員共済組合に関する制度及びその行う給付、その他の事業の運営に関する重要事項、こういうことになりますので、国家公務員共済組合審議会、俗称国共審に諮問をして御議論をいただきました。公企体共済法では審議会ございませんので、公企体共済組合制度に関します事項は直接社会保障制度審議会諮問することとなるものでありますが、今回の法律案については公企体共済組合制度にとってきわめて重要な事項であるということを考慮いたしまして、お願いして、特に三公社の関係者の方に、国共審の、私もそれを見ておりましたが、まさに正式委員と同じような立場で御審議をいただいた。そして、三公社それぞれの意見も、そういう聴取する場所が、あるいは本会議あるいはそれ以上に懇談会というようなもので配慮をしていただきましたので、その限りにおいてはそれらの方々の意見も十分反映することができたし、またそれらの御意見というものは今後の運営の中にも十分生かしていかなきゃならないものだというふうに私は感じております。
  93. 小野明

    ○小野明君 御答弁がございましたけれども、配慮をされたと言いますが、かなりまだそれぞれの共済に不満があることは事実であります。時間がありませんから次に進んでまいりますが、その点をひとつ御記憶をいただきたいと思うのであります。  具体的に、法案内容について確認をいたしてまいりたいと思います。  この四共済組合給付水準あるいは財政調整が軸となっておりまするが、運営は当分の間従来の実績、慣行を踏まえ、自主的に運営することと相なっております。そこで、具体的にはどのような内容であるのか。私の理解では、公的年金制度の一元化が実現するまでの間、すなわち、政府主張の昭和七十年までだと思っておりますが、この点はどうか。また、運営の自主性の範囲、その内容などはそれぞれの共済組合の自主的決定にすべてゆだねるものだと理解しておりますが、この点はいかがでございましょうか。さらに、財政基盤の弱い共済組合の自主的な運営も相当選択の余地が少ないわけでございます。自助努力のみに任しておくことも憂慮せざるを得ないと思います。積極的なアドバイスが必要であると思いますが、いかがお考えでございましょうか。
  94. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 本委員会を通じまして各方面からの御意見をちょうだいしたわけでございますが、公的年金制度が一元化するまでの間は、一元化の方向に反しない範囲で、従来の慣行を踏まえ、各共済組合の運営の自主性を認めていきたいと思います。  それから、本法案における公務員共済と公企体共済の完全統合は当分の間行わないこととしておりますが、この当分の間とは、政府として公的年金の一元化を昭和七十年を目途としておりますので最大限昭和七十年までだと、こういうふうに考えております。  それから、各共済組合の運営の自主性の範囲、その内容などは、公企体共済と公務員共済統合あるいは公的年金の一元化の方向に反しないという範囲内で、御指摘のような従来の慣行、実績を踏まえ、それぞれの共済組合の自主的決定にゆだねたい、これが基本的な考え方でございます。
  95. 小野明

    ○小野明君 次に、保険料負担についてお尋ねをいたします。  国鉄共済を援助するために各共済組合から財政的な応援、すなわち、新たに高い保険料負担金を課すことに相なるわけであります。大蔵省試案によりましても、負担は急激に増大をする試算であります。これでは、それぞれの共済組合合意を得ることは全く困難ではないかと思います。したがいまして、国鉄共済組合への拠出を含めまして、改定の時期、保険料率の変更などは、それぞれの共済組合の自主性の範囲内において最善の努力によることでよいのではないかと思います。  そこで、修正率の点ですが、本委員会でもたびたび御指摘あっておりますが、どうしてもこの八割据え置きを確約してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  96. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 改正法の成立及びそれに伴います財政再計算等によって保険料負担が急激に増大することのないようにとのこの御指摘、これは世代負担の公平性を確保するということにも配慮して、御指摘の点を踏まえて適切に対処していきたい。具体的に、保険料負担のうち、いわゆる修正率について、世代負担の公平性を確保するために〇・八というものについてこれを確約をしろということでございますが、私も本委員会でずっと御質疑をいただいておりまして、一つのポイントであるという感じを持ちました。先ほど柄谷委員からも御指摘を受けたところでございますので、やはり国会に対して私ども責任を持つ立場から、可能な限りの表現を考えてみたいと思いますので、いまの点についての御答弁、少し時間をかしていただきたいと思いますので、これは運営の中で委員長に御配慮いただければ幸いだと思います。
  97. 小野明

    ○小野明君 国鉄共済への拠出分を含めて、改定の時期、保険料率の変更などは、それぞれの共済組合の自主性の範囲内において最善の努力によることでいいのではないか、この質問に対する御答弁がないように思いますが、いかがですか。
  98. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 自主性の範囲、その内容などにつきましては、御指摘のような国鉄共済の例を見てもわかりますように、自助努力だけでは解決できないところまで財政事情が悪化した共済年金もございます。今回の共済統合法案もその対策の一つでありまして、さらに今後公的年金全体の一元化を図っていく過程で、この問題については検討を続けていきたいというふうに考えております。
  99. 小野明

    ○小野明君 次に、給付に対する経過措置についてお尋ねをいたしたいと思います。  われわれは、この改正に当たりまして重要な問題は、経過措置を十分に取り入れ、無理な統合を円滑にすべきだと主張してまいりました。この際、電電公社は最終的な態度をどうお持ちか、主張をお述べいただきたい。これは総裁にお願いいたしたいと思います。総裁お見えですか。
  100. 中原道朗

    説明員(中原道朗君) 電電公社といたしましては、公的年金改革自体につきましては決して異を唱えるものではございませんし、それから法案作成と審議に際しまして、種々御高配を賜りましたということにつきましては感謝しておるところでございます。  しかしながら、御質問に関しましてあえて申し上げましたら、はるかな将来というものはともかくといたしまして、現に直接的ではない理由負担の増を強いられるというようなこと、それから給付水準につきまして既裁定年金の従前額保障以外には必ずしもそれらしい経過措置がないというようなこと等がございますので、必ずしも釈然としないという気持ちでいるというのは事実であります。したがいまして、当公社といたしましては、当面苦しい状態が続く中で、大方の組合員の納得が得られるように説得の努力を続けていかなくちゃいけないという状態が続くということを覚悟しておると申しましょうか、そのような気持ちでいるところであります。全体がスムーズに移り変わっていけるように、さらにこの審議の内外におきましていろいろと御教示を賜れば大変ありがたいと思っております。
  101. 小野明

    ○小野明君 次に、運輸大臣と大蔵大臣にお尋ねをいたします。  この経過措置は、いかなる法改正におきましても常に行ってまいりましたのが国会審議の実績だと思います。今回の場合も同様でなければならぬと思います。すなわち、既裁定者は明年四月以降の年金額改定とのかかわりでは著しく均衡を欠く問題が発生してくるのは明瞭であります。この点にどう対応するおつもりであるのか。  次に、新規裁定者も、現行の給付体系、水準を期待をして長年にわたって保険料負担してきているのであります。しかし、この改正では、給付算定の基礎俸給の改正、俸給の最高限度額を含めて大幅に改悪されるわけであります。給付額はこれまた大幅に減額と相なります。したがって、激変緩和を図るための何らかの経過措置をとるべきだというのもしごく当然ではないかと思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
  102. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 公企体共済の既裁定者につきましては、一部退職金の減額措置との関係ではなはだしく均衡を欠いた者がいるとの御指摘でございますが、確かに御指摘のような事例があることもこれは事実でございます。新規裁定者との均衡にも配慮しながら、今後の年金改定の際に何らかの工夫によって少しでも緩和できないかどうか、これは一遍、衆議院でもお答えした記憶がございますが、まさに法技術的な面も含めまして、十分検討をさしていただきたいと考えております。しかし、新規裁定者につきましては、年金の一元化を進めるという観点から、また退職金の減額措置の廃止とも関連して、御要望の趣旨に沿うことは、その点は沿い得ないと言わざるを得ません。
  103. 小野明

    ○小野明君 運輸大臣。
  104. 長谷川峻

    ○国務大臣(長谷川峻君) 国鉄共済年金のうちで、既裁定年金については従前額保障の経過措置がとられることなどがありますが、年金改定停止の措置がとられ、新規裁定者につきましては原則として国家公務員と同じ給付制度に統一されることになろうと思います。  国鉄の共済年金財政につきましては、このままに放置しますというと、昭和六十年度には年金財政が破綻するという緊急事態がありますので、年金制度そのものの長期的な安定を図るためには、国鉄のOBも現役も、つらいことであろうけれども、がまんをしていただくということにならざるを得ません。そうした姿勢を、また勤労者の連帯意識ということで、将来の大きな年金統合の一つとしてこれを御加勢申し上げるという方々もあることでございますから、この点はよく私たちも理解し、説得をして、円満な制度の中に移行してもらいたいと、こう思っております。
  105. 小野明

    ○小野明君 再度、この問題について、大蔵大臣、一部退職金の減額措置との関係ではなはだしく均衡を欠いたものがあるわけであります。こういう事実がありますから、新規裁定者との均衡にも配慮して、今後の年金改定の際に何らかの工夫によって少しでも緩和できないかどうか、法技術的な面を含めて検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  106. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  いまの御意向に沿うような方向努力さしていただきます。
  107. 小野明

    ○小野明君 次に、給付の制限についてお尋ねいたします。  いわゆる給付制限につきましては、それぞれの共済組合の沿革や歴史を持っておるわけであります。本来、保険の原則並びに扶養の原則を持つ年金制度の性格から将来は給付制限を廃止すべきものと考えるが、この点はどうか。当面、停職等に関して本委員会でも非常な議論がございました。そこで、十分調整を図ることが妥当ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  108. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 現在の共済年金には公的年金部分と職域年金部分とが含まれておりまして、これをいま直ちに区分するということはこれはむずかしい問題であります。公的年金部分の給付制限につきましては、今後とも公的年金の全体的見直しの過程で検討していきたいと考えます。今回の統合法では、公企体職員と国家公務員給付を一致させることを目的としておりますので、両者について給付制限の取り扱いを変えるというわけにはまいりません。しかし、公企体についても、その制度の沿革等も十分ございますし、停職処分の場合、いきなり停職期間相当分につき年金 を一〇%でございますか、カットするということはいかがか。また、停職の場合であっても、表現が適切であるか、破廉恥罪かそうでないか、時によっては故意か過失かなど、その原因によって違ってくるではないかというような御指摘はいろんな場合にいただいておりますので、国共審にも諮って、確かに法技術的面を含めて検討さしていただく課題であるというふうに考えます。
  109. 小野明

    ○小野明君 次に、民主的な運営についてお尋ねをいたします。  本法改正に伴いまして、新しい財調委員会の設置、国共審の委員の増員などが予定をされております。このほかにも評議員会あるいは運営審議会などの機関がございます。この運営の民主化は当然今後も行わなければなりませんけれども、特に保険料負担する多数の組合員の意見を反映するために具体的な措置が必要であると思います。この改正に当たって、この点を決断することが肝要だと思いますが、いかがでございましょうか。
  110. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いわゆる評議員会、運営協議会、国共審、財調委員会、運営審議会ですか、そういう各種の運営については一層民主的に行われるよう、組合員の意向が十分反映されるよう、これは引き続いて努力しなきゃならぬ課題だと思っております。  それから、お許しをいただきますならば、先ほど答弁を保留さしていただきました点でございます。両院を通じての審議、なかんずく参議院へ参りましてからの御審議の過程でいろいろ御質問のあった点でございますので、私も院に対して責任を持つために言葉の整理もしてみました。それで、保険料負担のうちいわゆる修正率については、世代間の負担の公平性を確保するために少なくとも〇・九が必要であるというふうに試算し考えておったわけでありますが、もろもろの要因が重なり合って保険料負担が急激かつ大幅に上昇することのないようにすべきだという本院における各委員からの強い御指摘をこの際整理いたしますと、この際は現行修正率に据え置くことで対処いたします。
  111. 小野明

    ○小野明君 御決断をいただいて、ありがとうございます。  最後に、社会保障制度審議会はきわめて適切な意見を網羅して答申がなされております。今日では非常に大きなウエートを持ったものであるわけでございまして、今後もこの意見は尊重すべきものと私は確信をいたしておりますが、改めて大蔵大臣の最終御答弁をいただきたいと思います。
  112. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 政府全体として社会保障制度審議会の従来の答申につきましては尊重してきたところでございますが、確かに本院の審議においても、このたびの法律案に関して審議の過程における問題点等も指摘されましたが、われわれとしては最大限の尊重はしてきたつもりでございますけれども、今後とも制度審の答申というものは運営に当たっても最大限尊重していくべき課題であるというふうな理解をさしていただきます。
  113. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  114. 高平公友

    委員長高平公友君) 以上で質疑は終局したものと認めます。    〔「質疑打ち切り反対だ。まだ質問いっぱいある」と呼ぶ者あり〕
  115. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいま質疑終局につき異議があるようでありますので、採決を行います。  質疑終局に賛成の方の挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  116. 高平公友

    委員長高平公友君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。     ─────────────
  117. 高平公友

    委員長高平公友君) 委員異動について御報告いたします。  本日、桧垣徳太郎君、野田哲君が委員を辞任され、その補欠として山本富雄君、本岡昭次君が選任されました。     ─────────────
  118. 高平公友

    委員長高平公友君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  119. 小野明

    ○小野明君 私は、日本社会党を代表し、国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  まず第一に指摘しなければならない点は、国鉄共済組合に対する政府の姿勢であります。国鉄共済の異常に高い成熟度、保険料負担が他共済に比較して約五〇%も高く、職員の負担は最高の限度に来ております。かつ、共済財政は倒産という最悪の状況にございます。これらは国鉄本体の経営問題と不離一体のものでありますが、昭和四十年代から急速に悪化し、今日の状態を迎えたものでありますが、これは主として戦前戦後の五十年間にわたる構造的な原因であります。共済組合年金と退職金は、特定人件費として非常に国鉄財政や共済財政を圧迫しております。これらの点について、国は全く反省することなく、かつ国鉄共済に対する責任を回避したのは言語道断と言わなければなりません。  第二に、高齢化社会に対応するという名目のもとに、今回安易に統合を図ろうとしております態度は許すわけにはまいりません。すでに繰り返し主張しておりますように、各共済組合には沿革があり、かつ、それぞれ創意工夫をこらして健全な運営を行ってきたところです。今回の統合は、各共済組合の主張を無視し、強引な統合であります。社会保障制度審議会は、これらについて国鉄に対する措置、移行に当たっての経過措置など適切な提言があるにもかかわらず、それらの答申を無視した一方的なものであって、絶対に納得できるものではありません。  第三に、統合によって給付水準は下がり、財政調整の名目で多額の保険料負担を課せられるという例を見ない法案であります。連帯によって円滑に移行したいというならば、各共済組合の運営の全面的な自主性を認め、移行のための経過措置が必要であります。最小限この二点が全面的に認められていないことは、共済組合員の合意を得られるはずもありません。人事院勧告の凍結、抑制、仲裁裁定の値切りなどが政府の手によって進められている今日、問答無用の統合は許せるものではありません。  第四に、八種類にわたる公的年金の一元化との整合性についても全く明らかにされておりません。加えて、公的年金制度に類似した恩給法等との均衡も全く不明確であります。本来、年金制度は、保険の原則、扶養の原則に基づいて本人並びに家族に対する将来保障ではありませんか。これらの点が欠落し、公正な論議が行われないまま統合することでは、禍根を将来に残すことになると思います。  最後に、中曽根内閣誕生以来、特に臨調、行政改革と称して福祉関係の政策が後退している点を強調せざるを得ません。元来、福祉、年金、医療などというものは、本人の自助努力のみに任せることに限界がありまするから、国の政治として福祉政策の存在の大きな意義があると思います。しかしながら、前回は厚生年金等の政府助成金を減額するなど、一連の福祉切り捨ての態度は反国民的政治であって、絶対容認できるところではありません。  以上をもって反対討論を終わります。
  120. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  わが国の平均寿命は、男子七十四・二二歳、女子七十九・六六歳と、世界のトップレベルに達しており、人生八十年と呼ばれる時代に突入しました。このことはまことに喜ばしい限りでありますが、問題は、長くなる第二の人生である老後をどう有意義に過ごせるかにあります。それゆえ、老後対策は今日最も緊急な政治課題となっております。  周知のとおり、老後生活を支える大きな柱は、公的年金による所得保障であります。ところが、近年に至り、国民の間に公的年金が崩壊するのではないかという危惧の念が急速に広がっております。事実、現行の分立したわが国の公的年金制度は、成熟度が高まるに伴い、個別制度ごとに財政が破綻する可能性が指摘されてきました。  その端的な例が、本法案で救済することになりました国鉄共済であります。国鉄共済は、昭和六十年には財政が赤字になり、そのまま推移すれば、年金の支払いが困難な状況に陥り、現に受給している三十五万人の高齢者生活が脅かされることになります。このような国鉄共済を放置するならば、他の公的年金に対する国民の不安を拡大することになりますので、国鉄共済の財政安定は国民に信頼される年金制度を維持発展する上で不可欠な課題であります。  この見地から、私は本法案に賛成するものでありますが、国鉄共済の財政危機を今日まで放置し、しかも本法案をまとめるに当たり、関係者合意づくりに十分な努力を払わなかった政府の態度はまことに遺憾であると言わざるを得ません。このことは、社会保障制度審議会答申で、「公的年金制度改革を進めるに当たって、国は、年金制度の技術的、制度的調整を図り、関係者の十分な理解と基本的合意前提として案をまとめるべきである。そのような観点から今回の諮問の経過を見るとき、これらの努力が著しく不足していたことを指摘せざるをえない。」としていることでも明らかであります。その結果、国鉄共済の財政援助のため保険料負担増大を強いられる国家公務員や電電、専売の職員の心境が複雑なものであることは承知しております。あえてこの際私は、激変緩和の措置をとることを前提として、将来の安定した年金制度を確立するため、今回の共済年金統合に賛成する立場を選択いたしました。  それは、将来的に八つに分立している現行年金制度の一元化が不可欠と考えるからであります。個別年金制度の財政危機を回避し、制度間における給付負担の格差を是正するには、制度の一元化を進めなければなりません。年金の一元化については、臨時行政調査会の第三次答申でもその必要性を提言しております。すなわち、「公的年金について、その公平化を図るとともに、長期的制度運営の安定強化を確保するため、被用者年金統合を図る等により、段階的に統合する。」との提言で指摘しているとおりであります。私は、行革を推進するという立場と同時に、国民に信頼される年金制度の確立という見地からも年金統合を進めるべきであり、その第一段階が今回の統合法案であるとの認識から賛成するものであります。したがって、政府は今後の年金一元化の具体的計画内容を早急にまとめるべきであり、私は国民の立場から、そのことを政府に強く切望いたします。  最後に、私が質疑を通じて政府の善処を求めた諸問題や、本委員会で採択されるであろう附帯決議について、政府は誠実かつ速やかに対応されることを要求し、討論を終わります。
  121. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の討論を行います。  第一の理由は、本法案はいわゆる臨調路線に基づく公的年金制度全体の抜本改悪の突破口になるからであります。政府公的年金の一元化の方針は、財政難を口実にした年金水準切り下げ保険料引き上げ、この方向になることは本法案内容によっても明らかであり、まさに本法案がその第一段階であるからであります。  第二の理由は、国鉄共済年金財政救済において国の責任を放棄し、無関係な他の共済組合員に犠牲を押しつけるからであります。  国鉄共済年金財政の悪化の原因は、戦前、戦中、戦後における国策遂行のための大量雇用と戦後のモータリゼーション政策による職員構成の極端なゆがみにあります。国鉄共済の危機は、まさに長年の政府の運輸政策の責任でもあります。にもかかわらず、政府はみずからの責任を転嫁し、国鉄職員や国家公務員など他の共済組合員に負担を強いることは容認できません。  第三の理由は、公共企業体職員国家公務員などの組合員に過大な負担増と給付切り下げをもたらすからであります。大蔵省の試算によりますと、来年十月から各共済組合員の掛金は急激かつ大幅に引き上げられようとしております。また、公企体職員の給付水準引き下げは、現業部門がほとんどを占める公企体職員の特殊事情を全く無視したもので、一方的な既得権の剥奪でもあります。  わが党は、年金制度改革に当たって、最低保障年金を確立し、同時に、年金財源についても国の税・財政制度改革、国と企業の責任の明確化などによる国民本位のやり方で進めるべきことを主張し、討論を終わります。
  122. 高平公友

