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1983-10-05 第100回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月五日(水曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 武藤 山治君    理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君    理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君    理事 斎藤  実君 理事 小渕 正義君       北口  博君    久間 章生君       倉成  正君    古賀  誠君       三枝 三郎君    藤田 義光君       保利 耕輔君    山下 徳夫君       細谷 治嘉君    稲富 稜人君       小沢 和秋君    小杉  隆君  出席国務大臣         通商産業大臣  宇野 宗佑君         労 働 大 臣 大野  明君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   村田 文男君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部地         方交通線対策室         長       岩田 貞男君         労働大臣官房審         議官      白井晋太郎君         労働省労働基準         局監督課長   野崎 和昭君         自治省財政局財         政課長     小林  実君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ───────────── 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     田川 誠一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  当面の石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  先般、本委員会委員が団員となり、大洋州並びにインドネシアエネルギー事情調査議員団として本院から派遣され、関係各国における石炭中心とするエネルギー事情について調査をしてまいりました。  この際、本委員会における調査参考に資するため、議員団を代表して三枝三郎君から、調査概要について説明を聴取いたします。三枝三郎君。
  3. 三枝三郎

    三枝委員 先般、私どもは、本院から大洋州並びにインドネシアエネルギー事情調査議員団として、豪州ニュージーランド及びインドネシアに派遣され、各国エネルギー事情、特に石炭事情中心調査をいたしてまいりました。  議員団としての正式な報告書は、議長に対しすでに提出しておりますが、私ども議員団は、本委員会メンバーをもって構成されたものでありますので、この際、御参考までに、調査概要につきまして、調査団を代表して私から御報告申し上げたいと思います。  議員団構成は、武藤委員長を団長といたしまして、小渕正義君と私三枝三郎の三名と、事務局から委員部の青柳第六課長通産省から資源エネルギー庁公益事業部柳電源立地企画官が同行いたしました。  調査の期間は、八月十七日から三十一日までの十五日間であります。  私どもは、去る八月十七日夜、成田を出発し、最初豪州に参りまして、クイーンズランド州においては、ギブス鉱山エネルギー大臣との会談電源開発石炭資源開発の二社がその開発に共同参加しているブレアソール炭鉱オープンカット現場視察、ヘイポイント石炭積み出し港の視察、ニューサウスウエールズ州においては、スチュワート鉱物資源大臣との会談日系石炭会社商社等シドニー日本商工会議所メンバーとの意見交換、三菱商事、三菱鉱業セメントの二社が開発に共同参加しているウォークワース炭鉱オープンカット現場視察石炭積み出し施設のあるニューキャッスル港の視察豪州連邦政府ボーエン副首相兼貿易大臣との会談ウォルシュ資源エネルギー大臣との会談、ビクトリア州においては、ラッセル鉱山エネルギー次官フォーク褐炭委員会委員長等との会談モーウェル褐炭田の大規模オープンカット、及び褐炭液化プラント施設建設現場等視察を行いました。  八月二十七日には、ニュージーランドワイラケイ地熱発電所施設視察、八月二十八日にはインドネシアに参りまして、インドネシア石油会社マハカム沖鉱区のハンディル、ブカパイ両油田地帯、及びその生産処理施設出荷施設等視察スブロト鉱山エネルギー大臣との会談等を行いました。  そのほか、現地駐在の大使、総領事等から、政治経済事情エネルギー事情、特に石炭事情等について説明を聴取いたしまして、三十一日に帰国した次第であります。  豪州インドネシア両国政府首脳との会談内容視察個所状況等の詳細につきましては、報告書に譲ることにいたしますが、私ども議員団が今回の調査により感じました点を、若干申し上げたいと思います。  まず、石炭に関しての日豪関係の基本的なあり方についてであります。  御承知のように、最近、世界エネルギー情勢の進展を背景として、石炭、特に一般炭に対する関心が非常に高まってきておりますが、産炭国としての豪州も、きわめて深い関心を持っております。  良質で、大規模資源を抱え、輸出余力も大きい豪州としては、今後一般炭中心とした供給力の増加を見込んでいることから、豪州炭最大輸入国であるわが国との間に、長期的な安定取引関係を維持することを期待しているものと考えられます。もちろん、石炭取引民間ベースで行われるべきものではありますが、現在わが国にとって最大供給国である豪州との石炭取引長期的安定化を図ることは、わが国としてもきわめて重要な政策課題であり、今後とも、広範かつ密接な交流により、相互信頼を深め、日豪間の基本的信頼関係を確立する努力を怠ってはならないものと思います。  現在、豪州との石炭取引関係において、豪州側は、わが国需要停滞により、契約量引き取りを行ってもらえるかどうかということについて不安を感じており、この点、わが国としても、競争的価格前提として、現行程度石炭輸入シェアを維持する等の努力を払うことにより、両国間の信頼関係を損なわないようにしなければならないと考えます。  また、豪州において現在進行している石炭鉱山開発への参加や、褐炭液化プロジェクトに見られるような資本、技術協力は、日本が取り組む人類史的な大事業とも言えるものであり、これらのプロジェクトが成功すれば、日豪両国のみならず広く全世界に貢献するものであり、われわれも力強く支援していく必要があると考えるものであります。  次に、日本インドネシアとの関係についてでありますが、インドネシアも、豪州と同じように、太平洋に面する非同盟的な平和国家で、豊富な資源を有する広大な国であり、わが国に対しては、マーケットと資金、技術協力を希求しており、わが国との間で、長期的な相互依序関係を構築することを深く望んでいる国であります。このような国でありますので、インドネシアも、豪州と同じようにわが国にとってきわめて重要な国であり、将来にわたってもそうであることは論をまたないと思います。  しかるに、昨今、わが国需要停滞により、石油、LNGの引き取り削減問題が起こっており、これが悪影響をもたらし、両国間の信頼関係を裏切るような事態にまで発展するおそれなしとはいえない状況にありますが、わが国としましても、長期的友好関係の基礎となる相互信頼を維持するためには、現行程度シェアを維持するよう最大限の努力を払うべきであると考えます。  また、炭原という表現が最も的確であると思えるような、大規模石炭鉱山地域における機械力を駆使した高い効率の石炭生産現場は、わが国のそれとは余りにも違っており、これらの視察は、今後の石炭政策を検討するに当たっても非常に参考になりましたし、また、今後のわが国石炭対策も、いままでどおりに、石炭のみの視野ではきわめて不十分であり、これを改善し、広くエネルギー全体を踏まえた視点からの石炭対策が必要であると痛感した次第であります。  最後に、今回の調査に当たり種々御協力をいただきました各位に心から感謝の意を表し報告と、させていただきます。(拍手)
  4. 武藤山治

    武藤委員長 ありがとうございました。     ─────────────
  5. 武藤山治

    武藤委員長 次に、石炭対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
  6. 三枝三郎

    三枝委員 私は、最初に、北炭夕張鉱閉山に係る労務債等支払いにつきまして、それからこの閉山に伴う関係離職者の再就職の点につきまして、二、三お伺いいたしたいと思います。  御承知のように、北炭夕張新鉱はいろいろな経過を経て労務債支払いが終わって、先日労働組合も解散し、まことに断腸の思いである関係皆さんの御心情は察するに余りあるのでございますけれども、ここに至るまでいろいろな経過があったと思います。  最初に、この労務債支払いが完了するに至るまで、労働省側としましては、労働条件の一番大事な退職金その他の労務債の点で、どのようにこの経過を把握し、そしてどのように現状に至ったか、この点労働省側の見解をお伺いいたしたいと思います。
  7. 白井晋太郎

    白井説明員 お答えいたします。  先生がいまおっしゃいましたとおり、北炭夕張炭鉱労務債につきましては、新旧両方ございましたが、いずれも九月末で結末を見ております。  労務債の当初把握等につきましては御存じのとおりでございますが、その間労働省といたしましては、労務債が完全に支払われるように、労働大臣を初めとしましてそれぞれ関係の社長さん、大沢管財人等連絡をとりまして現在までに至ったわけでございます。  なお、支払いの過程におきましては、賃確法に基づきます支払い等も行ってまいりました。そして結果的には、三井観光支払い保証のもとに北海道炭礦汽船が支払うこととされておりました八十九億二千万円については支払い計画どおり順次支払いがなされまして、本年九月末をもって完済された形となっております。それから、新労務債につきましても五十一億三千万あったわけでございますが、三十九億五千万が閉山交付金未払い賃金立てかえ払い制度による立てかえ払い等によって処理されまして、残額十一億八千万につきましても本年九月末をもって完済されたということになったわけでございます。
  8. 三枝三郎

    三枝委員 労務債については本委員会でもいろいろ論議されまして、労働省としてもいろいろ苦労されたとおりでございます。いまお話しのように完済されたということで、関係者としてはほっとした点もあろうかと思いますが、離職者の再就職につきましてはどんな状況でございますか。
  9. 守屋孝一

    守屋政府委員 北炭夕張関係求職者発生状況につきまして、九月末現在で二千百七十八名発生しておりますが、このうちすでに就職されあるいは就職決定を見ている方、合計しますと千六十一人でございまして、このほかに現在職業訓練を受けておられる方、他地域に移転された方等を除きまして、山元に現在滞留されている方は七百二十八名でございます。私どもは、この七百二十八名の方々に対しましては、もちろん地元求人開拓もさることながら、広域職業紹介活動を通じ、また職業訓練の機動的な推進によりまして、さらに再就職促進に全力を挙げてまいりたいというように考えております。
  10. 三枝三郎

    三枝委員 七百二十八人の求職者がまだいるわけでございますが、地元夕張でこれを全部吸収するというわけにはまいらないと思います。先般の私ども委員会夕張視察においても、たとえば福岡の三池で引き受けるという受け入れ側要望に対して、もう福岡にはとても行きたくない。これは確かに、親の代からずっと夕張に住んでいる者としては気持ちはわかりますが、そういった選択もなされているようでございます。しかし夕張現状からいって、あの町で引き受けがなかなかむずかしいということになりますと、私ども北海道出身議員としましては、北海道事情からいって札幌に行く者が非常に多くなるのではないかと思います。  そこで一番問題になりますのは、この人たち札幌に行った場合に、北海道の中で一番土地の値段も高い、家賃も高いというような札幌において、やはり住む家、これは雇用促進事業団による住宅が提供されなければならないと思いますけれども雇用促進事業団の低家賃住宅供給について、ひとつ格段の御努力をしていただきたい、かように思いますが、どのような御方針でおられますか。
  11. 守屋孝一

    守屋政府委員 私どももその点は十分留意しておりまして、北海道内におきましても約五百六十戸の雇用促進住宅の枠を確保しております。また、他地域に移られる場合におきましても、それぞれの需要地におきまして現在確保しておる枠の総計は、北海道を含めまして約九百戸ぐらいはいつでも対応できるという状況にございますので、その点御報告申し上げておきます。
  12. 三枝三郎

    三枝委員 時間がございませんので、大臣一言だけお伺いいたしたいと思います。  大臣、いまお聞きのように、北炭夕張閉山に伴いまして、さまざまな労働省側の問題もあったわけでございますが、これはすでに新聞に出ておりますので具体的に申し上げてもよいと思いますが、去る九月二十日に北炭幌内炭鉱再建問題について、経営再建問題の担当であります石炭鉱業審議会経理審査小委員会が開催されたのでございます。これはすでに新聞に出ておりますが、この委員会では別紙のような意見が取りまとめられて関係各省にその点を出しております。  この中で、幌内炭鉱再建計画というのは非常に厳しいものがございまして、最後のところでこういうことをうたっております。「幌内社労使双方は、仮に同社の再建が不可能となった場合に生じる多くの深刻な事態にも思いをきたし、」云々と言って、「経営管理面生産技術面労務面格段改善努力を傾注する」ようにというくだりがございます。これは非常に抽象的に書いておりますけれども大臣もすでに御承知のことと思いますが、非常にむずかしい状況で採炭をしているのはひとり幌内鉱ばかりでございません。赤平にしても芦別にしても砂川にしても、どの炭鉱をとりましても非常にいま厳しい情勢でございますけれども、特に幌内炭鉱についてはこの石炭鉱業審議会経理審査小委員会で、会社が出した再建計画についてさらに検討して、いま申し上げましたような意見を付して労使両方努力を求めているわけでございますが、大臣におきましては、こういった炭鉱がありますことについて、今後労務債あるいは再就職という問題が起こることを前提にして基本的にはどのようにお考えになりますか、一言だけ御方針をお聞かせくだされば幸いでございます。
  13. 大野明

    大野国務大臣 御指摘の点でございますが、閉山というまことに不幸な事態を招き、それに伴って賃金あるいはまた退職金の不払いという事態を生じることは、当事者はもちろんその家族もおるわけですから、そういうことがないように事前に何とか回避するように労使努力していただきたいと希望いたしております。  と同時に、いま幌内という問題が出ましたが、これは所定の支払い期日に払えない事態があるということで、北海道の基準局で会社を指導して支払い計画を明確にさせるとともに、その実効を確保するための労使構成する退職手当支払促進管理委員会等を実は設けたというようなことでございますが、いずれにしても現在こういうような稼働鉱山企業であっても非常に不安定なところもございますので、そういうことが事前に私ども早く情報をキャッチして再び不幸な事態が起こらないようにしていきたい、いろいろな関係省庁とも連絡をとりつつ労働省としても施策をいたしているところでございます。
  14. 三枝三郎

    三枝委員 以上で終わります。
  15. 武藤山治

  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 北炭夕張炭鉱の問題で、閉山決定して以来、大野労働大臣は非常に繁忙の中、現地を訪れて、現地実態調査また生の声を聞かれたわけですが、この現地訪問について私も心から敬意を表したいと思う次第であります。  そこで、労働大臣現地でいろいろ現地の人々の生の声も聞いた上に立って、労働大臣としてこの夕張雇用政策をどう進めていくか、いわばその基本的な姿勢、方針といいますか、基本的な考え方に基づく一つの雇用政策のポイントといいますか、そういう点についてきょうは率直に大臣のお考えを承りたいと思います。
  17. 大野明

    大野国務大臣 先ほど部長からお答え申し上げましたが、今日まで北炭夕張関係求職者方方が二千百七十八名おる、現在七百二十八名の方方がまだ職につけないということでございます。これだけ大量の方々がおられますので、あらゆる手だてを講じなければならぬということで私も視察に参りました。そして、現地の声をいろいろ聞いたのでございますが、いずれにしても雇用という問題になりますと経営者方々に十二分にお願いしなければならぬということで、北海道のあらゆる経営団体の長とも話をいたすと同時に、私が現地へ行って考えましたことは、なかなか北海道だけというわけにはまいりませんので、広く雇用開発をしなければいかぬということで、道外にも出ていってほしいということも申し上げましたし、また現実にそれに伴って九月の初めに東京あるいは神奈川の安定機関から現地へ赴いて説明会を催すというようなこともやっております。と同時に、民間に対しても委託訓練等をお願いして、移転就職というようなものについての訓練をしてもらう、あるいはまた先ほどもここで話がありましたが、どこかへ出ていって働くにしてもまず住宅がなければ何ともならぬということで、雇用促進住宅へ入居するための優先枠をとり、また家族構成が多い場合には余り大きな住宅ではないから、一戸というわけにもいきません、これは二戸提供してもいい、また再就職のために職業訓練を受けるような場合もひとつ雇用促進住宅を提供しようというようなきめ細かい施策を行っておると同時に、もっともっと強力に、一日も早く皆さん方がまた就職できるように最大努力を払っておるところでございます。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 現在の北海道雇用状況は非常に困難な状況にあると思うわけです。北海道の最近の雇用状況求人倍率で見て一体どういう水準にありますか。
  19. 守屋孝一

