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1983-10-04 第100回国会 衆議院 大蔵委員会社会労働委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月四日(火曜日)     午前十時七分開議 出席委員   大蔵委員会   委員長 森  美秀君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 中村正三郎君 理事 伊藤  茂君    理事 野口 幸一君 理事 鳥居 一雄君    理事 米沢  隆君       麻生 太郎君    粕谷  茂君       熊川 次男君    小泉純一郎君       笹山 登生君    平沼 赳夫君       森田  一君    柳沢 伯夫君       山崎武三郎君    与謝野 馨君       阿部 助哉君    上田 卓三君       塚田 庄平君    戸田 菊雄君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       武藤 山治君    柴田  弘君       正木 良明君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君       小杉  隆君   社会労働委員会   委員長 稲村 利幸君    理事 今井  勇君 理事 大石 千八君    理事 丹羽 雄哉君 理事 金子 みつ君    理事 森井 忠良君 理事平石磨作太郎君    理事 塩田  晋君       逢沢 英雄君    古賀  誠君       谷垣 禎一君    戸沢 政方君       中野 四郎君    長野 祐也君       浜田卓二郎君    船田  元君       大原  亨君    栂野 泰二君       永井 孝信君    山本 政弘君       和田 耕作君    浦井  洋君       小沢 和秋君    柿澤 弘治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 林  義郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省理財局長 西垣  昭君         厚生省年金局長 山口新一郎君         社会保険庁年金         保険部長    朝本 信明君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君  委員外出席者         大蔵大臣官房参         事官      野尻 栄典君         自治省行政局公         務員部福利課長 秋本 敏文君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社管         理調整本部職員         部長      伴内 昭彦君         日本専売公社管         理調整本部職員         部厚生課長   本田 博貞君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     三坂 健康君         日本国有鉄道共         済事務局長   岩崎 雄一君         日本電信電話公         社厚生局長   中原 道朗君         参  考  人         (国家公務員共         済組合連合会常         務理事)    菅沼 照夫君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合  制度統合等を図るための国家公務員共済組合  法等の一部を改正する法律案内閣提出、第九  十八回国会閣法第五三号)      ————◇—————
  2. 森美秀

    ○森委員長 これより大蔵委員会社会労働委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長職務を行います。  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨の説明については、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承を願うことといたします。     —————————————  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合   制度統合等を図るための国家公務員共済組   合法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 森美秀

    ○森委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
  4. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣厚生大臣並んで座っていただきまして、これから年金議論をするわけであります。  政府年金行政は、頭が二頭立てでも困るわけでありまして、年金行政全般について聞きますと、最終的にはどちらの責任になるのでしょうか。
  5. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、さきの臨調答申年金担当大臣をつくるということになりまして、したがって、その年金担当大臣に指名されたのは林厚生大臣でございますので、将来計画を含めてだれが所管かといえば、これは林国務大臣であるというふうに私は理解しております。
  6. 森井忠良

    森井委員 厚生大臣、そうですか。
  7. 林義郎

    林国務大臣 国務大臣として厚生大臣職務を行うように言われたと同時に、年金問題についての調整を行うという形で、いわゆる年金担当大臣というので私が総理から御命令をいただいたところでございます。したがいまして、竹下大蔵大臣からお話しされたとおりと御理解いただいて結構でございます。
  8. 森井忠良

    森井委員 いろいろありますが、年金のこれからの旗振り役と申しますか、年金についてのいろいろな改革が行われるわけでございますが、そういたしますと、その場合は最終的には厚生大臣判断をなさる、もちろん中曽根内閣という一つ内閣でございますから、最終的には御相談があるにいたしましても、推進役厚生大臣であるというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
  9. 林義郎

    林国務大臣 年金総合調整をやっていくのは私の仕事でございますから、最終的にというお話がございましたが、私がやはり年金統合化一元化に向かって努力していく責任を持っているというふうに考えております。
  10. 森井忠良

    森井委員 厚生省におかれましては、かねがね、厚生年金国民年金統合を含めまして、将来にわたっては日本年金制度を一本にするという方針のもとに、関係審議会等議論をなさいましたり、あるいはまた省内にプロジェクトチーム的なものをおつくりになりましたりして、いろいろ作業してこられました。お聞きをいたしますと、いよいよそれも大詰めを迎えまして、明らかになっておりますのは、来年の同会に厚年国年統合も含む、あるいは大きくはわが国年金制度統一を目指す一つの道程もお示しになると聞いておるわけでございますが、そういったあらましのスケジュールについてお伺いをいたしたいと存じます。
  11. 林義郎

    林国務大臣 公的年金制度につきましては、政府としては、昨年の九月及び本年の五月の閣議決定に基づきまして、公的年金制度一元化を展望しつつ、制度全般見直しを行うという基本方針のもとに、現在鋭意検討中でございます。  厚生省といたしましては、この閣議決定において示された方向及び本年七月の社会保険審議会厚生年金保険部会意見などを踏まえまして、次期通常国会厚生年金及び国民年金改正法案を提出すべく、制度体系のあり方、給付水準、婦人の年金保障など各般の問題について鋭意検討中でございます。  今回の共済統合法案も、閣議決定基本方針に基づく公的年金制度改革の一環として提出しておるものでありまして、ぜひ成立しますようにお願いをするところでございます。
  12. 森井忠良

    森井委員 いま厚生省厚年国年のいろいろな改革案審議をなさいます場合に、幾つかの審議会があるわけでございますが、現在の段階では社会保険審議会における審議、一応同審議会厚生年金部会意見書をお出しになりましたけれども、そこまでの作業が進んでおるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  そこで、統合の指針となるものについて、これから通常国会までに案をおつくりになりまして、厚年国年統合に関する法案をお出しになるわけでございましょうけれども、その意味では作業中ということになるのだろうと思いますが、作業をなさる場合に、いま申し上げましたことしの七月十五日の社会保険審議会厚生年金部会意見書、これが重要な参考になるというふうに理解をしてよろしゅうございましょうか。
  13. 林義郎

    林国務大臣 いまお話のございました社会保険審議会厚生年金保険部会におきましては、長い期間にわたりましていろいろと活発な御意見が出、また十分な御審議を賜ったところでございますし、また、各界のそれぞれの有識者がおられるわけでございますから、その御意見は十分に尊重してやっていかなければならないものだと考えております。
  14. 森井忠良

    森井委員 これは大蔵省事務当局で結構ですけれども、今回の統合法案基礎になりましたのは、いわゆる共済研意見書というものがかなりウエートを占めておりまして、そこから出発をしておると私は理解しておるわけでございますが、その共済研は大体いつごろから始められまして、いつごろ結論をお出しになりましたか。
  15. 保田博

    保田政府委員 大蔵大臣諮問機関としての共済研は、五十五年の夏以来でございます。その御意見をいただきまして、先ほど申し上げました勉強を半年近くやった、こういうことでございます。
  16. 森井忠良

    森井委員 社会保険審議会は、五十六年十一月から厚生年金国民年金統合審議を始められまして、先ほど申し上げましたとおり、ことしの七月十五日に意見書をお出しになりました。共済研につきましても、ほぼ期間をダブって、共済年金問題について具体的な議論をしておられるわけでございます。  先ほどの御答弁によりますと、厚生大臣がこれから年金改革のイニシアをとるということになっているわけでございますけれども大蔵大臣厚生大臣それぞれ共済年金厚生年金諮問機関をお持ちになりながら、この二つ審議会連絡調整あるいは打ち合わせ、場合によっては連合審査があってもいいわけでございますけれども、とんと聞いたことがございません。共済研社保審審議状況について、一体いままで連絡をとるように要請をしたことがあるのかどうなのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  17. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 私の方が少し長い期間問題に携わっておりまして、経過を承知しておりますので、私からお答えさせていただきます。  共済研につきましては、先ほどお話がございましたように五十五年から昨年の夏まででございますから、実は年金問題担当大臣が指名されました昨年の九月より前に一応作業は終わっているわけでございまして、そういう意味では、年金問題担当大臣としての立場では直接はまだ結びつかないわけでございます。  しかしながら、共済研検討しておられます内容からいたしまして、私どもとも非常に関係が深いということがございまして、事務的には終始御連絡を受けております。それからさらに、実際の共済研会議の場に私ども年金課長が出席いたしまして、いろいろと御質疑を受けるというような場面もあったわけでございます。  それで厚生年金部会の方は、厚生年金独自に抱えている問題も非常に多うございますので、必ずしもすべてが共通する問題ではなかったわけでございます。そういう意味では、厚生年金部会の方で共済組合の問題を直接的に議論をされるという機会はなかったわけでございますけれども委員の方はそれぞれのお立場で、共済研の動向はお含みあったというふうに私ども理解をしております。
  18. 森井忠良

    森井委員 事務的に連絡をとったって、これは率直のところ意味はありません。委員同士が何らかの形で意見交換をする場があってしかるべきだ、こう思います。しかし、これは追及をしておりましても時間がかかりますからはしょらしていただくわけでございますが、ともかく年金の本家が、共済年金の問題について何ら連絡調整ができていない、そういう点については私はきわめて遺憾に思うわけでございます。  具体的に申し上げますが、先ほど厚生大臣からお示しがありましたように、社保審厚年部会意見書が一応のめどになるということでございます。このことは、厚生省が発行されます各種のパンフレットでも裏づけされておりまして、具体的には試算A試算Bというような形ですでに世の中に出していらっしゃるものもあります。これは討論の素材だと私ども理解しておりますけれども、それによりますと、要するにいままでの厚生年金国民年金統合するわけでありますけれども、特に一つ考え方だと思いますのは、従来の厚生年金に関する部分所得に比例をする部分、それから基礎的な年金にわたる部分、この二つに分けておられるわけですね。所得に比例する部分基礎的な部分も、どちらも共済年金との統合を考えていらっしゃる、私にはそう見えるわけでありますが、間違いございませんか。
  19. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 いまお話しのありました年金に関する有識者調査の際に参考資料としてお出しをしたパンフレットは、アンケートの回答をいただくための参考につくったわけでございます。試算A、Bも、従来ですと給付水準給付水準保険料負担保険料負担ということで別々に議論されることが多かったわけでございますが、両者を絡み合わせた議論が必要ではないか、またそういう立場の御判断も必要ではないかということで、一つのモデルとしてお示しをしたということでございます。  これからの制度を具体的にどう仕組むかということは、まだ最終的な結論を得ておりませんので、その点はお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
  20. 森井忠良

    森井委員 そんなに身構えて答弁しなくてもいいのです。  先ほど厚生大臣からは余り明らかにされなかったのですが、これからの年金改革スケジュールの骨子になっておるものは何ですか。私ども理解するところ、スケジュールについて政府閣議決定したものはない。自民党の公的年金等調査会ですか、俗に言うところの田中調査会で、六十九年までに一切の作業を終える、七十年から全的な統一を図る、その前に、昭和六十一年から共済年金についても基礎的な年金部分等についてはこの際統合を図りたい、一応私の理解ではそういうスケジュールになっておると思うのです、何にもなしにはやれませんから。年金担当大臣、どうですか。
  21. 林義郎

    林国務大臣 政府の方といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように二回閣議決定を行いましてやっておりますし、特に本年五月二十四日に閣議決定を行いまして、「当面、下記方針により所要の改革方策調整、立案を進め、逐次これを実施に移すものとする。」こう記しておりまして、第一に、既定方針に基づく改革進捗状況につきましては、昨年の九月二十四日の閣議決定、「今後における行政改革具体化方策について」におきましてこれに関する基本的な対処方針を定めておりますが、目下の進捗状況と当面の方針を第一に、公的年金制度改革につきましては、昭和五十八年四月一日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会において決定されました三つの問題について今後検討する。  五十八年度におきましては「国家公務員公共企業体職員共済組合制度統合を行うとともに、国鉄共済組合に対する財政上の対策を図る。」同時に「地方公務員共済年金制度内の財政単位一元化を図る。」というのが第一であります。  第二に、「高齢化社会の到来に備え、長期的に安定した制度の確立を図るため、公的年金制度一元化を展望しつつ、制度全般見直しを行い、昭和五十九年から六十一年にかけて次の措置を講ずる。」第一に、「国民年金厚生年金保険及び船員保険関係整理を図る。」ということであります。第二に、共済年金につきまして、いま申しました「国民年金厚生年金保険及び船員保険関係整理を図る。」との趣旨に沿って、その制度との関係整理を図っていくというのがその次でございます。  第三番目といたしまして、「以上の措置を踏まえ、給付面統一化に合わせて負担面制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるものとする。」という方針を決めておるところでございます。
  22. 森井忠良

    森井委員 いまの大臣の御答弁で、正式に年金改革スケジュールが確認できました。期間の長い短い等私ども意見はございますけれども、一応政府考え方として確認をしておきたいと思うのです。  そこで、今度の共済年金統合法案が問題になるわけですよ。わが国公的年金加入者は大方六千万人に達しておる。五千九百何万でしょう。いずれにしても六千万人に達しておる。そのうちで厚生年金国民年金加入者が五千三百万人、今度の法案で問題になります三公社国家公務員、これは合わせて二百万人弱であります。率にいたしまして三・三%にすぎません。三・三%にすぎない部分が先に走って逆に行く、九六、七%に関する厚年国年という国民の大部分が入っている年金改革が後になる、こんなばかなことは私はないと思うのです。しかも、いま答弁で明らかになりましたように、厚年国年一つの手段であって、昭和七十年までには共済年金も含めて全的な統一を図りたい、特に昭和六十一年からは共済年金との整合性統合も含めて考えなければならぬ、こうなっておるときに、今度の法案は、もう御案内のとおり昭和六十年から六十四年までの五年間、きわめて虫食い的なといいますか、いずれにいたしましてもごく少数の部分改革をおやりになる。これも大蔵大臣年金の将来統合について問題はないのか。  私は、まず厚年国年が先に走って、できれば同時でもいい、行革の特別委員会でもそう申し上げました。年金というのはすぐれて国民的な課題だ、もっとはっきり言えば、党派じゃない、国民的な課題だという認識に立つなら、厚年国年を含めて今度出されております共済年金統合法案一緒議論する、そのためには、この国会で決着をつけずに、何か与党の方は焦っていらっしゃるようでありますけれどもむしろ次通常国会に持ち込めば厚年国年とあわせて一緒審議ができるわけでありますから、私どもとしてもその場合には責任を持って、国会の中に特別委員会等衆参両院につくっていただきまして、そして関係者が相寄って、悔いのない年金改革をしていきたい、私どもこう考えておったわけであります。その意味では私はきわめて遺憾だと思うわけであります。したがって、言えと言ってもなかなか無理かもわかりませんが、大蔵大臣にお伺いしたいのであります。  今度の共済年金統合法案は六十四年までの計画でありますが、これは何が何でも無傷で昭和六十四年までの計画期間を終えたいのか、あるいは途中で厚年国年方針が固まりましたら再度改正があるのか、その点について明らかにしていただきたいと存じます。  それから、厚生大臣につきましては、こういったきわめて部分的な統合法案が出されておるわけでありますけれども厚年国年統合議論に邪魔になるのじゃないか、できれば一緒議論してもらいたいというのが私は本心だと思うのですが、その点についてのお考えを承りたい。
  23. 林義郎

    林国務大臣 まず大蔵大臣に御答弁、こういうことでお話がございましたが、森井先生お話の筋道を聞いておりますと、私の方からまずお答えを申し上げた方がいいのではないかと思いますから、お許しいただきまして先に答弁させていただきます。  年金統合をどうしてやっていくかという問題につきましては、森井先生お話のように、まず全体をまとめて、しかも、国民の大多数を占めるところの厚生年金保険及び国民年金統合してから一縮にやったらという御意見、私も一つ考え方ではないかと思います。  しかしながら、年金というものあるいは共済というものは非常に長い歴史を持っておるわけでありまして、制度がいろいろ分立をしている。この分立をしているものを一本化していくときには、やはりそういった長い歴史、またそれぞれの年金特殊性を十分考えるということも一つは必要でございまして、そういったことを考えますと、一気に全体の統合を一遍でやっていくというのはなかなか至難のわざだ、私はこう思うわけでございまして、長い歴史を持った国家公務員また三公社につきましては、明治末期以来官業共済組合という歴史を持っておりますから、そういったものを踏まえて、まあわりと似ておるからその間の統一を図っていくということがまず考えられてしかるべきであろう。いずれにいたしましても、そういったものができました上で、またそれと並行いたしまして厚生年金保険国民年金との統合を図っていくということでございまして、その手順を追ってやっていかなければならない。  大切なことは、将来へ向かって国民老後保障をするわけでございますから、やはり一元化方向へ向かっていくという方針はずらしてはならない。その間の一段階の問題ではないかというふうに私は考えておるところでございます。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 いま森井さんから御議論のあったような点が、二つ審議会でも一番よく出た議論であった、あるいは意見であったと思っております。私どもといたしましては、とにかく全体に占める比率というのは確かに小さいものでございます。だから、大物の本体の問題をしばらくさておいて小物からだけやっていくのはどうか、こういう批判はそれなりに当たっておると思います。  ただ、私ども、いろいろな経過を経まして、言ってみればささやかながらその第一歩として、この両制度間における相違点を解消していこう、似た者同士と申しますか、類似性の多いものからやっていこうということと、そうして、申すまでもなく国鉄共済組合に対する財政調整を行っていくというこの第一歩の踏み出し方について、そういうもろもろの議論がありつつも、あるいは全体の構想から見ますとかなり無理をした、中間報告をもって答申にかえるとかというような結論まで出していただきましたのは、結局その構成メンバーの方が、言ってみればある種の社会連帯というものが基礎にあったから、このような結論、よかれあしかれ答申にまでこぎつけていただけたのではないか、そういうような背景について私は大変重要な認識をいたしておるわけであります。したがって、いま森井さんのおっしゃいました御意見を交えた御議論というものが両審議会の大宗をなす議論であって、それを私どもは否定するなんという考え方は、これは持つこともできない議論だというふうに聞いております。
  25. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣経過についてはよく御存じでありますから、これ以上責めるのはいかがなものかと思いますけれども、これから最終的にこの法案の扱いが決まるものですから、私、少ししつこいかと思いましたけれども、あえて申し上げた次第です。  いまおっしゃったように、かなり無理な統合なんですね。当初この案ができます前、つまり国共審等へおかけになります前に、政府部内で全然話がつかなかった。たとえば電電公社を監督する郵政省国鉄を監督する運輸省、それに大蔵も交えまして、そういった監督官庁同士の話し合いもありました。これは、私の理解をしております範囲では決裂であります。今度は関係共済組合が集まれ、これもやったが、これも決裂でありました。そして、いまもってまだ与党の中でも率直なところぴしっといってない。これは郵貯戦争大蔵省郵政省郵便貯金と銀行をめぐる争いみたいなものでありまして、これは永久に続くかもしれないという根が深いものもあると私は思うわけであります。したがって、なかなか意見の合わないものを無理をして合わされた。ですから、きょう各共済組合を呼んでいますけれども本心を言えと言ったら恐らく四者まちまちだと私は思うのです。おわかりか。ですからこの点は、そういうふうにして無理をなさった。  それからさらに、今度は審議をいたします国共審、これが大変な無理でありまして、私に言わせたら法律違反なんです。大体権限もない国共審が何で三公社共済組合まで審議をしなければならぬのか。むちゃくちゃです。したがってどういうふうな審議をしたかというと、正規の審議会のメンバー以外に、たとえば電電は労使、国鉄は当局、専売は労働組合、そういった変則的な形でオブザーバーとして審議に参加をされた。正規のメンバーじゃない。一応正規のメンバーらしい扱いはしておられますけれども、法的には何もない。そういった中で審議をされて、しかも答申になっていない。あの答申書、読んでごらんなさい。経過報告が書いてあるだけで、何をどうしろとは書いてない。これはわが国のこの種の審議会制度の欠陥でもあるわけでありますが、要するに政府は諮問をすれば、答申に「反対」と書いてあっても出せる、あるいは都合のいいところをつまみ食いをしても出せる、そういう審議会制度というのは問題がある。私は制度審の委員をしておりますけれども、社会保障制度審議会でもほとんどの方が、これは問題がある。制度審というのは制度上満場一致という形になりますから、大河内会長が無理をなさって一応まとめた経過はありますが、読んでいただけばわかる、根底にはこれは反対だと書いてある。そういった形でお出しになったものをいま審議をしておるわけでございます。したがって、前の国会からとは言いながらも、審議が始まったのは、前の国会から考えますとかなり遅い。そしてこの国会に引き継がれて今日に至っておる。審議することはいっぱいあると私は思うのですよ。とにかくそういうふうな形で、無理な点がずいぶんございます。それはいまもくすぶっております。  無理な点、たとえて申し上げますと、大蔵大臣、この法案が通りますと、電電も専売もあるいは国家公務員も、毎月毎月千分の六、使用者負担分を入れますと千分の十二でありますけれども、組合員本人は千分の六、これは二十万に換算をいたしますと千二百円です。千二百円ずつ毎月お金を出さされる、身銭を切らされるわけであります。大体これは保険主義に反すると思うのです。自分のためでないのに、何で掛金をかけなければならないのですか。これは税金ですか、何ですか。一応形の上では保険料になって一定の基金に入るような形にはなっています。しかし、これは自分に永久に返ってこない金なんです。  私は、この際明確に申し上げておきますが、国鉄共済年金が大変だということについては十分理解をいたしております。そして、公的年金の重要な一つでありますから、これは断じてつぶしてはならぬ。私どもも、国鉄共済年金を守るためにはどんな犠牲でも払いたいという、率直に言えばそういう感じを持っておるわけであります。しかし今度出された法案というのが、いま申し上げましたように、よその共済組合から身銭を毎月毎月切らされるというようなやり方があっていいのか、ここが最大の問題だと私は思うのです。しかも掛けた金が自分の共済年金にはね返ってこない。これは一体税金ですか、社会保険料ですか。この点についても明らかにしていただきたいと思いますが、この際大蔵大臣から、こんな無理な法案をお出しになった根拠と申しますか、政治家としてのお考えについて一応所信を承っておきたいと思うのです。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕
  26. 竹下登

    竹下国務大臣 この法律を提出するに至りました経過につきましては、手続のまず最初といたしましては、諸手続を政府部内でいろいろ検討してまいりました。そこで、まさにいま森井委員御指摘のとおり、これは政府部内においても当初からすんなりと合意に達したものではございません。しかしながら、臨調の答申をいただき、私どもとしてなかんずく国鉄共済財政調整というようなものを考えましたときに、どこから手をつけていくかということになると、その第一歩としては、類似性の高いものから統合し、そしてそこに、社会連帯というよりも労働連帯とでも申した方が適切であるかもしれません、そういう考え方の中で、合意を得ながら進めていこうということで、やれやっと政府部内の考え方が一応まとまった。  そこで、まず国共審にかけました。この国共審は、御案内のように国家公務員共済組合に関する制度、その行う給付その他の事業の運営に関する重要事項に該当するものを審議するわけですから、それなりには国共審というものにはかけなければならぬ問題である。しかし、その中でいわゆる三公社関係の方にも実質的な形で審議に参加していただかなければ、本来の機能を発揮するわけにはまいらない。法律的には必ずしも越権であるとか違法であるとは私は思いませんが、そこで苦心の結果、双方の委員の方が時には懇談会、あるいは回数にすれば、内容的にも、正規なテーブルに着いて速記をとってという形よりも懇談会の方が多かったと思います。  その中で、関係者の皆さん方も、国共審の正規な委員であられる方と同じような立場議論をしていただいて、その議論の中にも、これまた御指摘のように、審議会制度の持つものは、答申するに至らずという答申の場合でも答申とみなすことができるわけでございますけれども、われわれとしても、無答申のままでこれを取り上げるには余りにも政治的に問題が大き過ぎるということから、種々御理解をいただく機会を持つように、何回かの公式、非公式の懇談会を重ねていただいたところで、これから先は政府にその考え方をゆだねるにしても、経過報告として答申だけはしてやろう、その合意というもの、その底流に流れるものは、結局社会連帯考え方があったからここまでたどり着いたのじゃないか。  だから私も、すんなりとしかも整々たる議論の中に、この法律の提出に至るまでの裏づけが完全に具備されておる答申というふうには理解をしておりませんが、そのような、中間報告のような形であってもなお答申出してやろうというお考えに至られた、その連帯の精神というものが最もとうといものであり、それが今日法案を提出する下地になっておるのではなかろうかというふうに考えておるものであります。したがって、これが運営に当たりましては、自主的ないろいろな交渉等が委員会等で行われるでありましょう、そうした中でも、私はまだまだ議論が続いていく問題が数あるであろうということは予測をいたしておるところであります。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 森井忠良

    森井委員 自治省にお伺いをいたしますが、一足先に地方公務員の共済組合統合法案が出されました。これはすでに成立いたしております。ずいぶん御苦労があったと思うのですけれども、私の聞いております範囲では、ずいぶん話し合いをなさいました。しかし、同じように、先ほどの大蔵大臣で言えば社会連帯、仲間意識というものを持たなければならないところが二つほど欠けていますね。警察と公立学校両共済組合はいまもって統合しておりません。これは一体どういう経過ですか。
  28. 秋本敏文

    ○秋本説明員 地方公務員の共済年金制度につきましては、いま御指摘ございましたようにさきの国会で法律改正をしていただきまして、年金財政財政単位統合をさせていただくことになりました。  地方公務員の共済年金におきましては、ほかの年金制度と違った大きな特色、いわば問題点と言えるかもしれませんが、財政単位が十六という多数に分かれておりまして、しかも大きいのから小さいのから、また財政状態もまちまちといった問題がございまして、これを統合することが必要である。その場合におきましては、すべての財政単位を一本化することが最も適当であるということで、法律の本則におきましては、全体の共済組合で連合会を構成し、財政単位一つにするということにさせていただきましたけれども、その中で二つ共済組合につきましては、いま御指摘ございましたように「当分の間除く」ということにさせていただいております。  なぜそうなったかということでございますけれども、具体的には当面三つのグループになりましたのは、一つは一般の地方行政関係と公立学校の共済組合、もう一つは警察の共済組合でございます。したがいまして、一般地方行政、学校、警察という三本立てで当面スタートすることになっておるわけでございますが、いま申しましたようにそれぞれ職域を異にする、そういう職員でこの組合が構成されているという点。それからまた、特に公立学校のような場合ですと、地方公務員共済組合全体約三百万人のうちの約三分の一を占めるというように、かなりの規模になっておる点。それからまた、残りの地方公務員共済組合、全体で九十一ございますけれども、この二つを除いた八十九を一つにまとめようということでございますが、この八十九の組合の中に、ただいま申しましたように分立に伴ういろいろな問題点が集中的にあらわれているわけでございます。これらについては、まずともかく急いで統合を図っていくことが必要であるということで、年金財政としては当面三本立てで統合を図っていくということにさせていただいているわけでございます。
  29. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣、いまお聞きのように、所管は違うかもしれませんが、地方公務員の共済組合統合についてはいろいろな事情があったと思います。したがって大部隊の公立学校の共済組合はまだ統合していない。これは、いま答弁がありましたように、法律は一本の形をとっておりますけれども、当分の間単独運営を認めるという形になっておるわけでございます。しかも、私の見ましたところ、厚生省がお出しになります最終的な年金統合まではずっといくのではないか。  したがって、私があえて自治省に聞きましたのは、無理に統合しろという趣旨ではありません。むしろ、少なくともいままで長い歴史があり、それぞれ労働者の掛金、それに使用者の掛金ということもありますけれども、身銭を切って積み立てたという経過の重みがある。それをいきなり権力的に結びつけようとしても非常に無理がある。しかもこれは同じ国会に提出をされたから、私はもう中曽根内閣というのは精神分裂症じゃないかと思ったくらいです。したがって、いまの事情からいけば、当然この法案については慎重にならなければならないと私は思うわけであります。  大蔵大臣の時間の都合があるようでございますから関連をしてお伺いをいたしますが、審議会であります。先ほどもお認めになりましたように、国共審というのは三公社共済組合審議するようになっていない。逆に言えば三公社関係審議会がなかったわけでございますから、ある意味制度の欠陥でもあったわけですね。したがって、本来ならまず三公社も含めた審議会をつくる、法的に欠陥があればむしろそれの法律をまずつくって、三公社の問題の審議会というものをつくった上で答申を求めるべきであった。この点は明確に指摘をしておきたいと思います。  さて、その後で社会保障制度審議会答申が出ました。大蔵大臣、基本的には、関係をいたします問題についてちゃんと関係審議会というのがあるわけでございますから、当然政府としては法案を提出なさる前に審議会におかけになる、それで、やはり審議会意見書なりあるいは答申というものには政府は原則として従う、そういうことでしょうか。
  30. 竹下登

    竹下国務大臣 審議会というものは、まさに関係者並びに学識経験者等々、それぞれの審議会によって構成の比率は別として、高度な見識、知識を持った人の集まりでございますので、まず審議会というのは尊重してかかるというのが筋道であろうと私は思います。ただ、従来とも、たとえば米審でございますとか、答申に至らずというようなことがあったこともございます。しかしそれは政府責任で政策上の措置をしたことは、例としては数ございますものの、やはり本来あるべき姿としては、政府責任において、あるいは中には国会の承認をいただく人事もございますし、お願いした方々の答申というものは尊重すべきものであるというふうに考えます。
  31. 森井忠良

