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1983-10-03 第100回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月三日(月曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   委員氏名     委員長         安恒 良一君     理 事         仲川 幸男君     理 事         林  ゆう君     理 事         平井 卓志君     理 事         福田 宏一君     理 事        目黒朝次郎君     理 事         太田 淳夫君                 石本  茂君                 大城 眞順君                 大浜 方栄君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 刈田 貞子君                 服部 信吾君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 井上  計君                 三治 重信君                 木本平八郎君     ─────────────    委員の異動  九月二十一日     辞任         補欠選任      菅野 久光君     大森  昭君  九月二十二日     辞任         補欠選任      大森  昭君     菅野 久光君      久保田真苗君     佐藤 三吾君  九月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤 三吾君     久保田真苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 仲川 幸男君                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 福田 宏一君                目黒朝次郎君                 太田 淳夫君     委 員                 大城 眞順君                 大浜 方栄君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 出口 廣光君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 刈田 貞子君                 服部 信吾君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        法 務 大 臣  秦野  章君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  瀬戸山三男君        厚 生 大 臣  林  義郎君        農林水産大臣   金子 岩三君        労 働 大 臣  大野  明君        建 設 大 臣  内海 英男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  谷川 和穗君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       塩崎  潤君    政府委員        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君        防衛庁参事官   新井 弘一君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        国土庁長官官房        審議官      田中  暁君        法務省刑事局長  前田  宏君        外務大臣官房審        議官       恩田  宗君        外務省条約局長  栗山 尚一君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局次        長        的場 順三君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        国税庁間税部長  山本 昭市君        国税庁調査査察        部長       冨尾 一郎君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省大学局長  宮地 貫一君        厚生大臣官房審        議官       下村  健君        厚生省公衆衛生        局長       大池 眞澄君        厚生省薬務局長  正木  馨君        厚生省保険局長  吉村  仁君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        林野庁次長    後藤 康夫君        労働省労働基準        局長       望月 三郎君        労働省婦人少年        局長       赤松 良子君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設省計画局長  台   健君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   西川 和行君        会計検査院事務        総局第三局長   秋本 勝彦君    参考人        住宅都市整備        公団総裁     大塩洋一郎君        住宅都市整備        公団理事     久保田誠三君     ─────────────   本日の会議に付した案件調査承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十八回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会開会をいたします。  調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十六年度決算外二件の審査並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のため、必要に応じ、政府関係機関等役職員参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 次に、昭和五十六年度決算外二件の審査の今日までの経過につきまして、簡単に御説明申し上げます。  昭和五十六年度決算外二件につきましては、第九十八国会におきまして、その概要説明をすでに聴取いたしております。従来の慣例に従いますと、通常選挙後の国会におきましても、すでに審査の終了いたしました点につきましては、再び繰り返さないことになっておりますので、先例に従いまして、本日は直ちに昭和五十六年度決算外二件の総括質疑に入りたいと存じますので、御了承願いたいと思います。  それでは、これより昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は総括質疑第一回を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは総括でありますので、われわれといたしまして、特に野党全体として中曽根総理大臣出席要求しておったわけでありますが、諸般の事情で実現できませんでした。きょうはそこにお並びの国務大臣皆さんには、ひとつ総理出席あるいは官房長官の御出席などについて特段の御配慮をお願いするということをまず冒頭申し上げておきます。  決算でありますから、五十六年度決算一般会計補正予算後に比べ二兆四千九百四十八億円の実質不足額を生じて、財政史上例を見ない巨額の赤字決算になっておるわけでありますが、この決算の問題をめぐって当時の渡辺大蔵大臣辞意を表明すると、その辞意表明を受けて、当時の鈴木総理大臣がいろいろ説得をして、一応この辞意を撤回しておるわけでありますが、こういう経緯を受けて、中曽根内閣大蔵大臣はどのようにこれを受けとめ、今後の政策に生かそうとするのか、ひとつ大蔵大臣見解を聞きたいと、こう思います。
  9. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 歳入不足の、欠陥責任をとりまして、渡辺大臣責任を痛感されて、当時総理にお会いになったという事実は聞いておりますし、その際の新聞記事等も私も承知しております。いわば予測しがたい国際不況、こういうもので、ある意味において不可抗力であったということも言えるでありましょうが、その衝にある渡辺大臣が進退伺いをされたということは、もちろん責任の問題でありますから本人の意思に基づくところとはいえ、私は素直にそれは評価をいたしております。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 五十七年の九月の十四日、当委員会において、当時の鈴木総理大臣は、歳入欠陥補てんのため、歳出の思い切った削減歳入のあらゆる面における見直しを行って、歳入歳出の財源を捻出して、歳入欠陥を詰める努力をし、五十九年度特例公債依存体質脱却増税なき財政再建財政構造体質改善などを図ると。これが渡辺大蔵大臣を慰留した具体的な中身だと、こういうふうに総理は答弁しておるわけでありますが、この総理答弁中曽根内閣についても、総理大臣以下これが引き継がれておると、こういうふうに確認してどうでしょうか。
  11. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに責任とり方とは、みずからが責任をとってやめることだけが責任とり方ではなく、当面の政治課題にみずからの責任で取り組んでいくということも責任とり方でありましょう。  そうした意味において、総理は、当時わが国の財政運営の基本としておった、いま目黒委員が御指摘になりましたもろもろの問題を取り上げて慰留をされたということは事実であろうと思っております。  そこで、いまおっしゃいました中の、いわば歳出削減を徹底的にやるとか、そうしたこと、また今後の財政改革に当たって増税なき財政再建というものは理念として堅持すべきであるとかいうことは、そのまま引き継いでおることは事実であります。  ただ、問題は五十九年度特例公債からの脱却、これが大きな努力目標でありました。これは過般、五十七年度補正予算審議をしていただきました際、両院に対して私どももそのことは非常に困難になったというふうに申し上げたわけであります。そうして、引き続いて、一九八〇年代における経済の展望と指針というものを経済審議会からちょうだいをいたしまして、今日、およそ昭和六十五年をめどとして、これを努力目標として定め、特例公債からの脱却ということに進んでいきたい。その点につきまして御指摘いただきますならば、政策目標の転換をしたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは各大臣がなかなか月曜日で忙しいらしゅうございまして、できれば十時半か十一時ころまでに大臣を上げてくれと、そういうおたくの要望でありますから、一時大蔵大臣だけはここで切りまして、ほかの大臣関係、二、三やっていきたいので御了解を得たいと思います。  最初に、社会問題になっている二つの問題について、東京医科歯科大学汚職事件があるわけでありますが、いろいろ新聞では取り上げて載っておりますが、警察庁に今日までの概要について御報告願いたいと、こう思います。
  13. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) お答えをいたします。  東京医科歯科大教授選考をめぐる贈収賄事件の現在までの捜査状況でございますが、警視庁が九月六日に検挙に着手をいたしまして、これまでに、医療機器をめぐります贈収賄事件、これで収賄被疑者であります教授一名、贈賄被疑者であります業者六名を逮捕しております。また、教授選考をめぐります贈収賄事件におきましては、同教授を再逮捕いたしますとともに、贈賄被疑者二名を逮捕して、現在捜査中でございます。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 政府委員を通じてやりますが、九月二十五日の毎日新聞一覧表人間の名前と金の出し入れ、返還、この事実関係には間違いありませんか。
  15. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) お話新聞報道につきましてはもちろん承知をしておるわけでございますが、この図表の金銭流れの中におきましては、医療機械業者からの九十万円、これにつきましては現在逮捕されました被疑者につきまして起訴されております。それから畑野良侍からの百万円、酒井昭義からの四百万円、これにつきましては現在捜査中でございます。それと、そのほかの金銭流れが表に書いてございますが、これにつきましては現在捜査中でございます。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 捜査中であるけれども、おたくが逮捕した直接のきっかけの金銭流れについてはほぼ間違いないと、まあ捜査中でありますから、そのとおりでございますとはなかなか言えないにしても、ほぼ間違いないと、こういうふうに受けとめて結構ですか。
  17. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) そういうつもりで現在捜査中でございます。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 捜査中ということでありますから、私も一応了解しますが、大体このとおり流れていると。それで私は、問題は、警察庁にじゃんじゃんがんばってこういう不正は直してもらいたいということを要望しますが、大学当局にお伺いしますが、文部大臣、この事件について九月二十四日中尾医学部長は、教授選体質に根差すものではなく池園個人の問題だと、こういう新聞発表を白々しく行っておるわけでありますが、私はこの問題、一連の金の流れから見ますと、池園個人がこういう四百万も二百万も教授選で取って、しかも複数から取るんですからね、二、三人から取って、そして落っこちればまあ四百万のうち百万ぐらい返す、この体質ね、これはわれわれではちょっと考えられないんですが、これを池園個人ということじゃなくて、こういう教授ポスト東京医科歯科大、この抗争をめぐる十年来の抗争だということはずいぶん言われているんですね。この問題に対する責任のあり方、談話の発表の仕方というのはどうも解せないんですが、文部大臣としてどういうふうにお考えですか。
  19. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御指摘東京医科歯科大学事件最初教授選考について選考委員会の一員の教授金銭授受があったと。その後、いま警察庁からもお話がありましたように、医療機器の購入に関連してまたこれも金銭授受があったと。言うまでもなく公務員でございますが、まことに率直に言って遺憾しごくである、かような感想を持っておりますが、お尋ね医学部長の話が池園個人の問題であると言ったことがどういう趣旨であるか、私、直接ではございませんが、いま現に問題になっておるのは池園個人の問題でありますが、それがどういうところまでいっておるかということは、学内の調査委員会でもいろいろやったようでございますけれども、なかなか真相を明らかにする限界がある、そういうことで遺憾ながら警察の手で詳細にいま調査を進めていただいておるという段階でございまして、まだ最後真相まではわかっておらない、かような事態でございます。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、この医科歯科大学の内部を見ますと、金で教授ポストを買うのが一つの側面、それから五十七年二月の第二外科教授選考に絡む宇都宮、三島、木村、この事件を見ますと、もう一方の親分は怪文書事件、この怪文書と金と、この二本建てで教授ポストを買っているというのがどうもこの大学の実態だと。これは怪文書事件では当時の稲葉教授、これは本人みずからが怪文書を書きましたと、その怪文書を何でマスコミが使うのかわかりません。こういうことはわれわれ普通の人間では、怪文書を自分が書いたのを認めておって、この怪文書をなぜマスコミが使うのかわからぬという感覚、庶民の感覚じゃないですな、こういう問題。  それから、同じ問題で第二外科医局員皆さんがこの怪文書の問題についてはけしからぬということをプリントをして教授皆さんに全部渡したと、これは五十七年。こういう事実関係もあるわけですね。金で買う、怪文書を書く、そしてその子分たちがその怪文書を全部印刷をして教授皆さんに渡して歩くと、これだけ公然と行われておる教授ポストが、池園個人だというのは余り酷じゃないですか。少なくとも大学体質がそこにあるんじゃないですか、大学体質が。選考委員皆さんを集めて、私は金もらっていません、私は金もらっていませんって各人の署名、捺印をした、こんな子供じみた自己批判などありますか。私は、ずばり言ってこの捜査と併行して、これだけ明るみに出れば中尾医学部長は少なくとも私は医学部の責任をとってやめるべきだ、こういうふうに私は考えているんですが、あなたはそれを支持する気はありませんか、大臣いかがですか。
  21. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまおっしゃったような内容の細かい動きは、詳細は真相わかりませんけれども、伝えられるように東京医科歯科大学の中では、従来からいろんなトラブルといいますか、抗争といいますか、あったようでございます。  そういう意味におきまして、特に教授選考についてこういう事態が起こったということは、御承知のとおり大学の自治の問題の根幹に触れる問題でございまして、私どもとしては非常に遺憾に思っておりますが、自治能力あるのかないのか、こういう問題を中心にして今回まで六回もいろいろ事情を聴取しておりますが、現在のところは、先ほど申し上げましたように、警察真相調査に入っておりますから、その状況を見まして最後処置をとると、かような考えでおるわけでございますが、いまどうこうするという結論を出す段階ではございません。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この事件を通じて社会的責任は感じていると、こう思うんですがね、大臣も含めて、社会的責任をお感じになるのかどうか。しかし、いま捜査中であるから、捜査の結果がわかったならば、それに対応するそれなりの責任を含めて措置をするというふうに前向きに受けとっていいかどうか、もう一度大臣見解を聞きたい。
  23. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 事は先ほど申し上げました最高学府の問題でございますから、真相が明らかになりました以上は事宜に従ってそれ相応処置をとらなければならない、かように考えております。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それ相応措置ということは、いままで各種問題をめぐって大分あちこち事件ありましたね、九州産業大学、国士館大学などありましたですから、まあこれでありますから、それらの経過も含めて何か今月中に定例国立大学医学部長会議を招集する、こう言っておられるようでありますから、それらを含めてひとつ前向きの措置をしてもらうということを含めて、私は少なくとも中尾部長の辞職を要求するということを含めて前向きに要求だけはしておきます。文部大臣、以上で結構です。  次は、新薬スパイ事件、これは法務大臣、お伺いしますが、何とまあこのごろ最高権威である大学教授やら薬の検定をする薬事審議会皆さんが出ているんですが、まず法務省にこの新薬スパイ事件の現状についてお伺いします。
  25. 前田宏

    政府委員前田宏君) お尋ね事件につきましては現在東京地検捜査中でございますが、その概要を申し上げますと、去る九月の七日にまず国立予防衛生研究所鈴木という技官を抗生物質検定成績通知書に虚偽の記載をしたという事実につきまして逮捕いたしまして、この事件につきましては捜査の上すでに公判請求をいたしておりますが、その後、藤沢薬品工業の東京支社課長あるいは部長、あるいは部員、こういう者を、ある製薬会社製造承認申請していた新抗生物質に関する資料を、いま申しました鈴木共謀して窃取したという容疑で九月十三日、あるいは十六日に逮捕しております。  また、別の製薬会社が同じように製造承認申請をしておりました新抗生物質に関する薬理作用等のファイルをやはり鈴木共謀の上で窃取したということで、同じ藤沢薬品東京支社の副社長、これを逮捕しておりますし、さらにいま申しました窃盗事件に関する証拠隠滅というようなことで、同じ会社東京支社部員を逮捕していると。また、いま申しました窃盗事件あるいは証拠隠滅の教唆というような疑いで、藤沢薬品常務取締役を逮捕しているというようなことでございまして、さらに去る二十八日には日本医師会事務局課長を、日本医師会厚生省から配付されその課長において保管中の資料を横領したという容疑で逮捕をいたしております。  また一方、帝三製薬という会社部長、あるいはさらにその社長等を他の製薬会社輸入承認申請をしていた抗生物質に関する資料を先ほど申し上げた鈴木共謀の上で盗んだというような容疑で逮捕しておりますし、また帝三製薬関係で、中央薬事審議会委員であり、また国立衛生試験所部長である者を、それぞれ贈収賄容疑で逮捕しているというような状況でございまして、なお現在捜査継続中でございます。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これもまあ私も秘書を使っていろいろ調べたんですがね、大学のガードと厚生省のガードが非常に厳しくてなかなかネタがつかめません、これ以上。だから私は、いま法務省捜査中のことについてそれ以上深入りすることができないんですが、私は厚生大臣ね、これは文部と同じように、これこそあなたの直轄だね、これはね。私もつい最近まで社会労働委員長をやっていたんだから私にも責任あるのかな、回り回って。まあしかし、これは薬事行政の責任ですから、まず行政官である厚生大臣ね、この国立衛生試験所国立予防衛生研究所中央薬事審議会、薬剤の検査、検定を受け持つ重要な厚生省の一行政機関ですな。この行政機関がこのような事故を起こして、これ何ら厚生大臣も含め中央薬事審議会の——この三十日会議を開いたらしいんですが、この三十日どんな談話が出るのかなあと思って私も注目しておったんですが、これまた一言も責任を感ずるような談話が出てない、はなはだ私は無責任きわまる。国鉄悪玉論で、たった三百円の公金に手をつけて、二十七年も三十年も勤めた国鉄をばあんと首切るぐらいの中曽根内閣の行政姿勢であるならば、こんなのは、これ給料のほかに毎月毎月手当をもらってるなんというのはもってのほかですよ。国鉄の職員を首にするぐらいの中曽根内閣の腹なら、即時これは厚生大臣の権限で百を切って免職だと、同時に、中央薬事審議会の会長である国立衛生試験所の所長もやはり責任を感じて辞職する。薬というのは命ですからね、これは年寄りからおぎゃあと生まれたまで。これだけの薬を扱っているおっさんがこんな悪いことをして両手に花と、これはちょっと厚生大臣、私は少しも社会に対して釈明しないというのは一体どういうことなんですか。大臣のまず見解を聞きたい。
  27. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 先ほど法務当局から御説明がありましたような事件でございますし、国立予防衛生研究所国立衛生試験所の職員がこれに関与しているということにつきましては、私としては大変遺憾に存じておりますし、当然国の職員でございますから、私もそれは大変な問題である、大変遺憾だということをこの機会に申し上げておきたいと思います。  事件が現在捜査中でございますし、私といたしましては法規に従いましてそれぞれの処分はしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。  ただ、もう一つ申し上げますならば、この問題は、特に先生御指摘新薬スパイ事件というようなものがなぜ起こったか、やはり中央薬事審議会という審議会がございまして、この審議会での方々には先週も緊急に部会長さん方にお集まりいただいて厳重な審査態勢をとっていただくこと、その中における綱紀の粛正をやっていただくということをお願いをいたしまして、各部会長もこれを御了承いただいたところでございます。しかしながら、単にそういった形での問題だけではないように私は思うわけでございまして、薬の承認のあり方というものがどうであるかという問題もさることながら、薬については社会一般からいろいろな御指摘のあるところである。そういった問題も含めまして、私は問題の基本的な解決を図っていかなければ病根は断ち得ない。そういった観点から、私の方で特別な方々を選んで懇談会を持ちまして少しその辺まで含めて検討してみよう、新しい態勢をやっていこうと、こういうふうなことを申し上げておるところでございます。  そうした意味で、特に私は薬というのは国民の健康に非常に関係のある問題である。健康に関係あると同時に、やはり国民の信頼のあるようなものでなければならない。この信頼が失われかけておるということにつきましては大変私も遺憾に思っておるところでありまして、その信頼を回復するために、私もいま申し上げましたようないろいろなことをやりまして、信頼の回復に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も多少社労問題をかじっているから、大臣が後段で言ったこと——薬事審議会のあり方あるいは薬価基準のあり方、請負制度、出来高払い制度のあり方などなど、われわれ、委員長も含めて、大分その問題については議論してきていますから、それはそれでやってもらいたい。だけどもこの前段の国家公務員ともあろう者がこういう機密を漏洩して、しかも毎月毎月給料に匹敵するお手当を両方からもらっている。こういう公務員のあり方、高級公務員のあり方、これは言語道断だと思うんですよ。本人が否認するならいざ知らず、本人がこれを認めておる以上は、国家公務員とかなんとか言わないで、やはりきちんとした処断なり責任を社会的に明らかにすべきじゃないですか。
  29. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 国家公務員が刑事事件に基づきまして起訴されたときには、国家公務員法に基づきまして休職処分をすることができるという形になっていると私は記憶をしております。そういった法律の規定がございますから、その法律の規定を参酌しながらどういった処分をするかということをいま考えているところでございます。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どうも調子が悪いときには国家公務員規則を適用して、調子がいいときには三百円でも二十七年の国家公務員を首にする。私は、ここに会計検査院報がありますが、特定郵便局長が五年にもわたって公金を横領しておったなんということも会計検査院の指摘があるんですよ。きょうは総理大臣が来れば、私は郵政大臣を呼んで、国鉄総裁も全部そこに並べて聞こうと思ったけれども、肝心かなめの総理が来ないからきょうはやめますよ。だけども薬事審議会委員をやっておって、あなたのもう直系の子分がこれだけの悪いことをしておって本人が認めておる。本人が認めているんですから、認めた段階で、国家公務員法に従って処分しますなんていうことは、結局あなたが後段で薬の問題は全国民の健康にかかわる問題だと、それだけ自覚しておるならば、私は少なくともこのどちらかだ、国立衛生試験所長かあるいは正木薬務局長か。あなたに言いたいんだけれども大臣はちょいちょいかわりますからね、かわりますから、大臣責任まではまあちょっと一段落としても、この正木薬務局長なりあるいは国立衛生試験所長、これはやっぱりきちっと社会的責任をとるべきじゃないですか。これも先ほど言った文部大臣と同じように捜査状況を見てと、こういうふうになれば、まあ公務員というのは、私も公務員の端くれを歩いてきましたが、社会的な問題を起こす前にけじめをつけるのがやっぱり政治に対する国民の不信をなくすことだと。しかし、五億円もらった田中角榮がやめないから、田中角榮の結審を見てからやりますと、こういうのが一貫して中曽根内閣の——新薬産業スパイ事件にまで至って中曽根内閣というのはそういう行政の責任とり方をやっているんですか。これはあんたに聞いたって酷かもしれぬけれどもね。少なくとも直轄の厚生大臣として、私は薬務局長と産業スパイの土台になった二つの所長については社会的な責任を感じて即刻しかるべき措置をとるべきだと、それが薬に対する不信をこの際なくすことだと、こう私は考えるんですがね。それをやらないでずるずるいって、きのうの読売だよ、きのうの読売を見ますと、検察官を二十名程度大動員をして大捜査網をやるというんです。こんなことを厚生省の国家機関がやられたらますます不信になるんですよ。このきょうの委員会で、いさぎよくやっぱり責任を感じて局長なり所長に辞任を申しつけるというぐらいの厚生大臣の私は政治決断があってしかるべきだと、こう思うんですが、いかがですか。
  31. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 事件が、先ほど法務当局から御説明がありましたように、現在進行中でございます。私はそういった司法の司直の手によりまして厳正な調査が行われ、また適正な裁判が行われることを心から期待をしておるものでありますが、行政というものはやはり法律に基づいてやらなければならないということも事実である。そうした意味におきまして、法律に国家公務員法その他の規定がございますから、そういった規定を十分に考えながら私はいろんな点につきまして考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、先生の御意見は先生の御意見十分よくわかりますので、そういったことを参酌しながらこれから対処をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一度あなたがそう言ったらなかなか、総理大臣でも来ない限りは大臣の発言というのはこれはなかなかあれだから、これ以上言ったってしようがない。あさって総理が来るらしいから、総理が来るまであした、あさって二日間の猶予を与えますから、文部大臣、厚生大臣含めて強い要求があったということを受けとめて前向きに検討してもらいたいと、こう思うんです。時間が来ますからそれ以上言いません。あとの厚生関係はきょうはやめます。  それから労働大臣、この男女雇用平等法の問題についてわれわれもずいぶん社労でがんばって、少なくとも次の通常国会に提案するということで労働省が一生懸命がんばってきているということについてはわれわれも敬意を表します。ぜひそうやってもらいたいなと。ところが、つい二、三日前、財界の大元締めである日経連が、政府の考えている男女平等法あるいは国際条約の批准という問題について、やはり日経連としてはちょっと待ったと、そういうような動きがあるという新聞報道があるんですが、この日経連の動向などについて労働大臣はどの程度把握されておるかお伺いしたいと、こう思います。
  33. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) ただいまお尋ねの日経連の御意見につきましては、新聞等で、まだ調整中とかあるいは検討中とかという報道がされているわけでございまして、私どもの方に直接日経連の方からお申し入れがあるというような事実はございません。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、この新聞報道は単なる新聞報道だとして、まだ労働省に正式にないと。それはそれなりにわかりますが、仮にこういう男女雇用平等法に反対だと、こういう日経連を中心とした動向が表面化をした際に、労働大臣としてはそういうものを乗り越えて、やはりいままで社会労働委員会で議論した、あるいは各種団体と話をしてきた、いわゆる労働省が現在作業しているそういう方向については私はそれを貫いてもらいたい、貿易摩擦その他を含めて。そういうふうに考えておるわけでありますが、労働大臣にこれらの動向に対する私の希望についてお答え願いたい、こう思います。
  35. 大野明

    国務大臣(大野明君) 現在わが国の女子の雇用者は全雇用者の三分の一を超えるというような状況で、大変社会経済にも貢献しておるということを考えると同時に、最近は職業生活の中で自分の能力というものを十二分に発揮したいという希望者がふえてきたというか、そういうような時代でございますから、この機会の均等であるとかあるいは待遇の平等であるとか、これらについては鋭意労働省としても努力をいたしております。ただ先生、社会労働委員長をおやりになってよく御承知ですが、この問題につきましては婦人少年問題審議会で法的整備も含めながらいま鋭意努力をいたしておるというところでございますから、この結論を得てから慎重に対処、推進していきたいと、こう思っております。
  36. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 久保田真苗君の関連質問を許します。
  37. 久保田真苗