    守屋政府委員 北海道といいましても地域別にもいろいろございますが、有効求人倍率で見てまいりますと、札幌あたり常用だけとって一番最近の時点で見ますと〇・二、なお全国平均常用だけで見ますと〇・五六という数字でございますので、非常に低いということは言えると思います。また、夕張常用で見まして似たような状況でございます。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 七月の全国有効求人倍率が〇・五七、八月が〇・六一ですね。これを北海道で見ますと、北海道は七月が〇・二八、八月で〇・三三、実はこういう数字になっておるわけであります。これは恐らく全国でも沖縄の次ぐらいの位置ではないかと思うのです。むしろ福岡よりも有効求人倍率は低いのじゃないかと私は認識をしているわけです。したがって、こういう状況の中で今回の雇用対策を進めておるということをまずわれわれは頭に入れてかからなければならないのではないか、私はこう思っているわけです。  そこで、炭鉱離職でありますから炭鉱に再就職をしたいという希望者も非常に出ておるわけでありますし、過般来、特に最終的閉山決定した後、炭鉱に対する求職ということで、通産省もこれは三百名程度炭鉱の方に就職できるようにしたい、労働省労働省なりでその点進めておったようでありますけれども、まず閉山当時いわば通産省で言われていた三百名、労働省でも進められていた炭鉱に対する再就職、これは一体どのように今日集約されているのか、承りたいと思います。
  21. 守屋孝一

    守屋政府委員 炭鉱に限ってその再就職状況を見てまいりますと、まず先般の八月の三日から五日にかけまして私ども離職者方々にその再就職希望状況を相談いたしましたところ、炭鉱に再就職を希望される方は約三百九十名いらっしゃいました。これに対しまして私どもが八、九月に受理しました炭鉱関係求人は四百十八ございまして、これらの求人につきまして八月下旬以降集中的にあっせんを行ったわけでございます。その結果、九月末までで百五十九名の方々がすでに就職あるいは就職決定を見ております。先ほど石炭協会等の取りまとめられた数字のことも出ておりましたが、これは将来、物によっては大分先求人まで含めまして出ましたのが、受け入れ可能数としては四百七十四人の受け入れ可能数があったわけでございます。これは大分先のものもございますし、また先ほどお話も出ておりました地域的にも九州とかそういう分も含まれておりますし、また直轄のみならず下請求人も入っております。しかしながら私どもは、こういう炭鉱に再就職を希望される方々、またそういう求人条件ともできるだけこれが合致するように、場合によっては求人条件の緩和に向けての指導等も行うという方針で現在進めております。  そういうことで、いままでの石炭関係就職を見てまいりますと、八月末までにすでに石炭就職されておりました方が七百二十七名、それから八月末から九月にかけて積極的に私どもが相談に乗りまして、就職の内定といいますか決定も含めて炭鉱就職が決まった方が百五十九名、この両方の数を足した数字が現在の炭鉱への就職の方でございますが、未充足求人もまだ相当持っておりますので、私どもはこれについてさらに一層その求人求職がマッチするように努力していきたいというように考えております。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 この点、五十八年下期採用、それから五十九年度以降採用もあるわけですが、五八年下期採用で見ますと、私の手元にある数字をずっとまとめてみますと、五十八年下期採用が確定した者、ですから、これは通産省が言った三百名に対応しているものですね。閉山が正式に決定をして、最終的に再開発を断念して、それ以降三百名程度という炭鉱求人開拓をするという中で炭鉱就職した人は、決定した人を含めて百四名という数字なんですが、この数字については間違いありませんか。
  23. 守屋孝一

    守屋政府委員 私どもが、先ほども申しましたように安定所でもうすでに八月末以降の石炭関係求人についてあっせんを行いました結果、これは一部来年の四月以降の人も含まれておりますが、もうすでに就職しあるいは就職決定を見ております数は、先ほど申し上げました百五十九名でございます。もちろんこの中には来年分が入っておりますので、恐らくその数字先生のおっしゃった三月末で締めたところの数字との差がそこに出ておるのではないかと思いますが、数字そのものはそう違いはないと思います。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 去る二十七日に産炭地域振興関係省庁連絡会が開かれたわけですね。そして北海道及び夕張から出されているいろんな要望について検討されているわけですが、その中で離職者対策として次の点がまとめられているように実は報道されているわけです。  その第一点は、石炭企業各社関連下請を含め今年度中二百五十一人、六十年三月末までに四百七十四人の受け入れを表明して、すでに百五十三人が採用決定道内中小炭鉱に対しても優先雇用を要請中だというのが第一点です。第二点が、道経連など地元経済界に対して優先雇用を要請する。第三番目は、広域職業紹介及び広域求人開拓実施。第四番目は、民間企業委託訓練などを含めた転職訓練実施。第五として、移転就職者等のための雇用促進住宅への優先入居枠の確保。この五点が出されたわけですね。これは先ほど大臣が表明された内容と同じなわけです。  ただ、この内容を見ますと、炭鉱についてはある程度具体的な数字が出ていますけれども、それ以外についての雇用の展望といいますか、そういう点について何ら具体的に示されていないわけであります。現在、労働省として広域紹介の中で一体どういう業種別の求人雇用先を持っておるのか、またその場合、いま労働省で把握している関係は、平均賃金が一体どの程度の業種になっているのか、おわかりであればお伺いをいたしたいと思います。
  25. 守屋孝一

    守屋政府委員 先ほど石炭関係求人を申し上げましたが、今度は石炭以外で申し上げます。  石炭以外の求人につきましては、現在、夕張離職者対策として私どもは約千名の求人を確保しております。このうち北海道内の求人は四百名くらいでございまして、あとの六百名は東京であるとか神奈川であるとかあるいは愛知であるとか、こういう大需要地帯が中心になった求人でございます。求人条件も、東京とかこちらの方へおいでになりますと地元北海道よりは高くなってまいりますが、申しわけないのですが夕張に近づくに従って求人条件はダウンしてまいりまして、もし私の記憶に誤りがなければ、夕張地区ですと月額十五万円というのはなかなかむずかしい水準のようだったと思います。札幌に出てきますと大体二十万から十六万の間ぐらいのところが比較的多い求人ではなかったかと思いますが、もっとも二十万といいましても相当十六万に近いような求人だろうと思います。そういう意味で、近くになればなるほど求人条件はダウンせざるを得ない。それはその地域の労働需要の関係もこれあると思いますが、しかしながら私どもは、そういう中でもできるだけ求人条件の向上に努めますとともに、またこっちの他地域、特に大需要地への広域職業紹介を進めていきたい、こういうように考えております。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、炭鉱関係は一巡をして、さらに求人開拓をしていく方針と承っておりますけれども、冬も迫っておりますので、現時点でもう一度個別面接をして、そして再就職促進する、こういう第二段階の、いわば個別面接の就職促進の活動をすべきではないか。同時に、いま部長から述べられているように道外の場合については、これはやはりその職場を実際に見学をさせる。大体いままでの企業ぐるみ閉山とか大型閉山の場合にはそういう措置をとって集団で見学をする、そういう形の中で就職促進を図るという措置がずっと恒例としてとられているわけです。したがって今度もう一度面接をして、なおかつそういう集団的な職場見学をするような措置を冬場を控えてとるべきではないか、こう私は思うのですが、労働省はいかがでしょうか。
  27. 守屋孝一

    守屋政府委員 まさに先生おっしゃるとおりでございまして、私どもも早急に二度目の全員の個別面接相談を強力に進めたいと思っております。そういう中で札幌へ向けての集団見学といいますか、そういうものもすでに行っております。また、大需要地に向けて希望者がまとまってきまして人数もまとまれば、その際においていま先生御指摘の点も十分検討してみたいと考えております。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 なお、大型閉山のような場合には政府、自治体の雇用協力というものもしばしば問題になってきたわけであります。今回の夕張閉山に当たっての再就職の問題について、政府、労働省を含めて、それから自治体、これらの雇用協力といいますか再就職受け入れるという点についてはどういう状況になっておるか、お知らせ願いたいと思います。
  29. 守屋孝一

    守屋政府委員 私どもといたしましても、いま先生のおっしゃったように、できるだけわれわれの方で採用できる者は採用していきたいという方針でございまして、一例を挙げますと、雇用促進事業団雇用促進住宅住宅管理人といいますか、管理主事という言い方をしておりますが、ここにできるだけ離職者の方を受け入れようという考えで、先般、大臣北海道視察をされました際、五十八年度中の受け入れ数として約三十名の枠を確保した旨北海道で発表されております。私どもも、この管理人というのは昔から炭鉱離職者の方が相当数入られておりまして、その条件につきましても住まいが無料で提供になるということもございますし、こういう面で今後、今年度ということなく来年度に向けてもできるだけこういう管理人に採用していける方は採用していきたい。  また私どもは、各自治体に雇用促進事業団がいろいろな福祉施設をつくりましてこれを運営委託している場合がございますが、こういうところにつきましても極力その従業員に採用できる者はしていきたいということで、これは必ずしもこのケースには該当しませんが、愛知県のある施設に夫婦一緒で来ていただきたいという求人もすでに出しております。そういうような形でできるだけこういう方々を安定した職場に吸収していきたいという考え方も一つ持っております。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 この個別面接の中で、新しい技能を身につけなければなかなか手に職ができないという状況もありますから、希望として委託訓練を受けたいという人が多く出た場合には、これに対応するだけの準備が労働省としてあるかどうか、この点を承っておきたいと思います。
  31. 守屋孝一

    守屋政府委員 夕張関係訓練のいまの状況につきまして一言申し上げますと、現在、委託訓練として三十一名、施設内いわゆる訓練校での訓練といたしまして九十二名についてすでに訓練をやっております。  この訓練の今後の枠でございますが、委託・速成訓練、この委託訓練というのは民間事業主の方に訓練を委託するという形をとりますので、相手様があるわけでございますから、そちらの話もつけておかないといけません。そういう意味で委託訓練の枠はすでに二百確保しております。それと施設訓練、これはすでに建てた訓練校でございますが、ここでの枠も百六十持っておりまして、要は、両方足して三百六十の枠を現在持っております。ところが、現在訓練受講希望者は約六十名程度でございまして、私どもは、今後この訓練を希望される方につきましては、いまのような枠の中で当面は十分処理していけるのじゃないかと考えております。  なお、今後の対応といたしましては、さらに委託・速成訓練の必要性があれば、北海道等の関係機関とも協力の上、委託先の開拓等に努力してまいりたいと考えております。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 一つは炭鉱離職者援護協会というのが北海道に自主的にできて、道の助成も受けて活動を続けているわけです。一度就職しても転職せざるを得ないという人も炭鉱離職者の中には出ておるわけです。そういう関係から、北海道においては労使または自治体、そういう関係労働省もこれに協力をして、離職者援護の協会があるわけですから、これを積極的に活用していくべきだ、こういう意見を私は持っているわけですが、この点についての見解はどうかというのが第一点になります。  第二点は、労働大臣、これはお願いもしておかなければならぬと思うのですが、夕張は特に一社会一山のような関係で、福利厚生施設関係が、いま会社運営なんですね。水道についてもそうですし、おふろについてもそうなんです。今度就職が決まるまではそこに滞留しておるわけです。そうすると、おふろは一体どうするのか、住宅はどうするのか。水道は今度は市に移管する。おおむね自治体に依存しなければならぬという部面が多いわけです。もちろんそれは過渡的な期間と、そのまま安定する期間があるのでしょうけれども、いまの失業者の存在している状況の中では過渡的な期間として市の負担がどうしても要求をされていく、こういう問題があるわけです。これは労働省の所管事項ではないのですけれども、特にそういう失業者の生活実態等を考える場合に、これが市の財政の中で、ある程度消化ができるように、労働大臣としても自治大臣に対して特にこの点の配慮方、協力を要請してほしいものだ、私はこういう意見を持っているのですが、この二点についてそれぞれ御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  33. 大野明

    大野国務大臣 援護協会は従来から職業安定機関と密接な関係がございますので、労働省といたしましても今後とも積極的な御協力をいただきたいと思っております。  また第二点につきましては、ちょっと私ども労働省が直接どうのこうのというふうにまいりませんが、御要請のように自治大臣その他関係大臣に私からよく要望、要請をいたしておきます。
  34. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  35. 武藤山治

    武藤委員長 斎藤実君。
  36. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北炭夕張炭鉱閉山に伴いまして現在七百二十八名が再就職できないという政府委員からの答弁がございましたが、この再就職問題について大変御努力をいただいておりまして、心から敬意を表する次第でございます。先ほどの答弁を伺っておりまして、職業訓練だとかあるいは再就職あっせん等について非常に厳しいというお話がございました。確かにこれは使用者側、企業についてもいろいろな条件もあるでしょうし、遠いところへは余り行きたくないという方も非常に多いと聞いております。またさらに年齢が非常に高いということで地方に再就職することはなかなかむずかしいのではないかと私は思う。  そこで大臣、これは率直にお伺いしますが、緊急に地元に新規求人をつくり出す必要が私はあると思うのです。そこで、たとえば夕張市当局が熱心な観光事業への強力な助成によりまして、観光関連産業、これらに大変力を入れておりまして、これによって波及効果、政府系企業の移転等、即効ある措置を強く要望しているわけでございます。こういう地元に産業を持ってきて雇用問題を解決するということ、これは強い地元意見ですが、大臣、この点についていかがでしょうか。
  37. 大野明

    大野国務大臣 長期的に地域の振興を図るためには、企業誘致であるとかあるいはまた御指摘の観光事業開発するというようなことは大変大切なことだと思っております。  しかしながら、いますぐそれをやるといってもそう簡単にいくものでないことも御承知かと思いますが、いずれにしてもその地域の特性に合ったようなことをしなければならぬということを考えてやっていくということになりますと、私も夕張に先般視察に参ったところでございますが、そのときいろいろな方々の御要望を聞きますと、夕張というのは、要するに非常に道路網がよくないところだ、ひとつ苫小牧の方へ道路をつくってほしい、これがなければ観光誘致も企業誘致も言うだけで結局画餅に帰す、そういうようなまず根本からのことを考えて対策を練らなければいかぬのじゃないかと。私もその点、帰ってまいりまして、すぐ建設大臣なんかにも話をして、こういう悩みがある、これによって雇用の機会を増大するためには何か興こさなければならぬ、ひとつそういう事業を来年度でも早速考えてくれと、もうすでに私、要望してございます。できるできないということはこれからにしても、そういうようなことで雇用の機会の増大というのはあらゆる施策から講じなければならぬということで、いま知恵をしぼっておるところでございますので、もう少しの時間をかしていただきたいと同時に、そういう現況からいって、確かに中高年の方々が多い、なかなか地域外へ出ていきにくい。それからまた同時に、今日までの就職状況を見ますと、若い方々から決まっているんですね。そういういろいろな悩みを総合勘案して、本当にそういうような立場にある方々が一日も早く幸せになれる、こういう気持ちでいまやっておるところでございます。
  38. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私があえて御質問したのは、大臣現地へ入られていろいろな各方面の方との懇談の中で、大臣夕張について深い関心を持っておられるということを前提にして私はお伺いしているわけでございます。そこで確かに、企業に来いと言っても来るものでないことは私も十分承知しております。やはりそれなりに条件を整えなければならぬし、あらゆる道路網とかその他いろいろな整備をしなければならぬことは、私は十分承知をしております。  それで大臣、御存じかどうか知りませんけれども地元といたしましては、一つは中核企業の導入による新しい工業振興ということを一点掲げているわけですね、夕張振興のために。それから石炭の歴史村を中心とした観光。三番目が夕張メロンに付加価値、これはメロンブランデーというようなことも考えているようです。こういう工業とか観光とか農業を三本柱にして夕張の振興を図ろう、そしてまた雇用もそこで解決をしよう、こういう計画があるわけでございます。こういう発想を持っておりますので、これは一遍にばっといくようなことは私は考えられませんけれども大臣もひとつ、こういう地元の計画、希望というものがあるわけでございますが、これについて所感を述べていただけますか。
  39. 大野明

