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1983-10-05 第100回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月五日(水曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 上原 康助君    理事 逢沢 英雄君 理事 工藤  巖君    理事 佐藤  隆君 理事 池端 清一君    理事 田中 恒利君 理事 柴田  弘君    理事 横手 文雄君       今井  勇君    越智 伊平君       高橋 辰夫君    谷  洋一君       近岡理一郎君    原田昇左右君      堀内 光雄君    三ッ林弥太郎君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       鈴木  強君    野間 友一君       林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君         建設省河川局長 井上 章平君  委員外出席者         国土庁地方振興         局過疎対策室長 仁科 英麿君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         文部省社会教育         局社会教育課長 藤村 和男君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 野崎 貞彦君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         社会保険庁年金         保険部厚生年金         保険課長    小林 廉夫君         農林水産省経済         局金融課長   眞鍋 武紀君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     海野 研一君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      武政 邦夫君         林野庁指導部治         山課長     今村 清光君         林野庁指導部林         道課長     松田 忠好君         林野庁業務部業         務課長     小沢 普照君         水産庁研究部漁         場保全課長   山添 健一君         気象庁観測部地         震課長     山川 宜男君         建設省都市局街         路課長     依田 和夫君         建設省河川局水         政課長     青木 保之君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省河川局砂         防部砂防課長  設楽 武久君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君     ───────────── 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   笹山 登生君     堀内 光雄君 同日  辞任         補欠選任   堀内 光雄君     笹山 登生君     ───────────── 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  災害対策に関する件      ────◇─────
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、台風第十号による被害状況及び昭和五十八年三宅島噴火による被害状況について、政府から説明を聴取いたします。国土庁田中審議官
  3. 田中暁

    田中(暁)政府委員 最初に、昭和五十八年台風第十号についての被害の概況及び対策について御説明申し上げます。お手元に二種類の資料を差し上げておりますので、お目通しいただきながらお聞き取りいただきたいと思います。  台風第十号は、九月二十八日十時二十分ごろ長崎付近に上陸し、その後東へ進み、二十八日十五時に温帯低気圧になりました。この台風の通過に伴い、九州地方から関東地方にかけて広い範囲で大雨が降り、九月二十五日零時から二十九日九時までの間に高知県の本山で五百四十ミリ、宮崎県の高鍋で四百七十二ミリなどの雨量を記録いたしました。  被害は、三十九府県に及びまして、十月三日十八時現在、死者三十五名、行方不明九名、合わせて四十四名、負傷者百二十二名、建物の全壊流失百二十六棟、半壊二百三棟、床上浸水一万五百四十九棟、床下浸水五万四千八十四棟、罹災世帯数一万五千二百六十五、罹災者数五万六千四百八十九名に及んでおります。また、道路損壊一万一千四百九十八カ所、河川施設被害一万六千七百五カ所、山崩れあるいはがけ崩れ千四百五十二カ所等々となっております。  これらの被害に対しまして、警察、消防、自衛隊海上保安庁等のいわゆる実動機関は、それぞれ多数の人員とヘリコプター、巡視艇等を投入いたしまして、行方不明者捜索あるいは孤立者救助等救護活動全力を尽くしたわけでございます。  主要施設等に係る被害状況につきましては、県からの報告によりますと、十月四日現在、道路河川等公共土木施設関係で千七百五十六億円の被害となっております。  このうち道路につきましては、中央自動車道ほか四百七十九路線、七百三十四カ所で通行どめになりましたが、鋭意復旧に努めました結果、中央自動車道は十月一日の十五時に交通を開放、一時孤立状態となっておりました長野県奈川村への交通は十月二日の十五時に確保する等、三百三十二路線、五百五十三カ所が復旧いたしました。現在、百四十七路線、百八十一カ所が通行どめになっておりますが、国道一九号は本日復旧見込みであります。  河川につきましては、木曽川の上流、天竜川の上流、千曲川初め多くの個所被害が出ております。  建設省といたしましては、九月三十日、技監団長とする調査団長野県及び岐阜県の被災現地派遣いたしましたが、道路交通早期確保被災河川応急復旧等にさらに万全を期することにいたしております。また、住宅被災者に対する災害復興住宅資金の貸し付けにつきましては、すでに住宅金融公庫に指示を行い、十月一日から受け付けを開始しております。  国鉄につきましては、飯山線ほか四十四線区不通になりましたが、四十一線区復旧し、現在、未復旧は飯田線ほか三線区となっております。これらの未復旧個所につきましても、できる限り速やかに復旧すべく、鋭意努力中でございます。  農地農業用施設につきましては、約二万一千カ所が被害を受けましたが、被害額については現在調査中でございます。農林水産省といたしましては、すでに九月二十八日、九州農政局災害対策連絡会議を設置し、また、九月三十日には長野岐阜、兵庫県に林野庁担当官派遣するなど、被害状況早期かつ的確な把握努力中でございます。さらに、緊急復旧を要する林地荒廃個所について緊急治山事業を実施し、また緊急査定を行うこととしておりますが、今後、被害状況に応じ、適切な措置を講ずることといたしております。  中小企業被害につきましては、十月四日現在、岐阜県、長野県等で百七十三億円の被害が出ております。通商産業省といたしましては、十月三日付で政府系中小企業金融機関に対しまして災害貸付制度の発動を指示するとともに、中小企業体質資金助成制度の活用を関係府県指示したところでございます。今後とも被害状況の迅速な把握に努めるとともに、被害実情に応じ適宜適切な措置を講じていくことにしております。  電気につきましては、九州、四国、中国最大停電時約二十万三千五百戸が停電いたしましたが、九月三十日までにすべて復旧をいたしております。  電話につきましては、市外伝送路が十三区間、約一万回線で切断し、このうち五区間、約七百回線が不通となりましたが、各般の施策を講じました結果、九月三十日までにすべて復旧し、市外通話は全部可能になっております。また、九州、四・国、中国、近畿、東海及び信越地方の二府二十六県で約四万の加入不通になりましたが、鋭意復旧に努めた結果、家屋損壊等による被災分加入者の都合による未復旧分二十一加入を除きまして、十月二日までに全部復旧をいたしております。  水道につきましては、六府県で上水道簡易水道施設が被災いたしまして、七万五千六百七十三戸が断水いたしまして、現在も徳島、長野県等で千三百五十六戸が断水いたしております。これにつきましては、給水車等による給水を実施するとともに、応急復旧を急いでいるわけでございますが、十月中旬までに復旧する見込みでございます。  このほか、厚生省関係では、消毒等の防疫の実施に努めております。  また、文部省は、関係県の教育委員会等に対し、児童生徒の安全確保等適切な応急措置を講ずるよう指示したところでございます。  自治省におきましては、被災団体が行う災害復旧事業等に要する経費につきましては、実情十分調査の上、被災状況及び財政状況を勘案し、地方債の配分あるいは特別交付税措置を通じて適切に対処することといたしております。  災害救助法につきましては、長野県飯山市、岐阜県美濃加茂市等十七市町村に適用されております。  政府におきましては、九月二十九日、災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、被災状況早期かつ的確な把握行方不明者の迅速な捜索被災者に対する適切な救護措置、ライフラインの早期復旧等各般にわたる応急復旧対策を強力に推進する旨を申し合わせまして、鋭意対策に努めてまいったところでございますが、今後とも、各省庁間の連絡を密にいたしまして、万全の対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。  次に、北海道登別付近大雨による災害について御説明申し上げます。  九月二十四日から二十五日早朝にかけまして、二つの低気圧により北海道胆振支庁中央部で局地的な大雨になりました。特に登別市では、二十五日一時から四時までの三時間雨量が三百三十八ミリに上ったわけでございます。  十月四日十七時現在の被害状況は、家屋全壊流失三棟、床上床下浸水千二十四棟、罹災世帯数六百五十、道路損壊四十七カ所等となっております。  中小企業被害につきましては、十月三日現在、登別市で百六十七件、十一億五千七百万円、白老町七件、二千二百万円となっております。  また、登別厚生年金病院では、土砂流入により大きな被害を受けました。  今回の被害に対し、関係省庁は緊密な連絡のもとに、鋭意応急復旧努力いたしております。今後も、被災者生活の安定を図り、一日も早く災害から立ち直れるよう、対策に万全を期してまいる所存でございます。  次に、三宅島噴火災害について御説明申し上げます。  十月三日十五時三十分過ぎに三宅島噴火を始め、大量の溶岩同島南西阿古地区方面へ流れ、山林火災を発生させるとともに、阿古地区の集落を襲いました。現在火山活動はやや弱まり、小康状態にございます。  現在なお溶岩の熱のために近寄れず、被害状況の詳細は把握できないものの、阿古地区におきましては住宅等の大部分が溶岩に覆われておりまして、ほぼ全滅状態にございます。溶岩及び火山灰により島内各地道路が寸断され、通行不能個所が出ておりますほか、農地山林にも多大の被害が発生しております。また、三宅島空港は、降灰のため使用不能となっております。  なお、今回の災害では、早期かつ円滑に避難が行われました結果、現在までのところ死者行方不明者が一人もなく、不幸中の幸いでございました。  発災後直ちに防衛庁、海上保安庁警察庁が航空機、艦艇等を出動させ、状況調査及び応急活動を行ったわけでございますが、引き続き待機をいたしまして、今後の不測事態に備えることといたしております。  政府といたしましては、昨日、加藤国土庁長官団長とする政府調査団三宅島被災現地調査を行ったところでございます。  この調査結果をも踏まえまして、昨夜、持ち回り閣議によりまして、昭和五十八年三宅島噴火非常災害対策本部を設置いたしました。  その後直ちに第一回本部会議を開催いたしまして、被災者のための応急仮設住宅早期建設など、五項目にわたる当面の重点対策を決定したところでございます。これは、お手元に差し上げておりますのでごらんいただきたいと存じますが、今後とも関係省庁が緊密な連絡をとりまして、対策に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  4. 上原康助

    上原委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  5. 上原康助

    上原委員長 これより災害対策に関する件について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内光雄君。
  6. 堀内光雄

    堀内委員 私は、自由民主党を代表いたしまして質問を申し上げる前に、ただいま国土庁から御報告のありました台風号並び北海道豪雨、また三宅島噴火につきまして、罹災者方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。  特に三宅島噴火につきましては、テレビなどで生々しい噴火の模様が映し出されました。部落溶岩流に押し流されるというような惨状、こういうものを目にいたしまして非常に大きな衝撃を受けた次第でございます。  また、この夏は、七月末の梅雨末期における五十八年七月豪雨が襲来をいたしまして、島根県下を中心といたしまして大きな災害のつめ跡を残したわけでございます。また、八月中旬には台風五号、六号による集中豪雨がありまして、大変な被害がございました。  各地被害地復旧につきましては、政府・自民党はいち早く現地視察団派遣していただきまして、お見舞いを申し上げると同時に、党内におきましても特別委員会、部会などで災害復旧対策に取り組みました。これまでの復旧工事のベースであるところの初年度三割、次年度五割、三年度二割という進行を、長崎災害などにならいまして初年度に六割以上というような前倒しを行って、復旧を急げというような論議も進んでいる次第でございます。  被災地が一日も早く立ち直られるように、全力を挙げて自由民主党として取り組んでおるところでございますが、政府におかれましても、本日御出席加藤国土庁長官が昨日も危険を冒して三宅島への現地視察においでになられ、緊急の対応措置を行われたというようなことを初めといたしまして、災害復旧緊急対策最大努力を払われておりますことに対しまして心から敬意を表するとともに、今後さらに一層の御尽力をお願いしたいと思うものでございます。  また、三宅島噴火に対しましては、わが自由民主党といたしましても直ちに三宅島噴火対策本部を設置いたしまして、本部長のもとで対策を行っているわけでございますが、昨日は佐藤隆事務総長現地に直ちに派遣をいたしまして、現地のお見舞いを申し上げると同時に、調査に取りかかっているわけでございます。特に、現地災害に際しまして死傷者がゼロであったということ、これはまことに不幸中の幸いでもあったと思いますが、同時に、自衛艦を初めその他の艦船で十一隻が、二次災害の場合には全島民を収容して避難ができるようにということで島の周囲に待機中でございます。こういう点につきましては、本当に心から御苦労さまとねぎらいを申し上げる次第でございます。  そして、この対策につきましては、各省庁対策を行うように取り計らってもらうようにお願いをいたしておりますが、特に仮設住宅の問題、また水道施設の問題、こういうものは緊急を要する問題であります。その他、道路空港整備、農産物の問題、教育の問題、学校施設の問題をあわせて早急に対策を行い、救助救援対策再建対策を行ってまいらなければならないと思っているわけでございます。そういう問題につきまして、先ほど報告もございましたが、国土庁におかれまして現状の対策その他御報告いただけるようなものがございましたら、お願いをいたしたいと思います。
  7. 田中暁

    田中(暁)政府委員 最初に御報告申し上げましたように、政府といたしまして対策本部を設置いたしまして、直ちに第一回の本部会議を開いたわけでございます。そこで、とりあえずの応急対策といたしまして五項目の決定を行ったわけでございます。  その一番目は、「今後の不測事態に備え、引き続き監視警戒体制に万全を期する。」ということでございまして、先生の御質問にもございましたが、海上保安庁自衛隊艦船待機させる等もいたしまして、今後島外避難というような不測事態があったといたしましてもそれに対応をする、また警察では厳重な警戒体制をとるということを引き続き続けるということでございます。  二番目には、「被災者に対し、食料、飲料水生活必需物資確保する。」ということでございます。何分離島でございまして、食糧等も常時は三日分、四日分程度しかないということでもございます。水には大変恵まれてない地域でございますので、飲料水を補給するということを現在やっておるわけでございますが、これの確保に万全を期するということでございます。  三番目には、「被災者に対する応急仮設住宅早期建設を図る。」ということでございまして、現在阿古部落住民方々中心に、三宅小学校中学校等に相当多数避難をしておられるわけでございますので、これに対応いたしまして応急仮設住宅をできるだけ早く建設するということで、島内の適地を物色中でございます。このうち、とりあえず北部の安全な場所に百五十戸ばかり建てることが昨夜決まったというように承っておるわけでございます。  四番目には、「学校教育早期再開を図る。」ということでございまして、現在七つある公立学校全部が休校中でございます。また、阿古地区二つ学校はもう滅失するということでございますし、また、避難施設として使用されている学校もございます。こういったことを含めまして、早く学校教育を再開したい、こういう意味でございます。  五番目に、「道路空港等早期応急復旧を図る。」ということでございまして、道路は、島内を一周いたします都道が溶岩流などのために寸断されておりまして、また空港降灰のために現在完全な使用は不可能になっております。これの早期応急復旧を図るということでございます。  これらの対策は、いずれもとりあえずの応急対策でございまして、今後、恒常的な対策につきましては、また本部会議等を開催いたしまして対策を講じたいと考えておる次第でございます。
  8. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど審議官から答弁いたさせました措置を講じたわけでございますが、私の感じを申し上げますと、一昨日一番心配しましたのは、四方を海に囲まれた小さい島でございます。したがいまして、第一次のあの噴火のときに全島民が最悪の場合島外に避難できる方法というので、自衛隊海上保安庁艦艇同島周辺に急派させまして、五十八年一月一日現在の島民が四千四百七名でございますが、それをはるかに上回る収容能力艦艇同島周辺にまず配備するということで一次災害そのものに対してもやり、そしてまた、引き続き二次災害が起こった場合でも、全島民皆さん方に安心してもらうという意味で、引き続きその配備を怠らないようにしておくということを注意いたしました。  それから、いままでの報告の中になかったのでありますが、私は、平素避難訓練が非常に大切であるということをしみじみ感じました。そして、現地を視察しまして一番うれしかったのは、あの阿古地区寝たきり老人が数名おられます。この寝たきり老人を最優先的に避難させまして、大変感激的な話も承りました。こういう平素訓練というのがいかに大切であるかということ。  それから、恒久的な問題は、現地を見まして、また現地皆さん方の声をいろいろ聞きましたが、当面緊急的なものは、先ほど報告申し上げたように、昨夜第一回本部会議において決定したのですが、東京都、村当局あるいは住民皆様方意見を十分承りながら、今後関係省庁の間で話を早急に詰めていきたい、このように考えておるところでございます。
  9. 堀内光雄

    堀内委員 ひとつ、万全の対策処置お願いをする次第でございます。  と同時に、大臣にお伺いいたしたいのでありますが、今度の噴火を見てまいりますと非常にすさまじいまでのものを感じるわけでございます。そういうことで、三宅島噴火だけではなく、噴火の危険のある山がまだあるのではないかというような感じがいたします。それだけに、火山に対しましての総点検というような問題を国土庁長官お願いをすべきじゃないかというふうに考えるのでございますが、御意見を承りたいと思います。
  10. 加藤六月

    加藤国務大臣 設置しました災害対策本部としては、三宅島噴火に対する処置でございますが、実は昨晩、中曽根総理にも一連の問題を詳しく御報告しましたときに総理から指示がございまして、火山全体についての総点検をひとつ検討し実施してほしい、こういうお話がございました。したがいまして、昨晩第一回本部会議が済んだ後、関係省庁に対しまして私はこのような要請をいたしておきました。  噴火の危険のある火山三宅島以外にもあると考えられるので、これらの火山についての観測体制火山情報伝達体制等について総点検してほしい、こういうことを、正式の本部会議三宅島だけを徹底的にやるわけでございますから、その会議が済んだ後、いま申し上げましたような指示関係省庁にいたしておきました。また、それに従いまして、近々具体的な関係省庁連絡会議等を開いていただきまして、いま私が申し上げました観測体制あるいは情報伝達体制等、それから避難訓練等も含んでの各省庁連絡会議を開いてもらうようにいたしたいと考えておるところでございます。
  11. 堀内光雄

    堀内委員 そういう総点検を行って対策をしていただきたいということと同時に、火山の心配のないところについては安心させるような対策も必要ではないかというふうに思いますので、それも含めてお願いをする次第であります。  そこで次に、私は、台風五号、六号によるところの集中豪雨によりまして湖岸に水があふれてしまい、災害後五十日を超す現在におきましてもなお浸水家屋があるというような富士山ろく河口湖の水害問題について、建設省国土庁に御所見を承りたいと思っております。  特に河口湖町を取り上げましたのは、災害後二カ月近くになりますのにもかかわらず、まだ異常状態が続いているというような、きわめて例外的な変則的な状態が今日も続いているわけでございます。きょう現在、まだ水位平水位を四十六センチも上回っておりまして、またここに台風でもやってくれば、それこそ大きな被害を受けるおそれがあるということになっております。  さらに、この増水災害というものは、ことしだけではなくて昨年も同様な大きな被害を受けたわけであります。二年連続同じ種類の甚大な災害を受けたことによりまして、地元の人々は、ひょっとするとまた来年もあるかもしれぬというような不安を抱いているわけであります。こういう地元の不安に対応いたしまして、いろいろと緊急的な対策その他は行っていただいているわけでございますが、建設省としてどのような考え方でどのような対応を現在行っているか、また将来にわたる恒久対策はどういうものを考えられているか、こういうことについて承りたいと思います。
  12. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、台風五号、六号によりまして、八月十四日から十八日にかけまして大変大きな降雨量がございました。気象庁河口湖観測所の記録でございますが、八百四十五ミリということで、既往最高の量を示しております。この豪雨によりまして、河口湖水位基準面よりも二メーター八十三上がったわけでございまして、かなり上がりました。昨年は、一メーター三センチ上がっております。二年続いて起こっております。ことしは、さらにそういう大きいものが出まして、周辺の住家及びホテル等浸水があったわけでございます。これに対しまして、昨年もかなり大きい水がございましたので、早速水位につきまして東京電力等とも話し合いまして、従来基準面からゼロメーターを中心にして操作したわけでございますが、それをマイナス一メーターまで下げようというようなことで努力はしてまいったわけでございます。  その後、続けまして大きな水があったわけでございます。これに対しまして、このたびは少しでも排水量をふやそうということで、現在東京電力の水路のほかに県庁隧道というのがございますが、これは使用しておりませんでした。これは末端がしり切れトンボになっておりますので、それに仮水路を設けまして、東電の水路の下流につなぐというようなことを早速やりまして、九月十六日に完成させまして、それも通水しました。若干でございますが排水量をふやしたわけでございます。先ほど申しましたように、まだ四十六センチの水位でございますが、四十六センチに下がりますと大分浸水もなくなってきている状態でございます。  これに対しまして、今後の対策でございますが、これにつきましては、昨年の洪水にかんがみましていろいろ交渉しまして、国土総合開発事業調査調整費という調査費がございまして、それでことし調査を始めておるわけでございまして、既往の洪水の解析あるいは河口湖の洪水を迎えるときの水位でございますが、初期水位、迎水位と申しておりますが、それからそういう湛水の日数あるいはいろいろな土地利用の問題、それから下流の宮川の流下能力の問題その他環境の評価、いろいろな問題を調査しようとしているところでございます。今後早速これをやりまして、早い機会に対策を決めたいと思います。  中間的な段階でございますが、現在のおおよその感じでございますが、たとえば洪水を迎える水位をさらに一メーター下げてマイナス二メーターぐらいだとしますと、現在の流下排水量にさらに十トンぐらい加えまして、全体で二十トンぐらい流れる能力がございますとほぼ水害を免れるというような見当を立てておりますが、これはもちろん、これからもう少し詳細に検討したいと思っておるわけでございます。そうしまして、その対策につきまして、現在あります隧道の改築、あるいは新築の隧道がいいかもしれませんが、経済効果等を考えながらそれらの対策を決めまして、五十九年度からそういう対策の事業に着手したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 堀内光雄