    久保田真苗君 関連で労働大臣にお伺いいたします。  今国会の冒頭で総理が、婦人差別撤廃条約については一九八五年を目途に条約の批准を完了したいと、そう言っておられるわけです。ところで、この条約を批准する上で最大の焦点は、何と申しましても雇用における男女平等を確保するというところにあると私は思います。  この条約は、男女平等の基礎に立って同一の権利を婦人に対して国が保障するということを求めているわけでございます。この中には、同一の雇用機会についての権利、職業を自由に選択する権利、昇進、職業訓練、同一価値労働同一報酬といったような権利が他の権利とともに含まれているのでございます。ところが、いまわが国では、雇用の分野で平等を保障するだけの法制が非常に不備でございますから、婦人は募集、採用から始まって定年、退職に至るまで、さまざまの種類の差別を受けておるのでございます。同じ冒頭の総理の御発言でも、またいま大臣が言われましたことによりましても、男女雇用平等法案の実現については目下婦人少年問題審議会が機会均等、待遇の平等を確保するための方策について法的整備を含めて審議しておられるということなんでございますけれども、これは国が平等を保障するという観点からぜひ実現していかなければならないことなんでございます。もういま自由主義経済圏の先進国では二十カ国に近い国が男女雇用平等を法制化しております。その中には権威ある救済機関を設けたり、何歩も進んで積極的に古い慣行を乗り越えて、女性の進出をふやしていくという特別措置をとっている国さえ多いのでございます。  そこで、労働省では男女雇用平等法制化準備室というものを設けて目下作業中ということですけれども、婦人差別撤廃条約の要件が満たされるような実効ある法案ができますようぜひ大臣に督励をしていただきたいと思うのでございます。そして、次の通常国会にこの法案を提出していただきたいと思いますが、大臣、所信を伺いたいと思います。
  38. 大野明

    国務大臣(大野明君) ただいまお尋ねの件に関しましては、私も昨年就任して以来、婦人少年局長を初め関連の部課に対して十二分に督励をいたしております。  ただ、いまも先生のお話の中にございましたように、審議会でやっておりますから、それにやはり余り介入するということになれば、これはまた問題が起こるわけで、これは見守っていかなければならぬということでございます。  ただ、いずれにしても、この法的整備を含めてやる中にはすべて政労使入ってやっておるわけですから、そこで鋭意検討をしておる段階でございますが、いずれにしても、これはもう避けて通れない問題でありましょうということは十二分に承知いたしております。ただ、日本は日本としてのやはり今日までのいろいろな社会慣行もございますし、そういうような点も配慮しなければならない、いろいろあるかもしれません、そういう点も配慮しながら、本当に御婦人の方々が働く環境を得るようにするということを眼目としてやっておるところでございます。
  39. 久保田真苗

    久保田真苗君 きょうは時間がありませんから、注文だけさせていただきますけれども、雇用の問題は国際的に影響の大きい問題でして、日本だけが孤立して残されるというわけにはいかないんでございます。自由主義経済圏の経済大国である日本の動向は非常に各方面から注目されておりますので、どうか日本が恥をかかないようにしていただきたいんでございます。貿易摩擦の中で日本のやり方に不信が持たれたり、婦人労働力使い捨てなど、昔の夢を追って、国際的に孤立するようなことのないようぜひしっかりとお願いしたいと思います。  次に、法制化作業を早くという声が非常に強うございますので、労働省に作業の進捗状況にしぼってきょうは伺いたいと思います。  婦人少年問題審議会の結論はいつまとまりますか。また、雇用平等法案をいつ国会に提出する予定ですか。その内容は当然募集、採用から定年退職まで一切の条件整備を含むと思いますけれども、その検討が行われているのかどうか。また、非常に大事な救済機関についての構想は検討されておるのかどうか。そして最後に、これに関連して、労働基準法の女子保護についても検討が行われているとのことですが、この点はどうでしょうか。
  40. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) ただいまの御質問についてお答えいたします。  先生御指摘の点につきましては、すべてただいま検討中の婦人少年問題審議会にお願いいたしているところでございます。その進捗状況でございますが、ずっと諸外国の例などいろいろと検討してまいりまして、いよいよこの秋には実質的に内容の審議に入る予定でございますので、以前からお願いいたしておりますように、この秋に結論を出して、遅くとも今年じゅうには何らかの結論を出していただきまして、それを踏まえて、できるだけ速やかにその結論の上に立った対処をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  41. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃ時間がありません。注文だけしておきます。  今度の通常国会にぜひこの法案を出していただくよう、ひとつ審議を急いでいただくようお願いいたします。  最後に、大事なことですので、労働基準法の女子保護との関連で伺いたいんですが、いま保護外しが非常に警戒の目で見られている、その大きな理由は、経済大国と言いながら、日本の週休二日制、労働時間が先進国水準よりはるかに劣っているということにあるわけです。  そこで伺いますけれども、一つだけ、いまわが国では週休二日を毎週実施している企業の割合は何%でしょうか、最近どうそれが動いているでしょうか。
  42. 望月三郎