    大野国務大臣 いずれにいたしましても、いま先生が三つの柱をおっしゃいましたが、産炭地振興のいろいろ関係省庁連絡会等もございますから、そういうところでやはり強力に労働省として、今日いわゆる炭鉱離職者という人ばかりでなく、将来の夕張というものを、北炭夕張閉山というような事態がおしまいになればいいけれども、やはりその先も考えなければならぬということも加味しつつ強力に推進していくということに私は今後とも一生懸命努力したい、こう思っております。
  40. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 では終わります。
  41. 武藤山治

  42. 小渕正義

    小渕(正)委員 新夕張鉱の閉山に伴いましての就労対策ですか、そういうことが当面一番の焦点になっていろいろ質疑が出ております。  率直にお尋ねいたしますが、先ほどからいろいろ政府関係の御説明の中で、求人は約千件程度ある、ただ現在七百二十八人がまだ就職が決まっていないようでありますが、要するに就労しようという意思のある人たちのそういう場所、地理的な条件その他いろいろなものを考慮しないならば、もちろん働く条件等もありましょうけれども求人としては千件を超えるほどあるのだということを言われておりましたが、どうなんですか、そういうお互いの炭鉱離職者人たちが結果的には時期がたっていくに従って落ちつくところに落ちついていこうという形で問題を見ておられるのか。この点、求人と就労との非常なギャップというものについて、これが容易に消えるとは考えられないのですが、その点はどのように理解されておりますか、お尋ねいたします。
  43. 守屋孝一

    守屋政府委員 私ども、決してひとりでに、ほうっておけばおさまるところにおさまるだろうという考え方で職業紹介をやっているのではございません。そのために求人を千件確保いたしまして、いろいろな就職指導、職業あっせんの仕方もいろいろなやり方で工夫しながら、また求人者にもそれなりの指導をするし、あるいは需要地の場合の求人につきましては、需要地から職員を北海道へ派遣いたしまして、その状況も十分説明させる等、そういう中でできるだけ早期の再就職を進めていきたいということでございます。何せこれは生きた人でございますから、強制的に云々というわけにもいきませんし、また、それぞれ土地にも愛着があると思います。そういういろいろな感情も念頭に置きながらできるだけ再就職を進めていくということでございます。また、その中で技能の付与が必要ならば訓練を通じて技能を付与していく、そういう考え方でございまして、決して落ちつくところに落ちつくというつもりでわれわれ職業紹介をやっておるのではございませんので、その点ひとつ十分御理解を賜りたいというふうに考えております。
  44. 小渕正義

    小渕(正)委員 やはり第二、第三の人生の出発ですから、これはそれぞれの皆さん方、勇気と決断が要ることでしょうけれども、そういう点で私は一つだけお尋ねしますが、今日、労働省がとられている炭鉱離職者の緊急就労対策、開発対策、この二つの事業、対象人員はかなり減少しておりまして細々とやっておるわけであります。私は、この点非常に批判的な面を持っておりますが、私に言わせますならば、こういうときこそこういう緊急就労対策事業等を発動して、とりあえず当面の対策としていくというようなことが本当に生きた対策じゃないのか。炭鉱閉山から十五年も二十年も、ただ緊急就労対策だ開発対策だということで、対象人員もわずかな人で細々とやっているということじゃなしに、こういう大きなことが起きたときこそ初めてそういう緊急就労対策ということが生きてくるのじゃないか、その決断をするのが私は政治だと思うのです。そういう意味で、こういった点はなぜ考えないのか、その点いかがですか。
  45. 守屋孝一

    守屋政府委員 まさに先生おっしゃるように、緊急就労対策という言葉で緊急がついておりまして、まさに一時的、臨時的な事業ということで、かって炭鉱離職者対策としてこれを始めたわけでございますが、こういうものは一遍やり始めますとどうしても後ろに尾を引くというのが偽らざる現状でございます。そうしてまたこういう就労事業というのは、雇用の形態は日雇いの形態をとりますし、決して安定した職場ではございません。そういう意味で、先生もいろいろな意味で問題があるという点、御承知だろうと思いますが、こういう安定就職につながらないという形でいつまでも引っ張っていく、また引っ張らざるを得ない、なかなかやめるのがむずかしい、こういう事業を果たしてやるべきかどうか。私どもといたしましては、過去の経験にかんがみまして、昔、緊急就労事業をやりましたころは、いわゆる手当制度もまだなかった時期でございますが、いまではいろいろな援助対策、手段がそろっております。こういう中で、私どもはできるだけ民間の安定した就業の場に御就職願うという方向で対策を進めていくという考え方でございまして、そういう意味で、こういう就労事業夕張でやるということは現在考えておりません。
  46. 小渕正義

    小渕(正)委員 あくまでも緊急就労対策ですから、緊急と名のつく以上、これは安定的なものでないわけですね。そういう点は十分理解しております。過去のいろいろな経験の中で行政当局としてそのように判断をされて指導されていることはそれなりに、よりそれが充実して促進されることを期待いたしますが、場合によってはそういうものも考えざるを得ない状況になるのではないかという懸念を非常に持つ者の一人として、一つの意見として申し上げた次第でありまして、その点、今後のそういう状況の展開の中でぜひひとつ考慮に入れておっていただきたい、かように思います。  それから、時間がございませんのであと一つだけお尋ねします。実はこれは長崎県の北松浦郡で発生しているわけでありますが、産炭地の政府が指定する就労事業について不正受給等が行われたということで、現地において一部の使用者というのが労務者の人たちから告発されて、いま司直の手によってまだ調査中だと思いますが、これは七月に発生しております。これは関係省庁労働省としては、どのようにこの問題はとらえられておりますか、その点いかがですか。
  47. 大野明

    大野国務大臣 その件に関しまして、労働省といたしましては早速長崎県を通じていろいろ調査いたしましたが、不正受給があったかどうかという点の確認はできませんでした。その後、現在警察で刑事事件として取り扱っておりますので、その要請に基づいて協力しておるというところでございまして、まだ何しろ経過中でございますので、それより先の詳しいことはちょっとわかりかねております。
  48. 小渕正義

    小渕(正)委員 確かに、これは告発されて現在司直によってきちっとその内容が事実かどうかということでしょうけれども、こういった国の行う事業についてはそれぞれの公共職業安定所、特にこれは該当は長崎の江迎公共職業安定所だと思いますが、そういうところでもう少し適切な、何かそういうものに対する行政指導といいますかが事前にできなかったのかどうか。もちろん内容がそういうものであるかどうかわからぬということでしょうけれども、告発状をいろいろ拝見しますとかなり長期にわたってやられているわけでありますので、そういう点で、公共職業安定所に申告登録した賃金よりも安い給料で支払っておったとかなんとか、いろいろそういう問題が非常に出ておるわけでありますが、国のそういった事業を行った以上は、ここらあたりについてはもう少しそういうものに対する指導といいますか適切な助言といいますか、そういうものが平常的には行いにくいものかどうか、その点はいかがでしょうか。
  49. 守屋孝一

    守屋政府委員 これは国の補助金でもって実施しておる事業でございます。当然補助金適正化法等の規制も受けます。この問題が不正な事件であったかどうかはいま警察当局で調査中でございますので、いまここで何とも申し上げるわけにはまいりませんが、私どもは一般論として、こういう事業が適正に行われるようにより一層留意してまいりたいというように考えております。
  50. 小渕正義

    小渕(正)委員 特にこれは、前もってこういった風評といいますか、そういう問題提起があっておったにかかわらず何ら行政が動かなかったということも言われておるわけですから、その点、私は真偽は別として、そういった批判もあるということで今後の行政の中にぜひ生かしていただきたいということだけ要望いたしまして、終わります。
  51. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  52. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず、北炭夕張新鉱の人たちの再就職の問題でお尋ねをしたいと思います。  先ほどからのお話を伺っていると、一般、それから炭鉱関係、こういうような就職の口をかなり確保している、また職業訓練の枠も確保している。だから、何かそれだけの話を伺うと、ぜいたく言わなければ何とかなるというふうな感じに聞こえるのですけれども、果たして現実がそうなのか。私の筑豊などでのかつての経験などを見ましても、高齢者などは、幾ら自分自身で労働条件が悪いところでもいいからとにかく働きたいと思っても求人がなかったんですね。ああいういわゆる高度成長の時代でもですよ。だから私は、いまでも高齢者、特にいろいろな事情で家が動かれぬ、だから近隣で仕事がないかというふうに求めているような人には全く口がないのじゃないだろうかというような点で、そういうような部分には非常に困難があるというのがいまの実情ではなかろうかと思うのですが、その点、もう一遍明確にお尋ねしておきたいと思います。
  53. 守屋孝一

    守屋政府委員 確かに、おっしゃいますように高齢者になるほど就職が困難になる、これは現実の労働市場における需給の状態でございます。しかし私どもとしては、そういう中でも何とかして夕張離職者方々に再就職していただくように求人側にも当たり、また求職者にもいろいろな面での指導なり相談、助言をしておるということでございます。決してこれだけ枠があるからといって放置しておるわけではございません。また、その中の一つの手段といたしまして、先ほども申し上げましたように、雇用促進住宅の管理人に年度内三十名と言いましたのは、実は雇用促進住宅の管理人は普通の場合の採用条件の逆をやっておりまして、これは五十歳以上という条件をつけております。そういう意味合いでも、私どもは高齢者の再就職について非常に腐心しておるということ、またそれで努力しているのだということを御理解いただきたいと思います。
  54. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そういう高齢で、かつ地元で何とか仕事をしたいというような人たちの希望にこたえるということも考慮してだと思いますけれども、かねて地元夕張市長の方から、老朽炭鉱住宅の解体整備事業を緊急の就労対策としてやりたいというようなことが言われておって、これがすでに動き出していると私聞いておりますが、実際にどれぐらいの人数、何カ月ぐらいそれによって就労が可能になっているかというような実情などもちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  55. 守屋孝一

    守屋政府委員 これは建設省所管の事業でございますので、私どもとしては、地元に聞きました状況として御報告いたします。  夕張市におきまして九月から炭鉱住宅の撤去作業が行われておりますが、これはいわゆる建設省の公共事業の一つとして夕張市が受けて民間企業に発注したものでございます。この事業は、私どもが聞いておりますのでは、五十八年から六十一年度までの四カ年計画というように伺っております。これにつきまして、安定所の方がこの事業に絡んで離職者の方をあっせんした数は実人員で六十五人でございますが、ただ一人当たりの就労日数は少のうございまして月五日程度である、このように聞いております。
  56. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 地元夕張市の方からは、先日私たちが現地に赴きましたときにも、ほかにも旧炭鉱施設解体整備事業とか閉山緑地の緑化整備事業とかいろいろやりたいということが言われておりまして、私は緊急の就労対策としてはぜひこういうようなこともさらに国として促進を図っていくべきだ、労働省サイドとしても考えてもらいたいということを申し上げておきます。  先ほども、緊就などのようなことをいまこそ考えるべき時期ではないかというお尋ねがありました。これに対して、いや後を引くんだというようなお話がありましたけれども、しかしいままでの緊就という制度は何年間の就労だという期限がなかったわけです。ところが、労働省の方がいわゆる新特開というのを、去年から試行といいますか試しに何カ所かで始めている。私の地元福岡県大牟田市などでもやっているわけです。これなどは一年ごとに更新していくということで、一年ではっきり切りをつけるというような制度になっている。だから、いまのような緊急の就労をさせるという点では、こういう期限が明確に切られているようなものは、あなた方もいわば後を引くかどうかという点では安心してこういう試みを夕張などでやることは可能なのじゃないかというふうに考えるけれども、この点いかがですか。
  57. 守屋孝一

    守屋政府委員 炭鉱離職者方々を対象にしてやるということでございますが、炭鉱離職者方方には御承知のように就職促進手当を支給しております。いまの先生のお話ですと、これは就職促進手当の方の支給をとめて、こっちでいくということに——促進手当の方は他に労働によって収入がある場合は支給が減額され、あるいは場合によっては相当低い額になってしまいますので、そういう絡みもございますし、また先ほど申しましたようにこういう就労事業でやるよりも、促進手当は離職後三年間出ますし、何とかして安定就職の場に持っていくというのがやはり政府の基本的な方針でございますので、私どもはこの方針のもとに離職者方々の再就職促進を図っていきたいというのが基本的姿勢でございます。
  58. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 時間もないようですが、もう一問、幌内の問題でちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  さっきから幌内の話も出ましたけれども幌内をお訪ねして、これはどうも第二の夕張新鉱というような悲劇になりかねない、そういう方向に事態が進みつつあるんじゃないかという印象を私は強く受けたわけです。出炭がなかなか思うようにいかない。そういう点から金繰りが苦しくなったとかいって、賃金も最近では一五%ずつずっとカットされる、一時金も大手の四〇%くらいしか払われない、退職金はすでに四十六億も遅配をしておる、坑内もずいぶん荒れてきているというような話も聞きますし、実際炭鉱の労働災害も全国一の状態が続いていると伺っているわけです。こういうようなことがだんだん悪循環になってきて、このままでいったらまた重大災害でも引き起こして第二の夕張新鉱になりはせぬかということを非常に心配したわけであります。こういう悪循環を断ち切っていくためにも、労働者がもっと安心して働けるようにしていくためにも、いまのような賃金がまともに支払われない、あるいは退職金もすでに四十六億も滞っておるという状態を労働省としては放置しておけないと思うのです。さっき、このことについては何か支払いの計画を立て労使の間でそれを実行するための機関をつくったというような話もちょっとありましたけれども、仏つくって魂入れずということであってはならない。実際にこれがつくられたためにこういうふうに改善されているというような状況になっているのかどうか、私は余り効果が出てないのじゃないだろうかという印象も受けているわけですけれども、これがどういう状況になっておるか。実際、第二の夕張新鉱化させないために労働者の賃金退職金などについて確保するための手だてをいま積極的にどう打っているか、もうちょっとお尋ねをしたいと思います。
  59. 野崎和昭