    委員長高平公友君) 他に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 高平公友

    委員長高平公友君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小野君。
  124. 小野明

    ○小野明君 私は、ただいま可決されました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法律の施行に当たって、次の事項について一層努力すべきである。  一、高齢化社会の到来に備え、長期的に安定した年金制度の確立を図るため、速やかに公的年金の一元化の将来像及びそれを実現するための具体的な改正手順を明らかにすること。  一、公的年金の一元化が確立するまでの間、その方向に即しつつ、極力国家公務員共済組合及び各公共企業体職員共済組合の運営の自主性を尊重すること。  一、年金財政再計算等によって保険料負担が急激に増大することのないよう、世代負担の公平にも配慮しつつ適切に対処すること。  一、公共企業体職員共済組合国家公務員共済組合との間に給付制限の相違があることにかんがみ、両者の統一について調整措置を講ずること。  一、国家公務員共済組合の運営を一層民主的に行い、組合員の意向が十分に反映されるよう努めること。   右決議する。  以上であります。
  125. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいま小野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 高平公友

    委員長高平公友君) 多数と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
  127. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては困難な問題もございますが、御趣旨を体しまして十分検討いたしたいと存じます。ありがとうございました。
  128. 高平公友

    委員長高平公友君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 高平公友

    委員長高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  130. 高平公友

    委員長高平公友君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。谷川防衛庁長官
  131. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明申し上げます。  初めに、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について、御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊千三百二人、航空自衛隊六百三十人、統合幕僚会議四十六人、計千九百七十八人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであり、統合幕僚会議については、防衛庁中央指揮所の開設準備等に伴うものであります。  次いで、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官二千人を増員するためのものであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、任用期間の定めのある自衛官いわゆる任期制自衛官が引き続いて任用された場合及び任用期間の定めのない自衛官いわゆる停年制自衛官官となった場合の退職手当の支給方法等を改めるものであります。  すなわち、自衛官に対する退職手当は、現在、任期制自衛官については、任用期間が満了する都度、任期制自衛官から三等陸曹等に昇任した停年制自衛官については、任期制自衛官以外の期間を基礎にして支給しております。しかし、停年制自衛官としての勤続年数が長期にわたることとなる者にあっては、任期制自衛官に対する退職手当は支給しないで、当該期間をその者の停年制自衛官としての勤続期間に通算して支給する方がよい場合がありますので、その者が希望した場合には、当該退職手当は支給しないことができるように改めるものであります。また、任用期間が満了したたときに退職手当の支給を受けなかった任期制自衛官が、三等陸曹等に昇任しないで退職することとなった場合等におきましては、支給を受けなかった退職手当を退職時等に合算して支給できること等に改めるものであります。  この法律案の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
  132. 高平公友

    委員長高平公友君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  午後一時四十分から再開することとし、休憩いたします。    午後一時休憩      ─────・─────    午後一時四十二分開会
  133. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  134. 穐山篤

    ○穐山篤君 先ほど、いわゆる防衛二法が提案なされたわけですが、たしかこの両法案は五十六年の二月でしたか、衆議院に提案をされたと思うんです。その後、衆議院ではずいぶん議論がされたわけですが、参議院では初めてであります。本法案に直接関連をして、衆議院で問題の指摘が数々あったと思うんです。その点についてどういうふうに御感想を持っているか、最初、それをお伺いしたいと思います。
  135. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 御指摘のように、五十六年に提案をされまして、それから三年、七国会の間に衆議院におきまして数々の御審議がございました。その御審議のうちの幾つかの中では、たとえばこうやって三年たつのだがその間どうやってやりくりやってきているのだ、この法律がなければ一体どういうふうにそれじゃ苦労をしてきているのかというような御指摘がございました。それから、法案内容につきましては当然のことでございますが、いろいろ中に立ち至って細かい御質疑もあったように記憶をいたしております。
  136. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで、五十六年、五十七、五十八年、三年経過をしているわけですが、その当時の提案の内容も今回の提案の中身も変わっていないわけですね。その点についてお考えはいかがでしょう。
  137. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 私どもといたしましては、国会で御審議をいただきまする定員の問題でございまして、御存じのように、陸上自衛隊につきましては定数はすでにお取り決めをいただいておるわけでございますが、海上自衛隊あるいは航空自衛隊につきましては、艦艇あるいは航空機の整備のその都度、防衛庁といたしまして新しい定員について国会へ提案をさしていただいて御審議をちょうだいしていると、こういう形になっておりまして、実は今回御提案さしていただいておりまする内容につきましても、五十六年、五十七年当時からお願いしておりますものと中身は変わっておりません。
  138. 穐山篤

    ○穐山篤君 五十五年から五十六年にかけましては、防衛庁長官は大村さんでした。今回、谷川防衛庁長官の時代になったんですが、この自衛官の増員に対しては、かなり世界的な情勢も変わったと思うんですね。それから日本の自衛隊のあり方についても、前の第四次防と、それから五三中業、五六中業というふうに計画そのものに変化があったわけですね、当然のことですけれども。そういう変化の中で今回の提案というのはどういうふうに位置づけているのか、その点もう一度お伺いします。
  139. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) ただいま御指摘のございましたように、五十六年に至るまでの間にその当時の防衛力の整備の計画がございまして、今回御審議をちょうだいをいたしておりまする提案の中身につきましては、実は五十六年に至るまでの防衛力の整備に基づいて行われました海上自衛隊、航空自衛隊の新しい装備に基づく定員の要求をさしていただいております。もちろん、単純に新しい装備ができたらその分だけが足されていくというわけでございませんで、たとえば艦艇について申し上げますと、それまでには就役しておったが、その時点で除籍をされる艦艇も当然出てくるわけでございまして、これは一つの例でございますが、そういうような差し引きをいたしてはございます。しかし、その当時の防衛力の整備に基づいて新規に配備されます艦艇あるいは航空機の定員について要求をさしていただいておる。  さらにもう一つ、ただいまできるだけ早い時期に完成を願いつつ整備をいたしておりまする中央指揮所の問題がございます。これにつきましても、当時から完成の時期を念頭に置きながら定員につきましても御審議をちょうだいをいたしたいと、こういう趣旨のものも含まれておるわけでございます。  それから、前段において御指摘のございました、その間、足かけこの四年の間に国際情勢もいろいろ変化しておるじゃないかという御指摘ございましたが、国際情勢の変化の問題と、ただいま申し上げましたわが方が持っておりまする防衛力の整備に伴う差し引きの定員の足りない部分についての御審議をちょうだいいたす問題とは、実は必ずしも同じ年度で直ちにこれが重なり合うというものではございません。具体的に申し上げますと、私どもはこの五十八年度におきましては、五十八年度の現有勢力をもってわが国の方は対する侵略の未然の防止あるいはもし侵略が、万が一というようなことで申し上げておりますが、この時点で起こるならば、それに対する対処というものを考えておるわけでございます。
  140. 穐山篤

    ○穐山篤君 たとえば中央制御システムの整備につきましては、たしか昭和五十五年の防衛白書でもその点が述べられているわけですが、さて、五十六年の八月に提出をしました防衛白書によりますと、幾つか特徴がありますけれども、ざっと二つ注目すべき問題が出ているわけです。一つは、防衛白書というのは長い歴史があるわけですが、五十六年の防衛白書には西側の一員という位置づけをしたという特徴が一つあるわけです。それからもう一つは、自衛隊の歩みといいますか、かつてそういうものがなかったわけですけれども、防衛政策の歩みというものが膨大な資料で出されているわけです。これは西側の一員という問題の位置づけと同時に、防衛政策の歩みというのは不可分なものだというふうに私は裏側を読ましてもらったわけです。言いかえて言いますと、いま長官は、前から準備してきたものもあるし、客観情勢の変化というものもあるけれども、ストレートにそれとはかかわり合いがないのだというふうに言われましたけれども、歴史的に調べてみると、そういう問題意識が当然わいてくるわけです。私の理解について、それは間違いだ、少し勘ぐりが多過ぎるという御意見でしょうか。どうでしょうか。
  141. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 幾つかの問題点について御指摘ございましたが、まず、中央指揮所の問題の方につきましては、また改めて答弁さしてみていただくことにいたしまして、防衛力の整備の計画と、それから特に自衛隊の定員の問題についてもう一遍ここで改めて御答弁さしてみていたたきたいと存じます。  先ほど申し上げさしていただきましたように、陸上自衛隊につきましては十八万という定員が法定されておりますので、これは別にいたしまして、海上自衛隊、航空自衛隊につきましては、装備の更新を図る、近代化を図る、そのたびに出入りの計算をいたしまして、新しい装備に不足が生じた場合にはそれを法律の形で改正をしていただきまして、国会の御審議をちょうだいして定員を決めていただいておると、こういう形になっております。  それから、防衛力の整備につきましては、たとえば艦艇にいたしましても、航空機にいたしましても、いずれも整備をするのに単年度では整備が整いません。いずれも数年を要するものでございます。したがいまして、古くからわが国といたしましては、何も航空機、艦艇だけではございませんが、防衛力の整備につきましては、一つの基本的な考え方を持って、そしてその考え方のもとで見積もりをつくりまして、そしてその見積もりをそれぞれの財政年度、わが国の財政事情あるいは国の他の施策などのバランスども考え、あるいはその他の状況などを勘案して、そして財政当局とその都度その大枠の中の見積もりの中から特にこの年にはこういう整備をしていくという形で整備いたしてきております。にわかにわが国を取り巻く国際情勢に急変でも起こった場合にはこれはまた話は別だとは思いますけれども、現在では、少なくともわれわれといたしましては、現在持っておりまする防衛力整備の計画に基づいて整備を続けておるわけでございます。  それから、答弁が長くなって恐縮でございますが、西側の一員についての御指摘もございましたが、私どもは以前から自由と民主主義という基本的な理念あるいは価値観を享有する西側の諸国とわが国は共同して世界の平和と繁栄に向けて努力をしていくというふうに考えておるわけでございまして、最近になりましてからにわかに西側の一員という問題が強調されてきたとか、あるいは西側の一員という問題が浮上してきた問題とは考えておりません。ただ、特に最近の日米首脳会議、あるいは先進国の首脳会議などにおきまする一連の国際情勢を踏まえた会談あるいは会議などにおいて、西側の一員であるわが国の基本的な政策について一層明瞭に、明らかに表明されてきているということは、これは否めないことだと考えております。
  142. 穐山篤

    ○穐山篤君 西側の一員問題は、すでに通告してありますように、後刻十分お尋ねをしたいと思っております。  さてそこで、それぞれの要員の増というものについて、先ほどの提案にも艦艇、航空機の就役等に伴うものであると、こういうふうに言われておるわけですが、具体的には、たとえば航空機、F15であるとか、あるいはP3Cとか、いろんなものに充当するための要員だろうというふうに思いますが、具体的にはどういう配置になりましょうか。
  143. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  今回の改正法案におきます自衛官の増員数は全部で千九百七十八人ということになっておりますが、これは年度別に申し上げますと、五十六年度におきます所要の増員というのが九百九十六人、それから五十七年度に所要となった増員が九百八十二名、こういうことになっていたわけでございます。それぞれの分につきまして、ただいま御指摘のように、いろいろな要因に基づく増なり減の数字が出てくるわけでございます。  それを若干御説明申し上げますと、まず五十六年度分におきます増員の九百九十六人の内訳でございますが、一つは、護衛艦、潜水艦等の艦艇、あるいはP3C、F15等の航空機の就役に伴う要員の増が千六百十六人でございます。反面、潜水艦でございますとか、P2V7とか、あるいはF104等の航空機が他方で除籍になるわけでございまして、そういったものに伴う減が一千三十人ございます。それからP3Cの導入等に伴いますプログラム業務隊の要員ですとか、中央指摘所の要員等のそういった増が四百十人ございます。これらを合わせまして差し引き九百九十六人の増員になるわけでございます。  それから五十七年度分の九百八十二名の増でございますが、まず護衛艦、潜水艦等の艦艇とか、あるいはP3C、F15等の航空機の就役に伴う要員の増が二千百五十三人ございます。反面、艦艇でございますとか、P2JとかF104とかいったものの除籍に伴います要員の減少、これが千六百五十一人になるわけでございます。それからまた、中央指揮所でございますとか、日米防衛協力等のための要員の増、これが四百八十人ということでございまして、これらを差し引きいたしまして九百八十二名の増員というものをお願いを申し上げている次第でございます。
  144. 穐山篤

    ○穐山篤君 さて、そこでちょっと事務的なことですが、この法律は少し横に置いていただいて、いま自衛官は、決められております定員と現在員の関係はどうなっていますか。
  145. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 自衛官の、五十五年度に改正法が成立いたしまして、現在法律で定められております定員の数を申し上げますと、陸上自衛隊は十八万人でございますが、海上自衛隊は四万三千八百九十七人、航空自衛隊が四万六千二百四人、統合幕僚会議が八十三人ということでございまして、これらを合わせますと二十七万百八十四人でございます。  最近の自衛官の現員を申し上げますと、五十八年九月三十日現在で申し上げますが、陸上自衛隊の場合は十五万五千百二十二人、海上自衛隊が四万二千二十九人、航空自衛隊が四万四千三百七十六人、統合幕僚会議が八十三人、合計で二十四万一千六百十人ということになっております。
  146. 穐山篤

