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1983-10-19 第100回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月十九日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十月十四日     辞任         補欠選任      松本 英一君     村沢  牧君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         赤桐  操君     理 事                 鈴木 省吾君                 仲川 幸男君                 粕谷 照美君                 原田  立君     委 員                 浦田  勝君                大河原太一郎君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 高木 正明君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 吉村 真事君                 村沢  牧君                 服部 信吾君                 内藤  功君                 田渕 哲也君                 野坂 昭如君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  加藤 六月君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      田中  暁君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        国土庁長官官房        審議官      守屋 友一君        厚生省社会局施        設課長      近藤純五郎君        林野庁指導部治        山課長      今村 清光君        水産庁振興部振        興課長      守矢  哲君        気象庁観測部参        事官       河村あたる君        建設省河川局河        川計画課長    西原  巧君        建設省河川局治        水課長      玉光 弘明君        建設省河川局開        発課長      志水 茂明君        建設省河川局防        災課長      狩野  昇君        消防庁防災課長  清野 圭造君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和五十八年台風第十号に関する件)  (昭和五十八年三宅島噴火に関する件)  (火山噴火予知に関する件)     ─────────────
  2. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、松本英一君が委員を辞任され、その補欠として村沢牧君が選任されました。     ─────────────
  3. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。仲川幸男君。
  4. 仲川幸男

    仲川幸男君 去る十月十七日、赤桐委員長鈴木理事粕谷理事服部委員内藤委員田潮委員野坂委員と私、仲川の八名は、昭和五十八年三宅島噴火による被害実情調査を行いました。  以下、派遣委員を代表して調査概要について報告いたします。  面積五十五・一平方キロメートルの三宅島は、島全体が一つの火山からできており、過去にも十数回の噴火を繰り返しております。しかも地盤が玄武岩質のため地質的にももろいところが多く、そこから割れ目噴火しやすいのが特徴で、昭和に入ってからも十五年、三十七年と、ほぼ三十年に一回噴火が起きております。  ところで今回の噴火は、十月三日午後三時三十三分、島の中央にある雄山の南西約二キロの中腹の通称二男山から新鼻に至る地点で噴火し、多量の溶岩火山灰が噴出しました。あふれ出た溶岩は、島の南西部を襲い、山林を焼き、畑を埋め、道路をふさぎ、島最大集落である阿古地区に流れ込み、同地区家屋の約八割に当たる四百棟余りを焼失するなど、壊滅的な被害をもたらしたのであります。  また、噴き上げた火山灰は、東南部坪田地区中心に降り積もり「農地約三百ヘクタール、山林約一千ヘクタールに甚大な被害を与えたのであります。  さらに、島を一周する道路が各地で寸断されたほか、水道施設破壊農林漁業被害などが相次ぎ、被害総額は、東京都の発表によりますと、十日現在で約三百十七億にも及んでおります。  こうした被害の発生に伴い、東京都では直ちに災害救助法を適用するとともに、都及び三宅村では三宅島噴火災害対策本部を設置し、島民をいち早く安全な小・中学校等に避難させるとともに、当面の応急対策に全力を注いだのであります。  また、二次災害が心配された火山灰も、自衛隊等の協力を得て、除去作業がひとまず終わり、応急仮設住宅建設も始まったところであります。  この結果、調査時点では、応急的な復旧作業はかなり進んでおりましたが、被災者は家を失って避難所での生活を余儀なくされており、本格的な生活再建への課題は今後に残されております。  われわれ調査団は、まず上空から今回の噴火状況並びに被害の実態を調査いたしました。噴火後から二週間もたっているとはいえ、まだ白煙が立ち込める黒褐色の溶岩のかたまりは、当時の噴火すさまじさを改めてほうふつさせるものがありました。特に西部の阿古地区は、溶岩によって集落がほぼ埋めつくされており、四百棟余り住宅が跡形もなく消え去り、大自然の破壊力にはまさに荘然たるものがありました。野鳥の楽園と言われた緑の三宅島も降灰によって全体が茶色に汚染し、今回の噴火が島に与えた影響ははかり知れないものがあります。  三宅支庁での被害状況説明聴取を終え、今回の噴火による最大被害地である阿古地区を視察いたしました。  硫黄の悪臭が立ち込め、熱気を帯びた現場は、溶岩によって家屋、樹木が文字どおり溶かされたと言ってよく、今回の噴火すさまじさを端的に物語っていました。溶岩流で埋まった阿古地区道路のうち、火山灰被害を受けた坪田地区へ通じる海岸沿い東回り道路は開通のめどが依然立たず、山側は溶岩流の上をブルドーザーで平たんにして仮設道路が設けられておりました。これによって阿古錆ケ浜周辺被災を免れた家にはひとまず仮泊が可能となりました。今後は、被災住民中心とする集団移転が現実的な課題となると思われます。溶岩で埋まった住宅地の買い取りなどを含め、被災者生活再建へ向けての地方公共団体等の積極的な取り組みの必要性を改めて痛感したわけであります。  次いで三宅体育館避難所を視察しました。ここ伊ケ谷地区では、体育館中心に現在三百六十二人が避難生活を続けており、入浴も洗濯も満足にできない不自由な生活を強いられております。ちょうど調査団が訪れた十七日にようやく炊事場、浴場などの施設ができ上がったということであります。当面は応急仮設住宅建設を急ぐ必要がありますが、神着地区建設を予定している五十戸分は、内装と給排水等を残しており、今月中には入居できる見込みであります。また、阿古地区に予定している仮設住宅三百二十戸分は、用地になっている二・五ヘクタールの山林の伐採が今月中には終わり、十一月中には入居の見込みとなっておりますが、寒さに向かう折から、一日も早い完成が望まれます。  次に、今回の視察を踏まえて、今後の対策となる事項を以下申し上げます。  第一は、復旧対策の促進と被災者生活再建であります。  関係者の懸命な復旧作業により、復旧対策は着実に進んでおり、現地災害対策本部も十四日には三宅島復興対策推進本部に切りかえられ、今後は、いままでの応急対策から本格的な復旧対策が推進されようとしております。しかし、生活再建へ向けて解決しなければならない難問が山積しております。特に水の問題は深刻であります。大路池を水源としている神着、伊豆、伊ケ谷地区では水道管が壊れ、いまだに給水車に頼っております。そのため、道路上に仮設水道管を敷設する作業が始まってはおりますが、完成には今月いっぱいかかる見通しであります。また住宅も、応急仮設住宅使用期限が二年となっておるため、真剣にその後の対策を考える必要があると思います。その他、道路寸断個所早期復旧、特産のキヌサヤエンドウ中心とした農地復旧等懸案事項が山積しておりますが、被災者援護対策を初め、生活再建へ向けて関係者の一層の努力の必要を痛感いたしました。  第二は、激甚災害指定であります。  これは東京都も要望しているところでありますが、復旧事業については、通常の風水害災害と異なり、多額の経費がかさむものと見込まれます。普通交付税の繰り上げ交付とともに激甚災害指定等措置早期にとる必要があります。  第三は、火山噴火予知体制強化であります。  三宅島では昨年暮れから正月にかけて噴火の前兆と見られる有感地震が頻発、東京防災会議調査委員会からも噴火可能性を予測されてはいましたが、結果的には予知し得なかったのであります。噴火予知は技術的には困難なものと思われますが、一度噴火した際の住民生活への影響の大きさは、今回の三宅島の例を見るまでもなく、はかり知れないものがあります。来年度から第三次火山噴火予知計画がスタートし、三宅島観測体制強化されることになっておりますが、今度の噴火を大きな教訓として、今後の監視体制強化火山現象の研究に国は力を注ぐべきであります。  第四は、避難体制の一層の整備であります。  今回の噴火では、溶岩が一集落をのみ込んだにもかかわらず、人的被害は皆無でありました。住民村当局の日ごろの努力と訓練のたまものであると心から敬意を表します。しかし三宅島は、今後なお爆発の危険性を有する島であります。そのためには、いざというときに素早く避難できる道路とともに、車、船等施設を用意する必要があります。噴火予知が確立されるまでには長い年月がかかります。それまでの期間は、活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備地域指定を早急に行い、必要な避難施設整備を急ぐ必要を痛感するところであります。  以上、調査概要について述べてまいりましたが、最後に、被災地が一日も早く復興することを心から念願いたしまして、簡単ではありますが、御報告を終わります。
  5. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 私は、台風十号による災害について質問いたします。  九月二十八日に発生した台風十号による被害は、三十九府県に及んで、死者は三十八名、行方不明六名を初めといたしまして、被害総額は四千億円に達しております。  ここで罹災をされた皆さん方に心からお見舞いを申し上げるところであります。  とりわけ長野県の被害は大きく、死者八名、行方不明一名、住宅被害は一万一千余戸、この人的、住宅被害を別といたしましても、土木農林その他で、被害総額は一千五百億余円を超えている打撃を受けています。いま、県や市町村はもとより、関係者災害復旧生活基盤確保に、日夜、奔走努力をしているところでありますが、政府の大幅な財政援助早期復旧災害防止対策の充実が強く要望されております。災害後、加藤国土庁長官みずから、また、建設省高秀技監を団長とする調査団を派遣いたしまして、現地調査し、指導していただいたことには心から敬意を表します。  私は、以下数点について質問いたしますが、政府調査をしておりますので、率直な、前向きな答弁をいただいて、住民の不安を取り除くよう最初にお願いをしておきます。  まず、最も要望の強い激甚地指定について国土庁長官に伺いますが、十号台風について激甚災害法発動局地激甚地指定天災融資法発動について、現段階における見通し並びに政令公布の時期について明らかにしてください。
  7. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 台風第十号は、先生おっしゃいましたように、三十九府県に及び、四千何億の被害を出した数字は把握いたしております。現在、関係省庁におきまして、これらの被害状況を鋭意調査中でございまして、残念ながら、きょうこの席でこうこうと思いますということを申し上げられないのを大変残念に思うわけでございますが、また、そこはその関係でいろいろ勉強していただいておる村沢先生でございますので、御理解いただけるんではないかと思うわけでございます。  第二点の政令公布の時期ということでございましたが、そういう前提がございますので、これまた確たる時期ということを申し上げかねるわけでございますが、従来からの慣例その他を考えますと、発災後おおむね二カ月で政令公布を行っております。今次災害につきましても、先ほど申し上げましたように、調査を大急ぎで急ぎましてその結果を待って速やかに所要の手続を進めたい、こう考えておるところでございます。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 農水省に聞きますが、農地農業用施設について、現在まで府県から報告のあった被害金額幾らになるのか。また、従来の例に照らしてその査定見込み額はどのくらいになりますか。
  9. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 台風十号によります農地農業用施設被害でございますが、十月十七日現在で都道府県から報告のありましたものを取りまとめてみますと、約五百七億円になっておるわけでございます。これにつきまして現在鋭意査定に入っているわけでございますが、査定見込み額につきましては、まだ調査未了の都府県が多うございまして、全体の三十四県中十五県ほどがまだ数字が精査されておりません。したがいまして、現段階で確実な数字は言えないわけでございますが、現段階での推計では大体二百数十億というような段階に来ていようかと思っております。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 激甚災害指定基準に照らして農地農業用施設、林道のA基準B基準はどのくらいになりますか。
  11. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) A基準につきましては、先生御承知のとおり、査定見込み額が全国の農業所得推定額の……
  12. 村沢牧

    村沢牧君 金額でいいです。
  13. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 百分の〇・五より大きいということでございますが、大体二百五十億前後がA基準になろうかと思っております。それから、B基準でいいますと、査定見込み額ベースで七十五億円という形になっているかと思います。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 法に照らして、指定基準A基準で二百五十億、B基準で七十五億、AでもBでも対応は同じなんですね。農林省のいまの報告は大体五百億、従来の例からいっても査定率はそんなに落ちない、落ちても六割、半分以下になるということはめったにないわけです。したがって、六割とすると、いま二百数十億という答弁であったんですが、三百億ですね。その基準よりこれはオーバーしているんですね。当然これは激甚地指定になる。しかし、農林省はそういうことは承知しておっても、農林省が言う立場ではないから言うことができない。国土庁長官、この現実はひとつ御理解できるわけですか。
  15. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私も、被害は最小限少なければ少ないほどいいという気持ちと、実際台風が過ぎ去った後出てくる被害数字を見た場合には、その基準A基準B基準をにらみながら被害はどうなんだろうかなというときには大きい方がいいような、まあ率直に申し上げまして一喜一憂、出てくる数字に対していたしておるわけでございますが、いまのあたりの数字をじっと一生懸命にらんでおるところでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 長官がその立場で各省庁から数字を取り寄せている段階ですから、いまお聞きのとおり私は、農林災害については激甚指定になる、このように判断するわけですよ。長官も、そういうふうになりますとは御答弁できないというふうに思いますけれども、御理解はいただいたというふうに思いますから、ぜひ農林省報告を率直に受けて前向きに取り組んでいただきたい、そのように期待をしております。と同時に、私は農林については激甚地災害指定見込みは十分だと申し上げますが、反論ありますか。農林省、反論ありますか。
  17. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在、災害金額等について精査しているところでございまして、数字がまとまり次第取り組みたいと思っております。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、そのように私は受けとめておきますので、よろしくひとつお願いします。  次に、私の調査によれば、公共土木について局地激甚地指定基準に該当するであろうと思われる町村が相当数あるわけです。政府としてもこうした町村調査を急いで、早急に指定すべきであるというふうに思いますが、長官のお考え方はどうですか。
  19. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) お説と同じ考え方でございます。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひ本激に指定してもらうことが一番望ましいけれども、それが基準に該当しないというふうなことがあっても局地激甚地には指定をして救済をしていく、その対応をひとつ急いでいただけるようにお願いしたいと思います。  それから、災害査定はいつから実施し、いつまでに完了するのか、これは建設省農水省それぞれから答弁してください。
  21. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 災害査定につきましては、事業主体準備が整い次第、順次実施しまして、十二月上旬には全部完了することを目途に、鋭意努めておるわけでございます。  なお、一番激甚でございました長野県につきましては、早速十月十一日から緊急査定実施しておりまして、ピッチを早めておるところでございます。
  22. 狩野昇

