運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-11-24 第100回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十一月二十四日(木曜日)    午前十時三十二分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     稲村 稔夫君      久保  亘君     久保田真苗君      上田耕一郎君     近藤 忠孝君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      吉村 真事君     鈴木 省吾君      志苫  裕君     梶原 敬義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田中 正巳君     理 事                 岩崎 純三君                 長田 裕二君                 上條 勝久君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 矢田部 理君                 中野  明君                 神谷信之助君                 伊藤 郁男君     委 員                 岡部 三郎君                 梶原  清君                 工藤万砂美君                 佐々木 満君                 鈴木 省吾君                 関口 恵造君                 竹内  潔君                 竹山  裕君                 藤井 孝男君                 降矢 敬義君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 柳川 覺治君                 稲村 稔夫君                 梶原 敬義君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 飯田 忠雄君                 和田 教美君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       丹羽 兵助君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君    政府委員        内閣審議官    手塚 康夫君        内閣審議官    百崎  英君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       佐々木晴夫君        行政管理庁長官        官房総務審議官  竹村  晟君        行政管理庁長官        官房審議官    古橋源六郎君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    参考人        元臨時行政調査        会会長        臨時行政改革推        進審議会会長   土光 敏夫君        元臨時行政調査        会委員        臨時行政改革推        進審議会委員   瀬島 龍三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国家行政組織法の一部を改正する法律案(第九十八回国会内閣提出、第百回国会衆議院送付) ○国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○総務庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付) ○総務庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る二十二日、穐山篤君、久保亘君及び上田耕一郎君が委員辞任され、その補欠として稲村稔夫君、久保田真苗君及び近藤忠孝君が選任されました。  また、本日、志苫裕君及び吉村真事君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君及び鈴木省吾君が選任されました。     ─────────────
  3. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案の各案を一括して議題といたします。     ─────────────
  4. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として元臨時行政調査会会長、現臨時行政改革推進審議会会長土光敏夫君及び元臨時行政調査会委員、現臨時行政改革推進審議会委員瀬島龍三君の両君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には御多忙中のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございます。目下当委員会におきましては、国家行政組織法の一部を改正する法律案外五法案につきまして審査を進めているところでありますが、本日は、特に参考人方々から各法案について忌憚のない御意見を述べていただき、今後の審査参考にいたしたいと存じておりますので、よろしくお願いをいたします。  なお、議事の順序でございますが、初めに土光参考人に御意見をお述べいただき、その後、両参考人の御意見委員からの質疑お答え願う形で承ることにいたしたいと存じます。  それでは土光参考人お願いをいたします。土光参考人
  6. 土光敏夫

    参考人土光敏夫君) 臨時行政調査会会長をいたしておりまして、現在は臨時行政改革推進審議会会長も務めております土光敏夫でございます。  本日は、行政改革特別委員会出席いたしましてごあいさつを申し上げ、行政改革につきましての所信を申し述べる機会を与えていただきまして大変ありがたく、厚くお礼を申し上げます。  委員各位におかれましては、臨調答申によりまして提案された行革関連法案を初め、行政改革の諸問題につきまして、大所高所のお立場から、連日非常に御熱心な御審議をいただいておることに対しましては、まことに厚く敬意を表する次第でございます。  今日、行政改革わが国にとりまして最も大きな課題となっております。わが国はこれまで、すべての国民の一致したたゆまぬ努力によりまして、社会的、経済的に自党ましい発展を遂げてまいったのでありまして、世界のGNPの現在約一割を占める経済を持つに至ったのでございます。  しかし、近年における内外の諸情勢の大きな変化、とりわけ、わが国高度成長から安定成長への移行に対する対応がおくれまして、行政肥大化が進み、巨額の財政赤字が発生しておるのが現状でございます。  国民経済における政府の総支出の規模は、ほぼこの十年間におよそ二〇%から三五%と非常に一気に増大してまいっておるのであります。このまま放置いたしますれば、行政肥大化国民負担を増大させ、わが国先進国病西欧諸国の現在のような状態に陥り、社会経済活力が失われるとわれわれは考えておるのであります。行政改革によりましてこのような事態が到来するのを防止しようとすることが、累次の答申において第一に申し上げたかったことでございます。  わが国は今後、人口構成高齢化、資源の制約などの多くの困難を克服いたしまして、本当に活力のある福祉社会を建設していく必要があると存じます。また、国際的役割りの増大に対応して、国際社会に対して積極的な貢献を果たしていかなければならない状況にあるのであります。  このような新しい時代対応した国民的、国家的課題に、行政が機動的、弾力的に対応することができるようにするために、臨調といたしましては、まず増税のない財政再建基本方針といたしまして、行政役割り制度、政策を抜本的に見直し、肥大化した行政を徹底的に合理化を行うように提言いたしたのであります。  さらに、中長期的にも、大きな政府になることは避けなければならないと思っております。二十一世紀に向かって、人口が非常に高齢化することによりまして、社会保障関係の費用は増大してまいりますが、それでも国民負担率は、現在のヨーロッパの水準よりかなり抑えたものとすることが必要であろうかと存じております。  臨調は、以上の考え根本理念といたしまして、国、地方を通ずる行政改革基本的方向具体的改革方策を提案いたしたのであります。累次にわたる答申におきまして、行政施策改革基本方向をお示しするとともに、省庁組織や三公社改革、許認可、補助金等整理合理化、その他行政制度運営の各般の改革措置を講じていただくようにお願いしておるのであります。  これらの行政改革案は、委員だけでなく、専門委員や参与など各界、各方面方々に御参加をいただきまして、二年間にわたり、文字どおり本当に昼夜兼行の作業をいたした結果つくり上げたものでございます。また、その過程におきましては、中央地方での多くの機会を通じまして、広く国民皆様方からの御意見も十分徴してまいったのであります。時間の制約もありまして、広範な行政改革の要請を考えますと、不十分な点があることは免れませんが、その意味におきましても、提起した行革案は今後の行政改革におきまして必要最低限のものであると私は存じております。  私どもは、この行革案実行することが、二十一世紀に向けて活力のあるわが国社会を形成していく確実な第一歩となるということを深く信じております。その早急かつ完全な実現を念願いたしておるのであります。  政府は、第一次答申以来、臨調答申最大限に尊重しつつ、行政改革を推進する決意を表明されております。いわゆる行政改革大綱を二次にわたり定められ、答申実現に向けて努力されているということは、これをわれわれは高く評価するものであります。しかし、改革課題の多くは今後具体化すべき問題として残されているのでありまして、答申を提出いたしました私ども国民の期待からいたしますと、政府にはさらに一層の御努力お願いいたしたいと存ずるのであります。  今国会に上程されておりまする七件の行革関連法案は、答申事項の一部を実行に移していただくものでありますが、本格的な行政改革に向けての第一段階としての意義は私は大きいと考えております。国会におかれましては、国権の最高機関たる立場から十分ひとつ御審議をいただきまして、これらの法案に盛られた措置ができるだけ速やかに実施に移されるよう、さらに一段の御尽力を切にお願いいたしたいと存じております。  百兆円を超える公債残高を抱え、行財政をめぐる情勢がますます厳しさを迎える中で、昭和五十九年度の予算編成は、行政改革推進上重要な節目になると思われます。一時しのぎのやりくりや工夫に終わることなく、制度基本にまでさかのぼった改革に着手しなければ、財政再建の目途は立ちません。このため、昭和五十九年度の予算編成において、政府は、増税なき財政再建基本方針を堅持し、これをゆるがせにするような措置をとることなく、制度施策全般にわたる根本的な改革を推進することに最大限努力を払っていただきたいと思うのであります。  また、次期通常国会には、電電公社、また専売公社改革など重要な措置が予定されておりますが、これらは今後行政改革をリードするものであり、ぜひとも実現していただきたいと考えております。そうして初めて新しい時代を目指す行政改革が軌道に乗り、国鉄の本格的な改革各種制度的改革が進展すると思うのであります。  行政改革は、直接的には政府及び国会が担当されるべきものでありまして、その御努力を切にお願いしてやまないものであります。しかし同時に、国民といたしましても、政府対応状況に強い関心を持つとともに、自立自助精神に立脚して積極的な協力をしていかなければ十分な成果が上がりません。そのためにも、国民的な運動として行政改革を推進することが新しい時代にふさわしい行政実現する道であると思います。  このため、私は、臨調が解散して以来、各方面、各地方の多くの方々行政改革実現について話し合いをいたしてまいっておるのでありますが、いまや行政改革を推進する国民活動は全国的に非常に拡大しつつあります。特に地方において目覚ましく、地方行政改革推進活動をされておる方々からは、むしろ中央行革に対する関心が薄れたのではないかという疑念すらも聞こえてまいる現状でございます。  私は、このような国民皆様方の声を聞き、また中曽根総理行政改革にかける決意をも確認いたしまして、老骨ではありますが、今回の行革審会長をお引き受けいたしました。当審議会役割りは、政府行政改革実施状況を注視し、その充実強化のために政府意見を申し上げることであります。  政府は、中曽根総理みずからが先頭に立って、現下の最重要課題として行政改革実行に邁進すると表明されております。  私ども行革審といたしましては、政府施策がさらによいものとなるよう調査審議に最善を尽くしてまいりたいと存じております。また、中央地方における国民皆様方行革推進活動と連携をとりまして、行政改革が真に二十一世紀に向けた国民的事業となるよう全力を投入してまいりたいと存じております。  本委員会委員各位におかれましても、何とぞひとつ切に御支援、御協力をいただきたいというふうにわれわれは強い希望を持っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  これで私のごあいさつは一応終わらしていただきますが、本日は、臨調委員であり、今回の行革審委員でもある瀬島委員出席しております。臨調答申考え方行革審運営等につきましては、御質問をいただきますならば、瀬島委員から私にかわりまして十分適切にお答えいただくことにしてございます。どうぞひとつ皆さん方の御協力お願いすると同時に、よろしくお願い申し上げて終わらせていただきます。(拍手
  7. 田中正巳