    森井委員 その答申が、先ほど言いましたように、百歩譲って国共審でやむを得なかったとしても、全く答申になっていない。要するに審議が終わりましたという経過が書いてあるだけで、意思表示なし。それから、制度審についても先ほど申し上げたとおりなんです。  私は特にお考えいただきたいと思いますのは、制度審の答申の中でこういうことが書いてあるのですよ。読むのは差し控えますけれども、やはり年金というのはきょうのあした変えるわけにいかない、当然経過措置が必要だ、あるいは保険料にいたしましても一挙に大幅に上がるというようなことは避けなければならぬ、これは段階的にいくべきだ、そういうようなことが書いてあるわけですね。ところが、今度の法案を見て驚いたのは、統合は無理やりですけれども、さてそれでは経過措置等はついているのか。それぞれの共済組合の組合員に利害関係が絡む問題です。見たら、全くと言ってもいいほど経過措置がない。これは答申を尊重したことになっていましょうか。これは事務当局でもよろしい、答弁してください。
  32. 保田博

    保田政府委員 先生の御指摘は、主として給付面におきまして、公企体の共済の卒業生の給付面について経過措置が足りないのではないかということかと思いますが、それにつきましては、最小限の経過措置といたしまして、法案では既裁定年金、要するにすでに年金を受け取っておられる方につきましては、新しい基準で裁定し直しますけれども、そのし直した額が現在受け取っておられる年金額よりも下回るといった場合には、従前額を保障させていただくということにいたしておるわけでございます。  それから、新たに現役から卒業生になられる方方につきましては、当然のことながら国共済と同一の給付水準年金額が算定されるわけでございます。これらの方々につきましては、従来ございました退職金の三%カットという制度を廃止するということで、多少の手直しをさせていただいておる、こういうことでございます。
  33. 森井忠良

    森井委員 次長、共済年金はかつて、昭和五十五年ぐらいだったと思いますけれども、支給開始年齢の改悪がありましたね。五十五から六十にするという改悪がありました。これは何年かけておやりになりましたか。
  34. 保田博

    保田政府委員 昭和七十五年に向けてやるということでございます。
  35. 森井忠良

    森井委員 二十年じゃないですか。二十年です。今度の場合は、既裁定年金の方々は、つまり私どもの先輩です。僕は若い者として本当に気の毒、申しわけない気持ちでいっぱいだけれども、いま年金をもらっておられる人は、もう御存じのように再計算をいたしまして、年金の額はダウンするが従前額は保障する、これだけでしょう。いままでの既裁定年金者は、賃金が上がればスライドして、毎年年金は上がっておったわけです。したがって、この法案が通れば直ちにその年から、これは来年の四月以降ですか、そういうことになりますから、スライドを期待しておりました者からすれば期待権の大きな喪失です。なぜ一度にスライドをやめないで段階的にできないのか。  私は政治家として大臣にお開きを願いたいと思うのでありますが、一定の給付の条件を決めて掛金を掛けさせるわけですね。あなた、いませっせと掛けなさい、これだけの金額を掛けなさい、そうしますと定年になったらこれだけの年金を差し上げます、こういうシステムになっているわけですね。そのときの給付条件というのは、いまの公共企業体の給付条件で掛金を掛けさせたわけです。これは掛けた組合員には一つも罪がない。強いて言えば、行政の見通しの誤り等がありまして、このままでいけば年金がパンクをするということがあるのかもしれない。あの共済研資料を見ましても、大体昭和八十年前後くらいから確かに怪しくなる。電電共済だけはもう少し延びますけれども、大体怪しくなるというかっこうになってきます。ですからこれは見通しの誤りでありまして、いま年金をもらっておる既裁定年金者には全然罪のない話。しかも掛けるときには、いま申し上げましたように、現行の給付水準を決めてそれで掛金を掛けさせたという経過がある。したがって、深々とおわびをして、こういう事情でございますから少し下げさせてもらいます、一遍では無理でありますから少しずつやらせていただきます、ここまでおっしゃるならばまだ私は話がわかると思う。わが党の基本的な考え方は、既裁定者については公企体の場合は最終本俸でありますから、したがってもうそれでいくしかない。しかもそんなに大きな金額じゃないと思う。  ちょっとちなみに聞いてみますが、電電共済、既裁定年金者に現行の水準で給付するとして、年間大体どのくらいお金がかかるのですか。(「大蔵大臣いなきゃだめですよ、予定どおりじゃない」と呼び、その他発言する者あり)
  36. 森美秀

    ○森委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  37. 森美秀

    ○森委員長 速記を始めてください。  暫時休憩します。     午前十一時六分休憩      ————◇—————     午後零時二分開議
  38. 森美秀

    ○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森井忠良君。
  39. 森井忠良

    森井委員 休憩前の私の質問に対します答弁からしていただきたいと思います。
  40. 中原道朗

    ○中原説明員 電電公社の例につきまして御説明申し上げます。  平均的なモデルで計算いたしますと、給付の切り下げが三ないし五%というところにほとんど大多数の者が入りますが、これによりまして試算いたしますと、年金受給者全体といたしましては約三十億程度というふうに計算されるようになっております。
  41. 森井忠良

    森井委員 電電公社の場合は、大蔵省の粗い計算によりますと、国鉄の援助に対します拠出金が毎年百二十億となっていますね。ですから、いまの答弁だと、その四分の一あれば先輩の既裁定年金者の年金給付水準を引き下げをしないで済むということでございます。大蔵大臣、電電の場合、いま例示をいたしましたけれども、毎年国鉄共済の救済に百二十億、先輩のいま年金をもらっておられる方々の給付水準だけは下げないということにいたしまして、三十億で済むわけでございます。  まず、電電公社に再度お聞きいたしますが、あなたのところの共済組合では、そういう場合に、仮に政府の指示があればその三十億については出せますか。財政再計算等はありましょうけれども作業上そう困難とは思われないと考えるわけでありますが、いま申し上げましたように、これは当然政府の指示があればという前提でありますけれども、その場合どうなりましょう。
  42. 中原道朗

    ○中原説明員 大変お答えしにくいことではございますけれども、計算上共済組合財政を悪くするということに働いていく分には間違いございませんので、それゆえに困難ではないではないかというふうには申し上げられませんけれども、現実的にその財源を種々工夫しながら用意するということについては、工夫の仕方はあるだろうと存じてはおります。
  43. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣、いま申し上げました既裁定年金の方は、やめられるときに、国家公務員等の皆さんよりも退職金は三%減額をされて退職しておられるわけですね。その見返りと言ってはおかしいのですけれども、そのかわりに国家公務員よりやや高い年金を受給しておられる、こういう結果になるわけでございます。そこで、既成事実として、すでに退職年金を減額されて定年になってやめておられるわけでございますから、定年はありませんけれども退職しておられるわけでございますから、既裁定年金者の方については私ども後輩として迷惑をかけない、本当にこれは断腸の思いがするわけでございますから。したがって、この点についてはぜひひとつ前向きな御検討をいただきたいものだと思いますが、いかがでしょう。
  44. 保田博

    保田政府委員 ただいま国共済と公企体共済との給付水準相違点の多くは、公企体の共済制度の持っております公的年金の水準が、一般的な厚生年金さらには国家公務員共済組合等の水準をかなり上回っているところに非常に大きな問題があるわけでありまして、先ほど来厚生大臣からお示しをいたしておりますわが国公的年金制度の全体的な一元化へ向けての動きというのは、負担との関係におきまして、長期的に見て、アンバランスにやや高い給付の水準を引き下げる、それによって年金制度財政の安定を図らなければいかぬ、しかもその緊急性は先ほど来先生も御指摘のとおりのような状況でございますので、われわれとしては、既裁定年金者のそういうお気持ちはよくわかるわけでございますけれども、やはり年金財政制度を早くはっきりさせて、国民の皆様を安定させることが大事なのではないかと考えておるわけでございます。  先ほど来先生は既裁定年金の皆さん方のお話をなさっておられますが、既裁定年金者だけ優遇いたしますと、今後卒業される方々とのアンバランスがまた新たに生ずるというようなことでもございますので、全体として、既裁定年金者のお気持ちもわからぬではございませんけれども、ひとつその点は御理解をいただきたい、こういうふうに考えております。
  45. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣の御答弁をいただきとう存じます。——いま御相談中のようでありますが、それならもうお答えいただきましたから。これはやはり役所の人に任せますといまのような答弁が返ってくるんですよ。  俗に言われますように、官民格差あるいは官官格差と言われるものがあるわけですね。しかし、これはもう保田さんも御存じのとおりでして、これは歴史的な経過が全然違うんですね。掛金も民間の掛金と大きく違った時代があります、いま大分近くなりましたけれども。だから、時間の関係で多くは申し上げませんけれども、この点については結局、厚生年金等から見れば国家公務員が高い、国家公務員から見れば三公社が高い、こういう形になっているのです。しかし、いま申し上げました歴史的な経過がまずあるのと、それからやはり職域年金あるいは企業年金的な部分が入っているんですね。どうですか、その点。
  46. 保田博

    保田政府委員 国家公務員共済組合並びに公企体共済組合からの長期給付はいわば二つの側面を持っておるわけでございまして、一つは社会保障制度としての側面、いわば老後の所得を一般的な国民と同じように保障するという機能を持っておることは先生御指摘のとおりでございます。と同時に、国家公務員あるいは公企体の職員としてそれぞれの職務に忠実に勤務するといったようなことを、老後の生活を保障する際の給付という点からも多少助けなければならないといった側面、職域年金的な側面といいますか、そういう側面があるということは御指摘のとおりでございます。二面性を持っていると思います。
  47. 森井忠良

    森井委員 この問題につきましては私どもも粘り強く与党の皆さんと話し合っていきたいと思いますので、時間的な制約もありますから、少し角度を変えて質問を進めたいと思うわけでございます。  先ほど既裁定年金者については一定の答弁がありました、先ほどの答弁を踏まえて、私どもといたしましては、既裁定年金者につきましては原則として、考え方としては給付を下げない。先ほども御指摘申し上げましたように、年金というのは長い年月をかけて改革をしていかなければならぬ性質のものでありまして時間がかかる。したがって、いま保田次長言われましたけれども、あなた方の意図が、一つ国鉄年金の救済。一つはいわゆる官官格差と言われております公共企業体の年金が高い。しかし、これは企業年金的な部分等が入っているというお考えもあるようでありますから、私どもとしてはこの議論は先に譲りたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういう状況で既裁定年金の問題に頭の中を整理いたしますと、ちょっと言葉は悪うございますが、いまの給付水準を続けていきましても、これはすでに平均余命が出ていますから、いずれ高い水準の方々はだんだん人数が減っていく、そういう形で計画期間を見れば、既裁定年金の皆さんには、いまの給付水準を下げないでも、やがてあなた方の望むような給付水準に変わることはあり得る、私はこのことを特に指摘をしておきたいと思うのです。  それから次に、今度は新規移行組合員の問題でございます。先ほど次長から答弁がございましたけれども、これもいろいろ矛盾が出てまいります。これは切りかえの時期だから無理がないと言ってしまえばそれまでですけれども、新規移行組合員については一体どういうことになるのですか。退職金は三%復活をする、そして直ちに給付水準は下げたままで卒業していく、こういう形になるのですか。
  48. 保田博

    保田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  49. 森井忠良

    森井委員 この方々についても、先ほど言いましたように、この法律は来年の四月から動き始めるわけでございますから、ことし退職をした人は一体どうなるのか、来年と比べますと問題が出てくると私は思うのです。ことしは退職金は三%減額でやめておられるのです。そして、この法律が通りますと年金の額は再計算をされる、こういうことになるわけですね。ただいままで受け取っておられます年金の金額は下げない。ただしその金額に達するまではスライドはない。やはり矛盾と思いませんか、来年以降やめていく人とことしです。ことしは退職金は減額をして、来年以降は年金は再計算をされて事実上金額が下がってくる、こういうかっこうになるわけですね。これも割り切れないと思うわけです。年金制度特殊性、それから先ほど申し上げました経過措置をつけよという社会保障制度審議会答申、そういったものから見ますと、少なくとも十年と言いたいところでございますが、五年間くらいの経過措置はつけてあげないと私は不公平が生じると思う。いかがでしょう。
  50. 保田博

    保田政府委員 御指摘のようなアンバランスというものは、いずれにせよ制度を変えますときには多かれ少なかれ残る問題であろうと思うのです。御承知のように、今回御提案いたしております法案を作成する段階関係共済組合の代表者の方々あるいは労働組合の方々の御意見もお伺いしたわけでございますが、いずれにしましても、今回御提案申し上げております国鉄の救済に絡むこの問題につきましては、国鉄という救済をされる側とそれ以外のこれを救済する側との利審の対立といったようなもの、あるいは現世代とOBとの間の非常に微妙な問題といったことがございまして、そういういわば相反するような利審を非常に微妙なバランスのもとにつなぎ合わせてつくったような法案でございますので、われわれとしますと、現在の状況のもとでは、御提案申し上げております中身が一番いいものであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  51. 森井忠良

    森井委員 保田さん、だめですよ。切りかえのときの混乱というのはわかるよ。しかし、経過措置のないときはないのですから、これは経過措置をつける。  厚生大臣にお開きをするわけでありますけれども、たとえば今度の年金の支給開始年齢、厚生年金の場合現在男女差があるわけです。男子は六十歳、女子は五十五歳なんです。先ほどの社保審厚年部会意見書では、私どもは首をかしげていかがなものかと思いますけれども、男女同じだということで、二年に一歳ずつ支給開始年齢を延ばすのです。厚生年金の支給開始年齢を、女性はいま五十五歳ですが将来は六十にするということが言われております。いきなり六十では大変だというので、先ほど言いましたように二年たったら五十六、二年たったら五十七という形で、毎年半歳ずつ引き上げていくという発想があるわけであります。これなんか端的な例でありますが、いきなりおやりにならないのは、厚生省としては俗に言う激変緩和という思想でしょうか。
  52. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 厚生年金におきましては、二十九年改正以来再三いろいろ要件の改善等をやっておりますが、やはり項目に応じまして何がしかの経過的な措置を設けてきておるというのが従来の例でございます。
  53. 森井忠良

    森井委員 大蔵大臣、お聞きのようにこれは無理があるのですよ。とにかく経過措置全然ゼロなんです。  もう一つ申し上げますと、今度の場合共済組合の合併ではなくて統合という形になりました。ですからこれは、財布はそれぞれ別に持つという発想になっておるわけです。財布を別に持たせておきながら、来年の秋には一緒財政再計算をやれ。これは掛金に響いてくるわけです。あの案を見ますと、何と掛金が一遍に六割も上がるかっこうになっておる。しかも各共済組合にはそれぞれ過去に財政再計算をしたルールがある。たとえば公企体の場合は前回五十六年、次回は六十一年です。それを来年の秋にやれというのですから、これは一年半も早いのです。そうしますとどういうことになりますか。大体五年でこうなるという計算をするわけですから、掛金も、このころはこうなるであろうという覚悟を組合員もある程度決めることと、それから見通しもつく、年金財政に対する信用も置ける。年金財政というのは本当に安定度というのが大切ですから、そのためには、厚生年金の場合被保険者の信頼というものが非常に大事なことになってくる。だから、財政再計算の時期というのは慎重にやらなければならぬということは当然出てまいります。これも経過措置がない。全部来年一括して財政再計算をやる。これなんかもやがては先の方で段階的に合わしていくべきでしょう、私はそう思います。年金統合ということから考えれば、財政再計算時期はやがては合わすべきだ。しかし、法律が通ったらいきなり財政再計算をする。結果として組合員の掛金が、いま申し上げましたように大幅に上がってくる。今度の場合しかも強制でありまして、修正率は〇・八から〇・九に引き上げて計算をしておる。やや専門的なことになりますからこれ以上は申し上げませんけれども財政再計算についても、これは経過措置というのは適当でないかもしれませんが、いまの共済組合についてはとりあえず一回は現行でやって、その上でいくべきではないか。特に、先ほど申し上げましたように、これはそれぞれいまのところ単独運営を許す法案になっているわけですから、やはり財政再計算についても弾力的に考えるべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  54. 保田博

    保田政府委員 給付の面の経過措置につきましては、全然これをとっていないということではございません。もちろん立場によりまして十分でないという御指摘があろうかとも思いますけれども、われわれといたしましては、最低限の既得権の保障、従前額保障はさせていただいておるつもりでございまして、これが、利害の非常に微妙な関係にございます関係者のいわば最大公約数であろうかというふうに理解をいたしております。  それから、二番目の御指摘の財政再計算の時期のお話でございますが、御指摘のとおり、今回の統合法案が成立をいたしますと、五十九年の十月に財政再計算を行うことになるわけでございます。財政再計算は、先生御承知のように、保険料を計算する前提となる諸条件が動きましたときにこれを行う。現在の共済法案では少なくとも五年以内に行うということになっておりまして、公企体の場合にはそういう法的な規制はございませんが、これも従来から五年ごとにやってきたものでございます。ただ、時期につきまして先生御指摘のように差がございます。  今回の統合の結果、公企体につきましては再計算の時期が一年半早まるわけでございますが、再計算と申しますのは、先ほど申し上げましたような定期的な再計算のほかに、給付面その他で大きな制度改正が行われましたときにはこれを行うのが従来からの慣例でもございますし、それがまた将来の年金財政を健全に運営していくための非常に大きなポイントとなるものでございます。今回四つの共済組合一つ法案で法律をもって統合されます以上、国共済と公企体共済で扱いを異にするのはいかがか、こういうふうに考える次第でございます。
  55. 森井忠良

    森井委員 専売公社にお伺いをいたします。  財政再計算をいたしますと、あなたのところは財源率で逆転現象が起きるというので大変心配していらっしゃいますし、俗っぽい言葉で言いますと、国鉄共済よりもかえって危機感というのは高まってまいりますし、負担も高い、こういう形になりますから、助けられる方よりも助ける方がはるかに財源率がきついという形になってくるわけでありますが、実情とお考えをちょっと承っておきたいと思います。
  56. 長岡實

    ○長岡説明員 今回の法案財政調整事業を実施することになっておりますが、大蔵省の方でごく粗い試算ということで国共審に提出されました資料による予想財源率では、国鉄との比較でございますけれども国鉄の場合には財政調整を前提としていわば賦課方式に近いやり方で計算をし、私どもの方は所定の保険数理に基づいて計算をいたしておりますので、計算の仕組み自体が違うわけではございますが、一応の粗い試算で申しますと、国鉄の所要財源率が千分の二百十前後ではないかと推計されております。それに対しまして専売の財源率が千分の二百四十程度になるのではないかというふうに推計されまして、御指摘のとおり、この数字で見る限り逆転現象が出ております。私どもは、国鉄年金財政の救済を図ることが公的年金制度の信頼を確保する上で必要であるという理解は十分持っておるつもりではございますが、こういう数字では、組合員の理解を得ることは非常に困難であろうというふうに考えております。したがいまして、今後財政調整委員会においていまの点を踏まえて十分に論議を尽くしていただきたいというのが率直な気持ちでございます。
  57. 森井忠良

    森井委員 大蔵省、そこで、いま御指摘いたしましたように、財政再計算の時期についてもいろいろ問題があることはもう御理解いただけたと思うわけであります。この種のものは、先ほど来繰り返し申し上げますように、余り無理をすると組合員の反発を買うことも非常に多いわけでございますから、したがってこの点については特に慎重にお願いをしておきたいと思うのです。  大蔵大臣、いまの専売の年金を受け取っておられる方、これから新規に移行する組合員の方、財政再計算、そういった問題については、私が御指摘を申し上げましたようにいろいろ問題がございますので、大蔵省としても各方面の意見を十分聞きながら慎重に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  58. 竹下登

    竹下国務大臣 本委員会においての質疑応答、そしてその実態、これを正確に報告するとともに、自主的に御判断なさる場合に、恐らく慎重な態度をとられるであろうということは、十分私も期待をいたしております。
  59. 森井忠良

    森井委員 私の感じを申し上げますと、今回の統合というのは大変無理がある。特にいみじくも臨調の答申、これは余り褒めたものじゃないと私は思うわけですけれども臨調答申でたまたま三公社の経営形態というのは軒並み変わることになっているわけですね。国鉄も再建監理委員会でいま検討中でありますし、電電につきましてはすでに与党の方では一定の方針を決められまして、関係各省でいま恐らくその準備をしていらっしゃる段階ではないかと思いますし、ややおくれておりますが、専売公社につきましても民営化の方向というのは進んでおる。そういたしますと、先ほど申し上げましたように私どもは臨調の答申には問題がありますけれども、仮に民営化という方向にいきますと、これは厚生年金ですよ、間違いなく厚生年金、だれが考えたって厚生年金にいたします。なぜか。第一に国庫負担が違うのです。いま公経済負担分と称して、たとえば電電でしたら電話料で払っていらっしゃる。あるいは郵政の共済でしたら郵便料その他で払っていらっしゃる。本来、国庫負担をすべきです。しかし、公経済負担分を一五・八五%、仮にこれで固定をしておるとしましても、厚生年金でしたら二〇%。かつて厚生年金でありました私学や農林職員等はいま一八%になっています。矛盾があるのですよ。片方において民営化しろと言う。そして年金については国家公務員一緒になれと言う。似た者同士というのだったらなぜ地方共済も入れないのですか。これは給付水準その他は国家公務員と全然変わらない。中にはいいものもある。パイを広くしないで、とりあえず国家公務員という場当たり的な、無理な統合をなさるからこういう形になるのです。  経営形態との関係では、いま申し上げましたように、これはだれでも考えますよ、厚生年金に移行すれぼわざわざ自分のところで稼いだ電話料や郵便料等で払わなくても済む。当然これは明確にしておきませんと、民営化になりました場合に、公経済負担分と称するものは明確に国庫負担にしなければならぬ、これが年金のいままでの理論なんです。先ほど保田次長は慣例と言われましたけれども、こういう基礎にわたる部分はちゃんと整理をしなければならない。  端的な例を申し上げましょう。同じような仕事をしています国際電電は厚生年金でしょう。日銀も厚生年金なんです。もちろん日本航空も厚生年金です。民間になるであろうと言われている電電公社が民間になっても、これはいままでどおり共済にとどまらせておけ。しかも公企体職員の場合は御存じのとおりまだ仲裁裁定が実施されておりません。どう考えてもこれは私は理解がしにくい。いかがですか、民営化になった場合は本来なら厚生年金だと思うが、大蔵省、考えがあれば示してください。
  60. 保田博

    保田政府委員 原則といたしましては、民間部門の被用者には厚生年金を適用する、公共部門の被用者には共済年金が適用される、このことは先生の御指摘のとおりでございます。ただし、年金制度には歴史や沿革がございまして、公共部門でも公庫あるいは公団といったものには厚生年金が適用されておるわけであります。また、民間部門でも私立学校や農林漁業団体には共済年金が適用されているということでございまして、年金制度の適用区分と経営形態とは必ずしも一致をしていない状況にあるわけであります。  特に国鉄とか電電とか、非常に大きな経営体が存在したまま他の制度に移行するということは、もちろん理論的には考えられないわけではございません。しかしながら、現在厚生年金共済年金との間には給付要件といったようなものに非常に大きな差がございます。また、制度を移り歩きますときには、いままで積み立てられております積立金をどうするのか。それから、厚生年金の場合には当然標準報酬を過去にさかのぼってずっと計算し直さなければならないといったような、現実に公企体共済から厚生年金に適用を移すということは非常にむずかしい状況、むしろ不可能と言ってもいいぐらいの状況にあるわけでございます。したがって、今回御提案申し上げておりますように、公企体につきましては、今後経営形態がたとえ民間に移行するといったような事情がございましても、なお当分の間は共済組合制度の適用を続けていくことが勤労者にとってもむしろプラスなのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 森井忠良

    森井委員 もう時間がなくなりましたからこの一問でやめなければなりません。いまの議論につきましては、あなた、私も専門家の一人ですよ。それは私学にしても農林年金にしても経過があるのです。もとは厚生年金だったのです。ルーツは厚生年金だから、特殊な事情があってそういう形になりましたが、いたずらにこれから共済年金が次々に出てくるというかっこうになると、共済年金厚生年金等の整合性の問題が出てくるので、私はこれは問題として指摘をしておきます。  そこで大蔵大臣、最後に、結局私は将来年金統合というのはやはり厚生年金基礎となると思うのです。そうしますと、これから厚生年金について議論をいたしますけれども、やはりいろいろな事情から給付水準は下がるという形になると思うのです。一方におきまして、各共済はそれぞれ企業年金、職域的な年金部分もある。企業年金は、先ほどちょっと例に出しました国際電電のごときは、年間百五十万というふうな企業年金を積んでいるわけです。少なくとも国家公務員がまじめに汗を流して働く、あるいは公共企業体の職員がまじめに汗を流して働くということになれば、いま申し上げましたように、公的年金部分としては、将来にわたりましてはやはり厚生年金の水準に一応合わす必要がある、私はそう思うわけです。そうしますと、基礎的な部分所得比例部分等がございますけれども、やはり国家公務員、三公社の職員等についても、公的年金部分とそれから企業年金的な部分を入れてあげないと、働く意欲もなくなりますし、現に株式の上場企業はその七割くらいは企業年金をつくっているのですね。つまり厚生年金に上乗せをしておる。下手をすれば逆に、官民格差じゃなくて民官格差になる可能性すら出てきています。  そこで、今度の法案あるいは厚生省議論をされます厚生年金統合法案をあわせて、この際そういった各共済組合に将来にわたる自主性というもの、なかんずく三公社については民営化の方向が示されているわけでありますから、将来にわたっては独自の企業年金等をやはり上乗せをしてあげないと、逆に民間と格差がつくという場合があるわけですから。もう企業年金の話は時間がないからしません。  そこで両大臣から、いま申し上げましたように、これからの年金については、そういった公的年金部分に、公務員あるいは三公社の職員といえども、自主的に労使の話し合いがそろえば、やはり独自な部分を認めるというふうにしていただきたいと思うわけでございますが、最後に両大臣の御答弁をお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  62. 林義郎

    林国務大臣 いま森井先生から、先生大変お詳しいですからいろいろなお話がございました。いわゆる公的な部分と申しますか基礎的な部分とそれ以外の部分を分けてというようなお考えがありまして、私の方でいただいております答申の中でもそういった考え方は出てきておるわけでございます。そういった物の考え方に基づきますならば、先生のお考えのような考え方をやはり生かしていくというのが将来における年金制度のあり方でもあろうかと思うわけでございますが、これは厚生年金法、国民年金法、いま私の方で鋭意検討中でございますから、そうしたものを踏まえて、また最初に、将来にわたってどうしていくかという関係整理を図るということを申し上げておきましたけれども、そういった中でもやはり考えていかなければならない問題だろうと思っております。
  63. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、いま森井さんの指摘された意見一つも否定するものはないと思っております。が、要するにこれからの問題につきましては、一つは公務員制度の問題があると思っております。民間に経営形態が変わっていくというものは別といたしまして、そういう問題は、やはり関係各省においてこれから協議して検討を進めていく課題である。ただ、御指摘の事実に対して私は何ら否定しようという考えはありません。
  64. 森美秀

    ○森委員長 御苦労さまでした。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  65. 森美秀

    ○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大原亨君。
  66. 大原亨

    大原(亨)委員 最初に厚生大臣に、引き続いて大蔵大臣に御質問いたします。  数日前から行革特別委員会におきましても、租税と社会保障費用の言うなれば負担の限界、こういう問題が議論になっております。現在、御承知のように二四%プラスアルファが税金でありまして、そして社会保険料が、いろいろな計算の仕方がありますが社会福祉費用が一〇%、合計いたしまして三五%であります。きのう瀬島さんは特別委員会に出席をいたしまして、最高の限度額は四五%、でき得るならば四〇%程度に抑えたい、こういうふうな発言があるわけです。そういたしますと、現状から残るところは一〇%であります。きょう閣議で報告された厚生白書にもいろいろと載っております。なかなか意欲的な厚生白書でありますが、そういたしますと、あと一〇%租税と社会保障費用をふやしていくということになりますと、それを中心とする論議の中で、その一〇%は社会保険の費用である、年金や医療費の問題である、こういうふうな考え方のようであります。「増税なき財政再建」がそういうことになるかどうかは別にいたしまして。そうすると租税の負担率というものは現状から余り変わらない。上限の四五%ということになれば、残る一〇%は社会保険の費用、社会保障費用というふうに考えられておるようであります。  その中で年金や医療費が、高齢化社会を迎えまして、あるいは年金の成熟を迎えましてふえていくわけでありますが、これが社会保険費用の増大を大体一〇%程度の範囲内で果たしてやり得るものか、またその一〇%程度の社会保障費用の中身は何か、こういう点について最初に御質問いたしまして、厚生大臣からお答えいただきます。
  67. 林義郎