    説明員狩野昇君) お答えいたします。  建設省所管公共土木施設につきましては、緊急査定につきましては十月下旬からを目標にいたしております。十二月中旬までにすべてを完了させるという予定で現在進めております。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 農林省は十二月上旬に、建設省は十二月の中旬に査定を完了する。査定が終われば復旧工事を急がなければならない。農業関係は明年の植えつけまでに完成する必要もあるわけなんですよ。道路にしても、また河川にしても早期復旧をして、生活基盤確保や民生の安定を図らなければならないというふうに思います。また同時に、災害復旧工事景気浮揚にも役立つわけなんです。したがって、災害復旧の三、五、二の復旧基準にとらわれず、一昨年は六〇%、昨年は七〇%を初年度復旧したというこの実績にかんがみまして、本年度災害復旧についても実施率を高めるべきであるけれども、大臣はどのように考えますか。
  24. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 本年も、これまでに日本海中部地震、そして七月の豪雨災害、五号、六号、十号、そして三宅島噴火と、こういうように災害が相次いで発生いたしておるところでございます。そこで、被災地の方々の民心の安定を図り、また二次災害防止するため被災個所早期復旧を図ることは緊急であり、きわめて重要であると考えておるところでございます。  そこで、財政事情は非常に厳しい中ではございますけれども、本年災についてもいわゆる前倒し執行が図られるように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 前倒し執行するということは、昨年並みの復旧率に持っていきたいというふうに理解してよろしいですか。
  26. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) そこまでまだ——本年度公共事業前倒しは昨年度に比べて五%低いわけです。そういう問題等も加味しながら、去年打ちました前倒し執行率をにらみながら図っていかなくてはなりませんが、まだ全体的にそういうところまで、固めるところまで至っておりませんが、先ほど申し上げましたように、努力をいまいたしておるところでございますというところで御理解をいただきたいと思うわけであります。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、災害復旧基準である三、五、二の比率にとらわれずに、いままでの実績にかんがみて、もっと復旧率が高まるようにしていくということですね。これは理解しておきます。  さてそこで、実施率を高めるということは、当然予算との関連が生じてくるわけなんです。本年度は、十号台風以前にも大きな災害が幾つも発生しておる。その後三宅島の大災害が出ている。したがって当初予算予備費では対応できない。補正予算を組む必要がありますけれども、大臣見解はどうか。また、政府としてはどういう対応をしており、これからしようとしているのですか。
  28. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 補正予算につきましては、今後の財政需要等見通しを見きわめなければならないので、検討すべきものであると考えております。そして、どうなるにしましても、先ほど申し上げましたように、被災地早期復旧、二次災害防止を図る上でも災害復旧事業はきわめて重要な問題であると考えておりますので、その円滑な実施確保されるように十分配慮してまいりたいというところでございます。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の御答弁は非常に慎重で、どこかもう一言おっしゃることが足らないような気がするのです。これだけの大災害が発生して、後ほど質問がありますように三宅島も何とかしなければならない、そうすると、どうしてもこれは補正予算を組まなければできないでしょう。どう思います。組まなければ、幾ら国土庁長官が七〇%復旧しますと言ったって、予算が伴わなければだめだし、その辺について大臣見解はどうなんですか。これから対応することですけれども、大臣のお考えをひとつ述べてください。
  30. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 予備費関係その他もにらみながらいままでいろいろ勉強してきたところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、追加財政需要見通しを早く立てる、それは災害復旧を含むほかの要素もあるわけでございます。そこら辺を配慮しながら、災害前倒ししなくてはならないという先ほどお答えしました立場に立って、鋭意努力いたしておるところでございますので、よろしく御理解いただきたいと思うところでございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の意のあるところはひとつ理解しておきましょう。  そこで、農林関係について一、二伺っておきますが、耕地や農業用施設災害については、明年の農業生産に支障を来さないように復旧しなければならないが、どうか。また、天災融資法の適用に前向きに取り組むとともに、自創資金その他の融資についても要望があるけれども、これにこたえるようないま準備をしておるのかどうか。さらに、共済金早期支払い要望が強いわけでありますけれども、どのような指導をしておるのか。  以上三点について質問します。
  32. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 天災融資法発動につきましては、被害実情なりそれから資金需要の動向、こういうものを見きわめる必要がございますので、目下その調査把握に鋭意努めているところでございます。いずれにいたしましても、被災農家営農資金を円滑に手当てするということが農政として最緊急事態でございますので、被災農林漁業者に対しましては、農林漁業金融公庫主務大臣指定施設資金でございますとか、いま先生御指摘ありました自作農維持資金、こういういろんな手だてがございますので、こういうものをフルに回転できますよう、いろいろと現地指導なり相談に応じているわけでございます。特に自作農維持資金につきましては、現在、枠としまして、災害プロパーで百三十五億ほど枠がございまして、これはほとんどまだ留保している段階でございますので、一日も早く被害実情、それから資金需要というものを把握して対処したいと思っておるわけでございます。  それから農業共済金でございますが、農業共済制度はまさしくこういう災害対応する制度でございますので、一刻も早く共済金支払いをいたしたいということで、十月十二日付で当方から通達を出しまして、早期支払いのための損害評価適確実施につきまして現場を指導しておるところでございますので、一日も早く支出したいと思っておるわけでございます。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 最初の質問の農地農業用施設復旧について。
  34. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 失礼いたしました。  これからの営農の安定を図るためには、やはり一日も早く災害復旧を急ぐことが必要でございますので、先ほど国土庁長官からも御答弁ありましたように、災害復旧率につきましては、前年、前々年とああいう特例をやっていただいておりますので、そういう方向で関係財政当局とも相談を煮詰めていきたいというふうに思っております。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 次に、治山事業について伺います。  十号台風による山地の崩壊が非常に大きなものがあるわけですが、林野庁は現在緊急治山の査定中であるというふうに聞いておるわけですけれども、府県から申請をして上がってきた個所についてはいずれも緊急性のあるもので、府県がしぼって上げてきたのですから、林野庁の査定の中では、この申請をされた個所については全部を認めていくべきだと、こういうふうに思いますが、どういう対処をしますか。
  36. 今村清光

    説明員(今村清光君) 今回の十号台風では、御指摘のように、大変林地の崩壊が発生をしております。そのうち、次期の降雨等で直接人家あるいは公共施設に害を発生するような、再度災害を起こすおそれのあるようなところにつきましては早急に緊急治山事業で対応するということで、現在、関係府県と協議を詰めております。先生御指摘のように、各府県の方で現地調査をして持ってまいったものでございますので、当然それは十分尊重しながら、そういった緊急性について詰めまして、日程としては今週中には協議を終えるというようなことで進めておる段階でございます。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 協議は早急に進める必要があるけれども、私が指摘をしたのは、府県から上がってきたのはかなり府県もしぼってきていますから、ここで皆さん方がまた個所を減らしちゃいけない。ですから、皆さん方も大体の予算を示したのだから、それは認めていくように強く要望しておきます。  次に、十号台風被害の特徴として一級河川に関連する被害が非常に大きいわけですけれども、このことは降雨量が多くて降り方が急激であったからやむを得ない、こんなことで済まされない多くの問題点を含んでおるわけなんです。そこで、私は長野県で発生した具体的な災害について幾つか伺いますが、そのことは単に長野県だけの問題でなくて、全国的な河川の現状でありますから、ひとつ前向きな答弁を最初に要請しておきます。  まず、千曲川の堤防決壊についてでありますが、今回の災害によって全国に名だたる千曲川の本堤防が飯山市で三カ所も決壊して、津波のような濁流が住宅地を襲って、七百余戸の浸水、一千ヘクタールに及ぶ付近一帯は泥の海となったわけです。建設省調査団現地を見ておりますから、その惨たんたるものは御承知のとおりだというふうに思います。  千曲川は、昨年も今回の災害地点よりやや上流の右岸支流の合流点がはんらんをして七百戸が二階まで水浸しになるという災害を受けて、現在復旧工事が進められています。右岸の堤防を完全にすれば旧堤防の左岸がやられる。また、上流の堤防を改修すれば下流の低い堤防がやられる。これはこの土地の立地条件から見て、素人目にもわかることなんですね。昨年の教訓を生かして左岸や下流の堤防を補強しておったならば、改良工事を促進しておったならば今回の災害は起こらなかった、そのように私も思うのです。  建設省は、千曲川堤防決壊の原因をどういうふうに考えますか。また、どのように復旧工事を進めていこうとするのですか。
  38. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 御指摘の千曲川の直轄区域の災害でございます。  このたびの出水によりまして、その近くに立ケ花水位観測所がございますが、この記録で、昨年、既往最高を出したわけですが、それをさらに上回る水位となりました。雨量におきましても流域平均で昨年を上回っております。二年続けて非常に大きな雨が降ったわけでございます。これによりまして、いま御指摘の飯山市の左岸側の戸狩地区、右岸側の柏尾地区が破堤したわけでございます。  この地区につきましては、実は大正十年に堤防を築堤されたものでございまして、現在、基本計画を持っております水位に比べまして、計画高水位に比べまして堤防の高さは一メートルばかり低いところでございます。そういうところでございますので、昭和五十三年度よりこの地区を計画どおりに改修すべく用地買収等を行った矢先でございまして、残念ながらオーバーして被堤したわけでございます。その付近に樽川がございまして、これ昨年あふれましたが、この地区につきましては激特事業で急ピッチで補強をしまして、何とかことしもてた。水防もやりましたが、治まったということでございます。ただし、その下流がさらに昨年を上回る出水でやられたわけでございます。  これに対しまして、この復旧でございますが、ただいま直ちに復旧いたしておりまして、元堤防高まですでに復旧しております。これに続きまして、この地区を改良すべく、改修計画に合わせまして、一連区間につきまして早急に改修計画を立て、改修を実施したいというふうに考えております。  千曲川の改修につきましては、大正十年ごろから直轄で改修を始めております。それで、最近では四十九年に工事実施基本計画を改定しまして現在のものになっておるわけでございます。この計画に合わせまして、河川、非常に長い区間でございますが、それぞれの地区の安全度のバランスをとりながら順次補強を、改修を進めているところでございます。  以上でございまして、今後ともできるだけこういうバランスをとりながら改修を進めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろ答弁があったわけですが、要するに千曲川の基本計画を見ても、今回決壊した地域は堤防を二・五メートルも上げなきゃならないということになっておるわけですね。それを怠っておったからやっぱり水がついたんですよ。雨が多過ぎたとか急に降ったとか、それは弁解にならない。ですから、そういうことはやっぱりはっきり認識をしてもらいたいと思うのですね。  それから、この災害復旧については、これは激特事業でやるわけですね、どうですか。それだけでいいのです、やるかどうか、激特になるのか。
  40. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 御指摘のように、激特事業でやりたいと思っております。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 災害を受けた個所については特別対策事業で改良を含めて恒久対策を講じていく、それは結構だけれども、しかし千曲川にはいつ堤防が決壊しても不思議でないと思われる個所が随所にあるわけなんですよ。四十九年に樹立した千曲川改修基本計画の進捗率は現在三〇%にも達しておらない。したがって、災害の後追いだけであって、ちっとも抜本的な対策になっていないわけですね。ですから、やっぱりこうした河川についてはもっと、まあ水位も上回ったんですから、計画の見直し、抜本対策を立てなければならないというふうに思いますが、その方針について伺いたいというふうに思うんですが、私は幾つかの点について質問しますので、ひとつ、現状については私十分知ってますから、現状の説明要らないんですから、率直に答弁してください。
  42. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) いまいろいろ御指摘ございましたが、確かに本破堤個所につきまして計画どおりにでき上がっておれば破堤とか溢水はなかったわけでございます。そういうことで、先ほども申し上げましたが、いろいろな改修すべき地域がありますが、それの安全度、それから効果等を考えながら順次順序を追ってやっているわけでございます。  千曲川の改修率につきまして、いま御指摘のように非常に低いわけでございますが、全国平均に比べて必ずしもそう低い数字でもございません。大体並みぐらいにいっていると私たちも思っております。改修率につきましては、当面、戦後最大というのを目標にしまして全国でやっておりますけれども、この改修率が現在五九%というようなところでございますし、今後これを仕上げるためにも相当な時間と労力と予算がかかるものと思っております。それを効率的に少しでも効果を上げるようにやってまいりたいと考えているわけでございます。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ抜本的対策にも何にもならないじゃないですか。  この災害について、与党のある有力議員が建設大臣にぜひ何とか基本的な対策を立ててもらいたいという要請をしたときに、建設大臣は、「特に千曲川について、その重要性などから堤防、えん堤など総見直しをし水系全体の抜本的な対策を立てることにした」、こういうことが新聞に報道されているんですね。課長、その答弁できないというふうに思うんですが、いいですか、そういうふうに理解して。
  44. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 河川の区域全体に当たりまして、先ほど申しましたように、いろんな改修すべき個所もございます。それを十分見直しておるということは申し上げたいと思います。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、建設大臣がこういうことをおっしゃったが、これ何か建設大臣のひとりよがりのことですかね。大臣がせっかく言ったんですからね。私は真意知りませんよ、新聞報道ですから。きょうは時間がありませんから、こういうふうに大臣がおっしゃっているんだから、千曲川の抜本的対策についてどういうふうにするのか、後日ひとつ示してください。いいですね。そういうことを要請しておきますよ。  そして次は、千曲川にこんなに毎年災害が発生するということは、危険個所がたくさんある割合に比較して事業費が非常に少ないということなんです。基本計画を達成するためには一千億以上も必要だと言われるけれども、本年度改修費は十四億二千万、これでは千曲川の堤防は百年たったってよくならないですよ。千曲川下流の信濃川の改修は本年度六十四億七千万、同じ流域の河川でありながら下流の方ばっかり金が流れているんじゃないか。うがった見方をすれば、いま政治的な混乱を招いている元総理の力が強いからこっちの方へ金がいくんだというふうなことを地元の人が言っているわけですね。こんなことがあっちゃいけないですね。  それで、このように毎年災害を受け、しかも改修のおくれている千曲川の工事を促進するために、やっぱり予算は増額すべきだというふうに思いますが、建設省の誠意を示してください。
  46. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) ただいま千曲川上流が十四億、下流が六十四億七千万、こうおっしゃいましたが、これは本年度予算でございます。一概に十四億と六十四億を比較するわけにもまいりませんし、その上流、下流それぞれ分担した区域がございますが、それの今後やるべき事業もございますし、その背後地の効果等もありまして、それぞれの上流、下流バランスのとれた予算配分をしようということでやっておるわけでございます。  以上でございます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 そんな答弁聞いたんじゃなくて、予算は増額しなさいということなんですよ。結論だけ言えばいいんですよ。そんなつべこべ言わぬでもわかっているんですよ。
  48. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 千曲川の上流で十四億と申しましたが、この上流につきましてはその前年度と同等の予算になっております。ちなみに全国の改修費の予算を申し上げますと、昨年からことしにつきまして直轄改修費は二%の減でございますが、そういうものに比べまして、何とか少しでも予算を回したいということで千曲川上流の促進を考えているところでございますし、今後ともこういう災害にかんがみまして、努力したいと思っております。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひそういうふうにしてください。  何回も要請しておきますけれども、結論だけ言ってください。お願いします。  次は松代温泉団地について伺いますが、千曲川沿岸の長野市の松代温泉団地はことしも三百五十余戸が床上浸水した。一昨年あるいは昨年に引き続いて三年連続の被害なんです。しかも年々被害が大きくなってきておるのです。この地域は、千曲川の本流の水が支流の蛭川という川に逆流することを防ぐために、洪水期には千曲川と蛭川の合流点にある水門を閉じてしまう。したがって、支流の水が流れるところがないから地域にはんらんすることは当然のことなんです。これは支流から千曲川へ排水をするポンプはあるけれども、毎秒〇・五トンぐらいのわずかなもので、とても数十トンと流れてくる水をはき切れたものじゃない。この地域については、一昨年、私が災害対策委員長のとき当院災害対策委員会が現地調査をして、この積極的な対策をすべきだという政府に要請をしている。その後、長野市長からこの地域の改良について請願が出され、当委員会ではもちろん全会一致で採択をし、本会議でも採択をしておる。国会の意思は尊重してもらわなければ困りますね。ところが、建設省が国会の意思を尊重せず、まじめに取り組んでいないから、毎年このような災害が発生しているのです。千曲川支流のこの蛭川に十五億円も改修費をつければ災害防止することができると、これは長野河川課は言ってるんです。建設省はどういうふうに対処しますか。
  50. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 御指摘の蛭川でございます。この河川につきましては、現在三十五年から中小河川改修でかかっておりまして、水門を設置し、さらにその上流で河川を改修するということで進めておりまして、現在下流から一キロばかり完成しておりまして、その上にちょうど山つきの個所がございまして、ここを開削して改修を進めようとしておるわけでございます。ところが、ここがいろいろ用地問題等がもめまして、鋭意やっているのですが、ここから水があふれまして、蛭川の水があふれまして低地に入ったわけでございます。したがいまして、この改修につきましては、一刻も早くこの蛭川を改修するということでございます。いま御指摘がありましたが、この現地の改修ができるという状況に従いまして、十分に対処していきたいと考えております。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 用地問題等あるでありましょうが、県や市で解決したら、要求する予算についてはぜひ満額つけてください、要請しておきますよ。  次は諏訪湖です。  諏訪湖がはんらんして三千二百世帯に及ぶ浸水と五百余町歩の耕地が冠水したわけですね。ここも三年連続の災害なんです。住民はやる方ない思いをしているのですね。諏訪湖からの水の流れ出るのは、釜口水門というのがあって、そこを起点として天竜川に出るわけなんです。今回上流の中小河川から毎秒八百トンの水が諏訪湖に流れ込んだけれども、この釜口水門から天竜川へ放水できる水量が二百トン程度、こういう状態です。これでは湖水がはんらんすることもまた当然のことなんです。現在、毎秒六百トン程度放流ができる新しい水門を五十四年から建設中であり、六十二年までには本体工事が、六十五年までには関連工事が完成する予定だと聞いておりますけれども、毎年災害を受けておるこの地区の市民はとても六十五年まではがまんができない。したがって、この工事の促進を図るべきであるが、どうか。  次に、この水門が完成しても、同時にこの水門から下流の天竜川の改修を行わなければ六百トンの水は放流できない。六百トン、水を放流したら、下がまた大変なことです。したがって、水門の完成とあわせて改良工事を急がなければならないが、その計画はどうなっているか。  第三点目は、諏訪湖に流入する中小河川災害復旧あるいは改良工事はどのように対処をしておりますか。  以上三点について。
  52. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) まず釜口水門でございまして、諏訪湖の出口に位置しているわけでございますが、大変老朽しましたので、これの改築を行うということで五十四年度から着手しております。完成を一応六十三年度と見込んでおります。ところが現在の能力が、いま御指摘のように、現況では毎秒二百トンでございます、流す能力でございますが。新しいものは六百トンを流すということを目標にしております。  ただし、二番目の質問でございますが、これにつきましては、下流が六百トン対応の流下能力を持たなければいけません。この方の促進を急ぐということで、下流の改修を鋭意急いでまいりたいというふうに考えております。  また、第三番目の諏訪湖に流入する河川の処理でございますが、今回河川からもあふれておりまして、角間川でございましたか、それから宮川、これにつきましては災害復旧助成事業及び関連事業でございます。こういうものと、それから島崎川の下流につきましては改修費でございますが、激特事業を考えまして、それらを一緒にしまして改修を進めたいというふうに考えております。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 その水門から下流の改修を急いでいくということでありますが、当然急がなきゃいけませんが、この水門が完成するまでにやらなきゃいけないわけですね。その計画を現在お持ちですか。また、考え方を持っているというふうに思いますが、きょうはここで治水課長に御答弁願っても時間もかかりますから、これはまた後日、ひとつはっきりした計画を示してくださいよ、よろしいですね。  次のもう一点です。天竜川の川路、龍江地区及び松尾地区災害について伺います。  この地区は三十六年災害で大被害をこうむり、その後防災工事が完了したところでありますが、今回また天竜川のはんらんによって、川路地区農地が百ヘクタール、その他の農業用施設、人家について三十六災を上回る大被害を受けた。やや上流の松尾地区では五十ヘクタールの冠水、人家、事業所が百戸以上の災害を受けておるわけです。これは大臣調査をなさっておるところであります。このような被害が発生することは、下流にある中部電力のダムによる影響が大きい、地元の住民はそのように受けとめてダム撤去の住民運動も起こっておる。このダム問題についてはいずれまた改めて質問をいたしますが、建設省はこの地域に対して恒久的な対策を立てなければならないということを認識されて計画策定中であるというふうに聞いていますが、いつその計画を発表するんですか。またその対策の骨子はどういうことなんですか。また、上流の松尾地区災害復旧防止対策工事はどのように進めていきますか。
  54. 西原巧