    堀内委員 建設省において、非常に前向きにこの問題に取り組んでいただいていますことに対しましては敬意を表するわけでございますが、いまのお話は中間的な報告ということでありますが、中間的報告は最終的報告に近づいていくこともあると思いますので、そういう点からいまの中間的報告をもとにして、ちょっと私の疑問とするような問題について質疑を行いたいと思うわけであります。  ただいまの対応策、中間的なものでありますが、それを伺っておりますと、水位を二メートルぐらい下げておいたらどうだろうかというのが一つ。それともう一つは、二十トンぐらいの放水を行っていったらどうだろうかというようなことが一つの柱になっているようであります。大体、水位を二メートル下げて二十トンぐらいということになりますと、建設省の数字は、大体七十センチぐらい平水位より上がったところにピークがいくのではないかということになっているやに聞いております。  そういうことを考えますと、いまの答弁の内容をわかりやすく考えますと、ことしは平水位よりも約一メートル下げていた、一メートル六センチまで下げていて、台風を迎えてピーク時に二メートル八十三センチにまで水位が上がってしまったということでありますから、締めて約三メートル九十センチ、八十九センチというものが増水をしたことになるわけであります。そして、いまの対策の御答弁を考えますと、一メートル下げておきまして二十トンの放水を行いますと、大体六十六センチぐらい平水位よりも上でおさまってくるということは、三メートル八十九から二メートル六十六を引きますと一メートル二十三センチ、放水量をふやすことによって一メートル二十三センチぐらいのものが減少して、そして基準水位を一メートル下げることによって予防策を行う。そして、さらに六十六センチぐらいのものは増水してもやむを得ないのじゃないか、このぐらいはがまんしなさいというような、三つの部分からことしの増水に対する対応というものが出てきておるように考えるわけであります。  このうちの二番目の平水位を一メートルことしよりも下げる、ことしが一メートル下げていたわけでありますから約二メートル下げる、あらかじめ二メートル下げておくという対策につきましては、これはなかなか大変な問題だというふうに思うわけであります。河口湖の基準水位というのは八百三十三・五メートルでありまして、これは明治時代、それ以前からも大体そういうところが常識になっておりましたが、明治時代に定められて、それ以来八十年近く地元になじんできた水位であるわけであります。  河口湖というのは、今回の水害でおわかりのように完全な閉鎖水域であったわけであります。昔から異常豪雨のようなものが参りますたびに、湖岸の住民は水害に悩まされてきた。古文書にもいろいろ水害のものが出ておりますが、明治四十年には大水害というのに見舞われました。大変大きな被害を受けたわけでありますが、そのときに、こういうような異常増水から住民を守るために治水組合というものをつくって、この根本的な対策をしようではないかということになりました。県、地元、国が協力をし合いまして、放水のための隧道が開削されたわけであります。これは明治四十年から大正三年にかけて開削をされた隧道で、先ほどのお話にもありました県庁隧道というものであります。そのときに、古くから常識的に考えられていた八百三十三・五メートルという基準水位を、明確に基準水位として設定をいたしました。  この県庁隧道というのは、この基準水位を上回る水を吸収する、のみ込むというようなことで設計をされているわけであります。つまり、古い非常に長い間の歴史の中で、八百三十三・五メートルという水位が最も好ましい水位であるということになって結論が出てきているものでありまして、明治四十一年に基準水位を定めて、これから以来はずっとこの地域の産業にも生活にも社会環境にも、すべてこの八百三十三・五メートルというものが溶け込み、定着をしているわけであります。  先ほどの改善策によりますと、この基準水位を、ことしは一メートル下げたが、さらに一メートル下げて、二メートルにしておいたらどうだろうかという考え方であります。これを仮に二メートル下げまして、台風が来なかったということになりますと、これは基準水位二メートル下げたまま、ずっと今度つながっていってしまうということになるわけであります。そうなりますと、たとえばこの地域の農業の水はこの湖の水に頼っているわけでありますが、この揚水ポンプというものは一切使えなくなってしまう。湖底の溶岩は表に露出してしまいまして、湖が見るも無残な姿になる。漁業の方でも、ワカサギその他の問題が出てくる。遊覧船は航路を変更しなければならぬということになる。名物の逆さ富士も、見る角度がみんな変わってしまうということにもなりかねないわけでありまして、この地域一番の観光産業というものが大変なダメージを受けることになるわけであります。このように考えますと、基準水位というものは、一般的にちょっと外で考えられておりますような問題ではなくて、この地域の人々にとっては大変な問題だということをよく御理解をいただかなければならないと思うわけであります。  ことし、あらかじめ一メートル下げていたではないかということでありますが、これは昨年の水害というものを見まして、その抜本的対策というものがまだ行われていない、その対応策ができていないという現状においては、ことしもまた昨年のような水害に遭ったら大変だということで、やむにやまれぬ気持ちで一メートル下げたというのが実情であります。したがいまして、ただ単に基準水位を二メートル下げることによって、今度の水害予防の対策というようなものの柱にするということでは、これはまことにもって地元にとっては大変な問題であるということをよく御理解をいただいていなければ困ると思うわけであります。  時間がありませんので、この問題についての御答弁は最後に一緒にまとめて伺うことにいたしたいと思いますが、この基準水位というものを下げてのアジャスト、これはぜひこの対策の柱にはしないでもらいたいという切実な地元の声をひとつ理解していただきたいと思うわけであります。  そうなりますと、基準水位をことし下げた実績の一メートル程度でおさめる、あるいはその前後にしておくということになりますと、この基準水位による調整というものを小さく持ってまいりますれば、今度は最高の、ピークの水位を下げるためには、これを先ほどの建設省の考えである七十センチ程度にとめようということにするためには、当然放水量をいまのお考えの二十トンからもっと上の三十トンぐらいまで上げていかなければ、成り立たなくなってくるわけであります。  そこで、山梨県の試算による放水量と水位との関係を示す表によりますと、初期水位を仮にマイナス一・五メートルに置いた場合、放水量を三十トン毎秒というところまで持ち上げてセットをしますと、ピーク時の水位は先ほどの建設省のお考えの七十センチ程度というものに一致するという数字が出ているわけでございます。そういう意味で、いまのこのマイナス一・五メートルがいいのか悪いのかは別といたしまして、少なくとも三十トンあたりというものが恒久対策として浮かび上がってくる妥当な線ではないかというふうに考えるわけであります。  くどいようですが、初期水位による調整というものは、地域住民生活環境に与える影響が非常に大きい。したがいまして、放水量の方にウエートを置いて、先ほどの二十トンにこだわらずに三十トンぐらいの放水を前提とした検討、調査というものを進めてもらいたいと思いますが、いかがでありますか。ひとつ局長からお願いいたします。
  14. 井上章平

    ○井上政府委員 河口湖の洪水対策は、ただいま先生から御指摘がございましたように、つまるところ、洪水前に基準水位から幾ら下げておくかということ、それから放水量を幾らにするかということに相なるわけでございます。  この幾らに下げるかという問題につきましても、先生からいまお話がございましたように、河口湖の観光地としての特性、あるいは周辺の土地利用、漁業等に非常に大きな影響があるわけでございます。また、放水量を幾らにするかということにつきましても、隧道を新しく掘るか、あるいは県庁隧道を拡幅するかというような問題もあり、また、これはいずれにいたしましても宮川に放流する必要がございますので、宮川のこれの受け入れ体制、こういったことがいろいろ絡み合ってまいるわけでございます。  そういうことで、ただいま説明いたしました案は、あくまで今日までに検討しておりました結果に基づく一つの案ということで御理解いただきたいわけでございまして、先生からいろいろお話がありました面も含めまして、これから十分検討を進めてまいりたい。ただいま、山梨県と一緒になって鋭意検討いたしておるところでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  15. 堀内光雄

    堀内委員 二十トンにこだわらないで、それ以上のものを含めて調査を行いたいというふうに御答弁を承ったわけであります。  時間が余りありませんので、いろいろ申し上げたいこと、承りたいこと、いっぱいあるのでありますが、取りまとめてひとつ局長に御答弁いただきたいと思いますのは、いまの放水量の問題と同時に、県庁隧道というのは非常に古い隧道でありますから、勾配も千分の一から五百分の一というような非常になるいものでありまして、そのため、のみ込み量は非常に少ないのではないかというふうに言われております。したがいまして、県庁隧道の改修というものと新しいものとあわせて考えているというような御答弁でありましたが、この県庁隧道をあわせて検討していただくことは結構でありますが、特に新しく隧道を掘る方にウエートを置いてさらに御検討を賜りたいということが一つ。  もう一つは、隧道の掘削をいたしまして出すところまでは河口湖町でございます。この河口湖町は、出れば多ければ多いほどいいということになるわけでありますが、今度は受け入れる富士吉田市の方はこれまたなかなか問題がございまして、いままでも大きな水量が市を分断して流れているということに対しては、迷惑な気持ちを持っているということも事実でございました。今度は、いままで以上に二十トン、三十トンというような水量をさらに流していって、いまの放水路をさらに拡幅する、あるいは水位を下げていかなければならないということが、富士吉田市の中ではなかなか問題になってまいりまして、これは反対だというような声もあるわけでございます。  今度の災害のところも、富士吉田市の受けた災害の部分もこの放水路が通っているというようなこともございまして、この富士吉田市が放水路の改修に反対をするような体制でないようにしなければならないというふうに思っております。私も、地元の問題でございますので、大いにその点には努力をいたしてまいりたいと思いますが、御当局と県におかれましても、富士吉田市の立場に理解を示していただいて、東電の放水路の改良が地域住民のためにもなるようなこと、富士吉田市の要望というようなものに十分配慮をしていただいて、富士吉田市の協力が得られるようにお願いをしたいと思いますが、局長の御答弁をお願いします。二つ一緒にお願いします。
  16. 井上章平

    ○井上政府委員 新しい放水路をどうするかということでございますが、これにつきましては、この地域の地質、工事の難易、工費、あるいはこの放流先であります宮川の受け入れといったいろいろな問題があるわけでございますので、これらにつきましては慎重に検討を進めてまいっておるところでございます。今後とも、先生が御指摘になられましたようなことを踏まえまして十分検討して、最適な計画にいたしたいと思っておるわけでございます。県庁隧道拡幅にこだわるということでは決してございませんので、御了承いただきたいと思います。  それから、この放水路の受け入れ先であります宮川は、これは富士吉田市でございまして、この事業につきまして十分その意義を御理解いただきたいわけでございますが、これにつきましては、協力していただけるよう今後十分配慮してまいりたいと思っておるところでございます。
  17. 堀内光雄

    堀内委員 いろいろ問題がいっぱいありまして時間がないわけでありますが、次に登別温泉の災害問題につきまして、国土庁長官がおられますので、私の同僚議員であります三枝三郎先生から、かわって長官に御要望しておいていただきたいという問題がございます。  北海道登別市は、この九月二十四日から二十五日にかけて三時間で三百三十八ミリという、気象庁開設以来三番目の記録的な豪雨に襲われたわけでありまして、大きな被害を受けたわけであります。加藤長官は現地も視察をされたということでありますが、こういう局地的な災害の場合、激甚災害の指定を受けることについていろいろ問題があるようでございますが、そういう一つの例として、登別の激甚災害指定についての加藤長官のお考えを承りたいと思います。
  18. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も、去る一日に現地を視察さしていただきました。いろいろ胸を打たれる問題に遭遇したわけでございますが、激甚災害の指定につきましては、現在、関係省庁において鋭意被害状況調査を行っているところでございまして、現段階でその見通しについてはっきり申し上げられないことを非常に残念に思うわけでございますが、災害復旧に支障がないように万全の措置はしなければならない、このように考えておるところでございます。
  19. 堀内光雄

    堀内委員 最後に、河口湖の問題と続いているようではございますが、この夏から秋にかけまして富士山ろくの観光に大きな打撃を与えたもう一つの問題について、国土庁気象庁に御見解を承りたいと思います。時間もぎりぎりでございますので、質問を全部申し上げて後、御答弁をいただければというふうに思います。  それは、九月の十日から十五日にかけまして富士山が必ず大爆発を起こすという、元気象庁職員の非常にいいかげんな著書がベストセラーになりまして、地元の観光面にもいろいろな形でマイナスの打撃を与えたという問題であります。すでに新聞等でも報道されておりますので、細かいことは省略をいたしますが、地元富士吉田市では市長が非常に怒りまして、刑法第二百三十三条の信用毀損業務妨害罪で著者あるいは場合によっては出版社を告発したいということで、私どもにも相談が来ているわけであります。  そうした中で、一昨日三日には三宅島で雄山の大噴火があったわけでありまして、先ほども火山の総点検をしたらということをお願いを申し上げましたが、逆に申しますと、こういう荒唐無稽な理論を言っている者によっての風説が人心を非常に惑わしているということもございます。したがいまして、三宅島の雄山の噴火が、相楽正俊氏なる人の富士山大爆発説の根拠としたものとどういう関連があるか、全く関連がないものかどうかということ、同時に、相楽説というのは全く科学的根拠がない荒唐無稽なものであるということ、こういうような問題についての気象庁の御見解を承りたいと思いますし、同時に、そういう無責任な風説を流した人、非常に人心を惑わして金をもうけているというやり方には、本当に心から憤りを感じているわけでありまして、オオカミ少年というのはデマを流して人が騒ぐのを見て喜んでいたというのでありますが、それ以上にこれは金をもうけるというのですから、さらに悪い立場ではないかと思います。富士吉田の市長の怒るのも十分理解ができるわけであります。  そこで、国土庁気象庁に個別に御回答を賜りたいと思いますのは、富士吉田の市長が告発をした場合、これに関連して国側の富士山観測データというものの協力を求めてきた場合には、国としてそれに対して協力する用意があるかどうか、こういう問題を承りたいと思いますし、最後に国土庁長官から、ベストセラーになって世を騒がした富士山大爆発説というものに対して、先に政府の答弁書が出ておりますが、科学的な根拠に乏しい、あるいは現在富士山には何らの異常徴候は見られない、そういうような問題について御見解を賜りまして、富士山大爆発説に対しては国土庁としては正式に考えられて問題はないのだという御答弁を賜り、だれもが安心して富士登山や富士山ろくに訪れられるような体制づくりをお願いできないかと思うものであります。  以上、取りまとめて質問を申し上げまして、御答弁をお願いする次第でございます。
  20. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいまの質問に関しまして、まとめて御説明申し上げます。  今回の三宅島噴火と富士山爆発との関連がどうかという御質問だったと存じますけれども、火山はそれぞれ単独に活動する性質を持っておりますので、三宅島噴火と富士山の噴火とは直接の関係は全くございません。  それから、富士吉田市の方で相楽氏の著書に対して告発する場合に、データの提供等について協力をするかどうかという御質問でございますが、気象庁といたしましては、提供できる観測データ及び資料につきましては極力御協力申し上げたいと思っております。  それから、現在富士山の爆発に結びつくような異常な徴候が果たしてあるのかというような御質問でございますが、富士山の周辺には気象庁観測所といたしましては河口湖、三島、甲府、静岡、網代、鎌田、富士川等がございますし、また富士山頂そのものにも富士山測候所がございまして、常時観測を続けておりますけれども、富士山の爆発に結びつくような異常な徴候は全く認められておりません。
  21. 加藤六月

    加藤国務大臣 衆参両院におきましてこの富士山大爆発の問題は御質問され、私からも、またそれぞれの立場の学者方からもお答えをいたしておるところでございますけれども、現在の科学技術の水準では日時、場所、強度という問題について、火山噴火の発生を正確に予知できないという段階であるということをたびたび言明いたしておるところでございます。そしてまた、これらの説については、ことしの一月の政府の回答においてもはっきり申し上げておるところでございます。  そして、地方公共団体の長が特定の人を相手取って訴訟する点についての考え方、あるいは協力の仕方という問題がございましたが、地方住民の福祉、生活に責任を持っていただいている地方公共団体の長が、そういった一連のことを行った人に対し訴訟を起こすという気持ち、立場は、私として十分理解できるものである。ただ、富士山は、政府答弁にも申し上げたとおり活火山でございます。絶対噴火はしないのか、あるいは絶対そういうことはないのか。絶対という言葉をつけて言われますと、絶対ということはあり得ません。活火山でございます。しかし、現在のところそれに伴うような徴候は、先ほど気象庁から申し上げたように全然ないというところでございます。  そして政府としましては、ああいった一連の問題について、今後国民の皆さん方に十二分に理解されるようPRしていくような何らかの方法を考えておかないといけないのではないだろうか。ことしの九月十日前後の問題については、私のところにもいろいろ、各界、各方面から心配の余りの御相談がありましたが、私がいかに否定しましても、また、閣議で運輸大臣やわれわれが声をそろえて否定いたしましても、なかなかそれが徹底しなかったということ等から、国民の皆さん方にこれからは科学的な根拠と知識と情報を十二分に持っていただくようなPRの仕方も、今後さらに十二分に検討して進めていきたいと考えておるところでございます。
  22. 堀内光雄

    堀内委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  23. 上原康助

    上原委員長 次に、鈴木強君。
  24. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 国土庁長官最初にお伺いしますが、きょうの委員会に台風十号と三宅島噴火の問題についての政府側からの報告があったわけですね。どうして台風五号、六号を抜かしたのですか。いまも五号の被害に対する質問がありましたけれども、なぜ五号を抜かしたのですか。
  25. 加藤六月

    加藤国務大臣 当委員会について、何々を御報告申し上げたらいいだろうかということで、事前に国会の方といろいろ打ち合わせをさせていただきました。国土庁として正確な資料その他を——実は、台風五号、六号について各省庁連絡会議を開き、それに対する強力な対策をするという打ち合わせをいたしておりませんでした。十号以後につきましては、各省庁連絡会議あるいはまた昨日のように災害対策本部を開くということ等がございまして、そこら辺を中心に御報告を申し上げました。ただし、台風五号、六号についても政府はその災害復旧全力を挙げておるということで、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  26. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私は、こんなことで余り時間とりたくないのですよ。少なくとも八月十四日から十八日にかけての台風五号、六号は、いまお話がありましたように山梨県を中心に来襲したものですから。しかし、それでも死者が二人おるのですよ。いいですか、とうとい命を二人失っているのですよ。二十二人の重軽傷者が出ている。被害総額は二百七十三億なんです。これだけの台風五号、六号の被害があるにかかわらず、この委員会に報告をしないということは納得ができない。報告について基準があってこれはやらないとかというようなことは、そんなことはないはずだ。  私は、時間がないから余り言いたくない。言いたくないですけれども、大臣、これは片手落ちです。理事に聞いてみると何か理事会では報告したそうですけれども、われわれ委員はそんなこと知らない。なぜこの委員会に五号を入れなかったかということについて、私は大変な不満を持っているのですね。基準はないのですから、今後、少なくとも委員会が開かれた場合には、その都度その都度、その被害状況をまずもって報告していただきたいということを大臣に強く要請し、答弁を求めます。
  27. 加藤六月