    ○野崎説明員 北炭幌内炭鉱につきましては、御指摘のように経営上の問題が認められますので、私ども重点的に監督指導を行っているわけでございます。  御指摘の退職金の問題につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり労使で明確な支払い計画をつくらせる、その前提としまして現在滞っている額をふやさない、それから何年かかけまして計画的にそれをなくしていくということで計画をつくるよう指導いたしまして、これが現在の再建計画の中に盛り込まれているわけでございます。(小沢(和)委員「すでに動いていますか」と呼ぶ)動いていると承知しております。さらにそれが計画どおり実行されることを見守る必要があるということで、先ほどの管理委員会をつくりまして労使で協議をしていくという体制をとっているわけでございます。
  60. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わりますけれども、いまの答弁ではさっきから一歩も変化ないのですよ。そういうような体制をつくっても実効があるようになってないというのが現地にこの前行った印象なんだけれども、そこのところをもっと厳しく指導すべきではないか、その姿勢を持っているかということをお尋ねしたわけですが、時間が来ましたから、その点強く要求をして、私の質問を終わります。
  61. 武藤山治

    武藤委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  62. 武藤山治

    武藤委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行をいたします。三枝三郎君。
  63. 三枝三郎

    三枝委員 初めに、このたび国鉄の赤字ローカル線につきまして、北海道の産炭地であります歌志内並びに幌内炭鉱関係のあります歌志内線、幌内線の石炭の積み出しを認める貨物取扱駅が廃止の対象になっておりましたが、これを取り扱うということになりましたことについて、宇野大臣の方からもいろいろと側面的に御協力を賜りまして実現しましたことを、まずもって心から御礼を申し上げます。  そこで、余り時間がありませんが、私が最初大臣にお伺いいたしたいことは、今後のエネルギー需給全体の中で石炭をどう見るかということでございます。この点につきましては、午前中、当委員会の冒頭で私が、先般石炭中心にしまして豪州その他のエネルギー事情調査に参りました報告をいたしましたが、その終わりに、今回の調査によって、広くエネルギー全体を踏まえた視点での石炭対策でなければ、その効果も十分には期待し得ないということを強調したのでございます。これは実際に、海外炭の主要輸出国であります豪州その他に参りまして、私ども武藤委員長を団長といたしますメンバーは、今後は全体を見た上で、その中における石炭対策ということを考えなければならない、そういうことを痛感したのでございます。  これに関連しまして最初にお伺い申し上げたいことですが、第七次の石炭政策の答申の中で、こういうようなことが書いてあります。全般的には、「将来にわたり石炭の利用拡大を図るに当たっては、今後に予想される需要規模からみて、供給の多くは海外に依存せざるを得ない状況にあるが、同時に、貴重な国内資源である国内炭の活用については、積極的な配慮を払う必要がある。」ということを「第七次石炭政策の理念と枠組み」の冒頭でうたっております。そしてその中に、「したがって、現存炭鉱の安定的な生産の維持を基調としつつ、将来における年産二千万トン程度の生産水準の達成を目指すことを石炭鉱業の自己努力、政府の施策及び需要業界の協力に当たっての基本的な考え方とすべきである。」そういうことで結んでおります。  私どもがこのたび視察に参りました豪州の、たとえばブレアソール、これは来年の四月、いよいよ日本に向けて出炭するわけでございますが、このブレアソール炭鉱一カ所で千五百万トンの規模を持っている、しかも露頭炭で、炭層は三十メートル、非常に少ない人数で最も効率的に採炭をして、いまその準備を進めておりますし、インフラ関係では鉄道も敷設している、港も整備しつつある、そういう状況でございます。  基本的な考え方といたしまして、将来における年産二千万トン程度の生産水準の達成を国内においては目指すということを言っておりましても、前半の、現存炭鉱の安定的な生産の維持を基調とする、ここにウエートを置いて対策を講じていかなければならないと思いますが、この辺について大臣はどうお考えでございますか。
  64. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 七次答申に関しましては、もちろんこれを尊重いたしまして、そして千八百万トンから二千万トン、そうしたことを目標として石炭鉱業界の現状を維持し、なおかつその発展を祈るということは、私たちが常に考えておるところでございます。しかし、何分にもやはりわが国資源小国でございますから、したがいまして、今日ただいまでは、あるいは国内の需要の伸びからいろいろ問題はございましょうが、私は、当然石炭が代替エネルギーの中におきましても一番豊富な資源でございますので、そういう観点に立ちまして、今後わが国といたしましてはそれを広く求めるという大きな枠組みも必要であろう、かように考えております。
  65. 三枝三郎

    三枝委員 大臣のお考えはよくわかりましたが、実際問題として、たとえばブレアソールの場合、約三百万トンの石炭を来春日本に持ってくる。きょう午前中の報告の中でも申し上げましたが、これはもとより民間のベースで行われているものでありますので、通産省といたしましては指導的な立場でこれを見守っていくわけでございましょうけれども、その間、御承知のような国内の石炭石油の需給状況、あるいは価格の状況から見まして、非常にむずかしい問題がその中に含まれていると思います。価格の点あるいは品位の点等だけで国内炭を捨てていいか、これはとうてい許されないことでございますから、第七次の答申の先ほど申し上げました基本的な方針のもとに今後行わなければならないのですが、具体的にたとえば三百万トン来春引き取るというようなことで、電発方面が現地会社と折衝しているようでございます。これは一例を挙げているのでございますが、そういった場合に、これが直ちにわが国の国内事情からいって引き取りは非常にむずかしい、あるいは九州の発電所の建設状況あるいは貯炭場の状況からいってもむずかしいということになって、いろいろと交渉は続けられているようでございますけれども、午前中の報告の中でもうたいましたが、やはり重要なわが国に対するエネルギー供給国でありますたとえば豪州との国際関係信頼関係、こういったものが損なわれることは将来非常に禍根を残すのではないか、そういうことになりますので、この際、通産省といたしましては、そういった具体的な問題が起きている現状でありますから、具体的にどう指導なされるか、その点をもう一度お伺いいたしたいと思います。
  66. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 豪州との関係は非常に密接不離なものでございまして、私も豪州の新しい政権が誕生して以来、副総理あるいは外務大臣等々枢要な方々とお目にかかりまして、いつもその問題が話題になっております。現状といたしましては、国内におきましても懸命の努力をして、いま内需の喚起をやっておる。そういう内需喚起策において、私たちはやはり鉄がふるい立ち、さらにはまた電力業界がふるい立ち、またセメント業界も大いにふるい立つというふうな環境をいまつくっておる最中であって、そうした中において、あるいはいろいろとわが国内における需要も落ち込んでおるかもしれない、そこら辺に私たちも一つの悩みを持っておるのだ。しかし、これは日本政府の努力だから、あなた方に何もそれだけを聞いてもらおうと思っておるわけではないが、豪州との関係考えますと、いつも申し上げますが、わが国の輸入の隻数を考えると、わが国へ二万二千隻の船が入ってくるが、そのうちの一割の二千二百隻は豪州からです。豪州炭は産出高の七割、わが国の使用量の四割、こういう関係でございますから、今後とも長い目でお互いにやっていきたい。特に、いまおっしゃるような重要な新しいプロジェクトに関しましては、わが国民間企業も関与していることでもあり、またインフラストラクチュアの面におきましてもいろいろと皆さん方の方でも御努力をなさっておる。そうした点も考えて十二分に配慮いたしますのでよろしく、そういうことで、大切な資源供給国でありますそうした、たとえばでございますが豪州との間は極力いろいろと手を尽くして現状を御説明申し上げ、将来にわたる展望を御説明申し上げて、その間がスムーズにいくように、その環境の整備に最大努力をしておるというのが現状でございます。
  67. 三枝三郎

    三枝委員 大臣の御方針よくわかりました。大臣は通産大臣として全世界的な立場で行政を執行していかなければならない、そういう方でございます。新聞に報道されるところによりますと、日米間の貿易摩擦についても、その解決策の一つとして米国産の石炭を輸入してもらいたいということが強く言われているけれども、港に持ち出す費用が相当な額に上るために割り高になるというようなこともあります。あるいはアラスカ原油との輸入問題に絡んだ点も議論されております。あるいは中国炭もございます。しかし、品質の面その他でまたこれもいろいろと問題が多いと思いますし、また南アの方からも出てくる。この供給先は多角的に見なければなりませんけれども、私どもはこのたびの視察で、現地豪州関係の州政府当局は真剣に、この日豪間の信頼関係を損なわないようにやってもらいたいんだ、間接的に推察をいたしますとシェアだけは守ってくれないかというようなことを強く望んでいるのでございます。したがいまして、大臣、いまお話がございましたような御方針で今後執行に当たるわけでございますので、そういった点はひとつ抜かりなく、大臣の優秀な行政的、政治的手腕で、この開題で禍根を残さないようにお願いをいたしたいと思います。  次に、少し細かな問題でございますが、午前中も申し上げましたが、たとえば先ほどお礼を申し上げました幌内駅における幌内炭の積み出しも、大臣も御協力くださってこれが中止にならなくなったという点で非常にほっとしているわけでございますけれども、この幌内炭鉱現状は北炭の二の舞になるのではないかというぐあいに経営が非常に悪化していることは御承知のとおりでございます。これは幌内ばかりでなく、赤平にしましても芦別にしましても砂川にしましても歌志内の空知にしましても、非常に皆さんいま苦労して採炭をしておりますが、特に私が問題にいたしたいと思いますのは、日本は急傾斜の炭鉱が多いわけでございます。豪州炭その他はみんなフラットのところでやっておりますが、日本はフラットのところで採炭できるのは太平洋炭鉱あるいは高島くらいでしょうか。三井系が近くフラットになるといいますが、大体北海道のこの夕張地域は急傾斜地帯における採炭を余儀なくされておる。したがって多くの費用がかかりますし、深部化されるし、また奥部にも深く行きますので、その点について格別の御配慮をお願いいたしたいと思います。これは事務当局で結構でございます。
  68. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 御指摘のような自然条件の格差を是正するために、五十七年度に石炭鉱業安定補給金の単価の改定を行いまして、御指摘の石狩地区の急傾斜炭鉱に対しましては重点配分を行ったわけでございます。具体的には、トン当たり六百円という従来の単価を千百五十円というふうに引き上げたわけでございます。五十八年度も引き続きその単価で予算を計上いたしております。  しかしながら、その後の経緯を見ますと、なお自然条件の格差というのは予想以上に厳しいものがございます。そういう点も考慮いたしまして、来年度の予算要求におきましては、石狩地区の急傾斜炭鉱に対しましては、より一層手厚く単価を改定するという方向で財政当局に予算要求いたしております。
  69. 三枝三郎

    三枝委員 今後ともなお一層の善処を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  70. 武藤山治

  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産省では八月に「長期エネルギー需給見通しとエネルギー政策の総点検について」ということで、エネルギーの需給見通しについてのいわば下方修正といいますか、その内容を発表になっておるわけであります。これによりますと、特に石炭の面では六十五年度、石油換算一億一千五百万キロリッター、これを八千百万ないし八千六百万キロリッターに下方修正するという内容も含まれておるわけです。もちろん原子力、石油についても同様下方修正であり、LNGについては、国際契約の観点からでしょう、そう大きな下方修正にはなっていないわけであります。  そこで、いままでのエネルギー政策の中で、特に代替エネルギーとしての石炭という位置づけがなされてまいったわけでありますから、そういう意味で今回の下方修正を考えてみますと、すでに実施に移されている第七次石炭政策の国内石炭の位置づけと関連して、この影響を受けるのではなかろうか、こういう受けとめ方が一応できるのであります。したがって、今回のエネルギー需給暫定見通しと第七次石炭政策との関連において、この際第七次石炭政策をある程度見直すという御意思があるのか、それとも需給暫定見通しの中で第七次石炭政策は従来の方針どおりこの政策を遂行しようとするのか、この点、明確にひとつ通産大臣の見解を承りたいと思います。
  72. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま申されましたとおり、従来の調査会の答申はあくまでも暫定でございますから、最終的なものは本年度中に需給見通しの改定を行う予定でございます。  第七次答申に関しましては、先ほどお答えいたしましたとおりでございますが、見直しするつもりはございません。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度の需給計画がすでに通産省で策定をされておるわけですが、五十八年度の国内生産は一千七百二十万トンと見込まれておると思います。そこで最近の動向を分析してみますと、一時的な貯炭増あるいはまた、北海道、三菱大夕張に見られるような貯炭が急増する、こういう側面も実はあるわけであります。今年三月末の在庫は、原料炭が三十三万三千トン、一般炭が七十九万九千トン、無煙炭が一万一千トンで、百十四万二千トンが三月末の在庫であったわけであります。生産の方は今年は一千七百二十万トンですから、前年よりも縮小されている。しかし、過程においてはそういう貯炭の変化というものが見られるわけでありますけれども、そうしますと、現状の一千七百二十万トン程度、この程度のものを今後とも基調として考えられておるのかどうかというのが第一点であります。  第二点は、貯炭の変化がありますけれども、では今年度末、来年三月末の場合に原料炭、一般炭の年度末在庫はどのように需給計画から判断されるか、承っておきたいと思います。
  74. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 お答え申し上げます。  今後の生産の基調といたしまして、やはり千七百万トン台どいうものは何とか確保いたしたいというふうに考えております。  貯炭の見通しでございますが、先般石鉱審で御審議いただきました需給見通しにおきましては、今年度末の貯炭といたしまして、原料炭で四十万トン、これは対前年比七万トンの増でございます。一般炭で六十六万トン、これは対前年比十五万トンの減でございます。合計いたしまして百六万トン、これは対前年比、総計いたしまして八万トンの減ということで、貯炭はやや減少するというふうに予想いたしております。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 五十九年度の石特会計の点についてこの機会に承っておきたいと思います。  すでに五十九年度の石特会計の概算要求は一千三百十四億円、前年度対比マイナス二・一%、こうなっておるわけであります。いわば石特会計の伸びは前年に比べて低下をする。しかし、石特財源としては、さらに油の財源等も加味して一千三百十四億円が確保されている、こう見受けられるわけであります。したがって、今年の石特会計についてはいろいろ問題が多いのではないか、こう思うのであります。特に前向きのウエートが下がっておるわけでありますが、石炭予算全体について財政当局も非常にシビアな見方をしているように私も感じておるわけであります。したがって、五十九年度の概算要求をすでに行っている石特会計の特に問題点について、この機会に承っておきたいと思います。
  76. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生御指摘のように、五十九年度の石炭勘定概算要求は千三百十四億円ということで二・一%の減ということでございます。特にこの場合一番問題となりますのは財源でございまして、原重油関税の収入が大幅に落ちておるということでございまして、これは石油税と違いまして従量税でございますが、輸入量が非常に減っておるということでございます。ただ、その場合におきましても、最低限の石炭政策の予算は確保するという点から、従来すなわち五十八年度よりも石油及び石油代替エネルギー勘定へ持っていく分を非常に減らした、最小限にしたということで、先ほどの概算要求の額を確保したわけでございます。  しかし、いずれにしても、全体としては減っているわけですが、われわれといたしましては、こういう厳しい財政事情の中でも合理化安定あるいは鉱害、産炭地振興策につきましては何とか必要な資金を確保しようということで努力した次第であります。特に合理化安定につきましては全体として三十億以上減っているということになっておりますが、この中には、従来の肩がわり等のもので自然減といいますかが四十億以上ぐらいあるということで、実質的には八億ぐらいの増加を確保しておるわけでございまして、たとえば坑道補助金等は二億円増、それから安定補給金等につきましても炭鉱間格差の是正を図るための単価の改定等を加えまして二億円ぐらいということで、苦しいながらもそれぞれ増強を図っておる、こういうことでございます。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 石特会計以外に石油代替勘定の中で、特に石炭関係の予算として一つの予算があるわけです。これは第七次政策を決めるに当たって向坂正男先生とこの委員会で一度議論をしたことがあるわけです。日本列島の中で、日本石炭の埋蔵量の状況から判断をすれば、従来筑豊炭田が一番大きなポテンシャルである、こういう理解があるけれども、長崎の西彼杵炭田はまだ未調査であって、恐らくこのポテンシャルはかつての筑豊炭田よりも大きいであろう、こう私は指摘をいたしたわけであります。  そういう意味で、この西彼杵炭田や有明あるいはまた北海道の海底の炭田、そういう大型炭田について十分ポテンシャルを把握する必要がある。特に海底炭鉱の出炭が大体過半数に達しつつあるという状況の中でこの点が指摘をされて、実はおととしから予算化されておるわけです。ただ、最近の風潮として、その開発がいつになるかわからないのに何で資源調査をする必要があるのだ、こういうふうに財政事情が厳しいから資源調査についてはむしろ先送りをするか中止をすべきであるという愚見も関係当局の中では強まっていると私は聞いておるわけです。しかし、西彼杵炭田の調査は高島炭田の将来展望を築きましたし、最も優良炭鉱と言われる松島炭鉱についても安定な展望というものを確信を与えている。あるいはまたわが国最大の三池炭鉱についても、いままで恐らく賦存はしないであろうという点が調査によってそれぞれ炭量が把握できている。こういう状況から考えれば、一応継続的にやってきたわけでありますから、大体このポテンシャルの把握ができるまではこういう調査最後まで続けるべきではないか、こう私は思うのですけれども、この点について通産当局の見解を承っておきたいと思います。
  78. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 財政当局から厳しい意見が出ておることは私ども承知いたしておりますが、先生御指摘のような成果もおさめておりますし、必要性は非常に重要と考えております。したがいまして、来年度予算におきましても、本年同様十八億六千二百万の金額を要求し、何とか確保したいと考えております。
  79. 岡田利春