    説明員(西原巧君) 天竜川の川路、龍江地区の恒久対策につきましていつごろ発表するかという御質問でございますが、それにつきましては、現在種々検討中でございますので、できるだけ早く、近いうちに発表いたしたい、こういうことでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 近いうちということですが、十一月中というように理解していいですか、あるいは年内ということの理解ですか。それとまた、どういうことをするのか、その骨子について説明できますか。簡単でいいです。
  56. 西原巧

    説明員(西原巧君) 時期につきましては、年内ということにいたしたいと存じております。  内容につきましては、先生、現状はもう非常によく御存じでいらっしゃいますので、おわかりと思いますけれども、非常にややこしい場所でございますので、現在鋭意検討いたしております。内容につきましては、いまの段階ではお答え申し上げかねるということでございます。
  57. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 松尾地区状況でございます。松尾地区は一連の堤防が三千二百メートル程度あるわけでございますが、これを三十六年より堤防方式で改修を着手いたしました。現在二千七百メートル程度できております。残り四、五百メーターあるわけでございますが、これはちょうど一番下流部に接しまして毛賀沢川などが合流しておりまして、そこ、いま霞堤のようになってあいているわけでございます。そこの下流側から水がかすみのようにして入ったわけでございます。この改修につきましては、このすぐ下に御指摘のように川路、龍江の地区がございますし、その辺の状況等といろいろ勘案しながら今後改修の促進をしていきたいというふうに考えております。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 恒久対策について建設省は、地元に対しては秋口に発表するというようなことを公に言ったですね。私は、秋口というのは、十二月になれば秋口じゃないと思うんですがね。ひとつ、秋口に発表すると言っているんですから、その期待にこたえて発表して、地元住民を安心させてもらいたいと思う。そのことを強く要請をしておきます。  今回の出水に対して、泰阜ダムのゲート操作が適切を欠いていたんではないか、こういう疑問がありますが、建設省の判断はどうですか。これも簡単に答弁してください。
  59. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 泰阜ダムの操作は操作規程にのっとりまして実施しておりまして、九月の二十八日の午後三時二十分、流入量が毎秒千二百立方メートルに達しますと同時にゲートは全開の状態になっておりまして、流入量に等しい流量を放流いたしております。したがいまして、私どもといたしましては適切な操作をしたものと考えております。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 私の持ち時間ぼつぼつ終わりますから、大臣、最後にお伺いいたします。  時間がありませんので、以上、私は簡単にこの長野県の具体的災害について質問をいたしましたが、先ほど申し上げておりますように、大臣現地調査をして御承知のことなんです。このような問題、ひとり長野県だけの問題でなくて全国的共通の問題でもあるというふうに思うんです。大臣お聞きのとおり、河川行政は大変におくれておる。河川改良計画はあっても予算が伴っておらない、あるいは流域の変化に対応するための計画の見直しもしなければならない地点もたくさんあるわけです。国土庁長官として、国務大臣として河川の改良対策について促進を図っていく、こういう方針をやはり提言すべきだというふうに思いますが、どのように感じますか。
  61. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 治水対策につきましては、政府としましても、いままで六次にわたる五カ年計画をつくり、推進してきたところでございます。過去の内容を見ますと一〇〇%以上実施した時期もございますし、若干一〇〇%に足りなかったケースもあるわけでございますが、全体的に見まして、着実に私は前進してきておると思います。しかし、最近の災害状況、それからまたわが国の地形的、地理的条件等から河川改修にはさらに力を入れないといけないなと、こうも思っておるわけでございまして、いずれにしましても、国土と国民の生命、財産を災害から守るという観点から治水対策事業の推進はきわめて重要でございますので、今後積極的推進が図られるように努力していきたい、こう考えておるところでございます。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 私は以上でもって質問を終わりますが、この際委員長にお願いしたいんですが、先ほど私の質問の中で、たとえば千曲川水系全体の抜本的対策大臣はやると言っていますけれども、課長の方からはそれらしい答弁をいただいておらない。まあ大臣がやると言うんだからやるでしょうけれども、このことと、もう一つは、諏訪湖下流の天竜川の改良計画、これについても明確な答弁がされておりませんが、この二点については後ほど示してくださいということを課長にも申し上げておきましたから、ひとつ文書をもって報告していただきますように委員長の方でお取り計らいを願いたいと思います。
  63. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 政府側よろしいですか。
  64. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 千曲川につきましてでございますが、千曲川の上流全体の今後の改修の仕方の順序を示せと言われるのは、先ほど申しましたような答えでございまして、大変長い時間もかかりますし、ちょっとその具体的な年次計画をつくりかねると思いますが、本年災害に遭いました個所並びに去年災害に遭った個所、これらについてはお話ししましたように、全体計画をもって抜本的に対策を進めておりますし、また進めているわけでございまして、以上のような昨年、ことしに係る災害個所につきましては抜本的な対策は示せるわけでございます。
  65. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 治水課長よろしいですね、それは。
  66. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) はい。
  67. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 村沢さんよろしいですね。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 はい。
  69. 粕谷照美

    粕谷照美君 三宅島は、災害以来、毎日のようにマスコミでその後のことを報道しております。きょうもまた、道路開通がなされて一部の方々が自宅へ戻ったという明るいニュースを耳にしながら本日の災害委員会に入っているわけでありますが、まさに明暗を分けているこの被災者の方々の心中を思って、私は、災害の翌日に現地に飛ばれました長官、先ほどの仲川理事の報告を聞いて、災害復旧していく、そうして被災者の方々が安心して暮れを迎え、お正月を迎えるような状況をつくり出していくという、そういう決意のほどを伺いたいわけであります。  さっきの報告は、現状と同時に四つの再建対策を指摘をしております。一つは復旧対策被災者生活再建、二つは激甚災害早期指定、三つ目は噴火予知体制の充実、四つ目は避難体制整備であります。以上を受けてお伺いいたしたいと思います。
  70. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 参議院の先生方に現地を視察していただき、また先ほど当委員会においてその報告をされておりました。私も真剣に承り、それぞれもっともだなという感じをしながら承っておったところでございます。そうして、島の皆様方が離島してしまわないように、三宅島というものを誇りに思い、こよなく愛する島にするように、島の村当局東京都、そして国が一緒になって、先ほど仲川理事が報告されたような問題に取り組もうと、私も感じを強く持った次第でございます。
  71. 粕谷照美

    粕谷照美君 二十一年前の災害では、千五百名の方々があの島から委員長の千葉県の館山に一時避難をされた。でも全員やっぱり三宅島へ戻っていらっしゃるわけですね。そうして今度も、東京に避難をされた方々もほとんど戻ってきているというようなことを考えて、長官がいまおっしゃったような状況をつくり出すために、本当に真剣な努力が必要であろうというふうに思います。  それについて、まず最初に激甚指定について伺いたいわけであります。  先ほど村沢委員の質問でも、この激甚指定についてはなかなか慎重で慎重で、もういつの委員会でもこれについては慎重な発言しかなさらない長官でありますけれども、聞くところによりますと、都からは、復旧に当たっては激甚法以上の時限立法をつくってほしいという旨、申し入れがあった、こういうことでありますけれども、それは事実でありますか。また、もし事実とすれば、その内容はどのようなものであるか。そして、それについてはどういうことをお考えになっていらっしゃるか伺います。
  72. 田中暁

    政府委員田中暁君) 時限立法をつくってほしいという意見書につきましては、十月八日、三宅村議会議長さんから提出を受けております。  なお、三宅島復旧対策でございますが、これに当たりましては、その具体化に向けての計画や手法などにつきまして、関係地方公共団体の意向を踏まえて十分検討する必要があるというように考えておるわけでございますが、現在、現行制度のもとにおきましても諸施策を……
  73. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ちょっと質問者に対する答弁になっていないようなので、もう一遍よく聞き直してから答弁してください。
  74. 粕谷照美

