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1983-10-05 第100回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月五日(水曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 森  美秀君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 米沢  隆君       麻生 太郎君    奥田 幹生君       粕谷  茂君    久間 章生君       熊川 次男君    小泉純一郎君       近藤 元次君    白川 勝彦君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    船田  元君       保利 耕輔君    森  喜朗君       森田  一君    柳沢 伯夫君       山崎武三郎君    与謝野 馨君       上田 卓三君    塚田 庄平君       戸田 菊雄君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    武藤 山治君       柴田  弘君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君       小杉  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      前田 正道君         総理府人事局次         長       吉田 忠明君         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵大臣官房長 吉野 良彦君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         厚生大臣官房審         議官      古賀 章介君         厚生大臣官房審         議官      下村  健君         労働政務次官  愛知 和男君         労働省労政局長 谷口 隆志君  委員外出席者         日本専売公社副         総裁      石井 忠順君         日本専売公社管         理調整本部職員         部長      伴内 昭彦君         日本専売公社管         理調整本部職員         部厚生課長   本田 博貞君         日本国有鉄道副         総裁      馬渡 一真君         日本国有鉄道常         務理事     三坂 健康君         日本国有鉄道共         済事務局長   岩崎 雄一君         日本電信電話公         社副総裁    北原 安定君         日本電信電話公         社職員局次長  大星 公二君         日本電信電話公         社厚生局長   中原 道朗君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     久間 章生君   木村武千代君     保利 耕輔君   笹山 登生君     奥田 幹生君   椎名 素夫君     船田  元君   塩川正十郎君     近藤 元次君 同日  辞任         補欠選任   奥田 幹生君     笹山 登生君   久間 章生君     今枝 敬雄君   近藤 元次君     塩川正十郎君   船田  元君     椎名 素夫君   保利 耕輔君     木村武千代君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合  制度統合等を図るための国家公務員共済組合  法等の一部を改正する法律案内閣提出、第九  十八回国会閣法第五三号)      ————◇—————
  2. 森美秀

    ○森委員長 これより会議を開きます。  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  3. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 本法案国会審議もいよいよ大詰めを迎えまして、私は、先々国会、九十八国会からいままで先輩、同僚の皆さんの真剣な御討議を伺いながら思っておるのでありますが、いよいよこの大詰め段階に当たりまして、立法府としてこの法案をどう処理をするのか、あるいはどう仕上げるのか、あるいはどのように執行しようとしているのか、その心構えが前提条件として非常に重要であることを痛感をいたしております。いままでの経過を見ましても、大蔵委員会としてもまれに見るような状況を呈しておりますし、各党の皆様もいろいろと御苦労をされているわけでありますし、野党の皆さんにも御協力をいただいているわけでありますが、どう仕上げてどう執行しようとしているのか、その構えがまず前提ではないだろうかというふうに思うわけであります。  いままで数々の御議論がございました。改めて私から指摘をするまでもないと思いますが、大変無理な経過で出されてきた。表向きの御答弁は別にして、これは否定することのできない実態であると思います。国共審での長い期間にわたる議論あるいはまた経過報告という形式の答申、その文章とか、また国共審議事録などもいろいろと私も読んでみましたが、経過についても結末についても関係者苦渋がにじみ出しているような気持ちがいたします。関係者皆さんは私も長年のお知り合いの方が多いわけでありますが、その状況が目に見えるような気がいたしましたし、またその文章を見ましても、これも改めて申しませんが、たとえば時期的にも最悪である、審議の時間も限られている、とりあえず経過を略記して答申とするというふうなことになるわけであります。言うならば、もめにもめて出されてきた。本来でしたら仕切り直しをして十分な議論がなされればいいのでありますが、現実ここまで参りまして、そう考えますと、どう仕上げるのか、それから政府の方がこれからどうしようとしているのか、特に大蔵大臣監督大臣として責任者でございますから、非常に大事になっているのではないか。立法府審議も、これからの移行過程も、国共審議論と同じように今後もとげとげしく、きしみながらいったら大変なことになると思います。執行にかかったら直ちにさまざまの、たとえば行政訴訟が起きた場合はどうとか、問題が起こったらこれはとても大変なことだろうと思います。数百万の方々が深刻な思いをする。それだけではなくて、昨日の連合審査でも、大蔵大臣からも、また厚生大臣からも話がありましたように、全的統合に向けての第一段階、第一歩である。そういう意味では、ほかと連動してこんなことがあったら国家的、国民的課題のこのテーマについて非常に不幸なことになるのではないだろうか、いままでの審議を伺いながらそのことを一番痛感をするわけであります。  そういう意味で考えますと、いままでの経過、今日の状況、そうして今後を考えますとまさに責任は大きいというわけでありまして、そういうことを考えますと、私はまだ経験の浅い議員ではございますけれども、将来に向けて、この立法府政府、与野党含めまして政治責任をりっぱに果たしていく。たてまえ論のガードを固めた答弁議論ではなくて、そういう姿勢が必要であるし、そうして、法案は通したからいままでと同じように、言葉は悪いけれども、強権的といいますか、無理ときしみをとりながらやっていくというようなことでは大変なことではないだろうか。いよいよ大詰め段階でありますから、特に最初に監督大臣となられる大蔵大臣に、いままでの経過を率直に振り返りながら、この仕上げ、最終段階、そうしてまたこれからの執行過程、まさに国民的な影響の出る問題でありますから、その辺は十分に配慮をした、また誠意を持った行動が必要ではないだろうかというふうに思うわけでありますし、竹下さん、大変失礼ですが、非常に十分な気配りをされる大臣政治家であると伺っておりますが、その辺の気持ちをまず前提に伺って、中身に入りたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの御指摘をいただきましたように、この法律案、少なくとも出そうということを決めた後、決めるまでの経過は別といたしまして、二つの審議会答申をいただかなければならぬ。しかし、その審議会が、まず国共審に始まりますならば、これはそもそも審議会のない三公社関係をどうするか、いきなり制度審にかけるというのも少し荒っぽい、そういうことから国共審の方で三公社関係者皆さん方にも、配慮の上では、国共審委員の方と同じような立場で御発言をいただいたりするような運営の仕方をしようというところまで踏み切っていただいたときに、率直にありがたいことだと思いました。そうして、途中、時に懇談会に切りかえ、いろいろな形で議論をいただきながら、御指摘のように両審議会とも、一体これが諮問したものに対する答申であるか、中身はないではないか、こういうことも評価としていただかなければならないような形の答申になったことも事実であります。が、しかし、私はそういう答申というものは、いわば二十五年以来初めてだというふうなことを国共審ではおっしゃっておりましたが、少なくともそこまで来た法律の避けて通れない審議会という段階であるならば、出せる条件だけは具備してやろうというのが、よかれあしかれ答申という形になったゆえんのものではないか。そうすると、それを支えたものは何かというと、私はまさに連帯の精神がそこまで来た、深々とこうべを下げて手を合わせ拝みたい気持ちであったと、これは率直な私の感じであります。  法律というものはいつの場合も、通ってしまえばひとり歩きをする、ごうよく言われる言葉であります。したがって、これの法律執行責任者たるものは、そういう経過苦渋に満ちた審議協議国会の場でもそうであったと思います。したがって、そういう背景のもとに成立した法律であるという認識をまず持って、言ってみれば条文に書いてあるとおりのひとり歩き的執行をした場合には、生まれるまでのいろいろな方々の御苦労に対しても申しわけないというような気持ちでもって執行には当たっていかなければならぬ課題だと、素直に私はそう思っております。
  5. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それでは、中身に入らせていただきたいと思います。  私は、中身を考えますと、いろいろと真剣な御議論の中で実は思うことがあります。何か、昨日の連合審査のときにもある党の方からわが党に向けたみたいな形で、あるいは国労以外の労働者に向けたみたいな意味連帯ということをことさらに言われる向きがありましたが、私は、今日までの議論、それから関係する労働組合方々とおつき合いをしながらやってまいりまして、大前提は、長年働いてこられた国鉄OB皆さん年金が払えないような事態は絶対避けなければならない、真心からみんなが真剣にそう思いながら、一歩でもどう改善できるかという気持ちお互いにやっている、そういうぐあいに思っているわけであります。少なくとも、私たちのおつき合いしている労働組合労働者で、自分だけ損じないようになんと思っている人は一人もいない。そういう気持ち大前提に実は今度の論議は行われているというふうに私は思っているわけでありまして、端的に言うならば、必要な決断はしましょう、必要な決断はちゃんとやりましょう、それにしてもやはりこの点は何とかならないかという、切実な段階での議論に進んでいるというのが今日の状況だと思います。  そういう意味でまた考えてみますと、さまざまな御議論もございましたし、関係団体のさまざまな御意向もあります。国鉄方々の、長年働いてこられたOB年金を払えないような事態は絶対に避けなくてはならないという切実な思い、これも当然のことであります。同時に、もっと考えるべき点、もっとやるべき点がたくさんあるのではないだろうか。中身の細かい内容はこれから後にいたしますけれども、素朴な大衆的な感情として、これも大蔵大臣は大きな責任を持たれるわけでありますが、人事院勧告が凍結されている、おととしの月給で暮らしているのに、どうして掛金や負担は上げなければならないのかという素朴な気持ちが起こることも、私はもっともな気持ちだと思います。あるいはまた仲裁にいたしましても、いろいろの事情の中でわずか上がる、そのうちの三分の一くらいはそれに回す、その方に取ってしまうというようなことになる。一体どうやってそれが組合員に説得できるのか、あるいは納得がいくのか。これは深刻な矛盾なり気持ちを感ずる、私もそれはもっともだと思います。政府の方から経営形態の問題も出されています。来国会出されるでしょう。また、法人格、人格が変わるのに長い期間にわたって国家公務員共済組合法で対応しなければならない、これはどうだろうか、そういう気持ちが起こるのもまことにごもっとも、自然な気持ちではないだろうか。そういうものをこの政治責任立法府責任の場でどう打開をしていくのかという次の段階にいま入っているというふうに思うわけであります。  大臣も御承知だと思いますが、わが党はそれにつきまして九項目要望書を出しておりまして、いろいろと真剣な御議論をいただいていることについては敬意を表します。そういう気持ちの上でありますが、具体的にやってまいりたいと思います。要望している九項目の順序とちょっと違いますが、お願いしたいと思います。  まず一つは、そういう意味で民主的とかあるいは合意が得られると考えますと、国家公務員共済組合連合会の機構、運営現実ということを実は考えざるを得ないわけであります。私……(堀委員法案審議なのにこんなので審議していいのですか、こんなにばらばらで。ちょっと休んだらどうですか」と呼ぶ)  ちょっと、委員長……。  具体的な質問に入ります。申し上げましたように、国公共済連合会の問題でありますが、国共法の二十七条に役員規定がございます。理事長一理事九名以内、監事三名以内。そのほかにさまざまな役員がいらっしゃいます。参考までに、一体どんな方々が、たくさんの組合員から拠出をいただくこの事業を運営をしているのかということを調べてみました。個人名は省きますが、前歴、現職を見てみますと、住宅金融公庫副総裁本四連絡橋公団理事人事院公務員研修所長、会計検査院第一局長公取委員会事務局何とか部長大蔵省官房審議官総理府北方対策本部審議官現職理事方々が衆議院の管理部長文部省管理局長最高裁判所事務総局経理局長造幣局東京支局長法務大臣官房長というふうな経歴に実はなるわけであります。それ以外の役員はどうだろうか、資料のお願いをしましたが、役員一覧表だけありまして、どんな出身の方なのかというところまではいただくことができませんでしたが、いろいろ調べてみました。大体調べて聞いてみましたが、同じような体質になっているわけであります。  その内容を見てみますと、国共済連合会というのは、保険者として監督官庁から独立性を持った機関というのではなくて、まるで大蔵省所管特殊法人のようなものでありまして、私も連合会のどなたか責任ある人にきょうも来ていただこうと思いまして念のために聞きましたら、もちろん政府機関ではありませんで、法人格が別で参考人になりますというような話だったんですが、およそ独立性を持った機関というふうなことには感じられない。高級官僚天下り先大蔵省出先機関、言うならば大蔵省監督機関にすぎないみたいな状態になっているというのが現実になっているわけであります。私も先般この連合会管轄の病院の労使の問題で相談を受けたことがありましたが、いろいろ聞いてみたら、長年にわたる協議についても、理事長組合代表に一遍も会ったことはありませんというふうな状態でありまして、官僚的な体質になっているし、運営もぎくしゃくしているというのが隠れもない現実ではないだろうか。それを任命しあるいは許可しているのは大蔵大臣ということになるわけでありまして、組合員の声が届くような運営にやはり体質を変えなければならない、民主化をしなければならないということを痛感をするわけであります。  また、念のためにほかはどうだろうかということを調べてみました。九十八国会、同じ国会地共済組合法、これは議了になっているわけでありますが、法案が出されているわけであります。さきの国会で成立をいたしているわけでありますけれども、その内容を見てみますと、第三十八条の四になりますが、地共済連合会審議会を置く。国共済連合会評議員会に相当する機能を持つ機関になるわけでありますが、そちらの方は構成中身として「組合及び地方公務員共済組合連合会業務に関する事項について広い知識を有する者のうちから任命しなければならない。この場合において、委員の半数は、組合員代表する者でなければならない。」という規定になっております。国公共済法の場合とはえらく違った内容、これが同じ国会に出されているというふうなことに実はなるわけであります。これも非常に奇妙な感じがするわけでありまして、いろいろ実態を聞いてみますと、地共済組合法の方はそういう規定ですから、関係者が極力表裏円滑に話をして、うまく納得のいくような運営にしようというふうなことになっているようであります。それが本来の姿であろう。同じ国会に同じ政府から出されている法案でもなぜこんなに違うのだろうかということで、やはり非常にけげんな思いがいたします。  また、いま申し上げましたように、今日ただいまの重要局面であります。しかも非常に無理な経過で今日これをどうしようかという最終局面を迎えているわけでありますから、まさにいまの時点信頼を広めるような民主化努力をしなければならないということが当然ではないだろうかというふうに思うわけであります。組合員に新たな負担をかぶせようという内容ですから、官僚的ではどうにもなりません。その辺の実態その他いろいろと関係者にも聞いてみました。たとえば大臣承知江田さんなんかにいろいろ話も聞いてみました。僕もおかしいなと思ったのですが、運営上改悪をされている部面もあるわけです。数年前に私の尊敬する方が監事になっておられました。その方が亡くなられました。ところがその後は官僚ポストといいますか、高級官僚天下りにそのポストが占められているというふうな現在の状況になっています。いろんなところでいろんな努力をして、少しでもよくしようというつもりであったのが、今度は逆におかしくなっているという現象も生まれている。これも私は江田さんに聞きましたら、ずいぶん指摘をされました。  それで答弁を求めたいわけでありますけれども、やはり基本的には少なくとも地共済組合法と同じような構成中身に修正をさるべきであろう、そういう努力をいますぐかあるいは一定の時間をかけてか、やられるべきではないだろうか。私は基本的に、当然のことながらそうであろうと思います。どうお考えになるか。  それから、さっき大臣冒頭にお言葉をいただきましたが、その言葉からいっても当然でありますけれども、これから関係方面のさまざまの意見を早急に真剣に求めまして、そしてこれからの処理を考えていく。この連合会の問題についてもそうでありますが、そういうアクションを起こされることが当然であろう、労働組合も含めて。それから、そういうシステムの問題と同時に、さまざまな面での改善の努力の余地があるわけでありまして、そういう面でのさまざまの努力をやっていくことが、現状から言いましても、あるいはまたほかの共済組合法律関係から言いましても、今日ただいまの時点重要性とこれから後を考えましても、それらの努力をなされるのが当然ではないだろうか。関係者に僕はずいぶん聞いてみてそう思いますが、」いかがでございましょう。
  6. 保田博