    林国務大臣 瀬島さんが行革特別委員会参考人として御意見を述べられました四〇%、四五%が、租税負担率及び社会保障負担率と申しますか、それの合計で将来の構図を描いたものだというお話は、新聞等を通じまして私も承知をいたしております。  いまの先生のお話のように、いま三五%でありますが、社会保険負担というものは税金と違いまして、やはり一つの応益原則というものがあるだろう、私はこう思います。年金ども、老齢化社会を控えましてやはりそれぞれの方々が保険料としてお積みになる。これは強制的でありますけれどもお積みになる。それを給付としてやっていくというのは、日本の老齢化社会ということを考えますならば、これは全体の率としてはどうしても上がっていかざるを得ないだろうというのが一つ考え方でありますし、医療につきましては、ほうっておくと毎年一兆円ずつふえているということで、せっかくいま医療改革につきまして、その給付と負担とのあり方につきまして、またその他の医療の供給体制、薬の問題も含めまして私どもが総点検をしておりますのは、いわゆるそういった社会保険という形のものは国民に納得される範囲でなければならないだろう、国民の批判を受けるようなことでないような形のものに抑えていくことがやはり必要だろう、こう考えておるところでございます。先生御指摘のように必ず一〇%に抑えられるかどうかというのは、むしろこれからいろいろな制度、仕組みを考えてやっていかなければならない一つのめどと申しますか、目標を示されたものだと私は考えておるところでございまして、要するに負担と給付、この辺のバランスをよくとっていくことが私は大切なごどのように思います。  厚生省におきましても、かって社会保障長期展望懇談会というところで数字を出したことがございます。その数字はもっと高い数字のように推計をしたところでございまして、社会保障負担というものは、一九八〇年をベースに見まして八一年は一〇・一%である、二〇〇〇年、昭和七十五年になりますとこれが一四から一五%になるであろう、二〇一〇年には一九から二一になるだろうというものが、一応の推算という形で出ているわけでございまして、これはこうなるんだということではないので、むしろいろいろな形で国民的な合意を求めていくということの中で私たちは考えていかなければならないものだろう、こういうふうに思っているところでございます。
  68. 大原亨

    大原(亨)委員 いまお示しになりました社会保障長期展望懇談会の社会保障給付費の対国民所得比の試算の資料によりますと、年金だけをとってみましても、いまの保険料率は、これは厚生年金でありますが五・三%の負担、それが昭和七十五年、二十一世紀には一二・七%になりまして、昭和八十五年、二〇一〇年には一六・九%ですから、それだけでも一〇%を超える負担になるわけです。そういたしますと、四五%の範囲内で租税と社会保障費を抑えるということは、いまの推計から見てみましても事実上不可能であります。  ですから、むだを省きながら大切なものは高齢化社会に対応して充実させるということが、言うなれば非常に重要な課題でございまして、私はこれが行政改革であると思っておるわけです。いまの政府がやっておるのは、赤字対策とか財政のつじつま合わせとかマイナスシーリングとかということで、大蔵大臣おられるのですが、厚生省大蔵省へ出す概算要求はマイナスシーリング、今度はまたもう一回十二月に査定するわけですが、その中には医療保険の本人十割を八割にするという、創立以来やったことがないような大なたをふるった概算要求、最後にこれを査定する場合にはさらに大なたをふるうわけであります。  ですから、臨調はどういう考え方を持って議論しておったのかということを私は考えるわけでありますけれども、これはすぐ崩れてしまうような議論。しかし私どもは、社会保障やいろいろな給付の負担を保険料でするかあるいは税金で負担をするかということは、政策の問題と思います。問題はやはり所得を公平に再配分いたしまして、国民生活を安定させる、社会的な事故に対する不安を一掃するということは、いままで長い間努力をいたしましたし、憲法にも書いてある趣旨でございますので、それを質的に後退させることはできない。  それで、きょうの閣議で報告いたしました厚生省の白書によりますと、「新しい時代の潮流と社会保障」というふうにありまして、扉の方には、量の拡大から質に転換する時代だというふうに言っているわけなんです。だから、そういう中長期を展望いたしまして、日本の社会保障制度年金制度というものをどうするのだということについての全体像を持ちながら改革を進めていくということが必要ですが、遺憾ながらそういう点については本末を誤っておるのではないか、私はそういうふうに思うのであります。国民の負担の限界の問題につきまして、大蔵大臣からお答えいただ麦ます。
  69. 竹下登

    竹下国務大臣 租税負担率は五十六年が二三・六、五十七年が二三・七、五十八年も一応二三・七を予測しておるわけです。これは御案内のように、今年度予算を編成いたしましたときに予測いたしましたところの成長率とかということに対して設けたものであって、あくまでもこれは予測であります。  元来、租税負担率というのは国民所得を分母として分子を地方税と国税を足したもの、こういうことになりますので、必ずしも定量的に最初決めておくべきものでなく、結果として出てくるものが租税負担率であろう、こういう議論があるわけです。だから、そこのところも瀬島さんとも何度か意見交換をしてみたのでございますが、臨調で指摘した租税負担率あるいは国民負担というものは、必ずしも最初から非常に固定的な物の考え方をしたものではない。しかし世の趨勢、他の先進国を見ましても、少なくともイギリスで五一とか、スウェーデンなんかもっと高いにしても、したがってそれよりかなり低いところに結果がとどまるような政策運営をすべきだ。それで、瀬島さんは当面四〇とか四五とかいうことを念頭に置くべきではないか、こういうことを言われておったこともございます。その理屈はよくわかる理屈でございますが、分子も分母も経済の情勢の変動筆によって異なってまいります。結果として出てまいるものでありますから、そういうものを念頭に置いておかなければならぬという意味においては、この間指摘された四五などというものも、なるほどな、私どもとして絶えず念頭に置かなければならぬ数値だなという感じは私も率直に持っております。
  70. 大原亨

    大原(亨)委員 瀬島さんが答弁いたしました四〇%を目標としながら四五%が上限だ、五〇%にもなると活力は失われる、こういうことは繰り返し言っておるし、この厚生白書の中にも活力の問題が出ておるわけです。ですけれども、四〇%というのは、これは展望といたしまして、租税と社会保障費の負担の限界としては全然推定できないような数字であります。  これから増大する医療費とか税金の現在の国民所得に対する比率は抑えておいて、年金だけを一〇%程度上げて高齢化社会に対応しようという考え方が背景にあるのではないかというふうに私は思いますが、それでも高齢化社会を迎えまして医療費もふえてまいりますし、年金もそれではおさまらぬわけでありますし、四五%ということを上限にいたしまして大蔵大臣はぎゅうぎゅう概算要求を締め上げていきますと、日本の高齢化対策というものは展望が持てないのではないか、かえってそういう近欲なことをやりまして矛盾が拡大をするのではないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
  71. 林義郎

    林国務大臣 あるいは大蔵大臣から御答弁いただくことかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、社会保険負担というものは、老齢化現象、また医療技術の高度化等によってふえていくものもあると思います。先生おっしゃることは私も非常によくわかるのですが、この推計の中で出ておりますのは、現在社会保険料負担年金部分は五・何%となっておる、それが一六%ぐらいのところにいきますと、保険料負担というものはざっと概算しますと三一%程度としてある。三一%もの年金のための保険料負担というものは一体いかがなものであろうかという疑問を私は率直に出しておるわけでございまして、また医療につきましても恐らくいろいろな問題がありますが、医療がいまのままでいいとはだれもお考えにならないと思うのです。毎年一兆円ずつふえていく。しかも町には乱診乱療であるとか薬がどうだとかという声が満ち満ちておる。そういうときに改革をして、国民の納得のいけるような形に持っていかなければならないというのが私の基本的に考えているところでございまして、そういったものをやはりこれから努力をしていかなければならないと思うのです。  先生がおっしゃるように、目標としてこのくらいだ、大体の数字を示してということも確かにお考えとしてはあると思いますが、現実の制度をどう動かしていくか、それによってどう達成できるかということを統一的にやらなければ、単に将来目標を掲げて、理想を掲げただけで現実が伴わなければ、現実の政治には私はならないと思うのです。そういった意味で、いろいろな点でこれから改革をやっていかなければならない、こう私は思うのです。そういうふうに考えていることを申し上げて御答弁といたします。
  72. 大原亨

    大原(亨)委員 大蔵大臣、六十五歳以上をとってみますと、日本は一五、六%になるのが二十一世紀に入ってからです。それが国際的な高齢化率の大体の水準ですが、それが将来二二、三%程度になっていくわけです。国際水準を超えるわけですよ。ですから、年金だけを計算してみましても、中長期の展望を立てる場合には、財源措置については一定の財源が要るわけです。だからそれをどのような手段、手だてで充足していくかということを考えながらやる。  たとえば、医療の問題等につきましては私ども社会党が率先してやっておるわけですが、薬漬け医療とか検査漬けとか不正請求とか、私は十数年来やっておるのです。政府の中でも熱心なのと不熱心なのがある。ある場合には時の医師会と癒着をした幹部もある。いま花岡さんは自浄作用というふうなこと等を言って発想を転換しようとしておりますが、それがいままでぎゅうぎゅうやって、そういう医療の本当の意味改革、充実について前進させなかったようである。そういたしますと、厚生省の方も、官僚諸君も萎靡沈滞いたしておるわけでありますが、今度は少し医師会の体制等も変わってまいりまして、つい最近は厚生省の中が非常に活気を呈してきておる。これが少しいま厚生白書に出てきておると私は読み取ったわけであります。それは厚生大臣がしっかりしておるのか、官僚諸君がしっかりしておるのか、あるいは自民党が変わりつつあるのか、あるいは野党の主張が通っておるのかわからぬけれども、そういうことについては私どもは十分考えながら国民所得との関係を考える。しかし、必要なものは要るのですから、そのときにそれをチェックし過ぎて、角を矯めて牛を殺すような結果を大蔵大臣はゆめおろそかにおやりになってはいけないと思いますが、いかがですか。
  73. 林義郎

    林国務大臣 私から。どうせ大蔵大臣からも  ……。  全く先生のおっしゃるとおり、角を矯めて牛を殺すようなことを私は全然考えていない。年寄りの時代になってくる、そうすると年寄りの病気というのはふえてくるのですから、これはやはりやっていかなければならないと思うのです。ただ、先ほど来申し上げましたようにいろいろな問題があるわけですから、これは先生が御指摘のとおり、そうした問題はやはり勇敢にメスを入れていかなければならない。  そもそも、いろいろなことを考えてみますと、私が思いますのに、病気というのはだれがなるのだって、やはり個人個人がまずケアをすることが必要である。社会全体としても事前にいろいろな予防対策をやっていくことが必要である。そういった基本的な考え方をはっきり打ち出してこの問題に取り組んでいかなければ、あれがけしからぬ、これがけしからぬなんて、みんなほかの人のことを言っておったのでは、私は解決つかないと思うのです。すべてのところにわたってメスを入れてやっていくということが私は必要だと思うのです。  今回の改革を別に私は財政が厳しいからというふうな形でしたわけじゃないのです。やはり必要なものは堂々と予算要求もしなければならない、また必要なことは無理言ってでもやりますが、本来は、医療というものあるいは年金というものは社会保険の上に成り立っておるわけでありますから、そういった原則をたっとびながらこれからいろいろな改革に取り組んでいこう、こう思っておるところでございます。
  74. 竹下登

    竹下国務大臣 私どもが予算編成に当たりまして、ややもすれば、いわばシーリング、何年度はどういうシーリングとか、一つにはわが国の予算は財政法の示すところにより、いわゆる単年度主義というものがあるわけであります。だから、予算編成に当たっての枠のはめ方というのが単年度主義的な傾向にならざるを得ないという要因があると思います。しかし元来は、政策運営全体は中長期の展望の上に立たなければならぬことは当然のことであります。  したがって、年金の問題等をとらまえてみれば、私は専門家でないからわかりませんが、年齢構成というものは、いまはおっしゃるような状態でございますけれども、いずれ急速な高齢化社会が訪れてくるのは、いろんな指標でも明らかなところであります。それがしかも、日本の場合、ちょうど大原さんと私が一緒国会に出ましたときの平均寿命を調べてみたら、男性が六十三・八、女性がちょうど六十九でございました。大体いまが七十四・二二と七十九・六六と仮にすれば、ほぼ十・五歳ぐらいふえておる、これは平均寿命でございますけれども。それで、昭和二十二年に人生五十年をやっと越した。だから、この急速な高齢化社会というのには、それに対応するだけのもろもろの準備が必ずしも万全とは限らない。  それで、いま瀬島さんらが平素議論しておられる活力の問題というのは、むしろ、かって先進国と言われた国々がいわゆる活力を失ったのは、租税、いわゆる国民負担率というのが大変に高まったために、働けど働けど負担率が高まっていくだけだということから勤労意欲が喪失された。だからむしろ、財政改革というものは、いま先進国病とか、特定の国を指してイギリス病とか西ドイツ病とか言うのは非礼でございますけれども、そういう国にならないために、いまから中長期的な物の考え方に立ってやり直せと言われておるのが臨調のお諭しだろうと思うのです。  そういう意味からいきますと、まさに大きな社会保障負担のウエートとして予測されるであろう年金制度などというものにおいても、現行の制度、施策をそのままに置いたらこのようになる、だから、そういう状態にならないようにいまから中長期的な考え方で物を進めるべきだということから、今日年金担当大臣を中心として物事を進めるという段階に至っておるというふうに私は認識をいたしますので、その都度リジッドな、大変厳しい枠をかぶせるということそのものがすべて正しいとは私も思っておりません。ただ、中長期の中において、現実問題として、一つの予算編成の過程において厳しさというものを押しつけるような考え方でなく、そういう認識で予算編成に携わっていくべきであるというふうに考えております。
  75. 大原亨

    大原(亨)委員 厚生臣は三十分ほど中座されるのですが、これは理事会の決定ですから、厚生大臣おられなくても、厚生大臣以上の人がたくさんおられるからいいです。順次質問を進めてまいります。  そこで国鉄総裁、あなた、国鉄はお忙しいから先にしぼって質問いたします。  私は、予算委員会等にしばしば国鉄総裁の御出席を要請しまして、国鉄年金問題を議論をいたしてまいりました。大平内閣の当初から、国鉄総裁まだ就任比較的浅いときでありました。その当時からも議論をいたしたことを記憶をいたしております。  私どもの主張は、国鉄共済年金昭和五十九年、六十年にパンクするんだから、これをこのまま放置しておいてはいけないではないか、どうするんだ、こういう点を指摘をいたしたわけであります。そして、この国鉄共済年金が崩壊をいたしますと日本の皆年全体制の一角が崩れるわけですから、そうすると、これの崩壊を放置いたしましたら、日本年金は二十年ぐらいの間に将棋倒しのようにどんどんつぶれていきます。そうすると、日本年金保障というのは、高齢化社会を迎えまして全く弱肉強食の社会、いま議論しようとしておりますが、弱肉強食の社会になるわけです。だから国鉄共済の問題は、国鉄の経営の行き詰まりの問題たくさんあるけれども、この問題は国鉄にとって大切なだけではなしに、日本共済年金制度のために絶対に大切な問題である、こういう点を指摘をしてきたわけです。それに対して政府はどう対応するんだということをやってきましたが、私は反省いたしてみまして、この問題に対する熱意と理解国鉄総裁きわめて足りない、あるいは運輸省、運輸大臣あるいは政府は足らない、そういうふうに感ずるわけですが、どういうふうな感想を持っておられますか。
  76. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま御指摘いただきましたように、国会でも率直に申し上げて、一部の先生からは、国鉄年金の問題が非常に大変だ、どうするんだという御指摘なりあるいは御批判を賜ってまいりました。私も国鉄の事情は余りつまびらかでございませんでしたが、就任早々に、いろいろあっちの面、こっちの面から見ました場合に三つ四つ問題点がはっきりあるということを認識をいたしましたが、その際にやはり、大原委員のおっしゃいますように、年金問題が国鉄会計にとって非常に大きな問題だということで、いま申しました三つ四つの問題の中の一つとして考えてまいりました。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕  と同時に、それがどこから起こるかと申しますと、一つは、わが国年金制度の中で一番先に。スタートをした。明治の末期に、有名な後藤新平先生時代の国鉄の国有化ということから関連してスタートしたという歴史を持っておるということが一つと、それから、現実には交通機関の中でのウエートが下がってまいりますから、人を減らしていかなければならぬということで、現役とOBとのバランスがだんだん崩れていくということがはっきりしておりましたので、何とかこれを早く解決をすべく各方面にお願いをしなければならないということでまいったわけでございますが、何分どうも年金システム全体がきわめて複雑なことでございますので、私どもは私どもの窮状を訴えることに専念せざるを得ないわけでございました。それに対する対策そのものを自分ども自身がつくり上げていくということには大変力が足りないということでございました。しかし、いろいろなことでわれわれ自身も勉強をし、お願いをし、ようやくここまで来たわけでございますが、まだまだ今回の問題をもってしては、年金会計といたしましても暫定的にとにかくパンクを免れるというだけのことでございますし、国鉄会計にとりましてはまた別途大きな問題がますます出てきておるという現状でございます。  私は私なりに先生方の叱咤激励を受けながら今日まで一生懸命やってきたつもりではおりますけれども、それにしても残念ながら時間がかかったものだという感じを持っておるわけでございまして、今後もこの年金問題は、今回の法案の成否に関係なく、国鉄会計としては非常に大きな問題でございますし、年金財政としてもこれはまた大きな問題でございますので、まさに今回の御提案は本当の第一歩ということで、しかしそれを乗り越えなければ第二、第三の道が開けていかないだろうということを考えまして、ぜひとも今回の改正のお考えが実現するようになりますことを強くお願いをする、希望をしておるということでございます。
  77. 大原亨

    大原(亨)委員 今度の国家公務員と三公社共済年金統合法案についての主管大臣大蔵大臣です。大蔵大臣でありますが、申し上げましたように、年金改革する際には、たとえば公務員の年金開始五十五歳を六十歳にする際に、昭和七十五年まで二十年かけて経過措置をもって段階的に改善をしていくというふうな、そういう慎重な配慮をとる。いままで議論がありましたが、既得権とか期待権というものを、いままでの保険上の契約を無視いたしまして一方的にばさっとやりますと、これは言うなれば年金に対する不信、政治に対する不信が出てくるわけです。そういう経過措置は個人の生活設計にも関係が深いわけですから、十分慎重にやらなければなりません。  そこで、この統合法案議論する際において、今日以後もそれが残っておりますが、国鉄総裁は早く帰ってもらいますから申し上げるのですが、国の負担と公経済の負担の関係です。  三公社は、御承知のように国の負担の一五・八五%を追加費用と一緒に公経済が負担している、公団公社が負担しているのです。しかし、公経済で負担している中についても、将来の厚生年金国民年金との統合を考えて、この中には社会保障的なものもある、それから国鉄の経営上の特殊事情から発生した問題もある、身分上の問題もある、それは職域的な年金の対象となる問題である、それらを分離しまして、そして国の負担でなすべきもの、たとえば一五・八五%というふうなものは、厚生年金の二割という負担もありますし、国民年金は三分の一の国庫負担があるわけですから、それは国庫負担にする。そうして、たとえば職域年金的な面で  私が資料を集めてみますと、国鉄の退職の年齢は、本年、最近の事情によりますとほとんどが五十五歳で退職をするわけです。電電公社とか国家公務員あるいは専売等は五十八歳とか六十歳平均がほとんどであります。五十五蔵と五十八歳の退職の差がありますと、この期間年金をもらうわけですから、国鉄の方は行政改革との関係でどんどん早く整理をしておりますが、この年金との関係、雇用との関係を考えないで整理をしておりますので、そうするとそこへ大きな穴があくわけです。五十五歳で全般的に退職するのと五十八歳で退職するのは大違いであります。そのあいた穴を他の共済から入れるというふうな、金に境はありませんけれども、そういう印象を与えます。そういう五十五歳でやめるというふうな事情等は、行政改革や経済情勢の変動や戦後の運送事情等からも変動があるわけですから、それは企業年金的なもので上乗せで負担をするというふうな考え方を持っていかないと、これから他の年金等と統合したり調整する際に大きな支障があるのではないか。  私もしばしば予算委員会で指摘をしたのですが、日本銀行とか道路公団等は公経済です。厚生年金の二割の国庫負担を受けているわけです。余剰の利潤が出ましたら国庫へ納付するような制度になっておりますが、税金等を納めておりませんけれども公経済です。ですから、三公社にいたしましても、一つ行政改革、税制改革の一環としまして、そういうような整理の仕方をすべきだと私は思うのですよ。国鉄がそういうことを主張したのかあるいは大蔵省がそういうことの主張を許さなかったのかもしれませんが、そういう点は整理をしないと、これが年金統合の第一段ロケットであるというようなことは言えないと私は思うのですね。  ですから、公経済で負担するものと国庫負担するものは整理をする、これが年金改革一つの柱ではないかと私は思いますが、いかがですか。
  78. 高木文雄

    ○高木説明員 この年金による国鉄の負担、また年金の現状によります年金財政のあり方といった問題からいたしますと、ただいま委員が御指摘になりましたようなことでなければならぬのではなかろうかということを、実は私自身も感ずること、が非常に多いわけでございます。  しかしながら、現行の国鉄をめぐりますもろもろの制度につきましては、どうも年金だけじゃなくて、他の部分についても大変ふぐあいの点が私どもから見るとあるわけでございます。  と申しますのは、現行分公社制度が発足いたしました昭和二十年代というのは、国鉄はいわば独占企業であったわけでございますが、今日では、飛行機の関係におきましても自動車との関係におきましても、全く競争産業的な立場に置かれておるわけでございますが、もろもろの点でなかなかそういう競争産業の立場に置かれていることを前提とした制度になっていないわけでございます。その点はつとに大原先生からも御指摘を受けておりますが、年金だけでなくて、実は国鉄を取り巻くもろもろの制度が、どうもちょっと現在の国鉄の経営の実態と合っていないということを感ずることが多いわけでございます。  そういうことからいたしますと、年金についてだけいま御主張になりましたようなことを私どもが受けて主張するということについては、いささかためらいを感ずるわけでございまして、それをどんどんと詰めていきますと、いま強く臨調等から御指摘になっております民営化といったような問題にだんだん話がつながっていく可能性を持っている問題でございます。さりとて、民営化というのが一つの重要な考え方であるといたしましても、現状直ちにこれを民営化ということは、いろいろな面でまた困難を伴うというようなことがありまして、大変説明が堂々めぐりいたしておりますけれども、まさに問題そのものがどうも堂々めぐりしている点があるわけでございまして、私どもも、いまの体制ではどうもぐあいが悪い、何かの関係でもう少し競争産業にふさわしいような形の体制にしていただかなければならぬのではないかなと思っております。  それと年金についてのそういう問題とを、どっちを先にし、どっちを後にして取り組むべきかということになりますと、なかなか立法論といたしましても政策論といたしましてもむずかしいわけでございまして、先生方からは私どものスタンスが大変歯がゆいというふうにごらんになるかと思うのでありますが、その点については、年金問題。は年金問題としていまお示しのような方向をひとつ考えることもいたしながら、その他旧鉄をめぐるもろもろの制度全体についてもまた、いろいろと違った角度からの光を当てて問題の究明に取り組んでいかなければならないというふうに考えるわけでございます。
  79. 大原亨

    大原(亨)委員 これは厚生省政府委員でよろしいのですが、いままでの各委員から、私どもの主張でもありますけれども年金改革日本年金をどうするんだということを決めておいて、きちっと年金像を決めておいて、そして第一段ロケットを出していくというふうにしないと、国鉄の救済は昭和六十年から六十四年までというふうな短期間での場当たりの赤字対策だけでは、他共済国民からの合意を得ることができないのではないかという点はしばしば指摘をいたしました。  そのときに——年金の全体像をどうするかという問題はひとつその次の質問においておきますが、スケジュールについても皆さん方から質問があったわけです。これは自民党の田中調査会出しましたスケジュールと、それから年金閣僚懇談会が確認をいたしましたスケジュールがあるわけですが、この二つは違っておるわけです。一つはこれが問題でありますが、その中で共通の問題は、昭和五十九年には、来年の通常国会には厚生年金国民年金統合法案をつくって、基礎年金制を導入して、横割りの年金制度を画期的につくっていくというのがあります。そしてその次のスケジュールの中には、五十九年から六十一年まで、六十一年からじゃありません、六十一年まで共済厚生年金国民年金との関係調整するという仕事があるわけであります。その第二段ロケットと言われている六十一年までに厚生年金国民年金共済年金関係調整をするというのは、五十九年に厚生年金国民年金の横割りの統合法案が通ったのを受けて、それで共済も被用者年金として、国民年金との関係等で厚生年金をにらんで関係調整するという意味であるかどうか、お聞かせいただきます。
  80. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 いま先生お話しの件は、この五月の閣議決定の線によりまず第二段階のところの問題でございます。お話しのように国民年金厚生年金関係整理を図るということでございますけれども、それに対応して、私どもとしては、共済組合も、どの範囲になるかわかりませんが、必要な範囲内の同じ趣旨関係整理を図るということを期待しているわけでございます。  それで、法律の通ります順序がどうなるかということは私どもがとやかく申し上げることではございませんが、一応厚生省考え方が出ませんと、共済関係の部門では対応が具体的にできないわけでございますから、そういう意味で、第二段階の中の第一部では、厚生省関係関係整理を書いてあるわけであります。それを受けまして、後半の部分共済関係の動きを書くというような形をとったわけでございます。
  81. 大原亨

    大原(亨)委員 大体私がいま質問した趣旨のとおりでありますが、大蔵大臣昭和五十九年に厚生年金国民年金統合をやります。そして国民年金厚生年金の定額部分、これは共済年金もたくさん採用しておりますけれども、その定額部分等を統合いたしまして基礎年金をつくっていくんだ、そして所得比例部分を上に置くわけです。それで妻を強制加入にするわけですね。大体そういう構想で、大蔵大臣答弁される前に山口局長、そういう方向作業しているのでしょう。その作業は九月中に出ると言ったけれども出ない。十月中には出ると言ったが、いつ出るのか。いかがですか。
  82. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 現在せっかく作業を続けているところでございまして、最終的な形が決まった段階では公表できると思いますが、現段階では差し控えさせていただぎたいと思います。
  83. 大原亨

    大原(亨)委員 僕はそれがけしからぬと言うのです。つまり、私どもはいろいろな審議会その他の議論を通じて、これは考え方は持っているんだけれども年金を将来どうするんだという全体像を考えておいて、そうして部分的な統合案をやっていかないと、第一段ロケットを出したけれども、ロケットの行くところがなくて自滅するようになるのですよ。つまり、国家公務員と三公社一緒になったのでは百九十万人でしょう。いまの状況で百九十万人で独立した年金は維持できないですよ。国鉄共済の赤字の救済もできませんよ、昭和六十四年以降は。そういうロケットを出すけれども、ここでとまってしまって一緒に空中分解するというふうなことをやったら、それはだめじゃないかということを言っている。だから、年金は全体としてはこういうふうにやるんだ、それを早く出しなさい。その出す一つのポイントは、厚生年金国民年金をどのように統合して、保険料や年金水準や開始年齢をどう考えるかということについてたたき台を出して、そして国民的に議論することが必要です。それとこれとの関係はどうかという議論です。これは厚生大臣じゃなき答弁できぬでしょうが、十月中には案ができますか。
  84. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 現在の段階で具体的に時期がいつということを申し上げることはむずかしいわけでございますが、いずれにいたしましても、次の通常国会には改正のための法律案を提案をするということを前提に作業を進めておるわけでございます。
  85. 大原亨

    大原(亨)委員 つまり、二十一世紀の年金の構想、展望をグリーンペーパーで出したわけですよ。かなり苦労して、A案、B案等で厚生省出したわけだ。そして、各方面の意見を聞きながら社会保険審議会議論をして、厚生年金部会答申出したのです。その厚生年金部会答申に基づいていま作業を進めているのでしょう。
  86. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 主たる考え方といたしましては厚生年金部会の御意見でございますが、それ以外にも昭和五十年以来各方面からいろいろな御意見が出されておりますので、それらをも私どもとしては十分参考にいたしたい、こういうふうに考えております。
  87. 大原亨

    大原(亨)委員 その考え方は、厚生年金部会答申にありますように、妻の年金権を確立するために、サラリーマンの妻を国民年金に強制加入いたしまして、被用者年金との部面で基礎年金として再編成していこう、桃割り年金、縦割りを桃割り年金にしていこう、北欧型にしていこう、こういう方向は動かないでしょう。
  88. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 妻の年金権の問題でございますけれども、現在は、国民年金に御本人の努力で任意加入していらっしゃる方もありますし、一方で厚生年金の加給年金の対象にもなっているわけでございます。そういう意味ではダブって年金制度がかかっている方もずいぶんいらっしゃるわけであります。  先ほど先生からお話しのありました、いわゆる有識者に対するアンケート調査でございますが、この結果でも、この問題につきましては国民年金を強制適用すべきであるという御意見と、一方で夫の年金の中でカバーすべきであるという御意見も大分あったわけでございます。そこら辺両方を参酌しながらできるだけ合理的な案にしたい、こう考えておるところでございます。
  89. 大原亨