    ○穐山篤君 いまもお話がありますように、統幕を除いては欠員の状況ですね。たしか、私は昭和五十四年、山下長官のときに要員問題を取り上げたことがあるわけですが、その前もその後も、率直に言いますと慢性的な欠員の状況にあるわけですね。これはいろいろな原因があろうと思うんですが、皆さん方の意気込みと現実の姿はかなり乖離があるわけです。そのことについてしばしば指摘をしているわけですが、お話のように約三万近い欠員があるわけですね。これはどういうふうにお考えになっていますか。あるいは、この補充の方法についてはどういうふうな政策をとられてきたのか。あるいは補充について努力をしたにいたしましても、結果はこうなっているわけですが、どこに欠陥があるのか。そういう点を少し明らかにしてもらいたい。
  147. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 自衛官の定数につきましては、自衛隊が有事に即応いたしまして国を防衛するという使命を果たすために必要な員数として定められたものでございます。したがいまして、基本的にはできる限り定数を確保し、そして所要の教育訓練を実施していくということが必要なものであると私ども考えているわけでございます。そういう意味におきまして、海、空の自衛隊の場合は、基本的にはできるだけ装備品の運用等の必要性ということも大変高いわけでございますから、これは高い充足率を確保しておく必要があるということを考えております。  ただ、海、空の場合も、募集等の必要等も考慮した摩擦的な欠員というものはこれはある程度はやむを得ない点もあるわけでございまして、現在のところ、予算的には、海、空の自衛隊の場合は九六%の充足率で措置をさせていただいておるということでございます。  陸上自衛隊の場合が、確かに御指摘のように充足率で申しますと八六%程度の姿になっておるわけでございます。この点は、各種の事情、募集、財政状況、その他各般の状況を勘案いたしまして、ここ数年八六%程度に維持をしておるわけでございますが、これは有事の所要に緊急に対応しやすいというような部門を考えまして、平時の訓練、演習に支障を来さない限度である程度がまんをして部隊の運営を図っていかざるを得ないという状況にあるわけでございまして、そういう意味で陸上自衛隊の場合は約八六%の充足率でここ数年対応させていただいておるという状況でございます。
  148. 穐山篤

    ○穐山篤君 五六中業においても、あるいは国会答弁でも、皆さん方の主張が明らかになっておりますのは、航空の分野及び海上の分野で質的な強化を図りたい、こういう指摘がしばしばあるわけですが、そこで、約二万五千人近い陸上自衛官の欠員がありましても、その方は充足をしない、あるいは充足をするにしてみても、それほど努力はしないで、海上と航空の分野で、その分野でそれ以上の努力をしたいというのが皆さん方の実際の気持ちであるし、あるいは実際とってきました補充の計画ではないんでしょうか。その点どうですか。
  149. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 定員といいますか、人員についての各自衛隊ごとの性格づけと申しますか、ここに多少差のある点があろうかと思っておるわけでございます。  と申しますのは、海、空の自衛隊の場合は、先ほども申し上げましたように、艦艇でございますとか、航空機あるいはいろいろな装備品、そういうものが基本になっておりまして、それを運用していくため、あるいは維持していくために必要な人員を個別に積み上げて所要の人員を算出するというふうな手法をとっておるわけでございます。したがいまして、艦艇なり航空機なり、あるいはその他の装備品というものが就役をしてまいりますと、それを維持していくためにどうしても最小限必要なものを確保していきませんと、こういった装備品が円滑に運用できないというような事態になりがちなものでございまして、そういう意味で海、空の自衛隊の場合は充足率を大きく下げるということは基本的にはむずかしい面があろうかと思っておるわけでございます。  陸上自衛隊の場合は、そういった海、空の自衛隊の積み上げ方式というものとは若干違っておりまして、有事におきます陸上防衛力の骨格を決める大きな枠といたしまして十八万人という定数をいただいておるわけでございまして、その定数の範囲内におきまして、できる限り効率的な陸上防衛力の編成なり運用をやっていこう、こういう考え方に立っておるわけでございます。したがって、若干の性格の差異はあるわけでございますが、基本的に申し上げますれば、陸上自衛隊の場合も充足率ができるだけ高いということが有事に即応し得る体制をよりよくとり得るわけでございますから、もちろん望ましいとは思うわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたようないろいろな事情を考慮いたしまして、必要最小限の部隊訓練を維持できるもので当面はある程度がまんをして運営せざるを得ないというような判断もございまして、陸上自衛隊の場合は八六%程度の充足率でいまがまんをして運営をさせていただいておるという事情を御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  150. 穐山篤

    ○穐山篤君 防衛庁長官、長年にわたって陸上自衛隊の充足率は悪いんですよ。定員十八万と書かれておりましても、常に十五万とか十六万。われわれは軍備増強に賛成するものではありませんけれども、しかし定員に対する要員の配置というものには少なくともルールというものがあるわけですね。たくさんの定員をとっておいて実際は自衛官が少なくてもよろしいんだと、こういうものではないと思います。  それからもう一つは、海上自衛官あるいは航空の場合、特に航空の場合には相当養成という、あるいは訓練という、そういうものが加わるわけですね。長期間、時間的にも必要になってくるわけです。それらを考えてみると、防衛庁の政策として陸上自衛官の方は慢性的な欠員でもしようがないんだ、しかしわが国の防衛政策上、航空並びに海上自衛官の方だけはきちっとやりたい、そういう気持ちがあって具体的にこういうふうな定員対現在人員になっているのじゃないんでしょうか。理屈でなくて、実際の防衛庁の考え方を明瞭にしてもらいたいと思うんです。  それは、自衛官の数をふやすということで今回提案がありますけれども、実際に陸上自衛官は十八万人必要ありません、こういうことになるならば、定員を十五万人にしたり十六万人にする削減の提案があってもしかるべきだと思うんですね。削減の提案がない、しかし欠員の補充はほとんどしていない、これでは論理が余り一貫していないと思うんです。その点、いかがですか。
  151. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) これにつきましては過去の経緯もあらうかと存じまするし、また防衛政策の基本にかかわる問題もあらうかと存じます。陸上自衛隊の定員の概念と、それから海上並びに航空自衛隊の定員の概念とは必ずしも一致しないものもあろうと思います。しかしながら、私どもといたしましては、陸上自衛隊は陸蹄上自衛隊として定員がなくんば国の防衛政策は成り立たぬわけでございますので、十八万人という定員をちょうだいをいたしておりますので、この定員いっぱいに最高の錬度を保っておる陸上自衛隊をつくり上げていきたいと常にそう考えておりまして、毎年の予算概算並びに政府原案の作成の時期に財政当局と厳しくこの問題についてはやりとりをやってきております。  しかしながら、財政当局には財政当局の財政上の考え方もございまして、私どもの要求が必ずしも通らないという年度も確かにそれはございます。ございますが、私どもといたしましては、この問題につきましては、今後も財政事情が許すならば目いっぱい定員はいただきたい、そして常に錬度は高めておき、即応体制はつくり上げていきたい、こう念願をいたしております。  なお、海上並びに航空自衛隊に関しましては、実は年々定員として法定化していただきまする数はそれほど大きな数ではございませんで、実は今回の定員増につきましても二年にわたる定員増でございますが、それぞれ海上自衛隊につきましても六百名台、それから航空自衛隊につきましては、それぞれ年度でいたしますと三百名台ぐらいの感じの増員なんでございます。これは現有の海上自衛隊の定員の中で、たとえば艦艇で言いますと、除籍するものを次の新しく就役した艦艇に乗せながら、今度就役艦は近代化をすればその分だけはどうしても少しはふえなきゃならぬというような形の微増をずっと積み上げてつくり上げてきた積算でございます。したがいまして、基本的には定員を積算するときの姿勢は陸上自衛隊と他の海上並びに航空自衛隊とは少し概念的には違うところがあると思っております。  しかしながら、われわれといたしましては、いただきました定員は目いっぱいぜひ常に充実している体制はとりたい。これが実は念願なんでございますが、なかなか諸般の事情からそうならぬところがあることはこれまた事実でございますが、基本的にはそう考えておるわけでございます。
  152. 穐山篤

    ○穐山篤君 大蔵省にお伺いをしますが、五十六年に提案があって、それが継続審議になった。当然のことでありますが、使わなかった予算は返上する、五十七年度についても同様なことだったと思うんです。  それから、今回これの取り扱いを決めるわけですが、当然その予算の査定、シーリングの段階で、いま私と防衛庁との間に議論をしました定員と現在人員の問題あるいは補充の計画、そういうものを見比べて、大蔵省の予算算定としてはどう防衛庁に問題の指摘をしてきたのか、その点はっきり答弁をしてもらいたいと思うんです。
  153. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 二点御質問があったかと思います。  前半の、五十六、五十七提案に係るところの増員分の予算はどういうふうになったかという点でございますが、これは人件費の中でその分だけを特別に区分計上しているということではございませんので、予算全体として執行の段階でそれぞれ適正に使用されてきたということでございます。  それから第二点の、充足の問題についてどのように考えるかということでございます。  この充足の問題につきましては、先ほど防衛庁長官からも御答弁がございましたように、採用の問題であるとか、いろいろ要因がございまして、必ずしも財政だけの問題だということではないかと思うわけでございますけれども、財政の立場から申しますと、御存じのような財政状況でございますので、全体の財源、予算の中で防衛関係費に回せる財源というのはおのずから限りがございます。  さらに、防衛関係費の中におきましても、人員にどの程度充てるのか、装備にどの程度充てるのか、あるいは実際の訓練にどの程度回すのかということを年々防衛庁と慎重にいろいろな議論をいたしまして、その過程で出てきた結論がいまのようなかっこうになっているということでございます。
  154. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) ただいま主計官から御答弁ありましたので、大体、私よろしいのですけれども、多少補足さしていただきますと、五十六年度、五十七年度それぞれ予算にこの増員経費というのは組んであったわけでございますが、国会の御審議を得るに至りませんでございましたものですから、この部分につきましては使わないということになるわけでございます。  いまも主計官からお話ありましたように、人件費総体というのは防衛庁でございますと一兆二千億ぐらいありまして、そしてこの増員に係る経費は、五十六年度でございますと五億数千万、五十七年度でございますと二十六億ぐらいでございますので、金額的には総体の中の出入り——出入りと申しますのは人件費でございますから、人の昇任のぐあいでございますとか、新陳代謝のぐあいでございますとかによりまして計算したものと実際との間には多少のぶれというのが毎年出てまいりますが、そういったものの調整の中にめり込んでしまうような形になってございます。が、お話しのようにこの分として使っていないということは事実でございます。  それから、シーリングのお話が出ましたが、シーリングというのは、総体の予算、マクロの話でシーリングの金額が決められる仕掛けになっておりますものですから、個々の充足率でございますとか、定員でございますとか、そういった面の細かなミクロの積み上げをいたしておらないわけでございます。そういったミクロの問題につきましては、ただいま五十九年度の予算につきまして概算要求しているわけでございますが、その過程におきまして大蔵省の方と目下協議中でございます。
  155. 穐山篤

    ○穐山篤君 予算全体の話は、また次に問題を指摘します。  予備自衛官の定員というのは、たしか四万一千六百人だと思うんですが、二千人ふやしましょうという提案ですね。これは将来も予備自衛官を増員したいという皆さん方の気持ちがあろうと思うんです、なければそれでも結構ですが。予備自衛官の増員の基準というもの、物差しというものは何があるんですか。その点をはっきりしてもらいたい。
  156. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 陸上自衛隊、海上、航空自衛隊、それぞれの考え方を持っておるわけでございます。  まず、陸上自衛隊の予備自衛官について申し上げますと、現在四万一千人の予備自衛官をいただいておるわけでございますが、これは有事の際の後方警備あるいは後方支援等の要員に充当をしていくというような考え方をとっているものでございます。この陸上自衛隊につきまして今回さらにふやしていただきたいということでお願いをしておりますのは二千人でございますが、これは先ほど申し上げました後方警備の要員として二つの軽普通科連隊をつくる要員を確保したい、ふやしたい、こういう趣旨でございます。  それから海上自衛隊につきましては、これは後方警備等に充当できる要員を確保していきたいという考え方を従来とっておるわけでございますが、五十六年度、五十七年度、これは内容としては認められていないわけでございます。  航空自衛隊についても、いずれそういった予備自衛官、いまはございませんけれども、これもつくっていきたいということでございますが、これもこの法案の中には入っていないわけでございまして、今回の法案は陸上自衛隊について二つの軽普通科連隊を編成するのに所要の二千人の増をお願いしたいということでございます。  それから、将来的にどう考えているかということでございますが、これは現在の五六中業におきましてこの予備自衛官をさらに充実していきたいという考え方は私ども持っているわけでございまして、五十九年度予算以降におきましても、そういった措置をできればとらしていただきたいという考えは持っておりますが、それは今後の毎年度の予算においてどういうことになるかということにかかるかと思っておる次第でございます。
  157. 穐山篤

    ○穐山篤君 この予備自衛官、私の学校の後輩の中にも幾人かおりまして、話も聞いてはおりますが、ある意味で言いますと拘束をされているわけですね。緊急事態の場合には拘束をされるわけです。それと同時に、毎年度短期日ではありますけれども一定の訓練も課せられているところです。  さてそこで、現状はわかりましたが、これから予備自衛官のあり方の問題です。海軍といいますか、海上並びに航空の場合、率直に申し上げて、陸上の場合と違いましてかなり専門的な技術、そういうものが要求をされるものが非常に強いと見るわけですね。そこで、私は決して望むものではありませんけれども、将来の航空なり海上についての予備自衛官のあり方というものが皆さん方とすれば当然準備をされていると思うんです。いまの答弁では五六中業の中で十分に検討したいというふうに言葉を濁してはおりますけれども、もっと深い研究が進んでいるはずだと思うんです。もう少し明確に、将来の予備自衛官の性格、あり方、規模、そういうものについての考え方をもう少し明らかにしてもらいたい。
  158. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 担当の政府委員からお答えをいたします前に、きわめて概念的な包括的なことで恐縮でございますが、申し上げさしてみていただきたいと存じております。  今回の御提案をさしていただいておりまする法案の中には陸上の関係の予備自衛官のみでございますが、この陸上関係の予備自衛官につきましても、先ほど担当政府委員からお答え申し上げましたように、後方の警備というものを念頭に置きながら新しい編成を考えていきたいということが基本になっておりますが、私といたしましては、やはり将来、中長期の観点から見た場合に、わが国の防衛を担当する自衛官並びに予備自衛官というものは、やはり一つは人口動態などの要素も考えて、せっかく自分で一つの信念を持ちながら自衛官として訓練を受けて、ある一つの練度、経験を得て、そして停年になって第二の人生を歩んできておる諸君が、やはり常に訓練を受けたその経験を生かしていくということがあってしかるべきだし、またそれを考えていくべきだというふうに積極的に考えております。諸外国ともに、先進諸国におきましては、呼び名はそれぞれ違うかと存じますが、こういった考え方はあると思っております。  それから、御指摘のございました海上自衛隊並びに航空自衛隊につきましては、必ずしも海上自衛隊並びに航空自衛隊においても、ある特別な技術のみというわけではございませんで、その周辺のいろいろな仕事もあるわけでもございます。私は、やっぱり将来長い目で見たときには、現在は制度としてまだ確立はいたしておりませんけれども、十分われわれとして、予備自衛官の制度そのもの全体を考える中で常に検討をしていかなければならない課題である、こういうふうに認識はいたしております。  なお、もう少し詳しく、現在までの検討内容につきましては担当政府委員からお答えをさしていただくことにいたします。
  159. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいまお尋ねのございました、海上自衛隊と航空自衛隊の場合の予備自衛官の担当する仕事についてでございますが、海上自衛隊の予備自衛官の場合には、すでに編成されております航空部隊でありますとか、あるいは陸上部隊の要員の強化に充てる部面でございますとか、あるいは後方支援基地、港湾の防備といったような仕事に充てたいという考え方を持っておるわけでございまして、現在六百人の定員をいただいておるわけでございます。  それから、航空自衛隊の予備自衛官の場合は、現在まだいただいておりませんが、私ども考えておりますのは、有事におきまして、基地において弾薬運搬の仕事をするとか、あるいは連絡要員に充てるとか、そういったような機能の強化を図っていく必要があろうかと考えておるわけでございます。
  160. 穐山篤