    加藤国務大臣 決して、軽く見たりなどしているわけではございません。私も河口湖、山中湖、特に河口湖の現場には二回行かせていただきました。この災害復旧の問題については、真剣に取り組んでおるわけでございます。そうして、地域住民皆さん方が大変困り、そしてまた地方公共団体、県、関係省庁皆さん方が必死で取り組んでおる姿を見まして、政府としてもできるだけのことをしようという決意を持って帰っておるわけでございます。
  28. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ちょっと答弁がぼけている。そんなこと言っているんじゃないですよ。あなたが御苦労されたことはよく知っている、私も選挙区ですから。要するに、委員会が開催される限りは、少なくともそれぞれの台風が来た場合にはそれぞれ報告をするのが筋ではないかということを私は言っているのですよ。ですから、そういうふうにしていただきたい。いいですね。  それでは、最初三宅島の爆発の問題についてお尋ねをいたします。  御承知のとおり、三宅島が三日の午後、二十一年ぶりに爆発をし、溶岩流は島の西南部にある阿古地区を襲い、四百十戸の民家のほとんどが焼き尽くされ、埋め尽くされてしまっているのでございます。私は質問に先立ち、これらの被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げますと同時に、一日も早く再起していただくように念願するものでございます。  そこで、最初にお伺いしたいのは、新聞報道によりますと、この噴火の徴候を地元観測所がキャッチしたのは、噴火の一時間半前だったというふうに聞いております。臨時火山情報を発表する前に噴火が始まってしまった。まことにこれは後手でございます。三宅島火山噴火の予知体制というのは一体どうなっておるのか、これをまずお伺いします。
  29. 山川宜男

    ○山川説明員 御説明申し上げます。  三宅島噴火気象庁の体制でございますけれども、一応気象庁では、全国の十七活火山に対しましての常時観測を実施しておりまして、三宅島火山もその一つでございます。高倍率の地震計をもちまして、噴火の前兆になるような火山性微動をキャッチしようと努力しておるわけでございます。ただ、三宅島火山は、大島とよく似ているわけでございますけれども、その他の日本の火山と非常に性質が違いまして、玄武岩質のどろどろとした噴火を繰り返す火山でございまして、噴火の前兆でございます火山性地震とか微動があらわれますのが、先ほど先生御指摘のように噴火の直前、せいぜい一、二時間前なわけでございます。  そういう意味で私どもは、一応高倍率の地震計でそういうものをキャッチいたしましたので、三宅島測候所では直ちに、日ごろから防災関係者との間に協定ができておりますので、村役場を通じまして東京都の三宅島支庁あるいは警察署の方に、こういう異常現象が起こりましたので警戒をお願いしますという御連絡を申し上げたわけでございます。
  30. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いずれにしても、三宅島の予知体制というものが非常に不十分だ。大体、山頂の北側の約三キロメーターの山腹に三基のセットされた、また山頂から約一キロメーター離れて観測所があるのですね、そこにテレメーターがある。こんな貧弱なことで——たとえば、常時監視の体制になっていることはあなたもおっしゃるとおりだ。ですから、こういうところに精密観測器というものを入れてやったらどうか。いまこれがあるのは、阿蘇山と浅間山と伊豆の大島と桜島の四カ所だけでしょう。予算がないのなら要求しなさいよ。こういう必要なものは国が認めるはずだ、国会も認めてあげますよ。そして、三宅島は常時監視の体制下になっているけれども、観測点は一カ所。しかも、普通観測火山の微小地震というものが起きても、それを蓄積して、少なくとも事前にどういう状態になるかという徴候をつかむことすらできない。こんな貧弱なことだから後手後手に回っちゃって、火山予知というものが非常におくれてしまった。恥ずかしくないですか。もう少しちゃんとしなさいよ。
  31. 山川宜男

    ○山川説明員 全国の火山の監視体制につきましては、気象庁だけでなく関係省庁、大学等がお互いに協力し合っているわけでございます。そういう意味で、測地学審議会の建議に沿いまして、気象庁でも火山の監視体制の整備を進めてまいったわけでございます。  ただいまの先生の御指摘につきましては、今後とも私ども事務局をいたしております火山噴火予知連絡会にもお諮りいたしまして、今後できるだけの努力をしていきたいと思っております。
  32. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その点は非常に大事なところですから、ぜひひとつ十分に体制をつくって、再び予報が後になるというようなことのないようにお願いをしておきます。  そこで、これは国土庁長官も早速現地に飛ばれまして、大変精力的にこういう災害時には御苦労いただいておりまして、私ども国民の一人として感謝をいたしておるわけでございます。  三宅島火山爆発を起こしまして、噴煙活動はようやく鎮静化をしているというふうに伺っておるわけですが、このまま終息していくのかあるいはまた再び活発化していくかという見通し、これは非常にむずかしいと思いますが、関連の人たちは非常に心配をしております。ですから、その点をひとつ教えてください。
  33. 山川宜男

    ○山川説明員 先ほど国土庁の方からも冒頭に御説明があったと存じますけれども、現在噴火活動は小康状態を保っておりまして、本日午前現在かなり鎮静化してきているわけでございます。また地震活動につきましても、噴火の当日の二十二時三十三分でございましたでしょうか、震度五の地震があったわけでございますけれども、それに伴いまして二十回ほどの有感余震があったわけでございますが、その後地震活動も徐々に減少してきておりまして、昨日夜現在では一時間に一、二回程度に有感地震は減少してきておりまして、本日の二時から私が出てまいります十時までには、有感地震は一度も起こっておりませんでした。  それで、昨日夜でございますが、噴火予知連絡会長でいらっしゃいます下鶴東京大学教授は、噴火予知連絡会の幹事の皆さん方と至急に連絡をおとりになりまして、噴火予知連絡会としての統一見解を御発表になりましたので、それを御紹介させていただきます。   三宅島は十月三日午後三時三十分ごろ噴火した。噴火地点は雄山の南西斜面から南南西にいたる割れ目より溶岩を噴出し、溶岩流は三方向に流れ、更に南にある新鼻付近で海底から水蒸気爆発を起こした。これらの一連の噴火活動により大量の火山灰が東方に積った。   火山活動は四日午後七時現在、一時盛んだった溶岩の噴出活動は弱まり、有感地震は一時間あたり一〜二回と小康状態が続いている。   しかし、昭和十五年の噴火の際は、山腹噴火が終ったあと雄山山頂から噴火したこともあるので、地震活動の監視を含め引続き警戒する必要がある。 ということでございます。  気象庁といたしましても、機動観測班を増強いたしまして監視を強化いたしております。
  34. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 三宅島は富士火山帯に属するものでございまして、その火山帯に属するところでは、大島、八丈島、青ケ島、富士山、それに三宅島を含めまして五つあるわけでございます。先ほどの堀内委員の御質問と関連いたしますが、富士山大爆発というふうな、あんなとんでもない風説が飛びまして大変迷惑をしたわけですが、あの爆発がなくてやれやれというときに三宅島噴火したということで、また心配をしておるわけでございます。したがって、先ほども何か明確なお答えがあったようですけれども、もう一度これらの火山帯に属する大島、八丈島、青ケ島、富士山には全く関係はない、こういうふうに確認してよろしいかどうか、答えてください。
  35. 山川宜男

    ○山川説明員 火山は、それぞれ単独に活動する性質を持っておりますので、今回の三宅島噴火と富士山の爆発とは直接の関係は全くございません。
  36. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 富士山の山頂に久須志峰というのがある。その久須志峰側の近くの斜面に、幅約五十メーター、深さ約三十メーターにわたる大きな穴ができている。このことを知っておりますか。このことが、何か富士火山帯の三宅島との関連があるのではないかということを心配しているわけですが、この点はいかがですか。
  37. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいま御指摘の件、承知いたしております。陥没ができましたのは、その前日と前々日に非常な大雨がございまして、そのせいで陥没いたしました。このようなことは、地盤の弱いところでは往々にして経験されるところでございます。いま御指摘になりました陥没しました底なんでございますけれども、現在は雪が積もっているということでございます。雪が積もっていて解けないということは、全く温度が冷えているということでございますので、私どもは全く関係がないと思っております。
  38. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これはさきの堀内委員との関連になるわけですが、大臣、相楽正俊君というのが、九月十日から十五日の間に富士山が大爆発するという著書を出しまして、これがベストセラーになった。そこで私は、質問主意書で政府にも回答を求めました。その後、科学的根拠とは何か、この委員会でもさらにただしたものの一人でございます。しかし来なかった。これはまさに虚偽の風説であるわけですから、私の地元富士山ろく方々は、このやろうというわけでもう頭にきている。要するに、あそこは大体富士山の観光を中心生活をしているところでございますから、後ほど申し上げる河口湖の問題にも関連しますけれども、観光が衰退して非常に危機にさらされているわけです。したがって、無責任な爆発説に対して関係者は本当に怒り心頭にきておる。  したがって、地元の富士吉田市議会が九月二十日の市議会で、この大爆発説に関し著者と出版元に抗議し、富士山の安全を宣言するという決議をいたしております。同時に、先ほど堀内委員から申し上げましたように、渡辺市長は刑法二百三十三条によって信用毀損業務妨害罪で告発する、今月中に富士吉田署に手続をとる、こういうような決意を固めておるようでございます。  また、九月三十日の山梨県の県議会の一般質問でもこれが出ました。これに対して望月知事は答弁の中で、富士山爆発説は山梨県の観光に多大な悪影響を及ぼし、まことに遺憾、私は関係者の怒りが十分理解できる、このような風説は一掃しなければならない、地元観光協会や県観光連盟も何らかの具体的な行動を起こすと思われるが、地元市町村や関係団体と連絡をとりながらこれを積極的に支援していくという、正式な見解も表明されておるのでございます。  その後、相楽氏がどういう言動をとっておったか。国会にも彼は出て来ませんでしたが、私はテレビ朝日で彼との討論をいたしました。ところが、根拠がさっぱりわからぬのです。ですから、政府側の言っている科学的根拠がないというのは正しいのです。にもかかわらず、その後も彼は九月十日から十五日に来る来ると言って宣伝して、本を売ってもうけた男だ。ところが、九月十日から十五日に地震が来なかったものだから、どこかへ逃げちゃって、記者が追いかけてもいないということになりました。  その後、記者会見をしているようでございます、十月一日、神田の日本教育会館で記者会見をしているわけですね。あれは単なる読み物だと言うのです。あの本は世界的に有名な地震学者の説を引用したまでで、単なる読み物、騒いだマスコミが悪い、こういうふうに開き直っているわけです。その冒頭に、迷惑をおかけした地元方々にはおわびしたいと一言触れたけれども、後は開き直っている、そういう方でございます。  それで、富士吉田市長が告訴すると言ったら、逆に、おれは名誉棄損でもって、そういうことをやられたのでおれの本が売れなくなったから告発するというようなことを言っているわけです。そして、事もあろうに予言が外れた理由について、予知材料に使った根本順吉博士の「地震カレンダー」に最近ずれが目立っているというようなことを言ってみたり、予想した台風九号が本州に接近しなかった、そのことで外れたというようなことを言っているわけですよ。これはまさに言語道断です。  ですから、富士吉田市長が刑法二百三十三条で告発するという以前にむしろ国側が、こういうデマを飛ばし人心を動乱させた人に対しては、市でなくて国がもっと積極的に告発をして、その非を責めるべきではないですか。私はそういうふうに思うのです。いまここで、大臣からやるという答えがにわかにいただけるかどうかわかりませんけれども、ひとつこの点を十分に検討していただいて、さっきもお話がありましたが、地元とも連携をとって、こういうことによって再び住民が惑わされることのないようなしっかりしたものをやっておいていただきたいと私は思うのです。この点、これは大臣からどうでしょう、これから十分検討していく課題だと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  39. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほどもお答えいたしたわけでございますが、科学的根拠がないということ、また閣議においても運輸大臣、私等が、この問題について注意を喚起いたしたわけでございます。風説であったということは事実が明らかにしてくれたわけでございます。私としましては、国民の皆さん方火山噴火に対する正しい知識を持っていただき、無責任な説に惑わされることのないように、気象庁関係機関と密接な連携のもとに啓蒙等に大いに努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  40. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは当然でございますが、具体的に私が提案しているのは、富士吉田市長が刑法二百三十三条で告発をするというようなところまで来ておるわけですから、政府としても十分に連携をとって、そしてバックアップ体制をつくるべきだということです。  それから、むしろ私が言うのは、一地方自治体でなくて、国が真っ先に立ってそういうものに対する対策を立てる意味からも、刑法二百三十三条が本当にうまくいくならそういう方法も考えて、そしてやはりそういう風説を飛ばして人心を惑わす人たちに対しておきゅうを据えておかないと、これは今後大きな問題になると思うから、大臣お願いしているわけです。ですから、私の提案を含めて、ひとつ政府の中で検討してみてくださいませんか、検討課題として大臣に預けますから。     〔委員長退席、田中(恒)委員長代理着席〕
  41. 加藤六月

    加藤国務大臣 御趣旨を十分に踏まえながら検討させていただきます。
  42. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 三宅島噴火に関連をして、富士山大爆発の問題にまで連動して言及させていただきました。  そこで、大臣、御苦労をしていただいて、十月四日に非常災害対策本部の第一回本部会議で御決定になりました「三宅島噴火災害に係る当面の重点対策」、これを拝見いたしますと、五つに分かれておりますが、いずれもごもっともでございます。何しろ僻地で離島でありますから、いろいろな困難があると思いますけれども、被災者は一刻も早く温かい政府救助の手を待ち望んでおると思いますから、万全の対策をとって、この五つの政策が一刻も早く実現できますように心からお願いをしておきます。  それから次に、河口湖の放水問題についてでございますが、先ほど堀内委員から質疑がありましたので重複は避けますが、どうも私は聞いておりまして、非常にこそく的な考え方しかいまの政府は持っておらないのだということを直感いたしました。  御承知のように、いま河口湖の放水路というのは二つありまして、東京電力のものが一つ、毎秒七・七九トンですね。それから古い、旧県庁隧道というのがありまして、それが一・五トン。合計九・二九トン、これが最大の放水量になるわけですね。先般のように、かつてない一千ミリ近い降雨があったわけでございますから、いままでのような、たとえば四百とか三百とか、そういう降雨量のときはこういうことでどうにかその難を逃れておったのでありますが、現実に一千ミリ近い雨が降ったことは事実なんですよ。ですから、あの地域に今後また一千ミリを超す雨が降らぬとは言えない。したがって、ここでこそく的なことでなくて、抜本的な対策を立てておく必要があると私は思うのですね。  二十トンという話もありますけれども、これは三十トンでも三十五トンでも、やはりこの際再び災害を起こさないという前提に立って対策を考えていってもらいたいと思うのですね。それには宮川、桂川、第二次災害を防ぐための河川の改修、これも必要でございます。むしろ、それが先決でありましょう。そうして、第二次災害が起こらないような対策を立てた上で、思い切った放水路の新設を——私はむしろ新設と言いたい、やってほしい、こういうふうに思うわけです。  あそこは何せ観光地帯でありますから、一メートル下げている程度ですとどうにかいけるとしても、二メートル下げたらこれは役に立たぬのです。ですから、観光地帯であるということを忘れてもらっちゃ困る。ですから、やはり八百三十三・五二五メートル、これは基準水位ですが、この水位はいつも保っておく。その上に、雨が降ったときには直ちに放水できるような対策を恒久的につくっておくことが私は必要だと思うのです。これこそ、本当の国の治山治水のあり方じゃないかと私は思うのです。  堀内先生質疑で何かもやもやしているようなものですから、私は端的に結論だけ申し上げますが、まずこれを平常水位時に保っておいて、あとどれだけの雨が降っても、それが直ちに放水できるような新しい隧道をつくったらどうか。それには、二十トンとかいうことにこだわらないで、ひとつ抜本的な放水路対策を考えてもらいたい、こう思うのです。これは、両々相まってのことでないといけませんので、ひとつ見解を承りたいと思います。
  43. 井上章平

    ○井上政府委員 今回の台風五号、六号によりまして、この地域に降りました総雨量は八百四十五ミリでございまして、これは史上最大のきわめて記録的な豪雨でございました。しかしながら、こういう豪雨があったわけでございますので、今後の対策につきましても、このような総雨量を対象に抜本的な恒久対策を樹立したいと考えておるところでございます。  なお、それにつきましては、河口湖の基準水位から幾ら下げておくかというようなこと、それから放水路の放水量を幾らにするかというようなことが、この恒久対策の基本に相なるわけでございますが、これにつきましては、この地域の特に河口湖の観光の問題、湖周辺の土地利用、漁業等、いろいろふくそうした問題がございますので、これらにつきましては十分検討してまいりたいと思っておるところでございます。また、放水路につきましても、いずれこの放水路の出口は宮川になるわけでございますので、この宮川の改修の問題も大きな問題としてございます。こういったことでございますので、これらを包括いたしまして、ただいまこの地域の恒久的、抜本的な対策について鋭意検討を進めておるところでございます。ただいま先生から御指摘ございました御趣旨を十分体しまして、今後努力してまいりたいと思うところでございます。
  44. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 局長、かなり勉強されて、私たちの考えている点を踏まえてやっていただけるようでございますから、ありがたいと思います。  せっかく、いろいろな角度からこれから検討を加えて、そしてやりたいというお話でございますので、私がさっきから申し上げておりますように、やはり八百三十三・五二五メートルのこの基準水位というものはぜひ確保していただきたい。  なお、西湖との落差が約七十メートルございますが、西湖の水もこちらに来るわけでございます。今回は、西湖の方はたまたま雨が降らなかった。夏のあれはそういうことがあるんですね。河口湖が大分降って西湖は降らなかった、こういうようなことでまだ助かったのです。西湖に同じように降られたら、これはもっとひどいことになったと私は思うのですね。  ですから、いままでのような東電あるいは古い県庁隧道に頼ることでなくして、ぜひひとつ新しいりっぱな放水路をつくっていただいて、そうして、われわれ素人だからよくわかりませんけれども、最近は土木工学も発達しているわけですから、隧道にするかどうかということはおたくに任せますけれども、できればこの宮川ということでなくて、その下流に桂川というのがあるのですね。桂川あたりへ放水できるようなこともひとつ十分頭の中に置いていただいて、最終的な結論を出すときには貴重な私の意見として取り上げていただきたい、こういうことを申し上げて、この問題については終わります。  それから、台風五号によりまして、河口湖町の浅川という地区が鉄砲水のために全壊家屋は三戸、これを含めまして二十八戸が被害を受けました。地元では被害者の会を結成しておりますが、ここに家が三十三戸あります。そのうち十七戸の方々は、もう不安で住んではいられないということで、移住を希望する人が出てきているのでございます。同時に、再びこういう事故が起こらないように、防災工事の強化あるいは避難場所の確保等を県や国あるいは町当局にも強く要望しておるのが実情でございます。  ちょうどこの周辺には、中央川、山ノ神川、六首川、寺川、西川と五つの河川がございます。そして、そのうち準用河川になっているのが中央川と六首川なんです。あとの山ノ神川と寺川と西川は一級河川になっているわけです。たまたまその五本の川の上に、西川新倉林道というのが通っているわけでございますね。したがって、その鉄砲水がわっとこの六首川のところへ出てきまして、とうとい犠牲者も出たわけでございます。  林道をつくって、その林道の排水は一体どういうふうになっていたのか、私はよくわかりません。したがって、この林道の建設によって鉄砲水が発生したのではないか、そうなると、これは人災ではないかという意見も実はあるわけでございます。ですから、被災を受けた皆さんの背後にある西川新倉林道について、やはり人災だなどの意見がありますけれども、この点は県当局でも、県議会の中でも論議をされておるようですが、人災か人災でないかということについては、どうもはっきり私には受け取れないようなことになっております。  「吉田林務事務所は二十九日までに「鉄砲水と林道崩壊との因果関係を否定」する回答をした。」と、地元の山梨日日新聞には書いてあります。望月知事も因果関係を否定しております。しかし、これをずっと読んでみますと、どうも回答書が「中央川上流に三基のえん堤を築けば、下流域の安全確保が図れる」、これは遅かりし由良之助ですけれども、三つやっておけば防げる、安全が確保される、こういうことです。それから「崩落個所の亀裂については既に適切な処置を講じてある」「林道延長工事は、緊急復旧が完了した後で始める」こういうふうなことになっております。  これは、林野庁の方にも関係をするかと思いますが、私は、この林道の建設に対して、果たしてそのことが原因であったかどうかについてもう少しはっきりさせてもらうことと同時に、いま準用河川になっております中央川と六首川を一級河川に格上げしてもらいたい、こう思うのです。それらについて、ひとつお答えをいただきたい。
  45. 松田忠好

