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1983-10-11 第100回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月十一日(火曜日)     午前十時二十一分開議 出席委員   委員長代理 理事 加藤 紘一君    理事 亀井 善之君 理事 北口  博君    理事 玉沢徳一郎君 理事 小川 国彦君    理事 日野 市朗君 理事 武田 一夫君       上草 義輝君    小里 貞利君       川田 正則君    岸田 文武君       北村 義和君    近藤 元次君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       三池  信君   三ッ林弥太郎君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       田中 恒利君    竹内  猛君       前川  旦君    安井 吉典君       神田  厚君    寺前  巖君       藤田 スミ君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産省食品         流通局長    小野 重和君         水産庁長官   渡邉 文雄君  委員外出席者         労働省婦人少年         局婦人労働課長 佐藤ギン子君         自治省税務局府         県税課長    湯浅 利夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十一日  辞任         補欠選任   前川  旦君     島田 琢郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     前川  旦君     ――――――――――――― 十月七日  商社養鶏進出阻止養鶏安定法制定等に関す  る請願外一件(小沢貞孝紹介)(第二一〇号  )  同(神田厚紹介)(第二一一号)  同(吉浦忠治紹介)(第二六〇号)  同外三件(串原義直紹介)(第二九六号)  同(竹内猛紹介)(第二九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月六日  食糧の安定確保並びに米穀政策確立に関する  陳情書外八十七件  (第八四号)  異常低温等による農作物の被害に関する陳情書  (第八五号)  農畜産物輸入自由化枠拡大阻止に関する陳  情書外五件  (第八六号)  農業振興対策整備強化に関する陳情書外一件  (第八七号)  農業構造政策強化推進に関する陳情書  (第八八号)  中国山地における農業基盤整備事業等推進に  関する陳情書  (第八九号)  ため池改良工事補助率に関する陳情書  (第九〇号)  水田利用再編対策推進に関する陳情書  (第九一号)  水田利用再編第三期対策充実強化に関する陳  情書外六件  (第九二  号)  畜産経営拡充強化に関する陳情書  (第九三号)  自主流通米助成制度の堅持に関する陳情書外一  件  (第九四号)  林業振興対策拡充強化に関する陳情書外一件  (第九五号)  保安林整備対策に関する陳情書  (第九六号)  竹島周辺漁業安全操業確立に関する陳情書  (第九七号)  韓国漁船に対する漁業水域法の適用に関する陳  情書(第九八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十八年産  畑作物価格問題等)      ――――◇―――――
  2. 加藤紘一

    加藤(紘)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により、私が委員長の職務を行います。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  てん粟てん菜糖、芋、でん粉及び大豆をめぐる最近の情勢について政府から説明を聴取いたします。小野食品流通局長
  3. 小野重和

    小野(重)政府委員 私からは、てん菜及びてん菜糖、また芋、でん粉関係情勢につきまして御説明申し上げます。  お手元に「てん菜及びてん菜糖関係資料」がございますが、これに基づきまして、まず御説明申し上げます。  まず第一ページをお開きいただきたいと存じます。ここには、砂糖及び異性化糖甘味全体でございますが、その需給関係の表が載せてあります。一番右の欄の砂糖プラス異性化糖、これが甘味全体でございますが、その需要量のところをごらんいただきますと、大体三百万トンを超える水準でほぼ横ばい推移しております。その中で、右から二番目に異性化糖需要量がございますが、御案内のように五十二年以降急激にふえてまいりまして、五十七年度は五十万トンのレベルまで達しております。その影響を受けまして、一番左の砂糖需要量でございますが、この数年急激に落ち込んでいるということでございます。その中で、国内産糖でございますが、てん菜糖は逐次増加しております。甘薦糖鹿児島沖縄ともほぼ横ばい、若干ふえているかなという感じ状況でございます。したがいまして、真ん中の右の方の輸入実績輸入糖でございますが、その影響を受けまして、二百数十万トンのレベルでありましたものが、去年は百六十万トンというふうに激減したわけでございます。全体はそういう状況でございます。  二ページでございますが、国際糖価推移でございますが、昨年は、各国の大増産、また消費の低迷によりまして、トン当たり百ポンドを下回る水準まで落ちましたけれども、最近では主要生産国の不作もございまして、百五十四ポンド、ごく最近では、九月の数字でございますが、そういうところまで回復いたしております。  それから三ページの国内糖価推移でございますが、特に左の卸売価格推移をごらんいただきたいと思いますが、昨年は、ただいま申し上げましたような国際糖価低迷に加え、特例法の廃止後のいわば競争激化によりまして国内糖価水準が大変落ち込んでまいったわけでございますが、最近では、国際糖価の回復ないし各メーカーの糖価維持努力もございまして、九月はキロ当たり二百十円という水準まで回復いたしております。  四ページは、さらにその最近の状況をグラフにしたものでございますが、特に御注目いただきたいのはビート市価でございます。ビート市価上白市価よりも若干高いのがノーマルな状況でございますけれども、ことしの春あたりは上自の市価を下回っている水準でございました。最近では、全体の糖価水準の上昇に加え、ビートの方が若干上白市価よりも高いという正常な状態になっております。  次に五ページでございますが、てん菜及びてん菜糖生産実績でございます。左の作付面積でございますが、五十一年に四万二千ヘクタールという水準まで落ち込みましたけれども、その後の生産対策あるいは価格対策等もございまして、作付面積が逐次ふえておりまして、最近では七万ヘクタールの水準にまで至っております。一方、ヘクタール当たり収量でございますが、これは逐次増加いたしております。そのために生産量相当勢いでふえてまいっております。一方、歩どまりも逐次増加傾向にございまして、産糖量といたしましては、五十七年は六十一万トンという水準まで上昇してきたわけでございます。  それから六ページは、てん菜最低生産者価格及びてん菜糖事業団買い入れ価格でございますが、最低生産者価格は、五十七年、去年でございますが、二万百八十円、奨励金を加えましたものが二万一千二十円ということでございます。買い入れ価格はこれに製造経費等を加えたものでございます。  それから七ページにてん菜生産費推移を掲げてございますが、右から三番目の第二次生産費、十アール当たりでございますが、これは逐年増加しております。ただ、トン当たりの第二次生産費収量との関係がございますので、年ごと相当の振れがあるという状況でございます。  それから八ページは関係予算でございますが、特に御説明は省略させていただきます。  最後に九ページの農業パリティ指数推移でございますが、八月のパリティ指数が出ておりまして、前年対比で九九・七一という水準でございます。昨年の八月は一〇一・七一ということでございまして、物価鎮静傾向といいますか、物価鎮静がさらに進んでおるという状況がうかがわれるわけでございます。  以上がてん菜関係でございまして、次は「いも・でん粉関係資料」をお開きいただきたいと思います。  まず一ページでございますが、カンショ及びバレイショ生産状況でございます。カンショにつきましては、左の作付面積、大体横ばいという状況でございます。十アール当たり収量につきましても、二千キロを若干上回る水準でおおむね推移し、したがいまして収穫量も大体百三、四十万トンという水準推移いたしております。この中で、これはカンショ全体でございますので、南九州のものがでん粉用でございますが、それがここに含まれている、こういうことでございます。それから春植えのバレイショでございますが、北海道主力でございます。右の方の作付面積、これも大体七万ヘクタール前後でございます。この大体半分がでん粉用ということでございます。十アール当たり収量は若干増加傾向にあるかなという感じのものでございます。収穫量も二百数十万トンの数字推移いたしております。  それから二ページはでん粉でございますが、カンショでん粉につきましては、最近は十一万トンぐらいの水準でございますが、若干ふえているかなという感じのものでございます。馬でんでございますが、これも豊凶によって大分違いがございますが、傾向としては増加傾向にあるということが言えると思います。でん粉主力は申し上げるまでもなくコーンスターチでございまして、異性化糖の増に対応いたしまして最近は相当勢いで伸びてきたわけでございます。  それから三ページでございますが、でん粉総合需給表でございます。右の五十七年の見込みのところをごらんいただきたいと思いますが、供給量トータルといたしまして二百五万四千トン、そのうち甘てんが十一万九千トン、馬てんが二十九万五千トン、コンスが百五十万六千トン、こういうことになっております。その需要でございますが、計のところで水あめ、ブドウ糖、異性化糖が百二十四万トンでございまして、これが過半を占めております。そのほか、まだ内訳は五十七年ははっきりしておりませんので一括しておりますが、水産練り製品とかあるいはグルタミン酸ソーダとか、その種のものをトータルで七十八万三千トン、こういう状況になっております。  四ページはでん粉価格推移でございますが、これは五十七年の平均のところで一番下でございますが、馬てんトン当たり十八万、コンスが十万というような水準でございます。  それから五ページは原料基準価格買い入れ基準価格でございますが、御案内のように原料基準価格は、カンショの場合は五十七年で二万八千百五十円、バレイショは一万七千四百八十円でございますが、カンショの場合はそれに奨励金を加えたカンショ取引指導価格、これが実際の手取り水準でございます。三万六千二百六十七円という水準になっております。これに製造経費等を加えたものが買い入れ基準価格になるわけでございます。  六ページで生産費にいきまして、生産費推移でございますが、これも一番右のトン当たり第一次生産費のところをごらんいただきますと、五十七年は三万二千七百二十円でございまして、三万円を若干上回る水準で最近推移しております。  原料用バレイショは七ページにございまして、一番右のトン当たり第二次生産費、去年は一万六千七百四十円でございました。これは豊凶の差によりまして大分振れがございます。ごらんのとおりでございます。  それから、八ページの予算関係は省略させていただきます。  九ページのパリティ指数は、てん菜糖と同様の表を掲げてございます。  以上でございます。
  4. 加藤紘一

  5. 小島和義

    小島政府委員 お手元に差し上げてあります「昭和五十八年産大豆基準価格関係資料」につきまして御説明申し上げます。  一ページにございますのは年次別生産状況でございまして、一番右の欄に収穫量が載っておりますが、四十年代後半に十一、二万トンの水準まで低下いたしましたものが、昨今では二十万トンの台を回復いたしておりまして、おおむね倍増もいたしておるわけでございます。  二ページ目でございますが、全国並びに北港道都府県別作付面積でございます。本年の場合、特に水田利用再編対策目標面積を軽減いたしましたことに伴いまして、特に田を中心にいたしまして作付面積が減少いたしております。  三ページ目は作柄でございますが、主要県平均作況指数一〇四でございます。北海道が本年の場合非常に冷害にやられまして、平年対比六八%という大変低い水準に相なっております。このことが影響いたしまして、全体の主要県合計収穫予想といたしましては、一万八千トンばかりの減少が見込まれておるわけでございます。  四ページ、五ページはその作柄につきましての統計情報部の発表をそのまま収録いたしましたもので、作柄影響いたしました気象要因等を整理いたしております。  六ページは、出回り量を中心にして見ました大豆年次別需給事情でございます。先ほど申し上げました約二十二万トンの生産がございますが、出回り量として約十六万トンぐらいでございます。全体の需要量が四百六十万トンぐらいでございますから、全体の中ではウエートはきわめて小さいわけでございますが、下に書いてございますように、長期的には食用の大豆の約六割ぐらいのものを自給いたしたいということで努力をいたしておるわけでございます。  それからその次の七ページでございますが、最近の値動きでございまして、輸入価格、それの国内到着時におきますところの包装込み価格、昨年十月以降の価格は非常に市況低迷いたしておりまして、一トン当たり三千円台の価格の月が続いたわけでございまして、平均いたしましても前年等に比較いたしましてかなり低い水準になっております。そういう影響もございまして、右にございますように国内産大豆販売価格は五千二百六十四円ということに相なる見込みでございます。  それから八ページ目は最近の基準価格推移でございまして、一番左の欄に基準価格推移が載っております。このところ数年間は、大体てん菜糖との横並びで同じような価格の取り決めをいたしておるわけでございます。この基準価格とそれから先ほど申しました大豆平均販売価格、その二つを組み合わせましたものが不足払いになるわけでございまして、その仕組みにつきましては、別途一枚刷りで差し上げているのをごらんいただきたいと存じます。  それから九ページは大豆生産費についてでございまして、これも相当作柄変動が激しいものでございますから、二次生産費の一番右の欄でごらんいただきますとおわかりのとおり、かなり年による変動が激しゅうございます。  それから十ページでございますが、最近の交付金交付実績でございます。五十七年産の場合には、先ほど申し上げました国産大豆価格低迷によりまして二百三十億円余の交付見込みになるであろうというふうに想定されております。  十一ページ目は大豆生産振興対策関係予算でございまして、お読みいただければ幸いでございます。  以上でございます。     —————————————
  6. 加藤紘一

    加藤(紘)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
  7. 新盛辰雄

    新盛委員 まず、ただいま説明のありました五十八年度産の畑作問題について質問をいたします。  この価格決定の時期ですが、これは農林水産省としてはカンショを十月十七日、サトウキビを十月二十八日というふうに、公表されたわけじゃないんでしょうが、大体そういう腹づもりだと聞いておるんですけれども、事実ですか。
  8. 小野重和

    小野(重)政府委員 芋でん粉それからてん菜関係につきましては今週の金曜日、十四日でございますが、決めたいと思っております。それから、サトウキビはまだはっきりと決めておるわけじゃございませんが、今月の下旬には決めたい、かように存じております。
  9. 新盛辰雄

    新盛委員 きょうは大事な、そういう意味では審議をする機会としては適当だと思うのです。  大臣にお伺いをしますけれども、御承知のようにカンショ及びサトウキビというのは南九州、特に鹿児島沖縄両県の畑作地帯における基幹作物として位置づけられておりますね。こういうカンショなりサトウキビ生産基盤という面では、経営規模が非常に零細なんです。圃場の整備とかあるいは機械化、そうしたものがおくれておりますので、農家の皆さんかどう努力をしましても、あるいは自助努力という面から見ましても、収益性が非常に低い。こうした実情については御存じのとおりだと思うのですが、この価格決定をされる際に、そうしたいわゆる南九州特有の環境ですね、他の畑作物と右へならえとか、あるいは大体基準をほかが決めればそれにならってやるとかというものではないと思うのですが、大臣考え方を聞かしていただきたい。
  10. 金子岩三

    金子国務大臣 新盛先生の御意見はよく理解できます。基盤整備に金を、南九州のいわゆる主産物であるでん粉サトウキビにかけてないのだから、せめて価格でもというような御意見と受けとめております。  御意見は十分理解いたしておりますので、そのとおりひとつ努力をいたしたいと思っております。
  11. 新盛辰雄

    新盛委員 価格算定の基本的な問題でありますが、この基準価格決定を行う際にはパリティ指数というのが必要になってきますね。ことしの指数はどの程度をお考えですか。
  12. 小野重和

    小野(重)政府委員 四月から八月までのパリティ指数、これの対前年比で計算するわけでございますが、ことしの場合は〇・四五という数字になっております。
  13. 新盛辰雄

    新盛委員 いま〇・四五%という、これは公表する数字ですか。
  14. 小野重和

    小野(重)政府委員 先週の土曜日に八月のパリティ指数を公表しておりますが、そうなりますと、いまの四月−八月というのが全部そろうわけでございまして、そういう意味で、公表数字というふうに受け取っていただいて結構だと思います。
  15. 新盛辰雄

    新盛委員 この生産費調査の結果から、いま公表されたわけでありますが、この農家手取り価格の据え置きというのが、毎年生産費が上昇している中で、実質的には引き下げじゃないかというこれまでの経緯がございます。  再生産確保とか生産性向上のための農業投資は一体どうなっているか。それが非常にこれまでが低いのでありますから、この点について、昨年私は当委員会でも指摘をしたのですが、カンショについて、手取り価格がどの程度生産費をカバーするのか、カバー率という言葉を去年は使いましたが、この基準価格の場合どういうふうになっているか。
  16. 小野重和

    小野(重)政府委員 生産費につきましては、五十七年産のものの生産費がすでに出ておるわけでございますが、カンショの場合について申し上げますと、一俵当たり千二百二十七円ということになっております。  これに対しまして、農家手取り価格原料基準価格奨励金を加えたものでございますが、これが一俵千三百六十円ということでございまして、手取り価格生産費を上回っているという状況にあるわけでございます。
  17. 新盛辰雄

    新盛委員 いま御説明があったのですけれども、結局、指導価格をお決めになる際に、適正に所得を補償する、いわゆる再生産確保できるようにする価格にしたい、こういう要求農協系統も出しているのですが、この指導価格でやるべきじゃないか。ある意味では、あなた方の方でお決めになる従来のやり方でいけば、政府の持っているものがだんだん縮まって、本当に生産者自体の再生産に要する価格の補償というふうにはなっていない、このことは毎年議論するところですが、ことしもやはりそれを踏襲されるのですか。
  18. 小野重和

    小野(重)政府委員 ただいま御説明いたしましたように、農家手取り価格生産費を上回っております。そういう状況でございますから、再生産確保されるものというふうに考えておるわけでございます。ただ、五十八年産はこれから決めるわけでございますので、具体的にどうするかというのはこれからの問題でございますけれども、法令にありますように、パリティ指数基準としその他のいろいろな経済事情を参酌して決めるということでいきたいと思いますが、私どもといたしましては、他の畑作物とのバランスとか、財政事情とか、そういうもろもろの事情を総合勘案した上で決めてまいりたいと存じております。
  19. 新盛辰雄

    新盛委員 ずばり、ことしは上げることになりますか、ならないのですか。
  20. 小野重和

    小野(重)政府委員 ことしどうするかということは、まだこれからの問題でございますので、具体的に私申し上げる段階にございませんが、しかし全体の状況としては大変厳しい状況にあるのじゃないかというふうには考えております。
  21. 新盛辰雄

    新盛委員 これから関係者と詰めていかれると思うのですが、従来の考え方あるいはパターンの上に立ってお決めになるということについては、もういささか農民も疲れ果てているのじゃないか。大臣が先ほどからおっしゃるように、特殊な諸条件がある。再生産のためにこの手取り価格をいかに補償するかというのがポイントなんですね。だから、その面を考えていただかなければ、ただ畑作三品という横並びという方式、サトウキビの場合でもそうですね、これはほかに転作をしょうがないですね、だから、ここでサトウキビなどはもう畑作三品横並びをやめて、特殊な条件をつくって価格決めてほしいという要求があるのですよ。そういうものも含めて、財政事情とかなんとかじゃないのですから、ここは生産者に対する現実的な処置として考えなければならないところですから、もう一回そこのところを聞かしてください。
  22. 小野重和

    小野(重)政府委員 カンショも、バレイショなどの場合もそうでございますが、一ころ大変収益性が低下し、また作付面積も減る、こういう状況があったわけでございます。これに対しまして、これでは大変だということで、四十九年以降奨励金を大幅に価格に加えまして、実質手取り価格水準相当に引き上げたわけでございまして、そのほかの生産対策の成果もあるかと思いますが、その後作付面積もふえてまいりまして、また収益性も改善されている、こういうことでございます。  これは従来の経緯でございますけれども、カンショの場合、生産費を上回る手取り価格水準でございますので、再生産確保されている。現にカンショ作付面積も、先ほど資料で御説明したとおりの水準でございますので、これからの再生産確保には支障のないような決め方を従来していると思いますが、ことしどうするかということでございますが、先ほど申し上げたようないろいろな諸要素を十分勘案して適正な水準決めたい、かように存じております。
  23. 新盛辰雄

    新盛委員 したがって、生産者価格パリティアップ部分奨励金を引き下げることによって相殺をされる、これも事実なんですから、こうした中で農家手取り価格が少なくなっているじゃないかという指摘はお認めになりますか。
  24. 小野重和

    小野(重)政府委員 カンショの場合でございますが、取引指導価格の中に奨励金が入っておりまして、去年の場合は本体価格パリティアップ相当分、それを奨励金から減額いたしまして、取引指導価格イコールというふうに、前年同ということにいたしたわけでございます。  こういう価格決めます場合にはいろいろな事情を考えなければいけないと思いますが、たとえばカンショの場合について申し上げますと、特にでん粉用カンショでございますから、主として異性化糖などに回るわけでございますが、最近の異性化糖需要状況を見ましても、大体一巡しておりまして、頭打ちという状況でございます。そういう需給事情、あるいはカンショの場合に国庫負担分が奨励金の中にございまして、三十数億という水準になっております。そういうような財政事情も考えなければいけないと思います。そういう再生産確保という観点、そのほかのいろいろな要素を総合してこれから決めてまいりたい、かように存じております。
  25. 新盛辰雄

    新盛委員 次に、でん粉政府買い入れ価格でありますけれども、昨年の加工経費の中で排水処理にかかる経費を約八千円程度見込まれたと聞いております。この点について明らかにしていただきたいのと、どのくらいの工場にカバーしてこられたのか、お聞かせをいただきたい。
  26. 小野重和

    小野(重)政府委員 御案内のように、五十六年六月から排水規制の暫定基準が一般基準に切りかわるといいますか、原則に戻る、そういうことに相なりまして、カンショでん粉の場合に一定の排水基準、BODで一二〇ppmだと思いますが、これを守らなければいけない、こういうことになったわけでございます。そこで、五十六年度、五十七年度の二カ年にわたりまして排水処理にかかるかかり増し、これをでん粉の製造経費の中で見る、こういうことになったわけでございます。製造加工費が五十七年度の場合にトン当たり四万六千五百六十九円でございますが、その中の排水処理費は六千五百六十三円、これを昨年までに見たわけでございます。  これをどうするかというのは五十八年の場合の大きな問題でございます。財政当局とも内々の折衝を始めておりますが、財政当局は、もうすでに去年の段階でこの処理経費は全部見た、こう言っております。一方、地元のメーカーなどの意見も私ども十分聞いておりますが、まだ見足りない、もっとかかっている、こういう声を聞いております。そこをどうするか、これからの問題でございますが、私ども実態もよく見て、財政当局とも協議して、適正な排水処理費を見たい、こう思っております。なかなかむずかしい問題でございますが、大きな問題であることは十分承知しております。
  27. 新盛辰雄

    新盛委員 その中にこの排水経費の算定は大きなウエートを占めてくると思うのですが、エアレーターの稼働時間延長ということなども考えておられるようですが、どの程度お考えなのか、おわかりですか。
  28. 小野重和