    ○穐山篤君 この問題についての締めくくりですが、中曽根総理大臣も防衛庁長官も、グローバルな立場で軍縮ということをしばしば言われているわけですね。しかし、片方では抑止と均衡というまた一つの柱がある。そういう中で現実に自衛隊の増強、正面装備の質的な増強と同時に、退役する艦艇もありますけれども、それを踏まえて自衛官は増員をされるわけですね。これからも、どうもそのおそれがないとは言えないわけです。したがって、私どもの立場からするならば、少なくとも軍縮を提案する立場からいうならば、これ以上の軍備の増強をやらない、あるいは東南アジア諸国に対して脅威を与えるような、限度を超えたものになるのを非常に恐れるわけです。  そういう意味で、私ども自衛隊の隊員の増強ということは賛成はいたしかねます。そのことは明確に申し上げておくと同時に、先ほども申し上げましたように、世界の平和のためにはお互いが競って増強するという、そのことをやめなければならぬと思う。皆さん方は、一つ一つ積み上げで計算をしたのだからそういう増強というものとは畑違いだと言いたいんでしょうけれども国民の立場からいいますと、どう計算の根拠があろうとも、結局はそれは国防力の増強ということになるわけです。その点、しかと私どもの方としては大臣に厳しく注文といいますか、意見を申し上げておきたいと思うんです。
  161. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 近代戦は、まことに不幸なことでございますが、破壊力を競うというような、とにかくいち早く相手を撃滅する、しかもそれもできるだけ量を大きくというような発想がひそんでいることはこれは事実でございます。まことに悲しむべきことでございますが、これは事実でございます。と同時に、また今日、人知はここまで発達はいたしておりまするけれども、しかしながら、国際間の紛争というものを武力には訴えない、こうはお互いには言い条、なかなか全世界の全人額が希求するような意味で武力というものがなくなってきてはいない。むしろ逆に抑止の信頼性が崩れたところに紛争が生じておるという現実もございます。  そういう意味からいいますと、この軍縮につきましては、特に私どもは、破壊力の中でも恐るべき破壊力でありまする核兵器の持つ破壊力、これにつきましてはできるだけ東西両陣営ともに話し合いを続けて常に低位にこれをおさめる、決して核軍拡の競争を起こすべきではない。もし、そういうことになれば、全人額が乗り組んでおるこの地球号そのものの運命にもかかわる問題だという感じがいたしまして、核軍縮に対しましては本当に心からその軍縮が達成される話し合いが行われていくことを望んでいかなければならぬと、こう考えております。  と同時に、反面、日本の国の独立と安全を確保していくという、これも行政の持っておりまする非常に大きな責任であろうかと思いますが、この責任を果たすためには、いかなる事態になっても侵略行為が日本に対しては行われないという、侵略を未然に防止する方策、あらゆる手だての方策、これを考えるのは当然であると同時に、もし万が一侵略というような行為が行われた場合には、これをいかなる態様の侵略に対しても適切に対応できるだけの、言うならば準備、用意だけはしておかなければならないというような事柄であろうかと思いまして、大変大きな話になって恐縮でございますが、第一義的には世界的な規模における軍縮というものの達成を心から願うと同時に、わが国はわが国として自分のできることは自分のできる範囲の中でみずから決めて、常に怠ることなく、みずからの独立を確保していく覚悟を持っていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  162. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点はまた別の後の項目で問題を提起しておりますから、詳しく意見を述べたいと思います。  次に、昭和五十九年度の予算編成の問題です。目下国会開会中でありますので、ある意味で言えば全体の予算編成の準備作業中だと、こういうふうに考えざるを得ないと思うんですが、さて防衛庁に限って問題にしたいと思うんです。膨大な資料が、ことし八月、各省庁との段階でそれぞれ要求が出ております。私どもも過日この説明は受けたわけでありますが、概況的に言うと、昭和五十九年度の予算のうち、防衛庁の分野についてはどういうところまで進んでいるのか、あるいは政策上の問題が残ってこれから詰めなければならぬ重大な問題というのはこういう分野だというふうに、概略で結構ですから、その点明らかにしてもらいたい。
  163. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 大蔵省の方には九月の初めから私ども説明を申し上げておりますが、具体的にまだ大蔵省の方とこれこれしかじかの件につきましてこれこれしかじかにしようというようなお話をいただける段階ではございません。したがいまして、大蔵省の方は内部的に作業をお続けになっているやに承っておりますが、個々の問題につきまして私ども大蔵省の方との間で具体的な話し合いに至っている段階ではございません。
  164. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) いま経理局長から答弁ございましたように、八月末に要求をいただきまして、これまで私どもは防衛庁の方から個々の経費についての政策の意図であるとか、あるいはその効率であるとか、いろいろな御説明を伺ってまいっております。現在、私ども内部でそれをこなすべく、いろいろな角度から検討を行っておりまして、大蔵省といたしましても、いまの段階でここのところはこうする、ここはこうだというようなところまで至っていないという段階であるということを御理解いただきたいと思います。
  165. 穐山篤

    ○穐山篤君 抽象的にはそういうことでしょうが、たとえば相手国との条約の関係があって、来年度はこれだけの予算を準備しなきゃならぬ、こういう要素のものもあるわけですね。また、それも金額も積算をしなければならぬし、現に積算をやられていると思うわけです。抽象的になるのはやむを得ないと思いますが、もう少しそこを整理整とんをして明らかにしてもらいたい。
  166. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 先生おっしゃいますように、防衛庁の予算を考える場合に、過去のいわゆる国庫債務負担行為あるいは継続費、そういう一種の約束に基づくところの経費の歳出化というのが非常に大きなウエートを占めております。それは非常に大きなウエートを占めておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、実はそういうものにつきましても何とか全体の予算を圧縮する上で工夫がないものかというようなことを含めまして、逐一検討をいたしております。その検討というのは、実は個々の艦船なら艦船、航空機なら航空機というような非常に細かいものをそれぞれの担当に分けまして、防衛庁との間でも非常に細かいやりとりを現在事務的にやっておるという段階でございます。
  167. 穐山篤

    ○穐山篤君 作業の過程ですから、そういうことだろうと思いますが、さて政治的に見ますと、先日、行革特別委員会でも議論があったところですが、国民生活に直接かかわります教育の問題とか、あるいは医療費の問題とか、福祉対策とか、そういうものがこのシーリングの段階でもかなり削り取られているわけですね。ところが、一方では八・八の要求が六・何ぼになりそうだと。それにしてみても、国民生活と自衛隊の増強の関係ではかなり予算配賦に軽重が問われているわけです。  それからもう一つは、GNPに対しまして国防費一%を超えるか超えないかというふうな問題も、政治的な議論からいうと問題にしております。国民との約束事でも一%を超えては困るのだ、そういう強い意見も出ているわけです。  さらに、われわれも問題意識を持っておりますのは、後年度にどんどん負担が増加をしていく。技術的に、たとえばことし艦艇を注文する、P3Cを注文する、着手金が必要だという意味では金が残ることはよくわかりますけれども、五六中業計画全体を見ていきますと、当然のことながら後年度負担というものも非常に大きくなる要素を持っているわけですね。  そのほか、たくさんの問題点があるわけです。政治的に見ましても、あるいは国防上の立場から見て、これだけ切り詰められた予算の中でやるわけですから、問題点は非常に多いと思うんです。そういう諸問題について、大蔵省はどういうふうな基本的な態度でこの予算案というものを眺め、あるいは最終的な確定の作業をしようとしているのか、これは非常に国民の多くが注目をしているわけですね。それらの点について、もう少し整理整とんをして説明をいただきたいと思います。
  168. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 御質問の三点についてお答え申し上げたいと思います。  第一点の防衛関係費全体について五十九年度予算編成でどのような方針で臨んでいくのかという点でございますけれども、私どもといたしましては、このように非常に厳しい財政状況でございますから、防衛関係費といえども他の経費と同様に、あるいは他の諸施策とのバランスという点も十分勘案した上で要求を十分精査させていただきまして、極力厳しいと申しますか、必要にして最小限度の経費を計上するというような方針で臨みたいと思っております。  それから第二点の、GNP比一%の問題でございます。これにつきましては、現在まだ五十九年度の経済見通しというようなものが全く明らかになっておりません。したがいまして、いまの段階でその一%がどういうふうになるのだというような見通しを申し上げることは困難ではございますけれども、いずれにいたしましても、この問題につきましては政府としては従来からGNP比一%に関する閣議決定を尊重するという態度で鋭意努力をしておるところでございまして、この閣議決定をいまのところ変えるというようなことが必要があるというようなことは考えておらないわけでございます。  それから三番日の、後年度負担が非常に多くなってしまうじゃないかという御指摘はまさにそのとおりでございまして、私どもといたしましても、五十九年度の単年度の予算もさることながら、御指摘のような後年度負担につきましては翌年度以降の予算というものを過度に圧迫することのないよう十分検討をして、これも極力切り詰めていければというふうに考えているところでございます。
  169. 穐山篤

    ○穐山篤君 二時五十五分で一たん中断をすることになっておりますので、もう一つ。  いまのお話のGNP比一%という問題ですが、これは行革特別委員会柄谷委員がかなり刻明な数字を挙げて問題を提起しました。二度繰り返すつもりはないんですが、今年度のGNPの一%といいますと、二兆八千百七十億円に計算上なるわけです。ところが、五十八年度の防衛関係費といいますのは二兆七千五百四十二億円、金額で言いますと、そのすき間は六百二十八億ということになりそうですね。  そこで、お尋ねをするわけですが、来年の話でなくてことしの話です。給与法がどうなるか、きょう、あすの国会の審議にまたなければならぬと思うんですが、これも一つの要素ですよね、直接的には。本来ならば、私ども人事院勧告六・四七%という主張をしているわけですが、現実に給与法というのは二・〇三%です。それから、防衛二法の成立という場面になりますと、必然的に自衛官の人件費あるいはそれに関連をする費用が増額をされるわけですね。それらの要素をとりあえず計算をしてみて、今年度GNP比一%以内であるのかないのか、あるいはどれだけのすき間が残っているのか、その点大蔵省から明らかにしてもらいたい。
  170. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 計算のことでございますので、私からお答えさしていただきたいと存じます。  御質問のGNPでございますけれども、五十八年度のGNPが現在の政府見通しのとおりだといたしますと、一%相当額が二兆八千百七十億円になります。したがいまして、先ほどお話がございましたように、ことしの予算の二兆七千五百四十二億円との間には六百二十八億円の差があるわけでございますが、給与法がどういうふうになるかわかりませんけれども、いまお尋ねのような形で仮に六・四七あったとするならばどうか、それからいま御審議いただいておりますこの法案が通りますればこれに上積みすることになるのではないかということでございますが、実は後段の方のこの法案に要する人件費の経費につきましてはすでに当初予算の二兆七千五百四十二億の中に入っておりますので、この法案を御審議いただきまして国会でお認めいただきましても、その分でよけいにお金が要るということはございません。  でございますから、前段の方の六・四七だけだったらどうかということでございますが、それで六・四七の場合には幾らになるかというのは、実際問題、厳密な計算をいたしてございませんのではっきり申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、ごくアバウトに計算をいたしますと、計算上の数字といたしましてはGNPの大体一%、とんとんぐらいになるのじゃなかろうか。ただ、それは計算上の話でございまして、実際問題といたしましては、本年予算ができました直後に、大蔵大臣から予算の執行に当たっては厳しくやってもらいたい、以後になりまして節約等もお願いをしなければならないということもあり得るというお話がすでにこの四月にございまして、そういったことがまだ確定はいたしておりませんけれども、ございますとすれば、GNPの一%を突破するということはないのではなかろうかと思っております。
  171. 高平公友

    委員長高平公友君) 午後三時四十分から再開することとし、休憩いたします。    午後二時五十四分休憩      ─────・─────    午後三時五十分開会
  172. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  173. 穐山篤

    ○穐山篤君 それでは、予算の問題にまた関連をして、後年度負担という問題についてお伺いをします。  とりあえず、昭和六十年度以降の予算のうち歳出化されるものを一応除いてみて、今日時点昭和六十二年までどの程度後年度負担が残っているのか、その点、数字を挙げて説明をしてもらいたいと思います。
  174. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  現在が昭和五十八年度でございますが、昭和五十九年度以降残っております後年度負担額でございますが、約二兆円でございます。
  175. 穐山篤

    ○穐山篤君 約二兆円というお話ですが、ここ数年間、五、六年でも十年というスパンでも結構なんですが、歳出化が防衛費の中に占める割合というのが、大ざっぱな計算ですが、三割前後ぐらいあるやに思うんですが、その点はどうでしょう。  それからもう一つ、それに関連をして、先ほど私が指摘をしました一%という枠の問題との兼ね合いがありまして、まだ具体的な予算編成されてはおりませんが、来年度以降ないしは六十年度以降における後年度負担の傾向というものをどういうふうに防衛庁としては掌握をしているのか、その点もあわせてお伺いをしておきます。
  176. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 毎年度の予算とそれから後年度、その年に取りました後年度負担額とそれからすでに取ってございます後年度負担額の合計、つまり全体の歳出予算額に対します後年度負担額の割合といいますのは、五十五年度で申しますと五七%、五十六年度で五六%、五十七年度で六七%、五十八年度で七一%ということになっております。  それから、一%との関係で今後の後年度負担がどうなるかというお尋ねでございますが、これは一%の方の話と申しますのが、GNPに対する一%でございますので、GNPが一体どのくらい現実の問題として伸びてまいるかということにつきましては定かでございません。定かでございませんが、しかしたとえば長期計画で申しますれば名目的に六ないし七%というようなこともございますので、その辺のところもにらみ合わせながら、各年度現実の問題としてはいかなる形になるかはわからないわけでございますが、そういったことも考え、また防衛庁の予算全体といたしましては、後年度負担に伴う歳出化分だけではございませんで、人件糧食費でございますとかその他の経費もあるわけでございますから、そうしたものも同時ににらみ合わせながら、私どもとしては大蔵省と後年度負担額の大きさについては折衝をしてまいりたいと存じております。  先ほど、私御答弁申し上げながら、委員がお尋ねになりましたのが歳出化額の全体の予算に対する割合だったのじゃないかと思い出しまして、いま申し上げますが、歳出化の全体に対する割合は各年度三〇%弱ないしは五十八年度でございますと三一%になっておりますが、それ以前は二六、七%でございます。
  177. 穐山篤

    ○穐山篤君 国全体の財政の場合でも同じですが、たとえば昭和五十八年度国の全体の予算というのは五十兆円である。しかし、後年度負担といいますか、国債の発行高は百十兆円。防衛庁の予算を見ましても、今年度の予算でも二兆五千億ですか。来年度の予算でも二兆九千億円ですか、概算要求で。ところが、後年度負担というのがおおむね二兆円に近い。二兆円がちょっと切れるわけですが、単年度予算に比べてほぼ同規模の後年度負担というものが現存するわけですね。将来のことは確定はできないにしましても、国の予算と同じように短期的に防衛庁の予算を見ることはうまくないと思うんです。予算というのは政策が含まれておりますし、またある意味で言えば戦略もあるわけですね。そういう意味で言いますと、これからの防衛庁の予算の編成というものについては一定のスパンを明らかにしながら国民合意を得ていく、そういうことが必要ではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  178. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 予算は単年度予算というのが大原則でございますけれども、防衛庁の場合には主たる装備品が直ちに調達できるものではございませんで、四年なり五年なりの年月がかかるということもございまして、後年度負担というものの割合がどうしてもほかの予算費目に比べまして多くならざるを得ないという状況にございますので、そうした意味におきましては、防衛予算は単年度予算ではございますけれども複数年度を見た形で予算を考えていかなければならないということは御指摘のとおりかと存じます。そうした中におきまして、確かに先ほど私申し上げまして、いま委員からお話ございましたように、五十八年度の予算が二兆七千五百四十二億に対しまして後年度負担が七一%ぐらいになっているわけでございまして、この割合が多いではないかということではございますけれども、いま申し上げましたように、装備品関係につきまして四年なり五年なりかかるという長期的な物の考え方に立ってこうしたものができているわけでございますので、その辺のところ御理解賜りたいと存じております。
  179. 穐山篤

    ○穐山篤君 予算のことでもう一つお伺いをするわけですが、毎年十二月の末になりますと最終的な政府の予算原案を確定する時期になるわけです、ことしの場合どうなるかよくわかりませんが。過去四、五年の間の防衛関係の予算の詰めのところを見ますと、昭和五十四年を除き五十五年度からいわゆる復活というものが顕著に見えるわけです。もちろん、それは事務折衝の中で十分こなされているところは復活要求というのは出ないんでしょうが、防衛関係費は常に御案内のとおり、大蔵省の原案からかなりの復活が行われているわけです。昭和五十五年度の場合に党三役折衝で百十一億、昭和五十六年度は大臣折衝で百十五億、党三役で百十一億、五十七年度はかなり金額がふえまして、大臣折衝で二百五十一億、党三役で五十九億、今年度につきましては大臣折衝で百三十八億、党三役、最高の折衝の場で二百二十億、こういうふうに言われているわけですね。復活というのは理屈がみんなそれぞれあるんでしょうけれども、どうしても政治加算、つかみ金という印象をぬぐえないんです。  これはいつも出る話でありますが、アメリカとの信義あるいは日米折衝を具体的に予算化するということになりますと、防衛庁としては一銭でも一円でも多い方がいいということになるんでしょうが、ここ数年の復活の状況というのは非常に異常であります。金額の面でも異常であります。大蔵大臣にも大蔵委員会指摘をしたところでありますが、非常にアメリカを配慮した最終的な詰めではないか、こういうふうに私どもとしては疑惑を常に持つわけです。その点について大臣のお考えといいますか、感想といいますか、それをいただきたいと思うんです。
  180. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) まず第一に申し上げさしておいていただきたいと存じますが、休憩前の当委員会におきましても御答弁申し上げさしていただきましたように、私どもは現在わが国の防衛力の整備に当たりまして基本的な整備の計画を持っておるわけでございます。そして、その整備の基本的な計画、すなわち防衛計画の大綱の水準にできるだけ早く到達いたしたい。その計画の中でさらに業務の中間的な、中期的な計画を持っておりまして、それを基準にいたしまして、各年度ごとの国の財政あるいは他の施策その他の諸事情を勘案しながら財政当局に対して概算要求をいたし、年末十二月の政府原案の作成に当たっては折衝を行って確定をいたしてきておりますが、一つは、現在私ども考えておりますこの水準にできるだけ早期にぜひ到達したいと考えておる中におきまして、実は国の財政の事情が非常に窮迫をしてきておる事実がございまして、限られた政策費の中でわれわれとしては相当多くの割合をぜひ防衛費にいただかなければわが方の計画は成り立っていかないというような事情も一つございまして、われわれとしては常にここ数年、対財政当局と政府原案決定の時点におきましては実は時には夜を徹してというような状態まで折衝に折衝を重ねていくという事情がございます。  しかしながら、あくまでわが国の防衛力の整備はわが国が独自で考えて行っていることでございまして、これは他の委員会におきましても内閣総理大臣その他関係の閣僚が御答弁申し上げておるがごとく、いやしくもほかの国から指示され、指摘され、あるいは圧力という言葉は当たらぬかもしれませんが、何らかのことがあって行ってきておることではございません。ただし、アメリカだけを対象に考えた場合には、アメリカ合衆国はわが国と日米安保条約の当事国の一方でございまして、そのアメリカが日本の防衛力の整備に対して、いざ鎌倉というときには日本を守らなければならぬという義務を持っておるアメリカが日本の防衛力の整備に対して関心を示して、いろいろな機会をとらえて物を言っておるということは、これは事実でございます。そのこと自体はわれわれとしては十分理解ができるわけでございますが、しかしながら、わが国の防衛力の整備につきましては、ただいま申し上げさしていただきましたように、わが国独自の判断で行ってきておるところでございます。
  181. 穐山篤