    保田政府委員 お答えいたします。  まず、国共済連合会役員構成についてのお尋ねでございますが、確かに御指摘のように、現在の役員には官僚OBが多いのは間違いのないところでございます。必ずしも大蔵省出身者ばかりというわけではございませんけれども、確かに官僚が多いわけでございます。その点につきましては、やはり連合会業務というのは技術的になかなかむずかしい問題もたくさんございますので、いわばそういう方面に精通した音あるいは経験者といった者が選ばれてきたからであるというふうに考えさせていただきたいと思います。     〔委員長退席中村正三郎委員長代理者席〕 それがたまたま官僚OBが多かったというふうに御理解をいただきたいと思うわけであります。  それから第二点の、地共済国共済とで労働組合代表者の声の聞き取り方が違うではないかという御指摘でございます。確かに法制上は、国家公務員共済組合連合会については、理事長諮問機関として評議員会というのがある。それから地方公務員共済組合連合会運営には運営審議会というのがございます。そしてその構成においては多少といいますか、かなりの差異がございます。おっしゃるとおり、地方公務員共済組合連合会運営審議会には労組の代表が非常にたくさん参加しておられる。国共済評議員会にはそういうお方がいないという差はございます。しかしながら、国共済連合会の場合にはその点を補うという観点から、組合員意向を特によく反映をさせていただくために、理事長諮問機関といたしまして運営協議会というものが設けられておるわけでございまして、この運営協議会のメンバーの半分はいわば事務主管者、事務的なことをやる専門家方々、隣りの半分は組合員代表する者から選ぶ。これは事実上労働組合代表者というべき方々がほとんどなのでございまして、連合会運営につきましては、そういうルートを通じまして組合員意向をできるだけ十分に反映するように運営方を今後とも気をつけてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  もちろん、共済組合制度というのは、労使お互いに協調しながら、医療保険年金制度の安定的、円滑な運営を図らなければならぬわけでございますから、当然その運営に当たりましてはできる限り全組合員意見が反映されるように自主的、民主的に行われることが望ましいということは言うまでもないことでございまして、今後ともそういう方向でできるだけの努力をさせていただきたい、こういうふうに考えます。
  7. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、冒頭にも大臣が言われましたように、この段階での立法府としての、あるいは政治責任を果たすという意味での御議論をいただきたいわけでありまして、保田さんは、とにかく専門的な知識が非常に必要であって、たまたまそうなった、御理解いただきたい。御理解できますか、これは。要するにいま言っているのは、これから負担が高まるでしょう。こういう無理なことをお願いします。そしていままでの経過を見ると、ほかと比べてもこんな現状現実になっている。たくさんのトラブル、不満もある。今日ただいまの時点でこれからやろうと思ったら、できることを一歩でも二歩でも、とにかく組合員の声が届く。信頼感がある。お互い自分拠出をしたお金が納得のいくように信頼を持って運営されているのだなという仕掛けとシステムがなければ——これはこれだけではありませんよ。きのうも厚生大臣が言われました。それからうちの大原さんとの質疑もございましたが、社会のセキュリティーとか連帯とか、やはり一つの哲学的な発想が基本にあってやられたわけであります。これだけほかと比べてもひどいのですから、そういう意味での前向きの努力がなされなければならない、私はもっともなことだろうと思います。  それは、たとえば役員の問題にしたって、いろいろ聞いてみますと、何か一歩でもよくしようじゃないかという努力が数年前あったのですよ。それがいま逆になっちゃっているのですよ。これは関係者不満を持つのは当然ですよ。私は、役員の問題にしてもその他にしても、任期もあるし、時間もかかることもあるし、地共済法案を改正しろと言えばどうなるのか、そんなことはわかっています。そういう方向への努力をどうなさるのかということを伺わなければ、これだけの問題のスタートに当たってみんなが納得できますか。大臣、答えてください。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、おっしゃっている趣旨はそれなりに理解をしておるつもりであります。  問題は、これはあえて一般論として申し上げますと、各種審議会、有給、無給によらず、あるいは公社公団、あるいは政府関係機関、そういう委員会なりあるいは役員なり、そういうものの選考に当たっては、これはまさに適材適所の方々をそれぞれ選ぶべきだ。しかしながら、それが持っている本来の任務が、言ってみれば広く組合によらず、あるいはある種の団体によらず、そういうところの影響とそして理解の上に立って初めてこれが実行に移される、効果を上げるという種のものもあります。私は共済などもまさにその一つではあろうという理解の上に立ちますならば、私どもはもちろん個別問題について直ちにどうこういたしますということを言える状態にはないにいたしましても、御趣旨が生きるような方向で法律執行者として対応していかなければならぬという私の心境を申し述べまして、答えとさせていただきたい、このように思います。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それは組合員信頼感が高まり、大方の納得がより進み、そして業務が円滑になされる、そういう方向への民主化ですね。民主化というと、しょっちゅうわれわれが政府に向かって言うから、何か与野党が違うみたいにとりやすいけれども、そういう意味じゃないのですよ。本来の意味での民主的な運営、そういう方向に——大臣もこれから全体の監督大臣になられるわけですから、監督大臣としてはそういう意味、そういう気持ちでの民主的な努力をしていきたい、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 民主的連帯の思想が名実ともにりっぱに執行面に反映されるような配慮をすべきである、こういうふうに考えます。
  11. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そういう気持ちで、これはざっくばらんな話、関係団体それから権威ある方々、それらを含めて、大臣自分で全部やられるかどうかは別ですけれども、努力を具体的にやられるということを改めて強く要望しておきたいと思います。  それから第二番目の人勧、仲裁の問題ですが、さっきも申し上げましたけれども、大方の組合員からすると、公務員制度その他、与野党の対立もありましていろいろ見解もあるでしょう。しかし、おととしの月給で苦労しておるのに新しい負担を押しつけられようとする。それに対してこれはというふうに思うのも、大衆的には当然の気持ちだろうと思うのです。  実はこの休み、夏のうちに、改めて九十八国会のこの法案が提案された本会議議事録を全部読み直してみたのですが、大蔵大臣はこういう答弁をされているのです。これはわが党ではないのですけれども、本会議での質問に対する答弁、いま私が申し上げたような趣旨の質問をして、それに対する大臣答弁で、「今回の法律案は、公的年金制度の再編・統合の一環として、年金制度の改革の第一歩を進めるという意味を持っておりますので、」「給与改定問題とは全く別個の問題であるというようにお考えをいただきたいと思います。」また、法案の施行日も違いますので、この給与改定問題と今回の法案は「時間的にもこれまた関係が全くない、このように考えておりますので、どうか別個の問題として冷静に御議論をお願いをいたします。」というふうなことがあります。どんなお役人がこんな原稿を書いたのか、人の心を知らぬ男だと思いますし、またそれをそのまま読んだ大臣の方もちょっと配慮が足りないんじゃないか、気配りが足りないんじゃないかというふうに私、読んで思いました。  理屈を言うのはやめますけれども、どっちにしても、これは現実ただいま公務員の立場にすれば、月給のことはさっぱり見通しつかぬ。ところがこの法案負担が来る。この方は何とかして通そうということで、与党の自民党の皆さんもいろいろと必死になっておられる。先行き何か自分の将来についても納得がいかないし、明るい思いじゃなくて暗い思いをするというようなことで、これは人間として当然なことだと僕は思いますよ。本来でしたら、給与、人勧の問題は完全実施、こうしますからこちらの方はこうしてくれませんかと、賛成、反対は別にして、提案する方だってこれがルールというものだと思いますよ。そうして現実問題、これは無関係じゃないことは言うまでもないのです。たとえば五十六年度の退職者は五十五年度の抑えられたベースで退職金は計算をされる、五十七年は五十六年度ベースで計算をされる、年金の計算というものはそれで行われる、そうなるわけでございまして、無関係ではない。まさに現実の一体の問題として組合員はとらえる。組合員気持ちとしてもそういうことですね。これは官報ですから、何百万も出るわけじゃないからあれなんですが、みんなが読んだら、何か関係者気持ちを逆なでするようなことになるのが当然じゃないだろうかというふうに実は思わざるを得ないわけであります。  そういうことなんで、私は、立法府としてこの法案をどう扱うのかという責任を持たなければならないということを最初に申し上げましたが、そういう意味から言ったら、さまざまの周辺環境条件その他を含めて、どうやって一体こういうことについての理解を広めていただくのかという視点がなければ、何も数だけで世間は動くものじゃないのですから、そういう風味での心構えが非常に大事なんじゃないだろうか。「気くばりのすすめ」という鈴木健二さんの本を読んでみましたが、気配りとは何かといったら、人の気持ちになって考えることと書いてありましたね。そういうことじゃないかというふうに思うわけです。そういう意味からいいましたら、新聞見たらあさって七日の日には給与関係閣僚会議も開かれる。遅いですけれども。何か音やって、先の見通しもわからぬということになるわけでありますが、そういうことについてはいろいろまた専門委員会、専門の方々の御議論がずいぶんあるでありましょう。少なくともいまの時点で給与関係閣僚会議全体を統括する立場でありませんから。しかし、主要な立場にある大蔵大臣ですから、少なくともこの法案、それから周りの条件、みんなの気持ち、それらを総合勘案することが大詰めでは必要だろうと思います。少なくともどういうめどで、早い時期のめどで一体どうされるのかということくらいは言われるべきではないだろうか。懸案の減税法案の方ももう間もなく、あと一週間もすれば税調から中間答申が出る。並行して有能なる主税局は作業を進めていると思いますから、法案もすぐ出てくるということなのだろうと思いますけれども、これはどっちが先後というわけではないです。なるべく早く両方ともやらなければならぬ。少なくともそのめどくらいは、あるいは考え方くらいはきちんとこの際表明をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに法律案を本会議で提案した時点におきましては、前国会でございますからいまとは若干環境も違っておりましたが、えてして本会議答弁は、限られた時間内において限られたポイントだけを申し上げると、心情がにじみ出てこないという嫌いはあると思っております。それはそれといたしまして、確かに私はいまでもこの法律そのものと、たとえば人勧、仲裁とはリンクしておるという性格のものではないと思いますけれども、受けとめる例あるいは対象になる方々は同一の方でございますから、心情的にこれらがリンクして考えられがちな環境にある問題であるということは十分承知しております。  したがって、今国会におきましてやらなければならぬ問題、減税があり、人勧の扱いがあります。仲裁裁定そのものは、現段階においては国会の意思にゆだねておるということに尽きるわけでございますが、それらの問題を考えてみますときに、減税問題は政府あるいは総理が約束をしております。所信表明でも申し上げておるところであります。そしてその時期、規模、方法等については税調の審議にゆだねておりますが、きょうも午後ございますか、とにかく私どもが中におって見ておっても、大変精力的な審議が進んでおるという状態でございます。したがって、これについてはいつの口答申がいただけるかということをいま確定するわけにはまいりませんけれども、いま伊藤委員のおっしゃった、設定されたある時期の近所くらいでできるのじゃないかというふうな感じが私もいたしております。そうすれば、当然のこととして、それについての法律案の作成にかからなければなりません。しかし、事が急ぐ問題でありますだけに、いろいろな場合を想定しての勉強はしておくようにということを部内でも指示しておるところであります。お約束があったということを認識しておりますだけに、言ってみれば十月中に国会に提出するということのお約束を十分理解した上で作業も進めていかなければならない問題であると思っております。  それから、人勧につきましては、たしか過去三回関係閣僚会議がありました。その都度中身は、これは関係閣僚の懇談会でございますから、別に正確な速記録をとっておるわけではございませんが、底辺として貫くのは、昨年見送りをした、だから二年続けて見送ってはならぬという前提だけは最低限確認されておるところであります。そこで、財政当局から申し上げるとかえってこの場を冷やすような感じになりますが、今日の厳しい財政事情のもとにおいては厳しい対応をしなければならぬという、私、財政当局者としての主張は、懇談とはいえ申し上げておりますが、いま承りますところによると、今度は七日かに開かれる。どのような議論の進め方になるかということはまだ定かにしておりませんけれども、ちょうど一月ぶりぐらいになりますか、考えてみれば、幾らがその間隔があき過ぎているじゃないかという印象をお持ちになっておったとすれば、なるほどそうだなという感じが私もいたします。したがって、そう長らく手元に置いてかんかんがくがくやっておる問題ではないと私も理解をしております。ただ、こうしてずっと国会に出ておりますので、七日といえばあさってでございますが、中心点がどのようなものになって話し合いが行われるかということについては、いまにわかに判断をできる立場にはないわけであります。そういうことを考えながら、私どもとしては対応していかなければならぬ課題であるという認識はございます。  確かに法律そのものは、たてまえ論から言うならば全く別の問題でありますが、受けとめる側がある種のリンクしたような考えで受けとめられるということは、心情的には理解を持っていなければならぬ課題だと、御指摘を受けましてそのように感じたわけであります。
  13. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 この問題は、この場ではそう詰めるつもりはないのですけれども、各党あるいは国対、書記長・幹事長、さまざまのレベルで、五十八年度人勧については二年続きの凍結はしないし、誠意をもって——誠意をもってという言葉は繰り返し語られている。僕の見た感じですと、関係閣僚会議あるいは大蔵省というレベルになると、その誠意という、国会で何遍も与党からも語られている言葉がすとんとダウンするという感じなんです。たとえばこの前の三回目の閣僚会議でしたか、どういう内容だったのですかとちょっと事務方に伺ってみましたら、財政状況の御説明をいたしました、資料を出しましたというわけであります。その中身を聞くと、皆さんからすれば当然かもしらぬけれども、要するにお金はないという説明。たとえば、五十七年度決算の場合でも三千三億円公債発行を停止されたわけですね。財政再建から見ればそういう発想もあるでありましょう。しかし、人勧、減税、仲裁、何かやらなければならないということがあれば、それはまたそういう問題の政治的な決断による処理があったのではないだろうか。私は政治選択の問題だろうと思います。また、そういう政治選択の中で誠意があらわれてくるというふうなことではないだろうかという気がいたしました。これ以上そう詰めるつもりはありませんけれども、とにかく早急にというよりも緊急に、誠意をもってこの問題の詰めに大蔵省大蔵大臣も当たられるように強く要望しておきたいと思います。  それから、大臣の御答弁にございましたが、本会議での、理屈で言ったら別がという理屈は立つかもしらぬけれども、現実これをうまく、あるいは信頼の得られるこれからの共済組合の運用をやろうと思ったら、本当に花も実もある気配りのある努力が必要なんですから、そういう姿勢をきちっと持って対応していただきたいと思います。  次の問題に入ります。今回の法案に出されております財政調整事業に関する問題であります。  ちょっと事務的に伺いますが、国鉄年金財政、五年間平均二千六百億不足をする、そのベースは三十二万人。三十二万人という計算が現実どうなのか、これも私は問題があるだろうと思います。それから先、五年後ということを考えますと、いまの不足類、見通し、テンポ、年齢構造その他から見ても、またまた非常に深刻な事態を迎えざるを得ない。より以上に深刻になるのじゃないかという気もいたしますが、そこのところに焦点を置くのはやめましょう。平均六百億という数字が出されております。これは資料もいただきましたが、ちょっと言ってください。年度でいくともちろん均一六百億じゃないわけですが、どんなことになりますか。
  14. 保田博

    保田政府委員 本法案が成立いたしました後、国鉄に対する財政調整事業の具体的な内容運営委員会で御審議をいただくわけでございますから、その内容をいま私の方で確定的に申し上げるのはいかがかと思いますが、法案を御審議いただく、あるいは作成する段階でわれわれの方で試算いたしたものがございます。それによりますと、国鉄に対して集めた金が出ていく、国鉄共済組合が受け取るベースからいいますと、先生御指摘のようにだんだんふえていくわけでございまして、六十年度から六十四年度にかけまして漸憎いたしまして、最後は千三百億程度というふうになるわけでございますが、拠出の方につきましては、年度によりまして保険料負担が余り変動するのはいかがかということで、一応五年間平均で六百億円程度ずついただいてはどうか。これは試算でございます。
  15. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 その財政調整で入れなければならないというのか、試算で言う交付金、大体六十年度四億、六十一年度二百二十七億、六十二年度六百一億、六十三年度九百五十二億、六十四年度千三百億。最初の年はわずか四億円、六十一年度は二百二十七億円、そして四年目、五年目あたりは急激にふえるというふうな試算。平均云々という発想であなた方は「(ごく粗い試算)」みたいなところまで出されて、法律には書いていないことがひとり歩きして、今日大論争になっているという状態になっているわけであります。法律にないことを粗い試算なんて括弧つきのものを出して大論争して、みんな頭にくるといったようなことじやなくて、それはそれで、法律じゃないですから、通した後、財政調整運営委員会でさまざまな意見を求めながら議論されるというのが本来の法律の筋であり、審議内容であり、執行であろうと私は思いますけれども、四億から始まって千三百億、いろいろな議論になりますからその先のことは言いません。そういうことを踏まえながら私は三、四点意見を申し上げて答弁を求めたいのです。  一つは、この数字がある。画一に六百億。それを組合員個々の掛金、言うならば組合員に身銭を切らせることになるわけでありますが、その仕組みからいってまことに非民主的、強権的やり方。民主的ルールに沿ったやり方とは言えないのじゃないだろうか。連合審査でもわが党の大原委員から厳しい指摘がございました。その内容は私も繰り返しません。いずれにいたしましても、いまの法案では財政調整事業運営委員会、六名になるそうでありますが、それによって計画を決めていく。そして、委員会の決定については運輸、郵政大臣大蔵大臣協議をして、国共審意見を聴取した上で大蔵大臣が認可をするというふうになっているようであります。ところが、きのうも出ましたけれども、その運営委員会と、連合会評議員会、公企体共済組合運営審議会国家公務員共済組合審議会、それの関連性の位置づけは何もない。言うならば、六人で決めたことを大蔵大臣が認可する、後はいただきます、こうなるわけであります。そうして、この間に拠出及び給付を受ける連合会評議員会、公企体共済組合運営審議会などの審議を必要としないことになっています。片や、組合員からどれだけ拠出をいただくか、掛金をいただくかという保険料率を決めるのは、連合会評議員会、各共済組合運営審議会に諮って料率を定款に明記するという仕組みになっているわけであります。ですから、同じ組合員負担をするのに、財政調整の事項に限っては、拠出する方の各機関に民主的に諮られることがないという仕組みになる。言うならば、固有のそれぞれの審議会あるいは機関審議権を軽視じゃない、これは無視ですね。言うならば非民主的なやり方になっている。人の財産か人の資金を出していただくのに、意見を言う場も決める場もない、とにかく出しなさいということは、世間で通用する話ではないのじゃないかと思うわけでありますが、国鉄の方に必要な金額の変遷をベースに置きながら、その仕組みについては大きな問題があるということが第一であります。  二つ目には、法律論として何でこんなことになるのか私は不思議な気がするわけでありまして、今回提案された法律ではどのようにお金をいただくのかとかいうふうなことは、六人の運営委員会で協議をし、最終的には大蔵大臣が認可して決めるとなっているわけであります。ところが、大蔵省の方から、ちょっと挑発的だったかと思いますが、「(ごく粗い試算)」という括弧つきで「保険料率の予想」などという数字が出されています。そして、このとり方、これがいまや残された最大の問題になっているというのが現実であります。これは法律の面からいっても、また法律に忠実であるならば、財政調整運営委員会のその場でさまざまな御議論をいただいて具体的な計画を決めることになっておりますということだから、法律自体の審議としてはいいはずなのです。その先のことをかんかんがくがくやって、おたくの方から計算を出してああだこうだ言って、これじゃ六名の方を、だれを任命されるのかわかりませんけれども、まるではかにしたみたいな話じゃないか。こう決まっていますからあなた方賛成してくださいということを権威ある運営委員会に——どういう権威があるのか知りませんが、言うということになりますね。そこまで出されているというのは、法律論としてもおかしいのじゃないか。やはりあるべき機関で、あるべき議論をするというのが、この法律の精神に忠実なゆえんではないだろうか。  それと、さっき申し上げましたような人勧、仲裁その他も含めて——仲裁にしても、一生懸命がんばって、しかし経営が苦しいからといってわずかな賃上げになる。一年間かかって獲得したその賃上げの三分の一はそっちに持っていかれる。これは組合員にしても疑問を感ずるのはあたりまえですよ。大衆の気持ちですよ。大変失礼な言い方ですけれども、この間の政治資金か何かの発表を新聞で見ました。大蔵大臣なんかはずば抜けて多額のあれになったようでございますが、やはり組合員、庶民一人一人の気持ちになって考えていただかなければと思います。  それから、いきなりそんなことを言うのじゃなくて、六名任命するのですから、その場で初めてさまざまな議論を多面的に出して、どう進めていくかというのがせめてものルールであり、民主的な方法ではないだろうか。私もよくわかりませんが、いろいろな方法があるでしょう。現存の積立金から、初めは四億円、次は二百億ぐらいなのですから、当面一、二年というのはそう多額のあれではない、あとはふえますけれどもね。そういうことを考えたら、ここに何らかの方法があるのではないか。後代負担の問題もありますよね。それを覚悟の上で、そういうことがあってもいいんじゃないか、これはざっくばらんな話です。そういう発想もあり得ると私は思います。あるいはまた、千分の六、千分の六、合計千分の十二。たとえば組合の方だって、人勧、仲裁がこんな事情ですから、たとえば組合員個々の千分の六は積立金から何とかする、あるいは残りの、別の千分の六の方は事業主の方で何とかするなんという方法もあるだろうと思います。どうしたってみんなで、労働者連帯で国労を救わなければならぬ。それは第一前提ですから、そういう気持ちからいったら、いまある積立金の一定部分を持ち寄って基金をつくってその運用をするとか、出し方については各共済に任せるからとにかくお願いしますという方法ですね。その問題と共済の将来の大統合に向けてのさまざまの布石、それもわかりますよ。わかるけれども、いま現実、一歩を踏み出すという時点において考えるならば、この非民主的な仕組みについても重大な問題意識を感じてもらいたい。  いまの法律からいけば、法律論で素直に解釈をして、法律に書いてないことが大論争になる、大問題になる、それで国会審議にも影響を与えるというような異常な姿ですから。大臣だって、いやそれらのことは法律どおりに六人任命をする運営委員会で御議論いただきます、こういうことを言っているわけですね。ところが現実には、その方々議論するということがひとり歩きしてこうなっているというようなことですね。さまざまな方法も私は考えられると思います。それは何も将来に向けての後代負担とか、あるいはまた将来の統一ということについて大きな障害をつくるとか、何がどうということでない形でお互い納得のいく方法も、そうすればあり得るのじゃないだろうかと思うわけであります。あなた方のいままでの頭からすればむずかしい問題であるかもしれませんが、いま申し上げたような趣旨にきちんと沿って考えていただきたいと思うわけでありますが、どうですか。
  16. 保田博

    保田政府委員 国鉄共済組合に対します財政調整の仕組み等々についての御質問でございますが、まず第一点の財政調整の具体的な内容は、先生御指摘のとおり、新しくできる長期給付財政調整事業運営委員会にゆだねるわけでございまして、この法案を作成いたします際、あるいは法案の御審議をいただく際に、御審議のための手がかりが全然ないというわけにはいかないのではないかということでございますので、われわれはわれわれなりに、後世代の負担でございますとか年金の将来の財政事情を健全に保っていくためにはどういう方策が最も適切であるかといったようなことも考えながら試算いたしましたものが、御指摘のような試算なのでございます。われわれとしては、もちろんあの方式、内容に固執するものではございませんけれども、運営委員会で作成される具体的な調整事業の内容が、とにかく後世代との間の公平、それから将来の年金財政の健全性という二つの基本的な方向に合致するものであることを期待するだけでございまして、それ以上のことを申し上げているつもりはございません。  それから、財政調整運営委員会で具体的な内容が決まりまして、たとえば保険料の引き上げというに至るまでの仕組みの問題を御指摘になりましたが、この点につきましては、法律上、この委員会で五カ年計画ができるわけでございます。この五カ年計画が連合会国鉄、電電、専売の各共済組合に示されますと、それぞれの連合会ないし組合は、連合会評議員会、それから国鉄以下はそれぞれ運営審議会に、組合員意向も聞くという観点から諮問をされるわけでございまして、連合会はその際に当然また運営協議会に諮問する、御意見を伺うわけでございます。その際に運営協議会それから運営審議会には労働組合代表もおおむね半分は参加していただいておるわけでございますが、それらの組合員意向も踏まえながら具体的な保険料率の決定等が行われる。それが決まりましたら、それらを参考にしまして各連合会、公企体の共済組合が定款の変更の決定をいたしますと、それが大蔵大臣に持ち込まれ、これが認可されることによりまして保険料が決定される。こういうことでございまして、その手続は一般的な保険料率の決定の手続で、特に非民主的であるという御批判を受けるには値しないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどの答弁の中で御感取いただけたと思いますけれども、御提案のように各組合共済組合連合会の積立金から拠出をしてはどうか、あるいは貸付金ではどうかといったような御意見がある、そのことはよく承知をいたしておるわけですが、先ほど申し上げましたように、やはり後世代との負担の公平あるいは年金制度の将来を考えますと、われわれとしては少なくともとるべき方策ではないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから最後に、各共済組合の自主性に任せてはどうか。財源率の決定等々のことであると思いますけれども、その点につきましては、将来の年金財政の一元化といった方向に反しない範囲内で、先ほど申し上げましたような従来のルールに従って御検討いただくということになろうかと思います。
  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 保田さん、隣の人が、やはり田さんじゃなくてカタダさんじゃないかと言って、ちょっと雑音が入りましたけれども、秀才というものは大体方程式を考えて、それを思い込んだら後はてこでも動かぬというふうになるのじゃないかと思って公式答弁を伺っておりましたが、いま申し上げたさまざまな問題は、今日ただいまの時間からどうなるかということとも関係をする問題ですから、私も気を使って言っているのですが、わが党の重鎮がこの後質問されます。また御議論があると思いますから、新たにはこれ以上言いません。  ただ大臣、一言だけ。これからその財政調整委員会、大臣が二名、ほか四名はそれぞれを代表する者が選ばれるわけですね。それで、法律の文面に忠実であるならば、その方々が計画をつくり、六人衆だけでやるのではなくて、さまざまの配慮ある内外の努力をしてやられて当然のことだろうと私は思いますが、これはこれからの問題です。そして、それをお二方の大臣協議し、何とか審議会意見を聞き、大蔵大臣が最終的に認可する、こういう法律になっているわけですね。ですから、それから先のことをがたごとがたごとやって悶着を起こすというのは、任命される方にもやはり失礼な話なんで、それは保田さんかカタダさんか、あなたが優秀な官僚として一つの考え方を持っている、勉強しているというのはいいですよ、役所の優秀な官僚の仕事だから。しかし大臣、基本的な筋としては、法律に忠実ならばそう解釈さるべきではないのでしょうか。そのほかは言いません、それだけ——カタダさんはもういいよ。法律に忠実ならばそうでしょう。任命する、そこで協議してもらうというのですから、本来はその先のことをごたごたすることはないんだよ。
  18. 竹下登

    竹下国務大臣 まず人選から始まると思うのですが、それもいま大蔵大臣がこれを認可するに当たって、そうした意見を踏まえながらまず認可をしなければならぬ。それが運営に当たっては、もとよりこれは民主的な運営であるべきであって、ある種の予見なり先見を持ってそれに従うような人選であり運営の仕方であってはならぬという原則は、私も理解いたします。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そこまでにしておきます。  ちょっと、この運営委員会とかに関して具体的なことを一、二伺いたいのですが、条文を読みましたら、財政調整事業、法案の附則第十四条の三の二項にいろいろ書いてございますけれども、その中に「連合会及び公共企業体の組合拠出する拠出金をもって、国鉄共済組合に対し交付金の交付を行うこと等」と書いてありますね。「等」の話というのはいままで一遍も出ていないし、これはどういう意味なのかなということ。「等」というのが入っておりますけれども、これは拠出金をもって交付金の交付を行うことだけが国鉄救済の財政調整事業ではない。「等」とあるわけですから、どう解釈されるのか。言うならば、「等」というのは意味が大きいですから。この法律の題目もそうなんです。これだけのでかい改正が、「等」という言葉一つの題目となっているわけですから。国鉄の共済年金の円滑な支払いが確保できれば他の方法でもいいという意味をこの「等」の中に含んでいるのかということが一つ。  それからもう一つは、さっき六人全体みたいな質問を私もしましたが、この六名の方々大臣が選ばれる者二名、それから各公共企業体の組合代表する者各一名、それから連合会一名ですね。これらの者は大体どのような方、どのようなランクというのか、どのような考え方でというのか、そういう任命をされる基準といいますか、お考えを持っておられるのでしょうか。  それから、さっき私が民主化民主化と申し上げましたが、そういうルールからするならば、なるべく都合のいい、それからたくさんいらっしゃる大蔵官僚、忠実な方が集まればいいということだけではないと私は思うのですね。後の運営全体の、民主的な運営、それから組合全体の信頼性、組合の声が届くんだというふうに思ってもらえるような運営と考えれば、私は六にこだわるのはおかしいと思うのです。たとえば、大臣が認可されるのをもっとふやしてもいいだろうと思いますし、それから、各共済組合からあるいは連合会から出られる代表についても、複数にしてもいいし、三名にしてもいいと思うのですね。仕掛け全体がおかしいのですから、せめてその数なんかはここで思い切ってその二倍でも三倍でもふやして、全体が円滑に議論ができるということを考えてもいいのじゃないかと思いますが、具体的問題二、三点、どうでしょう
  20. 保田博