    岡田(利)委員 いままでの炭鉱間の格差という問題について長い間議論されてきたわけです。政策的に見ますと、これは安定補給金の分野では四百五十円に対して六百円という、百五十円の格差が設けられておったわけです。私は、この格差は立地格差だと思う。いわば北海道の内陸に位置するところが六百円であり、海岸線に位置するところが四百五十円だということですから、この格差は立地格差を安定補給金で見ていた、こういうことになるのではないのか。今度は安定補給金を減らして、それを急傾斜の炭鉱に傾斜配分をするという措置をとったのが、第七次政策の安定補給金の格差配分であるわけです。来年度、先ほどの答弁のように急傾斜炭鉱に三百円積む、そして緩傾斜のところの安定補給金を五十円減らす。従来のほかの財源を加味して三百円を積むという、これが来年度の概算要求であるということを先ほど説明を承ったわけです。そうしますと、トータルすると、急傾斜の炭鉱がトン当たり千四百五十円、そして内陸炭鉱が六百五十円、海岸炭鉱が高島一つを除いて二百円、こういうふうな安定補給金の配分になるわけです。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕 だが問題は、立地格差と傾斜格差。炭鉱間格差というものはこの二つにしぼられて果たして妥当かどうかという問題も実はあるわけであります。したがって、この安定補給金の格差配分について、立地格差と傾斜格差、この二つの要因しか入っていない、こういう私の理解でいいのか、あるいはまた、そういう要因を考えながら他の要因をも考えるというような検討が通産省としては行われておるのか、この格差配分の問題について見解を承りたいと思います。
  80. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 五十七年度の改定並びに五十九年度で予算要求いたしております考え方は、先生御指摘のように、従来からあります立地格差に加えまして、急傾斜格差を中心考えておるところでございます。
  81. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで私は、これはこれでいいと思うのですけれども、これからもやはり炭鉱が深部化していく場合にいろいろ問題が出てくると思うのです。したがって、炭鉱間格差というものは何なのかという点について、関係者あるいはまた学者の方も加えて一度検討してみる必要があるのではないか、こう思うわけであります。  今日になると、格差要因というものを出してコンピューターではじき出せば、炭鉱の数が少ないですから、相当正確なものが出るのではないのか、こういう気がするわけです。わが国石炭政策は個別企業対策で終始をしてきたという特異性を持っているわけですね。ドイツのような場合には体制を変えてルール炭田に一社化した。こういう政策をやってきた国と違って、個別企業に終始したわが国の場合にこれからのそういう増大する格差についてどう対処をするかということになってまいりますと、やはりある程度科学的に対処しなければならぬのではないか。そういう意味で私は、炭鉱間の格差という問題について、いますぐ結論の出る問題じゃありませんけれども、ぜひ検討してもらいたい問題だ。そして対応していくということをせざるを得ないのではないのか。私も現実的に考えると、いま小さくなった炭鉱をまとめてみたってなかなか簡単にうまくいかないと思うのです。そうすると、いまの個別企業対策をどうある程度カバーするのか、その活力をどう生かしていくのか、こういう面で見ると、ある程度の基準を持って公平に対処をする、こういう判断がどうしても必要になってくるのではないか、こう思うのであります。それが第一点であります。  第二点は、われわれがしばしば業界筋から承っているところによりますと、三菱高島炭鉱が百年祭を迎えて非常に好調であったのでありますけれども、現在の採掘フィールドは松岩が存在しておるわけです。私もかって三池炭鉱で松岩の炭層を掘った経験が実はあるわけであります。そのために機械化ができないという問題があって、いまのフィールドが終わって新しいフィールドに展開するまでは非常に困難が伴っている。いわばその劣位の水準は北海道の北空知四炭と同等の劣位の状況にある。このように協会の関係者も認めておるという話もわれわれは承っておるわけです。  したがって、今回、概算要求については、高島は五十円減らさないで前回の二百五十円に安定補給金を据え置いておるわけでありますけれども、この点もやはりそういう状況については、従来の海底、海岸炭鉱あるいは傾斜炭鉱というだけではなくして、もう少し弾力的に対応する必要があるのではないのか、こう私は考えるのでありますけれども、この二点について見解を承りたいと思います。
  82. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 格差の要因に、立地並びに傾斜度のみならずいろいろな格差があるわけでございますが、それを取り入れるべきであるという御意見に対しましては、われわれも基本的にはそういうふうに考えております。ただ、非常にむずかしい問題でございまして、ややもすれば経営努力なんかとうらはらになるような問題もございまして、これから慎重に検討してまいりたいと思っております。  それから高島炭鉱の問題につきましては、確かに一般の海底炭鉱と違うむずかしい条件下にあるということでございます。その辺は十分認識いたしております。そういう観点から今回もちょっと特別な扱いをいたしたわけでございますが、これで十分かどうかにつきましては、将来の検討とあわせて研究してまいりたい、こういうふうに考えております。
  83. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま前段で部長が言われた企業努力するところとしないところの格差といいますか、あるいは技術水準から見ても、技術水準の格差もやはりあるのだと思うのです。私、それも入れていいのじゃないかと思うのですが、それも入れて、ある程度の手法で計算する方法はないのか。そうむずかしくないのじゃないかという気がします。  高島の問題については、そういう意味でぜひ地元の意欲の喪失にならないように、ここは八時間勤務に対して慢性的に拘束十時間でがんばっている山なんです。そういう炭鉱というのは高島炭鉱しかないわけですよ、全職種完全に十時間の拘束時間というのは。三井三池の場合は、昔から拘束九時間の体制でやっているわけです。そういう点を考えますと、いま部長の答弁された方向でひとつ御検討願いたい、かように思います。  次に、炭価の問題について承っておきたいと思うのです。  わが国の基準炭価は、古い歴史的な流れがあることは私も十分承知しているわけです。ただしかし、今日の段階になってまいりますと、やはり炭価の問題について多少修正もしてみなければならぬところが出ておるのではないかなという気がするわけです。たとえば九州でも若松の低品位炭火力があり、そしてかつては苅田の二十二万キロの発電所があった。いまは全部なくなって、長崎の大村発電所に集約されているというぐあいに、火力発電所の立地も変わっているわけです。北海道の場合は、比較的内陸の火力発電所の立地の変更はないわけであります。  そういう面で基準炭価を比較いたしますと、北海道の五千カロリーが一万三千九百七十五円で、九州の基準炭価が一万四千百二十円だ。これだけで差があるわけです。もちろん、これには流通コストの関係もあるわけです。ただ、私が調べた流通コストの関係では、四十八年度炭価における流通経費、それから五十七年度基準炭価の関係——四十八年度以降は大体わかるわけです、基準炭価の場合に全部公示されていますから。四十八年度以前はどうだったのかということになりますと、それを現行炭価と四十九年度以降の流通経費から推計して出してみますと、私の計算では、北海道の場合には、九百七十六円が流通経費で一万二千九百九十九円になって、カロリー当たりが二円六十銭になる。九州の場合には、六百九十九円が経費で、一万三千四百二十一円で、カロリー当たりは二円六十八銭四厘になる、こういう計算になるわけです。これは、通産省では四十九年以前の流通経費の資料がないと言うものですから無理して計算してみたわけであります。  ここで、もしカロリー当たり八銭違うとすれば、五千カロリーですから、五、八、四十、トン四百円違うという意味であります。流通経費がどうかという問題もあるでしょう。生であっても、とにかくここに百四十五円ですか、これだけの炭価の差があるわけです。しかもいま、政策的に言うと、空知四炭空知四炭といって、空知四炭に安定補給金の傾斜配分をするわけです。そして空知四炭というのは五千カロリーの炭を内陸発電所に送っておるところなわけです。かつては北電も苦しい時代がありましたけれども、今日、電力の条件も変わっておるわけでありますから、そうしますと、私の指摘したとおりだとすれば、この炭価の是正を図る方向を推し進めるべきではないのか、私はこう思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
  84. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 先生御指摘の数字と私ども若干違いますけれども、私どもの試算でも、推計でございますが、やはり二銭程度北海道の方が安くなっておることは事実でございます。もともと、産炭地の石炭引き取りを円滑にしようということで、四十八年以前にそういう形で格差があった。その後の炭価改定はいずれもカロリー等価で上げてきた結果、四十八年以前の格差がそのまま残っておるということでございますので、今後の課題の一つとして検討してまいりたい、こう考えております。
  85. 岡田利春

    岡田(利)委員 私もいままでの場合には、歴史も古いわけですし、問題点としては見ておりましたけれども、指摘したことがないわけです。しかし、政策の流れが劣性条件にある北空知四炭に向けられていく場合には、このこともやはり見逃してはならない問題だという意味で御指摘申し上げましたので、今後、一遍にできるかどうかは別にして、段階的に流れの方向に合わせて改善されるように、この機会に強く要望いたしておきたいと思います。  次に、現在、たとえば一般炭の場合は高い安いいろいろ議論がありますけれども、横持ちその他の面で考えますと、まだずいぶん国内炭の有利な側面もあるわけであります。特にアメリカから要望されている石炭の輸入、しかし内陸輸送が非常に経費がかかる、また港関係その他も整備をされていない、日本受け入れ側一般炭の場合には非常に問題がある、こういったことを考えてまいりますと、まだまだ解決されなければならない問題があると思います。しかもアメリカの場合には、大体トン十ドルは流通経費で高いという数字も実は出ておるわけであります。原料炭になりますと、またさらに条件が変わってきて、六万トンの船が着ける岩壁があって、そこに製鉄所があるわけですから、すでに一般炭とは状況が違うわけです。しかし、原料炭の場合、これを価格競争的に考えるとすれば、とてもじゃないけれども太刀打ちはできないことも明らかであります。しかし、第三次、第四次政策の場合には、当時新日鉄の永野さんは、国内原料炭をどうしても確保してもらわなければならぬということで南大夕張開発を行い、先般閉山になった北炭新鉱開発を実はしたわけであります。そういう歴史的な流れがあるわけであります。かつては大体一〇%以内に落ちつけば優先的にこれは引き取る、こういう合意が実はなされておったのでありますけれども、最近は、そういう合意と相反して引き取りを渋るという傾向が非常に強いと思います。もちろん価格の格差が大きいからであります。ですから、原料炭は、まさしくそういう意味で農産物と同じだと私は思うのですね。わが国の消費する石炭の一定割合は確保する。まさしく農産物的な手法でないと原料炭というものは価格の面では太刀打ちができないと思うのです。  したがって、まず第一点として、わが国の総体原料炭消費のうち国内原料炭は一体どの程度、いま何%を占めておるのか、特に鉄鋼に限って言えばどういう数字になっているのか、この点をまず承っておきたいと思います。
  86. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 先般、石鉱審から答申いただきました五十八年度見通しにおきましては、鉄鋼の原料炭でございますが、岡内炭が三百五十五万トンの引き取りの予定になっております。一方輸入炭が見通しでございますが五千五百万トン、合計五千八百五十五万トンというのが今年度の見通しでございます。
  87. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、国内炭の占める率というのは、輸入と生産の関係で言うと七%ぐらいのものですか。
  88. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 鉄鋼では六%でございます。原料炭全体といたしまして七%、この程度になろうかと思います。
  89. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、いまお聞きのとおりなわけであります。したがって、今後とも私は原料炭の引き取りは問題になっていくと思うのですね。価格が違えば鉄鋼側としてはいろいろ問題にするわけであります。いま数字が出ましたように、鉄鋼の場合六%、総体的には七%。従来の流れから言えばかつて一〇%と言ったのですけれども、この状況になりますと、国内原料炭の優先引き取りの原則というものは相当自信を持ってやっていただかないと、後残されたわずかな炭鉱もとても成り立っていかないということになるんじゃないかと思うのです。この点大臣の御認識を承っておきたいと思います。
  90. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 当然第七次答申を踏まえまして国内においてあの線だけは守っていこう、先ほど来申し上げておりまするが、それだけはわれわれといたしましても最大努力は払うべきであろう。もちろんユーザーというものもございます。しかし七次答申では、石炭鉱業界自体の努力、そしてまたユーザーの協力、政府の施策、この三者が一体になってやってくれ、こう書いておりますので、その線を踏まえて努力をしたいと思います。
  91. 岡田利春