    ○穐山篤君 後年度負担分を見ましても、復活要求の折衝の経過というものがよく新聞に出るわけですが、おおむね正面装備というものを焦点に当てて復活要求とかあるいは後年度負担というふうなものになっているのじゃないかと私は思うわけです。  そこで、正面装備、正面装備という五六中業の意味はわかりますけれども、後方部隊、後方支援体制というんですか、そういうものとのバランスという問題も、私は別に賛成しているわけではありませんが、当然問題にしなければならぬところですが、そういう点についての考え方、これはいかがですか。
  182. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 今回、私の責任におきまして財政当局に提出をいたしました五十九年度の概算要求の基本的な考え方についてお答えをさしていただくことにおいて、ただいまの御質問にお答えをさしていただく形をとらしていただきたいと存じます。  実は、原則一〇%マイナスシーリングという非常に厳しい財政事情でございますが、防衛関係費のシーリングにつきましてはすでに御案内のように対前年度六・九%増、一千八百九十五億円増が認められたわけでございますが、このシーリング枠いっぱいを使わしていただきまして、私といたしましては臨時行政調査会の基本答申を尊重しながら、従来にも増して経費の節減、合理化に努めつつ財源の重点的配分に最大限の努力を払って概算要求をつくったつもりでございます。  五十九年度概算要求の基本的な方針は、一つには五六中業の第二年度として引き続いて質の高い防衛力の着実な整備を行いたいということ、これが一つ。それからもう一つ、これがただいま御指摘のところであったわけでございますが、正面のみならず後方についてもバランスのとれた整備に極力配意しつつ錬度の維持等現体制の維持に努める、これを第二点といたしました。そしてさらにもう一つ、基地対策及び提供施設の整備に必要な経費を確保する。この三点を骨子といたしまして、実は概算要求をつくり上げて財政当局にただいま提出をしておるところでございます。
  183. 穐山篤

    ○穐山篤君 まだ予算が確定をしたわけではありませんので、予算関係では以上で終わりたいと思います。  予算に関述をするという意味で、FMSの問題についてお伺いをします。たまたまロッキードとかグラマンとかいう問題が出たのはいまから数年前のことであります。そういう疑惑に端を発しまして、FMSという課題が急に政治問題になりまして、そのときを契機にして一定のルールに乗った、こういうふうに思うんです。  そこで、防衛庁長官に一〇・一二という判決についてどういうふうに御感想を持たれているか、まずそこから態度をお伺いしたいと思います。
  184. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) この判決は六年九カ月に及んだ審理の結果なされました第一審判決でございますが、私は、この六年九カ月、百八十回以上の公判による第一審の判決でございまして、きわめて厳しく受けとめなければならないものと、こう理解をいたしております。
  185. 穐山篤

    ○穐山篤君 田中元総理が逮捕されましたのは五十一年八月でしたか、六年九カ月の結果、裁きが行われたわけです。総理も厳粛に受けとめるというふうに言われておりましたが、田中元総理の進退についてはいまだに問題にけじめがついていないわけですね。これは私ども野党はもちろん、国民大多数としてもまことに遺憾だというふうに思うわけであります。それが金脈問題で田中総理が総理の座をおりましたけれども、一〇・一二判決というのは航空機の購入をめぐる問題です。もちろん表に出ました判決の理由書の中にはもっぱら民間航空機の購入というふうに出ておりますが、しかし、防衛庁が購入をするP3Cというふうなものについて購入の疑惑が全く世間から消えたというふうには世間の人はとっていないわけです。いずれこれらも裁判を通しまして明らかになるとは思いますが、疑惑の目が国及び防衛庁に向けられていますよということは厳しく受けとめなければならぬというふうに思いますが、どうでしょう。
  186. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 今回の十月十二日になされました判決とは全くかかわり合いなく、一般論としてお答えを申し上げさしていただくことをお許しいただきたいと存じます。  すべての防衛庁調達について言えることであろうと思いますが、特に御指摘の航空機購入のような問題につきましては、一般的に全体の調達金額がきわめて大きいということもございます。したがって、厳正にも厳正な態度をもってこれに対処すること、これが特に必要であると、私はそういうふうに判断をいたしております。
  187. 穐山篤

    ○穐山篤君 さてそこで、歴史的に言いますと、山下防衛庁長官のときから本問題について節度をつけるという体制になりました。  そこで、簡単にお伺いしますが、防衛庁から物品、物資、武器、あるいは装備、その他購入のためにアメリカに何人派遣をされていますか。それと同時に、イギリスでは同様にどの程度の規模の人間をアメリカに常駐をさしているのか、その点をまずお伺いします。
  188. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 防衛庁といたしましては、いまおっしゃいました有償援助関係の調達に関する事務を行いますためにアメリカに人を派遣しておりますが、まず在米大使館に防衛駐在官という形で駐在しております六名の者のうち、約三名はそういう調達関係の仕事を主にやっているということがございますが、それ以外に連絡官十二名を長期の出張という形で派遣いたしておるわけでございます。  各国の事情については必ずしもつまびらかではございませんけれども、いま委員が御質問ございましたイギリスについて言いますと、約三十名程度をアメリカに派遣しているというふうに聞いております。
  189. 穐山篤

    ○穐山篤君 その他の諸国もアメリカに、日本の数字からいいますと倍に近い、あるいは倍を超える規模の配置をしているようですね。  さてそこで、兵器あるいは装備の輸入に当たりましてどういう方針で当たられてきたのか、まずこの基本原則、これを簡単にお伺いします。
  190. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 装備を調達いたします場合に、それを国内で生産したものを調達する場合がございますが、輸入をして調達する場合もあるわけでございまして、輸入につきましては、大別しまして一般商社経由で輸入します一般輸入と、それから委員が御指摘のありましたFMS輸入、有償援助による輸入、この両方がございますわけでございます。この二つにつきましては、それぞれ調達につきまして長所、短所がございますので、その長所、短所を十分考慮しながら、最も防衛庁として効率的に、かつ納期等が正確に行われるようなやり方で調達をいたしておるわけでございます。
  191. 穐山篤

    ○穐山篤君 実績からいいますと、FMSの場合に欠陥もありますね。たとえば納期が非常におくれる。これは私かつて決算委員会でも具体的に品目別に指摘をしたことがあるわけです。それから商社を通じて輸入する場合に非常に便利ではあるという点もありますが、また別に副作用も起きやすい、こういう欠陥もあるわけです。しかし、それを乗り越えて、FMSに基づいて不正な売り込みをしないように相手方に十分誓約をさせる、これも一つあったと思うんですね。それから、当然のことでありますが、値段の問題です。原価なり価格なり、それから輸送を含めたすべての価格において果たして公正、妥当なものであるのかないのか。それから商社が介入することによって不正なことがあってはならぬ、こういうふうに私ども指摘をしたところなんですけれども、こういう原理原則というものについては変わっていないわけでしょうね。
  192. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 前に、別の委員会委員からいろいろ御質疑がございましたときに御答弁申し上げましたとおり、FMSで輸入する場合には、そのおのおの長所あるいは短所等ございますし、それから商社輸入に伴いますいろいろな問題点もあるわけでございますので、そういう点につきましては十分注意をして最も効率的に輸入をやっていくというようなことを考えておるわけでございます。  したがいまして、たとえばFMSで輸入いたしますときには、その長所としては、米軍が調達するのに乗せて輸入するというようなことで全体としてコストが安くなるというようなことも一つの点でありますが、また逆に短所の一つとしては、御指摘ありましたように、納期が必ずしも正確じゃない場合もあるというようなことがあるわけでございます。  そういう点を十分、短所を少なくするような措置をとりながら効率的にやっておるわけでございまして、その際、たとえばFMS輸入で輸入するにもかかわらず、その製造しているアメリカのメーカーと日本の商社との間で契約等がありますときには、その契約の中からはFMSで輸入する部分については一切何らの手数料を取らないというような形の誓約書をとるというようなことで厳正な購入を行っておるわけでございます。
  193. 穐山篤

    ○穐山篤君 さてそこで、田中・ロッキード事件の裁判の途中からも、あるいは判決が出た後からも少しずつFMSについての意見が述べられているように感ずるわけです。たとえば商社の考え方というものが新聞に出る、経団連の意見がまた出る、非公式ではありますけれども政府の部内からも意見が出る、その意見がそれぞれの立場を代表するものだというふうにある意味ではとれるわけです。  たとえばごく最近の新聞の指摘、これは五十八年十月十四日です。「悪夢は終わった 一〇・一二後の商社」、こういうタイトルで、「再び「航空機」に触手 軍用機で活気づく商戦」というふうなものをかなりスペースを使ってコメントをしているわけです。それから四月十七日ですか、「商社通じ兵器購入 防衛庁復活検討を認める」、こういうふうな代表的なものがどんどん出るわけですね。  これは一〇・一二という判決を逆手にとって、あるいは一〇・一二の裁判の過程を逆手にとりまして、もうこの辺で昔のルールに戻していこう、兵器の購入あるいは装備の購入というものは国がやるのでなくして、全部商社にやらした方がいいじゃないかと。経団連のものを読んでみますと、政府の調達に任せておいたのではわれわれの要求が実現をしないというようなニュアンスの新聞記事もあるわけです。全くけしからぬことなんですが、こういうことについてどういうふうにお考えですか。とりあえず、お伺いします。
  194. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 先ほどから御説明しておりますように、輸入に当たっては二つの方法があるわけでございますが、FMSで輸入しますものにつきましては、FMSでなければ輸入できないものもございますので、それは当然今後も続けていくわけでございますが、あとのものにつきましては、両者の長所、短所等を考え、ケース・バイ・ケースで考えていくということで従来からもやっておりましたし、将来もそういう方向でやっていきたいと考えております。  ただ、航空機につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたように、航空機の輸入については、一般的には全体の調達金額が大きいということもございまして、厳正な調達に特に配意する必要がある、このような観点をも重視いたしまして、従来から有償援助による調達によっている場合が多うございます。このような方針につきましては、いま申し上げましたように、従来と同じように将来もとり続けていくということで、有償援助による調達あるいは一般輸入による調達のいずれか一方のみによっていくというふうに方針を定めていくということは考えておりません。
  195. 穐山篤

    ○穐山篤君 考えていないということですか。
  196. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 従来からFMSで輸入する場合の考慮要因は将来も考慮要因として続けていくということでございまして、個々の輸入につきましてはケース・バイ・ケースにその長所、短所を考えて判断していくということでございます。
  197. 穐山篤

    ○穐山篤君 商社はかなり輸送費などについては無理をして輸送をしているというふうに私は見ているわけです。本来ならば相当高い輸送費をもらわなければならぬわけですが、そこをかなり無理をして背伸びをしてやっているわけです。それらの商社の意見というのは、いずれ将来、この種の問題については一番フリーハンドのきく商社の輸入になるだろう、それをみんな期待をしているとも言われているわけです。  なかんずく私が問題にしておりますのは、商社の意見もさりながら、経団連の防衛生産委員会が発表した態度です。たしか去年の四月九日だったと思いますが、五六中業に対する見解というものを一つ出しました。専門的なものを出したわけですが、その中で、「価格、納期、品質面でとかく問題があるFMS調達方式は見直しを図るべきだ」と表明をしているわけです。防衛庁と経団連の防衛生産委員会とストレートではない。私も短絡的には思っていませんけれども、非常に有力なこれは存在ですね。実際の問題として、防衛生産委員会とか、それから協和協会というんですか、例の委員会も強力な発言力を持っているわけです。こういうところが、のどもと過ぎれば熱きを忘れるごとく、いまのFMSのやり方はこれはけしからぬ、直していけと、これは発表しただけでなくして、当然政治的に発言をしているわけですから、政治的に圧力が国民全体にもあるいは政府全体にも影響力が出ていることは当然だと思うんです。  だから、先ほど防衛庁はFMSで輸入しなければならぬものはこれから継続する、それにしてみてもケース・バイ・ケースだというふうなニュアンスを言われているわけです。したがって、どうしても、この新聞にもありますように、防衛庁は商社を通じ兵器購入の復活の検討を認めるというふうにまで新聞が発表しているわけですね。したがって、国民全体はまたどうもおかしな雰囲気になりそうだという心配をするわけです。かつてのような事件が今後も起きるようなことになりますと、皆さんの立場からいえば隊員の士気に影響が出てくる、これは当然だと思うんですね。あるいは防衛計画全体にも重大な障害を及ぼす。だから、値段の問題だとかその他の問題はあったにしてみても、武器を外国から輸入するという場合には節度をつけておかないと大変なことになるといって、従来の方針を変えてFMS重視の政策に転換をしたわけですよ。にもかかわらず、こういうものがどんどん出てくるというのには、全く火種がないというわけにはいかぬと思うんです。その点を私どもは非常に憂慮するわけです。その点、長官いかがですか。
  198. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 私どもといたしましては、とにかく厳正なシステムのもとで、こちらの希望しておりまするような効率的な、しかも経済的な価格でわれわれが入手いたしたいときに適正に入ってくるということが基本でございます。ただ、いま先生指摘でございましたが、また立場を変えてみますると、FMSでなければ調達源がないもの、これは全く初めから問題がないのですけれども、FMSでしか入ってこないのですから問題ないのですが、それ以外でございますと、私航空機の場合をいま頭に置いて申し上げているのじゃございませんで、その他のことを頭に置いてて申し上げているのですが、どっちをとっても一長一短はあるけれども、どれか一方だけで進むということを初めから決めておくことはしないというのが基本でございます。  確かにFMSで調達ができますると、一斉にわあっと米国国内で生産されておって各国が手に入れようとしておるようなものにつきましては、当然数が多くございますから単価としてもこれは非常に安いものが入ってまいりますし、それから米軍がアメリカ国内で調達しているような調達の方式でまいりますから、その意味では非常にわれわれにとって便利もよろしいし信頼も大いにおけるということもございます。ただ反面、先ほど来議論が出ておりますような、納期がおくれたり、あるいは手続が非常に煩瑣であったり、あるいはこちらと向こうと二つに分かれておりますものですから、そういう意味でわれわれとしてはFMSのシステムとしての短所とまで言いませんが、もう少し何とかならぬかなというようなことにぶち当たることもございます。  そういう意味からいいますると、われわれとしては、先ほど答弁させていただいておりまするように、わが国の装備品の調達はFMSでやるのだ、あるいは、いやそうじゃない、商社だけでやるのだと、そういうふうにどれか一方だけでやるつもりはございません。これが原則でございますと申し上げております。ただ、航空機のような非常に価格の振るもの、これはやはり現在のところ、納期その他の問題それぞれございますけれども、FMSのシステムにのっとっていこう、大半それで進めていこうということでいままで行ってきておるところでございます。
  199. 穐山篤