    委員長田中正巳君) ありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  まず、委員会を代表して私から、土光参考人に対して若干の質疑をさせていただきますが、いま土光会長からお話がございましたが、後ほどは瀬島委員がもっぱら答弁に当たる由でございますが、特にこの際、土光参考人に若干の点について御答弁を相願いたいと存じます。  第一に、臨時行政調査会は、常日ごろ増税なき財政再建ということをおっしゃっておりますが、その意味は具体的にはいかがなものでございますか。さらには、反面、税調中期答申においては増税の一部を、たとえば物品税のようなものについて検討する旨の答申がございますが、この間の関連をどうお考えになりますか。この点について第一問でございます。  第二問は、土光会長さんは、臨調会長であったと同時に郵政審議会会長でもあられる由でございますが、この両審議会答申に若干のそごがあるように見受けられますが、この点をどう御解釈になっておられますか。  第三問、行革成果について政府が公表をしてはいかがかという提案が委員の一部にございますが、こうしたことについて土光さんはどのようにこれを受けとめ、評価をしておられますか。  第四に、文教や福祉といったような国民生活擁護について、臨調答申においてはこれをどう扱っていくか、守っていくか、その基本的なお考えについてお知らせをいただきたいと思います。  第五は、かねて臨調は数次にわたって答申をお出しになりましたが、こうした答申と、ただいまわれわれが審議をしておりまする政府提出法律案関連させて考える場合、一体これらの、ただいまわれわれが審議している法律案臨調会長である土光さんはどのように評価なさっておるか、お考えか。  この五点についてお答えを願いたいと思います。
  8. 土光敏夫

    参考人土光敏夫君) ただいま委員長から御質問がありました点につきましてお答えいたします。  増税なき財政再建臨調基本精神でございます。これは長らく昼夜兼行審議いたしましたが、全員がこれについては何らの疑念もなかったのであります。その根本問題として増税しないという点を答申基本としてまいったのであります。先進国病に陥らないように、当面ぜひ堅持していただきたいというふうに存じます。  第二の、税制調査会からの中期答申でございますが、これは当面の状況対応した考え方を示したものであろうかと想像するのでありまして、行革審といたしましては内容検討するには至っておりません。われわれが政府から命ぜられましたものは、行政改革ということでありまして、この行政を本当に、先ほど申しましたように、皆様方の高い御見識から、ぜひ将来に向かって先進国病に陥らないようにぜひお願いするという基本問題で全員が一致しまして御答申申し上げたのであります。税制調査会答申等につきましては、われわれは直接これに対して審議はいたしておりません。今後検討に当たって、増税なきの基本精神を堅持し、政府においてぜひ検討お願いしたいと存じます。  第三番目としまして、郵政審郵便貯金答申臨調関係につきましては、臨調は全行政改革分野を点検したものでありまして、部分的な問題よりは全般をとらえて審議いたしたものであります。そのように御理解願いたいと存じます。郵政省その他の件につきましては、皆様方あるいは中央政府の十分ひとつ御検討を願いたいと存ずるのであります。  さらに、政府行政改革についての評価、点検の方策や、行革国民生活との関連につきましては、行革審はこれに参加した委員全員十分いろいろと議論いたしたのでありますが、基本的には行革は一挙に完成するにはなかなか大変な問題であるかと存じます。これには皆様方の十分な御理解をいただきまして、順次これを日本の国のために御審議いただいて、いい路線に向けていただきたい。いわば一歩一歩、行政改革すべき点があるならば、積極的に皆さん方の御努力によってこれをそういう方面に導いていただきたいと思うのであります。  その他不十分な点がありましたら、瀬島委員からお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  9. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 土光参考人には御多忙中のところ御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼申し上げます。  御退席いただいても結構でございます。
  10. 土光敏夫