    粕谷照美君 私が申しましたことは、それは事実かということについては、議会議長からの申し入れがありましたということで答弁はよろしゅうございます。  それで、その内容は一体何か、そしてそれについてどういうふうに考えているか、こういう質問なんです。
  75. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私が最初この意見書を拝見したときにも、ただそれだけなんです。東京都からあったわけではございませずに、「三宅島噴火災害の復興に対する時限立法を制定する意見書」というのが三宅村議会議田中さんからあったわけでございますが、ただ、「離島に永住する後世の子孫のため、安心して定住する施策を行なうよう国において特別な時限立法を制定し、この復興を推進されるよう強く要望する。」という意見書でございます。その中身は何を期待されておるんだろうかなということで、この意見書を拝見したとき、衆議院の段階でもちょっとお答えしたんでありますが、私自身も最初戸惑いを感じました。現在のあらゆる法律、施策その他を総動員してやろう、こう考えておるときに、この意見書がぽっと来まして、何をどのようなものをどのようにして特別立法してほしいとお考えなのかなと、一度議長さんにもお目にかかって、詳しくその中身等も議論してみたいなと思っておったところでございますが、具体的にこういうためにこういう方法というのは、ここに書いてありますように、「永住する後世の子孫のため、安心して定住する施策を行なうよう国において特別な時限立法を制定し、この復興を推進されるよう強く要望する。」ということでございます。
  76. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、こういうことですかね。非常に精神的なものだと、その要望は。なるべく早く復興してもらいたい、安心して住めるようにしてもらいたいと、こういうことと理解をしてよろしゅうございますか。
  77. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私はこの文面どおり最初は考えて、しからば、先ほど申し上げましたように、何と何が子孫が永住するためにあるいは島民が定住するために必要なのか。というのは、今日の、先ほど申し上げました島の村当局東京都と国が一生懸命取っ組もうとしておる——最初のときは応急復旧が第一でございましたから、私たちの頭は応急復旧に全力を集中しておったわけでございます。そのときにこれがすぐぱっと出てきたものですから、先ほど申し上げましたように、戸惑いを感じたのでありますけれども、この文面に書いてあるような趣旨の施策を行えということになると、一生懸命ここらは行わなくちゃならない。文章どおりこの意見書を受けとめた。  それから、抽象的であるとかないとかと言うのは誤解を招くのじゃないかと思いますが、この文章にうたってある「後世の子孫のため、安心して定住する施策を行なうよう国において特別な時限立法を制定し、この復興を推進されるよう強く要望する。」というこの文章どおり受け取って考えていかなくてはならぬのではないか。しかし、具体的にどうするこうするということは、今後さらに東京都、村当局と詰めなくてはならない、こう考えておるところでございます。
  78. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、都あるいは村当局とこれから話し合いをして進めていって、現在の法律ではとてもその要望に沿いがたいと、こういう状況が出たときには時限立法も考えられると、こういう理解でよろしいですか。
  79. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) まだ具体的御要望がこれとこれとこれとこれと——応急復旧に一生懸命のところですね。したがって、そういうものが出てきたところを見ながら、これは現在の国のもろもろの援助、助成、振興、復興対策の中で行えるか、これはどうしても行えないかという、まず最初はそこら辺の色分けを精力的に努力してやってみる。そして、どうしてもできないものがある場合には、それはこの文章に言われておるような趣旨に従って考えなくてはならぬのではないだろうかというところでございます。
  80. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、激甚法の基準というのが昭和三十七年につくられて、そしてそれからもういま二十年たっているわけですね。局激は四十三年ですから、これもまた十五年たっていますね。その間に、災害が起きるたびに基準の見直しということが大きく叫ばれているわけでありまして、私は三宅島要望もその点をついているのではないかというふうに思いますけれども、長官、いかがですか。
  81. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 三宅島は外海離島であって、しかも全島が火山噴火口に近いような状態であるという立場なのか、それとも活火山といいますか、活動しておる火山を抱えておる町村皆さん方の御要望なのか、それとも全体的に、ある面では急傾斜崩落地帯を抱えておる町村の問題なのか、いろいろなとらえ方はあると思います。実は、私も先生が言われたような趣旨に解釈するのがいいのか、それともいま申し上げました外海離島で全島がああいう立場にある三宅島の特異性だけについて考えればいいのかという点等を、いま頭の中で一生懸命考えておるところでございます。
  82. 粕谷照美

    粕谷照美君 長官が非常に広い意味でその要望書を受けとっていらっしゃるということに私は高い敬意を表しながら、ぜひ、火山の上で生活しているわけですから、そのことについての要望は十分満たすように努力をしていただきたいと思います。  いまのこの災害に当たりまして、当然、激甚指定は受けられると、常識で考えればそう思いますよ。あの阿古地区なんて四百戸もさっとやられているわけですから、出しますという結論はまだむずかしいかもしれませんけれども、常識的に考えればそうだというふうにお考えになりませんか。
  83. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) この激甚災害指定というのは常識ではないんで、数字でございまして、そこら辺が私、いつも先生方からおしかりばかりいただいて、体を小さくしておわびを申し上げなくちゃならぬのを本当に残念に思っておるわけでございますけれども、私に答弁しろとおっしゃる。で、私がお答えするんでございましたら、現在、関係省庁において鋭意被害状況調査中でございますので、現段階ではその見通しについて申し上げることができないのを御了承をお願いし、御理解いただきたいということと、今後調査を急がしまして、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたい、こういうお答えしかできないのを大変申しわけなく思っておるところでございます。
  84. 粕谷照美

    粕谷照美君 先ほど私の質問にうなずいていらっしゃったことと、調査を急がせますということで、このことは私は了解をしたいと思います。  それから次に、降灰とその除去に関して伺います。  飛行場、道路、市街地などの降灰除去作業が非常に優先して行われている、きわめて適切な処置であったというふうに思いますが、除去作業活動火山対策特別措置法が適用されるのではないかというふうに私は考えますが、この雄山が活動火山であるかどうかということも含めまして、どのように判断できましょうか。
  85. 田中暁

    政府委員田中暁君) 雄山は、もちろん休火山とかそういった区分はございませんので、火山であるということでございます。  ただ、いま降灰の問題につきましては、御承知のように、現在の活火山法というものは、一応桜島のようにいわば常時灰が降っている、こういった態様を前提として組み立てられているという感じもございます。ですから三宅島のように、急にぼかっといってその後静かになると言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、常時、経常的に灰が降らないというタイプの火山につきまして、現在の活火山法を当てはめます場合にどういった問題点があるかというような点につきましては、急いで検討を進めなければならないと考えておる次第でございます。
  86. 粕谷照美

    粕谷照美君 急いで検討を進めると言ったって、もう現に除去した部分が非常に多いわけでしょう。これから山だとか畑だとか、まだ残された部分の除去があるわけですけれども、煙を常時出していないから該当しないということになれば、ちょっとそれは問題があるんじゃないですか。たとえば有珠は該当していますよね。
  87. 狩野昇

    説明員狩野昇君) お答えいたします。  ただいま国土庁の方からも答弁がございましたけれども、現在の活動火山対策特別措置法十一条に基づく対象事業としましては、今回の三宅島噴火は適用はないというぐあいに考えております。しかし、現在三宅島において、先生御指摘のように、道路あるいは——建設省所管としては道路でございますが、その他飛行場等、鋭意灰の除去作業をやっているわけでございますが、今度のように一度に多量の降灰及び溶岩の堆積というようなものがあった場合におきましては、施設そのものの被害というぐあいに解釈いたしまして、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法による災害復旧事業としてその費用を補助するということが可能になっており、また、その方向で対処するということで現在進めております。さらに公共土木施設ではございませんが、建設省所管といたしましては、宅地内の灰でございますが、これにつきましては都市施設災害復旧事業ということで規定しております堆積土砂排除事業というものの適用は考えられますので、これも今後東京都と十分協議しながら進めていきたいというぐあいに考えております。
  88. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、いま私が言いました有珠は活火山ではないけれども適用しているのではないかというのは、これはどういうふうに理解したらいいんですか。されてないんですか。
  89. 狩野昇

    説明員狩野昇君) ただいま手元に資料ないんですが、私の記憶しておるところによりますと、有珠山の噴火におきましても、道路についてはやはり施設被害ということで公共土木施設の国庫負担法、それから宅地等につきましても、堆積土砂の排除事業でございますか、そういった事業で対応したというふうに記憶いたしております。
  90. 粕谷照美

    粕谷照美君 どちらの方が有利になるかという判断があると思うんですよね。当然、東京都、村当局と話し合いを進めて、有利な方向に法律というものは運用をしていただきたいということを要望しておきます。  いま道路とそれから宅地の問題が提起をされたわけですけれども、農地、林地、この辺の降灰はどのような対処をなさるわけですか。
  91. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 三宅島の降灰によります被害は、全体で二百七十五ヘクタールほどになると思いますけれども、これにつきましては、ただいま建設省の方からも話がありましたように、降灰による施設被害ということで、災害復旧事業として火山灰の除去に取り組んでいるわけでございます。特に農地の場合には、灰を除去することに加えまして、今回の灰が非常に酸性の灰なものでございますから、その後の土壌対策というのが必要でございまして、火山灰の酸性による影響が強いと思われるところにつきましては、客土なりあるいは土壌改良資材、そういうものの投与を加えまして万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  92. 粕谷照美

    粕谷照美君 住宅問題について伺います。  一日も早く住宅を保障して安心をしていただきたいということで、皆さんのお話で、鋭意努力をしているのは調査団にもよく見えたわけでありますけれども、新聞報道によりますと、東京都は応急仮設住宅を百五十戸つくりますと、こういう報道がなされたというのですが、確かに法律でいえば三〇%程度、五百戸やられたから百五十戸、これはわかるわけですけれども、溶岩破壊され尽くした三宅の場合はまた特別ではないかというふうに思うわけであります。希望者の全員入居ということが前提にならなければならないと思いますが、その考え方はいかがですか。  あわせて、仮設住宅、私ども見てまいりましたけれども、いかにも狭いわけであります。赤ん坊やお年寄りなど危険ではないんだろうか、あるいは受験を抱えた子供たちの勉強場所はどうなんだろう、こんな心配もないわけではありません。だからといって、大都会で七坪のうちといえば結構なうちですと、こういうふうに言われればそうかもしれませんけれども、その辺はどのようにお考えですか。
  93. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 応急仮設住宅についてでございますけれども、応急仮設住宅につきましては、東京都の方で現在神着地区に五十戸つくっておりまして、これはほぼ完成しております。間もなく入居になろうかと思うわけでございます。それで、あと阿古地区の方に現在三百ほどつくりたいというふうなお考えのようでございまして、その希望者等につきまして現在調査中でございます。  それで、三割という基準があるわけでございますけれども、これは住家が全壊した世帯で自分の資力では住宅確保できないという人の全国平均的な基準でございますので、今度の三宅島噴火災害の場合には、これは土地ももろともなくなったというふうな特殊事情もあるわけでございますので、私どもといたしましても、財政当局と協議いたしまして、必ずしもこの基準にこだわらないようにということで都と協議いたしたいというふうに考えております。  それから、広さの関係でございますけれども、現在、確かに神着地区に建っておりますのは一般基準でございまして、七坪のものを五十戸建てております。私どもとしては、ことしの日本海中部地震のときの際に仮設住宅が非常に狭いというふうな御批判がありまして、従来からの問題であったわけでございますけれども、多人数世帯には加算措置を講じようということで、四人世帯につきましては九坪、それから五人以上の世帯につきましては十坪と、こういうふうなことで、特別の加算措置を講じようということで都を指導しておりまして、都でも現在検討していただいております。ですから、下錆地区につきましては、多人数世帯については広い住宅というものも、現在検討をお願いしております。
  94. 粕谷照美

    粕谷照美君 ただいまの報告でよくわかりましたけれども、必ずしも三〇%にはこだわらないといったことと、私の、希望者については全員入居をさせるということの間に、やはりずれがあるわけですから、その辺は、希望する人たちにとって条件が整えば全員入居をさせるんだということで取り組んでいただきたいと思います。  最後に、本格的な住居対策について伺います。  溶岩で埋まりました地域の住民の宅地買い上げの要望も出ているということを伺っているわけでありますが、昭和四十七年には議員立法がありまして、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、こういうもので救済が可能かどうか。また、救済していかなければならないと思いますが、買い上げの件も含めてお伺いをします。  あわせまして、溶岩地域というのは宅地として復旧が可能なのかどうなのかという点について、お考えを伺います。  といいますのは、あそこをローラーでならして土を盛り上げて道路をつくっていった。そういうようにして宅地を前の場所につくり上げるということができないのかどうなのか。また、あのような岩盤の上にとても住宅などつくる条件はないということであれば、たとえばテニスコートだとかあるいはグラウンドだとか、非常に水はけのいい条件になるというふうに思いますが、そのようなことは可能なのかどうなのか。あわせて、民宿を経営したいと希望するような方々に、どのように住宅問題について有利な条件というものを示してやることができるのか、お伺いいたします。
  95. 守屋友一

    説明員(守屋友一君) 御質問のございました防災集団移転促進事業でございますけれども、この事業は、被災地域あるいは今後災害の発生する危険のあります地域につきまして、市町村がある程度の規模の団地を安全な地域に造成をされまして、そこへ、従来お住みになっていた方が全員こぞって前と同じような生活をしていただくために、安全に集団的に移転していただくと、こういう措置でございます。したがって、この事業でございますけれども、被災地域の住民の方々が、いま申し上げましたように、昔どおりの生活をしていただくために、全員一致してお移りいただくというようなことを合意していただくことが基本でございますけれども、今後、三宅島住民の御意向がまとまりまして、そういう方向で御要望が出てまいりましたときには、私ども、都や村ともよく御相談をいたしまして、緊密な連絡をとりながら、積極的にこの事業で対応していきたいというふうに考えております。  なお、跡地の買い取りについての御質問がございましたが、この事業では、市町村とか都道府県とかがその地を買い上げることが適当であるというように判断されたような場合、あるいは御入居になられます方が昔のお住まいのところの移転跡地の買い取りをやはりこぞって御希望なされる場合には、そういう条件が可能でございます。  以上でございます。
  96. 粕谷照美