    政府委員(望月三郎君) いまの週休二日制あるいは労働時間の問題の御質問でございますが、週休二日制につきましては月一回ないし完全週休制ということで、何らかの形で週休二日制をやっている企業は全体の四分の三でございます。そういうことで週休二日制あるいはオーバータイムをできるだけ短くするというような形で、それから年次有給休暇の消化というような三本柱で時間短縮をいま進めております。
  43. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間がありませんから私申し上げますけれども、労働省の資料でも、毎週週休二日制を実施している事業所は六%に満たないわけでございます。特に五十年代に入ってからこの進捗状況は非常にはかばかしくないんでございます。こういうことでございますと、やはり勤労者の生活にとって非常に問題がございまして、先進国はもとより、日本が経済援助をしているような開発途上国でも、週休二日、週四十時間労働というものを基礎に据えて開発を進めている国が多いんでございます。こういうことは、やはり男女の賃金格差と並んで国際的に不公正競争のそしりを受ける火種でございますから、どうぞ真剣に進めていただきたいと思います。そして、こういう状況の中で婦人労働の保護のはぎ取りだけが先行していくというようなことがありますと非常に問題でございますので、この際一言だけ注意を喚起しておきたいと思います。きょうは時間がありません。よくお話を伺った上、次の機会に質疑を続けたいと思います。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、労働省いいです。  次に、林野庁にお伺いしますが、これもずいぶんお互いに課題になっておるわけでありますが、国鉄の問題と並んで国有林野事業の改革案、臨調第四部会の報告で今日の課題になっておるわけでありますが、私は社会党の林業対策特別委員会の副委員長をやって常に林野庁と接触はしてきておるんですが、九月二十七日、日経新聞、それから九月二十八日は、私北海道から九州の方へ歩いてきましたら、ローカル新聞に出ておるわけでありますが、この国有林野事業の改革案の改正案が、臨調の答申を受けた問題でほぼ固まった、こういうニュースが流れているんですが、関係者のわれわれには一切まだ内容の説明がない、すれ違っているんですが、この辺の事情はどうなっているんですか。
  45. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 国有林野事業の経営改善につきましては、臨調の答申、それから行革大綱を踏まえまして、本年の五月から林政審議会の国有林野部会で非常に濃密な調査審議が進められておりまして、実は去る九月九日に、国有林野事業の改革推進についての基本的な考え方が中間報告という形で取りまとめられたわけでございます。これは新聞等にも記者レクということで公表いたしております。それからしばらくたちましてから、いま先生御質問の中にございましたような一部の報道機関におきまして、林野庁においてすでに新しい改革のための計画が固まったというふうな報道が流されておりますけれども、現在林野庁におきましてはこの国有林野部会の中間報告を受けまして、いろいろ計数的な問題も含めまして種々な作業、検討を行っている段階でございまして、林野庁あるいは農林水産省といたしまして、すでに新しい改革計画というようなものを固めた、決定したというようなことではございません。現に国有林野部会は十二月を目途にいたしまして最終報告を取りまとめるということを中間報告の中でも言っておりますので、この国有林野部会の今後の審議状況も踏まえながら、またいろいろ世論の動向にも配慮しながら、今回の中間報告に示されました基本的な考え方に沿って私ども改革案をこれから固めていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 経過はわかりました。マスコミの先取り報道だということはわかりましたが、いままでの経過、農林大臣なり林野庁長官なりに対しては、われわれ社会党としては山を守るためにあるいは災害を防ぐために、防雪林を含めて北海道から沖縄までずいぶん関心を持ってやってきた、もちろん民有林の問題、公有林の問題も。ですから私は中間報告が出たということについては了解します。したがって、中間報告から十二月のまとめの段階に、やはり社会党の林業対策特別委員会の意見なり各地方の意見なり、もちろん労働者側、労働組合の意見なり、そういうものを広範囲に聞いて十二月のまとめというものに生かしていってもらいたい、こういうふうに要望しておきますが、いかがでしょうか。
  47. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) これまでの国有林野部会の審議過程におきましても、市町村、関係団体、それから関係労働組合の意見聴取というようなことが行われておりますが、今回の中間報告が出ました後の一般世論あるいは各政党あるいは労働組合、その他関係団体のいろいろな反響なり御意見というものも国有林野部会には十分お伝えをしてまいりたいと思っております。それから、何といいましてもこの国有林野事業の経営改善なり経営改革ということにつきましては、職員なり労働組合の理解と協力ということがやはり必要だというふうに私ども考えておりますので、そのような理解や協力が得られるように努めてまいりますし、またそのために必要な意思疎通も図ってまいりたい、かように考えております。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ではそれを強く要望しておきます。結構です。  次に私は、現在社会問題になっておるサラ金業界と金融機関の関係について大蔵省を中心に質問したいと思います。  このサラ金規制法の問題はいろいろ議論がありまして来月の五十八年十一月一日から実施されると、施行のためのいろいろな準備が現在進められております。したがって、私はきょうは特にこのサラ金業界と金融機関の関係を中心に大蔵省その他の関係機関の見解を聞きたいと思います。  まず前段として、このサラ金をめぐる社会問題がいろいろ現在起きておるわけでありますが、NHKが調査したサラ金悲劇の原因という中身を拾ってみますと、銀行の姿勢、行政の怠慢、これが四一・七%、それからサラ金業界はなくなってほしい、そういう希望が四六・二%、大体半分近くの方々がこういう目でサラ金業界を見ております。また、朝日新聞の五十八年四月十八日の報道によりますと、ことし一月から四月までのわずかな間に、少なくともサラ金の事件で自殺をしたり親子心中をしたり、そうした方々がとうとい生命を失ったのが百八十五人と、こういうふうに世論調査は示しております。いかにサラ金業界が一面では社会悪になっているかということを示すものだと、こう思っております。  では、サラ金業界はどういう方々が利用しているのか。これも東京都の調査によりますと、サラ金利用者の職業は七一%がサラリーマン、そうして年収四百万以下、こういう方々が大体サラ金を使っておる。サラ金の利用目的は家計のやりくり、借金の返済が四三%、ですからサラ金を使うやつが悪いんだという酷評もありますが、大体日本のサラリーマンの標準的な方々が、しかも四百万以下という低所得の皆さんがサラ金を使っていると、こういう現状認識であることをまず大蔵大臣に確かめたいと思うんでございますが、サラ金業界を大蔵大臣どう見ているか、この統計について御異議があるかどうか、なるほどそういうことだというふうに受けとめるか。まず本来総理大臣に聞こうと思ったんですが、大蔵大臣のサラ金業界の受けとめ方を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も定かなる統計を承知しておりませんので、いまの目黒委員の統計そのものがすべて私が把握しておる統計と一緒であるという状態にないことを申しわけないと思っておりますが、感覚的に受けとめられた感じというものは私も大差ございません。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあそのとおり受けとめたいと思います。  そうしますと、私は、金融機関のサラ金向け貸出残高がどうなっているのかということを細かい数字でありますから、大臣のお手元にやりました。このメモで御承知願うと、金融機関のサラ金向け貸出残高五十八年三月三十一日現在を見ますと、一兆九百九十五億円、約一兆円という金が金融機関からサラ金に流れているということであります。そして平均金利は年八・六五二%、参考までに私が毎日通っている電車の中で、武富士の現在最も安いという広告を見ますと、サラ金で一番安い武富士、年利四一・九二五、それから金融機関から八分六厘五毛で借りておって、その金を庶民に貸すときは四一・九二五、約三割近くどこへ行くか知りませんが、ポケットマネーしているということが利息の面で言えます。  それから二番目は、金融機関がどういう貸し出しをしているかと私なりに拾ってみました。全国銀行、直接貸し出しが五百四十八億、ダミー会社を通じて又貸ししているのが二千二百五十七億円、生命保険会社、直接八十五億、ダミー会社を使っているのが三千三百六十一億円、こういうダミー会社をつくって金を貸しておるという実態が私の調査で浮き彫りにされました。私は、これは全部アンケート調査をやったんですからね。  それからもう一つ、金融機関がサラ金業界に貸しておるわけでありますが、銀行が金を貸す際には担保が必要なわけですね。どういう担保になっているかということを拾ってみました。ここにありますとおり、担保提供資産と、それから担保提供資産のうち小口ローンの貸したやつの債権がいわゆる賦払い貸付金という名前で拾ってみました。武富士、担保提供が二千百七十四億四千万、そのうち小口のローンを担保に入れた金額が二千九億五千五百万、九二%、ですから小口のローンが九二%担保になって銀行から借りている。アコム、提供資産が千二百七十二億一千六百万、小口ローンの債権が千二百六十一億六千五百万、九九・一%、レイク、提供資産が千五十四億二千百万、それから小口ローンの債権が九百八十九億四千万、九三・八五、この三大業者を見ますと、金融機関から金を借りているわけだけれども、その金を借りる担保が小口ローン、小口ローンの債権が担保になっている。九〇%以上、アコムのごときは九九・一%、こういう現状であることについて、武富士は五十七年十一月三十日、アコムは五十七年十一月三十日、レイクは五十七年十二月三十一日、これの有価証券報告書で私は拾いました。この有価証券報告書に記載されておる金額に間違いがあるかどうか。まず事務的な問題でありますから銀行局長にお教えを願いたい、こう思います。
  51. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) いま先生御指摘の武富士、アコム、レイクにつきまして、担保提供資産といわゆるその貸付金との額につきまして、私ども有価証券報告書を見まして調べましたところ、そのとおりでございます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、おたくの方が五十三年三月、徳田銀行局長名で、厳に自粛せよという口頭通達を出していると。五十八年六月三十日、ことしの六月三十日、宮本銀行局長通達を出していると。この通達といまの数字の関連性はいかがですか。
  53. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 私どもも昨年以来、大変サラ金問題につきまして社会的批判を受けてきている事態につきまして重大視いたしまして、サラ金法を成立さしていただいたわけでございます。同時に、金融機関とサラ金業者との融資関係につきまして、これも非常に問題じゃないかというふうな御指摘もございまして、この点につきましては私ども、サラ金行政はもちろんでございますが、従来の金融機関行政の一環として取り上げることもできるのではないかということで、先ほど先生御指摘になりましたように、いまサラ金規制法の施行のために準備をいろいろやっておりますが、それとは別にことしの五月に金融機関に対しまして調査をいたしまして、金融機関からサラ金への融資実績につきまして調査いたしたわけでございまして、この点につきまして先ほど先生ちょっと数字をおっしゃいましたが、私ども調査いたしました結果の新聞発表の数字と同額でございまして、そういう状況でございますが、担保につきまして私ども金融機関から調査いたしました結果によりますと、預金担保を取っておりますのが六・三%、それから有価証券担保が四・五%、それから不動産で担保を取っておりますのが一〇・六%、それからいわゆる保証——保証人の保証を取っておりますのが一四・五%、それからいま御指摘の貸付債権でございますが、それが四八%、それから全く無担保のものが一二・一%、その他として細々したもので四・〇と、こういう数字に相なっておるわけでございますが、いま大きな会社の担保債権と私どもいま申し上げましたマクロ的な四八%の数字が、数字としてはかなり差があるわけでございますが、この点につきましては、あるいは貸付債権と同時にそのほかの担保による部分が他の部分においてはかなり多いのではないか。たとえば大手になりますと、まあサラ金業者の中では比較的信用力があるというふうなこともございまして、いま申し上げました預金とか不動産とかそういうような担保を取ることなく、やや安易に小口の債権を担保にして取りまして、そして融資をしているのではないかなという感じがいたします。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ数字のやりとりでありますから、あなたの方と、私の九〇%を少し譲歩をしても、銀行みずからの金融機関の調査で四八・何%、約半分、おたく調査では半分、私の調査で約九割、不動産とかなんとかというやつはなかなかわれわれに見せませんから。しかし、相当程度、半分前後いわゆる小口ローンの借用証が担保に入っていると。この現実は私は否めないと、こういうふうに認識をしておきます。  それで私は具体的に武富士の関連子会社の東輝リース株式会社、この問題について具体的に拾ってみました。この武富士というのは池袋サンシャインの六十階にありまして、武富士本社内にあります。五十五年十一月七日設立、従業員は一人だと思うのですが、何か非常勤が一人おるようであります。一・五ぐらい。社長は武富士の役員小坂勝則さん。この会社がこれはあることは確認できると思うのですが、この会社が五十八年二月一日、設立後約二年ちょっと、資本金一千万、従業員は前回と同じ。この会社が長期借入金九百十七億五千七百万、短期借入金が二百九十二億六千百万、合計千二百十億千八百万、これだけの金を借りているんですがね。資本金一千万の会社が一千二百億借りていると。この事実関係について、これも有価証券報告書で拾ったんですが、間違いございませんか。
  55. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) これは金融機関の個別の取引関係になりますので、お答えとしては差し控えさしていただきたいのでございますけれども、一般的に言いまして、こういうサラ金業者関係会社といいますか、他の会社を通じまして迂回的に融資がされている点につきましては、これはやはり同じようにサラ金への融資でございまして、実態といたしまして金融機関からサラ金への融資というふうな認識をいたしておりまして、今回の調査におきましても直接貸しのみならず、全体といたしまして私どもそういう迂回的な融資につきましても調査対象として回答を求めたわけでございまして、その結果、約六千億近い金が金融機関からそういう迂回的な融資でもってサラ金会社の方へ金が流れているということを、実態的な把握ができたわけでございます。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういうややっこしい答弁になるんですがね。私はもっと突っ込んで調べてみました。これは一千万の資本の会社が千二百億ですからね、億。  どういうところから金を借りているんだろうなあと思って、これはうちの秘書を通じて私なりに調査してみました。お手元に行っておると思いますが——行っていますね。これは一つの例です。ここに私が拾ったのが約七百九十九億円でありますが、日本のりっぱな銀行が融資しているのには驚きました。一般銀行が十一社。日本長期信用銀行が二十億、太陽神戸が十億、富士銀行が十億、埼玉銀行が十億、北海道拓殖が二億、バンク・オブ・アメリカが十八億、関東銀行が六億八千万、千葉銀行が五億、東京都民銀行五億、ときわ相互銀行が十億、中部相互銀行が五億、これが銀行関係十一社。次は生命保険十七社。千代田生命六十五億、住友生命六十億、第一生命六十億、明治生命が五十五億、三井生命五十億、安田生命が四十五億、大同生命が三十五億、日本生命三十億、朝日生命三十億、東京生命二十億、平和生命保険が二十億、日産生命保険が二十億、太陽生命保険が十五億、第百生命保険が十億、大正生命保険が十億、日本団体生命保険——これはわれわれ国会議員も入っているんですが五億、われわれ国会議員にさっぱり相談ないんですが、この団体生命も五億をダミー会社に融資をしている。次は信託銀行、これも驚きましたな。住友信託銀行が四十億、安田信託が四十億、三井信託が三十億、東洋信託が十五億、これが信託五社。次は損保会社、住友海上火災が九億六千万、富士火災海上保険が九億五千万、大正海上火災が三億、大東京火災が三億、日本火災海上が三億、合計長期融資で七百二十億四千万、短期で七十九億五千万、合計七百九十九億九千万。とりあえずわれわれが調べて入手した金融機関の融資銀行名と金額、これだけわれわれつかみました。このことについて銀行局長、私の調べた数字が間違っているのかどうか、ひとつお示しを願いたい。そして現在、いま現在これらの銀行が貸付金額に大幅な変動があるかどうか、その現状について銀行局長が把握しているかどうか教えてもらいたい、こう思うんです。
  57. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) いまの数字につきましては、個別の数字でございまして、私どもは個々の取引にかかわるものでございますから答弁を差し控えさしていただきたいわけでございますけれども、一般的に言いまして、確かに金融機関がいま先生御指摘のような形でもって迂回的に融資をしているということは事実でございまして、そういう点におきましても先ほど御指摘局長通達を出しまして、そのような迂回的な融資についても十分自粛すべきだというふうな通達を発したところでございますし、今後またサラ金法十一月から施行になりますが、引き続き金融行政としてそういう融資のあり方についてはフォローし、かつ強い指導をしてまいりたい、こう考えております。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、やっぱり事実関係としては私がつかんだこの数字は認めざるを得ない、認めているということについては私、確認します。  それともう一つ私、どうしてもこの表を見て疑問に思うのは、六十億グループ、五十億グループ、四十億グループ、三十億グループ、二十億グループ、このグループが、結果論かどうか知りませんが、非常に集団化しているわけですね。六十億グループはこのグループ、五十億はこのグループ、四十億はこのグループ、このランク別グループと武富士との関係、何か臭いものがあるんじゃないか、こう思うんですが、臭いところまだつかめません。これは偶然の一致なのか、何か融資をする際に、おまえのところは資産がこれだけあるから六十億に入れと、おまえのところは資産がないから二十億に入れと、こういう資産別ランクで融資をしているのかどうか。その辺は、これはあくまで私の疑念ですから、いや目黒議員これはこういうことだとわかっていればお答え願いたいし、わからなければわからないということで、われわれはなお追跡調査をしますが、いかがでしょうか。
  59. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 実態を把握いたしておりません。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。それはわれわれが調査します。  もう一つは、りっぱな銀行さんいっぱいあるんですが、この方々のいわゆる担保、ほとんど小口ローンの債権が担保になっているということなんですが、この小口ローンの担保ということについても間違いないでしょうか。
  61. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 全体的に申し上げまして先ほど申し上げましたようなことでございまして、マクロ的には約五〇%が小口の債権でございますが、こういう一般論として申し上げまして、迂回的な融資の場合には親会社の保証といいますか、そういうものが合わせついておるのが大体普通の例のようでございます。
  62. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 銀行、金融機関の貸し出しがどんどんふえていく。それからローンの貸し出しがそれと並行して伸びていくんなら私はわかるんですが、銀行の貸し出しがある速度で伸びているにかかわらず、サラ金の伸びの方は寝ている。こういう傾向値なんですが、その傾向値から逆算すると、小口ローンの貸付証書が、これがコピーされて、A銀行にも担保になる、B銀行にも担保になる、C銀行にも担保になる、その小口ローンの貸し付けの証書がコピーされてひとり歩きしている。ひとり歩きしているから金融機関の貸し付けはずうっと伸びておって、サラ金の貸し出しは横に寝ている、こういう結果だと思うんですが、この分析は間違ってましょうか、いやそうではないというんですか。貸出金の伸びとサラ金の貸し出しの傾向、このギャップはどこにあるんでしょうか、どうなっているんでしょうか、わかりませんか。
  63. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) その点につきましても定かにはいたしておりませんけれども、金融機関の融資といいますのは、これは非常に大切な預金を預かっている公共的な機関でございまして、やはりそれの資産運用につきましては、十分健全性に配慮しなきゃいけないことはもう言うまでもないところでございまして、いやしくも金融機関の経営者たる者は、やはりその公共的性格と資産の健全性に配慮しながら十分なその債権保全に留意していくべきものであるし、そういうことで私ども、指導いたしているところでございます。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、武富士だけでなくて、たとえばアコムのダミー会社である株式会社マルイト、これは短期が四百五十六億円、それからNSK信販、これは短期が五百九十五億、合計千五十一億、これだけ借りているんですよ。ですから私は、武富士に対する東輝リースだけでなくて、四大業者のアコムにしろ、プロミスにしろ、レイクにしろ——プロミスのダミー会社は株式会社AアンドDそれからもう一つは日本コンサイスファクター、レイクに対してはダミー会社は日本NSICだな。私は東北人だから言葉が悪いですが、べろの回らないようなややっこしい名前がいっぱいあるわけですな、大手ダミー会社というのは。私は武富士に対する東輝リースと同じように全部こういう大手業者はダミー、トンネル会社をつくって金融機関から金を借りて、そしていま私が言ったような運用をやっている。こういう実態には必ず私は間違いないと、こう確信しているんですが、ひとつ銀行局長ね、武富士と東輝リースという要領で、私がいま言った、目黒議員のとおり間違いないと、こう言ったんですから、これと同じ要領で各サラ金業者のダミー会社、いま挙げた名前のダミー会社についてどういう金の流れであるか。たまたまあなたはことしの五月、六月に調査したと言っているんですから、おたくの手元にネタがあると思うんですよ。そのネタをひとつ目黒議員に示してもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  65. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) この問題につきましては、先ほど東輝リースの件につきましても個別の問題でございますので、答弁は差し控えさしていただくと申し上げたわけでございますが、本件につきましても同じようなお答えになろうかと思うわけでございます。  なお、五月に調査いたしました調査の仕方は、特に個々の実はその会社名についてまで議論をして調査を求めておりませんで、当該金融機関が直接サラ金業者へ貸し出している金額及びその迂回的な融資の額を実は聞いたわけでございまして、個々の取引先までについて回答を求めておりませんので、実は実態の把握ができていない次第でございます。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一国会議員が調べられることを、行政機関の銀行局長ともあろう者が調べられないということはちょっとおかしいんじゃないですか。私はうちの五、六人使ってこれだけ調べたんですよ。行政機関を持っている銀行局長が、銀行局長通達を出しておるその通達に直接触れる問題を、あなたはさっき事実関係間違いありませんと言ったじゃないですか。事実関係間違いないというならば、その事実関係について目黒議員の要領に従って調べますと、やっぱりサラ金業界と金融機関のくされ縁、同時に、そのくされ縁が庶民生活に与えるいろんな社会的刺激、それを直すのが行政の責任でしょう。それなら目黒議員の提案に従って、とりあえず武富士以外の三つの大手業者、あるいは中クラスの業者、あるいはCクラスの業者、それを全体を調べて、やっぱり国会の場において明るみにして、その中からじゃ社会的刺激をどう直していくかというふうに取り組むのが行政の責任じゃないですか。改めて銀行局長にこの問題について資料提供を要求します。いかがですか。
  67. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 今後サラ金法の施行等も踏まえまして、サラ金行政につきましては一層誠心誠意努力してまいるつもりでございますし、また、御指摘のような金融機関の融資のあり方、サラ金融資のあり方ということにつきましても十分配慮いたしていきたいと思っておりますけれども、個々の取引関係につきまして御答弁申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、個々の業者って、私はこれだけ——じゃ、私が調べてこの決算委員会に皆出せと言うんですか。出しますよ。それでもいいんですか、大臣。私が調べた武富士の東輝リース、このリスト、全部これは間違いありませんと銀行局長が肯定するじゃありませんか。目黒議員が調べられる問題について大蔵省ができないということは大臣いかがですか。社会悪をなくすのが、その根源をなくすのが行政の一番大事じゃないですか。一議員ができて行政ができないなんて、そんなばかなことありますか。大臣の答弁を求めます。
  69. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 元来、公共性を持つ金融機関、その使命はございますし、わが国の金融行政の基本として預金者保護、投資家保護、被保険者保護という点は確かに今日まで、明治以来、ほかの国に比べても堅持されてきておる一つの筋だと思っております。ただ、さはさりながら銀行が融資先をどこに求めるか、いわゆる預かったお金をどのように有利運用するかということは、これは元来、金融機関の判断に基づくべきものであります。したがって、個々の企業の中の問題ということになると、あるいは守秘義務の点もございましょうし、あるいはそれには限度があろうかと思うわけであります。  目黒機関というのは、これは世に知れた相当な精度の高い調査機関であることは私も十分承知しておりますので、それらの問題を突き合わせの場合、なるほどそうでございましょうというようなことは肯定し得ても、行政の責任において内部に至る、いわば企業の自主的判断にまたゆだねられておる部分を個別案件として提示するということには、なかなか差し控えなければならない限界というものがあるではなかろうかというふうに思っておりますので、しかし御指摘のような必ずしも好ましくない姿ということに対して、この間も通達を出しておりますし、いよいよ十一月一日でございますか、サラ金規制法、これは議員提案によって両院を通過、成立したものでありますが、その監督、指導は私どもにゆだねられた部分もございますので、いわばあらゆる角度から見ても社会悪だと指摘されることがないような指導の仕方は、忠実にやっていかなければならないと考えております。
  70. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣がいろいろ答弁しているのは、遠回しにすれすれのところにいってみたり、また返ってきてみたり、まあ苦悩の姿はわかりますが、私はやっぱりこのサラ金が起こす社会的悲劇、それからもう一つは別な面から言えば大臣がいみじくも言った預金者保護の原則、こういう両面から追及しなければならぬ問題だと思うんです。ですから、公にできないものであればそれなりに私は約束は守りますが、しかし武富士の東輝リースの関係などについては、私はやっぱり他の機関も同じような道を歩んでいるのではなかろうかと、こう推定されますので、それらを含めて今後とも——私たちも何もあばくだけが能じゃありませんから、サラ金の悲劇をなくし金融機関の健全化を図っていくという面では協力するにやぶさかではありません。ですから、そういう点で大臣も少し前向きに、きょうはこれ以上追及するのはやめますから、検討方お願いしたいなということを一方通行で言っておきます。  それから日本長期信用銀行、先ほどもちょっとお聞きしたんですが、政府系銀行まで東輝に対しては二十億、その他のサラ金に対しては六十二億融資をしているということをわれわれつかみました。  この日本長期信用銀行までがこういうことをやっておるとするならば、私はやっぱり、これはある人から聞いたんでまだ確認しておりませんが、政府とか公の機関の小口金融である信用金庫、これだけ金が金融機関にだぶついておるならば信用金庫、庶民金庫などをつくって四割なんという高い利息でなくて、一割とか一割五分ぐらいでもいいから、お金があるならば金融界の再編成を含めてやっぱり根本的に検討する問題性を抱えているんではなかろうか、こういうふうに私は思うんでありますが、この日本長期信用銀行の融資も含めて金融界の再編成、庶民に簡単に金を貸す、そういうシステムを政府の責任でつくる気はないのかどうか。私はやっぱりサラ金の社会的悲劇を解消するために前向きに政府が取り組むべきだと、こう考えますが、ずっといままでの一連の問題を通じてどうお考えになりますか。これは大蔵大臣見解を聞かせてもらいたい、こう思うんです。
  71. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる金融機関の再編成と、こういう目黒委員のお使いになった言葉でございますが、それをやりましょうということでも言えばこれは大騒動になると思います。百も承知の上で御質問になっておるわけでございますが、長興銀そうして都銀、地銀、相互銀行、信託銀行全部で百五十七ございます。ちょうどこれは国連加盟国の数と一致しておりますが、これは偶然でございますが、しかしほかの国に比べますとたとえば万を数えるアメリカでございますとか、ということから見ますと、日本の金融機関というものはそれなりに非常に健全に今日まで運営されてきたと思っております。  自己責任主義というものが非常に最近唱えられて、言ってみれば間違った場合預金した者の自己責任だと、あるいは経営が悪かった場合経営者の自己責任だということが国際会議等でも議論されることがございますけれども、私は今日まで預金者保護の原則を貫いてきた日本の金融に対する行政の立場は間違っていなかったと思っております。しかし、近時問題になっておりますサラ金を見ますと、一連した本日の目黒委員の御指摘を通じても感覚的にみんなが認めますように、それならば正規の金融機関が、その上に信用金庫もあれば信用組合もございますし、農協の信用部も漁協の信用部もございますし、そうしたものが可能な限りいわゆる消費者金融というものに当たる努力をすべきだということは、私は感覚的にもまた実態としてもそのとおりだと思っております。  したがって、諸般の要請からできましたサラ金規制法というものが、いよいよ施行になりますので、これが運用の厳正を期するとともに、と同時に金融機関のなかんずく庶民金融に対するあるべき姿についてはこれからも検討し、そして本院における議論等を通じて私どももそれを集約し、指導していかなければならぬ使命を感じております。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、前段の方は余り私も素人でありますから、大上段に構えずにやらしてもらいますが、後段の大臣が言ったことは私は庶民金融という国民のニーズから見ると、しかも地域性ということから見ますと大事な私はポイントだと、こう思いますから、サラ金の運用に関するいろいろな通達の案などについても見せていただきますから、それをさらに適正化すると同時に、いま大臣が言った後段の問題、信用金庫、農協などについて庶民金融ができるように少し前向きにひとつ検討して社会問題の解消に努めてもらいたいということを重ねて要望しておきます。これ答弁要りません。  それからもう一つ別な面で私は総栄産業KK、この総栄産業ということを拾ってみたところ、サラ金のアコムに長期二十億、短期二十億、それからレイクに長期二十億合計六十億、この総栄産業というのは合計六十億融資をしていると、こういうメモを拾いましたんで、総栄産業というのはどういう産業かなと思って調べてみました。ところが電話もなければ私がこういうアンケート調査、これはうちの全部アンケート調査、これだけではありませんが、こういうアンケート調査をつくって配達証明で送っても受取人おりませんと、こう返ってくる、こういう実態にぶつかりました。それで、おかしいな、六十億も貸しておる金融会社が、電話もなければ所在不明だというのはどうしても解せない。それでレナード、これも武富士に二十億融資する、これの住所の確認もできませんでした。  それから、名前を出そうと思ったら名前出さないでくれと言うから、まあA社としておきましょう。A社も武富士に三十億、この会社は全く武富士など貸した覚えはないと。前段の方は住所不明、A社は、行きましたら、このアンケートで貸したことはありません。  M社、これも武富士に短期で十億貸したことになっている。これは行ってみました。M社という会社はありました。しかし、これは五十二年に倒産をしております。このM社の倒産した跡地におる人に聞いたら、私が金を貸してもらいたいぐらいだと、まあこういうこともありました。  あと幾つか、私は大蔵省の手元に後ほど調査資料要求いたしますが、こういうふうに金を貸していると、貸している本体を調べてみたら所在不明と、わからない、もうとっくに倒産している、こういうかっこうに、拾ってきたわけですね。そうすると、これはブラックマネーの出場所を隠すためにこういう操作をしているのかなと思ったんですが、まずひとつ、大蔵省にこういう金の流れ、やりくりというのが現存するのかどうか、まず現存するかどうか御確認お願いします。
  73. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 御指摘の点については、私ども実態把握いたしておりません。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 把握してなければ、私たちが問題提起をするから、ぜひ把握してもらいたい。  それから国税庁も、これはついこの前、法人税制の脱税その他、ことしは一兆円、五十七年事業年度で、五十七年七月からことしの六月まで脱税その他が一兆円あると、この前報告出しましたね。こういう問題とも絡めて、この金の流れ国税庁がつかんでいるのか、つかんでいないのか。つかんでいなければ、私はやっぱり真剣にこの金の流れを追及、追跡調査をしてもらいたい。大体億単位ですからね。六十億とか三十億とかさ。われわれ貧乏人の一万や二万と違うんだから。六十億ですから。この流れについて国税庁がどの程度把握しているかお示し願いたいと、こう思います。
  75. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) ただいま先生御指摘になりましたレナード、名前を出すなということでございますけれども、固有名詞をおっしゃいましたので申し上げますが、これは私どもとしては実在する法人であるというふうに承知をしております。  それから、個別の融資の中身に対する調査の件につきましては、個々の問題でございますので答弁は差し控えさしていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、私ども貸金業の調査に当たりましては、借入金の相手先、それからその相手先に幾ら利息を支払ったかということにつきましては、十分に関心を持って調査に当たるということにしております。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、そんな一般論は決算委員会の答弁にならないの。議員の方が具体的に出しているんですから。じゃ、あなた、総栄産業というところがアコムに長期短期含めて四十億、レイクに二十億貸している事実は、これは企業の秘密でも何でもないでしょう。これだけの金を操作している総栄産業というのは現存するんですか、しないんですかと聞いているんですから、あなたの方の税務調査からすれば、この産業の名前があるとかないとかいうことぐらいわかるでしょう。まず、そこからいきましょう。あなた、そんな官僚的な答弁じゃなくて。あなたの税務調査の中にこの会社があるんですか、ないんですか、じゃ聞きましよう。
  77. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) いま先生が御指摘になりました会社につきましては、私ども法人税法上の申告書を出している会社としては理解をいたしております。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 何。
  79. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 申告書を提出している会社ということでは理解をしております。把握をしております。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 このアコムに金を貸しておる会社、総栄の方から見ればアコムに金を貸している。アコムの法人税から見れば、アコムは総栄会社から金を借りていると。この事実関係はあるということですか。
  81. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) いま先生の御指摘の個々の融資関係の内容につきましては、個別の中身にわたりますので答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたは税金の管理者でしょう。総栄会社は現存するんですか、現存しないんですか。
  83. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 私どもとしては実在する会社というふうに承知しております。
  84. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 何。
  85. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 実在する会社というふうに承知をしております。
  86. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、あるなら場所、電話番号を教えてください。
  87. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 総栄産業につきましては大阪市淀川区西中島二丁目十二の八に所在する会社というふうに承知しております。
  88. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 電話番号。
  89. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 電話番号までは確認をしておりません。
  90. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 本当に実在するんですか。いまこれだけ六十億も金を貸す会社が、電話番号がわからないなんという社会常識ないでしょう、あなた。六万じゃないですよ。六十億ですよ。
  91. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 私の手元にいま電話番号がわからないということでございまして、電話番号がないという意味ではございません。私の方で電話番号については資料を持ち合わしておりません、そういう意味でございます。
  92. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ私、要求いたします。あなたが実在すると言うんですから。われわれは配達証明返ってきているんですから。私の調査は配達証明返ってきているの。いいですか、あなたはあると国会答弁したんだから、あればその会社の場所、大阪市といいましたから場所、電話番号、いつ設立したのか、資本金は幾らなのか、従業員は幾らなのか。それをひとつあなたの責任で私に調査報告書を、委員会じゃなしに私、目黒議員に出してもらいたい、そう思うんですが、いいですか。
  93. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 私どもとしてどこまで個別の問題として提出できるかどうか、いまのところはっきりとお約束するわけにまいりませんけれども、いま申し上げた線で、私どもとしてできる限りのことにつきましては調べた上、先生に御回答申し上げるようにいたしたいと思います。
  94. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  95. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  96. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、おたくが法人税の脱税、申告不足をこの前出したばかりだからね、五十八年の十月一日に。そういう際には当然、法人名、所在、電話番号、資本金、融資、利息の受け取り、そういうものを調べた上で、法人税は幾ら、こういうふうにするんでしょう、たてまえは。ですから私は金曜日、国税庁政府委員に総栄産業の問題やりますよ、これは調べてちょうだいと。私は所在不明だと。ところが、あなたは所在はわかっているというんだから、りっぱなことですよ。それは感謝します。目黒議員が調査してわからないやつをおたくはわかっているというのだから、大阪市何とか言ったのだから。それを、実在を調べて、電話番号、資本金、従業員数、それで課税したのかしないのか、課税したとすればどの程度課税したのか、申告漏れがなかったのか、あなたの権限でできる範囲で結構ですから、総栄産業について御調査の上、私に提示を願いたい。これは約束できますな。
  97. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) ただいま先生の御要求になりました中には、私ども守秘義務の関係でお出しできないものも含まれているような感じがいたしますが、できるだけ努力をして提出をいたしたいと思います。
  98. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃついでに、後で言ったレナード、武富士に二十億、A社、M社については私もこの資料を提供した、このアンケート調査に協力した方の人格を尊重して、おたくに非公式にA社とはこの会社、M社とはこの会社ということを言いますから、それをひとつお調べの上、あなたが言った守秘義務でどこまで出るかわかりませんが、幽霊会社から五十億も六十億も金が動いていると、そういうことに対する私は厳しい糾弾なのですよ。現存してやっていれば何も言いません。どうも幽霊会社だなと、こんな気がして、しかも金額が大きい、二十億、五十億、六十億と大きいものですから、ひとつ社会的にやっぱりきちっとすべきだなという視点から問題提起をしたのですよ。ですから、ぜひ国税庁皆さんでひとつ最大限努力をしてもらうということを、もうこれ以上言ってもしようがありませんから、大蔵大臣もそういう点でひとつ、幽霊会社ということは行政改革のこれ一環ですからね、収入をふやすというのが大切ですから、大蔵大臣も、行政改革の中曽根内閣としては幽霊会社はやっぱりきちっと整理すべきですよ。そういう意味で、国税庁はこれでやめますが、大臣いかがですか。
  99. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの幽霊会社という問題、これは私も実態は承知しておりませんのでお答えするすべもございませんが、まあ一般論として、国政調査権というものが立法府には厳然として存在しておる。それに対して最大限の協力をするのが行政府のあるべき姿である。しかしながら、その中において法律上のいわゆる守秘義務、また、その調査の、税務執行上知り得た、途中で知り得た事実に対する守秘義務等もあるいは限界もあるかもしれません。その点は十分ただいまの御発言で私どもも御理解をいただいておることを承知しておりますので、国政調査権に対する最大限の協力をするという立場で御協力をするのは当然の務めであると、このように考えております。
  100. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま大臣のおっしゃることで……。  それから、参考までに、国税庁ね、総栄産業と、私どもでちょっと煩わしいことがあったのですが、私が言ったのは総栄産業、それからちょっと似通った会社で総栄信用組合というのがあるのですよ。これは別々ですからね、調査の際にお間違いのないように、総栄産業が私の提起の問題。総栄信用組合というのが出てきました、このアンケートに。これは別会社ですからそれを頭に入れて調査をしてもらいたいということを要望をしておきます。  次は徳陽銀行の問題ですが、優良消費者金融調査時報という消費者金融の時報があります。この調査時報、五十七年の十二月一日現在で見ますと、この時報の第六位にワールドファイナンス——なぜ金融会社というのは英語を使うのかね。ワールドファイナンスという会社があります。この会社の貸出残高を見ますと四百四十六億六千百万。これはどこから借りているのかなと調べてみたら、あにはからんや、徳陽相互銀行東京支店、これが大部分の九十何%融資をしているということをつかみました。  ところが、この会社、徳陽銀行から出向しておった役員さんが、このごろ、金融界の雑誌を見ますと、近く解任されるという情報がありましたので、なぜ解任なのかなと思って追跡調査をしてみたら、どうも焦げつきになった。これは往々あることですから、焦げつきは。ところが、別の方からその焦げつきの金を返しているという情報が入りましたので、どこに返してどこから金を編み出すのかなと思って追跡調査をしてみたら、これも一部上場の、ある大手土建屋です。しばらく努力をするから名前だけは国会で挙げないでくれと、たっての請願でありますから、きょうは○会社ということにしておきましょう。その○会社に徳陽銀行が金を貸して、そしてその○会社をトンネルにして徳陽銀行の傍系のサラ金業者にまた貸して、それでそのサラ金業者から一般の市民に貸して、そして先ほど言った金融機関の利子が大体八分から九分、サラ金の方の利息は四一%から五〇%、そこに三〇%近くの差があるわけですね。その三〇%の差の利ざやの一部を徳陽銀行の焦げつきを消すために、焦げつきの一部を返している、こういう、何といいますか、きわめて巧妙なからくりをやってるんですが、こういうことは、まあ金もうけのためにはやむを得ないと言われればそれまででありますが、焦げつきを償却するためにダミーを使ってサラ金の利息、利ざやの差を、片方は一〇%以下、片っ方は四〇から五〇、その金を使って運用しているということは、私は余り健全なやり方ではないではないかと、こう思うんですが、銀行を監督する銀行局長として、銀行局長通達から見て、これはやっぱり余りいいことじゃないと、でありますから、一部上場の○土建会社、ここにちゃんと名前がありますが、それは言いません。それは後で銀行局長にこういうことですよということで、私にネタをくれた人の人格を尊重して伏せておきますが、こういうことが行われているということはやっぱり私は余りよくないことだと、こう思うんですが、銀行局長見解と指導方針をお聞かせ願いたい、こう思うんです。
  101. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) この点につきましては、私、先生御指摘のとおりじゃないかと思うんでございます。往々にして、取引先企業の経営を少しでも収支に役立つというようなことをねらいといたしまして、そこへ貸し出した後、サラ金業者の方へまた迂回的に融資が行われているというようなことを、私どもといたしましても一般論としてそういうふうなケースがあるということは承知いたしておりまして、検査等におきまして、そういうようなケースが見つかりました場合には、一刻も早くそういうふうな状態は解消すべきであるし、あるいは今後そんなような方法で、その収益改善というようなことを図るようなことの事態にならないように指導いたしているところでございます。
  102. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそういう指導をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、これは警察庁にも関係するんですが、これも余りよくないことですが、これも場所と名前を出すと言ったら、これまたちょっと勘弁してくれということでありますから、今日段階では固有名詞は伏せておきます。東京の盛り場——盛り場と言えばわかるでしょう、どこだか。東京副都心の盛り場にある、やっぱりある大手のサラ金業者のところが、一部暴力団とかかわりあるような姿で社会悲劇を起こしておる。ある暴力団の名前は言いません。ある暴力団の幹部がお客さんを連れてくる、五十万貸してやれと、そうすると、五十万、はいわかりましたと言って五十万貸すと。ところが連れてきた暴力団とそのサラ金業者の支店長、これも悪いやつだと思うんだがね、さっきの医科大学から比べたらまだいい方なんでしょうけれどもね。紹介暴力団が五万円、それからそこの盛り場のリースの支店長が五万円、合計十万円取って本人には四十万しかくれないと。どうせ取れない金だからと、取れない金であるから暴力団の手数料とそれを黙認した支店長の手数料と、五万、五万、十万もらったと。これは一年半ぐらい続けておったんですが、やっぱり中には良心を持つ人がおりまして、その良心を持っている人が私に投書をよこしたのが発端なんです。調べてみれば、こういう暴力団とのかかわり合いということは、全然ないとは言わさぬですな。ですから、これもまた、まあ連れてくる人も連れてくる人、お金取る人も取る人ですが、やっぱり社会悲劇の出発点だというふうな気がいたします。したがって、こういうことのないように業界を銀行局長は指導すべきだし、特に警察の方もこういう関係についてはぜひ社会悪をなくすという視点から、巡回その他の面を見てひとつ御配慮願えればサラ金の悲劇はなくなるだろうなあと思いますので、きょうは言いません、言いませんが、後ほど必要があればどこどこのサラ金で、何という暴力団で、どこどこの支店長さんと——五万円の金は間違いないらしいです。これを申し上げますから、一般論としてひとつ配慮願いたいなと思うんですが、銀行局長の指導と警察庁見解をお聞きします。
  103. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 従来は、サラ金業者に対する監督権限はわずかな調査権しかなかったわけでございますけれども、これから、十一月一日からは検査権等かなり行政的にも権限を与えていただいたわけでございますから、サラ金業者に直接の行政ができるということになりますので、私どももいま御指摘の点等につきまして、サラ金業者自体のビヘービアが一刻も早くよくなるようにというための行政をいたしていきたいと思いますが、同時に、金融機関とサラ金との関係を通じましても、金融機関の融資のあり方の是正を求めることによりまして、それがひいてはサラ金の方の貸出金利が下がるとか、あるいはビヘービアがよくなるとか、そういうふうな点につきましても十分配慮していきたいと思っておりますが、ただ、大蔵省だけで片づく問題ではございませんので、各関係省庁とも十分連絡をとりながらやっていきたいと思います。
  104. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 暴力団の関係につきましては、私どもといたしましてもあらゆる角度から取り締まりに努めておるところでございますが、いまお話しのございましたサラ金業者と暴力団との関係、今後とも十分注意してまいりたいと思います。
  105. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 要望しておきます。  それからもう一つ、この前、これも同じ国会の同僚のことですからとやかく言いませんが、日立信販から五千五百五十万円政治献金を受けて同僚議員の名前で偽造報告しておったというのがマスコミなどで騒がれました。これもやっぱり先ほど言った金融機関の利息が一割以下、サラ金の利息が四割、五割と、その利ざやに絡むあっせん料、謝礼と、こういう意味で日立信販から五千五百五十万もの金がいったんじゃなかろうかと、こんなのは氷山の一角じゃないかと、私はこんな気がいたします。したがって、政治資金規正法からくる問題点と、こういう政治とサラ金の癒着というものをなくすために、この事件を契機として私はきちっとすべきじゃなかろうかと、こういうふうに思っておるわけであります。これは総理大臣官房長官に答弁もらえばいいんですが、きょうはいない、やむを得ない。竹下さん、将来の総理大臣候補だそうでありますから、そういうことも含めてやっぱり政界の浄化ということについて国務大臣としての見解をお聞きし、同時に警察庁の方でもこの種問題についてどういう考えを持っているかお聞かせ願いたい。お願いします。
  106. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 個別の問題になりますと、それぞれの事情経過もあることでございましょうから、それを内容を知らないままにお答えするのは、これは無責任であろうと思います。  一般論として申し上げますならば、政治資金というものは政治資金規正法という法律の範囲内において認められておりますが、ただいま一つの例として客観的に御批判をなさいましたような形のものがないように、それは十分配慮すべき、気をつけて対応しなきゃならぬ問題である、それはよしんば政治家個人と団体とは別の人格を保有しておるといたしましても、やはり政治家個々が十分心して対応しなければならない問題であるというふうに理解をいたしております。
  107. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) ただいまお話がございました政治資金規正法の問題でございますが、現在、実態解明中でございます。今後ともこういった種類の事案につきましては、鋭意関心を持って実態解明に努めていきたいと思います。
  108. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 こういう時期でありますから、大臣の一般論もそれなりに理解しますが、大蔵省もそれから警察の方でもぜひひとつ重大な関心を持って、国民の不信を招かないように努力してもらいたいということを要望をしておきます。  最後に、私はこれだけ、きょうは金融機関とサラ金の問題について約一時間ほどやりました。何といっても大臣大臣も再三言っておりますとおり、金融機関というのは、一般国民の汗水流して働いた金を預かっておる大事な金融機関でありますから、そういう問題を認識すれば、利ざやを稼いでと、こういうことは私は余り好ましいものではない、また預金者保護の原則からいっても、こういうものについてはやっぱりわれわれ自体も重大な反省なり、あるいは立法、行政で努力する必要がある、こう思うんでありますが、最後に、こういう冒頭で申し上げた国民の批判——行政の怠慢だ、サラ金はない方がいい、こういう国民の要求について、ひとつ大蔵大臣見解を聞いて一応の締めくくりをしたい、こう思うんですが、大蔵大臣見解をぜひ最後に締めくくりとして聞かせてもらいたい、こう思います。
  109. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 去る六月に金融機関に対して発出いたしました通達におきましても、サラ金向け融資の慎重な取り扱いを要請いたしますとともに、消費者金融に対するニーズの高まりにこたえるため、今後とも金融機関みずからが行う消費者金融、自分でやる消費者金融についてその充実に積極的に取り組んで、健全な消費者信用市場の育成に資するよう指示をしたところでございますが、今日まで金融機関が行っております融資を見ますと、一つは卸売的融資とでも申しましょうか、いまサラ金ができたこと自体は、これは昔の質屋からずっと歴史的な伝統ございますけれども、それはある種の社会的ニーズに基づいて、経済活動すべてはそこに発生するわけでありますが、そのものの存在によってより社会的非難を受ける問題が所々方々に発生しておる、これは事実でありますので、やはり消費者金融について金融機関みずからが行うための努力と、それがための信用市場の育成というようなことを十分に考えていかなければならないことであると肝に銘じて、御高見を承りながらそのように感じたわけであります。
  110. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 銀行局長最後にお願いしますが、一つは、これは金曜日にきょう私が質問すると言った直接反応ではないと思うんですが、朝日新聞のきょうの社会面を見ますと、宮本局長談話ということで、対象業者調査をするに当たって、もと、基本になる法律がないため、これまで問い合わせできなかった営業資金の借入先、金額、調達金利や金額別、利率別の貸付状況をできるだけ詳しく報告させたい、こういう意味の記事が銀行局長談話で載っておるんですが、ぜひこれを無にしないように、実りあるものに努力を要請したいというのが一点。それから二点は、これも事務局を通じてお願いしておきました資料要求です。株式会社東輝リースに関する問題、もう時間がありませんから言いません。メモを渡してありますから。二番目は東輝リース以外のマルイト外三社に対する問題。それから大きい三つ目は、武富士、レイク、アコムに資金の提供をしている事業者のうち別表掲記分の中身。それから、先ほど言った政治献金にかかわり合いのある日立信販の過去三期における金融機関からの借入明細(金融機関名、金額、実行日、現在の金融機関別融資残高等)、こういうものについて以下十何項目の資料要求をしておりますから、先ほどの幽霊会社関係についても名前をずっと書き出しまして金額の一覧表あります。これについて最大限、公式、非公式、守秘義務——援助を得た守秘義務については守る点は守りますから、これらについて最大の御協力をお願いしたいということを要請をしたいと思いますが、いかがですか。要望です。
  111. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) まず第一点の、貸金業者への融資についての調査問題につきましては、この五月に第一回をやったわけでございます。さらに、十一月一日からはサラ金法が施行になりますので、よりその調査を引き続き充実させていきたいと思っております。  それから、資料要求につきましては、大臣先ほど御答弁の趣旨に沿いまして御協力申し上げます。
  112. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最後に、住宅公団、時間がありませんから、この林兼商会の問題について、これは参議院で二回、衆議院で二回、共産党の同僚の皆さんが問題提起して大変御検討されていることでありますから、私は、後ほど安武先生も話されるから細部は申しません。細部は申しませんが、政府委員を通してわれわれが報告を受けた段階では、この新聞記事の段階においても住宅公団の見解は変わっていないと、そういうことがありましたから、それ以上、私としてはそういう答弁があったということを確認した上で、そういう住宅公団の現状の認識であるならば、私は、警察庁、それから会計検査院、警察庁と会計検査院が住宅公団の現状の見解を聞きながら、警察警察なりに、会計検査院は会計検査院なりにもう一度おのおのの立場でこの問題を調査をして、しかるべき機会に目黒議員に御報告願いたいということを、これはその調査には住宅公団も協力するところは協力してほしい、会計検査院と警察庁については努力してほしいということを要望として申し上げまして、私の質問を終わります。
  113. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、いまの要望は要望ということでお聞きおき願えますね。  それでは次いきます。
  114. 菅野久光

