○
佐藤観樹君 私は、
日本社会党を代表して、ただいま御
提案のございました
自民党案に対しまして反対の
立場から、
選挙運動と
民主主義の
あり方、
日本の
政治の浄化について、八点ばかり
質問をしてみたいと思うわけでございます。
近代の
民主主義社会におきましては
代議制度をとるわけでございますから、
選挙法というのは
有権者の
方々と
議会とを結ぶパイプの役でございます。
選挙法が
一定の
ルールの中でどれだけ自由に
選挙運動ができるかどうか、これはいわば
民主主義がどれだけ徹底をしているかのバロメーターになるわけでございまして、その
意味では、この
観点に立って、いま御
提案がございましたことはすべて
規制規制、
選挙運動を厳しく制限をすることになるわけでございますから、私は残念ながら、自由民主党と名乗りながら
民主主義を後退をさしていく
法案ではないかと言わざるを得ないのでございます。(
拍手)
特に、御列席の
議員の
皆さん方に御注意をいただきたいわけでございますが、私
たちは、
国民を代表する、
法案を
審議をする、賛否を明らかにする権限を与えられております。税法なりあるいは年金の
法案なりは確かにそういう
立場でございますけれども、
選挙法につきまして、私は特殊な
立場にあると思うわけでございます。
選挙法というのは、いわば私
たちは
審判をされる側でございまして、
審判をする側の
国民とはいわば
選挙法を境にして相対峙する
関係になるわけでございますから、
審判をする方の
有権者、
国民の
皆さん方がどう思っているかということについて
十分認識をしながら
法案を扱わなければならぬと思うのであります。(
拍手)
議員の
皆さん方が、私も含め、なるべく楽でいい、あるいは心理的になるべく
日数を少なくして、そして楽な
選挙をやろうという
観点だけでこの
法案というものを論じてはならぬと私は思うわけでございます。十分にひとつ
審判を下す
国民の側の
意見を聞きながら、この
法案を
考えるべきだと思うのであります。
まず第一点、お
伺いをしたいのでありますけれども、十一月解散、十二月
選挙ということがほぼ政界の中では
常識化をしているときに、その
直前に
選挙法を
改正をするということは一体どういうことなのか。私は、これは
ロッキード隠しじゃないのかな、
自民党さんは、なるべく
選挙運動を短くして、批判をされる
日数を減らしたり、
立会演説会で
自分の党から、私は
田中派じゃありませんと言って、攻撃を受ける、この
機会をなくしていこうということではないのか。
選挙を
直前にしてこんな
選挙法の
改正をするというその真意について、私はもう一度御
説明をいただきたいと思うのであります。
第二番目の
質問は、
自民党さんがこのような
選挙法の
改正を言ってこられる前に、私はこれは七月の
臨時国会のときにも申し上げましたけれども、十年来いろいろと積み残している問題があるわけでございます。
たとえば
参議院の
定数是正の問題でございます。今度の
参議院選挙でも、十六万票で
当選をしましたけれども、六十四万票近くで落ちられたという方もいらっしゃいます。いまや
神奈川県と
鳥取県との
人口の比率というのは一対五・五六倍、つまり、
鳥取の
方々の
政治的な権力というのは五・五六倍になっているということでございまして、これを
裁判がどうだこうだといって、
判決が出るからとか、
裁判によって
改正をするということではなくて、私は
判決など以前の問題だと思うわけでございます。
大変手前みそでございますけれども、私の
愛知県は
人口が六百二十万でございます。
定数三名です。
北海道は、
人口が
愛知県より少ない五百六十万でございますが、
定数は四名でございます。
神奈川県は、六百九十万近く
人口があるわけでございますけれども、
定数は二名でございます。これをいつまでも放置をして本当に正しい民主的な
政治というものができるのかどうなのか、このことは
皆さん方もよく御承知だと思うわけでございます。現
定数の中で
参議院議員の
定数是正をやるのかどうなのかも含めまして、
自民党は、この十年来の
定数是正について一体どういうふうにこれから
定数是正を図っていこうとするのか、
日程的な
めどを
国民の前に私は明らかにすべきであると思うのであります。
もう一つ残っている問題は、初めて行われました
比例代表制の
選挙運動の問題でございます。これは
法案審議の中でもずいぶんと議論がございましたけれども、せめて
候補者あるいは
名簿登載者に車一台
街頭で訴える
機会があってもいいのではないか、あるいは
推薦はがきも
一定の枚数はあっていいのではないか、あるいは私が出ておりますということを示すポスターというのが若干なりともあってもいいのではないか、もう少し拡大をして、
公営の
選挙の中でこういった
政党の支持を訴える手段というのがもう少しあってもいいのではないかという声が今度の
参議院選挙の
比例代表制でもあったと思うのであります。鉄は熱いうちに打てと申しますけれども、
選挙が終わって、そしていろいろな論点が出たときに、私は、なるべく早くこういったものを
改正をしていくべきだと思いますけれども、
提案者自民党の方のお
考えと、この