    小野(重)政府委員 いろいろな施設はすでにつくられておるわけでございます。ところが、実際に稼働してみると、基準である一二〇ppmを維持するのがなかなかむずかしい。そこで、技術的な細かいことは省略しますが、反復してエアレーターにかけなければいけないというようなことで、その分が電力費を中心にしてさらにかかり増しがある、そういうユーザーといいますか、でん粉製造業者の声を聞いております。その辺の見方をどうするか。すでに入っているんじゃないか、こういう財政当局の見方もあるわけでございますが、そこの実態を私どももいろいろ聞いておりますので、これから財政当局ともよく協議してまいりたいと存じております。
  29. 新盛辰雄

    新盛委員 次に、でん粉工場の悪臭防止対策なんですが、最近団地化が進んで、宅地化、そうした中で工場の悪臭というのは大変問題がありますし、工場の存廃にかかわる問題であります。農林水産省としては、この対応措置としてこれまで悪臭防止のための研究開発、そうしたことについて国や県が経費を分担し合って金をかけてやっておられるのですが、実効が上がりませんね。百万円ぐらい使っているという話もちらっと聞いているのですが、これは予算措置も含めて一体これからどうされるのか、お聞かせをいただきたい。
  30. 小野重和

    小野(重)政府委員 でん粉工場の排水処理の場合に、水質関係は先ほど申し上げたようなことでございますが、もう一つ悪臭問題があるということは承知しております。特に宅地開発が進んでおりますような地域におけるでん粉工場の臭気問題につきましては、非常に問題であることは十分承知しておりまして、試験研究の推進が重要であると思います。このため、当面の臭気防止対策技術につきましては、鹿児島県の農業試験場におきまして用水量の減量、あるいは活性汚泥、これが臭気の原因になりますので、それをもっと有効利用する方法はないかというような研究を進めているところでございます。  一方、国自体の食品総合研究所という研究機関がございますが、ここでもでん粉処理に伴う悪臭の主原因となっておりますたん白質をどう処理するか。最近、膜利用というのが非常に進んでおりまして、膜処理によって回収するというような基礎的な分野の試験研究を進めております。そういうことで、国それから県、それぞれ研究をしておりますが、さらに国の研究者を鹿児島県の農業試験場に派遣して指導助言をする、あるいは両者の連携を密にするというようなことで、まず第一に技術開発が一番前提になりますので、その開発に努めているところでございます。
  31. 新盛辰雄

    新盛委員 最後に、でん粉それからブドウ糖について、現在、農畜産物輸入自由化・枠拡大問題で米側も自由化を相当要求しておるのですが、すでにガット提訴しておりますし、農業関係者は非常に不安に思っていますね。でん粉については絶対に自由化はさせないのだという決意を、大臣、これはほかの問題とも関連がありますが、お答えいただきたい。  さらに、国内産でん粉の全量優先方式で、いわゆる消化、内需を拡大する、こういうこと等もあるので、関税割り当て制度が抱き合わせになっていますから、これはまた継続をしていく、この方針をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  32. 小野重和

    小野(重)政府委員 まず私から御説明申し上げたいと思います。  第一点の自由化問題でございますが、もう御案内のように、ガット提訴されております十三品目の中にでん粉とブドウ糖が含まれております。これにつきましては、先般もジュネーブで日米の担当者の協議が行われましたが、その席でも私どもは、このわが国におけるでん粉、ブドウ糖はこれと一体のものでございますので、これの地域農業に占める非常に重要な役割りとか、あるいは仮に自由化すれば農安法というものが全く機能を失うようなことになるというようなもろもろの事情を挙げまして、これには反対だということを説明いたしておるわけでございます。私ども、このでん粉とブドウ糖の自由化につきましては、これはもう困るということでこれから主張してまいりたいと存じております。  それから第二点の関税割り当てでございますが、この関税割り当て制度がなければ、カンショバレイショもそうでございますが、そのでん粉の消化は不可能でございます。そういう意味におきまして、この関税割り当て制度は今後とも維持していきたい、かように存じております。
  33. 金子岩三

    金子国務大臣 最も弱い、小さい農家生産物であるでん粉等に競合するものを外から入れるということはもともと考えておりません。御期待に沿うよう努力を続けてまいります。
  34. 新盛辰雄

    新盛委員 話題を変えまして、国鉄の貨物輸送の問題で、関係者が来ておられると思いますが、御承知のように国鉄の貨物輸送は年々減少の一途をたどっております。国鉄が再建政策の一つとして、明治以来のヤード方式をおやめになって拠点間直行輸送方式をお立てになっているのですが、この全面的な転換によって大きく影響が出てきますのが農林水産物資の輸送。そして、この影響がどういうふうに出てくるか。穀物の例をとれば、三百八十六万トンが国鉄にこれまで依存をしてきた。そして、このうち政府米は約五〇%国鉄で輸送してきた実績があります。また水産物の場合でも、約二十二万トンが国鉄で輸送されていた、これは生鮮食料品を含めてですが。大臣のいらっしゃる長崎県を例にとったわけですが、鮮魚輸送の六割を国鉄のレサで、冷凍車で運んでいるわけです。これはこれから輸送方式が転換されますので、コンテナということなども国鉄がお考えになっておられるようですが、これからこうした状況がどういうふうに影響してくるのか。  生産者の負担等も出てくるでしょうが、農林水産省として物流という面で、また大臣はかねがね流通革命を起こさなければいかぬ、ごう強調しておられたのですが、これは産地直売のいわゆる価格の面でおっしゃっているわけですけれども、こういう物流の関係において国鉄のおつくりになった五十九年二月のダイヤ改正に向けてどう対処されているか、農林水産省としての御意見をお伺いしたい。
  35. 小野重和

    小野(重)政府委員 国鉄の貨物輸送の合理化計画につきましては、もう御案内かと存じますが、私どもは基本的な考え方といたしまして、農林水産物資の輸送に支障があるようでは困るというのが基本的な考え方であります。最近の国鉄輸送依存度の状況を見ますと、政府米は五〇%、肥料は一五%、飼料は七%というような水準になっております。生鮮食料品になりますと〇・五ないし〇・六というふうな低い水準でございますが、年々若干減ってきていることは事実でございますが、しかしまだ重要な役割りを当然持っておるわけでございます。  それで、農林水産物資の場合には、もう御案内のように物資によりまして、地域によりまして、また季節によりましていろいろ具体的に対策を考えていかなければいけない、こういうことだと思っております。そこで、私ども、先ほど申し上げましたような私どもの基本的な態度に基づきまして、運輸省ないし国鉄の担当部局とずっと折衝をしてきております。その結果、いろいろございますが、たとえば北海道の種バレイショとかあるいは愛媛のミカンとか、そのほか点もございますが、それぞれ具体的に話し合いをしてきております。たとえば臨時列車を出すとか、そういうようなことでおおむね対応できるような中身になっておりますが、まだ詰め足りないところもございます。今後関係方面と十分協議いたしまして、農林水産物資の輸送に支障を来さないように万全を期してまいりたいと存じております。
  36. 新盛辰雄

    新盛委員 結論とすれば、農林水産省としてはこの輸送体系がこんなに変わってくることについては、いろいろな問題はほかの省の関係ですけれども、季節、地域、物資内容、あるいは臨時列車が出るとか、あるいは冷凍車については当分の間見合わせるとかなどなどの対策も国鉄が立てていらっしゃるようなんですが、国鉄にお聞きしたいんですが、これらの物資輸送に、五十九年二月のダイヤ改正でいわゆる貨物のヤードが半分になるわけですから、これに対応する措置はどうなんですか。
  37. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生仰せのごとく大変大きなシステムチェンジでございますので、荷主、御利用者の方々に大変御不便をおかけするケースが多くあるわけでございますが、私どもといたしましては、個別、具体的にできる限りのいろいろな対策を講じまして問題の解決に当たりたいと考えておるわけでございます。  二、三例を申し上げますと、まず水産物の輸送でございますが、これは直接的には今度の改正とは関係がございません。と申しますのは、もともと一列車単位で走っておりますので、これは直接的には関係がないのでございますが、実は昭和四十一年に始めましてから大変経年化しております。塩害による腐食等も非常にはなはだしいものでございますので、維持費が大変かかっておるというふうなこともございます。そこで、来年の二月の改正に合わせまして、当初は全面的にコンテナでお願いしたい、こう申し上げたのでございますが、いろいろ問題があるということで、これは引き続き、当面レサと申しますが、高速の冷蔵車で輸送を継続したい、こう思っております。ただ、京都市場とか神戸市場あるいは百済への各市場向けの貨物につきましては梅田着のコンテナで対応できるということで、そちらの方向で計画が固まりつつございます。ただ、来年二月には継続するわけでございますけれども、できるだけ早い機会に新しい輸送システムと申しますか、コンテナの方向へ切りかえていただきたい、こういうお願いを申し上げておるところでございます。  それから分散型輸送、発地が非常に分散しておりまして、着地は一つでございますが、発地が分散しております米の輸送でございます。これはまだなかなか今度のシステムには乗りにくいという面があるわけでございますが、食糧庁あるいは全農、あるいは元請をしております日本通運、全国通運という方々と具体的に折衝いたしております。これも何とかコンテナ化の方向でできるのではないか、それからただいま御答弁のございました、ある時期に季節的な臨時列車を動かしたらどうかというようなことで対応ができると考えております。  それからミカン、リンゴ、タマネギ、バレイシヨといった季節的な農産品がございますが、これもそれぞれに具体的に対策を考えております。特に、お話のございました種バレイショというのは私ども専門外でよくわからない点もございますけれども、全国各地に、現在三百五十駅くらいに分散到着しておるということのようでございます。これも何とかコンテナ輸送ができないかということで、過日試験輸送などもいたしたわけでございますが、なおコンテナだけでも対応がむずかしいということで、臨時の貨物列車の設定をただいま検討しておるところでございます。  いずれにいたしましても、それぞれ個別、具体的によく勉強させていただきまして、できるだけ御不便のないように、うまく新しいシステムに切りかえられるように対策を考えてまいりたい、こう思っております。
  38. 新盛辰雄

    新盛委員 大臣、いまお聞きのとおりですが、農産物資の輸送に滞りを生ずるようなことがあったのではどうしようもないのでありますから、いま国鉄が進めておられるダイヤ新編成に向けて、農林水産省として、もうダイヤが決まっちゃうとどうしようもないのですが、ある意味では修正も、あるいは臨時列車だとかコンテナの拡大だとか、いろいろおっしゃっておるようですから、その面について農林水産省の方としては最終段階の仕上げということになってくるのでありまして、決意のほどをお聞かせをいただきたいと思うのです。
  39. 金子岩三

    金子国務大臣 ただいま国鉄からいろいろ具体的に説明されておりましたが、いまの説明の中の問題でも、コンテナ輸送等にはまだ結論が出てないはずでございます。いろいろ問題があるわけなんですね。これからやはり、どうした方が一番国鉄再建の合理化にかなうのか、それから農畜水産物、いわゆる食糧のコストに影響する問題でございますから、この問題、この方面の利害得失を考えて配慮しなければならない問題でありますので、農林省からは国鉄の方ともっとよく協議をして、国鉄の理解を求めるべきところがまだ多々あると思いますので、これから一層努力をして、調和のとれた国鉄の再建にも沿うように、農畜水産物のコスト高をいかにして最小限に抑えるかということで努力をしてまいりたいと思います。
  40. 新盛辰雄

    新盛委員 時間がずいぶんなくなりましたが、水産全般にわたる問題二つにしぼって質問しておきます。  まずIWCの問題で、結論は、御承知のようにこれから非常に厳しい対応を迫られている日本側、この中で一体政府は基本的にどういう態度でこれから臨むかということをお聞きしたいわけであります。  十一月二日、これは田澤農林水産大臣がおられたころの話でありますが、異議申請をされた。その際に、わが国が三年後も捕鯨を継続することを決定することを意味するものではなく、いわば立場留保のために行うものであり、今後三年間にIWCにおいて再検討を行い、合理的な結論が得られることを願っていると、国際捕鯨委員会でのいわゆる商業捕鯨締め出しの件に関してこういう態度を打ち出されましたが、異議申し立てはしておられます。ソ連もノルウェーもペルーもわが国も、こうなっているのですけれども、ここで農林水産大臣は新たに金子岩三さんでいらっしゃいます。特に水産ではベテランでございますから、はっきりと三年後はなくするのか、あるいは継続をするのか、ここのところを聞かしていただきたいと思います。
  41. 金子岩三

    金子国務大臣 いままでの経緯説明もありますので、長官にまず先にお答えさせます。
  42. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、昨年のIWCにおきまして、三年間の猶予期間を置きまして商業捕鯨の全面禁止の決定があったわけでございます。それにつきまして、わが国といたしましては異議の申し立てをいたしたわけでございます。その際、当時の田澤農林水産大臣からの談話をただいま御指摘があったわけでございますが、結論から申しますと、あと三年間ということでございますから、ことしが二回目、それから来年もう一回ということで、一応決定の線からいきますともう一回だけが商業捕鯨が行えるということに、裏返して言うとそういうことになるわけでございますが、私どもの基本的な考え方は、そういったモラトリアムというものは科学的な根拠を持っていないというのを基本に据えまして、さらにそういったことでわが国の捕鯨業がもしだめだということになりますと、それに伴います、捕鯨に直接参加している人も、あるいはこれに関連いたします産業に従事している人も数多いわけでございますので、そういったことでぜひともモラトリアム決定の不当性というものを指摘しながら、今後とも、その決定が発効するまでまだ約二年間あるわけでありますが、その間に関係国の理解を得まして、何らかの形で私どもの捕鯨の姿が存続できますように最大限の努力を払いたいというのが現在の私どものポジションでございます。
  43. 新盛辰雄

    新盛委員 大臣、後でお答えいただくとして、このモラトリアムの結果によって、いわゆる商業捕鯨禁止決議でありますが、日本とすれば国際世論ということも無視するわけにはいかないわけですね。捕鯨反対、野蛮な国日本、こういうようなことでいろいろと指摘を受けておりますが、これによって生活をしている、命と暮らしを守っている方々がいらっしゃるわけであります。この方々をこれからもし禁止だとなれば一体どうするのか、私どもの調べでも大型捕鯨あるいは小型捕鯨、沿岸捕鯨、こうしたものが経営団体でも七経営団体ですし、従業員が約千五百人、鯨製品の加工工場などに働いている人たちが三千六百人、経営団体は戸もあるわけであります。こういう方々の救済はもちろんですが、最近アメリカ側は報復措置として、遠洋トロールの北転船に見られましたように、スケトウなどの洋上買い付けその他ありますが、漁獲割り当てを十万トン減らしてしまえといったパックウッド・マグナソン修正案が現在出されておりまして、厳しい制裁措置をとる、日本が商業捕鯨を継続をするならもう割り当てもやめる、こういうことを言っておりますので、これに対応する問題等、きわめて憂慮すべき事態であり、どちらをとるか、鯨をとるのか、アメリカ沿岸における漁獲を少なくするのかあるいは全くなくするのか、これはこういう事態ですから二者択一でどちらか決めなければいけない。ここのところを大臣どうお考えか。ここはやはり大臣の政治的判断を求めなければどうしようもないです。いかがですか。
  44. 金子岩三

    金子国務大臣 スケソウを中心としてアメリカ沿岸で百二、三十万トンの漁獲をやっておるわけでございますが、それをとるか、鯨を捨てるかというような御質問のようでございますが、私は、両方ともとります。鯨も決して捨てなくて、これはもういまでは農産物を中心にしてほとんど国際関係の問題になってしまっておるわけでございます。特に漁業問題は、相手国七、八カ国の沿岸に日本の漁船が進出しておる。したがって、漁業外交をもっと強く展開すべきだということは私の持論でありまして、そういう意味からいって、鯨も粘り強く話を続けていっておりますと、アメリカも理解をしてもらえる、私はこのように考えております。今後ともひとつ粘り強く交渉を続けて、両方とも捨てるつもりはない、こういう考え方ております。
  45. 新盛辰雄

    新盛委員 きわめて心強い決意表明で、両方とっていただくということでありますから、関係者はもちろん、それぞれの経営母体あるいは捕鯨の方にしても、あるいは米国の沿岸で漁業される方々も生産意欲を持ってがんばっていただけると思います。  先ほど二者択一と言ったのは、そううまくいくかな、いかぬ場合も出てくるだろう、だから、ここが非常に正念場だと思います。最近のアメリカ側の農産物自由化・枠拡大の強い要求、市場開放というのは、もうわれわれが想像する以上に厳しい。だから、それだけに捕鯨の問題も厳しく当たってくるであろうと思いますから、ここのところは、日本の政府としては断固として両立をするという方針で進んでいかれるのだということを確認しておきます。いいですね。  次に、漁業経営負債整理資金問題で、これもまた私はこれまでずっと取り上げてまいりました。最近、簡便法なるものも取り入れられて、ずいぶんと進んできておるわけでありますが、この内容で、実は五十七年、五十八年度、特に五十八年度部分で漁業経営負債整理資金六百五十億という融資枠を組んでおるわけです。これをどういうふうに消化をするかということで、現に進めておられると思いますが、ほとんどこれは減船をしたマグロ船、ことしはカツオ船ですね、二〇%の減船だから、こういう融資枠のあれがあります。いわゆる漁時法をわれわれ決めたのですから、それに基づいて実行されておるのですが、ところが現実は、この整理対象負債の基準は五十五年度末時点から五十七年度末時点に移しかえたとか、非制度資金の整理対象債務の認定について簡便法をとったとか、いろいろと改善の要素は見られます。そして、制度資金の整理対象債務の要件になった、三カ月以上延滞している債務である、こういうような条項を削ってみるとかやったのですけれども、実際に遠洋が主になり、そしてまたマグロが主になりということで、これらの補償をする場面では、業界で言われている、去るも地獄残るも地獄、二〇%減船をする人たちは融資対象になるのですが、共補償という問題が出てきますね。残存者の方々がいわゆる負債整理全体も見ながら倒産した者の負債の整理をするとか、漁協協力、こういうこと等が出ているのですが、そういうものについては一体どうするのか。あるいは沿岸の漁業経営者といえどもなかなか大変であります。これは構造改善をしなければならないのでありましょうが、遠洋カツオ・マグロの減船対象だけ、こういうふうなことになっておりますので——遠洋カツオはまだ不明なんですけれども、こういう点についてはどういうふうに処置をされようとしているのか、まずそこのところからお聞かせをいただきたい。
  46. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 御指摘の漁業経営の負債整理関係でございますが、先生御案内のように、昨年、五十七年度におきましては、制度が発足した当初である、その他いろいろのことがございまして融資が円滑に進まなかったということがあったわけでありますが、年度を越しましてから、鋭意、従来から問題になっておりました貸付条件につきまして、何点か、ただいま先生からも御指摘がありました点につきましての条件改定も行いました。これから、それなりの融資が進むものと思っておるわけであります。  どれくらいいくかということはいろいろあるわけでありますが、たとえば遠洋マグロ漁業につきましての今年度の融資見込み額につきましても、まだ幾つか地区によりましての不確定な要素もございますし、昨年度の七十億弱というのに比べれば何倍かの融資にはなろうかとは思っておりますが、現在まだ確たることを申し上げられるような状況にないわけであります。御指摘がございましたカツオあるいはイカ釣り等につきましても、具体的な金額について目下団体とも協議をしている段階でございますので、確たる数字を申し上げる段階にはないわけでございます。  それから、後半御指摘のございました漁協の協力資金等につきまして、あるいは中小漁業等にも広げられないのかというような点についてでございますが、漁協協力資金につきましては、もう先生十分御理解いただいておりますように、漁業協同組合が減船計画に基づいて減船あるいは廃業する人に対する再建の条件緩和を行うというような場合に必要な資金としての融資が行われるわけでありますが、それ以外、減船に参加しないような形でのいわゆる廃業者に対してまでその範囲を広げよという御意見もあることは私承知しておりますが、減船以外のいわゆる廃業者等にまで範囲を広げるということになりますと、これは漁協に預金をしておる人の立場等も十分考えなければいけない問題でございまして、正常な形での漁協の金融のあり方という問題も乱すようなことにもなりかねないわけでございますので、そういった意味で、条件緩和、漁協の協力資金につきましての対象を厳しく限定しているということにつきましては十分御理解をいただきたいと思うわけであります。  一方、来年度予算につきましては、私ども、カツオ・マグロ等の遠洋だけではなくて、できれば沿岸あるいは中小漁業等につきまして、資源問題でそういった需要があるような地域等がある場合にはこれが適用できるような形での予算要求は行ってはおりますが、その具体的な仕組み等につきましては、予算編成の過程でいろいろと詰めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  47. 新盛辰雄