    保田政府委員 お答えいたします。  先ほどの「等」でございますが、「等」は、連合会あるいは専売、電電から拠出金が国鉄共済組合に交付されました後これが支出されるまでの間、多少の期間国鉄共済組合の中に滞留するわけでございまして、その期間中に運用収入が多少あるということが当然予想されるわけでございます。それらも調整事業の財源として使いたい、こういうことでございます。  それから、財政調整のための運営委員会の民主的運営という御主張でございますが、先ほど来申し上げておりますように、財政調整の五カ年計画が委員会で策定をされまして、これが定款のかっこうで、あるいは五カ年計画といったかっこうで大蔵大臣に持ち込まれました際には、これは当然、その認可をするに際しまして国共審に御相談することになります。国共審には、御承知のように九名の委員のうち三名は労働組合代表者が参加するということになっております。この九名は、この法律が通りましたら十五名に増員させていただくことになるわけでございますが、人数の点はともかくといたしまして、組合員の御意向は十分参酌できるようになっておるわけでございます。先ほど来申し上げましたように、各組合運営審議会あるいは連合会運営協議会におきましても、組合代表者の御意向は十分参酌できるということになっております。財政調整五カ年計画を定める場合には、各共済組合の定款、事業計画、予算ということに大きく関係をいたしますので、この運営審議会ないしは運営協議会にも当然諮るわけでございます。その機会に組合員の御意向は十分参酌させていただく、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 保田さんの公式答弁を聞く質問を何遍やってもあれですから、次の質問に移りたいと思います。  委員長、済みませんが、予定の時間に参っておりますが、成立しておりませんでしたので、ちょっとだけ質問させていただきます。(「いまも成立していない」「委員長、これはひど過ぎますよ。何人いるか数えてみてください」と呼び、その他発言する者あり)——あと二問だけさせていただきたいと思いますが、その一つは給付制限の問題であります。  中身はみんなわかっていることですし、もちろん政府側もわかっておることですから詳しくは申し上げません。要するに、国公共済における懲戒処分に対する年金の給付制限、私どもは現行国共法を水準とすることが当然ではないかと言っているわけであります。昨日の連合審査でわが党の年金の神様の大原先輩が言われておりましたが、その御質問のときには、大蔵大臣厚生大臣もそのとおりですという趣旨の御答弁をされておりましたが、これからの年金制度を考えれば、国民的な一元化、統合化に向かわなければならない、さまざまの議論もするし、さまざまな障害もあるかもしらぬけれども、これは真剣にやらなければならぬということはまさにお互いのコンセンサスですね。そういう中で考えてみますと、昨日の委員会でもございましたが、公務員制度、現在の公務員共済につきましても、当然でありますけれども、将来的には生存権の問題というのか、公的部分というのか、基本年金部分というのか、基礎年金部分というのか、保険制度というのか、そういう土台部分と、それから職域部分といいますか企業的部分と申しますか、公務員制度関係をする部分となってくるであろう、そういう方向に向かっていくのが当然であろう。これはほかの年金全体を通じてそうですね。基礎年金というか基本年金というか、そういうものの考え方は一つのコンセンサスを形成しているということだと思います。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  大原さんの御質問に対して、厚生大臣もそれは真剣に考えていかなければならない問題だと言われておりましたし、私も聞いていますが、大蔵大臣もいまのその内容については一つも否定することはないという御答弁をされておりました。そういうことを、将来に向けてこれが第一歩ですから、これからどういうふうに第二歩、第三歩と進んでいくのか、そういう展望性を考えますと、国家公務員共済における懲戒に伴う支給停止、支給制限、たとえば懲戒免職の場合でいけば百分の二十、二割ですから、二百万もらう人が四十万になりますか、これはいろいろな角度から検討しなくちゃならぬということに当然つながってくるであろうと思うわけであります。  今日、公務員制度については、いい、悪いは別にして、与野党間に意見の違いが現実にあります。しかし、そういう角度から検討しなければならないということについては、私ども野党の仲間同士でフランクな議論をいたしましても、それはそのとおりだなというふうに御理解をいただいているわけであります。これらの問題は、当然ですが、厚生年金もございませんし、それから来年五十九年に出る予定の厚生年金、国民年金関係法案といいますか、その準備などを伺っても、一切そういうことは関係がないというふうなことになるわけであります。そういう意味で言いまして、私どもは当然これはなくなるべきものであるというふうに原則的にもともと考えておりましたが、これから先のことを考えれば、わが党だけではなくてお互いのコンセンサスとして、この部分を変えていかなければならないと思うわけであります。また、そういうことについてもこの段階できちんとけじめをつける、一定の改善は当然図るということになるべきものであろうというふうに実は考えるわけであります。  わが党の年金の神様大原さんと言いましたが、与党自民党を代表する、自民党さんの側での年金の神様、いまわが党の話をしましたが、お宅の年金の神様も、それは前向きに話をしていかなければならない。神様が二人集まってそういう御相談もあったというわけでありまして、やはりいまのような懲罰的なことは、これは中身は政令事項ですから、そういうようなことについてはお宅の神様が言っているように前向きに改善をする。当然ではないかと思いますが、大事なことですからちゃんと答えてください。
  22. 保田博

    保田政府委員 現行の共済年金制度は、公的年金制度の一環といたしまして社会保障的な機能、側面を持つというのは当然でございますが、同時に、先生御指摘のように、国家公務員制度ないしは公共企業体制度の一環であるということは御指摘のとおりであります。したがいまして、国の行政または公企体の企業経営を円滑に運営する、そういう目的に資するために、その目的に相反するような法令違反行為があった、組合員についてそういうことがあったというような場合に一定の給付の制限を行ってきたわけでございます。その際、従来は国家公務員と公企体とでは法律の違いがあったのも当然でございますが、公企体相互間におきましても、共済年金の根拠法は同一ではございましたが、共済年金制度としまして独立の存在でございましたので、そういう法令違反行為等があった場合に給付の制限をする、その度合いに多少の差があったのは御指摘のとおりでございます。  今回御提案申し上げております統合法案によりまして、国家公務員共済と公企体共済の給付のレベルが統一されることになりますし、在職の通算制度も完全に行われるということでございますので、われわれとしては、この違反行為に対する給付の制限についても、できることならこれは統一をしたいというふうに考えておるわけでございますが、確かに国家公務員と公企体の職員とではいろいろな意味での身分的なものあるいは行為に対する制約といったものについて差があることは否めない事実でございまして、その辺をどう調整するかということは今後の政令段階で検討すべきことでございますが、いろいろな御意見があるということはよく念頭に置きまして今後の作業に当たりたい、こういうふうに考えております。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣、要望だけしておきますが、とにかく権威ある与党の年金の神様を含めて、これは公務員制度是非論というだけじゃなくて、年金制度の将来像というものも含めて、そういう視点も含めてやらなければならない。中身は政令事項になりますから、これはぜひ前向きに真剣に研究してやっていく。その間にいろいろな意見を求めたり求められたり、さまざまな御相談もあると思いますが、各党間でもこの問題については真剣な話の経過もございますから、そのことをきちんと受けとめて対応していただきたいというふうに思います。  最後に一つだけ、これは直接法案関係じゃないのですが、将来大きな役割りを担おうとされる大蔵大臣に伺いたいのですが、僕はこういう気がするのです。  いま年金のことをやっていますね。連合審査もございました。これからの年金の将来像その他についても造詣深い御議論がたくさんございまして、未熟な私なんかも非常に勉強になりましたが、私はこういう気がするのです。高齢化社会対応というのは、年金問題は当然ながら、申し上げるまでもなくごく一部分であります。年金もありますし、医療もありますし、雇用もありますし、地域社会の問題もありますし、それからさらに言うならば定年制と支給開始年齢との問題とか、先般の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」ですか、何か出されておりました。それから、高齢者の所得保障は年金保障、雇用保障、どの程度とうあるべきかとか、公的年金と職域年金の問題とか、さらにはまた、私ども勉強といいますか、しているのですが、高技術化社会と高齢化とが同時並行的に進んでいく。さまざまな問題が起きているわけですね。  私は、高齢化社会対応というのは、やはり一つの社会システムをどう構想するのかという問題意識がベースにあるというのか前提にあるというのか、そういう勉強をしながら各パート、パートが絡み合って、どう深められるべきなのかという問題だと思います。これから十年、二十年、三十年考えましたら、まさにこれは日本の社会像をどうするのかというふうな問題だろうと思います。ところが奇妙なことに、前から指摘をされておりますように、雇用は労働省、年金は厚生省あるいはどうとか、みんなばらばら。またまた奇妙なことに、これらを総括的に、高齢化社会の中で活力ある、しかも安定した社会を国、地方を含めどうつくるのかということに対する政府部内の研究で、私も読ましていただくのは経企庁、「二〇〇〇年の日本」とか先般の八〇年代とか。いいか悪いか、その中身については論評はいたしませんけれども、というような状況なんですね。  そういうことを考えますと、大蔵大臣、やはり大蔵省はほかの省と違いましてトータルの日本経済、日本財政を担って視野が広いわけでありますから、ぜひそういう問題意識を内閣の責任で、高齢化社会の構想全体、それから、そういう中で国民の皆さんにどのような社会の展望を持って——高齢化社会というと何だかさびしい気持ちがする言葉遣い、老齢化というとなおさらですし、老齢化という言葉を私は使わないですけれども、やはりそういう社会構想を内閣としてどうするのかということが非常に重要な時代の課題であろうと思うわけであります。特に大蔵大臣厚生大臣とかいう立場にある方は非常にその気持ちも持たれるのじゃないかと思いますが、閣僚の重要なお一人としてそういう問題意識をぜひ、私は、これは議会の場でもそうですけれども、お考えを伺って——お考えを伺ってというよりも、そういう問題にやはりトータルとして、あるいは新しい安定した社会システムをどうつくるのかという視点に立って、これはやはり私ども政治家としても考えなければなりませんし、行政の責任の立場としてもそういう時代ではないだろうかと思うわけでありますが、ちょうど大蔵委員会でこういう法案議論しておりますし、大蔵大臣の高邁なる御見解を最後に伺いたい。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 さして高邁とも思いませんが、私は、戦後のわが国では、言ってみれば西欧諸国におくれた社会保障、とにかく社会保障はおくれているという認識はある種の共通な認識であったと思います。それは憲法二十五条でございますか、そういうところから発してきたものではないかなと思うわけでございますけれども、国会というのがより民主的な形で運営されておりますだけに、いろいろな議論がそこで出てきて、したがって、年金にしても、医療にしても、福祉にしても、雇用にしても、個別施策が先行して、言ってみれば全体の位置づけというようなものにまで目が届きかねたという感じがあるのじゃないかと思います。  したがって、私は予算を見るたびに思いますが、なるほどこの四分の一世紀を顧みても、確かに社会福祉の予算はすば抜けて七十倍というようなものになっておりますだけに、一つ一つ見ると、西欧先進国に遜色のないという説明のできる数値も現実に存在しておると思います。しかし、それがその後、急速にやってきた高齢化社会、その中で、全体像としてとらえるというところにやはり政策的な配慮の見直しというものがこれから行われていかなければならぬ問題ではないか。その見直しの一つが、今回御審議いただいておる法律案でもあり、いまおっしゃいました年金、医療、福祉、雇用、すべての面にわたって、そういう全体像の中でこれからとらまえていくという考え方に立って、政治家個々がこれに対応していかなければならぬ課題ではないかというふうな問題意識は、私もひとしくしておるつもりであります。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  26. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 武藤山治君。
  27. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いま伊藤茂君から、国鉄救援のために各共済組合組合員が大いに協力をして負担をしようではないか、そういう合意が得られたということは、共済制度の存続について大変重要な意味があると思います。組合員は、利害が相反する部門もたくさんあるわけであります。しかしこの際、国鉄共済の救援をやらねばならない、こういうことで、お金を出すことについてはそれぞれの労働組合方々も了解がつき合ったわけであります。  そこで私は、大蔵省にぜひ考慮していただきたいなと思う点は、いまの保田次長の木ではなをかむようなかたい答弁ではなくて、もっと温かみのある配慮、細かな配慮というものが必要じゃないのか。というのは、いままでの答申をずっと見ましても、そういう点が諸所に出ているのであります。  たとえば、ことしの三月二十三日の国家公務員共済組合審議会大蔵大臣に対する答申を読んでみても、たとえば経営形態年金制度が表裏一体の関係にある現在の制度下で、政府は一方では三公企体の経営形態問題を論議しておって、分割・民営などということを臨調が叫び、政府もそういう方向にだんだん移行していこうと考えている、そういうときに、いま共済組合の方へ組合員は統一をしていく、こういう矛盾は一体どうしたら解決できるのか。そういう問題について、この審議会も「切り離して審議することの難しさについては、全員理解を示した。」こう書いているのですね。いまのこの取り扱いに、こういう矛盾もあるのですね。それからさらに、ことしの三月二十九日の社会保障制度審議会答申を読んでみても、「経過的措置を設ける等の配慮が必要である。なお、既裁定年金の取扱いについては、制度の切換えに際し、既得権尊重への観点から特にきめ細かな配慮が必要であることを指摘しておきたい。」そういうきめ細かい配慮が必要だ、そういうこともこの答申の中で言っておる。あるいはまた共済年金制度基本問題研究会の意見書をずっと読んでみても、そういう細かな経過措置を設けることが妥当と考える、そういうことで、いままでのそれぞれの組合員間の利害の違いや制度の違いなどをひとつ十分きめ細かに配慮をしてやってほしい、こういうものが出ているのですね。  ところが大蔵省は、財政あっての国民だという考えが先行するせいかどうか知りませんが、いずれにしてもこの資料を見ると、来年十月から個々の組合員の掛金をばんと上げようというのです。千分の十二上げろというのですよ。法律にそんなことは書いていないのに、大蔵省はすでに千分の十二は組合員個々の負担だ、それを労使折半すると〇・六%掛金が上がるわけですね。これは組合員にとってみると、この問題だけではないですね。国家公務員は給料も上がらないのですから、ベースアップを認めない、三公社の諸君の仲裁裁定も政府は実行しない。払う方は全然払わないで取る方ばかりはどんどん取って、後で質問しますが、健康保険も今度は二割自己負担だなんという新聞がばんばん出る。こういう状況の中で、払うのは一人ですから、国民の払う立場になれば、幾つもの項目みんな負担増になってしまうのです。そういうことをもっと考えたら、もうちょっと温かい配慮が、答弁が出てきていいのではないかと思うのです。しかし、先ほど大蔵大臣伊藤君の質問に対して、この千分の十二というのは法律条項ではないのですな、法律条項ではない。では初めから千分の十二は決まっていないのですね、保田君もこれは試算でありますと言ったのだから。試算というのはあくまでも試しの計算なのであって、そんなのは法律でも何でもない、根拠はないのですよ。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕 こうありたいという大蔵省の期待なのですよ。保田次長がその自分の期待で、全国の組合員全体に及ぼすような数字を固執するというのは私はいただけない。  しかし、いま大蔵大臣は、やはり政治家だから、そういうものを押しつけたりしない、それから今後の財政調整委員会が決めるのに対して、大蔵省が予見を持って運営させるようなことはしない、こういうことを答弁されました。ということは、その解釈をさらに具体的にするなら、千分の十二というものにこだわらない。問題は財政調整委員会が、来年は一時まず積立金から救援資金を出しておきましょう、二年間ぐらいは積立金から出しておきましょう、三年目ごろからは掛金を引き上げて、全組合員納得の上に了解を求めて、保険料負担で片づけようという答えを出したって、これは財政調整委員会の自由権だと私は思うのであります。そういう意味で、先ほどの大蔵大臣伊藤委員に対する答弁というのは非常に重みのある答弁でありますから、保田次長にその点だけはもう一回私は確認しておきたい。大臣答弁したことを大蔵省は知らぬと後で言われたのでは困る。そこのところだけはきちっと確認しておきたいのであります。
  28. 保田博

    保田政府委員 本委員会とかあるいは昨日の社労との連合委員会等で御議論の素材となったのはわれわれがつくった試算である、それにすぎないということはおっしゃるとおりでございまして、国鉄共済組合に対する財政援助の具体的な内容は、大臣がお答えいたしましたように、将来つくられるであろう財政調整の運営委員会にゆだねられるべきものであろう。それは言うまでもないことでございます。われわれはそれに対して若干の意見を持っておりまして、それに基づいてつくったのがあの試算である、それだけのことでございます。
  29. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それだけのことであるというならばよろしい。私もあくまで参考試算、こうなっているのですから、これは固執すべき数字ではない、こう考えます。だからといって、調整委員の選任で保田君の言うなりの人を出そうなんというけちな考えを持っては困るので、そういう委員には公正妥当な人になってもらうような配慮もしなければいけないと思うのであります。  私は、最近の中曽根内閣の政治姿勢を見ておると、戦後三十八年の間の歴代総理と比較して大変な危険を感ずる点が三つあるのであります、竹下先生。大蔵大臣はやがて総理になると目されておる人でありますから、政治家として十分他山の石とすべき点が中曽根さんにはたくさんあるような気がするのであります。  その一つは何かというと、民主主義が形骸化され、崩壊しつつある日本、これがいま特徴的ではないかと思うのであります。きょうはそういう政治論を論ずる時間ではありませんから深くは申し上げませんが、たとえば武器技術輸出問題についても、国会は武器輸出はしないという決議をしておるにもかかわらず、国会で修正もしない、意見も聞かない、勝手に行政府の長官である総理大臣がアメリカへ行ってちょこっとレーガンと約束をしてしまう。人事院制度というのは勝手に行政府がつくった制度じゃない。これは国会の決議において、法律に基づいてできた機構なのであります。まさに立法府の意思によって承認された機構なのであります。そういう立法府の満場一致の決定の意思を、行政府が金がないからという理由で、公務員は雲かかすみを食って生きろ、三公社労働者は仲裁裁定、裁判の判決にも匹敵するものが出ても守らない。これはまさに民主主義のじゅうりんではありませんか。そういうことで一体政治の民主主義秩序というのは保たれるのでしょうか。  民主政治というのは、司法、行政、立法の三権が完全に分離独立をし、牽制し合う仕組みが働くときが真の民主主義だと私は思うのであります。そういう点で、いまの中曽根内閣は行政府が独走しつつある。立法府に対する配慮がまことに欠けつつあるというのは民主主義の形骸化であり、崩壊の過程をたどっていると私は見ておるのであります。したがって、民主主義というものにはもっと手続が重要だということ、この共済年金法の改正に当たってもそういう視点を十分踏まえて、民主主義的なルール、運営のあり方をきちっと踏まえるべきだということを私は言いたいのであります。  もう一つの点は、直接関係ありませんが、恒久平和論の放棄であります。恒久平和主義というものの後退であります。恐らく竹下大蔵大臣と総理の哲学は違うと思いますが、いまの中曽根さんの突っ走っている姿勢、行動というものは、恒久平和主義という日本の戦後の伝統をいまやつぶそうとしている。これは大変重要な点なのであります。  第三の問題は、せっかく築いた福祉国家論の崩壊であります。いまや福祉国家という言葉が使えない方向に、日本の社会保障、福祉というものが後退に後退を続けつつあるということであります。すでに七十歳以上のお年寄りの初診料や入院費も取る。今度は民間の労働者からは本人加入も二割自己負担をさせる。そして年金は、これから質問をしていきますが、厚生年金のかなりの給付のダウン。こういうような一連の問題を考えると、いよいよ自由民主党・中曽根内閣は福祉国家から転落をする道を国民に押しつけようとしていることは間違いない。  この三つの中曽根内閣の特徴点にどう歯どめをかけるかが、いま野党の政治家の大きな仕事だと私は考えております。しかし、根本的には、やはり絶対多数を持った自民党に所属する政治家が反省し、みずからが姿勢の転換を図っていかなければ、私は五十年後の日本の歴史の中に現代がどう浮き彫りにされるかということを大変心配いたしているのであります。  いずれにしても、そういう問題について大蔵大臣は、最近のそのような政治的な動きや現象やすべての問題を直観した感じでどんな受けとめ方をしていらっしゃるのか。過去の歴代内閣とそう変わっていないと考えているのか、武藤君が言うように変わりつつあるなという印象を受けているのか、その辺ひとつ政治家として率直な意見をお聞かせ願いたい。
  30. 竹下登

