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1983-10-06 第100回国会 参議院 建設委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十八年十月六日(木曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員氏名
委員長
青木
薪次
君 理 事
岩崎
純三
君 理 事
堀内
俊夫
君 理 事
増田
盛君 理 事
村田
秀三
君
安孫子藤吉
君
井上
吉夫
君 植木
光教
君
遠藤
要君
工藤
万
砂美
君
志村
哲良
君
福田
宏一
君
松本
英一
君
二宮
文造
君
馬場
富君
服部
信吾
君
上田耕一郎
君
安武
洋子
君 山田 勇君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
青木
薪次
君 理 事
岩崎
純三
君
堀内
俊夫
君
増田
盛君
村田
秀三
君 委 員
安孫子藤吉
君
井上
吉夫
君
遠藤
要君
工藤
万
砂美
君
志村
哲良
君
福田
宏一
君
松本
英一
君
二宮
文造
君
馬場
富君
服部
信吾
君
安武
洋子
君 国務大臣 建 設 大 臣 内海 英男君 国 務 大 臣 (北海道開発庁
長官
) (
国土庁長官
) 加藤 六月君
政府委員
国土庁長官官房
長
石川
周君
国土庁長官官房
審議官
田中 暁君
国土庁計画
・調
整局長
小谷善四郎
君
国土庁土地局長
永田 良雄君
国土庁水資源局
長 堀 和夫君
国土庁大都市圏
整備局長
杉岡 浩君
国土庁地方振興
局長
川俣 芳郎君
建設大臣官房長
豊蔵 一君
建設省都市局長
松原
青美
君
建設省河川局長
井上
章平君
建設省道路局長
沓掛 哲男君
建設省住宅局長
松谷蒼一郎
君
事務局側
常任委員会専門
員
田熊初太郎
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
調査承認要求
に関する件 ○
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
(
派遣委員
の
報告
) ─────────────
青木薪次
1
○
委員長
(
青木薪次
君) ただいまから
建設委員会
を開会いたします。
調査承認要求
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
は、
今期国会
におきましても、
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
を行うこととし、その旨の
調査承認要求書
を議長に提出いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青木薪次
2
○
委員長
(
青木薪次
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 なお、
要求書
の作成につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青木薪次
3
○
委員長
(
青木薪次
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
青木薪次
4
○
委員長
(
青木薪次
君)
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
を議題とし、
先国会閉会
中に当
委員会
が行いました
委員派遣
につきまして、
派遣委員
から
報告
を聴取いたします。 まず、第一班の
報告
を願います。
安孫子
君。
安孫子藤吉
5
○
安孫子藤吉
君 まず、第一班の
派遣報告
をいたします。 去る八月二十三日から二十五日までの三日間、
青木委員長
、
馬場委員
、
上田委員
と私
安孫子
の四名は、
愛知
県及び
静岡
県における
建設事業
並びに
建設
諸
計画
について
実情
を
調査
してまいりました。 まず、
名古屋
市における
都市計画事業
について申し上げます。 私
ども調査班
は、
名古屋
を代表する百メートル
道路
の
久屋大通公園
、
神宮東地区
における
都市防災拠点地
となる
地区総合整備事業
、
名古屋
市の
西南部
に当たる港区
南陽町藤前地区
の
藤前流通業務団地造成事業等
を
視察
してまいりましたが、
名古屋
市では、豊かで安全、便利な
都市
の
建設
を進めるために、
都市計画