    新盛委員 五十九年度の水産庁の予算要求を見ますと、従来の漁業経営負債整理資金六百五十億、ことしも六百五十億要求しておられるようですが、名称を漁業構造再編資金と、仮称ですがお変えになったというのは、いま長官が言っておられる沿岸とか経営安定のために融資枠をおつくりになる、こういうふうに私は理解をするのだが、そうなのかどうか、基本的な考え方を聞いておきたいと思うのです。  それと、いまおっしゃっているように、昨年、五十七年は三百五十億のうちの約七十億程度、それから本年、五十八年は六百五十億のうちのどれぐらいなのか。私ども三百億とか四百億とか聞いておるのですが、そんな消化状況があるのかどうか。  それと、時間がありませんので続いて申し上げておきますが、最近、中央漁業信用基金の保証保険収支を見ますと、昭和五十七年には四十億円の赤字になっておるのです。五十八年が五十七億。五十九年が三十五億程度赤字になるんじゃないか。累計して百五十六億、こういうふうになってくると、この膨大な赤字の発生は、漁業環境が非常に変わってきたことも事実ですが、ある意味では、政府の対応策が場当たりじゃなかったのかという意見がございました。融資の結果がこうなったんですが、ただ、要求している業者はそうした価格差補償でいいじゃないか、こう言っているわけですね。ところが、系統金融の安定のためにこれからは基金の焦げつきなんというのはもう絶対許すことはできないわけでありまして、この保証制度の健全化のため、そうした対処についても、緊急資金、負債整理資金にかかわる保証に考えを置いておかなければならないのであります。これは制度の面でも抜本的に見直す必要があるんじゃないかという気がするのですが、それについて最後にお答えをいただきますが、時間がこれで過ぎてしまいますので、IWC問題、あるいはこの漁業負債整理資金、あるいは韓国、北朝鮮などの海域における漁業外交が非常に脆弱だというお話もありましたので、これらの問題についてはまだ別途機会を改めて議論をしていきたいと思います。  では、お聞かせください。どうもありがとうございました。
  48. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、来年度の概算要求時点におきましては、従来負債整理資金と申しておりましたのを構造再編資金というふうに、仮称でございますが、名称変更して要求していることは御指摘のとおりでございます。その理由でございますが、この資金制度は従来も単なる漁業者の負債を整理するというものではなくて、業界単位で減船などによりまして今後の当該業種の再編を図っていくという厳しい対応をする場合に、残存漁業者の負債を整理しやすくすることによってその再編整理をしやすくするようにするというのが制度の趣旨でございますので、その制度の趣旨を明らかにし、あわせて先生御指摘にもございましたように、来年度できれば対象範囲等も若干広げることを検討したいということもございますので、そういったことを行ったわけでございます。  それから第二番目の、昨年七十億弱の融資実績、ことしどれくらいになるかということでございますが、確かにカツオ・マグロ関係業者からは三百前後のお話が事務的には議論の対象になっておりますが、まだまだどういう数字になるか確定は申し上げかねます。別途、イカあるいはカツオ業者問題もございます。いずれにしましても、前年度の七十億よりは相当程度ふえることだけは申し上げられようかと思います。  最後に、融資保証保険制度の中の中央におきます中央漁業信用基金の収支でありますが、決算上は御指摘のような赤字になっておりますが、基金自体の赤字は収入保険料と支出の保険金の差額ということでございまして、機能的には毎年政府出資をふやすことによりまして資金繰りが困ることのないように措置をしてきたわけでございます。保険金の支払いに困難を来すようなことになりましては大変なことでございますので、そのようなことがないように今後ともよく注意をしてまいりたいというふうに考えております。
  49. 新盛辰雄

    新盛委員 終わります。
  50. 加藤紘一

    加藤(紘)委員長代理 次に、竹内猛君。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、まず最初に農畜産物の輸送に関係する国鉄のダイヤ改正に関連をしての輸送問題、もう一つの問題は、先般本委員会でも取り上げましたが、まだ十分に審議が尽くされておりません養鶏の無断増羽問題に関して質問をしたいと思います。  まず最初に国鉄の問題。  ただいま新盛委員からいろいろ御質問がありましたが、十月六日に私のところにも国鉄当局から説明がありました。国鉄が赤字だからその赤字を解決するためにということで、特に従来の貨物の大幅な、いわば革命的変革をやる、こういう方式で八百五十一の貨物の駅を四六%削減してしまう。そして中心駅が八十七になり、あとの三百七十駅というのは、荷は扱うけれども実際は活用が十分できないような状況である。先般ある駅へ行ってマル通の労働者と話をしたところが、所長が夜も眠れないくらい悩ましい、おれたちはどこへ行ってどうしたらいいかわからないというくらいに悩んでおりました。  こういうような問題をあちこちへ残していま仕事が進んでおるようでありますが、一体黒字にするためには、こういうようなことをやって本当に将来明るい展望が立てられるのかということに対して、まずその点からお聞きしたいと思います。
  52. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お話ございましたように、確かに国鉄の貨物は国鉄の赤字の八割のウエートと申しますか、八割を占めておるわけでございます。したがって、この赤字をどうやってなくするか、私どもは貨物の固有経費と申しておりますが、貨物を輸送することによって生ずる経費と貨物の収入とは少なくともバランスさせたい、別途共通費というのはございますが、これは別にいたしまして、少なくとも貨物固有経費で収支の均衡を果たしたいということでいまやっておるわけでございますが、その赤字、黒字の前に、国鉄の貨物のいまのシステムが多様化する利用者、荷主のニーズに合ってない。それは、要するに高くて遅いということでございます。そこで、このところずっと四年ばかり毎年一〇%以上の落ち込みを記録いたしておりまして、最盛期の四十六年からは大体半分に落ち込んでおるということでございまして、これを何とか再活性化したいということでいまいろいろシステム変更を考えておるわけでございます。  まず、高いという点でございますが、人件費の半分以上がヤードというところでの入れかえの作業にかかわる問題でございます。先生、八百五十駅とおっしゃいましたが、いま八百二十九駅になっておりまして、この駅の間で発着する貨物を百十のヤードを経由してやっておるわけでございます。ヤードではかなりの人間が働いておるということで、このヤードをなくして貨物の駅の問、貨物のまとまりのある区間に大量、高速、定型といった鉄道の特性が発揮できるようなシステムをつくり上げたらどうかということでございます。  そしてまた、ヤードは遅い。一つのヤードに入りますと貨車が平均して八時間から九時間停留するということでございまして、そのヤード間の一車一車の、私ども宿場送りなんと申しておりますが、そういったヤード系の集結論送を早くやめまして拠点間直行輸送に全面的に切りかえるということにいたしますれば、早くて安い輸送ができるということでございます。  私どもとしましては一日も早くこのシステムを変えて、国民生活、国民経済に寄与のできる物流近代化の一翼を担いたい、あくまでも撤退すべきものは撤退し、ビルドアップするものはビルドアップするということでいまいろいろと考えておるところでございます。来年の二月に大きな改正をいたすわけでございますが、引き続きもう一年後、六十年の春にはさらにダイヤ改正をいたしまして、六十年度までの収支の均衡ということと鉄道貨物輸送の再活性化というものを何としても果たしたい、こう考えておるところでございます。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)委員 五十九年の二月から改正をして、六十年に、一年間これを様子を見てさらに検討しよう、こういうお話ですね。それで安くて速い輸送体系にする、こういうことですね。そのときの営業係数というか、損益分岐点といいますか、それはたとえば百円を得るために幾らくらい使って、その時点ではどういうふうに考えていますか。     〔加藤(紘)委員長代理退席、亀井(善)委員長代理着席〕
  54. 橋元雅司

    ○橋元説明員 細かい数字をちょっときょうは持ってまいっておりませんが、現在の貨物輸送の全コストが約一兆円でございます。それに対しまして、貨物収入が三千億でございます。したがって、欠損が七千億ということでございますが、その中で共通費、旅客と共通して使用いたしております線路施設であるとか電車線といった経費が約五千億ばかりございます。したがいまして、残り二千億が貨物の固有経費の赤字でございますが、その二千億の中で特に、いわゆる特定人件費と私ども申しておりますが、退職者の急増あるいは年金の異常な膨張によります異常部分を除きまして、現在大体千七百億の貨物固有経費での赤字になっております。  これをこの二年間で何とかゼロにいたしたいということでございまして、私どものもくろみといたしましては大体五十九年の二月のダイヤ改正によりましてこの千七百億の赤字が千四百億ばかり改善されまして、三百億ぐらいの赤字がなお固有経費として残るであろう。さらに六十年の春には、これは新幹線の上野開業という問題もございますし、筑波の科学博覧会という問題もございますので、全国的なダイヤ改正を考えております。この機会にやはり貨物につきましてももう一度見直しをして残る三百億の赤字も解消いたしたい、こう思っておるわけでございます。  その前に、経費の削減は大体何とかいくといたしまして、問題は収入でございます。やはり私どもとしては切るべきものは切りますけれども、これからもっと大量定型のたとえばコンテナ輸送であるとか、あるいは物資別の専用貨物列車と申しておりますが、そういった拠点間直行輸送は大いにこれを伸ばしてまいりたい、こう考えておるわけでございまして、よってもって収支の均衡を何としても果たしたい、こう思っておるわけでございます。
  55. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国鉄は、一面においては収支を償わなければならないという面があると同時に、もう一つは公益性という問題があるはずなんですね。収支のことばかり考えて、企業性ばかり発揮して公益性というものが失われたら、これは国鉄の存在する意味がない。その公益性の面からいった場合に、たとえば農林水産物というのはその生産の地域性、季節性、それからまた品物が質が変わるという面もあるし、多くの特殊性を持っておりますね。鉄鉱石や機械や、そういうものとはかなり質が違うわけなんです。そういう農林水産物の特殊性やそういったものに対応する問題に関連をして、これは農林水産省としてはどの程度の話し合いをしておられるのか、あるいは関連団体との間ではどういう話をして、何がそこでは問題になって、それをどういうように処理をしようとしておられるのか、この辺をちょっと明らかにしてもらいたいと思う。
  56. 小野重和

    小野(重)政府委員 国鉄の貨物輸送の合理化によって農林水産物資の輸送に大きな影響を及ぼすということは私どもも困るのでありまして、輸送に支障のないようにしなければならないということで国鉄当局ともいろいろ相談しておりますが、何分にも農林水産物資につきましては、地域、季節あるいはもちろん品目によりましていろいろ違います。そこで、個別、具体的に国鉄当局といろいろ協議しているということでございます。  たとえば北海道産の種バレイショにつきまして北海道から東京に至る臨時貨物列車の運行をやってくれるかどうかというようなことについての協議とか、あるいはまた北海道産のタマネギなどにつきましても、北海道から東京あるいは北海道から大阪への臨時コンテナ列車の運行をどうするかとか、あるいはミカンにつきまして、いろいろございますが、愛媛の宇和地区でございますが、そこから東京への臨時貨物列車の運行とか、そのほかにもいろいろございますが、個別、具体的にそういう協議を進めておりまして、大体話し合いのついているのもありますし、まだこれからしなければならぬものもございますが、いずれにしましても、そういう個別、具体的の協議によりまして農林水産物資の輸送に支障を来さないということを基本方針としましてこれからさらに詰めていきたいと存じております。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農林漁業団体は、いま二十四団体が一つになって国鉄の貨物のダイヤ改正というか、いまのやり方に対して幾つかの注文をつけておりますね。その注文に対して十分にこたえられるような体制になっているかどうか。この問題は大事なことですよ。だから、農林水産省としても、どういうような中身で具体的に、たとえばいまバレイショとミカンの話が出たけれども、これはミカンとバレイショだけで済む問題ではない。たとえば、いままでは農産物を運んだその貨車は肥料との関係があったはずなんです。今度はそういうことはなくなってくるのでしょう。だから、空の車が一方で動くようなことになる心配もないことはないんじゃないですかね。だから、費用の点について、より安く、しかも確実に速く、物が腐らないようにしていくためにはどういうような話とどういうような手続をしていくのか、どの辺まで話は進行しているのか。時期が尚早であるならば何も来年の二月にそれをやらなくていいわけでしょう。そういう点ではどうです。
  58. 小野重和

    小野(重)政府委員 農業団体が協議会をつくりましていろいろ検討していることはもう十分承知しております。御案内のように、全国農業会議所がまとめ役になりまして検討しておりますが、私ども全国農業会議所と密接な連絡をとりながら国鉄当局ともいろいろ相談している、こういうことでございます。  大きく言って二つございまして、農林水産物資の貨物輸送自体に支障を生ずるかどうかという問題、もう一つはコストがどうなるかという問題がございます。  そこで、コストの問題になりますと、今後の国鉄の料全体系がどうなるかということが大きな前提条件になるわけでございますが、その問題につきましてはまだいま国鉄当局で検討中でございますので、コスト面になりますといま確たることはちょっと申し上げられない、こういう状況にあります。  そもそも物が輸送できるかできないかというのが、当面、先ほど来物資別、地域別、季節別に一番検討している事項でございまして、私先ほどバレイショとかタマネギ、ミカンについて申し上げましたが、そのほかの水産物やお米や、もちろん肥料等の問題もございます。そういう問題につきまして、農林水産省としては、私どもがまとめ役になりまして各局また全農などの農業団体も直接国鉄当局とも協議しておりますし、それから先ほどの全国農業会議所を中心とした協議会とも密接な連絡をとりながら、繰り返して申し上げますが、輸送に支障を来さないように詰めている、こういう状況でございます。
  59. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは進行中のようですから、またいずれ別の機会にたださなければならない問題ですが、われわれ社会党としては、過般この問題が公表された段階で金子農林水産大臣に申し入れをしましたね。大臣は、直ちに長谷川運輸大臣にその場で電話をされました。そして、これは厳し過ぎやしないかという感じがするという形で、慎重におやりなさいということを電話で見ている前でやられた。その後、小野局長にも交運の皆さんが一緒になって交渉をし、そのときにも各地の声としてはどうもまだ案がまとまっていない、いろいろなところに問題がある、拙速にやるべきではないという強い要請があったことは御案内のとおりだと思う。あの状態からまだどうもいまの話は余り進んでいない、まだ素案のような感じがしてならない。  そこで、さらにこの問題を質問しますが、国鉄は現在各地でいろいろなローカル線を赤字線と称して外しているでしょう。知事の承認云々ということはありますけれども、外している。やがて来年は過疎地にあるバスも補助金を打ち切って運行をとめようというような話が出ている。これは本当ですか。そういうことになると、貨物の駅は大都市の十万トン以上の荷が集まらなければならないところに集中をする。赤字線は切ってしまう、バスもとめてしまったら、一体輸送はだれがやるのです。もう自由放任に町の運送屋に任せる、勝手におやりなさい、こういうことになるのですか。これはどうですか。
  60. 橋元雅司

    ○橋元説明員 国鉄バスの問題でございますが、現在国鉄のバスは全国で一万四千キロばかり営業いたしておりますが、いずれもその路線の素質がまことに悪いと申しますか、乗車密度の低い路線が多うございます。現在収入が四百三十億ばかりに対しまして、経費がちょうど倍の八百七十億程度かかっておりまして、そこでこれは運輸省の御指導もございまして、大体乗車密度五人未満の、要するに平たく申し上げますと、一つのバスに五人程度以下の御乗車の実績の路線につきましてはこれを廃止するという方向で、いまいろいろ地域の方々に協議を申し上げているところでございます。  いずれもなかなか直ちには困難だ、もう少し待ってくれ、あるいは市町村営のバスに切りかえるから、その間若干の余裕期間が欲しいというようないろいろなお話がございますが、私どもとしてはやはりそういった全体の情勢でございますので、ぜひともひとつ御理解と御納得を得るべく最大限の努力をいたしたい、こう思っておるところでございます。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)委員 金子大臣にひとつ相談ですけれども、これは何も農林水産委員会だけの話じゃありませんが、閣議で相談してもちいたいことは、過疎地帯を振興しなければならないということで、過密過疎の問題を取り上げてずっと来ました。それで、政治が各地に均等に光が当たるようにしなければならない。ところが、いまのような形で言えば、財政が厳しいから、苦しいから、過疎地帯から列車のレールを引き揚げてしまう。バスももう走らせない。もちろん貨物の駅などはなくなってしまう。少なくとも交通の筋がなくなるということになると、文化施設というか、それはなくなってしまうわけでしょう。あとは個人で車を買って好きに道路を走りなさい、こういう話になってしまうのですかね。この辺はどうお考えでしょうか。ひとつこれは閣僚として、こういう問題についての御所見を承りたい。
  62. 金子岩三

    金子国務大臣 私は、先ほどから新盛先生にお答えしておりましたとおり、農産物の輸送というのは経済性ばかりでなくて、やはり公益性を考えてということを盛んに指摘されておりましたとおり、大事な食糧生産のコストに影響を及ぼす。それから生産能率、生産能率はすなわちコストなんですけれども、やはり農水産物にとっては、国鉄の再建案によるいろんな考え方に対しては大変な大きなショックを受けておるわけなんですから、できるだけぎりぎりの点まで国鉄にもひとつ配慮していただきたい。もちろん国鉄再建の大前提が政策的にあるわけでございますから、これもやはりうまく成功させなければいかないと、私ども責任を感じております。  その傍ら、農林省にとっては、やはり農畜水産物の輸送面においては特段のぎりぎりの配慮をしていただきたい、こういう考え方で話を続けておるわけでございますから、御期待に沿うことはどの程度できますか知りませんが、私の政治力の限りは尽くしていきたい、このように考えております。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまお答えがあったわけですが、特に過疎地帯の対策というものをこのままにして、ますます個人の能力に頼ってしまう、公的な施設というものがなくなってしまう、こういう形で一体いいのか悪いのかという問題を考えたときに、これはどうですか、今度は小野局長、事務的に見てどうです。あなたがいろいろ事務的に見て……。
  64. 小野重和

    小野(重)政府委員 国鉄の再建ということが政府全体の問題としてあることは、私どもも政府の一員でございますから、当然認識しておるわけでございますが、それと私どもの所管しております農林水産物資の輸送に支障を来さないということを両立させていただかなければならないというのが私どもの立場でございます。  そういう意味におきまして、今回の国鉄の貨物の合理化に対応しまして、たとえばコンテナ化を進めるというようなことにつきましてもいろいろ検討をし、そういう方向でできるものは対応するということでございますが、先ほど来申し上げておりましたのは、なかなかそういう一般的な合理化計画の中では対応できないものも残りますもので、それについては臨時列車というのがその主な対策になるかと思いますが、そういう点につきましてそれぞれの物資の状況に応じて支障を来さないということを大前提にいろいろ協議をしているということでございます。  なお、これも繰り返しになりますが、コスト面の問題はこれからまたいろいろ検討しなければならぬ問題だとは思いますが、以上のような方針で対応しているわけでございます。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つ、貨物の問題に関連をしてこれは国鉄の方へお伺いしますが、いま、そういう合理化をするという形によって早く安くサービスができるんだということであります。そのためには、関連をする国鉄の職員の整理、つまりどれくらいの職員が離職をされるのか、あるいはこれに関連をするたとえば通運会社等々の関連の人々がどういう状況になるのか、これに対してはどういう機関が一体代替をされるのか、こういうことについては何か資料トータルを出したような図式にしたものがもうできているはずですが、これはどうなっていますか。
  66. 橋元雅司