    菅野久光君 私は、本年の異常気象による冷害対策についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  本年の気象経過を見ますと、四月初めから五月中旬ごろまでは全国的にかなり気温も高目に推移いたしましたが、五月下旬から七月にかけて北日本においては平年に比べて著しく低温と日照不足が続きました。特に、北海道においては六月の平均気温が十一度と平年に比べ三・一度も低く、明治二十七年以来九十年ぶりという記録的な低温に見舞われたと報道されております。このため、北海道においては農作物の生育が大幅におくれました。中でも代表的な畑作地帯の十勝地域においては、豆類、麦類など畑作物が決定的な打撃を受けていると伝えられております。先般、道庁は九月二十日現在の農作物の減収被害見込額を発表いたしましたが、それによりますと、農産物全体としては千二百億円近いものとなっております。もちろん、この被害見込額は、生育遅延型であるため、今後の降霜のいかんによって変わるものでありますが、私どもも八月下旬、現地調査をいたしましたが、その時点においても、せめて十月十日ごろまで降霜がないと、かなり回復できるとのことでありました。特に、稲作については、これからの天候に大きな期待がかけられているところでありますが、先月末に道北、道東に降霜があっとのことであり、非常に心配しているわけでございます。それにしましても、この被害は五十六年の被害に次ぐ、ところによっては五十六年以上のかなり大規模なものと言わなければなりません。したがいまして、今後被害が明らかになるにつれて、適時適切な災害対策が必要となってくるわけであります。北海道におきましては、この冷害を克服するために、営農指導を行って現在まできているわけでありますが、冷害がいよいよ決定的なことになったということから、九月二十五日には冷害対策本部を道庁に設置をし、特に冷害のひどい十勝地域に対しましてはその支所を置くというようなことで、その対策に当たっているようでございます。  したがいまして、以下冷害対策の問題につきまして、具体的に次の三点についてお伺いをいたします。  まず第一点は、制度資金の償還猶予の措置についてであります。  いまさら申し上げるまでもなく、農家の借入金は多額に及んでおります。特に北海道においては、相次ぐ災害と生産環境の悪化から借入金の償還が困難となり、負債整理資金の融通など、経営再建のための努力が続けられている実情にあります。こうした中で再び冷害に見舞われることは経営をさらに悪化させ、借入金の償還は一層むずかしいものとなることは明らかであります。今年度の償還も早いものは十月から始まりますが、償還に困難を来している農家も見られますので、農林公庫資金を初め、系統貸付金の償還猶余について、関係機関に対し、強力な指導をすべきと考えますが、この見解についてお伺いをいたします。  第二点は、天災融資法の適用などの問題であります。  先ほど申し上げましたが、約千二百億円に上る被害はその規模が大きく、農家経済や地域経済に与える影響はきわめて深刻であります。したがって、農家の営農、生活資金の確保を図るため、天災融資法の適用はもとより、災害自作農維持資金の融通などが必要であると考えますが、この点の見通しについてお伺いをいたします。  第三点目は、農業共済制度の迅速かつ適確な運用についてであります。  このような災害に最も大きな役割りを果たすのは共済制度であり、被害農家は共済制度に大きな期待をかけております。被害農家の年を越す生活資金を確保するためにも、損害評価の特例措置の適用や、共済金の早期支払いが必要であると考えますが、その見通しについてお伺いをいたします。  以上、三点についてお答えいただきたいと思います。
  115. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘のございましたように、九月二十日現在の北海道庁の被害の模様の中間的な取りまとめというのは、私どもの方も届いております。私どもの方で承知をしておりますところでは、北海道庁といたしましては、今回の災害につきまして今後の対策のベースになる確定的な被害額は、その後の気象事情等もございますので、最終的には十月中旬ごろに調査を行って取りまとめをするというふうに聞いておりますが、私どもといたしましてもそれはともかくとして、大変重大な事態であるということは十分認識をしておるつもりでございます。したがいまして、災害を受けた農家のすでに借り入れている資金の償還につきまして、これまでも災害の都度関係金融機関に対して指導をして、適切な措置を講じてもらっているところでございますが、本年の低温につきましても、そういうことで被害の実情に即した適切な対処を関係金融機関に指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、お尋ねの第二点の天災融資法及び自作農維持資金の融資枠の問題でございますが、これにつきましても私どもとして適切な対応をすることは十分そのつもりでおりますので、御心配いただかないようにお願いしたいと存じますが、ただ、枠その他につきましては、被害結果の取りまとめがいまのような進行状況であるということを申し上げておきたいと存じます。  それから、農業共済の対処ぶりでございますが、これにつきましても、すでに共済関係の担当官を現地に派遣をいたしまして、被害状況調査、把握及び損害評価の適切な実施について、それから農業共済金の早期支払いについて、共済団体の指導を現に現地へ入って行っているところでございます。  以上でございます。
  116. 菅野久光

    菅野久光君 ただいま、北海道における冷害の状況についての認識については全く一致できるようなことでありますし、さらに私が要望した件につきましても、心配のないように努力をすると。しかし、今後まだ十月の中旬ごろには取りまとめをするというようなことでございますから、それ以後のことになるわけでございます。したがいまして、被害確定の段階で必要とされるその他の救済対策についても万全を期せられるように、特にこの際お願いをしたいわけでございますけれども、せっかく大臣出席でございますので、大臣といたしましても、この北海道における冷害対策の問題についての御所見を承りたい、このように思います。
  117. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) 北海道が特に冷害で被害が大きいということをよく私は承知をいたしております。いま、それぞれ各項目、三項目で御質問があって経済局長からお答えになりましたが、いま調査中でございますので、調査の一応結論が出ましたら道庁ともよく相談しまして、ひとつ皆さんにできるだけ御迷惑を少なくするように最善の努力をいたしたいと思います。
  118. 菅野久光

    菅野久光君 ただいまの大臣の御答弁のように、できるだけ心配のないように措置をしたいということで、私どももそれに大きな期待をかけておきたいというふうに思いますので、この点についての私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  119. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  120. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十六年度決算外二件を議題とし、総括質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、午前中に引き続きまして、五十六年度決算に関しまして質問をさしていただきますけれども、先ほど同僚議員の方からも大蔵大臣お尋ねがございましたが、五十六年度の税収は当初予算比でも、あるいは補正後におきましても、相当なこれは税収不足を招いているわけですね。そこで、渡辺大蔵大臣等のお話も先ほどございましたけれども、やはりこれだけの大きな見込み違いを出したことにつきまして、その原因あるいは反省というものを、今後もそれを生かしていかなければならない点があろうかと思うんですね。  そこで、竹下大蔵大臣にお聞きいたしますけれども渡辺大蔵大臣との間にどのようなお話し合いがされ、そして五十八年度予算でそれをどのように生かされようとしているのか、その点具体的にお話しいただきたいと思うんですが。
  122. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いま五十六年度の税収見通しが大きく狂ったということに対する反省とか、あるいは今後の財政当局者としての心構え等についてのお尋ねでございますが、まあやはり私もこの数字で見てみますと、結局大きな経済変動を行ったときはいつであろうかと。決算の対当初予算比あるいは補正後予算比で見ますと、一つは四十年でございます。これはやっぱりオリンピックの翌年の戦後最大の不況ということではなかったかなあと。その次が四十六年でございます。いわゆるドルショック等、新しい不確実な、予想だにしなかった事態が起きて、しかし、それを避けて通ることのできなかった状態であったと思います。その次がやっぱり五十年であると思います。これはやはり四十八年の暮れとはいえ、四十九年から五十年にかけてのいわゆる第一次石油ショックの影響をもろに受けておると思います。その次がまあ大体五十二年、そうして五十六年、そして五十七年、こうなるわけであります。やはり五十六年、五十七年というものは第二次石油ショック、いわば国際不況というようなものが大きな理由であったと思いますので、私はまさにこれ当初比で三兆三千三百十九億円、補正後予算でも二兆八千七百九十五億円でございますから、まあ大変なものでございます。  五十七年をこの間締めまして、よく本委員会等で、まあ一%は誤差のうちというようなことを言っておりましたが、五十七年もそういう状態の中で若干の剰余金が出たとはいえ、当初から比べればこれもまあ大変な見込み違いであったと思うのであります。  やはり世界経済の停滞が予想以上に長期化した、そして、その回復がおくれたということによりまして、企業の生産活動や消費が全く伸び悩んだと。こうした、言ってみれば予見しがたい経済情勢の推移によるものとは言いながら、見積もりと実績に大幅な乖離が生じたことは事実でございますので、その後におけるその要因を十分に分析はいたしております。この苦い経験を生かして税収見積もりに必要な資料の収集、推計方法等について一層の工夫をこらしまして、なお精度の向上に努めておると。  御案内のように、歳出ということになりますと、与えられた範囲内において歳出権を付与されるわけでございますが、歳入の場合は見積もりでございますので、それは狂うこともあり得るわけでございますけれども、なお精度の向上に努力していかなきゃならぬということでございます。したがって、これから税収を生ずる母体であります経済そのものが大変流動的でございますだけに、この作業は本当はむずかしい作業でございます。約三十兆といたしまして一%と言えば三千億でございますが、三千億は誤差のうちというようなことをこの席上で答えたことがございますが、これは私も別に学問的にそういうことを言ったわけでなく、事ほどさように見積もりが狂いがちなものであるという前提の上に立って申し上げたわけでございますものの、まあたとえば、そういうような心構えでこの精度の向上に努めていかなきゃならぬというふうに思っております。  いつも御議論になりますが、予算編成時におきましては個々でずっと積み上げてまいりまして、できるだけ精度の高いものと。またこれを済んだ後で批判するときには、いわゆる租税弾性値を名目成長率に掛けるとかいうようなことをやりますけれども、これも厳密に言うと、ただ過去の十年間なら十年間の結果として出てきた租税弾性値というようなものを参考にするだけであって、実際問題どれだけの精度があるかとおっしゃれば、そのときの経済情勢に大変な変化がございますのでむずかしい問題でありますが、あらゆる諸指標を、まずできるだけ可能な限り正確な諸指標を基礎にしてこれから積み上げて、大きな乖離を生ずることのないような努力は引き続いて鞭撻を受けてやっていかなきゃならぬ重要な課題だというふうに考えております。
  123. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、決算調整資金の今後の運用についてちょっとお尋ねしておきたいんですけれども、この決算調整資金制度を、昭和五十六年度の税収が非常に見込み違いであった結果、一般会計決算上の不足を埋めるために活用したわけですけれども、そのことについてちょっとお話ししていただきたいと思いますけれども
  124. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、五十六年度の決算不足に対処いたしますために、決算調整資金として当時持っておりました二千億の元本と運用益の四百二十三億を、この全額を一般会計に繰り入れたところでございます。したがって、現在残高はございません。
  125. 太田淳夫

    太田淳夫君 それで、その決算調整資金を一般会計に繰り入れましたけれども、それでも足りないために国債整理基金から決算調整資金に繰り入れて、それを一般会計に繰り入れましたね。それはどうでしょうか。
  126. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ただいま御指摘のとおりでございまして、決算上の不足は決算調整資金を充ててもなお足りなかったために、二兆二千五百二十四億を決算調整資金法附則第二条の規定によりまして、国債整理基金から借り入れて処理をしております。
  127. 太田淳夫

    太田淳夫君 その事後措置につきまして、五十八年度予算でまたいろいろと繰り戻すための予算を計上されておりますが、それはどのようにやっていますか。
  128. 的場順三

    政府委員(的場順三君) まず一つは、資金の方でございますが、資金の方は二千四百二十三億円取り崩しましたが、これについては特段の措置を講じてはおりません。  ただ、国債整理基金に対する返済といたしまして、昭和五十八年度当初予算におきまして二兆二千五百二十四億円を一般会計から繰り入れるということにいたしております。
  129. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、決算調整資金から繰り入れました二千四百二十三億ですか、これにつきましては、先ほど御答弁ありましたゼロのままで何ら措置をしていないということですけれども、一応ゼロの状態になったこの決算調整資金につきましてはこのままゼロの状態で置くのか、いつ一般会計から繰り入れをするのか、その点のめどはどうでしょうか。
  130. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 制度上は資金の財源といたしまして二つの方法がございます。  一つは、財政法第六条の剰余金のうち、公債償還財源以外のもの、つまり二分の一を超える部分でございますが、これを予算の定めるところにより繰り入れることができることになっております。  それからもう一つは、特別の必要がある場合には予算繰り入れ、当初予算等において繰り入れを行うことができることにされております。  しかし、当面の財政事情のもとで考えますと、可能な限り特例公債の縮減を図るということが最重要課題でございます。したがって、決算調整資金の問題について次のような事情がございます。  一つは、剰余金繰り入れにつきましては、特例公債発行下におきましては特例公債のいわゆる出納整理期間発行の制度によりまして多くの剰余金は期待できないということになっておりますし、また、摩擦的に剰余金が発生いたしましても全額を公債償還財源に充てることを基本的な方針としているところでございます。  それから、予算繰り入れにつきましては、特例公債発行下におきまして財源的に余裕がない状況にございますので、したがって、当面資金への繰り入れを行う余地は非常に乏しいというふうに考えております。  ただ、御指摘にございますように、決算調整資金をいつまでもゼロにしておくということについての問題もございますので、今後中長期的にはそのときどきの景気情勢、税収の動向あるいは財政事情等諸般考えまして、今後中長期的に検討していく課題であるというふうに考えております。
  131. 太田淳夫

    太田淳夫君 そこでお伺いするわけですけれども、今回の税収不足で国債整理基金から一度決算調整資金に入れて、それから一般会計へ回しておりますね。ですから、再び決算上に赤字、不足が出た場合、資金が決算調整資金にゼロの状態のままでいわゆる第二線準備と言われます国債整理基金から借り入れをすることは可能なのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいんですが。
  132. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、決算上不足が生じないように、対外的な情勢等いろんな避けがたい事情ございますけれども歳入歳出両面にわたって財政運営をしていくのがまず第一であろうかと思います。ただ第一線準備、いま御指摘のとおり決算調整資金がない状態において仮に若干の決算上の不足が生じましても、国債整理基金からの繰り入れにより対応することは可能であるというふうに考えております。
  133. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま可能であると御答弁されたわけですね。可能だとしますと、なぜこの制度が発足したときに二千億円の資金を投入しているわけでしょうか。
  134. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 先ほどの御答弁でも申し上げましたとおり、本来資金の制度がございますから、資金に残高があるという方が運用上はいいに決まっていると思います。したがって、制度を発足させますときに当時の財政事情、公債発行の状況等を考えて二千億の繰り入れを行ったわけでございますが、当時に比べますと現在の財政事情、特段に厳しくなっております。たとえば一・六%の元本の繰り入れ等も緊急停止をしているような状態でございますので、資金がある方が望ましいというのはもう御指摘のとおりでございますが、仮になくても対応はできるということでございます。
  135. 太田淳夫

    太田淳夫君 私は決算の立場から見ますとちょっとおかしいんじゃないかと思うんですね。やはり財政上から赤字決算は許されない。したがって、税収が政府の見通しより下回ったときには、ここにゼロのままで置きますと決算ができなくなるおそれがあるんじゃないかと私は思うわけですよ。五十八年度予算で、それはいろんな情勢があったにしましても、決算調整資金に不足があった場合には国債整理基金からの繰り入れが可能であるという立場から見ますと、やはりゼロのままで置くということは、これは後ほどゆゆしい問題になるんじゃないか、このように私たち思うわけです。五十八年度の税収の状態を見ましても、政府が見込んでおります六%の伸びというのは非常に現在むずかしい状態じゃないか、このように思います。ですから、六%に達しないようなこと予想されているような状態におきますと、この決算調整資金の方にしかるべき資金がきちんと入ってない場合には私たちは流用がやっぱり法解釈上非常に無理があるんじゃないか、このように思いますが、その点どうでしょうか。
  136. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、決算調整資金の制度は決算調整資金というものが存在することを前提にでき上がっているんだと思いますけれども、仮に五十八年度の当初予算で繰り入れを行いますと特例公債を増発するということになります。他方、財政再建特例公債をできるだけ少なくするということは一つの大きな柱でございますから、その辺のところを十分に勘案して、とりあえず繰り入れをすることは差し控えたわけでございます。当面、それじゃ五十八年度に仮にそういった事態が起こった場合ということに備えまして、法律上の手当てとしては、第二線準備でございますけれども、国債整理基金からの繰り入れという制度がございますので、当面それで対応させていただきたい。ただし、先ほども申し上げましたように、中長期的な観点からは財政状況あるいは経済の推移、それから特例公債状況等を見まして検討していく課題であるというふうに考えております。
  137. 太田淳夫

    太田淳夫君 ですから、厳密な法解釈上は非常に無理があるんじゃないんですかと聞いているんですが、その点どうですか。
  138. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 法律違反ということではないわけでありますが、ある方がいいという御指摘に対してはそのとおりだと思います。
  139. 太田淳夫

    太田淳夫君 この程度でやめておきますけれども、それではやはり決算調整資金のきちんと法律にのっとった充実した姿を一日も早くきちっととるべきだということを決算委員会の立場から申し上げておきたいと思います。  次に、決算あるいは予算の状況につきましてだんだんと不透明な部分がやはり進行しているんじゃないかという点からちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、まず住宅金融公庫にありましたけれども、五十六年度は決算上の不足額を決算調整資金から穴埋めの措置によって一応合わせましたけれども、ほとんどが国債整理基金からの借金になっているわけですけれども、また住宅金融公庫に対する国の補給金につきましても国の財源難から五十六年度からその一部、六百六十一億円ですか、それをカットして、これを金融公庫の会計処理上国庫の損失金として計上して、国が向こう五年間に返済をしていくと。公庫はその不足分を資金運用部からの借入金で補てんする、こういう込み入った手法が導入されているわけですね。五十七年度の補正予算からは国債費の定率繰り入れを停止及び厚生年金保険あるいは船員保険の国庫負担等の一部の繰り延べ等々、国の財源難を理由にしていろいろなつけ回しをやっているわけです。その分を公債以外での実際的な借金でつじつま合わせをしている傾向が非常に顕著になっているわけですけれども、そういう点から見ますと、非常に予算及び決算というものは政府の財政の実態を反映しなくなって非常にわかりにくくなっているんじゃないか、そういうふうに思うわけです。私は、住宅金融公庫の補給金、あるいは厚生年金、あるいは船員保険等の繰入金のその制度自体をきちんとやはり改めて、そして予算を執行するということは大事じゃないかと思うんです。改めないで進めていることが財政の実態というものをわかりにくくしているんじゃないか、このように思うわけですけれども、政府はこういったものの改正、その姿勢を改める具体的な準備、その点についてはどうでしょうか。
  140. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ただいま御指摘のとおりのような歳出のいわゆる平準化措置ということにつきましては、当面の財政事情から万やむを得ざる措置ということも考えまして行っているところでございます。ただ、たとえば厚生年金等の一部負担の繰り延べ等につきましては、法律によって制度を改めて実施さしていただいているところでございます。それから住宅金融公庫等につきましても先ほどわかりにくいという御説明がございましたが、予算の説明等においてできるだけわかりやすく表示をするというふうな努力もいたしておりますし、今後全体の財政運営の中で節減、合理化を図りながらいろいろ工夫をしてまいりたいと思っております。
  141. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは次に、経企庁長官何かお時間の都合があるそうですので、大蔵大臣と御一緒にお聞きしたいと思いますけれども、「八〇年代経済社会の展望と指針」ですけれども、これは「対象期間中に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引下げに努め、財政の対応力の回復を図る」、このように述べてみえますけれども、この展望の期間、六十五年までに赤字国債をゼロにするというこれは政府の新しい目標と解釈してよろしいですね。
  142. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 特例公債のところでございますので、私からお答えをいたすことにいたします。  これは、私どもといたしましては五十九年度に特例公債から脱却するということを政策目標として進めてまいりました。これは大平内閣当時からこの目標に向かって進めて、そこで五十五年度予算、まず初めに一兆円の減額ありきというところから出発したわけでございますが、先ほど来御指摘がありましたように、なかんずく五十六年、五十七年において国際経済の不透明というところから大変な乖離、事実上乖離が生じたことは御指摘を受けたとおりであります。したがって、今度は言ってみれば一九八〇年代を通じてそこに非常に、計画経済でもございませんので、がっちりした定量的な見通しはなかなか立てにくい点もあるけれども、その中でこの「展望と指針」というものを経済企画庁が中心になられて、経済審議会等の答申をいただいて策定をされたわけであります。したがって、その中にも指摘されておりますので、財政を取り巻く諸情勢は今後とも流動的な要素は確かにございますけれども、やはり私どもはこれは与えられた努力目標であるという認識の上に立って財政運営に努めていかなければならぬというふうに考えております。
  143. 太田淳夫