改正の時期的な
めどについて御
意見を伺っておきたいと思うのであります。
その次に、
本案の中身の問題でございますけれども、
日数の問題、確かに
衆議院の場合には、
昭和三十三年から今日まで二十五年間、二十日間の
選挙運動が行われてまいりました。そして、その前には五日間二回縮めてまいったわけでございますが、だからといって二十日間を直ちに十五日間にしていいということにはならないと私は思うのであります。第一、
北海道のように大変広いところを十五日間でやれということは、
有権者との間で接点が大変少なくなるわけでございます。しかも、短くなればなるほど
選挙の前に
事前運動をやっていかなければならぬ。この
事前運動というのは、
選挙法の中では
大変霧の中でございまして、どこまでが
事前運動が、これは結局
警察の判断によらなければいかぬ。
選挙というものが絶えず
警察の
監視のもとにやられるという、私は決して好ましいことにならないのではないかと思うのであります。しかも、
町村の
選挙のようにわずか五日間でやれということになりますと、日曜日が全く入らない。もう働いている
方々は
候補者の顔を見る
チャンスもほとんどないというような、こういった
選挙法で果たしていいのかどうなのか。
また、
選挙運動時間にいたしましても、朝の七時を八時ということでございますけれども、いま、御存じのように
日本の
社会の中で大きく出ておりますことは、住んでいらっしゃるところと職場というものが
一致をしない。八千三百万
有権者のうちのどのくらいが
一致をしないか、これは数字的にはっきりいたしませんけれども、かなりの
勤労者の
方々は
職住分離の状況でございますし、また、共稼ぎで昼間ほとんどいない。
自分の住んでいるところの
候補者にほとんど接する
機会がない。これを朝八時などといたしますと、もう
有権者の
方々は
候補者とほとんど接する
機会がなしにやらなければならぬ、こういうことになってくるわけでございまして、私
たちは、これはきわめて大変な問題だと思うわけでございます。一体こんなことをやって、
有権者から
棄権という大変なしっぺ返しを食うのではないか。そうじゃなくても
棄権が大変ふえているわけでございますから、お互いにこのことは心して、この
選挙運動時間についても、私
たちは
現状に戻すべきだと思います。
立会演説会にいたしましても、確かにこれは
場所場所によりましていろいろな違いがございます。また、
市長選挙や
県知事選挙のように一対一で
選挙をやるという場合には、この
立会演説会というのは大変有効になるわけでございます。また、
衆議院選挙でもこれが十二分に活用されているところはございます。私は、
費用をちょっと調べてみたわけでございますけれども、
立会演説会一回やりましても、
費用は五千円から、平均をいたしまして三万四千円ぐらいしかかからないわけでございますから、金や時間が大変かかるものではないわけでございますから、十二分にこれは残しておいていいのではないか、より有効に使うことを
考えでいいのではないか、あえて
廃止をする
理由はないのではないかと私は思うわけでございます。どうぞそういった
意味におきまして、
日数なり
運動時間なり、
立会演説会をなくすということは、
投票率がますます下がっていくことに通じていくことを私は
大変危惧をしておるわけでございますから、あえてこれに踏み切らなければならないより積極的な
理由について、再度お
伺いをしておきたいと思います。
四番目は、私は、
選挙運動というのは
一定の
ルールの中でなるべく自由に行われるべきだと思います。その
意味におきまして、なるべく
お金がかからずに、なおかつ
有権者の
方々と目と耳から十二分に接することができる
選挙法というものをさらに拡充していく必要があるのではないだろうか。
たとえば、第一に、
政連カーと申します
政党の
政策宣伝をする車でございますが、わが党の場合のように、
衆議院で百二、三十名の
候補者を出すところでもわずかに三十台程度でございます。四十七
都道府県、百三十
選挙区がある中で、
候補者カーと、わずか三十台の
政党の車しか走ってない。これでは余りにも
有権者の
方々に訴える
チャンスが少ないと私は思うのでございまして、ひとつ
政連カーをいまの倍ぐらいふやしてみたらどうでしょうか。
それから二番目に、
政党の
政策のPRの時間でございますが、今度、
参議院選挙でもやりましたけれども、こういった
政党の
政策をテレビを通じて
国民の
皆さん方に訴える、こういう
選挙法を拡充してもいいのではないかと思うのであります。
三番目には、
個人ビラでございますけれども、いまや
政党機関紙の
号外等は禁止をされておるわけでございますから、証紙を張ります
個人ビラのみでございます。いま
定数掛ける二万枚ということになっておるわけでございますが、これでは
当選に達するまでに
ビラが配れません。ひとつこれにつきましても、たとえば三万枚掛ける
定数というほどまでふやしてみていいのではないかと思いますけれども、御
意見を承りたいと思います。
それから
戸別訪問でございますけれども、これは私は、全部を直ちに解禁をするといいますと、
自民党さんの方が