    ○橋元説明員 来年二月の貨物の大きなシステムチェンジで、私ども大体約二万人の合理化を目途といたしております。現在、貨物の固有経費での職員数が大体四万五千人程度と見ておりますが、ヤードの全廃によりまして、ヤード等におります職員、あるいは機関区、客貨車区等々いろいろ検修部門もございますが、そういったところの職員が約二万名節減できると考えております。ただ、先生御承知のように、現在国鉄の職員は大体二万名あるいはそれ以上の職員が毎年退職をいたしております。したがいまして、この二万人の職員は新しい職場へ再教育等によって転換をするということになります。  それから、関連する通運事業者でございますが、通運事業に従事する職員数、従事員は大体三万名と見ておりますが、今度のシステムチェンジによりまして五千から六千の方々に影響が出るという一つの大変大ざっぱな計算でございますが、取扱量に比例して計算いたしますとその程度になるという見込みがございます。ただ、これは大半が日本通運でございます。日本通運の社員でございますので、日本通運としては別途もろもろの、たとえば宅急便の拡充というような部面に転活用いたしたいということも考えておられるようでございます。なお、私どもこういった通運事業の転換に伴いますもろもろの問題について保障するという制度もございまして、そういったいろいろきめ細かな対策を講じて雇用に不安のないように配慮をいたしたい、こう考えておるところでございます。
  67. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題ばかりやっていると多分時間がなくなるからこれで一応終わるけれども、これはなかなか納得できない問題ばかりですね。まだ進行中の問題でありますから、いま経過の話は聞いたけれどもなかなか了解はしにくいということで次に移りますが、国鉄当局についても、こういう画期的なことをやるとすれば、自分の立場もあるかもしれませんが、利用者というものの立場を十分に考え、国鉄の持っている公共性というものをどうその中に生かすかという問題、あるいは私が心配しているような農林水産物というような地域性があり、季節性があり、また品質の問題がある、こういうものが安く早く運ばれるような手だてが本当にできるのかできないのかという問題、あるいは離職をする皆さんが実際将来の生活に心配がないようにできているのかできていないのか、それから過疎地帯の問題を先ほどから言いましたが、その過疎地帯の振興というものがさらに大変おくれてしまうじゃないか、こういう心配に対してそれぞれまだまだ回答が十分ではない、こういうふうに感じます。だから、これはまた別の機会にさらにただしていきたいと思いますから、きょうは一応問題を提起して、これで終わります。  そこで、次は養鶏の問題に移ります。  過ぐる四日に、本委員会で吉浦委員から養鶏の問題についての質疑がありました。重複を避けて先の方に進みますが、五十三年の本委員会で養鶏問題に関して決議をいたしましたが、その決議は、養鶏を農業の一部門としてこれを確立させていきたい、それから後継者が残るような安定した経営をつくっていく、そのためには生産調整を自主的に行う、これに違反をしたものについては二つの基金から除外する等々の処置を講じていくということであったと思います。その後一定の期間これは守られてきたわけでありますけれども、最近は目に余る、言語に絶すると言ってもいいぐらいなやみ、無断増羽というものが企業ぐるみで行われているという実態があらわれております。この実態に関してすでに調査をされているはずでありますから、まず畜産局の方から報告してもらいたい。
  68. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 最近におきます無断増羽につきましては、前国会からもいろいろと御指摘がございまして、調査をいたしております。御承知のように年四回調査をいたしましてその実態を把握することにいたしておりましたけれども、調査自身がなかなか困難だというようなこともございましたので、県に加えまして農政局もこの調査に一枚加わりまして五月下旬にやりました調査では、すべてのいわば無断増羽と言われているものについて調査をいたしたわけでございます。  ことしの五月下旬の調査によりますと、戸数で、戸数と申しますか、企業体数で三十八企業体、記載羽数がこの三十八の部分で百十二万三千羽の記載羽数でございましたけれども、調査をいたしました羽数では二百六十九万羽の調査羽数がございました。百五十六万羽の超過羽数がございました。  これらにつきましては、前にも申し上げましたように調査をさらに進めると同時に、どうしても是正が早急にできないものにつきましては卵価の安定基金とか配合飼料の安定基金から除外するための通知等を行っているところでございます。
  69. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国の最高決議機関であるところの国会でいろいろのことを決めて、それがまず守れない。あのときには、その関係の商社もこの席に参考人として出席をして意見を十分述べてもらった上での決議をしたわけですね。それから、農林水産省が再三にわたる通達を出してもそれが守れない。一体どうしたらまじめな経営者がばかをみないで、お互いに共存共栄というか、助け合いながら生産を守り伸ばしていくことができるのか。一方において、森林法やあるいは農振法や、さらには生産調整という基本的なモラルに反して、あるいはまた法律に触れて、見つかれば手続をして、手続が終わればそれでいいじゃないか、これでは無法地帯ですよ。  こういう状態のものをどうしたらまともにできるのかということについて、ふだん石川局長は歯切れがよかったけれども、このごろはさっぱりと歯切れが悪くなっちゃった。その歯切れのいいところでひとつ答えてください。
  70. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 この養鶏もそうでございますが、いわば生産者がみずからの利益を守りますために自主的に生産を調整するというものは、たとえば御承知のように酪農の世界等にもございました。養鶏の場合は、実は御承知のように、五十五、五十六年、比較的高卵価が続いておりました際に、これは全国的に、かつ、かなり広範に羽数を増加する動きがございまして、当時から私どもは、卵につきましては需要の伸びがそう大きく期待できませんので、計画生産をするようにということを再三指導いたしていたわけでございます。そういう中で、比較的えさが安く供給できるような事態の中で、やはり全体として、みずからが若干でも利益があれば全体の利益に反するような行動をするというのがあったわけでございますが、先ほど御説明しましたように、五十七年、八年、低卵価の中で生産者自身も、こういうことでは経営に大変な危機を感ずるということで、この種の自主調整の動きが強くなったわけでございます。  ただ、御承知のように、卵価の安定基金とかあるいはえさの安定基金から排除をするということが、比較的ききにくい時期とききやすい時期がございます。現在は、御承知のように低卵価が一月以降、三月は若干持ち直しましたが、八月まで大変長く続きまして、たしか八十数億円の価格安定のための補てんをいたしておりますし、それからえさにつきましては、御承知のようにアメリカの熱波等も原因がございまして、いまえさが上昇してきて、正規の基金に加入をいたしておりますれば、その補てんによりましてえさの値上がりが大変抑えられる事態になっておるわけでございます。  私はそういう意味で、前回も御報告しましたように、現状のような卵価なりあるいはえさ価格の状態では、この基金から排除されるということは経営的にはかなりの打撃を受けるものと考えておりまして、したがいまして、現在やっておりますことが徐々に効果をあらわしてくると考えております。現に、先週の価格を見ましても、二百八十五円台という形でかなり回復をいたしてきておりますので、手ぬるいとお思いかもしれませんが、私どもがやっております措置が徐々に効果をあらわしてくるものと考えております。特に今回は、単に基金の排除ということだけではございませんで、三十八の無断増羽者に対しましては、どのようなルートから飼料を購入しているか、あるいはどのようなルートで卵を販売しているかもすでに把握をいたしておりますので、そういう資材の購入なり卵の販売という面も通じまして関係者の自重を促すことをやっておりますので、歯切れが悪いというお言葉ではございますが、こういうことをしんぼう強くやることが効果をあらわすことではなかろうかと考えております。
  71. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先般、九月二十六日に養鶏の経営者の皆さんが全国的な大会を開いて、各党からいろいろ激励をしたわけですが、その中で、いまのような状態で、せっかく国会の決議もし、それから農林水産省当局も努力をして通達や指示を流しながら依然として守られない状況、しかもそれが前のときよりもさらに悪くなっている。悪質だ。というのは、大商社が構えてコンビナートをつくり、まず飼料をそこへ陸揚げをし、そこでその揚げた飼料を使って何百万羽かの、さらに大きくなれば何千万羽かの増羽に到達するような、そういうことを計画的に、意識的にやっている。もちろんそこまで来ると、えさの基金からの除外、そういうことは覚悟の上でやっているとこれは見られる。  それで、そういう状況のもとで、これを単にお互いに慎もうじゃないかというだけでは済まない。やはり安定法というような法律をつくって、そして、その目標、生産の長期展望と年次別生産価格、えさ、資金、それから生産の調整のための各界の代表によるところの協議会をつくって、それを守らないものについてはそれぞれの優遇措置から排除をする、これくらいの内容のものができないかどうか。そして、お互いにこれが守られた段階においては、それは時限立法でも何でも構わないから、それを廃止してもいいが、一時的なものでもそういったことにしなければこの状況を克服することができないじゃないか、こう考えるけれども、これはどうですか。
  72. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 養鶏安定法と言われるような立法措置を御期待なさる向きもあるわけでございますが、いま先生が御指摘になりました、たとえば安定基金からの排除といったものにつきましては、特段の法律措置を要しませんで、現在われわれが行政措置として実施をいたしておりまして、それなりの効果があらわれていると考えております。  特に問題となると思われますのは、たとえば新規参入を抑える、新しく鶏を飼うというような場合にこれを抑えるとか、あるいは一定の羽数以上飼うことを制限的にするといったようなことを法律の内容として、いわば競争制限的なことを法制度のもとにやるということになりますと、御承知のように、独禁法との関連その他いろいろと障害が出てまいるわけでございます。  現に、私どもも酪農の世界におきましてもそれと似たような事態を経過をしたわけでございますが、これもあくまで自主的な生産を調整をするという手法でその目的を達成してまいりました。もちろんその場合でも、何人かのアウトサイダーといったものがありまして、これとの調整に困難を来した場合もございましたけれども、やはりこれはあくまで自主的な措置ということで認められているわけでございます。特に養鶏の場合は、県段階、市町村段階に需給調整の協議会を置いて、行政も中に入ってコントロールするということを公正取引委員会自身にも認めてもらっているわけでございまして、そういう面では、比較的行政的な指導としては強い措置まで容認をされているという事態でございます。  私どもは現状のような姿を着実にやることが最も望ましいと考えておりまして、かなり競争制限的な立法措置を考えて、それが立法的に不可能だった場合の方がむしろ影響が大きいのではなかろうか。先生が御指摘のような基金からの排除等のことを考えるのでございますれば、これは、この卵価安定基金、配合飼料の安定基金自身が予算措置を中心につくられているものでございますので、それの運用方針ということで十分対応できると考えておる次第でございます。
  73. 竹内猛

    竹内(猛)委員 法律をつくらなくてもいいと。前にもこの問題をやったときに、たとえば基金から除外をする場合に民法上の云々ということで、基金から除外することについても畜産局は非常に言を左右にした時代がありましたね、民法上の契約がどうだのこうだのということで。そういうことで、一応排除するという形になったのは一歩前進だと思う。今度は増羽の問題について制限することはおかしいという話になってきた。一方においては生産調整という機関を町村から県の段階でつくっておきながら、増羽だけはどんどん横の方からやってきて、企業が持ってきてやって、そして青森県なんかでは既成事実ができたら協議会がそれを追認するという形をとってきている。こんなばかなことをやっていてどうなるんです。  ちょっと長いけれども、私はいま販売されている「地上」のある一節を読みますからね。これは事実であるか、事実でないか、確かめてください。もしこれが事実だったら大変ですよね。   さてこうした企業養鶏の動きは何を意味しているのか。  最大の問題は、その陰に巨大商社の動きが見え隠れしていることである。日本鶏業の場合、飼料の供給先は三井物産系の目配飼料、日粉飼料であり、卵も三井物産を通じて販売している。  そしてこの秋、八戸コンビナートでは、三井物産系の東北飼料が操業を開始した。  二〇〇万羽という大増羽計画を進めている同社の背景で、だれが資金的なバックアップをしているかはこれで明らかと、全鶏会議調査報告書は推定している。  三井物産の手は、タケクマグループにも及んでいると推定される。秋田県の八竜養鶏組合の場合、農場の土地に対し日配飼料が一〇億円の根抵当権を設定し、また大野村の阿子木養鶏組合は、村に提出した事業計画書で、ブロイラーの販売先として日本鶏業を挙げている。  こうしてみると、岩手、秋田のタケクマグループの動きと日本鶏業の動きとは相互に関連し合ったものであり、背後に三井物産が控えている、といった構図が浮かび上がってくる。  そしてこれが氷山の一角であることは、八戸飼料穀物コンビナートの各工場が、先ほどの東北飼料−三井物産と並んで、中部飼料−トーメン、日和産業−三菱商事、伊藤忠飼料と、それぞれ巨大商社の系列下にあることからも分かることだ。  そうしたなかで、五十五年から五十七年にかけ、青森から東京市場への鶏卵出荷量は一・五倍に、また岩手から東京市場へは二倍になった。  ここしばらく続く卵価低迷の最大原因はこれだと言われている。もしこのまま、北東北のヤミ増羽を放置しておけば、農家養鶏は次々と倒産し、日本の養鶏産業はアメリカの穀倉地帯−飼料基地−巨大養鶏場−大スーパーと、生産から消費までの流れを一手に握る巨大商社に支配されてしまうと、いま養鶏生産者は危機感をつのらせている。  この「地上」というのは農協の雑誌で、その辺のやみ雑誌じゃない、これがこういうふうに報じている。これが事実かどうか、これはどうです。
  74. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 そういう一つ一つのことにつきまして、私どもそういう雑誌が出ます前に全鶏会議等の話がございまして、逐一調査をいたしております。したがいまして、全体がどうかという御質問でございますが、逐一申し上げますといろいろと時間がかかりますが、一つ申し上げたいことは、その中で八戸コンビナートというものとこの問題を大変結びつけてお考えでございますが、基本的には八戸のコンビナートと申しますのは、東北地方での配合飼料の絶対量が不足をいたしておりまして、関東周辺から輸送費をかけて東北へ持っていって配合飼料を販売していた。これでは養豚なり養鶏なりあるいは酪農といったものの飼料の価格が大変高くなる。したがいまして、八戸にコンビナートをつくりまして、そこで配合飼料生産をやって供給価格をむしろ合理的に下げていこう。そのためには、東北でもつくり、関東でもまだつくっていたというのでは、これは絶対量の供給増になりますので、スクラップ・アンド・ビルドということで、向こうの工場が完成し、稼働するに応じて関東なりあるいは南東北なりで行っております生産を縮減して、合理的なえさの供給をやろうということが基本でございます。若干スクラップがおくれたものとかあるいは生産が伸び過ぎたものにつきましては、私どもこれを是正をさせておりまして、東北にそういうものをつくったこと自身が問題だという御指摘につきましては、私どもは反対の意見でございます。そういう合理化をしなければ、東北の生産者はむしろお困りになるのではないか。  それからその次にやみ問題でございますが、やみ増羽問題は、実は私どもの調べによりますと、全国的な傾向でございます。決して東北に限られたものではございません。しかしながら、東北で行われております幾つかのいわゆるやみ増羽につきましては、先ほど御指摘のような各種の、たとえば森林法とかあるいは開発規制の法制を無視したものとか、あるいは育成鶏を飼うと言いながら成鶏を飼うといったような、いわば悪質と思われるものがございます。そういうものにつきましては逐一ルートを調べまして、どのような措置をするかを現在強力に指導中でございます。東北の場合は若干いわばこういう問題について、地域とすれば地域産業育成といったような観点があったように考えておりまして、何か地元で産業が興ることのプラス面ということがあって地元でのチェックが甘かったのではなかろうかという懸念もございますので、私ども農政局も使いまして直接指導をして、そういうことのないようにということを極力指導しているところでございます。  それから商社その他のかかわりでございますが、私どもそのいま先生がお読みになりましたような事態につきましては、逐一関係の商社なりあるいはたとえば配合飼料の産業なり、そういうものから聞き取りもいたしておりますが、たとえばそこに書いてありますように、直接的な資金援助とかあるいは直接的な関与といったものにつきましてはいずれも否定をいたしております。しかし、ある種の商業的な取引があるのは事実でございます。そういうものについては、相手方がやみ増羽をしている、違反をしている業者であることを熟知させました上で、そういう取引が逐一改善されるような指導を現在行っております。  したがいまして、先生のお読みになられました文章自身については私ども逐一内容を承知いたしておりまして、その承知をしました上で改善措置をとりつつあるところでございます。
  75. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは大臣にもちょっとお尋ねをしたいのですが、いま局長から答弁がありました。これは五十三年に本委員会で決議をし、その後一定の期間守られてきたことが、あるいは通達が出された段階でも守られてきたことが、最近はより巧妙に、しかも赤裸々に、同じイセ、タケクマの部類が進出をしてやっているというところに——これは実際言ってみれば、やることが初犯じゃないんですよ、これは重犯ですよ。これに対していまのような答弁では、私はこれはどうしても納得ができないのです。  だから、大臣からはこれに対する所感もひとつ承りたいし、それから委員長はきょうは事情があるようですが、この委員会理事会でこの問題をひとつ取り上げてもらって、養鶏の小委員会でもつくって、それで現地調査をするように、国会の決議、われわれが決議したことが守られていないという事態については、これはわれわれ軽視されているんですからね。何ぼ決議したって守られなければしょうがないもの。これはやはりぜひ取り上げて、現地調査くらいやる、小委員会くらいはつくって、決議を尊重する、こういう習慣だけはつくってもらいたいと思う。  この二点についてひとつ……。
  76. 金子岩三

    金子国務大臣 いろいろ御指摘になっていらっしゃいます点は、よく検討いたして、善処いたします。
  77. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 後半の部分につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと存じます。
  78. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たから私はこれで終わりますが、委員会の決議が踏みつぶされても黙っているわけにはいきませんから、委員会の決議というものはぜひ大切にされるように、尊重されるように、養鶏に対してはここでやった初めての決議ですから、そういうものを大事にするように取り扱いを重ねてお願いをして、終わります。
  79. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時六分開議
  80. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  81. 島田琢郎

    島田委員 最初に、北海道は残念ながらこの夏の異常な低温によりまして災害を受け、その災害の実態は救いがたい状況にいま相なっておるところで、まことに遺憾にたえないところであります。この対策は非常に緊急かつ重厚に行わなければ、来年の営農にも大変大きく影響する、こういう心配を持っているところですが、まず災害の実態について総体的にどのように把握をしているか、それが第一点。  それから第二点は、天災融資法等の所要の措置が必要だと私は考えていますが、これらの対策について、いつ、どのようにお進めになろうとしているのか。  それから、共済制度がありますが、この共済制度の運用を農林省当局もすでに適時進めておられるようでありまして、この点は敬意を表したいと思います。ただ、この実態の把握が正確になされませんと、これらの運用が適正を欠きますし、また迅速性を欠く、こういうことにもなりますので、この点についても早急に共済制度の運用を全面的に展開願いたい。  それから、冬場を迎えて、これから長い冬の生活を余儀なくされるわけであります。普通の年でもなかなか容易でない農家の生活が大変窮迫するというふうに予想されます。救農対策について具体的にお考えがあれば、この点について御説明をいただきながら、政府としての対応の全貌についてこの際お聞かせを願っておきたい、こう思います。
  82. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 今年度の北海道の冷害につきましては、農林水産省におきましても鋭意その実態を把握中でございますけれども、北海道庁からの現時点までの報告によりますと、九月二十日現在で一千二百億に近い農作物被害という形になっておるわけでございます。こういう中で、来年の営農を控えまして、何とか早急に災害対策ということでいろいろ取り組んでいるわけでございますけれども、ただいまお話がありましたまず金融対策でございますが、御承知のとおり天災融資法につきましては、災害の態様なりあるいは規模及び広がり、それから被害の深度、こういうものを総合勘案して発動することになっているわけでございます。現在、鋭意被害の実態とそれから資金需要、そういうものの把握に努めているところでございまして、できるだけ災害農家の資金対策につきましては万全を期すべく、天災融資法だけじゃなくて、その他の資金対策につきましてもいろいろと末端を指導しているところでございます。  それから共済につきましては、何といいましてもこういう災害の際の一番の手だてでございますので、この迅速な、円滑な運用ということに常日ごろ心がけておりまして、農林水産省からも九月五日から十二日にかけまして共済の専門官を現地に派遣いたしまして、末端の実情の把握とそれから北海道の共済団体の指導ということに努めておるわけでございます。今後とも損害評価のできるだけ早い把握と共済金の早期支払いということに努めてまいりたいと思っております。  それから最後に、救農対策でございますけれども、現時点では被害の広がりなり深度、こういうことも残念ながら的確に把握してない点もございますし、それから地元からの要望ということもまだ出尽くしておりませんので、そういうものも見きわめながら、過去にもいろいろ対策をした経験というのもございますので、適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 島田琢郎

    島田委員 関連して安井委員からも質問がございますので……。
  84. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 関連して、安井吉典君。
  85. 安井吉典

    ○安井委員 北海道の冷害対策についてはいずれ資料が整ってから時間をかけてこの委員会でも取り上げたいと思いますが、ただいま水稲被害について、上川中心に空知にかけてかつてない異常な事態が起きておりますので、その点だけきょうはちょっと取り上げたいと思います。  十月六日午前十時ごろから上川、空知に雨が降り出して、それが夜中から雪になりました。そして、七日の朝には旭川市内でも一センチ、山間部では十センチ、ひどく多いところでは二十センチも一遍に雪が積もり、その上最大風速十九・七メートルという風が吹いたわけです。私どもこんな記憶は全くないのですが、十月六日に積雪があったということは明治二十八年に測候所ができて以来なことだそうですね。北海道に稲作ができてから初めてのことです。このことによって、お盆ごろから水稲は若干持ち直してうまくいけば平年作までいくかもしれないという期待も実はあって、農家は薫煙をもう朝早くから起きて三回もやりました。  ところが、この状況で中北部、北海道の米作の中心は上川、空知でございますが、上川管内だけでも一万五千ヘクタール以上がこの被害を受けています。空知も山間部が受けているそうです。私もきのう見てまいりましたけれども、全く畳を敷き詰めたようにべったりいっているわけです。ところどころ稲が立っているというのならまだわかるのですけれども、全部、こういう部屋の敷布や芝生と同じように稲が全部倒れているわけです。コンバインも入りません。では一体どうしてこれを刈るのかということで、みんな心配しているわけです。しかも、共済の方の被害調査はもうすでに終わった後の出来事であります。したがって、その後のこういう新しい状態を組み入れていかなければいかぬわけで、青い未熟粒がそのまま残っていて、豊熟した粒もあるのですけれども、これは倒れているために水につかって着色粒になることは間違いありません。下手をすると全くだめになってしまうというおそれもあるわけです。  ですから、私はきょうは、いまの御答弁にもありましたけれども、当面——これはいまだかつて経験したことのない事態なのですよ。何千町歩のものがみんな寝ているのですから、異様な光景なんですよ。ですから、これはやはり農水省から直接行ってもらってこの状態だけはっきり目に残し、資料にとどめていただきたいと思います。そのことだけきちっと押さえておいていただければ、後でまた対策できますから。ひとつ調査を十分にやっていただくということだけをきょうは要求しておきます。どうでしょうか。
  86. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 せっかく平年作に戻るのじゃないかという期待を持っていたわけでございますけれども、残念ながら雪に見舞われまして、ただいま御指摘ありましたように、相当面積というものが相当面積にわたっているようでございます。一度すでに災害の査定の中に入っておりますけれども、こういう事態でございますので、もう一度査定のやり直しと、それから本省からの係官も派遣いたしまして、これだけの害でございますので、現地の方々が安心して来年への営農を期し得るよう努力してみたいと思っております。
  87. 島田琢郎

    島田委員 大臣、大変景気が落ち込んでおる、そういう国民の皆さんの訴えが強く私どものところにもあります。特に北海道はこの春から景気が悪い。その上、天気まで例年にない冷たい夏ということで、この景気に味方してくれませんでした。したがって、やはりしみじみいま感じられますことは、農村部の豊凶というものは、地域やあるいはその町にとって景気、不景気を左右する大変大きな力を持っているものだ、こう感じているのです。ですから、ひとつ真剣にこの対策を組んでいただきませんと、農家だけの問題ではなくて、その地域や社会におきますこれから冬場を迎えての生活に大いに困難を来す、こういうことになります。お聞きの点、十分おわかりいただいていると思いますが、この災害に当たって大臣の所見をひとつ承っておきたい、こう思います。
  88. 金子岩三

    金子国務大臣 不況の中にかつてない異常なほどの冷害が北海道にありましたことは、地域経済に大変甚大な影響を及ぼしておるということを理解いたしております。いま概算しても一千二百億、七万五千戸の世帯に影響を及ぼしておる。いま安井先生の雪の話を承りまして、これはまた被害額が大きくなるのではないかなというようなことでございますので、最終的な被害状況をあとまた続けて調査させまして、その被害額もひとつ的確に把握いたしまして、できるだけの処置を講じたいと思います。
  89. 島田琢郎

    島田委員 十分な対策をひとつ早期に講ぜられますよう、強く要請をいたしておきたいと思います。  さて、ことしはそういう北海道の農作物の作況の状況のもとで作付が進み、肥培管理が行われ、大変苦労を重ねながらただいま収穫のときを迎えています。いま北海道において非常に期待をかけておりますのが、最後とも言える行政価格決定バレイショであるとかてん菜であるとか、あるいはでん粉、そして砂糖、また大豆、こういうものであります。私は、価格決定当たりまして、やはり北海道畑作農家が長い経営をやってまいります上で一体農政上の位置づけというものをどのように政府は考えてこれらの推進に当たっているのか、こういう疑問をいつも投げかけられるのであります。私は、政治に参加をしている立場からいえば、一半の責任を負わなければなりません。  北海道における畑作経営だけをきょう申し上げておきますけれども、これは酪農にしたって肉牛にしたってその他の畜産にしても、とりわけ水田なんかでも、第三期の計画が近く政府の手によって発表されるという時期でありますから、大変気になるところであります。それらは一つ一つが独立しているものではなくて、みんな関連性を持っていますから、この農政推進の上におけるそれぞれの畑作経営なら畑作経営というものがどういう位置づけを求められているのか、また、その位置づけによってどういう方向を農民に求めているのか、こういう期待というものが非常に強いのは当然だと思うのです。  ところが、残念ながら、六十五年見通しであるとかあるいは何々の計画であるとかという点で大きな総枠みたいなものは示されますけれども、それとても時の動きによっては大きく左右される。たとえば減反政策が出てまいりますと、それは畑作のところにも畜産のところにも大きなしわ寄せになって出てくる。そうすると、六十五年見通してはこうですよと言われたって、途中でそういうファクターが出てくるとそれに振り回されて、その目標を定めていた農家にとっては大混乱であります。平たく言えばわからなくなってしまう。そういうことでありますから、私は、毎回この畑作価格決定の時期には、大事な北海道畑作中心地域でありますから、この畑作のいわゆる将来像というものを政府は責任を持って示してもらいたい、こういうことを言ってまいりました。  その端的な例として一つ申し上げますならば、転作によりますところの畑作物の面積というのが、たとえば現在八千四百ヘクタールくらいは稲転によってビート生産されているわけであります。ところが、大臣御承知のように、六十五年見通しては七万七千ヘクタールというものが北海道てん菜の面積として確保されることが閣議で決定されている。そうしますと、この稲転ビートというのは一体内枠なのか外枠なのかということが問題になります。現実にはいま内枠になって、それで去年のように砂糖がたくさんとれると、ビートが多過ぎるからもっと減らせという話になってくる。ですから、いまそういう例を挙げましたように、畑作の目標なりあるいは畑作経営というものの将来像というものがそういうことによって振り回されてしまいますと、現場で自分の経営を責任を持ってやっている者にとっては、大変迷惑至極な話になるわけであります。  この際、北海道畑作の位置づけというものについて大臣はどうお考えになっているか、明らかにしてほしい、私はそう希望してやみません。いかがですか。
  90. 小島和義