    参考人土光敏夫君) では、私退席させていただきます。(拍手
  11. 田中正巳

    委員長田中正巳君) それでは、質疑のある方は順次御発言願います。稲村稔夫君。
  12. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私ども行革関連法案審議をするに当たりまして、いろいろと参考にするために、きょうは参考人の御出席をいただき御質問申し上げるということに相なったわけでありますが、ただいまも土光参考人の御答弁を伺っておりまして、ますますちょっとわからなくなってきている部分があるわけであります。  中曽根総理大蔵大臣国会における各種質問に対しての答弁の中では、常に臨調答申に沿って行政改革を進めている、こういうふうに言っておられるわけでありますけれども、しかし現実には、たとえば、ただいまも出ておりましたが、政府税調中期答申によりますと、今後増税路線ということが私どもには大きく懸念されるわけでございます。ただいまの土光さんのお答えでございますと、この税調答申については全然検討をしておられないということで、それについての御答弁がなかったわけでありますけれども、しかし、物品税を中心にいたしましてこれから中長期にわたってだんだんと対象も拡大をしていくというような方向が出ているならば、これはまさに増税路線ということになるのではないかと思うのでありまして、その辺のところをどういうふうにお考えになっておるか、まずお伺いしたいと思います。
  13. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) お答えを申し上げます。  ただいまの稲村先生の御質問は要点は二つじゃないかと、このように理解をいたしました。  第一点は、増税なき財政再建とは何かという問題が一つだと思います。それからもう一点は、先般出ました税調中期答申、これをどう見るか、ことにその中の物品税云々の問題をどういうふうに行革審が見るか、この二点かと思います。  第一点の問題でございますが、臨調が申しております増税なき財政再建というのは、基本的な内容二つございます。その一つは、行政改革を推進する、歳出制度、構造まで踏み込んで歳出合理化をやる、こういうために増税なしということをてこにしていく。たとえて申し上げますと、五十七年度の予算あるいは五十八年度の予算はおおむね増税なしに予算が組まれました。私どもは、政府増税なき財政再建のこの趣旨で五十七年度、五十八年度の予算が組まれた、このように理解をいたしております。これは一つてことしてという意味でございます。  それから、もう一つ増税なき財政再建内容は、先ほども土光さんから申し上げましたとおり、わが国が将来先進国病にかからないようにわが国社会活力を維持していく必要がある。そのためには、ヨーロッパで見られますような国民負担率、ことに租税負担率がどんどん上がっていったのでは必ず先進国病になる。したがいまして、国民負担率、ことに租税負担率をできるだけ抑制をしていく、こういう観点からの増税なき財政再建基本的な内容は以上の二つございまして、そういうふうなものが私ども考え方で、臨調考え方でございます。  それから、第二点の問題でございます税調中期答申でございますが、先ほど土光さんが申しましたとおり、行革審としてはまだ税調中期答申を詳細に検討いたしておりません。したがいまして、これについて基本的に意見を申し上げる段階でございませんが、私が税調中期答申を見ましたのでは、御承知のとおり中期答申二つを柱にしております。一つは、歳出合理化、削減ということが一つの柱で、もう一つの柱が、将来のわが国経済社会情勢に即して公平かつ適正な税を検討する、この二つの柱が税調中期答申の柱になっておりますが、この線につきましては私ども臨調考えました方針基本的には矛盾をしておりませんし、認識はおおむね共通しておる、このように私は理解しております。  お尋ねの物品税問題を行革審としてどう見るかという点でございます。  先ほど私は、増税なき財政再建基本を申し上げましたが、あの基本考え方から申し上げますと、安易な増税増収目的の安易な増税、これはもちろん私どもは絶対に反対でございますが、臨調も税の公平性の確保、直間比率の是正、中以下の所得者のための所得減税、こういう問題も臨調としては指摘をしております。したがいまして、先ほど申し上げました租税負担率範囲内におきまして、ただいまのような目的のために一部の税目を修正をする、あるいは実施するということは、基本的に増税なき財政再建矛盾をしてない、このように私ども考えております。
  14. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そういたしますと、租税負担率範囲内でいろいろと物品税の場合には変更があっても、それはやむを得ない、こういうお話でありますけれども、そうすると、その租税負担率というのは大体どの程度に考えておられるのですか。といいますのは、平均的に、全国民でプールをして、全世帯でプールをして平均的に見ていくというのと、国民の多数を中心にして物を見ていくという場合で数値の取り方もずいぶん変わってくる面もございますけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになっておりますか。  それからまた、全体的に歳出を締めていかれるということになるわけでありますから、そういたしますと当然景気等にも重大な影響が出てくるわけでありますが、そういう中で物品税の増額あるいはその対象化品目の拡大というようなものは、かなり国民生活にも重大な影響を与える、こういうことになってくるのではないだろうか。そうなれば臨調で言われる基本理念というものにもとることになるのではないだろうか、そんなふうにも思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  15. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) お答えを申し上げます。  ただいまの先生の御質問の第一点でございますが、租税負担率の具体的な数字をどう見るかという点でございます。これは国民の平均所得に対する租税の負担率でございまして、国民の平均所得そのものがいろいろ変化をしてまいります。したがいまして、固定的にこの数字を決めあるいは申し上げることは非常にむずかしいと思いますが、私ども臨調でこの問題を一応検討の過程で使いました数字は、国民の平均所得に対する租税負担率として約二四%前後という数字を検討一つの数字として使いました。そのように御理解願いたいと思います。  それから第二点の、物品税国民の生活あるいは景気対策、経済社会に影響があるのじゃないかという御指摘でございますが、確かにそういう面もあろうかと思いますが、一番その中でも大切でありますことは、やはり先ほど申し上げましたわが国社会活力を失わない、そのためにおける租税負担率に大きな影響を来さないという点を私どもとしては最も重視したいと思います。
  16. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そういたしますと、臨調の御検討の中では、こうした平均所得ということを中心にだけ議論をされたのでございましょうか。国民の所得ということは非常に幅広くいろいろと階層があるわけでありますけれども、そういう階層へのいろいろな影響というふうなこと、その辺はどういうふうに御検討になったのでしょうか。
  17. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) お答えをいたします。  いま一番重視をしました租税負担率との関係国民の平均所得と平均負担、こういう観点でこれが一番大切だと私どもは思いましたが、それ以外のやはり配慮をしなければならぬ問題としては、国のGNPとの関連の問題でございました。それらもあわせて考えて、先ほど申しましたような増税なき財政再建という基本的な考え方をとったわけでございます。
  18. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 時間の関係もございますので、まだいろいろとこの点についてもお聞きしたいところもございますけれども、要約をいたしますと、大体その租税負担率、平均所得に対する租税負担率範囲内で部分的には増税ということがいろいろとあってもやむを得ない、こういうふうにお考えになっているというふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  19. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 趣旨としては先生のおっしゃるとおりでございますが、さらに厳密にそこを申し上げますと、租税負担率範囲だから安易な増税を一部でやる、これは私どもは適当でないと思っております。先ほど申し上げましたとおり、減税あるいは直間比率の是正あるいはその他の国民に必要な目的のために一部の税目を修正する、その結果が一部の増税になる、これは私ども基本的には矛盾をしない、こういう考え方でございます。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕
  20. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 安易な増税はすべきでない、こういうお話でありますけれども、これはもう当然のことなんでありまして、すべて安易な増税をしないという基本でやはり物は考えていくと思うわけであります。問題は、それが安易であるかどうかということは、これまた国会審議の問題にもなってまいりますので、その問題はこの程度にさせていただきますが。  次に、臨調では民間の活力を活用するという点をかなり重視しておられるわけであります。そこで、その民間の活力というのは一体どういうことなのであろうか、こういうことなのでありまして、民間の活力、これもなかなか言葉の意味は解釈の仕方によってはいろいろと出てくるわけでありますが、私はどうも一部の民間の活力というふうに言わざるを得ないのじゃないだろうか、そんな感じがするわけでありまして、わが国経済はいわゆる二重構造というふうに言われてまいっておりまして、この二重構造のもとでいろいろ、大企業といえども中小企業との関連というものなしに経営が成り立っていかないといいましょうか、そういう中小零細企業が下支えをしているという、そういう経済構造になっていると思うのです。  そういう中で、たとえば最近の六月期決算等の新聞報道等を見ますと、大企業の場合に自動車とかエレクトロニクスとか、そういうようなところはかなりの利益を、増収をしている、こういう状況でありますけれども、その下支えをする中小零細企業というのは、これは様種にもよりますけれども、非常に多くの部分、特に国内向けのものは大変苦しい状況にあって、倒産も言ってみれば最高を記録する、こういうような状況にあるのではないかと思うのです。したがいまして、民間の活力と、こう言いましても、私どもは、特定のところにはあるかもしれないけれども、中小零細企業、少なくとも下支えをしている部分には活力なんていうのはとてもないのではないだろうか、そんなふうにも思うのですが、その辺は臨調では御議論になったのでございましょうか。
  21. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) お答えをいたします。  先生が御指摘のとおり、わが国経済のすそ野を形成し、基盤をなしておりますのは全国の中小企業であることは仰せのとおりであります。私は、日本商工会議所に関係しておりまして、特にその問題を痛感しております。全国の約五百万の中小企業、これがわが国経済の下支えをしておるということは、わが国経済構造における大きな一つの特徴でございます。したがいまして、臨調におきましても、経済界の中の特定のところを対象にするというようなことは毛頭考えませんでして、中小企業のことも十分踏まえていろいろの意見を提出したわけでございます。  一例を申し上げますと、御承知のとおり中小企業対策費というのが予算の中にございますが、これについては、特に臨調は小規模の零細企業、これについて中小企業対策費の運営で特に配慮するように指摘をしたのでございます。
  22. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いま瀬島参考人基本的なところで言われたところ、この認識はこれは一致している形になりますけれども、しかし、それを具体的にどう見るかというところについて私の方はよくわからぬわけであります。たとえば、いま中小企業対策費の運営でというふうにお話がございましたけれども政府予算の費目の中でいきますと、中小企業対策費の占める割合というのはきわめて微々たるものでございますし、しかもこれはいわゆる融資を中心にした対応ということだけでありまして、中小企業が抱えているいろいろな根本的な問題、乗り越えられないでいる問題、これをどうするかというところの対策というのはほとんど手が打たれていない、こういう状況だと思うのであります。そういたしますと、口ではと言うと大変失礼でございますけれども、言ってみれば、考え方としては下支えをしている中小企業を大切にするというふうに考えられるといたしましても、実際はほとんど放置されているに等しい、こういうふうに言っても差し支えないと思うのであります。  特に私は、民間の活力を活用してたとえば電電公社だとか専売公社とかという公営企業を、これを引き受けるということになりますと、それは大きな企業が引き受けざるを得ないだろうと思います。しかし、地方における地方の公営企業の事業というもの、これを民間が引き受けるとなると、ほとんど中小零細企業の分野になってくるものが多いと思います。その場合に、今度は補助金でも出して運営をそれぞれ援助してやらなければやっていけないような状況ということで、中小零細企業というものについての基盤はきわめて弱いばかりでなくて、そういう大きなところとの格差というのが非常に大きいと思う。これが民間の活力の活用ということでその格差がますます拡大していくという、そういう経済原則がございませんでしょうか。その辺のところはどんなふうにお考えですか。
