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竹下国務大臣 まず、
減税についての
与野党間の協議の
過程で、
最初各党間の
合意がなされ、それに「
衆議院議長見解」というものが背景に存在しております。それに基づいて
政府としては、七月以来
所得税・
住民税部会を
税制調査会の中で精力的にお開きいただいて、その答申をいただいて今日
提出し、御審議いただいておる、こういう経過をたどっております。
それと並行して、
各党間の話し合いはたびたび持たれました。それを集約いたしますと、まず一点は、
法案は十月下旬に
提出する、これが
一つであります。二番目には、
実施は
年内とする、これであります。三番目は、
景気浮揚に役立ち得る
大幅規模とする、この三つに集約されると思います。
この
減税の
年内実施ということは、まさに
昭和五十八年分の
所得税の
臨時特例等に関する
法律案を十月二十八日に
国会に
提出したことによって、
さきの
合意のうちの十月
提出と
年内実施という条件は完全に満たされておるというふうに御理解をいただきたいと思います。三番目の
景気浮揚に役立つという問題でありますが、
政府は今年度
予算審議の
過程においてたびたび明らかにしておりますように、年度間を通じての
経済成長を三・四%というふうに申し上げてきておるところであります。したがって、今回の
減税というものは、三・四%の
成長をより確実ならしめるという趣旨にまさに沿ったものであるというふうに考えておるわけであります。
先ほど御意見としてお述べになりましたように、
総額一兆二千百億円、これはまさに大
規模なものであります。そうして、このうちの五十八年分は年末
調整でお返しすることとしておりますし、一−三月分は来年の年末
調整で
調整いたしますし、四月分からは
源泉徴収税額の減額という
本格減税を行うことに相なりますので、そうしたもろもろの
期待感を含めて
景気振興に資するというふうに私
どもは考えております。
と同時に、今回の
減税は、単に短期的な
景気浮揚という
観点からだけでなく、いわば
社会経済の実態に即して、
所得税制を全体としてより公平かつ適正なものとすることによりまして、今後の
経済の
安定的成長に資することができるよう、その
政策的観点を踏まえて行われたものでありますが、これは
中長期に見ますと、
経済に対して好ましい影響を及ぼすものであるというふうに
期待の持てるところであると確信をいたしております。