    ○松田説明員 ただいま先生からもお話ありましたけれども、人災か天災かというお話でございますが、これは県の方でも知事さんがお答えしているとおりでございまして、何と申しましても、先ほど来お話ありますように、連続の降雨量が八百五十ミリ近い、きわめて異常な降雨があったというのが一番の原因かと考えております。ただ、あの地区につきましては、これに加えまして大変地層が浅いといいますか、土壌が八十センチ前後かと思いますが、そういう状態でございまして、その下の基岩が、いわば滑るというかつこうで落ちたのではないかというような判断をしておりまして、そのとおりではないかというふうに私どもも考えております。したがって、林道工事が原因で災害が起きたというような考え方はいたしておりません。  以上でございます。
  46. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、六首川、中央川の一級河川の指定の件だと思いますが、建設省としましては、現在、先生いま御指摘になりました、その他、寺川、山ノ神川、西川等の災害対策全力を挙げてかかっております。災害対策そのものは一級河川にしなくても、準用河川でもそれなりの対応策があるわけでございますが、今後なお山梨県の方とも十分相談いたしまして検討していきたい、こういうように考えております。
  47. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 災害対策の面ではそうですが、県道と国道と違うように、やはりこれは一級河川にすれば一級河川にしただけの整備がやれるわけですからね、そういう意味で申し上げたわけです。地元の御要望もあってつくったものですから、この林道をつぶすわけにはいきません。したがって、この五つの川の流域については、これからもう少しきめ細かい点検をしていただいて、そしてあらかじめ、地質がもし悪いとするならば早目に堰堤を入れるなり砂防工事をするなり、そういう早目早目に先手を打った施策というものが行われていなければならぬと思うわけですね。ですから、そういう点を十分配慮して今後対策を立てておいていただきたい、こう思います。  それからもう一つ、南アのスーパー林道でございますが、これは昨年の台風十号でめちゃめちゃになりました。その上に今度は台風五号が来まして、また被害を受けたのであります。もともと、このスーパー林道は森林開発公団が建設して、でき上がったものを山梨県が引き継いで管理している、こういうものでございます。災害時におきましては、基本補助というのが六五%ありますし、昨年は激甚災害を指定していただきましたから九〇%が復旧費、これは国から出ておりますので、県としては助かっているわけですけれども、ただ、平時の場合でも、たしかメーター当たり二百円か二百五十円くらいの維持管理費というものが地方交付税の中に入っているのですよね。これじゃちょっと酷じゃないですか。われわれはそれを指摘してきたわけですが、それはきょうここでどうというわけにいきませんけれども。  南アの状況がいまどうなっているか。長野県の長谷村の方は、もう自動車も北沢峠にまで来ているのですけれども、山梨側はまだほとんどそこに行けないという状態でございますから、県も一生懸命やっておりますが、ひとつ国においてもできるだけの支援体制をつくって、そして復旧を早くしていただきたい、こういう願いを込めて申し上げているわけです。状況をちょっと説明してください。
  48. 松田忠好

    ○松田説明員 お話ありましたように、昨年の台風でかなりの被害を受けております。すでに、これは全部査定を終わっておりますけれども、九十九カ所やられておりまして、被害額といいますか、復旧を要する額としまして、八億二千二百万となっております。また、本年の台風五号、六号ということで若干、二カ所ほどですが、二千万ほどの被害が出ているということでございます。  それで、昨年発生しました個所につきましては昨年中、五十七年中に一応四・六%の復旧が済んでおります。これは長野とそれから山梨県側、両方合わせての数字でございます。それから本年度中、五十八年度中には九六%までやってしまおうということで、現在、県あるいはまた長谷村の方で努力中でございます。それから、ことし発生した分につきましてはすでに現地査定を終えておりまして、この分についても今年度中に復旧ができるという見通しで努力しております。  以上でございます。
  49. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間の関係でまことに恐縮ですが、最後にこれもぜひ、沖縄の台風被害の問題で伺っておきたいのでございます。  台風十号は、九月二十五日から二十六日にかけて、沖縄本島や宮古島を暴風雨圏に巻き込みました。そして、猛威をふるいながら通過いたしまして、沖縄県全県で九月二十六日現在、三十六億円の被害が出ておるのでございます。特に、伊是名という島がございますが、その伊是名島や本島の北部では竜巻も発生いたしまして、小さな離島の伊是名村にとっては大火災になったと聞いているが、これらに対する災害対策政府はどういうふうになさってくださっておるのでしょうか、これをお伺いして、私の質問を終わります。
  50. 田中暁

    田中(暁)政府委員 沖縄の伊是名村で、十号台風のときに竜巻が発生いたしまして、負傷者二十九名、家屋全壊流失が十八戸、半壊十二戸、罹災者数七十三名という被害を出しております。竜巻による被害は、その特異の形態から、数字の上以上に実質の被害は激しいものがあるというように承知いたしております。  救助措置といたしましては、伊是名村に災害救助法を適用いたしまして、避難所の設置、炊き出しあるいは食糧の給与、被服の貸与等の施策を講じたところでございます。沖縄本島の北の離島の村でもございますので、今後ともこの対策につきましては、政府としても沖縄県と十分連絡をとりまして、万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。     〔田中(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 どうもありがとうございました。
  52. 上原康助

    上原委員長 次に、池端清一君。
  53. 池端清一

    ○池端委員 過ぐる五十八年七月の山陰地方における豪雨災害、そして五号、六号の台風による災害、そして台風十号によるこのたびの災害、さらには北海道登別市を中心とする集中豪雨災害、そして今回の三宅島噴火による大災害、甚大なる災害がこのところ相次いで発災をしておるわけでありまして、まことに心の痛む思いであります。私も、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  とりわけ、先ほど御報告のありました三宅島噴火による災害につきましては、加藤長官を初めとする政府調査団が早速、昨日現地に飛び、調査や激励を行って、現在、具体的な対策を進められておりますことに敬意を表するものでございます。  わが日本社会党としても、先ほど田邊書記長を中心にして加藤国土庁長官に対して緊急申し入れを行ったところでございますが、このたびの災害の甚大さ、さらにただいまも鈴木委員からお話ありましたように、本土から遠く離れた離島における災害である、こういうような事情等も十分配慮し、万全の措置を講ずべきだと思いますが、長官の所信のほどをまずお伺いをいたしたいと思うのであります。
  54. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど、社会党の田邊書記長を本部長とされる皆さん方から私に対して、国土庁に対して、三宅島噴火の抜本的あるいは緊急な対策についての申し入れをいただき、社会党としても熱心に取り組んでいただいていることに、冒頭敬意を表さしていただく次第でございます。  昨日午後一時に、政府調査団三宅島現地を視察させていただきました。東京都、島当局、警察、消防、海上保安庁自衛隊関係者の皆さん方が、一致結束して噴火対策に当たっておられることに対しましても、私、心から感謝の気持ちを表する次第でございます。  そこで、帰りまして昨晩、持ち回り閣議におきまして非常災害対策本部を設置することが決まり、当面、先ほど審議官から当委員会に御報告させていただきました五つの問題を決定いたしました。  私は、罹災者方々がたくましく再起されていただくこと、そしてまた、先生もおっしゃいましたように離島でございますので、一次、二次、今後の噴火その他に対し、島民皆さん方に安心していただくような万全の対策をとるために、自衛隊海上保安庁等においても、全島民皆さん方のアローアンスを何十%も超す収容能力を持った艦艇その他を島の周辺に引き続き配備させておくといったこと、そしてまた、今後の噴火状況溶岩の流出等に細心の注意を払っていくこと等をなおやっていきたい。そして、これら一応の応急措置を万遺漏なくやりながら、今後恒久的な問題にも取り組んでいきたい、このように決意を固めておる次第でございます。
  55. 池端清一

    ○池端委員 当委員会としても、早急に現地に赴き、調査並びに被災者の皆さんに対する激励を行いたいと思っておりますが、政府としても万遺漏なきよう、十分の措置を講じていただきたいと強く要望申し上げておきます。  次に、時間が限られておりますので端的にお尋ねをいたしますが、先ほど御報告のありました台風十号による災害、これまた激甚でございまして、長野県を初め三十九の都府県に及んでおるわけであります。広範にしてかつ甚大な被害でございまして、激甚災害の指定、当然こういうことになると思うのでありますが、これについての見通しをお尋ねをしたいと思います。  それからもう一つは、九月二十四日から二十五日までに北海道登別市及び白老町を襲った低気圧による集中豪雨でございますが、これは、気象庁開設以来第三位の降雨量を記録するという異常な集中豪雨でございました。この問題につきましても、加藤長官、きわめて御多忙中にもかかわらず、いち早く、十月一日、登別市の被害状況をつぶさに調査をせられました。本当に心から敬意を表し、被災者を代表して厚くお礼を申し上げる次第でございます。  そこで長官に、この問題についても端的にお尋ねをいたしますが、地元から強い要望のあります激甚災指定の見通しについてお尋ねをしたいと思います。  以上です。
  56. 加藤六月

    加藤国務大臣 台風十号問題は非常に広範多岐にわたりまして、三十九都府県に膨大な被害を与えたところでございます。先ほど来、委員皆さん方政府当局の間で、これらについてのお話もいろいろあったわけでございます。目下、被害状況調査関係方面と精力的に行っておるところでございます。被害状況が刻々わかるにつけまして、私もその数字に、ある面では一喜一憂をいたしておるわけでございます。いまこの席で確たることを申し上げることができないのを大変残念に思う次第でございますが、以上申し上げましたように、被害状況調査というものを鋭意関係省庁でやっていただいておるところでございます。どういう数字が出るにいたしましても、災害復旧に、そして二次災害の防止に、一生懸命政府としてはがんばらなくてはならない、このように決意を固めておる次第でございます。  同じく登別、白老町を中心に起こりました二十四、二十五日の集中豪雨の問題につきましても、私も先般視察をさせていただきました。驚くやら、そのすさまじさに大変心を痛めた次第でございます。これも関係省庁において、被害状況調査を目下一生懸命やってもらっておるところでございます。これまた十号台風と同じように、いまこの場で激甚災云々ということをなかなか申し上げるまでに調査が進展いたしておりませんが、同じく災害復旧に事欠かないように、万全の措置を講じていかなくてはならないと思っておる次第でございます。  十号台風並びに登別、白老地区関係罹災者皆さん方に、私も心からお見舞い申し上げますとともに、ぜひ奮起して災害克服のために立ち上がっていただきたいということも、あわせて申させていただく次第でございます。
  57. 池端清一

    ○池端委員 台風十号関係につきましては、多くの都府県にまたがっているということで、被害状況調査も今日の段階で必ずしも十分ではないと思います。したがって、さらに調査を進めて判断をしたいということは理解できるわけでありますが、ひとつぜひこの問題については、従来の経緯等もこれありますので、前向きに対処をしていただきたいというふうに強く申し上げておきます。  ところが、登別の方でございますが、長官、私ここに現地の新聞を持ってきておるわけであります。これには、長官、はっきり激甚指定の意向ということで、記者会見で発表した内容も出ているわけです。これを私は金科玉条にやるつもりはございませんが、こうやって現地では、激甚はもう決まった、加藤長官、大変実績のある長官が言われたのだから間違いないということで、安心しているわけなんです。これが崩れましたら大変なことになるわけでありまして、ひとつこういうことも出ておりますので、まだ最終的な被害状況はまとまっておらぬと思いますけれども、従来、山陰のあの集中豪雨のときも、台風五号、六号と関連して激甚災に指定をしたという扱い等もあるわけですから、そういう点も十分配慮して、長官が記者会見で示したこの意向の方向にいくようにぜひ御努力をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  58. 加藤六月

    加藤国務大臣 その新聞を拝見しまして、私もいささか驚いておるところでございます。要望は受けまして、それに対してお答えはいたしたわけでございます。  もう少し具体的に申させていただきますと、登別市の標税の関係とそれから具体的な被害額等の関係、そこの数字等をこれまた一喜一憂しながら見ておるわけでございまして、私の気持ちとしたら、国は全力を挙げて災害復旧に取り組みたい、そして、地域の皆さん方に一日も早く安心して住んでいただけるように、そして日常生活に復帰していただけるようにしなくてはならないという決意の表明を現地でもいたしたことは事実でございます。ただ、標税の関係と具体的な被害額、それに対する査定額という問題が、今後どのように展開してくるかということに注目いたしておるところでございます。
  59. 池端清一

    ○池端委員 ひとつ、特段の御努力をこれについてもお願いをしたいと申し上げておきます。  次に、建設省にこの登別関連でお尋ねをいたしますが、幸い国道は早期復旧をいたしました。しかし、御案内のように、道道が各地で決壊及び流失をいたしておるわけであります。とりわけ、道道洞爺湖登別線と道道倶多楽公園線の決壊は、背後に登別温泉を控えておりまして、ここは御案内のように年間百万人近い観光客が訪れる温泉地でもございますし、市民生活にも重大な影響を与えておるわけでありまして、これの早期復旧を強く地元では求めておるのでありますが、これが復旧の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  60. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生御指摘の道道倶多楽公園線、それから洞爺湖登別線、そのほかに上登別室蘭線、弁景幌別線等の四路線が、この地区で非常な災害を受けております。  建設省としましても、翌日直ちに係官を現地派遣しまして、応急復旧の指導等をさせておりますが、現在までにまとめました状況でございますが、全体としましては、前記四路線で五十カ所、全部で五百メーター以上の区間が被災を受けております。  これら被災個所復旧につきましては、現在応急復旧努力しておるところでございますが、特に倶多楽公園線の被災が激甚でございまして、現在でも十七カ所が交通不能の状態でございます。後ほど申し上げますが、これの本復旧も非常に困難を伴う状況と判断しております。困難を伴うといいますか、時間のかかる状況と判断しております。  それで、まず洞爺湖登別線及び上登別室蘭線でございますが、迂回路を利用し現在通行可能になっております。  それから弁景幌別線については、応急復旧は完了して交通確保してございます。  今後の復旧でございますが、先生一番御心配の倶多楽公園線でございますが、紅葉谷から登別温泉に至る個所、全体の一部分でございますが、この被災個所は年内に復旧工事を完成する予定でございます。  それから先、登別温泉から倶多楽湖—展望台間につきましては、五十九年の六月、つまり来年の観光シーズンまでには復旧を完成するということで進めておるわけでございます。  それから、問題は、展望台から中登別間でございますが、この区間につきましては道路の崩壊等が非常に激しゅうございまして、新しく橋梁を架設しなければいかぬといったような個所が相当ございますので、現在のところは、復旧交通確保ができますのは六十年六月までかかるのではなかろうかという道庁の予想がございまして、これにつきましては、私どもも、今後北海道庁と十分協議しながら、できるだけ早期の完成に指導してまいりたいというぐあいに考えております。  ただ、何遍も申し上げるようでございますが、いままで道路だったところが流されまして、橋梁をかけなければいかぬということになりますと、工事としても端の方から順番にしていかなければいかぬという状況がございまして、工期の相当かかる点はやむを得ないのじゃなかろうかというぐあいに考えております。  それから、洞爺湖登別線につきましては、年内に復旧を図る予定にしております。これは紅葉谷大橋の復旧も含めて、年内に復旧をする予定にしております。  それから、上登別室蘭線でございますが、これは先ほど申し上げましたように、迂回路を利用して交通確保されているわけでございます。これにつきましては、本復旧は五十九年の十月ごろまでかかる予定でございます。  それから、最後の弁景幌別線につきましては五十八年度中に、つまり今年度中に二車線確保することになりますが、本復旧は五十九年十月ごろというぐあいに予定しております。  以上でございます。
  61. 池端清一

    ○池端委員 五十九年十月ごろとか六十年六月ごろとか、かなり気の長い話でありますが、確かに私も工期は相当かかるだろう、こう思います。思いますが、これはやはり鋭意その期間短縮に向けて最大限の努力をしていただきたい。時間がありませんので、そのことだけきょう申し上げておきます。  次に、国有林を中心にした山崩れも多発をいたしておりまして、その被害は甚大でございます。再度災害、二次災害発生のおそれが十分にあるわけであります。とりわけ、登別厚生年金病院の裏側あるいは旅館街の裏山などでは、病院の再開の問題や市民及び観光客の安全確保の面からも、緊急治山事業の早急な実施が望まれておるわけでございますが、これについての林野庁の具体的な対策をひとつ示していただきたいと思います。
  62. 小沢普照

    ○小沢説明員 お答えいたします。  今回の登別地方におきます豪雨によりまして、ただいま先生御指摘のように林地の災害が発生しておりますが、この災害復旧につきましては、私どもといたしましては直ちに現地に係官を派遣いたしまして、調査指導に当たったところでございます。  なお、先生いま御指摘の二次災害のおそれでございますけれども、私どもといたしましては、次期の降雨等によりまして二次災害の発生あるいはまた災害地が拡大するおそれのある緊要な個所につきましては、早急に緊急治山事業の実施によって対処してまいる考えでございます。  また、今回の災害の実態にかんがみまして、極力早期復旧するよう鋭意努力をしてまいる考えでございます。
  63. 池端清一

    ○池端委員 早期復旧、ひとつよろしくお願いをいたします。  最後でございますが、登別厚生年金病院の復旧の問題でございます。  社会保険庁にお尋ねをいたします。登別の厚生年金病院裏山の崩壊による土砂の流入によって、大変な被害を受けました。長官もごらんになったと思うのであります。職員の皆さん方の適切な措置によりまして入院患者の皆さん方が無事に避難できた、これは不幸中の幸いであった、こう思うわけでありますが、この患者の皆さんは、いま他の病院に分散して入院中でございます。医療機器もかなりの被害を受けているという状況でございますが、何としてでも一日も早い復旧を願う、これが地域の切なる声でございますので、この早期復旧のめどについてひとつお示しをいただきたいと思います。
  64. 小林廉夫

    ○小林説明員 お尋ねの登別厚生年金病院の持ちます使命の重要性、及び地域住民方々の強い御要望にこたえるために、一日も早く復旧に着手し、診療を再開したいと考えておるところでございます。  御承知のように、復旧に当たりましては、病院内外の土砂の搬出につきまして、病院の土地条件からくるむずかしさ等がございます。これらも含めまして、治山、流末処理、病院建物の損壊修復工事等、いろいろ相互に勘案しつつ病院再開計画を立て、部分的、段階的に可能な分野から診療機能を再開できますよう、鋭意検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 池端清一

    ○池端委員 ありがとうございました。終わります。
  66. 上原康助

    上原委員長 次に、柴田弘君。
  67. 柴田弘

    ○柴田委員 七月の山陰の集中豪雨、それに続く五号、六号、十号台風、そしてまた、今回の三宅島の大噴火によります大災害、これら一連の災害に遭われました被災者住民皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、今後一日も早く復旧をされますことを心から念じながら質問をさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕  そこで、三宅島火山爆発の災害についてでありますが、私はいろいろと情報を総合してまいりますと、今回の噴火爆発に対する観測体制というものが不十分ではなかったか、そして予知体制というものが甘かったのではないか、実はこんな気がしてならないわけであります。  マスコミの報ずるところによりますと、東京都の防災会議調査委員会が必ず噴火を起こすと予測をしておった。その報告書によれば、噴火すれば島内一周道路溶岩流によって切断される、ですから、人命損失を防ぐために噴火の前兆をまず確実につかまなければならぬ、そして、避難に十分な時間をかけるのが一番の得策である、このような報告をしておるわけです。  一方、気象庁の方はどうかといいますと、九月八日までは要するに調査を実施されておった。ところが、火山性ではなく、異常なし、こうして調査を打ち切られた、こういうことであります。  こういったことを考えてまいりますと——あるいはまた、ここは普通観測である、地震計は一台しかないとか、ガスの分析も年三回しか実施されていない、雄山の北側に一台あるだけだ、南側にもあればもっと事前に正確なデータが得られたのではないか、このようなことではないか、こう思うわけであります。だから、そういった観測体制の甘さという問題、それから予知体制の問題にやはり相当問題がある、私はこう思います。その点の指摘と、今後ともより一層充実した観測体制、予知体制というものをきちっとつくっていかなければいけないのではないか、こういった反省点があるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  68. 山川宜男

    ○山川説明員 先生御指摘の現在の火山噴火予知の体制、それから現在の三宅島火山の監視体制についてでございますけれども、三宅島につきましては、昨年十二月末から三宅島近海におきまして地震が群発いたしまして、私どもも一応警戒いたしておりました。ただ、震源が三宅島に近づくことなく数十キロ離れたところで、地震活動が一月中ぐらいに大体おさまったわけでございます。しかし私ども、昭和三十七年の前回の噴火のときも、群発地震活動が一たん終息した後で噴火した例もございますので、東京都さんには何回もお打ち合わせの会を持ちまして、御注意を促していたわけでございます。  先ほど御指摘の気象庁の八月下旬から九月上旬にかけての機動観測でございますけれども、これは予定を変更して一応念のために調べたわけでございますけれども、残念ながらその時点では噴火に結びつくような異常は発見できなかったわけでございます。  三宅島のような火山は玄武岩質の火山でございまして、こういう火山の特徴は、噴火の前兆になります火山性の地震とか雑微動が噴火の直前、一、二時間前にしかあらわれないという特徴がございます。学界でもよく知られたことでございます。そういう意味で、私どもはそういう現象を監視するのに、高倍率の地震計のテレメーターの方式をとりまして監視を続けておりまして、今回も午後三時三十分ごろの爆発だったわけでございますけれども、午後二時ごろからそういう火山性の雑微動が始まってまいりましたので、三宅島測候所では日ごろから防災機関とお打ち合わせしておりますように、まず村役場を通じて、現在こういう火山性地震が起こってきて異常であるので警戒してくださいという御注意を申し上げていたわけでございます。  私どももその時点では、これほどの噴火になるとは残念ながら予測できなかったわけでございます。現在、火山噴火予知は非常にむずかしいとされておりまして、特に先ほど申し上げましたみたいに玄武岩質の火山噴火については非常にむずかしい点があるわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、私どももできるだけもっと以前から前兆をキャッチして噴火予知ができるように、測地学審議会の建議の線に沿いまして、それから火山噴火予知連絡会等にもお諮りいたしまして、できるだけの努力をいたしてまいりたいと思っております。
  69. 柴田弘