  23. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 中小企業問題が非常に重要な問題であり、しかもそれは単なる経済問題でなくて、わが国社会活力という観点において非常に重要であるという御意見は私どもも同感でございます。  ことに最近、大体全国中小企業の倒産件数が千七百件ぐらい毎月起きておりまして、これは社会の安定という観点から私どもも非常に重要なことであると思っておりますが、実は臨調は、中小企業対策という具体的な問題まで踏み込んで検討をし、あるいは対策を立てるということまでには臨調二年間の間に至りませんでした。そのことは申し上げておきたいと思いますが、いずれにいたしましても、わが国社会の安定と活力のためには、中小企業は非常に重要であるという認識は臨調は十分に持っておったつもりでございます。
  24. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 中小企業は大事だという認識はあるけれども、その中小企業対策をどうするかということについては、そこまではいかなかった、こういうお話なわけです。しかし一方では、具体的に国鉄であるとかその他の公社等についての言及もされているわけであります。それからまた、ただいまの土光参考人のごあいさつの中でも、地方行革推進活動を積極的に進めている部分を評価しておられるという部分があるわけであります。そして地方では、今度は民間委託であるとかなんとかという形ですでに先行している部分、中央よりも先行している部分というものも結構ある。しかもそこにまた新たな問題がいろいろと出てきているわけであります。そうすると、むしろ経済のすそ野を支えているという中小企業を中心にして、しかも地方の方がそういう形が出てきているということになれば、むしろその辺のところが積極的に、そちらの方が先にいろいろと議論をされて対策が立てられるべきではなかったかというふうに私は思うのですけれども、その辺はずっと検討に参加をしてこられた委員としてどういうふうにお考えになりますか。
  25. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 中小企業対策という特定の問題を細かく踏み込んで臨調検討は実はいたしませんでした。ただ、いろいろの問題でできるだけ民間に移せるものは民間に移す。ただいま先生が言われました、民間に委託をする、地方のいろいろの仕事について、官なり公なりがやっております仕事をできるだけ民間に委託する、こういうことは、一つ地方においては、ことにそれは受けるのは中小企業になります。こういう指摘は臨調はいたしました。あるいはまた、政府の大きな事業である電電公社あるいは専売公社、これらを臨調としては民営化を指摘しておるわけでございますが、その場合において中小企業をできるだけ活用すべきであるというような考え方臨調としては持っておりました。
  26. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 専売公社とか電電公社等を民営にする場合に、中小企業を活用すべきだというふうにいま言われましたけれども、それは具体的にはどういうことになりますか。
  27. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) これは、これから次の通常国会に電電、専売の改革法案が上がる予定と承っておりますが、これを民営化しますと、たとえて申し上げますと、地方における電話のサービスというような仕事が出てくるわけでありますが、そういうことについてはできるだけ地方の中小企業を活用するというようなことになるかと思います。この点は電電、専売の改革法案がまだ最終的にまとまっていないようでございますが、私どもとしてはそのように考えました。
  28. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私はそこのところでまたちょっとひっかかる部分が出てくるのでありますが、中小零細企業が受け持つ部分というのは、そうすると大企業が受けて、その受けた一部を中小企業が子会社なりその他の形で、下請のような形で分担をする、こういう形になるわけでしょうか。
  29. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) そこはまだ固まっていないと思いますが、私どもとしては、ただいま申しました、たとえば電話の補修とかあるいはサービスとかこういうような問題、専売の場合はたばこの配送というような問題、民営化の方向をたどりますと当然そういう問題が起きてまいります。そういう場合に、いま先生が言われた大企業が受けて中小企業を下請にするか、あるいは中小企業自体がそれを受けるか、この辺はまだどのような見当で進んでおるか、私ただいま承知いたしておりません。
  30. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私がお聞きをしたい点は、要するに企業が受ける場合に、メリットの大きい部分と、あるいは大したメリットのない部分と、必ず仕事の中にはそういうものがある。しかし、現在の一般的な趨勢から言えば、経済的な力がある者がメリットのあるものをつかみ、そして力の弱い者は結局利の少ないものにありつくしかないという形になる。先ほども申し上げたように、たとえば日本経済全体の中では力のある者といわれる五億円以上の大企業は海外への輸出を中心にいたしまして利益を上げていくということができますけれども、しかし利益を上げているにもかかわらず、底を支えている中小零細企業の方は、その利益の恩典になかなか容易にありつけない、こういう形になっているのではないか。そういうのはきわめて不公平ではないか。むしろそういう形で、民間に委託をするということの中で全体の中では格差が拡大をしていくのではないか、こんなふうに思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  31. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) その辺は政府においてしっかり御指導を願いたい問題だと思います。ただいま申されましたように、いいところだけ大企業が取って悪いところを中小企業というようなことにならないように、これはわが国社会全体の安定と活力維持のために政府でぜひ御指導をお願いしたい、こう思います。
  32. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 この問題もまだいろいろとお聞きしたい面があるのですけれども、時間もありませんから一言でこれを要約して私どもなりの受け取り方をいたしますならば、そうした中小零細企業と大企業、力の差によって格差が起こるような方向は望ましくない、そうすべきではない、こういうふうにお考えになっていると受け取ってよろしゅうございますね。  それでは、次に行政のむだということについて見解を少し伺いたいというふうに思います。  第一は、いまは縦割り行政ということがいろいろ言われるわけでありますけれども、この縦割り行政の弊害とむだということについて、臨調では具体的な御検討をなさったでしょうか。もしされたとすれば、どういうところが問題だというふうに受け取られたか、このことをまずお聞きしたいと思います。
  33. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) お答えを申し上げます。  行政全体の合理化、効率化あるいは行政の機動性、こういうような観点で私どもわが国行政全体の組織、運営、仕組み、こういう問題を検討いたしました。その中で一つは、いま御指摘のとおり、行政の縦割りの弊という点でございますが、行政全体の組織が基本的には縦割りでなければならぬということは私どももそのように思いますが、それがいろいろのやはり弊害あるいはそのための非効率を生んでおるというふうに私ども全般的に感じました。したがいまして、この問題に関しましては次の三点を私どもとしては問題としてとらえたわけでございます。  その第一点は、内閣の総合調整機能という問題でございます。二番目は、地方支分部局を含めた各省庁の総合的な面の不十分、極端に言えば局単位になっておるという問題。それからもう一つの問題は、中央地方関係における非効率。この三点がただいま申し上げました私どもとしては非常に対策を要する、そのように判断をいたしました。  そこで、第一点の問題につきましては、一例でございますが、臨調としましては、政府全体の人事管理、定員管理、労務管理、こういう問題について総合管理庁をつくるべきであるということで指摘したわけでございます。これは今回の法律案でそれが総務庁となっております、この件でございます。  それから、第二点の問題の例として申し上げますと、省庁内部の部局の問題になります。これにつきましては、一つの例で申し上げますと運輸省でございます。この内部部局は、御承知のとおり完全な縦割り編成になっておりまして、政策官庁としてはこれは横割りにすべきであるという臨調意見を出しました。  それから第三点の、国と地方関係の問題につきましては、これは行政実施の主体が、御承知のとおり政府と都道府県と市町村でございます。この三者の役割り、またそれに伴う三者の事務、これらについていろいろ非効率をなくする提案をいたしました。たとえばその中で機関委任事務でございますが、これは臨調でも検討いたしまして、さらに現在の行革審におきまして特別の一つの専門の委員会をつくりまして目下検討いたしております。そのようにやってまいりました。
  34. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 現在審議をしております、たとえば総理府と行管庁の統合問題であるとかそういうことが御指摘のようなものであるかどうかは、私どもまた議論の一つのあれになるわけであります。  ただ、ここで時間もないので私は一つだけお伺いしておきたいのは、中央地方との関係、この非効率の問題がいま挙げられましたけれども、機関委任事務という問題もさることながら、やはりその縦割り行政ということにかかわってくる非効率というものは物すごくたくさんあります。しかも、そのことが許認可権限とのかかわりを持って、許認可権限とあわせて結局利益誘導型の政治が、政策が展開をされ、そうしてそのために膨大なエネルギーの陳情行動というものが行われるというかっこうになっているわけでありまして、これこそまさに非能率ということになると思うのでありますけれども、こうした利益誘導政策あるいはそういう陳情政治というものについてどういうふうにお考えになっておりますか。
  35. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 御指摘のとおり、陳情行政あるいは縦割り行政、こういうことが現実に一部あるように思います。したがいまして、私どもはそれに対しまして、一例で申し上げますと、たとえば補助金という問題、これは陳情行政、縦割り行政、この両面からいろいろの非効率を生んでおります。したがいまして、補助金等につきましてもできるだけ統合メニュー化する、あるいは総合化をするというような考え方のもとに意見を提出をいたしました。
  36. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、いまのお話のような点ではこうした利益誘導型陳情というような弊害はなかなかなくなっていかないというふうにも思うわけでありますが、    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕 そうした中で実際、事実としてはいまも総選挙が近くなってきておりますけれども、高級官僚の出馬というものに今度は省庁挙げていろいろと運動が行われる。それには利益誘導のいろんなあれがそこはかとなくみんなついて回ってくる。こういう事実があるわけでありますけれども、そういうことについて臨調がどの程度御討議されたのかわかりませんけれども答申の中には触れられていないのでありますけれども、その辺はどのようなお考えなんでしょうか。
  37. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) いまの選挙の問題は私ども考えておりませんが、少なくとも補助金が非効率であるということは、私どもも十分それは具体的な例でいろいろ調べまして、あることはありましたので、補助金に関しましては、ただいま申し上げましたとおり、補助金全体を抑制するという問題が一つと、もう一つは、補助金はやはり一つ行政の手段でございますので、これは必要であります。その補助金の効率化について統合化、メニュー化を提案したわけでございます。
  38. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 もう最後でありますから、私は、最後に一つ申し上げておきたいと思うのでありますけれども、いま補助金の問題をそういうふうに言われましたが、中小零細企業を中心にいたしまして日本経済はかなり厳しいところにあり、そうしてまた補助金も厳しくチェックをしていく、歳出はカットをしていく、こういう形の中で、軍事費だけが国策として何か認められ、枠としては聖域化されているという、その辺のところにもずいぶん私は臨調答申の持っている矛盾点というものがあるというふうに思うわけであります。その辺のところを今度は委員会審議の中でまたいろいろと私どもも追及をしていきたい、こんなふうに考えておりますけれども、一応私どもの聞きたいことは残りましたけれども質問は時間が参りましたので終わらせていただきます。
  39. 田中正巳