    小島政府委員 六十五年見通しにおきます畑作物の位置づけでございますが、御承知のように六十五年におきまして、米の需給の面からいたします余剰の水田と申しますか、七十六万ヘクタールくらいは出てくるという前提に立っておるわけでございますから、作物別の生産の見通しもその七十六万ヘクタールの水田の活用ということを含めて計算をいたしておるわけでございます。したがいまして、てん菜の場合の七万七千ヘクタールというのも、既存の畑作並びに畑作の拡大という問題とあわせまして、水田の活用というものも計算上は入っておる、こういうことでございます。  それから、北海道畑作の位置づけということでございますが、わが国には百二十万町歩余の普通畑作がございますが、その三分の一の四十万ヘクタール余が北海道に位置しておるわけでございます。そのつくっております作物もてん菜バレイショを初め小麦でございますとか、あるいは豆類でございますとか、それから自給飼料作物、そういったものが中心でございまして、畑作の特徴といたしまして、これらの作物を合理的に組み合わせて輪作経営を成り立たせる、こういう宿命を持っておるわけでございますので、どの作物一つとってみましても大事な作物ばかりでございます。  幸い昨今の作付の状況を眺めてみますと、野菜等を除きました約三十万ヘクタールの北海道畑作の中で、いま申し上げました五つの作物が大体六万ヘクタール前後ということで、作付の内容から見ますと合理的な輪作経営が成り立っているように見受けられるわけでございます。もちろん場所によりましてはかなりな作物の集中、いわゆる過作現象というのが見られないことはないわけですが、全体として眺めてみますとまあまあいい姿になってきているなと、私どももそういう意味で大変喜んでおったところでございをする。ことしは残念ながら冷害によっていろいろな作物が被害を受けておりますけれども、長期的に眺めてみますと、この北海道畑作の持っておりますいわゆるポテンシャルというのは、日本の農業生産の上にとりまして一つの重要な食糧基地としての役割りを果たしているというものでございますので、この畑作の健全な発展につきまして今後とも努力してまいる、かように考えております。
  91. 島田琢郎

    島田委員 局長は稲転ビートは織り込み済みである、こう言われました。だとすれば、ここで改めて聞きたいのですが、稲転ビートの面積をどの水準に想定しているのですか。
  92. 小島和義

    小島政府委員 作物別の内枠につきましては、畑作の方も作付構成が多少流動的な要素がございますし、水田作の方につきましても流動的な要素がございますから、水田で幾ら幾らというふうな数字で公表をいたしたものはございません。ただ計算上内枠に入っているということだけでございまして、その計算のプロセスにおきます数字は、外に対しては特別な意味を持ってない、さような数字と御理解いただければ結構でございます。
  93. 島田琢郎

    島田委員 稲転ビートといえどもローテーション、輪作体系というものがそこにないと、毎年同じ畑にビートをつくるわけにいきません。ですから、水田の中に組み込まれた、てん菜だけではありません、そのほかの麦にしても牧草にしてもあるいは豆類にしても、こういうものは、新たに水田、水稲作を入れた輪作体系というものが確立てきるかどうかになりますと、ここは非常に疑問だと私は思うのです。何といったって水位が高いし、水田の草地を畑作に転換していく場合には何といったって水抜きをして水位を、地下水を低めていかなければ、これは何でもできるということにはなりません。ですから、稲転のビートというものが一体どの面積を目標にしながら定着していくのかというのは、課題としては決してそんなに容易なものじゃないと私は思う。  ですから、そういう意味であらかじめ北海道畑作経営の中に織り込まれていると言うのなら、私は非常に疑問を感ずるわけでありまして、それで長期的に営農が成り立つという考え方が農林省にあるんだとしたら、これは根本から検討し直してもらわないと、稲転ビート、稲転小麦、稲転牧草、いろいろなものが水田の中に、長期的にそこが輪作体系をきちっと持ちながら耕作され得る条件にはないと私は思うから、そういうのを入れて今後の畑作全体を考えるというのはきわめて危険だ、こう私は思うから、ちょっといまの小島局長説明には納得がしかねるのであります。  ただ、きょうはこの議論を余り長く続けるつもりはないので、時間が何しろ限られておりますから、これはこれからの課題にしておきたいと思います。もしもそんな考え方で農林省の内部が統一されているんだとしたら、僕はもう一遍再検討をしてもらいたい、こう思っております。  ところで、畑作の中で今回大豆という問題が価格決定の対象になっております。そこで、雑豆の問題と大豆について、この際、私は伺っておきたいと思います。  これも毎回やっておりますけれども、雑豆、御承知のとおりガットの十三品目の中で、これは日米間において決裂状態になったままになっているわけであります。この春でしたか、両国の協議の中で日本からオファーを出しまして、ことし一年間の輸入割り当てについては五千万ドル、量にすると十一万トン、このいずれかにしたいということを提案しました。ところが、アメリカの方はこれを拒否しまして、一億ドルを主張して今日に至っておるわけで、決着がまだついていない。ちなみに、五十八年度の上期では二千三百十万ドルがすでに割り当てがなされているところであります。これは、どういうふうにこの日米間の落ちつくところをお考えになっているのですか。  これは、単純に日米間の協議で解決できるというほどなまやさしい問題でないのは、私もよく知っています。外貨割り当てといういまの制度の中で、国内産豊凶とかいろんなファクターがそこにあって、それをにらみながらやっていきませんと、単純に貿易摩擦解消だなんていうだけで解決できる問題ではないわけですから、こういう点についてはかなりむずかしい要素を持っている。努力もされているし、御苦労もされていることは十分わかりますけれども、これは五十八年の下期にも入ってまいりましたし、日米間の協議はまだ調っていないし、こういう中でどういう方向を進めようとされているのか、その辺のところは大変気になるところでありますので、担当の局長からお考えをお聞かせいただいておきたい、こう思います。
  94. 小島和義

    小島政府委員 雑豆は、特に北海道畑作物の中におきまして重要な位置づけを占めておる作物でございますし、また昨今では、転作作物としてもかなりなウエートを占めておるわけであります。そういう意味におきまして、今日とっております輸入割り当て制度というのは何とかして維持したいということで対米交渉に当たっておるわけでございます。  その際におきまして、もともとこういう需給に応じて輸入数量を決定すべき作物でございますから、毎年毎年の作柄を見てみなければ輸入割り当て量を幾らにするかということははっきり言いかねる性質のものでございます。その場合には、アメリカに対しても何にも約束ができないということになるわけでございますが、過去のいろんな数字を調べてみますと、十一万トン、五千万ドルというのは、豆年度で眺めてみますと最低の水準でございまして、これ以下になったという年がないわけでございます。これはたまたま豊凶変動が隔年というわけではございませんが、一定のサイクルで訪れているということのあらわれでもあるわけでありますが、そういうことで、今日よりははるかに需要水準も大きかった時代におきましても、やはりこの十一万トン、五千万ドルという水準は満たしておるという過去の経験値があるわけでございます。したがって、いわばその最低の水準の輸入割り当てということであれば、アメリカに対して譲許するといいますか、約束をしましても、国内に御迷惑をおかけすることはないのではないか、こういうことで、十一万トン、五千万ドルというオファーをいたしておるわけでございます。  本年の場合にこれがどうなるのかという問題でございますが、御承知のように五十七年産は空前の大豊作でございましたが、本年産北海道におきまして面積がかなりふえたにもかかわらず、生産量としては昨年の半分くらい、こういう状況でございますので、本年下期以降におきましては相当な割り当てをせざるを得ないという状況に立ち至ろうかと思います。その意味では、十一万トン、五千万ドルという約束は履行をいたしましても国内に不都合が起こらない。むしろそれ以上の割り当てをせざるを得ないのではないかというふうに思っておる状況でございますので、今回のこの線でアメリカとの話がつきますれば、非常にうまい結末になるのではないかと思っておるわけでございます。  ただ、状況はなかなか予断を許さないという大変むずかしい局面であることも全く御指摘のとおりでございます。
  95. 島田琢郎

    島田委員 ところで、大豆の問題でありますが、なかなか思うように生産振興がいかないなという感じを私は持っています。これは、一体どこに問題があるのだろうかという点をもう少し真剣に考えてみなければいけない。そんな中で、こういう財政事情の中なものですから、ちらちらと聞こえておりますのは、交付金制度の問題について財政当局から何か注文がついているのではないか、こんな感じを受けているわけであります。  本来、やはりつくる以上はよい品質のものをつくっていく、こういうことでなければいけないし、また、その収量の多いものを目指さなければならない。ところが、私が小耳に入ってくるようなことを裏書きするように、農林省の大豆振興策についていま一つ腰が入ってないという感じがするのは、品種改良がさっぱり進んでいないのじゃないか、こう実は去年のいまごろの質問で申し上げたら、いやそうじゃありません、日本の試験場の技術は大変りっぱな成績を残しておりまして、それが一般化し、普及化するという段階で若干まだ戸惑いというか、足踏みがある、試験成績はりっぱなものが出ております、こんなお話でありまして、それじゃこれはひとつ大いに普及をするということに力を入れなければならぬ、こういうふうに指摘をいたしまして、私もその点については、それが事実であるとすれば、普及の方に真剣にひとつ力を入れるような予算をつけてもらいたい、こういうお話もいたしました。しかし、どうも予算も余りぱっとしませんし、具体的に一般化されるような兆しがことしあたり出るかと思ったら、それも出ていない。これはやはり怠慢だと言われても仕方がないのではないかという気がいたします。したがって、ここでまた本腰を入れてぜひひとつ大豆生産振興というものをやっていかなくてはならぬ、こう思っていますが、具体的にはどういうようにお考えになっているのか。  私は、交付金制度そのものをいま洗い直すというようなことを申し上げているのではありません。ただ、いいものをたくさんつくるということによって国内の大豆振興というものは当面のこういう状況を打開していくことができると私は思っていますので、むしろ大豆と米が同額であるというようなことは、価値観からいってももう改めていいんじゃないか。かつては米よりも大分安かったのでありますが、米に追いつくということが目標でありまして、米と大体同じような値段の水準になりました。しかし、私は二割や三割は大豆の値段が米よりも高くてもその価値はあるのではないか、こう最近は考えるようになりました。したがって、思い切った交付金制度なり、大豆をいいものをつくって、それなりの価値でもって市場で売っていく、こういうことになりますれば、交付金そのものも、同じキャパシティーで量をたくさん消化することができるということになるわけでありまして、それをほっておけば、ここにもきょう資料をもらっておりますけれども、三千何がしかの安い大豆で、あとは交付金を積み上げなければ経営のコストが賄い切れないみたいな逆現象になっていくわけであります。いいものをたくさんつくって、現在の三千何百円を、五千円だ、六千円だ、あるいは八千円と、こう売っていけば、交付金はその分だけ圧縮されるわけであります。そういう運用の仕方にやはり力を入れる。そのためには、品質のいいものを、そして多収穫のものをつくっていくという、こういう品種改良も怠りなく、それを一般化していくという努力もあわせてやっていく、こういうときに私はあるのではないか。去年も同じことを実は言ったのであります。この辺は、どうしてこんなことになっているのでしょうか、局長
  96. 小島和義

    小島政府委員 まず、交付金の問題でございますが、五十六年産大豆につきまして支払いました交付金が約百七十億ばかりでございますが、五十七年産につきましては百九十億円余の予算を計上いたしておりまして、しかるところ、作柄も比較的よかった、出回り量も多かったということ、それから販売価格が予想外に低かったというふうないろいろな事情が作用をいたしまして、五十七年産大豆についての総払い額は二百三十億円を超えそうな状況でございます。そういうふうな財政負担が累年増高するというふうなことから、この制度自体につきましても財政当局からいろいろな問題を投げかけられておるわけでございます。  端的に申し上げますと、加工原料乳の不足払いなど限度数量という制度がございまして、大豆についても法令上は限度数量の規定があるわけでございます。ただいま大豆の増産に向かって努力をしておりますさなかでございますから、限度数量というのはいまだかつて定めたことはないわけでございますが、そういうものを定めるべきではないかという議論は依然としてあるわけでございます。  それからもう一つの問題は、いま御指摘になりましたように、ほかのいろいろな作物についての価格支持制度、たとえば米なら米にいたしましても、一定の検査基準に該当するもののみを政府が買い入れをする、こういう仕組みでございますし、麦につきましても、規格外はもとよりのこと、多年問題になっております等外につきましても今後は買わない、こういうふうになっておりますのに、大豆はかねてより規格外、等外全部込みにいたしまして販売価格を出しておる、こういう問題がございますので、余り品質のよくないものについては交付対象にしないということが正しいのではないか、こういう問題提起がなされておるわけでございます。こういう状況でございますから、財政的に非常に負担のかかるこの制度についての批判というのが出てくることはやむを得ないのでございますが、さればといって、多年にわたりまして継続してまいりましたいまの扱いを急激に変更するということも農家側の期待に背くことになりますので、仮に何らかの工夫をするにいたしましても、その工夫というのは徐々に行うべきものというのが私どもの考えでございまして、実は昨年も品質上非常に問題のあるものにつきましては、集荷段階で再調整をお願いするというふうなことを若干いたした経過はあるわけでございます。今後におきましても、何としても品質のいいものをできるだけ高く売る、こういう努力がございませんとこの制度も財政的な面から破綻を来すということになりますので、そういう努力をいたしたいと思っております。  そこで、御指摘のございました品種の問題でございますけれども、実は世の中で余りはでに取りざたされるということはございませんが、五十三年以降でいわゆる農林登録品種といたしまして十五品種が新たに登録されておりまして、その農林登録品種の作付シェアは五十二年で三五%前後でございましたが、五十七年では七〇%ということで、急速に拡大をしてきておるわけでございます。もちろん、自家採取の種で栽培をすることがございますから、直ちに全面的に切りかえるということにはなかなかならぬわけでございますが、今後ともそういう優良品種の普及は急速に進むものと見ております。  これまでの結果といたしまして、トヨスズでございますとかエンレイでございますとか比較的広い地域に普及されておる品種が出ておりますし、また最近ではタマホマレとかあるいは納豆用のスズヒメとかあるいは病害虫に対する抵抗力のあるスズユタカというふうな新しい特色のある品種も出てきておるわけでございまして、決して新しい品種の開発並びに普及ということについて手を抜いているということはないわけでございます。  ただ、単位当たり収量向上ということになりますと、品種選定もさることながら、やはり栽培技術の問題がどうしても物を言うわけでございます。従来、大豆につきましては、収量を上げるためにはむしろ粗植の方がいいというふうな学説がございましたが、昨今におきましては、他の作物同様にやはり密植栽培の方が単収を上げるために有利である、こういうことになってきております。  それから、特に内地、都府県におきますところの大豆、これは転作大豆が圧倒的に多いわけでありますが、やはり適期防除を行う必要がある。適期防除を二度ぐらいやっていただければ大体三百キロくらいのものがとれるということが実証されておりますし、現に富山県のようなところでは、過去二年間連続いたしまして県平均で二百キロという水準を上げておるわけでございます。平均で二百キロでございますから、三百キロ水準のものは相当多数含まれておる、こういう結果も出ておるわけでございまして、それらの努力を組み合わせますれば、大豆の単収向上、ひいては収益性の向上ということも決して夢ではないというふうに考えておるわけでございます。
  97. 島田琢郎

    島田委員 ビートに移りたいと思います。  畑作の中で、特に北海道にとってはてん菜バレイショというのは麦とともに重要な畑作の柱になっておるのは御承知のとおりであります。私は、非常に気になっておりますのは、昨年はビートが大変よくとれました。手もとれました。昨年のような年を悪い年と言うのはよほど根性曲がりでしょうから、これは正確にいい年であったと評価をしておきたいと思うのであります。ところが、それにもかかわらず農家経済が大変苦しくなっている。ここのところが大変私は気になるのであります。気になるだけではなくて、問題の点ではないか、こう思うのです。  調べてみますと、私はよくこの席で交易条件という言葉を使います。これは、私がオリジナルに出した言葉ではございません。農業白書でもこれを言っておるのであります。これは大変大事な農家の経済を考える場合のバロメーターでありまして、最近、九月三十日に統計情報部が発表いたしました農村物価指数というのがございます。これは五十七年八月でありますけれども、そのほかに五十七年度の全体のものが出ておりますが、それを見てまいりますと、この中で、農産物の価格は五十五年を一〇〇として五十七年は〇・六上がった、こういうことであります。ところが、これらを生産する生産資材は総合で二・九%上がった、このように統計情報部は発表いたしております。そして、五十七年度の農業の交易指数というのをそれからはじき出してまいりますと、九七・七六で一〇〇を割っている。これは一〇〇を割りますと、農業経営は赤字になって生活が苦しくなる、あたりまえのことでありますが。売るものが上がらなくて使うものがそれよりも高くなれば支出が多くなるわけで、経費がよけいかかって所得は出ないわけでありますから、生活が苦しくなるというのはあたりまえの話であります。  こういうものを見てまいりますと、昨年あれだけ物がよくとれた、豊作だという気分でございましたのに、農家経済、農家生活は逆に悪くなっているというのは一体どういうことなんだろうか。そういう点を正確に実態として把握しないで、てん菜価格あるいはジャガイモの価格決めた、これだけでは済まないと私は思う。昨年これだけよかったのだし、おととしはこうであった、そうした趨勢値の中から傾向として農家の経済はこうよくなるはずだと言われたって、実際問題はそれだけではかすみを食っていきていくようなものでありまして、統計の数字だけでは生きていけないのであります。ところが、いみじくも統計もそういうことを指摘しているのであります。ですから、この辺を頭に置きながら価格決定に当たってまいりませんと、行政は不親切だ。不親切だけではない、農家の生殺与奪の権を持っておるわけでありますから、息の根をとめてしまうということになりかねない。  ちなみに、これも農林水産省北海道統計情報事務所が発表いたしました北海道農林水産統計年表によりますと、五十二年からのものをちょっと一覧表にまとめてみました。その結果、これは五十七年がまだ出ておりませんけれども、五十六年までにずいぶん農家経済が悪化をしておる。所得がこの年はずいぶん、例の湿害によって苦しんだ年ですから当然と言えば当然でありますが、農業所得は五十四年に五百万、五十五年で五百十万、五十六年ではその半分以下の二百四十八万円と落ち込みました。しかし、経費は決してそれにつれて、並行して落ちたわけではありません。つまり、かからなかったわけではありません。この五年間で一番多い六百六十万円ほど経費がかかったのであります。ちなみに前年はどうかというと六百四十万、五十二年には四百三十万の経費で済みました。  そして、これまた当然のことながら、農業所得率は四二%、四八%、四九%、四五%と続いてきましたのに、五十六年には二七・三%と所得率ががっくり落ち込んだわけであります。その分を五十七年である程度取り戻していけるかと思ったのでありますが、現実にはそんなに甘いものではなくて、この落ち込んだ所得率は依然としてそんなに取り戻すことができないで今日苦しんでいる。  また、十アール当たりの所得というものを見てみますと、十アールと言えば三百坪でございます。きょうも坪何百万とかの土地があるというテレビがありまして、三百坪とたった一坪との値段、こんなことのいわゆる矛盾を私はつくづく感じたところでありますが、それを単純に比較するというのはちょっと筋が違うと言われればそのとおりでありますが、十アール当たりの所得がどれぐらいになっているのだと調べてみましたら、五十二年にわずか二万七千円であります。そしてその後少し上がりましたが、五十六年には二万一千円、こんな所得でしかないのであります。これではとても食える話じゃありません。ですから、こうした状況というものがちゃんと頭の中に入っていて価格決定していただかないことには農家はとても救われぬ、こういうことになるわけであります。それで、たまたまことしの価格決定ということになりますれば、昨年はよかった、そういう頭で、ほとんどどなたも疑いなくそういう感じにいま支配されている、こう考えるのであります。  私はそういう点を昨年も同じように言いまして、たまたま限界生産費方式というものを採用してはどうか、こういうことを申し上げたわけであります。小野局長は新しくきょう初めてこうやって私とお話をするわけですから、この限界生産費方式なんというような言葉についてはあるいは初めて聞いたとおっしゃるかもしれません。私は、この点について若干解説を加えておきますと、実はこの間統計情報部がこれまた発表してくれました。統計の方、いらっしゃるのですか。——おりませんか。統計情報部は呼んでいたはずでありますが……。まあよろしい。これはひとつ小野局長、聞いておいてください。  実は、生産費調査の中の単収が十アール当たり六千百二十五キロ、つまり六トンとれている、こういうことであります。ところが、先ほど局長説明されたのは五トン九百であります。そして、全体的に面積としては、五十七年につくられたビートの面積は、正確に言いますと先ほど御説明にあったとおり六万九千六百八十三ヘクタールでありました。そこで、五千九百キロの単収を上げて全体で収量は四百十万トンであります。こういう報告でありました。統計情報部のこの単収に面積を掛けてまいりますと、四百二十六万八千トンになっちゃうんですね。  こういう全く実態にないような数字統計情報部から発表されるということについて、きょうに始まったことではございませんよ、前にもこんなことがありました。この辺のところは勉強が足らぬのか、どうも私はわからないのであります。もっとこういう点は実態に合わせて、みんなが納得できる数字があってしかるべきだと思うのです。調査の仕方について私は間違っているということを申し上げているつもりはありません。でも、なぜこんな数字が出てくるのかという点については、依然として疑問なしとしません。こういう数字が発表されて、てん菜価格決定に当たってはこれがそのまま使われることはないということは私も知っています。これを参考にしながら、趨勢値としてそこを根っこにして価格決定を行う、パリティでありますから、その他経済事情参酌で決めていくわけでありますから、この数字がそのまま使われているというふうに私は申し上げるつもりはありません。でも、限界生産費方式というものの主張はもう一つ違うところにあります。  たとえば、実はこの五年間の平均の単収というものを北海道ビートをつくっている百七十四市町村について調べてみました。これは大変なエネルギーを必要とする資料であります。必要ならば後で農林省に上げてもいいぐらいであります。これは正確です。統計情報部が発表いたしました正確な数字をもとにして、五カ年間のうちの最高と最低を除いて三カ年の平均で単収を見てみました。統計情報部が言っている六千キロの収量を上げることができている町村は何カ町村あるかと思ったら、一番目が妹背牛町であります。これが六千四百十五キロ、それから中富良野が六千百八十キロ、池田町が六千百五十三キロ、滝川市が六千百二十七キロで、まさに四番目のところの水準がこの統計情報部が出しております単収になっているのであります。高いと思いませんか。百七十四カ町村のうち統計情報部が出した単収よりも上げている、つまりそこのところのボーダーラインにいるのはたった四町村でしかないのであります。これは統計情報部のおいでにならぬところで長々お話ししたって始まりませんから……。  たとえば、そういう点で一体どれだけの収量をこの四カ町村で上げるのかというと、わずか十一万一千トンしかビートの原料を生産し得ないのであります。六十五年見通しなりあるいは需給計画に基づいて政府が考えております、去年の場合は四百十万トン生産された、こういうことになりますと、四百十万トンを生産するといえば、これは全町村が一生懸命になってこの水準の単収を上げたとしてもなかなかかなう数字じゃないということになるわけであります。計算上はそうでしょう。それは町村にはいろいろばらつきがありますよ。たくさんとっている人もおれば、少ない人もおります。ですから、そういう点でいいますと、三百五十万トンの原料ビート生産し得るところで見てみますと、風連町の百二十六番目というのが大体その辺の数字に近いところであります、六十五年見通しのところからいいますと。ここでの平均単収はどれぐらいかというと、四千三百三十七キロであります。とてもじゃないが六トン以上とるような、そういう町村の平均でやっていったのでは、農林省がお考えになっている原料の確保さえできないということに実はなるのであります。  時間が来てしまって、私はこの話はまた後ほど詰めてお話をしなければならぬかと思います。要は、そういう数字というものが採用されていく段階で、第一にはやはり交易条件が必ずしもよくなっているわけではない、そのことによって農家経済が大変苦境に陥っている、ビートもずいぶんとれた、バレイショもたくさんとれた、昨年は水もよかったし麦もよかったという北海道でありますが、農家経済は一向によくなったという結果には相なっていない、ここのところをしっかり頭に置いて物の値段をお決めいただかないと、農家は営農を続けていくことはできません。離農に追い込まれてしまうのであります。これは、昨年もう一時間ぐらいかけてこの話ばかりしました。前局長は納得をされたようであります。それで昨年は思い切った、百点満点とはいきませんが、六十点か七十点近い点数の価格をお出しになったのであります。新しい局長、ひとつこの辺のところは十分頭に置いて価格決定に当たっていただきたい。時間がもうあと三分しかないので、国鉄にも物を言わなければならぬから、一言でいいですが、私の考えている点についてのコメントはとてもできないと思いますのでも、そういう気持ちをにじませた価格決定をぜひバレイショてん菜に、あるいは大豆にお出しいただきたい、こう考えます。
  98. 小野重和