に
市街化区域
、
市街化調整区域
、
地域地区
、
都市施設
、
市街地開発事業
などが定められ、これらの
都市計画
に従い
都市整備
が行われております。 戦災で大きな痛手を受けた
名古屋
市は、いち早く
都心部
を
中心
に
復興土地区画整理事業
に着手し、百メートル
道路
を初め
道路
、
公園
などの
基盤整備
を行い、今日見られるような整然とした
町づくり
を進めております。また、
周辺
の新
市街地
においても、
土地区画整理事業
が盛んに実施され、かつての
農地
や山林に新しい
市街地
が数多く生まれました。これまでに設立された
土地区画整理事業
の
組合数
は二百九十、その総
面積
は約一万六千八十五ヘクタールで、
市域
の約四九%に上っています。その他、熱田区の
神宮東地区
においては、
住宅
・
都市整備公団等
とともに大
規模工場
の跡地を
中心
に、良好な
住宅
や
道路
、
公園
などを総合的に
整備
する
特定住宅市街地総合整備促進事業
が行われ、
地区総合整備事業
が
促進
されるとともに
市街地
再
開発事業等
も実施されており、このように
町づくり
に積極的に取り組んできた
名古屋
市は、
道路
、
公園
などの
都市基盤
がりっぱに
整備
され、他
都市
からも羨望されておるような
都市
になってきております。 次に、
濃尾平野
における
地盤沈下対策事業
について申し上げます。
濃尾平野
はわが国の代表的な
沖積平野
の
一つ
であり、豊富な
地下水
は古くから
農業用水
、
生活用水
及び
工業用水
などに
利用
されてまいりました。 しかしながら
名古屋
を
中心
とする
地域
の
発展
は著しく、これに伴う
地下水利用
が増加の一途をたどって、激しい
地盤沈下
や
地下水
の
汚染等
の諸問題を引き起こしました。二百七十四平方キロに及ぶゼロメートル地帯を初めとする低地では、
洪水
や
高潮
による
災害
不安の
増大
、
建築物基礎
の抜け上がり、井戸水の
水質悪化等
が深刻な問題となり、各
地域
において
防災対策
を進めますとともに、今後再び
地盤沈下
を進行させることなく、安定的な
地下水
の
利用
が図られる
対策等
が必要であります。その
一つ
として、現に進行しつつある
地盤沈下
を抑制するため、
地下水
の
揚水規制
、
合理的使用
の指導、
代替水
の
整備
、
地下水
の
人工涵養等
の諸
対策
が講ぜられており、もう
一つ
の
対策
として、沈下した
地域
を
水害
から守るため、
堤防
の
かさ上げ
や
排水機場
の
建設等
が進められております。 今回
視察
いたしました日光川の
排水機場
は、四十九年九月の
集中豪雨
による
被害
を
契機
として
建設
が急がれていたものでありますが、
河川激甚災害対策特別緊急事業
として進められ、
一期工事
の完成を見たものであります。この
排水機場
は毎秒百トンの
排水能力
を有し、
伊勢湾台風
のときの潮位と
雨量
を
計画目標
として
建設
されたとのことでありました。 近年、
地盤沈下
は
鎮静化
の傾向にありますが、
地盤沈下
の
永久的停止
が果たされるよう引き続き
積極的対策
を講ずるとともに、
防災施設
の
整備
を
促進
させる必要があるものと思われます。 次に、
高蔵寺ニュータウン
について申し上げます。
高蔵寺ニュータウン
は
名古屋
市の北東約十七キロ、
春日井市域
の
東部丘陵地
の一角に
位置
しております。
昭和
三十五年、
日本住宅公団
が七百ヘクタール余の
土地
に
住宅戸数
二万六百戸、
人口
八万一千人の大
規模
な
ニュータウン
として
計画
し、
土地区画整理事業
の手法をもって
建設
を進めており、その総
事業費
は約四百十四億円でございます。
現況地形
を生かして、良好な
居住環境
と景観を有する
市街地
の
建設
を
目標
として、
地形
、地物を有効に
利用
し、特に既存の樹木の保持に努め、
各種公共施設
の配置と
土地利用計画
の
もと
に、
中央部
には
地区センター
を設け、これに結ぶように
自然環境
に適した二大住区を設定して、
集合住宅地
、
公団分譲地
、
民有地
が適所に配置されておりました。現在では約一万四千世帯、四万七千人が移り住んでおりますが、今後は
住宅
の
需要動向
に合わせて
整備
を進めていくとのことであります。最近、この
ニュータウン
に企業が進出するとの話題がありましたが、
ニュータウン
の
あり方
として今後の
課題
の
一つ
かと思われます。 次に、
愛知
、
静岡
両県下の
道路整備