    委員長田中正巳君) 和田教美君。
  40. 和田教美

    ○和田教美君 いまいろいろとお話を承りましたけれども、まず臨調の最終答申基本答申などについてお伺いしたいと思うのですけれども行政改革という問題についての基本的な考え方についてお尋ねしたいわけでございます。  臨調の最終答申には、いまもお話ございましたように、「行政改革財政再建の手段ではない。」ということが書いてございますけれども、しかし実際には増税なき財政再建というものをてことして、そして行革をやるのだという趣旨のことが書いてございます。これは私流に解釈いたしますと、やっぱりいまの財政の緊急状態というふうなことから見て、まず金減らしということを優先的に考えて、それが仕事減らし、人減らしというふうなものに波及していく、こういう考え方ではないかというふうに理解をするわけでございます。事実、答申の中にも、「予算編成において、いわば糧道を断ちつつ、歳出の削減によって財政再建を図る限り、おのずから既存の制度や政策の見直しが不可避となり、そのことが本格的な行政改革の推進につながっていくと期待されるからである。」ということが書いてございます。  私はそういうふうに理解をするわけですが、まず、そういう理解が正しいのかどうかということと、私は基本的には行政改革というものは、本来はまず仕事減らし、この仕事減らしの中心は言うまでもなく機構減らしだと思うのですけれども、そこから始まって、そうして人減らし、金減らしというふうに発展をしていくというのが本来の行政改革のあり方だと思うのです。そういう意味では、臨調が今度とられた方針はやや緊急避難的なものであって、本来の行革の順序とはちょっと違うのではないかということを感じるわけなんです。  私は、行革は推進しなければならないという立場でございます。それから臨調が掲げております増税なき財政再建という考え方も、安易な増税路線に走ろうとする政府をチェックするという意味で非常に評価をしておるわけでございますが、しかし、そういうふうにまず金減らしということを考えて、そして行財政の改革ということを考えるということにいたしますと、そこに当然ひずみというふうな問題も出てくるということは覚悟しなければならないと思うわけです。そのひずみというのは、要するに余り金減らしということについて即効性のないような問題はどうしても先送りになる。それからまた、非常に抵抗が強い部面についてはどうしてもなおざりになるという問題が出てくるのではないかというふうに思います。具体的に言えば、補助金のカットだとかいろんな冗費の節約というふうな面は非常に強く出てきますけれども、それが果たして公正にバランスがとれておるかというふうな点には、予算編成の過程でもいろいろ問題が起こっておるというふうに思うわけです。  それともう一つ、端的に申しますと、中央省庁の統廃合あるいはまた中央省庁の中の内部部局の再編成というふうな問題について、どうも私は仕事減らし、機構減らしという観点が全く行方不明になっているというふうに思います。いま出ております法案を見ましても、中央省庁の数は全然減らないわけでございます。それから中央省庁の内部部局の、八省庁についての内部部局の再編成案を臨調答申されておりますけれども、その中でも、局のいろいろな看板のつけかえはございますし、それはそれで非常に重要だとは思いますけれども、しかし局の総数は減らないわけでございますね。臨調答申では厚生省の援護局を減らすということが書いてございますけれども、きのうの齋藤行管庁長官の答弁ではそれもなかなか簡単にはいかないような話でございますから、省庁の数も減るのはゼロ、局の数も減るのはゼロというふうに、官僚の牙城であるそういう中央省庁の機構については、どうも臨調答申というのは非常に甘いのではないか。それは金減らしについて即効性がないということと関係があるのではないかというふうに考えるわけでございますが、その辺について基本的に臨調はどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  41. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) お答えをいたします。  行政全体の簡素化、合理化、効率化、これをどのようにして進めるかという観点からまず見ますと、大きなその問題の柱は二つあると思うのです。一つ行政機関をできるだけスリムにしていく、簡素化し、効率化し、合理化するという観点と、それからもう一点は行政時代対応できる体質をつくっていくという観点と、民間の経済界で使う言葉で申し上げますれば後ろ向きと前向きと、この二面を持っておる、このように私どもは思っております。  そこで、第一の方につきましては、やはり先ほど先生が申されましたとおり、てことしてお金で締めていくという方が実行しやすい、このように思いました。御指摘のとおり、まず事務を減らす、それから組織を減らす、人を減らす、お金を減らす、こういうことが確かに順番でございますが、そのてことしてはやはりお金で兵糧攻めにするのが一番現実的であるという私ども考え方をとりました。  それから第二の、時代対応する体質をつくっていくという観点で、これは特に中央省庁の内部部局に関しましては、その考え方を主体としてとりました。先ほど申し上げましたとおり、中央省庁の内部部局で時代対応してない省庁がございます。縦割りを横割りにすべきであるとか、いろいろ指摘をいたしました。考え方としてはただいま申し上げましたが、そういう二つの観点でこれの意見を出したわけでございます。決して金だけ減らしていく、金減らしだけだという考え方ではございません。
  42. 和田教美

    ○和田教美君 ただいま大体のお考えわかりましたけれども、現実にいま法案として出てきている内容を見ますと、私はその機構減らし、仕事減らしというのは、少なくとも中央省庁の組織に関する限りはほとんどメスが入ってないということを指摘したいわけでございます。その点について、まあ今度の改革法案は第一歩であるということを先ほども土光会長はおっしゃられましたけれども、私も行革というのはそう一朝一夕に完成するものではないと思いますけれども、それにしても余りにも民間の減量経営ということに比べると甘過ぎるのではないかというふうに思うわけでございます。    〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕  そこで、いま政府がやっているこの行革の進め方というふうなものについて、国民は、一体仕事減らし、機構減らしあるいは人減らし、金減らしというふうな問題について、どの程度まで成果が上がったのかさっぱりわからないという声が強いわけでございます。そういう点について、私は政府にもそういうものを一目でわかるような一覧表を出せということを言っているのですが、政府がさっぱりそれはうんと言わないわけなんですけれども行革審としてそういう仕事をやられて、国民にPRをする、行革の必要を訴えるという意味でもそういうことをやることは非常に重要ではないかと思うのですが、さっきの土光さんの御答弁では、委員長に対する御答弁でもその点ははっきりしなかったわけでございますが、瀬島さんとしてはどうお考えでございましょうか。
  43. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 先ほどの先生の御質問一つ答えに追加をさせていただきますが、中央省庁の内部部局の改編問題ではスリム化という点が不徹底であるという御意見でございますが、私どもは、先ほど申し上げましたとおり、中央省庁はまず時代の変化に対応できる内部部局をつくるべきだという点を主体にして意見を出したのでございますが、省庁に関連しております附属機関並びに御承知の地方支分部局、ブロック機関だけでも二百ぐらいございますし、都道府県までいきますと八百ぐらいございますし、もっと先へいきますと六千ぐらいございますが、これにつきましては、御承知のとおり地方支分部局については相当厳しいスリム化と申しますか、これは提案をいたしております。その点を先ほどの答えに追加をいたしておきます。  それから、行政改革実施の状態を国民にもっともっと具体的に公表すべきだという点でございますが、これにつきましては私どももそのような感じを持っておりまして、行革審としてこの点をどのように実行して実施するか、これはただいま検討いたしておるところでございます。
  44. 和田教美

    ○和田教美君 先ほどの御答弁で、増税なき財政再建という問題についての基本的なお考えは大体わかりました。要するに増税なき財政再建というのは、まず租税負担率が全体として非常に上がらないということである。しかし、その中で直間比率の見直しだとか、そういう税目のバランスというふうな点については、たとえば間接税が事実上増税になるというふうなことはあり得るだろうというお話でございました。  それはそれでわかったのですけれども臨調はもう一つ最終答申の中で、租税負担率という考え方のほかに、対GNP比の国民負担率という考え方を導入されておるわけでございますね。そして租税負担社会保障負担を合わせた全体としての国民負担率は現在大体三五%程度だけれども、それよりは上昇することとならざるを得ないが、徹底的な制度改革の推進によって、現在のヨーロッパ諸国の水準、これは大体五〇%前後、それよりはかなり低位にとどめることが必要である、こういうことが書いてございます。そうすると、租税負担率は余り上げないけれども社会保障に対する国民負担率というふうなものはこれは上がらざるを得ない、そして全体の国民負担率はいまよりは上がらざるを得ない、しかしヨーロッパよりは低いものにとどめる、こういうお考えでございますか。
  45. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 御指摘のとおり、国民の平均所得に対する平均の国民負担率という問題、その内容は、一つ租税負担率であり、一つ社会保障負担でございます。こういう基本的な考え方に基づいたわけであります。これは私ども臨調だけでなくて、世界の各国ともそういうとらえ方をしておりますので、世界の例にならってそういう取り扱い方をしたわけでございます。  ただいまお話しのとおり、ヨーロッパの先進諸国がなぜ先進国病にかかっていったかという問題につきましていろいろ調査をいたしましたし、また各界の御意見も承りましたが、結局は国民負担率がどんどんどんどん上がっていく。端的に申し上げまして、働くよりも失業保険をもらおうという、これが先進国病のやはり一番起こりであり、その傾向を生んでおる一番大きな要因でございます。したがいまして、わが国としては、社会活力を維持して絶対に先進国病にかからないという観点から見ますと、この国民負担率ヨーロッパの水準よりもかなり低いところに抑えておかなければならぬという考え方を私どもはとったわけでございます。  そこで、そういう観点から租税の負担率は極力上げないということは、これはまず一つでありますが、社会保障負担の問題でございますが、これは先生も御承知でございましょうが、いまから一九九〇年代から二十一世紀のその時点をよく見ますと、わが国の年金、医療、この社会保障が非常に急増していく傾向にあります。九〇年代以降でございます。そこで、それじゃこれを絶対にいまの、いま社会保障負担は大体約一〇%でございますが、これをここでぴしゃっと抑えてしまうということが可能かという問題でございます。いまは可能なんでございますが、ただいま申し上げましたとおり、九〇年代以降を見ますとそれは非常にむずかしい。  そういうようなことから、私どもは、それじゃそれを九〇年代以降に幾らで抑えるかという問題、これはそのときのわが国国民所得がどうなっておるか、あるいは経済の問題がどうなっておるのか、あるいは政府国会がそのときまでにわが国社会保障制度をどのように改革されるか、そういう不定の要素がいろいろあるわけでございまして、結局国民負担現状どおりという、そういう言葉は書けなかったわけでございます。しかし、ヨーロッパの水準よりもかなり低いところに抑えるべきだという、そういう表現で答申をした、このように御理解を願いたいと思います。
  46. 和田教美