    太田淳夫君 政府はことしの二月に国会に提出されました財政の中期試算の試算Cで五十八年度の赤字国債発行額約七兆円を毎年一兆円ずつ減じていく、こういう目標を試算してみえるわけですけれども、今回のこの「展望と指針」はこの試算Cを前提にしていると思いますが、その点いかがでございますか。
  144. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、五十八年度予算を御審議いただく手がかりといたしまして、試算をいろいろ協議をした上で提出をいたしました。五十九年度予算審議に当たってもいまそうしたようなものを出さなきゃならぬということで、今後とも各党、各方面の意見を聞きながら、どのようなものが出せるかということをこれから努力することをお約束しておるわけでございますが、中期展望の試算、お出ししましたいわゆる試算Cというものが、必ずしも、広範囲な立場で御議論をいただきました審議会にもとよりいろいろな指標は参考にされますものの、それが絶対的な前提条件としての資料として御議論をなすったものではないというふうに私は思っております。
  145. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 太田委員御案内のように、経済計画の性格でございまするけれども、単に、経済計画は財政のみならず、社会保障の面、あるいはまた労働政策の面において将来の目標を示したものでございます。政府はこれに対して努力していく、そういうふうな方針をこれまで経済計画という形でやってまいりました。今回はこの経済計画を「展望と指針」という形で、非常に弾力的な、柔軟と申しますか、定量的よりもむしろ定性的なものにしたわけでございます。したがいまして、そこにあります定量的なものとしては成長率、消費者物価、卸売物価、失業率、この四つばかりの数値でございますが、中期試算は、一般的な経済計画でございますこの「展望と指針」で示されました政府の赤字公債体質から脱却するという目標に従って成長率を採用して、租税の観点から弾性値を一定の前提で計算して、そのもとでどうなるかといった一つの将来に投影したものだと私は思っております。したがって、両者の間は、大きな成長率の意味におきまして、しかもまた各年度ごとの目標などは「展望と指針」にはございませんけれども、それをまた詳細にしたものだと、こういうふうに思うのでございますが、しかし、それはそれなりに一つの前提に立った数値であることはただいま竹下大蔵大臣が言われたとおりでございます。
  146. 太田淳夫

    太田淳夫君 政府は財政再建の方法としましては増税なき再建ということを国民に公約をしておりますし、これが財政の中期展望やあるいは「展望と指針」の最も大事な前提になるのではないかと私は思いますけれども、財政の中期試算Cによりますと、毎年度一兆円の赤字国債を減額するためには要調整額が五十九年度は四兆一千六百億円、六十年度は六兆三千七百億円、六十一年度は七兆六千四百億円、このようになっておるわけですが、極端なことを言えば、この要調整額を歳出削減で賄わなければならないということに政府のこの財政再建はなるのではないか、このように思うわけですが、最近は財政再建というよりも財政改革という言葉をよくお使いになっているようでございますが、その点いかがでございましょうか。
  147. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いまも塩崎大臣からお話がございましたように、経済計画というようなものから考えれば財政はその一部分であります。しかしながら、いま具体的に五十九年度予算等々おっしゃってみましたときに、財政としても一つの「展望と指針」を明示しなければならないと私どもも思っております。その一つのあり方といたしまして五十八年度予算編成の際に試算をお出しいたしまして、その試算Cをごらんいただいたといたしましても、御案内の、御指摘のような要調整額というものが計算すれば出てくるわけであります。したがって、これは言ってみれば、これを歳出削減で賄うかどうかと、増税なき財政再建ということを理念として堅持するならば、おっしゃることも事実であります。ただ、これを策定いたしますときにはいろんな数値を使いましたものの、言ってみれば現行の施策、制度を大体そのままに置いてという前提の上に立った試算でございます。したがいまして、このたび五十九年度予算編成に際しまして概算要求に厳しいシーリングを設定いたしました。このシーリングを設定しました結果、その限りにおいては要調整額はいまおっしゃいます四兆一千億とか四兆六千億とかいう数字よりは小さくなっておるものと考えられます。しかしながら、税収の動向等流動的な要素が多うございますので、現段階で要調整額の具体的な見通しを立てるということは困難でございますが、いずれにしても、まずこの厳しいシーリングの設定というのが五十九年度予算編成の第一段階でございますので、これをさらにその施策、制度の根源にまでさかのぼって削減をしていかなきゃならぬと、そしてあるいは分野の見直しとでも申しましょうか、これはまさに個人と企業に帰属すべき政策であるとか、あるいはこれこそ地方自治体の負担すべき分野であるとか、これこそまさに国自身が背負うべき分野であると、そういう分野調整をも心がけながら、これから年末に向かってそのシーリング——本当に各省とも厳しい設定の中で工夫していただいております。それをさらに私どもとしてはこの分野調整とか施策の根源にさかのぼって、予算編成の作業をこれから続けていかなければならぬ現状であります。したがって、いわゆるケースCで申し上げましたところの前提に置かれておる要調整額、それをすべて歳出削減で賄うと必ずしも断定はできませんが、厳しい姿勢で対応しなければならないことは事実であります。
  148. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま、五十九年度の予算に対しまして非常に厳しい姿勢ということでお話がございました。また、要調整額につきましてはめどが現在のところ立たないというお話でございますが、いろんな施策の根源、あるいはいろんな分野の見直し等をされたとしましても、どうでしょうかね、五十八年度の予算の主要経費別経費の金額というのは、まあ当然そちらにございましょうけれども、社会保障費、あるいは文教・科学技術費、あるいは国債費、恩給、地方財政費、防衛費、公共事業費等々ございますけれども、こういった主要経費別経費の中でどれがカットできるかというのは非常にこれは大変な問題じゃなかろうかと思うんですけれども。まあ、先ほどもお話ししましたような要調整額全部じゃなくて、多少でもいろんな努力をされながらそれを詰めているというお話でございますけれども、やはりこういった経費のカットということができなければ、政府はいままで公約をしてみえる増税なき再建、こういうものは近い将来もうこれは放棄しなきゃならなくなってくるんじゃないかと。財政再建のための増税という政策変更がこれは必至じゃないかと、このように私たちも考えてもいる部分もあるわけでございますけれども、どうでしょうか、蔵相お考えになって、大蔵大臣考えになって、これらの主要経費別経費の中でどういう部分がどういうふうにカットできるのか、具体的にお考えになったことございましょうか。
  149. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、シーリングで決定いたしましたように一〇%の削減と、そうして投資的経費等についても五%というシーリング枠を設定したわけでございます。これが第一段階であって、さてそこで、その枠内で各省とも非常な苦心をされてでき上がった作品が出てきたわけでありますが、その作品をどの辺をめどにさらにメスを入れるかというようなことは、これはなかなかむずかしい問題でありまして、いまおっしゃいましたもろもろの項目につきまして厳しい査定の姿勢を続けながら、要は全体の調整の中で国民的立場から予算編成をやっていくと、勢い抽象的お答えにならざるを得ないというふうに考えております。
  150. 太田淳夫

    太田淳夫君 そこでちょっとお尋ねしますけれども、九月の六日のある新聞の記事に出ましたけれども、これは現在の情勢では六十五年度の赤字国債発行額は五十八年度の七兆円から二ないし三倍の十五兆ないし二十三兆円にふくらむという試算が出ておりましたけれども、これ経企庁の試算でございましょうか。
  151. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 日本経済のみならず、他の新聞にもたくさんこのような計算例みたいなものが掲載されて、実は私も驚いたのでございます。企画庁長官の私が余り相談も受けていない、また私も見たことのないような数字がたくさん並んでいると思うんでございますが、これは察するに私は、もう無数にありますところの、ケースが三つあるとかあるいは六つあるとか、いろいろ試算が出ておるようでございまするけれども、私は察しましたところ、これはあらゆる場合に備えてこんなような計算ができるという、計画を担当いたします方々がいろいろの計算をつくってみた、それが出たんだと思うんでございます。出たのかどうか私も知りませんけれども、そんな推測のような計算例が見られたわけでございますが、私は、大蔵省から出されました中期試算でも、三つばかりA、B、Cと出ておることからおわかりのように、もう無数に計算例はできると思いますが、それを三つにしぼられたと思うんでございます。私どもの恐らく経済企画庁でも、このようなあらゆる場合に備えてこんなような計算をした時代があったと思います。しかしながら、今回の「展望と指針」では租税負担率、つまり六十五年度の租税負担率をどのように見ていくかというような数値はもう出さないことにしようと。そういうことはなかなか現在のところでは、何と申しますか、推測もむずかしいようないまの情勢でございます。  しかもまた、新経済社会七カ年計画があのような姿で、二六・五%という目標値を出しまして、これがその途中において一般消費税の問題で狂ってきた。こんなことを考えますと、やはり一つの目標は示すけれども、租税負担率というような数値では示さないことにする。そして、これは五十八年度の予算の際に竹下大蔵大臣からあのような、またこれも私は一つの仮説を置いた計算例だと思いますが、将来の一つの、何と申しますか、投影というふうな形で示した、そういう方向は適当ではないかということできておりますので、私どもの計算、私も知りませんから何とも申し上げかねるわけでございますけれども、このような計算が一生懸命前の手法、この手法に基づいて計算されたことがある。その一部がこのような姿で、何と申しますか、新聞が取り上げたと、こういうふうに私は見ておるところでございます。
  152. 太田淳夫

    太田淳夫君 大臣は御存じないけれども、経企庁の中ではこういう試算はしていたということは事実なんですね。それはお認めになるんですね。
  153. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 私は、こういった数値は前の手法では無数に、この単なる示された数値というのは無数に計算されることが可能である。そんなような計算例をやることは企画庁のこれまでのしきたりであった。しかし、どんなような数値が確定されたかどうかは、いま申しましたような点から私は聞いておりません。
  154. 大竹宏繁

    政府委員(大竹宏繁君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、事務的に何か一つの、あるいは幾つかの試算があって、それをもとにして「展望と指針」というものがつくられたわけではございませんので、そういう意味では、この現在閣議で決定されております政府の公式の「展望と指針」と、こうした新聞等で出ております数字とは関係はないわけでございます。
  155. 太田淳夫

    太田淳夫君 しかし、いずれにしましても、中期試算C等はゼロにできるということで一応試算は出されておりますし、まあ今回の出ました経企庁の試算、これは十五兆ないし二十三兆円になっているわけでございますし、いろんな試算を考えあるいは数値を考えてきましても、現時点で考えますとこの各紙の新聞に出されたような試算の線になる危険が非常に大きいということは言えるのではないかと思うんです。そうなりますと財政が破綻する危険が大きいことは明らかでございますし、結局、そうなると増税となるということです。ですから、現在非常に大蔵省等も苦労されているようでございますけれども、結局はこの試算にあるような増税路線に進んでいくことは間違いないんじゃないか、このことを指摘しておきたいと思います。それでは経企庁長官ありがとうございました。  次に、防衛庁長官、よろしいでしょうか。  大韓航空機事件以後、北方周辺におけるソ連空軍の勢力増強等が一部伝えられておりますが、これは国防筋ということで報道されておりますが、またスクランブル等が増加しているというようなことも聞いておりますけれども、その点の防衛庁としての認識はいかがでございましょうか。
  156. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 九月一日に大韓航空機事件が発生をいたしましたが、その後格別に極東、特にこの方面におけるソビエトロシア軍と申しますか、の増強が見られるとかいうような徴候はございません。  ただ、大韓航空機事件が発生いたしましてから三週間ぐらい後に、九月二十五日ごろと申しますか、もうちょっと後になりますか、ソ連軍用機と思われる機影が択捉島夫寧飛行場へ飛来したという事実はございます。ただし、これが長期にわたる駐留になるのか、一時的飛来なのか、まだその点はよくわかってはおりません。  それから、スクランブルの関係でございますが、格別に九月一日以降わが国のスクランブルの、緊急発進の度合いがふえたという事実も実はございませんが、ただ一点、昨年の九月以来ございませんでしたバックファイアの編隊飛行が、日本海南部といってよろしいんでございましょうか、の上空で見られたという事実はございます。  以上のようなところでございます。
  157. 太田淳夫

    太田淳夫君 最初に、例の防衛費の歯どめの件でございますけれども、これは五十一年の十一月五日の閣議及び国防会議で決定されてきたんですけれども、この決定の経緯等もございましょうが、いろいろと論議もされてきてますが、この必要性ですね。これを改めてちょっと確認しておきたいと思うんですが、いかがですか。
  158. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 五十一年と申しますともうすでに七、八年前のことになるわけでございますが、それまでは第三次防あるいは第四次防で言われたような、五年ぐらいをくくって防衛計画というのをつくってきておりましたが、その以降新しく防衛計画の大綱というような物の考え方を導入をいたしたわけでございます。その当時、さらばいままでと違った、防衛力整備をするに当たって、ある程度どこまでわが国の防衛力を伸ばしていくかというようなものを概括的に、客観的に国民に明らかにした方がいいことないかということもございまして防衛計画の大綱が決定をいたしました後、一週間ぐらい後に、いま御指摘のような閣議決定を見たわけでございます。俗に言う一%という問題でございます。当面、国の総生産の一%をめどとするという決定をいたしたわけでございます。そして、その決定は今日もずっと維持されておりまして、私どもが防衛力の整備計画をするに当たりましては、できるだけこの一%という閣議の線に沿って防衛力の整備をしていきたいと、その都度、都度、その年、年の経済的な事情がございまして、今日はわが国の財政的な落ち込みもございまして、ある意味でこの一%の天井へ大分こうすき間が迫ってきておる状態でございますが、私は防衛庁長官といたしましてできるだけこの五十一年の閣議決定の線は尊重していきたい、こう考えておる次第でございます。
  159. 太田淳夫

    太田淳夫君 五十七年度あるいは五十八年版の防衛白書、この中でソ連が経済的困難にかかわらず軍備を増大している、こういう記述している点があるんですけれども、軍備増大をしていく、すなわち軍拡と国民経済の繁栄というものが両立をしない、そういう場合もあるんだということを防衛白書でも認めているんでしょうかね。
  160. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 経済の成長が鈍化をしていった場合には特にそう言い得ると思いますが、国の行政費を配分するに当たってある特定の部門に過重な配分を行えば、これはトレードオフの関係が生じて他の部門が緊縮すると、だんだん押し詰められてくるということは言えると思います。  軍事投資でもそれが言えるわけでございまして、過重な軍事投資を長期に、継続的に行ったならば、やっぱり民生を圧迫して経済的要素を阻害する要因をつくり上げていくだろうということは言い得ると思いますが、ソ連の場合には過去十八年間一貫して軍事力投資というものは相当なものがあったと思いますが、一方、ソ連の経済そのものは石油供給力の伸び悩みだとか、農業の長期的な落ち込みだとか、あるいは労働力の逼迫の状態だとか、あるいは流通機構の非効率化というようなものの体制などから、ソ連の経済が大分このところ成長がいろいろ言われ始めてきておるんではなかろうかということが、西側のソ連専門家の間ではよく話題になるところではなかろうかと思います。  しかし、その中でソ連の軍事拡張、軍事力に対する投資がソ連の経済の中でどういうような場所を占めるか、ソ連の経済は一貫した軍事力強化にたえ得るのか、たえられないのか、ソ連の軍事力強化というものには天井があるのか、ないのかというのはいろんなところで議論はされておるようでありますが、私どもはそういう問題は別としても、ソ連という国は国策として軍事力増強を最優先課題といたしてきた、そしてまた、その軍事力をもって対外政策の遂行の手段としてきておる、こういう現実がある。そして、そのこと自体はソ連の経済と軍事力の関係は別におきまして、軍事力強化の面だけ見ますと、このまま放置されていく状態になってくると東西間の軍事バランスが東側の方へ優位に傾いてしまうことになってくるだろう、そういうような判断は持っておるわけでございます。
  161. 太田淳夫

    太田淳夫君 ソ連でも相当な軍備力強化の政策をとっているということでございますが、アンドロポフ書記長もソ連の経済力と防衛力の一層の強化、こういう課題を示していますけれども、これは非常にむずかしいんじゃないかと思いますし、またアメリカでもレーガン大統領はもう強いアメリカということを誇示しておりまして、空前の軍備拡大をしておりますけれども、やはり高い失業率あるいは失業者数を減らすための有効な政策というのはとれないでいるのが現状じゃないかと思うんです。  五十一年の十一月五日の閣議あるいは国防会議で歯どめを決めたということも、第一次石油ショック後のやはり国民生活へのマイナス影響を大事に至らない前に防止しておきたい、そういう思いがやはりここに含まれているんじゃないかと思うんですけれども、最近いろんな面で防衛関係費というのは、GNPに対しましても、あるいは予算に対しましてもその比率が低い、諸外国に比べまして非常に低いと、そういうことでこの増大ということを防衛庁でも持っていると、このように聞いておりますが、その点ちょっと確認しておきたいと思うんです。
  162. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) アフガニスタン侵攻というのがよく話題になるわけでございますが、ことしの十二月で四年になるわけでございまして、まだ三年数カ月前の事件でもございますが、しかし確かにアフガニスタン侵攻の起こりました七九年の年の暮れ、それからそのもう少し前のNATOの国防相会議で決定いたしました、俗に呼ばれておりまするダブルデシジョン、二重決定の時期、あの時代から特に西欧諸外国、NATO構成メンバー諸国は、相引き続きました二度にわたる石油ショックのあおりを食って、国内的には非常に経済的にも、あるいは社会的にすら困難を抱えながらも、やはりそれぞれ西側陣営の平和の基本戦略でありまする抑止のこの戦略の信頼性を回復するという意味で、防衛力の整備に努力をし続けてきておって今日に来ておると思っております。その中でわが国は、比較的置かれた立場もそうであったのかもしれませんが、この防衛力整備につきましては国民のコンセンサスを得ながらそのときどきの経済の情勢、国家財政考え合わせながら、着実に自主的に防衛力整備を続けてきておるわけでございます。そして、いまお話のございました八年ほど前の閣議決定で行われました、当面一%をめどとするという閣議の決定が行われましたときには、まだ、いま申し上げたような国際情勢は必ずしも現在われわれが判断しておった国際情勢と同じとは言い切れないわけでございまして、それから、先生御指摘のございました防衛力を無限に伸ばしていけば他のセクターを圧迫するだろうという議論は、確かにそれはあったと思いますけれども、私の判断する限りでは当時の一%論争というものは、やはり新しく防衛計画の大綱を設定するという新しい防衛力整備の方式に入ったために、国民にそれではわが方はめどとしてどのくらいのことを考えたらいいかということでもっぱら議論されたように私は理解をいたしております。
  163. 太田淳夫

    太田淳夫君 五十九年度の予算のシーリングが七月の十二日の閣議で決定しておりますね。この防衛関係費はどのように伸長しておりますか。
  164. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 去る七月にシーリングが決まったわけでございますが、その決まったことは、防衛関係費につきましては、対前年度千八百九十五億の増の範囲内でということが決まったわけでございまして、その決まったとおりに私どもといたしましては八月の末に二兆七千五百四十二億というのが五十八年度予算でございますから、それに千八百九十五億を足しました二兆九千四百三十七億ということで目下概算要求を提出し、大蔵省の方と御相談をしているところでございます。
  165. 太田淳夫

    太田淳夫君 伸び率は八三年度、昨年度をまた伸びるのですね。五十八年を上回る伸び率を示しているわけでございますけれども、せんだっての九月十三日の衆議院本会議におきまして、わが党の浅井議員の質問に答えまして、中曽根総理は、防衛関係費について他の経費と同様聖域とせず、その他経費とのバランスを考慮して必要な経費を計上しているとこう述べられていますけれども、その上でGNPの一%内の歯どめについて他の経費とのバランスを考慮して一つのかんぬきをかけたもので崩す必要はない。このように述べているわけですけれども、そこで防衛関係費を聖域化しないというのはどういう扱いをするのか、その点明確に確認しておきたいと思うのですが。たとえば五十八年度は一般会計歳出の対前年度比伸び率が一・四%でしたね、その中で防衛関係費は六・五%になっておりますし、これは五十七年度に続いて二年連続の突出になっているわけです。そして、いま五十九年度についてもありましたけれども、六・八八%の伸びと、こういう様な様子になっているのですけれども、これでは聖域化しないという中曽根総理の本会議における答弁と違って聖域化扱いにしているのじゃないかと、このように思うのですが、その点どうでしょう大蔵大臣
  166. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 防衛力整備につきましては、そのときどきにおける経済、財政事情を総合的に勘案して、国の他の諸施策との調和を図りながらこれを行う、こういうことが鉄則となっております。したがって、各年度の予算編成に当たりましても、厳しい財政事情のもとで他の経費とのバランス等を考慮して、まことにやむを得ない必要な経費、この計上を行って今日に至っておるわけであります。したがって、この伸び率の問題で御議論がございましたが、私どもシーリング設定に当たりまして、いわゆる国際取り決めに基づく義務的後年度負担というようなものを、一応例外事項に置くことにいたしております。したがって、他の経費から見ればそれなりの伸び率になるわけでございますけれども考えてみますと私どもが初めて国会に出ましたのはちょうど昭和三十三年、二十五年前でありますが、時に予算は一兆三千億であって、大ざっぱに申しまして予算総額は四十倍、それから社会保障は七十倍、防衛費は十八・八倍というような歩みをもたらして今日にきておる。したがって、そのときどきの経済事情、そして必要やむを得ざる経費というものを予算でお願いして今日に至っておりますので、これがここのところ他の経費に比べ伸び率が高かったといっても、これが聖域化しておるという理論には当たらないのではなかろうか、こういうふうに考えておるところであります。  それから、もう一つは一%問題でございますが、これは御案内のようにGNPの一%内という枠につきましては、まさに五十九年度以降の防衛費のGNP比がどのようなものとなるかについては、GNPの動向等も見なければわからないところでございますが、当面これを変える必要はないというふうに見通しとして申し上げることは、そういう不確実な要素がございますので、むずかしい点でございますけれども、いま五十一年十一月の閣議決定について現在のところこれを変える必要はないというふうに考えております。
  167. 太田淳夫

    太田淳夫君 せんだってのこの決算委員会でも同僚の委員から一%問題についての論議がございましたけれども、やはりそこに国民の考えていること、国民の世論ですね、これは調査の結果六七%の人が防衛費が低位にあったものが伸びていくのに対して、反対の意見を持っているわけですね。福祉や教育費が切り捨てられていく、その半面がありますし、そういう防衛費のみが伸びていくのに対して非常に反対意見を持っておりますし、GNPの一%以内とする閣議決定を支持している国民が非常に多いわけです。今後の予算編成、これから進めてまいりますけれども、レーガン大統領の訪日等が決まっておりますし、あるいは今後の日米協議等を通しましていろんな面で圧力が高まってきまして、昨年と同じような政治加算がなされる可能性が非常に高まっているわけです。そういう点に国民から危惧の念が表明されているわけでございますけれども、大蔵省としてはその点どのように考えましょうか。
  168. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはり、基本的にはそのときどきの経済財政状態を勘案しまして、他の諸施策との調和をとりながら決めるべきものでございますので、言ってみれば、突如として大きなプレッシャーがかかってこれが増額されていくというような、予算そのものはこれは日本国政府が内閣一体の責任において決めるわけでございますので、あくまでも政府全体の方針として、これは聖域化をしないという基本的な考え方のもとに対応すべきものであるというふうに認識をいたしております。
  169. 太田淳夫