    大原(亨)委員 もう大体その案はできておるはずです。それは、いま出すとこの審議が混乱するから出さぬのでしょう。そうじゃないですか。国会対策上出さないのじゃないですか。そういうことではいけないと言うのです。そういう審議の対応の仕方では、年金行政一元化を私も主張いたしておりましたけれども、八つの法律で六つの省に分かれて、国会が六つの常任委員会で縦割りで審議しておるわけです。そして関係団体との関係で改善を重ねていったから、それが行き詰まってしまった。これをどうするかという議論年金改革議論をして、これを改革して、日本独自の高度の高齢化社会にどう対応するかということで議論しているわけです。非常にむずかしい仕事であります。そのときに、日本年金をどうするかということを知らせないような政府年金を担当する資格が大体あるのか。  そこで大蔵大臣、質問を進めてまいりますが、五十九年から六十一年にかけましては、六十一年を限度といたしまして第二段ロケットで厚生年金国民年金共済年金関係調整をするというふうに書いてあります。閣議決定も書いてあります。その際には、厚生年金の国庫負担は二割です。国家公務員と公共企業体、公経済負担ですが、公経済負担は、公の負担は一五・八五%です。この国庫負担については、厚生年金部会は、現在の国庫負担程度を維持すべしというふうに意見書出しております。国庫負担につきましてはどういうお考えをお持ちでありますか。今回の改正に当たりましての考え方をお開きをいたします。
  90. 保田博

    保田政府委員 お答えいたします。  現在の公的年金の各制度におきます国庫負担の割合といいますのは、先生御承知のようにそれぞれ非常に長い歴史的な沿革を持っておるものでございますけれども、これをもってバランスがとれているというふうな一義的な尺度は必ずしもございません。しかしながら、給付の水準の差でございますとか支給開始年齢の差でございますとかそういったもの、さらには被保険者の負担能力といったようなものを総合的に勘案しながら国庫負担のできるだけの均等を図りたいということで、御指摘のような体系ができておる。しかし、これは見方によりましては、これでもうベスト、動かす余地が全くないかと言われますと、われわれもそこまでの自信があるわけではございません。  先ほど来厚生省当局から御説明いたしておりますように、今後国民年金厚生年金等々を初めとしまして公的年金制度全体の再編統合が行われるわけでございますから、その段階で国庫負担のあり方につきましても基本的な検討をさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  91. 大原亨

    大原(亨)委員 大蔵大臣大蔵省は全体の予算査定において大体制度は知っているわけです。厚生省が近く出します案の中には、厚生部会の意見書にもありますように、厚生年金国民年金統合をやるわけです。基礎年金制度を設けるわけです。そういたしますと、妻の強制加入の問題が起きてくるわけです。そうすると、六十一年までに改正する共済年金も、妻の年金権について不公平な取り扱いをするわけにいきませんから、強制加入ということになるでしょう。そうしますと、いまの国民年金は定額の保険料ですから、これも矛盾がどんどん出ておるわけですが、一カ月に五千八百三十円取っておる。それは課税最低限以下の人も低所得の人も五千八百三十円負担しておる。それを被用者年金共済年金でもくっつけることになるわけでしょう。そうすると、保険料の負担におきましても国庫負担等の関係におきましても、費用負担の問題につきましては、厚生年金と同じ問題が共済年金には五十八年から六十一年までに、第二段ロケットまでには発生してきますね。そういう問題を処理しなければいかぬでしょう、関係調整は。
  92. 保田博

    保田政府委員 いずれにいたしましても、国民の非常に多くの部分をカバーしております厚生年金国民年金関係整理の様子を見ながら、われわれとしてもその社会保障的な側面について関係調整を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  93. 大原亨

    大原(亨)委員 今度は大蔵大臣、いままでの議論を受けて答弁してください。  つまり私が言っているのは、今回の統合法案が第一段ロケットであるが、空中へぱっと行って空中でとまってしまって、どこへ行っていいかわからぬから、ばかっと自爆するかもしれない。百九十万では自爆する可能性がある。そういう数字がいっぱい出てきておるわけです。そこで、昭和五十九年から六十一年にかけて、被用者年金全体と共済も含めまして国民年金との関係、妻の年金権との関係調整する必要に迫られるわけです。いまの答弁のとおりです。そうすると、国民年金一緒にいたしまして基礎年金つくりましても、保険料の決め方や取り方でも非常に大きな差が出てくるわけですよ。それをやる際には、現在やりましたものはまたすぐ変えるのでしょう。今度改正出しましたものは変えるのでしょう。保険料、財源率等につきましても、取り方にしましても変わってくるわけでしょう。山口さん、いかがですか。あなたは年金全体の制度については詳しいが、どうですか。
  94. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 基本的には今回の第一段階の問題と第二段階の問題との関連の問題だと思いますが、私は、第一段階の問題はやはりそれなりにグループごとの一つの合理化の動きであろうと思いまして、全体の立場から見ましてもそれなりに意味があるというふうに考えております。  といいますのは、古いのですが、厚生省が持っております厚生年金船員保険にいたしましても、二十九年に内容もそろえまして完全通算をやるというような部分的な半調整をやったわけでございます。今回も船員保険部会では、ひとついままでの長年の歴史はあるけれども厚生年金一緒になるかというような御意見出しておられるわけです。それからまた、厚生年金の中でも第三種被保険者という特別グループがございますが、このグループは現在、第三種の方は年金受給省で約四万七千人おります。被保険者の方は第三種被保険者約三万人でございまして、このグループがもし独立しておりましたらとても成り立たない状態になっていたと思いますが、厚生年金の全体の中に初めから組み込まれておりますので無事に年金が払われているというようなことがございまして、民間グループの中ではそれなりに、従来でも年金制度としての基盤を強めるための努力があったわけでございます。  そういう意味で、共済グループは共済グループとしてそれなりに合理的な方向を歩まれるというのは意味のあることじゃないか、私はそういうふうに理解をしております。
  95. 大原亨

    大原(亨)委員 非常に中身のない苦しい答弁であります。  大蔵大臣、来年にかけまして厚生年金国民年金統合します。これは閣議決定があるわけです。それから五十九年、六十年、六十一年にかけまして共済との関係調整をするわけです。ここから始めるのじゃないのです。六十一年までの関係調整です。そういたしますと、妻の問題を考えても、強制加入にすれば、所得がなかったら免除の規定がありますから、保険料を納めなくても三分の一の国庫負担は入ってくるようになります。空期間ではありません、三分の一入ってくるようになります。三年間たちますと、免除しておりましても一年分になります。ですから、そういうことについて共済の奥さんと厚生年金の奥さんを法律で差別待遇をすることはできません。だから関係調整しなきゃなりません。そうすると、保険料の取り方で、国民年金基礎年金で今度とういう取り方をするか見ものでありますが、これは定額保険料です。五十万円の月収の人も十万円の月収の人も、一カ月に五千八百三十円の保険料なんです。来年は六千三百円というふうに上がっていくわけです。上がるものですから、掛ける力がなくなるから脱落者、落ちこぼれがいっぱいできてきておるわけです。この制度は最初は百円の保険料から、昭和三十六年に始まったわけです。ここまで来ましたら矛盾がいっぱいあるのですが、それをどういうふうにやるかということは、厚生省は歴代の年金局長の中では、昭和三十六年に国民年金をつくったときに小山進次郎さんという人がいましたが、亡くなられました。いい人は早く亡くなる。それに次いで山口年金局長は優秀じゃないかと言われておるわけです。しかし、どういうふうにするか私は見ている。大変なことなんですよ。だから、その問題をどういうふうに出すかということによって、今度は共済年金の保険料は二、三年のうちにすぐ変えなきゃなりませんよ。その点、私が指摘をしてきた点はわかりますか。
  96. 保田博

    保田政府委員 厚生省を中心とします公的年金制度全体の関係整理の内容につきましては、われわれもまた詳しくは知らされていないわけでございますが、いずれにしましても、厚生省を中心として、そういう全体の構想が出そろいました段階で、共済年金制度といかなる関係整理を図るかということを検討したい。いま具体的に、この問題についてはこうしますということを申し上げるほど厚生省の構想を了知しているわけではございませんので、その点はお許しをいただきたいと思います。
  97. 大原亨

    大原(亨)委員 そういう答弁をしようと思って、厚生年金国民年金統合案のこういう答申を受けてこういう法律を出すという発表の時期を大蔵省は抑えておるのでしょう。そういうインチキな答弁をしようと思って抑えておるのだ。私が指摘をした点は、共済組合との関係で問題があったということがおわかりになりますかということを大蔵大臣に質問いたしたわけです。指摘をした問題がおわかりになりますかということを質問しているわけです。
  98. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、大原委員の指摘された問題は、乏しい知識ながら私なりには理解できます。
  99. 大原亨

    大原(亨)委員 そこで問題を進めてまいりますが、そういう環境の中で短期間で大きな急変が予想される、それを一つ一つやらなきゃならぬ、国庫負担の問題を含めて。こういうときに今度第一段ロケットを出しておるのですから。そのときに問題になりますのは、五十九年、来年の十月に財政再計算期をそろえたことだ。これがいい悪いの議論は私はしません。そして出されました案は、国鉄は千分の百七十五が千分の二百四になるわけですね。電電は千分の百三が、これは半分にしますと五・一五ですが、千分の百七十になる。国家公務員も千分の百三が千分の百七十になる。専売は千分の百十六が千分の百九十四に上がるわけです。莫大に上がるわけです。保険料が七割、九割というふうに上がっていくのです。  そこで私が言っているのは、これは大蔵省答弁しなければならぬし、国鉄総裁が答弁になるだろうと思うけれども、たとえばその中には千分の十二、つまりその半分は千分の六ですから月平均千二百円、この負担で他共済から国鉄の穴埋めをするというのがあるわけです。六百億円。その大きさが適正な措置であるかどうかということと一緒に、その埋め方が、ここでもしばしば議論になっているように、それはそれぞれ単位共済が独立性を持っているのだから、そこの自主性に任してはどうか、法律の仕組みもそうなっているではないかという議論がいままで繰り返してあったわけです。そのことについてはもう一度改めて聞くけれども、いままでの質疑応答を踏まえて大蔵省はどういうふうに考えておるか、お答えをいただきたい。
  100. 保田博

    保田政府委員 先生の先ほど来御指摘の数字は、われわれの方で、今回御提案しました統合法案を御審議いただくための参考として、前回の財政再計算の基礎数値をもととしてお示しをいたしたものでございますが、これは正式には五十九年十月の財政再計算期に具体的に決められることになるわけでございます。  その中身は、先ほど来先生御指摘のように、国鉄共済組合に対します財政調整のための千分の十二、国家公務員共済組合の例でございますが、千分の十二が入っておることは確かでございます。残りの非常に大きな部分は、千分の三十八が——前回の財政再計算から五年たつわけですが、その間に年金のベースアップが行われておりますとか、あるいは財政再計算に際しまして修正率というものを乗じまして、本来ならば必要である財源を全部保険料として徴収していないために将来の年金給付の財源に穴があいていく、そういうものを取り返すものが千分の三十八あるわけです。それからもう一つは千分の十七、先ほど来申し上げましたが、財源率に対しまして修正率の〇・八、現在〇・八でございますが、将来の年金財政を健全化するとともに後世代との間の年金負担を公平に保ちたいという観点から、この修正率〇・八を〇・九にぜひとも引き上げさせていただきたい、こういう内容のものでございまして、引き上げ幅の非常に大きな部分は、むしろ各共済年金財政の将来にわたっての健全性の確保と、後世代との間の負担の公平を図るという観点からのものでございます。
  101. 大原亨

    大原(亨)委員 千分の十二については六百億円相当ですよね。これについては一定の意見を各委員出しておるので、私もそのことは時間の関係で繰り返しません。  それで、平準保険料に対する修正率については、八割を取っているのを九割取るというのですが、これはたとえば厚生年金厚生大臣御承知のように五割です。修正率というのは保険制度、社会保障制度の中では当然出てくる問題なのです。インフレとかスライドの問題等々いろいろな危険要素を控えておるわけです。ですから、一〇〇%手いっぱい取ってもうかるようにするというのだったら生命保険と同じですから、そこで修正率があるんですよ。だから、修正率は平準保険料の八割を九割にするやつを八割に返す、これは六十一年ごろに考えてもよろしいという議論は当然に起こってくる問題ですね。これは検討課題でありますから、検討課題としてひとつおいておきます。  いまお答えになりました千分の三十八に相当する部面に関することですが、一つの問題は、私もしばしば予算委員会等で議論しておりますが、この保険料は、政府がいまやっておるのは共済厚生年金も積み立て方式ですから、その保険料を出しまして積み立てておいて、それにどういう利子を掛けていくかというのが保険料の予定利回りです。現在これは五・五%です。恐らくこれは昭和二十九年か三十年ごろには三・三%であったはずであります。予定利回りを三・三%から五・五%にしたのはなぜかと言うと、これは大蔵大臣も当時は大蔵省におられたから知っておられるかもしれませんけれども、預金部に対する融資の利子であります。いまはこの利子は七・三%です。あなたも大蔵省ですからよく御承知だ。七・三%です。五・五%の予定利回りを七・三%に一遍にしなくても、六・五%というふうに一%ほど上げますと、保険料の金額にはね返ってまいります。利子がふえてまいりますからはね返ってまいります。千分の三十八の数字が違ってまいります。一%ほど予定利回りが上がりますと、保険料率には幾らはね返ってまいりますか。わかった方がひとつ答弁してください。これは政府委員でなくてもだれでもいいですから、わかっている人が答弁してください。
  102. 保田博

    保田政府委員 われわれの方では運用予定利回りの五・五%を変更することはおよそ考えておりませんので、現在手元に計算した結果を持ち合わせておりません。
  103. 大原亨

    大原(亨)委員 それだから下の者が答弁せよと言うのに、あなたが答弁する。それが答弁か。だれがその数字を答弁してごらんなさい。
  104. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 私の承知しておるところでは、完全積み立てで計算しております場合には、予定利率を〇・五%上げますと約一割影響があるというようなことのようでございます。ただ、現在は厚生年金は修正積み立てをとっておりますので、そのままのとおりにはいかないということが言えるかと思います。
  105. 大原亨

    大原(亨)委員 厚生大臣、あなた年金担当大臣ですが、保険料に対する予定利回りは三・三%だったのですよ。それが五・五%になったものがずっと続いているのですよ。いまは一方が上がって七・三ぐらいになっているのですから、六・五%ぐらいで計算すれば、保険料の千分の三十八というのは、今回再計算のときに出した数字は変わるのじゃないかという指摘をしておるわけですよ。そういう点も議論をすべきである。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕  というのは、厚生大臣、積立金の有利運用と自主運用の議論がありまして、小山進次郎さんは、国民年金の解説書、有名な解説書ですからテキストになっておりますが、その議論の中でも、厚生年金国民年金の金を財投にほとんど全部投げ出す、共済も一定の割合で出す、そういうのは、そのはね返りとして経済全体にはね返ってきて、財源を得て、その財源をもって年金改革するのであります、こういうように国会答弁しているのですよ。だから、いまはその問題の保険料の予定利回りは単に観念論上の数字でありますが、保険料を算定する大きな基礎なんです。そして、積立金の自主運用とか有利運用というものと非常に関係があるわけです。ですから、主管大臣厚生大臣はその問題については根本的に見直して、石頭の大蔵省を打ち破ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  106. 林義郎

    林国務大臣 実は、私はその利回り問題は大変に関心を持っておるところなんです。  いまお話がありましたように、資金運用部の預託金ではどうだという話ではない。これは長期的に考えますとやはり実質金利で考えなければならない、ノミナルな金利じゃなくて実質金利でいろいろなものを考えていかなければならないのではないかという議論があります。だから、そういったものを考えていくのと、要するに、年金財政再計算のときにどういうふうな形のものを考えるかというときには、やはりそれを実質で考えていかなければいけないだろうという気がいたしますのと、それからもう一つは、現実に運用していくときの金利を幾らの金利で考えるかという問題がある。私はその二つの問題があると思いますし、いま先生からいろいろと御議論がありました、ざすが専門家の大原先生だなと思いまして私も傾聴しておったところでございますが、そういったような問題は私の方としても十分考えてみたいと思っているところであります。
  107. 大原亨

    大原(亨)委員 来年の五十九年十月に財政再計算するに当たりまして、四共済の保険料を決定するわけです。財源率を決定しまして保険料を決定するわけです。ですから、千分の十二の問題があるということはいままでしばしば指摘をしたとおりです。そして、単位共済の自主運用との関係でどうするのかということがあります。  それから千分の十七で、つまり修正率を八割にするか九割にするかという問題があります。これはいま急いで九割にする必要はないということの議論であります。  それから第三の問題は、積立方式をとる際においては個人の保険料を積み立てるのですが、予定利回りの利率の問題があります。これは積立金の自主運用、有利運用と深い関係があります。私は、この問題は被保険者の立場に立って考えなければ、日本公的年金は土台が崩れるというふうに思います。そういう問題があります。  そういう問題等を考えながら、第一段ロケットの今回の統合案については、やはりそういうことを展望しながら、国庫負担の問題、公経済の負担の問題を指摘しましたが、それらをやりながら弾力的に対応する措置をやるということ、修正すべき点は修正すべきであるということを私は強く指摘をしておきたいと思いますが、いかがですか。
  108. 保田博

    保田政府委員 御提案は確かにお承りをさせていただきますが、先ほど来予定逆用利率五・五%が低過ぎるのではないかということでございました。この点につきましてちょっと私たちの考えを述べさせていただきたいのでございます。  この積立金の運用利率と申しますのは、組合員が加入いたしましてから本人がOBになる、それから本人が亡くなられた後さらに遺族年金という制度があるわけでございますから、その遺族年金がなくなるまで将来にわたる非常に長期間の運用利率をあらかじめ予定するということでございますので、われわれとしてはこの際はやはり非常に安全を見なければならないということが一つございます。  それからもう一つ念頭に置かなければなりませんのは、現在の年金制度では、年金の実質価値を維持するという観点からスライド制が導入されております。このスライド制を実施するための財源というのは、何とかこの実質利回りをなるべく高く確保して、実際には予定利回りを超えることが将来のスライドのための財源を確保するということでもある。こういうような二つの点を御留意の上、逆用予定利回りが高いか低いかという点については御検討をいただかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。     〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理     着席〕
  109. 大原亨

    大原(亨)委員 年金担当大臣、いまの答弁はけしからぬということを私は言っておきます。いまの答弁は納得できない。それは問題ですから、問題点として指摘しておきます。  それから、拠出金の法的な性格について森井委員の方からも若干議論があって、質問としてはまとまっていなかったわけです。それで、各単位共済が出す拠出金ですよね。これは保険料なのか、税金的なものなのか。財政調整委員会で内容を決定いたしますと、単位共済に要請するわけですよ。それは個人個人の保険料にはね返るというふうな仕組みに法律はなっておるわけですか。それはどこの法律がなっていますか。条文を読み上げてください。——次長がわからなかったら、わかっている人が答弁すればよろしい。
  110. 保田博

    保田政府委員 提案者としましては保険料と観念をしておりますが、その根拠につきまして、野尻参事官より御説明させていただきます。
  111. 野尻栄典

    ○野尻説明員 共済組合法の附則第二十条にございますが、ちょっと読み上げます。「第九十九条第一項及び第二項の規定の適用については、長期給付財政調整事業が実施されている間、長期給付財政調整事業に係る拠出金は、長期給付に要する費用とみなす。」という規定がございます。この「長期給付に要する費用」というのは、共済組合法上の保険料と同じ意味を持つ用語でございます。したがってこれは掛金、負担金、いわゆる保険料に相当するものだとお考えいただいて結構だと思います。
  112. 大原亨

    大原(亨)委員 これは回りくどく書いてありますけれども、これは個人個人が保険料を負担して払うのですよと、千分の十二ですから労使折半で〇・六ずつです、千二百円の負担です、こういうことが言われておるわけです。  ただし、これはそういうことをだれかが要請しなければいかぬ。客動的に言えばそれは国鉄の赤字であります。それをどうして埋めるかということの法律の仕組みであります。しかし国鉄が要請するわけじゃない。どこが要請するのですか。
  113. 保田博

    保田政府委員 今回御提案をいたしております法律が成立いたしますれば、長期給付財政調整事業運営委員会というものがつくられることになっておりまして、国鉄共済組合に対します財政調整事業、平たく言えば援助事業の具体的な内容は、新しくつくられます運営委員会におきまして御検討をいただく、こういうことでございます。
  114. 大原亨

    大原(亨)委員 その財政調整運営委員会というのは法人ですか。諮問機関でしょう。法人でない。何でもないものが要請できますか。個人個人の保険料を払いなさいと言って要請できますか。
  115. 保田博

    保田政府委員 内容につきまして委員会で決めまして、最後は、大蔵大臣意見を聞いて大蔵大臣が認可ということだそうでございます。
  116. 大原亨

    大原(亨)委員 大蔵大臣が認可したら、一人一人は千分の六の保険料を払う義務が発生するのですか。
  117. 保田博

    保田政府委員 運営委員会で案を作成していただく、その案を大蔵大臣が認可をする、その認可を受けました内容を受けまして、各共済組合において定款でこれを定める、こういうことになります。
  118. 大原亨

    大原(亨)委員 各単位共済組合、これは独立の法人ですよ。これは市町村と同じなんですよ。これは公共法人なんです。公共団体なんです。だから独自の意思決定と執行能力があるのです。そこに対して、一人一人の組合員に対してそういうことを要請したからといって、その単位組合が拒否したらどうするのですか。定款に決めなかったらどうするの。
  119. 保田博

    保田政府委員 御提案いたしました法律に基づきましてそういう要請をいたすわけでございますから、われわれとしては、各組合におきまして、それに沿った御決定を定款に定められることを期待したいと思います。
  120. 大原亨

    大原(亨)委員 これは憲法八十四条と財政法三条の財政民主化の原則に関係するのです。これは保険料法定主義というのがあるのです。だから財政民主化、これは戦後の平和憲法のもとにおいてできた体系ですけれども、これは強制することはできないのです。だから、単位共済はどういう方法をもって拠出金を払うかということは、言うなれば自主的に決定するし、強制権の発動、差し押さえ等の国税通則法等の強制徴収の原則は適用できないのです。この法律は非常に無理に無理を重ねて、ない知恵をひねり出して、そしてずっと結びつけておるからつながっておるように見えるけれども、中身は全然法律の体系をなしてはいないのだ。だから、単位共済が拠出金を出す場合は、当然国鉄を放棄することはできないということになれば、その自主性を尊重しなければいけない。そうしなかったらこれは協力を得ることはできないのです。
  121. 保田博

    保田政府委員 御指摘の各組合の運営の自主性につきまして、われわれはこれを否定しようというつもりはございません。公的年金制度全体の将来に向けての統合という方向から格別離反するということでない限り、できるだけこの自主性は尊重をしてまいりたいというふうに考えております。
  122. 大原亨

    大原(亨)委員 いままで議論をしてきましたので非常に。明確になりましたが、その議論の中で、厚生大臣、あなたは年金担当大臣ですから大蔵大臣を含めて答弁してもらいたいと思うのですが、この統合法案で、新しい年金の中には職域年金的なものがあるということは、厚生年金の専門部会が意見書出しているわけです。そこで出てくるのは何かといいましたら、これは森井委員からも質問があった点というふうに私は承っておりますが、民間では、厚生年金基金等のいわゆる公的年金に対する半ば公的な上乗せの措置があるわけです。職域年金があるわけです。ですから職域年金的なもので公経済、これはいま国庫負担分まで三公社出しているのですけれども出して独自の年全体系をつくろうと思えばつくれるのです、意見書趣旨におきましても。しかし、やたらに出してはいかぬのです。それは国民が納得しなければいかぬです。そこで、一定のルールを設けてそういう職域年金的なものをつくっていくという前提でこのことをやるならば、一遍にばかっと切ってしまうということでなしに、経過措置はとり、激変緩和の措置をとるということは既得権、期待権に関係する、保険契約、公契約に関係するものですから、実情に即して慎重に対処すべきだと思うが、いかがですか。     〔中村(正三郎)委員長代理退席、委員長     着席〕
  123. 林義郎

    林国務大臣 質疑のやりとりを聞いておりまして、今回の共済統合法案というのは各方面のいろいろな御協力、御理解を賜らなければできない法案であるということはもう初めから申し上げているとおりでありまして、いまも政府委員から答弁をいたしましたように、委員会におきまして審議をして大蔵大臣の認可を受けてそれぞれの共済組合でもって決めていく、こういうふうなシステムでございますが、私は、それはやはり共済組合をいかにして守っていくかという精神でなければ支えられないと思うわけでございます。そういった意味で、政府委員から御答弁申し上げましたのも、そういった点を苦心してつくったことであろう、私はこう考えておるところでありまして、法律的には憲法にどうだこうだというお話がありますが、そういったことをやっていかなければ現在のいろいろな問題の解決にはならない、そういったことで御審議をお願いしている、こう御理解を賜ればありがたいと思っております。
  124. 大原亨

    大原(亨)委員 最後に、懲戒問題がありましたね、保田さん。懲戒問題は、共済組合年金の言うならば当不当、良否は別にしまして、職域年金的な身分関係、特別権力関係から発生する問題です。ですから、これからの年金改革というのは、年金一元化方向は社会保障的な年金ということです。それで負担と給付は一緒にするのです。懲罰的なものは排除するのですよ。それが方針なのです。その方針に従って、それはほかのことでやればいいのです。どこでもいじめるということはいけないのです。それは厚生年金だってちゃんと分けて、社会保障は社会保障というふうにしているのです。社会保障との関係調整するのですから、懲罰的なものはなくするということが原期であって、なくしない場合でも、できるだけ段階的に縮小していくという方向でやるべきだ。これはいままでの議論を踏まえての私の主張でありますし、それはオーケーという答弁が出ることは決定的ですが、もう時間ですから、きょうは問題の指摘をしておきます。  以上申し上げましたように、私どもは、一部でデマ宣伝があるのですが、与党の諸君の中からは出ませんでしたが、社会党は国鉄共済年金はつぶしてはならぬと思っているのだ。申し上げましたように、これをつぶしますと日本の皆年全体制が将棋倒しのように崩壊するのです。国鉄の経常主体の問題ではないのです。経営とは違うのです。年金というものは、大河内さんが「国破れて年金あり」、こういうことを言われている。それほど年金というものには一定の信頼性がなければ、やはり政治に対する信頼はないというふうな主張を裏づけるのです。そういうものです。ですから国鉄共済年金は絶対救済すべきですが、年金をどうするかということは、最初に私が質問しましたように、租税や社会保障の負担率のおか目八目とか、活力がどうのへっちょくれのというふうな臨調的な感覚ではなしに、日本制度の実態に即して、不必要なものは切っていく、しかし必要なものは充実させていくという観点でなければ、高齢化社会における地帯を保つことはできない。  ちょっと偉そうなことを言って失礼だけれども、セキュリティーというものがある。それは国の安全保障の場合もセキュリティーという。社会保障の場合もセキュリティーと言っているのです。社会の連体が崩壊しますと国の安全保障はないのです。アフガニスタンみたいな問題が起きるのです。だから国のセキュリティー、安全保障というものは実は国内の連帯の問題なのです。しかし、いまの低成長、高齢化社会を迎えて、出たとこ勝負で大蔵省がずたずた切るようなかっこうだけで年金なんかをいじってまいりますと、矛盾は拡大するのではないか。だから、現状の年金の信頼性を失わない、そういう観点で被保険者や国民意見をよく聞きながら、中長期の展望を持ちながら年金を大切にしていくというふうな考え方がないと、大根をぼかぼか切るような考えで年金改革をやってはいけない。将来展望がなければいけない。だから私は、皆年金については基本年金を導入すべし、財源については必要なそれに適した財源をやれ、雇用と年金を一体的に解決しなさいということを総合的に主張いたしておるわけでありまして、国鉄共済年金を一番真剣に考えているのはわれわれだ、こういうことをはっきり申し上げておきまして、私の質問を終わります。
  125. 林義郎

    林国務大臣 大原議員のお話を聞いておりまして、基本的な考え方というものは違わないな、年金制度というものはやはり十九世紀のお互いの先進工業国社会で持っているところの非常にすぐれた制度だと思うのです。  それで、これはヨーロッパの諸国でもそれぞれの国で年金のいろんな問題が言われておるわけでありますし、日本におきましてもまた日本でのいろんな問題が出てくる。基本として相互連帯という精神がなければ、私はこの制度の維持発展はできないと思っております。そうした意味で、いろいろと細かい点がありますが、私はそういった精神を持っていることが、これからの二十一世紀へ向かってのお互いの方向づけの中で非常に大切なことではないかと思います。そういった意味で、言葉は悪いかもしれませんけれども、小異を捨てて大同につくという精神こそ私は非常に必要なことではないか、こう思いまして、御答弁とさせていただきます。
  126. 森美秀