    ○柴田委員 それで、現在、全国的に見まして、活火山六十七カ所のうち気象庁が常時観測体制をとっているのが十七カ所、この中にもちろん三宅島も入っておるわけです。浅間山、伊豆大島、阿蘇山、桜島、この四カ所は精密観測、こういう実態であるわけですね。  この際私は、これは長官に御要望したいわけでありますが、先ほど、こういった全国的な活火山の一斉点検ということもされるというようなことをお話ししましたね、結構なことだと思います。同時に、こういった観測というのは非常にむずかしい。いま気象庁の方で御答弁がありましたように、噴火の予知というのはむずかしい。噴火学というのは非常にむずかしいということだそうですが、その辺も私はよく聞いておるわけでありますが、果たしてこういった観測体制で十分であるかどうか、一度この辺で見直していただいて、より一層充実した観測体制、予知体制というものを一度整備することを御検討いただいてもいいのではないか、このような気が今回の三宅島のあれでしているわけでございます。  その辺の御提言をさせていただくわけでございますが、お考えがあればひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  70. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたようなことでございますけれども、観測体制あるいは情報伝達体制等の問題について、総点検をいたしたいと考えております。そして、その総点検のやり方その他につきましては、近々関係省庁にお集まりいただきまして、具体的にその方法その他について御協議をいただきたいと考えておるところでございます。
  71. 柴田弘

    ○柴田委員 いま、積極的な御答弁をいただいたわけでありますが、ひとつよろしくお願いいたします。心から御要望します。  それで、この三宅島の件につきましては、昨日いち早く長官が現地に飛ばれまして、つぶさに状況調査並びに被災住民に対するお見舞いをされたことに対して、私どもといたしましても心から敬意を表しているわけでございますが、そこでいろいろと聞いておりますと、確かに五つの対策、これはもう緊急を要する対策で結構でございますが、今後三宅島は一体どうなるだろうか、こういうことを考えてまいりますと、私は非常に心配しております。これは離島対策を兼ねて、島全体がいわゆる火山帯であるといった状況。  きょうの新聞を見ておりますと、もうすでに阿古地区住民の半数に当たる五百三十三名の人が島を離れてきている。これは一時的にせよ、小学校四十七名、中学校十三名、こういった人たちがもう島を離れてきているわけです。こういった点を考えてみますと、現在この三宅村全体といたしまして、産業の総生産額は五十六年実績で三十三億七千八百万円と聞いておるわけであります。その中で第三次産業の比率が七三%、観光客も夏を中心に年間十一万人お見えになる。それで、こういった非常に危険な、いつ爆発が起こるかわからぬ、こういうふうに観光客もなるじゃないかと思いますし、しかもこれが観光の目玉として人気のあった新澪池というのですか、あるいはまた村営牧場というものが溶岩に埋まってしまった、あるいは農業もやはりこの阿古地区で全滅をした。だから、この三宅島の今後の再建というか経済の基盤の立て直し。  それから、なおかつもう一つは、ただでさえこの三宅島の若者たちが年間百人ぐらいずつ離島している。どんどん島を離れている。こういったことを考えてまいりますと、やはり災害対策中心になるかもしれませんが、やはりこの三宅島住民の皆さんの生活の安定あるいは経済の安定を一つの基盤とした対策というものも、目先的な応急対策救助対策というのは必要でありますけれども、三宅島の将来をどうしていくかという問題も政府部内で真剣に御討議をいただきまして、住民皆さん方が安心して生活をしていけるような方策というものをとっていかなければいけない、こんなふうに考えるわけでございますが、これは政府を代表して長官からひとつ御説明を賜りたい、こんなふうに思います。
  72. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も先生がただいまおっしゃったことを、昨日来現地へ行って帰ってきて真剣に考えておるところでございます。  三宅島の集落は五つに分かれておりますが、その中で一番大きい阿古地区が今回壊滅的打撃をこうむって、生活基盤そのものを失われたわけであります。  そしてまた、昭和三十七年八月二十四日の噴火の当時、島内の居住者が六千二百名おられましたが、あの噴火の後千八百名余りが離島せられまして、今日四千四百名。そして、島内で一番大きい居住地区である阿古地区に約千三百名おられたわけでございますが、この方々生活基盤そのもの、家そのものもあわせてなくされてしまった。  島内の産業というのは、農林水産、一部酪農、そうして一部観光、そういう多様性のものを持っておられるわけでございますが、最大の人口居住区を有する地区が壊滅的打撃をこうむったので、今後この島の島民生活基盤というものも改めて考え直さなくてはならないし、島の発展振興計画も抜本的に考え直さなくてはならないのではないだろうか。  ちょうど、国土庁の地方振興局が離島の関係も担当いたしておりますので、昨日帰ってまいりましてから、地方振興局の離島振興課の方にも指示をいたしまして、この三宅島噴火問題に一緒に取っ組んでもらいたい。しかし、当面は何といっても応急対策に最善を尽くすが、今後そういった問題については政府と東京都と島、村当局と十二分に話し合いをして、島民皆さん方が将来に希望の持てるようなものを打ち出していかなくてはならないと考えておるところでございます。
  73. 柴田弘

    ○柴田委員 いや、本当に長官のおっしゃるとおりだと私も思いますね。やはり、島民皆様方が将来の生活に希望が持てるような方向で、東京都あるいは村ともよく御相談をいただいて、積極的な取り組みをお願いしたいわけであります。きのうテレビを見ておりまして、東京へ来られた女性の方がまた三宅島へ帰りたい、こうおっしゃっている姿を見て、やはり郷土に対する愛着というのはあるわけでありまして、これは島を捨てるというのはよほどのことだと思います。そういった愛着、わが故郷ということでございますので、ひとつ積極的な取り組みを心から要望していきたいと思います。  そこで、次は十号台風の問題でございます。  この十号台風は、御案内のように全国的に三十九府県にまたがる四十四名の死者、行方不明を出したのを初め、道路の決壊、河川の崩壊あるいは家屋の倒壊等々、甚大な被害をもたらしたわけであります。私ども公明党といたしましても、いち早く全国各地調査団派遣いたしまして、つぶさに調査をいたしました。そして、被災者関係住民を初め、関係市町村あるいは府県等々へ参りまして、いろいろな要望を受けてきたわけでございます。その中で十一項目にしぼりまして、昨日、長官はお見えになりませんでしたが、国土庁を初めといたしまして、官房長官、建設大臣あるいは農水省等々に申し入れをいたしました。  長官、御承知だと思いますが、大ざっぱに言いまして、後で一つ一つ聞きますので簡単でいいです、きのうは三宅島の方へ行ってみえたわけでありますが、申し入れに対してどう対応していただけるか、簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  74. 加藤六月

    加藤国務大臣 昨日の日程で、私が公明党の先生方にお目にかかり御要望を承ろう、こう日程を立てておりましたのですが、ああいうことになりました。帰りまして、公明党の御要望につきまして、適時適切な御要望である、こう判断をいたしたわけでございます。また、政府としましては、九月二十九日に関係省庁連絡会議を開催しまして、各般にわたる応急復旧対策を強力に推進することを申し合わせたところでございます。  それにつきましては、具体的な詳しい中身につきましては審議官から御報告させてもよろしいと思うわけでございますが、私としましては、今後とも関係省庁間の連絡を密にしまして、被害状況早期把握に努め、災害応急復旧に対して万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 柴田弘

    ○柴田委員 そこで、先ほど来お話がありました激甚災害特別措置法に基づく激甚災害の指定措置、これはもう各自治体、非常に要望が強うございました。この激甚災害の指定措置について、私どもとしても特に御要望さしていただきたいと思いますが、この辺改めて現在の取り組み、今後の見通し、いつごろまでに査定ができて、どう対応できるかという具体的な点を含めて、ひとつ御答弁を賜りたいと思います。
  76. 加藤六月

    加藤国務大臣 具体的なと言われますと大変困るわけでございますが、先ほど来多くの先生方の御質問に対しましても私、激甚災害の指定については、現在、関係省庁において鋭意被害状況調査中でございます、したがいまして、現段階でその見通しについて申し上げられないことを非常に残念に思う、こういうことをお答えいたし、また、ぜひそこら辺の立場を御了解いただきたいとも申し上げておるところでございますが、今後、さらに調査を急ぎまして、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたいと考えておるところでございまして、関係省庁、いま各地に飛んでいただきまして、一生懸命調査を急いでおるところでございます。それが何月何日までに完了するのかということになりますと、それぞれの省庁の進捗状況等もございますので、ひとつ早期にやる決意で一生懸命取っ組んでおるということで御理解いただきたいと思います。
  77. 柴田弘

    ○柴田委員 では、数点にわたって関係省庁にお伺いをしていきます。  災害復旧事業の問題でありますが、これは、再度災害を防ぐために復旧事業は、原形復旧にとどまらず現地の事情に即応した改良復旧事業を促進してもらいたいという要望なんです。先般の山陰水害のときにも、こういった要望が関係市町村からあったわけでありますが、この点についての対応。それから二つ目には、自治体といたしましては、災害応急復旧対策あるいは災害復旧事業等に多額の財政負担を必要とするために、被災市町村に対する特別交付税の増額等の財政措置、これについての特別の御配慮を賜りたい。それから、公共施設等の災害復旧事業を促進するために、単独事業にかかわる起債枠の確保について特別の配慮を講じてもらいたい。こういう要望があるわけでありますが、とりあえずこの三点について、具体的な取り組みについてお伺いをしていきたいと思います。
  78. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  災害復旧の改良復旧という先生の御質問でございますが、台風十号によります災害復旧事業の実施に当たりましては、被災個所早期復旧及び再度災害の防止を図るために、現在、早期査定及び事業の早期実施に努めておるところでございますが、被災状況に応じまして、現在われわれが実施しております関連事業あるいは災害復旧助成事業あるいは激甚災害対策特別緊急事業等の改良復旧事業を積極的に推進してまいりたいというように考えております。
  79. 田中暁

    田中(暁)政府委員 自治省がちょっとおりませんので、私がかわってお答え申し上げます。  被災団体が行います災害復旧事業等に要します経費につきましては、実情十分調査の上、被害状況財政状況を総合的に勘案いたしまして、適切な特別交付税措置あるいは地方債の配分等を行いたいと考えます。
  80. 柴田弘

    ○柴田委員 それから、被災家屋の建て直し、修改築に対しましては、住宅金融公庫の特別融資の早期実施を図るとともに、限度額の引き上げあるいは金利の引き下げなど、公的融資の改善を推進してもらいたい。それから、中小企業者に対する経営安定、生活再建、政府系三機関の特別融資の早期実施、既往の借入金についての償還期限の延長、税の減免などの特別の配慮を講じてもらいたい、こういった要望も例によってあるわけでありますが、この辺についての御見解を承っていきたいと思います。
  81. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 今般の台風十号によります被災者におかれまして、住宅の建設または補修を行います場合については、住宅金融公庫におきまして、一般の貸し付けよりも有利な条件の災害復興住宅資金の貸し付けを行うよう直ちに措置することといたしまして、十月一日から受け付けをすでに開始いたしたところでございます。災害復興住宅資金の貸付限度額につきましては、本年五月一日から適用いたしておりますが、たとえば建設の場合で木造等につきましては、従来七百三十万の貸付限度額でございましたが、これを八百万に引き上げております。また、家屋が損傷した場合の補修につきましては、木造等の例でまいりますと、かつて三百六十万円という限度額でございましたが、これを四百万円に引き上げたところでございます。  金利につきましては、一般の貸付利率が、現在一番低いもので五・五%というような状況にございます。災害復興の貸付利率は五・〇五%ということになっておりますし、さらに、一般の貸し付けの場合いわゆる段階金利制度ということで、当初の十年間は五・五%でありますが、十一年目以降につきましては財投金利で、現在は七・三%でございますけれども、財投金利で貸し出しをするというようなことになっておりまして、災害復興貸し付けの場合、通期五・〇五%で貸し付けをさせていただいているところでございます。  さらに、ちょっとよけいなことでございますけれども、公的融資の面におきましては、各県におきまして現在住宅の取得資金につきまして、いろいろ利子補給事業等を行っているところが多いわけでございます。今般の災害につきましても諸制度を動員いたしまして、地方とともども住宅の復興がうまくいきますように進めてまいりたいと考えているところでございます。
  82. 田中暁

    田中(暁)政府委員 被害を受けられました中小企業者への対策でございますが、すでに通産省はいわゆる中小企業政府系の三機関に対しまして、災害の特別融資の実施を指示いたしておるところでございます。また、御質問にございました償還期限の延長でありますとか税の減免等の配慮につきましても、それぞれ法の規定に従いまして十分配意するつもりでございます。
  83. 柴田弘

    ○柴田委員 次は農林省関係でありますが、農林漁業者の生活再建、天災融資法の早期発動という要望があるわけであります。いずれにいたしましても、自作農維持資金の融資枠の確保、限度額の引き上げ、既往の各種制度資金の償還期限の延長、利子の減免など特別の配慮を講ずること、こういった要望も受けておるわけでありますが、この辺についての対応。いま一つは、農林漁業関係の損害に対する共済金についての評価の認定を急いでいただきたい、そして早期支払いを実施していただきたい。こういった二点についてお伺いをしておきたいわけであります。  その他、警戒避難体制の問題あるいは救助対策に万全を講じてもらいたい、あるいはまた弔慰金の支払いの問題、個人災害共済制度の普及、水害保険制度の創設、こういった点を要望しておるわけでありますが、この辺もよく御検討いただきたいと思います。農林省の方から答弁をいただけるなら、いただきたいと思います。
  84. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 今回の台風被害によります農家の生活再建なり営農の継続のための必要な資金につきましては、御承知のとおり長期低利の自作農維持資金等がございますので、こういう資金の円滑な運用を図ってまいりたいと思っております。現在のところ、被害状況なり資金需要につきまして、まだ全国的な集計もできておりませんのでなんでございますけれども、できるだけ早く被害状況の的確な把握に努めまして、末端を指導してまいりたいと思っております。  それから、すでに借り入れている資金につきまして、災害を受けられました農家の方々いろいろ苦しい点がございますので、従来からもこういう際には、できるだけ償還猶予等弾力的な対応をすることにしておりますので、それぞれの金融機関なり関係方面の指導の徹底を期したいと思っております。  最後に、農業共済制度につきましては、まさしくこういう災害対応する制度の根幹でございますので、できるだけ早く損害の査定等共済金の支払いができますよう、共済団体等の指導に万全を期してまいりたいと思っております。
  85. 柴田弘

    ○柴田委員 次は新しい問題で、北海道の冷害対策についてお伺いいたします。  わが党といたしましては、この冷害に対しまして、冷害調査団を三班に分けて北海道派遣いたしまして、いろいろ調査をしてまいりました。  そこで、時間がありませんから簡単に聞いていきますが、北海道庁の調査によりますと、農作物の被害見込み調査被害面積は全道で五十七万八千ヘクタール、被害見込み金額は二百六十億円と聞いているわけでありますが、被害状況被害金額は農林省、国としてはどのように把握しているか。  それから、被害農家の方々から出されている要望としては、大まかに言って四点あるわけであります。経営資金の確保の問題、制度資金償還猶予などの問題、共済金の早期支払い、第四点目は農産物規格の特例措置の実施、こういった要望があるわけであります。この辺について、私どもとしてもたしか農林大臣に要望していると思いますが、どう取り組んでいかれるか。  いずれにいたしましても、このままの状態で放置しておけば、冷害農家の経営基盤は崩れ、生活破綻は必至であるわけでありまして、いまこそ政府の温かい、きめ細かな対策の実施を強く要望したいわけでありますが、簡単で結構ですから御答弁いただきたいと思います。
  86. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 被害金額、被害面積につきましては、まだ農林水産省としてのきちんとした精査ができておりませんが、ただいま先生御指摘のありました北海道庁の調べ、それにほぼ近いものになろうかと思っております。ただ、特に大どころの水稲等につきましては、ことしは障害型じゃなくて遅延型でございますので、これから収穫期にかけての天候の回復を祈りたい気持ちでいるわけでございます。  それから、北海道関係で公明党からも御要望のあります四点につきましては、経営資金の確保でございますとか既貸付金の償還条件の緩和、共済金の早期支払いにつきましては、先ほどの台風十号の場合と同じように、被災農家の方が一日も早く立ち直れるような形で、早期に物事に対応してまいりたいと思っております。  それから、北海道独自の問題として、農産物規格の特例規格を設定してくれという話が来ておるわけでございますけれども、これにつきましても、過去の災害等の場合にやった経験もございますし、地元からの要望等を受けまして検討を進めたいと思っております。
  87. 柴田弘

    ○柴田委員 ぜひお願いをいたします。  長官に最後にお聞きしておきたいと思います。  ことしに入りましての災害はもうずっと、日本海中部地震、山陰の水害あるいは台風五号、六号、十号、そして三宅島。この調子でいきますと、被害は五千億を超えて一兆円近くになるのじゃないか、こういうふうに私どもは判断をしておるわけであります。そこでこの五十八年度予算、このままで果たして十分な対応ができるかどうか、心配をしているわけであります。  建設大臣は、マスコミの報ずるところによりますと、やはり二兆五千億ぐらいの追加の公共事業というのは必要じゃないか、大型補正予算を組むべきじゃないか、こんなように言っているようでありますが、とにかく、上半期に七二・五%の前倒し発注をやると十月以降は二七・五%。防災対策中心にした公共事業を執行していくためには、どうしても公共事業の追加、年内の補正予算の編成というものが必要になってくるような気がして私はならないわけでありますが、ひとつ長官の御見解を伺っておきたいと思いますが、どうでしょう。
  88. 加藤六月

    加藤国務大臣 追加財政需要等の見通しがまだ明らかでない現段階でいろいろのことを申し上げられないと、まず総論的に申し上げざるを得ないわけでございますが、私も、次々起こってくる災害等を勘案しまして、予備費はどうなっておるか、あるいはいろいろな場所で、早期復旧、二次災害の防止を図る立場で、こう申し上げておりますが、そこら辺で災害復旧事業がきわめて重要なものであるという立場で、その円滑な実施が確保されていくように関係方面とも精力的に折衝をしていかなければならないし、また、精力的に現在折衝いたしておるところでございます。
  89. 柴田弘

    ○柴田委員 あと数分ありますので、もう一つ。  私どもの方へ「桜島の火山活動対策に関する件について 要望書」ということで、本年九月に桜島火山活動対策議会協議会、これは鹿児島市議会、垂水市議会、桜島町議会、福山町議会、それから輝北町議会、この五市町の議会を中心にした対策協議会だと思いますが、要望が参りました。一遍調査に来てください、こういった要望を関係機関に働きかけてぜひお願いいたしたい、こういうことであります。  もちろん、活動火山対策特別措置法による降灰防除地域の指定を受けまして、いろいろな補助事業があるわけであります。この補助率の引き上げはもちろんでありますが、これ以外に、砂防・治山事業について直轄事業へ編入していただきたいとか、道路整備についても工事費の枠を拡大してもらいたいとか、降灰除去事業についての補助率を三分の一から三分の二にしてもらいたい、あるいは公共下水道降灰除去の補助基準の見直し、あるいは軽石対策降灰防除施設整備事業についての助成、防災営農対策事業の推進、火山ガス対策についてと七項目にわたって、恐らく政府の方にも行っている、こう思います。  時間がありませんから、また今度ゆっくりと改めてやりますから、大ざっぱで結構ですが、こういった要望に対してどういうふうに取り組んでいかれるのか、私からもこの要望についてひとつ万全を期していただきますことを要望いたしまして、その答弁をいただきまして質問を終わります。
  90. 田中暁