    太田淳夫君 最近、防衛費のGNP一%突破後の歯どめ研究中という報道がされて、防衛事務次官がインタビューでいろいろと答えておみえになりますけれども、こういう報道にありますような新たな歯どめについて、防衛庁では研究しているわけでしょうか。
  170. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいま御指摘新聞報道につきましてでございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもは基本的にGNPの一%以内で防衛関係費をやっていこうという基本的な考え方に沿って、できる限りの努力をしているところでございます。  いま御指摘の報道の点は、事実の問題といたしまして防衛費が漸次GNPの一%に近づいているというような客観的な状況を踏まえまして、防衛庁の事務担当者におきまして、この問題についての過去の経緯といったようなものを調査をして、勉強をしておるという程度の話でございまして、御指摘の報道も恐らくはそういったようなことを踏まえてのものであったというふうに理解をいたしておる次第でございます。
  171. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 先ほど答弁させていただきましたように、私は、かれこれ八年前の内閣の閣議決定でございますけれども、今日におきましてもこの当時の閣議決定が生きているわけでございまして、それを尊重し続けていきたいと思っておりまして、できるだけの内部でのあらゆる努力をしながら、その線の尊重で実は概算要求も対財政当局にさせていただいたようなことでもございますが、いま、今日この場所で一%の次に来るものというような形で部内に調査研究作業の開始を命じたことはございません。今日私はいまでもぎりぎりいっぱいの努力をいたしまして、この閣議決定の線に沿っていきたい、こう考えておる次第でございます。
  172. 太田淳夫

    太田淳夫君 この前のやはり決算委員会でも触れられておりましたけれども、防衛関係費の歯どめの問題につきまして、決算での取り扱いというのが明確になっていないわけですけれども決算委員会でわれわれが決算を通してこれをしっかりと見ていく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、五十六年度決算について見ましても、防衛関係費、この決算額の対GNP比は実績で〇・九六%でありますけれども、予算では、これは当初予算ですから、そしてGNP当初見通しとの比較では〇・九一%、こういうように決算ベースの方が予算ベースよりも早く防衛関係費のいわゆる一%歯どめの枠に近づいている、このようになっているわけです。したがいまして、この決算ベースの歯どめを守るとしますと、前々年度の決算ベースにおける防衛関係費の対GNP比と予算ベースのそれとを比較しながら、なぜ決算ベースの方が予算ベースよりも高率であったかを検討した上で予算編成に当たるべきじゃないか、このようにも私たち思うわけです。五十八年度予算編成に当たりましては、五十六年度決算と予算の関係をチェックして行うべきであったのじゃないかと思うのです。ところが、中曽根総理は、五十八年度の予算編成におきまして防衛関係費を三百五十七億円上積みしてGNP比が〇・九七八%となった、このように伝えられている部分がございます。これが首相裁断による防衛関係費の上積みでありますけれども、この首相裁断による上積みは防衛関係費の歯どめについて決算ベースで検討を行ってからの措置であったのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思うんですけど。
  173. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 五十八年度の当初予算のときに決算ベースのことを考えたかどうかというお話でございますが、従来の防衛関係費とGNPとの決算ベースの対比でいきますと、これは全部一%の枠内におさまっております。したがって、五十一年十一月の閣議決定の趣旨は決算ベースにも当然反映されるんだと、そういう趣旨に沿って努力したところでございます。
  174. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、決算ベースを考慮して云々とありますと、五十八年度におきましては決算ベースで一%を超すおそれが多分ございますね。万一五十八年度決算で防衛関係費の歯どめを突破したときは、その突破した比率に相当する額をやはり六十年度の防衛関係費から減額すべきじゃないか、このように思うわけです。その方法としましては、継続費等の既定分の調達経費だけではなくて、新規分の調達を差し控えることによってその経費を減額することが可能ではないか、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
  175. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 決算ベースの場合に、世界の経済情勢あるいは日本の国内情勢等で経済情勢が大幅にダウンするというような場合に、具体的にどう考えるかという話は別途の話としてはあるかもしれませんけれども、五十八年当初予算あるいは今年度のシーリングを考えます際に、過去の決算ベース対比のGNP対比で一%の枠にはまっているということを十分考慮して決めているところでございまして、趣旨は生かしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  176. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 大蔵大臣、的確に答えてください、いまの質問に。
  177. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 全く仮定の問題として、防衛費一%に限らず、ある予算が一定の基準の数値でもって決定され、結果としてこれはGNPというのは、正確な数値は後からわかるわけでございますが、ある種の数値が動いてそれによって頭の出た分は翌年度の予算でそれをカットすべし、こういう御趣旨でございますが、それこそ予算編成に硬直性とか定量的過ぎて、政策そのものを遂行するための基礎になる予算としてはそのような手法はとりにくい問題ではなかろうかというふうに考えております。それと同時に、また御案内のように当初予算は、言ってみれば人事院勧告でございますとか、そういう問題は一定の予測はございますが、一%の経費以外のものは予測しない形において組まれるわけでございます。したがって、そういうものがふえていったりそれによってまたGNPを押し上げる要素にもなりますので、まあ結果として出てくるものでありまして、そして今日まで結果として一%を決算ベースで見ても超したことはないということになりますと、いまのように仮に防衛費と固定しなくても一般論としての予算を前年度比何かの数値に照らし頭を出したものは翌年それを削減するという手法は、行政の多様化したニーズに対応する手法としては必ずしも適当ではないではないか、こういう感じがいたしております。
  178. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 当面、各年度の防衛関係費がGNPの一%を超えないことをめどとするというこの昭和五十一年の十一月の閣議決定は、現在もこれを変える必要はないと私考えております。そして、いま御指摘決算ベースにおける対GNPの一%の問題につきましても、この閣議決定の線に沿って進むように努力すべきであるし、努力をしていきたいと、こう考えております。  なお、大蔵大臣の御答弁にございましたが、私どもといたしましては、やはり景気の動向、経済の動きというものと財政というものは密接不可分で、これはなかなか年度のさなかでは確定し得ない問題だと、こう考えておりますから、先ほど来お話のございました決算ベースの場合には何年か後、翌年かあるいは翌々年の速報値だとか確定値が入ってくる問題だと思っておりますが、答弁としては先ほども答弁さしていただきましたような形で決算ベースにおいてもこれは閣議決定の趣旨に沿って努力すべきであると、こう考えておる次第でございます。
  179. 太田淳夫

    太田淳夫君 防衛庁長官、結構でございます。  それでは厚生大臣にお伺いします。  五十九年度予算で医療保険の大改革案をいろいろ出されているわけでございますが、診療報酬の合理化等を進める等、いろんな改革が提示されておりますけれども、具体的にどういうことでございましょうか。
  180. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 御案内のとおり、医療が毎年一兆円ずつ伸びていると、大変な私は状況だと思い、将来を心配してやはり医療制度の改革に抜本的に取り組んでいかなければならないと思っておりますし、先生御指摘のとおり、その中で医療費の適正化対策として診療報酬の合理化というものはやっていかなければならない一つの大きな柱であることは間違いございません。疾病構造が非常に変化している。また医療環境なども変化してきている。そうした状況に対応いたしまして、診療報酬を適切、効率的なものとしていくためには全般的にわたって必要な見直しをやっていかなければならないと思います。診療報酬と申しますと当然のことながら薬価の問題も入ってくるわけでございますし、薬価の適正化を図っていくということも必要である。またお医者の技術料というようなものをどう評価していくかということも必要でございますが、当面いま私たちの方でやっておりますのは、大学病院の診療報酬のあり方につきまして中医協におきまして御審議が開始されたところでございます。大学病院というのは、私から申し上げるまでもないんですが、大学でありますからやはり一つの教育機関である、と同時にいろんな医療につきましての研究をしておられるところの機関である、と同時に一般の方々にやっぱり来てもらって診療をすると、こういった三つの機能を備えていると思いますので、そういったものがどうあるべきかということにつきまして、いま中医協におきまして御論議をいただいておるところでございます。  その他の問題につきましても逐次お願いをしてまいろうと、こういうふうに思っているところでございます。
  181. 太田淳夫

    太田淳夫君 この中で国保の国庫負担の合理化ということが出ていまして、約一千四百億円ということでございますけれども、これは保険料の増額につながらないか、あるいは地方自治体の負担がふえることになるんじゃないかという心配がありますが、その点どうですか。
  182. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 実は現在の医療制度を見ますと、大きく申しまして三つございます。組合健康保険と政府管掌健康保険及び国民健康保険と三つありますが、組合健康保険というのは先生御承知のとおり、大企業の組合労働者また会社員を相手にするところの保険制度でありますし、政府管掌健康保険と申しますのは中小企業者のところの会社員、従業員を対象にするところのものであるし、国民健康保険と申しますのはそれ以下の零細業者、自営業者または農民、こういう方々を相手にしてやっているところでございます。第一の組合健康保険の方はわりと黒字基調が続いている。第二の政府管掌健康保険の方はまあまあのところのバランスになっている。大きなアンバランスになっておりますのは国民健康保険でございます。しかし、この国民健康保険に大きなしわ寄せをするということになりますと、零細業者の方々あるいは農家の方々、そういった方々が保険料をもろに負担をするというような話になりましたならば、これこそ社会的公正に反すると、こういうふうな形でございまして、私たちはそこを何とかしていかなければならない、こういうふうなことで考えておるところでございまして、国民健康保険に対する国庫補助を少し削ったというような数字になっておりますが、これは現在までに国民健康保険に入っておりました退職者、組合健康保険及び政府管掌健康保険にいままでおられました大企業なり中小企業をやめられた方々が退職者として入る、それが国民健康保険に入ってくるわけでございまして、そこの方々につきましては新しい医療制度、退職者医療保険制度というものをつくっていこうということで、その分がのくわけでございまして、のいた残りのところにつきましてはいままでと同じような形の国庫補助負担率でやっていこうと、こういうことでございます。  もう一つ、細かい話になりまして非常に恐縮でございますが、それだけでありますとちょっと保険料率を上げなくちゃならぬと、こういうことになるわけでございますが、その辺は全体としてはそう大きな金額ではございませんが、その辺につきましては、診療報酬の適正化対策をやることであるとか、保険料収納率の向上など、保険者の経営努力の一層の徹底を図る、また地方単独事業の見直しなどの措置によりまして十分に吸収できる範囲でございますので、そういった形で御負担をおかけしないようにやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  183. 太田淳夫

    太田淳夫君 もう時間もございませんので、こちらで申し上げますけれども、この制度の改悪によりまして六千二百億円の国庫負担の削減を図っていこうというわけでございますけれども、この制度の改正はむしろ、いろいろ言われていますけれども、私たちの立場から見ても改悪だというふうに思うわけです。むしろ国民の負担を増加さしたり、あるいは受診の抑制につながっていくのじゃないか。それによって医療制度を崩壊させるおそれもあろうかと思いますし、また国民的な合意というものが得られないようないま現状ではないかと、このように思います。むしろそういう負担をふやすよりも、国民医療費の増高の原因になっておりますのは、この委員会でもあるいは予算委員会等でも、各種の委員会でいろいろと論議されておりますけれども、乱診乱療であるとかあるいは不正請求、あるいは薬価基準の見直し、こういう方でむしろ進めればこれだけの金額以上のものがやはり見出すことができるのじゃないか、このように思うわけです。現状のやはり国民生活を見ましても、国民の皆さんとしてもこれは納得できない面が非常にあろうと思いますね。そういう医療保険による負担、これだけじゃなくて、今度は年金も出てくるでしょうし、あるいは教育費の問題につきましてもダウンをしてくる。その中で防衛費だけが、先ほどからの話で話題になっておりましたけれども、防衛費だけが伸びてくる。そういう中では、やはり国民からの大きな不信、反撃というものが私は予想されると思いますよ。ですから、そういった点で、むしろ医療提供者側の問題に対してもっと十分な措置をとれるような方途を考えるべきじゃないかと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  184. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 御趣旨は非常によくわかるところでありまして、私どもも、医療の供給側、すなわちお医者なりあるいは薬業界の状態がいいとは一つも思っていない。むしろこの辺をやっぱり徹底的にメスを入れていかなければならないことは私も全く同感でありまして、それをやっていこうと、こういうことでいま取り組んでおるところでございます。私は制度の根幹に立ち返りまして、この辺の問題は考えていかなければならないと思います。中医協というところで、薬の値段を含めまして診療報酬体系の見直しをするということは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。また、実は薬の問題は午前中ちょっとお話がございましたが、いろいろと不祥事件が起きている。監督をしている私といたしましてはまことに遺憾なことでございますが、その根源を見るならば、やはりいまの薬の審査体制であるとか流通体制であるとかいろんなところに私は問題があると思いますので、そういった問題につきまして原点に立ち返ってひとつ検討してみたい、こう思っておるところでございます。  しかしながら、最初に先生に御答弁申し上げましたときに申し上げました。毎年一兆円ふえているわけですね。この一兆円というのは、これをやったら直るだろう、これをやったら直るだろうと。なかなかならないわけでございまして、私は総力を挙げてやっぱり適正な医療というものを確保していくために、どこが適正であるかということを最大限の力をしぼっていろんな角度から攻めていかなければならないと考えておりまして、患者の方々にも少しコスト意識を持っていただく。病院へ行きまして、お医者さんがおまえにやるのはただだから何ぼ持っていってもいいじゃないかと言われたら、患者の方はそうかなと、こうなっちゃうのです。あなたにあげた薬はこれだけとお医者さんから言われて、余りたくさん要りませんよと、いや先生もうちょっとまけなさいとかなんとかということが言えるようなことをやっておかなくちゃ私はいかぬのだろうと思うんですよ。そういつたことがありますが、そういったことをすべて含めて医療改革に私としては全力を挙げて取り組む決心であることを申し上げまして御答弁といたします。
  185. 安武洋子

    安武洋子君 まず最初に、台風十号による被害についてお伺いをいたします。  いま現在、台風十号による被害、どのように集約されておられますでしょうか、お伺いをいたします。
  186. 田中暁

    政府委員田中暁君) お答え申し上げます。  台風十号は、九月の二十八日の十時二十分ごろ長崎市付近に上陸いたしまして、東に進み、二十八日の十五時現在には温帯低気圧になったわけでございますが、この通過に伴いまして、九州地方から関東地方にかけまして広い範囲で大雨が降りまして、九月二十五日零時から二十九日九時までの間に高知県の本山で五百二十ミリ、宮崎県の高鍋で四百七十二ミリなどの雨量を記録したわけでございます。  これによる被害は三十八県という広い範囲に及んでおりまして、十月三日の十一時三十分現在、死者、行方不明者が四十二名、負傷者が百八名、建物の全壊七十四棟、半壊百四十九棟、流失十七棟、道路の損壊千八百四十四カ所、橋梁の流失九十六カ所、堤防の決壊百四十四カ所、山崩れ、がけ崩れ千四百十二カ所等となっております。
  187. 安武洋子

    安武洋子君 いま御答弁いただきましたが、被害と申しますのはこれは中国、四国、近畿、中部、こういうふうに西日本を中心にいたしまして三十八府県にも及んでおります。死者の方も行方不明者も出ておりますし、大変被害が大きゅうございます。  私は、兵庫県下の被災状況を見てまいりましたけれども、とりわけ大変だと思いましたのは財政力の弱い市町、これはこの復旧に町村の財政負担能力を超えるのではなかろうかというふうな懸念を持ちました。そして、住民の方は大変な被害を受けられまして、一刻も早い救援を望んでおられます。  一例として申し上げますけれども、私が参りました中で山南町とか春日町とか柏原町と申しますのは、いわゆる丹波といわれる山の中の町でございますけれども、ここは皆、町始まって以来の災害であるということを口をそろえて言っておられますし、いままで災害とは全然関係がなかったようなところに災害が起きてしまっております。と申しますのは、山が至るところで崩れまして、その土砂流によって民家が押しひしがれたり、民家の中に土石流が入ってくるというふうなことで、あるところなどはその土石流を除きますとまた山崩れが起こるのではなかろうかというふうなことで、家の中に入ってきた土石流も除くことができないというふうな状況がございます。  私は、こういう状況の中で、激甚災害の指定などというふうなことで復旧が早くできるように、政府も万全の力を尽くしていただきたい。何よりも大切なことは、再びこのような災害が起こらないようにするというふうなことで、復旧を急ぐとともに、再度災害が起こらないような万全の措置を講ずるというふうなことが大切ではなかろうかと思うのです。政府としても全力を尽くしていただきたいと思いますので、この点御答弁をお願いいたします。
  188. 田中暁

    政府委員田中暁君) 御指摘のとおり今回の災害の応急復旧対策、それから今後災害を繰り返さないように万全の施策を講ずるということにつきましては、国土庁といたしましても関係各省と相提携いたしまして、全力を尽くしたいと考えておる次第でございます。
  189. 安武洋子

    安武洋子君 重ねて御要望いたしておきますが、まだ結果が集約をされておりませんので、集約され次第激甚災害の指定というふうなことも含めて十分な対策を尽くしていただきたい、このことを強く要望させていただいておきます。  国土庁、突然お呼びして申しわけございませんでした。これでお引き取りいただいて結構でございますのでよろしくお願いいたします。  次に、五十九年度の概算要求でお伺いをいたします。    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕  来年度の防衛庁の概算要求、これは二兆九千四百億円、そのほかに後年度負担が二兆四千七百億円、こうなっております。この要求がそのまま通りますと、これは教育、福祉を初め国民生活が大きく圧迫されるというふうなことで大変だというふうに考えます。六十年度の軍事費の伸びと申しますのは、後年度負担の歳出だけでも八%以上の伸びになって、GNPの一%突破は確実になる。八月の二十三日の毎日でも、防衛庁の幹部の方の話として、六十年度は一%突破は間違いないと、こういう報道がございます。防衛庁長官は先ほど同僚議員の質問に対して、GNP一%はできるだけ守りたいというふうな御答弁でございますが、これは守れなくなるのではないか、防衛庁長官の御所見をお伺いいたします。
  190. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 一%問題につきましては、実はまだこれからのわが国の経済の動向とか情勢が定かでもございませんし、また私どもの財政当局に提出をいたしました概算要求は、十二月の時点で五十九年度予算の政府原案の作成の時期に確定をいたす問題でございまして、これにつきましてもまだ概算要求段階でございます。したがって、この時点で六十年度といまおっしゃられましたが、来年度の予算でどういう状態になるかということはちょっと申し上げにくい面がございます。ただ、先ほど来答弁さしていただいておりますように、私といたしましては、今後ともこの一%問題につきましてはぎりぎりいっぱいの努力をいたしまして、閣議決定の線に沿って進んでいきたいと、こう考えておる次第でございます。
  191. 安武洋子

    安武洋子君 では大蔵大臣にお伺いをいたします。  十月の二日の読売によりますと、防衛費は三%に圧縮すると、こういう報道がなされております。軍事費も聖域としないというふうに言っておられるわけですから、軍事費も聖域としないで、私どもは大幅に削減すべきだ、三%でもまだ多い、こういうふうに考えております。  そこで、大蔵大臣、この新聞報道でございますけれども、三%台に圧縮をなさるんでしょうか、お伺いをいたします。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕
  192. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何分にも八月末に概算要求が出そろったばかりでございますので、まだこれに対する、いままさに始まったばかりでございますので、定量的な数字などを申し上げる段階にはございません。また、最初から三%台にするとか、二%台にするとかという性格のものではなく、いままさにシーリング枠に基づいて概算要求が出たばかりでございますから、これからそれこそ経済、財政事情を勘案しつつ、他の諸施策との調和をとりながら決めていくという原則論をお答えするにとどまらざるを得ません。
  193. 安武洋子

    安武洋子君 では、この新聞報道の中で、「主要装備充実などに伴う二千人強の増員要求の大幅カット」、こういうことは全然考えてなさらないんでしょうか。それから、後年度負担のツケ払いの歳出化の一部繰り延べとか、あるいは教育訓練費などの後方支援費の大幅削減とか、こういうことは全く考えてはなさらない、こういうことでございますか。
  194. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いろんなことがいっぱい念頭にありますが、いま申していらっしゃいます一つ一つの個別的な問題を確定的な要素として対応しておるという状態ではございません。
  195. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、確定的でないにしても、こういうことを念頭に置いて削減をされていくという姿勢はお持ちなんですか。
  196. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 重ねて申し上げますように、各施策との調和をとりながら決めることでございますので、聖域としないという考え方でもって厳しく対応しなければならぬという姿勢を持っておるわけでありますので、これを削減し、これは削減しないということを今日申し上げる段階ではない、こういうことであります。
  197. 安武洋子

    安武洋子君 聖域とせず厳しく削減をやっていただかないことには、防衛庁長官が一%を守りたいとおっしゃっても守れなくなるという状況が出現いたします。  そして、私はやはり、軍事費を大突出させるのではなくて、もっと削減をすべきだということを主張もいたします。  そしてさらに重ねてお伺いいたします。  レーガン大統領が来日されます。それで、再びアメリカから軍事費増額の要求というふうなものがされるのではなかろうか、こういう懸念がございますけれども、そういう要求にどう対処なさるんでしょうか。これは拒否なさるんでしょうか、お伺いをいたします。
  198. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 安保条約第五条によって、わが国有事の場合には日本の国を防衛をしなければならない条約上の義務を持っておりまするアメリカが、いろんな時点にいろいろわが国の防衛力の整備の問題について関心を示すということはこれは十分理解できるわけでございます。しかしながら、わが国はわが国として自主的に判断をいたしまして、現在わが国の持っておりまする防衛力の整備の計画の線に沿って先ほど来答弁さしていただいておりますように、そのときどきの財政事情、あるいは国の他の施策とのバランスなどを考えながら整備の計画を続けていくわけでございまして、ほかの国から物を申されてどうするとかというふうな判断をいたさないわけでございます。
  199. 安武洋子

    安武洋子君 いままでの経過から見まして、アメリカの要求に屈して軍事費を突出させてきたということはこれは否めない事実というふうに思います。だから、いま防衛庁長官がそういうふうにお答えになるなら、私は、たとえレーガン大統領からどのような要求がこようと、自主的に判断なさって拒否をしていただきたい、そのことを強く申し添えます。  次に、シーレーンの問題について伺います。  現在、シーレーン防衛研究は一体何を研究なさっていらっしゃるんでしょうか、お伺いをいたします。
  200. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) シーレーン防衛の研究につきましては、これは昨年の八月から九月にかけましてハワイで開催されました第十四回の事務レベル協議におきましてこれをやっていこうということに意見の一致を見たものでございます。これは当時アメリカの方から、日米が協力をいたしましてシーレーンの防衛に当たる必要があるということ、それから自衛隊のシーレーン防衛能力等についての米側の分析につきましての説明がいろいろとあったわけでございます。これに対しまして日本側といたしましては、米側の分析の前提となっておりますいろいろな点につきまして、わが国としても種々検討すべきものがあるというふうに考えたわけでございまして、そういった経緯を踏まえまして、この問題をいわゆるガイドラインに基づきます日本防衛のための共同作戦計画の研究の場でこれを研究をしていったらどうかということを提案をいたしまして、米側もそれに賛同いたしまして、本年の三月以降この研究に着手をしているということでございます。
  201. 安武洋子

    安武洋子君 経過はわかりましたけれども、いま何を研究なさっていらっしゃるんですか。
  202. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 三月以来逐次いろいろと研究しておるわけでございますが、現在の段階は脅威の分析でございますとか、あるいはシナリオの設定等に関しまして日米間で調整を行っておるという段階でございます。
  203. 安武洋子

    安武洋子君 実は現在シーレーン防衛研究でいま何を研究しているのですかということで、私どもがレクチュアを受けたんですが、そのレクチュアのときにSLOCの防衛ということをおっしゃっておられます。一体このSLOCの防衛という概念とというのはどういうことでございましょうか、お伺いいたします。
  204. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 言葉がいろいろあるわけでございますが、シーレーンとかあるいはSLOCとかいうような言葉がいろいろございまして、これは明確な定義があるわけではございませんけれども、いずれの場合でございましても、これは海上交通の安全ということを念頭に置いて使われている言葉であるというふうに、われわれは理解をいたしております。
  205. 安武洋子