    岡田(利)委員 第七次答申というのは、実は肝心なところが文書になっていないのですね。発射台というのがあるわけですが、発射台は第七次政策の文書になっていないで、発射台から飛ぶところが文書になっておるわけですよ。発射台は何かというと、これは炭価政策になるわけですね。そして当時生の石炭が一トン十ドル下がったという状況で、二百二十円のレートだったものですから、これを半分、二年間に分けて発射台にしようじゃないか。ですから、大体千円から千百円程度のものを炭価を上げて、そして第七次政策を出発をさせる、これが第七次政策の発射台なんです。そして第七次政策が進んだというのが一番大事なところなんです。ここを忘れてはならないわけです。これがなければ第七次政策というのはなかなか成り立たないわけですよ、初めて格差配分をやったわけでありますから。  そして今日の状況を見ますと、私の知り得ている情報では、いま本来の問題はすでに議論されているとおりであります。あるいはまた砂川においても、今度は欠口掘りをやめて、これを転換さして水力に集約してコンパクトにするというような計画も近く正式に組合に出されるやに承っているわけです。あるいはまた住友赤平についても、すでに合理化提案が行われて、これを一応労使で消化をして対応する、こういう厳しい姿勢をとっているわけですね。今年から来年にかけてこれらの問題がさらに消化されなければならないという状況にあるわけです。  ですから、状況的に考えますと、油の値段が下がり外炭が下がってきたわけですから、客観状況は非常に悪いわけです。しかし国内炭鉱の条件から言うと、ここの橋渡し、安定の橋渡しが非常に重要な時期だというのが、ことしから来年にかけてであると私は思うのです。そういう中で基準炭価を決めるということは非常にむずかしいのですけれども、これまたいままでの五社平均の赤字を一応残して、当面のコストアップの部分、大体トン当たり三百八十円と聞いておるわけですが、大体そういう水準の炭価を何とか消化できないのか。電力については社内の経営状況は非常にいいのですけれども、鉄鋼の場合にはいろいろ問題があるということが非常に厳しく指摘をされている、こういう状況にあるわけです。  私も、そういう厳しい状況を認識しながらも、これは政府の努力と相まって、いま主体的に、厳しいことしから来年へのつながりをどう多少でも支えるか、大きいことはもう考えられませんから。そういう意味で、五十八年度の基準炭価については最後までひとつ努力してほしい。かつては、昭和五十四年、五十五年の基準炭価の場合には、これは三月ぎりぎりで決まっているわけですよ。年度末ぎりぎりで決まっている。そういう過去の経過もあるわけですから、ぜひそういう御努力を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 五十八年度の基準炭価につきましては、いま需要、供給両業界の話も行われておりますし、石鉱審におきましては需給・価格部会の専門分科会を九月九日に開催いたしまして需要量、需給見通しを決めると同時に、価格問題について両サイドの意見を聴取し始めたばかりでございます。いまの段階で見通しを申し上げる状況ではございませんけれども、七次答申並びに法律の趣旨にのっとりまして適正な価格を設定するよう努力をしてまいりたいと思っております。
  93. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産省としても全体を扱っている省でありますから、そういう意味で非常に苦慮しなければならぬ面もあろうかと思うのですが、私がいま申し上げているのは、大きいことは望むことができないけれども、橋渡しするぐらいの面についてぜひ御努力願いたいということを申し上げておりますので、せっかくの御努力をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、幌内の問題について一問だけ承っておきたいと思うのです。今度の決議にもあるわけですけれども、長い間それぞれ関係者幌内の問題について問題点をえぐり出してまいったわけであります。そして先般、経理小委員会で近代化資金について一応の計画を了としてこの決定がなされておるわけであります。そういう意味で、この幌内の与える影響というものを考えてみますと、新鉱の閉山以上、さらに大きい、倍くらいのインパクトが起こる、こう私は計算をいたしておるわけであります。そういう意味で、この幌内再建は非常に重要であります。したがって、いま通産省として幌内再建問題についてどういう問題点が一番ポイントだと理解されているか、この点について承っておきたいと思います。
  94. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 九月二十日に開催されました石鉱審の経理審査小委員会で指摘されましたように、不振の原因というのはあくまでも、基本的には「経営管理面における適切な対応の欠落と、労使双方一丸となった会社再建への熱意と努力の欠如」ということが強く指摘されておるところでございます。私ども、基本的にはやはりこの問題は避けて通ることはできない、こういうふうに考えておりますが、そういう基本的な問題のほかに、今後の再建に当たりましてなお注意すべき問題といたしましては、高能率切り羽への集約がいかにスムーズに移行できるかどうかという問題が一つございます。それから機械設備の改善強化。やはり老朽設備あるいは不適当な設備もございますので、その改善強化を図る必要がございます。これについては近代化資金の手当てをしたところでございます。それから、労働態様の改善。最近改善されましたけれども、主管制度と申しまして、組合が事実上二つあるような形のものがございます。その辺の改善とか、あるいは将来の問題といたしましては大職種制の採用というものをできるだけ早く導入できるかどうかというような問題がございます。さらには、今後の合理化の中で、直接夫といいますか、採炭並びに坑道掘進に直結する部門へできるだけ人を移していくというような、合理化の内容を濃くするような問題も残っておろうかと思います。
  95. 岡田利春

    岡田(利)委員 私も幌内炭鉱というのはそう悪い条件の炭鉱であるとは思っていないわけです。北海道炭鉱で一番天盤がいいし、水の湧水量も少ないという点は証明されているわけです。もちろん、多少傾斜が強くなってきている、また温度が上がってきているというような面もありますけれども、ただ、残念ながら後方運搬は、ほかの炭鉱に見られない〇・八トンの木製炭車で後方運搬が行われているという点は特異性があります。そういう意味で、運搬のシステム自体を全部変えるというわけにはまいりませんけれども、これに合わしたサイクル、システムをどう管理面で完成していくかという問題があろうかと思います。  問題はやはり労使信頼関係と、そういう意味で労使のこれらの問題点をえぐり出してどう迅速に対処するかということだと思うのです。私もほかの炭鉱を回ってみて、その努力は適切性を持てば必ず実るのではないか、こういう期待を実は寄せておるわけであります。  ずっと幌内問題も取り上げておるわけでありますけれども幌内炭鉱の帰趨というものが、道内経済のみならず、それに関連する多くの面に及ぼす影響等を考えますと、この点についてのいま部長が述べられておる点は特にポイントだと思いますので、適切な指導を強く期待を申し上げておきたい、こう思います。  次に運輸省に一言だけお伺いいたしておきますけれども幌内、そして歌志内線の来年二月一日からの貨物の取り扱い中止については、これを延ばすということにいま御決定いただきましたから、来年二月時点の問題については一応解消できたわけであります。しかし、この問題が提起をされておるということの持つ意味は、依然として炭山鉱が継続される限り、三十五万トンから四十万トン程度石炭の輸送がある場合にはこの線の廃止はできない、すべきではないということを強く意味しているのではないか、こう思うのであります。もちろん地方ローカル線の問題は、法律に基づいて今日すでに国鉄が指定し発表いたしているわけでありますから、これをいますぐここで変更するわけにはまいらないでしょう。その事情についてはある程度理解ができますけれども、今回のこういう措置をとったという意味は、やはり他のローカル線と非常に違った意味を持っておるということを意味しているという理解だけは成り立つのではないか、こう思うのですが、御認識はいかがでしょうか。
  96. 岩田貞男

    ○岩田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がありましたように、歌志内、幌内線については来年二月の貨物の合理化を当面しばらく見合わせるということにしたわけでございます。ただ、これは一つの要因として、一緒に合わせなければならないということで進めておりました地方交通線対策の方が若干手続等がおくれているということで当初の予定が少し狂ったということで、当面見合わせたわけでございます。石炭対策もそうでございますけれども、現在、国鉄再建対策というのも国を挙げて取り組まなければならない一つの緊要の対策でございます。したがいまして、その国鉄再建のための対策の一つの柱となっております地方交通線対策も同様に一つずつ進めていかなければならないということでございます。その辺を御理解願いたいと思います。  ただ、いずれにせよ、これらの対策につきましては、両線の問題を含めて地元への大変な影響があるということはわれわれ十分了知しておるところでございまして、これらの地方交通線対策を進めるに当たっては、地域への影響を十分考慮して住民の理解を求めて、さらに足の確保ということも十分配慮しながら実施してまいりたいと考えております。
  97. 岡田利春

    岡田(利)委員 前段のような御答弁は、私はちょっとひっかかるのですけれども。といいますのは、第一次線の場合には決まったのは白糠線だけでありますから、一線しか決まっていないのであります。まだ全部残っているわけですね。これから協議事項で手続が進んでいくわけであります。しかし第二次の線は、これは指定したばかりでしょう。したがって、これは相当時間のあることを初めから承知なわけですよ。だがしかし、第二次の指定線なるがゆえに、基準の十万トン以上の貨物があっても取り扱わぬというのですから無謀だ、こうわれわれは言うわけですよ。国鉄は十万トンという基準があるわけでしょう。たまたま第二次の廃止ローカル線の対象にあるから貨物の取り扱いをやめる、これが運輸省、国鉄の決定なんですよ。これはむちゃじゃないかということなんですよ。そこで問題になってきたわけです。今回そういう決定がとられた。やはりそれは、そういう実態を考えてみますと無理なんです。むちゃなんですよ。基準より上へオーバーしておって、ただ第二次の指定線だからもうやめるんだ、これは機械論、こういうものですね。  この点、そう言われると、非常にむちゃではないのか。むしろ扱い方、対応に間違いがあったのではないか。ただしローカル線そのものの基本的な対応については、あなたの答弁について理解できないものではないわけです。そういう主張もあるでしょう。したがって、これ以外に、たとえば函館本線といえば、ひげ線として上砂川線がある。これは函館本線のひげ線だから対象外ということでしょう。ローカル線ではないということでしょう。石炭を輸送している分野で全く同じなんですよ。あるいはまた私鉄では、芦別もあれば太平洋炭鉱の臨港鉄道もあれば、あるいはまた南大夕張の鉄道もあるわけですよ。民間ではやはり石炭輸送のために鉄道が敷設をされておるところもあるわけです。ですから、当然これらに対してはとにかく音通一般の貨物はやめていく、人間が乗らないというだけで扱うべき問題ではなくして、多面的に、最終的に地元からの意見も出てくるので、その点に十分対応して、この問題については慎重に対処しなければならない問題ではないのか。私はむちゃを言っているのではなくして、きわめて常識的なことを言っていると思うのです。通産大臣に聞いたら、恐らく私の意見はもっともだと思っているのじゃないかと思うのですけれども、そういう意味で言っていますので、私の指摘については理解できるのじゃないでしょうか。いかがですか。
  98. 岩田貞男

    ○岩田説明員 お答えします。  それぞれ線区に固有のいろいろな問題があるということは十分わきまえております。今後、いま求めております知事意見とかあるいはそれ以外でも地元の市長さんあるいは関係方々意見を十分考慮しながら、この対策に取り組んでいきたいと考えております。
  99. 岡田利春

    岡田(利)委員 特にそういう意味で私は、一方において国の石炭政策もある、一方において国鉄再建の政策もあるという点で、どちらの方の立場も十分理解をしながら慎重な対応が必要だということを申し上げておきたいと思うのです。  時間がありませんので、最後に自治省の方にお聞きいたしたいと思うのですけれども、各省連絡会の場合にも、夕張地域のたとえば水道の問題ですね、これらについても連絡会の中で議論されておりますし、またいずれ清算会社が炭住その他について整理をしなければならぬ。そうしますと、おおよその新しい住宅については市の方に移譲するということも常識的に判断されてくるわけです。したがって浴場も維持をしなければならぬという問題も附帯的に出てまいるわけです。そういう意味で、まだ七百数十名の待機者がおるわけでありますから、これをやるのはやはり地元夕張市であり、もちろん道もこれに対して援助するでしょう。そういうことが避けられない状況下にいま置かれておる。こういう面から考えますと、財政的な面で閉山に伴ういろいろな財政配慮というものは過去にも経過があるわけでありますけれども夕張の特殊な面というものはあると思うのですね。この点は財政的に十分配慮されてしかるべきではないかと思うのですけれども、この点についての自治省の見解を承りたいと思います。
  100. 小林実