    粕谷照美君 時間がありませんでしたので、私は、最後にこの予知体制についての質問をしようと思ったのですが、これをやめますが、大臣にお伺いいたしますけれども、二十年に一回ずつ噴火をしてもやっぱり三宅へ戻ってくる、またその二十年後にあるかもしれないという、こういう人たちに対する安心できるような予知体制というものに対する行政的な対策というものの決意をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  97. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 粕谷先生が、また二十年先にあると言われたのはどうかと思いますけれども、昭和十五年、昭和三十七年、そして昭和五十八年ということを私たち見まして、いろいろな感慨が胸の中にわいてくるわけでございますが、要は、火山活動の観測体制火山活動の情報伝達体制、ここら辺を大いに強化していかなくてはならない。総理からも強い御指示がございまして、それで私も、先般の各省庁会議のときにお願いして、ここら辺の問題をはっきり国民皆さん方に安心していただくように一歩でも二歩でも進めようではないかということで、簡単に申し上げますと総点検でございますが、これを来週早々にでも気象庁等の関係省庁お集まりいただきまして第一回目を開きたいと、このように考えておるところでございます。
  98. 服部信吾

    服部信吾君 私も、一昨日、三宅島へ視察に参りました。テレビ等で見ていた以上に大変な状況で、島民の方たちも一日も早く復旧を願うと、こういう心情を痛いほど感じました。  そこで、いろいろ重複することは避けたいと思いますけれども、やはり初めに、噴火の予知あるいは火山監視体制、これをやはりもっともっと強化しなくちゃいけないんじゃないかと、このように痛感いたしました。早いなる一年前、もう本当に最後は五分、一分を争うような、とにかくそれによって生命とかそういうものが非常に助かるので、そういうことで、まず最初に噴火予知体制についてお伺いしたいと思うんです。  言うまでもなく、わが国は世界有数の火山国であります。噴火のおそれのある火山は約六十七火山とも言われておりますけれども、このうち常に集中的な監視体制がしかれているのは、桜島、阿蘇、浅間山などの四火山と言われております。そのほか、今回の噴火した三宅島を初めとして、十三火山がいろいろあると言われております。これら火山活動の観測、噴火の予知など必要な体制は現在で十分であると思いますか。また、もう少し改善すべき点があると、こういうふうに思うのでしたら何か、お伺いしたいと思います。
  99. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お答え申し上げます。  ただいま御案内がありましたように、日本には約七十の活火山がございます。気象庁はこれらの火山のうち、先ほどお話のございましたように、十七火山について常時監視をいたしてございます。その他の火山につきましても、火山機動観測班というものを置きまして、平常時には基礎調査観測を、また、異常が発生いたしましたときには緊急観測をおくれることなく実施をすることによって、全国にございます火山活動の監視を行っておるわけでございます。
  100. 服部信吾

    服部信吾君 それで、今回噴火のあった三宅島でありますけれども、昨年の暮れから、また正月にかけて噴火の前ぶれとも言える地震がたくさん起こっていた、前兆があったと、そんなことがありまして、東京都の防災会議調査委員会などから、将来必ず噴火が起きる、このように予想されておりましたし、提言もされていたわけでありますけれども、気象庁としては、ことしの八月から九月にかけて、火口付近の温度測定やらいろいろと調査をした。新聞、マスコミ等によりますと、その調査結果は異常なしとして、平常観測に戻ったばかりの噴火であり、これについては問題ないと、このように気象庁としては見解発表をしたようでありますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  101. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お答え申し上げます。  東京都の防災会議から東京都に対しまして提言がなされたということは、私どももよく承知をしております。気象庁でも今年度の機動観測の予定を早めまして、三宅島の機動観測を実施いたした次第でございます。
  102. 服部信吾

    服部信吾君 ちょっとお伺いしたいんですけれども、東京都からそういうような提言がなされたということで、三宅島に対してはどのような提言があったのか、その辺についてお伺いします。
  103. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 三宅島につきましては、昨年の末に付近の海で群発地露が起こりました。そういうことで、気象庁といたしまして観測を実施したわけでございますが、震源地はかなり三宅島から離れておりますし、震源地も三宅島の方に移動する傾向も見られませんでしたので、一応三宅島の活動とは関係がないものと判断をいたしまして、これは火山噴火予知連絡会でもこういう見解をとっておられることだと思います。  それから、気象庁の機動観測につきましては、毎年数火山につきまして、一火山について大体一月ぐらいを予定いたしまして、計画的に機動観測を実施しているわけでございまして、特にその東京都の提言と関係のあることではございません。
  104. 服部信吾

    服部信吾君 たまたま東京都からそういう提言がなされておって、そして国の方の噴火予知連絡会ですか、ここへこれが提出されたとき、これに対しては、全然こういう問題は議論にならなかったわけですか。
  105. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) あの書物は予知連には提出されてございません。
  106. 服部信吾

    服部信吾君 それは、ちょっとお伺いしたところによると、火山噴火予知連絡会に出されたと、こういうふうに聞いているわけです。  それで、東京都がやはりこのようないろいろ調査をされて、五十六、五十七年度ですか、調査をされて、そしていろいろ報告がなされております。特にその中で、どこで、要するに将来噴火が発生する地点の想定とかそういう面で、たまたま東京都の防災会議から出たあれは、非常に今回の噴火に当たっては大変的確なあれが出ているわけです。ちょっと読ましていただきますと、「ただ記録を良く吟味すると、山腹の同一に近い割れ目が複数回使われていることに気付こう。その点から強いていえば、南西山腹、」——これが今回起こったところですね。「および北東部の裂線」、こういうところでそういう可能性があると、こういうふうに東京都が二年間にわたっていろいろと研究され、そして提言された。そして、たまたまこれは機動観測ですか、そういうことで、八月から九月に気象庁としてもこれをやっているわけですね。そのときにこの提言は、全然もう全く考慮に入れないでそういう観測をしたのですか。
  107. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 昨年の群発地震がございまして、そういうことで従来の三宅島火山噴火の特徴を一応考えまして、東京都に対しても、気象庁といたしまして、十分に注意をする必要があるのではないかというような呼びかけだけは、たしかことしの初めごろ行ってございます。  それからお尋ねの八月の機動観測ですが、あれは、今後スケジュールとして予定しておりましたものを、一応そういう状況も踏まえまして、少し早目に実施をいたしたということでございまして、その結果は、やはり前兆となるようなことは見出せなかったということが結果でございます。
  108. 服部信吾

    服部信吾君 ある程度参考にしたと、こういうことですけれども、たとえばその機動観測で、大体いま何人ぐらいの方がそういう機動観測をそこでやっておるのか。と同時に、今回このように東京都から提言がなされておって、南西山腹あるいは北東部のこの辺を実際に機動観測で調査したのか。その辺だけちょっとお伺いしておきます。
  109. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 気象庁からは、この溶岩流出がございましてから、東京にございます機動班が三名出ております。そのほかに気象研究所から二名と、それから電磁気の観測を行っております地磁気観測所から二名と、計七名、機動観測に出ております。そのほかに現地に測候所がございまして、十二名の職員と協力をしまして監視を続けておるところでございます。
  110. 服部信吾

    服部信吾君 ひとつ観測体制についていろいろお伺いしたいんですけれども、いま言われた機動観測というんですか、これはいま毎年何カ所か決めてということですけれども、これは全国にいろいろあるわけでしょうから、その辺はどういう形で機動観測を行っているのか。緊急のときとかあるいは定期的とか、いままでどんなことをやってきたのか。  それから、そのほかに四つは精密観測、今回の三宅島は普通観測、これは十三カ所だそうですけれども、その精密観測と普通観測との違い、あるいは先ほど言ったとおり、たとえば今回の三宅島調査においても二名ぐらいでやっているということで、全国に、いわゆる噴火の研究者というとおかしいですけれども、そちらの方の大体何人ぐらいの体制、先ほど約七十の活火山があると言いましたけれども、どのような体制になっているのですか。
  111. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) まず機動観測につきましては本庁に三班、それから仙台と福岡、それから札幌にそれぞれ一班ずつの機動観測班がございます。これらの観測班は、噴火や異常現象が発生しました火山に対しては直ちに緊急観測を実施いたします。それから、その他観測施設のない火山に対しましては基礎調査観測をスケジュールを立てて実施をしているという実情でございます。  それから火山関係に対する人員はどうかというお尋ねでございましたが、専任の火山の担当者は、気象庁全体といたしまして四十六人でございます。そのほかに複合勤務ということで、何かございましたら手助けをするという形の火山の担当職員が百二十名ございます。合わせて約二百名の職員で対応いたしてございます。
  112. 服部信吾

    服部信吾君 約二百名の方たちで対応していると、それで十分だと思いますか。  それから、いわゆる精密観測で四カ所ということと、今回の三宅島のような普通観測が十三カ所と、こういうことでありますけれども、この精密観測の場合は、常時人を置いて、常にいろいろなそういう噴火予知機器、そういうものでいろいろやっている、このように思いますけれども、今回このように三宅島噴火をして、こんな大きな災害になったわけですけれども、この三宅島を、精密観測というんですか、常時観測をするというものに、今回のこういうものを機会にすべきじゃないか、こういうように思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  113. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 桜島ほか四火山について精密観測を実施いたしております理由は、非常に活動の頻度が高いということが一つございます。それから、いざ被害が起こりますと社会的な影響が非常に大きい火山であるということで、精密観測対象火山として四火山を挙げてございます。それから、頻度は精密火山に比べてかなり落ちまして、たとえば三宅島ですと二十年、今回それから前回、続いて約二十年の間隔がございますが、ときどき活動するだけである火山でございますけれども、社会的な影響はやはりあるというようなものについては、十三火山、やはり普通観測実施火山といたしまして、一名の職員が少なくとも担当いたしております。
  114. 服部信吾

    服部信吾君 ですから、普通観測というのは大体、基礎調査とかそういうのをやるところでしょう、これ。常に何か震度計を一台ぐらい置いておいて、そして基礎、そういうものをやっておる。ですから、こんな三宅島の場合、要するに基礎調査観測なんというものじゃなく、実際にこう起きているんですから、これはどうですか、常に精密観測というんですかね、こういうふうにやっぱりこの際すべきじゃないのか。そういうことを見て、島民の方たちがやはり安心して暮らせるんじゃないか。このように考えますけれども、これは、長官、まずいのかな。
  115. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は観測体制も非常に大切、それから火山活動の情報伝達体制も大切、その中で、観測体制ももちろん大切でございますが、避難訓練というのが特に大切である。今回一名の死者もなかったというのは、三十七年八月二十四日の噴火を契機としまして、非常に徹底した避難訓練を村当局、そしてまた都も指導し、応援し、国も応援してやってもらった。この間の八月二十四日のときも、島を挙げて徹底した避難訓練をやってもらっておりました。そこで、こういうことが、うまく不幸中の幸いということがあったわけでございますが、いま先生が御質問になったような観測体制火山活動の情報伝達体制等を含む問題について今後どうしたらいいかと、先ほど申し上げましたんですが、一言で申し上げますと、総点検という言葉ですが、気象庁中心関係省庁にお集まりいただいてそういう点を再点検していきたいと、このように考えておるわけでございます。どれが大切どれが大切ではないかというといろいろ言い分はありますが、仮に噴火の予知ができても、溶岩が流れてくるあるいは灰が降ってくる問題を規制することはできないわけであります。したがって、そういう場合に対する避難体制というのを相当重点的にやっておかなければいけないんではないか。もちろん現在の技術の粋を集めて、観測体制、予知体制を推進しなければなりません。しかし、とにかくああいう周辺は、避難ということが、避難体制が一番大切じゃないか、このように考えております。
  116. 服部信吾

    服部信吾君 さらにもう一つお伺いしたいんですけれども、機動観測の年次計画ですか、これが立てられたようですけれども、本庁の今後の年次計画、これはどのようになっておるかお伺いしたいと思います。
  117. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 機動観測でございますが、昨年度は富士山と八丈島と草津白根山を実行いたしました。それから、ことしの計画は草津白根山と三宅島三宅島をもう一度実施することにいたしております。
  118. 服部信吾

    服部信吾君 それと、いま長官が言われたとおり、予知とともに情報管理ということも非常に重要な問題だと思います。今回は、いまおっしゃったように、幸いにもこの噴火は昼間起きたということで、混乱を避けることができた。そして、これがもし夜であったら大変であったなということも考えます。と同時に、その時期もたまたまオフシーズン、観光シーズンではない、こういうことで、大変そういう時節柄といいますか、そういう意味においては非常によかったなと思いますけれども、海に囲まれた逃げ場のない島民の人たちの心配というのは大変大きなものがあると思う。そういうことで、何か情報システムですか、こういうものを検討されていらっしゃいますか。
  119. 清野圭造

    説明員(清野圭造君) 今回の三宅島噴火災害に際しましては、同報無線による迅速な避難の勧告、それから村当局あるいは消防団等によります適切な避難誘導、それからさらに住民の避難に関する意識の高さといいますか、そういうものが相まって、迅速かつ的確な避難が可能になったと思われますが、さらにまたこれに、ことしの八月末に実施いたしました総合的な防災訓練というものが、また効果が大きく寄与したんではないかというふうに考えられるわけでございます。  そこで、今後の方策としましては、避難誘導とか避難勧告の伝達の訓練、そういったものを中心とする総合的な防災訓練を実施するように指導したいということが第一点でございます。  それから、今回の経験にもかんがみまして、災害情報伝達システムとしての同報無線の整備といったことによります伝達体制の確立というようなこと、それから平時から住民に対する防災教育の徹底といいますか、実施といいますか、そういったことを中心に今後、地方公共団体の指導に当たってまいりたいというふうに思っております。
  120. 服部信吾

    服部信吾君 東大地震研究所の調査班が三宅島噴火の終息宣言、このようなことも出ておりますけれども、これは長官、先ほどもお話あったんですけれども、今回の噴火がちょうど三十一年周期とかいろいろと言われておりますけれども、周期説が正しいとすれば、あと二十年は安全と考えてよいのかどうか、これは非常にむずかしいと思いますけれども、長官どのようにお考えでしょうか。
  121. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 過去の分は昭和十五年、昭和三十七年、今回が昭和五十八年、あったわけでございますが、この原因も、それから一〇〇%の予知ができるところまで今日の科学技術水準がいってないのを非常に残念に思いますけれども、「備えあれば憂えなし」という気持ちで国としてはやらなくてはならぬのではないだろうかなと、こう思います。  いまから二十何年先にはまた噴火するとかしないとかいうことは、私たちどう申し上げてよろしいんでしょうか、あるともないとも言えないんじゃないかと考えておるところでございますが、要は、今回の噴火の教訓を生かして、いざという場合に皆さん方が安心してできるようなあらゆる方法を講じておいて差しあげたいという気持ちでございます。
  122. 服部信吾