について
地元
の
要望
を
中心
に申し上げます。
名古屋
市におきましては、
都市機能
の
向上
と魅力ある
町づくり
のため、
道路交通
の
確保
が欠くべからざる
重要課題
となっております。この中にありまして、
名古屋
市とその
周辺都市
を相互に結ぶ
名古屋環状
二号線は、全
延長
約六十六キロの
自動車専用道
を有する
幹線道路
であり、現在、
建設省
及び
日本道路公団
において鋭意
事業
が進められておりますが、未
事業化区間
の
早期直轄事業化
と
名港西大橋
の
建設促進等
が強く望まれております。また、
名古屋都市高速道路
は全
延長
約六十一キロで、
名古屋環状
二号線と一体として
整備
が進められておりますが、
早期整備
のため、
事業費
の
増大
と国の無
利子貸付金
の増額、
貸付条件
の
改善等
の
要望
がございました。その他、
直轄国道
、
生活基盤関連道路事業
の
促進
及び
連続立体交差事業
の
促進
についてもそれぞれ
要望
がございました。
静岡
県下におきましては、
静清バイパス
、
清水
・
甲府高速自動車道
、
伊豆中央道
、
県道太平橋
、
富士川橋
、新
徳倉橋等
の
現地
を
視察
したのでございますが、まず
静清バイパス
は、
清水
市興津東町から
静岡
市
丸子二軒屋
までの
延長
二十四・二キロの
国道
一
号バイパス
でございます。本
バイパス
は、
静岡
市、
清水
市における
国道
一号の
交通混雑
を緩和させるとともに、両市を核として放射線状に延びる
幹線道路
と接続して有機的な
道路網
を形成する
重要路線
であります。四十三
年度
に
事業
化して現在までに九・四キロが
供用
されておりますが、
地元
では今後の
事業促進
に期待をいたしております。
清水
・
甲府高速自動車道
は、
清水
と
甲府
を
高速道路
で結びたいというものでありまして、本
路線
が
国土開発幹線自動車道
の
予定路線
として法定化され、一日も早く
事業
化されることが強く
要望
されました。
伊豆中央道
は、函南町から大仁町に至る
延長
約十一キロの
国道
百三十六
号バイパス
でございます。第一期工区として、
県道路公社
が実施している
有料道路
約三キロと、
国庫補助事業
約一・八キロが六十年四月の
供用開始
に合わせて施工されておりますが、
残事業
は、今日の
財政事情
の
もと
、
計画完了
までに相当の年数を必要とするとのことでございました。 その他、
県道太平橋
は
木造土橋
で
交通
のネックとなっておりまして、現在かけかえ
工事
を実施中であり、
富士川橋
は渋滞がひどく、かけかえが検討されましたが、当分の間、
補修
により使用できる見通しがつき、
補修事業
を実施しておりました。なお、
地元関係者
からは
富士川橋
のかけかえ
新設
の強い
要望
がありました。新
徳倉橋
につきましては、
地元
から
架橋
の強い
要望
がありましたが、
地域的道路網
の
あり方等
、
狩野川橋梁
の
架橋
を含めて今後検討していきたいとのことでございました。 次に、
静岡
県下の
海岸保全事業
について申し上げます。 私
ども調査班
は、
駿河湾
に面する
駿河海岸
、
静岡
・
清水海岸
、
富士海岸
を順次
視察
してまいったのでありますが、
駿河湾
は
日本
における最も深い
海湾
の
一つ
であり、
中心部
におきましては千五百メートルないし二千メートルにも達しております。そのため、
海底勾配
が急で、波のエネルギーが減殺されることなく
海岸線
に襲いかかることになるので、これらの各
海岸
は
災害
を受けやすく、
静岡海岸
などは毎年のように
被害
を受けております。さらに、近年各
海岸
とも海浜の侵食が著しく、波浪、
高潮
による
被害
を大きくするとともに、自然に親しむレクリエーションの場を奪い去られております。 このような
状況
に対処しまして、国では
災害復旧助成事業
あるいは
改良事業等
でもって、
離岸堤
、消
波堤
、
海岸堤防等
の諸
工事
が進められておりました。しかしながら、欠壊した
堤防
や
ブロック堤
を見ますと、
海岸保全事業
の強力な推進が痛感されたところでございます。特に
地元
からは、
養浜効果等
からも
離岸堤
の
設置
が強く
要望
されました。 次に、
静岡
駅
南口
前
地区整備計画
について申し上げます。 当
地区
の約五・六ヘクタールについて、
昭和
四十六
年度
に
市街地
再
開発調査
が行われ、四十七年一月には
南口駅前広場
五千五百平方メートル及び
都市計画道路等