    ○穐山篤君 田中判決というのは、民間航空機の購入の問題に起因をしてああいう判決が出たわけですが、私先ほども申し上げますように、いろいろな識者がいろんなものに、防衛庁の購入をするE2CであるとかP3Cであるとか、そういうものについても疑惑をいまだにみんな抱いているわけですね。その上に新しく、私がしばしば取り上げましたように、FMSについての見直し論、あるいは商社購入の復活論が出てくるのも、技術的にいえば手数料の問題だとか、輸送費だとか、あるいは価格であるとか、納期であるとか、いろんなことがありますから、まじめな意味でいえばもっと安く購入ができないか、早く購入ができないかという気持ちはありますが、しかし疑惑を残してまでもそういうふうなことは当たるべきではないと思うわけです。  したがって、この判決以降はお互いに節日節目をつけていこうという気持ちには変わりがないと思いますが、ケース・バイ・ケースということになりますと当然その種の問題がどうしても頭の中を離れないんです。そのことについて十分防衛庁としては考えていることだろうと思いますけれども、今後あの種の問題が表ざたになり、なおかつ裁判の俎上に上るというふうなことになれば重大な問題だというふうに警告をしておかなければならぬと思うんです。  さて、その次に日米関係の問題について。  ことし一月、中曽根総理、谷川長官いずれも、ときにはおそろいでお出かけになったり、あるいは単独で行かれたことがあるわけです。長官が八月十九日から二十五日まで訪米をしまして、クラウ太平洋軍司令官、ダム国務副長官、ワインバーガー国防長官、いろんな方々と会いました。それから、ごく最近はレーガン訪日を含めていろいろ接触をする機会があったわけですが、米国の軍事施設を見て回る、視察をするというところはそれほどのことは私はないと思いますが、具体的に協議をした、相談をした、あるいは向こうから要請を受けたという問題について、少し具体的にお伺いをしたいと思うんです。  まず第一は、いつも問題になることでありますが、国際軍事情勢の分析の点であります。われわれがいただきました長官の報告によりますと、こういうふうに言われております。「ソ連の質量両面にわたる一貫した軍事力増強により厳しさを増していることに双方の意見が一致しました。」、こういうふうに長官は述べられているわけです。  そこで、お伺いをしますが、ソ連もSS20を含めていろんな増強をしております。アメリカも、御案内のように。パーシングIIなどを含めていろんな分野で近代兵器の装備を増強しているわけですね。長官の答弁も総理の答弁も、ソビエトないしはワルシャワ機構の諸国の軍事力というのは一九四五年直後はそれほどアメリカをおどかすほどのものではなかった、しかし一定の均衡がとれ、その後はソビエトの方が優位に立っているというふうにいつも説明をしているわけですね。そこで、抑止と均衡という話になるわけですが、この「双方の意見が一致しました。」というのは、そこの部分どういうふうに分析をされて意見が一致をされたんですか。
  200. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 御報告をさしていただきましたごとく、国際情勢の分析の中におきまするソ連の軍事力の一貫した増強につきまして、質、量両面にわたる軍事力の増強はまことに著しいものがあるということにつきましては、御指摘のごとく、「双方」というのは私の場合にはワインバーガー長官と私とこういうことになりますが、判断が一致をいたしました。ただ、いま先生がお触れになられましたような一九四五年以来のソビエト・ロシアの軍事力の総括的な分析をやったわけではございませんで、特にここ数年の軍事力の増強の問題について意見を交換いたしまして、その結果、ただいま御報告申し上げさしていただきましたように、基本的な認識において一致いたしたわけでございます。
  201. 穐山篤

    ○穐山篤君 この点、防衛白書五十八、五十七、五十六、五十五年度の中では段階的に物の言い方が変わっていますね。それは白書をつくられた当の防衛庁は御存じだと思いますが、ソビエトの方が総体的な戦力がアメリカを追い越した、あるいは優位に立っている、こういうふうに分析をされた時点があったわけですが、それはどういう根拠に基づいておったんですか。
  202. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 担当の政府委員からお答えさしていただく前に、私の判断をいたしておりますことをまずお答えさしていただきたいと思います、先ほどの前段の御質問に関連があろうかと思いますので。その後、特に最近の具体的な事例に基づいて、それぞれの軍事力の分野における分析について政府委員からお答えをさしていただければと思います。  特に、これはまず第一に、核戦力についてでございますが、一九七〇年代の終わりにSALTIが米ソの間で締結されて、七二年から五カ年間の有効期間でございましたか、あの当時においては基本的には米ソの間に決定的な不信感というものが存在したとは思えない。だからこそ、SALTIがああいう時点においても成立したのではなかろうかと思います。それにはやはり核兵器の弾頭数と運搬能力、さらに命中精度の問題があったと思います。  ただ、一九七四年にソ連のMIRV化、多弾頭実験が行われて、一九七五年以降急速にこの辺のバランスが崩れてきた。その後、SS20という新型兵器が出現した。さらに、その直後に一九七九年の十二月二十七日に、不幸なことでありまするけれども、アフガン侵攻が行われた。たまたま西側が一九七五年から七七、八年に至る、特に戦域核の問題で核の脆弱性というような議論もあって、アメリカを頂点とする戦略核抑止に対するいわば一つの反省というようなものが生まれてきて、一九七九年十二月の十二日に現在問題になっておりまするダブルデシジョンが行われておる。しかし、あのアフガニスタン侵攻からことしの十二月二十七日をもって四年経過するわけでございますが、その間、西側の防衛力の整備というものは比較的低位に抑えられておったけれども、一貫してやはりソビエト・ロシアの軍事力の増強というものはこの間においても相当の進捗を見せた。こういうことが特にここ数年間の国際軍事情勢の中で大きく変化をしてきておる問題だと思います。  私は日本の防衛庁長官でございますが、わが国が極東に位置しているがゆえに、極東におけるソ連の軍事力の増強というもの、ここ数年のレンジで見ますると、これはまことに目をみはるような著しいものがございます。そういうような判断からわれわれは国際情勢全般について、特に米ソ両超大国を頂点といたしまする軍事力の問題について常に関心を持ってきておるわけでございまして、最近の特にソ連軍事力の整備の問題につきましては、担当政府委員からお答えをさしていただきたいと存じます。
  203. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) ただいま防衛庁長官からすでに詳細な御説明がございましたので、私が述べるのはかなり蛇足になると思いますが、この点御了承いただきたいと思います。  先ほど委員からの御質問で、米ソの相対的な軍事力をどう見ているのかということでございます。米ソの軍事力はどちらが強いか、これはもちろん単純に黒白を言うわけにはまいりません。すなわち、その質あるいは量の問題、それから戦略の問題、あるいは戦略環境の問題、それから構成員の士気の問題、さらには同盟国の貢献度いかん、海外拠点の有無等々、総合的に判断しなければなかなか物事は言えない。そういうことを前提にいたしまして、特にこのうち質、量にアクセントをつけまして一応の見方を御紹介いたします。  まず、核の問題、なかんずく戦略核でございます。これにつきましては、すでに量的にICBMにつきましては一九六〇年代の終わりにソ連がアメリカを凌駕いたしました。さらに潜水艦発射の例のSLBM、これにつきましては一九七二年ごろ量的にはソ連がアメリカを追い超した。その後どうなっていたかというと、アメリカはもっぱら質の優位、すなわちテクノロジー、技術の優位ということで対抗していたわけでございます。ところが、この点、先ほど防衛庁長官から詳しく御説明ございましたけれども、ソ連が七〇年代の後半、非常に本格的なMIRV化、これに踏み切った。そういうことで、非常にこの戦略核の分野におきましてもソ連が追い上げてきている。ただ、これを横に横断的に見ますと、私どもは米ソの戦略核についてはほぼその能力においては均衡しているのではないか。ただし、中距離核戦力につきましては、これはソ連が優位に立っているということは言えると思います。  次に、通常戦力でございます。  陸軍につきましては、これは釈迦に説法でございますけれども、ソ連は帝政ロシア時代から巨大な陸軍国でございます。そういうことで、量的にはもともと圧倒していた。それに加えてソ連が近代化を着々と進めてきている。これに対して最近来アメリカは、たとえば例の緊急展開部隊の編成、さらには機動力の増大、改善等々によって対応している。  それから海軍でございますけれども、この通常戦力の中ではソ連の海軍の進出が過去十年とりましても最も著しいものがございます。なかんずく、たとえば四つ艦隊がございますけれども、太平洋艦隊は最大の艦隊でございます。アメリカは、一九七〇年代、実は通常兵力についても、ベトナムの後遺症等々、それからいわゆるデタントというもとで意識的に量を制限していた。ちなみに、一九七〇年代の初めにはアメリカが持っている船は一千隻を教えていたわけでございますけれども、今日は五百九十隻程度、そういうことで、アメリカの誇る海軍力におきましても非常にソ連の追い上げが激しいということから、昨年来アメリカとして例の六百隻艦隊の建造、空母十五隻を含みます。さらには、戦略的には例のフレキシブルオペレーション、柔軟戦略等々、そういうことで対処しているということでございます。  それから、航空兵力につきましても、量はソ連が多うございます。ただし、アメリカは非常にすぐれた航空機を持っている。恐らく質的にはアメリカの方が優位ではなかろうか。  以上、さっと核、通常戦力について申し上げましたけれども、要するに、これを全部総合するとどういうことが言えるかといいますと、私どもは米ソの軍事力はほぼ均衡している。ただし問題は、従来特にソ連が一九六〇年代の半ばからGNPにして一二ないし一四%、そういうことで年々着々とその軍事力を増強してきた。そういうことから、その蓄積効果、これが大変西側にとっては頭が痛い。アメリカなんかの主張によりますと、むしろその蓄積効果があらわれるのはこれからではなかろうか。そういうことで、もしこの時点で西側がそれぞれの防衛力を整備する、そういう努力を怠った場合には、遠からずこの米ソ、ひいては東西の軍事バランスが東側にあるいはソ連側に傾くという、そういう趨勢にあるというのがわれわれの基本的な認識でございます。  以上でございます。
  204. 穐山篤

    ○穐山篤君 いま年代別に、数字別に、あるいは戦術戦略別にお話がありましたが、言ってみますと、皆さん方がお持ちの情報というのは主たるところはアメリカから入る情報が中心ですね。もちろん、それはイギリスにあります研究所であるとかいうものを参考にはしておりますが、まだ見方としては一方的であるというそしりは免れるわけには私はいかないような感じがするんです。  そこで、過日の行革特別委員会でも、均衡と抑止というのは縮小の方で均衡とかあるいは抑止というふうに働くならばこれはまことに好ましいこなんですが、いまソビエトとアメリカがやっております抑止と均衡というのは、それぞれが追いかけながら拡大の方向で抑止と均衡という戦術といいますか考え方を政策的にとっているわけです。後ほどSS20のことでもお伺いをしますけれども、わが国の立場からいうならば、ソビエトが軍事力を増強した、それはけしからぬ。アメリカが戦略核兵器あるいは戦術核兵器を含めてそうでありますが、優位性を保つにはさらに過剰な軍備増強をしなければならぬ。そういうことでイタチごっこになっているではないかというふうに先日も同僚議員が指摘をしたわけです。  その典型的な問題が、御案内のように、先日中断をいたしましたINFの現状だろうというふうに思うんです。この中断についていろんな観測、分析もありますけれども、お互いが持っている戦力についての評価が全然違う。それから次元が違う。ソビエトがSS20のヨーロッパ向け配備のものを減らしましょうという発想の最初は、EC、なかんずくアメリカを除くECが持っている戦術的な戦略的な戦力に比べてもし高過ぎるというならば私の方は撤収しましょう、こういうふうな形になるわけです。ところが、アメリカの立場からいうと、SS20をヨーロッパ向けにあれだけ配置をして優位性を保たれたのではたまらぬから、それならパーシングIIだとかその他のものについてわが方は配備をする、こういうふうにならざるを得ないような状況にあるわけですね。ですから、そこの次元のとらえ方、分析の上で決定的な違いがあるものだからボタンのかけ違いが最後まで続いてしまう。それに日本が加担をしているというふうにどうしても考えられるわけです。  私は、ごく抽象的にそれを言っているわけでなくして、皆さん方が発表しました防衛白書を年度別に全部比較をしてみたわけです。表現の方法、それから前年度と今年度とりました数字の違い、発表の仕方の違い、少しずつ手をかえ品をかえて形が変わってきているわけです。そのことを私は非常に憂慮するわけです。それは日米同盟ということが片方にはあろうとは思いますけれども、相互に過剰な軍拡を始めているものにいや応なしに日本が手をかしているというふうに言わざるを得ないと思うんですが、防衛庁長官、その点どうでしょう。
  205. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 私は、核兵器につきまして一番恐ろしいと思うことは、抑止が崩れるときが一番恐ろしいのではないかという感じかいたします。そして、抑止が崩れるのは、パリティしておると両者が考えないときが抑止が崩れたときではないかと思っておるわけでございますが、そうなりますと、少なくとも、少なく整備しておると思っている側がやはり時間を稼ぎたい、時間を早く自分のものにしておきたいという、一番恐ろしい奇襲という問題が起こってきてしまう。  したがって、どうしてもやはり、核というものを廃絶することが一番だと思いますが、しかし現実、核の兵器というものがある場合に、これがパリティしていなければならない、こういうふうに考えるのが恐らく核を実際に持っておる国々の考えだと思いますが、特に核軍縮という問題になりますと、私はこれはすぐれて米ソ超大国二国の交渉事だと、こう考えておりまして、その基本としては、やっぱりどうしても米ソが不信感をお互いに持っておった場合には話し合いのテーブルに着けないのじゃなかろうか。であるから、何としてでも米ソ両国の間でまずこの不信感がなくなるということが一番大事なんだと、こういうふうは考えております。  最近まで至る米ソの様子を見ておりますと、徐徐にではありまするが、互いに話し合いのテーブルに着いて何らかの結論を出そうとしかかっておった。そこへ、非常な不幸な状態でありまするが、突然飛び込んだような大事件が起こってきて、いまやまさに非常に冷たい状態になっておりますけれども、われわれとしては何としてでもこの核制限交渉というものはぜひ成功させるべきであるし、また成功してもらわなきゃいかぬと、こう考えております。  その核の問題とは別途に、核兵器の制限の交渉が行われても核の敷居を高めなければならないという現実が生まれてしまった、特にヨーロッパにおいてそれが生まれたということについては、私は非常に不幸なことであったと思っておるわけでございまして、それがゆえに、一九七九年の十二月に行われたNATO加盟国の外相並びに国防相会議において二重決定が行われて、あれから足かけ四年、各国はそれぞれ財政問題その他国内に社会問題すら抱えておりながらも、やはり懸命になってこの防衛力のバランス問題で、通常兵器の問題でも前へ出ざるを得ない状態が起こっていた。これがここ三、四年の様子であったと思います。  もしアメリカ一国が、かつてNATOが誕生したときのような全世界の生産力の過半数近くをアメリカ一国で持っているような状態であったならば、あるいはNATO加盟国それぞれもそれぞれの国々が分担をする分野というのは非常に少なくて済んだのかもしれないし、あるいはかつてのようにアメリカの戦略空軍の核抑止力によって地域的な核も抑止し得るという保障があって、核の脆弱性、核の脆弱な窓というものがなければいまのようなヨーロッパは起こらなくて済んだのかもしれませんが、やはりここ数年の様子を見ますと非常に様子が変わってきておるという感じがいたしまして、いまがわれわれが軍縮問題を考えるときに非常に大事な時期だ。そのためには、何としてでもやはりアメリカをしてソビエト・ロシアと十分話し合いができていけるような態勢にわれわれとしては西側全部が協力して支えて、その結果をもってソビエト・ロシアをして核軍縮のテーブルへ着いて結論を出させる。検証可能な合理的な軍縮交渉が成立することを期待するということがわれわれが現在とるべき道ではなかろうかというふうに判断をいたしておるところでございます。
  206. 穐山篤