    ○森委員長 平石磨作太郎君。
  127. 平石磨作太郎

    ○平石委員 今回の共済年金統合法案につきましては、もうそれぞれ審議が尽くされたことだと思うわけですが、私もこの統合法案につきましてそれぞれの関係大臣にお聞きをいたしますが、当然重複することが出てくることだと思います。重複をしましてもお許しをいただいて、ひとつよろしくお願いをしたいと思うわけです。  そこで、まず厚生大臣にお聞きをいたすわけでございますが、厚生大臣年金担当大臣として、共済年金を含めての八つの年金統合について指名を受けておるわけであります。したがって年金の将来のあり方、全体像、これについて大臣はまだ示してない、こういうことでございますが、将来のあるべきわが国年金統合再編ということについてその姿が示されておりませんが、この姿を示す考え方、これは各制度全体のバランスをとる、それから負担と給付の公平といったようなことがその基礎になければならぬというように私は感ずるわけですが、大臣、そのことについていかがですか。
  128. 林義郎

    林国務大臣 政府としましては、昨年の九月及び本年の五月二十四日にそれぞれ閣議決定をいたしまして、政府の基本的な考え方をまとめておるところでございます。これは文書をすでに先生がお持ちでございましょうから、この場でくどくど申し上げませんが、基本的にはやはり、国民年金ということになりますならば、国民すべてが老後における生活保障が受けられるようにする。これは憲法の規定に従ってそういったことがあるわけでありますから、そういったことをやっていく。と同時に、できるだけ公平の原則を貫く。公正の原則を貫くと申し上げた方がいいかもしれませんが、公正の原則を貫いていくということでなければならないものだというふうに考えておるところでございます。——何だったら閣議決定を細かく読みましょうか。
  129. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いや、いいです。  まさに大臣のおっしゃるとおりだと私も理解をいたしておるわけです。そこでまず共済年金統合されるというように出発をしたわけでありますが、その場合に、いま大臣がおっしゃった将来の展望、これへ向かっての一つ段階でなければならない、こういう気がいたすわけです。それへ行くためには、やはりいまから事前に、統合をしていくというそのスケジュールに従って、その一つの姿に向かっての行き方は整合性を持っていかなければならない。  そういう意味から、自治大臣にまずお聞きをいたすわけですが、自治大臣、お見えになっておりますか。——そこで自治省にお聞きをいたしますが、前国会におきまして、地方公務員の共済組合法が一部改正されて、これの統合がなされました。私はこの統合については、もちろん関係委員会ではございませんので、これについての質疑はしてなかったわけですけれども、仕上がったものを見てみますと、地方公務員の共済組合で公立学校の組合と警察職の組合が統合から外れている。したがって、一つ財政単位にするのならともかくも、いわば地方公務員として、どちらかといいますと小さい組合のみが集まって、大きな組合は別建てになっておる、こういうことがなされたわけですが、ここに整合性のないものとして出発をした、こういうように思うわけでございます。この地方公務員の共済法の改正を見ますと、これらの組合は当分の間別にするんだ、こういうことに相なっておるようですが、これについて一言お答えをいただきたい。
  130. 秋本敏文

    ○秋本説明員 いま御質問にございましたように、地方公務員の共済年金につきましては、さきの国会で法律改正をしていただきまして、年金財政単位一元化するということの措置をやらしていただきました。  地方公務員の共済年金におきましては、ほかの年金グループと非常に大きな違った点がございまして、財政単位が十六というふうに多数に分かれております。年金の被保険者の数で申しますと、全体の被保険者のうちの約五%程度でございますが、財政単位の数で申しますと、全体二十六のうちの十六を占める、そういうことになっております。したがいまして、その中には保険グループとしては百万人を超える程度のものもございますけれども、中には一万人前後といったような非常に小さいものもございまして、そういう小さいグループにおきましては、これから先の年金制度の運営という面からしますと非常に不安定な面がございます。と同時に、そういう小さなものの中におきまして、財政状態、特にいわゆる成熟度と申しますか、現役の被保険者に対する年金受給者の割合といったようなことからしますと、これも非常に大きなばらつきがございます。  したがいまして、今後の年金制度の安定的な運営を図っていくためには、全体の財政単位をできるだけ大きくして一元化していく、そういう方向が必要であるということで、相当の期間にわたりまして関係者の方といろいろ相談をしてまいりました。  私どもとしては、財政単位一元化するについては、地方公務員の共済組合がすべて加入した連合会といったようなものをこしらえて、そこにすべて入った一元化ということが望ましいと考えまして、法律の本則におきましては、先生御承知のとおり、全体の地方公務員の共済組合で連合会をつくるということにいたしましたけれども、法律の附則におきまして、当分の間、公立学校、警察、そして一般の地方行政という三本立てでいくことにさせていただきました。これは公立学校、警察、一般地方行政というように、職域を異にする職員でもって構成されておる共済組合である、それからまた、公立学校の場合で申しますと百万人を超えるという、規模としてはかなりなものである、そしてまた、全体で共済組合は九十一ございますけれども、そのうちの八十九、つまり公立学校、警察を除いた八十九の組合において小さな財政単位に分かれておるという問題が集中的にあるということで、ここについては緊急に財政単位統合を図る必要があるということから、附則におきまして、当分の間、三つのグループで財政運営をやっていこうということにさせていただいたわけでございます。
  131. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いまお話がありましたのは私の答えにはなってないのですね、説明はあったけれども。  地方公務員共済組合審議会答申を見てみましたらこう書いてある。「連合会の設立に際し、公立学校共済組合及び警察共済組合を当分の間加入しないものとすることについて、不適当ではないかとの意見もあった」中略しまして、「今後加入にあたっては、両組合と充分協議の上、合意することが望ましい。」こういうことですね。審議会においてすらこういうことが指摘をされておる。  そういたしますと、いま厚生大臣がおっしゃったように公正でなければならぬ、しかも将来の年金統合については、どのエリアにおいてもある程度の歩調を合わせていてもらわないと、私はもう別建てでやります、こういったことが許されるようなことでは年金統合はおぼつかない。前の委員に対する厚生大臣答弁の中でも連帯ということを強調しておりましたが、そういう連帯の意味から言いましてもこれは適切ではなかった、私はこういうように思うわけでして、この当分の間というのは大体どのくらいを予定しておるのか、いわゆる財政単位を同一にするという一元化については、当分の間というのはどのくらいの時期を指しているのか、お答えをいただきたい。
  132. 秋本敏文

    ○秋本説明員 財政単位統合、公立学校共済と警察共済が連合会に加入することになるのがいつの時期になるのかということにつきましては、関係共済組合との間の協議、連合会に加入している共済組合との間の協議といったようなことを経ていく必要がございますので、いまの段階で、いつの時点には加入するということを申し上げることは非常にむずかしゅうございますけれども、この法律改正の際におきましても、いま御指摘のございました地方公務員共済組合審議会、そのほか社会保障制度審議会の御客中の中でも御指摘ございましたし、また国会における御審議の際にも、早急に加入するようにすべきであるという御指摘もいただいております。私どもとしましては、そのような御指摘を踏まえながら、できるだけ早い機会に加入することが望ましいというふうに考えておりますので、そういう方向に沿って関係の方方との協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  133. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そこで、厚生大臣にお聞きをしたいのですが、厚生大臣、先ほどの御答弁の中にもありましたように、いわゆる閣僚懇というのがあるわけですね。その閣僚懇の座長は、年金問題担当大臣である厚生大臣。そして、自治大臣も閣僚の一人としてその閣僚懇の中に入っておるわけです。この閣僚懇というのは一体何のためにあるのか、お答えをいただきたい。
  134. 林義郎

    林国務大臣 いまお話がございました自治省の問題も自治大臣がいろいろ御担当してやっていただいておりますし、また、いま御審議をいただいております四共済統合につきましては大蔵大臣が御所管をしてやっておられるわけでございまして、そういった点からすれば各省にまたがる問題でございます。そういったものをまとめて議論をしていかなければ、まさに先生から先ほどお話がありましたような統一された、均斉のとれた改革というのはいかないだろう、こういったことで、この閣僚懇談会が五十五年の一月二十二日の閣議了解に基づき設置されたところでございます。そういった中でいろいろな問題を私たちの方は議論をいたしておるというのが実情でございます。
  135. 平石磨作太郎

    ○平石委員 議論をせられても、それがいわゆる不適切な議論では困るのですね。  私は今年当初の予算委員会におきまして、この点を心配して大臣にお聞きをしてございます。これは五十八年二月二十三日、予算委員会における質疑なんですが、いま申し上げた質問をしたわけです。したがって大臣は権限を持つべきである、それで担当大臣は、これらの問題調整に当たっては権限を持ちながら話し合いを進めていく方がよりベターですよ、こう指摘を申し上げたところなんです。そのときに大臣は、この年金制度につきましては、それぞれの伝統とそれぞれの発足の経緯がございますので、ただ私が、担当大臣が権限を持つだけでは処理ができません、これは話し合いによってやるべきでございます、そのために閣僚懇があるのだ、こういうお話でした。そして総理からも、権限付与についてはどうかと思うという御答弁をいただいたのですが、それぞれのエリアにおいて独自の考え方で進めるのであるならば、その法案提出に当たっては、担当大臣がやはり合議の上で判をついて一緒に提案をしていくということの権限だけは持っていないと、いま指摘申し上げたようなことが出てくるということを私は心配をして、前に指摘をしたわけなんです。これは、この大臣答弁を読んでもいいですけれども、いま申し上げたとおりです。  そういうことから考えたときに、私は、地方公務員のこの統合については、いまのようなことを未調整のまま宿題を残して発足をしたが、これが果たして戦列に入ってくるか、どうも心配なんです。地方公務員は三百二十五万という中で百十八万もある公立学校の組合、警察職員三十八万、これだけ大量な組合員が別建てになってしまうということでは、私は均衡のある公正な発足とは言い得ない、こう思うわけです。したがって、それは何が一体原因なのか、その理由を申してください。
  136. 秋本敏文

    ○秋本説明員 財政単位一元化する際に、すべての地方公務員共済組合が加入した連合会というようなものをつくって、すべてを一元化することが望ましいというふうに私どもも考えておったわけでございますけれども、現実的な問題として、どういうふうにするかという一種の選択ということではなかったかというふうに思っております。  と申しますのは、五十九年十二月までに次の財源率の再計算をしなければならないという一つの事情がございます。そうしますと、現在の状態のままで、つまり十六に分かれたままで財源率の再計算という時期を迎えるとしますと、この財政単位ごとに、財源率においてはかなりな格差が生ずることが予想されるという点もございました。そうしますと、地方公務員の共済年金制度は法律で内容が定められておりますから、同一の給付制度でございます。ところが、どの財政単位のグループに属しておるかによって、その負担においては相当大きな差が出てくることが予想されたわけでございます。したがいまして、すべてを一括、一つ財政単位にまとめるということでもって、その上で財政単位統合ということを進めていくのか。それとも、緊急にその財源率再計算という必要がございますので、現在非常に多数に分かれ、かつ、非常に小さなグループがたくさんあるところは少なくとも一元化していく、そして法律の本、則においてはすべてを一元化するということを明確にしておく。どういう考え方で臨むかという一種の選択ではなかったかと思うのですが、私どもとしましては、地方公務員の共済年金制度のこれから先の安定的な運営を考えました場合には、法律の本則においてはすべての地方公務員共済組合が入って一元化する。しかし、当面は小さなグループに多数に分かれておるものを一つにし、そして公立学校と警察と三本立てで進んでいくことが望ましいのではないだろうか、そういうことがやむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、このような状態が決してベストであるというふうには思っているわけではございませんので、先ほど来御指摘がございましたようなことも含めまして、できるだけ早い機会にすべてが一元化できるようにということで、関係の方々との協議を進めてまいりたいと思います。
  137. 平石磨作太郎

    ○平石委員 時間がありませんからこれを深く論議はできません。ただ指摘だけしておきます。この公的年金制度に関する関係閣僚懇談会決定が五十八年四月一日。この中で、「地方公務員共済年金制度内の財政単位一元化を図る。」こういうことが決められておる。それが三元化になっておる。これは指摘しておきます。  それからもう一つ。この審議会答申の中にございます「したがって、単に国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合統合に地方公務員共済組合を参加させる椎想があるとすれば、それには反対である。」こういうことを書いてある。したがって、私は大蔵大臣にお聞きをしたい。先ほどから大蔵大臣はちょっとおくれましたので十分に私の趣旨がわからないかもわかりません。厚生大臣にはお聞きをしたのですが、この年金統合についてまことに不整合な発足が始まった。そして、今回提案されておる法案につきましても、これは先ほどの答弁の中にございましたが、地方公務員のエリアの中で学校と警察はちょっと違うのだ、だから別にという説明がありました。今回の法律の中では公共企業体職員国家公務員、これをいわゆる類似として一緒に合わそう、こうしている。この不整合な扱い方、これは大臣、どうお考えになりますか。
  138. 林義郎

    林国務大臣 形式的に言えば、確かに先生のおっしゃるとおり不整合だという印象はぬぐえないかと思います。しかしながら、年金統合というのは、先ほど来申し上げておりますように、全国民的な年金にしていかなければならないのが最終目標でありまして、年金の問題というのは、もう先ほど来御議論がありましたようにいろいろな複雑な問題を抱えておる、またそれぞれの年金がそれぞれの歴史を持っておる、いわば生き物でありますから、生き物を法律をもって全部はしっとやるというのは、余りにも法家思想に過ぎるのではないかと私は思うわけであります。  実は自治省からもこの問題につきまして、当然私は年金問題担当大臣として協議を受けたわけでございますが、十六に分裂しておりました財政単位を三つにまとめるという趣旨であること、そういったことからいたしますと、いろいろな問題はあるかもしれませんが、少なくとも一歩前進であることは間違いないところである。そういった形で、全体の中で少々の不突合というようなものはあっても、じゃ進めない方がよろしいかといえば、やはり進めた方がいいではないか。お互いきわめて現実的に考えていかなければならない。いたずらに奇を追うことなく、理想に走ることなく、現実に問題を解決するところに、私はこの問題の本質があるのではないだろうかと思っておるところであります。
  139. 竹下登

    竹下国務大臣 厚生大臣からお答えございましたが、確かに先生とお巡りさんが抜けておる、大物が抜けて小物だけが一緒になった。前回の国会においていろいろ御審議をいただいて一応通していただいたわけでありますが、その限りにおいては、今度の場合は少なくとも類似的な四つはまさに一緒になっておるという意味においては、平石さんおっしゃる意味は、そのとおりかと言われればそのとおりですと言わざるを得ないと実際思っております。  が、現実問題としてこの難問題を始末するに当たって、とにかく現実問題としての方策として、年金担当大臣を中心とし、あるいはこれはむしろ自治省が中心になられてこういう結果になったというふうに私も理解しておりますので、まさにすんなりとしておるなというふうには私も思っておりません。
  140. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いま両大臣から御答弁をいただいたのですが、まさにそういったことを調整をするのが閣僚懇のあり方だと思う。そういたしますと閣僚懇はまさに機能を果たしてない、こういうように言われても仕方がないと思う。したがって私は、今後閣僚懇が本当に年金統合に向かっての機能を果たしてほしいと、これは強く要請をしておくわけです。  それから、今回の公務員の統合法案につきまして、この法案の要綱の中にございますが、いわゆる年金制度の再編・統合の第一段階だとこう位置づけてあるわけですが、ここがどうも私にわかりません。先ほど厚生大臣にお聞きしたように、まだ姿が見えないのです。そのない中で第一段階という位置づけをとっておるわけですが、この関係をひとつ明らかにしてほしいと思います。簡単にお願いしたい。
  141. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 第一段階ということの意味合いでございますけれども、ともかくも、現在いろいろ分立している年金制度につきまして、将来の方向は全国民的な一元化ということだと思いますが、そういう方向へ向かいまして各グループごとにそれなりの合理化の努力をされるということは、全体の流れとしても決してそごをするものではないという見方ができると思うわけでございます。  そういう意味で、私どもといたしましても、第一段階の今回の四共済と一共済財政単位統合ということについては積極的に賛意を示したということでございます。
  142. 平石磨作太郎

    ○平石委員 妙に論理が後先になっていかぬのですが、そごするものではない、こうおっしゃるわけですが、そごするもせぬもない、将来像が出てないわけなんですね。  これは社会保障制度審議会もここに指摘をしてございます。「国は、公的年金制度全般の将来展望を明らかにしていないにもかかわらず、今回の諮問を公的年金制度の再編・統合の第一段階として位置づけていることは、甚だ理解に苦しむ」、こういう社会保障制度審議会の指摘もあるわけなんです。したがって、諮問を受けた制度審は、この公務員の統合法案につきましては年金統合への段階ということについては理解ができない、こういう指摘があるわけなんです。私もそのように感ずるのです。そのことの理由は明らかにしてない、将来展望を明らかにしてない、だから、どの姿が第一段階になるのか明らかでないんだということを言われておるわけなんです。そういう意味から見たときに、やはり私はこの将来展望を早く出さねばならないと思うのですが、大臣、大体いつごろにはそういうためどが立つのですか、お伺いをいたしたい。
  143. 林義郎

    林国務大臣 第一段階、こういうふうなお話が社会保障制度審議会の中で出ましたということは私も承知しておりますが、あの七十年を目途にして年金制度統合を図っていくということが一つの大きな目標でございまして、恐らく全体像ということになれば、その段階までいかなければ、細かなところまではなかなかできないと私は思うのです。  ただ、非常に大ざっぱな物の考え方を申し上げますならば、先生御承知のとおり、その全体の九割を占めるようなところが厚生年金及び国民年金という形で賄われているわけでありまして、これがひっくり返るというような話ではないだろう。厚生年金及び国民年金法の改正次期通常国会にお願いするというところで、大体大ざっぱな方向としては将来構想はこうなるんではないだろうか。またそれは、いろいろな地方公務員あり、国家公務員その他のところがございますから、ぴしゃっと最終のところまで決まったような話じゃないけれども国民的な年金構想というものは大体こうなるんではないだろうかというような考え方が、おぼろげながらと言っては少し言い過ぎかもしれませんけれども、大体そんなところになるだろうということをお示しできるのではないかと思うのです。  ただ、これは現在の段階では、厚生年金及び国民年金につきましてどういう法案をつくっていくか、先生御承知のとおり、この中におきましてもいろいろな問題があるわけでございますから、そういった問題を現在鋭意詰めておるところでございます。
  144. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いま大臣おっしゃったように、私もなかなか大変な事業だと思うのですよ。だから、一概に短兵急にとは思わぬですけれども、ただ、私が中身を見たときに、前回ずっと御指摘申し上げたように、大まかな点で大きな年金設計というものがないわけですね。その一つ年金設計は描いてはおるかもわかりませんが、その一つの将来の年金設計へ行くのに、大まかな点においてもう足並みが乱れて出発をしている、ここを私が指摘したわけなんですね。だから少なくとも、むずかしいいろいろな問題がありますが、いま大臣答弁の中にありましたように、小さい、細かいところまではなかなか大変なことですから要求いたしませんけれども、大まかな点において関係審議会等が指摘しておるようなことが抜かっておるぞ、このことを私が申し上げておるわけです。したがって、細部にわたってまでのことは要求をいたしておりません。  ここに、やはり社会保障制度審の中にも同じく指摘がありますので、くどいようですけれどももう一言申し上げておきたいと思うのです。  「今回の諮問に先立ち、地方公務員等共済組合法の改正案が本審議会に諮問されたが、これと今回の改正案は共に財政調整を図ろうとしているにかかわらず、その間に重要な点において整合性を欠いていることが目立つことを付記する。」これは関係審議会においてすでに指摘がなされておるのです。だから政府は、諮問をして答申をいただいて、これは答申ですから、このことをも頭に入れてこういったことはやっていただかないと、これは将来統合いたします、連帯の意思でございますという単なる善意だけではできないということを私は指摘しておきたいと思うわけです。これはもうこれ以上のお話を申し上げませんが、一応そういったことを指摘申し上げて、要は閣僚懇の機能を強化してほしい、そしてできれば大臣が権限を一つ持っておるということ、ここに調整権限の一つの法的な権限事項として持ってないと、ただの話し合いでは、いま申し上げたようなことで、関係審議会の指摘すら実行できない結果に陥っておるということを御指摘申し上げておるわけです。  それから、今度は国鉄さんについてお話しを申し上げ、御質問いたしたいわけですが、この一元化統合ということについて、国鉄は非常に関係の類似の共済組合にいわばおすがりをして、国鉄共済についての維持といったようなことを今回行っておるわけです。これについては、いろいろと昔のことを申し上げてもどうかとは思いますけれども、それぞれ指摘もございますので、いままでどんな努力をせられたのか。このように他の共済にまで責任を負っていただく結果に陥ったが、国鉄自体、共済組合自体においてどのように努力してこられたかお話しをいただきたい。
  145. 高木文雄

    ○高木説明員 国鉄共済制度が先々非常にぐあいが悪くなることがわかってまいりましたのは大体四十七、八年ごろからでございます。なぜそうなったかといいますと、一つは、そのころ給与水準が急激に上がりました関係で、したがってそれにスライドして年金給付も上がるということが一つでございます。それから次は、五十年代に入りまして、初めて私の方の鉄道の事業そのものがぐあいが悪くなってまいりました。もう少し具体的に申しますと、お客さんが前年よりも減るということ、国鉄の収入が減るという形になってまいりました。つまり母体の国鉄財政がぐあいが悪くなってまいったわけでございます。  そこで、これはいかぬなということで、まさに取り組みを始めましたのが五十一年ごろでございました。そのころから今日まで約六、七年かかっているわけでございまして、大変やり方がなまぬるいではないか、もっと早く何かしなかったのかという御指摘はごもっともだと存じますけれども、そもそも当時は、まだ年金を全体として長い目で見て統合する方向に進めるべきだというような世論形成もできていなかった時代でございますので、どういう方法で自分のところの年金がまずパンクしないようにするかということについて、実情を各界に御説明し、特に年金システム等にお詳しい方に御相談申し上げて、何とかしなければならぬという取り組みをしたのは五十三年ごろからでございました。  私、率直に申し上げて、こういう形で他の組合員の方々に御迷惑をかけなければならないことになったことについて大変申しわけなく思っておるわけでございますが、テンポは残念ながらおくれましたけれども、それなりに努力はしたつもりでございます。  また、共済の中の問題といたしましては、五十一年度、五十三年度には保険料率の引き上げを行いますと同時に、いわゆる追加費用の繰り入れ方式の変更を行うといったようなことで財源確保策を講じましたし、さらに五十六年度には、五十六年から五十九年までの緊急四カ年計画というものを学識経験者の御意見に従いましてつくりました。その中で、保険料の大幅引き上げ、それから過去の未払い追加費用の集中的な償還といいますか確保といいますか、それを行うといったようなことをやってまいったわけでございまして、現在私どもの組合員の負担はいかなる年金加入者よりも大きくなっておることは御存じのとおりでございますし、また経営者といいますか、そちらの方の立場での共済年金のための負担が著しく巨額になっていることも御承知のとおりでございます。やれるだけのことをやったが、とうとうここまで来て、もうこれ以上組合員によけいな負担をさらに追加して求めることもなかなか困難であるし、さらに国鉄財政としてももうどうにもならぬところまで来たということで、ここのところ一、二年必死にお願いいたしておる次第でございます。  他に御迷惑をかけることは、年金システムの成り立ちから見ますとはなはだ心苦しいわけではございますが、率直に申しまして、ここまででいよいよ限界に来たということでございますので、その辺をお酌み取りいただきまして、御迷惑がかかります各組合員の方々にもそのことをわかっていただいてお助け願いたい。そして、日本で一番初めに始まりました年金制度国鉄でございますし、しかも今日のように国鉄自体が交通産業の中でやや斜陽化の時代になったわけでございますから、ちょうど過去におきまして石炭関係の方なり繊維関係の方は厚生年金という大きな袋でうまくいっておるということもございますので、われわれの場合にも小さい袋の中ではどうにもならぬということでございますからお願いをいたしますと言っておるわけでございまして、なかなか各組合の一人一人の組合員の方々までおわかりいただけるということにならぬと思いますが、ちょうどいい機会でございますので、われわれはわれわれなりにやってまいったということで御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  146. 平石磨作太郎

    ○平石委員 国鉄共済は他の共済に比べて非常に成熟度が高い。これはそれぞれのいろいろな国策の問題、日本の今日までたどってきたいろいろな経過がそこに出ておると私は思うし、それから共済組合発足も、答弁にありましたように非常に古い。そういったことが総合されて今日に陥ったと言っても過言ではなかろうと思う。したがって、その責任をすべて国鉄に求めていくということは酷な行き方ではなかろうか、こういう理解は持っておるつもりでございます。だが、それかといって他の共済にこれだけの負担、〇・六%、月当たりにして千二百円をこれからお願いをするのだという結果になっておるわけです。これの徴収その他について先ほども指摘がありましたが、私はその点については後日また論じてみますけれども、一応そういうこと。そうなりますと、私は、国鉄の救済ということがまず年金統合の前に焦眉の急であるといったようなことが今回の提案になっておる、このように理解はするわけです。  ところで一方、いわゆる類似として統合されますところの電電公社、専売公社国家公務員連合などの共済については、なぜ国が負担をしないのか。よく私は陳情のときにお話を承るのですが、何で私たちがそれを受けなければなりませんか。先ほどの話の中にも入れたつもりなんですが、国の責任、しわ寄せを国鉄は負っておる。こうなりますと、国鉄共済について政府責任がある。政府責任のエリアについては、国鉄事業体としてやってはおりますけれども、事業体そのものがもういわゆる破局の状態に陥ってきておる。そして、経営形態がどうなるのかこうなるのか、監理委員会でどんな姿になるのか、これも定かでないというような中で、国鉄については政府責任そのものが救済の面であらわれていない。そのあらわれていない分が他の共済の組合員に負担として五年間かかってくる。この姿はやむを得ない処置と思うのか知りませんが、どうも酷じゃないか。少なくともそれだけのことをしようとするのであれば政府も半分ぐらいの負担はして、そしてひとつ押さんお願いしますという姿勢がとれなかったのか。すべて類似の方々にお願いをいたします、これはちょっと残酷じゃないかというような気がするわけですが、大蔵大臣、そこらあたりはどうですか。
  147. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題が起きた当時、それから国共審あるいは制度審、制度審は平石委員委員でありますが、そのような議論がずっと出てきております。それで、端的に最初国鉄共済が大変だ、もっと前から本当は指摘しておったじゃないか、それを腕をこまねいておって今日こうしたものを出してもという御意見もその間にありました。それで素朴な感情として、歴史的な淵源がございますので、それは大変複雑な問題がいろいろございますものの、素朴に現象面だけ見た場合には、そういう気持ちになられるのも当然かなという感じが私は素直にいたします。が、今日、この財政事情からして、そういうところに私どもが出動するだけの余力を持たないという状態の中でどうするかということを考えますと、結局社会連帯とかあるいは労働連帯かもしれませんが、そういうところにすがらざるを得ない。  したがって、平石委員から御指摘がありましたとおり、この両審議会も、考えようによっては、本当によくもこんな答申をいただけたなと思います。その底には何が流れておったかというとさはさりながら、急務としてこれは答申ぐらいはしてやらなければ法律的な手続ができないじゃないか、それがもう一つ底に流れておった。それがある意味においては甘えておるという感じが私もしないわけでもございませんが、たまたま国共済、専売が私の所管でありますので私がこの所管大臣になりましたが、そういう苦衷をみずから感じながらお願いしてきておるというのが私の実感であります。
  148. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そう出られるとやりにくいのですが、事情は私はいま大臣おっしゃったようによくわかるのです。だが、そういったような抽象的なことだけで他の組合員にお願いをするということは、政府としたら責任逃れじゃないか、責任を果たしてないのじゃないか、あるいは極端な言葉で言えば責任転嫁じゃないか、こういったようなことを感ずるわけです。  そこで、これは国家公務員共済組合審議会の会長今井一男さんから大蔵大臣にあてての答申です。いま大臣から答申の話がありました。これも答申と言えるかどうかわからぬわけですね。これは末尾にこう書いてあります。「審議経過を略記して答申とする。」それで、「本諮問は、本審議会創設以来二十五年間における最大の難問であった。」そして、「政府が早急に具体案を提示すべきであるという点については、意見が一致した。」とか、なんとかかんとか意見は羅列してあるわけです。意見は羅列して、最後に答申はできない。「本諮問は、もともと、多くの利害が錯綜するものであるので、その審議は難航を重ねたが、国会への法案提出期限の関係もあり、とりあえず、これまでの審議経過を略記して答申とする。」これは本当言ったら、この審議会委員に対して申しわけないのですが、答申というものではないのです。それだけむずかしいのです。そして、それだけ無理を他の共済組合にかけておるということ、他の共済の組合員と共済のいわゆる財政に負担をかけておるわけです。これを大蔵大臣がいただいていまのような法案をつくるときに、どんな感じだったか。さっきの答弁と、これを私が読み上げてからの大臣はこれを読んだと思うのですが、どうですか。
  149. 竹下登