、
公共施設
の
都市計画決定
がなされました。これに伴い、再
開発計画
の
地元説明
を行いましたが、いまだに
地元
のコンセンサスが得られていないとのことでございます。本
計画
は、
駅前広場
を
早期
に
整備
する必要に迫られていること、
地元住民
からの
代替地
の
要望
が強いが
代替地確保
に苦慮していること等の
問題点
を抱えておりますが、
地元要望
とその後の
状況変化
がありますので、
早期
に再
調査
を実施して
事業
の
促進
を図りたいとのことでございました。
最後
に、
巴川流域総合治水対策
について申し上げます。
静岡
市、
清水
市を流れる
巴川
は、
昭和
四十九年七月の大出水により、
浸水面積
二千六百五十へクタール、
浸水戸数
約二万六千戸という大きな
被害
を受けました。そして、
流域
全体の緊急な
治水安全度
の
向上
を目指して、五十三
年度
に
総合治水対策特定河川
に指定されますとともに、
多目的遊水事業
、
総合治水対策特定河川事業
に着手しております。現在では、時間
雨量
五十八ミリに対応できる
暫定計画
に基づきまして、
巴川
本川の
流下能力
の増強、大谷川
放水路
の開削、
多目的遊水地
の
整備
及び
津波対策
としての
堤防
かさ上げ
等の
河川改
修が進められているとのことでございました。 なお、以上のほか、
愛知用水東郷池
、東名
高速道路
、
天竜川下流河川改修
、来光川、柿沢川
合流点河川改修
及び
狩野川東部浄化センター等
も
視察
をいたしました。 以上が
現地調査
の
概要
でありますが、
視察
に際し、
愛知
県、
静岡
県及び
名古屋
市より、それぞれ
要望書
を受け取ってまいりましたので、これを本日の
会議録
の末尾に掲載していただくよう
委員長
にお願いを申し上げまして、
報告
を終わります。
青木薪次
6
○
委員長
(
青木薪次
君) 次に、第二班の
報告
を願います。
増田
君。
増田盛
7
○
増田盛
君 引き続き第二班について申し上げます。 去る八月三日から五日までの三日間、
岩崎理事
、
村田理事
、
服部委員
と私
増田
の四名は、
長崎
県及び
佐賀
県における
建設事業
並びに
建設
諸
計画
について
実情
を
調査
してまいりましたので、その
概要
を御
報告
いたします。 まず、
長崎
県から申し上げます。 昨年七月の
長崎大水害
は、
山間部
における
土砂災害
と
平野部
における
洪水災害
とが重なり、死者・
行方不明者
二百九十九名、
被害総額
三千百五十三億円余という未
曽有
の大惨禍となりました。中でも
土砂崩壊
による
被害
は特に甚大で、川平、鳴滝、奥山の
各地
では、
開発区域
の上部に山地が残っている個所で大
規模
な
山腹崩壊
が発生し、それが
土石流
となって流れ落ち、
人家
を押しつぶし、多数の人命を奪ったのであります。このように、
土砂崩壊
、特に
土石流
が
各地
で発生したため、
公共土木施設
にも大きな
被害
をもたらしました。県の
説明
によりますと、
施設被害
は、
直轄
・
補助
を合わせて
河川
四千百九十カ所三百五十七億円、
道路
四千九百六十九カ所百六十八億円、
橋梁
百十六カ所二十八億円等で、
総額
五百五十六億円にも達したとのことであります。 さて、
災害復旧事業
は、通常の場合
災害発生
から
査定
まで二カ月程度かかるのが普通でありますが、
長崎水害
の
復旧
は一カ月後の八月二十三日には第一次
査定
が実施され、早くも九月末からは順次
復旧工事
が開始されたとのことであります。しかも
早期復旧
を図るとの観点から、初
年度
に七二%の前倒しが実施されたのに加え、
主要河川
は大幅な
改良復旧
が行われることになっております。中でも
浸水
による
被害
の大きかった
中島
川、浦上川の
下流部
については、
河川激甚災害対策特別緊急事業
によって
早期改修
が図られることになっております。
災害復旧事業
の
進捗率
を
事業費ベース
で見ますと、全体
事業費
七百二十四億円に対し、五十八
年度
末で五六・四%でありますが、緊急急
傾斜地崩壊対策事業
は九月末までに
完了
の
予定
ですし、
原形復旧
を目指す
災害復旧事業
もすでに六〇%が着工中とのことでありました。ただ、
改良復旧事業
は一部で
用地買収
が必要となるため、
工事
は若干おくれ
ぎみ
のようでありますし、また、大
はんらん
を起こし、旧
市街地
を
中心
に大きな
被害
をもたらした
中島
川の
下流部
を改修する
激特事業
の
進捗率
も、五十八