    田中(暁)政府委員 桜島ほか活動火山対策につきましては、国土庁といたしましては、関係省庁の協力を得まして円滑な推進に努力しておるわけでございまして、本年度におきましても、現在の財政事情のもとにおきまして前年度に比しまして一・六%増、五十七億円の事業が実施される見通しでございます。  この活動火山対策特別措置法によります事業につきましては、一般には補助の対象にならないものを補助対象にいたしましたり、あるいは補助率の引き上げを行っておるものでございますので、現地からのいろいろな要望の中でこういった補助率の引き上げ等の措置は、現下の財政状況を考えますとなかなか容易でないということは御理解いただけると思いますけれども、しかし今後とも、重要な事業でございますので、関係省庁連絡をとりまして、総合的に効果が上がりますように努力してまいる所存でございます。
  91. 柴田弘

    ○柴田委員 では、いろいろ申しましたが、とにかく災害対策、防災対策というのは、これはやはり人命尊重という立場から、国としても政府としても第一義に取り組んでいくべき問題であります。今後の政府対策を強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  92. 池端清一

    ○池端委員長代理 次に、横手文雄君。
  93. 横手文雄

    ○横手委員 わが国の場合は災害の多発でございまして、国としても大変御苦労をいただいておるところでございます。台風十号の災害まださめやらぬうちに、いやむしろ、その対策についていま調査を始めようとしているそのやさきに、あの三宅島噴火災害が起こってまいりました。長官もその本部長として早速現地に飛ばれた、そして、現地皆さん方に対していろいろと要望を聞きながら万遺漏なきよう対策をとっておられる、大変御苦労さまでございます。  これらの問題についてはけきほど来、質問の中でそれぞれ究明をされております。特に、台風十号関係につきましては、かなり広い範囲において、日本の国の約半分近くに対しまして大きな被害をもたらしておるところであります。けさほど御説明がございましたこれらの問題に対して、国土庁中心にして各省庁はそれぞれ対策を講じておられることでございますし、あるいは先ほどまでの御質問の中で、それらの問題について御答弁があったわけでございます。  私の福井県におきましても、そう大きな被害ということではございませんでしたけれども、しかし床上浸水床下浸水あるいは道路の崩壊等もございました。この国土庁から発表になっております災害被害状況を見ましても、福井県の場合に、一部破損の住宅家屋が一軒、こういうことになっております。これは私のすぐ近くの家でございまして、私も見舞いにはせ参じてきたことでございます。  しかし、一部破損ということでございますけれども、裏山が崩れて家の中へ入ってきたわけでございますから、これはとても住めるようなところではございません。地方自治体としても早速その家に市営住宅のあっせんをする、あるいはできるだけ早くがけ崩れの防止、これの復旧を行う、こういった約束のもとにいま手がつけられようとしているのであります。自治体としても一生懸命でございましょうし、その中で、国の施策についてどうか手をかしてくださいという、あえぎといいましょうか叫びといいましょうか、そういったものが起こっているわけでございます。  これらの問題に対して、よしわかったという国の施策が、この被災者皆さん方に対する大きな勇気づけであろうと思います。その問題について、まず長官の御決意をお願い申し上げます。
  94. 加藤六月

    加藤国務大臣 台風第十号は、冒頭審議官からも御報告申し上げたとおり、三十九府県の広域にわたり甚大な被害をもたらしたところでございます。  そこで、政府としましては、九月二十九日に災害対策関係省庁会議を開催しまして、先般来申し上げておるように、被害状況早期かつ的確な把握被災者に対する適切な救護救援措置、あるいは道路河川農業用施設等の早期査定、早期復旧という当面する重点事項を申し合わせまして、鋭意その対策に取り組んでいるところでございまして、今後とも関係省庁が緊密な連絡をとりながら対策に万全を期してまいり、そして被災者皆さん方がたくましく立ち直っていただくようにあらゆる応援をいたしたい、このように決意を固めておるところでございます。
  95. 横手文雄

    ○横手委員 長官のかたい決意でございます。被災地皆さん方もそういった声に励まされながら、また再建へのつち音高く、たくましく再建をお願い申し上げる次第であります。  三宅島噴火の問題につきましては、けさほど来御説明をいただきました。わが党といたしましても、けさこれの対策委員長調査団団長にいたしまして、いま調査に行っておる最中でございます。本院においても、調査団派遣の準備がいまなされているようでございます。この問題について、予測ができなかったのか、あるいはその他多くの問題をわれわれに教えているわけでございます。自然の猛威に対して、人間の力は大変小さなものでございましょう。しかしながら、それを予知する、したがって、その災害を未然に防ぐ、あるいは起こってしまった災害を最小限に食いとめる、あるいはそこからまた立ち直っていく、これは人間の力であり知恵であろうと思うのであります。  私はそういった観点に立って、もし本委員会から派遣をするということになればぜひその一員に加えさせていただいて、現地を見て、また後の機会にこれらの問題についてお伺いを申し上げたいと思うのでございますが、とりあえず非常災害対策本部第一回本部会議決定ということでここに五項目が示されております。いずれにしても、被災者皆さん方にとってこれからの立ち直りの問題、あるいはその他の今後の監視体制等の問題を含めて、どれ一つをとってもおろそかにできない問題でございます。どうかこれらの問題に対して、万遺漏なき対策お願い申し上げる次第でございます。  長官の決意がございましたら、一言お聞かせください。
  96. 加藤六月

    加藤国務大臣 昨夜決定しました五項目の問題、真剣に取り組んでおるわけでございます。そして私は、それらの問題を含めまして、島民皆さん方が安心していただけるようなものを現在進めなければならないということで特に留意いたしておりますのは、最初の一項目目の問題でございます。ある先生にお答えいたしたわけでございますが、自衛隊海上保安庁等の船舶を同島周辺に配備しまして、二次災害といいますか引き続き起こる災害に対しても万全の措置を講じておる。さらに、東京都知事とも昨日長い電話で話をいたしましたが、きょう現地にお行きいただくとか承っておりますが、今後東京都あるいは同村の関係者の皆さん方の立場を十二分に踏まえ、また各省庁相協力してこの問題に取っ組んでいきたい、こう思っておるところでございます。
  97. 横手文雄

    ○横手委員 それでは、それらの問題について十分な対策がとられますように、特に災害早期ということが大変大事でございますので、それらの問題について万遺漏なきようにお願い申し上げる次第であります。  次に、私は、桜島の問題について御質問を申し上げます。  一昨年でございましたか、本委員会が現地を視察をいたしました。そのときにも、多くの御要望をいただいたわけでございます。そして私も、この視察に参加をさせていただきまして、つぶさに現地を見てまいりました。私は、たまたま生まれが鹿児島の国分でございます。まさに私の幼き日の毎日の思い出の中に、この島はいまも生き続けているわけでございますが、そのころはそう爆発もなく、われわれも桜島のような人間になりたい、こんなことで励まされた山でございましたけれども、とみにこのところ火山活動が活発になり、一昨年参りましたときに現地で、たしか知事でございましたか、かつては宝の山であったけれどもいまわれわれにとっては魔の山になりつつありますというお話を聞いて、その苦悶のほどを知ったわけであります。したがって、これの対策についてはとても自治体だけでは手が届きません、国の大きな力をかしてくださいという御要望を聞いてまいりました。  それから、毎年災害対策理事ということで私の手元にも要望書が届けられるわけでございまして、昨年もいただきましたし、本年もいただきました。その中身が毎年同じようなことである、ほとんど同じような形で行われておるということでございますが、それだけ国としても力を注いでおられるにもかかわらず毎年同じ要望を出さなければならない、そういった難事業であるということも理解をいたしております。しかし、だからといってこれをどうにもなりませんというのでは、これまたせんない話でございます。一つずつこれらの問題について現地皆さん方に、いまはこうだけれどもやがてかくのごとき方向をとりつつある、こういうことをお示しするのも現地皆さん方にとって大変必要なことである、このように思いますので、この七項目の要望に沿いまして、現在の進捗状況あるいは今後の見通し、現地の要望、こういったものを取りそろえながら御質問を申し上げる次第であります。各省庁にそれぞれ届いておる要望書でございましょうから、そういったものを参考にしながら御答弁をお願い申し上げます。  まず一つは、砂防・治山事業であります。  「桜島の砂防・治山事業は極めて大規模で、昨今少量の降雨でも土石流が発生する等、緊急を要する状況にあるので、事業費の枠を大幅に拡大されると共に、直轄砂防事業への編入を促進されたい。」このようなことでございます。今日までの状況、それぞれ大変な御苦労をいただいておるわけでございますけれども、しかし直轄事業で行っておられる河川を見ても、土石流の発生回数は五十八年のこの時点ですでに十二回、今日ではこれを大幅に、特に野尻川等につきましてはこのような数字が出ておるわけでございまして、今日ではもっとこの回数のふえていることだと思います。これらの問題について、あれだけの直轄事業でやりながらなおそれを食いとめられないということについて、その進捗状況と、一体どういうことなんだろうか、このことについてまず建設省お願いいたします。
  98. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  桜島におきます砂防事業でございますが、四十七、八年ごろから非常に活動が活発になりまして、その後活動に伴いまして土石流が発生するというような状況になってきております。  そのため、直轄あるいは補助の砂防事業として、以後鋭意工事を実施しているところでございますが、特にその対策に対しまして、技術的に困難であり、あるいは工費も非常にかかるというようなところにつきましては、昭和五十一年度から直轄砂防ということで工事を実施いたしているところでございます。さらに、昭和五十六年度には、全国に先駆けまして火山緊急対策砂防事業というものを新たに採択しまして、除石等の事業の実施をしてまいっているところでございます。  土石流が非常に頻発しております。これに対しましては、先ほどお話のありました野尻川等につきまして、直轄砂防事業の災害復旧事業といたしまして採択していただき、これらをあわせて、再度災害の防除と民生の安定ということに努めているところでございます。  全国的に見ましても、非常に活動が活発でございますので、特に桜島の土石流対策につきましては、他のところよりと申しますか、最大限重点を置いて対応しているところでございます。土石流が非常に出やすい、荒廃の進んでおります渓流八渓流でございますが、当初は七渓流で直轄事業として始めまして、途中一渓流を加えております。当面この対応が重点でございますので、この八渓流についての対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  99. 横手文雄

    ○横手委員 治山事業関係等についてはいかがでございますか、農林省。
  100. 今村清光

    ○今村説明員 お答えいたします。  林野庁といたしましては、桜島における治山対策につきまして、火山活動が激しくなってまいりました昭和五十一年度から国の民有林直轄治山事業ということで、治山施設の積極的な整備を図っております。崩壊地の復旧、荒廃渓流の整備、あるいは緑化ということで努めているところでございます。  今後につきましても、当該地区における治山事業の重要性にかんがみまして、第六次の治山事業の五カ年計画に基づきまして、緊急かつ計画的な事業の実施に努めてまいりたいと思っております。予算事情が大変厳しいときではございますけれども、全般の事業に比べまして、進度その他についてはウエートを置いておるということで進めてまいっておるところでございます。
  101. 横手文雄

    ○横手委員 今後ともぜひひとつ、これらの被害の発生の減少のために御努力お願い申し上げる次第であります。  次に、道路整備の問題についてであります。  周辺の国・県道等について工事費の枠を拡大し、さらに整備をしてくださいということでございますが、特にここに出されておりますのは、国道二百二十号福山—垂水間、二百二十四号袴腰—桜島口間、あるいは県道で袴腰—黒神口間、それから県道で垂水市と輝北町、こういった具体的な道路名を挙げて、これらの整備についてはぜひ早急にお願いをしたいという強い要望でございますけれども、この点については現状はどうなっておりますか、ひとつこれの見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  102. 和田惇

    ○和田説明員 道路関係につきまして、お答え申し上げたいと思います。  昭和四十八年に定められました活動火山対策特別措置法というのがございますが、それに基づきまして避難施設緊急整備計画というものが策定されているわけでございます。この計画に挙げられております道路整備につきましては、鋭意その促進に努めてまいったところでございまして、国道につきましてはすでに五十一年に完成をいたしております。県道につきましては五十三年度、それから市町村道につきましては五十七年度までにすべての事業を完成しておるわけでございますが、さらに、非常の際の避難体制が円滑に行われますように、整備計画の地域はもとよりでございますけれども、その周辺の地域につきましても、鋭意、道路の拡幅であるとか道路線形の改良といったようなことを実施しておるわけでございます。  まず、整備地域内でございますけれども、一般国道の二百二十四号、それから主要地方道の桜島港黒神線というのがございますが、こういったようなものについてもさらに事業を進めておるところでございます。また、その周辺部でございますけれども、たとえば一般国道の二百二十号、それから主要地方道の垂水大崎線といったような路線がございますけれども、これらにつきましても整備を進めておるところでございます。  五十八年度の事業でございますけれども、五十七年度の予算を大幅に上回っておりまして、十億二千万といった予算で事業を実施している状況でございます。  今後につきましても、災害の防止という観点から道路整備を鋭意進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  103. 横手文雄

    ○横手委員 この道路の問題については、いま御指摘がございましたように、現地としては避難道あるいは避難施設、そういったことも含めて拡幅も同時にという強い要請が出ておりますが、それらの問題に対しても地元の要請に十分こたえてまいります、こういうことでよろしいのでございましょうか。
  104. 和田惇

    ○和田説明員 いま申し上げましたとおりでございまして、県とも十分相談いたしまして、事業促進を図ってまいりたいと思います。
  105. 横手文雄

    ○横手委員 次は、道路降灰除去、市街地降灰除去の補助率の引き上げということ、それから、公共下水道降灰除去の補助基準の見直しについて配慮していただきたいという要請でございますが、現行の降灰除去事業につきましては、道路降灰が、一年間に一平方メートル千グラム以上が二分の一、二千五百以上が三分の二、あるいは宅地については、千グラム以上が二分の一補助、このようになっております。私も、子供のころから経験をしたことでございますけれども、灰が降ってくるというのはどうにもならない、道路に積んだのでは、これはまたどうにもならぬというようなことでございます。よく知っております。したがいまして、これらの問題について、千グラム以上でもひとつ三分の二の補助に引き上げていただけないだろうか、こういう具体的な要請でございますが、その要請にお答えをいただけましょうか。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  補助の制度につきましては、ただいま先生がおっしゃられましたとおりでございますが、この場合の補助率につきましては、三分の二以内を国が補助することができるということでございますが、その内訳といたしましては、下水道または都市下水道に係るものは三分の二ということになってございます。一方、都市排水路、公園または宅地に係るものは二分の一ということでございまして、この点の御指摘があったわけでございますが、この補助率につきましては、都市災害復旧事業として施行されます堆積土砂排除事業と同じでございます。  引き上げ等の問題につきましては、現下の国の財政状況を考えてまいりますと、一律にこれを三分の二に引き上げることは困難なことではないかというふうに考えておるところでございます。
  107. 横手文雄

    ○横手委員 国の財政事情はよくわかります。しかし、これは灰が降らなかったら全然かからないわけでございます。降ったときに大変苦労します。だからせめてわれわれも、住民生活を守るためにできるだけ早く除去します、そして、できるだけ正常な状況に戻すように努力します、こういうことでございまして、恒常的にずっと何かにお金を下さい、あるいは補助をつけてくださいということであれば、これはよそとの関係もあるということでございましょうけれども、降ってしまったときにやる、だから、降らなかったら何もそういったお金も要らないわけでございます。地元皆さん方のこういった要望は聞けませんということでございますけれども、特に道路等については、検討の余地もないのですか。
  108. 依田和夫

    ○依田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、都市災害復旧におきます堆積土砂排除事業と同率になっておるわけでございまして、全体の再検討ということが起こりました場合には私どもも検討させていただきたい、このように考えております。
  109. 横手文雄

    ○横手委員 それでは、公共下水道の補助の基準の見直しについても具体的な要請が出ておるわけであります。  この基準の中に「連続して二ケ月以上の月において降灰があり、且つ、建設大臣が定めるところにより測定した降灰量が一m2当り年間一〇〇〇g以上に達し、更に、下水道容積の一定量(災害基準では三〇%)以上に達した場合に適用する。」このようなことで、いま補助基準がつくられて補助が行われているところでございますけれども、特にこの下水道については、現地で強く強く言われておりますのは、「更に」から後の文章を削除してもらえないだろうかということでございます。「一m2当り年間一〇〇〇g以上に達した場合に」という基準に直してもらいたいというきわめて強い要請がございます。このことについては、よし、わかったと言ってあげるべきだと思いますが、どうですか。
  110. 依田和夫

    ○依田説明員 現在の補助基準につきましては、下水道並びに都市排水路につきましての断面積の三割以上に堆積した場合に補助対象ということになっておるわけでございまして、その補助対象は堆積量の七割という基準でございます。この考え方といたしましては、断面積の三割以上が埋まったという場合に著しく流水の疎通が妨げられた状態だというふうに理解をするわけでございますが、通常の場合でも下水道管には一定の泥土が堆積することがあるわけでございまして、このようなケースは通常の維持管理の範疇に含まれるというふうに理解をいたしておるわけでございまして、そのために現在の補助基準ができているということでございます。
  111. 横手文雄

    ○横手委員 これは、災害対策委員会でいま議論をしておる最中でございまして、特にこういった地域において降灰量が年間一平方メートル当たり千グラム以上に達した場合には、地元としては大変困っておりますということなんです。道路にも積もっておる、あるいは当然のこととして下水道の中にも入ってくる。大変な作業です。だから、灰が一定量以上降ったら下水道も掃除しなければならない。普通のところでもそのぐらいだということじゃなくて、ここは特に灰が空から降ってくるわけですから、一定量降ったら必ず入ってきます。それを除去しなければなりません。そのことについて見てくださいということなんでございますが、それでもいかぬのですか。
  112. 依田和夫

    ○依田説明員 一定量以上のものについては補助対象としておるわけでございますが、その意味では補助対象として見ておるということでございます。どこからが災害で、どこまでが維持管理かというところの境目につきまして、堆積量が断面積の三〇%をもって以上、以下に分けるのだということでございまして、この考え方は、公共土木施設災害復旧事業におきます公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によります河川災害におきましても、同様の基準となっておるものでございます。
  113. 横手文雄

    ○横手委員 灰が降らないのに下水の掃除をする、それに補助金を下さいと言っておるのじゃないのですよ。一平方メートルに千グラム以上の灰が降ったら当然下水も埋まります。そのときには掃除をしなければなりません。だから、無条件でそういうことの補助をしてくださいということを言っておられるのじゃないのです。灰が降ると当然入ってきます。千グラム以上灰が降ったら、道路の除灰をするのにも補助金をもらわなければやれないくらいでございます。それは当然下水の中にも入ってきますから、掃除もします。一定量降ったら、当然そのかなりの部分は下水道の中に入ってくるのだから、それを掃除するのだから、それにも補助を下さいということなんですね。その点については、やはり別に配慮してもらう必要が絶対あると思うのです。  灰が降ったから道路に積もりました、そうすると、これを除去するのに、とてもできませんから助成を下さい、わかりましたということで、いまのところ二分の一、それ以上の場合だったら三分の二という補助が出ております。それはほとんど下水に入ってきます。当然のこととして、下水も掃除しなければなりません、そのことについて手をかしてください、こういうことなんですから、それだけでいいじゃありませんか。それ以上、どれだけたまったらどうのこうのということではなくて、道路に降ったらそれが入ってくるのだから、一定量道路に降ったら、そのための下水道の掃除のためにも助成金を出しますということは、そう無理な話じゃないと思うのですが、まだたくさんございますので、この点についてぜひ検討していただきたい、現地の声に十分耳を傾けていただきたいという要望にとどめておきます。  次に、軽石対策についてでございますけれども、これは私も現地を見てまいりました。噴火によって大量の軽石が出てくる。それについていま建設省として、これを海に流さないように大きな堰堤をつくってとめておられるわけでございます。しかし、これを完全にとめることはできません、水も一緒にとめるというわけにいかぬのですから。だから、当然のこととして海の中に流れてくる。これはもう仕方のないことでございましょうし、その点についてもできるだけ出さないように御努力をいただきたいわけでございます。  出た軽石が生けすの中に入ってくる。この被害状況の写真もお手元に行っておることだと思いますけれども、このような惨めな状態になっておる。そして、生けすの中に入っておる魚は軽石を飲み込んでしまう、あるいはえらについて窒息してしまう。ですから、軽石がそれらのところに入ってこないような何らかの処置をしてください、こういった要望が出ておりますが、それらの問題について農水省、特に水産庁あたりで検討が進められていると聞いておりますが、どうなっておりますか。
  114. 山添健一