    竹下国務大臣 大変次元の高い御質問でございますので、法案審議の問題は別といたしまして……。  私は、民主主義というのは手続が大事であって、その手続が間々なおざりにされたときに危険でありますだけに、三権のそれぞれ牽制し合った存在もそこにあると思っております。ただ、その手続が余りにも慎重過ぎて、時代の推移とかあるいは私がいまたまたま担当しておる財政とかいうものとの歯車がかまないままに進まなかった場合、間々国民自身が大きな不利益を受ける。したがって、その緩急の度合いというものは、国会は与野党で構成されておりますが、それぞれの良識とか話し合いというのがその辺の調和をとっていくべきものではないかというふうに思っております。  中曽根内閣に対する武藤さん自身の批判、これは武藤さんの立場からしてまた自由であると思いますが、自由民主党という言ってみればマジョリティーを与えられた政党が、憲法に基づく手続によって国会で選任した総理でありますだけに、憲法を中心とし、そしてまた長年の伝統の中に根差して今日政策遂行に当たっておる。しかもそれは国内情勢、国際情勢の変化に機敏に対応したそれぞれの措置がとられておるではないか。具体的にいま指摘のありました武器技術の問題等も、一方から見ればそういう変化に対応した機敏な措置であるという評価もまたできるのではないかというふうに思っております。  それから福祉国家論というのは、これは古くて新しい問題であると同時に、長い間議論されたところでありますが、当初福祉国家論というのは憲法二十五条に基づいた物の考え方から表現された言葉であって、それは言ってみればおくれておるという認識から、全体的なとらまえ方に眼を注ぐ余裕もなく、それぞれが個々の問題として今日充実してきた問題ではないか。したがって、金目で見ますと、どれをとってみても、実際問題他の先進諸国に著しく劣るというものはほとんどなくなっておるというふうに私は思っております。ある意味においては、いま先進国がそれの行き過ぎの中で勤労意欲を失って、ヨーロッパ病とか、あるいは特定の国を指すならばイギリス病とか、そういう言葉が使われるようになっておるだけに、むしろ中長期の展望に立って整合性を持った見直しを行うことが、あのような国にならないための政策課題として、いまわれわれに与えられた任務ではなかろうかというふうな感じすら抱いておるわけであります。したがって、人口構成がいまのような状態になった場合、現状の施策、制度そのままを引き続き行っていくということは、これは世代間の摩擦を惹起し、この辺である意味において抜本的な見直しもまた必要ではなかろうかという議論も当然あり得る議論だと思っておるわけであります。  そこでいま一つは、この国会議論というものはそれだけに重要な議論でありますが、いま私とプライベートにはまさにインディメートフレンドである武藤さんが、政党は異にするという立場もございましょうが、いわば自由民主党というマジョリティーを持った政党がしっかりしなければならぬとおっしゃったことは事実であります。お互い学校で教わったことを思い出してみれば、批判というものはまず七割方は体制側に対して行うべきものである、三割方は野党と申しましょうか反体制と申しましょうか、そういうところに行われてしかるべきものである。いまのところ大体七、三が九、一ぐらいになっておりますが、しかし、それはそれなりに耐えていかなければならぬ、いわばマジョリティーを持つ立場にあるものの当然の、それに耐えていくことがまたわれわれに課せられた使命であろうと思います。  そうして、一つだけ反論じゃございませんが、したがって、マジョリティーを持つ体制に対する歯どめの役を野党が行っておるとおっしゃっておりますが、議会制民主主義というものは政権交代があってこそ本来のあるべき姿でございますので、いずれその立場がかわるであろうことも十分私は考えられることであり、そのように相互の政策というものが近接していくことが、好ましい意味における議会制民主主義のあり方ではなかろうか。きょう四時でございますか、先輩の石田博英さんが国会引退声明をされるという話でありますが、あの方が、私どもが二十五年前初めて国会に出たときに、十年以内にはいずれ社会党の政権がある、そのときに自由民主党というものが一体復原力があるのか、その復原力を持つだけの勉強が、いま余り若くはありませんが、若い君らに課せられた大きな使命であるということを先輩として諭されたことを思い出しますと、当時二百八十七名が自由民主党で日本社会党百六十六、共産党一、その他十三という時代でありましたが、その後の国会の議席数も五十ふえております。政党もまた多党化現象をもたらしておりますものの、いまの状態から見たときに、十年以内にと言われた言葉が実現していないということは、ある意味においては議会制民主主義のまた悲劇ではなかろうか。あるいはわれわれが耐えていって国民のニーズに合致して、批判を受けつつも今日まで歩んできたことを、国民がまた評価したとも言えるわけでもございましょうが、その一面だけをとってわれわれに惰性とかあるいはおごりとかいうものがあってはならないと自粛自戒し、みずからに言い聞かせておるところであります。
  31. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 竹下政治哲学を聞かしていただきました。やがて野党が政権をとるように、われわれも研さんに努めてまいりたいと思います。  さて、年金の問題であります。試算がいろいろ出ておりますが、長期収支見通しを見ると、公務員の一般組合関係は、昭和六十八年に収支がマイナスになる、積立金を取り崩していかねばならなくなる。それから郵政共済は、昭和六十七年でやはり収支償わず赤字になります用地方共済組合は昭和七十二年、そして国鉄共済は昭和六十年度からマイナスになる。電電共済は昭和七十八年になると収支が償わなくなる。専売は昭和五十九年度で収支赤字であります。こういう公企体の状況国家公務員状況を見ると、年々五%給与が改定をされて、運用利回りが六・五%と見て、そして五年ごとに財源率の引き上げを行って、いま申し上げたような年数でそれぞれが皆赤字になってしまう、こういう試算が出されておりますのでありますから、早晩大きくまとまらない限り、老後の年金がずっと現在のように支給されるということはほぼ確実に不可能である、こういうことは見通せるわけであります。  そこで伺いたいのは、共済組合だけ統一をしてその将来展望を立てた場合に、どういう青写真になるのか。いまは当面だけ糊塗して、国鉄だけとにかくつぶれないようにしよう、これがつぶれたら連鎖的にほかも、次は専売がいくよ、次は郵政がいくよということになる。そこで当面国鉄だけ食いとめておこうという泥縄式の対応なんですが、これから一体この二百万の組合員でこれだけの年金というものを支えていけるのだろうか、その点についてはどういう展望を持っているのでしょう。
  32. 保田博

    保田政府委員 今回御提案申し上げております統合法案内容は、一に国鉄土済組合に対する援助の問題、その第二が公企体共済組合の給付の水準、給付の要件を国家公務員共済組合のそれらと合致をさせるという二つの内客を持っておるわけでございます。  政府としましては、昭和七十年を目途に、現在分立しております公的年金制度、八つあるわけですが、これの全体の一元化を完了させたいという目標のもとに、本年五月二十四日に「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について」というものを閣議決定いたしておるわけでございます。その閣議決定におきまして、先ほど申し上げました一元化を七十年度に完了させるという目標のもとに、今後の年金制度全般についての具体的な検討の大まかな手順、内容を決めておるわけでございます。  その中身は大きく分けて三つあるわけですが、昭和五十八年度につきましては、先ほど大要を申し上げました国家公務員共済組合と公企体共済組合の統合、それから第二が地方公務員共済年金制度の財政単位の一元化、この二つを行う、これが第一段階でございます。さらに昭和五十九年から六十一年度にかけまして国民年金、厚生年金、船員保険、国民の非常に大きな部分をカバーしますこれらの年金制度関係の整理を行う。それで共済年金につきましては、この五十九年度から六十一年度にかけて行われます国民年金、厚生年金等の関係整理を横目に見ながら、この趣旨に沿いましてこれらの諸制度との関係整理を図っていく。給付面の統一化に合わせまして負担面の制度間調整を進めまして、昭和七十年の公的年金制度全体の一元化に向かいたい、こういうことでございまして、そういう非常に大きなわが国年金制度全体の改革の第一歩という位置づけをしていただいておるわけであります。
  33. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 五十九年から六十一年に厚生年金、国民年金、船員保険の関係整理をする、そうなりますと恐らく給付水準も変わり、掛金も変わる。いままでの共済の議論というのは、厚生年金が変われば大体共済も変える、あるいは恩給が変われば共済も変えるという関連性があるわけですね。そうすると、共済組合は今回の改正をしておいて、さらに五十九年−六十一年の厚生年金関係の統合が済むと一定の水準が出ますね、その水準にスライドするように公務員関係、共済関係の方もいじるということになるのじゃないのかな。七十年までほっておくのじゃなくて、その辺でまた何か大改正が起こるような気がするのですが、その辺の見通しはどうなんですか。
  34. 保田博

    保田政府委員 先生篤と御承知のように、わが国の共済年金制度というのは二つの側面を持っておりまして、一つは社会保障制度といたしまして老後の所得保障を行うための機能、もう一つは公務員制度あるいは公企体の職員としての制度を能率的に運営していくために資するという制度、そういう二つの側面を持っておるわけでございます。このうちの前者、社会保障的な機能を持つ部面につきましては、先ほど申し上げました五十九年度から六十一年度にかけて厚生年金ないしは国民年金、船員保険において行われるであろう関係整理との整合性を図りながら統一をしていく。残りの第二の部面につきましては、第一の部面の関係整理を見ながら、共済年金制度の特殊性を踏まえていかなる色づけをするか、その際に検討をさせていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 だから私が聞いているのは、七十年の全的統一の前にまた共済の手直しがあるだろう。というのは、五十九年から六十一年に厚生年金関係が統合されますからね。それに右へならえの部分がかなり出てきて、恐らく共済年金の方も手直しをせざるを得なくなるのではないかと聞いている。
  36. 保田博

    保田政府委員 年金担当大臣のもとで行われております年金全体の再編成、統合の姿を見なければならないわけでありますが、先生御指摘のような事態がある可能性は、現在否定するわけにはまいらないと思います。
  37. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 恐らくそうしなければ、一挙に昭和七十年まで、全統一できるまで今回の改正でずっといけるなどとは私は見通していない。したがって、これは組合員にとっては大変いろいろな不安がある問題なんであります。  そこで、厚生省にお尋ねいたしたいのですが、今度は土台になる方の厚生年金、国民年金関係整理という問題の中で、厚生年金というのは現在の給付よりも一体どのくらい低くされちゃうのか、どの程度の水準にまず目標を置いているのか、その点からちょっと説明してください。
  38. 古賀章介

    ○古賀政府委員 厚生省といたしましては、厚生年金保険及び国民年金制度改正の法案を次の通常国会に提出するということで、現在鋭意その作業を進めているところでございます。できるだけ早く成案を得まして関係審議会にお諮りをしたいということでございますので、現時点におきましてはまだ厚生省原案は固まっておらない、こういうことでございます。
  39. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 固まっていないけれども、厚生省案というのは外部をいろいろ騒がしておるわけですから、目安なり考え方というのがあるわけでしょう。九月十八日の読売新聞にかなり詳しく、厚生省は年金制度の抜本改正作業を進めているが、その厚生省案がほぼまとまった。読売新聞はこんなに大きく書いているんだ。国会答弁すると揚げ足を取られたり、突っ込まれるから物を言わぬというのはいかぬね。新聞に出ているんだから、もう少し詳しく親切に答えなければ……。
  40. 古賀章介

    ○古賀政府委員 結論を先に申し上げたきらいがございますけれども、新聞報道につきましては多分に憶測的な記事もあるわけでございます。私どもとしましては、繰り返すようでございますけれども、速やかに成案を得まして関係審議会にお諮りをしたいということに尽きるわけでございます。  ただ、ことしの七月十五日の社会保険審議会厚生年金保険部会におきまして意見書がまとまっておるわけでございます。この意見書は給付水準につきましても述べておりまして、受給者と現役被保険者との生活水準のバランスを著しく損なうことのないようにということ、それから後世代の保険料負担は現在の三倍を超える高率になるということを懸念いたしまして、そういう過重な保険料負担にならないようにというようなことを述べておるわけでございます。  そこで、さらにその意見書におきましては、厚生年金保険の給付水準を、現役男子の平均標準報酬の六〇%程度とすることを基準と考えるべきであるという指摘をいただいております。私どもはこの意見書を十分尊重してまいりたいという考えでございます。
  41. 森美秀

    ○森委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  42. 森美秀

    ○森委員長 速記を始めてください。
  43. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 話が中断をしてしまって、ちょっと意気阻喪してしまったのですが、厚生省、いま平均賃金の六〇%程度を目安に検討しているような話がありましたが、もし六〇%程度で計算をいたしますと、仮に五十七年度末現在で平均賃金が二十三万二千円という程度となると、年金額は十四万円程度ですね。それから、仮に四十年勤務したとして計算をしても、六〇%では十五万程度ですか、その程度の水準だとなると現行よりも年金はかなりダウンしますね。目安として現行と比較して大体のところ何%ぐらい低くなるか、まだ決めてないのでしょうけれども、どの程度の水準の年金をいま考えておるのですか。
  44. 古賀章介

    ○古賀政府委員 五十五年の改正の時点におきまして、三十年加入で平均賃金の六八%になっておりまして、このまま参りますと四十年加入者につきましては現役の八三%という高率になる。加えまして、妻の任意加入が加わりますと一一〇%にもなるという状況でございます。とにかくこのままの計算方式で参りますれば、受給者と現役被保険者との生活水準のバランスを失することになる、こういうことでございます。しかも保険料負担は現在の三倍を超えるというような状況になるのでございます。これでは余りにも世帯間の公平を欠くということでございますので、意見書では先ほど申し上げましたように、厚年では現役の六〇%程度を将来とも維持していくのが適当であるという意見をちょうだいしておるわけでございます。  そこで、この意見書を十分尊重いたしまして、いま原案づくりをやっておるということでございますので、この六〇%程度というものを尊重いたしまして、これを給付水準に持っていく場合にも、これは長い年月をかけて持っていくということになるわけでございます。あくまでも将来にわたってそういう給付水準を設定するということでございますので、蛇足ではございますけれども、現に支給されている年金の水準を落とすものではないということは当然でございます。
  45. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それは現在もらっている既裁定年金者には落とさないけれども、この法律ができれば、新規裁定者は従来よりも低い水準になるわけでしょう。
  46. 古賀章介

    ○古賀政府委員 ほうっておきますれば、これは現役の勤労者の平均賃金を上回るような年金額になってしまいますから、国民的合意は得られない。それを長い年月かけて適正な給付水準に持っていこう、こういうことでございますので、相当長期にわたっての期間かけまして適正な、国民的合意が得られる給付水準まで持っていこう。こういうことを意見書も示唆しておるわけでございますし、私どももやはりそういうふうに考えるべきではないかと思っておるわけでございます。
  47. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ですから、この意見書を見ると、平均標準報酬の一〇〇%を超える高い年金水準を二十年間で手直しすると言っているわけですが、それにしても既裁定年金者と、この統合法案ができた後の新規の退職者の年金というのは、その前にやめた人よりは低い水準になるのでしょう。ならないのですか。
  48. 古賀章介

    ○古賀政府委員 これから新たに被保険者になってまいります方がこのままの制度でいきますれば、繰り返すようでございますけれども現役勤労者の平均賃金を上回るようなことになりますから、それを避けるために、その修正と申しますか給付水準の適正化を図っていくということでございますので、このままほうっておくということ、これは加入期間も長くなりますし、受給期間も長くなる、お年寄りの数もふえるということでございまして、そういう急速な高齢化社会に対応するために適正な水準に持っていこう、こういうことでございます。
  49. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その適正水準を聞いているわけですよ。大体どこらを目安に考えているのか。新聞の報ずるところによると、今度は妻の年金権、サラリーマンの奥さんもみんな国民年金に入ってもらう。妻の年金権をまず全部が持つようにする。そして仮に妻と夫が六十五歳になったときには妻の方の基礎年金が五万円、夫の基礎年金五万円に報酬比例部分六万円と、四十年加入した場合に夫婦合わせて十六万円、そういう試算をして水準を決めようとしているのが実はこの意見書の中身なんです。そういう基礎年金という考え方も採用しない、独自なものを厚生省は考えておるので、この意見書の意見は尊重しないと考えているのか。基礎年金と報酬比例年金の部分との考え方は、考え方としてはこれを採用するのかしないのか。
  50. 古賀章介

    ○古賀政府委員 先ほども申し上げました去る七月の社会保険審議会の厚生年金保険部会の意見書では、「各制度に共通する給付を導入するといった考えの下に、全体として整合性のとれた制度」とすべきであるという指摘をいたしております。これは、とりもなおさず基礎的な年金の導入を示唆しておるものと私どもは理解しておるわけでございます。やはりこの意見書を十分尊重いたしまして原案を作成をいたしたい。現在その原案作成に鋭意努力をしておるということでございます。
  51. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 鋭意努力していただくのは結構なんですが、中身をもうちょっと詰めてみたいと思って質問しているわけなんです。  厚生省のだれが考えているのかわかりませんが、厚生省は国民年金を基礎年金に衣がえし、給付水準を現行よりも三分の一程度切り下げる方針のようである、この切り下げによって保険料も低くなり、三十年後のピーク時でも、現行のまま、五十七年価格で月一万三千円程度でおさまるものをねらっているようだ、これは報道に過ちがありますか。そんなところをねらっているのですか。
  52. 古賀章介

    ○古賀政府委員 先生の新聞報道を御引用になっての御指摘でございますけれども、私の方はまだそこまで詰めておらないのが実情でございます。現在いろいろな試算をやり、いろいろな検討をいたして原案をつくる作業にいそしんでおるといいますか、毎日、日夜その原案づくりをやっておるということでございます。
  53. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 役所というのはなかなかかたくて、素案はかなりできているのだろうと思うのですけれどもね。まだ全体の了解が得られていないからしゃべれないのかもしらぬけれども、この案で見ても、厚生年金、世帯単位の年金に、妻と本人が六十五歳になったら満額基礎年金がもらえて十六万というこの金額の数字は、いまの年金よりかなりダウンしますね。いま三割と、こう新聞は書いておりますが、現在の制度は、夫が厚生年金に入っていて妻が国民年金に入っておる人で四十年加入した場合には、夫婦合わせて月二十四万五千円の年金がもらえることになっている。それが将来十六万になってしまうという制度ですね。これは国民から見ると、年金ももう当てにならなくなるなという印象を与えるのですが、そんなダウンは全くないんだ、そんなにも低くはならない、こう言い切れるのか、いやいやそこらの十六万ぐらいの線になっちゃうかもしらぬという感じなのか、それはどうなんですか。現在の、四十年加入で夫婦で国民年金と両方もらえたら二十四万五千円、これはどの水準ぐらいまでに今度はダウンしますか。
  54. 古賀章介

    ○古賀政府委員 先ほども申し上げましたように、このままほうっておきますと、現役の平均賃金の一一〇%の水準になってしまうわけです。これは、現役勤労者の合意、さらには国民的合意は得られないだろう、しからば適正な水準にこれを設定するとすればどの辺が妥当であろうかということでございます。繰り返すようになりますけれども、それの目安として意見書は六〇%程度ということを言っておるわけでございますので、それを尊重して原案をつくりたい。そういうお答えしか、現時点においてはなかなかできにくいということでございます。
  55. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは国民年金と厚生年金関係整理、連動という考え方はとらないのか、とるのか、それはどっちかですね。とるとすれば、基礎年金というようないまの意見書の発想というものを尊重し、取り入れるのか。それは全く別な、賃金の六〇%程度目安の、従来と同じような発想の厚生年金システムをそのまま続けるのか。それとも国民年金は基礎年金部分という形に位置づけて、六十五歳になったら、夫婦の世帯で何ぼになるということを目安にして決めるのか。基礎年金部分というのは考えているのか、考えていないのか。額は幾らにするかというのは別にして、考えているのか、考えていないのか。
  56. 古賀章介

    ○古賀政府委員 先ほども申し上げましたように、意見書では、各制度に共通する給付を導入する、こう言っております。この各制度に共通する給付というのは基礎的な年金ということでございます。ですから、そういう方向で私どもは検討をしておるわけでございまして、基礎的な年金を導入いたしますれば、その上に各制度ごとの独自の給付が、被用者年金でありますれば上に乗るという形になろうかと思います。いわゆる二階建て年金というのをこの意見書は示唆しておるわけでございまして、私どももそれを尊重してまいりたいというふうに考えております。
  57. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私がいまこんなことをしつこく聞いているのは、結局いま議題になっておる国公や公企体の共済年金にも、これはやがて者かかわってくるんですよね。来年の通常国会にこの法案が出て可決されると、その翌年には恐らく共済の方にも大体右へならえしろという議論が出てきて、共済年金の方の改善もまた当然起こってくるんですね。したがって、その全体像なり年金の理念と目標、長期ビジョンというものをやはり聞かないと、本来は、現在の法案すら本当は審議できないんだよ、全体枠がわからぬと。これは掛金を納めている者なり退職する人から見たら大問題なんですよ、未来の設計ができるかできないかなんですからね。そこでしつこく聞いているわけなのですが、幾日ならわれわれに示せるのですか。何月何日ぐらいならその案は示せるのですか。法律になって国会に出るまでは、また国会議員には全部つんぼ桟敷にしておいて、さあ法律になってしまったのだからどうにもならぬよと数の論理で押し通すのですか。いっそれをやるのですか。
  58. 古賀章介

    ○古賀政府委員 はっきりいたしておりますのは、次期通常国会に改正法案を提出いたしたいということでございます。現在その厚生省案をつくるための作業をいたしておりますが、速やかに成案を得まして関係審議会に諮問をいたしたい。できるだけ早くその成案を得るべく、現在最善の努力をいたしておるところでございます。
  59. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは今月いっぱいは無理、十一月いっぱいぐらいにはできそうですか。
  60. 古賀章介

    ○古賀政府委員 きょうこの時点におきましてその時期をお示しすることはなかなかできにくいということでございます。それは、やはりいままでの改正と違いまして相当大きな改正でございます。制度の仕組み、いろいろな財政計算等ございまして、私ども日夜作業をやっておりますけれども、その成案を得るための時期というものが、きょうこの時点ではなかなかお示ししにくいという状況でございます。
  61. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは、これ以上あなたと議論しても仕方ありません。  厚生省がおいででありますから、もう一つ健康保険の問題でちょっとお尋ねしておきたいのでありますが、健康保険の給付率を家族も本人も一律八割にする。そうなると、国保の方はいま七割給付ですからちょっとよくなるのですが、いずれにしても健康保険の本人まで二割負担、給付率八割、これは自民党政府としては是が非でも実現をするのですか。それとも福田派のように、これは反対だと言っている勢力も与党の中にあるようでありますが、これは厚生省ですか大蔵大臣ですか、これを貫徹する意思なのか、引っ込めるという意思なのか、これはだれに聞いたらいいのですかね。
  62. 下村健