年度
末でわずかに二六%という
状況
であります。 それというのも、
中島
川の
河道改修
につきましては、掘削一部
拡幅方式
を
基本
とし、
眼鏡橋
は現
位置
に残すことを可能な限り検討する。ただし、その場合は
暗渠バイパス方式
とし、
模型実験
での
可能性
を前提とする等の方針が出されておりますものの、
河道拡幅
には六十八戸の立ち退きが必要とのことでありますし、
眼鏡橋
について撤去か存置かの
結論
が出ておりません。
関係者
の
説明
では、八月中には
結論
を出すとのことでありましたが、
眼鏡橋
に対する
地元住民
の愛着は強く、しかも
重要文化財
でもあることから、現在の
位置
にそのまま残してほしいとの
要望
がある一方で、
暗渠バイパス
の
模型実験
が予期したほどの成果を上げ得なかったとの
報告
もあり、なかなかむずかしい問題だと思いました。 しかしながら、
長崎大水害
は多くの貴重な教訓を残しました。
長崎
県では
人的被害
が大きかった点を特に重視し、その
原因
を一、
住民
の避難がおくれたこと。二、がけ崩れの多くが強降雨時に一致し、しかもそれが夜間であったこと。三、
人家
が
がけ下
に密集していたこと等にあると分析し、それらを踏まえての
防災対策
や
災害
に強い新しい
都市づくり
を着々と進めております。また、
説明
の中で特に注目しましたのは、急
傾斜地崩壊防止施設
で被災したものはほとんどなく、十分にその
機能
を発揮したという点でありまして、私
ども
も改めて
公共土木施設
の重要さと、その早急な
整備
の
必要性
を痛感した次第であります。 次に、
佐賀
県について申し上げます。
農業県
と言われます
佐賀
県では、本
年度
から
文化立県
、
技術立県
を目指した八〇年代
佐賀
県
総合計画
をスタートさせておりますが、それに盛られた
事業
を軌道に乗せるためにはまだ多くの
課題
を抱えております。私
ども
が今回
視察
しました
地盤沈下
もその
一つ
で、その
面積
は、
有明海
に面した
県南部地域
の
佐賀
、
白石平野一帯
を
中心
に、およそ三百五十ヘクタールにも及んでおります。
地盤沈下
の
原因
は、
地下水
の多量な
くみ上げ
によるものであります。そこで、
佐賀
県では
公害防止条例
を制定して
地下水
の
揚水
を規制しておりますが、
沈下現象
は一時ほどではないにせよ、いまなお進行しているとのことであります。しかも困ったことに、一度沈下した
地盤
は
もと
に戻りません。このため、
道路
、
農地
の冠水や住居への
浸水
によって毎年大きな
被害
を出しております。その
被害額
は、
白石平野
に
位置
する有明町、
白石
町、福富町の三町だけでも例年十億円を超し、
当該地域
の
発展
に大きな障害となっていると
地元関係者
は訴えておりました。したがいまして、現在進めております
高潮対策
は
もと
より、須古川、只
江川
の
治水対策
や
日石川等
における
排水ポンプ場
の
建設
など、その
抜本対策
をさらに
促進
する必要があると思います。
内水排除対策
が必要なのは
佐賀市街地
も同様です。
佐賀
市の
東部
を流れる
佐賀江川
は東流して
筑後川
に流入する
河川
でありますが、その
流域一帯
は
もと
もと
低平地である上、
地盤沈下
や
有明海特有
の大
干満差
などによって、しばしば
はんらん被害
をこうむっております。特に五十五年八月の
洪水
では、この
佐賀江川
を初め、
八田江川
、新川が
はんらん
して
佐賀市街地
の大半は七十時間も水浸しとなり、百二十八億円にも及ぶ大きな
被害
を出しました。このため、これを
契機
に
佐賀江川改修事業
と
蒲田津排水施設新設工事
が
激特事業
に採択され、五十五
年度
から着工されております。
視察
しました
蒲田津排水施設
は、
佐賀江川
の
河口地点
に
排水規模
毎秒三十立方メートルの
ポンプ
二台を
設置
し、
湛水
による
内水
を排除しようとするものでありまして、これに
八田川流
末の
排水施設
の
設置
など一連の
激特事業
が完成すれば、
佐賀市内
の
浸水被害
は大幅に軽減されることになるとのことであります。 また、
佐賀
市では、五十五年十一月
都市計画決定
された
鍋島土地区画整理事業
も
調査
してまいりました。
鍋島地区
は
国鉄佐賀
駅の北西約三ないし四キロメートルにあり、
佐賀
医科大学の開校に伴って
市街化区域
に編入された九十三・四ヘクタールの
区域
であります。
事業
は、
佐賀医大
を取り囲むようにして六本の