    ○穐山篤君 皆さん方と私どもは立場の違いはありますが、それを乗り越えて何とか軍拡をやめさせる、あるいは核戦争に至らしめないということを常に考えるわけですね。  そうしますと、具体的には後ほど申し上げますけれども、アメリカと、まあNATOとワルシャワ条約機構との力関係、私は質、量、比較をする次元の違いからボタンのかけ違いがある。その上に、いまも少し指摘がありましたが、日中関係とは違いますけれども、米ソが友好というわけにはいかないけれども不信感を持たない、その上で交渉が軌道に乗るということでなければならぬと思うんですが、それにも増してわれわれ日本が交互に質の高い戦力を配備をしようという者に手をかすような態度は絶対にとるべきじゃない。米ソが勝手に二つの国だけで戦争をやるならば、いいとは言いませんけれども、ある意味では宿命を負っているわけですね。ところが、その他の諸外国を全部巻き込むというふうな状況の中で、交互に軍拡、過剰軍拡が双方で行われていると私どもは見ているわけです。  もちろん、日本はソビエトに対しても注文をつけなければならぬと思う。それと同時に、アメリカに対してもあるいはNATOに対しても、日本の立場というもの、国民意見というものをきちっと基調として述べる態度がなければ、結局はアメリカに追随をするということにならざるを得ないと思う。自主的な外交、自主的な防衛という、そういう立場を民族的な見地からもとらなければならぬと思う。しかし、ことし中曽根総理の訪米、あるいは先日の日米会談、いずれのものをとりましても、どうしても手をかしているというふうに言わざるを得ない。そう思うわけです。これは見解の相違だということになればそれはそうかもしれませんけれども、しかし過剰な軍拡競争に手をかすような日本であってはならぬ、私はそういうふうに強調をしておきたいと思います。  そこで、防衛白書を歴史的に見ても、皆さん方の方の位置づけは全くうまくそのコースに乗って配置がされているわけです。私は、第八十国会から福田総理大臣の施政方針演説というものを調べてみました。また、私は代表質問で福田総理大臣に、日本の外交、防衛の基本的な理念についてお伺いしたことがあった。ここに演説集があるわけですけれども、一言で言いますと、当時の福田総理の考え方、日本自民党政府考え方というのは、日米安保条約というものを常に下敷きにしております、しかしながら地理的な経済的ないろんな分野から考えてみて、諸国とは対等平等に友好、平和を保っていきたい、個々に多少のいさかいがあってもそれは十分に話し合いで克服したいというふうに、福田総理大臣あるいは外務大臣も一貫してその方針で貫いてきたんです。  ところが、昭和五十三年十二月、大平内閣が登場して、それ以来防衛白書の作成の形式も内容も表現もがらりと変わってきている。なかんずく、五十六年八月には、NATOとワルシャワ条約機構の軍事バランスのところを綿密に分析をしまして、そして西側の一員という言葉がここで明確に入った歴史があるわけです。福田総理大臣のときの外交方針と大平、鈴木内閣になっての外交方針が、どういう理由で、どういう根拠に基づいて、ある意味で言えば手のひらを返したように外交方針が変わりました。対等平等に諸国間とは友好関係を結んでいきますというところが非常に薄くなってしまって、逆に自助努力一環として西側という位置づけを最初にしながら、ことしの白書によりますと、完全に価値観のところまで問題が発展をして、同じ気持ちの者はみんな同じところに集まろう、こういうふうに重大な変化をしているわけです。そこが大平内閣のときであったと思うんですが、その点は、防衛庁長官、どういうふうに分析をされていますか。
  207. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 外交政策あるいは外交上の事実関係、それの解釈とかいう問題につきましては、私から申し上げるべきでないと思いますのでお許しをいただきたいと存じますが、そのことを別にいたしまして、軍事的な側面と申しますか、そういう意味からもし申し述べさしていただくことをお許しいただくのであるならば、私は一九八〇年、昭和五十五年というのでございましょうか、この年は非常に大きな国際的に変化のあった年ではなかったのだろうかと思っております。  一つには、第一次石油ショックのときには日本はまさに大変な物価高騰、インフレ、その他大変な国内で被害を受けましたけれども、逆に、今度第二石油ショックの時点では、第一次石油ショックの波をうまく何とか経験則から考え合わせて二次は乗り越したけれども、これをアメリカで考えてみると、アメリカは第一次石油ショックのときには自分の国内産油もあったということもあるのでしょうか、それほどでなかったが、第二次石油ショックのときにはこれはアメリカは非常な大きなショックを受けて、社会的にも国内的にも、最後には日本では考えられないような大きな金利の上昇だとか、インフレだとか、あるいは失業者を生みましたが、ちょうどその前後に、先ほど来ちょっとこちらで触れさしていただきましたような、特にヨーロッパにおける大きな変化が一つあらわれてきて、一九八〇年、昭和五十五年を契機にして非常に国際緊張が高まった。私は、特にこの七年ぐらいの国際緊張の高まりというものは、やっぱりヨーロッパにおける国際緊張の高まりというものが非常に大きな下敷きになってきておるというふうに判断をいたしておる一人でございます。  わが国の外交政策がその間どういうふうな変化を遂げてきたかとかいう問題につきましては、私からちょうちょう申し上げる立場に私はございませんけれども、そういう中において、わが国としては、特にあえてここで西側という言葉を使わしていただければ、西側同盟国の一員として国際社会におけるわが国の果たすべき、でき得る限りの努力はわが国としてしていくべきである。もちろん、防衛努力につきましては、日本は日本として防衛政策を持っておるわけでございまするし、それの線に沿っていくわけでございますが、しかしその努力を重ねることによって太平洋のこの地域、極東アジアのこの地域における平和の維持発展に資するという判断から、われわれはわれわれとしてみずからの判断に基づいてわが国の防衛力の整備に懸命になって努力してきておるという姿である、私はそういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
  208. 穐山篤

    ○穐山篤君 評価の違い、見解の違いというものがどうも続きそうであります。  そこで、時間の関係がありますので、これは一たんおきまして、巡航ミサイルのわが国への配備の問題を先に取り上げさしていただきたいと思っております。  国内のいろんな雑誌にも巡航ミサイルの問題が書かれておりますが、アメリカでは日本より相当早くから巡航ミサイルの研究が進められております。  そこで、ごく技術的なことをお伺いするわけですが、戦艦ニュージャージーに配備されております巡航ミサイル、たしか三十二基だと思うんですけれども、その戦力といいますか、弾頭つきの攻撃用のもので、どれだけの能力を持っているか。皆さん方の方、お調べになっていられると思うんですが、対地攻撃用、あるいは対地攻撃用トマホーク普通弾頭つき、あるいは対艦攻撃用ハープーンと言うんですかハプーンと言うんですか、こういうものの能力、これがおわかりになっておれば明らかにしてもらいたい。
  209. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) ニュージャージーに限定してよろしいのでございましょうか。
  210. 穐山篤

    ○穐山篤君 いいです。
  211. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 私ども承知している限り、ニュージャージーにつきましては、ことしの春でございますか、対艦用非核トマホーク、これを搭載しまして目下テスト中である、試験運用をしているというふうに理解しております。  それで、トマホークの発射機については八つのランチャーを搭載している。そのほかハープーン発射機等々、あるいは十六インチ砲を搭載している。  そこで、他方、対艦攻撃用の非核弾頭でございますけれども、射程は約四百六十キロメートル、弾頭威力は百ポンド、寸法は約六メートル、速度は八百八十キロメートル、これは一時間でございます。  それから誘導方式につきましては、慣性誘導プラスアクチブレーダーホーミング、そういう機能を持っているというふうに理解しております。  それから、先ほど私、トマホーク八と言いましたけれども、四連装でございますので、先生がおっしゃるとおり三十二ということで、正しいと思います。  それで、ハープーンは十六基、四連装掛ける四。先ほど言いました四連装でございますので、四、四、十六というふうに理解しております。
  212. 穐山篤

    ○穐山篤君 能力、性能からいってみて、五百キロメートルから欲目に見て三千キロぐらいまでの範囲であると、こういうふうに理解をします。  さてそこで、アメリカの国防総省国防核兵器局というのがあるわけですが、新聞報道によりますと、九月三十日、民間に研究を委託しておりましたトマホーク巡航ミサイルの配備問題について研究会の報告書が公表をされております。もちろん、これはすぐ政策、行政の問題として取り上げてはおりませんので、その準備というふうにわれわれも正確には理解をしますけれども、このトマホーク巡航ミサイルを極東、地中海、バルト海などの海峡防衛用に地上に転用配備する構想検討した結果、「トルコ、日本への配備がきわめて効果的」である、こういうふうに報告をされ、準備段階とはいえ、いよいよミサイルというものが具体的に日本にやってくるのか、こういう気持ちを国民は抱いたと思う。  その上に、コメントとして出ておりますのは、先ほど私が御質問をしてお話がありましたように、その性能というのは、正確には四百六十キロから二千七百ないし三千キロの射程距離である。こういうものを認識いたしますと、射程範囲内のソ連海軍の作戦行動、ソ連の攻撃に対する生き残り能力、それからミサイル移動の環境などを考えて、トルコと日本が一番最適な場所だと、こうなっているわけです。それを少しずつ縮めてみますと、地図の上から佐世保という問題も出てくるだろうし、三沢という問題もいやおうなしに地図の上からコンパスで出てくるわけです。これは準備の話にいたしましても、国民全体としては脅威的な存在になるわけですから、非常に心配をしているわけです。  そこで、アメリカ側から、あるいは日本から要請したかどうかわかりませんが、目下アメリカが研究をしております巡航ミサイルの日本配備という問題についてどういうふうに認識をしているのか、その点をお伺いをしておきたいと思います。
  213. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 現在、アメリカ政府は日本にこの種のミサイルを配備する計画を何ら持っていないというふうに承知しております。  他方、先ほど委員から御説明ございました、国防省が発表した民間委託調査の内容は、ほぼ先生が御紹介、御披露なさったラインに尽きるかと思いますが、いずれにしても、これは数ある中の民間委託調査の一つでございまして、何ら国防省の公式な見解を代弁するものではないというふうにはっきりわれわれ認識しているということでございます。
  214. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点、外務省はどういうふうに状況を掌握しておりますか。
  215. 山下新太郎

    説明員山下新太郎君) いま防衛庁の新井参事官から御答弁申し上げたとおりでございますが、この報道が十月二日に本邦の各紙にキャリーされまして、私ども念のために、こういう話を聞いていなかったこともございまして、アメリカ側に確かめたわけでございます。  それをちょっと御紹介いたしますと、この委託研究は民間による単なるフィージビリティー調査である、何らかの具体的政策決定に基づいて調査を行ったものではない、仮に将来このような本件に関する政策決定がなされる場合には事前に連絡します、現在のところは具体的政策決定を行うことは何ら予定していない、こういうことでございます。
  216. 穐山篤

    ○穐山篤君 この数年の間、アメリカの戦艦あるいは航空母艦、核があるかないかは見きわめがつきませんけれども、佐世保、横須賀に寄港する頻度が非常に高まっていますね。客観的に言いますと、すでに母港と同じような位置づけをアメリカは行っているのではないか。こういうふうなエスカレートをしている状況の中で、アメリカの内部でありますが、民間といえども巡航ミサイルの研究が行われているということは、単なるこれは研究とか勉強とかいうものではないと私は思うわけです。アメリカがきょう話を持ってきてあしたから配備をしろというふうな極端な例はないにいたしましても、この巡航ミサイルの日本配備という問題は、いずれアメリカ側から要求をされるのではないかと憂慮するわけです。防衛庁長官、その点についてどういうふうに状況を判断されていますか。
  217. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) これはあくまで中曽根総理、外務大臣が機会あるたびにお答えしておるとおりだと存じます。少なくとも核の持ち込みは、これは事前協議の対象となり、もしその協議が求められたときには、わが国政府としてはこれをお断りをいたすということに尽きておると、こう考えております。
  218. 穐山篤

    ○穐山篤君 極東にソビエトのSS20あるいは射程距離の短いものも配置をされていることも一応私どもも承知をしております。そのほかに、千島を含めて沿岸地域では六カ所のミグ23の配備だとか、バックファイアだとか、いろいろなものも配置をされていることも十分承知をしております。もちろん、一万キロというふうな遠距離の場合には、いうところの大陸間弾道弾になります。五千キロ前後の中距離になれば、どうしてもSS20というふうな兵器にならざるを得ない。しかし、距離をもう少し縮めて効果的なものを考えてみた場合には、潜水艦につけます核弾頭だとか、あるいは飛行機につけるものだとか、あるいは基地に配備をするものであるとか、いろんなものが考えられるわけですね。防衛庁長官は、信念を持ってこの巡航ミサイルの配備を、アメリカから提案があっても断固として受けないと、こう申されましたが、これは現中曽根内閣の基本的な統一見解というふうに伺っていいでしょうか。もう一度確認をしておきます。
  219. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 核持ち込みにつきましては、あくまでもただいま私が答弁したとおりでございます。
  220. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで、少なくともこういうものが出ました。私の親戚が三沢にあるんです。つい最近、その親戚に寄りましていろんな話も聞きました。もちろん、これはF16の配備の問題だとかあるいは住宅の建設とかいろんな、あるいは防音、公害の話も聞きましたが、この巡航ミサイルの問題につきましては非常に神経をとがらせている。しかるがゆえに、いま長官が態度を表明したわけですから、国民的に十分政府考え方を周知させる必要があろうと思うんです。何らかの機関を通して、あるいは報道を通して日本政府の態度を表明することをお考えですか。あるいはその準備も考えられているんですか。
  221. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 国民の皆様方に不安あるいは何かはっきりわからないことがあって、さらにそのことが明らかでないといけないというような意味の不安、こういうことがあってはならぬと思いますので、これはもう一遍申し上げさせていただきますが、核の持ち込みについては、それが航空機に装備されたものであろうが艦艇に装備されたものであろうが、ましてや日本の国土に核基地を置くというような意味のことであろうが、すべて核持ち込みは事前協議の対象であって、それについては政府ははっきりお断りをいたしますということを、繰り返し国会の審議を通じて総理並びに外務大臣が御答弁申し上げておるところでございます。  最近、特にその問題において、アメリカ艦艇の日本寄港の際の問題もございまして、安倍外務大臣は、改めてアメリカ政府を代表いたします在日米大使とこの問題についてはっきり大使からの発言を他の委員会において御紹介をされたことがございます。したがって、国会委員会におきまする質疑応答を経て私は常に日本国民に周知徹底されていることだと思います。  なお、三沢の名前が出まして、それで三沢の方方が御心配ということもございますが、いまお話しの艦艇に搭載される非核対艦攻撃用トマホークの研究については、この研究のリポートの中にも、艦載しておるトマホーク、これはまだ、非核のトマホークを検討したわけでありますが、これが必ずしも地面の上に上がるということ、地上への転用配備は海軍戦闘艦艇の代用とはなり得ないということをわざわざ断っておりまして、そして、ただコストエフェクティブな面でこういう案もあるのではなかろうかという議論がございます。  これはあくまで非核のトマホークの検討でございますが、三沢の場合には、この問題のほかにF16の三沢配備という問題がございまして、F16が核搭載可能の航空機ではなかろうか、そうすると、この航空機が三沢に配備されることによって、そのまま航空機と一緒に核が入ってきてしまうのじゃなかろうかという意味の御心配も三沢の周辺の方々におありになるということも聞いております。しかし、この問題も、いま御答弁申し上げましたように、艦艇であろうが航空機であろうが、核持ち込みにつきましてはすべて事前協議の対象となり、これについては政府といたしましてはお断りをするということになっておるということをここで重ねて答弁をさしていただいておきたいと存じます。
  222. 穐山篤

    ○穐山篤君 いろいろお伺いをしたいんですが、いまお話のありましたF16の三沢配備の問題についても、ワインバーガー長官との話し合いの一つでありましたね。それから武器技術の供与の問題も話題の一つでありました。それから例の着艦訓練につきましても話し合いの対象であったわけですね。  そこで、一つだけ整理をしてお伺いをしますが、着艦訓練の問題につきましては、私も過日、横田基地を見てまいりまして、あるいは厚木基地でもそうでありますが、住民の方からかなり厳しい注文があります。そういう状況の中でこの着艦訓練のための訓練基地を速やかに提供してくれぬか、こういう強い要請がアメリカ側から提起をされているわけですが、過日も答弁がありましたように、政府は率直に苦慮をしているというのが現実だろうと思うんですが、さて、その後この作業がどの程度まで進行しているのか、その点についてお伺いをします。
  223. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま先生からも率直に政府が苦慮しているという趣旨の御発言がございましたが、まさに現状でもそのとおりでございまして、その後に特段こういうふうに進展をしておるというふうに御報告できるような段階まで進展をいたしておりません。
  224. 穐山篤

    ○穐山篤君 たしか、この話し合いの中で、ワインバーガー長官の気持ちは、地理的な意味もあるいは戦略的な意味もあるんでしょうが、関東周辺というふうに言われたのじゃないでしょうか、あるいは夜間訓練もぐずぐず言わずにできるような場所を提供してくれないかというふうに受けたのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  225. 塩田章

    政府委員(塩田章君) アメリカ側のこの点に対する要望は、関東及びその周辺地区ということでございまして、それの場合にはぐずぐずという表現ではございませんが、米海軍の夜間発着訓練ができる一定の要件は申しております。たとえば飛行場の長さが何メートルであるとか、あるいはアスファルトの厚さが何センチであるとか、そういった要件は付しておりますが、場所としましては関東及びその周辺地区というふうに希望しております。
  226. 穐山篤

    ○穐山篤君 この訓練基地についてタイムリミットは示されていないんですか、いるんですか。
  227. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 常になるべく早くというふうに急いではおりますけれども、具体的にいつまでというふうなことは申しておりません。
  228. 穐山篤

    ○穐山篤君 われわれの気持ちからいいますと、アメリカがどうしても着艦訓練をやって練度を高めたいというならば、これは太平洋のど真ん中で勝手にやってもらえばいいわけです。また、できる条件も地理的にあるわけです。ところが、いまも話がありますように、関東ないしは関東周辺というふうに地理的な条件を具体的に話し合いの中に含まれたということは、われわれの立場からいいますと、勝手が過ぎるじゃないか、こういうふうに思うところです。  そこで、態度をお伺いをしたいんですが、日本の現状からいってみて、関東ないしはその周辺というふうに固定することはノーです、あるいは夜間訓練なんということになれば住民パワー、住民の被害というものも大変なんだから受けるわけにいかないぞというふうに、ノーという返事はできないんですか。その点をもう少し明らかにしてください。
  229. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私どもといたしましては、現在、いま申しました関東及びその周辺地区の既設の自衛隊の飛行場でできないか、あるいは関東及びその周辺地区で新設の飛行場ということは考えられないか、あるいは何らかの形の海上浮体構造物で行うということは考えられないかといったような三つの観点から検討をしておるわけでございますが、そのうちで、当面陸上の既存の自衛隊基地を使ってできないかということに重点を置いて現在調査をやっておるわけでございますが、先生の御指摘のように、なかなか地元の了解を得るということは困難でございます。ただ、私どもとしましては、いずれにしましてもこれを困難であるからできないということであきらめるということにはまいりませんので、なお今後とも粘り強く努力をしていきたいというふうに考えております。
  230. 穐山篤