    安武洋子君 海上交通の安全、シーレーンという用語が最初出てまいったときにも、単なる海上交通の安全、航路帯というふうなことであなたたちはおっしゃって、いかにも国民の石油とか食糧とかを運ぶような航路帯であるというふうな印象を与えてこられました。しかしシーレーンとSLOCというのは、これは同義語で使っていらっしゃるわけですけれども、この国防用語辞典を見てみましても、SLOCというのは、これは単なる航路帯ではなくって、これは軍事専門用語ということで、有事の際の軍事兵たん連絡海上交通路そのものです。ですから、私はこういうふうに国民を言葉の上で欺いてだんだん実際的にエスカレートさせていかれる、中身を、というふうなやり方については本当に、どういうんですか、ひきょうだというんですか、そういうことを申し上げておきたいんです。  そこで八二年九月三日、朝日の報道なんですけれども、このシーレーンの研究につきまして、「日本に対する脅威のシナリオを設定して日本の五六中業期間中の防衛力整備計画とソ連の同時期の計画を対比させ、シーレーン防衛にどう影響するかを兵力レベルで研究していくことになるだろう。」と、これはアミテージ国防次官補代理でございますが、述べたというふうに報道されております。  そこでお伺いいたしますけれども、この脅威のシナリオの設定の際にソ連の五十八年から六十二年まで、これはわが国の自衛隊の五六中業中でございますが、その軍事力計画を対比させる。ということは、このソ連の五十八年から六十二年までの軍事力の計算をやらないといけないわけですけれども、そういう計算をなさるのか、そしてそれにわが方の五六中業中の軍事力を対比させるのか、で、シーレーン防衛研究を行うのかと、こういう点をお伺いいたしとうございます。この二点についてお答えください。
  206. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このシーレーンの研究の問題は、私どもが海上交通保護を今後やっていく場合に、有事の際におきまして日米共同で対処をするということが基本になっておるわけでございます。したがいまして、そういったどういう作戦計画を立てていくかということにつきましては、もちろん脅威の想定とかいろいろなシナリオの想定ということが必要になってくるわけでございます。しかしながら、いま御指摘のような特定の国を名指しての検討ということは、私どもはこういったわが国の防衛政策の基本が仮想敵国をもってやるのではないという立場をとっている関係上、そういったことを申し上げる立場にはないわけでございまして、研究の必要に応じましていろいろな仮定は設けますけれども、それは特定の国を名指しての御説明というわけにはまいらないと思っておるわけでございます。いろいろな脅威の様相といいますのは、有事の際でございますから千差万別でございまして、これは一概にこうだというふうに申し上げ得るものではないというふうに考えております。
  207. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、シナリオの設定の中にこのソ連の軍事力計画、こういうものは計算して入れているということはないわけですか。
  208. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私どもはいろいろな想定をいたしまして、こういったシーレーンの共同対処による防衛をする場合のシナリオというものを考えるわけでございますが、それが特定のある国を名指しての設定をしているというふうなことを申し上げる立場にはございません。われわれはあくまでもいろいろな様相を想定をいたしまして研究を実施をしていくという考え方をとっておるわけでございます。
  209. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、いろいろなシナリオの想定の中に、私が先ほど申し上げたように、これはこういうことを、特定の国をあなたたちは挙げないとおっしゃるけれども、なぜ私が言っているかといいますと、このアミテージ国防次官補代理がハワイ協議の後でおっしゃっているわけでしょう。「ソ連の同時期の計画を対比させ、シーレーン防衛にどう影響するかを兵力レベルで研究していくことになるだろう。」と。だから、この脅威のシナリオを設定して、そうして日本の五六中業期間中の防衛力整備計画といま私が申し上げたのを対比するんだと、これはアミテージ、この人が言っているからこそ、私がだからこういうことはやらないんですかということを念を押して聞いているわけです。一般的に答えてもらったら困るのよ。
  210. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 最初から申し上げておりますように、これはシーレーン防衛を実施する場合の様相につきまして、いろいろな脅威の想定なりあるいはシナリオというものを検討しながら進めていくわけでございますけれども、これは特定の国を名指しをしての研究ではないということを繰り返して申し上げさしていただきたいと思います。  それからもう一点は、この研究は現在持っております現有兵力をもとにしてのオペレーションプラン——作戦計画の研究ということでございまして、この研究が防衛力整備のあるべき水準の研究というものと結びついているわけではございません。この点もあわせてお答えをしておきたいと思います。
  211. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、先ほど私が申し上げたようなことはやらない、今後も絶対やらない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  212. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 特定の国を仮想敵国といたしましての研究をしているわけではございませんで、私どもはあらゆる事態に即応できるような体制を整備するためにいろいろな想定をした研究を今後とも実施していくということでございます。
  213. 安武洋子

    安武洋子君 論議がかみ合わないんですね。ですから私は次に参りますけれども、特定の国を仮想敵国としないと言いながら、あらゆる状況を設定して、こういうふうにおっしゃるわけね。ですから、このアミテージの発言とも食い違ってくるわけです。  私は聞きますけれども、自衛隊の兵力レベルというのは、これは五六中業期間中の兵力がこの前提になるんでしょうか、これが第一問です。それから第二問ですね、それともこれは大綱達成時の兵力になるんでしょうか。それとも、第三点ですけれども、そのような計画にとらわれずに脅威に対抗するための必要な軍事力を想定して算出されるんでしょうか。先ほど現有兵力からというふうにおっしゃいましたけれども、その兵力について、兵力レベルをお伺いをいたします。
  214. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この前提となります現有兵力と申しますのは、まさに現在自衛隊といたしまして保有し得る兵力でございますから、これは五十八年度の予算で実現をするいわゆる完成時、そういうものを前提とした勢力であると御理解をいただきたいと思う次第でございます。したがいまして、御質問にございましたように中業完成時であるとかあるいは大綱達成時とかいうふうな兵力を前提にしての研究ではございません。
  215. 安武洋子

    安武洋子君 五六中業中でない、大綱達成時でないと。私はもう一つ聞きましたよ、脅威に対抗するための必要な軍事力を想定して算出するのか、これに対してどうなのか。五十八年度予算で云々とおっしゃいますけれども、しかし、この五十八年度予算であなたたちが整備されようとする兵力というのが、私が申し上げたこの第三に該当するのかどうかということでお答えいただきたいし、それから私はさらに念を押してお伺いいたしたいのですけれども、脅威に対抗して必要な軍事力を想定して算出する、こういうことをあなたたちはなさるんですか、なさらないんですか。
  216. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この日米共同研究につきましては、研究を開始する当初の時点におきまして日米間で確認をしていることでございまして、それはただいま申し上げましたように現有兵力をベースにして作戦計画、オペレーションプランの研究をするということでございますから、したがって、いま御指摘のような想定され得る脅威に対抗する兵力水準というものを別途に想定をいたしまして、それで研究をするというような性格のものではございません。
  217. 安武洋子

    安武洋子君 では、確認しておきますが、それは将来にわたってもやりませんね。
  218. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 現在そのシーレーン防衛研究で開始をいたしておりますのは、ただいま申し上げましたような現有兵力をベースにいたしました研究をしているわけでございまして、現在それ以上のことをまだ考えている時点ではございません。
  219. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、将来にわたってもやらないのかということについては、きちっとお答えください、現在はとおっしゃっているけれども
  220. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 私が私の責任におきまして三月十二日にスタートいたしましたときに、実はこれは外務省も間に入ってもらったわけでございますが、日米両国間においていわば枠取りを決定をいたしておりますので、念のためにただいまの御質問に関連して答弁をさせていただきますが、防衛局長が御答弁申し上げましたように、このたびの共同研究は作戦計画の研究でございます。そうしてその下敷きは先ほどから申し上げておるような現有勢力でいたすわけでございますが、その研究の結果、現有勢力の不備とか改善等について指摘があることもあり得るだろうが、その取り扱いについては、両国の政府がそれぞれ別途独自に判断をすること、こういう一項目も加えておるわけでございます。念のためにこれも御報告しておきます。
  221. 安武洋子

    安武洋子君 だから、私は申し上げたいんです。現在の防衛大綱、これは限定的かつ小規模の侵略しか想定をいたしておりません。しかし、アミテージ国防次官補代理、これは「共同研究の結果、日本の防衛努力をもっと増やしてもらわねばならない、という結論が出ることを期待している。」、こう述べているんです。ですから、いまの防衛庁長官の御答弁も含めて考えるときに、私はこのことからもこれはもう防衛大綱の改定につながる、一層大軍拡に強くつながっていくというふうな大変危険なものであるということを指摘もいたしておきとうございます。シーレーンといいながら、最初は何か食糧でも運ぶような航路帯というふうな幻想を国民に与えながら、やっぱりSLOCというふうなことにエスカレートさせておられるということも、やはり私は危険な内容を含んでいるということを指摘せざるを得ないわけです。私はやはりこのような研究中止を強く要求するものです。  そこで、あと一問聞いておきますけれども、日本有事ではなくて、そして極東有事の際のシーレーンの防衛研究ですね、これ哨戒とか情報提供、これも含めましてやっていないんでしょうか。これをお伺いいたします。
  222. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 現在、開始いたしておりますシーレーンの共同作戦計画の研究は、あくまでも日本有事の場合、日本が武力攻撃を受けた場合の共同作戦のあり方を研究するということでございまして、日本有事でない場合の問題については、ここで研究対象とはいたしておりません。これは最初に確認をしてスタートをいたしているわけでございます。
  223. 安武洋子

    安武洋子君 では、いま日常的に普通の哨戒とか情報提供、こういうことはやっていないと、そして今後もやらないと、こういうことで確認してよろしゅうございますね。この点はっきりしてください。
  224. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 日米安保体制下におきまして、日本とアメリカが密接なる協力体制をとるということが必要であることは御理解をいただけると思いますが、その間におきまして必要な情報の交換というものは従来から実施をしてきているわけでございます。ただ、いかなる場合にいかなる情報の交換をやっているかということにつきましては、事柄の性質上、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。
  225. 安武洋子

    安武洋子君 有事でなければ哨戒も情報提供も含めてやっていないかと、そうお聞きしたんですよね。そうしたら情報提供はやっていると、こういう御答弁ですか。
  226. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) シーレーンの防衛に関します共同作戦計画の研究の問題と、それから日常の日米間の協力関係とはこれはまた別の問題でございまして、私が申し上げましたのは、シーレーンの共同研究の中では日本有事でない場合の問題は研究の対象にしておりませんということを申し上げたわけでございます。それからさらに、一般的な日米間の情報交換の問題につきましては、これは必要に応じて必要な協力を従来からやっておるということを申し上げた次第でございます。両方は別の問題だと思います。
  227. 安武洋子

    安武洋子君 だれも聞いていないことを、要らないことをつけ加える必要ないでしょう。だから私ははっきりしてくださいと言っているんですよ。だからシーレーンの防衛研究で哨戒や情報提供を含めたこういうことは今後もやらないのかと、その点をはっきりせよと言っているので、その点をはっきり答弁してくださればいいんですよ。
  228. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 重ねてお答え申し上げますが、シーレーンの防衛に関します共同作戦計画の研究におきましては、日本有事でない場合の問題を研究対象とはいたしておりません。
  229. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  230. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  231. 安武洋子

    安武洋子君 もう一回、今後もやるのかやらないのかと聞いているんで、それに対してやるかやらないか、イエスかノーかで答えてください。
  232. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 哨戒とかあるいは警戒監視、そういった活動というものは、平時の場合とそれから有事の場合と二つがあり得るわけでございますが、有事におきまして、そういった哨戒なり警戒監視なりということがシーレーン防衛の一環として行われることは、これはおわかりいただけると思います。そういったケースでございますと、日本有事の場合でございますれば、この共同作戦計画の研究の場で行われることは当然でございます。しかしながら、日本有事でない場合の哨戒なり警戒監視という問題については、これは共同作戦計画の研究の場では取り上げることはないということでございます。
  233. 安武洋子

    安武洋子君 今後もやらないんだということですね。
  234. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 現在のこの研究の計画の中には入っておりません。
  235. 安武洋子

    安武洋子君 今後もやらないんだと一言きちっとお答えになればいいことなんですよね。  ちょっと時間がないので、次に進みます。  今度は住宅都市整備公団の土地取得に絡む疑惑についてお伺いをいたします。  けさほど目黒議員の御質問もございましたけれども、いまありとあらゆる新聞が非常に大々的に報道いたしております。その中で、住・都公団の姿勢に変化がないというふうなことも出ておりましたけれども、私は、だからといって疑惑が解けたわけではない、疑惑というのはますます深まりつつあるというふうに思うわけです。  そこで、公団は昨年の四月に福岡県の筑紫野市の山林四十三ヘクタール、約十三万坪になりますけれども、大洋漁業グループの子会社の林兼商会から買収をなさっておられます。これは坪当たり三万円、総額三十七億円で取得をなさっておられますけれども、この山林は開発の規制区域である市街化調整区域でございます。しかも、ここはお水が出ません。周辺の土地の価格を見てみましても、せいぜい坪二万円にしかならないようなところでございますし、それから予算委員会での政府委員の御答弁でも、これは大変条件の悪いところでございますからというふうにお答えになるようなところでございます。つまり、約十三億円もの高値買いをした疑惑がございます。しかも、こうした高値買いの裏には大変強引な売り込み工作が行われた。これは前県知事の政治団体「福岡県を明るく豊かにする会」——「明豊会」でございますか、それから筑紫野市の松田市長、県会議員とかあるいは県の幹部職員とか、果ては国会議員の裏工作とか、巨額の賄賂資金が動いたとかというふうな件で、この件につきましてフィクサーの証言、それから暴力団のピストル脅迫事件、こういうことまで引き起こされております。それで警察調査が進行中というふうなことだというふうに私は承知をいたしております。  そこで、幾つかの点についてお伺いいたしますけれども、この事件につきまして新聞各紙は連日大々的な報道を行っておりますけれども、そのほとんどが、福岡県捜査二課とか、捜査当局の調べではというふうになっているわけです。  その中で、次の人物からの事情聴取の報道がございますけれども、それが事実かどうかを確認いたしとうございます。  お伺いいたしますが、第一点は松田正彦筑紫野市長でございます。それから、第二番目は中部一次即林兼商会社長でございます。第三番目は秋山実元公団九州支社長でございます。それから、第四番目は村本信孝元車宗参議院議長秘書でございます。それから、五番目は小松康彦ブローカーでございます。お伺いいたします。
  236. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 御質問の林兼商会をめぐります一連の疑惑事件状況でございますが、現在、福岡県警の捜査二課におきまして、告発を受けましての幅広い捜査を現在やっておる最中でございます。  ただいま、松田市長以下各関係者からの事情聴取を行ったかという御質問ございましたが、事情聴取を行っております関係者は多数に上っておりますが、その具体的な氏名等につきましては現在捜査中でございますので、ここでの答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  237. 安武洋子

    安武洋子君 新聞の中に福岡県警捜査二課とか、捜査当局の調べではと。そちらの方から情報が提供されないことには、なかなかこのような私がいま挙げた人物名というのは出てこないと思うんです。こういうことは捜査中だから発表——事情聴取をしたことがあるかどうかということは、私は何も発表なさっても捜査に障害になるというふうなことは考えられません。これはいかがなんですか、重ねてお伺いをいたします。
  238. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 捜査の過程におきまして、マスコミ関係でいろいろと具体的な個人名が出されての報道があるのは事実でございますが、警察といたしましては、捜査が一つの段階を迎えますまでは個人の名前その他につきましては公表しない、これはマスコミの取材活動によりまして報道されるというのが実態でございます。
  239. 安武洋子

    安武洋子君 じゃマスコミ捜査二課とか捜査当局とかということを勝手に使ったんでしょうかね。  次に伺いますけれども、松田筑紫野市長は林兼所有の山林四十三ヘクタールですけれども、市街化調整区域になっている。これを市街化区域に編入して、そして林兼商会から公団に有利に売却できるように計らった、こういうことで五千万円の賄賂を受け取った、こういう疑惑を持たれております。事情聴取でも各紙が五千万円の受領は否定したけれども数百方の後援会への受領を認めたと、こう報道しておりますけれども、これは事実でしょうか。
  240. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 五千万円の話が出ておりますことは、これはマスコミでも報道されておりますし、その真偽をめぐりまして現在捜査を行っておるわけでございます。その過程でいろいろと話が出ておりますけれども、先ほどお答えいたしましたように、この段階での詳しい内容につきましては差し控えさしていただきます。
  241. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ松田筑紫野市長は林兼商会の小山専務、それから公団の福井部長、この同席で料亭で会談を行って、議事録が残っている、こういうことは認めて、支払いも林兼商会が行ったことは認めていると。その他にも数回料亭で会談をした、こういう報道がございますが、これは事実でしょうか。
  242. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) ただいまもお答えしましたように、いろいろの会合であるとかその他関係者の実態等につきましては、警察といたしましても相当程度現在把握をいたしております。その内容等につきましては、くどいようでございますが、この席での答弁を差し控えさしていただきます。
  243. 安武洋子

    安武洋子君 秋山実元住宅公団九州支社長でございますけれども、これは九月二十六日付の毎日新聞の一面トップ記事の中で、林兼商会から公団の購入した三十七億円の価格というのは、これは公団内部で試算した採算性より十億円程度上回る価格だった、こう言っておられると。こういう点確認しておりますか。
  244. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 林兼商会の関係者、また公団の関係者から事情聴取を個々ずっとやっておりますので、いろいろと内容につきましては承知しておりますが、お話のございましたような具体的なケースにつきましては、重ねて申し上げて恐縮でございますが、答弁を差し控えさしていただきます。
  245. 安武洋子

    安武洋子君 テープレコーダーと話しているみたい。  じゃ、暴力団の顧問と言われておりますけれども、ブローカーの小松康彦氏ですね。この氏と志村前公団総裁、御自身が国会の場で認めておられますけれども、小松氏とは大変親しい間柄ということであるわけですが、この小松氏からも事情聴取と報道されております。この小松氏というのは千葉の交通刑務所から小菅の東京拘置所にいる、こういうふうに言われておりますけれども、小菅の東京拘置所に行って事情聴取なさったんでしょうか。これくらいは答えられますでしょう。
  246. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 繰り返して恐縮でございますが、現在捜査をやっておる最中の事件でございます。捜査というものは、ここで私申し上げるまでもないわけでございますが、まず穏密裏にいろいろと情報を収集をして価値判断をする、こういった性格のものでございますので、だれからどういう内容について事情聴取を行ったということが公にされますと、今後の捜査運営につきまして支障を来す、こういうことでございますので、ひとつこの点は御了解をいただきたいと思います。
  247. 安武洋子

    安武洋子君 あなたたちは三月時点で、幅広く情報を収集中であると。いつまでやっておられるんですか。  お伺いしますけれども、公団の福井部長、これは事情聴取されたんですか。
  248. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 前回も幅広くということで申し上げておりましたし、現在も幅広くやっておるわけでございます。  御質問のありましたいろいろな人物も含めまして、現在事情聴取をやっておる、こういう状況でございます。
  249. 安武洋子

    安武洋子君 建設省に聞きます。志村氏が九月末で辞任をなさっておられますが、これは任期途中の辞任でございましょうか。
  250. 内海英男

    国務大臣(内海英男君) 志村前総裁は五十六年十月一日から六十年九月三十日までの四年間が任期でございますから、任期の途中でございます。
  251. 安武洋子

    安武洋子君 公団をめぐる疑惑がこれほどマスコミ報道などでも噴出をいたしております。しかも小松氏と絡んで総裁自身も疑惑の渦中のお一人でございます。その疑惑の渦中のお一人が真相もはっきりしないで任期途中で辞任をなさる。私は大変無責任な態度でなかろうかというふうに思います。  そこで新総裁にお伺いをいたします。  こういう中で新総裁におなりになったわけですけれども、これはもう公団をめぐっての連日の報道あるいは各証言者がマスコミで証言もいたしております。警察もいろいろとおっしゃいますけれども、幅広くずうっと捜査をなさっているそうで、事情聴取もやられているような、こういう状況でございます。この中で、私は何よりもまず公団自身が襟を正して公団自身の手でこの真相をはっきりさせるべきだと。その手だてを新総裁としてまず何よりもおとりになるべきだと。総裁の御決意をお伺いいたします。
  252. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 本件の土地取得につきましていままで四回にわたりまして国会質疑を通じまして質疑応答があったわけでございますし、それから公団といたしましては公団の立場からできる限りの調査をいたしまして、正確な調査報告をしたものでございます。改めてということでございますけれども、公団といたしましてはその過程におきまして適正な手続において行われておりますので、何ら疑惑を招くことはないと確信しておりますので、改めて事実関係調査する必要はないと考えております。
  253. 安武洋子

    安武洋子君 総裁、失礼ながら総裁におなりになってまだ三日なんでしょう。あなたはこれだけいろいろの事件が、疑惑が持たれていると。手続上に問題があるなどとは申しておりません。手続はちゃんとおとりになっていらっしゃるけれども、しかし、それを裏で大変高値買いをしたと。それに対して私はこうこうこういう疑惑があると。警察の方でもいろいろ調査をされていると。それなのに総裁になられてたった三日で、私、疑惑ありません、何もやりませんと。それでは通らないんじゃありませんか。世間の常識が通ることじゃございません。
  254. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 私は総裁に就任いたします前は副総裁として公団におりましたので、その間の事情は存じた上で申し上げているつもりでございます。
  255. 安武洋子

    安武洋子君 私、建設大臣に御質問いたします。  何たる姿勢かと。私は前の総裁なら御自分も疑惑の渦中だからひっかかりがあるからああいう御答弁なさってもと思いますけれども、新総裁になられたお方があれでは、私は公団のこういう姿勢、こういう体質というものは改まらないと思います。これはいまや一地方で起きた公団の高値買いという問題ではございませんね。これは県知事の政治団体とか——前県知事です、それから市長とか、県会議員とか、国会議員とか、暴力団とかと、もういろんな人たちがうごめいて、しかも巨額の賄賂が動いているというふうな、これだけの疑惑があるわけです。ですから、こういう中で公団総裁は何か途中でおやめになると。しかも十月の一日から公団家賃の値上げでしょう。私はこういう真相をはっきりなさらないと、公団というのはあちらでもこちらでもこんなことをやっているのかと。それでも疑惑は知らぬ顔で、そういうふうなのは正常にやっておりますと、こういうことになるのかと。国民は疑惑を持って、そのしわ寄せみんな自分たちが受けなければならないのかと怒ると思いますよ。この志村総裁が何とこれまでに四千二百万円退職金受け取っておられるわけですよ。そして、二年間の退職金さらに九百万円上積みすると、そうすると五千百万円にもなる退職金、まあ規定にあるかもわかりません。しかし国民の常識からしますと、こんなの釈然としないわけです。真相も明らかにしないで、退職金だけ取ってやめてしまうと。こういうふうなのは国民の常識としては御自分で辞退なさるのはあたりまえじゃなかろうかと、疑惑が晴れない間ね、私はそう思いますよ。  大臣にお伺いいたしますけれども大臣として公団に公団自身の手で、疑惑があるなら疑惑があると、疑惑ではなかったんだと、それならはっきりと真相はこうこうなんだと、すべてをやっぱりはっきりさせると、私は、そういう強力な指導に乗り出されてしかるべきではなかろうかと、こう思いますけれども大臣の御所見をお伺いいたします。
  256. 内海英男

    国務大臣(内海英男君) 御指摘でございますが、前の志村総裁につきましては、五十六年に日本住宅公団と宅開公団が合併をいたします当時、すでに総裁、副総裁の任期というものは八年をもって限度とすると、一つの慣例がございます。ただ、そういう大きな公団が合併した直後の事態でもございましたので、閣議の了解を得て例外的に志村総裁に軌道に乗るまでやってもらうというようなことで、総裁になって受けてもらったというような経緯があるようでございます。  したがいまして、四年の任期でございますが、二年経過して一応軌道に乗ったということで、御本人の方からこの際やめさしてもらいたいという辞意が出ましたので、これを素直に受け取って受理をしたという経緯でございまして、別にやめたことについて、御指摘のようなことがあるとかなんとかというようなことを深く考えてのことではないということだけは申し上げておきたいと思うわけでございます。  それから、いろいろ公団としての調査報告をやるべきではないかというような御指摘もございました。  これにつきましては、三月二十三日の参議院の建設委員会におきまして、共産党の上田耕一郎先生の方から御質問がございまして、その際、前総裁を初めといたしました住宅都市整備公団の幹部からそれぞれ詳細な事情報告がございまして、一応報告をしておるはずでございます。  以上でございます。
  257. 安武洋子

    安武洋子君 大臣に望んでおきたいのは、私は、やはり公団の先ほどの姿勢をごらんになったと思うんです。それから、いまどれぐらい世間でこの問題が問題になっているかということも御存じであろうと思うんです。このまま放置はできないと。やはり建設大臣としても、ここははっきりさせるという態度をおとりにならない限り、この疑惑、みずから襟を正す、行革でちゃんとやっぱり清潔な政治、おっしゃっているんですからね。それをおやりにならないといけませんでしょう。その決意を聞きたい。もう一度ちゃんと言ってください。
  258. 内海英男

    国務大臣(内海英男君) 疑惑を招くような行動は厳に慎まなければならぬということで従来から指導してきておりますし、今後ともそういう姿勢を貫きたいと、こう考えております。
  259. 安武洋子