    ○和田教美君 二日ばかり前の新聞報道にございましたけれども行革審審議状況を書いた記事でございましたけれども、二十一日の会合で、政府行革、今度の法案だけでなくて行革全体の進め方についていろいろ検討をされた。その中で特に特殊法人の整理という問題と、それから情報公開、この問題の政府の取り組みが非常におくれておるという意見が出された、こういう記事が出ておりましたけれども、それはそのとおりでございますか。瀬島さんはその点についてどうお考えでございましょうか、最後にお伺いしたいと思います。
  47. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 行革審は、ただいま臨調が出しました答申を基準にいたしまして、政府の取り組み方あるいは各省庁の取り組み方、そういう問題を実はいろいろ検討いたしております。また、それが行革審に与えられた任務だと私どもは思っております。  そういう観点で、ただいまの新聞を私読んでおりませんが、情報公開の問題あるいは特殊法人の問題等も意見がございました。ただ、特殊法人の問題につきましては、御承知のとおり五月二十四日の政府行革大綱で、臨調が指摘しました医療金融公庫の統合とか、あるいは文部省所管の国立競技場の統合でありますとか、こういう問題は五十九年度中に実行する。そのための法案は通常国会に出すというのが五月二十四日の政府行革大綱に書かれております。あるいは農林中金の民間法人化、これはいまから三年以内にやるというようなことも行革大綱に決められております。したがって、目下政府は特殊法人の臨調答申に基づく実行について検討しておる真っ最中だ、このように私ども理解いたしております。  それから、情報公開制度の問題につきましても臨調は指摘をしたわけでございますが、この問題はやはり公開に至るまでの準備が相当かかります。そして公開する条件を整備することがまず必要でございまして、臨調はそのように指摘したわけでありますが、これにつきましても目下政府でいろいろ準備作業を進めておられるというふうに私ども理解いたしております。
  48. 上條勝久

    ○理事(上條勝久君) 中野明君。
  49. 中野明

    ○中野明君 どうも御苦労さまです。  私、二点だけお尋ねしたいのですが、今回の行革関連の六法案の中で、いわゆる国家行政組織法の改正、これは非常に重要な改正ということで論議を呼んだわけですが、いわゆる立法府の行政府に対する関与、監督権という問題につきまして私ども非常に遺憾に感じておりますのは、臨調行政府、いわゆる官僚の意見は毎日のようにお聞きになったと思うのですが、    〔理事上條勝久君退席、理事長田裕二君着席〕 このような二十年来の議論になっております、特に中曽根総理は往年はわれわれと同じ主張をしておられたわけですが、そのような重大な改正の意見が出るのに、いわゆる立法府の御意見を余りお聞きになったように私たち理解してないのですが、やはりこういう問題は立法府の御意見もお聞きになる方がよかったのじゃないだろうか。結果として修正はできました。ですから、二点、いまの立法府の意見をなぜお聞きにならなかったかということと、修正に対する評価といいますか、この二点を最初にお伺いします。
  50. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 第一点の問題でございますが、国家行政組織法の一部改正は国会の権限に関連しておるという御指摘、そのとおりでございます。ただ、私どもとしましては、御承知のとおり答申を最終的にまとめる前に、各党の皆さん方とそれぞれ党ごとに考え方等を申し上げて御意見を聞いたわけでございます。これは第一次も第三次も第五次も、答申を最終的に臨調としてまとめる前に各党の御意見を承りました。そういう観点で、臨調としては国会の御意見、立法府の御意見をというようなことは実はいたしませんでした。各党だけでなくて、各界の御意見臨調答申をまとめる前に全部伺ったのでございます。  ただ、国家行政組織法の弾力化問題につきましては、御承知のとおり臨調国会に報告する方がいいというふうに答申で書きました。先般、衆議院でそれが修正されまして、臨調の指摘のようになったことは御承知のとおりでございます。
  51. 中野明

    ○中野明君 それからもう一点は、臨調の第四部会長でしたか、加藤寛さんが福沢諭吉さんの「学問ノス々メ」という本を引用されていろいろ意見を述べておられるのですが、この三つの提案で、いわゆる国際化を進めて官民の協調関係をつくり、そして地方分権を進めるという福沢さんの持論、これが第二臨調の、土光臨調の哲学と同じであると、このように本人は核心を述べておられるのです。きょうの会長のお話の中で、そういうふうに取れないこともないのですが、わりあいに二つのことは強調しておられるのですけれども地方分権ということについて非常にごあいさつの中では弱いように私受け取ったのですが、瀬島参考人地方分権についての御意見をお聞きして、私質問を終わりたいと思います。
  52. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 加藤教授のその本は私読んでおりませんのでわかりませんが、臨調といたしましては、一つ行政改革改革案をまとめる思想として、これは思想としてお聞き取り願いたいのですが、一つは官より民へ、中央より地方へと、こういう思想が臨調一つの思想でございます。そういうことで、地方分権という問題につきましても非常に重視をいたしましたことは事実でございます。
  53. 長田裕二

    ○理事(長田裕二君) 神谷信之助君。
  54. 神谷信之助

    神谷信之助君 神谷です。  きょうの土光会長のお話の中でも、増税なき財政再建ということを非常に強調されているわけです。そうすると、国民の方は、これは増税はやらずにいまの国の膨大な赤字財政を立て直してもらえるんだ、これはいいこっちゃということになるのですね。ところが、実際それじゃそういうことになるのかどうかというと、きょうも瀬島参考人おっしゃっているし、あるいはまた衆議院の行革特の中でも瀬島参考人が、一部の税目に増税または増収があっても、それは基本的に増税なき財政再建とは大きな矛盾がない、言うならば租税負担率の枠の中であれば直間比率の見直しはいいのだと、こういう御意見のように拝聴しておるのです。  そうしますと、今度の先日出ました税調答申ですね、提出した後の記者会見で小倉会長が、減税するなら一方で増税をし、結局差し引いて増収になるようにしなきゃならぬのだというようにおっしゃっているわけです。具体的には、減税はやる、しかしその所得税、住民税の減税でも、最低税率の方は上げて最高税率の方は下げるのだ、あるいはまた、先ほどから話が出ている物品税、酒税、自動車関係諸税等々、いわゆる間接税は引き上げる、それらで減税の財源は穴埋めする。もちろん歳出カットもあるでしょうけれども、言うなればそういう方式を強調されてきているわけですね。  それで、これは先ほどからの瀬島参考人のお話で言えば、租税負担率そのものを上げないのだから、それは臨調答申の枠内だと、こうなります。  そうすると、これは現実には低所得者層にとっては、所得税の減税一部にはあるけれども、最低税率は上がります。一〇%を一二%にするとかいう問題がある。それから大衆課税、間接税は大衆課税ですから、これは上がる。だから実際は低所得者層にとっては逆に増税になる。私どもの計算でいきますと、大体年収四百万円ぐらいのところが分水嶺ですね。それ以下のところは結局差し引き増税になる。それ以上のところは、所得水準が上がれば上がるほど大幅な減税になる、こうなるのです。そうすると、国民の方では、増税なき財政再建とおっしゃると、それをまともに受けて、おれには増税はないんだなと勤労者はそう思っている、庶民大衆はそう思っている。ふたをあけたら増税じゃないか、差し引き増税。そうしてそれは臨調答申の枠の中だと言ったら、だまされたような感じでしょう。この点は一体どういうお考えなんでしょうか。
  55. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 先ほども申し上げましたとおり、税調中期答申の具体的な内容は私どもよく検討しておりませんし、よく承知しておりません。それからもう一つは、五十九年度の予算がどういうふうに組まれるのか、これはまだ私ども政府の方から聞いておりません。したがいまして、いま先生が言われました個々の問題について、いまこれは臨調増税なき財政再建と反するとか反しないとかいうことをお答えすることは私自身むずかしいのでございますが、私ども考えております増税なき財政再建というのは、一つは安易な増税はしてはならない、二番目は、一方において歳出の徹底的な削減を構造、制度まで踏み込んでやる、この二つの前提のもとに、一つの減税なら減税、直間比率是正なら是正というために一部の税目の修正をやって、その結果一部の増税的なものが起きても、それは増税なき財政再建基本には矛盾しないという考え方でございます。
  56. 神谷信之助