    ○穐山篤君 INFの問題について、長官の感想といいますか、御見解をいただきたいと思うんですが、先ほど長官も言われましたように、一九七九年十二月十二日、二重決定が行われまして、八一年の十一月三十日からこの制限交渉が開始をされたわけでありまして、非常に残念なことでありますが、いろんなことがあって、結局この交渉というのはソ連側の提案で打ち切り、中断というふうに見る人もあるかもしれませんが、打ち切りという印象が非常に濃いわけですが、この点についての御感想はいかがでしょう。
  231. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) ヨーロッパにおけるINF交渉に触れます前に、わが国の立場から考えまして、このSS20極東方面においても一貫して増強されてきておりまして、わが国の安全保障に深刻な影響を及ぼしていることはこれは事実でございます。私といたしましては、INF交渉がアジアを犠牲にすることなく、グローバルなべースでこのSS20を撤退ないし削減することを今日まで強く望んできたわけでございまして、その意味から申しまして、先般INF交渉がソ連によって一方的に中断されたというかっこうになったわけでございますが、これはきわめて遺憾だ、ソ連が一日も早く交渉のテーブルに戻って交渉を継続されることを強く期待をいたしておる次第であります。
  232. 穐山篤

    ○穐山篤君 今回、ソビエトが中断するということになりましたのは幾つかの要因があると思うんです。それは去年の七月に幻の合意というのがあった。ところが、いずれも本国政府の了承を得るに至らず、またやり直し制限交渉と、こういういきさつがあったわけでありますが、この十一月十四日にグリーナムコモン基地に巡航ミサイルが第一号としてイギリスに配備が開始された、それから十一月の二十三日、ラムシュタイン基地に九基のパーシングIIの搬入が開始された、そこで中断と、こういうことになっているわけです。  そこで、またもとに戻りますが、戦力の評価に違いがあるわけですね。片方では、潜水艦につけてあるミサイルの計算をしたり、飛行機に積んでありますミサイルの計算をしたり、また逆に言うと、古ぼけた潜水艦でもそれは一艦艇は一艦艇として計算をしたり、いろんな持ち込む材料の違いを十分に統一をしないままで話をしているわけです。ですから、お互いに、私が冒頭申し上げましたように、相手よりも優位性を保つためには常に増強という立場をとる。  だから、ソビエトにSS20を減らしなさいというならばそれでいけばいいわけですが、SS20を減らせという提案と同時に、パーシングIIだとか、あるいはいま申し上げましたような巡航ミサイルの配備をどんどんこれは計画だからやります、イギリスと西ドイツの核の保有の問題はこれはこの計算から外してもらいますというふうな話をしておったのでは、これは行き着くところは結局話はうまくまとまらぬ、拡大といいますか、核の過剰といいますか、過剰配備といいますか、そういうふうに発展をせざるを得ないわけですね。そのことを私どもは非常に心配をするわけです。  日本政府並びに防衛庁長官が、もう一度信頼を取り戻してテーブルに着いてほしい、なお極東における脅威というものがあってはならぬ、それはグローバルに問題を考えてほしい、こう言われるならば、もっと私は積極的に主張すべきだと思うんですね。少なくとも、核の問題について一応国連の場で決議というものはありました。あるいは軍縮の問題についての決議はありましたけれども、事SS20だとかパーシングIIだとか、そういうたぐいの話になりますと、アメリカとソビエト以外はくちばしが差し挟めない仕組みにいまテーブルが置かれているわけですね。このことをまた私どもも問題にしなきゃならぬと思う。  この核の使用によって起きますその影響というのは、アメリカ人が死んだり、ソビエト人が死ぬだけの話じゃないんですね。それ以外の諸国民に重大な影響を与える。この間、アメリカでテレビがあったそうですが、全くあれに似たような状況になるわけですね。先ほど申し上げました、日本に配備をしよう、あるいはされるであろうと思われますトマホーク、巡航ミサイルにつきましても、一基だけで広島原爆型の十五倍の威力を持っているわけです。  そういうことを考えてみますと、ただ客観的に見ているだけでは私は能がない話だと思うんです。そこで、国民国民としての反核運動もあるだろうし、あるいは軍縮決議を国連に持ち込むというふうな運動も一つでありましょう。そういうことを踏まえて、もう少しこれらの問題について、極東にSS20がたくさん配備をされるのは困る、肩がわりに極東に置かれるのは困るというふうなことだけではどうもこれは日本らしくない態度ではないかなと、こう思うんですが、長官、その点もう一遍お考えをいただきたいと思うんです。
  233. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) INF交渉がソ連の一方的な中断で現在とまってしまっておりますが、それに至る経過については、直接結果を生じました事柄につきましては、西ドイツ国会において二十時間余を超す審議の結果こういう問題があったように私は理解いたしますので、その中身について私がこの場所でちょうちょう申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じますが、少なくともアジア、極東におきまするSS20の配備の問題につきましては、私自身としてはグローバルな観点から対処するということをもってこの問題の一番重要な問題点であると、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
  234. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間が来ましたので、この問題につきましてもまた別の機会に質問したいと思います。  以上で終わります。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣にお伺いをします。  日本は私は法治国家だと思うんですが、大臣もそういうお考えでいらっしゃると思うんですが、どうですか。
  236. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 憲法に基づいた諸法令によって成り立っておる法治国家であると考えております。
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 法の綱をくぐるというのがありますね。これはいいことでしょうか。
  238. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 非常に悪い意味合いの表現として使われているのではないかと理解いたしております。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体よからぬことをするときに法の網をくぐるわけです。大臣もそのようにお考えだろうと思います。  最近、防衛庁、そういうことが多いのじゃありませんか。心当たりありませんか。
  240. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) いやしくも、国の独立と安全を確保せなければならぬという私は非常に崇高な任務を与えられておるのが防衛庁であり、自衛隊だと思っております。そういう意味で、常に自戒をしながら、防衛庁全職員、自衛隊の諸君に迫っておるわけでございますが、法の網をくぐるという表現に当たるかどうか別といたしまして、私といたしましては、幾つか、まことに申しわけない、気にかかる不祥な事件がありまして、これは私の責任において対処せねばならぬとみずから考えておるところでございます。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、いま大臣が心当たりの問題を私は問題にしているのじゃ全くございませんでして、いま私がこれから問題にしようとしております問題は、きょうはちょっと時間がございませんのでちゃんとできませんが、あしたやるつもりの問題をこれから問題にしようとしているわけであります。  それは、幾つかありますので順番にやりたいと思うんですが、安保条約に対する大臣のお考え、ちょっと一遍お伺いしておきたいと思います。安保条約が、日本の安全とか、そういうふうな問題にどういうふうな役割りを果たしているかという問題がありますが、安保条約に対する基本的な考え方だけで結構です。
  242. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 日米安保条約は、わが国の安全を確保し、さらにわが国を含めましたこの地域の平和のためにきわめて大事な条約である、こういうふうに理解をいたしております。
  243. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その考え、私も全く同じなんです。全く変わりません。  そこで、この安保条約から発生をいたしまして、日本国内には基地もありますし、いろんな問題があるわけであります。そこら辺の議論になりますと相当いろんな問題がありまして、現在私が申し上げたいことは、少なくとも日本にとってアメリカという国は現在の時点で言えばやっぱり不可欠のものである、そういうふうに言ってもいいと思いますし、それがアメリカにとって日本という、そういうふうな逆の考え方、日本にとってアメリカが不可欠であると同時に、アメリカにとっても日本が不可欠である、こうなくちゃいかぬわけですね。要するに、日本にとってアメリカは不可欠であると同時に、アメリカにとっても日本という国はやっぱり不可欠の関係といいますか、そういうふうな関係になければいかぬと私は思うんですけれども、これは大臣、どうお考えですか。
  244. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 日米両国の二国間関係は、安保条約を離れましても、今日、私は地上に存在する二国間関係の中で最も重要な二国間関係ではなかろうかと思っております。貿易総量がすでに六百億ドルを超しておりまするし、アメリカから日本を見れば大変大きな輸出先である、各種のものの輸出先でありまするし、日本からアメリカを見れば各般の投資を含めましてまことに大きな関係の国でありまするし、さらに、少しかたい話でございますが、自由とかあるいは民主主義という基本理念から考えてみましても、日米両国が国際政治の中で占める事柄も、これも非常に大きな意味合いを示しておるというふうに考えておりまして、日米両国はきわめて重要な、恐らく最も重要な二国間関係にあるのじゃなかろうか、こういうふうに判断をいたしております。
  245. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで、また安保条約に返りまして、安保条約という条約は片務条約だと大臣はお考えになっていますか。
  246. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 何をもって片務かということはむずかしいかと思いますが、もし仮にアメリカ側が日本に対してこの条約は片務条約であると断定するとなるとすれば、私はそうではない、こう言うであろうと思います。
  247. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣が片務条約ではない、そういうふうにおっしゃっていただければ私は非常に頼もしいわけでございますが、私の手元にあります資料によりますと、大臣の前の大臣、その前の大臣かもわかりませんが、やっぱり片務条約だというふうなお考えを持っていた大臣がいるわけですね、実際問題として。  そこで、大臣、私が先ほど一番初めに申し上げました問題でございますが、きょうは余り時間ございませんから詳しくやっている時間がないんですが、要するに、安保条約の第六条に基づいて地位協定というのができておりますね。地位協定の中でいろんな問題がいっぱいあります。  私の手元には、防衛庁長官をやった当時の——これは具体的に申し上げて、そのとおりですから隠す必要もないわけでございますが、金丸さんの「体験的防衛論」という、これは皆さんお読みになったと思いますが、この記事があるわけです。これを読んでみますと、要するに地位協定の問題がうたってありまして、地位協定のこれは二十四条一項の問題を取り上げて、「経常的経費は地位協定第二十四条一項で「米側負担」に該当する」、こういうふうになっておりまして、日本側が負担するということになってなかったわけです。  ところが、この問題について金丸長官はいろんなことを書いておりまして、この問題を本質的に解決する方法としては、「もちろん地位協定二十四条を修正することであろう。」。ところが、修正するためには「当然、国会承認が必要で、時間もかかる。」。これはうまいこといかぬというわけですよ。うまいこといかぬから何とか抜け道考えいと、こういうことですね。それで、「われわれは極秘のうちに、地位協定の思い切った柔軟解釈による、在日米軍に対する財政援助を実現する決意を固めたのであった。」、こううたってあるわけですよ。それで、その中身、どういうふうにやったかというのは、当時のいわゆる施設庁長官にこういうふうに命じて、こうしてああしてと詳しく書いてある。  法の解釈を、国会でもあかんといって決まっているものを何とか抜け道考えいと、そんなことで結局国の予算やそういうものが、防衛庁といういうところはそんなことをして運営されておるんですか。どうもこれはおかしいですな。もう少し正論でやっぱり堂々とこういう問題は解決すべきであって、私はこの問題の中身についてはあしたやるつもりにしておりますが、私はただ片務性というだけじゃなくて、毅然とした態度をアメリカに対してもとる。フィリピンみたいに基地をちゃんと提供しているわけですし、嫌なら帰ってもらいたいというぐらいの強い姿勢に出れば、アメリカも必要なんですから、ただ日本の国を守るというだけじゃなくて、それ以外でもアメリカ必要だろうと私は思うんですね。  そういうような意味では、私はただ単に、余りにもいわゆる来てもらっている、守ってもらっている、やってもらっているというふうな、こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、こじき根性ですな、これでは私はいざというときに日本の国を守ってもらえないのは当然。幾らきれいな言葉を言ったってしようがない。そうじゃなくて、やっぱり防衛庁ももう少しこういうこそくなことをやらないで——やったのかどうかはわかりません、それは確認していませんからね。そういうふうに、ここに書いてあるとおりであったのかどうかはわかりませんが、少なくともここら辺のいきさつをずうっと書いていますから、全く事実無根じゃないと私は思うんですよ。そういうところはやっぱり毅然とした態度でやるべきだし、対応していくべきだと私は思うんですけれども、長官、どうですか。
  248. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) 私は、基本的には安保条約第五条に基づくアメリカの日本防衛の義務が完璧に作動するかしないかは、一にかかって日本側のわれわれの防衛努力、国を守る防衛の決意というものにあるようにも考えておりますが、それは別といたしまして、この地位協定二十四条一項のお話がいま出ましたが、一項にかかわらず、二項に関しましても、実は現実の問題といたしましては常に国会へ予算御審議をいただく事柄で表にあらわれるわけでございますが、そこへ至るまでの間は実はずいぶんアメリカ側とは堂々の、それこそ対等の渡り合いをやりながら、われわれとしてはわれわれのできる範囲、それから向こうが持ってまいりましたいろんな要請に対しまして、われわれの財政の許す範囲の中でこちらが順位を決めるというふうなことに対しましてはあくまでも日本側の自主的な判断で行っていることは事実でございます。  それから、いま金丸元防衛庁長官の著書の内容につきまして御紹介がございましたが、そのあたりの経緯、それから国会質疑を通じました条約の解釈、こういった問題につきましては私が直接ここでお答えする立場にございませんので、それはお許しをいただきたいと思います。
  249. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大臣、お答えする立場にはないとしましても、行政というのは継続の原則というのがあるんですよ。大臣が、前の大臣やったことやからわしゃ知らぬでというわけにはいかぬのですよ。それは事実そうですよ。ですから、局長も同じです。施設庁長官も同じでしょう。だから、そこら辺のところはやっぱり明確にしてもらいたいと思うし、僕はこそくなあれでやってもらいたくない。これは、これだけじゃないんです。  もう一つ。十分でやめてくれと言われているからあれですが、もう一つついでに話しておきますと、国会でのいろんな論争が一つずつ一つずつなし崩しにされていくわけですよ。それもできるだけわからないように、できるだけこういうところでわからないようにそうっと、そういうようなのは僕はいかぬのであって、やっぱり必要なら必要で明確にぱしっとやる、そういうふうな姿勢かないといかぬと私は思うんです。  たとえば——たとえばという質問ではこれは困るわけですけれども、きょうの新聞報道によりますと、これは大臣じゃなくて結構ですが、「空中給油機の導入検討 航空自衛隊「59中業」で計画」ということで、これはずいぶん報道されておりますが、これはやっぱり相当、報道によりますと十二機程度を導入する計画を検討中であると、こういうふうに報道されているわけであります。これは導入する計画を検討しているのかどうか。検討する経緯や現在の検討状況、これはどうなっておるのか。一遍お伺いしておきたい。
  250. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この問題につきましては、別の機会にもお答え申し上げたことが防衛庁としてあるわけでございますが、現在防衛庁といたしましては空中給油機を持つことは考えていないわけでございます。  いま御指摘の新聞記事、私もけさ見たわけでございますが、どういう根拠で書かれたものであるかは私も承知をいたしておりませんけれども、この紙面にございます五九中業の問題でございますが、五九中業は現在全く作業をしておりません。昭和五十九年、来年の四月以降からこういった検討を開始するという予定になっておる話でございますので、この五九中業でどういうことを考えるかということ自体現時点では何も検討をしていないということを申し上げておきたいと思います。
  251. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは、そういうふうに答弁しないとしようがないでしょうね。現実の問題として、これは昭和五十三年の三月四日の衆議院の予算委員会提出した「F—15の対地攻撃機能及び空中給油装置について」という資料が私の手元に来ておりますけれども、この資料によりましても、これは最後の方——全部読んでいる時間がございませんので、最後の方ですが、「当面空中給油装置を使うことは考えていないが、将来の運用を配慮せずに現段階で同装置を取りはずしてしまうことは適当でないとの見地から、これを残置しておくこととしたものである。」。これはF伍の給油装置の問題であります。いずれにしても、そういうようなことから政府自身は現在のところこれは使うことを考えていないというふうな結論ですね。  したがって、こういうふうな問題も、もしそういうようなことをやるとするのであるならば、こそくなやり方はやめて、堂々とした論陣を張ってやっていただきたい。そうでないと、これはこういうふうな問題が一つずつなし崩しにされていくということはまことに遺憾である。私は、きょうはそのことだけ申し上げたいと思うんですが、これは大臣どうですか、私が言っていることについては。
  252. 谷川和穗

    ○国務大臣(谷川和穗君) いまの問題についてお答えする前に、さきの、私言葉足りませんでしたが、実は条約の解釈について立ち入りたくないと、こういうことでああいう答弁を申し上げたわけでございますので御了承いただきたいと思います。  なお、ただいまの空中給油の問題につきまして、現時点では私の責任において答弁いたすわけでございますが、答弁できるわけでもございますが、考えておりません。
  253. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  254. 高平公友

    委員長高平公友君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後六時十分散会