    安武洋子君 公団に対してもちゃんと疑惑を正しなさいという厳格な姿勢をとってやっていただきたいということで、あと時間がないので、急いで次の大韓航空機の問題、これちょっと御質問を申し上げます。  これは、大変時間がなくなってしまいましたので、安倍外務大臣に私は、国連総会で安倍外務大臣が大韓航空機撃墜事件に関してソ連を糾弾なさっておられます。私どもも、民間機を撃墜するなどというソ連の野蛮な行為に対しまして、本当にこんなことは許しがたいというふうなことで、ソ連の政府と党に対しまして、速やかに真相をはっきりさせろと、そして責任ある行動をとるべきであると、こういう申し入れをいたしてきております。  そして、何よりも私は、いま遺族の心情を思うときに、ソ連と大韓航空の誠意ある態度、これが求められているというふうに思うわけです。大臣もこういう認識をお持ちでしょうか。そして、大韓航空機の領空侵犯、この原因究明、これに大臣はなぜ国連でお触れにならなかったのでしょうか。この点をお伺いいたします。
  260. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いかなる理由があるにせよ、無抵抗な民間機を撃墜するということは、これは国際法的にも認められないことでありまして、許すべからざる暴挙であると思うわけでありますが、これに関連をいたしましてソ連に対して損害賠償の請求は日本としてもしております。しかしソ連は、この口上書を受け取ろうともしてない、こういう事実であります。また、大韓航空機が遺族に対して十分な補償を出すことは当然のことであると、われわれもそういうふうに受けとめております。  真相の究明につきましては、これは私も総会の演説で触れたわけでございますが、いまICAOで調査団を派遣をいたしまして、日本にもやって参りますが、ICAOを中心にしてその調査が進められております。われわれはその結果をいま見守っておると、こういうことであります。
  261. 安武洋子

    安武洋子君 真相の究明云々でございますけれども、まあこのどういうことで私は領空侵犯をしたかということはおきまして、結果的には領空を侵犯しているというふうなことは、これは総理もお認めになったわけです。韓国政府もソ連の領空に入ったことを否定はしないと、しかも機械も故障するし人も失敗すると、何かあたかも領空侵犯に違法性がないかのように言っております。  私はここでシカゴ条約をお伺いしたいんですけれども、このシカゴ条約は許可なく民間機の領空飛行は認めてはいないと思います。機械が故障したからといって他国の領空に入る、こういうこともシカゴ条約との関連では許されない。人の失敗によって領空に入るということもこれは想定もされていないし、こういうことは許されない。緊急避難ということもありますけれども、二回も領空を侵犯して二時間にわたって領空を侵犯している。緊急避難には該当しないということで、明らかにこれはシカゴ条約に照らして違法行為であるというふうに思いますが、この点をお伺いいたします。
  262. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) ただいまの御質問の点にお答え申し上げますと、シカゴ条約そのものは民間航空機の一々の飛行そのものについてその航空機の登録国である——本件の場合でございますれば大韓航空でございますから韓国ということになりますが、その飛行機の登録国に国際法的な責任を負わせておるものではないわけでございます。この点は委員もよく御承知だろうと思います。もちろん、民間航空機が許可なくして他国の領域に入ったということ自体は、これは別にシカゴ条約で認めていることではございませんが、しかし、その責任というものがいきなり韓国政府あるいは締約国である国に及ぶという性質のものではございません。  したがいまして、私ども政府といたしましては、今回の事件に際して大韓航空機がどういう理由によって、そういうソ連の領空内に入ったということがどういう理由によるものであるかということははっきりいたしません。今後の、先ほど大臣から申し上げましたように、ICAOを中心とした調査によってその原因が究明されまして、今後同じような事態が起きないような再発防止措置というものが韓国においてもまた国際的にもとられるということが望ましいわけでございますけれども、しかし、今回の事件そのものによりまして韓国にあるいは条約上の責任あるいは国際法上の違法行為の責任が生ずるというふうには私ども認識しておりません。
  263. 安武洋子

    安武洋子君 じゃあもう最後になりますが、大韓航空機は単なる事故に対する補償ということで、モントリオール協定での最高の一千八百万以内ということが十分遺族に対する補償で考えられるわけです。ムルマンスクの事件でも五年を経過しておりますが、それなのに被害者の要求額とは大変ほど遠い額、これを示しております。大韓航空の違法性を明確に認めないで、私はどうしてこの被害者の遺族の要求に沿うというふうな補償額が取れるのかということを言いたいわけです。事実を率直に見るならこれは結果的には領空を侵犯したというのは厳然たる事実なんです。この違法性を私はやっぱり認めて、そして大韓航空のこの責任を追及して、遺族の納得のいく解決への道を開いていくべきだと、見て見ぬふりとかこの違法性に目をつぶるとかというふうなことは許されないと、このことを主張申し上げます。  そして、先ほど言い忘れましたけれども、先ほどの公団の問題については、私どもは改めていつかの日に引き続き追及をさせていただく、こういうことを申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきます。
  264. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、酒類行政について質問したいと思いますが、質問に先立って、趣旨説明の部分はメモをデアル調で読ましていただきますので、あしからず御了承願います。  まず、酒税率引き上げの件についてでございますが、新聞報道によれば、大蔵省は五十九年度の税制改正で、一兆円の所得減税の見返りとしてビール等酒税の引き上げを考えているようだが、ビールの場合、酒税が三〇%上がると、現行大瓶一本二百六十五円中に含まれているビール税百二十六円六十六銭が百六十五円になり、約三十八円の値上げになる。毎晩ビール一本の晩酌というのは、日本国民の平均として決してぜいたくではないと思うが、ビール税が三十八円上がっただけで、一年三百六十五日では一万三千八百七十円の酒代アップになり、仮に一兆円減税で一人当たり所得税が一万二千円下がったとしても、見返りに酒税を上げられたのではかえってマイナスである。国民全部が晩酌をやるわけではないが、晩酌族は、こういうごまかしの減税、否増税なら要らないと言っている。政府の見解を承りたいが、減税は一兆円で酒税増は三千億円にすぎないとか、酒税増はまだやるかどうか決めていないなどの逃げの答えではなく、増税なき減税という政策面からお答え願いたい。大蔵大臣見解をお聞きいたします。
  265. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまのお尋ねでございますが、減税の財源について、赤字公債の増発によることは、財政再建の観点からこれは避けなければならないと考えております。また、そもそも現時点の納税者の負担軽減のツケを、端的に言えば後世代にツケを回す、こういうことになるからであります。政府として、財源措置を含む減税の問題については、これはたびたびお答えいたしておりますが、政府には御案内のように税制調査会がございます。税制調査会というところにおきましては、言ってみれば、個別のこの案件ということでなく、三年間にわたって国税、地方税のあり方という大きな諮問をしておるわけです。したがって、国会の議論等も正確にそこへ伝えまして、そうして、いま部会をつくっていただいて、所得税減税とかあるいは企画部会というもので財源をどうするかとか、こういうことを御議論をいただいておりますので、あらかじめ私が——それもだんだん議論がいま詰まっておるさなかでございますので、私が予見を持ったお答えをすることは今日の場合は適当でないというふうに考えております。一般論として申し上げますならば、各税目の負担水準等に配慮した判断というものがなされていくであろうと。したがって個別の税目については、いまもうしばらくの間申し上げる状況にないというお答えに終わらざるを得ないということであります。
  266. 木本平八郎

    木本平八郎君 右のポケットから左のポケットに移すというふうなことはないように、ぜひ増税なき減税を実施していただきたいと思います。  次に、酒税の値下げを考えたらどうかという点についてお伺いしたいと思います。  大蔵省は、ビールのほか二級酒、しょうちゅうなど下級酒の酒税引き上げも考えているようだが、これは、酒税全体を増収したいのと酒類間の税率不公平を是正するためと説明されているが、逆に高級酒の税率を下げることを考えてはどうか。たとえばビールの税率四七・八%を四〇%に下げるのである。そうすると、現在二百六十五円の大瓶一本が二百三十円程度になり、割り安感から、いままでしょうちゅう甲類に移っていた消費者が十人に一人は返ってくるというふうなことも起こり得るだろう。ビールが三・四%売上増になった場合を計算してみると、税収は二百二十億円増加、しょうちゅうの減収分二万八千キロリットルに対する税額が二十億円で、差し引き二百億円の酒税増収になる。これは一例にすぎないが、あらゆるケースについて高級酒の税率の引き下げをコンピューターでシミュレーションしてみるつもりはないか、主税当局の見解をお伺いしたいと思います。
  267. 大山綱明

    政府委員(大山綱明君) 高級酒について値下げ、税率の引き下げをしてはどうかと、そうすれば結局のところは税収増につながることも考えられると、こういうような御提案かと思いますが、ビールと申しますか、酒税、酒全体につきましての税負担は、これは酒それぞれが持ちますところの特性、それからまた消費、大衆酒であるか高級酒であるかといったような消費のされ方、それからまた生産の態様、こういったものに応じまして適切な税負担が定められているわけでございます。過日来、御検討いただいておりました酒税問題懇談会におきましてもこの点の議論はございまして、いまの負担の水準がそっくりそのまま公正妥当なものであるということは必ずしもそうは言っておらないのでございますが、まあまあの税体系になっているかと思います。  ところで、先生がおっしゃいましたビールの負担率を四〇%程度に下げて、そうすれば消費が三・四%ふえてそれによる税収が二百二十六億とおっしゃいましたでしょうか、一方、しょうちゅうの方の消費が減るその分の税収減は二十億程度ではないかと、こういうお話でございましたが、ビールの税負担率を四〇%に下げるということにいたしますと、実は二百二十六億程度の減収ではございませんで、二千数百億の減収になります。実は先生の試算をちょっと拝見をさせていただく機会がございまして、計算をいたしてみたんでございますが、先生の御試算によりますと、二百二十六億の増収になるというのは、新たに消費がふえる分については確かにお説のとおりでございますが、四〇%に下がるということになりますので、いま消費されておりますビールそのもの全部が四〇%に下がるということになりますものですから、その減収というのが非常に大きくなるわけでございます。この二千数百億の減収をそれでは税負担率を下げたからといってほかの消費の拡大によって、あるいはたとえばしょうちゅうの消費の拡大によってこれを償うことができるかということになりますと、しょうちゅうの税負担というのは非常にきわめてわずかなものでございますので、仮にしょうちゅうの消費がゼロになりそれがビールに全部移ったと、仮にそういうことを仮定いたしましても、二千数百億の税収増ということは期待できないわけでございまして、私ども先生の御提案のコンピューターでもっと試算したらどうかという御提案ではございましたけれども、単純な目の子計算でも失うものが非常に大きいという結論でございまして、先生の御提案、せっかくの御提案ではございますけれども、なかなか現実問題として受け入れるわけにはまいらないというのが実情でございます。
  268. 木本平八郎

    木本平八郎君 いまの計算は私も即座にやったものですからまあ少し間違いがあったと思いますけれども、私が申し上げたいのは、要するにビールに限らずウイスキーその他もただ単に上げるんだというふうな思い込みで一方的に頭を硬直化させずに、もっとフレキシブルにいろいろ考えて検討していただきたいと、ぜひこれはいろいろ可能性があると思いますんで検討していただきたいと思います。  次に、サッポロビールが十月一日からビールの値上げを実施したが、昭和五十年、五十五年の経験では、一、二週間の間隔を置いて他社も追随値上げしてくるものと思われる。大蔵省や業界がどんなに否定しても、国民のほとんどはビール業界には談合が存在すると信じている。今回もし三カ月以内に他社も同調、同額の値上げを実施するとなると、やみカルテルの疑いが濃厚だが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の第二条第六項の不当な取引制限に該当するのではないか。また、第十八条の二に基づき当該価格の引き上げの理由について報告を求めることにならないか、公取委の見解をお聞きしたい。まだ事件が発生していないので仮定の問題になって恐縮だが、もしそうなったらという観点から公正取引委員会の姿勢的な方針をお伺いしたいと思います。
  269. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) お答え申し上げます。  先生いま御承知のとおり、ビールはお話の独占禁止法第十八条の二に規定しますコード要件に合っておりますので、私どもとしては同調的価格引き上げの監視対象品目ということにいたしております。したがいまして、新聞報道等で報じられておりますので、ビールの価格の動き、値上げの動向につきましては強い関心を持って私ども見ておるところでございます。  先生も仮定のお話であるがとお断りいただきましたけれども、確かに御指摘のように過去ビールにつきましては同調的な価格引き上げ等行われたことがございます。したがいまして、今回の場合におきましてもまだこれからでございますが、結果におきまして、たとえば首位事業者を含みます二以上の主要事業者が同率の率または額で価格を引き上げるというような事態ができました場合には、これは法律要件に合うことになろうかと思いますので、調査をいたしましてもし法律要件に合うということになりますれば、これは法律の規定に従いまして値上げ理由の報告をいただくと、こういうことにいたすことになろうかとこれは思います、仮定の問題でございますが。  それから、御指摘のビールの値上げの背後にやみカルテルみたいなものがあるんじゃないかということでございますが、もしそういうような違法なカルテルがあって行われたというようなことで、具体的なたとえば端緒があるということでございますれば、公取といたしまして厳正に対処いたしますことはこれまた当然のことでございます。
  270. 木本平八郎

    木本平八郎君 やはり国民の素朴な疑いなものですから、ぜひそういう煙というかにおいが立ったときには対処していただきたいと思います。  次に、ビール業界は昨年の消費量が対前年比三・二%アップ、ことしの夏は九・九%の伸びで通年でも三%以上の伸びは確実と見られ、比較的順調である。そうして、各社はずっと一割配当を続けており、業績がよいせいかファッション容器の開発競争や過大と思える宣伝広告をしている。値上げの前にこの面の自粛が必要なのではないか。  また、大蔵省は酒類の製造免許を握り、メーカーをコントロールできる立場にあるのだから、ぜひ各種ビールのうちせめて一種類は値上げせぬよう指導できないか。たとえば、一cc当たり一番割り安な大瓶だけは値段を据え置くとか、逆にファッション容器入りの生ビールはいまでも五割も割り高なんだから、ファッション性という意味で値上げを背負わせるなどビール党の消費者に逃げ道をつくっていただきたい、かように思いますが、いかがでございますか。
  271. 山本昭市

    政府委員(山本昭市君) お答え申し上げます。  ことしの夏のビールの売り上げ、確かに八月が猛暑でございましてかなりの量が出たわけでございますが、全体を通じて見ますと、この夏場を過ぎまして、新聞報道等に春の清酒の引き上げに続きましてビールの値上げがあるのではないかというような報道がございました関係で、かなりの仮需要があったわけでございまして、したがいまして通年を見た場合にはビールの売り上げはさほど急速には伸びるものではないというふうに私ども見ているわけでございます。  まあ、このような中にありまして、ビール業界全体といたしまして、この低成長下におきまして需要全体が伸び悩みでございます。そういう中におきまして、やはり新製品の開発でありますとか、あるいは広告宣伝費の投入ということによりましてビールの需要促進を図ると、こういうことが非常に大きな装置産業でありますのでコストの低下につながりまして、消費者の皆様に安いビールを提供できるのではないかということによりまして、かなりそういった新製品の開発の努力をいたしておるわけでございます。まあ宣伝関係の経費が過大ではないかという御指摘があったわけでございますが、この売上高に対します広告宣伝費の割合でございますが、ビール企業は売り上げに対しまして一・四%という数字でございます。食品全体で一・八%。これは日本銀行の統計局の資料でございますが、そういったことで私どもとしましても過大な広告、これはいけないと思っておりますけれども、そういった消費の需要が適正に促進されるようなそういうような広報活動が行われているというふうに考えているわけでございます。  それからもう一つ御指摘のせめて多く売れる、皆さん方が愛用するビールにつきましては値段を据え置いたらどうかということでございますが、そもそもビールの価格が自由価格でございます。個々の企業がコスト事情やあるいは消費者に対する影響等を踏まえまして自主的にその価格を決定しているわけでございます。特にその売れ行きを見まして、その展望を見ました上で企業の基本的戦略としてそれぞれがお考えになることでございまして、なかなか行政指導によりましてそういうことを迫るのはむずかしいわけでございますが、ただせっかくの御質問でございますので、先般のサッポロビールの値上げの資料を見てまいりました。その結果、大瓶が一〇〇といたしますと、二リットルのたるに入りましたものが一四四・四というふうに、先生がお考えになっておられますようなそういう値決めが、それぞれ企業の自主的な判断で行われているというふうに考えております。
  272. 木本平八郎

    木本平八郎君 国民というか、消費者の立場としては、そういういろいろの事情もあるんでしょうけれども、やはりコントロールされている業界だという、免許でですね、そういう業界であるだけにできるだけ消費者あるいは国民に還元してくれるように、やはり今後とも御指導いただきたいと思います。  次に移ります。次は卸、小売の酒類販売免許についてお伺いしたいと思います。  大蔵省はかねがね酒類販売免許を温存する理由として次のように説明している。一、酒税は製造場移出課税方式でメーカーが納税義務者だが、流通段階からの代金回収に支障が生じるとメーカーの酒税支払い能力にも影響する。また、課税物件の特殊性からかなり高税率になっておる上、消費税の性格上消費者に最終転嫁するまでのコントロールが必要で、卸、小売にも中間徴税機能を担わしている。二、酒類は致酔飲料で、未成年者対策としての社会道徳上及びアルコール中毒など国民健康上の観点から、販売を野放しにできない。三、その他、酒類の需給調整機能、業者の零細性、酒類価格の安定効果、国民飲酒量の頭打ち、諸外国の免許制及び免許を廃止した場合の酒店所得税の脱税懸念、酒類行政事務量の増加など、多分に詭弁的な理由づけがある。  そこで私の見解と質問だが、一、高額の物品税を負担している商品は酒類のほかにもガソリン、宝石、自動車、毛皮類、ピアノなど幾つもあるが、物品税には間接的な徴税機関機能が必要だとなると、これらの販売もみんな免許制にしなければならないことになる。高い税率という点だけでは、酒類の平均税率が昭和五十六年度販売高約四兆五千億円に対して課税額は一兆六千六百九十四億円で平均三七%、これに対して揮発油税は三六・四%でほとんど変わらない点を御留意願う。二、一般に産業界では販売における貸し倒れ防止や代金回収不能のリスク回避を経営管理の最重要事項の一つとしている。メーカーも常日ごろから代理店や販売店管理、取引先や顧客、卸、小売等の販売網の与信には最大限の神経と努力を払っており、取引先の倒産や代金回収不能からメーカー自身の経営を危うくされないように対処するのが経営力である。なぜ酒類メーカーだけが代金回収のリスクを免除されなければならないのか。そういう弱い販売管理能力のメーカーこそ経営基礎が危ういとして製造免許を取り上げるべきではないか。三、酒類の致酔性及び国民健康上の問題であるが、現在の卸、小売店がその面でどれだけの努力をし、役割りを果たしているか。自販機の普及で、だれでも、いつでも、どこでも必要なだけ買えるようになっている。自販機の制限こそ先決ではないか。また、アルコール中毒対策としては広告、宣伝の自粛やはでな容器競争による過度の飲酒刺激こそ慎ましめるべきではないか。  以上、いままで大蔵省が酒類販売免許存続の理由として挙げてきた諸項目は、現時点では多分に詭弁的で説得力に欠ける。価格硬直性を起こし、消費者を犠牲にしてまで免許制度を続ける積極的な理由をお聞かせ願いたいと思います。
  273. 大山綱明

    政府委員(大山綱明君) 三点御質問ございましたが、第一点について私からお答えを申し上げ、第二点、第三点は国税庁の方からお答え申し上げます。  第一点の酒類小売等の免許の問題でございますが、免許制度を設けております趣旨は、先生がつぶさにお述べになりましたその特に第一点ないしは第二点からでございます。繰り返しになりますが、大変高い税率の負担を負っておると、その酒税の保全上免許制度というのが必要だということが最もポイントでございますが、昭和十三年にこの免許制度が導入されまして、それまでは免許制度というのがなかったんでございますが、そのとき中小零細な小売店が過当な競争によって倒産をするというようなことが相次ぎまして、酒税確保上問題が生じたと、そんなところから昭和十三年に設けられた制度でございます。その時点におきましても揮発油税というのもあったのでございますが、当時の税率水準とかいったものも考慮されて、酒についてだけ免許制度が設けられたようでございます。  そこで、先生のお尋ねは、なぜ同程度の負担水準、かなり高い負担を負っている他の品目について免許制度がないのかというお尋ねでございますが、具体的な負担率を見ますと、酒の場合には平均的には三七%でございますか八%でございますが、そうでございますが、ビールのようなものは四七%を超える負担率、中には五〇%を超える負担率のものもございます。それに対しまして、その他の物品たとえば宝石、毛皮類をとりましても一三%程度、ピアノというお話もございましたが、ピアノは八・九%の負担率といった状況でございまして、他の物品税の課税対象品目は酒に比べますと相対的に低い状況でございます。もう一つ御指摘のございましたガソリンの問題ございましたが、ガソリンは三四・七%でございます。ガソリンにつきましても販売業者のお立場の方々からいろいろな御意見が出まして、これは揮発油販売業法というのが通産省の業界法、業法としてできておりまして、揮発油の販売業の登録制度を設けております。これには登録の人的な拒否要件や規模の規制なども盛り込まれているのでございます。ガソリンについてもかなり高い負担をお願いしておるということから、これは業法の方で若干の手当てがあるという点があろうかと思います。  なぜ揮発油は通産省の法律で、もう一つの酒は大蔵省の酒税法であるかという点は、これは沿革的な面がかなり強いと思いますが、両方ともまあまあいまうまくいっている状態でございますので、いまの状態でよろしいのではないかと私ども考えている次第でございます。
  274. 山本昭市

    政府委員(山本昭市君) 第二点のお尋ねは、販売管理能力の弱いメーカーは製造免許を取り上げるべきではないかと、こういう御趣旨だと思いますが、ただいま主税局から説明申し上げましたように、酒類の製造業者は非常に高額な酒税の納税義務者でございまして、その所得の有無、あるいは利益の有無に関係なしに、法律上はこの酒税を納付する義務があるわけでございます。したがいまして、こういう代金回収不能といった事態が多発化いたしました場合には酒税の安定確保が図れなくなると、こういうおそれがあるわけでございまして、こういったことを考慮いたしまして酒販免許制度は設けられているわけでございます。実際問題としましては、酒類製造業者はその経営上貸し倒れの未然防止には十分に配意していると思うわけでございますけれども、仮にそういう事態がありました場合におきましても、直ちにそれだけをもちまして経営能力がないということで製造免許を取り消すことはいかがかということでございまして、酒税法十二条におきまして製造免許取り消しの事由が規定されてございますが、実はこの経営基礎が薄弱である場合ということは取り消し事由になってないわけでございます。免許を新たに与える場合には経営基礎が薄弱であっては困るということでございますが、取り消し事由になっておりません。  それから第三点でございますが、この酒類の致酔性あるいは健康に与える影響から卸、小売の人たちが一体どういう努力をしているかということ、自販機の制限あるいははでな宣伝、広告は自粛すべきではないかということでございます。こういった点をそれぞれ酒類卸、小売業界におきましては十分に認識をいたしておりまして、公正取引委員会の御認定をいただきまして、酒類の表示に関する公正競争規約というものを制定いたしております。それによりまして、自販機の夜間の販売の制限、あるいは未成年者、ドライバーに対する飲酒禁止のステッカーを表示するというようなことを行っておるわけでございます。なお、自販機につきましては、自販機だけの免許は行っておりません。昭和四十八年以来そういう取り扱いでございます。  それから、酒類の広告、宣伝につきまして健康対策から自粛すべきであろうということにつきましては、酒類業界が中心になりまして社団法人アルコール健康医学協会というものをつくっております。その事業を通じまして適正飲酒の普及に努めているところでございます。
  275. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃ最後に、これはお答えいただかなくてもいいんですけれども、うわさによれば、酒類の販売免許は二、三千万円の権利金で売買されているとか、また酒飯業界は酒類一リットル当たり一円の政治資金を拠出し、七十億リットル分七十億円で販売免許存続を図っているとの勘ぐりもあるが、消費者の目から見ればいかにもありそうなことである。この疑惑を払拭するためにも、不合理で説明のつかない販売免許は即時撤廃が望ましい。それとも大蔵省は「利下に勘ぐりを正さず」という方針なのか。最後に、今国会は行革国会と言われているが、第二臨調の答申にもあったように許認可の見直しをぜひ進めてもらいたいが、その先陣として酒類の販売免許廃止をぜひ御検討願いたい。  以上お答えいただく必要はございませんが、以上をもって私の質問を終わります。
  276. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は十月五日午前十時に開会し、本日に引き続き総括質疑を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会