    竹下国務大臣 これは答申に書いてありますとおり、「本審議会創設以来二十五年間における最大の難問であった。」したがいまして、まずこの答申をいただきます間に、御案内のように三公社審議会がございませんから、したがって法律的に言えばいきなり制度審に持っていくという筋かもしれません。しかし、やはり国共済はきちんとした審議会があります。したがってそこで審議していただこう。そうなれば、やはりお願いをして三公社関係者の方々にもそれに参加してもらって、少なくとも運営上は国共審の審議委員の方と同じような立場で御発言いただいたりするようないろいろな配慮をしました。しかし、「難問であった。」と書かれてありますように、なかなか審議会で速記をとって云々という状態にならぬ、されば懇談会にしてください、いろいろなことを苦悩しながらまとめていただいた、私はこう思うのですよ。だから、経過報告をもって答申にかえる。元来、あるいは先生方で見れば、そういう答申が、経過報告をもって答申にかえるというところまでも至らないで、その議まとまらずと言って、あるいは自然流会とかそういう状態になっておったかもしらぬと事実思います、あのときの状態を見ますと。最終的にこの状態の中でまとめていただいたのは、結局、さはさりながら、政府も実態は急くであろう、されば少なくとも手続上は瑕疵のないようにしてやらなければならぬじゃないかという気持ちが経過報告をもって答申にかえる、こうなったのであって、その底を貫いたものは最終的には連帯ではなかったか。手を合わして拝みたいような気持ちであったことは事実であります。委員長の年齢も老齢でもございますし、本当に大変済まぬことをしたなあと思います。  それで、これは余談になりますが、せっかくでございますので、一日、御夕食とは申しませんでしたが、パーティーでも委員の先生方いかがでしょうかと非公式に、育ってみたら、君、いまそういうような状態ではない、少なくともここまでが限度いっぱいで、それから先はおまえさんらが一生懸命で法律をつくって国会へお願いする、ということでございました。これは学識経験者側も労使側もなるほどなあと思って、そういう非常に大きな、時には変則的なことをやってもらいながらまとまったものであるだけに、便乗するようですが、よけいそれにこたえなければならぬという責任感もまた私なりには生じておるということでございます。
  150. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そこで、電電公社にお伺いをいたすわけですが、電電公社は、もちろんこの法案については執行部の方にお聞きをしましてもどうのこうのとは言えないかもわかりませんが、先ほどもちょっと触れましたけれども、労働組合の方から私もいろいろとお話をお聞きしておるわけです。したがって、今年の当初予算委員会において、説得し得るものをつくらぬと困りますよということを私は提言したはずなんですが、これは説得をでき得るのか。この案について労働組合が反対をしておるが、どう考えますか。電電公社、簡単に言ってください。
  151. 中原道朗

    ○中原説明員 確かに労働組合は現在に至るまでも、正式にこの問題について私どもと話し合っておるわけではございませんけれども、きわめて激しく反発をしておるということは事実でございます。ただ労働組合も、全電通労働組合が単独に行動し得るものでもなくて、やはりその友好団体を含めまして総評等といろいろとお話し合いめ結果、いろいろな代案というものも持ちながらみずからの行動を決めてきておると理解しております。現在に至るまでも、反対は反対といたしまして、種々みずから考える方策というものを提示しながらいろいろと行動をしております。  そういう意味におきまして、政府関係機関であります私どもよりも労働組合自身の方が、独立的な判断力といいましょうか行動力というものを持っておる時期に来ておるし、いまや私どもにあれこれという形で具体的な注文をつけているというよりも、みずからの考えと友好団体との協力の中で、いまいろいろ全体がうまくいく方向は何であろうかということについて模索しながら行動しておるところだと存じております。
  152. 平石磨作太郎

    ○平石委員 電電公社については経営形態もまだ定かではないわけなんです。この経営形態が変更し得るといったようなことがよく言われておるわけですが、少なくとも近く経営形態が変わるというようなことも予想されますし、そういう中で仮に民営という形にでもなれば、これは厚生年金という形になるわけでして、ここらあたりの整合性をどうするか。そうであってもやはり六十四年まではこのままで進むんだ、財政単位として徴収するんだ、こういう法案なんですが、ここにも非常に無理がある。私はその点もいろいろとお伺いをしたいのですけれども、時間がございませんので指摘をしておきたいわけなんです。  非常に大まかな面から見ましてもいろいろ不整合な面が見えるし、それから、いま申し上げておることにつきましても、身分は民間になりながら共済組合員としての負担を六十四年まではしなければならぬとか、いろいろ不整合な面が出てくるということ。それから、六十四年を過ぎた場合にそれから先がまだ何もわからない。仮にそのままであれば、民立になっておっても六十五年、六十六年、六十七年とずっとそんなことをしなければいかぬ。国鉄はだんだんと分母が少なくなって分子が多くなっていくはずです。そういたしますと、それから先のめどが立っていない、これは非常な不安だと思うのです。そこに、政府責任といわゆる救済をしてやる共済組合との関係——これは六十五年から先は一体どうなるのかいろいろ詰めたいが、ひとつ簡単にお答えをいただきたい。これには将来展望もないから先がわからないということで不安がありますが、大蔵大臣、いかがに取り扱うのか、六十四年から先をどうするか。
  153. 保田博

    保田政府委員 二つの問題点を御指摘になられたわけでございますが、まず一つは、年金の適用区分と経営形態とは必ずしも一致しない場合がある、この点は先生も篤と御承知おきのことだと思うわけでございます。この点につきましては、この法案審議段階でわれわれいろいろ検討いたしましたのですが、厚生年金共済年金とでは制度に大変大きな違いがあるわけでございまして、給付の水準等が異なりますだけではございませんで、その要件にも大変大きな違いがある。それから、このような大きな企業体が適用区分を変えるとなりますと、従来積み立てた積立金をどうするかといったような非常に大きな技術的な問題点もあるわけでございまして、われわれとしましては、この際は、将来の年金一元化が図られるまでは、たとえ経営形態の変更がございましても、現在の厚生年金制度に残っていただくことがいいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、現在予定しております六十年以降六十四年までの国鉄共済組合に対する財政調整事業が一応終わりました後どうなるか、六十五年から先ほどうなるかということでございますが、この点につきましては、先ほど来御議論をいただいておるわけですが、五十九年から六十一年にかけましてはたびたびお話がございましたが、厚生年金、それから国民年金等の関係整理が図られるわけでございますが、それらの検討と並行いたしまして、共済年金制度につきましても厚生年金国民年金との関係調整を図りまして、将来の公的年金一元化に向ける制度の大検討の中でうまくやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  154. 平石磨作太郎

    ○平石委員 十分定かなことにはお話を伺うことができなかったわけですが、非常に問題が大きいがゆえに答えにくい面もあったかもわかりません。それから、共済そのものが財政事情も異なっておる関係上、いろいろとむずかしい問題もあろうと思うのですが、要は、私がこの時間をおかりして御指摘申し上げたことは、将来の年金統合に当たっては努めて整合性を維持しながらやってほしい。そして、それをするためには閣僚懇の機能をもっと充実してもらわなければ困る。それから、年金問題担当大臣が閣僚懇の座長として機能を果たすためには、いまここにいただいておりますが、中曽根総理から年金問題担当大臣として指名をする、これは委嘱状か何状か知らぬですが、そんなことにしかなっていないわけですね。そこらあたりが、やはりこれから調整をしていくについてはもっと権限を持ったものとして、整合性を整えながら私はやってほしい。このことを強く要請をしたいわけです。  それと、電電公社の組合員等から非常にいろいろなことをお聞きしておるのですが、これの保険料の徴収の問題、これはいろいろと先ほども論議がありましたが、この点については私の方も非常に論議をしたかったけれども、時間がございません。これは後に譲ります。  これで終わらしていただきます。
  155. 森美秀

    ○森委員長 御苦労さまでした。  塩田晋君。
  156. 塩田晋

    ○塩田委員 ただいま議題となっておりますいわゆる年金統合法案に関しまして、厚生大臣並びに大蔵大臣国鉄運輸省当局にお尋ね申し上げます。  第一は、厚生大臣にお願いいたします。政府の目指しております公的年金制度一元化のための具体的な方針、特に日程についてもう少し具体的に、いままでも質疑答弁があったわけでございますが、政府としてどのようなスケジュールで進んでいくかということをここで明らかにしていただきたいのが第一点でございます。ことしの四月一日、年金関係の閣僚懇の決定がございまして、昭和五十八年度中にはこれを固める、明らかにするということでございますが、それ以来相当月数もたっておるわけでございます。相当検討は進んでおるものと思われます。これにつきまして厚生大臣の御答弁をお願いいたします。
  157. 林義郎

    林国務大臣 公的年金制度につきましては、昨年の九月及び本年五月の閣議決定に基づきまして、将来にわたる公的年金制度一元化を展望しつつ、制度全般見直しを行うという基本方針のもとに、現在やっておるところでございます。  具体的にやれという先生からのお話でございますから申し上げますが、五十八年度におきましては、現在ここにお願いをしております「国家公務員公共企業体職員共済組合制度統合を行うとともに、国鉄共済組合に対する財政上の対策を図る。」すでにこの前の通常国会でやりました「地方公務員共済年金制度内の財政単位一元化を図る。」というのがその次でございます。  次に、「高齢化社会の到来に備え、長期的に安定した制度の確立を図るため、公的年金制度一元化を展望しつつ、制度全般見直しを行い、昭和五十九年から六十一年にかけて次の措置を講ずる。」第一に、国民年金厚生年金保険及び船員保険関係整理を図っていくということでございまして、これらにつきましては次期通常国会法案をお願いしたい、こういうことで鋭意努力中でございます。この問題につきましては社会保険審議会厚生年金部会におきましてすでに意見書をいただいたところでございますから、その趣旨を尊重いたしまして現在事務当局において鋭意作業中でございます。  共済年金につきましては、その趣旨に沿いまして国民年金厚生年金保険及び船員保険制度との関係整理をこれから図っていくということでございます。  こうした措置を踏まえまして、給付面統一化にあわせまして負担面制度間調整を進めます。「これらの進展に対応して年金現業業務一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるものとする。」というのが、現在政府が考えておる大体のスケジュールでございます。
  158. 塩田晋

    ○塩田委員 大体このスケジュールにつきましてはお聞きしたわけでございますが、実はもう少しきめ細かく、今回の統合化法案との関係、位置づけを御説明いただきながら、このスケジュールをもう少し詳しくお聞きしたいのでございますが、できる限り詳しく御答弁をお願いします。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕  ところで、厚生大臣にお伺いいたしたいと思います第二点は、総理、また総理の意向を受けられた厚生大臣が、社会保障あるいは社会保険につきまして自主努力、自主自助ということをよく言われる。また社会保障の医療の面でも在宅という観念がかなり入ってくる。もちろん自主自助ということは必要なことでございますが、これも限度があると思うのです。そもそも共済というのはともに救うという意味で、相互の救済ということですね。持てる省が持たざる者を助ける、あるいはまた傷ついた者、病んでいる者が健康な者から助けてもらう、そういうところに保険制度があり、社会保険が保険制度という技術を援用してこういった問題に当たってきている。これは世界の大勢ですね。そこへ自主自助ということになりますと、またみずからの責任で受益者が応分の負担をすべし、こういう方向でどんどんいきますと、行き着くところは、金を持っている人は、年金に限って言いますと、どんどん個人年金なりあるいは企業年金という方向。そうなりますと各保険あるいは共済制度が、組合ごとに自立していくというとばらばらになってくるということですね。そうすると、どうしてもいいところと悪いところができてくる、こういうことになりかねないと思います。世界の大勢、社会保障制度の発展というものは、所得の平等を図りながら、そしてなおかつ、その中に富んでいる者と恵んでいない者、あるいは失業している者と失業していない者、病気している者と病気していない者、お互いに助け合うという相互救済、この精神が基本にあり、その方向で行くべきものだと思うのですが、年金担当大臣といたしまして厚生大臣は、この関係を基本的にどのようにお考えでございますか、お伺いいたします。
  159. 林義郎

    林国務大臣 福祉というものは、かつて上から与えられたものだったわけでございます。いま先生のまさに御指摘のありましたように、社会の発展に従いまして、貧しい者に対して富める者がやっていこう、それはお互いに貧しくなるかもしれないし、富むかもしれないから、助け合いという精神でやっていこうということでございまして、上から一方的に与えるというのとは違って、お互いが助け合っていくという精神だろうと思うのです。これは、協同組合思想というのがまさにそういったところのあらわれだろうと私は思うわけであります。したがいまして、その共済とか協同組合というものは、一つのプライベートな形での相互扶助というものが前提にあったと思うわけでございます。  ところが、近年、年金制度が十九世紀においてヨーロッパに発達してきたというのは、そういった制度では賄い切れない問題がある、国全体として賄っていかなければならないのではないか、そういったところに年金制度というものが国家のもの、あるいは地方自治体のものという形で出てきておるのだろうと思うわけでございまして、それは、先ほど申しました共済なり協同組合というものが私的な性格を持っておりまして、それぞれの企業でやったならばあるいは産業間における盛衰がある、企業間における盛衰がある、そういったものを超克して国全体としてやっていかなければならない。そうしますと、もう一つ言うと国全体の盛衰というのが加わるわけでございますが、そういったものと関連をしてやっていくというのが現在の年金制度、また社会保険制度ではないかと私は思うのです。  そういった系譜を見てまいりますと、その根底にありますのは、それに対して協力をしていこうという個人の意思でなければならないと私は思うのです。最初に言いましたように、お上から勝手に与えられたものであるから、もらう方は全部もらうという考え方ではだめでありまして、お互いがこの制度を育てていこう、全体が社会連帯の精神のもとにやっていこうということが、こういった制度を維持発展させる上においてはぜひとも必要なものであろうと考えておるわけでありまして、そういったものがいまの年金制度のまさに基本問題ではないか、私はこう思っておるところでございます。
  160. 塩田晋

    ○塩田委員 そういった観点から見ますと、今回の年金統合法案なりこれから考えておられます公的年金制度一元化という問題は、それぞれの制度でそれぞれ掛金をし、それぞれの組合で運用してこられた、そして財政事情も何も皆事情が違う中で、全くの独立て自分でやるのだということでなしに、現に六十年度まさに破綻しようとしている国鉄共済年金につきまして、端的に言いますとそれこそ友愛と地帯の精神で助けよう、そして必要なものは財政調整をやってお金を周しましょう、拠出しましょう、こういう中身になっておりますね。これにつきましては、関係者の皆さん方の大変な御努力があり、そしてまた御理解がなければできないことだし、そういった努力をされたことに対しまして敬意を表するものでございますし、全体としては非常にいい方向で努力が行われ、成案を得ているものだと私は評価しておるわけでございます。  ところで、大蔵大臣に次にお伺いしたいのでございますが、年金の額の算定に直ちに響く公共企業体等の仲裁裁定、国家公務員の人事院勧告、これは今年度分が勧告どおりあるいは裁定どおりベースアップがあるかないかということは、来年の三月に退職される方にとっては大変な影響のあることです。また、現在年金を受給しておられる方につきましても影響があることでございます。これを今年度一体どうされるのか。私たちは、仲裁裁定を完全に実施していただきたい、また人事院勧告についても完全実施を強く求めておるところでございます。これはいわゆるスト権等の労働基本権の代償措置としてとられている現在の制度であり、また二十数年来よき慣行として労使問において確立されてきたものでございますから、ぜひとも完全に実施をしていただきたい。特にこれは大蔵省の腹、また財政のやりくり、その技術、腕前にかかっておるわけでありまして、大蔵大臣にこの仲裁裁定と人事院勧告の完全実施を強く求めるものでございますが、いかがでございますか。
  161. 竹下登

    竹下国務大臣 御意見を交えてのお尋ねでございますが、今年度の仲裁裁定につきましては、仲裁が出まして、そして政府として会合を持ちまして、簡単に申しますならば、予算成立後日なお浅く、今日の段階では完全実施が予算上可能であるとは断定しがたい、こういうことでいわゆる議決案件として同会に付議をしたわけであります。したがって、公式論で申し上げますならば、今日は国会判断を待っておる状態にある、こういうことになろうかと思うのであります。昨年の場合あるいは一昨年の場合、いろいろな例がございますが、いまの場合は、中身を申し上げてみましてもこのような状態で、話が進んでいるとかいう状態にはいまだない、言ってみれば国会の御判断を待つべきものであるという姿勢を持っておるというのが現在の私ども認識であります。  それから人勧につきましては、国会及び政府に対して勧告をする、こういうことでございますが、最終的には全国民立場にあって関係閣僚会議意見交換をし、内閣一体の責任で決定すべき課題であります。今日まで閣僚会議が三回ございました。その間、財政当局者といたしましては、財政事情は公債の発行残高が百兆円を超えておるという異例に厳しいものであるので、これからも行財政改革に取り組んで、もって財政の対応力を回復することが急務である、したがって、その認識の上に立って厳しい姿勢で臨まざるを得ないというふうに考えておるわけであります。  ただ、政治判断として閣僚協議会等で行われます問題といたしましては、もちろんいま御指摘になりましたように、昭和四十五年にいわゆる完全実施になっております。三十八年がたしか十月実施、それから九月実施、八月実施、七月実施、六月実施と年ごとに追って、四十五年にこれがいわゆる完全実施になったわけです。それ以来の確立した慣行と、いまおっしゃいましたことを十分承知しつつも、昨年、財政事情からこれを見送らざるを得なかったという状態が今日まで続いております。国会等におきましては与野党の話し合いもあり、またそれを背景とした議長さんの見解というものは、二年間続けて凍結することがないようにというような表現になっておりますが、凍結という言葉はフリーズでございますから、フリーズならリリースもあるという議論になりますが、私どもが受けとめておる表現としては見送ったという表現をしております。が、議長見解に示された見解というのは、同じように見送るなよということであるという認識も十分に持ちながら、最終的には国政全般あるいは国民的次元に立って決めなければならぬ課題であろう。したがって、現在の段階では、給与関係閣僚会議等において三回協議が行われたという経過をお答えするにとどまらざるを得ないという実情でございます。
  162. 塩田晋

    ○塩田委員 大体、民間の会社におきまして売り上げが非常に落ち、経営が苦しくなると、あしき経営者はどうしても弱い労働者、勤労者にしわ寄せをする、人件敬の圧縮をまず一番考えるのですね。よき経営者は、いかに苦しいときでも、まじめに働いておる勤労者には報いなければならない。一生懸命働いて活性化した労働者、勤労者がなければ、「企業は人なり」、人が本当に動かなければいい経営はできない、企業は発展しない。そういう点から言いますと、人勧にしろ仲裁にしろ後回しにして、そして人勧に至っては昨年は凍結してしまった、上げなかった。この人の面にしわ寄せをするというのは一番あしき経営だと私は思うのです。そういった考え方を根本的に転換をしていただきたいと思います。まじめに働いている公務員が大部分なんです。違法なストをやっている公企体の諸君、一部にはおります。また批判さるべき人もおりますけれども、一生懸命やっている人たちが大部分なんです。  現在も仲裁裁定は、池田内閣以来二十数年続いて完全実施されております。人事院勧告につきましても、いま大蔵大臣が言われたようによき慣行ができておる。その中で、いかに財政の異常事態とはいえ一財政のことを言いますと、二年前あるいは昨年にしましても、三兆円、六兆円の歳入欠陥で大変だ大変だと言いながら、大蔵省の皆さん頭がいいものですから、三兆円、六兆円はいつの間にかちゃんと措置をしてやっておられる。そこがまた技術といいますか、工夫すればできないことはない。やはり基本的に人を大事にする、人を基本に置いていくという観念を第一に持っていただきたい、このことを要望いたしまして、この問題はおきたいと思います。  ただ、大蔵大臣、仲裁裁定につきましては、なるほど国会に議決案件として付議されております。しかしながら、いつ解散総選挙があるか、大蔵大臣はどのように見ておられるかわかりませんが、もし万一、あるいはもう公算が非常に強くなっておりますが、今国会で解散総選挙になって、そして仲裁裁定の議決案件がそのまま議決されませんと、これは廃案になり、技術的に実施できないということが言われております。これについていろいろお聞きしたいのですけれども、時間がございませんので。そういった事態も考えられるということですね。その場合にはいろいろ次善の策としてあります。これは、政府当局が議決案件を引っ込めて承認案件に切りかえるとか、あるいは労使問で話し合って財政のやりくりをして、六月、七月段階財政上できないと思ったけれども、その後の財政事情がだんだん明るくなってきて最近の情勢ではできそうだという判断に立ては、議決案件を取り下げてすぐにでも労使問で話をして仲裁裁定を実施することは可能であるわけであります。そういったいろいろなケースを考えながら今年度内完全実施していっていただかないと、また今国会はそういう政局の急な状況から言って、この問題についてはひとつ真剣に考えて処理をしていただきたいということを強く要望しておきます。  それからあと一点、運輸省国鉄当局に対しましてお伺いをいたします。  国鉄共済年金制度の中で、六十年度でパンクするという状態は数年前から予測もしておられただろうし、今日に至るまでに当然に手を打つべきことだったと思われるのです。これを放置しておった経営責任あるいは監督官庁の責任、これは重大だと思うのです。しかも、よくよく調べてみますと、今度の法案の中にも出ておりますように、国鉄共済の従前の年金額と国公共済の規定に準じて算定した額の年金額と非常に差がありますね。差があるからこそまた、経過措置として下回らないようにという措置が出ているわけです。これは一体どうして今日まで放置をしてきたか。国家公務員国鉄職員との年金の差、算定なり独の出し方等につきまして幾つくらい差がありますか。
  163. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 いわゆる官官格差と言われるものかと思いますが、一つ基礎俸給のとり方の差がございます。三公社の場合には退職月の一日現在の俸給による。国家公務員の場合には退職前一年間の平均俸給ということになっております。  主な点だけを挙げますが、第二点は基礎俸給の最高制限が設けられておるということで、公務員の場合には現在四十四万ということですが、国鉄の場合には一応その制限がない。ただ、この該当者はほぼ役員に該当するものですから、国鉄の場合には数がきわめて少ないというように考えております。  それから三番日は、退職年金支給率の最高制限のあるなしということで、国鉄の場合には、共済方式ではございませんが、通年方式で計算する場合に七割の制限がございます。この点は国家公務員と同じでございますが、共済方式の場合にはその制限がない。こんな点が主な違いかと思います。
  164. 塩田晋

    ○塩田委員 細かくその問題を追及したいのでございますが、いま概略言われました数点があるわけです。たとえば最高額の天井ですね。この設定にしても、人数は少ない、こうおっしゃいますが、年々積もって何十年かになりますと、これは相当な人数になりますね。頭打ちになる人は毎年大体何人くらいですか。
  165. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 五十七年度末の数字でございますが、四十四万を超えている既裁定年金者が約千二百名ほどおります。
  166. 塩田晋

    ○塩田委員 それは一年度だけじゃなしに累積ですね。
  167. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 そうでございます。
  168. 塩田晋

    ○塩田委員 その金額にしてもかなりのものになると思いますね。  それから、いまの見直しですね。従前の額が上回る場合はそのままにして追いつくまでやるという、これは現在まで現に受けておる人たち、累積も含めて全部計算し直すわけですね。
  169. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 そのとおりでございます。
  170. 塩田晋

    ○塩田委員 そういった問題が、細かく見ていきますとたくさんあるわけです。国家公務員の場合は、昭和三十四年、恩給から共済年金へ移る際に全部見直して、そういった点を直したわけです。そのときに国鉄はまだ年金財政が豊かだからということか、合わさなかった。  それからもう一つ大きいのは、年金の額の算定の際に、過去一年間の平均で国家公務員はやっておりますが、いま言われたように、国鉄の場合は退職月の一日時点ですね。しかも、ぽんぽんと上へ上げて高い俸給で計算するということをいままでずっとやってきているわけですね。相当なものになると思います。国鉄年金財政がパンクするということがわかりながらそういったことにも手をつけずに、国鉄だけのせいじゃない、ほかの公社もそうです、あるいは議員立法でやったんだからわれわれは知らないんだということも言われますけれども、余りにも無責任だと思います。まじめじゃないと思います。どうしてそれをやらなかったか。これについて追及すれば幾らもあるわけでございます。しかし、それにもかかわらず他の各共済の方々が、掛金のふえることも覚悟の上で国鉄共済を救おう、こういう大乗的見地から相互救済をやろう、こういうことで、非常にこの案は麗しい状況なんですね。  しかし、本当に国鉄はもっともっと愛される国鉄にならないと、たとえば、あんな国鉄の人たちに私たちの掛金から援助するなんて真っ平だと言う。これは私が言っているんじゃないんです、国鉄のつくられたパンフレットにそういう表現があるのです。「あんな国鉄の人達に」というこの感じは、私のみならず国民一般にあるわけです。旧鉄が経営も労働組合も含めて本当によくやっているという、よくやっている人ももちろん日についております。また最近非常によく直しておられる、努力しておられるということもよくわかります。確かに直ってきました。しかしまだまだ目につくもの、国鉄を利用して本当に嫌な思いをした記憶のある者が、私のみならずたくさんおられると思うのです。そういった者が、何で掛金をふやしてまで国鉄を救わぬといけないかという感じは相当ありますから、そういったことを背景に今度の法案ができ、通る際には、どうかなお一層覚悟をして、愛される国鉄として、非難されないりっぱな労使関係つくり、本当にまじめに経常に取り組んで、しっかりした国鉄を、われわれ国民の同鉄でございますからつくり上げていただきたい、このことを希望いたします。  そして、これに関連いたしまして、先ほどの、激変緩和措置としていろいろ経過措置等をつくってありますね。それと同じ意味で、他の共済一緒になって財政調整をやりますが、その際に掛金がどうしても上がってくる可能性がありますね。その際に掛金についての激変緩和措置といったものを考えたらどうかという意見があります。これが一つ。  もう一つは、財政調整の際に「拠出する拠出金」という表現がありますが、これを「貸し付けする貸付金」ということであれば、大分他の共済の感じも違うのではないかという意見もあるのですが、これについてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  171. 保田博

    保田政府委員 お答えをいたします。  来年の十月に財政再計算が行われるわけでございまして、その際に国家公務員共済並びに公企体共済の掛金率は相当引き上げざるを得ないわけでございますが、これにはもちろん国鉄共済組合に対する財政援助のための負担もございます。しかし、その大半は、前回の財政再計算以後年金の給付改定が行われておりますこととか、あるいは保険料の具体的な計算に際しまして、平準保険料に対し修正率を乗ずることによって当面の保険料負担のアップ率を抑えたことによりまして年金財政に大きな穴があいておる、それを取り戻すためのものが大きいわけでございます。したがいまして、われわれとしては、御検討いただいておりますのは、われわれの単なる試算ではございますけれども、来年度の財政再計算におきましてはできるだけ大幅なアップが行われまして、これによって年金財政の将来にわたる健全性が確保されるということ、それから、現在の現役が安い保険料で高い給付を受けるということは、将来の年金の現役の人たちに重い負担を残すということでございますので、そういう意味で、現在と後世代との間の年金負担の公平といった観点から、できるだけ御提案申し上げておりますような線で保険料の引き上げが行われることを希望いたしておるわけでございます。  それから貸付金でございますが、確かに御提案のように、国鉄共済組合に対しまして貸付金によって財政調整を行ってはどうかという点につきまして各方面からいろいろ御提案がございましたので、われわれの方で検討をいたしたのですが、残念ながら、現在の国鉄共済組合状況からいたしますと、現時点で借入金で泳いだとしましても、将来返済が果たして可能であろうか、国鉄共済組合の将来についてバラ色の期待はなかなかむずかしいのではないか。仮に借り入れをした場合に、これを国鉄共済組合が将来返済するということになりますれば、その際に、その当時の被保険者が負担しなければならない保険料はぴんとはね上がって、とても負担し切れるものではないほど高くなるのではないか。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕  それから第三に、もし国鉄共済組合が国共済とか電電、専売の共済組合に対して、貸し付けられた金を返済できないというようなことが仮にあったとしますと、これらの組合の財政を悪化させるということにもなります。そして、それを将来の組合員が財源的に穴埋めをしなければいかぬ、保険料を引き上げなければならぬということになりますと、これまた現代の現役と将来の被保険者との間の世代間の不公平という問題にもつながるわけでございまして、われわれとしてはどうもやはり貸付金というのはぐあいが悪い、賛成しかねる、そういうふうに考えております。
  172. 森美秀