    ○山添説明員 先生の御質問に、水産庁の方から御説明申し上げます。  軽石の海面流出対策につきましては、基本的には発生源において防止する対策が必要というように考えておるわけでございますが、海面における流出軽石の対策につきましては、まず検討に必要な基礎データを得る必要があるということでございまして、私どもは災害対策総合推進調整費によりまして、昨年、昭和五十七年度とそれから今年度の二カ年の計画でございますが、流出軽石の魚類の養殖に対する影響がどうであるかという点と、それから海に出ました軽石の挙動の調査でございます。これについて、調査地元の財団法人鹿児島県公害防止協会に委託して、いま実施している最中でございます。  流出軽石の対策につきましては、この調査の結果を踏まえまして、地元関係者と協議しまして早急に有効な対策がとられるように努力したい、こういうように考えておる次第でございます。
  115. 横手文雄

    ○横手委員 早急にというようなことでございますけれども、現実に漁業者の皆さん方のところは、せっかくつくった生けすの中に軽石が入ってくる。上から降ってくるやつはやむを得ないにしても、どうしようもないにしても、流れてくるやつを上の方でもとめてもらっておる。しかし、一部はどうしても海の中へ入ってくる。完全にとめることはできない。だけれども、流れてきたのがこういう形で生けすの中へ来ております、中の魚が死んでしまいます、何とかしてくださいということの訴えなんでございます。  いま、これに対する防除の研究をしておりますということですが、それでは現地皆さん方に対して、言葉は悪いかもわかりませんけれども、お待たせしました、もう軽石はこれで入らなくなります、どうぞ安心していわゆる栽培漁業にいそしんでくださいと言われるのは、いつごろになりますか。
  116. 山添健一

    ○山添説明員 先生の御質問でございますが、先ほども申し上げましたとおり、現在鋭意調査を実施しているところでございますが、軽石の挙動等につきましては非常に千差万別な変化がございますので、やはりこれを踏まえた上での対策の検討が必要であるというように考えておりまして、具体的にいつということはなかなかむずかしいと考えておりますが、いずれにせよ、十分な調査結果が得られるように努力している次第でございます。
  117. 横手文雄

    ○横手委員 こういった生けすに軽石が入ってくるので大変な被害を受けておる。これは被害がなければ、ほかっておけばいいわけですね。ところが、被害が出るということだから大変なことだということで、調査費をつけて地元でも研究をしてもらっているわけでございましょう。それは、やがて被害をなくするという前提に立って調査が進められていることだ、このように思うわけでございますけれども、いま二カ年の計画で調査費で研究に入っておられるという答弁でございます。私がお聞きいたしましたのは、地元皆さん方には一日も早く何とかしてくださいということでございますが、大体どんなものでこれはやがて除去できます、あるいはそういう方法が見つかってまいりますというようなことになっておりますか、こんなことなんです。
  118. 山添健一

    ○山添説明員 軽石の漁業被害でございますが、先生が先ほど御説明されましたとおり、養殖魚が投餌の際軽石を一緒に体内に飲み込んでしまう。これでもってはなはだしい場合は死ぬということもございますし、また成長の促進が阻害されるということもございます。また、軽石によりまして体表面にすり傷ができまして商品価値が下がるとか、それからまた皮膚病の原因になる、こういうことでございまして、このためには投餌に際しまして軽石を除去する、その作業に非常に時間と労力を費やしている、こういうことでございますので、生けすへの流入阻止ということがやはり主体になるかと思います。  先ほども申し上げましたとおり、基本的にはもとでとめていただくということが主体になるかと思いますが、この軽石の海におきます挙動といいますか、流れ方、沈み方、この点をもう少し詰めた上で流入対策はやる必要があるのではないかというように考えております。  ただ、調査自体は昨年度、今年度でございますので、この結果を見まして、早急にその対策については検討したいというように考えている次第でございます。
  119. 横手文雄

    ○横手委員 まさに隔靴掻痒の返答でございますが、すでに時間でございますので、あと三つほどまとめて御質問申し上げますので、それぞれ簡単に御答弁をいただきたいと存じます。  五番目として、降灰防除施設の事業を進めていただきたいということでございます。特に言われておりますのは既設の公民館、ここはかつて火山活動が活発でなかったころは十分に使えたところでありますけれども、火山活動が活発になるにつれて降灰量がふえてくる。そうすると、私もよく知っておりますけれども、灰というのは畳の間からでも入ってくるわけでございますから、これを除去するというのは大変なことであります。  したがって公民館の窓枠について、新しくつくるのにはそういった降灰防止のための窓枠が設置をされているようでございますけれども、既設の公民館については、つくるときにもう補助を出したのだから、もう一遍改造するときに補助を出すというわけにいきません、だからそれは知らぬ、こういうことになっておるようでございますが、そんなに冷たいことを言わずに、火山活動が活発になってきてそれがもう使えない、ほかに地元ではいっぱいしなければならないことがあるのですから、公共の施設である公民館等の窓枠の補修あるいはそれのつけかえ等については、何とか見ていただけませんかという要望でございます。  それからもう一つは、今日まで長い間防災営農対策事業がずっと推進をされてまいりました。これが地元皆さん方にも大変好評でございますし、これによって農業を支えておるという面がたくさんあるわけでございます。第三次計画として五十六年度から五十八年度ということで、五市三十八町にわたっておるわけでございまして、大変効果があることでございますし、まだ行き届いておりませんので、これをさらに第四次もぜひお願いを申し上げたい、こういうようなことでございます。  それから第七番目、最後でございますけれども、これは噴火当時の地元の新聞をコピーしてわざわざいただいておるわけでございますけれども、灰あらしであるというようなことでございまして、中の記事を見ますと、「とにかくすごい灰。一分たりとも戸外に立っていられない。灰の煙幕とガスで息苦しい。乳児がこんな濃い灰交じりの空気を吸い込んだら、生命さえ危ぶまれるほどだ。」こんな記事が出ておるわけでございます。ずっと昔から桜島は噴火して、そして灰が降った。それでもやっぱり長生きしておるわけだからということもございますけれども、これだけ頻繁になってくる、そしてガスを含んでくる、こういうことが繰り返しどんどん進んできたときに、これから先も果たして人体に影響はないのであろうか、こういうことが大変心配をされるわけでございますけれども、それらに対する研究及び対策調査を推進するため必要な処置を講ぜられたい、このような要請が出ておるわけでございます。  以上三点について、時間が参っておりますので、ひとつ簡単に御答弁をいただきたいと存じます。
  120. 藤村和男

    ○藤村説明員 御質問の第一の点について、私の方からお答え申し上げます。  御承知のように、公民館等の社会教育施設の新設に当たりましては、文部省はその建築費の一部を補助しているところでございますが、これは定率補助ではなくて定額補助ということで、奨励的な補助という性格を持ったものでございます。したがいまして、それらのこともございまして、既設の公民館の改造に対する助成制度につきましては、現下の厳しい国の財政状況などから、にわかにその実現を図ることはきわめて困難であるというふうに考えております。
  121. 海野研一

    ○海野説明員 お答えいたします。  防災の対策事業につきましては、四十八年から五十八年まで一次、二次、三次ということで事業をやってまいりましたけれども、いまだに降灰状況がひどいということで、鹿児島県におかれましては第四次の防災の施設整備計画の樹立準備にかかっておられます。私どもとしましても、引き続き同対策事業を進めていくということで、五十九年度につきましては五十八年度と同額の七億四千四百万円を要求いたしておるところでございます。
  122. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 火山ガス等による人体の影響でございますが、国及び県の研究費によりまして、桜島火山ガス等による人体影響に関する調査といたしまして、住民健診等の調査研究を実施してきたところでございます。その結果といたしましては、火山ガス等による特別な疾病は発生していないという報告を現在受けておるところでございますが、引き続きまして、健診事業でありますとか広報活動等の保健指導を行うとともに、健康影響監視というようなものを続けておるところでございます。その後も火山活動が活発化している現状にかんがみまして、引き続き県と密接な連携を保ちながら、今後の問題に対処してまいりたいと考えております。
  123. 横手文雄

    ○横手委員 大きな問題については、それぞれ力を入れてやってもらっておりますが、いわゆる生活に密着した、私の手元の問題があるというようなことについては、大変冷たい答弁で済んだような気がいたします。  時間がございませんので、これ以上のことは申し上げませんが、とにかくこういった降灰のために、特に火山活動が活発になり降灰に悩まされておる現地皆さん方の意を体して、どうか細かい問題についても、これからもそれらの問題について十分配慮していただきますように御要望申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  124. 上原康助

    上原委員長 次に、林百郎君。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 三宅島噴火災害については、もう各委員が微に入り細をうがった質問をされておりますが、私の方は昨日対策委員会を設けまして、ちょうど長官が現地に行かれておりましたので、宮繁事務次官に次の四項目を申し入れたのですが、ここできょう政府から説明を受けたものと大体似たようなものであります。  第一は正確な被害状況を速やかに把握すること、それから第二は被災者避難と食料、衣類の確保など救済策に万全を期すること、三は応急の仮設住宅を建設すること、四は子供の教育確保して、子供の教育に差し支えのないようにしろという四項目を、とりあえず申し入れておきましたのですが、これらのことは具体的にいまどのように進んでおりますか、ごく簡潔にひとつ説明を願いたいと思います。
  126. 田中暁

    田中(暁)政府委員 長官から何度もお答え申し上げましたように、第一回の本部会議におきまして、とりあえずとるべき応急措置について政府としての方針を決定したわけでございますが、この方針は、先生の方から申し入れになりました事項をカバーしておるものとわれわれは心得ておるわけでございまして、この方針に基づきまして一生懸命対策を講じたいと考えております。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的にどのようにそれが進んでいるかということをお聞きしたわけですけれども、一生懸命にやっていると言うから、それはそれで聞いておきましょう。  そこで、台風十号の災害についてお聞きしますが、これも各委員が聞いておりますが、激甚災害の指定と天災融資法の発動、これは大体いつごろ結論が出るのか。治山の被害などというのも、具体的に調べるのはまだなかなか容易じゃありませんけれども、長野県の例を申しますと、調査が大体九〇%近く済んでおりまして、千二百四十七億ですか、こういう数字も出ておりますけれども、各府県から数字がほぼ出そろっていると思うのです。こういうようなものを要約して、激甚災の指定と天災融資の指定、いつごろ大体めどがつくんでしょうか。  ということは、長野県のようなところは、御承知のとおり非常に寒冷地ですから、早くやりませんと、雪は降ってくるわ、下は凍ってくるわで、災害は結局来年に持ち越されてしまうということにもなりますので、やはり県民としては、市町村の責任者としても、いつごろにはめどがつくのかということは大きな関心を持っているわけです。大体の見通しで結構です、数を合わせて、それが激甚災の適用の基準になっているのか、あるいは天災融資法の発動のケースになっているのかということは、まだ査定をいろいろしなければいけないこともありますので、お察しはいたしますけれども、大体のめど、いつごろまでには結論を出したいということですね、そこをお聞きしたいと思うのです。
  128. 加藤六月

    加藤国務大臣 実は、本日諸先生に対して申し上げておるとおりでございまして、現在、鋭意被害状況調査中でございます。したがいまして、現段階でその見通しについて申し上げることができないのは大変残念に思いますし、またぜひ御了解をお願いいたしたい。しかし、今後さらに調査を急ぎまして、その結果を待って所要の手続を速やかに講じていきたい、このように考えておるところでございます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 農林省にお尋ねしますが、天災融資法の方はどうなっておりますか。
  130. 眞鍋武紀

    ○真鍋説明員 お答えいたします。  天災融資法の発動の見通しでございますが、ただいま国土庁長官から御答弁がございましたように、現在、被害状況調査中でございます。御承知のように、大変広範に被害が出ておりますので、いまのところ一県ないし二県から被害の概況報告が入っておりますが、まだ被害状況がつかめておりません。そういう事情でございますので、現段階でははっきりした見通しが申し上げられないという状況でございます。  いずれにいたしましても、被害を受けました農林漁業者に対する資金対策につきましては、被害実情を見きわめまして、実情に応じた適切な資金対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 長野県だけで、たとえば治山関係で二百六十八億円、それから農地、農業関係の総計で百一億というような数字が出ておりますので、これは天災融資法の適用はまずできるのではないかというように思うのですが、そうしますと農林省としては、まだ二県しか出ていないということで、早く出すような催促もさせる必要があると思うのですね。  それから長官に、年内にはどうですか、いま言ったように被害の出しぐあい、計数のやり方、いろいろ問題がありますが、年内には何とか結論が出るでしょうか。ともかく、長野県だけの例を見ても千二百億近くというと、これは激甚災の適用から外れるはずはないと思うのですが、別にあなたの責任を後で追及するようなことはしたくないとは思いますが、大体のめどはどんなものでしょう。
  132. 加藤六月

    加藤国務大臣 長野県は、被害状況等をよく把握していただき、早く出てきつつあるのですが、他の府県においてまだそこまで行っておりませんので、先ほど申し上げましたように、具体的な期日がどうのこうのと申し上げられないのは非常に残念に思います。何さま、三十九府県にわたるわけであります。他の府県においても、早急にそういうことをやっていただくようにお願いはいたしたいと考えておるところではございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 治山関係被害などというのは、山の上まで行かなければならないし、なかなかそこまでまだ道も通らないし、行けないので、被害調査がおくれているのも実情からよくわかりますが、政府の方から積極的に催促はしていただくような措置はぜひしていただきたいと思うのです。  それから、今度の台風の特徴としまして、河川にしても道路にしても、市町村が管理している道路河川が数カ所ございまして、たとえば長野県の例を見ましても、市町村の工事の個所数で六千五十一個所、それから県単位の個所数で、道路は五千五百三十五、河川が三千九百九十三、非常にずたずたにやられている。それが、本流で国の管理しておる河川道路はそれほどでもないのですが、こういうところが非常に多いわけですね。したがって、財政的にも非常に貧しい市町村が、今度のこの十号台風を原形復旧にするというのは相当の費用がかかると思うのですけれども、これに対して国庫負担法もあるわけですが、建設省としてはどういうバックアップをしてやるつもりでしょうか。まず、建設省の態度からお聞きしたいと思うのです。
  134. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律に基づきまして、財政的な援助をすることになっております。市町村が管理する河川としましては、準用河川あるいはいわゆる普通河川等がございます。また、道路につきましては、道路法に定める市町村道ということになろうかと思いますが、災害が起こりまして国庫負担の申請があった場合には、その法律の規定によって援助するわけでございますが、最低の援助額といいますか、基準の援助額が最低で三分の二でございます。これは一般的にかなりの高率じゃないかというぐあいに考えております。  さらに、市町村の財政力に応じまして、この財政力というのはわれわれの方ではいわゆる標準税収入ということで判定しておりますが、同一の災害額に対しましても財政力の弱い、つまり標準税収入の小さい市町村に対しましては、さらに高率の援助をするということになっておりまして、たとえば一般的には三分の二でございますが、災害復旧事業費が標準税収入の三倍に達しますと、国の援助率が九〇%というような高率になるということになっておりまして、そういった意味で市町村の財政的な面を考慮しながら援助するということにしております。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省にお尋ねしますが、そういう意味で自治省に対する要望としては、もちろん激甚災の適用を早急にしてくれというのがありますが、十二月の特別交付金の中へとりあえず緊急対策をした費用は込めてもらえないか、それから次の交付税の支給が十一月なので、これを繰り上げ支給してもらえないか。それから、補助がつきますから当然起債が認められますが、起債の償還についてはこれを交付税の基準財政需要額に入れるようにして、そういうような措置をしてもらいたいというのが地方自治体から出ておるのですが、このようなものはどうお考えですか。大体できることですし、やってもいることだと思いますが……。
  136. 二橋正弘

    ○二橋説明員 被災を受けました地方団体に対します地方財政措置でございますが、ただいまお話のございましたように、地方団体から要望が出てまいっておりますが、被災団体が行います災害復旧事業費につきましては、被害状況財政状況を勘案しながら、地方債の配分あるいは特別交付税措置を通じて適切に対処いたしたいというふうに思っております。特に、いまお話のございました特別交付税につきましては、十二月分の特別交付税において対処いたしたいというふうに考えております。  それから地方債につきましては、災害復旧について起こしました地方債の元利償還につきましては、事業の種類に応じて一定部分を普通交付税に算入するということにいたしたいと思っております。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 交付税の前払いというのですか、繰り上げ交付するという、これも考えてはいるわけですね。
  138. 二橋正弘

    ○二橋説明員 普通交付税のいわゆる繰り上げ交付でございますが、これにつきましては現在市町村ごとの公共施設の被害額把握する必要がございますので、そういう被害額把握した上で検討してまいりたいというふうに考えております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省にお尋ねしますが、仮に激甚災の適用があるとか、あるいは農地関係での暫定法の適用があるとか、市町村道路の国庫負担法の適用があるとかすると、相当の支出がかさんでくるわけですが、大蔵省としてはこういう災害に対する支出は、どこからどういうような資金繰りをなさるお考えですか。
  140. 涌井洋治

    ○涌井説明員 当初予算の中に災害復旧費というものを計上してありますし、それで不足する分につきましては、予備費等によって適切に対処してまいりたいと思います。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 これは災害対策委員会ですから、本年度の災害対策費はどれくらいか、あるいは予備費があって、予備費からの繰り越し支給をやるということもわれわれ聞いておりますが、いま予備費はどのくらいあるのか、その両方の数字をちょっと示してください。実はさっき一兆円という数字も出ておりますが、これはもちろん正確に計算しなければわかりませんが……。
  142. 涌井洋治

    ○涌井説明員 当初予算の中の災害復旧費の中に当年災という、ことしの災害復旧対応するために一応五百二十億円というものを計上しております。  それから予備費でございますけれども、現段階で三千四百五十五億残っております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 支給済みのがあるでしょう。
  144. 涌井洋治

    ○涌井説明員 残っているものが三千四百五十五億です。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 五百億の災害対策費というのは、臨調行革の時代だからということもあるかもしれませんが、長野県一県だけで千二百億ですからね。とてもそんなものじゃ間に合わないんで、予備費を出す腹をいまから固めておいてもらいたい。そうでないと、国土庁の方でせっかく激甚災の適用をしたとしても、大蔵省の方で渋っていたら絵にかいたもちになりますので、ひとつその点は十分考えてもらいたいと思うのです。  それから、先ほどから原形復旧かあるいは改良復旧かという問題があるのですけれども、これは関連事業として実質的には改良的な復旧を見ていきたいと思うというようなお話がありましたが、私の方の具体的な例を見ますと、今度の決壊したところで千曲川では、昨年決壊して大きな被害を出した支流の樽川の堤防は、昨年の災害時に最高水位より一メートル高くする改良復旧工事をやったおかげで、今度は決壊を免れておるわけです。本流の方は、現在より二・五メートル高くする必要があるとの計算があって、一方の護岸工事はそのようにしたのですけれども、一方は全然手をつけなかったということで、今度は反対側が決壊したということがあるわけです。これは、改良復旧というのが理想的なのですけれども、災害関連事業の活用をして改良復旧を実施するという、災害復旧制度の運用を十分配慮する必要があるのじゃないかというように思うわけです。  というのは、私が七月二十二日に総理あてにこの問題を質問したときに、政府側の答弁では、「必要な場合には、災害関連事業を活用して改良復旧を実施することとしており、再度災害防止については、現行の災害復旧制度の運用によって、十分配慮をしている」と言っておるのです。  これは河川局にお聞きしますが、百メートルなら百メートル原形復旧したところは、今度さすが復旧しているところだけあってそこは崩壊してないのですが、そこで切れてしまって、またこっちの方が百メートルくらいで、間が切れているわけですね。だから、間が切れているところが決壊して水がついている。だから、そういうのは百メートルと百メートル、間に百メートルあったら三百メートルは災害関連事業として、私の質問主意書に政府が答えたように、それを援用して事実上の改良復旧をするということを将来考えていく必要があるのじゃないか。これは予算的な措置も必要ですから、そうおっしゃるとおりにばかりできませんということもあると思いますが、その辺は建設省政府答弁のこういうことを十分お考えでしょうか、どうでしょう。
  146. 玉光弘明