    ○下村政府委員 厚生省といたしましては、ただいまの医療保険制度の改革案、概算要求という形で提案いたしまして、与党の方にも御説明申し上げておりますけれども、厚生省の概算要求に対する与党としての正式な態度はまだ未定というかっこうになっております。概算要求という形で政府内で手続を進めるということについては御了解をいただいておりますが、党としてはまだ最終的な結論をいただいていないという状況でございます。私どもとしては、現在出しております案が唯一無二とまでは申しませんけれども、これから先の医療費の動向あるいは国民の負担能力というような点をいろいろ考えまして、一応最善と考えられる選択をしたということでございますので、ぜひとも与党の方にも御了解をいただいて、この案で医療保険制度の改革を進めたいというふうに考えております。
  63. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣、今度の概算要求で新たに患者の負担が激増する、総額七千五百三十億円患者から取り上げるわけですね。これは患者にこういう負担を安易にどんどんかけるのがいいのか、あるいはかけざるを得ないとするなら、ほかの手だて、薬の方と高度の医療機械ですね、何億もするもの、そういうようなものを考えてみると、薬の関係と高度の医療機器に対して、政府がもっと価格に介入してコントロールする。医者の方は点数で政府が決めてくれているんですよ。へぼ医者であろうが、いい医者であろうが、大体みんな同じ料金で国が全部払ってくれる。薬はもう薬会社の自由だ。点数は決まっているだろうが、かなりもうけている。機械などは二億だ、十億だ、五十億のスキャナーなんというものまで売れるわけですね。それは値段構わないんだ。これは統制ないのですよ。そうすると、その医療機器の金を回収するために、これまた医者はどんどん検査の必要ないものまで検査料でもうけようとする。この薬と機械の方をほっておいて患者にだけこうやって負担をどんどんかけるといういまの姿勢には問題があるね。大蔵大臣は財布を預かっているから、七千五百三十億円減額になるので大喜びだというので突破しろと号令かけるかもしらぬが、このやり方もちょっと、私らいままで聞いてなかった話が唐突に出てきて、この中身を見ると二割負担なんということになったり、入院時の給食費の一部患者負担千二百億円。これはうちにいても飯食うんだし、病気してもしなくても御飯食べるんだから、これは理解できる。しかしあとの保険給付対象からビタミンを外すとか、被用者保険給付を現在の十割から八割にして五千三百八十億円、高額医療費の自己負担額五万一千円から五万四千円に引き上げる、そんなようなことで七千五百三十億円を見つけ出そう。しかし薬と機械の方は手をつけず、これは大変片手落ちなやり方じゃないか。なぜもっとそういう面に手を入れられないのか、ちょっと聞かしてもらいたい。
  64. 下村健

    ○下村政府委員 御指摘のとおりでございまして、薬の問題、それから高額医療機器の問題、いずれも私どもとしては現在の医療に問題があるという認識はいたしておるわけでございます。したがって、医療費の適正化という形で医療費全体の合理化というふうなことを図っていきたい、これは第一の前提として考えているわけでございます。  薬につきましては、昨年、薬価の算定方式の改善ということにつきまして中医協の方から答申もいただいておりまして、今後毎年大体一回薬価の引き下げをやっていくことで早急にその適正化を図っていくという方針で、現在も薬価調査の取りまとめ等をやっている段階でございます。  また高額医療機器につきましても、有効利用というふうなことで無計画に入っていくというふうなことはぜひとも防いでいきたいということで、共同利用でありますとか、効率的な使用を確保するということで、医務局を中心にいたしましてこの問題についても取り組んでいっているわけでございます。  ただ、私どもの医療費についての認識という点からいいますと、適正化ということはぜひともやらなければいかぬと思っているのでございますが、そういうことをやりましても、結局現在の高齢化社会というふうなことを考えますと、医療費自体の伸びというのは、基調としてはかなり高い伸び率で伸びていくという傾向を持っている。先行きを考えますと、負担能力との関係でどうしてもギャップが出てくるのではないかというふうなことを想定しているわけでございます。したがいまして、保険料を上げていけばいいではないかというお考えもあるかもしれませんが、現状あるいは将来のことを考えまして、保険料はできるだけ大切に抑え目にしていくということで患者負担がふえる結果になっておりますが、現在の十割ということを前提に考えますと、患者負担がふえるという感じで、非常に大きな負担という感じになるわけでございますけれども、現状でも国民健康保険の場合は七割給付で、それに高額療養費の支給制度がございますので、実質が七七%程度の給付率になっております。そういうものとのバランスを考え、将来の保険料負担というふうなものも考えて、現在は保険料の方を抑え目にして患者負担がある程度ふえるという道を選択したということでございます。
  65. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間ですからやめますが、竹下大蔵大臣、総選挙を前にして民間の健康保険の患者本人負担二割、五千億以上。賃金も余り上がらない。そういう時期にこういう仕打ちをやっていいのだろうか。これは、福田さんは反対だということを派閥で決めたようですが、大蔵大臣としては、これは断固がんばって貫徹するんだ、こういう決意なんですか。それとも、これは少々考えなければいかぬなという気持ちがあるのですか。ちょっと大蔵大臣の心境を聞かしてもらいたいです。
  66. 竹下登

    竹下国務大臣 いま厚生省の方から専門的な立場に立ってのお答えがございましたが、いわゆる医療費の適正化、私どもよく言う乱診乱療乱投薬、こういうようなことをよく使ってまいりましたが、私の答弁はいささか常識的に流れるかとも思いますけれども、今度の厳しいシーリングの中でいろいろな知恵をしぼって、工夫をして、厚生省から概算要求として八月末大蔵省へ提出された。これからどうするかというのは、いわば査定が始まったばかりでございますので、いま、これこそ予見を持って結論的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、よくぞ厚生省は、いろいろな立場からこういう概算要求を持ってこられたなということに対しては、そのお苦しみというか努力に対して、各省ともそうでありますものの、特に感謝を申し上げておるところでございます。  選挙前というのは、六月二十一日が任期でございますから、選挙よりも前にあることはい史事実でございますけれども、この問題で国民がどういう選択をするかということは、それはその時点で結果を見なければわからないことでございますけれども、言ってみれば将来構想を考えて、国民の皆さん方が、なるほどいまこういうことが妥当であるという御判断をなさるのかどうかについては、私がにわかに判断するわけにはいかない問題ではなかろうか。お互いそれぞれの政策を掲げて審判を受けるわけでございますから、それもまた、国民がどう反応するかということを予見を持って言うのもちょっと失礼に当たるような気もいたします。
  67. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 最後に要望だけ申し上げて終わりますが、共済組合の統合問題について、彼此それぞれ配慮せねばならぬ問題がたくさん指摘をされてまいりました。先ほど大蔵大臣も、民主的な処理の仕方を十分配慮して、それぞれの財政調整委員会あるいは運営審議会、そういうところで細かな配慮をしながら討議することを期待する意味の発言もありました。大臣の発言は法律に匹敵する重みのあるものでありますから、これを大蔵官僚にねじ曲げられるようなことのないように十分ひとつ監督を強化して、質疑が長い間行われた趣旨を十分生かしていただきたい。そういうことを強く要望し、期待をして質問を終わりたいと思います。
  68. 森美秀

    ○森委員長 堀昌雄君。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  69. 森美秀

    ○森委員長 速記どうぞ。  暫時休憩します。     午後四時十二分休憩      ————◇—————     午後四時五十二分開議
  70. 森美秀

    ○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  71. 堀昌雄

    堀委員 きょうは、私は共済年金の最後の質問者のようでありますので、まず最初に、これは大蔵大臣、それから公社の副総裁が三人お見えになりますから、お尋ねをしたいと思います。  一体、年金というのはどういうためにあるのかということを、ひとつ最初にお答えをいただきたいと思います。——そんな、むずかしく考えないでも、さらっと答えてください。
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 いま、ちょっとよくわかりませんでしたが、年金とは何ぞや、こういうことでございます。  年金とは、私は要するに老後保障という保障的な意味のものと、それからいままで積み重ねた努力に対する老後の保障を兼ねた老人対策とでも申しますか、そうしたものではないかと思っております。
  73. 堀昌雄

    堀委員 順序はどちらでもいいですが、じゃ、専売公社から……。
  74. 石井忠順

    ○石井説明員 ただいま大臣からお話がございましたように、年金というのはいろいろな種類があるかと思いますが、お尋ねは私どもの共済年金についてであろうかと存じます。  私どもの共済組合は、実は先生御存じのとおりかなり歴史がございまして、戦前は専売局ということでやっておりまして、官吏については恩給がございましたけれども、その他の雇傭人については恩給法の適用はございませんで、そのかわりに恩給法の適用がない職員たちが共済組合というものを組織をいたしまして、退職後の生活保障ということでそれぞれ必要な掛金を積み立て、また使用者側もそれに見合う援助をいたしましてでき上がりましたものが、私どものいまの制度の基本になっておるかと存じます。その後、御案内のように三十一年から恩給法の適用のものも全部新しい法律のもとに現在の制度になっておりまして、現在は役員を除きまして全員が加入をいたしまして、退職後の生活の援助に充てているというのが実態でございます。
  75. 馬渡一真

    ○馬渡説明員 国鉄の場合というのが、一つ特にございますのは、やはり国鉄の仕事の内容が相当危険を伴う仕事であるというようなことから、非常に早く年金制度ができ上がっております。私は、企業の運営に資するということが大変重要な役割りを持っておると思っております。一般的には、やはり退職後の所得保障だというふうに考えております。
  76. 北原安定

    ○北原説明員 私どもの電電公社も、戦前の逓信省から始まって今日につながってきておるわけでございますが、職員の老後の保障というものが基本であることは申し上げるまでもございません。
  77. 堀昌雄

    堀委員 私は、国家公務員の一般的な年金というものの考え方の中にも、国家公務員といいましても現業のものがありますから、その現業のものはいま公社がお答えになったような性格が多少あるのではないか。だからそういう意味では、いま石井副総裁、過去の歴史から詳しくお話しになりましたし、さらに馬渡副総裁は、いまの業務の特性にかんがみてということでのお話がございました。いずれも沿革的に、現業が五つもありますから、五つの現業にはおのおのその置かれておる職務の内容その他と関連したものがあるだろうと私は思います。ただしかし、一番基本的なものは、退職後の生活を保障するという問題が一番大きな問題だろう、こう考えておるわけであります。  きょうは、さっきもちょっとそこで申し上げたのでありますけれども、現在、三公社の副総裁がいずれも実はずっと公社の中で職員としてお勤めになった方が今日副総裁になっておられますので、私はそういう意味で、年金というのは私どもの生涯所得の最後の位置にあるものだ、こう位置づけておるわけであります。国家公務員であれ公社職員であれ、若くしてその仕事の部分に入ってきまして、そして、日本は御承知のように終身雇用と言われておりますけれども、こういう公的部分が最も典型的な終身雇用のものであり、今後もこういう公的部分というのは——いま三公社については第二臨調で民営論も出ていますけれども、なかなかその職員の流動性などということになじまないものだろうと私は思っていますから、そういう意味では年金という問題は、若くして入って死ぬまでの、要するに生涯の所得という問題の最後の部分を受け持つ非常に重要な部分であるという認識なのでございます。  実はこの問題からずっと入っていきたいのでありますが、労働政務次官が御用もあるようですので、ちょっと先にこれらの関係のものを処理をして、また引き続き年金に戻ります。  実は、労働政務次官にお伺いをする前に、内閣法制局にちょっとお伺いをしたいのであります。公労法十六条で仲裁裁定に関する部分でありますけれども、「公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。」後はちょっと略しますが、一番聞きたいのは、「予算上又は資金上」という法律用語は、予算上で一つ拘束があるけれども、予算上に関係なく資金上で拘束があるという二つの問題を、ここでは一つに並べて書いておる、こういう認識を私は持っておるのでありますが、法制局はこれをどう読みますか。要するに、予算上でできないものというのが一つありますね。それから今度は資金上でできないものというのもある。予算上はできないけれども資金上ならできるというものもあるし、組み合わせはいろいろあると思うのですね。だから、「又は」というのはおのおの個別の問題と理解するのがこの法律の書き方だ、そう認識するのですが、ちょっと法制局の理解を聞きたいのです。
  78. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 ただいま御指摘のように、公労法の第十六条は、「公共企業体等の予算上又は資金上」とございまして、その次に点が打っでございます。したがいましてこれは全体に対しまして修飾的な働きをいたしますので、「又は」ということを選択的な用法として考えております。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
  79. 堀昌雄

    堀委員 これを伺ったのは、いまの予算制度でいいますと、仲裁裁定が出ても、いまの時点では予算上金が出せるようになっている公社はないと思うのです。現業も恐らく皆なってないと思うのですが、これは保田次長の担当ですね。違いますか。給与はあなたの担当でしょう。私は的場さんだと思ったからあなたの方の文書課に聞いたら、保田さんだと言うので聞いたのに、これはどうなっているのだ。——呼んでないのだからしょうがない。では所管の次長ではないけれども、官房長に答えてもらいましょう。  仲裁裁定の実施に関して、予算上支出できるようになっている公社がありますか、ことしの予算の中で。
  80. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 直接あずかっておりませんので、あるいは間違いがあるかもしれませんが、私の記憶ではまずないというふうに記憶をいたしております。
  81. 堀昌雄

    堀委員 実はないのです。だから、仲裁裁定が出てもまず予算上の方ではできないのです。しかし「又は」の方の資金上となると、これはできるところがあるわけですよ。  ちょっと伺いたいのですけれども、電電公社はこれでいくと資金上は支出不可能じゃありませんね。どうですか。     〔越智(伊)委員長代理退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  82. 北原安定

    ○北原説明員 お尋ねの件でございますが、大体仲裁を全額実施してまいりますと二百九十五億円所要額になるかと思います。予算計上額は百六十五億円でございますから、残り百三十億円が処理不能のものになっています。しかしながら、われわれも一生懸命で企業の努力を積み重ねておりまして、何とかしてこれにこたえていく努力はしだい。また職員もその気持ちで十分努力を積み重ねておりますので、いまの時点では何とも申し上げられませんけれども、そうありたいということで管理を強化しておる次第でございます。
  83. 堀昌雄

    堀委員 まだいまは五十八年度経過中ですから、幾ら資金上にゆとりがあるかというのはわからないかもしれないが、少なくとも電電公社の最近の収益状態を見ますと、いまは十月ですから、四、五、六、七、八、九と上期は収入は立っておるわけですね。このごろは電電公社は月次別決算というのをやっているようですから、そういう意味では、いま九月のところまでは無理かもしれないけれども、八月のところまでで、いまあなたの言ったくらいの資金はもうあるのじゃないですか。ちょっと答えてください。
  84. 北原安定

    ○北原説明員 現在九月は速報でしか押さえておりませんが、八月までの分は、御案内のとおり、七月の二十一日かに遠近格差の是正ということで、一対六〇を一対四〇にさせていただいております。この影響がまだフルに出てきておりませんで、三分の一出てきているところでございます。九月になりますとおおむね全加入者にこれがあらわれてくると思います。その辺の数字をしかととらえまして、その上で見通しを立てたいということで、速報をとるべくいま一生懸命でやっているところでございますので、もうしばらくお時間をいただきますとその辺のことがお答えできるようになるかと思っております。
  85. 堀昌雄

    堀委員 大臣、いま法律解釈から見ますと、資金上余裕があるところは、何も国会に付議しておかなくても、これは電電だけじゃありませんよ、ほかの現業を含めてそうでありますけれども、法律を正しく守るのが行政府責任だと私は思っているのですよ。仲裁裁定が出たときに資金がどうなるかなんという見通しが立つところはどこもない。予算上は全部ため。しかし、だんだん時間がたってきまして資金上はやれるということがはっきりしているところが出てきたら、公労法十六条を正しく守るためには、当然国会に付議してでも資金上処理できるところはおろすというのが、私は政府の行政上の法律を守る、憲法上の規定から見ても相当である、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 私はそれを法律上否定する考え方は持っておりません。確かに予算成立日なお浅く、にわかに可能であるとは判断しがたい、よって、という理由で付議しておるわけですね。したがって、ある時点でその見通しが立って、それを認めたときには、その趣旨を国会に通告することによって、俗に議決不要にするという措置がいままで行われた事例もあるというふうに理解をしております。     〔中西(啓)委員長代理退席、中村正三郎委員長代理着席〕
  87. 堀昌雄

    堀委員 労働政務次官、いま大蔵大臣からそういう答弁がありましたが、労働省としても当然そういう法律を守る義務があるわけでありますから、いま大蔵大臣から答弁があったような処置を労働省としてもやるということをちょっと確認をしていただきたいと思います。
  88. 愛知和男

    ○愛知政府委員 お答えいたします。  いま大蔵大臣から御答弁ありましたように、予算上可能になればそういう処置をとるということでございます。いまの時点ではまだそういう段階ではない、こういうことでございます。
  89. 堀昌雄

    堀委員 予算上しゃないのです、資金上の方なのです。予算はもう何しろ決まっていて動かないのだから。資金上と二つなのですからね。それを私は法制局に確認したわけですから、そういうことでひとつ。
  90. 愛知和男

    ○愛知政府委員 そのとおりでございます。訂正いたします。     〔中村正三郎委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 堀昌雄

    堀委員 それでは労働政務次官、結構です。  ここに入ってきましたから、ひとつこれと関連をして人事院勧告の方もちょっと処理したいのですが、国家公務員法第二十八条で、前の方を略するとして、二に、「人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」こういうふうに法律にありますね。ところが、この国家公務員法というのは、どこを調べても、人事院は国会及び内閣に適当な勧告をしなければならないと、人事院に勧告は義務づけているけれども、勧告が出たら政府はどうするのか、国会はどうするのかということは書いてないんだな。法制局、これどこかにありますか。国なり議会に何らかの——勧告についてどうしろというところ。私、全部読んでみたのだけれども一行もない。あったらちょっと教えてください。
  92. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 ただいま御指摘国家公務員法第二十八条を直接受けた規定ではございませんけれども、国家公務員法の第六十三条には「職員の給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、」云々とございます。第二十八条が給与に関する規定でございますので、これと対応しているものというふうに考えます。
  93. 堀昌雄

    堀委員 それは対応しているということにならないんじゃないですか。要するに仲裁裁定の方は、これははっきり義務づけていますよ。第三十五条に「委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」とあり、「ただし」という言葉が後にくっついていますね。仲裁の方はちゃんと義務づけていますね。国家公務員の方は、いまの公企体職員に比べますと、公企体職員は少なくとも団結権、団体交渉権、団体交渉によって協定をつくる権利、ここまで認められておりますね。国家公務員は、団結権はありますね、職員組合。団体交渉権もありますね。あとはないですよね。だから、公企体職員と国家公務員というのは格差があるのですよ。労働法上の権利において格差がある。格差があるのに、権利の多い方は仲裁で義務づけて、権利の少ない方は、いまのあなたの法律によってなんというのは——給与法をつくらなければいかぬとかなんとかあるのなら別ですよ。何にもないのですよ。私は、国家公務員法というのは労働法から見てきわめて価値のある法律だ、こういう気がしてならないのですよ。法制局、どう思いますか。これは均衡を欠いているんじゃないですか。公共企業体の方は団体交渉によって協定が結べる。一応の形。スト権だけが禁止をされているけれども、労働法の権利は認められておる。国家公務員にはたったの二つですよ。団結権と団体交渉権というのは中身はないのですよ。全然中身がない。その中身がないのに対して人事院勧告で、人事院の方は勧告しなければならないと拘束していながら、政府国会に何らの拘束がないというのは法律体系上全くおかしい、私はこう思うのですが、あなたはどう思いますか。おかしいと思いますか、思いませんか、それだけ答えてください。もうほかのことは要らない。おかしいと思うか思わないかだけ答えてください。
  94. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 御指摘の問題はきわめてむずかしい問題でございますので、勉強させていただきたいと思います。
  95. 堀昌雄

    堀委員 法制局の第一部長ですから、もう長年法律をやっていらして……。国家公務員法というのは何年にできた法律ですかね。昭和二十三年かな。何年ですか。
  96. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 昭和二十二年法律百二十号でございます。
  97. 堀昌雄

    堀委員 二十二年からというと、いま五十八年だから三十六年たって、この問題について国会議論がなかったというのも私もおかしいと思うけれども、私どもも不勉強で申しわけないのだけれども、私、少し調べてみると、これはとんでもない法律だなあと。これ、憲法がちゃんと保障しているのですよ。第二十八条「勤勞者の團結する権利及び團體交渉その他の團體行動をする権利は、これを保障する。」憲法第二十八条ではっきりと国民にこういうふうな権利が保障されておりながら、国家公務員だけが権利の外枠に置かれておるということはもうもってのほかだと思う。法制上ももってのほかだと思うが、運用上も、今日、こういう方針の範囲からはみ出しておる。  私がなぜそれを言いたいかというと、この前、昭和五十七年九月二十四日の閣議決定にこういうふうに書いてあるのですね。「一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る八月六日に人事院勧告が行われたところであり、労働基本権の制約、良好な労使関係の維持等に配慮しつつ検討を進めてきたが、未曽有の危機的な財政事情の下において、国民的課題である行財政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要があることにかんがみ、また、官民給与の較差が百分の五未満であること等を総合的に勘案して、その改定を見送るものとする。」こうあるのですね。ここの問題は、未曽有の危機的な財政状況というのは、国家公務員がまともに仕事をしなかったから危機的な財政状況になったと言うのなら、それは率先してやれという話はわかるけれども、私から見たら、危機的財政状況というのは、国家公務員は皆一生懸命働いているけれども、そのときの国の政策に基づいて起きておることで、国家公務員の給与というのは、職務の内容その他いろいろなことで定めると法律は書いてあるわけだから、それとこれが直接どうしてこう真っすぐ一緒になるのか、大変乱はわからない、こう思うのです。  大蔵大臣、どうですかね。私はむずかしい議論をする気はないのですけれどもね。国の財政の赤字というのが要するに国家公務員のせいだと言うのなら、がまんしなさいというのはわかりますよ。国家公務員は、そこにいる大蔵省の諸君から皆さんを含めて、夜遅くまで一生懸命働いているのですよね。私、サボっていると思わない。一生懸命働いて、なおかつ、とにかく国が赤字だからおまえらしんぼうしろと言うのは、論理の飛躍だと思うのですよね。民間会社で赤字になったらちょっとがまんしろという話は、私はやむを得ないと思う。なぜやむを得ないかというと、赤字が続いたら会社はつぶれるわけですよ。会社がつぶれたら雇用が保障されなくなっちまうから、だから一緒にがまんしようという話は、私は物事の道理としてわかるけれども、国家公務員というのは国民に対するサービスを義務づけられておる、法律に基づいた職員ですよね。だから第二臨調の皆さんは、要するに、赤字のところで給料がふえるなんというのはとんでもないなんていう話は、大体国家公務員法というものの本質を理解しない考えだという気がしてならないのです。大蔵大臣、いかがでしょうか。
  98. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、いわゆる政策責任とでも申しましょうか、そういう政策責任というのはそれなりに存在しておると思っております。したがって、公務員が勤勉であったかどうかというようなことよりは別に、政策責任はもとより存在するものだというふうに思っております。ただ、その政策責任の生じた、よってもつ経過というものからいたしました場合においては、そこにはやむを得ざるものがあって、そして、その都度措置として打たれてきた諸政策というものが今日の国家財政に危機的状況をもたらしたとしたら、それは累積した政策責任以上に、不可抗力という言葉は表現が適切でございませんが、そうした外的要因等によるものがあった場合に、国民全体に対する奉仕者たる公務員の方に一時がまんをしてもらうというのも、お互い、特別職、一般職は別として、公務員という立場からすれば合意に達し得ることもあり得るであろうというふうに考えております。
  99. 堀昌雄