    服部信吾君 三宅島はこれで最後にしたいと思うんですけれども、いま非常に島民の方たち、また周辺の人たちも、今回の三宅島噴火が富士火山と連動しているんじゃないかと、こういう何か非常に心配もされているようですけれども、私も前回の決算委員会で、たまたま官房長官が来られて、この関係はどうだと、時間がなかったもので、根拠は何も言わなくて、大丈夫ですと、このようにおっしゃったんですけれども、この辺は心配がないということであるならば、その根拠があればひとつお願いしたいと思います。
  123. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お答え申し上げます。  火山というのは単独に活動いたす性質がございますので、特に三宅島噴火と富士山の噴火とは直接の関係は全くございません。
  124. 服部信吾

    服部信吾君 いずれにしても大事なことは、いつ起ころかわからない噴火、それこそできるだけ早く予知をすると同時に監視体制もしなくちゃならぬ、それから当然情報のシステムも考えなくちゃならぬ、このように思いますので、ひとつこの面については全力で取り組んでいただきたい、このようにお願いしたいと思います。  次に、三宅島復旧、復興対策について若干お伺いしたいと思います。  今回の災害によって三宅島の経済基盤は大きな打撃を受けたわけでありますが、政府として現在までどのような救助対策を講ぜられてきたのか、詳しくお伺いしたい。  と同時に、農林漁業、長期的な住民生活基盤再建のために、具体的に政府としてどのような援助ができるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  125. 田中暁

    政府委員田中暁君) 噴火後の対策でございますが、二日に噴火したわけでございますが、同日、三宅村に対しまして災害救助法の適用を行っております。  それから、政府といたしましては、政府調査団を四日に、私どもの長官を団長といたします調査団でございますが、これを現地に派遣いたしまして、それに基づきまして非常災害対策本部を設置いたし、直ちに第一回の本部会議を開きまして、「引き続き監視警戒体制に万全を期する。」等、五項目の当面の重点施策を講じたところでございます。  具体的な措置といたしましては、まず噴火のときの避難、それから行方不明者の捜索等につきまして、自衛隊、海上保安庁、警察庁、各消防機関、こういった実働機関がそれぞれ活躍をしたわけでございます。  被害を受けましたライフライン関係につきましては、これは総戸数のうち非常に多くの部分で断水をいたしたわけでございますが、鋭意その復旧に努めております。ただ現在も、阿古地区はもちろんでございますが、神着、伊豆等についても相当断水がまだ続いておりまして、今月末に何とか仮復旧ということを目指して努力をいたしております。電気につきましても、阿古地区を除きまして現在は復旧いたしております。  電話も、市外通話が一時不通等を見ましたが、これも現在支障がなくなっております。  道路につきましては、島内を一周いたします都道三宅循環線という名でございますが、これが溶岩、土砂崩れ等によって一部不通個所が出ております。これにつきましては、現在の阿古地区溶岩の上には、御視察いただいたとおり、二本の応急道路はでき上がっておりますが、一部まだ不通の個所がございます。  それから、空港につきましても、隆灰が相当ひどくて一時欠航いたしたわけでございますが、八日から隆灰除去が完成いたしまして、空港は再開をいたしておるわけであります。  それから、食料品の確保等、被災当日からそれぞれ海上保安庁の巡視船や陸上自衛隊の航空機あるいは民間の東海汽船等を利用いたしまして、食糧、衣料、医薬等を現地に緊急輸送をいたしました。  また、避難所におきまして、初めの避難所三宅小学校、中学校といったところが主な個所でございましたが、五日から避難所における炊き出し等を始めております。現在は、畳の敷いてあるところへということで、老人福祉会館等に分散をいたして、六百五十名程度の方々がなお避難を続けておられまして、十七日の朝から自炊を始めたというようにお伺いをしておるわけでございます。  学校も十二日から授業を再開いたしております。  それから、問題の応急仮設住宅につきましては、これまでもお答えがございましたが、北部の神着地区に五十戸の建設に着手いたしておりまして、これは間もなく完成をいたしますが、引き続き阿古地区の下錆というところへの建設を急ぐことにいたしておるわけでございます。  なお、降灰の防除作業でございますが、これにつきましても、緊急措置といたしまして警視庁から百六名、それから陸上自衛隊二百三十名が現地入りをいたしまして、降灰のひどかった坪田地区等の降灰の除去に活躍いたしまして、先生方御視察でごらんいただいたとおり、一見、見たところほとんどの灰は除去されたというような状態に現在なっておるわけでございます。  なお、政府系中小企業金融三機関に対しましては、五日付で災害貸付制度発動を指示するといった措置も講じておるわけでございます。  大体以上でございます。
  126. 服部信吾

    服部信吾君 もう時間がありませんので、最後に要望しておきますけれども、先ほど来お話があった激甚災害指定、これはできるだけ早く調査結果を出していただいて、指定していただきたい、指定すべきであると思います。と同時に、新たな必要があるとするならば時限立法の措置も考えて、そうして島民の救済に当たっていただきたい、このように考えております。  それから、桜島の噴火を契機にして四十八年に成立した活動火山特別措置法、これにおいても桜島、阿蘇山それから有珠山の三カ所しかないわけですから、できればこの三宅島も同地域に指定して、そして島民が本当に安心して生活できるような環境と申しますか、そういうものをつくっていただきたい。  以上要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  127. 内藤功

    内藤功君 私は日本共産党を代表して、まず被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。また、関係者の御努力に感謝を申し上げる次第でございます。  わが党は、十月四日に党中央に三宅島噴火災害対策本部を設置しまして、その日の午後、当面の緊急対策に関する四項目の申し入れを政府に対して行いました。また、十日から三日間、党の現地調査救援団を派遣しまして、ちょうど台風十三号の風雨の中でありましたが、被災地をつぶさに調査してまいりました。これらの活動を踏まえながら、以下御質問申し上げたいと思います。  最初は噴火の予知体制の問題であります。今度の三宅島噴火はわが国の火山噴火予知体制の不十分さというものをはからずも露呈したと言えるのではないかと思うんです。  まず気象庁にお伺いしたいんですが、ことしの五月に測地学審議会から建議書というのが出されたですね。来年度から五カ年計画で第三次火山噴火予知計画を推進する、こういう建議がされております。火山観測研究の中心となるお役所は気象庁でありますが、気象庁としてはこの建議をどういう重みをもって受けとめられておられるか、また今後の計画はどうか、要点で結構ですからお答えいただきたい。
  128. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お答え申し上げます。  気象庁といたしましても、測地学審議会の第三次火山噴火予知計画の推進の建議を受けまして、その三本の柱となっております「火山観測研究の拡充強化」、それから二番目は「予知手法等の開発及び基礎的研究の推進」、それから三番目は「火山噴火予知体制強化」の、このいずれの分野におきましても、建議に挙げられておりますような内容の実現のため、大学とか各省庁関係機関と十分に協力をいたしまして、できる限りの努力をしていきたいと考えております。
  129. 内藤功

    内藤功君 この建議では、火山の観測研究体制の拡充強化に関しまして、火山を三つの分類をやっておるわけですね。第一が「活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山」、これが十二です。それから二つ目が「活動的火山及び潜在的爆発活力を有する火山」というんですか、これが二十三。それから第三に「その他の火山」。しかし現在の観測体制は、さっきの御答弁でもあったように、わずか十七火山ですね。それも精密観測として三点観測をやっているところは四つしかない。三宅島はこの三つに分けたうちの第一分類に入っているわけですが、普通観測ということであって地震計が一つしかなかった。気象庁の来年度予算概算要求を拝見いたしますと、来年度は雲仙岳と浅間山の観測施設を新しいものに取りかえる、強化するというのはございますが、これだけでは、私はこの建議に十分こたえる内容になっていないと思うんですがね。さらにどういうふうにこれにこたえようとするか、これを重ねてお伺いしたい。
  130. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 噴火予知計画のその趣旨にできるだけのっとりまして観測の強化を図ってまいりたいと考えております。具体的には、今年度は、先ほどお話のございましたように、浅間山と那須岳の整備を行っておりまして、来年度は浅間山の整備に加えまして雲仙岳の整備を計画していきたい、そういうふうに考えております。
  131. 内藤功

    内藤功君 これだけでは建議にこたえる内容に私はなっていないと思うので、この点は非常に不十分だと評せざるを得ないと思うんです。気象庁のこれまでの整備計画によりますと、現在行っている十七の火山については、いまの雲仙岳と浅間山、この設備を新しくするということで一段落だと、こういうふうに理解できるんですね。  そこで要望したいことが二点あるんですが、一つは、常時観測の対象になる火山、これを新たにつけ加える、こういうことをお考えになるべきじゃないか。二つ目には、これまで十三の火山で行っていた普通観測火山につきまして一点観測から三カ所の三点観測に拡充するように検討するべきじゃないのか。この二点について御見解いかがでございましょう。
  132. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お答え申し上げます。  整備は、各省庁とよく横の連絡をとりながらやはり進めていくべきものであると考えますし、先ほど国土庁長官のお話も承りましたが、総点検ということもございまして、そういう点検を踏まえまして検討をいたしたいと、そういうふうに考えております。
  133. 内藤功

    内藤功君 横の整備は結構ですが、やはり気象庁としてイニシアチブをとっていくというふうな姿勢が必要だと思います。  またこの建議では、特に火山活動の機動観測班の充実強化、さっき同僚議員からもありましたが、これが述べられておる。ところが現状を見ますと、全国に六班あって、地域の機動観測班が北海道、東北、九州に一班ずつ、本庁には三班あると申されますけれども、その人員を、さっきお答えになったのは兼任で答えた。専任はどうかというと、地域機動観測班の専任は一班一人じゃないですか。班が一人というのは班になりませんです。第二次予知計画が実施された昭和五十四年度からいままで五年間にこの機動班が観測した火山は十二火山だと聞いておる。私は、地域機動観測班というのは、少なくとも専任を一班二名以上の複数で確保するということは、ひとつ至急に御検討いただくべきことじゃないかと思うんですが、いかがでございましょう。違いますか。
  134. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 確かに予算上の専任職員は、地方の機動班につきましては一人でございますが、実際は、緊急観測あるいは平常時の観測に参りますときには二人ないしは二人以上の体制で実際に行っております。
  135. 内藤功

    内藤功君 長官、いまお聞きになったと思いますが、予算上、一つの班が一人だという状況もあります。  そこで国土庁長官にお伺いしたいのでありますが、火山噴火予知研究にかかわる関係省庁関係機関の来年度の概算要求を拝見いたしますと、ことしの五月に出たこの建議を最大限実行するために努力しているというふうには、まだ言えないように思うんです。大体火山の周辺には観光地が多く、また開発も進んでおりますから、噴火による住民被害は年々増大をしておる。災害防止のため、噴火予知のための火山観測体制の確立は非常に急務になってきておると思うんです。総理も先日、全国火山の総点検を指示されまして、それを受けて、国土庁長官の御指導のもとに関係機関の協議が進められると承っておりますが、先ほど指摘したような、金も人も設備もきわめて不十分という状況下で有効な総点検はできるかどうか、非常にこれは疑わしい。防衛力の増強には装備費を非常に増大させているようですが、長官の言われる「備えあれば憂えなし」というのは、まさにこういう火山観測や防災対策、国土の安全、人命尊重、こういう見地から何をおいても拡充強化を図るべきじゃないかと、こう思うわけなんです。  今回の三宅島の経験、教訓から学んで、金も人もふやすと。関係省庁の概算要求が出た後の事故でありますから、この噴火が起きたのを契機に、この際、概算要求もそういう観点でひとつ総点検、再点検をすべきじゃないか。来週早々開かれるといわれる会議でも、あなたの指導力をひとつ発揮していただくべきじゃないのかと思うんですが、ここらあたりの御所見を伺いたいと思うんです。
  136. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど来御指摘ございましたように、わが国は世界有数の火山国であります。そして、これらの火山の観測・監視体制強化あるいは噴火予知対策の推進はきわめて重要なことであるということは十分認識いたしております。そしてまた、きわめて厳しい財政事情のもとではございますが、噴火予知に関連する来年度予算につきましては、関係省庁の協力をいただきまして、最大努力していきたいと、このように考えておるところでございます。
  137. 内藤功

    内藤功君 次に、問題変わりまして、国土庁の事務当局に伺いたいんですが、今回、三宅島阿古地区溶岩で埋まった集落、私も先日視察で見てまいりましたが、防災集団移転促進事業の実施溶岩で埋没した土地の買い取り、必要な宅地、農地の造成、さらに公営住宅建設など、こういうことが緊急に各方面より要望されておるところでございます。  ところで、これを実施する際に、事業費の四分の三は国が補助をして残りの四分の一を地元、この場合恐らく三宅村でございましょう。これが負担をすると聞いておるんですが、そうなりますと、いまの三宅村の財政負担は大変厳しい。この前、宮城大地震で仙台市の負担が大変だったと聞きますが、仙台市の比じゃないですから、大変なことだと思います。この場合に、国の制度の仕組みとしましては、この四分の一は全部三宅村が負担するのか、あるいはいろいろな制度として国がこれだけめんどう見るという仕組みがあるのか、一般論の仕組みをちょっと教えていただきたいんですが。
  138. 守屋友一

    説明員(守屋友一君) 防災集団移転事業の事業内容でございますけれども、住民が全員こぞって集団移転をしようということになりますと集団移転計画ができるわけでございますけれども、それに伴いまして、移転先となります住宅用地の整備、それから関連公共施設整備、それから移転先地におきます産業基盤の整備、御質問のございました移転跡地の、住宅跡地等の問題等々がございますが、そういうものに対しまして、国として移転に要する経費の一部の助成をいたしております。これは本年度で一戸当たり七百四十三万五千円でございまして、補助率は四分の三でございます。当然、御質問のように、残り地元の御負担になるわけでございますけれども、その点につきましては、地方債であるとか特別交付税等で御相談をするということになっております。
  139. 内藤功

