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中路委員 私は、
日本共産党を代表して、
防衛庁設置法及び
自衛隊法の一部を改正する
法律案に対し、反対の討論を行います。
現在、多くの国民は、
アメリカが行う戦争に
日本が巻き込まれる危険を感じている者が七八%いるという世論調査結果に見られるように、自民党の軍拡政治のもとで戦争に巻き込まれる不安を強く抱いています。
ところが中曽根内閣は、一月の日米首脳会談の際の日米運命共同体、不沈空母、四海峡封鎖発言、五月の先進国首脳
会議の際のヨーロッパへの
アメリカ新型核兵器配備断行発言、日米安保条約とNATOの一体化などによって、
日本の核戦場化、
アメリカ有事の際の
自衛隊参戦の危険を一段と強めています。
加えて今
法案は、
自衛隊員を約二千名
増員し、予備
自衛官も二千名
増員する新たな軍拡法保案であります。政府は、対米従属、憲法違反の
自衛隊を、国民世論や
予算、
人員などいずれの面でも聖域にし、ひたすら増強しようとしていると言わざるを得ません。
とりわけ今回の
自衛隊増員の
中身は重大です。今回の
増員は、
ミサイル護衛艦や
潜水艦、対
潜哨戒機P3C、制空戦闘機F15、早期警戒機E2Cなどの
就役に伴うものとされています。特にP3Cについては、対潜
情報の収集、分析に直接携わる音響業務隊とプログラム業務隊の要員が初めて計上されています。次いで日米共同
作戦の指針、ガイドラインの研究スタッフの
増員であり、さらには陸、海、空三
自衛隊の実動態勢を強化する中央指揮所の開設準備要員です。
これらがいずれもレーガン米政権の対日軍事分担
要求に沿ったものであり、中でもその対ソ戦略上のシーレーン
防衛、海峡封鎖という対潜、対空能力強化に積極的に協力、加担した
増員であることは言うまでもありません。
中曽根首相は、春の
通常国会で、
日本が直接武力攻撃を受けていない
状況下でも
米軍による単独の海峡封鎖を認め、今
国会のわが党の議員の
質問に対してもこの見地を繰り返しました。これは、P3Cによる対潜
情報の米側への提供や、ことしの
防衛白書が海峡封鎖を排除するために敵が
日本に進攻するおそれがあると認めていることなどとあわせて、
日本の安全に直接
関係のない
アメリカ有事の場合にも
日本がいやおうなく戦争に巻き込まれる危険があることをはっきりと物語るものです。改めて、今回の
自衛隊増員は、
日本の真の平和と安全にとって見逃すことのできない重大問題と
指摘しなければなりません。
対米従属軍隊
自衛隊の増強が、
アメリカの核戦略を一層補完、強化することは明白です。たとえば政府は、首相の日米運命共同体発言が示すように、
アメリカ有事の際、運命をともに分かつ共同
作戦の展開を避けがたいものと考え、
アメリカの核戦力の有力
部隊との日米共同演習を日常化し、参加
艦艇、
航空機、
人員、演習区域の拡大を初め、内容の高度化、実戦化をとめ
どもなくエスカレートさせています。
加えて、レーガン米大統領が、有事の際、核兵器を先に
使用すると核の先制
使用を公言しているのに対して、中曽根首相は今
国会でも、核兵器を使わないとは言っていないことが大きな抑止力などと、抑止力を口実に核の先制
使用を容認し、同時に、原子力空母カール・ビンソンの
日本寄港を初め、核攻撃機F16の三沢配備、
日本を母港とする第七
艦隊所属
艦船への核巡航
ミサイル装備などを肯定、
日本への公然たる核兵器持ち込みや民族死滅の破滅的な惨禍につながる危機を激化させていることはきわめてゆゆしい問題であると断ぜざるを得ません。
さらに、
自衛隊増強による
防衛費が国民生活
予算を切り捨て、四年連続で突出していることも重大な問題であります。これは、日
米軍事同盟下の対日軍事圧力が国民生活をも圧迫しているものであることを端的に示すものであります。
最後に、現在何よりもわが国に求められているのは、こうした
自衛隊増強、軍拡競争による軍事大国への道をきっぱりと断ち切って、国民を
アメリカの戦争に巻き込む根源、日
米軍事同盟を廃棄し、非核、非同盟、中立の道を歩むことであることを重ねて強調し、
防衛庁設置法及び
自衛隊法の一部を改正する
法律案に対する反対討論を終わります。