    堀委員 物の考え方は何も私と竹下さんが同じである必要はないからいいですよ。あなたの意見はあなたの意見として尊重するけれども、制度として見まして、どうもそういう意味で、去年ストップしたのも現実になっているから仕方がないので、法制局の方では答えられない、こう言っているけれども、これは常識論として聞いていておかしいというふうに大蔵大臣思いませんか、ちょっと片手落ちだというふうに。私はそれが常識だと思うのですが、では法制局、ちょっと答えてください。
  100. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 委員は、直接の規定はないじゃないか、こういう御指摘でございますが、国家公務員法上人事院の制度が設けられているわけでございます。そういたしまして、人事院の勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置の一つとして設けられているものでありますことは、かつて全農林事件におきまして最高裁が判示したところでございます。したがいまして、直接の関係規定はございませんけれども、人事院の勧告制度国家公務員法が設けているということにつきましては、この制度が実効を上げますように、この勧告を受けました内閣及び国会が最大限の努力をしなければならない、こういう関係にあると存じます。
  101. 堀昌雄

    堀委員 それはあなたがそう思うだけで、法律に明示はないですね。明示があればある、なければない、こう言ってください。あなたが思うことは自由だけれども、法律が明示していなければこれは拘束力がないのだ。法律上、明示があるか、ないか。
  102. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 各条の規定という意味で明示の規定はございませんけれども、人事院という制度が設けられているということから、ただいま申し上げました精神が出てくるとお答えしたところでございます。
  103. 堀昌雄

    堀委員 勧告を義務づけておるということは、これは人事院を拘束しているのですよ。人事院が何のために置かれておるか、だれもわかっておるけれども、勧告を義務づけて、義務づけられた方が勧告を出したけれども、それを政府は尊重しなければならないとか、本当を言ったら一項あってしかるべきなんだ、法律の体系から見れば。なぜ抜けておるかというところがおかしい、こう言っている。こればかりやっていたら時間がありませんから、ここでやめます。  そこで、これは検討課題としてひとつみんなで考えていただきたいのですけれども、皆さんに資料を配ってもらったかな。実はちょっと興味のあることを調べてみたいと思うのです。それは何かといいますと、さっき私が申し上げたように、年金というのは皆さん方の生涯の所得の最後の部分だというふうに私は考えるわけです。そこで、こういう試算をお願いしたわけです。国家公務員国鉄、電電、専売について、これは五十五年の資料になっておりますので、物は五十五年度ベース、価格も五十五年度価格。高等学校卒、十八歳加入、六十歳退職と仮定した場合、そして退職年金は平均寿今まで受給すると仮定した場合のモデル計算をしていただいたわけであります。  そこで、ここにごらんのようにあるのですが、時間がありませんから、退職年金のところでちょっと見ますと、国家公務員は二千五百九十五万六千円、六十歳で退職をされたら七十二歳まで年金を受ける、現行ですね。今度は改正案です。いま審議されておる改正案も二千五百九十五万六千円もらう。この資料は、国家公務員法律が変わっても変わらなくても同じ額をもらうことになっておるのです。国鉄は、二千六百七十三万二千円現行法でもらえるのが、新法になると二千五百六十三万三千円、その差は百九万九千円マイナスになるのです。電電は、三千十六万九千円が二千八百十九万円、百九十七万九千円減るのです。それから専売は、二千九百九十八万八千円が二千八百十六万二千円になって、ここも百八十二万六千円。これを率で見ますとどうなるかといいますと、国鉄は九六%、それから電電は九三・四%、専売は九四%に減ってしまうのですよ。業態、いろいろ差がありましょう。あと国鉄についてはちょっとまた別の角度で議論をいたしますが、これで見ると、国家公務員等で四つ一緒にしたら、結局国家公務員はちっとも減らないけれども、ほかのところは皆減るのだ、こうなっているのです。これ、さっきの順で申しわけないけれども、専売公社国鉄、電電公社の方でどういう感想をお持ちですか。むずかしいことは要りません。常識の話を和しているのですから、率直な感想だけをお聞かせいただきたいと思います。
  104. 石井忠順

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  この計算は、私どもの方でいたしまして大蔵省の方へ出しましたものでございまして、先生お尋ねのような前提で計算をいたしますと、こういう数字が出てまいります。ただ、確かに今回の法律が通りまして、一つの試算でございますけれども、現在の公務員共済法と私どもが適用されております公企体共済法は若干給付の規定が違いますので、統合されますとこういう結果になるのもやむを得ないかと存じております。
  105. 馬渡一真

    ○馬渡説明員 今回の年金の問題で、やはり国鉄としてはお助けをいただく立場であるという認識のもとで、その辺のところはみんながまんをするという気持ちでございます。
  106. 北原安定

    ○北原説明員 御指摘の点でございますが、公社の中におきましてもこうした試算を試みましたが、現在の原型に基づく試算でございまして、公社としてはまあやむを得ないものというふうに考えております。
  107. 堀昌雄

    堀委員 実はこれは高卒で、十八歳で入って六十歳でやめられるというモデル計算ですから、これらは幾ら試算であっても、一つの今後のモデルとしてのあり方をあらわしておると私は思うのです。  そこで、副総裁のような上の方の方は私問題ないと思うのです。ところが、これはどうですか。大蔵省を見てもそうだし、どこの役所も同じだろうと思うのですが、だんだん上のところへ行った方は退職後の仕事が大体あるのです。いまそこに吉野官房長、保田次長とおられるわけですけれども、やがてもっと偉くなって、そうして大蔵省をリタイアする。私は大蔵委員会に昭和三十五年に来て、大蔵省皆さんと長いおつき合いがあって見ておりますが、大体大蔵省をリタイアされてその他の職場に行っていらっしゃらない方というのは、例外はあるかもしれませんが、私がちょっと知っている範囲では高橋英明さんがどこへも行ってないように思うんです。いわゆる名誉職的な仕事はやっていらっしゃるけれども、大蔵省の方がやめて通るようなコースを行ってないのはあの人くらいかなと思っておるのですが、吉野さん、相当ありますか。大蔵省を高い、局長くらいでやめられたという方で、後何もなさらないという方は非常に少ないと思うのですが、どうでしょうか。
  108. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 事細かに記憶しておるわけではございませんが、大筋としては、いま堀先生がおっしゃいましたように、何にもなさっていらっしゃらないという方はきわめてまれであるというふうに承知しております。
  109. 堀昌雄

    堀委員 もう各公社は聞きませんけれども、各公社でも局長とか高い位置の方は、国鉄なら日本食堂だとか、いろいろ関係のあるところに大体行っていらっしゃる。私もよく調べて、お願いもするからわかるわけだけれども、それは電電も専売もそうでしょうね。多少あるでしょうね。私、専売のことはちょっとわからないのだけれども。だから、上の方は、いま私が言った生涯所得の問題としてはウエートが軽いのですね。ところが、一般のすそ野の広い方というのは、退職してから後仕事につかれる確率は非常に低いのじゃないかと私は思うのですが、これはちょっと公社の方から、いつも石井さんの方からで悪いから、今度は北原さんの方から答えていただけませんか。
  110. 北原安定

    ○北原説明員 まことに御指摘の点は平素私どもも気にしておるところでございます。特に平均寿命が延びて、男で七十四歳とかいうようになってきますと、その間何にも仕事がないということは、長生きの理由というものがまことにおかしくなってくる。そこで、平均寿命くらいまでは、金に換算はできなくとも、仕事だけは何とかつけられるようにしたい、まずそれを第一目標にしていろいろな検討を始めています。それに車馬代と弁当代くらい出ればなおベターだというようなことをやっておるわけでございます。
  111. 馬渡一真

    ○馬渡説明員 一般的に申しますると、国鉄の場合は、昔から半農半鉄と言われていたのを御存じだと存じますが、そういう意味で申しますと、一般の職員の人は比較的に第二の職を求めないということで、そのまま自分の家におる場合が多うございます。むしろ管理職として、たとえば助役さん、駅長さんというかっこうで多かれた方、これは転々と多かれておりますので、この方たちは家を建てる時間もなかったというようなことが多うございました。この方たちにはどうしても第二の職をということで心がけておるということでございます。ただ、現状で申しますれば、それを全部当てはめて第二の仕事についていただくというのは相当困難な情勢にございます。
  112. 石井忠順

    ○石井説明員 専売公社の場合もほぼ同様な状況でございまして、私ども労働協約でいま五十八歳を高齢退職の年齢といたしておりますので、第二の職場をてきるだけあっせんしたいと思っておりますけれども、なかなか現実は思うに任せないというのが実態でございます。
  113. 堀昌雄

    堀委員 いまお話しのようなことで、上の方の人はともかくも、要するにそういう一般的な仕事をしてきた公社職員、私は一般公務員も同じだと思うのです。この方たちは、今度は公務員も定年制六十年から実施、こうなりますからね。はっきりしてくるわけですけれども、ここへ来て、そういう意味では、平均寿命が延びて定年という制度ができてということになると、その間の問題というのは年金でカバーする以外にはないと私は思っているわけです。ところが、いま確かにだんだん高齢化社会が進んできて、負担する者と受ける者との関係がある。となると、さっき北原副総裁は、働ければ弁当代と車代というお話があるのですけれども、大体高齢化社会と老齢化社会というのは全然別だと私は思っているのです。  私は、いま満六十六歳でありまして、この十二月が来ますと満六十七歳になります。しかし、私はいま国会議員として仕事をしておりまして、若いころといまとどこが違うかといいますと、若いころはこうやって委員会で一生懸命やって、夜帰って、それからまた明くる日のものを勉強できたんですね。そうすると、私のいまの年齢になりますと、一日朝から晩まで仕事をして、帰って晩飯を食うと、まず先に寝るわけです。先に寝て、そして午前四時とか五時に起きて、それから準備をやるわけですね。七時ごろまで三、四時間やる。それは結局疲労がなかなか回復しなくなってくるということが高齢化になると起きてくるんで、私自身はもう孫が小学校の四年生にもなっていますから、みんなにおじいちゃんおじいちゃんと言われて、私もおじいちゃんだと言っていますが、それは言葉だけであって、じいさんだという認識はないのです。まだ結構間に合っているというつもりでおるわけです。  そうすると、私は七十四歳までといったらもう幾らもないのですが、国家公務員であれ、公企体職員であれ、働く場所と多少の所得がカバーできるものを、これから政府は一体となってもっと真剣に考えるということが、高齢化社会対策の最も大事な問題であって、それを年金で補完するということにしなければいかぬと私は思っているのです。いまや、このままなら、年金が主体でこれだけだというのでは、公務員、公企体職員を離職された皆さんのそれから先の気持ちは全く私は救いかないような気がして、お気の毒でならないという感じなんです。社会はどんどん変動して動いていきますから、そのためには企業の方も、公務員の方でもそうですけれども、その次の仕事に耐えられるようないろいろな問題を在職中からやってもらうような、いろいろな方法、手段を積極的に考えることなくして、生涯の幸せというものは保障できないのじゃないかと思うのです。重要な今後の国の施策でなければいけない、こう私は思うのですが、大蔵大臣、どうでしょうか。
  114. 竹下登

    竹下国務大臣 年金がいわば老後生活の補完的役割りという御表現でありましたが、現実問題として、年金が主たる収入であり、そして第二の人生、人によっては第三の人生が補完的役割りを果たしておる場合もあり得ると思います。それは地域差もあります、あるいは業種別の差もありますが、基本的な考え方として、そのような勤労社会ができていくのは好ましい姿だと私も思っております。
  115. 堀昌雄

    堀委員 私はそういう意味では、さっき馬渡さんがおっしゃった国鉄職員は大変恵まれていると思うのですよ。なぜかといいますと、農業の出身者でたんぼが依然としてある方は、退職しても自分の畑を耕し、田を耕して、仕事もあるし収入になるんですね。そういう意味で、いまや一番恵まれている方は、どうやら農業で第二種兼業のようにして働いておられる方は、人生のサイクルとしては一番安定しているなどいう感じが私はするんですね。しかし、都市へ出てきたいわゆるサラリーマンは、その点は非常に問題がむずかしい。しかしそれを何とか考えるのが国の政策としてはきわめて重要だ。ぜひひとつ大蔵大臣は、さっきも武藤さんが将来ある大蔵大臣と言っていますから、いまから勉強してその日に備えてもらいたいと思います。  そこで、今度はちょっと年金中身に入りますが、国鉄共済年金の救済措置は、国家公務員共済組合制度への統合により云々、こういうことになっておりまして、政府が試算した次の国鉄共済年金に対する財政調整案によると、国鉄共済年金は現行制度のままでは、昭和六十年度から昭和六十四年度の五年間で平均一年当たり二千六百億円の不足額が生ずることとなる。この不足財源二千六百億円は、一、国鉄当局の負担増分千四百億円、残り千二百億円は折半により、二、国鉄共済組合負担増分六百億円、三、国家公務員等三共済の拠出分六百億円により捻出される。要するに二千六百億円の不足額の中で国鉄が二千億円を負担して、残りの六百億円をその他で負担してください、大体こういうことですね。そしてこの場合に、連合会国家公務員が四百六十五億円、電電が百二十億円、専売が十五億円を負担するのだ、こうなっているのですね。  馬渡副総裁国鉄共済年金が六十年からこういうふうになる、いまになってわかったわけじゃないのですね。これはもう前からわかっている。国鉄の立場として、どうして国鉄共済年金がこうなったのかを率直に答えていただきたいと思います。
  116. 馬渡一真

    ○馬渡説明員 大きく分けて二つあると存じます。  一つは、一般的に同じ各共済、年金が全部そうなっておりますように、スライドをしていくということによって掛金と実際に支給する部分とのバランスが崩れだということが一つでございます。  それから、あと国鉄としての立場で申しますと、戦時中から戦後にかけましての要員事情で、現在やめる人が大変多いわけでございますが、その人たちの退職金も大変でございますが、同時にやめられた後の年金負担が大変になっておりますということでございまして、制度そのものにつきましては、国鉄だからといって特別な制度ではございませんので、むしろそういう要員需給の面で国鉄が特別に早く大変な状態になったというふうに私どもは認識しております。
  117. 堀昌雄

    堀委員 そのとおりであって、これは二つ作用しているのですね。要するに戦後に満鉄、朝鮮鉄道その他の各鉄道から帰ってきた人が入ってきた。入ってきたら、いまの職員構成の中で若い人よりやや高い年齢層の人が入ったのでしょうから、上の方が厚くなった。これは本当に必要な国鉄職員以上に抱えたわけで、新規採用はできるだけ減らすとなりますから、要するに若い人はなかなか採らないで、この大きな中のたまりの者がずっといって年金を取るようになった、これが私はいまの構造上の最大の理由だと思っているのです。これは国鉄がどうしてもそうしたいと言ったのじゃなくて、これも私は国の政策だと思うのです。さっき竹下大蔵大臣は、財政危機がこうなったのは確かにいろいろ問題があるけれども、ある程度不可抗力だ、こういうふうにおっしゃったけれども、いまの要員問題というのは、国鉄としては、竹下流に言えばある程度不可抗力だった、私はこういう認識なんですが、副総裁どうですか。
  118. 馬渡一真

    ○馬渡説明員 戦後二十四年までは国鉄国鉄ではございませんで、鉄道省であったわけでございますから、政府の方針そのものをそのまま国の政策として受け入れて、いまのような復員の方々あるいは外地引き揚げの方々をそのまま国鉄に採用したということでございますので、国の政策をそのまま実行したと思っております。
  119. 堀昌雄

    堀委員 私は国鉄問題をいろいろやってきたのですが、実は昭和四十二年四月十九日に当大蔵委員会で、当時の磯崎副総裁に出ていただいて、当時は水田大蔵大臣で、いろいろと議論したのです。四十二年ですからいまから十六年前ですね。そのときに磯崎副総裁はこういうふうに答えておられるのですね。   私のほうの黒字線と赤字線の過去数年間における推移でございますが、黒字線と赤字線の分け方にはいろいろ問題がございますけれども、一応私ども従来やってまいりました分け方で御説明きせていただきます。多少学者の間には議論がございますが、一応過去においてやってまいりましたやり方によってお答え申し上げます。  昭和三十七年から三十八年、三十九年、四十年、まず結論的の赤字の絶対額でございます。昭和三十七年度が赤字線の赤をカバーしまして六百二十億円の黒字、三十八年度は六百七十億円の黒字、それから三十九年度に急激に悪くなりまして二百十四億円の赤字、四十年度には千九十億円の赤字というふうに、この数年間で非常に急激に悪くなりました。  赤字線から発生いたします赤字の絶対額は、昭和三十七年度は四百七十四億円、昭和三十八年度には五百十五億円、昭和三十九年度は千十三億円、昭和四十年度は千四百四十億円になっております。この赤字線の中にも、ただいま御質問の中にございましたとおり、いわゆる直接費はまかなえる線と、それから直接費もまかなえない線とございます。一応一緒にして御答弁申し上げましたけれども、大体昭和四十年度には赤字線から出ます赤字の合計が千四百四十億円、赤字線の数が二百三十一線、全体で二百四十二線ございますが、九五%も実は赤字である、私はここでいろいろなことを言っているのですけれども、昭和四十二年にすでに転換してきて、赤字がこうなった、こういうことなのですね。  私はこの後でいろいろな問題を提起し、議論をして、今日かなり実行に移されてきておりますけれども、駅ビルをつくって賃貸料を取ったらどうかとかいろいろな問題をその後にやっている。最近ようやくそうなったのですが、ともかくこの国鉄の赤字問題というものは、私はこの前も一回三木内閣のときにやりましたけれども、ともかくも自動車は道路を走りますね。道路というのは主として国がつくっているわけですよ。国でなくても自治体の県がつくる。要するに自動車会社は自分の車庫を持って、車があれば商売になるのですよ。下の道路は全部国がめんどうを見る。飛行機は、格納庫と飛行機があれば、飛行場は全部国が出しているのですよ。船はどうか。港は全部国が出しています。船だけあれば商売になるのですよね。国鉄はどうか。下の土地から全部国鉄に買わせて、線路を敷かせて、そうして赤字になるのはもう四十二年ころからわかっているのに、なおかつそれから新線ずいぶんできて、それは明らかに赤字線を政府はつくらせていた。その例は、上越新幹線だって東北新幹線だって当分赤字線ですからね。何にしたって赤字線。だから、いま国鉄が赤字赤字でけしからぬ、国鉄職員けしからぬという声が高いけれども、さっきの年金の共済問題も政策のために起きておる問題。国鉄の赤字も、私に言わせたら、政策で起きているのですよ。自動車や飛行機や船には国がしっかりフェーバーを与えている。国鉄には何もしないで、そうして下の土地まで買わせて、土地の代金を借り入れた、その代金の金利も国鉄で皆払え。まあいまは違いますが、そうやって国鉄の赤字がふくれ上がってきた。だから、日本の財政赤字と比べて——日本の財政赤字というのはちょっといろいろ私も考えてみて反省しなければいかぬのだけれども、国鉄の赤字というのは国鉄が受け身であって、大変むずかしい状況の中にある。  私はここで貨物の問題から何から皆昭和四十二年に実はやっておるのですよね。いまや貨物で国鉄を使っているのは、国鉄を使ったら得な者だけが使っている。そうでないのは全部自動車やほかへ行っている。十六年前に指摘したけれども、国は抜本的対策を何も講じないで、そうしてともかく第二臨調は国鉄についていろいろなことを言っているけれども、私はこれはまさに自民党政府責任だと思うのですよね。そのしわを国鉄職員が負わされていくということについては大変問題がある、私はこういう認識なのです。これはもうずっと古くからこの問題をやっているものですからね。そうして、何回も政府に言って、大蔵大臣にも、ともかく直接経費を貯えないところに金を貸せなんと言ったって、民間企業なら貸してもらえないよ、だからそれなら何かしろ、こう言った。しかし、今日ここまで来てもまだ赤字線の解消すらできない。外国の様子を聞いてみると、よその国は赤字線だめだと言ったらちゃんとやめてくれるようですね。日本ぐらいじゃないのですか。要するに公共交通だからと言って、その赤字は全部国鉄に持たして、撤去反対。気持ちはわかりますよ。気持ちはわかりますけれども、これは国有鉄道で国が全部やっているのなら問題がないのだけれども、企業なので、そこはそれなりに国民も考えなければいかぬと私は思うが、これはなかなか国民の立場からするとそういっていないということになるのです。  だから、そういう意味で、国鉄共済の赤字問題をどうしてあとの国家公務員やその他に負担をさせるのか。ともかく年間で六百億、五年間で三千億、政府保証債を出して処理したってちっとも構わぬと私は思っているわけです。だって、もとは国にあるのだから。国にあるのなら、少なくとも国でもうちょっとめんどうを見てやる、こういうのが筋であって、本来国が原責任者であるにもかかわらず、国は横へどけておいて、国鉄共済が赤字になったことについては、何らこれに関係のない人たちから保険料を取り上げて、六百億円つぎ込もうという話は、政治上でもその他の面でも、これほど論理的でないやり方はないと私は思う。いま国は一体幾ら国債を発行しているのですか、本年度の国債幾ら発行ですか、吉野さんちょっと答えてください。
  120. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 十三兆一千億程度であったと思います。
  121. 堀昌雄