    内藤功君 その場合の特別交付税は、これは元利償還金の八〇%、こういうことで伺っておいていいですか。
  140. 守屋友一

    説明員(守屋友一君) いま先生御質問の件でございますが、八〇%でございます。
  141. 内藤功

    内藤功君 それから、この三宅島阿古地区の場合、これは甲地域、乙地域で分けて、乙地域というふうに理解をいたしますが、乙地域で七百四十三万五千円、こういうことですね。さっきの御答弁、七百四十三万、金額言われたのは。
  142. 守屋友一

    説明員(守屋友一君) そのとおりでございます。
  143. 内藤功

    内藤功君 最後に三宅島の農業の問題です。  今回の噴火によりまして、地元のキヌサヤエンドウその他、農業に壊滅的な被害を受けたわけでありますが、被害額は十月十日現在で九十二億円と聞いております。これは、三宅島農林水産業生産額十一億五千万円と言われておりますこの八倍以上になるんですね。三宅島の農業を立ち直らせるというために私は次のことを要望したいと思う。時間の関係で三つまとめて関係各省に申し上げます。  一つは、各議員からも重ね重ね要望がございましたが、速やかにこの調査結果を集計していただきまして、激甚災害指定並びに天災融資法発動、これを行うことを要請をしたい。これは国土庁に。  第二点は、農水省にお願いしたいのは、復旧資金の融資には、実情に見合った償還期間の延長など低利長期の措置を図られるように要請をしたい。  それから第三点目には、今後の復興対策といたしまして、今年度から実施された新農業構造改善事業、昭和六十五年まで総事業費十億円でありますが、この計画を見直すなど抜本的な農業振興策を、これは現地三宅村当局、それからもちろん東京都当局と早急に協議して確立をしていただきたい。  以上、国土庁と農水省にこの三点を要請したいと思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
  144. 田中暁

    政府委員田中暁君) 三宅村に対します激甚災の適用につきましては、私どもの長官から何度もお答えいたしておりますが、できるだけ被害額の調査を急ぎまして、一刻も早く指定ということに、要件を満たしますれば指定ということにこぎつけてまいりたいと考えております。
  145. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 被災農家営農資金なりあるいは復旧のための必要な資金につきましては、先生御承知のとおり、国、都を通じましていろんな融資制度がございますので、東京都とも十分協議いたしまして適切な対処をやってまいりたいと思っております。  それから、今年度認定されました構造改善事業でございますけれども、あれだけ全村的に被害も受けておりますので、当然、計画の見直しということが必要になってこようかと思っております。計画の認定なりにつきましては、都知事の仕事ではございますけれども、当方といたしましても、地元の要望なり御意見を十分聞きながら、将来の農業の確立のために努力してまいりたいと思っております。
  146. 内藤功

    内藤功君 終わりました。
  147. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、まず、先ほどからもいろいろ論議されておりますが、予知体制についてお伺いをしたいと思います。  この三宅島は、八月の二十日から九月の八日にかけて機動観測班が入って調査をしたと。しかし、その一カ月足らずの後に噴火したわけでありますけれども、火山噴火予知というのはなかなかこれ技術的に困難な問題だと思いますけれども、これは観測の仕方に問題があったのか、技術的にどうしてもそれは不可能なことなのか、お伺いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事粕谷照美君着席〕
  148. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お答え申し上げます。  八月—九月に派遣しました機動班では、現在の科学、火山学の技術水準で最も基本的と考えられております火山性の微小地震の観測あるいは温度の測定あるいは酸性度の測定、それから噴気量の調査等を実施いたしましたが、残念ながら異常は発見できませんでした。今後、測地学審議会あるいは火山噴火予知連絡会を通じて大学等関係機関と協力をし、技術の向上を図っていきたい、そういうふうに考えております。
  149. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますと、将来にわたってそういうものがある程度予知できるようになる可能性はあるわけですか。また、どれぐらい先になればそれがわかるのか、その辺の見当はどうですか。
  150. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 大変むずかしい御質問であろうと思います。  地震の予知でございましても火山噴火予知でございましても、火山の場合には、特に火山の一つ一つの個性がございます。それから、一つの火山でありましても、そのときどきで噴火の様式も変わってまいります。そういうことで、まだ残念ながら、われわれの持っております科学技術の水準では予知はできないと存じますし、それから見通しもまだ持っておりません。    〔理事粕谷照美君退席、委員長着席〕
  151. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 日本は火山国でありまして、噴火による被害がやはり再々起こっておるわけですから、できるだけ学術的にも研究を進めていただいて、予知ができる限りできるようにお願いをしたいと思うんです。  それから、先ほどもお話が出ておりましたけれども、この三宅島はいわゆる精密観測の四火山の中には入っていなかったということであります。この精密観測を決める基準というのが、もうひとつこれはっきりしないように思うわけですけれども、活動頻度が特に大きいということと社会的影響が大きいということで選ばれておるということでありますけれども、この三宅島の場合は、調べてみますと、記録にある最初の噴火が西暦一〇八五年、応徳二年と言われておりますけれども、それから今回の噴火まで実に十四回噴火しております。それから噴火の間隔が、昔は大体六十年ごとぐらいでしたけれども、だんだんこの間隔が縮まってきておるわけですね。最近では、昭和になってからは大体二十年置きと。その前では大体三十年から四十年置きというふうに縮まってきております。だから、私は素人ですからよくわかりませんけれども、客観的に見たら何となく危険な状態にある。それから、昭和に入ってからの日本の火山噴火の度数は、一番多いのが浅間山で八回、次が阿蘇山、桜島でそれぞれ五回、三宅島が三回であります。そうすると、日本の火山の中でもきわめて危険度の高い火山であるということが言えると思います。だから、私はやはりこの精密観測の中に加えるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  152. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) まず、精密観測の定義がもう少しはっきりしないということでございました。精密観測は、先ほども申し上げましたように、活動頻度が特に高く、噴火時においては非常に社会的影響の甚大なそういう火山で常時観測を行うものでございまして、観測の種類も震動観測、傾斜観測、遠望観測、それから現地に実際に出ていってまいりまして観測をする現地観測、そういうものから成り立っております。  それから、三宅島を精密観測対象火山にすることはどうかという御質問でございましたが、精密観測の定義が先ほど申し上げましたようなことでございまして、最近は三十年の周期で噴火が起こっておりますけれども、もっと長い周期で起こっておる場合もございまして、周期性があることではございません。そういうことで、やはり三宅島についても測地学審議会の建議を踏まえまして、監視体制を徐々に充実を図っていきたい、努めたい、そういうふうに志向しております。
  153. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、避難体制でありますが、今度の場合は非常に避難体制はよくて、人的被害が皆無であったと。これは非常に不幸中の幸いとも言えることだと思います。私は、この避難体制については、ソフトの面とハードの面と両方必要だと思うんです。情報伝達とか訓練とかこういうのは、言うならばソフトの面でありますけれども、特にこの島のような場合にはもう海に囲まれて逃げ場がない、三宅島は全島火山でありますから、本当にどうしようもない場合も予想されるわけです。ほかの例では、トカラ列島は自動車道路整備したことによって島民に非常に安心感を与えておるということがありますし、桜島では火山弾からよけるためのシェルターを建設したり、あるいは避難用船の発着場所というものを整備したりしておるわけですけれども、三宅島の場合もこういったハードの面で考える余地があるのかないのか。今回の場合も、溶岩流が来る前に循環バスで全部避難が終わったということでよかったと思うんですけれども、しかし大きな溶岩流が二つあって、これが自動車道を全部分断しております。ほかに小さな溶岩流はこの自動車道路まで来ておりませんけれども、こういう点を考えると、たとえばこの自動車道の建設の場合も、そういうことを想定してルートというものを設定する必要があるんじゃないか。可能なところではできるだけ海岸べりにつくるとか、あるいは循環道だけでなくて縦断道もつくるとか、そういうようなハードの面の避難体制というものを考える必要があると思うんですけれども、この点はいかがですか。
  154. 田中暁

    政府委員田中暁君) 先生御指摘のとおり、現在の活動火山対策特別措置法におきまして、避難施設緊急整備地域という地域の指定制度がございます。これによりますと、御指摘のありましたシェルターでございますとかあるいは避難道路、そういったものの整備について特別の国の補助制度が設けられているということでございます。現在、その地域指定には三宅島は入っておりませんが、この地域の指定につきまして、関係地方公共団体の御意向も十分お伺いをしながら、関係省庁と連絡をとって検討を進めてまいりたいと思っております。
  155. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、こういう火山島のような場合、私は、立地計画といいますか、町づくりというものも、そういうことを踏まえてつくる必要がある。今回も、阿古地区はまさに溶岩流の直撃を受けて、すっぽりと溶岩流にのまれてしまった。ところで阿古地区は、調べてみますと過去二回、やはりやられておりますね、溶岩流に。これは一六四三年、それから一七一二年。もともと非常に危ないところであるということも言えると思うんです。だから、どこに集落をつくるかということについても、今回集団移転で適地を選ばれると思いますけれども、やはりより安全なところ、全体が火山ですからどこから噴いてくるかわからぬから安全と言えるところはないかもわかりませんけれども、それでも過去の噴火実績とか、それから地質等の研究によって比較的安全なところというのは選べると思いますし、それから溶岩流になりますとやはり低いところを谷に沿って流れておる、そういう点も考えますと、やはり地形的に安全な場所というのは、比較的安全なところは選べるはずだと思いますけれども、こういう点を十分配慮して集落の移転についてもやる必要があるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  156. 守屋友一

    説明員(守屋友一君) 二つのポイントがあるかと思います。  一つは、先生御指摘のように、集落移転の際の安全な適地を選ぶという問題かと思います。それからもう一つは、より長期の三宅島の復興計画の問題であろうかと思います。  前者につきましては先ほどから申し上げているとおりでございまして、住民の方々が御一緒に移転されようという御希望が整うならば、都及び村と相談をいたしまして適地の御選定が得られれば、それに対して積極的に対応しようという考えでおります。  それから復興計画でございますが、現在、東京都それから三宅村で復興計画が検討されているようでございます。国土庁では、離島振興法に即しまして五十八年度に、ことしの五月でございますけれども、離島振興計画を全国的につくりました。その中には、伊豆諸島の離島振興計画等につきましても東京都知事から御報告を受けております。多分、この復興計画が三宅村あるいは東京都で御相談が進みますと、私どもの方へ御連絡があろうかと思いますが、その際は、関係の村、都とよく御相談をいたしまして、これに関連する地域の振興計画を見直してまいりたいと考えております。
  157. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから最後に、被害救済についてお尋ねをしたいと思います。  今回は、損害が現在のところの見積額では二百十七億、そのうち公共施設が四十三億円、農林水産関係が九十二億円、そして宅地、家屋、家財が七十五億円、その他というふうになっておるわけでありますけれども、公共施設とか農林水産関係はそれぞれの制度が適用されますと救済の制度があるわけです。  ただ、問題は宅地、家屋の損害ですけれども、これはそれほど効果的な救済制度はありません。集団移転の場合の宅地については先ほどおっしゃったような制度があるにしろ、家がやられた部分については、これはやられ損みたいなかっこうなんですね。大体そういうところに家建てて住んでおるからいかぬのだということになるかもわかりませんけれども、しかしこれは地震にしろ噴火にしろ、なかなか人為的なものじゃありませんから、本当に天災なんですね。本当の天災の場合の家屋喪失に対する救済というのは、なかなかこれ十分にできていない。もっとも保険があるわけです。火災保険がありますけれども、普通の火災保険は天災の場合にはききません。それから、住宅総合保険ですか、総合保険で風水害の場合は該当しますけれども、これも半分しか出ないというのが普通であります。  それから地震の場合はどうか。これは大体一般の火災保険に比べたら三〇%ないし五〇%のものしか保障されないということでありまして、したがってこの地震保険にしろあるいは風水害に該当する総合保険にしろ、非常に加入する人に魅力がないわけです。特に地震保険の場合は保険料が非常に高い、これだけ高く掛けても家の価格の三〇%ないし五〇%しか返ってこない。だから非常に加入率が悪いわけですね。  現在は火災保険に入っている人が、日本損保協会の調べによりますと、約四九%。ところがそのうち地震保険に入っている人は、火災保険に入っている人の中の一七%ですから、全国民にしますと大体八%余りしか地震保険に加入していない。だから大部分の人は、地震とか噴火でやられた場合には何も返ってこないわけです。掛けておっても全額返ってこない、半分以下しか返ってこない。そういう中で、私は特に天災—日本は天災の多い国であります。風水害もあれば地震もあれば噴火もある、こういうものに対する救済制度というものを考える必要があるのではないかと思いますが、大臣はどうお考えですか。
  158. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は、災害が起こったたびに、その地区の皆さん、どういう種類の保険にどんなにお入りになっておるのかなということをいつも心配するわけでございます。そして、地震保険の関係で、再保険制度とかいろいろな問題について過去応援し、てこ入れをしたこともあるわけでございますが、さらにこの地震保険に広範囲に幅広く加入していただくようになりますと、料率その他もさらに安くなるんではないだろうか。世界有数の火山、地震のわが日本でございますから、ある面では、こういう面に対する損保さんの積極的な活動というものと、それから国民皆さん方がこれを認識して入っていただくということ、そしてこれに伴うところの再保険の制度の拡充、充実ということが非常に大切ではないかと考えておるところでございます。
  159. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回の場合も大体、家のやられた人が四百世帯ということでありますから、七十五億円を割りますと約二千万足らず、一戸当たり二千万足らずの被害ですね。これはまあ大変なことなんです。もちろん災害復興住宅資金というのがありますけれども、これはやっぱり借金ですから返さぬといかぬ。したがって、私は加藤長官にぜひお願いしたいんですけれども、加藤長官は特に政策通でいらっしゃいますから、国土庁長官をやられたという一つの契機として、何かこういう救済制度なりあるいはその保険の充実ということでもいいんですけれども、お考えいただきますようにお願いをしまして私の質問を終わりたいと思います。
  160. 野坂昭如