    ○小林説明員 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  閉山に関連いたしましていろいろな施策が必要になってくると思いますが、私どもといたしましては、市の方でどういう事業をやられるか、市の財政状況などよくお話をお聞きいたしまして、必要に応じまして財政措置につきましては適切な配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  101. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣日本石炭産業の歴史的使命をどう全うさせるのか。昭和三十六年に石油エネルギー石炭エネルギーがフィフティー・フィフティーの段階で、その後石炭の地位が下がっていったという歴史的な経過があります。しかし、歴史的な使命を全うさせるためには、まず第一に考えられることは、現有炭鉱が採掘可能なフィールド決定をして、そして現有炭鉱にはそれだけの投資を伴った施設があるわけですから、この採掘可能のフィールドをできるだけきれいに採掘をするということが最も合理的かつ経済的であるというのが私の考えです。したがって、現有炭鉱の歴史的な使命をそういう形で全うさせなければならないものだ、また、そのことは国民経済にとっても決してマイナスではない、こう思うのであります。その点の認識について大臣の所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  102. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 岡田委員仰せのとおりだと私も思っております。  私たちがお互いにこの国会に席を占めましたころの石炭の地位、それからのエネルギー事情も大きな変転を遂げました。しかしながら長い歴史があるものでございまして、また資源小国日本でございますから、やはり石炭というものは従前以上に大切な資源として私たちは考えていかなければならないと存じております。したがいまして、当面の問題といたしましては、先ほど来お答えいたしておりますとおり、第七次答申、あの線をしっかり踏まえまして、政府といたしましても最大努力をすべきである、かように考えております。
  103. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  104. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 斎藤実君。
  105. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に宇野通産大臣にお尋ねをしますが、先ほど大臣から石炭産業の基本的な姿勢について承りましたけれども、私も重ねて問題点を指摘をしながらお伺いをしたいと思います。  最近のエネルギー情勢につきましては、エネルギー供給の大半を占める石油の需給が緩和基調で進められてきているわけでございまして、言ってみれば安定的に推移をしていると言ってもいいんではないかと私は思います。しかしこれは中期的、長期的な立場で考えた場合に、石油の国際的需要は安定的にいつまでもないだろう、いずれ逼迫の方向に向かうのではないか、これは各方面からのいろいろな指摘もされているところでございまして、石油代替エネルギーとしての唯一の国内資源でございます石炭の重要性というものは今後とも私は変わらないと思うのですね。しかし、国内炭につきましては、本年度の生産計画を見ますと、一千七百二十万トンというふうに生産水準がずっと低下をしてきた。また減少の一途をたどるんではないかというふうに見られているわけでございます。政府においても五十七年度から第七次石炭政策を展開してきたところでございますが、その間、夕張炭鉱の再開発の断念、幌内炭鉱の経営危機、こういうものが浮かび上がってまいりましたし、さらにはまた各炭鉱の慢性的な赤字経営等きわめて厳しい問題が続出をしてきているわけでございます。このまま推移をしてまいりますと、石炭政策のあり方についても重大な影響を及ぼすのではないかというふうに私も危惧をしておる一人でございます。  そこで、いろいろな対策を政府として実施をされておるわけでございますが、一方石炭産業、会社側としても、基幹ということを十分承知をしておりまして、経営の健全化にも大変な努力をしているところでございます。しかし石炭企業としても、採炭現場がだんだん深くなってくるあるいは炭価の問題等きわめて厳しい環境下にあるわけでございまして、依然として赤字収支を続けているということになっておるわけでございます。こうした中で、住友赤平炭鉱のような大幅な合理化計画を打ち出さざるを得ない炭鉱も出てきているわけでございます。こうしたことは、この二千万トンを将来目標として国内資源である国内炭の生産を確保する観点からまことにゆゆしき問題だというふうに考えるわけでございます。  そこで、このままで推移をしてまいりますと、現有炭鉱の長期安定ということは私は不可能ではないかと考えるわけです。これは全面的とは私は申しませんけれども、いままでの石炭政策の一部を見直して、たとえば国内炭と海外炭を一体化した価格制度等抜本的な対策を検討すべき段階に来たのではないかというふうに考えるわけですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  106. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 石炭中心としたエネルギー環境等々考えますと、すべてがすべていま斎藤さんのおっしゃったとおりだと、なかなかむずかしい問題がありますから、私にも予言できない問題がたくさんございますので、割り切れる面と割り切れない面があることは確かでございます。  しかしながら、国内炭の問題一つを考えました場合に、私はやはり政府として第七次答申は忠実に実行すべく、まず政府みずからの施策、これを常に合理化の方向へ導いていく、そしてユーザーにも十二分に協力を仰ぐという姿勢は崩しちゃならないと思いますが、同時に石炭鉱業みずからも自立的にそこはがんばってやっていただきたい、こう思うのでございます。だから三者一体になれ、常に私はそういう思想を持って進んでおるような次第でございます。  考えてみますると、石油の方も確かに需給は緩和したとは申すものの、なおかつ中東の問題もございますし、あるいは為替レート等々の問題もございましてなかなか予断を許さないのじゃないか、こう思いますし、石油自体の寿命と石炭自体の寿命を考えますと、やはり石炭の方がうんと長い、こういうことでございますから、国内炭一つ考えたって石油世界的な寿命よりも長いのではないか、私はこう考えております。だから、わが国の一部産業、たとえばセメント業界のごとく石油よグッドバイ、そして新しく石炭を購入してそれで体質改善を図ったところもございますが、惜しむらくは国内炭においてもっと需要が喚起されれば、それにこしたことはありません。そうしたことを考えますと、国内炭に対しましてわれわれみずからもうだめだというような主張は全くないのであって、やはり政府の施策いかんによりましては十二分に生かしていける、そして、そのことはまさにもつてわが国内におけるセキュリティーという問題からも大切なことではないか。だから、いま御指摘のように、では炭価をどうするかという問題になってまいると思いますが、現在のところは炭価は最終的に私が決めるということでございますが、諸機関を通じていろいろと検討していただく、ぎりぎりでございましても適正な炭価というものははじき出されなければならぬ。その場合には輸入価格も参考になります。あるいはまた国内炭のコストも参考になります。そうしたことをお互いにバランスをとりながらやっていくということが大切でございまして、直接の質問に対して、いまそのとおりだと言うのはいささか私もどうかと思いますから、十二分にそういうふうなことも頭の中に描きながら、国内炭というものにりっぱに自立していただいて、そして望むらくは安定した産業になるように常に心がけたいと考えております。
  107. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣の御答弁のように、ぜひひとつ適正な価格を決めてもらいたいと思うのですが、当面、炭価問題なんですね。いま大臣おっしゃるように、適正な炭価の決定石炭経営の安定を図る上からきわめて大きな問題でございまして、重大な関心を持っておるわけでございます。本年度は海外炭、これは一般炭ですが、五十七年度平均トン当たり一万六千円であったものが本年七月には一万二千七百四十三円に下がっておるわけです。一方国内炭の京浜渡しの基準炭価が二万百十五円。ですから、内外の価格差は拡大するばかりでございまして、きわめて厳しい状況にあるわけでございます。  そこで、石炭業界は今年度のコストアップ見合い分としてトン当たり約三百八十円の炭価アップを期待して、電力とか鉄鋼、ユーザー側と協議を進めているようでございますが、炭価をめぐる状況は、競合燃料であります石油や海外炭の値下がり、鉄鋼における不況などきわめて厳しい状況下に置かれているわけでございます。そこで、石炭企業の収支改善を図り、現有炭鉱の長期的な安定を図るためには、やはり再生産を確保しながら生産をしていくという炭価が必要でございます。私企業でございますから政策助成にはみずから限界があることは私は十分承知しています。経常的に自立させるためには、炭価で収支を償う水準を設定するか、あるいは不足分は政策措置を講ずるか、これはだれが考えても二者択一になるわけでございますが、このほかに考えられる手段、方法があれば教えていただきたいのです。
  108. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 七次答申で指摘していますように業界の努力それから関連業界の協力並びに政府の施策ということでございます。  財政措置で補てんするか炭価で補うかという問題でございますが、二者択一ということなのかどうか、私ども両方うまくミックスさせて何とか自立達成に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  109. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど幌内炭鉱の問題について何点か答弁がございましたが、会社側あるいは組合側にいろいろな面で改善を言われておるのでしょうけれども会社側はどういう対応をされているのか伺いたいと思います。
  110. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 今回の改正点といいますか改善点、九月二十日に石鉱審に報告されました改正点は、一つは非能率切り羽、五切り羽くらいを一斉にやっておったわけですが、それでは人が分散し効率的ではないということで、効率的な三切り羽に集約をするということが一つのポイントでございます。それから老朽機械を近代化資金の助成を得まして近代化するということが一つのポイントでございます。それから、先ほどもちょっとお答えしましたが、組合の組織といいますか仕事の進め方といいますか、そういうものを改善しできるだけ人繰りが容易になるようにやっていこうというようなことが一つのポイントでございます。そういうポイントを実現するために労使の話し合いを徹底的に進め、下部まで危機意識といいますか再建意欲を植えつけていこうということで、いまいろいろな職場大会等を通じまして徹底を図っているというのが実情でございます。
  111. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣先ほどからの答弁できわめて積極的な石炭産業についての基本的な姿勢を承りましたが、先ほど、第七次石炭政策は見直しはされない、あくまでも答申どおりいくんだというお話でございます。石炭事情等がいろいろ変化をしてきていることは大臣も御承知だと思うのですが、どの辺まで続けていくのか、その辺のお考えを承っておきたいと思います。
  112. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 現在といたしましては、いま出ておる試算はあくまでも概算であるから、本年度中にいろいろな問題を含めまして最終的な試算が出るということでございまして、非常に大切な問題ですから私もいろいろと関係者並びに当局に伺いましたが、一応見直しをする必要は生じない、こういうことでいま臨んでおりますので、先ほどそのようにお答えしたわけでございます。
  113. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 終わります。
  114. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 小渕正義君。
  115. 小渕正義

    小渕(正)委員 限られた時間なので要点をしぼってお尋ねをいたします。  先ほど来第七次石炭政策について触れられておるわけでありますが、第七次石炭政策の特徴は、簡単に要点だけ考えますならば、各山が自助努力をするということ、政府の適切な指導と助成ということ、それから需要家の炭価、引き取り面における協力、こういう三つを柱にして自立を目指していくというのが第七次石炭政策の大きな柱だろうと思うわけでございますが、こういった方向の中で今日までそれぞれの大きな柱に対して政府としてどのような対策を打たれたのか、時間がありませんので要点のみ御説明をいただきたいと思います。
  116. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 まず予算の面でございますけれども、政府の努力といいますか施策の基幹をなします予算につきましては、年々石特会計の重油関税をできるだけ重点的に石炭勘定に回すことによりまして最小限必要な予算は確保してまいったわけでございます。したがいまして、坑道補助金あるいは保安の補助金あるいは先ほどから御指摘がございます安定補給金等、石炭会社に直接渡る補助金につきましては年々増額されてきておるというような実情でございます。  それから需要業界の協力につきましては、炭価の形で、いままでのところ、ことしは大変厳しい状況でございますが、第七次答申が出まして以降、答申の趣旨並びに法律の趣旨にのっとりまして適切な価格改定が行われてきたものと理解いたしております。  それから、業界の努力でございますけれども、実態は非常に自然条件が悪化いたしておりますが、それにもかかわりませず合理化努力によりまして、自然条件の悪化に伴うコストは答申以前も答申後もおおむねこれを吸収してきておるということでございます。少なくとも赤字幅が増大するというような状態にはなっていない。若干赤字が残っているのは非常に残念でございますけれども、赤字幅が増大するというような状態にはなっていない、自然条件の悪化は業界の努力で吸収されている、こういうような実情でございます。
  117. 小渕正義

    小渕(正)委員 いま御答弁がありましたが、ちょっとこの資料を見てください。これは私どもの方で作成した資料です。現在の石炭対策について前向きとか後ろ向きとかいう表現は場合によっては適切でないかもしれませんが、一応それぞれの山ごとの石炭の生産性を上げて、より生産量をふやすという意味で、そういうものを前向きだというように考えますならば、そういう前向きの対策費というものを、四十九年度から五十八年度までの関係する費目で見ますならば、結果的には、たとえば鉱害対策費その他の石炭対策費と比較いたしますと、物価上昇その他、年度のいろいろな上昇率を勘案いたしますならば、非常にスピードといいますかペースが最低であります。  したがって、この資料を見てもおわかりのように、生産量が確かに若干ずっと二千万トンから千七百万トンに減ってきておりますけれども、全体的な予算の伸びで見ますならば、大体いま申し上げた点からいって全体的には一・四六の伸びを示しておりますが、その中で先ほど言う前向き的な要素の費目で見ますならば一・一七しか伸びていない。もちろん物価平均上昇率をとりますと、これは一・六八だ。そういう意味で、予算のいろいろな費目を見てみましても、鉱害対策費は二・九二とか、産炭地域振興対策費は一・八八とか、その他いろいろのそういった費目よりも下回っている。大体こういう数字になっているわけでありまして、そういう点で、果たしてそういう石炭政策に忠実に前向きの行政的な助成指導が行われているかどうかということになりますと、こういう数字の面から見てもきわめて疑問なしとしないわけであります。そういった意味で、もっとこの第七次石炭政策を真剣に受けとめて、先ほどから大臣が言われるような形で推進するならば、もう少しこちらの方について重点が置かれた諸対策が講じられるべきだと思いますが、その点いかがですか。
  118. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生御指摘のように、石炭予算におきましていわゆる合理化対策というものが余り伸びておらぬ、鉱害対策、産炭地域対策が伸びておる、これは御指摘のとおりでございます。  その中で、前向き後ろ向きと言うことがいいかどうかと思いますが、なぜ合理化対策費が伸びておらないかというのは、若干石炭の生産が落ちておるということもあろうかと思いますが、一つの大きな理由は、もちろん財政上いろいろ苦しい中で鉱害対策とか産炭地対策とかどうしても要る費用、特に鉱害対策については一定の費用が要るということでございますが、同時に、合理化対策の中で従来相当な部分を占めておりましたいわゆる債権の肩がわりというものが相当減ってきておるわけでございまして、たとえば五十九年度におきましては五十八年度に比べて三十三億合理化対策費が減っておるわけですが、まあ四十一億というような自然減というかそういうものがございます。それを差し引きますと大体八億くらいの増加ということでございまして、これとてももちろん十分とは言いがたいわけでございますが、そういう自然減を差し引きますと、そのふえたものにつきまして、その内容でも、たとえば坑道補助金の補助限度額を引き上げるとか、あるいは安定補給金については先ほど石炭部長がお答えしておりますように炭鉱間格差の是正を図る補給金改定の中でその財源として充てる、あるいは保安補助金についての補助金限度額を引き上げる等々、非常に限られた中で最大限の努力をしておるということでございます。
  119. 小渕正義

    小渕(正)委員 与えられた時間がありませんので、この問題はまた後で次の機会に議論をしたいと思います。  次に、先ほど来出ておりました安定補給金の価格差調整の件でございます。今回の概算要求の中で価格是正を行うということで、今回そういう是正をしようということで考えられておるようでありますが、その点、こういった非常にむずかしい問題であるにかかわらず、ただ炭層が平面的な横の層と縦になるべく傾斜した層との兼ね合いでそれぞれの格差是正を行うということが先ほど説明の中で言われておりましたが、そういう格差是正の基本となる考え方は、何か一つ指標というかそういうものがあって、それに照らし合わせながらこういったものをやるのか。ただ単なる採炭条件というか採掘条件というか、そういう層の違いによって格差是正をやるということが、いままでやっている中においてこれを今回是正しようということが果たして妥当性があるのかという意味で疑問があるわけでありますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  120. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 現在、立地条件と自然条件で格差をつけておるわけでございますが、そのうちの自然条件につきましては、主として機械化の安易さといいますか容易さの大きな要因になります炭層の傾斜度を取り上げておるわけでございます。これの傾斜度が、この間の改定では十分間に合わなかったという経験から、来年度これをさらに強化しようというのが私ども考え方でございます。  しかし、先ほど岡田先生の方から御指摘がございましたように、自然条件はもっといろいろな要件があるではないかということでございます。その点につきましては今後引き続き検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  121. 小渕正義

    小渕(正)委員 いま自然条件、立地条件のことに触れられたわけであります。自然条件についてはあえて申し上げませんが、たとえば今回の格差是正の対象になっているところが、三井三池、太平洋、松島、この三つの山からは安定補給金を、トン当たり五十円を今回是正して、それをほかの山に振り分ける、こういうのが格差是正だということの考え方になっておるようでありますが、非常に自立を目指して自助努力をする、その結果能率が上がって、経理的にといいますか採算的に少しいいという条件になれば、結果的にはそれをマイナスしてほかの方に回す、こういうふうな政策的なやり方では、せっかくの自助努力というものはすべて水泡に帰してしまうのではないか、意欲を削減してしまうのではないか、そういう点が私は十分考えられると思います。したがって、そういう意味で格差是正というものをもっともっと慎重にやらなければならないし、大体いままでの安定補給金は、それぞれ対象に交付しておって、少なくともある程度是正するというならば、そういった現行のものをカットするのじゃなしに、新しくどう是正していくかという意味においては枠をふやす中において是正されるべきだと思います。そういった面で、安定補給金は一定の目安というものがあってこういうことにしたのか。少なくとも現行の安定補給金が行われている中でそれを是正するからには、そこのあたりについては枠の増大の中でやらない限りかなり問題があるのではないか、かように思うわけであります。  特に、先ほどから自然条件と言われておりましたが、私が知っている松島炭鉱あたりは、あれは島の炭鉱ですから陸地とまた条件がかなり違います。飲料水一つとりましても、自前で上水設備に資本投下して、そういうものを自前でやらなければいかぬとか、この前なんか海底ケーブルが故障して五日間操業停止で、原因を探ってやっと送電線を直した、そのために採炭その他含めると八億の欠損だったとかいろいろあります。ともかく自然条件というのはそれぞれの置かれた状況がかなり違いますから、そういう点をいろいろ考えて、これらの格差是正という問題はもっと考えていただかぬと、ただ機械化の条件がいいか悪いかだけでこの問題を論ずるということは、これは非常に不均衡になるのではないかと思います。そういう意味における大臣の御所見があったらお伺いしたいと思います。
  122. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま部長からもいろいろ答弁がございましたが、御意見も十分拝聴いたしましたから、今後そうしたものも含めまして何が妥当であるか、適切であるか検討させたいと思います。
  123. 小渕正義

    小渕(正)委員 では、この問題は前向きのお答えをいただきましたので、一応次に移ります。  先ほどから炭価問題が出ておりました。しかし、確かに生産性を上げるために機械化、そういった合理化的な資金を投入していくための助成措置ということは必要でしょうけれども、それをいろいろやったとしても、いまの日本の採炭条件と海外炭との価格差というのは、これはとうていどうしようもないような問題だと思います。そういう点で考えますならば、炭価をどこに設定するかということがどうしても大きなポイントになると思います。そういう関係で見ますならば、海外炭との競争なんてできるはずはない。私も衆議院の石炭対策委員会で今回は豪州のそれぞれの主要炭田を見ましたが、あれは採炭ではなしに、まさに砂利の採石傷みたいに、要するに機械でショベルカーでどんどん上げればいいわけですから、そういう意味ではとてもああいう状況の海外炭には太刀打ちできないわけでありまして、そういう意味で炭価問題をしっかり考えるならば、先ほどの質問にありましたような海外炭と国内炭との価格差をどう調整するかということでひとつ思い切った政策を考えないことには、これは根本的な炭鉱の自立にはつながらぬのじゃないか、かように思うわけでありますが、その点、大臣の御所見があったらお聞きしたいと思います。
  124. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 炭価そのものは最終的には私が決めるわけですが、それまでにはあらゆる方々の英知を集中してそして決定していただいておる。現在におきましても輸入価格なりコストなり、その関係が十二分に解明されながらなされておると思います。しかし、率直に申し上げまして、海外をごらんになった小渕さんを初め諸先生方の御意見もあるということも私たちは念頭に置きながら、今後いかなる点が最も適切であるか、そうしたことも踏まえて考えていきたいと思っております。
  125. 小渕正義

