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草野委員 いまの
長官の御
答弁は必ずしも満足できるものじゃございません。しかし、与党の幹事長の約束したことに対して尊重して、しかもその重みを十分に受けとめていらっしゃるという
長官のお言葉ですから、これは何としても実行されるように、実現されるように心から強く要望いたしたいと思います。
次に、問題を変えまして、異常気象の問題につきまして何点か
お尋ねをしたいと思います。
この異常気象の問題といいますのは、実は最近いろいろと世界的に話題になっております炭酸ガスの問題でございますけれ
ども、ことしもアメリカの熱波の問題、アフリカの干ばつの問題、またわが国におきましては冷害の問題等々、いろいろございます。こういう問題が果たして炭酸ガスによる地球の温度上昇、こういう問題とどこで結びつくとか、そういうことは私わかりません。わかりませんけれ
ども、この異常気象の問題についてはわれわれも重大な関心を払わなければならない、そういう
一つの時期に差しかかっているのではないか、このように思うのですね。そんなことで、きょうはこの席をおかりいたしまして各大臣に
お尋ねをしたいと思うのです。
今月の三日、三宅島で噴火がございました。二十一年ぶりでございます。幸いに死者はなかったわけでございますけれ
ども、今回のあの大噴火で気象庁の観測体制の不備というものがわれわれ国民の前に明らかになったと思います。少なくとも微小地震については一時間半前からキャッチすることができた。しかし、それを警報を出すことはできなかったということは、やはり観測データの不足によるものである、こういうようなことが言われているわけでございます。こういうような天災というものは、国民の生死にかかわる非常に重大な問題でございますので、やはり
行政のサイドからもこれは十分に取り組んでいかなければならない重要な問題であろうと思います。今回の三宅島の噴火の場合は、一部学者には予知されていた、こういう話が新聞で報道されておりました。だから犠牲者がきわめて少なかった。また、その前に避難の予行演習も行われたということも聞いておりますが、ともかく不幸中の幸いではなかったかと思うのです。
私は、先ほど申し上げました地球上の炭酸ガスの濃度の上昇という問題は、これは三宅島の噴火とはとうてい比較にならない重大な問題だと思うのですけれ
ども、この現象によって農業の壊滅、これは食糧危機につながるわけでございますけれ
ども、また将来海面上昇の危険というものは、世界じゅうの数多くの学者またはまじめな出版物、そういうものによって警鐘がいま現在乱打されているわけでございます。
日本に余り資料はございませんけれ
ども、たとえば米国の大統領府環境質
委員会一九八一年一月の資料でございますれ
ども、この中にはこんなことが書いてあります。「二十一世紀には、世界の農業生産は壊滅的な打撃を受け、海面は五ないし八メートル上昇し、世界の主要な海岸都市などは水没してしまう」、こういうような資料が出されております。
また、最近日本の出版社からもいろいろな書物が出ております。たとえばシミュレーション小説を持ってまいりましたけれ
ども、こういう「ラスト・ウェーブ」なんという小説も、この問題につきましてはかなり克明に響いております。たとえば、この本の中でもこういうような記事が
一つあるのですね。「大気の温度上昇で、南極の氷が解け出して海水量が増え続けている。五十~六十年後には、アメリカ東海岸
地方は海中に没する恐れがあり、東京もその危険性がある」とアメリカの科学者が昨年の三月二十五日米下院科学技術
委員会の公聴会で警告した。この科学者はメルビン・カルビン・カリフォルニア大学教授、このようになっておりますけれ
ども、こういうような報告もされているわけでございます。
実際に、現在地球大気の炭酸ガスの濃度というのは毎年どんどん増加している傾向があるのですね。私は、きょうここにデータを持ってまいりました。ごらんになっていただきたいと思います。これは「炭酸ガスの急増現象」でございます。遠くからよくわからないと思いますけれ
ども、このデータは米国海洋大気庁の資料によるものでございますが、一九六〇年から一九八〇年までの二十年間、この地球の大気の中で炭酸ガスがどのくらい急激にふえているか、こういうような表でございます。この黒い線の方はハワイ島のマウナロアで観測した線でございます。それから下の方は南極点で観測した線でございます。これから見ますと、一九六〇年では三一五PPm
程度でございました。それが現在では三四〇PPm、約二五PPmほど上昇している。問題なのは十九世紀の末、いまから百年前でございますけれ
ども、約二九〇PPmくらいしかなかった。それが今世紀に入って、しかも最近になって急激に炭酸ガスの濃度がふえ続けている。こういう現象が報告されております。
また、これに関連いたしまして、この表はWMO、世界気象
機関のデータからつくった表でございますけれ
ども、これは「平均気温に対する気温差」と申しまして、前年度の温度に対しましてことしはどれほど温度が上がったか下がったか、そのプラスマイナスをこの百年間にわたりまして記録したデータでございます。ごらんのように線が上がったり下がったりしております。要するに、暖かくなったりそれから冷えたり、こういうことをずっと繰り返しております。この百年間にこういう現象を繰り返しながら、このグリーンの線でおわかりになりますように、上がったり下がったりしながらも、この百年の間には気温はかなり上がってきている、こういうことがこのデータでおわかりになると思います。
こういうことで、この問題に対しまして、わが国におきましてもいろいろな取り組みがされておりますけれ
ども、わが国の気象庁におきましては現在どのような観測体制をしかれているか、まず一番初めにこの点について
お尋ねをしたいと思います。