    小野(重)政府委員 先生いろいろ重要なことをおっしゃいまして、そういう点を含めまして簡単に答弁するのは大変むずかしいわけでございますけれども、もう御案内のように、ビートにつきましてもバレイショにつきましても、パリティ価格基準として、その他のいろいろな経済事情等を参酌して決めるようになっております。パリティ価格というのは、まさに農家の交易条件、これを確保するための一つの手法だというふうに私考えておるわけでございます。  ただ、昨年は手取り価格ベースで前年同という形にいたしまして、その点とうだということも御批判あろうかと思いますが、バレイショにつきましてもてん菜につきましても奨励金というものが四十九年以来ついておりまして、最近収益性なりも大分改善されているというような点、あるいは財政事情、いろいろなもろもろの点を総合勘案しまして去年のような価格決定になったわけでございますが、ことしどうするかということにつきましては、いま具体的に申し上げる段階ではございませんけれども、いま先生おっしゃいましたような点も十分頭に踏まえますが、また、財政事情等大変むずかしい事情もございます。いろいろ総合勘案しましてことしの価格決定に臨みたい、かように存じております。
  99. 島田琢郎

    島田委員 これだけは言っておきます。私は、昨年生産性向上算式によります、農家生産者にも次の再生産に向けての留保財源として一部くれというお話をしました。それからパリティで決めるということをおっしゃっているが、パリティだってずいぶんあなたの方に貸しがあるのです。総合パリティで比べてみてください。総合パリティは、三十年を一〇〇として四十七年で四二二・三になっていますが、ジャガイモは三〇四・九しか実現していない。てん菜だって四〇四。これは奨励金を含めてですよ。だから、パリティだってあなた方がちゃんと払ってくれてないのだから、それを値切ったり生産性向上メリットは全部政府が取り上げてしまうのは、これは悪代官のやることだと去年も言いました。これは次の再生産に向けて保留させてもらいたい。全部くれとは言っておりません。何割か保留してくれ。そうでないと次の再生産、さっき言ったように五年度で見ただけでもこんなにばらつきがあって、いい年があるかと思えばすとんと悪い年が出てくる、そういうことでありますから、いまの点で、パリティで決めますと言ってもそれならパリティ一〇〇%ちゃんと見てくれますか。四十九年、五十年にはこの点が大変問題になって、積み残しとして、当時の局長がこれを積み増しして、今日内枠三千句ほの奨励金であるとか、外枠の八百四十円の奨励金であるとかが今日こうやって生きてきている経過はある。それだってパリティ一〇〇%補償してないという事実があることを私は指摘しておきたい、こう思います。  ところで、国鉄の常務さん、ビートの工場で、北海道、私の選挙区でありますが、池北線の上常呂と勇足というところに工場がございます。ここでいま大変心配しておりますのは、先ほどもいろいろ御説明にございましたが、来年の二月にダイヤ改正によって貨物の合理化が行われる、そのことによって大変問題があります。というのは、砂糖をつくる工場において必要不可欠な物資がこの合理化によって大変困難な状態にさらされる。御承知でもありましょうけれども、基本資材としては重油類、C重油を必要とします。それから石灰原石が要ります。それから濃硫酸、苛性ソーダが要ります。ところが、そのうちの濃硫酸、苛性ソーダは、これを道路で運ぶときには遮断するということを行いませんと、これはみだりに道路上を運んではいけないという物資の指定を受けているのであります。だから、国鉄のレールの上を運んできているのであります。  今度それがなくなったら、これはどうやって手当てをすればいいかということになるわけであります。この引き込み線、その引き込み線の基本線であります池北線、こういうローカル線は、そんなに簡単にあなたの方の御都合でなくされては困る。そういう事情が、この一つ申し上げました点でも明らかになっている点であります。御都合があることは僕らもわかりますが、しかし、地域において経済や産業に多大の影響や甚大な被害を与えるということが明らかでもなおおやりになるのだとしたら、国鉄というところは鬼みたいなところだということになるわけであります。この事情についてどう御理解をされるか、私の質問時間は終わっていますから、一言だけお聞きしておきたいと思います。
  100. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お話のございました池北線の勇足、上常呂でございますが、いずれも七万トン、八万トンという取扱量でございます。私ども今度のシステムチェンジに際しましては、一応この取扱量を十万トン以上の駅について残すという目安にいたしております。特に、勇足につきましては、すでに五十四年に集約をいたしたいということで申し上げたわけでございますが、三年余引き続き営業をいたしておるということでございますので、今回はぜひ全国的な基準に照らしまして廃止を計画さしていただきたい、こう申し上げているわけでございます。  ただいま御指摘のございました濃硫酸でございますが、これは全国で六百万トンばかり生産量がございますが、国鉄の輸送しておりますのは百万トンでございます。五百万トンは何らかの形で他の手段によって輸送が行われているという事情にございます。濃硫酸につきましても、いろいろむずかしい輸送だと思いますが、ぜひ代替輸送でお願いを申し上げたいと、こうお願いを申し上げておるところでございます。
  101. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  102. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 次に、神田原君。
  103. 神田厚

    神田委員 五十八年度産畑作物価格決定につきまして御質問を申し上げます。  この問題につきましてはすでにかなりの論議がなされておりますので、できるだけ重複をしないように質問をいたしたいと思うのでありますが、まず最初に、畑作作物の生産振興と六十五年長期見通しとの関係につきまして御質問を申し上げます。  畑作物価格問題に入ります前に、まず、最近の畑作作物の生産状況と今後の生産振興方針についてお伺いをしたいと思っております。  現在、水田におきましては、米の過剰から六十万ヘクタールという大規模な転作が実施をされております。この六十万ヘクタールにも及ぶ水田の大部分が水稲から畑作作物に転作をされておるわけでありますが、このような実情から、わが国の畑作作物は、農水省が公表いたしました六十五年長期見通しを進度率にしてはるかに上回る作物が多くなってきております。この点に関しましては、国内の自給率を高める観点から実に喜ばしいことでありますが、一方、現場に参っていろいろ農民の皆さんの話を聞いておりますと、つくる作物がない、こういう訴えを聞くわけでありますが、主要狂畑作物がほとんど頭打ちに来ている、こういう状況の中で、農水省は畑作作物について何をどのように振興しようとしているのか、振興する具体的な作物を六十五年長期見通し及び財政上の観点から明らかにしていただきたいと思うのであります。
  104. 小島和義

    小島政府委員 六十五年の見通しにつきましては、作物別にその生産量につきまして発表いたしておるわけでございますが、もちろんその基礎といたしまして作付面積及び六十五年度の単収の予想というものを組み合わせまして生産見込みを立てておるわけでございます。  これまでの転作物の主要な内訳で申しますと、いわゆる特定作物に分類をいたしておりますものが全体の六八%余になっておりまして、この中には飼料作物、麦、大豆、てん葉その他の作物が入っておるわけでございます。長期見通しとこれらの主要な転作物との関係で申しますと、まず自給飼料の場合には、これは家畜の頭数が傾向としてはふえていくわけでございますが、仮に家畜頭数の増加がない場合におきましても、粗飼料の給与率の引き上げというふうな問題から、まだ作物としての需要が天井を打った、こういう感じはいたしておらぬわけでございますが、そのほかの作物につきましては、六十五年における見通しをすでに達成をしておる、こういう作物もあるわけでございます。  端的に申しますと、バレイショの場合で申しますと、六十五年の見通しが三百五十六万トンというふうに見ておりましたものが、これは昨年産の場合で三百七十七万トンというふうな生産を上げております。これは、作付面積見込みよりも多いのと、加えまして単取水準相当な速度で向上してきておる。五十七年産の瞬間風速で申しますとすでに六十五年の単取水準を上回っておる、こういうことが出ておるわけでございます。  また同様にいたしまして、てん菜の場合におきましても、六十五年見通しの五トン二百という水準に対しまして、昨年産は五トン九百というふうなことで、長期見通し水準をはるかに上回っておるというふうな傾向が出ておるわけでございます。  もちろん長期見通しはあくまで長期の見通してございますから、その経過時点におきます。そのときそのときの需給事情というものも当然生産を心がける場合には考えなければならぬことでございまして、長期見通しだけが唯一の決め手というものではないわけでございますけれども、かような状況で、一部の作物についてはそろそろ天井かな、そういう感じのものが出てきておるわけでございます。  しかしながら、大豆でございますとか小麦でございますとか、そういう作物につきましては、長期見通しの水準から見ましても、単収、総生産量ともまだかなり低位の水準にございますので、そういう意味からすれば、まだ生産の余地はあるものというふうに考えております。  また御指摘のように、これらの作物はいずれもかなりな財政負担を伴う作物でございますから、生産の増加はもちろん喜ばしいことではあるけれども、財政的見地からすれば、財政負担が天井知らずにふえるということについての強い牽制もあるわけでございます。  先ほど話題になっておりましたように、大豆の場合で申しましても、すでに不足払いだけで二百三十億円の水準に達しておるわけでございまして、こういった財政上の負担増加というものを軽減するためにも、できるだけ優良な作物をつくりまして販売価格を引き上げていく、こういう努力によりまして不足払いの単価としては引き下げが可能になるわけでございますし、また農家経済の側から見ましても、収量水準を引き上げていくということによりまして与えられた価格条件の中での収益を高めていく、こういう努力の道もあるわけでございますから、価格水準にすべてを託するということではございませんで、生産対策の面からもその収益性を改善いたしまして、できるだけ財政的な負担が増加しないような形で農家の経営的なプラスを実現していく、これが今後の私どもの進むべき一つの大きな道筋ではないか、かように考えております。
  105. 神田厚

    神田委員 次に、私どもは、この長期見通しから見て大豆生産振興を積極的に実施すべきである、こういうふうに考えているのであります。大豆については、私どもの出身県であります栃木県もそうでありますが、大変力を入れておりますが、この大豆生産振興について農林水産省の方針を明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのであります。
  106. 小島和義

    小島政府委員 大豆生産振興につきましては、何といいましても単収向上ということが必須の条件ではないかと思っております。いま一つは、できるだけ労働時間を節減をする、こういう問題であろうと思います。  単収向上のための決め手といたしましては、私ども三つほど考えているわけでございますが、一つは、何といいましても、それぞれの土地に適合いたしました優秀な品種を作付するということでございます。昨今、大豆につきましてもかなり広域的な普及性を持った新しい品種が次々に開発されてきておりますので、そういったものをベースにいたしまして普及に努めておるわけでございまして、すでに農林登録品種の作付比率が全体の七〇%ほどになってきておりますので、さらにこういったものを引き上げるとともに、今後とも、なお手がけております新しい品種がございますものですから、そういうものの完成を待ちまして、一層いい品種を導入してまいりたいと思っております。  第二の点は、品種がたとえ優秀でございましても、栽培の条件が適切でなければ、栽培方法が適切でなければ単収増は実現しないわけでございまして、そのためには、一つは密植を奨励をする。従来、大豆につきましては余り密植しない方が単収増加につながるというふうな学説がございまして、そういう指導が行われた時期もあるわけでございますが、昨今におきましては、他の作物同様にやはり密植した方が収量が上がる、こういうことがだんだんわかってきております。それが今後の単収増の一つの決め手だと思います。  いま一つは、特に内地都府県の場合には、大豆作というのは病害虫との闘いのようなものでございます。したがいまして、作付以後におきます適期防除ということに心がけていただきまして、大体二回程度の防除を徹底してやりますれば、ただいまのほかの条件が全く変わらなくとも三百キロぐらいの水準は上げられるということが実証済みでございます。現に富山県、これはもうほとんど転作大豆が主でございますが、過去二年間連続して二百キロという県平均収量を上げている、そういう県もあるわけでございますし、それにまた劣らないだけの水準向上に努めておる県も出てきておることをよく存じております。そういったことを通じまして収量増加を図ってまいりたいと思います。  それから労働生産性の向上につきましては、何といいましても機械化決め手でございまして、ビーンハーべスターだとかあるいはスレッシャーといったものの組み合わせによりまして、特に従来むずかしいとされておりました収穫段階の機械化というのがある程度目鼻がついてきておりまして、機械自体の導入も進んできておりますので、こういったことをさらに一層助長いたしまして、単収向上とそれからコストの引き下げということを両々相まって大豆作の振興を図りたい、かように考えております。
  107. 神田厚

    神田委員 次に、大豆価格決定についてでありますが、大豆は、先ほども申し上げましたように転作の奨励作物であるとともに、畑作地帯におきます麦、大豆体系の重要な作物であります。また、大豆については、水田利用再編第三期対策の検討の中で基本額の引き下げも検討されている、こういうことであります。  そこで、まず、本年度の大豆価格につきましてはどのような方針で臨まれようとしているのか、生産費カバー率を踏まえてお伺いをしたいと思うのであります。
  108. 小島和義

    小島政府委員 大豆価格決定の仕組みにつきましては、パリティ価格それから需給事情その他の経済事情を参酌して決めるというふうなことになっておりまして、特定の算式によって数字が出るという仕組みにはなっておらぬわけでございます。これは、他のこの時期に決定いたします畑作物の場合にも大体同じような仕組みをとっておりまして、過去数年間で申しますと、大体その畑作物全体につきまして価格アップ率というのもそろえてやってきておるというふうな状況に相なっております。  本年の場合、そういう方式を踏襲するかどうかについてはまだ決定しておるわけではございませんで、作物に応じましてはなお財政当局から引き下げの強い要望が出ているというふうなものもあるわけでございますので、そういう方針でいけるかどうかまだ定かになっておるわけではございませんが、北海道などを中心として考えました輪作体系ということからいいますと、作物別に余り差があるというのも望ましくないという気持ちも持っておるわけでございます。その意味におきまして、今後この数日間にできるだけの努力はしてみたいと思っております。  それから転作の奨励金の問題でございますけれども、これは大豆に限りませんで、従来の特定作物、一般作物を通じまして、第三期への移行に当たりましては、奨励金のある程度の引き下げということを検討せざるを得ないのではないかと思っております。  その理由としては三つほどあるわけでございますが、まず、この対策を始めました当初から、私ども、逐年その奨励金水準を下げていくという方針を鮮明にいたしておるわけでございまして、現に第一期から第二期へ移行いたします場合にも、若干の奨励金の引き下げをやっておるわけでございます。  第二には、この三月に出されました臨時行政調査会の答申、さらには昨年八月に出されました農政審の報告によりましても、奨励金依存からの段階的な脱却というふうなことが提起されておるわけでございます。方向といたしましては、その方向で物を考えていくことが筋道であろうと思っております。  第三には、五十九年度予算編成をめぐります大変厳しいシーリングの問題でございます。食糧管理費、この中に水田利用再編対策も含まれておるわけでございますが、約九千億の本年度予算がございます。それに対しまして五%のマイナスシーリングということで、四百五十億円ほどカットいたしまして概算要求、一応枠取りをいたしておりますが、これを食糧管理費の中の費目別に当てはめていくということになりますと、水田利用再編対策につきましても総額の圧縮というのは免れがたい、こういう感じを持っておるわけでございます。  対策の中身についてはまだ詰めている過程でございますが、いかように計算をしてみましてもやはりある程度奨励金減額は避けられない、こういうような感じでございますので、そういう方向で考えざるを得ないのではないかとただいま思っておるわけでございます。  それから基準価格カバー率という問題でございますが、これは生産費調査の方が差し上げました資料でもお読み取りいただけるかと存じますが、その年々の作柄によりまして大豆生産費水準というのは大変大きく振れております。昨年の場合が六十キロ当たり一万八千円余でございますが、その二、三年前には一万円程度水準、こういう年もあるわけでございます。したがいまして、どの辺の収量を固定的に考えましてカバー率を見るかということによりまして、扱いがかなり違ってくるわけでございます。毎年毎年の大豆生産費カバー率ということでございますれば、昨年の基準価格が一万七千円余でございますし、生産費の方が一万八千円ほどになっておりますから、トータルとしては多少の三角ということになっておりますが、こういうことが毎年毎年続くということでもございません。特に今年産ということになりますと、御承知のような北海道の冷害というふうな事態もございますので、来年の秋ごろに発表になります生産費でいいますと、北海道では相当な六十キロ当たりのコストになる、こういうこともございます。現実の価格制度の運用としては、その辺を安定的に眺めてみて価格決定するということでございますので、カバー率の点については遺憾ながら検証をしてみておりませんので、御勘弁いただきたいと存じます。
  109. 神田厚

    神田委員 奨励金の問題は、これは転作作物の定着化という問題とも非常に密接になりますし、私どもはやはり奨励金の引き下げにつきましては、これは少なくとも現状を維持すべきであるという基本的な考え方に立っておりますので、その点は申し添えておきたいと思います。  いまいろいろ価格の問題につきまして御質問申し上げましたが、どうも農産物の行政価格のあり方につきまして、ここ数年間、畑作物価格決定を見ておりますと、農林水産省はそれぞれの作物に応じた価格決定という考え方ではなくして、むしろ畑作物全般あるいは米とか畜産物価格との横並びという形でこの価格決定を行っている感じがしますので、そういう点につきましては本来の畑作物独自の価格決定に戻すべきだということを強く主張したいと思っております。  それで、ただいま多少答弁にも含まれておりましたが、本年の大豆価格決定についてでありますが、本年のパリティ指数は先ほどからわずか〇・四五%しか上昇していない、こういうふうなことでありますが、仮にこのパリティを昨年方式に当てはめるとすれば、価格は引き上げられるどころか逆に引き下げになる、こういうことになりはしないかということで心配をしているのであります。そこで、この価格決定に必要な要素についてどのように考えているのか、明らかにしてほしい。逆算方式によりまして、つまり農林水産省価格決定が逆算方式のような形をとっているということにつきましてはやはり非常に問題がありますから、需給事情に変化がないにもかかわらず毎年毎年算式を変更しているというところに大きな問題があるということで、この辺につきまして明確な御答弁をお願いしたいと思います。
  110. 小島和義

    小島政府委員 畑作物価格につきまして、米とか麦とかあるいは牛乳でございますとか、そういったいろいろな作物価格横並びということを直接の要素として考えたということはいまだかつてないわけでありますが、この畑作物価格、今回決定いたします畑作物価格の場合には、従来は物別の個別の事情を勘案いたしまして決定してきたという経緯は確かにあるわけでございます。たしか五十年ぐらいからだったと思いますけれども、特に北海道産の畑作物につきましては、これが同一の経営体の中における輪作作物として扱われているという事情を尊重いたしまして、物別に価格を少しずつ変えてみましても結局農家のふところ勘定としては同じことである、物別の価格の競争関係というふうなことも重視をいたしまして、自来農家手取り水準としては大体同じようなアップ率をとってきたという経緯があるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、本年の場合に財政当局あたりからは、作物別のいろいろな事情を勘案して、また、あるいは前年採用した価格方式を踏襲いたしますれば結果的に引き下げになるというものも出てくるというふうな意見もあるわけでございますので、全面的に横並びを考えていくという方式が採用できるかどうか、現段階ではまだ定かには申し上げられないわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、こういう作物の均衡を考えていくという方式は、微細な点においてはともかくといたしまして、大筋においてはそれほど間違った方式ではないというふうに考えておりますので、できるだけ、個別の需給事情その他の問題ということはいろいろございましょうが、作物によって扱いの差をつけるということは勘弁してもらいたいというのが本音でございます。具体的な折衝もまだ今後二、三日続きますので、その中で最善を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  111. 神田厚