    小渕(正)委員 最後になりましたが、今回の衆議院の石特の調査報告の中にも触れられておりましたが、実はあそこのクイーンズランドのブレアソールという炭鉱で、電発も資本参加して開発が進められて、来年の四月からわが国に輸入しようということで逐次計画が進んで、いよいよ来年四月から出炭、こういう形になっておるわけであります。結果的には、わが国の電源立地の関係で火力専焼の発電所建設がおくれて、そのために当初約束しておった引き取り石炭量を予定どおり引き取り得ないというような事情が内部にありまして、それに対して豪州の州政府の中では、かなり日本に対して期待をしておるわけですから、ともかくできるだけ予定どおりの量を引き取ってほしい、こういう強い要請がされているわけでありますし、非常に安定的な供給体制を維持するためには、豪州の州政府とわが国のそういったものとの安定的で良好な条件をつくるためには、こちらの事情があったにしても、そういった当初約束した量に見合う分をできるだけ引き取るように最大限の努力をすべきではないかという気が非常に強くしたわけであります。そこらあたりについてはとりあえず、電発だけでは引き取りかねるわけでありますが、ほかの九電力会社関係にも若干政府が行政的なあっせんというか指導をして、そういうものの引き取り消化を何とか当初約束したとおりの線に沿って日本側としては努力した、そういう形を行政の方でも指導して示してもらいたい、かような考えを持つわけですが、その点いかがでありましよう。
  126. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生御指摘のように、電力需要停滞ということでございまして、火力発電所の建設もおくれておるということで、来年から入りますブレアソール炭の契約の引き取り量につきましてはそのまま引き取ることが非常に困難な情勢であるということでございます。もちろん、これは電源開発株式会社だけではなくて九電力もかんでおるわけでございますが、両者ともなかなかむずかしいというのが現状でございます。もちろん、そのためには従来、必ずしも契約してないといいますか、スポット的なものを切るとか、あるいはまた引き取りを予定しておったところも、豪州だけにしわ寄せせず、ほかにもお願いして削るとか、いろいろな努力をしておるわけでございますが、なかなかむずかしいというのが現状でございます。  ただ、日本豪州との関係、特に石炭資源に関しまして豪州は非常に重要な国でございまして、長期的にも安定的な供給源ということで、その関係は大事にしていかなくてはいけないということは当然のことでございます。したがいまして、関係業界としては、そういう事情をよく説明をして、日本側としても誠心誠意あらゆる努力をしておるということを十分先方にわかっていただく、それから、できるだけのことはやるということで、たとえば十月には日豪石炭業界の会談がございますし、さらに電気事業連合会では十一月には各州政府にもミッションを送って、十分日本側の事情それから努力現状というものを説明して納得していただくということでこの問題をうまく解決するといいますか、問題のないようにする努力をしておるところでございますが、われわれとしてもそういう方向で民間を指導していきたいと思っております。
  127. 小渕正義

    小渕(正)委員 終わります。
  128. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 小沢和秋君。
  129. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず最初に、先日、石特会計の概算要求について説明を聞かせていただいたのですが、これに関連して若干の点をお尋ねしておきたいと思うのです。  全体として三十億近いマイナスの予算になっている、そういう中で産炭地域振興対策費とか鉱害対策費などはそれぞれ若干にしろ伸ばすような要求になっている。この点は私、それなりには評価をしなければならないと思うのです。  それでまずお尋ねしたいのは、この産炭地域振興対策費の中で、最近閉山になりました夕張関係が、当然相当に努力をしてこの関係施策、予算を大きく伸ばしているのだろうと思うのですが、どれぐらいその関係で伸ばすことになるかお尋ねします。
  130. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 一部まだ集計中でございますけれども、本年度は三億六千万程度が直接夕張市に交付される金額と思っておりますが、来年度予算におきましては、これは四億余り、約四億一千万円程度ということで計算いたしております。
  131. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 閉山になったのは少し前ではありますけれども、しかし、夕張市などからたくさんの陳情が出ているが、この予算の伸び程度でこういうようないろいろな要求にこたえるような内容になっているのかどうかですね。私、細かく検討しておりませんけれども、印象からするというとその点がちょっと心配になるのでお尋ねをしておきたいと思うのです。  それから、もう一つついでにお尋ねしたいのは、夕張の方にそういうふうに力を入れる反面で、いままですでにいろいろ筑豊などでやられてきた施策に後退が起こるというようなことがあっては、これもまた困るわけですけれども、そちらの方は大丈夫なのかという点もお尋ねをしておきたいと思います。
  132. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 いま私が申し上げました三億数千万あるいは四億余の数字でございますが、これは石炭勘定における産炭地域振興対策費の中から支出されるものでございまして、そのほかに各省の公共事業費あるいは通産省で言えば中小企業対策費、あるいは夕張の一部のプロジェクト、今年度の地域エネルギー開発モデル事業費補助金で二億ばかり出す予定にしておりますが、これは代替エネルギー勘定でございまして、その他の勘定あるいは各省予算を合わせますれば、かなり大きな数字になると思います。ただ、その集計は私どもまだつかんでおりません。  それから、九州その他地域関係でございますが、確かに夕張対策で五、六千万ふえるわけでございますが、これは先生にも御説明したと思いますが、産炭地域対策費全体が五千万くらいしかふえておりませんので、増分が全部そっちに行ってしまうのではないかという、あるいは御指摘じゃなかろうかと思いますけれども、産炭地対策予算を非常に工夫をこらしまして、たとえば地域振興整備公団に対する出資金でございますが、これを一億五千万ばかり減いたしております。これは事業団の努力事業規模、融資に充てる金額でございますけれども事業規模は減らしておりません。そういういろいろ工夫をこらしておりますので、夕張に対する対策が他の地域に圧迫になるということは、われわれ考えておりません。
  133. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、鉱害対策費についてもお尋ねをしたいと思うのですが、御存じのとおり、先年、臨鉱法などが延長されまして、もうすでに二年たつ。そうすると、現地では、あと八年では果たしていまの程度の予算のつき方で大丈夫できるのか、認定の物件などはどんどんふえていっているけれども、むしろ実績から見ると最近の復旧の状況というのは落ちていっている、その点について非常に不安の声も出ているわけですが、この見通しはどうでしょうか。十年たったら間違いなくいまの状況のもとでも終わるということを確信を持って言えるようなテンポで進んでいると言えるかどうか、お尋ねしておきます。
  134. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 今年度の予算は、御案内のように補助金で五百十二億から五百二十億、八億ふやしております。事業規模に直しますと七百億が七百十億ということでございます。  先生御案内のように、残存鉱害、この間の長期見通しをつくりました時点で五千九百億でございます。それに対して、大体七百億を超える規模で復旧をしておるということで、金額面から申しましても十分期間内にやり得るというふうにわれわれは考えておるところでございます。  また、あるいは復旧の戸数とか農地の面積で不安を持たれる向き、意見もあろうかと思いますが……(小沢(和)委員「実績が下がっているから」と呼ぶ)これは五十五年度、六年度は確かに芳しい成績ではなかったことは事実でございますが、一つは第二次石油ショックで非常に物価が上がって、資材、労務費等が上がりまして、復旧費がかなりかさんだ、そのために戸数がこなせなかった、あるいは面積がこなせなかったという点がございます。それからもう一つは、農地につきましては、この期間に直接の復旧面積に換算されないため池等々の共通施設といいますか、そういう施設もかなり多かったということで非常に成績が悪かったわけでございますが、五十八年度におきましては、一応の見込みでございますけれども、幸い物価も安定いたしております、そういうことで、家屋につきましては約二千五百四十戸、農地につきましては五百五十ヘクタールという復旧を予定いたしております。そういう意味で、数量面からも今後改善されてまいる、こういうふうに考えております。
  135. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それに関連して、私がかねてから鉱害復旧の陳情を受けて現地で取り次いでおった問題があるのですよ。これは金額としてもかなり大きいので二年ぐらい待ってくれということで、それでいよいよ約束の時期が来たからやってもらおうと思って、先日、確認する意味でお尋ねをしたら、いや、もうことしの鉱害の予算はパンクしているんです、それで勘弁してくれというお話で私もびっくりしたわけであります。もう鉱害の予算を使い果たしてしまったような状態なのか、あるいは少し私、勘ぐって、いま石油の輸入量などの伸びが余り思わしくないので、予算の枠としてはまだあってもブレーキをかけているのじゃなかろうかというようなこともちょっと考えたわけですけれども、そういうようなことはないのか、この点、実態についてお尋ねをしておきたいと思います。
  136. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 石特会計にも一般的な節約等はかかっておりますので、その分の一般的な留保というのはございます。これは各費目共通でございますが、それを除きました予算につきましては年度当初にすべて張りつけを終わっておりまして、何かバッファーを持っているというような余裕のある状況ではございません。
  137. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それで私が特に心配をしたのは、その私が行った日、交渉の相手として出てきた鉱害部長らは目をしょぼしょぼさせているわけです。どうしたんですかと聞いたら、きのう徹夜になりました。よく聞いてみたら、鉱害の問題で最近あっちからもこっちからも交渉にたくさんお見えになる、それは確かにいま言ったように認定の物件はどんどんふえるけれども実績が減ってみんな不安になっているということは、私、実情としてはわかるわけですけれども、その中でちょっと話が出たのでは、たとえば一部の同和団体などが、地域改善対策特別措置法があと三年で切れるということも絡んで、自分たちの方の促進方について非常に強腰できているというようなことをこぼしておったりもしておったわけです。  だから、そういうようなことで特定の団体などが非常に圧力をかけたら、全体として効率的に公平にやるという立場の行政が崩れるようなことがあったりしたのではいかぬのじゃないだろうかと、そのとき私は非常に感じたわけです。これは行政のあり方として、そういうようないろいろなことがあっても全体の立場に立って最もよい行政のあり方をあなた方が毅然として崩さないような立場を堅持してもらわなければいけないと思うのです。これは念のためにお尋ねをしておきたいと思います。
  138. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 従来からもそうでございますが、いやしくも特定の組合あるいは代理人が交渉を行うことによってそういう不公平を起こさないということをわれわれは最大の原則として、地方も含めてそういう形で進めておるわけでございます。
  139. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、次に幌内炭鉱の問題でお尋ねをしたいと思います。  私は、さっき労働省関係でも、いまのこの幌内の経営の危機というものが労働者に非常にしわ寄せをされておるということを指摘をしたわけでありますけれども、その一番の大もとに再建計画の無理ということがあるのではないかと感じております。ここに共産党の幌内炭鉱支部が出したビラがあるのです。去る八月十九日に坑内でドラムカッターを修理中の採炭員の方が飛び石の直撃を受け、一人が死亡、二人が重傷したということを知らせるビラなんですが、この中に、七月の二十日にも五十年大災害以来四回目の自然発火が発生、また負傷災害率が全国一という記録が続いているというような事実の指摘があって、こういうような保安対策の非常な軽視の状態というのについては、最初から無理な日産四千トンのいわゆる再建計画というのが根本にあって、そのために働く人たちに労働強化や低賃金が押しつけられているだけでなく、坑道整備、切り羽の撤収や準備がおくれ、保安対策が事実上軽視されているということの指摘があっております。こういうような再建計画に無理がないのか、特に日産四千トンの計画というものが一番そもそもの無理になっていないのか、この辺について通産当局としてはどう判断をしておられるか、お尋ねをしておきます。
  140. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 日産四千二百トンぐらいでございますが、これにつきまして私ども決して無理とは思っておりません。現実に八月にもそういう時期もございましたし、今年度の初めにつきましてもかなり長期にわたって四千トン以上の出炭が続いた時期もございます。坑内の条件あるいは人員の配置等々を考えまして、決して無理とは思っておりません。やはりあくまでも経営管理あるいは労使の一層の努力があれば十分達成し得るもの、こういうふうに考えておるところでございます。その点に関しまして、私どものみならず石鉱審の専門家の先生方も同様の見解でございます。
  141. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 時間が来たようですから、これを最後の質問にしたいと思います。  無理がないというふうに言われるけれども北炭夕張新鉱の場合にも長期にわたって計画に比べると出炭がずっと低かった。それを何とか出させよう出させようということで非常な無理が重なっていく中で、ああいうような事態が起こってきた。私は、この幌内についてもいま同じような悪循環が起こりつつあるのではないかということを非常に危惧するわけです。だから最後に念のためお尋ねしますけれども、あなた方がこういうような計画を立てた、それでいまそのことによって最悪の事態をだんだん脱して、見通しとしてははっきり明るくなってきているというような感触をあなた方が現にお持ちなのかどうか、ここのところをはっきりお尋ねをしておきたいと思います。
  142. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 今回の九月二十日に新しい再建計画といいますか、再建計画の一部手直しというかレビューというか行われまして、それにしたがって政府の支援体制も発動したわけでございますが、こういうことを契機に現地におきましても新しく積極的に取り組もうという空気が出てきたとわれわれは理解しております。したがいまして、何とか下半期につきましては計画どおりの出炭が行われるものと確信いたしております。
  143. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。      ────◇─────
  144. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 この際、委員長の手元に麻生太郎君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブの五派共同提案に係る、当面の石炭対策に関する件について決議されたいとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。岡田利春君。
  145. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読します。     当面の石炭対策に関する件(案)   最近、エネルギー情勢は、エネルギー需給の緩和、需要構造の変化、原油価格の低下等新たな展開を示しており、石炭鉱業の経営環境は依然として厳しい状況にある。   よって政府は、第七次石炭政策の円滑な推進を確保するため、特に、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、石炭対策特別会計の実情にかんがみ、石炭対策の推進に支障を生ずることがないよう必要な財源の確保に努めること。  二、本年度基準炭価については、需要業界の理解と協力を得て、石炭鉱業の自立達成に資する適切な基準額を早急に設定するよう努力すること。  三、北炭幌内炭鉱の安定操業を確保するため、鉱山保安に万全を期し、労使の一層の努力のもとに、同社の再建計画が確実に推進されるよう適切な指導を行うこと。  四、国鉄歌志内、幌内両線の廃止は、沿線の石炭鉱業に極めて影響大であることにかんがみ、その手続の進め方については慎重を期し、弾力的に対処すること。  五、北炭夕張炭鉱閉山に伴う離職者雇用促進に一層の努力を払うとともに、夕張地域の振興対策、中小商工業者の経営安定対策、地方自治体の財政対策等について引き続き最大限の措置を講ずること。   右決議する。 以上であります。  決議案の内容につきましては、案文によりまして御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  以上です。
  146. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  麻生太郎君外四名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  147. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 起立多数。よって、麻生太郎君外四名提出の動議のごとく決しました。  この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。宇野通商産業大臣
  148. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 ただいまの決議の趣旨を体しまして、今後とも石炭政策に対しまして全力を傾注いたします。
  149. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 大野労働大臣
  150. 大野明

    大野国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を体しまして、今後とも労働大臣として全力を挙げて努力する所存でございます。
  151. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 なお、本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十八分散会