大変抵抗が強いと思いますので、ひとつこれは
一定の人数、腕章をいたしまして、その
方々のみが
戸別訪問ができる、こういう新しい
制度を設けていったらどうだろうかということを思うわけでございますけれども、ぜひその
実現方に向けて御
意見を賜りたいと思います。
もう一つ申し上げていかなければいかぬのは、
地方選挙の
公営の問題でございます。これも
地方議会の
お金の
関係ということでなかなか進みませんけれども、やはりこれも公選法の
改正等によってこれを促進する方法というのは
考えるべきではないかと思いますけれども、御
意見を賜りたいと思います。
さて次に、いまの
政治というのは
大変綾がかかるということが大変大きな問題になっているわけでございまして、かつては
政治というものが知性の
政治あるいは徳の
政治、ときには武士の
時代には武力による
政治という
時代もあったわけでございますけれども、いまや金によるところの
政治の支配という、こういう大変忌まわしい事態になっているというのが
現状ではないでしょうか。
そこで、私は、
政治資金規正法の
改正の問題について
自治大臣及び
総理大臣にお
伺いをしていきたいわけでございますが、いまの
政治資金規正法というのは大変な
抜け穴だらけでございます。たとえば
総量にいたしましても、もらった
お金というのを必ずしも完全に帳簿に載せなくても、これはチェックする
機関がございません。これをどこがチェックするか。いわば
皆さん方が正確に出していたただいているという前提に立っているわけでございますけれども、どうも必ずしもそうなってないようでございまして、こういった
総量規制に対して何らかの
監視をする機構をつくっていかなければならぬのではないかと思うのでございますが、その点いかがでしょうか。
あるいは大変盛んに行われています
パーティーでございますけれども、これは必ずしも
政治団体が行うということではないものですから、
発起人とかあるいは
実行委員会方式になりますと、
自治省に届けられている
収支報告書というのは、行われた
パーティーの約三分の一ぐらいしか
収支報告がなされてないというのが
現状のようでございます。果たしてこれで本当に
国民の
皆さん方が、ああ
政治は
政治資金規正法の枠のもとできれいにやっているなと思っていただけるかどうかについて、私は大変疑問だと思います。そういった
意味では、いわばみなし規定などを設けて、この
パーティー等についても
申告をしなければならぬという
方式に変えていくべきではないでしょうか。
あるいは
個人献金につきましても、五十六年には
改正をされましたけれども、そのときにも問題になりましたように、
個人が
指定団体に入れる、入れた
指定団体から
個人がどれだけ引き出そうと、何をやろうとさっぱりわからないというのがこの
制度でございまして、この
保有金につきましても、五十七年度お届けになりましたのは
自民党の中のただ一人という、心配していたとおりのことになっているわけでございます。この
個人献金の
あり方についても、登録の
あり方についてもさらに検討を加えていく必要があると思うわけでございます。
それからまた、よく
政治資金につきましては
透明度ということを言われますけれども、百万円以下のことは表に出さなくていいということでございますので、私
たちのように百万円以下の
献金しかない場合には
透明度ゼロになるわけでございます。これも
制度的には大変おかしな
制度でございまして、その
意味では、せめて百万を五十万に少額にしていく、なるべく公開できるようなやり方に変えていく必要があるのではないかと思うのであります。
それから、
政治資金規正法の
附則八条に、
個人献金への道をより一層五十五年以降
考えるという
附則がついているわけでございますが、これも
自治省が責任を持って何ら対処をしているようには見えません。その
意味では、
個人献金をより一層ふやしていくにはどういうふうにすべきかということも
考えてみなければいかぬと思うのであります。「水清ければ魚すまず」という言葉がございますが、いまのような
現状をそのまま肯定して、果たして本当に
政治の信頼が得られるのかどうなのか、このことを
皆さんと一緒に
考えてみなければいかぬと思うのであります。(
拍手)
質問の六番目は、いま
自民党さんの方では
政党法の研究が進んでいるようでございます。
私はそこで申し上げたいのでございますが、
個人献金はなかなか少ないので、ひとつ
政党に対して常時
資金援助をしようということで
政党法を研究されているようでございますけれども、確かに
政党というのは
議会制度の中で大変重要な位置づけを持っていることは私も否定しません。ただいまのように、たとえば
自民党さんの収入が
申告されただけで百二十六億、各派閥の
申告を合わせますと、ほぼその半分の五十四億ばかりあるわけでございます。
政治資金と言われるものが全部で一千九十四億円、これは
中央に届けられたものだけでございまして、
地方に届けられたものはその約半分の六百七十億、こういうことでございますから、膨大な
政治資金が使われている。これはそのままにしておいて、そして今度は国から
政党に対して
補助金をもらおうということについては……