    野坂昭如君 参議院の会の野坂昭如と申します。  いま皆さんがしきりに予知、予知とおっしゃっていましたけれども、日本の予知体制というのはまさによちよち歩きであって、世界じゅうに見たところで、地震を予知できるあるいは火山噴火を予知できるという体制にはなってないわけです。そういうない物ねだりしたところでしようがないわけで、しかもなおかつ、三宅島に住んでいらっしゃる方は、たとえば七、八月に保険の加入というふうなものはとてもふえているわけですね。完全に彼らは知っていたわけです、ある程度の危なさということは。だから予知というふうなものが幾ら行われたところで、たとえば阿古村の全村を移転するということはできないわけなんだから、結局はその村に来るといったらもう運、不運みたいなことになっちゃうわけです。  結局、加藤さんは応急対策にいろいろと心が忙しかったらしいけれども、応急対策というふうなものは三宅島に関して言うならば、これはつまり次の災害に対してどういうふうなことにつながるかということになると思いますから僕は伺いますけれども、仮にこの次にどこに、たとえばいまは仮設住宅つくっていますけれども、次に今度村ができて、そこで村の人間がきちんと生きていけるようなそういうふうな仕組みを考えた場合に、どこの村に、どこの地域につくった方がいいのか。及び、そこにだって、三宅島というのはまさに阿蘇の火口の中に村があるみたいなものですから、だからどこで今度破裂するかわからないわけですね。そのときにどういう対策をするのか。とても予知というふうなもので解決できるものじゃないですよ。予知をすれば、それは確かにお位牌とそれから定期預金か何か持って逃げることはできるかもわからない。だけれども、そこでもって営々辛苦二十年なり六十年なり、確かに十一世紀からいままでに十三回目ですね、今度の噴火が。だからこんなふうな噴火があった場合にはどうしようもないわけですね。だから予知ではなくて、噴火があった場合に、今度のたとえばテレビなんか見ていましたら、ある程度溶岩流を横に流すこともできると思うんですよ。それから「週刊現代」のあるグラビアに、ブロック塀一つでもってせきとめたところもあるわけですね。そういう形でもって、単に予知じゃなくて、一つの住まいのたとえば環境というふうなものを溶岩流から遮るようなそういうことをお考えかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  161. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) まあ三宅島の島の特性で、私は、この三宅島には五部落あると。しかも若干の人口の相違はありますけれども、五つに分かれて住んでおられるというのは、これは島民の皆さん方の一つの生活の知恵だなと、長い歴史的な経過を踏まえた知恵ではないかなと、こういうことを一つ感じております。  そして応急復旧、それから、これから復興計画、振興計画を立てていかれるについて、これは島の村役場あるいは都の皆さん方がどういう計画を持ってこられるかというのは、十分関心……
  162. 野坂昭如

    野坂昭如君 大変失礼ですけれども、それでもって結構です。  あと建設省に一つ伺いたいんだけれども、つまりフェンスをつくるということはできますか。
  163. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 質問者に申し上げますが、委員長に許可を求めてから発言していただきたいと思います。
  164. 野坂昭如

    野坂昭如君 ああそうですか。では委員長、済みませんが……
  165. 赤桐操

    委員長赤桐操君) いま長官が発言中でありますから、その話をお聞き取りいただいて……
  166. 野坂昭如

    野坂昭如君 僕にしては全然何だかテレコみたいなことを伺っているとしか思えないわけです。僕は時間ありませんから、時間がないから、だから建設省に伺いたいと言っているわけです。
  167. 赤桐操

    委員長赤桐操君) いずれにいたしましても、長官がいま話が終わりますから、その後でひとつ続けて御質問いただきたいと思います。
  168. 野坂昭如

    野坂昭如君 いや、だって、延々とあんなこと聞いていたってしようがない。だから僕は建設省に伺いたいわけです。
  169. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 申し上げますが、委員長から発言を許して発言をいただいている以上は、御発言が終わるまでお聞き取りをいただきたいと思います。
  170. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 簡単に申し上げます。  そこで、これは建設省答弁をすると思いますが、最後の御質問の、新しい地域、部落にコンクリートあるいはブロックが今回の災害でも若干効果があったことは認めております。したがって、今後復興計画の中にどういう、たとえば擁壁になるのかパラペットになるのか、何になるのか、立ててこられるかどうかということを私としては注目いたしております。
  171. 野坂昭如

    野坂昭如君 じゃ次に、あれは可能なもんですか。ブロック塀の場合には、本当にもう最後のところだから、僕はブロック塀という倒れやすいものでもって支えられたと思うけれども、一つの部落というようなものに、たとえば万里の長城とは言いませんが、何か一つの覆いをしなかったら、予知とかなんとかじゃなくて、この部落のたとえば生命、財産を守るということにならないのじゃないかと思うんですね。これは建築上というか、そういうようなもので可能なものでしょうか。
  172. 狩野昇

    説明員狩野昇君) お答えいたします。  ただいま問題が二つ出たと思うんですが、一つは、フェンスによって溶岩流から町を守るということと、もう一つは、それを別な方向に流すことはできないかということであろうと思います。  フェンスにつきましては、溶岩の流下を抑止するという効果についてそれなりのある程度の効果がないというわけではないと思います。あると思いますが、溶岩流それ自体が、これは気象庁からもございましたけれども、その発生の場所あるいは流出してくる量、あるいは流下の方向、いずれにつきましても全く予測できないと、こういうふうに言われております。したがって、フェンスをつくることによって部落を完全に守る、防災対策として完璧な有効性あるものにするということについては、現在の技術においてはきわめて困難な問題だというふうに考えております。  それからさらに、溝等によって溶岩を他の方向に向きを変えるといったことにつきましては、その抑止の方法以上に溶岩それ自身の噴出地点、流出量、流下の方向等の予測が不可能でございますので、さらに技術的に非常に困難であるというぐあいに考えております。
  173. 野坂昭如

    野坂昭如君 そうすると、とにかく年がら年じゅう三宅島というのは、予知の問題は関係なく、いつ溶岩流が自分の村に襲いかかってくるかわかんないような感じなんですけれども、それ以外にいわゆる火山灰というのが大変覆っていて、これの被害というのは、確かに酸性土壌になってしまうという、その中和する方法もあるでしょうけれども、僕が考えるには、海の方はまるっきり火山活動とは関係ないと思うんですね、あそこでまた噴火したからといって魚が逃げるわけじゃないんだから。日本のいまの三宅島の場合、どうも水産の水揚げ量は、僕は百科事典調べただけですけれども、五億円ぐらいしかないらしいのだけれども、あの周辺には大変な漁場があるらしい。そうすると、農業とか、たとえば昔だったらツバキ油とか、あるいは炭もよかったらしいけれども、それぞれがだめになっちゃって、いまのように火山灰が覆ってしまうとそのたびに経済的基盤がなくなってしまう。この場合に、水産業というふうなものをこれから振興することによって、たとえば三宅島に住んでいらっしゃる方の経済的基盤をきちんとやるようなことはできるかどうか、水産関係の方にお伺いしたい。
  174. 守矢哲

    説明員(守矢哲君) お答え申します。  三宅島におきましては、トビウオとかムロアジとか、それからこういう浮き魚を対象とした漁業のほかに、トコブシ、イセエビ、それからテングサ等を対象とした漁業がございます。いま御指摘のように、三宅島は海に囲まれておりまして、水産業の産業に占めるウエートというのは非常に高くなっております。従来から三宅島地域におきましては水産業の振興を図ってきたわけでございまして、水産庁としましては、沿岸漁業の構造改善事業によりまして陸上の各種の施設をつくる、たとえば冷蔵庫をつくるとか荷さばき場をつくる、それからまた漁場そのものをつくる、魚礁をつくるというような事業、それから漁港を整備する、こういう事業を推進してきたわけでございます。  今回の噴火によりまして溶岩が流出したということ、それから火山灰が降ったということによりまして、幸い陸上の施設等につきましては被害はなかったわけでございますが、漁場がある程度荒らされたのではないか、こういうおそれがございまして、現在、東京都を督励いたしまして現場の調査をさしております。潜水調査をいたしまして、磯根資源にどのような影響が起こっているかということを調べまして、これらに対して必要な対策を講じるということを通じまして、従来から実施してまいりました沿岸漁業の振興を一層推進していきたい、こう考えております。
  175. 野坂昭如

    野坂昭如君 三宅島というのは蛇がいないし、それから一年じゅう牧草が生えていて、だから牧畜も大変盛んだし、それから昔はツバキの生えているまことに蓬莱島と言っていい島だったわけです。だけれども、いまの日本の中で言うならば、仮に水産業の上においてもハンディキャップがやっぱり火山活動によってあって、しかもなおかつ溶岩流によって村がつぶされてしまう、あるいは火山灰によって——あそこにはキヌサヤとかお芋とかあるいはオカボとかいろいろあるわけで、しかしそういうふうなものが全部だめになってしまうならば、僕はあえて申し上げますけれども、これは加藤さんに申し上げるけれども、あそこに住んでいるということ自体がもう無理なんじゃないですか。
  176. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) わが国は可住面積が少ない、そういうところに多くの一億一千八百万の皆さんが住んでいる、その一つの象徴がこの三宅島ではないだろうか、こう考えております。しかし、皆さん方にお聞きしますと、墳墓の地、ふるさとの地三宅島に住みたい、こういうことをおっしゃるわけでございますから、そういう皆さん方が将来に希望を持つようなあらゆる方法を、そして子供や孫も喜んで住めるような安心感のある島をつくるために村と国挙げて協力していかなくてはならない、こう考えております。
  177. 野坂昭如

    野坂昭如君 たとえば三宅島だけが墳墓の地じゃないんで、住めば都だし、それこそ向こうに住めば必ずそこにお墓もできるわけですからね。ただ、いま三宅島というところに住んでいらっしゃる方は——本当にあそこは年がら年じゅう野菜もできますし、それから聞いてみると本当に住みやすいところらしいですね。明治七年から後六十六年間は噴火がなかったし、その後でもって二十二年、二十一年というかっこうで間欠的にいろいろ出てきているけれども、だけどああいうふうに、いまの場合は偶然かもわからないけれども、阿古という一つの村落が全部つぶれてしまう。こうやって僕は上の方から見ましたけれども、いまのところ二十二カ所噴火口みたいのがありますね。至るところがこうやって黒い、見るもおぞましき何というか溶岩流で覆われているわけです。溶岩流は当然いつか風化して関東ローム層みたいになるかもわからない。あれは初めにシダ類が生えて、次に風化したところで、やっぱり二、三百年かかるわけです。そうすると、そこのところにはもう住めないだろうと思うんです。だから、僕は別に何もそこに住んでいる方たちを強制的に移転させるというんじゃなくて、三宅島に住んでいらして、しかもなおかつ郷土愛とかあるいは父祖伝来の地とかいうだけではなくて、もっとほかのところで住むようなそういう対策というようなもの、こっち側でもって、いろんな災害があったんだから、それならばそれを受け入れてあげようというふうな、これは僣越な言い方かもわかりませんけれども、そういうふうな形におけるたとえば方策は考えられないものなんですか。
  178. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は四日にお伺いして、寝たきり老人六名が本当に最優先的に避難されておりますその寝たきり老人のおばあさんとお話ししまして、直後でございますから、おばあさん、東京都内のすばらしい特別養護老人ホームを確保して、そこへひとつ移っていただきたいように都も私も考えるんですがと申し上げたときに、その寝たきり老人のおばあさんが、私はここで死にたいんじゃと、このことを言われまして、ちょっと感慨無量といいますか、胸が詰まった思いがしたわけでありまして、ただ政治としての立場から申し上げますと、国民皆さん方に、より安全なところでより文化的な生活が営めるところに住んでいただきたい、そしてそのための受け入れ設備はしなくてはならないという気持ちは十二分にありますけれども、個人個人の感じ、考え方というものもまたある面では最大限に尊重しなくてはならないんではないか。そこら辺のジレンマに陥ったときもあります。
  179. 野坂昭如

    野坂昭如君 わが参議院の会の美濃部さんが東京都知事であるときに、一人の反対があれば橋をかけないと言ったような、そういう話をずいぶん自民党は反対しておりましたけれども、いま、はからずも加藤さんから同じような意見を聞いて、まことに心強いというか、そういう感じがします。  それから、全然話は違うんですけれども、田中審議官は僕らと一緒に三宅島へいらっしゃいましたね。あのたとえば調査というんですか、あの調査でもってあなたは何かおわかりになりましたか、行って。
  180. 田中暁

    政府委員田中暁君) どの程度わかるかということは、それぞれ個人の能力にもよりますんでしょうから、おのずから限界があるんではないかと思いますけれども、やはり先生が御指摘になったような、三宅島というものの置かれております客観的条件、これに対します住民の方々の主観的な感情というもの、その辺をどのように調整するといいますか、バランスをとるかということは大変むずかしい問題ではないかという気が実はいたしました。
  181. 野坂昭如

    野坂昭如君 何を言っているかさっぱりわかんないけれども、要するに僕たちは十時に羽田を出て、それから十一時ちょっと過ぎにあそこへ着いて、それからぐるぐると回って、それで帰ってきたわけですね。そのとき、上からたとえばいろいろ溶岩流なるものを見ました。  いままでのたとえば災害対策特別委員会調査行については非常に有意義なこともあったでしょうけれども、たとえば僕たちは旧日本陸軍の南方派遣軍の下士官みたいなかっこうして、あそこへ行ったけれども、あそこのたとえば避難民の——避難民じゃないのか、何と言うのか、あそこにいらっしゃる方たちはまるで僕らを無視していましたね。そして、彼らと僕たちは話をすることもできなかった。それでくるくるっと回って帰ってきたわけです。そんなことするぐらいならば、一日、二日でもいいからあそこへ泊まって本当にそこにいる方たちと一緒に話をしなかったら、あれは調査にはならないと思うんです。ああいうふうな何というか、形式的なことは僕はやめた方がいい。それは確かに十一万何千円ぐらいしかお金かからないかもわからないけれども、自衛隊とそれから海上保安庁のあれも出ているわけだし、二十何人ぐらいの人間が行っているわけですから、ものすごいあれはむだであって、行政改革というのはこういうところからはっきりやめていった方がいいと思う。もっと後になってからやったらどうですか。  以上でもって終わります。
  182. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 野坂委員の御発言でございまするので、承っておきます。質問者、よろしいですか。
  183. 野坂昭如

    野坂昭如君 いいです。
  184. 赤桐操

    委員長赤桐操君) それでよろしいんですか。
  185. 野坂昭如

    野坂昭如君 はい。
  186. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 以上をもちまして本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時散会