    堀委員 十三兆一千億に対して六百億を国がめんどうを見る。私は赤字国債を出せとかそんなことを言っているのじゃないですよ。政府保証債で結構だと思っているわけだけれども、十三兆と六百億というのは、何分の一になるのですか、ちょっとそこらの計算できる人、計算してください。
  122. 保田博

    保田政府委員 約〇・五%であります。
  123. 堀昌雄

    堀委員 〇・五%、要するに一%に足らないわけです。私どもから言えば、十三兆と六百億の比較は見えない程度の額になってしまうわけです。さっきから武藤さんが民主主義の話をしておられるけれども、世の中には一つの、動かしてはならない道理とか規範というものがあると私は思うのです。私は、民主主義は常識だと思っているわけです。だれが見ても電電公社や専売公社国家公務員責任があるのなら、負担をするのは仕方がないと思う。しかし、そうじゃないのだ。明らかにこれは全部政府の施策によって起きておる問題。全部政府に原責任があるものを安易に関係のない者に押しつけるというこの発想は、竹下さん、これこそまさに基本的に言えば政治倫理の問題なのですよ。やってはならないことをやっておると私は思う。そういう意味で、この共済年金の統合というのは大変問題がある。  国鉄問題については、これは政府責任だからと言ったって、国民全体で考えるしか仕方がないのだから国民全体で考えよう。それはなぜかと言えば、国鉄を利用しない人というのは現実には国民の中でないのです。第二臨調で赤字を克服せい、何だかんだと言っている人は、新幹線も結構使って利用価値を享受しているわけだ。享受するときには何にも言わないで、そして赤字だけ見て国鉄はけしからぬ、民営だ分割だ。この人たちの言うことは無責任ですよ。私からしたら、こういう重要な政治的な問題はきちっと分析をして、原因がどこにあるのか。原因者負担というのが当然なことは、公害問題だってやらしているわけです。そうでしょう。ある意味国鉄は公害に遭っているようなものなのだ。そして、利用するだけ利用して、赤字はみんな国鉄責任だ、こんな道理の通らない話がいつまでもまかり通っていたら、日本の政治は退廃しますよ。大変な問題だと思うのです。大蔵大臣答弁を求めます。
  124. 竹下登

    竹下国務大臣 国鉄のよって来る、今日までの赤字が累積してきた問題につきましては、私もそう大きな異論をはさむ考えはありません。ちょうど昭和三十九年から赤字が出まして、そのときが佐藤内閣になりました。私は内閣官房副長官になって、鉄道省出身の人が総理大臣になったら鉄道が赤字になりましたねということを冗談で言ったことをいま想起しております。  いずれにしても、見てみると確かに、いまモータリゼーションとおっしゃいましたように、自動車の生産台数が十八万八千台ぐらいなのが、いま千万台ということでございますから、そういう社会構造の変化が、いわば本人の意思自体にかかわらずそういう原因を生んできたということもわかりますし、またなかんずく、ちょうど堀さんから竹下登君ぐらいまでの間が、満鉄なんかから一番よけい帰った方でございますよ。そういう方々との交友関係を持つときに、私も絶えず同情をする一人であります。  しかしながら、元来保険制度というものを考えてみると、それはやはり一つの互助精神とか連帯とかというものの中においてお互いが助け合うということになれば、いまの場合、いわば育ちの比較的近い類似性のあるものから統合して、ある意味における痛みを分かち合って将来の構想に向かっていくのが、ぎりぎり詰めて議論をすれば、言ってみれば現実的施策ではないかな、こう思います。しかし、御指摘になっておる問題を私はことごとく否定しようという考えは全くありません。
  125. 堀昌雄

    堀委員 ここまで物が来ているから、これを全部もとへ戻せという話にはならないでしょうけれども、事務当局はやはりどうしても数にこだわるのですよ。しかし私は、この間もここで健康保険の論議もやったりして、保田主計局次長というのは大変りっぱな主計局次長だと思って敬意を表しているのです。主計局のために一生懸命にやろう、国家公務員としてきわめて優秀ですよ。しかし、大蔵省のためにやりさえすれば国民のためになるという話じゃないのですよ、竹下さん。国民があっての大蔵省でして、絶対に大蔵省があって国民があるのじゃないですからね。この間ちょっと保田さん言い間違いをして、私が聞きましたら、財政あっての国民ですとぽっと出てしまいました。私はさすがりっぱだと思ったね。本音が出たな、こう言ったわけですよ。そうしたら早速訂正して、いえ、国民があっての財政ですと言い直しましたけれども、しかく主計局のことで一生懸命やっている。しかし竹下さん、政治家はあなたも私も別なんです。私たちは何としても国民を真っ正面に見据えて、国民にとって、この国民の現在から将来にわたりこれがどうあるべきかということを真剣に考えるのが、私は政治家だと思っているのです。数は二の次ですね。  そこで、確かにいまのいろいろな形で、この審議会や何かを見ますと、ここへ官僚出身者がどうも入り過ぎている。要するに官僚出身者の頭の考え方は、やはり優秀な保田さんと同じように、失言で出る場合もあるけれども、財政は大切だ、そういう人がいまの共済の関係者の中に、私ちらっと名簿を見て、大蔵省の先輩も何人がおられます。私の親しい人もおる。そういう人の発想はやや財政あっての国民の発想に近づくのですよ。決してそれを悪いといってとがめているのじゃないのです。それは習い性となって——吉野さんは二十八年入省ですね。要するに大蔵省に入ってからすでに三十年大蔵省の役人やっているわけでしょう、それは身につきますよ。この物の考え方がぎっちり身についている。私は、竹さんも同じだけれども、昭和三十三年に国会へ出てきて、私は一回休んだからあれだけれども、竹さんたちはもう二十五年在職、私はいま二十二年八カ月くらいかな、正月が来たら二十三年になる。しかし、これはまた国民優先の方にこり固まっているわけだから、そういうところをやはり調整をしないといかぬと私は思うのですよ。大蔵行政は大変合理主義、完全主義でいいところがありますよ。私どもがここを直しなさいなんて言ったって、もうとにかく決めたものは断じて動かさぬ。竹下さん、これも検討を要することなんですよ。確かに大蔵省の人は優秀だけれども、見る角度を変えれば、物の見方というのは変わると私は思うのです。  私はいろいろな問題のときに常にこう言っているのです。相手の立場に立って物を考えよう、そうしなければ、お互いが対立した立場で、自分の方ばかりの主張をしていて物がうまくいくはずはないのでして、相手の立場に立ってしっかり考えてみたときに本当の結論が出るというのが私の信条です。私は竹下さんもそこは同じだと思うのです。そうすると、官僚皆さんはどうしても、ややその点が欠けるところがあると思っているのです。しかし、言葉の上では、官僚というのは国民の公僕となっている。要するに公僕というのは、国民が上にあって、公のしもべなんだから、もっと国民のことを考えてもらうといいのだけれども、どうも行政はそういっていない点が多い。私も昭和三十五年に大蔵委員会に来てから、中身で大方二十年ここの委員会におりますから、大蔵省皆さん、大変親しい人があって、個人としては大変いいのだけれども、仕事となると俄然ハッスルしてしまうんだな。もうちょっとハッスルしない方がいいと私は思うのだけれどもハッスルする。  ですから、どうかひとつ大蔵大臣、この共済年金の今後の問題——年金の問題というのは、要するに予測不可能な問題が前にいっぱいあるわけです。日本経済が一体これからどういうふうになるのか、そしてこれらの人の給与、所得が一体これからどういうふうになるのか、予測できないファクターがいっぱいあるわけです。ただ、そういうことだけでは困るから、生命保険でも年金でも計算をして、大体こうではないか、こういうことで議論しているわけですね。それはもう確定的に五年先こうなりますなんというのは、来年のこともわからないのに、わかるはずはないのです。要するにすべては将来の問題です。  そうすると、そのときの基本として一番大事なのは何かというと、その情勢の中で最も適当な対応をするということじゃないかと思うのです。いまからすべて決めておいて、情勢の方は変わっても、いや一遍決めたのですからこれでいきますというのが官僚的発想だという気が、私はしてならないのです。だから私はその点で、中曽根さんの今度の何とかプラン、計画はいやだからと言って、何とか言っていますね、これはちょっと私のそういう考えに似ていると思うのです。いまの時期は情勢が変わるのだから、変わる情勢にフィットするように物を考えていった方がいいのではないか。公共事業五カ年計画をつくったらリジッドに、何が何でもやみくもにこれでいくというのがこれまでのやり方で、私は、中曽根さんがそういうのでない方がいいと言っている点は同感なんです。  要するに、私も長年やってきたけれども、経済の状態というのは非常にむずかしい情勢で、選択の幅が狭い中で動いていくわけですから、どうかひとつ大蔵大臣、この年金問題についても、やはりその情勢、情勢を見ながら、そしていま言ったように、本来は国がやるべき責任のことなのをその他の共済組合員に負担をかけるのなら、それなりの配慮があっていい、基本的に私はそう思っているのです。大蔵大臣もそれについては私と余り意見は違わないと思うのですけれども、どうでしょう。
  126. 竹下登

    竹下国務大臣 いま堀さんがおっしゃった今度の、中曽根さんが経済計画で「展望と指針」ということをお考えになって、そういう答申をいただいて閣議決定したわけであります。したがって、その意味におきましては私は、すべて自由主義経済理論のもとにあってリジッドに物を決めてかかるということは確かに問題があると思います。法律ができてしまえばひとり歩きするように、数字がまたひとり歩きして、それに拘束されて間々政策運営の方向を誤ることもあろうかと思います。そしてまた、その都度出てまいりますいわゆる制度改正とかというものにおいては、すべてのルールに例外があるという格言がございますが、なかんずく今次の年金制度などというのは、それこそ長い長い歴史がございますので、政策の改正の場合には、そこの線引きによってはいろいろな問題が生じてくると私は思うのであります。それらはやはり政策運営過程において、絶えず問題意識を持って対処していかなければならぬ問題ではあろうというふうな認識においては一致しております。
  127. 堀昌雄

    堀委員 そこで、さっきから大蔵大臣もお答えになっておりますけれども、法律法律としてありますが、かなりの部分が今後の、長期給付財政調整事業運営委員会だったかな、ここへかかってくるわけですね。そこで大蔵大臣、この運営委員会の人的構成は十分考えてもらわぬといかぬと思うのです。というのは要するに、そういうときに、関係者の方も必要なんですが、かなりニュートラルに全体が見える人を入れていただかないといかぬと思うのです。  私、数日前に大蔵省の古い、リタイアされた方たちと現職の方と民間の方と、晩飯を一緒に食べたのです。そこでこういう話があったのです。大蔵省委員会に出ている人たちというのはどうも保守的に過ぎるということを私は言ったのです。その話をしたら、そのリタイアされた古い方は、先生、大蔵省も先生のおっしゃるように保守的な者ばかりじゃありません、私なんかはやや革新側で、物を転換する方がいいと言うぐらいです、そうすると大蔵省の諸君はそういうのをできるだけ避けて、要するに間違いがない方、保守的というのは完全主義という大蔵省の方針があるので、完全主義を引き続きやるような方をそこへ送り込むんだ、そんな話がリタイヤをした方から出まして、ははあ、なるほどなという感じがしたのです。実は、どことは言いませんが、いろいろな審議会の問題について、私のところへいろいろ情報が入ってくる。その中で、どうも大蔵省OBの方の話はかたいのですよ。非常にかたい話をする。民間やその他の方はきわめて弾力的なんですけれども、そういう方の話はかたいですね、保守的なんだな。その話をちょっと私が持ち出したら、その大蔵省OBの方が、そういう選択があると言うのですね。  どうかひとつ、私は個人にレッテルを張る気は毛頭ありませんけれども、こういう大蔵省の所管をしておるところには大蔵省出身者を入れないようにしたらどうかと思うのです。大蔵省がやっている各種の委員会、いっぱいありますでしょう。そこへ委員として出ておられる方の中にかなり大蔵OBが出てくるわけです。大蔵省が事務方を受け持ったり主管をしておるところには大蔵OBは入れない方がいい、もっとその他の、官僚はだめとは言いませんよ、言いませんが、広い視野でいまのような新しい情勢に対応できるようなタイプの方を入れる。大蔵省が事務方も持っているようなところにさらに大蔵省OBが入ってやるというのは、私は適切でないように思うので、そこらは少し大蔵大臣、今後のそういう審議会委員その他の選択については——これは大蔵省の中では官房長が関係あるのですよね。ひとつぜひ考えてほしい。じゃ、大臣答弁する前に官房長から、そういう私の基本的考えについてあなたの考えをちょっと言ってもらえますか。
  128. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 ただいまの堀先生のお話は確かに一つのお考え方かと存じますが、私どもといたしましては、従来からいろいろな審議会委員さん方の人選の御相談にあずかります場合には、どこどこの省の出身者というようなことにはできるだけこだわらずに、むしろ幅広く、いわゆるその方々の御見識本位という形、姿勢で取り組んでいるつもりでございます。しかしながら、結果といたしましては、いろいろな御相談をしていく過程で、私どもの大蔵省の先輩の方々委員にお加わりになるという場合ももちろん大変ございます。これを、大蔵省出身者であるから審議会委員さんにお願いをしない、そういうような線の引き方はかえっていかがなものかなという感じが、現在率直にいたしております。
  129. 堀昌雄

    堀委員 大蔵大臣、私も長年大蔵省の人とつき合っておりますけれども、確かに優秀で見識のある人は多いですね。そのことは間違いない。だから出身を外してみれば、大蔵省の方でそういうのに適格な人は多いのですよ。しかし、要するに大蔵省が事務方を持つ審議会、事務方が大蔵省でいろいろ影響力を持っているところへ、さらに今度はその中に大蔵省の人がいて事務方と相呼応していろいろやるなんということになったのでは、これは、まさに政府がいまの審議会を利用するというそしりを免れないと思うのですよね。そういう意味で、確かに優秀な人が多いんだけれども、大蔵省が事務方を務める委員会、審議会等は、ともかくもできるだけ遠慮させる。それは大蔵省が最終的には決めることなんだから、ひとつそのぐらいの英断を持ってやる。  いまのこの年金問題もそうなんですよ。確かに国家公務員の中には大蔵省もちゃんといるわけだから、大蔵省の人が入るのは妨げないとしても、少なくとも、要するに学識経験者的というか、中立的立場という形の部分は、その他の方にひとつできるだけお願いをするという考え方があって、その方が、国民が見る目も、大蔵省主導で物が行われておるということにならないという感じになるので、これは政治的判断の問題ですから、ひとつ大蔵大臣の善処をお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  130. 竹下登

    竹下国務大臣 各種審議会というのは、確かに専門的知識を持った人がおっていただいた方が議論も進めやすいし、そういう形におきまして従来とも専門官庁の出身者の方が委員の中に加わっておられるということは、それなりに私は意義のあることだと思います。ただいま堀さんのおっしゃるのは、まさに各省一般論として、大蔵省なら大蔵省あるいはほかの省にしても、その省プロパーの問題については、少なくとももっと客観的に物を見る人が委員の中におった方がいいのではないか、こういう御議論でありますが、それは一つの見識だと私も思っております。だからといって、専門分野であればあるほど、全く客観性の人だけ集まりますと、船が山へ上がってしまうようなことにもなりかねませんので、その辺の人選というものは、それこそいまおっしゃった政治配慮の中で調和をとるべき事柄であろうというふうに考えております。
  131. 堀昌雄

    堀委員 いまの共済関係の問題は大体ここらで終わりまして、あとの問題として、三公社、いま国鉄問題やりましたけれども、専売と電電問題についてちょっと伺っておきたいと思うのであります。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  第二臨調で答申が出て、これからいろいろな問題が起こってくるんだろうと思うのですね。私は、さっき申し上げたように、非常に速いスピードで時代が動いていきますから、速いスピードで時代が動くのに対応できる処理をすべてのところがやっていかなければいかぬと思うのですよ。私はさっき国鉄に触れましたけれども、いまの新幹線、まだ東北新幹線というのは乗ってないのだけれども、この間乗った人の話を聞くと、堀さん、東海道新幹線では字は書けないけれども、東北新幹線だったら字がちゃんと書けますよという話で、これは大変な技術革新だな、こう思っておるのですよ。だから、いまや国鉄の技術というのは、そういう意味では大変高い技術を持ってやっておる。しかし今後の国鉄の限界もまたありますね。間違いなく限界もある。要するに新幹線をあっちやこっちつくってはかりいたら、ますます赤字になってしまうのだから、私は新しい新幹線はやめろ、こう言っておるわけですよ。このぐらいにしなければ、ますます国鉄は首が回らなくなっちゃうということなんです。  電電の場合は、これまた将来的問題では予測がしがたいいろいろな問題がありますね。その際に、職員の立場をどう考えるかという問題が重要だと私は思っているんですよ。幾ら機械産業であったって、人間なくして機械が動くわけじゃありませんので、保守から何からやはり全部人間がやらなければならない問題ですね。ですから成長産業は成長産業なりに、あるいは大体現状維持の産業といいますか、専売公社なんかはどちらかというとやや現状維持でしょうね。これからますます発展する産業だとは思いませんけれども、おのおのいまの企業は企業の特性があると思うのです。その特性の中で、その企業を支えているのは人間なんです、職員なんですから、そういう意味で職員に対する対策というものは大変重要な問題があると私は思っているんですね。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕  私は、いま日本の問題の中で矛盾がたくさんあると思っているんですよ。その矛盾の一つは、前から当委員会で何回もやってきたのだけれども、仲裁裁定を全部まとめて一つでいこうとか、大変むずかしい問題があるわけですね。だからそういう意味では、発展性のある企業はそれなりの技術革新の教育もしなければいけないし、配置転換もしなければいけない。もちろんどこだって技術革新はあります。国鉄だってこのごろはコンピューターで券を出したりいろいろやっているし、専売公社だって恐らく日々技術革新をやらなければ取り残されますから、やっているでしょうけれども、成長の度によってそれは差が出てくるのでしょうね。そういうものをちゃんとわきまえた人事管理その他が行われないと、職員にとってもマイナスですけれども、企業にとってもマイナスだ、こう私は思うのです。そこらについての電電、国鉄、専売公社の各副総裁の人事管理といいますか、要するに新しい技術革新その他に対応しながら、職員のそういうものに対する対応をどういうふうにしていけばいいのか、これを新しい問題として常に考えていかなければならぬ問題だ、こう私は思うのですが、まず北原さんの方からお答え。いただきたいと思います。
  132. 北原安定

    ○北原説明員 ただいま堀先生の職員に対する技術革新とのつながりにつきましての御質問でございます。  私どものところは、簡単に言いますと、世界的なあおりを受けておりますエレクトロニクス革命をまともに受けておる分野でございまして、御案内のとおり電気通信、コンピューター、これがエレクトロニクス革命をまともに受けまして、それがドッキングしたオンラインのデータ通信というものが、世界の各国の新しい経済、国民生活、社会活動を支配しようとするような方向にあるわけでございます。  したがいまして、この技術の進歩を簡単に言いますと、初代梶井のときにはクロスバー交換機でいいんだ、日本はおくれておるからそれを勉強してこい、機械の交換機でございました。銅を使って有効に通話を送るために同軸ケーブルを勉強してこい、こういうのが初代梶井の合い言葉でございました。それから二十五年しますと、もう機械でやる交換機なんというものはおくれておる。電子もデジタルでやれ、それから銅を使うなんというのは遅い、光の時代だ、こういうくらい大きな変化をしております。そしてまた二十五年しますと二十一世紀の入り口になってしまうのです。そのときはもっと激しい変化が来るであろうということを予測しています。  したがって一人の人間が、公社の職員が、先ほどありましたように、十八歳で入って四十年勤めた、四十年の間にこれだけ大きい技術革新の波を、運のいい人で二回、普通の人は三遍こうむるのでございます。それを何で補っていくかというと、毎日現場で働きながら、夜自分で学習するというのが圧倒的なのです。そのほかに、うちの訓練設備で定期の訓練をいたします。だから、訓練に最大の力を入れていかないとこの事業はもたないというように考えて、鋭意訓練を重視し、学園を強化し、そうは言っても日常仕事がございますので、時間はそうそうとれませんから、いろいろな形で訓練を各方面からやらせていただいておるのが実情でございます。今後もこれを積み重ねないとなりません。したがって、われわれはこの職員の努力にどうこたえていくかということが、基本的な経営の大きな問題になると考えておるわけです。
  133. 馬渡一真

    ○馬渡説明員 ただいまのような困難な国鉄の情勢の中で、職員の気持ちをどう引き立てて仕事をさせていくかということがやはり一番大事だというふうに思っております。  技術革新の波は、私どもも分野が非常に広うございますので、当然いまの電気の部門等も同じような進歩をして、一緒にやっていかなければならないわけでございます。その中で、先ほどちょっと触れられましたように、職員の年齢の高い層が新しい技術に大変なじみにくい、若い層は早くなじむというような点がございまして、やはり教育の大事さ、その辺のところもわきまえてやっていかなければならぬというふうに思っておりまして、何よりも再建に向けての職員の気構えをどうやって守り立てるかということに力点を置いて考えてまいりたいと思います。
  134. 石井忠順

    ○石井説明員 私どものところも、御案内のいろいろな問題を抱えておりますので、これからより効率的な事業運営を目指しまして、安定的な労使関係の維持、それから職員の意欲的な参加を求めるために、いろいろ検討あるいは労働組合協議をいたしておるという段階でございます。
  135. 堀昌雄