    ○森委員長 米沢君。
  173. 米沢隆

    ○米沢委員 塩田質問に関連いたしまして、二、三の質問をさせていただきます。  いま、財政調整の具体的な方法は拠出でなくて貸し付けにしてもらいたいという話がある。それに対していま大蔵省の方から御答弁がありました。私ども、この救済に回る方の負担増、あるいはまた給付水準の是正を考えましたときにはわからぬ話ではないわけであります。将来の保険料アップを弾力的に考えるなどの方策は、たとえば融資にするとか一部融資にするとか、あるいは積立金を崩すとか、いろいろなやり方もあると思うのですけれども年金財政の将来を考えた場合には泣いて馬謖を切る、そういう気持ちで拠出という形になったのだとわれわれは理解をしておるのであります。ところがこの制度審の中で、どうも拠出ではなくて貸し付けでやるような合意といいましょうか、法案には拠出という形にしなければならぬけれども、保険料のアップは弾力的にやるということ、当分の間は引き上げないということで合意があったのだというふうに、制度審に出た人から問いたのですが、これは本当なんですか。われわれは、それはそれで、もしそういう気持ちで運営の面で運営委員会で議論されるというならば、法案を出されるときに説明があるなり、あるいは法案にそれなりの気持ちが書いてあれば納得しますけれども、残念ながらそういうのは一切なくて、拠出だけでいきます、こう言いながら、どうもその中身の議論の中では、まあ積立金を何とか崩して保険料が余り上がらぬようにしましょうなんということで、何とかうまくやればいいんじゃないですかという話し合いがすでに行われておるというような話を聞きますと、これは不愉快でたまりませんね。その裏取引に参加できない者はだまされてこの法案を読んだようなもので、そのあたりをはっきりしてもらいたいと思います。
  174. 保田博

    保田政府委員 先生御承知のように、答申の取りまとめの段階におきましていろいろな御意見が対立をして、審議会が一時中断するといったような状況があったことは事実でございますが、最終的には、いろいろな御意見をいただきました結果、答申が取りまとめられたわけでございます。  意見の対立した主な点としまして、国共済と公企体共済統合の時期と、それから国鉄共済組合に対する救済の方法の二点というのがその主なものであったわけですが、その国鉄に対する救済の仕方としまして、法律が通った後、実際の運用の際には、貸し付けみたいなことでやってもいいといったような裏取引があったというふうにはわれわれは一切存じておりません。したがいまして、法案の御説則の際にそういうことに言及しないのはまた当然のことでございますので、その辺はよく御理解をいただきたいと思います。
  175. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、この法律ができ上がってから財政調整の運営委員会ができる、その中では少なくともいま私が申し上げたようなことは絶対ないというような取り扱いになるということですか。
  176. 保田博

    保田政府委員 具体的なやり方は運営委員会に任せられるわけでございますけれども、法律の骨格として、拠出によりまして財政調整を行うという基本が崩れることはないものと信じたいと思います。
  177. 米沢隆

    ○米沢委員 まあ信じるという言葉になるとちょっと問題だと思いますが、そこらは後からの問題ですから、運営委員会のあり方等について監視、といっても見て回るわけにはいきませんが、その成り行きを関心を持って見ておるということにしておきましょう。  それで、次の問題は、こういう問題が出てくるのは、結局負担増を何とか緩和してくれ、こういうことだと思うのですね。そこで、その負担をさせられる方は一体どこまで国鉄とおつき合いしなければいかぬのかという話がいろいろ再々議論になっておりますね。  そこで、それに関連してちょっとお話を開きたいのでありますが、ほかの地方共済あるいは私学、農林共済、このあたりの絡みもありますね。ここらが早く参加すればその分だけ負担増は減ってくるわけです。あるいはまた、これから五十九年から六十一年にかけて厚年国年を整理をし、そしてまた共済年金とすり合わせるということでございますから、そこらが早ければ早いほど負担増も、保険料をいつも国鉄さんに上げておる分が消えてしまうということでございます。プールして払うということになっていきますから、そこらのスケジュール等にもこれは絡んでくると思いますが、そういう意味で地方共済、私学、農林共済との統合みたいなものは、大体スケジュールの中でどのあたりに整理をされるのか。そしてまた、国鉄共済への支援は、つき合っている方は一体いつまでつき合えばいいのか。そのあたりの問題をちょっと聞かしてもらいたい。
  178. 保田博

    保田政府委員 将来の公的年金制度統合スケジュール、具体的内容等につきましては、先ほど来年金担当大臣の方から幾たびか御説明したとおりでございます。  われわれの今回御提案申し上げました統合法案は、その第一段階としまして、歴史的沿革、内容等がきわめて類似しました国共済と公企体共済をまず統合をする、給付面負担面においてできるだけ統合をするということをまず第一段階としてやる。それで、その次の第二段階としまして、五十九年度から六十一年度にかけまして、国民の非常に大きな部分をカバーしております厚生年金国民年金につきまして関係調整が図られるわけでございまして、共済組合の方は、それらの作業をにらみながら、できるだけ早くこれらの検討整合性をとりながら関係整理を図っていきたいと考えておるわけであります。おっしゃるとおり、保険集団の規模をなるべく早く拡大することによりまして、できるだけ負担の均一化を図りながら、公的年金制度全体の長期的な財政運営を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  179. 米沢隆

    ○米沢委員 ところで、将来の公的年金の全体像のスケジュールの問題でありますが、五十九年から六十一年までの措置は大体わかったわけですが、六十二年以降七十年までどういうものが措置されることになるのか。そのあたりの説明をちょっと欲しいんですね。たとえば、最終的には一元化しようというのですから、給付の同一化というものは一つの目標ですよね。そうなりましたときに、たとえば五十九年から六十一年の時点で共済年金厚年と大体すり合わせをするわけですね。そのときはすでに官民格差もやるわけですな。官民格差の問題もそこで解消するわけですね。六十二年以降は給付は同一にするのですから、今度は負担の面を、経過措置あたりも入れながら少しずつならしていくというスケジュールになろうと思うのですが、その場合、そういうことでいいのかどうかですね。  それからもう一つは、ちょうど共済年金とのすり合わせの段階で問題になるのは恩給期間部分の整理ですね。いわゆる追加費用の整理だとか、あるいはまた共済年金の中から企業年金部分を取り出して別にセットしなければならぬとか、そういう問題が出てくると思うのですが、そのあたりは一体どのあたりの時点で整理が行われるのか、それが第二点。  それから「共済年金制度改正検討項目整理メモ」の中に「共済年金の基本的性格」として、「社会保障としての公的年金制度であり、厚生年金の代行とも考えられるが、そのほかに企業年金的なものが付加されている。なお、事業主が行う福祉代行的役割をも果たしている。また、公務員法を根拠法としていることに見られるように、公務員制度の一環でもある。なお、恩給制度を引継いだという経緯から、経過共済年金には恩給的性格(国家保障)も含まれている。従って、恩給等…制度部分の費用については事業主負担が別途整理資源として投入されるのは当然となる。」こういうような共済年金の性格論が載っておるのですが、これはいまでも皆さん認めておられるわけですね。となりますと、厚生年金のすり合わせといいましても、実際は厚生年金の代行部分的なもののすり合わせだけであって、別の方の恩給部分みたいなものは相当の作業量になってくると思いますが、同時にまた、厚年との比較論からしますと、官民格差という議論もそういう中にはいろいろな意味で入ってくるのじゃないかと思うのですが、そこらの整理を一体どう考えておるのか聞かせてもらいたい。
  180. 林義郎

    林国務大臣 まさにいま米沢先生御指摘のような諸問題があるわけでございまして、私の方で次期通常国会厚生年金及び国民年金統合法案を出すとともに、出すことは出しますが、それと関連いたしまして共済制度との関係整理を図るというのは、そういった段階でいろいろやっていかなければならないだろうと思うのです。すべてが一気に解決できるとも私は考えておりません。できるだけ解決していかなければなりませんが、事は公的年金制度だけに限らない問題も出てくるだろうと思いますから、少なくとも公的年金制度関係するようなところにつきましては五十九年から六十一年までにと、こういうことで考えておりまして、そのほかのいろいろな制度の根本にわたるような問題というのがその次の問題にあると思います。当然経過期間その他の問題もその間に考えていかなければならないが、最終的なターゲットは七十年に置いておく、こういうことで御理解をいただければありがたいと思います。
  181. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、将来の年金財源の安定化対策としてどうしても避けて通れないのは、自主運用の問題ですね。林厚生大臣年金積立金の運用については自主運用にしたいという気持ちで、結論を八月までにまとめて大蔵箱と折衝したいというような話が新聞等には載っておりますが、この点はその後どうなったのでございましょうか。特に第二段階厚生年金国民年金関係整理年金一元化にはこの問題は非常に重要なかかわり合いがあると思いますし、五十九年度の法改正までに間に合わせるならば、余り悠長な話はしておれないという感じがします。  この前行革委員会で大蔵大臣が、何か現在の金利の七・三%をちょっと上げてもいいような話をされたと聞いたのでありますが、その中身について本音はどういうところか、ちょっと聞かしてもらいたい。
  182. 林義郎

    林国務大臣 どういう新聞記事が出ておったか知りませんが、私は、これから将来にわたって厚生年金及び国民年金統合を図っていく場合におきまして、給付水準の適正化を図る一方で、従来と同様に保険料の負担増を国民にお願いしなければならない。そういうことになりますと、負担は果たしてくれ、運用はということになるわけでございますから、当然に、その運用につきましては有利な運用というもので話をしなければ、国民の御納得をいただけないことは当然のことである。そうした点で、有利な運用ということは、年金財政そのものの中の特に保険料の負担増を食いとめるという役割りも持っているわけでありますから、そういったことを考えまして現在制度改正をいろいろと詰めております。その中で十分に検討していかなければならないと考えているものでございます。
  183. 竹下登

    竹下国務大臣 御案内のように、国の制度、信用を通じて集められた各種の資金は、資金運用部資金として統合して一元的に管理運用するというのが、今日までずっと貫いてきたところであります。しかしながら御案内のように、これまた年々郵政省等から自主運用問題というのは投げかけられております。したがって、この問題は概算要求以前にシャットアウトしてしまうということには、少し政治問題としては大き過ぎるというので、毎年年末にそれらの問題の議論をするわけです。  その意味において、私自身の財政当局そのものに立った今日の立場から言うならば、政策的重要性などに応じてバランスのとれた資金配分をしていくということ、それから、第二の予算とも言われる財政投融資計画でございますから、言ってみれば財政金融政策との整合性も確保していこう、そしてまた、効率的、機動的な資金運用を行うということから言うならば、やはりこれは一元的運用というのがたてまえであるというふうに考えております。  しかしながら、現在部分的に自主運用を認めているのじゃないか、こういう御議論もあろうかと思うのであります。確かに一部そうした措置をとっておることも事実でございます。しかしながらこの問題は、負担した者に直接福祉政策の形ではね返ってくるような運用がしたいという願望は当然一方に出てくる。そしてまた、集めた人の意思が働いていくことが好ましいという議論も当然出てくる。しかし本筋から言えば、やはり一元的逆用の中で、安全にして有利な運用をしていくのが筋道であるということでありますので、臨調答申等々からいっても、一元化運用は維持さるべきものであると書かれてありますが、そういう答申にすがっていくということでなく、やはり私は、財政論からでも一元的運用そのものが貫かれるべき問題ではなかろうか、こういうふうに考えております。ただ、かといって要求そのものをシャットアウトするほど私には力もない、こういうことであります。
  184. 米沢隆

    ○米沢委員 時間がありませんで余り議論できませんが、共済年金は自主運用されていますね。それで、最終的には今回の新法ができたとき、共済年金厚年あたりのすり合わせになったときに自主運用の問題がどういうふうに決着づけられるか、そういう問題がちょっと聞きたかったのです。  それから、今度の臨調もいろいろありましたけれども、「統合運用」みたいな言葉が入ってきた。しかし、政府は御承知のとおりいいとこ取りしてまして、脇洲の言うことすべて行革でやるかといいますと、みんないいとこ取りしてやってますから、こんなときだけ金科玉条で、「統合運用」と書かれてあるなんて言われても、ちょっと間に合わないという感じは実際私はするんであります。特にこの年金積立金は強制徴収したものですから、できるだけ有利に運用していくというのは行政の責任だろう。そのあたりは郵便貯金の郵便年金と違うと思うのですね。そこらあたりを参酌していただいて、できれば自主運用の風穴を厚生年金にもあけて、それでできるだけ有利に逆用しながら保険料等にも配慮できるような措置をするということが僕は行政の責任だ、そう思うのでございます。そのこともあわせてお聞きいたしたいと思うのです。  それから、統合運用で年金の積立金が自主逆用になっていく、郵便貯金が自主運用になっていくということになりますと財投の原資がなくなる、これはよくわかるのでございます。そういう意味で、それぞれある程度、程度はあると思うのですけれども、同時によく言われますように財投のあり方も、大蔵大臣考え直さなければならぬことがたくさんあるのじゃないか、そう思うのですね。御承知のとおり本四架橋とか東北新幹線とか北陸新幹線、赤字は明白ですね。一体いつ黒字になるかということも余りわからない。そういうところに実際はこういう年金原資みたいなものがほうり出されているというのはやはり問題ではないか、私はそういう感じがしてなりませんね。最終的な赤字は税金でしりぬぐいするわけですから、そういうようなところに貴重な年金財源が使われる。そういう意味で財投のあり方も、大きな役割りを持ってはおりますけれども、実際財投の広げ方等についてももっと慎重であってもらいたい、そう思うのでありますが、その点は大蔵大臣に聞かせていただきたい。
  185. 竹下登

    竹下国務大臣 財政投融資、その原資は資金運用部、そしてその資金運用部のまた原資はまさに年金財源であり、あるいは郵貯である、そういうことでございますだけに、これが有利運用されなければならぬということは事実であります。  一方、だからといって、このいわゆる国民のニーズに対応して、われわれ真水と言っておりますが、言ってみれば生の金がなかなか出しにくい場合、財投の持つ効用を活用して、政策遂行上これを役立たせ得ることも間々今日まであるわけであります。したがって、その辺の兼ね合いの問題もございますが、御指摘なすったとおり、国の信用において集めたわけですから、いずれにしてもこれが有利運用ということは絶えず考えていかなければならぬ問題だ。しかし、今日までもこの運用問題になりますといろいろ議論があって、金を買うとかあるいは土地に投資するとか、そういうようないろいろな議論がありながらも、今日、いわば元本保証のあるものに限っての一部運用を認めておるというような状態もございますので、原則は、臨調さんのそでの下に隠れてという意味ではなく、統合一元化運用というのが財政運営の上からはたてまえではないかなというふうな感じを持っております。
  186. 林義郎

    林国務大臣 積立金の運用はやはり有利に持っていかなければならないというのは、まさに先生御指摘のとおりだろうと思うのです。そうした中で、いま竹下大蔵大臣から御答弁がありましたように、一元的な運用をしていくといういまの制度の仕組みがあるわけでございまして、そういったいろいろな枠組みの中でどう考えていくかというのがこの問題のポイントだろうと思いまして、特に私は、置かれています金融市場の情勢などがずいぶん変わってきていることも事実でございますし、そういった観点もいろいろ考えまして、現在事務当局で鋭意検討さしておるところでございます。  最初に先ほど御答弁申し上げましたように、やはり年金を担当しています者といたしましては、それの拠出をされる方々、特に保険料を上げていかなければならないということになれば、その出される金がまた先生御指摘のように若干強制的に集める金でございますから、その御意見が十分に反映するような仕組みというものは考えていかなければならない、こういったことでいま鋭意努力をしているところでございます。
  187. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。
  188. 森美秀

    ○森委員長 小沢和秋君。
  189. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 大臣政府委員の皆さんも大変御苦労なことだと思いますが、私が終わりから二番目でありますので、いましばらくよろしくお願いしたいと思います。  今回の共済年金統合法案を私なりに勉強してみたわけでありますけれども、同鉄共済年金の危機を切り抜けるために、いままで国鉄労使にできるだけその負担を押しつけてきたけれども、もうそれでは間に合わないというので、類似の共済制度統合してほかにも押しつけて、それで政府だけは何にも出さないで、とにかくそういうやり方で乗り切っていこうという、全く虫のいい法案だという感じがするわけであります。  初めに、同僚議員からも同じような質問がいろいろあったと思いますので、その点で重複するかもしれませんけれども、私も納得できないからお尋ねをするのですが、国鉄共済の危機の原因がどこにあるのか。そしてその責任はだれが負うべきものかということですね。  私はいままでの議論を聞いておって私なりに理解をしたところでは、あの戦時中から戦後にかけてたくさんの人たちを国鉄に政策的に採用した。その人たちがいま集中的に退職期を迎えて年金受給者になっていっている。そこへ持ってきて、国鉄の経営が危機に陥ってきたために、一方では国鉄の現役の労働者をどんどん減らそうという努力が進められてきておる。この両方が相まっていまのような危機の状態を引き起こしたというふうに私なりに理解をしたのですが、そういうふうに考えてよろしいかどうか、まずお尋ねします。
  190. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 国鉄年金財政が悪化してまいりましたのは五十年代に入ってからでございますが、その対策といたしまして、何回か申し上げておりますが、四回に上る財源率の引き上げ、それから国鉄本体からの追加費用の負担方式の変更による共済組合の収入増加、こういうような財源措置によって、どちらかと言えば自力救済ということで今日までやってまいったわけでありますが、抜本的対策にならず、いまの事態を迎えた、こういうことでございます。  これに対しまして、見通しが甘かったのじゃないかとか、あるいはもう少し早く手を打つべきではなかったのかというような御批判をいただいております。反省すべき点はあろうかと考えておりますが、ただ基本的には、いままさに先生がおっしゃいましたように、国鉄本体の減量化に基づく職員数の減、それからちょうど終戦の前後の大盤採用者が現在退職時期を迎えておる、それによって二万数千名の年金受給者が毎年発生をしておる、こういうような主として社会的、経済的といいますか、そういう要因に基づく構造的な原因によるところが大きい、こういうように考えざるを得ないと思っております。
  191. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そこで、大蔵大臣にまずお尋ねをしたいのですけれども、いま私が理解したような国鉄共済の危機の原因だとすれば、これはいずれも国鉄の労使がその責任を負うことはできないような、国の政策の結果としてこういう危機が引き起こされてきたということになるのじゃなかろうかと思うのです。そうだとすると、もっと国が積極的に責任を負う、国も負担をするという態度はあってしかるべきではなかろうかというように私は考えるのです。全然負担をしないというのは私にはどうも理解ができないのですが、いかがでしょうか。
  192. 保田博

    保田政府委員 国鉄共済組合財政悪化の原因につきましては、先生御指摘のような国鉄に特有の事情があったということは私も否定はいたしません。しかし基本的には、長い目で見ました給付と負担の関係が長期的に安定したものになっていなかった。言いかえれば、負担に対して給付が高くて、将来の負担に耐え得ないものになっていたという制度の内容の問題がもう一つあるわけでございます。それからもう一つは、年金財政基礎国鉄という一つの企業に基礎を置いていた。それが産業構造、輸送構造の変化に対応し得なかったというところに、私はより基本的な原因を求めたいわけでございます。  原因がそうであるといたしますと、私は基本的には、この対策としまして給付と負担の関係、負担のアンバランスを是正しなければならない。その方向としては、負担を上げるか給付を引き下げるかのいずれか、あるいはその組み合わせしかないわけでございますけれども、現在世に行われております公的年金制度に対する批判の一つは、官民格差、特に公企体の給付が高過ぎるのではないかという批判があるわけでありますから、それを踏まえますれば、とりあえず公企体の共済組合の長期給付の給付水準を国共済の水準まで引き下げるというのが一つの基本的な方策である、そういうふうに考えております。  それからもう一つ年金基礎一つの企業にあるために非常に財政的に不安定になっているという点につきましては、やはりこれは基本的に保険集団のすそ野を広げることによって解決すべきものである、私はこういうふうに考えておるわけでございます。御承知のように、民間の企業が社会経済あるいは構造の変化に伴いまして経営が思わしくなくなった、人員整理が行われるといったようなときに、当然個々の企業が年金制度を持っておりますとその影響をもろに受けるわけでございますから、現在は厚生年金という非常に大きな保険集団で持ちまして、かなり大きな企業のそういう事情がございましても、この保険全体でカバーをするということになっておるわけでございます。  今回の国鉄共済組合財政悪化の原因が基本的に先ほど申し上げたようなことであるとすれば、今回御提案申し上げているような方策が基本的にとられるべきでありまして、その救済策を安易に国庫負担に求めるということではなくして、社会保険の枠内で強い者、弱い者が大きくまとまりまして助け合う、こういうことが基本であるべきだと考えております。
  193. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまいわゆる官民格差、国鉄共済が非常に内容が高過ぎるといったような話がありました。私も調べてみたけれども、それは若干はいいところがあることは否定できないと思います。しかしそれが、何かあたかも国鉄共済の今日のような危機を引き起こした基本的な要因だというような認識の仕方は全く間違っていると私は思うのです。しかし、そのことについてはほかにいろいろ質問したいから、論争しませんけれども。  そこで、国鉄共済事務当局にもう少しお尋ねをしたいと思うのです。国鉄共済年金の支払いを確保するために、従来国鉄が、本来国が負担すべきものをいろいろと負担してきたということがいままでも何遍も問題になっておるわけですが、その実態を確認する意味でちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。  一つはいわゆる追加費用です。戦前の鉄道省とか鉄道院とか言っておった時代からの恩給など、こういうような権利を全部国鉄がいま引き継いで支払っている。これを確保するために、いわゆる追加費用ということで莫大なお金が年々出されているというように問いているけれども、これが幾らぐらいのものか。
  194. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 追加費用は、現在の法律が施行される以前の期間に見合う年金給付費用でございますが、これは事業主である国鉄本体がその額を共済組合に繰り入れる、こういうことになっております。五十七年度でそのお金が三千六百九十二億ということでございます。
  195. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、これは国鉄ではなくて、当然政府責任を負って支払うべきものだと思うのですね。  それからその二番目が、他の年金には国庫負担があるけれども国鉄など公共企業体の共済にはない。その分を事業主が一五・八五%負担させられている。これも年間どれぐらいになるのか。  それからさらに、国鉄共済が危機に陥ってから、先ほど自力救済というお話が出たのですが、その自力救済ということで保険料がどんどん引き上げられて、他の公共企業体の共済よりもかなり高い負担になっていると思うのです。これが一体どれぐらいよけいな負担をさせられているか。これも本来国鉄が持つべきものなのかどうかという点では大いに議論のあるところじゃないかと私は思うのです。  この二つ、まとめてお答えください。
  196. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 最初の公的負担でございますが、国鉄もいろんな特別の法制下にありますので、たとえば全額政府出資であるとかあるいは予算が国会で決められるとかあるいは法制上特別の地位が与えられている、こういうことで公経済の主体たる地位にありということで、現在公的負担は国鉄が肩がわりしておりますが、その金額は五十七年度で二百八十億でございます。  それから、保険料についてのお尋ねがございました。保険料のうち掛金ということで申し上げますが、掛金は現在国鉄は俸給に対して七・四%でございます。これは他の共済の掛金に比べますと四割程度高い水準にございますが、現在のように年金制度がそれぞれ分離して運営されておるという状況下においては、その収支を確保する上において、先ほど自力救済の積み重ねの結果こうなったと申し上げましたが、やむを得ないことであると考えております。
  197. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 一つ一つの数字はお答えがないところもありましたけれども、こういう関係で、本来国が負担をすべきものを旧鉄が支払っている分が年間にしたら五千億ぐらいにもなる、こういうようなことを私たち聞いておるわけであります。  三番目にお尋ねしますけれども、もし国鉄がいわゆる厚生年金に加入していたとすれば、こういう余分な負担というのは全くなかったということになると思うのですね。厚生年金だったら国鉄は大体どれくらいの負担で済むのですか。
  198. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 厚生年金の負担率、事業主負担というのは御承知のように五・三%でございます。これは基本給に諸手当を加えた給与に対する比率でございますので、それと同じ程度を国鉄が負担をするとすれば、五十七年度で大体六百四十億ぐらいの事業主負担金になろうかというように思われます。
  199. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまお聞きのとおり六百四十億程度で済むものが、こういう共済をやっておるために余分な負担が年間五千億にもなろうとしている。私は、いまのように国鉄の経営が非常に苦しいときには、当然少しでも負担を軽くするという立場から、政府が手を打つべきだと思うのですけれども、今度の法案を見てみると、実際には逆で、こういう負担はそのまま残しておく。それだけでなく、さらに追加費用とか、あるいは他の年金の国庫負担分に当たるものの支払いの時期を変更するというような形での負担増とかいうようなものも合わせてまた二千億円も、国鉄労使や年金受給者まで含めて負担をしてこれを切り抜けろということになっているわけですね。こういうように、国鉄はいま、ただでも危機だというふうに言われているときに、共済の危機を切り抜けるためにどんどん負担ばかりかぶされてくる。一体こういうことで政府責任を果たしていると言えるのかどうか、これはぜひ大蔵大臣の見解を明確に示していただきたいと思います。
  200. 保田博

    保田政府委員 国鉄当局が共済組合に対して多額のいわば公経済負担をしておるということは御指摘のとおりでございますが、現在、わが国の社会保険制度におきましては、保険料を事業主と被保険者が負担するのが基本でございます。ただ、社会保険制度を推進するという立場から、被保険者の所得水準でございますとか保険給付の水準の高低といったようなものを勘案しながら、国とか地方公共団体、さらには国鉄、電電、専売といったような公企体が、公経済の主体ということで一定割合の公的な負担を行っておるということでございます。  それは確かに厚生年金と違うではないかということはおっしゃるとおりでございますけれども、全国的な勤労者一般あるいは私学なんかもそうでございますが、私学の教職員等一般を対象として保険を推進するといった場合に、国とか地方公共団体とか公企体にかわる何か公経済の主体があるかというとやはり見当たらない。そこで、最後に担保すべきものとして国庫負担をしている、こういうことなのであります。  したがいまして、年金制度の非常に古くからの沿革等に基づきまして財政援助の仕方が違うわけでございますが、特に公共企業体の共済組合の場合に、公経済の主体として各企業体が費用を負担しているそのことにつきましては、国鉄、専売、電電といったそれらの企業が、昔は確かに国の特別会計にその淵源を発するとかあるいは国の事業を代行しているといったようなこと、その収入もいわば税に類したものであるといったようなことから、公経済の主体としての責任を当然負ってしかるべきである、そういうふうに理解をしておるからであります。  先ほど先生御指摘のように、昭和六十年から六十四年にかけまして国鉄共済組合に対する財政調整事業を行いますが、その前提の試算についてごらんをいただきますと、国鉄の負担分が千四百億ふえることになっておるわけでございます。これは公的負担給付の負担切りかえ、あるいは追加費用の当年度払い、未払い分の繰り入れによる増といったようなものでございますが、これは、先ほど申し上げましたような公経済の主体として国鉄当局が負担をすることになるわけでございます。  いずれにせよ、これらの金は国鉄の損益勘定の損失に立つわけでございまして、国鉄全体の経営をどうやっていくかということが当然今後の予算編成の際の一つの大きな問題点になると思います。その点につきましては、国鉄監理委員会あるいは運輸当局、国鉄当局といったようなものと協議しながら善処をしてまいらざるを得ない、こういうふうに考えておるわけ、です。
  201. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、いまのようなやり方でいったら、国鉄国鉄共済の両方ともますます悪くなっていく、そういう悪循環になっているんじゃないかと思うのです。これをどこかで断ち切る必要があるんじゃないですか。いま国鉄の赤字が一兆数千億円というふうに言われますけれども、その大きな要因の一つがこの共済でしょう。だから、この共済が、さっきから話が出ているように六千億とか七千億とかという金額、それに莫大な借金をして新幹線なんかつくった、ああいう利子の支払いやらと合わせたら、いまの国鉄の赤字だ赤字だと言っている一兆数千億円にほぼ見合うくらいの金額になるのじゃないですか。だから、この辺にメスを入れれば国鉄の経営も立ち直るし、国鉄共済も安定していくことができるということになるのじゃないかと思うのですね。ところが、いまのように国鉄の労使に一切責任をおっかぶせる、それでもやり切れない分は今度はほかの共済に押しつけるというようなやり方でいったら、結局のところ、六十年から六十四年までの措置だと言うけれども、これが終わったときには国鉄の経営ももっと悪くなる、国鉄共済ももっと悪くなるということにしかならないのじゃないですか。それから先のことについてこれでは全然展望が出てこないと私は思うけれども、あなた方はどういう展望をお持ちですか。大蔵大臣、はっきり答えてください。さっきから次長ばかりだらだら答弁して困りますよ。あなた、ずばり言ってくださいよ。——また言う。大臣、やりなさいよ。
  202. 保田博

    保田政府委員 今回の財政調整事業は、昭和六十年度から六十四年度を一応五カ年計画の目標としておるわけでございます。五カ年計画が終了しました後どういう展望が開けるのかという御質問がと思うわけですが、決してその展望は明るいものではありません。今回御提案申し上げているような小規模の保険集団の拡大だけでは恐らくもたないであろうと思います。その点につきましては、公的年金制度全体を再編統合いたします第二段階としまして、昭和五十九年から六十一年度にかけまして厚生年金国民年金の間の関係整理が行われるわけでございまして、共済制度につきましては、この関係整理を横目に見ながら整合性のとれた関係整理をこれまた図ってまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  203. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまも言いましたように、国鉄の危機をほかの共済に押しつけるという形で切り抜けようとしているわけですが、そうすると今度は、ほかの共済の方もどんどんこれによって苦しくなってくると思われるわけです。大体専売なんかいまでも楽じゃない。だからさっきから逆転現象というような話が出たわけですが、五十九年十月から国鉄共済のための千分の十二の上積みを出さなければいけないということで、専売の関係が一九・四%の負担になる。それから国公と電電も一七・〇と、いままでから比べたら一挙に四割でしたか、先ほど数字が出たように思いますけれども、それくらい大幅に上げていく。こういうやり方でいったら、結局今度はほかの共済も悪くしていってしまうということになる。だから、その人たちはこういうやり方は納得できないということでさっきから議論になっているのじゃないんですか。
  204. 保田博