都市計画道路
を配し、さらに
公園
、
公共下水道等
の
整備
が
予定
されております。
計画人口
は六千四百人、総
事業費
約五十八億円、
うち補助基本事業費
約十八億円、
減歩率
二七・二四%というのがその
概要
でありますが、全体的に
事業
はおくれ
ぎみ
のように見受けました。
工事
がおくれれば
事業費
がかさみ、それだけ
保留地
の地価が高くなります。このため、
関係者
からは
補助基本事業費
を増額し、
事業
の
早期完了
を是非実現してもらいたいとの
要望
が出されておりました。 次に、
筑後
大堰について申し上げます。
筑後
大堰は、
筑後川
の
河口
から上流約二十三キロメートルの
地点
に
可動堰
を築造して、
洪水疎通能力
の
増大
、河床の安定、塩害の
防除等
を図るとともに、福岡、
佐賀
両県の
都市用水
として新たに毎秒〇・三五立方メートルを開発しようとするものであります。
有効貯水容量
は九十三万立米、し かも五門のゲートが開閉できる
可動堰
でありますので、
洪水
時の
安全性
は
もと
より、
都市用水
、
灌漑用水
の
有効利用
にも大きな力を発揮できるとのことであります。総
事業費
は約三百五十五億円、
工事
に着手してからすでに十年になりますが、総
延長
五百一メートル余にも及ぶ大堰はほぼ完成し、ブルーに色塗られた五つの水門が特に印象的でありました。
最後
に、
高速道路
の
建設状況
について申し上げます。
九州
における
高速道路
の
整備計画
は、
縦貫道
四百二十八キロメートル、
横断道
二百三十五キロメートルが
予定
されております。このうち、
縦貫道
は八代
—えびの
間六十一・九キロメートルなど、わずかな
区間
を除き、すでに三百三十キロメートルが
供用
中であるのに対し、
長崎
市から大分市に至る
九州横断道
は、
大村—長崎多良見
間十七キロメートルなど、わずかな
区間
が完成しているにすぎません。もっとも、
横断道
の
建設
は、全国的に見ましてもまだ緒についたばかりでありまして、本
年度
からスタートをした第九次
道路整備
五カ年
計画
からが本格的な
横断道建設時代
だと言われております。その意味ではわずかな
区間
ではありますが、すでに
供用実績
を持つ
九州横断道
はむしろ
建設
が進んでいる方でありまして、九次五
計期
中には
武雄—朝倉
間七十一・五キロメートル、
湯布院—別府
間二十四キロメートルの
供用開始
も
予定
されております。私
ども
も五十九
年度
供用開始
を目指して急ピッチで
建設
中の
佐賀大和
町
—鳥栖
市間の一部を
視察
いたしましたが、
土木工事
は
区間
全体で七〇%を超える
進捗状況
で、すでに盛り土されて
高速道路
の形態を備えており、九月には
コンクリート舗装工事
を発注する段階にまで来ております。
道路公団
の
説明
では、この付近の土質は花岡岩の風化したマサ土と呼ばれる土砂が主体で、盛り土材料といたしましては最適だとのことであります。ただ、問題なのは
路線
上に埋蔵文化財が多いことで、特に
佐賀
ルートはルート決定後に学術的に価値の高い久保泉丸山遺跡が発見されるなど、文化財の宝庫だとのことであります。幸い丸山遺跡は
道路公団
の協力で移設・復元されましたが、このように文化財の発掘
調査
が
高速道路
の
建設
という観点からすれば
一つ
の大きな障害となっております。それでも
佐賀
ルートの
建設
費はキロメートル当たり二十七億円程度で、全国平均よりは割り安となっており、
工事
の方も一部で買収の終了していないところもありましたが、おおむね順調に進んでいるとのことであります。 なお、鳥栖市では鳥栖トラックターミナルも
視察
いたしました。 以上が
現地調査
の
概要
でありますが、
視察
に際し、
長崎
県及び
佐賀
県より、それぞれ
建設
行政に関する
要望書
を受けてまいりましたので、これを本日の
会議録
の末尾に掲載していただくよう
委員長
にお願い申し上げ、
報告
を終わります。
青木薪次
8
○
委員長
(
青木薪次
君) これをもって
派遣委員
の
報告
は終了いたしました。 ただいまの両君からの
報告
中で要請のございました
要望
事項等につきましては、本日の
会議録
の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
青木薪次
9
○
委員長
(
青木薪次
君) 御
異議
ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時三十分散会