    神谷信之助君 もちろん来年度予算がどういう形になってくるかわかりませんから、その点で簡単に意見を述べるわけにはいかぬとおっしゃるのはわかりますけれども、しかし、臨調の言う増税なき財政再建という中身で、一つ歳出の大幅なカットをやれ、同時に租税負担率は上げるな。しかし直間比率の見直しはよろしい。直間比率の見直しは、実際問題として、いま言いましたように所得の少ないところですね、私先ほど挙げました四百万までの所得層というと大体七五%前後の世帯になりますね、言うならばそれほどの大多数の国民に結果として増税をもたらす。しかしそれでも臨調のおっしゃっている枠の中にあるのだと、こういうことになるのでしょうか。それとも、そんなひどいことまでは考えていないんだ、こういうことなんでしょうか。
  57. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 私ども立場でそのような結果になってはならないと思っております。
  58. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう点で、国民が期待している行政改革というのは、簡素で清潔で、そして効率的な民主的な行政をつくってもらいたいということだろうというようにわれわれは思っているのですが、その点で言いますと、特にこの国会でも田中問題というのは大変問題になっているのですけれども、日本の政治にというか、行政も含めて汚職構造、こういったものについてメスを入れなかったのは一体どういうことでしょうか。
  59. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 臨調は政治の分野には入っておりません。あくまで行政全体の中の行政改革に関して検討したわけでございます。政治分野には入っておりません。
  60. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし、行政機構の中にも政治的腐敗を生む構造があるわけでしょう。たとえば談合入札問題ですね。これで会計法で例外とされている指名契約方式を当然の前提として現実に行われておる。そこにいろんなまた腐敗が起こっておるわけです。だから、会計法の原則である一般競争契約によるべきだというような指摘をしようとすればできる問題だ。あるいはまた、国会でもしばしば問題になっていますが、天下りとか天上がりとか、あるいは各種審議会委員人事、参与、顧問などの人選などを通じて、人事を介したそういう政財界の癒着、こういったものも指摘をしてきたところですが、こういったものはこれは行政機関、行政機構上でもそういうものを抑えるといいますか、防止をする、そういう措置も可能です。ところが、臨調がいままで出されてきたのは、そういう点ではいままでメスを入れないといいますか、触れておられない、ここに一つ私は大きな不満があるのです。  そこで、さらに私は、行政機関というのはまた国民の暮らしを豊かにするといいますか、守るというか、あるいは民生の安定といいますか、それに役立つようなものでなきゃならぬだろう。そういう立場からいうと、自立自助精神を強調されるのは、一面、頭から私は否定するわけじゃありませんが、しかし同時に、今日まで憲法に基づく社会保障なりいろんな諸施策というものを、検討することはいいにしても、それをどんどんどんどん削っていくという点については私は疑問を持つのです。  そこで聞きますが、たとえば私学助成を一〇%減らすとか、あるいはまた健康保険の本人負担が二割ふえるとかいうようなものは、これは臨調答申に沿った施策だと言うことができるのかどうか、この点お聞きしておきたいと思います。
  61. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 先ほどの私のお答え一つ追加をいたしますが、行政分野の中における倫理性の問題、これは臨調も指摘しておりまして、特にその中で公務員のあり方という問題において、これは行政公務員のあり方について強く指摘しております。それはお答えに追加しておきます。  それから、ただいまの問題でございますが、結局変化にどう対応して質の改善をしていくかという観点です。ただいまの文教関係あるいは社会保障関係福祉関係、こういう問題において体質をどう変えていくかという観点においていろいろの意見を提出しました。
  62. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後になりますが、たとえば公務員が多過ぎるとおっしゃるのだけれども、それでまた事実多過ぎる面もあるし、簡素化を図らなきゃならぬ面もあると思いますが、たとえば昭和四十二年に比べまして自衛官は約二万一千人ふえています。その自衛官を除く政府行政職員というのは逆に約五千人減ってきているわけですね。それで、この国会でさらに防衛二法案が出て、自衛官はまた約二千人増員のものが出てきています。それで、先ほども出ていましたが、こういう軍事費の面についてはメスを入れない、この点に非常に大きな批判があります。  アトランチック研究所の行いました日米欧の九カ国の世論調査、これを見ましても、国際的にも軍事費を減らせという要求、声というのが半数を超えています。それからまたNHKの世論調査でも同様です。あるいは国会にも、軍事費を削って国民の暮らしに回せという、そういう請願なり署名というのは数十万寄せられてきていますし、大きな声になってきている。そういう国民の声にどう臨調はこたえていかれるか、その点には背を向けておられるのではないかという気がするのですが、その点いかがですか。
  63. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 臨調は、行政すべてにわたっていわゆる聖域を設けないで全部検討いたしました。したがいまして、いまお話しの防衛問題につきましても、防衛の政策のあり方、これは臨調はこの問題について検討しませんでした。ということは、国家の非常に最高の政策に類する問題でございますので、防衛の政策並びに外交政策、こういう政策については臨調としては触れませんでしたが、しかし行政改革という観点におきまして、防衛問題につきましても指摘をいたしました。たとえて申し上げますと、施設周辺対策費をもっともっとこれは効率化すべきであるとか、あるいは国防会議をもっと活性化すべきであるとか、あるいは防衛力の整備に当たってもっと重点化と効率化をすべきであるとか、そういうふうな指摘をいたしました。外交につきましても同じでございます。
  64. 長田裕二

    ○理事(長田裕二君) 伊藤郁男君。
  65. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 きょうは大変ありがとうございました。  私どもは民社党でございまして、臨調答申を高く評価をしておるわけでございます。そして臨調答申と比べまして、提案されている政府の原案というものについては非常に不満な点もあるわけですが、しかし行革の第一歩としてこれは賛成していこう、こういう立場でございます。そういう立場から四点につきまして御質問を申し上げたいと思います。  第一点は、一次から五次にわたる答申を出されたわけでございますけれども政府のこの間における行革実施状況をどう評価されておるのか。臨調答申を出された立場から満足されておるのか、それとも不満足なのか。不満足とすればどういう点が一体不満足なのか、その点をまずお伺いをしておきたい。
  66. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 臨調がただいまお話のように五回の答申をいたしました。二年間に五回答申いたしまして、その中の第一次の答申増税せずに五十七年度予算を組むということを主目的にした第一次答申、それから許認可の簡素化、これが第二次答申でございます。それから第四次答申、それは政府答申実行をフォローしていくために新しい機関をつくるべきだ、現在の行革審でございます。答申の五つのうちの三つはおおむね実行されたと私どもは思っております。  問題は、残っておりますのが第三次と第五次のこの二つ答申でございまして、この二つ答申がむしろ行政改革の本格的なものでございまして、その第一歩が今回国会に提出されております法案でございます。これらを通じまして、行革審といたしましては、政府行政改革につきましてはかたい決意を持ってこれに臨んでおられるというふうに私どもは見ております。二回にわたって行政改革大綱を決められましたし、現実の問題として臨調答申に基づいて五十七年度の予算、五十八年度の予算はきわめてシビアな予算を組まれた。国会もこれに、政府のこの姿勢によく協力されたというのがただいまの御質問に対する私どもの見方でございます。
  67. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこで、先ほどもお話がございましたが、地方支分部局の整理ですね、瀬島参考人は厳しいスリム化を提案したということを言われておりますが、確かに基本答申におきましては、この合理化の基準を数々示しながら相当厳しい見直しを提案されている、こういうように私は思うわけです。それから許認可の整理の問題もしかりだと思うのですが、しかしそれを具体的に示した最終答申ですね、これについては基本答申とかなり後退してるのではないか、こういうように思っておるわけです。  たとえば地方支分部局については単なる看板の書きかえにすぎないというような面もありますし、それから許認可の整理も、一万件に上る許認可の整理、わずか今回は二百二十二件だ。こういうことでございまして、そういう意味できわめて不十分な答申に最終的にはなってしまったのではないか、こういうように思うのですが、その原因が一体どこにあったのだろうか。恐らく官僚の激しい抵抗によって後退したのではないかと、こういうように私ども考えておるわけですが、その点について、どのような原因があって基本答申と最終答申の間に大きなずれが生じてしまったのか、その点をお伺いしたいと思います。
  68. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 第三次答申と第五次答申とが非常にずれがあるというお話でございますが、私どもとしてはそのように思っておりません。第五次の最終答申はそれまでの答申を全部包含した答申でございますので、そのようなことはないと思います。  それから、地方出先機関の整理問題でございますが、たとえて申し上げますと、行政管理庁の地方行政監察局とか、あるいは公安調査庁の地方公安調査局とか、あるいは大蔵省の財務部とか、これらは御承知のとおり全国の府県単位に皆あるわけでございますが、これらは基本的に廃止をするというのが臨調基本考え方でございますが、ただ、ごく小規模の事務所は置いて行政の間隙を起こさないように、そういうような配慮はいたしました。  それから、許認可の整理の数が足らないという御指摘でございますが、この問題は率直に申し上げますと、二年間の間に一万件の法律を洗って、そこまで実際問題として手が及ばなかった、一万件全部を洗い終わるというところまでいかなかったということはひとつ御了承願いたい。しかし、あの中で国民生活関係あるもの、あるいは自動車の車検とか運転免許証とかいう国民生活関連あるものとか、あるいは現在のわが国情勢で輸入に厳しくて輸出に緩な許可認可とか、こういうようなものは刻下の情勢に即応しておりませんので、そういう問題を一万件の中からピックアップして、これを通じて改革意見を出したと、このように御理解お願いしたいと思います。
  69. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 第三点に、総務庁の設置の法案関連をしてお伺いをしますが、今度のこの設置法案によりますと、現在の総理府統計局、これを二分割してしまう。調査企画部門は総理府に置いておく。付属機関として統計センターということで製表部門は分けてしまう、こういう提案になっておるわけですが、私はこの二分割法案は統計行政を確実に混乱させていく、統計行政の円滑かつ効率的な運営というものが阻害されてくるのではないか、こういうように非常に危惧しているわけです。御承知のように、日本の統計というのは、総理府統計局でやっているのは世界的に大変な権威を持っておりますし、そして企画調査と製表部門が一体になって相当の合理化を進めてきておるわけです。そういう意味からいきますと、行革の本旨から、基本理念からいけば、効率的な運営を図るためにできるだけ整理統合、これをやらなきゃいかぬというのに、今度は分割だ、それで機能を分けてしまう、そういう後退ではないか、こういうように私は思っているわけですが、その点についてどのようなお考えか。  それと、これに関連いたしまして、先ほどもお話がございましたけれども臨調答申政府全体の人事管理、組織あるいは労働管理あるいは行政監察、こういうものを機能を一元化していこうということで、例の総合管理庁設置構想が出てきたわけですね。これが今回の場合には総務庁ということになって変わってきているわけですが、果たしてこの総務庁の設置によりまして、臨調考えているような総合的一元化、一元的な政府の機能の強化というのですか、そういうものが果たしてできるのかどうか、私は大変問題があるのではないかと思うのですが、その点についてお伺いします。
  70. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 今回新設されます総務庁の統計局に関連する問題でございますが、御承知のとおり従来統計業務は行政管理庁の中に統計部門がありますのと、もう一つは総理府の中にあった、こういう形でございました。今回少なくともこの二つが新設の総務庁の中に一元化されたということは、一つの前進だろうと私どもは思っております。ただ、今度は総務庁の中で企画調査部門と製表部門とが内局と外局に分かれた形になっておりますが、この問題については私どもとしてにわかにどっちがいいか悪いか、いまこれを評価することはむずかしゅうございますが、少なくともいままで二つのところにあったのが一つになったものだから、これが企画調査部門と製表部門とが一体になって有機的に機能していくようにぜひありたい、あってほしいと、このように希望しております。  第二点の総務庁全体の問題でございますが、臨調は先ほどお話しのとおり、内閣の総合調整機能強化という観点で総合管理庁の設置の意見を出したわけでありますが、それが今度は総務庁という形になったのでございまして、その点は臨調としては一歩前進したと、こういうふうに評価をいたしております。いろいろの問題がございますけれども、少なくとも先ほどの先生の御質問にもございました縦割りの弊害をなくして行政の総合性と効率性を上げていくという観点において、この総務庁がりっぱに機能していくようにぜひお願いしたいと思っております。
  71. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 最後にお伺いをいたしますが、補助金の問題ですが、臨調も統合メニュー化、総合化の推進ということで、中央からの過剰な干渉とかあるいは陳情行政の弊害というものを除去するためにそういう方向を示されておるわけです。  そういう陳情行政は大変不合理な点が多いわけですから、しかも一つの補助金をもらう、国庫の支出金をもらうにしても、大変膨大な書類をつくっていかなければならぬ。二重三重の手間がかかる。こういう弊害を除去するために、私どもは地財法十条で規定をしております建設に係る国庫負担金ですね、約三兆数千億あるわけですが、これを一括して地方に交付して、要するに第二交付税的な形で交付して、そして地方段階においては自主的に総合的にそれを運用していったらどうだろうか。そうすると陳情行政の弊害とか、二重三重の行政の手間が省ける。こういうことで、かつてから提唱をもう何回もやっておるわけなんですが、政府はそれについてはどうも余り積極的でない、残念なんですが。しかし、地方の自治体ではもう毎年この方向を推進してほしいということで政府にも陳情をしているわけですね。したがって、この点について瀬島参考人の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) いわゆる第二交付金制度をつくるという点は、実は臨調の内部でもそういう意見が一部ございました。私どももこの複雑な補助金制度にかわって第二交付金制度的なものにした方がいいというような観点でいろいろ検討いたしました。  ただ、こういう一つ制度をこの段階でつくるかどうかという問題につきましては、申すまでもなく一方において私ども政府役割りはどうなければならぬのか、都道府県の役割りはどうなければならぬのか、市町村の役割りはどうなければならぬのかという、この行政実施の主体である三者の基本的な役割りとそれに伴う事務のあり方、こういう問題もありますし、財政の配分に関する問題も伴いますし、そういうような全般的な関係で実はただいまお話しの第二交付金というところまではいかなかったわけでございますが、御指摘のとおり、この補助金の統合メニュー化、総合化、あるいは類似のものをまとめてしまう、そして補助金に伴う繁雑ないろいろの行政を簡素化していくという必要性は十分私ども考えたのでございます。
  73. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 どうもありがとうございました。
  74. 長田裕二