    保田政府委員 高齢化社会を迎えまして、将来にわたって年金制度財政的に安定させるための仕組みを考えることが急務であるということが、まさに先ほど先生がお示しになった数字であらわれておるわけでございます。したがって、基本的には給付の水準を適正な負担の水準に見合うものにする、そのための年金制度改革が必要であるということがまさに先生の御指摘の数字にあらわれているのではないか。それはあながち共済だけではないわけでございまして、厚生年金国民年金わが国年金制度全体の問題として、政府が緊急に取り組まなければならない年金財政の現状を示すものだ、こういうふうに考えます。
  205. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほどから七十年を目指して年金制度全体を統合一元化していくというお話があったのですが、私は、いまのような国鉄共済の危機を、まず共済全体をくくってほかに押しつけて乗り切ろうとするやり方では乗り切れない。そうすれば結局次は全体の統合ということで、今度は厚生年金やらにもプールさせてそこに押しつけていく。厚生年金の保険料も、国鉄が今度は二〇・四%ということになりますけれども、それから見ればいま厚生年金は一〇・六で非常に低いが、これもそういうふうにずっと上げていく中で全体におっかぶせて切り抜けていく。結局政府の方は今後終始一銭も出さないで、もっぱら国民の負担率をどんどん上げていくことによって乗り切っていこう、こういうような手法が私には大体見えてきたような気がするのですけれども、そういうことなんでしょうか。
  206. 保田博

    保田政府委員 年金制度は結局国民の負担によって支える以外にないのであります。それが保険料であるか租税であるか、それは制度の仕組みでございますが、いずれにせよ国民の負担によらざるを得ないということを御指摘させていただきたいと思います。
  207. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまの問題についての私なりの意見を出すためにも、次の問題に入りたいと思うのですが、いま政府は、この国鉄共済の危機をチャンスとばかりに、国民の意識革命というか、もうこれからは余り年金などが改善されると思うなよ、給付の水準は下がるし負担は重くなる、そういうものだと考えるというようなキャンペーンを盛んにやっているわけですね。そのキャンペーンの中身を見てみると、非常に意図的ないわば誇大宣伝が含まれているように私は思うのです。  その一つの問題として、厚生省年金局が出しました「年金制度のあらまし」というパンフレットの数字を取り上げてみたいと思うのですが、ここに「年金制度の将来の見通し」というのが載せられております。これを見ますと、給付費の対国民所得比というのが五十五年には三・九%であったものが、昭和八十五年には一六・一%まで四倍以上にはね上がるという数字が載っておって、これを見ると、これは大変だ、こんなに国民所得の中で比重が大きくなったら耐えられないだろうなというような印象を与えるものになっておるのですね。  ところが、よく見てみると、この国民所得というのは総人口増加率と同率で増加をするということを前提にして計算してあるのです。総人口増加率というのはどれぐらいかということを調べてみると、この三十年間で高い時期で年間大体〇・八%ぐらい、だんだん下がって、終わりごろは〇・五%ぐらいになるのですね。実際にこんな低い率でしか国民所得が伸びないという仮定自身が非現実的なものじゃないだろうかと私は思うのです。こういうものを前提にして、もうとてつもなく高くなる高くなるという宣伝は、これはまさに誇大宣伝じゃないですか。
  208. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 私どもつくりましたパンフレットの問題でございますが、一見先生御指摘のような疑念を持たれる場合もあろうかと思うわけでございますけれども、これは静態の計算でございます。静止状態で計算をして、現在価格ならどのくらいの割合になるかということを見たものでございまして、もちろん国民所得の伸びをある程度推定をいたしまして規模をふくらますという計算の仕方もあるわけでございます。ただ、国民所得が伸びますときは同時に雇用者の所得等も伸びるわけでございまして、過去の年金を見ていただくとおわかりのように、年金自体実質価値の維持をやっておりまして、従来は再計算のときに賃金に見合った改善をいたしておりますから、そういう意味では、国民所得一つの推定値で伸びるということは、同時に賃金、それに対応して年金の方もふくらむということでございまして、率にいたしますとその意味では恐らく余り大きな変わりはないものと思います。  ただいま御指摘のような疑念をお持ちの方が一般的には案外多いのじゃないかということで、五十八年版ではここら辺はそういうあらぬ疑いを避けるために削除しております。
  209. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 削除したというのは私もよく知らないが、これはその前のパンフレットで話をしているわけです。  いまあなたは、実質国民所得が伸びるときには賃金やらも伸びる、だから年金もふえる、だからこの関係はそう違わぬというようなお話がありましたけれども、私は、国民所得の数字が手元になかったのでGNPでちょっと計算してみたのです。低成長に入った昭和四十九年から五十七年までの九年間で、GNPの伸びの方は、四十九年を一〇〇とすると一四〇・七、四割伸びているのですよ。ところが賃金の方はどうかというと、この間は四十九年を一〇〇としたら一一一・八。だから、伸びる伸びると言われるけれども、いままでの実績を見れば、こういうようにGNPよりも賃金の伸び方がずっと低いのですよ。だからあなたが言われるように、その関係はそう違ってこないというような単純な言い方で、この数字はやはり一応信頼できるかのようなことを言うのは間違っていると私は思うのです。ここのところははっきりさせてもらいたいと思うのです。  実際GNPで見れば、この間実質三%から五%ずっと伸びているのですから、そうすると賃金に比べるとずいぶん大きくギャップがありますよね。だから、そのギャップが三%ぐらいずつで実質的にずっと積み重なっていくというふうに考えてごらんなさい、あなたの方はこれでいったら四倍からになるという計算だけれども、実際それぐらいのパーセントでずっとこのギャップが広がっていくというふうに見たら、倍にもならないぐらいということになるのじゃないですか。
  210. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 いま私が手元に持っております経済指標の数字は、十年間というのは出ておらないのですが、年度によりまして国民所得と労働者一人当たりの定期給与との伸びに違いがあるわけでございます。たとえば五十六年度で見ますと、国民所得の方は四・四%ですが、給与の方は五・四%というような年もあるわけでございまして、その意味では比較の時点をどうとるかでまた大分違うことが出てくることもあると思うのです。そういう意味で数字の上ではもっと精査してみる必要がありますが、いずれにしても、このパンフレットに出ておりますのは、そういう現在の価格で見たときにどのくらいになるかというところを見ようと思ってつくった数字でございまして、厳密な意味では誤解を招きやすいということでことしは削除したということであります。
  211. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、これをカットしたというのは、あなた方自身がこれは誇大宣伝だから引っ込めようということで、もうそのこと自体で勝負あったということだとも思うのだけれども、要するに四倍なんかにはならない、この数字自体が非現実的だということはあなた方は認めたわけでしょう。そこをはっきり答えておいてください。
  212. 林義郎

    林国務大臣 いま賃金と国民所得の話が出ました。私はこれはいろいろな見方があると思うのです。国民所得の伸びに対して賃金が伸びないという場合もある。しかし長期的に戦後の趨勢をずっととってみれば、やはり日本経済を支えているのは多くの労働者の方々ですから、その水準と国民所得は大体パラレルに来ているのが趨勢ではないかと思っているのです。だから恐らくそういった趨勢をもとにして事務当局資料出しましたが、昨今の状況を見るとまさにそういう御指摘のようなかっこうになってくる。これは、日本の社会構造、経済構造としてもやはり全体として考えていかなければならない問題が別にあると思います。あると思いますが、そういった点で御指摘のようなことも実はあったものですから、余り誤解を招くような話は出さない方がいいだろう。しかし、経済原論というか経済原則で言いますと、国民所得の伸びというのは一人一人の所得のトータルでありますから、トータルは伸びる。そうでなかったら国民所得概念というものがおかしくなるだろうと思うのです。そういったことで、だから誇大だと言われるのは非常に行き過ぎじゃないかと私は思いますけれども、そういったようなことは誤解を招くといかぬからという形で削除したものでございます。
  213. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 さっきも申しましたように、私の試算では二倍にもならないくらいだろうというふうに考えます。日本は何といっても世界有数の経済力を持った国でありますから、そのくらいのことであれば、マクロ的に見れば、いまの年金の水準というのは確かに簡単に維持できるとは私は思わないけれども、維持していくことはできるのではなかろうかというふうに考えます。ただ、ミクロ的に見れば、確かに計算上は年金の負担の仕組みが困難になってくるということは言えるわけですけれども、だから、マクロ的に見ればそういうような状態だということ、それが反映できるような財源をどう確保できるか、そういう仕組みをどうつくっていくかということをもう少し考えてみる必要があるのじゃなかろうかと私は思うのです。  もうちょっと具体的に申してみますと、いまこの年金の財源というのは、特に厚生年金なんかに例をとれば、要するにそこで働いている人数と賃金によって拠出する額が決まってくるわけですね。しかし、大企業などで最近急速に進んでいるロボット化あるいはオフィスオートメーションですか、こういうようなものによって、そこで働く労働者が物すごい勢いで減ってくる。そうする。と、大企業が非常に大きな経済力を持っているにもかかわらず、そして、そうやって人を減らして新しい機械などを入れたために利潤などがどんどんふえていっているにもかかわらず、そういうようなことが年金の負担の財源としては全然反映してこない。労働者の数が十分の一になったら、ほぼそれに見合うように年金の財源としても減ってしまうわけでしょう。ここでも一工夫する必要があるのじゃないかと思うのですね。  実際、私ども大蔵省の法人企業統計をもとにして「資本金階級別厚生年金保険料負担の売り上げ高比率のすう勢」というものをとってみたのですけれども、これで見れば、資本金が二百万から五百万程度の中小企業の場合には、昭和四十七年度の年金保険料負担の売上高に占める比率が〇・三九だったものが、五十五年には〇・六三へと一・六二倍にふえている。ところが、資本金が十億円以上の大企業になりますと、四十七年には〇・二七であったものが、五十五年には〇・三二とわずか一・一九倍、二割もふえていないのですね。だから、中小零細企業の方はこの保険料負担が売上高の中で相当な比重を占めております。ますますその比重は高まってきておるけれども、大企業はほとんどその負担がふえていない。この辺にもう少し着目をして、この辺から今後の年金の財源を確保することを考えてみる必要があるのじゃなかろうか。  実際、世界各国を見渡してみると、フィンランドなどではすでにそういうような考え方に基づいて、事業主拠出率を企業の資本集約度に応じて決めていくというような考え方を打ち出しているのですね。こういうようなことは政府として積極的に取り入れていく考え方はありませんか。
  214. 林義郎

    林国務大臣 ロボットの話が出ましたから、私からお答え申し上げておきます。  いまお話がございましたように、企業の中で大企業と中小企業、また零細企業における社会保険料の負担の程度が違っているということは事実だと私は思います。しかし、わが国年金制度は、相互扶助と社会連帯の精神に基づいて、従来から加入者が互いに保険料を拠出することによって老後の生活を支え合うという社会保険方式をとってきているところでありまして、御指摘のように、大企業はもうかっているからどうだというところまですぐに飛躍していくことはどうだろうか。  ロボットがやっているからたとえばロボット税を取れなどという御議論がありますが、そこまでやっていくと、それじゃロボットのかわりにコンピューターはどうだ、マイコンはどうだ云々の議論が出てくるわけでありまして、そこまではなかなか踏み切るわけにはいかないと私は思うのです。  ただ、こうした考え方の中で、いまフィンランドの例が出ました。あのフィンランドのような形のものを日本にすぐ入れられるかといえば、私はできないと思う。この社会保険料、特に年金の問題におきましては、労使折半というのが長い間のわが国の実情になってきておるわけでございまして、その原則は覆すわけにはいかないだろうと私は思っているのです。  ただ、大企業と中小企業の間で負担をどうするかという問題は、先生御指摘のとおりあります。だからその辺は、むしろその中においてどうするかということはルールとして少し検討に値する御提言ではないかと思っているところであります。私の方でもさらに検討させていただくことにいたします。
  215. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 時間が余りないから、それじゃその問題についてはぜひひとつ検討していただきたいということで先へ進みたいと思います。  次に、私は企業年金の問題について二言お尋ねをしてみたいと思うのです。  公的年金制度がこういうふうに非常にむずかしくなっている、だからこれからは企業年金に力を入れていこうというような意見があるわけですけれども、労働者の立場から見ると、いままで退職金としてまとめてもらっていた分を何年間かに分割してもらう、それに利子が若干はつくでしょうけれども、そういう程度のもので、公的年金制度を補充するものとはとうていなり得ないのじゃないだろうかという評価を私は持っているのですが、その点いかがお考えでしょうか。
  216. 林義郎

    林国務大臣 いわゆる企業年金という形でやっておりますのは、いろいろその種類があるわけでございまして、これは言うならば全くの積み立てで、それぞれの企業が全く企業の立場におきましてそれを有利に運用して求めていく、いわゆる普通の貯金その他のものとそんなに変わらないものだろうと思いますし、そういったものが労働者あるいは会社に勤めておられる方々の老後に対して一つの保障になると私は思うのです。先ほどお話がありましたように退職金制度のかわりに、退職金というのは一時に出るわけですね、企業年金であるならば年次を追って出るということもあっていい話だろうと私は思います。一概に否定すべきものではないだろうと思います。  それと、われわれの方で考えておりますいわゆる公的年金というものとはおのずから性格が違うわけでございまして、私の方でやっておりますのは、いま働いている世代がお年寄りのところをどう賄っていくかという全体のシステムでございまして、一般の企業年金というものは、たとえばインフレが非常に高進してくるということになると長い逆用をすることはなかなかできないということがある。われわれの公的年金の方につきましては、インフレに対しても強いような制度でなければならないというふうに私は考えているので、性格は全然違いますけれども、私は相補ってやることも一つの企業としての方向かとも考えておるところであります。
  217. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 すでに株式上場の七割の企業でこの企業年金が導入されているという話もありますけれども、私どもは、鉄鋼労連と電機労連が共同で五十六年十一月に調査をした資料というのをちょっと見てみたのですけれども、これでいきますと、一、二の例外はありますけれども、大部分は一時金でもらってしまって、年金を選択する人は非常に少ないのです。たとえばトヨタなどでも一時金の選択が九〇%というし、島津製作所などもいままで年金を選択した人はきわめて少ない。中には小松製作所などというようなところでは年金選択はまだゼロだ、こういうようなところもあるという実情なんです。  やはり、いま大臣も言われたとおり、インフレのことなども考えたら、いまもらっておいた方がいいというのが多くの労働者の気持ちです。だから、こういうものは奨励しても、せいぜいのところ企業の側にしてみれば、いわゆる退職金の引当金が損金として算入をされるのは四〇%どまりだ、これは余りメリットがなくなってきたのでこっちでやった方がいいというような程度の意味しか持たなくなってきているのじゃなかろうか。だから、年金サイドから見たら余り奨励してもしょうがないものだというふうに私は見ているのですが、大臣も大体その中立くらいのスタンスかなといま思ったのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  218. 林義郎

    林国務大臣 退職金の引き当て制度が出ましたから、これはむしろ大蔵省の方から御答弁いただいた方がいいかと思いますが、企業といたしましては、退職給与引当金というものは内部留保になるわけでありますし、企業年金というものは外部流出になるわけでございますから、おのずから企業会計上は異なってくるということがあると思います。  いま御指摘のように、退職をしたときに一時退職金をもらう方が非常に多いということもありますが、これはやはり長年にわたって給付されるのですから、その分一時にもらえば計算上はその分だけは減額になってくるわけです。だから、その辺の選択が会社をやめる方々についてあるのだろうと私は思います。だけれども、それはやめる方方がやめるときに、いままでは会社の借家におったけれども今度は自分の家に住まなくてはならぬとか、この際何かをしようとかいう形のものもあるだろう。私は、そういった企業年金制度というものがあって、そうした上であとは退職される方の選択に任せられるような制度というものはあっていいのだろう、こう思うわけでございまして、一概に否定すべきものではない。奨励をしろと言うほどやるべき話かどうかというのは、もう一つやはりやってみなければなりませんが、一つのあり方ではないだろうかなという感じを私は持っておるところでございます。
  219. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、最後の質問に入りたいと思うのですけれども、先日の社会保険審議会厚生年金保険部会意見の中で、いわゆる第三種の被保険者の取り扱いについて再検討すべきだということが出されております。これは炭鉱労働者の年金の支給開始がいま五十五歳になっている、これをほかと同じように六十歳にせよというようなことであります。しかし、これは私は賛成することはできません。炭鉱労働者は、機械化されたといってもやはり命がけの非常に劣悪な労働条件の中で働いているわけです。特に、私は石炭対策特別委員ということで先日も北海道に行ってみましたけれども、どの山もますます奥部化、深部化して労働条件は非常に悪い。だから、そういう労働者の皆さんは、いわば五十五歳が来るまでということで必死になって歯を食いしばって命がけで働いている。こういう劣悪な労働条件の中で六十歳まで働くということを期待する方が無理じゃないかという気が私はするわけです。しかも、そういう状況の中ですから、やめてから後も短命に終わる人が多いというのが実態だと思いますし、こういうことを考えた場合には、私は炭鉱労働者については従来と同じ五十五歳を今後も維持すべきだということを考えるわけですが、この点についていかがお考えでしょうか。
  220. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 厚生年金都会の意見書の中のそのくだりは、この第三種被保険者の特例だけではありませんで、過去、厚生年金保険では各種の特例的な取り扱いがあるわけでございます。そういうものをすべて今回は再点検をされたわけでございます。そういう中で、今後厳しい高齢化社会の中で一元化に向けて年金制度全体を考えていくというときに、一般的な制度である年金制度の中で、特定のグループについて優遇措置をするということが果たしてどの程度まで許されるのかということが問題になったわけでございまして、そういう意味で第三種被保険者の取り扱いも見直すべきであるという御意見でございます。  ただいまの開始年齢に関する先生の御意見でございますが、私どもとしては御意見として承っておきたい、かように考えます。
  221. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 確かに年金全体の体系の中でどの部分について特別な優遇が認められるかというのはむずかしい問題だと思いますけれども、いまも申し上げたように、炭鉱労働のいまの現実というものを考えた場合にはとても六十歳まで働けない、早期に引退せざるを得ないというのが実態だと思うということと、それから短命に終わる人が多いということを考えた場合に、年金をもらえるようになったら間もなく亡くなってしまったというような人が続出するような状態だったら、これは早く支給してあげなければ、やはりバランスからいっても公平を欠くということが出てくると私は思うのです。この辺についてはぜひ科学的に実態を調査した上で検討しなければいけない問題だと思うのですが、その点いかがお考えか、もう一遍お尋ねします。
  222. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 私どもで、第三種被保険者と一般の男子の第一種被保険者の方で年金を受給しておられる方の年齢区分別の人員を調べたことがございますが、その場合の分布では余り差がないわけでございます。そういう意味では、年金受給者としてはほぼ同じ程度のお年寄りとして存在しているということが言えると思いますが、いまおっしゃいましたように五十五歳ですぐ亡くなるというようなところは、ちょっとそこまでは私どももまだ調べておりませんので、社会保険庁とも相談をいたしまして、第三種として年金の資格がついた方が果たしてどのくらいの時期に死亡失権されるかというようなことを、どの程度調べることが可能かちょっとわかりませんが、遺族年金の流れとかそういうものも含めましてできる限りの調査はしてみたい、かように思います。
  223. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、最後に、いまの問題とも関連すると思うのですが、前同年金問題について質問をしたときに、いわゆる鉄鋼産業などの三交代労働者についても満コロという言葉がある、つまり満期でころっといくという言葉があるように、やはり私などが周囲で経験的に見ているところでは、亡くなられるのが早いという傾向があるのではなかろうか。だから、そういうような方については早期に支給をするということが、バランスから見ても必要ではないかということを前に申し上げたことがあります。この点も調べてほしいということをそのときも言ったのですが、その後この調査は進んでおりますか。
  224. 山口新一郎

    山口(新)政府委員 これは社会保険庁の方で実情をどの程度把握できるかという問題でございましたが、現実には被保険者の方がどういう状況で勤務をしておられるか、そういう勤務条件まではとても把握できないのが実情でございます。  厚生年金部会の御議論の中でもやはりいろいろな例が出ました。そうなりますと、むしろそういう問題はそれぞれの特殊な労働の場での問題として考慮すべきであって、一般的な年金制度で対応すると逆にまた不公平が拡大されるおそれもあるのではないかということで、第三種の被保険者制度のあり方そのものをむしろ見直した方がいいという御意見になったように私どもは受けとめております。
  225. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  226. 森美秀

    ○森委員長 柿澤弘治君。
  227. 柿澤弘治

    柿澤委員 きょうは、共済年金側度の統合を図るための改正法案の審査に当たりまして、大蔵、厚生両大臣を初め関係の皆さんを大変遅くまでお引きとめをして、お疲れのことと存じます。私の持ち時間は大変短うございますので、もう一息ごしんぼうをいただければ幸いでございます。  きょうの質疑の中でも、本法案に対して批判的な立場からの御意見、御質問が続いたように思いますが、私自身は、この法案は、行革国会と言われております今臨時国会の中でも、行革推進のために重要な役割りを担う法案である、そう認識しておりますし、そうした立場から、本法案と行革推進との関係について両大臣並びに国鉄当局の御意見を承りたいと思います。  経済成長の過程で業種別の成長のスピードに差が出てくる、また企業別に成長企業もあれば衰退企業もある、これは経済の冷厳な原則であろうと思います。そうした中で、共済年金制度は企業別の年金というスタイルをとっているわけですけれども、今後、低成長、高齢化を迎えて存続できるものかどうかと考えた場合には、存続が非常にむずかしい。その意味で、年金の基盤の拡大といいますか、統合がどうしても必要な段階に来ていると私は認識するわけでございますが、その点についての大臣の御意見を承りたいと思います。  二分しかございませんので、質問を全部まとめてしまいます。  その意味で、共済年金制度統合に関しましては、各企業体またはその企業体に働く方々の中で、自分のところが損をする、得をする、いろいろな議論が出てきているわけですけれども、そうした低成長経済、高齢化経済の中で、この統合がある意味ではやむを得ないものだ、また必要なものだということを、そこに働く方々も認識していただく必要があるのではないかと思います。  きょうもこの窓の外では、仲裁裁定実施を要求する組合のデモが続いておりますが、全専売、国労、全電通といい、労働者の連帯を掲げて闘っているわけでございます。そういう意味では、きょうは大蔵大臣からもしばしばそこに働く方々の連帯というお言葉が出ましたけれども、連帯精神をもう一度見直して、本法案の成立に積極的に協力をするという姿勢が各企業体の働く皆さんの中に芽生えてほしいものだ、こう思うわけでございます。これは両大臣だけでなく伊藤委員の御意見伺いたいのですけれども、議事規則でそれはできませんので、両大臣の御意見を例えれば幸いでございます。  また、行政改革との関連という意味では、私も昭和四十年代の半ばに国鉄財政を見ていたことがございます。国鉄の人員縮減を含む経営の合理化をやれば、国鉄が再建したときには国鉄共済がパンクをするときだとしばしば言われてまいりました。その意味では、国鉄の人員縮減を含む経営合理化をしていくためにも、それを推進するためにも、この国鉄共済年金の救済案というものを実現していくことが必要なのではないか。その意味では、年金統合なくして国鉄の行革なし、こう感ずるわけでございますが、その点について大蔵大臣並びに順鉄御当局の御意見を承れれば幸いでございます。  また、最後になりますが、将来の展望としましては、共済年金をこうした形で統合いたしましても、今後行革が推進される場合には、国家公務員、公企体も含めた、今度統合される共済年金全体がまた危機に見舞われないとも限らない。その意味では、官と民の年金制度統合というものが今後の道筋としてどうしても必要になってくる。この統合法案はそれへの一里塚であるというふうに感ずるわけでございますが、今後の展望等をも含めて厚生大臣の御意見を承れれば幸いでございます。  以上、幾つかまとめて質問をさせていただきましたが、老齢化社会を迎え、低成長経済を迎えました現段階において、この法案を一日も早く成立させていくことが今後の行革推進の基盤になること、親方日の丸の思想をこの際思い切って払拭して連帯を確立すること、これが必要だと感ずるわけでございますが、締めくくりに両大臣の御意見を例えれば幸いでございます。  以上、よろしくお願いをいたします。
  228. 林義郎

    林国務大臣 第一に、産業間、企業間の格差がある。私は、栄枯盛衰常ならぬものがあるというのがこの社会だと思うのです。そうしたときに、その企業の中だけで労働者あるいは退職者の問題をカバーすることは非常にむずかしくなってきておる。また、産業だけでやっていくこともむずかしくなっていることは先生全く御指摘のとおりでありまして、広くネーションワイドと申しますか、全国民的にやっていかなければ年金制度というのは確保できない。来るべき高齢化社会に対して、老後の生活、所得保障というものは非常に大きな問題だろうと思いますし、その老後の生活、所得保障をするのがこの年金制度であるということを考えるならば、やはりそういったものを飛び越えてやっていかなければならない。そのときには、先ほどちょっと言葉が過ぎるかとも申しましたけれども、小異を捨てて大同につくという精神で、これは連帯の精神でもってやっていただかなければ前進をしていかないだろう、私はこう思います。そういった意味で、相互扶助、連帯の精神をもってぜひやっていただきたい、こう思っておるところでございます。  国鉄と行革の関係は、恐らく大蔵大臣あるいは国鉄御当局の方から御答弁がありましょうから、私からは省略させていただきますが、今度は官官統合でございますから、やはりこの次には官民の問題に取り組んでいかなければならない。その前に、民の間における厚生年金国民年金との統合をこの次の通常国会にお願いをしようと思って鋭意努力しておるところでございますし、そうした中で、またそれと関連をいたしまして、官民の統合の問題を七十年を目途にして私たちも一生懸命努力をいたしたい、こう思っておるところでございます。  柿澤議員から、ぜひしっかりやれという御激励を受けましたことを心から感謝申し上げまして、私の答弁といたします。
  229. 竹下登

    竹下国務大臣 御意見を交えての御質問でございますが、私からお答えすべきことは、御意見の中で御開陳いただいたことと同じことではないかと思うぐらいでございます。  確かに高齢化社会、素朴に国民感情としてみんなが思うことは、かっての恩給制度というのは、平均寿命がそれに満たなかったときでございますから、これは問題意識としてはいまのような重大問題にはならなかったと思うのでございます。そうして、いろんな歴史経過の中で今日の各種年金制度ができておりますが、歴史経過が違うだけにいろんな問題をはらんでおりますものの、そこに原則として言えることは、まさにすそ野を広げていくということが基本的には存在する第一義的なものであろうと思います。そのささやかな第一歩としてのそれが今度の共済統合であるというふうな理解を私どもはいたしております。  それから、連帯の問題でございますが、本当に今度は、なかんずく国共審の御審議をいただきます際に、いろんなそれぞれの立場で、職場エゴもございましょう、しかし、そのエゴを超越して、とにかく法律を出すために少なくとも手続上完備しなければ困るではないか。だから、中間報告をもって答申にかえるというようなものであったにしても、答申出していただいたというその背景には連帯の精神があったからだ、これだけはいまでも謹んで私は感謝をいたしておるところでございます。  それから、国鉄改革の問題と年金の問題でございますが、国鉄という一つの企業の抱える共済年金に対して、多額の国鉄財政がここに出動しておるわけであります。間接的に国の財政国鉄そのものに出動しておるということを考えてみますならば、国鉄そのものが、これから監理委員会でどのような議論がされ、二年間できちんとしたものをつくって二年間でフォローアップするかというようなことをこの間も行革委員会で亀井委員長からお答えがあっておりましたが、どういう形になるかは私はいま予測するだけの能力を持ちませんけれども年金というものの解決が国鉄改革に向けて大きな、表現はいささか適切でございませんが、手かせ、足かせを除去する要因になるであろうということは、私のつたない頭でも想像のつくところでございます。
  230. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 国鉄の経営再建と年金統合との関係についての御意見だったと思いますが……
  231. 森美秀

    ○森委員長 簡潔にお願いします。
  232. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 はい。——国鉄のいまの年金国鉄年金制度一つの企業内の年金制度でございますので、御指摘がありましたように合理化をすれば年金財政に悪影響を与える、こういうことがございます。また、年金の先行き不安ということは職員に不安、職員の士気に影響を与えるといいますか、そういう意味でも経営再建ということにきわめて重要な関係を持つということであります。経営再建を進める上においても統合はきわめて重要な前提だと、先生おっしゃるように考えております。
  233. 柿澤弘治

    柿澤委員 終わります。
  234. 森美秀

    ○森委員長 以上で連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後七時四十三分散会      ————◇—————