    神田委員 大豆は戦略作物でもありますと同時に、生産振興を国が積極的に図らなければならない作物でもありますから、そのためにはまず価格誘導をすべきだというふうな観点に私どもは立っております。したがいまして、ただいま御答弁もありましたが、本年度の大豆基準価格の引き上げにつきまして、ひとつ格段の配慮をぜひともお願いをしなければならない、こういうふうに考えております。  同時に、大豆水田利用再編対策の実施以降生産が急速に伸びました関係上、交付金対象率から見ますればまだまだ低いものとなっておりますが、大豆については交付金額が年々増加をして、財源的な面で今後生産抑制をされるのではないか、こういうふうなことが巷間うわさをされて心配をされているところであります。農林水産省といたしましてはこれは大変重要な問題でありまして、大豆関係者も大変関心の高いところでありますが、その辺につきまして、予算措置等につきまして五十九年度以降の財源確保についてどういうふうな態度で臨まれるのか、このことにつきまして御質問を申し上げます。  同時に、最後に、今後とも大豆については交付金対象数量の制限あるいは交付金単価の引き下げ、これがされないようにということをひとつ強く要望して、御答弁をいただきたいと思います。
  112. 小島和義

    小島政府委員 大豆につきましては、作付面積も年々向上いたしておりまして、単収の増加と相まちまして、生産量は、冒頭御説明申し上げましたように、一番低かったときの水準に比べますと約二倍近いところまでふえてまいっております。昨年の場合には、二十二万トンくらいまで増加をいたしておるわけでございます。  ただ、また同時に、従来ふえてまいりました主要な要素の転作大豆でございますが、農家単位で見ますときわめて少ない面積、少ない数量しか生産されておりませんので、これがなかなか調整販売計画の対象にのってこないということから、不足払いの対象にならなかったものがずいぶん多かったわけでございます。転作の世界におきましても、できるだけ大豆等の転作は集団化し団地化する、こういうことを基本理念として推進してまいりましたので、ある程度生産量がまとまってまいりますとこれが集荷されまして不足払いの対象にものってくるというふうなことから、交付金総額といたしましては逐年増加をいたしてきておるわけでございます。五十五年産の場合には約百三十億円ばかりでございましたが、五十六年産が百七十億、五十七年産については予算上は百八十八億ばかり計上いたしておったわけでございますが、結果的にはどうも二百三十億円ばかりの金が要るということに相なってきております。これは、いま申し上げました集荷率の向上と、もう一つ昨年産に限りましての特殊な原因といたしましては、販売価格が前年、前々年に比べまして非常に低かったというふうな事情も作用をいたしておるわけでございます。こういう大変厳しい状況でございますが、五十七年産予算不足額につきましては、従来の例にならいまして、予備費または補正をもちまして財源措置をしてもらうべく折衝中でございますし、この種の経費の性格上、当然政府としては支出すべきものというふうに考えております。  また、五十八年産大豆予算措置につきましては、すでに提出しております五十九年度の概算要求額におきまして、本年の計上額をかなり上回ります金額で予算要求いたしておるわけでございます。ことしの支出見込みよりは多少内数になっておりますのは、御高承のとおり、アメリカの熱波の影響大豆価格水準が多少上がりぎみという事情もございます。それから、本年産につきましては、転作目標面積を引き下げたことによります作付面積の減少というふうな事情もございますので、それらを勘案いたしまして、五十七年産の実績金額よりは多少内輪の金額で済むのではないか、こういう目算もございまして、ただいま申し上げたような予算を計上いたしておりますが、いずれにいたしましても、仕組みの改善問題はともかくといたしまして、金が払えないというふうな事態にはならないように努力をするつもりでございます。
  113. 神田厚

    神田委員 次に、養鶏問題につきましてお伺いいたします。  畜産局長、大変大事な会議があったようでありますが、御出席をいただきましたので、時間もありませんから、簡単に要点のみ御質問を申し上げます。  まず先に、私ども、無断増羽者、いわゆる企業養鶏がかなり横暴な形で農林水産省や行政の立ち入りを拒否をしているということで、局長にこの委員会におきましてその善処方を要望しましたところ、農林水産省といたしましても大変御努力をいただきまして、立ち入り拒否というような形のものが打開をできまして、調査が進行しておりますことにつきまして、まず冒頭、農林省の指導につきましてお礼を申し上げたいと思います。  さて、そうではありますけれども、まだ個々の組合等の問題につきましてはかなり問題を残しておりますので、それらにつきまして御質問を申し上げ、指導をお願いしたいと思っております。  一つは八竜養鶏組合、これは秋田のタケクマグループでありますが、五十七年の末にひなの育成場をつくるということで建設されましたが、実態は三十万羽の成鶏設備を持つ一大やみ増羽農場であるということが八月の県の調査で明らかになりました。そしてこの農場の土地に対しましては、大手の飼料メーカーであります日本配合飼料が株式会社タケクマを債務者として、五十七年五月に七億、五十八年四月に三億、計千億の根抵当を設定しております。常識的に見て、日配はこの農場に十億の融資をしてやみ増羽をさせたと思われているわけでありますが、この農場には日本配合が飼料を供給しております。  飼料の無税の輸入などの行政的恩典を受けております飼料メーカーが、国の指導を踏みにじりましてやみ増羽を支援している、こういう形になっておりまして、これはまことに問題であるというふうに考えております。特に鶏卵の過剰生産につながらないという約束のもとで、つまりスクラップ・アンド・ビルドということで建設が許可されました八戸飼料コンビナートの東北飼料、またはスクラップの約束の日本配合の塩釜工場から飼料が供給されている、こういうことでありますれば、これは大問題でありますので、以上の点から、まず第一に八竜養鶏組合への飼料の供給をやめさせることについて指導をしていただきたい。さらに、指導に従わない場合には日本配合の承認工場、つまり無税で飼料原料を輸入できる特権の承認を取り消すことを要求したい。この二点につきましてお答えをいただきたいのであります。
  114. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 八竜の組合につきましては、先生から先国会で立ち入りを拒否しているというお話がございまして、その後農政局等も立ち会いまして七月の下旬に立ち入り調査をいたしました。その結果、羽数超過が明らかでございますので、同組合につきましては、九月七日に秋田県の鶏卵需給調整協議会を開催いたしまして、記載羽数超過者という認定をいたしまして、九月二十四日付でえさの基金と卵価の安定基金に通知済みであります。したがいまして、両基金からの価格安定のためのそういうメリットは受けられないという情勢につくってございます。  それから、これらの組合等、要するに無断増羽者につきましては、単に基金から排除するというだけではございませんで、実は基金から排除しますことは現時点ではかなり効果のあることだと考えておりますけれども、それに加えまして、無断増羽者がどのようなルートからえさを買っているか、あるいはどのようなルートで鶏卵を販売しているかということを調査の時点に逐一精査をいたしておりまして、私どもは一応把握はいたしております。その結果に基づきまして、飼料を供給しておりますメーカー、あるいはその飼料のメーカーを通じて飼料を売っております流通業者等につきましても、私どもの飼料担当課から直接意向を聞いております。通常の商業的な取引以上のことはしていないというようなことをいろいろと言っておりますけれども、私どもの方とすれば、県でも明らかに無断増羽者として認定をしていることを熟知させまして、商業取引でございますから急激な変化というのはなかなかむずかしいという弁明もいたしておりますが、無断増羽者であることを確認した上で、熟知した上で飼料をさらに大量に供給し続けるということについてはわれわれも重大な関心がある旨を申し渡してございます。一般論といたしまして、飼料会社はそういう国の指導につきましては、そういう指導の内客を承知をし、かつ、そういう方向で努力するということを言っておりますが、個別の一つ一つの問題についてはさらに検討したいというようなのが現状でございます。  私、この非常に問題のあります数個の事案につきましては、これは一回ではなかなか済みませんので、何度も何度も繰り返し関係者を呼びまして指導して、極力早い時期にそういう無断増羽という形が縮減をするように指導するつもりでございます。
  115. 神田厚

    神田委員 したがいまして、そういう行政の丁寧な指導に従わないというような形でなお無断増羽を続ける場合には、やはり農林省の強力な行政指導を続けていただかなければならないわけでありますが、いまのお話ですと、無断増羽につきましては飼料の供給をさせないように努力をする、こういうことでありますが、指導に従わない場合の日本配合飼料の承認工場の承認の取り消し等のことにつきましても、農林水産省としては話し合いの中に含んでこれをやっていかれるのでありましょうか。
  116. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 承認制度の問題でございますが、これにつきましては関税法上のある種の特典を与えているわけでありますが、行政指導に違反するということの内容、それから程度、いろいろございます。向こうも積極的に何か悪いことを進めるということでは必ずしもないと私どもいま理解をしておりまして、この程度のことで直ちに承認取り消しというところまでいきます場合は、やはり行政上いろいろ問題があろうかと思います。しかし、私どもが何度も何度も指導いたしておりましてもなかなか成果が上がらぬということでございますと、私どもの態度もいよいよ強くなるわけでございまして、その辺のことは飼料工場としても十分熟知をしておると思っております。
  117. 神田厚

    神田委員 問題は、日本配合飼料が株式会社タケクマを債務者として五十七年五月に七億、五十八年四月に三億、計十億の根抵当を設定している、こういうことですから、資本的なつながりのもとでこういうことがやられている、これを改善させるためには農林水産省としては相当そういう問題にまで立ち入った形でこれを指導してもらわなければいけない、こういうふうに考えておりますのでありますから、一番問題は八竜養鶏組合が従来約束をしておりました育成農場にこれを戻させること、これが基本でありまして、養鶏の卵をとる、そういう成鶏設備ではなくて育成農場にこれを戻させる指導をまずしていただかなければならないのではないか。それがだめな場合には、やはり全体がタケクマのグループでありまして、タケクマグループというのは全国に五十社ぐらいの大変多くの企業を下に置きましてこれをやっているわけでありますから、そういうタケクマグループ全体として、そのどこからかそれに見合うだけの減羽をさせるというような形で、少し強力に御指導をいただかないといけないのではないかと思っておりますが、その点につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  118. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御指摘のように、東北で新しくそういう養鶏の施設をつくります地域におきましては、どうも地域振興とかそういうようなニュアンスがございまして、最初のうちはどちらかと申しますと地元におきましてもこれを必ずしも拒否をしないというふうな風潮があったように思いますけれども、やはりこれは全体としての生産者同士の約束事でございますので、特定の地域でこれが破られるということになりますと、他の地域の方々が合意をするわけにいかぬということになろうかと思います。したがいまして、県以上に実は農政局もこの問題に参加をさせておりまして、そういう県の間を通して、あるいは県間の利益を若干調整しながらもやることでございますが、八竜につきましては、つくりますとき、先生御指摘のようにこれはひなをやるんだという約束でつくったわけでございますから、それでやっていただく分には県としても県が最初に認めたことをやるわけでございますから、私どもはそういう方向に戻るようにという指導をいたしております。  全体としての調整域羽の問題につきましても、さらにそういうような手法があり得るとは思いますが、いまはとりあえずあそこにつきましては相当育雛の羽数も入っているようでございますから、採卵鶏を飼わないということを中心に指導をするつもりでございます。
  119. 神田厚

    神田委員 次に、日本鶏業の問題でありますが、日本鶏業につきましては全国の生産者から再三大規模やみ増羽が指摘をされておりましたが、県の今回の八月の調査でやっとやみ増羽を認定いたしました。しかしながら、日本鶏業は指導に従うところか、現在も一棟三万羽の鶏舎を九棟も堂々と建設中であります。もしも指導に従わないでどんどんこういうのがつくられるようでありますならば、現在の行政指導では限界があるということで、新しい法律をつくってこれを規制してもらいたいというのが養鶏業界の要望でもあります。この日本鶏業の問題につきまして、やめさせることができるのかできないのか、これをやめさせないならば何か法的な措置を検討すべきだという声もありますが、これについてはどういうふうに考えているのか。  さらに、日本鶏業に飼料を供給しているのは日本配合飼料、ニップン飼料であります。この日配は八竜養鶏組合にも飼料を供給しておりますし、やみ増羽の事実を飼料の供給等を通じて明らかに知りながら飼料の供給を続けている飼料メーカー、商社等の責任はまことに重大であります。この飼料が八戸飼料コンビナート及びそれに見合うスクラップ予定の飼料工場より供給されている問題が明らかになっておりますから、これらについて事実が明らかになった場合の飼料の供給停止、承認工場の取り消し等の措置を講じることを要求したい、こういうふうに思っております。ひとつ端的に御答弁をいただきたいと思います。
  120. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御指摘の日本鶏業につきましては九月の七日に立ち入り調査をいたしまして、台帳の記載羽数十三万三千六百羽に対しまして十六万七千三百六十四羽と、約三万三千羽の超過の事実を確認いたしております。それに基づきまして十月三日に県の鶏卵需給調整協議会を開催いたしまして、台帳記載羽数超過者といたしまして卵価安定基金及び配合飼料の価格安定基金へ通知を行うこととしております。したがいまして、再度申し上げますが、この時期に両基金から外へ出すということはかなり大きな効果があろうと思います。  それから、飼料はニップン、日配外一社、計三社から購入をしていることを確認いたしておりまして、これらの配合飼料工場に対しまして、先ほど八竜について申し上げましたと同様に、国会業が超過者であることをはっきりさせました上で、新たにたとえばいま先生御指摘のような膨大なものを飼うというような事態に対して飼料を供給するということが万が一にもないようにということをはっきり申しております。それから、現在の羽数につきましても、適正な羽数に減羽するように行政としても指導をするから、それに関して飼料等についても十分配慮した行動をとるようにということを話してございまして、一般論としまして、適正な記載羽数の枠に見合った飼料の供給をするということを言っておりますが、具体的にどの時点からどうするというようなことについてはなお検討したいということを申しております。
  121. 神田厚

    神田委員 最後に、大臣にひとつお願いをいたします。  いま畜産局長が述べられましたように、無断増羽につきまして農林省はかなり積極的に御指導をいただいております。しかしながら、法律を、現在の法律では法的な強制措置がありませんので、これらを無視をしてなお無断増羽を続けようとしている業者もたくさんあるわけでありますが、現在、養鶏農家は低卵価で非常に困っておりまして、みずからは飼養羽数を制限をしながらがまんをしているのに、大企業が大幅な無断増羽をしているという状況で非常に困っております。ひとつこういう点につきまして、農林大臣といたしましても省内督励をいただきまして無断増羽のなくなりますように、また、この無断増羽者につきましては厳しい処断をもって行政の指導をいただきますようにお願いをしたいと思いますので、一言ひとつ……。
  122. 金子岩三

    金子国務大臣 やみ養鶏、御指摘の点は十分承知いたしておりますので、ひとつ御要望のとおり強力に指導いたしたいと思います。
  123. 神田厚

    神田委員 終わります。
  124. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 藤田スミ君。
  125. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最初に、畑作作物の価格についてお尋ねをしたいと思います。  先ほどからの御答弁を聞いておりましても、算定の基礎になりますパリティ指数が〇・四五%というきわめて低い伸び率であるということ、あるいは財政当局からも非常に厳しい要望が出されているというようなことで、これでは据え置きどころか、それこそ引き下げにもなりかねないと、非常に厳しい状態であるというふうに受けとめておりますが、しかし、昨年に引き続いてもう二年連続据え置きということになりましたら、労賃だとかあるいは農業資材費等の上昇の中で、畑作農家の経営は一層悪化することは必至なんです。特にことしは、御承知のように北海道で六月、七月低温、八月は長雨が続いて霜の害、こういうふうに豆類や小麦、それからバレイショなど大変な被害を受けました。この上価格据え置きでは農家の打撃ははかり知れないものが出てくるだろう、こういうことはもう言うまでもないことだと思います。沖縄県の方でも干ばつ、台風という被害を受けておりまして、それだけに、来年以降の営農意欲を失わせないためにはどうしても価格を引き上げていくべきではないかというふうに考えますが、まず最初に、大臣、いかがでしょうか。
  126. 小野重和

    小野(重)政府委員 まず、私からお答えいたします。  サトウキビあるいはビート芋でん粉もさようでございますけれども、一連の価格をこれから決めることになるわけでございますが、法令上は、パリティ価格基準とし、その他のいろいろな経済事情を参酌して決めるということになっております。  ことしは北海道、また北海道ほどではございませんけれども、沖縄におきましても災害があったということは、私ども十分に承知しております。しかしながら、災害対策ということになりますと、金融あるいは共済その他の諸制度で対応すべきことでございまして、価格にそれを反映されるということは、じや豊作の場合はどうするかというような非常にむずかしい問題もございまして、なかなかむずかしいんじゃないかと思います。  いずれにしましても、砂糖あるいはでん粉などの需給事情あるいは財政事情生産費との関係、いろいろなもろもろの要素を十分総合勘案いたしましてこれから価格決定に臨みたいと思います。いま、まだ具体的に価格をどうするこうするということは申し上げられる段階にないことを御了承いただきたいと思います。
  127. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 サトウキビの問題にしぼってこれからお尋ねをしていきたいのです。  私は、昨年この問題では特に強く主張したわけなんですが、沖縄サトウキビというのはまさに基幹的な作物そのものなんですね。最も基幹的な作物で、五十六年では県内の総耕地面積の六七%の作付面積を占めておりますし、それから農家の八三%がこのサトウキビ生産を行っております。したがって、実はサトウキビ豊凶あるいは価格そのものが沖縄の経済に与える影響というのは非常に大きいものがございます。しかも、国内における甘味資源の供給面では、沖縄県のサトウキビというのは非常に大きな地位を占めているわけなんですが、さっきも言いましたけれども、これが昨年据え置き、ことし干ばつ、そしてあと台風と、トリプルパンチというんですか、大変な状態なんです。  そこでお伺いしたいのですが、サトウキビ価格は昨年二万一千四百五十円でした。これに対して生産費の方は一トン当たり二万四千十七円で、二千五百六十七円足りないわけなんです。先ほども再生産確保の問題が出ておりましたけれども、これがことしもまた据え置かれるということになりましたら、さらにその幅が広がってまいります。どんなにがまんを重ねても、生産費を償うところか、さらにその差がサトウキビ価格と開いていってしまうというようなことになりましたら、これは耐えがたいものだと思うのです。  先ほど大臣お答えいただけませんでしたけれども、糖価安定法第二十一条には、再生産確保を旨として定めるというようなことまで書かれているんです。そうすると、このサトウキビ価格も現状据え置き、あるいはそれがもっとひどい状態になるということになりましたら、まさにその趣旨に反してくるんじゃないでしょうか。そういう点では、私はサトウキビ価格は引き上げていって、せめて生産費価格とまあ同額のものにしていくぐらいのことはしなければならないというふうに思いますが、いかがでしょうか。大臣
  128. 小野重和