    ○理事(長田裕二君) 野末陳平君。
  75. 野末陳平

    ○野末陳平君 本日は御苦労さまです。  先ほど租税負担率について、大体二四%ということで答申などをまとめられたことをお聞きしましたが、土光さんのお話ですと、社会保障費の問題ですね、いまは社会保障費は一〇%そこそこですから、自己負担率社会保障の負担で三四ぐらいが現実です。しかし、先ほどの土光さんのお話ですと、国民負担率が上がるだろう、ただし、現在のヨーロッパ水準よりかなり抑えたものとする必要があるというお言葉ですが、これはそのとおりで結構なんですが、かなり抑えたと言いましても、ヨーロッパの国もいろいろありますので、そこで私個人的に、社会保障費の負担が上がっていく、そうすると租税負担率とそれを合わせたものがどうしても四〇%ぐらいにいくのじゃないか、そういう覚悟が必要かなと思ったりするのです。  そこで、臨調の先生方の頭の中には、租税負担率を上げたくないということであれば、それプラス社会保障の負担率が上がりまして、両方でどのくらいの数字までを何となく覚悟なさっていたのか、それがないと、かなり抑えると言われましても、そのかなりが考え方によって幾らでも上下してしまいますので、念のためにひとつお聞かせ願いたい。
  76. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 大変恐縮ですけれども国会で数字を申し上げますと、ずっと数字がひとり歩きしますので余り数字を申し上げたくないのでございますが、いま先生のおっしゃる、臨調としては租税負担率はもう極力上げない、しかし現実の社会保障負担は、わが国の年金、医療から見ますと、先ほどもお答えいたしましたとおり、特に九〇年代以降この問題は非常に大きな上がり方にならざるを得ない現状でございます。したがいまして、私どもとしましては受益と負担という観点におきまして、租税負担率よりも社会保障負担はある程度上がることはやむを得ない、こういう考え方でございます。  それから、それじゃ二つ合わせてどのくらいかという問題になりますが、これは先ほども申し上げましたが、特に問題になってまいりますのは九〇年代以降でございます。そのときの日本全体の経済はどうなっておるか、国民の所得がどうなっておるかというような問題とのいろいろの絡みがございますが、これは私、衆議院でも御質問を受けましたから申し上げましたが、臨調検討する途中の一つの数字として、できれば四〇で抑えたい、真にやむを得なくても四五以下にすべきである、そしてヨーロッパの水準よりも低くしておかにゃいかぬというふうに、衆議院の方でも御質問がありましたのでお答えをいたしました。これはあくまで臨調がこの問題に取り組みまして検討しましたときの、何と申しますか、研究の一つ内容を申し上げた、そのように御理解願いたい、こう思います。
  77. 野末陳平

    ○野末陳平君 それから臨調答申を拝見いたしますと、各論反対がおそらく相当世てきてなかなかこの実行はむずかしいだろうと率直に思うわけですけれども、その場合にも、これは私の個人的持論なんで、ばかの一つ覚えみたいなんですが、やはり行革と叫ぶには、この議会のぜい肉落としがこれは絶対同時にやらなきゃならないことで、そこで理解を得られなければ各論反対はもうこれは抑え切れない、こう思ったりしているのですね。  そこで、その議会のぜい肉落としについて臨調にどういうような表現が出てくるかと思っておりましたら、意外とこれが余りありませんで、自発的な改革努力をせよという程度で、何か物足りないというか、もっと厳しい注文がついてもよかったと思っているのですね。これは国会に遠慮なさってこういうことになったのか、それともほかに何かあったのか、その辺のところをちょっとお聞かせ願って、その後もう一、二問。
  78. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) 臨調は、臨調設置法の法律によりまして、行政範囲というふうに決められております。したがいまして、立法府の問題について具体的な意見臨調として提出する筋でなかったわけでございます。ただ、臨調としては、特に一日臨調等で地方に参りますと、必ず出ますのがまず政治改革、というのは地方の皆さんが必ず私どもに言われたことでございました。そういう点もございまして、答申の中にいま先生御指摘の、国会は自発的に国会自身でいろいろ改革をやってほしいという希望を入れたわけでございます。
  79. 野末陳平

    ○野末陳平君 よくわかりました。  それでは、臨調の中でのいろいろな意見、あるいは地方でいろいろ国民から聴取なさった意見の中で、特に参考人がこれは国会にひとつ忌憚ない意見として、あるいは注文をつけておきたいというようなことがございましたらば、二、三それをお聞かせ願いたいと思うのですが。
  80. 瀬島龍三

    参考人瀬島龍三君) ただいま申し上げましたとおり、臨調として、あるいは行革審として、政治の改革と申しますか、あるいは国会改革という問題を取り上げておりません。したがいまして、以下私がお答えいたしますことは、私個人というふうに御理解願いたいと思います。  まず一つは、行政改革という観点におきまして国会お願いしたいと思うのでございますが、わが国行政改革は二十一世紀の展望を開くためでございますので、これは行政府と立法府と国民が本当に一体になってこれを進めなければなかなか実現はむずかしいのではないか、こういうふうに思います。そういう観点で、国会におかれましても今回の行政改革については、いまより以上にこの実現について御努力お願いしたいという気持ちを持っております。今回のこの臨時国会にかかっております行政改革法案だけでなくて、すぐ五十九年度予算編成予算の問題、さらに通常国会が始まりますれば電電公社専売公社改革地方事務官の制度の問題、また、来年の後半以降になりますれば当然国鉄の改革の問題が国会に提出されると思いますが、これらにつきまして国会に、ぜひ国家の将来のためにこの行革の推進について御努力お願いしたい、こういう気持ちでございます。  また、もう一つの、国会御自身の改革の問題、これはいろいろの意見があると思いますが、何よりもまず、本当に国民の一人として率直にお願いさせていただきますれば、国会わが国の国権の最高機関でございます。最高機関であるということは、一面において国家と国民の運命に対して最高の責任を持っておられることでございますので、この上とも国会におかれましては、本当に国会の構成なり、あるいは国会運営なりにつきまして、口幅ったいことを申し上げますが、自発的に改革を願いまして、より国民の信頼を受けて推進されますようにお願いをしたいと思います。これは国民の一人として、御質問でございましたのでお答えいたします。
  81. 長田裕二

    ○理事(長田裕二君) 瀬島参考人には、御多忙中のところ、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会