    玉光説明員 ただいま御指摘の千曲川でございますが、昨年決壊がございました付近より若干下流になります。本川は直轄でございますが、樽川は県の管理下でございます。中小河川でございます。  いま先生がおっしゃいました改良復旧でございますが、これは実際に河川の施設が壊れた、これの災害費とそれに関連して関連費をつけてやるという事業が災害関連費でございます。しかし、これは補助事業、県、市がやる事業しかないわけでございます。国の直轄には適用されないわけでございます。したがいまして、国の直轄の区間災害を受けてその後どうするかという場合になりますと、これは改修費と合併でやるという形になります。それともう一つ、施設が壊れない場合で一般被害ばかり多い、家がたくさんつかって河川の堤防とか護岸は壊れてないというような場合には、したがいましてこれも一般の改修費でやらざるを得ないという形になるわけでございます。  去年の樽川でございますが、中小河川でございます。これは施設災害が少なくて、一般被害が非常に多うございましたので、改修費の中で、激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業、これでやっているわけでございます。一年間で何とか極力成果を上げようとしまして、かなり土を盛りまして、水防をかなりやりました。溢水もありましたが、わずかな溢水で、何とか今度は水防で食いとめて大事に至らなかったわけでございます。ただし、ことしの水は去年の水よりかなり高うございまして、去年は破堤しなかったところでございますが、その下流でございます戸狩地区、柏尾地区、この地区がかなりの高さ溢水しまして、破堤に至ったわけでございます。  それで、この復旧をどうするかということでございますが、その災害復旧につきましては直ちにやっておるわけで、これからは水が出る確率も少のうございますので、仮はやめまして、一挙に本復旧でいくということでやって、二十日ぐらいには大体今度の水位まで土は盛り上がります。  それで、その一連の区間でございます。先ほどおっしゃいましたように、百メーターずつやっても効果がございませんので、これは改良復旧とは言えないわけでございまして、改良復旧は一連の区間につきましてやって初めて成果が上がるわけでございます。ということで、現在、あの地点、左岸側で申しまして、戸狩地区の上流側が常盤地区といいますが、その両方が同じ背後地になるわけでございます。したがいまして、今度の破堤の地点よりずっと上の方から、計画断面に合わせて改修を促進したいというように考えておるわけでございます。  以上でございます。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 大体わかりました。  おっしゃるように、いままでは本流で決壊したということはなかった。県の管理で本流へ流れ込むのが、溢水して水がついたというのが長野県の特徴だったのですが、今度は本流で、さっきお話のあった千曲川の戸狩地籍と天竜川の中川地籍の堤防が決壊して、これは本流が決壊しているわけですね。これはストレートに建設省の責任になるわけなんですが、戸狩地区については直ちに改修工事を始めておるという話を聞きましたが、天竜川の中川地籍についてはどういうような措置をいまおとりになっていますか。
  148. 玉光弘明

    玉光説明員 本流といいましても、まだ改修が全部、一〇〇%やれているわけでもございません。直轄区間の中におきましても昔の堤防のままのところがございまして、新しい計画がございます。しかし、その計画が全部やれておりませんので、低い堤防のところもございます。ということで、直轄につきましても、重要な地区から順次改修を始めておるわけでございます。  ただいまの千曲川のほかに、天竜川におきましても、その上流におきまして計画高水位にほぼ達するような大きな水が出ました。御指摘の天竜川の飯沼地区でございますが、これにつきましても、六百メーターにわたりまして堤防が洗掘、決壊したわけでございます。大変急流な地区でございます。この復旧につきましては、緊急に蛇かご護岸等でやっておりまして、二十日ぐらいには完成する予定でございます。  この後どういうふうな改修を進めるかということでございますが、この辺一帯たくさんのいろいろな個所がございます。その辺の様子も考えながら、今後検討してまいりたいと思っております。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、もう一ついま問題になっておりますのは、天竜川に中電の平岡ダムというのがありまして、このダムがあるために河川が非常に上がってまいります。そのために天竜川の水位が高くなって、昭和三十六年に災害があって、付近家屋もほとんど立ち退きをしたのですが、今度のでまたこの前の水位より天竜川の水位が十メートル以上、われわれが見たのですが十メートル以上も溢水して流れ出しているという状態があるわけなんですね。この平岡ダムの県との天竜水系の水量の使用契約は昭和六十年度に更新するんですけれども、このために河床が上がって水位が十メートルも高くなって、天竜川沿いの家屋床上床下浸水がされていまにも崩れそうになっているのです。これについてはやはり中部電力にもアドバイスをして、そういう付近に住んでいる人家に迷惑をかけないようなことをさせる必要があると思うのですが、ちょうど昭和六十年に契約の更新があるのですが、建設省としてはこれに対してどういう措置を考えておられますか、契約に際して。
  150. 青木保之

    ○青木説明員 おただしの件は泰阜ダムの件だと存じますが、中部電力が泰阜ダムに持っております発電用の水利使用権がございますが、これは昭和六十年の三月二十七日に更新期になるわけでございます。この更新時期を控えまして、地元にいろいろな御意見があるということは十分承知しておるわけでございまして、河川管理者といたしましてもそういったいろいろな問題について検討を進めておりますが、水利使用の更新の申請がありました場合には地元とも十分調整をいたしまして、適確に対処してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 適切な指示をして、中部電力は莫大な利益を上げているわけですから、その付近の泰阜ダム、平岡ダム、ダムが二つもあそこら辺にあるのですが、付近の人たちの住宅を安全にするような指導を、契約の更新に当たっては十分、中部電力にする必要があると思いますので、心得ておいていただきたいと思います。  時間がありませんので、あとまとめて農林省にお聞きしますが、今度の水害の特徴は流木が物すごく流れてきて、それが橋げたにひっかかって、そのために溢水するという例が非常に多いのですが、この流木が、しかもそれが小さい川にどうしてあんなに出てくるのか。あるいは、林野行政が非常におざなりになっているのではないかということを思わせるのですけれども、そのことが一つです。  それから同時に、個人持ちの農地への土砂流入があって、たんぼが土砂ですっかり埋まってしまって、農民はもう茫然自失している。農業共済もろくな補償はできない。暫定法があるわけですが、暫定法で復旧させてやるということがあると思いますが、これも早くやってやらないと、来年の少なくとも作付に間に合うようにしてやらないと、もうそこは農民があきらめてしまう。こんなに砂や泥が入ってしまった、こんなたんぼはもうあきらめようというような気持ちが農民の中にあると思いますが、この林野行政がどうなって、どうしてこんなに小さい川に流木が山のようにたまってくるのか。それから、農地への土砂流入に対する対策を至急やる必要があると思いますが、この点はどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  152. 今村清光

    ○今村説明員 お答えいたします。  最近の災害でございますけれども、大変雨量の多い、豪雨でございまして、森林の持っております、いろいろな公益的機能も持っておるわけでございますけれども、そういった機能を超えておる。林地の崩壊につきましても、相当底の方からえぐれまして、流木とともに出してきているといったような状況でございます。そういうことで、われわれといたしましては治山事業等を鋭意行いまして、災害の未然防止に努めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 もう二問で終わりたいと思います。  水道災害に対する復旧、二分の一の補助率についてはわかりましたけれども、二分の一を三分の二に上げてもらいたいというのが県の陳情にもありますが、これは簡易水道にももちろん適用になると思いますが、どうでしょうか。
  154. 森下忠幸

    ○森下説明員 仰せのとおりでございます。  それから、そのほかに簡易水道よりもっと小規模の飲料水供給施設というのがございまして、これに対しましても被害がありましたときには補助できるようになっております。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。  河口湖災害について私の方も調査したものですから、住民の要望がありますのでこれにお答え願いたいのですが、河口湖の増水渇水対策を統一した放水路が必要だ。河口湖には放水路がないわけですね。やはりそれを設けることが必要ではないか。その前提として、湖水への雨水の流入機構等の調査をして、幾らのものが——あれは富士の雪が解けてしみ込んでくるけれども、出る口がないものだからいつも河口湖の水が溢水してくるというので、放水路を開く必要があるんじゃないか。国土庁が今年度、相模湖水系の調査費を一千万計上しているというけれども、それは何にどのように使うのか。また、この河口湖の放水路だとかあるいは雨水の流入等について根本的に調査をされて、去年も今年も被害を受けておりますので、その対策にもこの費用が調査費に使われるのかどうか。  それから、八月の台風五号ですね、このとき土砂に襲われて家を追われた人々のうちで、河口湖町の浅川地籍で十七世帯の人たちが、安心して生活をするためにはここから集団移転をしたいと言っておるのですが、町では、復旧工事が終わる二年後でないとそういうことはできないということで、町が住民に対して非常に不親切だという声が強いわけですが、それも含めて、この集団移転の問題とそれから放水路の問題についてどのように考えているかをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  156. 玉光弘明

    玉光説明員 河口湖につきましてお答えいたします。  御指摘のように調査費でございますが、国土総合開発事業調整費というのがございまして、これの調査費でございます。それは、いろんな事業をあわせて調査しなければいけないという調整のためにつく予算でございまして、端的には昨年の災害にかんがみまして治水の計画と、それからあすこはいままで水路は東京電力の水路がございます。この発電関係がございますので、これを調整するということで調査費をいただいたわけでございますが、調査の内容はただいま御指摘のように、治水利水関係をいろいろ、関係のある計画をほとんど網羅して調査したいと考えておるわけです。  したがいまして、まず過去にどういう雨が降ったかという水文的な調査、それから、雨が降りますとあすこは地質的には火山地帯でございまして、かなりの部分が浸透したりします。非常に複雑な機構を持っております。そういう流出を解析して、どういう水のたまり方をするかというようなことをやります。  それから、治水的には何トン抜けば治水が安全になるか。これまた湖水の水位の問題も絡んできますし、それから浸水日数の問題、それから治水としての経済効果の問題、それから、その排水量と下流側、相模川の支川の宮川になりますが、その排水容量が十分排水量を受け入れられるかどうか、そういうことがもろもろ絡んでまいります。  また、利水面におきましても普通の水の利用あるいは発電の利用でございます。それがどうなるか、あるいは湖水のいろいろな利用の問題、観光的な問題もございます。そういうことをあわせまして治水、利水でどれが最も正しい使い方であるか、それから正しい計画であるかということを勉強するためにことし約千四百万円でございますか、それで調査したいと思っております。
  157. 仁科英麿

    ○仁科説明員 お答え申し上げます。  台風五号によって被害を受けました河口湖町の浅川地区の住民の集団移転についてでございますけれども、この集団移転を実施いたします制度といたしまして防災集団移転促進事業がございますが、この防災集団移転促進事業は、被災地域あるいは今後災害が発生するおそれのある地域につきまして住民の生命財産の安全を確保するために、住民を安全な地域に移転することが望ましい、その場合に市町村に応じてある程度の規模の団地を新たに造成して、そこに住民全員が集団的に移転していただくことによって移転を促進しようとする制度でございます。したがいまして、この防災集団移転促進事業によって集団移転を実施いたします場合には、まず移転促進区域の住民の全員が一致して移転をしたいという合意が形成される必要があるわけでございます。  そこで、この河口湖町の浅川地区の場合でございますけれども、まだ関係住民全員が移転を希望するという状況には至っていないというふうに伺っているところでございまして、国土庁といたしましては、今後とも関係地方公共団体等と緊密な連絡をとりながら、住民の一致した要望が出てきました場合には積極的に対応していきたいと考えておる次第でございます。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に、大臣に一問だけ。  長野県には、御承知のとおり大きな川がたくさんありまして、千曲川があり天竜川があります。それで、それへ流れ込む一級河川ですが、県が管理しておる河川があるわけですが、県の管理しておる河川の堤防と国が管理している本流とを比較すると、これはもう全く天地の差があるように非常にりっぱにできているわけです。これはさすが国の管轄の本流だと思うわけです。ところが、今度の十号台風で、国が管理していままで住民がさすが国だなと言っているところ、御承知のとおり千曲川と天竜川に決壊があって、十メートル近くも水があふれ出しているというようなところもあるわけです。  そこで、千曲川上流事務所の年間の予算は一体どのぐらいつくのだと言ったら、十五億だと言うのです。あの百何キロもある長い千曲川の年の河川改修費が十五億では——それで千曲川の下流の信濃川の方へ行くと、水害があったということを聞いたことがないですよ。これは田中角榮さんがいるせいかどうか知りませんが。だから、北陸地建でも毎年水害が起きるようなところへは予算的な措置を公平に考えるような、これは本来なら建設省に言うわけですが、あなた閣僚ですからあなたに言いますが、そういう点を考慮して、国の直轄の河川は国の権威を示すものですから、これが欠けてしまったということになりますと国の権威にもかかわることですから、千曲川にしても天竜川にしましても、そういう点を十分配慮してもらいたいと思うのです。そして、新潟と比べてこれはこうだというようなことが起きないような、そういう風評が事実かどうかは私も知りませんが、そういう風評が起きないような権威を確立してもらいたいと思います。  最後にあなたにこのことを聞いて、なお善処してもらいたいことを要望して私の質問を終わりたいと思いますが、どうでしょうか。
  159. 加藤六月

    加藤国務大臣 公共事業費というものは、その重要度、必要性、地域のいろいろの問題等加味して国土の均衡ある発展、そして地域周辺住民皆さん方生活向上につながるように配分いたしております。いささかの恣意もそういう中に入ることはあり得ない、こう思っておるわけでございますが、今回千曲川の堤防決壊の問題につきまして私も大変心配しております。建設省の方から先ほど報告しましたが、技官を中心に直ちに行ってもらいました。先般、その視察された結果の報告等も承りましたが、今後地域住民皆さん方が不安のないような早期復旧、二次災害の防止ということにいままで以上にがんばっていきたい、こう考えておるところでございます。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  161. 上原康助

    上原委員長 この際、野間友一君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。  発言者にお願いですが、林先生がすでに持ち時間を超過いたしております。その範囲内でひとつお願いします。野間友一君。
  162. 野間友一

    ○野間委員 農産物の被害あるいは災害等についてお伺いしますけれども、ことしは北海道、東北が日照不足あるいは低温、その他島根、山口等についての集中豪雨とかあるいは論議されております台風十号の被害、私いまからお聞きしたいのは干ばつの被害なんです。とりわけ和歌山県の温州ミカン初め柑橘、これに対する七月八月、非常に重要な時期に雨が降らない、約二カ月ばかり降らないということで大変な被害が生まれておるわけですが、まず初めに農水省にお伺いしたいのは、ことしの温州ミカンの収穫予想あるいはその消費数量の見通し等について、お伺いしたいと思います。
  163. 武政邦夫

    ○武政説明員 ことしの温州の生産量でございますが、八月一日付の成り行き生産量で申し上げますと、三百十六万七千トンでございまして、対前年比一一一%になっております。これは、先生のおっしゃられました干ばつの数字はまだ加味していない数字でございます。  消費は、現在生産団体の見通しでは二百七十一万トンと考えております。
  164. 野間友一

    ○野間委員 ここに生産と消費の乖離というか、アンバランスがあるわけです。ですから、ことしも大豊作あるいは価格の暴落ということが非常に深刻なんですね。  そこで次にお聞きしたいのは、和歌山県におきます干ばつによる柑橘の被害はどういう認識をされておるのか、あるいは実態把握をされておるのか、お伺いしたい。
  165. 武政邦夫

    ○武政説明員 先生がおっしゃられますように、実は六月から七月の前半にかけましてはかなり成り行き生産、なり花も非常によく順調に推移したわけでございますが、西日本を中心にいたしまして七月中旬から降雨がとだえたわけでございます。特にひどかったのが瀬戸内海島嶼部と和歌山でございまして、和歌山におきましては七月十八日から九月十九日でございますか、まる二カ月にわたってほとんど降雨がないという状態が続きました。このため、果実の方がいわゆる小玉化の現象を引き起こしまして、これは一つには樹体が早くに熟成してしまうということを起こすわけでございます。さらに落葉が起こりまして、落葉による樹体被害、樹林が非常に衰弱するという現象が起こりまして、かなりの被害を見るようになったわけでございます。  現在調査はいたしておりますが、現段階では県の報告がございまして、県報告では全体の被害額が約六十六億、このうち果樹被害が六十四億。うち大要で申し上げますと、温州ミカンが四十億、晩柑が十億ということでございます。これは率直に申し上げまして、局地的な和歌山県の被害ではございますが、和歌山県の果樹農家に与えた影響は非常に大きいと考えております。
  166. 野間友一

    ○野間委員 言われたとおりだと思うのです。小玉現象ですね。SあるいはSSが非常に多い。小さいということは、ワンランク例年より落ちるわけです。それから、菊ミカンと地元では言っておりますけれども、菊の花弁のように、干ばつによるでこぼこが非常に多いというのが特徴だと思います。裂果もありますね。  そこで、いま言われたように大変な被害があるわけですけれども、農水省としてこれに対する対応を何か特に考えておられることがあれば、ひとつここでお答えいただきたいと思います。
  167. 武政邦夫

    ○武政説明員 被害が大変大きいということで、私どもの方も担当の専門官を現地派遣いたしまして、県と一緒に調査したわけでございます。  率直に申し上げますが、樹体回復の方は、幸いに九月二十日以降かなりの降雨が続きまして、このために樹体そのものが被害を受けるということは免れたと感じております。ただ問題は、小玉化の傾向はこの段階ではなかなかとめられませんで、率直に申しますと、わせ温州は、恐らくこの小玉化の現象は、これ以上被害を軽減することはむずかしかろう、こう考えております。ただ、普通温州の方はまだ、被害の態様によりましては、いわゆる摘果を強めることによりまして、もう少し小玉化を防ぐことも可能でございますので、県とこの辺を十分指導しまして、少なくも市場に生果として販売できるようなまでの果実に育てるという指導をいたしてまいりたい、こう考えております。
  168. 野間友一

    ○野間委員 ことしは表年で非常に生産が多い。そのために、ミカン農家は価格の面で大変深刻な状態に置かれる。とりわけこの干ばつの被害によって、言っておりますように、小玉化あるいは裂果、亀裂したミカンですね、それから菊ミカン。商品価値がずっと低落をして売れない、こういう状況が非常に出てくると思うのです。実際に、それを農家は非常に心配しているわけです。  そして、あちこち回ってみますと、要求としてやはり一番強いのは、いわゆる加工柑、ジュースとか缶詰用の加工用のミカンの枠を拡大してくれ、こういう声が非常に強いわけですね。これは生果用の、なかなか商品価値の高いものが少ないということから、特に切実なんです。ところが、加工用のジュース用のミカンの枠は決められておる。もうすでにその枠の中で、各自治体がおろしているわけです。えらいことだというふうにいまなっているわけです。  そこでお伺いしたいのは、ことしの加工用ミカンの枠は一体幾らか。それから、特に和歌山県は一体幾らになっているのか。要求としてはこの枠をぜひ拡大してほしい、こういう切実な声にぜひこたえるべきだと思いますが、その点いかがですか。
  169. 武政邦夫

    ○武政説明員 枠は二通りございまして、一つは、加工原料用果実価格安定事業の対象となる枠というのがございます。そのためのジュース加工枠がございまして、これは四万トンでございます。それからもう一つ、自主的に生産者団体が定めておりますのは、先ほど需要見通しが二百七十一万トン、こう申し上げました。このときのジュース枠というのがございまして、その生果柑が四十四万トン分、濃縮ジュースになりますので大体十分の一、ジュースにいたしまして四万四千トン、こう見ていただけば結構だと思います。  そこで、和歌山県でございますけれども、生果で申し上げた方がわかりやすいと思いますので、和歌山県の場合は、加工原料用の方では四万トンの枠が行っております。それから、一般の自主規制の方では、四万七千トンがジュース加工の自主規制の枠ということになっております。  以上でございます。
  170. 野間友一

    ○野間委員 そこで、この枠をぜひふやせという要求が非常に強いわけです。これはぜひ実現してほしいと思いますが、いかがですか。
  171. 武政邦夫

    ○武政説明員 素直に申し上げまして、加工原料用果実価格安定事業の四万トンの枠でございますが、実は先ほど先生おっしゃられたように、ミカンの場合結果年が二年で、表年と裏年に分かれます。表年は価格安定事業になっております。裏年は原料果実を安定的に確保するためということになっておりまして、この二つの目的を同時に達成するというのが事業の目的でございます。そのために、表年、裏年を含めた二年間を一年次とする業務年間を定めているわけでございます。  そういうことから申し上げますと、現在の四万トンの枠は、すでに五十七年度の裏年に業務年間が定められていて、そのときに四万トンが定められておりまして、ことし変えるという性格を持っておりません。これは業務の性格上、一種の保険制度にもなっておりますので、保険途中年度から業務変更できないという仕組みでございまして、制度的にはきわめてむずかしい問題、こう考えております。ただ、一般的自主枠の方は、これからいろいろな問題が起こると思いますので、団体とのお話し合いということになるのではないか、こう考えております。
  172. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がありませんのでやむを得ませんが、これまた、後で具体的に詰めて、要望をぜひかなえられるようにお願いしたいと思います。時間が来ましたので終わります。      ────◇─────
  173. 上原康助

    上原委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十八年三宅島噴火による被害状況について、本委員会から委員派遣し、その実情調査するために、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十七分散会