    小野(重)政府委員 数字の問題につきまして若干御説明いたしたいと思います。  確かに単位当たりといいますか、トン当たり生産費手取り価格水準につきましては、先生おっしゃったとおりの数字でございます。ただ、大変問題になりますのは、たとえばこれを十アール当たりの所得で考えてみますと、五十七年はサトウキビの場合十万九千円でございます。他の作物と比べますと、たとえば米は七万一千五百円、こういう水準になっております。米に比べても相当に高い水準でございます。したがいまして、問題は、やはり沖縄鹿児島もそうでございますが、特に沖縄サトウキビ生産につきましては、労働生産性あるいは単収の向上を図るための生産対策、これが大変大事じゃないかというふうに考えておりまして、価格対策ということになりますと、トン当たり生産費価格で補えるようにするというのはなかなかむずかしいというふうに思っております。  なおさらに、国内産糖をめぐる需給事情、これは冒頭御説明いたしましたものでもう申し上げませんけれども、砂糖需要相当下がっているというような状況でございまして、需給事情もまた財政事情も大変厳しいということもあわせ申し上げたいと存じます。
  129. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 生産性の向上あるいは単収の向上、これが非常に大事だと言われましたので、そこに話を移していきたいと思いますが、それにしても国内の甘味資源の振興に力を入れるとか、沖縄サトウキビが重要だとか、そういうことはこれまでもしばしば言われてきたわけです。それで、私はこの間この奨励金のずっと過去の推移を見てびっくりしたのですが、これが五十一年三千七百九十円という奨励金をつけていたのが、何と五十七年は八百七十円というふうに減らされてしまっているわけです。これはもう価格抑制のからくりだ。奨励と言いながら、大事なんだ、振興に力を入れると言いながら、五十一年から五十七年のうちに四分の一にも減額していった。結局、奨励する度合いが四分の一に減らされていった、こういうふうにしか受けとめることができないだろう、そういうことを私は思います。  しかし、価格問題でこれ以上やりとりするよりも、先ほどいみじくもおっしゃった生産性、単収の向上について話を進めていきたいと思いますが、このことは、昨年もこれまた同様に答えておられるわけです。「現在沖縄でも非常に強く要望しております基盤整備あるいは生産性の向上対策等につきまして、あわせて努力し」こういうふうに私の質問にも答えておられます。しかし、現在のこの沖縄基盤整備状況というのはどういうものなのでしょうか。圃場整備率は五十七年度で一六・五%、全国平均で見ました三六%に比べて一六・五%です。灌漑排水事業に至っては、達成率一〇・六%という水準にあるわけであります。こういう状況価格が抑制される、基盤整備も未達成、これでは本当に救いかないわけです。  私は、ここに糸満市が調査をしました「さとうきびのかんがい効果」という調査を持っておりますが、糸満市のサトウキビ平均を一〇〇にしましたら、灌漑をした畑は二一九・四一と、確かに二倍以上の効果があるわけです。ところが、全く灌漑をしていない畑は七七・七四と平均よりもはるかに下回っているということから見ても、この対策が急がれていることは言うまでもありません。一体、この灌漑事業だとか圃場の整備事業というのはいつまでに沖縄県を全国平均に到達させるおつもりなのか、まずこの点をお伺いしたいわけです。
  130. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、沖縄における水田、畑を通じまして、農地の整備率が内地よりなお格差があることは事実でございます。しかし、実は国といたしましては、五十年以降公共事業の非常に厳しい抑制が長期にわたって続いておりますが、沖縄についてはかなり高い伸び率を維持してまいりました。  その結果、たとえば昭和五十年当時の時点で申し上げますと実は沖縄の水田の整備率はゼロだったものが、現在は一五・五まで上がっている。ちなみに、内地はこの期間に一九・六が三四・一に上がっている。畑については、内地はその時点で四・二で、沖縄はわずか一・四だったものが、現在は内地が三〇・九%で、沖縄は二九・七%というところまで上がってきておりまして、格差の解消はかなり進んだろうと思っております。  私は、なかなか予算全体が厳しい制約のもとで沖縄に重点をかけるということについてはいろいろな議論もございますが、やはり当面、農林省としましては、基盤整備事業については沖縄に優遇する措置を講ずることが適切至当だろうと思っております。そういう意味で来年度の予算要求においても格差をつけて要求を出しているわけでございまして、できるだけ格差の是正には努めてまいりたいと思っております。
  131. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 沖縄に特別の対策で力を入れるのはあたりまえのことなんです。戦後あれだけの長い間本土から切り離して、そして非情な目に遭わせたのですから、その後復帰によって、しかも沖縄振興開発特別措置法というものを設けて、それによって力を入れていくというのは当然のことなんです。むしろ私は、にもかかわらずその当然の計画が遂行されていないではないかということで申し上げているわけであります。  その点で具体的にお伺いしたいのですが、八重山・宮良川という地区で国営事業をやっておりますが、五十年に着工されて、当初十年で完成すると言われていたものが、八年もたとうとしている今日、その達成率はわずか四一%なんです。これは一体何年で行うおつもりなのか。  あわせてお伺いしますが、宮古地区ですね。ことしは干ばつで、あそこは本当にひどかったと伝えられております。その宮古地区は、地下ダムの建設も計画が発表されておりますが、いまだにその着工はなされておりません。一体いつごろまでに着工して、いつ完成させるおつもりなのか、お伺いをしたいわけです。
  132. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  宮良川の国営地区の灌排事業が当初の予定よりおくれたことは事実でございます。この期間は先生も御案内のように、オイルショック等で大変工事費の単価が上がった、また一方において予算の制約がある、さらにいま初めての地区で、いろいろ工法上むずかしい問題があったことや、もう一つは治水との共同事業の調整等の技術的問題があっておくれたことは事実でございますが、六十五年完了を目途に予算を重点的に配賦してまいりたいと思っております。五十八年度も二十八億円をつけまして底原ダムの建設に着手することにしております。  なお、できるだけ早く部分完了によって事業効果が発揮いたしますように、すでに完了しております石垣とか真栄里の両ダムと関連の水路を進捗いたしまして、今年度末には九百ヘクタール前後までは灌漑が可能なような形をつくってまいりたいと思っております。  次に、宮古の事業でございます。これは御存じのように地下ダム五カ所を水源としまして膨大な畑地の灌漑を実施する事業でございますが、調査段階のめどがつきましたので、来年から実施設計に移りたいということで予算要求をしております。何とか予算確保に努めたいと思っております。
  133. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ぜひ計画を早期に達成するように、特段の力を入れていただきたいと思います。  大臣、先ほどから話を聞いていただいてわかっていただいていると思いますが、最後に大臣の御決意をお伺いしたいわけです。  サトウキビ価格の問題、それから復帰後十一年たっておりますが、しかしなお残っている基盤整備事業などについて今後特段の力を入れていただきたい。その点で御答弁をお願いいたします。
  134. 金子岩三

    金子国務大臣 サトウキビが地域経済に大変な役割りを果たしておることは承知いたしております。また、サトウキビ産地の基盤整備も思ったようにはいってないかもしれませんけれども、やはり適切にやってきてまいっておるのでございます。先ほどから生産性が高い、いわゆる単収益も他の作物に比較してわりといい方だという説明を食品流通局長がいたしておりましたけれども、やはりもっともっと基盤整備をやって生産性を高め、価格の点もいろいろパリティ計算になっておりますけれども、ひとつできるだけの範囲で御期待に沿いたい、このように考えます。
  135. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、次の問題に移ります。  きょうは、軽油引取税の農業用機械の課税免除の問題でお伺いをしたいわけです。  軽油引取税というのは、地方税法の第七百条で道路に関する費用に充てるために課税されている、こういうことになっておりますが、その目的以外の使用、つまり道路を走るなどを目的としない機械の動力源に使用される軽油に対しては、第七百条の五及び六で課税免除を規定しまして、そしてさらに、それに基づいて「軽油引取税の課税免除について」という自治省の税務局長の通達が出されております。その通達を見ますと、「令第五十六条の四に規定する機械は、農業、林業又は農地の造成若しくは改良の用に供する機械がおおむね列挙されているものであるが、新たに製造使用される機械については、その名称にとらわれることなく、その機械の実態、用途等により判断されたいこと。」私は通達の中身をいま読み上げたわけですが、そういうふうにきちんと書かれているのです。  この通達が出されましたのは昭和三十六年のことだというふうに思いますが、言うまでもなくその間に農業用機械などは開発も進みました。もちろん省力化もどんどん進んでいきました。あの当時とはずいぶんさま変わりをしていることは明らかであります。ということになりますと、一般的には列挙されている名称にとらわれることなく、新たに使用される機械についてはその実態、用途によって道府県が承認していっていいということなんでしょうか。
  136. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 軽油引取税につきましては、ただいま御指摘のとおり地方の道路目的財源でございますから、道路を運行するもの以外の用途に供される軽油につきましては法令で限定的に列挙しておるわけですが、この列挙しているものに限っては課税免除をすることにいたしております。  農業用機械の動力源に供する軽油につきましても、このような趣旨から課税免除の取り扱いがなされておるわけでございますが、その運用につきましては、御指摘の通達によりまして各都道府県を指導しているわけでございます。この種の機械は、新しいものが次々と開発されまして、非常に多種多様にわたっているわけでございますから、これらをすべて法令で列挙するということはなかなか困難でございますので、先ほど指摘がございましたとおり、機械の名称にとらわれずに、その機械の実態、用途等によって判断すべきであるということを各府県に御指導申し上げておるわけでございますが、ただこの場合におきましても、この軽油引取税の性格からかんがみまして、たとえば道路を走行するおそれがないかどうか、あるいは仮に免税した場合に、その免税軽油が他の用途に使用されるおそれがないかどうか、あるいはこの課税免除のための事務が減免される税額に比べて非常に多額になるおそれがないだろうかというような、いろいろな観点から十分調査をいたしまして、個別の事例に即して検討すべきものだというふうに判断しているわけでございます。
  137. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 実態によって判断をしていくことになっている。しかし、引取税の性格に見合っていないものになっては困るので、道路を走行のおそれがないか、あるいは他の用途に使用されるおそれがないか、事務が多額になるおそれがないか、こういうことだというのですね。  そうすると、これは畜産家から非常にいま要望が強いわけですが、ふん尿用の機械でパワーシャベルというのがあるのです。こういうものだとか、そのほかのフォークリフトなんというようなものがあります。これは軽油引取税の免税の要求を大阪府へ出しているのですが、自治省の通達によると認められるものではない、こう言っているのです。先ほどの御答弁を聞いておりますと、私はそうじゃないのにな、やっぱりこれは認められるべきものなのになというふうに思うのですが、自治省の御見解はいかがですか。
  138. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 農業用機械の認定につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、このものに該当するかどうかという点につきましては、それぞれの機械の機能なりその用途などによりまして、一つ一つ具体的に判断すべきものではないかと思うわけでございます。したがいまして、一律的にこの機械はいいとかあるいはこれはだめだというようなことではなしに、課税庁におきましてよくその機械の性能なり用途というものを検討した上で判断すべきものだというふうに考えるわけでございます。
  139. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっとおっしゃることがわからないのですが、そうすると、この判断は、この場合具体的には大阪府に要求したのですが、もう道府県で判断すればよいということなんですか。だって、「おおむね列挙されているものであるが、新たに製造使用される機械については、その名称にとらわれることなくこということで出されておりますね。したがって、これはもう大阪府が勝手に判断をすればいいじゃないかということになるわけですか。
  140. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 法令の基本的な考え方は私が先ほど申し述べたとおりでございまして、これを具体的な運用をするに当たって課税庁である各都道府県が判断に迷う場合には、私どもの方に御相談があろうかと思います。そういう場合には、関係省庁とも御相談しながら、これが該当するかどうかという判断を、私どもも課税庁と一緒になって御相談に応ずるという場合もあろうかと思いますが、第一義的には課税庁である都道府県が最終的な認定をするということになるわけでございます。
  141. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、現実に畜産業で使われているふん尿処理のためのこの機械は、大阪府が判断に迷う場合は来たらいいけれども、第一義的には道府県がやるのだ、だからもう自治省はいろいろ言いませんよ、道府県がなるほどこれは用途に合致したものだ、対象にするにふさわしいものだと判断したら、パワーシャベルもフォークリフトも、つまりふん尿用の機械は取り入れてよろしいということになるのですね。それだったら問題ないのです。
  142. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 最終的な判断は課税庁でございます都道府県がやるわけでございますが、実際に適用するに当たりましてはいろいろと微妙な問題もあろうかと思いますから、たとえば通達に列挙していないものをやる場合には、通常の場合でございますと私どもの方に実際の機械で御相談がある場合が非常に多いわけでございます。そういうことで、私どもは全く完全に都道府県にお任せするということではなしに、法令の適正な運用、特に税制でございますから、公平に運用するために、課税庁でございます都道府県と一緒になって検討していくことが必要な場合があろうかと思います。
  143. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、大阪府から相談があった場合、自治省はどう答えられますか。  その前にちょっと、せっかく農水省に聞いていますので、聞きたいのです。答えられませんか。おられるでしょう。聞きたいのです。  大体、この畜産用の機械で、ふん尿用の機械として使われているパワーシャベル、牛のふんをびゃっとすくってトラックに乗せたり、そういう機械というのは、当然、農業用機械として今日常識化しているものでしょう。それだけ聞きたいのです。私が勝手に言っているのかどうか、それだけ答えてほしいのです。
  144. 小島和義

    小島政府委員 御指摘の機械について、一般的であるかどうかということについては、遺憾ながら私も的確なお答えができかねるのでありますが、畜産関係におきましてもそのような機械が使われていることは事実でございます。  なお、ついでに申し上げますと、従来もいろいろ新しい機械の出現などがございまして、こういうものについては非課税にしてしかるべきではないか、課税免除にしていいのではないかというものが出てまいりました場合に、中央官庁レベルでも、自治省の方にお願いをいたしまして、事情説明し、御納得をいただいて、府県を指導していただいている、こういう経緯はあるわけでございますので、実情をよく調べてみまして、もっともであるということになりましたならば、また改めて中央官庁同士でもお願いをいたしたい、かように考えております。  現時点におきまして、そういうものであるかどうかということについては、私も直接の所管ではございませんものですから、明確なことは申し上げかねます。
  145. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 こんなものは、きょうび、ちょっとそこら辺の畜産農家へ行ったら、ふんにくるまって、庭先というのですか、畜舎の前に置いてあります。こんなものはあたりまえの日常化した機械なのです。だから、私は改めて云々されるのもずいぶんおかしいなと思うのです。額面どおりに読めばすぐさま適用できるものですから、これは、即刻道府県を指導して、こういうものは免税の対象にするように進めていただきたい。即刻進めていただきたいと思うのですが、自治省、いかがですか。
  146. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 先ほど来申し上げましたとおり、課税庁である都道府県と私どもはいろいろな形で課税の公平を期するよう努力しているわけでございますので、そういう観点から今後とも努力してまいりたいと思うわけでございます。
  147. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今後とも努力というようなことでは困るわけです。このまま読んだって解釈できる、しかしながら、そうは言っても具体的な名前室言われるとちょっと戸惑うので、それは一遍府の方に聞いて、この問題は現在の通達で解釈できるから即刻話は進める、こういうふうに答えてくれないと、さっきからの話の筋がおかしくなるのですよ。だから、そのことだけで御答弁ください。
  148. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 具体的な機械の問題でございますから、先ほどの農林省の方の御見解もございましょうから、鋭意検討は進めたいと思います。
  149. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 じきに修飾語をつけるから本当に困るのです。鋭意とか努力とかというようなむだが本当に多いのですね。だけれども、農水省の方も、こういうふうな課税対象になっていない農機具については、農機具というのは、畜産用も林業も含めてですが、農機具についてはもう一度よく調査をして、そして、改めて自治省の方に話を進めるように持っていってくださるというふうに先ほどの御答弁を聞きましたので、そういうことの御支援も得て、即刻この問題が解決できるように自治省がお取り計らいをいただくというふうにこちらの方は解釈をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。よろしいですか、自治省。うんと言ってくだすったらいいのです。
  150. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 先ほど来御答弁のとおり、関係省庁、都道府県と一緒になって検討を進めたいと思います。
  151. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次の問題に移ります。  ことしは、国際婦人年の国内行動計画後期重点目標が決められて、ちょうど中間点に来ているわけです。そこで、きょうは、特に農協で働く婦人の問題について、私は最後にお伺いをしておきたいと思います。  まず、この後期重点目標の中でも指摘をされております男女別定年制の解消についてなんですが、私はここに「農協職員の男女別定年格差の実情」という五十六年事業年度末の実施の資料を持っておりますが、四千三百六あります組合の中で、五百五十七はまだ男女別定年格差というのが改善されていない実態になっております。しかも、その五百五十七の組合の中の、実に七八%に当たる四百二十四組合が婦人のみ五十四歳以下の定年制になっているということなんです。この点について、農水省が通達を出して指導していることも知っているわけですが、いまなおこういう実態にあるということについてどう考えておられるのか、いつまでにこれを解消するお考えなのか、お聞かせをいただきたいわけです。
  152. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 農協職員の定年年齢につきましては、従来、確たる調査がなかったわけでございますけれども、国会の審議経緯も踏まえまして、いま先生御指摘のように、昭和五十六年から調査を始めまして、その調査結果といたしましては、残念ながら、四千三百六農協のうち五百五十七というのが五十六年度現在で女性の定年が短いということになっているわけでございます。これにつきましては、従来からできるだけそういうことのないようにという指導をやってきたわけでございますけれども、こういう事態を踏まえまして、ことしの四月にまた通達を出しまして、できるだけ早くこういう事態を解消するように、鋭意努力を重ねているわけでございますし、今後とも労働省とも緊密な連携をとりまして、そういう事態が一日も早くなくなるようにやってまいりたいと思っております。
  153. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 後期重点目標では「男女別定年制、結婚退職制等の解消については、関連事業主団体等に対する指導要請」をしていく、そして「集団指導・個別指導を強力に推進し、その実現を図る。」こういうふうに言っているわけなんですね。したがって、もっときめ細かく一定の目標を決めて、積極的に取り組んでいくべきではないかというふうに私は考えるわけなんです。目標を決めて取り組んでいくという点では、いかがなものでしょうか。
  154. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 具体的に年次計画を立ててというところまでは物事の性格としてなかなかまいりませんけれども、従来以上に積極的に努力したいと思っております。
  155. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この重点目標で言われておりますもう一つの問題は、いま読み上げましたけれども、結婚退職制ですね。  山形県信連の女子職員が、結婚したら退職するという誓約書をとられていたからということを理由に退職を迫られて、それを拒否しましたら大変通勤に不便なところに配転をさせられた。不当配転だといっていまここは闘っているわけですが、しかし、こういう状態が山形県信連の中ではいまもなお残っておりまして、親子連名の誓約署名をとるとか、こういう形になっているわけです。  農協退職者の調査を見ますと、結婚を理由にして退職をしましたという中で、結婚退職制や上司に言われたから退職しましたというのが一二%、それから出産を理由にして退職しましたという中で、これもまた出産退職制や上司から言われたからやむなく退職をしましたというのが八%あるんです。こういうふうにして婦人の労働権が奪われていっているとしたら大変な問題だと思いますが、こういう問題については労働省はどういうふうに指導しておられるのか、また農水省の方はどういうふうに指導をしておられるのか、お伺いをしたいわけです。
  156. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 過去にはいろいろな問題のある事例もあったようでございますけれども、現時点におきましては、結婚退職の誓約書を徴しているというようなものはわれわれとしてはないと承知しております。仮にそういうような事例がございますれば非常に不幸な事態でございますので、個別的に適切な指導をやってまいりたいと思っております。
  157. 佐藤ギン子

    ○佐藤説明員 私どもでは、実態を調べまして、就業規則ですとか労働協約等で結婚退職制、出産退職制というようなものを決めておりますものにつきましては、個別指導も含めて積極的な行政指導をやっておりまして、私どもで把握いたしましたものの九割方は改善を見ているわけでございまして、今後ともこういうものについてはなくしていくようにさらに努力をしてまいりたいと思っております。
  158. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ぜひ実態を調査してもらいたいわけです。  私が調べましたところでも、もうどんどんそういう連絡が入ってきまして、山形だけじゃないです。愛媛県の中山農協もそういう誓約書を書かしているということなんです。これは調査してください。身元保証人や親や親戚を通して退職を迫るという、誓約書という形をとらない非常に巧妙なやり方で残っているところは、愛媛県下では県の中央会もそうですね。ここは婦人少年室も指導に入っているけれども、なかなか改善されていないということを聞いております。それから経済連、県信連、共済連、単協では九島農協、宇和島農協、城川農協というところが残っていて、宇和島農協などは結婚退職は三年前になくなったんですが、それにかわって出産退職制というのが設けられた、こういうようなことになっております。私、大変具体的に挙げましたので、これはぜひ実態を調査して指導していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  159. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 物事の性格上、悉皆的に統計処理的な調査をいたしましても真実がなかなか出てこない点もあろうかと思います。農協につきましては、常例検査等個別農協に対しましていろいろ接する機会なり検査する機会がございますので、そういう中で就業規則等も目を通しておりますので、そういう個別的な対応として対応させていただきたいと思っております。
  160. 佐藤ギン子

    ○佐藤説明員 先ほども申し上げましたが、就業規則ですとか労働協約で書いてありますと把握が大変簡単なんでございますが、慣行ですとか誓約書となりますとなかなか実態把握がむずかしいわけでございますが、はっきり実態がつかめましたものにつきましては、いたしたいと思っております。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今後実態が具体的につかめるように、就業規則に書いてないそういう慣行のものについては個別に私はまた労働省の方にお願いに行きたいと思います。農水省の方もぜひ個別の指導を強化していただきますようにお願いをしておきたいと思います。  そこで最後の問題ですが、私は、ここに全中が出しました「系統農協経営刷新強化方策」という本を持っておりますが、この中に「適正な要員計画の樹立・実行と労働生産性の向上」のために「中央会、連合会は連携して農協に対する人事・労務管理指導を強化する。」ということが書かれているわけです。  この中央会が出しました「方策」を受けた形で、長野県の中央会が出しております八二年十一月の「高齢化社会に対応する労務制度について」というのがあるのです。この中に選択退職制度というのが出てまいりまして、その中で勧奨退職者の例というのが挙げられているのですが、ここにこういうふうに書かれています。「夫婦及び同一世帯者の親子で在職する職員のいずれか一方の者。」というふうに、勧奨退職者の例を非常に具体的な形で書かれているのです。「夫婦及び同一世帯者の親子で在職する職員のいずれか一方の者。」特に夫婦の場合ですね。こういうことになりましたら、一般的にはこれは妻が退職をする、そういうふうなことになっていくんじゃないかと思うのですがね。  こういうものが県の中央会で出されて、具体的には県下の農協にこの指導がずっとまた広がっていくとしたら、私はそれは大変な性質のものになっていくなというふうに思わざるを得ません。そういう点で、このようなある意味では形の変わった結婚退職制を生み出してくるというようなやり方に対しては、農水省として調査をして適切な指導を行ってもらえないものだろうかというふうに考えておりますが、この点、お伺いをしたいわけです。
  162. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 ここのところ農協の経営環境もいろいろ厳しい点がございまして、全中におきまして、いま先生御指摘のような運動方針を示し、それぞれの県段階等で経営刷新に取り組んでいるわけでございます。その中にただいま御指摘ありました「夫婦及び同一世帯者の親子で在職する職員のいずれか一方の者。」というものを勧奨退職の対象の基準として示しているわけでございますが、これは文面上は必ずしも女性に限定するという話ではございませんで、いずれか一方ということに表現的にはなっておりますし、それから前段におきまして「この制度を理解し自らの意思により退職した場合で勇退と農協が認めた」そういうときに割り増し退職金を支給しますというようなことで、文面上は非常に差別的な感じが消えておるわけでございます。こういうものを推進していく過程におきまして、もし問題が出るようなことがありますれば大変でございますので、これは去年の十一月に策定したばかりでございまして、その結果も見守っているところでございますけれども、行き過ぎのないように十分監視してまいりたいと思っております。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 何分農協という置かれている環境が環境ですので、まだまだ婦人がおくれたところにある中にある農協なんですね。したがって、こういうふうなものが出されてくると、妻が非常に居心地が悪くなっていくということで、せっかく定年退職男女別をなくそうということで一方でやられていても、こういうものからざるみたいに、しかも就業規則なんかにきちっと書かれたものではなしに、それこそ慣行というようなことの中で、慣行というか、もっとひどい感情的な流れの中で広がっていくということになりましたら、婦人が働き続けていくということが非常にむずかしくなります。そういう点では、行き過ぎのないように監視をしていくというお言葉ですので、ぜひ行き過ぎのないようにというよりか、私はこういうふうな例は外してもらいたいと言いたいところですが、個別に指導を強めていっていただきたい。実態についてはまだ今後とも具体的にそちらの方にもお願いに行きたいと思います。  どうもありがとうございました。終わります。
  164. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 次回は、来る十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会