    堀委員 専売公社法第二十一条では「公社の職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。」こうなっておりますね。職務はいまどんどん変わってきておるということだと思うのです。国鉄は第二十八条「職員の給与は、その職務の内容責任に応ずるものでなければならない。」これは二つとも同じことなのですけれども、なぜ同じかというと、両方とも実は特別会計のときの考え、この二つは国家公務員と変わらないのですね。いまの専売公社国鉄は二十三年の法律だから、両方同じことになっている。電電公社は二十七年の法律だから、第三十条「職員の給与は、その職務の内容責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」電電公社ができた経緯は、前にも当委員会でやったからあれなのですが、法律的にちょっと違うのですね、専売公社国鉄ができた経緯と。石川委員会というものがあって、いろいろな検討の結果電電公社ができておる。そこで法律の体系が違う。けれども、それは公社として同じことと理解をして、この際国鉄も専売も、この後段にくっついておる「職員が発揮した能率が考慮される」ように、法律がどうあろうとも、ぜひ皆さんも考えて、職員に対する給与の問題を真剣に取り扱ってもらいたいということを特に要望いたしておきます。特に国鉄職員については、さっき私が言ったように、国鉄自身によって赤字が出ているのじゃないのだ、それは外的な諸条件、国の対応、いろいろなものがあるので、国鉄職員は一生懸命やっているのですから、そういうことにおいて国鉄職員のプライドを高めて、士気を高めて、日本の国鉄として十分な任務を果たしてもらいたいということを特に申し添えておきたいと思います。  そこで、最後になりましたが、ちょっとお尋ねをいたします。  今回の統合法案では、公企体共済の既裁定年金について、改正法により、現行の公務員共済年金の水準に裁定がえをすることになっている。この場合、年金額は現額保障はされているが、当分の間、つまり公務員共済年金が今後改定されていって現在の公企体共済年金の水準に追いつくまでの間スライド停止される。それに間違いはないか、これが一番目の質問であります。  二番目。現在公企体職員の退職金は公務員に比べ三%カットされている。これは公務員よりも共済年金が有利になっていることの見合いの処置であるが、今年公企体をやめた人は、退職金は三%カットされ、年金は現額保障はされるものの、来年の年金はスライド停止されてしまう。踏んだりけったりではないか。少なくともことしやめたような人には、年金上最小限の配慮があってしかるべきではないかというのが私のお尋ねであります。大蔵大臣答弁をお願いいたします。
  136. 竹下登

    竹下国務大臣 公企体職員の既裁定年金について、現行の公務員共済の年金水準に一致するまでの間スライド停止されることは御指摘のとおりであります。したがって、今年公企体をやめた人が退職手当を三%カットされ、当分の間スライド停止されることも事実であります。  いかなる制度におきましても、とりわけ過去の長い歴史を持っておる年金制度については、制度改正をする場合、改正前と改正後で、あるいは何らかの基準で引かれた線引きによりまして、程度の差はあれ有利不利の議論は間々起こりまして、ある程度のアンバランスはやむを得ないものと考えます。ただいま御指摘のような例が出るのは適当でありません。何らかの配慮をすべきであるという御指摘をいただいたので、将来、たとえば年金額改定をする際に何らかの配慮ができるかどうか、今後法技術的に可能かどうか等を含めて検討してまいりたい、このようにお答えをいたします。
  137. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  138. 森美秀

    ○森委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。  大変申しわけございませんが、このままの状態でアバウト十分お待ちください。——  十分たちましたが、社会党の委員の出席がありませんので——中村理事おりますか。中村理事、連絡に行ってください。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  139. 森美秀

    ○森委員長 速記をお願いします。  自民党の越智筆頭に申し上げますが、公明党、民社党、共産党、新自由クラブ、皆さんお待ちでございますから、ひとつ一刻も早く帰ってくるように言ってください。  とめてください。     〔速記中止〕
  140. 森美秀

    ○森委員長 速記を始めてください。  越智伊平君。
  141. 越智伊平

    ○越智(伊)委員 委員長に報告をいたします。  委員長の命によりまして社会党に行ってまいりました。会議中でありまして、伊藤理事を呼びましたが、伊藤理事は発言中でありましたので野口理事が出てまいりました。そこで、いま話し中であるからもう十分だけ待ってくれという話でありました。私が、それでは討論を始めるよと言いましたら、もう十分のことだから待ってくれということでございました。ちょうどその時点が五十分でありましたから、七時が参りましたら討論を始めていただきたい。中村理事を残してありますから、いずれにいたしましても七時が来ましたら討論に入っていただきたい。それまで暫時お待ちいただきたいと思います。
  142. 森美秀

    ○森委員長 御苦労さまでした。  皆様方にお諮りいたします。  あと七分待つことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 森美秀

    ○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  速記をやめてください。     〔速記中止〕
  144. 森美秀

    ○森委員長 速記を始めてください。     —————————————
  145. 森美秀

    ○森委員長 これより、本案に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。
  146. 麻生太郎

    ○麻生委員 私は、自由民主党を代表し、国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につき、賛成の意見を表明するものであります。  今回の法律案は、臨時行政調査会の「行政改革に関する第三次答申」の趣旨にのっとり、国家公務員共済組合制度公共企業体職員共済組合制度を統合し、公共企業体職員に係る長期給付の給付要件等を国家公務員に合わせるとともに、長期給付事業の財政上の諸問題に対処するため、所要の措置を講ずるものであります。  近年、わが国は、世界に例を見ない速さで高齢化社会に向かいつつあり、二十一世紀の初めには、高齢化はその頂点に至り、六十五歳以上の人口は、実に全人口の二一%にまで達することが予測されております。  このような高齢化社会に至っても、なお経済の安定的発展を図り、活力ある高齢化社会を維持するためには、高齢者の雇用環境の整備、生産年齢層の拡大を積極的に推進することと同時に、老後の生活設計の中核となる公的年金制度の役割りが一層重要になるものと考えます。  現在、わが国における公的年金制度は、御存じのように厚生年金、国民年金、船員保険、五共済年金の八制度から成っております。しかし、これらの公的年金制度は、いずれも近い将来、本格的な高齢化社会の到来及び年金制度の成熟化に伴い、年金給付は増大を余儀なくされることが確実であります。加えて、これらの各制度における給付内容等の相違からいわゆる制度間格差も問題となっております。したがって、今後、給付水準の見直しなど公的年金制度全体の再編成を行い、公的年金の一元化が必要であるということは、すでに広く理解されているところであります。  このことは、昨年七月、臨調の第三次答申においても、公的年金制度全体の改革について計画的に検討する必要がある旨の指摘がなされていることからも明らかであります。  すなわち、同答申では、人口の急速な高齢化と制度の成熟化の進展に対応して、国民の合意の得られる負担の水準に配慮をしながら、二十一世紀においても年金制度が健全に機能し得るよう、制度の抜本的見直しに速やかに着手する必要があると強調しているのであります。  今回の法律案は、昭和五十五年六月以来、学識経験者による二年有余にわたる検討の結果をまとめた共済年金制度基本問題研究会の「意見」に沿って策定されたものであります。制度内容、沿革が比較的類似している国家公務員公共企業体職員共済組合制度を統合し、その給付要件等を一致させることを目的とするものであります。同時に、行政改革の具体的な方針の一つとして、本年五月、今後の公的年金全体の再編、合理化についておおよその方向を政府においても決定するなど、今後の公的年金制度改革に向けて本格的な取り組みが進められつつあります。したがって、今回の法律案は、将来の公的年金制度の再編、統合のまさに第一歩として重要な意味を持つものであると考える次第であります。  同時に、今回の法律案は、極端に財政が悪化しております国鉄共済年金に対する当面の措置として、他の共済組合からの拠出金をもって国鉄共済組合の円滑な年金支払いを確保することをもねらいとしております。この措置は、社会保険の一環としての相互扶助という共済制度の本来の趣旨から見て、許容し得る措置であると考えております。  なお、このほか、国家公務員法等における定年制度の導入に伴い、定年退職者で無年金となる者に対して特段の配慮がなされ、年金の受給資格に特例措置を講じていることにつきましては、厚生年金等との均衡を考慮すれば、適切な措置ではなかろうかと考えるものであります。  以上、自由民主党を代表し、本法案に対し賛成の意見を表明し、討論を終わります。(拍手)
  147. 森美秀

    ○森委員長 上田卓三君。
  148. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表して反対の意見を述べさせていただきます。  わが国社会の老齢化は、ヨーロッパ諸国よりおくれて始まり、今日、それらの国々をはるかにしのぐ速度で進行しつつあります。さらに、日本人の平均余命が男子七十五歳、女子八十歳にも達し、いまや世界一位の長寿国とまで言われています。まさに高齢化社会が必至の今日、生活できる年金制度を初めとする社会保障の充実強化は全国民的な要求であり、憲法第二十五条を見るまでもなく、国家的課題でありますしかるに、わが国政府の対応は、問題の重さに比較してきわめて不十分なものであります。  わが党は、これまで一貫して、現在の八つの法律、六つの省に分かれた縦割り年金行政と年全体系では、日本の年金制度は必ず行き詰まるし、年金の成熟化が進むに従ってその矛盾が露呈し、欠陥が明らかになることを指摘し、わが国の年全体系をどのようにつくり上げていくのか、その全体像を明確に示すよう求めてきたところであります。  まず、政府は、年金成熟と高齢化に対応するわが国のあるべき年金改革の全体像、将来像を示し、これに沿って改革のスケジュールをつくることが求められているのでありますしかるに、政府年金の全体像はいまもってはっきりしておらず、第二臨調の答申と社会保障長期構想懇談会答申が示している三点、すなわち、保険料負担の増大、給付水準の引き下げ、年金開始年齢の六十五歳への繰り下げといった点だけが国民の前に明らかになったにすぎません。  このような政府の姿勢では、国民の将来生活に対する不安の解消はできず、年金制度改革についての国民的合意を形成するのはきわめて困難であると言わざるを得ません。国民の不安をなくするためには、生活安定のための年全体系を早急に提示すべきであり、この点での政府の怠慢を強く指摘せざるを得ません。  どころで、ただいま議題となりましたいわゆる共済年金の統合法案につきまして、特に次の三点を指摘しておかなければなりません。第一に、今回の法案国鉄共済の救済を直接の目的としておりますが、国鉄共済の今回の事態を招いた責任、再三の問題提起にもかかわらず、これまで放置してきた政府責任を十分に自覚した処置が講じられたものとなっていないことであり、第二には、その救済措置は場当たりの赤字対策にすぎず、さきに触れた年金の全体像の一環としての改革案となっていないことであり、第三には、臨調行革路線で打ち出されてきている三公社経営形態の変更、すなわち、分割・民営との関係をあいまいにしたままでの国家公務員共済との統合では、財政問題の処理等で問題が残るのであります。  国鉄共済年金の救済は、年金全体の崩壊を食いとめるために欠かせない措置ではありますが、この法案内容は土壇場に立ち至っての対応で、年金問題への取り組みとしてはびほう策の域を出ていないのであります。  私は、本法案審議を通じて、改めてわが国年全体系の複雑さ、年金行政の多元化を知るとともに、この問題に対する計画的対応の重要性を知ることができ、これに反して、これまでの年金問題に対する政府の対応が継ぎはぎの無計画、ずさんさを思い知らされました。いまのわが国は、年金行政の一元化を早急に実現し、年全体系として基本年金制度の導入を図ると同時に、年金要求と雇用との接続による老後生活のための所得を保障するための年金をつくり上げることが緊急な課題となっております。  本委員会で議論され、大蔵大臣答弁で表明された財政調整委員会や運営審議会の民主的な討議を尊重し、政令作成に十分配慮する旨の趣旨を生かすことを強く要望するものであります。  与野党の修正交渉でよりよい案に改正しようと試みたが、改善策が合意されなかったので、わが党は本案に反対せざるを得ないことを申し上げ、討論を終わります。(拍手)
  149. 森美秀

    ○森委員長 米沢隆君。
  150. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、本日まで議題となってきました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  わが国は、すでに高齢化社会に突入しておりますが、将来を展望しますと、世界に例を見ないスピードで人口の高齢化が進むことは必至と言われております。人口の高齢化は、出生率の低下と相まって、平均寿命が延びたことを意味しておりますが、事実、わが国の平均寿命は、男子七十四・二二歳、女子七十九・六六歳と、世界のトップレベルに達しており、そのことはまことに喜ばしい限りであります。しかし、人生八十年時代と言われ、長くなる第二の人生である老後をどう有意義に過ごせるかという点になりますと、さまざまな難問が山積いたしておりまして、高齢化社会のもたらす問題解決は、もはや避けて通れぬ国民共通の重要な課題となっておるわけであります。  老後生活を支える柱の一つは、何といいましても公的年金制度であることはすでに周知のところであります。ところが、今日、国民の間に公的年金が崩壊するのではないかという危惧の念が広がっており、事実、分立しているわが国の公的年金は、年金の成熟度が高まるに伴い、個別制度ごとに財政が不安定なものになることが確実と見られております。  その端的な例が、本法案で救済することになりました国鉄共済であります。国鉄共済はすでに破産状態にあり、これを放置すれば年金の支払いが困難になり、現に受給している三十五万人の高齢者の生活が脅かされることになりましょう。したがって、国鉄共済の年金給付を今後とも続けられる措置を早急に講ずることは当然のことであります。  ただし、本委員会でも再々指摘されましたように、政府国鉄共済の財政破綻を今日まで放置してきた責任はきわめて重大であります。年金は長期安定的な給付を保証しなければならぬ。そのためには当然長期の財政計画を持ち合わせるべきものであり、それがあるならば、今日の財政破綻は十分に予測されていたはずでありますしかるに、かかる事態を回避するための有効な対策は遅々として実施されず、無責任にもこれを放置し続けた怠慢は重大な過失と断ぜざるを得ません。  同時に、政府は今回の法案提出に当たり、関係者の合意を十分に行わなかった責任も厳しく追及されねばなりません。国共審における審議の難航と拙速とも言える答申のまとめ方、あるいは法案審議過程における関係者の反対運動などは、政府の合意づくりが十分でなかったことを如実に示しております。今回の法案に疑問を呈した人たちの心中は、なぜわれわれが国鉄職員の犠牲にならぬばならないのかということでありましょう。事実、国家公務員や電電、専売の職員は、国鉄の財政援助のため大幅な保険料負担を強いられるのであります。私は、そうした方々の問題提起については、わかり過ぎるほどわかる立場ではありますが、高齢化社会における安定した年金制度の確立という観点からは、本法を否定することは自家撞着のそしりを免れません。むずかしい選択ではありましたけれども、あえてこの際、断腸の思いで同法案に賛成するものであります。  それは、将来的に年金制度の一元化が不可欠と考えるからであります。国鉄共済の財政破綻に見られるごとく、人口の高齢化が進み、年金の成熟度が高まれば、やがて他の共済年金も財政的にピンチに陥ることは必至であり、財政危機を回避するには個別制度を一本化せざるを得なくなります。また、現行年金制度は、制度が分立しているがゆえに、給付や負担に著しい格差が存在し、その格差是正は国民の強い要求でもあります。そのためにも制度の一元化が不可欠であります。そのことは、臨時行政調査会の第三次答申において「公的年金について、その公平化を図るとともに、長期的制度運営の安定強化を確保するため、被用者年金の統合を図る等により、段階的に統合する。」と提言いたしておりますが、私どもは行革を推進するという立場からも、また、国民に信頼される年金制度を確立する見地からも、年金制度の統合を進めるべきであり、その第一段階が今回の統合法案であるとの認識の上で賛成いたします。したがって、政府は、年金統合の具体的スケジュールとその内容について早急に具体的な計画を示し、一体となって年金改革に全力を挙げられんことを切望いたします。  最後に、附帯事項に盛られました諸課題につきましては、政府は誠実かつ速やかに対応されることを心から要求し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  151. 森美秀

    ○森委員長 簑輪幸代君。
  152. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。  反対する第一の理由は、本法案が福祉切り捨て、自立自助の臨調路線に基づく公的年金制度抜本改悪の突破口になるからです。  政府は臨調答申を受け、公的年金制度全体を昭和七十年までに一元化する方針を固めていますが、その内容は将来の財政難を口実にした年金水準の切り下げ、保険料引き上げなど、もっぱら国民犠牲の方向になることは必至です。本法案は、政府みずからが位置づけるように、その第一段階であり、六十一年度までの共済年金制度そのものの第二段階の全面改悪を予定するにとどまらず、すでに準備されつつある厚生年金など制度全体の抜本改悪に連動するからです。  しかも、政府が位置づけている再編統合の具体的内容と展望は何も示されておりません。再編統合スケジュールだけでは国民が納得しないし、制度審をして「甚だ理解に苦しむ」と言わしめているのも当然です。  第二の理由は、本法案の最大のねらいである国鉄共済年金の財政救済において、国の責任を全く放棄し、無関係労働者や他共済組合員に犠牲を強要していることです。  質疑の中で明らかになったように、今日の国鉄共済年金財政の急速悪化の根本原因は戦前、戦中、戦後における国策遂行のための大量雇用と、戦後のモータリゼーション政策による職員構成上の大きなゆがみにあります。戦前から今日まで、運輸政策の指導監督は、まさしく歴代自民党政府の手になるものです。だとすれば、国は保険者として、しかるべく責任をとるべきであり、国鉄当局に過度の負担をさせ、ましてや国鉄職員やOB、さらには何の関係もない他共済職員に仲間内論で負担を強いることは絶対許されません。  また、国鉄本体に負担となっている年額五、六千億円にも上る膨大な追加費用や国庫負担分は、本来国が全額負担すべき性格のものであり、理論薄弱な公経済の主体論に依然として固執する政府の態度はとうてい容認できません。  反対する第三の理由は、本法案によって組合員に過大な負担増と給付切り下げをもたらす問題です。  大蔵省試算によると、来年十月から各共済組合員の掛金が急激かつ大幅に引き上げられようとしています。その上げ幅は、財政調整による分や修正率引き上げによる分に国鉄救済分も加えて、国公共済と電電で三・三五%、専売で三・九%、一方国鉄はことし十月の分も入れて二・八%になっています。このような大幅な引き上げは過去に例がありません。これでは人勧で給与が上がっても、その分保険料として取られることになるのです。  組合員負担軽減のため、現行の労使折半の方式を三対七に改めることを強く要求するものです。  次に、公企体職員の給付水準の国公共済水準への押し下げは全く機械的なやり方であり、現業部門がほとんどを占める公企体職員の特殊事情を全く無視したものです。特に、重労働、危険職種に対する加算措置はそれなりの理由があって設けられてきたもので、しかもこれを既裁定年金者にまで適用することは一方的な既得権剥奪であり、これほど冷酷な仕打ちはありません。  最後に、本法案関係者の十分な理解と基本的合意を欠いた欠陥法案である点です。  年金制度はそもそも保険料でその主要部分が賄われている以上、被保険者納得と合意があって初めて成り立ち得るものです。したがって、この種の問題に当たっては時間をかけ、民主的な審議、調整が十分行われるよう保障することが不可欠なのです。  ところが、本法案国共審の異例な答申制度審指摘に示され、その後も関係者の十分な理解と基本的合意が得られず、重大な意見の対立を放置したままに採決されようとしています。これでは、本来求められている年金制度運営の民主的なあり方をないがしろにし、国民の年金制度に対する信頼を著しく阻害するものです。  急速な足取りで確実にやってくる高齢化社会に向けて、お年寄りに不安を抱かせないため、国が適切な対応をすることは当然です。わが党は、何よりも現行の低い年金水準を底上げし、最低保障年金を確立する、それを基礎に最終的に労働者年金と国民年金の二本立てに計画的に再編統合すること、同時に、増大する年金財源についても、国民負担増をできるだけ抑えながら、国の税、財政制度の改革も踏まえて、国と資本家の責任を明確にした国民合意の合理的な年金財源制度を確立するよう提言しています。年金制度の改革、再編統合はまさにこうした国民本位のやり方で進めるべきであります。  私は、今後とも臨調路線に沿った年金制度の抜本改悪に断固反対し、国民の望む国民本位の改革に向けて全力を尽くすことを最後に表明し、反対の討論を終わります。(拍手)
  153. 森美秀

    ○森委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  154. 森美秀

    ○森委員長 これより採決に入ります。  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 森美秀

    ○森委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  156. 森美秀

    ○森委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大原一二君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出昔より趣旨の説明を求めます。野口幸一君。
  157. 野口幸一

    ○野口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。  このたびわが国の公的年金制度の再編成へ向けて、国家公務員公共企業体職員共済組合制度の統合により、その第一歩を踏み出すことになりました。  言うまでもなく、わが国の公的年金制度は、昭和三十六年に拠出制の国民年金の発足により国民皆年金の体制が確立されて以来、この間、その年金水準は逐年整備拡充が図られてまいりました。  しかし、近年、年金制度を取り巻く環境は大きく変化し、わが国人口構造の急速な高齢化、年金制度の成熟化の進行等により、いまや、現在八制度に分立している公的年金制度全体の再編統合が国民的課題とされております。  このような状況のもとで、さきに政府の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会などから、今後の公的年金制度改革の進め方として、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了する旨の方針が示されたところであります。  しかしながら、この方針の内容は、あくまでも改革の手順のみを示したにとどまったものでありまして、年金の将来像については必ずしも明らかにされておりません。  二十一世紀の高齢化社会を控え、今後ますます年金受給者の増加とともに国民の年金に対する関心が高まっている折から、一刻も早く公的年金制度の将来展望の具体的な方針を示すことが必要であると考えます。  さらに、今回の制度改正に当たりましては、当委員会において各般にわたる質疑が行われたところであります。これらの質疑を踏まえて、本附帯決議案は、次の諸項目を取りまとめて、その実現が図られるよう政府努力を要請するものであります。  以下、案文の朗読により、内容の説明にかえさせていただきます。     国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法律の施行に当たって、次の事項について一層努力すべきである。  一 高齢化社会の到来に備え、長期的に安定した年金制度の確立を図るため、公的年金の一元化の将来像及びそれを実現するための具体的な改正手順を、速やかに明らかにすること。  二 公的年金の一元化が実現するまでの間は、公的年金の一元化の方向に即した範囲内において、現行の国家公務員共済組合及び各公共企業体職員共済組合運営の自主性を配慮すること。  三 本改正法の成立及びそれに伴う年金財政再計算等によって保険料負担が急激に増大することのないよう、世代間負担の公平性にも配慮しつつ、適切に対処すること。  四 本改正法の実施に当たっては、公共企業体職員共済組合国家公務員共済組合との給付制限の相違にかんがみ、両者の統一について何らかの調整措置を講ずること。  五 国家公務員共済組合運営が一層民主的に行われ、組合員意向が十分に反映されるよう努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。
  158. 森美秀

    ○森委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 森美秀

    ○森委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣
  160. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、困難な問題もございますが、御趣旨を体しまして、十分検討いたしたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————
  161. 森美秀

    ○森委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 森美秀

    ○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  163. 森美秀

    ○森委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十三分散会